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1980/02/26 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 大蔵委員会 第3号
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1980/02/26 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 大蔵委員会 第3号

#1
第094回国会 大蔵委員会 第3号
昭和五十六年二月二十六日(木曜日)
   午後六時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十三日
    辞任         補欠選任
     近藤 忠孝君     宮本 顕治君
 二月十四日
    辞任         補欠選任
     宮本 顕治君     近藤 忠孝君
 二月十六日
    辞任         補欠選任
     板垣  正君     野呂田芳成君
     江島  淳君     藤田 正明君
     梶原  清君     藤井 孝男君
     高木 正明君     塚田十一郎君
 二月二十四日
    辞任         補欠選任
     鈴木 和美君     佐藤 三吾君
 二月二十五日
    辞任         補欠選任
     佐藤 三吾君     鈴木 和美君
 二月二十六日
    辞任         補欠選任
     三治 重信君     伊藤 郁男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 太郎君
    理 事
                衛藤征士郎君
                嶋崎  均君
                藤井 裕久君
                穐山  篤君
                塩出 啓典君
    委 員
               大河原太一郎君
                梶木 又三君
                古賀雷四郎君
                塚田十一郎君
                野呂田芳成君
                藤井 孝男君
                大木 正吾君
                小谷  守君
                鈴木 和美君
                和田 静夫君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                伊藤 郁男君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       大蔵政務次官   浅野  拡君
       大蔵大臣官房会
       計課長      加茂 文治君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵省主計局次
       長        吉野 良彦君
       大蔵省主計局次  西垣  昭君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  渡辺 喜一君
       大蔵省証券局長  吉本  宏君
       大蔵省銀行局長  米里  恕君
       国税庁直税部長  小幡 俊介君
       国税庁調査査察
       部長       岸田 俊輔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊東  保君
   説明員
       経済企画庁物価
       局物価政策課長  中田 一男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、板垣正君、江島淳君、梶原清君及び高木正明君が委員を辞任され、その補欠として野呂田芳成君、藤田正明君、藤井孝男君及び塚田十一郎君が、また、本日、三治重信君が委員を辞任され、その補欠として伊藤郁男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(中村太郎君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 前回の委員会におきまして財政及び金融等の基本施策について渡辺大蔵大臣から所信を聴取いたしておりますので、これより大臣の所信に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○穐山篤君 大臣、大変御苦労さまでございます。
 五十六年度の予算の問題は後ほどお伺いしますが、日本と非常に関係の深いアメリカの経済の問題について若干お伺いをしておきます。
 二月の十八日ですか、日本時間で十九日になるわけですが、レーガン大統領が経済の再建計画というものを発表しました。これについての内外の評価というのはいろいろあります。いろいろありますが、日本の財政を扱います大蔵大臣として経済政策の四本柱についてどういうふうに御感想をお持ちですか、まず冒頭にお伺いしておきます。
#5
○国務大臣(渡辺美智雄君) レーガン政権が非常に効率的な身軽な政府をこしらえるのだということをスローガンにして歳出の削減、減税、政府規制の緩和、安定的金融政策という、いわゆる四本柱を立てたわけであります。それによって現在の不況とインフレから民間の活力を取り戻して、ひとつアメリカ経済を立て直そうというような中期的視野に立った思い切ったものである、かように考えております。これによりまして米国の経済が再建をされるということになれば、日本ばかりでなくて世界の自由国家陣営にとっては、私は世界の経済にとっても大変プラスになることじゃないか、そう考えておる次第であります。ただ、これがそのほかに防衛費の増額とかいろんなことも一緒に言っておるわけであって、ちょっと考えるというと。果たして減税とそういうものと一緒にうまくできるのかどうなのか、われわれとしては非常に期待をして実は見ておるところであります。
 この間私はアメリカに行ったときに、予算局長のストックマン氏とも会談をしてきましたが、なかなかこれはむずかしいことでしょうと言ったら、非常にむずかしい、おやりになれるのですかと言ったらば、どんなむずかしいことがあっても国民世論が支持をしているから、議会は大変だと思うけれどもあえてやるんだというようなことを言っておりました。
#6
○穐山篤君 日本への影響という問題も当然あるわけですが、アメリカの経済を見てみますと、物価の上昇率、それから失業の率、金利、いずれも二けたであります。これを一けたにするというのは容易ならざることで、いろんなところの分析を見ましても当分の間続くだろう、二けたないしは二けたに近い状況がしばらく続くだろう、こういう厳しい見方をしております。私はこれも当然だろうというふうに思うんです。
 そこで、参考までにお伺いをするわけですが、現在アメリカのドルが世界じゅうにいろんな形で流動しておりますね。中でもアメリカ系の銀行あるいはメジャーというものがいろんな国で投資をしたり、多国籍企業としてのことがあるわけですけれども、このアメリカ系の銀行が持っております過剰流動ドル、こういうものがアメリカ本国に吸収をされなければ、一言で言ってみまして、金利問題を一けたにするということはなかなかむずかしい。しかし、アメリカの金利が高いもんだから、逆に言いますと、世界に流れております過剰流動ドルというのは、またそれはそれなりに働いているわけですね。そういうことを考えてみますと、アメリカの経済の再建というのは非常に厳しいものになる。必然的にその影響が日本を含むいろんな国に肩がわりを要求をされる、あるいはアメリカの経済をできるだけ早く回復するために自由主義諸国が補強工作をせざるを得ない、こういうふうな印象を非常に強く持つわけですが、そういう点について大臣いかがでしょう。
#7
○国務大臣(渡辺美智雄君) たとえばIMFとか世界のいろんな機構に対するアメリカの出資というようなものについて、消極的になっているんではないかと見られる節も実はないわけではないわけであります。しかしながら、やはりアメリカが急激にそういうような他国との直接関係あるような問題について、自分だけで独走するということは私はないんじゃないかと、やはりそれらについてはいろいろ関係国と話し合った上でやられることだと思っています。ただ、アメリカ自身が非常に苦しい経済状況にありますから、自分を立て直すために国内的にいろいろな手を打ってくると、そのとばっちりというか、わかりやすく言えば……、影響を受けないかと言えば、多少の影響は当然私はあるだろうと思っております。
#8
○穐山篤君 政治的、経済的あるいは軍事的いろんな分野で影響があるというのは当然予想してかからなければならぬわけですが、日本の財政の分野から考えてみて、いまから十分に防衛対策といいますか、十分に準備をしておかなければならぬ分野があると思うんですね。明確には数字は出ておりませんけれども、たとえば軍事の問題について日本はかなり肩がわりを要求をされる、これは日米安保条約という立場も踏まえて要求をされることについては、十分に見通しをしておかなければならぬ課題ではないだろうかと、こういうことが一つありますね。
 それから、大臣の直接の所管ではないにいたしましても、日本から自動車その他いろんな物が輸出されておりまして、アメリカでも手をやいているし、EC諸国でも手をやいている問題がある。それらについても最終的に日本の財政に大変なかかわり合いを持ってくることも承知をしなきゃならぬと思うんです。日本の財政がいま非常に厳しいときであるだけに、心の準備というものをしっかり踏まえておかなければならぬと思うんです。
 そこで、大蔵大臣として財政の分野からどういうふうな心の準備をいまからしておかなければならぬのか、その点、考えられます範囲で結構ですから明らかにしてもらいたい。
#9
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま例示をされましたいろいろな日本の輸出というような問題について懸念はないかということでございますが、すでに通産省などでも、集中的な輸出というものが迷惑をかける場合もございますので、共存共栄をしなきゃならぬから、それについては秩序のあるお互いに納得のいくようなものにしようということで自発的にいろいろやっておるようでございます。アメリカの経済が立て直ってくれればそれはむしろ日本にとって非常なプラスになることであって、一刻も早く立て直ってもらいたいということが先であります。
 ただいま軍事予算等において、日本で言えば防衛予算でございますが、ともかく非常に大きく要求をしてくるんじゃないかというような御心配の向きもあろうかと存じます。しかしながら、防衛の予算というものは、日本は日本の独自な立場でやはり日本人が最終的には決めていくことであります。ただ、日米安保条約というものを結んでおりますから、日米安保条約が役立たないような防衛体制でもこれは困るわけでありまして、それは日本防衛のために日米安保が機能するという中で、しかもどういうようなやり方があるか、少なくともこれについては日本の国内の事情というものも大きく影響するわけであります。したがいまして、防衛予算等でアメリカが極端なことを要求するということは私はないと思っておりますし、この間私が訪米したときにも、いろいろな方々とお会いをしていろいろお話しもしてきました。やはり最終的にはそれは日本政府が決めることですということでございます。したがって私どもとしては、防衛費の予算については日本の財政事情その他いろんなもろもろの事情を勘案した上で決めていくことでございますので、それほどの心配はしておりません。
#10
○穐山篤君 毅然たる態度で節目をつけるという考え方はよくわかりました。
 大臣の所管ではありませんけれども、ちょっとお考えを伺いたいわけです。
 それは日米の経済摩擦、貿易摩擦というものが長年続いているわけですが、たとえば電電公社の機材の問題についての開放という問題が長年政治問題になっておりましたが、ある意味では一件落着をしました。それから外国たばこ、なかんずくアメリカのたばこの問題についても大筋解決をしたわけです。よく振り返ってみますと、一品ずつ処理をしているという感じですね。それもそういう方法があろうと思うんですが、さて、これからは――自動車を筆頭にしていろんな問題が現にあるわけです。たとえば先端分野の商品で見ましても、半導体のICがアメリカに比べ日本が非常にのしてきたわけですね。それからコンピューターはアメリカも約七割持っているわけですが、これも日本と西ドイツが追い上げてきている。それから航空機につきましては、アメリカの専売特許ではありますけれども、NCの装置だとかNCの工作機械、こういうものは圧倒的に日本がアメリカに対してかなり伸ばしているわけですね。それから組み立ての商品で言いますと、御案内のとおり、乗用車、トラック、二輪車、以下いろいろありますけれども、カラーテレビにいたしましても、カメラにいたしましても、相当日本製品の分野が広がってきているわけです。
 そこで、先ほど申し上げましたが、一品ずつの処理というようなもので果たしてこれから日米の貿易問題、ECの貿易問題というのが十分に解決を図られるかどうか、そういう点について危惧をするわけです。もちろん私どもといえども、それは分業の時代でありますから共存共栄ということは十分考えなければなりませんけれども、一品ずつの処理でいきますと大変な、結果として日本の産業が一つ一つ後退を余儀なくされる、こういうふうに考えられそうであります。
 そこで、大臣の所管ではないんでしょうけれども、もはやこういう状況になれば一品料理でなくて、皿にたくさん盛ったものをどうやってアメリカなりECとの間に円滑な関係を結んでいくか、こういう方法を政治的にとらなければならぬじゃないかというふうに考えますけれども、その点大臣の御感想はいかがでしょう。
#11
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは通産大臣なり外務大臣の所管でございますから、私は深入りすることを避けますが、いずれにいたしましても、日米の貿易摩擦が過熱するということは両国のためにならない。アメリカなどでも、ともかく日本の企業がもっとアメリカに進出をしてもらいたいというようなことは、指導者の方はもうしょっちゅう言っていることであります。また、日本に対しては、どうしてうまくいっているのかというようなことをしょっちゅうわれわれにもいろいろ尋ねるわけでございます。
 いずれにいたしましても、しかし、向こうが非常に誤解を持って日本を見ておる場合も実はあるわけでございまして、そういうところで意思の疎通を欠きますというと、ひょっとしたことから大きな話題を提供するようなことにもなりかねませんので、やっぱり日米両国においては外交チャネルを通して、いろいろな業界等の摩擦というものはそれが拡大しないように、またお互いが納得できるように、事前に話し合いの上で早目早目に解決をしていくということが必要ではないかと、かように考えております。
#12
○穐山篤君 きょうはその問題が本命ではありませんけれども、先ほど私指摘をしましたように、わが国への影響というのはずいぶん出てくるだろうと思うのです。それから政治的に言うならば、レーガン政権の対中国政策がどういうふうに軌道修正されるかによっても日本への政治的、経済的あるいは財政的な分野でもかなりの影響を受ける。それはメリットもあるしデメリットもあるというふうに見ざるを得ないと思いますが、十分にひとつ御研究をいただきたいというふうに思います。
 次に、財政の中期展望についてお伺いします。
 私は一月三十日の本会議の代表質問でも申し上げましたが、昭和六十年までのごく短期な展望でなくして、もう少し、昭和六十年代に入ったものを含めた中長期の展望を明らかにしなければ、今回の大増税につきましても国民は十分に納得をするわけにいかない、そういう意味でその中長期の展望を質問したわけですが、たまたまその三十日の日に閣議で「財政の中期展望」というものが決定をされて明らかにされているわけです。時間の関係がありますから、これの性格その他について深く掘り下げることはできませんけれども、どなたが見ても一見不思議に思う事柄がこの数字の上からは明瞭ですね。その点についてお伺いをしたいと思うんです。
 第一は、その歳入の見積もりの問題です。五十五年度が二二・九%。五十六年度が二二・二%。これを境にして五十七、八、九年度はいずれも一四・六、一四・〇、一四・〇というそういう伸び率になっているわけです。これについて、平たい言葉で言えば、こんなに税収を低く見積もっているのは何かその背景があるはずだ、これは純技術的な背景でなくて政治的な背景があるじゃないかというふうに問われるのも当然だと思うんですね。そこで、この歳入の見積もりの整合性があるかどうか、その根拠が十分に説明ができ得るものかどうか、まずその点をお伺いをしておきたいと思うんです。
#13
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは一応の経済見通しと、それから過去のある程度長期にわたった税の伸び率というものを機械的に掛け合わせてつくったものでありまして、具体的内容については主税局長から説明いたさせます。
#14
○政府委員(高橋元君) 今回のフォローアップの結果、昭和六十年までの成長率は年率一一・七、五十六年を起点といたしますとそういう見込みになるわけでございます。そこで、一一・七%が等率で伸びるというふうにまず考えました。次に税収でございますが、現在の三十二兆二千億という税収を基礎といたしまして、過去十年間の平均の弾性値が一・二であるということも参考にいたしまして、大体年率一四%――一四・〇四になるわけでございますが、伸びを想定をいたしたわけでございます。
 なお、五十七年度につきましては、五十六年度税制改正の平年度化が約千五百百億ございますので、それを加算をいたしまして一四・六という数字になっておりますが、発想といたしましては現在の五十六年度の、いま御提案いたしております税制改正を織り込みました後の税制が毎年毎年一一・七%ずつ伸びていく経済の中で一四%の増収を生むものと、それが毎年等率に起こるものと、こういう想定でございます。
#15
○穐山篤君 ことしの五十六年度の二二・二は、たしか積み上げでいったというふうに理解をしているわけですね。従来、昨年もそうでしたけれども、当初説明の段階では弾性値一・二を基準にして考えましたと、数字が大きくなりますとこれは積み上げをいたしましたと、こういうふうに変わっているのが特徴です、皆さん方の説明では。そこで、弾性値一・二として税収の伸びを一四%に見たと、こういうふうに言われればそれまでのことでありますけれども、やっぱり原則的に言えば、積み上げをある程度無理をしながらも行っていかないと、増収見込みにずいぶんとアンバランスが生じるというのはもう過去の歳入見込みでも決定的にあらわれているわけですね。大きく論争するつもりはありませんけれども、非常に少ない見積もりをしているというふうに私どもは指摘をせざるを得ないというふうに思うんです。
#16
○政府委員(高橋元君) ただいまお示しのございました二二・二%という数字は、実は増税が入っておるわけでございます。そこで、今年度一兆三千九百六十億円という税制改正による内国税収の増加を法案として御審議をお願いいたすわけですが、それを除外をいたしまして、かつ五十五年度の補正予算に計上いたしました七千三百四十億円という五十五年度の年度内自然増収を外して考えますと、五十六年度の実力の伸びと申しますか、実力の伸びは一三・七%でございます。
 で、石油ショックの後で大体各年の決算対決算の税収の伸びというのを見てまいりますと、五十一年度が一二・三%、五十二年度が一二・四%、五十三年度が一〇%、五十四年度が一四・四――これは御案内のとおり非常に企業の収益力の回復が著しかった年でございます、いわば石油ショック後のピークでございますが、一四・四%。五十五年度は一二・一、七千三百四十億円の補正を入れました後一二・一でございますから、五十六年度の一三・七というのは決して過小な見込みではないと思いますし、今後一一・七%の成長が続く中で一・四%の税収増を見込んでおるということは、決してお話のように過小な見積もりを年々繰り返しておるということではないというふうに私どもは考えて御提案をしておる次第でございます。
#17
○穐山篤君 次に、歳出の問題ですが、国債費、地方交付税を除いた一般歳出の伸びが五十五年度五・一ですね。それから五十六年がいま審議されているものが四・三ですが、五十七年度からは一〇・四、次いで九・四、九・六というふうに二けたに近い、あるいは五十七年度は二けたになっているわけですね。そうしますと、歳出について思い切って節約をする、あるいは小さい政府をつくるというふうなことで四・三%というふうに相当切り詰めて五十六年度お出しになっているわけですが、五十七年からは高い伸び率をもうこの段階では想定をしているわけですね。
 そうしますと、これは一体財政再建というのはどうなっているんだと。財政再建というのはあきらめたんじゃないか。小さい政府にすることについて努力を放棄するのではないか。こういうふうに見られるのは当然だと思うんですね。ここに非常に数字の整合性がないんです。その点はいかがでしょうか。
#18
○国務大臣(渡辺美智雄君) よく説明をしないと、そういうような誤解を与えるおそれがございます。これは事実は違うわけでありまして、ことしの四・三%というのは、これはいろいろ手を加えてつくったものでございます。かなり八千数百億円に及ぶものをカットしたりあるいは伸びを極力抑えたりあるいは別な方法をとったり、いろんな政策手段を講じて四・三%に抑え込んだと、したがって、これはそういうことをやらないで伸ばせばもっと大きな数字に実際はなるわけです。
 ところが、この中期展望というのは現在五十六年度の予算で御審議を願っているものを五十七年度においてそういうようないろいろな方策を全然とらない、そしてありのままに、自動的に伸びるものはそのままというようにしてみるというとこういうような数字になりますと。ですから、こういうような大きな数字になっては困るというわけですから、したがって、これをどういうふうにして今後抑え込んでいくか。ことに今度の国会等でもいろいろ言われるように、ともかく増税をするんならもっと歳出を切れという御意見がこれは非常に強いんです。ところが、現実には法律制度と関係のあるものが非常に多うございますので、ことし以上にさらに切り込んでいくということになりますと、それは新しい一つの政策手段を用いなければならない。物によっては法律の改正もお願いしなきゃならぬと、こういうようなことになるわけであります。しかし、それをしなければこういうことになってしまうということで、今後どうするかという問題については、皆さんの今国会での御議論というものを拝聴して大勢の赴くようにわれわれは決意をしなければならぬと、そう思っておるわけでございます。
#19
○穐山篤君 大臣言われますように、公務員の賃金を一%に抑える、あるいは国民金融公庫に対します助成について財投で肩がわりをさせる、いろいろなやりくりをするわけですから、それで四・三%になる。五十七年度以降もそういうふうな努力――そういう努力というのは言い方がいいかどうかわかりませんが、小さい政府にする、冗費を節約する、そういう努力がなされなければならぬわけですが、そうしますと、いまのお話でいきますと、この一般歳出の伸びというのは一定の条件のもとに出したものであって、これを、いうところの中期展望としてしっかり踏まえなくてもよろしいんだと、重要なものではありませんというふうにやや聞こえるんですよね。そうあってはこの中期展望というのは何のために出されたのかよくわからない。
 少なくとも、後ほども申し上げますけれども、特例公債については五十九年まではゼロにする、そうしますと、しれの四二二%を超えます一〇・四、九・四、九・六%ということになりますと、相当思い切った増収対策を考える、あるいは特例公債は発行しないけれども、建設国債――四条国債を発行してつじつまを合わせるということが技術的にはどなたでも考えることなんですよね。すでに議論されておりますように、相当大型の増収、増税というものを考えているのではないかというのも無理からぬ意見ですよ、当然だと思うんです。このいま私が指摘をしました二けた台の数字が一けたの真ん中ぐらいに抑えられるという話ならばともかく、そうでないとするならば、いまから財政当局としては大型の増収対策あるいは四条国債の発行、それ以外に大きく財源を求めることは非常に不可能だ、こういうふうに考えます。いかがでしょう。
#20
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはなぜ出したんだという御疑問でございますが、いま私が申し上げましたとおり、手放しておけばどんどんともかく費用がふえる。これは事実の姿ですから、ですから、これでは困るという御意見が私は多いと思うんですね、そういう御意見を持っていただいて結構なんです。したがって、多いといえばなぜこんなに多くなるのか。中身を見てもっと五十七年は切り込むべきじゃないかというと、どこを切るかという問題にこの次はなってくるわけです。したがって、そういうような議論をしてもらって、一緒になって歳出の削減を図っていくという手がかりになればいいということでございます。
 したがって、われわれとしては、ただこういうものを出して足りないものは増税でみんなやるというわけではありません。こういうもので一緒になってまず歳出を切るものは切ってみましょう。しかし、どうしても切れないということになれば、じゃ不足財源はどうするんだと。いまおっしゃったように、じゃ四条国債を増発をしてつじつまを合わせるのかという御議論が出るのも私は当然だと思います。しかしながら、これについてはこの試算でも書いてあるように、一応四条国債というものについてはもう五十七、八、九というようにふやさないで考えようじゃないかということになっておるわけです。一方、公共事業はふえておりながら四条国債ふやさないということになれば、要調整額ということで財源どうするんだという問題が出てくるわけであります。これはそのときの経済事情や財政事情によって考えていかなければならない。あるいは年度間で調整して、ある年はふやさないがその次の年は倍ふやすということもあり得るかもわからない。いずれにしても、これは議論をしてもらうためにつくってあるわけであります。
 したがいまして、私どもとしては四条国債というのは赤字国債のかわりに使うわけにはいかないわけですから、公共事業をふやさない限りは四条国債をふやすということはあり得ないのでございます。したがって、どうしても切り込めないということになれば、それじゃ切り込めない分についてはどういうような負担の仕方をするのか。負担はもういやだと言うなら切ってもらわなければならないし、切るのがいやなら負担をしてもらわなければならないし、どちらかということになります。したがって、それは大いにその議論をして、まず切り込んでいくということを優先的に考えていきたいと、そう思っておるわけでございます。
#21
○穐山篤君 議論をして切り込んでいくという話はよくわかりましたが、そういう点で、たとえば公共投資についてお伺いしますと、五十五年度は〇・二、五十六年度は〇・五のマイナス。ところが五十七年になりますと途端に九・六%いずれも伸びにしているわけですね。ところがその反面、いま大臣言われますように、四条国債というのは六兆七千九百億円ですか、三年とも据え置きにしているという、数字の上からいくと非常に整合性がない。非常に政治的な数字がここに置かれているというふうに見るわけです。これは素人が見てもそういうふうに思いますが、大臣どうでしょう。
#22
○国務大臣(渡辺美智雄君) この公共投資の額につきましては、これはこういうふうにすると決まったわけじゃもちろんないわけでございますが、一応政府は七ヵ年計画というものを持っておって、それをフォローアップして少し修正して二百四十兆を百九十兆に直したと。その百九十兆というものをその期間内でいままでやった分を差し引きまして残った分ですね、六十年までに。残った分を仮にこうやるとすれば、ここに書いてあるように九・六、九・六、九・六ぐらいの伸び方で公共事業をやらなければ百九十兆にならぬわけですよ。全体の問題がならない。しかし、そういう計画がある以上は、やはりその計画で公共投資が一応行われるというふうにここに書いてあるわけです、それで行われると。しかしながら、五十七年になってもう景気も回復したと、それによってむしろ物価対策の方が大切だと。ですから公共事業そんなにふやさなくてもいいじゃないかということになれば、これは減らすことも当然あり得るわけです。したがって、そういう点から考えて、四条国債というものについては、公共事業が伸びたからといってそれに伴って全部すっと伸ばすというようには考えてみなかったわけでございます。もともと公共事業というのは国債以外には金出してやっちゃいけないという規則はどこにもないわけでありますから、苦しいときに要するに公共事業の財源として四条国債を発行したということであって、税金で、一般会計でその公共事業をやって悪いということはどこにもないわけです。
 でございますから、一応われわれとしては、そういうふうなふやすこともあるだろうし、減らすこともあるだろうが、現在の段階においては財政再建というんだから、赤字国債は五十九年まで減りましたと、なくなりましたと、そのかわり四条国債はその分以上にふえましたというんでは、借金の残高はむしろふえちゃって、財政再建でなくて――国債には別に、これは赤字の国債とかこれは四条国債だとか色違いで売っているわけでも何でもございませんし、金に色目ないわけですから。したがって、四条国債がうんとふえて国債残高がどんどんどんどんふえていくということになれば、金利がかかって借金がふえると同じことですね、これは。したがって、やはり財政再建という以上は、四条国債といえども、ともかくここでどんどんふやす姿であらわすということよりも、一応それは並べて書く方がいいじゃないかというニュアンスで書いてみたわけであります。
#23
○穐山篤君 いま予算審議が行われているわけですが、国民の立場から言いますと、増税の前にやるべきことがあるじゃないかということで、不公正税制なりあるいは歳出の節約というものを国民は要求をしております。それについて十分に納得できるものが提示をされるならば、ある分野について税金が高くなるのも協力をせざるを得ぬだろうという気持ちには多分なるだろうと思うんですよ、そこが一つあるわけです。ところが、そのある分野で協力しようと思いましても、先行きが不透明だとしますと、ことしは協力したけれどもこれは将来大変になる、先行きが不透明だと。そういう意味で言うと、ことしの増税にはそう簡単に賛成するわけにいかない、これも国民のごく常識論だと思うんですね。その常識論に答える意味もあるんでしょうけれども、われわれが審議するとするならば、「財政の中期展望」というものが一つの寄りかかりになるわけです。そのときに深く切り込んでくれるという話はいいと思いますよ。しかし、それだけでは国民に対する説明に全然なってない。ことしいろんな増税があるわけですが、これに協力してくれ、将来君たちの生活は安定しながら、国の財政は再建できるぞというその説明にはならないわけです。
 だから、その意味で瀬谷先生も私も申し上げましたのは、単に中期の計画というよりも、もう少しきめの細かい、国民が見てなるほどなと、これならば協力しよう、こういうものが欲しいわけですよ。そういう意味で言いますと、この中期展望というのは、一定のたたき台にはなるんでしょうけれども、それ以上のものにならない、こういう気がするわけです。私はそういうふうに考えますが、その点いかがです。
#24
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは非常に経済が世界じゅう不安定でございまして、三年なり四年なりにわたる具体的な政策をずっと先まで見通して決めてしまうということは不可能に近いわけです。たとえば公共事業の問題を一つ取り上げましても、景気がかげりがあるから公共事業をふやせという人があるわけですね。一方においては公共事業はもっと減らせという人があるわけです。ところが、われわれといたしましては実際景気の動向をこうじっと見ておりまして、そしてともかく民間の投資意欲というものは強いと、しかし、個人消費にはかげりがあると。個人消費伸ばすのには物価の安定を図っていけばだんだん伸びるんではないか。だからいまここで公共事業を大きくふやすというようなことも考えられない。じゃ五十七年、五十八年には――一年先なんですね、もう。そのときには景気がどうなるんだかはっきり見通しをつけて公共事業をふやすという方に決めた方がいいのか、公共事業を来年、再来年は減らすというふうにしたのがいいのか。これはだれもなかなか結論出ないわけですね、実際問題として。したがって、それは先々まで見通して決めると言われましても実際問題としてむずかしい。
 もう一つは、経費の切り込みという問題についても制度が現在もう手つかずであるわけですから、ここで切り込むということを仮に仮定しても、たとえてわかりやすく言えば、それじゃ農林省で検査員が一万三千人いると。いまどき配給切符や米を簡易検査を一つ一つ、一俵一俵国家公務員がやる必要ないじゃないかという議論があります。それをそれじゃ切るということをここで計画をつくっても、現実にはどこでも決定してないわけですね。政府としても、それじゃ米の食管制度を改正して地方の検査員を何年以内に何入減らすという方針がないわけです、政府としては。したがって、そういう方針が出ればその分だけは今度は減額の方にカウントできます。方針が決まらないんですから、だからカウントできない。
 したがって、現在の状態でいけばこういう形になるというのであって、これでは大変なことなんだと。だからこれは一つの例ですよ。そういうのが厚生省においてもあるでしょう、ほかのところも、文部省においてもあるでしょう、いろいろあります。しかし、そういうような制度にも手を突っ込んで、ともかくこの際は増税なんて二回も三回もとんでもないと。国民の側からすれば、そんな過剰サービスは要らない、切ってくれというのが世論だと、したがって、世論の代表である国会においてそういうような意見が出てくれば、当然私はその方向に向かってそれは政策を決定していくと。政策を決定したときにはその決定された政策に従ってこれは修正されると、当然のことだと思います。
#25
○穐山篤君 時間がもう来ましたので、中期展望につきましてはまた改めて見解を述べたいと思うのです。
 最後に、大蔵省から予算委員会に出されております「国債整理基金の資金繰り状況についての仮定計算」だとか、それからごく最近出ました国債の借りかえだとか、いろいろ悩みの大きい問題も山積しているわけです。しかし国民の率直な気持ちは、昭和五十五年度におきましても七千億円近い自然増収があった、それから五十六年度におきましては四兆五千億近い自然増収を見込んでいる。加えてこの四年の間、税制改正が行われていない。物価の上昇で生活は非常に苦しめられている。こういうものがそれぞれ指摘をされて、国民の大合唱として所得減税を行え、将来の国の財政再建のためにも国民に返すべきものは一遍は返しなさい、これが国民の大合唱になっていると私どもは判断をするわけです。いずれわが党からは明日公式に提案をするわけでありますが、この国民的な大合唱に対して大蔵大臣としてどういうふうにこたえていくのか、短期的な対応の方法なりあるいは長期的な対応の考え方について最後にお伺いをしておきます。
#26
○国務大臣(渡辺美智雄君) 所得税の減税に反対する人は私はないと思いますね。私もできることだったらばやりたいと、条件がそろえばやりたいと思っております。しかしながら、現実の問題として、私がもうすでに七十一兆円からの国債残高を五十五年度末で持っておって、ことし五十五年度でも十四兆の借金をしておる。このために経済政策自体が、金融政策がもううまくいかなくなってきているというのが現実の姿なんです。したがって、これをいつまでも続けるわけにいかない。したがって、五十六年度からは本格的に赤字国債からの脱却を五十九年までにやろうという方針を決定したわけです。
 それによって、要するに五十六年度で四兆五千億円程度の自然増収というものが見込まれます。見込まれますが、まずことしのように十四兆借金しないんですから、十二兆しか借金しないよということになれば、そこで二兆円の財源が必要であります。まず四兆五千億円のうち二兆円はその財源に優先的に充てられる。あと二兆五千億円残る。それは国債の利払いと、要するに増税によってお金が入れば三税の三二%は自動的に地方交付税に回ります。それによってほとんど四兆五千億円という金はなくなってしまう。
 一方、当然増といわれるものが、それはもう老人がふえれば年金がふえるとか、生徒が三十万人ふえますから一万人先生がふえるとかそういうようなもの、当然増が一兆六千億円ある。準当然増として、物価が上がれば年金スライドするというようなものを含めると一兆九千億円になると、この金どうするかということになってくるわけでございます。したがって、既定の経費の中からかなり実は切り込んでいるんです、やりくりもやっているんです、先生が御指摘のとおり。それは一兆九千億円のものを一兆三千億に減らすわけにいかないんです、実際問題として。ところが、一兆四千億円の増税といっても一兆一千億円しか国は使えないんです、三千億は地方に打っちゃうんですから。一兆一千億円国が取って、そうして一兆九千億円近いものにちゃんと対応しているわけですから、何か手品がなければできないわけですね、これは。手品と言うとしかられるかしれませんが、中でやりくりがなければできない。それは経費のカットなり、あるいは先生が言ったように六百億円ともかく補給金を来年度財投に回したじゃないかというおしかりを受ける部分もそれはあるわけですよ。いずれにしても、そういうことをやって最小限度の増税によって一兆八、九千億に及ぶところの当然増の経費及びエネルギーを初め新しい政策で新しい経費を持っているわけですから、その金どっから出たんだと。それはどっかを切ってそれで差しかえたというようなことをいろいろ工夫を実はしておるわけです。そうなってまいりますというと、なかなか五十六年度において所得税減税をやりたい気持ちはやまやまなれど現実にはできないということで、御容赦をいただきたいと言って謝っておるような次第でございます。
#27
○穐山篤君 大蔵大臣に言われっ放しでわかりましたというわけにはいかない。この国債の発行の問題は昭和四十年の発行のときからわが党が厳しく今日を予想をして指摘をしてきたわけです。したがって、今日までの政治的な責任というのは非常に大きい。与党並びにそのときどきの政権党は大いに反省をしてもらわなきゃならぬ。
 そこで、この国民的な大合唱であります所得税減税については、十分に国民の声を聞いて政治に生かすようにさらに要望をして、私の質問を終わります。
#28
○多田省吾君 私も最初に、所得税の物価調整減税を強く要求したいわけでございます。
 その理由は三つあります。一つは、やはり所得税の軽減が特に課税最低限が五十二年から据え置かれたままで、そして物価の異常高騰によって実質的な大増税になっております。昨年はそのために実質賃金が〇・九%減ったというような統計始まって以来の出来事もございました。第一次オイルショックのときも考えられないほどの出来事でございます。第二には、やはり私は、労働間の信頼関係が大きく現在損なわれていると思います。それを解決するには、やはり物価調整減税以外にはないと思います。第三には、やはり日本の経済が物価調整減税をやって、そして個人消費を喚起しなければ大変なことになるのではないか、このように考えるわけでございます。ですから、大臣のおっしゃるように、物価調整減税やりたいのはやまやまであるけれども、条件が整っていないのだ、財政再建ということをおっしゃるわけです。しかし、私はこの条件をつくり出していかなければならない、このように思います。
 で、第一の問題である国民の所得の目減りということにつきましても、やはり勤労所得税というものが極端に増税されていることは否めない事実だと思います。先ほど大臣おっしゃったように、来年度の税の自然増収額は四兆四千九百億円が見込まれておりますけれども、税目別に見ますと、所得税が二兆七千六百九十億円、源泉分が二兆八百億円で全体の六二%に当たります。次いで法人税が一兆二千二百四十億円、二七・三%。物品税が一千百十億円、二・五%。圧倒的な部分を所得税で自然増収を賄っているわけでございます。ですから私どもは、異常なこの物価上昇に見合った分だけの増収分、これだけでもやはり七千億円や八千億円はあるんだと思います。ですから、野党あるいは労働組合等がこぞって国民的要求をしております四千五百億円程度の物価調整減税をやったとしても決して減税ではなくて、異常な実質増税を少し国民に還元する程度であって、その程度でも私は実質増税だと思っているわけでございます。やはり私は、その第一の理由によって、どうしても条件をつくり出して所得減税はしなければならないと思います。
 第二番目は、やはり労使間の信頼感が非常に失われたということでございます。
 昨年の春闘においても勤労者の大部分は政府を信用して、物価上昇は六・四%に必ず政府は抑えるだろうと。抑えなければ政治責任にもなるし、これは大変なことになるということで、六・九%程度の賃上げをやむを得ずのんだ姿になったわけでございます。ところが実際は、六・四%の消費者物価上昇が実は改定されまして七%程度だ。河本経企庁長官によれば、七%程度ということは六・五%から七・五%の間だ。非常におかしい論理を展開しておるわけです。私たち常識で言えば、七%程度、昔からの政府答弁によれば大体六・八から七・二ぐらいが妥当だと思うんですが、七・五%まで七%程度だということで言っているわけです。ところが、現在の消費者物価はそれにとどまらない、恐らく八%を三月末で超えるだろう、こういう見通してございます。ですから、そういう国民の信頼を裏切った政府というものが、どうしてもこの物価上昇によって異常に増収されたところの所得税というものをやはり国民に還元しなければ、私は大変なことになると思うんです。
 第三番目には、やはり国民経済から見ましても、昭和五十五年度は政府の言うような実質経済成長率に私は達すると思います。しかしながら、これは大臣も御承知のように、異常な輸出増、あるいは大企業のいわゆる設備投資等に救われた形でございます。それもこの五十六年度は、御存じのように中小企業の設備投資が低迷したままで、しかも公定歩合も非常にいま高いので、大変中小企業も苦しんでおります。大企業がそれにつられて設備投資が低迷し出した。あるいは先ほどもございましたように、自動車や家電やあるいは工作機械等の輸出というものがアメリカ、EC等において非常に紛争を醸し出しておりまして、五十六年度においては輸出増というものは恐らく私は見込めないだろうと思います。そういうことになりますと、やはり個人消費を大幅に喚起しなければ日本経済の実質成長というものは非常に落ち込んでしまう、このように思います。その証拠に最近の在庫調整だって、一月−三月期でおおむね底に達するだろうといわれていたのが、四月−六月期まで繰り延べになるんじゃないかとも言われているじゃありませんか。
 大臣は、きのうも衆議院の予算委員会等におきまして、日本の所得税の課税最低限は非常に高いのだ、フランスに次いで高いということをおっしゃっております。しかし、昨日も論議がございましたように、国民の可処分所得、あるいは実質購買力、物価水準、公共サービス、国民に還元される福祉や年金等の還元分等を考えてみた場合に、一概にそう言えないものがございます。アメリカですら、ああいう経済が逼迫している状況で、この三年間に一〇%ずつの所得減税、八兆円の所得減税を行おうとしているじゃありませんか。そして大臣あるいは総理も、このアメリカの民間の活力に期待しているんだと、こういうことをおっしゃる。なぜアメリカに期待して、日本にこの民間の活力をもっともっと強めるための、すなわち物価調整減税による個人消費の上昇ということをなぜ大臣は考えないのかですね。
 私は、やはり条件を整えるということはいまからでもできると思うんです。補助金の整理、あるいは不公平税制の是正とか、やり方は幾らでもあります。私はやはり、こういう強い国民的要求もございますので、その三つの理由によってどうしてもここでやはり大臣としては、物価調整減税は財源がないからできないんだ、条件がないからだめなんだとおっしゃらずに、やはり物価調整減税に踏み切って、そして日本経済を立て直し、また国民を信頼して、そしてまた最も税制において過酷な扱いを受けているところの勤労所得者の勤労に報いるべきである、このように強く私は要求したいと思います。
#29
○国務大臣(渡辺美智雄君) 広範にわたりましていろいろ御意見を交えたお尋ねがあったわけでございます。
 私は、本当に、昨年の春の春闘において労働組合の指導者の方々が良識ある質上げで妥結をなさったということについては、深い敬意を表しておるような次第でございます。そのときに六・四%というように、政府はその程度の物価の目標を掲げたことも事実でございます。しかるにかかわらず、物価が七%台ということでその見通しに狂いが起きたと、これも事実でございます。ところが、世界じゅうこれはもうみんな大狂いに狂ってしまいまして、御承知のとおり、アメリカなどではいまでももう一三%程度のインフレでございますし、イギリスはそれよりちょっと高い、フランスも大体その程度、イタリーが一八、九というところでしょう、一時二〇%に行ったと言ってましたから。ブラジルも一〇〇%とか、世界じゅう実際狂っちゃったわけなんですよ。そこで、日本は狂いが実は一番少ない国でございまして、これをぴたっと当てると言われましても、なかなかこれは本当に、言いわけがましい話でございますが当たらなかったと、一〇〇%は。という点は申しわけないですが、もう世界の経済事情がそういう事情だったので、そこへもってきてイランの戦争、あるいは日本だと冷夏の問題とか豪雪とかいろいろ重なって、六・四にうまくいきそうにないということについては、それらの諸事情も御勘案をして、これは申しわけありませんというお願いをする以外にはないと私は思っておるわけでございます。それによって、要するに労働者の実質賃金が五十五年においてわずかではあるが〇・九、いままでにないことだ、減ったじゃないかと、これも私は御指摘のとおりだと思います。しかしながら、現実の問題といたしまして、いま私が言ったように日本の課税最低限というのは昭和五十二年に改正して以来ずっと据え置かれておることも事実でございますが、まあ幸いにその間における可処分所得の問題においては、これはわずかではありますがふえておることも事実でございます。で、いままで本来ならば税収がうんと減ったときに借金をしないで何らかの形で、公共サービスを少なくするかあるいは増税を行うかすべきものであったものを、それをやらなかったということも事実でございます。
 そういうような諸般の情勢から、今回はまことに申しわけございませんが、結局財政の立て直しということがやっぱり国民経済に私は一番影響がある。ここでさらに財政を悪化させながら減税をするということのメリットと、そういう諸般の情勢からしてわずかに実質賃金が減ったことも事実であるが、しかしこれは幸いに、ともかく三月、四月、五月にかけての日本の卸売物価、それに続く消費者物価の低落傾向は顕著に実はあらわれてきておる。そういう点から考えると、むしろ物価の安定というものを先に進めることによって、個人消費の支出を伸ばすということによって景気を維持していくと、よくしていくということの方がいいという政策判断に基づいておるわけでございます。で、アメリカの民間活力というものははなはだ低くて、日本は労働生産性の上昇というのは、一つの例を取れば、一九七九年で対前年比で日本は四・五プラスになっていますが、アメリカの労働生産性というのは非常に低くてマイナスの〇・四というような状態でありまして、民間の活力というものは日本とアメリカでかなり違う。
 私はそういうような点から考えますと、この際はひとつ、まあ労使の賃金問題でわれわれ口出すことは一切できませんが、物価の安定というものを通して国民生活に寄与するという点に重点を置いた方が今後のいろんな面で望ましいというような政策判断に基づいて、今回はひとつ減税はお許しをいただきたいということを申し上げておる次第でございます。
#30
○多田省吾君 私は、大臣がいろいろ理由を並べられましたけれども全然納得できませんし、物価調整減税、数の少ない野党の要望なんかにこたえられるかというような、あるいは財政再建元年だから意地でも減税はしないぞというような意地を通しているようにしか私は思えないんです。ですから、異常な物価上昇の分における、それに見合った所得税の増収分だけでも七千億円、八千億円あるじゃないか、それを四千五百億円程度国民に返すのがなぜできないのか、その四千五百億円ほど物価調整減税を行うことによって個人消費も大いに喚起されて、実質経済成長率もぐんと伸びるし、またそれによる税収もそれ以上に私は見込めるはずだと思いますし、私はできないわけは絶対ないと思うんです。だから条件を整えて、この際、そういう一たん決心を強くなされたことはよく承知しておりますけれども、この際やはり、アメリカでさえあの財政の逼迫した現況において三年続けて一〇%の所得減税、八兆円の所得減税をやろうとしている。民間活力を回復させようとしている。日本が四千五百億円程度の物価調整減税――当然国民に戻すべき減税です、減税の名に値しない減税です、そのぐらいは行うべきだと、このように私は思います。
 その点と、もう一つは、倒産等によって非常に中小企業が苦難を強いられておりますけれども、いわゆる金融政策の運営に当たって、総合的に判断して機動的に対応していくと、大臣も所信表明でおっしゃっていますけれども、第三次公定歩合引き下げに対してどういう考えをお持ちなのか、その二点をお尋ねします。
#31
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はアメリカに行ったときに聞いてみたんですが、日本で狂乱物価のときに二兆円大減税というものを一遍やったことがある。それによって狂乱物価に輪をかけちゃった。私はあれは失敗だったと思う。アメリカで一三%ぐらいのこれは高い物価高で、しかも金利水準が、優良企業に対する貸出金利が二〇%、そういう中で大幅減税をやって本当に物価はうまく下がるんでしょうかと私は聞いてみた、実際は。ところが、これはやっぱりいろいろ議論があるそうですね、議論があるそうです。あるけれども、しかし、それにもかかわらず大幅な各般にわたる歳出カットを一週にやるんだと、歳出カットを、法律を直して。だから、それをやるから心配ないというような御意見の方もおりました。私は、したがって、それがうまくできるものなら一番いいと思うわけでございます。私は別にこだわってでも何でもないのでありまして、一つの政策判断として、ここで借金をよけいして減税をやるべきか、それとも物価の安定を優先的にやりながら借金を少なくしていくかという政策判断のこれは問題だと私は考えておるわけであります。
 まあ所得税、非常に酷でないかと、五兆円のうち所得税が二兆七千七百億も自然増収であるんじゃないかということが言われます。特にその中で、いままで言われてきたことは、特にその所得の捕捉率の高いサラリーマンの給与所得がうんとふえるんじゃないか、自然増収で、という御質問がこれはもう何回も何回も出てまいりました。確かに五兆円近い、四兆五千億円近い自然増収の中で給与所得というのは一兆二千百億円ほど増収するようにわれわれは見込んでおります。しかし、これはいままでの税の統計をずうっと見てもらえばわかりますが、所得税の自然増収の中に占める給与所得の割合が二七%というのは、極端にふえてきたという統計では実はないわけであります。大体例年に比べてまあまあ大差のない数字というように考えているわけでございまして、そういうような点も考えまして、今回は所得税の減税については見送らしていただくということに考えている次第でございます。
 なお、中小企業の問題につきましては、これは金利が高いために中小企業の設備投資意欲が足りないんじゃないか、こういうような御主張があります。これはやっぱり一つの御主張だと私は思っております。問題は、しかし中小企業の設備投資というのは、短期の資金が下がったからといってすぐにふえるわけではない。問題は長期黄金、長期資金が下がらなければならない。そのためにはやはり当然に預金金利が下がらなければ長期資金が下げられるわけがない。預金金利が下がるためには郵便貯金も下げてもらわなければ預金金利だけ下げられるというわけにもいかないという問題がございます。しかし、それを下げたからといって果たして長期金利がすぐに連動して下がるかということになると、国債の出過ぎというようなこともあって、国債は長期資金で金を集めているわけですから、この金利が下がらない。下げれば、利回りのレートを下げれば暴落する、暴落すれば利回りはむしろ高くなって裏目に出てしまうという実態があるというようなことで、非常に私も迷っておるところでございます。しかし、長期金利というものは短期が下がればそのうちいずれは下がるよということを言う人もあります。われわれは機動的に対処してまいりたいということを言っておりますが、公定歩合に直接関して私がここで物申すことは差し控えさせていただきます。
#32
○多田省吾君 先ほど大臣は、五十六年度の自然増収額、その中で給与所得税が一兆二千百億円だ、こうおっしゃいましたけれども、その物価上界に見合う増収分はその中でどのくらいだとお考えですか。
#33
○政府委員(高橋元君) 物価が上昇いたしません場合に、一体いかほどがその給与の増加になるかということまで分析をしませんと実はいまの御質問にお答えがしにくいわけでございます。私ども、残念ながらいまそういう計算をいたしておりませんので、お答えはお許しをいただきたいと思います。
#34
○多田省吾君 これはもう常識的に判断しても、累進税率から見ましても、六千億円や七千億円の分が物価上昇に伴った増収分だ、このように言えると思いますが、大臣どうですか。
#35
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も、計数的なことは専門家が計算しないとよくわかりませんので、直接答弁できないことを、相済みませんがお許し願います。
#36
○多田省吾君 これは答弁したくないのはよくわかりますけれども、常識的に見てもその半分の六千億あるいは七千億円は物価上昇分だ、このように私は言えると思います。
 それでもう時間もありませんが、先ほどから私は三つの理由を述べておりますが、最後の理由の、二つの理由もこれは当然でありますけれども、これで個人消費が喚起されるのかどうかですね、実質所得が目減りしておりまして。そうして物価調整減税もない。これじゃ個人消費が五十六年度はぐんと落ち込むんじゃないか、こう思いますが、どうですか。それによって日本経済はますます低迷に走る、このようになりますが、どうですか。
#37
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私どもとしては、この個人消費の停滞というものが去年あったのは、やっぱり何といっても一つは物価の値上がりだと思いますね。特に第一次ショックのときに、先ほど言ったように大幅減税をやったり金融が緩んでおったりというようなところへ、もう一つは売り惜しみ買い占めみたいな話になりまして、それでああいうふうな狂乱物価にしてしまった、その苦い経験にこりましてね、今度は。それで皆さん方が、その物価が上がってもそれそんな買わないよ、石油なんかでもしたがって大幅に原価が上がっておりながら逆にだぶついちゃって、政府の手持ちとか民間の備蓄はふえている。そのためにことしは幸いに日本は一番物価高から逃れられたわけです。これは国民の英知と生活の知恵だと私は本当に思っているんです。
 しかし、こういうようなことで物価が安定をして、まあ七%台というのが六%台、五%台ということになって、金利水準も適当なところになっていけば、日本国民はかなり貯蓄性向は高いが、買い控えをしてきているわけですから、やはり物価が下がれば、私はそういう点から着実な個人消費というものは伸びるんじゃないかと、そういうふうに期待をしておるわけでございます。物価の動向については、私どもも十分に配慮をして注意深く見守ってまいりたいと、そして経済企画庁と一緒に適時機動的に対処をして景気の維持には努めてまいりたいと考えておるわけです。
#38
○多田省吾君 私は、物価安定はこれは当然やらなければならない必須条件だと思うんです。そのほかにやはり物価調整減税によって国民の個人消費を喚起すべきである、両方の意味で言っているわけです。
 続いて、私は補助金について一点だけお尋ねしておきますが、五十五年度は残念ながら千六百八十八億円の整理だけにとどまり、相変わらず十四兆五千億円、五十六年度総予算に対して三一%という補助金が計上されているわけでございますが、まあ三十年以上も前から計上されている補助金もありますし、二十年以上継続しているものもあります。こういった長期間にわたるものはサンセット方式を導入して見直すとか、あるいは非常に細かい補助金がたくさんつく結果、ある県ではそれを役員で飲み食いに使ったというような、そういう補助金の使い方をしている例もあります。あるいは補助金を整理したと称して、ほかの形でまた同じ額だけつけたというような例もあります。そういう補助金のあり方は私は大変よくないと思います。
 今後ともやはり大臣として補助金の整理にどういう態度で臨むか、お尋ねします。
#39
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御指摘のように、本当に一般の人は意外に感じ、私ら自身もちょっと意外に感じるわけですよ。非常にもう補助金カットやってくれやってくれと私は督励して、約千七百億円切ったわけですよ。ところが結果は六千五百億円ふえちゃったと、それで補助金総額は十四兆五千億と、こうなっておるわけです。ところが、御承知のとおり、もう補助金で何といったってでかいのは、その三分の一以上を占めるものは社会保障費の補助金ですから、社会保障費だけで五兆円あるわけですからね、これを切れと言われても九七%法律で決まっとるわけです、みんなこれ。法律を直してもらわないでこの五兆円にともかく何千億でも手づけると言われても大蔵大臣できないですよ、これは実際は。
 それから、文教の補助金というのは三兆三千億あるわけです。これも九三%法律で決まっておる。したがって、減らすといっても、これ両方でもう八兆三千億円、約半分以上のものがあるわけですから。
 で、公共事業の方は、これは公共事業全体で抑えれば系統的に補助金を切ったと同じ額になって、伸びなければふえないわけですね。しかし、これも三兆一千億円あるということで、この三つで十一兆四千億円実際あるわけなんです。
 そのほかの補助金については、できるだけ切れるものは切るようにいたしましたが、たとえば農業問題でも、一般の農業団体からふやせふやせと言われた減反補助金ですね、水田再編対策補助金ということですが、これは実は五百数十億円切っているわけです。ですから、学校の問題で四百何十億円からこれも切っているとか、かなり大口のものもございます。零細なものもございますが、しかしふえる方がでかいものですから、そこで帳消しになって、結局六千五百億円ふえたと、もう私の意外とするところではございますが、現在の制度というものをそのままにしておいたんでは、なかなか大きいものがどんどん伸びるということでは小さいものを切ったって追いついていけない。したがって、そういう点についてはやっぱり私は、全部国会でも終わったら皆さんと一緒にどうしたらいいかということについて、本当にこれ社もう五十七年度の予算編成前には御相談をしなければならない大きな事柄だと。
 また、サンセット方式等についてはことしの補助金から大分取り入れておりますので、委細は吉野次長から説明をしてもらいます。
#40
○多田省吾君 いや、結構。
 じゃ最後に、時間ですから三点お尋ねして終わります。
 一点は、政府の援助でございます。
 先ほど大臣は防衛力増強についてはレーガン政府も極端な要請などはしないと思う、心配してないとおっしゃいましたけれども、私は防衛力増強についてはアメリカから相当極端な要請があると思いますが、軍事大国にならない、平和国家としていくという憲法の精神に従って、私はそれは断じてのむべきではないと思います。反対に私は、やはり政府開発援助を強化いたしまして、そして総合的なわが国の安全保障を図るべきであるし、また国際協力をしていくべきであると、このように思います。ですから、今後の三年間の政府開発援助の増額というものがこれで足りるのかどうか。
 それからもう一点は、国連の機関に対する拠出金でございますが、分担金は世界三位になっておりまして、経済大国がその程度の分担金を負担するのはあたりまえだと、こういう態度をとられておるわけでございますが、そのほかの「国連主要機関・基金に対する主要拠出国一覧」というものを拝見しますと、国連人口活動基金とかあるいは当然でありますが、日本に持ってくる国連大学なんかでは相当出しておりますけれども、非常におかしいのは国連児童基金、いわゆるユニセフの拠出金が日本が現在第九位である、一九七九年において第九位であるという実態でございます。スウェーデンとかノルウェーとかオランダ、デンマークよりも少ない。人道上から見てもこんな姿でいいのかどうか、これはもっと増額すべきではないか、このように思います。
 第三点は、大蔵大臣は五十七年度からのいわゆる一般大型間接税、大型消費税といわれるものの導入についてどうも積極的な考えをお持ちのようであるように見えるわけでございます。総理が五十六年度も増税して五十七年度も増税というわけにはいかぬというような消極的な態度をとっておられるのと比べると、大蔵大臣の方がむしろ積極的ではないかと思われる節がありまして、私どもは非常に遺憾に思いますが、その点についてお答え願いたい。
#41
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一つは政府開発援助をもっとふやせということでございますが、これについては先ほどお話があったように、五年間で過去五年間の倍にするということを目指してやっていこうと、これはやっぱりかなりの金額になるわけですね。過去五年間で一兆二千億出しているわけですから、これから五年間で二兆四千億、二兆五千億円ぐらい出そうという努力をするわけですから、もう年々一一・八%平均ぐらい伸ばしていかなけりゃその数字にならない。恐らく一般歳出はことしよりも少ないぐらいに切り込まなければなならないという中でございますが、これは政府は、しかし日本だけで生きていられるのではなくて、国際社会の一翼を担っておって国際的な責任もありますから、そういうふうな責任分担に応じていこうという姿勢を示しておるわけでございます。なおその他委細の問題については主計局の次長から説明をしていただきます。
 なお、大型間接種で私が積極的に推進しているようなお話でございますが、別に私は積極的に推進はいたしておりません。ただ、たびたび答弁をいたしておるのは、それはもう国会決議もあることなんだから絶対やらないねと、こうおっしゃるので、これは国会決議のものについては私はそいつをやるなんということを言ったって国会で通してもらえぬから、通してもらえないことを考えるようなことはいたしませんと、しかしながら、広く消費に着目した間接税は一切やらないよ、一切考えないよということをいまここでお約束することはできませんと。と申しますのは、極力経費の切り詰めを私はいたしますと、いたしますが、皆さん方が国会の方がそれを承服してもらわなければ困るわけであって、それが国会でパスしていただければかなり私はうまくいくと思うが、切り込むことがパスしないということになればそれは不足が出ますと、不足が出たときにどういうふうにそれをやるか。一方においては所得税を減税しろという声もかなり強いわけですから、そういうようなものとの兼ね合いというものもいろいろあって、間接税はやらないというように、いま歳出カットも決まったわけでもない、法案が通ったわけでもないうちに全部手足縛っちまうということはできませんということを申し上げておるので、やるとも言っておりませんし、やらないとも言っておらないというのが真実でございます。
#42
○多田省吾君 じゃ、ユニセフだけ。
#43
○政府委員(吉野良彦君) ユニセフの問題につきまして簡単に御説明申し上げます。
 ユニセフに対しますわが国の拠出も、先生御案内かと存じますが、昨年度、五十五年度予算におきましてはドルで五百二十万ドルの拠出を予定していたわけでございますが、現在御審議をいただいております五十六年度予算におきましては、これを百万ドル増額をいたしまして六百二十万ドルというふうにかなり大幅な増額を予定をさしていただいております。これからも、このユニセフの全体としての事業規模がどうなってまいりますか、その辺の推移もにらみながら応分の負担をするということで努力をしてまいりたいと、かように考えております。
#44
○多田省吾君 ユニセフだけ申し上げますけれども、八一年六百二十万ドルは聞いておりますが、これでも世界で第八位になるかどうか、その辺だと私は思いますよ。ですから、これは極端に少ないので、これは人道上の問題もありますので、国連の分担金が第三位である日本がこんな程度でよろしいのかどうか、再考を願って終わりたいと思います。
#45
○政府委員(吉野良彦君) 今後ともこの国連児童基金の全体としての事業の内容、スケール、それらをにらみながらできるだけの努力をしてまいりたいと考えます。
#46
○近藤忠孝君 渡辺さんは財政再建元年ということを強調されますが、国民の側からはこれは軍備増強元年、それから福祉切り捨て元年、そして何よりも増税元年と、こういう反論があるということを冒頭に表明しておきたいと思うのです。
 そこで、増税の問題ですが、五十六年度税制改正、法人税、酒税、物品税等々、その提案がされて、そしてその趣旨説明、提案理由などを拝見いたしますと、いずれも「最近における厳しい財政事情等にかえりみ、」――要するに財源調達という至上目的のための増税であるという点は素直にわかります。要するに取れるところから取ろうと、そういう考えだと思うんですが、反面、経済政策の一分野としての租税政策、その一つの中心は所得再配分機能だと思うんですが、そういう面の基本的考え方とか、あるいは思想面がこの増税には欠如しているんじゃないかと、こう思うんですが、どうですか。
#47
○国務大臣(渡辺美智雄君) 近藤委員の言いたいこと、いま言わんとすることは、間接税――お酒を初めそういうようなものは、金持ちでもお金のない人でもみんな飲むんだから、金持ちだからたくさん、よけい飲むということじゃないんじゃないかと、だから所得が伸びれば逆進性が強いんじゃないかというようなことをおっしゃりたいのかもしれません。
 私は、今回の増税というものは所得税以外のもので、要するに広く薄く可能な限り多くの税目から納税していただきたいということから考えたのであって、決して逆進性を目当てにしたものでも何でもない。法人税等もちゃんと二%上げておりますし、その他の税率についてもそれぞれ、印紙税は倍とか、いろいろ上げておるわけでございます。
#48
○近藤忠孝君 じゃ、具体的にお聞きをしたいと思うんです。
 今回の税制改正で所得の階層別配分にどういう影響を与えるのか。特に間接税は、いまも問題になりましたように、強い逆累進構造を持っているわけですが、今回の酒税、物品税などの増税が、いわゆる十分位の所得階層別の間接税負担割合にどういう変化をもたらすか、この点の予想はどうですか。
#49
○政府委員(高橋元君) 法人税、それから流通税でございます印紙税とか有価証券取引税、これらが個人に直接どういうふうに帰着するかということについては、定説もないわけでございますし、これは本来再分配を目的とした税金ではないというふうに考えるわけであります。
 いまお尋ねの酒税でございますが、これは御案内のとおり、ピールでは、大体小売値段に対しまして一〇%ぐらいの増税をお願いいたしております。清酒の二級で一%ぐらいの税負担の増加をお願いしておるわけでございます。加重平均いたしますと、酒類全体の小売価格に対する増税によるコストアップは六・六%程度というふうに見込みます。
 そこで、五十四年の家計調査の年報を使いまして、年間収入五分位階級別に出して試算をいたしてみました。これはごくラフな試算でございますから、後日精査の上、もう少ししっかりした金額を申し上げたいと思うんでございますが、いまおおむね六・六%と申し上げましたのが、家計の消費支出にはめ込みますと、平均で六・五になるわけでございますが、第I五分位が六・二、第II、第III五分位が六・五、第IV、第五五分位が六・六ということに試算されるわけでございます。と申しますのは、酒の税負担と申しますのは、確かに第I十分位――これを今度は十分位で申し上げまして、前に国会にお出しした資料でございますが、第I十分位では〇・四六、第X十分位では〇・二三というふうになるわけですが、中身の酒が、たとえばウイスキー、それから清酒の特級または一級、ビールというような比較的高い、また今回高い率の増税をお願いしております酒類の消費が所得または収入階層の上がるほど大きいわけでございますので、その結果を試算いたしますと、ただいま申し上げたような数字になるわけでございます。
 それから物品税につきまして、やはり増税をお願いしておるわけでございますが、これも御承知の所得五分位表によりますと、物品税の税負担は、下位から上位に向かってやはり若干高くなっております。その中で、自動車関係で税負担の増加をお願いをいたしておりますのと、比較的高額の耐久消費財で新規の課税をお願いいたしておりますので、それらの点を入れますと、これは逆進と申しますよりも若干累進の傾向を示すのではないか、この辺もいま具体的な試算を行おうと思っておるところでございますが、いまありますのは五十二年の所得階級別表でございますので、それにはめ込んでやりますと、いま申し上げたようなお答えになるというふうに思います。
#50
○近藤忠孝君 いま指摘されました所得階級別税負担表、これを五十年から比較してみますと、間接税全体を見てみますと、五十年は一・一、五十二年は一・六九と、これは第Iです。一番低い層だそうですね。第X分位の方では、逆に五十年が一・三九に対して五十二年〇・八六と完全に逆累進になっておるのです。今度の間接税の増税というのは、ますますこれに拍車をかけるのじゃないか、こう思うのですが……。
#51
○政府委員(高橋元君) いまもお答えを申しておりましたが、全体として間接税の所得階級別の税負担が、ただいま仰せのように、低位の収入ほど税負担率が、収入に対する税負担率が高くなるのは事実でございますが、それが一番大きく何によっておるかと申しますと、たばこの税負担でございます。これが比較的消費支出金額が大きいのと、たばこの定価は、これは所得、収入階層によって、必ずしも安いたばこを吸っておりませんので、これが第I十分位が〇・五六で第X十分位が〇・一四というふうに極端に逆進的になっておりますが、ただいま御説明しております、また今回増税措置をお願いいたしております酒と物品税につきまして御説明いたしますと、今回の増税に基づくそれらの税負担変化は、上位の収入階層ほど大きいという事実を御説明を申し上げた次第でございます。
#52
○近藤忠孝君 私はここで指摘をしたいのは、もっともっと新しい資料、それから都市勤労者だけじゃなくて全世帯対象とした資料ですね、それから実収入に対する負担率だけじゃなくてジニ係数などももっと明確にすべきこと等、もっともっと資料をたくさん出して、そして間接税などの増税がどういう影響をもたらすのか、これを明確にすべきだと思うんです。現にこれは事務次官田中さん自身も抽象論議じゃなくて具体的な論議を深める、こう言っておるわけで、ひとつその点を要望したいと思います。
 もう時間ありませんので、あと一、二だけ申しますと、先ほど大臣は消費に着目した間接税についてはやるともやらないとも考えてないと、こういうことだったんですが、私は先ほど挙げた資料などから見ましても、消費に着目した間接税というのは一層税制の所得再分配機能を低下すること明らかじゃなかろうかと。ですから、それのやっぱり予想も十分に立てる、そういう点の資料を期確に、その方が私はまず先だろうということを指摘したいと思います。恐らくそいつを明確にすれば、とてもそういう増税はできないということになろうと、こう思います。
 それからもう一つは、先ほど来問題になっております所得税減税です。これについてもう先ほど来ずっと繰り返しておりますけれども、最近のいろんな資料はまず所得階層別の所得格差が広がっているということが一つです。それから、それだけじゃなくて産業間とかあるいは大企業、中小企業等々、あらゆるところに格差が広がっているというのが現実です。ですから、新聞論調も所得税減税しないという大蔵省の説明は説得力を欠くと、あるいは減税拒否の理由をただすと、これが一つの世論になっているわけであります。渡辺さんは物事の説明大変うまい大臣として有名ですけれども、そのうまい渡辺さんでも説得力がないと、こう言われておるんですね。よほど大変なことだと思うんです。そこでもう一度、渡辺さん自身があれだけやっても説得できないんですから、これはやっぱり考え直す重要な場面だと、こう思いますが、いかがですか。
#53
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一つは資料のことお話がありましたが、できるだけ便宜を図るように努力をいたします。
 それから二番目は、間接税がふえていけば非常に逆進性がもっと広がるというお話がありました。私は理論的にはそうだろうと思うんです。問題は、諸外国の例を考えますとね、近藤委員もよく御承知のとおり、日本はいままで直間比率というものは大体七対三ですね、七対三。アメリカは極端に直税が多いんですがね。フランスはまあ四対六、間接税が六割。ドイツあたりが五・五の四・五ぐらいのどころと。イギリスが六、四ということで、日本よりもはるかにいずれも間接税の比率が大きいんです。そういう国はそれじゃ非常に逆進性の国かというと、なかなかそうばかりも言えないんじゃないか。日本の場合も、間接税と直接税の割合というものは、もう少し直接税よりも間接税の割合が多くていいんじゃないかと、よその国並みということでもないが、というように私は考えておるわけです。これはいろいろ御批判のあるところだと思いますが、一つの政策の問題であります。
 それから、所得税減税の問題についてはもう先ほど長くお話しいたしましたし、またこれから大蔵委員会でいろいろ皆さんに御審議をお願いするという段階で、私も誠意をもってできるだけお話をしていきたいと。要は目先の減税をやるか、それとも現実に物価の安定を図り、それから財政の基盤を強くして、そしていろいろな今後到来することが容易に予想される高齢化社会に対応していくだけの底力をつけていくか。これは政策判断の問題で、言うならば父の愛、母の愛みたいなものだと私は思うんですね。ですから、これは意見の分かれるところだと存じますが、よく話し合いをし、ひとつ賛成をしてもらうように私も努めたいと思っております。
#54
○伊藤郁男君 時間がありませんのでまとめて四、五点お伺いをいたしましてお答えをいただきたいと思います。
 第一点は、もう政府が公約をいたしました物価の六・四%、これが守れなかった、その原因は一体どこにあるのか。実は、昨年の賃上げにおきましても、それぞれの労働組合はこの政府の六・四%見通しというものを念頭に入れながら、かつ国民経済全般のことも考えて賃上げ率を非常に白制をしてきたわけです。しかし、もうその後の物価は御承知のような値上がりの状況でありまして、これはまさに戦後統計史上、本当に初めてだという異常の事態だと私ども判断をしているわけでありまして、その点、一体この公約が達成できなかった原因について明らかにすると同時に、それを公表すべきではないか、これが私の第一点。また同時に、経済企画庁長官は今年度の、五十六年度の見通しを五・五%以内に抑えると、こういうように言っておるのでありますけれども、その見通し根拠を明らかにしていただきたい。
 それから第二点は、物価の抑制に、さらに今年度まだ一ヵ月あるわけですから、全力を尽くしてあらゆる手段を通じて物価抑制に努力をしていただきたいということを要求をします。と同時に、あわせてこの物価対策費五百億円の問題でありますが、さらに残額が相当あるわけでありまして、これを来年度の物価の対策費として活用すべきであると思うけれども、これについてはどうか。これは全野党の一致した要求でありますので、その点をお伺いをしておきます。
 第三は、物価六・四%見通し、これが狂ったというのは、やっぱり勤労者に対する政府の道義的責任かつ政治的責任も非常に多いと思うわけでありまして、先ほど来、所得税減税の話が各野党の皆さんから出ておりますけれども、もう所得税減税は断固としてやってもらわなきゃならぬ。やってもらわなければどうしても納得ができないわけでありまして、もう一度その点についての見解をお伺いをしておきたいと思います。
 今回の大増税、さらに物価の、公共料金の相次ぐ値上げ、そのことによって各家計に及ぼす影響というものは非常に大きいわけでありまして、六万町から十万円の負担増になると、こう言われておるわけでありますから、この点については断固として各野党が要求をしている課税最低限度の引き上げ、これについて十分に考慮を払っていただきたい、こういうように思います。
 次に、中小企業の倒産というものが非常に多くなってきておることは御承知のところです。昨年一年間の企業倒産は一万七千八百八十四件、負債総額が二兆七千二百二十五億円に達しておるわけでありまして、これはまさに五十二年に次ぐ史上二番目のものだと、こういうように言われているわけです。中小企業をめぐる情勢は非常に厳しいわけでありまして、しかるに今度の法人税の引き上げにつきましても、中小も含めて二%、こういう引き上げ、そしてかつ軽減税率の適用所得限度額を年八百万円、これに引き上げる、こういうことにとどまっておるわけでありますけれども、私どもこれを一千万円くらいに引き上げるべきではないか、こういうように考えておりますので、この点納得のいく所見をお伺いをいたしたい、こういうように思います。
 最後に、補助金の問題でございまして、これももう大蔵大臣大変努力をされまして、相当のものを切ってきたと、このことは高く評価をしたいわけでありますけれども、先ほども御答弁がありました、小さなものは余り削っても意味がないんだと、こう言われますけれども、しかし私は、もう小さなものの中に不必要のものがたくさんあるのではないか、こういうように思いますし、さらに全国市長会のいろいろな資料を見ますと、零細補助金の中で、たとえば二万円の補助金をいただくために、その手続のために人も要る、複雑な申請書を書かなきゃならぬ、そういうようなことでかかる金額が、二万円の補助金をもらうために二万二千十七円を要したと、こういう資料もあるわけでありまして、これらの補助金につきましては、やはりこの全国市長会が要求をしておりますように、五十万円以下の少額補助金については、これは零細補助金として一般財源化に踏み切るべきではないか、これを私どもは要求をしたいと思うわけでありまして、これらの点につきまして御答弁をいただきたいと思います。
 以上です。
#55
○国務大臣(渡辺美智雄君) 物価の問題については、経済企画庁来ておるそうですから、経済企画庁の方から説明をしていただきます。
 われわれは、今後とも物価の抑制には一緒になりまして、極力努めてまいりたいと考えます。
 物価対策費の五百億円という問題については、今年度そういうことで四党合意をしたわけでございますが、これについては四党の合意ができまして、有効なものについては別にわれわれは出し惜しみをするわけではございませんので、四党の合意ができて有効なものにはお使いになって結構だと、私はそう思っております。
 所得税減税につきましては、先ほどかなり長時間かけて穐山委員のときにお話をいたしましたので、また同じ話をここでする時間的余裕がございませんので、御了解をいただきたいと考えております。やはり所得税減税ができるような情勢ができれば、私も考えないわけではないということでございますが、当面所得税減税ができるような状態にはないと、こう思っておるわけでございます。
 中小企業の対策費につきましては、これもことし中小企業の予算の伸びが低いというようなことから、よく中小企業対策が少ないんじゃないかというおしかりを受けるんです。しかし、これは二百億円からのものが、去年で不況産業業種に対する機械の買い上げとか何かの補助金が全然不要になったものですから、その分がぽつっと抜けてしまうわけです。それが抜けたところで計算すると、一二%程度の中小企業対策費というものが去年よりふえたことになるわけでございます。
 なお、増税に当たって中小企業、つまり、ある一定の企業の軽減税率適用について、そんな八百万円なんてけちなことを言わぬで、一千万円ぐらいまでを軽減税率適用にしたらいいじゃないかという御趣旨でございます。私どもといたしましては、純益七百万円だったものを軽減税率を八百万円に上げたと。一千万円に上げますと、九百万、一千万円という人はこれは減税になってしまうんです、実は。それはなぜかと言うと、それは四二%というのと三〇%と、一二%格差がつくわけでありますから、いままで四〇%を受けていたわけですから、八百万、九百万、一千万円という人は、その部分についてはですよ、超過部分については四〇%の税率適用だったものが、今度は三〇%の低率適用ということになって、むしろ七百万を超過して一千万までの部分は減税になってしまう。そういうような点から、これはほかとのバランス、それから個人営業者、個人営業者でもかなりの高所得の者がございますから、法人にすれば法人にできると。一千五百万とか二千万程度とのバランス等も考えまして一千万にすることは適当でないと、こう考えた次第でございます。
 零細補助金の問題については、二万円の補助金があったかどうか、私は実はよくわからないので事務当局から説明をさせますが、零細な補助金は切らなくてもいいなんていうことを私は一つも言ってないんですよ。それは極力整理はいたします。いたしますが、全体的に大きな金額にはなかなかならない。数はうんと多いんだけれども、そのわりに、ともかく何百億、何千億という金にはなりませんでしたという御報告を申し上げたわけでございます。
 以上でございます。
#56
○説明員(中田一男君) お答え申し上げます。
 五十五年度の消費者物価につきましては、御案内のとおり、第二次石油危機によります輸入インフレを何とか国内インフレに転嫁させないようにということで懸命の努力をしてまいりました。しかしながら、何分にも原油価格が予想いたしました以上に大幅に上昇いたしましたことですとか、あるいは異常気象によりまして季節商品等の値上がりが見られましたことなどであらかじめ予見しがたい要因が出てまいりまして、見通しを修正せざるを得なくなったということをまことに残念に思っておりますが、現在もまだ寒波等の影響で野菜価格等は上がっておりますが、これに対しましてもこの年度末までにかけまして何とかこれを安定させるようにということで、緊急、応急の対策も講じております。全力を挙げておるところでございます。が、おかげさまで基調的には物価はかなり落ちついております。卸売物価はすでに昨年の四月をピークにいたしまして安定しておりまして、消費者物価への波及というのも非常に弱まってきております。したがいまして、消費者物価の現在の瞬間風速的な動きというのは非常に弱くなってきておると見ております。また、五十六年度にかけましては、ちょうど五十五年度の当初に電力料金ですとかガス料金の改定という非常に大幅な改定がございましたけれども、公共料金もそのような事情には必ずしもございませんで、去年よりは事情はいいというふうに見ております。また、原油の価格につきましても、現在では非常に需給が緩和しております。これは将来の事態というのは非常に流動的ではございますけれども、これまでのような大幅な上昇はないということになれば、現在の落ちつき傾向を定着させていくことによりまして、五十六年度五・五%の上昇というのはわれわれの努力によってそのようにおさまってまいるであろう、そのために引き続き来年度も努力してまいりたい、かように考えております。
#57
○政府委員(吉野良彦君) いわゆる零細補助金の問題でございますが、ただいまお取り上げになりました二万円という補助金、ただいま私承知をいたしておりませんが、一般的に申しますれば、零細補助金の整理といいますのは補助金全体の合理化の一つの重要な柱と考えまして、従来からも努力をいたしてございます。五十六年度予算におきましても、幾つかの零細補助金につきましてこれを廃止をするとかあるいはまた統合するとか数々の努力をいたしているつもりでございますが、今後もなお引き続き一生懸命努力をしていきたい、かように考えております。
#58
○野末陳平君 時間の関係で質問の内容をちょっと変えさしていただきますのでお許し願いますが、大蔵大臣、最近一部にグリーンカードの導入を見直せという声が大分あるそうですが、そういう動きが今後もし強くなっていった場合に、大臣としてはどう対処なさいますか。
#59
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はじかに言われたことは一回もだれからもないです。何か国会で質問をされたことはございます。私といたしましては、ともかく租税の公平を図れという要求、そのためには総合課税にしろということ、もう一つは郵便局等で非課税貯蓄があってその限度が完全に守られていない、きわめて不公平ではないかと。ずるした人が得する、これけしからぬということであれはできたわけでございますから、私はそういうような観点から、まして今回増税もお願いしなければならないというようなときでございますので、これを見直すということは毛頭考えておりません。
#60
○野末陳平君 いまさら何で見直せというのかわかりませんけども、聞くところによりますと、グリーンカードのせいで換物運動がどうも起きてきた。運動というほど大げさかどうか知りませんが、少なくとも物に金をかえようと、しかも税務署をこわがる金がそっちへ行っているというようなことなんですが、これ自体は決して好ましいことではありませんけれども、果たして本当にそういう動きがいま出ているのかどうかわからないんですね。当局としてはこういう動きがどの程度になっているか、その辺の実態はある程度わかるんでしょうかね。
#61
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私もよくわからぬですね。貯金全部かけるわけじゃございませんしね、これは。要求払い預金についてはグリーンカード要らぬわけですから。ですから、あわてて外国に金(かね)を運ぶとか金(きん)を買うとかどうとかといううわさ話はございますが、現実にまだそれが徹底していないということじゃないかと。しかし、経済というのは生き物ですから、勘違いされるととんでもない問題が起きるので、これから先まだ五十九年までは長い時間がございますから、そういう勘違いをしないように国民にも徹底したPRが必要だろうと、そう思っております。
#62
○野末陳平君 もちろんPRは大事なんですが、ただ、ためにする理由に換物運動がけしからぬなんということになると、これが本当なのかどうか、その実態がどの程度なのかということを当局としてもある程度知っておかなければいけないと思うんですね。どういう調査方法になるかわかりませんけれども、やはり今後に向けて、まだ三年ありますけれども、果たして金を物にかえるという動きかどの程度出てくるのか、これは全くわかりませんね。誤解による動きであっても、それが実態であればやはり好ましくない。その辺の動きを今後つかむべきだと、調べるべきだと、そういうふうに考えるんです。それはよろしいですね。
#63
○政府委員(高橋元君) いまお示しのお話はまことにそのとおりだと思います。私どもも十分、いろいろな指標でかなりむずかしい問題もあろうかと思いますが、その動向把握に努めたいと思っております。
#64
○野末陳平君 それから、大臣のお答えにもありましたけれども、例の郵便貯金なんですが、去年の秋からことしにかけてかなり郵便貯金にお金が流れていたことはいろんな数字から見て明らかなんですが、ただし、あれがグリーンカードのせいであるということになると、非常に疑問の点も多いわけですね。そこで、郵貯へ金が大量に流れたその理由について、その後の動きも見ながら、大蔵省としてはどういう分析をされたのか、それが興味があるんでお聞きしたいんです。というのは、仮に今後、近く公定歩合が下がって預貯金金利連動いたしますと、またそういう動きが出てくるのかどうか、それも全くわかりません。しかしながら、すべてそれがグリーンカードのせいであるというふうになりますと、何のためにこの制度をめぐって審議をしたのかわからなくなってきますので、その辺の、郵貯に金が流れたのは一体どういう理由であったかの当局の分析をお聞きしたいんです。
#65
○政府委員(高橋元君) これは銀行局長おりませんので正確なことは申し上げられませんが、ます動向から申し上げたいと思います。
 郵貯の純増ベースの増加額が八月ぐらいから非常にふえまして、八月に八七・三%前年を上回りまして、九月は三・五倍、十月が二・八倍、十一月が三倍、こういうことであったわけですが、十二月になりまして一六・二%というふうに下がってまいりまして、一月は前年に対してマイナス一・七というところまで来ております。
 こういうことから、私どもこれは憶測でございますから、こういう公の場で申し上げてよろしいかどうか、責任を持ったお答えであるいはないのかもしれませんけれども、一つは金利の天井感ということであろうかというふうに思うわけでございます。金利選好で、郵便貯金の金利は預けておけば十年間は高い金利がそのままもらえると、そういうことをねらった預金のシフトというものがあったとすれば、かなりそういうところで出てきたんではないかという感じはいたしておりまして、ただいま申し上げた数字はそういう動向をあらわしているんではないかというふうに考えております。
 そのほかに、やはりいろいろ新聞等、また世の中、世上で、郵便貯金に預けておけば、これは元本把握もされないし税金もかからないというような過剰な宣伝と申しますか、心証に基づいて浮動した金が私どもは確かにあっただろうと思うんですが、それがどのような程度であったのか、もう少し銀行局にもよくまたお答えをする機会を持ちまして、正確なところを御報告をさせていただきたいというふうに考えます。
#66
○野末陳平君 郵便貯金へ金が流れることについては、今後もしそういうことがあれば、なおいろんな角度で研究すべきだと思うんです。いずれにしても、グリーンカードの反対の理由にされては非常に迷惑だという気がするんですね。
 そこで大臣、最後に、見直しというよりも、あとは細かい部分の詰めがまだ若干残っていることで、それをいかにPRしていくかということの方が大切なんですから、雑音にくれぐれも余り惑わないようにとぼくはお願いしたいんです。
#67
○国務大臣(渡辺美智雄君) 承知いたしました。
#68
○委員長(中村太郎君) 以上で大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後八時五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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