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1980/04/16 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第8号
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1980/04/16 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第8号

#1
第094回国会 文教委員会 第8号
昭和五十六年四月十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬義君
    理 事
                大島 友治君
                世耕 政隆君
                勝又 武一君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                井上  裕君
                田沢 智治君
                内藤誉三郎君
                仲川 幸男君
                松浦  功君
                小野  明君
                粕谷 照美君
                本岡 昭次君
                柏原 ヤス君
                高木健太郎君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
   政府委員
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       郵政省電波監理
       局長       田中眞三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   参考人
       創価大学文学部
       教授       新井 直之君
       私立大学通信教
       育協会理事
       大阪学院大学法
       学部長
       大阪学院大学通
       信教育部運営委
       員長       板橋 郁夫君
       帝塚山学院大学
       名誉学長
       日本放送教育学
       会会長      西本三十二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○放送大学学園法案(第九十三回国会内閣提出、
 衆議院送付)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 放送大学学園法案を議題といたします。
 本日は、お手元に配付いたしております名簿の方々を参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 皆様には御多忙中のところ御出席を賜りまして、本当にありがとうございます。皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、本案審査の参考にいたしたいと存じます。
 つきましては、議事の進行上、名簿の順で、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、まず新井参考人にお願いいたします。
#3
○参考人(新井直之君) 新井でございます。
 私は現在大学に奉職をしておりますことと、それから専攻がマスコミニュケーション論ということをやっておりますので、その立場から御意見を申し上げたいと思います。
 八つほど疑問点といいますか問題点といいますか、そういうことを申し上げたいと思いますけれども、第一は、放送で学習が可能なのだろうかということであります。
 一般に、マスコミを視聴したりあるいは読んだりという場合には、必ずしも全部が受動的であるとは限らないのでありますけれども、放送大学の場合にはどうしてもその放送を見たり聞いたりしなければならないという一種の強制が伴うわけでありまして、どうしてもそこで受動的な学習にならざるを得ないと思います。しかし、大学は、本来知識を伝承するだけではなくて、学生自身がみずから学びあるいはみずから考える態度を養うという、そういうことを教える場だと思われますので、そのときに、ただ一方的な通行で質問ができないとか、あるいはみんなと一緒に討論をすることができないとかということでは、私は大学の名に値しないのではないだろうかというふうに考えられるわけであります。
 御承知のように、イギリスでは一九七一年から放送を使いました通信教育のオープンユニバーシティーというのを開校いたしましたが、これは準備段階ではユニバーシティー・オブ・ジ・エアー、つまりまさに放送大学という名前でスタートをしようとしたのでありますけれども、やはり放送が大学教育にそれほどウエートを占めるのはまずいのではないかということで、オープンユニバーシティーの副総長であるウォルター・ペリーという人が書いた本によりますと、放送を使った教育は全教育の五%にとどめてあるということであります。そういうことを考えましても、放送で本当に大学教育が可能なのかという点を私は疑問を感ぜざるを得ないわけであります。
 第二の点は、そういうふうにもし本当の大学教育を行おうとするならば、どうしてもスクーリングが大事だろうと思うのであります。この点は、以前に文部省大学局がお出しになりました「放送大学について」というパンフレットの中では、「放送大学は、通信制の大学であるところから、教師と学生との直接的ふれ合いの機会をつくることことが欠かせないものとなる。この点については、類似の教育方法をとる既存の大学通信教育における面接授業の実際に留意し、放送大学においても、これと同程度の面接授業を実施することとしている。」というふうに書いてありました。
 現在大学の通信教育では、卒業までに必要な百二十四単位のうち三十単位は面接授業によることになっておりますので、放送大学もそれに基づくものと思われていたのでありますけれども、ことしの一月、文部省がお出しになりました同じ「放送大学について」という新しいパンフレットではその部分が全く欠落しておりまして、その点は、私は文部省の方が面接授業――スクーリングを軽視するといいましょうか、あるいはそのことを余り重く見ないように態度がお変わりになったのではないかという気が私はちょっと読んでしたのであります。そういう点で、スクーリングというものをどういうふうに放送大学で位置づけているかということは、私はかなり疑問でありまして、これが欠けてくると大学教育というものが本当の大学教育にならないのではないかという点を心配するわけであります。
 第三の心配は教員の研究ということが不在になりはしないかということであります。
 今度の放送大学学園法案の第一条のところに目的が書いてございますけれども、その中には「放送等により教育を行う大学」でありまして研究という言葉が欠けておりますし、第二十条に三つの放送大学の業務について書いてありますが、この中にも研究について全く触れておりません。
 大学と申しますところは教育を行うだけではなくて、同時に教員の研究が不可欠でありまして、教員の研究の新しい成果をまた学生に伝えていくという役割りがあると思うのでありますけれども、その点がどういうふうに位置づけられているのかという点が心配であります。特に放送大学は教養学部でありまして、非常に幅の広い教員の専門ということになってまいります。多岐にわたる専門であるためになおさら共同研究などというものがむずかしくなってまいりますし、それから研究設備を整えるということも大変困難であろうかと思いますので、その点がどのように考えられているのかという点が心配であります。
 第四の心配は地域性の問題であります。
 現在の文部省の「放送大学について」というパンフレットでは、第一期の、つまり関東一円だけを対象とするようになっておりますけれども、やがては全国的にこの放送大学の教育が行われることになると思うのでありますけれども、そしてその場合には、東京からあるいは千葉県の幕張からですか、発信される電波が全国一円を覆うということになるだろうと思うのであります。現在、全国をカバーする唯一の放送が行われておりますのは御承知のようにNHKでありますが、放送法第四十四条には「全国向けの放送番組のほか、地方向けの放送番組を有するようにすること。」ということがNHKには義務づけられております。つまり唯一の全国放送であるNHKに対しても地方向けの放送、ローカル放送を行うということが義務づけられているわけであります。今度できますこの放送大学は全国に向けて放送が行われましても、この放送法四十四条は放送大学にどうも今度の法案では適用されないようになっております。
 そうしますと、いままでの放送法の考え方であった全国向けのNHKの放送であってもローカル放送が義務づけられる。もちろん一般放送事業者である民間放送は義務づけられるわけでありまして、そういう放送法の原則がここでひとつ大きく変わるということを示しているだろうと思うのであります。この点はやはり放送法の基本に触れる大きな問題点であろうかと思われます。
 教育上の方から考えてみましても、私は教育というものはやっぱりその地域のニーズに合った地域性を持った教育ということが非常に大事だと思います。現在、地方の各国立大学ではかなり地域性を重視したさまざまな試みが行われております。しかし、そういったようなものが生かされないで全国画一の教育が行われるということはいかがなものであろうかというふうに考えるわけであります。
 第五の点は、やはり放送法との関係でありますけれども、御承知のように現在の放送法ではNHKとそれから一般放送事業者である民間放送との二本立てになっておりますが、ここに新しく特殊法人放送大学学園というのが誕生するわけでありまして、これは三本立てになるということでありまして、これも放送法の基本を変える大きな問題でありまして、この点をどういうふうに考えるかということは慎重に御審議をいただきたい点であるだろうと思います。
 第六の点は、やはり放送法との関連でありますが、学問の自由との問題であります。
 放送大学学園法案の附則の十一条には、放送法の四十四条三項が準用されるということになっております。放送法の四十四条三項は、御承知のように放送番組の編集方針を定めておるわけでありますが、特に問題なのは四十四条三項の四であるだろうと思います。
 この四は、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」が現在の放送には義務づけられておりますが、大学では自分の学説を述べるということはどうしても欠かせないわけでありまして、対立する学説がある場合に、そのさまざまな学説を紹介することは当然でありますけれども、しかし教員が、自分はこの学説が正しいと思うとか、あるいは自分はこの学説をとるとかということは学生に向かって述べることが多いわけでありますし、またそれが必要であるだろうと思われます。しかし、今度の文部省の「放送大学について」というパンフレットを見ますと、その中で行われる講義の中に、たとえば「現代の裁判」であるとか、「政治思想」であるとか、「現代の政治生活」であるとか、あるいは「国際政治論」、「日本の政治」、「労使関係と法」、「労働問題」など、どうしても対立する意見を含む問題が講義のテーマとして掲げられておりまして、そういう際には教員が自分の学説を述べることがこの放送法で非常に縛られはしないか。これは学問の自由ということとこの放送法の規定との比較考量をどうするかという点は大きな問題だろうと思われます。
 第七の点は、NHKの現在行われている教育番組、教養番組に対する影響であります。
 恐らく放送大学が始まりますとこの番組は全国だれでも見られることになるわけでありまして、その中で単位を取って大学卒の資格を取ろうとする人はきわめて少数であり、非常に多くの人はほかの一般の番組と同じようにこの放送大学の番組を見ることになるだろうと思われます。それは内容からすれば大学教養学部の講義の内容でありますから、まさにNHKの教育番組、教養番組と対抗する関係になるわけでありまして、その辺をどういうふうに考えたらいいかという点が問題として残ると思います。
 第八番目の問題は、大学の自治の問題でございます。
 今度の学園法案によりますと、たとえば理事長は文部大臣による任命であり、それから理事は文部大臣の認可を得て理事長が任命するのであり、監事は文部大臣による任命であり、それから運営審議会の委員は文部大臣による任命であり、学長はもちろん文部大臣による任命でありというふうに、文部大臣による任命が非常に多いわけであります。文部大臣の強い権限がこの放送大学に及ぶということが考えられるわけであります。そうなってまいりますと、教授会の地位はどうなるのかという点が私は心配になってまいります。学校教育法の五十九条には、大学は教授会を設けて重要な事項をそこで審議するというふうになっておりますが、一体教授会はそこで何が重要な事項として審議できるのでありましょうか。たとえば教員の任免、それは評議会が行うことになっておりますけれども、この評議員は学長の申し出で理事長が任命するのでありまして、この教員の任免には教授会はノータッチというふうに法案では読めます。しかも、その教員の任免を決める評議会のメンバーである評議員はこれは理事長が任命するのでありまして、教授会が選出するのではありません。これは一つの例でありまして、教授会の重要な事項を審議するということが一体放送大学ではどのように行われ得るのであろうかということがこの大学の自治との関係で心配になってまいります。
 結論として私が申しますことは、結局、いま各地方の国立大学ではそれぞれ独自にその地域に合った教育をしておいででございまして、私は、その地方の国立大学がそれぞれに通信教育を行ったり何かして、その教育の手段の一つとして各大学が放送局を利用し、あるいは放送局を独自に持って放送教育が行われるならばまだ私は了承できると思うのであります。私は、この放送大学というのが大学に行く機会を失した人たちのために大学卒の資格を与えるという趣旨であるように法案では読めますが、それならばなぜ、現在ある国立大学が昼夜開校制、つまり夜間の学部を置こうとしないのか、あるいは通信教育をやろうとしないのか、現在ある国立大学をもっともっと有効に活用することによってそういう目的は果たされるのではないか。そういう通信教育を行う際の教育の一手段として放送を利用していく、そしてその運営にはそれぞれの国立大学が当たるということになれば、先ほど私が申しました学問の自由の問題、あるいは大学の自治の問題研究の不在の問題などというのは全部解消するわけでありまして、私はそういうことがむしろ考えられてしかるべきではなかったかという気がいたしております。
 以上でございます。
#4
○委員長(降矢敬義君) ありがとうございました。
 次に、板橋参考人にお願いいたします。
#5
○参考人(板橋郁夫君) 板橋でございます。
 私は、通信教育を実施しております各大学が形成しております私立大学通信教育協会というのがございまして、その代表ということで本席に参ったわけであります。したがいまして、これから申し上げますことは、私どもが日ごろ協会内で話をしております放送大学関連の問題についてここで若干の私見を申し上げたい、こういうことで準備をしてまいったわけであります。それが多少なりとも本委員会の審議の御参考になれば幸いかと存じます。
 まず、この放送大学関連の問題は、すでに御関係の皆様方御案内のごとく長い間問題になっておりまして、さきに放送教育開発センターの設置に関連する八十四国会、これは申すまでもなく五十三年であったわけですが、この五月の九日に当参議院の文教委員会で私どもの児玉三夫参考人が関連のお話を申し上げてあるわけであります。それからまた、本日の特殊法人放送大学学園法案に関連しまして、すでに五十三年十一月八日衆議院の文教委員会で私どもの協会の理事長であります高梨公之参考人がこの法案について御意見を申し上げてあるわけであります。したがいまして、それらはすでに当委員会等でも十分御理解を賜っておるものということで重ねては申し上げません。重複を避けるということでなるべくそれをのけまして、その他について若干の意見を申し述べてみたいと思うわけであります。もっとも重複をする部分はやはり重要な問題点であるということで出てまいるわけでありますから、その点も事前に御了承を賜りたいと思うわけであります。
 問題は、この特殊法人放送大学学園、それからもう一つはその特殊法人が設置するところの放送大学というように二つに分かれていくのでありますから、当面はこの大学の方は姐上には上っておらないように思うわけでありますけれども、しかし設置する特殊法人は当然その設置するところの大学を予定しているわけでありますから、この際あわせて意見を申し述べたいと考えるわけであります。
 そうして、この二つを見てまいりますと、法人の方では非常に役員の数が限られておりまして、先ほど新井参考人の方からも触れられておりましたですけれども、任命制になっておる。この任命制は国立の大学とかあるいは特殊法人というような場合には制度上はやむを得ない、そうなるだろうと思うわけでありますけれども、放送大学が全体として持っておりますキャラクターといいましょうか、大学の学問を公開するというたてまえからは、やはり各方面のエキスパートを役員の中に集約するという意味では、もう少し数を多くしてこの理事会も公開しているという姿勢がほしいわけであります。しばしば引用されますオープンユニバーシティーの理事会はかなり数が多くて、当初は三十七名でスタートし、それで後にスタッフの中からも理事を入れ、学生の中からも理事を入れ、現在はたしか五十人くらいの理事会の構成になっているように思うのであります。そういうところから見ますと、能率よくやるというようにも考えられるわけでありますけれども、中枢の人数が少なければどうしても考え方も限定されますので、その点はもう少しお考えおきいただいたらいかがかというように見ております。
 それから大学の運営については、先ほど教授会がどうなっているかというお話がありましたから、これは私の方では触れずにおきます。
 評議会で全体をやっていくというようなことでありますが、しかし放送大学の番組をつくるというような場合にはどうしても教授会の中で検討もされ、それからその中からコースチームのいわばチーフになる方が出てくるはずでありますから、その点はやはり教育機関としての放送大学を考えました場合には、教授会のメンバーが会議体を持つ。したがって、その学則の中に教授会の規定がある方がすっきりするのではないか、将来の運営についてスムーズにいくのではないかというように考えておるわけであります。
 それから、一般に言われておるわけでありますけれども、放送大学を設置する意義とでも申しましょうか、仄聞するところによりますと、その理由と申しましょうか、一つには今後、昭和六十五年くらいになりますと大学入学志願者というものがふえるという見込みが一方にある。他方、無限に通学課程の大学をつくるというわけにはいかない、それはそうだろうと思うわけであります。だからその際、放送大学をつくっておけば一般国民の大学教育に対する要望というものがそこで消化されるはずだという議論があります。果たしてそうか、一部にはその役割りを確かに果たすことができましょうけれども、一体通学課程、普通の――普通の大学と言ってよろしいでしょうか、通信に対して私どもは通学課程と言っているわけですが、通学課程を志望する者が入れないから、それでは放送大学があるのでということにはにわかにはならない。すなわち進学希望の対象がまるで違うわけですね。でありますから、その点はどうも将来増大する大学入学志願者に対して放送大学がその役割りを果たすという点については、いささか議論が当を得ていないのではないかと思うわけであります。
 それからもう一つは、通信教育に類似する放送大学というものをいきなりつくることの一つの積極意欲を大いに評価すると言えばそうでありますけれども、他方では一つの何といいましょうか、かなり冒険性を伴っているのではないかとも思うわけです。むしろ長い間の積み上げの上に放送大学をやっていくんなら、もっとスムーズに受け入れられる部分が多いのではないかと思うのでありますけれども、そういう意味では国立大学が幾つかの学校でまず通信教育の課程を置いてそれでやってみる、その実績の上に放送大学というものを考えてみるべきであったのではないかとも思うわけでありますけれども、しかし、これは現在の時点では時機におくれた考え方かもしれません。
 なぜ、それでは通信教育の課程といきなり比較するのかという御疑問もあろうかと思いますけれども、放送大学が一般に受けている印象は、二百四十課目あるわけでありますけれども、ほとんどの課目を放送でやられるという印象があるからだと思います。しかし、実際問題として完成年度に至って、二百四十課目全部をテレビなりラジオなりでやるということはまず不可能であるはずです。そういたしますと、勢い放送でやる課目とそれから通信のプリント教材でやる課目に分けざるを得ないんですね。
 その比率はどうかということになりますと、これはまたオープンユニバーシティーの例で恐縮でありますけれども、イギリスの制度でも六五%は実は通信教育に類するプリント印刷教材でやっておる。一五%が放送であるというようになっているわけです。しかも、一五%の比重の課目を放送するんだけれども、実際にそれでは在学生が視聴する率はどのくらいかということを聞いてみますと、公式の印刷物では一〇%とか一一%と出ておりますが、担当者にじかに聞いてみますとまあ五%ぐらいだろうと言っているわけです。恐らくそれは実情に近い数字だと思うわけです。そういう先例が現にあるわけでありますから、放送大学も、テレビ、ラジオで全部やるんだという印象、そういう前提で余り御議論をされますと、将来かなり食い違いが出てくるのではないかと思います。もちろんいままでの私どもが伺っております状況でも全部放送でやるとは文部省の御担当の方も言っておりません。通信の方式でやるということを私ども承知しております。でありますけれども、そういう話と一般受けのたとえば放送大学に期待する、お茶の間で大学卒をというようなキャッチフレーズは果たしてこの教育の場から申し上げるならばいかがか、実情に遠いことはなはだ開きがあるので、そういうキャッチフレーズはいかがかと思うわけであります。
 それから第三に、この放送大学を設置するに関連して、従来私どもの経験では通信の制度は併設制といいましょうか、基礎学部がないと通信の課程はつくれないというのが設置基準になっております。でありますから、たとえば法学系の通信教育をやる場合には、その大学は法学部の通学課程を持っていないといけないんです。そういうことで、私ども各大学はいろんな意味での基礎学部の拘束、基礎学部の枠の中で通信教育をやってきたわけでありますけれども、放送大学はその点を外して、言うところの独立性の通信教育、放送大学ということになるわけですね。
 それで、一体現行法ではできるのかという質問をしましたところが、いや、それは法律を変えるんだからということでありますから、ああそれはそうかということで私どもも納得をするわけでありますけれども、しかし現在は――現在はというのは、いままでは基礎学部がないと通信教育を置けなかったという意味で、いろんな拘束を伴いながら、三十年来私ども私立大学では通信教育をやってきたという実情はこの際御理解をいただきたいと思うわけであります。
 そうして、私立大学でやっております通信教育の中で一番困難であり、将来も恐らくこの問題は通信教育制度発展のためにネックになるだろうと思うのはスクーリングの点でございます。このスクーリングは、わかりやすく申しますと、大学四年間在学のうちの一年分は学校に出なければならないんです。でありますから、通信教育というのは学校に行かなくて大学を卒業できるんだという一般の理解があるわけですけれども、実情はそうでない。そういうような通信教育基準になっているんです。そうでありますから、この点についても、放送大学ではスクーリングをもっと別な形に持っていっているわけであります。そういう点については、私どもが影響を受けるという部分の非常に重大な点でもあるので、今後これらの点については、私どもの立場でも十分スクーリングを含めた通信教育の体質強化ということをやっていこうというように考えておるわけであります。
 なお、幾つかの点で申し上げたいのがあるわけでありますが、予定の時間を過ぎておりますので、また御質問に関連して触れていきたいと思っております。
 以上でございます。
#6
○委員長(降矢敬義君) ありがとうございました。
 次に、西本参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(西本三十二君) 西本であります。
 今日、世界的に見て、先進国でも発展途上国でも教育上最も大きな関心を寄せられておるのは放送大学であります。それは、科学技術の高度に開発されつつある激動の時代にふさわしく大学教育を大いに革新させるとともに、それを契機にして十八世紀から十九世紀、二十世紀にかけて発展してきた教育制度、学校制度、これは主として教師と生徒とのフェイス・ツー・フェイスの密接な関係、それから図書館を重視してプリンテッドメディア、書物を教育の上で非常に重視するということ、そうして四つの壁で仕切られておる教室の中でやるというような閉鎖性の非常に強い学校教育という、そういう固定観念に縛られた学校教育、大学教育、教育制度というものを見直し、変革するために放送大学は大きな役割りを果たすものであるというのが、放送大学が諸外国において、また日本においてもここ十数年来考えられておる最も重要な問題なのであります。
 政治家として放送大学を最初に提唱したのは、すでに皆さんも御承知のことと思いますが、英国労働党の党首ハロルド・ウィルソンであります。第二次世界大戦中、ウィルソンは英国の挙国一致内閣で炭鉱の国有化を実現するなど戦時内閣で大きな実績を上げたのでありました。戦争が終わって、海外に出ていた、また前線から帰ってきた兵士たちの中から大学教育に対するあこがれの非常に強いことを感じ取ったのであります。また第二に、戦後の高度の科学技術の発達に伴って、労働者を初め国民のすべてが大学レベルの教育を必要とするということ。そして第三には、その後、英国において急速に発達したテレビというものの教育的可能性というものを認めて、この激動の時代に必要なのが放送大学であるということを痛感したのであります。
 ウィルソンは、その後、政府の役人をやめました。彼はオックスフォード大学を卒業し、大学で学生を指導して、戦時中は役人としてホワイトカラーのエリートであったのでありまするが、一九六三年、いまから約十八年ほど前に労働党に入党して、そうしてやがて労働党党首に選ばれ、そうして一九六四年に総選挙がありましたが、その前の年の一九六三年にグラスゴーで開かれた労働党大会で放送大学という、すなわちユニバーシティー・オブ・ジ・エアという構想を発表したのであります。ところが、これはイギリスにおいても非常に耳新しいことであって、労働党自身もこれを労働党の重要な教育政策に取り上げるということにちゅうちょをしたのであって、ウィルソンの個人的と申しますか、創意工夫であるというふうに初めの間は考えておったのであります。
 それで、一九六四年の総選挙で労働党は多数党になりました。しかし、それは野党よりもわずかに三議席多いだけであったのであります。しかし、それでもこのウィルソンは、皆さんも御承知かもしれませんが、ジェニー・リーという、労働党の領袖であって国民保健政策を実施した有力な議員の未亡人でありまするが、この人を文部省の政務次官にして放送大学の推進に当たらせたのであります。そうして第二次ウィルソン内閣においては、さらにジェニー・リーを国務大臣としてもっぱら文部省の放送大学推進に当たらせてきたのでありまするが、御承知のように、イギリスというところはオックスフォード、ケンブリッジによって代表されておるように、アカデミズムと申しますか、いわゆる象牙の塔式な大学ということを尊重する風潮の強い国でありまするから、労働党の人々も、もちろんそれから保守党の人たちも放送大学というのに対しては余り理解がなかったのでありまするけれども、ウィルソンとジェニー・リーの非常に強力な推進によってこれを実現することに努力したのでありまするが、やがてそれがオープンユニバーシティーということになって、ウィルソンの考えておったことの約五〇%ほどしか実現しなかったのであります。
 先ほど来、お二人の参考人からオープンユニバーシティーのことについてお話がありましたが、少しイギリスの放送大学それからオープンユニバーシティーの変わったいきさつについては、まだ御研究の足りないところがあるように思うのでありまして、これは後ほど質疑応答のときにまた機会を得ていろいろお話し申し上げたいと思うのであります。
 そして一九七一年には保守党の政権でありました。そのときの文部大臣はサッチャー夫人であります。いまの英国の首相でありまするが、保守党のサッチャー夫人とそれから労働党のジェニー・リー女史、これはベバンの未亡人でありまするけれども、この二人は英国の国会においては女性議員として、女傑と申しますか、闘士と申しますか、非常に強力な人であって、この二人の間の放送大学、オープンユニバーシティーについてのいろいろの関係は、話せば非常におもしろい問題があるのでありまするけれども、これはきょうの本筋ではないので省くことにいたしまするけれども、政治家の皆さん方にとっては非常に興味あることであろうと思うのであります。
 そこで、私はただいま配っていただきました表によって、ひとつこのオープンユニバーシティーというものがどういう機能を英国において果たしておるかということを第一表においてごらんいただきたいと思うのであります。
 第一表は、一九七一年から昨年まで、志願者、入学者、それから卒業生というものの表を、これをオープンユニバーシティーから直接取り寄せて昨年の放送教育学会で発表した資料でありまするが、一等最後のところでペンで書きましたところをまず見ていただきたいんでありまするが、ともかくもこの十年間に卒業生が約四万人出ておるんであります。そうしで、オープンユニバーシティーというのが、われわれの考えておる放送大学あるいはウィルソンが考えたところのユニバーシティー・オブ・ジ・エアというのが半分しか実現できなかったにしても、年々これだけの効果を上げておるのであります。これが世界の教育者の非常な興味を引き、発展途上国においても特にそのオープンユニバーシティーを見学に出かけていくと、あるいはアメリカでさえもニューヨークに、このオープン・ユニバーシティー・ファウンデーション・イン・ニューヨークというようなのをフォード・ファウンデーションの協力によってつくって、アメリカの大学においてさえもこれを活用しようというような動きが出ておるのであります。
 もともとオープンユニバーシティーの始められたときには英国人に限ると、二十歳以上の英国人であって――二十歳というのは、イギリスの大学制度は日本と違いまして、大学入学が二十歳なんであります。英国人に限ると言っておったのが、六、七年後に海外においてもこのオープンユニバーシティーの教育活動を広げようとするような方向に進んできたのでありまして、ある人は、これは英国が昔大英帝国として植民地を世界の隅々にまで持っておった、あの植民地の失地回復のためにオープンユニバーシティーによって英国の文化、教育を平和のうちに進めようとして大きな期待を持っておるのだというように言うのでありまして、この表につきましても後ほど質疑応答の時間に詳しく説明申し上げたらいいと思うんであります。
 第二表は、これも皆さん方すでに文部省から配られましたパンフレットによって御承知であるのを拝借したのでありまするが、その最後のところに、日本ではともかくも放送大学において勉強しようとする者、学生の数が四十五万二千人あるというんであります。日本は英国の二倍の人口を持っております。大学の数は短大を入れるというと四、五百に上るんであります。イギリスのオープンユニバーシティーは英国における第五十番目の、大学として発足したのであって、大学数が少ない、学生も少ない、少ないからオープンユニバーシティーに来るのが多いという見方もありまするし、しかしイギリスは日本ほど大学教育を国民が受けようとは余りしないと、それに反して日本人は大学教育を受けたいと。日本人は、最近の調査によりまするというと、八〇%以上の人が中産階級であるという自負心を持っております。中産階級として生活に多少余裕があれば子供を大学に送りたいというのは、これは親心であります。そこで……
#8
○委員長(降矢敬義君) 西本参考人にちょっと申し上げたいんですが、予定の時間がかなり過ぎておりますので、質疑の時間でひとつお答え願いたいと思います。
#9
○参考人(西本三十二君) あとのところはこの表によって、また御質問に答えることにいたします。
#10
○委員長(降矢敬義君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、参考人の皆様には、各委員の質疑時間が限られておりますので、恐れ入りますが簡潔にお答えくださいますようお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○小野明君 新井参考人の御意見、途中からなんですが、全く私も御意見に賛成でありまして、法案には教授会の地位というものが全く書かれておりません。そういったことで、この放送大学というものが全く自治をなくしたといいますか、自治抜きの大学ということで学問研究の自由というものが保障されるかどうか、放送コードとの関係もございまして、そういう危惧を持っております。今後どのようにこれに対処すればいいとお考えであるのか、少し現実的な生臭い問題になるかもしれませんが、御意見をひとつ伺いたいと思います。
 それから、板橋参考人にお伺いしたいんですが、実際に通信教育に当たられてこられたわけですが、この放送大学ができましたら、これとの望ましい協力関係あるいは競合関係というものができるのかどうかですね、放送大学にあるいは文部省にいかなることを望まれるか、その点をお伺いしたいと思います。
 それから、西本参考人に、該博な知識を御披露いただいたわけでございますが、英国と日本では実情が違うわけであります。そこで、非常にオープンユニバーシティーについて評価をなさっておられるようでありますが、それでは、オープンユニバーシティーが英国で成功をしたと思われる理由ですね、簡単でいいんですが、それが果たして日本の実情と比べてどういうものになるのかですね、それをひとつ何点か挙げていただきたいと思います。
 以上です。
#12
○参考人(新井直之君) 私は、大学の自治を確保するためには、基本的には先ほど最後に申し上げましたように、現在あるそれぞれの国立大学がそれぞれに放送教育を行うようにすれば一番基本的な解決になるだろうと思うんでありますけれども、それを別にいたしまして、現在の学園法案に関して言いますならば、まず第一には、教授会のことについて地位及び内容、職責などについて明確に規定をすること、それから、もちろん現在の国立大学でも評議会というのが非常に大きな役割りを持っているわけでありますけれども、この放送大学は特殊法人でありますから、そういう点も勘案いたしまして、たとえば学長であるとかあるいは評議員であるとかそういう役員の選挙を行う、そういう教授会の選挙によって役員が選ばれていくということを考える必要があるだろうと思います。
 それからもう一つは、放送大学の特殊性といたしまして専任教員よりははるかに非常勤の教員を多く抱えるということになっておりまして、この文部省の「放送大学について」というパンフレットでは約三百人というふうに職員数が書いてありますけれども、このほかにどれだけ非常勤の教員を抱えるかということが書かれておりません。しかし、そういう人たちにどのようにこの放送大学について参加してもらえるかというようなこともやっぱり考える必要があるだろうというふうに思います。
#13
○参考人(板橋郁夫君) 御質問は二点にわたっておるわけでありますが、望ましい協力関係という点につきましては、まず基本的には、私どもでは新しいこの放送大学についてはできるだけ協力をしようということを協会内部では話をしております。しかし非常に広範囲にわたります。つまり、通信教育の実施に当たっては、実に基本的な教科書づくりから、あるいはスクーリングのやり方から、土曜、日曜の学生の指導など、施設、設備の利用等についてどんなふうな運営を放送大学がなされるのか、それとの関係で協力関係の内容というのは非常に複雑になってくるように思いますけれども、でき上がった放送大学の御関係の方々がぜひ手を取り合ってやってもらいたいというのであれば、私どもはそれについて協力をするということであります。
 それから、第二点でありますけれども、文部省にいかなる希望があるかということに関連しまして、私どもでも放送が持っております通信教育制度の教育上の効果というものを非常に重要視しております。つまり、現在の通信教育について世間一般が余り理解を示さないのは、何といっても宣伝力において劣るからであります。その点は電波が持っております浸透力は大変なものがありまして、したがって私どもでも電波を持ちたいということをかねて来希望しております。しかし、財政上の理由からこれはとても望むべくもないことであります。これは一、二の大学で、それじゃ独自に電波を申請しようということでやっておるところもあるわけでありますけれども、そういうような状況を御理解いただいて、新しい放送大学では私立大学の通信教育の制度のために電波を一部利用させるというようなことをお考えいただくわけにはいかないか、あわせて地方の学習センター等についても、私どもでも通信教育の学生の教育効果の徹底のために各地区にセンターを持ちたいとかねて来考えておるのでありますけれども、これも財政上の理由からできない。だから、放送大学が予定しております地区別の学習センターを組織的な枠の中で利用させていただけたら大変ありがたいというように考えております。
 もっとたくさんあるわけでありますけれども、以上要点だけであります。
#14
○参考人(西本三十二君) 第一は、放送大学では、高等学校卒業または同等の学力を有する者と言って門戸を開放しておることであります。そして、入学試験は行わない、書類審査によって申し込み順に入学を許すということがオープンユニバーシティーがこれだけ実績を上げたのであり、日本の放送大学もそれにならっておる点であります。
 さらにもう一つは、他の大学で得た単位をオープンユニバーシティーが認めるということです。その第一表でごらんいただいてわかるように、第二年度にすでに卒業生を出しております。これは、イギリスのティーチャー・トレーニング・カレッジというのは昔の日本の高等師範のようなものでありまして、学士号がもらえていないんです。もう一年大学で単位を取れば学士号がもらえるというようなことで、第一年には教員が殺到したわけなんです。そして、このごろはもうそういうのがだんだん減ってきたから教員の志願者が少なくなってきたんですが、ここにもいわゆる差別的な待遇を受けておったところの英国の小学、中学、高等学校の教員にオープンユニバーシティーが非常に大きな役割りを果たした。日本も、病気その他経済上の理由によって大学を中途でやめた人が放送大学に入ってくることによって、いままでせっかく金をかけ時間をかけ努力したところの大学の勉強をむだにしないで、学士号を得ようとするならば得られるというところに大きな利点があることであります。
 その次はラジオ、テレビを活用するということでありまして、ラジオ、テレビというとすぐに一方的であり、相互交流が行われないというふうに決めつけてしまうのがこのごろのジャーナリズムのたてまえでありまするけれども、一昨日皆さんがごらんになったように、スペースシャトル、宇宙連絡船がああいうふうな成果を上げておるのであって、放送大学はあれほどコンピューターやその他を十分に使うところまでいきませんけれども、今日のエレクトロニクスの発達したところのものを上手に使うことによって、従来の大学教育では行えなかったところのすばらしい方法あるいはテキストの製作あるいは放送番組の制作にまでもそういうものを使って、一教師いかに学徳のすぐれた先生といえども果たし得ないようないい番組を学生に提供することができる、私は決してそれで万能とは申すのではありませんけれども、いままでのいわゆる既定概念によるところの大学教師と学生との交流ということを、現代の高度に発達したエレクトロニクス、科学技術を使えば、大いに一方交通であるということの非難を緩和することができる。私は緩和と申します、絶対に全部がやれるとは申しませんけれども、そこには従来の大学教育では果たし得ない大きな可能性を持っておる。それがやはり英国においてもオープンユニバーシティーで活用されておることであります。そして、オープンユニバーシティーのラジオ、テレビはわずかだとおっしゃったけれども、これはウィルソンの考えておったいわゆる第四チャンネルを得られなかったからBBCに頼ったのであって、将来これはわずかにまだ十年しかたっていないんですから、今後こういう問題なども解決することによって、日本の放送大学もさしあたりは東京タワーから出てくる範囲内しかできないというまことにこれはもう赤ん坊にも等しいようなものでありまするけれども、それをもって放送大学がひ弱くてだめだと言ってしまうのは余りにも早合点だと私は考えるのであります。オープンユニバーシティーは、いろいろそういうものを使っておることによって非常に親しみ深い教材の提供と学習ができるというところに特徴があるのであって……
#15
○委員長(降矢敬義君) 西本参考人に申します。後の方がまだ控えておりますので……。
#16
○参考人(西本三十二君) 日本の放送大学もこれを大いに活用する可能性が十分にある、それを大いにわれわれは期待したいのであります。
#17
○粕谷照美君 新井参考人にまずお伺いをしたいことは、私も先生がおっしゃるように本当に学問の自由、大学の自治が守れるかどうか、この法律を見て非常な疑問を持っているところであります。先生の御意見をお伺いしますと、その法律を変えていけばそういう心配が少なくなっていく。そうすれば、放送大学というのは非常に意義があるんだ、こういうふうに理解をしてよろしいのか、放送大学がなくても、いまの国立大学の夜間部だとか、あるいは通信教育をやっていくということを優先をさせていく方がよろしいと、その方がやっぱり日本の教育にとってはいいというお考えなのかどうかということをお伺いをしたいと思います。
 それから板橋参考人にお伺いをしたいことは、いま私大通信教育が放送大学と共存をしていくという条件は一体何だろうかということについて御説明をいただきたい。
 いままで衆議院や参議院におきましてもいろいろと御意見があったところでありますけれども、しかし委員がかわっておりますので、このことを伺うのは初めてという委員もいらっしゃるのですから、全然御心配なくお話しいただいて結構だと思うのであります。
 それは、いま通信教育だとかあるいは夜間部に入っている学生の層というのは一体どういう層なんだろうか、警察官だとか地方公務員だとかあるいは自衛隊だとか、そういう特殊の人たちが多いのであって、いま三交代制勤務を強いられているような労働者だとか、そういう人たちはなかなか行きたくても行けないというのが事実ではないか、本当に勉学心に燃えている人たちが入っているというのがまた実態ではないかというふうに考えておりますし、また、そのところに入った生徒の卒業率というのは一体どのくらいあるんだろうか。そのことと絡めて、この放送大学の卒業生というのは一体どの程度あるんだろうかというようなことについてのお話をしていただくと大変ありがたいと思います。
 あわせて、いまの日本の就職状況の中では、通信教育を受けました、あるいは夜間を出ましたという生徒をまず雇用の段階から差別をしている、シャットアウトしている企業が多いわけでありまして、放送大学を出たということがイギリスのオープンユニバーシティーのように高い評価を得るというふうにお考えであるかどうか、高い評価を得るためには一体放送大学はどのようにあるべきか、このことについてお伺いをしたいと思います。
#18
○参考人(新井直之君) 私は、基本的に申しますと、放送大学は学問の自由あるいは大学の自治、研究、そういうようなことから考えて、少々の手直しでは基本的には解決はしないのだろうというふうに考えております。
 たとえば一つ例をとりますと、放送大学で非常に実際的に教育の第一線に立つのは各地の学習センターの人たちであるだろうと思います。学習センターができますと実験、実習もそこで行うことになります。それから、ビデオをそこに置いておきまして、それで昼間あるいは夜間仕事の都合などでテレビを見られなかった人たちがその学習センターに来てもう一度そのビデオを見るというようなことになって、あるいはそこで質問したいことがあればそこの学習センターに勤めているチューターあるいは非常勤の先生方などに質問をするということになったりします。そういうふうに各地域にできる学習センターというのが実際には各学生と直接に接し、そしてそこの人たちの持つ働きというものが非常な大きな役割りをするだろうと思うんですけれども、たとえば教授会などというものを仮に地位を高めたとしてもそういう各地の学習センターに勤めておられる方々は教授会に参加できないのでありますし、恐らくそういう大学の運営に参加することもできないだろうと思われます。
 そういうことから考えますと、本当の意味での放送大学の学園の自治あるいは学問の自由あるいは研究というようなことが相当問題になってくるのではないかと思われます。私は、基本的には現在ある国立大学を充実させ、昼夜開校制をとり、あるいは通信教育を行い、そういうことによって働いている人たち、あるいは大学に行けなかった人たちに門戸を開放するということが基本的に大事ではないか。特に私は「放送大学について」というこの文部省のパンフレットを見ていて非常に疑問に思います点は、将来構想が全然具体的に何もわからないということなんでありますけれども、まあ伺うところによりますと、放送大学全部全国をカバーするというふうになるのには一千億円とか一千百億円とかの予算がかかるそうでありますが、それだけの費用があるならば、現在ある国立大学をなぜそのように開かれた大学にしていく、充実していくことを考えないのだろうかという点に不審を持っております。
#19
○参考人(板橋郁夫君) 私が触れたいと思っている点を御質問いただきまして大変ありがとうございました。早速その点について申し上げます。
 共存の条件でありますけれども、これはちょうど国鉄と私鉄みたいな関係でありまして、共通の仕事はするんでありますけれども、ある意味で競争関係に立っていますから、共存はその競争の条件が同じであるならば共存できるだろうと思いますけれども、何せ財力が余りにも違い過ぎます。そういう意味では、私ども私大通信に関係する者は、この際内容の充実をどうしていくか。その上で放送大学とのいい意味での競争関係を築き上げて唇歯輔車の関係を将来にわたって保っていこうという実は心組みだけでありまして、内心では放送大学が発足すれば、差し当たってはかなり私大通信の学生数が減るという覚悟をしております。そういう認識でありますから、この共存の条件については、願わくは通信に対して特別の補助をお願いしたいと思うわけでありますけれども、これも限度がございましょうし、しかし私ども私学関係者は常に悪条件の中で、それぞれの建学の方針に従って努力をしてまいったわけでありますから、新しい制度ができることによってマイナス面をこうむることがあっても、決してそれによって弱音を上げるようなことはいたしません。それから学生層であります。
 これは非常に、何と言うんでしょうか、たとえば旧制の中学までとか、戦争によって学校を出られなかったという者がいまでも依然として多い。そういう人々に限っていまの仕事から抜けられないんです。時間的に抜けられない。でありますから、夜間の学部を置いても時間の制約があって、その学校にも行けない。そういう人々が通信教育に来ておりますから、職業は自分でマーケットをやっているとか会社勤めをしているとか、地方の公務員であるとか自衛隊におる者とか種々雑多であります。家庭の主婦もかなりのパーセンテージを占めております。そういう人々が来ておりますから、私どもの指導というのは、そういう学生に対してできるだけ個別に会って、学生諸君の希望するようにということ、つまりは会って話をすれば、かなりの部分学生諸君は満足をしますから、そういうことであとは学部制に従った教育をやっておるということであります。
 それから、何よりもこの席で私が申し上げたいのは、そのようにして苦労をして通信の学校を卒業するわけです。それは学力の評価から申し上げますと、通学課程の学生にまさるとも劣らない学力を持っております。御案内のように、何度かレポートを書かされます。そのレポートが通らないと単位試験を受けられないのです。でありますから、文章表現能力もかなりのものであります。それほどの苦労をして卒業をしていく学生に対して、社会は何の評価もしていない。私どもは卒業面接というのをやるわけですけれども、この学生諸君に決まって聞くことは、君は本当に長い間苦労をして卒業したんだけれども、これで職場へ帰ったら一号俸ぐらい月給上がるんですかということについて、いえ職場にそういう規定はありませんということが大部分であります。ほとんど例外なしにと言っていいのであります。したがいまして、それと横並びで、仮に社会が放送大学の卒業生をそう評価するのかということになれば、膨大な国費を投じて一体何を、どういう教育を求めていくのかという議論はあるわけであります。それから、したがって私どもは、いまなすべきことは、通信教育を出た学生に対する各種の職場、社会組織、官公庁においてもっと通信教育――スクーリングにはなかなか出られない、官公庁は出していただけるようでありますけれども。通信教育に籍を置く者は、場合によっては職場に連絡文書をくれるなという学生もあるのであります。そういう環境で勉強しながら一号俸も月給上がらない、職場でポストが上がらないというようなことに対して、ぜひ関係者がもっと世間に向かって、そういうりっぱな人々に対する評価はどうあるべきか、今後どのようにしていくかということを私どもとともにいろいろな機会に御発言を賜りたいと思っておるわけであります。
 たくさん申し述べたいのでありますけれども、時間の制約もありますので、以上でございます。
#20
○本岡昭次君 板橋参考人に御質問いたしますが、NHKの大学講座が昭和五十三年まで大学の通信課程で単位の認定を行っておったのが、五十四年かからそれをやめたということの理由の中に、やはり大学側の教えていく中身、そこにはやっぱり教授は教授として自分の学問の専門性を持っておられる、それで片方も持つ、それがやっぱりぶつかり合うところからうまくいかないというところでやめたというふうに私は聞いているんですが、この放送大学ができると、文部省の側は放送大学の放送する内容を通信課程の方が取り入れて大いに大学の通信課程の方が活気を呈してくると、こういう御説明もあるんですが、私はNHKと大学通信課程の中で失敗したように、これ絶対うまくいかないと、そういうふうに思うんですが、本当に大学の通信課程の方が放送大学が放映するものをどんどん取り入れて、この放送大学の放映するものでもって勉強しなさいというふうになるのかどうか。私は、それぞれの学問、研究の自由とか学者の立場からすれば、そういうようなことになり得ないと、こう思うんですが、その点一点。
 それから新井参考人に御質問いたしますが、私も、学習センターの教官と実際放送をするカリキュラムを組む本部大学の教官との関係、これが絶対うまくいかないだろうと、こう考えているんです。実際スクーリングするのは地方の学習センターの教官がやるわけで、それはその教官の考えとか学問の成果をその面接する学生には直接ぶつけることができなくて、実際は放送した、テキストを書いたその人の考えを口移しにやらなければ、これは一貫した教育にならないということ、非常にそこに矛盾ができる。これは最大の学問上の難点ではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
#21
○参考人(板橋郁夫君) NHKとの関係が現在のような状態になりましたいきさつは主として二つございまして、一つは、通信加盟各大学が自分の学部に持っております科目の内容を放送したいと言って持っていくわけです。そうしますと、NHKの方では、いや、放送者の立場からそれをそのままやれないということで形が崩れていきました。それは内容と担当者にも関係があります。各大学に担当者がおります。そうすると、通信の大学に全く関係のない方がどんどん入ってき、じゃそれを利用して単位を与えろということについては無理であります。
 それからもう一つは、時期的な問題もございます。つまり、通信教育は学生に、少なくとも四月に入る学生には、前年度の十一月、十二月にはあらゆる文書あらゆる科目、担当者を完成させまして、文書を用意して発送するわけです。ところが、その枠の中ではNHKは次年度の科目、放送内容についてどうするかということが決まらないものですから、それに合わせて四単位の授業をやっていくということが事実上できない。だから、九月からの問題について、開講科目について単位を与えるということになりますと、二単位とならざるを得ない。これは学校教育の制度としてできないのでありますから、勢いその関係が薄れていかざるを得なかったということであります。できます放送大学との関係もそういう意味ではやはり共通の憂いといいましょうか、難点があろうかと思います。加えて、放送大学が予定しております科目内容と学部制をとっておりますわれわれの科目内容と全く違いますから、互換をしたいという気持ちは私どもうんと強いんです。ですが、それは科目の内容が違うのと制度上できないという難点がある。これはどうやって合わせるか、今後つくられる放送大学の科目編成に係ると思っております。
 以上です。
#22
○参考人(新井直之君) 御質問の趣旨に全く私は賛成でございまして、オープンユニバーシティーが成功した理由の一つはスタディーセンター、学習センターが非常にたくさん敷かれまして、全イギリスで二百七十カ所のスタディーセンターを置いたわけであります。今度の放送大学では現在関東一円の中に学習センター六カ所というふうに書いてございまして、そうしますと、一府県ごとに一カ所ずつという非常にネットワークとしては粗いネットワークになっているかと思います。もしこれをなお充実させて、オープンユニバーシティーのように各所にスタディーセンターを置くというふうになってまいりますと、それだけスタディーセンターに勤める教師の人数がふえてくるあるいはチューターの人数がふえてくるわけでありまして、そういう人たちとの連携というのがいよいよ困難を増すばかりだというふうに思います。全く私は御質問の趣旨に賛成でございます。
#23
○田沢智治君 私は自由民主党・自由国民会議を代表して、板橋参考人と新井参考人に二、三お聞きをいたしたいと思います。
 放送大学という新しい要素を大学教育に利用して、国民とともに学びつつ大学の教育課程を履修し卒業できるシステムというものは、今日マンモス化し格一化した教育システムにマンネリ化した既存大学の教育内容を一掃するという意味において私は非常に意義深いものがあると思っているんです。その意味において、将来全国津々浦々に僻地の人々でも、職人さんであろうと、主婦であろうとあるいは高齢者であろうと、どういうような職業についている人々でも、大学に通えないたとえば障害者の人々でも大学教育課程を履習する機会を均等に与え、単位も取れるし学位も取れるということはすばらしい大学構想であると私は確信しております。そういうような一つの期待感というものが強ければ強いほど果たしてわが国の社会状況の中で前述した目的、使命が果たして成功するかどうかという点について私たちは留意しなきゃならぬ、ここに、恐縮ですが、きょう御参考人の方々の御意見を拝聴したいという姿勢であったのではないかと私は確信しております。
 そういう意味におきまして、まず板橋先生に二、三私はお伺いしたいのでございますが、既存大学の通信教育部の学生、文部省の五十五年度版においては学校数は十二、学部数は二十二、学生数が十万九百八十三名、そのうち四万一千九百四名が女子であるというふうに言われておるのでございますが、この十万の学生の全国的出身県の構成比などはいまはわかりませんか。およそでよろしゅうございますが。
#24
○参考人(板橋郁夫君) それでは、卒業率です。先ほども御質問があってつい失念しました。これ非常に大事な点でございます。私どもの平均的な評価でありますけれども、通信教育に一年に入ってきます。仮に百名入ってきますと、一年から二年に上がる者は五十人になります。二年から三年に上がる者はその約半数二十五人になります、平均的な数字で。それで四年に行きますと大体卒業するんですが、一年から振り返って、じゃ一年で百名入った者が四年後にどのくらい出るかというとパーセンテージとしては一〇%出れば多い方です。一〇%は出ないんです。そういうことでありますから、放送大学もおそらくそうではないか。もっともテレビはおもしろいというんで、パーセンテージが上がるかもしれませんけれども、余り放送大学をやって国民全体に大学資格を与えられるんだというのはどうでしょうか。
 次に、ただいまの構成比でありますけれども、仕事を持っておる者、これは東京の大学と関西の大学と状況が違うのでありますけれども、関西の大学から見ますと西の方で全般にわたっております。それから関東の大学ではこれは沖繩から北海道までわたっております。そういうような状況になって、そのばらつきはいろいろであるけれども、とにかく全地域にわたって通信教育の必要があるということはそのばらつきの上から判断できます。
 以上です。
#25
○田沢智治君 そこで、私は非常に興味があるのは、私も大学人ですから自分でいろいろなことをやっています関係でよくわかるのですが、戦後、通信教育部が開設された時点での受講学生というものの多くは小学校、中学校が主力でしょうが、高等学校の教師が大学の学位を得て教員資格の充足に役立たせる目的で、あるいは自己研修のために働きながら受講したケースが多いと思っておるんですが、その点いかがでございますか。
#26
○参考人(板橋郁夫君) 御指摘のとおりでございます。教員養成課程を置いている学校には通信教育の在学生が非常に多いという傾向は指摘できます。ただそれ以外にも自分で勉強したいという学生がおりまして、まあ比重をいえば自分の内容を高めたいというのと教員資格をいえば一対二ぐらいの卒業生の比率じゃないかと思っておりますけれども、しかし、私が所属しております大阪学院大学では、教員資格というよりも自分の力を、内容を、自分の精神状態を高めたいというのが全部でございます。
 以上です。
#27
○田沢智治君 多分開設当時は私はそうだったと思ったんですが、しかし今日の通信教育部の学生の実態はどうかというと、所属大学に入りたくても入れなかったというような現実の中で、私は、所属大学の学部に入学を希望し、将来学部の転部または偏入したい目的を持って受講学生が多くなっているんじゃないだろうか、要するに、四年制大学へ行きたい、しかし試験に落ちて入れなかったと、もう一遍予備校へ行くよりも通信教育で勉強してもう一遍挑戦していこうというように、ある程度目的意識を持った学生が多いんじゃないだろうかと思うのでございますが、板橋参考人さんいかがですか。傾向としてお話いただければ……。
#28
○参考人(板橋郁夫君) 通信教育を置いております大学によってその辺の御指摘の事情は大変違います。それで結局一通学課程に入れないから通信教育に籍を置く、したがって、通信教育を拡大したらいいだろう、放送大学を拡大したら、設けたらいいだろうということにならないのは、通信教育に仮に籍を置くわけです。通学課程の定員が空いたらそっちに転入したいんですね。浪人はしていたくない、いま勉強したい、通学課程に入りたいということでそこにプールされているのが一部の通信課程の実情でもあります。しかしそれが通信課程の大部分ではありません。もともと時間がないから、経済的な理由から来られないので通信教育制度の中で勉強しているというのがこれは大部分なんですね。一部に御指摘のような事情があると、こういうことです。
#29
○田沢智治君 そこで、私はこれ非常にユニークな放送大学法案だと思うのですが、これをどのように充実し、手直ししていくかによっては私は日本の大学教育機関が変わると思うんですね。たとえば、いま地方から主要都市に来て下宿して生活すると一月十万円、およそ十万円前後です。まあ八万円とこう人は言いますけれども、これは文部省の実態調査で全部わかっています。文科系に行くということになっても大体六十万前後の月謝を払わないとできないんですよ。ですから、通信教育もさることながら、放送大学が教養部的な役割りを全国各地において果たして、二年間放送大学でおれは経済的に苦しいから勉強さしてもらって、後編入の機会が与えられれば四年制大学へ行くのが目的なんだというような国民的基盤に立っての目的意識を充足する機関に正課の放送大学の学生を位置づけるとしたら、私は大変変わると思う、これが私の考えなんです。いまの法案じゃだめですよ、これ多少直さなきゃだめだけれども、これが第一点。
 第二点は、多分これ放送大学が全国的な視野の中で位置づけられるとすれば、管理職の方々、教員の先生方、学生の多く、主婦でも教養を求め、知識を求めようとする人たち、こういう層が、私は入ってくると思うんです。これはまあ専科、科目別なものを求めるというような法律が好きな人は法律、経済が好きな人は経済、いろいろのその行程はあるかと思いますが、二つに私は大別すると、分かれることができるんじゃないかと。とするならば、いまの放送法案にも、正課の場合においては無条件でとるということじゃなくて、第一次学力試験に合格した者を抽選でとるとか、あるいは科目別を求める者には、これは無条件で受け入れるとかというような、もう少し弾力的な幅を持ってお互いに競争し、あるいは改革していくとするならば、国民が私は求める法案になるんじゃないだろうかと思うんですが、板橋参考人、いかがでございますか。
#30
○参考人(板橋郁夫君) 御指摘のとおりであります。
 ただいまの御質問は三点ありましたから、三つに分けて申し上げますが、編入の機会――放送大学は四年ですけれども、前期二年を放送大学でやって、そうしてそれぞれ志望する学部制の通信大学に入るというのは一つの考え方で、私どもでは短期大学と四年制の大学があります。短期大学の通信を終えてから四年制の通信に編入する学生が非常に多い。その場合どうするかというと、編入できるような四年制が向こうにありますから、短大の方では編入できる科目合わせをやるんです。そういう工夫がないとだめです。したがいまして、放送大学の二年の教養課程済ましたら、学部制のところに持っていくような指導のセクションもあるとしたら、そういう科目を検討しなきゃいけません。そうすべきです。
 それから、教養を求める。放送大学が一番意味があるのは、全国民に対して大学レベルの教養を継続的に簡便に与えていく、これは非常にもう大きな力があるだろうと、これは高く評価していいと思います。その刺激があわせて反射的に大学通信教育の方にもプラスになることを――私どもは実は、将来恐らくプラスになるだろうと思っています。なぜかというと、通信教育があるということをそのプロセスの中で一般大衆が理解するからです。
 それから第三点、資格志向ですね。大学卒の資格を与えると言い、他方では大学卒の資格を欲しいと言うけれども、通信の学生が卒業したとき、社会が評価しないんだから、そういう実情をどう考えるか。その実情を放送大学の学生諸君に当てはめるんなら、資格志向というのはどれほどの意味があるかということを、この際お考えおきいただきたいんです。以上です。
#31
○田沢智治君 新井参考人にもちょっと、先ほどの見解がもし簡単にお話しできればいただきたいんですが。
#32
○参考人(新井直之君) まず、資格のことについては私も板橋参考人と同じ意見でありまして、放送大学を出たからといってそれが社会的評価にどういうふうにつながるのかということが非常に基本でありまして、その社会の、これはまあ通信教育にも関係すると思いますけれども、その物の見方が変わらなければ、資格をとることで満足しないだろうと。たとえば自己満足にはなるかもわかりません、その卒業証書をとって、学士号をもらったということで。しかし、それが社会的な評価とつながらなければ、必ずしもそこのところで放送大学にそのことだけで入ってくることになるかどうかという点では、大変私は疑問に思っております。
 それからもう一つの教養課程との関連でありますけれども、ここもまさに先生御指摘のとおりでありまして、現在の法案ではそのことが大変むずかしかろう。特に「放送大学について」というこの文部省のパンフレットに出ています科目を見ますと、これが現在の既存の大学の科目単位にそのまま互換することはかなり困難なように思われますので、これはやはり基本的にその点は考え直さないと、実現が不可能ではないだろうかというふうに考えております。
#33
○田沢智治君 そこで、私は、結局は、この放送大学の生命は何かというと、やっぱり学習センターだと私は思うんです。ですから、いま教材による三分の一、それから学習センターによる三分の一、放送を通して三分の一という領域分野を少なくても学習センターを二分の一ぐらいに高めて、そこで一生懸命勉強すれば四年生大学にも行けるぞというような、そういう一つのメリットを意識の中に明確化し、互換できる履修単位の調整を着実に図っていくとするならば、これかなり効果が上がると私は期待しているんです。これは技術的な面においてはいろいろ問題があると思うんですが、そういう考えについていかがでございますか、両参考人にお願いしたいと思うんですが。
#34
○参考人(新井直之君) 私も、学習センターは、もし放送大学が実際に行われるならばそこが非常に問題といいますか、大事なところになってくると思うんでありますけれども、学習センターを利用しての面接授業というようなことを行うようになるためには、今度は受ける方が、つまり通信教育でも同じかもしれませんけれども、放送大学の場合に昼間働いている。そうすると休みをとって学習センターに何日か通わなければいけないということになりまして、そこのところが非常に学習センターに行くことが物理的に制限をされてくるということが生じるんではないかと思うんであります。
 広島大学は一九七六年度から中国放送を利用しまして、「テレビ・ラジオによる公開講座」を設けました。これは十三週間行われまして、そのうち三回面接授業を行うということだったんでありますけれども、三回とも通してこの面接授業に出席した者は一五%であります。一回も出ないというのが三〇%ないし四〇%おります。で、これだけ見ましても、わずか十三週間に三回の面接授業ですら三回通して出席することが不可能であった。これは最大の理由は、やはり仕事とダブってて出られなかったというのが最大の理由であります。この広島大学の場合には別に大学卒の資格をとるとかという、そういうことと無関係の授業でありましたから、強いて出席しないということもあったかと思われますので、放送大学のように資格が絡んでまいりますと、もう少し出席率がよくなるかと思いますけれども、スクーリングを重視すればするほど、本来の働く人たちのためにというのが困難になってくるという矛盾したことになりはしないだろうかという心配をいたします。
#35
○参考人(板橋郁夫君) 私どもの現在の通信制度では、スクーリングが実は通信教育の拡大を妨げている要素になっておりますけれども、教育効果を上げるという意味ではスクーリングが一番大事なんです。そういう意味ではスクーリングをどう今後改めていくかという議論はあっても、スクーリングをやめてしまって、単なる学習指導だけで大学を卒業したと言うにふさわしい学力というものを維持できるかということについては疑問が残っております。
 それから、なるほどできます放送大学がより完璧であることを望むのは、私も国民の一人として同じであります。でありますけれども、競争関係に立っております私大通信の方から言いますと、でき上がるものが完璧であればあるほど、私どもは追いつけない状況にもなります。でありますから、完璧なものをできるだけ完璧な状態で共同利用さしていただきたい、そういう要求を私どもは内々常に持っておるのでありますから、この法案には、ちょうどオープンユニバーシティーの理事会の構成やなんかが――どこそこの代表が理事として何名入るぞとかそういう枠づけをはっきりしておいてもらえるのならば、完璧な上にさらにわれわれは精神的に協力も惜しまないということであります。
#36
○田沢智治君 いま非常に私もそれを言いたかったんです。いまやっぱり日本の教育の中で、高等教育そのものの機関の整備充実がおくれているわけですよ。ですから法案を通じて自分たちだけで学習センターをつくって四十何万人できるか、できっこないんですよ。ですから既存している通信教育部の皆さん方の協力も得たり、既存している大学の国公私立全部の大学との連携をどうしていくか、そこにある程度学生を受け入れてもらえる、託してくれる窓口をどうするのか、その経費をどうするのかということも含めて、私はやっぱり日本全体の高等教育機関そのものが一丸になって支えてもらえるような網づくり、これを確立する配慮は大事だと思うんです。多分そういう方向に機能を果たすとするならばできるんじゃないだろうかと、共存共栄できるという意味ですね。
 最後に一つ私新井先生にお聞き申し上げたいのは、さっき申したとおり、いまの学園法案では、国家権力が学問の自由なり学園の自治に介入する可能性はないとは言えないというようなお言葉でございましたが、私たちの考えではやっぱり学園の自治なり学問の自由を守るのは大学人の根性だと思うんですよ。これはやっぱりわれわれが大学に国家権力がきたら不当なものは帰れと言いますよ、それは。ですから、法律が正しければ運用できるんだというそんなことじゃなくて、やっぱり大学人は強きをくじき弱きを助けていくというそういう根性を持ってやれば、こういう問題は私はそうむずかしくない。ただ問題は、憲法でもはっきりと保障しておりますわね、「學問の自由は、これを保障する。」と。これははっきり二十三条で言っているんですから、そういう次元においては主張できますし、大学人はそのくらいの気概を持つ。しかし、誤解のないようにそれぞれの機関の人事配分について配慮する必要性はある。これは率直に私は理解するものでございますが、そういう心意気について参考人の三人の意見を簡単に聞かしていただいて終わりといたしたいと思います。
#37
○参考人(新井直之君) 全くおっしゃるとおりでありまして、大学人はそういう大学人としての気概を持たなければならないのは全くそのとおりでございます。で、ただ気概だけでは何ともなりませんので、やはりその制度的保障ということがそれに伴わなければ気概だけあっても空回りをいたしますので、やはりそういう意味では制度をきちんとしておくということが絶対に私は気概を保障する意味で必要不可欠だろうと存じます。
#38
○参考人(板橋郁夫君) 放送大学が実際に動き始めたことを想定しますと、地方センターのレベルでも大学のレベルでも、それから法人のレベルでもわれわれは教育していくという考えを持っておるわけでありますから、その受けざらをはっきり法案の中に入れておいていただきたい。そうすればあとは先ですね、われわれも大いにやります、情熱を傾けてやります。そのことだけです。
#39
○参考人(西本三十二君) 通信教育との関係が非常に問題になっておるようですが、実は私は戦後アメリカ軍から要求された教員養成のための通信教育に従事する人の訓練に当たったんでありまして、そうして、日本通信教育学会の会長を十数年やりまして、いま名誉会長なんであります。国際通信教育学会の副会長もやっておって、先ほど来いろいろ問題になっておる通信教育については、長所もあり短所もあるんでありまするが、今度できるこの放送大学は、あるいは最初の一、二年は多少通信教育の方に行く人が放送大学に来るというおそれは確かにあります。しかし、長い目から見れば単位の互換というようなことなんかを上手に工夫すれば、相携えて両方とも盛んになると思うんであります。
 なお、私の最後にお願いしたいのは、イギリスのユニバーシティー・オン・ジ・エアーがオープンユニバーシティーになって、ともかくも不完全ながらも最初ウィルソンが言い出してから七年四カ月で実現したんです。日本では一九六七年――昭和四十二年に文部省の社会教育審議会でテレビ、FMなんかを使って教育をやるということを言い出してからもう今日まで十四年かかっておるんです。今度この法案が通してもらっても、実際に開学するのは五十九年ですからまだ三年かかるわけなんです。そうすると日本で十七年かかるわけなんですね。余りにもこの問題が産みの苦しみに悩んでおる。だから何とかして早く生んでもらって、そうして実際にやってみて、そうしてその実績に応じていろいろ批判をされ、それをよくしていくと。既存の大学制度、教育制度、学校制度を改善しつつ、ここにもいいところは私は五〇%は確かにあると思うんであります。あとの五〇%がこの激動する時代に向かない面があるわけでありまして、その一つは、各大学の教授会というのは非常に有力であって結構なことです。ところが、重要な問題になるというと全員一致ということでなければ決まらないんですね。大学紛争によって国立も公立も私立の大学もみんな大学改善案をつくりました。ところが、その改善がほとんど実現できていないんですね。みんなたな上げになっている。東京大学も京都大学も分厚いこれくらいの報告ができたんでありますけれども、それが実現できない。私は放送大学が新しい立場に立ってできることによって、具体的に既存の大学に対して何か参考になるところがあるであろうと……
#40
○委員長(降矢敬義君) 簡潔にお願いいたします。
#41
○参考人(西本三十二君) はい。第一次の放送大学調査準備会、私、委員であったんですが、そのときに放送大学は、小さく産んで大きく育てようじゃないかということを言ったんでありまして、今日提案されておるところの放送大学は非常に小さいもので、このごろ行政改革とか、それから補助金等問題になっておりまするけれども、わずか一億円の出資とか二億円の補助金とかというのは大したものではないんでありまして、将来は大きくなる可能性もありますけれども、何とか早く生んでいただいて、生んだものについていろいろ通信教育との関係、既存の大学との関係がどうなるかということをひとつもとにしてやっていただく。今度のこの放送大学法案は、もう参議院で皆さん方に賛成いただいて、そうして参議院通過して発足してもまだ開学は三年後になるんでありまするから、先ほどこれについて新井参考人が言われましたけれども……
#42
○委員長(降矢敬義君) 西本先生、ちょっと。
#43
○参考人(西本三十二君) はい。これにずいぶん詳しいことが出ておるんでありまするから、これはもう皆さんごらんになっておると思うんでありまするが、どうかひとつ放送大学というのは新しい大学教育の理念を持って、新しい時代にその機能を発揮し、大学教育を築き上げていこうという大きな希望を持っておる。またそれが実現できるということが英国でもう立証されておるんですから、それを踏まえて、どうかひとつ前向きにお考えいただきたいということを切に私はお願いいたします。
#44
○高木健太郎君 放送大学というのは、いままでもずいぶん衆議院でも、あるいはその他におきましても議論されたことでございまして、働く人あるいは本当に学びたい人、教育を受けたい人に大きく門戸を開いていくという意味では私はこれは非常にいいことであり、理想的な一つの案である。ただ現実がなかなかそれに伴わないところがあるということが非常に問題になっているように拝聴いたしました。
 たとえば、卒業して資格を得ると、他の既存の大学へ転入をするという一つをとりましても、現状におきましては、大学がそうどこの大学もオープンであり得るわけはないわけでありまして、単位の面からいきましても、あるいはその学説の面からいきましても、そこから出た者は私のところではお断りするというようなことだってもあり得ると思いますし、もしそういうことが受け入れるということになりますと、既存の大学もまたそれだけの何か入学定員を初めから減らしておくというようなことをしなければ専門課程にははいれないということになりますので、きわめてむずかしい問題がそこにはひそんでいると思うわけです。しかし、非常に理想ですからして、まあやってみたらどうだという、いま西本さんのお話もございましたが、ただ、やってみたらどうだというのが、非常に大きな金とそれから施設とをつくってしまってから、悪かったからそれをやめるというわけにはこれはいかない。だから途中まで行ってこれはやめられないというところにこの問題のむずかしさがあると思うわけでございます。
 たとえば、一つの例でございますが、ここの教官は任期制になっているわけですが、私の知っておる岡崎の研究所も教授に任期制をしきました。しかし、その任期制が果たして日本では受け入れられるかという問題があろうと思います。
 これについてまず新井先生のひとつ御意見を伺いたいんですが、もう一つ新井先生にお伺いしたいのは、新井先生のおっしゃること私もっともだと思いまして、私、全部これについては賛成の意を表したいと思いますが、スクーリングでございますけれども、このスクーリングに対しては、そこの教官は研究ができぬじゃないか。それから、いまのスクーリングの教官は足りないのではないか。たとえば教授会にも入れない。あらかじめ放送をする前にそのスクーリングの先生にも一応意見を聞いておくべきであると私も思いますし、あるいは、後で学生に会っていろいろ聞くときにも、その先生とよく打ち合わした上でなければいけない、あるいはその人は放送を聞いていなければいけない。あるいは、その人自身が勉強をしなければいけない。そういう、非常に――それに、アンケートでいろいろ通信もするそうですし、テストもしなきゃならぬ。そういうのを非常勤の人が果たしてできるのかどうか。そういう、スクーリングに対して非常にめんどうなことはあると思うんですけれども、その点について、先生のところでは通信講座も置いておられますので、何か御経験がございましたらひとつお話し願いたい。いわゆる任期制の問題とスクーリングの教官のことについてお伺いしたいと思います。
#45
○参考人(新井直之君) 任期制につきましては私は反対であります。つまり、任期制というのは、それが何年であろうとも、やはり教官の身分というのは非常に不安定なものになります。長期の研究というものができなくなるということも起きてまいります。ですから任期制というのは考えものではないかというふうに私は考えております。
 それから、スクーリングにつきましては全く御指摘のとおりでありまして、しかし私は、スクーリングというものは、通信教育であれ、あるいは放送教育であれ非常に重要な位置を持つであるだろうと思います。それは、ただ単にそこで学習が行われるということだけではなくて、放送大学というのはいわばキャンパスレス――キャンパスのない大学であります。しかし、本当は大学と申しますのは、学生と教官との接触、あるいはむしろ学生同士の間での接触によって一つの学問的雰囲気というものを生み出すのでありますし、それから、学生たちとの間の話し合いとかあるいはクラブ活動とか、さまざまな活動などを通して、学生同士の間の触れ合い、切瑳琢磨ということが学生生活を非常に有意義なものにするという面があるんだろうと思います。ですからスクーリングを重視しなければいけない。しかし、スクーリングを実施すれば実施するほどいま御指摘のような問題点が生じてくるわけでありまして、この部分の解決というのは非常に矛盾した困難な点があるというふうに思います。
#46
○高木健太郎君 どうもありがとうございました。私もその点非常に心配している者の一人でございますので、これの解決をぜひ図っておかなければいけないのではないかと思います。
 次に板橋先生にお伺い申し上げたいんですが、先ほど資格の問題が出たわけですが、先生のところでやっておられる通信講座あるいは通信大学というのは専門課程のところが多いんじゃないか。それにやっぱり基礎学部を持っておられる、そういうところに何か非常によりどころが学生にはあるんじゃないかと思うわけです。ところが、現在大学における教養部、ここでは教養学部になっておりますが、教養部というもののあり方が非常に現在問題になっているわけでございまして、空洞化しているという話さえもあるわけでございますが、そういうものを今度の放送大学ではまず最初に置こうということになります。そうなると、それが使われる、世の中においてこれが通用していくということについての見通しは板橋先生の方はどのようにお考えでございましょうか。
#47
○参考人(板橋郁夫君) 放送大学の組織が教養学部ということで、その内容も御案内のような新しい考え方であります。
   〔委員長退席、理事世耕政隆君着席〕
だから、放送大学のテレビの放映が始まれば、恐らく新しいものを知るという意味では私も見るであろうと思います。現にNHKの大学講座も見ています。大変参考になります。では、それが四年たったら資格ができて、そうしてその資格というのは単に教養学部を出た大学卒というだけだから、何度も申し上げますように、特定の職場へ行ったら評価してくれて、月給が一号俸上がる、特別な有利な条件で採用になるかというとそれとはつながらないように思います。やっぱりそれじゃ何なのかというと、物を知っているとか知っていないとか、上品だとか下品だとかというのは、その人の持っております品性を客観的に見て人が尊重するということであるから、ぼくは教養学部を卒業して教養があるよということを人に言うべきものではない。だけれども、それを国民全体の教育として放送大学が日本国民の品性を上げていくという意味で教養学部というものを置き、そして放送大学がそこをねらっているんだというならばこれは大変意味があります。四年制の大学とか通学課程ではなかなかそこまではいかないのであります。目的が違うからでもありますけれども、それはできないわけでありますけれども、まさに生涯教育ということを一つのねらいとしておるという意味では教養学部というのは意味があるし、その意味というのは、ただいま申し上げましたような角度から評価をしたいと思っております。
#48
○高木健太郎君 これは私も、教養部教養学科から始めることが入りやすいので、そういう目的を立てられたのではないかと思うんですが、できれば、やはり何か専門課程を置いてみられた方がいいのではないか。ただ、国民の文化レベルを上げるという意味では意味があるかもしれませんが、これによって何か職を得るというようなことは非常に困難ではないかと思っておるわけです。しかも、現在の日本の大ぜいの人が非常に経済的に優先的な考えを持っておりますので、単に教養だけ積もうといっても、それは理想ではあっても、なかなかこれが現実とマッチするというのはめんどうではないかというのが私の考えでございますが、できるだけ日本人はりっぱな人間ばっかりであってほしいというのが私の希望でございますが、現実とはなかなか合わないというところに問題があろうかと思います。
   〔理事世耕政隆君退席、委員長着席〕
 次に、西本先生にちょっとお伺い申し上げたいわけです。
 英国で二百七十カ所ですか、学習センターを置いてやられ始めた。日本ではまず関東からやって、うまくいけば全国と、このうまくいけばというのがなかなかこれ大変だと思いますが、二百七十カ所とにかくやった。それの経緯をひとつ簡単にお話しいただきたい。
 それから、放送というのはある人がお話しになって、まあいろいろ工夫もあるでしょうけれども、どうも人格と人格が触れ合わないと――先ほどの新井先生からもお話ございましたが、やはり私は教育の面では触れ合うということがきわめて大事だと。これをテレビあるいはスクーリングでやりますが、実際にテレビに出た人となかなか会うわけではないわけです。そういう意味で、テレビを通じて人格の触れ合いというようなものについてはどんなふうにお考えでございましょうか。二点だけ、もう時間もございませんからお聞き申し上げます。
#49
○参考人(西本三十二君) 最近国際的にディスタントエデュケーションということ言われているんです。遠隔操作によるところの教育、これは新しい教育でありまして、昔ながらの人間と人間との接触によるところの教育、これはもう教育の基本であって、非常に大事なことです。と同時に、エレクトロニクスその他の発達によって、それを上手に使えば、やはりテレビには、すぐれた学識のある先生がじかに学んでおる学生と、しかも自宅で親しく接するというところにかなり特別な人格と人格との接触があるとか、盛んにいろいろ研究をされております。私は決してセンターの無用を論ずるというのじゃなくて有用であることを言うのです、これは。
 実は英国でも二百七十もつくって困っているところがあるんです。私たちの考えておるのは、そこへ教師が行って指導するのじゃなくて、孤独で勉強しておる人たちが集まって、そこで自分の悩みを話し合い、そしてVTRにとったところの番組をもう一遍見直すとか、それを地方の問題と結びつけて、学生たち自身が勉強する、いわゆる学習なんですから。大学はむしろ図書館を使って学習する、テレビを使って学習するということ、そういうような新しい教育の方法というものが放送大学が健全に小規模ながらも育っていくうちに、いままでの既成の枠にはまった教育方法、教育観というものが改善されて、既存の大学におけるところの教育と新しい放送大学の新しいカリキュラムと内容と方法によって、両々相まって私は二十世紀から二十一世紀にかけての教育が育っていくのであるということを考えまするので、私は決して放送大学は万能とは決して申しません。いろいろ欠点がある。それは皆さん方ずいぶん論議されておると思うのでありますが、それを踏まえて文部省もできるだけその意図をくむと同時に、また放送大学は放送大学としての特色を発揮して、二十一世紀に向かっての大学教育及び教育制度、学校制度というものをつくり上げていくのでなければ、しかも近いうちには放送衛星というものができて全国をカバーする。そのときまでにいわゆる試行錯誤を繰り返しつつ、どうかひとつ皆さん方この国会で放送大学というものを通していただいて、小規模ながらも発足させて、そしてその生まれた赤ん坊についていろいろ批判をし、育てていって、より高い日本の大学教育、学校制度というものをつくり上げていくんだということをひとつお考えいただきたいということをお願いする次第であります。
#50
○高木健太郎君 私は西本さんがおっしゃることは理想ですから、ぜひやってみようという気持ちはわかると。また板橋先生おっしゃいますように、いわゆる冒険だけれども、共存できないこともないし、やりたいというお気持ちは私はわかるわけでございます。
 言葉じりをとらえるようで悪いんですけれども、テレビ等によって遠隔操作をするという言葉があるわけです。私は教育というのは操作ではない、お互いに学び合うという気持ちでなければ、私は教育というのは本当は実を上げることはできぬと。だから、もしテレビをもって人間を操作するというようなお考えがもしも少しでもおありになるならば、それをもう一度お考え直していただきたいと、こう思います。
 私の質問はこれで終わります。
#51
○参考人(西本三十二君) 操作というのは、私とっさの場合でなにしたのですが、取り消しますが、ともかくテレビにもりっぱな教育力があり、それに基づいて学生が学習をするというモチベーションを起こさせる大きな力があると。それをひとつ考えていただいて、何とかまさに生まれようとしておる赤ん坊を、まだ生まれていないんですけれども、生まれさせてやっていただきたいというのが私の希望であります。
#52
○高木健太郎君 学習に対してモチベーションを持たせる、そういうお気持ちでおっしゃるのならば、私はそれに賛成でございます。どうも失礼しました。これで終わります。
#53
○佐藤昭夫君 非常に限られた時間でありますし、すでにお話に出ております問題との重複を避けてごく簡単にお尋ねをいたしたいと思いますが、まず、新井参考人にお尋ねをいたしますが、冒頭のお話で先生も触れられておりましたが、放送教育というのはマスコミの性格から見てもきわめて広範な影響力を持つと。重要な見解の相違がある場合でも放送された教官の説が唯一の正しいもので受け取られかねないような危険性を含む。こうした点で非常に慎重さを要するということでありますが、したがって、この学術上重要な異なった意見を有する学者、研究者、教育者あるいは学術団体、こういう人々に――もちろんきょうも一貫して強調されておりますように、教授会の自治を基本に放送大学の運営がされなくちゃならぬという点で、教授会の検討を経て一定の条件のもとにというただし書きが当然つくことで、そういう前提の上で行われるべき問題でありましょうが、異なった意見、これを放送をする道を開くべきであるということが今日学者や研究者の中で、この放送大学の法案をめぐって意見が提出をされておるかと思いますけれども、この問題について参考人の御意見をお尋ねをいたしたいと思います。
 それから続いて板橋参考人にお尋ねをいたしますが、本日も先生から私立大学の通信教育のそういう御経験を背景にいろいろお話をいただいておるわけでありますけれども、いずれにしましても放送大学というのが文部省はこれによって教育の機会が広がり、生涯教育の場が拡充をされていくんだということをしきりに強調しているわけですけれども、開かれる道というのがいわゆる教養学部だけだという点から見て、既存の大学諸組織、そこが抱えております多くの学部、学科、それに対する国民の多様な要求にこたえる道にはなっていないと、そういう点から考えてみて、きょうも共存だとかいろんな言葉が使われておりますけれども、既存の私立大学を含めまして通信教育というものが今後とも国民の要求にこたえていく上で重要な役割りを、ある部分を担うということはこれは否めない問題かと思いますけれども、ところがきょうも先生の方からこの私立大学の通信教育をめぐって現状のいろんな困難、それをいろいろお話になっておりますけれども、そういう困難を打開をして私立大学における通信教育の拡充を図っていくために国がもっと措置すべき問題としてどういうことを要求をされるか、この点をもう少し具体的にお話を願いたいと思うんです。
#54
○参考人(新井直之君) まことに御指摘のとおりでございまして、私たちの方の学問で申しますと、マスコミには逆機能と言いまして、つまり機能の逆さでありますけれども、放送などあるいは新聞なんかでもそうであるかもわかりません。影響力の大きなマスコミであればあるほど、そこにしばしば登場する人あるいはそこでしばしば繰り返される説明というものはかなり大きな権威を持ってくるということが定説になっております。したがいまして、もし相対する学説があるときに、一方の学説だけを放送大学において放送されるようなことがありますと、それが当然に学問上の定説化してくる危険性があるというふうに思われます。そういうものを防ぐためにはアメリカの連邦通信委員会、FCCと通常申しておりますが、FCCルールではフェアネス・ドクトリン、公正の原則という規定がございまして、それでその反論権というものを視聴者に認めております。一つの意見に対して対立する意見があって、そして一方の意見だけがもし放送された場合には、対立する意見を持っている者はその放送局に対して反対の意見を放送させろと要求することができるという権利が定められているわけであります。しかし、このFCCルールに当たるものは日本の放送法にはございませんし、それからもちろん今度の学園法案にもそういう規定はございません。したがいまして、そういうものを、ほかの学者が一方の学説に対して、放送大学で放送された学説と異なる学説に対しで、そこで訂正を申し込むあるいは反対の学説の放送をさせることを要求することが、どうもいまの日本の現状及び今度の法案では認められないように思われます。そういう点では、ことに大学の自治がはなはだ不安定な感じが今度の法案でいたしますので、もし仮にある学説が放送されてそれが広がっていくということになると、それはそれでまた非常に大きな心配点を今度の法案では持っているように思われます。
#55
○参考人(板橋郁夫君) 私どもが現在までに理解をしております放送大学の教育内容は教養学部であること、教員養成課程は置かないということ、将来にわたっても放送大学は学部をふやさないということ、そういうようにやっていきますという理解をしております。で、この説明は私どもじかに聞いたわけではありませんが、私ども協会加盟校ではそういう理解であるから、実際には競争関係に立つけれども、われわれ私大通信の方は学部制で、たとえば文学部とか法学部とか商学部というような形だし、放送大学の方は教養学部だから、実質的には通信という制度だけれども、教育内容が違うので、まあ反対するのは大人げないからそれはそれでいいじゃないかと、なるほど機会均等というならば確かに国民的な一つの要求もあることだし、それには協力をしていこうではないかというのが実は内々の気持ちですし、それはいま申し上げたような前提に立っているわけです。ところが、一方でせっかく放送大学に膨大な費用かけてやるんだから、教育の機会均等というなら単なる教養でなくて、いろんな専門の法律も経済も文学も教えるような学部に将来持っていくというならば、私どもはもう一遍体勢の立て直しという意味で考え直さなければいけない、そんなように考えております。
#56
○小西博行君 二、三点お尋ねしたいと思います。
 私は、放送大学というのは、いまの大学教育の中から何か一つ新しいものが生まれて、一般の大学に波及効果をしていただいたらなあというのが実は気持ちでございますけれども、だんだんこの法案を煮詰めてまいりますと大変問題点がたくさん出てまいります。先ほど三人のそれぞれの参考人の方から実際の経験を通して具体的なお話がございました。
 まず、新井先生の場合なんですが、一つ一つ項目を挙げて大変詳しく説明していただきまして、私自身が全くこのとおりだという実は気持ちでございます。それにいたしましても、いまの放送大学法案というのは、これ衆議院通過しているわけでありまして、何とかこれを参議院で審議してくれということでございますけれども、どうやら衆議院の段階というのは参考人もお呼びになってずいぶん検討したというんですが、どうも内面的なもっと詳しいことをやっていなかったんではないかなあという感じ、まさにこの参議院の自主性という意味では最高の私は法案ではないかと、このように実は考えておるんです。
 それから、先ほど放送を利用するということでは大変画期的だということでございますけれども、現実は大して一般の教育と変わらないというように私は受け取っておるんです。つまり、通信大学とこの放送大学というのは余り変わらない。つまり、自宅研修であるとか、あるいはスクーリングというのに相当ウエートを置くんだと。つまり、スクーリングを全体にいたしますと普通の大学になるわけですから、どうやらそういう感じがいたしまして、放送の分野というのは五%からせいぜい一〇%みたいな感じになってまいりまして、つまり自分が本当に勉強しようと思えば、別に放送大学を聞かなくても自由に本が買えるような日本の社会情勢ですから、勉強ができるんではないか。ただ、モチベーションという意味では、テレビを見ることによって何か刺激されると、その面が私は実際の授業としては違った面ではないかなあと、このように実は感じているわけなんです。
 そこで、先日もこういう質問をずいぶんさしていただいたんですが、問題はこの放送大学の学生の質の問題、これが一つ大きく社会に影響を残すんではないかと思うんです。つまり、単位を認定するわけですから、この単位認定試験というのを非常に厳しくやればやるほど恐らく学校をやめる人も多いでしょうし、普通の大学のように留年ということも実際あるでしょうから、そうなっていきますと、非常に私は優秀な人材が育ち、そして社会へ出たときも何年か後には非常に放送大学というのはりっぱなんだという評価を受けると思うんですが、現実問題は、将来計画でしょうが、全国でそれぞれ勉強したい人が全部それを見られて勉強して、いわゆる生涯教育というかっこうでやっていくんだと、こういう形になりますと、どうしても単位の認定というものがやや甘くなってしまうんではないか、私はその辺に一つの大きな疑問を持つんです。
 同時に、文部省の方に先日来からずうっと質問しておりましたら、一年生から二年生に上がるのは、まあ恐らく一〇%ぐらいはやめるだろうと、こういうお話しだったんですが、板橋先生の方で先ほどおっしゃいましたところによりますと、どうも四年間まともに出て単位取るのは一〇%ぐらいじゃないだろうか。大変私は初期段階の文部省が出しております調査ですね、この辺の数字がもう大幅にかけ離れてしまっていると、大変甘い数字であると、先日もそういうことを話さしていただいたんです。
 もう一点は、やっぱりカリキュラムをせんじ詰めてみますと、大体百二十四単位取るためには四年間ですから年間三十一単位。それやるためには大体毎日四十五分授業を六日間も聞かなきゃいかぬと。しかも、その一つの科目に前後一週間で九時間から十時間の予習、復習というのが入っております。同時に日曜日は四・三時間ぐらいのいわゆるスクーリングを受けなきゃいかぬと。往復時間を入れますと一日ぴったりかかると思うんです。そういうふうにカリキュラム自体が大変厳しいと。恐らくその程度の勉強ではいわゆる一般に言う大学卒ということが認定しにくいんではないか、もっともっと勉強しなきゃいかぬのじゃないかという感じを私は持っておりますので、両先生の方から、いままでの通信大学ということに立脚していただいても結構ですけれども、本当にそういうもので大学卒というような能力といいますか、そういうものがつくんだろうかなあと、多少その辺のところを疑問に感じましたので、時間もございませんから、私この一点だけにしぼってお二人の御意見をお伺いしたいと思います。
#57
○参考人(新井直之君) 御指摘のとおりでありまして、私放送大学について心配していますのは、たとえば自分で学ぶということについて考えてみましても、普通の既存の大学ですと図書館を利用するという、大学にそれぞれりっぱな図書館が規程で決められてつくられておりまして、それを利用して学ぶということができます。しかし、全国各地にばらばらに散らばっている放送大学の学生はその大学の図書館を利用することができません。それから、自分で参考書を買って勉強するといっても、大都市ならば別でありますけれども、地方の都市に行きますと専門書あるいは研究書と言われるものはほとんど書店に置いてございませんし、それからどういうものを読んでいいのかということについても、たとえばカタログなどというようなものもそう完備しているわけではありません。図書館に行けばカードで見ることができますけれども、またりっぱな図書館が所在する都市というものはやっぱり県庁所在地とかなんかまで行かなければいけないというようなことになって、そういう点でも私はおっしゃるとおり学生の質がどの程度いくものであろうかという心配を大変いたしているわけであります。
 それから、御質問の第一点の方に戻りますが、そういうことを考えると文部省の数字は甘いのではないかというお話でありました。私もそのように思います。先ほど西本参考人が放送大学の基本計画に関する報告という、一九七五年、昭和五十年に文部省がお出しになったこういう資料もあるのでとおっしゃいましたけれども、これはやはり私はそういう点で数字がかなりいまでは変わってきているのではないかというふうに考えますし、それから、現に第一期の計画のところを見ましても、もはやこの基本計画と現在出ております放送大学とでは数字も違っておれば内容も違っておるのでありまして、私はあえてこれを無視してお話を申し上げた次第でございます。
#58
○参考人(板橋郁夫君) 単位認定試験の方法に絡んで学生の質でありますけれども、私どもは、四単位については一単位ごとのレポート、そうして二単位ずつに分けた試験、レポートが通らなければ単位試験を受けさせないということをきちっとやっておりますので、その点については認定方法を甘くして出しちまえという意識は働きません。だから、結果として最大限一割ぐらいの卒業生しか出ないし、実際その辺だろうと思っております。もしその認定の方式をきわめて甘くするのならば、それは質が落ちるということは当然であります。したがいまして、私どもでは四年間で卒業するということは初めから考えておりません。大体五年です。五年から六年のところが卒業生が多いんです。そういう意味で、毎日毎日勉強し、四年間でということは、もしそういう考えで数字を積算したのだとしたら、やっぱり積算の基礎に多少判断の甘さがあるだろうということになります。
 それから、スクーリングとの関係で学生の質を申し上げますと、スクーリングは所定の時間といいますか、決められた時間があるわけです。ちょうど通学課程が年三十五回、三十五週 一時間半の授業をやること――それは試験の期間含むわけですが、それで四単位ですよというのが大学設置基準です。ですから、スクーリングでは、専門科目についてはちょうどその時間が当てはまるように時間を組みまして試験を受けさせます。で、夏それをやるわけですけれども、時間いっぱいちゃんと来て受けて、試験の時間になったら、父親が死んだからすぐ帰れなんというのもあるんです。それをどうするかとか、間で抜けたらどうするかというと、時間の足りない部分は全部埋めさせます。で、通学課程でもそうですが、三分の二は出なさいと言っているから、通信の方も三分の二までスクーリングに出たら試験を受けさせますけれども、あと三分の一は枠が残るわけです。それは全部帳簿がありまして、何月何日出たというのを、教室の入り口に係が立っておりまして、出席表で出席をとりまして、それで出たという回数をスクーリング台帳に全部記入するんです。で、試験は通ったがその規定の出席回数が足りないと単位を出さない、押さえておくわけです。スクーリングの出席回数が埋まったら単位を出すというような制度にしておりますから、そういうようなやり方にするんならばスクーリングでも学生の質は落ちないであろう、それを緩めるんならば緩めるだけ落ちるだろうということになりましょう。
#59
○委員長(降矢敬義君) 以上で本日御出席いただきました参考人に対する質疑は終わりました。
 参考人の皆様に一言御礼申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)
 以上で午前の審査はこの程度といたし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十一分開会
#60
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を再会いたします。
 放送大学学園法案を議題とし、引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#61
○小野明君 放送大学法案の質問に入ります前に一つお尋ねをいたしたいことがございます。
 けさの毎日新聞の報道によりますと、山口大学の卒業試験の中で、春の医師の国家試験と同様の問題が出されていたと、泌尿器系で二十問中十問が全く同一であった、こういう事件が報道をされておるわけであります。特にこの酒徳と言いますか、この教授は、国家試験出題者の一人であるし、この事実を、同一の出題であったことを認めておるわけですね、この報道によりますと。山口大学といいますと大臣の御出身のところでもあるわけですが、足元からこういう不祥事件が起こる、まことにこれは遺憾きわまりないことであると思います。で、いち早く、厚生省の方はもちろん国家試験の当事者ですから事実調査をやると、こう言っておられますが、当事者であり、また文部大臣である田中文部大臣としては、いかなる御見解を持ち、いかなる処置をおとりになるつもりであるか、お尋ねいたしておきたいと思います。
#62
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま小野委員のおっしゃるように、実に私は驚いたわけでありまして、今朝の新聞、テレビを拝見いたしまして愕然といたしたわけでございます。文部行政、大学行政の責任者であります私といたしまして、私の地元の大学からかような思わざる不祥な事件が出ましたことは本当に深くおわびを申し上げる次第でございますが、なお早速事務当局に命じまして事件の詳細な調査をいたしますと同時に、特に国家試験に対しましての出題者でもございます、厳重に処置をいたしたい、かように考えております。
#63
○小野明君 大学局長はどうですか。
#64
○政府委員(宮地貫一君) ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、私どもけさほどの報道を見まして直ちに大学側と連絡をとるように義務的に対応いたしておるところでございます。大学の入学試験そのものの問題でございますので、大学の教学にかかわる最も基本的なところであろうと、かように考えております。当該山口大学に対しまして早急に報告を求めるように処置をいたしたいと、かように考えております。
#65
○小野明君 これが事実であるとすれば、この当該教授に対しましてはどういう御処置をおとりになるおつもりでございますか。
#66
○政府委員(宮地貫一君) まず事実関係の有無について大学当局側の早急な調査をお願いしなければならないと、かように考えております。教官にかかわる問題でございますから、大学自身の御判断ということがまず優先するわけでございまして、その対応を見ました上で私どもも適切な対応をいたすという、かような考え方でございます。
#67
○小野明君 もちろん大学管理機関というものの処置ということが優先さるべきは申すまでもありませんが、その問題は、教授会等で当然放送大学等も関係のある問題であります。しかしながら、この種問題についてはやはり厳正な処置というものを要求されてしかるべきではないかと申し上げておきたいと思うわけです。
 次に、本題に入りまして、放送大学につきまして質問を申し上げたいと思います。
 これは全く新しい構想の大学でございます。そこで、予想しない事態の発生、あるいは予測し得ない問題もあるかと思うのであります。しかし、私がいろいろな資料を――いろいろなといいますけれども、わずかなものですが、これで調べましても、この将来構想といいますか、この放送大学の最終的な全体構想というものがどうも浮かび上がってこないわけですね。そこでこのことは午前中の新井参考人の御意見にもございました、最終構想が明確でないと、こういう御意見でございましたが、私もそういうふうに思います。
 そこで、この放送大学の最終的なこの全体構想、それに至りますこれを実現をするための年次的な計画、あるいはそれに付随をいたします必要な経費の試算、こういうものがあらかじめ文書によって提示されませんと、的確な審議といいますか、十分な審議ができないように私は思います。まずこの点について、こういうことは大学局長でしょうから、まず局長の方からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#68
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の全体構想についての考え方、それがまず基礎で必要ではないかというお尋ねでございます。
 御案内のとおり、「放送大学の基本計画に関する報告」というのが、昭和五十年十二月でございますけれども、放送大学創設準備に関する調査研究会議、これは大学の先生方に入っていただきまして構想を練っていただいたものがございます。それが私ども御提案申し上げております放送大学の一番何と申しますか下敷きになっている、私どもとしてはこれを下敷きといたしまして、今日まで具体的な構想を固めていくに当たりまして取り進めてまいったものでございます。ただし、これはそのはしがきにも書かれておるわけでございますけれども、これらの検討の結果を総括してこの基本計画に関する報告をまとめていただいたわけでございますが、「これにより、この大学について、一つの具体的な設計図の設例を描き、国民各層の理解を求めるとともに、その批判を仰ぐ必要があると考えたからである。」ということが述べられております。そして、「この報告では、放送大学の創設後における第一期事業の一つの目標を示している。しかし、その実施については、現下の経済情勢、財政状況等を考慮すれば、その着手の時期、方法について別途十分な検討が必要であると考える。今後、この報告に寄せられる各方面の意見を勘案しつつ、その検討を急ぐことが望ましい。」ということがはしがきでも述べられておるわけでございまして、私どもとしては全体計画としては、いまも申しましたような具体的な設計図の設例として一つ掲げられていると、それによりまして作業を今日まで進めてきたという経緯がございます。
 簡単にその点を概要をかいつまんで申し上げますと、その報告によりますと、全体規模の完成時の最大限という想定でございますが、放送大学によって本格的な学習を希望する者が約六百二十万と試算をされておりまして、その試算では毎年度の入学定員は二十三万三千人、常時登録されて学習する学生数は四十五万三千人と見込んでおるわけでございます。そのために全国に約二百の送信所を設置し、全国ブロックの世帯数の約八〇%をカバーするという考え方で全体計画を想定をいたしております。そして、この最大限の全体規模を実現するためには、教職員で言えば二千人、資本的投資額は約八百七十億、これは当時の試算価格でございます。そして、年間の経常的な運営費としては約二百九十億という試算が出されておるわけでございます。
 そこで、この放送大学そのものが、ただいま先生も御指摘のように、全く新しい大学をこれからつくっていくことになるわけでございます。しかも、全体計画、全国をカバーするということでいえばただいま申し上げましたような大変大きな規模でもございます。したがって、私どもこれをもとにいたしながら具体的な計画をどう進めていくかについて今日までいろいろと検討をしまして、その結果、第一期の計画といたしましては、ただいまのところ東京タワーから電波の届く範囲内を第一期の計画ということで取り上げまして、第一期の計画の概要といたしましてはこの「放送大学について」というパンフレットに御説明もしてございますけれども、入学者としては一万七千人、在学者数としては三万人、初年度の学生受け入れとしては一万人という形で、資本的経費としては約九十七億ということで、第一期の関東地域から電波の届く範囲内での計画というものを具体的に今日まで固めてきたわけでございます。
 そこで、第一期の計画についてもう少し御説明をさしていただきますと、やはり人口が多くかつ人口構成としても非常にいろんな多様性を持っているというようなこと、そして今後の拡大計画に必要な資料を得やすいということ、広域の送信所として既存の東京タワーが利用できるために電波網の整備に要する経費が過大にならないということ、さらに放送大学の本部としては予定といたしましては千葉県幕張地区を予定をしております。そういういろんな要素を考慮いたしまして関東地域を対象地域として発足してはどうかということで第一期計画を定めてきたわけでございます。
 今後この放送大学の対象地域の拡大にかかわります将来計画全体のことでございますが、これにはまだ放送衛星の実用化の動向が今後どういう方向になっていくのか、それからまたこの関東地域におきます実施状況を見ました上で、諸般の事情を勘案しながら、今後検討をしていかなければならない課題と、かように考えております。ただ、具体的には、私どもとしましても十八歳人口の今後の推移、そういうようなものも見まして、昭和六十六年ないし七年には二百万人を超える十八歳人口ということももちろん頭に入れまして、それぐらいの時期までには高等教育の整備計画を――高等教育の整備計画ということで五十一年から六十一年までの間で前期計画、後期計画ということに分けて今日まで検討をしてきておるわけでございまして、したがって昭和六十二年から七十一年ごろまでの十年間を目途にしました新しい高等教育の整備計画はさらにこれから具体的に立てていかなければならぬ時期にも差しかかっているわけでございます。そういう中におきまして放送大学の対象地域の全国への拡大ということについても、その時期にはぜひ実現をしたいということで考えておるわけでございます。もちろん電波を使いましたこの放送大学が、私どもとしてもなるだけ早く国民全体がその恩恵をこうむるようになることを期すべきは当然のことでございます。
 しかしながら、ただいま申しましたような第一期計画をまず実現をして、そこで具体の問題としていろいろ学習センターの問題にいたしましても、従来からも御審議をいただいておりますように、いろいろ具体的な事柄についても御指摘をいただいている点もあるわけでございます。それを実際に移しまして、そこで現実問題として処理をすれば、そこにまた現実問題としての対応ということも当然予想をされるわけでございます。私どもとしては、そういうような点に、そういうような現実問題としての解決しなければならない課題もいろいろあるんではないかと、かように考えております。そういうようなことを踏まえまして、慎重に段階的に進めてまいりたいと、かように考えておるところでございまして、したがって、もちろんその全体構想というものは、ただいま申し上げましたようなものを基礎にして私どもとしては描いておるわけでございますが、当面は第一期の計画を実現をさせていただきまして、その後における取り組みということで考えておるところでございます。
#69
○小野明君 大変長々と説明をいただいたわけですが、そうしますと、私どもが審議をするに当たりまして、手にありますのは、ここに薄緑の「放送大学の基本計画に関する報告」、これが基礎になっています。それから、この「放送大学について」、これは五十五年九月と五十六年の一月と二回出されておりますね。これとそれから今回出されております法律案、この三つということになりますね。この問題を、放送大学について構想なり計画を知るというのはこの三つの資料によって大体お知りくださいと。いまの局長の御説明もそういうふうであったと思いますが、そういうふうに了解をしてよろしいですね。
#70
○政府委員(宮地貫一君) 基本的な点は御指摘のとおりでございます。
 今日までの国会審議等におきましていろいろ御質疑をいただきまして、その間で私どもとしましても、今日までの時点で説明できる限りのことにつきましてはるる御説明もいたしてまいったわけでございまして、多少国会の質疑等の御審議を通じまして、それらの資料を中心に御質疑いただきましたことで御説明もいたしてきておるわけでございますが、従来からの御説明でも出てくるわけでございますけれども、この法案の仕組みそのものが放送大学学園法案ということで、これもまた大変いろいろ経緯があるわけでございますけれども、放送大学ということで大学と放送局をあわせ持つ仕組みといたしましては、この放送大学学園法案という形で進めるのが現行の法制から見てもそういう形でいかざるを得ないという結論をいただいて御提案申し上げておるわけでございますけれども、法案の骨組みから申しますと、この特殊法人が放送大学を文部大臣に認可申請をいたしまして大学をつくっていくという仕組みに、これは仕組み上そうならざるを得ない点があるわけでございます。今日までの時点で放送大学の具体性のことについて御審議いただくのはもちろん、それが具体的にどうなるのかということを踏まえて御審議いただかなければならぬことは当然でございますので、私どもといたしましてもその点は御説明できる限りのことは申し上げておるつもりでございます。
 具体の予算のことになりますと、これはただいまのところ五十六年度予算で計上いただいております予算額は確定を見ておるわけでございますが、予算はそれぞれまた予算案といたしまして、今後各年度ごとに関係省庁と折衝を進め、それがまた国会で御議論をいただくという仕組みのことであろうかと思います。
 したがいまして、大変、大学自体がお決めになる事柄というものもやっぱりその中にはいろいろと出てまいってくるわけでございまして、その点私どもの説明が十分でなくて、大変そこはまだ固まらないのかというおしかりもこうむるわけでございますけれども、その辺のところはひとつ私どもとしても極力御説明を申し上げておるつもりでございますけれども、そういう仕組みであるということはひとつ御了承を賜りたい、かように考えております。
#71
○小野明君 だんだんお尋ねをしていこうと思います先の方までいろいろ御説明があったようですが、文部省側としては大体基本的な考えというのはこの二つと法律案、こういうことは言えるわけですね。
 いま一つは、いま局長がそれと同時に国会審議ということをおっしゃった。これは非常に私は重大ないま御説明があったと思うんです。それで、これは何回も国会で議論をされてきておることである。さらに、この放送大学の基本計画というのは何といまから六年前のことでもあります。いままでの衆参両院の審議の議事録も全部は私は消化をしてはおりませんけれども、非常に有益な御意見が出ておる、網羅されておると言ってもほとんど過言ではないぐらいに詳細に議論されているように思うんですが、いま国会審議というものもその要素になっておるんだということをおっしゃる。こういうことであれば、当然前国会から参議院の審議が始まる。そして、この審議が始まれば国会法上もう一回衆議院にいかなきゃならぬ。こういうことになるわけですから、国会審議を踏まえて、この法律案なりあるいは基本計画なりあるいは第一期計画なりに当然修正を加えてしかるべき点があるのではないか、こういうふうに思うわけです。そこで、私はわざと言ったわけでありませんけれども、局長がわざわざ国会審議も踏まえてと、こういうふうにおっしゃるのなら、それをひとつ形をもって示した点があるかどうか、これをひとつお示しをいただきたいと思うんです。
#72
○政府委員(宮地貫一君) 私は、もちろん国会で御議論もいろいろいただいている点もございますということを申し上げたわけでございまして、前回の御審議の際にも、いろいろと従来の審議で話の出ている点で申し上げますと、たとえば国会で何度か審議をされて出されてきておるが、法案自体については、法文については修正なしに出されている点はどういう点だという御質疑がございました。それに対しましては、私どもも、関係省庁とも十分協議をして法文としてまとめましたものについては、現時点で考えられる最善の案だということで考えておりますので、その点は何度か御審議をいただきました冒頭に、そういう点は御説明を申し上げてきておるわけでございます。
 実施の具体の中身について申し上げますと、これは法文の上での修正ということにはならないわけでございますけれども、たとえば学習センターの持ち方でございますとかそういうものについては、いろいろ学習センターでこれは実際の実施をやっていくに当たって、たとえば教官組織がいま想定しているもので十分であるかどうか、これも実際の学生数と現実の対応ということも見なければなりませんけれども、従来から御指摘をいただいているように、そして私どももそのことはそうだと考えておりますが、この放送大学においても大変スクーリングが大事であって、学習センターの機能を重視しなければならない。そのことは私どももそう考えておりますし、実際の実施に当たってもそういうことが必要であろうと思っております。
 ところで、学習センターの個々の実際の学習状況でございますとかあるいは学習センター自体での運営、そのような事柄については、やはりこれは法律で規定されるべき事柄というよりは、実際の運営上必要な事柄の教学の運営面についてはどういう組織でいくかというようなことについては、これはむしろ大学御自身の御判断で決めていただくべき要素のところが多いというぐあいに考えているわけでございます。
 そういうようなことが一つと、それからもう一つは、国会の御審議という点で特に申し上げました点は、具体の個々の予算ということになりますと、これはこの特殊法人に対します国費の計上額というのは、それぞれの年度で予算で計上されていくことになるわけでございます。したがって、実施の具体の計画を年度ごとにどう進められていくかということについては、これは端的に申せば、予算の御審議を通じまして、それぞれの年度ごとに御審議をいただくことになる。国会の御審議というのはむしろ私は後者の予算のことについて具体的に申し上げたつもりでございますけれども、それらの二点が従来御審議をいただいており、そしてまた、これから先の御審議について申せば、特に予算の点を通じてそれぞれ国会で御議論を賜ることだということを申し上げたかったわけでございます。
#73
○小野明君 国会審議を軽視をしておるんではないかということを私は申し上げておるわけですが、いま局長がお話しになりました教学上の問題あるいは学習センター、放送上の問題というような問題、あるいは予算はそれはもちろん単年度ですからその都度審議をすればいい問題、この教学上の問題とか、あるいは放送上の問題、こういう問題は、これはそれこそ実施の過程の中で解決できる枝葉末節といってはこれは問題があります。問題がありますが、この放送大学は実際に成果を上げ得るかどうかというのはこの辺にありますけれども、これはひとつの試行錯誤の上からも解決できる私は問題だと思います。
 私が申し上げたいのは、やはりいままでの国会審議の中で、大学の自治は一体どうなるんだ、これは四十四年大学紛争のときに構想されたものですから、ゲバ抜きであると同時に自治抜きだ、いま一番重視をされておる大学の自治とこういう問題についての配慮はどうかと、ずいぶん審議においては出ているんですが、これをやるとすれば私は法律案をさわる以外にないわけです。ですから、局長もそれを知った上で肝心なことは言わずに、今後漸次手直しすれば直るという問題だけを国会審議に求めておるといういまの御答弁を聞きまして、そういうふうに思うわけですよ。私は、この一番ネックになっておる法律案をなぜ手直しをしなかったか、このことを申し上げているわけですね、この点どうでしょうか。
#74
○政府委員(宮地貫一君) 確かに国会でいま御指摘のような点について御論議を大変いただいたということも事実でございます。それらの点につきましては、私どもとしては国会の質疑の場で十分御説明も申し上げたつもりでございますけれども、法案の構成全体にかかわります点で申し上げますと、抽象的に先ほど申し上げましたが、それについては関係省庁で十分協議もいたしまして、再提案するに当たりましては議論をしました上で、その点はただいま政府側といたしましては御提案申し上げておりますものが、法案の条文としては政府としては最適ということで御提案を申し上げておるということで御説明を申し上げたわけでございます。その点は、私ども政府側の対応といたしましてはそういうことでございます。
 御議論としては、幾つか具体的に申し上げますと、放送大学学園及び放送大学に対する文部大臣の権限についての御議論が一つございました。それから、放送大学の評議会と教授会との関係について御議論をいろいろといただいておるわけでございます。それと、放送法第四十四条第三項と学問の自由の問題についても御議論をいただいておるわけでございます。そしてこれは、放送法制の問題といたしまして、NHK、民放の二本立て放送体制の変革の問題、それと対象地域の拡大計画をいつごろどうするのかというような御議論、大きな点で申せば大体そういうようなところが従来御議論が出されておる大きな点であろうかと思います。そして、これらにつきましては、私ども政府側といたしましては、この法案の提案者といたしまして、考え方につきましては従来からも十分御説明をしてまいったつもりでございますし、基本的にこの放送大学の仕組みとそして放送大学が、もちろん大学である以上は大学の自治ということが確保されることが必要なこと、その仕組みについては、私どもこの御提案申し上げております法案の仕組みで確保されておるということで御説明を申し上げてきておるわけでございます。
#75
○小野明君 まあそれがあなたの本音ですよね。そこが一番私どもとの対立点ではあるんですが、その点をいまお話しになりましたような放送コードの問題、大学の自治の問題、あるいは対象地域の拡大、それらの意見をどうこの法律案に反映をしたかということを、私は国会審議を重視をするならば、それらを改めて私は提案あってしかるべきだと、こう申し上げたわけです。まあその点は後ほどまた同僚議員等からも意見がありましょうが、私も後ほどその点については申し上げたいと思うんですが、それはそれとして、放送大学創設準備に関する調査研究会議、これが出しました「放送大学の基本計画に関する報告」というのは、これが全体構想である。これが一番下敷きになっておる。それから、この「放送大学について」ということし一月に出されたこれが具体化されたものである、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
#76
○政府委員(宮地貫一君) 基本的にはそのように御理解賜って結構かと思います。ただ、この五十六年一月の「放送大学について」というものについては、これは第一期の計画ということで御理解賜りたいと思います。
#77
○小野明君 そうすると、第一期の計画というのは時期はいつからいつまでになるんでしょうか。それと、それに伴う予算、今年度予算はもちろんもうここに計上されておりますが、それに伴う第一期計画の予算というのはどういうふうになりますか。
#78
○政府委員(宮地貫一君) 私ども、第一期についての経費の試算でございますけれども、その「放送大学について」というものの四ページのところに書いてございますように、第一期計画は「東京タワーから、テレビ・ラジオの電波の到達する範囲」を対象地域といたしまして、資本的経費としては累計で約九十七億、経常的経費としては約四十七億というのを想定いたしているところでございます。
 なお、具体的に、その一つ前の三ページでございますけれども、三ページに放送大学の創設日程ということで、私どものところがただいま創設日程として検討いたしておりますところは、この法案が成立をいたしまして、放送大学学園の設立を五十六年七月、学園の設立を見まして、先ほど申しましたように文部大臣に、放送大学――いまこれは仮称でございますけれども、大学の設置認可申請を、本年の五十六年十月程度と想定いたしておりますが、出しまして、約一年間の間に認可の申請をいたしまして審査をして、大学の設置としては五十七年十月を想定いたしております。大学の設置の後、実際に学生を受け入れる時期は五十九年四月、五十九年度から学生を受け入れるということで考えているわけでございます。そして、通常の大学のケースがそういうことになっておりますが、五十九年度から学生を受け入れていけば、それから通常で言えば、学年進行ということで順次大学在学生が各学年にいるということになりまして、学年進行で完成をいたしますのが六十二年度、六十三年三月で、一番順調に勉学いただいた学生が卒業できる時期がそこになるということになるわけでございます。当面は、第一期の計画としてはそういう日程で進めたいということで想定をいたしておりまして、そのための経費として、ただいま申しました約九十七億と、経常的経費としては完成時の金額が約四十七億になるということで想定をいたしておるものでございます。
#79
○小野明君 そうすると、第一期計画というのは五十九年の四月、放送大学学生を受け入れを目途としておると、こういうことですね。
#80
○政府委員(宮地貫一君) そのとおりでございます。
#81
○小野明君 そうしますと、本年度の予算は、これは十四億五千二百万円ですね、五十六年度予算は。
#82
○政府委員(宮地貫一君) 先生御指摘の十四億というのは、国立学校特別会計の放送教育開発センターの経費と合わせた金額であろうかと思います。放送大学学園の創設の経費として五十六年度予算計上されておりますものは三億五千二百万でございます。したがいまして、ただいま先生御指摘の十四億余りの金額は、放送教育開発センターの方の経費を含めたものであろうかと想定いたします。
#83
○小野明君 放送教育開発センターの整備というのは今年度予算に計上されておる、これは当然でありまして、これは放送大学にかかわる今年度予算、こういうことになるんでしょう、どうですか。
#84
○政府委員(宮地貫一君) もちろん放送教育開発センターもこの放送大学とともに将来対応していただくものでございますから、そういう意味では御指摘のとおりでございます。
#85
○小野明君 そうしますと、五十九年で第一期の計画が終わると、そこで資本的経費が九十七億円、経常的経費四十七億円、こういうことに相なるわけで、今年度、五十六年度予算が十四億五千二百万、こういうふうになりますね。だから五十九年を見通しますと、資本的経費が九十七億、経常経費が四十七億というようになると。そうしますと、五十六年度これだけである、五十七年、五十八年、五十九年、せめてこの四年間ぐらいは毎年何をやってくるんだと、こういう毎年の予算計画がこれは提示されなければならぬ、これはできておらなければならぬと私は思うんですよ。これは政府の新経済社会でも七カ年をめどにしておる、これは財政再建ということで中期展望で大蔵省が出しておるのも、五十九年特例公債ゼロということで展望出しています。第一期第一期とそういうふうにおっしゃるならば、この数年間の毎年の資本的経費あるいは経常的経費、これらの試算が出されてしかるべきだ。これは一番私はやさしいことではないのか、それが出されてないのは、これはどういうことかと不思議に思いますが、いかがでしょうか。
#86
○政府委員(宮地貫一君) もちろん御指摘のように、私ども第一期の計画として資本的経費として約九十七億という金額につきましては積算を持っているものでございます。ただ、五十六年度の予算はもうすでに予算議決いただいているわけでございますが、五十七年度以降の具体の予算ということになりますと、これは五十七年度から予算年次がどのように固まるかということについては、政府側としては関係省庁との折衝その他もございますので、具体の金額としてはお示しがむずかしいわけでございまして、私ども要求官庁側といたしましては、施設の整備についても大体五十七年、八年の年次割りをどう考えるかという事柄については、もちろん私どもとしては事務的には試算をいたしているものもございますが、政府全体としてそれを示せということになりますと、その点は、具体のことは、今後予算折衝を経ました上で確定を見ることになるわけでございますので、当面はこの第一期計画の全体として所要経費でいえばやっぱり約九十七億ぐらいを私どもとしては要するということでございます。
#87
○小野明君 そんなばかなことがありますか。
 これは大臣にちょっとお尋ねしたいんですが、この放送大学は昭和七十一年までをめどにしてこの基本計画の中に予算も計上されているわけですよ。種類別試算があるわけですよ。完成時最大規模でこれは経常費で二百八十九億一千二百万、それからこれは資本的経費で八百六十七億九千七百万。これは五十年の十二月十七日に出されていますから、この時点での試算なんですよね。これを含めて私は、大臣、放送大学というものは閣議で各省の了解も得て出されたものでしょう。私はそれは後ほど聞きますけれども、とにかく局長は第一期だ第一期だと、第一期が終わってからと、こういうふうにおっしゃるから、それでは第一期までの間に――第一期は、ここにことしの一月できたほやほやのものがあるわけですよ、資本的経費九十七億、経常費四十七億と。そうすると、これは五十九年ですから、ごく近いわけですよね。大蔵省でさえ、財政再建のときですから、中期展望というものを出している。経企庁でも出している。文部省がこういうふうに毎年計画が、試算の基礎と積算の基礎というものがなくて、こんなものをぽんと出したって、これは各省が承知するはずはないですよ。大蔵省がうんと言うはずはありませんよ。これは大臣どうお考えになりますか。
#88
○国務大臣(田中龍夫君) 先生のおっしゃる一つの筋論というものは当然そうでございますが、とは申しながら放送大学というものはいままでの構想とおよそ新しいものとしてこれから発足しようと、こういうふうなことでございます。具体的なことを申すならば、最初の計画の中に、長期の問題といたしましては、一例を申すならば衛星放送といったようなものまで構想としては考えておったりなんかもいたしておることは御案内のとおりでございます。そういうことで、いままでの経過につきましては、過去十年間のいろいろ経緯にかんがみまして、これをテストするためのセンターも現実には開設してテストしておるような状態でございますし、同時にまた国会の御審議と申しますものも実際審議をいたしましたのは、そうではございませんが三回も国会に出ておるといったようなこともございまして、いろいろな過去における紆余曲折というものがございます。
 さような意味におきまして、大蔵当局におきましても、また政府におきましても、よく放送大学の新構想というものは十分に理解をすると同時に、それでは具体的な予算の編成あるいは折衝という問題は、ただいま局長からるる申し上げたような第一期の構想として御提案申し上げておりますわけでありまして、これにつきましていま局長がるるお話しいたしました内容は持っておりますけれども、実際にはまだ今後のいろいろ新構想でもございますし、なかなか御理解をいただくことのむずかしい難点が多々ございますことは御案内のとおりでございます。
 なお、いまの基幹計画その他の計数上の問題につきましてはいま一度政府委員からお答えいたします。
#89
○政府委員(宮地貫一君) 補足をさせていただきますと、五十六年度予算、これ実はすでに五十四年度から創設の予算が認められまして、そのときから法案提出と予算の決定ということは政府としては決定を見ましたわけでございますが、そのときから具体の発足ということは進まなかったわけで、その都度五十四年度予算、五十五年度予算いずれも放送大学学園の創設経費としては三億余りの金額が計上されましたが、五十四年度予算、五十五年度予算いずれもそれは執行できないということで、不用額で落としたわけでございます。したがって、ただいまのところは五十六年度予算で計上されておりますのが放送大学学園の創設経費としては、お手元の「放送大学について」というパンフレットの三ページのところでございますけれども、学園の創設としては出資金でございますとか、学園に対する補助金、それから施設整備費、これは先般御質問もございまして、これは実施設計料であるということを御説明申し上げたわけでございますが、そういう経費として五十六年度予算は三億五千二百万が計上されている、ほかに放送教育開発センターの特別会計の方の予算は別途ございますのは先ほど先生から御指摘のあったとおりでございます。そこで問題は、法案が成立を見ますと、それに伴って具体にそれでは本部の建物の実施設計が行われて、建物としては建設の期間というようなこともございますわけですから、通常のルールに従って施設の整備というもの、たとえば二カ年度に分けてやる。そうしますと予算の組み方としては二カ年の分け方というものはこれはまたそれぞれの全体の財政の枠の中でどういう予算計上をしていくかという具体のことはあるわけでございます。大変そういう点で私どもとしてはこの放送大学を創設すること、そして当面第一期の計画でこういうお示しいたしておりますようなほぼ金額を要するということはもちろん計画を立てておるわけでございまして、それの個々の年次の割り振りについてはこれは別途やはり財政当局その他と予算折衝を今後経た上で計上がされていくというぐあいに考えておるわけでございます。
#90
○小野明君 大臣、私が申し上げておりますのは、大臣は筋論だと、私は筋論じゃないんですよ。現実論を申し上げておるのですよ。これをお決めになったときはこれだけの予算と全体計画がぴちっと決められておる。だからそれを含めてお決めになっておるはずではないですかと、こういうふうにお尋ねしておるのですから、審議に紆余曲折があったというようなお話もございましたが、それは練りに練ったという経過があればなお、その辺はきちっとしておかなければいかぬはずのものだと私は思いますよ。
 そこで、局長、それは財政当局と協議をしてと、こういうこともありますが、肝心の主務大臣は文部大臣あるいは郵政大臣。そこに第一期計画に大変力を入れてここまではというようなお気持ちはわかる、あとはもうどうでもいいというようなお気持ちがあるかどうか知りませんが――いいですか、局長、いまの財政再建についてはあるいは行革については総理も政治生命をかけるとまで言われておるわけです。それに大臣もおぞけをふるっておられるのかどうか知りませんが、そういう全体の腰構えの中で肝心の主務省が第一期計画の五十九年に至るまでの間きちんとした逐年計画がない、これは私は怠慢もはなはだしいんじゃないか、これは喜んで切って落としますよ。この計画は国会審議で当然私は提出されてしかるべきだと思いますが、いかがですか。怠慢ですよ。
#91
○政府委員(宮地貫一君) 先生のお話の中で第一期の計画に着手をして後はという御指摘がございましたが、もちろんこの放送大学が国民全体に期待をされているものと私どもも考えておりまして、それはもちろん全体構想というものを実現しなければこの第一期の計画だけを実現すればそれで事足りるというものではないということは私どもも十分踏まえております。それで、それの実現の段取りについては先ほど最初にるる御説明をしましたが、第一期計画を実現を見ました上で実施の具体の問題も解決をしながら段階的に慎重に広げさしていただきたい、大よそのめどとしては将来昭和七十一、二年のころがピークであるからということで申し上げておるわけでございます。
 そこで第一期の計画のことでございますが、第一期の計画についても、私どもとしても施設の整備にどれだけを要するという具体の検討はもちろんいたしたものを持っておるわけでございますが、現実の予算の計上額がどうなるかということにつきましては、これは今後の財政当局との折衝その他が入ってくるわけでございまして、私ども要求する立場としましては、五十七年度以降、具体に五十九年の学生受け入れまでにやるべきことにつきましては、私どもとしても十分準備なり対応はいたしておるところでございます。
#92
○小野明君 スタートはわかっているわけでしょう。スタートは、ここの予算書には十四億五千二百万からスタートして、第一期の九十七億と四十七億と。この終点は五十九年、これになっているわけですよ。これはちょうど防衛庁で言われる五三中業と同じようなもんですわな。これも毎年計画がある。だから、それを十分やりますと言うのなら五十七、五十八、五十九と年次に分けた、主務省としては予算計画というものをここに提示してくださいと。それに伴う内容も資本的経費あるいは経常的経費と、この二分類のようですから、これを提示するのが――これは国権の最高機関ですからね、ひとつばかにしないできちんと資料は提示してくださいよ。そういう腰構えじゃこれはもうおぼつかないですよ、この放送大学もね。
#93
○政府委員(宮地貫一君) 資本的経費の約九十七億余りの金額につきましては、施設費については約六十九億五千七百万ということで考えております。本部施設が……
#94
○小野明君 ちょっとゆっくり言ってください。
#95
○政府委員(宮地貫一君) はい。施設の経費が六十九億五千七百万、本部施設が三十四億九千七百万、県別の学習センターとしては二十四億四千九百万、送信所建設費として三億八千二百万、職員宿舎関係で六億二千九百万、積算といたしましては、施設の関係で、以上で約六十九億余りでございます。
 ほかに設備の関係で二十七億六千四百万、放送設備として十九億一千五百万、教育研究設備として八億四千九百万と、私どもの積算をいたしております内訳といたしましては、施設と設備に関しまして、以上申し上げましたようなものを予定をいたしておるわけでございます。
 なお、これの年次別の区割りにつきましては、これからの折衝ということになるわけでございます。
#96
○小野明君 そうすると、この程度のことをどうして言わないんですかね。初めから言えば何ということはないじゃないですか。
 そして、それは大体年次別で、こうずっとおやりになるということですね。年次別に分けておられるわけですね。緊急を要する施設あるいは土地購入という緊急性、必要性という順番に、事業順に要求なさるわけでしょう。そうすると、年次別になっているわけですよね、それは。しなきゃなりませんわね。だからそれは文書で出せるんじゃありませんか。五十七年は幾ら、五十八年は幾ら、五十九年は幾らと、口頭でなくて文書で提示すべきではありませんかと、こう言っておるんです。
#97
○政府委員(宮地貫一君) ただいま御説明申し上げましたとおりでございますが、これの年次別の数字につきましては、なお関係省庁とも協議をさしていただきまして、御趣旨に沿えるように努力をいたしたいと、かように考えます。
#98
○小野明君 どうもその辺の第一期計画の実現に対する意欲といいますかね、あるいは計画性といいますか、それにも私は欠けるような気がしてならぬですね。それは財政再建のときですから、これはこちらにかっちりしたものがあっても、なかなかそれはうんと言わぬ御時勢ですからね、これはひとつ年次別のものをきちっと精査をして出すべきだと思います。
 それで大臣、局長がいままで一時間かかってやっとこれだけ言ったんですよ。大臣どうですかね、これは。
#99
○国務大臣(田中龍夫君) それがお役所のむずかしいところでございまして、局長としましては、やはりすり合わせが各省間のができておりませんと、たとえば大蔵省に対しましても、大蔵当局と事前のいろんな交渉というものがある程度進んでおりませんと、なかなか出しにくい。これはもう本当に御了解をいただけることでありますし、またお聞き及びになれば御理解をいただけると、かようなわけでございます。その辺はどうぞ役所のいろいろな慣行なり手続といたしまして御了承いただきとうございます。
#100
○小野明君 大臣、そんな弱腰じゃ、あなたそれはできゃしませんぞ。第一期計画も危ないですよ、あなた。本当にこれは放送大学をつくろうというお気持ちがあるんですかどうですか。もう一回それを聞きとうなりましたね。
#101
○国務大臣(田中龍夫君) それは逆でありまして、不退転の決意を持って臨んでおります。ただ役所の事務官同士の慣例と申しますか、手続というものはそういうものでございまして、よく委員の御承知のとおりでございます。私は客観情勢から申しまして、非常に財政窮迫の折でもあり、ことに行革という問題がございますけれども、しかし、この放送大学に関しましては非常な情熱を持って対しておる次第でございまして、どうぞ今後ともよろしく御協力をいただきます。
#102
○小野明君 それはもうたてまえも本音もそうであってほしいんですよ。そうせな何のためにわれわれ審議しておるかわからぬね、これは。大学の法案は通ったわ、予算はつかぬわと、これは何のため――われわれこけにされていると同じような、私は半信半疑で審議しておるんですよ、これはね。第一すり合わせとか何とか言うても、削られることを予想したすり合わせのように私は思う。だから何ぼ削ろうとしても削られないと、そういうかちっとした年次計画がなきゃ、これはあなた削ってきますよ。どうもその辺が非常にあいまいなんですね。大臣言われるように不退転の決意ということなら、これは形の上にもあらわして、せめて第一期の今年度はこれと、今年度はこれと、財政計画も全部閣議に出るんですから、大臣もその事情は御存じだと思うんですよ。年次計画をぴしゃっとこの委員会に提示をするようにしてくださいよ、大臣どうですか。
#103
○国務大臣(田中龍夫君) そのためにもまず最初に、放送大学の母体になります学園というものの成立が前提でございまして、そういうことで、その前提がきちんと相なりましたらば、以下一気かせいにいろんな問題もずっと御提示できると思うんでありまして、母体になりまするこの問題が一番重要な問題でありまして、ただいまおほめをいただきましたように不退転の決意は持っておりますけれども、そのいまの母体のところがなかなか困難な問題であることは御承知のとおりであります。しかしながら、開かれた大学といい、あるいはまた最も近代的な構想としての放送大学というものは、本当に私は世界的な意味におきましても非常な新しい進歩的な一つの構想であると、大学という問題に対しまする一つの理想といたしまして、情熱を持ってこれに対さなきゃならない、かように考えております。
#104
○小野明君 何といいますか、逆に、早く上げてくれ、そうしたらしっかりするぞと、こういうお話ですが、そんなばかな話はありませんよ、あなた。むちゃくちゃな、無責任な審議をするわけにいきませんから。せめて第一期計画とこの文書になっている分の予算規模、事業の規模、それをきちんと出すことが、これはわれわれに対する説得にもなれば、あるいは大蔵に対する、あるいは行管に対する説得力というものになるんではありませんか。どうですか。
#105
○国務大臣(田中龍夫君) その点は御説のとおりでございまして、先生の言われる資料等もできる限りの整備をいたしまして御提示を喜んでいたします。
#106
○小野明君 行管に、実は中曽根長官に来てもらいたいと要請しておったんですが、管理局長しか来られてないのでこれはなんですが、先にちょっと、余り長く待たしても悪いから。
 この放送大学を提案になったときは、もちろんこれは放送大学の最終全体構想といいますか、これらの後年度負担も含めて行管庁としてはこれは承認をしておるわけですね、この放送大学学園というのは。どうですか。
#107
○政府委員(佐倉尚君) いまの放送大学学園、これを特殊法人として設立することを認めました際には、当面いわゆる第一期計画の範囲内で具体化が進められるということとされていたわけでございます。私ども特殊法人として設立を認めたということは、当該法人の設立意義あるいはその目的、事業内容の概要、そういったものが設置形態として特殊法人として適切であるかどうかという点が私どもの審査の対象でございまして、私どもはいま申し上げましたように、特殊法人として国との関係等もいろいろございますが、そういうものから特殊法人として設置することが適当であろうというふうに判断したわけでございます。
 なお、後年度負担等の問題につきましてお尋ねでございますけれども、この放送大学学園の行います放送大学というものの対象地域の拡大等にかかる将来の計画につきましては、先ほどから文部省からお話のありますように、いろいろな実施状況等の諸般の情勢、あるいは教育技術の問題等、今後文部省を中心にしてよく検討されていく問題だというふうに考えております。
#108
○小野明君 あなたは非常に大事なことをいま言ったんだが、この第一期計画を提示されたことは御存じですよね。これのみに限って特殊法人設立を認めたと、こういうことですか。
#109
○政府委員(佐倉尚君) ただいまお話のございましたように、設立することを認めた際におきましては、第一期の計画の範囲内での具体化が進められるものとされていたわけでございます。
#110
○小野明君 これはひとつ文部省大学局長、ここに「放送大学の基本計画に関する報告」、これは五十年十二月十七日できている。これが基本計画でございますと、この資料でありますと、こういう御説明がありました。第一期計画だけではなくて全体計画にも取り組むんでありますと。もちろんこの放送大学というのは、第一期で東京タワーから電波が飛ぶ範囲というのは知れていますから、むしろ意味はローカルにあると思うんですよ。全体計画に私はウエートがあってしかるべきだと思う。ところが、いま行管の管理局長が言われるのは、第一期計画に限って認めたなんというのは私は初耳で、文部省はどうですかこれは、大臣。各省庁の了解、閣議でもこれは通ったと思うんですがね。第一期計画に限ってお得意のすり合わせをおやりになったんですか。どうですか、これは。そんなばかなことはない。局長、どうですか。
#111
○政府委員(宮地貫一君) 最初にもうその点は私から御説明を申し上げたわけでございまして、第一期の計画は関東地域、東京タワーからテレビ、ラジオの電波の到達する範囲を対象地域として考えておりますということで申し上げたわけでございます。もちろん放送大学の使命というものが関東地域に及ぶということだけで使命が終わることでないことは当然でございまして、そういう意味で全体構想をどう考えているかと言えば、それは先ほども御説明しましたように、この基本計画に関する報告を私どもとしては下敷きとして考えておりますと、それを下敷きにしまして第一期の計画をこういうぐあいに具体化したものでございますということで御説明を申し上げたわけでございます。ただ、それでは全体をいつまでにどうするかということについては、先ほども御説明しましたが、第一期の計画を実現をいたしまして、そこで出てくる具体の問題についても対応する必要がございますし、それらを踏まえて対応するということで御説明をしてきておるわけでございまして、その時期はいつかということが衆議院段階でも、全体計画の達成時期をいつと考えるのかということで、大変いろいろと御議論をいただいたわけでございまして、先ほども申し上げたように、その点は全体の十八歳人口の動向も見ながら昭和七十一、二年のころまでに全体も達成する必要があろうというのが、私ども文部省側で考えております構想としてはそういう対応をいたしておるわけでございます。しかしながら、これは第一期の計画をまず完成させて、そこでの具体の問題にいろいろと対応しなければならぬ課題も出てまいると、そういうことを踏まえて、先ほども申しましたように全体計画としてはやはり大変大きなプロジェクトでございますし、段階的にかつ慎重に進めていく必要があるというぐあいに考えているということを御説明申し上げたわけでございます。それを受けた上で全体に広げていくという考え方でございまして、もちろんこの放送大学が第一期の計画の範囲内だけですべての目的が達成されるとは私ども決して考えておりません。その点は大臣からも御答弁申し上げたとおりでございます。ただ、具体の姿としてどういうぐあいに進めていくかということについてはこれからの課題でございますということを申し上げたわけでございます。
#112
○小野明君 局長、あなたは何と言おうとも、この放送大学については第一期計画のみで了解をしておるんですといま行管の管理局長が言っておるんですよ。そうでしょう。第一期計画の範囲内でと、あなたはっきり議事録に残っているんだよ。どうですか。
#113
○政府委員(佐倉尚君) 私は、いわゆる第一期の計画のみを範囲として特殊法人の設立を認めたというふうには申し上げていないわけでございまして、いわゆる第一期の計画の範囲内での具体化が進められるものというふうに理解しておると。だから、具体化が進められるのが第一期の計画の範囲内であるというふうにわれわれは了解しているわけでございます。でございまして、先ほどから文部省の方から御答弁がありますように、それから先放送大学学園がどういうふうに将来計画につきまして、あるいはその関東地域等における実施の状況等を踏まえてどういうふうに御判断されるかということは、具体化の問題が進められるというのは第一期の計画の範囲内でございますけれども、それから先の将来の問題につきましては文部省を中心に検討されるものと理解しております。
#114
○小野明君 それは同じことですよ。あなたは非常に正直に物を言っているよ。予算化され実際実現性のあるのは特殊法人を設立すること、まあ学校給食会ともう一つ安全会を統合してつぶしたから特殊法人一つを設立を認めると。そのかわり、それは予算をつけ具体化するのは第一期計画までですよと、これの範囲と考えると、あなたは正直に説明されておるわけです。ところが、大学局長はいろいろおっしゃるが、全体計画がついているんですよと言うけれども、それは行管庁が了解しておるところではない。そうすると、これは閣議の了解でもないわけですね、大臣。どうですか。これは大臣の問題である。局長は閣議に出るわけはないからね。大臣どうですか。あなた全体計画まで、これは四十五万の学生に云々というまでのことをおっしゃったが、全体計画を含めてのこれは放送大学学園じゃないんですか。大臣どうですか。
#115
○国務大臣(田中龍夫君) 私は先生の御質問がちょっと、それこそ解せないんですけれども、まずそもそも放送大学学園法というものが最初に認められて、そうしてその構成ができて、それから今度は第一期の計画のある一定の範囲のつまり放送が開始されて、それから逐次後段の全国放送に向かって進んでいくと。その間には先ほど申しましたように宇宙衛星を使ったらどうかとかなんとかといったような構想もありますけれども、いまのこの放送学園法というもののこれができるということがそもそも後の計画の母体でありまして、頭が認められなきゃ、しりっぽもできないでしょう。つまり、最初になる頭のところをまず法案として学園法を通して、それで第一期の計画ができて、それからさらに、逐次実施計画が及んでくるのでありまして、全体の計画が全部初めから完成されなきゃならぬということはそれは不可能なんです。同時に、最初の母体になるこの学園法ができなければ大学もできないし、後の逐年計画もできていかない。つまり、最初の頭だけは認めていただかなければ、逐次成長して目標のりっぱな放送大学というものが完成しないんじゃないですか。最初のいまの第一期計画だけはまずもって――これはもちろん政府全体が、しかもことし突然変異みたいにこんなことを言い出したんじゃなくて、十年前からの構想で、それで与野党挙げてこの問題については十分に御審議が遂げてあるはずだと、かように思う次第でございまして、どうかひとつ頭のところの母体だけはとりあえずでも完成させなきゃならぬと、かように真剣に考えている次第でございます。
#116
○小野明君 まあ管理局長もあなたも閣議に出ておるわけじゃないんだ。だから私は中曽根長官に来てもらいたいと言ったんですが、これは合同審査か何かのとき確かめてもらわなきゃいかぬ問題ですが、大臣、そうすると閣議の了解というのは頭のところだけ、第一期計画のところまでと、こういうことで了解をされておるわけですか。
#117
○国務大臣(田中龍夫君) このいまの法案の放送学園の最初の母体ということ、それからさらに次の第一期の問題、つまり言えば、全体の構想は了解ができておるとしましても、ステップ・バイ・ステップでいかなきゃならないものであって、そのワンステップというものは、これはもうりっぱに了解もでき、始めておるわけでありまして、それだからここにお願いに出ておる次第でありまして、私はその閣議で何にも了解もないものを勝手にこういうところへ来て申すはずのものでもないし、しかもその間には十カ年という経過がございまして、この点はもう内外ともに論ずるまでもない私は最初の第一発と、かように考えておる次第であります。
#118
○小野明君 そうすると、大臣としては全体計画を持っておるが、放送学園というのは全国ネットの放送大学というものを持っておるが、それで進んでおるんだが、第一期計画はまず重点を置いてつくっていくんだと、だから予算もここに黄色の表紙のにあるように、第一期計画というものをこれにまず重点を置くんだと、こういうことですね、大臣のおっしゃるのは。
#119
○国務大臣(田中龍夫君) さようでございます。
#120
○小野明君 そうすると、行管庁としては、管理局長としては、あなたはこの特殊法人をつくることと第一期計画について了解をしております、その後のことについてはこれはまた文部省さんがお考えになるでしょうと、こういうことですね。
#121
○政府委員(佐倉尚君) 私が申し上げているのは、具体化が進められていくというのがいわゆる第一期計画の範囲内だと。将来の計画につきましては、諸般の情勢、いろいろな問題を考慮して文部省を中心に検討されていくべき問題であるというふうに理解しております。
#122
○小野明君 そうすると、行管庁にもう一つ尋ねるが、この第一期計画はいま説明があっておりますように九十七億と年間経常費四十七億、こういうことになっておるんですよね、五十九年までは。そうすると、完成時七十一年では、この数字もちと怪しいものがあるが、千百億円と三百七十億円、これが完成時の姿になると、法案には書かれてないけれどもね。こういうことはもうあずかり知りませんと、私どもの知らないことですと、こういうことですね。
#123
○政府委員(佐倉尚君) 繰り返して申し上げますけれども……
#124
○小野明君 繰り返しのようなことなら言わぬでいいぞ。
#125
○政府委員(佐倉尚君) いえ、私どもは特殊法人として設立することを認めたわけでございまして、予算額等につきましては別途審査する機関がございまして、私どもはこの法人の事業内容の概要、設立の趣旨、目的、そういうものが特殊法人として適切であろうということで特殊法人としての設立形態を認めたわけでございます。
#126
○小野明君 そうすると、これだけの最終的な特殊法人の姿、千百億と約三百億程度の経常費というものについては、職員もおれば教員もおる、あるいは設備投資もしなきゃならぬ、だから金がついているわけですよ。そういう全体構想については関知するところではないと、特殊法人を認めるだけだと、こういうことですか。先ほどは第一期計画までちゃんと認めておるんですと、こう言っておるんじゃないですか。
#127
○政府委員(佐倉尚君) 特殊法人として設立することを認めたわけでございまして、その際に聞いております話は、その第一期の計画の範囲内で具体化が進められていくということを了解しておると。
#128
○小野明君 ああ、そう。
 やっぱり大臣、管理局長が言われるのが本当の文部省の本音ではないんでしょうかね。本音であると受け取らざるを得ぬですね。それが客観的な事実ですよ、これは。恐らくまあ中曽根長官が出られても同じことを私は言われるんではないかと思う。そうすると、いま第二臨調が発足をしておる、こういうことを管理局長に聞いていいのかなあと私は思うんだけれども、総理もああいうふうに異常な決意で財政再建に当たると、臨調のこれは当然対象になる問題だと、こういうふうに思われますわね、聖域はないと言うんですから。この点についてそれは仮定の問題だからわかりませんと言うかもしれませんが、あなたの方も第一期計画までは認めておりますと、承知しておりますと、こういうことを言うんですが、臨調にかかればこれはどうなるかわかりませんと、こういうことになりましょうか、どうでしょうか。
#129
○政府委員(佐倉尚君) いま先生のお話で、第一期計画までは私どもが認めておるというお話がございましたが、第一期計画を認める認めないということではなく、特殊法人として設立することが適当であるかどうかという判断に、その第一期計画、その際に聞いたことは、具体化が進められるのはその第一期計画が現在進行中で具体化していくということでございますね。だから、その将来構想は、それを踏まえまして今後検討されていくというふうに理解しておるというふうに先ほど申し上げたわけでございます。でございますので、第一期計画を了承したとか了承しないとかいうのは私どもの立場ではございませんので、特殊法人として設立することは適当であろうという判断が私どもの判断でございます。
 それで、第二臨調のことでございますけれども、これは先生おっしゃっているように、第二臨調がどういう検討課題についてどのように御検討いただくかは、これ臨時行政調査会自身がお決めになることでございまして、これが取り上げられるか、られないかということは現在私の口から申し上げる段階ではないかと思います。
#130
○小野明君 これ以上管理局長に聞いてもこれはしようがないことなんで、まあ中曽根長官も臨調答申はこれを全面的に尊重すると、こういうふうに言っておられるんですからね。
 そこで、これは田中大臣に聞いた方がいいんですが、これは新たにつくる特殊法人ですから、当然臨調にかけられ、あるいはこの予算規模、事業規模というものが対象になることもあり得るですよね。この点について大臣は不退転の決意と、こういうこともおっしゃっておられるわけです。新聞を見ますと、鈴木総理は一千三百億もかかるのかと渋い顔をされたということも新聞に書かれておるんですが、でありましても、不退転の決意でこの放送学園大学を全体計画まで実現をする決意であるかどうか、ひとつ。
#131
○国務大臣(田中龍夫君) 御提案申し上げました文部省といたしましては、本件は、再三再四申し上げているように、過去十年来の一つの文教行政の理想でございます。そういうことから申しまして、われわれといたしましては、この新しい時代に即応した開かれた大学といたしまして放送大学の成立をあくまでも念願をいたしておる次第でございます。
#132
○小野明君 念願という言葉は大変弱いわけでね。大臣は、七一年の最後の全体構想がまとまるまで――そのころは文部大臣でないかもしれませんが、それまできちっとひとつ不退転の決意で進んでもらいたいと思いますがね。
 そこで大学局長、どうもいまの第一期度画まではとにかく一生懸命進むと。そうすると第二期計画というものは七一年全体構想が終わるまでということになるんですか。大学局長どうですか。
#133
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど来御説明を申し上げていることでございますが、第一期計画として東京タワーからテレビ、ラジオ電波が到達する範囲内を対象地域といたしまして、この放送大学の実施に入っていくということで計画を御説明いたしておるわけでございます。その理由につきましては、なぜここからスタートするかということにつきましては、先ほども御説明をしたわけでございますが、人口が非常に多いということ、あるいは多様な人口構成を持っておるわけで、今後の拡大計画に必要な資料が得やすいということ、あるいは既設の東京タワーを利用できるために電波網を整備利用する経費が大きくならないとか、いろいろ先ほど御説明したわけでございます。まず、その第一期の計画を実現いたしまして、
   〔委員長退席、理事大島友治君着席〕
そこで全国に広げるに当たって必要な実施上の具体のいろいろ事柄についても第一期の経験を踏まえまして、それをもとにいたしまして全国に広げるに際してのいろいろな資料といいますか、事柄について解決を要する問題点も、学習センターとの関係でございますとか、そういう実施の具体に当たってのいろいろな課題がございましょうし、それらを十分踏まえまして、全国に広げるに当たっては慎重に段階的に広げていく必要があるというのが私どもの考えている考え方でございます。その上でこの放送大学が国民全体に広く受け入れられるということがもちろん必要ですし、また教育の機会均等というような観点からも、全国の方々に教育の機会を広げるという使命を果たすためにも、全国に広げていくことは必要なことでございまして、それについては第一期の計画が完成をしまして、その後でどういう着手の手段や方法でやっていくかということはこれからの検討課題ということになるわけでございます。私どもとしては、それらを、第一期の計画を十分踏まえて慎重にかつ段階的に広げていく計画を練らなければならない。まずはそういう意味でも、この第一期の計画を実現さしていただいた上で全国の計画のことに対応するものでございますということを先ほど来御説明をいたしておるわけでございます。
#134
○小野明君 第一期第一期と言われるから、いまの行管の管理局長の言うように、あとは切り捨てるんだという疑いが非常に濃厚になってくるわけですよ。
 そこで、私がお尋ねをしたいのは――第一期計画はわかっている、これは。先ほど予算も、本当は文書で出すべきだが、口頭でやっとあいまいなものをお出しになった。――あいまいと言ってはなんですが、一応出たわけですよね。第一期まではわかる。しかし、この放送大学学園の法案は、第一期計画と同時に、完成時は全国と、これを持つものでなければ私は意味はないと、こう思うんですよ。
 そこで、完成時の全国の事業規模といいますか、「放送大学の事業規模の試算」というのが基本計画に関する報告の中にございますね。先ほどあなたも、これはまだ下敷きで生きておるんですと、こういうふうにおっしゃった。これは、全体計画というのは、これを見てしか知る以外にございませんね。これだと、全体計画はこの中に含まれていると、こういうふうに理解をしてよろしいんでしょう。
#135
○政府委員(宮地貫一君) 先ほどもその基本計画に関する報告のことについて御説明をいたしたわけでございますが、おっしゃるとおり、これ以外のものがあるかというお尋ねでございますと、これ以外のものを持っているものはございません。ただ、これが全体計画の下敷きということで大変重要な参考資料になるということはもとよりでございますけれども、しかしながら、それじゃこれが全体計画であって、これで固まったものかというお尋ねでございますと、それはやはりそうではないということもひとつつけ加えて申し上げさせていただきたいと思います。
#136
○小野明君 そういうことでそれはいいと思います。これは見出しにも書いておりますから。これがしかし基本になることは間違いがない。
 そこで、三十六ページには「第一期事業完了時最大規模」ということで、送信所十三、地方センター三百二とずっといろいろ書いておりまして、「完成時最大規模」というものもずっと、完成時の最大規模ですから多少落ちるかもしれませんけれども、昭和七十一年をめどにこしらえ上げていくんだと、こういうことになるわけですね。よろしいですか。
#137
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど来御説明しているとおりでございますが、なお、いまお示しの基本計画に関する報告の三十六ページの表の点でちょっと申し上げますと、この表は、御指摘のとおり、「完成時最大規模」の表と、「第一期事業完了時最大規模」と書いてあるわけでございますが、ここに書いてございます第一期事業と申しますのは、実はそこの備考欄にもございますように、ブロックごとには、東北、関東、東海、近畿、四国の五ブロックを対象にしているということがございます。
   〔理事大島友治君退席、委員長着席〕
私ども具体の予算の点で御提案し、御説明申し上げております第一期計画と、この五十年の、ここに第一期計画、「第一期事業」と書いてございますが、その点とはずれがあることだけはちょっと御了承いただきたいと思います。
#138
○小野明君 その点は、この五十六年一月に出されたものが第一期計画だと、こういうふうに修正をなさっておる、こういうふうに思います。
 そこで、全体計画をあくまでも目指すということであるならば、ここに上がっております最大規模の資本的投資額の数量ですね。地方センター、あるいは各ブロック地方事務センター、学習指導センター、実習センター、演習センター、ビデオ・センター、あるいはその他学生数の比例的経費というものがございますが、大体この数字によって全体計画を構想しておる、こう理解してよろしいですね。
#139
○政府委員(宮地貫一君) 私どもただいまのところ、よりどころとしておりますのは、この基本計画に関する報告をもとにいたしまして、いろいろ作業は従来やってきたわけでございます。したがいまして、ただいまの点で申せば、全体構想のこれは一つの試算でございますけれども、こういうものもございますということになるわけでございます。
#140
○小野明君 こういうものもございますということでは、私は非常にいかぬと思います。大臣、先ほどあなたがおっしゃるように、第一期計画をつくって、あくまでもこういう全体計画に臨むのだ、これをやるんだと、こういうふうにおっしゃったと私は思いますが、この基本計画に従って全体計画をつくるのだと、こう理解してよろしいですか。
#141
○国務大臣(田中龍夫君) 実務上の問題がございますから、局長からお答えさせますが、たとえば全体計画の中で、私は放送計画の中で考えましても、宇宙衛星を使うか使わないかだけでもずいぶんの開きが計画上出てくるとも思います。また、年次別にもそういう問題がいろいろ出てくると存じます。具体的には局長からお答えさせます。
#142
○政府委員(宮地貫一君) 先生御指摘のとおり、基本計画の考え方としましては、対象地域の拡大に当たっての原則的な考え方としては、私どもこういう考え方が適切なものであろうと、かように考えております。
 ただいま大臣からも御答弁を申し上げましたように、ただ五十年当時の状況と具体的に変化のある点は、たとえば放送衛星の利用問題等が、具体の問題としては、検討課題としてどうするかという問題があるわけでございまして、そういう状況の変化に応じました全体計画の進め方というものについては、今後十分検討しなければならぬと思っております。
#143
○小野明君 先ほどから大臣は、放送衛星云々と、こういうふうに言われるので、電波局長に来ていただいておりますが、これは大学局長、この全体計画を試算する場合は、調査研究会議は、地上による電波網の整備計画ということになっているのですよね。ところが放送衛星を打ち上げるということになりますと、これは経費がこちらの方が安くなるんじゃないか、私はこう思います。ですから、当然事業の試算としては、この両方の試算が私はあってしかるべきだと。両方の全体計画の試算をすべきだ、それがなければ私は不親切だと、こう思います。そこで、大臣が先ほどから、放送衛星云々ということをおっしゃるから、全体計画をあえておやりになるというのであれば、放送衛星を使った場合、あるいは電波網の整備計画、地上ネットによる場合、私は二通りの計画をつくるべきだというふうに思います。
 そこで局長、放送衛星の打ち上げ、利用の見通し、その計画について説明をいただきたいと思います。
#144
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 放送衛星は一つの電波で日本全土をカバーできるということで、将来日本全土を対象とする放送を行うということを予定しております学園の放送に利用する場合は非常に有効であるというふうに考えておるわけでございますけれども、現在のところ、放送衛星の計画でございますけれども、私ども五十八年度冬期と申しますか、五十九年二月にBS−2という放送衛星を打ち上げる予定をしておりますわけですけれども、これはもう計画も非常にロングプロジェクトでございまして、すでにNHKの難視聴解消ということに予定しております。
 したがいまして、放送大学学園用の利用といたしましては、いま申しましたBS−2の次に、まだ確定しておりませんけれども、恐らく昭和六十三年ごろに打ち上げを予定しております第二世代と申しますか、BS−3というふうな言い方もしておりますけれども、これ以降の放送衛星で大学学園の放送に利用するかどうかというふうに、時点的に申しますと、六十三年以降に利用するかどうかということが予定されるというふうに考えておるわけですが、この利用につきましては、やはり文部省その他関係省庁と十分相談しながら、緊密な連絡をとりながら進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから試算でございますけれども、この計画、放送大学学園法案は、元来昭和四十四年以来計画されておるわけでございまして、郵政省といたしましても、その当時は地上のことしか考えていなかったわけでございます。それでテレビ一系統とラジオ一系統を全国的にカバーするというようなことで、地上方式でいきますと、一応送信所を二百カ所予定しまして、それで現在試算しておる。その数字が五十年度試算の価格で載っておるということでございます。
#145
○小野明君 そうすると、六十三年以降にBS―3ですか、いまおっしゃった中に放送大学に利用できるかどうかというようなあいまいな言葉がありましたが、どういうことなんですか。放送大学用に使うものという表現ですかどうですか、これは。
#146
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 BS−3と申しますか、第二世代の放送衛星でございますけれども、これどういうふうな利用の仕方をするか、NHKのほかに放送大学学園用あるいは民間放送等の利用にもたえ得るかどうかと。その辺のことで、実はBS−3にまだ何チャンネル乗せられるかというようなことも技術的には、最終的には決まっておりません。現在のBS―2は二チャンネルということになっておるわけですけれども、三チャンネルないし四チャンネル乗せられるだろうというようなことで、第二世代の放送衛星にどういう番組を乗せるかということは、私どもの省内にも設けました第二世代の利用のあり方についてということで検討しておりまして、まだ検討中であるということで、ちょっと不分明に聞こえるかもしれませんけれども、先生の方に申し上げたわけですけれども、私ども放送衛星を利用し、推進する郵政省としては、最初申し上げましたように、放送大学学園の放送に利用していただければ非常に有効なものであるという考え方は持っておる次第でございます。ただ、そうするということに、まだそういう研究会議でも、あるいは文部省さんとも特に詰めたわけではないと、ただ私どもとしては大変有効でございますと。
 それから、この場合送信側として非常に有効であるわけでございますけれども、やはり地上で受ける場合には、現在の地上の受信設備だけでは十分でないといいますか、アダプターをつけるといいますか、パラボラアンテナをつける等の必要性もございますので、それらの普及状況等々も当然考慮に入れなければいけないというようなことで、まとめますと、そうすることに煮詰まっているわけではないので、多少不分明に聞こえるような御返答をしたわけでございます。
#147
○小野明君 それでよくわかります。
 そこで局長、全体計画に力を入れるならば、当然いまの放送衛星の問題も、六十三年、いわば第一期済んだ後のいよいよ全体規模に広げる際の問題ですから、早急にこれ煮詰めておいてもらいたいと思います。というのは、調査研究会議では地上ネットになっていますし、当面第一期では送信所十三ですか、になっていますけれども、当然この放送衛星を使うということになれば、それに伴う全体計画を出してもらいたい。五十年価格ですからね、これはおかしいじゃないかと。新しく審議始まっておるのに、五十年価格でこの全体計画を出すというのは、いかにも国会議員をばかにしておるじゃないかと実は衆議院の湯山議員から質問がありまして、五十四年度価格に引き直したものがございますということで、大臣、きのう質問取りに来て、きのうそれがありますということを言ったんですよ。不親切きわまりない。それで質問取りに来たのは、こういうものもございますということで、きのう私はもらったんですよ。これは官房長か何か知りませんが、大臣、われわれ文教委員に対する文部省の役人というのは非常に不親切ですね。こういう審議に必要なものを、質問取りに来てきのうくれるなんていうばかなことありませんよ、これは。(「ぼくらもらってない」と呼ぶ者あり)もらってない。でたらめですよ、これは。だから、やっぱり大臣ね、これは園田厚生大臣も、保険局長についてはきちっと処分するとか何とか、きちっと役人の姿勢を正すというようなこともおっしゃっておられるようですが、文部大臣もひとつその辺を、国権の最高機関、しかも文教委員の籍にあるわれわれに対しても、こういうものをきのうになって配るなんていうばかなことありませんよ。非常に私は不愉快です。
 そこで、この試算のものを持ってきたんですよ。きのう、ありますからと言うから、きのう持ってくるかと思ったら、けさ持ってきたんですがね、五十四年度試算をしたものを、全体計画を持ってきた。これを見ると、五十四年度価格は消費者物価指数を用いたと。五十年度を一〇〇として五十四年度一二七、これは総理府がよくする統計数字です。しかし、この全体計画、これは不動産もありますよね。消費者物価を用いたという試算だけ持ってきた。これは、こういう不動産があり、あるいは素材があるということになると、消費者物価だけの試算で正確なものになるかどうか、なり得ない。これはもう子供が考えてもわかる。五十年度を一〇〇にして、消費者物価一二七だから、全部を一〇〇分の一二七掛けただけだ。そんなばかな全体計画の試算なんて私はほかの役所じゃ考えられぬと思いますよ。これは土地代から、当然資材ですから卸売物価、しかも消費者物価たるや一二七でとっていますが、私調べてみました。何が一二七になっているかと思ったら被服なんですよ。着るものですよ。光熱、住居、食料は、それぞれ五十四年度で見ると一七八、一三二、一二九、総合で一三八なんですよ。着るものだけが一二七なんですよ。五十年度価格を一〇〇として、消費者物価一二七ですからと、その数字を使ってこれ出しておるんです。そんなばかな試算の出し方ありませんよ。こういう全体計画をわれわれの前に示すなんて、これはもうわれわれ議員をばかにするのもはなはだしいと私は思う。だから、この全体計画は試算を、もし全体計画まできちっとやるという大臣の御決意ならば――第一期で終わるというなら話は別です、これは。この点は理事会でもぴしっと第一期計画でやめるのか全体までやるのか、まだあいまいなところがあるから、後ほど機会もあろうと思いますから、連合審査でも。私は、大臣は全体計画までおやりになると言うなら、この五十年度の事業試算というものはきちっと計算をし直してもらいたい、そしてわれわれの審議に提供してもらいたいと思います。
 私は与えられた時間はこれだけですから、またこれは後日私にも質問の時間があるようですから、本日は十分の一ぐらいしか質問しておりません。
 以上で私の質問を終わりますが、資料を出すかどうか、最後に大臣にちょっと……。
#148
○国務大臣(田中龍夫君) それは当然なことでございまして、何しろこの法案の生殺与奪の権を持っていらっしゃいます委員会でございますから、われわれといたしましては、あくまでも誠心誠意、懇切丁寧な資料なり、あるいはまた御要望に沿わなければならぬ。本当にその点は、不備な点は私がかわりまして陳謝をいたす次第でございますが、今後ともにどうぞよろしく本法案の成立につきましてはお願いを申し上げまして、最後といたします。
#149
○小野明君 終わります。
#150
○高木健太郎君 私初めてなりましたので放送関係のこと余りよくわからなかったわけですが、いまのお話を聞いていると大変不安になりまして、本当に最終までやるつもりでおやりになるのかどうかが大変不安な気持ちになります。そういう意味では、ぜひ全体の案を幾つかあればその幾つかをお出しいただいて、そして私たちにお示しいただきたいと私からもお願いを申し上げます。
 お聞きしていると、先ほど局長からは第一期が終われば段階的にというお話がございましたが、放送衛星を打ち上げるとなれば段階的にという言葉はないわけでございますし、一体どちらの方に重きを置かれておるのか、あるいはどのような筋道を考えておられるのか、そういうことをぜひお知らせいただきたいと思います。
 第一期のことは一応やってみてからというお言葉もあるようですが、これはある程度第一期というのはテストのような気持ちがおありになるのかどうか、その点をお聞きしておきたいと思います。
#151
○政府委員(宮地貫一君) 第一期の計画についてのお尋ねでございますが、放送大学というもの自体がこれは従来なかった形のものを新しく、そういう意味では全く画期的な事柄であると私どもは考えているわけでございます。したがって、全体的に従来いろいろと関係者にも案を練ってきていただいて今日に至っておるわけでございますけれども、なお具体の実施の点になりますと、学習センターと全体の放送番組との調整、学習センターでの面接指導の担当者との連絡調整をどういうぐあいに具体的にやるかとか、実施上のいろんな問題は、カリキュラムの組み方一つにつきましても、どういう形になるのか、現実に実際に担当する教官、スタッフの方々にそれらの点を御検討願わなければならぬ点もいろいろあるわけでございます。そういう意味で、私どもとしては、先ほど御説明したようないろいろ理由もございまして、まず第一期の計画を関東地域、東京タワーからテレビ、ラジオの電波の到達する範囲内で実施をするということで、この案を今日まで練ってきておるわけでございます。
 テスト的なことかどうかという、いまお尋ねでございますが、こういう放送の分野についての、先ほど放送衛星のお話もあったわけでございますが、放送衛星の問題でございますとか、さらにこういう放送関係の分野におきます技術革新が非常に目まぐるしいといいますか、そういういろんな情報の伝達手段としては、いろいろとこれからもテレビ、ラジオに限らず、それ以外のいろいろな態様というものもさらに予想されるような問題もございます。もちろんただいまの計画ではテレビ、ラジオを通じての放送大学ということでこの具体の案を練っておるわけでございますが、それ以外のそういう技術革新に伴います情報伝達手段をどう教育の面で取り入れていくかというような課題も、これは今後なお十年先にどういう事態になるのか、ちょっと私どもも想像できないような事柄もいろいろあろうかと思います。これからの技術革新の面がどのように受けとめられるか、そういう点なども将来の考え方の中にはどう取り入れられていくのか、そういう面も考えていかなければならない分野であろうかと思っております。そういうことも踏まえまして第一期の計画が実現を見て、お話しのように衛星を使えば一度にできるから段階的ではないんではないかといういま御指摘もいただいたわけでございますが、私どもとしましても、その辺についてはまだ関係省庁とも十分御相談を詰め、いろいろ検討課題はまだまだたくさんそれ以外にもあろうかと思っております。そういう問題点を十分踏まえながら、それ以後の態様について取り組んでいきたいと、かように考えているところでございます。
#152
○高木健太郎君 そのことにつきましてちょっとお尋ねしておきたいんですけれども、現在もう非常にビデオが発達しておりますが、たとえ関東地方でおやりになるとしましても、それをビデオでとるぐらいはこれはもうわけはないことでございますし、とったからといってこれは罰せられるわけでもないのだろうと思うのです。そのビデオを各大学あるいは地方の大学まで回して、そうして各地方の大学でそれを検討していく、あるいはそれを一応授業に使ってみるとか、そういう方法も考えられるのじゃないかと思うわけです。そういうこともひとつお考えかどうか。
 それから、たとえばそういう地方で大学に入学しないと、入学しないけれどもある科目だけ専攻としてやってみる、それで授業料が、たとえば専攻のときにはある一科目だけという場合には安くなるのかどうか知りませんが、そういうことで履修の証明書なんというのはもらえるのかどうか。そういう、いわゆる各地方に放送で得られた資料を各大学あるいはその希望者がそれを利用してやるという、そういう方法はお考えじゃないでしょうか。実際、先ほどの参考人のお話でも、放送衛星を使うということは非常に学問が画一的になるというお話もございました。これは非常に危険な一つの例でございますけれども、であるならば、そういう学園法が通って放送をやり始められた場合には、そのビデオを各大学に回して、そこの批判なり、あるいはそれをもって教育をしてみたときの影響なりをお考えになる、そういうことをおやりになる気持ちはございますか。
#153
○政府委員(宮地貫一君) 一般論としてお答え申し上げるわけでございますけれども、放送大学の整備について具体に、たとえば整備が行われるまでの間の便法というような形でビデオテープを使うというような考え方はどうかという御指摘は前にもいただいておるわけでございます。確かに検討してみなければならない課題と、かように考えます。
 問題は、放送大学の事業として行うということになりますと、スクーリングの問題等、具体的にそれをどうこなしていくかとかいうようなことが、現実の課題としては、対象地域外でやる場合にそれをどう取り上げていくかとかというようなことがいろいろと検討課題として出てこようかと思います。
 先生の御指摘は、放送大学以外のところで使うことも検討してみてはどうかというような御指摘のように承ったわけでございますが、それらについても、実際の個々の大学がどう受けとめてそれを実施するということになるのか、それは、この放送大学とほかの、たとえば地方の国立大学との間でどういう話し合いになるかというような個別、具体の問題に入ってくるわけでございまして、そういう事柄についても検討課題ではあろうかと思いますけれども、具体に、ただいまそれについてすぐそういう方向で実施ができるものかどうか、その辺についてはなおよく検討はいたしてみたいと思いますし、現実の問題としては、放送大学と個別の大学とのお話し合いということがなければ現実問題としての処理ができないわけでございますので、そういう御提案の点も検討はいたしたいと思いますけれども、個別の御相談に待つしかないんではないか、かように考えております。
#154
○高木健太郎君 いや、私申し上げたのは、そういう意味もありますけれども、一般の大学における講義というのは聴講生とかその他の認可を得なければそこに入れないわけなんですけれども、放送というのは非常にオープンなものですからして、それをビデオに撮ってくるのは一向差し支えないんじゃないか、これをとめることは私はできないんじゃないか。どの程度オープンになっているか私知りませんが、その資料を使うということについて何か制限をおつけになるつもりはあるかどうかということです。
#155
○政府委員(宮地貫一君) 放送されましたものを自分で使用するといいますか、自己使用についてビデオを撮るというようなことについて何ら制限がないことであろう、かように考えております。
#156
○高木健太郎君 大学とかそういうところで一つの教材に使う、ある程度それによって討議をするというようなことも差し支えないかということなんです。
#157
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の具体の教材その他をよその大学などで具体的にどう使うかという問題になりますと、やはり著作権法上のいろいろ具体の問題は出てこようかと思います。それらについても、もちろん著作権法上のいろいろ具体の処理の問題としてはあろうかと思いますけれども、それはそれといたしまして、実際にそういう問題について、放送大学とほかの大学、地方の大学との間でいろいろ具体の御相談がありまして、そういうやり方をしてみるのはどうかということであれば、それはそれとして取り組むべき事柄ではないか、かように考えます。
#158
○高木健太郎君 そういう著作権の問題はあろうかと思いますけれども、同じ国立であってこういう放送というオープンのシステムをお使いになるという場合には、放送大学が進んでそういうオープンなシステムをおとりになる、学問が開かれたものであると言うならば、それに制限を加えたり、あるいはそれは許可がなければ使えないとか、そういうかた苦しいことを言えばこれは広がらないんじゃないか、もっと、放送大学学園法ができて放送を始めたというならば、どこででも批判してくださいというような態度でなければクローズドの大学になってしまうんじゃないか、そういうことを私は言っておるわけです。
#159
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の放送そのものは広く学生に限らずどなたでも視聴できるわけでございまして、一般視聴者からいろいろ意見を言われた際に、それを放送大学側でどう受けとめるかというような御質問も前にいただいたわけでございます。やはりそれは、学内組織としてしかるべき委員会でそういう意見を受けとめることが必要ではないかということを申し上げたわけでございます。
 放送大学の放送なり事業そのものを、私どもも決して、ほかの大学に対していわゆる閉鎖的な対応で臨むということは考えられないところでございまして、御指摘のような放送大学の教材そのものが広く公開されるということはもちろん望ましいことでございますし、また、そういうほかの大学等からの批判と申しますか、そういうものもあれば、それをまた放送大学側におきましても受けとめるためのいろいろ具体の対応ということは考えられてしかるべきことではないか、かように考えます。
#160
○高木健太郎君 私が言うのは、地方局をこれから二百ぐらいつくっていく、あるいは放送衛星もおつくりになる、それはいいですが、第一期をつくってみて、いろいろ悪いところは直していくということで第二期にかかられるような印象を受けたわけです。そういう意味では、もう一つの方法として、ビデオというものを各大学に、地方に回してそこでやらしたならば、もう一つ第三の方法としてこの放送大学が生きてくるんじゃないか、そうすれば第二期をお進めになるときにそれが非常に大きな参考になるんじゃないか、こういう意味で申し上げておるわけです。
#161
○政府委員(宮地貫一君) ほかの大学で教材としてどう使うかという具体の問題はいろいろと具体の処理として、大学のカリキュラムの中にどう取り込むかとか、そういういろいろな事柄として処理しなければならぬことはいろいろとあろうかと思っております。放送大学の応げ方といいますか、地域的な広がりを考えるための一つの手だてとしてビデオをどのように使って考えるかという問題になりますと、その点は、ビデオカセットをつくってそれを広く一般の使用に供するということはもちろん考えるわけでございますが、放送大学の事業そのものとして第一期の対象地域外に広げる際に考えますと、学習センターなり面接授業の問題をどうこなしていくかとか、そういう具体の問題の処理のことが、また具体的にどう処理をしていくのか、そこを考えていかなければならぬ課題というものはまた出てくるのではないか、かように考えております。いずれにいたしましても、なるたけ一般に広くこの放送大学が利用されるために、たとえば、御指摘のビデオカセットの作製、そして、それが広く利用されるように考えるということは一般論としてはもとよりのことであろうか、かように考えております。
#162
○高木健太郎君 スクーリングというのは、そのように人と人との触れ合いということをやろうという意味でお考えになっていると思うんですが、スクーリングであってもテレビに撮れないことはないわけなんでして、テレビがいいということになればスクーリングだって撮っておいてもかまわないんじゃないか。だから、それをずっと広げていくと本当の意味の放送大学ということになるわけですから、もしもスクーリングの方が大事でということであれば、やっぱりテレビというのは余りよくないとか、そういうことも起こり得るわけなんだから、私は何も講義だけをそのようなビデオに撮ると、スクーリングの方はこれは本当の人と人との触れ合いだから、これはもう放送では得られないことである、そういうふうに考えるのも妙じゃないかと。もうスクーリングも何もかも撮ってしまって、それを全体の批判に仰ぐというふうなことが第二期に進むまでの一つの方法じゃないかと、そういうふうに思います。
#163
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、この放送大学をなるたけ早く全国的に広めるために、具体の施策としていろいろと考えられる点は私どもも考えていかなければならない課題であろうと、かように考えます。
 いま御指摘のスクーリングを含めてビデオカセットで撮ったもので広げる方法というふうなことでも考えられるんではないかという御指摘もございましたが、そういうような御指摘も、今後具体の施策を考えていく際には私どもとしても十分検討をさしていただきたいと、かように考えます。
#164
○高木健太郎君 スクーリングではそのほかに実習ということもあるようでございますが、そういう実習、実験でも最近はそういう実習、実験の予備として実際にやっているところをテレビに撮って見せるとか、物理でも化学でももう見せていることでございますから、もう一度、まあ全部というわけにはいかないでしょうけれども、ある程度のものは全部ビデオにおさめて、どういうことをやっているのかというようなことを見せて、全体大学陣のそういう教師たちの一つの批判の道具にしておくと、それが第二期に進むときに非常に大きな効果があると。もうビデオだけでいいということであれば、何も各地方にたくさんつくらなくてもそれで済むんじゃないかという気さえするわけです。だからこれは、人工衛星とか、あるいは地方局をたくさんつくるとか、それは時間的に同時になるでしょうけれども、何もビデオで撮って一日おくれだって決して差し支えないことじゃないかと。そういう意味では、そういう第三の方法もひとつお考えになってはいかがなものか、こういう意味で申し上げるわけです。
#165
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のビデオカセットそのものは私ども放送大学そのものとしてもカセットそのものはつくって、それを印刷教材と同じような形で一般に市販されるということは当然に考えられるわけでございます。地方の方々がそれを利用して学習をするということももちろん当然に考えられます。問題は、大学の正規の学生として登録をする手続でございますとか、そういう形になってまいりますと、いろいろ御指摘の点ではスクーリングの点もビデオカセット化できるではないかというお話もございましたが、やはり正規の学生としての登録その他の手続ということになりますと、ビデオカセットという方法だけで済まされるのかどうか、その辺もやはり検討はしてみなければならないんではないかと思っております。一般論として放送の日時にはかかわりないわけでございまして、ビデオカセットを市販されて、それで勉強する方々に対してはもちろん便宜を図ることは当然のことでございますし、またそれを具体の大学の組織体の広げ方としてどう考えるかということもそれは御指摘の点としては出てまいる点であろうかと思いますが、大学の組織そのものの広げ方としてどう取り組むか、そこにはまたいろいろと検討課題も出てまいるんではないかと思います。それらは具体的には今後検討さしていただきたいと、かように考えておるところです。
#166
○高木健太郎君 大学の学生になるというのは、結局何かある資格なり免許証がもらいたいということでございまして、午前中のお話でもちょっとあったように、これが真の意味の文化国家をつくるんだ、国民の文化のレベルを上げる、本当に学問を愛するんだと、こういうことであるなら、何も私、学校へ入らなくてもいいので、そういう人たちは何もわざわざ忙しいのに出かけていかなくても済む。しかも、そういう方法をとれば、非常に大きな金を使わないでも、あるいは行革の方が今後第一期が済んだ後、やっぱりだめだから人間をふやさないとか、お金もこれ以上出さないというようなことにもしなった場合、そういう場合に備えてでも、これを第一期のときに十分ひとつ検討を重ねておかれるということが私大事じゃないか、こういう意味で申し上げるわけです。よろしょうございますか。
 それじゃ次ちょっとお聞きしますが、お出ししましたあれとはちょっと順序が違ったと思いますが、教官の任期制についてひとつお尋ね申し上げたいと思います。
 午前中もちょっと申し上げましたように、これら任期制というのをお考えになった理由というのは、私の想像では余り同一のあるいは同一傾向の教官がそこで教えているということはそういう色がつくんじゃないかとか、いろいろ御心配になっているんだろうと思うんです。そういう意味で、それ間違いましたら、またその点も御訂正願いますが、そういう任期制をやるのは私はほかの大学でも、現存の大学でも、あるいは研究所におきましても、任期制というのはアメリカと同じようにとるのが非常に望ましいことではあると思います。また勉強しなければ、もう研究もないという者はもうそれでやめてもらうというぐらいの厳しさは教官にとって私非常に重要なことだと、それはまた学ぶ学生にとっても私非常に重要なことであると思うわけです。ところが、実際にはこれなかなか運転できないんじゃないか。この任期制をおとりになるということについてどれぐらいの自信と、それからどれだけの受けざらをお考えになってこの任期制というものをお考えになったのか、その点をひとつお聞きいたしたい。
 もう一つは、任期制でやって五年でおやめになるとか四年でやめられるという場合に、その退職金とか年金というものはどういうようにお考えになるのか、そういう点をひとつお答えいただきたいんです。
#167
○政府委員(宮地貫一君) 任期制を考えました趣旨というのは先生御指摘のような事柄が基本でございます。放送を通じまして国民にすぐれた講義を開放するというためには、特定の教員が永続的に放送大学の教員の地位を占めるということが適当かどうか。そういう点が基本的にございまして、全国にわたりましてトップレベルの教員が適宜参加できるというような体制をとるということが望ましいんではないかということで考えたわけでございます。
 問題は、それでは任期制ということでうまく本当にローテーションをするのかどうかというお尋ねでございますけれども、その点についてはまさにこれは具体に個々の教官の方々につきまして、それこそ国公私立の既存の大学との間での協力関係というものがうまくいかなければ――御指摘のように本当に任期制を考えたのは確かにメリットもあるけれども、実際に本当に回転がするかどうかという点で、現実の問題でいろいろとまた壁もあるということも、私どももそのとおりであろうかと思います。しかしながら、私どもは各関係の大学関係者の御理解と協力をいただきまして何とかこの任期制がうまくローテーションするように、その点は放送大学と関係大学との間での円滑な協力関係が成り立つということが前提でもございまして、それがうまく回転するように私どもも極力努力をいたしたいと、かように考えております。
 それから具体の問題で年金その他のお話でございますが、国立大学の教官として在職いたしました期間というのは国家公務員共済組合法が適用されまして、片や特殊法人放送大学学園の教員として在職した期間は厚生年金保険が適用されるという仕組みにこれはなるわけでございます。そして、その期間を合算して二十年以上となる場合には通算の年金制度の趣旨に沿って、それぞれの制度から年金が支給されるという仕組みになろうかと思います。これは地方公務員等共済組合法が適用されております公立大学の教員、あるいは私立学校教職員共済組合法が適用されております私立大学の教員が放送大学学園の教員となった場合も同様の扱いになろうかと思っております。
 それからもう一つは、国公立大学の教官が任命権者の要請に応じまして特殊法人の職員に転出したときには、その転出の日から五年間は引き続き国家公務員共済組合または地方公務員共済組合の組合員とする道も開かれておるわけでございまして、放送大学の教員についても同様の措置を講ずることが可能でございますし、私どもとしては、そういう措置を、具体的には政令で措置をする問題でございますけれども、同様の扱いを考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
 それから、退職手当の問題でございますが、退職手当は文部省所管の特殊法人で申しますと国家公務員等退職手当法施行令第九条の二の特別法人に指定されておりまして、この特殊法人の退職手当に関する規定は国家公務員との通算関係を規定することによってお互いに通算をするということになっております。したがって、これは退職手当につきましても相互に、国公立の教官からこの特殊法人の放送大学学園の教官になりましてもそれは通算措置をとるというのが基本的な考え方でございます。
#168
○高木健太郎君 その任期は大体何年でございましたでしょう。教授、助教授、助手みんな同じでございましょうか。
#169
○政府委員(宮地貫一君) 任期の期間については御検討いただかなければなりませんが、一般的に言えば五年程度が適当ではないかというぐあいに考えているところでございます。
 なお、教授、助教授等で任期の期間を同じにするか、別途定めるべきか、それらの点についてもなおそれは検討課題であろうかと思います。
#170
○高木健太郎君 任期制というのはよく言われることでございますけれども、いままでは少なくとも一回もうまくいったことはない、そういうように非常にむずかしい面があると思うんです。りっぱな人であればあるほどなかなかそれは得にくいし、また、一度位置を離れますとそこへ戻るということはほとんど不可能であるということでございます。そういう意味では、この任期制のときに、たとえば放送大学の人は客員教授であると、一年とか二年とかたとえば外国に留学させたときのような客員教授的な一つの考え方、そういうものはどうお考えでございましょうか。
#171
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のような客員教授という考え方ももちろんこの放送大学についても当然に考えるわけでございまして、形といたしましては併任という形になるかと思いますけれども、客員教授ということで関係者に御協力をいただくということも当然に予定いたしておるところでございますし、またそうでなければ本当にりっぱな方々に御協力をいただけるという点がなかなかむずかしい点もあろうかと思いますし、そういう点では客員教授も含め、要はりっぱな先生方にこの放送大学の専任であれ、客員であれ、そういう形で御協力を賜って、内容的にすぐれた授業内容が確保できるようにするということが成功させるための非常に一番大事なポイントではないかとも思っておるわけでございます。そういう点で、教官の確保についてはなかなかむずかしい面もございましょうけれども、そういう客員教授を活用するとか、いろいろあらゆる手だてを考えまして努力をしなければならぬ点であろうかと、かように考えております。
#172
○高木健太郎君 そのときはもちろん、いわゆる正規の専任の教授として客員教授をお雇いになるわけで、非常勤ではないわけですね。そっちはどうなんですか。
 というのは、先ほどお話もありましたように、まあ行革の問題もあるし、定員をこれ以上ふやしていくというようなことは非常にめんどうなこともあろうかと、しかもいい人を得たい、こういう両方から責められておるわけですから、それを何とかして成功させるためにはそのような措置を講ずる方がいいのではないか、こういうふうに思うわけです。
 それからもう一つは、そこの設備あるいは施設は共同に利用するように自分たちは考えているとおっしゃるわけですけれども、任期制にしましてその人がどっか移ってしまいますと、同じような研究する人というのは非常に求めにくいわけでございまして、そうすると、そこにまた異質の人が入ってくる。その場合には、その設備を全部変えなければならぬ。現在もいわゆる保管転換ということが行われておりますけれども、そういう意味では非常に流動的な研究室しかできないんじゃないか。たとえば五年で研究室ができるということは通常あり得ないことでございまして、五年でやっと準備ができた、それから十年たって初めていい仕事ができ始めたというのが通常の研究者の実態でございます。
 そういうときに五年制の任期制をつくって、そこで仕事をしようと言ったところで、それはしゃべる方の商売であって、決して自分の実質はそこでは実らない、こういうことが起こってくるわけです。そうなれば、ある大学におった人がそこに客員として行くときにはその道具をそこへ持っていく、あるいはそこで教授になった人がその道具をまた持って帰るというようでなければ、この任期制というのはうまく成功せぬのじゃないか、その点はいかがお考えですか。
#173
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように任期制の問題自体についてもいろいろと考えなければならないいろんな問題点はあろうかと思っております。しかしながら、具体にはこの放送大学の評議会の議を経て学長が決めるということになっておるわけでございまして、私どもとしては任期制のメリットというところにも着目してそういう制度を導入し得る考え方を取り入れたわけでございますが、お話しのように、それでは現実の任期制がどう定着できるかという点についてはいろいろと御指摘のような点も検討しなければならぬどころではないか、かように考えております。
 たとえば研究室についてただいま具体の例がお話があったわけでございますけれども、研究者がうまく同じ研究課題でなかなか引き継げないと、それでは研究室というものがなかなか定着しないではないかという点も、確かに実際の問題としてはそういう問題点も出てまいってこようかと思います。それらの点はこれから大学自身で実際の対応としては考えていただかなければならぬ点でございますけれども、私ども提案いたしております趣旨なり理由は、先ほど御説明しました点でございまして、それを現実の面でどう適用させていくか、それはこれからの現実の対応として考えていただきたいと、かように存じます。
 なお、これらの制度そのもの、任期制の問題も恐らく取り入れるとすれば大変新しい試みでございまして、一つの新しい試みを進めていくに当たってなかなか既存のところだけではそれが実行できないというこどもございまして、新しいところで新しい試みにも取り組んでいただきたいという気持ちで私どもも考えているわけでございます。
 ただ、そのことが結果としてすべてマイナスになるということに働くのであれば、それは制度として考え直さなければならぬ点でもございますし、その辺は十分関係者に慎重に御議論もいただき、御検討いただいて、しかし新しい仕組みについてもやっぱり取り組んでいただきたいという気持ちもございます。その辺は十分御検討をいただかなければならぬ課題であろう、かように考えます。
#174
○高木健太郎君 私、任期制が悪いと言っているわけじゃないんですけれども、まあ放送大学にしろ任期制にしろ新しい試みをここに持ってきてみよう、いわゆる教育改革をここで少しやろうというその気概は私は非常にいいと思うんですけれども、ただ任期制はおもしろいからやってみようというんではいけない、やるならばそれ相応の考え方あるいは準備を十分しなければ、これは結局は失敗するんじゃないですかということを申し上げているわけなんです。
 もう一つお聞きしたいのは、学習センターというところでいろいろの実験もおやりになる、実習もさせるということでございますけれども、そこを担当する先生というのは非常勤でお雇いになる方が非常に多いと思うんです。もちろん専任の教官もおいでになるでしょうけれども、非常勤の人がお手伝いにならなければ何カ所と設けた学習センターではやれない。その場合に、非常勤というのは、やはり大学の先生なり研究所の先生をお呼びになる以外になかろうと思うんですが、その方々のその任務を考えてみますと、かなりオーバーワークになるんじゃないか。非常勤の先生でどこかにお勤めになっていると、正規の勤め口があるという方は、実はそこだけで私は十分いっぱいいっぱいのことをやっておられるんだと。それを放送センターの方にこの人はいいからとやりますと、来いと言われればちょっと断るとぐあいが悪いというようなことがあってその人はおいでになる。そうすると、せっかく自分の正規の勤務先で十分な業績を上げておられる人が、そういうところへ引っ張られていったためにその人一人が死んでしまうということにもなりかねない。というのは、その方は第一に放送される放送を見てなきゃいかぬですね。自分がつくったものじゃないんだからそれを見てなきゃいかぬ。それを見る前にその放送される教官と十分な打ち合わせをして、自分の意見もそこの中に入れなきゃいかぬ。その打ち合わせの時間が要る。その時間はかなりかかるだろうと私は思うんですね。意見も違いますし、かなりかかる。それからその放送を見る。それから今度は帰ってきまして学生と面接をしていろいろの授業に当たられる。今度はそれに対してアンケートをお出しになる。それのテストもおやりにならなければならない。そして判定もする。そして研究もする。こういうことになるわけです。そういうことが果たして少数の非常勤でカバーできるのか、これを私、一番心配しているわけです。現在大学にお勤めの先生は、皆さん御存じでしょうけれども、少し上になってきますといろいろな委員会があったり、あるいは政府関係の仕事もありまして、いろんなところへ引っ張り出される。少しよくなればよくなるほどそういうところへ引っ張り出される。そのためにその人の一生をつぶしてしまう、いわゆる学者としての一生をつぶしてしまう、こういうことになりかねない。特に非常勤の若い先生を引っ張ってきますと、そのためにそこで若い先生の伸びがとまる。そういうこともありますので、このいわゆる学習センターで非常勤でお雇いになる先生方をどういうふうにしようとお考えなんですか。そういうことは絶対にさせないと、邪魔にならぬようにしますという自信がおありになるかどうか、それをぜひお伺いしておきたいと思うんです。
#175
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の学習センターでの教官組織で非常勤でお願いする方々が多くなる、これはそういうことにならざるを得ないかと思っております。私どものただいまの試算で申し上げますと、まあ一センター当たりで約三十人で行うということを予定しておるわけでございますが、私どもの現在試算している点で、現段階の事務的な試算ということになるわけでございますが、持ち時間がどのぐらいになるかという点でございますけれども、具体的には毎週三コマ、一コマが九十分授業ということで考えまして、これは学生数でございますとか教官の数から計算をいたしました一人当たりのおおよその事務的な試算としてそれぐらいの負担ではないかという計算をいたしております。先生御指摘のように、学習センターでの授業というものが大変大事であり、かつこの放送大学ということに伴います通常の場合の非常勤で講義を分担するということよりも、大変いろんな面で、たとえば本部の教官の方と事前の打ち合わせを要することでございますとか、あるいは御指摘のような放送の中身について事前に主張する必要があることでございますとか、いろんな点で従来の勤務形態とは全く異なった別の負担というものが確かに御指摘のように想像されるわけでございます。
 そういうような面ももちろん現実問題として考えなければならぬ点でございますし、また現実にそれぞれの方々が実際持っております本務の方との調整ということももちろん大事なことでございます。そういう点も勘案いたしまして、事務的にはただいま申しましたような想定で非常勤の教官数というものも設定をいたしておりますけれども、これはそれぞれの学習センターでの実際の学生の数が現実問題どのぐらいになるかとか、あるいは学習センターでの実際の授業科目がどういうものになるかとか、現実の問題でやはりいろいろと対応すべき問題点も出てまいってこようかと思います。御指摘のようなこの放送大学の非常勤講師を務めたために本務の方が非常な影響を受けるというようなことはもちろんあってはならぬことでございまして、そういう点は実務の態様といたしまして十分考えてまいらなければならぬ課題であろうかと、かように考えます。
#176
○高木健太郎君 これはちょっと考えると簡単なようですけれども、実際は何か自分が現在大学でやっていることと、放送ということになると、これは人が組んだプログラムですからね、自分がやっているんならそれは構いませんけれども、非常勤の人というのは押しつけられてそれを教育しなきゃならぬということで、自分自身には余り情熱がわかぬのじゃないかなという気もするわけです。しかも、地方から本部というとどこかへ行かなきゃならぬ、千葉なら千葉に。それをそのたんびたんびに打ち合わせに行くというんじゃなくて、電話でやるとかいろいろなこともお考えになっているんでしょうと思いますけれども、しかし実際は、討論し合って、自分はこういうプログラムをつくってもらいたいという希望をやらなきゃならぬ。そうすると、三コマといってもそのために何回かは千葉まで行かなきゃならぬ、そういうこともそこへ起こってくるわけです。だから、これは私そう簡単に考えてはならぬことで、この放送大学の一つの特徴は、放送大学では研究というのは余りないんですね。特に非常勤の人はほとんど何もないわけです。それで私は、やっぱり教育というのは自分自身が何か経験をし、そしてそれで研究をし、そのときに初めて教育というものに力が入るし、それに学生は応じてくるというのが、私、本当の教育だと思うんです。それをほかの人がつくったテレビの番組で自分がそれをただ説明するだけだというような形にこれがなって、そのために自分が暇をつぶされると、何のために自分は学校の教官としてやっているのか、その人の意味を失ってしまう、こういうことがあってはいけないので――ただ、現在行われているように、非常勤は自分が行って自分の思うことをどこかの学校でしゃべってくるんですから、それとこれとは全然異質のものなんです。そういうことは十分これ考えておかないと、多くのこれから伸びようとする人をこのためにつぶしてしまうということだって、ぼくは起こり得ると思うんです。その点はひとつぜひお聞きしておきたいと思うんです。
#177
○政府委員(宮地貫一君) 先生御指摘の点は大変大事な点だと思いますので、私どももこれからつくられてまいる放送大学の、また学習センターの実務の運営に当たってそういう配慮をした対応をしなければならぬというのは御指摘のとおりだと思います。そのところは十分対応をいたすべき事柄だと、かように考えます。
#178
○高木健太郎君 重ねて申し上げますけれども、番組は番組の制作部の方でつくる。それはある本部の所属の先生方が何かおつくりになる。今度はそれの解説者としてスクーリングのところに、ある専門の教官が行く。これがうまくいくかどうかがぼくは非常に問題である。その点は十分にひとつお考えいただきたいと、こう思って発言をしたわけでございます。
 もう一つは、この非常勤の先生方に対する研究費の補助、あるいは図書その他の補助というものはお考えになっているかどうか、それをお聞きしたい。
#179
○政府委員(宮地貫一君) 研究費の補助をどう考えているかというお尋ねでございますが、非常勤の方々、特に学習センターでの面接授業担当の方々の研究費のお話であろうかと思いますが、一般論でのお答えになるわけでございますけれども、国立大学の場合の考え方はやはり参考にいたしまして、研究費についても当然計上すべきものと、かように考えます。
#180
○高木健太郎君 いまの非常勤のことでもう一つお聞きしておきたいと思うんですけれども、あるプログラムができておる、それをそのままこちらで解説をする、そういう形にならざるを得ないと、非常勤というのは。そうなりますと、わざわざそこへ教授の人あるいは助教授の人を非常勤で呼んでくるんじゃなくて、助手でもできる仕事じゃないかと思うわけです。その点はいかがお考えですか。
#181
○政府委員(宮地貫一君) 具体的には最初番組をつくる際にコースチームが編成されてつくられていくことになるわけでございまして、それぞれの学習センターでその授業科目についてだれをお願いするかということも事前に相談が最初になされることになろうかと思います。対応といたしましては、たとえば具体的にただいま助手クラスの人も考えられるかというお尋ねでございました。事柄によりましては、もちろんそういう適任者がいれば、そういうことも考えられるのではないかと思います。
#182
○高木健太郎君 しかし、いま助手は教官として参画することはできないんじゃないんですか。講師以上でなければならぬと、そういうことになっていると思うんですけれども。
#183
○政府委員(宮地貫一君) 原則論のところで先生いま御指摘があったわけでございますが、学習センターでの面接授業のあり方、もちろん学習センターの機能の具体の中身になるわけでございまして、通常言われますような教室での講義ということだけではなくて、いろんな機能が、そこにはカウンセリングとしての機能とかそのほかいろいろな要素も考えられるわけでございます。大変具体のケースについてのお尋ねでございますので、ちょっと私も具体的なケースが、現実問題としてコースチームの組み合わせがどういうことになり、そしてまたそれが具体の本部と学習センターとの組み合わせがどうなるのか、そういう点がこれから行われるわけでございます。コースチームを組んで教材作製等にはそういう関係者が集まっていろいろ協議をし取り組んでいくということになるわけでございまして、具体の学習センターでの指導といいますか、いま御指摘の助手ではできるのかどうかというお尋ねでございますが、その辺についてはこれからの判断に待ちたいと思います。
 いずれにいたしましても、そういう実際問題としての具体の処理というのは、単にテレビを使うという点だけが新しいという意味ではなくて、そういう放送とそれから実際の学習センターとの組み合わせと、そういうところなんかが一番問題点といいますか、実際の問題の処理に当たって具体の処理としていろいろと今後検討課題が出てくる点ではないかと思っております。御指摘がありましたような御注意の点は今後の運営の面で十分生かしていくようにすべき事柄ではないかと、かように考えております。
#184
○高木健太郎君 非常にこれはむずかしいだろうと私は思うんです、こういうところは具体的には。しかし、ある程度具体的なことを詰めておかなければ実際問題になったときにそれが動かないということになるわけですから、この点を十分ひとつお考えになっておいていただきたい。たとえば、いわゆるカウンセリングとかスクーリングをやる人が実際は番組をつくる本部の教官あるいは教授たちと話し合わなきゃならない。片方は助手であると、片方は教授であると、また学校が違うし、先生が違うとかいろんなことがありまして、その間にごたごたが起こりやすい。そういうことまで考えておかないと現実には動かない。じゃ、ある大学の者だけで何かやるということになると、またそれが問題になる。こういうことになりますから、具体的なことはこれから考えますと言われますけれども、ある程度具体的に掘り下げておいてからじゃないと、余り決めては私はいけないんだと、こう思いまして念のためと思ってひとつお話し申し上げたわけです。
 それから、先ほど小野先生からもお話がございましたけれども、第一期だということで放送学園というものをまず頭だけつくるんだと、それからだんだん考えていくと、これは私はいいと思いますが、この冊子が昭和五十年につくられているわけでして、まあ五年半ぐらいたっているんではないかと思うんです。これをある程度やっぱりもう一度検討し直して、改むべきところは改めておかれる方がいいんじゃないかと思いますし、それから、この第一期をおやりになりましていろいろの不都合ができてくるんじゃないか。あるいは法案まではいかないかもしれませんけれども、その他にいろんな変更がある、そういう場合にはまたこういう場所で御審議をやられるお気持ちがあるかどうか。その点、大臣からひとつお答えいただきたいと思います。
#185
○国務大臣(田中龍夫君) 本日先生の御所見を拝聴いたしておりまして、本当に私は一言一言が非常に貴重な御意見だと、現場を実際に運用してまいります場合に、特に学閥でありますとか、いろいろとふくそうした教授陣営というもののあり方を存じておりますだけに肯綮に当たる御注意だと思います。
 その結論といたしまして、いまお話しになったようなことを実際に軌道に乗って運営してまいる際に再度そういうことを反省し、また、御高見を拝するような機会が今後も持たれるかどうかというお話でございますが、それこそ私はなおさらその必要性を本当に痛感すると同時に、そういうふうな具体的な問題を生かしていかなければとうてい円滑な運営はできない、こういうふうにしみじみと思う次第であります。なお、最初に筋を引いてそれが軌道に乗りますと、それを改めるということはこれまた大変むずかしいことでございます。それだけに特に十二分にいまの御注意のようなことを銘記しまして、そして今後さらにそれを改善し改善していかなければりっぱなものにならないということを本当に考える次第でございます。ありがとうございました。
#186
○高木健太郎君 もうちょっと時間ございますので。
 まあこれは国立でございますから別に大学のカラーとかあるいは建学の精神というようなものはないのかもしれませんけれども、何だかこれは学校に入ったらただ習いたいものを教えるぞというので、そこに何か一本何の筋もない、放送大学というのはそこへ行って聞けば免状が取れるんだよという自動車学校か何かのような気がするので、もうちょっと大学らしいものがあってもいいんじゃないか。いや教育基本法によるんですと、これじゃやっぱり弱いんじゃないか。やはり大学をおつくりになるとすれば、大学自体は、この大学はこういうところに特徴があってこういう人間になってもらいたいんだと、こういうことがどっかあってもいいんじゃないか。お書きになると差し支えがあるからお書きにならないのか。あるいはもう基本法でわかっているからそれは言わないでもわかっているとおっしゃるのか。何かこの文章を見てますと広く学問を与えるんだというようなことだけでございまして、ただ事実だけをどんどん教えていく、何だかそういうところだと講習学校か何かのような気がするんですね。そうじゃなくて、少なくとも大学というものをつくるんなら、その大学のカラーなり建学の精神なりがこの中にある程度どこかに浮かんだった方がいいんじゃないかと、そういうふうに思うんですが、その点ひとつお答え願います。
#187
○国務大臣(田中龍夫君) 最後におっしゃいました問題は、これはまたなかなかむずかしい問題だと存じます。つまり特に価値観の多様化いたしております現代の社会構造において、このような寄り合い世帯と言っちゃおかしいですけれども、方々から集めてきましたオフィサーの考え方というものは本当に多種多様であろうと思います。そこに新しい建学の精神ができればそれはまことに結構なことでございますが、事実問題としては非常にむずかしいだろうなあと思いながらいま御発言になったんだろうと私も存じますので、よろしくどうぞお願いいたします。
#188
○高木健太郎君 じゃ終わります。
#189
○委員長(降矢敬義君) 本案に対する審査は本日はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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