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1980/04/28 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第10号
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1980/04/28 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第10号

#1
第094回国会 文教委員会 第10号
昭和五十六年四月二十八日(水曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     藤田 正明君     浅野  拡君
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     浅野  拡君     永野 嚴雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬義君
    理 事
                大島 友治君
                世耕 政隆君
                勝又 武一君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                井上  裕君
                山東 昭子君
                田沢 智治君
                内藤誉三郎君
                仲川 幸男君
                松浦  功君
                小野  明君
                粕谷 照美君
                本岡 昭次君
                柏原 ヤス君
                高木健太郎君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
   政府委員
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省管理局長  吉田 壽雄君
       郵政省電波監理
       局長       田中眞三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       郵政省電波監理
       局放送部長    富田 徹郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○放送大学学園法案(第九十三回国会内閣提出、
 衆議院送付)(継続案件)
○連合審査会に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 放送大学学園法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○勝又武一君 放送大学につきましてお伺いしてまいりますが、文部省としてこれについての設立の方針を決めたのは具体的にはいつになりますか。
#4
○国務大臣(田中龍夫君) そのいまの決定の経過につきましては、担当の政府委員からお答えします。
#5
○政府委員(宮地貫一君) 具体的な放送大学についての検討を開始いたしましたのは、昭和四十四年十月の閣議におきまして文部、郵政両大臣から放送大学の検討を始めることについて報告を行ったわけでございます。それ以後経過を経まして、具体的には昭和五十四年度予算におきまして特殊法人放送大学学園の設置のための予算が計上されまして、具体的に政府として予算を計上し、法案を提出することになりましたのは、昭和五十四年度予算の決定の際が政府として正式に決定をいたした時期というぐあいに申し上げてよろしいかと思います。
#6
○勝又武一君 設立の方針を決めてからすでに十三年たつわけですね。その間、やはり衆議院では約百時間の審議をやっているというように思います。何か外国の視察もされたようでありますし、小委員会での議論もありましたし、相当の長期にわたる、しかも綿密な審議を行っているというように考えます。私たち参議院の方は、前臨時国会での審議はたしか六時間何十分、この通常国会に入ってから実際に審議をやったのは十二時間半ぐらいではないんでしょうか。そして、これが四月の十四日から始まっておるわけですね。わずかこの十二時間半の中で大変な問題が出てきておるというように私は思うわけです。そしてまた、その間、参考人の方に六人おいでいただいたり、NHK、テレビ朝日、あるいは開発センター、日大の通信教育、これらを調査してまいりました。こういう中で、もうすでに大臣もおわかりのように、衆議院段階における問題以外に相当やはり具体的な問題が提起をされている。私はいまもってはなはだ残念なのは、文部大臣からまだこれについての誠意ある対応の仕方というのはあらわされていない。たとえば予算について幾つかの指摘がありましたね。あるいは五十年十二月の予測調査というのはきわめてラフなものであった、こういうようなものについて具体的に再調査をするとか、こういうようなことについての何らの提起もないわけです。
 もう一つお聞きしたいのは、参考人の方々いろいろおっしゃいました。これは局長や企画官は綿密なメモをとっていらしたからおわかりと思いますけれども、私もああいう参考人の方々のうちの一部の意見に賛成できる向きもあります。まさにああいうように理想的な、すべてが満足されたような放送大学ならいいんじゃないかというように思う節もあります。しかし、それにはきわめて重要な幾つかの前提条件というものが私はやはり必要じゃないか。そういう必要にして十分な前提条件というものなしに、参考人の方は非常に楽園めいた、パラダイスのような放送大学のよさばかりを強調している向きもあったというように思うわけです。これらについて、大臣は、ひとつ本気にわが文教委員会に対して、それらのいままで十二時間半の中で出た諸問題について、どういうようにそれらの点について明確になさるお気持ちなのか。
 それからもう一つは、そういう参考人が言っていらっしゃったようなことを満足できるような条件というものが、いま私は欠けていると、不十分だと。そういうものについてどういうように文部省としては対処されようとしているのか、この二つをお聞きします。
#7
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の点がいろいろと参考人からもございましたことは、私どもも聞かしていただきまして、いろいろと有益な御意見をいただいたと、かように考えております。
 御指摘の点で、一つは、従来の調査だけでは必ずしも十分でないではないかという御指摘がございます。その点につきましては、私どもとしては従来専門家にこの調査もお願いをしたわけでございますが、具体的に放送大学を発足するということになりますと、従来から御説明しておりますように、まずはこの放送大学学園法案で特殊法人の枠組みをつくっていただきまして、この特殊法人が放送大学設置について文部大臣に認可申請をするという手続になるわけでございます。私どもとしましては、この特殊法人の放送大学学園の法案が成立いたしますと、それに伴いまして放送大学の設置認可申請という具体的な行為に移れるわけでございます。
 私どもといたしましては、従来国会で御答弁申し上げておりますように、具体的な放送大学の実施に当たりましての問題点が幾つか御指摘があったと思うわけでございまして、実際の放送大学の第一期の計画といたしましては、関東地区、東京タワーからテレビ、ラジオの電波の届く範囲内をまずは第一期の対象としてスタートさせていただきたいということで御説明を申し上げてきておるわけでございますけれども、それを全国的に広めていく際に、御指摘のような具体的な調査をさらに尽くすべきではないかという御指摘は、私どもとしてはそういう段階に慎重に対応して、十分国民のニーズと申しますか、そういうものも受けとめるようなさらに綿密な調査もそういう段階ではぜひとも取り組まなければならない課題であろうと、かように考えております。
#8
○勝又武一君 大臣ね、そうじゃないんですよ。局長の言っているような答弁のことを聞いているんじゃない。放送大学ができまして、そしてその第一期に具体的にかかってからいろんなものをやってだんだん直していくということじゃなくて、つくる前にもっとやっぱり具体的なことを明らかにしていただかなければ賛否の態度もできないですよ。賛成か反対かということすら本当はできない。そのくらいに思うので私はいまの点を幾つか指摘をしたわけです。ですけれども、きょうは時間がありませんから、この点はもう何回言っても局長はああいう答弁なんで、衆議院段階からそうなんです。だから、きょうはこれは留保しておきますけれども、そういうことで私たちは賛成、反対の態度表明さえできない。もっとやっぱり文部省は、この点については責任を持ってその設立する前の具体的な条件をどうつくるのかということを明らかにしていただきたい。そういう意味なんです。
 そこで次に大臣にお伺いいたしますが、これはもう当然とは思いますが、放送大学は学校教育法に基づく大学ですね。これはもう繰り返すこともないと思いますね、大臣。ですから、当然この学校教育法に基づく大学でありますから、学問の自由、大学の自治について既存の大学と同じように保障されるべきだと考えますけれども、大臣はいかがでございますか。
#9
○国務大臣(田中龍夫君) 御指摘のとおりに、放送大学学園法案、ことに放送大学となりますれば、当然学問の自由ということにつきましてはわれわれは十全を期しておる次第でございます。
#10
○勝又武一君 そこで、既存の大学と比較しまして、この放送大学というのは、客観的に学問の自由とか大学の自治というものが保障されやすいのか、されにくいのか、どっちだというふうにお考えになりますか。
#11
○国務大臣(田中龍夫君) 既存の国立大学と同様のシステムによりまして、この学問の自由というものは確保しなければならないと、かような考えでございます。
#12
○勝又武一君 そういうことをお聞きしているのじゃありません。放送大学というのは、普通の大学と全然違いますね、キャンパスがないでしょう。普通の大学は校舎の中や教室の中で講義を受けるわけですね。そういうことと違って、放送大学の場合には三分の一が放送手段ですから、そのあり方や教育内容というものも当然変わってくる。もちろんスクーリングなり教材という問題が三分の一ずつございますけれども、その三分の一の放送、テレビというのは全国民が見るわけですから、これは当然学問の自由なり大学の自治ということについて、象牙の塔と言われがちな教室の中で行われる講義よりも、はるかにいろいろの批判やいろいろの注文みたいなものは出やすいということは言えるんじゃないでしょうか、どうなんでしょうか。
#13
○国務大臣(田中龍夫君) そういう点におきましては、われわれが理想といたしておりまする、要するに開かれた大学と申しますか、そういう問題につきまして、大学自体のスクーリングやその他の教育のほかに、今度はさらに生涯教育としての社会教育的な要素も持たなきゃなりませんし、また同時にこのいろいろな単位の互換性とかなんとかというふうな問題につきましても、できるだけ柔軟な姿に置きたい、かように考えております。
#14
○勝又武一君 そうではございません。大変お言葉を返しますけれども、もっと具体的にお聞きしますと、政界とか財界とか、いろいろな一部勢力の方々がいろいろな批判をされますね。そういう問題が、大学で行われる講義よりはテレビで放送される放送大学の方により圧力がかかりやすい、こういうことはございませんか。そういうことを聞いているのです。
#15
○国務大臣(田中龍夫君) そういうことがないように、われわれといたしましては、純正な意味におきましてりっぱな放送大学をつくりたい、かように考えております。
#16
○勝又武一君 そうしますと、文部大臣がおっしゃっているのは、政界とか財界からテレビ放送等でされる大学の内容についても、そういう不当な権力の介入をさせてはいかぬから、断固としてそういうのは排除していくと、こういう御決意だというふうに考えるわけです。よろしゅうございますね。
 ところが、大臣に一、二ここでお聞きしたいのは、国立大学に対して文部省が持っているいろいろの権限よりは、この放送大学の場合には文部大臣の権限というのははるかに強いというように私は法案内容から思うわけです。あるいはこの理事長は文部大臣が任命になりますね。そういう文部大臣の任命ざれた理事長の権限、これもきわめて強大です。他の国立大学と比べて、教授会の権限も弱い、あるいは評議会の権限というものが逆に強大である。こういうような非常に文部大臣を頂点にしたピラミッド型の管理運営機構、こうなっていますよね。その場合には、先ほど申し上げたこの文部大臣の姿勢というのはあるいは文部省の姿勢というのはますます大変重要なポイントになると考えますけれども、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#17
○国務大臣(田中龍夫君) 文部大臣の姿勢でございますが、それは当然のこととは言いながら、あくまでも学問の自由を守る純粋な、中正な姿勢でなければならぬ、また同時にそういうことは当然なことでございます。
#18
○勝又武一君 教育基本法の第十条も当然だというふうに考えますけれども、この点の御決意も、大臣、よろしゅうございますね。
#19
○国務大臣(田中龍夫君) 当然でございます。
#20
○勝又武一君 そうしますと、この二、三日起きていることに私は大変な心配を持つわけです。たしか土曜日の新聞なり、きょうの新聞なりも、教科書協会の、中学校社会科教科書の問題についていろいろと取り上げておりますね。私たちきょう九時五十分からの理事会の中でもこの議論が出まして、当然特定の日に集中的にこの教科書問題についての審議を行うべきだ、私の属する党も、当然これは参考人も呼んで徹底した審議を行うべきだというように考えるわけです。しかし、けさの新聞などを見ますと、何か連休明けには、文部省も態度を決めるとかどうとかということがあったり、もう文部省が了承しているというような向きもあったりしますので、これは連休明けの五月六日以降になると少し問題も感ずるという点が一つございますし、もう一つは、いまお聞きしました大学における学問の自由なり、あるいは文部大臣が教育基本法十条を守るという決意のほどなりこういうことが、むしろ教科書問題よりも逆に放送大学の場合に、もっともっと影響が大きいというようにさえ私は思うわけです。そういう意味で、この教科書に対する文部省の姿勢いかんによりましては、放送大学の審議に重大な私は影響を持ってくる、こういうように考えるわけですよ。だから、そういう観点でこれを一、二お聞きをしていきたい、そう思うわけです。
 そこで、何かきょうの報道によりますと、今回の全面改訂に対する文部省の姿勢、対応というのが、私は、先ほど文部大臣が言ったような基本姿勢を非常に欠いてるんじゃないか、こういうように思わざるを得ないわけです。
 それと、もう一つは、放送大学というのは電波を独占する、放送を独占をするわけですから、文部大臣なり文部省がこの基本姿勢を欠いていたら大変なことになる、こういうようにも思うわけですよね。
 そういう意味で、何かきょうの報道によりますと、教科書協会の理事会が、きのう全面改訂を決定して文部省に申し入れたという報道をしておりますけれども、その申し入れた内容、それは一体どういうことだったんですか。
#21
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、われわれがぜひともりっぱな中正な教科書をつくらなけりゃならないという基本姿勢でありますことは御承知のとおりでございます。同時にまた、教科書なるものの編さんの仕組みというものは、あくまでも民間の出版会社というものが自主的に教科書をつくってまいるわけでありまして、そのできました教科書に対してのいわゆる検定制度というものがありますことは御案内のとおりでありますが、しかし、それにしましても、あくまでもりっぱな不偏不党のいい教科書をつくるということが眼目でございます。いま先生が御指摘になりました新聞等に出ております教科書協会のことにつきましては担当の政府委員からお答えをいたします。
#22
○政府委員(三角哲生君) ただいまお尋ねの件でございますが、小中学校の教科書の検定は三年ごとに行っておるわけでございまして、そして学習指導要領の改定がありましたときにはいわゆる新規検定の申請だけを受けつける、こういうことになっておりますが、それ以外の場合には、検定制度の仕組みの上では、新規検定と、それから改訂検定と、このいずれも受けつけられることになっております。現に、これまでの例でも、昭和三十九年度、四十二年度、五十一年度におきまして新規検定と改訂検定のいずれも行っておるわけでございます。
 ただ、状況を申し上げますと、昭和四十八年度だけにつきましては、中学校教科書の検定について、このとき非常に高等学校の教科書の検定がふくそうをいたしましたものでございますから改訂検定にとどめた、こういう事実はございますけれども、仕組みの上では両方申請ができる、そして文部省もこれを受けとめることができる、こういうことになっているわけでございます。
 それで、教科書協会から、昨日正式の要望といいますか、ありましたわけでございますが、これは中学校社会科公民的分野の教科書の五十九年度版につきまして――これは三年後の版でございます。五十九年度版をちょっと説明いたしますと、五十九年度版の採択は五十八年度にありまして、検定は五十七年度にありますので、本年度から会社としてはその内容の準備にかからなければならないわけでございます。その際に、会社によりましては、改訂検定といういわゆる手を入れたページが四分の一以内の場合、これで間に合う手直しをする場合もあるけれども、会社の考えによっては、編集を考えていきまして、その結果としてこれの四分の一以内で間に合わない手直しになるかもしれない、こういう場合もあり得るということで、文部省として、いわゆるその場合には新規検定の扱いになります。新規検定の扱いとしてこれを受けとめてくれるかどうかということをあらかじめ尋ねておきたい、こういうのが本旨のようでございまして、そしてこのいわゆる四分の一以上の改訂も認めてほしいということを文部省に要請することに教科書協会として決定した、こういう申し入れでございます。
 これによって果たして具体的にどのような改訂を考えるかは各教科書会社が考えることでございますが、これに対して私どもとしては、こういう申し入れがありましたので、さらに必要に応じまして協会側の考えなども改めて尋ねました上で検討いたしたい、こう思っておるのでございます。
#23
○勝又武一君 七社のうち六社が全面改訂で、一社が部分改訂だという報道もありますけれども、それの事実はどうなのか。
 もう一つは、その場合に、六社ですか、もうほとんどですね。これが全面改訂をするという理由は、文部省にはどういうことを言っているんですか。
 それからもう一つ、局長が言ってましたね、両方あるというようなことを言っていますけれども、今度のような事態で、公民だけでしょう、ほかの教科はないわけでしょう。公民だけについてこういうのが行われているということは、いままでと比べてきわめて異常ではないですか。その点はいかがですか。
#24
○政府委員(三角哲生君) 六社が新規検定を申請したい、一社は改訂検定で間に合うという、いま御指摘の具体的な話についてはまだ私ども聞いておらないのでございますので、その辺のところは聞いてみたいと思いますけれども、これはやはり編集に入って最終的には決まることであろうという気がいたします。
 ただ、可能性としてどういうふうに各会社が考えておるかということなのかもしれませんが、私どもはまだそこまでは個々に話を聞いておるわけではないのでございます。
 それから、公民についての申し入れでございまして、私どもほかの教科についてはまだそういう申し入れは受けておりませんけれども、確かに勝又委員おっしゃいますように、過去の例においては必ずしも一つの教科にとどまって新規検定が出てきたということではなくて、いろいろまたがっております。ことしの場合それでどうなるか、これはそれぞれの会社の判断、自発的な考え方、それに立脚して私どもはそれを受けとめる側でございますので、他の教科について、もし同様のことがあれば、同様の考え方で検討をするということになろうかと思いますが、今回報道されました件は、御指摘のように中学校社会科公民的分野についての話でございます。
#25
○勝又武一君 局長が何と強弁されようと、これはきわめて異常なことですよ。まさにいままでの歴史的な事実の中で明らかじゃないんですか。
 もう一つ大臣、いま局長何だかわかったようなわかんないようなことを言っていまして、その程度のことしか余り聞いていませんなんというそんなもんですか。そんなことじゃないんでしょう。もっと局長は――確かに会われたのは課長が会われたというように新聞報道はしていますけれども、あなたがいまの程度のようなことで何を検討なさるんですか。これ全然おかしいと思いますよ。みんな知ってらっしゃることちゃんと言ってくださいよ。本当に必要なことだけ答弁して、そうでないことは簡略にしてください。重要でないことが長くて、そのポイントをおっしゃらない。これじゃ議論になりません。
 そこで、逆にお聞きしますけれども、もう一つ、これはこういうことも新聞は伝えておりますね。
 教科書教会の稲垣会長は、「文部省も考慮していい、との考え方だったので踏み切った」、こう言っている新聞もございますし、ある新聞は文部省の内諾を得ているというように、これは二十五日の各社の朝刊が報道しているわけですよ。一体局長これ内諾を与えていたんですか、いなかったんですか。
#26
○政府委員(三角哲生君) 私どもは事前にそういう打ち合わせのようなものはやっておりませんので、内諾とかそういうことはないわけでございます。ただ、制度の原則から申しますと、教科書検定制度というのは、著作者と申しますか、教科書会社の自主性と申しますか、自発性と申しますか、そういうものを基本にいたしまして、そうしてやはり改良の可能性というものを重んじていくシステムでございますので、教科書会社が四分の一以内での改訂検定で対処するか、あるいは四分の一をどの程度超えるかは、それは具体的に編集してみなければわからないわけでございますけれども、それを上回る可能性はなしとしないので、その場合に文部省として受けとめてくれるかどうかというような事前の瀬踏みのようなことがあるとすれば、それは内諾とかなんとかじゃございませんけれども、私どもとしては、そういう教科書会社の自発的な申し出は、これは一応聞きました上でこれを検討するという意味で受けとめなければならない、こういう事柄であろうと思っております。
#27
○勝又武一君 天下に冠たる大新聞がうそを報道したのか、教科書協会の会長がでたらめを言ったのか、どっちかになるわけですよ、いまの局長の答弁は。私はこれ大変無責任だと思いますよ。一体、検討なさると言うけれども、そうすると大臣、これいつまでに検討されて、申し入れについての文部省の方針をお決めになるのはいつまでなんですか。
#28
○国務大臣(田中龍夫君) ちょっとその点は私御質問をよく理解しないのでありますが、つまり、教科書というものは、御案内のとおりに、教科書の著作というのはみんな民間にゆだねられておるもんでございます。著作者が創意工夫を競って、そうして多様なりっぱな教科書をつくるということでございまして、その質的な向上とか、その他よい教科書をつくるという点において、文部省といたしましては、これを検定制度というものを通じまして行っておるのであります。
 いまの問題は、改定をしようという民間側の方の御要望、それを改定しちゃいかぬというか、それとも民間の創意工夫、従来の教科書をつくりました制度に従って民意を尊重すると申しますか、民間の要望を結構ですと言うかしかないんじゃないかと思うんです。しかし、反対をするということは、いまの検定制度をもとにいたしました著作者の創意というものを、認めるという方針からいたしまして、文部省がそういう申し出を聞いたというだけの段階でありまして、それ以上文部省が意思的な、意欲的な行動というものは断じてしておらないわけでございます。
#29
○勝又武一君 そんなことを大臣お聞きしているんじゃありません。この教科書の検定をなさったのはいつなんですか。そして中学校の公民の教科書が使われ始めたのはいつなんですか。検定をなさったのはどなたなんですか。この検定をどなたがなさって、この教科書はいつからだれが使っているんですか。この四月から子供が使っているんでしょう。この四月から中学生が使っているわけでしょう。文部省が、いま大臣が言うように、民間の会社がいいものをつくろうと思って直すんだからそれは結構な話だと言うなら、文部大臣、文部省が検定をされたりっぱな教科書でしょう、検定が済んだばっかですから。その教科書を四月から子供が使っているわけです。ところが文部省がいま教科書会社からの申し入れを受け入れるということになればどうなりますか。この教科書を全面的に書き直すということを文部省は受け入れるわけでしょう。どうなるんですか、子供は。心を傷つけられるのはだれなんですか。こんな欠陥商品みたいな教科書をおれたちこれから使うのかというふうに思うのは、だれなんですか。それを使って教える教師はどういう気持ちになりますか。その子供の親がどういう気持ちになりますか。それをいま決めようとしているのが文部省なんですよ。大臣なんですよ。大臣の責任は私は歴史的にきわめて重要だと思うから、これは放送大学ときわめて重要な関係があると言っているわけです。傷つけられた子供の心をどうなさるんですか。そうじゃありませんか。欠陥商品だと銘打たれた教科書をこれから三年間また使うわけですよ。全面改訂をするということに着々と準備をする教科書を子供たちの方は使うわけです。それを使って教師は教えるわけです。文部省の態度いかんによって子供や教師や親の気持ちは一体どうなるんですか。そういうことじゃないんですか、この問題の本質は。
#30
○政府委員(三角哲生君) 今回のこういう教科書協会側の考えにどういうぐあいに私どもとして対応するか、先ほど来検討すると申し上げておりますけれども、その結果のいかんにかかわらず、いまお話しのように、子供が傷つけられるというようなことはないと思っておりますし、それから現在の教科書が欠陥商品であると、こういうふうな考えには立っておらないのです。
 それで、なるほど御指摘のように、中学校の新しい教科書はこの四月から使われておるわけでございますけれども、問題は三年後のことをどうするかと。三年後には、先ほど御説明申し上げましたように、また検定ということがあるわけでございます。その三年後の検定に臨んで、教科書の編集というのは、ことしから会社側としては、あるいは著作者側としては検討に入らなければならない。そういうことでございまして、その検討に入るに当たって、四分の一以内の手直しで済むか、あるいは全面改訂というのは、いかにも言葉からいうと全部書き直すというふうにも受けとれますし、そういう場合もあると思いますけれども、四分の一、これは一字さわっても一ページという、これはちょっとこういう教科書会社と文部省の間のこれまでの慣行の扱いでございますけれども、それでカウントして四分の一を超えた場合には、これは新規検定ということで、それを新聞などで全面改訂と、こう書いてございますけれども、そこの四分の一を超えることになる場合があるかもしれない。その場合に文部省としては受けつけてくれるかどうかということを聞いてきておるわけでございまして、これはあくまでも三年後の検定に臨んで、会社側がどういうぐあいにこれから編集の検討に入るかという段階でのお話でございまして、したがってどのように改訂をして、それを新たに改善を加えて検定を申請してくるかどうかは、これは明年度以降の話になるわけでございます。それでございますから、それは会社側の方針で、改訂検定で現在の教科書を土台にして若干の手直しを加えられても、それでも結構なわけでございまして、現在の教科書は私どもが検定をして認めているものでございますから、それでもちろん結構なんで、欠陥商品でも何でもございません。ただ、発行会社側が常に改良を図っていこうという立場でいろいろ御検討なさった上で文部省の方に尋ねてきておりますので、これについては、私ども、先ほど申し上げましたように、教科書検定の本来の趣旨にのっとって、これを受けとめて検討をしてみたいと、こういうことでございます。
#31
○勝又武一君 一字直しても二字直しても四分の一以内だなんていう詭弁はやめてくださいよ。それはそうでしょう。そのとおりでしょう。一字直しても四分の一以内でしょう。しかし、さっき私が聞いたら、局長は知らないというような顔をしたけれども、七社のうち六社が全面改訂をやると言っているわけでしょう。そしてその教科書はことしから使われている教科書でしょう。全然違うものの話じゃないわけですよ。ことしから使われ出した、わずかまだ十時間ぐらいしか教室で使ったことのないその教科書を、もういまから、ここからすぐかからなければ、執筆しなければ間に合わぬわけでしょう。来年はもう検定をするというんだから、秋から三月までに書かなきゃならぬわけでしょう。秋から全面改訂を――執筆者が原稿を書き上げようとしている教科書は、この四月から使っている教科書でしょう。どこが私の言っているのが違っているんですか。これはそういう答弁でなくって、はっきりこの点はしてくれませんか。いまの点は全くおかしいですよ、局長。そんな一字、二字直したら四分の一以内だなんていう、そんな話じゃありませんよ。
#32
○政府委員(三角哲生君) 全面改訂とかあるいは部分改訂とかいう、そういうちょっと理解のしにくい言葉が世上使われておりますので、御説明までに申し上げたわけでございます。
 どうも勝又委員がわからないとおっしゃる点が私もよくわからないのでございますけれども、この七社のうち六社云々という話も私よくわかりません。これは、各会社側がこれから検討に入るということで、一つの可能性として新規検定の扱いでの検定を申請しなければならない会社があった場合に、これを文部省として受け付けてくれるかと、こういう話でございまして、それがもしよいとなれば、会社側はこれから編集に入るんだろうと思うんで、その編集の状況によって四分の一を超えるとか超えないとかいうことが出てくるわけでございますので、七社のうち六社とかいうことは私ども関知しておりません。
#33
○勝又武一君 じゃ、その観点からお聞きしますけれども、学習指導要領の改訂をやったときに全面改訂をやっていますね、これは事実でしょう。
#34
○政府委員(三角哲生君) 指導要領が新しくなりますと、教科書は全部新しく編集をしていただくと、こういう制度でございます。
#35
○勝又武一君 学習指導要領の改訂もなくて、業者の方が四月から使い出したばっかりの教科書を変えちゃうということは、まさにこれは文部省がやる学習指導要領改訂の必要性もなくなるということもあり得ますよ。文部省が学習指導要領の改訂をやらなくても、業者の方がどんどんどんどん一部勢力の批判が強くなったら変えるんだと、どこか権力の強いところで言っている人たちがやることがあったら、財布を握っているところが言い出したら変えるんだというようなことになるんじゃないんですか。今度のはそれが事実じゃないんですか。違いますか。学習指導要領の改訂がないのにやられたら、これはまさに法律も政令も無意味、無価値、これはもう存在理由もなくなるんじゃないですか。あえて言えば、大臣が言った教育基本法の十条も、学校教育法も、教科書検定制度も、根底を揺るがすことになりませんか。
#36
○政府委員(三角哲生君) 教科書の編集は、これは改めて勝又委員に申し上げる必要ないと存じておりますけれども、あくまで学校教育法、学習指導要領にのっとってやっていただくということでございますので、先ほど私が子供が傷つけられることはないと思うと申し上げましたのは、そんなむちゃなことを教科書会社が考えて改訂するわけではなくて、それは新規検定に属するような改訂でございましょうと、あるいは改訂検定に属するような改訂でございましょうと、いずれも学習指導要領に即して教科書を記述していただくと。さらには、児童の心身の発達段階の度合いに合ったような状況でよりよいものに改良していただくと、こういうことでございますので、それで私は子供が傷つけられるというようなことはあり得ないと申し上げたわけでございまして、指導要領はあくまで指導要領としてあるわけでございます。
 それから、いま使われたものをすぐ来年から直すと、こういう話じゃないんでございまして、あくまで、先ほど来申し上げておりますように、五十九年度から使うもの、これは採択が三年ごとでございますから、その周期にあわせまして検定も三年ごとにやると、こういうぐあいになっておりますので、五十九年度から使うものについてのことがいま問題になっておるわけで、ただそれは用意をするのにもうそろそろ取りかからなければならない時期に入っておると、これは教科書会社側の教科書をつくる上でのタイミングの問題があるわけでございますので、いかにもこの四月から使ったのを、またすぐにそれを取りかえるとか、そういうことではないわけでございます。
#37
○勝又武一君 この公民の教科書を使うのは中学生ですね。幼稚園の子供じゃないわけです。そして、朝日、毎日、読売等を初めとして、各社は全部これトップ記事でしょう。中学生は新聞を読むわけですよ。何を局長お答えになっているんですか。また、公民の問題だから、社会科の問題だから、新聞読むのはあたりまえじゃないんですか。その中学生がどう思いますか。来年から使う教科書が、変わった教科書を使うなんて私一言も言っていませんよ。三年後の教科書を変えるには、局長がおっしゃったように五十七年度から検定をやるわけでしょう。だから、ことしの秋から来年三月までに執筆者は原稿を書かなきゃいけないわけだ。そういうことを新聞が報道するわけですから、当然中学生はわかるわけです。ああ、いまおれが使っている公民の教科書はもう大学の先生がこの秋から原稿で全面的に書き直している教科書なんだというように思うのはあたりまえじゃないですか。そういう意味で言ったんです。
 そこで大臣、先ほどから不当な権力の介入を排除するということを、大臣も教育基本法十条を遵守することとおっしゃっていますけれども、私はいまの状況では不当な権力の介入を排除する決め手にならない、そういうふうに国民は思うわけです。大新聞が報道していることを読んだ国民がどう思うかと言えば、やっぱり今度はこの公民の教科書というのは、そういう一部勢力の批判があって、それがもとで全面的に業者が改訂しちゃったんだと、文部省や検定制度や学習指導要領は確かに局長が言うようにあるけれども、まさにそれは空文化されている、骨抜きにされている、こういうように父母も子供も教師も思うのはあたりまえじゃないか。その点についてのこういう権力の介入排除ということを、やっぱり文部省さすがにやったと、大臣はやったという決め手ですね、大臣はどうお考えになりますか。
#38
○国務大臣(田中龍夫君) それは大変なお間違いじゃないかと思うんです。と申しますことは、私は冒頭から申し上げているように、いい教科書をつくろうというのは皆さん方もわれわれも御一緒に考えておるところでありまして、たとえばもっとよりよい教科書をつくろうという意欲も、これも当然われわれ同じような気持ちで、先生も私も持っておるわけであります。それからまた、いま申し上げたように、新聞に書く書かないにかかわらず、実際三年後の作業といたしましては、毎年こういうことが行われておりますので、決して新聞がそれを取り上げていま書いたからどうこう、それからそれを読む生徒さんが、ああ、この教科書は全然見当違いだなんということは思うはずがない。むしろ私どもは、子供のために少しでもいい教科書ができますように、また親御さんが安心するようなりっぱな教科書をつくろう、こういう意図のもとに努力をいたしておるわけでありまして、その点は私は御心配は要らない。だから、指導要領というものも変わっておるわけではございません。指導要領が根本的に百八十度変わった議論をしたりなんかすればまた別でございますが、一貫して指導要領というものは現在のものがその指導の骨子となっておる。その表現なり何なりがもっとよりよく一歩前進しようということを、三年後にどうしようかということを、出版の著作権を持っております方々がお集まりになって、もっといい教科書をつくろうじゃないですか、いまのところはこういうところを直していったらどうでしょう、そのためには、ひとつわれわれは本当にこれからの作業にかかりたいと思うが、という御了解に私は見えたものと心得ます。そういうことでございますから御心配はない、かように考えます。
#39
○勝又武一君 いまのような御心配はないということでいつまでもおっしゃっていますと、放送大学もまた全く同じことになるのかなというように私は思いますよ。放送大学の学問の自由も保障するということをおっしゃっているけれども、やっぱりそれは違っていたと、こういうことになりかねませんから、放送大学の審議に入りかねますね、真剣にいまの大臣の態度をもう一度再検討していただかないと。学習指導要領は生きているわけですね。確かにりっぱに存在しています。検定制度もそうだと思います。ですけれども、私が言っているのは、それが骨抜きにされている、死文化している、空文化されちゃっているということを強調しているわけです。
 それから、それでは具体的に、この公民科の七社の発行部数なりを――部数で言うとあれですから、占有率、シェアで考えてみますと、これは一九八一年度用、本年度用です。東京書籍が四〇・五%、大阪書籍が一三・九%、日本書籍が一三・七%、中教出版が一二・六%、教育出版が九・〇、清水書院が七・五、学校図書が二・八です。これで一〇〇%。こういう七社の発行状況を見ますと、大体私なりにもう想定がついてきますね、これは。しかも、教科書会社が去年全面改定をするには大変な資本投下をしている。つまり相当大きなお金を使っているわけですね。今度業者がまたすぐやる。いままではこんなにやらなかったわけですよ。全面改定で相当大量のお金を使って直す。三年後は四分の一以内だから、局長がおっしゃったように、何字しか直さなかったという場合もあるんですから、大して資本投下は要らないんです。ところが、今度はまたすぐ膨大な資本投下をしなければならない。版権も使えなくなる、編集費のコストは膨大に上がっている、こういうようなことを伴う、言ってみればリスクを伴う全面改定です。こういうことを業者の方が自主的にやり出すということについては、常識的には大変私は危惧を持たざるを得ないんです。たとえば、これはすぐに教科書の代金にはね返ってきますね。無償化ですから、国民の税金から出るわけですよ、はね上がった分も。こういう常識的に考えられないことが行われて、そして文部省は、いや余りそのことは知らない、業者が自主的にやっていることです、こういう言い方では国民は納得をしないと思います。
 そういう意味で、このいま私が挙げた七社の状況を見ればわかりますように、大変な資本投下をすれば、ますます私はこのうちの寡占化が進んでいく。つまり少ない部数のところはだんだん発行をやめていく。これと広域採択とかかわってくるわけです。ですから私は、昨年の三月十四日の予算委員会以来、この広域採択問題をもう執拗に言っているわけです。広域採択問題と教科書会社の寡占化がどんどん進んでいる。これに公民科の発行会社が三つか四つになっちゃったら、どうなりますか、大臣。そして、文部省がこの学習指導要領の改定もやらなくても業者が自主的にどんどん直します、こう言っていったら、まさにもう国定教科書と全く変わらない内容になっていくんじゃないですか。そういう心配を大臣はお持ちになりませんか。
#40
○政府委員(三角哲生君) 全面改訂といいますか、全面改訂という言葉がよくわかりませんが、全部書きおろすという場合は当然の全面改訂、それから四分の一をちょっと上回るけれども、それは検定規則の扱い上は新規検定になる、こういうものと両方含めて考えるのであろうと思いますけれども、これまでの例で見ましても、たとえば昭和三十三年の中学校学習指導要領の改訂に伴いまして三十五年には新規検定のみを受理して、その当時の新規検定受理数は四百四十四点でございました。その四年後、この当時の四年後はいまの三年後に当たると思いますけれども、その際は新規検定が三百七十九点出ておりまして、改訂検定は四十二点でございます。それから、その次の四十二年になりますと、やはり新規検定が百五十七点出ておりまして、放訂検定が四十三点出ております。それから四十五年は、これは指導要領の改訂がございましたので、新規検定のみでございましたが、そしてその後、先ほども申し上げましたように、四十八年当時は高等学校の関係がふくそうしていたので、改訂検定のみ百四十八点、こういう状況になっておるわけでございまして、これはそういう過去の例から見られますように、発行会社としては新規検定の扱いによります改良ということはそれなりにこれまでもやられてきたことでございまして、そこのところはやはり、教科書の発行をする方々も会社でございますから、十分そこのところの資本投下の合理性等は御自分で考えてやっていただくということで、そのために不必要にコストがかかるということに直ちにはつながらないであろう、こういうふうに思うのでございます。
 寡占化とかなんとかという話でございますけれども、これは私どもとしては、教科書がこの内容でいろいろな特色なり多様性を発揮していただいて、何種類かの教科書がいい意味の競争という形で存在し、ずっと続いていってくれるということが望ましいと思っておりますけれども、ただ私どもの立場からこれをどうこうということではございません。あくまでも学習指導要領に基づきまして、良識の上に立った適正な教科書ができますように、学習指導要領を基本にして適切な検定に努力をしていきたい、こういうふうに思っているのでございまして、それが国定化につながるとか、そういうふうなことは毛頭ないというように思うのでございます。
#41
○勝又武一君 一部改訂の場合と全面改訂の場合でコストが膨大に違うということは、これはまさにあたりまえじゃないんですか。そんなことまで一々議論させないでください。
 もう一つ、いまお話しになりましたように、申し入れを受け入れるかどうか、まだ検討するということだそうでありますけれども、まさにいま文部省がこの教育の中立性を本当に守るという気持ちがあるならば――局長と大臣、聞いてください。本当にそういう決意がおありならば、学習指導要領の改訂があったときに四分の一以上の全面改訂を認めているわけですから、今回は学習指導要領の改訂はないわけですから、四分の一以内の部分改訂にとどめる、それ以上のものは一切認めない、申し入れは受け付けない、こういう毅然たる態度を私はとるべきだと、こう考えますけれども、いかがですか。
#42
○政府委員(三角哲生君) 私どもは、こういう要望が来ておりますので、これについて先ほど来申し上げておりますように、よく話を聞いて、そして慎重に検討したいと、こう思っておりますけれども、あくまで制度の仕組みとしては、先ほど来申し上げておりますように、三年ごとの検定には新規検定と改訂検定と両方出し得る前提がございます。その前提の上でやはり考えなければならないであろうと思っておりますし、そして会社によりまして、現在の教科書、これは検定済みのものでございますから、これをそのまま発行されてもちろん結構でございますし、それから非常に部分的な改訂をなさるということも結構でございます。
 ただそこで、先ほど来申し上げておりますように、場合によっては四分の一以上にわたる改訂になった場合にこれを受け付けてくれるかどうかと、こういうことでございますから、これについて私どもは、検定制度全体の基本に立って検討し、考えてみたい、こういうことでございます。
#43
○勝又武一君 これは大臣にも特に要求をしておきますけれども、きょうは放送大学の学問の自由ということを、大臣が主張したように、本当に認めるということが大前提ですから、その機運はきわめていまこの客観状況の中で強いので、あえて関連していろいろお聞きをしたわけです。ですから、きょうはこれで教科書問題は打ち切りますけれども、今度、私たちは、文部省の態度いかんにかかわらず、少なくとも関係の方々に参考人としておいでをいただいて、この問題については明確にする機会をぜひこの文教委員会として考えていただきたいということを先ほど理事会で申し上げたわけですから、その中でいま出たような諸問題について明らかにしてまいりますけれども、特に局長が言っていた最後の点については、私はあえて再度強調しますけれども、学習指導要領の改訂がない以上、四分の一以上全面的な改訂というものは一切受け付けるべきでないと、この点については徹底して文部省と議論をしてまいりたいというように考えますので、申し上げておきます。
#44
○国務大臣(田中龍夫君) 勝又委員の御見解も拝聴いたしました。
 なお、私最初から申し上げておりますように、われわれは子供さんのために少しでもりっぱな、少しでもいい教科書をつくろう、この点におきましては本当に誠心誠意、今後ともに努力をいたしてまいるつもりでございます。勝又委員も、ともどもにどうぞひとつ御協力をお願いします。
#45
○勝又武一君 それでは、本論の放送大学の管理運営機構の問題について二、三お聞きをしていきたいと思います。
 私は、学校法人の場合と放送大学学園の場合と、きわめてこの状況が違うという点が理解ができません。たとえば民法で言う財団法人の場合、あるいは特に学校法人ですね。一例を挙げますと、私立の小規模の幼稚園、学校法人の場合、この場合でも全部理事は四人以上、監事二人以上ですね。つまり、それだけ保証しているわけです。ところが、今度の放送大学の方は、理事の数は四人以内でしょう。監事は二人以内。二人以内ということは、一人でもあり得るということでしょう。監事が一人で理事が四人以内というんだから、三人ということもあり得るわけでしょう。放送大学学園と私立の学校法人の幼稚園と比べて、何で一体こんなにまで理事の数にまず差がなければいけないのか。
#46
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学学園法案の方では、第八条の規定で「理事四人以内及び監事二人以内を置く。」と書いてございますが、なお第二項といたしまして「役員として、前項の理事のほか、非常勤の理事三人以内を置くことができる。」という規定があるわけでございます。したがいまして私ども、私立学校法の条文の規定と比べましてこの放送大学学園法案の役員の数が非常に少なくて、均衡を失するというぐあいには必ずしも考えていないものでございます。
#47
○勝又武一君 局長、そんなことはありませんよ。これ以内でしょう。理事四人以内、非常勤の方も以内でしょう。そうすれば、いま一般的に私立の学校法人の幼稚園も、大体理事が平均して七人程度はもうどんな小っちゃいところでもおりますね。
 それから、もう一つ私がお聞きしたいのは、理事の選出ですよ。これも非常に違うでしょう。学校法人の場合だって、民法の財団法人の場合でも、当然民主的な評議員の中から理事が選ばれるとか、その選ばれた理事には代表権が与えられているとか、理事会を構成をしているとか、理事長は少なくとも理事会の決定に反したことを簡単に勝手にやれるというような状況はさらさらございませんね。ところが、放送大学学園の方はいかがですか。これは大臣、理事長はあなたが任命するわけですね。文部大臣が任命するわけです。そうして理事の方は、理事長が文部大臣の認可を受けて任命するんですよ。こんな理事の選出の仕方が財団法人や学校法人の場合にございますか、あったらお聞かせください。
#48
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学学園法案が、いわゆる特殊法人ということで、この特殊法人が大学を設置するという仕組みで御提案を申し上げておるわけでございます。その特殊法人といたしました理由につきましては、もうすでに何度か御質疑をいただいておりまして、るる御説明をいたしておるわけでございます。
 そこで、特殊法人の役員の任命の仕方といたしましては、特殊法人の通例の形というものを私どももとったわけでございまして、文部省所管の特殊法人というのはほかに九法人あるわけでございますけれども、役員の任命の仕方といたしましては、ほぼそういう形に合わせた任命ということをいたしたわけでございます。
#49
○勝又武一君 そういうことをお聞きしているんじゃございません。こういうような選出をやっているところがございますかと聞いたんです。ないわけですよ。ない理由というのは特殊法人だからと、こういうことでしょう。
 もう一つお聞きしますけど、全くひどいですよ、それは。特殊法人であろうが、私はやっぱり大学なんですからね、放送大学なんだから、少なくとも他の学校法人なり民法で言う財団法人なりと同じような民主的な選出方法をとるべきだと、こういう立場でお聞きしているわけです。
 それから、全くこれも奇異に感じられますけど、一体この場合の理事の選出母体というのはどうなるんですか。こういうことも普通ならば規定するのが大臣、あたりまえですね。常識的に、どこから出すんだということを規定するのがあたりまえじゃないですか。ところが、これは何ら法的には明文化されていないわけでしょう。まさに無条件ですよね。文部大臣が理事長を決めます。理事長は文部大臣の承認を得て理事を決めるというんです。それも、四人以内と非常勤の理事でしょう。まさに生殺与奪の権を持っていらっしゃるんじゃないですか。一体、そんな非民主的なやり方がございますか。なぜ選出母体をお決めにならないんですか。この点はいかがですか。
#50
○政府委員(宮地貫一君) 先ほどの御答弁の繰り返しになりますが、特殊法人としての役員の選任ということについて規定をいたしておるわけでございます。もちろん、この放送大学学園が放送大学を設置する、その放送大学の学長以下の教学に関します人事につきましては、大学みずからが選任をし、たとえば学長の選任につきましても、評議会の議に基づいて、理事長の申し出に基づいて文部大臣が任命するという点を確保してあるわけでございまして、私どもといたしましては、放送大学学園という特殊法人が設置をいたします大学の教学組織について、教学組織の学長以下の選任についてはそれぞれ非常に拘束力の強い「議に基づいて」という形でその点が確保されているというぐあいに考えております。
 もちろん、これはまあ直接の対比にはならないかもしれませんけれども、国立大学の学長もこれは文部大臣が任命をいたしておるわけでございますけれども、もちろんその学長の任命につきましてもそれぞれ選考機関の申し出に基づいて行うという形を受けておるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、特殊法人の役員の選任については、ただいま申しましたように特殊法人としての役員の任命の通例の形をとっておるわけでございまして、学長以下の教学組織の場合は、もちろんただいまも申し上げたような形で任命が行われておりまして、そういう意味でこの放送大学の大学の自治でございますとか、学問の自由の確保でございますとか、そういう点については十分配慮をした規定というものを定めておると、かように考えております。
#51
○勝又武一君 そうしますと、私学の評議員会とこの放送大学のたとえば運営審議会を比較をして考えてみます。そうしますと、局長、お聞きしますけれど、この運営審議会の委員の選出母体というのは法的に明らかになっておりますか。
#52
○政府委員(宮地貫一君) 運営審議会につきましては、すでにお尋ねもございましたが、「二十人以内の委員で組織する。」ということを書いてございまして、具体的にはもちろん学識経験者並びにこの放送大学を利用する人たちの意見を反映されるような仕組みというものは、事柄としては、そういう組織を設けた趣旨からいたしまして、当然考えられるところでございます。たとえて申しますと、大学の関係者でございますとか、また放送教育関係の学識経験者とかあるいは放送事業関係者、社会教育の関係者でございますとか、そういう広い範囲から運営審議会の委員というものは選ばれるべき事柄でございまして、そういう意味では、当然に学識経験者並びに――むしろこの大学を利用する側の人たちの代表と申しますか、そういう意見が反映されるようなことも考慮して構成というものを考えるべきものであろうと、かように考えております。
#53
○勝又武一君 私がこの問題をあえてお聞きしているのは、同僚の本岡委員もこの点は再三強調してお聞きをして、局長の答弁も非常にまだ不明確だったんですよ。というのは、委員会審議というのは、私はどうしてもそうなると思うんです。やっぱりそういうようにある程度止揚される問題があっていいと思いますからね、いつも同じでなくていいと思うんです。ところが学園ができ、大学ができれば一人歩きをするわけですから、参議院文教委員会の四月二十八日の審議においてだれのにどう答えてどうだったなんということはあんまり生きなくなる可能性もあります。そこで私は、やはりいまの局長の答弁というのを明確に、やっぱり選出母体というのは相当具体的になっているんですから、特に受講者の点を十分加味した答弁されているんですから、それらを私は法的に規定すべきだというように思います。しかしその点は、もし議案修正等いろいろ技術的な問題等もあれば、譲りに譲っても具体的な規定なり、そういうことを明文化すべきだと。ただ委員会における局長答弁で済ませないで、そう考えますけれども、いかがですか。
#54
○政府委員(宮地貫一君) ただいま申し上げましたような点につきましては、具体的に法文の形でどういう形を書くかということになりますと、どういう範囲から選ぶか、何を明示するかというような点で、表現として大変的確に表現することがむずかしい点もございます。その点は、私どもといたしましては、十分広い範囲から選ぶことは当然のことでございまして、この委員会での審議を受けて、この放送大学学園の実際の運営においてその事柄を反映さしていくという方向でお願いをいたしたいと、かように考えております。
#55
○勝又武一君 あえてそのことをお聞きするのは、たとえば評議員会等は過半数で議事を決定するというようなことが書いてありますね。つまり明文化されているわけです。ところがこの放送大学の場合の運営審議会には何らそういう言葉がない。ただ意見を聞いておく。それから後は、じゃ理事会で決めるか、理事会じゃないんです。理事会の権限も決まっていないんです。理事長が一人で決めるということになりかねないからお聞きをしているわけです。当然この運営審議会の中での議決の仕方なども明確にすべきじゃないか。理事会の権限についても明らかにすべきじゃないか。理事長一人がやれるというような権能については、私はもう抜本的にこれ変えなければ、とてもじゃありませんけれど、先ほどから言っている教科書問題等の関連からいけば、全くこれ心配になってくる。そういう点で、これらについて検討される意図はございますか。
#56
○政府委員(宮地貫一君) 役員の構成の形で、理事会の問題についてはすでに理事会という形をとっていない、事実上もちろんそういうことは実際の運営としてはあり得る事柄とは思いますけれども、法文の形として理事会という組織をとらないことについては、すでに御質疑がございましてお答えをしたわけでございます。
 ただいま運営審議会の点についてお尋ねがあったわけでございますけれども、運営審議会はこの法人にとりましても非常に大事な機関と私どもも考えておりますが、具体的には、理事長の諮問に応じて、学園の業務の運営に関する重要事項について審議をする機関でございます。したがってたとえば、それが議決をするに際しての要件というようなものを法律に書くべきかどうか、それについては、私どもとしては具体的な運営については運営審議会にお任せをするというような形でございますとか、極力そういう点で――どこまで法文に書くかという、そういう点は確かに御指摘のようにございますけれども、私どもとしては、この具体の運営につきましては、この法人なりあるいはまた審議会の審議に関して言えば、運営審議会自身にお任せをする方がむしろ望ましいんではないかと、かように考えている次第でございます。
#57
○勝又武一君 国立大学と放送大学における教授会の比較についてはすでにいろいろと議論がされておりますね。ですから、その点は私なりに理解できる一面もありますけれど、一番わからない点は、国立大学の場合にはこの教授会の権限というのが非常に明らかになっておりますね。ところが放送大学の場合には、教授会の権限というものとそれからこの教員会議、こういう答弁をされていますね。各地にある学習センターなりここの客員教授も含めて、事柄に応じて教員会議を構成して運営をしていく、こういうことを言っておりますから、大学の教授会とこの教員会議との関係というのは非常にまだ不明確ですね、いままでの答弁では。
 それからもう一つは、放送大学の評議会と教授会との関係です。ここが非常に一番重要だと思いますけれど、国立大学の場合における教育公務員特例法の適用を受けている問題と放送大学の場合の教授会が、まさに人事に関しては評議会に権限が移っている問題、ここがやっぱり一番のポイントだと思うんですね。この点については再考慮されるというお気持ちはありませんか。
#58
○政府委員(宮地貫一君) それらの点については従来からいろいろと御質疑をいただいておりまして、この法案についての考え方についてはるる御説明をしてきておるわけでございます。実際の放送大学におきます教授会の運営の仕方というようなものについては、この放送大学の教授会自身がお決めになる事柄、そしてただいま御指摘の点は、たとえば学習センターなら学習センターでどういう取り組みになるのか、具体の教育の中身に関します事柄については、もちろん教官組織が責任を持つことは当然のことでございまして、学習センターの運営のあり方でございますとか、そういうふうな事柄について、個々の学習センターにおいて、そこで教官の方々の――御指摘の点では教官会議というぐあいに申し上げたかと思いますけれども、実際の教学面でどういうような組織で考えていくべきか、その点は正直申しまして、この放送大学というものが、勝又先生も御指摘のように全く新しい組織のものであり、新しい大学としてスタートをすることになるわけでございます。私どもは、既存の国立大学等において確保されております大学の自治なり学問の自由の確保、保障ということについては、最大限配慮をした規定で対応しておるつもりでございます。具体の教授会の運営のあり方、そして特に教育面での具体の対応の仕方については、それぞれ、この大学の中におきます教官組織におきまして最もふさわしい方法というものを大学みずからがお決めになっていくと、そしてそういうものがこの大学の中で積み重ねられていくということによりまして、ただいま御指摘のようなものが生まれてくることを私どもとしては期待もいたしておりますし、具体にこの放送大学学園法案の中身におきまして、大学の内部組織のところについて、これ以上の規定というものはむしろ置かない方が適切ではないかと、かように考えた次第でございます。
#59
○勝又武一君 評議会が人事権を持っている問題について、やっぱり私は再検討をすべきだと思います。たとえば国立大学における教授会が果たしていた役割りなり権限というものが、相当人事権が評議会に移っていますね。移ってるでしょう。移っているとすれば、教授会の構成員であったような助教授とか、助手とか、いろいろそういう人たちの意見も反映するシステムがなければ民主的でないでしょう。そうなっていないでしょう。だから、私が言う意味は、評議会の構成などについてもそういう意味で再検討しないと首尾一貫しないんじゃないか。これは再検討なさるお気持ちがありますか。
#60
○政府委員(宮地貫一君) 教授会の構成につきましては、いまも申しましたように、具体的にこの教授会の持ち方といいますか、どういう構成でどういう運営をするかということは教授会みずからがお決めになった方がより適切ではないかと、かように考えている次第でございます。
 御指摘の点は、この放送大学学園で評議会の組織を設けておる、この点はすでに何度か御質疑がございまして、お答えをその都度いたしておるわけでございますけれども、やはり放送大学学園の全体の教官組織の複雑性等というようなことに着目をいたしまして、運営に関する重要事項を審議し、教官、学長の人事に関する事項を所掌する機関として評議会を置くという形を御説明をしておるわけでございます。しかしながら、この評議会の組織にいたしましても、教授をもって構成員としているわけでございまして、大学の教学組織が、人事でございますとか、学長を頂点とする教学組織についてみずからお決めになる仕組みというものを確保してあるという点では、私ども、その点の大学の自治の基本になりますところは確保されていると、かように考えております。したがって、たとえば助教授以下の方々の意見の反映をする具体の仕組みをどうするかということは、大学みずからそれぞれお考えになった上で当然にそれらの点も検討をされることであろうかと思いますけれども、この法文の中でそういうことを書くことは必ずしも適切でないと、かように考えております。
#61
○勝又武一君 そんなことはないんです。やっぱり私は評議会のこの構成ということについては、ぜひ再検討いただきたい。そうでなければ、さっきから幾つかお聞きしていますように、特殊法人とした意味合いがとても理解できないし、賛成できません。
 もう一つ別の観点から特殊法人とした理由をお聞きしたいわけですけれど、私は率直に言って、いままでの答弁をお聞きしていると、管理運営上、非常に都合がいいから特殊法人にしたんだっていうようにしか理解できないわけです。そこで、もう一つの議論は、衆議院の文教委員会の議事録を読んでみますと、こういう点があるわけです。カリキュラム編成権を大学が持っている、で、放送局が番組編成権を持っている、この二つが衝突する場合がある、そうすると困るから、大学と放送局とが異なっているよりは、大学と放送局とを一つの法人とするとそれがうまくいくんだと、まあこういうような表現のところがございますし、そういう点で、その辺が大学と放送局とを一つの法人にしたと、それがまあ特殊法人だと、こういうようにお考えになったのか、いやそんなことじゃないと、それはげすの勘ぐりだと、もっとこういう理由で特殊法人にしたんだというんならいうんで、この辺もう一つ明らかにしてくれませんか。どうもその辺が釈然としないんです。
#62
○政府委員(宮地貫一君) その点は衆議院の段階におきましてもいろいろ御議論がございまして、特に、放送教育に関する小委員会が設けられまして、その小委員会報告でも、放送大学というものの持ち方としてどういう形が適切かということについてはいろいろ御議論をいただいたわけでございます。その点は勝又先生御指摘の点がまさにこの特殊法人という形をとった理由でございまして、ほかにそれ以外の考え方というものはございません。
#63
○勝又武一君 こうあるんですよね。一つの法人の中の内部問題として処理できるとか、両者、つまりカリキュラム編成権と番組編成権ですね、その両者の調整問題が出たときは同一主体ならうまくできると、こういう表現が散見できます。
 そこでお聞きしたいのは、この特殊法人である放送学園の最終意思決定機関というのはどこなんですか。教授会なんですか、評議会なんですか、理事会なんですか。それとも、最終決定権を持っているのはたった一人、理事長だけなんですか。法的にどうなんですか。
#64
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学学園という特殊法人につきましては理事長が代表するわけでございますが、もちろん大学の教育に関しまして学長が学長として権限なり責任を持って処理をするという事柄は、教学面については基本的には学長が代表して処理をするということになるわけでございます。
#65
○勝又武一君 私の言ってるのは、その両者の調整がうまくいかなかった場合にだれが一体調整をやるんだと。主体が一緒だからうまくできるんですという文部省の答弁は、それは理事長が最終決定権限を持っているからうまくいくんだというように理解するしかないんじゃないか、そう逆にお聞きしているんです。
#66
○政府委員(宮地貫一君) その点は、たとえば具体の一つの例として申しますと、放送局の設置主体と学校の設置主体とが別のものであったときにどうなるのかということがございまして、設置主体が別の場合には、ただいま御指摘のようなカリキュラムの編成権と、放送事業者が持っております放送番組編集権をそれぞれ別個の主体が持つことになるわけでございまして、別個の主体の間でその調整がつかない場合にどう対応するかというと大変困難な事態が生ずる。それに基づいて、私どもとしてはこれを一つの特殊法人という形で置いたわけでございます。この場合には、もちろん具体の放送番組の問題とそれから教学組織の問題とは、この実際の具体の姿という点で申し上げますと、コースチームのようなものが設けられまして、教育の中身の点と、実際にそれを具体的にどのように放送をしていくかというような、両者が一つのチームで編成をされまして、そこで具体の番組というものがつくられていくことになるわけでございますから、そういう組織をつくっていくことによりまして、その点は私どもとしては調整が可能なものと、かように考えております。
#67
○勝又武一君 これは、大学局長も井上企画官も御一緒に、NHKにも行きましてよくお聞きになっていると思いますが、二十三日でしたか、NHKの場合には、カリキュラム編成権と番組編成権とがうまく調和をしているんだという言い方をしておりましたね。ですから私は、特殊法人という法人が一つの主体に、一つにしでなければこの調整がうまくいかないということはないと思うんです。二つだってうまくいくと、やろうとすれば同じことだと、こういうふうに思うわけです。
 そういう立場に立ってお聞きするのですが、いまいろいろ御質問をしてまいりましたように、特殊法人ということは私は非常に問題が多い。そこで、この放送大学をいわゆる国立学校設置法に基づく国立大学にしたらどうかと。そうすれば、いま私が言ってたような矛盾だとか疑問点だとか問題点はほとんどが解消してしまうわけです。一体特殊法人としなくてはいけない理由――これはさっき局長から出ましたよね、一つの主体なら調整できるんだという。しかし、私はそうでなくても、別な主体でもできるんですから、そういう意味からいけば、なぜ国立大学としたらいけないのか、この積極的なできない理由というのはございますか。
#68
○政府委員(宮地貫一君) その点は先ほども簡単にお答えをしたわけでございますが、実は放送大学の設置形態をどうするかということは大変いろいろと長い経緯で検討されてきたわけでございます。
 御指摘の放送大学を国立大学で設置してはどうかというお話でございますけれども、私どもとしては、放送大学を国立大学として、その大学が放送局を開設するということができるのであればもちろんそういうことで、私どもとしては――私どもといいますか、文部省といたしましては、そういう形で行われれば、それはそれの一つのあり方であろうというぐあいに考えておるわけでございます。しかしながら、その点については、放送事業については国がみずから放送を行うことはしないというたてまえで至っておるというような経緯がございまして、国立大学におきまして、放送局と一体のものとして放送大学を設置するということはそういう点から難点があるということで実現を見なかったという経緯がございます。
#69
○勝又武一君 これは後でお聞きをしようと思っているんですが、放送局については国が持たないでNHKにお任せしたらどうかと。だから、放送の方はNHK、大学は国立大学、こういうことは考えられるんじゃないですか。ちょうどいま電波監理局長お帰りになりましたけれども、NHKの方は後でお聞きしますけれども、そういう前提に立ってこの特殊法人を国立大学とするということはできるんじゃないでしょうか。それができない理由があったらお聞かせください。
#70
○政府委員(宮地貫一君) 従来、この放送大学の検討の経緯というのは、先ほど最初にお尋ねがありましたように大変長い経緯を経てきておるわけでございまして、この放送大学の構想を検討いたしまする段階におきまして、放送の実施形態をどうするかというようなことももちろん検討されてきたわけでございます。
 その途中の経過におきまして、NHKの方で放送部門について積極的な対応をいたしておった時期もあったわけでございます。しかしながら、実際に放送大学の設置に関します調査研究会議において種々検討が重ねられました結果、大学の教育研究の自由と放送事業者の番組編集の自由との調和を図るという観点から、放送大学の教育内容をNHKの電波を利用して放送するということには無理があるという判断がなされまして、放送と大学とを一体のものとして設置主体というものを考えるべきであるという結論に達したわけでございます。
 その後、国立大学方式、私立大学方式、いろいろ考えられたわけでございますけれども、最終的な結論として特殊法人という形という結論に至っておるわけでございます。
#71
○勝又武一君 ですから大臣ね、問題を明らかにしますと、局長のおっしゃったような経緯があった。しかし、前提として、放送についてはNHKということに仮になったとすれば、この特殊法人をやめてこの大学は国立大学並みにしてよろしいと、こういうことになるというふうに私はいま局長の答弁を理解をしておきます。それには支障はないと、こういうことですよね。放送局の方は、放送関係はNHKが担当するということになるということを前提にしてですよ。前提にしたら、この大学を特殊法人とするということをやめて、国立大学並みにしても余り矛盾はないし、問題点は起きてこない、こういうように私としては理解をして次の問題に移りたいと思います。
 そこで、次にお聞きしたいのは、放送大学と教育の機会均等の問題です。機会均等ということについては、私はやっぱり憲法上の基本問題ですから、文部大臣もまさにこれは何よりも優先して尊重をなさるというように理解をしますけれども、いかがでしょうか、大臣。
#72
○国務大臣(田中龍夫君) その点は従来から非常に経過のある問題でございまして、いままでるる局長からも御説明もいたしたわけでございますが、同時にまた郵政省との関連その他、いままでの経過のさらに詳細な点は政府委員からお答えいただきます。
#73
○政府委員(宮地貫一君) 教育の機会均等が確保されなければならないのは当然のことでございまして、それらについては、今後の計画を進めるに際して、そういう趣旨が確保されるような方向で努力いたしたい、かように考えております。
#74
○勝又武一君 放送大学につきましても当然教育の機会均等は尊重されるべきだということで、全くそのとおり。
 ただ、いつから機会均等されるのかと。いまの文部省の放送大学設立計画によれば、たしか全国ネットワークになるのはあとこれから幾年ですか、十五、六年たたないとだめじゃないんですかね。しかも巨額な、国費は一千億を超えるわけですね。そしてまた毎年何百億というお金がかかる。その場合に、私は前提条件が要ると思いますね。放送衛星も上がってないし、東京タワーからやるから東京周辺しかできないんだという、そういう東京タワーを使うからそうだということになりますから、もし放送局を別の手段で考えると仮定した場合に、東京周辺よりは、もっとこの放送大学を望んでいる地域の方をこそ優先をすべきだ。――できればですよ。前提条件つけますよ。つまり、いまの大学は東京周辺と大阪周辺で半分以上そこに密集しているわけですよ。そして北海道とか東北とか中国とか四国とか九州とか、非常に放送大学を望んでいる国民にこたえるためには、その放送さえできるなら、東京タワーを使わないで、別の方法で放送ができるならば、そういう地域からこそ始めるべきだと、こういうように考える点については大臣も御賛成をいただけるわけですね。
#75
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま先生御自身も一つの仮定としてとおっしゃいましたが、事実問題といたしまして、やはり現実には、まず東京の周辺を先に施行して、そうしていろいろな実務上の、今日までもセンターでずいぶん検討はいたしておるにいたしましても、実施の上から言って、いろいろな参考になるデータをとって、それから一歩一歩進めていくというのがこれが常道ではないかと。いまお話しのように、宇宙衛星とまではいきませんにいたしましても、他地域でもって望んでおる者がさらにあるじゃないかということを仮定としておっしゃいましたが、実際問題といたしますと、この方法以外にはないといったような私は気持ちがいたします。
#76
○勝又武一君 なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、当委員会といたしまして四月の二十三日にNHK、テレビ朝日と、それから開発センターの方の意見等も聴取をしたわけです。そしてまた、日大の通信教育等も勉強をしてまいりました。局長も井上企画官も御一緒でした。そういう中で、私はやはりNHKのいまの実情に触れて、それからNHKがいまやっている高校の放送学園等の状況などもお聞きをしたり大学講座等も見たりする中で、いままで検討していた経過の中で、NHKが担当することが好ましくないなり、あるいはNHKが担当し得ないというようないろいろな問題点が解消をしてきている。そして、いまやNHKがこの放送部門を担当したら困るというような条件は減ってきている。だから、NHKがやるという前提に立てば、東京周辺でやるよりははるかに教育の機会均等という点からいけばよろしいんじゃないか、こういうようにお聞きをしているわけです。この点はどうでしょう。
#77
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど来、特殊法人でこの大学というものを設置しなければならない理由ということについては、従来の長い検討結果を経た結論ということで申し上げたわけでございます。
 私ども、いま御指摘の点で申し上げますと、たとえばNHKは高等学校はお持ちになっておるわけでございますけれども、NHK自身が大学をお持ちになるというお考えがあるというぐあいには私ども伺っていないわけでございます。したがって、正規の大学としてこの放送大学を実施する形といたしましては、この特殊法人の現在御提案申し上げている形以外には考えられないという、結論としてはそういう結論に達しておるわけでございます。
 ただ、実際の実務上、従来NHKが、学校放送と申しますか、そういう点で長い経験なり技術というものをお持ちになっている。それらの点については、私ども具体的にこれから放送大学が電波を出すというような段階において、従来のNHKの経験なり技術なり、そういうようなものについては具体的に御協力をいただくような対応というものは必要であろうと、かように考えておりますけれども、大学の設置主体としてはやはり御提案申し上げておりますこの放送大学学園という形で大学と放送局とを合わせ持った形で進めていくという以外には方法はないというのが――それは長い経緯を経たものでございますし、政府としてはそういう考え方で、郵政省初め関係省庁とも協議の結果、そういう結論を得て御提案を申し上げておるわけでございます。
#78
○勝又武一君 先ほど冒頭にお聞きしましたように、十数年にわたっていろいろの問題があって、参議院では十二時間質疑したわけですけれども、まだこれだけのたくさんの問題がある。問題がなければ結構なんです。問題があるから、問題のところをどう直したらいいかという私は前向きの姿勢で申し上げているつもりなんです。そういう意味で、局長はもちろん政府原案に固執されておりますけれども、私が聞いている意味は、大学はNHKで持てと言ってるんじゃないわけです。大学の方は国立大学にしたらいかがですかと、放送局の方はNHKにお任せになったらいかがですかと、これで何かNHKに任せたらいけない問題があるんですかと、こうお聞きをしているわけですよ。ところが具体的に、いやもういままでの経緯で特殊法人一つしかないんですというなら、まさにもう問答無用ということになっちゃいますよね。だからはっきり、いやそれはこういう理由でだめなんだということがあったらおっしゃってください。
 それから電波監理局長、十一時半までお待ちいただいて恐縮だったんですけれども、ちょうど教科書問題があって、ずれちゃって恐縮でしたけれども、大学の方は国立大学にすると、そして放送の方はNHKに委任をすると、こういうように考えた場合に、郵政の方で電波のそういう関係からもう絶対それはだめだという何か根拠があったらお聞かせをください。
#79
○説明員(富田徹郎君) 現行の放送法制では番組の編集の自由を持たない放送事業者というのは一切認めておりません。したがって、NHKが放送事業を事実上委託されるといいましても放送番組編成権を持たない形の放送事業だけの受託ということは、これは放送法制上あり得ないことになります。したがいまして、先ほど文部省の大学局長の方から答弁がありましたように、番組編成権の問題と大学学問の自由、大学の自治という問題を考慮した場合、御提案しておるような学園法という形になっておるような次第でございます。
#80
○勝又武一君 NHKに番組編成権を持たせますと、そしてカリキュラムの編成権は大学にありますと、その両者の調整についてはいままでのNHKの経験からいっても両者の調整をうまくやってまいりましたと、こういうNHKの経験も、四月の二十三日に文教委員会が現地へ行って、NHKのその専門の方々から聞いてきているわけです。ですから、いまあなたの答弁のうちの、NHKに法的にも番組編成権は持たせますと、それから大学がカリキュラム編成権を持ちます、両者の調整は問題なく処理してまいります、こういう前提に立った場合に、NHKが大学の放送を担当するということについて何かそれ以外に困る理由がありますか。
#81
○説明員(富田徹郎君) その場合、いま先生が御説明になりましたように、学園の、大学の自治というものを番組編集権の自由というものが侵しはしないかという危惧は当然あるわけであります。これは再三にわたってわが方も答弁してきたところでありますが、そういうような観点からのみ事実上できないことではないだろうかという趣旨でございます。
#82
○勝又武一君 そうしますと、その問題さえ明確になれば郵政としては問題はないと、文部省の方もその問題が非常に問題だったということですから。そしてこの間、四月二十三日にNHKに行ったら、NHKの実験講座なり大学講座ではそのことは、何というんですか、処理をしてまいりましたと、こういう経験も語っているわけです。ですから、これはいまわが党としても検討中ですが、連休明けには、そういう内容を持った法案提出の準備も、きょうの皆さんの答弁いかんによって検討してまいるということで準備中です。ですから、特に申し上げますと、一つは国立大学にするということで、特殊法人が持っていたことからくるいろいろの心配ですね、これは多くの皆さんがこの十二時間の中で提起をされた疑問点というのは大幅に解消されていく。それから、NHKに任せ、担当させるということによって、先ほどから言っています国が特殊法人という形で放送までを持つということからくる国民の思想統制のおそれということを排除できる。あるいは、いままでのNHKが持っていたローカル局を利用しての地域性、あるいは全国放送網を持っているということからくる教育の機会均等という意味での全国ネットワーク、こういう点も解決をしていく。困るのはただ一つ、番組編成権とカリキュラム編成権の衝突した場合にどう調整するかという、その問題たった一つにあとはかかわってくるんです。ここさえ解決するということになれば、私はこれだけ議論を尽くしてきた放送大学というのが、何というんでしょうか、相当歩み寄った形でまとまっていくというように思うわけです。そういう意味で、再度一歩進めて、文部省としてはその点について検討なさるというお気持ちがございませんか。
#83
○説明員(富田徹郎君) 先ほどの答弁が言葉足らずでございましたので補足さしていただきますが、カリキュラム編成権、大学の自治といったものと番組編集の自由の衝突のみが問題ではなくて、そういう積極的な意味じゃなくて、消極的にはNHKに放送大学の業務を担当してもらうといたしましても、現実の問題ではかなり経済的な意味における効率性があるのかという問題も絡むかと思いますが、NHKは現在のところ、確かにテレビジョン二系統の全国ネットワークの放送を運用しておりますが、放送大学を担当する形でそのテレビジョン放送番組の量を減らすわけにはいかない。とすれば、新たに全国的なテレビジョン一系統のネットワークとFMの一系統のネットワークを用意をしなければいかぬという問題がある。NHKの技術を借りるという意味ではやや効率的になる面が若干はあるかもしれませんが、いずれにしろ放送設備的には全く新たなものを建設しなければならないという意味で、それほどの経済性というのは出ないというふうにわれわれは考えております。これは、NHKが行うにしろ、放送大学学園が行うにしろ、ほぼ同様の経費が将来においても必要だというふうに考えております。
#84
○勝又武一君 私は、郵政については全くの素人ですから間違っていたらお教えいただきたいと思いますが、そうなんでしょうかね。放送大学という特殊法人が放送局を持つためにいろいろ試算をして五十年十二月のデータを直したのが、何か二七%を掛けて、消費者物価指数だけを掛けてやり直したという、まあそのデータもきわめてずさんだという指摘があったんですが、それは別にしても、この放送大学をつくるために投下資本が一千億以上かかるわけですよ。それからまた、毎年の経費が要るわけですよ。そのことと比較をしたら、NHKがやる方がはるかに少なくて済むんじゃないですか。私は素人だけどもそう思いますけれどもね。特殊法人であるこの放送大学が、いまからそういうものの費用を全部持ってやるのと、NHKがやるのと、どっちが費用がかからないかといったら、NHKがやる方がはるかにかからないんじゃないですか。
#85
○説明員(富田徹郎君) NHKの現有の設備等の余裕のあるものを活用するという点においては先生のおっしゃるとおりかとも思いますが、一般的に放送大学の施設は、NHKといえどもほとんどの部分を全く新たに建設せざるを得ないだろうというふうに想定されます。したがいまして、NHKの施設を転用できる部分は比較的――比較的といいますか、かなり少ないものと想定せざるを得ない。その意味で、それほどの経済性ということは出ないんではないかというふうに考えておるということを申し上げたわけです。
#86
○勝又武一君 これは局長の方からありませんでしたけれども、もう一ついまの点で局長にお聞きしたいのは、四月二十三日に参りましたときにも、NHKが言っておりましたね。例の大学講座の実験番組をつくるのに一年以上かかってつくっているわけです。私たち拝見しましたけれども、私のような素人でも、物理、化学をこうしてやってくれたら、ぼくも旧制中学のときに物理や化学がきらいにならなくて済んだと思ったくらいですよ。それから今度、この放送大学をやり出して、いままで不勉強でしたけれども、NHKの高校の講座を物理と生物をこれは一時間、たしか十時から十一時ですか、勉強してみましたけれども、これもいい勉強になりました。本当に私なんかは旧制中学で暗記させられた物理や化学と比べたら、そういうことを思います。つまり、そのくらいNHKは一年以上かけてつくっている。ところが、開発センターの方がテレビ朝日へ行きましたときに資料、いろいろ教えてくれたんですよ。そうしましたら、開発センターの方でやられたのは――これは今度の法案でできた開発センターですよね。文部省がおつくりになった開発センターの方がやられた実験番組というのは、責任者の方からお聞きしましたけれども、大変時間もないし、予算的な点もあって、とてもじゃありませんけれども、やりたいけれども、NHKのように一年以上もかけてそういうものはできませんでしたということをおっしゃっている。だから、私はそういう点からも、この特殊法人の放送大学が、一つの法人が両方をやるよりは、やっぱり番組の作成手続等については当然NHKがやっていった方がより効果的だ。もちろん一番基本の番組編成権とカリキュラム編成権の問題が解決をするという前提ですよ。前提に立った上ですけれども。そういう意味で、私は先ほどの答弁を保留されている局長に、文部省の方に、もう一度その点について、その前提に立った上で、そういうメリットもある、その方がよりいいんじゃないか。もし経費の点もございましたら、あわせてお答えください。
#87
○政府委員(宮地貫一君) 先生御指摘の点は、調整がつくという前提に立ってという御質問でございますけれども、私どもも、それらの点は先ほど一つ申し上げた点でございますけれども、国立大学が放送局を持つことができるんならば、それは一つのあり方であろう。しかしながら、それはやはりわが国の放送法制上持てないということでございます。
 それから、NHKが放送大学をやることについてどうかというようなことについても、過去の検討の中では一時期そういうことがあったけれども、しかし具体にNHK自身が大学をおつくりになるという話については私ども聞いたことはございません。したがって、ただいまのところ、私どもといたしましては、こういう特殊法人の形でないと大学と放送局とを一体のものとすることができないという考え方に立っておるわけでございます。その点は、たとえばイギリスのオープンユニバーシティーでございますと放送をBBCにやらしているということがございますけれども、イギリスの場合、いろいろその点ではBBCとの間で調整に問題があって、BBCが放送を拒否した事例もあるというようなことは聞いておるわけでございます。それらの点で、私ども、従来の検討経緯からいたしますと、やはり大学と放送局とを一体の形に持っていくということが、やはりこの放送大学を具体的に実施いたしますにはそれ以外の方法というものはまず考えられないんではないかというのが、これは長い経緯を経た結論でございます。
 それから、経費の点で、先ほど郵政省の方からも御答弁があったわけでございますけれども、この放送大学の放送というのは一日の時間が最大限で言えば十八時間も放送するという、これは再放送もあるわけでございますけれども、それだけの時間帯をとって放送をやるということになりますと、既存のNHKの施設に乗っけて電波を流すというような話にはならないわけでございまして、そのための施設設備というものをつくることになるわけでございます。これは、そういう意味では、経費の点でということでお尋ねがあったわけでございますが、私ども事務的に検討さしてもらっている段階では、NHKのただいまのテレビ二系統、ラジオ二系統という放送を全国で受信できるというようにしております、そこに放送大学の電波が割り込むということは、まずはできない事柄でございまして、放送大学の電波を流すための施設設備というものは、やはり同様に必要な事柄になると、かように考えております。したがって、先ほどの技術だけの委託ということは、NHKとしてはできないといいますか、番組編集権というものをなしにした放送の受託ということはあり得ないということで郵政省の方からお話もございましたが、そういう形でNHKにお願いするとしましても、やはり必要な資金と申しますか、そういう点では、まずこの特殊法人の放送大学学園で実施する場合と、私どもとしてはもちろんNHKに委託する場合の経費というものを実際に積算したわけではございませんけれども、実際に施設的な、要員的な余裕というものはまずNHKにはないんではないかと。したがって、新しくつくるということに関して言えば、その点はまず同様の事柄になるんではないかと、かようにいま考えております。
#88
○勝又武一君 私の質問の持ち時間がなくなってまいりましたので、特に私は、放送大学を受ける受講者だとか、通信教育とか、大学の開放の問題とか、そういう観点で最後にいろいろお聞きをしたかったんですが、時間がなくなりましたので、一つ、二つまとめて最後にお聞きをしたいと思います。
 その前に、いま局長がおっしゃっていましたけれども、NHKにやらしても放送大学と経費が全く同じだと、そういう話があったけれども、私はNHKの方がずっと少なくて済む。しかし、仮に百歩譲っても同じですよね。それ以上かかるなんということはない。NHKに任したら特殊法人でやるより多くかかるということはないと思いますから、その点についての問題としては余り関係ないというように思います。
 それで、最後に受講者の点ですけれども、例の五十年六月の五千人のサンプル調査というのは、私はきわめて不十分なもの、ラフなものだと思います。たしかあれだと、満十八歳以上の人口の八%で六百二十万だという推定をしたり、学習の中絶者が毎年二〇%程度だと見込んでいたり、放送大学の常時の登録者が四十五万人としている。この辺は大変問題がありますね。
 たとえば通信教育のことでこの間、日大へ行きましたときも、卒業生が一〇%程度、法政もその程度ですし、慶応は三%程度とかいう話がありますし、そういう点からいけば、これはもっとずっと大変だ。同時に、通信教育の点で日大でお聞きをしたときにも、スクーリングに出席できない、勉強する時間がない、この二つの理由が通信教育を途中でやめた理由の約七〇%強です。これは私は、受講者ということにかかわって、そういう五十年六月のサンプル調査というのが、設問の仕方なり選択肢のとり方に相当問題があったんじゃないか。大学卒業の資格を取りたいという国民の願望はそのくらい多いでしょうけれども、こういう厳しい条件を前提にして、四年とか六年とか八年かかって、内容も相当高い大学の教育課程にたえることが必要なんですよと。そういう意味でも、入学をいたしますかという調査をやらなければ、もっとシビアな数字は出てこないというように思うわけです。
 そういう意味で、開発センターの調査を見ますと、これも局長と企画官、いただいた資料にもありますけれども、資料の四ページと十四ページの比較をしてもわかりますように、具体的な設問をすればするほど数は相当減少をし、違ってくるわけです。そういう意味で、国民の教育要求というものを厳しく――厳しくと言いますかシビアにぜひつかめるような調査を考えないといけないんじゃないか。そういう意味で、通信教育の実態等を十分考えた点を今後の調査の中でやっていくべきだと。
 最後に私は、通信教育とあわせて大学の開放の問題ですが、たとえば学校教育法の六十九条で、大学の「公開講座の施設を設けることができる。」「公開講座に関し必要な事項は、監督庁が、これを定める。」、こうありますけれども、この規定もまだたしかできていませんね。これはいつまでにつくるのか、お聞きをしたいし、同時に学校教育法の五十四条の昼夜開講制の問題、こういうような国立大学における状況も資料の提示を求めましたけれども、たしか国立大学でわずか三つか四つぐらいですか、各県の地方大学をそういう意味で昼夜開講制にするとか公開講座を開くとか、国民の教育要求にこたえるこたえ方の道と、それからこの放送大学が持つ使命というものを、もっとやっぱり厳密に区分けをして考えていくべきだというように思うわけですが、時間がなくなりましたので、それらをまとめて、要望も含めて申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
#89
○国務大臣(田中龍夫君) 勝又先生の非常に示唆に富んだいろいろな御意見、ありがとうございました。それをまた参考の資料にいたしまして、われわれの方も十分勉強さしていただきたいと思います。
#90
○委員長(降矢敬義君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四十四分開会
#91
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送大学学園法案を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#92
○高木健太郎君 放送大学につきましてはこれまで非常に熱心に御討議をされましたので、私から改めて新しい問題を申し上げるというようなこともないわけでございますが、まず最初に私申し上げておきたいことは、午前中も勝又委員からお話しになりましたように、この放送大学というのはこれまでの大学と違って放送という一つの手段を用いた教育でございます。そういう意味では非常にこれまでと変わった、あるいは注意しなければならぬ点があると思うんです。教育は御存じのように永遠のものでございまして、その時の政府あるいはその他の権力によってこれが左右されるということは厳に戒めるべきことであろうと思います。そういう意味では、勝又委員も申されましたように、管理運営に誤りがあってはそれを手段として用いられるということになりますので、この点は厳にひとつ慎重にお考えをいただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思うわけでございまして、現在の政府がいいからこれでいいということではなくて、将来どのような政府ができてもこれがその用に利用されないということのために管理運営のシステムを考えていただきたいと思うわけでございます。私、放送というものも一つの武器であるように考えるわけでございまして、使い方によってはこれが悪用されると、しかも放送であれば非常に恐ろしいことになるであろうと思いますので、改めてこれを最初に申し上げておきたいと存じます。
 二番目にお聞き申し上げたいことでございますが、この放送大学を企画なさいましたのは、先ほどのお話によりますと、昭和四十四年のときからもうお始めになってすでに十何年という月日がたっているわけでございますが、この前、局長からもちょっとお話ございましたが、大学とはある程度のお話し合いができているということでございます。あのときに国立大学あるいは私立大学というお話が出ましたけれども、公立大学というような言葉は出ませんでした。そういう意味では各大学にどの程度の了解と御連絡をされてきたのか、その点について最初にお伺いいたしたいと存じます。
#93
○政府委員(宮地貫一君) 従来、放送大学の検討に当たりましては、「放送大学の基本計画に関する報告」を一番土台に置いて私ども進めてきておるわけでございますけれども、その基本計画の作成に当たりましても、それぞれ大学の関係者に具体的にお入りいただきまして、その具体案を練ってきたというのが基本的な点でございます。もちろん、この新しい形の放送大学がりっぱな大学として本当に評価を得るためには、他の教育研究機関と密接な連絡、協力が必要でございますし、そういう機関の教員の参加を求める必要があるわけでございまして、その点は法案の中にも条文として書いてあるわけでございます。
 なお、いま具体のお尋ねの中で公立大学協会側とはどうかというお尋ねでございますが、実は国立大学協会の会長と公立大学協会の会長、当時は高木先生でございましたんですが、昭和五十四年四月二十七日でございますが、それらの大学についてはその健全かつ適切な発展を図るべく次のような点を要望したいというようなことで三点ほど文書で御要望もいただいているところでございます。具体の事柄といたしましてはそういう対応をしてきておりますが、さらに今日まで国会に提案するたびにそれぞれ各団体の方々にも御連絡も差し上げておりますし、また文部省に放送大学に関する懇談会というようなものを、これは事実上の懇談会という形でそういう学識経験者にお集まりいただいているのを、五十二年以来適宜開いてきておるわけでございます。その構成メンバーにももちろん国立大学協会を代表される方でございますとか、私立大学を代表される方でございますとか、あるいは従来通信教育について具体的に今日まで大変私学で通信教育をやってきておりますような大学の方でございますとか、それぞれ関係の代表の方々にお入りいただいて、具体的な従来の、たとえば政府の予算案の決定を見ました際でございますとか、あるいは具体的に法案がまとまりました際でございますとか、その都度お集まりをいただきまして、御報告をして今後の進め方等についても御相談をしてきているというのが現状でございます。
 なお、これからの進め方でございますけれども、この法案が成立を見ますと、この特殊法人が大学の設立の仕事を具体的にすることに取りかかるわけでございます。
 御案内のとおり、大学設置審議会に大学の設置認可について申請――これはまあ文部大臣にするわけでございますけれども、教官組織その他についても設置審議会で御審議をいただくということになるわけでございまして、教官組織等についても従来の大学と何ら異なるところなく審査も受けるわけでございます。法人の設立後、そういう教官組織等を具体的にどう持っていくかというようなことがこれからの作業としてはむしろ非常に大きな、大事な作業でございます。そういうことについても既存の大学の関係者に御協力をいただきながら進めていくということが必要なわけでございます。
 今日までの検討経過を中心に御説明申し上げた次第でございます。
#94
○高木健太郎君 こういうことを申し上げますのは、いま大阪でも少しやっておられるんじゃないかと思いますが、ある研究所の先生方にお手伝いを願っている。かなりのディスターバンスがあるという研究員の話を聞いたというようなことも聞いておりますので、学長あるいは研究所長あたりに申されるのも結構でございますが、これはぜひ欠かしてはいけないことでございますけれども、末端までこれがある程度浸透して、その人たちがこれはおもしろい、ぜひ自分たちも協力してやってやりたいと、そういう気持ちにならなければこれはうまく動かない、学長だけではこれは動くものじゃないと、こう思いますので、いまのようなことを申し上げたわけでございます。
 ぜひその点は、今後の問題ではございましょうけれども、あらかじめこういうものができるんだということを何らかの方法で各大学、研究所に御通知になり、ひとつその了解を早くとっておかれることが大事だと思いますので、重ねてこれを申し上げたわけでございます。
 第三番目に申し上げたいことは、この前私たち文教委員の者が日本大学通信教育とかあるいはNHKその他を視察さしていただきました。大変いろいろな有効な、有用な資料をいただいたわけでございますが、局長も御存じのように、その際、職業別在学生の実態というものを見ますと、公務員が三一%である。それから会社・商店員、銀行員等が二三・六%、無職の人が二三・九%となっておりますが、今度つくられます放送大学では、どのような階層を予定しておられるか。主婦ということも入っておりますが、これは無職の中に入っておるのかもしれません。それがどのような階層のことを大体予想しておられるか。また、入学する学生の予定数はどれくらいを予想しておられるか。これも勝又委員からお話がございまして、あれは一度計算をし直す必要があるのじゃないか、調査のし直しを必要とするのじゃないかというお話がございましたが、重ねて、大体現在どの程度のことを予定しておられるかをお聞きいたしたいと思います。
#95
○政府委員(宮地貫一君) 先般、私も随行させていただきまして、日本大学の通信教育の状況についていろいろと資料もいただきまして、大変参考になる御意見をいただいたわけでございます。日本大学でいただきましたあのときの資料では、職業別の在学生数として、公務員が三一%、会社・商店・銀行員等が二三%ということで、比較的そういう層が多いということと、年齢別の構成にいたしましても、二十歳から三十歳までの者が大変多いと。したがって、比較的若い層が大学の資格を取る、特にそれも法文系統の資格を取りますとか、あるいは教員の資格を取るというような観点が比較的出ておったかと伺うわけでございます。
 私どもの資料では、昭和五十年の基本計画の報告をまとめるに際しまして行いました教育需要の予測調査が今日まで出ている数字でございますが、その中での学習希望者の内訳といたしましては、年齢別で申しますと、三十ないし四十代が五二%ということで、むしろそっちの方が大変高くなっております。十ないし二十代が三六%というような数字でございます。
 学歴別で申し上げますと、高校卒が五六%、大卒以上が二三%というような比率になっております。
 職業別では、主婦が二八%、事務職が二五%、労務職が一六%、商工自営一二%、農業自営九%というような数字になっておりまして、勤労青年が男女を含めまして、そういう意味で幅広く要望されているんではないかというような数字を持っておるわけでございます。
 なお、最近の資料といたしまして、私どもの方で放送教育開発センターで行っております大学放送教育の実験番組の調査結果、これは昭和五十四年度のものについて調べたものがあるわけでございますが、ただいまの、この前実地視察で伺いました日本大学の通信教育の場合と比較をいたして申し上げてみますと、先ほども申しましたように年齢別の、日大の通信教育で言いますと二十歳未満が二七・三%、二十から二十九歳が五五%というような数字に対しまして、放送教育開発センターの構成で申しますと、二十歳未満というのは非常に小さい数字になっております。二十から二十九歳が二七%強、三十から三十九歳が二九%、四十から四十九歳が二二%というようなことでございまして、やはり五十年の調査なりあるいは放送教育開発センターの実験番組の調査の方がより年齢的な広がりと申しますか、そういうものが日大の通信教育の場合と比較いたしてみますと広がっているというようなことが言えるんではないかと思っております。
 なお、学生数をどのぐらい予定をしているのかというお尋ねがあったわけでございますが、全国規模の予測数値は従来から申し上げている数値でございまして、最大で約四十五万人、その場合の入学者が約二十三万人余りという試算をいたしておりますが、第一期の計画として関東地域から発足させる場合の学生数につきましては、その基本計画で試算をいたしました関東地域の数字のさらに三分の一程度ぐらいのところで、約三万人という試算をいたしておりまして、開設時にはそれがさらに約五分の一ぐらいのところまで。比較的手がたいといいますか、数字としては極力しぼった形でスタートをする方が今後の計画を進めるに当たっては着実な対応ではないかということで、第一期計画のしかも開設時については五十年のときの試算のほぼ五分の一程度のところまでで、まず試算をいたしておるわけでございます。学生受け入れの初年度といたしましては一万人で学部学生としては四千人、入学者数で申しますとそういう数値で第一期計画というものをスタートさせたいと、かように考えている次第でございます。
#96
○高木健太郎君 このような数字を聞きますのは、この前の日大でもごらんになりましたように、スクーリングをやらなきゃならぬということで学生が多ければ非常に大変なことになるんじゃないかと、こう思うわけです。一万人なんといったらほとんど不可能になるんじゃないかなというぐらいの大きさじゃないかと思うわけです。
 そこで、いま年齢の大きい人が多いということですが、これは日大では法科とか経済とかというようなことでございまして、これは一般教養でございますので科目が違うということです。将来法科でもおやりになれば、これはまた年齢構成が変わってくるんじゃないかと思うんですよ。この場合まずお聞きしておきたいのは、四千人か一万人としまして、スクーリングをおやりになるその場所がどれぐらいの場所――六カ所ということを聞いておりますが、地域的にどういうところなのか。それから、いまの予定の人員を十分収容できるとお考えで、もちろんそういう考えがなきゃいかぬと思いますが、それからそこへやってくる交通の便それから宿泊、そういうものについてはどのようなことをお考えでございましょうか。特にあそこでもお聞きしましたように、宿泊費がちょっと高いということも聞きまして、そういうこともお考えになっていると思いますが、そのことについてお伺いしたいと思います。
#97
○政府委員(宮地貫一君) 学習センター、特に第一期の計画の学習センターについて具体的にどのように検討し、考えているのかというお尋ねでございまして、従来から御説明を申し上げている点でもございますが、第一期の関東地域からスタートするに際しては六カ所を予定をいたしておるわけでございます。東京都が二カ所、千葉、埼玉、神奈川、それともう一カ所送信所を設置する予定の県に一カ所、計六カ所を当初考えておるわけでございます。
 具体的な設置場所の決定に当たりましては、想定されております地域別の具体の学生数の対応の仕方でございますとか、あるいは交通の便その他も十分考慮しなければならないわけでございます。一方、既設の国立大学との対応が具体的にどこまでどう対応できるか、そういうようなことも念頭に置きまして、ごく事務的な検討はすでに関係地域の国立大学の事務当局とも非公式な相談その他は私どもとしてもいたしておるわけでございますが、なお具体的な設置場所その他のことについては発足後検討をしなければならぬ課題もいろいろあろうかと思っております。
 そこで、確かに日大の通信教育の場合にもスクーリングが非常に問題であり、またスクーリングに当たって特に宿泊を伴うということが通信教育の場合に経費の面で大変負担になるというような御指摘が現地視察の際にもいろいろと御指摘として行われたわけでございますが、ただいま私どもで予定をいたしております考え方は、学習センターでスクーリングを実施するに際しましても、原則的には、たとえば週に一遍ぐらいは学習センターでスクーリングができるというような形を考えて、なるたけ通学の便を考慮しておくというようなことを基本にしております。したがって、宿泊してスクーリングに参加するというような点については原則的にはないのではないかと考えておりますけれども、これも実際に学生の分布、そして学習センターの置かれる場所、そういうような事柄に応じまして、あるいはまとめてスクーリングをとるというような形も検討しなければならぬという課題は出てくるんではないかと思っております。ただいまのところは、学習センターの開設は一応週間を通じて開いておるわけでございまして、参加する受講生の便宜に応じてスクーリングに参加できるような態勢はとるようにいたしたいと考えておるわけでございます。たとえば、いま週休二日制というようなことなどについてもだんだん普及がされていくことになろうかと思うわけでございまして、そうすればスクーリングのために週一回そのための日を当てるというようなことも具体的には進めやすい状況というものはだんだん醸成されてくるんではないかと、かように考えております。
 しかしながら、実際にスクーリングをやるに当たって、あるいはまとめてスクーリングをするというような形態が受講生から非常に希望が強いとか、そういうようなことが出てまいりますれば、それに対する具体的な対応というものも考えていかなければならない課題であろうかと思います。その辺は私ども当面考えております案としては、ただいま説明しましたような対応で考えておりますけれども、実際の対応の仕方については現実的な処理もいろいろと必要になってくるんではないかと、かように考えております。
#98
○高木健太郎君 これは大変だと思うんです。というのは、日大の方は二週間続けてやるということで、しかも目的がそういう資格を得るということにしぼられておりますので、かなり無理してもやってくる。それでも一〇%ぐらいの人しか卒業できなくなってしまう。この場合には一般教養ですから、いわゆる文化あるいは素養をつけるというようなことでやってこられる。そういう意味では年齢差が非常に幅広いというか、職業も非常に幅が広い。だから、主婦に合わせれば被用者に合わぬとか、お年寄りによければ若い者に合わぬとかいうように、バラエティーが多いだけにしぼれないんじゃないか。しぼれなければどうなるかというと、場所の関係が出てくる、それから教官の方の都合も出てくる、放送の関係も出てくるというようなことで、その点を何か調査するとかしておかないと、その場に応じて考えますと言っても、あけてみればやらんならぬというようなことになりまして、協力が得られないというようなことになっても困るし、大学側の授業に今度は不便をかけてもいけないというようなことがございますが、その点は何かお考えになっていることがございますか。
#99
○政府委員(宮地貫一君) 先ほどもちょっと御紹介をしたわけでございますけれども、放送教育開発センターで現在実験番組をやっている、スクーリングを実施をしておるわけでございますけれども、ただいまのところこの放送教育開発センターの実験番組の場合には放送時間が大変限られた朝の時間で、午前六時十五分から午前七時という非常に限られた時間でしか放送されていない。それからスクーリングについては、十五週のうち二回を実施するということで、放送大学の場合のもちろん先導的な試行というような形で参考になる点もあるわけでございますけれども、私どもが想定をいたしております放送大学の実施という面から見ますと、必ずしも十分でないうらみももちろんあるわけでございます。学習センターの設置とスクーリングの重要性ということは、これはかねて、特に教育面からその点が非常に強調されているわけでございまして、先生御指摘の点はスクーリングの大事なことはわかるけれども、実際に実施をする場合に、さらに検討をすべきいろいろな課題がそこにはあるんではないかという御指摘でございまして、その点は、まさに御指摘のようにスクーリングを成功させるためにはいろいろと解決をしなければならない課題というものは、教官層の確保から始めましてスクーリングのやり方、具体の場所、そういうようなことについて十分検討をしなければならないと、かように考えております。
 実際に、これからの日程といたしましては、第一期の計画の進め方といたしましては、学園が成立をいたしますと、これは予算上から申しますと一応予算の積算といたしましては本来の七月からということで積算をいたしておるわけでございますが、大学の設置認可の申請をこの秋にいたしまして、大学としての設置が一年後の五十七年十月ということで考えておるわけでございます。それから、実際の学生受け入れば五十九年四月ということで、約一年半後を予定いたしておるわけでございます。準備の期間としては、これからの解決をすべき実務的な事柄としては、あるいは十分でない期間というぐあいに考えておるわけでございますが、私どもとしては目下計画をいたしております線に沿って学生受け入れが実施できるように、その準備期間の間にただいま御指摘のありましたような事柄については、実際に学生受け入れまでには解決をして対応をいたしたいと、かように考えております。
#100
○高木健太郎君 この際、テキストもおつくりになるということで、NHKでもあるいは日大の方でも拝見をさしていただきました。教科書というものは教育の中で大体どういう位置を占めているとお考えでございますか。もし何かお考えがあればぜひこの際聞いておきたいと、こう思うわけです。
#101
○政府委員(三角哲生君) 教科書は、小学校、中学校、高等学校、大学、それぞれであるわけでございますが、初等中等教育におきます教科書というものにつきましては、これは各教科の主たる教材であるということになっておりまして、それで教科の教育の上でこれは必ず使用すべきものと、こういうぐあいに規定されておるのでございます。
#102
○高木健太郎君 この放送大学の教科書とそれからいま新聞紙上でにぎやかないわゆる教科書とは大分質が違うと思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えですか。
#103
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学で使います教材といたしましては、実際に授業を担当いたします教官が具体的な教材というものをそれぞれ作成をすることになろうかと思うわけでございまして、それについては、いわゆる高等学校以下の場合の教科書とはそういう意味では全く異なるものと申しますか、そういうものであると考えております。具体的にはそれぞれ具体的な授業科目の、たとえば放送教育開発センターの実験番組の授業も視聴いただいたわけでございますけれども、放送を担当します教官の方がそのために具体的に教材を書きおろしでつくっていただいておりまして、それは印刷教材として活用をされているということでございます。高等学校以下の教科書については、ただいま初等中等局長から御答弁いただきましたように、文部省で検定を経たものが使われるという、大学とは一番異なっているのはそこの点であろうかと思います。
#104
○高木健太郎君 私も、初等中等教育におけるいわゆる教科書と高等学校、大学では特に違うわけですけれども、ただ私、こういう高等学校あるいは中学の教科書を見させていただきまして、これは指導要領というものに沿っておつくりになっている、しかもかなり大ぜいの方がこの執筆に関係をしておられるということから、教育にとって非常に重要な、いわゆる興味を覚えさせるといいますか、そういうものがこの中からなくなっていって非常に無色透明である。いい言葉で言えば、中立であるけれども無色透明であって、悪く言えば無味乾燥である。見たくもない、覚えたくもないというような教科書になっていっているんじゃないか。その点では、今度の放送大学でおつくりになるのは、ある一人の人が責任を持って、自分のある哲学を持ってそこにお書きになっているので一本筋が通っておる。間違えているかもしれないけれども筋が通っておるので、やはり私は引きつけるものがあるのではないかと。そういう意味で、いま教科書問題のやかましいときに、この初中用の教科書をおつくりになるときには何かもう少し工夫が必要ではないかなと、根本的にそういうことを私考えるわけです。
 また現在は、学校暴力があるとか、あるいは家庭内の暴力であるとか非行があるとか、あるいは愛国心がないとかという、そういう現在の悪い面をみんな教科書が悪いんじゃないかというふうに持っていかれるところがありはしないかということを心配するわけです。いま教材という言葉が出ましたけれども、教科書というのはバイブルじゃないんじゃないか、そういう点についてはどのようなお考えでございますか。教科書というものの位置づけを初中教育においてはどのように考えておられますか。
#105
○政府委員(三角哲生君) やはり初等中等教育におきましては、学校教育法に定めますそれぞれの学校の目的、目標に従いまして、具体的には学習指導要領の基準に沿ってそれぞれの学校での教育が実施されなければならないわけでございますが、そうしてその教育は個々の教員の手によって行われていく、こういうことでございますけれども、その場合に、先ほど申し上げましたように、教科書というものが一つの重要な教材として教員によって用いられまして具体の教科の内容が展開されていく、こういうことでございますので、したがいまして教科書も当然に学習指導要領に定める標準に従って記述をしていただきたい、こういうことでございます。
 ただ現在は、教科書は検定制度ということになっておりますので、これはあくまでも民間の創意工夫というものによって多様な教科書ができるということを期待しておりますと同時に、御指摘もございましたけれども、やはり各教科の内容について児童生徒が非常に興味と関心を抱きながら学習が進められるような、そういう意味のいい教科書がつくられていくということが期待されているわけでございます。私ども、やはりそういう次第でございますので、一般的に申しますれば、やはり教科書というものは心身の発達過程にございます児童生徒に対して非常に重要な意味を持っておるものである、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
#106
○高木健太郎君 確かに私も重要な意味を持っているということはわかります。
 いま、もう小学校から塾に行っているということを聞いております。塾の時間というのもずいぶんこのごろは長くなりまして、夜遅くまで子供はそこへ通っておるということです。塾ではどういうことを実際大体やっているんでしょうか。そこに使われる教材というものは、文部省とは無関係になっていると思うんですが、どのようなふうにお考えでございますか。
#107
○政府委員(三角哲生君) 塾の現況につきまして一々私ども調査をしておりませんので明確なお答えはいたしかねるのでございますけれども、塾にもいろいろございますので、その実態は各種各様であると思います。しばらく前に調べましたときに、塾の中にも学校での授業の復習をしてくれるような塾、こういうものもあるわけでございまして、そういうところではおのずから、学校で用いております教科書、それに即した指導があるだろうと思います。そのほかに、いわゆる進学塾、こういうようなものがあるようでございまして、この場合も、私、直接つまびらかにはいたしませんけれども、この進学塾のような場合には、中学なり高校なりの選抜試験に既往において出されたような問題、あるいはそういった問題を基礎にしてつくられました問題集、こういったようなものについての取り組みを指導する、こういうことになっておるんじゃないかというぐあいに理解をしておるわけでございます。
#108
○高木健太郎君 私は、初中教育というものはかなり、覚えることあるいはその間の、しつけという言葉はきらいですが、そういうことをやる。まだ子供は批判力が弱い、そういう時期だから非常に教科書というものは大事であるというふうに私は思うわけですけれども、それならば塾で何を教えているか。しかも、塾には子供はわりと熱心に行く、それからお母さん方も塾に一生懸命、熱心にやる、これは子供の生活の中の非常に大きな部分を占めている。これには全然タッチしないで、現在そこにある教科書だけが非常にやかましく言われるというのはどうも片手落ちではないか、それはどのようにお考えか。
#109
○政府委員(三角哲生君) 私ども、塾についてしばらく前にサンプル的な調査をしたわけでございますけれども、塾についてこれを直接どうこうということはなかなかむずかしい問題がございますので、私どもの取り組みとしては、本来の学校の学習なり学校でのいろいろな活動なりを充実していくということがまず肝要であって、そして学校での指導が十分にそれぞれの児童生徒の身についてまいりますように、それから教科外の諸活動もかみ合わせまして、非常に生き生きとした、何と申しますか、楽しく、そしていわば生きがいを感じられるようなそういう学校生活を展開していく、こちらの面の努力を尽くしていくということで、そのことによりまして間接的にどうしても塾へ行かなきゃならない、われもかれも行かなきゃならないという状況に対して、やはり積極面の方から手当てをしていくと申しますか、努力をしていくということが肝要であろうと、こういうふうに思っておるんでございます。
#110
○高木健太郎君 私、塾というのを取り上げましたのは、現在非常に教科書のことがやかましいわけですけれども、実は子供がいろいろ影響を受けているというのは何も教科書だけではないんだ。教科書は中核であり、あるいは義務教育の基本であるというふうに考えられて非常に慎重にやっておられることはこれはもう結構なことでございますけれども、実はそれよりかほかにもっと大きな問題があるのではないか。だから、これを上から何とか統制していくとか指導するというようなことはできないようなところ、実はそういうところに子供は非常に大きな影響を受けているということはしょっちゅう考えていなければならぬことじゃないかと思うわけです。
 まあ言えば、たとえば大人の世界というものですね。口ではきれいなことを言っても、実は本音とたてまえは違うということは子供は十分見抜いているわけです。まあお年寄りを大事にしろという福祉の思想というものがありますけれども、おばあさんが死んで葬式に行った、子供は後ろからついていった。あのばあさんも死んであの奥さんもほっとしたろうというような言葉を言うわけです。こういうことが実は大人の世界でございまして、だから子供は、ここにこう書いてあるけれども実際はそうじゃないというふうなことを思っているんじゃないか。かえって、いいことを書けば書くほど悪いんじゃないかということさえ思うわけです。だから、もっと本当のことを書けばいいけれども、それは書いてないというふうなことになったときがぼくは問題じゃないかと思いまして、教科書というものも大事だけれども、それに伴う大人の世界とか、あるいは漫画だとかその他の雑誌、あるいはテレビというふうなものの方から大きな影響を受けているんじゃないかと思いますので、そこまでとても文部省は監督できるわけじゃないわけですから、教育をやろうと思うのには、教科書に熱を入れられると同様に、他の面についても絶えず目を配っておかれることが私は大事だろう、こういうふうなことを申し上げたいためにここでお話をしたわけです。
 最近、教科書が偏向しているということが言われているわけです。偏向しているのかどうかはそれは別ですけれども、言われている。私も、余り詳しくは読みませんけれども、さらさらっと社会の本を読みましたけれども、まあ平気で読めば何でもないんですけれども、ひっかかって読めばひっかかるというようなところじゃないかなというふうに私は思うんで、こんなことは余りむきにならぬ方がいいんじゃないか、読む人によるんじゃないか、教える人によるのではないかというふうに思うわけです。たとえば、このごろの子供は権利を主張して義務感が欠如していると。あるいはまた校内暴力や家庭暴力あるいは非行があると、こういう素地ができたのは義務教育となるべき教科書にその原因があるんだと、これを直さなきゃいけないといういま議論があるわけですね。これは先ほど勝又さんからもいろいろお話があったわけでございますけれども、実際、暴力というのは、それじゃ教科書がどれぐらいこれに関係しているのか。学校暴力あるいは家庭内の暴力、非行というものに教科書がどれぐらい関係しているのかということはそう十分に私調査されてないのではないかと思うわけです。私はアメリカの教科書は余りよく知りませんけれども、暴力というのは逆にアメリカの方がひどいという話も私聞いているわけです。日本だけではないんじゃないかと。これはもっと言えば、現在の物質文明の何かしわ寄せが子供にいっているのではないかと考えた方がより考えやすいわけです。
 たとえば、総理府の調査によりますと、日本青年の国家意識あるいは愛国心というのは西ドイツやフランスよりも高いわけです。日本では、日本人であることに誇りを持つというのが約七〇%おります。それから、国を愛する気持ちがあるというのが五一%ですね。全く愛国心がないというのは三%しかいないわけです。そうすると、これまで偏向してきた教育が悪いというなら、私はもっと愛国心が少なくてもいいんじゃないかなという気もするわけです。あるいは明大の渡辺政夫氏の調査によると、愛国心はこの二、三年非常にふえていると、それから祝日に国旗を掲げる家がいままでよりも一〇%ないし一五%伸びておると、こういう話も聞きます。そうすると、これは原因は何も一つに限ったことではないんじゃないか。たとえば経済安定であるとか、あるいは同族意識のような、スポーツが盛んになって郷土愛だとか、そういうものが一方であると。そういうことも大きな原因じゃないか。だから、何もこれが偏向しているからこれをたたけば必ずこうなるという、そう簡単な社会じゃないんじゃないかというふうに私は思うわけです。
 もう一つ私申し上げたいのは、愛国という愛という字なんですけれども、愛するなんていうようなことをどうやって教えるかということですね。それにはどんなふうな教え方をしたらば愛するということができるのか。それを何とお考えでしょうか。
#111
○国務大臣(田中龍夫君) 先生のおっしゃるとおりでありまして、私は委員会におきましてもそのことを申しておりますが、つまり指導要領によって、これは国を愛する、また愛情という問題が出ておりますが、たとえて申すならば、本にそのことが出なくても、結果として国を愛し、また人を愛するというものができれば教育の目的は達せられると、こう思うんであります。
 私は、愛ということは字だけで書きましてもそれはまた意味をなさないと、本当に人を愛し、本当に国を愛するということは字の問題ではないと思うんであります。
#112
○高木健太郎君 妙なことを聞いてまことに相済みませんが――というのは、知識というものは教え込むということができるわけです。これを覚えろということができるわけです。しかし、愛情というものは教え込むなんていうようなことはできないわけです。なぜあなたは私を好きなんですかといっても、彼女がなぜ好きだといっても、これを説明するということは恐らく不可能ではないかと。なぜおまえはこの乗り物がきらいだと。きらいだからきらいだというのであって、好きだから好きだというものであろうと思うわけで、これは持っていき方がもちろんあるでしょうけれども、頭から大上段に愛国心がないとか、国を愛せよとか、こういうことで教育というものは私は達成できないと思う。そのように言えば言うほど、かえって青年というものは逆にいくんじゃないか。何を言っている、おれが好きであろうがきらいであろうがおれの勝手じゃないかというふうな気持ちにならぬとは私限らないと思うわけです。そういう意味で、こういう愛情の問題とか情緒の問題と、知識の、理性の問題とをごっちゃにして、何もかも学校で教えるというような考え方は、これは十分私は慎むべきであろうというふうに考えましたのでこれを申し上げるわけでございます。
 現在の世の中、非常に悪いとは言いますけれども、しかし毎日新聞の四月十六日付によりますと、都が行った調査によりますと、二十歳以上の都民三千人を対象にして調べた数字によりますと、子供のために親が生活を犠牲にして尽くす必要はない、いわゆる親が子供のために犠牲になって一生懸命働くとか何かすると、そういう必要はありませんというのはかえって二十歳代に多いわけです。三十歳代以上の人にはそれが少ない。あるいはまた、老いた親のめんどうを子供が見るのに、いいというのはやはり二十歳代以上が五九%、六〇%ぐらいございますが、三十歳から五十歳代までの人はそんなめんどうなんか見る必要はないと、こう言っているわけです。私、こういうのを見まして、先ほどの愛国心があるとか、あるいは日本人に誇りを持つとか、こういう気持ちを実際によく聞いてみますと、これは統計が誤っていれば別ですけれども、私は何もいまの青少年が非常に悪くなったというふうには思われないわけです。やはり深い愛情というのは根に持っているんじゃないか。だから、ここでいままでの教科書が偏向しておったと、それをすぐ改めろと、そういうような気持ちは、これはもう少しよくお考えになってからにされた方がよいのではないかというふうに思います。
 で、予算委員会でもいろいろこれが問題になりまして、教科書の中のある文言を取り上げて、ここのところが悪い、あそこが悪いというようなお話がございまして、私も興味深く――興味深くと言えば悪いですけれども、大変おもしろく聞いておりました。おりまして、しかし私は、その内容の一点、一点を取り上げて言えば、これは非常に私、誤りはあるんじゃないかと思います。私がこうやって申し上げていることでも、後で速記録を見れば、恐らく私ずいぶん間違えたことを言っていると思いますけれども、文部大臣初め局長は、私が何を言おうとしているかという全体の筋はおわかりになっているんじゃないかなというふうに思うわけです。私は、人間の思想というものはそういうものであって、一つ一つの言葉じりをつかまえて、それでそれは悪い、いいという批判をし始めると、これはもう何にもできなくなるんじゃないかと、こういうふうに思いまして、ここに私、公民の方は余り得意じゃないもんですから生物の方を持ってきました。生物は私はちょっと専門でございますので、(本を示す)ここに実教出版株式会社というところから出ました「生物I」というのがありまして、この監修者というのですか、編集者は、私の同輩が書いておるわけですが、だから余り言うのはぐあいが悪いわけですけれども、やっぱり間違えておるわけです。ここに――おわかりにならぬと思いますが、このごろはよく心臓を見るのに心電図というのを出すわけです。この心電図は、健康な人の心電図というのが出ているわけです。これを私見ますと、あっ、これは病気じゃないかと思うわけです。これは井上君は間違ったんじゃないかと思うんですね。というのは、ここにPというのがございまして、Pというのは心房ですけれども、心房が収縮したときに出る一つの電気なんですが、そのPというのがぽんぽんぽんぽんと、こう出ておりまして、それで心室の方の曲線がぽんぽんと出ているわけです。というのは、心房と心室が切れちゃっているんじゃないかと――切れているというのはおかしいですが、いわゆるブロックを起こしてうまく刺激が伝わらないようになっている心臓じゃないかなと思うわけです。それを健康な人の心電図というふうにこれ書いているわけです。だから、このほかに私、ここ紙をたくさんはさんできましたが、このほかにもちょっとこう見ただけでも、こいつはぐあい悪いと思うところがこれだけあるわけなんです。公民は私はわかりませんが、だからほかの教科書でも余りに細かいところをほじくれば私は幾らでも出てくると思うんです。――幾らでもというのは悪いですが、かなり間違いというものがあるだろうと。私は、教科書というものの大事なことは、そういう個々を何とかすることではなくて、その本の中に流れている心といいますか、そういうものを子供が受けていくのだと思っておりますので、余りに個々をいろいろされるということには私は反対でございます。
 私は、戦争中、昭和二十年、十九年、十七年、八年ごろ、中学に手伝いにいきまして物理を教えておりました。で、終戦に近くになりましてから、いままで物理、化学といいましたのを物象のI、IIという名前に変わったわけなんです。どういうふうに変わったかといいますと、御存じのようにオームの法則というのがありまして、電圧は電流と抵抗をかけたものである、V=RIというのをそれまで私は教えておったわけです。ところが、戦争の末期になってきましたら、A=DTと書いてあるわけです、A=DTっておわかりにならないでしょう。Aというのは電圧の圧なんです、Aなんです。Dは電流のD、Tは抵抗のTでありまして、A=DTと書いてあるわけです。ほかにレンズの話でも何でもが符号を全部ローマ字的のやつに文字を変えちゃったわけです。そのときの政府がそのように教科書を変えた。私はそのときにこんなものは全部覚えるなと、もうここのところの本はやめちゃえと、おれの教えることを一生懸命勉強せいというので、私はV=IRというもので押し通していたわけです。私はその子供はきっと喜んでいると思います。そういうもので、まあ書いてある事実は間違っていませんけれども、余りに妙なことをして教科書というものをこういうふうにいじくっちゃって、それでもう国際的には何も通用のしないような人間をつくり上げてしまうということは大変私は恐ろしいというふうに思ったわけでございます。
 私ばかりしゃべって大変恐縮でございますけれども、しかし私が申し上げたかったのは、教科書の個々の誤りをついて、それでそれによって何か変わってしまったと思ってはいけないんだ、人間がつくるんだから個々の誤りというものはあう得るんだと。そうじゃなくて、その中を流れている心というものが実は大事であるということを申し上げたかったのと、教科書だけが子供に大きな影響を与えているんじゃないんだと、もっともっと大きなものがあるんじゃないですかと。だから、教科書というものについて余りに神経質におなりになって、ああ今度ああ言われたからこう変えよう、こう言われたからああ変えようでは、私は教育の一貫性というものがないので、その点を十分慎重にお考えいただきたい、こういうことをきょう申し上げたわけです。放送大学と大分外れまして申しわけなかったです。以上で私の質問を終わります。
#113
○国務大臣(田中龍夫君) 大変いろいろとうんちくのあるところをお漏らしいただきましてありがとうございます。
 教科書の問題につきましても、大体われわれはりっぱな教科書をつくろうと考えておる次第でございまして、ただ指導要領等も根本の問題でございますが、これはいますぐに変えるというような気持ちは持っておりません。
#114
○佐藤昭夫君 午前中から勝又委員またいま高木委員と、今回放送大学法案が果たして大学の学問の自由が保障をされるのかという問題とかかわって、いわゆる昨今の教科書問題についての文部省の姿勢、これについていろいろ質問が出ておりますが、私の最初に、昨日教科書協会が決定を行い、文部省に申し入れを行っておるこのことに関して質問を最初にしておきたいと思います。
 まず一つは、今回の申し入れは、学習指導要領が改訂されて新たな教科書が使われ始めてまだ一カ月もたたない二、三週間というこういう時期に、このような全面改訂を含む教科書のつくりかえを行うんだということを決定をして申し入れが行われておるわけでありますけれども、これまで学習指導要領の改定を行ったとき以外に教科書の全面改訂を行ったことがあるのかどうか、この点、まずお尋ねします。
#115
○政府委員(三角哲生君) 全面改訂という字でございますけれども、私どもただいまの検定の仕組みの上では、御指摘のように学習指導要領が新しくなりますと、これは新規に教科書が編集されまして、そして検定の申請がございます。この場合は確かに新規の編集でございますから、教科書全部について書きかえといいますか、執筆が行われると、こういうことでございますから全部について新しくなるわけでございまして、これを新規検定と、こう言うております。一方、検定が通りました図書について部分的に改善を施したいということでの検定がございまして、これは改訂検定と、こういう言い方をしておりまして、この検定は、検定を経た図書の改善を図るために加えられた個々の改訂個所について検定を行うと、こういうことでございます。
 教科書協会の方から要望が参ったわけでございますが、ただいま御説明申し上げました改訂検定というのは教科書のページ数にして四分の一以内のページに手が加えられたと、こういうことを一つの限度にしておりまして、それを超えるページについて手が加えられますと、これは先ほど御説明申し上げました新規検定と同じ扱いになりまして、その教科書全体について改めて検定を行う、こういうことになります。で、教科書協会側からの要望は、学習指導要領が変わりました時点のように全部また書き直すといいますか、書きおろすとか、そういう必ずしも意味合いではないようでございます。もう少し聞いてみたいと思っておりますけれども、まあ部分的な改良を施した場合に、それがページ数について四分の一以上になる場合が考えられるので、これはしかし編集を進めてみなければその結果はどうなるかわからないけれども、その可能性があるので、その場合には文部省としてこれを受け付けてもらいたいというそういう趣旨の要望であるのでございます。
 そうして、ただいまのもう一つの御質問でございますこれまでの例でございますが、一応申し上げますと、昭和三十三年以前は毎年新規検定と改訂検定のいずれも受理してございます。そうしてその後、御指摘のように、学習指導要領の改訂がありました際は新規検定のみを受理しておりますが、その中間の段階では――これ、私、ただいま中学校の教科書について申し上げておりますが、三十九年には新規検定と改訂検定のいずれも受理しております。それから以後の例といたしましては、四十二年に新規と改訂の両方を受理しております。それから、四十五年は学習指導要領の改訂を伴っておりますので、新規検定のみを受理しておるのでございます。それから、その三年後の四十八年度には、先ほども勝又委員の御質疑にお答えいたしましたが、当時高等学校の学習指導要領の改訂がございまして、これに伴う新規検定が並行してございまして、非常にふくそうしておりましたので、これは教科書協会の方に対しまして文部省の方から要望いたしまして、協会の合意がございまして、その際は改定検定だけであったわけでございます。それから、五十一年度には新規検定と改訂検定のいずれも受理をしておる次第でございます。
 以上でございます。
#116
○佐藤昭夫君 いろいろ長い答弁をなさっていますけれども、とにかく私のお尋ねしているのは、学習指導要領が改訂されないままに、しかも新しい教科書を使い始めて一カ月もたたない間に全面改定というか、四分の一以上の教科書の広範な書きかえを要求をするような、そういういわば発議といいますか、教科書会社からのそういう文部省に対する提起、こういうことが非常に例が少ないということはもう明瞭なことなんです、振り返ってみれば。しかも、今回の教科書協会の方から出されておる提起、これは内外の批判にこたえて教科書を四分の一以上書きかえないととてもおさまらぬだろうというわけですけれども、この内外の批判ということですけれども、これは実際にいまの教科書を使って現場で教えている学校の先生や教えられている子供の父母、ここから出てきている批判ではありませんね、どうですか。
#117
○政府委員(三角哲生君) 教科書協会がどういうふうな動機あるいは意見を持ち、どういう見通しを持ってこういう要望を出してきたかということにつきましては、昨日は要望の趣旨だけを受け取っておりますので、改めて私ども当事者から聞いてみたい、こう思っておりますので、ただいまの御質疑のあたりは、その点も含めて聞いてみるつもりでございます。
 ただ、使い始めてすぐではないかという御指摘、これは先ほども勝又委員からもあったわけでございますけれども、教科書会社が文部省にこのような問い合わせと申しますか、要望をしてまいりましたのは五十九年に、したがいましてこの三年後に使う教科書であります。教科書の検定というのは採択の周期と合わせて三年ごとに行う、こういうことにしておりますので、五十九年の教科書は五十八年度に採択をして印刷をする、五十七年度に検討が行われる。したがいまして、教科書会社としてこれから編集をどういうぐあいに進めていくかということに取り組むのは、ことしこれからだんだんに入っていく、こういうことでございますので、そういう意味合いで、会社としては編集の進みぐあいによっては、場合によっては、その状況が四分の一を超えることも考えられる。その場合には新規検定という形で受け付けてほしい、こういう要望を言ってきたわけでございますので、やはり三年後に備えていまから本をつくる作業がぼつぼつ検討課題になってくる、こういうことでございます。
#118
○佐藤昭夫君 この教科書協会が申し出てきておる教科書書きかえの理由になっておる現行の教科書に対しての内外の批判があるというんだけれども、この批判というのは、いま言いましたように、実際に学校で教えている先生方から批判が出ているというわけではないと。それは財界とか、一部の団体や勢力、たとえば私も去年の十月に当委員会で、すでに自由民主党の機関紙に教科書問題の連載シリーズがずっとやられて、ずいぶんひどい宣伝が行われておるという問題を取り上げてきましたけれども、今期通常国会でも例年になく、この教科書問題でいろいろ事実を曲げた議論が行われてきたということも、皆さん方よく御存じのことだと思います。こういうことを理由にして、いまの教科書を使い始めてまだ一月もたたない間にこれの大幅な書きかえをやろうという形で発議をされてきているわけですけれども、もう一つ確かめておきたいんですが、新聞報道によりますと、申し入れを受けた文部省側――課長が立ち会ったというふうに新聞は報道していますけれども、連休明け早々にも文部省として態度を回答できるようにしたいという新聞報道になっているわけですけれども、先ほど当委員会の理事会でもこの点が議論になりました。なったんですけれども、与党の代表の方は、そんな簡単な問題じゃない、文部省はまだ態度は決めてないんだというふうに言われているんですけれども、文部省としては連休明け早々にもこの教科書協会の申し出に対して一定の回答をするのか、それとも今後、時間をかけて慎重に検討していくのか、どっちなんですか。
#119
○政府委員(三角哲生君) さきにも申しましたが、協会の方の関係者から今回のこの要望に関するいろいろな事項についての意見なり、あるいは個々の会社側が現在のところどういう状況の検討をやっておるのか。それから先の見通しなど、わかる範囲でできるだけ話を聞いてみたいと思っておりますが、それを聞いた上で本件に関してはやはり慎重に検討いたしたい、こう思っております。
#120
○佐藤昭夫君 慎重に検討していくというわけですね。
 さらに尋ねますけれども、文部省として現在使われておるこの教科書を四分の一以上、かなり大幅に書きかえをしなくちゃならぬ必要を感じている具体的項目はありますか。
#121
○政府委員(三角哲生君) これは教科書の検定制度でございますから、教科書を編集し、教科書を著述するのは会社ないしは会社の依頼を受けた著者でございますので、それらの方々がどういうふうにその個々の教科書について改良を図るかどうか、これはあくまでもそちらが主体性を持っていることでございます。
 それから四分の一というのは、これはちょっと先ほども技術的なことに若干わたって御説明したわけでございますけれども、たとえば一ページに一行いじっても、それは一ページにカウントする。そういうさわられたページ数が四分の一以上になれば新規検定の扱いをするという、これは従来から教科書会社側と私どもとの間の一つの取り決めと申しますか、慣行になっております。したがいまして、たとえば二百ページちょっとの教科書でございますと、そういう個所が五十ページ以内であれば改訂検定、こういうことでございまして、ですから、それがどのようになるかということは、恐らくどこの会社でもまだ決ってないだろうと思うのでございます。
 そういう趣旨で先ほど勝又委員にも申し上げたのでございますけれども、それが四分の一を超える可能性も考えられるから、その場合には受け付けてくれるかと、こういう一つの問い合わせというか要望なんでございまして、編集が進んだそのときの状況でそれはどうなるかが出てくるということでございますので、どこをどう直せとか、どこをどう直したらいいかということは、これはやはり著作者側が主体的に考えていただくことでございますので、私どもは、こういうところでそういうことを申し上げるのは、考え方によっては穏当でないと思いますので、差し控えたいと思っております。
#122
○佐藤昭夫君 教科書を実際につくる実務をやるのは、それは確かに教科書会社でしょう。しかし、現にいま使われておる教科書について、文部省がそれこそ慎重に責任を持って検定をやってきたはずですね。振り返ってみて、その検定について重要な手落ちがあった、誤りがあったというふうにいま思っている事項はありますか。
#123
○政府委員(三角哲生君) まさに先ほど佐藤委員がおっしゃいましたように、この四月から現在の中学校の教科書が使われておりまして、それは文部大臣の検定を経た教科書でございます。でございますから、これらの教科書は三年間は検定教科書として用いてよろしいものでございますから、会社がこのままでいこうと思えば、それはそれで私どもはそれを認める、こういうことでございます。あるいは部分的に改訂をしたいということがあるのならば、それも制度上できることでございます。
 ただ、先ほど来御説明申し上げておりますように、それが四分の一を超えた場合にどうするかということが、ただいま教科書協会の方から要望という形で出てきておりますので、これはさらにいろいろと話を聞いた上で判断をいたしてまいりたいと、こう思っておるんでございます。
#124
○佐藤昭夫君 文部省としては、いま使っている教科書については責任を持って検定をやってきたんだから、これについて大幅な書きかえをしなくちゃならぬ、手落ちがあった、誤りがあったというふうには口が裂けても言えないはずですわね。
 ところで、教科書会社の方から新たな発議が出てきたという、これについて四分の一以上の広い範囲にわたって書きかえをやらなくちゃならぬというふうに。普通であれば、こんな必要はなかろうという答えが当然出てしかるべきじゃないか。学習指導要領改訂の問題が日程に上っておるわけではないという。ここがどうしたって、午前中からの質疑を聞いておっても、いま私が質問をしても、納得のできない点ですよ。
 もう一つ尋ねますけれども、五十二年に教科書検定制度の運用についての改訂が行われた際に、改訂に当たっての建議の中で、三年サイクルの検定制度、これをめぐっていろいろ議論をされているわけですが、その中で学校における教材、教具や指導方法の研究成果を十分蓄積をしていく必要がある。そのためにこの三年サイクルというのをもっと延長をするという問題について検討する必要があるのじゃないかということが議論をされていますね。これが、単純に三年先の五十九年のことだからということで、それを形式的に文部省として教科書協会の発議を受けてやっていくとすれば、これこそ教材の蓄積、指導方法の蓄積、確立、こういう点から見て教育の一貫性、系統性、これが非常に揺らいでくるということ、この点に大きな不安が寄せられていると思うんです。
 ですから、これは単に私だけが言っているわけじゃない。きのう、きょうの各新聞の社説にもこういった問題が取り上げられておるところだと思うんですけれども、こうした点から考えてみて、文部省としては慎重に検討をしていくんだということでありますけれども、しかし当然この方向としては、学習指導要領の改訂がないままに四分の一を超えるような大幅な改定をやろうという提起、こういうものは応じられないということで態度を明確にすべきじゃないかというふうに思いますが、文部大臣、どうでしょうか。
#125
○国務大臣(田中龍夫君) 従来から教科書の問題につきまして再三申し上げておりましたのは、この教科書なるものは民間の出版会社の自主的なものでありまして、そこにはわれわれは介入しておらない。だから、民間のこの問題に対しての自由な見解に対して、という表現でいままで委員会で貫いてまいりましたそのことは、いまここにおいても同様でございます。
 でありますから、いわゆるその出版元と申しますか、の方から改訂の問題が出てまいりましたにつきまして、これはそれとして伺いおいたらいいのでありまして、それに対して文部省という一つの権力機構がいいとか悪いとか、出すのはどうのというふうな介入は、私はすべきじゃないんじゃないかと思うんです。いまの自由な意見として出版元から出てきましたその意見は意見として聞きおくという姿がいまの時点におきましては当然だろうと思うんでございます。
#126
○佐藤昭夫君 しかし、大臣、大臣は、民間の教科書会社が自由な、自主的な発意に基づいて教科書の書きかえをやろうという、こういう行動に対して、文部省としての介入はすべきじゃないと思っているというふうに言われますけれども、たとえば民間の教科書会社の教科書書きかえのその動きというのが、学習指導要領を逸脱してそれをやろうというような場合、あるいは憲法、教育基本法の理念に反してというか、教科書を通してたとえば戦争賛美のそういう方向へ子供たちを持っていこうというような、もしもそういう意図を持って書きかえがやられるというような場合、そういうような場合には、これは文部省として、それに対して、それは間違いだということできっぱりした態度をとるというのは当然のことですね。単に教科書会社の自発的な行為だから、それに対して介入するわけにはまいらぬという、そんな態度というのは、結果としてそういう間違った行為を文部省として容認、助長をするということになるんですから、その点はっきりしておいてもらう必要がある。
#127
○国務大臣(田中龍夫君) いまのお話は、大体先生のお話は前段と後段とちょっと意味が違うんじゃないか。と申しますのは、文部省の指導要領に対してその方針を逸脱するというようなことはあってはなりませんし、あるべきものではない。また、そういうことを言っているものでもないと、かように思います。
 それから、後段におっしゃいました、憲法違反でありますとかあるいは規則の違反行為について容認するかしないかというのは、私どもは出版会社の方から改訂をいたしたいと言うてまいっただけの現時点の判断でありまして、それに対しましては、そういうふうな逸脱した考え方はよも考えてはいないだろうと、かような次第でございます。
 何はともあれ、教科書というものは、われわれがりっぱな教科書を子供につくって残さなきゃならないというそういう気持ちでございますので、政争の具に供したり、あるいは中正を逸脱するようなことがあってはなりません。
#128
○佐藤昭夫君 文部大臣は、この教科書会社側のこの発意が、学習指導要領を逸脱してとか、憲法、教育基本法の理念を否定をして教科書の書きかえをやろうというふうな考えは毛頭持っていないはずだと信頼をするというわけでありますけれども、しかし現行の教科書に対して内外の批判もあり、したがってかなり大幅な書きかえをやらなくちゃならぬ場合が出るかもまいりませんよということで出てきているわけですから、この内外の批判というものの中に、いまの学習指導要領も改めるべきだ、あるいは憲法、教育基本法、こういうものも変えるべきだという論があることは事実ですね。ですから、そういう危険性があるということも事実だと、そういう意味からいって大臣はそんなことはゆめゆめないはずだとおっしゃるわけだけれども、文部省の基本態度としては、学習指要導領、これを変えていこうという、逸脱をしていこうというようなそういう教科書つくりかえの考え方、憲法、教育基本法の理念を曲げていこうという方向での教科書つくりかえの考え方、こういうものに対しては当然それは間違いだということできっぱり対処をしていきますという態度をどうしてもはっきりしてほしいというふうに思うんですが、その点はそれこそ当然のことだということで確認していいですね。
#129
○国務大臣(田中龍夫君) 仮定の上に立たれました推理に対しましては、私はお答えできません。出版元にいたしましても当然そんなことは考えてはおらないことであろうと存じます。
#130
○佐藤昭夫君 私が仮定の上でこの議論を立てておるというふうにお考えになるというのはもうまことに心外です。
 現に今回の通常国会の中でも、たとえば政府の側に憲法改悪のさまざまな策動があるんじゃないかということをめぐっていろんな議論がやられてきたということは事実でしょう。その風潮に沿ってのこの教育と教科書に対するいろんなあらぬ攻撃がいろいろと議論の中でも出されてきたということですけれども、この問題ばかりやっているわけにもいきませんので、ぜひそうした文部省の基本態度をはっきりした上で、教科書協会側からの間違った行動に対しては毅然として対処をしてもらうということを重ねて要求をして、あと残された問題はまた次回機会を見てこの教科書問題について議論をしていきたいと思います。
 法案の問題に入りますが、今回のこの法案に対して国民が抱いている大きな不安の一つに、放送大学がかなり広範な学生、これを対象にして全国一律の教育を行っていく場合、学説の公定化、国民の思想統一につながるんではないかというここの不安がいままでいろんな形で議論をされてきたと思うんです。これは戦前のNHKが天皇制の推進と侵略戦争遂行の思想動員の武器になってきたというこの苦い経験にも照らして、非常に国民が不安を抱いておるという問題だろうと思うんです。
 そこで質問ですけれども、今回のこの法案に示されておる放送大学、ここによって行われる教育が学説の公定化にならないような配慮を法文の上でどういうふうにしているのか、もう一遍説明をしていただきたいと思います。
#131
○政府委員(宮地貫一君) この放送大学は、従来の御審議でも何度か御質疑が出たわけでございますが、学校教育法上の大学、正規の大学と申しますとちょっと適切な言葉でないかもしれませんが、学校教育法上の大学として位置づけられているものでございます。
   〔委員長退席、理事大島友治君着席〕
したがいまして、学校教育法の大学にかかわる規定は、すべてこの放送大学についてももちろん適用があるわけでございます。そういう意味で、既存の国立大学――これは国公私立、いずれの大学についてももちろんでございますけれども、大学の自治なり学問の自由というものは大学においては保障をされているわけでございます。その一つの具体的なあらわれとして申せば、たとえば国立の大学でございますと、学長の任命はこれは文部大臣が行う仕組みになっておるわけでございます。しかしながら、文部大臣が学長を任命するに際しましても、もちろん手続といたしまして任命に当たっては学長の申し出に基づいて文部大臣が行うという仕組みになっております。今回の放送大学の場合で申し上げますと、理事長の申し出に基づいて大臣が行うという仕組みになっておるわけでございます。ところが、理事長が申し出るに当たりましては評議会の議に基づきということがかぶってくるわけでございまして、基本的にはそういう教学に関します人事については大学がみずから定めるという基本が確保されている。そういう点で申し上げれば、私どもこの放送大学が大学の自治を確保し、学問の自由を保障されている大学ということが明確に申せるんではないかと、かように考えております。
 御指摘の点は、放送という映像を通じて教育を行うというその点で、既存の大学と影響する範囲が大変違うんではないかという点を御指摘になっておられるかと思うんでございますけれども、もちろんこの放送大学は放送を通じて教育を行うということが基本でございまして、組み立てといたしましては、もちろん放送が教育の内容のほぼ三分の一、スクーリングが三分の一、それから印刷教材が三分の一という構成で考えておりますけれども、相当の部分を放送というものによって大学教育を行うということを組み立ての基本といたしております。その点は、ただいま申し上げましたような教学組織がみずから教官を選ぶというようなこと、また教学の責任者もみずから選んでいくという仕組み、それをこの法案では評議会という組織を法定いたしておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、基本の点はそういう点で確保されておるわけでございまして、御指摘のような教育の国家統制が行われるのではないかという御懸念で御質問があったわけでございますけれども、そこで行います教育そのものは大学教育そのものでございまして、その内容について国の立場でどうこう言えるものでないということはもとよりでございます。国立大学の授業内容についても、これは国立でございますけれども、もちろんその大学で行われます授業内容について、政府の方で申せることでないということと、その点では同様と考えております。
#132
○佐藤昭夫君 いろいろ言われますけれども、この現在の提案されておる放送大学というのが二重、三重の官僚統制の仕組みになっているということは否めない事実だと思うんです。たとえば、文部大臣任命の理事長が放送番組の編集権も持っている、同時に、理事の任命権も一手に握っている、いわば独任制とも言うべきシステムになっている。理事会という合議制は保障されておらないということはほかの方もるる言われておる点でありますし、評議会の議を経つつということであるにしても、その評議会自身が教授会を土台に民主的に選出をされたそういうシステムにはなっていないということは明瞭だと思うんですね。そこで、この法文の理屈の上だけの論争をやっておってもなかなか事が明らかになりませんが、そうした点で一つは、文部省がしきりに引き合いに出しますイギリスのオープンユニバーシティーですけれども、ここで昨年の十一月、M・ベンツ教授の核軍備縮小に関する講義の放送、これをBBCが拒否をしたという事件が起こっているわけです。御存じと思いますけれども、経過を、ごく要点報告をしてもらえますか。
#133
○政府委員(宮地貫一君) ただいま御指摘の事実については、実は具体的な事例につきましては承知をいたしていないわけでございますけれども、私ども聞いておりますところは、BBCが放送を拒否したという事例があるということについては聞いておるわけでございます。その点は先ほどもお尋ねがあってお答えをしたわけでございますけれども、まさに大学と放送局とが一体でないことから出てきております番組編成権と学問の自由との調整を要する問題が出た場合に、別個の組織であるということになると、ただいま御指摘のような点が出てまいるわけでございます。私どもといたしましては、その点が、先ほど来るる御説明をしておるわけでございますけれども、こういう特殊法人という形で、大学と放送局とをあわせ持つという形にいたしまして、密接な連携が維持をできるということを図っておるわけでございます。
 そこで、具体的な放送番組の制作に際しましては、もちろん大学の側においても放送の中立、公平という趣旨に十分留意をして、その点については大学みずからの自制ということが働くことによりまして、学問の自由なり教授の自由の本質を損うことなく対処できるものと、かように考えて、私どもとしては、設置形態については、先ほど来いろいろと御議論もございましたけれども、こういう特殊法人という形で御提案を申し上げておるという次第でございます。
   〔理事大島友治君退席、委員長着席〕
#134
○佐藤昭夫君 余り御研究になってないという感じがするんですけれども、私が申しましたこのベンツ教授の核軍備縮小に関する講義が拒否をされたという事例は、イギリスの教育関係新聞「エデュケーション」、一九八〇年のディセンバー十二日、それに載っておる記事ですけれども、そこでいきますと、このオープンユニバーシティー側は、大学側は学問の自由にかかわる重大問題としていろいろ議論をしたわけです。で、このベンツ教授というのは一九六九年以来この大学のスタッフですから、かなり経験の長い、ヨーロッパにおける核問題の研究センターの専門家である。で、このベンツ教授の学問上の業績は大きなものがあるわけですけれども、いわば彼が進歩的な学者、左翼的見解の持ち主だというところで彼の用意をした講義が、BBCの上層部、幹部に受け入れられないということになったんだというふうにこの「エデュケーション」という記事に報道をしているわけですね。で、このような事態というのがいま提案をされておるこの放送学園並びに放送大学、この関係において絶対に起こらないというふうに断言できるのか。いまもあなたは番組の放送権と片一方大学側の教学権、これが一体のものになっているから矛盾は起こらぬのですというふうに言うんですけども、私は矛盾が起こらないとすれば、それは結果として大学側の教学権がつぶされるという形において、泣き寝入りをさせられるという形においてそれが統一、調整をされていくということに結果としてなるんじゃないか。この法案を見る限り、大学の教学権が優位に立つという、そのことが保障されるような仕組みは法律上何にも明記されていませんね。たとえば、そういう大学の教字権が優位に立つという法律的な仕組み、この組織上、運営上の仕組み、あるいは異論放送、これが保障をされるような法律上の規定、こういうものは何もないという状況で、まあまあうまく統一、調整されていくんですというふうに言い切れるのか、この点はどうしても疑問が残らざるを得ないと思うんですが、どうですか。
#135
○政府委員(宮地貫一君) 具体の番組の作成に当たっては、たとえば大学関係者によります授業科目編成のためのコースチームというようなものがつくられまして、そこに放送関係者も加わって適切な放送教材の制作を両者の密接な連携、協力のもとに行うというような、実務的に申せばそういう仕組みで進められていくことになるわけでございます。もちろん、この放送大学学園の大学の教学の最高責任者としては学長がいるわけでございまして、問題はその学長と放送事業者としての最終的な代表者である理事長との関係がどうかというお話になるわけでございますけれども、実際の放送番組の実施に当たっては、具体的には、ただいま申しましたような両者の、実務的には放送関係者と教官スタッフとが一つのチームをつくりまして、それで番組を制作していくというような過程をたどって放送番組がつくられていくということになるわけでございますので、その点はBBCとオープンユニバーシティーで言えば、そこのところがそれぞれ別個の主体ということになっているわけでございまして、まさにその難点を解決するために、私どもとしては学校教育法の規定自体も改正いたしまして、特殊法人が大学をつくり得るという形を、従来の体系から申せば全くない――従来申せば、学校の設置者というのは国、地方公共団体、私学の場合の学校法人ということでございましたその中に、特殊法人が、この放送大学学園が学校をつくり得るという形を、既存の学校教育法上の体系の改正をお願いして大学の設置主体とするということに至りました大変基本的な理由の一つもそこにあるわけでございます。
 ただいま先生御指摘の、絶対にないと言い切れるのかというお尋ねでございますけれども、私どもとしては、そういう点の両者の調整というものを可能にして、この放送大学というものが広く国民から期待される大学になるようにこれから大学づくりをやっていくわけでございますけれども、そういう点については、もちろん教学の責任者が、それぞれ学長以下のスタッフがいるわけでございまして、大学の自治そのものについては十分確保されているものと、かように考えております。
#136
○佐藤昭夫君 いろいろ言われますけれども、私の疑問に対しての答えになっていないですね。
 たとえばこの法案でいきますと、大学側が教育上はこういうカリキュラムに基づいた放送をやる必要があるというふうに判断をしても、学園側というか、理事長はそんなものは必要がないというふうに判断をすれば、拒否をすることができる仕組みになっていますね。しかし、逆に言えば、理事長の方がどう言おうとも、教育的にはこれが大切ですというふうに大学側が判断をすれば、そのことが優位に立つという保障は一つもないんじゃないですか。それがあったら示してくださいということを私は質問で聞いているんだけれども、その答えがない。
#137
○政府委員(宮地貫一君) あるいはお尋ねが理事長と学長の職務分担がどうなっているのかというぐあいに御理解をしてお答えをすればよろしいかとも思うんでございますけれども、もちろん学園が学校の設置者といたしまして設置する学校を管理するということは、これは学校教育法から出てくる原則でございます。しかしながら、設置する学校が大学であるということから、教員の人事や具体的な教育研究内容等、本来大学の自治にかかわる事柄については放送大学がみずから行うということになるわけでございます。そうして、学園の業務として行われます大学の管理の中身といたしましては、主として大学の財務会計でございますとか施設の維持管理というような点が学園の業務を総理する理事長の職務、もう主としてそういう範囲において行われる。したがって、大学の教育の中身そのもの、それを実際の放送の番組としてどう出すかということ。それはむしろ言うなれば教育の機能そのものの中で行われるわけでございまして、具体的には先ほども申しましたような、その点は放送の関係者とカリキュラム編成の関係者との間でコースチームのようなものがつくられまして、実際に番組を映像として処理するとすればこういう観点が必要であろうかというような、通常のいわゆる講義の形で教授が講義することと、実際にテレビならテレビという映像を使って、その映像をどのように教育的に効果あらしめるかというようなことについては、もちろん放送の担当者の専門的な意見とか、そういうようなものが出てくることになろうかと思います。そしてまた、全体のカリキュラムの構成でございますとか、それが教育面から、どういう配列なり並べ方でいけば受講生にとって効果的であるかと、通常の単に教室での授業と異なる映像というものを使った講義のあり方というようなものが、おのずとそこに特色が出てくることになるわけでございまして、いずれにいたしましても、それはもちろん放送法上の制約というものがそこにあることは当然でございますけれども、大学の教育を行いかつそれを放送で番組をつくる、そのこと自身が一つの主体のもとで行われるということになるわけでございますので、そこについては私どもとしては十分調整が行われて教育が実施されるものと確信をいたしております。
#138
○佐藤昭夫君 確信をされるのは結構ですけれども、法案を見る限り、そこの仕組みが明確になっていないと、保障をされるようになっていないということを繰り返し言っているわけです。学園というか、理事長が権限を握っておる放送権と大学側の教学権との、そこの関係の問題について質問をしてきたわけですけれども、そのこととも関係をしながら大学自体の管理運営、学問の自由、一人一人の教員の思想の自由、これが保障されるような仕組みになっていないという問題を、前回も、またほかの方も、教授会がきちっと法定されていない問題とかかわっていろいろ意見が出ていると思うんです。
 当局の答弁は、教授会がどういうふうに機能するかという問題は大学側がお考えになる問題だろうと、当然学校教育法の精神を体して運営をされていくはずですと言われているんですが、そうであれば、なぜわざわざ評議会を法文の中に入れたのかと、それも大学側が自主的に判断をしていけばいい問題じゃないかという疑問が依然として残るわけですね。むしろ非常に危惧するのは、人事権が評議会に属して、そこのもとで少数の教員の代表によって教員全体の人事も含めて非常に偏った管理運営が行われていくんじゃないかという、この点が大きな不安を呼んでおるところの問題だと思う。
 まず聞くんですけれども、教授会は法文上明記をしないで評議会を法文上明記をしたその理由は何なんですか。逆に言えば、評議会を削ってしまって、かわりに教授会というのを法文の中へ入れたら大変困ったことが起こるんですか。
#139
○政府委員(宮地貫一君) 従来も何度か御説明を尽くしてきたわけでございますけれども、この放送大学の機能というものが既存の大学とは大変異なる形態をとると、そういう実際上出てきます教員組織の複雑性でございますとか、あるいは学習センターというような組織というようなものがもちろんつくられていく。これからも広がっていけばつくられていくわけでございまして、そういう点を踏まえまして、この法律自体に条文として評議会という規定を起こして、それはむしろ教官の人事というものを評議会の議にかかわらしめることによって、大学みずからの自主的な判断で教員組織というものをつくり出すということを法律上保障するという規定で設けたものでございます。それを学校教育法上の教授会にかかわらしめるように、教授会の規定だけで足りるではないかということでございますけれども、その点は放送大学というものの組織から考えて、私どもとしては教学組織の意見を正確に反映させるための機能としてやはり評議会というものを決定すべきであるという考え方に立って規定をいたしております。
 そこで、教授会そのものは、従来からも説明をしておりますけれども、この放送大学についても教授会というものが機能をすることは当然のことでございます。そして機能のあり方としては、大学みずからが実務的にそのことを御処理をなさるということが大学の自治にふさわしい事柄ではないかということは繰り返し御説明をしている点でございます。
#140
○佐藤昭夫君 この放送大学において評議会を設けるとしても二つのやり方があったんですね。
 一つは、この国立大学の評議会に関する暫定措置を定める規則、この例の規則を根拠に設置をする。たとえば北海道教育大学、これは学部としては教育学部だけということでありますが、五つの分校があって組織が非常に広範に散らばっていると、こういう状況のもとで、この大学の組織のそういう特殊性に基づいて評議会を設ける。全学的管理運営をやっていく組織として評議会というものを設けていくと。ただし、その場合といえども、各五つの分校それぞれに置かれる教員会議、ここが基本的な大学の自治組織であるという形で、この評議会というものをそういう大学の組織の特殊性に基づいて置いていく。
 いま一つは、今回の法案にあらわれていますように、筑波大学を、言うならば絶好の例とするかのごとくやり方で、しかもこの筑波大学における人事を預かっている人事委員会の権限も集中をする形でこの評議会というものを設けるというやり方になっているわけですけれども、これは先ほども言いましたように、教授会を土台にして、あるいは教授会ないしは教員会議、ここを基礎にして、運営のそういう特殊性に基づいてこの評議会を置くというやり方とは違うわけですね。で、権限が評議会に非常に集中をしていると。基本的自治組織としての教授会ないしは教員会議というものは、これは法律上は保障されていないというのとは大違いになっている。なぜあえてこういう筑波大学方式のこの形を採用したのか、もう一遍この点を説明してください。
#141
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、北海道教育大学、これは北海道教育大学自体の地理的な配置状況でございますとか、そういうことがございまして、単科の大学でございますけれども、道内五分校に分かれているというような事情を踏まえまして、大学自体でそれぞれ分校教官会議でございますとか代議員会、評議会というような組織をつくりまして大学としての運営を適切に行う形をとっておられるわけでございます。放送大学の場合には、これは特殊法人が設置する大学でございますので、教育公務員特例法がそのままに適用にならないというようなことがございまして、私どもとしては、御指摘の点がございますけれども、筑波大学の評議会の規定は国立学校設置法に基づいて書いてあるわけでございます。いわば特殊法人が設置する大学でございますから、この法律に必要最小限の事柄としてやはり教学面の大学の自主的判断というものを保障する仕組みというものを法律上確保する必要があろうという形で評議会の組織というものをつくったわけでございます。
 なお、御指摘では、筑波大学の場合でありますと、人事委員会の組織なり人事委員会が本来持つべき権限をこの評議会に持たしているではないかという御指摘でございますが、筑波大学の場合には、あそこは相当大きい、新しい組織で申しますと、学系、学群というような組織がございまして、単一学部の大学というようなものとは基本的に大変違うわけでございまして、したがって、人事委員会というようなそれぞれ学系、学群というようなところを代表する方々にお入りをいただくという仕組みというものがやはり必要であろうからああいう組織がつくられているかと思います。したがって、御指摘の点では、内部組織において、具体的な教育の実施面でございますとか学生の取り扱いに関します事柄について先ほどもお尋ねがございましたけれども、個々の学習センターにおいて受講生の教育面でのカリキュラムの組み方をどうするかとか、あるいは学習センター限りで具体的に決めるような事柄については、それぞれ学習センターの教官会議というようなもので具体の処理がなされることはこれは当然予想されるところでございます。そして、それらの組織が大学の本来果たすべき機能というものに従ってやられるということは、私どもとしては当然そのように考えておるわけでございまして、そういう教学面での処理について、たとえば御指摘の特殊法人の管理組織としての理事なりの方から教学面についていろんな対応がいくということは考えられないわけでございまして、それは学長が最高の責任者として処理をする仕事、職務権限に属する事柄と、かように考えております。
#142
○委員長(降矢敬義君) 佐藤君もう時間ですから。
#143
○佐藤昭夫君 あともう一問。
 いろいろ言われておりますけれども、別にこの筑波大学を模範としたわけではないというふうに、聞けば言われるかもしれませんけれども。しかし、現在いわゆる評議会方式という形で運営をしておるというのが筑波大学であることは事実ですね。この筑波大学のもとで、一体どういう教育の実態になっておるのか、そこをよく文部大臣としてもごらんを願う必要があると思います。
 たとえば昭和五十三年十二月の県会議員選挙で学生買収事件というのがこの筑波大学の学生をめぐって発生をしておる。この問題については国会でもいろいろ議論をされてきた経緯があるわけですけれども、百三十七名起訴猶予処分を受けておる、そのうち百五名の学生がこの体育学群である。この体育学群の学群長の選挙で、まあいわばこの事件の責任も問われてでありましょう、この二位になったその学群長……
#144
○委員長(降矢敬義君) 佐藤君簡単にお願いします。
#145
○佐藤昭夫君 これがその学長の選考によって一位ということで学群長に就任をしているという、こういう奇妙な姿が起こっておるという問題ですね。あるいはこれも国会で議論になっておりますけれども、五十五年度の推薦入学試験、これに当たって副学長と学部部長が不正工作をしたのではないかということで、学内の教授三名からの告発を受けている。こういう問題が起こっているということでありますし、あるいはこの四月から新しい学長となった福田信之氏、この人が例の「疑問だらけの中学教科書」、これの監修者だということで、これは大臣自身もかつて国会の当委員会の中で答弁をされていますけれども、あの本の中にはちょっといただけない部分があるというふうにも言われておる、そういうようなものの監修責任者になっておる。こういう学長が選ばれていくという、こういう姿からいって、本当にこの全教授、全教員の教授会、教員会議、ここの大学自治、ここを基礎にしない教授会方式による学校運営というものがどういうところに落ち込んでいくかという事例がはしなくもこういったことの例に出ていると思うんです。こうした点をどうか大臣としても、もう本日ちょっと時間超過いたしましたので、私終わりますけれども、こういった点をもう一遍よく検討してもらいたいということを要請して質問終わります。
#146
○小西博行君 きょうは放送大学法案にだけ焦点を合わせて質問をさせていただきます。
 放送大学法案は、衆議院、参議院あわせまして相当長い間の審議期間を経ております。そういう意味で、私は非常に端的に質問をまずさせていただきたいんですが、放送大学法案を通じて大臣からまずお伺いして、そして局長にお願いしたいと思いますが、利点、欠点といいますか、いままでの審議を通じて、放送大学をやればこういう面がよくてこういう面に多少問題があるんだと。欠点という言葉は多少問題があるとは思いますが、こういうことをもっと整備しなきゃいかぬ、そういうことで十分いままで審議しているわけでありますから、その辺の認識についていい答えをひとつお願いしたいと思います。
#147
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと今日まで御審議をいただきましたので、大体おわかりでございますが、放送を効果的に利用いたしました大学教育をいたそうというものでございまして、既存の大学に比べましては、高等学校新卒者のみではなく、社会人等が時間的な、あるいは空間的な制約を越えて大学教育を受ける機会があるようにしたいということ。かつまた、単位の互換というものを通じまして、大学教育の改善に資することが期待されておる利点でございます。
 なお、この法案の審議におきましても、充実した大学教育が行い得るか、あるいはまた既存の大学の協力が十分に得られるかといったような問題点が御指摘いただいておるところでございますが、これらの点につきましては放送大学関係者の工夫なり努力によりまして解決をし、また克服できる課題であると考えておるのでございます。そのために最大限の努力をしてまいりたいと。
 これは今後に残された問題でございますが、いろいろと利点もありまた欠点もあるとは申しながら、これだけラジオとかテレビとかというふうな近代的な社会環境におきまして、この教育の場にこれらの新しいものを十二分に活用できる可能性はある、またそうすることが、私は開かれた大学、また近代的な大学教育をする大きなよすがである、かようなことを考える次第でございます。
#148
○政府委員(宮地貫一君) ただいま大臣が御答弁を申し上げた点にほぼ尽きるわけでございますけれども、特に問題点として御指摘をいただいている点で、たとえばやはり既存の大学との協力関係でございますとか、あるいはスクーリングの確保に当たって、学習センターが、どれだけの受講生に対して立地条件がどこまで確保できるかとか、あるいは学習センターにおいても既存の国公私立大学の教官の御協力をいただかなければならぬけれども、その点が大変過重な負担になるんではないかとか、そういう御指摘をいただいている点が幾つかあるわけでございまして、それらの点につきましては、大臣も御答弁申しましたように、これから放送大学関係者がそういう問題点について具体的に解決を図りながら、ぜひとも開かれた大学としてのこの放送大学が、私どもとしては一日も早く実現を見、かつそれが広く国民に行き渡ることを一日も早く実現いたしたいと、かように念願いたしているものでございます。
#149
○小西博行君 大臣の答弁聞かしていただきますと、どうも当初法案が出た時点とそんなに変わっていないんじゃないかという感じが実はするんです。私はむしろ、この放送大学というのは新しい大学だから、いろんな放送網を使って、たとえば既存の大学に対して非常に大きなインパクトを与える、私はそういうところに実は大きな意義を感じているんですね。むしろ私は答弁としては実際は利点もこうあると、しかしいまからやらなきゃいかぬ問題は、これほど長い時間をかけて審議してきたわけでありますから、その程度のものはもう二十も三十も挙がっていいんではないかなと、私はそのように考えるんです。そういう意味で、ちょっと質問させていただきたいんですけれども、たとえば、これはもちろん特殊法人ということですから、最初はまず放送大学というものをつくらなきゃいけませんから、その準備機関としてまず一億円の文部省の投資でもって特殊法人をつくるということですね。最終的にはこれはどうなんでしょうか、一期計画だけでも構いませんが、
 一応これは収支が合わなきゃいかぬのでしょう。特殊法人としてちゃんと収支が合って、多少でも利益を上げると言ったら語弊があるかもしれませんが、そういう形になって、つまり独立採算的なものとして考えていいんでしょうか。
#150
○政府委員(宮地貫一君) もちろん受講生に受講料を負担していただくわけでございますけれども、前にも御質疑がございましたが、私立大学の通信教育の受講料とのバランスというようなことも念頭に置いて考えるわけでございます。
 第一期の計画で想定いたしておるところで申し上げますと、おおよそ受講料が運営費でございますから、設備投資と申しますか、設備費関係の経費は除きまして、年間の運営費に対しまして、私どもとしては四〇%程度を確保するということで運営費を算定いたしておるというのが現在の計画でございます。
#151
○小西博行君 当初の第一期計画というのは一万七千人ということでしたね。まず、一万七千人の学生数。それに年間の費用は、学費として大体通信大学並みということですから、六万から八万として、八万取ったといたしましても、大体十三億六千万ぐらいの売り上げと言ったらおかしいんですけれども、収入になりますね。それに対しまして、この放送大学学園設立経費試算というのがありますね。これはこの間いただきましたこの資料、これを見ますと、役職員の給与がこれ十八億八千五百万ですか。そうですね、こういうかっこうで出ておりますね。そしてこれは、経常的経費として四十六億五千五百万ですか、こういうふうに、非常に大きなお金になっておるんですね。どうも私の試算では、これは収支とんとんというところまでなかなかいかないような気がするんですが、どういうような計算になるんでしょうか。しかも、この間の日大の話ではスクーリングというのは非常に大切にしていると、夏休み一カ月をかけて大体三十万ぐらいかかると、そして八単位、こういう話も実は聞いたわけですね。そういたしますと、今回の場合も通信大学並みと言えば、たとえば日大の例を挙げますと八万円の年の費用といたしましても、それプラス自分の生活費といいますか、東京へ出てきてという条件があるわけですから、三十八万になるのか八万になるのかずいぶん金額的なものが違うんですね。その辺のところがどうも――私、こう一つ一つ細かいことは言いたくないんですけれども、言い出しますとどれもこれもひっかかってくるというのが実は現実でしてね、その辺を質問しながら非常に迷うわけなんですが、放送大学法案が通って大学の中でそれは審議しなさいと言われたら何も言えないんですけれども、その辺の見通しはある程度これは文部省の方で考えても悪くはないんではないか、こう思いながら質問さしていただいておるんですが、どうなんでしょうか。
#152
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の受講料という形で考えておりますのは、私ども一応想定といたしましては六万という形で考えております。通信教育の場合のスクーリングのために宿泊云々ということで相当――いま御指摘の点で言いますと三十万でございますか、そういうものを基礎には考えていないわけでございます。
 そこで、私どもがただいま想定をいたしております経費で申し上げますと、御指摘の経常的経費で約四十六億五千五百万という数字に対しまして、入学金なり授業料というものを想定いたしておりますのは約十六億二千八百万ということで、全体の経費に対する比率としては約三五%という点を想定いたしております。
#153
○小西博行君 これがさらに全国レベルということになりますと、これはもう私の方は途方もつかないんです、四十五万人というようなことになりますのでね。各地方によりましてはずいぶん費用も変わってくるでしょうし、それから先生の応援体制ということ、細かく言えば切りがないんですけれども、そういうものもあわせてこの間から私再三言っているけれども、アンケート調査みたいなものを――この間はカリキュラムということだけを中心にしてやったんですけれども、こういう費用ですね、大体年間勉強するためにはこの程度の費用がかかるという、こういうものを前提にしたアンケート調査をやっていただきたい。一点一点言ったら切りがないから申しませんけれども、たとえば費用ということは非常に大きなウエートを占めるんじゃないでしょうか、勉強しようという方々に。そういう点もあわせてぜひやっていただきたいと思いますが、やってもらえますかしら、そういう条件を入れた……。
#154
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のございます点は、私どもとしましてはこの法案が成立をいたしまして、具体に大学が発足をするということになりますれば、もちろんそういう対応をしなければならない事柄ではないかと、かように考えております。
#155
○小西博行君 次に移っていきます。
 まず、一期計画の場合は、私はそんなにこの問題を心配してないんですが、この地方大学の先生の応援体制ですね、これが私は学習センターということになると思いますが、その学習センター――私は広島だからよく広島を例にとるんですけれども、広島の中でたとえばこの学習センターをやる場合に、専任の先生が五名、それから非常勤が三十名、事務職員が六名、こういう形で運営していくということですね。で、いま広島の場合を考えますと、広島大学というのがもちろんございます。そして私立大学が六校ぐらいございます。そういう私立大学へほとんどの先生方が応援体制を組んでおります。私が行った大学も大体一日六時間ということで、これは一週間六時間ということなんですから、一日もう全部とっていただいて来ていただいております。いろんな専門的な分野に必要な先生が来てもらわなきゃいかぬわけですが、そういう専門の先生に、さらに週に一日ぐらい余分に来てほしいというような形に私はなるんではないかなという感じがしているんです。そのときに私立大学の方はもう応援は行けませんという、むしろ文部省の方から指示があった方へ先に行かなきゃいかぬ。そういうような不都合といいますか、これは私立大学から言えば不都合なんですが、そういう問題は起きないでしょうか。この辺の検討はなさっていらっしゃいますでしょうか。大阪、名古屋というのは大した問題じゃないと思います。むしろ九州であるとか、四国であるとか、あるいは広島であるとか――広島はまあわりあい大きい方だと思いますけれども、そういう感じがしているんですが、どうでしょう。
#156
○政府委員(宮地貫一君) 先生よく御承知の点で広島を御指摘いただいたわけでございますが、第一期計画で考えておりますのは、関東地域におきましてももちろん、あるいは関東地域の場合には比較的そういう応援体制の教官が得やすいんではないか、むしろ地方に広めていく場合にそういう応援体制が本当に組めるのかどうか、その辺が問題ではないかという御指摘のように承ったわけでございます。
 その点も、まず第一期の関東地域での実施体制といいますか、そういうものを踏まえて、その上で十分問題点というものを把握して、その上で、そこで把握されました問題点をどうすれば地方に広げていく際に解決できるのか、その点は具体的に広げていく際に第一期計画の経験というものを十分踏まえて対応をしなきゃならぬ課題だと、かように考えております。
 問題は、第一期でやる場合でも、そこらの点はどう考えているのかという点もあるいはお尋ねの点ではないかと思っておりますが、御指摘のように、放送大学へ協力するために従来国立大学の方から私立大学に応援体制をしておったものを、むしろ妨害になるというようなことがあってはならぬのは、これはもちろんだと思いますけれども、私どもとしては、既存の大学に御協力いただく点は、もちろん国立・私立大学等を含めまして既存の大学に御協力をいただくということで体制を組むわけでございまして、その点は具体的なカリキュラムなリスクーリングの組み方で、それでは三十名の非常勤の教官では実際上、何といいますか、負担からいって非常に無理があるんではないかという御指摘かと思いますけれども、私どもとしては一応理論的な計算はいたしております。実務上やりまして、個別の教官の状況から見まして、理論的に計算しただけの負担が実際上むずかしくて、その数をふやさなければ処理をし切れないという、そういう個々の具体的な事柄というものは、事実第一期をやってみましてもやっぱり実際問題としてはいろいろ出てくることはあろうかと思います。そういう実務的な処理というのは、これから実際に学習センターで、このスクーリングを計画し、実施していく段階での解決課題と、かように考えておりまして、学習センターでの教官の配置の一応理論的な積算の基礎というものは、もちろん私どもも計算をいたしておるわけでございますけれども、その点が実際に教職を経験されたお立場から非常に負担感が出てきては困るという点での御指摘だろうと思いますので、そういう点は十分今後の実際の仕事の処理に当たりまして念頭に置いて進めてさせていただきたいと、かように考えております。
#157
○小西博行君 参考までに、国立大学の場合は、これは私全国は知りませんけれども、広島あたりで聞きますと、大体週に三こまあるいは四こまぐらいの授業科目を担当しております。私どもが私立大学の場合は大体十こまぐらい持っておりましたから、むしろ私立大学の先生に応援体制を願うというのも、これ大変時間的に私は制約が出てくるんじゃないかと思います。
 もう一点、関連して御質問するんですが、たとえばこの間日大へ参りましたね。あの中にレポートの提出というのがございましたね。で、そのレポートを添削するという作業がございました。で、あれは二部ほど見していただきまして、あの子供さんは六十五点、まあ可で一応合格ということになると思います。ずいぶん丁寧に私は添削していたなというのを感じたわけですね。で、この添削の仕事というのは全部本部業務ですね。いわゆる学習センターじゃなくて、全部本部へ全国からのが来ますね。四十五万人の場合は、全国から四十五万人のレポートが一斉に提出されるということですね。たしかそうだと思います。ですから学習センター、つまり地方にある学習センターの場合は、いろいろ面接だとか、それから勉強の指導をするとか、あるいはこれから先のいわゆるゼミナールとか、そういうものをもしやる場合にはそのゼミナールを中心にやっていくとか、そういう問題になってくるんじゃないかと思うんです。そうすると、その添削という仕事が大体どの程度――これは田沢先生がよく御存じだと思いますけれども、どの程度の仕事量だというふうにお考えでしょうか、この添削業務。
#158
○政府委員(宮地貫一君) 具体の経験は、私は持ち合わせないわけでございますけれども、先般の日大の通信教育の現地調査に随行いたしまして実際に伺ったお仕事としては、なかなか大変な仕事ではないかというぐあいに私も想像をいたしております。
 御参考までに申し上げますと、現在放送教育開発センターの場合では、実験番組――二単位科目でございますけれども――について一科目当たり二回の通信指導というのを、これは択一式のマークシート方式で解答を提出させまして、これについて評価をし、コメントを付して返送するという方法で実施はいたしておるわけでございます。そういう場合の作業量というようなものも――もちろん実験的な段階でございますので、そういうことは現在放送教育開発センターでも実施をいたしておるわけでございますが、そういうことも参考にいたしながら、実際の個々の添削ということは非常にロードのある事柄でございますが、これは実験番組のただいまの場合でございますけれども、やはり受講生に対しますアンケート調査では、そういう通信指導が加わることによって大変学習理解が深まったということも言われているケースが多いわけでございまして、そういうもののロードがどのくらいになって、実際の運営上どういう実施方法が可能かということも大変具体的な御指摘でございますが、十分そういう点も検討さしていただきまして、具体的な実施というのはやはり大学自体で御処理をいただく事柄でございますけれども、検討課題としてはそういうような問題点もあることだと、こう私どもとしては認識をいたしております。
#159
○小西博行君 多分、そのコンピューターシステムをうまく使って、できるだけ簡単に添削できるといいますか、むしろ模範解答をぽんと印刷して、このとおりですというような形で返す場合は、非常にこれは私は簡単だと思います。しかし、この間の日大の通信教育のように、一字一句赤ペンキできれいに書いておりましたね。こういうものを私自身が書く場合は、少なくとも一点十分もかかるんじゃないかなあと、そういうふうに試算いたしますと、先ほどちょっと計算していたわけですが、一万七千人ですね、まずこの関東地域の一次計画。この場合に大体三千時間かかりますね。ですから、一人一日六時間働くといたしましても、大体五百人ですね。五百人パー・デー。つまり延べでいくと一人が五百日かかるということです。それほど仕事量としては大変な仕事量になるんだなあと。したがいまして、これは四十五万人構想でいきますと、七万五千時間ですね、この添削時間が。それほどこれは大変な添削時間。しかし私は、この添削というものが実は非常に大切な、放送大学の中心的な問題じゃないかと思うのです。何かコンピューターで非常に簡単な方法があります。穴あけ方式とかいろいろありますけれども、そういう簡単なもので、正誤表みたいなやつでぱんと渡してしまったのでは、これは大学にならないと。少なくともそういう一つ一つのレポートに対して細かく注意を与え、指導していくということが私は大切じゃないか、大きな仕事じゃないか、このように考えるのですが、この辺の御理解を十分されているでしょうか。
#160
○政府委員(宮地貫一君) ただいま先生の御試算の数字で御指摘あったわけでございますが、まあ一万七千名の場合で申しますと、選科履修生というようなものももちろん入っておるわけでございまして、添削指導がどの範囲の教科で行われることになるのか、それらの点も具体的に今後検討されなければならぬ課題でございます。
 教科の特性といいますか、そういうようなものに応じた学習なり、学習の指導形態というものがそれぞれあろうかと思います。したがって、機械的にすべてがそういう添削指導という事柄ということで必ずしもはじき出せない面もあろうかと思いますけれども、御指摘のように大変なロードを要する仕事だということは十分理解できるわけでございまして、その点はこれからの具体的な実務上の処理をするに当たりまして、十分対応をしていかなければならない課題と、かように考えております。
#161
○小西博行君 ですから、この一次計画一万七千人の場合、やっぱり少なくとも添削いうのは一カ月も二カ月もかかって送り返すということはあり得ないと思うのですね。どんなに遅くても十日以内には大体送り返してあげるということじゃないでしょうか。そうしますと、やっぱり五十人の人間が要るのですね、十日間ずっとつきっきりで。さっきの十分という計算です。だから、これ一分で非常に簡単にやってしまうということになれば、五人でできるということになるのですね。細かく計算してみるとそれほど大きな仕事があるんだということを私は申し上げたいんです。
 それからさらに、この間もゼミナールという話が、私の方からも出しましたのですけれども、こういうゼミナールは一体どうなのか。やるべきであるというお話は承っているのですけれども、必ずやるという返事は、局長の立場ではなかなかできないんだろうと思うのです。というのは、別に、いまの文部省という立場でございますから。しかし、ゼミナールとなれば、これはもっと大変な仕事になってくると。一回でオーケーじゃないですから、何回も突っ返してこういくということでしょうから。これはもちろん中央の方で、いわゆる本部でゼミナールをやるとしたらやっぱり行うんでしょうか、これはレポートの審査といいますか、これ全部本部でしょうから。ゼミナールも本部でチェックをするというお考えでしょうか、考え方でも結構です。
#162
○政府委員(宮地貫一君) まあゼミナールなりあるいは卒論のお話も前にあったかと思いますけれども、検討課題ということで御答弁申し上げておりますけれども、総合科目の履修をどう義務づけていくか、あるいは担当教員の指導のもとで演習をして卒論を考えていくと、卒論に準ずるレポートをつくるというようなことも考えられるわけでございまして、ゼミナール形式でどうやるかということになれば、具体のどの科目でどういうことでやることになるか、その点はちょっとお答え申し上げかねるわけでございますけれども、やはり基本は学習センターで行うということが基本になるのではないかと、かように考えます。
#163
○小西博行君 学習センターでゼミナールをやるわけですね、学習センターの方で。そうすると、レポートなんかのチェックというのも学習センターでやってもいいわけですね。
 同時に、さっきの話にちょっと返りますけれども、やや規模の大きい都市はいいんだけれども、今度逆に小さい町になればなるほどそういう先生方が集まらないということですね。そうしますと、むしろ中央から集めてそこへ専属で入ってもらうという体制を考えるべきなんでしょう、大学のない町も中にはありますから。むしろそういうところへ放送大学ということでメリット出そうとしているわけですからね。ですから、いまさっき申し上げた二つとも学習センターの方でやると、こういうふうに理解してよろしいんですね。
#164
○政府委員(宮地貫一君) その点は、従来の基本計画においてはブロック別の地方事務センターというようなもので通信指導の処理を行うというようなことが指摘をされておりますけれども、私ども第一期計画を具体に計画をいたしました際には、これは第一期計画が、関東地域で学習センターとしては六カ所ということになるわけでございまして、第一期計画では、ただいまの通信指導の処理というようなことについては本部で処理をするということで考えているわけでございます。
 ただ、さらにそれを広げていく際の具体的な処理の問題としてそれをどうするかはこれからの課題であろうかと思いますし、ただいまのところは、第一期計画では本部での処理が可能ではないかという考え方をとりておるわけでございます。
 今後の第一期計画以後の問題では、いろいろ御指摘のような点はなお実務上どう処理することが最も適切か、その点は検討課題として処理をしなければならぬ課題と、かように考えております。
#165
○小西博行君 ぜひこれは、いまの段階でやるのはちょっと筋違いだとおっしゃるかもわかりませんけど、できるだけ万全を期して、文部省の方でそういう細かい体制を、実際法案が通過したらこういうかっこうでやるんだというか、そういうものをちゃんとやっぱり腹案として持っていただきたいなと、こういう感じがするんです。そうしないと、一点一点突っ込んでいきますと全部そういうかっこうになりますので、どうも私としてはイメージがこうはっきりしてこないような感じがするものですから、ますます不安になってくるという部分があります。
 話を少し前へ進めてまいりたいと思います。実はこの間日大へ参りまして通信教育のいろんな資料あるいはデータをいただきました。先ほど高木先生の方から、あるいは勝又先生の方からもいろいろ質問があったんですが、もう一点は例の実験放送ですね、このデータ、このデータとずっと合わしてみますと、ずいぶん数字が違いますね。数字が違います。先ほど高木先生も言われましたが、通信大学というのはやや若い人、つまり大学へ行きたいんだけれども行けないから、とにかく何としても通信大学でも行きたい。そして、できれば転校するという人も中にはあると思いますね、二年から三年へ上がるときは一部の方へ転校したいと。だから全然性格が違うですね。この性格の違いというものを実はいろいろ御説明願いたいんですが、どうも通信大学の場合はやっぱり大学の資格を取りたい、したがって非常に若い人が多い。この実験放送のデータ見ますと、奥さん方とか一般会社員ということになっておりますね、そうですね。一般教養を高めたいということですね。今度の放送大学というのは、この両者の中間になるんですから、そのどちらをねらおうとされているんでしょうか。いままでの実験放送と同じなんだというふうにお考えなんでしょうか。私もイメージがちょっとはっきりしませんので、ちょっとお伺いしたいと思います。
#166
○政府委員(宮地貫一君) 放送教育開発センターでの実験番組は、これは何といいますか、放送そのものが大学教育そのものでないということもございまして、やはり大学卒業の資格を取りたいというような方々が本来志向しているとは必ずしも言えないということは、これは基本的に言えると思います。そういう点で、御指摘の実験番組の年齢構成のところが、先ほど高木先生の御質問もございましてお答えをしたわけでございますけれども、大変日大の通信教育の場合は年齢が低い方にパーセントが寄っておるわけでございますけれども、その点がむしろばらつきがあるという感じが実験番組の場合は言えるわけでございます。
 そこで、放送大学の場合には何をねらっているのかというお尋ねでございますけれども、その点は、従来からも申し上げておるような、正規の大学であり、かつ学部としては教養学部を設置して総合的な学問領域を対象とする学部ということで教育課程を編成する。具体的な授業のところについては、従来から御説明をしておりますようなこういう約二百四十科目という専門科目の開設の一覧でございますが、具体例を掲げておるわけでございます。したがって、実際に放送大学を開設いたしました場合に年齢的にどの層が実際に来るか、その点は今後の課題でございますが、従来の資料で申し上げれば、やはり年齢層は必ずしも日大の通信教育と同じように年齢の低い者に寄っているわけでは必ずしもないわけでございます。これは五十年の教育需要の予測調査の際に出しております資料でございますけれども、三十ないし四十代が五二%、十ないし二十代が三六%というような数字で先ほどお答えをしたわけでございます。でございますから、やはり放送大学で教養学部――もちろん大学卒業の資格を取る者も来るかと思いますけれども、やはり専科履修生とか科目履修生というような方々も相当にこの放送大学の受講生として来ることも予想されるということでございまして、その点では、あるいは御指摘の点は、放送大学では必ずしも大学卒業資格を取るということに志向していないんではないかということを御指摘になっておられるのかとも思いますけれども、年齢層から言えばそういうばらつきはございますが、やはり正規の大学としてもちろん百二十四単位の履修をすれば大学卒業としての資格が与えられるものと。そういう点では、従来の調査で申せば、非常に広く教養を求めるという国民全体のニーズと申しますか、そういうようなものに対応する形で開設をしておるわけでございます。専門の何らかの資格付与をもっと積極的に考えないといかぬのではないかという御指摘も前にいただいたことがあるわけでございますけれども、そういう点については、この教養学部としてのただいま計画しております事柄をまずは十分定着をさせて、それから後の課題ではないかと、かように考えております。
#167
○小西博行君 この実験講座の方を、こう見てみますと、「講義内容に対する理解度」という、こういう表がありますね。こういうような表があるわけですけれども、この表を見ますと、「英語」とか「哲学的人間学」、こういうのがあります。これはやっぱり理解度はもう極端に悪いというアンケートですね。あとの項目を見てみますと、非常に一般の奥さん方が聞いておもしろいというんでしょうか、興味を持ってこの放送を聞きたいという感じのするようなものは非常に多いんです。「教育と社会」あるいは「人間の歴史」とか「美術史・美術論」ですね。そういう意味では、こういうものは非常に理解度が高いわけですね。
 それに比べまして、今度のいわゆる放送大学は、これは専門の大学ですから、ドイツ語なんかはもちろん入っておりますし、私どもの専門の、いわゆる統計学とかなんかというのも相当入っておりますね。こうなってきますと、なかなかそうおもしろおかしくは放送の分野でやれないんではないかという感じを私、持っておるんですね。ですから、このデータそのものが、今度放送大学としてそのまま同じようなデータとして生かされるとはちょっと思わないんです。もっと非常に厳しいものになってくるんじゃないか、もっとむずかしい、理解しにくいものになってくるんではないか、もっと自分が勉強しなければ、いわゆる試験受けて、単位とっていくわけですから、そういう意味では、先ほどから申し上げておるように通信大学と、いわゆるこの放送大学と、どの辺のところを大学の性格として見ていくのか。私もこの間から再三言ってるんですが、学生の資質だとか、最終的には大学の評価になっていくと思うんですけれど、できるだけ大ぜいの人にそういうのを見てもらって、勉強してもらって、そして比較的楽に卒業させてあげて、そしてああ大学出たんだという、ある意味では、そのことが自分の人生にとって非常にプラスになる場合があるかもわかりません。そういうような方向で持っていくのか、あるいはもっと厳しくやって、いわゆる通信大学以上の厳しさでもって考えていくのか、この辺のところがどうもすっきりしないんです。ですから、もっといわゆる教育番組的に、上手にそれを放送することによって、それを見ることによってある程度理解できるというものを主眼に置けば、これは私はずいぶん学生もふえるんじゃないかという感じを持っておるんです。その辺の見通しが定かでないもんですから、再三質問さしていただいているんです。その辺はいかがですか。
#168
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の性格づけと申しますか、基本的には入りやすい大学であり、かつ十分大学卒業の資格が――百二十四単位の修得がなければ大学卒業としての資格は認定されないわけでございますので、そういう意味で申せば、比較的といいますか、入るのはやさしいがなかなか修得するのはむずかしいということになろうかと思います。
 ただ、それじゃ、いま御指摘のように、内容そのものがむずかしいだけでは、せっかくつくった大学も余り受講生が来ないというようなことでも困るんではないかという御心配で御質問をいただいているかと思うんでございますけれども、私どもとしては、考え方で申せば、大変レベルの高い、もちろん大学教育を授けるわけでございますから、そういう内容を持ったものを、こういう映像というようなものも使いまして、単に机の上の講義だけでは得られないような、そのためにテレビなり、ラジオなりそういう手段を使うわけでございまして、レベルの高いものをわかりやすい講義としてこの放送大学というものが定着していくようになれば、その点は十分に期待にこたえられるような中身のものができ上がっていくものと確信をいたしておるわけでございます。基本的な線で申せば、やはり開かれた大学であり、入るのは非常にやさしいと、しかし単位は十分修得して初めて大学卒業の資格が認定されるものということになるんではないかと思います。
#169
○小西博行君 ぜひそういう大学を考えていただきたいと思うんです。どなたでも勝手に出られるというんでは、どうも大学全体のイメージがずいぶんこう――現在でも落ちてると思うんです。そういう意味で、さらにそれに拍車をかけるようなことはひとつやめていただきたいというふうに思います。
 そこで、もっと端的に聞きたいんですが、もしこれ、一期計画でやられますね、やられて、最初はまあたくさん入ってくると思うんですね、ある意味で。ところが、一年もしないうちに学生数がぐうっと激減すると。たとえば一万一千人という
 一応の想定が、これもう五千人とか六千人というようなことになった場合には、もうこれはやめるんでしょうか。
#170
○政府委員(宮地貫一君) 私どもとしては、第一期の計画についても、ただいま想定しております学生数というのは、従来の調査の試算という点からすれば、非常に慎重な対応を要するということで、全体の規模から見ても、先ほども言いましたが、大体五分の一ぐらいのところにまでしぼって学生数というものを見込んで計画を立てておるわけでございます。直接の対比にはならないわけでございますけれども、放送教育開発センターにおいて実験番組を制作して放送いたしておりますけれども、その受講生の募集というのは、やはり現在のところ毎回募集人員に対して三ないし四倍ぐらいの応募があるというようなことからいたしましても、それは一つのデータでございますが、もちろんこの放送大学の学生の確保ということについては十分その見通しを持って対応していかなければならないし、現在の見通しというのは非常に慎重な、手がたいといいますか、相当かたい数字で私どもとしてははじいておるわけでございまして、この放送大学を私どもとしては成功をさせていくことに全力を挙げておるわけでございまして、御指摘のような事態というものはいまのところ想定をいたしておりませんけれども、その点はどうかというお尋ねについて言えば、衆議院の文教委員会の附帯決議におきましても、やっぱり制度の発足後、一定の時期を見て、教育の効果及び大学教育全般との関係等についても見直しを行うという、そういう考え方を持っているということはやはり必要なことではないかと、かように考えております。
#171
○小西博行君 大臣に、いまの質問なんですが、やっぱり収支というんですかね、特殊法人ですから、そうしないとやっぱり問題が残ると思うんです。もちろん、それは国鉄だって、あれほど赤字出しておるんですが、これはやっぱり前向きに検討して絶対に赤字にならないようにという努力はみんなされてるわけですね。しかし、結果的にああいう状態になってるわけでしょう。で、私は、この大学の問題でも同じような問題が出てきて、そしてなおかつ、何か方法がないかなと思いながら、ずうっとそのままくるということになるんではないかなあと、一番私はその辺を心配しておるんです。その辺は大臣はいかがですか。
#172
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと詳細にわたっての御質問を次から次に重ねておいでになって、私はこの前のスクーリングの先生の御質問の際にも、なるほどなと実は思ったのでありますが、きょうはまた、その後の、日大等を御見学になって、さらにきょうはまた非常に示唆に富んだお話をいただきました。
 で、いま御心配になっておられるような問題は、われわれもこう、おぼろげながら頭に感じながらも、先生のようにこう理詰めのようにずっと積み上げて時間帯から割り振ってお話しになりますと、非常に浮き彫りになって出てまいります。われわれもそういうふうなことを特に参考にさしていただいて、せっかくつくります以上はりっぱなものをつくっていかなきゃならないと。同時にまた、これからどういうふうなことになるか、予測の点はなかなかむずかしい。特に放送大学のあり方等々につきましては、やはり現場の御経験が先生のようにありますと、それをずっとフォローしておやりになっていただかなければならぬ。特に御注意になっていただきましたこういうふうな経営の問題やら収支の問題等につきましても、非常に私は参考になると存じます。十分にそういう点をさらに掘り下げて検討さしていただきまして、りっぱなものをつくってまいりたい、かように考えております。
#173
○小西博行君 えらいおほめにあずかったんですけれども、私はごく初歩的なことだと思いますし、何か一つの法人あるいは企業にしたってそうなんですけれども、もう最低の条件じゃないでしょうか。私がいままで言っていることは別に無理は言っていないと思うんです。どういう大学のイメージづくりなのかということをいつも聞いているわけです。そしてどのくらいの学生数が集まって、その大学の内容というのは一体何ですかと、そして卒業するときにはどの程度の価値を持って卒業されるのか、そういうことはもうごくあたりまえのことではないかというふうに私は思うんです。むしろそういうことは、文部省の内部でぴしっと煮詰めた腹案でもあって、現実には、それは放送大学法案が通過して、そしてまた理事の方が集まってやるのは、これはあたりまえだと思うんですけれどもね。少なくともその程度のことは、いま通信大学もあるわけですから幾らだってそういう資料は集めることができるんじゃないでしょうか。この間の見学も、局長さんも皆さん行っていただきました。そして、あれでびっくりするようじゃ、とてもじゃないけれども放送大学というのはできないと、私はむしろそういうことに逆に驚いているわけなんです。なぜそういう一つ一つの問題というのを煮詰めていかないんだろうかなと。これは恐らく自民党の皆さん方だってこれはおかしい、大変な問題だと思っておられると思うんですね。恐らくそうだと思います。私、だから特にこうやって申し上げているわけなんです。したがいまして、この間、私NHKへ行きましても、大変大ぜいの専門家のスタッフがいまして、そしてもちろんフィルムの出し入れなんか全部ロボットを使って、コンピューターで指示してフィルムを抜き出してトロッコで持ってくる、そしてリターンのボタンを押すと、もとへ返ってちゃんと整理されると。あれがもう何百とか何千という種類になりますと、それやらないとさっぱりこれ必要なときにとれないんですね。これはもう企業でもそういうことをやっているんです、在庫管理で。そういうようなことまで含めて、かなりの専門家が私は本部要員としては必要であると、その辺の見通しというのはどうなのかなと、これまた聞いても、これは大学法案通過してからということになるかもわかりませんけれども、ある程度の目ぼしい方々というものは腹案としてなければこれは出せないんじゃないかという気がするんですが、どうでしょうか。
#174
○国務大臣(田中龍夫君) たまたま私が余り無学でございまして、よく存じ上げなかったので、大変先生のあれに対して実は本当にありがたいと思ったりなんかしたんでありますが、もちろん、局長以下担当の、並びにセンターで十年以上もずっと訓練されました職員の諸君は十二分の、何と申しますか、自信を持って御提案をいたしておりますわけで、私が先生に対して大変に御厚意を感謝したから、以下私と同断で、みんな文部省の職員が一向に知らない、初めて承ったということでは決してないと、それだけはどうぞ訂正をいたしておきます。もう役所の者はみんな非常によく勉強いたしておりますから、その点どうぞ誤解ないようにお願いいたします。
#175
○小西博行君 私はこの文教委員に、初めて議員になってなりまして、科学技術と両方やっているわけですが、何か一つ情熱が欠けているような感じがしてならぬのですよ、本当に大臣。私はこれだけ大きな、まあ事業という言葉はまた悪いかもしれませんけれども、一千百億というような大金を使って国民の皆さん方のためにがんばるということで私はやっていると思うんですね。そういう意味では、もう万全を期して――国会の実は討論というのはそういう意味では文部省の方から言えばたやすいことじゃございませんでしょうか。むしろ内部でいろんな企画立案を推し進める、あるいは調査する、この辺が実は一番私は問題点になってくるんじゃないだろうかな、そういうことを実は審議しながら感じるものですから、いつも細かいことまで言うわけでして、そんなこと言わなくてもちゃんとできておるんだということであれば、あるいはこういう考え方なんだということで私自身が納得すれば、もともと放送大学ぶっつぶせなんという気持ちはさらさらないんですね。同じやるんだったら、どういう形ですかということを絶えず求めているんですけれどもね。それがぴしっと出てこぬものですから、これじゃまだまだだめなんだなというのが実は実感なんですよ。そういう意味で質問さしていただいておりますので、ぜひその辺のところをもうちょっと煮詰めてもらえぬでしょうか。衆議院からもあれだから当然調査室あたりもいろいろデータはあるんですけれども、この参議院でわずかな時間の中で、たとえば私がカリキュラムの編成は一体どうなるのと言っても、初めてそれは出たんじゃないでしょうか。一日三時間勉強すればいいという範囲も初めて出たんじゃないかと思うんですよ。そういう問題はもうすでにわかっておられるんですね。そうでしょう、百二十四単位ということでわかっておられるわけです。そういうものは仮にA、B、Cで組んだらこうなるのでなかなか大変なんです、しかしまあ勉強してもらいたいと、こういうふうな答えがあってもいいんじゃないか、私はそのように考えるんです。
 これから先もまたやらしていただきますから、いつもいつも最後で、皆さんも大変お疲れのような感じがして非常にやりづらいので、いつも少し時間を早くやめるんですけれども、ぜひその点を考えていただきまして、次の答弁にはある程度過去のいろんな情勢をもう十分把握した上でいい答えをひとつ返していただきたい。初期と同じような答えを、放送の利点と言ったらそれはもう生涯教育ですと、これよもうとっくにわかっているわけですから、もっと具体的に、もっと細かくぜひ答弁をお願いしたいということをお願いして、これで終わりたいと思います。
#176
○委員長(降矢敬義君) 本案に対する審査は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#177
○委員長(降矢敬義君) この際、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 放送大学学園法案について、逓信委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#179
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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