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1980/04/14 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第7号
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1980/04/14 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第7号

#1
第094回国会 文教委員会 第7号
昭和五十六年四月十四日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十日
    辞任         補欠選任
     江島  淳君     浅野  拡君
     藤井 孝男君     吉田  実君
     下田 京子君     佐藤 昭夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬義君
    理 事
                大島 友治君
                世耕 政隆君
                勝又 武一君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                井上  裕君
                山東 昭子君
                田沢 智治君
                内藤誉三郎君
                松浦  功君
                小野  明君
                粕谷 照美君
                本岡 昭次君
                柏原 ヤス君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
   政府委員
       文部政務次官   石橋 一弥君
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省体育局長  柳川 覺治君
       郵政省電波監理
       局長       田中眞三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       労働省職業訓練
       局訓練政策課長  野崎 和昭君
   参考人
       日本放送協会理
       事        田中 武志君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○放送大学学園法案(第九十三回国会内閣提出、
 衆議院送付)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、下田京子君、藤井孝男君及び江島淳君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君、吉田実君及び浅野拡君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(降矢敬義君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に佐藤昭夫君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(降矢敬義君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 放送大学学園法案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取すること、及び必要に応じて日本放送協会の役職員を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(降矢敬義君) 次に、放送大学学園法案を議題といたします。
 本案は、先国会衆議院より可決送付され、当委員会において継続審査中の法案でございます。
 先国会におきましては、趣旨説明を聴取し、質疑に入っておりますので、引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○本岡昭次君 放送大学学園法案の問題に入る前に、一言文部省の見解を聞かしていただきたいんですが、朝日新聞の四月十四日付でちょっと気になることが報道されています。日本の陸連が二年半前に、第一回八カ国対抗デサント陸上競技大会を開催して、数億円に上る決算報告がされないまま今日まできているということで、日本陸連とそれからそのスポンサーの側で何かお互いに責任のなすりつけ合いをしているということで、監督官庁である文部省の対応が注目されると、こうしたことが報道をされています。
 突然の質問で申しわけないんですが、この状況について文部省の現在まで知っておられること、そしてどのような対応をされたか。えらい関係のないことで申しわけありませんが、ひとつ御説明を願いたい。
#10
○政府委員(鈴木勲君) ただいまのお尋ねにつきましては、後刻調べましてお答え申し上げたいと思います。
#11
○本岡昭次君 まあ突然のことですから、後刻この内容についてはひとつ調べていただいて、文部省としての対応の仕方についても説明を願いたい、このように思います。
 それでは、まず基本的な問題から質問をいたしますが、放送大学学園は特殊法人として設立をされるのですが、どのような性格の特殊法人なのですか。お話をお願いします。
#12
○国務大臣(田中龍夫君) 放送大学学園法案のことにつきましては、文部大臣の権限についてお尋ねでございますが、放送大学の設置者としての特殊法人である放送大学学園に対しまして、主管大臣といたしましてその管理、運営について責任を負うという立場に基づいて、必要最小限度のものとして規定いたしたものでございます。法案におきましても、学問の自由、放送番組編集の自由を侵すことのないように、十分配慮したところでございます。
#13
○本岡昭次君 どういう性格の特殊法人ですかという御質問を申し上げております。
#14
○政府委員(宮地貫一君) どういう性格の特殊法人かというお尋ねでございますが、実は放送大学の設置形態そのものにつきましては、国立大学とすることあるいは私立大学とすることについてもいずれも検討はいたしましたが、それぞれ基本的に困難な問題があるということで、特殊法人として設立することにいたしたものでございます。その点は、衆議院の文教委員会におきます小委員会においても、すでにこれはそれらの設置形態について御検討をいただいてきておるものでございます。
 そこで、基本的な点で申し上げますと、大学と放送局とを一体のものとして放送大学を設置するという観点からいたしますと、放送法制上の問題と大学の自治の問題との調整というような点について、この両者を一つのものとして設置をするという考え方で特殊法人といたしたわけでございます。特殊法人の一般論からすれば、これはそれぞれ法律に基づいて置かれるものでございますが、基本的な点で通常の特殊法人と違います点は、まず大学を設置しているという点がございます。したがいまして、この特殊法人が放送大学を設置するという観点からいたしますと、大学の自主性を尊重するということが必要でございますし、それに基づきました種々法律の規定におきましても、学長の任命に当たって評議会の議に基づいて選考された候補者について理事長の申し出に基づいて文部大臣が行うというような、教学面での人事について大学みずからが選ぶという形を基本的にとっているわけでございます。そのほか一般的な監督上必要な命令を行うに際しましても、財務または会計に関する事項に限定するというような点に配慮をいたしておるわけでございまして、それらの点が通常の特殊法人とは異なる性格と申しますか、そういう点を備えているということが言えるかと思います。
#15
○本岡昭次君 後ほどもう少し深くお尋ねします。
 そこで、現在の放送法は特殊法人のNHKそして営利法人の民放の二本立てでつくられております。いまお話しのように今回設立されようとしている放送大学学園も特殊法人、NHKも特殊法人ということになっているわけですが、しかし法律の中では放送大学学園を別立てで放送法の中に組み込んで、第二章が日本放送協会、第二章の二を起こして放送大学学園を入れ、その後に民放が入ると、こういう仕組みになったわけで、同じ放送という事業を行う特殊法人ということで一つにまとまるということも考えられると私は思います。しかし、あえてそれを別枠にしていったということは、いままでの放送の秩序というんですか、特殊法人のNHKと営利法人の民放というところに新しいものがそこに入り込んだと。何か衆議院のいままでの論議の中では、いままで二本立てであったのが三本立てになったということだというふうに私は聞いたりもしているんですが、改めてそうした問題についての正確な政府側の答弁をお願いします。
#16
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学学園の放送でございますが、これはNHK及び一般放送事業者の放送とは異なりまして、学校教育法に基づく正規の大学である放送大学の放送ということになるわけでございます。したがって大学の自治を保障するという見地から、放送法上の一般放送事業者とは規律の態様が異になるということで新たな一章を設けたわけでございます。これは、いまも申しましたような、この放送大学学園の放送の持ちます特殊性という点に着目して、NHK及び一般放送事業者とは異なる取り扱いをすることとしたものでございまして、そういう意味で従来のNHKと一般放送事業者とは異なる規律を設ける放送事業者が新たに加わったという点では三本立ての体制になると言えるのではないかと思います。
 しかしながら、この放送大学学園の行います放送は大学教育のための放送に限られるわけでございまして、この三本立てになったということによりまして既存の放送秩序に与える影響というものは、これがきわめて限定された大学教育のための放送ということでございますので、放送体制の基本的な変革になるものではないと、かように私ども理解をいたしているわけでございます。
#17
○本岡昭次君 郵政省の方からもお越し願っていると思いますが、郵政省の立場からはいまの私の質問に対するお考えはいかがですか。
#18
○政府委員(田中眞三郎君) いま文部省の方から御説明がありましたとおりでございまして、私ども同じ考え方でございまして、放送大学学園が行います放送というものは、従来のNHKあるいは一般放送事業者の放送とは異なりまして、もっぱら学校教育法に基づく正規の大学教育に必要な放送を行うものであると、そしてその内客は大学の講義としての実質を有すると、そういう観点から大学の自治を高度に保障しなければならぬ、そういう考え方で、放送法上NHKあるいは一般放送事業者とは法律の態様を異にする必要があるということで、新たに一章を設けたわけでございます。
 主に異なる点と申しますか、放送大学学園について適用しましたところは、放送局の廃止及び放送の休止等に関する放送法四十三条及び四十八条の規定の準用は行っていただく、それから政治的公平等の番組編集準則に関する放送法四十四条三項及び教育番組の編集等に関します四十四条の五項の規定は準用する、それから広告放送の禁止に関します放送法四十六条の規定の準用。しかしながら、たとえば番組基準の作成義務とかあるいは番組審議会の設置義務というようなものはNHKあるいは一般放送事業者には義務づけられておるわけございますけれども、たとえば候補者放送等もそうでございますが、そういうものの義務づけは大学学園の場合には適用しないというようなことが主なる内容でございます。
#19
○本岡昭次君 そうすると、同じ特殊法人であっても、いまの説明では、それは学校教育法に基づく教育を行うことが主体であり、講義そのものが放送の中身になってくる、そういう内容の面からこれは別枠にしたということ。理由はいろいろあるにしても、二本立てが三本立てになったという形の上では間違いないわけですね、いかがですか。
#20
○政府委員(田中眞三郎君) 形式上は一応従来のNHK及び一般放送事業者の中に学園が入ってまいりましたので、三本立てということは言えるかと思いますけれども、現在の放送の体系に対する根本的な変革と申しますか、大きくこの現在の放送体制を変えるものではないというふうに理解しておる次第でございます。
#21
○本岡昭次君 それであるならば、なぜその放送法の適用において放送大学学園を、先ほども説明がありましたが、一部のみ適用をしてそして全面適用から外したということの説明がつかないんじゃないんですか。放送法に基づいていま二つの体系があって、そしてそこに新しいものを一つ組み込むと、しかも組み込まれたものは他の二つのいままでにあったNHKと民放が適用されておったものでなくて、一部適用という形で持ってくる。そこのところの説明がつかないと私は考えますが、いかがですか。
#22
○政府委員(田中眞三郎君) 繰り返しますけれども、従来、国民の基盤と申しますか、聴視者全体の賛同を得て聴視者から集めました受信料の上に立って広範な放送をして、特に公共的な立場から放送してまいりましたNHKと、それに民間の創意というものを、高度に創意工夫を働かしてもらうと、コマーシャルベースの上に立ちました民間放送事業者の中に大学としての講義の内容を有する放送大学学園というものを導入しようとするわけでございますので、その意味では繰り返しますが、二本立ての体制の中にいま一つ大学教育としての実質を有する放送大学学園が入ったということで三本立てになろうかと思いますけれども、現在の放送法の中の手直しと申しますか、そういうことで新しい大学学園を十分吸収すると申しますか、特別に変革を与えることなくやっていけるということで、私ども放送法の附則の改正という形でこの学園法案の提案を申し上げている次第でございます。
#23
○本岡昭次君 三本立てになると思いますがとおっしゃって、その後いろいろまた説明がついていって、何か結論はそうではないんだというふうな話になるんでわかりませんが、これはひとつ逓信委員会の方でも放送法上の問題としてもっと突っ込んだ専門的な論議を私は必要とすると思いますが、いかがですか。これは文教だけでこの放送法上の問題の論議では不十分だと考えますが、郵政省としていかがですか。
#24
○政府委員(田中眞三郎君) いままでの逓信委員会でもいろいろ御議論がございました。たとえば放送法の根本的体制の変革であるという見方からしますと、放送法の附則の改正でやるということはどうかとか、あるいはNHK、あるいは現在に対する非常に大きな影響があるというようなことで御議論があったわけでございますけれども、後ほど御議論いただくのかと思いますけれども、私どもといたしましては、特にNHKに対する放送番組との関連、その他においての影響等々も十分考えましたことでございますけれども、そういう観点からも特に大きな影響はないという観点、それから附則での改正につきましては、これは法制局ともいろいろ打ち合わせたことでございますが、やはり放送を利用する大学ではございますけれども、まずその前に大学という形で、伺いますと、放送大学学園の授業というものは、放送により行うものが大ざっぱに申しまして三分の一と、それから印刷物等によって行います教育内容が三分の一と、スクーリング等大学として重要な面接等によります授業が三分の一、そういう形でやっておられますわけでして、やはり放送大学学園と、どういう大学をつくるのかというのがまず最初にまいりまして、その中で三分の一程度手段として放送を使うと、こういうことでございますので、やはり放送大学学園法案の中で附則として放送法を改正するというのが適当であるというふうに考えまして、御提案申し上げておる次第でございます。
#25
○本岡昭次君 また改めてこの問題については深めていきます。
 それでは郵政省の方にお伺いしますが、放送大学学園が新しくNHK、一般の民放と並んで放送の事業者となったわけですね、ここに入るということは。そしていまテレビとラジオを一系列ずつ放送するということになるわけですが、そこにその放送の事業者になるということは、現在NHKでも第一放送、第二放送とか、あるいはまたテレビでも総合テレビ、教育テレビの番組というふうに系列を二つずつ持ってやっているという状況を考えて、放送大学学園も将来この目的とする「当該大学における教育に必要な放送を行うこと」というこの目的に合致すると判断されるならば、放送の系列を二つ、三つというふうにふやしていく、そういうことも可能であるということになりますね。
#26
○政府委員(田中眞三郎君) 放送大学学園の放送網がダブる可能性といいますか、そういう御質問だと思いますけれども、この学園法案の構想が出ましたのはたしか昭和四十四年だったかと思いますが、文部省ともお話し合いの上、郵政省といたしましては四十四年以来テレビジョン放送及びFM放送用の周波数をそれぞれ全国一系統やりましょうということで留保してまいっておるわけでございます。この周波数を使いませば、いま現在文部省の方で考えております二百四十科目の開設が予定されているそうでございますけれども、そうした放送大学学園の放送を円滑にできる、時間的にもできるというふうに考えておるわけでございますけれども、いま御質問のようなさらに全国的に第二あるいは第三のテレビ放送網と申しますか、そうしたものを設置することにつきましては周波数事情等から見ましてきわめて困難と申しますか、ほとんど不可能に近いというふうに考えておる次第でございます。
#27
○本岡昭次君 現在の持っている周波数の中から困難か困難でないかということを尋ねているわけじゃないんです。法律の上で放送大学学園も一つの放送を行う事業の主体者としてそこで認知されたということになれば、NHKとか他の民放と同じようにこの大学設置の目的にかなう放送であれば放送が持てなければおかしいのじゃないんですか。その持てる周波数の余裕があるかないかとは別に、持てるということにここになったということじゃないか。でなければここに特別に事業主体者として設置することがおかしくなる、私はこう考えますがね。
#28
○政府委員(田中眞三郎君) 御指摘のとおり、NHKは何系統と申しますか、ラジオが二系統持っており、テレビも二系統、そのほかにFMも一系統という形でございますけれども、それから民間放送事業者につきましてはラジオ、テレビ両方非常に先発局につきましてはそういうかっこうになっておるわけですが、そのうち後発局と申しますか、というテレビ局等につきましては周波数的にも持ち得ない、それからこういうふうに放送業界が非常に盛んになってきた時点になりますと、マスコミの集中排除というような形でこれ以上同じテレビ局にラジオを持たせるとか、あるいはFMを持たせるというようなことにつきましては放送法制上でなくて政策上の立場からいかがかというふうに考えておりますけれども、いずれにしましても先生の御質問の法律的には不可能にはなっていないなという御質問につきましてはそのとおりでございます。
#29
○本岡昭次君 法律では持てると、しかし現状では持てないと。もう一つ、政策的にとおっしゃいましたが、放送大学学園が将来にわたってもそのようにみずからの放送の系列をふやしていくということは好ましくないというのか、そういうことをしてはならないというのか、現在のテレビ一本、ラジオ一本でいくべきだというのか、そこらの点はどうですか。
#30
○政府委員(田中眞三郎君) それらにつきましては、今後の検討事項でございましょうというようなことでございます。それで、私ども、そういう形の御質問なり、あるいは文部省からのお話も受けたことがないという意味でございます。
#31
○本岡昭次君 ここではっきりしたことは、放送大学学園という放送の事業者が特殊法人という形でNHKとは別にできて、そしてそれは大学教育を目的とする放送を行うと、しかしそれはあくまで放送の事業主体者であるから、法律上は、必要とあらばその法律の枠内であればそのほかにもさらに放送を持つことができると、こういうことになったんだというふうに私は解釈をいたします。また、そうでありました。
 そこで、NHKが特殊法人であってまた放送大学学園の方も特殊法人だという事柄について私は理解がいかないわけですが、(本を示す)そこで大蔵省の主計局が五十五年の七月に「歳出百科」というものを出しています。この中に「特殊法人」という項目があります。そして、「特殊法人とは」という性格づけがここにされてあります。先ほど文部大臣なり宮地局長がおっしゃったけれども、私はよくわからない。しかし、ここには明確に「特殊法人とは」と書いてある。さすが大蔵省だと思うんですが、これ。そこで、法律的な解釈では「特別の法律により特別の法律行為をもって設立される法人」」と書いてあります。これでは一般の国民はわかりません。私も、これだけでは具体的に頭の中にイメージとして浮かんできません。ところが、その後にまことに特殊法人とはいかなるものかということを具体的に書いてあるんです。こういうふうに書いてあります。特殊法人というのは「一般的には、資本の全額を国が出資している法人」――放送大学学園も資本を全額出資しますね、だから法人になります。「法人は、国の別働隊ともいうべきものであって、特に公的色彩が強いといえます。」と、こう大変上手に説明してあります。「国の別働隊ともいうべきものであって、特に公的色彩が強いといえます。」。だから私は、NHKは特殊法人であっても公的色彩が比較的薄いという形、すなわち国民から料金を取って、それを中心にして、国から二十五億程度の補助金をもらってやっている。しかし経営の主体は、あくまでそれは国民が料金を払っているということですね。しかし、今回できるこの放送大学学園は、もちろん六万円程度の学生から授業料は取るとはいえ、主として政府から資本金が出され、そして財政的にも政府が全部カバーしていくと、こういう形になっておりますから、言ってみればまさに国の別働隊ということであるというふうに私は考えます。だからこそ法律の上では別建てにしなければならなかった、こう考えるんですが、いかがですか。
#32
○政府委員(宮地貫一君) お話しの「国の別働隊」という大蔵省の「歳出百科」の表現を御引用されての御説明でございますが、放送大学の設置者である特殊法人放送大学学園でございますが、国から独立した別の法人格を有するものでございます。そしてその放送大学学園は、大学と放送局を一体のものとして設置するというものでございます。
 それで、放送大学学園に対します文部大臣の権限でございますけれども、主管の大臣としてその管理運営について責任を負うという立場に基づきまして、必要最小限のものを規定しております。法案におきましても、大学における学問の自由及び放送事業者としての放送番組編集の自由を侵すことのないように十分配慮をいたしておるわけでございます。そういう意味で、私ども、国の別働隊ということではございますが、国とは異なり、かつ文部大臣の権限につきましてもただいま申しましたような形で、十分配慮をいたした形でこの放送大学学園を法律的に位置づけをしているつもりでございまして、したがってそういう放送大学学園の教育の内容に国家的な統制が及ぶというようなことになるのではないかという仮に御懸念があるとすれば、私どもはそういうことのないように十分配慮した法律の組み立てを考えているというのが、御提案申し上げております法案の中身でございます。
#33
○本岡昭次君 国の別働隊という大蔵省の特殊法人に対する一つの性格づけのようなものは、いまの答弁の中でお認めになったようです。
 そこで、いま一つ突っ込んで、私は放送法の三本立ての形態になったことにこだわっているんですが、NHKが特殊法人、放送大学学園も特殊法人、そしてそれぞれ特殊法人として国の別働隊、しかしそれは別個に位置づけなければならない。もちろん大学が放送と結びついていくというNHKとは違う中身であります。もちろん私もわかります。ただそこで、私なりに分けてみるんですが、同じ国の別働隊であっても、NHKは公益というんですか、そういう立場に立つ一つの放送事業者、今度新しく設置されようとする放送大学学園なるものの放送の中身は、国営放送とは言わないけれども、準国営放送的性格を持つ、こう考えれば、同じ特殊法人でありながら放送法上二つに分けなければならなかったという理由が非常にこれははっきりしてきます。法律にそう精通していなくとも、私のような素人でもそこの点は解明ができますが、私のような考え方はいかがですか。
#34
○政府委員(宮地貫一君) 放送法上の三本立ての問題のことについては、先ほど郵政省の方から御答弁があったわけでございますが、基本的にはやはりこの放送大学学園は国とは別の法人格を有するということでございまして、お話で準国営放送というような性格を持つのではないかという御指摘でございますけれども、問題は学園に対して出資でございますとか、あるいはたとえば管理運営費につきましてもこの特殊法人に対して国から補助をいたしますとか、まあそういうような点では、確かにそういう観点から見れば準国営に近い放送ではないかという御指摘もあり得るかと思いますけれども、しかしながら、この特殊法人は放送大学を設置する法人格としての特殊法人であり、かつそれが放送を行って正規の大学教育を行うというものでございますし、そしてまたそれに限定をされているわけでございます。したがいまして、この特殊法人は放送大学と放送局とを設置するということを目的とする特殊法人でございまして、放送も、先ほど来申し上げておりますように、大学教育のための放送を行うというものでございます。したがって、この特殊法人の行います大学教育のための放送というものは、これはそれ自体が国営というものではないわけでございまして、たとえば国立大学を国が設置をしております。これは国立大学の管理、運営に要する経費、もちろん授業料もございますけれども、大部分は国費で賄っておる国立大学はあるわけでございますが、しかしながら、そこで行われております大学教育の中身そのものは、これはもちろん大学の自治が保障され、学問の自由が保障された教育が行われていることは、私どもとしてはそのことについては何らの疑いを持っていないわけでございます。同様にこの放送大学学園は、放送大学を設置し、大学の教育としての放送を行うものでございますけれども、それは大学教育の中身そのものでございまして、そのことを指してこれが国営放送――国営放送の定義というものもまた問題になろうかと思いますけれども、そういう形のものではなくて、大学教育の中身そのものを放送で行っているものだと理解をしているものでございます。
#35
○本岡昭次君 大学教育の問題については続いて後で質問をさしていただいて、いまの問題をさらに解明していきます。ほかにもたくさん質問したいことがありますので非常に不十分ですが、この放送法上の問題はこの程度で終わって先に進みます。
 しかし、私はあくまで問題にするのは、先ほど言われたその放送による教育の国家統制というものが行われていかないかという心配を非常に強く持っております。
 文部大臣に最後お伺いしますが、とにかく放送大学学園というものが設置されて、放送法の中に一つの別枠として位置づけられて、NHKに匹敵する、さらにやり方によってはそれ以上の大きな放送の事業主体者になり得るわけです。全国くまなく送信所をつくり、そして学習センターをつくり、これからお尋ねしますが、四十何万という学生をそこに抱え込んで、そして何か打ち上げられる予定の放送衛星も使ってやる、そして電波を通して家庭へ直接飛び込んでいく。こういうものを準国営という形、また国の別働隊というふうな形で新しく放送大学学園がここに存在して、まかり間違えば放送というこのマスメディアを通して教育の国家統制、そして国民の物の考え方を、価値観を一つに統一していくということにこのことが大きな力になり得るとすれば、これはもう放送法上も大変なことであるし、憲法や教育基本法の中に言うこの教育の問題から見ても大変な事態になるという心配をするのが私は普通の物の考え方であると、こう信じているんですが、文部大臣、私にあなたの言っているような心配は絶対ありませんというひとつお考えを示していただきたい。
#36
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの本岡さんの御質問でございますが、いまおっしゃったようにこの大学の自治を侵すというようなことは絶対ありませんと、こう私は申し上げたいのでございます。その問題は、いわゆる大学における学問の自由を保障するための大学の自主性を尊重するというこの制度と慣行、これをあくまでも堅持していかなきゃならない。大学の自治の具体的な内容といたしましては、いわゆる大学の学長、教授の選任でありますとか、あるいは大学の自主的な判断に基づくいろいろな重要なこの内容となるものと考えられますが、その意味から申しまして、大学の自治、大学の自主性というものは十分に保障するということが特に配慮されておるわけであります。一方におきましては放送法との関係、一方においては大学の自治の関係、これを堅持してまいりたい。
 なお、具体的な詳細の面は政府委員からお答えいたします。
#37
○本岡昭次君 大学の自治、やはり学問の自由と放送法の関係、これが非常に重要であるということを私も認識しておりますので、それは後ほどまたその問題にしぼって御質問いたします。
 次の問題は、前回私が放送大学を設置する今日的意義はどういうものかということの質問をいたしました。宮地局長はそのときに二つ柱を挙げられました。一つは十八歳人口増に対応する高等教育の機会拡大である。第二は生涯教育の中核的な高等教育機関として広く社会人や家庭婦人にも大学教育の機会を新しい形で提供したいと、このように二つを挙げられました。そこでお尋ねしますが、この十八歳人口の問題ですが、一九九五年まではずっと上がっていきますが、それからは横ばいになります。また、大学進学率ももうすでに頭打ちになっています。そういう中で一体十八歳人口の何%が大学へ進学することが好ましいというふうに文部省はお考えになっているんですか。
#38
○政府委員(宮地貫一君) 十八歳人口の高等教育への進学率はどの程度が適当と考えるかというお尋ねでございまして、大変率直に申しまして、その御質問にこれが最適であるというお答えを申し上げることは、大変残念ながら明快にこれが適切であるという数字を申し上げかねるわけでございます。ただ、日本の高等教育の全体の姿から申し上げてみますと、すでに昭和四十一年当時から五十一年にかけましては、この大学進学率が毎年ほぼ二%を超えるぐらいの率で上昇いたしまして、これはちょうど十八歳人口が減少の時期に差しかかっていたというようなことと組み合わさった現象、さらに社会全体の経済成長の時期、そういうようないろんな要因が重なり合った結果ということが言えるかと思うんでございますが、五十一年度で進学率としては三八・六%というところに達しておるわけでございます。その後十八歳人口そのものはほぼ百五十万人台で横ばいで推移をしておりますが、大学進学率につきましてもほぼ三七%台で推移をしているというのが今日の現状でございます。こういう大学進学率がほぼ三七%程度で横ばいで進んでいるということが何が原因であるか、なかなか的確にそのことを御説明することもむずかしいわけでございますが、一面、専修学校への進学率が、これは五十一年度に制度が発足したわけでございますけれども、五十五年度で八・八%ということで、これは相当な伸びが見られております。これなんかも高等教育に向かう、多様化と申しますか、大学一辺倒という考え方ではなくなってきたということも言える点ではないかと思っております。それらのいろんな要素を勘案いたしまして、私ども、高等教育の計画的整備ということで、後期の計画期間、五十六年から六十一年度までを目途に後期の計画を一応想定をいたしておるわけでございますが、その中では、一応、三七%の進学率に対応し得るような規模で考えていきたいということを基本的に考えております。したがって現在、私どもの全体の高等教育の計画的整備の中で考えております考え方で申し上げますと、現状の進学率は維持すべきものということで高等教育の規模などを考えているというのが現状に対する御説明でございます。と申しますのは、これから、五十五年から六十年にかけまして、十八歳人口の規模というのはこれから百八十万人台へ向かって、途中ひのえうまの年に若干落ち込むというものもございますが、ふくらんでまいっております。そして、昭和六十六年、七年あたりがピークになりまして、二百万人台というところまで、ただいまの十八歳人口の規模がほぼ百五十万人台で推移をしている点から申しますと、約五十万ほどふくらんでくる時期が来るわけでございます。もちろん、その後、この二百万人台から、さらに昭和七十年ぐらいには、百七十万から百六十万人台のところへまた若干落ち込んでいくというような、そう緩やかなカーブを描きながら、十八歳人口というものは推移していっておるわけでございます。したがって、私どもとしては、ただいま、高等教育の全体的な計画的な整備ということを考えます前提といたしましては、現状のほぼ進学率は維持すべきものという考え方で対応しているというのが――現状の進学率が最善であるかという御質問になりますと、そのことに対するお答えではございませんが、計画的な整備としては、少なくともそういう進学率は維持をしたいということで計画を考えているということでございます。
#39
○本岡昭次君 そうすると、大学進学は一つの世代――年代ですか、十八歳人口の三七%程度がずっと維持できるという状況を考えていくときに、放送大学が持つ意義が非常に大きいと、こういう御説明ですが、しかし現実に、大学出、そして学士というんですか、その資格を得ているわけですが、実際大学を出て、そして大学で学んだ学問というんですか、そういうものを十分生かし切って、社会に貢献しているという状況よりも、大学は出たけれどという実態の方がいまではむしろ多くて、いろんなところで聞くのでは、四万とか十万とか、結局大学出たけれども、自分が大学で専攻したことをもって社会に貢献し、また自分の一生涯の仕事とすることができないという大学出がいっぱいいるというのがこの実態ではないかと思うんですが、そういう状況の中にあって、第二期計画というのはいつ完成するのか知りませんが、そのときに四十五万人の学生を擁する大学というものをいまもなお本気に構想しておられるんですか。
#40
○政府委員(宮地貫一君) これは、放送大学の基本計画を立てました際に、全国規模で申せば、最大限四十五万人の規模というものを想定をいたしまして、その場合の入学者の規模が二十三万三千人と試算をいたしておるものでございます。その試算から第一期の計画を関東地域から発足させるというに当たりましての学生数をはじいて、相当下目の数字といいますか、最初発足の当時は、全体の十八歳人口の規模から見た関東地域の人口から逆算される数字よりは相当下回った数字で、内輪の数字でスタートの計画としては設定をいたしております。その数字が、第一期の計画で御説明をいたしております入学者としては、初年度としては五十九年度を目途といたしておりますが、初年度一万人、それで第一期の計画の完成時では一万七千人程度ということを第一期の計画では目途といたしておるものでございます。
#41
○本岡昭次君 いま第一期計画が出ましたが、第一期計画というのは、五十九年度に開学して、学生を受け入れて四年間ということになっていましたが、第一期計画は四年間ですか、基本計画では。
#42
○政府委員(宮地貫一君) ただいまの計画で申し上げますと、学生受け入れを五十九年度から行いまして、学年進行的に完成をさせていく。したがって、第一期計画の学年進行の完成時で申し上げますと、入学者数としては一万七千人の規模ということで第一期計画を考えているわけでございます。
#43
○本岡昭次君 だから、それは四年間ですか。
#44
○政府委員(宮地貫一君) さようでございます。
#45
○本岡昭次君 その四年間で、第一期計画の中で一年、二年、三年、四年と学年進行で学生を受け入れ、そして最高が一万七千人ですか、当初の基本計画では三万人であったはずですが、相当これは落とされているわけですね。
#46
○政府委員(宮地貫一君) ただいま一万人なり一万七千人と申し上げましたのは、入学者数の間口といいますか、入り口の規模のことでございまして、御指摘の三万人でというのは、大学全体の在学者数の規模としての三万人というのは、やはり考え方としては一期の計画では在学者数で言えば三万人ということはすでに御説明申し上げておる数字と同じでございます。
#47
○本岡昭次君 第二期計画というのは、これは最終的な計画のようですが、そのいま言った一万人なり一万七千人、これが単年度で、四年間になれば在学者数が三万人を完全に上回ることになるだろうと思うんですが、それが最大四十五万三千人という規模になり、職員数がこれは専任、非常勤を含めて七千六百人というのですか、そうして全国にまたがってその受信所ができ、学習センターができという最終の状態に到達するには何年要すると考えておられるんですか。
#48
○政府委員(宮地貫一君) 第一期の計画でただいま御提案を申し上げて御説明をいたしておるわけでございまして、この放送大学自体の試みそのものがもちろんわが国としても最初の試みでございまして、しかも、全体計画そのものも、これは非常に大きなプロジェクトでございます。したがって、段階的にかつ慎重にこれを進めていく必要があるというのが従来から御説明を申し上げているところでございます。第一期の計画としては、多くの人口と、多様な人口構成のございます、それから今後の拡大計画に必要な基礎的な資料を得やすいというようなことなどを考えまして、当初の第一期計画は従来御説明を申し上げておりますとおり、関東地域、東京タワーから電波の届く範囲内をまず対象といたしておるわけでございます。もちろん全国規模のこともいろいろ私ども想定をいたしておるわけでございますが、実際に実施をいたしまして、たとえば学習センターの問題にいたしましても、第一期の計画でも学習センターの具体的なところも私ども事務的にはいろいろと検討はいたしております。しかしながら、いろんな面で、先ほども申しましたように、最初の試みでございまして、それを実際に実施いたしました上で、いろいろと解決をしなければならない問題点ということも現実問題としては出てくるということも考えられるわけでございます。そういう問題点を一つずつ解決をしながら、できるだけ早く全国規模に広げたいというのが私どもの考え方でございます。
 しかしながら、一面全体的な国の財政状況というようなことも片や勘案する必要もございますし、先ほど申し上げました十八歳人口の今後の増加というような状況もにらみながら、私ども従来御説明しております点で申し上げますと、ただいま、昭和六十一年度までが現在の高等教育の計画的整備ということで考えております計画期間でございます。六十二年から七十一年ぐらいまでの期間を想定をいたしまして、新しい高等教育の整備計画というものを考えなければならぬわけでございまして、放送大学の対象地域が全国的に拡大するということをもその期間内には達成をいたしたいという方向で考えております。しかしながら、いずれにいたしましても、まずは第一期計画に着手をさせていただきまして、いろいろと具体の問題点も煮詰めながら、全国的に一歩一歩拡大を図っていくという慎重な対応も必要でございます。したがいまして、大綱としてはいま御説明を申し上げましたような考え方で進めているところでございますけれども、いりまでに全国計画を達成するのかというお尋ねに対して、この時期まででございますということは明確にはなかなか申し上げにくい点でございますが、従来御説明しておる点で申せば、ほぼそういう、七十一年ごろを目途にという程度の御説明で申し上げておるわけでございます。
#49
○本岡昭次君 何か、前置きが長くて困るんですが、結局のところ、七十一年を目途にいろいろ努力すると。当面、五十九年度から四年問は第一期計画ということを実施してみて、その上でさまざまな問題が出てくるだろうから、それを解決していきながら七十一年を目途にと、こういうことですね。それならそういうふうに一言言っていただいたら、時間が非常に助かるんですよ。
 それで次に、結局大変なプロジェクトなわけなんですが、そのお金はどれだけかかるのかということが、放送大学の基本計画に関する報告の中には出ております。最終的な必要投資額八百七十億と、それから、そのときには年額二百九十億円が毎年毎年必要とするであろうと。また、いまから十二、三年かけてやっていく期間に、毎年必要な年間の事業費、大体百四十億程度がずっと十年ほど学校ができれば要るであろうと、こういうことがここに試算をされていますが、この試算は、この放送大学基本計画の報告自体がこれは五年ほど前の報告ですから、その八百億とか三百億とかいうお金自身も、そのときの計算の金額であろうと思います。現在のお金に直してみて、一体、完成するまでにどれだけの資本を投資しなければならないのか、また、あなたのおっしゃった昭和七十一年、完成時には毎年どれだけのお金をその放送大学に投入しなければならないのかという問題。――いまのお金で考えてもだめですよ、七十一年にできるというんですから、七十一年にはこれだけのお金になるでしょうということがなければ、一体どれだけの巨大な国のお金をそこへつぎ込むのかということが明らかになりませんね。そういった点を、いまはっきりしてる事柄でよろしいから、言ってください。
#50
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の基本計画に関する報告に示されております数字は、まあ土地代は別でございますけれども、五十年度価格の試算で、施設設備費で約八百七十億、運営費で約二百九十億という試算をいたしておるわけでございます。それらを五十五年度価格で試算をし直してみますと、施設設備で約千百億、運営費で約三百六十億という試算をただいまいたしておるところでございます。これはもちろん完成時の、まあ最大規模を基礎といたしました試算でございまして、なお、現実にただいま私どもとしては五十五年度価格での試算のところまでが出し得る限度でございまして、それ以後の、今後の価格の上昇がどの程度見込めるかということについては、具体の資料を持ち合わしていないわけでございます。
#51
○本岡昭次君 五十年度と五十五年度が出たわけで、まあその試算の基礎はどういうものかわかりませんが、しかし、はっきりしてることは、八百七十億が千百億になったということで、約二百三十億、五年間で二百三十億ふえているわけです、試算で。そうすると、七十一年にこれ完成するということですから、さらにこれから十六年間ずうっと月日がこうたっていくわけで、まあこれのいま、試算のこの伸びの完全にまた三倍ほどは伸びていくということを考えていくと、最終的に二千億ほどの資本投資が必要になる。あるいはまた、完成時には膨大な施設設備、人件費、そうしたものを完全にカバーして、先ほどから盛んにおっしゃっている正規の大学としての教育の質を確保すると、マスプロの、大学さえ出りゃあええという大学じゃないんだという文部省の意気込みを具体化するためには、これまた毎年毎年必要とする経費が六百億近く必要となるということを、算術的にいまの五十年から五十五年のこの試算の伸びから見て推定できるわけで、これは大変なお金を投じるということになります。
 文部大臣、いかがですか。これだけの巨費を投じて、そして先の見通しは、いまも局長がおっしゃいましたけれども、どうもはっきりわからぬ。とにかくやってみて、そこからいろんな問題が出てくるだろうから、それを解決するんだと。解決できなかったらどうなるんかと。新構想の大学、教員大学の問題でも、全国にブロックにつくるんだと言ったけども、結局三つしかできなかったと。しかしあとは……、いやもうこれで終わりです。そこに何か政策そのもののやっぱり見通しがない一という中での私は一つの文教政策の失敗だと思うんですが、これとても、第一期計画はやってみたけれどもと。そこで解決できない問題がいっぱいできたと。財政的にも体どうなるか見通しつかないでしょう、十年先のことなんて。そうすると、東京タワーから発信される関東周辺の人たちは放送大学の何か恩恵は受けたけれども、教育の機会均等からいえば全国的に何の恩恵も受けなかったということになってもそれは仕方がなかったんだということになりかねない。非常に見通しのない、こう、雑な計画ではないかと私は思うんですが、文部大臣、いかがですか。
#52
○国務大臣(田中龍夫君) お話しのような表現をもっていたしますとそのようなお考えが出るかとも存じますが、今日まで過去十年間の間、この問題につきましてはいろいろと研究もし、また、センターをつくって具体的には着々と進めてまいった問題でございます。それからまた、この生涯教育という新しい教育の問題、さらにまた開かれた大学にしなければならぬというわれわれの持っておりまする理想、こういう問題をいろいろと、われわれの情熱と申しますか、文教政策としてのあるべき新しい時代に即応したラジオ、テレビを基軸といたします教育、これは本当に大きな希望と理想を持って進めてまいったものであります。しかしながら御案内のとおり、その具体的な計画というものがまだ初めてのことでもございまするし、のみならず、きちんとした計画性を持ってやるというわけにもできない未知の関係が非常に多いということは事実でございますが、しかしながら、それはそんなにずさんなものではなく、着々と十年間の努力、その上に積み上げられました当面考えられるところのデータをもってするならば今日お示ししたものとなっておる、こういう次第でございます。ことに、いま、さらに将来全国的にネットを張るという上から申すならば、人工衛星とかなんとかいうふうないろんな新しい構想もございますけれども、それは別といたしまして、当面の具体的な申し上げられるデータといたしましてはお示ししたとおりでございます。
#53
○本岡昭次君 それでは文部大臣、この審議は私だけでなく、各党の方から質問も出ましょうし、わが党からも次々と質問が出ます。私ももう一回質問のチャンスがあろうかと思います。
 そこで、いま宮地局長が言われたように、とにかく実施した上で出てくる問題を解決してというふうな事柄でなく、この放送大学の基本計画に関する報告の上にさらに、それではあなたがおっしゃった七十一年までの見通しというものをもっと細かくそこに描き出して、少なくともいまの時点でもいろんな識者がこの問題に対して問題を投げかけています。だから、やってみなければわからないじゃなくて、やってみればこういうことに問題が出るだろうということはもうたくさん明らかになっている、私たちもたくさん言っている、そのことについて具体的にこうします、こうやります、もっと財政的にもきちっとしたお金の裏づけをつけて、そしてみんなの頭の中に完成したときの状況というものがきちっと一つのイメージとして、絵として浮かんでくるように出してもらわなければ、やってみてというふうな言葉の前提づき、そしていろいろ問題が出てくるだろうからそれを解決していきながらというふうなことでは、この放送大学問題で余りにもたくさんの国のお金を使い、国民の税金を使ってやって、もしうまくいかなかったときはどうするんだというふうな責任のとりょうがない、私はこう考えるんです。だからぜひ、いま宮地局長がおっしゃった、これから出てくるであろう問題なんというのは、もっと細かくあなた方が資料をつくり、私たちも納得できる、国民もなるほどそうかと、その五十年の資料を私たちがいま見ていなければならないということがないようにしていただきたいということを要望して次の問題に入っていきます。これはぜひ、私が次回質問するまでに整えていただきたい、こう要請をしておきます。
 そこで私は、放送を教育に使う、教育を放送によって行う、このことの一番実績を積み上げているのはNHKであると考えます。幼稚園から大学まで、正規の教育課程に従ったものを、あるいは大学レベルの講座等々、長年のそこに教育放送としての蓄積をやっています。私はこの努力を大変評価しますし、特に小・中・高等学校における視聴覚教育の面で貢献したこの実績は非常に高いものがある、こう考えているわけですが、そのNHKがいま行っている大学講座、これは大学教育の講座ではないわけですが、これは大学レベルの講座と、このように考えてよろしいですか、NHK。
#54
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。
 現在NHKが行っております大学講座は、大学生から一般社会人までを対象とした大学レベルの教育番組というような位置づけで放送しております。もう少し具体的に申し上げますと、番組の内容では、現在の学問の領域の中におきまして大学教育として必要な内容を、それぞれの斯界の権威の先生方が、長期にわたって考えてこられた学問的な成果とか最近の研究内容といったものに基づきまして、体系的に平易に解説をなさっているというような内容でございます。
#55
○本岡昭次君 私も最近関心を持ってこの大学講座を夜の十一時半からの分を見るようにしているんですが、私のように余り勉強してない者でもなかなかわかりやすく説明している、こういうふうに思いますが、そこで、このカリキュラムに従って受講している受講生はどのぐらいありますか。
#56
○参考人(田中武志君) 現在私どもで調べておりますが、なかなかこういった受講生がどのぐらいおるかということは正確に把握することはむずかしい面がございますけれども、一つは、私どもで発行しておりますテキストの総発行部数から推定いたしますと、大体年間に現在は四十万部から四十五万部ぐらい出ております。これは五年ほど前に比べますと約倍ぐらいにふえているんじゃないかということで、最近はかなりふえてきているんではないかというふうに思っておりますし、また毎年私どもでやっております、世論調査所でやっております調査、視聴率の調査によりますと、こっちの方も大体各番組がやはりこの五年間で約十万人ぐらい、推定でございますけれども、ふえているんじゃないかというふうに思っております。
 これは、最近非常に社会教育、生涯教育としての一般的な社会的なニーズが高まっておりますので、そういった意味合いで、家庭の主婦とかあるいは一般の社会人の方々が放送セミナーとして社会教育の活動の場で御利用なさっている成果ではなかろうかというふうに思っております。
#57
○本岡昭次君 そこで、NHKのこの大学講座を通信制の大学、これは通信制の単科大学はないわけですが、私立の大学が通信による教育を併設して行っておりますが、その大学の通信教育の中の単位認定としてNHKが放映されるその講座を活用されるということはないんですか。
#58
○参考人(田中武志君) NHKの大学講座は昭和三十六年に大学通信講座というような名前で発足したものでございます。そのときは、大学通信協会というところからの要請を受けて、正規の大学教育の一環として、大学設置基準に定められた科目によります番組を実施しておりました。それと同時に、通信制大学におきます単位認定の対象にもなっておったということでございましたけれども、その後状況変化がございまして、だんだん授業に放送を利用なさる学校が少なくなりました。そういったことで、NHKといたしましては昭和五十三年度からNHKの自主的な編成によりますテーマ別の大学レベルの教育番組に衣がえをして今日に至っているということでございまして、中には、大学によりましては現在も補助的な教材として私どもの大学講座を御利用なさっているところもあるというふうに聞いております。
#59
○本岡昭次君 状況の変化と申されましたが、なぜその大学側がNHKの放映する大学講座を単位認定することからずっとこう外していったんですか。その理由がわかっておればひとつ説明していただきたい。
   〔委員長退席、理事大島友治君着席〕
#60
○参考人(田中武志君) 最初私どもが、先ほど申し上げましたように大学通信講座という名前で発足したときに、通信制の大学が十八ありましたけれども、そのうちの半分利用なさっていただいておりました。しかし、だんだんその後こういった大学の通信教育というものが、大学もだんだん整備されまして利用なさる方がだんだん減ってきているということでございまして、先ほど申し上げましたように、テキストも発行しておりましたものも減ってまいりましたし、そういったことで、だんだん中身よりはそういった外部の社会環境によりまして減ってきたんではないかとわれわれ推定しております。
#61
○本岡昭次君 もう一度お尋ねしますが、NHKの放映しているのを通信制の大学が初めは単位認定として、その通信制の大学の教育の一環として取り入れていたけれども、だんだんとそういう状況に変化が起こって、NHKの側が制作上うまくいかないからということで最終的にやめられたのか、通信制の大学側がNHKの放映する講座をもってみずからの大学の教育の単位として認定していくこと、それは大学側も教授がいてその教授が教えているんですわね、NHKはまた別の人が――たとえば同じ日本史の問題でも違う人がお互いにやっているという状況の中で単位を認定し合うということは非常にむずかしいと思うんですが、その困難性は主としてどちら側にあったんですか。
#62
○参考人(田中武志君) 私どもでは、普通どおりの内容向上、番組の内容をできるだけいい方向に持っていこうということで鋭意努力してきたつもりでございますけれども、やはり先ほど申し上げましたように、社会環境がだんだんこういった通信教育についての利用が減ってきたんではないかというふうに考えております。
#63
○本岡昭次君 必ずしもはっきりしておりませんが、いまの問題は、放送大学が発足したら通信制の大学との間の単位をお互いに交換し合うとか、編入学するとか、通信制の大学が非常にそのことによって恩恵を受けるであろうかという主張がありますから、私は果たしてそういうことになるかどうかということの、やっぱり非常にNHKがそこのところで苦労されているのでお聞きしたんで、大体もうそれ以上おっしゃれないでしょう。わかりました。
 そこで、NHKにはNHK学園という高等学校の通信制の教育をずっとやっておられます。そこの高等学校の通信制を出た者は、やはりもう一つ高等教育を受けようとする場合に、やはり放送大学じゃありませんが、NHKに大学を設置してもらいたいという要望等も恐らく継続の問題としてあったんじゃないかと考えますし、NHKもNHK自体が大学を高等学校の延長の問題としてつくろうとするお考えはあったんですか、なかったんですか。
   〔理事大島友治君退席、委員長着席〕
#64
○参考人(田中武志君) 先生の御質問の御趣旨は、NHK自身が放送大学の設立を考えたことがあるのかどうかという御質問かと思いますけれども、そういった意味合いではNHK自身が放送による大学の設立の主体になるというようなことを考えたことはございません。
 しかし、御存じかと思いますけれども、昭和四十四年ごろかと思いますが、放送による大学の問題がいろいろ議論に上がりましたときに、当時私どもの方からNHKが新たな免許を得て放送による大学の放送の部面だけを受け持ってやっていく用意があるというような発言をした経緯はございます。しかし、その後の経緯の中で、大学と放送というのは一体であるべきだというような調査研究会議の答申などもいろいろ出てまいりまして、いろいろ事情も変わってまいりましたので、今日のような状況になっているというふうに私ども考えております。
#65
○本岡昭次君 また次回に、いまあなたのおっしゃったようなところにも焦点を合わせて解明をしていきたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。
 それで次に、先ほど出ました、要するに放送大学が放送による教育の国家統制、国民の思想統制、こうしたものになっていかないという保障は一に挙げて大学の自治、大学による学問の自由、これがどう確保されるかにかかっているということになっているわけです。
 そこで、もう時間がありませんから、具体的にお尋ねしますが、私は大学の自治、学問の自由、こうしたものを抽象的に論議するのでなく、やはりそういうものを保障していく民主的な運営、機構が前提にならなければならないと考えます。
 そこで、もう端的にお伺いしますが、放送大学学園には理事会がございます。運営審議会がございます。そこで、理事会の理事に放送大学を代表する全教職員から推薦された人を入れる、あるいはまた運営審議会の委員、これは文部大臣が二十名任命をするわけですが、この運営審議会には放送をし、教育をする側、あるいは第三者だけでなく、その教育を受ける側、学生となる立場の人たちのさまざまな推薦母体をつくって、そこから何人か委員として送り込んでいくということを保証する、こうしたことを明示できませんか。
#66
○国務大臣(田中龍夫君) 大学の自治の具体的な内容としての御質問でございますが、大学の学長、教授等の選任が大学の自主的判断に基づいてなされるということが非常に重要な内容となるものと考えます。その意味におきまして、放送大学の教員の人事についても、一般の大学と同様に大学の自主性が尊重されなければならないことは当然であります。この見地から、法案においては放送大学の学長、教員の任命方法等について学園の一般の職員と区別して、国立大学の教員にかかわる教育の公務員特例法の例にならいまして、特に規定を設けて、放送大学の学長、教員の人事については大学の自主性を尊重するということを法律上明確にすることといたしております。
 なお、さらに詳細は政府委員からお答えいたします。
#67
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の第一点は、理事に教員を加えたらどうかというような御質問のように伺ったわけでございますが、通常の学校法人とこの特殊法人の場合とはその点が異なるかと思うわけでございまして、学長は法律の規定上、当然に理事になることになっております。しかしながら、大学の教学に関する面はいわば学長が最高の責任者という形でいるわけでございまして、大学の教学面のことは大学自身が大学の自治ということを基本にいたしまして具体的な事柄は決めていくような仕組みになるわけでございます。
 それから、第二点の運営審議会の委員の任命に当たって、法文上明確に書いたらどうかというようなお尋ねのように伺ったわけでございますが、大学の運営審議会は法人の機関として置かれておるわけでございまして、これは当然できるだけ広く関係各方面からの意見を聞き、それを反映させるというために必要なものでございまして、文部省関係の特殊法人の運営審議会でございますとか評議員会の例を参考にして、二十人以内という構成で考えておるわけでございます。
 その委員の構成については、たとえば大学関係者でございますとか、あるいは放送教育関係の学識経験者とか、さらには放送事業関係者、社会教育の関係者とかいうような方々は、当然に委員の構成としては考えられる方々でございます。そういう方々に広く加わっていただくということはもとより考えているわけでございますが、その点はほかの例をも参考にして、選出分野を具体的に、どこから何人というようなところまで、ちょっと書き込むことは、実際の運用上いかがかということも考えまして、それを法律上の規定としては書いていないわけでございます。
 しかしながら、当然にそういう部外の関係者の方々の御意見を広く反映させるための機関でございまして、ただいま申しましたような分野から適正な構成がなされるように委員の構成を考えることは当然のことでございまして、そういう配慮は当然になされるものと考えております。
#68
○本岡昭次君 端的にひとつもう一度お尋ねします。
 放送大学の理事――学園の理事ですよね、文部大臣。大学のことを言っているんじゃないんです。学園の方の特殊法人の理事の中に、放送大学で働く教官からいろいろな方がいますが、それを、全員を代表する人が一人入るとか、あるいはまた運営審議会の方に、いま言われた学識経験者という方じゃなしに――私ははっきり言っているでしょう。勉強する側、学生となる立場の、そういう層の中からやっぱり出ていかなければ、キャンパスを持たない特殊な一つの大学として、やはり本当の民主的な運営、国民に開かれた大学ということにはなり得ないということで、この理事にどのような方が選任されるのか、あるいはまた運営審議会にどのような層から委員が入っていくのかということが、その大学の自治なり、あるいは学園そのものの民主的な運営に重要な意味を持つということを申し上げて、あわせて、いま問題になっておる天下りの問題なんですが、放送大学学園ができた場合に、理事長とか理事に文部省の方々とかあるいは官僚の天下りの場が一つふえたということには絶対ここはしないと、させないというふうなこともおっしゃっていただければ、これはひとつの立場として、なるほど少しいままでとは違うんだなという何か私自身に開けた理解もできますが、いかがですか。
#69
○政府委員(宮地貫一君) 理事につきましては、当然学園の機関として理事長を補佐して、学園の業務を行うわけでございまして、大別すれば、学務に関することでございますとか、あるいは放送に関する業務でございますとか、そのほか総務及び財務に関するような事柄も考えられるわけでございます。当然に、広く適材適所という観点で選任がなされるものと考えられるわけでございまして、いずれにいたしましてもこの放送大学学園が、大学をつくる設置主体ということが考えられるわけでございますから、お話のような趣旨ではなくて、むしろこの放送大学学園そのものが大学を設置するものであるということに着目をして当然に考えられなければならないわけでございます。そういう観点からの適材適所の観点で人材を求めるということになろうかと思います。具体的に申せば、まあ非常勤の理事の場合などで申せば、たとえば従来私学の関係で通信教育などを実施しているような、そういう経験のあるところでございますとか、そういう学校と申しますか、大学そのものを設置する特殊法人でございますから、そういう観点の人材を選ぶということが主眼になるということは言えることではないかと、かように考えます。
#70
○本岡昭次君 それでは何ですか、私の言っているようなことは、これから考えていく中身として検討するというふうになっているのか、いやそれはもう全然だめですと、それはあなたのような考えを、理事会とか運営審議会に反映するわけにはまいりませんと、こうおっしゃっているのか、そこをはっきりしていただいたらいいんです。だめだとかいいのか。
#71
○政府委員(宮地貫一君) 基本的な点はただいま申し上げましたとおりでございまして、この特殊法人が大学を設置するものであり、かつ放送局を持つという、そういう性格に着目をいたしまして、広く適材適所という観点から人材を選ばれるということになろうかと思います。
#72
○本岡昭次君 だから、その適材適所の中に、私が言っているように、その教育を受ける側に立つべき人の層からもそういうところに送り込んでいくというのも入るのかどうかと、もっとはっきり言ってくださいな。
 それから理事も問題である。だから、本岡の言うようなことにはなりませんというのか、それも適材適所の中の一つとして考えられるでしょうというのか、それをはっきりしていただければいい。
#73
○政府委員(宮地貫一君) 先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、運営審議会が置かれておるわけでございまして、運営審議会が、特に外部の意見を広く反映させるための機関として置かれているわけでございます。したがって、運営審議会というものの中に、当然にこの放送大学をいわば利用する側と申しますか、そういう立場の方々が入って意見をいろいろと伺うというような考え方は当然に考えられる点ではないかと、かように考えます。
#74
○本岡昭次君 わかりました。
 それから、理事の方はまた次にします、まだほかに言いたいことがありますので。
 それで文部大臣、いまやかましい天下りの問題ですね、天下り官僚の問題、ここにも特殊法人が一つできるんです。それで、理事長、それから常勤の理事がここにできます。給料はどのぐらい出るのか、給料と言わへんのですね、こういうえらい人たちは。歳費ですか、何か年俸ですか、賃金ですか、そういうものが出るんですね。きょうも出ていましたね。何か参議院の事務総長が行かれて途端に書かれて気の毒な気もするんですが、だからここのところにやはり新しい特殊法人ができて、ここにはそういったことをしないと、それはもちろん何人か、パーセントの問題だと思いますが、たとえば文部省の高級官僚の人たちによって全部占められてしまうというようなことは絶対ないというふうなこと、どうですか。
#75
○国務大臣(田中龍夫君) 天下りの人事といったようなことはできるだけ避けたい、これはもう当然なことでございます。その前に、まず学校ができなきゃなりません。それからどうぞひとつよろしくお願いいたします。
#76
○本岡昭次君 まあ私はつくってもらいたくないんだから、その心配はせぬでもいいわけです。わかりました。どうも差し出がましいことを申し上げました、これは。
 そこで最後に、学問研究の自由と放送法第四十四条三項の関係、これは相当衆議院の方で細かくこの問題の論議がなされておりますから、私はここでそれを蒸し返す気はありません。ただ、私の結論としてここで申し上げますと、やはり放送を利用する大学である以上、放送法第四十四条三項によって大学の講義の自由が制約されざるを得ないと、私はこういう結論を持つんですが、いかがですか。
#77
○政府委員(宮地貫一君) この放送大学の放送が放送大学の授業としての実質を持つものでございますが、放送であります以上は放送の中立、公平が守られるべきことは当然でございまして、そういう意味で放送法第四十四条第三項の規定が準用されているわけでございます。
#78
○本岡昭次君 四十四条の三項が準用されて大学の講義の自由というものが通常の大学で行われているようなわけにはいかないと、これはだれもが考えることです。
 そこで問題は、それでは放送法の制約というものがあるわけで、これをいわゆる番組というのはイコール教授の講義ですから、テキストにいろいろ書いてあってもこれは若干教育に経験のある方は皆おわかりだと思います。テキストに書いてあるとおり読むんならばそれは教育でないわけで、やはりそこに、テキストを通してその教授の持っている研究の成果なりあるいは自分の考えなりというようなものを投入しながら講義をするから、聞く方もそのテキスト・プラス・アルファそこに教授の人間性のようなものあるいは教授の研究の成果のようなものを加味して講義そのものに意味を持ってくるわけで、テキスト、それを送るならば別にこれは普通の通信制の大学教育と変わらないわけです。だから、やはり番組イコールいわゆる講義、カリキュラムとこうなっていくときに、私は放送大学の教授はこれは大変だろうと思います、放送法を頭に入れながら講義をしていかなければならないんですから。そのときに二通りできると思います。一つはやはり放送法に抵触したような形で自分の主義主張をそこに強く出していく、あるいはまた出してはいけないといってもうテキストそのままをずっと読んでいくと、どっちかしか仕方がないと思います。
 そこで、放送法のそういうものに抵触し制約そのものを破っていったという状況が起こったときは一体だれがどのような法的制裁を受けるんですか。
#79
○政府委員(宮地貫一君) お尋ねの点は、法律違反の状況が起こった場合にという御質問のように伺ったわけでございますけれども、私どもとしては、この放送大学がもちろん教育基本法の規定、さらには放送という観点から放送法第四十四条三項の規定も準用されているということは考えているわけでございまして、特に四十四条三項の場合で政治的に公平であることということともう一つは……
#80
○本岡昭次君 中身はよろしい。破ったときはどうするんだ。
#81
○政府委員(宮地貫一君) 「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という規定がかぶっているわけでございます。問題は、その規定に違反した状態の放送が行われていくということは私どもとしては想定をいたしていないわけでございまして、問題点は、具体的にこの四十四条三項に違反した放送が行われた場合ということであろうかと思いますが、四十四条三項の規定に違反する放送が行われた場合に――これは郵政省所管の法律になるわけでございますが、理論的に言えば電波法七十六条に規定する放送法に違反したものとして、免許人でございます学園に対して電波法第七十六条に基づく無線局の運用の停止等の行政処分を行うことが一応可能であると考えられるというのが関係省庁と協議をいたしております――想定でございますから、そういう違反の場合どういう制裁かという点で言えば、そういうことが可能であるということでございます。しかしながら、番組内容につきまして行政判断を行うための手続が法律上規定されていないこともございまして、番組内容に関し法的措置を講ずるということについては非常に困難でございます。実際上の運用としては、放送事業者が放送番組を編集するに当たっての準則として放送事業者の自制に期待をしているというのが考え方の基本でございまして、これらの点はいずれも郵政省所管の法律の適用の問題でございますので私から御答弁申し上げるのが適当かどうか。でございますが、お尋ねでございますので、従来郵政省と協議している点で申し上げればただいま申し上げた答弁になるということでございます。
#82
○本岡昭次君 電波法の七十六条による罰則ですか。それとも……
#83
○政府委員(宮地貫一君) 電波法です。
#84
○本岡昭次君 それが先行するんですか。それとも後半で説明された、それはもう大学であれば大学の教授の自律というんですか、自制というんですか、そういうものにまつしかないというお話もあったのですが、その関連はどうなんですか。
#85
○政府委員(宮地貫一君) 電波法の規定云々の点は、そういうことが一応可能であると考えられるという考え方を申し述べたわけでございまして、基本的な線は放送事業者の自制に期待をするというのが適当であるという考え方でございます。したがって、私どもといたしましては放送事業者が四十四条三項の準用に違反するような放送がまず行われないという前提に立った議論で議論をするということになろうかと思いますし、そういう意味で政治的に公平であるということについて申せば、これは放送大学の側におきまして教育内容に適正な自制を行うことによって政治的に公平であるということに反しないような中身の放送を行う、そのこと自身は大学自身がそう判断するということによりまして、それが学問の自由を損なうことになるものではなく対処できる、かように私どもは考えております。御指摘の点は、違反をした場合にどういう制裁かというお尋ねでございましたので先ほど申し上げたような答弁を申し上げたわけでございます。
#86
○本岡昭次君 結局自制にまつより仕方がないであろうと私もそのように思うんです。
 そこで、教育内容について教授が教育をすることについて自制をしなければならない、ある一つの法律の束縛によって。正規の大学の中でこういうふうな状況に置かれている正規の大学というのはあるんですか。
#87
○政府委員(宮地貫一君) お話しの点は、教育に放送という手段を用いるということによりまして、その放送という手段を用いることによる放送法上の制約がかぶってくる。それをこの放送大学学園は大学と放送局と一つのものとして置いているわけでございます。もちろん具体的な番組の制作その他に当りましては教官スタッフと放送番組の制作者とが十分協議を行いまして番組の制作に当たることになるわけでございますけれども、その両者の密接な連携協力というのが一つの特殊法人という形をつくりましたことによって、学問の自由と放送番組の編集の自由といいますか、その両者の調整も可能であると考えておるわけでございます。放送という手段を使うことによりますそういう制約が放送大学としてはこれは当然に放送を行う以上はそういうことがかぶってくるということでございまして、そのこと自身は、それは大学みずからがそのことを自制するということによって、先ほど申しました学問の自由そのものを損なうことになるものではないと、かように考えております。
#88
○本岡昭次君 そこが見解の違うところですね。やはり大学の命というんですか、大学が大学としてやはり権威を保っているのは、憲法二十三条に明記されている学問の自由、これをどのようにして確立していくかということになるわけで、その憲法二十三条に明記された学問の自由が放送法によって制約を受けると。受けても、その大学がみずからその制約を認めた上で教育を行うならばそれはやっぱり学問の自由なんだというふうな事柄については、私は理解ができないのです。やはりこれは放送法によって憲法二十三条に明記された学問の自由が制約をされたと。放送による大学である以上これは仕方がないということと、学校教育法によるところの正規の大学であるという事柄との間に矛盾が生じる。そして、大学による学問の自由は明らかにここに制約をされるわけですが、しかし私は百歩譲って、放送による大学だからという事柄になったときに、その状況下にあってもなお、それでは学問の自由なり大学の自治というものを保障し得る条件はどこにあるかという問題を突っ込んでいくときに、最後の生命線は私は人事の問題だと思うんですね、自立するという問題について。あなたは放送法上政治的な公正を欠いたことを言ったではないか、あるいは多様な意見があるものをあなたの意見だけを主張したではないか、だからあなたは放送大学の教授としてふさわしくないと、こうなるわけですよ、最後は。ふさわしくなければ一体どうするか。やめてもらいましょうと、こうなってくるところに私は制約というものが具体的に発動されてくると考えますね。そうすると、その学問の自由というものを、それではそういう形でいかないように保障していく場はどこか。私はやっぱりそういう意味では教授会だと思う。だから学校教育法では、教授会はその大学の重要な事項を審議するところだと規定して、そしてそこで学問の自由の問題と絡ませながら、それぞれの教員の人事問題についても論議していくというところが最後の一線としてあれば、私は可能だと思うんですが、しかしこの放送大学法案はその人事上の問題は評議会のところにわざわざ法律でもって起こして、そこへ挙げたということになると、私先ほど言った学問の自由と人事という問題とのきわめて微妙な絡みということにおいて、この放送大学の自治の問題、学問の自由という問題についてはさらに困難な状況になってくると、こう判断するんです。
 だから、百歩譲っての話の中身が、やはり教授会を明記して教授会の中に人事権というものを移して、そしてその教授全体が、放送大学というものがきわめて困難な放送法上の制約を受けながらも正規の大学として学問研究の自由を守りながら、大学の自治を守りながら大学を運営していくんだということの最後の生命線がそこになければならないと、こう思うんですが、そこの点が私は理解ができなければ、学問の自由があるとか大学の自治があるとかいうようなことは、放送上の制約の面から絶対に受け入れることはできないんですが、いかがですか。
#89
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど大臣の御答弁でも申し上げましたように、大学がみずから人事を決めるという形を確保するということは大学の自治の一つの大変大きな要素ということが言えるかと思います。その態容といたしまして評議会という構成を考えまして、評議会がその人事に関する基準を決めるという形をこの放送大学学園法案ではとっているわけでございます。この構成につきましても、もちろん教官スタッフがその評議会の構成メンバーになるわけでございます。そういう意味では私どもは、基本的な、大学入みずからが人事に関する事柄をみずからで決めているという仕組みについては、この放送大学についても確保されているものと私どもは考えております。
 なお、教授会の話でございますが、もちろん学校教育法五十九条に規定する教授会は、この放送大学の場合にも置かれることは当然でございます。これは学校教育法上の正規の大学ということで規定をいたしておりますものですから、言うまでもないわけでございます。
 ただ、具体的にそれでは教授会の構成でございますとか審議事項とかそういう運営については、これもそれぞれの大学が、大学みずからがお決めになっているわけでございまして、それは大学の態容によりまして具体的な教授会のあり方というものは大学みずからがお決めになっております。この放送大学の場合でございましても、その教授会のあり方と申しますか、構成でございますとか審議事項、運営方法、そういうことはこの大学みずからがやはりお決めになる事柄であろうかと思っております。もちろん放送大学というものが通常の大学と大変形態を異にしたものでありまして、各地に学習センターというようなものも考えているわけでございます。したがって、その教授会のあり方というものを法律で書くのではなくて、これは大学みずからがお決めになった方が適当ではないかという判断でございます。
#90
○本岡昭次君 それであるならば、私が先ほど言ったように、なぜわざわざ評議会だけを法律事項に抜き出したのですか。人事の問題を決めるというふうに、そのこともわざわざそこに抜き出したんですか。大学が大学自体として、自分たちで人事の問題は評議会でやろうじゃないかということを決めるのならいいですよ。大学の自治の範疇として、これは大学自体の問題ですけれども、そうじゃなくて、それだけわざわざ法律事項としてこれを持ち出してきて、そしてそこで人事の問題と、こうきたときに、私が学問の自由あるいは大学自治の問題について心配をすると、こう言っているんですよ。評議会なんというようなものをそこにつくらなければいいじゃないですか、わざわざ法律事項として。なぜそこに法律事項として起こすんですか。大学が必要とするならば、あなたがおっしゃっているように大学自体がそこでおつくりになればいいんじゃないですか。
#91
○政府委員(宮地貫一君) その点は従来から御説明を申し上げている点でございますが、教員組織の複雑性というのが基本的にございます。そこで、放送大学の運営に関する重要事項を審議し、教員の人事に関する事項を所掌する機関として評議会を置くということを法律上明定をいたしておるわけでございます。学長が評議会に諮問すべき事項、あるいはこの法律で評議会の権限に属させられた事項についても、教授会を置いて審議を行うということもまた当然あり得るわけでございます。教授会自身のあり方については、先ほど御説明を申し上げたような形で運営がなされることになろうかと思います。
 なお、評議会を法律上設置している大学としては筑波大学の例があるわけでございます。
#92
○本岡昭次君 だから、放送大学は正規の大学、通常の大学と言いながら、やはり新構想の大学ということで、文部省の国策大学ということにぼくはなると思うんですよね、これは。だからこういうふうなことをわざわざ持ち出している。
 そこで、いま宮地局長がおっしゃった、非常に放送大学は複雑だと。私は、複雑であるがゆえに教授会に力を持たしておかなければならぬ。たとえば私がテレビに向かって講義をします。その講義はテキストがついているでしょう。学生はそのテキストを見ながら、あるいは講義を聞く、勉強する。しかし、直接その講義している人とはやりとりは非常にしにくい状況にある。それは、学習センターに行って、その自分のテレビでもって学んだことについての復習なりあるいは応用なりをやっていくことになる。そこで学ぶ先生というのは、公立、国立、私立等の地方の大学の教官が出てきて協力してやるわけでしょう。そのときに学問の自由の問題として、二人の大学の教授にその学生は教えられるということになってくる。そうするとある一つの事柄について、社会保障なら社会保障、憲法なら憲法でもいいですわ。同じ憲法を学んで専門にしておられる教授でも、立場が違えば非常に内容が違うと思います。そのときに、テキストとテレビによって講義をした、それを受けて学習センターで教えるその先生の立場、これは非常に微妙ですね。自分の考えは言えませんね。本岡がこう言ったからこうこうだろう、テキストはこうこうだろうと、いや本岡はこう言ったけれども実はこうなんだと。しかし、これが本当の学問の研究の自由ですよ。だけれども、それが言えない状況下に私は置かれると思うんですね。これは大変なことですよ。だから、そういう意味で教授会というものがみんなで、さまざま起こり得るそうした学問研究の自由の問題と、放送というものを使って教育を行うということから起こる新しい問題を解明していく力というものがなければ、大学の自治もそこで存在しないし、その放送法上の制約を受けた中における学問の自由、憲法二十三条に保障する学問の自由どいうものがどう担保できるのかという問題については解明できない。私は、そこの一点にかけても、この放送大学というものが正規の大学、大学の自治、学問研究の自由は守れますと文部大臣はおっしゃいますけれども、守れない仕組みになっていく、守れる仕組みはやっぱり教授会にいま起こったようなさまざまなものも、それが非常勤講師であろうが何であろうがみんなが創意を持ってそういう自由を守り得るために懸命の努力をしていくという場がなければだめだと、こう思います。
 最後に一つこの問題について文部大臣の御見解をいただいて、あと初めに質問したことのお答えもしていただくことになっておりますから、それで終わっていきたいと思います。
#93
○国務大臣(田中龍夫君) 本岡先生の御質問は審議をいたします上から言いましても、結局突き詰めた御議論をなさいませんとやっぱり本当の解明ができないですから、非常に厳しくその点を御追及になりましたが、私なんかでも大学のときにやっぱりちょっと同じような問題がありました。それは私は憲法を美濃部達吉教授と宮澤俊義さんと両方から習いまして、片一方はラーバントの憲法でありまして、片一方はケルゼンの憲法、非常にその点で理論構成が違ったりなんかしておりまして、そういうことを感じましたのでありますが、しかしながら実際聴講される方、反面におきましては、やっぱり放送大学としての何々教授と何々教授といったような二つの講義なり三つの講義があれば、その点はそのことを配慮してやはり採点その他行われるということもできると思うんでありまして、この点については同一の法人が大学と放送局とをあわせ持っておるというこの放送大学の構成にかんがみまして、大学と放送局とが密接な連携を保ちながら、これを放送番組の制作に際しても、あるいはまた放送大学の場合においても放送の中立性という問題を十分に留意して、そう」して適正な、お互いが自制するということでなければならない、学問の自由という問題と教授の自由の本質を損うことがないように対処していかなきゃならぬと思うんでございます。いまの本岡さんのお話も十分に理解できます。そういうことにかんがみましても、今後さらにこれを深めて、運営の面においても、あるいはまたその他いろんな面においても十分に検討しながらいかなきゃならぬ。御意見を十分に拝聴いたしましたが、今後ともに御審議を通じてそういう点もぜひ解明していかなきゃならない、かように考えております。
#94
○委員長(降矢敬義君) この際、本岡委員の冒頭の質疑に関して柳川体育局長から発言を求められておりますので、これを許します。柳川体育局長。
#95
○政府委員(柳川覺治君) 本岡委員御指摘の八カ国陸上競技大会につきましてお答え申し上げます。
 八カ国陸上競技大会は五十三年九月第一回大会を開催しております。その運営につきましては、組織委員会が構成されまして、その組織委員会の責任において行われたと聞いております。その決算につきましては、組織委員会の責任において早急に処理さるべきものでありますが、日本陸連を通して確かめましたところ、今日まで決算処理がなされていないことは事実でありました。はなはだ遺憾と言わざるを得ないと存じます。今後日本陸連を通じまして事情も聞き、いっときも早く決算を取りまとめ、明らかにするよう指導してまいる所存でございます。
#96
○委員長(降矢敬義君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#97
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を再開いたします。休憩前に引き続き、放送大学学園法案を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#98
○柏原ヤス君 放送大学の内容に入ります前に、大学の開放あるいは生涯教育といったことについてお聞きしておきたいと思います。
 大学には、教育、研究、社会サービス、こういう三つの役割りがあると言われておりますが、わが国では特に社会サービスという点が軽んじられてきたのではないかと思っております。しかし最近、社会教育の活発化あるいは生涯教育の考え方が普及してまいりました。しかし、いま申し上げましたように、大学はもっと社会に大きく門戸を開いて、それらの中心的役割りを果たしていかなければならないと思います。大学教育の今後のあり方に大きなこうした役割りが強調されなければならないと思うのです。そこで、国立・公立・私立大、こうした大学の公開講座、この開設状況は現在どうなっておりますでしょうか。
#99
○政府委員(宮地貫一君) 先生御指摘の、大学が社会に開かれるというために非常に重要な役割りを担っているんではないかという御指摘はまことにそのとおりでございます。大学教育の開放につきましては、先般中央教育審議会の生涯教育に関する小委員会報告という報告がございまして、その中でも大学教育の開放の問題については大変重要な事柄の一つということで取り上げているわけでございます。
 具体的なお尋ねの国公私立大学の公開講座の開設状況がどういう状況にあるかというお尋ねでございますが、公開講座の開設状況は、実は五十五年度についてはまだ報告が参っておりませんので、一応私ども手元の資料としては昭和五十四年度のものが新しいものとして数字がございますので、五十四年度の数字で申し上げたいと思います。
 国公私立合わせまして、全体では二百一大学、千百八十一講座が開設をされておりまして、全体では約十一万三千人余りが受講をしているという状況でございます。
 なお、講座の具体的な内容でございますが、一般市民を対象といたしましたスポーツとか教養を中心とするもの、あるいは農業従事者や教職員を対象とした専門的なものまで、それぞれ各大学で特色を生かした幅広いものが行われておりまして、各方面でも好評を博しているとかように考えているわけでございます。
#100
○柏原ヤス君 私が調査した資料でちょっと申し上げますと、これは国立の場合ですが、五十一年度開設講座数三百二十二、三年たった五十四年度を見ますと、三百五十三と、こういう開設講座数になっております。三年間にわずか三十講座ふえたという数字なんですね。その間に私立大学の開設状況は、同じ五十一年度に三百九、大体国立と大差ないんです。むしろ少ない。ところが三年たった同じ五十四年度、七百七十八と非常にふえているわけなんです。国立の場合は三十講座、私立の場合は約四百七十ふえているわけです。こういうデータを申し上げて、文部省はそれに対してそのとおりだとおっしゃると思うんですね。国立と私立とを比較してみますと、国立大学の公開講座事業というものは熱心じゃないと、むしろ私立大学の方がはるかに進んでいる、熱心だ。私は国立大学こそ率先して社会に学習の場を提供すべきだと思いますが、その点国立大学の場合と私立大学の場合とを比較して申し上げるわけなんですけれども、その点文部省としては同感だと、こういうお考えでしょうか。いや、そうではないとおっしゃるんですか。
#101
○政府委員(宮地貫一君) ただいま五十年度と五十四年度の具体的な数字で国立大学の場合と私立大学の場合の開設の講座数の数の比較で御指摘があったわけでございます。
 御指摘の講座数の数はそのとおりでございますが、国立大学の方が数字から見るとずいぶん熱心ではないんじゃないかというおしかりの御質問であったかと思いますけれども、国立大学の方でも従来からもその開設を促してきておりますし、そのための経費の拡充に私ども努力をしてきておるわけでございます。
 若干これは釈明と申しますか、そういうことになろうかと思いますけれども、具体的に大学の数に対します実施大学数の方で御検討いただきますと、五十一年度は国立では六十四大学実施をしておりまして、比率で申しますと国立では七三%実施をしております。それに対しまして、私立大学の方は六十五大学で、比率からいたしますと二一%ということでございます。そういうことで、国立大学の方は実施大学から言えば従来から相当多くの大学で取り組んできておったと、具体的な五十一年と五十四年の間の講座数の伸びだけから言われますと、その点は私立の方が大変伸びておることは事実でございまして、私どもも私立大学でもそういうことで積極的に実施していただいておる、しかも最近伸びが非常に高くなってきているということは、大学全体がそういう公開講座というものの取り組みということに近年非常に力を入れてきていただいておる証左であろうかと思います。国立大学の方につきましても、それらの点はこれからもなお努力をいたしたいと、かように考えております。
#102
○柏原ヤス君 確かに国立大学もがんばってはいるでしょうけれども、伸びは非常に悪いわけですね。そういう点では私立大学の方が熱心だと、こういうふうに批判されても仕方がないと思うんです。
 そこで、それじゃ公開講座の予算はどうでしょうかと。これは五十一年度から五十六年度まで、確かに倍くらいに金額はふえております。しかし、国立学校特別会計の〇・〇一%以下ですものね、これ。そういう点で、やはり国立大学こそ率先してやらなければならないという中で、この予算というものはもっともっと多くしていかなければならないと思うんです。
 そこで、この講座数の伸びがはかばかしくないと、こういう問題点。これは一体大学の姿勢によるものか、大学そのものが積極的にやろうとしているのかしてないのか。また地域社会の要請が余り多くないのか。財政難なのか。こういう三つの点を考えてみたんですけれども、大学、特に国立ですね、国立大学の公開講座の拡充を妨げているものは何か、この点をお答えいただきたいと思います。
#103
○政府委員(宮地貫一君) 国立大学の公開講座の拡充についてどこらが支障になっているのかというお尋ねでございますが、先ほども大学の数で申し上げましたように、相当数の大学では公開講座の実施についていろいろと各大学で取り組んでおり、また相当努力をしていることであろうかと思っております。
 もちろん予算の面で私どもとしても必要な予算措置を講ずるということで、五十一年から申しましたら、御指摘のようにほぼ予算額も倍増というぐらいのところまで努力を積み重ねてきておるわけでございます。あるいは大学の姿勢にも問題があるんではないかという御指摘もございましたが、先ほどもちょっと申し上げました生涯教育という観点から、大学の開放といいますか、地域社会に対して大学が開かれた姿勢で公開講座などに積極的に取り組んでいくということは、生涯教育の面からも非常に大事なことでございます。大学の姿勢もそういう方向に向かってきておるわけでございますが、それらの点は、大学人自身が、やはりこうやって大学の公開講座というようなものが、何か大学の本来の使命からやや付加的なと申しますか、そういうような使命というぐあいにとかく思われがちなわけでございますけれども、大学自体がそういう点はやはりもっと積極的な姿勢で地域社会に対して大学の役割りというものを積極的に認識をしていただきまして、大学みずからがそういう方面にも大学としても大事な一つの使命だというぐあいに自覚を深めていただきまして、こういう公開講座の問題についても今後さらに積極的に取り組んでいただきたいと、かように考えております。
 御指摘の予算の面も、こういう時期でございまして、非常に予算的にも苦しいということも確かにございますけれども、やはりいま申しましたような公開講座の持っております意味を考えますと、私どもその予算は非常に大事なものの一つであると、かように考えております。したがって、各大学が具体的に積極的な姿勢で取り組むという姿勢を示しているものに対しては、予算の面でも十分な対応を考えていきたいと、かように心得ております。
#104
○柏原ヤス君 やはり一番大きなネックは予算が少ないということだと思います。そういう点で、実際大学で取り組んでいる公開講座の例を取り上げてみますと、岩手大学、ここでは毎年農民に対して営農技術講座を開いております。ところが、非常にこれは受けられている講座なんですけれども、予算の面で非常に制約されている。また、東北、金沢、香川、この大学などはこうした公開講座に歴史を持っている。大学教育開放センターというようなものを大学の正規の組織として設けている。専任の担当教員が配属されている。また、地域文化や地場産業とも密着したテーマで公開講座が開かれている。教育委員会や商工会議所との共催事業、こういうのも活発に開いている。まあこういうところが幾つか――調べればもっとあると思います。
 ところが、大学としてやりたいけれども、やはり予算の確保ができない。ましてや専任教員の配置などは非常にむずかしい。そこで、こういう大学で積極的に取り組んでいるところもあるんですから、そこに長期的なバックアップ、これがぜひ必要だと思うんです。そういう点、いかがでしょうか。
#105
○政府委員(宮地貫一君) お話のように、幾つか具体の実例を挙げまして御指摘があったわけでございます。確かに、たとえば東北大学、金沢大学、香川大学というようなところでは、たとえば東北大学では教育学部大学教育開放センターというようなものを、学内組織ということでございますが、置いて積極的に取り組んでおります。また、金沢大学でも大学教育開放センターというものを置いてやっております。香川大学の場合にも同じく大学教育開放センターということで、相当組織的に取り組んでいる大学も中にはあるわけでございます。
 私どもといたしましても、やはり大学自体が積極的な姿勢で公開講座というものに取り組んでいただくその姿勢がやはりまず第一には必要なことでございますし、そういう学内組織というような形で取り組んでいるというようなところなどについては、もちろんこれから今後の、何といいますか、いま御指摘の、長期計画でという御指摘があったわけでございますが、そういう学内組織でも置いて対応しているというところなどに対しては、積極的にその大学の取り組みを評価いたしまして、今後とも長期的に対応はしていかなければならない課題というぐあいに考えております。
 なお、予算の点でちょっと申し上げますと、公開講座の経費として、国立大学の場合でございますが、国立大学の場合には五十五年度予算が一億二千四百万余りでございまして、五十六年度予算としては一億二千七百万余りでございます。大変苦しい状況の中で私ども若干ではございますが、予算の増額の努力をいたしてきております。
 なお、そのほかに公開講座とは若干趣旨は外れるかと思いますが、やはり大学の開放という点では、たとえば体育施設の開放のためにも積極的に取り組んでおるわけでございまして、五十五年度予算では、国立大学、国立学校の体育施設の開放経費としては八千五百万余りでございましたものを、若干でございますが、八千六百万ということで、金額的には大きい金額ではございませんが、そういうものを伸ばしてまいってきておるところでございます。御指摘のような長期計画ということで具体的な個々の大学の取り組みに応じて対応していかなければならぬということで、いつまでにどういうという長期の計画を具体的になかなか立てがたい事情もございますが、やはり組織的な活動をしているところには今後も十分それを伸ばしていくという方向で対応をいたしたいと、かように考えております。
#106
○柏原ヤス君 大学の公開講座、自治体では県民大学とか市民大学、大都市では民間のカルチュアセンター、こういうものが非常に盛んになってまいりました。その背景はということを考えてみますと、これは確かに国民の生涯教育意織の高まりだということが言えると思います。
 しかし、それに反して依然として大学は社会人には容易に門戸を開こうとしていない、そうした点から県民大学とか市民大学、民間のカルチュアセンターなどが大変盛んになっているということが言えると思うんです。いわゆる社会人には門戸を開こうとしない大学に対する欲求不満、これが大きな要因になっているのではないか、こういうふうに思えます。この点大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
#107
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまいろいろと御指摘がございましたけれども、生活環境の非常な変化も激しゅうございますし、また国民がその間に生涯を通じての新しい知識、技術を身につけ、そうしてまた豊かな教養と能力の向上を図るという要望も強くあらわれておると、こうした事情を背景といたしまして国民の生涯教育の意織が高まり、また社会教育活動や民間の文化事業がいよいよ盛んになったものと考えますが、大学におきましてもその機能をば生かしまして、公開講座でありますとかあるいはまた聴講生、研究生の制度その他いろいろな制度の拡充を図ってまいりまして、成人に対しまする学校の開放、さらには積極的にこれらのニーズに取り組んでいかなきゃならないと。いろいろとそれに対しましての予算その他十二分な手当てができてないというおしかりもございましたが、われわれといたしましてはできる限りそういった面についての充実を図ってまいりたい、そうして中教審等の答申にあります生涯教育のあり方についても対応していかなければならない、開かれた大学にしなければならない、かように考えておる次第でございます。
#108
○柏原ヤス君 これは私が見た本に書かれている内容なんですが、「変革期の大学像」という本です。そこに開かれた大学の実情というんですか、実態が述べられております。スウェーデンの例、一九六九年の大学の入学制度の改革で、一部の学部ですけれども、年齢二十五歳以上、五年以上社会で働いた経験者、これを自由に入学を認めるという制度を発足させております。そのためか、このときから大学進学率が低下したというような結果にもなっておりますが、これは大学にいつでもはいれるなら、高校卒業後まず社会に出て、自分が何をすべきかを見きわめた上で進学すればいいというふうな考えを持つ者がふえてきたんじゃないかと、こういうふうにも想像されるわけです。またアメリカでは大学が存続し発展するためには成人学生の数をさらにふやさなければ成り立たないという事情がある。また一方、成人側にも学習を必要とするアメリカ社会の現実的な理由、こういう要素で大学が大きく社会に開かれていると、こういうふうなことが書かれておりました。相当スウェーデンにしてもアメリカにしても大学は社会に開かれているんだと。
 これを日本の学歴社会あるいは終身雇用が確立しているところに当てはめるのは無理かもしれませんけれども、日本の教育制度のひずみがいろいろな形であらわれております。また高齢化社会を迎えようとしているわが国にとって、こうした外国の例は非常に参考にすべきではないかと、こういうふうに思って申し上げるわけですけれども、大臣はわが国における生涯教育のあり方というものをどういうふうにお考えになっているかお聞かせいただきたいと思います。
#109
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま先生がアメリカやスウェーデンの例をお引きになりまして日本の生涯教育のあり方についての見解を御質問に相なりましたが、先ほど来申し上げておりますように、わが国の著しい人口の増加やあるいはまた社会構造の変化、さらに高齢化現象といったようなものに対応いたしまして、文部省におきましては高齢者の学習でありますとかスポーツ活動の奨励あるいはまた地域における社会教育あるいは生涯教育、高齢者のための教室といったような推進を特にいたしております。私は生涯教育というものはそもそも生きがいのある生涯を送ろうとする各人の自発的な学習意欲を基本とするものであると考えておりますが、この生涯教育の問題につきましては、現在中央教育審議会において御審議を願っておるところでございまして、その結果を踏まえましてさらに対処してまいりたい、かように考えております。
#110
○柏原ヤス君 いま大臣がおっしゃった中教審の生涯教育に関する小委員会の報告、これについて幾つかの点をお聞きしたがったんですが、時間がちょっと足りなくなりそうなので、機会を改めて、またこの面お聞きしたいと思います。
 そこで、ますます国民の間に生涯教育の必要性というものが意識されてくると思いますが、今度審議される放送大学というものは生涯教育の観点からどのような役割りを果たすのか、大臣にお答えをお願いいたします。
#111
○国務大臣(田中龍夫君) この生涯教育という面から申しますならば、開かれた大学という中におきましても、特に中教審の三月十四日の小委員会の報告にもございますように、放送大学というものは今後におけるわが国の高等教育のあり方に関しての新しい役割りを果たすものであると、また生涯教育の観点からも人々に広く高等教育の機会を提供するものとして非常に重要であり、またその早期の実現を期待するといったようなことを申しておる次第でありまして、放送大学が学校教育法の規定に基づいて文部大臣の認可を受けて設置される正規の大学といたしまして構想しておるものでございます。その対象については、高等学校の新卒者のみならず、広く社会人や家庭婦人等に大学教育の機会を提供する、こういった意味で、放送大学というものは、国民の生涯教育、生涯学習のために正規の大学教育を提供するという点におきましては大きな私は機能を果たし、非常な変化をいたします社会的なニーズにこたえるものである、かように考えております。
#112
○柏原ヤス君 生涯教育の方法はいろいろあると思いますけれども、この放送大学については特に何を大臣は期待していらっしゃるんでしょうか。
#113
○国務大臣(田中龍夫君) 私は、この生涯教育という名の一つの最近の言葉でございますが、しかしながら特に高齢化いたしてまいっております日本の条件、それにこたえましてそうして老齢化いたしましてもなおかつ生きがいのある希望の持てる社会づくりということは、やはり非常に重大な、大事な私は政治の問題だと、かように考えてもおります。そのほか特に学歴社会と言われるような非常に今日の社会における批判に対しましても、高卒の方であり、そうしてそういう方々がなお勉強しようと思えば十分にそれにこたえるだけの姿になっておりますし、また非常な日進月歩する社会環境によって家庭の婦人その他多くの方々が余暇というものをお持ちになった場合におきましては、それに対して高い教養と情操の問題につきましても学習ができるこういういろんな私は面がある、そういうことから特に御提案を申し上げたような次第でございます。
#114
○柏原ヤス君 次に、スクーリングに関する問題の幾つかをお聞きいたします。
 教育には学生と教員あるいは学生同士、こうした間柄の議論の場というものが非常に大切だと思います。その点で放送大学では放送という一方的な伝達手段、これが主たる教育の手段となります。そこで果たして大学教育と呼ぶにふさわしい教育ができるだろうかという点が大きな問題点だと思うんです。
 そこで、放送大学は大学にふさわしい質の問題をどのように確保しようとしていらっしゃるのかお伺いいたします。
#115
○政府委員(宮地貫一君) 御提案申し上げております放送大学は、具体的な学習指導の方法といたしましては、テレビ、ラジオの放送によります授業を視聴することと、教科書、参考書等印刷教材によります自学自習、レポートの提出等をあわせて行うわけでございます。さらに演習とかあるいは実習科目等につきましては、それぞれ各地に設けます学習センターで面接指導を行うということにいたしております。なお学習センターではスクーリングのほかガイダンスとかカウンセリングというような面での教育指導もあわせ行うことにいたしておるわけでございます。大学の具体の教育課程とか履修方法というようなことにつきましては、大学が発足いたしました後、大学の関係者によって定められることになるわけでございます。
 今日まで私どもいろいろ調査会等で検討をしていただいてきております構想のところで申し上げますと、放送大学の学部の学生は、準備学習を除きます、通常の一般の大学で言いますれば教室の授業に相当する学習のウエートが放送視聴が約三分の一、教科書の印刷教材の学習が約三分の一、面接指導が約三分の一というような構成で通常の一般の大学におきます授業に当たるもの、そういう構成で考えていくことをただいままでのところ検討結果としては考えております。これは具体的には、こういう学習形態というものは、放送教育ないし通信教育もそうでございましょうが、そういうものの持っております特性を生かしながら、一面なお御指摘のような欠点の面を面接指導というようなもので補っていくことを考えているわけでございまして、具体的な教育指導の展開に当たりましてはいろいろ工夫しなければならぬ点はあろうかと思います。しかしながら、全体といたしまして大学教育としての実質を十分保持する内容のものを私どもとしてはこの放送大学で実現をいたしたいと、かように考えております。
 なお御参考までに、それでは放送大学の学部学生が仮に四年間で卒業するというような場合には具体的にどの程度のどういう学習になるのかという点を申し上げますと、たとえば平均的な週当たりの学習時間という点で申し上げますと、放送授業の視聴をいたしますのが四十五分番組を四、五回程度視聴をする、教科書等の印刷教材の学習の時間が四、五時間、ほかに面接指導というものが週一回三時間程度ということで、その程度の学習時間で対応すれば大体通常の大学の教室の授業に相当するものになろうかというぐあいに想定をいたしております。
 なお、もちろんこの中には通常の授業の場合に予習等の準備学習というものが考えられるわけでございますが、その点はただいま申し上げた中には含まれていないわけでございます。御参考までに四年間で卒業する場合の単位の履修のあり方としてはその程度の学習がやはり必要であろうというぐあいに考えております。
#116
○柏原ヤス君 面接指導が一週間に一回、大体時間が三時間というお話でございましたね。
 そこで、このスクーリングというものが非常に大事だと思いますので、この点で一体直接学生の指導に当たる学習センター、そこで十分にできるだろうか、不十分じゃないかと思うわけなんですね。教員の人員計画というものが非常に不十分だからそういう意見を持つわけなんです。この学習センターの教員一人当たり学生数は何人になりますか。
#117
○政府委員(宮地貫一君) 第一期計画で私ども現在想定をいたしておりますところは、在学者数を三万人ということで考えますと、関東地域で学習センターが六カ所計画するということでございますので、一つの学習センターに所属する学生数としては約五千人というものが想定されるわけでございます。
 なお、五千人の内訳は、ただいま私ども想定いたしておりますもので申し上げますと、全科履修生、つまり正規の大学の卒業を目指すということで全科目を履修する履修生が三分の二で約三千三百人、科月別の専科履修生と申しますか、特定の科目だけを受講したいということで履修する学生が残りの三分の一程度で約千七百名ということで構想をいたしております。
#118
○柏原ヤス君 教員数はどうなっておりますか。
#119
○政府委員(宮地貫一君) 教員数につきましては、学習センターに配属いたします教員の数といたしましては専任を五名、非常勤講師を三十名ということで、一人で三ないし四学級を担当し、一学級について毎週一回の授業を行うというような事柄を想定として考えているところでございます。
#120
○柏原ヤス君 これは概算ですけれども、教員一人当たりに学生が何人になるかというような計算もできるわけでしょう。
#121
○政府委員(宮地貫一君) 学習センターでの具体の学習状況というのはこれからになりますが、私どもが想定をいたしておる点で御説明を申し上げますと、先ほど御説明をしたような履修生を想定いたしまして、学習センターでは七教室を毎週十九回、これはやや細かくなりますけれども、日曜日四回、火曜日から土曜日は各三回というようなことで毎週十九回転というような形で面接授業を開設するということで、一学級当たりの学生数は約三十名と想定をしておるところでございます。そして、先ほど申し上げましたような非常勤講師を含めましての教員スタッフで、教員一人当たりの学生数としては九十人から百二十人ぐらいの程度というところが対象になるというぐあいに――これは個々の具体の対応といたしましてはそれぞれいろんな事柄が入ってまいりますから、ただいま説明申し上げているとおりにまいるというわけではございませんので、一応個々の学習センターの構成なり施設というものを想定する前提としてただいま申し上げたような数字で私どもとしては計算をして構想を立てておるというところでございます。
#122
○柏原ヤス君 そこで、どういう御説明を承っても、また自分は自分なりに計算してみても、学生が五千人、教員の数が三十五人、それがどうフル回転してみても、とてもじゃないけれども問題にならないのじゃないかと。それも毎日毎日学生と教員とが呼吸を合わせてやっているならいいですけれども、一週間に一遍、一体何がどういうふうに行われるんだろう。いろいろ御説明は御説明ですけれども、実際はそううまくいくわけがないと。そういうことをこれ以上くどく申し上げても、実際その場になってみて考えますと、そうい一う逃げる道があるわけです。確かに、実際そのときになってみなきゃ何だってわからないと言えばわからないわけです。ですけれど、いまこの数字をいろいろ組み合わせてみても不十分だと、こういうふうにはお考えになっているんでしょうね。それともうまくいくぞというふうに期待を持っているんでしょうか、その点単純に答えていただきたい。文部省としても丸める答弁ばっかりしているのが仕事じゃない。実際文部省の責任において、やはり何か考えていかなければならないわけですから心配してお聞きしているわけです。
#123
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど来御説明もいたしておりますように、放送大学はこれからつくり出していくわけでございますが、基本構想その他、従来関係者にも寄っていただきまして、ずいぶん考え方についてはいろいろと構想を練ってきておるわけでございます。先ほども御指摘があったわけでございますが、放送大学ということで、放送を行って教育を行うわけでございまして、単に何といいますか、そういう一方通行ということだけでは教育というものは成り立たないという点も御指摘があるわけでございます。
 そういうようなことを受けまして、私どもとしてはスクーリングが教育の面で果たす機能としては非常に大事なものだという認識に立ちまして、教育課程全体の中では放送視聴が約三分の一、スクーリングが三分の一、印刷教材の学習が三分の一というような形でやっていく必要があるであろうということを考えてきておるわけでございます。
 そして、従来の通信教育が、これは私立大学の関係者が大変長年苦心をして取り組んできていただいておるわけでございますが、やはり通信教育をやってきております経験者、関係者の方々からいろんな面でお話を伺うと、やはり面接授業の持ち方が大変通信教育の場合にも具体の対応で、なるだけ面接授業を受けやすいような対応をいろいろ考えているようでございますが、年間に一回、たとえば夏休み等の機会に一月というような形で面接授業を受けるというような事柄が「スクーリングをやる場合の具体的な面でいろいろとネックになっているというようなことも伺ったわけでございます。したがって、放送大学の場合には、スクーリングの場所として学習センターを各地に開催をして、なるだけ出席しやすいような形でスクーリングの場所を確保するというようなことを計画として考えているわけでございます。具体の学習センターそのものにいたしましても、これもたとえば、既存の国立大学等にもいろいろと御協力を願うというような対応も必要でございましょうし、また学習センターを実際にどういう形で設けるのが受講生にとって一番受けやすいかというようなことから言えば、ただいまのところ基本的には各県に一カ所の学習センターということで計画をいたしておりますけれども、さらに具体の計画で、たとえば考えられる点で申し上げますと、各、県にカ所の学習センターを設けるにいたしましても、さらにその学習センターのいろいろ、ブランチと申しますか、そういうようなものを具体的にはどういう形で置くことになるのか、たとえば比較的人の集まりやすいような場所にそれぞれ教室を確保して、スクーリングの授業を受けやすいような形のものを適切な方法で広げていくということも、やはり必要なことであろうかと思っております。まあ物理的なそういう場所の確保と同時に、もちろんスクーリングを担当する教員の確保が非常に大事な点でございまして、これらについても既存の国公私立大学の方々に御協力をいただいて、スクーリングをやる際に学習センターの非常勤講師として御協力をいただくというようなこともこれから考えていかなければならぬ事柄でございます。
 先ほどの御説明が、数字の点から申せば先生御指摘のような数字で、大変教官の数が少ないではないかという御指摘だろうと思いますが、スクーリングをやっていく際の具体の中身としては、私どもとしては、先ほど御説明を申し上げましたような計画で考えれば、比較的小さい学級編制をいたしまして教官が指導に当たるということが可能になるというぐあいに考えておるわけでございます。学生と教師、また学生相互間の触れ合いといいますか、接触がやはり教育の機能で果たす面が非常に大きいということは御指摘のとおりでございまして、そういう意味で私どももスクーリングというものを重視して対応いたしたいと、かように考えております。
#124
○柏原ヤス君 先ほどのお話のように、スクーリーングを毎週一回受けることができるというふうになるようですが、働く社会人の立場も考えまして夏季とか、また比較的長期に休暇をとれる期間というのもあるわけです。そういう集中的にスクーリングを受けられるようにやはりすべきではないか、そういう点も考えられないものかと、こういうふうに思いますが、その点は、そういうことは考えてないと、こういう行き方でいらっしゃるんでしょうか。
#125
○政府委員(宮地貫一君) 先ほどの説明は、参考として週一回のスクーリングを受けるとすればということで御説明を申したわけでございます。具体的にスクーリングの実施につきましては、もちろん大学自体が具体的に検討をすることになるわけでございますが、いま先生御指摘のような、たとえば働く社会人のために週一回毎週出るというような形ではなくって、たとえば比較的夏季等でまとめてスクーリングをとるというような形とか、いろんな履修生が受けやすいような形をいろいろと配慮すべきではないかということは、これは御指摘のとおりであろうと思います。具体の実施の方法では、そういう受講生の希望と申しますか、そういうようなものがどういう形でのスクーリングを希望するか、そういうようなことも、実際の実施に当たっては希望を聞いた上で、たとえば夏季等にまとめてとるような対応が考えられるという場合には、そういう具体的な対応をするということが考えられてしかるべきものと、かように考えております。したがって、週一回受ける形以外のとり方というものは考えられないというようには決して考えていないつもりでございまして、これは今後具体に大学の方で計画を立てていただくことになる事柄であろうかと思います。
#126
○柏原ヤス君 スクーリングを実施する学習センター、これは放送大学の第一期計画ではどことどこというふうにもう設置の場所が決まっておりますでしょうか。もし決まっておりましたらお聞かせいただきたいと思います。
#127
○政府委員(宮地貫一君) 第一期計画での具体的な場所としてはどういうところを考えているかというお尋ねでございますが、具体的に想定をいたしておりますところとしては、東京都では二カ所を考え、ほかに千葉、埼玉、神奈川の各県で一カ所考え、ほかに関東エリアで送信所を一カ所設置をするという計画で考えておるわけでございますが、その送信所の設置県に一カ所配置するということで、六カ所を配置するということを計画いたしておるわけでございます。
#128
○柏原ヤス君 その千葉、埼玉、神奈川というのは、どこということはまだ検討はされていないんですか。
#129
○政府委員(宮地貫一君) 私どもこの放送大学が、先ほども申しましたように、国公私立大学の御協力も得てやっていかなければならないものであるということが基本にあるわけでございます。そういう意味で、もちろん、この法案の御審議をいただき、法案が成立をして、具体に放送大学の実務が動き出せば、それに対して、それから事柄を探すというようなことでは、とても実務的にいろいろ準備が大変でございますので、私どもただいまのところは、国立大学の関係者等と具体的にどういうことが考えられるかということは、内部の相談としてはいろいろと相談もいたしておるところでございますが、具体の場所がどこであるかというようなことは、これはまあ大学自体がお決めになることでございますし、私どもとしてはそういう実務的な相談はいろいろとさせていただいておりますけれども、具体の場所がどこであるかということについては、ここでの答弁はただいまのところ申し上げかねるところでございます。
#130
○柏原ヤス君 イギリスで大変、オープンユニバーシティーでは積極的な、また評判な放送利用の大学となっているんですけれども、そこでのスクーリングがどういうふうに行われているか、この実施状況、特に特徴のある点を聞かせていただきたいと思います。
#131
○政府委員(宮地貫一君) イギリスのオープンユニバーシティーのスクーリングの状況についてのお尋ねでございます。イギリスのオープンユニバーシティーでは、学習センターとしては約二百六十の学習センターを設けまして、五千六百人ほどの非常勤のチューターとカウンセリングスタッフが配置をされて、学生に対する面接授業や学習指導、学習相談が行われているようでございます。学習センターにおいて面接授業等が行われます時間は、月曜から金曜まで、午後六時から九時ないし十時までというようなことで、各地域の中心都市にございます比較的規模の大きい学習センターでは、土曜日は朝から夜間まで開かれているというようなことを伺っております。
#132
○柏原ヤス君 私は、放送大学の成功、不成功というのはやはり何と言ってもこのスクーリングがよく行われるということにかかっているんじゃないかと考えております。そういう点で教育方法に占めるその割合が少ないのではないかと、こういうふうに思ってお聞きするわけですが、従来の通信教育の場合は三十単位のスクーリングが必要とされておりますが、放送大学ではそのうち十単位は放送視聴をもってかえるというふうになっているが、これは私は疑問だと思う。そういう点、文部省としてはどのように考えていらっしゃいますか。
#133
○政府委員(宮地貫一君) スクーリングが非常に重要な要素を占めるということは御指摘のとおりでございまして、先ほども御説明しましたような放送大学におきます学習形態といたしましては、放送の視聴とスクーリングと印刷教材等の学習ということをそれぞれ三分の一程度の構成で考えているわけでございます。問題は、通信教育におきます面接授業というものを、この放送大学の場合には放送で代替を認めまして、面接授業を二十単位相当ということで十単位を放送で代替し得るというような方向で大学基準分科会でございますが、通信教育の放送大学特別委員会等での検討ではそういうことが、放送授業で十単位を認めるという方向で考えられておるわけでございまして、この点は通常の通信教育の場合とは異なる放送大学の一つの特徴といいますか、放送視聴によりウエートを置くということは、考え方としては私どもそのことが即面接授業というもののウエートを軽く見るということには必ずしもなるとは言えないと、かように考えます。やはり放送大学の特性を生かすという観点から各専門委員の間で議論をしていただきまして、そういう代替を認め得るということで対応してきておるわけでございまして、これは放送大学自体の持つ一つの特色を生かせば、そういう放送面のウエートを単位で換算すればそういうことを認めることも可能かと、かように考えている次第でございます。
#134
○柏原ヤス君 放送大学の特徴を生かすためにという理由でスクーリングの単位を十単位減らすということはどうしても納得いかないわけです。放送大学が非常に特徴のある大学だということはわかりますけれども、何もスクーリングの時間を減らさなくてもいいんじゃないか通信教育でこのスクーリングの問題が非常に一つの難問題となる。通信教育を希望しても卒業するのが本当に二割程度だと。それはこのスクーリングがやはり問題であって、そういう成果しかおさめられない。そういうような通信教育の場合を考えてやっぱりスクーリングというのはえらい問題だと、放送大学を成功させるにはこのややこしいところを減らそうと、こういうふうに考えて減らしたんじゃないかというふうに勘ぐってお聞きするわけなんです。その点どうですか。まことに放送大学の特性を生かすためにと言っていらっしゃるけれども、何かごまかしじゃないかなあ、そういうふうに思うんですが、どうですか。
#135
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど御説明をしましたような大学の基準分科会大学通信教育・放送大学特別委員会で御議論をいただいて、その点の考え方としては、先ほど御説明をしましたような考え方で、そういう方向が示されているということでございます。卒業要件としてもちろんこの大学も、問題は、放送授業によって修得した単位をどれだけ認めるかということになるわけでございまして、スクーリングそのものを重視するという考え方は、先ほど申しましたように、学習のおおむね三分の一程度をスクーリングで実施をするという考え方に立っておりますが、単位の修得そのもので申しますと、放送授業での修得単位を十単位代替を認めるという考え方で、そこのところを弾力的な実施を認めてはどうかということになったわけでございまして、私どもとしてはスクーリングの意味の、何といいますか、重要性というものをそのことで減らしたというぐあいには理解をしていないわけでございます。
#136
○柏原ヤス君 スクーリングの問題の最後に、有給教育休暇ということについてお聞きいたします。
 通信教育を受ける学生の共通の悩みというのが何と言ってもスクーリングヘの出席が十分にできない、休暇がとれない、最大の障害になっているわけです。これは文部省の調査でも明らかであって、文部省としてもこれはよく御存じだと思うんですね。中教審の生涯教育の報告の中でも、有給教育の休暇については将来の課題だとして触れております。また、この制度のことについては前国会で大臣にもお聞きして、前向きに取り組むという御答弁をいただいているんですが、その後の努力、どのような成果が期待されるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#137
○国務大臣(田中龍夫君) 御指摘のごとくに中教審の生涯教育に関する小委員会の報告におきましても、この勤労者のための休暇につきましては、いろいろと検討すべき問題でもあるので、将来の課題として進める必要があると、こういうふうに申しておりますが、いま先生がおっしゃったように、私の過般の答弁におきましても同様でございます。この問題は文部省限りで対応するということはなかなかむずかしい問題もございます。他の省庁にも関係が深いことでありますので、全般的な問題としてこれをとらえなければならないという問題であります。特に当面の放送大学におけるスクーリングというふうな具体的な問題につきましては、非常に私は重大な問題でもございますので、さらに文部省といたしましても、検討を続けてまいり、ぜひ何とか解決しなければならぬと、かように考えております。
#138
○柏原ヤス君 それでは、労働省にお伺いしますが、この有給教育休暇、この制度化、これについてどんな取り組みがされているかお聞かせいただきたいと思います。
#139
○説明員(野崎和昭君) 有給教育訓練休暇につきましては、労働省といたしましては昭和五十年度から有給教育訓練休暇奨励給付金制度というものを設けましてその普及に努めているところでございます。
 内容を申し上げますと、労働者に教育訓練のための有給の休暇を付与いたします事業主に対しまして、中小企業の場合には労働者一人一日につきまして千八百八十円の助成をいたしております。大企業の場合には千四百十円でございます。それから、労働者御本人に対しましても受講を奨励する意味で七百五十円の受講奨励金を支給いたしているわけでございます。
 参考までに支給実績を申し上げますと、五十四年度では延べ人日にいたしまして三万七千人目ということになっております。私どもの行っておりますこのような有給教育訓練休暇の普及とは別に、それも含めまして広く民間企業でどの程度有給教育訓練休暇を付与されているかということをかつて調査いたしたことがございますが、大体一割前後の企業で制度を持っているんではないだろうかというふうに見ているわけでございます。
 そこで、お尋ねの有給教育訓練休暇を法制化して使用者に付与を義務づけるという点でございますけれども、私どもとしては、有給教育訓練休暇制度が普及することは非常に望ましいことであると考えておりますけれども、ただいまのような普及状況等から見まして、直ちに法制化するというのはいかがであろうか、若干時期尚早ではないか、将来の検討課題とさしていただきたいというふうに思っております。したがいまして、当面はただいまも申し上げましたような奨励給付金制度を活用いたしまして実際に制度の普及拡大に努める、そういう方向で対処したいと考えております。
#140
○柏原ヤス君 いまの労働省のお答えを聞いて、まことに前途遼遠、本気になってこの教育休暇というものが制度化されるかどうか。一番このスクーリングが最大の障害になっている、まあいろいろそうした調査もできている、しかも放送大学というものはそれこそ新しい教育、そしてそれこそ生涯教育と、こう大きな目標を掲げてこれから国が取り組もうとしてるんですから、何といっても効果を上げるのにはその最大の障害というものを取り除かなければ効果は出ないと思います。こんなことを私が一々言うまでもなく、本当にやっていただきたい、もうこういうふうにだれもが思っておると思うんですね。
 そういう点で、大臣の前の御答弁を重ねてここでしつこく言うわけじゃありませんけれども、十分にやる気がございますから御安心くださいと言って、御安心くださいとおっしゃったんだから私も安心したいわけなんですね。どうして御安心くださいなんて大臣はおっしゃったのかな、これだけのことをおっしゃるのには相当腹案をお持ちであるからこそ、また政府としてもそれに前向きの取り組みをする期待があるからこそこういうふうに御安心くださいというふうにおっしゃったんだと思うんですね。ところが、一年たってもっと安心したかったのに安心どころじゃない、これじゃもうお話にならないんじゃないかというふうにいま痛感するわけなんです。労働省のお答えなどはもう全く気がないというふうに感じられるわけです。大臣もひとつ文部省として労働省に強力に、強烈にアタックしていただきたいと思うんです。その点いかがですか。
#141
○国務大臣(田中龍夫君) 先生御指摘のように、放送大学というものの生命というものはやっぱりスクーリングにございます。そのスクーリングの中におきましても、御指摘のように、なかなかむずかしい問題があるところに持ってきまして、この問題がやはり本当に今後の目玉になるということを考えますと、御督励をいただくまでもなく、労働大臣に対しては強烈に私からお願いをしなきゃならぬ、かように考えます。
#142
○柏原ヤス君 次に、学生の受け入れに関して、二、三の問題をお聞きいたします。
 先ほど大学にふさわしい教育の質をどのように確保するかという点で伺ったんですが、また別の面から言うと、放送大学への学生の入学はどうなっているか。先着順または抽せんというふうになっております。入学者の選抜試験を実施しないということなんですが、入学者の質の点、問題があるのではないかと、こう思いますが、この点どうでしょうか。
#143
○政府委員(宮地貫一君) 基本的には放送大学が高等教育に対します国民の広範な要請にこたえて、広く社会人や家庭婦人等にも大学教育の機会を提供するということを目的とした正規の大学として構想されてきておるわけでございます。一般的に申せば、入学資格はほかの国公私立大学と同様に、基本的には高等学校卒業を入学資格とするものではございますけれども、高校卒業資格は持っていないけれどもそれと同等以上の能力があると認められる方々に対しては門戸が開放されてしかるべきものではないかと、かように考えております。したがって、学力試験で入学者選抜をするというようなことではなくて、御指摘のような先着順ないし抽せんというような方法も取り入れて、そういう意味で、だれにでも開かれた大学ということでいかなければならないと考えておるわけでございます。
 問題は、やっぱり学ぼうとする意欲を持った方々に入ってきていただくということが非常に大事なことでございまして、そういう方々に対しては広く門戸を開くという考え方でございます。もちろん正規の大学として、単位の認定でございますとか、あるいは成績の評価ということについては、これは大学自体で厳正に行われるわけでございまして、非常に平たい言葉で言えば、入るのはやさしいけれども卒業するには十分な学習をしていただいた者だけが卒業できるというような形の大学であってほしいものだと、かように考えております。そうすることによりましてこの放送大学に対します社会の評価というものが適正な評価を得ることができることになるんではないか、かように考えております。
 先着順で何か質が低くなりはしないかというような御懸念でも御質問であったかと思うんですけれども、私ども、大学の中身としてはレベルの高い教育をわかりやすくといいますか、わかりやすく教育をし、そして意欲を持った人たちに入っていただいて、学習したことについてはもちろん大学として厳正な成績の評価を行うというものであって初めて意欲のある人たちが学び、入るのは入りやすく、そして一定のレベルを修得してもらった者だけが卒業できるという形の方向で運用をしていくということでございまして、先生御指摘の質の確保は大丈夫かという点につきましては、私ども、この大学の関係者は、そういう点では最大の努力を払っていただけるものと信じておりますし、要は、大学のレベルを十分確保したものとしての大学で、事柄は、やさしく、受け取りやすい、のみ込みやすい説明になりますけれども、レベルは十分大学レベルのものを確保した、ほかの大学に何ら遜色のない、りっぱな大学になっていただかなければならないと、かように考えております。
#144
○柏原ヤス君 先着順、抽せんというような方法が大学の入学のあり方であるかどうか、私はやはり問題だと思うんです。入学者の選抜試験を厳しくやるんではなくって、何か方法がないものだろうか、入れてから大いに勉強するようなそうした仕組み。相当、試験を受けて厳しい受験競争の中で選ばれた学生でも勉強しない学生が多いのが日本の現状の中で、果たして放送大学の学生が本当に勉強するかどうか、これはやってみなきゃわからないということですから、今後の問題としていろいろ検討していきたいと思っております。
 ことしは国際障害者年、放送大学への障害者の受け入れ、これは考えていらっしゃるんでしょうか。
#145
○政府委員(宮地貫一君) 障害者の受け入れについて考えているのかというお話でございますが、もちろん、放送方法でございますとか、学習センターの施設などについて、そういう障害者の事柄も十分念頭に置いて配慮をしていかなければならない事柄であろうかと思います。もちろん具体の問題についてはこれから検討されることではあろうかと思いますが、具体的な受け入れ方法とか学習方法などについて、たとえば学生募集要項などで明らかにしておくというようなことが望ましいことではないかと、かように考えております。
#146
○柏原ヤス君 障害者の場合で、私はやはりスクーリングが最大の障害になるんじゃないか、果たしてスクーリングの参加ができるだろうかと、その配慮というものが真っ先に考えられなければならないと思うんですが、その点はどうでしょうか。
#147
○政府委員(宮地貫一君) 障害者の方々で放送大学でぜひ勉強したいという方々がどのぐらい希望者がございますか、その具体の数字も把握した上で考えなければなりませんが、たとえば、やはり施設の面などでは、そういう障害者の方々も受け入れるということを念頭に置きました施設の整備をするに当たりましても、そういう配慮をしたものをあらかじめ用意をしていくというようなことは積極的に考えておかなければならない課題であろうかと、かように考えております。
#148
○柏原ヤス君 次に、放送大学の学生に対する奨学制度、これは適用されるんでしょうか。
#149
○政府委員(宮地貫一君) 現在の制度で申し上げますと、大学の通信教育を受ける学生に対します奨学金についてはスクーリングの実態等を勘案いたしまして貸与の対象にいたしておるわけでございます。通年スクーリングの場合で申しますと月額二万七千円でございますし、夏季等特別の期間のスクーリングの場合では一期間で六万円というようなことで、通信教育を受ける学生に対する奨学金についてはそういう取り扱いになっているというのが現状でございます。
 放送大学の場合の学生に対します奨学金のあり方というのは、この通信教育の場合が一つの参考になるわけでございまして、そういうものをも参考にして、合理的な仕組みとしてどういう考え方がいいのか、これからの検討課題ということで検討いたしたい、かように考えております。
#150
○柏原ヤス君 次に、卒業及び単位に関することについてお伺いしたいんですが、放送大学は学部の組織編成、そういうもの、また基本的なあり方については大学設置基準、これに準拠する、また教育方法、単位の計算方法、こういうものは新たに通信教育に即した基準を定める、こういうふうになっているようですが、その検討の状況、前回にもお聞きいたしましたが、その後進んでおりましたら、その状況をお聞かせいただきたいと思います。
#151
○政府委員(宮地貫一君) 前回御説明申し上げた点でございますが、大学設置基準に従いまして大学基準協会が定めました大学通信教育基準があるわけでございます。この放送大学を含めまして、通信教育のみを行う学部の設置が学校教育法の一部改正が行われて可能となることによりまして、大学通信教育全体の基準のあり方について基準分科会に特別委員会を設けて審議を願っているところでございます。
 現在までの審議についておおむね共通的な了解に達している点で申し上げますと、学部の組織編成とか、教育課程、卒業要件等基本的なあり方は大学設置基準に準拠する考え方が一点ございます。ほかに、教育方法とか、単位の計算方法等につきましては通信教育に即した基準を設けるというようなことが基本的な了解点でございまして、私どもとしては、この設置審議会で結論が得られましたならば、それらに沿いまして放送大学を含みます大学通信教育の基準を制定することにいたしておるわけでございます。
 たとえば、もう少し具体的に御説明を申し上げますと、通信教育を行い得る専攻分野としては、具体的な学部等の例示ということは避けまして、抽象的な表現になりますけれども、通信による教育の方法によって十分な教育上の効果を期待できるような専攻分野についてこれを行うことができるというような、その意味では大変抽象的な形になりますが、通信教育を行い得る専攻分野としてはそういうものが考えられております。
 それから授業の方法といたしましては、印刷教材による授業、放送授業もしくは面接授業のいずれかにより、またはこれらの併用によりまして行うこととし、適宜添削等による通信指導を加えて行うということが考えられております。
 そのほか、授業の期間等につきましては、授業日数、授業期間等は年間を通じて適切に行い、十週、十五週または適当と認められる期間を一単位として行うというような考え方でございます。
 ほかに、単位の計算方法等は、印刷教材による学習については四十五時間の学習を必要とする印刷教材の学習をもって一単位とし、放送授業については先ほども御説明をしておりますが、一時間の放送授業に対して二時間の準備のための学習を加えまして十五時間の放送授業で一単位という考え方でございます。
 面接授業については、講義、演習・実験、実習等の別で、これは大学設置基準で定めているところによると。
 それから、卒業の要件についての単位の考え方については、先ほど御説明をしましたように、放送授業について十単位相当までは放送授業で修得することができるというふうなことが言われております。
 それから、体育の実技についてでございますけれども、これは前にも御質問もあってお答えをしておりますけれども、体育の実技については二単位のうち一単位は講義をもってかえることができることとし、さらにその履修方法につきましても、具体的には教育委員会等が開設する体育行事等に参加することによりまして履修をすることができるような弾力的な取り扱いということも考えているところでございます。
 その他、なお相当いろいろと教員の数につきましても、これは兼任の教員が全教員の二分の一を超えて置くことができることとするというような考え方でございますとか、校地についても、既設の校地の兼用というようなことを考えるとか、いろいろ細かい点で議論をいたしておるわけでございますが、法律案が成立をいたしますれば具体の放送大学の設置認可申請がこの特殊法人から出されることになるわけでございまして、それを、この成立を待ちまして、具体的に大学の設置認可の事務に支障のないように対応することで、ただいま特別委員会で検討を進めていただいておるというのが現状でございます。
#152
○柏原ヤス君 授業科目についてはテレビ科目とラジオ科目とあるわけですが、この区別はどういうふうにやっていくんですか。
#153
○政府委員(宮地貫一君) テレビ、ラジオ、これそれぞれ特色があるわけでございまして、一般的な御説明になるわけでございますけれども、それぞれの放送メディアとしての特色を配慮して、科目によってテレビ、ラジオのどちらかに振り分けて考えていくということになるわけでございます。たとえば現在、放送教育開発センターで大学放送教育の実験番組を制作をいたしておりますが、たとえば教材が視覚に訴えた方がより効果的と考えられるもの、たとえば美術史でございますとか、あるいは確率と統計とか、生命の仕組みなどというようなものが具体例として挙げられるかと思いますが、そういうようなものはテレビ科目とすることが適切でございましょうし、一方、より基礎的な、概論的なものでございますとかあるいは理論的なもの、哲学とかあるいは経営学とかいろいろ考えられるかと思いますけれども、現在、放送教育開発センターで実験番組の制作に当たりましては、そういうようなそれぞれの科目の特色に応じた配分ということで区分をして実施をしております。これも一つの参考例になるんではないかと考えております。
#154
○柏原ヤス君 そういう話は大体わかっていますよ、どのように区別してやっていくのか。そういうことがはっきりされてまだこれからの問題ですということですか、それは。こういうふうにやるという大まかなところでも言えるんじゃないんですか。たとえばたとえばと言ってそのたとえがこれから先のことに果たして当てはまるかどうかわからない、これからのことですからね。ラジオ科目、テレビ科目とはこうやってここでやるんだとかというようなそういう検討されているものが聞きたいからお尋ねするわけなんです。
#155
○政府委員(宮地貫一君) 前に「放送大学について」という資料で、たとえば開設予定の授業科目一覧等もごらんいただいておるわけでございますが、私の説明で申し上げますと、テレビ科目とラジオ科目の分け方というのはいま申し上げましたようなことが一つの考え方になろうかと思いますが、やはりお尋ねの点は、具体的な大学のカリキュラムが具体にどういうことになるのかというお尋ねでございまして、これはやはり大学自体が御判断をして考えていく事柄になる部分なものでございますから、私どもとしてはいままで検討している点は御説明は申し上げられるわけでございますが、具体のカリキュラムがこれがテレビ科目であり、これがラジオ科目であるということで御説明はちょっと申し上げにくいわけでございます。
#156
○柏原ヤス君 言いにくいところは言わなくてもいいですからね。
 その次、放送内容について、一般の視聴者、これは学生じゃなくたって見ることもできるし、聞くこともできるわけですね、そういう人も相当多いと思いますよ。この一般視聴者、また学生、いろいろな要望とそれから意見、こういうものがあると思います。こういう場合、それはどこで受けとめるか、それがどういうふうに対処されるか、こういう点はいかがですか、まだこれは学校ができてからということでしたらそれでも結構ですが。
#157
○政府委員(宮地貫一君) この放送大学の番組、これはもちろん大学の教育として行われるものでございますから、もちろん一般の視聴者も当然に見るわけでございまして、そういう方々からもいろんな御意見が寄せられるということも当然考えられるわけでございます。
 NHKの場合で申しますと、放送番組については第三者の意見を反映するというようなことで番組審議会というものが設けられておるわけでございますが、この放送大学学園の放送は大学の講義としての性質がございますので一その内容について大学以外の機関が関与するということは適切でないのではないか。むしろそのこと自身は大学の自律的な作用に任せることが適切ではないかということで番組審議会というようなものの設置義務は課していないというのが御提案申し上げております法律の組み立てで考えているところでございます。
 最初にも申しましたように、一般の視聴者からもいろいろ見た上での意見が寄せられることは当然予想されるわけでございます。その処理といたしましては、大学の自主性を尊重して大学自身の中に適切な委員会のような組織が設けられてそういう意見を十分受けとめ、大学みずからが自主的な判断で対処するということが望まれるというぐあいに考えられます。また学生自身からもいろんな意見とかそういうものが寄せられることも、当然持たれることは考えられるわけでございまして、いずれにいたしましても、それらの対応というものは大学がみずからしかるべき委員会を設けるなりいたしまして適切な対応を大学がすべきものと考えますし、そういう意見をくみ上げるために積極的に考えることはこれは当然のことであろうかと、かように考えます。
#158
○柏原ヤス君 放送大学では単位の互換、これが非常に効果を上げる点では必要だと、ぜひこの単位の互換はやっていくべきだと、こういうふうに主張するわけでございますが、それと同時に、体育の実技、こういうものは社会体育の活用をすべきだ、また外国語の科目などは他の教育機関の活用を図るということが効果的じゃないだろうか。社会体育の活用という点では、地域で体育的な催しがあった場合にはそこに参加することによって単位を認めていく、青梅マラソンなんかが行われたときには、それに参加してやれば単位を与えるとか、外国語などは特に専門学校では非常に便利で効果的な学習ができるようになっております。こういうものを活用するという方法をぜひ考えるべきだと、こう思いますが、そういう点はいかがでしょうか。
#159
○政府委員(宮地貫一君) 体育実技について社会体育の活用という点で御指摘がございまして、この点もすでに何度か御審議の際に御説明も申し上げておるわけでございますが、たとえば地域の教育委員会等で行います体育行事その他というようなものが、大学当局と相談をいたしまして、計画的に行われるというようなものについては、そういうようなものをもって体育の実技の履修にかえるというようなことは積極的に考えているところでございます。
 ほかに外国語についてのお話がございまして、特に専修学校における履修の成果を積極的に認めてはどうかという御指摘でございます。
 まず、学校制度の面で大学と専修学校との間には基本的な相違があるというような制度的な面でございます。履修の実際の学習の中身そのものではなくて、制度的な面で相違があるということや、あるいは単位制度自体についての共通の基盤がないというようなこともありまして、検討を要する点は幾つか問題点としてあろうかと思います。しかしながら、私どもといたしましては、高等教育の構造のできるだけ弾力化を図っていくということはやはり必要なことでございまして、実際に履修した成果なり、その中身について十分評価をいたしまして、十分な内容であるならばそれをもってこの大学の単位にかえるというようなことは、やはり考え方としては十分検討に値する問題であると、かように考えております。
 なかなか具体の実施に当たっては、いろいろとなお検討しなければいかぬ課題もあろうかと思いますが、そういうような方向で極力大学関係者等の理解も得ながら積極的な姿勢で対応をしていきたいと、かように考えております。
#160
○柏原ヤス君 この放送大学は家庭における学習が主体となる、こういうふうに思います。しかし、学生の勉学、これは非常に意欲的でなければ続かない、また忍耐が必要じゃないかと、こう考えて心配するのは、一体卒業生はどれくらいの卒業生が出るだろうかと、文部省としても、入学者はこのくらいと考えていらっしゃるんですから、卒業生はどれくらいの割合を見込んでいるか、この点お考えでしたらお聞かせいただきたいと思います。
#161
○政府委員(宮地貫一君) 第一期計画の在学生の見込みをはじきます際に、学士取得を目標といたしております、つまり正規に卒業するということで目標を立てております学部学生について言いますと、私どもの試算では毎年約一〇%ぐらいは脱落するのではないかというぐあいに試算をいたしております。
 参考といたしましては、大学通信教育を行っているわけでございますが、ある私立大学の例をとりますと、入学後四年次までに四七%程度が脱落をしておる、さらに第五年次に残りました者の割合というのは入学者の四三%程度ということになっておりまして、これから試算いたしますと、各年度の平均的な脱落率と申しますか、は二〇%を若干下回るというような程度になっておりますが、第一年から第二年目には約一〇%程度になっているということで、これはある私立大学の通信教育の実際の具体例を私どもとしても調べて参考にいたしてみたわけでございますが、そういう状況になっているわけでございます。
 私ども放送大学の場合では、特にスクーリングの点については非常に大事であるということで重視をしておりまして、なるだけ履修生に便宜なような学習センターの設置というようなことを積極的に考えていく、そしてスクーリングのとり方につきましても、先ほど御質問がありましたが、履修生がなるだけとりやすいような形でいろいろ考えていこうということで、平均して脱落率としては一〇%程度ということで見込んでいるわけでございまして、したがってそういうようなことで計算をいたしますと、入学者のうち卒業生の割合を約七割というようなところで見込んでいる次第でございます。
#162
○柏原ヤス君 これは将来放送大学を権威あるものとしていくために意見として申し上げたいのですが、放送大学は単位の厳正な認定、そして卒業論文を課してはどうかと、こういうふうに思うんですが、この点どうお考えでしょうか。
#163
○政府委員(宮地貫一君) 御意見として単位の認定に当たっては厳格にやるべきではないかということは、先ほど大変平たい言葉で、入るのはやさしいけれども出るのはむずかしいという感覚で、意欲のある者を積極的に受け入れ、かつ卒業に当たりましては、十分な履修といいますか、学習の成果を評価した上で認定をするというような、基本的にはそういう考え方で対応すべきものであろう、かように考えております。
 お話は、卒業論文はぜひ課したらどうだという御指摘でございまして、その点も確かに一つの積極的な考え方であろうかと思いますけれども、それらの点も今後の具体的な検討にまつべき問題であろうかと思いますが、一般大学におきますいろいろな取り組みなり具体例ということももちろん念頭に置きまして、今後関係者において具体的な検討がなされるものと、かように考えます。
#164
○柏原ヤス君 最後に、放送大学の将来の拡充という点で、この大学は国民の共有財産である貴重な電波を活用して大学教育を行うものである以上、国民の要望を取り入れていかなければならないと考えますが、国民にとっては、将来教養学部だけでなく、職業と結びついた専門の学部、コース、こういうものの拡充を希望すると思いますが、その点拡充する考えが取り入れられるかどうか、そういうこともお考えであるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。以上です。
#165
○政府委員(宮地貫一君) 当面御説明をいたしておりますように教養学部ということでこの放送大学の実施を考えておるわけでございますが、その基礎となりましたのは、放送大学に対します教育需要の予測調査をもとといたしまして、多くの方々が家庭や職場において現実に直面している課題に取り組む、いろいろ幅広い、健康と病気の問題あるいは衣食住に関する生活科学でございますとか、政治、経済、社会などの諸分野と非常に幅広い教養の分野を求めているということを受けて対応をしているわけでございます。
 なお、この放送大学に割り当てられております電波のチャンネルの問題も午前の御質疑にもあったわけでございますが、限定もあるわけでございまして、そういう面からの制約もございます。
 職業分野と結びつく専門の分野なりコースの拡充を将来としては考えるのかどうかというお尋ねでございますが、将来の課題といたしましてはそういうことも検討の課題には入ってくるかと思いますけれども、当面は私ども提案を申し上げておりますような形で、まずは教養学部で実施をさしていただきまして、それを充実させるということがやはり当面の取り組むべき課題というぐあいに考えております。
#166
○佐藤昭夫君 私もきょうを皮切りに本法案に対してこれから何回か質問をしてまいりますので、きょうはまず総論的な問題で幾つか質問をいたしたいと思います。
 いわゆる科学技術、文化、国民教育の発展に伴って高等教育の機会均等、学術の公開を求める国民的要求が年々高まってくる、こうした国民の要求にこたえて高等教育機関の整備充実が促進をされなくちゃならぬというのはだれしも認める問題だと思います。放送大学が、教養学部のみとはいえ、国民の教育要求にこたえて教育の機会の拡充を図っていく上で積極的な役割りを果たし得る可能性を持っておることを否定するものではありませんが、しかし、この法律案をよく検討いたしますと、これは衆議院審議の段階でも、法案に賛成をなさった会派の皆さん方も多くの問題点を指摘をされておる、そういう経過だと思います。中でも、この放送大学が正規の大学に値する内容が保障され得るのかどうか、また二つ目に、大学の生命、根幹とも言うべき大学の自治、学問の自由が根底から脅かされる危険があるのではないか、三つ目に、このことと表裏の関係として官僚統制による教育内容への権力の介入のおそれ、放送の自由を奪われる心配があるのではないか、こうした数多くの問題が衆議院審議の段階でもるる出されてきた経過をたどっておると思います。この種、教育に関する法案というのは政府として、政治的法案ではありませんから、まさに国家百年の大計を目指す教育に関する法案ということであれば、このようにいろいろ出された疑問を一つ一つそしゃくをして、振り返ってみますとこの法案は三回廃案になっているんですが、当然その経過の中で必要なことについては手直しをして国会に提出をし直しをするという経過があってしかるべきじゃないかというふうに多くの人は考えるんじゃないでしょうか。ところが、三回廃案になりながらも全く同じ内容で、耳をかさないと言わんばかりのそういう姿勢で政府・文部省として終始をしてきた。まあ変わった、手直しをなされたところと言えば、財政上の理由があったわけですけれども、当初は東北、四国地域にまで送信所を設ける第一期計画でしたけれども、これがもううんと縮小をして、東京タワー、これの電波が届く範囲内、こういう形に、手直しをしたとすればそういう部分は手直しをされてきたという、まず私はこの部分、点について非常に政府・文部省の態度というのを疑問に思うわけであります。
 そこでお尋ねをするんですが、文部省としてもきょうの朝からの答弁の中で繰り返し、広く大学関係者の方々の協力を結集する教育機関として、既存の大学との連携、協力が大切だということを言われているわけであります。これは学習センターの問題一つとらえてみてもまさにそのとおりでありますが、ところで、そういう既存の大学の組織であります国大協とか私大連とか日本学術会議、こういう大学の先生方の結集組織、ここに対して文部省としてどういうふうにその理解、協力を求めるための話し合いをやってきたのか、この経過を御説明願いたいと思います。
#167
○政府委員(宮地貫一君) お尋ねの放送大学について国大協その他大学関係者の理解を得るためにどういう説明を従来してきておるかというお尋ねでございますが、申し上げるまでもなく、国公私立大学を初め、そのほか教育研究機関と緊密に連絡をとりながら、それらの協力と関係職員の参加を得ましてこの放送大学の教育研究の充実というものは図っていかなければならないわけでございます。
 したがって、私ども放送大学の基本構想の検討を始めました段階から、たとえば具体的には放送大学の設置に関する調査研究会議等、そういう会議におきまして大学関係団体の代表に入っていただくというようなことを踏まえまして今日まで進めてきておりますし、またこの法案そのものを国会に提案いたしました段階におきましても、各関係団体に対しまして法案の内容の説明とか、あるいは今後実施に当たりまして具体の御協力をいただくことについてお願をしてきておるわけでございます。そういうような経過をたどっておりまして、大学関係者からも放送大学に対して積極的ないろいろ御意見もいただいております。また、単位互換でございますとか、あるいは放送教材の活用というようなことについても積極的な対応の姿勢が示されておりまし、特に一部既存の大学の一般教育の改善というものにこの放送大学が非常に積極的な役割りを果たしてくれるんではないかというような期待をかけている大学も出てきておるというのが現状でございます。さらに、私立大学の通信教育関係者とは特に関連が深いわけでございまして、従来から連携、協力の具体的な方策について密接な連絡をとって検討を重ねてきておるわけでございます。したがって、私立大学の通信教育関係者も現在ではほぼ共通の了解に達していると私どもは理解をしておるところでございます。
 なお、具体のたとえば国大協との話し合いというようなことで申し上げますと、昭和五十四年四月でございますが、国立大学協会の会長、公立大学協会の会長からそれぞれ文部大臣あてに要望書もいただいておりまして、具体的には三点ほどございますが、大学について教育公務員特例法の適用が、これは国公立大学ではございませんので直接の適用がないわけでございますが、評議員選出の母体となる教員の組織やその権限について十分配慮すること。第二点として、カリキュラムや研究計画の決定等、法案が直接触れていない点については、今後学問の自由に立脚する大学の本質に即して慎重に検討すること。――これは大学自体が決めるという基本的な考え方ということが言えるかと思います。それから第三点として、学園や大学がその業務を実行するに当たりましては、当然ほかの大学との緊密な協力関係が必要となると思われるので、学園の役員ないし運営審議会委員あるいは設立当初の教員の選出等については、協会を初め既存大学の意向を十分くむことというような要望をいただいているところでございます。
 私どもとしては、この放送大学がまさに成功するためには既存のこういう国公私立の大学の関係者の御協力がなければこれは成り立たないわけでございまして、こういうような線については十分その意向をくんで従来も進めてまいってきておりますし、これからもそういう方向で処理をするつもりでございます。
#168
○佐藤昭夫君 いまいろいろと話し合いもやっておるし、それから放送大学創設準備に関する調査研究会議、ここの研究委員の中にいろんな学者の方に参加をしてもらっているということで十分意思の疎通は図れているんだと、創立の暁は十分な協力が得られるものと思っているという答弁をされていますけれども、果たしてそうなんでしょうか。いまあなたが引用もされた昭和五十四年四月二十七日の国立大学協会、国大協と公立大学協会、ここから出されておる要望書について、要望書の要望項目については解説がありました。しかし、この三点出されておるその要望について、この二つの組織と文部省との間で完全な意思の統一は図れているんですか、そうじゃないでしょう。私はここらの代表の方にも聞いているんですけれども、依然として法案の手直しもされていない、こういう状況で、この大学の自治、学問の自由が脅かされる危倶があるということを今日もなお国大協の代表や公立大学協会の代表たちは語っておられるじゃないですか。決して意見の統一はまだできていないじゃないですか。どうですか。
#169
○政府委員(宮地貫一君) 私どもといたしましては、国大協の関係者ともこの放送大学学園法案そのものについても十分御説明もいたしておりますし、御要望に出ております線については大学の自治の観点から放送大学が設置されました後にこの大学がみずから決める事柄でございます。第三点の、運営審議会委員等にこういう大学の関係者の意向を十分くんだ対応をするということについては、これもまたそういう対応をすることで臨んでおるわけでございまして、私どもといたしましては、御提案申し上げておりますこの放送大学学園法案が国立大学協会あるいは公立大学協会等から異論がある法案というぐあいには考えておりません。
#170
○佐藤昭夫君 依然としてその点の危倶はありますけれども、日本学術会議との間での話はやりましたか。
#171
○政府委員(宮地貫一君) 日本学術会議とは具体的なお話し合いをいたしておりません。
#172
○佐藤昭夫君 日本学術会議との話し合いの必要はないというお考えですか。私は、日本学術会議は日本の学者、研究者を民主的な方法、選挙という方法で選出をされた最も広範にそれを総結集をしておる学者、研究者を代表する組織だと、代表機関だというふうに思っておる。こことのこれからの国家百年の大計ともいうべき放送大学のあり方について十分話し合いをし、意見の統一を図っていくことは欠かせないことだと思うんですが、その点どうですか。
#173
○政府委員(宮地貫一君) この放送大学学園法案は放送大学を設置する主体としての特殊法人の組織を定めておるわけでございます。もちろんこの特殊法人が放送大学を文部大臣に認可申請をして、大学として放送によります教育を行う大学をつくっていただくことになるわけでございます。したがいまして、私どもとしては一番関連の深いところで申しますと、国公私立の大学の関係者の御協力がまず第一義的に必要なわけでございまして、そういう意味では、先ほど来申し上げておりますように、国立大学協会、公立大学協会、また私立大学等についてはそれぞれ幾つかの団体もあるわけでございますけれども、私立大学のそれぞれの団体の関係者、さらに通信教育の面では一つ別に私立大学の通信教育協会としてつくられておるものがございます。そういう大学に直接かかわるいろいろの方々の――いろいろというのは、国公私立を通じます各大学の関係の方々に対しましては十分御説明をし、そしてこれからの放送大学のあり方と申しますか、そういうようなものについていろいろ御意見をちょうだいをいたしておるところでございます。
 先生御指摘の学術会議というものについても、御意見としてはそういうお考えもあろうかと思いますけれども、私どもとしては大学づくりをするという観点から既存の大学の国公私立の関係者にいろいろと御意見を賜り、そしてまた、今後この放送大学が現実に運営をいたしていくに際しましても、そういう方々の御協力をいただくという形で考えているところでございます。
#174
○佐藤昭夫君 この国公立の大学、私立大学の大学関係者から直接の意見を聞くことの必要さは当然のこととして、先ほど申し上げたような理由ですね、日本の学者、研究者を総結集をする代表機関として法的にも認知をしているその日本学術会議、ここの意見も正式に聞いて、ひとつ文部省としてもこの放送大学の問題の扱いを慎重に万全を期していくという態度がとられて当然じゃないかというふうに私は思うんです。これはぜひこの点を一遍、きょうここで即答することができなければ、日本学術会議と話し合い、意見を聞くという問題について検討をしていただきたいということを大臣に申し上げたいんですけれども、ひとつよく検討していただきたい。どうですか。
#175
○国務大臣(田中龍夫君) 御意見として伺っておきます。
#176
○佐藤昭夫君 それから、後退をした内容になりましたけれども、この放送大学構想の第一期計画、これでも東京周辺に六カ所ほどの学習センターの設置が必要になってくる。これについてもうすでに具体的な、どこにどの程度の規模の学習センターをつくるのかといった、そういう作業は進行してますか。
#177
○政府委員(宮地貫一君) 学習センターを、第一期の計画としましては先ほどの御質問にもお答えをしたわけでございますけれども、東京に二カ所、埼玉、千葉、神奈川、それと送信所を設置いたします県にもう一カ所、六カ所ということで構想をいたしておりまして、それらの具体の場所その他については、私どもとしては、たとえば国立大学の関係者等とごく非公式な話し合いというものは準備段階としていたしておりますけれども、いずれにいたしましても、具体の学習センターをどこにどう設置するかということ自体はこれは学園自体が決める事柄でございます。したがいまし
 て、構想としてそういう六カ所、具体的な、各県に一カ所ずつ配置をするという、東京の場合には二カ所配置をするという考え方については御説明を申し上げておるわけでございますが、具体の、どこにどう設置するかということについてはここでただいま御説明する段階ではございませんし、それはまた学園自体がお決めになる事柄と、かように考えております。
#178
○佐藤昭夫君 私はもうまことに無責任な答弁だと思いますね。この法案に提案をしているような、こういう放送大学をつくっていきたいということを提案をしながら、具体的にそのかなめとも言うべき、多くの方がスクーリングが大事だと触れられておる、そこを担っていく中心になる学習センター、これが果たしてでき得るのか、必要な教員が集まるのかというここの仕事は法案成立後発足をする学園がやることですと、文部省はあずかり知りませんと、こんな無責任な形でいまもなおこの法案の説明を固執をしておるというやり方というのは私はもう許せないと思うんです。もう一遍次回までにぜひ、六つの学習センターをつくる、そのためには当然これくらいの教員が要る、職員が要る、それは果たしていまの段階でどこまでそれが集まるという見通しがついているのか、これからどういうプログラムでそれを確保していく作業を進行させるのかということについてきちっとした説明があってしかるべきじゃないですか。どうですか。
#179
○政府委員(宮地貫一君) これは従来からも御説明をしているわけでございますけれども、放送大学学園法案というのは特殊法人として放送大学を設置することとその法人が放送局を持つということの枠組みを決めていただく法律でございます。具体の放送大学自体につきましては、これから法案が成立をいたしまして法人が成立をいたしますれば、この放送大学学園自体が文部大臣に対しまして放送大学の設置認可申請というものを具体的に出してくるわけでございます。そして認可申請が出まして、認可審査を――これは大学設置審議会に諮ることになるわけでございますが、大学の認可がおりましたならば、さらに具体的に学生の受け入れ準備をそこから始めまして、ただいま計画していますところでは、五十九年四月から学生を受け入れるということで、全体の放送大学の創設スケジュールとしてはそういう進行で考えているところでございます。
 法案が成立しまして法人が設立されますれば、もちろんその時点から、具体に大学の設置認可申請を出すに当たって、教官組織でございますとかそういうものについて具体の準備に取りかかるということになるわけでございます。その点は基本的にはそういう仕組みになっておるわけでございますから、具体の学習センターにつきましても、私どもとしては学習センターでの教官構成というものも、先ほど御説明をしましたような専任の教員としては五人、ほかにそれぞれ地元の国公私立大学等の協力を得まして、非常勤の講師として一センターについて三十人程度を予定するということで御説明を申し上げておるわけでございます。
 具体の教官スタッフの確保その他につきましても、これはこの法人の責任者が決まりまして、その責任者が具体的にそれぞれ、たとえば学長予定者というようなものを考えまして、その学長予定者というようなものが中心になって全体の教官スタッフの整備その他を進めるということでなければ、文部省自体でそのことを進めるということは事柄としてはできない事柄でございます。したがいまして、私どもとしては極力具体的なイメージがわくように御説明を申し上げておるわけでございますが、それ以上のところにまで立ち入って私どもから御説明をできない部分もあるということも、ひとつその点は御了承を賜りたいと、かように考えるわけでございます。
#180
○佐藤昭夫君 この「放送大学の基本計画に関する報告」、それによりますと、わざわざこういうことも書いているんですね、「通常の大学が年次進行によってその体制を整えるのとは異なり、放送大学は、開講の二年前において、大学本部の機能を十分に果たしうる状況になければならない。」ということで、いまの御説明でも開講すなわち学生受け入れ、これは昭和五十九年四月、この二年前というのですから、これは当然来年の四月ごろということですね、二年前というのは。だから、それまでにこの大学としての機能が十分果たし得るような諸条件整備がされなくちゃならぬと、言うなら、これから一年間に精力的にそういうことをやらなくちゃならぬ。ところが片やこの五十六年度の予算を見ますと、「放送大学について」というこの文部省の説明書、黄色のパンフレット、これでいきますと、五十六年度予算計上額として、放送大学学園の創設費三億五千二百万、そのうち施設整備費二千万円、二千万円の施設整備費でこれから一年間、五十六年度ずっとやっていって、そして二年前には放送大学としての機能発揮ができるような諸条件整備をしなくちゃならぬという来年の四月、五十七年四月、これに二千万円という施設整備費で果たして文部省やりますやりますと、やってくれるはずですと、発足する学園事業団が学園法人が、ここがやってくれるはずですと言うのだけれども、果たして六カ所程度の学習センターができるのかという不安というのが当然すぐ出てくるわけですね。どこかもうすでにある場所を使うというなら話は別。ところがそういうようなものがごろごろとあいているはずないだろう。やっぱり一定の施設整備費を投入をして、スクーリングをきちっとやれるようなそういうセンターというものが、最低六カ所ぐらいこの六年間につくられる必要がある。これは一体できるんですか。
#181
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の施設整備費として二千万、五十六年度予算で計上している金額でございますが、これは本部の施設の実施設計料として計上をいたしておるものでございます。したがって、実施設計を五十六年度お願いをいたしまして、五十七年度から本部の建物に取りかかって、私どもの予定いたしておりますところでは、五十八年の十月ごろに本部の施設の完成を図るということで、建物の工費その他を計算いたしまして、五十六年度といたしましては、本部建物の実施設計料として二千万を計上しているというのが、御指摘の二千万の御説明でございます。
 全体的に、第一期の計画としては、施設設備関係で約九十七億の資本的経費ということで計上をいたしておりまして、その中にそれぞれ県別の学習センターの施設の経費も九十七億という予定の中に計上をいたしておるものでございます。したがいまして、学習センターについてもそういう具体の建物を建てるという想定で、私どもとしては計画を立てております。具体の場所については、先ほども御説明をしましたような事柄でございまして、私どもとしては、いろいろ考えられることは、現在の時点で進められる点は、事務的にできる限りのことは進めているつもりでございますけれども、事柄として御説明できるところはおのずと限界があるということも、ひとつ御了承をいただきたいと思うわけでございます。
#182
○佐藤昭夫君 そうすれば、疑問の出てきているこの学習センターの、これを開設をやっていく経費というのはどこから出るんです、この五十六年度。五十七年四月までに間に合わさにゃならぬのでしょう。
#183
○政府委員(宮地貫一君) 学習センターの建設等に要する資金の出どころとしては、これは考え方といたしましては、国からこの特殊法人に対します補助金ということで対応するわけでございますが、また、考え方としましては、文部省の施設費で建物を建てまして、それをこの特殊法人に現物出資をするという考え方もとり得るわけでございます。これからこの法人ができましての五十七年、五十八年の年度のそれぞれの具体的な実務的な仕事の処理としては、私ども事務的に準備は進めているわけでございますが、それはこれから具体的な予算の五十七年度の予算、五十八年度の予算というようなもので、それぞれ具体に処理をされていく事柄でございます。
#184
○佐藤昭夫君 午前中、本岡委員の質問の中でも、この放送大学の基本計画に沿って投入をされる予算、これが説明によれば五十五年度価格に換算をして資本的投資総額一千百億、経常的経費として三百六十七億、これが果たしていま行政改革が経費減らしだと、支出抑制だと言われておるこの時期に、果たして保証され得るのかというところの議論がありましたけれども、同様に当初の放送大学の基本計画、そこでの第一期に限ってみましても一事業の構想、それがその後の文部省の第
 一期計画と比べてみると、ずいぶん縮小されてきているということで、果たして当初の基本計画に比べて、文部省が当面考えておる第一期計画はどこの部分が縮小されるのかということと、それから本来的に教育機関としての放送大学の機能を全うするために第一期事業をいつまでに、そしてその予算の財源の裏打ちとしては、どういう計画でやっていくのか、これは提示できますか。
#185
○政府委員(宮地貫一君) 「放送大学の基本計画に関する報告」と、現在想定をしている第一期計画との差はどこにあるかというような点について申し上げますと、たとえば広域送信所として東京、名古屋、大阪の三地点、東北、四国の第一次県別送信所等についての整備を目標とすることを提案いたしておったわけでございます。それが基本計画に関する報告には入っておりましたわけでございますが、当面私どもの第一期事業といたしましては、東京タワーからテレビ、ラジオの電波の到達する範囲を対象地域にするということでございます。この基本計画に関する報告につきましても、その点は一つの具体的な設計をいたしまして広く国民各層の理解を求め、その批判を仰ぐということで出されたものでございます。
 また、その中では実施に当たっては経済情勢、財政状況等を考慮して着手の時期や方法については、別途十分な検討が必要であると考えられるということを述べられておるわけでございます。私どもといたしましては、当面この第一期の計画を、考え方といたしましては、学年進行で完成をさせていくという考え方をとっているわけでございますけれども、具体のこれからの予算計上、その他につきましては、もちろん五十六年度予算についてはすでに議決をいただいたものがあるわけでございますが、五十七年度以降の予算の計上については、もちろんこれから関係省庁ともその点を詰めていくということがあるわけでございまして、大変財政状況も苦しい時期でございますけれども、この私ども御提案申し上げております放送大学学園そのものは、もうすでに何度も御説明申し上げておりますような経緯を経て御提案をしているわけでございますし、その必要性というものについては、私どもとしてもるる御説明をしておるわけでございます。私どもとしては、この法案が一日も早く成立を見まして、実施の具体の段階に踏み出せることを願っているわけでございまして、そのためには、まずは当面の第一期の計画を仕上げるということが当面の計画になるわけでございます。
#186
○佐藤昭夫君 御説明、答弁聞いておっても、依然としてはっきりしないわけですけれども、委員長ちょっと理事会で御協議願いたいと思うんですけれども、本年度、五十六年度事業としてどこまでやるのか。それから、放送大学を開設をするというふうに言われておる五十九年四月。したがって、遅くとも五十八年度までにどれだけの予算で、どれだけのことをやるのか。そして完成年度はいつか。完成年度までに見通しとして総予算どれぐらい要るのか。問題は、この予算について大蔵省が果たして今後うんと言うか。また、これが政府としてそれだけの予算を投入をするということについて、いまの財政状況のもとで意思統一され得る内容なのかということを、きょうは文部省相手に聞いておるわけですけれども、今後おいおい大蔵省とか、また総理なんかにも尋ねていかなくちゃならぬ問題になりますから、という意味で、まずそういう年次計画プランですね。まあ一年ごとでないとしても五十六年度それから五十八年度までに、完成年度までにどうなるのか、これを本委員会の検討資料として提示を願いたいというふうに、その扱い委員長お願いをいたしたいとい思ます。
#187
○委員長(降矢敬義君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#188
○委員長(降矢敬義君) 速記を起こして下さい。
#189
○佐藤昭夫君 財源の問題にかかわって、もう一点お尋ねをしておきますが、近く自民党は衆議院の委員会に、私立、公立ともに大学、短大の新設、学部の増設、新設、入学定員の増加、これを今後三年間はストップをするという法案を国会に提出をされるような報道が行われているわけですけれども、その理由として、大学の質を高めること、同時に第二臨調、これが打ち出している行政改革による経費節減、補助金削減、これに対処をするためにもこうした方向が必要だという説明が行われておるわけでありますけれども、こうした問題と放送大学学園法案、これが同じ時期にこの委員会で審議をされるわけでありますけれども、こうなりますと、単に放送大学、この法案が広く国民に教育の機会の門戸を広げていく、あるいは放送を通しての教育機能の充実を図っていく、こういうことだけでは済まない新たな問題がつけ加わってきたということになるわけですね。
 こうした点で文部大臣にお尋ねをいたしたいわけでありますけれども、与党・自民党でそういう動きがあるということがかなり報道されておるわけですけれども、大臣としてはそういうこの三年間、国立、私立大学の増設、新設、こういうものはやらないという、この方向に賛同をされるんですか。どうですか。これはこの法案を審議をする前提にかかわって非常に深い関係があるので、特にお尋ねをいたします。
#190
○国務大臣(田中龍夫君) 当該放送大学の法案は、すでに十年来、ずっと継続して今日まで立ち至っておる問題でありまして、ただいま御指摘になりましたその問題とは別件でございます。
 なお、今後の大学等の御指摘の話は、ただいま政府の方には連絡はございますけれども、目下与党において検討中でございます。
#191
○佐藤昭夫君 歴史的経過から見て別件であると。その点はわかりました。
 それで文部大臣として、自民党でそういう動きがあるというふうに言われているわけですけれども、そのことに別に賛同をしているということではないというふうに本日はここで承っておいたらいいわけですね。
#192
○国務大臣(田中龍夫君) なお、その間の問題につきまして政府委員からお答えいたします。
#193
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の私立及び国立の大学、短期大学の設置等の抑制を図る旨の法案が議員提案されておりますことは承知をいたしております。文部省としましては、基本的には五十一年度以降、高等教育の計画的整備に取り組んでいるところでございまして、五十六年度から始まります後期の計画におきましても、従来からの大学、短期大学については、前期計画と同様に、量的な拡充よりも質的な水準の向上を図る、大都市における新増設を抑制する、地域の収容力や専門分野構成の不均衡の是正等を図るという考え方で対応してきておるわけでございます。
 なお同時に、高等教育全体のあり方を、従来からの大学、短期大学に限ることなく、たとえば放送大学とか、あるいは専修学校等、多様な教育形態を含む広い意味のものとしてつかまえ、それぞれ特色を持ったものとして国民の多様な教育的な要請にこたえられるようなことが必要であると、かように考えているわけでございます。したがいまして、御提案いただいております法律案の趣旨というのは、私立及び国立の大学、短期大学の設置等の抑制を考えるということでございまして、基本的には高等教育の計画的整備の中で申しております後期の計画と方向は一にしているものと、かように考えております。
 なお、その後期計画の趣旨を踏まえて高等教育の多様化を図るということから、まさにこの放送大学の御提案を申し上げている点も高等教育の多様化の一つとして私どもは考えておるわけでございまして、従来の検討の経緯を踏まえ、大臣からも御答弁いただきましたように、放送大学の設置についてはぜひとも実現を図りたいと、かように考えているところでございます。
#194
○佐藤昭夫君 文部省の諮問機関であります大学設置審議会、ここの資料によりましても、進学対象者ともいうべき十八歳人口、これは引き続き年々増加をしているということで、八三年には八〇年度比十四万人ふえる、八六年度には八〇年度に比べて二十七万人ふえる、こういうことでありますから、新増設はやらないということでいけば、その分だけ大学進学の門戸は狭くなるということは、これはもう明瞭な問題であります。そうした点で、ぜひ、国の財政事情云々ということが仮にあるにしても、こういった問題にしわ寄せをする、大学の新増設はやらないという形でのしわ寄せが出てくるということは断じて避けるということで文部大臣としてがんばってほしい、大いに努力をしてほしいというふうに思いますが、どうですか。
#195
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま局長から申しました大学の新増設の経過でございますが、この問題はもう一つオーバードクターといったような実際いろんな問題も出ておりまして、目下慎重に検討中でございます。
 なお、それが今度は開かれた大学として放送大学の方にしわが寄ると申しますか、これによってそれが緩和するとかなんとかというふうなこととは相関関係は連動しない、かように考えております。
#196
○佐藤昭夫君 それでは、あと残りました時間、最後に私も放送大学における学問の自由、大学の自治の保障、教授会自治の問題についてもう少しお尋ねをしておきたいというふうに思いますが、まず議論の前提としてお尋ねをいたしますが、現行の大学教育に関する法体系ですね、法体系としてはこの大学の教員人事を含む権限、これは教授会が第一次的な権限を持っているということはそのとおりですね。
#197
○政府委員(宮地貫一君) 大学の自治といいますか、大学における学問の自由を保障するためには大学の自主性を尊重する制度と慣行ということで憲法二十三条に学問の自由が規定をされているわけでございます。
 大学の自治の具体的な内容といたしましては、一つには大学の教育研究に携わる者の人事が大学の自主的な判断にゆだねられているということが一つと、それから第二点として大学の研究教育は大学が自主的に決定した方針に従って行われるというような二点にあるかと思います。
 この放送大学におきましても、もちろん既存の大学と同様に、大学の自主性が尊重されなければならないことはもとよりでございまして、その意味において放送大学の教員の人事や放送大学学園に対する国の関与の仕方等についても十分配慮した規定を設けているわけでございます。
 私どもとしてはこの放送大学が基本的にはそういうものとして位置づけられているものと、かように理解をしております。
#198
○佐藤昭夫君 ただいまの御説明ですと、大学が自主的に決めればいいということで、人事権について言えば教授会にあるのか評議会にあるのか、これはそれぞれの大学が自主的に決めればいいことだというふうに言わんばっかりの答弁ですけれども、そんなことじゃないと思うんですね。現行の法体系の一つ、教育公務員特例法、この教特法で大学管理機関が基準を定め、人事についての選考、審査または評定を行うというふうに定めておるわけです。この評議会というのは国立大学の評議会に関する暫定措置を定める規則。ですから、はっきり法で定めている学校教育法、教特法、ここで権限を定めておる教授会と、それから規則で機関を置くことができるということになっておるこの評議会、これとは明確な権限の違いがあるということは議論の前提としてはっきりしなくちゃいかぬと思うんですが、その点どうですか。
#199
○政府委員(宮地貫一君) あるいは御質問の意味を正確に把握していないかちょっと心配でございますが、教育公務員特例法の規定そのものは国公立の教員について適用のあるものでございます。そして、省令で評議会の暫定規則が定められていることと、それと特例法とは明確に違うというような御趣旨の御質問であったかと思うわけでございますが、国立大学の場合におきます教員の人事に関します事柄といたしましては、たとえば学長について申しますと評議会の選考の結果を受けて文部大臣が任命するというような形が規定をされておるわけでございまして、基本的なところは、先ほど申しましたように、教官その他の選考が大学人みずからの手で行われるというところが基本でございまして、それがほかの者の任命にかかわるということでない、大学みずからが大学の自主的な判断というものに従って行われるというところに基本があると、かように理解をしているところでございます。
#200
○佐藤昭夫君 大学の自治の内容、形態、これについては確かに歴史的な変遷はあるわけですね。戦後も特に六〇年代末から七〇年代の初めにかけてのいわゆる大学改革、これのいろんな議論の中で教授会自治イコール大学自治というこのとらえ方、このとらえ方では狭過ぎると、こういう議論が全国の多くの大学で、また全国的にいろいろ議論をされてきた。そのことはきょうはもうさておくとして、これは大臣も戦前から政治家をなさっておられましたのでよく御存じのとおりだと思いますけれども、教授会自治という形での大学の自治、これがゆるがせにされるのか、あるいはこれがしつかり守られるのか、このことが結局は学問の自由と結びつき、そうしてそれが日本の場合にはファシズム、戦争への政治、これと深く結びついておったということはよく御記憶のところだと思いますけれども、そうした点で今日日本の大学においてそういう深い戦後の反省の上に立って、戦後の多くの大学が人事権について教授会がしっかりその権限を持つということを非常に大切な原則として確立をしてきた。ところが、事この放送大学についてはこの原則ではまずいんだと、評議会の方へ持っていった方がいいんだということで提案をしておる理由は何なんですか。いろいろ聞きますと、いやほかの大学とは違うんだと、放送大学学園というこの法人が何をしているからということが言われてみたり、それから衆議院でのいろんな質疑を振り返ってみますと、全国にいろんなセンターが散らばっておる、そういうもとで教授会を組織することが非常に物理的にむずかしいということも言われている。しかし、そんな物理的なむずかしさというのはこれは解決できる問題だと思う。やはり戦後の大学の根幹になってきた大学の自治を守る、学問の自由を守る根幹である教授会の権能をしっかり確立をしていくというこの問題をなぜこの法案からは抜き去ったのかということは、どれだけ見てもわからない。この点の御説明をお願いします。
#201
○政府委員(宮地貫一君) この御提案申し上げております学園法案では、評議会の規定を法律で規定をいたしておるわけでございます。その点は、法律で評議会の規定を置いているというものは、ほかには筑波大学の場合も法律で、これは国立大学の場合でございますけれども、国立学校設置法の規定に法律で規定をいたしておるわけでございます。
 それで、この放送大学は特殊法人の放送大学学園が設置する大学でございまして、たとえば教員人事その他につきましては大学みずからが決める形として評議会の構成ももちろん法律に書いてあるわけでございますけれども、教官スタッフで教員に関します人事の基準その他を定めるという仕組みを確保してあることは従来からも御説明を申し上げております。そして、評議会を置いた理由について、これは教官組織が大変複雑な形になるということで御説明をいたしておるわけでございますが、そういう評議会の規定のほかに、この放送大学そのものに教授会が置かれているのは、これはまた学校教育法上の規定が適用になるわけでございますから、教授会そのものももちろんございますということの御説明を従来からもしてきておるわけでございます。
 その評議会と教授会、これはそれぞれおのずから組織、構成が異なりますので、それぞれ大学のいろんな重要事項その他の事項を審議するに際しましてそれぞれの機能を果たすことになるわけでございますけれども、私どもといたしましてはこの放送大学学園の場合、教官組織が大変複雑な構成になるというような前提に立ちまして法律上の規定として評議会を定めて、そのことが法律上教員人事につきまして大学人みずからで決める型というものを法律で確保するためにこの評議会の規定を法律で書くという法律の形をとったわけでございます。この点は従来からもるる御説明をいたしておりますし、また教授会と評議会の機能はそれぞれ、この大学自体におきましても当然に教授会も教授会としての機能がおのずと――この放送大学自体がその教授会の機能というものをどういう形で機能させるかということについては大学自体がお考えになって、この大学にふさわしい形で考えられるものと、かように従来からも御説明を申し上げておるわけでございます。
#202
○委員長(降矢敬義君) 佐藤君、時間でございますので、あと一問にしてください。
#203
○佐藤昭夫君 はい。もう一問だけ。
 当然この放送大学の場合も教授会というものが置かれるであろうということは考えていると言われるわけですね。そこで、その場合、人事権は教授会が持つというふうに、多くの大学の例のようにそういうふうに変えたら何かぐあいが悪いことが起こるんですか。多くの大学の例のように人事権は教授会が持つというふうにこの法案を修正したら、もっと端的に言えば、文部省のねらいに何かぐあいが悪いことが起こるんですか。
#204
○政府委員(宮地貫一君) 教授会そのものは、学校教育法五十九条の規定によりまして重要な事項を審議するための機関として教授会が置かれるわけでございます。国公立の大学にございましては、教育公務員特例法の規定によりまして人事に関します事項が法律上規定をされているという形が出てくるわけでございまして、その点では特殊法人に置かれますこの放送大学については、教育公務員特例法がそのまま適用になるものではないわけでございます。
 したがいまして、私どもとしては、この学園法案で評議会に関する規定を設けまして、人事の基準に関する事項その他を評議会にかかわらしめたというのが、国公立の場合とこの特殊法人立の放送大学の場合と、法律の形といたしましてはこの学園法案の評議会を人事に関する事柄を処理する機関として規定をした理由でございます。
#205
○佐藤昭夫君 ぐあいの悪いことが起こるかという問いに対しての説明にはなってないですね。いいです、終わります。
#206
○小西博行君 それでは放送大学学園法案につきまして、数点にわたって質問をさせていただきます。どうも私自体が質問をする立場といたしましても大変質問しにくい部分がたくさんありますし、同時にお答えしていただく文部省の方も大変簡潔なお答えが期待できない部分があるんではないかと思います。
 それは、一般の国立大学と全くその性格が違う、つまり放送大学学園法案が通過した後に、それぞれの人事によって細かい問題について定めていくというような法案だけに、細かい具体的な問題になりますと、これから学園法案が通過した後に検討するという、そういうことなものですから、大変私が質問する場合も非常に大ざっぱな質問をいたしますと、たとえばこの放送大学学園法案のこの資料がございますが、これに基づいて一つ一つ押さえていけば恐らくこの分野では十分答えていただけるんではないかなと思うんですが、現実、大学におった人間として一つ一つのカリキュラムなんかを見ておりますと、大変むずかしくて、具体的にでは毎日毎日何時間のテレビを見て、そして自分が自宅研修をして、そして面接授業をスクーリングという形で受ければ四年間で単位が取れて卒業できるんだと、こういうような具体的な資料がありましたら非常に便利がいいわけなんですが、自分なりにいろいろ検討してつくってみたりもしましたんですが、これは一度文部省の方で、大体この中にカリキュラム編成の大ざっぱな形で一応出ておりますので、どれを選択するというのは、これはAさん、Bさんということでつくってもらったらいいと思いますので、そういうかっこうで具体的なものにしていただきますと、各委員の方でも、ああこれは大変だなあとかいうようなことがある程度私はわかるんじゃないかと思うんです。トータルで百二十四単位という非常に大きな数字でぽんと出ておりますので、どうもその辺がわからない。たとえばその百二十四単位の中でスクーリングというのは二十単位あるんだ、体育は一単位だと、こういうふうに総トータルではわかりまして、百二十四単位という数字になるわけなんですが、毎日毎日、夏休み、冬休みなしにずっともう十二カ月これ勉強していくわけですから、一学期、二学期、三学期というふうに三つに分けているわけですね。普通大学の場合は休みがありますから、前期、後期ということで、恐らくどこの大学でも同じだと思いますが、一こま十五週で大体九十分授業だと思いますが、
   〔委員長退席、理事世耕政隆君着席〕
それで単位が四単位ぐらい出ていると思います。
 そういうふうに非常に私自身が戸惑っておるわけですから、一般の恐らく国民の人が聞いたってさっぱり恐らくはこれわからないんではないかなあというのがまず私ね実感であります。
 そして、いつも申し上げているわけなんですが、これほど何か大切なこの放送大学法案、何としても文部省はこれを通したいというような信念を持って私はやっておられると思うんですけど、そんなに、いまの事態、財政が非常に苦しい中でどうしてもこの放送大学をやることが将来の日本のためにすばらしい波及効果、教育界におきまして波及効果を起こすんだと。そして、いつも私が申し上げておりますようなこの非行問題だとかあるいは暴力だとか殺人とかいうような、そういう問題がいっぱいある中でこの放送大学の占める役割りというんでしょうか、そういうものを考えますと、何かやや逃げ腰のような感じがしてならないわけなんですが、その辺の文部省の再確認といいましょうか、どうしてもいまこれをやらなければならないというような大きな理由がおありだったら教えていただきたいと思います。
#207
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学学園ないし放送大学の必要性をどう理解しているのかと、こういうお尋ねであったかと思うわけでございます。
 放送大学というのは非常に広い国民の教育需要というものにこたえまして、放送を効果的に利用した大学教育を実施するという考え方で、生涯教育の中核的な高等教育機関として新しい教育システムを設立しようということで考えてきておるものでございます。
 従来からの経緯はもう何度も御説明もしておるわけでございますけれども、昭和四十四年以来検討を続けてきておりまして、御提案申し上げている形で、特殊法人という形でまとめました理由というのは、やはり基本的な点で申し上げると、国営放送を認めないという放送法制上の制約、それから放送大学が大学として学問の自由を持つということと、放送事業者の放送番組編集の自由、それとの調和を図るという問題等が基本的にございまして、
   〔理事世耕政隆君退席、委員長着席〕
大学と放送局とを一体のものとして放送大学を設置するための特殊法人の放送大学学園を設立するということで、従来からお願いをしてきておるわけでございます。
 そこで、必要性についてのお尋ねでございますが、これは大変社会経済全体の急激な変化と申しますか、そういうようなことを受けまして、自由時間の増大あるいは高齢化社会への移行というようなこともございます。そういう国民各層の間に、先ほども御質疑がございましたが、生涯にわたって学習をし、自己啓発を行っていこうというような機運やその必要性が大変高まってきておるわけでございます。言うなれば、そういう国民各層の教育需要にこたえまして、片や教育の量的拡大と質的向上というその二つの問題をあわせ解決するものとして、放送そのものが大変教育的機能としてすぐれたものを持っているということが言われております。放送という新しい――新しいといいますか、従来の教育形態から見れば新しい手段を取り入れることによりまして、その視覚と聴覚の両方を使って具体的に伝達できるというような、そういう放送自体の持ちます教育的機能も大変大きいということが言えるわけでございます。そういう放送の持ちます教育的機能を十分発揮させるためには、これはけさほども郵政省の方からも御説明ございましたが、テレビ、ラジオ、それぞれ一波一系列の周波数が確保されて、それを教育のために使うということがやはりこれは国民のためにも大変必要なことでございますし、また教育のために使うためには既存の放送事業者とは別個に、非営利の教育を専門にするものを設けるということが電波行政上からも大変強く要請をされているというようなことがございます。
 私どもとしては、放送大学学園が大学教育のための教育専門局ということで、放送を活用して広く国民に大学教育を提供するということは、これはぜひともやらなければならない事柄というぐあいに受けとめているわけでございます。当面する財政問題についても大変厳しい今日に立ち至っているということは、私どもも十分承知をしているところでございますけれども、しかしこの放送大学の意味とか必要性というようなものについては、もうるる御説明をしておりますように、十数年来にわたって準備を進めてきておるものでございますし、そしてまた放送というものにそういう教育機能を果たさせるということ自身は、やはりこれはわが国の国民全体にとりましても、そういう電波が教育の面で活用されるということがぜひとも必要だということは、これはどなたも御理解をいただけるところではないかと、かように考えております。しかもそれを大学という形でつくっていくということで、これは放送の問題と大学の学問の自由の問題というようなことで、私どもとしても今日までこうして法案をまとめるまでにはいろいろと関係の方々の御意見も伺ってまとめてきておるわけでございます。そういう観点からいたしますと、私どもとしては御提案申し上げております案が、いろいろな面での制約を一応クリアをいたしましたものとして、こういう形であるならば要するに放送を利用した大学というものがつくれるという結論に達して御提案を申し上げているところでございます。
#208
○小西博行君 確かにこの中に、放送大学をやるための目的みたいなものですね、設立の目的ですか、この中に「新しい高等教育システムとして、」というのが書いてありますね。私はこれに非常に興味を持つわけなんですが、現実にテレビを見せ、ラジオを聞かして、そしてその自宅研修をやってというのは、そんなに新しい私は試みではないような気がするのです。むしろ、その中のもっともっと練っていかなくてはならないような、同じテレビを見ても、テレビそのものの有効な活用の仕方というものが恐らく出てくると思いますから、むしろそっちの方が、私は今後これが施行された場合でも大きなウエートになってくるんではないだろうかなあ、そういうふうに考えますので、何か言葉にいたしますと、非常に簡潔に書かれるわけですけれども、実はこの中に非常に工夫の要るところではないかと、そのように考えます。
 ところで、この「放送大学の基本計画に関する報告」というのがございますね。これ五十年十二月十七日、文部省の大学局から出ております。この中にアンケート調査がありますね。つまり放送大学をやった場合に、見ますか、どうですかとか、あるいはその単位をとって四年間で大学の資格をもらいたいですかとか、そういうようないろいろな質問があるのです。で、私はこれはちょっと非常に危険だなという感じがいたしました。つまり五千人という方々を全国からランダムにサンプリングいたしまして、そうしてその中から実際どうなのという質問なんですね。その結果八%という数字が出てきております。それをそのまま全国の十八歳以上ということに当てはめて、六百二十万人ですか、六百二十万人はぜひ放送大学といいますか、放送を聞いて勉強したいという一つの前提がありますね。実際はそうもないだろうと、その中の数%だろうという前提を置いてまあ四十五万人構想というのは正当な数字ではないか、こういうような一つの煮詰め方をやっておられますですね。私はこういうアンケートというのは、非常に危険性があるというふうにまず提言したいわけです。つまり質問内容であるとか、あるいは実際に自分がその学校へ入って一週間でもやってみて、そうして、あっこれなら勉強したいと、こういうふうに考える人が実際にこれだけおれば私は問題ないと思うのですが、現実このアンケートで、それを全部信じておるわけじゃないでしょうけど、問題点があるんではないかなあと。
 そういった意味で、ちょっと私間違いが多少あるかもわかりませんが、時間をずっととってみたんです。このカリキュラムといいますか、一応提案されておりますこの教科ですね。三つのコースがあって、その中にそれぞれ基本科目、基礎科目でしょうか、外国語、保健体育あるいは専門科目ということで、たくさんのことが書いております。それぞれの科目を全部とりまして、これは全部条件がありますけれども、百二十四単位とれば卒業ということになるわけですね。そうしますと、大体どの程度の勉強するのかなあということで、これは先ほど申し上げましたように、また文部省の方から詳しいもの出していただきたいと思うんですが、たとえば科目にいたしますと四十五分のテレビを週に二回見るわけです。四十五分を二回です。それを十五週間やりますとこれが三単位もらえるわけです。ですから一年間は、百二十四単位を四で割るわけですから三十一単位とらなきゃいけませんね。だから毎週、最低三科目はとらなきゃいかぬわけですね。これは最低です。三科目じゃ足らないわけですから、大体四科目はとらなきゃいかぬ。そういうことになりますと、これかなりその時間が必要になってまいります。私の計算では大体毎日予習、復習というのが実はこれ大変なんです。そのテレビを見るのはそれでいいわけなんです。だけれど、予習、復習という時間を見ますと、大体四十五分間テレビを見て、これを二回見るわけです、一科目で。それで、三時間ぐらい予習、復習が要るわけですね。そういうように書いていますね。それを少なくともさっき申し上げたように三つか四つの科目をとるわけです。ですからもう毎日毎日授業を聞くというような感じになると思います。それにそれぞれが自宅研修するわけですが、一週間に九時間ぐらいは少なくともかかると思います、いわゆる予習、復習が。これはテレビを見るのとは別です。つまり通信教育のように家にいろんな資料送ってきますから、それ見たりいろんな勉強するわけですね。
 ですから、この間のアンケートでは、数字をもらいましたが、この前ちょっと私いつか質問したと思うんですが、特に奥さん方の勉強したいという希望が非常に多いということでした。その普通の家庭の奥さん方が毎週九時間から十時間ぐらいの予習、復習をして、しかもそのテレビを毎日四十五分は見なければいけないと、大体こういう計算になると思います。そして、一週間に一回はスクーリングに出かける。そして、これ大体全部四・三時間くらいですか、週当たり。一回行きまして四・三時間ぐらいの補習授業といいますか、面接授業を受けると。こういうよう実態の中で果たして――さっきのアンケートで奥さんが非常に多いとか、あるいは別の資料を見ておりますと、そうじゃなくて、むしろ高卒以上のわりあい事務、技術職といいますか、大学を出ている人も含まれると思います。そういう方々が社会人になって、もっと勉強したいと、むしろそういう方々の方が多いんではないかという資料もちょっとあったわけなんですけれども、その辺が非常に私はデータとしても本当に信頼性がどの程度なのかなということがちょっと不安になっているわけなんですが、かなりのそういう時間を要して、しかも勉強して、しかもそれだけ講義をやって――講義というか、テレビを見て自分が勉強して、そして全部通過じゃなくて、もう一回厳しい試験があるわけですね。その試験を通過していく者はさっきの話では大体一〇%ぐらいが落ちていくだろうという、これは非常に私は甘いデータだと思います。実際それは先ほど局長も言われましたが、ある大学ではという話を聞きましたが、まず四年間でまともに卒業するのは五〇%ぐらいじゃないでしょうか。日大の場合もそうじゃありませんでしょうか。私は法学部ぐらいだったら大体五〇%は四年間で何とか出られると思いますが、それ以上は無理だというふうに考えるんです。ましてや、一般教養の英語、ドイツ語というのが入っているわけですね。こういうようなものをやっていって果たして――さっきの計算で多少間違いがあるかもわかりませんが、ほぼ毎日勉強するようなかっこうになると思います。しかも、家庭の奥さんですからテレビは一台自分が独占します。独占してしかもそれはもう別部屋ですね。しかも一時間、まあ四十五分ということですが、そういうことが技術的に果たしてどうなのかなと。
 私は真っ正面から放送大学に反対しておるわけじゃありません。そういう意味じゃなくて、現実の問題としてこういうものがあるんだということを認識した上で効果的なやり方というものを考えていく必要があるんじゃないかなあ。その辺のところを実はぼくは委員の方も、自民党の先生方も余り見てないじゃないかなと。一遍実際時間割りを組んでみて、ああなるほど月曜日、火曜日、こうなるんだなと。これは自分で組んだらいいわけですから、そういうものでやっぱり一回審議をしていかないと困ると、恐らくその辺のところが人によってさまざまではないか。だから、大学でそういうことをやっている人というのは非常に細かいことまでやっぱりつくと思います。そうじゃない人は通ったら何とかなるだろうという概念もあっていいと思います。そういう面が私はちょっと不安なものですから、その辺に対してのお答えをちょっとお願いしたいと思うんです。
#209
○政府委員(宮地貫一君) 具体のこの放送大学に入って卒業を目指すという形で履修をするとすればということで先生カリキュラムを具体に組んでみたらこういうことになるというただいま御指摘があったわけでございます。私どもとしても、この放送大学が通常の大学の教室の授業にかわるものとして放送を視聴して行うわけでございますが、具体の計算で申し上げますと、放送視聴時間と単位との計算については、一科目について一回四十五分の番組を毎週二回、十五週にわたって延べ三十回、時間にして二十二・五時間を視聴することによって四単位を取得されるという構成になっておりますので、四年間で卒業するとした場合には毎学期放送の視聴によって八ないし十単位の単位の取得が必要でございまして、毎週四十五分番組を四ないし五回視聴するという必要がございます。四十五分番組を毎日にすれば一回程度視聴するということが必要だというぐあいに理解をしておるわけでございます。
 そこで、アンケート調査のこと、あるいは家庭婦人の場合にそこまで本当に時間がとれるのかと、いろいろな観点からのお尋ねがあったわけでございますが、たとえば家庭におきます婦人の場合で申しますと、大学の卒業資格ということよりも、あるいは科目履修と申しますか、特定の科目について視聴するというような志向が多いんではないかということも言えるわけでございます。したがって、家庭の婦人方がもちろん大学の卒業資格をとるためにそういう百二十四単位の修得を目指してという方ももちろん中にはいらっしゃると思いますけれども、必ずしもそういうばかりではなくて、特定の御本人の希望する科目について科目履修をするというような形で考えられるケースも多いんではないかと、かように考えます。
 もちろん具体的な個々の受講生がみずから科目をどのように選んでどういう視聴をしていくかということについては、まだ具体の点での御説明をするところまで至っていないわけでございますけれども、お話しのように、個々のカリキュラムの構成その他に当たりましても、もちろん受講生が極力受講しやすいような形で、たとえば再放送の問題でございますとか、放送時間その他についてもずいぶん工夫もこらしていくというようなことも考えているわけでございます。
 ただ、たとえば脱落率のとり方等についても、とても一〇%どころではないだろうという御指摘も、これは先生御自身の御経験から見てもそういうような点が御指摘があったんではないかと思いますけれども、これらの点についても、私どもとしてはなるたけ従来の通信教育の場合よりもスクーリングがなるたけ受けやすい形を用意するということも計算に入れて考えたものでございます。
 いずれにいたしましても、この放送大学の具体の実施に当たりまして、御指摘のような個々のケースにも具体例を設定して十分検討しろという御指摘については、私どもも極力そういうことに対応いたしてまいりたいと、かように考えております。
#210
○小西博行君 前のときもちょっとそういう話をしたんですが、そうでなくても最近の大学の質がずいぶん低下しているということが社会問題に私はなっているというふうに考えます。昔の大学生というのは、何となくそれほど勉強しなかったような感じがするんだけれども、どこか何か一つ違った基礎的なといいますか、応用動作といいますか、そういうものが非常に私はしっかりしているんじゃないかなあと。この放送大学というのはそういう意味で全く新しいものですから、内容的にはそんなに新しいとは私は思いませんけれども、ひとつテレビを使ってという意味では新しい教育ですから、私はこの単位の認定あたりが、あるいは講義内容といいますか、あるいは自分で自習していくといいますか、勉強するといいますか、あるいはスクーリングといいますか、こういうものが全部総トータルになって相当なボリュームにならなければ、幾らやっぱり程度が落ちた大学といってもなかなか大学卒ということにはならないんではないかなというのが実は実感なんですね。
 それともう一つは、やっぱり大学というのは、私は経験ではゼミだと思いますね、卒業論文、ゼミ。ゼミというのは全くそれは、どこの学校もそうだと思いますが、恐らく一週間のうちで一日は完全にゼミにとってるんじゃないでしょうか、ゼミに。私どもそうでした。九十分一こま、これが四こま連続です。これはただゼミという時間だけでありまして、授業以外でも、昼休みでも、いつだってめんどうを見るという体制があるから学生に対して一つ一つ指導ができるんじゃありませんでしょうか。恐らく一般の卒業の学生に聞いてみたら、ゼミのときずいぶんしぼられたと、きょう大勢の方がいらっしゃいますが、恐らくそういう経験があると、そのゼミの先生に私はしごかれて今日があるとかいう問題は、私はあるんじゃないかと、特に大学というのはそういう部分が大きいんではないかと思うんですね。
 そういった意味で、先ほど皆さん方の中にもそういう御意見がありましたけれども、こういう卒論という一つのことだけじゃなくて、こういうゼミを何とか充実していくという――四年間でなくたって構わないわけですからね、これは。ですから大学卒という一つの認定を与えるんならそれだけちゃんとしたものに私はしていただきたいなあと。何となく単位を、ずっと試験を受けて――恐らく検査基準が甘くなっていくと思います。恐らく一〇%も上がれないということになりますと、とてもだめだから何とかしてこれは少し点数下げてとかという問題が必ず出てくると思うんです。そういう意味で、その辺をあわせてさっきのゼミと卒論の面について考え方があったら教えていただきたいと思います。これは文部省の見解でも結構ですから。
#211
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、大学教育の中で演習なりゼミというものが大変重要な意味を持つということは当然のことでございます。考え方といたしましては、スクーリングの中で演習を考えるということは当然にこれからも考えていかなければならない課題と、かように考えております。
 なお、一般論になるわけでございますけれども、私どもとしましては、この放送大学のテレビを使ってること自体が決して新しいことではないといういま御指摘でございますが、私どもとしましては、放送のテレビなりラジオというものを教育の中に組み入れていくと、しかもそれを正規の大学教育の中に組み入れていくということが、これは従来なかったわけでございまして、そういう方法を使ってこの新しい放送大学を発足させるということを考えておるわけでございます。もちろんいままでも御説明をしたわけでございますが、放送そのものは大学の教育課程として行われる放送でございますけれども、受けとめる視聴者の方は、先ほども御指摘がありましたように、広く国民一般が視聴する機会があるわけでございます。したがいまして、大学教育の中身といたしましては、言で言えばレベルの高いものを国民にわかりやすくというようなことで教育が行われることになるわけでございますし、その点は放送教育開発センターで実験番組ということで、すでに取り組んで放送教育開発センターでも幾つか番組を出しておりまして、一般の受けとめ方としては大変そういう意味で好評を得ていると私どもは理解をいたしております。そして、そういう意味では大学の講義そのものが国民に開かれた形で行われるということで、従来、大変悪い方で申し上げますと、たとえば十年一日のごとき大学ノートによる講義というような形で行われていたものが、この放送大学ではそういうことはもちろん許されないわけでございます。そうして放送大学におきますそういう講義というものがやはりこれは一般大学における一般教育というものにも非常にいい意味で刺激を与えていくことになる。これは私どもとしては、大変迂遠なことではないかという御指摘もあるかもしれませんが、やはりこういう新しい大学をつくっていく、その新しい大学の刺激によりまして既存の大学のたとえば一般教育というような分野についても大変そういう意味でのいい刺激があって改善の道が図られていくような一つのきっかけになると、そういうことが日本の大学教育全体の改善なり工夫を図っていく一つのよすがになるといいますか、この放送大学の意味の中にはそういうような面も私どもとしては含まれるのではないかと、かように考えているところでございます。
#212
○小西博行君 いや、局長さんのおっしゃるのはよくわかるんですね。ですから、放送大学によって先ほどの生涯教育だとか学校へ行きたくてもいろんな事情で行けない人、そういう方が勉強できるんだ、この利点はよくわかるんです。しかも私は何もいいことが一〇〇%でなければ何事もやっちゃいかぬというようなけちな考え方は持っておりません。そういう意味じゃなくて、むしろそういうマイナスの部分がたくさんあるんではないかなあと。その辺のところをむしろ文部省あたりの見解ということでも結構ですから、いろんなことをもっと分析されたらどうかなというように実は私思ったわけです。本来これは政治家の一人一人がもっと具体的なこういうものをつくって、自分がやる放送大学はこうなんだということで本当は示すべきが筋かもわかりません。しかし、現実はやっぱり文部省という専門の機関が一つあるわけでありますから、その辺でもっと具体的に練った資料をいただかないと、私は当初申し上げましたように、非常に質問しにくいというのはその辺なんです。非常に細かい単位や何かのことを言いますと、これは文部省がやることではないと、今度放送大学というのができて初めてそこで検討されていろんな内容についてやっていくんだと、これは当然そうだと思うんです。そういう分野が常に繰り返していくものですから、幾ら審議しても最終的に何かはっきりした答えが得られない、これがいまの実態じゃないでしょうか。衆議院で六十何時間もやってこられたわけですから、何も私どもが一つ一つ言わなくたって全部わかっている問題だと思うんですけれど「どうもその辺が煮詰め切っていないというのは、私は、この大学の先生ばっかりで集まって基本計画というものができたわけですね。ですから、早い話がこの基本計画についてひとつ検討してくれというんだったら非常にわかりやすいと思うんです。これは文部省がつくったわけじゃなくて、各先生方が集まって四年も五年もかかったんでしょう。そのぐらいの歳月をかけてつくった貴重な資料だと私は思うんです。ですから、この問題に対してここはどうかここはどうかというように一つ一つ押さえていったら、ある程度私は各政党によっても一つの案ができるんではないかなあ。みんなだから、それぞれの違った観点で話していく結果になりますのでね。何かそういう審議のやり方を、文部省がこうやって提案していただいた法案について考えてもらえぬだろうかなあというのが私の本当の気持ちなんですけれども、その辺に対して大臣どのようにお考えでしょうか。
#213
○国務大臣(田中龍夫君) 大変にまじめに取り組んでいただいて、しかも御自身がカリキュラムをつくって時間まで計算していただいて、それに対しましては本当にありがたいと思います。いまお話が出ましたように、実際そんな簡単じゃないと、実際本当に単位を取ろうと思ったら相当ハードな勉強量になるんじゃないかというような感じもいたすんです。
 ただ、いま一般教養、生涯教育というふうな面で、あるいは家庭の奥さんが、あるいはまた学校を出た方々が、年配の方々が教養としてテレビなりラジオからお聞きになったり何かする、これはりっぱなものだと思うんですけれども、やはりその辺が、いろいろとお話ししたように、センターの方でも私はずっとここのところ十年ぐらい分析も検討もしておると思うんですけども、また大変貴重な御意見でありがとうございます。
#214
○小西博行君 実は細かく一点一点やっていこうと思っておったんですけれども、やっぱり基本的な問題がある程度あれしないと、いや、それは放送大学法案が通過してからですというのはもう言われぬ最初からわかっておりますからこれはもうやってもしようがないなあと実は思うんです。そういう意味でこの法案だけを実際に見てみますと、これは確かに先ほどどなたかおっしゃいましたように、この組織の問題とか教授会の機能だとかいろんな問題が実際はあると思います。その辺のところは、私は法案の段階でつまりこれを検討するということだけであれば、私はそれぞれの御意見を聞きながら修正していただいても結構だというふうに実際は思うんです。私も幾つかこれは問題点持っております。しかし、実際これが通過して、先ほど申し上げたような一つのカリキュラムをとって一つ一つ見ると確かに問題があると。それから今度は例のスクーリングですね、スクーリングを実際やるといっても、これは他の大学から先生をお願いしてやると、私は広島だからたとえば広島大学があると思います。これは夏季講座なんかでちょっと実験やられたようでございますけれども、その場合に、果たしてその先生の陣営というものがもう文句なしに、これは文部省が指示したらすぐ飛んでいくと思いますけれども、私ども私立大学の方にはなかなか来ていただけません、現実は。時間制約がございますね、一週間に一日ぐらいはということでございます。そういう意味でどうなんでしょうか。果たしてそういう大ぜいの人数が面接指導をぴっちりできるだけの――これは東京の場合は私まだもっと簡単だと思うんです、大学も非常にたくさんありますから。特に田舎へ行けば行くほどそういうことがむずかしいんだけれども、現実は数としては同じぐらい要るんではないかなあと、まあ科目によりましてはね、科目は同じですから。その辺の対応というんでしょうか、打診というのはいまの段階で局長をやるべきじゃないでしょうか。ちょっとお尋ねしたいんですが。
#215
○政府委員(宮地貫一君) 先ほども御答弁申し上げたわけでございますが、私ども、この放送大学学園法案御提案を申し上げておりますものについて、もちろん国立大学協会の関係者の方々にも十分中身も御説明をいたしておるわけでございます。文部省といたしましては、国立学校そのものが直接かかわりが深いわけでございますので、国立大学協会の関係者にこれらについて御協力をいただくことについて十分法案の内容も御説明をして御協力をいただく方向で、そういう意味での準備と申しますか、そういう事柄はいたしております。
 それで、具体の計画になりますと、ただいま、たとえば学習センターの位置が決まりまして、それでそこの学習センターではどの大学から協力していただく先生をお願いするかというような具体のところになりますと、実際に放送いたします科目の担当の方が決まり、その先生方と、それから協力いただく先生方としてはどういう方々が考えられるかという具体の問題にならないと、その点は、それ以上のところには、ただいまの準備状況からは進み得ないというのが現状でございます。一般論としては、もちろん私ども、国立大学協会を通じまして国立大学全体にそういう協力を呼びかけをするのは当然でございますし、第一期の計画は関東地域ということでございますので、そういう点では、御指摘のような地方の場合よりもまた協力を得る教官の方々としては比較的得やすいというような点もあろうかと思います。それをさらに全国に広げていく場合には、またそれで大いに検討しなければならぬ具体の問題が御指摘のように出てくることではないかと、かように考えております。
 いずれにいたしましても、やはり具体の実際の授業の進め方という点で申しますと、やはりテレビならテレビで流される具体の教科目を担当する教官の方々が、それではこの地域の学習センターではどういう方に協力をお願いしたらいいかというような具体の判断をしまして、それで両者の打ち合わせというようなことも具体にやっぱり必要になってくることでございます。これは当然のことでございます。そういうことは一つずつ個々に積み上げをしていかなければならぬ事柄でございまして、そういう意味で、まず専任の教員のスタッフが確保され、さらに学習センターの教官スタッフとしてはどういう構成を考えていくか、協力をいただく方々としてはどういう組み合わせが望ましいか、そういうことも当然に――そういうことの前提なしに協力をお願いすると申しても、それは放送そのものと学習センターでの指導ということと全くばらばらの事柄で行われるということは、これは考えられないわけでございまして、それらの点を具体的に進めていきますに当たりましては、やはり個々の具体の教官が固まって、それからの作業になるということは先ほど来るる申し上げている点でございます。
#216
○小西博行君 実際その学習センターでいろんな講義を、まあ面接指導というんですからいろんな話すると思うんですが、恐らくこの放送大学というのはそんなにエリートをといいますか、非常に高度な教育を中心にした大学ではないんですね。私はそこら辺が単位の認定の仕方によってずいぶん変わってくるんじゃないかと思うんです。そうしますと、先ほどの目的がやや外れてくると思うんです、余り厳しくやると。入るときは皆さん抽せんではいれる。それで単位を認定するときには非常に厳しくやる。これは将来にとって非常にいい面も出てくると思うんです、少人数だけど優秀な人材が残っていくということでしょうから。ところが、私は逆にもっと一般の方々に広く勉強してもらいたいという意味では、ややその検査基準を落として皆さんを通過さしていく、その辺の一つの選択の仕方といいますか、一つの方針というものがこの大学の性格をはっきり決めていくんじゃないかなあと。それによって、今度はさらに、ああ放送大学出ればりっぱだということで一般産業からさらに再就職その他で価値が高まってくるんじゃないかなあと、そういう感じがするんです。同時に、応援に行っている先生方も、非常に高度ないい大学だということになればもうプライドを持ってやられる。ところが、程度が非常に低い場合にはもうできるだけ勘弁してちょうだいということにあるいはなるんではないかなあと。ぼくは、その辺のところは非常に何か漠然として、一つの基準をいま示してくださいというのもむずかしいと思うんですけども、その辺のところもあわせて考えておかないと余りいい結果を生まないんではないかなあ。だから、人数をたくさんとろうと思ったら非常に程度の低いと言ったら悪いんですけども、検査基準をやや甘くする、で、修了というやつですね、卒業というんじゃなくて修了という感じのそういうものにしていく、あるいはもうこれは短期大学ということにして、いわゆる一般教養というようなことで考えられないのか。まあ私はいろんなことを考えるんですが、むしろその辺のところを文部省の方でいろいろ検討していただいたらどうかなあという感じがするんです。これは何もこの放送大学法案を全部文部省がやるということじゃございませんから、その通過した後にはいろいろ検討されるんでしょうけど、もう少しその辺を慎重に対処していただいたらなあというのを私自身は感じますけどもね、その辺のところをひとつよろしくお願いしたいと思います。これは答えていただかなくても結構でございます。
 もうあと少ししか時間がございませんが、最後にお願いしたいんですけども、個々の問題を一つ一つ審議していくわけなんですけれど、どうも私から見るとその反応が非常に弱い。まあ反応しちゃいけないということかもわかりませんけども、実際の審議になかなかはいれないんじゃないかという気がするんですね。ここへ挙げている科目自体でも、これは実際に放送大学法案が通過したらそのまま使うんじゃありませんよね。一応構想としてこういうようなかっこうになるんだということなんですね。だから、この内容一つ一つにわたって質問してもこれは意味がないと思うんですけど、先ほど最初に申し上げた、まあこの中から何か選んでいただいてでも結構ですから、何か一つ、一年生から四年生まで一学期、二学期、三学期とどういう単位をとって、どこで演習が入るのか、この演習のところも実ははっきりしてないんですね。どの科目をやったら、それに演習が何時間というのがないんでしょう――これもちょっとお尋ねしましょうか。
#217
○政府委員(宮地貫一君) どの科目を演習科目にするかということは、やはり大学自身がお決めになることだと思います。
 なお、若干先ほどのお尋ねの点で、確かに大学の性格づけに大変かかわるところでございまして、入るのはやさしく、なかなか卒業するのは――適正な判定をした認定をして単位を与えるということが基本であろうかと思いますが、具体例で、多少具体的なイメージがわくという意味で御参考までに申し上げますと、たとえば放送教育開発センターで現在実験番組をすでに何度か具体的に流しておるわけでございます。それの具体的なお願いしております担当講師の方々でございますとか、そういう面で申し上げますと、たとえば「日本語の世界」というようなことで学習院大学の大野教授にお願いしてございますとか、あるいは「現代の人間観」ということで、これは開発センターの所長でございますが、藤田健治先生にお願いしておりますとか、ただいま実験番組でございますけれども、もちろん放送教育開発センターの方で大変慎重に人選をしていただいてお願いをしているわけでございますけれども、御協力いただいている方々はそういう分野では私は大変レベルの高い方々が、放送という手段を通じて非常にわかりやすく講義をするということが基本的なねらいになっているということが言えるんではないかと思います。そういう意味では、放送大学においても、もちろん専任の教官の方々もございますけれども、広く客員教授というような形で、国公私立大学のそれぞれの方々に御協力をいただくというような形でこの大学は運営をされていくことになるわけでございます。それぞれの分野で大変水準の高い教官スタッフの方々が講師になっていただき、それをわかりやすく放送で流すという形になるわけでございますので、その点では私どもとしては放送大学の教育というものに対して大変期待をいたしておると、教育の水準の点で申し上げればまあそういうようなところを私どもとしてもねらっているということは言えるわけでございます。
 それから、お尋ねのカリキュラムの点について具体例をというお話でございまして、これは事務的に、たとえば受講生の一人としてどういうとり方をすることが可能かというような事柄などについては、なおよく研究さしていただきたいと、かように考えます。
#218
○小西博行君 A、B、Cでも構いませんから。
#219
○政府委員(宮地貫一君) はい。
#220
○小西博行君 最後に、文部大臣にお願いしたいんですが、いろんな教育の問題というのは、当然この文教委員会でいろいろやられるわけですね。で、文部省の方の姿勢を見ておりますと、この放送大学法案については非常に熱心でしてね、詳しい方もたくさんいらっしゃいまして、やっていただくのは私は結構だと思います。同時に、日常の教育全体の中にいろいろ問題点があるわけでありますから、何か、これはこういう手を打ったから非常によくなったというものをぜひつくっていただきたいなあと。私はまあその辺のところを、この間も言いましたように、指導、援助という範囲でも結構ですから、一つの研究成果として出していただきたいなあと。ちょっと私はお粗末な部分があり過ぎるんではないかなあという感じが実はするんですけど、その辺をあわせてお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#221
○委員長(降矢敬義君) 本案に対する審査は本日はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時五十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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