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1980/05/14 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 大蔵委員会 第20号
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1980/05/14 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 大蔵委員会 第20号

#1
第094回国会 大蔵委員会 第20号
昭和五十六年五月十四日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     近藤 忠孝君     宮本 顕治君
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     江島  淳君     塚田十一郎君
     川原新次郎君     岩本 政光君
     宮本 顕治君     近藤 忠孝君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 太郎君
    理 事
                衛藤征士郎君
                島崎  均君
                藤井 裕久君
                穐山  篤君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩動 道行君
                岩本 政光君
               大河原太一郎君
                梶木 又三君
                片山 正英君
                河本嘉久蔵君
                古賀雷四郎君
                野呂田芳成君
                藤井 孝男君
                鈴木 和美君
                対馬 孝且君
                多田 省吾君
                矢追 秀彦君
                近藤 忠孝君
                三治 重信君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       大蔵大臣官房審
       議官       矢澤富太郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       小山 昭蔵君
       大蔵省主計局次
       長        吉野 良彦君
       大蔵省主計局次
       長        西垣  昭君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       国税庁次長    川崎 昭典君
       国税庁直税部長  小幡 俊介君
       国税庁徴収部長  五味 雄治君
       国税庁調査査察
       部長       岸田 俊輔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     山田 昭三君
       法務省刑事局刑
       事課長      飛田 清弘君
       国税不服審判所
       次長       小田 和美君
       自治省税務局企
       画課長      渡辺  功君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係
 法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十三日、江島淳君が委員を辞任され、その補欠として塚田十一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(中村太郎君) 脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。渡辺大蔵大臣。
#4
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま議題となりました脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、最近における納税環境整備の必要性に顧み、税務執行面における租税負担の公平の確保に資するため、今次の税制改正の一環として、脱税に係る更正、決定等の制限期間の延長等の措置を講ずることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 第一に、偽りその他不正の行為により免れた国税に係る更正、決定等の制限期間を五年から七年に延長することといたしております。なお、現在、偽りその他不正の行為により免れた国税の徴収権は、五年で時効消滅することとされておりますが、この制限期間の延長に伴い、その国税の徴収権につきまして、最長二年の範囲内で更正、決定等の日まで時効が進行しないこととすることといたしております。
 第二に、所得税、法人税、相続税及び贈与税の脱税犯に係る法定刑の長期を間接諸税のそれに合わせ、三年から五年に引き上げることといたしております。なお、この法定刑の長期の引き上げに伴い、刑事訴訟法の規定により、これらの脱税に係る罪の公訴時効期間も、三年から五年に延長されることとなります。
 第三に、所得税、法人税、相続税、贈与税及び間接諸税並びに関税の納税者の代理人等が、その納税者の業務等に関して脱税に係る違反行為をした場合には、いわゆる両罰規定により納税者も罰金刑に処せられることとされておりますが、その罰金刑に係る公訴時効期間を、その代理人等に係る罪である懲役刑の公訴時効期間によることとするほか、所要の改正を行うことといたしております。
 以上、脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。
 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(中村太郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○鈴木和美君 ただいま脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明が行われましたが、この末尾にも明らかなように、その提案の理由と内容の大要を申し上げましたということなので、再度恐縮ですが、この法律案を提案いたしました背景と沿革、そして主なる理由について、もう一度詳しくお聞きしたいと思います。
#7
○政府委員(高橋元君) まず、改正の理由でございますが、税務署長がさかのぼって課税できる期間、これは俗に賦課権と申しておりますが、賦課権の除斥期間、これは現在単純過少申告の場合には三年、脱税を伴います過少申告の場合には五年、無申告の場合には五年と、こうなっております。これは国税通則法の七十条でございます。
 その除斥期間のうち、脱税の場合の五年につきましては、脱税に対する世論が非常に厳しくなってまいっておるということ、それから昭和三十六年にいまの脱税の場合五年という制度ができたわけでございますが、それ以来、いわゆる実調率が著しく下がってきております。昭和三十六年に個人の二割、法人の四割が実調が行われておったわけでございますが、最近では、個人の約五%、法人の一〇%程度の実調ということになっております。したがって、このように実調が下がってまいりますと、五年の期間制限のもとで的確な執行を行うことが必ずしも期せられないということも最近の現象でございます。
 第三に、主要諸外国の脱税の場合の除斥期間は、アメリカ、イギリスは無制限でございます。ドイツが十年でございますとか、フランスが六年でございますとか、そういう外国が比較的長いのに比べまして短期間である。
 それらの三つの理由からこれを七年に延長しようという趣旨でございます。それから除斥期間につきましては、所得税、法人税に限らず、酒税、物品税等全体の税目についてこれを行うという趣旨でございます。
 それから、罰則につきまして先ほど大臣から提案理由の御説明がございましたが、罰則につきましては、現在直接税の場合三年以下、間接税の場合五年以下とされております。これに伴いまして、刑事訴訟法の二百五十条の規定によりまして、脱税犯の公訴時効期間は直接税の場合三年、間接税の場合五年と、こうなっております。この点につきまして、脱税のいわゆる反社会性ということから、直接税と間接税の間で格差を設けるべき合理的な理由がない。先ほども申し上げたことでございますが、脱税に対する世論が厳しくなってまいっておる。
 第三に、大口、悪質な脱税犯につきましては、事案が複雑巧妙化してまいり、かつ広域化もしてくるというようなことで、調査を着手いたしましてから起訴するまで長期間を要するということから、公訴時効期間の延長の必要がございます。
 第四に、外国における脱税の場合の懲役刑というものが日本の直接税の三年よりもかなり長い。これらの理由によりまして、直接税の脱税犯に係る法定刑の長期及び公訴時効期間を五年に延長するというのが御提案申し上げている法律の内容でございます。
#8
○鈴木和美君 ただいま提案の主たる理由が説明されましたが、この中で、今回改正を行いたいという理由の一番大きいポイントは何でございましょう。
#9
○政府委員(高橋元君) 一言で申せば、納税環境の整備ということであろうと思います。で、所得、資産、消費それぞれに係ります課税というものは、税制面でも公平でなければならないと同様に、執行面におきましてもできるだけ把握差を少なくしてまいる、それによりまして実質的な負担の公平の確保を図る、これが何よりも大切なことかというふうに存じます。昨年の十一月の税制調査会の中期答申の中でも、ことに所得課税につきましては、執行面で把握差が生じやすい、実質的な公平の確保の面で批判が少なからず見受けられる。そういうことから、所得税等につきましては制度上、執行上の公平確保が一段と強く要請されておるという認識に立ちまして、広範な角度からの検討ということの要請が行われております。
 申告納税制度を基本といたしております現在の税制のもとでは、納税者の意識の喚起、高揚というものはもちろん、それによって基本的な問題の解決が図られるべきものでありますけれども、たとえば税制面での負担公平の確保に従来以上に配意するとともに、執行上の問題についても、たとえば納税者の記帳水準の向上を図ることや除斥期間を延長することによって把握差をできる限りなくすような工夫を重ねていく必要があるということが述べられております。そのように納税環境整備の一環ということで今回の改正をお願いを申し上げている次第でございます。
#10
○鈴木和美君 納税環境の整備というと必ず問題になる第一は、やっぱり所得の把握及び実調率を高めるということだと思うんですが、実調率がずっと低下をしてきている経過については酒税の質問のときに私ある程度述べたと思うんですが、それが今日までなぜ放置されてきたのか。いまお話を承っておりますと、何かつまり税の負担の公平というと罰則だけを強化すれば不公平な負担が解消されるようないま御説明に承ったんですが、実調率が下がってきているということが問題であるというのであれば、なぜそのことを放置してきたのか、そこを明らかにしていただけませんか。
#11
○政府委員(小幡俊介君) 実調率が先生お話しのように低下をしておるということで、先生御案内のとおりに、所得税で言いますと最近では四%台、法人税では一〇%台ということでございます。この理由でございますけれども、一つには納税者数の増加というものがあるわけでございまして、たとえば四十四年から五十四年というふうなところで見ましても、申告所得税で四十四年に対しまして約二六%ぐらいふえておる。あるいはさらに二十年前に比べれば二・六倍ぐらいにふえている。法人税におきましてもこの十年間で約五割近くふえておる。二十年前に比べればさらに七割近くふえている。そういうふうな納税者の増加、そういうものに対応いたしまして、税務署の定員の方はいろいろな理由からさほどの伸びがない。さらにまた、そういうことで署員一人当たりの処理すべき納税者数が非常にふえてきているわけでございますが、さらに一人一人の納税者につきましても、経済の広域化、複雑化、そういうものに対応いたしまして非常に調査内容等もむずかしくなってきておるというふうなことがいろいろ絡みまして実調率が下がってきておるわけでございます。
 私どもといたしましては、こういう中におきまして決して手をこまねいておるというわけではないのでございますが、いろいろ私どもなりに努力はしておるわけでございます。先ほど主税局長のお話の中にもございましたような納税環境の整備というふうな問題、そういう観点でいきますれば、私どもなりにいろいろ納税意識の高揚のためのPRでありますとか、あるいはいろいろな租税教育的な講習等々行うというふうなこともやっておりますし、あるいは記帳慣行を向上していただく、まじめな記帳をし適正な申告をしていただくという意味で青色申告の育成強化というふうなことも努力をしておりますし、またいろいろな資料、情報を収集、充実させるというふうなこと、そういうふうなことについてもいろいろ努力を重ねておるわけでございますが、冒頭申し上げましたような納税者数の大幅な増加というものに対応して、どうしても定員が確保できないということになりますと実調率というものは下がっていかざるを得ないというわけでございますが、そういう中におきましても私どもなりに最大限の努力は重ねておる、こういう現状にあるわけでございます。
#12
○鈴木和美君 日にちをちょっと……、これは衆議院での大蔵委員会の議事録を見せていただいたんですが、所得の把握、捕捉率についていままで国税庁が真剣にやってないじゃないか――これは渡部さんの質問で川崎さんお答えになっている部分として、その捕捉率を高め、また所得を把握するためのいろんな方法、クロヨンとかトーゴーサンの問題についてもっと的確に把握する方法はないのかという質問に対して、いろいろ検討はしているけれどもというやりとりの中で、最後に、「結果が出ないということ」、「やり方は恐らく二、三ヵ月以内に決まるであろうと考えております。」というお答えがありますね。これはそういう所得の把握及び捕捉率について適正な、的確なやり方というものは、ここ二、三ヵ月にお答えができることになっているのですか。どういう見当になっているのかお答えいただきたいと思います。
#13
○政府委員(川崎昭典君) 衆議院の大蔵委員会で私がお答えしたわけでございますけれども、調査をやって答えを出すのは年内ぐらいかかるわけでございます。ただ、どういう方法で調査をやるかということにつきましては、内部でもいろいろ議論をしておりますが、まだ成案を得ていない。じゃいつごろ成案を得るかということにつきまして、二、三ヵ月以内にはきちっとした案でこういうふうな調査をやろうというふうな結論になるんじゃないかというふうに申し上げたわけでございます。それで、事務的には直税部の方で現在検討しておるわけでございます。
#14
○鈴木和美君 私もそこのところ非常に興味を持って読まさしていただいたんですが、二、三ヵ月後にこれからの調査の方法、それから把握の方法というものが結論が出るというのであれば、現在どういうような方向でやりたいかという案的なものはあるはずですね。それがないのであれば二、三ヵ月後に適正な、的確な調査の方法が出るとは考えられませんね。どういう基本的なものを考えているのか、お尋ねいたしたいと思います。
#15
○政府委員(小幡俊介君) 衆議院での議論でございますが、私どもといたしまして、いわゆるクロヨンの実態ということについて先生方に的確にお答えするような特別なそういう調査をやったことはないということの質疑の中で、そういう調査をやったらどうか、こういう御指摘があったわけでございます。
 私どものやりますのはいわゆる税務調査ということで、従来から調査をやっておるわけでございますが、そういう営業の申告の実態の調査ということになりますと、どういうふうなやり方がいいかということになりますので、いまいろいろ私どもの方で検討しておるわけでございますけれども、たとえば一つ考えられますのは、営業の納税者の中からある数をいわゆる無作為抽出の方法によりまして抽出をいたしまして、その方々について税務調査を行うというふうなことが一つ考えられるではないか。従来の税務調査と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、所得税で申しますと四%台という実調率でございますから、したがいまして、大体におきまして特別な何かの資料があるあるいはいろいろな同業者との比較権衡をやってみると、特に所得水準が低いんではないかとか等々、かなり申告漏れの疑いがあるというふうな方々を重点にして調査をするという実態になっておるわけでございますが、そういうふうなことでございますと一般的な申告水準の調査ということにいかがかと、こういうふうなことでございますので、先ほど申し上げましたようなことで何かの調査ができないかどうかというふうなことで、いまいろいろ勉強しておる、こういうことでございます。
#16
○鈴木和美君 申告所得の方も法人の方も実調をする場合に、いまお答えになったようなことというものは現状でも行われているわけでしょう。実調するのにどこへ行くのか、どうするのかということについては現在でもいまそういうようなファクターを入れて実調しているのじゃないですか。
#17
○政府委員(小幡俊介君) 現在の実地調査がどういうふうにして調査対象を選んでいるかと申し上げますと、何分にも実調率が四%しかできないということでございますから、申告書が出てまいりますと、その申告者につきましてはかの同業者の方々に比べて、どうもその事業規模等々から見まして申告の水準が低いんじゃないか、だからこの人はひとつ調査をしてみる必要があるんじゃないか。あるいはまた、いろいろなほかの税務調査の観点から取引の資料等が回ってまいりますけれども、これだけの大きな取引をしてあるという片やデータがあるのにかかわらず、この方はどうもそれに比べると申告が低いんじゃないかというふうないろいろな資料、情報なり申告水準の検討等から見まして、ある程度申告漏れの疑いがあるというふうな人を中心にして現在調査をしておるわけでございます。
 それでは、先ほど御紹介申し上げました御指摘では、一般的ないわゆるクロヨンという動態というものはそういうことではわからないんではないか。やはり無作為に納税者の中から選び出すと。そうすると、完全に申告している人もいるだろうし、相当申告漏れの人がいるかもしれない。そういう一般的な広い納税者の中から無作為抽出をして、そういう人について調査をしてみた、その結果というのが一般的な申告水準というものを示すことになるのではないかと、こういうふうな御指摘であったかと思うわけでございまして、そういうふうな意味での調査は私どもいままでやっておりませんでしたので、そういう御趣旨に即するということであれば、無作為抽出によって調査対象を選定すると、そういうことで一回調査をやってみるかということで検討をしておるということでございます。
#18
○鈴木和美君 私は、所得をどうやって把握するかということは大変むずかしいことだと思うんですね。ですから、いまのような方法も一方法かと思いますけれども、私は個人的には余り賛成ではありません、何か当たった人が流れ弾に当たったみたいな、そんな非科学的なことは余り賛成ではありません。
 それから、トーゴーサンピンとかクロヨンとかという、いまその議論をここでは細かにするつもりはありませんけれども、問題は、適正な税の負担なり適正な納税がどうやって行われるかという観点に立った、つまり角度での調査、把握、そういう角度で議論されるべきだと思うんですね。ですから、今回罰則の提案が行われたということから考えてみると、今度角度を変えて質問しますが、現在のつまり納税というものは適正に行われていると思うのか、行われていないというふうに思うのか、どちらですか。
#19
○政府委員(小幡俊介君) これは非常にむずかしい御質問でございますが、私どもといたしまして、物差しとしてありますものは、私どもが税務調査をした結果ということが一つの判断基準としてあるわけでございます。私どもが税務調査をしました結果といいますと、先ほど来お話し申し上げましたように、所得税についていきますと、約四%程度の方について調査をしたデータがある。それで見ますると、営業所得者の場合に、いわゆる調査後の所得というものを仮に一〇〇にして、当初の申告がどのくらい出ているかというふうに見ますと、おおむね八割弱ぐらいの程度、ということは逆に言いますれば、申告漏れが二割強というふうなものが私どもの税務調査のデータとしてはあるわけでございます。
 一般的にクロヨンといいますと、全体の納税者の方がどういう申告漏れの割合があるかということでございます。これは推測をするデータは私ども持っておりません。しかしながら、先ほど申し上げましたように、私どもがある程度の申告漏れの疑いがあるという情報をもって選び出された、その方の申告漏れの割合が二割程度だということになりますと、そのほかの九五%の方の申告漏れがそれよりも多いということは常識的には確率的には少ないんではないかなと。したがいまして、全体としての申告漏れ割合というものが、世上言われているようないわゆるクロヨンというような程度まではいってないんじゃないかというふうに思いますが、しかし逆にまた、それじゃ一〇〇%かと言われれば、私どもの税務調査でもそういうデータが出ておるわけでございますから、所得の申告漏れが絶対ないということは私どもも申し上げる立場にはないわけでございますが、私どもの税務調査の結果から判断をいたしますと、そういうふうなことではないかと思うわけでございます。
#20
○鈴木和美君 言葉の使い方が大変むずかしいと思いますけれども、要するに現在の納税の状態というものは必ずしも適正、的確でない、そういうふうに結論づけてよろしゅうございますか。
#21
○政府委員(小幡俊介君) これは青色申告者で完全にまじめに記帳し、一〇〇%申告をしておられるという方が多数おられるということを私ども承知しておりますし、また先生の後援者の方にもそういうまじめな方が多数恐らく来られると思います。そういう方が多数おられると同時に、また反面、私どもが税務調査をする中で高額の申告漏れがあるという納税者がいるということもこれまた事実でございます。したがいまして、全体として申告漏れがあるというふうにきめつけるわけにはいかないわけでございますが、相当の申告漏れの方がいることはまた事実だというふうに思うわけでございます。
#22
○鈴木和美君 ただいまずっと述べてまいりました、またお答えをいただいた中で明らかになったように、必ずしも的確でない、その是正のために罰則を強化するというのが今回の法律のつまり提案の主なる趣旨というふうに理解すべきですか。
#23
○政府委員(高橋元君) 直ちにそういうふうに申し上げてよろしいかどうか、「偽りその他不正の行為により」税を免れると、いわゆる脱税でございますが、そういう事案につきまして除斥期間を五年から七年間に延ばす。したがって、過去七年前までそういうことがありましたならば調査をして、それによりまして的確な課税ができるようにいたすというのが除斥期間の延長の趣旨でございます。
 それで、これは単純な過少申告、恐らくいわゆる中小企業者の方々、そういう方々に仮に的確な税額を申告しておられない方があるといたしましても、そういう方々のほとんどの方々は単純なミスというものでやっておられるんだと思うわけであります。「偽りその他不正の行為」というものが間に介在をいたしまして、それによって積極的に税負担を免れるというケースは、そういう場合にはそれほど多くないと思います。いわゆる悪質、大口と申すのでございますが、そういうような事案につきまして除斥期間を延長し、さらに公訴の時効期間を延ばし、また罰則も三年から五年に延ばす、これが御提案申し上げております罰則整備法の骨子でございますから、鈴木委員の話はそのとおりであるというよりも、いろいろそういう納税環境整備を助成いたしております中に、特に悪質な脱税につきましての今回の制度改正であるというふうに御認識をいただければありがたいというふうに思うわけでございます。
#24
○鈴木和美君 その問題、後ほどまた議論さしていただきますが、もう一度国税庁にお尋ねいたしますが、適正な納税になっていないというような状況というものを生み出している今日の状態というものは、主なる原因というのは何だとお思いになりますか。適正な納税が行われていないということは何が主なる原因でそうなっているのかということについてどういうふうに把握されていますか。
#25
○政府委員(小幡俊介君) 納税者の方の中に適正な申告をしていない方がいらっしゃる、その理由は何かということでございますが、これは私も必ずしも的確にお答えするだけの材料を持ち合わせておりませんけれども、いろんなことの要因の重なりであろうかと思います。
 で、一つ考えられますことは、いわゆる納税意識という問題があろうかと思います。私どもが国家、社会をつくり、その国家、社会をつくるための必要な資金というものはわれわれがみんなで分担して出さなければいけないんだという、この基本的な意識ということについて日本人がもう少し強くあっていいんではないか。そういうふうな意味におきますと、租税教育というふうなことがもっとしっかり行われる必要があるんではないかというふうなことも考えられるわけでございます。また、一面におきまして、先ほど来申し上げておりますような私どもの実調率というものが相当低い水準にあるというふうなことが、税務署と納税者との間のいわゆる緊張関係というふうなものについて必ずしも十分でないというふうなこともあろうかと思います。それぞれ一人一人の事情につきましてはいろんなことがあろうかと思いますし、私も全体を通じまして的確なお答えを申し上げかねるわけでございますが、ちょっとそういうふうな感じを持つということでございます。
#26
○鈴木和美君 不満です。そういう把握の仕方、きわめて不満です。つまり、なぜ適正な納税になっていないのか、どうしたらみんなに適正に納めてもらえるんだろうということは裏返しとして出なきゃならないことじゃないですか。それが、いろいろのとかどうお答えしていいかというような、そういう抽象的なものじゃないと思うんですね。もっと具体的にこういうわけだから納税適正になってない、しかしそれを解決するためにはこういうことをしなければならないけれども、現在の情勢の中でこれはむずかしいとか、そういうつまり対策というものが出てこなきゃならないんじゃないですか。私はそういう意味できわめていまの答弁は不満です。もう一度お尋ねしますが、なぜ適正な納税になっていないのかということについていろんな見解はあると思うんですよ。私は前回も申し上げたんですが、一つはやっぱり納税者の意識ですね。自分の金がむだに使われているというような意識が納税者の中に出てくれば、税金を納めるのに余り積極的になりませんよね。むだに使われているということは、今回の財政再建の問題をめぐるつまり行革の問題もありましょう。もう一つは、私は前回も申し上げましたけれども、政治が国民の納得いくような政治になっていなければ納税者の方は後ろ向くんじゃないか。そういう納税に対する感情というのはあると思う。これはこれなりに意見ですから皆さんから答弁をいただこうとは思いません。ただ、私が言いたいのは、一番最後に、いろんな理由があったにせよ、やっぱり税務署の職員の実調率が低いということが基本的な問題じゃないかと思うんですよ。何といっても根本的な問題がここにあるんじゃないかと私は見ているんですが、いかがですか。
#27
○政府委員(小幡俊介君) 先生おっしゃいましたことも重要な理由の一つであろうかと思います。
#28
○鈴木和美君 それでは、その次にお尋ねしますが、先ほど主税局長もお話しがありましたが、この法律案をつくったつまり提案の理由の中に、すべてに適用するというか善良な納税者もあるわけですから、そういう人たちを対象にしているわけではないというお話と同時に、悪質とか大口とかそういうものを対象にしたいと、すべきだというようなお話があったんですが、悪質とか大口とかというのはどういう基準で悪質、大口になるんですか。
#29
○政府委員(高橋元君) これは法律上の表現として、具体的にどういうものが大口、悪質かということを一般的にそれを決めるというのは非常にむずかしい問題があるというふうに思うわけでございます。納税は主権者である国民が、はなはだくどいようで恐縮でございますが、自分の社会生活を営んでいくために必要な費用を分担して、自分で所得を計算して税法を適用して納めていただく、そういう自主申告、自主納税ということを基本としておるわけでございますが、そういう場合に「偽りその他不正な行為」によって税を免れるということは他の国民に対して侵害になるということは、これは申し上げるまでもないことでございます。そういう場合に一定金額以上でなければ大口、悪質と言えないとか、一定金額以下であれば脱税と言わないということを明示するのはむずかしいんだろうと思うわけでございます。
 それから、どういう脱税の態様をやった場合に悪質かということにつきましても、一概に申し上げるのはなかなかむずかしいわけでございます。課税処分でございますから、課税処分としての更正決定、さらには査察ということにつきましては、これは司法の判断というものが最終的にございまして、戦後昭和二十四年以降、悪質な事案または脱税――故意または偽りまたは「その他不正の行為」による脱税というものは具体的にどういうものかということが判例の積み重ねで出てまいってきておりまして、そういう各審級にわたる判例を国税庁もよく勉強いたしまして、それによってどういう事案がいわゆる社会的に非難さるべき悪質、大口な脱税かということを具体的にケース・バイ・ケースに判断をしていくということであろうかと思いますし、そういう一つ一つのケースについてのやり方、手口と申すのでございますが、手口なりその結果なりというものを一つ一つ判断をしていくということでございますが、今回御提案申し上げております法案の中では「偽りその他不正の行為」によりまして税を免れた場合の除斥期間というものだけに限りまして五年を七年に延長、除斥期間をお願いしておるわけでございます。したがって、単純な過少申告、単純な無申告というものにつきましては、現在の除斥期間の規定はそのままになっております。それから罰則につきましても、そういう「偽りその他不正の行為」による脱税というものにつきましてだけ三年を五年に延ばすということを御提案申し上げておるわけでございます。
 そういうことで、それを法律的に大口、悪質というものをきちっと客観的に決めることができるか。しからば、その決めることができないとしても税制当局はどういうふうに思っておるのかというお尋ねでございますと、大変要領を得ないようでございますが、まさに社会全体の費用をみんなが払い合うという意味の税につきまして、ケース・バイ・ケースに納税者の実情に応じて決めてまいるということが一番正しいやり方ではないかというふうに私ども考えておる次第でございます。
#30
○鈴木和美君 どうもよくわからないんですが、この法律は単純な、つまり誤りというかそういうものには適用しないと、意図的なものであるというようなものに適用する。つまり悪質、大口であるということであるとすると、国民の側から見てこの法律が適用されるのはどういうものを指しているのかということが明らかにならないと、いいも悪いも意志表示はできないと思うんですね。だから一概に言えないとか、ケース・バイ・ケースであるとか言うんだけれども、恐らく判例とか何かがあるんだというのであれば、ある程度のこういうものを悪質と言うとか、こういうものを大口と言うというのは歴然としているんじゃないですか。ちなみに税法上、悪質、大口という中に「仮装」または「隠ぺい」という言葉がありますね、税法の中に。そういうものと悪質、大口というものはどういうふうな関連性を持つのか、明らかにしていただけませんか。
#31
○政府委員(高橋元君) 単純な過少申告というものにつきましては、繰り返しで恐縮でございますが、現在でも三年しかさかのぼって調査ができないわけでございます。四年目、五年目にさかのぼって調査ができるものは「偽りその他不正の行為」によって税負担を免れた場合でございます。「偽りその他不正の行為」とは何かということでございますが、昭和四十二年の最高裁の判例によりますと、「逋脱の意図をもって、その手段として税の賦課徴収を不能もしくは著しく困難ならしめるようになんらかの偽計その他の工作を行なう」ということでございます。したがって、逋脱の意思があっても何らの偽計その他の工作もなく、単に申告書を提出しなかっただけでは不正の行為には該当せず、脱税犯は成立しない。これは昭和四十二年の最高裁の判例でございます。しかし、逋脱の意思を持ってことさらに過少の虚偽申告をした場合には、ほかに不正行為がなくても虚偽申告それ自体が「偽りその他不正の行為」に該当して脱税犯が成立する。これは四十八年の最高裁の判例でございます。
 いろいろくどくどと申し上げておりますが、そういう逋脱の意思を持って偽計その値の工作を行う、それがここで申し上げております「偽りその他不正の行為」、つまり可罰性を持った脱税行為ということであると思いますし、現に執行の問題で後ほど国税庁からお答えがあると思いますが、四年目、五年目にさかのぼって課税をいたしておりますもの、これは個人の場合年間約千件ぐらいであるというふうに伺っております。全体として調査を行っております件数の中のごく一部でございますが、この四年目、五年目にさかのぼって課税ができます。その部分を、さらに七年間に延ばして調査できるようにさしていただきたいというのが私どものお願いでございますが、いずれにしても非常にわずかな部分でございますが、それは実調率が下がっておるからそうなっておるんではないかということもあろうかとは思いますが、大部分の方々がそういう悪質な詐欺その他不正の行為というものをしておられるのではないということも反面から言えるんであろうというふうに考えておる次第でございます。
#32
○鈴木和美君 この法律の提案の大きな理由として「租税負担の公平の確保」ということを挙げているわけでしょう。そうすると、それは反語的に出るのは、負担の公平でない状態になっているから負担の公平を確保したいということですね。そうすると負担が公平でないと。公平でないということは納めていないという不公平、それから納め方がおかしいという不公平とあるわけでしょう。ですから、いずれのおかしいにしても、何かの基準とかまたは現在の納税の状態から見てもっと税収は取れるんじゃないかというような計数的なはじき方があって、それでこのぐらいならば法案改正をやろうじゃないかというような踏み切りに私は手だてとしてはなるんだろうと思うんです。それが明らかにならないと、どうも私は、この法案についての審議というのができないと思うんです。
  そこで、悪質、大口というような、どういう人たちに今回の罰則規定の強化が行われるんだろうかということだけはもう一度、大変申しわけありませんけれども明らかにしていただきたいと思うんです。
#33
○政府委員(高橋元君) 国税庁から続けて詳細をお答えを申し上げますが、先ほども申し上げましたように四年目、五年目にさかのぼって、今回は四年目から七年にさかのぼって課税をいたしますような「偽りその他不正の行為」による脱税は、年間個人の場合千件ぐらい、さらに罰則を加えられるような脱税と申しますのは、百五十件から二百件ぐらいというふうに承知しております。それがどのようなケースであってどうなっておるかにつきましては、続けて国税庁よりお答えさせていただきます。
#34
○政府委員(小幡俊介君) いま主税局長がお答えになったことでございますが、いわゆる過少申告の事案というものは三年間の除斥期間ということで変わらないわけでございまして、この偽り、不正という行為によって税の逋脱を図った者が対象になる。現在四年、五年課税というのがどのぐらいあるかということを申し上げますと、所得税で申し上げますと、四年、五年まで課税いたしたものは、五十二年分の実績で申しますと約九百件、全体の調査件数の一%弱でございます。法人税につきましては約四千件程度でございまして、全体の調査件数の二%強というふうなことでございます。したがいまして、私どものいろいろな調査の中で四年、五年にまでさかのぼって課税をするというふうなことは、いわばきわめて例外的なケースでございます。これがさらに六年、七年にさかのぼるということになりますと、二の件数はさらにその割合が低くなっていくということはわれわれの調査の実感からいきましてもそういうことが言えるわけでございまして、六年、七年までさかのぼるというふうなことはごくごく例外的な措置であろう。
 しかしながら、やはりそういう大口、悪質な方に対しては特に七年までさかのぼって課税されるんだという、そういうことがやはり納税道義の高揚といいますか、心理的なそういう効果というものは大きいということでございまして、私どもといたしましてこの六年目、七年目の課税によってどれだけの実際の件数なりあるいは金額が出てくるかというふうなことではなくて、やはりそういう一つの大きな納税者に対しまする心理的な効果というものがあるんではないかというふうに思うわけでございます。
#35
○鈴木和美君 もう一度お尋ねしますが、個人の申告所得の件数、それを見てみて、四年、五年に及ぶような、つまりさかのぼって更正しなきゃならぬという、そういう申告者が一%という意味ですか。法人はどのぐらいになりますか。
#36
○政府委員(小幡俊介君) 先生おっしゃるとおりに、私どもの調査をいたします件数の中で一%弱のものが四年、五年にさかのぼって課税をされておる。それから法人につきましては、私どもが年間に調査いたします件数の約二%強、四千件強のものが四年、五年にさかのぼって課税をされておる。
#37
○鈴木和美君 四千件ですか。
#38
○政府委員(小幡俊介君) はい。
#39
○鈴木和美君 法人で。
#40
○政府委員(小幡俊介君) 法人で四千件。
#41
○鈴木和美君 問題ちょっと外れますけれども、その数字と照合する意味で聞くんですが、最近の一番新しいところで結構ですけれども、法人と申告所得の中でどのくらいの申告件数があって、その中で実調を何件やって、それは割合的に何%になって、そしてその実調やった中での今度は更正決定が行われたものはどのぐらい件数があって、つまり申告漏れの所得金額がどのぐらいになっているのか、そういう資料はございますか。
#42
○政府委員(小幡俊介君) ごく概括的なことから申し上げますと、申告所得税の場合には調査すべき対象の人員というものが約三百万程度あるわけでございますが、そのうちの四・数%ということでございますので、約十五万件ぐらいの調査を年間やるわけでございます。そのうち約千件足らず、九百件ばかりのものが四、五年課税になる、こういうふうな意味でございます。
 それから法人税につきましては、約百七十万ぐらいのものが調査対象になるわけでございますが、そのうち調査いたしますのが約一割でございますから十七万程度のものを調査をする。そういう十七万程度のものを調査する中で、いま申し上げました四年、五年の課税になるものが約四千件あると、件数的に言いますとそういうことでございます。
#43
○鈴木和美君 いま法人税の場合で申告件数が約百七十万件ぐらいですか。
#44
○政府委員(小幡俊介君) そうです。
#45
○鈴木和美君 一割ですから大体十七万ぐらいでしょうか。一〇%ですね、約。それの更正決定を受けるような割合はいま四千とおっしゃいましたけれども、七八%ぐらいに私は聞いているんですが、間違いございませんか。
#46
○政府委員(小幡俊介君) いま申し上げましたのは四、五年課税の件数を申し上げたわけでございます。それから、いわゆる申告漏れがある件数はどのくらいかということになりますと、私どもが調査したものの八割ないし九割のものは申告漏れが何がしかあるという状態でございます。それから更正ということになりますと、いまはほとんどが修正申告ということでやっておりますので、九割以上が修正申告でございますから、更正という措置をとるものは非常に少ないわけでございます。
#47
○鈴木和美君 そうしますと、いま議論で明らかになったように、ある程度現在の法体系の中でも悪質、大口と正常なものと分けながら、つまり対応というのができるんじゃないですか。いまの数字をずっとお聞きしたことと、あえて法律改正をしなくとも現状のままできるということになるんじゃないですか。
#48
○政府委員(小幡俊介君) 大勢はそういうことでございます。ただ、私どもの実際の調査等に当たりましても、四年、五年課税をいたしますものが例外的と申しましたが、さらにその中の一部につきましては六年、七年までさかのぼって課税できるんであれば、当然そういう悪質な脱税について課税ができたであろうというふうなものも例外的にあるということもまた事実でございます。したがいまして、大勢としては、先ほど来申し上げておりますように、六年、七年にさかのぼって課税をするということはきわめて例外的なものではあると思いますけれども、やはりそういう措置ができるということは悪質な脱税者に対しましての心理的な効果というものは大きいというふうに考えておるわけであります。
#49
○鈴木和美君 そうしますと、まさにその例外というか、件数は少ないけれども、どうしても調査をさかのぼってやらなきゃならぬというようなものがあるからこういう措置をとっておきたいというように理解してよろしいわけですね。――そうしますと、それは今日まで何らかの事案で支障があった事例があるからそういうことの法律改正に及びたいということになるわけですね、事例がなければ別にやらなくたっていいわけでしょう。そこで、その行き当たっているようだ主なる事案、事件というのは何と何と何なんだか挙げていただけませんか。
#50
○政府委員(小幡俊介君) 具体的にどういう――固有名詞を挙げて申し上げるというわけにいかないことをお許しいただきたいわけでございますが、私どものいろいろな年間やっております税務調査の中におきましては、課税資料等から見まして六年日、七年目の不正事実というふうなものが見出されてくるということもあるわけでございまして、そういうケースについては今回のような改正が行われれば適正な課税処理ができる、こういう意味であります。
#51
○鈴木和美君 ここでそれぞれの件数並びに案件というか、名前が挙げられないというのは、何か挙げちゃならぬ法律的な根拠があるんですか。
#52
○政府委員(小幡俊介君) これは私どもに課せられております一般的な守秘義務のことでございますけれども、私どもといたしまして、個々の事例につきましては税務の内容について申し上げることを差し控えさしていただくということが、全体の円滑な適正な税務調査を執行する上に必要であるということで、かねてからお願いを申し上げている点であるわけであります。
#53
○鈴木和美君 私は、今回のこの法律改正に及んだ沿革とかいままでの経過を見てみますと、各党からも、ある疑獄事件とか政治資金の問題や、それからロッキードがらみの問題などなどがあって、むしろそういうものに対して追跡の手を緩めちゃいかぬので、しっかりやれいというような国会内での議論が背景にあってこの法律が改正に及ぶというか、提案が行われたというように聞いているんですが、それは誤りですか。
#54
○政府委員(高橋元君) 昭和五十五年、昨年の三月でございますが、この委員会で所得税法の一部改正法の御審議を賜りました際に附帯決議をちょうだいいたしております。「世論の動向にかえりみ、悪質な脱税に対する除斥期間の延長を検討することを含め、今後とも税務執行面における負担の公平の確保に努めること。」同じ昨年の衆議院の大蔵委員会でも「悪質な脱税に対する批難が厳しい現状にかんがみ、その除斥期間の延長について検討すること。」私どもが今回御提案申し上げましたのは、直接にはこの附帯決議、それから先ほどもお答えを申し上げました昨年の十一月の税制調査会の中期答申、それらを踏まえて、納税環境の整備を一段と図りたいということで御提案をしておるわけでございます。
#55
○鈴木和美君 いま税調の話が出ましたから、その部分に関連することをお尋ねしますが、先般の税調の答申と今回の改正がどのようにドッキングされているのかという面で聞きたいんですが、一つは税調が「納税者の記帳水準の向上を図るための方策について、今後、具体的な検討を進め、より公平な所得課税の実現を目指すべきである。」、こう指摘してありますね。この指摘の具体策について何か考えられているのかどうかお尋ねしたいんです。記帳水準の向上を図るための方策についての具体的な検討ですね、これが一つですね。
 それからもう一つは、「脱税に対する厳しい世論があること」というのが税調からも指摘されていると思うんですね。これは一体何を意味しているのか。「脱税に対する厳しい世論」という「脱税」という問題の含んでいる意味合いが何を意味しているのか、そとをはっきりしていただきたいと思います。
#56
○政府委員(高橋元君) 前段でございますが、記帳水準の向上を図るための方策について検討を進める、この点につきましては、かつて二十年前に税制調査会にいわゆる第二次答申というのがございまして、これが下敷きになってその一部分が国税通則法になったわけでございますが、そのときには記帳義務というものを義務づけるべきであるという御答申があったわけでございます。前々年の所得がたしか百万円以上の個人、法人につきましては記帳の義務を設けますが、青色申告よりは簡易なものにする。義務化した以上はそれに基づいて調査し更正決定をしなけりゃならないので、一般的な推計課税というのはそういう場合にはやらない、こういうようなことだったわけでございますが、青色申告の普及水準が当時たしか個人の場合に五割、法人で八割ということで非常に低かったことからこういう記帳義務の制度を導入することは、仮にそれを立法化いたしましても空文になるおそれもある、また無用の紛争を招くおそれが強いということから、引き続き青色申告の育成に努めて、それと相まって一般の記帳慣習の成熟を図るのが実際的であるという理由で立法、制度化は見送ったわけでございます。
 現在でも、この記帳義務の問題につきましては私ども同様の認識を持っておりまして、したがいまして、収入を把握し、その収入を得るに必要な経費を把握する、そういう公正妥当な会計慣行に基づく所得計算というものを各納税者が自主的におやりになれるように青色申告の普及、勧奨ということもございますし、一般的にそういうものを基礎にいたします納税指導と申しますか、記帳講習と申しますか、これは税務職員だけではとても手が回らないということもございますので、税理士さんなりしかるべき職業会計人のお助けを得てそういうことを広範に進めてきておりまして、それによって正しい記帳の慣行、所得計算の慣行ということができるようにやっていくということが、まず現段階で私どもがやるべきことであろうというふうに考えておるわけでございます。税制調査会からの御答申に基づきます検討は現在そういう状況でございます。
 それから次に、「脱税に対する厳しい世論」は何を指すかということでございますが、これは一概にこういう議論、こういう議論というふうに申し上げるのはむずかしいわけでございますが、一つの御参考になりますことで、税制調査会にも御披露をしたわけでございますが、五十四年の八月に総理府が世論調査を行っております。その中で、脱税についてどう考えるかという考え方が示されておりまして、脱税に対する制裁としては、たとえば一億円脱税した場合には懲役にした方がいいという方が四割四分でございます。五百万円の脱税であれば罰金相当だとお考えになる方が三五%であります。十万円の脱税であれば加算税相当だという方が三六%おいでになります。懲役、罰金、加算税と、そういうようなものをやることによって脱税に対する制裁を加えるべきだ、こういう世論は時を追うに従ってこういう高い割合で出てきておりますし、脱税の防止策としても見せしめのために悪質脱税者を厳罰に処するのがいいんだというお答えになっておられる方が、複数回答でございますから、足しますと一六〇の中で四九という答えが出ております。先ほどもお話ございました税務署の職員をふやして厳しく調査せよという御意見の方が二七%。納税者の所得把握ができるように多くの資料が税務署に集められるようにした方がいいということをおっしゃった方が二八%。こういうふうに税負担が高まってまいって、それによって国の経済の破綻を救わなければならないという認識が国民の間に順次浸透し徹底してまいりますにつれて脱税に対する厳しい世論というものが出てきておるということがただいま申し上げました総理府の世論調査からも把握できる。そういうことを受けまして税制調査会の先ほどの中期答申になった次第でございます。
#57
○鈴木和美君 もう一ついまお尋ねしますが、いまの罰則の中でなぜ直接税と間接税の脱税に関して罰則の強弱があったんですか。今度一緒になるわけですか。なぜ、どういう沿革で違っていたんでしょうか。
#58
○政府委員(高橋元君) 明治の中ごろから昭和の十九年までは租税刑罰というものは財産刑であるという考え方でございました。その財産刑も定額刑と申しまして、たとえば脱税額の五倍相当を納めるというようなことになっておったわけでございます。くどくなって恐縮ですが、所得税の場合には税額の三倍、三倍以下でも以上でもない、三倍そのものを罰金として課すると、酒税の場合には税額の五倍、それを罰金として課すると、こういうことになっておったわけでございますが、昭和十九年からいわば自由刑というものが酒税について導入されたわけでございます。昭和十九年に、当時戦争財政のもとでございますから、従来のように国庫に財政上の損失を与えないように、財産上の損失を埋めるための罰金という考え方を離れまして、むしろ租税犯の悪質性ということから財産刑主義を直しまして五年以下の懲役という自由刑が導入されてまいったわけです。
 それで戦後になりまして、申告所得納税制度というものが導入されました昭和二十二年に所得税と法人税につきましても自由刑の導入がありまして一年以下の懲役ということになりましたが、一年以下では余りに軽いということからその年の十一月、二十二年の十一月に三年以下の懲役または税額の三倍以下の罰金と、ここで以下という罰金につきましての裁量がついたというような形で入ってまいったわけでございます。たとえ話のようで恐縮でございますが、従来の財産刑主義と申しますか、そういう国庫に与えた財産の財政上の損失を補てんするための財産刑ということから、それだけ自然犯に近いというような社会的な非難の可能性というものが立法化されたというふうに私どもは認識しておるわけでございます。
 それが沿革でございますが、昭和二十二年に三年以下の懲役となりましたのと、酒税その他の間接税につきましては五年以下の懲役という十九年から続いておりますこの罰則との間に何も侵される法益に大小があるわけではないので、それに対する社会的な非難としての懲役の程度に差をつけるのはおかしいということから、今回、所得税、法人税及び相続税、贈与税につきまして、間接税にあわせて三年を五年に延長するという改正をお願いをいたしておるわけでございます。
#59
○鈴木和美君 今度は角度を変えまして、税金を納める、納めない、また納めたくないというような国民感情がふくそうしている中には、給与所得者の場合には源泉でそのまま税金を払うという形式ですからいいんですが、そうでない自由業みたいな人は一体どういうふうにして自分の税額が決められるのかということに対して必ずしもはっきりわかってないわけですね、つまり経費の見方。そういう経費の見方がわからないために、別に意図的というわけではないにしてもミスの申告をしたり、それから必要な証拠などをなくしちゃったというようなことなどがあって、税に対してただ課せられたという感じだけでいやがらせをしてやろうというようなことでなかなか納めないと、また脱税をするというような傾向というのも私はなきにしもあらずだと思うのです。
 そこで、すでに通告してあると思いますから、代表的な職業の人の経費というものはどのぐらいに見られているのか、お尋ねしたいと思うんです。
 一つはプロ野球の選手、二つ目には競輪の選手、それから貸し住宅業、生命保険の外交員、それから駐車場の経営者、ホステス、家政婦、俳優、最後に大工、左官、とび職、こういう人たちの経費というのはどのぐらいに見られていますか。
#60
○政府委員(小幡俊介君) ただいま御指摘にありました事業の方々の経費というものがどういうものを経費として見ているかということでございますが、プロ野球の選手の場合に主な必要経費となりますものは用具費、それから選手会費、交通・宿泊費、消耗品費等でございます。それから競輪の選手の場合でいきますと、同じく用具費、選手会費、交通・宿泊費、消耗品費、訓練費等であります。それから住宅貸付業者の場合でございますと固定資産税、減価償却費、管理費、広告費。生保外交員の場合ですと交通費、募集費、消耗品費等。それから駐車場経営者は固定資産税、減価償却費、管理費、広告費。ホステスは交通費、衣装代、化粧代等。家政婦は交通費、作業衣代、紹介手数料等。それから俳優は交通費、衣装代、マネージャー費用等。それから大工、左官、とび職は道具費、交通費、道具、車両などの減価償却費等が主なものかと思います。
 それで、どのくらいの金額かということでございますが、これはそれぞれの事業所得の方につきましては、先生御案内のように、その事業の収入の金額からその収入を得るために必要な経費を控除するということでございますので、どの人がどうということはなかなか一概に言えないわけでございまして、個々の人の個々の実情に応じてその内容が定まってくると、こういうことでございます。
#61
○鈴木和美君 いま取り上げました業種の人たちの、各業種についての平均的な経費の何%というようなことは税務署はある程度お持ちになっているんじゃないですか。もちろん課税というのは申告されたものからどういう必要経費を差し引くかという個々の対応でやるわけでしょうけれども、ある程度の基準というものはお持ちになっているわけじゃないんですか。
#62
○政府委員(小幡俊介君) 私どもが納税相談等をいたしますときに、あるいはいろいろな申告書が提出されましたものにつきまして署内でいろいろな審理をするというふうなときの目安になるような内部の資料というものは、内部的にあるわけでございますけれども、それは外には発表しないという取り扱いになっておりますので、御了解いただきたいと思うわけでございます。
#63
○鈴木和美君 税務署がお持ちになっているその資料というのはどういうものを経費と見るのかということの内部資料ですか。それとも、そういうものが経費をはじきようがないというときに、ある程度経費は何%と見ろという資料をお持ちにたっているんですか。
#64
○政府委員(小幡俊介君) 先生おっしゃいました後段の資料でございます。
#65
○鈴木和美君 そうすると、あらかじめあるわけですね。実績を聞くんじゃなくて、あらかじめあるというか、何か一つぐらい、プロ野球でいいですよ、プロ野球は何%ぐらい見られるんですか。
#66
○政府委員(小幡俊介君) 先ほどもお話し申し上げましたように、その一つ一つの内容は、一つ申し上げるというわけにもちょっといきませんので、その点は御容赦をいただきたいと存ずる次第でございます。
#67
○鈴木和美君 ここに、ことしの三月八日号の「サンデー毎日」に全部載っているんですが、これは当たっているんですか。たとえばプロ野球の選手であれば、収入二百万円以下の人は経費は六五%見ますと。それから二百万から五百万円になみ人は七〇%、五百万を超える人は七五%である。それからホステスの場合には、収入百万円以下の人は六五%である、百万円を超える部分は五五%である、こういうふうに書いてありますね。いま私が述べた九つ挙げたものが全部ここに例として載っているんですが、私がいま述べた数字というのはおおむね当たってるんですか。
#68
○政府委員(小幡俊介君) その週刊誌に出ておりましたのは、いま先生お読みになりましたのは、恐らく経費率じゃなくて所得率ということでお話しになったと思いますけれども、つまり一〇〇の収入があるのに対して幾らの所得というふうに見るかというふうなことがたしかその週刊誌に載っておったと思いますが、その数字が私どもの部内資料と合っているかどうかということでございますけれども、ちょっとその点はお答えを差し控えさしていただきたいんでございますが、私どもの現在使っております数字そのものではないということだけは申し上げることができるかと思います。
#69
○鈴木和美君 重要なことですからもう一度聞きますが、私が述べたものは所得率であるんじゃないかというお話ですね。逆なことを言えば、私が言った数字以外が経費とみなすと、そう見ていいですか。
#70
○政府委員(小幡俊介君) 週刊誌に載っておりましたのは、そういうふうな意味でそこに掲載されておるというふうに理解しております。
#71
○鈴木和美君 これは週刊誌のタイトルですけれども、「業種別必要経費」と書いてあります。所得とは書いてないですよ。ですから必要経費であると私は見ておったんですが、皆さんがお読みになった場合もいまのとおり所得率というように見ますか、どうですか。
#72
○政府委員(小幡俊介君) ちょっと私いまその現物を持っておりませんのであれでございますが、常識的な感じから申しまして、経費が六五%とか七〇%ということはちょっと高過ぎるんではないかと。したがって、その週刊誌で紹介をしておったのは、恐らくその逆の、つまり所得が七〇で経費は三〇というふうな意味のことを紹介されたんではないかというふうに思います。
#73
○鈴木和美君 いま私がこれを取り上げたことは、申告されて税金を確定するときに、基礎資料を持っていたい人というのはたくさんあると思うんですね。そういうときに的確な援助というか指導というか、それを適切にやらないと、納税に対する感情が、ただ非常に取られているという感情だけにおさまるような気がするんです。だからそういう意味で、これからの納税指導に当たって十分留意していただきたいと思うんです。
 さて、その次の問題お尋ねしますが、ちょっと法律私余り詳しくないものですから、法律の解釈についてお伺いいたします。
 その一つは、所得税法施行規則六十三条というのはどういう法律なんでしょう。
#74
○政府委員(高橋元君) 青色申告でやっておられます納税者の方、その方々が保存をされます帳簿、書類の範囲というものを決めておるわけでございます。
 で、青色申告者の方は、一つは、「帳簿及び」「資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿」、取引に関する帳簿というのは決まっておりますが、そういうものが第一のグループ。第二が決算書類でございまして、「たな卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類」、これが第二のグループ。第三のグループは証憑でございまして、これは、「取引に関して相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し」。これらのものを三つのグループに分けまして、繰り返しますと、帳簿と決算書類と証憑でございますが、これらを青色申告者の方は、自分の住所地または居所、それから事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存をしてください、その保存期間は五年ですということを定めてあるわけでございます。
#75
○鈴木和美君 法人税法施行規則五十九条というのは何でしょうか。
#76
○政府委員(高橋元君) やはり青色申告法人が備えつけるべき帳簿、書類でございまして、青色申告法人は、先ほど個人の場合御説明を申し上げたと同じように、帳簿、決算書類それから取引に関する証憑というものを五年間保存をしてくださいということを施行規則の五十九条に書いてあるわけでございます。
#77
○鈴木和美君 大変恐縮ですが、もう一つ、商法三十六条一項というのは何でしょう。
#78
○政府委員(高橋元君) 「商人八十年間其ノ商業帳簿及其ノ営業二関スル重要書類ヲ保存スルコトヲ要ス」、それが三十六条第一項でございまして、俗に商業帳簿等の保存義務を商人に対して課しておりますのがこの商法の規定でございます。
#79
○鈴木和美君 ただいま所得税法施行規則六十三条、法人税法施行規則五十九条及び商法三十六条一項を御説明いただきましたが、今回の罰則に係る法案の改正とこの施行規則との関係はどういうことになりましょう。
#80
○政府委員(高橋元君) 青色申告の個人、法人という方々に対しましては、その申告された所得を更正する際に推計課税ができません。税務職員は推計課税をやってはいけないという推計課税の禁止、それから調査をする際には必ず帳簿を調査した上で更正をしなければならないという、税務職員に対する帳簿調査義務、それから更正をいたします際に更正の理由を付記する、三つの制限が税務職員に対して課されておりまして、裏返して申せば、青色申告をなさった方は更正に際して三つの特典が与えられておるわけであります。これらの特典と申しますのは帳簿等が保存されておるということがあって初めて可能になるわけでございますから、今回除斥期間に合わせてその保存義務違反があった場合に青色申告商人が取り消すことができるように範囲を明確にする必要があるわけでございます。したがって、全体というわけにいきませんけれども、中小企業者の帳簿書類の保存に対する手間暇というものを考えまして、やはり五年を七年間に延長をお願いをいたす、ある部分につきましてはお願いをいたすということに省令改正をもって対応いたすという考え方でございます。
 それから、蛇足でございますが、商法上の商業帳簿の保存義務と申しますのは、商人がたとえば債権者なり取引先なり、そういう人に対しまして商業上の営業上の成績というものをはっきりしておく、それによって債権者の保護を図るという趣旨からきておるように私どもは承知をしておるわけでございますが、これは利害関係人が商人の営業財産及びその人の状態を知るために必要な書類であるし、後日紛争が生じた場合の有力な証拠資料であるし、商人の合理的な経営に役立つ、この三つの観点から保存の義務づけが行われておるわけでございますが、商法上の保存義務には罰則がございません。したがって、強制されておる規定ではないわけでございます。所得税法施行規則、法人税法施行規則の帳簿保存義務というものと商法上の商人の商業帳簿保存義務というものの間には、ただいまも申し上げましたように、その立法趣旨において差がございます。したがいまして、商法上の商業帳簿の保存義務だけでいいではないかというお話もあるわけでございますが、やはり税法といたしましては、青色申告を的確にやっていただきますために帳簿保存義務というのを別途所得税法それから法人税法の体系の中で確定をいたしまして、その保存期間も定めておる次第でございます。これらにつきましては、今回のお願いをいたしております改正案が成立、施行できます際に、省令をもちまして保存義務につきましても保存期間というものを延長を図りたいというふうに考えるわけであります。
#81
○鈴木和美君 そうしますと、勉強不足で恐縮ですが、施行規則というのは省令、政令、そういう部分で直せるということになりましょうか。ですから、本体の方が私は最初五年を七年にするということなものですから、二年間――片方の方が五年になっておりますと、その帳簿がないというような場合どういうことになるのかなと思ったんですが、それはいまのお話でまいりますと、省令もしくは政令で同時に直すというように理解してよろしゅうございましょうか。
#82
○政府委員(高橋元君) 法律が成立さしていただきまして施行する際には、所得税法の施行規則、法人税法の施行規則、これはいずれも大蔵省令でございますが、それの改正をいたしたいというふうに考えております。
#83
○鈴木和美君 それはわかりました。
 次に、査察のことについてちょっとお尋ねしたいんですが、税務署が納税に対して偽りとか不正とか、そういうものが悪質であるというか意図的であるというか、そういうような判断に基づいて査察が行われるわけでしょうけれども、査察を行う場合の基準とかそれから選び方とか、それはどういうふうになっているんですか。
#84
○政府委員(岸田俊輔君) 査察調査でございますが、これは国税局に査察官を当然配置いたしておりまして立件をいたすわけでございます。そのときの基準でございますが、査察調査自体がこれは強制権を伴います調査でございますので、まず非常に慎重に考えてやらなければいけないというふうに考えております。
 基準でございますが、一般的に申しまして、先ほど来出ております大口、悪質、それからやっぱり規模というようなものの観点からここで査察して告発できるなというような心証を持ちました場合に立件をいたすことにいたしております。
#85
○鈴木和美君 査察官が現地に到着して令状をもらって捜索に入るというまでの手続はどういうことになるのですか。
#86
○政府委員(岸田俊輔君) 査察の調査でございますが、これは初期の段階はいろいろな情報をもとにいたしまして内偵をいたします。先ほど申しましたように、告発のできそうな心証を得ました段階におきましては裁判所に令状の交付を受けまして立件をいたすわけでございまして、立件をいたしまして、これから実際上の強制調査に踏み切りまして、そして資料その他を集めまして確実な心証を得た場合に検察庁に告発という手続をとることにいたしております。
#87
○鈴木和美君 一番近い年次で結構ですが、査察の件数がどのぐらいあって、行ってどういう結果になったかという経過みたいなものお聞かせいただけませんか。
#88
○政府委員(岸田俊輔君) 最近年度は五十五年度でございますが、現在計数を整理しております段階でございますので、五十四年度について御報告いたしたいと思います。
 立件をいたしました件数が年度間で二百三十二件でございます。それからその年度内に調査その他の処理をいたしましたのが二百三十件でございます。このうち告発までまいりましたのが百六十二件でございます。告発率が七〇%というふうになっております。
 増差所得でございますが、全体で三百四十七億円でございます。それから税額にいたしまして二百十億円でございます。これは一件当たりで見てまいりますと一億八百万ということでございます。
#89
○鈴木和美君 処理件数と扱った件数で二件だけ違いますね。それはどういうわけですか。
#90
○政府委員(岸田俊輔君) 先ほど申しました着手件数というのは調査に入りました件数でございまして、調査をいたします、処理をいたしますのは前年度着手したものも入っておりますものでございますから、そこに期ずれがございますので二件ぐらいの違いは出てまいります。
#91
○鈴木和美君 おおむね査察が入れば何がしの、つまりおかしなことがあったというように見ていいんでしょう。
#92
○政府委員(岸田俊輔君) 先ほど申し上げましたように、査察の立件につきましては非常に慎重にいたしますのでございますから、大体の場合は何らかの事案になるかと思います。ただ、査察調査と申しますのは、やはり刑事事件につながっておるものでございますから、そこら辺の刑事訴訟にたえられます証拠その他が集まるかどうかというところに問題がございまして、やはり全体の七割しか告発ができてないという状況でございます。
#93
○鈴木和美君 率直な感想で結構ですが、もっと査察官が多ければ適正な納税をもっと指導し摘発するということができるんじゃないかなというような感想はございませんか。
#94
○政府委員(岸田俊輔君) 数字的に数量が多くなれば必ず実効が上がるかということになりますと、算術的に申しますればそういう結果になると思いますが、私どもといたしましては、やはり限られた中で最も効果を上げるということも非常に重要な問題だと考えておりますので、必ずしも査察官をふやしていただかたければ事績が上がっていかないというふうにまで申し上げるわけにいかないかと思っております。
#95
○鈴木和美君 罰則の強化、つまり五年を七年にするということをしなければどうしても査察が入り、いろいろなことをやっても壁が多くて解決がしないというような事案というものは相当数あると見ていいんですか。
#96
○政府委員(岸田俊輔君) 過去になりますとなかなか証拠もつかまりにくいという面もございますけれども、相当悪質で長期に行っておりますものがございますれば、五年間の時効の延長をいただきますと、これは相当やれるんではなかろうかなというふうに考えております。ちなみに、現在三年間の時効で調査をいたしておるわけでございますが、この場合、査察調査は一年ごとに一度という形で調査をいたしております。古い年次になりますと、調査期間中に時効が来る場合がございます。これは基数で申しますと、大体約一割というものが時効で飛んでおるというのが現状でございます。
#97
○鈴木和美君 大臣にお尋ねいたしますが、この罰則の強化という問題については、最終的にある意味では賛成です。つまり、先ほどから述べてまいりましたように、悪質、大口という定義というものはなかなかできないかもしれませんけれども、やはり取り扱ってきた件数の実際の経過から見ますと、証拠がなかなか短くてとれないというようなことで、国民的な批判の対象になっている事案、事件というのは、税務の方からなかなか手が入れられないというようなことで、大変世論の厳しい動向というのは私はあると思うんです。そういう意味で、この法律案が本当に悪質、大口というか、そういうところに使われるならいいんですけれども、何か税収だけを上げるというか、そういう意味での中小企業をいじめるとは言いませんけれども、そういうふうに使われがちな趣旨であるというのであれば、大変なことになると思うんです。そこで、もう一度大臣から、この法案の提案をし、これから意図しているものについてどうであるのかということをお聞かせいただきたいと思うんです。
#98
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは先ほど主税局長からお話ししたことに尽きると思います。要するに、院の附帯決議というものは何で出てきたかと。それなりの背景があって出てきたわけでありますから、そういう中で、そんなに大口なものがなぜ手が入れられないんだ、時効だからだと。じゃあと二年も時効期間が長ければ調べられたんではないかというようなムードになりましてね、そうしてそういうムードの中で結局はかの国の例を見ても、もっと無期限のところもあるということから出てきたと。しかし反論もあるんですよ、当然。現在の懲役刑の年数を長くしたって、現在の懲役の年数満杯食っている人はいないんじゃないか、余り。そんならいまの法律を徹底的に活用してみんなぶっ込んだらいいじゃないか。それもやらずに懲役の年限だけ長くするというのはどういうわけだという議論もある、これは間違いない。しかし、もともと懲役刑というのは一つのおどしですから、これは。全部それを満杯に使わなければならぬという筋合いのものでもない。ほかの列とのバランスもある。したがって、目的はどちらかといえば時効の延長の方に目的が私はあると思うんです、実際は、結局あるいは調査期間をもっと長くすることに目的がある。そこで、公訴の期間等を長くすれば、それに法体系上ある程度自動的と言ってはちょっと言い過ぎかどうか知りませんが、横との並びという点から懲役の年数なんかも長くなるという法律上の、技術上の問題が出てきた。そいつは一セットだ、こういうことだと、そう思っております。
 したがって、これの運用に当たりましては鈴木委員のおっしゃるように、長くなったからということをかさに着て、それで中小のものまでも、今度はおまえのところ七年間調べるぞ、調べるぞと言っておどかし上げるというようなことは厳に慎まなければならないと私も思っております。したがって、その趣旨は衆議院の附帯決議等でもついておりますので、やはり今回の改正されたものについての更正決定等については、あるいは調査等についても、高額でかつ悪質な納税者に重点を置くということを趣旨を徹底をさしていきたいと、かように考えております。
#99
○鈴木和美君 それからもう一つの問題は、二年間延ばすことは延ばしたと、しかし、実際仕事をするのはだれかということですね。二年間延ばしたことによって国税の労働者の事務量というのはやっぱりそれだけふえるわけですね。私どもどの程度ふえるかということはいま計数的にはじけませんけれども、ふえることは間違いないと思うんです。それで、その手当てが完全にとれるのか。結局、延ばしはしてみたけれども実効が上がらないというんでは、百の説法へ一つになってしまうわけですね。そういう、この法案が通ることによってどの程度の職員の手当てが行われるのかということについてまず一つ聞いておきたいと思うんです。
#100
○政府委員(川崎昭典君) 御質問は定員の増加を要するんではないかというお話かと思いますが、ただいままでに御説明がいろいろありましたように、件数としても非常に少ないケースであるというふうに考えておりますので、全体として定数の増加を必要とするほどの事務には至らないんじゃないかというふうに考えております。
 また、実際の事案に際しましては、もう二年除斥期間があれば課税できたのにというような悪質な場合に、いままで五年でやっておったのを七年まとめてやるということでございますので、時間が多少はもちろんかかるわけでございますけれども、そのために増員が要るというふうな趣旨には一応考えていないわけでございます。
#101
○鈴木和美君 川崎さんと私はもう議論するつもりは前からありませんから、つまりもっとあなたも堂々と胸張って言ったらいいと思うんですよ、大臣もおいでになるんだから。自分のところだから、やっぱりふやしたいという気持ちはあってもなかなかあなたも言い切れぬから、いつもそういう答弁になるんだけれども、こういうときに限ってどんとやればいいんですよ。そして、渡辺大臣が閣議でも何でも、行管ともやるときに――私は行管来てもらっておったんですけれども、時間ないものですから差し控えさせていただきますが、そういうことでやっぱり自分の所感というのは大いに私は述べたらいいと思うんです。私はふえると思っているんですよ。なぜかというと、すべてが五年のものを全部七年を単位にして仕事をすることになるんですから。いままでは五年なんです。つまり、件数一件についてどうだというんじゃなくて、すべての件数について五年のものを七年に見直してやるんですから、相当の私は量になると思うんですよ。それが何人ふやさなきゃならぬというような、数字的に私はいま持ってませんよ。しかし、ふえるということは間違いない事実であるということだけははっきりしておきたいと思うんです。
 そこで、大臣に最後にお願い申し上げますが、衆議院の中でも柿澤さんでしたか、質問の中で、税務の職員というものをやっぱりふやさにゃならぬと。それで現在の実説率が非常に低いということが何としても問題だと、罰則をふやしたからといって解決するものじゃないと、やっぱり実調率をふやさなきゃいかぬと。実調率をふやすということは、現地調査で税金を取り立てに行くということよりも、むしろ税務相談をやりながら適正な納税意識を、水準を高めるというところに力点をかける意味でも、実調率は私は上げなきゃならぬと思うんです。それで、このままの状態でいけば、それこそ法人税だって六十年には六・一%ぐらいでしょう、人がふえなければ。もう全くこの実調がなおざりにされるということは、租税負担の基本的な崩壊に私はつながっていくと思うんです。そこで、私は非常に問題にしていることは、先回酒税のときにも大臣から大変ごりっぱな答弁をいただいておりますから、それは大変ありがたいんです。ただ、税務職員をふやすときに財務局から持っていったらどうだというような話が堂々と委員会の中で話がされているわけですが、名本審議官は、それに対してそういう意見もあるかもしらぬけれどもそれは困るんだというお話のように私は議事録を読まさしていただいたんです。現実行革がだんだんだんだん進んでくる中で財務局のウエートというのは私はもっと高くなってくると思うんですわ。ということは、やはり地方信用金庫とか組合の問題、そういうものに対する指導だとか、国有財産の払い下げの問題まで出ているようだ始末なんですから、そういう意味では財務局というのはやっぱり今日財務部も置いてやっていかなきゃならぬような実態にあると私は思うんです。そういう意味からすると、国税職員の問題がただムードで、何とかしなきゃならぬというようなムードだけで、結果としては総定員法でやっぱり押し切られてしまうというようなことを大変私は心配するんですが、それで大臣は、十一月留任されるんだろうと思いますけれども、大臣がかわるとこういう附帯決議だとか何かというのは全部そのときそのときでおかしくなっちゃうんです、そういう意味で、今回の法律を本当に実効あらしめるためには、職員というものをちゃんと裏打ちしてやるということをぜひお願い申し上げたいんです。そういうことに関する大臣の御見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
#102
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実調率が少ないということについては私どもも懸念をいたしておりまして、いろんな方法を講じて実調率を高めるようにしたい。そのためには人が要るではないか、もちろん人の問題もございますが、いろいろなその他の合理化、機械化いろいろありますから、いまは計算事務でも何でも人だけがやるわけじゃなくて、人の何十倍も働く機械もございまして、そういうようなものも駆使をして、そして必要最小限度の人はやはり増員をしてもらうというように努力をしてまいりたいと思っております。
#103
○穐山篤君 今度の法律の提案になりましたそもそもの要素というのは先ほどお話がありました。一つは国会の院の決議というものでありますし、それから二つ目は税調の答申、それから参考資料として総理府の調査、こういうものが基礎になっておりますので、ある意味では背水の陣であるというふうには思いますが、そこで総理府のアンケート調査についてお伺いをいたします。
 この種総理府の調査というのは、それぞれ主管の省庁から希望が出されてそれで調査をされる、こういうふうに伺っているわけです。中身はこれから逐次お伺いをしますが、ことしは一兆四千億円に近い増税を行ったわけですが、税制の改正があったわけです。近年まれなものでありました。そこで、総理府としてはあるいは大蔵省としては、ことしの増税後の税金に対します国民の意見あるいは世論というものを改めて聞くおつもりがあるかどうかまず最初にお伺いします。
#104
○説明員(山田昭三君) お答えいたします。
 先生いま申されたように、総理府におきます世論調査の実施につきましては、まず各省庁から当該省庁の施策の参考に資するためということで世論調査の実施について要望がありまして、総理府としましてはこれを受けまして各省から多岐にわたる調査の要望を取りまとめていろいろ調整したから実施することにしておりますが、税金に関する世論調査につきましてということですが、最近では五十四年の八月に実施しておりまして、本年度におきましては大蔵省から要望はまだ来ておりません。こういう状況になっておるところでございます。
#105
○政府委員(高橋元君) 税制を考えてまいります際にも、国民のこれに対する批判と申しますか、認識と申しますか、そういうものを常に私どもつかんでまいる必要があるということは考えております。現在、本年の総理府の世論調査に税金に関する項目をどういう形でお願いするか部内で検討いたしておるわけでございますが、それはそれといたしまして、別途また私どもいろいろな社会心理学的な研究グループがございますが、そういうところを通して税金に対する世の中のリアクションというものをできるだけ計量的に把握するということも考えておりまして、そういうものを全体を通じまして税制についての世の中の考えというものをつかんでまいらなければならぬ、これはもう穐山委員からお示しのあるとおりに考えております。具体的な世論調査にどう盛り込むかにつきましては、現在部内で検討しているところでございます。
#106
○穐山篤君 そこで、今回の調査の結果をどう生かしていくかということは非常に膨大な人と膨大な金をかけなわけですから当然必要です。
 そこで、内閣官房にもう一回お伺いしますが、この種のものをどういうふうに活用していくかということが非常に大切ではないかというふうに思うんですね。当の大蔵省あるいは国税庁としては、このアンケート調査というものを重視をして具体的な作業に乗せるということはあると思いますが、その他の分野でもこれは活用せしめなければならぬ。たとえば、後ほど質問をしますが、地方税を担当しております自治省にいたしましてもあるいはそれぞれ地方の公共団体にしましても、みんなこれを十分熟知をしてこれからの行政あるいは政策の上に生かしていかなきゃならぬと思うのですが、こういうものの取り扱いは従来どういうふうにしておったのか、あるいはこれから何か考えるところがあって変えていくのか、その点もあわせてお伺いします。
#107
○説明員(山田昭三君) ここ数年来各種の世論調査を実施しておりますが、その実施状況、その結果の活用につきましてどういうふうに実際行っておるかにつきましては、本年度も各省庁すでに実施したところに通知をいたしまして実施状況を報告していただく、そういう状況になっておりまして、その状況を検討しているところでございます。
#108
○穐山篤君 そこで、このアンケート調査の結果、分析をしてみてなるほど日本人らしい良識だというふうに私は見るわけです。たとえば税金に関する関心で言いますと、自分の負担する税金に非常に関心を持っているが六〇%、税金がどういうふうに使われているかというものに関心を持っているのが三〇%、それからやや専門的でありますが、税制、税体系などの仕組みに非常に関心を持っているのが一五%、これもごく標準的なものだというふうに思うのです。
 それから二つ目に、税金についての情報を得る媒体でありますが、これは新聞・雑誌が五二%、テレビ・ラジオが四八%、非常にここが多いわけでして、これは大蔵省にしろあるいは総理府広報関係の担当者は、十分にこの辺は心しなければならぬ点ではないかというふうに思いました。
 それから税金についての考え方ですが、苦痛は感じるがやむを得ないが九一%、かなり比率が高く出てますね、そうは思わないが四%、税金を取られると思うと腹が立つ、意欲がなくなるというのが一一%で、そうは思わないが七八%、これも標準的だというふうに思うんですね。
 それから、問題は脱税に対します批判とその制裁の問題ですね。先ほど主税局長が答弁されておりましたが、脱税が見つかったという報道に対して一番高い比率は、脱税者にひどく腹が立つというのが四五%、まだまだあるのに税務当局は何をしているのかという激励を含めた警告が四三%、それから、脱税者はいずれ摘発されるものだというあきらめといいますか、希望といいますか、それが三〇、正直に納税する気がしないというのが二六%というふうになっています。
 それから、制裁のところが金額によってずいぶん物の考え方が違いますが、脱税額十万円の場合には、追徴金を取れと、加算が三六ですね。罰金二七、処罰は必要なしと。それから、脱税額が一億円以上になりますと俄然変化が起きまして、懲役四四%、罰金一七、加算一二、氏名公表九%というふうになっているわけです。
 特に今回の法律の改正に関係がありますこの脱税に対します批判ですね、私はごく常識的だと思うんですが、これを今回の法律の立案に当たったり、あるいは商法にしろあるいはこの法律にしろ、その他の法律との整合性をどういうふうにお考えになったのか、その点あらかじめ発表をいただきたいと思うんです。
#109
○政府委員(高橋元君) ただいまもお示しがございましたように、五十四年八月の総理府の、税金に関する世論調査の中では、脱税に対して非常に国民の反発と申しますか、反感と申しますか、何とかしなけりゃならないというお気持ちが非常に強くなっておる。そういう意味で厳しい批判が圧倒的に多いということを私どもは真剣に受けとめておるわけでございます。それで同じ調査の中で別のところにございますように、一億円の脱税行為、いまもお話ございましたが、これは強盗に類するとおっしゃる方が三分の一、詐欺・横領に類するとおっしゃる方は同じように三五%ございます。脱税の犯罪性についての国民の厳しい見方というものをそこから私どもは受けとめておるわけでございます。
 先ほどもお答え申し上げましたように、昨年の三月の当委員会の附帯決議の中でも、こういうことを受けて除斥期間の延長等について検討すべしという政府に対する御指摘がございまして、したがってそういう事柄から、また税制調査会の答申から、そういう方向で国民の意識を反映して、「偽りその他不正の行為」による故意の脱税というものにつきまして、除斥期間を七年に延長さしていただくと。それから、脱税犯に対する懲役刑の長期を三年から、間接税と同じように五年に延ばさしていただくという御提案を申し上げて御審議を仰いでおるところでございます。
#110
○穐山篤君 そこの整合性のことはまあまとめのところでもう一遍申し上げますが、自治省にお願いをいたしましょう。
 ことしの三月に地方税法及び国有資産等云々の法律の一部改正がございました。その中に、今回大蔵委員会で審査をしております更正決定などの制限期間及び罰則だとが地方税法につきましても提案がされて、すでに国会で成立をしているわけですが、自治省はここの部分、この提案についてはどういう考え方、思想で提案をなされたのか、まずその点をお伺いします。
#111
○説明員(渡辺功君) ただいまお示しのように、本年度の地方税法の一部改正で御指摘のありました除斥期間、それから罰則の強化、国税の場合と同じ内容で御提案申し上げましてすでに成立しております。その施行につきましては、こういう税制のことでございますから、同じ時点から施行されるように政令に委任されまして、準備されておるところでございます。したがいまして、こういった性質のものでございますから、物の考え方につきましては税制調査会で国税、地方税を通じまして議論がされまして、同じような考え方といいますか、全く同じ構えでもって答申をいただいたところに従って政府案を決定し、御提案申し上げたところでございます。
 したがいまして、私どもとしましては、国税についてのこの制度の成立がされましたときに政令の措置をいたしまして、同様に実施段階に入っていくと、こういう構えでいるわけでございます。以上のような経緯でございますし、以上のような考え方でこれを御提案申し上げた次第でございます。
#112
○穐山篤君 そこで、県民税、事業税及び市町村民税、諸税のことが規定を今回同様にされたわけですが、この五年間ぐらいで結構ですが、三つの税についての純粋滞納額というのは各年度ごとにおおむねどの程度――余り細かい数字でなくて結構ですが、挙げてみてください。
#113
○説明員(渡辺功君) 滞納額について突然の御質問でございますので、ちょっと調査をさせていただきたいと思います。
#114
○穐山篤君 その数字を調べていただいている間に、これに関連をして申し上げるわけですが、この三つの税につきまして、自治省としていわゆる大口でかつ悪質あるいは少額でかつ悪質、それから何といいますかね、無申告とその脱税というのはなかなかむずかしいと思いますけれども、ここ五年ぐらいの間に自治省で扱いました地方税で特色のあるものですね、こういう事例が非常に多かったというふうなものがあれば、ごく代表的なもので結構ですが挙げてみてもらいたい。
#115
○説明員(渡辺功君) あるいは先ほどの御質問も私ちょっと取り違えたかもしれませんが、滞納とおっしゃいましたものですから、調停が済んだ後で納められていないというふうに受け取りました。そういうことで申し上げますと、大体いまの徴収率は九七、八%と記憶しておりますので、それの残りが滞納になっているというようなことで、大体側了解いただけるかと思います。
 ただいまの御質問は、むしろそうではなくて、申告をしてないあるいは脱税という見地からの御質問であろうかと思います。その点につきましては、これはあるいは御承知でなおお聞きただしていただいたのかもしれないと思うのでございますが、ただいま御指摘のありましたような地方税につきましては、所得そのものにつきましては基本的には国税に準拠いたします。一番典型的なものは住民税の法人税割りでございまして、これは全く所得の内容につきましては、地方公共団体は調査をするという規定が法律上ございません。これは法人税額を課税標準とする。
 次に、事業税の関係でございますが、法人事業税あるいは個人事業税につきましては、国税の所得、国税で徴された所得を基本とします。中に収入金課税が幾つかありますから、そういったものは地方税独自の問題になります。
 それから同じ住民税の中でも所得割りでございますが、これは基本として所得税での所得ということが、所得計算では基本でございます。控除は違いますけれども。したがいまして、国税から申告書の写しをいただいたりいたしまして調べた結果過少であるというような場合、一定の場合に限りまして、あるいは国税を納めなくてもいい方でも地方税を納めなければならない場合がございますので、そういったものについては、地方公共団体がこれを調査する、あるいは決定するというようなことに相なるわけでございます。
 ただいま御指摘のようなことで法律手続も決まっているわけですが、実はこの法律手続は法律手続上の正式の、たとえば地方団体で調査をいたしまして、市町村長は所得を計算し国に通知するという規定がありますけれども、正式のそういう形で通知をするということは、もう非常にまれといいますか、私ちょっと配慮がございません。事実上どうするかといいますというと、調査をいたしましてどうもこれは変だということになりますと、国税の職員の方々と地方団体の担当者と非常に連携もよろしい場合がほとんどでございますので、どうもこういうことがあるようだというようなことは事実上お話をする。そうすると、国税の方でいろいろまたお調べになっていることと照合して決定される。それを地方税の方にいただいて課税するというような、こういうような順序になっておりまして、そういう数字というようなものが実は出ておらない。しかし、事実上そういうことはあるということは、私自身の乏しい経験からも承知しているわけでございまして、そういうような運営がされている、こういうふうに申し上げてよろしいかと思うわけでございます。
#116
○委員長(中村太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#117
○委員長(中村太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律案の質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#118
○穐山篤君 午前に引き続いてお伺いをしますが、今回の法律の対象になっております四つの税ですね、所得税、法人税、あるいは相続、贈与税、これの滞納の状況について、更正決定をしたものを除いた後の純粋滞納額というんですか、この五年ほどの傾向はどういうことになっているでしょうか。
#119
○政府委員(五味雄治君) お答え申し上げます。
 まず、源泉所得税でございますけれども、昭和五十四年度、これの滞納は七百五十六億円ということでございます。次に申告所得税が千八百三十六億円、法人税は一千四百六十六億円、その他の税目四百八十四億円ということになっておりまして、合計四千五百四十二億円というのが純滞納の数字でございます。
#120
○穐山篤君 私は先ほど、地方税三税についての滞納の額を自治省からお伺いしたんですが、おおむね三%、目の子勘定で言いまして五百三十億前後ではないかというふうに地方税の場合には思うんです。それからいまの国税の場合に、昭和五十四年度はたしか四千三百億になると思いますが、この過去五年間の平均をしてみますと三千億をほぼ超えているわけですね。率直に言いますと、三千億ないし四千億円の滞納額というのは財政上から言いましてもかなりの金額になるものと思うんです。この間から議論されております所得減税の話がありますが、二千億円を財源とするというふうな一説も流れているわけでありまして、そういう面から言いますとかなりの額です。いろんな手順があって、踏んでこういうことになったと思うんですけれども、これの純粋滞納額の特に法人、所得、それから相続、贈与四つで結構ですが、特徴的にはどういうものがかくも多額に残っているのか、その点いかがでしょうか。
#121
○政府委員(五味雄治君) 御質問の点でございますけれども、大体五十一年から五年間約二・〇%ぐらい、徴収決定に対しまして二%程度が純滞納で残っているというような状況になっております。
 それから、過去の傾向でございますけれども、大体源泉所得税につきましては四百三十億円ぐらいから先ほど申し上げました七百五十六億円ぐらい、それから申告所得税につきましては、これは若干多くなっておりまして千三百億程度から千八百億程度まで、それから法人税につきましては千二百四十億から千四百六十六億円というような傾向になっております。相続税につきましては、これは延納、物納の制度がかなり活用されておりまして、滞納税額につきましては三百十四億円というような程度でございますが、いずれにいたしましても、どういった滞納が多いかという御質問でございますけれども、一般的にはやはり課税遅延があった場合の滞納と申しますか、いわゆる二年分、三年分、四年分にさかのぼって課税を受けたというような場合の滞納が多いということが一般的に言えると思います。それからさらに、譲渡所得がかなり滞納が多いわけでございますけれども、これはやはり債務弁済のために土地あるいは建物、そういった不動産を譲渡いたしまして、その譲渡代金を債務の弁済に向けるというようなことがございまして、そういった意味におきまして滞納が出てくるというような状況が多いように感じられます。
 以上でございます。
#122
○穐山篤君 たとえば昭和五十年度が三千二百億、五年後の昭和五十四年度は四千三百四十億と、かなり年々歳々滞納の金額が多いわけですね。そこで、可能な限り徴収をして、徴収漏れがないようにという会計検査院の指摘もあるわけですが、実際に御努力をされてみてどこに問題点があるのか、代表的な事例で結構ですからお伺いしたいと思います。
#123
○政府委員(五味雄治君) 年々絶対額で純滞納は確かに御指摘のようにふえておりますけれども、やはり年々徴収決定額と申しますか、課税額も同じように伸びております。したがいまして、その徴収決定に対して純滞納の割合がどうかということを見ますと、先ほど御報告いたしましたように、その割合というのは特にふえてはいないというような状況にございまして、たとえば五十一年で言いますと二・三%、五十二年度が二・三、五十二年度が一・九、それから五十四年度が二・〇ということでございまして、特にこの割合について見ますと増加傾向にはないというようなことになっております。
 私どもといたしましては、できる限りその滞納発生の未然防止ということに配意いたしまして、まず滞納額の圧縮に努めた上で、しかも整理しなければいけないという態様の滞納額について、特に重点的に大口、悪質なものについて優先的にこれを処理しているというような状況でございます。
#124
○穐山篤君 過日、五十五年度の所得について発表になりまして、まだ査察は行われていないわけです。そこで五十四年度分で、五十四年度分というのは昭和五十四年の十二月現在、いわゆる五十三年度分になりますか、大蔵省の発表の申告漏れ業種というものが一応出ております。絶対額でいきますと病院が非常に多い。しかし割合からいいますと九%にしかなってない。それから土地売買が絶対額では二番目でありますが、申告漏れの割合が五一%、これは非常に関心を持たなければならぬところだと思うんですね。それから砂利採取業につきましても同じく六三%。それから特徴的なのは、畜産業が一六四という、これはどういうわけでこういう数字が出たかよくわかりませんが、非常に割合の大きい、業種全体が申告漏れをしているんじゃないかと思われるような割合が出ているわけです。こういったものについては、次の、たとえば昭和五十四年度分とか昭和五十五年度分には当然国税庁としては重大な関心を持って申告の審査に当たるとか、あるいは申告漏れになっているかなっていないかということを調べたり、あるいは申告漏れの場合には査察をする、こういうふうに前年度の実数、あるいは過去三年間の実績というものを見て、業種を見たり個人を見たりということに多分なるだろうと思いますが、そういう国税庁側のあるいは税務署側の態度というのはどういうふうな考え方に立っておりますか。
#125
○政府委員(小幡俊介君) 先生おっしゃるとおりでございまして、私ども申告書の審理をいたしまして調査対象の選定ということをやるわけでございますが、そのときに、先生おっしゃいましたように業種別の管理というふうなことにつきまして、私ども最近特にそういう点に関心を持って分析検討をし、調査対象の選定をする。そういたしまして過去のいろいろな実績等から見まして、調査漏れの、申告漏れの多いと認められる業種につきましては重点調査業種というふうなことで、その業種について調査の割合を高めていくというふうなこともやっておるわけでございまして、先生おっしゃるような考え方で対応してまいりたいというふうに思っております。
#126
○穐山篤君 大蔵省側の発表を見ましても、たとえば病院の場合に医薬品の仕入れ及び消耗品費の架空計上、これは例の第二薬局といいますか、こういうものに当たるわけですね。あるいは有限会社を登記をして医師が会社の被使用人になる、こういう形のものが数字の上からは顕著に出ているわけですね。それから、たとえば医師にもなるわけですが、自由診療収入の一部を除外をして日計表を作成をしておる。これはとかく医師、病院に共通の事柄だと思うんですね。それから米穀の、米、麦などの販売者ですが、最近よく見られます遠隔地の住宅団地への出張販売、その売り上げの一部を除外をし、これに見合う収入を圧縮記帳をしておる。
 そういうものを調べた結果、どういうふうな処理をしているかといいますと、定期預金にしたり土地、建物の取得に充てている。それから架空名義の預金にしている。それから宝石、絵画などを購入をしたことになっている。それから家族名義の架空、仮名の定期預金になっている。こういうふうにごまかしたといいますか、ある意味では意図的だと思うんですが、こういうふうなものは査察の結果十分にわかるわけですね。ですから、先ほどのお話になお加えて、異常と思われるようなものは税務署管内でそれぞれ情報提供があったり内部告発があったりいろんなことがあるわけですから、十分に熟知をしているだろうというふうに思うわけですが、その点はいかがなものでしょうか。
#127
○政府委員(小幡俊介君) ただいま先生おっしゃいましたように、私どもの税務調査におきましていろいろな所得を隠匿をしている形態があるわけでございます。私どもはその端緒といたしまして、先生おっしゃいますようないろいろな資料、情報というものを分析している、あるいはまた私どもの机上におきまして提出されました申告書を同業者の他の申告書と比較をしながら著しく低いものについて検討をする等々のことを通じまして、そういう申告漏れの疑いのあるものについて調査をするということでやっておるわけでございますが、先生おっしゃいましたいろいろな預金の形態の問題あるいは土地の問題等ございます。そういうふうなものにつきまして申告漏れ所得が過怠をされているというふうなこともあるわけでございますので、十分に各種の情報、資料収集、あるいはいろいろな取引書の解明、そういうことにつきまして今後とも一層努力をしてまいりたいというふうに思う次第でございます、
#128
○穐山篤君 午前中鈴木委員からも指摘があったわけですが、プロ野球の選手あるいは競輪などのプロ選手ですが、大蔵省の調べによりますと、野球の選手よりも競輪、競馬にかかわるプロがわりあいに無申告、申告をしていないのが多いということが数字の上で明らかになっているわけですね。それから今度は、現実の事件としていつも出てまいりますのは、俳優だとか最近売り出しの歌手、そういう第三種ないし第四種産業の人たちの問題が非常に多く出るわけです。こういう人たちは、私が考えますのに、自分で申告するということは商売柄なかなか上手じゃないと思うんですね。大体は税理士その他事務所に依頼をしてやるというケースが非常に多いと思うんです。そうしますと、本人は知らないけれども無申告であったとかあるいは申告したけれども所得が過小になっていたとか、あるいは過大に所得のあったことになっているというふうな問題が多いんじゃないかと思いますが、実際に査察をしてみて、あるいは告発をされてお調べになってからそういう分野め方々の所得把握あるいは税の納入という状況についてはどんな状況でしょうか。
#129
○政府委員(岸田俊輔君) 先ほども申し上げましたように、年間大体二百三十件ぐらい立件をいたしておりますが、先生御指摘のような個人、芸能人その他最近の事例では出ておりませんのでございまして、その点につきまして明快なお答えができかねるかと思います。
#130
○穐山篤君 それでは、午前中もお話がありましたが、昭和五十五年度の確定申告の状況は表でいただいておりますが、大蔵省が専門的に見て昭和五十四年度との対比ではどういう感想をお持ちでしょうか。
#131
○政府委員(小幡俊介君) 五十五年分の確定申告の状況が過般まとまったわけでございますが、全体としてまいりますと、税額におきまして八%の増加ということになっておるわけでございます。昭和五十四年分は前年に対しまして税額で二六%の増加ということでございましたので、これに比べますると伸び率は低下をしたわけでございます。
 しかしながら、一般的な経済指標等から見ますると、経済の一般的な伸びは八%ということでございましたので、単純にこの五十四年と五十五年の伸び率だけを比較するというわけにもいかないいろいろな事情があろうかと思います。
 まず、営業所得でございますが、前年におきましては伸び率が一八%であったものが、五十五年分は六%の伸びということにとどまったわけでございます。一般的な経済成長率が八%程度ということから見ますると、それを若干下回ったということでございます。この点につきまして私どもはどういうふうに見ておるかということでございますが、経済全体の専門家でもございませんので的確でないかもしれないわけでございますが、一般的に五十五年の経済を見てまいりますると、その経済成長を支えておりました重要項目は輸出と設備投資というものが中心であったかと思うわけでございます。で、GNPの重要項目のうちの個人消費及び住宅投資という部門につきましては五十五年は低調であったというふうに思うわけでございます。個人の所得税の営業所得等の申告をされますいわゆる中小企業につきましては、この消費、住宅投資というものが非常に強く影響をされる分野であろうと思うわけでございまして、そういう意味におきまして平均的な経済成長に比べて中小企業者については相当経済の停滞の要因が強かったのじゃないか。ことに年の後半からそういう景気のかげりの傾向というのは出ておったと思いますし、全体的に見まして大企業に比べまして中小企業の影響が非常に大きかった。これは中小企業庁等で出しておりますいろいろな指標、分析等を見ましても、五十五年は中小企業については特に影響が大きかったということが言われておるわけでございますので、私どもといたしましても中小企業者を中心とします営業所得というものがそういうふうな観点で伸び悩んだのではないかという感じを持っておるわけでございます。
 それから農業につきましては、五十四年分が前年対比税額で八六%、ということはつまり△の一四であったわけでございますが、五十五年分も全く同様の比率でございまして、前年に比べて八六、つまり△一四ということでございました。五十五年分は、先刻御案内のようだ異常気象あるいは減反あるいはまた石油価格の上昇に伴います農家のコストアップといういろいろな要因が重なったわけでございますので、そういう中におきまして五十四年分と同じ低下の幅でとどまったということでございますので、これもやむを得なかったのではないかというふうに思うわけでございます。
 それから、その他事業という分類がございます。これは五十四年分は前年に比べて三一%の増加がございましたが、五十五年分におきましては九%の増加ということになっております。その他事業と申しますのは、医師の関係が中心になるわけでございますけれども、五十四年分につきましては、例の医師に関しまする社会保険診療報酬に関する課税の特例措置についての是正がございまして、その関係で五十四年分につきましてはかなりの伸びがあった。五十五年分はそれの平年度化ということで伸び率ということになりますと、その影響で伸び率は低下するという影響があったかと思います。
 それからなお、そのほかに先生も先ほどいろいろお話の中に触れておられました、医師のいろいろな法人成りの問題あるいは専従者給与等の増大というようなそういうことも同時にあったかと思うわけでございます。
 それから、その他という分類がございますが、これは五十四年分におきましては二八%伸びておりましたのが、五十五年分は八%の伸びにとどまっております。これは主といたしまして、譲渡所得の関係の税率の改正があったわけでございまして、五十四年分におきましては、長期譲渡所得について二千万円まで二〇%の税率ということでございましたのが、五十五年分におきましては四千万円まで二〇%の税率という税率の改正がございました。そういう影響を受けまして、譲渡所得等を中心にします。その他というところの伸び率が五十四年分に比べて五十五年分は低かった、こういうことであろうかと思います。
 このように営業、農業、その他事業、その他と四つの分類をトータルいたしました総計といたしまして、先ほど申し上げましたように五十五年分の税額の伸びは八%ということになったと、かように考えておる次第であります。
#132
○穐山篤君 五十四年度対比で人員では一〇四%になり、所得では一一〇%になり、ただし税額では一〇八%、こういう状況になっています。したがって、五十四年度と五十五年度を見ますと、非常に確定申告の場合に税収が落ち込んでいる、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。そのことも当然大事に見なければなりませんが、税制の公平ということと、それから徴収の分野におきます公平を期すという意味では、また五十五年度の確定申告の発表をした直後にそれぞれの機関から、あらゆる方面からこれについての感想や意見が述べられておりまして、率直に言いますと、医師にしろその他一部の業種においてずいぶん節税なり脱税をしているんじゃないか。いわゆるクロヨンの問題について一般論として指摘がされているわけですね。私どもは部分的にどこの医者なりどこの商店を取り上げるということは簡単でありますけれども、それだけで日本全体を類推することは非常にうまくないと思うのです。
 そこで、実際にお調べになっている皆さん方が具体的な資料、数字の上から見て、世間で言うトーゴーサンというようなものはないんだという確信、あるいはそういうものが、確たる資料が世間に公表することができるかどうかという問題なんです。一件一件の医者を調べてこれはけしからぬという話はできましても、日本じゅうの医者をそれて全部トータルすることはむずかしいと思うんですね。あるいは農業の場合につきましてもそうだと思うんです。あるいは白にしろ、あるいは青色申告にしましても、青色申告の場合にはある程度信憑性が高いものだろうと思いますけれども、何としてもトーゴーサン、クロヨンというものを客観的に、いやそういうものはないんですと、これは徴税の分野では過ちがありませんというふうに信用のできる数字を発表しない限り、依然として税の不公平感の中の徴税の部分というのは世間から消えないと思うんです。その点は皆さん方がお調べになっていて実際どういう感想を持っているか、あるいは感想だけでなくてもう少し確たる数字の上で世間にそういうことはあり得ないんだということが言えるかどうかという点はどんなものでしょう。
#133
○政府委員(小幡俊介君) ただいまの点は私どもにとりましても非常にむずかしい問題でございますが、私どもが持っておりますデータということになりますと、税務調査の結果というデータがあるわけでございます。私どもが税務調査をいたしましたその結果によりますと、調査後の所得を一〇〇にいたしまして当初申告の所得がどのくらいになっているかということを見てみますと、おおむね八割弱。つまり、当初申告における申告漏れというのはどのくらいかといいますと、二割強というような数字があるわけでございます。
 後は、それをもとにして全体をどう考えるかということでございますが、世間で一般にトーゴーサンとかあるいはクロヨンとか言われるわけでございますけれども、私どものそういうデータから見ますると、私どもが調査したものについてその割合がおおむねいまの数字に置きかえれば八程度ということになるわけでございます。私どもの調査は、所得税で見ますると四%台の実調率ということでございますので、ある程度の資料、情報があるもの、あるいは申告審理におきまして同業者に比べて申告水準が低いと考えられるもの等、ある程度の申告漏れがあるという疑いのあるものにしぼって調査をして、その結果がおおむね当初申告というものは調査後所得について八〇になっているということでございますから、全体を推計するということはきわめて困難な話ではございますが、常識的に考えまして、他の調査しない九五%を含めて考えた場合に、いまの数字よりももっと申告漏れの割合が高いということはちょっと考えづらいんではないかという気がいたしておるわけでございます。
 と申しますことは、全体の申告漏れがないということを私ども申し上げることはもちろんできないわけでございますし、さりとてトーゴーサンであるかと言われますと、そういうような申告漏れがあるということでは逆にないんではないかという感じがいたしておるわけでございます。
 さらに、もう少し補足させていただきますと、いわゆる事業所得者等におきましては、先ほどの確定申告状況の中でも申し上げましたけれども、御主人が仕事をしておられる、奥さんは専従者給与というふうなことで給与を受けておる、あるいは青色申告の場合にみなし法人課税というものを選択をするケースの場合には、御主人自身も事業主報酬というものを得ておるというケースがあるわけでございます。そういうふうな場合には、御主人も給与所得者ということで給与所得者としての源泉徴収を受けておる。先ほど申し上げましたこの営業所得者の所得税額には入ってこないわけでございます。奥様につきましても給与所得者としての課税がされておる。この営業所得者の方には出てこない。こういうふうなこともあるわけでございますから、なかなかいわゆる営業所得として、お店を構えておられるその方の営業所得としての税金が少ないではないかというふうな意味でございますと、必ずしも、それらを全部足したところで考えてみなければいけないというふうなこともあるわけでございます。
 そういうふうないろいろ問題ございますので、私どもといたしまして結論的に申し上げれば、全体としての申告漏れがないということは私ども申し上げないわけでございますが、さりとてどれだけ申告漏れがあるかどいうことになれば、私どもの感じとしましては、世間で言われているほどの申告漏れはないんではなかろうかというような感じを持っておるということでございます。
#134
○穐山篤君 五十三年度分の調べによりまして申告漏れ業種が発表になっていますが、一番が病院ですね。一件当たりの申告漏れ所得は千二百三十六万六千円になっておりまして、一件当たりの徴収税額が八百八十九万八千円、それから第三位に産婦人科医が入っておりますね。申告漏れ所得六百七十五万二千円、追徴額で三百七十五万五千円。それから第七位に外科医が出ております。それから第十位に整形外科医が入っていまして、第十五位に歯医者さんが入っている。
 これも確たる数字を全部われわれは持っているわけではありませんので指摘はなかなか困難ではありますが、一般論で言いますと、国が支払っております医療費は年々かさんでいっているわけですね。言いかえてみれば、医療関係の費用というのは国にしろ個人からは相当払われている。医師もその意味では所得が相当あるのではないかと推定がされるわけです。ところが実際に発表になったものを見ますと、高額所得者の中には入ります、確かに。じゃ実際に税額をどれだけ適正に納めているかということになると、もうその辺になると数字がもやもやして明らかでない。なおかつ申告漏れ業種の中に医師と思われる、医師と言われますそれぞれの系統の医者がまくらを並べている。こういうものについて国民は非常に不信感を持っているわけです。
 ですから、これは本人のモラルには違いないと思いますけれども、国税の当局が医師についてきちっと調べて、その結果所得はこれだけですよ、あるいは税金はこれだけ納めてあります、だから世に言う格差はありません、ごまかしはありませんというふうな方法でもとらない限り、私は先ほども申し上げましたように、国民の不公平感というのはいつまでたってもなくなっていかない。われわれの調査では率直に言いまして、部分的にはできたにいたしましても全国的には不可能な状況ですね。したがって、私はそういう点について一度はけじめを国税当局が進んで行わなければならぬのではないかというふうに思います。そして、具体的な作業に着手すべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょう。
#135
○政府委員(小幡俊介君) ただいま先生の方から医者の所得の申告漏れが多いというお話があったわけでございます。
 この点につきましては私ども先生のおっしゃるように、医者につきましては調査の重点業種ということに指定をいたしまして、各局とも医者に関しまする調査の充実に努めておるところでございます。と申しましても、全体の実調率が個人で四%台、法人で一〇%台という中でございますから一〇〇%調査をするというわけにはまいりませんけれども、概括的に申し上げまして、一般の実調率のおおむね倍程度の実調率を医者についてはやっておる。そしてその結果が、先ほど先生お話になりましたような数字としてあらわれておるということでございますので、私どもの税務調査は医者に非常に重点的にやっておる、そしてまた相当深度の濃い調査をやっておる、その結果、医者についてそういうふうな増差所得、増産税額をわれわれが見出してきたということでございますので、先生のおっしゃる方向と同じような方向で私ども仕事をしておるんではないかというふうに思うわけでございますが、今後ともなお、さらにそういう点につきまして配慮をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#136
○穐山篤君 査察を行った結果が国税当局から発表になっております。たとえば五十二年で処理件数二百二十五件、五十四年で二百三十件、ほぼ似たようなものですが、告発件数百五十三、五十四年度は百六十二、これもほぼ微増の傾向です。
 そこでさらにお伺いをするわけですが、告発を結果として行うのは当然でありますが、告発をする前の環境整備ということが十分に行われなければならぬ。その意味で、今回の法律もその一環だと思うんですが、午前中鈴木委員も言われた、これだけで環境の整備が済むものではないというふうに思いますね。税制上の問題もあるだろうし、あるいは税務相談という問題もあるだろうし、いろいろなことを全部総合して初めて未然に防止をすることができるし、徴税の効果が上がる、こういうふうに思うわけですが、今回の提案は提案として十分に受けますけれども、その他環境整備の問題として大蔵省側は、たとえば今年度はこれをやりたいとか、あるいは三年計画で環境整備についてこういう努力をしてみよう、そういうものがないを毎年似たようなことが繰り返しになると思うんですが、その点はいかがでしょう。
#137
○政府委員(高橋元君) これは執行当局の方では後ほど補足的にお答えがあるかもしれませんが、広報活動というのをやっていただいておるわけであります。たびたびお話しございますように、税金が正しく使われていないんではないかということに対する、漫然と言ったら大変言葉が悪いかもしれませんけれども、国民の間に漠然たるそういう空気がありますと、どうしても納税に対する姿勢が積極的でない。そこで、財政ないし税制、税金の行方ということについての一般的な広報活動から始めまして、たとえば所得の申告を正しくやるために記帳をどういうふうに検討したらいいか、記帳した結果どういう利益を計上すべきか、利益に対して税法を適用して自分の税額を幾らというふうにやるかという、そういう一種の記帳指導、それから所得の、納税相談というような形を通じての非常に広くとらえました広報活動ということをやっておりますし、また租税教室その他の租税教育ということで、それのもう一つ下にあります地盤に対して地盤の培養ということも努力をしておるわけでございます。
 制度の問題といたしますと、いわゆる租税回避行為ということがございまして、これは合法的にできることではありますけれども、取引行為を迂回させるということによって租税を回避、軽減するとか、一つの行為で済みますものを幾つかの行為にばらしまして租税を回避する、こういうことがあるわけでございます。かつて、こういうような問題になります都度制度的に対処しておるわけでございますけれども、たとえば土地の譲渡所得税を免れるために、土地を安い値段で出資をしてその会社の株式を得る。株式の譲渡による所得がキャピタルゲインで非課税である限り、土地の譲渡所得税がそれで逃げてしまうわけでございますから、そういう点につきましてかつて立法によってそれを措置したこともございますが、こういう国会での御審議を通じ、また世の中でのいろいろな御批判を通じてそういう多段階行為とか迂回的な行為というものの典型的なものについてやはり立法の努力を怠るべきでないというふうに考えておりますし、まあ今回の確定申告の事績等につきましても、先ほど国税庁からお答えもございましたが、やはりたとえば事業所得の給与所得化というんでございましょうか、そういうような行為について何らか社会的にそれが租税回避行為であるというようなことであるならば、それはそれとして、執行の面でももとよりのこと、制度面についても検討を進めなきゃならぬと思っておりますが、現在のところどのようなそういう多段階行為とか迂回的な行為についてどういう措置を講ずるかということにつきましては、いろいろの事案について勉強いたしておりまして、またいずれ制度改正の際に税制調査会等でも御審議をいただくというつもりでおります。
 一般的には記帳水準の向上その他について検討を進めてまいると、午前中にお答えを申し上げたことを中心として、さらに全体としての税制面の公平の確保ということについて不断の努力をこらしてまいるということで御理解をいただきたいと思いますし、さらに細目について私どもの考えがまとまってまいりました段階で、また御質問に応じてお答えを申し上げるということでお許しをいただきたいと思います。
#138
○穐山篤君 ちょっと飛んで恐縮ですが、昭和五十三年の税制改正、これは私もその当時大蔵委員でしたが、租税特別措置法の一部改正という中に、タックスヘーブン対策税制の導入というものを決めたわけです。当時の委員会の議論のことは多くは省略をいたしますが、この税制を導入をしてしかるべく対処したはずだと思うわけですが、現実にどういう結果になっておるか、その現状を明らかにしてもらいたいと思うんです。
#139
○政府委員(岸田俊輔君) タックスヘーブン税制の実施の面でございますが、現在、法人五十五年三月期決算を中心にいたしまして、子会社を持っております法人から申告が出てまいっております。その結果から見てまいりますと、本社の数で二百二社、外国にございます子会社の数が九百二十二でございます。それに基づきます申告でございますが、海外に留保いたしております金額が、申告によりますと百十億という数字が出ております。
#140
○穐山篤君 この税制の導入が行われた際に私も意見を申し上げてあったわけですが、当然最近の経済活動の範囲がふえできますので、企業が外国に本店あるいは支店を持つ、あるいはこのタックスヘーブンの地域にペーパーカンパニーの会社が続々設立をされていた当時でありましたので、十分にこれは監視をしなければならない、なお手落ちがないようにきちっとやるべきだというふうに私ども注文を申し上げてあったわけです。現実に海外に出かけて証拠書類、帳票類を見てやるわけではなくて、本社に計上してありますものを見るおけですから、相当慎重にごらんになっているとは思うわけですが、これの税金の税収入に、もう創設をした年から意図的な脱税あるいは無申告というのがあらわれているわけですね。この現実をどういうふうに皆さん方は分析をされているのか、その点明らかにしてもらいたい。
#141
○政府委員(岸田俊輔君) 先ほど申し上げました留保所得、海外の百十億と申し上げたんですが、これは申告をしてまいりました数字でございまして、現在これらの法人につきまして調査をいたしておりまして、まだちょっと結果がまとまっておりませんので御報告いたしかねる状況でございますが、何しろ新しい制度でございまして、申告をしてまいります場合は特に問題はございませんが、問題になりますのは申告をしてきていないケースでございます。それにつきましては、調査官もまだこの税制に必ずしもなれていないという面がございます。ただ、常にタックスヘーブン税制があるんだということを念頭に置きながら、海外に子会社のあるような大法人の調査につきましては、十分注意をして捕捉をしておくようにというふうに指示を与えております。今後、これからその成果が上がって結果が出てくるんではなかろうかと期待いたしております。
#142
○穐山篤君 個々の会社の名前を挙げていただかなくても結構ですが、ごく最近の発表では何億でしたか、六十億ぐらいでしたか、このうち海外所得がらみの所得隠しは六十億に上り、例年の二倍に当たるというふうな発表が一時行われたわけですが、これは、たとえば船会社に多いというものがあるのか、個々の固有名詞は結構ですから、業種別にお調べになったやつの代表的な業種を挙げていただきたいと思います。
#143
○政府委員(岸田俊輔君) 先生御指摘の六十億の業種別でございますが、私どもとして正確な資料はとっておりませんのでございますが、感じといたしまして、やはり海外取引の多い商社関係、貿易業、それから海外に投資をいたしております建設業等が主体になるんじゃなかろうかというふうに考えております。
#144
○穐山篤君 そこで申し上げるわけですが、一つは、タックスヘーブン地域におきます税の捕捉の問題、これは本社で合算をしてやるわけですが、それはきちっとしなきゃならぬという問題点が一つここにありますね。そのために大蔵省側としてはどういう対策をおとりになろうとするのか。これから非常に取引が多くなると思いますんで、当然これには注目をしていかなければならぬと思うんですが、いかがでしょうか。
#145
○政府委員(岸田俊輔君) 海外に子会社を設けましてペーパーカンパニーをつくるということ自体どうこうというわけではございませんが、それを通じまして税を回避しているという行為が横行いたしますことは非常に問題がございます。先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、海外に子会社がありそうな法人その他につきましては、各種の情報をもとにしてその点を十分頭に入れながら調査を現実にやっていくと。その結果そういう手段を通じても税の回避ができないということが一般的に知れ渡るようになれば、おのずとそういう問題はなくなってくるんではなかろうかというふうに考えております。
 したがいまして、われわれの調査の方針の重要事項といたしまして海外子会社の課税問題について常に、十分留意をしてやるようにということを機会あるごとに指示をいたしてきておるところでございます。
#146
○穐山篤君 このタックスヘーブンの問題というのは、事の起こりはどこにあったかよくわかりませんけれども、たとえば船舶の場合でいきますと仕組み船の導入というものが急速に行われている。そこで、仕組み船というのは、当然のことですがリベリアだとかパナマだとか、そういうところに紙っぺら一枚で会社をつくってやっているわけですね。ですから、そもそも仕組み船の導入ということが可能な限り経費を落としていくと。そのために安全が低下したという問題もありますけれども、経費を落としていく、逆に言うと収入をふやしていく、そういう仕組みのものから発想が出てきたものと思うわけです。
 そういう点から考えてみますと、まあざっくばらんに言いますと、すべてこのタックスヘーブン地域におきますものについては、私は全部が全部と言っていいぐらい査察の対象に当たるようなものが多いんじゃないか。私は性悪説を何も言うつもりはありませんけれども、過去のいきさつを調べてみるとその可能性が非常に強いと、こういうふうに思うわけですね。ですから、私はそういう企業がまじめに経営を行って内外から信頼を高めていくためにも、もっとそういう点についての親会社への指導というものをきちっとやる、あるいは業界に対して指導を定期的に行うということがないと、これも同じように毎年毎年金額がふえていくという心配をするわけです。そういう点についてはお考えどうでしょうか。
#147
○政府委員(岸田俊輔君) 確かに先生御指摘のとおり、納税と申しますのはただ単に調査だけで申告の適正が維持されるものではなくて、企業の協力というものがどうしても必要になるわけでございます。したがいまして、私どもの方針といたしましても調査のみでなく、調査の終了後、企業の幹部に納税に対します指導と申しますか、それからまた企業会計の適正化に対します指導というような面につきまして、十分各局幹部にも留意をして行うようにいたしておる次第でございます。
#148
○穐山篤君 それと似たような問題として、最近しきりに世間で問題に、われわれも注目をしておりますのは、海外取引に関係をして脱税が起きていると、あるいは海外取引に関連をして、この間の香港の事件ではありませんけれども、不正事件が起きると、あるいは海外取引を悪用して脱税を図る、これは単にタックスヘーブン地域だけでなくして、一般的な商取引においてそういう傾向が非常に強まってきたというふうにわれわれは聞くわけですが、その点についての実情はどうなんでしょうか。
#149
○政府委員(岸田俊輔君) 先生御指摘のように、最近の経済の国際化に絡みまして海外所得、海外取引に絡みます脱税というのが横行をいたしておる次第でございまして、この点に関しましてはわが国だけではございませんで、これは先進各国ともに頭を悩ましている状況でございます。ヨーロッパ関係ではいわゆるグループ4というのがございまして、イギリス、フランス、ドイツ、それにアメリカが加わりまして、こういう国際間の取引ないしはタックスヘーブン国に絡みます多国籍企業に対します課税問題というものの検討に乗り出しているわけでございまして、わが国につきましても太平洋を中心といたしましてカナダ、オーストラリア、それにわが国、それにアメリカが加わりまして、各国協調いたしまして連携を保ちつつ、そういう国際的な取引に絡みます脱税を防止していくための方策を積極的に検討していきたいというふうに考えている次第でございます。
#150
○穐山篤君 それぞれの国によって税率が違うということはそのとおりでありますが、それでいまお話がありましたような問題が起きるわけですね。価格操作というんですか、そういうものが発生をする。それもお話がありますように、商取引が拡大をすればするほど拡大をしていくという傾向にあると。そのことは否めない事実だろうというふうに思うわけです。
 そこで、新聞報道でも一部流されておりますけれども、国際的な協力、協調をしなければ国際的な規制はむずかしいということは当然でありますが、わが国だけでも独自に特別の税制を考えて、何らがこれに規制をするという必要性も、すでにはもう指摘をされているわけですが、大蔵省としてはどういうふうなお気持ちで、あるいは準備をなされているならば、こんなふうな手順でいきたいというふうなお話があればお伺いをしておきたいと思います。
#151
○政府委員(高橋元君) 先ほど国税庁からお答えございましたように、現在は太平洋をめぐります四つの国の間で、それぞれの国の国税の調査について協力し合うという形で、それほど大きな問題が現実に起こっているということではないというふうに考えておりますけれども、しかしながら、OECD、その辺を中心といたしまして、いわゆる移転価格――トラシスファープライシングと言いますが、移転価格対策の税制のあり方というものの検討が進められてきておるわけでございます。
 これはいまもお話ございましたように、企業グループ全体として一番安い国に所得を集める。そのためにA国からB国の子会社に対して安い値段で、税金の高い国からは低い値段で安い国に物を売るわけでございます。そうしますと、高い国の利益が減殺されて、企業グループの中の低い国の子会社に所得が帰着して、全体としての税負担が安くなっている。ヨーロッパのようにお互いの経済関係が緊密な国でございますと、そういう場合に実際のオープンの取引で使われる価格というものを国税当局が否定することができるという制度があります。アームズ・レングス・プライス――腕の長さの価格と言うんでございますが、こういうアームズ・レングス・プライスというものを決められるというような制度がアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、いずれにもございます。たとえば特殊関係者間の資産の譲渡による所得は、独立企業の原則に従って計算をする。お互いに親子であり、国際的に、会社の国籍は別でございますけれども、親子であるために特別な縁故価格で売っております場合には、そういう関係のない会社に対して売った値段で所得の計算をさせることができる、そういう規定がございます。
 日本の場合には、実質課税の原則でございますとか、同族会社の行為計算の否認でございますとか、それから寄付金の規定でございますとか、いろいろな規定がございますけれども、アームズ・レングス・プライスというものを一般的に規定する条文がございません。この点は、OECDの第六件業部会というのがございまして、現在検討を重ねて、七九年に報告を出しておるわけでございます。国際的な協調が必要なことでございますし、また相互にそういう規定を持っておりませんと、日本に対してトランスファープライシングを不当に外国からかけられた場合に、認定された場合に、それに対抗する手段もございませんので、この点国際的な協調を保ちながら、そういう税制を設けるべきかどうか、いま検討を進めておるところでございます。
#152
○穐山篤君 EC圏は、通貨にしてみてもその他がなりなじんでいるわけですから、EC圏はそれなりのことはできるだろうというふうに思うんですね。そこで、いまお話がありましたように、十分協力し合って、商取引の場合に、日本から安い税率のところに金を集めるという方法もあるだろうし、逆に言うと、高いところから日本に金を集めるという、そういう方法もある。そういうふうに思いますと、日本だけではなくそれぞれに関係すると思うんです。これは商社その他から言いますと、そんな法律で規制をするというのはいやだろうという気持ちは強いと思いますけれども、公平を期して公正な競争をするということをしないと、またそちらの方から一矢報いてくるという心配もあるわけですね。これは何も自動車の輸出の量だけの問題じゃない、あるいは半導体の輸出の量の問題だけでは私はないような気がすると思うんです。できればごく近いうちに大蔵省のまとまった考え方をぜひ発表していただいて、いずれそれは税制改正ということになりますと、国民的なコンセンサスが必要になると思いますので、賛成、反対のことは別にしてみても、大蔵省で一つの案を立てられて、あるいは税調に諮問するなら諮問をしていただいて明らかにしてもらったらどうかなというふうに思いますが、どうでしょう。
#153
○政府委員(高橋元君) 先ほどもお答えしましたように、トランスファープライシングの問題は、日本としてやはりしっかりした規定を設けた方がいいという考え方があるわけでございます。たとえば関税でダンピング関税をかけられて高い値段で売った場合に、向こうでは高い関税を取られておるし、法人税の方は、もう一つそれを逆に否認されて、日本に納めるべき法人税が外国に移ってしまうという問題もございます。そういう不合理を除去するためにもこの問題について、先ほどもお答えしましたように検討をいたしているわけでございますが、税制調査会その他必要な方面に諮りまして具体的な答えを出してまいるということを、現在そういう方向で検討を進めておるわけでございます。
#154
○穐山篤君 さて、国内問題にもう一遍戻りますが、申告制度ができてから戦後三十何年になるわけです。御案内のとおり、途中から青色申告会をつくる、そしてこれを育成していく、あるいは拡大をしていこうという御努力がなされているわけですが、現実に最近の組織状況を見ますと、依然として五二、三%という現実ですね。これはどういうふうに見たらよろしいんでしょうかね。相当かね太鼓でお互いに努力したつもりなんですけれども、組織率はいまだに過半数のところで、それももう停滞をしている、これが現実ではないかと思うんですが、その点いかがでしょう、分析は。
#155
○政府委員(小幡俊介君) 先生いま御指摘ございましたように、個人の青色申告の割合というものは、最近五三%ということでおおむね横ばいの状態でございます。で、過去の状態から見ますれば、たとえば三十年ごろは約三割、四十年ごろは三三%というふうな時代から逐次普及割合も向上し、現在五三%ということになってきておるわけでございまして、そういう意味では、長期的にはかなりの進展があったと思うわけでございます。
 近年横ばい状態になっているのはなぜかということでございますけれども、高額所得者につきましてはすでに相当高い普及率になっておる、低い所得階層の人についての普及割合が低い、こういうふうなことがあるわけでございます。で、所得の低い階層の方々の場合には、やはりこういう帳簿を備えつけ記帳するということにどうしてもなじみづらいというふうなことがあるんではないかというふうに思われるわけでございます。
 私どもといたしましても、今後やはりこういう所得の低い階層の方々につきましても、いろいろ接触の機会を持ちまして青色申告の勧奨に努め、この普及割合の向上ということにつきましてはいろいろ工夫をこらしながら努力をしていきたいと思っている次第でございます。
#156
○穐山篤君 努力はされているわけですが実際に伸びない。今後も努力を続けるわけですが、五二、三%でとどまっているということは、伸びない原因があるわけですね。入りたくないという人は入らないでしょう。あるいは現行の推定課税でもいいと、白で十分メリットがあるということになりますと入らない。青色申告会のいいところが十分に説明がされていないために入っていないとか入らないとか、いろいろなことがあると思うんですね。やや五二、三%で固定をしているというところには、重大なほかに理由がなければこれで停滞をしているということにならぬと思うんですよ。その点もう一度お考えを伺いたいと思っているんです。
#157
○政府委員(小幡俊介君) 青色申告の個人の普及割合見ますると、全体としては五三%ということでございますけれども、所得階層で見ますると、青色申告の特典控除前の、いわゆる持前所得というところで三百万以上というところをとってみますと、普及割合は八四%というようなところまできておるわけでございます。持前所得三百万円未満というところが普及割合が低い。こういうことでございまして、この点につきましてはやはりこういう低い階層の方の場合には、どうしても記帳になじみづらいというふうな方が多いんではないかというふうな気がするわけでございますが、しかしながら、やはりそういう方々につきましても正確な記帳をしていただき、そして適正な申告をしていただく。それは単に税務の面のみならず、自分自身の企業経営のためにも大事なことだと思うわけでございますので、私どもといたしましては、こういう点につきましてさらに努力をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
#158
○穐山篤君 これは脱税の防止の環境整備に重要だかかわり合いがあるわけですから、くどくお伺いをするわけですが、記帳することがめんどうくさい、確かに一々請求書、領収書あるいは見積書、いろいろなものを三種類にわたって整備をしておくというのはなかなか大変だと思うんですが、さて税金を払う、取られる段階になってみますと、そのことはさしたることではないし、それから自分の企業、商売というものを健全に維持していくあるいは少しでも拡張していこうとすれば、過去の数字というもの、売り上げ、あるいは税の支払いその他の経費というものが重要な因子になると思うんです。そこで、四十何%の人は率直に言って白ですね。白の効果というのはどういうふうにごらんになるわけですか。
#159
○政府委員(小幡俊介君) 私どもといたしましては、青色申告をすることによって青色申告に関しまするいろいろな特典があるわけでございますから、白と青ということを比較してみまするならば、青色申告の方が納税者の方にとって有利であるというふうに思っておるわけでございますので、現在白でおられます方も青色申告をすることによって有利になるわけでございますから、青色申告になっていただきたいというふうに思うわけでございますが、先ほど申し上げましたような低額の方々についてはそういう点についての意識が十分でないということで、まだ青色申告をしていただいておらないということであろうかと思いますが、やはり日本におけるそういう記帳慣行のないそういう一つの伝統といいますか風習、そういうことが影響しておるのかと思うわけでございますが、私どもといたしましてはそういう方々に対しましてもさらに努力してまいりたいと思っているわけであります。
#160
○穐山篤君 そこで、国税不服審判所にお伺いするわけですが、昨年なり一昨年で結構ですが、この青色申告それから白、二つに分けて、申告の割合、それから却下とかその他の処理があると思うんですが、それの実績の傾向ですね、白と青の傾向はいかがなものでしょうか。
#161
○説明員(小田和美君) 国税不服審判所におきまする審査請求関係の概要について申し上げます。
 先生いまおっしゃいました青、白に分けてという実は分析はいたしておりません。すべての納税者の方々について一律に権利救済を図るという趣旨で、特に青、白と分けた把握はいたしておりません。で、込みで両方一緒にいたしまして最近の実績を申し上げます。
 最近におきます審査請求事件というのは大体毎年二千数百件ぐらい発生いたしておりまして、ただしこれは、サラリーマン源税関係を除いております、一般の事案でございますが、二千数百件、ほぼ同数程度を処理いたしておるわけでございます。そのうち五十四年度、昨年度の実績の数字をちょっと申し上げますと、発生した件数が二千二百二十二件、処理が二千百九十三件、いずれも一般の事案でございます。で、それがどういうふうに処理されたかの内訳でございますが、二千百九十三件という処理のうち取り下げられたものが四百八十三で二二%、却下されたものが二百四件で九%、それから棄却されたもの、納税者の主張が退けられたものでございますが、八百六十九件の四〇%、それから、納税者の主張が通りまして原処分の全部または一部が取り消されたもの六百三十七件、二九%というような処理実績になっております。
#162
○穐山篤君 それに関連しまして、法務省にお伺いするわけですが、白と青色という区分けはむずかしいとは思いますけれども、最近の事件の傾向ですね、これをお伺いします。
#163
○説明員(飛田清弘君) 私どもの方は、直接国税に関しましては主として法人税法、それから所得税法違反についての統計しか資料を持っておりませんで、その間で特に白とか青とかという区別はなく、「偽りその他不正の行為」をした者について、脱税として刑事事件として処罰するかどうかという観点からしか考えておりませんので、それについて過去五年間におきまする処理件数について申し上げますと、法人税法及び所得税法違反によって過去五年間に検察庁で受理した件数を申しますと、昭和五十年には二百三十九件、五十一年に二百八十九件、五十二年二百六十九件、五十三年二百八十二件、五十四年二百六十件を受理いたしまして、その中で起訴した件数は昭和五十年が二百十一件、五十一年が二百三十四件、昭和五十二年が二百八十件、昭和五十三年が二百七十四件、昭和五十四年が二百三十二件となっております。ただ、この統計の数字のとり方は「検察統計年報」によっておるものでございますが、被疑者の数で統計をとっておりますので、数字についていろいろなほかの統計と合わない面があるかもしれません。
 以上でございます。
#164
○穐山篤君 時間がありませんので、最後にまとめ的な意味で申し上げるわけですが、本法案がねらっておりますのは環境整備と同時に税収の効果を上げる。それから、今後脱税だとか――いい意味の節税は別にいたしましても、脱税というものはよくないものだと、こういう気持ちを込めてのものでありますので、十分に理解ができると思うんです。国民的な立場から言うならば悪質なやつについては強く罰しろというのは国民感情ではないか。それから高額のものについては、高額でなお悪質なものについてはもっともっとさかのぼってもやれと、これも国民感情だと思う。ところが、中小零細企業については理屈はそうであったにしてみても、そこまでやらなくてもいいんじゃないかというそういう好意的な感情があると思うんです。
 そこでお伺いをするわけですが、高額で悪質とかあるいは少額で悪質とか、かつ悪質というふうな平たい言葉で言えばそういうものがあるわけですが、なかなかその基準らしいものが午前中もやりとりがありましたが明確でないんですが、もう少し物の整理を、考え方の整理をそこでしてもらいたい。それからもう一つは、それぞれ三年なり五年なり七年さかのぼるわけですから、企業、事業あるいは商店にしてみますと相当の書類――先ほどお話がありましたように三つにわたります証拠物件というものをお蔵にしまっておかなきゃならない、こういう問題があるわけですね。そこで自分の商売の品物よりも帳票類なり証拠書類の方がもう一軒お蔵を建てなければ入らないというようなことでもこれまたおかしな話だと思うんです。そこで、大企業というのは公認会計士なり税理士というものがきちっとありますし、監査役もあるわけですから別にしまして、中小零細企業の場合に、免除しろとは言いませんけれども、最小限度こういうものだけは整備しておかないと自分が損をするという意味では単に証拠書類を、重要なものをしまっておけ、とっておけというだけでは不親切だと思うんです。ある程度明示をしておかなければならぬではないかというふうに思いますが、その点事務当局の方から考え方をひとつお伺いをしておきたいと思うんです。
#165
○政府委員(高橋元君) 調査を、どういう納税者を対象として今度改正をお願いしております改正後の法律の運用を図るかという点については国税庁からお答えがありますので、私は後段のただいまのお尋ねについてお答えをしたいと思うわけであります。
 青色申告制度でございますから帳簿記録を備えつけておると、それを義務づける一方で、更正処分は帳簿書類を調査した上で帳簿書類に誤りがある場合に限って行って推計課税しない、それが青色の納税者に対する最大の保障であると思うわけであります。今回除斥期間の延長をお願いいたしておりますが、延長された除斥期間につきまして帳簿書類の保存がなければ青色申告者に対する更正というものについて適正を期しがたいということは、青色申告者の帳簿保存義務の規定の趣旨からして明らかであろうと思います。
 しかしながら、中小企業については仰せのありますように、過重な負担にわたるということではこれは申しわけないわけでございますから、そこは特段の配慮をして所要の省令を出さしていただくように現在準備を急いでおりますが、考え方で申し上げますと大体三つのグループに分けられるわけでございますけれども、現金出納帳とか、固定資産台帳とか、売掛幅、買掛幅、経費帳、こういった帳簿、これはどの段階を通じましてもやはり必須のものでありましょうし、余りかさばるものでもないというふうに思います。それから貸借対照表なり損益計算書、たな卸し表といったようだ決算書、これも申せば紙でございますからそれほどのボリュームがないので、これも恐らく五年を七年というふうに保存期間を延ばしていただく場合には必須のものであろうというふうに考えておるわけでございますが、問題は省令の三号にあります書類でございます。企業の規模が小さい場合には恐らく売り上げ一億円でダンボール一杯ぐらいの帳簿だと思いますが、余り大きなかさにはならないといたしましても、やはり保存についての負担をお感じになるということもありましょうから、したがいまして、六年前、七年前の伝票は小規模の個人事業者の場合に保存が要らないという方向で、それ以外の個人、法人の青色申告書につきましても物の流れに関する伝票の保存というものは相なるべくばしなくても済むということでいいのかどうか、現在検討を進めておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、私申し上げておりますような趣旨で、三号の書類につきまして中小企業者の負担にわならないように保存年限を七年に延ばす場合にはそこの圧縮を図ってまいりたいと思います。
 なお、一言申し上げさせていただきますと、今回の法律改正に伴います書類の保存義務は法律改正後開始されます事業年度から考えて六年目でございますから、昭和六十一年、そういうときになると思いますので、まあただいま使っておられる書類そのものがあと二年間延びるということではないわけでございまして、その辺これから各納税者の方に周知を図り、いろいろ御相談に乗っていく余地はこれから五年間十分あるものであろうというふうに考えます。
#166
○政府委員(小幡俊介君) 国税庁におきます調査の方針でございますが、いろいろ申し上げておりますように、今回の改正は偽り、不正の行為によりまして税の逋脱を図った者に対しまする除斥期間の延長の問題でございます。
 過去の事例等を見ましても偽り、不正の行為による税の逋税者というものは所得税で調査件数全体の一%弱、法人税で二%強というような例外的な課税処理が行われているものでございます。さらに六年、七年というふうにこれがさかのぼってまいるということになれば、その比率はさらに減少するというような例外的なものであろうと思うわけでございますので、私どもも高額、悪質ということを考えておるわけでございますが、中小企業者に対しまして無用の不安を与えないようにということでいろいろ各先生方から御意見を承ったわけでございますので、私どももそういう趣旨を体しまして国税庁、税務署の現場によく趣旨を徹底して遺漏のないように図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#167
○穐山篤君 いま事務当局からそれぞれ高額、悪質脱税者というものについての物の考え方、中小企業に対します対応の姿勢というものが一方で明らかになり、それから問題になります書類の整備のことも基本的な事務的な考え方が明らかになりました。
 そこで大蔵大臣、これは十分に、適切にやれば環境の整備ということは十分に行われるわけですね。これがうまくなくて逆に混乱を起こしますと、今度は節税とか反税というふうなものに発展しかねない要素はある意味では持つわけです。その意味では十分に慎重にしてもらわなければならないと思います。そこで大蔵大臣のまとめの御意見をいただきたい。
 それからもう一つは、更正決定が行われた場合にはできるだけ直ちに納めるというのが当然でありますけれども、数字を見ましてもかなり滞空時間の長いものもあるわけですね。それへ持っていきまして過去のものを掘り出されて、商社であるとか政治家であるとかというような場合にはすぐ指摘にこたえて税を納めなきゃならぬ、これは当然だと思うのです。しかしながら、中小零細企業におきます場合につきましては納税がなかなか――更正決定をされて、古いものが出てきて、さあ金を納める段になったら毎日の運転資金にも困るようなものもあるわけです。理屈から言いますとそういうものもきちっとしなければならぬことは当然でありますが、その点についての配慮もないとこれまた困る、こういう問題になると思いますので、その辺を含めて最後に大臣のお考えをお伺いをして終わりたいと思います。
#168
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいまの御質問については、主税局長及び国税庁の直税部長からお話があったように、それは悪質な高額脱税者、そういうものをねらって法の整備をしたわけでございます。したがって、その趣旨がやっぱり守られていかないと弱い者いじめになるということもあり得ることでございますし、仮に七年間の帳簿書類の保存といっても、四年も五年も六年も何でもなくてきて七年目に何かちょっと問題が起きたと、そのために帳簿全部出せと。たまたま七年前、六年前の帳簿がなかったから青色申告はさかのぼって全部取り消しだよと、こういうようなことを一々形式論でやられたのではたまったものではない、これは。したがって、そういうことはさせません。やはりただいまの答弁の趣旨というものを徹底をさしておくということが必要だと、さように考えております。
 なお、納税の問題でございますが、これについては、確かに事業者の所得というのは現金で金がもうかっているとは限らぬわけであって、取れそうもない実は売掛金で所得になっておる場合もあるし、それから売れそうもない在庫品が所得になっている場合もございますから、そういうような場合にはやはり納税という問題は、半値でダンピングして売っちゃってすぐ納めるというのも酷なことでございまして、やはり納められるように、法の許す限り納税者に親切にして納税だけはきちっとしてもらうと、そういうような配慮をしてまいりたいと考えております。
#169
○塩出啓典君 それでは、本法律案は賦課権の除斥期間の延長あるいは罰則の強化等を内容とするものでありますが、この法律が施行されることによってどれぐらいの税収増になると予測しておるのか、この点はどうでしょうか。
#170
○政府委員(小幡俊介君) 今回の改正法案によります除斥期間の延長の問題でございますが、偽り、不正の行為をもちまして税の逋脱を図った者に対しまして七年までさかのぼって課税をする、こういうことでございます。現在偽り、不正の者に対しまする除斥期間が五年までさかのぼって課税できるということになっているわけでございますが、現在のそれでは四年、五年課税というものがどの程度あるかということを申し上げますと、所得税で一%弱、法人税で二%強、全体の調査件数に対する割合がそういうふうな割合でございます。したがいまして、全体といたしまして非常に例外的な課税関係でございます。これがさらに六年、七年ということにさかのぼることになりますれば、その件数というものは四年、五年の課税件数よりも常識的に見まして少なくなってまいるというふうに考えられるわけでございますので、私どもといたしましては特にどの程度の課税の増加があるかというふうなことは考えておりません。こういうふうな措置を行ったことによって、一部の悪質な脱税者というものに対しまする心理的な効果というものを大きく期待をしておるということでございますので、特にどの程度の税収の増加があるかというふうなことについては考えておらない次第でございます。
#171
○塩出啓典君 いま四、五年にさかのぼるのが法人税で二%強とお話がありました。これは件数であって金額ではない。したがって、さらに六年、七年にさかのぼる場合は税収等の面においてはこれは計算外であると、そう理解していいわけですね。
#172
○政府委員(小幡俊介君) そのとおりでございます。
#173
○塩出啓典君 本改正案のきっかけが、ロッキード事件あるいはダグラス、グラマン等の一連の航空機疑惑等を教訓として、悪質な脱税事犯に対し、刑の加重と公訴時効期間の延長を図るものであると、このように理解をしておるわけでありますが、本法の施行により、これら航空機疑惑に無関係のまじめな、善意の人たちまで影響を受けることを非常に憂慮するわけでありますが、どういう影響を及ぼすと考えておるのか、この点はどうですか。簡単で結構です。
#174
○政府委員(小幡俊介君) 今回の改正法案におきましては、いわゆる通常の過少申告の方に対する陰斥期間というものは三年ということで現行のままということになっておるわけでございまして、特に改正をお願いしていないわけでございます。したがいまして、一般の納税者の方で法令の不知あるいはいろいろな事実関係の誤認等々の理由によりまして過少申告をされるというふうな方に対しては、全く影響がないわけでございます。影響がありますのは、先ほど申し上げましたような偽り、不正の行為をもって税の逋脱を図ると、そういう一部の方に限られるわけでございますので、私どもの運用につきましてはそういう運用をしてまいるわけでございますけれども、そういう趣旨につきましてはよく現場にも趣旨を徹底させまして、一般の中小企業の方々に無用の不安を抱かせるようなことのないように十分注意をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
#175
○塩出啓典君 いま直税部長は、余り影響がないと、こういうお話でありますが、本法の施行により帳簿の保存期間が五年から七年になるわけで、これは中小企業にとっても負担増になるのではないかと思います。これが二年延びるということはどの程度の負担増になるのか、この点が一点です。
 そうして、これらのまじめな納税者の意見は聞いたのか、どういう形で聞いておられるのか、またその結果はどうであったのか、これをお伺いします。
#176
○政府委員(高橋元君) どのくらいの規模の中小企業の方ということでお答えしていいかわかりませんが、大体各業種平均をしまして、売り上げが一億で、一年分の帳簿書類、証憑合わせて段ボール一つぐらいというのが私どもが実態調査をした際のまああれでございますけれども、先ほど申し上げましたように、中小企業の方々と帳簿書類の保存義務という形で過重の負担がかからないように、いわゆる三号の証憑につきましてはその保存の範囲を実情に合わせて縮小してまいると、五年から七年に延ばす分は縮小してまいるということをいま検討をいたして、先ほど大臣もお述べになりましたように、決して中小企業の方に無用の負担がかからないようにしたいと思います。
 それから保存期間の延長につきましては、青色申告会、法人会、商工会議所、全国商工会連合会、全国農業会議所、経団連等にお話をしまして、青色申告ということを適正にやっていくことは、税の立場だけでなくて、記帳に基づく経営、経営を維持し、拡大し、発展していくための基礎であるから、したがって五年を七年に延ばす場合に中小企業について配慮を加えてくれるならば差し支えないという御了承をいただいておる次第でございます。
#177
○塩出啓典君 青色申告会とか、そういう業界のトップの意見を聞かれたようでありますが、こういう場合はもうちょっとアンケート調査なり幅広く抜き取りでそういう調査ぐらいやった方がなおよかったんじゃないかな、その点はどうですか。
#178
○政府委員(高橋元君) 青色申告会、法人会といま各団体の名前を申し上げましたが、これらの会は全国組織ではございますけれども、各ブロック単位、県単位に下部組織を持っておりまして、そういうところの意見を集約して、青色申告会でございますれば全国青色申告会総連合で機関決定をしてそういう返事をちょうだいいたしておりますので、時間的な余裕があれば確かに塩出委員お示しのようなこともあれでございますけれども、私どもは中小企業の方々全体の御意向を反映しておられるものというふうに考えておる次第でございますので、御理解をちょうだいしたいと思います。
#179
○塩出啓典君 これは施行期日はいつからになるのか。ということは、いわゆる七年間保存しなければならない帳簿というのは、何年度からの帳簿を七年間保存しなければならなくなるのか、その点はどうですか。
#180
○政府委員(高橋元君) 法律を通していただきました後、施行の関係によりますが、個人で申しますと五十六年分の所得について六十一年、六十二年と二年間保存期間が延びるわけでございます。法人につきましても決算日の属しておる年度から勘定して六年目と七年目ということでございますから、これから五年たちました六年先に五年前の書類をあと一年、二年と延ばしていただくというお願いをしておるわけでございます。
#181
○塩出啓典君 ということは、五十六年度の書類から結局七年間保存しなければならない、こう理解していいわけですね。
#182
○政府委員(高橋元君) そのとおりでございます。
#183
○塩出啓典君 これは先ほどの穐山委員の質問ともちょっとダブるわけでありますが、特に大蔵大臣に、先ほど申しました善意の中小企業者、そういうものがこの法案の施行によって過重の負担等にならないように十分配慮をしてもらいたい、このことを要望したいと思います。
#184
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほどもお答えをいたしましたように、これは悪質な納税者を五年間だけで野放しにしちまうということはどうも国民感情の上から言ってもまずい、社会正義の点から言ってもまずい。したがって、これについては七年間だけはさかのぼって課税できるようにしよう、こういうようにした点です、帳簿の問題等、また課税の問題も。そういうときに青色申告などをやって、仮に六年目に何か見つかった。そういうときはさかのぼって調べると言ってもそれは前にずっと是認してきて、じゃ七年間調べられるんだから、少しのことでも七年間全部調べる、七年間調べようと思ったら六年目と七年目の前の帳簿がなかった、したがって、これは一部が足りない、だからそいつについてはこれは青色申告の恩典も七年分さかのぼって全部取り消して、そして重税を課してやる、そういうように乱用はさせません。そんなこと乱用するようだったら大変なことですから、やっぱり必要最小限度のものに限るという精神でやらなきゃならぬ。現行よりふえた分については現行以上に重課されるものは、やはり悪質なもの、きわめて高額なもの、そういうものはやむを得ない、そういうことを申し上げたわけでございます。
#185
○塩出啓典君 それから除斥期間については、アメリカ、イギリスの場合は脱税の場合は無制限、わが国の場合は、今回五年間を延長して七年、それでもこれらの諸国に比しては短いわけで、私たちも気持ちとしては悪質な脱税の場合は賦課権の除斥期間を無制限にする厳しさがあってもいいんではないか、そういうような気もするわけでありますが、こういう点アメリカ、イギリス等の場合と比較して大蔵省としてはどういうお考えを持っておりますか。
#186
○政府委員(高橋元君) 確かにアメリカ、イギリスにつきましては脱税の場合の賦課権の除斥期間は無制限になっておりますが、実際問題といたしましてイギリスはたしか一九三六年まで、これは法律に書いてございます。アメリカは証憑その他の関係がございますので、大体十年までさかのぼるのが精いっぱいの実態にあるというふうに聞いております。しかしながら、制度として五年を七年では少しなまぬるいんではないかという御指摘のように承りましたが、この点は三十六年の国税通則法答申のときにも非常に問題になったところでございまして、できれば五年と言わずもっと延ばしてもいいではないかという意見が税制調査会の中ではかなり強かったわけでございますけれども、しかしながら、税務官署とか納税義務者における書類保存年限の制限がございますとか、それからそういうことができない場合には除斥期間を延長すると税務署ごとの課税が恣意に陥りやすいということでございますとか、それから三つ目に、五年の期間制限のもとでも執行を的確かつ頻繁にやれば相当の目的が達せられるんではないかというような御議論で、五年という結論になっておるわけでございます。
 五年を何年まで延ばしたらいいかということにつきましては、ただいまも申し上げましたようにやはり帳簿書類の保存ということが相当長く行われる社会の実態、社会の慣習というものがございませんければ空文に終わってしまうわけでございまして、その点今回五年を七年に延ばすということで書類の保存についての負担が過重にわならないように配慮しながら書類の保存年限を延長し、税務官署においても関係簿書の保存期間を延ばすという形で七年に延ばして、それに混乱ないし不道徳な事態が起こらないということを前提にいたしまして延ばさせていただくということにしておるわけでございます。
#187
○塩出啓典君 それから、賦課権というのは課税権と考えでいいのかどうか。
 それから除斥期間というのはどういう意味、語源はどこにあるのか、なかなか通常使われない日本語が使われておるわけでありますが、これはどういう意味なんですか。
#188
○政府委員(高橋元君) 賦課権といいますと、各税法に定める課税要件を満たしてすでに成立した租税債権、たとえば申告日が過ぎますと、ことしでございますと五十五年分の所得税の租税債権というのは成立してしまうわけでございます。それが申告によって十分真実の額に達しているかどうか、それは税務署長が確認して納付すべき税額として確定させる権限を持っております。それが賦課権でございます。
 それから除斥期間についてのお尋ねでございますが、こういう賦課権と申しますのは実は時効のように中断ができないわけでございます。権限の行使があればそれで目的が達成されてしまうわけでございまして、確認権のような形成権の存続期間を意味する除斥期間という言葉になじむというふうに考えておりまして、時効による中断がないという形で構成をしておるわけでございます。
 用語がわかりにくいではないかというおしかりでございますが、これは語源というのはよくわかりませんけれども、法律学辞典を、お尋ねをいただくことになりましたので調べてみますと、英語ではリミテーションと言うようでございます。これは法律用語としてはそれぞれ確定をいたしてかなり広範に使われておるようでございますが、税法上の表現といたしましては「国税の更正、決定等の期間制限」という言葉で表現をいたしておりまして、納税者の方々には税法上の用語に従って税務署長が更正、決定できる期間が制限される制度というふうに御理解がいただけると思いますが、こういうところでございますので、専門家の皆様方にはいわばそれを短くした表現で御審議をいただいておるわけでございます、
#189
○塩出啓典君 賦課権が制限される期間を除斥期間というのであればむしろ逆であって、七年間のその前がいわゆる制限されるわけで、この除斥というのは逆に使われておる、そういうことはないんですか。
#190
○政府委員(高橋元君) 確認権と言っております税務署長が確認できる権限がございます。確認権というのは、行使をいたしますとそれによって税額が確定をいたすわけでございます。そういう意味で、権利の行使によって物の状態ができ上がってしまうそういう権限を形成権と俗に言うわけでございますが、形成権の存続期間を除斥期間というわけでございますから、形成権が七年ある。従来五年であったものが七年に伸びたという場合には、除斥期間の五年が七年に伸びだと、こういう言い方をいたすわけでございます。いわば時効期間というのと同じように除斥期間、権限を行使し得る、そこから先は行使できなくなる期間という意味で除斥期間という言葉を通常使っておるわけでございます。
#191
○塩出啓典君 大蔵大臣に要望しますが、こういう言葉のみならず、今度の関連する税法を読んでも日本語として非常に読みづらい。少なくとも義務教育を受けた人でもわかるぐらいにもうちょっと表現を検討してもらいたい。これはいますぐというわけではありませんけれども、私は大蔵省の長年の方向としてやっぱり国民の皆さんに理解をし、親しんでもらうためには、もうちょっと法律の条文、用語等においても義務教育を終了した人でも十分わかるような方向に私は努力すべきだと思うので、その点はどうでしょうか。
#192
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはいつも問題になることでございまして、本当は法三章の方がいいのかもしれませんね。執行する方にとっても都合がいいし、わかりもいい。しかしながら、そうするとやっぱり例外がいっぱい、どうして押さまえるんだと。結局みんな常識的に解釈してくれればいいけれども、そういうように書いてないじゃないか、こういうあべこべの解釈もできるじゃないかといって裁判ざたになると、法治国家だから裁判に負ける場合が出てきますね。したがって、逃げ道を押さえようとするものですからいろんな例外も全部ふさぐように法律書くわけですよ。こっちも逃げ道をふさぎ、こっちも逃げ道をふさぎ書くから何のことだかわけがわからなくなっちまう、これも事実なんです。だから何とか、しかし皆さんが善意をもって、税金を納めるのは責務で、納税者の義務なんだから素直に解釈してくれるとすれば問題ないんです。ところが、そうでないのがいるもんだから困るわけであって、そこでむずかしくなってしまうと。
 でございますが、ともかくなるべくわかるように少し長くなっても書いたらどうだということは言っておるんですが、法制局行くとわからなくなっちゃうんですね、これ、どうしても。法の体系がどうとかこうとかということで、そこでこれも仕方のない話ですから、なるべくわかりやすい解説書とか税務署でわかりやすいお知らせとかというので、原理原則を書いて、普通の人はそれでいいんですから、普通の人は。それで普通のわかりやすい税務署の知らせで、チラシでわかる程度に世の中してもらいたいと思っているんです。その裏をくぐる気になるとむずかしくなってくる。ですから今後も勉強しますが、なかなか御要望のようにわかりやすくできないんですね、まことに申しわけございませんが。
#193
○塩出啓典君 その点ひとつ御努力をよろしくお願いします。
 それから、今回物品税と所得税等四税の懲役刑の最高刑が一緒になったわけでありますが、明治中期以来所得税等の直接税といわゆる酒税等の物品税には非常に刑罰の重さに違いがあると。これが今回一緒になったわけでありますが、なぜこういう違いがあるのか。また私は、あるのがおかしいんであって、こういうものをもっと早く同じようにすべきではなかったかと。それをいまごろ一緒にするのは大蔵省の怠慢ではないかと思う。その点はどうですか。
#194
○政府委員(高橋元君) 租税刑罰が明治以来昭和の十九年まで定量の財産刑になっておったということは午前中も申し上げました。直接税の場合には脱税額の三倍の罰金をいただく、間接税の場合には脱税額の五倍の罰金を納めてもらう、それが明治以来の租税刑罰の長い間のやり方であったわけでございますが、国庫に財政上の損失を与えたんだからその分を罰金で埋めるんだという思想から来ておるわけだと思います。昭和十九年に酒税の増徴ということをやりました際に、租税犯も単なる国に対する財政上の財産犯だけでなくて、むしろ自由刑を科すべき自然犯に近いようなそういう性格を持っているという考え方が出てまいりまして、そこで酒税につきましては財産刑主義を直しまして五年以下の懲役という自由刑をとったわけでございます。昭和二十二年の三月に申告納税制度を導入しました際に、所得税、法人税、それにつきましても一年以下の懲役というものを導入して、その年の十二月に三年以下の懲役ということにして今日にわたったわけでございます。
 いまもお話ございますように、直接税であろうと間接税であろうと、その罰則によって守られるべき法益というものに差があるというふうには考えられませんので、こういう沿革から来ております直間のそれぞれの税法違反に対する刑の長期というものは、本来なら合わせるべきものであるということは御指摘のとおりであるわけでありますが、今回全体の納税環境整備のための制度改正の一環として、直間の法定刑の長期というものを合わせる改正をお願いをいたしたわけでございますので、御理解をぜひちょうだいをいたしたいと思います。
#195
○塩出啓典君 次に、青色申告の問題でございますが、青色申告は戦後混乱期の中で各企業の記帳体制を早急に整える目的で、シャウプ勧告により誕生した制度であると理解をしております。昭和五十四年度申告所得税の青色申告の主な特典も、大蔵省の資料によりますと、三十六項目を数えているわけであります。しかし、それでもなおかつ青色申告は、特に個人の場合はもう停滞状態であります。これについては、先ほどの穐山委員の質問に対して、わが国においては記帳は非常になじみにくいと、そういうようなことを青色申告が進まだい理由に挙げておるようでありますが、私としてはやや理解に苦しむ点があるわけであります。というのは、たとえば資本金一億円以上の企業でも、法人でも白色がある。どの程度あるのか、これをお尋ねしたい。
 それから、大蔵省の資料では資本金百億円以上の企業でも白色が三社あると、こういうのはどういうわけであるのかですね。それから、特に社会正義を守る弁護士さんとか、あるいは税理士さんとか、お医者さんとか、そういうのにも白色が多いんではないか、こういうように指摘している人もいるわけでありますが、そのあたりの実態はどうなんでしょうか。
#196
○政府委員(小幡俊介君) 資本金百億円以上の会社は調査課所管法人ということでございますが、ちょっといま調査部長おりませんので正確なお答えいたしかねるわけでございますが、全体といたしましては調査課所管法人の青色申告の普及割合は九八%ということで非常に高いわけでございます。例外的に二%青色申告でないというのも数字上あるわけでございますが、この辺の事情についてはちょっと私承知いたしておりません。後ほどまた御説明するようにさせていただきたいと思います。
 それから、個々の業種によりまして青色申告の普及割合の低い業種というのもあるわけでございますが、この辺につきましては、なぜ低いのかということになりますと、これはやはりそれぞれの方々の御判断ということに最終的にはならざるを得ないかと思うわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけ青色申告の普及割合が高まりますように、所得の低い方々並びにそういう普及率の低い業種の方々につきましても今後さらに一段と努力をしてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
#197
○塩出啓典君 これは大蔵大臣にお尋ねしたいんですが、やはり、私もこの法案の審議に当たって税理士さんにもいろいろ御意見も聞いたわけですが、よく聞かれると言うんですね、本当に青色申告は得なんですかと。確かに理論的に言えば得なんでしょうけれども、しかし実際には白色申告の場合は不正確でもいい率が高い、そして一方実調率が非常に低い、そういうところからクロヨンというようなことがやはり生まれてくるんではないかな、私はそういうような感じがするんですけれども、率直に言ってそのあたりはどう考えられますか。
#198
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは青色の方が得なはずにはなっているんですね、制度の上から見まして。たとえば専従者控除というのがありますが、白色の方は一定の枠がありますが、青色の方は通常世間で払われているような金額ならば、額がかなり多くてもよろしいというようなことを認めているのを初めとして、あといろいろなたな卸し資産の評価方法についても選択を認めるとか、償却問題とか、引当金とか、いろんなことを帳面をつけて売り上げがきちっとしておるから、収入がはっきり把握できるから、経費の面でもいろいろなそういう制度認めますということにはなっているんです。
 ところが、正確につけてありますから、帳面というのは正確につけますとどっかやっぱりひっかかるところが出まして、けちをつける気だと調べるのが楽なわけですよ、帳面がついているから、ぼろだけ探せばいいんだから。だから帳面をいいかげんにつけてあると探しようがない、どこからどこまででたらめなんだか。だから、そういうところで把握がしっかりしないと、結局青色申告で余りぎしぎしやられるとどっちが損だか得だかわからないという実感が、税理士なんか一番よく知っている。私もやったことがあるからよくわかっている、実際は。
 そこで結局、余り青色申告できちっとついているのは、ようじで重箱のすみをつっつくようなことはやめたらどうだと、特に期間計算みたいなものは、少しぐらいのものをさかのぼって、去年税金払うべきでことしじゃないとかいうようなことをいろいろ更正するわけです。だから、気苦労が多いということは事実なんです、これは。だから、やはりみんな青色申告になってもらってすれば一番いい。白色についてはやはりむらがある。だけれども、これはやはり捕捉というものについてきちっとやらないと、白色の方が、見立てでいいかげんにやってもらった方が得だということでは困るものですから、そういう点は青色をうんと慫慂して広めていく、白色のものについてはやはり実態の調査ができるようにしていくという工夫が必要だと私は思います。そうでないとやっぱり青色申告に来たがらなくなりますからね。そういうことで、やはりこれは実務上の問題で、法律上の問題ではありませんから、税務署よりも私の方が詳しいと私は思っているんです。
#199
○塩出啓典君 TKCの全国会会長の飯塚毅という人が、昨年の十二月一日に「財政再建を、税制のゆがみ是正の中で実施されたい点のお願い」というこういう意見書を大蔵大臣にも出しておるはずで、われわれのところへも参りました。最近また「グリーンカード制度反対論者への覚書」というものを私のところへも送ってきておるわけでありますが、この人の意見は、国際的には記帳条件の精密化の方向にあると、そしてアメリカやイギリス、西ドイツ等でもかなりその記帳をきちっとやっていないと罰則が非常に厳しいと、そういうことをこの人は言っておるわけですね。この人は政治家じゃないわけですからずいぶん思い切ったことも言えるわけでありますが、私はしかし、こういう考えもやはりある程度納得できるんじゃないか。もちろん零細の小さなおばさんとおじいさんでやっている店にがんがん言うんじゃなしに、たとえば一億円以上の会社でも白色があるとか、あるいは少なくとも税理士さんとかそういう方には白色等は認めるというようなことはちょっと筋が合わないし、ある程度そういう点は私は厳しく義務づけをする方向が必要なんじゃないかなという感じがするんですけれども、そういう点はどういうお考えですか。
#200
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは案外自由業なんというのに白色が多いんですね。多いんです。しかし、やはりそれは白色よりも、いろいろ理屈をつけて、書くのがめんどうくさいとか、やれどうとか言うけれども、やはり正確に帳面つけることよりもつけないことの方がいいと思って白色になっている人もかなり私はいるんじゃないかと。したがってそういう点はやはり直す必要があると、そう思っています。
 それから、私先ほど言った中でちょっと訂正しておきますが、そういう実態問題で税務署よりも私の方が詳しいと言ったのはちょっと間違いまして、税務署でなくて、この辺にいる人ですよ。主税局の高級な人よりも実務の方は私が詳しいということで訂正をしておきます。
 いま聞いてみたところが、弁護士さんは青色が二三%、白色が七七%だそうであります。
#201
○塩出啓典君 それから、青色申告制度というものはもうすでに二十数年たっておるわけでありますが、その任務は終わったと、こういう意見があります。それで、これはやっぱり意見を――私の知っている範囲では二つの意見がありまして、やはり白色と青色との差を設けるべきではないと、だから青色申告のメリットというものを白色の場合でも認めるように、そういうようにしていくべきではないかという意見と、もう一つは、いわゆる正しい納税をするかしないかの選択を納税者に任せるのは日本のみじゃないかと、だから白色と青色というそういうものをやめて記帳をきちっとやらせていくべきではないか、これは飯塚さんの意見でありますが、こういう二つの意見があるわけですが、ほかにもいろいろあるかもしれませんが、大蔵省としてはこの青色申告の今後の方向についてはどういうお考えか承っておきます。
#202
○政府委員(高橋元君) 外国に青色申告制度がないということはそのとおりであります。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスいずれの国を見ましても青色申告に類似する制度はないわけでございます。
 青色申告というものはもう三十年以上の歴史を経てきて、もうこの辺でやめてしまったらどうかという御意見があるわけでございます。そのかわりに記帳義務を導入したらどうかという御意見も確かに承って、いろいろ検討しているわけですが、イギリスをのけますとアメリカでもドイツでもフランスでも、小さい方々は別として、商工業者という方々には記帳義務がありまして、それには罰則が設けられているということも事実でございますけれども、昭和三十六年の税調の通則法答申の中でも記帳義務という提言はございましたけれど、やはり国税庁から先ほど来お答えしておりますように、青色申告を普及し育成し、それから記帳の慣習を納税者に涵養をしていく、そういうことで所得計算が正確にできるという基盤をつくっていく。それが先決であって、いたずらに空文に化するおそれがあり、かえって不公平を招くおそれがあるという義務導入は見合わすべきだという考えで今日まできております。過般の税制調査会答申の中でも、納税環境の整備、記帳水準の向上ということが言われておりまして、私どももそういう申告水準の向上のために有効適切な方途というものについて現在検討をしておりますし、税制調査会の御審議も参考としながら真剣に検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#203
○塩出啓典君 私は、記帳習慣がわが国にはない、なかったあるいは記帳水準が非常に低いという、そういうことのために現状を追認をせざるを得ない、こういうような御意見にはやや納得しかねる。
 やっぱり外国へ参りましても、つり銭の計算をしてもよく国によっては間違える、しかも間違いは必ずわれわれの方が損する方向に間違えるとか、そういう国が非常に多い。そういう中からすれば、非常にわが国はそういう記帳の面においてもヨーロッパあるいはアメリカに素質においては決して劣るものではないと思うわけでありまして、やっぱり私は、今後の課税の公平化、そういう点から見ればそういう方向に進むべきじゃないかと。先ほど穐山先生からも内閣の世論調査の脱税等に対するアンケート調査のお話がありましたが、あの調査を見ても、国民の意識というものは脱税には厳しくしていかなくちゃいかぬ、こういう方向じゃないかと思うんですね。だから、もちろんこれには経過処置も必要でしょうけれども、方向としては私は記帳を厳格にしていく、そういう方向に進むべきではないかな、もうちょっとそれを積極的に、いつまでも検討というのではなしに、もっと具体的に進めていくべきではないかな、そういう気がするんですけれども、その点についての御意見はどうでしょうか。
#204
○政府委員(高橋元君) 申告水準の向上のための適切な方途について検討してまいる、これは先ほどお答えしたとおりでございます。その際に、ただいまの御意見も十分貴重な御意見として承って、税制調査会の中でいろいろこれから検討していただきたいというふうに思います。
#205
○塩出啓典君 では最後に、グリーンカード制の問題についていろいろ見直し論が出ておるわけでありまして、自由民主党の税調も十二日に五項目の問題点をまとめ、また本日は、自民党税調の正副会長会議を開いて検討をすると報じております。これについては、鈴木総理も本委員会において私の質問に答えて、実施前の見直しは論外という趣旨の答弁をされております。しかし、どうも大蔵省は基本は変えないが、混乱なく軟着陸させる方法を考えたい意向のように新聞報道ではお聞きをしておるわけでありますが、大蔵大臣としてはどういう姿勢でこれらの動きに対処していくのか、これをお伺いをいたします。
#206
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、グリーンカードは不公正税制をなくしなさいと、高額所得者が三五%で源泉分離配当や利子を受け取っているというのはけしからぬではないかと、だから総合課税にしろというところから一つは始まり、もう一つは無税のマル優制度というのがあるが、これは一人で三百万円と、銀行三百万円、郵便局三百万円とか国債三百万円とか決められておるんだが、それが一人で一千万も二千万も積んでおっても、現実問題としてどうもなかなか押さえにくいと、したがって、それは非常な不公平である。要するに正直者がばかを見て、インチキする人が得しているじゃないかというところから出たわけでございます。したがって、せっかくできたのですから、この制度を延期をしてしまうとか廃止をするとかいう考えは毛頭持っておりません。
#207
○塩出啓典君 では、調査査察部長さん。
#208
○政府委員(岸田俊輔君) 調査課所管の法人の中で青色申告をしておりませんのが二%あると申し上げましたが、これは休眠法人でございまして、実際上は事業をいたしておりません。申告もいたしませんものでございますから、青色を取り消されているというのが二%あるということでございます。実質的に活動しております法人は一〇〇%とお考えいただきたいと思います。
#209
○塩出啓典君 最後に、このグリーンカードの問題で名古屋方式というようなことが問題になっておるようでありますが、こういう方式の内容は一体どういうものか、こういうものは国税通則法等から見て拡大解釈をした内容であるのか、私はやはり税法の原則を曲げて拡大解釈等は許されないと思うわけですけれども、その点の御意見を承って終わります。
#210
○政府委員(小幡俊介君) いわゆる名古屋方式でございますが、これはかつて名古屋国税局管内におきまして、名古屋国税局管内の金融機関の方から仮名預金をなくそうという運動が展開をされ、名古屋国税局におきましてもこの趣旨に賛成をいたしまして、この運動が成果が上がるようにということで協力をした、そのときの方式のことでございます。
 そのときの内容といたしますると、仮名預金ということでございますと、その仮名預金が発生したときの申告漏れの所得があるわけでございますが、これにつきましては自主的に修正申告をしていただくと、それで税務当局におきましてはその自主的に修正申告されることにつきましては、納税者並びに金融機関の資料、申し出等を十分尊重していこう、そういうふうな態勢をとったことがあるわけでございます。
 また、そういうふうに自主的に修正申告をされたものに対しましては、重加算税ないし過少申告加算税は取らないということが同時に行われたわけでございます。
 いま先生がお話ございましたのは、国税通則法上どうかというのは最後の点についてのことを指しておられるかと思いますが、これは国税通則法上、そのように自主的に修正申告のあったものについては加算税等は取らないということになっておるわけでございますので、そういう関係につきまして十分一般の方が了知しておらないおそれがあるということで、そういう点も特にPRをしたと、こういうことでございます。
#211
○多田省吾君 私は、初めに大蔵大臣に基本的なお考えについてお尋ねしたいと思います。
 本法律案の意図しているのは大きく分けて二つあると思います。一つは、所得捕捉の不公平の是正を図ることにあると思います。昨年十一月の税制調査会の中期答申の中で、所得課税に対しましては執行面での把握差が生じやすくて、実質的な公平の確保がなされない、その改善が強く要請されておりました。そのため、除斥期間の延長などによって把握差の解消を図り、納税者の記帳水準の向上を意図しているわけでございます。また二つ目には、悪質脱税者に対する罰則の強化でございます。昭和五十一年のロッキード事件以降、ダグラス・グラマン事件へと続いた航空機汚職に対しまして世論は非常に厳しい批判をしておりますが、これに対しまして昭和五十四年の九月五日、総理大臣の諮問機関であった航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会がその防止対策といたしまして四項目にわたって提言を行いました。その第四に「制裁法規等の整備強化」というものがございまして、これに対応してつくられたものだと思います。
 そこでお伺いしますけれども、このような所得捕捉の公平の確保、また脱税対策につきまして、またさらに衆議院でも本案に対しまして附帯決議もついているわけでございます。あくまでも原則としては高額、悪質な脱税者に限るべきであって、いたずらに中小企業者をいじめるようなことがあってはならないと、このように思いますけれども、これに対して大臣の基本的なお考えはどうなのか、お伺いしておきたいと思います。
#212
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御趣旨私も賛成でございまして、これはいたずらに中小企業のささいなミスにつけ込んで、それを利用するためにつくった法律ではない。したがって法律の趣旨というものは、高額な悪質なものについては七年間さかのぼって課税できるし、あるいは三年を五年の刑に延ばすことができると、こういう趣旨のものでございます。
#213
○多田省吾君 この前国税庁は、五十五年度分の確定申告状況をまとめられたわけです。ところが、事業所得者の申告納税額の対前年伸び率は七%と、前年の伸び率二五%と比べますと大幅に落ち込んでおります。確かに事業所得というものは景気に左右されやすい、また大きく変動することも事実でございます。しかし、経済成長率などの経済指数は対前年度伸び率はほとんど変わっていないのに、このように事業所得者の申告納税額の対前年伸び率だけが大変ダウンしているわけでございます。また一方、サラリーマンの源泉所得税の方は二〇%も伸びております。なぜこのように事業所得者のみが異常に低くなったのか。これによっていわゆるクロヨン、トーゴーサンと言われるものがますます拡大されたことになるわけでございますが、この点を大蔵省ではどのように考えておりますか。
#214
○国務大臣(渡辺美智雄君) これははっきりした根拠というのはしっかりわかりません。わかりませんが、私の推測するところ、去年は史上最高の倒産が出ておるということで、中小企業が非常に景気がいいという話は聞いておりません。どこへ行っても中小企業は非常に落ち込んでいる、冷えておる。中小企業対策をやれと。特に冷夏があったりあるいは災害があったり、景気が悪い。こういうことが一つ出ているんじゃないか。それからもう一つは、中小企業といっても業種によっては好況なものがいっぱいありますから、非常にもうかっているところ。そういう人たちがやはりいいところの層はサラリーマン化してしまった。みんな法人成りになって自分が俸給取りに変わった。したがってそういう点は、俸給取りの人がうんとふえるということが言えるじゃないか。一つの例とすれば医療法人がふえている。お医者さんですね。三千万だ、五千万だ、一億だという人が七二%の控除がなくなったから医療法人にして、自分はその中から月給取って、月二百万とか百万とかという月給を取って、そういうのが給与所得者の方に入っている。それから事業所得の方は、したがってもう消えてなくなってしまう、あと残りの分は法人所得に入るというような点もかなりの私は影響があったんではないかと、後で分析してみればわかりますが、そのように想像いたしております。
#215
○多田省吾君 確かに、大臣のおっしゃったように中小企業の倒産等が増加いたしまして、不景気であったということの理由は私はよくわかるんです。ただ、景気のよしあしに関係なく、後段で大臣のおっしゃったようなことは、これは大変私は問題ではないか、このように思います。
 それで、このように所得の捕捉率の把握度というものの格差が拡大していくということになりますと、今後いろいろな問題を残すと思います。またわが国の納税制度というものは基本的には申告納税制度であり、自己賦課制度という民主的な制度になっているわけでございますけれども、給与所得者に対してだけは収入から税金を天引きするいわゆる源泉徴収制度になっているわけでございます。このようなトーゴーサンとかクロヨンというものが拡大しますと、やはり平等公平の原則に反してまいりますから、また労働基準法に定める給与全額払いというような原則にも反してまいりますので、やはり勤労者から多くの議論が出ると思います。ですから一つは、源泉徴収制度自体にメスを入れる必要があるのではないかというような議論も起こりますし、またサラリーマンの必要経費の控除というものが強く要求されてくるようになると思います。こういった問題に関しましてどのように考えておりますか。
#216
○政府委員(矢澤富太郎君) 源泉徴収の制度につきましては、わが国の税制の基幹をなすものでございますから安易にこれを変更するということは非常に困難、また適当てない問題だろうと思います。
 それから給与所得控除でございますが、御承知のようにわが国の場合の給与所得控除は、一つ一つかかった経費を積み上げて控除するといういわゆる実額控除をとっておりません。概算控除――中身を見ないで収入金額によりまして幾らという概算控除をとっているわけでございます。ところで概算控除の水準でございますが、給与収入が年間三百万円でございますと控除率が三五%、金額にいたしまして百五万円という水準でございますので、他の主要国で実額控除をとっている国の場合のサラリーマンと比べますとこれはかなり高い水準でございまして、現在以上に引き上げる余地もないのではないかというふうに考えております。
#217
○多田省吾君 法律案の中身について若干御質問いたします。
 今回の改正によりまして、賦課権の除斥期間が五年から七年に延長されたわけでございます。このことによりまして「偽りその他不正の行為」に対する情報収集、また内偵の進め方、調査対象の選定、摘発時期の判断作業、こういうものについて変更されるのかどうか。
#218
○政府委員(小幡俊介君) 今回の改正は偽り、不正の行為によります税の逋脱を図ろうとする者に対しまして除斥期間を七年にするというわけでございますが、現行の五年の場合と七年の場合で基本的に何か違う点があるかということでございますけれども、これは偽り、不正の行為をもって税の逋脱を図るという点については別段変わった考え方があるわけではございませんので、ただいまお尋ねのような諸点につきましては格別に変わった考え方をとるつもりはございません。
#219
○多田省吾君 そうしますと、調査対象の選定につきましても、その選定に当たる基準については見直しは別段行わないということですか。
#220
○政府委員(小幡俊介君) 私どもが高額、悪質重点ということでいろいろ調査をするわけでございますが、偽り、不正の行為を持った税の逋脱といいますのは、現在の五年の除斥期間の場合で申し上げまして、所得税の場合でいきますと調査件数の一%弱、法人税につきますと調査件数の二%強という程度のものが偽り、不正の行為による税の適脱ということで四年、五年にさかのぼって課税をされておるわけでございます。したがいまして、全体から見まする件数というものは非常に少ないわけでございますし、また今後六年、七年ということになりますれば、現在の四年、五年の課税状況よりも、より件数は少なくなっていくというふうに考えられるわけでございまして、私どもの考えといたしましては、そのような事案というものは例外的な事案として出てくるというふうに考えておるわけでございます。
#221
○多田省吾君 重複をなるべく避けまして質問したいと思いますが、昭和五十四年が五年目に当たるいわゆる昭和五十年以降の各年ごとの実調件数、それから申告処理件数並びに申告処理一件当たりの課税額、これはどのようになっておりますか。
#222
○政府委員(小幡俊介君) 昭和五十年以降の課税状況でございますが、昭和五十年といいますと四十九年分ということになりますが、四十九年分につきますと申告件数が四百九十四万人。一件当たりの申告額が所得金額で二百六十万円、税額で二十三万円。実調件数が七万七千件、そのうち修正申告等いたしました件数が六万七千件、一件当たりの申告漏れ所得は二百四十万円、一件当たりの申告漏れ税額は五十九万円。
 次に五十一年の調査、五十年分ということで申し上げますと、申告件数で四百六十二万人、一件当たり申告額が所得金額で三百十万円、税額で三十一万円。実調件数が八万六千件、そのうち修正等の件数が七万四千件、一件当たりの申告漏れ所得二百五十一万円、同じく一件当たりの申告漏れ税額五十七万円。
 次に五十二年調査、五十一年分でございますが、申告件数四百九十二万人、一件当たり申告額が所得金額で二百九十一万円、税額二十六万円。実調件数九万九千件、そのうち修正等件数八万六千件、一件当たり申告漏れ所得二百四十四万円、同じく一件当たり申告漏れの税額が五十万円。
 次に五十二年分でございますが、申告件数が五百三万人、一件当たりの申告額が所得金額で三百十九万円、税額で三十万円。実調件数十一万九千件、そのうち修正等の件数十万五千件、一件当たりの申告漏れ所得で二百六十八万円、税額で五十二万円。
 次に五十三年分でございますが、申告件数は五百三十四万人、一件当たり申告額が所得金額で三百三十四万円、税額で三十二万円、実調件数十三万九千件、そのうち修正等件数十二万六千件、一件当たり申告漏れ所得二百八十三万円、税額五十四万円ということでございます。
#223
○多田省吾君 納税緩和制度がございますけれども、今後弾力的にどのように運用していこうとなされておりますか。
#224
○政府委員(五味雄治君) お答えいたします。
 御質問の納税緩和制度でございますけれども、これは国税通則法並びに徴収法に規定がございまして、まず国税通則法の四十六条でございますけれども、いわゆる課税遅延があった場合、具体的に申し上げますと、法定申告期限から一年を経過した日以後に納付すべき税額が確定した場合における当該税額についてでございますけれども、これについて納付が困難であるというような事情がありました場合には、納税者の申請に基づきまして全体で四年間分納が認められる制度がございます。
 この納付困難をどう見るかということでございますけれども、単に納税資金がないということだけではなくて、当該税額を納めた場合には事業の継続が不可能になるとかあるいはまた生活が困窮するとかというような場合を含めまして、納付が困難であるかどうかということを決めているわけでございまして、本法案にございます罰則強化によりまして、たとえば六年前、七年前というような課税が行われた場合には当然この規定に該当いたしますので、この制度を十分に活用いたしまして、特に中小企業者あるいは零細企業者に対して無用の不安、動揺を与えないように、さらに納付について苦境に陥れることのないように十分配意していきたいというふうに考えておりまして、現在でもこの制度は純滞納者の大体一四、五%がこの制度を活用いたしておりまして、非常にこの制度が広く活用されているというような状況になっております。
#225
○多田省吾君 もう一点ですね、課税の強制執行を行うようなことがありますと、会社が倒産いたしまして多くの従業員の方々が大きな不安を受けるという、こういう場合にも適用されると思いますけれども、何かこの適用基準を定める考えがおありなのかどうか、それともケース・バイ・ケースで実施されていくのか、その辺の感触をお伺いしたいと思います。
#226
○政府委員(五味雄治君) ただいまの御指摘の点でございますけれども、これは先ほど直税部長からも答弁がございましたように、その件数としてはごくわずかであるというような事情にもかんがみまして、こういった点につきましてはよく個別に管理をしていく、ケース・バイ・ケースでその処置をしていきたいと。特に悪質な滞納者についてはこういった制度、特に大口、悪質については適用することもどうかなと思われる点もございますので、現在の段階ではケース・バイ・ケースで個別管理でよくその辺の事情をしんしゃくして措置をしていきたいというふうに考えております。
#227
○多田省吾君 今度六年目、七年目で不正が摘発されるような場合に、二つの場合が考えられると思います。一つは、仮名預金などほかからの資料が出てまいりまして単発に課税されるもの。二つ目には、現年度で不正が見つかって、それをきっかけにいたしまして過去六年にわたる不正が発覚して遡及課税されていくもの。こういうものが考えられるわけでございますが、単発の場合は当然証拠も明白でありましょうけれども、六年前、七年前となりますと、証拠も記憶も非常に薄くなっております。この点、推定課税などのおそれも出てまいりますけれども、この辺も十分注意する必要があると思いますが、これの場合、どういうお考えで対応なされますか。
#228
○政府委員(小幡俊介君) 現在の私たちの対応でございますが、一般的に申し上げまして、申告漏れ所得というものが見出された場合に、私たちは納税者の方によくその間の事情をお話をし、修正申告を出していただくというのが九〇%以上、ほとんどのものがそういうふうな対応でやっておるわけでございます。
 一部につきましては更正という措置をとる場合がございます。この場合におきましては、それが裁判に参りまして十分にたえられるだけの根拠というものが必要になるわけでございますから、ただいま先生が御心配になりますような安易な推定課税というふうなものが行われることはないわけでございまして、合理的な根拠に基づきます課税ということになるわけでございますし、六年、七年さかのぼってそういう課税をし、かつそれが十分訴訟にもたえられるというふうなことということになりますれば、おのずからそれなりの相当な根拠が必要になるわけでございますから、一般的に御心配になるようなことはないというふうに考えるわけでございます。
#229
○多田省吾君 私は、次に、法案に直接関係ありませんが、法案に関連いたしまして、いわゆる使途不明金につきまして二、三質問したいと思います。
 過去三年間の使途不明金額及び申告加算分と調査把握した内訳の金額、そのうち使途の判明した額はどれくらいか、また一法人当たりの金額をひとつ簡明におっしゃっていただきたい。
#230
○政府委員(岸田俊輔君) 過去三年間五十二年、五十三年、五十四年について申し上げます。使途不明金額が五十二年二百四十二億、五十三年三百三十七億、五十四年三百二十一億でございます。そのうち自己加算をいたしました自己否認分でございますが、五十二年百三十七億、五十三年百八十一億、五十四年百九十二億でございます。調査分でございますが、差額でございまして五十二年百五億、五十二年百五十六億、五十四年百二十九億でございます。そのうち使途の判明をいたしました分でございますが、五十二年で二十五億、五十三年七十億、五十四年四十二億でございます。一件当たりの使途不明の把握金額でございますが、五十二年は二千六百万、五十一二年二千九百万、五十四年三千二百万でございます。
#231
○多田省吾君 過去におきましてソウル地下鉄問題あるいは日商岩井事件など大きな問題になりました。社会的批判を強く浴びたわけでございます。その金額を見ますと、五十四年度は五十三年度より若干下回っておりますけれども、減少する気配は見られません。逆に一社平均で見ますと、いまお答えのように三千二百万円と過去最高を示しております。国税庁として今日までいかなる対策を講じてこられたのか、それから五十四年度は解明率が前年度より落ち込んでいるのはどういうわけか、この二点お答えいただきたい。
#232
○政府委員(岸田俊輔君) 使途不明金でございますが、私どもといたしましては常に真実の所得者に課税をするといったてまえでその解明に努めてきているわけでございます。したがいまして、たとえば自己否認分などで法人税だけ納めれば、ないしは法人税さえ取れればそれで事成れりというような安易な態度ではいけないということで、機会あるごとにその解明につきまして一段の努力をするように指示をいたしてきておるところでございます。ただ使途不明金が増加しております傾向は、これは税務以前の問題で、企業モラルの問題もございます。また法人自体がどうしても使途につきまして言わないという場合でございますと、税務調査にも限界がございますので、なかなかすべてを解明するというまでに至らないというのが現状でございます。いずれにいたしましても、そういう限界がございますにしろ、われわれとしては一層その解明に努力をしていきたいと考えております。
 それから次の点でございますが、先生御指摘のように、確かに五十四年分解明が四十二億、これは全体の使途不明の中に含まれます解明されました分の割合が二二%でございます。それが五十三年でございますと七十億、二一%で、確かに五十四年減ってきております。ただこれは過去三年以前をながめてまいりますと、解明率で見てまいりますと五十年九%、五十一年九%、五十二年一〇%、五十三年が二一%と上がっておりまして、五十四年一三%ということでございますので、一三%自体が必ずしも低いとは考えられない。むしろ五十三年二一%で解明度が高かったというような結果になっております。しからばそれじゃ、五十三年度の二一%の解明度の高いのはなぜかということになりますと、原因を追求いたしましたのでございますが、一つの特定の理由があるわけではございませんで、解明度の高い事件が積み重なったというような偶然的な結果もあるのではなかろうかと考えております。
#233
○多田省吾君 この三年間、いま御報告いただいたわけでございますが、特に顕著な現象は申告加算分が年々増加傾向にあるということでございます。これを国税庁はどのように受けとめておられるのか。
#234
○政府委員(岸田俊輔君) 自己加算分が年々増加いたしまして、企業といたしまして法人税さえ納めれば行く先解明をしなくても済むというような安易な態度が企業自体に蔓延いたしますことは非常に問題があるかと思っております。ただこの点につきましては、先ほども申し上げましたように、税務以前の問題で、やや企業モラルの問題も絡むかと思いますが、私どもとしてはできるだけ解明をいたしていきたいという格段の努力を今後も続けたいと思っております。
#235
○多田省吾君 いまお答えいただいたように、申告加算分は税金は払いますから使途については言えないということで、仮装、隠蔽ではございませんから重加算税が課せられないわけでございますが、しかしいま税務以前、企業モラルの問題とおっしゃったように、相手方の税金を肩がわりしてまでも使途不明金として自主申告してくるということでございますから、これは大変大きな問題を含んでいると思います。やはり重加算とはいかなくても、せめて何がしかのペナルティーを課すのが当然だと思いますけれども、その辺はどう考えますか。
#236
○政府委員(高橋元君) 加算税――過少申告加算税、重加算税とございますが、この加算税と申しますのは適正な申告納税を担保いたしますために、申告義務違反に対して課する行政制裁というふうに性格づけられておりまして、適正でない申告納税をやられた場合に、後日更正決定によって追徴される税額があるときに、その追徴税額の一定割合を加算すると、こういう税金でございます。そこで重加算またはそれに見合う何がしかの加算税制度ということになりますと、追徴税額はあってもなくても――この場合には申告加算でございますから、ないわけでございます。加算税を課するということは、加算税制度には乗ってこないんではないかという考え方を持っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
#237
○多田省吾君 大蔵省や国税庁の立場から見ますと、使途不明金の自主申告というものは見つける手間が省けるということでございますし、税金は徴収できるということでありますから、余りシビアに考えないと思いますけれども、やはり税の公正ということから考えると大変問題もありますし、またサラリーマン等は一〇〇%税が捕捉されておりますけれども、一方ではこの使途不明金を受け取った方では一銭も税金を支払わないでも済むということで、国民の立場からすれば大変納得がいかない。私はやはりこれは何がしかの善処が必要ではないか、このように思いますが、もう一度お答えいただきたい。
#238
○政府委員(高橋元君) 外国それから日本、使途不明金につきまして、これは会社としての法人税の課税上の経費に見ないという立場を大体どこの国もとっております。日本の場合でも通達ではございますが、機密費、交際費、接待費の名義をもって支出した金銭で費途が明らかでないものは、損金とならないということで、支出した側で損金不算入、つまり課税をしているわけでございます。
 受け取った側の課税をどうするかということでございますけれども、その場合に、これはフランスのように特別の法人税ないし所得税にかわる法人税というものをかけるかどうかという問題でございます。この点はかねてから御指摘がございまして、いろいろ検討をしておるわけでございますけれども、なかなか制度上、技術上むずかしい問題があるように思います。
 なぜかと申しますと、まず記帳義務が一般的にあって、その記帳義務に基づいて法人に税法上、たとえばそういうコミッションでありますとか、そういうものを支出先を明らかにする義務をさらにかけて、その義務違反の場合に特別課税をするという構成をとるわけでございます。したがいまして、フランスのような制度というのも一つの重要な参考ではございますけれども、それを記帳義務ないし支出先の明示義務というものを持っておりません日本の税制にすぐ入れてまいるというわけには、バランス上と申しますか、そういう場合、基礎がないところに家を建てるというような感じがいたしますものですから、さらに検討を進めていきたいというふうに思っております。
#239
○多田省吾君 この使途不明金につきましては、最初に申し上げましたように、航空機疑惑が明るみに出ましたときに、その防止対策といたしまして、総理の諮問機関である航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会がその提言の一項目といたしまして、「公認会計士監査の一層の充実等投資者保護の観点からする監視機能の強化を図る。」必要があるということを指摘しております。そして不正支出、また使途不明金は徹底的に解明すべきだという方針を打ち出しておりますけれども、この点はどう検討されているんですか。
#240
○政府委員(小山昭蔵君) 証券取引法におきましては、投資者保護の観点から企業内容の開示制度を定めており、また有価証券報告書等の財務諸表の記載内容が適正に行われますように、公認会計士による監査を必要とすることにしておるわけでございます。
 御指摘の不正支出あるいは使途不明金といったような問題につきましては、これらの存在が往々にして財務諸表の適正表示に重要な影響を与えがちな、いわゆる相対的危険項目であるというふうにわれわれは認識しているわけでございます。
 そこで、先生の御指摘になられました航空機疑惑問題防止対策協議会の御提言の趣旨も外しまして、私どもといたしましては、公認会計士が投資者保護の観点から、これらの点につきまして一層厳正かつ組織的な監査を徹底するように公認会計士協会を通じて十分な指導を行ってまいったわけでございます。
 そこで、この公認会計士協会におきましては、このような趣旨を体しまして、会長直属の監査業務審査会というものを設置いたしまして、公認会計士の監査の実施状況に関する調査あるいはその結果に基づく個別指導等を行うことによる監査水準の向上に努めてまいりましたほか、五十四年十二月には、「不正支出・使途不明金等に係る監査の充実強化について」と題します協会長通達を発しまして、使途不明金に対する監査の強化について各会計監査人の注意を特に喚起するというような措置をとってまいったわけでございます。
 なお、証券局自身といたしましても、公認会計士の監査に関する私どもの審査を一層強化いたしますために、五十五年度から併任の形ではございますが若干名の証券監査官の増員を行いましたほか、企業の財務内容を審査、分析するために、これを一層効率的に行えるようにデータバンクシステムを利用した機械化の措置を進めるといったような諸般の施策を総合的に現在進めているところでございます。
#241
○多田省吾君 いまお答えいただいた中にもあるのですけれども、先ほど申しました提言と申しますのは、総理大臣の諮問機関である協議会の提言であったわけでございますが、その提言の措置対策につきましては、項目ごとにそれぞれの担当省庁で責任持って対処をしているわけでございます。ただいまの項目に関してだけは日本公認会計士協会の会長の中瀬宏通氏が自発的に行っているわけでございますが、それがどうしてそうなったのか、その辺の事情をお聞かせいただきたいし、またもう一つは、この公認会計士協会会長の通知の解説によりますと、五十四年の八月から関係役員、それから委員会委員十数名で検討した結果、結論といたしまして、不正支出、使途不明金防止対策について具体策は何も決まらなかった。したがって、現行監査制度の枠内において単に注意を喚起するしかなかったと、こうなっているわけでございます。ですから、この通知の効果についてどの一ように考えておられるのか。この二点、お伺いしておきたい。
#242
○政府委員(小山昭蔵君) お答えいたします。
 まず最初の点でございますが、公認会計士協会は法律の規定に基づきまして、会員の自治組織であると同時に、会員の行います監査業務についての指導、監督を行う立場にあるわけでございます。私どもといたしましては、この事柄の性格上、日本公認会計士協会がその自主的な判断と決意のもとに、この提言の趣旨を体しまして具体的な施策を講じていただくことが、その実効性を上げる上で最も望ましいのではないか、こういうふうに考えまして、この旨を協会に十分話をして要請をいたしたと、こういう経緯があるわけでございます。
 そこで、協会といたしましては、この当局の要請にこたえまして内部で種々検討していただきました結果、会計監査人としての社会的責任というものを十分考えていただきまして、自主的な形において先ほど申し上げましたような協会長通達を出していただいたということでございます。
 それから、二番日の点でございますが、協会長通達の内容を見てみますと、この中には往々にして不正支出あるいは使途不明金につながりやすい現金取引等についての監査の手続の充実であるとか、その他具体的な監査手法について非常に懇切な指導が行われております。
 さらにまた、この通達だけでなくて、この後協会で出しております監査マニュアルというのがあるわけでございますが、不正経理の発生しやすい現金諸経費等に関しまして、この監査マニュアルの充実を図る方向で現在なお作業中であるというふうに聞いておるわけでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、この現在の協会の姿勢なり熱意なりというものを十分評価しているわけでございまして、これによりまして提言の趣旨に沿った実効の上がる監査が行われることを期待しつつも、なお引き続き十分な指導をしてまいりたい、このように考えているわけでございます。
#243
○多田省吾君 御答弁があったわけでございますが、やはり私はその重要性にかんがみまして大蔵省からもきちっと指導すべきである、このように思うわけでございます。特に提言の中で「投資者保護の観点から」と明示されているわけでございますから、その真意というものは企業ごとに公表すべきであるという意味を持っていると私は思います。
 そこで私は、一般投資家に知らせるためには有価証券報告書を義務づけられている企業につきましては、これを記載させるようにしたらどうかと思いますが、この点どうですか。
#244
○政府委員(小山昭蔵君) 有価証券報告書は、先生も御指摘のとおり投資者保護の観点から投資者にとって適正かつ有用な情報を提供するということを趣旨として設けられている制度でございます。
 そこで、有価一証券報告書に掲げられている財務諸表の内容が適正なものかどうかということは、これは公認会計士が企業会計の基準に従って監査するたてまえになっているわけでございますが、いわゆる使途不明金や不正支出につきましては、公認会計士は監査に当たりまして、当然のことだから納税申告書等を参考といたしましてその支出先や内容をあくまでも徹底的に明らかにいたしまして、究明いたしまして、それが会計上適切な科目で処理されているかどうかを吟味し、判断するということが自分の職責になるわけでございます。その場合、種々の監査手続を尽くしましてもなお支出先や使途が明らかにされないものがあるといったような場合におきましては、その金額が重要と認められる場合には監査報告書でその事実を指摘する。その際には限定意見なり不適正意見なり、そういう形でもってそういう事実があるということを指摘すると、こういうことに相なるわけでございます。
#245
○多田省吾君 最後に、この使途不明金問題で大臣に一点だけ御質問したいわけです。
 使途不明金につきましては、今日までいろいろ論議されてきたわけでございますが、その具体策については結論がまだ出ておりません。そこで大臣、将来この使途不明金等にかかわる防止対策といたしまして具体的施策をまとめるお考えがあるのかどうか、その辺のお考えを最後にお聞きしておきたいと思います。
#246
○国務大臣(渡辺美智雄君) 使途不明金が交際費かどうか。これもなかなか議論のあるところでございますが、現在でも使途不明金については課税はいたしているんです。しかもその課税の問題で、それが重役の渡しきり交際費あるいはそういうような疑いがうんと濃いというふうなものについては、認定賞与もかけている場合もかなりあると私は思っております。したがって、それ以上に使途不明金にさらに罰則的な課税をするかどうかということは税制の本質にかかわる問題でございますから、軽々にどうこうということをいま申し上げることはできない。ただ、使途不明金がなくなるようにいろいろな点で指導することは私も賛成でございます。
#247
○矢追秀彦君 最初に、不服審判についてお伺いをいたします。
 現在の不服審判制度の概要とその運用について御説明をいただきたいと思います。
#248
○説明員(小田和美君) 要点を申し上げます。
 現在御承知のとおり、不服審査制度と申しますのは、納税者が原処分庁の更正決定等に不服がある場合に、原則として原処分庁に異議を申し立てるわけでありますが、その異議決定を経てもなおかつ不服があるという場合に、第二段階として国税不服審判所に対して不服を申し立てていただく、いわゆる審査請求をしていただく、こういういわゆる納税者の権利救済のための制度でございます。
 審判事務の運営に当たりましては、したがいまして原処分にとらわれることなく、第三者的な立場に立ちまして謙虚に納税者の主張を聞いて、適時適切に必要な調査を行い、事実関係の正しい把握に努めて、正しい法令の解釈適用をいたしまして、公平迅速に処理をいたしまして納税者の正当な権利の救済を図るということに十分配意をいたして運営しているところでございます。
 なお、これまで審判所が取り扱いました審査請求件数を申し上げますと、五十四年で見ますと発生が二千二百二十二件、処理をいたしましたものが二千百九十三件に達しております。なお、これを昭和四十五年度の審判所発足以来十一年間の数字で申し上げますれば、発生が約九万件に達しております。これはサラリーマン減税関係の件数も含めてでありますが約九万件、除いても三万二千件という数に達しておりまして、ほぼまた同数の件数を処理いたしておるわけであります。
 また、審判所は現在中央に本部がございまして、全国に十二の支部がございます。さらにまた八ヵ所の支所を置き、定員四百五十七名で運営をいたしております。人事的な面では、四百五十七名の職員のうちの大多数は、執行系統の方の職員のうち法律的素養があって非常に適性のある方をちょうだいしているわけでありますが、税務部外からも人材を登用していただくことに特段の配慮が払われておるところでございますし、現在、本部の審判所長初め枢要な部署には部外の方々に就任していただいておる、大体こういうような現状でございます。
#249
○矢追秀彦君 所長、次長、それから国税審判官はだれの任命でなるのか。
 それからついでに申し上げますと、いま少し第三者の話がございましたが、大体納税者の中にはやっぱり税務署の内々の人が審判するのであるから税務署側に立った審判になると、そういう不信感がかなりあるわけです。そういう意味で公平な第三者を審判官に入れる必要があると思いますが、その考えは将来ともにあるのかどうか、この二点お伺いしたいと思います。
#250
○政府委員(川崎昭典君) ただいま先生御指摘の点は、審判所創設のときからいろいろ議論をされておりました点でございまして、現在やはり部外の方からも来ていただく、また内部的には法律的素養のある者を任命するということで考えてやっておるわけでございます。開設以来すでに大学教授とか裁判官、検事等の経験のある法曹家に延べ三十二名程度来ていただいておりますが、現在在職していただいておる方は九名でございます。それぞれ主要のポストに在任をしていただいておるわけでございます。
 御承知のように協議団本部というものがございまして、それは国税局長の配下にあったわけでございますけれども、十何年前に議論が起こりまして、国税局長とは独立の不服審判所というシステムをつくったわけでございまして、職務は独立して行う、しかしながら、人事面につきましてはいろいろな広い範囲で制約もございますし、給与上のシステムの問題もございまして、全く独立ということじゃございませんで、人事はむしろ一体として、しかし公平に行うというふうな考え方でやっておるわけでございます。
#251
○矢追秀彦君 大臣、現状でいいと思われますか、今後改正すべきと思いますか、この点についてどうですか。
#252
○国務大臣(渡辺美智雄君) 問題は、要するに国税庁が任命する、そのために人事権を持たれているから言うなりになるんじゃないかという心配であろうと思いますが、それにしても審判所長はいろんな別な人がなっていますな、主要なところは裁判官上がりの人とか、何か厳正公平な人をなるべく充てるようにしておって、こういうものはやっぱり運用の問題でございますから、籍がどちらにあるとしても、やはりその審判所の使命という問題で公平な審判をやればいいわけでございますので、私は弊害らしいものは余り聞いておりません。特にそういうものが何かあれば、さらに検討はしてみたいと思っておりますが、いままでのところ非常にうまくいっているんじゃないか、かように考えております。
#253
○矢追秀彦君 しかし現実は、いま弊害と言われましたが、審査をかけてもなかなかうまくいかない、そういったことで泣き寝入りと言ったらオーバーですが、渋々承諾をしておる。実際弊害というより不信感というのが強いのが現状だと思いますので、これはひとつ大臣、一遍現場をよく御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
 そこで、却下、棄却というのが大変多いわけですね、最近のデータを見ましても。これはどういうところに理由があるのか。先ほども少し触れられましたが、仮にサラリーマン減税闘争というものを引いた場合はどうなるのか、そうすればそんなでもないのか、その点はいかがですか。
#254
○説明員(小田和美君) 最近のこの十年間に処理した件数がサラリーマン減税関係を除きまして三万三千六百八件でございます。このうち棄却いたしましたものが一万一千九百八件、これは取り下げをちょっと除いた数字でパーセンテージを出しますと、四三%に当たります。他方、納税者の主張の全部または一部が入れられたものが一万一千七百三十三件ございまして、これも四三%でございます。したがいまして、決して棄却が非常に多いということではなくて、むしろ棄却とそれから取り消しとの割合がほぼ同じという状況にございます。
 以上でございます。
#255
○矢追秀彦君 いま言われた納税者の主張がある程度、一部通ったあるいは全部通った、それはいいんですが、全然通らなかったものがその後訴訟をして、そして納税者の主張が通ったもの、こういうのはあるのかどうか。
#256
○政府委員(小幡俊介君) 審判所で審査請求についての裁決が出ました後に訴訟が提起されるというのがあるわけでございます。五十四年中に訴訟におきまして終結した件数は三百五十九件ございますが、このうち納税者の主張の一部または全部が通ったものは二十七件、パーセントにしますと七・五%というふうになっております。
#257
○矢追秀彦君 これは人間のやることですから、少々の間違いといいますか、そういうのもあろうかと思いますし、そういう数なのか、あるいはまたこういう七・五%というのは、もう少し不服審判所というものが納税者の立場ということをもっと考えておればこういう数字は出てこなかったのか、その点の判断は私自身もよく結論を出せないような状況ですが、この七・五%の数字の意味というのはどうお考えになっておりますか。
#258
○政府委員(小幡俊介君) 七・五%ということは、逆に言いますと九二・五%は国が勝訴をしておるということでございますから、現在の不服審判所におきまする裁決というものがかなり高いレベルの裁決ということで評価をされておるというふうに考えられるわけでございます。
 なお、先生御案内のように、日本の裁判制度におきましては審査請求の過程において審査請求人の方から提起されなかったような事実が訴訟の段階になりまして新たに提起されるというふうな場合におきましても、その主張というものはそれは時期におくれたものだというふうなことにはなりませんで、裁判所においてはその審査請求の段階で出なかったような事柄であっても、訴訟の段階で出された事実につきましてそれが適正であるかどうかという判断の上判決をする、こういうふうな仕組みになっておりますので、そういうふうな観点で国が敗訴をしておるというのも含んでおるということでございますから、審判所の裁決の内容としましてはかなり高いレベルのものというふうに考えていいんではないかというふうに思います。
#259
○矢追秀彦君 いま高いレベルと言われましたが、しかし、現実にこれだけのことがあるわけですから、今後やはり納税者の方はこれから税負担が増大すればするほど認識としてはシビアになってくるわけですから、納税者が納得をして納税するということが大変大事であるわけです。したがって、この不服審判所というものが国民に納得できる公平な運用というものを図るように努力をしていただきたい、こう思うわけでございまして、なかなかこういったことまできちんとやる知恵を持ってない人も現実に私もよく知っておりますから、やはり不服審判所というものがもうちょっと広い窓で、そして国民から信頼される、そういった運用をしておるんだ、こういう努力はぜひやっていただきたいと思います。これは大蔵大臣いかがですか。
#260
○国務大臣(渡辺美智雄君) やっぱり適材を集めるということが大事だと思います。税法というのは非常に専門的なものでございますから、法律知識があるからそれだけで全部わかるというものでもなかなかない。したがって、やはり争いになるのは恐らく法人所得というのが多いんでしょう、現実問題としては圧倒的に。したがって、そういうようなもののベテランで、しかも公正な人を配置をしていくということになれば、私は所期の目的が達成できるんじゃないか、かように思っております。
#261
○矢追秀彦君 次に、これもしばしばこの委員会では議論をされてきたことでございますが、税務職員の問題ですが、昭和五十年と五十五年とを比べますと、国税庁の定員は五万三百三十四から五万二千二百六名にしかふえていない。納税者数はこの間に二・二五倍、法人数でいくと三・六二倍、源泉徴収義務著は四・五五倍、こういうふうに大変ふえております。コンピューターを導入されたりして能率の向上にはいろいろやっておられますが、なかなか業務がついていかない。こういった中で行革も言われておりまして、定員増加というのはなかなかむずかしい状況ですが、このままいきますと相当大変なことになるわけでして、これをどうするか、こういうことについてひとつこれは大臣もう一言で結構ですから、所信を承りたいと思います。
#262
○国務大臣(渡辺美智雄君) 定員の充実につきましては、今後とも努力をしてまいります。
#263
○矢追秀彦君 次に、実地調査率の推移について伺いたいんですが、これはどうなっておりますか。この数字をまず言っていただきたいと思います。
#264
○政府委員(小幡俊介君) 最近の実調率の推移ということでございますが、五十年の段階におきましては、所得税の場合に二・七%というふうな実調率でございましたが、五十一年には三・四%、五十二年には三・七%、五十二年には四・二%、五十四年は四・五%というふうな実調率になっております。
 法人税につきましては、五十年が六・八%でございましたが、五十一年、七・五、五十二年、七・九、五十三年、九・五、五十四年、一〇・四というような実調率になっております。
#265
○矢追秀彦君 局の所管分と税務署の所管分と比べますとどうですか。
#266
○政府委員(小幡俊介君) 一〇・四%というのは署所管法人と、いわゆる調査課所管法人、一億円以上の法人と両方を合わせた実調率でございますが、大体のことで申し上げますと、調査課所管法人、資本金一億円以上の法人につきましては実調率はおおむね二四%程度であろうかと思います。署所管法人の方は大体一〇%でございます。数といたしまして署所管法人がほとんどでございますので、全体の実調率はいま申し上げましたように一〇・四になるわけでございます。
#267
○矢追秀彦君 現実には税務署所管分がいま言われたように大体一割ぐらいで大変低いわけですが、やっぱりこちらの方を上げていかなきゃならぬと思うわけです。それで、大体実調率というのは何%というのが目標なのか。大体それが理想とされておるのか、その点について伺いたいと思いますが、特にいま言ったいわゆる署の所管分の方が大変低い、半分以下という状況ですね。これをどう改善をしていくのか、その点はいかがですか。
#268
○政府委員(小幡俊介君) 実調率として何%の実調率が適当な実調率であるかということにつきましては、私どもも確たる見解を持ってはおりません。
 除斥期間などの関係で申し上げますれば、一般の除斥期間が三年ということでございますから、その三年の間に全部の納税者が税務調査を受けるということでいけば三三%の実調率があれば全部の人について除斥期間内に一回は調査ができるということになるわけでございますが、これは一つの考え方であろうと思います。しかしながら、現実問題としてなかなかそういうことはできないわけでございますから、やはり私どもといたしましては、各種の調査選定の段階におきまして重点的なものについて調査対象の選定をするというふうなことをいたしておるわけでございますし、また調査対象からはずれたものにつきましても、私どもといたしましては申告審理の段階で一応目を通すというふうなこともやっておるわけでございますから、全くノータッチというわけではないわけでございますが、いずれにいたしましても、結論として実調率として何%がいいかということについて、私どもとしてこうだという見解は持っておりません。
#269
○矢追秀彦君 この実地調査の方法は、一般的には一つは狭く深い、すなわち高額あるいは悪徳所得者重点と。もう一つは広く浅い、これは低所得者あるいは中所得者の調査、こういったものを強化しようと、こういう二つがあるわけですけれども、もちろんどちらもできればこれにこしたことはないんですが、どちらを重点にするかによって実調率というものも変わってくると思うんです。現在ではどちらを重点として行っておられるのか、その点はいかがですか。
#270
○政府委員(小幡俊介君) 私どもは、高額、悪質重点ということを基本的な考え方にしておるわけでございます。しかしながら、実調率が低いというふうなことのために、潜在的な高額者が少額者の中に入り込んでおるというふうなことがあっては、これまた課税の公平の見地から問題になるわけでございますので、そういうふうな意味で、広く潜在的な高額者が漏れていないかどうかということもまた同時に見ていかなければいけないというふうなことでございまして、実際の調査といたしましては、先生のお言葉をおかりすれば深くやるというふうな調査と、それから浅く広くやるという調査と両方を組み合わせて運営をしておるわけでございますが、基本は高額、悪質重点ということでございます。
#271
○矢追秀彦君 これはちょっと古い新聞ですけれども、二月二十一日の新聞ですが、新宿の歌舞伎町で税務当局がローラー作戦を行われたと。この結果調査済みとなった個人経営の千二百五十三軒のうち特に問題なしとなったのは五百六軒と、半分以下です。法人経営のうち五十二軒中四十三軒は問題ありと、このように出てきたわけで、しかもこの調査でわかった所得のごまかしは九億円余りと、こういうふうに新聞に出ておるわけですけれども、これはこういった地域の特殊性なのかあるいは大体こういうふうなことになっておるのか。私はかなり地域の特殊性があろうかと思いますけれども、先ほど来も議論出ておりましたし、しょっちゅうこの委員会でも出ておる、要するにサラリーマンの一〇〇%に対して事業者というものはなかなか捕捉率が低いと、この問題が大きな不公平感にも特にサラリーマンから見ればつながっておるわけでして、最近では所得税減税も四年間行われていない、納税者が六百万人もふえたと。こんな状態の中でますますこういう気持ちは高まってくると思うんですが、これは大体この地域の特殊性なのか、大体こういうことはお認めになるのか。
 これからの対策ですが、今回の法律案によってどれだけの効果が期待されるのか。先ほども議論があったようでございますけれども、この法律ができることによって精神的な面で効果は私はある程度あるんじゃないかと思いますが、ただ、罰則を強化するだけですべてがおさまるのか。むしろもっと巧妙になり、金額も大きくなり、ごまかしのそういった傾向も、大体もう悪い人というのはすぐ抜け道を考え、手だてを講ずるわけでございますから、私はやはり基本的にはもちろん罰則の強化も必要だとは思いますが、納税意欲をどうやって高揚していくかと、これを一番力を入れなきゃならぬと思います。それには納められた税金がやはりフェアに使われておる、国民からガラス張りに使われておる、やっぱり税金を納めることによって自分にもいずれかは回り回って返ってくるのだと、社会が発展していくんだと、これが政治の姿勢だと思うんですけれども、それが私は一番大事だと思いますので、納税意欲の高揚についてこれからいろいろ財政再建という命題もありますし、大臣はどうお考えなのか、またこの法律の効果というもの、これをどう見ていらっしゃるのか、この二点を伺って、時間ですから終わりたいと思います。
#272
○政府委員(小幡俊介君) 大臣の御答弁の前に、私の方から申し上げさしていただきますが、新宿のローラー作戦のことをお話しになったわけでございますけれども、一般的に申しまして所得税、法人税の調査におきまして申告漏れが見つけられるという割合は八〇%ないし九〇%という状況でございます。これは件数でございますが、金額の方ではそれではどうかと、調査後の所得というものを一〇〇としましたときに、当初申告の金額はどのくらいかということになりますと、これはおおむね八〇%程度、つまり申告漏れの金額というのは二〇%程度というのが私どもの調査した全体の数字でございます。
 今回のこの除斥期間の延長という問題は、特に偽り、不正の行為によりまして税の逋脱を図った者に対する除斥期間の延長ということでございますから、今回の延長措置による効果というものは直ちに金額であらわされるというふうなものではないと思いますけれども、しかしながら、高額、悪質な者が脱税しておる場合に、それが七年にさかのぼって課税を受けるということは適正な納税者に対しまする信頼を確保するという意味におきましても非常に大きな効果があるものというふうに私どもは考えておる次第でございます。
#273
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御指摘のように、やはりこの罰則を強化したからそれだけで脱税犯が減るということにはならぬだろう。しかし直税部長から言ったように、かなり心理的な影響力を持つことは事実。何としても脱税が行われないようにするためには、やっぱり税制の面で余り無理があってもいけない、これも一つです。
 それからもう一つは、何といいますか、世の中があんまり乱れてはどろぼうもふえるし強盗もふえるわけですから、同じことでございまして、やはりいい政治をやらなきゃならぬということは、もう私は当然だと思います。それと同時に、納税者にやはり税金を納めることが国民の義務であるということを知っていただかなければならない、そういうようなPRというものも非常に大切だと。そのために、青色申告会とか法人会とかいろいろな団体等も通して、納税の道義の高揚ということについては層一層努力をしていかなきゃなるまいと、かように考えております。
#274
○近藤忠孝君 もうすでに各委員から触れておりますように、高額、悪質な脱税者に対しては厳重に対処して、同時にこれを乱用してはならないのであって、特に中小業者の負担になってはならないということは、もう大臣も繰り返し述べてきたと思うんです。
 私は、そういう立場から、その発言を具体的に保証してもらうという意味で若干質問したいと思うんですが、まず、何といってもこれはやっぱり一つの犯罪規定ですから、構成要件を厳格に解しなきゃいかぬという点だと思うんです。納税義務者が「偽りその他不正の行為により」租税を免れた場合と。そこで、「偽りその他不正の行為」これはいろいろ、解釈によってはかなり広くもなるし狭くもなるんですが、いままでの判例としては、単に申告をしないというだけではなくて、そのほかに「なんらかの偽計その他の工作」が行われることを必要とするという趣旨であるということで、一定の枠をはめておるわけです。これは大蔵省もその立場に立っておられるかどうか、いかがですか。
#275
○政府委員(小幡俊介君) 偽り、不正の行為とは何かということでございますが、これは最高裁の判例もあるわけでございますけれども、「逋脱の意図をもって、その手段として税の賦課徴収を不能もしくは著しく困難ならしめるようななんらかの偽計その他の工作を行なうことをいう」ということでございまして、私どももそういう判例に従って運用をしておるわけでございます。
#276
○近藤忠孝君 判例の傾向としては、最初のころは、社会通念上不正と認められる一切の行為を含んでおったけれども、それでは余り広過ぎるから、限定的に解釈するという意味で、私が先ほど述べたような、ある意味での積極的な行為あるいは形に見える行為、それが必要だというのが最高裁判例の立場だと思うんですが、その点はどうですか。
#277
○政府委員(小幡俊介君) 最高裁の判例並びにそれを受けました地裁の判例、いろいろあるわけでございますけれども、「逋脱の意図」をもって行うということ、それから「偽計その他の工作」ということにつきましては、いろいろな事例があるわけでございまして、判決等で出されましたいろいろな事例、そういうものをわれわれは勉強し、それに従ってやっておるということございます。
#278
○近藤忠孝君 結局、法廷で立証しなければいけませんから、具体的な事実をやはりそれは主張し、かつ立証するという問題があると思うのです。私はしかし、実際の運用を見ますと、さらにもう少し客観的な枠をはめる必要があるんではなかろうかと思うのです。これは実務の実際でも、実際査察が入るについては、私は一定の金額、脱税金額以上の場合に動き出すのだろう、こう思ったのですね。じかに聞くと、なかなかそうは言わぬようですけれども、実際は一定の、その時々に応じた金額があるんではなかろうかと思うのですが、その点、ちょっと腹を割った話をしていただけませんか。
#279
○政府委員(岸田俊輔君) 先ほど委員の御指摘になりました点は、告発をいたします際に何らかの一定の基準があるんではないかという御質問かと思います。それは金額のみならず、ほかの諸点につきましても、それぞれの一定の基準があるんではなかろうかというお考えかと思いますが、現実の問題といたしまして、脱税の様態というのは、これは全くいろいろ多様でございまして、それを一律の基準でやりますと、これはかえって弊害が出てくるかと思います。私どもといたしましては、悪質の度合いとか規模とかそれから範囲でございますが、そういうものの全体を総合勘案いたしまして、検察庁とも十分連絡したから、個別に一つ一つ十分納得のいく線で決定をいたしている次第でございます。
#280
○近藤忠孝君 これは、大臣も税理士さんですから、実務上、大体税理士さんは幾つかの事例を見まして、大体これくらいの金額が査察に入る限度だというような実感を持っているようですね。特に、今回の場合のように除斥期間を延長するというような場合は、その適用対象になるものについては、やはりそういう客観的なものが必要ではなかろうか。
 そこでわが党では、脱税金額二千万円というものについては、これは七年でなくて十年、その他は従来どおり五年という提案をしておるのですけれども、やはりこれは、特に繰り返し述べられているとおり、乱用はしない。特に悪質、高額のものにやるんだというのであれば、その辺明確にしてもよろしいのじゃないか。そして金額は、その時々によってまたいろいろ変動はあると思うのですけれども、とりあえずわが党は二千万円と出しているのですが、この辺などはいかがでしょうか。
#281
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは脱税と言ってもいろいろ内容がございまして、仮に五千万円現実的に脱税になったという場合もそれはあるでしょう。しかし、それが何かたな卸しの計算違いであったとか、特に仮装、隠蔽する意図があってやったという脱税もあるわけでありますから、金額だけで脱税を、そいつは告発するかしないかということを決めることは私は無理があるんではないか。善良な人がひっかかる場合もありますから、やはりケース・バイ・ケースでやる。しかし問題は、ある程度の金額というものも当然に、何らかの標準になることは当然であると思うのです。ただ、見込み捜査だけで、それで捜査しちゃったから、無理でも何でも告発するのだということはいかがなものかと。前例で知っているんですがね。三百万円で告発をしたのがありますよ。告発されれば、法律は法律ですから、一応執行猶予がついても罪は罪になるから、罰金が来るということで、むしろこれは何と言うのかな、不公平というか、そういう印象をちょっと持ったことがございます。
 したがって、やはり告発するという問題については、特にその罪状、金額、動機、いろんなものを総合的に判断して決めるより仕方がないのじゃないか、そう思っております。
#282
○近藤忠孝君 何も私、金額二千万円以上は全部やれということではなくて、それは前の段階の、最初質問した構成要件を厳格に解釈していくということの前提の上なんであります。
 それからもう一つ、私はそういう基準を客観的に明らかにしていくという問題として、やっぱり証拠の問題があると思うんですね、特にこれは七年の適用をする場合に、たとえば告発をするとかあるいは起訴されたとかそういう場合に、要するに証拠がもうはっきりして国税庁としては自信を持っている場合、そういう場合にこの七年間の適用をするというぐあいに、これはある意味で限った方が安定性があるんじゃなかろうか。そしてまた、大臣が繰り返し言っているとおり、善良な人には適用しないと、本当に悪質なやつにやるんだというその意図が明快にわかるんじゃないかと、こう思うんですが、その点はどうですか。
#283
○政府委員(小幡俊介君) 査察事件におきましては、刑事裁判にたえ得るような、刑事訴訟法上に要求されるようないろいろな証拠能力等を備えた刑事訴追のための証拠を収集できるというふうなことが必要になるわけでございますが、ただいまの偽り、不正の行為に関連いたしまする税の逋脱というのは、必ずしも刑事犯ということではないわけでございますので、通常の裁判で争われるということになりますれば民事裁判において争われるということであろうかと思います。その場合には、先ほど先生も最高裁の判例を引用されましたけれども、最高裁の判例、あのような判例に当たるかどうかというふうなことで運用をしていくということであろうかと思うわけでございます。
#284
○近藤忠孝君 査察着手件数に対して告発件数約七〇%ですね、告発率が。そうしますと、あと三〇%というのはそこに至らない問題があると思う。しかし、この七年の適用があるんだと思うんです。そこでやはり私は、この差について国民の中に一つの不安があるんじゃなかろうか。だからやっぱり国民の不安をなくすという意味でも、その辺運用上の問題として明快にしていく必要があるんではなかろうかと、こう思うんですが。
#285
○政府委員(小幡俊介君) 一般の納税者の方々、一般の国民の方々から見ますれば、いわゆる過少申告ということはあり得る場合があるわけでございます。それは税法をよく知らなかったとか、あるいはいろいろ計算するのがちょっと間違っておったとか、その他いろんな事情によりましてちょっとミスをしたというふうなことがあると、そういうことについては一般の方々についても非常に関心があろうかと思います。
 いま申し上げております除斥期間の延長七年というのは、「逋脱の意図」をもちまして、そうして「偽計その他の工作」を行って税金を免れると、こういうこと、しかもそれについて高額、悪質ということでわれわれは対処をしていこうと、こういうことを申し上げておるわけでございますので、一般の方々につきまして不安のあるようなことのないように私どももそういう考え方、ここの本院でいろいろ御審議されました内容等も十分各国税局、税務署の現場にも周知徹底をさせて一般の中小企業の方に不安を起こさないようにすると、こういうことでやってまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#286
○近藤忠孝君 ここで議論しているとそういうぐあいにきれいになっていくんですけれども、まあ法律的に一応筋が通るんですね。ただ現場はそうでないんです。これはもう大臣十分御承知だと思うんですけれども、一般の人は脱税もあるいは単なる税金の申告足りなかったというやつも同じだと思っているんですよ。特に厳格な、いわゆる脱税犯とそうでない区別がつかないんですね。それで現場へ行きますと、これは税務署員がちょっとしたミスもつかまえて脱税だと、七年だというようなことも現にやられて、それでびっくりしちゃって修正に応じてしまうと。あるんです。
 だから、そういう実情にかんがみて、やはり脱税犯というものはこういうものだと、それが構成要件上もこうだし、それから証拠上もこうだと、扱いもこうなんだと。そういう意味じゃ、できればもう金額もわかりゃ、これは一番明確でいいんですけれども、国民の中にその点をやっぱり明確にして臨むということが、私はこれは公平な態度だと思うんですが、そういう点では大臣はどうですか。
#287
○国務大臣(渡辺美智雄君) やはり私が先ほど申し上げましたように、金額を表に出せば、そこまではいいのかという話にもなりますし、当然査察などをかける場合には一定の大体目安は、それはあるわけですよ。だけれども、それを表に出すことのよしあしの問題もございますから、なかなかむずかしい。ここまではどろぼうにするけれども、ここから先は微罪処分にしてやるよとかという、みんな、表はここまでは勘弁してやるとか、最初からはなかなか言えない問題がございます。したがって、一つの考え方ではありますが、それをきちっとした数字や条件でそろえて表に出すということよりも、やはり正しくまじめに申告しているような人、たまたま間違いやミスで取りこぼれがあったとしても、それは脱税犯ではありませんし、それは先ほど私が言ったように、青色申告やって七年目に何か失敗があったとしても、それは前のさかのぼって七年間全部青色申告を取り消して更正決定やり直したと、恩典は全部剥奪だと、そういうようなことはさせませんということをだから申し上げておるわけです。
#288
○近藤忠孝君 まあ差しさわりがあるので、その基準はなかなか表へ出し得ないと。まあしかし何らかやっぱり基準はどうもあるようだという私は認識を得たんですけれども、しかし国民に対しては、いま大臣言われたような点をひとつ徹底させると同時に、現場での税務署員の納税者に対する接触の場合も、その国民の誤解に乗じて修正などに応じさせるということはあってはならないということは、ひとつ厳格に言ってほしいと、こう思うんです。
 そこで、次にこの七年という期間が妥当かどうかという問題なんですが、そこで、これはやはりいままで発生した、そして国民の中から大変批判の大きかった幾つかの事件がこれは一つの教訓になっていると思うんですね。そこですぐ頭に浮かぶのは、田中元総理、それから松野元防衛庁長官の各五億円の事件というのがどうしても頭に浮かぶんですが、その関係でまず法務省にお伺いいたします。
 これらの収受したお金の性格と、それから収受した時期及び発覚した時期、そしてそれに対する処理の問題、これについてお答えいただきたいと思います。
#289
○説明員(飛田清弘君) ロッキード事件の関係から申します。
 五億円の性格ということでございますが、検察当局はいわゆるロッキード事件の捜査の結果、田中被告が受け取った五億円の性格につきましては、同被告が総理大臣の職務権限に基づきましてロッキード社のトライスター機を全日空に購入せしめるように尽力されたいという請託を受けて、その報酬として収受した賄賂であるということでこの事件を起訴しているのでございまして、これをもってその性格ということは、検察が認定している性格は御了解いただけるんではないかと思っております。
 それから、判明した時期というのは、実はちょっといま私準備してこなかったんですけれども、これはまあいろいろ問題が大きい問題でございましたから、国会でもいろいろ理議論があったわけでございまして、まあ判明して――これはアメリカの方から判明したわけでございますけれども、適切に検察は対処したということだと思います。
#290
○近藤忠孝君 松野の関係わかりますか。
#291
○説明員(飛田清弘君) 次に、いわゆる松野議員のということでございますけれども、これは検察当局といたしましては、日商岩井の事件ということで捜査をしているわけでございまして、これもやはりアメリカ合衆国のSECのいわゆる8K報告書で、ダグラス社の関係の二百三十八万ドルの金の流れが問題にされまして、それの金の流れについて捜査を行った結果、その金の一部が日商岩井におきまして不正に経理されていたということが判明いたしまして、これに関連して同会社の東京本社の航空機部長らを私文書偽造、同行使の事実で起訴しているわけでございます。
 で、まあ、どうして不正な経理操作が行われたかという……
#292
○近藤忠孝君 不正はいいんで、松野氏に渡った金の性格です。
#293
○説明員(飛田清弘君) はい、過程でのことなんですが、日商岩井の航空機売り込みに関連しまして、松野氏に支出していた五億円というのがあって、その穴埋めに不正経理がなされたというようなことと。それからこの五億円を日商岩井が支出したのはダグラス社のF4Eファントム機の対日売り込みに関連してのものであるというふうに日商岩井としては考えていたと。そういうふうなことは、すでに昭和五十四年の五月二十五日の参議院の航特委における法務当局からの報告とかあるいはそれに関連した御質疑の過程で公にされているところでございまして、また日商岩井の事件につきましては判決もございますけれども、その出された判決においても同じような認定が行われているところでございます。そうであるといたしますと、一応司法的には、お尋ねの五億円は、いま申し上げたような性格のものであったというふうに御理解いただけるものと思っております。
#294
○近藤忠孝君 国税庁にお伺いしますが、これに対する国税庁の対処、どうですか。
#295
○政府委員(岸田俊輔君) 日商岩井事件につきまして、五億円の収受の時期でございますが、約四十二年から四十六年ごろということで、これは報道されましたのが五十四年でございます。したがいまして、税務の関係からこれにつきまして査察は、調査というのは一切行っておりません。
#296
○近藤忠孝君 あれはロッキード関係、田中角榮関係。
#297
○政府委員(岸田俊輔君) これは先ほど法務省の方から御説明をいたしましたように、贈収賄事件として起訴され、裁判にかかっているわけでございます。私どもの方といたしましては、これが有罪という形になりますと、結局はそこに動きました金品は没収ということになりますので、経済的な利益は最終的にはかかってこないという点もございますし、それから、脱税犯とそれから収賄罪との関連もございますので、あえて査察の告発はいたさなかったというのが実情でございます。
#298
○近藤忠孝君 先ほど私は報告を受けた件では、すでに課税をし、そして不服審判申し立てがあり、そして訴訟になっていると、こういう話を聞いたんですが、それは事実違うんですか。
#299
○政府委員(小幡俊介君) ただいまの件につきましては、異議申し立てが出されているという段階でございます、
#300
○近藤忠孝君 そうすると大分答弁連うんじゃないですか。課税されていない、異議申し立てになっていると。
#301
○政府委員(岸田俊輔君) 先ほど申しました私どもの方は、査察調査によります脱税犯としての告発ないしは調査という面について御報告申し上げましたので、実際の課税面は先ほど直税部長から御説明したとおりです。
#302
○近藤忠孝君 では幾らの税額でいつ不服審判所の裁決があり、そして訴訟になったのか、その点はどうですか。これはちゃんと質問通告しておったんです。
#303
○政府委員(小幡俊介君) ちょっといまわかりませんので、後ほど調べて御報告いたします。
#304
○近藤忠孝君 ここで本当は質問中断することになるのですけれども、時間もったいないのでひとつお待ちして……。
 そこで大臣にちょっとお伺いするのですが、二つの事件からの教訓といいますと、田中関連五億円は大体五年の範囲、今回の法改正関係ない、従来でもできるわけです。松野関連五億円は、七年でもだめなんですよ、十年にしないと。そこでわが党の十年にしろというのが出てくるのですね。教訓を学べば、むしろこれは十年にすべきじゃないんですか。どうですか。
#305
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も法学者じゃないので詳しいことはわからぬわけですが、要するに罪の問題はみんな時効がございましてね、窃盗が何年とか横領が何年とか、殺人でも何年とかという時効があるわけですから、そういうものとのバランス上いろいろだ専門家が比較検討した結果、法務省などとも相談して、日本の法体系の中ではこの程度がいいんじゃないかということで決まったものと考えております。政治的に決めたわけではございません。
#306
○近藤忠孝君 しかし、教訓は全然学んだ形跡がない、結果的にですね。やはり本当に悪質な者を処罰し、かつ税金を取るということであれば、いままで起きた例が教訓でなきゃいかぬです。となれば、田中関連事件は別にいまでもいい。しかし松野関連事件、大体この種の事件が発覚するにはそのくらいかかるものですよ。むしろ田中関連事件の場合には比較的早く発見された。普通やっぱり五年以上かかるし、場合によると十年近く、この場合だと十年も過ぎているのですね、松野関連ですと。となりますと、むしろ教訓学ぶとすればやっぱり十年と当然出てくるべきだったのじゃないか。法律的な理論上の問題というのはこれはあくまで抽象的な問題でありましてね、やはり今回の改正というのは国民の批判もあった、世論もあったということですので、そういう点ではわが党の提案について再検討していただく必要があるのじゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
#307
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは先ほど言ったように何か東芝かどっかで、三鷹かあれは、三鷹で給料の三億円詐欺かなんかで取って逃げちゃったというのが間もなく時効になっちゃうとか、それから人を殺したやつも時効の問題あるのですから、だから時効を脱税だけなくしてしまえというのも全体のバランスから言ってどうなのか、そこら辺のところはやっぱりかなり法律の刑の比較考量の問題もございますので、専門家の方からお答えをさしていただきます。
#308
○近藤忠孝君 いいです。時間がないので、理論的な争いはまた後にしたいと思うのです。
 そこで次に、やっぱり大口の脱税問題がずいぶん出ておりますし、たとえばここ一年間国税庁の摘発したものだけでも、大洋漁業の十八億円を初め、日魯漁業、三越、平和相互銀行、フジタ工業などです。しかもこれは、やっぱり汚職腐敗事件と関連があるという点が特色です。それから、昨年六月に摘発されたフジタ工業の申告漏れ十六億円、そのうち使途不明金二億円、それから竹中工務店の申告漏れ一億八千万円、使途不明金一億円、こういう巨額の不正が明るみに出ているということが私はやっぱり今回の法改正の一つのこれを裏づける社会的情勢だと思うのです。そこで、当然これに対して制裁があるべきだと思うのですが、青色の扱いはこれらの企業について取り消しされていますか。
#309
○政府委員(岸田俊輔君) 取り消しはいたしておりません。
#310
○近藤忠孝君 その理由を述べていただきたいのと、どうも青色取り消しの件数が少ないようですが、ここ何年かの取り消した件数述べてください。
#311
○政府委員(岸田俊輔君) 企業が仮装隠蔽なり脱税をいたしました場合には、法律上から申しますと青色を取り消し得るような形に、なっております。ただし、実際の運営といたしまして、そのうちの実際上会計の一部にそういう不正があったということですべてが取り消しの対象になるかということになりますと、やはり全体といたしまして経理として信用をおけないというような状態でございますれば青色取り消しということになるかと思いますが、部分的な場合でございますとそこまではやらないというのが現在の実情でございます。
 それから大法人、私どもの調査課所管の法人の取り消しの例でございますが、これは最近一年の段階では、毎年大体一、二件程度ということだと思います。
#312
○近藤忠孝君 大法人に対してはほとんど取り消しがない。けれども、むしろ中小企業の方が多いんではないかと思うんですね。中小企業もそんなに全体数多くないけれども、私はここで制裁的にどうも税務署の気に食わぬ者に対してされているんじゃなかろうか、こう思うんです。
 そこで、これは最近不服審判所で取り消しされた件ですが、長野県松本市の株式会社越前かまや、この件で、本人の最初の申告では百一万円、ところが更正決定が一千十九万円、加算があって四十五万、合計一千六十四万円。それが争われましてつい最近不服審判所で決定がありましたが、申告額よりも少ない九十二万円なんです。申告額が百一方ですが、それに対して一千十九万円も更正されて、そして、しかし結果的には不服審判所では九十二万円。しかもこれは青色取り消されているんです、しかも青色取り消されたままなんですね。先ほど来ほとんど青色は取り消ししない、その該当事案があっても全体的に考えてやらぬというんですけれども、しかしほとんどなっていない、ところがこの場合なんか、これは税務署側の全面的敗北、全面的ならばまだいいんですけれども、申告より少なく決まっちゃっているんだから一二〇%敗北ですよ。
 こんな事例があるんですが、まずその事実がどうか、そして青色を取り消さない理由は何か、答弁いただきたい。
#313
○説明員(小田和美君) そのような裁決事例があったと聞いております。
 それから、青色取り消し処分を取り消さなかった理由でございますけれども、原処分の時点では備えつけに係る帳簿、書類の提示がなかったわけでございますから、あくまでその時点では原処分、つまり青色申告の取り消しという処分は適法であったわけでありまして、審判所といたしましては取り消し処分の取り消しというのはできない、こういうことでございます。
#314
○近藤忠孝君 その青色が取り消されないというのはきわめて希有の事例で、十数億も脱税したって取り消されてないというのに対して、これは脱税どころじゃない、よけいに払い過ぎたんですよ。それがたったわずかの資料を出さなかったからということですが、そういう事例はあると思うんですね。不満だから出さなかったんでしょう。だから、大臣、これは一二〇%負けたんですから、やっぱり税務署をつかさどる大臣としてはこういう場合には本当に頭下げて、全体の関連からいいましても青色取り消しを取り消すようにひとつ指導をしたらどうでしょうか。
#315
○政府委員(小幡俊介君) 青色の取り消しにつきましては私どもといたしましてはできるだけ青色申告者の育成強化という観点から考えておるわけでございまして、一部の記帳につきまして不備があるというふうな場合につきましてこれを取り消すということじゃなくて、指導し、今後是正をしてもらうということを基本に置いてあるわけでございますけれども、青色申告者ということではございますけれども、全く何の帳簿もないというふうな方について、果たしてそれを青色申告者と言えるかどうかというふうな問題があるわけでございまして、原処分におきましてやはり青色申告の取り消しをなすべき場合にはこれは取り消さざるを得ないわけでございまして、全体といたしまして申し上げますと、年間で個人の場合で約百件程度、法人の場合で年間一千件程度の取り消しというものはこれは私どもやっておるわけでございます。
 そういうことでございますので、個別の具体的な問題になりますと、私ども必ずしも具体的に承知していない点がございますけれども、一般的にはそういうふうな運営をやっておるということでございます。
#316
○近藤忠孝君 帳簿がないんじゃないんですよ。あるからこそ勝ったんですよ、そうでしょう。なけりゃ勝てるわけないんですね。しかもこれ、やっぱり最初の段階で相当税務署の態度に問題があったからこそ、それにいわば抗議をして出さなかったということがあるかと思います。しかし、そういう事例まだたくさんあると思うんですね。だから、これはいわば制裁的な青色の取り消しなんですよ、こういう事例があるから、やはり税務署に対して国民の信頼感が薄れていくんじゃないか。そういうものをなくしていくためにもこれは大臣の指導性を発揮すべきじゃないかと。事は一つの件数ですけれども、しかしそれに対する大臣の勇断は決してこれは一つの事例ではない、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#317
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私、事実関係よくわかりませんので、いまここでどうこうということは結果的には申し上げられないと思います。
 いま直部部長が言ったように、証拠が事実あったにかかわらず、それを提出しなかった。どの程度のものを提出しなかったのか。ごく一部のものが出せなかったのか、ほとんど全部を見せなかったのかということになれば、青色の条件というものは、やっぱり決まった帳簿を備えて正規の簿記の原則に従って整然かつ明瞭に記載することになっているわけですから、それが最初からないということになれば、その段階では取り消されても仕方がないんじゃないか。なぜあるのに出さなかったのかということの方がむしろ私は疑問に実は思うわけであります。
 こういう個別の案件についてあんまり大臣は関与しない方がいいんじゃないか。そのために国税庁というのが別につくってあるわけですから、したがってこれらについては私はやはり、結果論だけから見れば確かに所得金額について申告よりも低い決定があったということは、客観的に見てそういうことだからそうしたんでしょう。しかし、手続論等においては別な争いがあるので、よく聞いてみなければわかりませんけれども、やむを得なかったんじゃないだろうか、そのような気がいたします。もしこれに不服の場合は裁判の道ももちろんあるわけでございますから、そこで争っていただくほかないんじゃないか、かように考えます。
#318
○近藤忠孝君 ただ、裁判で争うというのは大変なことでして、ですから事情をよく調べて再検討してもらうということは必要なことだと思うわけですので、その点要望したいと思うんですが、いかがですか。
#319
○政府委員(小幡俊介君) 私ども具体的な事情については承知しておりませんので、その具体的な事情については私どもの方も署の方から内容を聴取してみたい、かように思っております。
#320
○近藤忠孝君 先ほど矢追委員も触れた、次に不服審判制度です。
 これもやはり実際の徴税が公正に行われるかどうかという意味で大変大事ですが、大臣あんまり現実は御認識が薄いようですね、国税不服審判所の運用の現状につきましては。私月曜日に大阪へ行ってきまして、実際会っていろいろ事情を現場で聞いてきたんですが、やはり制度の趣旨が正確に運用されているかどうか、これはまだ問題があるようです。
 一つは、審判官がどういう人がつくべきかという点で政令の三十一条ではいろいろ書いていますね。部外者からというんですが、これは先ほども話があったとおり、まずそれがほとんど実現されてない。しかもきわめて微々たるものであります。そして、実際の審判官の前任地とそれからそれが終わった後の転勤先、転出先を見てみますと、大体が局などの課長もしくは統轄官、それから税務署長、そして転出先も大体税務署長が多いんです。で、実際話を聞いてみますと、審判官である期間は短い方がいいと言うんですね。余り長くいたくないと言うんですよ。余りいい職場じゃないということを率直に言っておるんですね。で、聞いてみますと、一つは、外部から来ないのはやっぱり身分保障の問題と待遇のようですね。やはり現状ではとてもそれは部外から制度に見合うような、制度が期待しているような人は来ない、これが現状だと思いますし、しかもそこの審判官自身が早く転勤を望んで現場で働きたい、やっぱり執行面で仕事をしたいと、いわばここは閑職だという、こういう感覚がある。この点はまず直すべきじゃないかと思うんですが、どうですか。
#321
○政府委員(川崎昭典君) 審判所と国税局との人事のお話でございますけれども、先ほど申し上げましたように給与の関係もございまして、すべて部外者からというわけにはまいりませんで、職務は独立で行うわけでございますが、人事は国税庁と一体ということになっております。したがいまして、かなり経験のある高位の官職の者を充てるということで、いわゆる指定官職に初めて昇任するといった人じゃなくて、もっと経験の深い、たとえば税務署長とか、国税局の課長とかを経験した人を充て、また何年かやった後にはそういうポストに転出するということでやっておりまして、一部やはり現場へ帰りたいという希望があることは私どもも承知いたしておりますが、また逆に、優秀な職員が審判事務というものに定着をして後輩の育成に当たっておるという面も承知いたしておりまして、これはやはり気長にいい人を送り、またいい人を送り返してもらうということでやってまいりたいと考えておるわけでございます。
#322
○近藤忠孝君 もう時間がないので、あと言いたいことだけちょっと申し上げますと、争点主義で審理を行え、こういうことがたてまえになっていますね。ところが、実際それが貫かれてないというのが現状のようです。というのは、最初原処分庁のたとえば推計課税の理由がだんだんだんだん変わっていってしまうんですね。裁判所にいくころには最初の処分の理由なんかどっかへいっちゃっているという点が一つと。それからもう一つは、そのたんびに調査をするんですね。だから、まず最初の調査から含めまして三回ないし四回の調査をされる。特に反面調査、そうしますと、この反面調査というのは当然だという考えもありますけれども、される側にとってはかなりな負担なわけですよ。審判申し立てたら争点ところかだんだん広がっていくだけではなくて、そのたんびに調査をされるというと、そうしてまた争点がどっかへいってしまうということになりますと、先ほど矢追委員が言ったとおり、申し立てたけれども余り権利救済になっていないんじゃないか、こういう声がだんだん上がってきておるんです。この辺について実情を調査し、改善されることが必要だと思うんですが、もう時間参りましたので、ひとつ端的にお答えをいただきたいと思うんです。
#323
○国務大臣(渡辺美智雄君) 身分の問題、それから審判官などをやって局の決定をかなり覆すものがあったというようなことで、少なくとも有利な待遇は受けても不利な待遇は受けないように、これは国税庁長官に私から申し伝えておきます。そうでなければ公正な審判ができません。
 それからもう一つは、この異議審判審査請求を出して、それで何回も調査されるからその審査請求のところでは自分の主張が通るけれども、ほかのところでぼろがよけい出ちゃったということはあるんですね、これは。そこが裁判と違うところですから、一遍公訴提起したものを訴因変更して別だものにやってしまう。裁判所だったらそんなものはなかなか認めないかもしらぬが、税務署の場合は、国税の場合は仕組みが裁判と違いますから、それは必ずしもほかの調査のものが出ちまうことを妨げないと私は思っております。しかし、やはり必要以上に他の部門でもっと所得をいっぱい出して帳消しにしちゃうかというようなやり方はフェアではないと思いますので、そういう点は行き過ぎのないようにそれも申し伝えておきます。
#324
○近藤忠孝君 いまの大臣にちょっと誤解があるといけませんので、私はぼろが出るからいかぬというのじゃなくて、そういう調査を受けること自身が大変な負担になっていくということなんですね。ですから、そういう点がやっぱり国民にとっては負担だという、そういうひとつ御認識をお持ちいただきたいということを申し上げて終わります。
#325
○三治重信君 今度の脱税罰則の整備法で、まず第一に、除斥期間を五年から七年にしたと、これはもう各委員から質問もあったことなんですけれども、なぜこういうのが問題になるかというと、日本の債権の時効の方は明治二十二年から決めて、そうして五年以上決めたことがないわけなんですね、最高五年。そうしてしかも、賦課権の除斥期間の更正決定の方は二十六年の改正で五年としていたやつをわざわざ三年まで所得税法それから法人税法、相続税法で改正までして三年に五年をしたのだけなんですね。むしろだから、除斥期間は明治政府始まって以来短くした経験はあるけれども長くした経験はない。
 しかも何というんですか、たまたま賄賂を取ったとかあるいは刑事事件にひっかかってそれが多額の金銭を受けてこれを脱税と、こういうことなんだけれども、それならそれの別のそういう事件だけ追及できるようにする方のがいいんで、ここで賦課権の除斥期間を二年ぽっと延ばすというのは、どうもロッキード事件にみんなこれはごまかされて――ごまかされてと言っちゃ悪いけれども、ロッキード事件なんていうものは一時代に一遍起きるかどうかというものを、今度はわからぬのをこれが一遍でぽっと二年ロッキード事件にかまけて二年延ばされたというのは、どうもこれはやはり税調も乗せられているんじゃないかと思うし、何の御利益があるかということなんです。
 それで、ちょっと雑談でやっていると、いま実調率が非常に下がった、だからいままで三年に一遍ずつ行けたのが今度は五年に一遍でも行けなくなってきたんだから、これは延ばすとちょうど行ったところで長く調べられていいんですと、こういう答えが出てきたわけだ。そういうぐあいになってくると、これは全然いままでの説明、もう脱税犯だけですと、こういうのと、実調に行くのがいままで三年に一遍行ってたのが今度は五年に一遍、あるいはそれもむずかしくて七年に一遍ぐらいしか行けなくなることだと。そうすると七年の期間がないとこれは実際実調の効果が上がらぬからぜひ必要なんですと、こういう説明にも受けとれる。こういうぐあいになってくると、一応それは調べても実標の過少申告とか何かのやつについてはまあまけてやると、こういうことにはなって実際は取られぬかもしれぬけれども、とにかく一遍全部帳簿を出せと、全部いろいろ調べられる、一遍は調べられると、こういう気持ちがするわけなんですが、この点をいわゆる調査に当たっての心構えというのか調査のやり方についてしっかりしてもらわぬと、まあ私は事実いろいろどうしてこうやったんだということを、その効果は何だとこう言ったときに、まあ実調率が下がっているから、ちょうどいままでは五年に一遍だったけれども、もう過去に一遍やったやつから二年間空白になるからちょうどいいんだというふうな説明もあったわけなんですが、その点どうなんですか。
#326
○政府委員(小幡俊介君) 私ども全く先生が御指摘のようなことは考えていないわけでございまして、一般の過少申告についての除斥期間、これが三年でございますけれども、これを四年にするとか五年にするとか、あるいは七年にするとかというようなことがここで議論されているわけではないわけでございます。ここで議論されておりますことは、逋脱の意思を持ちまして偽り、不正の行為をもって税の逋脱を図ろうと、こういう者に対しまして、従来五年でございましたものを七年にしよう、こういうわけでございます。
 実調率一般の話で申し上げれば、私どもの方の所得税の実調率は残念ながら四%台ということでございますから、これは先生のいまのおっしゃったような意味で換算すれば二十年とかあるいはもっと二十数年に一回というふうなことでございまして、三年に一回を五年あるいは七年に一回にしようというふうなこととは全く結びつかない話でございますし、現在の五年の偽り、不正の除斥期間、これによります課税実績というのを見てまいりましても、全体の除斥の調査件数の中で一%に満たない数字しか四年、五年の課説は行われておらない、こういう実績がすでにあるわけでございます。したがいまして、六年、七年になるということになれば当然にこの比率はさらに低下をしていくということが考えられるわけでございますから、先生いま御指摘のような不安がもし一般の方にあるとすれば、私どもといたしましても、そういう不安を与えることのないように、よく国税局、税務署の現場にも十分私ども考えておる趣旨を徹底をさせて遺漏のないようにしてまいりたい、かように考える次第でございます。
#327
○三治重信君 そうしますと、資料をいただくと大体過去十年間で法人税の調査件数が十万から十五万台ですよね。それから所得税で大体、これも最近若干ふえて十万から十四万程度。結局、この調査件数というのは、いろいろ帳簿なり、一遍税のことについて聞きたいといって連絡をつけてそして行った件数でしょう。だからそのときに、まず最初の調査に行くときのやつは、今度の除斥期間七年に延長したことについてはこの調査については何にも関係ない。最初の調査に行く人についてはそういう七年とは関係なく従来どおりの調査をやる。そして調査した結果、悪質だということがわかったらこの二年延長で七年にやっていく、こういうふうに理解していいのか、それ違うんですか。
#328
○政府委員(小幡俊介君) 一般の税務調査でございますと、実調率四%ということなら平均すれば二十年に一回ということになるかもしれませんが、実際の運営としては、いろいろな資料、情報をもとにしてやるわけでございますから個々の納税者にとってその間隔は違うわけでございますが、いずれにいたしましても、税務調査に参りましたときには、通常の過少申告の除斥期間である三年、現実にはまず当年分から調査に入りまして、そこで問題があるということになれば三年までさかのぼってみるというのが通常でございまして、先ほど申しましたように、九九・何%というものは三年以内の課税ということで終わっているわけでございますが、特に特別ないろいろなデータがそこに出てくるということになりますと、その場合にはさかのぼって課税することがあるということでございまして、それはごく例外的だ、先ほど来議論されておりますような偽り、不正の行為、そういう場合に限られるということでございますので、一般の過少申告の場合にはそういうさかのぼることはあり得ないわけでございます。
#329
○三治重信君 一般の場合にはあり得ないということは、理屈はそのとおりなんだけれども、実際にあなたのところへ今度は調査に行きます、こう言ったときに、ずっと見て過少申告だ、あるいは白色のところへ行ってとにかく三年間のことを聞きます、五年間のことについて聞きますということでやって、それをやった上で、これは悪質な故意の脱税があったということを調査を一応終えて、そして相当税務署なり国税局にまで上げてどちらか判断した上で再調査のときにさかのぼるなり何なりということの区別をはっきりしてもらわぬと、結局個々の調査員が行ったときに、あなた、これはどうも、ちょっと脱税している、七年間だぞ、もっとこうだと、そこでぽんとやられる。結局それは、初めは過少申告だと思ってやっているのを、また調査官もそう思っていたやつが、これはちょっと悪質だからすぐに七年といって自由判断でやられる、ここがこわい、こういうことだと思うんです。だからそこを段階的に、とにかく、こういう十万件から十五万件の一般的な調査をやる場合の第一次調査は七年にはさかのぼってやらない、いままで従来どおりの調査しかやらないということをやってもらうと、そのまれのことしかやらないんだということをわれわれはいろいろのことで説明できるわけなんですが、最初の調査からそこに故意の脱税があると認められればぽんと七年まで入っていく、こういうことはやめてもらいたい。少なくともこれは二段階なり三段階なりしてもらわぬと、一般的にわれわれが何ぼ説明しても現実の処理の問題があるんじゃないかと思うわけですが、どうなんですか。
#330
○政府委員(小幡俊介君) ただいまの点でございますが、税務署の運営といたしましてはなかなか先生おっしゃるようなそういう対応はむずかしいわけでございまして、一般に調査に参りましたときに、九九・何%というものは三年の過少申告の除斥期間の中で課税処理は終わるわけでございます。したがいまして、それ以上に高額、悪質の脱税をやっているというふうな人は、先生御心配になるような数はおるはずはないわけでございまして、ごくごく例外的な高額、悪質の脱税をしている人についてはやはり七年までさかのぼって課税をするということになるわけでございますが、それは先ほど来申し上げておりますように、全体の所得税の過去の経緯から見ましてもわずか一%までいっていない、そういう件数の問題でございますから、一般の納税者の方が心配されるような問題ではないというふうに思うわけでございます。
#331
○三治重信君 それは結果として一%とか二%とかいうことなんだけれども、調査される方からいえば、調査官がもっとさかのぼって出せ、こういうぐあいになったときに、それに対しては私らの方は、もうちょっと、調査漏れの程度だからそんなもの出せぬ、こう言ってやれるかどうかという問題があるのですよ。だからそこは、これは議論すればおたくの方が強いから何でもこれはそのままで、実際はあり得ないことだということで終わってしまうんだけれども、問題は、そこ。
 だから国は強いから、明治政府始まって以来会計制度で、国の債権はいつまででも国民に、いつ取られるかわからぬからというので、一番はっきり三年、五年と決めてあるんだ、そういうふうに財政法の解説なんかに書いてあるんだ。国の債権ははっきり、短期でしかも明確にして、安心して国民がそれ以上田との関係の金銭債権債務は清算する、それ以上は取られないということがあってやはり近代的な財政政策がとられているわけなんです。それを、たまたまロッキードがあったために十年に一遍かということになったときに、ばっと二年やるという今回のやり方については、どうも便乗したことになる、こういうようなことになる。したがって、そういうロッキードのやつについては無期限なり、アメリカ、イギリスがやるみたいに無期限に追及できるという、何か一般的な除斥期間ということでなくして事件的なものとしてやれるというふうにすべきじゃなかったかと思うわけです。
 それじゃ改めて聞くけれども、おたくのような答弁でやったら、イギリスやアメリカのような無期限の除斥期間、いつまででもそれが生きている間は幾らでも過去というのは追及できるという……。税の徴収はどういうふうにやっているんですか、何か調査されたことはあるんですか。
#332
○政府委員(高橋元君) イギリスは無期限ということでございます。ただし無期限といっても、数年前に法律を直しまして一九三六年までさかのぼってよろしいと。いまからいたしますと五十年ばかりさかのぼっていいと。アメリカは全く制限はございませんが、これも、いずれの国におきましても帳簿とか立証とかいうことがございますものですから、実際には十年以内で終わっておるというのが実情のように聞いております。詳細はわかりません。
 ただし、いま三治委員からお話がありましたことで、日本と外国との徴収権の消滅時効が考え方が違っておるわけでございます。日本は、長い間会計法の消滅時効によりまして賦課権の除斥期間にしてきたわけですが、昭和二十五年でございますか、シャウプ勧告によりまして、にわかに申告納税制度が入って納税者が一挙にふえたわけでございますから、虚偽、偽りのない納税者についていつまでも五年間もさかのぼって更正するという状態に置くのは不安もつのるし、申告納税になれないから、したがって故意の脱税の場合は別ですけれども、それ以外のものは三年に縮めましょうといって縮めたわけでございます。
 そういう制度をとっておるわけでございますが、外国におきましては徴収権の消滅時効の発生の時点が違いまして、開始の時点が――ちょっと話が変わりまして恐縮でございますが、賦課があったときから六年間、アメリカは。ですから、無期限に賦課権の除斥期間を決めるというふうに期限を置いておりませんけれども、徴収の消滅時効としては六年間なんです。つまり賦課が行われたときから六年。ところが日本の場合にはそうじゃございませんで、納付期限または申告期限から同じようにスタートしてしまうわけでございますね。したがって、除斥期間があるうちに徴収権の消滅時効が終わってしまいますと賦課ができなくなる。したがって、賦課権の除斥期間がある中でそれは実行できないということになりますから、したがって七年に延ばしたその必要最小限で今回修正をして、消滅時効をその限りで延ばしていただくという御提案をしているわけでございまして、全体として五年を七年にしたことがないという点をお取り上げになってのお話であればそうでございますけれども、昭和五十五年、昨年のこの委員会それから衆議院の大蔵委員会でそれぞれ、脱税に対する世論というものにかんがみて除斥期間を延ばすように検討せよという附帯決議がございました。それに基づいて税制調査会でも審議をしていただいて今回の御提案をしておるわけでございますから、納税環境の整備の一環として五年を七年に延ばし、徴収権の消滅時効につきましてもその範囲内で必要最小限の延長をやるという制度に御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#333
○三治重信君 三年、五年、今度は七年というような除斥期間の区別が行われて、法律上はこれは行われていくことになるわけですけれども、実際の何と申しますか、実調の場合に果たしてそれが区別されて実調されるかという問題の保証を先ほど聞いたところ、それについてはノーの返事ですよね。そういうような区別はできないと、こういうことだと理解をする。この大蔵省の説明書、非常にわかりやすい説明だと思う。これは脱税に伴う過少申告と無申告の場合だけ五年から七年と、括弧して注として通常の過少申告は三年及び通常の無申告は五年で、これは現行どおりでございますと、こういうふうな説明になっている。しかし、そこで実際の調査に行った場合には、これの調査の期間はどうだといったら、三年ないし白色無申告者には五年だというやつを限ってちゃんと言って、そうして調査に入るということをやってもらえばこの点の誤解なんか解けるよと、こう言うんだけれども、それはできないと、こういうことになれば、これはますます一般の者には、調査官が勝手にそれは七年までの書類を出せと、こういうことになるんじゃないですか。そんなことはないというならないという保証を、何か通達なり何だりでやることを保証してもらいたいと思うんだが、どうなんだろうか。
#334
○政府委員(小幡俊介君) 今回の除斥期間の延長の対象になりますものは、最高裁の判例の言葉をかりますれば、「逋脱の意図をもって、その手段として税の賦課徴収を不能もしくは著しく困難ならしめるような何らかの偽計その他の工作を行う」という、そういういわゆる脱税行為ということについて、これを七年さかのぼろうというわけでございますから、調査官の恣意的な判断でこれは三年だ、これは七年だということができるはずのものではないわけでございまして、その前提として最高裁の判例に当たりますような脱税行為、偽り、不正の行為による税の逋脱があるという場合について行われる。
 それは、それじゃ過去の実績から見てたくさんあるのかということになれば、先ほど申し上げましたように四年、五年の課税というものは全体の調査件数の一%もない、九九・何%というものは三年以内の課税にとどまっておるということでございますから、そういう意味におきましても調査官の恣意的な判断でどんどん七年課税をするというふうなことはあり得ないわけでございます。
 いずれにいたしましても、本院でいろいろ御議論いただきましたこういう点につきましては、私どもも国税局、税務署の方に遺漏のないように十分趣旨を徹底をして適正な運営を図ってまいりたいと、かように考える次第でございます。
#335
○三治重信君 じゃ、具体的にそれに関連してもう一つ聞いておきたいんですが、そうすると七年までさかのぼってやるということ、課税するということは、あなたはもう重大な脱税犯だということを相手にちゃんとわからした上でやるということをきちんとどこかで保証できませんか。結果としてそうなるということは説明わかるんですよ。だけれども、そこにいく過程で相手のいわゆる被調査の事業主のちょっとしたいわゆる申告漏れあるいは白色賦課について、もう少し追加と、こういうような場合に七年ということについての抵抗をする何かのそんなものも、これはわれわれはそういう悪質な脱税犯と思わぬから五年までにしてほしいということについて、調査官がいやもうこれは脱税犯だから七年だと、これは口頭で結果となるまでにそこの間の調査の現場においてそういう議論がなっていくと、それに対するそんなことがないんだということが被調査、中小企業者一般の人が言えるような通達なり、具体的な処理というものが第三者に、一般にわかるような処置を国税の方でとってもらうことを保証してもらいたいと思います。
#336
○政府委員(小幡俊介君) いま先生のお話の中に脱税犯というお言葉ございましたが、これは脱税犯ということではございませんで、脱税としての課税処理が行われるということでございます。
 それで、私どもの方の調査並びにそれの取りまとめということになりますれば、これは十分納税者の事情、納税者の理由も十分聞くべきところは聞いた上で、そしてどうしてもこれが偽り、不正に当たるというふうなことであれば納税者の方にもよく事情を御説明して、そして修正申告をしていただくということでございますし、また納税者の方が御納得を得られないという場合に、これは審査請求からさらに訴訟ということになる可能性があるわけでございますが、そういうときにも一方的な調査官の判断でそういう訴訟までいくことができるはずはないわけでございますから、相当はっきりしたものがなければいけない。そういうことになりますと、六年、七年というかなり期間を経過したものについて、そういうふうなことが言えるようだケースというふうなことになりますと、先ほど来申し上げておりますように四年、五年の課税実績でも一%にならない。先ほど申しましたように約九百件ということでございますから〇・六%ということで、九九・四%までは三年以内ということになっている。したがいまして、四年、五年は〇・六%でございますが、それが六年、七年ということになれば、さらに大幅にその件数は減ってくるということも十分考えられるわけでございますから、先生がそれほど御心配になるお気持ちはわからないことはないわけでございますけれども、現実問題としてそのような悪質な納税者がそんなにたくさんいるはずはないと思うわけでございますので、結果として御心配になるようだ事態にはならないんじゃないかと思いますけれども、そういうふうなことにつきましてはよく国税局、税務署の方にも趣旨を徹底させるようにしたい、かように思う次第でございます。
#337
○三治重信君 そうすると、五年から七年に今度除斥期間を延ばすことによって課税環境の改善ということがうたわれているわけなんだけれども、結局課税の公平というものがどれだけ期待されるか、どれだけそういう脱税についての金額が増収になると予想されているんですか。
#338
○政府委員(小幡俊介君) ただいま私が申し上げましたような考え方でおるわけでございますから、私どもといたしましては除斥期間が七年に延びたことによってどの程度増収があるかというふうなことは考えたことはございません。ただ、一般の適正な申告をしておられる納税者の方々にとりまして税務に対する信頼を高めるというふうな効果があるんではないか、その効果は大きいものがあるんではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#339
○三治重信君 言葉だけでは、これはうまい言葉が使ってあるわけだからどうしようもないんだけれども、受ける方の側というのは自分が脱税に、伴う過少申告なのかあるいは脱税に伴う無申告なのか、あるいはいわゆる脱税犯に問われるような故意の脱税をやっているものかというのは、税務署の調査員の態度、言い方による以外に自分の方はわからぬわけだ。だから、それについて言われたのに対する反駁する基準がないからということをぼくは言っているわけなんで、その点について今度は税務職員についてそういうことについて枠をはめた調査のやり方ということを、ひとつそれを業務指針なり実調の教育訓練でしっかりやってもらいたいと思うわけです。
 それから、基本的にどうもロッキードに悪乗りされて二年延長されたと。しかしこれは法律的に言うのは幾らでもうまいことできるけれども、そんなに件数の少ないものであるならばもう少し年限も延ばさぬで、ほかの悪質な事件については除斥期間と関係なくあらわれた事件について脱税の問題ですか、税金を徴収するというふうに規定すべきなんで、それもいまの現行法からいくと非常にむずかしいことかとも思われるわけなんですけれども、どうもその点が非常に問題と私は思うわけでございます。
 それからもう一つ、一般的な原則について、これは直接税と間接税の懲役刑の長期の時効の問題ですけれども、これは直接税がいままで三年で間接は初めから五年だと、それにはそれなりの理由があったんだろう。これは説明を聞くというと直接税を三年にしたのは間違いでしたと、間接税を五年にしたときに一緒にすべきであったやつを何らかの理由でできませんでした、こういう説明なんだけれども、その点はどうなんですか。
#340
○政府委員(高橋元君) たびたび同じことを申し上げるようで恐縮でございますが、直接税の違反それから間接税の違反、その場合に侵される法益というもの、それは差がないと思うわけでございます。沿革的な理由で昭和十九年に酒税法の違反が自由刑が初めて導入されまして懲役五年以下になって今日に及んでおりますが、所得税の方は昭和二十二年の十一月から法人税、所得税いずれも懲役三年以下ということで今日に及んでおります。脱税に対する世論が非常に厳しくなってまいったということは今朝来各委員からお示しのあったとおりで、私ども五十四年の総理府の世論調査等によってそういう事情は税制調査会でも審議をしていただいてそう思っておるわけでございますが、その中で脱税犯によって侵されます法益に差がないのに、なぜ片や三年月や五年というふうにするのかという点が、今回こういう改正案をつくりまして御審議を願っておる根拠でございます。
 沿革に従ってずっとやっていくべきだという考え方の一つに直接税というのはこれは詐欺だ、それから間接税というのは横領だ、したがって横領の方が五年で詐欺の方が三年だ、そういう差があってしかるべきだという御議論があるのです。しかしながら、これは刑法をお読みになっていただくとすぐわかるのですけれども、詐欺は懲役十年と長い、横領の方は単純横領であると五年でございます。そういうことからしましても、また国に対して詐欺、横領ということを議論してみてもしようがないわけでございまして、かえって沿革に基づくだけの差しがない直間両税の罰則の長期というものについて差を存置するだけの理由がないわけでございますし、やはり納税環境の整備、脱税に対する社会の意識の高まりというものを受けて、今回御提案いたしているような直接税の懲役刑の長期というものを延長いたしますことについて御理解を賜りたいというふうに存じます。
#341
○三治重信君 そうすると、一%とか〇・六%しかないのに青色申告者だけこの帳簿をさらに二年間保存するというのは余り意味がないので、それぐらいだったら、なくたって無申告の者もたくさんいるわけなんだから、ここでまた帳簿書類を二年間保存せいとこういうことになってくると、ますます青色申告が今度これによって割合がまた下がってくる心配がかえって出てくりゃせぬですか。
#342
○政府委員(高橋元君) 青色申告制度は帳簿に基づいて調査をして、それに基づいて初めて更正処分ができる、帳簿書類に誤りがある場合に限って更正処分ができる。したがって、推計課税を認めないという特典があります反面で、そういうことができるためには一定の帳簿記録を備えつけておいていただくことが納税者としてぜひ必要である、そういうことで帳簿書類の保存を義務づけしておるわけでございます。したがって、帳簿書類の保存ということと青色申告の特典というものは裏表になっておるわけでございますから、中小企業者の方の帳簿書類の保存が非常にめんどうくさい、非常に過重な負担になってくるという点につきましてはこれは実情に合わせて一号の帳簿、二号の決算書類、これは皆さんにお願いせざるを得ないし、これを保存しておかれることにはそれほどむずかしい問題はないと思うわけでございますが、三号の証憑書類につきましては実情に応じて中小規模の企業者にとっては負担にならないようにその範囲を縮小してまいりたいというふうに考えておりますけれども、いずれにしても七年間にわたって帳簿書類によってその御自分の申告の正当性というものを調査できるような体制というものがありませんと、青色申告の制度そのものの根幹を揺るがすことになりますので、青色申告者に対しては賦課権の除斥期間の延長に伴って最小限必要な帳簿書類の保存をお願いするような考え方で現在省令の案を検討いたしておる次第でございます。
#343
○三治重信君 それから、この罰の法律をつくることばかりより、やはり納税成績を上げる、まあ喜んで税金を納める人はないかもしれぬけれども、積極的に義務を果たす、協力的な態勢を納税者に持たすことが必要、そのために青色申告出たんだけれども、頭打ちになってきている。こういうことで、税調でも非常に抽象的に納税者の記帳水準の向上対策などと書いてあるんだけれども、具体的に記帳水準の向上方策というのは、これは答申に書いたからには大蔵省の方としては具体的にこういうことをやりますという案がありますか。あったから載っかったんじゃないのかな。
#344
○政府委員(高橋元君) 申告水準向上のために何が有効かつ適切な方途であるかという答えをいますぐ全面的に持ち合わせているわけではないわけでございます。税制調査会もそういうことを一生懸命検討せよ、こういう答申をいただいているわけでございまして、それに従いまして、また税制調査会のお知恵も拝借しながら真剣に検討していきたいということでございます。
 記帳水準の向上と申しますことと記帳義務の法定化ということはすぐ一緒ではないというふうに思いますが、いずれにいたしましても、記帳水準が上がってまいらなければ申告水準が上がってまいらないわけでございますから、全体の課税の公平を確保するという観点から、先ほど申し上げたような諸点について今後鋭意検討してまいりたいというふうに存じております。
#345
○三治重信君 こういうところで意見を言ってもどうかと思うんですけれども、実際からいくというと、こういう罰則強化よりそういう記帳水準の向上というんですか、もっとそれが省令ではなくして、法律をつくるならばいわゆる記帳義務法制化をできるところから逐次範囲を広げる法律をつくった方のが効果が上がるのじゃないかと思うわけなんですが、それ一つ意見として申し上げておきます。
 それから、いわゆる新聞で脱税白書と言われる調査の中で、非常にこれはだれが見てもわかりやすい報告書で、非常によくできた報告書だと思うんですが、ここで、いわゆる納税の効率を上げるためには、こういう皆さん方の方でいわゆる申告漏れの所得が高額であった業種、それから申告漏れの割合が高率であった業種、金額はそれほどでないがどうも一般的な脱税の事犯が多い業種、こういうふうに書いてあるんだけれども、これは、政府が使っているいわゆる産業分類とは全然違うふうになっている、もちろん税だからそれがなっている。マージャンクラブだとかスタンドバーというのは産業分類にはありっこないだろうと思うんだが、特記事項でも余りないと思うんだが、こういうふうないわゆる徴税上の必要でこういう業種目をつくっておられるんですから――これは十五だけしか出てないんですけれども、全部表出せとは言わぬけれども、こういういわゆる調査の対象を選ぶやつについて、業種別――まあぼくは個人別にブラックリストをつくってやっているのかと思っておったんですけれども、これは業種別にもブラックリストが相当つくられているような気がするんですが、その点はどうなんですか。
#346
○政府委員(小幡俊介君) 私どもは、申告水準の向上、さらに適正な実地調査ということで、そのために業種の実態を把握し、業種についてのいろいろなノーハウというものを蓄積し、それを担当官が勉強し、さらにそれをまた広く他の職員にも周知させる。そして、調査のときの有効な指針にするというふうなことで、業種についての勉強というのはいたしておるわけでございます。
 それから、調査事績につきましても業種ごとに取りまとめておるわけでございますが、ただいま先生お手持ちのものは、恐らくその業種の中から上位ということで、申告漏れの多い業種とかあるいは申告漏れの多い割合とかというふうなものを上位幾つというふうなことで選んで発表しておるということでごらんいただいたかと思いますけれども、私どももそういう業種というものについて着目をし勉強しておりますし、不正あるいは申告漏れの多い業種というものについては調査の割合を高くするというふうないろいろ工夫をしているということでございます。
#347
○三治重信君 もう一つ、それは非常に全体の種目が見れぬのは残念だけれども、全部そう手のうちを広げるわけにもいかぬでしょうが、こういう業種の区切りのやり方なんかも、いわゆる申告漏れや徴税の公平化を期するために過少申告や白色の決定の手段として、やはり非常に重要なやつで統計上の資料として十分もっと、何というんですか客観的につくっていただいて、そうして税務職員の参考指針としてやってもらいたいと思うんです。
 最後に、きょうもほかの人も質問があったんですが、いわゆる名古屋方式というのが、これは私の生まれたところの愛知県の西尾市の西尾信用金庫が四十七年から仮名預金を実名預金にする運動というのを、税務署や名古屋国税局と相談をして加算税や脱税扱いにしてもらわぬで、いわゆる実名預金に変更さしたのが四十七年からやっているわけです。こういうのも実はどっちかといえば租税の負担の公平に役立っていると思うんですが、今後もこういうふうないわゆる自主的に預金だろうがいろいろほかの利子所得以外の所得であろうが、こういうふうな自分の適正な納税申告について、問題は過去の所得――利子なり配当なり、あるいは臨時所得がもとを洗われるということについての不安というものが非常に強いわけなんですがね。それがなくて今後それは申告しますからいままでのやつは三年ぐらい、また五年さかのぼられてもやむを得ない、それは出しますと、だけれども加算税はやめてくださいと、それから今後は出しますというふうに積極的にチェンジをしてきたのは、そういうことをやるということについては、これは名古屋方式と言っているんですが、これは名古屋だけで、あれは今後はやらないんだと、こんなことはあかぬだというふうなのか。こういうふうでいいんだと、私はいいと、こう言ってもらった方のが今後のグリーンカードやその他、今後は五年から七年に延ばした、こういう罰則の強化の法体系からいっても、やはりこういう名古屋方式のやつは、単に仮名預金の実名預金への変更という運動だけでなくして、一般の納税のためにも役立つんじゃないかと思うんですが、それについての考え方、態度というものを教えていただいて、質問終わります。
#348
○政府委員(川崎昭典君) 四十七、八年ごろ名古屋の西尾地方からそういう仮名預金をなくそうという金融機関の運動がございまして、それを受けて国税局でいろいろPRをしてある程度の成果を納めた事績がございます。一方、グリーンカード導入ということに関しまして国会でもしばしば名古屋方式ということをどう考えるかという御質問がございまして、いま内部的に検討いたしておるところでございます。
 御承知のように、調査は予期せずに自主的に修正申告をされるということがポイントになっておりますし、またもう一つのポイントとして相談体制をつくるという点が名古屋方式でとられておったわけでございます。そういった点を十分に検討しなから、まだかなり時間もあることでございますので、具体的にどのようにすればいいかという議論を詰めていきたいと考えておるわけでございます。
#349
○委員長(中村太郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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