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1980/04/21 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第9号
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1980/04/21 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第9号

#1
第094回国会 文教委員会 第9号
昭和五十六年四月二十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     浅野  拡君     藤田 正明君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬義君
    理 事
                大島 友治君
                世耕 政隆君
                勝又 武一君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                井上  裕君
                山東 昭子君
                田沢 智治君
                内藤誉三郎君
                仲川 幸男君
                松浦  功君
                小野  明君
                粕谷 照美君
                本岡 昭次君
                柏原 ヤス君
                高木健太郎君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
   政府委員
       文部政務次官   石橋 一弥君
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省学術国際
       局長       松浦泰次郎君
       文部省社会教育
       局長       高石 邦男君
       郵政省電波監理
       局長       田中眞三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       郵政省電波監理
       局放送部長    富田 徹郎君
   参考人
       京都大学霊長類
       研究所長     河合 雅雄君
       放送教育開発セ
       ンター教授
       東京工業大学工
       学部教授     坂元  昂君
       立教大学文学部
       教授       室  俊司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○委員派遣承認要求に関する件
○放送大学学園法案(第九十三回国会内閣提出、
 衆議院送付)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 放送大学学園法案審査のため、来る五月十一日及び十二日の両日、札幌市及び広島市において現地での意見聴取等を行うため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員の決定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(降矢敬義君) 次に、放送大学学園法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○粕谷照美君 文部大臣にお伺いをいたします。
 きのうの午後、大蔵省の松下主計局長が鈴木総理のところへ行きまして、来年度の予算編成の方針の進め方などについて説明して、大筋で了解をされたと、こういうことだそうであります。
 また、第二臨調が発足をいたしまして、行政改革推進本部もいよいよ政府の中にできていると。こういう中で、補助金整理の筆頭に社会保障と、それから教育問題がいつも挙がっておりました。予算委員会の中でも一番補助金が多いのは教育と、それから社会保障だと、こういうことももう毎日のように言われていたわけでありますけれども、この四十人学級がそのやり玉に上がっている、それと絡まって、新しい特殊法人であるこの放送大学学園法案を出してくる。この辺のところの文部大臣のお考えをお伺いをしたいと思います。
#7
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 御案内のとおりに、昨日政府等との間の第二臨調というものの発足と申しますか、最初の会合を持ったわけでございます。で、その中でも、ただいま御指摘のありました大蔵省の予算編成の問題と、それからまた行革の第二臨調の問題との間に、いろいろと考え方や見方の相違があってはならないというような意見も出たわけでございます。御承知のとおりに非常に厳しい財政状況の中でございますし、しかし、その中におきましても一つの筋を通した行政並びに政治の理想というものが貫かれなきゃならぬ、ただいたずらに実務的な面からのみ査定すればいいんだという考え方ではいけないというような議論もいろいろ出ました。
 で、私文部大臣といたしましては、他省庁の場合とわが省の場合とは非常に違うということは、この構造から言いましても、御承知のとおりに補助金というものが七割見当で、それは同時に普通の役所の補助金と違いまして人件費でありますのでありまして、そういう点では、一律の考え方では私の省は律せられないものがあるということは篤と申しておきました。
 そういう中におきましても、いろいろと懸案といたしまして出ておる部分もございますが、まだわれわれの方といたしましても、いまのメニュー化という言葉を使っておりますけれども、各省庁において自分でひとつ考え方をまとめて、それを臨調の方に出してほしいというようなことも前から言われております。私どもは、御審議いただいております既定計画というものは、これはぜひとも目標どおり成立を得なきゃならぬということも政府の方に――私どもも政府でございますが、官房長官なり総理の方には申してございます。その点は御懸念は要らないと思います。
#8
○粕谷照美君 もう少しはっきりお伺いしたいことは、放送大学をぜひつくりたいと、こういうことを絡まって、元文部大臣の内藤文部大臣が非常に御苦労をいただいてかち取ったあの四十人学級というもの、これを犠牲にするというようなことはお考えはないわけですね。
#9
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまも、私の方の役所のたてまえが、教育ということと人と――人がもとになっての教育でございますから、また四十人学級等の問題につきましては何ら今日まで触れておりません。
#10
○粕谷照美君 先週の委員会におきまして、小野委員が指摘をいたしました「放送大学の基本計画に関する報告」の中の「完成時最大規模」、これの指数のとり方が違うではないか、非常に大きな問題だと思うわけであります。この辺はどういうふうなことになりましたでしょうか。
#11
○政府委員(宮地貫一君) 先般御説明を申し上げたわけでございますけれども、指数のとり方といたしましては、私どもは五十四年度価格は消費者物価指数、総合の指数で五十四年度一二七という数字をとりまして試算をいたしたものでございます。
#12
○粕谷照美君 小野委員の指摘と違うのはなぜかと、こう聞いているのであります。
#13
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の点は、国会統計提要にございます消費者物価指数の中で、五十五年度の指数を御指摘になったのではないかと思うのでございますけれども、私、御答弁申し上げた点で申し上げましたのは、五十四年度価格としては総合の消費者物価指数としての一二七という数字を使わしていただいて試算をしたということが御答弁申し上げた点でございます。その点、あるいは数字の点で私どもとの間でそごがあるという場合に御指摘があったわけでございますが、私どもといたしましても、とっております数字は、それが総合の数字でございますことは、総理府の統計局の消費者物価指数年報をもとにいたしまして試算をいたしたものでございますので、試算といたしましては先般御説明申し上げたことで、私どもの説明に手落ちはなかったと、かように考えておる次第でございます。
#14
○小野明君 ちょっと関連でお尋ねをしておきたいと思いますが、五十四年のそれは何月になりますか。
#15
○政府委員(宮地貫一君) 消費者物価指数年報、これは総理府統計局のものでございますけれども、五十四年の年平均の消費者物価指数、総合の指数としての一二七の数字を使わしていただいて、御説明をしたものでございます。
#16
○小野明君 もう一問。
 それでは、第一期計画の中には、不動産もあれば、あるいは消費者物価指数であらわされない、たとえば卸売物価指数というものも当然関連をしておるわけですね。たとえば土地、建物というものがございます。それらがあるにもかかわらず、消費者物価指数で、一〇〇分の一二七を掛けて一律に出すということはこれは誤りではないか、土地があり、上物があるという場合には。その点で、この第一期計画の、あるいは全体計画のはじき方としては適当ではない、むしろ誤りがある、こういうふうに申し上げておったわけですが、その点はどうはじき直されたわけですか。
#17
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、第一期の計画の具体の中身については、それぞれ施設なり、設備なりいろいろあるわけでございます。経費のめどとして私どもいま試算をいたしてあるものでございますから、とりました指数としては、先ほど申しましたような総合の物価指数をとらしていただいたわけでございますが、さらに、御指摘のように、実際の実施に当たりまして、経費を詰める段階で、御指摘のような点についてはさらに私どもといたしましても、今後の計画を進めるに当たりましての具体の実施計画と申しますか、それらに際しましては、御指摘のような点も十分踏まえまして検討をいたさなければならぬ課題と、かように考えております。
#18
○小野明君 それは衆議院の湯山委員の質問がありまして、その全体計画、「放送大学の基本計画に関する報告」、これの「完成時最大規模」並びに「第一期事業完了時最大規模」、この両方に関する試算のやりかえというものをやられたわけですよね。ところが、前回、委員会が終わりまして、文部省からもらいました資料は、第一期計画のみについてしてあるんですが、湯山委員の質問は、それと同時に、完成時問題も確かに修正をしなければならぬような問題ではなかったかと、こういうように思うんですよ。ですから、それらを早急に訂正をすべきだと、こういうふうに要求をしておったと思います。その辺もやられるならば、私は、経済企画庁あたりとも相談をして全体計画における数字――文部省がそういう消費者物価指数だけで手直しするなんというのは余りにもずさんではないかと、こう思うんですよ。ですから、全体的な手直しをして、審議にたえる素材を、審議にたえる計画案を提示してもらいたい、こういう要求をしておったように思います。その辺をひとつどのようにお考えなのか。これで終わりますが、ひとつお尋ねしておきます。
#19
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の点は、なお私どもとしても十分検討させていただきたい、かように考えています。
#20
○粕谷照美君 検討をさしていただきたいと言われますけれども、これは早急にしていただきませんと、法案そのものが非常に重要な時期にありますので早急に御回答いただきたい、こう思います。
 一ついま明らかになったことは、小野委員の質問をしたその数字は総理府統計局調べのものを使ったのだけれども、引用したその本の印刷ミスがあったというところから一つは出ているわけですね。五十五年のというところが五十四年になっている。これは大きな発行所のミスだというふうに思いますので注意をしていただきたい、こういうふうに考えております。
 それとあわせまして、いまの御回答をお願いしたい。
 私は、また、それに関連して伺いたいと思いますのは、この基本計画に関する報告の中で「第一期事業完了時最大規模」というのがあるわけですけれども、その後にいただきました半ピラのところには、それと合わさる数字が出ていない。この辺が私としては非常に不満なところであります。お出しになるならば、こういう数字もいただいておりますけれども、合わせたような形で数字を出していただきたいと思うのであります。
 さて、五十六年一月の「放送大学について」という報告の第一期計画を見てみますと、その第一期計画の中に資本的経費といたしまして累計約九十七億円、「本部用地及び学習センター用地(六ケ所)の購入費は含まれていない。」と、こう書いてあるんですね。この五十年の基本計画、三十六ページにありますけれども、それによりますと、第一期計画で学習センターは十七カ所つくる、予定は、こういうことになっていませんか。非常に大幅な減ですね。これは一体どういうことか。あわせて、学習センター用地の購入というのは必要ない、買わなくてもやっていかれるというように考えてよろしいのでしょうか、どうでしょうか。
#21
○政府委員(宮地貫一君) 第一の御指摘の「放送大学の基本計画に関する報告」の方にございます「第一期事業完了時最大規模」ということで試算をいたしたものでございます。御指摘のその報告の三十六ページに載っているわけでございますが、これは備考欄にも書いてございますように、各県学習指導センター十七カ所としてございますのは東北、関東、東海、近畿、四国、そのブロックを中心に考えたものでございまして、私ども、かねて御説明を申し上げておりますように、実際に、放送大学の実施に当たって具体の作業としてどういう手順で進めるかということについては、従来からも御説明を申し上げてきておるわけでございますが、当面第一期の計画といたしまして、東京タワーからテレビ・ラジオの電波の到達する範囲内を対象地域といたしまして具体の計画を作成をしてきておるわけでございます。一番大きなずれというのは、この基本計画に書いてございます第一期事業ということで試算をいたしておりますものと、私ども具体の予算を放送大学の実施に当たりまして、この「放送大学について」ということで御説明申し上げておりますことと、基本的に同じ「第一期」という言葉ではございますが、内容的には、当面は、私どもは関東地域でスタートをさせていただきたいということで従来から御説明も申し上げてきておるわけでございます。その点で、学習センターのとり方といたしましては、一応各県一カ所、東京の場合には二カ所というような試算をいたしておりますものですから、関東地域での学習センターの置き方としては六カ所ということで前回も御説明を申し上げておるわけでございます。
 なお、用地の購入費は含まれていないということで説明をしてございますが、用地については、実際に具体の土地のとり方によりまして大変価格に相違がございますというようなこともございまして、建物でございますと、一応単価をもとにいたしまして、建物面積が固まれば、一応それで積算というものが可能になるわけでございます、もちろん試算でございますけれども。ただ土地につきましては、地域によって大変土地の価格というものは相違があるということで、適当な単価で土地の価格を想定してなかなか出しにくいというような事情もございます。
 なお、具体の土地の利用の仕方といたしましては、私ども、当面は、たとえば国立学校特別会計で国立大学所管の国有地等についてどの程度実際に活用できるかどうかというようなことなどについても、具体的な検討なり調査というものは進めてはいるわけでございます。できれば、そういう国有地の借用というようなことで現実問題の処理がどこまでできるか、そういうようなことも具体の問題としては出てくるわけでございまして、そういうようなことを含めまして、ただいまのところ、その備考欄に御説明をしてございますように、用地の購入費は含まれていないということで試算をいたしたものでございます。
#22
○粕谷照美君 その学習センターは大体六カ所ということになりますね、計画で言えば。その六カ所が一体どういうところになるのかということと、その国有地が大体どの辺にあるのかということと非常に大きな関連があるというふうに思うわけですけれども、そんなめどはついているのですか。心づもりなどはあるのでしょうか、どうでしょう。
#23
○政府委員(宮地貫一君) 前回もお尋ねがあったわけでございますが、ただいま申しましたように、関東地域を対象地域としました第一期計画、具体の学習センターとしては、東京に二カ所、千葉、埼玉、神奈川並びに送信所を置く予定になるところの県に一カ所ということで六カ所というのをこの第一期の計画で考えておるわけでございます。
 そこで、この具体的な設置場所ということについては、もちろんこの学園が発足し学長その他教学関係者が具体の選定をすることになるわけでございますが、私どもとしては、それぞれただいま申し上げましたような、たとえば東京、千葉、埼玉、神奈川というような地域であれば、既存の国立大学の持っております土地で活用できるものがあるかどうかというようなことなどについては、現在準備段階という形で対応はいたしておるわけでございますが、具体の個所についてこういうところになるというところまで申し上げることではございませんので、いろいろと実際の学習の便とかそういうようなことも考えながら、検討は進めておるわけでございます。恐らく具体の学習センターの置き方その他については、さらにそれぞれの地域の実際の入学希望者と申しますか、そういうことも考え合わせていろいろと具体的にはなお検討しなきゃならぬ課題はいろいろあろうかと思っております。
 それから学習センターのあり方そのものにつきましても、たとえば一カ所の固定的な形だけで考えるべきかどうか、実際の運用としてはもう少しさらに学習センターのブランチのようなものも考えなきゃならぬということになるのかどうか、そこらの具体の進め方についてはもう少し実際の状況に即応したいろいろ検討課題が出てまいろうかと、かように考えております。
 基本的な考えといたしまして、試算をいたす上で何らか設定を要するということでございますので、もちろんその際には一応ただいま申しましたような個所数を想定いたしまして試算をしたものでございます。
#24
○粕谷照美君 大分腹案がありそうな御答弁ですけれども、まだ発表の段階に至らない、こんな感じで私はいまの局長の御答弁を伺いました。
 あわせまして、送信所一カ所とこの一期計画の中にはありますけれども、これまた最初の構想のときには第一期の計画は十三カ所のはずであります、数字で見るとわかるわけですけれども。この一カ所の建設費になるんでしょうか、三億八千二百万円、この辺も国有地などを借りるということで考えていらっしゃるんですか。
#25
○政府委員(宮地貫一君) 大変技術的な事柄になろうかと思いますので、私ども限りではなかなか御答弁がむずかしいかと思いますが、考え方で御説明を申し上げますと、この基本計画に関する報告の第一期事業ということで御説明を申し上げております送信所というのは、当面私ども関東地域、東京タワーからテレビ、ラジオの電波の到達する範囲内でのスタートと、地域のとり方が基本的に違うわけでございますので、この基本計画に関する報告で述べております送信所十三カ所というものとは異なってきております。
 それで、具体に関東地域において東京タワー以外に一カ所圏域送信所を設けまして、これからの対象地域の拡大の際の具体的な参考資料をとっていきたいということを考えておりまして、関東地域で送信所一カ所を置く考え方で計画をいたしておるわけでございます。
 その具体的な地域については、当該送信所からの電波がカバーする世帯数でございますとか、送信所設置の難易の程度でございますとか、いろいろいろんな条件をこれから検討しなければならぬ課題がございます。学園が設立されまして、放送局の免許申請を行うまでの間に、具体には郵政省等関係省庁とも協議して決めていくという段取りになるわけでございます。
 なお、送信所の建設費の積算を一応試算はいたしてございますが、恐らく送信所そのものの設置されます場所というのは山間部というようなところになろうかと思いますので、具体的なそのための土地の経費がどうなるかとか、具体のそれの手当てがどうなるかということについてはなお検討課題がございますが、そういう地域でございますと、土地の経費というものはそれほど大きい金額にはならないものではないか、かように考えております。
#26
○粕谷照美君 文部大臣、いまお聞きになってわかると思うんですけれども、一期計画で最初十七カ所の予定であった学習センターが、いまは六カ所の予算要求だと、そしてまた送信所なんかは十三の計画であったのが一つである。こんなことで全国ネットずうっとやっていくという見通しはどういうものなんでしょう。大臣としては必ず全国に放送大学の恩恵が浴するようにしていきたい、していくという御決意がありますでしょうか。
#27
○国務大臣(田中龍夫君) もちろん放送大学の設置に当たりましては、第一期の関東一円だけではなく、全国をカバーしなけりゃならない、これは当然のことでございます。いまのような各センターの設置の問題と、いま一つはさらに後の問題でありましょうが、宇宙衛星というふうなもののことも出ておりますことは先生よく御承知のとおりでございます。しかしながら、あくまでも全国ネットということを考えて計画を進めてまいります。
#28
○粕谷照美君 この計画についてはこれで終わりますけれども、基本計画の三十七ページに大学本部一般経費として全職員の給与は国立大学の一五%増であると、こういうふうに書いてありますね。国立大学よりも一五%給与をよくするということはどういう根拠に基づいて行われるものなんですか。
#29
○政府委員(宮地貫一君) この基本計画に関する報告の御指摘のところに、給与の考え方についてはそのように試算をいたしておるわけでございますけれども、これは特殊法人の給与全般の問題、これは現状でございますけれども、国家公務員の給与ベースと一般的に比較してみますと、給与体系の全体的なとり方その他があるわけでございますが、特殊法人の給与の場合が、通例国家公務員の給与水準よりも高い、これは退職金の問題でございますとか、いろいろな給与体系全体から来ておる諸要素が勘案されていることかと思いますけれども、御案内のとおり特殊法人の給与水準としては、通例そういう形になっておるものでございますから、それを一応試算をいたします際の基礎といたしまして、一五%増を基礎とした計算で作成をしたわけでございます。
 具体のこれからの給与のことは、もちろん今後この法人が発足をいたしまして具体に決まっていくことになるわけでございますけれども、考え方としては、やはりこの特殊法人の放送大学学園に教官層としてもすぐれた方々に来ていただくということも必要でございますし、そういうような観点から給与の水準というものも適切に定める必要、があろうかと思います。通例の水準から見たそういう国家公務員に比べれば、一五%程度の高い水準ということが、現状としてはそういう形で決められているわけでございます。
#30
○粕谷照美君 給与の問題は後でやろうと思ったのですけれども、出たついでに言いますと、国立大学の先生は一五%上増しということになりますから、おいでになるに当たっても抵抗はなく来ていただける。しかし、私立大学で考えてみますと、低い大学もたくさんありますけれども、いわゆる六大学とか言われるようなところではもっと水準が高いのではないかと思われるわけです。そういう方々についての給与というものは一体、やっぱり横並びで考えていかれるのですか、どうですか。
#31
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のような点が出てくることも考えられるわけでございますが、やはり給与の定め方としては横並びで全体としては定めざるを得ない、かように考えております。
#32
○粕谷照美君 私はこの放送大学の審議に当たって、全国網の見通しのないままに発足するならば、憲法二十六条に言う教育の機会均等の原則に照らして、準国営、多大の国費を使うわけでありますから、電波が届かないだけで学ぶ機会が与えられない、そういう生徒が出てくるということは非常に問題だというふうに思っているわけであります。特に放送大学の学習、放送大学で学びたいかどうかというこのアンケートをとっているわけですけれども、そのデータの中で東北地域だとか四国において一番希望が高かったということが出されているわけでありますので、この辺のところについての見通しというのを、先ほどから宇宙衛星の問題もありますしと、こんなふうにお話しになっていらっしゃいますので、一体放送衛星については現状はどのようになっているのかということについてお伺いしたいと思います。
#33
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 放送衛星でございますけれども、これは昭和五十三年度に実験用の中型放送衛星、別称「ゆり」と申しておりますけれども、そうしたものを上げまして、この実験成果を踏まえまして第一次世代の実用の放送衛星、BS−2と申しておりますが、それの本機を昭和五十八年度、予備機を昭和六十年度に打ち上げるという計画でございます。ただ、このBS−2の利用でございますけれども、NHKテレビジョン放送の難視聴解消が喫緊を要するという政策的な重要課題であるという観点、それから、これが既存の放送秩序に影響がないというようなことを考えまして、この五十八年、六十年に予定しておりますBS−2の利用計画についてはNHKの難視聴解消というものを目的として使用していこうということでございます。
 ただ、これに続きまして第二世代の実用の放送衛星でございますけれども、先ほど申しましたBS−2、一応寿命五年というふうに考えておりますけれども、そうした場合、六十三年度ごろには次の第二世代の実用衛星を打ち上げる必要があるというようなことでございまして、郵政省といたしましては昨年の夏、この第二世代の利用のあり方につきまして、第二世代の実用放送衛星の利用のあり方につきまして検討を進めておるところでございますが、全国的カバーということになりますと、放送衛星というものは非常に効果があるものでございますので、放送大学に利用した場合、十分その効果というものは評価ができるというふうに考えております。
#34
○粕谷照美君 そのBS−2ですけれども、チャンネルは幾つ乗っているんですか。そしてNHKだけのためにしかこれは使われないのですか。
#35
○政府委員(田中眞三郎君) BS−2でございますが、二チャンネル乗ることになっております。これは衛星の能力、あるいはNIIというロケットを使いまして打ち上げる計画でございますが、その第一号機は去る三月に成功をしておると、これの第五号機及び第八号機を使ってやろうと、こういうような計画でございます。
 繰り返しますけれども、二チャンネルというようなことになっておるわけでございます。
#36
○粕谷照美君 NHK。
#37
○政府委員(田中眞三郎君) それからBS−2につきましてNHKの二チャンネルだけという考え方でございますけれども、先ほども申しましたように、放送大学学園の放送にも使う場合、非常に有効でございますので、その利用方法につきましては文部省等、関係省庁とも緊密な連絡をとりながら検討を進めてまいりたいということでございますが、五十八年度に打ち上げ予定のBS−2というのは、国民的要望の非常に強いと申しますか、現在まだ全国で五十万程度の難視聴解消があるわけで、まだNHKのテレビも見られないという世帯がございますので、そうした辺地の方々のためにNHKの番組を見せたい、そうした目的のためにBS−2を使いたいというふうに計画しておるわけでございます。
#38
○粕谷照美君 そうしますと、二世代の見通しは六十三年ごろ、このころにならないと放送大学には利用ができないというふうにわかりますね、いまの御説明で。それでは、その二世代のロケットの中には文部省と話し合いをして入れていきたいというふうに考えていらっしゃるのかどうかということと、あわせてそれには幾つのチャンネルを乗せるんですか。
#39
○政府委員(田中眞三郎君) まず、六十三年ごろと申しますか、第二世代の実用衛星でございますけれども、これは先ほども申しましたように、利用のあり方というようなことで御検討いただいているわけですけれども、この時代になりますとロケットの方も、たとえばまだ確定はいたしておりませんけれども、先ほども申しましたNIIロケットよりも非常に能力の高いHIロケットというようなもので打ち上げるというような計画もあるわけでございます。それで三チャンネルないし四チャンネル打ち上げられるであろう。これを三チャンネルにするか四チャンネルにするかにつきましても御検討いただいておるわけでございますけれども、BS−2よりも能力が規模としては倍程度になる、こういうことでございます。
#40
○粕谷照美君 そうしますと、放送大学がそのチャンネルを使わしてもらえると、こういうことになれば、全国網は大丈夫と、こう考えてよろしいですか。
#41
○政府委員(田中眞三郎君) そのとおりです。いまからの関係との御審議でございますけれども、また能力的には十分できるというように考えておりますし、そういうことになりました場合に、非常に放送衛星を使うということは有効であろうというふうに考えておる次第でございます。
#42
○粕谷照美君 あわせまして、民放が衛星打ち上げというものを計画をしているというお話を聞くわけですけれども、それは全然郵政省の方ではわからないのですか。
#43
○政府委員(田中眞三郎君) 民放の放送衛星に対する考え方でございますけれども、この放送衛星が出るというようなことになりますと既存の放送体制に、特に地方の民放に与える影響が大でございますので、関心を持っておるというふうには聞いております。それで民間放送連盟の中にも、このやがて来る放送衛星というようなものと既存の民間放送とのあり方と申しますか、使い方その他を含めまして、非常に熱心に検討を開始したというふうに聞いておりますが、上げるか上げないかと、そういうような段階ではまだないと理解しております。
#44
○粕谷照美君 大臣にお伺いをいたしますけれども、そのロケットが上がれば全国のカバレージが非常に明るい展望として出てくるということがわかるわけであります。放送大学をつくる、いわゆる放送を利用して大学教育を行うということについて反対をしている会派はどこにもない。特に衆議院のあの小委員会におきまして、満場一致でもってこの方向が確認をされているわけでありますから、そういう意味では非常に重要な私は時期に来ていると思いますのは、あのときに小委員会報告は満場一致で決まりながら、採決の段階においてなぜ社会党、共産党が反対をしたか。それはあの、問題ですという部分のところが意思統一ができないままの法律が質疑の中で明らかになったにもかかわらず、同じ法律がずうっと出されてきているというところだと思うのであります。だから、その放送衛星が打ち上がる時点に至る前に、何とかこの参議院におきましては満場一致でもって、全会派一致でもって、この法律ができるというように慎重に審議をしていくというお考えはありませんでしょうか。
#45
○国務大臣(田中龍夫君) ぜひ、先生のおっしゃるように、満場一致で通りますようにお願いを申し上げておりますが、同時にまた、できるだけ速やかに御審議を終えられますようにお願いを申し上げます。
#46
○粕谷照美君 そこのところが、同じ法律をずうっと出してきているということではなかなかそういうわけにいきませんので、大臣がそういうふうにお考えになるということは、譲る部分も考えられる、こう理解してよろしいでしょうか。
#47
○国務大臣(田中龍夫君) 御意見の違うことがいろいろあるかも存じませんが、できるだけひとつ満場一致、速やかな御通過をお願いいたします。
#48
○粕谷照美君 私どももできれば賛成をしていきたいと、こう考えているんですけれども、どうしても賛成できない部分がいままでもずうっと論議になってきたところでありますけれども、特にやっぱり管理運営と大学の自治の問題について非常に大きな不安を持っているということは、すでに何度も何度もわが党からも質疑があり、応答があり、おわかりになったと思いますけれども、もう一度私はお伺いしてみたいと思います。
 まず、法案は特殊法人の大学として管理運営の面で理事会や運営審議会などのきわめて問題の多い機構であるということを指摘したいと思います。放送大学が私立の大学でないならば、放送法制の制限がない限り、当然国立大学として設置されるべきものであります。国立大学であるとするならば、理事会だとか運営審議会は不要になるわけで、電波法、放送法の制約のもとに特殊法人としての提案は理解できるとしても、他の法人とはその性格を異にして、大学の管理運営はあくまでも研究、教育のためのものである。したがって国立大学にならった管理運営の機構を持てばよい、こういうふうに私どもは考えているわけでありますが、いかがでありましょうか。
#49
○政府委員(田中眞三郎君) 大学学園はなぜ特殊法人の形態をとることとしたのかという御質問かと思いますけれども、現行放送法におきましては番組編集権と放送局の免許主体の一致というものを基本としてございまして、放送大学学園の放送につきましても、大学の設置主体と放送局の開設主体を同一にする必要があるというふうに考えるわけでございますけれども、設置形態につきましては国立大学、私立大学、あるいは特殊法人、その三つを考えたわけですけれども、国立大学方式につきましては、放送法制をつくりますときの制定の経緯からいたしまして、国が放送事業者となるということは国立大学といえども予定していないというようなことから考えまして、適当でないと考えたわけでございます。また、私立大学方式につきましてですけれども、国が相当巨額の資金を投入する必要がある、あるいは全国的な周波数の手当てというものをしなければならない、あるいは今後考えております大学というものは、国公私立を通じました新しい教育システムであるということ等から適当でないと、こう考えたわけでございます。それで特殊法人形式というものを考えたわけでございますけれども、これはやはり国から独立した別の法人格を有するということで、国とは形式上も明確に異なるということ、それから国立大学の場合よりも組織の弾力的、効率的な運用が可能であるというようなことを考えた関係上、この特殊法人が最も適当であるというふうに私どもも賛成した次第でございます。
#50
○粕谷照美君 どうもありがとうございました。
 そういう制限のもとに法案ができ上がったこの放送大学ですね、管理運営の機構が国立大学にならったらいいのではないかと、こういう質問なわけです。
#51
○政府委員(宮地貫一君) 特殊法人が設立する大学という形でこの放送大学を考えましたのは、ただいま郵政省の方からも御説明ございましたが、従来、衆議院の文教委員会の小委員会の報告もそういう結論でございましたので、私どもとしてもこういう形で御提案を申し上げておるわけでございます。
 そして、管理運営の形について、国立大学と同じ形でどうかというような御趣旨の御質問かと思うわけでございますけれども、大学の教育面といいますか、教学面に関します組織につきましては、私どもも極力国立大学の既存の形というものを、従来の考え方に即しました形で対応いたしております。もちろん、これが学校教育法上の正規の大学でございますので、大学として本来持つべき大学の自治の問題なり学問の自由の問題なり、そういうことについては最大限私どもとしても必要な事柄について、法律的にもいろいろと、特殊法人という形でございます以上、理事長なり理事という法人の役員もいるわけでございますけれども、そういう面と大学の教学面との調整ということについては、この法律の面でも必要な規定を設けているわけでございます。そしてまた、たとえば教員の任命というような問題につきましても、国公立大学の教員の場合には教育公務員特例法が適用があるわけでございますが、この特殊法人の放送大学には教育公務員特例法そのものは適用がないわけでございますけれども、考え方といたしましては、その例にならいまして、評議会の議に基づいて任命を行うということを法律上明確にするということで、この教学組織についてみずから決めるという形を、評議会という形をとりまして保障をしておるわけでございます。
 それからまた、この放送大学学園に対します国の関与の仕方につきましても、通常の例にならいました役員の任命等は行われるわけでございますけれども、監督上の命令権も財務、会計にかかわる事項に限定するというようなことで、大学の自主性を尊重するような配慮というものは具体的に考えているところでございます。したがって、国立大学の場合と同じではどうかという御指摘でございますが、法人が設置者であるという形、そこについてはこの放送大学学園法案で規定いたしておりますような対応というものが必要になってくるわけでございますけれども、教学面を中心としました大学自体の問題につきましては、もちろん国立大学の例に準じた形をとっておるわけでございまして、その点は、御指摘の点は確保されているものと私どもは考えております。
#52
○粕谷照美君 文部省はそう考えていらっしゃるでしょうけれども、私どもはそれに対して疑問を持っているから質問をしているわけであります。
 私立大学とも違うこの放送大学学園で、理事長は文部大臣が任命をする。非常に権限が強い。普通、私立学校でありますと「学校法人の業務は、寄附行為に別段の定がないときは、理事の過半数をもって決する。」と、こういうふうになっております。放送大学学園法は、基本的な業務の意思決定が理事長の独断で調整できるように受け取られるわけですけれども、この辺のところはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#53
○政府委員(宮地貫一君) 特殊法人ということで必要な規定を設けておるわけでございますが、御質問の点は、あるいは学校法人の場合と対比した形で――御質問の点をあるいは正確にとっておりますかどうか、ちょっとなんでございますけれども、具体的には理事長が執行するに当たりまして、もちろん理事会というものを法律上規定をしていないわけでございますけれども、事実上はもちろん理事の合議に従った事務の処理というものが行われることになるわけでございますが、形として理事会いう形を設けていなかった点で申し上げますと、その点は、これは学長も当然に理事になるわけでございまして、いわばその学長たる理事を理事会という組織で拘束するような形になりますと、学長としての教学責任者の教学面におきます事務処理というものについて、理事会いう形での拘束が加わるのではないかということをむしろ配慮したわけでございまして、そういう意味で理事はそれぞれ理事長を補佐していくわけでございますが、教学面の最高責任者としては学長がいるわけでございます。その教学面につきましては学長が責任をとるという体制を確保するためにも、そういう理事会組織ということはとらなかったというのが私どもの考えておる考え方でございます。
#54
○粕谷照美君 いまののでよくわかりました。
 本当に教学面は独立をさしてもらわなければ困ると思うのですけれども、事実上理事の合議制になるというのはどこで保障されていますか。
#55
○政府委員(宮地貫一君) 私申し上げましたのは、実際の職務の執行に当たりまして、それぞれ学園全体の事柄につきましては、理事がそれぞれ合議をするということは実際上は出てくるだろうということを申し上げたわけでございます。これはむしろ、設置者でございます特殊法人の業務運営、これは予算その他の事柄もございましょうし、そういうような面ではそれぞれ理事も職務を分担しておりますけれども、事実上は理事が合議をして事柄を決めていくということはあり得るだろうと思います。これは、法文上その規定はあるものではございません。この特殊法人自体が業務の処理に当たってそういう形をとることは考えられることでございますということを御説明申し上げたわけでございます。
#56
○粕谷照美君 それでは、私がさっきから心配しているのは、理事の権限が非常に強いということに関連をしてですけれども、この放送大学学園の役員の任命手続を見ますと、時の文部大臣の意思でかなり容易に首がすげかえができるようになっているわけであります。そのことが学問、教育の自由、大学の自治を脅かすといままで繰り返し指摘をされてきたのですが、この法案の第九条に「理事長は、学園を代表し、その業務を総理する。」と、こうあります。放送が業務の学園でありますから理事長は放送に関して最高の責任者、その任命権が文部大臣に法文上白紙の形で与えられているわけでありまして、ここのところがやっぱり放送の自由、学園の自立性から見て非常に問題が大きい。どのような方策を考えていらっしゃるんですか。
#57
○政府委員(宮地貫一君) 理事長の任命に当たってどういう考え方で臨むのかというお尋ねかと思うのでございますけれども、もちろん文部大臣におきましても適任者を得るように広く関係者の意見を徴しながら人選を行うということは、当然実際上は十分留意すべき事柄であろうかと思っております。これは理事長以外にたとえば運営審議会の委員も任命するわけでございますけれども、運営審議会の委員について言えば、実際上はそれぞれ私学の関係団体でございますとか、そういうような方々からたとえば適任者の推薦を求めるということも運営審議会委員の場合には考えられる点でございます。しかしながら、これは具体に人選を行うに当たつての考え方といたしまして、この放送大学学園が放送大学という大学を設置している法人であるということから、通常の特殊法人とはその点では大変異なるわけでございまして、そういう点を配慮すべき事柄として、たとえばいま申し上げたようなことが留意事項として出てくるわけでございます。ただ、通常の特殊法人の役員の任命にかかわるものとその点について特に異にする規定を設けるかどうかというあるいはお尋ねでないかと思うわけでございますけれども、その事柄を具体に法文に規定するということになりますと、いろいろ具体的な面で法技術的になかなか困難な点もあるということも踏まえまして、この特殊法人が大学を設置するものであるという特性に十分着目しながら適任者を文部大臣が任命することになると、かように考えております。
#58
○粕谷照美君 それでは、学長の任命についてもやはり同じだと思うんですね。理事長の申し出に基づいて文部大臣が任命をする、この理事長の申し出というのは、「評議会の議に基づいて、学長が定める。」基準と、こういうふうになっていますから、一応民主的な手続を踏んでいると、だから学長の任命について文部大臣の任命というのは、形式的というのは悪いですけれども、形式を踏んでいるから民主的な選考になってくると、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
#59
○政府委員(宮地貫一君) 学長の任命の件につきましては、ただいま先生御指摘のように、理事長の申し出に基づいて文部大臣が任命するわけでございますが、理事長のその申し出というのは、評議会の議に基づいて学長が定める基準によりまして評議会の議に基づいて選任された候補者について上申するという形になるわけでございます。したがって、学長の人事に関する大学の自主性というものは確保されていると考えておるわけでございます。
 なお、たとえば国立大学の学長の場合でございますと、これもやはり国立大学の学長は文部大臣が任命をするわけでございます。しかしながら、国立大学の学長の選考につきましても、もちろん学内で選考手続がとられました者について文部大臣が任命をするという形がとられているわけでございまして、そういう意味では、この放送大学の学長の場合も、ただいま申しましたような大学の自主性というものが確保された形での任命であるということは同様の事柄になろうかと思うわけでございます。
#60
○粕谷照美君 よくわかりました。しかし、私どもはその評議会そのものにやっぱり問題があると、こういう考え方をしているものですから、内容はよく理解をいたしましたけれども、問題点はあるということを明確にしておきます。
 その学長の採用の選考について既存の国立大学はどういうような形で大体やっておりますでしょうか。
#61
○政府委員(宮地貫一君) 国立大学の場合でございますと、教育公務員特例法の規定がございまして、学長につきましては評議会の議に基づき、大学の管理機関が行うということになっておりまして、「評議会の議に基づき学長」という形になっておるわけでございます。したがって、国立大学の場合には、やはりただいま申しましたような形で上申に基づいて文部大臣が発令をするという形になるわけでございまして、その議に基づくというのは大変拘束力が強い規定であるというのが従来解釈としていわれているところでございます。
#62
○粕谷照美君 学長の選考規定がそのような評議会だけではないと、実態があると思いますけれども、その辺はどうでしょうか。
#63
○政府委員(宮地貫一君) ほかにたとえば国立大学の学長の選考につきましては、それぞれ大学が学内規程で、そういう手続を経て候補者の選考が行われてくるというのが通例考えられる点でございます。
#64
○粕谷照美君 国立大学の評議会というのは学長、学部長それから名学部教授二名、それから各付置研究所長など、こう出てくるわけでありまして、人数がわりと多いわけですね。ところがこの放送大学というのは教養学部という単なる一学部しかない。そういう中で評議会でもってもう学長の選考基準をつくり出していくんだということについて私たちは大変な不信を持つものでありますが、その辺はどうですか。
#65
○政府委員(宮地貫一君) この放送大学学園法案では評議会を置きまして、評議会でただいま申しましたような任命その他についての基準というようなものも定めるという形をとっているわけでございます。御指摘の点はあるいは評議会の構成についての御質問かというような感じで承ったわけでございますが、もちろん評議会の構成メンバーとしては教授が入るわけでございまして、そういう意味では自主的な定め方という基本は保障されていると、かように考えております。
 なお、あるいはお尋ねの点は教授会との関係がどうかというようなことと申しますか……
#66
○粕谷照美君 それは後でやるから……
#67
○政府委員(宮地貫一君) そういう意味で、私どもとしては評議会は教授を構成メンバーとしたものであるということで大学人みずからが決めるという形は保障されているというぐあいに考えております。
#68
○粕谷照美君 そこのところがどうしても合わないのであります。
 次に移っていきますけれども、この第九条ですけれどね、役員の欠格条項が入っているわけです。第一号、二号、それぞれちょっと説明をしてください。
#69
○政府委員(宮地貫一君) 御質問は、役員の欠格条項についてのお尋ねでございますと、十二条ということでございましょうか。
#70
○粕谷照美君 そのとおりです。一号、二号を説明してください。
#71
○政府委員(宮地貫一君) 十二条の一号、二号、三号というもので役員の欠格条項について規定をしておるわけでございます。
 「政府又は地方公共団体の職員」は――これは常勤の職員でございますけれども、この放送大学学園が特殊法人ということで置かれているわけでございますので、本来国とは別個の法人格を有する団体でございます。したがって、「政府又は地方公共団体の職員」が役員になるということについては、法人の運営の自主性が損なわれるおそれがあるというようなこと、そしてまた、そういう「政府又は地方公共団体の職員」そのものについても、国家公務員法なり地方公務員法の規定によりまして職務の専念義務があるというようなことを考慮いたしまして、役員となることから除いておるものでございます。
 それから、第二号は、「学校教育法第九条各号に掲げる者」ということで、これは校長または教員の欠格条項に該当するものでございます。これは、この学園が大学の設置者になるわけでございますので、私立学校法の設置者である学校法人の例に合わせまして規定をいたしたものでございます。
 以上でございます。
#72
○粕谷照美君 それでは、その第三号について伺います。
 第三号は「放送法第十六条第四項第二号又は第五号から第七号までに掲げる者」と、こう欠格条項を挙げているわけですね。一と三と四が抜けているわけですね。一と三と四はよろしいということになるのでしょ。なぜ、そういうことになったのか、ちょっと御説明ください。
#73
○政府委員(宮地貫一君) 第十二条の第三号でございますが、御指摘のように「放送法第十六条第四項第二号又は第五号から第七号までに掲げる者」を欠格条項としたわけでございまして、このうち第一号、第三号というものについては、それぞれ前に掲げております場合と重複いたしますから除外をしておるわけでございます。
 御指摘の点は、第四号の「政党の役員」というものを欠格条項に規定をしていないということかと思います。
 これは、役員の欠格条項の定め方というのは、それぞれの法人ごとの事情によりまして異なる点もございますけれども、私ども、特殊法人全体について、一応これらの規定についても対応を調べてみたわけでございますけれども、昭和四十年度以降に設立された特殊法人につきましては、政党の役員を役員の欠格条項に掲げているのはほとんどその例がございませんので、放送大学学園については、こういうような近時の立法例に照らして、欠格条項としては掲げていないということにいたしておるものでございます。
 それから、この放送大学学園におきましては、学園が大学の設置者であるということを勘案しまして、役員の欠格条項として、禁治産者、準禁治産者、禁錮以上の刑に処せられた者及び教員の免許状の取り上げ処分に遭った者等を掲げているわけでございます。これらの者が役員としては不適格であることは当然のことではございますが、これらと並べて政党の役員を取り扱うということについては、質的にも異なるということも考えまして、政党の役員を欠格条項に掲げることはいたしてないわけでございます。
 しかしながら、もちろんこれは規定としてはそういう規定で考えておるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、放送大学学園が大学を設置するという特殊法人であるという、そういうことにかんがみまして、役員の任命に当たりましてはそういう特性を十分配慮した慎重な対応というものは必要であろう、かように考えております。
#74
○粕谷照美君 私はそこのところが非常に不思議なんですけれども、絶対になってはいけないということにはなってないわけでしょう。政党の役員も放送大学の役員になれますよという、こういう法律でしょう。
#75
○政府委員(宮地貫一君) 規定の上では御指摘のとおりでございます。ただ、先ほども御説明をいたしたわけでございますが、特殊法人全体についても、その欠格条項を決めるに当たりましていろいろと私どもも十分調べたわけでございますが、ただいま説明を申し上げましたように、これを欠格条項として掲げておるものについては、四十年以降の立法例についてはそういう具体例がないということをも参考といたして規定をしたものでございます。
#76
○粕谷照美君 具体例がなくても、これから起きるかもしれない。もうほとんど全額が国庫出資の放送大学でありますね、しかもテレビでもって、放送衛星でも上がれば全国に電波が通っていって、そして教育問題についてはもう一億が全部画一化されるんではないかなどという指摘がある中に、この政党の役員――政党の役員と言えば野党の役員が入れるわけはない、時の政府のその政党の役員が入っていくということについては、国民としては非常に危機感を持っているわけです。その辺はどうですか。幾ら具体例がないと言ったって、これからもないという保証はないわけです。
#77
○政府委員(宮地貫一君) その点は、放送大学学園そのものが、これは大学の設置ということと、その大学が放送を実施するというような事業を行うわけでございまして、大学につきましてはもちろん教育基本法第八条第二項の規定によりまして、特定の政党を支持し、またはこれに反対するための政治教育その他政治的活動を行うことが基本的に禁止をされているわけでございます。また放送事業については放送法四十四条三項の規定により、「政治的に公平であること。」ということが要請されるわけでございます。したがいまして、この欠格条項ということ以外にこういう大学についての教育基本法の考え方、また放送事業というものについての放送法四十四条三項の規定、これらを受けまして、たとえば仮に政党の役員のうちに放送大学学園の役員としての適任者があった場合におきましても、その者を学園の役員に任命するということについては十分慎重な配慮がなければならないことはもとよりのことでございまして、そういう放送大学学園というものの、本来の大学なりあるいは放送を行うということの本質から見まして、そのことは慎重な対応が必要だと、かように考えている次第でございます。
#78
○粕谷照美君 文部大臣、いかがなものでしょう。文部大臣も非常に放送大学について勉強していらっしゃる、熱心だと、こういうお話も私は当局から聞いているわけでありますけれども、政党の役員がこれだけ問題の放送大学の役員になる、このことについてどのようなお考えをお持ちですか。
#79
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御質問でございますが、ただいま先生の御疑点につきまして局長からるるお答えを申し上げたような次第で、そういう点では私は実際の任命その他の点においても慎重な配慮と、それからあくまでも厳正公平な態度の任命ということがなされなきゃならない。そういう点で十分に確保されると、かように考えております。
#80
○粕谷照美君 もっとはっきり言っていただきたいと思いますけれども、政党の役員がこの放送大学の役員になると、このことは好ましくない、あってはいけない、こういうふうに理解してよろしいですか。
#81
○国務大臣(田中龍夫君) 基本的には全くそのとおりでございます。
#82
○粕谷照美君 ところで、その政党の役員というのは一体どういう人たちを役員と言うのでしょうか。文部省でこれは答えられますか。
#83
○政府委員(宮地貫一君) 具体的に政党の役員というのがどの範囲になるかということについては、文部省としてはそういう事柄を解釈すべき法律を所管している役所ではございませんので、その点については私からお答えするのは控えさせていただきたいと思います。
#84
○粕谷照美君 この法律を提案しているのはどこの省が提案しているのですか、そうすると。
#85
○政府委員(宮地貫一君) もちろんこの放送大学学園法案は文部大臣、郵政大臣が主務大臣ということで提案をさせていただいております。
#86
○粕谷照美君 そうして質問に答えられないというのでは困ってしまうわけでありまして、私はこれ以上審議ができないのであります。それで、その政党の役員とはどの範囲を言うのかということについて、法制局とも至急打ち合わせをして、そして当委員会に御報告をいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#87
○政府委員(宮地貫一君) そのようにさせていただきます。
#88
○粕谷照美君 それから、先回のときにわが党の本岡委員が質問をしましたけれども、この天下りについてどう考えるか、あのとき御答弁がなかったように思います。最初のうちは、それは全額政府出資でありますし、このことを一生懸命にやってこられた方々が役員としてなられるだろうと、こう思いますけれども、その辺のところはどういうふうに理解をしたらよろしいですか。これは大臣でないと局長はちょっとお答えになりづらい。
#89
○国務大臣(田中龍夫君) どうも先生の天下りという言葉がちょっとひっかかるんですけれども、これは適材適所という表現にしていただいたらいいかと思います。
#90
○粕谷照美君 適材適所もよろしいですけれども、通常もうこの言葉は国民のものになっているわけでありますから、それは大臣、答弁を逃げてはいけないですよ。先回はつくらなきゃだめだと、こういうふうに軽くいなされてしまいましたけれども、私はやっぱりこの特殊法人ができるということについて国民の厳しい批判もあるわけでありますから、その点は十分御考慮をいただきたい、こういうふうに要望を申し上げておきます。
 さて、この教授会について先ほどからずいぶん触れておりましたけれども、学校教育法五十九条は、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」2として、「教授会の組織には、助教授その他の職員を加えることができる。」こうあるわけです。法律五十九条自体、教授会の構成、審議事項について詳細な定めをしていない、簡単なことしか書いていないというその、何というんですか、法律のねらいというのはどの辺にあったんでしょうか。
#91
○政府委員(宮地貫一君) 学校教育法の規定は、御指摘のように、大変簡単な規定と申しますか、条文としては重要事項を審議するために教授会を置くということが書かれているだけでございまして、構成その他については書いていないわけでございます。恐らくこれは立法の趣旨といたしましては、教授会の具体的な持ち方と申しますか、そういうことについては大学みずからがお決めになることが一番適当であろうということで、法律の規定としてその構成その他について規定をしなかったものと、かように考えております。
#92
○粕谷照美君 そのことは大学の自治を尊重してそういう法律になったと、私は局長の御答弁と一緒にこういうふうに理解をしているわけでありますが、この放送大学においては学校教育法は適用されている、こう考えてよろしいと思いますが、この教授会について法案の中に触れていないという理由は何でしょうか。
#93
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、この放送大学は学校教育法第一条に規定する大学でございますので、学校教育法の規定がもちろん適用にあるわけでございます。したがって、学校教育法五十九条の規定するところによりまして、「重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」ということになることは当然のことでございます。まあ言うなれば、学校教育法五十九条は当然に適用があるという考え方に立ちまして、この放送大学学園法案そのものに重ねて書いていないというのが基本的な考え方でございます。
#94
○粕谷照美君 そうしますと、重要な事項を審議するには教授会を置かなければならない、こういうことが生きているということになれば、なぜこの法律の中で重要な事項を審議するに評議員会と、こう書いているんですか。これは学校教育法を乗り越えて大学の自治に介入をすると、私はそう思いますけれどもいかがでしょうか。
#95
○政府委員(宮地貫一君) その点は従来からも御説明を申し上げてきておるわけでございますけれども、放送大学の教官組織というものが専任教員のほかに多数の、これは当然に国公私立大学の御協力をいただいて客員の教員の参加を予定をしているということもございます。そうしてまた各地に設置を予定しております学習センターにも専任教員を配置するということもございまして、この放送大学の組織そのものが大変通常の大学とは異なる形態をとるということは御理解をいただけるところであろうかと思うわけでございます。そういうようなことを踏まえまして、現実にこの放送大学におきます教授会の持ち方というようなものは、そういうこの放送大学自体が持っておりますいろいろ特性というものを考えた上で、これは先ほども申し上げましたように、放送大学自体でこの教授会のあり方ということについては当然お考えをいただくわけでございます。しかしながら、ただいま申しましたような特性にかんがみまして、教授会のほかに評議会をこの法律に起こしまして、教員人事に関する事項でございますとか、その他管理運営に関します事項について評議会において審議をするという規定を置きましたのは、この放送大学の特性にかんがみて、評議会がそういう権限を行使するということが、教学に関します事項を確保するためにも必要であろうということで私どもとしては規定を起こしたわけでございます。たとえば国立大学におきましても、従来から単科の大学の場合でも大学の事情に応じまして評議会を置く場合のあることはもちろん想定もされておりますし、たとえば具体例で申しますと、北海道教育大学というような例で申し上げますと、大変広い地域にそれぞれ分校もあるというような形で、具体的にはそういう評議会を置いているケースもあるわけでございます。そういうような実情も十分考えまして、それらを法律上はっきりした規定で規定をいたしておるものでございます。
#96
○粕谷照美君 学校教育法五十九条が生きているということを考えれば、文部省からこの資料いただいたわけですけれども、教員の採用の選考について、教授会の議に基づき学長と、こういうことが現実に起こっても、これは放送大学そのものが決めることなんだというように理解をしてよろしいか、評議会でなければならないと、こういうふうに理解をするのか、その辺はいかがですか。
#97
○政府委員(宮地貫一君) 教員の採用その他具体のケースにつきましては、もちろんこの法人が発足をし大学が発足をしましてから具体的な処理として行われることになるわけでございます。それぞれ専門分野なりあるいは学習センターなら学習センターにおきます構成でございますとか、そういう大学の内部組織のそれぞれの個所におきまして必要な具体の手続というものが決められることになろうかと思うわけでございますけれども、考え方の基本としましては、いま申しましたように教授会が置かれることももとよりでございますし、またその大学の運営に関する重要事項について審議をするために評議会という組織をこの法律で規定をしておるわけでございます。個々のたとえば教官の任命の具体の手続ということになりますと、それぞれの担当なり専門の分野で、まずその方々の教官で候補者が選考されまして、それが順次内部手続で上申をされていくというような、通例でございますとそういう形になるわけでございまして、恐らく個別の教官の選考なり人事というような形についてはそういうような手続が行われていくことになろうかと思いますけれども、とりあえずこの放送大学学園法案においては評議会という規定を設けて、全体の任命に関する基準でございますとかそういうようなものについて評議会という形で教学組織で決めるということを、法律上の規定ではっきりとさしておるという形をとったものでございます。
#98
○粕谷照美君 私はそこのところが問題だと、こう指摘しているのでありますし、わが党の委員もいままでもう繰り返し指摘してきたところでありますけれども、絶対に文部省はそこを譲らないわけですね。
   〔委員長退席、理事世耕政隆君着席〕
 きょうの新聞を見ますと、朝日なんですけれども、「広島大の学長に選ばれた飯島宗一・名古屋大医学部長は二十日、就任を辞退した。これで広島大の学長選は振り出しに戻り、二十一日の評議会で学長選の出直し方法について検討する。」と、こう出ておりました。この飯島さんという方は放送大学設立準備要員の方じゃないんですか。いかがでしょう。
#99
○政府委員(宮地貫一君) 従前からもこの放送大学の問題につきましては、たとえば創設準備に関する調査研究会議、先ほどの「基本計画に関する報告」をつくります際のメンバーにも加わっていただいた方でございますし、創設準備につきまして、一時期、準備室長ということで、いろいろ具体のカリキュラムの作成その他についても御協力をいただいた方でございます。ただし、現在は準備室長をいたしておりません。
#100
○粕谷照美君 私はこういう記事を見ますと、教授会の力というのは非常に大きいものなんだということをしみじみ感じているわけでありまして、そういうことでは大変だから評議会方式、完成時には四千人にも上ろうというこういう人数を、本当の六人以上十二人以内という一握りの人たちによって人事の基準がつくられるということについては、大変な不安を覚えるものであります。
 特にこの教員の任免の免の方ですね、これについての規定はありますけれども、たとえばイギリスの公開大学あたりになりますと、構成員の解任についての聴聞手続の保障などというのがきちんとしているわけですね。それはどうなっておりますでしょうか。
#101
○政府委員(宮地貫一君) 教員の任免等にかかわる事項というのは、一番基本的な点で、大学にとりまして大変大事な事柄でございます。
 御案内のとおり、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、教育公務員特例法というのは、国公立大学の教員について適用があるわけでございます。この放送大学学園の設置します放送大学につきましては、直接の適用はないということは先ほども申し上げたわけでございますが、たとえば御指摘のような、任用もさることながら、その教官組織から除外されるというようなことにつきましても、大変教官の基本的な事柄にかかわるわけでございます。この放送大学学園法案では、たとえば人事の基準というようなことで、「学長、副学長及び教員の任免の基準、任期、停年その他人事の基準に関する事項は、評議会の議に基づいて、学長が定める。」ということにいたしておりまして、
   〔理事世耕政隆君退席、委員長着席〕
もちろんこれは大学自体でお定めになるわけでございまして、さらに具体の解任なら解任の仕方というような事柄につきましては、従来の国立大学等におきます規定の仕方をもちろん参考といたしまして、この放送大学自体でお決めになる事柄と、かように考えております。
#102
○粕谷照美君 私が伺っているのは、イギリスのオープンユニバーシティーなどは、きちんとその場合に解任をされる人についての自分の立場を弁護するそういうチャンスが与えられていると、その辺のところの制度というものができているかどうか、こういうことについて伺ったのであります。非常に局長の答弁では不満でありますが、ここも十分御審議をいただきたい、こういうふうに思っております。
 さて、それと絡まって法律第二十二条は、教員の任期制について定めております。わが国の大学で任期制が採用されてない中で、ひとり放送大学のみがこれを採用するというその意義あるいはそのことについての問題点、いままでも同僚議員が指摘をされたところでありますけれども、優秀な人材を得なければならない、その優秀な人材を招致するための条件というものは一体どのように整っておりますでしょうか、整備されていますか。
#103
○政府委員(宮地貫一君) もちろんこの放送大学がいわば成功するというためにも、優秀な教官組織が整うということがまず一番大事な事柄と、かように私どもも考えております。そういう意味ではもちろん広く国公私立大学に御協力をいただいていくということがどうしても必要なわけでございます。従来から任期制の御質問の際にお答えをしてきた点でもございますが、この放送大学という非常に放送を通じて国民全体に開かれた大学でございますが、そういう国民にすぐれた講義を開放するというためにも、特定の教員が永続的に教員の地位を占めるということは必ずしも適当ではないんではないかという考えに立ちまして任期について考えて、いま申しましたような非常にすぐれた方々が広くこの放送大学に加わっていただけるような体制というものも確保する必要があるのではないかという考え方でこの任期というものを考えたわけでございます。
 御指摘の、どうすればそういう者が集まり得るのかというお尋ねでございまして、大変その点が大事な点でもございますが、私どもといたしましては、まずは従来からもいろいろと御相談も申し上げてきておるわけでございますが、たとえば国立大学協会でございますとかそういう各大学の団体に対しまして、この放送大学の発足ということに当たって具体的な御協力をぜひお願いしたいということで、従来からも放送大学の構想なりそういうようなものについてもよく説明をしてまいっておるわけでございますし、これからの具体の教員人事、教官構成をどうするかというような事柄につきましても、もちろんそういう国公私立大学の関係の方々の御協力をいただくために、そういう国立大学協会でございますとか、そのほか私立大学関係の連盟でございますとか協会、さらには私立大学通信教育協会等の関係者にも御意見をいただいて進めてまいりたいと、かように考えております。
 その点は、この法案の成立とともに特殊法人が成立をいたしますと、この特殊法人自体から大学の設置認可申請というのが文部大臣に出される手続になるわけでございます。そして、大学設置審議会においてその教官組織についてももちろん審査が行われるということになるわけでございますので、教員の質の確保ということについてはそういうような手続を経て行われていくことになるわけでございますが、やはり広く人材を求めて、本当にこの放送大学というものが国民の期待にこたえるような中身になるというために、私どもとしてもそういう点で最大の努力をいたさなければならない事柄と、かように考えております。
#104
○粕谷照美君 考え方はよくわかるんですけれども、ちっとも具体的でないんですね。さっき私が指摘しましたように、国立大学の先生よりも一五%給料をよくします、決して待遇は悪くありません、こう言われましても、それよりもいい給与をもらっている私大の先生方が本当に来てくれるかどうかについては大変疑問がある。だから、給料の面についても考えます、それから任期が終わってお帰りになるときには法制度をつくってお帰しします、こういうことをひとつ言っていただかなければ身分が不安定だということを、質問の仕方も悪かったのかもしれませんけれども、お答えいただかなかったのは非常に残念であります。そういうことについての、たとえば制度というようなものをつくることができるのですか。たとえば、さっきお話ししましたように飯島先生のことのように、やりますよと言ったって、教授会でだめですよと言ったら帰ることができない。こういうことがあるわけでしょう。行くことができない。それは一体どうやって保障されるのですか。
#105
○政府委員(宮地貫一君) 具体の教官の人事について、この任期制というものが本当に生きていくためには、もちろんほかの御協力をいただく国公私立大学側の協力がなければ円滑に回転しないということは御指摘のとおりでございますし、また既存の大学というものが、教官というもののポストについては、そう簡単にローテーションがつくのかというようなお尋ねも先般いただいたわけでございます。私どもも、確かにそういういろいろと考えなければならない問題点はあると考えておりますけれども、しかしながら、それぞれ相手方の大学にも御協力をいただくという前提を持たないと、この任期制というものは活用ができないわけでございます。
 具体に、たとえばA大学から来ていただいた方が五年なら五年、あるいは十年放送大学へ来ていただいて、さらにA大学へお帰りになることになるか、あるいはさらにB大学というところに回っていくことになるのか、その辺は個別の人事にかかわることでございますので、それぞれ大学御当局の間で具体的な御相談というものがなされなければならないわけでございます。私どもとしても、それらの仕組みというものが実務的な面でできるだけうまく回転をいたしますような努力というものは最大限いたさなければならないと、かように考えております。
 具体の事柄について申し上げますと、それぞれ大学御当局の間での協議という事柄になる問題であろうかと思います。
#106
○粕谷照美君 巷間伝えられてささやかれているところでは、教員の首切りのもう一番いい条件だと、こういうことを言われると、非常に二の足を踏むのではないかという危険性もありますので、これが発足をしたときには、きちんとそのことが確保されるように、もう当然のこと努力をしなければならないし、それぞれの大学にも協力をもらうように、文部省としては全力を挙げて努力をしていただきたいと、こういうふうに考えております。
 時間がなくなりましたから、放送大学の名称についてお伺いをいたします。
 イギリスでは、放送大学と、こう言われていたものがその後公開大学と。西ドイツあたりでもテュービンゲン大学通信学習全国研究所とか、ハーゲン通信大学、全体制大学と、こういう名前で存在をしているようです。この理由は、教育における放送技術の過大な評価の反省と、学生と教師、学生同士の教育上の重大な意義の再確認を意味をしていると思います。
 わが国の国立大学の名称は、地名とかあるいは医科、農業、芸術などなど教育研究の目的を冠しています。そういう中で、この放送というのは大学教育をやる手段であり方法ですけれども、名称は一体正式にはいつ、どのような機関で決定をされるのですか、その経緯をお伺いします。
#107
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の名称でございますけれども、この法律案では御案内のとおり法令上の読みかえ規定というような形で、第二十一条に「学園が設置する大学(以下「放送大学」という。)」という形で、便宜放送大学と称しているわけでございます。この大学は、この放送大学学園が設立されますと、先ほども申し上げたわけでございますけれども、法人でございますこの放送大学学園から文部大臣に対しまして大学の設置認可の申請がなされることになるわけでございます。そして、文部大臣から認可をされて大学が設置されることになるわけでございまして、この大学の名称につきましてもその時期に決まることになるわけでございまして、従来からこの放送大学の名称についていろいろ御審議いただいておる点でもございますが、各方面の御意見も参考にしながら、この大学学園側とも協力して、適切な名称を検討いたしたいと、かように考えております。
 なおちなみに、従来この放送大学の創設準備に関する調査研究会議の協力者がございますが、その協力者の方々から二、三提示されている名前で申し上げてみますと、まあ放送大学という名前も、巷間その使われ方というものが相当定着してきているんではないかという御意見もございます。ほかに、たとえば公開大学でございますとか、日本公開大学でございますとか、あるいは教養大学などというような名称をただいま申しました協力者から御提案をされているケースでもございますが、なお、大学の名前というものはやっぱり大変大事なものであろうかと思いますので、ただいま申しましたような各方面の御意見も参考としながら、認可申請のときまでには対応を考えたい、かように考えております。
#108
○粕谷照美君 新構想の教員大学法案が提案されましたときも、たしかあのときは教員という大学はないということで本参議院においてずいぶん討論がなされ、あのときは公明党さんからの修正提案がなされまして教育大学というふうになったということを覚えておりますけれども、名称についてこの国会の審議というのは非常に重要に考えてよろしいかどうか。
#109
○政府委員(宮地貫一君) 教育大学の法案審議に当たりましてそういう経緯があったことも十分私ども承知をしておるわけでございます。
 なお、ただいまも申しましたように大学の名称というものはやはり大変大事なものだ、かように考えております。
 そういう点で、それぞれ国会の御審議等も踏まえながら慎重に対応してまいりたい、かように考えております。
#110
○粕谷照美君 この法案の第四十一条になりますけれども、「学園の解散については、別に法律で定める。」、こうなっているわけです。学園が解散をするというのは一体どういうときのことを考えて提案をしていらっしゃるんでしょうか。
#111
○政府委員(宮地貫一君) これは、この法律によりましてつくられるひとつの特殊法人といいますか、御案内のとおり特殊法人というのはそれぞれ個別の法律で法人格というものを与えられているものでございまして、その点は第二条に「放送大学学園は、法人とする。」というような規定で、この個別のそれぞれの法律によりまして法人格を持つことになるわけでございます。したがって、この法人そのものの解散といいますか、これは解散の規定といたしましてはやはり別に法律で定めるということを定めませんと規定として整わないと申しますか、解散手続がなければやはり一個の法人格を持ちましたものが消滅する手続といいますか、そういう手続としてはやはり法律でなければならないということをこの法律で規定をしたわけでございまして、これはまあ通例特殊法人の設立に関します法律ではいずれも設けられているわけでございます。具体にこの放送大学学園の解散というようなことを想定するということは、まず私どもとしては考えられない事柄である、具体の問題としてはそう心得ておりますけれども、規定といたしましては、ただいま御説明申し上げましたような通例の特殊法人の設立に関する法律に設けられている規定の例にならいまして置いたものでございます。
#112
○粕谷照美君 放送大学が発足いたしまして学生が集まらなかったとか、あるいはまた国鉄のように大幅赤字になったとか、いろんなことになりまして、統廃合などということが政治課題に上がっていくようになりますと、この「解散」という言葉、非常に大きく目に映ってくるわけであります。しかし、教育の場においてそんなことを、特殊法人に横並びになどというようなことを私どもはやっぱり考えないでいただきたい、そんな気持ちがいたします。
 時間の関係で私は最後に一つだけ質問をしておきますけれども、文部省が実施いたしました学術研究活動調査というのがありますね。これについて、実態そのものよりも研究調査をした結果、こういうことが特徴的に浮かび上がったというようなことについて報告をしてください。
#113
○政府委員(松浦泰次郎君) 先生御指摘の学術研究活動に関する調査は、昭和五十二年十一月現在で、国公私立の大学、短期大学、高等専門学校、それから国立大学の共同利用機関、文部省所轄機関等の教育職員及び研究職員を対象に研究活動に関する動向を把握するとともに、今後における学術行政上の諸問題を判断する基礎資料を得るために実施したものでございます。
 その結果につきましては、非常に調査内容が多岐にわたっておりまして、まとめに時間を要しましたが、昭和五十五年三月に「我が国における学術研究活動の状況」というもので発表をいたしました。その調査項目の主なものは、研究者の総数、分野別の構成、研究者の年齢、学位の取得状況、研究課題及び論文発表の状況等でございます。
 これは内容的には非常に基礎的な数字が多うございますので、全般的な状況がわかるというものでございますが、特に顕著な事項としましては、大学研究者の平均年齢が従前の調査に比べまして高くなっていること、それからこれは大学院等の普及の結果であろうと思いますが、大学院修了者の占める割合がかなり大幅に増加しておることというようなこと、それからこれは今回初めての調査でございましたが、研究論文の発表状況が研究者によりまして非常に幅がございまして、一般的な論文発表数は平均七点でございますが、分野によりましても違いますのでございますが、五年間に一度も論文を発表していないという研究者が約四分の一いるというようなこともわかりました。こういうことがある意味では刺激になっておるんじゃないかと思います。
 また、研究者の養成の問題につきましては、そういうような調査結果を踏まえまして、現在、学術審議会に学術研究体制の改善のための基本的施策について、養成確保のあり方の審議をしていただいておりますが、その基礎資料ともいたしております。
 また、研究者の海外の学会等への出席でございますが、これにつきまして、五年間に約二割ぐらいの方が出席しておるということが判明をいたしまして、国費等で措置しております人員に比べますと、予想外に多くの方が出かけておるというようなことも判明いたしました。この事実を踏まえまして、私ども、今後とも国際交流の観点、予算措置等配慮してまいりたいというように考えておる次第でございます。
 それからまた、この結果につきましては、「研究者・研究課題総覧」というようなものを文部省の監修でつくりまして、人文・社会科学編が全二巻、自然科学編が全五巻というような形で日本学術振興会の編集で発行いたしました。これは全国の約十万名の研究者の研究状況等が全面的に把握できるというようなことで、研究者にとりましては非常に参考になる資料ということになっておるような状況でございます。
#114
○粕谷照美君 時間が来ましたから私はきょうの質問はこれで終わりますけれども、しかしいままでもこの放送大学に客員教員としておいでいただく方々あるいは専任としてやられる方々それぞれにどれだけ研究体制を保障してやることができるかという御指摘がありました。ところが、いまの調査を見ますと、五年間に一度も論文を発表していない人が四分の一もいる、二万六千八百二十人だ、このことは大変なことだというふうに思うわけであります。
 私はこういう問題についてもこれからまた審議を続けていきたいということを皆さんに申し上げて、きょうの質問を終わります。
#115
○委員長(降矢敬義君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#116
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を再会いたします。
 放送大学学園法案を議題といたします。
 去る十六日に引き続き、本日は、お手元に配付いたしております名簿の方々を参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には御多忙の中を御出席をいただきまして本当にありがとうございます。皆様から忌憚のない御意見を拝聴して、本案審査の参考にいたしたいと思います。
 つきましては、議事の進行は名簿の順でお一人約十五分程度御意見を述べていただきまして、その後委員の質疑にお答え願いたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、河合参考人にお願い申し上げます。河合参考人。
#117
○参考人(河合雅雄君) ただいま御紹介にあずかりました河合でございます。
 私は、放送大学につきましては専門的な知識は持っておりませんけれども、二十数年来教育テレビ番組にずっと関係してまいりましたそういう体験と大学の教官としての立場から、この大学がなぜ必要なのかということについて、その内容とか効果を含めながら私の意見を述べてみたいと思います。もちろん、組織とか運営の問題というのは、これは非常に重要なことでありますが、いままで十分論議されたように思いますので、それとまた時間が余りございませんから、後で御質問があれば私の考えを述べさしていただきたいと思います。
 放送大学は、高等教育に対する機会の均等を保障するという点できわめて重要な機能を持っておると思います。現在大学進学率は三五%ぐらいですが、進学できなかった人に勉学の機会を与えるということは当然重要なことであります。特に非常に重要だと思いますのは生涯教育にかかわる問題でございまして、生涯教育と言われてずいぶん久しいのですが、そしてまたその機運は非常に高まっていると思います。ただ、こういう問題について大学はまだまだ保守的でございまして、現実にはカルチュアセンターとか市民大学、そういうところで行われているというのが実情だと思います。国としてこの生涯教育のための教育体制をいま緊急につくる必要があるように私は思います。日本は物質的に非常に豊かな社会をまずまず達成したわけですけれども、心の豊かさという点でいろんな欠陥がむしろあらわれているように思います。この心の豊かさを充足さすことが非常に肝要だと思うんですが、そしてまた国民もまたそのことを大変望んでいるように思います。レジャーと言われてからも久しいんですけれども、長い間のレジャーという事実を国民が持って、その中から、娯楽から知的充足へ、そういう希望が非常に強まっている、こういうことを国としても十分受けとめる必要がある。そのためには放送大学というのは非常に有効な手段であるというふうに思います。
 放送大学に関する具体的な問題を幾つか挙げてみたいと思いますが、一つは、放送大学というのは、現在の大学の閉鎖性、保守性、硬直化、こういう問題の打破に非常に大きな役割りを果たすと思います、たとえば現在の大学では人事の停滞というのが非常に大きな問題になっておりますが、放送大学に各大学――地方大学はもちろんですが、研究機関などが協力することによって、人材の発掘、それから各大学の教師同士の相互理解を深める、それからこういう人がおったという新しい見直しが行われる。そういうことから人事の交流の非常にいい機会を与えるというふうに思います。また、そのことによって大学の閉鎖性を破るということに役立つように思います。
 大学人の本来のあり方といたしまして、研究と教育、それから社会還元、その三つを挙げることができます。欧米の大学ではこの三つを全うしなければ大学人でないというふうに評価がなされるわけですが、残念ながら、日本の現状ではまだまだ研究者第一主義でありまして、教育者という問題は二義的に考えられております。そしてまた社会還元という点では非常に不十分であると思います。この社会還元という問題は学問の公開ということにも深くかかわっておることでございますが、放送大学を通じて教育者としての重要性を大学の教官が自覚する、それからまた社会還元の場が広く与えられるというそういう効果があると思います。で、放送大学における授業というのは公開されますから、十分国民の批判を受けるということになりまして、したがって、授業内容というものは非常に精選したものにならざるを得ない。そうしてまた、非常に高級であるけれども、平易であって、そして漸新な内容を持ち、そうして新しい工夫を盛り込まれた授業法というのは、現在のいわば旧態依然とした微温的な既存大学に対して非常に強いインパクトを与える、そのような賦活作用を持つというふうに私は考えます。
 第二に、学問というのはどんどん進歩してまいりまして、一般の要求度が非常に強い学問分野あるいは早急に普及しなければならないといった学問分野がございます。たとえば人類学がそうですが、アメリカでは人類学部とか学科というのは普通でございますが、日本では自然人類学というのは東大、京大しかございません。それから文化人類学は全国に数講座しかない。けれども、日本はいま急激に国際化し、国際的に活躍する人を養成しなければならないんですが、それに関する重要な知識というのは人類学が与えることができます。ですから、これは法学、経済、あるいは教育あるいは医学、そういった各学部の人たちにも必須のものだと考えます。それとそのほか、たとえば人類の遺伝学、これは日本には恐らく講座はないと思います。医学部にもないと伺っております。それから生態学、これも全国では微々たるものであります。こういう非常に必要な学問の講座を各大学につくるということは事実上非常に困難であります。ですからこういう学科を特に取り上げて放送大学で行っていただきたい。で、またこの単位を各大学が認めると、そういうことになれば長く言われています単位の互換ということも推進できるのではないかというふうに思います。
 それから第三に、新しい授業法というものが非常に開発されるというふうに思います。映像による具体的な印象づけ効果というのは非常に大きなものでありまして、そしてまた教室ではとうていできないような実験を提示することもできます。それから総合的な授業が十分可能である。たとえば古今集をとってみますと、カッコウという鳥のことがずいぶん出てまいりますが、カッコウはどんな鳥でどんな声で鳴くのか、そういうことを授業では簡単に教えることはできない。こういうことは映像を使って十分に効果を上げることができる。それから、こういう場合にはたとえば植物学者であるとか、あるいは民俗学者、考古学者、こういう人たちを呼んで、そこで対談を行う、こういうことによってたとえば文学の講義も非常に多彩に、そして有機的に行う、つまり立体的な授業が可能になるというふうに思います。
 第四には、現在テレビというのは非常に普及しておりまして、いわばテレビの一種の神格化現象といいますか、テレビで放映されたものは絶対的な価値を持つというふうに一般の人は、考えている人がずいぶん多いように思います。ところが、たとえば私の分野に関係しますと、いわゆる秘境物とか、動物の生態、ずいぶん放映されますけれども、その場限りの興味本位である、あるいは切り売りである、あるいはつまみ食い、こういうことからまた誤った知識、あるいはばらばらな知識を与えている。これは大変な時間をかけてあるにもかかわらずほとんどむだであります。大学というのは体系的な知識をきちっと与えるところでありますから、いま言っている問題についても基礎的な知識、体系的な知識というものをきちっと持っておればいろんな番組についても十分自分のものとしてこなしていく、そういうことができるというふうに思います。たとえば現在四百万人からの人が外国に出かけていくわけですけれども、ほとんどが物見遊山で帰ってくる、こういうことはもう非常に残念であります。日本としても大きないわば国家的な損失だと思うんですが、こういう人たちが、たとえば文化人類学とか、地理学とか、歴史あるいは美術史、そういうものの基礎的な知識を持っておれば、外国に行って十分有意義なものを持って帰れる。これがすなわち日本全体の国際化の水準を高める、こういう効果を持つことができると思います。こういう広範な効果というものは放送大学を除いては得られないんではないかというふうに私は考えております。
 あと組織のところでちょっと触れておきたいのは、いわゆるチーフディレクターとかプログラムディレクターというのがあがっておりますが、この人の重要性というものはもう一度認識する必要があると思います。つまり、学問というものを講義とともに映像して、あるいは聴覚的に訴える手段として表現する場合に、いわゆる既存の大学人というのはずいぶん素人であります。で、こういうディレクターはいわゆるアレンジャーとしてあるいはミキサーとして非常にすぐれた能力を持つ人が必要でありまして、こういう人は特に十分注意をして選んでいただきたい。そうしてまた、たとえば教授会あるいは評議員メンバーにもチーフディレクターぐらいは入っていく、そういうことも考える必要があるように思います。
 時間が参りましたので、これで終わらしていただきます。
#118
○委員長(降矢敬義君) ありがとうございました。
 次に、坂元参考人にお願いいたします。坂元参考人。
#119
○参考人(坂元昂君) ただいま御紹介いただきました坂元でございます。
 本日、参議院の先生方の前でお話できますことを大変光栄に思っております。私、教育工学によります教育方法の改善というものを研究してまいりました立場から、若干の感想を述べさしていただきたいと存じます。
 結論として申しますと、放送大学は日本の国民にとって大変大きな意義を持っていると存じます。で、七点ばかり申し上げたいんでございますが、時間の関係がございましょうから三、四点にしぼって申し上げたいと思いますが、まず最初に七点を個条書き的に申し上げさしていただきます。
 第一は、放送大学は高等教育の機会拡充に寄与する。――これは河合参考人がおっしゃったことと同一でございます。第二点は、教育の方法の革新であるという点でございます。第三点は、教育の質がよい。クォリティーでございます。第四点は、全国性と地域性の統合ができる。第五点は、教育方法の改善のモデルとなる。――この点も河合参考人御指摘になっておりました。第六点でございますが、サポートシステムといいますか、放送大学を支えるシステムが大切である。第七点は、諸外国に例がふえているという、こういう七点を考えておりましたんですけれども、三、四点にしぼらしていただきます。
 まず、第二点として申し上げました教育方法の革新であるという点でございますが、放送大学は今日の科学技術の成果を生かし、それを教育方法に十分取り入れることをねらっております。で、放送であるとか放送のテキスト、通信指導、面接指導あるいは電話、コンピューターなど、私どもマルチメディア――多くの媒体と申しますか、多媒体というふうに申しておりますけれども、多くのメディアを使いまして教育の効果を上げようと試みる画期的な、何といいますか、授業であるというふうに存じております。中でも放送の教育効果というのはきわめて大きいと存じますが、日本では御承知のように学校放送が長年の経験を積みまして教育効果を上げているわけでございますが、残念ながら大学レベルでの放送教育の効果の研究というものは余り進んでおりません。しかし、イギリスの先例の公開大学ではもう十年以上の経験を持ちまして、放送の教育効果というものをある種のノウハウ集としてまとめて、一昨年ですか出版しております。
 そのうちの幾つかの点を拾って御紹介さしていただきますと、放送の一般的な効果としましては、学生の所属感、あるいはコース設計者との一体感をふやし、授業の非人間性を減らす。それから、読書だけから内容を習得するよりも時間の節約になる。
 第三点としまして、規則的に勉強するペースになる。夜勉強に取りかかるはずみになる。
 四番目は、新しい学生を引きつけるし、一般の視聴者に関心を持たせる。
 五番目は、外部の人たちに学術的な水準の高さを示す。こういうふうな放送の一般的な効果をまとめている後に、十八項目、テレビの教育機能、それから十六項目、ラジオの教育機能というのをこうまとめておるわけでございます。
 で、放送以外につきましてのいろんな手段につきましては、私どもがやりました日本での放送番組の実験試行のときのアンケート調査からもこういうことが言えると思いますが、通信指導というメディアがぜひ必要であるというモニターが大体六割から八割五分ぐらい、面接指導がぜひ必要だという者が大体五〇から七〇%ぐらいで、大変、面接指導、通信指導、放送教育の効果が高いということが認められるのではないかと思います。最近では、遠隔教育、ディスタンスティーチングと申しますか、遠隔教育という言葉で放送大学とか通信指導などを含めた名称が使われておりまして、地理的、経済的に大学教育、高等教育の勉強の機会を得られない人たちにりっぱなその場を与えるということを目指しております。いわば、距離を通信手段で克服するという形の遠隔教育というものが世界的にも大変重要だと言われている折から、この試みというものは意義があるものだと私ば感じております。
 第三点に申し上げました点は、教育の質がよいということでございます。
 これは日本有数の教授陣が集められるということ。専任だけでなく、客員とか非常勤の方々の協力を幅広く得ることができるわけでございますので、それぞれの学際分野についての有数な方を取りそろえることができるという点。それから、大事なのは、教材を作成するときに、コースチームができるわけでございます。これは、教授の方々とか、教育工学の専門家とか、メディアの専門家がチームをつくりまして、協議をしながら、多角的にいろいろな角度から内容を吟味したり、指導の方法を吟味したりして、場合によりましてはテキストやビデオの試作品を想定される学生に見せてチェックをするということが試みられるわけでございます。イギリスの公開大学ではそれをきちんとやっておりますこともありまして、でき上がった作品が、テキストであるとかビデオテープであるとかが世界じゅうに売れているわけでございます。日本の放送大学でもそういうような形でのコースチームが準備されていると、私読ませていただいておりますので、この点は、教育の内容につきまして大変多角的な検討が行われるという点で、放送コードに関して出ております問題点にも有意義な解決になっているのではないかというふうに思います。このような形で、非常に細心にテキストをつくったり、講義の評価を行ったりすることは従来の大学では余りできておりませんでしたので、私どもが勤めておりますような大学でも参考になるのではないかと思っております。
 それから、同じ教育の質がよいという中で大切なことは、温かい教育ができると。一見矛盾したような言い方でございますが、実は、テレビに出ております講師に対して、大変受け手の側は親しみを感じるわけでございます。イギリスの例でも出ておりました。アップで非常に迫力があるのが出てまいります。普通の大学で、マスプロ教育をやりまして、遠くの方に先生がかすんで見えて、質問できない、ただ帰っていくというような場合がありますときには、それよりもむしろもっと迫力を持ってお客さんに訴えてくるだろう。むしろテレビを通じての教育に温かみが入ってくるということ。それから、マスプロ教育などではとかく質疑応答などができませんが、この場合には、マークカードといいますか、通信指導のときに問題を出して、それに答えをさせまして、送り返して、送り返されてきた学生の資料に対して、本部からもう一度フィードバックがかかるというような形の双方向の通信が考えられております。そのほかに、面接指導とか、電話での問い合わせのように、システムとしてのフィードバックといいますか、双方向が、放送が持っている一方向を補う形で考えられて運営されるという点、大変大事なことではないかと思います。イギリスの公開大学でもそのようなことをやっておりますし、これからは新しい教育メディアを取り入れてコンピューターを使うというふうなことも考えているわけです。日本はそういう科学技術が進んでおりますので、やがて静止画のリクエスト方式であるとか、キャプテンシステムのようなものが取り入れられることは必定であろうと思っておりますので、その点で、とかく私ども伝統的な大学で陥りがちな双方向の欠如が部分的にございますが、そうしたものを補うこともできるのではないか、新しいメディアによって双方向通信が確保されていくだろうというふうに感じております。
 もう一つ、この双方向と言いますものにつきましては、テレビに出ております講師と受講生とが画面の中でやりとりをいたしますと、それを見て私どもは参加している感じが出るわけでございます。普通の大学でも、だれもが質問するわけではなくて、だれかが質問する、それに先生が答えるということを見て参加する意識を持つわけでございますので、テレビの中での双方向のやりとりが私ども学術用語では観察学習、オブザベーショナルラーニングと呼んでおりますが、そういう形の効果をもたらす、実際の温かいやりとりというものは学習センターで営まれるわけでございます。そういう点で教育の質がよいということが非常に意義があることではないかと感じるわけでございます。
 それから第五点で申し上げましたのが、いまの第三点と絡まるわけでございますが、教育方法改善のモデルになるということでございます。
 コースチームをつくりまして、先生方が共同をしましてよい教科内容、カリキュラムを編成するとか、教授法につきましてメディアの専門家が入って演出の仕方を研究するとか、評価改善につきまして学生諸君からのアンケートに基づいて講義のやり方を変えていくとか、そのための先生方の指導方法の訓練、場合によっては学生の学習の仕方の訓練というようなことが、公開されますので、必ず行われるわけだと思うのですが、そういうような教育方法改善に対する取り組みが私どもの大学に大変大きな影響を与えるだろう。教育の効果を最も高めるための方法を放送大学が模範となって取り組んで、その成果をオープンに、学生だけではなくして、一般の人まで見られるわけですから、よくやっているなとか、ここが足らないぞ、ここをもっと直したらというフィードバックもかかってくるわけでございます。そういう大ぜいの方々からの批判のもと、注目のもとに、内容もよくなり、方法もよくなっていく。そうしたモデルが全国に出ますから、私ども大学人も、自分の授業を振り返って何とかしなくてはというふうに感じるようになるのではないかというふうに思うわけでございます。これが第五点でございます。
 それから第七点として申し上げました諸外国に例がふえているということでございますが、御案内のように、イギリスの公開大学は独立大学型といいますか、一つの大学といたしまして一九六九年ロイアルチャーターを受け、七一年から学生募集をいたしまして、すでに十年の実績を踏んでおりますことは御承知でございますが、これと似たような形のものが幾つかもうすでに各国にできております。
 たとえば、スペインの公開大学は一九七二年にできまして、六学部を持ち、すでに学生数四万一千人、学習センターは五十七ございます。ラジオを使っており、テレビも使いたいと思っておるわけですが、なかなかチャンネルがあかないので、そこまでいってないようでございます。スペインがございますし、その系統で、コスタリカとかベネズエラという国々もやっております。それから、昨年の十月には、タイ国がオープンユニバーシティー、公開大学を開設しまして、八万四千人の学生が登録されて大変だということを申しておりました。それから、アメリカが、御案内のように間もなく五十八年度設置をして、公開大学をすると。すでに放送の教育利用につきましては大変実績を踏んでいるわけでございますが、イギリス型の公開大学を、あの大学進学率の多いアメリカですら始めている。つまり世界各国がこの問題に真剣に取り組んで、経済的あるいは地理的な理由で高等教育の機会を奪われている人たちにその場を提供するんだと、未来の生涯教育のシステムとして整備していくんだという方向に動いておりますので、そうした整備の条件などにつきまして、先生方のお力添えをいただいて、りっぱな放送大学ができるように祈っております。
#120
○委員長(降矢敬義君) ありがとうございました。
 次に、室参考人にお願いいたします。
#121
○参考人(室俊司君) 立教大学の室でございます。
 社会教育、成人教育を研究してまして、その面から、現在参議院で慎重審議されています放送大学法案につきまして、非常に関心を持っております。その点から、いま申しました社会教育、成人教育を研究してきている者の立場からこの放送大学の可能性を考えますと、生涯教育の時代ということをまずどのように考えるかということが一点でございます。それから第二点は、生涯教育の時代を支えていく有力な教育機関としてどのようなものが必要かということでございます。それから第三点は、生涯教育の時代における大学教育というものの質をどのようにとらえるかということです。
 そのようなことで注目してみますと、まず生涯教育の時代ということは、よく最近人口に膾炙される合い言葉になっておりますけれども、いつでも、どこでも、だれでも学ぶことができるし、学ぶことに大いに価値があるという、そういう常識が進んできたということだろうと思います。その点から言いますと、この放送大学は、入学試験がないということは非常に画期的なことでございます。既存の大学が入学試験問題で大分悩んでおりますけれども、それに対して、一挙に入学試験のない大学ができるということは、これは大変なことでございます。しかし、これがその後四年間ないし六年間ぐらいかかって所定の単位を取る方もおると思いますけれども、その中身が、何だ大したことないということになってしまっては、せっかくのこの画期的な教育機関が意味を持たなくなると思います。そういう点で、社会教育、成人教育の方から、この放送大学の教育の質がどのように確保され、さらに豊かにしっかりしたものになっていくかということを非常に考えているわけでございます。
 現在、よく教育研究所とか、総理府もやっておりますけれども、生涯教育に関するいろんな社会調査でございますが、大体多くの方は、生涯教育大いに受けたい、あるいはもっと積極的には、生涯学習大いにやっていきたいという回答を出す人が非常に多くなっておりますけれども、もう少し突っ込んでみますと、すでに積極的にそういうことに何らかのことで取り組んでいるという人が大体三割以上です。それから、これからそういうことに積極的に取り組みたいと願っている、期待しているという人が三割以上。合計しますと七割以上ですから、潜在成人教育人口としては大変な数でございます。しかし、もう一歩踏み込んで考えますと、大体成人教育の場合は、ほっておいても勉強する人がもう一度よく勉強してるっていう実情もかなりございます。で、このあたりのギャップをどう放送大学が埋めていけるかということも非常に大事な課題かと思います。
 そういう点で、少し理念的になりますけれども、そういうギャップを埋める中でどういうことを実現するかということでございますが、まず十八歳から二十二歳ですでに勤労の場にいる青年、こういう青年たちがもっと大学レベルの勉強をしたいという、そういうときにそういう教育の機会をどう保障するかという問題が一つあります。これは長年宿題になってる大事な問題だと思います。
 それからもう一つは、三十歳以降の成人がむしろ学習する適性が出てくるという、まあ成人教育の歴史の古いイギリスなんかではよく言われてることですが、政治とか倫理とか、文学とか歴史とか、そういう文化価値に関するものの学習は三十歳以後が非常に適性が出てくるという、こういう成人教育の経験法則がございますけれども、こういう点から考えますと、多くの生活の場、職業の場でいろいろ生活し、仕事をしている大人たちが、自分の人生を考えたり、それから自分の持ってるものを社会参加によってさらに生かしていく、それから従来のキャリアを再教育、再訓練によってさらに鍛えていくという、いわゆる自己啓発の問題とこの学習適性が出てくるという問題は非常に大事な問題です。これにこたえる面も放送大学は大いに持っている、そのように考えられるんではないかと思います。生涯教育の時代をそのようにまず私は考えてきております。
 そういうことにたえ得る、生涯教育を支える有力な教育の組織っていうものが現在どのように考えられるかということですが、一つは市町村の社会教育でございます。これは教育委員会が中心になりますが、公民館等もございます。市町村の社会教育がこれからの生涯教育の時代の担い手として考えられます。で、これの存在のメリットは、住民参加でそういう生涯教育のプログラムを大いにつくっていく可能性が大きいです。
 それから二つ目には大学の成人教育です。これまで日本の大学は、先ほど河合先生もおっしゃっておりましたけれども、非常に閉鎖的であったという反省もあるんですが、まだまだその点、大学の成人教育は日本では非常に発達が遅いのでございますけれども、まあ私の勤務してます立教大学では、かなりこのあたり最近、かわいらしい形ですが、熱心に取り組んでおります。で、この第二の柱の大学の成人教育は、学問の自由、まあこれは古典的なアカデミックフリーダムの問題が現代の中でどうさらに生きるかという大事な問題も含みますけれども、大学の成人教育は学問の自由という問題でかなりいろんな可能性が新しく考えられるかと思います。
 それから三つ目は、例のカルチュアセンター等々に代表されます、それからYMCAみたいな民間教育団体もございますが、そういうものに代表される民間教育事業でございます。これは、いろいろな学習関心が、いまは非常にスピードが速い時代ですけれども、それに合わせてどんどん出てきますけれども、それに即時的に即応していく、そういう柔軟な構造を持っている教育機関と考えることができます。いい意味の企業性がそういうところに生きるかと思います。
 それから、四つ目としていま私たちが非常に注目しています放送大学ということがあるんではないかと思います。この放送大学は、可能性として私、見ますと、教育の機会均等ということにおいては一〇〇%の可能性を持っている。ただし、それはハードウエアの点で、まず電波を中心としますから、どんな山間僻地、離島においても高等教育レベルの教育の機会に接せられることができるという、こういう点では大変な可能性を持っているわけです。しかし、もう一つの問題としましては、ソフトウエアの問題がどう今後充実し、しっかりしたものとしてつくられていくか、ここが分かれ目になるかと思います。そういう点では、河合先生、坂元先生の先ほどからの御発言大いに今後実際に生かしていかなくてはならないんじゃないかと思います。
 以上四つ、市町村の社会教育、大学の成人教育、民間教育事業、放送大学、この四つをまず生涯教育の時代を支えていく有力な教育機関と考えたいと思います。それからさらに、もっと大きな、教育は一国の文化に根差すということで考えればさらにいろいろな有力な文化機関が出てきます。NHKの市民大学講座等の努力は、文化とかジャーナリズムの独立の精神等々の中でなされている貴重な努力だろうと思いますけれども、こういう点も大いに考えられますし、それから博物館関係の努力も大いにこれからは期待されなくてはならない。同じく図書館関係でございます。そのようなことも配慮しなくてはなりませんけれども、いま勉強したい人、あなたに教育の機会を、というふうに考えた場合、注目できるのは以上申しました四つでございます。そういうことで、では放送大学が生涯教育の時代における大学教育としてどのように中身が豊かに、しっかりしたものとして期待されるかということでございますけれども、どうもこういう放送大学の問題を論じているときに、大学教育と高等教育という言葉がときどき混合して使われます。このあたりはもう区別しないでいいんではないかという考え方もございますけれども、教育内容、教育方法のレベルに入ってきますと若干区別した方がいい場合もございます。確かに放送大学が高等教育レベルの教育の機会均等の可能性を大きく持っていますけれども、高等教育レベルと申しますと、いろんな各一般行政がやっております教育事業――大学校もそうですし、それから専門学校系も入ってきます。しかし、それに対して大学教育ということで考えていった場合、どういう独自的な教育内容、教育方法の価値があるかということをここでとらえますと、ちょっと古い言い方になりますが、私の持論としましては、大学の学生が勉強する日常的な基本は、読書し、討論し、論文を書くという――それだけの大学生がどれだけいるかということはございますが、このあたりが大事な問題です。仮に放送大学の学生がこういう日常的な努力をするところへ、放送とスクーリングでそれをどうバックアップするかという、こういう基本構図ではないかと思います。そうしますと、やはり放送大学関係の問題の中でカリキュラム編成と授業展開と評価ということが非常に大事な問題となるのではないかと思います。カリキュラムをどうつくるか、実際の授業をどう展開するか、それからその成果をどう評価するか、ここが非常に中身として核心になるのではないか。これを支える組織、ハードウエアの問題が法律レベルでは重要な骨格になってくるのではないかと思います。その場合、一つは放送として編成していかなくちゃならないという絶対必要条件がございます。で、これはよく放送法第四十四条第三項の自主規制の問題が論じられていますが、それ以上に、坂元先生が先ほどおっしゃいましたように教育的表現ですね、テレビを使った場合これだけのメリットがあるというあたりを放送編成権の問題として教育方法にどう生かしていくかという、このあたりで大事な問題が出てきます。この担い手はディレクターであり、その責任の中心はチーフディレクターの方になるかと思います。
 それからもう一つの大事な問題は、大学で言います演習、実習、実験でございます。
 放送大学は主として人文社会の方の教養的な方を担当するようでございますので実験の方はちょっと外しまして、しかし基本的には演習、実習という問題、これを放送大学の学生の一番身近なところで、どうスクーリングの中できちっと支えられるかということです。これには担い手としまして周辺の国立大学の協力ということは実際問題としてかなり重要な問題になってくるんではなかろうかと予測しておりますけれども、このあたりをきちっとやりませんと、従来の通信制大学――私、慶応大学を非常に尊敬しているんですけれども、慶応大学を通信教育で卒業した人は昼間の大学を卒業した人よりも高く評価されるということがあるわけです。入学者の一割が卒業にまでやっと達するというくらいの努力を通信教育を受講している学生はやっております。私の知っている、もう年配の女性の方ですけれども、自営業の方でございましたけれども、四十過ぎてから、自営業をやる傍ら、慶応大学の通信教育生で、これは国文科だったと思いますが、勉強しまして、六年ぐらいかかりましたけれども、卒業論文も書きました。漱石に関する論文だったと思いますけれども、それを審査した教授が激賞しまして、もう一回どこかへ学士入学しないかというふうにお誘いをかけたというくらいのエピソードも身近に知っておりますけれども、とにかく既存の通信制大学がそれだけのメリットを大いにじみちに発揮している場合もございます。それとやはり拮抗し、それから場合によってはそれよりもさらにユニークな新しい成果が出せるくらいの放送大学をぜひ期待したいと思うわけです。そういうことで、主として社会教育、成人教育の方から、今日先生方が審議されています問題を概略見さしていただきましたわけでございます。
 そういう点で、最後にお願いしたいこととしましては、やはり国民の生涯学習を奨励し、支える組織として育つような法制度をぜひ準備していただけたらと思います。そういう点では、理事の条項、それから運営審議会の条項、それから評議会の条項で、そのメンバーシップの中に他大学の協力をどう期待するか。これは国立大学協会なんかの問題とも関連するかと思います。それから運営審議会、評議会レベルで、先ほど河合先生もおっしゃいましたけれども、チーフディレクターあたりのメンバーシップをどう期待するか、それから実際の学生の学習指導を担当します、それの最終責任者であるかもしれませんが、教授という職分の方のメンバーシップを運営審議会あたりにどう期待するかという、そういうことを申し述べさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
#122
○委員長(降矢敬義君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、参考人の皆様には、各委員の質疑時間が限られておりますので、恐れ入りますが簡潔にお答えくださいますようにお願い申し上げておきます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#123
○小野明君 二問お尋ねをいたしたいと思うんです。御発言のありました順序で結構でございますから、簡単にひとつお答えいただきたいと思うんです。
 先生方の大学の場合は教授会というものがはっきり位置づけをされておるわけです。ところが、この放送大学というのは文部大臣の権限が非常に強い。あるいは教員に任期制というものが入っておるわけでございます。そういう面から見て、この大学には自治があるのかと、自治のない大学というのは私は大学たるに値しないと、こう思います。筑波大学によく似ておるわけですが、そういった面から見まして、この放送大学は大変結構なことだというふうにおっしゃられたわけですが、大学という名に値するかどうかということが第一点。
 第二点は、放送法によりまして、先ほどちょっとお話もございましたが、番組編成については放送法第四十四条三項、このコードが準用されるわけであります。特にその中で二号、「政治的に公平であること。」、あるいは四号、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」、こういうことがございます。そういう面から見ますと、国営放送による国民の思想統制と、こういうものに通ずるのではないか。学問、研究の自由ということから言いますと、これも大学たるに値しないものになるのではないかということが危惧されるわけであります。御陳述の内容と若干違うかもしれませんが、以上二点、簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
#124
○参考人(河合雅雄君) まず第一の問題でございますが、私は放送大学というのは、当然既存の大学の属性をすべて備えてなければならない、つまり学問の自由それから大学の自治というものを根本的に備えてなければならないというふうに考えます。理事長その他、文部大臣の任命であるというところをおっしゃったわけですが、現在の大学でも、助教授以上は全部文部大臣の任命であります。それから評議員もすべてそうですが、ただ、こういうような現実に起こり得る危険を回避するために、日本の大学は長い間かかって民主的な手続をうまくつくってきたように思います。そのような大学自治を基盤にした各役員あるいは教授あるいは評議員、そういう人たちの選出の民主的な手続をきちっとすれば、いまの問題は避けられるだろうというふうに思います。具体的なことは、また御質問があったら申させていただきます。
 それから任期制の問題なんですが、これは非常にむずかしい問題だと思います。私たちも任期制というのは常に頭にあります。というのは、人事の停滞を防いで交流を盛んにするということですが、これはいま現実には非常にむずかしい。けれども、むしろ放送大学ができることによって、さまざまな大学がこの放送大学に参加するわけですから、放送大学の人と各大学の人事が交流すると、そういう可能性はむしろ非常に高まる。ただ、任期制というのは、機械的につくってはだめで、ここは十分慎重な検討が要るかと思います。
 それからもう一つは、政治的に公平でなければならない、意見の対立があれば、いろんな意見を公平に述べなければならない、これは私は当然のことだと思います。ただ、これにこだわり過ぎますと、授業内容が非常に無個性化するという欠点は起こるかと思います。ですから、当然授業には個性的であるということが大変重大でありますが、ただこれは偏狭であるとか、そういうものとはつながらない問題だというふうに思います。
 それから、特にその人の意見の個人的色彩が強いような、しかし非常にすぐれている、こういうような講義を必要とすれば、これはたとえば特論として扱う、そういったことも可能ではないかと思います。
#125
○参考人(坂元昂君) まず最初の第一点でございますが、私、教授の方々の学問の自由、研究の自由、表現の自由、あると思います。
 学問の自由は、放送大学の教授は自分の講座ないし所属する学問の範囲内での勉強のこれこれをしてはいけないとだれからも言われないだろうと思います。研究についても同じでございます。ただし、表現の自由につきまして、放送に出す場合に若干の、ある一つの偏ったものだけは出せないということがあろうかと思いますが、放送では公正に話題を取り扱うということがありますけれども、その本人の意見といいますのは放送を使わない他のメディアで、たとえばテキストであるとか学習センターで十分にその教授の御意見が陳述できるのではないか。総体的に見まして、研究、学問、表現の自由は確立されるだろうというふうに存じております。
 組織といたしましては、先ほど河合参考人がおっしゃったように、教授代表から選ばれる評議会が、いわゆる私どもやっております間接民主制というものをとっておりまして、その中で各専門分野の意見が反映するだろうと思いますし、それから実際上は地域にいろいろセンターがございます。地域のセンターの意見とかが、私ども慣行としましては学科主任会議等、いろんなことをやって実際運営しておりますので、そういう形での一般の教授会構成員の意見あるいはディレクターの方々の意見というものを反映する仕組みが、これは慣行としてしっかり打ち立てていただいてやれるのではないかというふうに存じます。
 それから、第二点につきましては、先ほどの表現の自由が公正でなくちゃいけないということとまさにかかわるわけでございますが、多角的に教材編成がなされますし、いろいろな意見が集約されて放送に乗るわけでございましょうし、それからイギリスあたりでやっておりますように、オープンフォーラムという特別の番組がありまして、いろいろな形の意見を代表する方が出てディスカッションする番組がございます。そうした形のものもとり得るのではないかというふうに思います。
#126
○参考人(室俊司君) まず、教授会とか学問の自由の問題ですが、私も一私立大学の教授会のメンバーですし、学問の自由は大いに大事にしたいと考えております。放送大学がその点でどういうことになるかという御懸念でございますけれども、学生を指導していまして、教授会の自治、学問の自由というのは何のためにあるかということを常々自覚しております。それは決して特権化してはいけない、これはもう常識でございますけれども、それはやはり一国の文化水準を高め、普及するために大いに教授会の自治、学問の自由は大事だということで、これはただそう頭で思っているだけではだめで、絶えず比較的な努力を実際の研究、教育場面で具現化していかなくちゃなりません。そうすると、放送大学の場合で言いますと、先ほど言いました大学教育としての質をどうきちっと維持していくかという努力の中に原点があるかと思います。それで、その原点の方から、現在法律案として出てきております条項を読ましていただきますと、評議会のところは非常によく配慮されているんじゃないかと思います。それから、運営審議会のところはもう一工夫ほしいなあという感じがいたします。それは、非常に僭越でございますが、第十八条に運営審議会の規定がございますが、二十人以内の委員でこの大事な会を設けることになりますが、第十九条では委員が、「学園の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命する。」と、こういう表現でございますが、ここに先ほど、大学教育としての質を維持するためには、チーフディレクターとか、それから教授職にある者の方からのメンバーシップがここに期待されてもよろしいんではないかと思うわけです。さらに、国立大学の協力を得るとすれば、国大協からのメンバーシップも期待してはいかがかと思います。そこを明言化するかどうかということも、私なりの見方としてはちょっとあるんでございますけれども。
 それから、理事の大切な職責でございますが、これは六人制の形式をとっておりますが、理事会機能を持った方がいいのかどうかということも大事な点ではないかと思います。私立大学ですと、理事会と教授会とそれから評議会、この三者が非常にバランス・オブ・パワーをうまく発揮したときに、本当にいい大学が維持されていくという経験を持っておるもので、そのように考えます。
 それから、第二点の方の放送法との関係でございますが、これはこのままいくと国営放送化するんではないかと。しかし、それは形式論でそういうふうに見える点もございます。もちろんそれは単なる形式論で考えていいかどうかもまた宿題になるかと思いますが、大学も国立大学です。それから、NHKもやはり一応、国立ではございませんけれども、国会の承認等をとって営まれているわけでございます。そうすると、むしろ中身として、先ほどから申してますが、大学教育の質、原点がどうきちっと維持されるかという、ここから放送大学の組織を見ていった方がいいかなと思います。そうしたときに、オンエアで出されてくる放送内容が大学教育としては学説としてきちっと出されているかという問題とか、それから放送とスクーリングで授業になるわけでございますが、授業の評価が送り手だけでなくて受け手の方からもあるということを念頭に置きたいわけです。
 で、私、大学の教師として授業経験を持っていますと、やっぱりいい授業は、一〇〇%の学生からいいぞと言われるものよりも、評価が真っ二つに分かれる――五〇%の学生がこれはいい授業だし聞きがいがある、もう一方の学生はつまんない、退屈だという、むしろこの真っ二つに評価が分かれるくらいのものの方が、実は本当に大学教育としての質を持った授業を展開しているんではないかということもございますので、やはり学習センターの方の側からのフィードバックの仕組みをきちっとつくるということでも考えられなくちゃなりませんと思います。
 それから最後に、坂元先生もおっしゃっておりましたけれども、オープンフォーラムなんかございます。これはむしろ、ぼくはさらにもう少し進めて学会中継――学会でいろいろな研究発表がございますね。いろんな日本文学会とか歴史学会とか、それから自然科学学会とか、学会をそのまま中継して、それを自由選択科目的に内容として位置づけるとか、これはオープンフォーラムと同じようなことでございますけれども、先生方に向かって恐縮でございますが、私、国会中継見ていて大いに勉強させられているなんというところもございますので、こういう学会、いろんな学会、いい学会ございます。そういうのをどんどんカリキュラム編成のときにどのシーズンにこの中継をやるとかいうようなことも工夫があってしかるべきだ、そういう中身の方から決して形式的な国営放送にならないということの問題が大いに考えられていいかなというふうに、そのようにも思います。
#127
○粕谷照美君 それでは二点お伺いをいたします。
 今度の法律案の中には役員として政党の役員を入れることができる、こういうことがあるわけですね。もう全面的に国の予算でもってこの大学はできていく、そうして理事も文部大臣の任命だ、評議員もそうだ、こういろいろあるわけで、評議員のこの民主的な手続があれば御心配はないと、こういうお話もあるわけですけれども、私たちはその辺のところを非常に心配をしているということだけを最初に申し上げて、なおかつ先生方からそれに対する反論があればお教えをいただきたい。教授会なんかにつきましても、教授会がいままで持っている力というものが評議員会に移っているような法律案になっているように思われるわけであります。
 二番目にお伺いをしたいと思うのは、通信制大学についての評価であります。
 室参考人は慶応を大変高く評価をされました。それはやっぱり慶応大学そのものが通信制大学のあり方についてきちんと対処をしているからだと思うのです。この放送大学、本当に順番で採ったり、くじ引きでもいいからというふうにして定員を決めていきますね。卒業するに当たってのその認定、厳しくしなければ世間の評価がない。しかし厳しくし過ぎれば学生が集まらない。この辺のところをどういうふうに考えていったらいいか。イギリスのオープンユニバーシティに行って私がお伺いしたときにも、とにかく家庭で、あるいは仕事を持ちながらこれだけの勉強をこなして卒業したということでは、大変高い評価を得て、就職なんかについても非常に有利だということをお伺いしているわけであります。ところが、日本の実態を考えてみますと、それはまた逆で、通信制というのがイメージから言えば夜間大学を卒業したよりは下になっているという報告が、日本私立通信制大学の三十周年の記念の報告書に載っているわけですね。そういうことも含めましてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#128
○参考人(河合雅雄君) 政党の役員を入れることができるという御意見ですけれども、私は理事会にしろ、運営審議会にしろ、政党の役員は入ることは大変まずいと思います。それは、どんな時代、どんな風潮であれ、やっぱり大学というものは中立でなければならないと考えるからであります。
 もう一つは、通信制大学との関係でございます。
 それから、卒業認定を厳しくせよと、あるいはこの辺の問題はどうかということでございますが、何よりもこの大学の大事なところは、みずから学ぶ姿勢を持つということが根本であろうかと思います。単に資格を取るとか、あるいは出てから大変有利であるということよりも、私、初めに申しましたように、生涯教育という問題にかかわってみずから学ぶ、この姿勢を捨てた人は中退でも何でも仕方がないんではないか。そしてまた、中退ということであっても私はそれだけの効果をちゃんとその人は得られたんではないかというふうに思います。
#129
○参考人(坂元昂君) 第一点につきましては、河合参考人と同意見でございます。
 イギリスの場合ですと、ポリテクニクあたりのガバナーといいますか、評議会の議長に労働党の議員の方がなっておられるとか、そういう例、私、留学しておりましたとき存じておりますけれども、日本はやはり国情が違って一般に学問の世界には政治の先生方、お入りにならないで、温かく見守ってくださっているという伝統がございますので、やはりそういうこともお考えいただければと存じます。
 第二点につきましては、これはやはり放送大学で単位を取りたい、つまり卒業して学士号を取りたいという人々と、それから学士号を取るまではいかないけれども所定の単位を取りたいという方々とがおるわけでございます。その後で申し上げました単位だけを取りたいという方が、ほぼアンケートの調査などですと現在は五〇%ぐらいで、大学を卒業して単位を取りたいという方が約三六%ぐらいというふうな形の結果が一つ出ておりますんですが、そういうことを考えますと、かなり大ぜいの方々が、つまり大学卒業までいかなくても単位だけを取りたい。それが単位互換制度と結びつきますと後で学士号を取ることに移行できますでしょうし、それからまた単位互換ということを考えますと、放送大学の単位はある程度取ってほかの大学でそれを認定すると。学問の専門領域が学際的なものと基礎的なものと若干ずれておりますので、すべてはむずかしいと思いますが、ある程度の相互乗り入れば可能かと存じます。また逆に、放送大学の方で、四年制の大学に行きながら家庭の事情その他で勉学を断念せざるを得なかった人方に対して貴重なる場を与えて学士の資格を取っていただくことができるという意味で大変大事ではないかと思います。
 それから、通信制のことでございますが、これは通信制の中で放送を利用するということがやはり大変大きな役割りを持つという意味で、世界じゅう通信大学が放送を利用するというふうな発展をしているわけでございます。私ども通信制の大学で現在もラジオを使う実験をやっておりますけれども、学力の面では、通信制で普通に勉強した学生と通信制プラス放送で勉強した学生と優位な差は出なかったんですが、ドロップアウト率といいますか、途中脱落率は放送をプラスした者がいいというようなわずかの資料でございますが、そういうことが出ておりまして大変心強く思っております。
#130
○参考人(室俊司君) 政党の役員の方がこの学園の理事におなりになる、あるいは役員におなりになることの可能性は現行の案ではあり得るわけですが、この問題についてはもっと根本的に考えますと、政治に対して文化、学術の問題がどうであるか、私はどんな政治的見解をお持ちになっても事文化、学術に関する限り、またそれに根差した教育である限り、コンセンサスがとれるという文化伝統というんでしょうか、一国の文化の水準があればここは余り心配しなくてもいいという一つの楽観論でございますけれども、しかしそこはそんな簡単な問題じゃないという現実がどの国でもあるとすれば、バランスの上から評議会や教授会の権能をきちっとしておくということで、理事会との緊張関係がいい意味で安定するということが考えられるかと思います。私の勤めています大学も私立大学です。先ほど言いましたように理事会、評議会、教授会、いまのところいい意味でバランスがとれていまして、しかしそのためにおのおの三者かなり苦労されることは覚悟しなければなりません。それから、現在まだこれは実験的な取り組みですし、これは非常に意欲的な放送大学は大いにこういう文化的実験はやってほしいと思うんですけれども、しかしいろんな歴史的、社会的諸条件の中から出発しなければならない、それに根差していろいろな考え方があるというときに、これは国営放送化する可能性があるんじゃないか、これは新種の国立大学じゃないかとかいろんな見方がされる中で非常に大事な文化的実験をするとすれば、それが誤解のないように大いに発展することを考えれば、政党の役員の方はこの放送学園の理事とか役員等におなりにならない態度を当分持った方がいいんじゃないか、そういう解釈も大いに大事なんじゃないか、そのように思います。
#131
○本岡昭次君 五分ですので室参考人にお伺いいたします。
 私が一番心配していることは、放送大学学園という特殊法人が設立されて、その特殊法人が放送事業の主体者になって、そして大学をつくって放送によって教育を行うという、ここのかかわりの中にあるわけなんです。というのは、この前私が質問した中で、放送大学学園という特殊法人、いわば性格的には国家機関とは言わないけれども国家の別働隊だという意味のことも、大蔵省の文章なんか引用したんですが、別段文部省側はそれを否定はされなかったのです。また、準国営放送という放送の主体者にこの放送大学学園がなるということについても特段否定がなかったわけです。とすると、放送大学学園という特殊法人が準国営放送の主体者になるということを私たちは知った上で、いまお述べになりました生涯教育あるいは大学教育をどうしていくかということを考えていかなければならないと私は思うんです。教育の中身によって国営放送になるということじゃなくて、その性格そのものが国営放送としての性格を初めから持っているという事柄であります。そのことを私は百歩譲って次の問題にいくときに、やはり放送大学の持つ放送による教育の利点というのは参考人が言われたように私も感じています。その上で、やはり相当なそこに歯どめというものがかかわっていかなければ、力があるだけに大変なことになると思うんです。その歯どめが、要するに大学の自治といっても、いまおっしゃったようにそれはつくり上げていくものだと、長年にわたって大学人がつくってこられた努力の結晶ですよね。
 だから放送大学学園が初めから持っているものじゃないと。ましてや、これは新構想大学ということで新しく構想された大学の一つとしてされる以上、その大学の自治というものが白紙の状態にあって、これからつくられていくということと、一方特殊法人が国営的なものを持っているということになれば、理事会とかあるいは審議会、評議会あるいは教授会、こうしたところにさまざまな民主的な、あるいはまた自治というふうなものが組織的に保障されるものが具体的になければだめだと、こう思うんです。そして学生の自治、そこに働く職員の自治、こうしたものが法律の中では無理にしろ、もっと別のところに国会の審議を通して保証されるということを抜きにして私は放送のメリット、放送による教育がこれほど高いと言われても、その前段の持つ危険性の方へ、やはりこの問題には反対せざるを得ない、こう思うんですが、いかがですか。
#132
○参考人(室俊司君) いま本岡先生がおっしゃられたこと、私もそういう可能性は一面ではあるということは十分理解できます。しかし、先ほどから申しておりますように大学教育の原点、それからそれの質の維持ということを基本軸にしまして、そこをどう大事にしていくかという視点から見ますと、これは非常に意欲的な新しい文化的大実験という期待も大いに捨てがたいわけですね。ですから、これはむしろ育てるものですね。ですから、育てやすいような法制度をぜひつくっておいていただきたい。これは後で、ますます大学教育としての質が国民の生涯教育の期待にこたえ得るものとして発展していくように、なお今後実験の進む段階で――実験といっても、これは実際に発足するわけですけれども、そういう意味での実験ですが、その中で法改正等で整備していっていただきたい、そのような留保をつけるような法制にしておいていただきたいという気はいたします。それから、放送大学というと、俗っぽく言ってしまいますと、入るのにやさしい、じゃ出るのにもやさしいかというと、決してそういうことであってはこれは余り文化的実験事業としては、国家的事業としては意味がないと思いますね。
 そうすると、現行の大学でも――私、国立大学一つとそれから立教大学と、もう一つ私立大学、三つの大学を教えております。あとの二つは非常勤でございますが、例の受験雑誌のランキングでは上、中、下と並ぶような感じでございますが、卒業論文を書いている学生を見ますと、どの大学でも一割の学生は、どっちへ持っていっても本当にいい卒業論文を書いているという学生が必ずおります。ですから受験ランキングとは関係ないわけですね。入ってからの四年間で、本当に大学教育をきちっと受けて、それで自分の学習を蓄積していった成果として見ますと、どの大学にも大ざっぱに言って一割は本当に伸びる学生が含まれております。ですから、放送大学も入学試験なしで入って、本当に大学教育の質を保障し、それから放送大学で勉強する自学自習の生涯学習やっている学生が本当にうまくぴったり合わされば、その点はむしろ放送大学でああいう出身者が出てきたという評価が十年後期待できるようなことにぜひしていっていただきたい。そのためには、まだやってみなくちゃわからない部分がたくさん残っておりますので、そこは留保なさった法制度にしておいて、いろいろ配慮を今後の中で、法改正等でお進めいただけたらと思います。
#133
○田沢智治君 三先生の貴重なお話を承りまして、私が抱いている放送大学の価値観、あるいは複雑化し、多様化し、高度化する日本の社会をさらに担うという次元の中では、既存大学ではどうしても賄い切れない分野が、私はいっぱい出てきていると思うんです。そういうようなものを御指摘されたような内容を承りまして、私は非常に意を強くしたのでございます。
 そこで、近時、西ドイツ、イギリス、アメリカ、スペイン、タイ国などそれぞれの国々が、それぞれの国情に即した形で放送大学に似たような、あるいはそのものずばりと言われるようなものを実施している。諸先生方におかれては、西ドイツにおいてはこういう特色がある、イギリスはこういう特色がある、アメリカが行おうとする放送大学にはこういうようなよさがある、スペインにしてもタイ国にしても何かお気づきになった点があればひとつ参考意見としてお聞かせいただければと、こう思うのでございます。
#134
○参考人(河合雅雄君) まことに申しわけございませんが、私はその方のことは全く疎くて、諸外国の実情はよく存じませんので、お答えいたしかねます。
#135
○参考人(坂元昂君) 大変むずかしい御質問でございまして、全体を非常に整理をしてお答えするということをちょっといま大変やりにくいんでございますが、感じておりますことを申し上げさしていただきますと、イギリスの場合はやはり発足が労働党内閣の発意から行われておりますので、勤労者で勉学に欠けるところの人たちに大学教育の機会を与えようというような発想で始まってきております。
 ただし、あそこの国の場合には、オックスフォード、ケンブリッジのようないわゆる大学と、それからポリテクニクと言います実業を主にいたします、大学が理論的といたしますと、もっと現実に近い教育をする大学相当の教育システムと二つございまして、そのちょうどどちらにも属さないただ一つユニークな大学として存在する。と申しますのは、オックスフォード、ケンブリッジの場合は、御案内のようにUGCといいますか、大学の基金委員会からお金が出ております。直接政府からは出ないわけでございますね。それから、ポリテクニクの方は地方の政府からローカルの教育委員会の方を通して政府から直接お金が出る。オープンユニバーシティーの場合には文部省からたしかお金が出るというふうにして、非常に特別な措置をしてそれだけを盛り立てているというようなところが特別扱いをして大変大事にしているという印象を持っております。
 それから、ドイツの場合は放送大学系統のものが三種類ぐらいあると思いますけれども、一つ通信指導を主として行っておりますハーゲンのフェルン・ウニベルシテートというのでしょうか、そこではラジオを使わないでビデオを回すという段階をやっております。一般にヨーロッパの場合は、イギリスは例外といたしまして、国営放送とBBCと民間放送と並列しているわけですが、ほかの国は必ずしもそうではございませんので、放送に利用できるチャンネルが少ないということがあって、使いたいのだが使えないので、いまビデオとかラジオ使っているという様子で、通信教育を主体にして、その中に放送教材を通信で出しているということが一つ。それからミュンヘンの方にございます系統のものは、ラジオを使った大学教育的なことをやっておりますが、資格を与えるという点ではイギリスの方が何かきちっとしているような気がいたします。
 それから、大変おもしろいのはフランスでございまして、たとえば東フランスの連合大学といいますのは、幾つかの大学が連合いたしまして、たとえばある人が自分のそばにある大学の学生と名目的にはなるけれども、勉強はほかの大学でする。そして自分の所属する大学では必ずしも勉強しなくて、七つぐらいの大学がチームになっていますと、ほかの大学で勉強して、しかし卒業の資格は自分が所属した大学で卒業するといったような大学間の連合ということをやっておりまして、フランスらしいなあという気がするんですが、うまくいっている例と連合がうまくいかない例があるようでございます。
 それから、スペインその他はやはり通信教育から始まっておりまして、やはりイギリス型をねらっているんですけれども、BBCのような放送の、何といいますか、メディアが充実していないということもあるんだと思いますが、通信をかなり主といたしまして、その中にラジオを取り込んでいる。
 タイとかベネズエラとかコスタリカといった方は進学率といいますか、基本的な進学率などが低いせいもありまして、高等教育をとにかく機会均等を多くしようということをねらっているように私は感じておりまして、タイの場合ですと、とにかく八万四千人が入って、大学の教授が通信指導のテープとか教科書を袋詰めするのを一週間ぶっ続けで手伝ったなんというようなことを、私は現場をたまたま見てまいりましたのですが、そういうことがあります。日本の場合もそういう運営の方の手当てを十分していただいて、開いてたくさん集まるというときの対応策を十分に講じていただければいいなというような気がいたしております。
 それから私、余り長くなりますので、簡潔に申しますが、こうした大学放送に四つばかりタイプがあると思っております。
 一つは、イギリス、スペイン、コスタリカ、これから計画をしておりますアメリカのオープンユニバーシティーとかオランダ、オーストリア、この辺のものが独立型の通信大学ないしは放送大学をつくっていく形のもの、これが第一類型。
 第二類型と申しますのは、フランスのように既存の大学が連合するタイプでございます。
 それからもう一つは、第三の類型といたしましては、協力型と申しまして、ドイツの例にあるんですが、文部省と放送局と高等教育機関と大学の教材作成機関とがそれぞれ分担協力をいたしまして、放送を使う通信制大学を営んでいるという協力型。
 それから第四番目は、大学公開講座型と申しましょうか、既存の大学が放送を使って放送教育を公開している。ただし、そこの大学の資格を取るということになる。放送大学の独立というよりは、普通の大学の資格を放送というメディアで取ることを助けているという形でございましょうか。それから完全に公開の場合ですと、大学卒の資格でなしに、別のサーティフィケートを出すような場合とかいろいろございまして、どの国がどれということははっきり申し上げられなくて大変申しわけございませんが、また勉強してと思っております。
#136
○参考人(室俊司君) 私は、坂元先生のように諸外国の実際については詳しくございません。ただ、いろいろ、若干大まかに検討さしていただいたこともかってございますので、その点から御参考になる意見が少し述べられればと思います。
 坂元先生はいま四つのタイプが、独立型、連合型、協力型、公開講座型とあるというふうに御説明いただきましたけれども、形態から言うとそうあるかと思います。
 で、さらにそういうとらえ方に加えまして、私の見解ですと、大学教育ということから言うと、一番基本的には三つになるかと思います。いわゆる大学放送型ですね。これは既存の大学が放送局を持つということですね、簡単に言ってしまえば。ずっと昔、昭和三十五年ごろかと思いますが、お茶の水女子大学に視聴覚教育研究所をつくろうかとか、それからすでに東京大学に新聞研究所等がございました。そのときに、そこに放送ができるようなことにして、将来、放送によって大学公開講座、今日で言えば通信制の大学の機能も果たすような、まあ夢みたいなことでございましたけれども、ございました。第一のタイプが大学放送型です。
 それから第二のタイプが公開大学型ですね。イギリスのオープンユニバーシティーがそうでございますけれども、これは通信制大学をきちっと持って、メディアとして、手段として放送を利用する。例のBBCが放送を負託されてやっておりますけれども。
 それから第三が、いわゆる放送を中心とする新しい大学をつくるという放送大学型、この三つかと思います。で、おのおのメリットがあるかと思いますけれども、私の長年の大学教育を経験してきた者の立場から言いますと、真ん中の通信制大学をきちっと考えるという公開大学型ですね。そこでいわゆる大学教育をできるだけ多くの人にきちっと保障していくという、そういうところで放送というのが、放送法の関係がなければ、手段ということですね、方法として大いに活用されるという、そのように考えたいんです。で、事実、イギリスのオープンユニバーシティーも実態は通信制大学としてきちっと確立する方向へ進んでいますし、それから幾つかの外国で大学院クラスの単位も通信制でやっているところも幾つか出てきております。そのように基本は大学教育の性格をきちっと持つということでお考えいただけたらと思います。
#137
○田沢智治君 大変わかりやすく御説明いただきまして大変勉強になりました。
 そこで、私は今日までの大学教育の実態を見ますと、教育と研究の両輪によって教育目的を達成する仕組みになっておるのがいまの大学だと思うんですが、問題は、河合先生が申されたように、マスプロ的ないまの実態、先生が終身雇用みたいな形で、教授陣は教授陣で自分の弟子は自分が教えたやつだ、ほかのやつは入れないというような変なセクトといいますか、そういう問題があって、授業内容も大変硬直している、大学に行ったっておもしろくないというような声が多いんです。ですから、たとえば一万人入学しても、実際その大学で勉強する人間は一学期たつと半分ぐらいに減っていっちゃうというようなことは、私はやはりいまの大学がこれでいいかという反省がなきゃいかぬと思うんですよ。ですから、そういう意味において、形だけの大学生じゃなくて、本当におのれをみがき、社会のために尽くしていくという、自分の資質を伸ばすことによって、人とのつながり、人様に何か役に立つ一生をやっぱり自分自身が開発していく、それがやっぱり国運という形の中で世界の中の日本を位置づけるということになったら、いまの大学でいいかというと私は疑問に思うんです。ですから、その疑問に思う基本は何かということを思うと、大学は教育と研究と同時に社会還元しなきゃならぬと河合先生が申される。私はこれはやはり学問は開放されるべきであると。ですから、日本の教育の中に一つのイデオロギーが入ってきたとするならば、私も大学人ですから、そういうものは認めません。右が来ようと左が来ようとわれわれは体を張って冗談じゃないという気概を先生方みんな持っているから、きょうはそういう発言が私はあると思うんです。
 そこで、うちの大学ではこの先生、ああ隣の大学のこの先生の民法の講義を聞きたいとか政治学を聞きたいとか経済原理を聞きたいという欲求はみんなそれぞれあると思うんですね。そういうものを満たすという意味においては、やはり開放される大学形態という実態の中で放送メディアというものを活用して新しい企画性の中で新しい大学を生み出していくということは、私は多少の問題があっても勇気を持ってやるべき次元である。特に河合先生が申されるように、色とか声とか形とか図解なんというのは、私はやっぱり大ぜいの学生の前で教壇に立って示しても効果はないと思うんです。ですから、やっぱり放送によって大変プラスになる、効果のあるものも数多く教育分野の中ではあると、こう思うと同時に、すべての人々に公平で、しかも教育の機会均等を与えるというような本質的にいいものをもっともっと伸ばす必要があるんじゃないだろうか。そのためにそれなりの放送大学の管理運営というものを民主的かつ公平にやる必要性があるという御意見に対しては、私は大変同じような考えを持っているのでございます。
 河合先生にちょっとお伺い申し上げたいのは、いま言うように社会還元の中で放送大学が果たす役割りは大変であるというようなお考えのようでございますが、そのとおりでございますか。
#138
○参考人(河合雅雄君) いまの大学、まあ閉鎖的、保守的、硬直的というような大分悪口を申しましたけれども、実際にはもう多分にそういう面がございます。それで、先ほど申しましたように、大学人が一番評価されるのは研究だということだけで評価していくというのは、日本では非常にそういう姿勢が強いわけですね。ところが、オーストラリアでも欧米でも、先ほど申しました研究、教育、社会還元とこの三つが大学人の評価の基準になっております。一方、残念ながら、たとえば社会還元をするといっても日本ではその場が余りございません。たとえばNHKの教育テレビに出るとか、公開講座に出ていくとか、市民大学に出ていくとか、そういうのはございますけれども、ずいぶん有用な人材が地方に埋もれているというふうに思います。そういう人たちを十分活用するには、たとえばこの放送大学ですと地方地方に学習センターあるいは地域センター、多くのものがつくられて、地方の大学の人と実質的な交流が行われる、そのことによって、先ほど大学人を本当に賦活する作用を持つと申しましたけれども、埋もれた人材、機能を十分発揮させて、その人たちの社会還元への機会も与え、能力を発揮させる、そういうことができると思います。
#139
○田沢智治君 最後に、坂元先生にちょっとお伺いしたいんですが、各国の放送大学形態の中で互換制というものを強力に推進している、あるいは互換制というものがある意味においてメリットとして放送大学の命になっているというような形態はございますか。要するに放送大学で取った単位がAという大学で認定され、そのまま四年制へつながっていくとかというような連携なり提携というような次元での教育機関の交流というものがどういうふうに行われているか、私ちょっと関心があるんですが。
#140
○参考人(坂元昂君) 一番古いのがポーランドの放送工業大学というのがございまして、これはポーランドは戦争の後で非常に多くの知的な能力を持った方々が亡くなられて、それをいかに建て直すかということで懸命になられて、テレビ放送工業大学というもので教育をしまして、そこで獲得した資格を持って普通の大学へ移すということを一時やっていたことがございます。その場合は本当にもう非常に大きな意味を持っていたわけでございますが、最近ですと、イギリスの公開大学でポリテクニックとの乗り入れとか、そういうことか――ちょっと具体的に私調べたことはあるんですが、いまどの程度なされているかということはちょっといまはっきりと覚えてないんですけれども、本質的に大々的になされているというところまでは行ってないように思いますが、その動きはありますし、それから、何と申しますか、幾つかの教材の国際協力というようなことはなされております。たとえば、イギリスの公開大学での材料がアメリカにそっくりそのまま移りまして、イギリス語でアメリカの大学生に公開大学を教えていると。これは単位互換というよりは、その教育内容を互換する――互換というか、一方へ流出するという形のものでやはり協力になっているかと思います。これが幾つかの大学で行われております。それからヨーロッパの場合には、ヨーロッパの通信衛星システムを使って、何かもう少し広がった形での放送を使った大学教育を考えつつあるようでございます。どうも十分なお答えにならなくて申しわけございません。
#141
○田沢智治君 ありがとうございます。
#142
○高木健太郎君 河合先生を初め御三人の方から大変貴重な御意見を伺いまして、私も大筋において大変賛成でございます。特に河合先生から研究と教育と社会還元というようなことで、日本の大学では研究が主体となって、教授の選考にも研究業績が主体になって選ばれると、そういうことで教育と社会還元、特に社会還元ということについては非常におろそかになっていると、これも私確かにそうだと思いますので、これがうまくいけばよいと。で、放送大学がそれの一つのきっかけになって、こういう少しひずんだ現在の大学教育が改革されればよいということは私も確かに認めます。
 ただ、最初に社会党の皆さんからもお話がございましたように、この法案だけでいくと大学の自主性あるいは自治が侵される危険もあるのではないかということは私もやはり心配をしておりますので、この点はぜひひとつ今後も十分、放送大学が建ってからでも教授会及び評議会あるいは理事会等の関係をはっきりさせていただきたいと、こういうように念願しておる次第でございます。
 ところで、よいことはよいけれども、現実的に非常にめんどうなところがありやしないかということです。いわゆる大学を開放していく。それからお互いに意見の交換をし、あるいは教官あるいはその中のいろんな設備等もお互いに自由に使えるというような、そういう形にならなければ大学はオープンにならぬと思うんです。その一つにいわゆる先ほどお話がありました任期制というものがあるわけですが、河合先生にお伺いしたいんですが、この任期というもので、アメリカ等では非常にこれがスムーズというよりも、かなり強引に行われているということもあるわけです。日本でこの任期制が果たしてうまくいくだろうかということをやっぱり心配するわけです。放送大学がいかに任期制をとっても、これまでの他の大学の長い歴史から見ると、これを果たしてどのようにして打ち破っていったらよいものであろうかということです。もう一つは、あるところに長くいるという利点もあると。特に自然科学系においてはそういう面が多かろうというのは、設備、その周辺のフィールド、そういうものの中に自分がいるということから、そこの場を離れては自分の研究の場がなくなると、そしてさらには教育の根源が薄くなってくるというようなことから、任期制にはいい面もあるけれども、非常に悪い面もあると、こういう点についてまず御意見をお伺いしたい。
 それから第二には、任期制になればいろいろな人の人事交流が盛んになりますが、その場合に外人の教官というものをどのようにして入れていったらよいものか。それのよい面と悪い面、またそれの方法としては何かお考えがおありでしょうかということで、私としては日本だけに開かれたのではなくて、世界に開かれた大学であるべきだと思いますが、その点はいかがかと、これが第二の質問でございます。
 それから第三に、入学試験がないということですが、高等学校以上の学力を持っている者が望ましいわけでしょうけれども、現在の共通一次の試験というのは、ある意味では高等学校の科目を修得したという一つの資格であるというふうに考えられる面もあるわけです。そういう意味では、そういう共通一次というものをこの放送大学に持ってくるのはどうであろうかということですね。それと同時に、今度はこの大学はいわゆる学士の資格を与えるわけですが、私自身としては学びたい者が学ぶということであって、これに学士というものを与えるというえさあるいは励み、いろいろあるでしょうけれども、考え方はいろいろありますけれども、入学試験がないぐらいであれば、ただ単位を取るというようなことでもよいということであるなら、余り卒業資格あるいは卒業の免状、こういうものに重きを置かない方がいいんじゃないか、何かいい方法がないかということですね。これが第三番目ですね。
 それから第四番目には、方々に学習センターができますけれども、この学習センターの教官はプログラムをつくるディレクターあるいはそれの筋を書く教官、こういうものと十分な意思疎通が必要であると思うわけですが、その学習センターの教官は本部に出かけて行かなければならぬと、こういう地理的時間的に非常に大きな負担をかけられることになる。また非常勤の講師あるいは教官にしましても、自分の本職以外のものをやらなければならない、こういうことで、ただでさえ非常に忙しい教官がこれによってかえって教官独自の研究を阻害する面があるのではないか。これをどうやって切り抜けていけばよいだろうかということです。そして、研究をやっぱりやっていかなきゃなりませんが、単なる教育費をもらうというのでは足りないのではないか。設備あるいは施設というものに対して十分な補助が必要ではないか。いわゆる研究費というものが普通の大学並み以上に与えられなければならぬのではないかと思うのですが、その点に対して御希望があればひとつお聞かせをいただきたい。以上四点をひとつお願いし、それから河合先生、特別に、非常なエコロジストの大家でいらしゃいますけれども、先生のおやりになっているようなフィールドワークというようなものがこの放送大学のときに果たしてうまくいくかどうか。というのは、現地を歩かなければ本当のものはつかめないのではないかというおそれもありますので、その点先生のいままでの長い御経験でこのフィールドワークと放送というものがどんなかかわり合いがあるか、最後にそれをお答えいただければありがたいと思います。
 以上です。
#143
○委員長(降矢敬義君) 質問が多岐にわたっておりますので簡潔におまとめになってお答え願いたいと思います。よろしくお願いいたします。
#144
○参考人(河合雅雄君) 初めの任期制の問題なんですが、これは諸外国と日本とが決定的に事情が違いますのは、向こうの大学では専任の教授がおりますけれども、多くは契約による雇用関係であります。それが諸外国ではもう慣習化いたしまして、そのためにモビリティーが非常に大きい社会ができておるわけですが、日本では、残念ながらまだ終身雇用制度というようなものが大学でも定着しておりまして、そこを破るのが非常にむずかしいわけです。日本では内規としましてずいぶん任期制をしいているところがございます、五年とか七年。ただ私が知っている限りでは助手ほとんど助手のたぐいに限っております。それは非常にメリットがありまして、五年あるいは七年の間にいい仕事をしなければ次には出ていかれないので非常にいい仕事をしていくと、そういういいメリットがございます。で、この問題は、私が放送大学が一番大きな力を持つようになると申しましたのは、放送大学にずいぶん各大学の人が参加をいたしますので、放送大学に何年かおってまた各大学へ帰っていくと、そういうことが恐らく可能になるというふうに思っております。もう一つ、具体的には高木先生、最後のこと、研究のことをおっしゃいましたが、やはりできれば研究所を持ってほしいというふうに思います。その研究所の教官とそれから放送大学の講義をする、あるいはプログラムを組んでいく人たちのときどき交流がある、そういうことを行っていけば内部での人事交流があると思いますし、もう一つは組織の問題としまして、たとえば評議会をつくる、教授会をつくるというようなところに関しましても、学問の自治というようなところは、大学というのは幾つかのファカルティーが併存しているということが一つの根本になるわけですが、研究所をつくっていくということは、そのことにも役に立つだろうというふうに思います。
 それから、外人教官でございますが、これは先生のおっしゃるとおり、世界に開くという意味で大賛成であります。日本の国立大学はこの点大変いま渋いわけなんですが、客員教授の制度としてどんどん採用していくことがいいと思うんです。これは専任にしていくという場合には法律上また幾つか問題があるからと思いますけれども、ともかく客員制度としてどんどん登用していくということが大事かと思います。
 三番目に、学士号は不要ではないか、あるいは共通一次試験のようなある程度の資格試験をしてはどうかというようなことですが、私はやはり入試がないということを一番買っております。現在、いまの子供たちを一番苦しめているのは、入試地獄とか戦争とかいうようなすごい言葉で言われるようなまさにそれが実態でございまして、そこから離れたところで学問できるということはやっぱり非常にすばらしいことだと思います。それで、そうなれば学士号なんというのは要らないじゃないかということですが、人間というのは何かやっぱり到達目標というものがある方が励みやすいという点もございますので、やはりこれは一応あった方がいい。ただ、六年、十年かかってでも学士号を取る、取らなくても先ほどおっしゃったように単科あるいは科目だけを取っていく、こういういろんな人がここにはあっていいかと思います。
 それから、学習センターその他の地方におけるセンターとの関係でございますが、これはおっしゃるとおり技術的に非常な問題があると思いますが、たとえば教授会がだれによって構成されるかわかりませんが、九つのブロックのセンターにたとえば教授がおられるというようなことですと、月に一度二度本部に来るというのはまだそれは何とかできるんじゃないかというふうに思うんです。ただ、この問題は非常に具体的に細かに当たって見なければならないと思います。
 それから、非常勤に各大学の先生を頼むわけですが、負担が大になるだろうと大変御親切な言葉を賜っておりますが、たとえば私の研究所――私がおるところは研究所でございますが、できるだけ非常勤講師になって皆さん外へ出ております。それは大学人としては当然のことでありまして、おのおのがそういう努力しなければならない。またいいことは、各大学へ行ってやっぱり自分なりにそこの大学のいいところを身につけて帰るという、そういういいこともあるわけです。放送大学ですと、たとえば新しい放送の教材をどんどんお借りして帰ってくる。そういうことによって新しい気風を持ち込むことができるのではないか。だからむしろどんどん非常勤の講師を大学に頼むことが私は望ましいというふうに思います。
 それから、フィールドワークの問題でございますが、フィールドワークは現地を歩かなければ実際の体験を得ることはできませんが、これはかなり実習によって、ただし実習というのはセンターだけで実習するんじゃなくて、野外実習ということも十分可能だと思います。それから、私なんかまたこういう放送大学ができれば大変いいだろうと思いますのは、アフリカその他の僻地へ参りますが、いま撮っておかなければもうなくなっていくというようなもう未開の人たちが幾つかあります。これは必ず記録にしなけりゃならない。ところが、大学は貧乏でそういうお金もございません。ですから、いままではNHKにずいぶん頼んで機材を貸してもらって、そこでやっております。ただ、それをやると研究に阻害が起こるわけです。ですから、たとえば放送大学と共同でその野外研究を行うということになれば、これは非常にいい成果が上がっていくと思うんです。それから、たとえば授業の中にも、半年、一年の野外調査をやってきた人が、たとえば文化人類学の講義なんかに随時登場して非常にビビッドな体験をそのままそこに持ち込むということ、それから現地で撮ってきたフィルムその他をどんどん公開していく、こういうことがあれば非常に精彩のある講義になっていくだろうというふうに思います。
#145
○参考人(坂元昂君) 四点ございます。
 第一点の任期制に……。
#146
○委員長(降矢敬義君) ちょっとお待ちください、済みません。
#147
○柏原ヤス君 時間がないので済みません。
 残る時間を坂元先生と室先生に二問ずつお尋ねいたします。坂元先生にはイギリスにおける公開大学、これについていろいろ御研究をなさっていらっしゃるというのでお聞きするわけなんですが、その経験の中で放送大学に生かすべき点、どういうことがあるかということが一つ。
 それから、イギリスの公開大学は成功していると、こういうふうに受けとめていいと思いますが、その背景を比べますと、イギリスの場合はそうだけれども、日本の場合、放送大学が実現しても果たしてどうだろうかと、こういう否定的な考えもあるわけで、この点をどうお考えになっているか、これが一つです。
 それから、坂元先生が放送教育開発センターにおいでになるようなので、いろいろ準備をなさっていると思うんですが、この放送大学をつくる準備として実験の番組の作成、また調査、研究、こういうものが行われておりますが、その成果と教訓、こういうものをお聞かせいただきたいと思います。
 それから、室先生には、放送大学が実現した場合に一番問題なのは、学習センターのスクーリングが果たして充実するだろうかということですが、それには教員の協力、これが非常に重要なことになっておりますが、既存の大学の教員の協力の可能性、またはそれを十分にするために条件整備、これについてお考えになっていらっしゃることをお聞かせいただきたいと思います。
 それからもう一つ、先ほどもお伺いしたんですけれども、室先生にもお聞きしたいんですが、この任期制についてどうお考えか。一般の大学に行われていない任期制が、放送大学のみが行われて果たしてうまくいくかということを心配しておりますのでお聞きするわけです。
 以上でございます。
#148
○参考人(坂元昂君) 二点ございます。第一点につきまして、イギリスの公開大学から何を学ぶかということでございますが、私がイギリスの公開大学で大変参考になると思いますのは、やはり何と申しましても教材の作成をコースチームで行っておりまして、質の高いものを生み出しているということだと考えます。
 たとえば、一つのコースの教材を開発するのに三十名ぐらいが参画することもあると聞いておりまして、その中にはプロフェッショナル――教科の専門の先生と教育工学の専門家と、それからメディアの専門家、文章を書く編集の専門家といったような者が参画いたしまして、手始めにコース、どういうことを指導するかという教育の目標とか、それから大体の大まかな教育内容の流れを専門の先生が出されますと、それをもとにしまして、どこの部分は放送にするか、どこの部分は面接指導でやるか、どこの部分はテキストにしっかり述べるかというようなことを割りふって、それぞれがある程度私案を持ち寄る。持ち寄りましたものを場合によっては三十名ぐらいの学生に試しまして、テキストのここを直すとか、放送はこの点がとうもちょっとというような評価をしながら――放送に出す前、出版する前の評価でございます。評価をしながらより質の高いものを出していこうとしていることでございます。
 聞くところによりますと、文章を直す専門の方々が大学の教授の文章を三回ぐらいだめだと言って突き返して修正させるというようなこともあると伺っております。で、これはある意味では、学問の自由といいますか表現の自由を阻害するんではないかと考えられる方があるかと思いますが、中身はその大学の先生の中身であって、その中身をよりよく人々に伝えるためにどう変えたらいいかということを皆さんが協力している。日本の場合でも、放送の先生の中身は同じ中身だけれども、周りからその中身をよりよく伝えるためにはどうしたらいいかという形の参画をディレクターとか、そういう方がされるんだと思います。これは先生の政見放送でも同じかと思うんですが、同じ中身をおしゃべりになるんでも、やはりいろいろきちんとなさった方がそうでないよりも――同じ中身です、中身は変わらないけれども訴える効果が大きいということは御体験なさっていらっしゃると思いますが、内容は自由であるけれども、方法について、自分の中身をいかに上手にするかということをみんなで寄ってたかってよいものに高めようとしている。これがイギリスの非常にいいところと思いまして、日本で問題になるのは、大変恥ずかしいんですが、大学の先生というものが、いい面であるんですが、大変個性が豊かでございまして、やはり私を主張されるという点でございますね。たとえば、放送にお出になるときに、ディレクターの方が、もう少し顔を上げて、テレビを見ておしゃべりになった方がいいですよと言うと、ディレクターがおれに指図するというようなことがあり得るわけでございまして、その辺が放送大学ができて進んでまいりますと、公開されてまして、もう少し見てしゃべってくださいよという学生からのフィードバックがどんどん返ってまいりますので、やはり先生方の話術が必ずよくなるというふうに考えているわけでございます。
 これが第一点の、半分でございますが、もう一つはイギリスの公開大学でうまくいっているなと思いますのは、あすこに教育工学研究所というのがございまして、そこの代表が教材作成に携わっておりますと同時に放送の教育の効果を絶えずはかりまして、そして教材の質を高めるということをやっております。スタディセンターでの指導の仕方をどういうふうにしたらいいかというガイドもしておりますし、それから学生の方が高等学校、大学と上ってきて勉強になれている方ばかりとは限らない。一たん社会に出て仕事をなさっていて勉強から遠ざかっていらっしゃる方、これを大学生にするわけでございますから、スタディスキルと申しまして、学習の技術と言いますか、勉強の仕方の訓練というようなコースにも力を入れておりまして、大学生の方にこういうふうに勉強するんですよという勉強の仕方の訓練、それから、その逆にスタッフデベロプメントと申しまして、大学の先生の指導の仕方はこうするんですよというようなことで、大学人がみずから大学の教授を改善するためにどうしたちいいかということを考えている。この点が日本の大学の現状を考えますと、大変つらい点でございます。特に学習者の学習の仕方を教育するということはできるかもしれませんが、大学の先生の教え方の自己改善という点が大変日本ではつらいだろうと思いまして、これからの放送大学が成功し、そしてその影響が日本の大学の改善につながるということにとって、ひとつ大きな要素になるのではないか、これはぜひ先生方のお力添えでこの放送大学でスタッフデベロプメントといいますか、先生方の教材作成並びに指導方法の改善ということに最重点を置いていただきたいというふうに思っているわけでございます。
 それから、イギリスと日本との違い……
#149
○委員長(降矢敬義君) 坂元参考人に申し上げますが、失礼ですけれども、簡潔にお願い申し上げます。
#150
○参考人(坂元昂君) はい、わかりました。
 第二点でございますが、いま準備をいろいろやっておりまして、参考になる点でございますが、やはり通信指導とか面接指導というものが非常に大事である、放送は効果があるけれども、そういうものが大事であるということが出ておりますので、うまくそうした放送を支える機能をしっかりと組んでいただければということでございます。
#151
○参考人(室俊司君) 柏原先生の、放送大学が発足してスクーリングの拠点になる学習センターがどのくらい充実し、しっかりしたものとして確保できるかということでございますが、私としてはここは非常に大事なポイントで、これがきちっとしませんと、放送大学の成果が半減以下になるんではないかと思うんです。現行の大学がそれにどう協力する可能性があるか、これまでの歴史的、社会的な経緯で先生方御存じかと思いますけど、日本の大学は研究は熱心だけど、教育、さらに三番目のエクステンションワーク、社会的還元ですね、三番目の点では非常におくれておりますし、大学の中にいる教員のそれについての認識というのは非常にまだ低いわけでございます。ですから、そのあたりをどうこの放送大学をもし出発させるとすると、そこにいい意味でのインパクトが出てくるかということでとらえませんと、非常に期待することがむずかしい問題じゃないかと思うんです。この案としまして、法律案の第二十四条がそれに当たるかと思うんですが、「放送大学においては、その教育及び研究の充実を図るため、他大学その他の教育研究機関と緊密に連携し、これらの機関の教員その他の職員の参加を求めるように努めなければならない。」とございますが、「これらの機関の教員」ということの上に、これらの機関のきちっとした協力が得られる可能性というのをもう一つ入れておきませんと非常にむずかしいかと思います。それは学校教育法の方で見ましても、学校教育法の第六十九条が大学の公開講座の規定になっておるわけです。それは「大学においては、公開講座の施設を設けることができる。」、「公開講座に関し必要な事項は、監督庁が、これを定める。」ということが第二項に出ておりますけれども、この第二項が学校教育法ができてから今日まで三十年以上たってますけれども、ここは詰めてないんですね、定まっていないんです。ですから、本当にこれは私ども大学の方で大したことやってないのにこう言うことは僭越でございますが、三十数年ここのところを拡充するというところをもう少し法律上も、それからいろんな大学助成の点でもやっておいていただければ、かなり見通しがすぐいま立つことではあったかというふうに反省的に考えられるわけです。しかし、そんなことを言ってては全然見当がつきませんので、現実の上に立って見当をつけると、実際には大学の教員は非常勤教師で他大学へ教えに行っている場合もございます。それから、教育委員会の社会教育行政にかなり協力して市民講座の講師や何かをやっている先生方も少なくはございません。それから、自分の大学の公開講座のプログラムづくりや何かに参加する先生もございます。こういうあたりをもう少しきちっと、放送大学の学習センターが本当に国民大衆の大学教育の場にふさわしいことに寄与することになるんだというところへもう一歩踏み進めませんと、なかなかむずかしいんではないかと考えております。
 この場合、大学の方としましては、現在国立大学で東北大学と金沢大学と香川大学が大学拡張事業センターのことをやっておりますけれども、そこでの経験から言うとかなり地域社会への協力の成果が出ておりますけれども、そういうところの経験、反省、課題等もぜひ確かめられて他大学関係の協力体制をきちっとお考えいただけたらと思います。
 それから、もう一つの任期制の方でございますが、これ日本の大学が終身雇用制であるために非常にむずかしいかと思います。これは、たとえば放送大学に五年勤務した教員が、その後どこへ行くかというのをずばり考えてみます。そうすると、これはそれを受け入れる大学があるか、研究所があるかということです。そうすると、放送大学に五年間勤務したことがかなりなメリットとして評価されるという内実がなければなりません。そのためには放送大学は単なる教育機関ではなくて、やはり大学として研究と教育が本当に一体化していい事業が展開されているということにならなくてはなりません。まず、放送大学の教員がさらにその後受け入れられるようなことを放送大学自身が中身として持てるだけのものをしっかり見定めておかなくちゃならないかと思います。
 それから、今度放送大学の方へ教員となって入っていく場合の可能性ですが、これは現行のままで考えますと、兼職とか出向とかというよくございますね、官庁等に。ああいう形になるのかなということもございますし、それからもっと自由な研究交流、それから教育活動の経験交流ということを考えますと、大学で既存の形では研究休暇とか、それから国内留学という若干制度的な経験もございます。これは大体一年から最大限二年でございますね。ですから、任期制が五年ぐらいになった場合、それに耐え得るかどうかということもございますが、とにかく現行の段階から判断しますと、相当本腰を入れて取り組まないと柏原先生の御懸念はなかなか晴れないんではないか、そのように考えます。
#152
○佐藤昭夫君 参考人の先生方きょうは御苦労さんでございます。
 初めに、河合先生と坂元先生にそれぞれお尋ねをいたしますが、最初の先生方の公述がございまして、後同僚委員の質問に対するお答えでかなり補足をされておりますのであれですけれども、私の率直な印象としては、最初のお話はちょっと手放しで放送大学を賛美なさっているんではないかという感じがいたしました、率直のところ。仮に放送大学に賛成をしてこれを実施をしていく上にも、本当に放送大学が名実ともに成功するためには幾つかの前提があると思うんですね。
 たとえば、午前中も同僚委員の質疑にありましたけれども、一つは財源措置がどうなるか。最初第一期計画ということで言われておった内容が、いまはもう当面の文部省計画ではずいぶん後退をするということになって、いわんや、やれ行政改革だ何だということで国が赤字だ赤字だ、この赤字のどこを切るかという一番の目標が福祉と教育に向けられてきているという、こういう昨今の状況のもとで、果たして本当にこの財源がきっちり保障されるかということなしに放送大学が成功するものでもないと思うんですね。あるいは大学の自治、学問の自由が、本当にいま提案をされておるような文部省の法案で果たしてきちっと守られるのかという不安、あるいはいまの通信教育でも、一たんは通信教育に学生として入るわけですけれども、ところが四年間それを全うして卒業するということについては、いまの日本の社会の現状では多々困難があるということで、結局有給休暇制度の問題とかいろんな問題、制度的に考えなくちゃならぬ問題があるということで、そういう幾つかの当然前提があると思うんですけれども、こういう問題について河合先生、坂元先生は一体どういうふうにお考えになるのか、それをまずお尋ねをいたしたいと思います。
 それから二つ目に、坂元先生は放送教育開発センターのお仕事もなさってきたわけですけれども、当然放送を手段として行っていく教育、これが学生や国民全体に与える影響というのは非常に多大なものがある。しかし、事柄の内容、自分の見解を述べざるを得ないという問題だってこれはあると思うということなんですけれども、すでに放送教育開発センターの実験番組として経済史、哲学思想、こういうものが実験講座として進められているわけですけれども、これらの講座において異なった学説の取り扱いについてどのように考えておられるのか、これは今後の放送大学のあり方にかかわって開発センターの検討状況をお聞かせ願いたいというふうに思います。
 それから最後に、室先生にお尋ねをいたしますが、社会教育の御研究をなさっているわけでありますけれども、このテレビ、ラジオを大学教育のために利用して広く国民に普及をしていく、教育の機会を拡大をしていくということは、その点はおよそ余り異論のないところ。ただ、それを放送大学という手段を使ってここへ持ってくるという、このことについていろいろ意見が分かれておる、またやるにしても前提があるということかと思うんですけれども、その問題から離れて、本当に国民全体の教育文化のレベルを向上させていくために、たとえば国公私立大学の教育研究条件の拡差を是正をする。夜間大学あるいは通信制大学を一層拡充措置を図って、勤労者、主婦、そういうものの門戸を広げていく。あるいは先ほども触れましたけれども、教育有給休暇制度を制度的にはっきり確立をすると。さらには国公立の専修学校を増設して、勤労者の職業技術教育の便宜を図る。あるいは文字どおり社会教育分野としての公民館、図書館を拡充をして、労働大学だとか農民大学だとか市民大学だとか、こういうものを広げていく。これらの分野の拡充の重要性の問題についてどのようにお考えか、お尋ねをいたしたいと思います。
#153
○参考人(河合雅雄君) 放送大学を手放しで賛美しているという御感想をお持ちのようですが、手放しで賛美しているというわけでございませんで、たとえば大学紛争というのがございました。けれども、あれだけのことが行われながら大学の因襲性、保守性というのはほとんど改革されなかったという現実がございます。こういうことを考えましても、私は、恐らく放送大学というのは学問の公開とかあるいは人事の交流ということを通じて、いまの大学を改革していくための有効な手段になり得るだろうというふうに思っております。
 それから、財源措置という問題、私は素人でわかりませんけれども、たとえば素人考えですと、各県に医大が一つできましたが、医大一つつくるぐらいの規模のように思います。これは医大ができるというのは、体を、つまり病気を治すためですが、いまやっぱり必要なことは、心の病気を治すとか健全な精神を育成するということが非常に重要でありまして、医大をつくると同じように健全な精神を一般的に育てていくという点で非常に私は重要だと思います。
 それから、学問の自治は守れるかということですが、それは先ほど申しましたように、いままでの大学が育ててきました大学自治を守るための、教授あるいは理事長、理事その他の選出の民主的な手続をきちっとすれば私はいいのではないかというふうに思っております。たとえば理事長も文相の任命ということになっておりますけれども、これは運営審議会が文部大臣に推薦するとか、あるいは学長につきましても、これ大学で行っておりますように、助手、ディレクターを交えた一次選挙が行われ、それから二次選挙を教授、助教授で行う、その決まった候補者を評議会の議に基づいて理事長に推薦する、こういうような、いままで各大学が持っていますような民主的な手続をきちっと踏めば、私はいま先生がおっしゃったようなことは余り危惧はしておりません。
 以上でございます。――あとはよろしいわけですね。
#154
○参考人(坂元昂君) 私への質問は第二点だけでございましょうか。一と二でございましょうか。
#155
○佐藤昭夫君 一と二です。
#156
○参考人(坂元昂君) 一と二でございますか。はい。
 第一の点につきましては財源の問題でございますが、これはもうひとえに先生方のお力によりまして、福祉教育の赤字といいますか、福祉教育へ費用を回すようにお力添えをいただきたいと思うものでありますが、四年制でも、四年間かかっても通信教育卒業むずかしい、それを支えるいろいろな条件はということでございますが、イギリスの公開大学の場合でも、大体卒業まで六年から八年かかっておりますし、やはりそれぞれの方々が働きながら勉強されるわけですから、そのフルタイムの学生が四年間かかって出るのと全く同じようにするのには大変な負担がかかるだろう、二重に、普通の生活をした上で、普通の学生と同じだけの生活をしなくちゃならないわけでございます。ですから、年限を延ばしながら勉強をしていただくという形で学士号を取れるだろうと思いますし、それから単位を積み上げていくということは、それぞれの方の範囲でできると思います。できましたならば、その勉強期間中いろいろな雇用関係での優遇措置というものも御検討をいただけると学生のために大変ありがたいことだと存じます。
 それから第二点につきまして、放送教育開発センターのことでございますが、これは国立の共同利用センターでございまして、放送の利用についての研究促進を図るわけでございまして、大学で教えられる学問の中身についての、何といいますか、専門の学者の外からのチェックということはいたしておりません。講義を担当なされる先生方が御自分の範囲の中で、お一方というよりは、講師によりましては複数の専門家をお集めになりまして討議をして中身をおつくりになります。放送教育開発センターでは、そこで出されましたものにつきまして、方法の面からアンケートをしたり、批評会をしたりして、より円滑な教育の実施をする方法というものを現在探っているわけでございます。で、テキストや放送などで教育の中身は紹介されますので、そこから内容的にもし偏りがあればいろいろな批判が出てくると思いますが、現在のところ、そうした御批判というものはないように伺っております。
#157
○参考人(室俊司君) 佐藤先生の御質問で、われわれが放送大学のような新しい教育の機会を積極的に考える場合、それが日本の教育文化水準を、全体を高めるというパースペクティブ、展望の中でその問題を本格的にとらえなくちゃならないんじゃないかという御趣旨だと思います。私もそういうことが大事だろうと思います。
 と申しますのは、憲法第二十六条で、例の「その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」ということは、もう生涯教育の時代では、国民はすべてその一生涯にわたって学習できる権利を持つというように、生涯学習の権利というふうにむしろ積極的に読みかえた方がいいくらいの時代に入ってきているかと思います。それを多種多様な教育の機会でやりやすくして支えるという、そういうことではないかと思います。
 その場合、これまでの既存の教育制度とか教育の条件を、もっと新しい観点から積極的にとらえ直してみることは大事だと思います。それと並行して放送大学の問題を考えることが放送大学そのものの存在意義を本格的に見定めることに通じていくのではないかと思います。たとえて申しますと、夜間大学というのは、私たち、従来明治以来の既成概念がございます、一定のイメージを持っています。つい最近は、昼間の大学の落ちこぼれの収容所になっちゃったから、もうやる必要ないんじゃないかというようなことを言い出す大学も出てきましたけれども、一方では社会人のための大学としてこの夜間大学を積極的に考えていいのではないかというような、それで入試も、それのための入試を積極的に考えていいんじゃないかというようなことが、実験的ですけれども、たしか専修大学だったと思いますが、そういうところで取り込まれておりますし、それから青山学院大学では、大学院クラスですね、これは経営学だったと思いますけれども、いろんな企業とか官庁に勤めている中堅職員の方が仕事の研修を兼ねた研究、勉強の場として、そういう場合には大学院をむしろ夜間に積極的に開設していくというような、それは時間割を夜の方にまで延長すれば実際的には可能な問題です。そういうことに意欲的に取り組む大学が少しずつ出てきております。私の先ほどから申しています立教大学の場合でも、法学部が社会人入試を別枠定員でささやかでもやりましたけれども、そういうことで、夜間大学とか通信制大学とかいう問題も、もっともっと生涯教育の時代にふさわしい新しいとらえ方が必要だろうと思います。その場合には、これは非常にまだまだ現実問題としてはむずかしいんですが、有給教育休暇制度とか、それから成人学生奨学金とか、とにかく、立教の場合ですと、ある方々は会社をやめて来るというような非常な決断をなさっている方もおられますし、そういうことで、私たち、奨学金ということを考えますと、大体十八から二十二歳までのああいう青年たちの問題ぐらいに考えていますけれども、もっともっと成人学生奨学金なんかの問題も考えられなくちゃならない。放送大学もそういうあたりの問題が関係してくるかと思います。そうしませんと、大体実態としては家庭の主婦の立場におられる方々が多く学生になるということが進みやすくなるだけではないかという、そういう懸念もございます。もっといろいろな立場の方が勉強できる機会として考えなくちゃならない。
 去年来日しましたノーベル賞の経済学賞を取った例のフリードマンさんなんかがおっしゃっていましたけれども、これは非常におもしろい発想で、教育クーポン券なんという、みんなだれでも教育に関するクーポン券を持っている。それをいつ使うかというのは、一番必要なときに、一番適切なときに、その時と場所でそれを行使するということが大事だなんというような、自由経済学者らしい非常にユニークな発想を申しておりましたけれども、これは単に発想の問題じゃなくて、それを制度的に、どうきちっと国民大衆の一生涯にわたって学習する権利の問題として考えていくかということが大事になってきた、そういう時代の中での放送大学ではないかと思います。
 それから、高等職業専門学校的なところからの問題としましては、そこを卒業した人はいまのところ普通の四年制大学の三年編入試験につながらないんですね。このあたりの問題をどうするかということも大いに大事に考えていかなくちゃならないし、それから放送大学では、体育は実技としてできないから、教育委員会の公民館等を中心とする社会体育で参加していただいて、それを単位換算するというようなことを言っていますけれども、と同時に、そうなれば、やはり日本の社会教育として、公民館を中心とする住民参加の社会教育をもっともっとしっかりと確立していく、社会体育と市民講座が車の両輪のように住民のためにつくられていくという、そういう努力もあわせて必要なんではないか、そのように考えます。
#158
○小西博行君 大変参考になる御意見ありがとうございました。
 私も、本質的に何とか生涯教育を前進させなきゃいかぬというような、そういう気持ちは持っております。同時に、きょう三人の先生方からいろいろ貴重な御意見をいただきましたが、特に坂元先生の場合は、この「放送大学の基本計画に関する報告」というのがございまして、この書物といいますか、研究をずっとまとめられた方だというふうに理解してよろしいでしょうか。中へ名前が載っておるんですが。
#159
○参考人(坂元昂君) ほんの一部でございます。
#160
○小西博行君 そうですか。そういう意味で私ほんの初歩的なことをお伺いするんですけれども、まず最初に、アンケート調査をやっておられますね。つまり放送大学ができたらぜひ勉強したい、それが八%という数字で、五千人ランダムですか、そして全体的には日本全国で六百二十万人つまり十八歳以上の方が勉強したいという希望があるんだという、私は経営工学を長いことやった人間といたしましては非常にこの数字がちょっと甘いのではないかというお話をこの間文部省に対してもしたんです。つまり、私は、実際の大学を自分が受けるということになりますと、もっともっと厳しい本当は数字であるはずではないのだろうかなと、こういうふうに私は感じていたわけなんです。この間いろいろ研究しまして、カリキュラムを組んでみまして、百二十四単位四年間、年間平均三十一単位ということになりますと、六日間、毎日毎日、大体四十五分のテレビを見なければいけません。そうしてしかも、その前後に予習、復習というのを二時間ずつやる。そうしてしかも、スクーリングは四・三時間ということになっておりますが、往復時間がありますからまず一日かかるだろう。そういうような実際のカリキュラムを組んでみますと、そういうことになるわけですね。ただし四年間で卒業というようなことでございます。そういうことを煮詰めていきますと、いや必ずしも卒業しなくてもいいだろうというようなかっこうになってきます。しかし、この放送大学というのはやっぱり卒業できるというところに非常に大きくアピールされて、そうして多額の金額を投資して、文部省も何とかこの法案を成立さしていただきたいということだと思うのです。どうもアンケートの基本的なものから私は少し狂っているのではないか。もっと現実的なものを審議した上で放送大学はどうだということでなければ、やや問題があるんじゃないか。坂元先生せっかく来られたものですから、そういう意味では、何とかこの辺の信頼性について、どの程度の信頼性があるのか、それをまず一点坂元先生にお伺いしたいと思います。
 それから室先生にお伺いしたいと思います。大変りっぱな御意見をいただきまして、特に私気に入りましたのはカリキュラム編成とそれから授業の展開の方法、あるいは評価の方法ですね、この辺が私は本当は一番大切な問題ではないかと思っているのです。そういう意味では、これから果たして、もっと端的に言いますと、いま三人の参考人のそれぞれの専門家の先生方がこの放送大学をやるということになったときに、喜んで私は行きたい、こういうふうにお考えなのかどうか。これは、皆さん、お三人の方に率直にそういうことをお伺いします。
 それから最後に、河合先生ですが、河合先生には、私は、やっぱり私も大学人だったわけですから、どうも、大学というのは、一般の講義であるとかというものはわりあい時間からいっても幾らも講義はできないもんだというふうに自覚しているんです。黒板に幾ら書いたって、これは幾らもできません。恐らく一冊の大学ノート一ぱいくらいで精いっぱいだと思います。そういう面では、自分で自習するといいますか、自分で勉強するということと、それから四年生になったとぎのゼミナールですね、卒論を控えたゼミナールでノイローゼになるくらいに先生にしぼられる、これが私は大学の大変大きなウエートを占めるというふうに考えているのです。そういう意味で、この放送大学の中で、こういうゼミナールとか、あるいは卒論という非常に大切な部分を先生の御意見ではどういうふうに考えたらいいんだろうか。与えられた時間の中でやっていくということでございますから、恐らく、よっぽど自宅研修か、何か別の機会をつくらなければちょっとできないのではないかと思うんです。
 以上の三点をちょっとお願いしたいと思います。
#161
○参考人(坂元昂君) 基本計画についてでございますが、私の名前は出ておりますが、指導の内容面の方からの関与でございまして、全体の経営面の方のことに関与しておりませんですが、御質問に対しましては、私も数字を伺いましたときには、非常に大ぜいの方が希望していらっしゃるなという印象を持ったことは覚えております。ただし、現在の場合は関東地域からスタートするということで人数がしぼられた、最初数千人からスタートする形になっておりますが、このレベルで申しますと、現在の実験放送番組のモニターの希望者が定員の三、四倍、多いのは六倍ぐらいございまして、大体六、七千人、モニターだけで達しているというようなことから、現在の計画の第一段の計画はそれほど甘いとは言えないのではないかという気がいたしております。全国的に広がった場合にはちょっと私の考慮外でございますが、一応調査はプロの専門家に委託してやられたと伺っております。
 それから、勉強の時間、先生御指摘のとおり、大変私もちょっと計算してみまして、自分でやれるかな、勤め持っててやれるかなと計算してみまして、ちょっと四年では私にはできそうもないという感じを持ちますけれども、これは四年間でも取れるという可能性はやはりあり得ると思います。普通の大学生は四年間それにかかり切りで通ってやっておるわけですから、もし昼間ある程度休んでこれでしっかり勉強するという形になりますと、四年間――可能性あるだろうと思いますが、それだと普通の全日制へも学生通えるということになり得ますので、勤労者の方々の場合ですとがにすごい個人差がございますので、力があってファイトも燃えて、どうしても四年間で一つの学士取るぞという方がやはりいらっしゃるわけですから、その方々はそういう場が持てるだろう。しかし一般的には、私、五年、六年ぐらいかけて学士号を取っていただく形になるのではないんだろうか、お取りになる形になるんじゃないか。イギリスの場合は六年から八年かかっておりますので、日本の場合も、四年で出ないからといって直ちに放送大学の成果が上がってないんじゃないかという御批判が出ないように、いろいろ先生方御配慮いただけますれば、大変ありがたいことと存じます。
#162
○参考人(室俊司君) 大学の現場の教師から考えての私の一連の発言について、小西先生、非常に重要なポイントを御理解いただいて、非常にうれしく思っておりますが、大学教育としての中身が本当に確保されるかどうかということで、カリキュラム編成、授業の展開それから評価をどうきちっとやるか、そこが非常にぼくは中心的な問題の一つになると思いますが、そういうことがきちっとやられる放送大学だったら、室は行って率先して教員になるかということでございますが、こういう前提条件がなければやっぱり魅力を感じません。
 それで、その前提条件というのは、やはりいろんな分野の教員が集まって、とにかくカリキュラムを編成する前に、どういう学際的な問題で共同研究ができるか、共同研究なしに本当に学際的な人文・社会学系のカリキュラムをつくれません。それから一授業展開も合同講義で、チームティーチングですか、単なる読み切り講談で一人一人出てくるんじゃなくて、本当にチームプレイで受け渡していくような発展的展開ができるような授業ができるか。それから大体スクーリングでレポートを書いて、フィードバックしてくる学生のレポートを読んで評価するときに、複数の教員が共同で評価して、評価が違って出た場合、そこでまたいろいろディスカッションしながら適切な評価をするぐらい、そのくらいの自由な共同的な営為ができる場であれば、非常に魅力を感じます。
 そういうことが現行の大学ではどれだけできているかというと、みんな一人一人勝手なことでやっているようなところがございますので、そのためには放送大学においても学問研究が自由にできる、それから研究条件、研究費もきちっと確保されるというような、ここのあたりは教授会、評議会の権限が非常に大事な問題になってきますけれども、そういうことで、教員として一番うれしいのは、受講している学生からのフィードバックが中身として自分に本当にいろんなことを感じさせるというときでございますので、そのためにも、いいカリキュラムをつくり、本当にいい授業展開があり、きちっとした評価ということをやはり共同研究を踏まえて進めていくという、そういう大前提がほしいと思います。
 それからもう一つは、ゼミとか卒論で、普通の大学で本気で取り組めば相当大学というのはいろんなことを学べる場ですけれども、果たして限られた時間の中でそういうことが可能かということでございます。
 現在経験的に言いますと、短期集中で、それも合宿制――レジデンシャルカレッジのような短期集中合宿制で行った場合には、かなりゼミも成果が上がりますし、それを踏んまえて、あと一年ぐらいかかってじっくり卒業論文作成に取り組むということだったら、時間が限られている中でも可能かと思います。しかし、それをハードウエアとしてどう用意するかということです。
 たとえば日本女子大は通信教育を慶応と同じように非常に良心的にやっておりますけれども、あれはスクーリングを夏休みにやります。日本女子大の寮を全部開放しまして――学生帰っちゃいますから、そこへみんな合宿します。それでスクーリングですね。ですから、そういう条件の中でゼミをやれば非常に密度の濃い――一週一回ぽっつりぽっつり、大勢の過密の中でゼミをやるような既存の大学が多い。そういう場合があるんですが、それよりはかなり成果が期待できるということでございます。
 それから外国でも、デンマークなんかは市民や社会人が、向こうはサマーバケーションが長いですから、そういうときに三年ぐらい継続して夏休みに社会人や市民がレジデンシャルカレッジみたいなことを大いに望んで、そういうところへ参加するという、そういう経験もございますので、ゼミや卒論も限られた時間ということを前提にした場合、集中的に、合宿的に行うことは成果として期待ができるということは経験的にわかっておりますので、そこをハードウェア、ソフトウェアともにどうきちっと見定められるかというのが課題になるんじゃないか、そのように考えます。
#163
○参考人(河合雅雄君) 大変大事なことを突いておられると思います。
 この放送大学の一つの欠陥だと思うんですが、教育の方法が映像に訴えるということ、これはイメージ教育という点に流れ過ぎる、つまり自分の頭の中にしっかり固着していかないという、そういう欠陥を持っております。ですから、文字離れをしていくというそういう弊害も伴うわけですね。ですから、自習をきっちりすること、それからおっしゃったように私は卒論を書いてもらうことは大変大事だと思うんです。つまり、放送大学では自分で書くという、そういう作業を忘れる欠陥がございます。
 それからゼミにつきましては、いま室先生おっしゃったのに準じております。
 それから喜んで行くかとおっしゃると、これは大変困りまして、大変賛成で協力したいと思いますが、私の立場としてはむしろ教材の問題とか人事の交流とかいうことで喜んで利用さしていただくと、そういうふうに思っております。
#164
○委員長(降矢敬義君) 以上で本日御出席いただきました参考人に対する質疑は終わりました。
 参考人の皆様方に一言御礼申し上げます。
 本日は、長い時間にわたりまして、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#165
○委員長(降矢敬義君) 速記を起こしてください。
 引き続き、本案に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#166
○田沢智治君 いままで参考人の方々のいろいろな意見を聞きまして放送大学そのものの構想の特色というものを考えてみますれば、その第一にはどうしても生涯教育機関として一生涯学ぶ権利を保障する文化国家日本をつくる上において、時代が求める高等教育機関の位置づけが第一に必要ではないかというようなことをつくづく考えさせられたのでございます。
 私は今日の社会をじっと見ますと、高度化し、複雑化し、国際化する中で、人間の寿命も男が七十四歳、女は七十九歳、年々伸びているという中、そしてまた一生涯を通じて資質、能力を伸ばしながら、新しい知識や技術を習得しながら、生きがいある人生をどう送るか、こういう気持ちはみんな国民が持っている、そういう国民の気持ちにこたえるためには、だれでも、どういう職業の人々でも、いつでも入られるような放送大学の門戸を開くという意味において、この使命の重大さを感じておるのでございますが、文部大臣は私の考えに対してどのようにお考えでしょうか。
#167
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまお話がございましたように、放送大学の構想におきまして一番重要なのは、生涯教育の中核的な高等教育機関としての新しい教育システムであるということでございます。
 放送大学は、学校教育法の規定に基づきまして文部大臣の認可を受けて設置されております正規の大学としての構想を持つものでございますが、放送という情報媒体を活用いたしまして、高等学校あるいは新卒者のみならず、広く社会人や家庭婦人等の、また地理的にも、時間的にも、年齢的にもいろいろとございます制約を乗り越えて大学教育の機会を提供しようとするものでございます。これからの生涯教育の充実推進に非常に重要な機能を果たすことが期待されております高等教育機関でございますが、これが設立されることによりまして国民に広く開放された新しい高等教育の仕組みができると、こういう次第でございます。
#168
○田沢智治君 最近できた大学でおもしろい例が一つある、こう言われるんですが、豊田工業大学は高等学校を卒業して二年以上実社会へ出て働いてどうしても大学教育が必要なんだと感じた者を採って大学教育に資していくというような一つの新しいケース、こういうようなケースがあるし、現実には文科系大学を卒業して就職すると、理科系の勉強をしたい――私なんかそうですね、理科系大学を卒業すると文科系の勉強をしたいというような現時的欲求、サラリーマンをやっていながら、だんだん年齢が上になり、実績を上げてくると、おい、おまえも経営者になれよと言われると経営学を勉強しなけりゃならぬ。
   〔委員長退席、理事勝又武一君着席〕
 それから、日本というものは終身雇用制が現実の企業の実態だとするならば、結局は職場そのものが転勤という形において、営業をやった者は今度は経理をやってみたり、経理をやった者が営業をやるというような意味における多角的な生きた知識を吸収したいという、現実生活の中に必要なるものが私はたくさんあると思うんです。そういう人たちに、多くの国民にそういう知識を与え、また体系的に物を見、物を考えさせる、学問を施すというような特色は、放送大学の中に当然あっていいのではないかと、こう思いますが、大学局長としては、そういう構想を含めて、ここが放送大学の個性であり、特色であると思われることがあれば二、三挙げていただきたいと思います。
#169
○政府委員(宮地貫一君) 基本的な点はただいま大臣から御答弁を申し上げたとおりでございますけれども、ただいま先生からもお話のございましたように、たとえば大学で文化系の勉強をした者が、仕事の面から理科的な分野を勉強するというようなことは、実際上も必要なことが出てくるわけでございます。また、これからの社会というのは、さらに先ほども基本的な点でございましたが、生涯にわたって勉学を続けていくというようなことが、社会の変化でございますとか、そういうものに対応していくためにはぜひとも必要なことになってくるわけでございます。そういう観点で、放送大学というのは、基本的な考え方としては、いつでも、だれでも、どこでもという考え方を基本に置きまして考えているものでございます。
 そこで、放送大学の特色といいますか、非常に広いそういう国民全体の御要望を受けて、放送大学の学部構成をどうするかという点でございますが、私どもとしては教養学部ということで最初スタートをいたしたいということで御提案を申し上げておるわけでございますが、これは、たとえば文学とか、経済学とか、理学というような、従来の伝統的な一つの学問領域とか専門分野というものだけを内容にするということではなくて、人文、社会、自然のそれぞれの分野あるいはそれらの二つ以上の分野にまたがった総合領域と申しますか、そういうものを教育、研究をするというようなところに観点を置きまして教養学部という形をとったものでございます。
 放送大学の目的なり性格からいたしますと、あらゆる年齢なり、学歴、職業の人々を含みます国民全体を対象とするということが背景に出てまいります。また、さきに行っておりました需要予測調査の結果におきましてもそういうような点がございますので、「放送大学について」というパンフレットにも示してございますように、基本的には生活科学、産業・社会、人文・自然というような、そういう三つのコースを中心にしまして、さらに専攻分野をそれぞれ二つずつ置きました。
   〔理事勝又武一君退席、委員長着席〕
ただいま申しましたような、そういう比較的広い領域をカバーしたもので放送大学というものを立てていきたい、それが国民全般の非常に広い層から望まれている点である、かように考えております。
#170
○田沢智治君 私はいまの大学、もうはみ出した実態の中で、学生は、たとえば夏季においては短期研修という形で生きた語学を勉強したい。あの国へ行ってあの国の歴史を勉強したい。ドイツへ行って一体ゲーテはどこで生まれてどういうようなことをやったのかという奥の奥を本当に探求して、形ではない、本ではない講義ではない、自分がその土地へ行ってその人の本当の足跡というものに触れてみたいというような、非常に意欲的な即物的な学生像というのは私は大変多くなっていると思うんです。そういう意味におきましては、既存した大学のいまの教育に飽き足りないという現実は随所にある。そういう意味において、放送大学構想の中で、将来において、世界の中の日本ですから、宇宙中継しながらひとつ放送教育を勉強したいというような国民の欲求というものは、私はストレートであると思うんですが、そういう場合においても、いまの構想の中で、そういうことが現実にできるような配慮の中に、この構想を立てておられるのかおられないのか。あくまでも国内的なものだという次元の構想にとどまっているのかどうか。その点大学局長いかがですか。
#171
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学につきましては、もちろん全体構想を考えるに際しましては広い構想というものが必要だということはよくわかるわけでございます。ただ、従来から御説明も申し上げている点でございますが、やはりこの放送大学というものがわが国としては初めての試みであるということもございまして、当面第一期の計画として御提案申し上げている点は、関東地域からスタートをするということでスタートは考えているわけでございます。将来国民全体が広くこの放送大学というものの恩典を受けるように、もちろん全国的な拡大を図るということは必要なことでございますが、やはりいろんな面で、たとえば学習センターと放送との組み合わせの面でどういう点が問題があるかというような現実の問題点を一つずつ把握しながら、その問題点を解決して着実に進めていくということもやはり必要でございます。
 そういう観点から、私どもとしては全国的にこの放送大学が国民全体の利用に供されるようになることをもちろん望んでおるわけでございまして、将来の構想としては、日本全体がカバーされるように、心組みとしてはそういう対応でいたしておるものでございます。
 御指摘ではさらにもっと気宇を広大にしてという御指摘もあったわけでございまして、教育面で日本が世界なり諸外国に対しても貢献できるということはやはり必要なことでございまして、それがたとえば放送というメディアを利用した場合、それが国際的にもそういう教育面で協力できるような体制になることは非常に望ましいことだと思います。しかしながら、御説明申し上げておりますように、当面私ども計画いたしておりますものは、従来から御説明を申し上げている点の繰り返しでございますけれども、まずは第一期の計画から着手をさしていただいて、着実に進めさしていただきたいということで対応いたしております。
#172
○田沢智治君 第二に、放送大学を特殊法人として設立する法案ですね。これ特殊法人になぜしたのか。ここにいろいろな疑惑もあるし、いろいろな疑問もあるのではないかと思うんですけれども、放送法とか電波法によってどうしても特殊法人にしなければならなかったということなのか、あるいは学問の自由と大学の自治を守る上において特殊法人にした方がより大学の教育そのものを遂行する上においてプラスになるという次元で特殊法人にしたのか、その辺の経緯をちょっと聞かしてもらいたいと思うんですが、大学局長。
#173
○政府委員(宮地貫一君) 従来、放送大学の設置形態についての検討というのはいろいろ行ってきたところでございます。たとえば国立大学にするということ、あるいは私立大学にするということ、それらについても検討を行ってきたわけでございまして、考え方といたしましては、たとえば放送大学を国立大学という形で設置をするということももちろんあり得ることでございます。ただ問題は、その大学が放送局を開設するということになりますと、わが国においては、放送事業については、その創始以来国がみずから放送を行うことはしないというたてまえで今日に至っているというような事柄がございまして、大学と放送局とを一体のものとしての放送大学を設置する場合、国立という形態はそういう形からとれないというような点が言われたわけでございます。それから、放送大学を私立大学として設置するということも考え方としてはあり得るわけでございますが、その私立大学が放送局を開設するということになりましても、この放送大学の特殊性に基づきます国の関与のあり方と、それから私立学校法の定める学校法人なり私立大学の自主性との調和におきまして、やはりいろいろ困難な問題点が出てくるということが指摘をされております。
 これらはいずれも、先ほども申し上げましたが、衆議院の文教委員会におきまして放送教育に関する小委員会でいろいろ御検討いただいて、当時その御結論としては、ただいま申し上げましたようなことが言われまして、大学と放送局とを一体のものとして放送大学を設置するということであれば、やはり御提案申し上げておりますような特殊法人で、放送大学の設置者があわせて放送事業を行うという、こういう形をとるのが放送大学の設置形態としては一番適当ではないかという結論をいただきましたものですから、私どもとしてはその線に沿いまして準備を進めて、今日御提案を申し上げておるというところでございます。まあ特殊法人ということにいたしますと、国からは独立した別の法人格を有するものでございまして、国とはその点で明確に区別ができるということがございまして、この特殊法人に放送事業を行わせますことは、現行の放送法制上からも認められることであるというぐあいに考えております。
#174
○田沢智治君 ぼくはね、これもし成功したとすると、非常に画期的な位置づけが大学というイメージに出てくると思うんです。なぜ私はそれを強調するかというと、いまの大学の形態は国立か公立か私立、この三つですわね。これに特殊法人という新しい分野の大学が加わるわけです。もし放送大学が、与野党の先生方のいろいろな忠吉を文部省がしっかり心に入れて発足し成功したとすると、先ほどの参考人が申されるように、独立型の放送大学とか、あるいは既存大学との連携型の放送大学とか、国家と民間が協力していく型とか、あるいは公開大学型というような、さまざまな形態が私はあると思うんです。みんなそれぞれ個性があり、特色があると思うんですね。ですから、何も大学は国立だ公立だ私立だけでいいということじゃないと思う。やっぱり将来特殊法人的なものがどんどんできたっていいんじゃないだろうか。
 ただ、国が金出せば特殊法人になるという次元じゃなくて、民間でも公共性の高いような方向性を打つとするならば、特殊法人型のものをやっぱり許可していくというような、従来の大学そのもののイメージというものを余りこう踏襲したりすると、私はいまの大学が必ずしも国民的次元の中で大学教育がプラスになっているとは思い切れない面もあるわけです。大学人はこの辺のところでもう一遍こう反省する必要性があるとするならば、特殊法人的な大学を認可して将来体質改善していく、保守的で硬直したような大学よりももっと進歩的でありもっとたくましい学問的機能を果たし得るような、そういう大学をこう再生していくんだというような、そういう意気込みを持って文部省はやってもらわないと、与野党に食いつかれるから縮まっているようなことをやるような放送大学じゃ私はいかぬと思う。これは理念としても形態としても努力すれば私はすばらしいものになると思う。そういうような気持ちを持っているので大学局長に私は申すのでございますが、そういう考えに対してはどうお考えでございますか、大学局長。
#175
○政府委員(宮地貫一君) 大学の形、国立大学、公立大学、私立大学それぞれあるわけでございまして、参考人の御意見の中にもあったわけでございますが、既存の大学についていろいろ言われている、たとえば閉鎖性の問題でございますとか、あるいは大変教育を重視されておって社会還元というふうな観点が薄い点でございますとか、いろいろ指摘される点はそれぞれあるわけでございます。私ども大学に対しましては、そういう既存の大学、これは国立大学でございましても、公立大学にいたしましても、私立大学にいたしましても、そういう設置形態のことではなくて、社会に対して大学を開放すること、そしてまた弾力化すること、そういうことに対して大学みずからが努力をしていただき、私ども国としましても大学がそういう面で努力をすることに対して援助をするというような形で対応をしてきておるわけでございます。
 放送大学以外にも特殊法人としてやっていくものがふさわしい大学があれば、もっと積極的に特殊法人立ということで考えていってもいいのではないかという御指摘も確かに考えられる点でございますが、要は既存の国公私立の大学にありましても、その大学みずからがやはり弾力化をし、さらに大学を一般社会に開放し、積極的にそういう面で受けとめていくという対応をするということがやはり必要でございまして、その点では、従来大学の基準の問題でございますとか、あるいは高等教育の計画的整備を図ります際でございますとか、そういう私どものいろいろな施策を通じましてその弾力化なりは図ってきておるわけでございます。今後もそのための努力は続けなければいかぬことだと考えております。
#176
○田沢智治君 そこで、私はいままで討論され、審議された中で、大ざっぱのようでございますが、やはり放送大学のよさというものは大体理念的には四つあるんじゃないだろうか。
 その一つは、山間僻地にいる全国津々浦々の人々に、毎日大学に通えない障害者の人々にも、あるいは主婦や高齢者や職業人にも大学教育課程を勉強させて知識を高め、教養を培いながら一定の単位を取れば学位を取得するということは大変魅力があると思うんです。いま一億総評論家と言われるように、批判能力はあるけれども、教養的次元で、おまえのためにおれは痛みを分かち合いましょう、きみのためにおれが何かできることがあればやりましょうというような心の培いというものがない。これは私は教養が低いと思うんです。ですから、知識は高くたって教養が低ければその国家はいい国家になりっこないんで、そういう次元から見た場合、第一に放送大学教育そのものの内容を位置づけるとすればこういう点が利点じゃないかと、こういうふうに思います。
 二番目は、勤労している人々が職務上必要な知識をつまみ食いじゃなくて体系的に履修できるということは、やはり教養的次元の中で物事の判断を正確にできるという意味においては、これは社会教育的次元における位置づけが大いにあると私は思うんです。
 三番目には、安い授業料で大学教育課程を履修し、単位を取り、学位を取得できる。経済的困窮者にとっては大変私は喜ばしい道が開かれる大学形態である。これは私は非常に大事だと思うんです。いま一般の文化系の大学へ行くということになっても六十万の学資と下宿した場合百万の生活費がかかるわけです。まして、医科とか歯科とかということになると何千万かけなきゃ行けないというような時世の中で、自分は幾ら大学へ行って歯医者になりたい、医者になりたい、薬剤師になりたいと言ってもすぐはなれないわけです。しかし、教養課程というものを、放送大学の履修科目を取れば互換できるんだということになると、そこで二年間前後の幅というものが自分の家で勉強しながら修得できるという、就学年齢は多少延びてもそういう道を開くということは私は非常に大事なことだと思うんです、こういうような問題点。
 四番目には、放送という新しい要素を大学教育に多く利用して、国民全体に知識を供給しながら生涯教育の効果を上げることができるということは、高齢化し、高度福祉社会を担う日本人の心においては非常に貢献度がある一つの成果だと私は思うのでございますが、文部大臣の所感はいかがでございますか。
#177
○国務大臣(田中龍夫君) 田沢委員からの仰せのとおりでございまして、われわれが放送大学というものに対して特に理想を持って臨んでおりますことは御案内のとおりでございます。ことに生涯教育という問題が多く出てまいります現時点におきましては、社会人や家庭の婦人の大学教育の機会というものを提供する、これは本当に日本全体の、一億国民のレベルアップと申してもいいのではないか、かようにも考えております。
 それからまた、年齢の点やあるいはまたいろいろな複雑化、多様化いたしました社会情勢の中において、本当にいま先生が言われたような国民の期待にこたえる私は新しい理想の型であろう、これを描きながら希望を持って進んでおります。
#178
○田沢智治君 そこで、残念なことに放送大学の授業が関東地区からスタートせざるを得ない、これは全国規模で整備完成していくという計画の方が実際は私はいいと思うのでございます。特に私は五十五年度の大学、短大への進学率を都道府県別に見てみますと、十県のうち上位八県が、近畿、中国、四国の県が進学率が高いということになっているんです。共通第一次学力試験の志願者約三十六万ほどでございますが、これに比してどうかということを十県の短大、大学進学率の高い県に比較してみますと、もちろん東京は第一位でございますが、大阪が第二位、そして兵庫が第六位、京都が九位、広島が十位、岡山が十二位、山口が十五位といって、やはり国立大学の求めようとする共通第一次学力試験を受ける数も多いし、大学、短大進学率も高いということを見たときに、関東地区の規模でスタートせざるを得ないという現実に対し、こういう資料を整理整とんし、どこに欲求が強いであろうかということを検討の中に入れて第一次事業計画などを立てられたのか、あるいは予算上、あるいはこれを成功させる次元の中でいろいろな制約を考えられて関東地区というものを設定されたのか、その辺大学局長いかがでございますか。
#179
○政府委員(宮地貫一君) 従来御説明を申し上げている点でもございますが、最初の試みであり、かつ全体計画としては非常に大きなプロジェクトでございます。したがって、段階的にかつ慎重に進めていく必要があると、かように判断をいたしております。
 そこで、第一期計画として御提案申し上げている点は、やはり人口の集積が多く、かつ人口の構成としましても大変多様な構成になっておるというようなことを考えまして、今後の拡大計画に必要な資料が得やすいというようなこと、そしてまた広域の送信所として既存の東京タワーを利用できるために電波網整備に要します経費が過大にならないというようなこと、そして具体に放送大学の本部としては千葉の幕張地区に予定をしておりますというようなことなどを考えまして、関東地域、東京タワーから電波の届く範囲内をまず第一期の計画の対象区域ということで発足をすることにしたわけでございます。
#180
○田沢智治君 そこで、その既存大学やNHKや地方放送機関と提携した場合、完成時期を早めることができる可能性があるんですか、そういうことはむずかしいんでございますか、大学局長。
#181
○政府委員(宮地貫一君) 私ども、従来のいわゆる学校放送においてNHKが持っております実績というようなもの、そういうようなものももちろん高く評価をしておるわけでございまして、今後実際にこの放送大学を実施するに当たりましても、いろいろそういう従来の実績の面から持っておりますNHKを初めとする既存の放送事業者からの技術的な面でございますとか、あるいは放送関係の人材その他これまでの経験をいろいろと御協力をいただかなければならぬ事柄であるということは考えております。それらの具体的なことについては、今後関係者とも十分協議しながら検討を進めてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
 なお、お尋ねの点は、全国に広げるに際して、そういう面の協力を得れば早く広げられるのかどうかというような点にあったように伺ったわけでございますけれども、これも従来御説明を申し上げている点でございますが、やはり関東地区で実施をいたしましたその実情を踏まえまして、全国地域に拡大をするに際しましては、もちろん各地の進学状況でございますとかニーズを十分的確に把握をしまして、国民全体、教育の機会均等という観点からも、もちろんそれを踏まえて広げていく段取りというものは考えていかなければならぬと思っております。
 達成の時期については、従来から御説明申し上げている点は、やはり今後の高等教育の計画的整備の全体像とも関係する点がございますし、十八歳人口の、将来六十一年から七十年ぐらいにかけまして、六十六、七年がピークで二百万を超えるというような時期にもなるわけでございます。そういう際の高等教育の多様化という観点から、それらの時期には、この放送大学も、全国地域を対象に拡大するということで考えてまいりたいと思っております。
 なお、従来からも言われております放送衛星の利用の問題も、もちろん将来の構想を考えていく場合には考える課題として入ってくるわけでございまして、これらの点はなお関係省庁とも十分協議をいたしながら、放送衛星の具体化の見通し等とあわせまして、地上局の整備と放送衛星との絡ませ方をどのようにしていくか、そういうことなども今後の検討課題ということになるわけでございまして、もちろん全体的に全国をカバーする時期が早いにこしたことはないわけでございますが、先ほども御説明しましたような、基本的な、いろいろ第一期計画でまず着実な実施をしまして、単に電波が届けばできるというものでもない点がございます。というのは、具体的にはそれでは学習センターでのスクーリングのやり方をどうするかという点もあるわけでございまして、それらをどのような組み合わせで考えていくかというような問題点もございます。慎重にそれらの問題点を解決しながら、着実に広めていくということを念頭に置いているものでございます。
#182
○田沢智治君 いまのお話を承ると、誠心誠意努力しつつ、なるたけ早くできるような努力も惜しまないというふうに私は解釈するのでございます。
 予算等の裏づけ等につきましては、すでに小野委員よりお話があったと思いますので、省略さしていただきたいと思います。
 そこで、放送大学は教養学士をもらうんだということと、先ほど四点私が挙げたような大事な使命の遂行に欠かすことのできない要素を持っているということは歓迎するのでございますが、それだけではどうも物足らないという現実があるのではないだろうか。私はやはり生涯教育に力を入れる放送大学の一つの大きな要素だとするならば、社会教育局長お見えですか――社会教育局長と大学局長にもお聞きしたいと思うんですが、高校を卒業して社会教育事業などに従事している人が放送大学に学び卒業したときに、社会教育主事なり社会教育主事補の資格が取得ができないものであるかどうか。また逆に、放送大学を卒業するまでに社会教育主事になれる講習のカリキュラムを入れて、卒業と同時に取得させるというような一つの方法が教科課程の中で工夫できないものかどうか。そうしますと、やはり生涯教育ということの主体は社会教育に私はあると思うんです。社会教育を健全化し、正しく指導し、高揚するというような役割りを果たすという一翼を担える放送大学なんだと言えば、社会教育主事におれはなりたいからひとつ放送大学へ入ろうじゃないかというように、もっと物事がぼけないで鮮明に位置づけることができるのではないだろうか。教員資格はそのまま取れないし、何にも取れない。ただ教養学士だって、教養学士とは何だということになると、世の中へ行ってもちょっとまだ通用しないんじゃないかと思うならば、せめて一つぐらい、これだけは取れますぞと言えるような工夫を弾力的に持つことが私は大事だと、こう思うんです。この放送大学の使命が生涯教育にあるとするならば、その辺に対する見解はいかがかと思い、どちらでもよろしゅうございますが、局長さんから御意見を伺いたいと思いますが。
#183
○政府委員(宮地貫一君) もちろん社会教育の観点が大事であることは当然でございますが、ただ現行法の規定から申しますと、この放送大学で社会教育に関する授業科目ももちろんございますけれども、社会教育主事の資格を取得するために必要なすべてを満たしているということにはなっていないわけでございます。したがって、放送大学の卒業生が放送大学卒業ということだけで直ちに社会教育主事の資格を取得するということにはなっておりませんので、その際はやはり社会教育主事講習を修了するということが必要なわけでございます。これは一般の大学の場合にありましても事柄としては同じ形になっておりまして、一般大学を卒業しましても直ちに社会教育主事の資格ではなくて、やはり社会教育主事講習を修了するということが必要になるわけでございます。その点は、既存の一般の大学と放送大学の場合には事柄としては同じ扱いになっておるわけでございまして、資格の問題について、何か放送大学を出たことによる資格というのを、単に教養学士ということだけではなしに、もう少し考えられないかという御指摘でございます。
 その点は私どもとしてもいろいろ検討は従来いたしてきたわけでございます。ただ、たとえばそれでは教員の資格はどうかというような点が、あるいはこれも前にお尋ねもあったわけでございますけれども、教員の資格を、この放送大学卒業ということだけで教員資格を付与するということになりますと、やはり教員の免許状の場合の教育実習の問題でございますとか、教職に関する専門科目の問題でございますとか、いろいろ実施上難点が出てまいりまして、やはり放送大学卒業ということだけで教員の免許状が取れるというところにまでは、ただいまのところ教育課程の編成ではそこまで考えていないわけでございます。
 ただ一現職教員などが上級免許状を取得するためにこの放送大学で修得した単位を活用するというようなことは、もちろん実際の活用の仕方としてはそういうことは考えられる事柄でございますけれども、放送大学を出たから直ちに具体的ないろんな資格ということに直接は結びついていないという点、確かに御指摘のようにそれではなお不満もあるんではないかという事柄もよく御指摘の点もわかるわけでございます。当面、教養学部ということでスタートをいたしまして、その点十分この第一期計画を着実に実施をいたしまして、さらにこの受講生その他、全体のニーズがどういうところにあるかというようなことも十分把握いたしまして、そういう点については将来の課題ということで検討さしていただきたいと考えます。
#184
○田沢智治君 社会局長に聞きたいんですが、社会教育法九条の四に、大学に二年以上在学をして六十二単位以上を修得し、社会教育に関係のある職についた者で、第九条の五の規定による社会教育主事の講習を修了した者が社会教育主事になれると資格で認定しているんですが、これは間違いございませんか。
#185
○政府委員(高石邦男君) そのとおりでございまして、いま大学局長が御説明申し上げたものに若干補足して申し上げますと、二とおりの社会教育主事の資格を得る道があるわけでございます。
 一つは、四年制大学で社会教育関係の学科を修得し――その際二十四単位修得しなければならないわけであります。それを修得した後に卒業して、一年間社会教育主事補の仕事をいたしまして社会教育主事になれるという道が一つです。
 それから、いまお読みいただきました内容は、二年以上でございますから、短大以上ということに考えられると思うんです。学校にいるときはたまたまそういう社会教育関係の科目を履修しなかった、しかし卒業した後に社会教育関係団体の仕事であるとか、社会教育に関する仕事に従事した、それで三年間の経験がある者については後、社会教育主事講習会を開きまして、十単位とれば社会教育主事になれる、こういう二とおりの道があるわけでございます。
#186
○田沢智治君 そうなると、可能性はあるわけですよね。職場にいながら、社会教育事業の職場に就職して、放送大学の勉強をして、二年間に六十二単位以上修得して、しかも文部大臣が指定する講習会の講習を修了すれば取れるわけでしょう。取れないんですか、卒業しても取れないんですか。
#187
○政府委員(高石邦男君) その際に、社会教育主事講習会で修めなければならない単位というのが科目でずっと決まっているわけでございます。そこで、放送大学でそういう授業科目が開設されて、そしてそれを受けることができれば、そして必要な十単位を修得することができればそういう資格の道が得られると。
 ただ、現在示されております授業科目一覧表には、そこで言う必要な科目が全部放送されるというところまでは、第一期の計画では盛られていないということでございます。
#188
○田沢智治君 何も放送大学の中で講習する科目を取らなくたっていいわけでしょう。要するに文部大臣が指定する教育機関で取ればよろしいんでしょう。
 ですから、この放送大学の要素は働きながら勉強して、そしていろいろな創意工夫ができる、幅のある教育機関が個性なんですよ。だとすれば、そういう条件に沿えるような、放送大学の学生としての籍を置きつつ、二年間放送大学の六十二単位を取って、三年間なら三年間社会教育事業に就職し、そしてその放送大学じゃなくて、別の大学で、指定する大学の講習を受ければ、十単位なら十単位取れば資格は取れるわけでしょう。
#189
○政府委員(高石邦男君) 御指摘のとおりでございます。
#190
○田沢智治君 とするならば、やはりそういうような一つの特色を法律に許された範疇の中でひとつ編成し直して、こう努力すればこういうケースの場合はこういう資格が取れますよ、あなたの場合はこういう努力すればこういう道もありますよというような、やっぱり弾力性のある設置構想というものを打ち出すと、もっとわかりやすくなるんじゃないかと私は思うんですが、これは法案を変えなくたってできるわけですよ、運用面で。ですから、そういうように少し頭を使って努力し、国民に奉仕する、そういうような弾力性を持たしてひとつ検討してもらいたいと思うのでございますが、文部大臣、いかがですか。
#191
○国務大臣(田中龍夫君) まことにそのとおりでございます。
#192
○田沢智治君 私は、そうやってお互いに努力していくことによって、ああ放送大学ができた、おれはもうしばらくすると社会教育主事になれるんだな、主事補になれるんだな、おれは何かになれるんだなというような、これを踏み台にしておれはこういうような人生を歩むという――教養というのは踏み台ですよ。これを基盤にして調理士になるんだ、あるいは弁護士になるんだ、あるいは医者になるんだといってその次元の基礎的な土壌をつくる土台づくりが教養だとするならば、やっぱりいろいろなバラ色の人生、おまえの努力次第によってできるんだぞというように、固定された既存大学と違う流動的、弾力的なやっぱりその放送大学の実態が脈々と生きているんだという、もっと希望の持てるような努力を文部省やってもらいたいなと思うんですが、大学局長、いかがですか。
#193
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のような点も十分踏まえまして、この大学自体においてそういう展望を持たせるような大学になるように努力すべきことは当然のことであろうと、かように考えます。
#194
○田沢智治君 私はそれが命だと思うんですよ。それができると、野党の先生方も多少反対があるだろうけれども、歩み寄れる面はうんと歩み寄れるんじゃないだろうかと。やっぱり生まれるものはみんなに祝福されて生まれるという努力はお互いにしなきゃ私はいかぬと思うんです。ですから、やはりもう明示するものはこうでなくちゃ、これができるという――いま若者かへんちくりんなところへ行ったり、先生に暴力をふるうということは欲求不満なんですよ。しかし、今度の放送大学はこういう道がある、ああいう道がある、こういう道はあるけれども、それはあなたの努力にあるんだぞというように、いまの既存大学のたるんでいるところを活を入れて、おまえらがもたもたすれば特殊法人の大学をいっぱいつくるぞというぐらいの、そういう一つの活力を入れるぐらいな努力をしてもらうとすれば、国民がみんな放送大学に寄ってくる、私は間違いないと思う。とすれば、やはりその既存大学と放送大学における学資の問題があると思うんですが、先ほど申したように、既存大学におきましては、文科系においても六十万、理科系その他においては百万以上というような現実があるわけです。放送大学の学資として、受験料、入学金、授業料その他の経費について大学局長、どの辺のところを考えておるんですか。
#195
○政府委員(宮地貫一君) 私ども現在既定の計画で想定をいたしております点は、放送大学の授業料というようなものについては既存の私立の通信制大学の授業料等を基礎といたしまして、それとのバランスというようなことも念頭に置いて構想をいたしております。具体の金額につきましては、もちろんこれから大学みずからでお決めになる事柄ではございますけれども、そういう既存の私立大学の通信教育の授業料との現状で申しますと、参考としておりますものは、入学時の納付金といたしましては約一万七千円でございますし、授業料等は、四年間で卒業するとした場合の各年度の授業料等の平均で申しますと約六万円というのが私立大学の通信教育の現況でございます。
#196
○田沢智治君 これは一年六万円ですね。
#197
○政府委員(宮地貫一君) はい、年間でございます。
 なお、もちろん一科目当たりの授業料というようなことも、これは科目履修生というようなことも考えられるわけでございまして、これは平均的に申しますと、一科目当たりの授業料としては現況が七千円という状況になっておりますので、そういうものを参考としながら考えてまいりたいと、かように存じております。
#198
○田沢智治君 日本育英会における奨学資金の貸与が対象になるのか、できるとすればどのくらい貸与されるものなのか、あるいはスクーリングにおける貸与奨学金制度があると聞いてますが、これがどのくらいのものなのか、おわかりになれば聞かしていただきたいと思います。
#199
○政府委員(宮地貫一君) 現在大学の通信教育を受けます学生に対する奨学金の扱いでございますけれども、スクーリングの実態等を勘案しまして貸与をしております。たとえば、通年スクーリングの場合で申しますと月額二万七千円でございますし、夏季等、特別の時期のスクーリングの場合には一期間六万円というような形で行われておるわけでございます。放送大学の学生に対する奨学金のあり方ということにつきましても、このような大学通信教育の場合を勘案しながら検討をする課題であろうかと、かように考えております。
#200
○田沢智治君 そうしますと、日本育英奨学金が貸与されるとすれば、十分にその範疇で学資程度のものは賄えると、こう解釈してよろしゅうございますか。
#201
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の、その金額で十分学資が賄えるかという御質問でございますが、大学の通信教育の場合に単価の設定については、ただいま申し上げたような金額で、スクーリングの実態に照らしてただいま申し上げたような単価を設定いたしておるわけでございます。スクーリングのあり方につきましても、この放送大学の場合には、従来の通信教育とは相当異なった形態になるということも想定されるわけでございます。その辺を十分今後検討いたしました上で、合理的な、適正なものを考えていかなければならぬ課題であると、かように考えております。
#202
○田沢智治君 日本育英会の制度は、大学院には大学院、それから通信教育学生には通信教育学生、それから教育職をとる人には教育職というふうに仕分けしてあるわけですね。ですから、当然この放送大学の学生に対してもその仕分けをもう一つつくってもらって、それに見合うような措置を講ずるということは私は必要だと思うんですが、文部大臣いかがでございますか。
#203
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまのお話はまことにごもっともと存じます。今後、そういうふうな問題も道が開けますように、検討課題として進めさしていただきます。
#204
○田沢智治君 そうなると、放送大学で勉強するために、経済的に困る方々が奨学資金制度によって勉強の学資程度は貸与されるんだということになると、希望者が私はふえると思うし、当然そのぐらいのことをやるべきものであると私は思うんですが、これをぜひやっていただきたい。
 そこで問題は、放送大学は他の大学との単位互換や短大その他の高等教育機関からの編入学を積極的に行うことを、この基本構想その他で全部明示してるんですが、他の大学への編入学を促進するためには、たとえば三年生以上とるにはこれだけの枠きりないよといって、他の大学からいまAという大学へ編入したいといっても、編入することを余り歓迎しない。なぜならば、補助金額が学生がふえるとダウンしちゃう意味で、枠切りをしちゃってるという、こういう不合理な運用制度なんですよ。ですから、積極的に放送大学が他の大学との単位互換や交流するんだなんて言ったって、そういうような閉鎖的――抑制されるいまの行き方というものをある程度私は改革しなきゃならぬだろうと。そういう意味においては、明示したからには、明示した内容が違いますよ、なんていうようなことにならないような措置というものを大学局長は考えられておられるのかどうか、お聞きしたいと思うんです。
#205
○政府委員(宮地貫一君) 単位の互換の問題等、この放送大学の発足を契機にまあ全般的にそれが積極的に行われるように、私どもも十分努力をし、また、そういう方向に進むことを期待をしておるものでございます。既存大学からこの放送大学への編入学というようなことは、この放送大学側で積極的にもちろん考えていくことかと思うわけでございますが、問題は、放送大学の学生がほかの大学へ転学する場合というのは、これはもちろん受け入れ先の大学の自主的な判断にまつべき問題でございます。しかしながら、この転学も、放送大学が正規の大学でございますので、もちろんほかの大学と扱いとしては同等な扱いがなされるべきものと、かように期待をいたしております。
#206
○田沢智治君 そうなると、編入学を推進する、これはいいことだと思うんです。やっぱり、二年間だけ安い授業料で、自分の手元の努力によって、一定の教育課程の、あるいは教養課程の単位が取れて、三年に編入できるとすれば、大変私これ画期的な大学の実態だと思うんです。そういう意味で互換制度というものをより推進してもらいたいし、そのためには、既存大学が実施している教育課程カリキュラムと放送大学が実施しようとする教育課程カリキュラムとの調整が私は必要じゃないかと、そのような調整等について、将来これは教授会その他ができなければならぬだろうと思うんですけれども、そういうことをやはり配慮しながらカリキュラム調整を行うという考えが大切であると私は思うんですが、大学局長はどうお考えですか。
#207
○政府委員(宮地貫一君) 個々の大学のカリキュラムというのはそれぞれの大学自身の教育として実施をされるものでございますので、まあ調整というお話しの点が具体的にどこまで指すのか、ちょっと必ずしも十分な把握でないかもしれませんが、単位の互換という考え方で申せば、たとえば、既存大学の一般教育とこの放送大学の一般教育ということで、具体的には授業科目というものが異なっている場合でも単位互換ができるかどうかというような問題点になろうかと思いますが、その単位互換という観点で見れば、当該大学で開設していない授業科目でございましても、適切と認められれば互換ということは可能性があろうかと、かように考えます。したがって、授業科目が必ずしも完全に一致してなければ互換ができないというものではないと、かように考えております。
#208
○田沢智治君 それをひとつ徹底してください。
 次に、入学資格については、高校卒業者または同等以上の能力があると認められる者が随時できるというふうになってるんですが、同等以上の能力があると認める手続について、だれが、どこで、どのような方法、手段によって認めるのか、お答えいただきたいと思うんですが。
#209
○政府委員(宮地貫一君) 同等以上の学力があると認めるのは、もちろんこれは受け入れる放送大学側が判断をするわけでございますが、その具体の方法として申せば、たとえば科目履修生というようなことで、科目の履修状況を見まして、これは放送大学で全体の履修をする能力が十分あると判断をできますれば、高等学校卒業でなくとも大学に受け入れるということは具体に考えられることではないか、かように考えます。
#210
○田沢智治君 そして、入学選抜方法は抽せんか順番制かというような話でございますが、いつの期間募集するのか、随時年がら年じょう募集するのか、募集期間についてはいかがでございますか。
#211
○政府委員(宮地貫一君) 具体の事柄になりますので、もちろん大学側で具体の事柄としては判断をされる事柄でございますが、ある程度の期間、入学前、たとえば半年前ぐらいから募集を開始するとかいうような事柄の処理ということになろうかと思いますけれども、実際上の実務的な処理としましては、大学側で入学者に対して十分な期間を与えるというような形で行うことになろうかと思います。
#212
○田沢智治君 在学期間を限定する制度なのか限定しない制度ですか、どちらですか。
#213
○政府委員(宮地貫一君) 在学期間については、一般大学とはこの放送大学は異なるわけでございますので、もちろん大学自身がお決めになることでございますけれども、在学期間について、たとえば通常の年数の二倍以内というような限定をするというようなものではないと、かように考えております。
#214
○田沢智治君 では、学生が何か悪いことをしたなんということになったら懲罰、懲戒処分というようなものも出てくるでしょうし、除籍というものがもちろん出てくるんじゃないか。成績優秀なる者に対しては、これは特待生とかあるいは学費の免除をするとかというような賞罰等についてはどういう考えでございますか。
#215
○政府委員(宮地貫一君) 学生の身分に関する問題で、たとえば懲戒の問題など、どういうことになるかというお尋ねでございますが、具体の問題として、たとえば学習センターにおきます履習の場合の規律の問題その他、これは通例の一般大学と同様の考え方というものがそこにはおのずとあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、それらの事柄については、これはこの大学発足後、大学自体で、一般の大学とも確かに異なる点もございますので、それらの点も十分検討していただいて、適切な処置がなされるものと、かように期待をいたしております。
#216
○田沢智治君 私は、なぜこれを言うかというと、教授会というものの主体性がないと、学生の懲戒とかあるいは学生に対するいろいろな手当てができないと思うんです。ですから、やっぱり教授会というのは当然必要になってくるし、教授会がないなんということはあり得ないことであり、私立学校法においても、寄付行為においても教授会なんという事項はないわけです。しかし、教育組織の中では教授会の位置づけというものは、組織としてないということは法律で当然認められないんだから、あるはずなんです。そういうような意味で、私はやはりけじめをつけなければだめだと思うんですね。放送大学だから何年いたっていいんだなんというようなだらしのないような大学なら、やめた方がいいですよ。それと同時に、成績が優秀で将来国のためになるんだというような者においては、学費の免除をするなり、あるいは特待生として逆に学費を出してやるとかというような、通常一般に行われているようなものも含めて私は運用していくべきではないだろうかと、こう思うのでございますが、これは教学権の問題であるからここでとやかく言えないと思います。ただ問題は、入学したが、先ほど心配するように落ちこぼれが多い、国費のむだ遣いじゃないかというような批判が出てこないためには、先ほど小西委員が言うように、もう一遍何らかの形で世論調査をなさったらどうだろうか。これは、五十九年がスタートであるとするならば、その間、時間がまだまだ私はあると思うんで、そういうような前向きの姿勢で、的確なる資料のもとに、的確なる希望者に対して、的確に措置していけるような放送大学の発足までの真剣な努力というものが私は必要なんじゃないかな、こう思うんですが、大学局長、いかがですか。
#217
○政府委員(宮地貫一君) もちろん第一期の計画は関東地域を中心にしました計画として発足をするわけでございますけれども、これについてももちろん慎重な対応で臨まなければならないわけでございますし、さらに全国地域に広げるに際しましては、御指摘のような調査その他の手だてというものも十分尽くした上で対応をしなければならないことは当然のことでございます。
#218
○田沢智治君 そういうような努力をひとつ真剣にやってください。そうすれば、実質的な内容についても多く納得できるものが私は出てくるんじゃないだろうか、それがひとつ大事ではないか。放送大学を成功させるということは、結局放送内容が学生にも国民にも批判されるようなものであったとするならば私はだめだと思うし、学習センター、それと同時にスクーリングの充実を図るということになると、今日の国公私立大学の教員全体に放送大学の協力者として委嘱をして、みんなで支えてもらって、みんなの国家的次元の民主的な大学をつくるんだというような気持ちでこれはやらないと私はできないんじゃないだろうか。教員は専任が少なくて非常勤が多いということは現実に国公私立大学の教員全体と言って過言じゃないと思うんですが、そういうような連帯感、連携感というものが、各団体との徴密な交流によって協力体制をつくることに欠かすことのできないものであると確信するんですが、大学局長いかがでございますか。
#219
○政府委員(宮地貫一君) その点は御指摘のとおりでございまして、私どももこの放送大学が本当に成功するためには、優秀な教官スタッフをどうそろえられるかという点が一番のポイントでございますし、またそのためには国公私立大学の既存の大学の方々に御協力を賜らなければ、この放送大学というものも成功しないというぐあいに考えております。
 したがいまして、放送大学の構想につきましては、従来からも、たとえば国立大学協会の関係者でございますとか、あるいは私立大学の各団体の方々等にも十分御説明をいたしておるところでございますし、そういう方々の理解を深めながら、現実の措置としては、さらに教官スタッフとしても必要な方々の御協力をいただくということで臨むつもりでございます。
#220
○田沢智治君 それが私は大事だと思う。だからこそ、気持ちよい放送大学が発足し運営されるとするならば、放送大学の管理運営体制がより民主的であり合理的でなければいかぬと、私はそう思うんですが、文部大臣いかがですか。
#221
○国務大臣(田中龍夫君) そのとおりでございます。
#222
○田沢智治君 文部大臣がそのとおりだと言うんだから間違いないと思うんですが、これはやっぱり民主的であり合理的であるというような努力、これはやはり行わなければならぬ。そのために、粕谷先生が午前中申したように放送大学に政党の役員が入れるんじゃないかというような意見があったり――私は絶対入っちゃいかぬと思います。やっぱり教育と政治というものは分離するところに日本の今日の民主的繁栄の基礎があるということを思っておりますが、放送法第十六条第四項第四号に掲げる「政党の役員」の範囲については、放送部長どう解釈されますか。
#223
○説明員(富田徹郎君) 放送法第十六条第四項第四号に掲げる「政党の役員」の範囲につきましては、一般的に申し上げて、政党という組織の意思を体現する者を役員というのは指していると思われますが、それがその代表者、幹事、総務その他の名称のいかんにかかわらず、実質的にそれらの役員と同等の権限もしくは支配力を有する者を言うというふうに考えております。なお、具体的には政党の規約等において役員として定義されているもの等が参考になるというふうに考えております。
#224
○田沢智治君 そうすると、各政党で言う役員は、内部の規則があって、それによって左の役員を置くという役員と、特定の権限を持ち、そして管理能力の立場にいる者はだめだと、こう解釈してよろしゅうございますね。
#225
○説明員(富田徹郎君) およそそのとおりかと思います。
#226
○田沢智治君 私は、やはり教育なり学問というものは政党的イデオロギーを導入することはこれは絶対にやってはならない、私はそういう信念でございますし、そういうようなことが放送大学の現実の中に起こるということは私はないと確信するのでございますけれども、もしあったとするならば、私たちは命を張ってそういうものを排除すると、私はそのくらいの気概を持ってこれを生んでいかなきゃならぬと思っておりますので、そういう点において配慮すべきものがあるとするならば、付帯条件でもよろしいし、その他いろいろな制約できるようなものの中に明示する必要性があれば、してもらいたいと思うんですが、文部大臣いかがですか。
#227
○国務大臣(田中龍夫君) 先ほど来申しておりますようにまことに貴重な御意見だと思います。
#228
○田沢智治君 そこで条文には、第十条第三項には学長が理事長になる場合の条項があるんですが、これは教学優先体制の意味に条項解釈をすべきであろうと私は思うんです。なぜならば理事長が学長を兼任することができるということは書いてない。ですから学長が理事長を兼ねる場合がある、しかしこれは余り好ましいことじゃない、できる限りそういうことのないようにするというのは当然私はやらなきゃならぬことだと思うんですが、発足当初においては理事長と学長を兼任するようなことはないと、こう思うんですが、その点いかがでございますか、大学局長。
#229
○政府委員(宮地貫一君) 条文の規定から御指摘のような点があるわけでございまして、考え方といたしましては、教学の責任者でございます学長が理事長を兼ねるということがあり得る、そういうことを想定した規定でございます。
 具体的には、大学の責任者としての学長が理事長を兼ねることが適当な場合もあり得るという、その前提に立った条文でございます。これらの規定の運用につきましては、この放送大学学園そのものが大学を設置するものであること、そして放送局を有するという、そういう機能に着目をいたしまして、その運用としては、もちろん大学の設置主体であるということを念頭に置いて行われるべきものと、かように考えます。
#230
○田沢智治君 放送部長、お帰りいただいて結構でございます。どうもありがとうございました。
 理事長が学長を兼任することはないですね。これは絶対ございませんね。
#231
○政府委員(宮地貫一君) 条文の規定の上から申しますと、十条三項にございますように「学長が理事長である場合は、この限りでない。」という規定は置かれておるわけでございますが、逆の場合の規定はないわけでございます。
#232
○田沢智治君 いや、ないということじゃなくて、そういうことはできないんですとはっきり言ってもらわないと、もやもやもやもやみんなしているわけですよ。ですから、条文にないことはできないわけだからできないとはっきりこう言ってもらえませんか。
#233
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、学長が理事長を兼ねることは条文の規定としては予想をしておる点でございますけれども、逆の場合については予想していないものと、かように考えております。
#234
○田沢智治君 だからこれこそ、文部大臣、附帯決議の中でそういう希望について明示してください。当然、理事長が学長を兼ねるなんというのはどこにもないわけです。ないけれども、それが条文の中には禁止事項になってないから、わからぬといえばそれで終わりだけれども、やっぱりそういうことがあっちゃいかぬですね。やっぱり教学というものは教学権という学長を中心とした体制の中に保存することがより民主的であり、より合理的であり、より国家的であり、より平和的なんですよ。ですから、これはちゃんと位置づけるということをはっきりしなきゃならぬと思うんですが、文部大臣いかがですか。
#235
○国務大臣(田中龍夫君) いままでの局長の答弁から、私は先生の御心配になるようなことがあってはならないと、かように考えております。
#236
○田沢智治君 ひとつそれ徹底してください。
 時間がございませんが、次に学長はどういうような手続を経て選任されるんですか、大学局長。
#237
○政府委員(宮地貫一君) 学長の選任につきましては、第二十一条の二項でございますけれども、「理事長の申出に基づいて、文部大臣が任命する。」ということになっておりまして、理事長がその申し出をするに当たりましては、第二十一条の六項で「評議会の議に基づいて行われなければならない。」というような規定になっております。
#238
○田沢智治君 評議会の議を経て行うんですけれども、教授会ができれば、教授会の意見ももちろん出てくると思うんですが、教授会の意思というものはその前の次元で尊重されるような手続になるんですか。
#239
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の点は恐らく大学自体が内部手続としてどのように決めるかという問題になろうかと思います。
 評議会を法律に規定をいたしておりますので、その評議会の議に基づくとということを法律上、二十一条の六項で規定をいたしておるものでございまして、先ほど来申し上げておりますように、学長の選考その他についての学内の内部手続というものは、大学自体がお決めになって、そのこと自身が大学の自治なりの確保ということは当然に考えられる事柄と、かように考えております。
#240
○田沢智治君 学校教育法の五十九条においては教授会を設置しなければならない、これははっきりしておるのでございまして、これに違反する学校は学校じゃないということでございますので、そういうような実態になると私は思うのです。そういうようなことがなければ、学校じゃないものが放送大学なんというようなことはできませんので、その点は確認できますか、大学局長。
#241
○政府委員(宮地貫一君) もちろん学校教育法五十九条の規定はこの放送大学にも適用があるわけでございまして、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」という規定は当然に適用があるものでございます。
#242
○田沢智治君 適用があるということですから、ひとつこれをしっかり適用してください。
 次に運営審議会の問題ですが、これは理事長の諮問に応ずるということになっております。問題は、この人選についての公平、民主的なるものがやはり私は必要だと思いますので、その中には放送大学は全国的な視野でやるという意味で、全国の各ブロックから代表者を選出すべきである。北海道、東北から一人なら一人、あるいは東北地区から一人とか、あるいは関東地区、あるいは中部、関西、四国、九州あたりから何人かずつということで、審議会の委員については、偏らない、全国的な視野から全国的な情報が運営次元の中で吸収されていくという配慮、これがどうしても私は必要だと思うんですが、これは文部大臣の任命になるんじゃないかと思いますが、そういうことの第一次の配慮。それから第二番目の配慮は、将来放送大学の卒業生が出る、卒業生の代表も将来その中に入れて、具体的にもう少しこういう教育が施されていただければ、自分たちはいまの社会生活の中でこういう点がプラスになった、ああいう点が欠けておった、こういう点はもっとよくやってほしいと、いうような意見を吸収する上においても、将来放送大学の卒業生の代表をその中に入れるというような物の考え方は私は大事だと思うのですが、文部大臣いかがでございますか。
#243
○国務大臣(田中龍夫君) いまのお話でございますが、私はまことに当然のように思うのでありますが、なお政府委員からの御答弁によりましていままでの経緯等さらに詳細お答えいたしましょう。
#244
○政府委員(宮地貫一君) 運営審議会の委員の構成についてお話のような観点が必要であるということはもとよりでございます。具体的には、それぞれ関係各方面の方々に入っていただくということでございますし、さらに御指摘の点で言えば、時期的にどういう時期になるかはちょっと私もいまここでは申し上げにくいんでございますが、やはり大学の卒業生というような者が加わるということも、考え方としてはやはり十分尊重すべき考え方で、そういう観点が必要なことかと思います。
#245
○田沢智治君 学生を参加させるというのは、私は反対です。だけど卒業生は社会人だから、当然一定の見識を持つんだから、これは喜んで参加させるということが、もっと充実した放送大学を運営する上において必要欠くべからざる考えだと私は思うんですが、この点をひとつ考慮してもらいたい。それと同時に、評議会のメンバーというものは、これは全部教授でございますか。
#246
○政府委員(宮地貫一君) 評議会のメンバーは教授でございまして、「評議会が定めるところにより選出される教授」という形で法文に規定をしているところでございます。
#247
○田沢智治君 そういう意味においては、評議会の構成員が全部教授であるとするならば、良識ある教授が選出されるとするならば、そんな変なことにならないだろうと私は思います。そういう意味で学問の自由と大学の自治を最大限尊重され、先ほど申したように民主的であり、合理的な運用の中で多くの人々の意見を網羅し、吸収するような管理運営体制を誤解なく推進する、ここにこの大学の命があると思うんですが、文部大臣いかがでございますか。
#248
○国務大臣(田中龍夫君) そのとおりでございます。
#249
○委員長(降矢敬義君) 田沢君、時間です。
#250
○田沢智治君 そのような信念で、ひとつ推進してくださいますことを心から御祈念申し上げ、私の質問を終わります。
#251
○委員長(降矢敬義君) 以上で、本案に対する審査は本日はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後五時十二分散会
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ソース: 国立国会図書館
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