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1980/05/14 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第12号
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1980/05/14 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第12号

#1
第094回国会 文教委員会 第12号
昭和五十六年五月十四日(木曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     浅野  拡君     田代由紀男君
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     吉田  実君     堀江 正夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬義君
    理 事
                大島 友治君
                世耕 政隆君
                勝又 武一君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                井上  裕君
                山東 昭子君
                田沢 智治君
                内藤誉三郎君
                仲川 幸男君
                堀江 正夫君
                松浦  功君
                小野  明君
                粕谷 照美君
                本岡 昭次君
                柏原 ヤス君
                高木健太郎君
                小西 博行君
       発  議  者  勝又 武一君
   国務大臣
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
   政府委員
       文部政務次官   石橋 一弥君
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省管理局長  吉田 壽雄君
       郵政省電波監理
       局長       田中眞三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   参考人
       日本私学振興財
       団理事      清水 成之君
       日本放送協会理
       事        川口 幹夫君
       日本放送協会技
       術部副本部長   木村 悦郎君
       日本放送協会経
       営総務室長    片岡 俊夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和四十四年度以後における私立学校教職員共
 済組合からの年金の額の改定に関する法律等の
 一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○放送大学学園法案(第九十三回国会内閣提出、
 衆議院送付)(継続案件)
 (派遣委員の報告)
○放送大学を設置するための国立学校設置法及び
 放送法の一部を改正する法律案(勝又武一君外
 一名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日、日本私学振興財団の役職員を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(降矢敬義君) 昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明はすでに聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○粕谷照美君 本法案の審議に当たっては、どうしても私立学校共済組合の財政事情について伺っておかなければならないと思います。
 まず最初に、この財政状況はどんなような状況かということについてお伺いします。
#6
○政府委員(吉田壽雄君) 私立学校教職員共済組合の年金関係、長期経理の財政状況でございますけれども、昭和五十四年度について申し上げますと、長期経理における収入は九百三十九億円となっております。また、支出の方は二百十三億円でございまして、その収支の差の七百二十五億円は、将来の私学共済の年金給付のために積み立てておりまして、いままでの累計額を申し上げますと三千八百七億円となっております。
 昭和五十五年度末で推計いたしますと、将来の年金給付のために準備しておくべき計算上の金額、これを責任準備金と申しておりますけれども、準備しておくべき計算上の金額に対する充足率は九五%というふうになっております。また、昭和五十五年の一月、昨年の一月に実施いたしました所要財源率の再計算の結果を踏まえまして、昭和五十五年の七月、昨年の七月から掛金率を千分の六引き上げましたために、保険数理計算上の所要財源率千分の百三十四・四五に対しまして千分の百三十二・二の財源措置がなされておりますので、他の類似の制度と比較した場合、私学共済の年金財政は健全であると言って差し支えないのではないかと考えております。
 以上でございます。
#7
○粕谷照美君 いまの御答弁ですけれども、去年の十一月の二十五日にやっぱり私が質問しまして、吉田さん答えていらっしゃるんですが、所要財源率を千分の百三十四・四五といまおっしゃったようですけれども、先回は三十四・五だったんではないかと思いますが、どうでしょう。
#8
○政府委員(吉田壽雄君) お答えいたします。
 もし前の国会でそのように私が御答弁申し上げたとすれば、大変間違いと申しますか、訂正させていただかなければなりませんわけでして、所要財源率は千分の百三十四・四五で間違いございません。それが正しい数字でございます。
 それに対しまして、実際に財源措置がなされておりますのは千分の百三十二・二でございます。そういうふうに前回の答弁を訂正さしていただきます。
#9
○粕谷照美君 大変優等生の財源だというふうに理解をしていいかというふうに思いますけれども、こういう非常にすばらしいというか、高い充足率を持っている私学共済の原因というのは一体どこにあるんでしょう。
#10
○政府委員(吉田壽雄君) 私学共済の長期経理、年金財政の状況が良好であるのはどういう理由かということでございますが、いわゆる年金の成熟度という言葉が年金で使われておりますけれども、成熟度が他の共済組合に比較しまして大変低いわけでございます。
 この理由でございますけれども、私どもは、その理由として、私立学校が一九六〇年代、昭和三十五年以降特に大変増加をいたしまして、そういうことによりまして組合員数が急激に伸びてきたということが一つあるかと思います。
 それから、この私学共済の制度の発足がほかの年金制度に比べまして比較的に新しいというようなこともあるかと思いますが、さらにやはり大きな要素として考えられますのは、私学共済におきましては、私立学校における組合員の在職期間が、他の制度における在職者に比較いたしまして短期間の在職者がわりあいに多いということによるものと考えるわけでございます。
 私立学校の場合には、御案内のようにたとえば幼稚園の先生は、結婚その他の事情によると思われますけれども、わりあい若くして職を去られるというようなこと、あるいは大学、短期大学等におきましては、国立大学の教官を定年でやめで後、その後私立大学に参りまして数年間でおやめになると、つまりそういうようなことで比較的短期間の在職者が他の制度に比べて多いと、以上のような理由が主たる要因と考えられるわけでございます。
 ただ、この私学の年金財政は将来どういうことになるかという、その収支の見通しを私どもいろいろと試算いたしておりますけれども、組合員数を昭和六十五年度以降は一応一定という前提で、しかも給与の改定率なり、あるいは年金の改定率、これをそれぞれ八%と仮定し、資産の運用利回りを七%というように仮定します。それから、掛金率も現在の掛金率で据え置くというようなことで試算いたしてみますと、単年度収支では二十四年後、と申しますと二十一世紀に入るわけでございますが、二十四年後の昭和七十九年度には赤字に転じるという一応の計算になっているわけでございます。
#11
○粕谷照美君 すると、いま五十六年度ですから、あと四半世紀たつと赤字になると、こういう見通しになるわけですね。
 非常に高齢化社会を迎えますし、いま局長から御説明がありましたように、新しい大学がふえて組合員がふえたと言いますけれど、こういう人たちがちょうど二十五年過ぎますと、七十九年度ぐらいになりますと、いわゆる年金年齢者になるのではないだろうか、こんなことを考えています。
 いまのところ、組合員が三十一方五千二百三十人、年金者が三万七千四百四人。すると、八・五人弱で一人の年金者を支えていると、こういうことになるわけですね。すると、また、このいまの試算で言えば、もうこれ以上私立大学がふえないという計算のもとに立って、赤字になるかどうかという計算をやっていらっしゃるんでしょうか。下がふえなければ年金者がふえるばかりですから、どうしても掛金を上げていかざるを得ないと思いますが、その辺の分析はいかがですか。
#12
○政府委員(吉田壽雄君) いま先生がおっしゃられたとおりでございまして、私が将来の見通しを申し上げましたのは、組合員数を仮に昭和六十五年度以降一定という仮定のもとで、しかもいろんな他の要素も仮定いたしまして、そういう見通しを立てて試算しているわけでございます。したがいまして、これから私立学校がふえない、教職員、組合員数がふえないということになりますと、これから二十年あるいは三十年先では、現役の組合員が相当大きな負担を年金受給者のために負担しなければならないと、そういうような状況が到来することは、これは私ども当然覚悟しなければならない。その場合の年金財政あるいは掛金率、そういうものをどうするかということにつきましては、私どもいまからいろんな角度から検討しておく必要があろうかというふうに思っているところでございます。
#13
○粕谷照美君 その検討しておく必要があろうかと考えるという、そのいろいろな角度ですね。一つは私学共済だけで考えていくという部分もありましょうし、共済年金全体を通しての物の考え方もあろうと思いますし、逆にもっと大きく言えば、厚生年金も含めて全年金という中で考えるということもあろうかと思います。いまのところ、私学共済ではどういう方向での考え方をやっていこうと思っていらっしゃるのでしょうか。
#14
○政府委員(吉田壽雄君) 大変むずかしい御質問でございますが、いま各種の公的年金制度が八つぐらいあると記憶しておりますけれども、そういう各種の公的年金制度、いまこの問題についてはそれぞれ真剣に検討を加えているというふうに承知いたしております。
 私学共済の場合も全くそのとおりでございまして、特にこの共済組合関係では、ただいま大蔵省にそういう年金問題に関する研究会、これは大蔵大臣の私的な研究会という性格でございますけれども、そちらの方で共済組合制度全般の問題について、鋭意検討されているというふうに承知いたしているわけでございます。
 特に、これもよく伝えられておりますように、共済組合の中でも特に国鉄の共済組合におきましては、年金の成熟度が五〇%近いというようなことで、現に二人の組合員が一人の年金受給者を支えていると申しますか、そういうような形になりまして、大変重大な段階を迎えているというふうに承知いたしているわけでございますが、そういうようなことも踏まえまして、これから各共済組合とあわせて、私どもも私学共済組合の将来へのあり方を考えなければならないと思うわけでございます。
 当面は、いまおっしゃられましたように、共済組合の中で検討しているわけでございますが、またある段階におきましては、厚生年金等を含めてわが国の公的年金制度全体をどうするかということについてまで検討を加えなきゃならない時期が来るかと思いますが、それらにつきましては、また他方、社会保障制度審議会その他におきましても慎重に検討をしているというふうに私ども承っているところでございます。
#15
○粕谷照美君 ところで、先回の法案審議のときにもお伺いをしたんですけれども、長期、短期とも適用除外というのですか、この私学共済に入らない学校が四十校、約一万六百人、それから短期のみ適用除外が十五校で三千六百二十五人、長期のみ適用除外が四校で二百八十二名と、こういうことを見ますと、私学共済は有利だからとこう言っても、現に入ってこない学校があるわけですね。それは入らない方が有利だからか、あるいは歴史的な問題があるからかというようなことも含めますが、本当に有利なんだろうかどうなんだろうかという疑問であります。それは、この雑誌、「私学共済」というのがあるんですが、本年の一月号に各党の代表が、私学の助成に対してそれぞれの党はどういう考え方を持つかということについてのあいさつ状を載せております。その中で、わが党の湯山勇文教部会長が私学共済について一言触れておるわけですが、「文部省によれば、新たに共済年金を受ける人の三分の二は、共済年金の方式によらず、厚生年金方式の計算で受けるということです。これではせっかく私学共済が厚生年金から独立した意味はなくなってしまいます。」、こう書いてあるわけです。きのうおいでになった方といろいろ話しましたら、そんなことはないとこういうふうに言っておりますけれども、どちらか有利な方を選択してもいいということになっているわけですから、有利であれば私学共済を私は選択すると思うんです。それが三分の二も、つまり三人のうちの二人は厚生年金方式をとって、一人だけが私学共済の方式をとっている、選択をしている。これで果たして有利と言えるのかどうなのかという疑問を持つわけです。湯山さんにけさほどお伺いをしましたら、大蔵共済でもそうだということをきちんと言ってるので確かにそうなんだというわけですね。それでは、わざわざ私学共済を独立させた意義は本当にないと思うんですけれども、その辺はどういうふうにお考えですか。
#16
○政府委員(吉田壽雄君) 私学共済にまだ加入をしてないという学校が依然として学校数で申して五十九校あるわけです。未加入の理由でございます。創設のときとそれから昭和四十八年の立法措置の場合と過去二回、選択の機会を与えたわけですが、結果として五十九校ばかり残っているということでございます。その理由は必ずしもはっきり私ども掌握しているわけではございませんけれども、一応いろんな情報から判断いたしますと、たとえば短期給付の場合でございますけれども、従来、健康保険組合に加入している大学あるいは学校法人におきましては独自にそういうものを組織しているわけでございますけれども、その保険料につきまして設置者側、学校側が組合員よりもよけいに負担をしているというようなことのためにどちらがいいかということで比較考量された結果と思いますけれども、従前の健康保険組合の方が有利であるというふうに判断されたというようなことが一つ大きな理由として考えられるわけでございます。
 いま先生のおっしゃられました年金の受給のときの年金の方式につきましては、制度上、厚年方式かこちらの共済方式、私学共済の場合には国家公務員共済組合法を準用しておりますので、その給付水準を私学共済として採用しているわけでございますが、その場合に厚年方式をとるかということについて部分的に選択することができるシステムになっております。これも両方比較試算されまして、厚年方式の方が有利であるというふうに結果が出れば、そちらの方式を採用しておるというのは事実上ございます。この点につきましては、確かにいまの共済方式、そういう年金の計算方式が不利だということは否めないところでございます。
 そういうことで、私どももその点に何とか母法であるところの国家公務員共済組合法の方の年金計算のシステムを改めることについて大蔵省等ともいろいろと相談はいたしておりますけれども、そちらの方で抜本的な改正がなされない限りは、当面いまのような選択方式を認めるということでやむを得ないのではないかというふうに考えているわけでございます。
#17
○粕谷照美君 そうしますと、今度新しい学校の先生あるいは職員の方々は、ずっと私学共済でいかなければならないわけですね。ところが、その私学共済に入らないで厚生年金に入ると有利だと、こういうことも起こり得るのですか。
#18
○政府委員(吉田壽雄君) いまそういう御指摘がございましたが、この問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げました大蔵省に現在ございます共済年金制度に関する研究会――共済年金制度基本問題研究会と称しておりますけれども、ここにおきまして検討が現在なされていると承知しております。そういうことで、この問題につきましては私ども関係省庁とも十分協議しながら検討してまいりたい、そういうふうに考えております。
#19
○粕谷照美君 あなた、いま私の質問に答えてないですよね。
 厚生年金方式をとって、もうここへ入らないという大学の職員や先生方は、厚年方式で私学共済方式よりもいいんですから、それは賢明であったということになりませんか。その辺はどうなんですか。
#20
○政府委員(吉田壽雄君) 私学共済の年金は、先ほども申し上げましたように、国家公務員、国公立学校の教職員との均衡を保つということをたてまえにしているわけですが、一方、共済年金として厚生年金との均衡も考慮していかなければならないということで年々改善を図ってきておりますけれども、昭和四十九年の法律改正におきまして、年金額の算定方法として厚生年金に準じたいわゆる通年ルール、これを先ほど先生はおっしゃったと思うんですが、厚生年金に準じたいわゆる通年ルールを取り入れているわけでございます。御指摘のように、厚生年金が相当給付水準を引き上げたことによりまして、昭和五十四年度末で申し上げますと、五十四年度末の退職年金受給者八千七百七十二名のうちで、この厚生年金の通年ルールの適用者が約六四%、五千五百八十六人となっている、そういう実態があることは事実でございます。しかし、制度としてこれはおかしいではないかと、共済年金のルールの方を抜本的に改善してこういう厚生年金の通年ルールを選択するというような必要のないようにすべきではないかというような御意見かと思いますが、先ほど申しましたように、この問題につきましては、いま大蔵省を中心といたしまして関係各省とも相談をして、何とかこの点を改善したい、こういうふうに努力をしているところでございます。
#21
○粕谷照美君 私はまだ意見言っているわけじゃなくて、実態を聞いて、これから意見を出したいと、こういうふうに思ったんですけれども、わざわざ法律つくって、厚年から脱退させて私学共済をつくって、そして入れたところが、通年ルールでとってみたら厚年の方がよかったということになれば、文教委員会としても大きな責任があるわけです、法律に賛成したんですから。
 そういう意味では、いま局長がわざわざ私の考え方を代弁しておっしゃったように、本当に不利にならないで、私学共済に入っててよかったという状況をつくり出すために、文部大臣としても私は努力をしていただかなければならないな、いまそんな感じがします。これは意見だけで大臣の答弁要りませんが、局長どうですか。
#22
○政府委員(吉田壽雄君) 厚年よりも私学共済の年金受給者の方が不利だということには必ずしもならないと思います。要するに、その年金の決定に当たりまして、厚生年金の方の年金計算のルール、まあ通年ルールと言っておりますが、そのルールを私学共済において保障しているということでございますから、必ずしも厚生年金の制度を受けているそういう方々よりも私学共済の組合員の方が、あるいは年金受給者の方が不利だということにはならないと思うわけでございます。要するに、厚年のそのルールの水準を私学共済においては保障しているということでございます。
 しかし、そういう厚年のルールの水準を保障する必要がないように、私学共済独自で、あるいは国家公務員共済独自で考えろという御趣旨だと思いますが、その点につきましては今後とも関係各省と相談してまいりたいというふうに考えております。
#23
○粕谷照美君 長期の未加入校で、厚生年金プラス学内年金、まあ民間企業で言えば企業年金と言うんですかね、そういうものを制度として持っているという学校があるやに聞きますけれども、その辺を御存じですか。
 あるいはまた、この私学共済年金にプラス学内年金を上積みできるというふうに考えますけれども、それはできるかできないか。あるいはまた、そういうことをやっているところがあるかないか、御存じでしょうか。
#24
○政府委員(吉田壽雄君) 個々の私立大学等が独自のそういう年金制度を実施しているかどうかということにつきましては、私ども実態を把握しておりません。
#25
○粕谷照美君 財政の健全化というときに、昨年の附帯決議にあります「長期給付に要する費用に対する国の補助率を百分の二十以上に引き上げるよう努めること。」と、こういう点については、本年度はどのような状況にありましたでしょうか。
#26
○政府委員(吉田壽雄君) 前国会の附帯決議の第一項に、いまおっしゃられましたように「長期給付に要する費用に対する国の補助率を百分の二十以上に引き上げるよう努めること。」ということがございました。このことにつきましては、私ども昭和五十六年度の予算編成に当たりましても財政当局と強く折衝して努力したわけでございますが、なお実現を見るに至っておりません。この点については、大変私どもも遺憾に思っております。
 ただ、財源調整費を含めますと、実質の私学共済の長期給付に対する補助割合は、これは昭和五十四年度の決算でございますけれども、決算べースで見ると、すでに百分の二十・〇一というところまで達しているわけでございます。もちろん両者は別々のものでございますので、この問題については私ども今後とも、附帯決議の御趣旨に沿うべく、今後ともさらに努力を重ねてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
#27
○粕谷照美君 それでは、同じく附帯決議に「長期給付に対する日本私学振興財団の助成金について、必要な強化措置を講ずるよう努めること。」と、こうありましたけれども、それは一体どういう状況になっていますでしょうか。まず文部省。
#28
○政府委員(吉田壽雄君) 私学共済は、日本私学振興財団から、既年金者の年金増額分とそれから整理資源につきまして助成を受けるということになっております。
 既年金者の年金増額分と申しますのは、この私学共済が昭和二十九年の一月一日に発足したわけでございますが、それ以前に、昭和二十九年一月一日前に退職した旧私学恩給財団――それ以前には私学恩給財団というものがございましたけれども、旧私学恩給財団の既年金者の年金額と、それから昭和二十九年の一月一日に私学共済が発足いたしましたときに、恩給財団の従前の例によることを選択した組合員の方々もおりましたが、そういう者で昭和三十六年十二月三十一日以前に退職いたしました既年金者の年金額、その双方の年金額の増額に要する費用の百分の八十二、つまり国庫補助分の百分の十八を除いた全額でございますが、百分の八十二相当額を私学財団から助成をいただくということが一つございます。
 それから、もう一つの整理資源でございますが、これは長期給付財源のうち整理資源の二分の一相当額ということで、掛金率で申しますと千分の六相当でございますが、そういう助成金をいただくということで、私学財団の前身であります私学振興会とこの私学共済組合が御相談されまして申し合わせた事項によるものでございます。この額が、昭和五十三年度は一千万円ということで、大変小さな額になったわけですけれども、五十四年度は二千万円、昭和五十五年度は三千万円、昭和五十六年度、今年度は三千三百万円になる見込みでございますが、そういうことで毎年、少額ではございますが、私学財団と御相談してこうなっているわけでございますが、私学財団としても増額に努めておられる、こういう状況でございます。
#29
○粕谷照美君 私学財団にお伺いしますけれども、「私学共済」雑誌ですね、昨年の十二月号、「これからの私学振興と国庫補助に」について、管理局長の吉田さんも含めて、私学連、それから共済組合、研修福祉会、振興財団、こういろいろ座談をやっていらっしゃるわけですね。非常におもしろく、いろいろな問題を感じながら読ませていただきましたが、そこで私学財団の理事長の佐藤さんが、「私学共済ともいろいろな約束がございまして、これも十分に差しあげてないということがありまして、いつもひけ目を感じているんです」がと、こういうふうにおっしゃっていらっしゃるわけですね。その「いろいろな約束」というのが、いま局長の説明になられたことだというふうに思いますけれども、約束はどのように果たされてこられましたか、この数年間。
#30
○参考人(清水成之君) お答えいたします前に一言御礼を申し上げたいと存じます。
 私学振興財団のことにつきまして、当文教委員の先生方から日ごろ御鞭撻、御協力をいただいております点、深く御礼を申し上げたいと存じます。
 さて、ただいまの御質問でございますが、お話のように、三十七年当時、高校急増等のことがございまして三十八年度から財投が入ったわけでございますが、同時にまた私学共済からもお借りする、こういうようなこともこれあり、私ども私学振興会、また後身の私学財団におきまして利益金が出た場合には、広い立場で私学振興のために還元をする、こういうようなことから、いまお話しの私学共済との間につきましても整理資源の千分の六相当額を助成をしてまいる、こういう申し合わせがなされておったわけでございます。
 いま、ここ数年どうなっておるかと、こういうことでございまして、千分の六でまいりますと、逆にまいりますと、五十六年度あたりは約五十億、千分の六相当額が四十九億九千万というふうに承っております。貸し付けとまた財投との借り入れ、資金運用の利ざやからはとてもそういうお金は出てまいらない、こういうことで先ほど吉田局長からお話もございましたように、五十六年度はただいま文部省へ私ども提出をして協議しておりますのが約三千三百万でございます。これにつきましても、先ほど来お話がございましたように、一千万の時代、もう少し前はもうちょっと出ておりましたが、一千万、それから二千万、三千万、それからことし三千三百万、わずかでございますが努力をしておるのでございます。申し合わせができます三十年当時に、財源率にしまして千分の五・六とかいうのが出た時代がございますけれども、貸付財源と、非常に御努力いただいております出資金の比率の問題が私どもの助成金の枠に大変影響がまいっておる、こういう状況でございます。
 とりあえず、以上お答えいたします。
#31
○粕谷照美君 その当時の約束によれば五十億円近く今回は入れなきゃならない、それが三千万、比較にもならないわけですね。利益が出ればと言うけれども、利益を出すような状況というものがないから出せないということになるんだと思うんですけれども、一体この利益というんですか、それが出ない理由というものを文部省としてはどのように理解しておりますか。
#32
○政府委員(吉田壽雄君) 私学共済組合に対する私学財団の助成でございますけれども、私学財団としましては、何とかその昭和三十七年の約束に基づいて、しかるべき額を私学共済に対して助成したいということでいろいろと御苦心されているわけでございますが、私学財団の経営全体ということになりますと、いろいろと法令の制約の枠内でいかにして私学共済に助成する財源を生み出すかと、これは当初、昭和三十七年当時考えていたよりもはるかに困難なそういう問題であるということで、こういうわずかの助成額ということでここ当分続いているわけでございますが、いわゆるないそでは振れぬと申しますか、私学財団でもその点は大変絶えず気にされているわけでございますが、私どもとしても、それは私学財団のことだということにはまいりませんで、今後とも私学財団とよく相談しながら、少しでもこの助成額をふやす方向で努力を重ねなければならないというふうに考えております。
#33
○粕谷照美君 利益金が出た場合にはという約束は、利益金が出るということが前提であったはずですね。それが出なくなった理由ということの説明にはいまなっていないように思うのですが、私学財団としてはその利益金が出なくなった理由というものをどういうふうに分析をしていらっしゃいますか。
#34
○参考人(清水成之君) いま局長からお話しございましたように、お互いよく相談しまして、るる苦慮をしておるところが実情でございますが、振り返ってみますと、私学振興財団の前身の私学振興会発足当時から数年間は、お返しする利息の要らない出資金が貸付財源の一〇〇%でありました。そして、それを学校法人にお貸しをいたしまして、上がってまいりました利息から、一つは当財団の業務経費、人件費、事務費を払わしていただく、こういう一つのシステムに相なっております。
 それからまた、金の借り貸しでございますので、貸し倒れ準備金をその上がりました中からどれだけか積み立てていくというシステムに相なっておるわけでございます。だんだんと私学が非常に発展をしてまいりまして、特に融資事業等におきまして急増対策とか、あるいは理工系の急増対策等もございまして、財投なりあるいは私学共済からもお借りをし、かつまた出資金もいただきまして貸付財源と、こういうことで進んでまいっておるわけでございます。
 先ほど来お話がございます三十七年当時の貸付残高に対しまして、利息の要らない出資金の累計が七〇%を超えております。私学財団の発足当時の四十五年におきますその比率は、融資の枠が非常に広がりまして、御希望が多いもんですから、それに対応すべく財投なりあるいは私共済からの借り入れというものもふえてまいりまして、出資金累計の比率が一三%ぐらいになっております。五十六年度のあれからまいりますと、いまの見込みでございますが、この比率が六・七かその辺の見当になるんではなかろうか。その間そういうふうに非常にむずかしい出資金のことにつきまして、文教委員の諸先生方や文部省の皆さんにその獲得に大変御努力をいただいてまいりましておるわけでございますが、一方一財投なり私学共済からお借りしました利率以上に学校法人にお貸しすれば、またこれは財政好転ということも財団自体としてはあるかもわかりませんけれども、そういう道は私学の立場を考えました場合にとるべきではないだろうと、こういうことで、あるものにつきましてはお借りした利率並みでお貸しする、またたとえば災害復旧とか、その他の面につきましてはそれよりうんと低利でお貸ししなければならぬ、こういうようなことで、いわゆる逆ざやの問題もございます。そういうようなことが重なりまして助成金としてお回しする金が減ってまいっておる。それにしましても、これはまあ文部省の御指導も得て貸し倒れ準備金がどれぐらい持っておるべきか、これはまあ大きなポイントだろうと思うわけでございます。いま文部省告示でお定めになっております最高限度よりはうんと下げまして、最近は貸付残高の千分の一も積まずに、わずかではございますが、そのいまの三千万とか三千三百万というのを、極端な言い方いたしますれば御相談の上吐き出しておって、貸し倒れ準備金の方をもうべらぼうに下げておる、こういう状況でございます。
#35
○粕谷照美君 内容についてやっていると時間がありませんから私は申しませんけれども、昭和三十七年当時は自己資金が七四%そして五十六年度は六・七%と、もう激減をしているわけですね。そういうところからこれが出てくるのだというふうに思いますけれども、しかし、ここのところは約束というのはやっぱり守っていくという努力が必要だというふうに思うんですね。この私学振興のリーフレットを見ますと五十二年度は一億三千五百三十五万七千円、それが五十三年になりますと一億のが一千万に減っているんですね。十三分の一にも激減をしているわけです。そしてそれが文部省の指導で二倍になった、これが二千万円、そして五十五年度が三千万円と、やればやれないわけでないわけですね。何らかの努力というものをやっぱりやっていく必要があるということだけ意見を申し上げまして次に移ります。
 都道府県の補助の充実についての附帯決議については時間の関係で省きまして、スライドの問題についてはどういういま見通しを文部省としてはしておられますか。
#36
○政府委員(吉田壽雄君) 前回の附帯決議の第四項に「年金額改定のいわゆる自動スライド制については、給与スライドの導入を検討すること。」という御意見をいただいております。で、この給与スライドにつきましては、いわゆるこの自動的な改定措置というところまではまいりませんけれども、昭和四十八年度以降の法律改正による年金改定におきましては、現職公務員の給与改善率を基準といたしまして年金額の引き上げを毎年行っておりまして、私どもは実質的な給与スライド措置を講じていると言っても差しつかえないのではないかというように思っております。また昭和四十九年度の法律改正におきまして、厚生年金保険法に準拠して定められております通算退職年金の額並びに退職年金等のうち通算退職年金の額の算定方式に準ずる算定方式によって決められた年金額、これらにつきましては厚生年金の場合と同様にいわゆる物価スライド措置を講じてきておるところでございます。
 私学共済を含む共済年金全体のあり方につきましては、先ほど申し上げたようなことで、現在大蔵省を中心に検討が進められておりますので、この問題につきましても、私どもは同研究会の検討結果を十分に踏まえながらさらに検討を進めていく必要がある、こういうふうに考えております。
#37
○粕谷照美君 財団の方、どうもありがとうございました。私の質問は終わります。
 私学共済だけではこの問題は片がつかないというふうに思いますけれども、厚生年金方式ですと物価スライドということが前提になっていますね。共済年金は給与スライド方式になっている。最近の春闘なんかが物価に追いつかない賃上げであるときに、とにかく公立学校共済組合の組合員などは、何か厚生年金の方が有利ではないか、物価にスライドして年金が上がるなんというのは、そっちの方が有利ではないかなどというような声が出ておりますけれども、私学の組合員の方々は、先ほど局長は年間八%ずつ賃金が上がってと、こういうふうに考えて、試算をして、計算をしていらっしゃるわけですね。やっぱり給与スライドの方が有利なわけですよね。この辺のところをもう一つ押していって、何とかその方式が実現できそうだという見通しについてはどうですか。
#38
○政府委員(吉田壽雄君) その給与スライドの件ですが、先ほど申しましたように、いわゆる自動的な給与スライド制というわけにはいかないと思いますけれども、昭和四十八年度以降は毎年法律改正によりまして年金の改定を行ってきておるわけで、私どもは実質的に給与スライド措置がとられていると言ってもいいんではなかろうかというふうに思っておりますが、明確にその給与にスライドをするということにつきましては、かなりやはり共済制度全般の基本的な問題でもございますので、これにつきましては、先ほど申しましたように、現在大蔵省を中心にいろいろと検討が進められておりますので、その検討の結果を待って私学共済としてとるべき措置を考えていきたい、こういうふうに思うわけでございます。
#39
○粕谷照美君 私も共済の年金方式が給与にスライドをして上がっているということは認めているわけですね。附帯決議でそういうふうにしなさいというのは自動的にやりなさいということです。その点についての問題があるということは、一体どこのところに問題があるのです。何が問題であるか――大蔵省の方でこう言っておられるのか。
#40
○政府委員(吉田壽雄君) 実は、給与スライドにつきましては、もう一つその厚生年金の方の関連の通算退職年金の物価スライド措置、こういうようなことで二つの考え方があるかと思うわけでございますが、その二つの考え方を仮にこの給与スライドというようなことで一律に共済年金の自動スライド制を考えてとることは妥当であるかどうかにつきましては、やっぱり組合の年金財政の全般にもかかわることでございますし、いま現にそういう二つの考え方、給与スライド並びに物価スライドと二つの考え方があるわけですけれども、それを一つに統合するというようなことについてもかなり慎重に検討をする必要があるのではないかというふうに思っているわけでございまして、御存じのとおり、基本は、私学共済は国家公務員共済組合法に基づく、あるいは別な言い方をすれば、国立学校並びに公立学校の教職員と同じ水準の年金を保障するということが基本でございますので、これらについてはなお私ども慎重に検討してまいりたいというふうに思うわけでございます。
#41
○粕谷照美君 厚年との絡み、それから掛金の問題、これらが含まれていて、将来国民的な年金の基本構想に向かっては簡単に結論を出すわけにはいかないと、こういうふうに理解してよろしいですか。――うなずいていらっしゃるようですから、じゃ、そういうふうに理解をいたしまして次に移ります。
 今回の法律の改正点ですが、一つには寡婦加算額の引き上げ、それから遺族の範囲の見直し、高額所得者に対する年金の支給停止、この三つが大きく挙がっておりますけれども、この寡婦加算額というのは一体なぜ出てきたか、この辺どう理解していらっしゃいますか。
#42
○政府委員(吉田壽雄君) 寡婦加算制度といいますものは遺族年金受給者のうちでその遺族の生活実態等から見まして、遺族年金収入に依存する度合いと申しますか、遺族年金収入の必要性が高いと考えられるお子さんを持っているいわゆる寡婦、あるいは高年齢の寡婦につきまして年金額を引き上げる措置を講ずる必要があるということで、これは私学共済法が準用いたしております国共済法の改正によって改善が行われることになるわけでございまして、そのもとは厚生年金にあるわけでございます。いわば、これは各共済制度、各公的年金制度共通の改正事項であるといっていいかと思います。そういういま申し上げたような趣旨から、遺族年金を受ける妻自身が退職年金を、御自身が受ける場合もあるわけでございますが、遺族年金を受ける妻自身が退職年金等を受給するときには寡婦加算額の支給の停止を行うという改正を行うことになったわけでございまして、いわばこの両方を併給することを調整するわけでございますが、この調整措置はすでに厚生年金においては昨年の八月からとられているところでございます。そういうことで、それにならって国家公務員共済あるいは私学共済組合においてもそのような措置をとろうとするものでございます。
 なお、今回の国家公務員共済法の改正法の施行日の前日におきまして、現に寡婦加算のつきました遺族年金を受けている妻で、かつ御自身が退職年金を受けている者につきましてはいわゆる既得権を保障する措置は講じられておるところでございます。
#43
○粕谷照美君 一九七五年ですからいまから六年前になりますけれども、国際婦人年が始まってこの婦人問題が大きく取り上げられてきたときに、私どもは遺族年金というものを世界の遺族年金のレベルに上げるべきだ、つまり、七五%から八〇%、そういうふうにするべきだという主張を行いました。あの議事録を見てみますと、自民党の婦人議員の方々も率先してそういう討論、質問を展開されているわけであります。そういう中から遺族年金の給付率を上げなければならないがということで、私たちは、寡婦加算というごまかしの遺族年金額の提案がされたものではないか、こういう理解をしているわけです。ですから、うんと低い遺族年金をもらっていらっしゃる、そして子供を持って困っていらっしゃる方々についてはこういう定額が加わることによって七〇%をはるかに上回る遺族年金が出てくる。その意味では大きな私は成果があったというふうに理解をしているんですけれども、しかし逆に考えまして、なぜこれが寡婦で女だけなんでしょうね。夫というこの寡婦はなぜつかないのでしょうか、男女平等という考え方に立てば。子供を抱えて苦労するのは何も女だけではないというふうに思うんですね。特に奥様が先生をしてがんばっていらっしゃるけれども、御主人が中途からいろいろな病気で倒れて働けなくなっていく。そういうときに先生が倒れられる。夫にはその遺族年金の加算がつかないということになりますと大変な問題が出てくるのではないかと思いますけれども、局長、どうでしょう、その辺は。
#44
○政府委員(吉田壽雄君) 大変むずかしい御質問で正確にお答えできるかどうか恐れておりますけれども、寡婦加算の制度は昭和五十一年度に創設されたものでございまして、この制度は相当長い期間を費やしまして慎重な検討が行われました末に、遺族年金による生活保障の必要性、遺族年金に対する依存度が高いと思われる高齢の寡婦の方なり、あるいは有子――お子さんを持っておられる寡婦につきまして改善を図る必要があるという趣旨から、先ほども申し上げましたけれども、厚生年金を初め各共済年金制度に導入されたものでございまして、御指摘のような御意見でございますけれども、長い間慎重に検討した結果、やっぱり実態に即しまして、いま申し上げたような寡婦加算制度が創設されたわけでございますし、しかも別の観点から申せば、各私学共済はこれはいわば例外的なものと思いますが、各制度とも年金の成熟化が進んでおりまして大変年金財政が重要な段階に向かっております。そういうようなことからと思いますけれども、なるべく給付を重点化するというようなこと、あるいは合理化するというようなことも一方で要請されているわけでございます。そういうことでいま言った併給の調整措置というものが講ぜられたというふうに理解しているわけでございますが、まあいずれにいたしましても、いま先生のそういう御意見につきましては、私どもも検討はいたしたいと思いますけれども、いまそれを実現するというのはなかなかむずかしい問題ではないかというふうに考えておるところでございます。
#45
○粕谷照美君 最後に、私学共済の年金の充実に関して文部大臣の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
#46
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまいろいろと先生の大変な御勉強なりあるいはまた御尽力のほどを伺いましたが、私学共済の問題の充実、特に年金等の問題につきましては、御案内のとおり、われわれが従来から努力をしてまいらなくちゃならない、かように考えておったものでございます。なお今後ともにこの問題につきましては取り組んでまいりたい、かように考えております。よろしくどうぞお願いいたします。
#47
○柏原ヤス君 まず、前国会でこの法案が審議されましたときに、四項目の附帯決議がなされました。その後どのような対処がされたのかをお伺いいたしたいわけです。
 先ほど粕谷議員から四番目の点は御質問がございましたので、四番目を除いて、一、二、三について御説明お願いいたします。
#48
○政府委員(吉田壽雄君) 前国会のこの委員会で四項目の附帯決議がなされたわけですが、これに対して文部省としてどういう対応をいたしたか、努力をいたしたかということでございますが、まず第一項の「長期給付に要する費用に対する国の補助率を百分の二十以上に引き上げるよう努めること。」ということでございますが、これにつきましては、先ほどもちょっとお答えで申し上げましたけれども、昭和五十六年度の予算編成に当たりまして、私ども強く財政当局と折衝を重ねましたけれども、遺憾ながらなお実現を見るに至りませんでした。ただ、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、実質的には、昭和五十四年度の決算などを見ますと、実質補助割合は百分の二十をわずかに超えているというようなことでございますけれども、しかし、法律に百分の十八というふうに書くのと百分の二十と書くということ、これは根本的に別のものでございまして、私どもは、さらにこの私学共済の内容の充実あるいは私学振興を図るというような立場から、引き続き百分の二十を実現すべく努力を重ねなければならないというふうに考えております。
 それから第二項の「長期給付に対する日本私学振興財団の助成金について、必要な強化措置を講ずるよう努めること。」ということでございます。これは御案内のとおり、昭和三十七年当時でございますけれども、私学振興財団の前身であります私学振興会と私学共済とが協議いたしまして申し合わせた事項でございます。で、中身は二つございまして、一つは恩給財団に係る既年金者の年金増額分に要する費用の百分の八十二相当額を財団から共済組合に援助するというのが一つございます。それからもう一つは、長期給付財源のうち整理資源分がございますけれども、その整理資源の二分の一相当額、掛金率で申しますと千分の六相当でございますけれども、そういう相当額をやはり財団から私学共済の方に助成するようにというのがこの申し合せ事項でございます。
 この私学財団から私学共済への助成でございますが、これは私学財団の財政事情が最近相当窮屈になっておりまして、この申し合わせを完全に履行するようなそういう財源的な余裕がございません。最近数年間の状況を申し上げますと、昭和五十三年度では一千万円、昭和五十四年度は二千万円、昭和五十五年度は三千万円、昭和五十六年度、これは見込みでございますが、三千三百万円と、こういうようなことで大変落ち込んでおります。が、しかし、私学財団としては、その苦しい財政事情の中で、少しずつではございますけれども増額に努力している、そういう過程でございます。今後私どもは私学振興財団と十分連携をとりながら、何とか私学財団の収支の改善を図りまして、それに応じましてこの私学共済への助成金を増額するように努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから、第三項の附帯決議は、「地方財政の実情にかんがみ、長期給付掛金に対する都道府県の補助を充実するため、必要な措置を講ずるよう努めること。」ということでございます。これに対してでございますけれども、都道府県は私学共済に対しまして、昭和二十九年の共済組合の発足時以来、長期給付の掛金の千分の八相当額を補助してまいっております。ただ最近は、都道府県によりましては財政事情が相当悪化いたしておりまして、その結果、大学あるいは短大を補助対象から除外する。つまり中学校とか高等学校には補助しますけれども、大学、短大分はカットするというような、そういう県もございますし、あるいは補助対象の月数でございますが、十二カ月分まるまる補助いたしませんで、たとえば六カ月分に限るとか、そういうようなことでいろいろな都道府県が出てまいっております。
 文部省としましては、やはりこの国会の附帯決議の趣旨等に沿いまして、学校法人並びに組合員の掛金負担の軽減に資するという立場から、大学等は除外するというようなことのないように、つまりあらゆる学校、種別に対しまして補助が行われますように、いろいろな機会をとらえまして都道府県に強く指導をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
#49
○柏原ヤス君 お伺いしておりますと、努力している努力しているというお話で、努力はしていらっしゃるでしょうけれども、やはりこの附帯決議というものがもっと尊重され、そして一歩でもそれに対して結果を出しているというような点を期待しまして、今後も、附帯決議を出してもさっぱり実績が出ないということのないようにがんばっていただきたいと思います。
 次に、私学共済の年金財政、これが他の共済制度に比べてどうなっているか。また、今後の見通しはどうなのか、お聞きしておきたいと思います。
#50
○政府委員(吉田壽雄君) 私学共済組合の長期経理の現状及び見通しでございますけれども、まず現状を申し上げますと、昭和五十四年度末――昭和五十五年度分につきましては、いま決算等いろいろと整理しているところでございますが、昭和五十四年度末で申しますと、私学共済組合の年金の成熟度で申しますと二・八七%となっております。で、これからどうなるかということでございますけれども、これは一応の試算でございます。一定のもちろん前提がございますけれども、試算ですからおよそという見当になるわけでございますが、五年後の昭和六十年度は四・四%、十年後の昭和六十五年度は七・三%となる見込みでございます。で、成熟度が私学共済組合がわりあいと低いということにつきましては、やはりここ十数年来私立学校が急激にふえまして、その結果組合員数が急激にやはり伸びたというようなこと、あるいは私学、特に幼稚園等の段階におきまして女子職員がきわめて短い期間で退職されるというようなことが他の共済組合制度、公的年金制度に比べて成熟度が低いということになっていると思われます。
 なお、御参考までに他の共済組合の年金の成熟度を申し上げますと、国家公務員共済組合では、これも同じく昭和五十四年度末でございますが、二二・九%、それから公立学校共済組合では一八・五八%、農林共済では一一・八〇%、一番年金財政が窮迫していると言われます国鉄共済の場合は四八・八一%、こういう状況でございまして、いまのところ私学共済の年金財政は私どもはまず安定していると申し上げてよろしいかと存じます。
#51
○柏原ヤス君 次に、私学共済で行われております福祉事業、それにはどのようなものがあるか。この点と、その福祉事業の中でも他の共済に見られない独自のものをやっているというようなものがありましたらば、それについても御説明をお願いいたします。
#52
○政府委員(吉田壽雄君) 私学共済の福祉事業でどういうことをやっているかということでございますが、現在私学共済の福祉事業としては、大部分は他の共済組合と大体同じような事業を行っているわけですが、組合員の保健あるいは保養を目的とする保健事業がまずございます。それから、宿泊施設の経営に関する宿泊事業、それから病院施設の運営に関する医療事業、それから組合員の貯金の受け入れに関する貯金事業、さらに組合員に貸し付けを行ういろんな貸付事業、これは学校法人に対しても一部行っておりますが、そういう貸付事業の大きく分ければ五つの福祉事業を行っているわけでございます。簡単にそれぞれの事業について申し上げますとまた時間がかかりますので、御質問によってまたお答えいたしたいと思いますが、特に私学共済として、何か新しいといいますか、他の共済組合で行っていないような独自の事業がないかというような御質問でございますけれども、目下のところ私学共済独自の事業というのは実施しておりません。
 以上のとおりであります。
#53
○柏原ヤス君 そこで、その中の住宅の貸し付け、これは組合員にとっても非常に重要なものだと思いますが、この現状をお伺いいたします。
#54
○政府委員(吉田壽雄君) 貸付事業の中にいろいろあるわけですが、その中で一番大きい領域を占めると言っていいと思いますが、住宅貸し付けがございます。これは、貸付限度額で申しますと、公立学校の共済組合と比較してみますと、昭和五十四年度現在では貸付限度額に約五百万円の差があったのでございますけれども、これを私学共済として二カ年計画で公立共済に追いつくと、是正するということで進めまして、昭和五十五年の七月に貸付限度額をさらに三百万円引き上げ、さらにことしの十月でございますが、二百万円引き上げる予定をいたしておりまして、これによりまして住宅貸し付けの限度額は公立学校の教職員と同額の貸付限度額一千万円となる予定でございます。
 また、組合員期間が短いものに対するものにつきまして、従来若干貸付限度額が低過ぎるということがありましたけれども、これについても逐次改善を図っている、そういう段階でございます。
#55
○柏原ヤス君 それでは少し時間が余っておりますので、前にお聞きしたいのが残っておりますのをお聞かせいただきたいと思います。
 それは幼稚園の問題ですが、五年以内に学校法人に対する約束で国から助成を受けている私立幼稚園、これがどのくらいあるか、またその中で学校法人となったものがどのくらいあるか、その数をお聞かせいただきたいと思います。
#56
○政府委員(吉田壽雄君) 学校法人立以外の私立幼稚園、つまり個人立幼稚園なりあるいは宗教法人立幼稚園等でございますけれども、国庫補助金の交付対象になりました幼稚園は、昭和五十一年度では一千九十五園でございます。五十二年度は一千三百二十九園、五十三年度は一千五百十四園、五十四年度は一千五百十三園、五十五年度は一千四百七十三園、こういう数字になっております。
 これらの国庫補助の対象となりました幼稚園のうちで、昭和五十一年度から五十四年度まで、四年間でございますけれども、この四年間に個人立等から学校法人に切りかわった幼稚園は四百八十五園、こういう状況でございます。
#57
○柏原ヤス君 補助を受けながら学校法人化しない幼稚園、これはどういう理由があるのか。これに対して文部省はどういう考えでいらっしゃるのか、その点お願いします。
#58
○政府委員(吉田壽雄君) 個人立幼稚園等が学校法人に切りかわる場合には、園舎の敷地とそれから運動場につきましては、これは設置基準がございますけれども、原則といたしまして基準面積の二分の一以上が自己所有でなければならないということになっておりまして、学校法人に切りかわるに際しましては基本財産の寄付が当然必要となってくるわけでございます。そういうたてまえでございますけれども、最近、幼児数の減少に伴いまして経営に対する不安と申しますか、先行きどういうことになるかということでいろいろとそういう個人立幼稚園等が懸念しているわけでございますが、具体的には、たとえば学校法人に切りかわったと、その学校法人が幼稚園児が集まらないということで廃止する、学校法人がしたがって解散するということになります場合は、その残余財産の帰属につきまして心配であると。普通、学校法人を解散した場合にはその残余財産は御案内のとおり他の類似の教育施設に帰属させると、譲渡するというのがたてまえでございますが、そういったようなことから学校法人が幼稚園の不振によって解散するという場合に、自分のところに寄付した財産が戻らないというようなことをおもんぱかりまして、いろいろとちゅうちょをしている場合が多いのではないかというふうに考えられるわけでございます。
 それからまた、特に、宗教法人立の幼稚園もかなりございますけれども、そういう宗教法人の場合には、基本財産を幼稚園の方に、学校法人に寄付をした場合に、宗教法人としての本来の活動なりあるいは財政等に支障を来すおそれがあるというようなことで、そういうようなことも宗教法人の場合にはやはり学校法人化が簡単にできないという支障となっていると思われるわけでございます。
 しかし、文部省としては、従来から幼稚園の設置者は基本的には学校法人でなければならないわけでございますので、その学校法人化の推進については、私ども関係の都道府県等とも十分連携をとりながらその方針は貫いてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#59
○柏原ヤス君 そこで、昭和五十一年度から助成を受けていた場合、これは学校法人化しなければならないタイムリミットというのは、今年度中、昭和五十七年の三月までになるわけで、したがって文部省としても、もう早々に学校法人以外の幼稚園に対する助成のあり方についての方針というものをやはりお考えになっていると思うんですが、現在どういうお考えでいらっしゃいますか。
#60
○政府委員(吉田壽雄君) 申し上げるまでもございませんが、私立学校振興助成法の附則第二条第五項の規定によりますと、いま先生がおっしゃられましたとおり、補助を受けました個人立等の幼稚園は、その翌年から五年以内に学校法人化の措置をとらなければならないというふうに規定されておるわけでございます。で、文部省としては、この法律の趣旨にのっとりまして学校法人化を推進してきたところでありますが、先ほど申しましたようなそういう数字でございまして、必ずしもまだ十分の成果が上がっていないというわけでありますけれども、今後の助成のあり方については現在慎重に検討をしているところでございます。
 この個人立等の幼稚園に対する今後の助成の問題でございますけれども、幼稚園の関係団体におきましてもいろいろの意見が事実ございますので、文部省としては、引き続き関係各方面の御意見をも伺いながら慎重に検討を続けてまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
#61
○柏原ヤス君 慎重に検討されるのは結構ですけれども、いつごろまでにその方針が決まりますか。
#62
○政府委員(吉田壽雄君) 御案内のとおり、一番最初に国庫補助を受けました個人立等の幼稚園のそのタイムリミットは、先生がおっしゃられましたように、五十七年、来年の三月三十一日ということになっております。したがいまして、まだ若干日時があるわけでございますが、しかしなるべくこういう方針は早く打ち出した方が関係者にも安心していただけるのは間違いございませんので、私どもといたしましては、いま各方面の御意見をいろいろと伺っておりますけれども、なるべく早い時期にその方針を明らかにしたい、こういうことでいま鋭意努力しているところでございます。
#63
○柏原ヤス君 漠然としたお答えで、お答えにくい点をお聞きしているんですけれども、各方面の意見を聞いて聞いてと、いつごろまでに聞き終わり、大体この辺でというそういうことは、これ以上はおっしゃれないんですか。
#64
○政府委員(吉田壽雄君) 大変明快にお答えできませんで恐縮でございますけれども、この法律は御承知のとおり、当初の立法、こういう私立の個人立幻稚園に対するこの補助の規定でございますが、議員立法によって行われましたという経緯もございます。それから、幼稚園の関係団体も大きなもので三つほどございます。そういうようなことで、やはり私どもとしては、そういう各方面の意見を十分お伺いし、またあるところで、できるならば、皆さんが多少御不満等があっても、大体大同においてそれはのめるというような、そういう行き方が一番望ましいと思いますので、いましばらく時間をおかししていただきたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。
#65
○柏原ヤス君 文部省では、慎重に慎重に、いましばらくいましばらくと言っていらっしゃいますけれども、きのうの新聞報道によりますと、もう今年度末で切れることになっているこの学校法人以外の幼稚園に対する補助を自民党は三年間延長するということを合意したというふうに出ております。どういうことでそういうふうになったのか、文部省はこの点御存じなんでしょうか。
#66
○政府委員(吉田壽雄君) 実はきのうの新聞を拝見して、これはどういう経緯でどういうふうになったのかということで、私どももよくわからないわけでございますが、自由民主党におかれましても、党としての考え方をいろいろと関係各団体、各方面に打診しておられるというふうに伺っているわけでございまして、自民党におかれては目下鋭意取りまとめつつあるそういうそのさなかであるというふうに私ども承っているところでございます。それ以上のことは私どもよくわかりません。
#67
○柏原ヤス君 わかりませんなんて言っていたんじゃまずいと思うんですね。意見を聞いているというような程度じゃなくて、「合意した」というような報道が出ているわけです。ある線が出たものだというふうに受けとれると思うんですね。そういう点で、政府がしっかりした見識を持ってこの方針を示さなければ、五十一年度からもうすでに時期が来ればその助成のあり方というものは示さなきゃならないことはわかり切っているわけです。それがもうここへ来て、まだ慎重慎重というようなありさまです。
 また一方、自民党ではそういうことを先手を打ってやっていると。これじゃ幼稚園の補助のあり方というものが、一部の勢力によって曲げられてしまうと。しかも、それが選挙の際の票集めの道具になるというようなことではと私は思います。そういう指摘も事実されているわけなんです。そういう点で、この現実の問題を見た上での文部省のお考えを、もう一度お聞きしておきたいと思います。
#68
○政府委員(吉田壽雄君) 重ねて申し上げますけれども、文部省としましては、従来から私立学校振興助成法の趣旨にのっとりまして、既設の個人立幼稚園等の学校法人化を推進してまいっておりますけれども、今後ともその方針には変わりは全くございません。で、昭和五十七年度以降の補助につきましては、先ほど来申し上げましたように、現在文部省としましても慎重に検討しているところでございまして、その過程で関係各方面の御意見も十分伺っているところでございます。
#69
○柏原ヤス君 最後に、大臣の見識ある御答弁を一言お聞きしておきたいと思います。
#70
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 ただいま御質問のありました新聞報道の問題は、寡聞にしてまだ存じておりません。
 それからなお、既定方針によりまして今後も推進をいたしてまいりたい、これはぜひこの方針でまいる所存でございます。しかしながら、先生の御指摘であり、また局長からも申し上げたように、現実の問題といたしましては、財産権の処分やその他の問題につきまして非常に支障の多いことはよく御了承いただけると存じますが、方針は何ら変わっておりません。
#71
○柏原ヤス君 いまお聞きした中で、三年延期したなんということはあり得ないことですね。
#72
○国務大臣(田中龍夫君) まだ聞いておりません。
#73
○佐藤昭夫君 時間も限られていますし、二つの問題にしぼって質問をいたしたいと思いますが、まず私学共済の運営に関係して私立学校教職員共済組合の組合員資格の取り扱いの問題でお尋ねをいたしますが、去る十一日に愛知県の私立学校教職員組合連合の代表が私立学校教職員共済組合を訪れて、学校法人足立学園の岩本光司教諭の共済組合員の資格喪失の取り消しについて要請を行っておるわけですけれども、この要請の中心的内容はどういうことですか。
#74
○政府委員(吉田壽雄君) 裁判の判決がありましたので、組合員の資格をもとに返すようにということで、私学共済組合の本部の方に要請が出ているというふうに伺っている段階でございます。
#75
○佐藤昭夫君 いまありましたように、岩本教諭は名古屋地裁に引き続いて高裁の判決でも勝訴をしたわけでして、一般に解雇された労働者などの健康保険等の取り扱いに関して労働委員会または裁判所が解雇無効の判決を行った場合、その資格を回復をするということになっておると思うのでありますが、私立学校教職員共済組合でも、この解雇教職員の資格の取り扱いで、無効判決等が出た場合、これに準じて行うということになっていると承知するんですけれども、具体的にはどういうふうになっていますか。
#76
○政府委員(吉田壽雄君) 学校法人等が雇用いたしております教職員を解雇した場合には、普通退職の場合と同様の扱いでございますけれども、学校法人は私学共済組合に対しまして速やかに資格喪失報告書というものを、これは一定の様式が定められておりますが、それを提出しなければならないということになっているわけでございます。で、この報告書の提出がありました場合は、私学共済組合は組合員の資格を喪失させることといたしております。
 いまお尋ねがございましたように、裁判所の解雇の取り消しの判決――これは仮処分の決定の場合も同様でございますが、裁判所の解雇取り消しの判決が確定いたしまして、その効力が発生いたしましたときは、当該判決に従いましてさかのぼって資格喪失の処理を取り消すことになります。そうして、組合員の資格は継続する、そういう取り扱いをすることとなっているわけでございます。
#77
○佐藤昭夫君 さっきも触れましたように、この岩本教諭の場合、地裁に引き続いて高裁でも解雇無効の判決があったわけでありますから、共済組合員資格の喪失の取り消し、いわば組合員資格の回復、これがなされて当然のことだというふうに思うわけでありますけれども、手続的には、法人といいますか、経営者の方からこの資格回復の申し出がないと発効していかないという手続上の問題があるわけですけれども、じんぜんと日を過ごすんじゃなくて、文部省の方から積極的にひとつ指導をして、早くこの問題が解決をするように――この御本人の場合、妻と子供二人、解雇されて十三年の係争が行われてきたこの間の経済的被害というのは多大なものがあるわけでありますし、そういう点で、ぜひ文部大臣、大臣としても早くこの所期の措置がとれるように積極的な指導、援助をお願いをいたしたい、どうですか。
#78
○政府委員(吉田壽雄君) 大臣の御答弁をいただく前に政府委員の方からちょっと一言申し上げます。
 いま申し上げましたような、そういう仕組みになっておりますが、裁判所の解雇取り消し判決の確定があったことにつきまして、その関係の学校法人等からの報告がないとか、あるいはおくれるというような場合が間々あるわけでございます。そういうことになりますと、つまり報告が私学共済の方にないという場合は、共済組合としての対応がおくれる事態も生ずるかと思います。そのことにつきましては、これは大変その組合員のために支障を来すわけでございますので、そういうことのないように、そういう事態が生じることのないように、文部省としても私学共済組合と十分連携をとりながら、大学、短大につきましては文部省が直接関係の大学を指導することになりますし、高校以下につきましては文部省が都道府県を通じまして、当該学校を指導をするということで私ども注意してまいりたいと存じます。
#79
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま政府委員から御答弁を申し上げたように、正常なルールを踏みまして速やかに処置をいたしたい、かように考えております。
#80
○佐藤昭夫君 それでは次に、この私学の年金制度を改善をするためには、私学教職員の低賃金の原因となっています私学の財政危機を解決をするために、私学助成の抜本的な拡充が必要であることは論を待たないと思いますが、そうした関係で来年度の国の予算の概算要求問題についてすでにいろいろ報道もされておりますが、この来年度概算要求、中でも私学助成の問題についていま一度文部省の基本姿勢を尋ねておきたいと思います。
 その質問の第一は、最近文部省において、いわゆる私学に対する経常費の二分の一補助、これが実質的には天井に手の届くところまで来ている。だから今後は量から質への転換、中身の濃い私学づくりをやっていく必要があるというような論が往々にしてなされておるわけでありますけれども、振り返ってみますと、七〇年代の私学助成は父母、私学教職員の大きな運動があり、一九七〇年に経常費に占める割合が七・四%から一九八〇年に三一・九%と、確かに一定の前進はしてまいりました。しかし、まだ経常費の二分の一というこの到達目標に達していない状況にあるわけですけれども、文部省としては一九七九年度ですでに四八・三%に達したという数字なんかもちらちらさせながら、しかし、この数字というのは医学部などの特定の学部における数字であって、たとえば、私は京都ですので、京都に立命館大学という私学がありますけれども、ここは京都の中でも授業料はできるだけ低く、相対的に、私学の中で抑えようということで努力を行っている大学ですけれども、ここでも、たとえば八〇年度経常費収入に占める補助金の割合は二三・一%ということで、文部省が平均数字で挙げております八〇年度一二・九%、この数字ともかなり大きな実際との差が生まれておる。いわんや、すでに私学助成は天井に手が届くところまで来ておるという、こういう実情には全くないということは明らかだと思うんです。そもそも二分の一が天井だ、二分の一まで行けばもうそれで万々歳だと、そういう合理的理由が別にあるわけではないと思うんですね。二分の一を超えたら私学は私学でなくなるというような論をもし立てるとすれば、結局私学というのは受益者負担主義、そして、そういう論を立てることによって全体としての安上がりの文教政策をねらっていくということになるわけでありますし、そういう点でお尋ねをしたいんですけれども、現在私学助成がそこそこ天井に達する域へ来ているという認識に文部省としては立っているのかどうか、それで年来掲げてきた二分の一補助、まず当面二分の一へ一年も早く到達をさせていくというこの基本方針、この基本方針は変化が生まれておるのか、変わっていないのか、この点についてまずお尋ねをいたします。
#81
○政府委員(吉田壽雄君) いまもお話にございましたように、私立学校振興助成法の規定では二分の一以内ということで国の補助を行うというふうに規定されているわけでございますが、この委員会の附帯決議におきましては、速やかに二分の一に到達するようにという附帯決議をいただいているわけでございます。したがいまして、私どもは従来からそういう二分の一に到達するということを目標に逐年努力してまいったつもりでございます。
 ただいまはどのくらいかということでございますが、昭和五十六年度の、もちろん推定でございますけれども、経常費総額に対する私立大学等経常費補助金の割合は三一・一%というふうに、試算でございますけれどもなっているわけでございます。これを私どもは、今後、国の財政事情もございますけれども、やはり二分の一にできるだけ早い機会に近づけたいという基本的な考え方は現在も変わっておりません。
#82
○佐藤昭夫君 いま、文部省としての五十六年度の私学助成の経常費に占める平均的比率、これの平均的見通し数字を申されましたけれども、個々の大学について見ますと、たとえば私、立命館大学の例を出しましたけれども、それにほど遠い実際は現状にあるということ。それからもう一つ、日本学術会議八十回総会――これは昨年の十月に開かれた年次総会でありますが、ここにおいて大学における経常的研究費の増額について文部省、国に対する要請書が決められておるわけでありますけれども、そこの報告を見ますと、「我が国の科学研究において、国公私立大学における研究活動の占める役割は極めて大きい。」しかし「それにもかかわらず、大学における経常的研究費の最近の増加の割合は、物価上昇をかなり下回る」と訴え、「よって本会議は、国立大学の教官当積算校費その他の校費及び教官研究旅費の増額、公立・私立大学に対する助成の拡大その他の措置によって、大学における経常的研究費の抜本的拡充が可能となるよう、政府が積極的な施策を講じ、適切な予算措置を取られることを強く要望する。」というふうにしているわけでありますけれども、これは、こうした私学助成問題も含めまして、大学の研究活動の維持、充実、そのためにこうした要望に文部省としても今後ともこたえていくべく努力をしていくということは当然でしょうね。
#83
○政府委員(吉田壽雄君) 日本学術会議が昨年の五月にそういう勧告を出されたということは承知いたしております。
 で、いま先生が申されましたようなことですけれども、文部省としての考え方を申し上げますと、文部省としては、この私立大学等経常費補助につきましては年々その拡充を図ってきたところでございますが、主要な補助の項目につきましてはすでに二分の一の補助を達成してきております。また、修学上の経済的負担の軽減につきましても、この補助の充実によりまして相当程度効果があったというふうに考えておりますけれども、この補助金の配分の仕方等につきましては、私どもも各方面の意見に十分耳を傾けて、よりこの補助の効果が上がるような、そういうやり方について引き続き検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。
 まあ学術会議のこの勧告の中でも、個別の事項につきましては、必ずしも私どもそのとおりだというふうに合点のいかないところもあるわけでございますが、私どもとしては、この勧告の趣旨には十分留意いたしまして、今後とも私学助成の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
#84
○佐藤昭夫君 ところで、最近第二臨調の動きが活発化しているわけですけれども、これに相呼応、する形で、大蔵省としても来年度予算編成の基本方針を示しているわけでありますが、それによりますと、いわゆるシーリング、対前年度伸び率、これを各省庁ゼロにする。しかも、どういうふうにそれでセレクトをするか、それは各省庁の自主的判断に任せるという形で発表されているわけですけれども、文部省としては、来年度のこれから概算要求の作業、方向を決めていくに当たって、臨調からの見直し要求が私学助成について出ているわけですけれども、先ほど来の二分の一へいっときも早く到達をするという年来の方針、こことの関係においてどういう方針で臨んでいきますか。
#85
○政府委員(吉田壽雄君) 第二臨調でいろいろと私立大学等経常費助成のことが問題にされているということは、マスコミ等によってもすでに明らかにされているところでございますが、私どもとしては、この法律の趣旨に沿いまして、何とかその点、第二臨調の方々にも理解を求めてまいりたいと思っておりますが、五十七年度の概算要求ということになりますと、私どもも国の財政事情がきわめて厳しいということは承知いたしているわけでございまして、いまの段階で五十七年度の概算要求枠、いわゆるシーリングもまだ決定されておりませんので、具体的なことはお答えできないわけでございますが、その概算要求枠が決定された段階で真剣にこの私学助成のことについて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#86
○佐藤昭夫君 あともう一問。
 五十六年度の文教予算、私学助成を含めまして前年度に対する伸び率四・七三%ということで、昭和三十年度の四・〇%に次ぐいわば四半世紀ぶりの記録的な低率に抑えられた。で、政府予算全体に対する文部省所管予算の占める比率というのも九・五五%で、これも昭和四十五年度以降見ても、最低一けた台にとどまったというのは四十八年度の九・九四%以来のことだという。結局この教育予算に対して、福祉と教育の切り捨てに大きくここへ圧力がかかったという結果になっているわけですけれども、片や国会でもさまざま議論になってきましたように、軍事費というのが異常に膨張をしてきているという姿となっているわけですけれども、そこで昨日も参議院の本会議で、日米首脳会談の評価、それに対する総理の答弁漏れというか、答弁拒否、これをめぐって非常に紛糾をし、本会議が空転をするという事態が起こったわけですけれども、単に私どもだけじゃなく、マスコミの論調としても、日米首脳会談を通して一層わが国のアメリカに対する軍事費増強の努力、これが約束をされてきたんではないかという危惧が生まれているわけですけれども、このことを別にいまここでお尋ねをしようというわけではありません。
 文部大臣にお尋ねをしたいのは、こうした軍事費増大のために教育予算が犠牲にされているという昭和五十六年度の姿を見て、来年度の概算要求について、先ほど来私学助成の問題を挙げていますけれども、私学助成の問題といい、教科書無償措置の問題といい、こうした問題を守るために文部大臣としてはどういう努力をされるのか、この点を最後に伺っておきたいと思います。
#87
○国務大臣(田中龍夫君) 私立大学に対します助成の重要性は、いまさら申し上げるまでもございません、よく御承知のとおりでございます。この教育条件の維持、向上及び就学上の経済的な負担の軽減等に資しておりますことを強く訴えまして理解を求め、われわれの要望を達したいと、かように考えております。
#88
○委員長(降矢敬義君) 以上で質疑は終局いたしました。
 午後一時十五分から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十五分開会
#89
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 放送大学学園法案を議題とし、派遣委員の報告を聴取いたします。
 まず、第一班の御報告をお願いいたします。大島君。
#90
○大島友治君 放送大学学園法案に関する札幌公聴会のための委員派遣について御報告申し上げます。
 派遣委員は、降矢委員長、井上委員、小野委員、粕谷委員、柏原委員と私大島の六名であります。
 一行は、五月十一日早朝、東京を出発し、札幌市内のホテル・アカシヤ「にれの間」において十三時から十六時四十分まで公聴会を開催し、翌十二日北海道大学及び北海道庁を訪れ、その教育の実情等を調査した後、同日夕刻帰京いたしました。
 公聴会におきましては、六名の公述人から一人当たり十五分程度、それぞれの立場から忌憚のない意見が述べられた後、派遣委員から公述人に対し熱心な質疑が行われ、十分な成果を上げ、滞りなく議事を終了いたしました。
 六名の公述人の意見について、その要旨を申し上げます。
 まず、中央大学通信教育部学生大郷裕之公述人から、通信制の学生にとって勉学上の最大のネックは面接授業にある。中央大学の場合、夏期に一カ月の面接授業が行われるが、学生によっては二週間しか休みがとれず、八年間かけて卒業する人もいる。放送大学の実施に当たっては、第一に、このような点を考慮して面接授業の実施時期を分散していただきたい。また、北海道は特に広域であることから、道北、道央、道南及び道東の各ブロックごとに面接授業が受けられる体制をつくっていただきたい。第二に、学費と面接授業出席のための宿泊費などを合わせると、中央大学の場合、年間三十万円が必要であるが、放送大学では、これらの経費ができるだけ安くなるように工夫していただきたい。第三に、各地方の学習センターや大学の図書館等を使用できるようにするなど、地方の学生にも勉強しやすい環境を整備していただきたい。第四に、科目修得試験の際に、試験会場を各地に設け、学生が受けやすいようにしていただきたいとの意見が述べられました。
 次に、北海道大学工学部教授太田實公述人から、放送大学は学問の公開及び教育機会の拡大に有意義である。しかし、第一に、今日、安易な大学の増大ではなく、既設大学の質の向上をこそ重視すべきである。また、教育・研究上の継承は、ゼミナールや卒業論文などの直接指導を通して初めて可能となるのであって、放送大学を正規の大学として構想することには問題がある。したがって第二に、放送大学は、卒業資格付与の面を重視するのではなく、科目履習生にウエートを置いた教育課程編成を行うことが適切である。どうしても卒業認定が必要であれば、少数の学生について、既設大学における卒業論文の審査によって行うべきである。第三に、一校のみに全国電波網が集中することは、教育一元化の危険があり、好ましくない。この点で、各地ブロックごとに複数の放送大学を設置すること、あるいは各地方センターを分校として扱って、それぞれ独自の教育計画で運営することが望ましい。第四に、教養学部のみの開設では、専門的な職業教育や自然科学系の教育が軽視されることとなる。また、開設予定科目についてもさらに検討を加えて、テレビ、ラジオの機能をもっと生かした内容とすることが望ましいとの意見が述べられました。あわせて同公述人から、北海道大学公開講座受講生に対するアンケート調査の結果について貴重な紹介が行われました。
 次に、北海学園大学経済学部二部学生蝉塚敦子公述人から、働きながら学ぶことの経験を紹介した上で、自分の場合は職場の上司や同僚の理解を得ることができたが、そのような条件のない人にとって学業と仕事との両立は非常に困難である。また、病気、仕事の事情あるいは出産などのために学業を断念せざるを得ない人が多く、三、四年次になると同級生は半減してしまう。その上、北海道の場合、二部を持つ大学はわずかの都市にしかなく、その他の地方の人々は一向学心があってもそもそも大学進学の機会が閉ざされている。さらに、家庭の主婦が夜間に家をあけて大学二部へ通うことには無理がある。このように、大学教育の機会は地域や家庭環境などによっても制約されており、これらの困難あるいはギャップは個人的な努力ではどうにもならないものである。したがって、社会的、国家的なレベルでそれを解決することとなる放送大学については、ぜひ、その実現を願いたいとの意見が述べられました。
 次に、北海道教育委員会教育長中川利若公述人から、北海道の地域的特性から見た放送大学の必要性について、第一に、北海道の大学進学率及び地域収容率は全国平均に比べて非常に低く、高等教育機関の整備、拡充は緊急な課題となっている。本道では、その重要な施策の一つとして、放送大学の受け入れを計画化している。第二に、北海道は広域であるにもかかわらず、道央に高等教育機関が集中し、他地域との間に大きな格差を生じている。したがって、高等教育機関の適正配置は重要な課題であるが、この点で放送大学は有効かつ適切な施策である。第三に、道民を対象とした「生涯教育に関する意識調査」の結果や北星学園大学の社会人入学制度あるいは通信制の道立有朋高校の経験は、道民の生涯教育に対する意欲の強さを示しており、放送大学に対する期待の高さを示しているとの意見が述べられました。また、同公述人からは、放送大学の第二期計画では、ぜひとも北海道ブロックを優先して開設していただきたい。同時に、学習センターの設置に関しては、北海道を一つの県と考えるのではなく、四県程度のものと考えていただきたいとの要望意見が述べられました。
 次に、北海道教育委員会主催の社会教育講座受講生で主婦の西村陽子公述人から、これまでPTAサークル、婦人学級、婦人教養セミナー、公民館の成人講座、短期大学の公開講座などに出席して学んできたが、なおもっと深く広く学びたいとの気持ちを持っている。婦人の学習ということを考えると、生活の合理化などによって余暇は増大しており、学習への意欲は高まっている。また、婦人のライフサイクルを考えると、二十代、三十代、四十代と、いつでも学習が必要となっていると言える。海外研修での見聞によれば、アメリカやカナダでは大学が地域社会と結びついており、学びたいと思ったときいつでも教育を受けることができるほか、学んだ単位が他大学でも通用することとなっている。放送大学でもこのことは特に重要であり、子育てをしながら、あるいは老人の世話をしながら、家庭婦人にも学ぶことのできる大学として一日も早く実現することを望むとの意見が述べられました。
 最後に、学校法人北海学園理事長森本正夫公述人から、全国学生数の八〇%を受け持つ私立大学は、今日、画期的な質的充実を強く要請されており、これには国庫補助は不可欠である。単純な財政収支論から経常費助成を不要とする議論もあるがいかがなものであろうか。私立大学をめぐるこのような環境の中で、放送大学の創設は、一面では私立大学に対して重要な影響を与えるものと思われる。しかし他面では、単一の設置基準による画一性を排して、国公私立大学問に多様性と自由競争原理の促進をもたらす要因となることが期待できる。したがって、私立大学との間で進学者の分野の調整を行うことなどを前提とすれば、放送大学は全体の教育に利するものとして賛成できる。この場合、放送大学の設置に当たって検討の必要な前提条件としては、第一に、長期的な視点からの教育政策として位置づけを明確にすること。第二に、建学精神と教育方針を明確にすること。第三に、地域社会への貢献の政策を明確にすること。第四に、放送の画一性を考え、スキンシップを重視すること。第五に、国際的な協力による教育を考慮することの五点があるとの意見が述べられました。
 以上の意見が述べられた後、派遣委員から、放送大学で学ぶことを希望する動機、卒業生の処遇と社会的評価、既設大学への影響とその協力の条件、学生の意見の反映方法、放送大学の教育方法と卒業資格の与え方、教育休暇制度、北海道における高等教育機関拡充の必要性などについてきわめて熱心な質疑が行われました。
 以上、御報告申し上げましたが、これらの貴重な御意見が、今後の本委員会の審議に十分に反映されることを願うものであります。
 なお、翌十二日、北海道大学を訪れ、大学の概要説明を聴取した後、地震予知観測地域センター、低温科学研究所及び石炭系資源実験施設を視察いたしました。また、北海道庁においては、北海道への国立医科大学、国立函館大学及び国立芸術大学の誘致に関する要望を聴取いたしましたので、あわせて御報告いたします。
 以上です。
#91
○委員長(降矢敬義君) 次に、第二班の御報告を願います。勝又君。
#92
○勝又武一君 放送大学学園法案に関する広島公聴会のための委員派遣について、御報告申し上げます。
 派遣委員は、世耕理事、佐藤理事、田沢委員、仲川委員、本岡委員、高木委員、小西委員と私勝又の八名であります。
 一行は、五月十一日早朝、東京を出発し、広島県庁講堂において十三時から十七時十分まで公聴会を開催し、翌十二日広島大学及び広島県における教育の実情等を調査し、所期の目的を達成して同夜帰京いたしました。
 公聴会におきましては、六名の公述人から、一人当たり十五分程度、それぞれの立場から忌憚のない意見が述べられた後、派遣委員から公述人に対して熱心な質疑が行われ、滞りなく議事を終了した次第であります。
 まず、六名の公述人の意見について、その要旨を申し上げます。
 最初に、広島大学教授今井日出夫公述人からは、放送大学の意義について、アメリカの州立大学における大学開放の現状、日本の大学における閉鎖性の反省、現在の大学の公開講座の限界、学問の進展と社会の急速な変化に適応するための生涯教育に関するニーズの増大等にかんがみ、これを高く評価している。発足後は、真に生きた教養を与える教育内容とするとともに、大学教育に接することのできない地域の人々に教育の機会を与えることに一段の工夫が必要である。
 次に、放送大学が既存の大学に与える影響について、学問社会に清新さをもたらし、特に一般教育や多人数教育に対して大きな示唆を与えるとともに、単位互換等において単科大学に大きく貢献することになろう。ただ、単位の評価、認定をどうするかについては工夫の必要がある。
 また、放送公開講座の製作を担当した経験からすれば、快く協力する教官が多かったことにかんがみ、放送大学に対する既設大学の教員の協力に不安はないし、さらに多くのスタッフの協力による学際的なアプローチに大きな期待をかけることができるとの意見が述べられました。
 二番目に、主婦の翁長和子公述人からは、教育を受ける側の一人として次のような意見が述べられました。
 すなわち、子育てを終わった主婦の時間的余裕が増大した結果、その学習意欲が高まり、大学、県、市等の主催による各種の学習の場は満員の盛況である。しかしこれらは、いつも初級どまりで上級への道がなく物足りない、資格や免許の取得に結びつかないなど不満がうっせきしている。その意味で、放送大学は特定の科目や科目群を選択的に履習できるなど、学ぶ側の立場を十分に配慮した構想になっており、大変に期待している。
 要望事項としては、第一に、学習者の励みにするため、一つの課程を終了するごとに一定の称号等が得られるシステムを考えてもらいたい。第二に、既存の大学の公開講座の拡充にも力を入れ、相乗効果をねらってもらいたい。第三に、放送大学の核は地方に置き、その開局は地方からスタートしてもらいたいとのことでありました。
 三番目に、玉川大学通信教育部学生岡本耕治公述人からは、通信教育で十年以上学んだ経験を踏まえて、次のような意見が述べられました。
 まず、学問を受ける機会が広がることには賛成であり、特に在宅の身障者にとっては放送大学はよいシステムであると思うが、大学通信教育と比べて次のような疑問を感じる。その一つは、面接授業が少ない上に、これを学習センターに任せており、大学自体がその教育目標を実現するため責任を持ってやる体制になっていない。二つには、放送大学は国営ないしは準国営と言えると思うが、これまで国公立大学は通信教育を実施しないで、いきなり放送大学を設置することに不安はないのであろうかとのことでありました。
 なお参考として、大学通信教育の利点としては、大学の学習内容を知ることができたこと、面接授業において先生方に触れることができたと同時に、同じ環境の仲間を持つことができたこと、大学のすばらしい雰囲気に触れることができたことなどが挙げられ、その問題点としては、個人学習が中心であるので、日常生活が先行して学習が進みにくいこと、数人で学習する場が地方にはないこと、仕事を持ちながら面接授業に参加するのは非常に困難であることが述べられました。
 最後に、語学以外の科目については、通信制大学との単位互換はほとんど無理な感がするが、通信制大学も利用できるものを考えてもらいたいとの要望がありました。
 四番目に、広島県教育委員会教育長高橋令之公述人からは、第一に、教育行政に携わるものとして、放送大学は待ち望んできたものであり、全国ネットの早急な実現を図られたい。特に、地方にこそ優先的に設置されるべきであり、広島県の期待も大きい。また、国の行政改革によって関東一円だけで停滞することを心配している。
 第二に、人間交流の場である学習センターの構想が十分であるか懸念しているが、教育相談機能の付与、学習センターやビデオセンターの辺地分室の設置などその充実を図られたい。
 第三に、いわゆる夜間の大学との単位互換や編入学を図られたい。特に、働く人たちのための有給教育休暇制度の実現のための法制化ないしは国からの働きかけ、さらには短大卒の教員が放送大学を卒業して講習を受けた場合には一級免許状を付与することを配慮されたい。
 第四に、放送大学の意義、内容等がいまだ国民に周知していないから、国民的合意を得るための活動を積極的に進められたい。このことは既存の大学観等を転換することに通じることになろう。
 第五に、弾力的で柔軟なコースの設定や授業科目の工夫など、常に新しい教育ニーズの把握とその対応に努められたいとのことでありました。
 五番目に、広島修道大学学長千種義人公述人からは、放送を教育手段とする放送大学は、学問の公開、教育の機会均等の実現等大きな意義を持っているが、次に述べるような問題点がある。すなわち、1世界の動向である小さい政府への時流に逆行する。2税金は放送教育を受けない人も支払っているから、所得分配の公平が損なわれる。3放送内容には現体制の価値観が入り込みやすく、価値観が画一化されるおそれがある。4教師と学生、学生間に人間的交流が少ないため、大学教育にふさわしい人間形成が行われない。5放送教育は教師から学生への一方通行であり、学生からのはね返りがないから、放送を教育の主体にすることは問題である。6単位を与えるのは時代に逆行するもので、国民の知性の向上に主たる目的を置くべきである。7既存の大学との連携はかなり困難であり、私大通信教育や短大から放送大学に学生が流れ、その運営を脅かすおそれがある。8テストや添削に多くの経費と人員を必要とし、かつ、その客観的採点が困難である。9高等教育であるからには専門的な知識が必要であり、教養だけでは大学教育とは言えない。10放送大学に必要な学習時間をとれる人は少なく、脱落者が多くて授業料収入の不足、政府支出の増大をもたらすおそれがある。したがって、放送大学の目的を達成するためには、これらの諸問題を克服する工夫を重ねる必要があるとのことでありました。
 最後に、広島テレビ放送放送技術局副部長職矢野智司公述人からは、次のような意見が述べられました。
 まず第一に、電波情報は本質的に国家権力と結びついている。したがって、放送の自由、番組編集権の独立が認められていても、国家権力やスポンサーの干渉により放送中止になることも皆無ではない。
 第二に、放送法四十四条三項が準用される放送大学で、学問の自由、大学の自治がどこまで可能か疑問である。
 第三に、特殊法人という設置形態には問題があり、国民と結びつけるために公選の放送委員会を設ける必要がある。
 第四に、放送法一条の目的等から見て、現今の娯楽主義の放送内容には問題があり、放送大学の実現は放送というマスメディアを豊かにする。
 第五に、過去五年間にわたって広島大学の放送公開講座を受講した経験によれば、放送大学が成功するためには、テキストの充実、特に高度でわかりやすい内容と詳細な記述が必須条件である。
 第六に、放送大学の運営については、従来の大学に劣るものであってはならないし、また学ぶ側に選択と批判の権利を認めるべきであって、自主規制すべきものではない。
 このような問題点はあるが、人間は常に学ぶチャンスを与えられるべきであるから、勇気ある選択をして放送大学の発足に踏み切るべきだどのことでありました。
 以上の意見が述べられた後、派遣委員から、住民の学習意欲の現状と放送大学の必要性、特殊法人方式で大学の自治が確保されるか、NHKの利用とローカル番組作成の可能性、望ましい発足の形態とビデオ利用の必要性、既存大学の協力の可能性と望ましい提携のあり方、教養学部だけで足りるか、卒論、ゼミナールの必要性等、学習センターの充実策、放送大学がみずから公開講座を開く必要性等についてきわめて熱心な質疑が行われました。
 なお、翌十二日は現在東広島市に統合移転計画を進められている広島大学の新キャンパスを訪れ、その将来計画について説明を受けた後、国の名勝に指定されている縮景園と、ユニークな建築と印象派の作品の展示に特色のある「財団法人ひろしま美術館」を見学いたしました。
 最後に、広島公聴会における各公述人の貴重な意見が今後の委員会における審議に充分に生かされることを願いまして、御報告を終わります。
#93
○委員長(降矢敬義君) これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。
 次に、本案について、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#94
○本岡昭次君 まず、放送大学学園とNHKとの性格なり、その仕組みなりについての問題を尋ねていきたいと思います。
 まず、わかり切ったことでございますが、NHKはどの法律に基づいて設立された特殊法人か。――まあ私が言えばいいんですか、はっきりとそちらで出してください。
#95
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 NHKは放送法に基づきまして設立された法人であり、「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」放送法第七条にそのように記載されております。
#96
○本岡昭次君 いまもありましたように、NHKは放送法を根拠法規として設立された特殊法人です。そして七条にその目的が書いてあるわけですが、その「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うこと」という事柄だけでは、非常にまあ抽象的であるわけです。
 そこで、私の持っておりますこの資料、「我が国における放送制度の概要」というのがあります。この資料の中に「放送事業者」として、NHKと民放が書いてあります。「そのNHKの概要」の「設立目的」の中にいま述べられた放送法第七条の目的を書いた上で、次のようなことが書いてあります。NHKは「放送法に基づく特殊法人として設立されたものであるが、言論機関としての特殊性から他の政府関係機関と異なり、人事、予算等の面において高度の自主性が認められている。」このように書いてあります。私は、設立目的として当然具備すべき中身がこのように書かれてあると、このように思います。
 郵政省、私がいま読み上げました「言論機関としての特殊性から他の政府関係機関と異なり、人事、予算等の面において高度の自主性が認められている。」と、この文章についてそのとおりだとおっしゃるのか、いや、それには異議があるとおっしゃるのか、いかがですか。
#97
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 NHKは言論、報道機関でございますので、高度の自主性が認められているというふうに考えており、先生御指摘のとおりでございます。
 その場合、少し付言いたしますと、「言論機関としての特殊性」というのは、言論機関でありますことから、言論の自由を保障する面からの配慮が必要であるという趣旨であろうと思います。
 「高度の自主性」でございますけれども、言論の自由を確保するために国の権力等からの自由、極力自由にして独立性を保つべき旨を指しておるというふうに理解しておる次第でございます。
#98
○本岡昭次君 いまその内容について説明がありましたが、もう一度お尋ねします。
 いま私の読みました中で三つの大事なことがあります。一つは、「言論機関としての特殊性」というものは一体何かということと、それから「他の政府機関と異なり」ということは一体どういうことかということと、「高度の自主性」とは何か、こういうことであろうと思います。
 そこで、まず初めの「言論機関としての特殊性」ということについては、いま何か言論機関の面からということだけ簡単に言われましたが、言論機関の特殊性――特殊性というのはとういう内容を指しているのか、もう少し詳しくお伺いしたいと思います。
#99
○政府委員(田中眞三郎君) 言論の自由はあくまで保障すべきであるという趣旨でございます。
 それから、「他の特殊法人と異なり」ということでございますけれども、他の特殊法人といいます場合、たとえば日本住宅公団あるいは首都高速道路公団というようなものがあるものと考えますけれども、要するにNHKの場合、こうした特殊法人の場合、いろんな国の特殊法人としての機関に対する監督と申しますか、そういう規制がございますわけですけれども、そうしたものはいま申しましたような道路公団とか首都高速道路公団の一般的な特殊法人に比して、NHKの場合、監督官庁等の立ち入る余地を非常に少なくしておるということでございます。
#100
○本岡昭次君 今度できる放送大学学園、いま論議している放送大学学園ですが、これも放送法の中に明記されます。そして、別に特殊法人としての設立の法案をいま審議をしております。すると、いま言われたNHKが持っておる言論の自由を確保しておくために、国家権力から一定の距離を置いていくために高度の自主制を保持しているというその事柄は、同じ放送法の中に明記される放送事業者である放送大学学園にも当然そうした性格を具備すべきであると考えますが、いかがですか。
#101
○政府委員(田中眞三郎君) 少しNHKと違いますのは、国の経費を使うというようなことがあろうかと思います。そうしたことで、よってただいま御審議いただいておる大学学園の場合には、やはり主務大臣の監督といたしましては財務、会計の面に限るというようなことになっておるところが違うところかというふうに考えております。
#102
○本岡昭次君 国の経費を使うからということですが、しかし、その言論機関として、NHKが公共放送として、娯楽、報道、教育、すべてにわたっていま国民に対して放送を提供しております。放送大学は大学教育という教育を国民に対して放送をするんですが、しかし、それも大きく言えば言論機関。そして言論機関としての特殊性、そこから当然高度の自主性と、こういうふうにその費用をどこが持つ持たぬということとかかわりなく、その事柄の性格から同じような問題が提起されるべきだと考えますが、いかがですか。
#103
○政府委員(田中眞三郎君) NHKと放送大学学園の違いでございますけれども、学園の場合は、大学教育に対する広範な国民の要請にこたえるという目的のもとに、もっぱら放送大学の教育のための放送を行うものであると、そうしたことがあります。
 他方、NHKでございますけれども、NHKは、国民的基盤に立ちます公共放送といたしまして、公共の福祉のために、先ほども申し上げましたけれども、あまねく全国において受信することを目的としておると。そして国民の、NHKの放送を受けることを得る設備を設置した人と受信契約を結ぶと、そうして契約をしていただいた方から受信料をいただくというふうな形のことになっておりまして、その放送する内容といいますものは、教育、教養番組もございますけれども、報道、娯楽等あらゆる広範囲な部門に及んでいる。そういうような違いがあろうかと思っております。
#104
○本岡昭次君 放送大学学園は、いまおっしゃったように、もっぱら大学教育を放送という手段を通して、直接的には学生に対して、あるいは受講生に対してそれを与えるものです。しかし、放送という、あるいはテレビ、ラジオというこのマスメディアは、それぞれ受信機を持っておれば、別にこう百円、二百円と入れなければ映らないというものでもなく、チャンネルを回せば自由にそれは映像として出てくるわけですね。学生にならなくとも自主的に教育を受けることは可能なんですよ。私は受けていますとか、そのことの資格を要る要らぬ、そういうことを抜きにして、だれでも国民が受信できる立場に置かれるんですよ、学生であるないは別として。だから、これは当然そういう意味からすれば言論機関でしょう。私そのところを尋ねているんです。
#105
○政府委員(田中眞三郎君) 放送大学学園の放送でございますけれども、それは本来学生として登録し、スクーリングも受け、あるいは印刷物等も配付を受けた方を直接的な目的としてこの放送が行われることを予定しているわけでございますけれども、先生御指摘のとおり、受信機さえあればだれでも受かるわけでございます。そうした面から、やはり放送であると、自由に受かるという面から、放送法の四十四条三項、いろいろ御審議いただいておりますけれども、そうした面での規定が必要かというようなことで御提案申し上げておる次第でございます。
#106
○本岡昭次君 いや、私の質問にひとつ的確に答えてください。
 私はいま問題にしているのは、放送大学を問題にしておるんじゃないんです。放送大学学園という放送事業者を問題にしているんです。だから、放送大学学園という放送事業者ですよね、そこが大学教育を放送するんでしょう。その目的は、いま言われたように、テキストを持ち、あるいはまたその卒業資格を得たいために学生として入学した人あるいは単位だけを取得したい人。しかし、それ以外にも、チャンネルさえ回せば、受信機さえ持てば、大学の教育そのものは受講できるわけです、聞くことができるわけですね。だから、それは当然新しい言論機関がそこにできたということになるでしょうと、このように申し上げている。
#107
○政府委員(田中眞三郎君) そのとおりになると思います。
#108
○本岡昭次君 だから、先ほどNHKの設立目的にあるごとく、私は、その「言論機関としての特殊性から他の政府関係機関と異なり、」「高度の自主性が認められている。」ということが必要になってくるであろうと、このように考えるわけですが、郵政省としてはいかがですか。
#109
○政府委員(田中眞三郎君) さきに、新しい言論機関であるということで、そのとおりでございますというふうにもうお答えしたわけでございますけれども、NHKについて、その特殊な言論機関であるということは論をまたないところでございますけれども、放送大学学園の方に関しましては、やはり言論機関と申しますか、言論機関であると同時にまず第一に教育機関であると、それも大学レベルの教育機関としての目的、そうしたものに従ってやはり規律されるべきであるというふうに考えるわけで、申しますと、言論機関であると同時に教育機関としてその面からの目的からする規律というものが当然必要になるというふうに考えておる次第でございます。
#110
○本岡昭次君 どうも見解が違うようです。私は放送大学学園が大学教育を放送する一つの専門局というのですかね、専門放送を行うという放送事業体になると、こう考えています。NHKとか民放とはそこにおのずから違いがあります。しかし、その考え方なり目的が何であれ、受ける国民の側は放送という特殊性から、すべてそこで述べられること、そこに映る映像は、一つのマスコミとしてみんながこれを入手できるのですね。だから、そこに「他の政府関係機関と異なり、」と、特殊法人がいろいろありますけれども、そういうところと異なって、高度の自主性が認められていかなければならないという、それは放送の持つ私は特殊性だと、こう考えています。
 そこで文部大臣、私も、そうして社会党も、この放送という手段を利用して教育を行うということについて反対はしていないわけです。それは教育上非常に有効であり、また将来にわたってこの分野はさらに大切にしていかなければならないと、こう考えています。
 しかし、私がしつこく言っておりますように、放送大学学園というのも一つの放送事業者としての特殊法人であって、そして放送電波という一つの力をそこに持ちます。だからNHK同様、最低、目的、性格、そうしたところに、先ほどうたわれていたような、その「他の政府関係機関と異なり、人事、予算等の面において高度の自主性が認められている。」と、認めるべきである、こうした趣旨のことがどこかに明記された、文部大臣が明言した、こういうことがあれば、私はまず第一段としてそれで結構ですと、私の心配していることは一つとれますと、こう考えるんですが、いかがでございますか。――大臣に質問している、大臣にひとつ。
#111
○政府委員(宮地貫一君) 私からお答えさせていただきますが、御提案申し上げております放送大学学園法案は、先生御承知のとおり、第一条に目的がございまして、ただいまもお話がございましたように、「放送等により教育を行う大学を設置」するということと、「大学における教育に必要な放送を行う」ということが目的に掲げられておるわけでございまして、放送法第七条にございます「日本放送協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」ということとは目的はもう明確に異なる、日本放送協会と放送大学学園の目的はそれぞれ法律に明記されているわけでございまして、この放送大学学園は放送事業者ではございますが、行います放送は大学教育に必要な放送にもちろん限定をされているわけでございます。そういう意味で、この放送大学学園につきましてはそういう目的にかなう法律の規制というものをこの学園法案でも御提案申し上げておるわけでございまして、もちろん文部大臣の権限につきましても設置者であります特殊法人の放送大学学園に対しましてその管理、運営に対しては責任を負うという立場で必要最小限の規定を規定をしてあるわけでございます。
 そして、一番基本的な点は学問の自由なり放送番組編集の自由を侵すことのないように、そういう点は十分配慮をした規定のいたし方をしております。
 そして、また、従来からいろいろお尋ねがございました際にはお答え申し上げている点でございますが、具体的な権限の行使に当たりましても、それはやはり大学を設置する特殊法人でございますので、いろいろ大学の関係団体の方々、そういう方々の意向も十分徴しながやら慎重に対応するということで臨んでいるというのが従来御説明申し上げている点でございます。
#112
○本岡昭次君 そこのところは終始一貫文部省は変わらないわけです。しかし、具体性が全然ないわけですね。そして多くの識者もそこのところを心配しているのですね。
 そこで、それでは話をNHKの方に戻しまして、高度の自主性を保持するために、やはりNHKはNHKなりの仕組みを持っております。どのような仕組みを持っていますか。これはどっちに聞いたらいいですか、郵政省ですか。
#113
○政府委員(田中眞三郎君) まず、NHKの最高意思決定機関と申しますか、トップは経営委員会というものになろうかと思いますけれども、その選出の方法でございますが、それを御説明申し上げたいと思いますけれども、日本放送協会の経営委員会の委員は「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」こととされております。
 また、その選任の方法でございますけれども、分野制と地区制と申しますか、その両方がミックスされておりまして、まず分野制ですけれども、「教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮」するとともに、委員十二名で構成されるわけですけれども、そのうち八人については、全国を八地区に分け、それぞれの地区に住所を有する者が各地区ごとに一人となるようにしております。したがいまして、経営委員の選任に当たりましては、法律に決められておる各分野が公平に代表されるように配慮、配意するとともに、広く各界の御意見を尊重しながら取り運んでおる。
 こうしたNHKの最高の意思決定機関は経営委員会になっておるというようなことが、高度の自主性を持つと申しますか、そうしたもののまず一つの例かと考える次第でございます。
#114
○本岡昭次君 私も、その経営委員会が最高の意思決定機関であって、その代表がそれぞれの分野あるいは八地区に分けてそれぞれの地域の代表として国民の意思を可能な限りそこに反映をしていくという仕組みがあるということは非常に大事なことであります。そしてしかも、委員の任命についても、国会の場を経て、そしてそれは偏らないようになっておりますが、さらに突っ込んで、委員の任命の方法あるいはまた会長、副会長、理事、監事、こうしたものの任命、そうしたものの中にも自主性が保持されていくという事柄がありますが、それについてもひとつ概略説明してください。それはNHKでも結構です。
#115
○参考人(川口幹夫君) お答え申し上げます。
 経営委員の任命はただいま電波監理局長から御説明があったとおりでございますが、委員の任命につきましては、いまの分野制、それから地区制というものに基づいて任命するほかに、委員についての規定そのほかが放送法第十六条の中に決められております。さらに、十八条以下、経営委員会についての条項は二十三条まで決められておりまして、これらの規定に従って経営委員会が運営されるという形になります。経営委員会が会長を決めるというふうなことになっておりまして、NHKの事実上の最高意思決定の責任は経営委員会にある、このような仕組みになっております。
#116
○本岡昭次君 そこで、文部省にお尋ねしますが、文部省が、放送大学学園はNHKとは違うんだ、大学教育に必要な放送を行う放送事業者であって、そこには大学の自治があるからだ、このようにおっしゃっております。しかし、大学の自治もあるかないか、それも疑わしい段階で、さらにその放送事業者としての高度な自主性そのものも保持する仕組みになっていませんね。理事長の任命の仕方から、理事の任命の仕方から、すべて違います。
 しかも、先ほど説明がありませんでしたが、この経営委員の中に政党の役員は入ってはならないということがちゃんと四号に明記されてありますし、さらに五項には、委員の任命について「五人以上が同一の政党に属する者となることとなってはならない。」というふうに、そこに政党からの独立というんですか、政党の力がいろいろかかわっても、それが平等、公平にかかわっていく、こうしたことも仕組みの中で保障されております。ひるがえって、放送大学学園の方はそうしたことは何もないわけで、挙げて文部大臣が理事長を任命する、そして理事長が理事をというふうに文部大臣直結型になっているわけです。文部大臣は、文部大臣の善意を信用しろと、文部大臣に悪い人はならないと、こうおっしゃいますから、それはそれとしてそうあっていただきたいと思いますが、しかし、組織の仕組みというものは、そういう個人の善意とか、私を信頼してくださいということだけでは成り立たないのが近代的な組織の仕組みではないかと私は考えます。だから、少なくともNHK程度のこうした仕組みを、なぜ放送大学学園が持つことを拒むのか、やらないのかということが私は不思議でならないのです。なぜ放送大学学園法案の中に、NHKが持っているこうした高度の自主性を保持する仕組みを持たないのか。逆にお尋ねしますが、持ってはならないのかということなんです。いかがですか。持てば都合が悪いですか。
#117
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど郵政省の御当局から御説明もございましたように、NHKの場合に経営委員会というような組織があり、かつそれが国会の同意にかかわらしめているというようなことについては、もちろんNHKが受信料に基礎を持つ公共放送というような性格から、そういうような特別の規定があるものと考えるわけでございます。
 そこで、放送大学学園について、理事長の選任に当たって、文部大臣が適任者を得るための何らかの手続的な規定を書くべきではないかというお尋ねかと伺ったわけでございますが、従来からその点は御説明も申し上げてきておるわけでございますけれども、この放送大学学園が大学を設置するという特性を十分踏まえまして人選を行うことは当然のことでございまして、そういう点で、大学の関係者でございますとか、そういう方々の御意見を徴しながらということは当然考えられるわけでございます。問題は、それを法文に規定するということになりますと、この点は、やはりこの放送大学をつくるこの放送大学学園という特性をつかまえたその人選をどのように法文に規定するかということになると、これは衆議院の参考人の方もそういう点を申されておったわけでございますけれども、立法技術上非常に困難な点がある。たとえば、意見を徴すべき団体をどう考えるか、あるいは徴しない団体との区分をどのように考えるか。大学についても、国公私立大学について、それぞれ大学の関係団体があり、さらに私立大学ではございますけれども、幾つかの団体がございます。実態的な判断としてその辺をどのように考えていくのか、そういう点は事柄に応じて流動的にならざるを得ない点が出てまいるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、この放送大学学園が放送大学という大学を設置する団体であるという点に十分着目しながら、もちろん放送大学学園は、放送法上から言えば、放送を実施する事業者でございます。
 しかしながら、この放送大学学園の行います放送というのは、この学園が大学を設置し、その大学が教育を行うに必要な放送に限定をされているわけでございまして、もちろん放送を行うという意味では放送事業者でございます。しかしながら、内容的な点で申せばそれは大学の教育としての放送に限られているわけでございまして、やはり基本的な観点から申せば、そういう放送大学学園の持つ特色を十分踏まえまして、理事長の選任に当たりましてもそういう配慮をすべきことは当然でございますし、かつ、前回も御質問もございました政党の役員についての欠格条項の点は前回も御説明をしたわけでございますけれども、この大学を設置する者であり、もちろん正規の大学でありますから、教育の中立性というものが保たれなければならないのは当然のことでございます。そういう観点から、以上のような事柄を考慮いたしまして適任者を得るように配慮をするということは、ここで御質問があります際に繰り返し御答弁を申し上げている点でございまして、それらの点を十分踏まえまして私どもとしても適任者を得るような努力をしてまいるつもりでございます。
#118
○本岡昭次君 いや、それでは納得できないんですよ。放送大学が先行するんじゃないんでしょう。私はそう考えていないんです。新しい放送事業者がここで誕生するかしないかということを私は問題にしておるんです。電波を使わしてもらえないで放送大学はあり得ないでしょう。広島の公聴会でも広島テレビ放送の公述人が言っております。
 「まず第一に、電波情報は本質的に国家権力と結びついている。したがって、放送の自由、番組編成権の独立が認められていても、国家権力やスポンサーの干渉により放送中止になることも皆無ではない。」そして、この公述人も、具体的にその国家権力やスポンサーの干渉によって放送が中止されたこともあるしというようなことも言っています。電波監理というのは、これは国家がやっているんだと。だから、その放送事業者というものは、NHKのここに書いてあるように、一方では高度の自主性を保持していかなければ、その言論機関という放送が国家権力の下請になっては大変だと、こういうことでしょう。言論の自由、報道の自由、さまざまなそういった自由が国家権力によって縛られてはならない。私は、放送大学学園というものは、大学を設置すると同時に、設置した大学が大学教育を行うその放送そのものを行う事業者となると、そのことにもっと着目して、そこの面のその問題点を整理解明をすることが大事だと、このように盛んに主張をしているんです。文部大臣、その点どうですか。そこのところが解明されないままいくということは、私、大変な問題だと思うんですよ。
#119
○国務大臣(田中龍夫君) いままでのいろいろ御議論でございますけれども、この国立大学の学園大学というものの構造というものは他の国立大学の機構と同じような構造を持たしてある、このいまのラジオ、テレビを使うという放送ということと、それから放送の自由並びに学園の自由、双方を踏まえて新しい大学をつくるということから申しまして、いまの機構の問題はやはり大学と同じ構造を機構的にも持たせるということは、私は当然だろうと思うのでございます。
#120
○本岡昭次君 この問題をもう少し掘り下げたいんですが、時間がありませんので、最後に一点だけ質問いたします。
 それでは、どうも私の言っていることと文部省の言っていることはもうすれ違いもいいところだと思いますが、仮にNHKが持っているような経営委員会あるいは会長、副会長、理事、監事等々、この高度の自主性を保持するための仕組み、また、広島の公聴会である一例として出されました放送委員会というふうなものを広く公選制によって設置したらどうかと、そういうことによって、言論の自由、放送の自由、いわゆる国家権力がその放送を自分の手に握って、国民の思想統制あるいは教育の権力支配、こういったことができないような仕組みにしておくことが大事だと、こういう意見があったんです。そういう立場からして、最低いまNHKが持っているそうした仕組みを放送大学法案の中にずうっと列記すれば何か都合の悪いことがあるんですか。放送大学学園あるいは放送大学として非常に不都合なことが起こりますか。
#121
○政府委員(田中眞三郎君) 少し補足をさせていただきたいと思いますが、先ほど、放送大学は教育機関でございますから、その教育機関としての規律は当然あるわけでございますけれども、放送としての面からの自主性というものをどういうところから保障されているのかということでございますけれども、まず放送の面から見ますと、やっぱり番組の編成ということが最も大事なことかと思いますけれども、そうした意味におきまして大学の自治を高度に保障したいということで、NHK並びに民間放送に適用されております番組作成基準とかあるいは番組審議機関というようなものは、NHKあるいは一般放送事業者には適用されているわけでございますけれども、そうした面から、放送大学学園法案におきましては、番組基準の作成義務あるいは番組審議機関の義務づけというようなものも排除するというような形の措置を講じているわけでございます。
 いずれにしましても、番組に関しましては、第三条にございます特別の法律に決めた権限に基づく場合でなければ何人からも干渉されあるいは規律されてはならないというのが私どもの考え方でございます。
#122
○政府委員(宮地貫一君) お尋ねの点は……
#123
○本岡昭次君 簡単にお願いいたします。
#124
○政府委員(宮地貫一君) そういうものをつくって不都合があるのかというお尋ねでございましたが、最初にも申し上げましたように、もちろんこの放送事業者としての放送大学学園――御審議いただいているものは、放送事業者でございまする放送大学学園の法案について御審議をいただいておるわけでございます。しかしながら、この放送事業者として行います放送の中身はどうかといえば、それは大学の行う放送でございまして、大学がなくて放送が行われるわけはないわけでございます。これは放送大学のための放送以外に放送することは考えていないわけでございますから、したがって、私御説明申し上げている点は、大学の自治なりそういうものの保障という点で十分な配慮をしておるということを申し上げております。
 それから、お尋ねの点で、放送大学学園の場合で申し上げますと、運営審議会というものを設けまして、外部の方々の御意見を伺う機関として運営審議会という組織を設けてあるわけでございます。運営審議会の構成をどう考えているかということについてのお尋ねもございまして、従来御答弁申し上げてきておりますけれども、そういう点で外部の方々の御意見を十分伺う組織としての組み立てはこの放送大学学園においても十分配慮いたしておるところでございます。
#125
○本岡昭次君 いまの宮地局長の答弁、どうもひっくり返っていると私は考えます。あなたもおっしゃいましたね。これは放送大学学園という特殊法人を設置する法案を審議しているのでしょう。放送大学の中身幾らいろいろ質問したってね、いやそれはやってみてからだやってみてからだということで、ここの委員が質問するだけで辞易しているじゃないですか。少しも具体化してこないわけです。とにかくやってみてから、実施してみてからいろいろ研究さしてくださいと。それだったら、もっと放送大学の中身を確固不動のものを出しなさい。それは出てこないでしょう。ぼくは一面、出てこなくてもそれは仕方がないと思っているのです。というのは、この法案そのものは大学の中身を論議する法案じゃなくって、放送事業者を設立する、特殊法人を設立する法案なんでしょう。それを、当然あなたがおっしゃるように放送大学の放送を行うというそのことが目的でありますが……。
 そこで、次の問題に移りますけれども、いまの説明でもどうしても納得ができません。私はNHK程度のそうした仕組みというものを当然放送大学学園が持つべきだ、こう考えます。あなたがいまおっしゃった運営審議会でも、委員はいまNHKの経営委員会にあったように地域別、分野別からこういうふうに選びます、そういうようなことが当然その中に出てきたっておかしくないわけですよ。NHKの恐らく経営委員会だって、これは初めにそう絵にかいたようにうまくいかなかったと思いますよ。長年の積み上げの中で、いろいろ批判はあるにしても、今日の一定の公共の放送事業としての自主性を確保する地位を築き上げてきたんだと私は考えています。だから、そういう意味で幾ら答弁されても、やはり国家権力が直接かかわる放送事業者がここに生まれようとしているんだ、それは準公営放送、場合によったら国営放送という力をそこに持つと私は言わざるを得ません。
 そこで、次の問題に移っていきます。
 しかし、そういう放送大学学園が行う具体的な問題について触れてみたいんですが、まず第一点、完成時最大規模として送信所は何カ所つくる予定になっていましたか。
#126
○政府委員(田中眞三郎君) 放送網でございますけれども、全国の世帯数の八〇%程度をカバーするといたしますと、最終的には約二百ぐらいの送信所が必要になろうかというふうに考えております。
#127
○本岡昭次君 完成時は前回の質問の中で宮地局長が七十一年を目標にしているとおっしゃいました。昭和七十一年といいますと、十五年後、一九九六年であるわけですが、土地代を含めて送信所設置に必要な――いま八〇%と言われましたが、八〇%をカバーする送信所をつくるに必要な資本的投資額と、それから送信所をつくれば当然それを維持していく保守の経費が要ると思います。そうしたものは総額幾らになりますか、概略。
#128
○政府委員(田中眞三郎君) 七十一年までに放送大学の対象地域を全国各都道府県に拡大するという方向で進めたいということでやっておるわけでございますけれども、放送大学創設準備に関する調査研究会議が昭和五十年十二月にいまお話しのようなことについて記載がございますけれども、その「放送大学の基本計画に関する報告」によりますと、資本的投資額は約八百七十億円、送信所保守に必要な経費は年間約二十一億円ということですけれども、送信所の設置の経費、この場合はたしか土地代を含まない数字だというふうに記憶いたしております。
#129
○本岡昭次君 そんなあなた答弁を聞いているんじゃないんですよ。これは文部省の方はどうですか、この前の質問のときには昭和五十四年度に引き直していくという事柄がありましたが、いまの何ですか、送信所を二百設置するのに八百七十億かかると、こういうことですか。私は送信所の経費を尋ねたんですが。
#130
○政府委員(田中眞三郎君) 失礼いたしました。二百の送信所を設置する場合のその建設費といたしましては約四百二十億円程度というふうな試算になっております。
#131
○本岡昭次君 それは、昭和五十年にそれをたとえば二百なら二百つくるとしての資本的投資額ですか。
#132
○政府委員(田中眞三郎君) 五十年度試算の価格でございまして、二百の送信所の設置については当然七十一年度までかかるというようなことでございます。その当時の価格でつくるとして、その建設費が四百二十億円という試算でございます。
#133
○本岡昭次君 土地代は全然これは入っていない。そして五十年で四百二十億。こんなあいまいなことではどうなるんですか。十五年後、ある年度に一斉につくるということじゃないでしょう、これからどういうふうにつくっていくのか知りませんけれども。もう少し、七十一年完成とすれば、土地代も含めて大体このぐらいのことが費用としてかかりますということが言えなくてこういう計画が論議できるんですか。
#134
○政府委員(宮地貫一君) 従来御説明を申し上げておりますように、「放送大学の基本計画に関する報告」で試算をいたしたものをただいま御答弁申し上げたわけでございます。
 この放送大学学園の行います第一期の計画といたしましては、東京タワーから電波の届く範囲内で第一期の計画を進めさしていただくということで御説明を申し上げておるわけでございます。あるいは後にお尋ねがあるのかもしれませんが、たとえば、その後放送衛星に関する問題でございますとか、いろいろこの五十年当時「放送大学の基本計画に関する報告」をまとめました段階では、放送衛星の問題というのは念頭に置いていない状況でまとめられたものでございます。それらの点はなお今後の検討課題ということで、私どももそれらについては郵政省初め、関係省庁と御相談をしながら全体計画の進め方についてももちろんこれから相談をさせていただかなければならない点がいろいろあるわけでございます。したがって、ただいま目途としては、もちろん従来からも御答弁申し上げておりますような、七十一年ごろまでには全体をぜひカバーするように進めたいということで考えておりますということで御答弁申し上げてきておるわけでございますが、なおほかにも全体計画を進めるに当たってはいろいろと検討しなければならぬ課題はございます。
 いずれにいたしましても、第一期の計画をまず進めさせていただきまして、そこでさらに具体的な問題点もよく煮詰めた上で段階的に慎重な対応で進めていかなければならないということで御説明申し上げておるわけでございます。もちろん、地方公聴会の際にもいろいろ御議論が出ておりましたように、なるだけ早くこれをほかの地域にも及ぼしてほしいという御要望が非常に強いということも十分承っておるわけでございまして、それらについても、そういう点も十分念頭に置きながら私どもとしては全体計画の進め方についてはいま申し上げたようなことを検討して今後進めていかなければならないと、かように考えている次第でございます。
#135
○本岡昭次君 わが党の小野委員からこの経費のことについて質問してもずいぶんあいまいですし、私は、政府が試算をするやり方としてはこんなずさんなやり方があるのかなと思うんですね。何か二十世紀最後のロマンだとか、一大プロジェクトだとか言いながら、一体最終段階に資本投資額が幾らになるのかという問題が、これからずっと物価も上がっていくだろうし、そういういろんな経済指数というものを計算しながら、概算約何百億とか、約何千何百億とか、順次こういう計画に従っていけばできるでしょうという試算ですよね、それがないままずっと私たちは論議させられているんですよね。私は本当にこのことには腹が立ちます。だけど、ここで言っておっても、ずさんな計画だからないものはない、夢のような話ばっかしですから押し問答でこちらもいやになりますからやめますけれども、そうしたら第一期完了時までの送信所の数、第一期完了までにはこれだけの資本投資額を必要としますという額は示せるでしょう。
#136
○政府委員(宮地貫一君) 第一期計画、ただいま申し上げました東京タワーから電波の届く範囲内での第一期計画についての経費でございますが、東京タワー以外に一カ所圏域送信所を設けましてこれからの対象地域の拡大のための参考にしていくということで考えているわけでございます。
 資本的経費につきたしては、第一期の計画で申し上げますと、施設設備合わせまして約九十七億円程度でございます。施設の点で申し上げますと、本部施設、県別の学習センター、送信所建設費等を入れまして、施設で約六十九億余り、設備関係で、放送設備、教育研究設備を加えまして約二十七億という数字を試算をいたしております。
 なお、それに伴います経常的経費と申しますか、管理運営諸費等を含めましての経常経費として約四十六億余り、四十七億弱を試算いたしてございます。
#137
○本岡昭次君 基本計画にいう第一期計画と、それから最近になって第一期計画の内容は変わったんですか。
#138
○政府委員(宮地貫一君) その点は前にもお尋ねがありましてお答えをしたわけでございますが、この「放送大学の基本計画に関する報告」で述べております第一期計画というのは、東京、名古屋、大阪の広域送信所を考え、東北、四国の第一次県別送信所を考えるというような考え方で、基本計画に関する報告でまとめられておるものではそういう形でまとめられておるわけでございます。
 しかしながら、この基本計画に関する報告については、前にも御答弁したわけでございますが、「放送大学の基本計画に関する報告」は、これは一つの具体的な設計図の設例を書いて国民各層の理解を求め、さらにその批判を仰ぐという形でまとめられたものでございます。実際に、私ども五十四年度から具体的に予算を取りまとめまして法案の御審議をいただく段階で御説明をしておりますものは、第一期計画としては東京タワーからテレビ、ラジオの電波の到達する範囲という形での、具体の予算の計上としましては、そういうものを前提にした第一期計画の初年度分と申しますか、法案提出と予算計上という形で具体的に御提案を申し上げておるわけでございまして、それは五十四年度以来そういう形で御提案をし、御審議をいただいているところでございます。
#139
○本岡昭次君 私が勘違いをしておりました。
 それでは何ですね、第一期計画というのは私は関東一円だと思っておったんですが、それよりもまだ狭い範囲、東京タワーからのテレビ電波が到達する範囲ということですから、送信所はいま言ったようにどっか非常に見にくいところに一カ所建てるということだけですか。そうすると第二期計画というのは一体どうなんですか、その次に起こる第二期計画というのは。
#140
○政府委員(宮地貫一君) 御説明いたしましたように、第一期計画は東京タワーからテレビ、ラジオの電波の到達する範囲内で、かつ一カ所送信所を、圏域送信所というものを東京タワー以外に設けまして、今後における地域の拡大をしていくための具体的な実施に当たっての参考を得るために圏域送信所を別途一カ所設けるということで計画を進めているわけでございます。
 第二期計画というのはどういうものかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、この第一期計画を御審議いただいて、まずこれを完成をし、したがってその上で、第一期計画実施後、そこに具体的な、いろいろ実際の実施に当たっての問題点もそこに出てまいるでございましょうし、その結果を踏まえまして、今後の計画、対象地域の拡大についてはその後対応をしたいということで御説明を申し上げておるわけでございます。
#141
○本岡昭次君 そうすると、第二期計画のときもまた国会の審議にかけて、よいか悪いか、また第三期計画と、こう狭い範囲のものを次々と広げていくということですから、いまの答弁では全国をカバーする放送大学、沖繩から北海道まで、日本国あまねく放送大学によって勉強をする機会均等を与える、こういうことじゃなくて、とにかく第一期をここで審議して決めてくれということですから、そうすると、第二期のときもまたこの法案が出て、第二期計画についてまた論議して決めると。これはそのときに、もうそんなことやめちゃえということは、当然国会の論議ですからあるということですね。大変なことじゃないですか、あなたの答弁は。私も広島で言ったんですよ、広島へ持ってきてくれと言うたら、それは絶対来ませんよと、いまの文部省の考えでは。やっぱりそういうことだったんですね、わかりました。
 そこで、これだったらよけい、政治家は結果に責任を持たにゃいかぬとよく言われておりますので、いよいよこれはうかつに賛成できないということになりましたが、それでは第一期計画で、視聴範囲の中で、東京タワーから電波を出して、テレビを持っている人は全部その教育の機会に浴せるということになりますか。
#142
○政府委員(田中眞三郎君) 第一期計画でございますが、ただいま文部省の方からもお答えがございましたが、送信所として東京タワーともう一カ所、北関東の一カ所を予定しておるわけでございますけれども、この北関東の一カ所につきましては、まだどこの場所に置くかと、設置場所、送信所の位置でございますが、確定しておりませんけれども、それで多少数字は変わってまいりますけれども、東京タワーと北関東の一カ所を合わせた場合に、私どもカバレージといいますか、放送区域内世帯数という言い方をしておりますけれども、それは関東地域全世帯数に対しますパーセンテージで申し上げますと、七二%程度になるというふうに考えておる次第でございます。
#143
○本岡昭次君 第一期計画でも一〇〇%にならないと。しかし、もう一つNHKにお聞きしますが、現在でもテレビの難視聴地域というのとは別に受信障害地域といって、首都圏の高層ビルがずっと建ち並んでいる中に、テレビの映像がうまく映らないと、あるいは自動車あるいは飛行機、そうしたことから来る電波障害みたいなものもありますが、そういうふうなものはどのぐらいあるんですか。
#144
○参考人(木村悦郎君) お答え申し上げます。
 首都圏につきましては東京、神奈川、千葉、埼玉が主でございますが、二十九万世帯ほど都市受信障害に属する部分がございます。
#145
○本岡昭次君 その受信障害地帯の二十九万世帯のテレビですね、どういう映り方をするんですか。
#146
○参考人(木村悦郎君) 主に建造物障害と申しまして、最近高層ビルが大変多くなっておりますが、そういうところからの反射波と、それから東京タワーの電波とが重なり合いまして、非常に複雑な画像になってまいります。ゴーストと申しております。幽霊と申しております。そういった形で大変見苦しいわけでございます。それが主でございます。
#147
○本岡昭次君 教育の機会均等、テレビの受像機さえ持っておれば、これはあまねく国民に教育の機会が与えられるんだとうたい文句ですけれども、現に電波の届かないところ、届いていても難視聴地帯がこの首都圏の中で二十九万世帯もあって、そしてこの前NHKへ行ったときには非常に鮮明なテレビで画像を見たんですが、同じ大学で講義をしておっても、幽霊のようにゆらゆらゆらゆらと揺れたり、横へずっと流れたり絶えずするような地帯におる人がそれを見ておるのと、片っ方、はっきり映像の映るところ、これは同じ地域にあって、教育の機会均等ということから言えば大変なことになると思いますが、そういう点、放送大学設置者としてこれどうお考えになりますか。
#148
○政府委員(宮地貫一君) 受信障害について、これは大都市、特に東京のようなところでございますと、当然そういう建築物等によります受信障害というのは現実の問題として避けがたいところであろうかと思いますが、一般的な点で申せば、そういう受信障害については基本的には原因者が負担をするという考え方で、もちろん放送実施後に新たに建てられた建物でそういう点が出てくれば、そういうような解決を図っていかなければならないのではないかと考えられるわけでございます。
 なお、現在計画をされております放送衛星というものも難視聴地域解消ということが基本というぐあいに伺っておるわけでございまして、それらの点ももちろん将来の課題でございますけれども、放送衛星を利用するということになれば、それらの点も解決されることになるんではないかと、かように考えます。
#149
○本岡昭次君 教育の機会均等ということをいつでも、どこでも、だれでもという、いろいろうたい文句は、障害で現に首都圏の中でもテレビはあってもうまく映らないと、結局画像が鮮明に映る地域にいる人とそうでない人、幾らお金を投資しても鮮明に映像が映らないというところでは、これは教育の機会が都市の中にあってもということになるわけで、そうした問題について一体どうするんかということも非常に大事な点ではないかと私は考えます。
 そこで、いまも出ました難視聴、受信障害地帯をなくしていくために放送衛星をNHKが計画していると、また放送大学学園も将来放送衛星の検討をしていきたいというようなことも出ておりますが、放送衛星というものの打ち上げ計画について、ひとつ簡単にNHK、それから郵政省の方で説明をしていただきたいと思います。
#150
○政府委員(田中眞三郎君) 放送衛星の打ち上げスケジュールについてでございますけれども、実は五十三年度に実験用の中型放送衛星「ゆり」というものを打ち上げておりますが、その実験成果を踏まえまして、最初の実用放送衛星、BS―2と申しておりますが、その本機を昭和五十八年度、正確に申しますと、五十九年の二月ごろになろうかと思いますけれども、二、三月の時期、昭和五十八年度に本機を打ち上げると。また、軌道予備といたしまして、この予備機を昭和六十年度に打ち上げるという形で計画が進んでおるわけでございます。
#151
○本岡昭次君 五十九年に打ち上げられるBS―2の放送衛星は二チャンネルあって、それはNHKが使うんだということになっているのですが、それはもう確定をしているんですか。
#152
○政府委員(田中眞三郎君) いまほど申し上げましたBS−2でございますけれども、NHKテレビジョン放送の難視聴解消と申しますか、総合教育番組の二チャンネルは、現在もまだ辺地及び離島等においては五十万世帯程度のものが見えないということで、喫緊の政策的な重要課題であるというようなこと。それから、既存の放送体制にもNHKの見えない番組を見せるということでございますので、そういう観点から御指摘のとおり、NHKの難視聴解消を目的として使用するという形で計画を推し進めているところでございます。
 で、放送衛星を放送大学学園の放送に使うということについてお話になっておりますので申し上げますけれども、いま申しましたように、現在計画が進んでおるBS−2についてはNHKの二チャンネル以上に積む余裕は衛星の能力からしてございません。したがいまして、放送大学学園の放送のための衛星の利用ということになりますと、いま申しましたBS−2の寿命というものに引き続き打ち上げるという必要があるわけで、BS−2の寿命は五年を目標という形になっておりますので、昭和六十三年度ごろにより大型の第二世代の実用放送衛星と申しますか、BS−3といいますか、そういう予定がございますので、これ以降の放送衛星の利用の中で大学の放送を考えるということになろうかと思います。
#153
○本岡昭次君 いまのことに関連して、これは業界紙だと思うんですが、電波タイムズというところの五月十二日に、電波監理局の「富田放送部長談」ということで、放送大学学園は一応今月二十日までの会期中に成立する見通しがついた。」と、早々と書いていただいておるんですが、そして「第二期計画では、おそらく放送衛星を使うことになるだろう。」、こう書いて、そして「世界で最も大規模で、ユニークな、かつ完璧な大学ができることになる」、「放送が一〇〇%教育目的のために使用されることは画期的なこと」で、「今後、NHKが持っているノウハウの供与が円滑にいくようにしたい。」、こういうようなことをこう記者会見でおっしゃったという報道があります。
 この報道、そしてまたこちらの日刊電波タイムズという中にも書いてあるんですが、これは事実ですか。
#154
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 ただいまおっしゃいました電波タイムズという専門紙でございますけれども、これ、放送部長は月に一回定例的に会見を持っておるわけでございますけれども、先生ただいまお話しになりましたかなりの部分についてはそのとおりでございますけれども、ちょっと詳しく申し上げますと、まず学園法案の国会審議の関係でございますけれども、これが聞いてみますと、難航しているようだなあという意味の記者の質問がございまして、それに対しまして、まあ放送大学学園法は、五十四年度の八十七国会以来四度目の国会提出だと、それで今度の国会につきまして、いろいろとこの文教委員会、その他で御審議いただいておるということで、今国会中の会期の成立を強く希望しておるという形のものでございまして、気持ちとしては私も同様でございまして、何とか成立させていただきたいというふうに考えておるわけでございますけれども、希望が、強く望んでおるということで、あのような形で報道されたということはまことに遺憾だと思っております。
 それから、「第二期計画では、おそらく放送衛星を使うことになるだろう。」、この面でございますけれども、これにつきましても、たびたびこの委員会あるいはその他の委員会でも御説明申し上げておりますように、郵政省といたしましては、学園の放送というものは日本全土を対象に本来は行うものである、そうした場合に放送衛星技術というものを利用することはきわめて有効であるということもお答え申しておるわけですけれども、いまも申し上げましたように、現在計画中、推進中のものはNHKのテレビジョンの難視聴解消以外には利用できないということで、どうしてもその次の衛星になる、そういう形につきましては、放送の多様化に関する調査研究会議においても、鋭意現在御検討いただいておるわけでございます。また、学園の衛星を利用するかどうか、その場合にどういう問題があるかということについては、まだ関係の文部省等とも御相談してないわけでございます。
 当然相談すべきものでございまして、多様化会議の御審議もいただく必要があり、文部省とも御相談しなければならないということは承知しておるわけでございますけれども、放送衛星を大学の学園の放送に使うということは技術的に見た場合有効であるという意味でございまして、以上のように私ども理解しておるところでございます。
#155
○本岡昭次君 最初のその会期内に成立する、もう見通しが立ったという、ずいぶん失礼な話だと思います、これは。富田放送部長、そこにおられるのかどうか私知りませんが、それは私はこうしゃべらなかったと、新聞がかってに書いたんだと言えばこれは水かけ論になりますが、いまもちょっと声が出ておりましたけれども、いま一生懸命審議しているものを、こういう形で郵政省の幹部が記者会見の中で述べるというのは不謹慎もはなはだしいと思います。もし、そうでないならこれは電波タイムズの方に、こうした誤解を招くような記事、正確を欠く記事を出したことについては、郵政省の方から抗議もし、そして今後の扱いについて注文をつけなければならないと思うんですが、何かされましたか、これ。
#156
○政府委員(田中眞三郎君) 現在までのところ、そういうことはいたしておりませんけれども、先ほども申し上げましたように、こういうふうな報道をされましたことは、大変遺憾で、おわび申し上げたいと思いますが、余りにも記事が、われわれの希望と合致しておりますと申しますか、非常にその気持ちがあふれておりますので、まだいままでのところ大変失礼でございますけれども、コンプレーンを申した段階にはございません。そういうところでひとつ御勘弁といいますか遺憾の意をこの場で申し述べさせていただきたいというところでございます。
#157
○本岡昭次君 それで、第二期計画に放送衛星を使うということも何か非常に断定的に書かれてあることについてもいま説明があったので理解します。
 しかしそこで、第一期計画があって第二期計画がないと、第一期計画があれば第二期、第三期というふうに計画というものは続くのが普通なんですね。しかし、それがないというのはこの放送衛星との関係でないということであろうと思いますが、ひとつはっきりさしていただきたいんです。第二期計画は、その放送衛星が実用化されて、BS−3が打ち上がって、そこに放送大学用のチャンネルが確保されるということにならない限り第二期計画はしないというのか。第一期計画を四年間かかってやって、一応実験的なもろもろの試みもして、それではもう少し東海地方に広げようとか東北地方に広げようとか、放送衛星の打ち上げと関係なく第二期計画があるのか、そこのところをはっきりしてください。
#158
○政府委員(宮地貫一君) 大変どうも明確に御説明できなくて申しわけないのでございますが、放送衛星の問題についてはただいま郵政省からも御説明ございましたとおり、私どもとしても、放送大学にこの放送衛星を積極的に利用するということをもちろんこれからの検討課題として考えなければならない課題と、かように考えております。
 そして従来、先ほども申し上げたわけでございますが、昭和五十年に一つの設例ということでつくっております「放送大学の基本計画に関する報告」では、地上局で全体を整備をするという形で
 の試算をいたしておるわけでございます。したがって、その点は放送衛星の第二世代の持ち方、あり方と放送大学のこれからの対象地域の拡大でやはり密接に関連をしている点もございますし、それらを含めまして、私どもとしては御指摘のように、第一期計画が、ただいまの計画で申し上げますと、五十九年度から学生を受け入れまして、順次学年進行という形で四年制で一応卒業するということになりますと六十二年ということになるわけでございます。それ以後の計画の拡大ということは、その実施状況をも見ながら私どもとしては慎重に対応していきたい、かように考えておるところでございます。
#159
○本岡昭次君 広島へ行きましても、北海道でも、公聴会は、とにかくこうした放送大学というふうな大学は東京を中心じゃなくて、やはり地方を中核にして、そういうところの教育に恵まれない人たちに対して教育を主として行うべきであろう、こういう意見が非常に強い。これは当然だと思うんですね。にもかかわらず、いまの大学局長の話というのは、とにかく第一期があって第二期がないと、こういうことで、放送衛星との関係かといえば、いやそれはそうではないということで、それでは本当に東京周辺で終わってしまっても全く不思議でないと、放送大学が完結してしまっても何らおかしくないということになると思いますが、もう一遍はっきり言ってください。放送衛星の打ち上げを待って第二期をやるのか、放送衛星と関係なく、これはもう第二期計画を、地域の要望に従って送信所をつくって次々と広げていって、早く北海道へ、広島へ、九州へ電波が届くようにするのか、そこのところをはっきりさしてください。
#160
○政府委員(田中眞三郎君) 郵政省の方から、私どもの理解しているといいますか、このお話が当初に出ました際に、郵政大臣、文部大臣御相談の上で、こういう放送大学構想につきまして郵政省としても御賛成申し上げて、私どもにそれなりの周波数の割り当てなり電波をお出しするという形での仕事が来るわけでございますけれども、私どもが理解しておりますのは、ちょっと放送大学の一期計画というものと放送衛星の第一番目の実用衛星、第二世代の実用放送衛星ということで多少こんがらがる面があるわけでございますけれども、先ほどの黄色い紙の方でございますか、「放送大学の基本計画に関する報告」の場合、第一次計画といたしましては、先ほどの御指摘にもございましたように、東京だけじゃございませんで、その他数都市の話も出ておるわけでございます。私どもとしましては、学園の拡張計画というものがどういう形になろうとも、そちらにでも対応できると申しますか、第一期計画、第二期計画というものが、第一期の東京タワー及び北関東から出す電波、その次に、あるいは北海道に行くのか、九州へ行くのか、その点まではまだ文部省の方からも御説明が特にこの場ではなかったように思いますけれども、どういう対応になりましても、その辺は学園の構想を進めていく上で、郵政省といたしましては対応できるというふうな形で考えております。
 ただ、放送衛星になりますと、ちょっと一、二年の――いまのところですと一年くらいのギャップと申しますか、ちょうどうまいつなぎ合わせが送信の側においても出てきそうだと。それから、放送衛星を利用する場合は、現在地上でやる限り、現在普及しております二千万台以上もの受信機で、東京の場合あるいは関東ですと、関東エリアの七二%の世帯の方々は直ちに受信できるわけでございますけれども、送信の側での放送衛星の場合には一挙に全国カバーできるということでございますけれども、受信者の立場に立ちますと、やはりそれなりのパラボラアンテナなりアダプターなりというもので放送衛星からの電波を受けるための受信機というものが必要になる、こういうことでございます。
#161
○本岡昭次君 そうすると、再度宮地局長にお尋ねしますが、地方の方にそれに対する要求がより強い。だから、一日も早く地方の方々に対して放送大学の勉強ができるようにということを考えるときに、第一期、第二期と進めていかなければならないんだが、それは放送衛星が打ち上がるかどうかにかかっているんでなくて、あくまで第一期計画の中でさまざまな試みをして、そして主体的に地上システムによって放送のエリアを広げていくと、こういうことなのかどうかということだけをはっきりさしてください。
#162
○政府委員(宮地貫一君) 基本的には、お尋ねのように私ども対応していくつもりでございます。ただ、放送衛星の問題が今日具体の日程に上ってきておることでもございますので、それらについて今後関係省庁ともじっくり相談をしてまいらなければならぬ課題が出てきているということでございます。もちろん教育の機会均等という観点から対象地域を早期に拡大すべきであるという御趣旨については、私ども十分承っておる点でございまして、そういう要請には極力早くこたえられるように私どもとしても対応すべきものと、かように考えております。
#163
○本岡昭次君 そこでまず、放送大学学園がそのようにして地上システムをずっと延ばして、できるだけ多くの地域が放送大学で勉強できるようにするという事柄と、一方ではやはり放送衛星というものの打ち上げがあるという関連、これは非常に大事だと私は考えます。そこで、一つ大切なことは、確認しますが、BS−3の中にNHKが使用できるチャンネルというのは確保できるということですね。これから検討をするんですか、もういまの段階で、BS−3は、いまよりももっと大型のもので、四チャンネル、五チャンネル、六チャンネルというふうにチャンネルを確保できて、NHKの二系統以外に放送大学学園側が希望すれば、そこにそのチャンネルは確保できるということを一〇〇%ここで確認できる状況にあるのですか、ないのですか。
#164
○政府委員(田中眞三郎君) 現在推進中の、BS−2の次のBS−3はどういう能力を持つものかというお尋ねかと思いますけども、まず技術的に申し上げまして、BS−3につきましては、現在進行中のBS−2よりもより大規模なもの、大規模のロケットで打ち上げるということを考えております。
 したがいまして、実用衛星でございますからNHKの二チャンネルは当然確保しなければならないし、またそれもできるわけでございます。どの程度の能力があるかということは空から送ります放送の電力にも関係するわけでございまして、BS−3につきましては、ただいまのところ三チャンネルまたは四チャンネルということを考えております、技術的に申しまして。ですから、三チャンネルは確実に大丈夫でございます。それを送信機の電力との関係で四つにすることも可能であるということでございまして、そうした場合に放送大学の番組を乗せるということが文部省ともお話し合いがつき、また多様化の方からの御答申等々で適当であるというようなお話がいただければ、確実に技術的には乗せられるとはっきり申し上げられると思います。
#165
○本岡昭次君 そこで、地上システムの場合は、いまはほぼ問題なくアンテナでやっておりますが、放送衛星から受信する場合はパラボラアンテナとかアダプターをつけないかぬと。それは個人にしろ共同施設にしろ費用がかかるということなんですが、それが実用化される段階で、その施設を新しくつけるために個人負担というのはどのぐらいになるんですか。
#166
○政府委員(田中眞三郎君) 放送衛星の受信の態様でございますけれども、一般家庭で個々に直接受信されるいわゆる個別受信用というものと、それから五、六世帯で共同受信して使うという形態もあろうかと思いますけれども、まず一般の個々の家庭が直接受けられるという場合には、直径一メートル程度の簡易なパラボラアンテナとアダプター、その場合の、いま御質問の普及段階と申しますか、私ども試算いたしましたのでは、毎年十万台ベースに乗った場合というようなことで六ないし八万円かかるであろうというような試算になっております。それから、五、六世帯の家庭が一緒になられて共同受信せられる、やや大型のパラボラアンテナがよろしいかと思いますけれども、アダプターは同じでございまして、その場合に世帯当たり四ないし七万円、こういうような数字を得ておる次第でございます。
#167
○本岡昭次君 放送衛星から受信するのも並み大抵ではないわけですね。いまのようなとにかく新しくパラボラアンテナとかアダプターというものをつけなければならないと、こういうことで、そこで第一期計画が軌道に乗って、東京タワーから電波が出て、そして東京タワー周辺の人々は地上システムによって放送大学の教育の内容をテレビによって見ることができ、聞くことができますと、さらにそれを東海とかあるいは東北とかというところへずっと進めていく。そうすると、放送衛星が打ち上がっていく。そうすると、放送衛星を使って今度は放送大学の教育放送を放映する。そうすると、北海道とかあるいは沖繩とか、あるいはまた九州、地上システムが行き届いていないところは、今度はパラボラアンテナですが、そういうものをつけて見ると、こういうことに必然的になってきますね。それは、俗に言う二重放送と、一方では地上ということですが、しかし実際は両方見れないわけで、それぞれ放送大学の教育内容をテレビで受像する場合に地上システムによって見る地域と、それから放送衛星によって見る地域と二つの地域に実際は分かれると、こういうことに将来はなってくるわけですが、この点についても結局いままでのシステムで見れるところは安く見れるし、それから片方はそういう施設を特別につくらなくてはならない、こういうことになってきますが、そういうことについても何かお考えになったことありますか。
 それからもう一点。絶対に放送衛星を使ったときに難視聴地帯というのはできないんですか。何か物の本に書いてあるところによると、特殊な条件下を除いてという断りがついてあります。特殊な条件下、やはりどっか電波の届かないところがあるということのようですが、そういうものが一体あるのかないのか、この二つの点、どうですか。
#168
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 まず、放送衛星の場合に、見えないということはないのかということでございますけれども、技術的な話になりますけれども、特にひどい雨が降ったと、シャワーのような状態になったというようなこと、これはかなり電波は弱まります。それは日本のどちらかといいますと、高知とかあるいは沖繩というようなところに行きますと、かなりシャワーのような豪雨ということもあろうかと思いますけれども、数時間というような関係でございますが、一応実験もいたしております。それで見てみますと、一年間を通して見ますと、わずかな時間で実用上問題はないというふうなデータを得ております。もう少し……。
#169
○本岡昭次君 いや、結構です、それで。
#170
○政府委員(田中眞三郎君) 日本国内の普通の場所では時間率にして約〇・〇五%、年間を通じて合計四・四時間程度であるというのがございます。
 それからもう一つ、これも技術的な問題でございますけれども、放送衛星――太陽から熱を受けまして太陽電池というものを使っておりまして、それが食の時間というのがございまして、一年に四十日ほどありますそうですけれども、これのときには電源が、電池が消耗してしまうわけでございます。それはどういうことをいたすかと言いますと、ちょうど放送衛星の場合、今度日本の真南じゃございませんで、東経百十度の上に上げるというのは、そういうことを考えまして、ちょうどその食になるのが一日一時間ないし二時間ぐらいが四十日ぐらい続くわけでございますけれども、そのときがちょうど日本のローカル時間の夜の十二時を過ぎた時間に持っていくと、そういうような形でございますので、先ほど申しました春と秋におきます四十日間のうちの真夜中の一時、二時にどうしても出さなきゃいかぬということになるとその時間は無理だと、こういうような意味であろうかと思いますが、通常の、現在テレビの放送をやっております時間、日本の夜中の一時、二時にやる必要はないと考えれば、それは問題はないというふうに考えておる次第でございます。
 それから、たとえば東京タワーから第一期の放送大学の放送が出ておりまして、何年かしまして衛星の方からも出すというようなことになったときにどうなるのかと、ある程度ダブらないかという御質問だったかと思いますけれども、私どもといたしましては、放送大学の教学に必要な放送が出るためには、放送の面もさようでございますけれども、特に大学の教授内容としてのいろいろの経験の積み重ねと申しますか、いままで実験的にもやってこられたわけですし、放送にも乗せましたわけですけれども、やはり第一回目と申しますか、一次的な経験は必要であろう。そういうような意味で、特に能率のいい東京タワーからできる限りこういうものについては早急に進みたいということで、納得して御賛成しておるわけでございますけれども、何年かたちまして、第一期四年、その後五年ないし六年になりましたときに放送衛星から電波が出ると。同じ電波が――恐らく番組は別のものにならないと思います。そういう意味においては、供給サービスサイド、送りの側としては二重になるわけでございますけれども、すでにおわかりのように、受ける側といいますか、学生の側においては、東京近辺の方は、従来のままと申しますか、いま持っておられるテレビ受像機でお使いになれるということになるわけで、それが一挙に、五年ないし六年後、出しまして、空の方から来るということになりますと、そのために、放送大学の放送を受けるためには新しくパラボラなりアダプターなりをつけていただくということになろうかと思いますけれども、放送衛星のもともとの放送をスタートしますその前に、五十八年度と申しますか、それから難視聴の五十数万の世帯はパラボラをつけてなければ見えないということで、受像機が五十万世帯には普及しておると、こういうような形になるわけでございまして、技術の進歩もはなはだしいわけですし、また、いままでテレビの受像機一つとってみましても、たしか当初のテレビ受像機は三チャンネルないし六チャンネルしか受からなかった。それからしばらくたちまして十二チャンネルになったわけですけれども、これも前の受像機は取りかえられておる。それから現在に至るまでには、UHFというようなことで、UHFを私ども採用いたします際に、アダプターが要るじゃないか、その価格は幾らぐらいなんだというようなことで、やはり数万円というようなことを申し上げたわけですけれども、いまや、UHFが見えるからVより高いよというようなお話は聞いたことございませんし、そういうような形で、やはり放送衛星というものも、実際の問題として、普及してまいれば受像機の価格の中に消化してもらえるものというふうに期待しておるわけでございます。
#171
○本岡昭次君 できるだけ障害がないように放送衛星が導入されなければいけないと思いますが、私が心配しておるのは、放送衛星が上がるまで第一期を待っておるということじゃなくて、順次地上システムを広げていくということをすべきだというふうに思いますが、しかし、放送衛星が上がるとそれが二重の仕組みで放送しなければならないという、ここに矛盾が起こります。そうして、将来は安くなるだろう、また、現在もUの方を見るのにだれも障害なくそれを買っているではないかということですが、しかし、放送大学の周辺の学生が実際にテレビを見ようと思えば、新しくそうしたものを買わなければならない。しかも、それが六万円から八万円もする。大量生産すればもう少し安くなるかもしれないけれども、やはりそうしたものがまだ実用化されていない段階での放送衛星活用ということについても私はまだ問題があるような気がしてならないのです。
 そこで、放送大学がそのことを心配する前に、NHKはすでにこれはBS−2の段階で同じようなことを経験していきますから、その経験が大いに放送大学には役に立つだろう、こう考えます。しかし、NHKの方は全地域に、九七%か近く受像できるまで地上システムが完備しているようで、そうなればなるほど、放送衛星との二重の形というものが将来にわたって強まってくると思いますが、NHKは、難視聴地域だけでなく、将来パラボラアンテナをそれぞれのところに設置すれば、結局のところ、地上システムと放送衛星のシステムと両方を重ねた形でこれからずっと流さなくてはならなくなるんじゃないかと思うんですが、そういう形でいくのか、それとも、放送衛星はこれとこれ、地上はこれとこれと全然別個のもので将来は放送していこうとされるのか。そうしたことは一体どうするのですか、NHKの……。
#172
○参考人(木村悦郎君) お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘の衛星と地上のダブリでございますが、放送衛星の方は、これは、やはりこれまで長年辺地の難視聴解消ということで地上の方で努力を重ねてまいりましたけれども、いかんせん、非常に対象の世帯数が微少化し、散在してまいりまして、これ以上続けてまいりますと大変経費効率の悪いものになるという限度に近づいてまいりました。そんなわけで、全国を一挙にこのまま続けてまいりますと非常に長い年月まだ先に続くものですから、この際やはり放送衛星で全国の辺地の、約四十二万世帯と推定しているわけですが、これを解消しようということで放送衛星の導入に踏み切ったわけでございます。ただ、この放送衛星は、難視聴の解消はもちろん主目的でございますけれども、当然非常災害時に地上の回線網等がパーになりた場合には、放送衛星でございますから、すぐに活用できる。あるいはいろいろな事件が起こった場合に、機動的中継でございますとか、それが、先ほど先生御指摘になりました都市受信障害、そういったところにも非常な効果があるわけでございまして、そういった面も含めて私どもとしては活用してまいりたいと考えておるわけでございます。
 ただ、この放送衛星の特徴は、全国を一挙にカバーできるという非常に大きなメリットがありますと同時に、技術的な制限から、私どもがこれまでやってまいりました六千数百局の地上の施設に比べますときめ細かいローカル放送ということができません。最近は地方の時代というふうなことで、私どももローカル放送の充実ということに非常に力を注いでいるわけでございますが、この点ではどうしても地上の施設というものも、やはり十二分に保全され、活用してまいらなければならないということで、ここ当分はやはりこの地上の施設というものをこのまま続けてまいる。ただ、五十八年度以後、難視聴解消という意味での新規の計画的な地上施策はいたしませんけれども、やはり放送衛星の活用面としましては、いまのところそのような考えを持っているわけでございます。
#173
○本岡昭次君 いま非常に大切なことを言われたわけですが、私も素人ですけれども、結局それぞれの特徴があるんじゃないかと思っています。地上システムで放送する特徴と、それから衛星放送の持つ特性、メディアの特性というものがそれぞれあって、その長所をうまくそれぞれが活用して、新しい放送の秩序というんですかね、電波監理というんですか、そういうようなものをこれから行っていく必要があるんじゃないかと思うんですが、それは放送衛星が打ち上がって衛星放送がされる段階でないとできないということで、さて、そういう立場に立つときに、一体放送大学の大学教育を放送するというこれが、地上システムのメディアを使う方がいいのか、衛星放送というメディアを使う方がいいのかという問題が私はあると思うんですね。どういうか、難視聴地域をつくるとかつくらぬとか、経済的に人工衛星を打ち上げた方が――これは二百億とか三百億で済むと、ところが、地上だと大変なことになるという経済性の問題とかいうことじゃない。いわゆる放送の持つ特徴というのですか、特性というんですか、それをしっかりと押さえなければ、簡単に文部省が、放送衛星が上がったら、それを大学教育に使ったらいいんだというふうなことにまいらぬと私はこう考えている。その辺はどういうふうにお考えになりますか。私のいま言っていること、私も素人だけれども、そういうふうなことをこう思うんですね。放送大学の大学教育という放送をするのに、地上システムの方が内容的に適当なのか、あるいは――私は私の考えを持っています、後で言いますが、それはどちらなんですか。
#174
○政府委員(田中眞三郎君) 私なりに理解いたしますと、送る授業の内容としての番組でございますけれども、それは地上のルートでやろうが、放送衛星の空からやろうが、同じものが送れるというふうに考えております。と申しますのは、たとえばNHKのラジオでもテレビでもそうでございますけれども、教育用の番組についてはたしかローカル性というようなものは、別の言葉で申しますと、ほとんど全国同じ番組である。総合番組は、かなりそれぞれの地域、県の時間によりまして違っておるようでございますけれども、教育の内容、番組に関する限り、たしかテレビもラジオも第二放送のものは同じだと思いますけれども、そうしたものは、繰り返しますが、衛星からでも地上からでも同じ内容のものが送れると思います。
 それで、それじゃ何が違うかということでございますけれども、先ほどから特に問題になっております東京から始めるか、地方から始めるかというような問題、あるいは広島なり北海道においては、いつの時点で、この鳴り物入りで出てきた放送大学の教育番組を受けられるのか、そういうことになりますと、大変なメリットが放送衛星を使う場合出てくるということで、繰り返しますけれども、全国どこにいても、多少のアンテナの大きさは違いましても受かる、受けられる手段があるということで、送信の側としては一挙に解決できるというふうに考えておる次第でございます。
 補足いたしますけれども、さしあたり地上で八〇%をカバーするのに二百カ所考えておるということでございますけれども、大ざっぱに言いまして、現在NHKは九八%までカバーしておりますけれども、二百カ所の送信所で八〇%をカバーし、現在九八%まで持っていくのにどういう方法をとっておるか。なお六千四百カ所で、電力は違いますけれども、二百プラス六千四百カ所の地上方式によりましてようやく九八%、なお二%という形で四十万世帯なり五十万世帯のものが残っておる、こういうことになるわけでございますから、その差は大変なものがある。そういたしますと、全国どこででも放送大学の番組が受かるようにということでは格段のメリットがある。いつの時点にどういう形でやるか、また受信の側にはアダプターないしパラボラアンテナという問題はあるわけでございますけれども、送り届けるという側から考えますと、格段のメリットの差があるというふうに理解しております。
#175
○本岡昭次君 いまNHKがすでに全国に六千四百カ所の送信所、中継所をつくって九八%まで見れる状況をつくっている。しかしあと二%、そのために放送衛星――私はそこのところはまだよくわからぬのですが、二%のために放送衛星ということ、放送衛星の持つ力というのはもっと別なところにあるような気がしてならないからなんです。
 そこで、私は初めにせめてNHKが持っているような高度の自主性を保持する――まあ自主性が高度か高度でないかは別にしまして、とにかくそういう努力がなされ、その仕組みも一応形としてあるというNHKが放送衛星を使って大学教育というものを行うと仮にする場合は、私はそれなりに一定の安心をして任せる気になります。しかし、いまの放送大学学園のその機構、仕組み、権限、そういうものを見るときに、文部大臣直結型の国営放送という形態をとるものが放送衛星を使って全国一律に一つの放送を流す力をそこに持つということは逆の面で恐ろしさを感ずるんです。だから、私は経済性でなくって、本当に放送大学の意味というのはローカル性というもの、地域性というものを加味しなければいけないんじゃないかというところに力点を置きたいんです。だから、放送衛星よりも、放送大学というものが地域の大学と協力し、そして地域の人々と一緒になってそれを育てていくという場合には地上システムによってやっていくということがより望ましいし、内容的にも望ましいし、そしてまたいわゆる教育の国家統制とか国民の思想統制とか、そうした問題に対する危惧も防げる、このように考える。だから、放送衛星を利用するということについても、放送大学学園が持つ性格から私は危惧を非常にいたします。
 最後に、文部大臣、私はきょう主として自分の専門外のことで、全く私も素人でわからないけれども、一生懸命になって放送という問題について自分なりに深めてみました。そこで一最後に文部大臣にお伺いしますが、そうした重要な放送の事業者になる放送大学学園ですね、いま一度NHK程度の自主性を保持する仕組み、それは何も田中文部大臣がどうのこうのと言っているんじゃない、個人の問題じゃなくて、仕組みの上で、電波が持つ本質、性格ということからして、当然保持していかなければならないそうした民主的な中身、自主的なもの、言論の自由を国家権力との関係において守っていくというものをどうしても私はこれは具備しなければならない、法案の中に規定しなければならないということをさらに強く考えたんですが、文部大臣、どうしても放送大学学園をということがあるならば、そこのところにやはり思いを直して、文部省の側から新しい提案があってしかるべきじゃないかと思うんですが、率直なひとつ大臣の御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
#176
○国務大臣(田中龍夫君) 本岡先生の冒頭からの御心配、また最後に締めくくりとしておっしゃいましたいまの問題でございますが、私は、どうも国が、また文部省か放送――ラジオ、テレビを使います放送大学の学園、さらにまたあくまでも学問の自由、あくまでも民主的な教育の非常に大きな効果を期待いたしておりまする放送大学学園の問題につきまして大変御心配でございますが、私は本当にどうしてそういう御心配をなさるのかわからないんです。私は国家のためにりっぱな教育をしてまいりたいという念願に燃えておりますので、私ども国がいたしますことがそう初めから悪いもんだとおきめつけになっていただかないで、もう少し御理解をいただいて、りっぱな国民の教育のために、また民主的な平和国家の建設のために学問の自由をあくまでも守りましてりっぱな放送大学をつくりたい、かような念願に燃えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
#177
○仲川幸男君 この法案もいよいよ大詰めになった感じて――田中局長、ちょっとおってください、五分間もかかりませんから。先ほどの御質問の中で新聞事例の問題が出ましたが、これは大事な問題でございますので、与党とか野党とかいうことじゃなしに、田中局長からお断りもありましたので、あえて重ねて申し上げるのもどうかと思いますけれども、新聞、ニュースが出ますと大方そこへもういくというのが大体十中八、九で、間違っておったのはあなた方の原電の社長ぐらいなことです、最近のことでは。そういうことでございますので、ちょっと慎重を期してもらわないと国会軽視ということにもつながりますので、特にあえてひとつここで申し上げておきたいと思います。それで結構でございます。お答え要りません。
#178
○政府委員(田中眞三郎君) どうもありがとうございました。
#179
○仲川幸男君 そういうことでございますので、新聞事例も出たことでぼつぼつ総括になると思いますし、総ざらえと再確認の意味もございまして、これから御質問をいたします。
 さて、小さい問題二、三ございますが、経済にかかわる問題ですが、先ほどからもお話が出ておりますが、仮に五十七年、八年、九年、第一期第一期と言うておられるその中でいろいろな周囲の問題から心配をしますと、この予算が半減をすると仮定をするとどういうことになりましょうか。そのあたりはそんなことはないんだと大みえを切っておかないかぬのでしょうが、実際問題としてはそのあたりにやはり大変引っかかる問題があると思うのですが、そこまで考えておらぬ、大臣がもうどうしてもそれは確保するんだというお考えかどうか、ついでにお尋ねをいたしておきます。これは局長からお答えいただいても結構でございますが。
#180
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御心配になっておられまする問題は、私も同様に非常に心配でございましたので、両三回にわたりまして私は総理に直接この放送大学の問題はどうしてもやらなきゃならぬ問題であるし、また開かれた大学、同時にまた今日の世界の進歩に応じた新しい教育のシステム、今日の日本にとっては非常に重大であるということを申し上げたのでございます。ぜひ放送大学は速やかに通してもらいたいという非常な強い御希望と申しますか、御意見を承りまして、私も非常に安心をいたしまして、ただいま御提案もし、御説明も申し上げておるところでございます。
#181
○仲川幸男君 安心をいたしました。応援をいたしますのでひとつこの上ともにがんばっていただかないと……。先ほどからいろいろの――七十一年だのということになりますと、それが延びますと、私たちは、子供がこれを受けるんでなしに、孫が受けて、それでなしに、孫が受けたんではまだいかぬので曽孫になりそうなという感じでございます。大変気の長い話ですが、実際笑い事でございません状態が起こるんではなかろうかと心配をいたしております。
 さて、ちょっと局長に二、三点、これ一緒にお答え願いたい。
 学生が六年間かかって卒業するといたしますと経費は何ほどに大体なりましょうか、スクーリングの旅費とか宿泊料というものは別にして。それが一点。関東のみで結構。いま関東平野のみですが、完成をして学生から徴収をするのから経費を引きますと国費が幾らぐらい年間に要ることになりますか。それから、いま予算が上がっておりますが、これは計算したらわかるんでしょうが、五十六年度を含む現在までの経費というのはどれだけいっておられるのでしょうか、この三点ちょっとお尋ねいたしておきます。
#182
○政府委員(宮地貫一君) 第一点のお尋ねの学生が仮に六年間かかってというお尋ねでございまして、学生から授業料等の納付金を徴収することになるわけでございますが、その基準といたしまして、放送大学がお決めになることではございますが、私ども計画の段階で考えております点は、私立大学の通信教育の学生納付金との均衡ということも考えておるわけでございます。現時点では私立大学の通信教育の入学時納付金、授業料等の平均約一万七千円で約六万円ということになっておりまして、ただいまそれをほぼ基準に考えておるわけでございまして、仮にそれで六年間ということで計算いたしますと約三十八万円ということになるわけでございます。
 それから、お尋ねの第二点の、第一期の東京タワーから電波の届く範囲内での計画について、完成をして学生から徴収する金額と年間経費、それがどのくらいになるかというお尋ねでございますが、第一期計画の運営費は五十五年度試算をいたしております点では、第一期の完成年度で約四十七億ぐらいが運営費として必要であると試算をいたしておるところでございます。
 第一期の計画の完成年次の学生数でございますが、入学者数は計画では全科履修生が七千人、科目・選科履修生が一万人、在学者数三万人ということで想定をいたしておりまして、先ほど申し上げましたような授業料で算定をいたすといたしますと、全体で所要経費四十七億に対しまして大体三五%が授業料等で賄えることになるという試算をいたしております。
 それから、第三点の五十六年度を含む現在までの経費はどうであるかというお尋ねでございますが、放送大学学園についての予算計上は五十四年度からいたしてきておりますが、五十四年、五十五年度はいずれも法案が成立をいたしませんでしたので、予算計上はいたしましたが、執行がございませんので、放送大学学園としては、それぞれ五十四年度、五年度は、予算計上をいたしましたが、補正予算でゼロということにいたしてきております。五十六年度予算につきましては、出資金、補助金、施設整備を合わせまして、三億五千二百万円を五十六年度の放送大学学園関係の予算として計上をいたしております。
 なお、つけ加えて今日まで……
#183
○仲川幸男君 済みません、ちょっと私の舌足らずで。
 私が言ったのは、放送大学自体の予算でなくて、放送大学をするがために文部省はどれだけお金をお使いになりましたかと、こういうことでございます。
#184
○政府委員(宮地貫一君) その点を補足させていただきますと、放送大学の創設準備ということで、調査会を持ちますとか、あるいは教育実験放送の実施委託でございますとか、そういうことを四十六年度以来今日までそれぞれやってきておりまして、五十二年度までそういうことで準備を進めてきておりますその経費が十二億二千六百万ぐらい。毎年約一億三千万あるいは一億六、七千万という経費が計上されまして、今日まで調査なり実施準備を進めてまいってきております。
 なお、五十三年度には放送教育開発センターが設置をされまして、これも放送大学と大変密接な関係があるわけでございますが、放送教育開発センターの経費が五十三年度以来五十六年度までの経費を含めまして管理運営等につきまして合計で約三十三億余りが予算計上をされているところでございます。
#185
○仲川幸男君 大体五十億ぐらいと。開発センターは当然放送大学をやるためにつくっておるものですから準備金というものの考え方でよかろうと思います。
 たくさんあるんですが、時間がございましたら後戻りいたしまして、重要なものだけ時間内に申します。
   〔委員長退席、理事世耕政隆君着席〕
 身障者学生に対する配慮ということはこの前の十一月に私がお尋ねを申し上げたところにもございましたし、先般、広島へ参りましたら非常に熱の入ったお話がございました。ございましたので、この点についてひとつお尋ねをいたしておきたい。
 このことについては実質的には触れておらないと思うのですが、御答弁の中にございましたが、三つの問題の中で、ほかのことは片がつくと思います、放送をいたしますから放送を見ることも資料の問題も片がつきますが、学習センターでのスクーリングのこのことの代替を何でやられますか。センターへ来られない身障者のために、ひとつこのあたりは放送大学をやるというものの大きな私は目玉であるとも思うのですが、現実的にやりましょうやりましょう言いますが、実際問題はセンターでやられるあらゆることについてどういう対応をせられると思いますか、ちょっとお聞かせを願えたらと思いますが。
#186
○政府委員(宮地貫一君) 身障者に対します配慮、先生から前にお尋ねをいただきまして、学習センターのたとえば施設について、そういう配慮を当然しなければならぬことであるということについてはお答えを申し上げたわけでございます。もちろん実際に地方の公聴会においてもそういう点が大変強く希望が出されているというような実態も伺ったわけでございますが、そういう点も十分踏まえまして今後具体的には検討されることになりますが、施設の点で、特にお尋ねの点は、スクーリングの場合の特別の配慮をぜひ考えろというお尋ねかと思いますが、身障者を受け入れるための施設については十分配慮し、さらにそれぞれ具体的な受け入れ方法でございますとか学習方法等については、たとえば放送大学の学生募集要項等で具体的にどこまで明確に示せますか、たとえばそういう募集要項等で具体的にこういう配慮をしているというような趣旨を明示するというようなことも実際の対応の一つとしては考えられることではないかと、かように考えます。
#187
○仲川幸男君 昔、専検というものがあって、私は相当権威のある、現在もそのようなものが残っております、権威のあるものであったと思うので、あの場合には最終検で勝負ができたと思うので、身障者に限っては、そういう方法もひとつお考えをいただける方法をお考えをいただきたいと希望をいたしておきたいと思います。
   〔理事世耕政隆君退席、委員長着席〕
 次に、学習センターのあり方と教職員の身分保障の問題ですが、関東のみとして学生はどのくらいと思っておられるか。先ほど冒頭に申し上げましたように、いろいろ御答弁をいただき、お尋ねもした中で、総ざらいという意味でもう一度ひとつ――実際流れが違いましたから一番初めころの御答弁とは違ったものが出てくるのではないかと思うのですが、関東平野――私は関東平野といった方が一番ようわかると思いますので、一次とか二次とかいうことでなしに、それでどのぐらいの学生の人数、人員になると思いますか。それから、それのスクーリングを十分受けられるスペース。センターというものが、その人数とあわせまして、レポートや答案の添削もありましょうし、それに関連するあらゆるものの機能がどの程度のものでいいと思われましょうか。
#188
○政府委員(宮地貫一君) 関東地域を対象とする第一期の計画における在学者数の見込み等についてのお尋ねでございます。
 これは従来御答弁申し上げている点でございますが、私どもは完成時で約三万人ということを想定いたしておりまして、関東地域ではスクーリングのための学習センターを六カ所設置するということで考えておりますから、学生数は平均で申せば約五千人ということになるわけでございます。
 学習センターの施設の具体的なことについては、私ども、それぞれ地元の国公私立大学の御協力をいただいて既設大学の施設が活用できれば、そういうことももちろん望ましいわけでございますが、一センター当たりの規模といたしましては、約二千五百メートル平方程度のものを想定いたしております。
 学習センターの活動状況の予測といたしましては、毎学期のスクーリング受講者を四千人程度と見込んでおりまして、一組三十人程度に区分した百三十組について毎週一回のスクーリングを実施するということで、学習センターの七教室を毎週十九回回転というようなことで、具体的な想定の数字はそういう計画を立てまして、私ども第一期の計画のいろいろ施設の整備の試算の基礎といたしておるものでございます。
 なお、レポートとか答案作成処理の機能とスクーリングと競合するのではないかというお尋ねでございますが、第一期の計画で考えております基本的な点では、当面は本部においてレポートなり添削処理を行うということを考えておりますが、実際の具体的な実施に当たりまして、あるいはそれを学習センターにおいて処理すべきかどうか、その辺は今後具体的に実施をしていく段階で対応をしていく、検討をし、改善を図る点があれば改善を図っていくというぐあいに考えているところでございます。
#189
○仲川幸男君 この書類は文部省からいただいたんでしょうかね、V・T、A・Tを利用して履修する場合の比較表という、放送を利用して履修する場合の比較表ということで、五千人当たりというこの表は文部省からの何か資料の中にあったんでしょうか。いまわかりますか。――後でお尋ねいたします。
 それでは地方の問題ということで、その問題についてのお考えと決意をひとつ伺いたいと思うのです。
 最初から一貫して私も言ってきたこの問題は、一番手薄いところになくて、まあ要らないことはないですが、かなり教育密度の濃いところへまたかけていくということで、どうしてもすっきりしない。きょうの御質問、御答弁を聞いておりましても、おいおいすっきりとしないという形、というのは、皆さんが公聴会でお述べになった公述にも、控え目におっしゃっておる中で真に迫ったものがあったと思うので、それは皆さんお聞き及びであろうと思うんですよ。地方へなぜしてくれないかと大臣言うんですよ、地方へなぜしないのかと。地方へしないのでは意味がないではないかと。私も広島へ行ったのですが、広島の五人の中で特に四人までがそのお話が必ず出ておるということで、どなたが考えるのもよけい違わないと思うのですが、先ほどからNHKさんの問題もちらちら出たり、衛星の問題も出たりですが、私はそれらはどちらにしてもなかなかむずかしい問題であろうし、そのことは全然別途に置いておきまして、ちょうど広島で何とかしてくださいという広島県の教育長さんのお話にも、何かというその中に、せめてそういうセンターそのものが主催をして、講習会とは違いますけれども――というのは、このもとを言いますと、本来文部省が考えておられるのは、放送大学の学生が卒業する率をいろいろ言うてまいりましたけれども、大変低い率であります。仮にその率が一%とか二%とかということを言いたくないんですが、そういうことでありますと、あとの九十何%という人たちは、この関東圏においても卒業をしない教育を受けておる。これも目的の一つでございますから、私はこの目的も半分以上はあるであろうと思うことでこの放送大学については賛成をいたしておるものでありますが、そうなれば、その九十何%をこの地方で受けられるのなら、それと同じような形で地方でもテキストとセンターとは現在の国立大学のキャンパスでもできるんですから、先ほど身障者のところで申しました検定の問題とあわせて、何か知恵をひとつ文部省は出したらどうなのかと。これは私が思っておりましたことをはからずも公聴会で各公述人からお話がございました。現在お答え大変むずかしいと思いますけれども、大臣、大変教育密度の濃いこの東京を中心とするところにあえてもう一網かけようというのですから、地方の非常に薄いところへ何とか、この今後組まれるであろう予算の中のせめて百分の一を地方へ使われるようなひとつ知恵を出すことが、私は今後これを前向いて推進をしていくのにも大変大事なことになるんではないであろうか、こういうふうに思いますので、その中で、前の十一月の御質問で申し上げましたように、録画、録音というものを利用てきることも――貸し出してもいいと思うんですよ。貸し出しでもいい、売ってもいい、録音テープぐらいは売ってもいい、そういうことのものも含めましてひとつお考えをいただきたいと思うのでございますが、実質的には局長もこれから組み上げていかなにゃいかぬ責任者でございますから、局長からも大臣からもひとつ御答弁をいただきたいと、こう思いますが。
#190
○政府委員(宮地貫一君) 大臣のお答えの前に私から。
 地方に対する対応策をもう少し具体的にどうかというお尋ねでございまして、地方の公聴会等においても特にその御意見が強かったということを先ほどの御報告でも承ったわけでございます。従来から御説明申し上げております全体の第一期の計画についてのこういう対応については、すでに御説明をしてまいってきたわけでございます。
 そこで問題は、第一期の計画の途中においても、地方に対する配慮というものを具体的に何か打ち出せないかというお尋ねでございまして、もちろんビデオテープというようなものについては、そのビデオテープを含めまして、放送教材、印刷教材、いずれにいたしましてもこれはもちろん一般に市販をし普及を図って、国民各層の広範な教育需要にこたえるというようなことももちろん対応をする事柄でございます。
 そしてまた、たとえばこの放送大学がそれぞれ地方の国立大学と相提携をいたしまして、この放送大学の教育内容で、たとえば公開講座というような形で、それぞれ地方の地域の方々の御要望の強いような科目を取り上げまして、公開講座のような形を何か実施できないかというようなことも、私ども地方に対する対応としては積極的に取り組むべき課題の一つではないかと、かように考えております。
 いずれにいたしましても、具体的に、たとえば放送大学のテープをそれぞれ公民館でございますとかそういうところに備えつけるようにし、そこへ来ればいつでもそのテープが見られるような対応も考えていくとか、そういう意味で、大学の単位の修得という形になりますと、なかなか実際上の運営としては困難な点も出てまいりますが、そうではなくて、やはり御指摘のように教養を高めるために、単位の取得なり卒業資格ということではないけれども、やはり放送大学の教育の中身を広く一般に、特に地方の方々に活用されるような形を工夫するという点については、私どもも積極的にそういうような対応を考えてまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、これはこれからこの法案に基づきまして放送大学が実際に動き出す段階において、そういう方向もさらに幅広く取り上げていくということを、私どもとしても検討いたしたいと、かように考えております。
#191
○国務大臣(田中龍夫君) 御指摘の点でございますが、前段先生からもおっしゃいましたように、この放送大学なるものがスクーリングを受ける正規の大学であるが、その対象となっておりまする卒業生が歩どまりが非常に少ないんじゃないかという御懸念につきましても、確かにわれわれも心配をいたしておりますが、同時にまた、生涯教育という面で、あるいはいまの老齢化いたしました方々に対しまする社会教育の面、あるいはまた、家庭における婦人層を対象とする面、そういう面では私は確かに大きな効果があると、かように考えておりますが、いまお話のようなテキストだとか、あるいはいろんなカセットというふうなものを市販をいたすことによりまして、さらに勉強ができる機会を与えて、同時にまたスクーリングも東京のみならず、地方においても開講をいたしてまいるというふうなこともぜひ努力をしなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
#192
○仲川幸男君 先ほど報告がありましたので、私があえて重ねて申し上げることもないと思うのですが、さきの報告の中の主婦の方からの一くだりに、放送大学の核は地方に置き、その開局は地方からスタートをいたしてもらいたい――これがいまの国民の率直な、素直な意見だと思うんです。ひとつ御記憶をいただきたいと思います。
 さて、もう時間も余りございませんから、個々の問題を取り上げまして――六人の公述人の中の一人の先生はこの臨調の、また小さい政府をつくらなならないときに、私学の補助を削るかもしれない状態のときに、放送大学を大きなお金をかけてやるのはというお話もございましたが、六人の方は大方がまあ賛成であると、ひとつ早期にやってくださいということであって、私たちの気持ちでは、公述人の方々からもう少しそれと違った御意見が出ようかと思っておりました。それで、私もそういう意味ではもう限界が来て、ここでひとつこの法案を通さなければならないであろうと思うことか、腹を――私は地方の問題か片づかなければこの法案は、まあひとつできたら継続にでもしてもらいたいという考えでございました。ございましたけれども、公述人のそのお話も聞きましたが、ここでひとつ大臣、私は大変新米でございますので余り十分なことがわかりませんけれども、大臣がいまここで答弁をせられ、地方のことについてひとつしぼりましても、局長が、まずこのことについての行政官としての最高の責任者がここで答弁をせられたことが、私は一つの法律に相当することだと思うのです。これはまあ議会の運営の中でいろいろありましょうけれども、そういう意味におきまして、私はいまの大臣、局長のお話は、きょうあなた方がこの法案を通してもらいたいというところのひとつの言葉でなくって、記録にももちろん残ることでございますから、十分信用をいたしまして、そして、今後を期待をする。ああは言ったけれども、東京はできたが、三年たっても地方に何のことも起こらなかったということのないようにひとつ重ねてお願いをいたしておきたいと思うのでございますし、私は先ほども言いましたように、国会自体の物の考え方というのを十分まだのみ込んでおらないから、私の言っていることが間違いかもしれませんけれども、私はいやしくも国会の公式な席で大臣なり局長なりが答弁をせられて、世の中の推移があれば別でございますが、そのことについては絶対に守るということの形で物事をもう少し進めていただかなければならないのではなかろうかと思いますことは、その一つのものとして実は柏原先生が、内藤先生の大臣のときの、五十四年の二月に質問をいたしております。このことと同じことを私が十一月に質問を――同じような意味てございます。それは学校給食と学校安全会を一つにしてこの問題とのかかわり合いがあるんでないかという質問をいたしました。ところが、その後で読んでいただいたら、私も御理解をいただけなかったのかなと思って読み返してみましたが、これがなかなか統一をした見解になっておらないようであります。まあ私のここらあたりの解釈の違いかもしれませんけれども、一つの物の考え方として、文部省が何代局長がおかわりになっても、大臣がおかわりになっても、ここで言ったことは法律に属することだというふうにお考えをいただきたい。そうでないと、われわれもなかなかお尋ねをしてもいよいよ――それはいまの一例を挙げましたので、それのお答え要りません。またそういうことも、私の考え方が違うかもしれませんから、これはまた局長と後で競りますが、そういうことでございますから、ひとつ特にその上へ持っていって附帯決議というものをつけるということになりますと、それ以上のものであると思うのです。そこで、もうここでもろもろの問題を附帯決議をつけてひとつ私はこの法案を通したいと思いますが、その裏づけとしては、いままで局長、大臣、文部省が言ってきたことを間違いないようにひとつ押し進めていただきたい。地方の問題そのとおり、障害者の問題そのとおりであります。このことを特にお願いをいたしまして、大臣のお考えも承りまして私の質問を終わりたいと思います。
#193
○国務大臣(田中龍夫君) ただいままでいろいろと申し上げてまいりましたことに対しまして、お約束を申した点は必ずこれを実行しなければ相済まぬということは行政の衝にある者といたしましてはお話のとおりでございます。政治の要諦というものは何と申しましても信頼であり、信を失えば立たずという昔からの言葉のとおり、どうぞわれわれがここで申し上げましたことに対して御期待と御信頼を賜わりまするように、同時にまた、必ずお願いを申し上げたことにつきましては御協力のほどをあわせてお願いを申し上げましてお答えといたします。
#194
○高木健太郎君 大変これまでいろいろ御質問がございまして、もう私余り大きなことを申し上げることはございませんが、一、二御質問を申し上げたいと存じます。
 この第一期計画と第二期計画というのはもうこの委員会の当初から問題になっていることでございますが、私はこれは初めてのことでございますし、非常に大規模のものであり、その趣旨はまことにだれが聞いても反対ができないというほどりっぱな趣旨であると。だけれども、非常に未知の点が多い、どうなるかわからないという点が多い。こういう意味で、第一期をやってみて、それからそこで考えてみて第二期の方にいろいろそれを参考にしてやっていきたいと、こういう意味であろうと。そういう意味で第二期はどうだと聞かれても、いま文部省としてははっきりしたお答えができないと、こういうふうに私はとっておりますが、それでよろしゅうございますか。
#195
○政府委員(宮地貫一君) 基本的には御指摘のとおりでございます。
#196
○高木健太郎君 私はまた、地方の要望ということもいま仲川委員が言われたとおりであると思いますので、これが第二期になるまでいまからまだ何年かかかると、曽孫の代にならないとできないというんじゃなくて、やはり先ほど局長が言われたように、あるいは私が前にも申し上げましたように、放送ということだけを考えずに、現存の大学を十分利用されて、そしていまから少しずつでも地方の方へそれが浸透するようにぜひお考えをいただきたいと、こう思うんです。それにつきましては、大学協会とか学長、そういう人たちは知っておりますけれども、本当に働いていただく若い人が実は余りよく知らないんじゃないかと。その人たちこそ、実はこの放送大学を運営していく上で一番重要な人であろうと思いますので、重ねて各大学なりあるいは研究所なりにこの趣旨を十分徹底されて、いまのうちからできたら協力を頼むということをぜひとももう少し徹底させておく必要があろうと思いますが、どのような方法をいまお考えでございますか、何かありましたらお聞かせ願います。
#197
○政府委員(宮地貫一君) 先生から前に御指摘もあったわけでございまして、確かに私どもも、それぞれ組織と申しますか、国立大学協会でございますとかあるいは私立通信教育協会、そういう方々とは十分御連絡をとり、法案の進展状況に応じて御説明をしながら今日まで計画を進めてきておるわけでございます。
 御指摘のように、もう少し若い層の、まあ教官層と申しますか、実際に御協力をいただかなければならぬ方々、そういう方々へのもっと浸透なり説明を十分尽くすべきではないかという御指摘でございまして、その点もまことに御指摘のとおりだと、かように考えます。
 具体的な進め方といたしまして、従来、放送教育開発センターの方で、それぞれ研究を中心にいたしまして、客員教授でございますが、御協力を何人かいただいてきておるわけでございます。そういう具体的な教官スタッフの方々で従来からも御協力をいただいておりますような方々、そういう人たちを通じまして、さらに実際に教官層の中で協力をしていただく層を広めていくということが、これは大事なことだと、かように考えます。そういう点も、すでに動いております放送教育開発センターの方々とも十分御相談をしながら今後進めてまいりたいと、かように考えます。
#198
○高木健太郎君 残念なことには、大学には非常に学閥というものがございまして、今度放送大学をおつくりになりましても、その大学大学で本当に放送大学の教官に対して協力をしてくれるのかどうかということは、私は余り楽観的にお考えにならない方がいいと。そういう意味では十分いまからその趣旨を徹底させておかれることが必要であるので、重ねてその点をよろしく申し上げたいと思います。
 実は英国の方を見ますと、一九六三年には大学の進学率が七%あるいは八%であったと、そういうときにこの放送大学という問題が起こってきているというふうに私承知しておりますが、いま英国はどれくらいのものになっているのか、もしおわかりになったらお聞きしたいと。そして、英国はいまやっておりますが、何かこれに対して、これは気をつけなければならないという欠陥が発見されたかどうか、この点もしおわかりになったらお聞きしたいと思いますが、もしおわかりにならないとすれば、これは十分お調べになりまして、他山の石としていただきたいということをここで申し入れておきます。
 次は、いま仲川委員からお話しになりました、私も身障者の方は非常に重要だと思いますが、募集要項でこれはうたうということですが、この趣旨は、実はだれでもがいつでも入れるという、そういうところに特徴がある。いままでは入学試験というようなものがあってセレクトしたと、それをセレクトしないで入れるということですから、身障者も入れなきゃならぬ、あるいはまた長期療養者も入れなければならないということで、そういう人たちがいろいろ注文を出された場合に、はなはだお困りになるんじゃないかというふうに思うわけです。これを募集要項で初めから切るということになりますと、これは何にもならなくなってしまいますので、この点は十分ひとつ御考慮をお願いしておきたいと思います。
 また、こういう人でなくても、現在四〇%近くの人が大学へ進学していると、あと六〇%はみんな来るというわけじゃございませんけれども、しかしその方々の中には大学に来て勉強をするというための適性を欠いているという人もあると思うんです。これは私は差別ということではなくて、非常にある程度個性が強いとか、あるいはある点では非常にすぐれているとか、そういう方々がおいでになりますけれども、一般教養というものにはこの人たちは非常に不適当である。入学試験の一つの目的は、共通入試でも御存じのように、その適性を見るということにございますが、何もかも入れられて、後で学習センターなんかでその教官が大変お困りになるということは起こらないかどうか、その点はぜひこれはお考えになっておく必要があろうかと、これが私の第二の注文でございます。
 また、奨学金というような制度はどうなさいますか。これは質問のところには書いておきませんでしたが、そういうことをお聞きしておきたい。
 日本は相当大学の進学率のいいところでございますので、もうあとに残った方々が本当にアンケートのとおりにおいでになるのかどうかさえも、余り楽観的にお考えにならない方がいい。十分厳しい数字を出しておかれる方が私は今後の対策としては重要なことであろうと思いますので、私の方からばっかり申し上げますけれども、なかなかそこまでお考えが及びませんでしたならば、お聞き取り願って慎重にお考えをいただきたいと存じます。――何かもし御発言ごさいましたらお聞きしておきたいと思いますが。
#199
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の点で、イギリスの高等教育への進学率でございますが、ただいま手元の資料で、一九七六年では十八歳人口に対しまして二二・六%という数字がございます。
 それから、御指摘の、それぞれ身障者に対する対応の仕方、それからまた適性というものも十分配慮しなければならない点については、十分御指摘の点を、今後大学当局が具体的に進めていくに当たって十分配慮をすべき大事な御注意ということで私ども対応をしてまいりたい、かように考えます。
 それから、奨学制度の点をどう考えるのかというお尋ねかと思いますが、現在通信教育を受ける学生に対する奨学金という点で申しますと、スクーリングについての実態を考慮いたしまして、通年スクーリングの場合ですと月額二万七千円、一般態様の場合と同様でございますが、それから夏季等の特別の時期のスクーリングの場合に、一期間で六万円というような通信教育の場合の奨学金の仕組みというものがあるわけでございまして、放送大学の場合の奨学金のあり方、御指摘のような奨学金を出すところまで対応するのかどうかという基本問題ももちろんあると思いますが、通信教育の場合のこともあわせ考えながら、私どもとしては今後の検討課題として対応したい、かように考えます。
#200
○高木健太郎君 この点ぜひお考えいただきたい。と申すのは、実は現在大学へ通っている学生は、本当ならば勤労者として働いているその人たちの税金によってその大学に通っておるということになりますので、勤労者というものに対しては十分私は見てやらなければならない。ただ、一時人数が多くなりますので、どのようにされるのか、この点もいまのうちから少しずつお考えになっておかれることが重要だと思いますので、念のために申し上げたわけでございます。
 もう一つは、私自体はこれで何か資格を与えるというようなことは余り好ましくないと本当は思っておるわけでございますけれども、励みになるとかいうこともございますし、それによって社会的に地位が上がるということもございましょう。そういう意味で、また普通一般のような大学になってしまうということはまことにちょっと残念なような気もいたしますが、ただ一単位をとったという場合には、どういう資格あるいは社会的評価というものをお与えになりますでしょうか。
#201
○政府委員(宮地貫一君) まあ科目履修生というような方々が多くなるだろうということも十分想像されるわけでございまして、そういう方々に対する単位の修得ということについては、単位修得の証明書というような形で具体的には対応するということになることであろうかと思います。
#202
○高木健太郎君 ただ、社会的な評価とか、それによって何か給与の面とか、そういうことに響くかということを申し上げたかったわけで、それらが社会的にどういうふうに評価されるかはこちらがやってやらない限り評価というのは出てこないわけで、それは趣味の段階に終わりゃしないかと思いますので、それも何らかの働きかけをしておかないとむだになりはしないかと。あるいはあと一単位足らなかったというためにその人は全然とらなかったのと同じようになるということになっても大変気の毒じゃないか、そういう者の取り扱いも一応ここで考えておく必要があろうかと思います。
 それから、これは一般教養というものをお考えになりましたけれども、ここで英国の方なんかは、一般教養というよりも、わりあいに実務的な数学であるとか、あるいは工業技術であるとか、そういうものをもこれに含めて、いわゆる専門課程と言われるようなものが含まれているわけです。あるいは職場に働く人の再教育であるとか、いわゆる社会的要請というけれども、この働く人の方へ目が向いているということになっているわけです。この放送大学には、そのような専門コースあるいは専門課程に相当するようなもの、あるいは再教育をするようなもの、そういうものをお考えかどうかが第一点です。
 その次には、いわゆるポストグラデュエートのようなものは将来必ず出てくる問題だと思いますが、そういうものはお考えかどうかということです。このポストグラデュエートは、いまの現存の大学でも研究科がないためにそこで学位がとれない。そうなりますと、その大学が非常に評価が低く見られるということで、この研究科を置くということは非常に大きく浮かんでいるわけです。そういう意味では、将来りっぱな教官をお集めになる上で、どうしてもポストグラデュエートのコースをこの大学に置くことを迫られるのではないか、私はそう思うのですけれども、そのような計画をお持ちかどうかということが第二点です。
 第三点に、一般教養というものをお選びになりましたけれども、なぜ一般教養課程というものをお選びになったのかということをお聞きしたいわけです。というのは、局長よく御存じだと思いますけれども、既存の大学では教養学部というのは二年の課程でございまして、いわゆる専門課程にげたをはいているというような形で存在しているわけで、全国でも広島であるとか、あるいは東大であるとか、ごく限られた大学が一般教養学部というものを持っておる、一般教養学部の一般教養の先生方はそれに対して非常に不満を現在抱いているわけです。そして、自分たちも講座制にしてもらいたい、あるいは研究費が非常に過小である、研究も十分いかないということを絶えず嘆いて文部省なんかにもそれぞれお申し出があると思いますが、この際、一般教養学部というようなものをこの大学の中に置いたとしますと、それとの摩擦なり、あるいはそれらの不満なりがどういう形で出てくるかということを私は非常に心配をしておるわけです。そういうことについて何かお考えがございますかどうか。――それじゃそこまでをひとつお願いいたしたいと思います。
#203
○政府委員(宮地貫一君) この放送大学は教養学部――これは、東京大学の場合に教養学部というようなものがあるわけでございまして、教養学部を設置しておりまして、その趣旨は従来から申しておりますような幅広く総合的な、学際的な領域を取り上げるということで、従来「放送大学について」という資料でも、開設予定の授業科目にもコース別に学際的な考え方で幅広い取り上げ方をしていくということを御説明申し上げてきておるわけでございます。
 そこで、お尋ねの点は、従来既存の国立大学についても特に教養学部と申しますか、むしろ一般教育担当の教官の方々と専門学部の教官の方々との、いろいろ教育研究をするに当たっての格差と申しますか、一般教育担当教官にそういう点がいろいろと不満といいますか、そういう形のものがあると。一般の従来の国立大学についてそういう問題は確かにある点は承知もいたしておりまして、その都度私どもとしても予算的な対応でございますとかいろいろ考えておるわけでございます。御指摘の点は放送大学に教養学部を置くとそういう問題点が持ち込まれることになりはしないかという御心配でお尋ねがあったんではないかと思うわけでございまして、その点は一般教育という形でのものではなくて、むしろ教養学部として、これ自体を東京大学の教養学部のような、従来の既存の例で申せばそういうものになるわけでございますが、そういう形で置くわけでございますので、いわゆる一般教育と専門教育との間の問題点という点では、必ずしも従来言われておりますような問題点は出てこないのではないかと思いますが、御注意の点は十分私どもも配慮をしていかなければならぬかと思っております。
 それから、もちろんオープンユニバーシティーはいろいろ専門の学部構成ということで来ておりますけれども、教養学部を置きました趣旨とか、あるいは電波の制限でございますとか、いろいろな点もございまして、幅広くやるという形で教養学部を私ども取り上げておるわけでございます。将来資格取得というような形で何か実際の職業に結びついた学部というようなものを考えるのかという点でございますが、将来の課題としてはそういうことも出てまいるかと思いますが、当面は、この教養学部でのただいま御説明申し上げておりますような形で、まずは実現をし、充実を図っていく。ポストグラデュエートの問題についても、一般的に既存の大学についても、やはり大学院というような問題が研究者、特に優秀な研究者を確保するという点からは、そういう点が配慮しなければならない点ではないかという御指摘、まことにそのとおりなんでございますが、その大学院の問題にいたしましても、また教養学部以外の学部の問題にいたしましても、将来の課題としてはそういう点は御指摘のとおり出てまいるかと思いますが、当面は私ども従来御説明を申し上げておりますような放送大学のまずは第一期のこの計画を実施させていただきまして充実を図り、さらに将来の発展の課題としては、そういう御指摘のような点を検討課題とさせていただきたいと、かように考えております。
#204
○高木健太郎君 若い人を集めてそこでりっぱな教育をしようと思えば、りっぱな人間が集まるということが一番先決問題になるわけですね。国公私立のいろいろの大学の協力を得て、という言葉がこの中に非常に多いわけです。だから、この大学というのは本当は独立した大学ではなくて、おんぶしてもらわないと歩けないというそういう大学でございますから、その点は、中に非常に優秀な人を集めて、だれが見てもあれならばやれると、どこの大学に行ってもあれの言うことならば一緒に協力すると、そういう人間を集めないと、かっこうだけ国立にしてもそういう人間をぼくは集められないんじゃないかと、この点は私は心配しますので、ぜひとも研究科というものを置いて、そしてどのような研究をするか、それが魅力のある研究課題であると、そういう研究がそこができるところであると、こういうことがないと放送大学というようなものをやっても中がからになっちゃいやせぬか、それを心配するわけです。いま大学本部は二万八千平米ということを聞いておりますが、まあ九千坪でございます。そこに三十名の教授と、助教授が四十名、その他専門職がいるということを聞いております。――そうでございますね。本部の方は三十名がおられると。結局研究の主体はここでやらなければならぬ。この研究はどういうことをおやりになるかと、ちょっと見てみますと、いわゆる放送メディアというものを使ってどのような教育ができるか、そういうものがこの緑の本の二十ページのところに(1)、(2)、(3)として書いてございまして、しかし、これはまだまだ固定的な研究体制でないと、今後よく考えていかなきゃいけないと、こういうふうに書いてございます。これは教育方法が非常に主体になっておりまして、それでも、私は、おもしろいと思う人はおもしろいと思いますけれども、これが人を引きつけるだけの魅力のある課題であるかと、これもやっぱり練っておかれないと後でお困りになるんじゃないかと思います。いまの本部のあるところが九千坪では問題にならぬと思うんです。広さから言いましても、将来専門課程をつくるとしましても、問題にならぬ。だから、その周辺に十分のゆとりのある土地があるかどうかも、いまのうちに私は考えておかなければならぬことだと思います。これは私から申し上げてばっかりで、お考えになっていることだと思いますので、このことだけを申し上げておきたいと思うわけです。
 次に移らせていただきますけれども、放送というものは一つの教育なり、通信のメディアである。教育そのものではなくて、方法であるということなんです。英国では一〇%をそれに頼っている、日本では三〇%ぐらいをこれに頼っているということでございます。そうなると、どうも私ひっかかるのは、放送大学という名前が、どうもちょっと耳ざわりになる。本当は中身はそうじゃないんじゃないか。テキストもあるし、学習センターにも行かれる中で研究もやるりっぱな大学なんだと。それを放送大学という名前で一括しますと、そこは放送ばっかりしているんじゃないかと、そういう大学にとられやせぬかという気が私はするわけです。これもいろいろ御意見が出た中で、恐らくいままでの方々が苦労なさったあげく放送大学という名前をおつけになったと思いますが、この放送大学学園法案の資料を見まして、第三早総則、第一条目的というところがございますが、「放送大学学園は、放送等により教育を行う大学を設置し、」というのがあるわけです。この「放送等により教育を行う大学を設置し、」ということで、ここの中に何の研究という字が一つもないわけなんですね。「教育を行う」ということだけが書いてあります。御存じのように、学校教育法の「大学」というところの五十二条には、「大学は、学術の中心として、広く知識を授ける」、これはこのとおりです。ところが、「深く専門の学芸を教授研究し、」というのが必ずついているわけです。大学というものの本来の姿は、私がこの前も申し上げましたように、教育をしようと思えば、自分自が研究をして、創意工夫をこらして、そこの中から新しいもの、創造性のあるものをつくり出していかなければ私は本当の教育というのはできない、人の受け売りだけで本当の教育というものは私できるものではない、そういうふうに考えておりますので、何とかして第一条のところを一遍お考えいただきたい。どうして教育を行う大学にしちゃったのか、どうもそっちの方が薄くなっているんじゃないか。しかも、本来の教授というのは三十人である。やっていることは何課目と非常に大きいと、そこに三十人の教授と四十人の助教授がおると、あとは非常勤でみんな雇いますという他力本願的な面が非常に大きく私には見えるわけです。そうなりますと、この放送大学というのは、大学という姿よりも、どちらかと言えば、教育の共同利用機関というような、あるいは共同利用機構というような気がいたします。私、自分自身名前をつけますと、公開教育共同利用機構。そうすれば、余り研究もしないでもいいかもしれませんし、おのおの大学の人がたくさん寄ってきて、そこで勉強されるということもいい。まさかそういうことをお考えになっているとは思いませんので、そういう魅力のある大学というものはこういうものだ、いままでの大学とは非常に違うけれども、その真髄はいままであった大学と変わらないんで、そこから新しいものを生み出すんだというような、張りというか、自分の、何というか、目的と言いますか、そういうものをバリッと打ち出さないと、余りに他力本願になって、あちらもこちらもやってくださいやってくださいでは、私はイニシアチブはとれないというような気がいたしますので、非常にわかり切ったことを申し上げて恐縮でございますけれども、ぜひひとつお考えをいただきたいと思います。
 時間もございませんから私だけにしゃべらしていただきますが、もう一つは、教官の選考というときに、これは非常に苦労をされると思います。全国から一様に集めるなんということはできません。といって、東京近在の大学から全部集めていくということだと、今度は諸方の地方の大学から非常に文句が出るだろう。あるいはまた、若い人はなかなか来ないとすると、今度はお年寄りの私みたいなものばっかりそこへ集まるというようなことになっても、使い古しがそこへ来ても余り役に立たぬ。だからやっぱり体力、知力ともにすぐれた教官をお集めにならなきゃならない。しかも、それが学閥にもとらわれない、しかも偏向した考えを持っていない、公平な考えを持っている、そういう人をお集めにならなければなりませんので、これは大変御苦労の要ることだと思いますが、ここにはいろいろ名前が載っておりまして、この方々が、いろいろ各専門委員会というのがございまして、そこに組織運営専門委員会というのがございまして、りっぱな先生のお名前がここに載っております。あるいはその次のいろいろ委員会というものがございますので、そういう方々に御相談をしていただいて、ぜひ、そういう後ろ指をさされないようなりっぱな教官陣をつくっていただく、しかも魅力のある大学にしていただく、こういうことを重ねてお願いをしておく次第でございます。
 もう一つ申し上げたいのは、やはり、先ほどから本岡さんも申されておりましたように、私としては、この放送というものは非常に大きな力である。前にも申し上げましたように、これはもろ刃の剣である。よくいけばいいが、悪くいけばこれは非常に危険なものであると私は思っております。そういう意味では、これの使用法というのは十分注意しなければならない。特に、全国に画一的なプログラムが流れるということは、これは非常におもしろくないという人が多いわけなんですね。そういう意味でも、これは中央集権的であるとか言う人もありますし、地域性が全然なくなってしまった、また昔の「サクラ読本」というようなことを言われるというふうなことになっても私いけないと思うんです。そういう意味では、あらかじめ地方の人々のやはり了解を取りつけて、ぜひ、画一的でない、いろんな意見をそこに取り入れたそういう放送を、お考えでございましょうけれども、その批判が一番強くこれから当たってくると思いますので、十分なひとつ御配慮をお願いしたいと存じます。
 最後に、放送、特にテレビでございますけれども、テレビがいいのは動いているところが見えるということでございます。動かなくてもいいようなもの、たとえば絵のようなものであるとか、そういうものは動かなくてもこれはいいわけです。そういうものはテキストへお入れになる。動くものというものは自然科学系に非常に多いわけです。だから、何にどういうものを使うかということは、これはこれから委員会で十分おやりになることでございましょうが、ただ見るというのは結局だめでして、手で動かさなくてはだめですね、自然科学は。手で動かすということになりますと、英国でもやっておられるように、自宅の実験設備というふうなものを英国ではやっている。これは二百何十点というものをやっているというふうに書いてございます。これは学習センターに置かれますか、あるいは各地方の大学に置かれるか知りませんけれども、そういう実験装置というのをそろえなきゃならない。これがいま非常に高いものなんですね。これは予想外に金を食われるんじゃないか。そして、三年か五年かたつと、これまた廃棄していかなきゃ古くなっちゃうと。そうすると、全国二百カ所以上にそういう学習センターを持っておられて、そこにそういう実験設備を置かれるとなれば、これは膨大な経費になってくるんじゃないかなということを私心配するわけです。このためにも、やはり地方大学あるいはその他の大学と、これはあらかじめどれくらいのものがかかるということも計算し、お考えになっておかなければならぬことではないかと思うわけでございます。
 きょうは余り時間がないということでございますので、この点で私、質問を終わりたいと思いますが、私、自分の思いつくとおり申し上げまして、お答えは恐らく余りいただけないんじゃないかと思いましたので、自分だけでしゃべりましたが、もしお考えのほどございましたら、どうぞひとつこちらにお聞かせ願いたいと存じます。
#205
○国務大臣(田中龍夫君) 大変に御懇篤ないろいろの御注意をいただきましてありがとうございました。
 先生の申されました個々の問題につきましては、また役所におきまして十分に検討をさせていただきまして、今後ともによろしく御指導をいただきたいと思います。ありがとうございました。
#206
○高木健太郎君 質問を終わります。
#207
○委員長(降矢敬義君) 本案に対する審査は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#208
○委員長(降矢敬義君) 次に、放送大学を設置するための国立学校設置法及び放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 発議者勝又武一君から趣旨説明を聴取いたします。勝又君。
#209
○勝又武一君 ただいま議題となりました放送大学を設置するための国立学校設置法及び放送法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。
 近年におけるわが国の高等教育の急速な発展と社会の複雑・高度化の進展を背景に、国民の大学教育の機会の拡大、大学の社会への開放あるいは学問の国民への還元に対する要請は、ますます大きなものとなっております。これらの国民的要請にこたえるため、放送を効果的に活用する大学を設置することは、まことに重要な課題であります。
 しかし、このような放送を利用する大学が国民の要請にこたえて本来の役割りを果たすためには、少なくとも次に述べる四点について十分な配慮が行われることが不可欠であります。
 すなわちその第一は、学問の自由・大学の自治が保障され、国からの独立が確保されていることであります。第二に、放送の本質・公共性にかんがみ、実質上の国営放送になってはならないことであります。第三は、学問の自由・大学の自治と放送上の公共・公平の原則を適切に調整する必要があるということであります。そして第四は、全国的に教育の機会を保障するとともに、文化の多様性及び地域性を確保するということであります。
 しかるに、現在政府から提案されている放送大学学園法案は、これまでの審議の中で明らかなように、これらの点に対する配慮がまことに不十分であり、とうてい国民の期待にこたえる大学になるとは思えないのであります。
 そこで、われわれは、国民の大学教育及び生涯学習の機会に対する要諮に真にこたえるために、学問の自由・大学の自治が確立されている国立の大学として放送大学を設置するとともに、その教育に必要な放送は国からの独立が保障されている日本放送協会が行うことが最も適当と考え、この法律案を提案した次第であります。
 次に、このような構想を採用いたしました理由につきまして、政府案と対比しながら述べてみたいと存じます。
 まず第一に、政府案は、放送大学の設置主体として特殊法人放送大学学園を設けることとしておりますが、大学を設置する特殊法人であるという特質を全く配慮することがなく、その理事長、監事及び運営審査会委員の任命権を無条件で文部大臣にゆだねております。さらには、理事会を法定することなく、理事長への権限の集中を図っております。これでは、文部大臣の支配管理も可能となり、放送大学学園の国からの独立をとうてい担保することはできません。また、大学組織についても、評議会のみを法定して、これに人事権を付与するなど、少数の評議員中心の大学運営を予定しております。これでは、教員全体の意見が大学運営に反映する保障はなく、学問の自由・大学の自治が脅かされるばかりでなく、教職員の積極的協力が期待されないのであります。
 これに対して、本法律案のように、放送大学を国立大学として設置すれば、既設の国立大学と同様に、人事権を初めとする重要な権限は教授会に属することとなり、大学運営に対する教員全体の意見が反映され、大学の自治が担保されることになります。また、放送大学が、国立大学協会の一員として、協会及び全国立大学によってその自治が支えられ、補強されることも見逃せないところであります。
 なお、放送大学に不可欠な既設の国立大学等の教員の協力を得るなど、その提携協力関係を確立する上でも、また、政府案のごとく任期制をとる必要もなく、同じ教育公務員の身分を保障したままで人事の交流を行うことができる点においても、大きな利点があると言うことができます。
 第二に、政府案では、さきに述べましたように、国からの独立性がきわめて弱い放送大学学園が放送事業者となっており、事実上の国営放送になりかねないのであります。これでは、国民の世論操作や思想統制の手段に放送大学が利用されるおそれすら指摘せざるを得ないのであります。
 これに対して、本法律案では、大学の自治を保障された放送大学が教育を、国からの独立に種々配慮されている日本放送協会がその教育に必要な放送を、それぞれ行うことによって、国営放送となる危険性を全く排除しているのであります。
 第三に、政府案では、放送事業者の番組編集権と大学の教学権との調整を、同一法人内部の問題として処理するため、特殊法人方式を採用したとしております。しかし、特殊法人方式によって問題が解決したわけではなく、むしろ、両者の調整が国民の目に触れないところで、しかも理事長の強い権限を背景に番組編集権の優位のもとに安易に解決されるおそれが強いのであります。このことは、放送番組を水準の低い魅力の乏しいものにすることになります。
 これに対して、本法律案では、イギリスにおけるオープン・ユニバーシティーとBBCとの関係のように、放送大学と日本放送協会とが教育界における提携者の関係に立って、両者の調整が国民に開かれた形で行われることを予定しております。またこの調整は、必ずしも容易な問題ではなく、その真剣な努力がよりよい放送番組をつくり上げるゆえんでもあり、さらには印刷教材、通信指導、スクーリング等の充実をもたらすことに結びつくものと考えるのであります。
 第四に、国民の全国的な教育機会をどう保障するかについて、政府案の場合、その将来計画があいまいなままに、とりあえず東京周辺地区に放送大学を発足させようとしているばかりでなく、将来も画一的な放送番組を全国一律に放送することを予定しております。
 これに対してわれわれは、大学発足に先立って広く関係者を網羅して放送大学創設準備委員会を設け、放送大学と日本放送協会との協力のあり方、既設の大学の協力の確保、具体的な将来計画などについて十分に検討を行うことを予定しております。特に、将来計画の確定とその速やかな実現については、すでに全国放送の実績を持つ日本放送協会の協力が大きな力となることは言うまでもありません。さらに、ローカル放送の活用等によって、文化の多様性及び地域性の要請にこたえる講義番組を提供する可能性が大きいことも見逃がすことのできないところであります。
 なお、日本放送協会が、多年にわたる教育・教養放送の経験、すぐれた放送技術の蓄積とその開発の能力を持っていることは他の追随を許さぬものがあり、これらを放送大学の教育に活用できることもきわめて大きな利点であります。
 以上申し述べました理由により、本法律案を提案した次第でありますが、その内容は次のとおりであります。
 その第一は、放送等により教育を行う大学として国立の放送大学を設置し、通信による教育を行う教養学部を置くこととしております。
 また放送大学に本部を設けるほか、学習指導に必要な地方センターを設けることとしております。
 第二には、放送大学においては、その教育及び研究の充実を図るため、他大学その他の教育研究機関と緊密に連携し、これらの機関の教職員の参加を求めるように努めなければならないこととしております。
 第三には、放送大学における教育に必要な放送は、日本放送協会が行うこととするとともに、その放送は放送大学の編成した教育課程に準拠して編集された放送番組により行われなければならないこととしております。
 第四には、日本放送協会が放送大学の放送番組の編集を行うに当たっては一放送大学と協議して定める準則に従って行わなければならないこととしております。
 また、国内番組基準の適用除外等を行っております。
 第五には、日本放送協会が放送大学における教育に必要な放送を行うに要する費用は、国の負担とすることとしております。
 第六には、この法律は昭和五十七年四月一日から施行するとともに、放送大学は昭和五十九年度から学生を入学させることとしております。
 最後に、大学には通信による教育を行う学部を置くことができるなど、関係法律に所要の規定の整備を行っております。
 以上が、本法律案を提出いたしました理由とその概要であります。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#210
○委員長(降矢敬義君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#211
○委員長(降矢敬義君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、吉田実君が委員を辞任され、その補欠として堀江正夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#212
○委員長(降矢敬義君) 次に、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、午前中質疑を終局しておりますので、これより直ちに討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#213
○委員長(降矢敬義君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたします。
 大島君から発言を求められておりますので、これを許します。大島君。
#214
○大島友治君 私は、ただいま可決されました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合の各会派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   昭和四十四年度以後における私立学校教
   職員共済組合からの年金の額の改定に関
   する法律等の一部を改正する法律案に対
   する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について検討し、速やかに
 その実現を図るべきである。
 一、長期給付に要する費用に対する国の補助率
  を百分の二十以上に引き上げるよう努めるこ
  と。
 二、長期給付に対する日本私学振興財団の助成
  金について、必要な強化措置を講ずるよう努
  めること。
 三、地方財政の実情にかんがみ、長期給付掛金
  に対する都道府県の補助を充実するため、必
  要な措置を講ずるよう努めること。
 四、遺族年金の給付水準については、受給者の
  生活実態等を考慮し、さらに充実するよう検
  討すること。
  右決議する。
#215
○委員長(降矢敬義君) ただいま大島君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#216
○委員長(降矢敬義君) 全会一致と認めます。よって、大島君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田中文部大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。田中文部大臣。
#217
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御決議がございました事項につきましては、御趣旨に沿いまして十分検討をいたしたいと存じます。ありがとうございました。
#218
○委員長(降矢敬義君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#219
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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