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1980/05/07 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第11号
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1980/05/07 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第11号

#1
第094回国会 文教委員会 第11号
昭和五十六年五月七日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月一日
    辞任         補欠選任
     永野 嚴雄君     浅野  拡君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬義君
    理 事
                大島 友治君
                世耕 政隆君
                勝又 武一君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                井上  裕君
                山東 昭子君
                内藤誉三郎君
                仲川 幸男君
                松浦  功君
                小野  明君
                粕谷 照美君
                本岡 昭次君
                柏原 ヤス君
                高木健太郎君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
   政府委員
       文部政務次官   石橋 一弥君
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省管理局長  吉田 壽雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○放送大学学園法案(第九十三回国会内閣提出、
 衆議院送付)(継続案件)
○昭和四十四年度以後における私立学校教職員共
 済組合からの年金の額の改定に関する法律等の
 一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 放送大学学園法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○小野明君 前回勝又委員から若干の質問があったと思いますが、私はその委員会に出ておりませんで内容がよくわかりませんので、教科書協会の申し入れ並びに改訂の問題につきまして若干疑義がありますので、最初に確かめてみたいと思います。
 教科書協会からの申し入れというのは四月二十七日に行われたわけですね。そこで、協会からの申し入れの内容というのはいかなるものであるのか、それは初中局長が直接受けられたんですか、いかがですか。
#4
○政府委員(三角哲生君) 教科書協会の会長から教科書検定課長が申し入れをお聞きしたわけでございます。私ではございません。
#5
○小野明君 ああそう。その内容はいかなるものだったんですか。
#6
○政府委員(三角哲生君) その内容と申しますのは、昭和五十九年度用の教科書についてのことでございまして、三年後の教科書でございますが、これを各教科書会社が、教科書の改訂ないしは検定というのは三年ごとでございますので、検討を行いましたところが、中学校社会科公民の教科書を発行している会社におきましては、今後の編集の状況によりましては改訂の施される個所のあるページが全体の四分の一を超える可能性も考えられる、したがいまして、その場合には新規検定として受け付けてほしい、こういう要望でございます。
 御承知と思いますが、教科書の検定規則の上で新規検定というのは新たに編集された図書について行う検定でございます。改訂検定というのは、検定を経た教科書の改善を図るために加えられた個々の改訂個所について行う検定、こういうふうに分かれておりますが、改訂の施される個所がページ数で四分の一以上にわたるページ数について施された場合は、扱いの上で新規検定という扱いになりますので、そのような点について会社側からの要望が寄せられた、こういうことでございます。
#7
○小野明君 五十六年度の教科書が使用され始めましてまだ一カ月余りしかたっていないわけですね。にもかかわらず、協会からこのような申し入れがされるということは、私はこれは異常だと、異常な協会の態度といいますか、このように受け取らざるを得ないのであります。
 そこで、そういう重大な申し入れに対しまして、その教科書協会の申し入れた内容、理由ですね、四分の一を超える新規検定を受けなければならないような改訂になるかもしれない、こういう理由あるいはその内容等について確かめられたのでしまうか、どうでしょうか。その理由はいかなるものでしょうか。
#8
○政府委員(三角哲生君) おっしゃいますように、中学校公民科の教科書、中学校の教科書は他の教科書も同様でございますけれども、新しい物はこの四月から使用されておるわけでございます。ただ、教科書の検定は採択の周期と合わせまして従来ともこれを三年ごとに行うということにしておりまして、制度上は、先ほど申し上げました新規検定と改訂検定の両方を三年ごとに行うという仕組みになっております。
 それで、三年後の教科書につきましては、三年前から編集に取りかかるという、どうしてもこれはそういう手順なり日取りがかかる作業でございますので、今回そういう教科書協会の中での検討が行われたと、こういうことでございます。
 もう一つの御質問の理由でございますが、これは私どもまだ詳しいことを聞いておりません。
 それから、果たしてその教科書の今後の編集のやり方によりまして四分の一どうしても超えるか、それとも四分の一以内でおさまるか、その辺のところは、これは私の推測でございますが、具体的に編集を進めてみなければ最終的な見通しがつけにくいことではないかというふうに思いますが、恐らく、もし四分の一を超えた場合にはどうするかということを編集にかかる前にはっきりわきまえておきたいという、そういう御希望でもあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、なるべく近い時期に教科書協会の関係者から、現時点でわかっております各関係会社の意見なり、あるいは見通しなりについては詳しく聞いてみたいと、こういうぐあいに思っております。
#9
○小野明君 全然私の質問にあなたは答えていないんですよ。それは、改訂には部分改訂――改訂検定、新規検定と二通りあるというのはこの検定規則に書いてあるんですよ。そんなことはもう百もわかっているわけですよ。なぜ指導要領の改訂もないのに、使用して一カ月余りであるにもかかわらず、四分の一を超える全面改訂になるかもしれないという予測が立つのか。とすれば、その理由、根拠なるものが教科書協会からはあなたの方に明示されなければならぬ。それほど重大な問題を初中局長が受けない、あなたが聞いていない、これに対応したのは検定課長である、これもやっぱり問題だと、私は思うんですよ。だから、なぜ新規検定になるかもしれないという予測が立つのか、その根拠、理由なるものをたださなければ、これはなれ合いとしか受け取れないじゃないですか。多分来るだろう、それではどうしますと、一応これは商売人と商売人の相談みたいなものになって、権威ある検定をやった文部省の態度としてはまことに私は解せない態度である。だから、全面改定になるとしたならば、この申し入れというのはきわめて重要である。で、局長が、なぜそれでは教科書協会の代表や皆さんを呼んで、どうして全面改定になるのかと。大体文部省は、あなたの方でやっておる検定を権威あるものと考えていないんですか、その辺が私には解せないんです。再度ひとつ答弁を願いたい。
#10
○政府委員(三角哲生君) 教科書につきましては、先ほど申し上げましたように、三年置きに検定の受け付けをしておるわけでございます。で、これにつきまして改訂なりあるいは新規の検定を申請するかしないかは、それぞれ会社の独自の判断でございます。でございますから、改定を必要としないという会社があればそれはそれでよろしいわけでございまして、現在の検定がそのまま生かされていくと申しますか、その教科書はあくまでも検定教科書として採択され、使用されてしかるべきものでございますが、教科書に対していろいろな期待や意見があるわけでございますから、会社が独自の自主的な判断で必要と思われる改訂を施そうと思えば、改訂を施して検定を申請してくるということは、これは会社の自由でございますので、そういう意味合いでの三年ごとの検定についての会社側の要望というものが寄せられたわけでございまして、私どもは別になれ合いでも何でもございませんので、先ほど申し上げましたように、これはそれぞれの都合もございますから、できるだけ早い機会に当事者からより詳しく事情なり見通しなりを聞いてみたい、その上で考えてみたい、こういうふうに思っておるのでございます。
#11
○小野明君 その最初のところで、全面改訂をすると言えば、それなりの理由、根拠というものが要るわけですね。これは局長わかりますか。あなたは、もう何か常識論ですり抜けようとしておるわけですよ。全面改訂をやろうとするには、それだけの根拠が要る。なければおかしい。指導要領が改定されれば、それは当然わかるわけです。それがないにもかかわらず全面改訂というには、それなりの根拠、理由が要るというのはこれは至極あたりまえの話ではないですか。
 近くあなたがその理由について再度教科書協会とお会いになるということですが、いまこの問題は、全面改訂あるいは部分改訂を国民のサイドから見れば、きわめて重大な問題として目に映っているわけですね。で、あなたはそれらの問題について教科書協会の代表に会い、その根拠、理由というものをお尋ねになるわけですね。いつそれはおやりになりますか。
#12
○政府委員(三角哲生君) 全面改訂という言葉が、私はちょっとミスリーディングな言葉であると思っておるんです。ただ、これは会社に聞いてみなければわかりませんけれども、果たして一ページからまるごと執筆し直して書き直す話なのか、それとも検定を受けた現在の教科書を部分的に改善の手を施すと、そして手の施された個所のあるページ数が全体の四分の一を超えるか超えないか、超えれば現在の仕組みでは新規検定と、こういうことでございまして、その辺のところもよく聞いてみたいと思います。
 あるいは、全部新たに書き直すという意味での全面改訂という字に相当することを考えておるところもあるかもしれませんし、そうではなくて、通常の改訂検定の方法でやっていったところが、たまたまページ数がオーバーをすることも予想されるので、その辺が心配で要望を寄せてきたという、そういう会社もあるかもしれませんが、その辺のところもあわせて、現在どの程度の見通しを持っておりますかについては聞いてみたいと思っておりますが、その時期については、私どもとしては、できれば来週中にはそういうことをやってみたい、こういうぐあいに思っておりますが、これはそれぞれ都合のあることでございますので、これは私どもの一つの予定でございます。
#13
○小野明君 全面改定というのは、これは通常用語ですわね。新規検定になるかもしれないと、この代表の言葉を重大に受けとめていないんですよ。まあなれ合いだから、あなたはわざと感度を鈍くしておるのかしらぬが、四分の一を超える新規検定になるかもしれないという重要な申し入れですよ、これは。あなたは来週中にもと、こういうお話ですが、教科書協会の代表という方に会うのではなくて、これは直接いま使用されておる教科書会社の代表と会うんでしょうね、その辺はいかがですか。
#14
○政府委員(三角哲生君) 私ども、やはりこれは教科書協会からの申し出でございますので、まずは教科書協会の方にいろいろ聞いてみまして、そしてなお必要があれば教科書協会を通じて、各会社が一体どのような考えであるのかはお聞きしたいと思っておりますが、それは状況によりましては、小野委員の御示唆のように直接個々の会社に聞くということも、これはできないわけでございませんけれども、やはりこれは協会を通してきておる話でございますので、そういういま申し上げましたようなやはり手順でやることではないかというふうに思っております。
#15
○小野明君 これはあなた、私の言うのは、御示唆のようにじゃないですよ。手順としては、会うことも、それはいいでしょう。しかし、直接発行している会社、現在七社ありますが、その会社が結局主導権というか、直接の責任者ですから、中学の社会科の教科書を発行している会社の代表と会わなきゃならぬでしょう。それは会うんですか、会わぬのですか、そこのところを聞いておるんです。
#16
○政府委員(三角哲生君) 先ほども申し上げましたように、教科書協会からのお話でございますので、教科書協会を通じていろいろ調べたいと思いますが、個別の会社から話を聞くという必要が生じてまいりますれば、そういうことも検討いたしたいと思います。
#17
○小野明君 これほど重大な問題であるのに、発行会社と会わない、検討してみたい、そういうあいまいな返事がありますか。そんなばかな態度ありませんよ。
 大臣、これはどうですか、教科書協会の代表と会いましても、この方は社会科教科書を出していない会社の人ですよ。当然文部省としては、全面改訂と、新規検定になるかもしれないという重大な問題であるのに、その当事者と会わない、会うことになるかもしれぬというようなあいまいな局長の態度は、これは許せないと私は思う。大臣、これはあなたは検定の最高責任者ですよね、発行当事者の代表と当然会って、なぜ新規検定になるのか、なるかもしれない、なるのか、それの根拠、理由、こういうものを明らかに私は問いただすべきであると、これが私は文部行政をあずかる者の態度でなければならぬ。大臣、私の言うことに無理がありましょうか。私の言うことは、これはむちゃでしょうかね、どうでしょうか。
#18
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたしますが、私は予算委員会の当時からずっと一貫して申しておりますことは、何とかしてりっぱないい教科書をつくりたいというだけでございます。
 この教科書なるものは、別に国定教科書ではございません。あくまでも民間の諸会社が自己の利益と採算によりまして教科書を発行しようということ、それに対しましてしかるべき執筆者にお願いをして、そして書いてもらう、そのもらったものが、われわれが文教政策の上から申しましてもりっぱな教科書でなけりゃならないということで、指導要領と申しますか、基準を定めておるわけでありまして、また調査官の方々も非常に御苦労をされまして、それについての意見を聞いたり、あるいはさらに誤字訂正やら諸般の手続をいたしておるだけでございます。でございますから、教科書を出版しておりまする各社の方々が意見を申してこられて、自分のつくった教科書であるけれども、諸般の情勢から改訂をいたしたいという要請があったのがいまの段階であろうと思うんでありまして、これは私はあくまでも民間の出版会社の自己の意思に従っての御発意でありますから、それを文部省の担当官がそういう申し出を聞いたという段階であると考えております。
 なお、この問題については今後これについていろんな経緯もございましょうと存じますが、いまの時点はそういうふうな、局長がお答え申し上げたような段階であると、かように考えております。
#19
○小野明君 大臣、これはもうあなたの答弁にはきわめて不満ですよ。教科書会社は営利会社であると、教科書は、その編集といいますか、つくっているのは民間会社であるから、つくるつくらぬというのは自由意思であると、だからいまの段階は申し入れを聞いたということであると。事の重大さをあなたは認識されていないですよ。中学の教科書は無償なんですよ。国費から出ておるんですよ、四百五十億か。そうでしょう。にもかかわらず、あなたは営利会社でおやりになることだからと、勝手におつくりになることだからいまの段階ではと、こういうふうに事を簡単に受けとめられ過ぎておる。これは故意にそういう態度をおとりになっているのかもわかりませんがね、全面改訂になるかもしれないという事の重大さを認識されておられないですよ。新規検定になるかもしれぬという事の重大さをひとつ認識をしてもらわなきゃいかぬ。そして全面改訂になるかもしれないというにはそれだけの理由、根拠、こういうものを国民の前に私は明らかにしなきゃならぬと思う。全面改訂になるかもしれぬとすれば、先ほどから私が申し上げておりますように、どこをどう書きかえるのか、その理由、根拠というものが必要である。これは当然でしょう。とすれば、発行各社にそれぞれ理由があることでしょうから、それが自分の責任を逃れるために教科書協会というような――これは私的な組織でしょう、私的な。何も法定のものでも何でもない。当事者から意見を聞くというのが、当然これは事の重大性からかんがみて文部省のとるべき態度なんではないでしょうか。大臣どうでしょうか。
#20
○国務大臣(田中龍夫君) 私は、ただいま申しましたように、予算委員会を通じましてずっと申してまいりましたことは、あくまでも出版会社の自主的な編さんに基づく教科書、それに対してりっぱな教科書をつくらなければならない。そのためには、あるいは誤字を直したり、あるいはまたいろんな客観情勢と合わなきゃならない点について修正いたしましたりすることは検定を通じましてございますけれども、自主的な教科書会社の出版である、それに対していわゆる国家的な権力的な制肘を加えないということが、これが法の精神でもございまするし、われわれは一貫してそういう態度を貫いてまいりました。たまたまいろんなことから教科書会社の方々が自主的に改めたいという御意思、その自主的に改めたいという御意思をまとめたのが私は協会だろうと思うんでありますけれども、やはり本質は自主的に各社が改めたいというお気持ち、それを協会を通じて申し出てこられた、こういう段階であろうと存じております。終始一貫私の方から申し上げますように、そこには役所が介入してどうこうというのではなく、その自主的な申し出に対しまして、われわれはそれを伺ったという段階でございます。今後さらにどういうふうな進展がありますか存じませんけれども、事の次第というものはさような内容でございます。
#21
○小野明君 大臣、あなたは教科書会社が自主的にと、こういうふうな教科書改訂をしたいと、こういうふうにおっしゃいましたね、自主的にと。それなら、自主的におやりになっているかどうかを発行している各七社の代表にお聞きになってはいかがですか、どうですか。
#22
○国務大臣(田中龍夫君) 私は、これは局長は担当者といたしまして違った見解を持っているかもしれません。その点だけはひとつあらかじめ御容赦願いますが、自主的に改めたいと申し出た、その改めたいという気持ちを起こしたゆえんは何だということを私の方からせんさくをし、事情聴取する段階では私はないと思っております。
#23
○小野明君 私は、その自主的に改めたいと言ってきた理由をせんさくしたいと、そのことを言ってるんではないんですよ。そう言われるならば、あなたは自主的と、こういうふうに言われますが、教科書会社が自主的に改訂をしたいなんということを思っている人は一人もおりませんよ。教科書会社自身の方で自主的に変えたいと、だから、こういう申し入れになったんだと、こういうふうに考えている国民は一人もいない。これは恐らく議員諸君も皆そうだろうと私は思う。大臣、あなたも思ってないんですよ。そんなばかなことを信用して聞く国民はいない。一連の最近の経緯から見ても、なぜ教科書会社がこういうふうな申し入れをするようになったか、この背景というものはもう余りにもはっきりし過ぎているわけです。それがあるから一連の最近の動きを見てもそれはわかる。決してこれは教科書会社が自主的に申し出たことじゃない、これははっきりしておるんですよ。それを大臣も、あなたもわかってとぼけたことを言っている、いいかげんなことを言っちゃいけませんよ。
 だから、私は一歩譲って全面改訂というのはきわめて重大な問題だから、その根拠、理由、内容、そういうものを国民の前に明らかにする必要がある。教科書は無償で、国民の税金で払っているんですから。ですから、いかなる理由、いかなる根拠によって新規検定になるやもしれぬという発言になったか、申し入れになったか、内容がなきゃそういうことにならぬはずですから、内容がなくてそういう申し入れになったとすれば、これこそ完全に政治的な圧力によって今回の申し入れになったとしか受けとれぬじゃないですか。内容がなきゃならぬ。内容は教科書協会代表ということではなくて、手続はそうでもいいかもしれぬが、いかなる内容について全面改訂になるかもしれない、そういう結論になったかを各社の代表に問いただすべきではないか、それが文部当局の当然のとるべき態度ではないのか、こう言っているんです。どうですか。
#24
○国務大臣(田中龍夫君) 私はそう思わないんです。やっぱり出版会社というものは営利会社でありまして、おのおの企業としての自己採算というものがあるわけでありますから、売れないような教科書をつくるはずもございませんし、またりっぱな教科書をつくるというわれわれの願望に対して、国民の総意にこたえていろんなりっぱな教科書を今日までもつくってきたと考えております。それがやはり申し出て、各社が改訂をしようというお気持ちになりましたということは、やはり国民の世論なり客観情勢の変化というものが、各出版社をして、それは改訂しなきゃならないんだなという良識を持つようになってまいった、これは国民的な背景をバックにいたしましたひとつの空気であろうと思うんでありますが、しかしそういうことで申し出てまいりましたことにつきましては――国定教科書ならば、それは文部省といたしまして真っ先にいろんな問題について容喙もし、いろいろの意見も述べますけれども、あくまでも自己責任におきまする出版でございますから、そういう点は、その模様を、いまの段階におきましては、まだよく見きわめなければならぬだろうと思うのでありまして、この点は局長の見解とは違うかも存じませんけれども、私はそういうふうに個人的に考えております。
 ただ、手続上の問題といたしまして、全面改訂か一部改訂かというのは、教科書の規定に基づきまして、三分の一か四分の一か、それを超える修正を要するかもしれないということを申してきたやに聞いておりますが、そうなりますと、いままでの行政実例として処理してまいったのは、四分の一を超えれば全面的に改訂をすることに相なるという二とになりますので、局長といたしましては、そういう意味において全面改訂、一部改訂、修正、こういうふうなことについての事務的な判断を申したと存じます。しかし、これはやってみなきゃわからぬ話でありまして、いまの教科書はりっぱな教科書でございますからそんな修正をする必要もない、場合によればわずかな訂正で事が済むかもわかりません。やってみなきゃわからない話でありまして、そういう点では、いまここで突き詰めて、四分の一を超えるから全面改訂だということを断定できないのが私は現状ではないかしら、かように考えております。
#25
○小野明君 売れる売れないという、営利会社みたいな発言ですが、そういう観点でこの教科書というものを私は見るべきではない。そして、いま大臣、四分の一を超えるか超えないかわからぬというような御発言がありましたが、これはいみじくも教科書協会の代表の、二、三日前ですか、新聞に出ましたが、それと全く同じですよ。大臣、あなたのおっしゃることと教科書協会の代表のおっしゃることと全く同じなんですよ。そうすると、ツーツーでおやりになっておるというふうにしか受け取れませんね。だから、ツーツーでおやりになっておる、なれ合いのサル芝居をおやりになっておる。国民サイドから見るわれわれから見れば、裏舞台全部筒抜けでもう見えているわけですよ。
 そこで、大臣にひとつお聞きをしますが、いま使われている教科書は、これは文部省の厳しい検定を通った教科書ですよね。修正意見あるいは改善意見、山ほど付せんをつけられた中で通ってきた教科書ですよ。それが一カ月もたたないうちにこれだけ全面改訂になるかもしれぬという申し出になったということについて、これは不思議だというふうにお考えになりませんか、もしツーツーでないとするならば。そして、その内容、改訂になるかもしれぬという根拠というものを聞いてみようと、調べてみると、そういう態度がどうしてとれないでしょうかね。これは私の言うことに無理がありますか。
#26
○国務大臣(田中龍夫君) 私が、いま四分の一か全面改訂かということについての発言をいたしましたのは、私は違いますが、局長の立場としては事務的にということを申して差し上げておったように存じますが、つまり私自身は、事務的なそういうことは、別に、新聞にも出ておりますものですから知っておりましても、また、局長から報告を聞きましても、それが改訂と言葉が同じだったからツーツー、なあなあだというようなことは、それはもう大変に思い過ごしでおられると申し上げなけりゃならぬと思うのであります。
 私自身は、じゃお前はどうかというならば、それはいまの時点におきまして私どもが一生懸命にりっぱな教科書をつくろうと思う努力、そのつくりましたものは、私はりっぱな教科書だと存じます、それは。しかし、いろんな世論の批判あるいは客観情勢の変化といったようなものもありますことも、これも事実でございます。それを否定なさるわけではないと存じます。そういうことから、改めたいと言うて会社の方で申し出た事実、これは事実でございます。しかし私は、そういうふうな営利会社であります出版会社が自己採算の上から申しまして改訂を申し出たこと、それは私が営利会社でそろばん勘定から言ってきたということについての、冗談じゃないぞと、教科書というものはそんなものじゃないとおっしゃっておられますこともよくわかります。それは、でき上がった教科書は権威のあるりっぱなものでございます。それは検定という制度を通じ、また指導要領という一つの基本的なものの考え方のもとにつくってございますから、できました教科書というものは権威のあるものでございますが、その権威のあるものをつくる過程におきます企業というものは、これはやっぱり営利会社でありまして、その点はつくっておるもの、あるいはでき上がったものと、それから会社の経済性、あるいはまた企業体としての内容、これはあくまでも、私は、営利会社であることには間違いない。そういうことでございますから、一つの問題としてお考えにならないで、会社はどういう会社か、それは民間の企業であり、また営利行為を追求する会社である。しかし、でき上がったその教科書、これは国民の、われわれの大事な大事な青少年の教科書に使いますものでありますから、りっぱな権威のある教科書をつくっていかなきゃならない。それからまた、現在の時点におきます教科書、これはわれわれの努力の結晶でございますから、いまのあります教科書も、これはりっぱなものだと考えます。しかし、それに対しましてのいろんな世論の批判がある、これも事実でございます。そこで、今度は、教科書会社といたしましては、そういうことから改訂をいたしたいという申し出が出ておる、これも事実でございます。そういうふうな段階を追うて考えてまいります場合、文部省といたしましては、なお慎重にこの問題については考えていかなきゃならない、かように考えておる次第でございます。
#27
○小野明君 これは、余りこういう議論をしておってもしょうがありませんが、局長、そこで、四分の一を超える新規検定になるかもしれない、こういう申し入れがあった以上は、その理由、根拠、内容、そういうものを十分あなたは問いただす気持ちがあるのですかないんですか、それを聞きたい。
#28
○政府委員(三角哲生君) 先ほど来の御指摘でございますが、今回の申し出というのは、やってみた上での可能性があり得るということで、その場合、どういうぐあいに受けとめてくれるか、こういう一種の瀬踏みみたいな話でございますので、先ほど来おっしゃっておられますその根拠、理由、内容等、これはどんな見通しでいるのかはある程度聞いてみたいと思いますが、そういうものを突き詰めたとこは、やはり実際に編集を進めて、その過程によって決まってくることでもございますし、それからその事柄そのものは、それこそまさに検定に付される事項でございますので、やはり私どもにはある程度限界があると思います。余り立ち入ってそういうことを事前にチェックをするということは検定制度の公正な進め方の上で問題が生じないとも言えない、こういうことも考えるわけでございますので、慎重に事情を聞いて慎重に検討したい。ただ、御指摘がございましたが、やはり協会という法人の中で当事者が話し合って話を持ってきておりますから、協会にまず聞きますけれども、それは、先ほども申し上げましたように、必要があれば私どもは会社に接触をすることももちろんやぶさかではございません。ただ、あくまで、まずは協会の方から事情を聞いてみたい、こういうことでございます。
 なお、制度の仕組みの上では、これは、先ほどもちょっと申し上げたんでございますが、三年ごとに検定をやるということになっておりまして、その検定は新規検定、改訂検定のいずれも、これは制度の上ではあり得ることでございますので、仮に、こういう協会とか何とかでなくて、特定の会社が新規検定を持ってきた場合に、ぎりぎり知った法律論としてこれを拒否できるかどうかということは、私どもはその辺は消極的に解しておりますし、それから理論的には、新たな会社が新規検定を持ってくるということも、これはいまの現実の問題としてではございませんけれども、あり得るわけでございますので、三年ごとの検定というのは、これは、結果的に各会社が改訂検定しか持ってこなかったという年はございますけれども、制度面では新規検定、改訂検定両方に道を開いておるのが現行の制度の仕組みでございます。
#29
○小野明君 制度上はよくわかっているのです。何回も言うように、書いてあるんですから、ここに。それはあなた、三回も四回も、ここでお説教をしてもらわなくてもわかっている。ただ、この教科書会社が申し入れたのは、あなたは瀬踏みというふうにとられておるが、瀬踏みじゃないですよ、これは。やっぱりそれだけの内容を持って私は文部省に話に来た、こう思うんですよ、ね、そうでしょう。だから、通常であれば、これは部分改訂、改訂検定で終わるものである。しかし、今回は新規検定になるかもしれない。こういうものをただ単に瀬踏みとしか受け取らない、そこに私はなれ合いがあると言うんですよ。だから、文部省がやった検定というものは権威があり自信があるというものでなければならぬ、そういうことであるならば、新規検定ということに言及されるならばその内容はあり得る、瀬踏みというふうに簡単に受け取られては困ると私は思う。あなたは、本心はそうは受けとめていないと思うんだ。そう受け取るようなら初中局長の資格はないよ。そういう者はすぐやめてもらわなきゃいかぬ。ただ単に、瀬踏みというものじゃないと思う。瀬踏み程度であるというふうに受け取るなら、大臣、こういう局長はだめだ、首切りなさい。だから、それにはそれだけの理由があるんだろうから、そこをきちんとお聞きになりますかと先ほどから私は丁寧に、懇切にお聞きをしているんですよ。局長、ぴしっと答えてください。
#30
○政府委員(三角哲生君) 瀬踏みという言葉が不適切であるとすれば訂正いたしますが、会社側はいまの日程としては、編集の作業に、これから取りかかると、こういう段階でございまして、そしてその編集をやった上でいろいろ内容とかなんとかが出てくる、こういうことでございます。したがいまして、その編集が進んだ段階で、改訂検定では間に合わなくなった場合に新規検定の取り扱いをしてくれるかどうかということを聞いてきているといいますか、その場合には受けとめてほしいという要望を出してきている、こういうことでございます。でございますから、現段階でどのような見通しを持っておるかということは、それは聞いてみたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、具体的にはその内容等につきましては、これはこれからの作業でございますので、各会社でどの程度押さえておるかということは、これは聞いて見た上でのことでなければわかりません。
 それから、その点について余り突っ込んだやりとりということは、これはでき上がったものについて検定の際にやる事柄にもつながってまいりますので、私どもとしては、やはりそこは会社と文部省との間にはどの程度の突っ込んだやりとりをこういう事前の、編集以前の段階でやれるかどうかということについては、かなりこれは慎重に考えて対応していかなければいけない、こういうふうに思っておるわけでございます。
#31
○小野明君 一応、やっと渋々ながら少しはやりましょうかというような答弁ですよね。
 しかし局長、教科書会社が言ってくる以上は、これはきちっとした内容を持っているんですよ。ですから、通常の場合ならばあなたの言うとおりだけれども、異常としかこの事態を私は受け取っていないんです。異常なんです。だから、あなたがいままでおやりになった、文部省がやった検定というものについて自信を持ち、誇りを持っているんですかどうですか。それを聞きたい。
#32
○政府委員(三角哲生君) 私どもは、正規の検定の手続を進めた教科書でございますから、それにつきまして会社が改訂を施さなくてもそれは会社の自主的な考え方でございますし、それから、あくまでもやはり教科書というものは、これは常に完全であるとは言い切れないものでございますから、先ほど来大臣も申されましたようないろいろな事情で、会社がこれをまた改訂をしたい、あるいは書き改めたい、これもまた会社側の自主的な判断でやってしかるべきことでございますので、私どもとしては、そこのところはそういう幅を持って考えておりますので、現在の教科書は教科書でそれで結構でございます。それについてその当該発行者がどう考えるかは、全くこれは発行者の自主的な判断でございます。
#33
○小野明君 来週、教科書協会とお会いになるわけですね。
#34
○政府委員(三角哲生君) 都合がつけばぜひそういうぐあいにしたいと思っております。
#35
○小野明君 それでは、来週お会いになって、しかる後にまたこの文教委員会で継続してこの問題はお尋ねをしたいと思います。私が申し上げた点を、なぜ新規検定になるのか、その内容、根拠というものを教科書会社から明確にひとつ聞いておいてくださいよ、いいですか局長。
#36
○政府委員(三角哲生君) 私どもの判断に必要な、会社側と申しますか、協会側の相談と申しますか、そういうことについての状況を必要な限りにおいて聞いてみたいと思いますが、その上で慎重に検討したいと思っております。
#37
○小野明君 これで終わりたいと思っていたんですが、その上で慎重に検討をしたいと、この言葉がついたんですが、慎重に検討するというのは何を検討するわけですか。
#38
○政府委員(三角哲生君) 法律的にぎりぎりした話は先ほど申し上げたようなことでございますけれども、今回の申し出についての――申し出てございますから、私どもとしてはこれに御返事しなければなりませんので、どういう御返事をし、その御返事に対して、協会なり教科書会社側なりが、それでしかるべく自主的な教科書の改訂なり改善なりの作業がスムーズに進められるかどうか、そういうこともよく見きわめつつ検討をしてみたいと、こういうことでございます。
#39
○小野明君 それでは、きょうの主題であります放送大学学園の問題が時間がなくなりますので、そちらの方に質問を移しますが、三角局長、私がいままで長い時間をかけてお尋ねをした点は、しかとひとつ協会に尋ねておいてもらいたいと思います。よろしいですか。
#40
○政府委員(三角哲生君) 先ほどもお答えしましたようなことで、会社側の現在の時点での考えなりあるいは見通しなりをどこまで持っておられるか、その辺は聞いてみたいと思いますけれども、小野委員がお考えになっているその理由、根拠、内容、それの一々について委員の御満足いくようなところまで会社側が、まだ編集の前の段階でございますし、どの程度の報告が得られるかはこれは会って聞いてみないとわかりませんし、それから先ほども申し上げましたので繰り返しになりますが、内容について余りに編集の前の段階から立ち入ってこちらが聞くということ自体がやはり教科書編集の自主性というもののかかわりも出ますので、そこのところは私どもも慎重に対応してまいりたいと、こういうふうに思っております。
#41
○小野明君 私が申し上げた点は、あなたは聞くんですか聞かないんですか、教科書協会に。
#42
○政府委員(三角哲生君) いろいろなことをとにかく聞いてみたいと思っております。
#43
○小野明君 私があなたにここの委員会で、正式の委員会で要求したことを聞くんですか、聞かぬのですか。いろいろなことをなんてごまかしたようなことを言っちゃいけませんよ、あなた。
#44
○政府委員(三角哲生君) 小野委員の御指摘の点も当然含めまして、今回のこういう申し出のもとになった考え方あるいは現時点での見通し、これについて聞いてみたいと思っております。
#45
○小野明君 初めからそう言えばいい。
 非常に事は重大だと思いますから、十分教科書会社のそういう根拠をひとつただして、向こうは瀬踏みじゃないと私は思っています。あなたもそう思っているに違いないから。非常に国民の関心のある問題ですから、ひとつ言葉だけではなくて慎重に対処をする。私どももこの委員会で十分ひとつ今後の文部省のとっていく態度については問いただしてまいりたいと、こう思います。
 放送大学学園法案の問題ですが、これいろいろ聞こうと思いましたが、時間がなくなりましたが、一番問題になりますのは、やはり私はこれは管理運営というところにあるように思います。もちろん大学というものと放送というもの、これが両立するかというところにも問題がありますけれどもね。
 そこで、これは大学局長にお尋ねをいたしますが、衆議院で昭和五十三年の十二月二十一日に、放送教育に関する小委員長報告ですか、これが出されておりますね。これが出されて、しかる後にこの放送大学学園法案というものが提案をされたわけですね。この小委員長報告の中に大体問題点が、私はこれ出てしまっているように思うんです。この小委員長報告について、このウエートについてどのようにお考えであるのか、まず伺ってみたいと思います。
#46
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、衆議院の文教委員会におきまして、放送教育に関する小委員会の報告が五十三年十二月二十一日においてなされております。基本的な点はそこに指摘をされておりまして、私ども法案作成に当たりましても、その報告の線に沿いまして御提案を申し上げておるつもりでございます。
 それで、基本的な点で申し上げますと、まず放送大学の設置形態の問題でございますが、放送大学が放送局を開設する場合に、方式としては国立大学方式、私立大学方式ということも考えられるけれども、それぞれ、たとえば国立大学方式で申しますと、その大学が放送局を開設するという場合に、放送が国営放送ということになって、現行の放送法制上困難な問題があると。それから私立大学方式も考えられるわけでございますが、学校法人が私立の放送大学を設置し、放送局を開設する場合ということになるわけでございますけれども、放送大学の特殊性に基づきます国の関与のあり方と私立大学の自主性との調和において困難な問題があるということが指摘をされております。そこで、特殊法人方式で、新しい形態の特殊法人が放送大学を設置し、放送局を開設するという場合が考えられるわけでございまして、この方式によれば放送法制上の難点は解決されるということが言われているわけでございます。そして、この特殊法人方式をとる場合には、特殊法人の組織及び大学の管理運営のあり方について、大学の自治が尊重されるように事前に十分な措置を講ずることが必要であるということが指摘をされているわけでございます。
 私どもといたしましては、この報告に盛られておりますような考え方に沿いまして、今回特殊法人の放送大学学園法案ということで御提案を申し上げておるわけでございまして、この特殊法人が大学を設置し、放送局を持つという形で放送大学というものを考えていきたいと、かように考えておるわけでございます。
 そこで、ただいま申しましたように、その小委員会報告にも述べられているわけでございますが、大学の自治が尊重されるように十分な措置を講ずることが必要であるということにつきまして、この法案においても従来御説明もしておりますけれども、大学の自治が保障される具体的な中身として、大学の学長、教授等の選任というものが大学の自主的な判断に基づいてなされるということが大事なわけでございます。また、その意味において、この放送大学の教員の人事についても、一般の大学と同様に大学の自主性というものが尊重されなければいけないわけでございまして、そういう観点から、この法案においても放送大学の学長、教員の任命方法については学園の一般の職員とは区別をいたしまして、国立大学の教員にかかわる教育公務員特例法の例にならいましたような特別の規定をそれぞれこの学園法案にも設けて、放送大学の学長、教員の人事について大学の自主性が尊重されるように法律上明記をしておるわけでございます。したがいまして、この法案作成に当たりましては、御指摘の小委員会報告の趣旨を受けまして、私どもとしても作業を進めてきたということが言えるかと思います。
#47
○小野明君 私がお聞きをしていないことまでいろいろ御答弁になりましたが、私がお尋ねをしたかったのは、この小委員会報告なるものは十分に尊重しているんですかと、この点をお聞きしたがった。それはいまの御答弁で踏まえているという御答弁がございました。特に特殊法人方式をとる場合といま局長も御説明になりましたが、そこに「大学の自治が尊重されるよう事前に十分な措置を講ずることが必要であります。」と、こういうふうに書いてありますね。三つの形式が書いてあって、こういう特殊法人の形式をとる場合には、事前に十分な大学の自治の確保が必要だと。「事前に」と書いてありますが、この「事前に」という意味はどういうことでしょうか。どういうふうに解釈なさっていますか。
#48
○政府委員(宮地貫一君) 「事前に」という言葉についての解釈のお尋ねでございますが、この放送大学学園法案の仕組みというのが、特殊法人を設置するための法案として御提案を申し上げておるわけでございます。そして、仕組みから申しますと、この特殊法人が文部大臣に認可申請をいたしまして放送大学というものが設置されることになるわけでございます。したがって、放送大学そのものの設置は、これからのこの法案が成立して後の手続を経まして、認可申請が出て、文部大臣から認可がおりまして、初めて放送大学というものが成立を見ることになるわけでございます。そういうことになるわけでございますが、この小委員会報告の言われている点を私なりに解釈をすれば、大学そのものはこれからつくられるわけだけれども、そのつくられるに当たって、大学の自治が尊重されるような形を確保するのはこの放送大学学園法案そのもので確保するということが必要であろうと。その一つの形として、先ほど御説明したような点をこの法案において規定をしておるということが、大学をつくる前に事前に措置をする事柄の一つであろうと、かように私は理解をいたしております。
#49
○小野明君 そうすると局長は、放送大学学園ができる、これから放送大学ができる。そうすると、この放送大学学園ができて大学ができる、この大学をつくるときに大学の自治を確保すればよろしいと、こういう解釈ですか。そうじゃないんじゃないですか、この言っている小委員長報告は。「大学の自治が尊重されるよう事前に十分な措置」とありますから、これは放送大学学園も、あるいは大学も含めて大学の自治が確保できるように十分に事前の措置を講じられよと。いわばこの法律案ができる前に、それらを含めて大学の自治が確保できるようにと、このように解釈するのがあたりまえではないかと私は思います。しかし、もう法律案ができてしまっておるんですが、この大学の自治が確保されるように事前に十分な措置が講じられていると局長はお考えでしょうか。
#50
○政府委員(宮地貫一君) いまも御説明をいたしたわけでございますけれども、この放送大学学園法案、これは特殊法人を設置する法案でございますけれども、その法案におきまして、学園が設置する大学の教学組織について大学みずからが定めるという基本的な姿勢をそれぞれ学園法案の中の条文で規定をしているという仕組みになっているわけでございます。
 放送大学はこれからつくられるわけでございますけれども、その放送大学についての大学の自治の確保というものについて、この学園法案にそれぞれ必要な条文を規定しているという点では私ども十分に大学の自治が尊重されるような仕組みになっているものと、かように理解をいたしております。
#51
○小野明君 私は大変局長と見解を異にする。これは大学の自治を十分確保するためにと、確保せよと。ところがこの特殊法人を見ますと、この放送大学学園という特殊法人は、大学を持つ特殊法人としての配慮というものが全然ありませんね。一般の特殊法人と同じ形式を踏んでいますね。文部省の外郭団体、いろいろ特殊法人がありますが、何ら一般の特殊法人と変わっていない。特に自治が尊重されなければならぬ、学問の研究、自由が保障されなければならぬ大学を持つ特殊法人としては一片の工夫もない。安易であり、非常に何といいますか、無為無策というか、故意か――これは故意であろうと思いますけれども、特にそういう読み方しかできないですね。大学を持つ特殊法人としては、この特殊法人としてとった形式というのは私はいま少し工夫をすべきではないか。というのは、特殊法人と大学とむしろ一本のものにすべきではなかったかと、こういう気さえするんでありますが、なぜ一般の特殊法人と同様の形式をとったんですか。
#52
○政府委員(宮地貫一君) 特殊法人というのは、それぞれの特別法に基づいて法人格を与えられているものと理解をしているわけでございまして、御指摘の点は、一般の特殊法人とそこの点が違わないではないかというのは、あるいは理事長の任命というようなところについて一般の特殊法人と違わないという点を指しておられるかと存ずるわけでございますけれども、私ども先ほども申しましたように、この特殊法人が大学と放送局を設置する、あわせ持つという形で放送法制上の問題点を解消して、放送によって教育を行うという放送大学を設置する形を御提案を申し上げておるわけでございますが、従来の文部省所管の特殊法人につきましても、こういう特殊法人そのものが学校を持っているというような形のものはないわけでございまして、問題は、その特殊法人が、提案申し上げておりますこの放送大学学園法案で申しますと放送大学を設置することになるわけでございまして、その放送大学が大学の自治を持ち、学問の自由というものを保障されることは、これはもう正規の大学である以上当然のことでございます。
 そして、そのことをそれぞれ条文の形でこの学園法案の上でどういう点が規定されているかという点で申し上げますと、具体的な条文で言いますと、放送大学の組織等につきまして第二十一条以下が規定をいたしておるわけでございますけれども、たとえば学長の任命でございますが、「学長は、理事長の申出に基づいて、文部大臣が任命する。」ということになっておりまして、これは第二十一条の二項でございます。そして、同じく第二十一条の第六項で、第二項の申し出は「評議会の議に基づいて行われなければならない。」ということを法定してあるわけでございます。また、同じく第二十一条の五項でございますけれども、「教員は、学長の申出に基づいて、理事長が任命する。」ということになっておりますが、その学長が、さらに同じく六項で、学長がその申し出をするに当たりましては「評議会の議に基づいて行われなければならない。」というような規定を新しく起こしておるわけでございます。これは教学組織については、もちろん学長が教学面については責任者であることは当然でございまして、その教学組織についてそれぞれ、たとえば学長の任命は文部大臣が行うわけでございますけれども、理事長の申し出に基づいて行う……
#53
○小野明君 それは後で順番に聞きますから。
#54
○政府委員(宮地貫一君) というような点がこの特殊法人ではございますが、大学を設置するという形においては特別の規定をそれぞれ規定しているところでございます。
#55
○小野明君 あなたは御自分に都合のいいところだけ先に言われておるようだけれども、順番に私が尋ねていきます、時間の許す限り。
 まず理事長ですが、私は、これは文部大臣、理事長の垂直形式による管理大学になる、こういうふうに見ているわけですよ。このままいけば筑波大学以上のものにしかなり得ない。筑波大学と同様のものになると、こう見ている。こういう一般と同じ特殊法人をつくったのは、この理事長の任命がまず問題点にあると思うんですが、これは文部大臣が任命する。理事長ずばりそのもの、そのまま書いてありますね。第十条は「理事長及び監事は、文部大臣が任命する。」とずばり書いてある。そうですね。そうして、理事長の職務内容というものが書いてあるんですが、これは、私は教育基本法に基づいて教育は中立でなければならぬと、こういうことが規制をされていることは御承知のとおりですが、その辺からこれは順次尋ねていきますが、この理事長を任命するに当たってどういう手続を踏まれますか。ずばりそのまま白紙委任ですか、これは。白紙委任をして文部大臣がずばり指名をすると、これだけですか。事前の手続はないんですか。
#56
○政府委員(宮地貫一君) 理事長の任命に当たりましては、もちろん大臣において、大臣が任命をされるわけでございますけれども、適任者を得るように、広く関係者の意見を徴しながら人選を行うということは、実際上はそういう留意は十分行われるべきものと、かように考えておるわけでございます。ただ問題は、法文に規定するかどうかの問題でございますけれども、その点については立法技術上、法文にそれを規定するという点はなかなか困難な点がございます。まず意見を徴すべき団体、徴さない団体の区分をどのような基準で行うかとか、あるいは実態上の判断としてどの団体から意見を聞くかというようなことは、事柄に応じまして判断をしなければならないという点が出てまいります。さらに、これも正規の大学でございますから、大学に関するいろいろな団体、これは国立、公立、私立それぞれあるわけでございますし、また私立の大学につきましても幾つかの団体というものがございます。そういうような事柄もございまして、私どもといたしましては、その点は文部大臣の責任において実際上弾力的に対応するということで、法文には規定をしていないわけでございますが……
#57
○小野明君 はい、わかった、それでいい。一つずつ聞いておるんだから。
 立法技術上云々というお話がございました。そこで大臣、あなたが白紙委任を受けているわけですね、この法律によって理事長任命。
 大臣にこれはお尋ねをしたいと思うんですが、大臣は自由民主党の党員ですよね。間違いないですね。いかがですか。
#58
○国務大臣(田中龍夫君) 私は自由民主党の党員でございますが、政府の職責を果たす上におきましては、至公至平、本当の白紙で万事を処理いたしております。
#59
○小野明君 自由民主党の党員である文部大臣が大臣としては、何ですかいまおっしゃったのは――至公至平……
#60
○国務大臣(田中龍夫君) 白紙でやっております。
#61
○小野明君 これが教育基本法にのっとって教育の中立性を守り得るかどうかと、これは疑点なしとしない。これは、鈴木内閣は自民党内閣ですから、その内閣の施策に沿って教育政策もおやりになるわけですから。その辺の議論はまあ別といたしまして、立法技術上云々というお話がございましたが、理事長任命に当たっていろんなところの意見を聞いてと、こういうふうにいま局長は答弁なさったんですが、どういうところの意見を聞くわけですか。これは大臣でもどちらでもよろしいです。
#62
○政府委員(宮地貫一君) 具体的に申し上げますと、たとえば従来この放送大学……
#63
○小野明君 たとえばではいかぬわけだ、どうすると。
#64
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学につきましては、大臣の私的な諮問機関と申しますか、放送大学に関する懇談会というものを設けておりまして、それぞれ大学の学長でございますとかそういう方々にお集まりをいただいて、従来とも全体の進め方などについていろいろ御意見を伺いながら進めてきておるわけでございます。そのような大学関係者を初めといたしまして、放送大学にふさわしいような学識経験のある方々の御意見を徴するということが考えられるわけでございます。
#65
○小野明君 大学の学長といいましても、それは国立大学もあれば、国大協もあれば、公立の大学もある、あるいは私大協というものもあります。特に法人である私大の組織は理事の合議制なるものを持っておりますね、理事は合議制である。ところが、この大学は理事長を補佐すると、ぴしっと合議制ではないんです、理事長を補佐するという職務内容を規制されておる。だから、私的な諮問機関と言うと、なお私はおかしいと思う。どういうところに諮問をするのか、そうしてこの理事長を任命しようとするのか。たとえばでなくて、それをぴしっと特定をしてもらいたい。
#66
○政府委員(宮地貫一君) ただいまお尋ねの趣旨は、理事長は文部大臣が任命するという規定になっておるわけでございまして、任命に当たってどういう関係の者から意見を徴するのかというお尋ねでございましたので、先ほど御答弁申し上げましたような放送大学に関する学識経験者の意見を徴するということで具体的に申し上げたわけでございます。
 なお、先ほど申しました放送大学に関する懇談会というのは、もうすでに五十二年当時から、それぞれ構成メンバーはそのときでかわることもありますけれども、その都度懇談会を開きまして、従来から放送教育開発センターを初めとして、この法案の予算の計上でございますとか、あるいは法案の提案とそれから国会の審議状況というようなことについても随時お集まりをいただきまして状況を御説明をいたし、またそれぞれ関係の方々に御意見も伺っておるわけでございまして、放送大学について従来かかわっておる方々で申しますと、具体的にはそういうものが考えられるわけでございます。御指摘のように、私立大学についてはいろいろな団体もあるわけでございますし、また、ただいま御指摘の点は、理事会というような形でないという点が御指摘がございましたが、これは放送大学学園そのものの中の組織の問題についてのお尋ねかと思うわけでございますけれども、この放送大学学園法案では合議制の理事会は法律上置く機関にはいたしておりません。その点は前にもお尋ねがあったわけでございますけれども、大学の自主的な活動を保障するという観点から、大学と設置者でございます法人との関係というものについては、大学の自主性と申しますか、大学の自主的な活動をなるだけ保障するという考え方に立っておりまして、仮に合議制の理事会を設けて学長も――学長は法律上、当然理事になっておるわけでございますけれども、理事会が最高の意思決定機関として教学にかかわる事項を審議決定するというようなことになると、学長がその決定に責任を負い、拘束をされるというようなこともございますので、むしろ大学の、特に教学面に関する運営につきましては学長が最終的に責任をとる形で、大学の自主的な活動にむしろ制約的に機能するおそれがある理事会組織というものは法律上は規定をしないという形にしたわけでございます。
#67
○小野明君 いや、私はあなたにそこは尋ねていないんですよ。じゃ、理事長と理事、この二つにいきますが、理事は文部大臣の認可を受けて理事長が任命すると。いま理事長はどうして――法文上はあらわれていないが、実態上は大臣の私的な諮問機関と、こういうふうに言われている。そうすると、これまだ明確でないんです。そうすると、これは特定ができないんですね。それならそれで、はっきり言ってもらったらいい、白紙委任、これはね。大臣がこれと思えばこれと、自由勝手にできるわけです。これはそういう最高の権限を持つわけですよ、理事長というのはね。だから、これをやはり特定できるような諮問機関、あなたは名前をずっと言わないけれども、この理事長、理事――理事に下がって、理事は文部大臣の認可を受けて理事長が任命と、こう書いてある。これも文部大臣と理事長の権限である。理事長と理事はいかなる実体的な手続を踏んで任命するのかと、そこまで質問をひとつ広げてみます。それをひとつ答えてもらいたい。
#68
○政府委員(宮地貫一君) 理事長につきましては先ほど御説明をしたとおりでございますが……
#69
○小野明君 それがよくわからぬ、いいかげんなものだから。
#70
○政府委員(宮地貫一君) 文部大臣が適任者を得るように広く関係者の意見も徴しながら任命を
#71
○小野明君 だから、その関係者とは何かと。
#72
○政府委員(宮地貫一君) 人選を行うということになるわけでございます。
 具体的に関係者を特定すべきではないかというお尋ねでございますが、放送大学そのものがこれから全く新しい形の大学としてつくられるものでございます。したがって、従来文部省といたしましても、いろいろ学識経験者にお集まりをいただいて御相談をしてきておる経過はあるわけでございますけれども、そういう従来からの学識経験者の御意見を徴しながら適任者を得るように考えていくというぐあいに御説明を申し上げる次第でございます。
 それから、理事は理事長が任命をするわけでございますけれども、それは文部大臣の認可を受けて任命をするわけでございます。役員の任命の仕方として、理事をも含めましてすべて文部大臣が任命するというやり方もあり得るわけでございますけれども、なるだけ法人そのものが、理事長が任命をするという形で、全体の、何といいますか、法人の執行機関としての一体性を確保するというようなこともございまして、理事長が文部大臣の認可を受けて任命するという仕組みに、理事の任命についてはそういう形をとっているわけでございます。これは、通例の特殊法人の任命の仕方については、そういう規定の仕方になっているものが通例あるわけでございまして、その形に従っておるわけでございます。もちろん理事長が理事を任命するに当たりましても、これはただいま申しましたような全体の放送大学というものについての学識経験のある方々の御意見等も徴しながら適任者を得るという考え方で臨むことになるわけでございますが、理事は学長を含めまして四人以内ということになっておりまして、それぞれ役割り分担から申しますと、学長であります理事が大体学務なり教務の方を責任者として負うわけでございますし、ほかにこの法人の特性といいますか、特徴から申し上げますと、放送を行いますので、放送に関する事項について分担をする者、それとあとは通例の特殊法人で考えられる総務を担当する者、あるいは財務を担当する者……
#73
○小野明君 局長、尋ねておる問題だけ、ひとつ答えておらいたい。
#74
○政府委員(宮地貫一君) というような分担で考えられるわけでございます。
#75
○小野明君 そうすると、理事長は、あなたが幾らそこで言を弄しても、これは大臣に白紙一任と、こういう形としかとれませんわね、これは。大臣は、これについて見解を承りたいんだけれども、これは後ほどでも仕方がない。そうすると理事長は理事を選任するに当たって大臣の認可を受けなければいかぬ、理事長はいかなる実体的な手続を踏んで理事を選任していきますか。
#76
○政府委員(宮地貫一君) 理事長の場合も、ただいま申しましたような理事の役割り分担に応じまして適任者を得るということで、それぞれ関係方面の意見を徴しながら任命をするということになるわけでございます。
#77
○小野明君 そうすると、理事長は文部大臣に白紙一任されておる。その白紙一任された文部大臣が、私的懇談会か、自由民主党の党員である田中文部大臣の恣意によって理事長を任命する、そうするとその任命された理事長は、また恣意によって何らの実体的な手続なしに理事を選任し、これは大臣はもう言わぬでもすぐ認可できるわ、ツーカーだからね。しかも、その理事というのは学校法人と違って合議制でない。これは「理事長を補佐して」と、こういうことになる。
 私は、役員の解任のところがあるんだが、十三条に、「職務上の義務違反」というのがあります。これは理事が理事長を補佐しなかった場合にも該当するんではないか。そうすると、もちろんそういうことをするような理事を選ぶわけはないけれども、ここには「理事長を補佐して」と、通常の学校法人と違う合議制でない規定の仕方をしておるわけですね。結局、理事長も白紙一任、文部大臣の思いどおり、それを通して理事も文部大臣と理事長の思いどおりの最高機関、こういうことになるんですね、これは。理事選任の手続という実体的な手続は何もない。いかがですか。
#78
○政府委員(宮地貫一君) 理事の選任については先ほど御説明したとおりでございまして、職務上の義務違反があるときは役員の解任規定があるわけでございまして、御指摘のように理事については理事長の定めるところによりまして、理事長を補佐して学園の業務を処理するということが職務内容になるわけでございます。そうして、義務に違反する場合とか、あるいは職務命令に違反することが「職務上の義務違反」に該当する場合は、解任の規定が働くということはあり得るわけでございます。
 もちろん、その条文の第三項にございますように、理事長が理事を解任しようとするときはもちろん文部大臣の認可も受けなければならないという規定がございますので、いわば恣意的にと申しますか、そういうことによりまして解任が行われるということはあり得ないわけでございますが、規定といたしましては、そういうただいま申し上げましたような規定の仕組みということになっております。
#79
○小野明君 理事長は理事を任命する場合も、これは実態上の手続としては学識経験者――あなたの方の都合のいい人の意見を聞いて、それを学識経験者と称して理事を任命する、こういうことになりますね。
#80
○政府委員(宮地貫一君) 実際上の任命に当たりまして広く学識経験者の意見を徴するということは、実際上はもちろん考えられる事柄でございますが、規定としては、先ほど来御説明しておりますような規定でございます。
#81
○小野明君 これは最初に聞きましたように、事前に十分な大学の自治が保障される措置を講じなきゃならぬと、こういうようにありますが、大臣、大学の自治というものが大学の生命、理事長、理事の任命まで、いままでこう尋ねてきたんですが、全部あなたの思いどおりになっている、田中文部大臣株式会社になっているんだな、これは。大臣、これはどうですか。あなたはどういう実態上の手続をもって理事長や理事を任命されますか。大臣、どうですか。
#82
○国務大臣(田中龍夫君) この放送大学の学園法というのは、大学をつくるための一つの経営体としての機構でございまして、大学の場合におきましては、学園がつくった大学のその自治につきましては、十二分にこれはりっぱな自治体制をつくらなきゃならないと、かような次第でございます。
 それから、文部大臣なり何なりというのの任命権でございますが、つまり言えば、どうもいろいろと御論旨が悪いものだみたいなことばかりお考えでございますが、文部大臣、決して悪いのではございませんで、国家のためにあくまでもりっぱな自治をなし遂げ、りっぱな学園をつくるための善意でもって万全の努力をいたすのでございます。たとえば、合議制、あるいはまたいろんな制度というものがございましても、要はそれを運営する人の問題でございまして、りっぱな文部大臣ならばりっぱな運営をいたし、また機構もできる、かように考えまして、そこまでまいりますと、人間の性、善か悪かというようなことで、万全を期して性悪説をお考えかもしれませんが、私は決して文部大臣の任命権がありますといたしましても悪いことはないと私も考えております。
#83
○小野明君 あなたがそういうふうなら、私はもう質問をする必要がないんです。何のためにこれは質問しておるのかわからぬ。大学の自治を守ると、これが一番重要なことだから、法文上こういう田中株式会社になるではないかと、理事長、理事という最高のところは。しかも学識経験者というあいまいな実体規定でやろうという局長の答弁だから。だから、その辺では一番母体になる大学の研究、自由、これを守らなければならぬ大学学園という特殊法人の任命、組織というものが、そういう天下り、あなたの思うとおり。しかも、放送というものは放送コードに縛られておるということになれば、これは大学の自治とか何とかないじゃないかと。それで、普通の私立大学でも、大臣御承知のように、理事は合議制をとってるんですよ。理事は合議制なんですよ。これは職務内容として理事長を補佐するときちっと書いてある。こういうのは大学の自治を保障をする規定じゃありませんよ。そう思いませんか。
#84
○国務大臣(田中龍夫君) 私も就任いたしましてから約半年でございますが、このいまの大学学園法は十年以上前からかかっておりまして、その間には数回にわたって国会にも提案せられ、ただいま御質問のような理事あるいは任命等の問題につきましてはいろいろと過去においても御議論が出たことと存じております。その間におきまする大学の自治の問題につきましては、局長からお答えいたしましたような、これから学園がつくります大学という問題につきましては、十二分に教授会、その他いろいろな自治機構というものが形成される次第でございまして、いまの放送大学学園の経営、運営のことにつきまして、ただいまお答え申し上げたような自治機構となっておるような次第でございまして、なおそのことにつきましては、さらに局長から詳細御説明を申し上げたいと思います。
#85
○小野明君 大臣、いろいろ審議を重ねてきたと、こういうふうに言われますが、重ねてきた上できょうの答弁も、いま局長が言われるように、大臣が理事長を任命するに当たって、立法技術上といいながら実体の規定は何にもない。そして、学識経験者という言葉ですり抜けてきておる、理事を任命するに当たってもそういう学識経験者という言葉ですり抜けてきておる。全部すり抜けてきた結果がきょうの答弁になっておるんじゃないですか。何ぼ審議を重ねてもこれじゃ国会の議を踏まえてというところは何らない。理事を任命するに当たって、理事長を任命するに当たって、それらの機構あるいはメンバー等を特定できない。こういうところに、はっきり私は田中文部大臣株式会社になる可能性がある、こう指摘しておるわけです。
 もう一つ、運営審議会というのがありますね。委員は、学識経験者の中から文部大臣が任命する。これは一体どういう手続を踏むわけですか、この運営審議会は。
#86
○政府委員(宮地貫一君) 運営審議会でございますけれども、この運営審議会は、特殊法人放送大学学園の諮問機関ということで置かれるわけでございまして、そういう観点から、運営審議会の委員の構成につきましても、できるだけこの放送大学学園の本来の設置目的に照らしまして、できる限り広く関係方面からの意見を反映させるというような実体が確保できるように、そういう観点から委員の構成を考えられるべきものと考えておりまして、たとえば大学の関係者でございますとか、あるいは放送教育関係の学識経験者でございますとか、さらにこれは放送を行うわけでございますので、放送事業の関係者でございますとか、あるいは社会教育の関係者、そういうような方々が広く加わり得るような形で実際の構成というものは考えられていくべきものと、かように考えております。
#87
○小野明君 これも「理事長の諮問に応じ、」ということで、実態上は運営審議会というものはつくるけれども、何ら意見は聞く必要がない。これは飾りみたいなものになっておるんですね、そうじゃないですか。まあ、いまの学識経験者の中からと、こういうこともおかしいが、学園の方の推薦権というものはこの運営審議会のメンバーには認めるわけですか、どうですか。
 それと、「重要事項について審議する。」とありますが、重要事項というのはどういう事項を想定しているわけですか。
#88
○政府委員(宮地貫一君) この運営審議会は、諮問機関ということで、むしろこの特殊法人の学園の業務を行うに当たりまして、いわば特殊法人の外部の方々の意見を反映させることがやはり基本的にはねらいになるわけでございます。
 そして、お尋ねの運営審議会は「学園の業務の運営に関する重要事項について審議する。」ということになっておりますが、具体的にはどんなことかというお尋ねでございますが、学園の予算、決算、借入金、重要な資産の取得、処分でございますとか、そういう財務、会計に関します重要事項でございます。それから、大学の設置にかかわる業務の運営に関する重要事項として、たとえば対象地域をどう考えるとか、あるいは受け入れの学生数でございますとか、教員定数をどうするとか、あるいは授業料等の学生納付金というようなものについても御意見を聞いて定めるということが考えられるわけでございます。
 それから、放送の実施にかかわる業務の運営に関する重要事項でございますとか、多少技術的な点になりますが、二十条三項にございます目的達成業務に関する重要事項、これは学園が主務大臣の認可を受けて第一条の目的を達成するために必要な業務を二十一条一項、二項以外に行い得る規定がございますが、そういうものを、認可の申請をするに際しては、この運営審議会の意見を聞くというようなことが考えられるわけでございます。
 なお、ただいまも申しましたように、この運営審議会そのものは特殊法人の放送大学学園に置かれるものでございまして、いま申しましたような事柄がその付議すべき重要事項かと思うわけでございますけれども、たとえば教員の人事でございますとか、具体的な教育研究の内容等、本来、大学の自主的な判断にゆだねられるべき事柄というようなものについては、一般的にはこの運営審議会で諮問をする事柄にはならないのではないかと、かように考えております。それは大学の責任において処理すべき事柄については、そのような大学みずからが処理をするという事柄になろうかと、かように考えております。
#89
○小野明君 もう時間もないんですがね、この大学側から運営審議会の委員になる、これを推薦をする、こういうことは考えてないんですか。
#90
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど申しましたような範囲の中で、運営審議会の委員というものは、部外者からの意見を徴するという形で、この法人の諮問機関という形で置かれるわけでございます。考え方の中には、たとえばむしろ、何といいますか、この放送の視聴者の代表のようなものが運営審議会の委員にも加わるべきではないかというお尋ねを前にいただきまして、私どもの考え方としては、そういう人たちもこの運営審議会の委員の構成の中には反映させるべき事柄であろうというぐあいには考えておるわけでございますが、具体的に運営審議会に――お尋ねの点は、放送大学の方から構成メンバーに推薦をするのはどうかというお尋ねでございましたが、事実上の扱いとしては、もちろんそういうことは実際上の処理としては考えられるわけでございますし、また放送大学ではなしに、むしろそれ以外の国公私立大学の関係者がこの運営審議会の委員に加わることは、放送大学がそういう大学の関係者の協力を得るという観点からも、当然に予想もされるところでございます。
#91
○小野明君 時間がありませんから二問ひとつ尋ねますが、一つは教授会の規定がないのですね、これは。全然教授会の規定がない。これは、国公立あるいは私立大学に規定される教授会というものは、どういうふうにこの大学では位置づけられますか。
#92
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学につきましても、学校教育法第五十九条の規定に基づきまして放送大学の重要事項を審議するため教授会が置かれることは言うまでもないことでございます。したがって、この放送大学にも教授会は学校教育法の規定から当然に置かれるということでございます。
 なお、その教授会の構成でございますとか、審議事項、具体的な教授会の運営ということについては、大学自身が自主的な御判断で、その教授会のあり方なり持ち方というものについては判断をされる事柄だと、かように考えております。
#93
○小野明君 それといま一つ、番組コードの問題がありますね、放送法によって準則が適用されると。そうすると、これはNHKや民放と何ら変わりのない放送内容になりますね、そうでしょう。NHK、民放が放送コードを適用されておる。そして放送大学もそのとおりである、そうすると何ら変わりはない。だから、その放送コードの解釈、これは罰則がないわけですからね。大学の自治あるいは研究の自由を守るためには新しい番組コードというようなものを考える必要があるんではないかと私は思うんです。この点はいかがですか。
#94
○政府委員(宮地貫一君) その点につきましては、この放送大学はもちろん放送を行うことによって大学教育を行うということでございまして、その限りで放送法の規定、特に放送法四十四条三項の規定というものが準用になっているわけでございます。問題は、その点が放送大学における学問の自由と放送事業者の番組編集の自由との調和を図るという点から、大学と放送局と一体のものとして設置をするという形でこの特殊法人で御提案を申し上げておるわけでございまして、この行います教育の中身そのものは大学の教育に必要な内容でございます。
 問題は、その学問の自由と放送コードとの関連についてのお尋ねでございますが、これ放送を行う以上は放送コードの準用があるのは当然のわけでございますが、問題は、行われます内容が、学問の自由というものがそれで阻害がされないかどうかという点でございますが、その点は同一の特殊法人ということで、具体的な教育内容の進め方に当たりましてはもちろんコースチームというようなものをつくりまして、授業課目の編成のためには放送関係者も参加し、適切な放送教材の制作を両者の密接な連携、協力のもとに進めるということになっておるわけでございまして、もちろん大学である以上は、自己の学説を述べる自由というものはあるわけでございますが、放送コードとの関連で、たとえば意見が対立する問題については多くの角度から論点を明らかにするとか、あるいは政治的に公平であるという規定はかぶさるわけでございまして、その点は放送大学の側が適切な自制を行うということによって両者調和のとれた対応ができるものと、かように考えております。
#95
○小野明君 管理、組織の面から見ても、これはもう全く大学の名前に値しない組織だと、私はこう思うんです。
 その放送内容にしても、この法文からいくならば、どうしても放送側に有利な解釈しかできないですよ。そうすると、放送コードに縛られるならばNHKや民放と何ら変わりはない。むしろここで大学の研究の自由というものを守るならば、新しい番組コードをつくるぐらいの私は心構えがあってよろしい、こう思うんですよ。いまの番組コード、放送法の四十四条三項にしても、これは倫理規定ですからね、大学側に有利な自由な決め方になるような、ウエートを置かれるような授業内容といいますか、カリキュラムの内容といいますか、それが放送されるようにしなければ、この大学の自治、この大学は意味を失うと思うんです。
 最後に、私それだけ申し上げて、時間来ましたから終わりますが、その点を再度伺っておきたいと思います。
#96
○委員長(降矢敬義君) 簡単にお願いします。
#97
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、この放送大学が大学の自治を確保されるべきことはもとよりのことでございまして、私どもとしても、条文上、その点を教官組織の自主性を確保するというような観点で規定をいたしておるわけでございますが、大学の自治、学問の自由の確保が図られるべきことは当然のことと、かように考えております。
#98
○委員長(降矢敬義君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十六分開会
#99
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送大学学園法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#100
○柏原ヤス君 前回、大学の開放、学問の公開、主として公開講座についてお伺いいたしましたが、大学教育を公開する点でもう一つ重要なことは、通信教育の充実、発展であると思います。
 戦後三十余年の間、もっぱら私立大学によって担われてきた通信教育の果たしてきた役割り、これについて大臣はどう評価していらっしゃいますか。
#101
○国務大臣(田中龍夫君) 大学通信教育は教育基本法の定める教育の機会均等の精神を実際に具現するものでございまして、近年主として生涯教育の観点から大学開放の必要性が叫ばれておるところでございますが、通信教育の発足以来、正規の大学としての門戸開放、生涯教育、再教育の実施だけではなく、社会教育といたしましての役割りも担ってまいったところでございまして、その意義はきわめて大きいものがございます。
 このような通信教育が一貫して私学によって担われ発展してまいったことは、とかく伝統的な教育、研究のあり方に偏りがちな大学教育におきましても、私学の柔軟な進取の気概によるものでございまして、勤労者教育やあるいはまた生涯教育の発展に果たした役割りを高く評価してよろしい、かように考えております。
#102
○柏原ヤス君 通信教育は、大臣のおっしゃるとおり、勤労者の学問的レベルの向上に大変な貢献をしてきたということは紛れもない事実であると思います。私はこの通信教育がいま放送大学ができるということによって衰退することになってはならない、こういうことを強調する意味で、またそれを願う立場から御質問をしたいと思います。
 私大通信教育の関係者の方たちとお話をしますと、まず第一に言うことは、財政的な援助をしてほしいということです。現在、財政的に非常に貧しいと言って決して言い過ぎではないと思いますが、そうした中で通信教育が行われております。大学と学生、先生と学生、この人間的な触れ合いというものをこの通信教育の中でもっとふやし、きめ細かい教育を行うことができたならばもっと通信教育の効果は上がるだろう。昼間の普通の大学と同じ程度の質に高めることができるということを誇りを持って言っております。しかし、それには余りにも予算が少な過ぎるというのが現状です。こういう貧しい中での私大通信教育の状況、これをどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
#103
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、この放送大学が、放送大学学園で御提案を申し上げておるわけでありますが、私大の通信教育の関係者とも、従来この法案の提出に当たりましては何度か話し合いをいたしまして、両者がそれぞれ共存共栄するというような方向でこの放送大学というものを進めてまいらなければならない、そういう考え方で進めてまいってきておるわけでございます。
 御指摘のように、私大の通信教育の関係者からも財政的に大変苦しいというお話はかねがね伺っておるわけでございまして、現在大学通信教育を実施しておりますものは、私立で短期大学九を含めまして全体で二十一大学でございます。そこで約十一万人の学生が学んでいるわけでございますが、こういう通信教育を実施しております私立大学に対しましては、一般の経常費補助とは別に特別補助を行っております。これは管理局所管の私大経常費補助の中で実施をしておるものでございますが、昭和五十五年度で申しますと、その金額といたしましては三億一千七百万余りを特に通信教育ということで特別に補助を図っているわけでございます。
 なお、この補助とは別に四十九年度からでございますが、各大学や短期大学で発行しております専門教育の教材、これは大変発行後年数を経過して古くなっているというようなこともございまして、それらを新しく改訂するための経費でございますとか、あるいは通信教育を実施しております各大学が共通に利用できる一般教育等の教材、それの開発に要する経費の一部を補助してきておるわけでございます。この専門教育の教材改訂に要する経費にかかわる分についても、五十四年度からは、先ほど申しました私大経常費補助金の特別助成ということで取り扱ってきておるわけでございます。
 また一方、通信教育の関係では、私立大学通信教育協会が行います共通教材の試作でございますとか、開発に要する経費については、その私大通信教育協会が放送教育開発センターと連携協力しまして実験研究を行っているというようなところから、放送教育開発センターの事業費にも含めて措置をいたしておるという、そういうきめの細かいいろいろ対応もいたしておるわけでございますが、御指摘のように、私大通信教育に対する財政援助というのが通信教育の振興のためにも必要なことでございますし、今後そういう点についても一層私どもとしても努力をいたしたい、かように考えております。
#104
○柏原ヤス君 文部省がどういう御説明をなさっても、通信教育に対する財政的援助はまだまだ足りないという現場の状況です。ですから、通信教育関係者の中には放送大学に使う予算の一部でもいいから通信教育に回してくれたらどんなにいいかと、こういう切実な声もあるわけです。いろいろときめ細かくとおっしゃっておりますけれども、予算がないばっかりにスクーリングを受ける会場を大学本部にしかつくれない、そのためにわざわざ学生は東京まで出てきて二十日間も泊って受けなければならない。また、ある私大では、大変な金銭的苦労の末に試験会場を各県に一つずつつくった、こういう苦労をその大学の中でやっているわけです。もっと予算があれば、こうしたこともやらないで、よけいな負担もかけずにやれると、歯ぎしりするような思いだ、一方には膨大な予算で放送大学というものがつくられる、歴史の古い、そして実績を上げている通信教育と比べてみて、むしろ通信教育に対する考え方は冷た過ぎるというくらいな気持ちを持っているのが通信教育に携わっている関係者の気持ちなんですね。
 そこで、私は先ほどいろいろその予算を伺いましたけれども、今後この通信教育の制度をより充実、発展させるためにこういうふうなこともやっていきたいという、そうした具体的な方策があるものかどうか。足りないところを埋めていくというだけじゃなくて、さらに放送大学と並行して充実させていかなければならない通信教育に対して具体的な方策が考えられているかどうかお聞きしたいわけなんです。
 どうしてそういうことをお聞きするかというと、放送大学をつくるに当たって、通信教育というものはいろいろ参考になり、また検討されて、通信教育で築いたその実績、こういうものをいろいろ放送大学の構想の中には取り入れていると思います。また、まずい点も、放送大学をつくるに当たって研究されたその中にも指摘されていると思うんですね。そうした検討が、やはり放送大学をつくるためにだけ利用されるんじゃなくて、通信教育自体にも生きてくるというふうになってほしい。それには足りない予算を多くすればいいだろう――まるで放送大学の残飯でも食べさせられるような通信教育じゃなくて、通信教育にも新しいこういう方策を考えていくという、こういうような積極的な御意見があるかどうかお聞きするわけです。
#105
○政府委員(宮地貫一君) 私大の通信教育が大変苦しい中で今日まで実施されてきておる点については、最初に大臣からも御答弁申し上げましたように大変敬意を表するものでございますし、また、具体的な助成策については先ほど御答弁をしたわけでございますが、放送大学と通信教育と両々相まってそれぞれの機能を分担し合いながら両者が相ともに栄えていくような方向を考えるということが基本的な考え方でございます。そこで、御審議いただいておりますこの放送大学学園が設置されれば、その学園で行います放送の利用でございますとか、あるいは学習センターというようなものの施設を私大通信教育のスクーリングのために利用するということなども考えられるわけでございまして、そういうような事柄についても積極的に検討を進めているという次第でございます。
#106
○柏原ヤス君 先ほどからくどいように申し上げているのは、放送大学とは競合するものじゃないと、放送大学ができることによって通信教育が衰退するどころか、むしろ充実、繁栄するようになっていかなければならないと思っていろいろお聞きするんですが、いまの御答弁で相ともに栄える、分担すると。どういうふうに栄え、どこを分担するのかということについてもう少し具体的にお聞きしたいわけです。それには、まずひとつ、私大通信教育のための放送の実施に当って、その放送番組の作成に通信教育側が参画する体制が必要だということを、私、この委員会で申し上げました。それに対して御答弁をいただいているんですけれども、この答弁が、何か明瞭な答弁じゃないように受け取れるわけなんです。
 そこで、あのときの御答弁をこう解釈していいかどうかと念を押すわけなんですが、明確に通信教育側から参加できる、そういう体制がつくられると、こういうふうに受け取ってよろしいですね。
#107
○政府委員(宮地貫一君) 私大通信教育のための放送の実施に当たって、その放送番組の作成に通信教育側が参画する体制がつくられると考えてよいかというお尋ねかと思うわけでございますが、放送大学学園の放送につきましては、私立大学通信教育のための放送を放送大学学園がみずからの放送として実施することについて、御提案申し上げております法案の第二十条第三項におきまして、第三項の目的達成業務の一つとしてそのことは想定をいたしておるわけでございます。つまり、第二十条では学園の業務を書いてあるわけでございますけれども、第二十条の第一項で、「第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。」ということで、「放送等により教育を行う大学を設置すること。」、「前号の大学における教育に必要な放送を行うこと。」、「前二号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。」、基本的にはそういう業務を行うわけでございますが、第三項を規定いたしまして、「学園は、主務大臣の認可を受けて、前二項に規定する業務のほか、第一条の目的を達成するため必要な業務を行うことができる。」という規定がございます。具体的には、この実施方法につきましては、私立大学の通信教育側の具体的な要請を待って検討するということになるわけでございますが、もちろん学園がそのための番組を制作放送するに当たりましては、私立大学の通信教育側の意向が十分反映されるような形で行われるよう配慮することはもとよりでございます。具体的にそういう対応はこの法案の条文においても考えているところでございまして、これは大学なり学園が発足してからの具体的な事柄になるわけでございまして、それぞれ私大通信教育の従来の経験もこの放送大学にもちろん生かしながら、そしてまた通信教育の面においても放送という形を取り入れていくというような形で共存共栄というものを考えていかなければならないと、かように考えております。
#108
○柏原ヤス君 反映するとか意向が取り入れられるということは、これはよくわかります。だから、それが具体的にはっきりと通信教育側から参加する体制がつくられると、こういうふうに考えてよろしいんですねということを念を押しているんです。
#109
○政府委員(宮地貫一君) 先ほども御答弁申し上げたわけでございますが、実施方法等につきましてはもちろん私立大学通信教育側の具体的な計画なり御要請というものを受けて検討をするということになるわけでございまして、そういうスタートが必要なわけでございますが、そういうことが提案が参ればそういう対応をこの放送大学学園においてもする、そのための条文として二十条の第三項というような規定も特に規定をいたしておるということでございます。
#110
○柏原ヤス君 ですから、私がはっきりお聞きしているんですから、それについてはっきり答えていただきたいんですよ。もう一回念を押しますよ。通信教育側から参加する体制がつくられると、そういうふうに考えていいかというんです。
#111
○政府委員(宮地貫一君) もちろん通信教育の関係者、そういうような方々がこの放送大学学園のしかるべき機関に御参加をいただいて、その経験を生かしてこの放送大学学園というものをつくり上げていくということは必要なことでございますし、そういう意味で、学識経験者として私大の通信教育の関係者もこの放送大学学園のしかるべき組織にお加わりいただくというようなことももちろん考えておるわけでございます。そういう形で十分私大通信教育側の御意向というものが具体的にこの放送大学学園の事業を進めていくに当たって生かされるように十分配慮をしてまいる考えでございます。
#112
○柏原ヤス君 次に、学習センターの利用も考えているということでございます。通信教育側からの利用も求められているわけです。その場合に、センターの施設、設備が常に放送大学の授業によってふさがっていて、実際には通信教育側で利用できないというようなことでは困ると思うんです。使ってもいいですよと、使おうと思っても実際使えないと、これじゃならないと思います。そのようなことがないように協力措置をとっておく必要があると思うんですが、ただ口だけ学習センターを使いたきゃ使いなさいと、使えるところだけ使えと、使えたら使ったっていいよというようなことだったら私はならないと思うんですね。それは、大体勤労学生の学習する時間、条件は放送大学の学生も通信教育を受ける学生も同じような環境、条件の中で勉強をしようとしているんですから、その点どういうふうに協力措置というものが具体的にとられるのか、言葉だけじゃならないと思ってくどい質問をするわけです。
#113
○政府委員(宮地貫一君) その点も、この法案の条文といたしましては、二十条の第二項で、規定のいたし方としましては、「大学における教育及び研究に支障のない限り、その施設、設備及び教材を当該大学以外の大学における通信による教育その他の教育又は研究のための利用に供することができる。」という、条文の形ではそういうことになっておるわけでございます。
 御指摘の点は、いや、そうは言っても、実際の運営に当たって通信教育側の利用ということを十分念頭に置いた対応を考えているのかという御指摘であろうかと思いますが、具体的な学習センターのスクーリング、これはこれから実施をしていく具体的な各地域の受講生の数がどうなるかとか、そういう現実問題と対応しながら処理をしなければならぬことでございますので、私はいまこの席でこういう形になりますというところまで具体的な形でお示しはできないわけでございますけれども、従来から申しておりますような、私大通信教育側がスクーリングという点で、特に従来の私大の通信教育で一つの隘路と申しますか、なかなか私大の通信教育というものが発展していかない一つの隘路として、スクーリングの問題特にそれが従来の私大の通信教育でございますと、すべて東京へ受講生が来て泊まりがけでやっていかなければならないと、そういう点で難点があるということが言われているわけでございます。したがって、放送大学で行いますスクーリングのための学習センターを、第一期の計画でございますと、関東地域中心でございますが、具体的に設けていくという計画を持っております。そういう学習センターの運用におきまして、私大通信教育協会の方々とも十分意見の調整をしながら、学習センターの利用についてお互いに具体的に共存共栄というような形を実現していくということは念頭に置いて考えていかなければならない事柄だと、かように考えております。
#114
○柏原ヤス君 具体的には示せないというお話ですが、それは確かにそうだと思います。けれども、大ざっぱなところは言えると思うんですね。また、考えの中に、通信教育の学生に使わせるという、そういう考え方というものが入っていなければならないと思うんです。その点がはっきりしないからお聞きするんです。これは、四月のこの委員会で、学習センターの教員一人当たりの学生数をお尋ねしました。そのときに局長さんは、全科履修生、これに対するスクーリングについては一クラス三十人として七教室をつくり、これを十九回回転させるという御答弁をいただいているんです。放送大学の学生のために七教室を十九回フル回転させる、そして面接授業をやるということですが、その局長さんの御答弁の中には、一般の通信教育の学生が利用できる余地を考えてお答えになってんじゃないんじゃないかと、ただ、放送大学のスクーリングの学生だけを七教室十九回フル回転、まあこういう御構想でした。ですから、文部省の立てている構想では、利用しても結構だと、しかし実際には利用できない状況じゃないのかという疑問を持ったわけなんです。
 そこで、お聞きしたわけなんですが、通信教育の学生が利用できる余地はある、学習センターは利用できるんだということは言い切れますね。
#115
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のような放送大学におきますスクーリングの実施の仕方の一つの想定といたしまして、そういう御説明を申し上げたわけでございます。
 ちょっと細かい点になるわけでございますが、私どもがただいま学習センターの施設の概要として頭に描いている点で申し上げますと、具体的な学生関係の部屋といたしましては、講義演習室、実験実習室を含めまして、全体では十教室を予定しているということでございます。大変具体的なお尋ねでございますが、想定といたしましてはそういう規模を想定いたしておるわけでございまして、実際の運営で教室がどのような回転の仕方になるかという、一応の想定といたして七教室で回転するということを御答弁申し上げたわけでございます。したがって、完全に建物全体が放送大学のためだけですべて満杯になるという形では私どもも意識をしていないわけでございまして、そこの対応としては、いまは想定としてそういう形を申し上げておるわけでございまして、具体的な実施に当たりましては、そういうことをも勘案しながら、十分具体的な利用計画というものについては御相談に応じで対応していくと、かように考えております。
#116
○柏原ヤス君 次に、スクーリングについて、前回もお伺いしたんですが、また重ねてお聞きいたします。
 通信教育を卒業するために一番困難な問題は、何と言ってもスクーリングの出席が困難だというわけです。そういうことがわかっているにもかかわらず、三十単位のスクーリングを卒業要件とするということは、スクーリングというものがそれだけ重要な意義があるからだと、こういうふうに考えていいと思います。したがって、放送大学と既存の通信教育の場合とでは、やはりスクーリングの目的、意義、これは同じと思いますが、それは同じなんですか、それとも違うんですか。
#117
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学と既存の私大通信教育の場合とでスクーリングの目的なり意義は同じであるか違うのかというお尋ねでございますが、通信教育の教育指導は主として所定の教科書等の印刷教材の学習と添削指導ということによって行われるわけでございます。こういう通信による学習指導だけでは教員による直接指導の機会が与えられていない、教師と学生ないしは学生相互の触れ合いの面が欠けるということになりますので、それを補い、大学教育としての教育効果の効果の充実を期するためには面接授業が必要で、所要単位中三十単位以上ということで通信教育の場合は考えているわけでございます。放送大学の教育指導は、教科書等の印刷教材の学習と添削指導に相当いたします通信指導もございますが、もちろんテレビ、ラジオの放送による授業を効果的に組み合わせて行うということでございます。もちろんラジオ、テレビの放送による授業という点が従来の通信教育とは基本的に異なる点でございまして、その点は単位についても、放送事業を実施する場合には、放送授業の学習によって面接授業に代替し得るということで、十単位相当を考えるということで、現在大学設置審議会の大学基準分科会に特別委員会を設けまして、大学通信教育に関する基準全体の中でいろいろと御検討いただいておるわけでございますが、そういう対応をしておるわけでございます。
#118
○柏原ヤス君 そういう御説明よりも、同じか違うかという、そこを答えていただきたい。
#119
○政府委員(宮地貫一君) テレビ、ラジオの放送によります授業という点では異なるわけでございますけれども、基本的には一般の通信教育の場合と同様な観点から面接授業を実施することが必要である、かように考えております。
#120
○柏原ヤス君 放送大学の場合も、通信教育の場合も、その目的や意義というものは同じだと、こういうことですね、簡単に。よろしいですね。
 そこで、放送大学については卒業に必要な三十単位のうち十単位は放送視聴によって代替すると、二十単位のスクーリングでよしとする考えになっておりますね。十単位の面接授業を放送で代替できるというふうに決めた、これはどういうわけでですか。
#121
○政府委員(宮地貫一君) ただいまもちょっと申し上げたわけでございますけれども、面接授業のあり方について、大学基準分科会の中に特別委員会を設けまして、大学通信教育に関する基準全体の中でいろいろ検討をお願いしておるわけでございまして、面接授業によって取得しなければならない単位を一応三十単位以上ということで卒業の要件に規定をしておるわけでございますが、放送授業を実施する場合には、その放送授業が行われます場合、その取り扱いとしてはテレビ、ラジオの放送の持ちます映像と音声といいますか、そういう知識、情報の伝達機能というものが、もちろんこれは教室というような同じ場所におきます直接指導ではございませんけれども、それぞれ教科に応じて対面教育に近い効果も期待し得るということを考慮いたしまして、ただいま申し上げましたように、十単位については放送授業の学習によって面接授業を代替することができるというような考え方で、おおむね共通の了解点に達しているところでございます。
#122
○柏原ヤス君 目的と意義は同じだと言いながら、片方は三十単位、片方は二十単位だと。十単位違うわけですね。その十単位を放送でかえると、どうしてかえてそれを同じと言えるのか、同じならばかえるのはおかしいと思うんですね。面接授業と放送とは全然これは違うものだと、どう説明しても同じとは言えないと思うんですね。それは大いに協議され検討されたからと、文部省は人のせいみたいに、協議で決めたそっちの方の問題だと言わんばかりですけれども、私は、検討されるのには相当突っ込んだ検討がされたと思うんですね。しかし、どう突っ込んでみても面接授業は面接授業で、最も大事な場面です。それを、放送大学だからといって放送でかえるなんというのは私はごまかしだと思います。こんなやり方で、放送大学だけは特別だと。それじゃ、スクーリングは実際二十単位でいいと言うのならば、通信教育の方も二十単位にしたらどうですか。その点、いかがですか。
#123
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の点でございますが、私ども検討をお願いしておりますのは、大学基準分科会の大学通信教育・放送大学特別委員会ということで御検討をいただいておるわけでございまして、その特別委員会の中には私大の通信教育の関係者ももちろん交えまして、放送大学を含めた大学通信教育全体の基準の検討をお願いをしてきておるわけでございます。そして、先ほどそこでの共通の了解点に達している点ということで申し上げたのは、先ほど御答弁申し上げたような点に達しておるわけでございます。
 そこで、通信教育の場合も二十単位とすればいいではないかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、その点は特別委員会での御議論の中でも出ておるわけでございますけれども、既存の私大の通信教育においても将来放送授業を取り入れるということもあり得るわけでございまして、具体的にはこの放送大学と連携をすることになろうかと思いますが、放送授業を取り入れていくということになれば、もちろん同様の二十単位という形で対応するということになるわけでございます。
#124
○柏原ヤス君 三十単位のうち十単位を放送視聴でかえるという措置は、この放送大学においてはスクーリングが困難だからその負担を減らそうとすることになるんじゃないかと、結論はそこへ行ったんじゃないかと、こういうふうにどうしても思えるわけなんです。
 そこで、スクーリングの重要な意義、目的を考えたならば、この単位を二十単位に少なくするということじゃなくて、この困難を解決する方法としては有給教育休暇制度の問題がまたここに浮かび上がってくる。単位を減らさなくても、有給教育休暇制度というものを実現させれば、大事なこのスクーリングというのは、さらに重要な意義、目的が生かされて、非常に勤労学生のためのこうした教育というものはさらに実績を上げると思うんですね。ですから、どうしても単位を減らすというようなそんな消極的な考え方じゃなくて、むしろ積極的に有給休暇制度、これを何とか実現されるような努力、方向づけというものを私は強く期待するわけなんですね。その点いかがですか。
#125
○政府委員(宮地貫一君) 有給教育休暇制度の実現については、すでに先生から特にその実現について文部省がまず努力をすべきでないかということで御質疑をいただいておりまして、私ども文部省といたしましても前向きに対応するということで今日まできておるわけでございます。しかしながら、前回も御答弁申し上げたわけでございますけれども、文部省限りで対応できる事柄でないという点も、主としては労働省が直接のかかわりでございますけれども、労働省にもそういう点を文部省から積極的に働きかけるべきでないかと。そういう点は具体的に関係者間でお話は進めておるわけでございますけれども、全体的には将来の課題として検討を進める必要があろうと、かように考えております。もちろん、この放送大学に限らず、全体の生涯教育の推進という点からも、その点は必要な事柄であるということは十分理解をしておるつもりでございます。
#126
○柏原ヤス君 スクーリングについてもう少しお聞きしたいんですが、この開設するすべての科目についてスクーリングを行うのか、そうでないとすればスクーリングを行う科目数は全開設科目数の何割ぐらいになるか、この点お聞かせいただきたいと思います。
#127
○政府委員(宮地貫一君) 大学通信教育におきます面接授業のあり方については、先ほども御答弁しましたように特別委員会を設けて現在検討いただいているわけでございますが、その特別委員会でおおむね共通の了解に達している主な点で申し上げますと、卒業の要件として三十単位以上は面接授業によって取得をしなければならないということで、これは現在の大学通信教育において実施をされているところでございます。それから放送授業を実施する場合には放送授業の学習ということで面接授業を代替する点は十単位まで代替することが可能であるという考え方でございます。その点で、放送大学において学士号を取得するということを目標にしている学生で申しますと、二十単位以上は面接授業で取得するということが必要になるわけでございます。そして、放送大学の各授業科目ごとの教育というのは、それぞれ放送授業でございますとか、印刷教材による授業、学習センターにおける面接授業という、それらの組み合わせによりまして行われるということになるわけでございます。したがって、履修する各授業科目ごとに学習センターでの面接授業に出席しまして、その総計が二十単位相当になるようにするということになるわけでございます。
 スクーリングを行う具体的な科目数については今後放送大学において検討されるべき問題でございますが、従来の検討から申しますと、面接授業が組み込まれた授業科目もございますが、放送授業と印刷教材による授業によって行う授業科目というものもあり得るわけでございます。そこで、仮に各授業科目の単位数を四単位、面接授業による修得単位数は一科目について一単位といたしますと、百二十単位を修得するためには三十科目を履修し、そのうち二十科目についてスクーリングを伴う授業科目を履修するということになるわけでございます。
 ただ、実際に大学側が用意するスクーリングを伴う授業科目というのは、コースごとに授業科目が異なることや、あるいは学生に選択の余地を与えるということも必要でございますので、ただいま申しましたのよりも相当数上回るということにはなろうかと思います。
#128
○柏原ヤス君 全開設科目数の何割ぐらいというようなことはわかっておりませんか。
#129
○政府委員(宮地貫一君) どの科目がスクーリングに伴う科目であるかということについては、今後放送大学において検討されるべき問題点でございます。
 全体的には、私ども学習時間で申しますと、それぞれ放送視聴、印刷教材による学習、それからスクーリングという点については、個々の学生が学習時間という点で見れば、おおむね三分の一ずつというような形になると、かように考えております。
#130
○柏原ヤス君 そこで、放送視聴とテキストとそれからスクーリング、この構成比、おのおの三分の一ずつであるということですが、その算定の根拠、三分の一というのはどういう根拠ですか。
#131
○政府委員(宮地貫一君) 放送視聴時間と単位の計算との関係について申しますと、一科目について一回四十五分の番組を毎週二回十五週にわたって延べ三十回、時間数にして二十二・五時間視聴することによって四単位を取得するというぐあいに構成をされるわけでございます。仮に四年間で卒業するとした場合には、毎学期放送の視聴によって八単位ないし十単位の取得が必要となり、毎週四十五分番組を四、五回視聴する必要があるということになるわけでございまして、毎日に換算いたしますと、四十五分番組を一回程度視聴するということになるわけでございます。
 もちろん放送大学の教育は、放送による授業のほか、印刷教材による自習、学習センターにおける実習、演習等の組み合わせによって行われるわけでございまして、放送を視聴するほかに毎日一時間程度の印刷教材による自習、それから毎週一回程度学習センターに出席してスクーリングに参加するということになるわけでございます。
 以上のような説明で、学習時間数で申し上げますと百二十四単位分について面接授業分が二十単位で計算しますと時間数で約七百五十時間、放送視聴が七百七十二・五時間、印刷教材分が七百七十二・五時間、体育実技分が四十五時間ということで構成比で申しますとおおむね三二%、三三%、三三%というような構成になるわけでございまして、学習時間数で見ればただいまほぼ三分の一ずつという構成になるという点は、以上のような積算の根拠によるものでございます。
#132
○柏原ヤス君 単純な頭で考えたんですけれども、大学の卒業に必要な単位数は百二十四単位、そのうちスクーリングを行う科目が二十単位で、そうなりますと、スクーリングを伴う科目は必要な全科目の六分の一、実際は三分の一よりはるかに少ない、こういうふうに思いますが、この点はどうでしょうか。
#133
○政府委員(宮地貫一君) ただいま構成比としては学習時間数で申し上げたわけでございまして、具体的には授業科目ごとの教育というのは、放送による授業、印刷教材による授業、面接授業というそれぞれの授業科目について、それらの組み合わせによって行われるということになるわけでございます。
 御指摘の二十単位でございますから、全体の百二十四単位の中で六分の一ではないかという御指摘でございますが、その点は実際の修得時間数という点で申し上げれば、先ほど御説明を申し上げましたような形で面接授業の時間としてはほぼ三分の一というものが確保されるという形になるわけでございます。
#134
○柏原ヤス君 次に、スクーリングに当たる教員の配置についてですが、一つの学習センターでは専任教員が五人、非常勤教員が三十人となっておりますが、この数はどういう見積もりで出したものなんでしょう。
#135
○政府委員(宮地貫一君) 私どもの想定をいたしました教員数は、学習センターの面接授業の開設所要時間を勘案いたしまして算出をしております。
 そこでまず、面接授業時間につきましては、放送大学の卒業要件として二十単位相当の面接授業の履修を必要とする。しかもこの二十単位相当の面接授業を最短期間である四年間で履修するという課程でございますが、そういう計算をいたしますと、学生は毎週一回程度面接授業を受講することが必要になる、かように考えております。
 また一方、科目履修生なり、選科履修生の方でございますが、これは一年間を通じて一科目程度の面接授業科目を履修するという想定をいたしております。そういう点から計算をいたしますと、各センターごとの毎学期における面接受講生数というのは、全科履修生で約三千三百人、これは第一期の完成時におきます二万人を六センターということで割りますと、一センターで約三千三百人、また科目、選科履修生については、一万人を六センターで、さらに三分の一程度が面接授業科目という想定で計算をいたしまして六百人、合わせて三千九百人の面接受講生がそれぞれ毎週一回程度面接授業を受講するという前提で計算をいたしておりまして、面接授業は原則的には三十人程度の学級編制で行うということで考えますと、毎週百三十学級程度を開設して授業を行うことが必要でございます。それに対しまして、専任教員が各六学級を持ち、非常勤講師が一週間で三学級を担当するということで想定をいたしまして、専任教員五人と非常勤講師三十人という程度を配置することが必要になるという計算を一応想定としていたしておるものでございます。
 具体的な実施に当たりましては、もちろん、特に非常勤の御協力をいただく先生方については、過重な負担とならないように、必要な場合には非常勤講師の増員というふうなことも実際の実施の場合には必要が出てくる場合もあろうかと思いますし、そういうような事柄については弾力的な対応が必要であろうかと、かように考えております。
#136
○柏原ヤス君 放送大学の場合、非常に非常勤教員が多い。通常各大学においては、非常勤教員は教授会の構成メンバーとはなっておりません。しかし放送大学の場合は、多くの非常勤教員によって構成されるわけで、こういう教員の重要な役割り、これを期待するためには、放送大学において何らかの形で非常勤教員の声が大学運営に反映されるようにしなければならないと思いますが、この点どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#137
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、各学習センターにおきます面接授業の実施に当たっては、専任教員ではなくて非常勤の講師ということで、ほかの大学の御協力をいただかなければ実際上なかなか実施が困難であるということは御指摘のとおりでございます。
 そこで、学習センターにおきます具体的な運営方法につきましては、それぞれこの学園発足後大学においてお決めになることではございますが、面接授業の実施の方法でございますとか、そういうふうなことについてはもちろん各センターごとに非常勤の教員をも含めました、たとえば運営会議というようなことで、具体的な運営に当たってそれぞれ自主的にお決めになることは当然必要なことであろうと、かように考えております。そしてまた、そういうところでいろいろと出ました意見について、大学運営全体にとって必要なものについては、もちろんセンター長なりを通じて全体の大学運営に反映されるべきことは当然のことであると、かように考えております。
#138
○柏原ヤス君 もう一点、本部の教員と実際に学生の指導に当たる学習センターの教員との連携、その確保はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#139
○政府委員(宮地貫一君) 特に放送による教育の、それの何といいますか、主体にしましたものについてのスクーリングということでございますので、本部の教員と学習センターにおきます面接指導の担当者との連携というものが大変大事なことは御指摘のとおりでございまして、全体的に一つの大学として機能を保つというためには、それらの密接な連携が必要でございます。もちろん面接指導を行うに当たりまして、全体的な指導方針について授業科目の編成に当たりました本部の教員と、実際に学習指導にある学習センターの教員とが、具体的な運営につきましては発足後行われることになるわけでございますが、事前に十分密接な協議が行われ、そして全体的に各学習センターを通じての指導が一これはもちろん担当する面接授業の担当者が主体的に行うことではございますが、全体の授業科目のねらいといいますか、そういうようなものについては十分協議が行われて、もちろん個々の教員の持ち味も生かされながら、統一的な教育内容というものが把握されるということが必要であると、かように考えております。
 具体的な実施の段取りについては、それぞれ発足後、十分その点についても連携が行われるように協議が必要である、かように考えております。
#140
○柏原ヤス君 それは御意見であって、どのようにそれをしようとしているか、何かこういうふうにしようとしているとか、何かそういう具体性を持ったものは御説明の中にできないんでしょうか。
#141
○政府委員(宮地貫一君) 恐らくそれらについては、教育の実施なり進め方の具体的な事柄でございますので、それぞれ担当教官の協議が行われていくことになるわけでございますが、提携的な連絡会議というようなものが随時必要に応じて開かれると、そのための組織づくりということももちろん実際の実施に当たって考えられる事柄と、かように理解をいたしております。
#142
○柏原ヤス君 今回の中学校の社会科教科書の改訂問題における文部省の姿勢を見ておりますと、率直に言って教育の中立性を守っていくという積極的な姿勢が見られない。与党や経済界の声に対して余りにも弱いのではないかと感ぜざるを得ないわけです。こういう点を見ておりますと、放送大学の将来についても不安を持たざるを得ません。
 そこで、今回の教科書問題、これについて質問をし、文部省の教育に対する姿勢というものをお伺いしていきたい、こういうふうに思っております。
 そこで最初に、今回の教科書問題の経緯、その内容、文部省がどう認識し、対処しようとしているかお伺いいたします。
#143
○政府委員(三角哲生君) 教科書の内容については、これは各方面におきまして種々の意見があるわけでございますが、このことは私から申し上げるまでもなく、教科書というものが学校教育におきまして教科の主たる教材として非常に重要な役割りを果たしておりまして、その内容が常に改善が考えられていくということが期待されているからであろうというふうに思うのでございます。教科書会社におきましては、こういったいろいろな御意見などをも参考としながら、それぞれ自主的に判断して編集を進めると、こういうふうに思っております。文部省といたしましては、教科書の検定という、そういう過程を通じまして、教科書が学習指導要領あるいは検定基準に照らして適切な記述となっているかどうかを判断して、教科書の一層の改善と充実に努めてまいりたいと、こういうぐあいに思っておりまして、こういった線で対処してまいりたいと思っております。
 なお、いろいろな個々の教科書記述に関する御意見があったわけでございまして、たとえば現に柏原委員からも、子供の弁当箱であるおっぱいについて、これは家庭科の教科書でございましたが、御指摘もあったわけでございますが、これらの一々について委員会の御議論はともかくとしまして、私どもの感想なり意見なりを述べるということは、これは、検定を行ったという立場にございますし、また会社側の今後の編集にある種の予断を与えたりするというようなおそれもありますので、余り立ち入って申し上げない方が適切ではないかと、こういうふうに考えておるのでございます。
#144
○柏原ヤス君 いまお聞きしましたのは、今回の教科書問題の内容と文部省の認識、その対処をお聞きしたんです。今回というふうにお断りしたわけですけれども。
#145
○政府委員(三角哲生君) 先刻来も御質疑がございましたが、今回教科書協会から申し入れというものがあったわけでございますが、これは三年後に用いられますところの昭和五十九年度用教科書につきまして、各教科書会社においてどのような改訂を行うか。まあいわば一種の予備的な検討を行いましたところが、中学校社会科公民の教科書を発行しております会社では、今後の編集の進みぐあいの状況によっては改訂の施される個所がありますところのページが全体の四分の一を超えるということも可能性として考えられますので、その場合には検定規則上の新規検定ということで受け付けてほしいと、そういう要望でございます。小中学校の教科書の検定は採択の周期と合わせまして三年ごとに行うことにしておりますが、具体的にどのようにこの申請を受理するかにつきましては、検定の前年度に教科書会社のこういった希望を聞いた上で決めているところでございますので、要望の趣旨は承っておるわけでございますが、もう少し各関係者の意見なり見通しなりを聞きました上で、その上で慎重に検討してまいりたいと、こういうふうに考えておるのでございます。
#146
○柏原ヤス君 教科書については、単に教育関係者のみならず多くの国民が関心を持ち、建設的な意見や批判は寄せられ、それがよりよい教科書づくりに生かされることは望ましいと思います。しかし、その批判とか意見、これが直接子供の教育にかかわってくることであるから、それをわきまえた態度で述べられるべきだと、こう思います。
 そういう意味で二、三確認しておきたいと思います点をお聞きいたしますが、まず第一に、学ぶ者、すなわち子供を中心に考える必要がある。いたずらに子供に不安を持たせたり、信頼を失わせるようなやり方は望ましくない。こういうことを第一に考えますが、その点いかがですか。
#147
○政府委員(三角哲生君) 教科書は教科によりまして若干のニュアンスの差があろうかと思いますが、しかしながら、いずれにしてもおしなべて、これは先ほども申し上げましたが、重要な役割りをしております主たる教材でございまして、やはりまだ心身が発達の過程にありますところの児童生徒に与える影響も少なからぬものがあるわけでございます。したがいまして、その内容は常に改善、充実が図られていくということが期待されておるわけでございまして、そういった観点から教科書についていろいろな御意見が寄せられるということが実態でございますし、また建設的な御意見を寄せていただくということは好ましいことでもあろうかと考えるわけでございます。
 ただ教科書は、やはり教育課程に即応して編集、執筆されるべきものでございまして、その意味で、この改訂等がございましても、全体の内容としてはこれについて安定性を欠くということはないものでございますけれども、いろいろな御意見がただ子供に不安感、不信感を与えるというようなものであっては困るわけでございまして、やはり教育的な見地から、建設的な御意見は、これはお寄せをいただくということが好ましい、こういうふうに考えております。
#148
○柏原ヤス君 また一方、教師、父母、こうした教育関係者の信頼、期待、これを損なうようなものであってもならないと思いますが、この点はいかがですか。
#149
○政府委員(三角哲生君) その点につきましては、柏原委員と同様に考えます。
#150
○柏原ヤス君 また、将来に生きる子供たちにどのような教育が必要であるか。これは、現在生きる大人にとっては、あくまで謙虚で、独断を避け、慎重に考える必要があると思います。特に、強い力を持ち、また現実的な価値観で物事を考えやすい政府とか与党、経済界、これは未来に生きる子供たちへの教育に関する言動にはくれぐれも慎重に、また自制する必要があると考えますが、この点いかがでしょう。
#151
○政府委員(三角哲生君) やはり教育は、まず現実に立脚して行われるものでございますけれども、御指摘のように、将来の日本を担う児童生徒の教育でございますから、力を尽くして適切な将来の見通しも持ちながら進めていく必要があろうかと存じます。教科書についてもそういった観点に立った配慮が必要だと思いますが、私どもとしては、教科書についてのいろいろな意見は、これをどのような立場にある方々がお出しいただくにいたしましても、やはりいま申し上げましたような観点並びに現実の教科書の内容につきまして十分な御検討を行っていただいた上で意見を出していただくということが必要であり、そういうことを期待いたしたいと思っておるのでございます。
#152
○柏原ヤス君 いま申し上げたのは、政府やまた与党や経済界の立場で発言する場合には慎重でありたいと、自制する必要があるということをお聞きしたんですが、その点いかがですか。
#153
○政府委員(三角哲生君) まあ、いかなる立場からの御意見にしても、教育のことを考え、教育的な見地から教科書の改善のための建設的な意見をちょうだいいたしたいということでございまして、その前提としては確かに私どもが検定をした教科書でございますけれども、それが完全無欠ということは言い切れません。したがいまして、そういった現在の教科書についてよく御検討の上で建設的な意見を出していただくということが期待されると思うのでございます。
#154
○柏原ヤス君 大事な点ですからしつこくお聞きするわけなんですがね。力を持っている、また現実的な価値観で物を考えやすい政府・与党、経済界、こういう立場で教育について云々する場合には慎重に自制する必要があると、こういうふうに考えるが、文部省はどうですかと。当然そう思いますと言うべきじゃないんですか。
#155
○政府委員(三角哲生君) 一般論といたしまして政府・与党、経済界に限らず、労働界にいたしましても、あるいは報道界にいたしましても、柏原委員のおっしゃいますようにやはり慎重に、大事なことでございますから適切に自制をして、そうして建設的な意見を出していただくということは、これは何と申しますか、教養ある人士はそういうことをしてくださるだろうと、こういうぐあいに思うので、そういう意味で賛成でございます。
#156
○柏原ヤス君 私は政府・与党、経済界というふうに区切って言いましたけれども、あなたは労働界というものをおつけになった。何か労働界が、そういう強い圧力とかそういう立場で教育に関する言動を慎重にした方がいいとか自制した方がいいとかというようなことがあったかどうか、これはまた議論の余地があるかもしれませんけれども、あなたが特別労働界とおつけになるのには、何か意味がおありなんですか。
#157
○政府委員(三角哲生君) 柏原委員の御意見でございますけれども、政府・与党あるいは経済界は非常に現実に力があると申しますか、そういう意味合いで仰せになりましたが、そのほかに力のある社会と申しますか、集団と申しますか、そういうものもあるわけでございまして、そうして委員がおっしゃいました一種の原則的な規律の問題は、その余の集団等に対しても当てはまるというふうにとらまえましてお答えをさしていただいたのでございます。
#158
○柏原ヤス君 それはまた機会を改めて議論する問題であるように感じます。
 そこで、大臣にも一言お聞きをしておきますが、大人は子供を劣っているというふうに見下して見やすいと、しかしすばらしい能力を持っている、また将来は大きな成長、発展する可能性を持っていると、こういう正しい子供観、これに立たなきゃならないと、こう思いますが、大臣はこの点どうお考えですか。
#159
○国務大臣(田中龍夫君) 全く先生のおっしゃるとおりでございます。
#160
○柏原ヤス君 もう一点。教育界には、イデオロギー中心の無用の混乱や政治的対立というものは絶対に持ち込ませないように配慮すべきではないかと、この点いかがですか。
#161
○国務大臣(田中龍夫君) ぜひそうなくてはならないと、かように考えております。
#162
○柏原ヤス君 そこで、あたりまえのことを確認しお答えいただいたわけですが、まずお聞きしたいことは、新聞に今回の教科書問題はもういろいろと書かれております。そこで、各紙の新聞記事を見ますと、同じように書かれている問題、これは教科書協会が全面改正するという異例な措置を求めて文部省に申し入れしたと。その申し入れの理由は、昨年から記述内容に対する批判が高まり、世間を騒がせたのでとその理由を説明していると、こういうふうに書いてございます。この新聞記事は事実なのかどうか、真実はどうなのかお伺いいたします。
#163
○政府委員(三角哲生君) そのあたりを改めて教科書協会の関係者から聞きたいと思っておりますけれども、これは先ほど来の御質疑にも若干お答えしておるように、いろいろ社会科の教科書について各方面に御意見がありますので、それをやはり考えながら教科書協会の中で話し合いがあったんじゃないかと、これはそういうふうに想像はいたしておりますけれども、直接その辺のところも聞いてみたいと思っております。
#164
○柏原ヤス君 聞いてからのことというお答えですが、お聞きになる前に、考えながら聞くと、こういうお話ですね。どう考えていらっしゃるか。何も頭に認識なくしてお聞きになるんじゃなくて、考えながらと。やっぱり記述に対する批判が高まっているのかなと、いやそれはある一部分の批判は高まっているだろうと、こういうふうに考えているのか。また、世間を騒がせたと、本当に世間が騒いでいるのか、それほどでもないんじゃないかと。どういうふうに局長さんは考えながらお聞きになるんですか。
#165
○政府委員(三角哲生君) そのあたりは教科書会社が考えているか、あるいは考える事柄でございまして、私ども別にあらかじめ予断を持ってどうこうということではないのでございます。ただ、国会でもいろいろな御論議もあったことは周知のことでございますし、そういうことで私先ほどのようなお答えを申し上げましたけれども、会社側として、これから編集方針を決めて編集に取りかかるという前段階で、もし改定を施す個所のあるページ数が四分の一以上にわたった場合に、そういうものを検定に付してくれるかどうかということについて、付してほしいという申し出を持ってきたわけでございますので、そこのところ、どの程度の見通しなり意見があって持ってきたのかを聞いてみたいということでございますが、具体にどういった御意見をどういうぐあいに会社が受けとめて、それをどういうふうに改訂の上に生かしていくかどうかということは、この編集の作業が進みまして、そして明年になりまして検定を申請してきた時点になりませんと内容的には決まってまいらないことでございますので、どの程度その明確な見通しを持っておりますかわかりませんけれども、そのあたりにつきましては今度来てもらいましたら聞いてみたいと、こういうふうに思っているのでございます。
#166
○柏原ヤス君 新聞でいろいろと書き立てられている、それも一紙や二紙じゃなくて、ほとんど各紙がこれだけ取り上げていることですから、聞いてみたいなんていう傍観的な逃げ腰の聞き方じゃなくて、やはり考えながらとさっき局長さんがおっしゃったように、よっぽどしっかりした考えを持って臨んでいただきたい。そうしないと、文部省の姿勢というものがさらにあやふやなものだと、中立性を欠いているじゃないか、教育の中立というものは守られるかどうかということが本当に心配になるような結果になりかねないと思います。
 そこで、教科書協会からの申し入れにより文部省としてはその全面改正を認めるつもりですか。その点いかがですか。
#167
○政府委員(三角哲生君) これは全面改正というのは一つの編集の結果としての姿のことでございますが、検定の仕組みといたしましては、全部書き直しをするものに対する検定は新規検定でございますが、そうでなくていますでに検定を経て学校で使ってよろしいということになっておる教科書につきまして必要な個所について手直しをするということをした場合に、その手直しが一カ所でもあったページ数が全体のページ数の四分の一以内ですと改訂検定ということでその手直しの個所だけをチェックすると、こういう仕組みでございますが、四分の一を超えました場合には一応教科書全部について検定をし直すと、こういうことでございますので、新規検定の対象となるものはその両方が含まれてまいります。これは全部書き直しするかどうか、これは編集の結果を見ないとわからないわけでございます。
 そういうことなんでございますが、いまの御質問のそういう意味の新規検定を受け付けるかどうかという判断でございますが、これは制度の上では三年ごとの検定と言っております検定には新規検定と改訂検定と両方含まれまして、でございますから、個々の会社なりが新規検定を出してくるということはできるわけなんでございます。それから、いま社会科の教科書を発行してない会社なりあるいは新規参入の、新たに教科書をやってみようかという会社が三年ごとのその検定の時期に全く新しい教科書の検定を出してくることも制度上はあり得ることでございます。
 ただ、これまで前回の一番近い過去に属することでございますが、指導要領が改まりましたその次の三年目のときに全部の会社が部分改訂しか持ってこなかったというそういう前例があったものでございますから、それで会社の方が、今度は編集を進めた結果として四分の一を上回った場合にそれぞれ受け付けてほしいと、こういう申し出が来ているわけでございますので、私どもとしては、先ほど申しましたが、よく現在の各社の意見なりあるいは現在持っておりますところの見通しを聞いた上で対応をしていきたい。したがいまして、まだ結論を出してございませんが、慎重に検討した上で対応したいと、こういうふうに思っているのでございます。
#168
○柏原ヤス君 これは新聞報道によるものですけれども、全面改訂の方向が決定しているかのような感じでございますね。いまこれからそれを検討するんだということですから、決定しているかのような報道は少し行き過ぎているというふうに受け取れますが、いずれにしても全面改訂するということになったとすれば、これは、一方的な批判だけで、使用し始めたばっかりの教科書を全面改定に着手することになるわけで、子供とか父母、教師等の不安を増大させ混乱させるものであると、教育の安定性というものが全く損なわれるんじゃないか。もう全面改訂するんだよという、教科書を新しく勉強する子供はそういう前提のもとに教科書を使っていくということは、本当に不安定な教育が行われると、こう考えられるわけですけれども、その点いかがですか。
#169
○政府委員(三角哲生君) 先ほどから申し上げておりますように、検定は三年ごとでございますので、今回の教科書協会からの問い合わせと申しますか、申し出は三年後の教科書についての事柄でございまして、ただ、委員御承知のように、教科書は採択が済んで印刷してこれを配給するのに
 一年、その前の検定に一年、その前に会社自身が編集方針を立てて、そして教科書についての内容を検討して改訂なりあるいは執筆なりをするのに最低一年、こういうことでございますので、三年後の教科書についてぼつぼつその編集について検討を始めなければならない、こういうことでございますので、ことし使った教科書がすぐ来年から変わる、こういう話ではないのでございます。これは教科書の作成上、どうしてもそういう必要な日取りの関係から、こういうことになるわけでございます。
 もう一つの安定性の問題でございますが、教科書というものは言うまでもなく、学習指導要領に沿って内容的にも、それからいろいろな材料の選択にしてもやっていただくことでございますので、そういう意味で一つの筋道というものは決まっておるわけでございますし、それから関係会社も、これまでの教科書づくりの実績なりの土台の上で改善を図っていくということでございましょうということでございますので、その教科書が急にがらりと変わって子供や父兄に非常な不安感を与えるということに結果的にはならないのじゃないかというように見ておるのでございます。
#170
○柏原ヤス君 文部省の立場はそういうふうな見方でしょうけれども、使う子供、また教える教師、こういうものはもう何か三年先は全面改訂になるんだという本を、新しくいい本ができたといって使いたいものがそうじゃないわけで、そうした精神的な影響というものは私見逃せないと思うんですね。ですから、その点を文部省としても、子供の立場、教える教師の立場に立ってお考えになるというその点が何か欠けているんじゃないかと。三年先に変わるものは変わるんだよと、いまつくったものは黙って勉強しろと、そういうんじゃならないと思いますね。子供の立場、教える者の立場に立って考えていくべきだということは先ほど局長さんもお答えになっていらっしゃるわけでしまう。ところが、文部省の立場とか検定する立場、教科書会社の立場だけを考えていたのでは、私は本当にいい教科書はいつまでたってもできないと思いますね。いかがですか。
#171
○政府委員(三角哲生君) やはりあくまで柏原委員おっしゃいますように児童生徒のことを考えての教育なりあるいは教科書づくりということが一番肝要であると思います。ただ、小中学校の教科書につきましては、やはり先ほど来不安感ということをおっしゃっておられるわけでございますが、教育計画の安定性ということはやはり必要でございまして、御意見のとおりでございます。それと、それから学習指導の継続性というものも必要でございますが、あわせて教科書内容の改善の必要性ということが一方にございますものでございますから、その三者の必要性の調和を考えまして三年という区切りで検定を受け付けると、こういう仕組みにしておりますので、そしてその検定を実施するに当たっては会社側からあくまでやはり十分に吟味して適切な内容の教科書を出してきてもらいたいのでございますが、その上で私どもも中正な内容の教科書の作成を目指して検定を取り進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、ただこれは、報道関係のことを申しますのは私どもとしては非常に危険な話でございますし、そこにずうっと皆様はおられるわけでございますけれども、見出しに「全面改定」という字でばっと出ましたので、いかにも教科書がまるきりファッションのスタイルが変わるかのごとくに変わるように受けとめられたとすれば、それは若干ミスリーディングな結果になっておるのではないか、こういうふうに思っておるのでございます。
#172
○柏原ヤス君 もう一点。
 これはやはり新聞報道によるものですけれども、教科書協会が全面改訂を決めた翌日に、自民党文教議員朝食会で、大臣がこのたびの教科書の件はまことに結構なことでしたと語ったと書いてありますが、これはどうなんでしょう。真意をお聞かせいただきたいと思います。
#173
○国務大臣(田中龍夫君) そういうことはございません。と申しますのは、あの朝食会が終わりましてからすぐ閣議が開かれたわけで、実はそんなことを申し上げる時間もなく早々として閣議の方に飛んでいったような次第でございます。なお、いろいろとデリケートな段階でございますから、私がちゃんと文章に書いてそれを読んだだけでございまして、後は閣議の方にすっ飛んでまいった、こういうことでございます。(「原稿にないことまでしゃべったのですか」と呼ぶ者あり)そういうことはございません。
#174
○柏原ヤス君 それじゃ結構じゃないんですね。
#175
○国務大臣(田中龍夫君) それは大変心配をいたしております。
#176
○柏原ヤス君 その次、検定についてお聞きいたしますが、一度検定にパスした教科書を全面的に書き直しをするのはどういうときなんですか。
#177
○政府委員(三角哲生君) これはそれぞれの発行者の判断で、先ほど来申し上げておりますように、三年ごとにその機会はあり得るというのが現在の制度でございますが、ただ必ず全面的に書き直していただくのは、学習指導要領が改まったその直後の教科書、これにつきましては内容的に前の同じ会社が出していた教科書のいろいろな部分が生かされていくということは、これは内容の問題としてあり得るわけでございますけれども、一応全部新しいものとして原稿を出していただいて新規の検定をするということで、指導要領改訂後の教科書検定は新規検定だけを受け付けることにいたしておりまして、旧指導要領に基づいた教科書の改訂検定という部分的な手直しというものの受け付けはそのときはないわけでございます。
#178
○柏原ヤス君 現在使われている教科書は文部省が検定してオーケーを出したもの。それがつい先月、生徒たちに配ったばかりの段階、もうそれこそ中身をまだ見てないぐらいの期間。そのときに業者の方から、あれは欠陥商品でしたと、全面改定しなきゃならないんだと、こう言った。それをそのまま黙って受け入れるというのは無責任だと、こう言われても仕方がないと思うんですね。検定そのものがでたらめだったんじゃないかと、こういうふうに言われる結果になると思います。その点いかがですか。
#179
○政府委員(三角哲生君) この四月から中学校で使っております教科書は、御指摘のとおり一昨年に検定をした教科書でございますから、これを当該の発行者が改訂をするもしないも、発行者のこれは自主的判断でございまして、自由でございます。ただ、改訂をしたいというところがございまして、そしてその改訂の個所がどのくらいになるかと、これを編集を進めてまいりました結果として、先ほど来御説明申し上げましたように、四分の一を超える場合にはどうしたらいいかと、こういうことを言うてきておるわけでございますので、会社によりまして、いわゆる正誤訂正の手続で資料の差しかえでございますとか、そういうことだけで済まそうというところがあればそれはそれでいいわけでございまして、私どもの現在の教科書に対する検定は生きておるわけでございます。
#180
○柏原ヤス君 この検定に対しては、文部省の態度というものは毅然として臨んでいただきたい。教育の守り手としての文部省、これは最も信頼される文部省のあり方だと思うんです。何か新聞報道を見て言っていることですけれども、むしろ今度の教科書問題は内心じゃ喜んで受け入れている文部省、こんな印象は絶対に持たれないようにしていただきたいと思うのです。その点いかがですか。
#181
○政府委員(三角哲生君) これは教科書の発行者側がこれから編集に取りかかるという時期になりまして、いろいろ先ほど来御説明申し上げましたような予備的な検討、あるいは若干の、どういうふうに持っていって文部省が受けとめてくれるかどうかという、こういうことについての問い合わせと申しますか、要望、申し出でございます。でございますから、別段私どもはどうこうということではございませんけれども、基本的には、検定の制度というのは、各発行者ないしは著者がいろいろと創意工夫をこらしながら教科書の改善をしていく、いい教科書をつくっていこうという、自発的な、自主的な一種の創作的な活動、これについて、私どもとしては、学校教育法なり学習指導要領の基準に照らして、その検定をさせていただく、こういう仕組みでございますので、やはり発行者側のそういう自主的な希望というものは、これは基本的には大事なことであると思っておりますが、今回の事柄につきましては、しかし先ほど申し上げましたようによく各関係会社の考えなり、現在持っておりますところの見通しなりも聞いた上で慎重に検討してみたい、こういうふうに思っておるのでございます。
#182
○柏原ヤス君 最後に、わが党は教科書の採択に当たって、実際の学習の指導に当たっている教師、この教師によって委員会をつくる、そしてその教師の推薦したものを市町村教育委員会が採択する。また、その採択に際しては、親の意見を反映させる措置を何らかの形でつくるべきだ、こういう提案をしているわけですが、これについてどうお考えですか。
#183
○政府委員(三角哲生君) 一つのたてまえとしてそういうやり方というものは考えられるんであろうと、こういうふうにまず申し上げたいと思います。ただ、そういうたてまえの上に立って果たして具体的に事柄を進めます場合に、現実のどういったようないろいろ作用、反作用が出てくるかということは、もうちょっと考えてみないといけないんじゃないかという気がいたします。
 なお、私どもとしては現行の制度を運用しておる立場でございますので、それと関連して若干御説明させていただきますが、まず検定制度を改めるということでございますが、仮に検定制度を廃止するとすれば、非常に誤りや不正確な記述の多い教科書でございますとか、あるいは一面的な見解のみに基づいて記述された教科書ができるおそれがございますとともに、やはり教育課程に即応した教科書の発行が期待できるという保障が必ずしもございませんものですから、検定制度を廃止するということは考えられないと思っております。
 なお、検定制度をもうちょっと誤記、誤植等の簡単なものにしぼってはどうかという意見もあり得るかと思いますが、これにつきましても、いま申し上げましたと同様の理由で無理がある、こういうふうに思っておるのでございます。
 それから、現在の義務教育の教科書の採択は、都道府県の教育委員会の指導、助言あるいは援助に基づきまして市町村の委員会が行うことになっております。そして、都道府県の教育委員会は、市町村を指導、助言、援助するに当たりまして、教科用図書選定審議会というものを都道府県に設けまして、その意見に基づいて行うわけでございますが、現在この審議会委員の全体のおおむね三分の一は校長あるいは教員から任命しなければならないということにしておりますし、それからまたPTAの関係者等も入っておる例も見られるわけでございます。
 それから、それぞれの市町村の採択地区におきましては、採択地区協議会、これがあるわけでございまして、その下に教科書調査員というのが置かれるわけでございますが、これはほとんど全部が現場の教員から委嘱されておりまして、そういう意味でこの現行の採択の仕組みの中で現場の教員というものの識見というものが生かされるという措置がとられております。それから、父兄の意見の反映についても一応の道は開かれているんじゃないか、こう思っておるんでございます。
 それから、市町村によりましては教科書展示会に意見箱といったようなものを置きまして、そこに不特定の教員や父兄の意見が入れられるように、そこの箱の中に入れられるようにしておる例も見られます。それらの活用の仕方というのをどうするかは問題でございますけれども、一つの方法かと思っております。
 ただ、市町村の教育委員会という採択権者の責任が何らかの第三者的な力の働きかけなどによって不明確になるということはよくございませんので、それはそういうことのないように強く指導しておるのでございます。
 先ほどの教師によって構成される委員会が推薦したものを市町村教育委員会が採択するという仕組みは、先ほど申し上げましたように一つのたてまえとして考えられますが、現在もいま御説明申し上げましたようなぐあいになっておりますので、現在の制度の上にさらにそういった委員会を設ける必要も必ずしもないんではなかろうか、こういうように考えるのでございます。
#184
○柏原ヤス君 検定とか採択については、またいまの説明をもとにして、機会を改めて質問さしていただきたいと思います。ありがとうございました。
#185
○佐藤昭夫君 私も、最初に教科書の問題について若干お尋ねをしておきたいと思いますが、午前中の小野委員の質問の中でも、今回の教科書問題での教科書協会と文部省との関係はちょうどサル芝居のようなものだという指摘がありましたが、私も文部省が巧みに仕組んでいるんではないかという疑いを持たざるを得ません。
 本日の朝日新聞の報道によりますと、文部省はすでに昨年の暮れから今年の一月にかけて公民教科書を発行している七社を次々呼び出し、教科書の書きかえを誘導したと。七社の印象は、書きかえを事実上強要されたというふうに受け取っているという報道が出ているわけですね。文部省当局は、尋ねれば、そういうことを強要しましたというようなことは口が裂けても言わぬと思いますけれども、少なくとも事実としてこのような教科書会社の代表の呼び出しを行ったのかどうか、教科書についての話し合いをやったのかどうか、朝日新聞報道には課長の名前まで挙げて書いておりますので、全く事実無根の報道が行われておるというふうに私は思いませんけれども、事実はどうなのかという、その点どうですか。
#186
○政府委員(三角哲生君) 一々呼び出して強要を行ったというようなことはございません。
#187
○佐藤昭夫君 強要を行ったのかどうかということは、今後おいおい、この委員会でも教科書協会の代表も参考人で呼んで集中審議もやろうかということも話に上っておりますから、おいおい事実が明らかになる問題でありましょう。
 私が聞いているのは、文部省が教科書会社の代表を呼んで教科書の問題について話をしたということは事実かという、この点についてどうですか。
#188
○政府委員(三角哲生君) 教科書の問題は国会でもいろいろ文教委員会あるいは予算委員会で取り上げられておりますから、教科書会社の関係者が参りましてそれが用件のほかに話題になるということは、これは私は一々初等中等教育局内の各課を見張っているわけではございませんからわかりませんけれども、話題になるということはあり得るだろうと思います。
#189
○佐藤昭夫君 よろしい。そうすれば、とにかく教科書会社の代表を呼んで教科書問題について話をしたという事実はあるということは大体お認めになっておるということだと思います。
 次に、御存じのように教育基本法第十条は「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」とはっきり規定をしているわけです。これも朝日新聞報道でありますが、朝日新聞のインタビューに教科書協会の稲垣会長は答えてこういうふうにしゃべっておるんです。「今回の批判がこれまでと異質なのは、政権政党である自民党が批判勢力の中心だったことです。そうでなかったら、私たちもこんな大騒ぎはしなかっただろうし、協会の対応も変わったでしょう」と語っている。たとえ政権政党であっても、政権政党の発言だからという、批判だからということでそれを特別に取り上げていくということは、不当な権力的介入に屈していくということにならざるを得ないわけですね。これが教科書の書きかえという問題としてそれがそういうふうに進んでいくということになれば、これは明らかな教育への不当な支配であり、またその不当な介入に屈従をしていくということになる、教育基本法第十条に抵触をする問題になるんじゃないかと、言われておるようなことが事実であれば。すなわち、政権党の批判的発言だから大きく取り上げざるを得なかったんですというふうに教科書協会稲垣会長が語っている、この言葉が事実とすれば、これは教育基本法第十条に照らして大変な言い方だというふうに私は思うんですけれども、その点についての見解はどうですか。
#190
○政府委員(三角哲生君) 教科書の発行者は、民間の独立した自主的な一つの組織団体でございますから、自由に自主的に考えるのが本来でございます。このことが事実であればとしての前提のただいまの御質疑そのものには、私としてはお答えをすべき筋合いのことではないんだろうと、こういうふうに思います。
#191
○佐藤昭夫君 都合の悪いことは、その新聞の報道、それは事実でないというようなことで否定をされるわけですけれども、局長は午前中からの質疑、答弁に対して、教科書協会を初めとして、必要があれば各教科書出版会社の代表と来週から話をやっていくんだというふうに言われているわけですけれども、話をしていく、向こうの言い分を聞く、その場合の文部省のまず基本姿勢としてはっきりさせなくちゃならぬ問題は、こういった今回の教科書協会の側の教科書の全面改訂というか、四分の一を超える大幅改訂、この発意が、そういうことを思い立ったその動機が、この政権党である自民党の批判が大きく働いているということが、もしも動機になっているというようなことであれば、そういう態度をとってはいけません、教育というものはそもそもそういうものであってはならぬのだということで、教科書協会、教科書会社の側の教育に責任を持つ自主的態度をはっきりさせることを指導をすることこそが、まず文部省としての先決してやらなくちゃならぬ問題じゃないかというふうに思うんですけれども、その点はどうですか。
#192
○政府委員(三角哲生君) 先ほども申し上げましたけれども、教科書会社そのものは自主独立の組織団体であるはずでございますし、でございますから、今度は逆に私どもがその改訂なり何なりの動機についてどうなんだと、その動機がいいとか悪いとか、そこまでやることこそ、またちょっと立ち入り過ぎる話になるんじゃないか。基本的には、私どもは検定する側でございますから、内容を問うのがやはり主眼というか、主体の仕事でございます。
#193
○佐藤昭夫君 もう一つ、これは先ほどの柏原委員の中でも触れられた問題でありますが、朝日新聞の記事に同じく出ているんですが、文部大臣は教科書協会が教科書の全面改訂、大幅改訂を決めた翌日の朝の四月二十八日の朝食会で、「このたびの教科書の件は、まことに結構なことでした」と語った云々というこの部分については全く事実ではありませんということで言われておりますけれども、しかしこの新聞報道は念が入って、あらかじめ政府当局が用意をした原稿メモになかったアドリブがついて文部大臣発言になったということまで書いているということで、私は依然としてこういう報道が出ざるを得ないような何かの一幕があったんじゃないかという疑問を持たざるを得ないわけでありますけれども、しかし文部大臣は結構なことですというよりも、心境を問われれば、心配に思っているというふうにさっき言われたわけですけれども、あの事態をね。本当に教科書をどういうふうに扱っていくかということについて、また予算委員会でも問題になりましたあの「疑問だらけの中学教科書」という形で出ている筑波大学グループ、ああいう人たちによる批判、こういうものが一連ずっとやられてきて今日の公民教科書のこの扱いをどうするかということが一つの問題に上ってきているということで、文部大臣としては、扱いを一歩誤ると悔いを千載に残す大変なことになると、本当に慎重な扱いを文部省としてはしていく必要があるんだというふうに大臣としては本当にお考えになっているかどうか。というのは、局長は来週からそろそろ話をやって、文部省の対応については慎重にこれから検討をしていくんですというふうに言っている。ところが、大臣はいままでの質問の中で、先回の私の質問に対しても、教科書会社がそういう発意をしてくるということは、言うなら教科書をよりよくしようという自発的意思のあらわれであって、いかにも結構なことだと言わんばっかりな言い方をされているわけですけれども、しかしこれ文部省として扱いを誤りますと、まさに悔いを千載に残す問題になりかねないわけですね。ということで、文部大臣としても本当に慎重にやっていくべきだというふうにお考えになっているかどうか、改めてもう一遍聞いておきたいと思います。
#194
○国務大臣(田中龍夫君) 不当な類推は御遠慮願いたいと思います。
#195
○佐藤昭夫君 いや、私は新聞の報道に書いてあることについて、不当に類推、拡大をして聞いているんじゃないんですよ。教科書協会の方から要望、申し入れなるものが文部省の方へ来ている、これの扱いについては文部大臣としても――局長は慎重にしますというふうに一応言うておるんです。文部大臣としてもこれを慎重にやっていくということでお考えになっているかということで重ねて聞いているんです。
#196
○国務大臣(田中龍夫君) 非常に重大なことでございますから、慎重に慎重を期しておる次第でございます。
#197
○佐藤昭夫君 それで、大臣としても慎重に慎重を期して検討をし、対処をしていくんだということの御答弁をいただいたわけですけれども、そこで、現行の教科書検定の制度並びに慣行では、今日まで教科書内容の全面的な改訂、四分の一を超える大幅改訂、こういうものは学習指導要領などの改訂を行った場合以外にはそういうことはいままでしたことがなかったと、こういう例のもとで、いま協会側からこういう要望が出されてきているということでありますけれども、文部省としてこれから検討なさっていく角度、検討をしていく視点、これは憲法、教育基本法の精神あるいは学習指導要領の基準に照らして、いま使っている教科書の何か具体的な直さなくちゃならぬ誤りがあるのか、子供の発達のためにふさわしくないという部分があるのかという、こういう角度で検討がされるべきであり、またそういう角度で教科書会社の方とのいろんな話をされる必要がある。とにかく教科書会社の方からここがまずいから、こういうふうに変えますという、全く基準なしの検討の作業、協議の作業ということではないはずだと、やっぱりその基準は憲法、教育基本法の精神に照らしてどっかまずいところがあるのか、子供の学習、発達上ふさわしくない部分があるのかというこの立場というものははっきりしていただく必要があるというように思いますけれども、その点どうでしょうか。
#198
○政府委員(三角哲生君) 検定は新規検定にせよ改訂検定にせよ、いずれも学習指導要領にそれが沿ったものとなっているかどうか、これを基本に行うわけでございます。今回のケースは教科書会社が三年後の教科書についてこれからその編集計画の検討に入るという時点で、大幅とおっしゃいましたけれども、従来の慣例で四分の一以上のページにわたって改訂が施された個所が出てくるかどうか、編集を進めた結果としてそれが出た場合にこれを新規検定として受けとめてくれるかどうか、こういう申し出でございますので、現在の教科書は現在の教科書で、それでいいわけでございますけれども、これを責任を持って発行している方が、さらに改善、進歩を図ろうということは、それなりに理由もあり、かつ望ましいことであると思っております。
 なお、既往において、中学校の新規検定は、三十五年、三十九年、四十二年、四十五年と行われまして、四十八年だけが改訂検定のみであったわけで、そして五十一年にさらに新規検定がありまして、そして、ただいまのこの四月から用いております教科書は五十四年の検定ということでございまして、先ほど来御説明申し上げておりますが、教科書検定制度のシステムとしては三年ごとに検定が行われる、そしてその検定は新規検定と改訂検定の両方があり得る、そういう仕組みになっておるのでございます。
#199
○佐藤昭夫君 最後に念のためにもう一つお尋ねをしておきますけれども、現在教科書協会の方からそういう申し出が文部省へ来ているわけですけれども、現在使われている教科書、これは使い始めてまだ一月になるかならぬかという段階ですけれども、この現在使われている教科書について執筆者並びに実際に現場の学校で教えている先生から、四分の一を超える大幅書き直しをする必要があるという具体的意見が私は出ているわけではないというふうに思うんですけれども、何かそういうものが出ておるというふうに思っておられるものかどうか、私はそういうものはないと思うんですけれども、文部省はどういう受けとめ方ですか。
#200
○政府委員(三角哲生君) 執筆者の関係は、これはその執筆者に著作を依頼した会社とその執筆者との間の事柄でございます。状況によりまして私どもがそういうことについて会社側から話が聞けるかどうか、その結果によりまして私どもとしては、いま御質問のようなことがあるかどうか知り得るわけでございますけれども、あくまでもそれは会社と執筆者との関係でございます。
 先生方の問題につきましては、確かにおっしゃいますように、この四月から使われたものでございますから、広く教員全般がどの程度この一月の間に、あるいは前の採択のときを含めまして個々の教科書の具体について検討を深めておられるかどうか、それは確かに期間的には短い期間であると思います。ただ、現在の話は、これは先ほども柏原委員に御説明させていただいたわけでございますが、一方において教育計画の安定性、学習指導の継続性というもの、それから第三に、教科書内容の改善の必要性、これらの調和を図って三年ごとの検定ということを決めておるわけでございますから、これは教科書の編集、検定、それから採択、発行、配給というその手順を進めます上に最低三年間かかるわけでございますから、三年後の教科書をどうするかということを、それぞれの会社がすでにその心配をし始めておる、こういうことでございまして、日程上はこれはそういうことでいたし方のないことでございます。
#201
○佐藤昭夫君 長い答弁をなさっていますけれども、少なくとも文部省、局長としてもお認めになっているように、いま使い始めている、一カ月になるならぬのこの教科書について四分の一を超える大幅書きかえをした方がいいんだというような、そういう執筆者の具体的意見、現場でそれを使って教えている先生方の意見、こういうものが出てきているというふうに文部省として承知をしているわけじゃないわけですね。しかし、にもかかわらず今回の教科書協会のこういう申し出をめぐって、理論上は三年に一回の見直しやるんだから、それが場合によれば四分の一を超える大幅書きかえになるという可能性も理論上はあり得る、というような抽象論をおっしゃっているわけですけれども、朝日新聞にも引用されているかごとく――単に朝日新聞だけじゃない、ほかの新聞の社説にも取り上げられてきているでしょう。いま一部の勢力に押されて、教科書協会で、いままで例のなかったような、異例なことが行われようとするこうした動きを文部省自身が助長をする大変危険な傾向になってきているというこの問題が、この委員会でもいろんな方たちが繰り返し議論をしておるところの問題だと思うんですよ。ですから、もう次の法案の問題に移りますからあれですが、どうか文部省としてはもっと毅然たる態度をこの問題でとってもらう必要があるということを重ねて要求をして、次の問題へ移っていきたいと思います。
 放送大学の問題点についていろんな角度から質問をしてまいりましたが、きょうは角度を変えて、教育の機会均等、門戸の拡大を図るんだと言いながら、この放送大学の中身がきわめて安上がりの大学となるんじゃないかという立場でいろいろ尋ねてみたいと思います。
 まず、議論の前提として、一つの放送を利用する大学の模範例としてたびたび話に上りますイギリスのオープンユニバーシティーですが、わが国の放送大学は教養学部だけと、オープンユニバーシティーの学部はどのようなものがあるんですか。
#202
○政府委員(宮地貫一君) オープンユニバーシティーの組織でございますが、人文、数学、理学、社会科学、工学、教育研究の六学部を置いているものと承知をしております。
#203
○佐藤昭夫君 そうすると、そういう多様な学部が置かれているのに、わが国の放送大学は教養学部だけだと。いままでの説明ですと、昭和七十一年度完成というもくろみですけれども、将来わが国の放送大学についても教養学部以外を拡充する方針はあるのですか、ないのですか。
#204
○政府委員(宮地貫一君) 当面、私どもとしては教養学部ということでこの放送大学を発足したいということで御提案を申し上げておるわけでございます。
 将来の構想についてのお尋ねでございますが、学部、学科の増設の問題というのは、一つは放送大学に割り当てられております電波のチャンネルが限られているということからくる制約もございまして、増設はなかなか簡単なことではない、かように考えております。
 いずれにいたしましても、将来、この教養学部で実施をし、さらに全国的に広げていき その後において、社会的なニーズといいますか そういうようなものがどういうことになるのか その辺を十分把握をした上で検討すべき課題と かように考えております。
#205
○佐藤昭夫君 将来の検討課題となること自体を否定をするわけではないけれども、昭和七十一年完成時、この完成時の段階でも教養学部以外に広げる、拡充をするという方針があるわけではないわけですね。だから、そういう点で門戸を広げるといっても、どれだけ門戸を広げたことになり得るのか、この点については非常に限定がついた問題だということだと思います。それから一方、オープンユニバーシティーと学生数の対比ですけれども、私の資料によって調べたところでは、オープンユニバーシティーは、先ほどの六学部で約五万人、わが国の放送大学は、完成時で教養学部一つですけれども、登録学生として四十五万三千人というのが挙げられておる。そうしますと、学生一人当たりの投入される予算を比較してみた場合にどういうことになるか。これ比較なさったことありますか。
#206
○政府委員(宮地貫一君) オープンユニバーシティーとの対比につきまして、経費の面での比較というものはいたしたことはございません。
#207
○佐藤昭夫君 これはしかし質問の項目で通告をしておいたはずですけれども。
 放送大学は四十五万人、三百六十八億という、こういうことになっていますから、一人約八万円、オープンユニバーシティーは七万人で百十六億円、これはもちろんポンド換算をしたあれですけれども、そうすると一人で約十六万円、倍の違いがある。お金をかけるあれでオープンユニバーシティーと倍の違いがあるということだと思います。
 それからさらに、放送大学の基本計画でいきますと、完成時で、学生数、入学定員二十三万三千人、登録学生数四十五万三千人、一方、職員数は、専任の職員約二千人、うち専任の教員三百十人、非常勤の職員が約五千六百人、うち非常勤の教員が三千三百五十八人と、こういうことになっていますから、したがって、職員一人当たり、あるいは教員一人当たりの学生数、これは結局どれだけ行き届いた教育がやられるのかということの指標になると思いますけれども、そういうものをオープンユニバーシティーと放送大学とで比較をしますとどうなるか、これは計算したことありますか。
#208
○政府委員(宮地貫一君) 教員一人当たりの学生数について、放送大学とオープンユニバーシティーとの比較はどうかというお尋ねでございまして、私どもの持っております資料で申し上げますと、オープンユニバーシティーは、昭和五十四年で在学生数が約七万八千人というぐあいに承知をしております。教員一人当たりの学生数で申しますと、オープンユニバーシティーの場合には、非常勤の教員の数が大変多くなっているということもあるわけでございまして、教員一人当たりの学生数で言うと十二・五人と、これは非常勤を含めての数でございます。それに対しまして、放送大学の私どもの第一期の計画ということで、具体的な計画としては、現在関東地域を中心にしました第一期の計画ということで御説明をいたしておるわけでございまして、それの対比で申し上げますと、第一期計画の完成時で在学生数が約三万人ということで、教員一人当たりの学生数で申しますと八十七・五人ということで、御指摘のように、一人当たりの学生数で申しますと、オープンユニバーシティーの場合に比べて学生数が多いということは言えるわけでございます。問題は、オープンユニバーシティーの場合は、学習方法が、たとえばテレビ・ラジオによる授業というのが一〇%というようなことが言われておりまして、その辺が御提案申し上げておりますこの放送大学の場合と授業の持ち方というようなものが異なるというようなこととか、それからたとえば、面接授業、学習指導のところにつきましても、月曜から金曜までは、夜間と申しますか、午後六時からの授業であるというようなところで具体的な対応の仕方がやっぱり異なるという点もあるわけでございます。御指摘のように、教員一人当たりの学生数で申せば、オープンユニバーシティーの方が学生の数は少ないということは御指摘のとおりでございます。
   〔委員長退席、理事大島友治君着席〕
#209
○佐藤昭夫君 いまは放送大学の第一期計画とオープンユニバーシティーの対比ということでの数字の説明があったわけですけれども、基本計画完成時と比較をすれば、放送大学の場合には教員一人当たり学生数百二十四人という数字になって、一層大きな差が出てくる。いずれにしても、第一期計画を見ても、完成段階を見ても、イギリスのオープンユニバーシティーに比べて、同じ放送を利用する大学だと言いながら、非常に行き届いた教育にはほど遠い、教員一人当たり過大な学生数を抱えなくちゃならぬという、逆に言えば、極端な安上がり教育が考えられているんじゃないかということがこの数字一つとってみてもはっきりすると思うんですね。職員一人当たりの学生数という対比をとっても同じようなことが言い得る問題だと思うんです。
 そこで、イギリスのオープンユニバーシティーとの比較だけじゃなくて、現行のわが国の大学の現状との比較をしてみたらどうかということですが、現在教養学部を持っております国立大学は東京大学と埼玉大学の二つです。この二つの大学の教養学部の教員一人当たりの学生数、これは東大について、埼玉大について、どういう数字になっていますか。
#210
○政府委員(宮地貫一君) 東京大学の教養学部で申し上げますと、学生数七千九十九人に対して講師以上の専任教員で申しますと三百一人が配置をされております。それで割りますと、専任教員一人当たりについて二十三・六人という数になるわけでございます。
 それから埼玉大学の教養学部との対比で申しますと、学生数五百五十四人に対して講師以上の専任教員四十一人ということでございまして、それで割りますと、教員一人当たりに対して十三・五人というような数になります。
#211
○佐藤昭夫君 東大の方の数字がちょっと違う感じがするんですけれども、いずれにしても、東大も埼玉大学も、教養学部について言いますと、教員一人当たりの学生数というのは二十人以下十数人、こういう状況です。
 ところが、これからつくっていこうとする放送大学について言えば、先ほど来明らかになっていますように、完成時で百二十四人、第一期計画でも八十七人ということで、膨大なそこに格差があるということがはっきりするわけですね。それならば、大学の通信教育部の場合と比較してみたらどういうことになりますか。通信教育部の教員一人当たりの学生数、平均してどれぐらいになっているんでしょうか。
#212
○政府委員(宮地貫一君) 私立大学の通信教育部の四年制大学で申しますと、平均で申しますと、本務教員、兼務教員合わせまして約二千五百人弱になるわけでございますが、学生数全体十万一千人余りでございますが、
   〔理事大島友治君退席、委員長着席〕
教員一人当たりで申し上げますと、四十一・五人というのが私立大学の通信教育の現在の平均の数字になるわけでございます。
#213
○佐藤昭夫君 そうしますと、この点でもやはり放送大学の場合、教員一人当たりの責任を持たなくちゃならぬ学生数というのが非常に多い、行き届いた教育にはほど遠い状況にあるんだということが、オープンユニバーシティーと比較をしてみても、また現在ある教養学部を置いておる国立大学と比較をしてみても、また通信制を置いておる大学と比較をしてみても大変大きな差があるということが数字的にも明瞭だということだと思うんです。放送大学は十年来の検討が行われてきたわけでありますけれども、放送大学に適用すべき設置基準は決まっているんですか。
#214
○政府委員(宮地貫一君) 先ほども申し上げたとおり、大学設置審議会の中の基準分科会の中に特別委員会を設けまして、通信教育を含めまして放送を利用する大学の場合も含めまして、ただいま御審議を願っているという状況でございます。
 なお、審議の途中経過、共通事項として御了解をいただいている点等については、先ほど御説明を申し上げたような状況に至っておるというのが現状でございます。
#215
○佐藤昭夫君 そうしますと、設置基準の具体的な内容、たとえば教員数、学生定数、施設設備の基準、授業形態、その点についてスクーリングをどの程度のウエートに置くかということについては、先ほどの同僚議員の質問に対しての答弁の中ではありましたけれども、いずれにしても、こういった設置基準の全体について、いつ結論が出るんですか。
#216
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の設立につきましては、御審議をいただいておりますこの放送大学学園法案が成立を見まして、具体的にこの特殊法人の放送大学学園から放送大学の設置について認可申請が出されると、私どもの計画している点で申し上げますと、大学の設置認可申請については、この秋ぐらいに文部大臣に認可申請をするということで考えているわけでございます。そういう状況と対応しながら大学設置審議会――もちろんこの放送大学の設置認可申請についても大学設置審議会で審査が行われるということになるわけでございまして、そういう作業と並行いたしまして審議会の基準分科会の中に特別委員会を設けて御審議をいただいているという状況でございます。
#217
○佐藤昭夫君 非常に問題が本末転倒しているんじゃないかと思いますね。法案が通ってそうして秋ごろにこの認可申請が出る、ここをめどに設置基準の煮詰めをしていくんだと、こういう国民をたぶらかすような言い方というのはないと思うんですよ。本当に鳴り物入りで高等教育の門戸拡大を図るんですと、で、この放送大学というものをつくっていくんですということで宣伝をしながら、一体その大学が大学たるにふさわしい教育条件がきちっと確保されるのかどうか。
 先ほど来私は、教員一人当たりの学生数がどうなるか、本当に行き届いた教育がやられるのかどうかという問題を一つの例としてずっと議論をしてきているわけですけれども、その基準を本来的にはどうするのかということをあいまいにしたままで、この法案はともかく国会で通してくれ、そして秋ごろの認可申請までにできるだけ煮詰めをやりたい、しかし、これも煮詰まるのかどうかこれはわからぬ、こういう、国会を悔辱するようなそういう態度というのはないと思うんです。逆に言えば、この設置基準がはっきりするまでこの法案は引き続きペンディングしていくということにならざるを得ないじゃないですか、どうですか。
#218
○政府委員(宮地貫一君) 現在大学通信教育の基準については、先ほど来御答弁を申し上げておりますように検討していただいておるわけでございまして、今日までの審議でおおむね共通の了解に達している点で申し上げますと、学部の組織編成、教育課程、卒業要件等、基本的なあり方については大学設置基準に準拠するということ。第二点といたしまして、教育方法、単位の計算方法等につきましては通信教育に即した基準を定めるということなどになっているわけでございます。したがって、基本的な了解はいただいておりますが、設置審議会での結論を得て、基準を制定するということになっております。
 なお、さらに具体的な内容の面で御参考までに申し上げれば、通信教育を行える専攻分野といたしましては、具体的な学部等の例示は避けて、一般的に主として通信による教育の方法によって十分な教育上の効果を期待できる専攻分野について行うことができるというような形で通信教育を行える専攻分野というものは、そういうような形になるのではないかと考えております。
 第二点として、授業の方法としては、印刷教材による授業、放送授業もしくは面接授業のいずれかにより、またはこれらの併用により行い、適宜添削等による通信指導を加えて行うというようなことが授業の方法としては考えられております。
 第三点として、授業の期間等については、授業日数、授業期間等は年間を通じて適切に行うという考え方で、各授業科目の授業は十週、十五週または適当と認められる期間を単位として行うという考え方でございます。
 単位の計算方法については、印刷教材による授業については四十五時間の学習を必要とする印刷教材等の学習をもって一単位とするという考え方でございますし、放送授業については、一時間の放送授業に対して二時間の準備のための学習を必要とするものとし、十五時間の放送授業をもって一単位とすると。面接授業については、講義、演習、実習等の別により大学設置基準の定めるところによることにいたしております。
 卒業の要件といたしまして、これは先ほど御説明をした点でございますけれども、面接授業により修得すべき単位は三十単位以上としますが、放送授業をあわせて行うこととしているときは、そのうち十単位相当までは放送授業により修得することができるものとするという考え方でございます。それから体育実技につきましては、二単位のうち一単位は講義をもってかえることができることとし、履修方法について、大学教育委員会等が開設する体育行事等に参加することにより履修することができるよう弾力的な取り扱いを認めることといたしております。
 教員組織につきましては、併設の通信制の場合には、入学定員千人につき四人の割合で専任教員を増員するものとし、独立の通信制の場合、つまりこれに該当するわけでございますが、入学定員千人の場合、同一種類の昼間学部で必要とされる専任教員をもって所要の専任教員とするという考え方でございます。それから全教員の二分の一を超えて兼任の教員を置くことができるものとするという考え方をとっております。
 そのほか校舎等の施設についても、併設通信の場合は既設の校舎を兼用することができるものとするが、通信教育の実施に支障がないよう通信教育関係施設の整備を考え、独立通信制の場合は教育研究に支障のないよう校舎等の施設を整備するという考え方をとっております。校地については、独立通信制の場合は所要の面積を持つ校地を整備するということを考えております。
 通信指導等についても、それぞれ大学の実情に応じて適切な措置を講ずるというような、以上申し上げましたような事柄については、それぞれこの審議会においても具体的に検討をいただき、ただいままでおおむね了解点に達している点としては以上のようなことがあるわけでございます。しかしながら、もちろんそれを受けまして具体的にこの放送大学の認可申請というのはこれから出るわけでございまして、それに対応するような大学設置審議会での対応というものについては、私どもとしても十分それに間に合うように対応を考えていくということは当然のことでございますが、ただいままで議論が進んでいる点はどうかというお尋ねでございましたから、御説明を申し上げれば以上のようなことになっております。
#219
○佐藤昭夫君 聞くところによると、この設置基準の審議は五十三年度までやっていたけれども、以降中断しているというふうに聞くんですが、その理由はなぜですか。
#220
○政府委員(宮地貫一君) 五十四年まで審議が行われておりますが、具体的な審議としては、法案の進捗状況ということとも関連があるわけでございまして、それ以後についてはないというのが現状でございます。
#221
○佐藤昭夫君 全くばかな話だと思うんですね。文部省当局は本当にこの法案を国会を通したいという一体熱意があるのかと。ないじゃないですか。法案が通った暁、どういう内容の大学ができるのかという、その内容を決める設置基準、これについて、おおよそ合意に達しているものについて、先ほど来ずっと局長は説明していましたけれども、未決定というか結論出てない問題も幾つかあるわけでしょう。ところが、そういう問題について引き続き審議を続けて、早く結論を出して、どういう姿の放送大学になるのか、これを国民の前に明らかにして、審議促進も図っていこうという熱意がないんですよ。全くおかしな話じゃないかと。そんなことであれば、われわれの方もそれができるまでひとつ審議ストップしょうかということにならざるを得ぬじゃないですか。文部大臣、おかしいと思いませんか、このこと。どうですか。
#222
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま設置基準、その他、詳細にわたって局長から申しましたが、御案内のとおり、今日御審議を願っております放送大学学園法案、それによりましてさらにその学園が放送大学をつくっていくというようなことで、今後の問題につきましては、なおそちらの方にゆだねておる面も多々あるわけでございます。できる限りの設置に対しまする具体的な問題については、ただいまるるお話をしたような経過でございますが、今日までの審議の経過におきましては、すでに四回目の御提案をいたし、その間二回は、国会のいろいろな不正常な状態でこれが審議が進まなかったという事実も御案内のとおりでございます。
#223
○佐藤昭夫君 そんなふうに言われようとも、四回にわたって国会にこの法案を出してきていますと言われようともい当局はその法案が通っていくような条件づくりをやってないじゃないかということで言っているんです。
 それなら、私は再度主張いたしますけれども、局長がずっと先ほど来言われた、口頭でよくわからないから、審議会で、その特別委員会のそこで設置基準について審議をして、おおよそ結論を見ている問題、それからなお今後審議をしなくちゃならぬ問題、分類をしてどういうことになるのかと。それからさらに審議をしなくちゃならぬ問題を今後どういう日程で煮詰めていくのか、これを一遍ひとつ当委員会のこれから審議をやっていく判断資料として委員会へ出してもらいたいというふうに思いますが、当局、出してもらえますか。
#224
○政府委員(宮地貫一君) 私どもといたしましては、内容的には事実上はほぼ固まっているものでございますが、正式に審議会からそういう結論という形でいただいていないわけでございます。ただいま御指摘の点については、審議会側とも十分相談をさせていただきまして、極力対応できるようにいたしたいと、かように考えます。
#225
○佐藤昭夫君 ぜひ至急にそれひとつやってください。至急に出してもらわぬと、もうこれ以上審議が進まぬですよ。
 それから、先ほどの局長の説明の中で、教員の定員にかかわって、大学設置基準第十二条、御承知の「兼任の教員の合計数は、全教員数の二分の一を超えないものとする。」という規定があるわけですけれども、しかし、実際に放送大学の実情を見ますと、たとえば完成時専任教員三百十人、非常勤三千三百五十八人となっている。それから、スクーリングというのはきわめて重要だと言いつつ、学習センターの定員を見ると常勤教員五人、非常勤三十名という、もうきわめて大きな部分を非常勤に依存をするという異常な姿になっているわけですね。こういうことで、言っているような教育の質が確保できるのかという疑問を持たざるを得ない。ところが、先ほどの設置基準の説明の中で、私の聞き違いだったら取り消しますけれども、二分の一を超えてはならないという、これを放送大学については取っ払うかのようなちょっと言葉があったように聞こえましたので、事実そうなのか――そうだとすれば、これこそ本末転倒だと。せっかくのこういう大学設置基準、すべての大学について、教員の定員についてはかくあるべしと、大学教育の質を維持するためにかくあるべしという基準をつくっておきながら、放送大学だけは別ですよと、非常勤がうんと多くたってかまへんのですよというようなことをするとすれば、これはもう全く本末転倒だというふうに思わざるを得ないので、一気にはいけなくとも、年次計画でそこまで到達をさせるというようなことなんかが当然政府の方針としてあってしかるべきじゃないかと思いますので、この点どうなんでしょうかね。
#226
○政府委員(宮地貫一君) 通信教育を行う学部にありましては、教育上の必要に応じて全教員の二分の一を超えて兼任の教員を置くことができるという考え方をとっております。そして、通信教育を行うに当たりましては、具体的には、この放送大学の場合も、学習センターを置いて面接授業をなるたけ行き届いたものにするということが必要なわけでございますけれども、そのためには、その専任教員以外のそれぞれ国公立大学の教官の協力を得ることが必要なわけでございまして、御指摘の点は、あるいは専任教員を置くべしという御主張かと思いますけれども、むしろ実際的な必要からすれば、各地の学習センターに、スクーリングを十分充実したものとしてやるためには他の大学の教官の協力を得ることが必要でございますし、したがって非常勤の教員を学習センターにも具体的には予定をしているわけでございます。
 したがって、むしろそういう点では、特に制限を設けないことの方がより適当であるというような判断に立って、その点を二分の一を超えて兼任の教員を置くことができるという考え方をとっておるわけでございます。もちろん、これは通信教育を行う学部の場合についての規定としてそういうものを考えているわけでございます。
#227
○佐藤昭夫君 私は、非常勤の教員一名たりともだめだという、そういう極論を言っているわけじゃないわけですね。すべての大学について、大学教育の質を維持するために教員の定員についてはかくあるべしという大学設置基準というものがあると。この定員についての設置基準を著しくそこから逸脱をして、余りにも非常勤の教員に依存をしていくという教員の体制というのは、それで本当にいいのかという問題を提起をしているわけで、これは、いまのあなたの説明ではどうしても納得ができませんね。当座は、直ちにそれだけのお金もないし、人を集めることについての技術上の困難もあるから、当面は、仮に非常勤にかなりの部分依存しなから出発するにしても、将来計画としては年次計画でこういうところへ到達するんですということがあってしかるべきじゃないかということで提起をしているわけなんで、局長の先ほどの説明では依然として納得できません。
 いずれにしても、さっき要求をいたしました現在検討されている設置基準の内容一覧ですね、それで、おおよそ意見一致を見ている部分、それからこれからなお審議を煮詰めなくちゃならぬ問題、それの日程、見通し、こういうやつを一遍資料として出してください。口頭だけで言われてもどうしても聞き漏らす部分がありますので、一遍文書で出していただいて、それに基づいてよくわれわれの意見を述べたいと思うんです。
 いまの問題も、結局安上がり教育が基礎になっているんじゃないかということの一つのあらわれだと思いますけれども、で、同様のあらわれが、これは柏原委員も触れられておった、スクーリングが重要だと言いながら、通信教育では卒業に必要な三十単位と、こうしながら、実際は放送大学では二十単位でよろしいということで流れていく。このことが同時にまた質の低下になっていくんじゃないかという問題が同じく指摘できると思うんですね。
 もう一つ最後に尋ねておきますけれども、四十五万人の学生を受け入れるにふさわしい校地――オープンユニバーシティーなんかもずいぶん広い敷地をとっているらしいですね、この報告書なんかによると。そういう校地、校舎などの基準はどうなるのか。それから実際に学生が学校へ出てきて自発的に勉強をする図書を整備する基準はどうなるのか。こういった問題はいま検討しているんですか。
#228
○政府委員(宮地貫一君) 校地については、先ほど独立通信制の場合には所要の面積を持つ校地を整備するということで申し上げたわけでございますが、図書については一般の大学の設置基準によることになるわけでございます。
 なお、本務者、兼務者の問題について補足して申し上げますと、私立大学の通信教育におきます現在の教員がどういう状況になっているかということでございますが、学校基本調査によりますと、十二大学におきまして本務教員は十八名、兼務者として二千四百三十七名というのが私立大学の通信教育部の教員の実態ということになっているわけでございます。その本務者、兼務者を含めまして、先ほど教員一人当たりの学生数については四十一・五人ということで申し上げたわけでございまして、私立大学の通信教育の実態といたしましても、現実には本務教員というのは十二大学においても十八人しか置かれていないというのが通信教育の現状でございまして、通信教育基準につきましては、現在、大学基準協会でつくりました通信教育基準に基づいておるわけでございますけれども、こういうような現実を踏まえながら、それを省令化するとすればどういうことになるかということが、先ほど御説明申し上げました作業になっておるわけでございます。私立大学の通信教育が行われております現状、現実というものも踏まえまして、私どもとしては、私立大学の通信教育が行われております現状を踏まえた上での基準ということで物事を考えていかなければならないというぐあいに考えておるわけでございます。
 もちろん、放送大学の特性として、放送による教育ということが中心になるわけでございますから、既存の一般の大学とは大変異なる態容といいますか、そういうことになり、またそういうところに特色があるわけでございまして、既存の一般の大学の基準を放送大学の場合に直ちに適用することが適切かどうか、その点については私どももちろん基準分科会において十分慎重な検討をいただいて、おおむね先ほど御説明しましたような内容の結論を得ておるわけでございまして、あとは結論をいただいてそれを省令として規定をしていくという作業が残っているわけでございまして、問題点としてなお検討しなければならない課題があとに残されているというぐあいには私どもは理解をしていないわけでございます。
#229
○小西博行君 放送大学法案につきまして質問させていただきます。
 放送大学法案は長い間の審議を経てきているわけでありますが、この法案自体は、私も何回も読ませていただきまして、それほど問題はないというふうに解釈しております。特に、きょうも質問がございましたが、組織の問題につきましては多少私も疑義がございます。そういう意味ではさらに煮詰めていく必要があるんではないかと思いますけれども、長い長い審議の過程でいろんな御意見が出たと思います。私の方は、たとえばそのアンケート調査の信頼性の問題なんかにつきましても特にやらせていただきました。そして、同じその大学を法人としてやるわけですから、どうしても独立採算といいますか、補助金が出るにいたしましてもある程度の財源確保というのが必要だと、そういう意味では間違いなく、この採算制についてはよく考えているんだろうかと、こういうことを二点目にお話ししたと思います。三点目は、その学習センターの機能といわゆる本部機能。これにつきましては特に先日質問させていただきましたが、そのレポートのいわゆる訂正といいますか添削指導という仕事がある、あるいはゼミナールの仕事があるんではないか、この辺のことを現実に本部機能でやるのかあるいは学習センターの中で実際にやっていくのか、そのためにはどのぐらいの人員が必要であるか、現在の少ない人数ではとてもやれないんではないかということを具体的な数字をもって示したつもりでございます。四点目はゼミナール。いまさっきちょっと申し上げましたけれども、このゼミナールと卒論を実際にやるのかどうか、これも定かではございませんでした。本当にゼミナールをばっちりやって、そして卒論の審査を通じてりっぱな学生を育てていく、この辺の確認も十分はいただいていない。そして五点目はカリキュラム編成。これも実は具体的になかったものですから、私の方で具体的に百二十四単位のカリキュラム編成をいたしまして、そして大体一日四十五分番組を一つ見ると、そして前後二時間ぐらいの予習復習をする、こういうようなことを煮詰めたつもりでございます。それから六点目は、果たして四年間で卒業できるんだろうか、何名ぐらいが確率的に卒業できるんだろうか。当初、文部省は四〇%ぐらいは留年するかもわからないがという話でございましたが、現実通信大学なんかいってみますと一〇%をはるかに割るんではないだろうか。それほど厳しい単位認定をしないとこの放送大学という価値観が大変弱くなってしまう。放送大学を出た学生に対しては一流企業に入れないというような、そういう形ができてしまうんではないか。大ざっぱに申しまして、このような形でいろんなことを煮詰めてきたわけです。しかし、現実問題として、こういう煮詰め方というのは、直接この法案の中にそういうものが具体的に書かれているわけじゃありません。したがいまして、いま私どもがやってきている――きょうもずいぶん時間とってやっているわけですが、こういういろんな質問あるいはそれに対するお答えというのは、どういう形でこの放送大学が発足したときに生かされるんでしょうか。何か確約みたいなものがぱちっとあるんでしょうか、それをお聞きしたいと思うんです。
#230
○政府委員(宮地貫一君) 御審議の過程でいろいろ御指摘を受けておる点があるわけでございます。私どもとして、法案審議の過程で、今日まで文部省側の考え方と申しますか、そういうものについてはるる御説明をしてきておる点でもございますが、なお御指摘の幾つかについては、今後の実施に当たっての留意点と申しますか、そういうような御指摘も具体的な御指摘の中には幾つかあるわけでございます。
 私どもとしましては、これからこの特殊法人が発足をし、またさらに大学をつくり上げていく過程において、御指摘いただいておりますような事柄について、大学をつくり上げていくために現実問題として、そういう段階で実施をすべき事柄についてはそれぞれ対応をすべきことではないかと、かように考えております。たとえば御指摘の点では、アンケート調査などについてさらにもう少しよく念入りにやるべきではないかという御指摘があったわけでございまして、私どもこれから大学づくりをやっていくに際しましては、やはりそういう点も、もちろん受けとめるべき大事な事柄というぐあいに理解をいたしております。したがって、そういう点は国会の御審議を十分尊重して、実現をしていくに際しては、それらの点のそれぞれ対応を考えていきたいと、かように存じておるものでございます。
#231
○小西博行君 アンケートという話が出ましたからちょっと質問させていただきますが、実はアンケートというのは、基本計画の中にメンバーとして入っておる先生にちょっとお伺いいたしますと、もともとあのアンケートのデータというのは信頼性が余りないと、信頼性が余りないから、あれは――つまり文部省が出している「放送大学について」ですね、こういうものの中にはうたってはいけないというような話が当時ありましたということでございました。したがって、非常に甘い甘いアンケートをそのまま載せてもらったんじゃちょっと困るんですがねという話を実はされていたんですね。そういう意味で、どうもすべてがバラ色のようなところからスタートをしておるもんですから、一点一点追及していきますと、全部初めてのことですというようなことで、信頼性を十分持っている文部省だと思いますけれども、質問する側からいたしますと、どうも不安になってしょうがない。私は政治家の卵ですから、その技術的な政治のテクニックはわかりませんけれども、何かいままで審議してきた過程の中で、どうしてもこれだけは、たとえば運用規定のような形でちゃんとして出せればもっと姿が明らかになってくるんではないだろうかなと、こう思うんですが、大臣どうなんでしょうか。
#232
○国務大臣(田中龍夫君) 先般来、いろいろと御質問の中で、特に先生非常に具体的な問題をお話しになり、また同時にそれをただいま七点ほど再度お話しをいただきましたが、そういうふうな具体的な先生の御発言並びに御注意は、逐条、事務当局の方できちんと整理されておると存じます。ただ、何と申しましても、学園法というものを御審議いただいておりますが、学園そのものがまだ完成されていないという点、それからまた、学園が学問の自由、大学の自由という点で、大学の方、できました大学の自主的なものによってきちんとつくらなきゃならぬ、そういう点がわれわれの方としても余り差し出たことが言えないといううらみも事務当局の方は持っております。そういうことで、必ずしも明確なお答えができない点におきましても、事務当局では実はその点はこうこう考えておるんだが、まだこれは大学の分野においてきちんとしなきゃならぬ、自主性の問題を害してはならぬといったような善意に基づく面が多々残っております。そういう点で、特に先生の非常に明確な逐条的な御指摘に対してお答えできなかった面も多々あると存じますが、その点は、いざ法案通過の暁におきましては、鋭意りっぱなものをつくってまいると、かように考えております。
#233
○小西博行君 それと、よくイギリスのオープンユニバーシティーの件が出るわけですが、いろいろこれも聞いてみますと、むしろNHKのいわゆる教育番組ですね、あの方が実はもっと先輩でして、オープンユニバーシティーの方からどんどん教えてもらいに、過去来たということも実は聞いたわけなんですね。そういう意味でいきますと、NHKの教育テレビというのは相当歴史もあるし、あの分野をもう少し文部省としては研究していただいて、少なくとも何かこう形が、ある程度われわれが、想像といいますか、イメージとしてつかめるような体制を、もうここまで審議を進めてきておるわけですから、何か出していただいていいんじゃないかなあと。放送大学法案が通ってからということはよくわかるんですけれども、そうはいっても、いろんなカリキュラムの問題で質問しますとちゃんと出てまいりますし、実はこういう科目を考えていますということも実はこの中にもうすでに印刷もしているわけですから、かなり具体化されているんではないかと私は思うんです。ですから私は、文部省の試案みたいな形で結構だから、もっと具体的に出してもらわないと審議が非常にしにくいというのが実は私の気持ちなんです。
 それから、一点一点少し聞いていきたいんですが、先ほども組織の問題が触れられておりました。これはもちろん大学の自治ということは絶対大切なことですから、そういう意味でそれぞれ質問されていたように私も感じました。ただ、理事会というのはむしろ大学の経営全般を見るというように解釈していいんじゃないかと思うんですが、それでよろしいでしょうか。
#234
○政府委員(宮地貫一君) 理事と申しますか、特殊法人の役員の方は、基本的には、御指摘のように、経営全般について責任を負っているものというぐあいに御理解をいただいて結構かと思います。
#235
○小西博行君 したがって、学長以下、学長がトップになりまして実際の放送大学を運営していくわけですね。実際のカリキュラムであるとか教育内容につきましては、学長がトップになりまして評議会あるいは運営審議会のメンバーを十分使っていくと。この運営審議会は別でしょうか、ちょっと……。
#236
○政府委員(宮地貫一君) 運営審議会はこの法人の諮問機関ということで置いているわけでございまして、法人の運営について外部の方々の意見を入れて、その声を生かしていくという形で運営審議会は置かれているわけでございます。教学面と申しますか、教学面については、学長が責任者になりまして、副学長以下教官のスタッフが中心になって、大学の運営、カリキュラム問題を含めまして実際の教育の進め方と申しますか、教育内容の進め方その他については学長以下の教学スタッフが責任を持ってやっていくと。そして、放送大学の組織としては、評議会という組織を置いて、大学がみずから自主的に決める仕組みというものをこの法案の条文として規定しているというのが基本的な仕組みのところであろうかと思います。
#237
○小西博行君 大臣にちょっとお伺いしますが、大臣には小学校中学校問題で私も何回も質問させていただいておるんですが、文部大臣というのは大変責任が重くて権限があんまりないと。まさにこの放送大学の場合は非常に権限もあるわけですね、任命権もすべてありますから。これはどうなんでしょうか。おかしな聞き方なんですが、いま自民党政権で、当然大臣も自民党から出られて大臣になっておられるから大変安心されていると思うわけですが、これ、政権交代があった場合も同じように文部大臣というのは大変権限を発揮されるわけなんですが、その辺の考え方はどうでしょうか。
#238
○国務大臣(田中龍夫君) まことにお答えしにくい御質問でございますが、しかし、いやしくも文部大臣となりました私を初め、私以後、今後ともに本当に国家民族のために公平な――一党一派に偏するような、そういうまあろくでもない人間は出ないという信念のもとに御答弁を申し上げ、また審議を進めていただきたいと存じます。
#239
○小西博行君 田中文部大臣は、それで私、十分だと思うんですが、現実に特にこの文部大臣の権限という、実際は任命ということになると思うんですけれどもね、どなたがなられても、たとえば理事会である程度その方向が中立を保っていけるようなそういう仕組みをかっちりつくっておく必要があるのじゃないかなあと、私はそのように思うんです。そういう意味ではやや問題点があるといえばあるというように私も考えておりますので、この辺のところはちょっと私はひっかかってきているんです。ですから、どの政党になろうと、どなたがなろうと、非常に中立でいき得るような体制をやっぱり私はつくっていくべきじゃないか。もちろん大臣が任命するというのは、これは当然だと思いますから、それはそれでいいと思うんです。しかし、理事長も全部大臣が決めるようなかっこうになるものですから理事長の権限は非常に強くなると。で、学長が理事長を兼任する場合もあり得るわけですから、そうなりますと、まさに一本になってしまうと、この辺、私も同じように心配しておるんです。この辺は少し何か柔軟な方向というのはございませんでしょうか。
#240
○政府委員(宮地貫一君) 理事長は文部大臣が任命するわけでございますけれども、従来からも御説明をしているわけでございますけれども、理事長は放送大学に対しましては、たとえば学長の人事というようなことにつきましても具体的な人事権を持つものではなくて、教学組織については、これは大学みずからが選んで、それぞれ申し出に基づいて任命をするという仕組みを確保してあるわけでございます。したがって、御指摘の点、もちろん文部大臣は理事長を任命するわけでございますけれども、学長以下の人事に関して言えば、それは、それぞれ大学の自治を確保するという観点は、この放送大学においても、十分私ども慎重にその点は考えて規定いたしておるつもりでございます。国立大学の学長も、これはもちろん文部大臣が任命をするわけでございますけれども、やはり国立大学の学長の任命にいたしましても、それは文部大臣が任命すると申しましても、それぞれの大学で学内手続に基づきまして上申されてきたものを発令するということになるわけでございます。放送大学の学長の場合についても、その事柄は、私ども、国立大学の学長の場合とほぼ同じような形で確保されていく、かように理解をいたしております。
#241
○小西博行君 ひとつよろしくその点を検討してもらいたいと思うんです。
 ちょっと質問の方向を変えますが、最近の一般の大学生ですね、一般の大学生にいろいろ接しておりますと、創造力、自分で物をつくり出していくというような意欲というんでしょうか、大変その辺が不器用です。それから、表現力、たとえば文章によって自分を表現する、この辺の力が私は大変劣っているような気がしてならないわけです。この間、日大の通信教育を、行かしていただきまして、レポートもちょっと見せていただきましたが、どこの大学も大体同じように、作文の能力だとか物をつくり上げていくというような、そういう力が大変私は落ちているのではないか、最近は子供さんなんか、むしろ青年でも漫画が非常に好きになってきている、そういう現実もあります。そういう意味で、放送大学というのはもう再三テレビによる大学講座、非常に真新しいんだということを盛んに訴えて審議やってきているわけですが、そういう面からいったらかえって逆効果がそこに出てくるんではないだろうかなあ、もう少しじっくり自分で創作能力あたりを徹底的にみがかなければいかぬのに、テレビを見ることによってすべて合格できるというような、そういう安易な気持ちにあるいはなりはしないだろうかなあ、そういうことが非常に私は心配になっているわけなんです。そういう意味では、この間、私、質問させていただきましたように、レポートの提出であるとかあるいは卒論、あるいはゼミ、こういうものを通じて相当何回も往復運動をやりまして、初めて文章の表現能力なんかが身についてくるんじゃないだろうかなあ、そういう感じがしているものですから、その辺の特に創造性を豊かにとよく言いますが、その辺で具体的にプラスになる面をどういうふうに考えておられるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#242
○政府委員(宮地貫一君) 確かに御指摘のような傾向というものがうかがえるわけでございまして、ただ御提案申し上げております放送大学というのは、やっぱり放送という特性を生かすという点では、貴重な電波を国民の教育のために活用するという形では、ぜひとも私どもも実現を図って、大学教育を国民全体に開かれたものにしていくという点では大変意味深いものがあると、かように考えております。
 レポートの添削について具体的な御提案は幾つかすでにもう伺っておるわけでございますけれども、そういう実施に当たりまして「放送大学の基本計画に関する報告」での考え方、これは全国規模の場合を考えた場合でございますけれども、そういう場合には大変膨大な量になるということもございまして、それを適宜、迅速に、常に指導を行うためには、なるだけ標準化した形で実施をするということも、基本計画では提案されているわけでございます。現時点では、放送教育開発センターにおきまして、そういう提案をしております線を実験番組の受講生に対しまして択一式の課題を出して、これはマークシート方式によって解答を求めるという形で処理をいたしまして、あらかじめ設定されましたコメントを付して返送するという形で、電算処理というような形で処理をするような方法の研究開発も行っているわけでございます。受講生に対するアンケートの回答でも、その点は理解が深まったというような回答も寄せられておりまして、その点はやはり実際に添削指導――具体のやり方としてはいろいろ新しい方法を開発していくということが必要であろうかと思いますが、やはり添削指導ということが好評であるという点は、放送教育開発センターでもそういう実験をいたしておるわけでございます。そのような成果を踏まえまして、放送大学の場合にもそういう形での通信指導ということが行われることになるかとも思うわけでございまして、その点は今後具体的な方法については、放送大学の教学関係者の検討、決定を経ていかなければならぬ事柄と、こういうことで考えておりまして、文部省としましても、そういうことを採用することになれば、その方向に沿っていろいろの条件を整備していくということが必要である、かように考えております。
#243
○小西博行君 実際に現場に携わってきますと、たとえば何かレポートを出しなさいといった場合に、実際に返ってきた答案を見ますと、これは小学生へもう一回返したらいいんじゃないかというような学生が、一般の大学でもかなりいるというふうに私は思います、実際に。そういう意味で、私はこの放送大学で勉強するということは大変いいことだと思うんです。思うんですけれども、具体的にやはりどこが正しくてどこが間違っているということを的確に――コンピューターでただ判断してもとへ返すというのは、それは時間的には確かに楽です。楽ですけれども、実はその辺がこの放送大学の一番肝心なところになるんじゃないか。
 同時に、学習センター――面接ですね。この辺がもうすべてに私はかかってきているんじゃないか。放送というのは、ただテレビで四十五分見るということで多少刺激されるという面だけじゃないんでしょうか、現実問題は。むしろ地方の国立大学とか大学の先生に非常にいいものを与えるというメリットはあると思うんです。むしろ、学生は自分でやっぱり自学習をやっていかないと、とてもじゃないけれども大学卒の資格は取れないんではないかなあと、こういう実感なんですね。そこで、この間も質問させていただいたのですが、いま放送大学では、大体毎日四十五分授業を六日間、月曜日から土曜日まで聞くと、そして日曜日は大体四時間ぐらいのスクーリングに出て、そしてそれがまともに四年間全部出まして、そして単位認定に合格すれば大卒という、学士をいただけるということなんですね。これは一般大学の場合はどういうように考えておられるんでしょうか。この百二十四単位はわかりますが、期待の度合いですね。どのぐらい自学習するということを考えられた上で大卒という認定、これは大学によってずいぶん違うわけですけれども、そういう基本的なものがもしございましたら教えていただきたいんです。
#244
○政府委員(宮地貫一君) 一般大学の場合でも、もちろん学生が自学自習する部分がなければ、単に教室へ出て授業を受けるということだけで大学教育が行えるものではないというのは御指摘のとおりだと思います。
 御指摘の、一般大学でその自学自習の度合いがどのぐらい行われていると考えるのかという御質問でございますが、その点はそれぞれ大学で御判断なさっている事柄でございまして、実際問題としてなかなかその自学自習というのはよっぽど努力をする者でなければ本当に身についたものにならないのではないかという点は委員御指摘のとおりではないかと思います。放送大学におきましても、もちろん単に放送されるテレビを見ておればいいというものじゃ決してないわけでして、それはそれに伴う自学自習と申しますか、それがあって初めてみずから創造する力といいますか、そういうものが身につくことになるわけでございます。その点は一般大学の場合におきましても、放送大学においても、やはりみずから学ぶということ自体の方が大変基本であり、そういうことが大事であろうかと、かように考えます。
#245
○小西博行君 放送大学でも恐らく優秀な人材が大学によってやっぱり私はあらわれるんじゃないかと思うんです。自分の才能というものに対して初めて意識するような方もあらわれると思うんです。それはそうなんですが、人数の確率から言って、やっぱり数が少ないんではないかなあ、そのように実は考えます。
 そこで、これも前回質問さしていただいたんですが、どうしても単位の認定試験ですね、レベル、どの程度を認定するのかということが私はやっぱり最終的な問題になってくるんではないかなあと、かなり放送大学学園というのは単位認定が厳しいということになりますと、非常に私はいい影響が後に残っていくと思うんです。これは、たとえば単位の互換性という問題にいたしましても、少なくとも放送大学でこの単位を取っておれば、堂々と昼間の普通の大学の方に入学が可能である、そういうかっこうになっていくと思うんです。ところが、この単位認定というのが非常に甘くなって大ぜいを卒業さすことが目的みたいなかっこうになりますと、もう放送大学は一切要りませんというかっこうになるんではないかなあ、私はむしろそう思うんです。つまり放送大学から一般大学へ編入していく場合が非常にむずかしいんじゃないかなあと。この逆の場合はわりあい入りやすいんですね、無試験の状態で受けられるわけですから。一般大学の、たとえば専門学校を出た人間が三年、四年に入ってくる、これは非常に私はスムーズにいくんじゃないか。その辺のところにつきまして、私はある程度厳しくやらなきゃいかぬという考え方を持っておるんですけれども、考え方はどうでしょうか。
#246
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学における単位の認定評価、それは放送大学の卒業生が社会的に適正な評価を得るためには、やはり基本的には厳正に行われてということが望ましいと思います。そういう方向で開かれた大学として入学は大変容易であるけれども、十分な学習をしなければ安易には卒業できないというような大学になることを期待しているものでございます。
#247
○小西博行君 非常にいい言葉で表現していただいたんですが、現実に私立大学でもそういうことがあると思いますが、非常に厳しく単位認定をやりますね。たとえば必修科目の場合、厳しくやります。そうしますと、それが次の年にまた一斉にその先生の科目を取らなきゃいかぬわけですから、人数が倍とか、三倍というようにふくれ上がるわけですね。そして、授業が非常にやりにくくなるわけです。この放送大学の場合もそうじゃありませんか。たとえば四十五万人構想と言っているんですけれども、これは留年という形でやめてしまうとそれで整理ができるんですけれども、恐らく、ある科目については大変大ぜいの学生が履修している、こういう現実が出てくるんじゃないかと思うんです。したがいまして、レポートにいたしましても、いやにその量が多くなって大変困る、こういう現実についてはどういうようにお考えでしょうか。
#248
○政府委員(宮地貫一君) 現実の御経験から、そういう一般大学における状況について御説明があったわけでございまして、放送大学の場合でも、同じような現象といいますか、そういうことが予想はされるわけでございます。問題は、本当に放送大学を卒業するところまで単位をがんばって取ってくれる方が多くなることを私どもも期待をいたしておるわけでございますけれども、放送大学に私ども非常に期待をいたしております点の一つは、要するに放送大学は大変開かれた大学として、既存の大学に対します刺激といいますか、そういう点にも、非常に具体的な反響としては、新しい形の放送大学というものが大変意味を持つことになるんではないかと思っておるわけでございます。そういう点で、単位の互換の問題などについても、いままでもいろいろと御質疑をいただいておるわけでございますけれども、たとえば放送大学の一般教育に関する科目というようなものが、非常にレベルの高いものをわかりやすく講義をするというような形になれば、やっぱりほかの大学の一般教育に対して十分刺激になり、また単位についても、一般教育については放送大学の単位をもって認めるというような事柄が順次浸透していくということを私どもも期待はいたしておるわけでございます。そういう形で、既存の大学とこの放送大学とがいい意味での影響を持ち合いながら、大学教育のレベル全体が高まっていくということが大変望ましい姿ではないかと、かように考えております。
#249
○小西博行君 選科履修というのと、いわゆる卒業して学士をもらうという二通りありますね。これはやっぱり同じようなレベルで単位の認定をやっていくんでしょうか。
#250
○政府委員(宮地貫一君) 考え方の基本としては、レベルとしてはやはり同じものというぐあいに考えるべきものと思います。
 ただ、大学卒業の資格は要らないけれども、自分はぜひこの科目だけを履修して単位を欲しいという場合、多少そこにニュアンスの差というものを考えるべき点も出てくるかとも思いますけれども、講義の中身なりレベルというものについては、もちろん同一の水準なりそういうものが確保されるべきものではないかと、かように考えております。
#251
○小西博行君 その辺が何となく定かでないんですね。ですから、私はそんなに何としても厳しくやれということではないんですけれども、少なくともやっぱり一般の大学、たとえば地方大学にいたしましても、放送大学は非常にいいことをやっている、なかなか学生さんも熱心でレベルが高い、こういう形にならなければいかぬのじゃないでしょうか。放送大学の学生というのは、出ておれば、まあ聴講しておれば大体単位は取れるのよというような感じではちょっと困るんじゃないかなあと。そういう意味では、大ぜいの学生を集めるということを考えますと、聴講生というような形はいまの選科履修というべきなのか、あるいは聴講生を別に分けるのかよくわかりませんけれども、そういうような方々は本当に出て、一般教養としてそれを勉強したという程度でも何かそういう終了証みたいな形は与えるべきじゃないか、そうしないと人数が極端に私は制限されてくるんじゃないかなあと、それを心配しておるんです、どうでしょうか。
#252
○政府委員(宮地貫一君) 一般大学の場合におきましても、それぞれ聴講生というような仕組みがあるわけでございますが、放送大学の場合の聴講生というのは、聴講生と申しますか、選科、科目履修生と申しますか、言うなれば、一般大学では社会人のために大学開放という形で公開講座が行われている。むしろ、いわば放送大学の科目履修生というのは、あるいは公開講座に来る社会人に対する対応というような気分といいますか、そういうような考え方も必要ではないかと、かように考えます。
#253
○小西博行君 公開講座は私も聴講したことがあるんです。非常に上手にやられます。おもしろくやられます。したがって、どなたでも一度やっぱり聞きたいなと、こういう感じですね。たとえば、ちょうどテレビの歴史物がありますと、それの前後あたりをうまくやられるものですから、聴講に行きたいという気持ちはたくさんあると思うのですね。ところが、この放送大学というのはあくまでも大学ですから、英語もあり、ドイツ語もあり、哲学もあるということですね。その辺、私は実際は違ってくるんじゃないかと思うんです。ですから、公開講座をやったから全く同じだという概念では少し甘過ぎるんではないかなあと、そのように考えておるんですが、同じでしょうか、考え方は。
#254
○政府委員(宮地貫一君) つまり科目履修生とか選科履修生ということではなしに、一般視聴者といいますか、要するに登録された方でない一般の視聴者が、この放送大学の授業を視聴されるということが一番広い意味での公開講座に該当するといいますか、したがって、その方は単位の修得というような形でのものを意識されるわけではございませんけれども、積極的にこの放送大学の番組を視聴していただく、そういう一番外回りにそういう社会人の一般の方々がいるわけでございまして、そういう方は単位の修得とかそういう形での制約はないわけでございますけれども、教養として身につけるという形のものがあるわけでございます。次の段階として科目履修生といいますか、特定の科目の単位の修得を目指すという、これはそういう形での聴講生といいますか、そういう形の方々ということになるかと思うわけでございます。問題は、もちろん大学の教育としての単位の修得ということであれば、その基本を踏み外さないように、そこの点は十分しっかりとレベルを確保していただくということは、やはり必要なことだと、かように考えます。
#255
○小西博行君 そういう意味で、放送大学を実際に聴講したい人というのはいろいろな目的があってやられると思うのですね。で、私はさっき申し上げた、将来どこかの大学へ入るために勉強するんだという人も中にはいると思うんです。たとえば十八歳ですぐ大学へ行けなかったとか、あるいは大学に失敗したという人も中にはいると思うんです。働きながら勉強して、そして三年次あるいは四年次に入っていくという方もいらっしゃると思うんです。その場合に編入試験というのがございますね、どこの大学でも。この編入試験の科目と、実際に放送大学でやっている科目とが大分私は違うんじゃないかと思うのです、この教養学士を与えるための科目が。そういう意味で、編入学のときの試験内容について私は、これはむしろ既存の大学の方にそういう受け入れ体制を十分整えていかない限りはむずかしいんではないかなあと、このように考えるんですが、そういうことに対して文部省のお考え方をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#256
○政府委員(宮地貫一君) 一般教育と申しますか、この放送大学で修得した単位を持って一般教育を修め、その上で一般の大学の専門課程と申しますか、そういうところへの編入というようなことは、これは一般大学の方で積極的な理解を示して、そういう編入学の措置というものを具体的に進めていただき、そういう形で大学が弾力化されていくということがぜひとも必要なことであろうと、かように考えております。放送大学の方への受け入れということで申しますと、これはたとえば短期大学を卒業した者がさらに四年制の大学卒業の資格を得たいということで入ってくることもあろうかと思いますし、放送大学側においては、単位の互換でございますとか、あるいはそういう既存の習得単位の累積というようなものについても積極的に認めていくような方向でぜひ進めてもらわなければならない、かように考えております。
 問題は他大学への転学といいますか、編入の場合に、それぞれ受け入れ先の大学の理解を深めていただくことがまず先決問題でございまして、そういうところで十分な評価を得るだめにも放送大学の単位の習得というものが社会的に十分認められるだけのレベルを持ったものでなければならない、かように考える次第でございます。
#257
○小西博行君 したがって、通信大学の場合は自分の学校にちゃんとあるわけですから一年、二年から三年へ同じ大学へ入っていくというようなことですから大変便利がいいわけですね。ところが、放送大学の場合は必ずしもそうでもない。しかも、そういうことだけを目的にしてやるということになりますと、たとえば一般教養的な語学であるとか数学であるとか、そういうものもある程度やらなければいかぬというような形になってきまして、一般の大衆の方々が全部放送大学を聞いてみたいとかいう、そういうイメージとは大分変わってくるんじゃないかという感じがするんですね。そういう意味でちょっとお尋ねしたわけなんです。
 いずれにいたしましても、この放送大学を実際的に効果的にあらしめるためには、どうしても私は大卒の認定資格制度みたいな、こういうものをやっぱり私は最終的にはつくっていく必要があるんではないか。それはたとえば、大学を出なくても、その認定試験にパスすれば大卒として堂々と学士証をいただくといいますか、いまは高校までの卒業の認定試験というか、制度がありますね。大学にそういうものをつくれば、私はこの放送大学というのがもうひとつまた生きてくるんではないか、通信大学はもちろんですけれども、放送大学のが生きてくるんじゃないか、そういう感じがあるんですが、その辺の、これは大臣に聞いた方がいいと思うんですが、そういう資格認定制度みたいなやつをお考えありますでしょうか。
#258
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御質問の、大学の卒業資格につきましては、必ずしも所定の課程を終了しなくとも、みずからいろんな機関で学んだ学習や自学、自習の成果などを総合的に評価して、大学の卒業資格に結びつけるというようなことは、学歴偏重の風潮の是正のためにも示唆に富んだ御意見だと考える次第でございますが、しかし大学教育というものは中等教育段階に比べてきわめて多様性に富みますので、その実施に当たっては技術的に困難な面が多いのではないかと、これは慎重に判断していくべきものだと、かように考えております。
#259
○小西博行君 ぜひこういう資格認定制度みたいなのを考えていただきたいと思うんです。
 そうしますと、独勉で一つの資格を取るということは大変私は喜びにつながると思うんです。もっともいまは、たとえば司法試験であるとか公認会計士とか、あるいは税理士、いろんな資格試験がありますから、そういうものに挑戦される方はいいにいたしましても、それ以外の希望の方もたくさんいらっしゃると思うんで、そういう大学資格認定制度をぜひ考えていただきたいというふうに思います。そのことが放送大学を将来非常に生かしていくんじゃないか、そのように実は考えるわけであります。
 最後に質問さしていただきますけれども、実は衆議院で附帯決議がついておりましたですね、あの附帯決議についてはどのように解釈をしておられるのかなということをちょっとお聞きしたいんです。
 たとえば、あれは見直しをするということをうたっていますね、端的に言いますと。うまくいっているかどうかということを再度見直しをして、それから先の方向について考えていく。私はこういう解釈しておるんですが、たとえば効果が上がらなかった場合には放送大学というのは中止をする、あるいは計画のやり直しをもう一回図っていく、そのようにお考えなのかどうか、それを聞いておきたいと思うんです。
#260
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の衆議院におきます附帯決議は、「本制度の発足後、一定の時期をみて、教育の効果及び大学教育全般との関係等について見直しを行うものとする」という趣旨の附帯決議がなされているわけでございまして、これは放送大学に限らず、およそどのような制度についても実施をして、しかるべき時期においてその効果をもう一度振り返るということは、これは一般論としていずれも私は基本的には必要なことではないか、かように考えております。
 私どもとしましては、発足後一定の時期を見て、この放送大学の効果がさらにより一層上がるように努力をしていかなければならないものと、かように考えておるわけでございまして、そのためには十分魅力のある内容にして、学生が当初のもくろみよりもさらに上回るほど学生が来るという、そういう魅力ある内容にならなければそういうこともむずかしいわけでございまして、そういう面に向かって最大限の努力はするつもりでございます。その上でさらに、より効果を上げるためにどうすればいいかというようなことでございますとか、あるいは一般の大学教育全体、先ほどもちょっと触れましたが、一般教育の問題その他についてどう考えていけばいいのか、それはそれぞれこれから実施をし、ある程度定着をした上で振り返り、さらに将来の構想を進めていくについて見直しをするというものであろうと、かように考えております。
#261
○小西博行君 それで、その効果ということなんですね。私はいつかここで質問さしていただいたんですが、四十人学級になったときにどういう効果が上がるんですかというような質問。たとえば大変むずかしいことだと思うんですけれども、その効果が上がる上がらぬか、いまの局長の話では人数がどんどんふえるというか、希望者が非常に多いから効果が上がったというのは、私はひとつの評価としては当たっているかもわかりませんけれども、もっとやっぱり質的な問題とかいろんな職業別の、あるいは地方の方々がたくさん参加してくれている、あるいはそのことによって一般の大学が非常にハッスルしてきた、そういうふうな形が私は効果だと思うんですが、そういうようなものをひとつの評価基準として、完璧じゃなくても私はいいと思うんですが、幾つかそういう効果を尺度にしてあらわすような方法をやらないと、ある人は非常に効果が上がったと言うし、ある人は全然だめだと言うし、これは政党によってもそういうふうな傾向もありますから、その辺のところをひとつ文部省の方で考えていただかなくては、文部省だけが大変効果が上がったとかというふうなことを言われても、私はどうも信ずることができないような形になるんではないか、そういうふうに考えます。
 総じてきょうの質問にいろいろ答えていただきましたが、やっぱり放送大学というのは、どうも法案の性質上私どもも突っ込みにくい部分がある、細かいことを突っ込めば突っ込むほど実は文部省が答えにくい問題もある、こういうふうな法案だと思いますが、いろんな審議された問題を整理されて、大体こういうような形は皆さんの委員が了解されているんだというようなものを出していただかないと、いまだに輪郭が明確でない。ただ、個々の頭の中にだけ、その明確なものが残っている、これだけではちょっと私はむずかしいんではないか、大変じゃないか、そのように考えます。
 終わります。
#262
○委員長(降矢敬義君) 本案に対する審査は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#263
○委員長(降矢敬義君) 次に、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田中文部大臣。
#264
○国務大臣(田中龍夫君) このたび政府から提出いたしました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 私立学校教職員共済組合は、昭和二十九年一月に、私立学校教職員の福利厚生を図る目的のもとに、私立学校教職員共済組合法により設立されたものでありますが、それ以後、組合が行う給付については、国公立学校の教職員に対する給付の水準と均衡を保つことをたてまえとし、逐次改善が進められ、現在に至っております。
 今回は、昭和五十五年度に引き続き、国公立学校の教職員の年金の額の改定に準じて、私立学校教職員共済組合法の規定による既裁定年金の額の改定等を行うため、この法律案を提出することといたしたのであります。
 次にこの法律案の概要について申し上げます。
 第一に、私立学校教職員共済組合法の規定による退職年金等の額を、昭和五十五年度の国家公務員の給与の改善内容に基づいて行われる国公立学校の教職員の退職年金等の額の改定に準じ、昭和五十四年度以前の退職者について昭和五十六年四月分から引き上げることといたしております。また、これらに伴い、旧私学恩給財団の年金についても同様の引き上げを行うことといたしております。
 第二に、既裁定の退職年金、廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を国公立学校の教職員の既裁定年金の最低保障額の引き上げに準じ、昭和五十六年四月分から引き上げるとともに、同年六月分以後、さらにこれらの額を引き上げることといたしております。
 第三に、標準給与の月額の上限を国公立学校の教職員の掛金等の算定の基礎となる俸給等の限度額の引き上げに準じ四十一万円から四十二万円に引き上げるとともに、下限についても六万九千円から七万二千円に引き上げることといたしております。
 以上の改正のほか、私立学校教職員共済組合法は、給付関係の規定については、国家公務員共済組合法の関係規定を準用することといたしておりますので、すでに本国会に上程されております昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案における寡婦加算額の引き上げ等及び遺族の範囲の改正等の改正事項につきましては、当該規定の準用により、私立学校教職員共済組合につきましても同様の措置が行われることとなります。
 最後に、この法律の施行日につきましては、昭和五十六年四月一日といたしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
 なお、衆議院において、施行期日等に関する附則の規定の一部が修正されましたので、念のために申し添えます。
 以上でございます。
#265
○委員長(降矢敬義君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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