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1949/02/18 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 人事委員会 第5号
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1949/02/18 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 人事委員会 第5号

#1
第007回国会 人事委員会 第5号
昭和二十五年二月十八日(土曜日)
   午前十時五十三分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
二月三日委員赤松常子君辞任につき、
その補欠として吉田法晴君を議長にお
いて指名した。
二月十三日委員小串清一君及び北村一
男君辞任につき、その補欠として市來
乙彦君、川村松助君、寺尾豊君及び境
野清雄君を議長において指名した。
二月十六日委員寺尾豊君辞任につき、
その補欠として小串清一君を議長にお
いて指名した。
二月十七日委員境野清雄君辞任につ
き、その補欠として小畑哲夫君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○国家公務員の給與問題に関する調査
 の件(寒冷地手当、石炭手当、給與
 勧告問題の件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中井光次君) 只今から人事委員会を開会いたします。先ず理事の補欠互選を議題といたします。その前にお諮りいたします。寺尾理事より理事の辞任願が出ておりますが、これを許可いたすことに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中井光次君) 御異議がないようでありまするから、では寺尾理事、及び人事委員より労働委員となつた小串理事の補欠互選をいたしたいと思いますが如何いたしましようか。
#4
○木下源吾君 互選の方法は委員長の指名に一任するという動議を提出いたします。
#5
○委員長(中井光次君) 木下委員の動議に御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(中井光次君) 御異議がないようでございますから、私から指名いたします。宇都宮登君と、三月十六日再び人事委員となられた小串清一君を理事に指名いたします。ではよろしくお願いいたします。
  ―――――――――――――
#7
○委員長(中井光次君) 大蔵大臣は後刻お見えになると思いますが、まだ見えませんから人事院に対する御質問があつたら先に……。
#8
○木下源吾君 実は大蔵大臣の質問と関連して人事院にお伺いしたい質問でございますが、まだ大蔵大臣が見えませんので単独に一つ人事官に質問したいと思います。というのはべース改訂その他に関することは、前回お聞きしたので十分ですが、昨年法制化いたしました寒冷地手当、石炭手当であります。先ず石炭手当でありますが、昨年人事院が法によつて内閣に勧告いたしました石炭手当は世帯主に対して三トン、それから、にあらざる職員に対しては一トン、そうしてその勧告の内容は石炭手当が、石炭の代金は一トンの価格が三千三百二十一円九十銭というのは小売公定価格であつて、品質は四級炭と八級炭の粉炭と塊炭との平均価格に、二百十数円の諸費用を加算した価格、こういうように勧告されたのでありますが、政府はこの勧告に基いて支給することになつたのでありまするが、昨年政府は一トンの価格二千七百円として支給したわけであります。従つて人事院の勧告との差は、一トンに対して六百数十円の差が出ておる。これは人事院の勧告の調査が尚我々としては不十分であると考えておる。と申しますのは、法制定の際に提案理由は、私の質問に対して税金をこの中から取らないように、又小運搬の費用をも考慮するのである、こういうように提案理由の説明者が私の質問に対して答弁しております。この趣旨から行きまするというと、やはり一トンは四千五百円以上でなければならん。にも拘わらず、人事院の三千三百二十一円九十銭の勧告というものは、これは非常に不満足である。適当ではないということになるのでありますが、尚併し人事院は我が国の経済全般をも考慮に入れ、又政府の財政の状況等をも参酌したのだろうと思うのでありますが、三千三百二十一円九十銭に勧告した、然るに政府はこれを何らの根拠ある理由を示すことなく、單にやがて統制を撤廃すれば單価が安くなるだろうという希望で二千七百円に決定して、そうして公務員に支給したわけであります。然るところ御承知の通り統制を撤廃いたしましたけれども、石炭の価格は、本当に需要に応えられるような石炭の価格というものは逆に高騰したのであります。政府の支給期日の不適当な点等が、更にこれに惡い條件として加つて、暖房用炭の需要は非常に重つたために、昨年は非常に統制撤廃の後に石炭が上つた。殊に本当に暖房に適する炭は余計に上つております。そこで北海道の公務員の人々は、折角三トンということを決めて貰い、そうして実際必要な額よりも少ないのであるけれどもが、これを、人事院の勧告を先ず承認して、三トンは買い得るという喜びを持つたのでありましたが、結果においては二千七百円から税を引かれ、小運搬費用をその上に加算するというようなことになると、結果においては一トンに実際では二千円以下でしか入らないことになり、先程四千五百円からになつたということを申上げたのですが、実際においては三トンというのは一トン半以下よりも購入できなかつた、こういう実情にあるのであります。私はこの差額は当然政府が何らかの形で補償してやるべきだとは考えております。又事実においても札幌鉄道局長は札幌鉄道局職員との団体交渉において、一トン三千五百円支給するということを言明しておる。併しこれは局長には何らの権限がありませんので、併しこれは現地の責任者としての言明は、我々は強くこれを尊重しなければならんと考えてるのであります。昨年度における実情はそういうわけで、尚私共はこの差額というものに対して何らかの形で政府から補償を受けなければならん、かように考えております。ところが本年度の予算を見まするというと、今年は一トンの価格二千五百円に予算を組んでおります、政府は、そこででありますが、この昨年二千七百円すらも只今申上げたような実情であるので、今度は二千五百円ということになつて、実際にそれならば購入される価格はどうだろうかと言えば昨年より以上に高騰しておる。これでは折角人事院が石炭手当として三トンというものを、目途として決めて支給するということを勧告しておることが、全く意味をなさなくなるのではないか。二千五百円では恐らく本年は実際、税その他小運搬費などを差引きますというと、半トンの値いにしかならないわけであります。この点について私は人事院はこの二十五年度の石炭手当支給に関しまして、改めて政府に石炭手当支給の勧告をなさる御意志があるかどうか。勧告をなさるとするならば、実情をよく調査する必要があると思うのでありますが、それらの準備が整つておるのか、或いはこれからそういう準備をなさろうとするのか、そういう点について人事院のお考えを一つお聽きしたいと考えるのであります。
#9
○政府委員(山下興家君) 只今木下委員からの御質問がございまして、今年度のこの石炭手当のことにつきましては只今木下さんから言われました通りの経過を踏んで来ております。私共は單価が三千三百二十一円九十銭というのが正しいと実は思つて勧告したのでありますが、木下さんの今言われましたように、統制が外れるから二千七百円でよかろうというふうに政府の方でお考えになつておるようでありますが、併しその後の情勢を見ますと五千カロリー乃至五千六百カロリーといつたような劣等炭の方は五十円ぐらい値下りしましたけれども、五千六百から六千カロリーといつたようなものは却つて五十円ぐらい値上りをしておりまして、価格の方から言えば、我々の方から勧告をしたのが正しかつたということになつております。それで二十五年度について同じような勧告をするかどうかという御質問でございますが、それにつきましては多分そういうことになるだろう、これを勧告する必要があるだろう、こう考えております。そうしてその価格のことなんかにつきましては十分これから調査いたしまして、そうしてその必要であると思う單価を計上するつもりでありまして、世帯主に三トン、それからその他の者について一トンということは今のところ変える意思はございません。
#10
○羽仁五郎君 今の人事院から木下委員へのお答えを伺つて疑問に思う点が二つあるのですが、一つは昨年度において人事院から勧告された三千三百何円というものに対して、政府はさつき説明されたような理由で二千七百円ですか、というものしか出さなかつた。ところがその後実際において暖房用炭の価格は、政府が二千七百円に切下げたような理由によつて下つていないということになれば、ただ人事院が正しかつたと今おつしやつた、正しかつたということが分つたと言われるのだが、それは少しアカデミツクに説き過ぎるのじやないか。正しかつたということが分つたということは、即ちそれらの勤務地における公務員諸君の暖房費用が、それだけつまり損害を蒙むつたということになるわけじやないのですか。従つて政府はそういう理由で二千七百円しか支給しなかつたが、実際はそれだけ下らなかつた。だから三千三百二十一円マイナス二千七百円というものは、事実その勤務地の公務員諸君の何らかの意味の負担になつているのじやないか。それに対して人事院は單に自分達の勧告が正しかつたと言つて御満足になつていないで、正しかつたのである、つまり下らなかつたのです。即ち政府が二千七百円しか出さなかつた理由はなかつたのだ、だからそれらを何とか公務員諸君に不当な損害を與えていたことに対して弁償すべき責任を人事院ではお感じにならないか、どうでしようか、その点が一つ、今のは過去の問題に対する人事院の責任ですが、つまりそういうことが絶えず行われておるのでは非常に困ると思うのです。勧告した、併しそれは正しかつたというだけでは困るのであつて、正しかつたということは、即ち現実には公務員がそれだけの不当な負担を負つておるということになり、国家が国家の雇つておる公務員にそれだけの犠牲を拂わしておるということになり、そういう犠牲を拂わしておつていいというふうに、人事院でお考えになつておるかどうか、それが第一点。
 それから第二点は、今二十五年度に対して勧告を行う決意がおありのように伺つたのですが、政府はすでに予算を提出しておる。その政府の提出しておる予算に対して、できるだけ早く人事院の勧告がなされることが必要だと思うのです。而もそれが前年度のような轍を踏まないで合理的な予算が組まれることが必要だと思うのですが、その現在政府が提出しつつある予算に対して、人事院はどういうふうに措置をお取りになるつもりであるか、その二点を伺いたいと思います。
#11
○政府委員(山下興家君) 只今羽仁さんからの御質問でございますが、我々の方は必要だと認めることに対して勧告はいたします。併しそれを採用して実際に行うかどうかという責任は政府にあると思うのであります。それ以上にどこまでも、最後まで追求して自分の方の勧告に従わなかつたということに対しての論争はしないことにしております。
 それから今度の二千五百円という予算を組んでおることについてどうかとおつしやるのでありますが、実は石炭手当てばかりではなく、寒冷地の問題がありまして、寒冷地手当については、徹底的に研究することに実はなつておるのであります。それには相当な期間が掛りまして今直ぐこれを纏めて勧告をするというところにはまだ達しておりません。
#12
○羽仁五郎君 今のお話の第一の点ですが、如何にも人事院はそういうような態度を、つまり政府乃至国会に向つて勧告の責任を負うのであつて、それ以上のことはできないということを絶えず言われますが、それは少しお考え願わなければならないのじやないかと思います。つまり法の面だけを見れば、人事院が勧告して、その勧告を政府が実行するかどうかということにあるのですが、併し人事院そのものがどういう意味で存在しておるか、人事院存在の理由ということになれば、これは国家公務員法によつて、国家公務員或いは一般公務員が争議権なり、団体交渉権なりというものによつて得るかも知れないような、保障されるかも知れないような、そういう公務員たるにふさわしい、生活を維持するように、それを擁護するために、それを実現するために、そうしてそういう公務員たるにふさわしい生活をして、国民の公僕として、合理的にして、民主主義的にして、能率的な業務を実現することが人事院存在の任務だと思うのです。ですから法的の点だけをお考えにならないで、どうか人事院は何のために存在しておるかと言えば、公務員が不当な損害を受けたり、或いは公務員が非常に劣惡な生活條件を強いられたりして、合理的にして民主主義的な、そうして能率的に国家公務というものの遂行に支障があるようなことがあれば、それはやはり人事院が何らかの態度を、措置をおとりになる必要があるのじやないか。若しそうでないとしたならば、人事院というものは單に勧告機関である。それ以上のことは知らないということならば、あれだけの機構を以て、又あれだけの法律上の基礎を以て、根拠を以て人事院が存在しておられる意味が、我々としては、国家公務員法を制定、通過した当時にはそう考えておつたように思うのですが、その後、人事院はそういう点は余りお考えにならないのかどうか伺つておきたいと思うのです。従つて前の勧告についての責任というものは、法的の責任を私は問うておるのではないので、その間に公務員がそういう不当な損害を受け、或いは劣惡な生活條件に追い込まれたとすれば、現在やはりいろいろな負債に悩んだり、或いはいろいろな家庭的に経済上、生活上の問題に悩んだりしていて、どうしても希望を以て公務に十分力を捧げるということができない事情にある。それでは民主的にして合理的にして能率的な業務の遂行ということを人事院に期待することはできない。そういう意味で前の責任を問うているのではなくして、そういう問題に対して、現在新らしい問題としてそれを考えて行かれる必要があるのじやないか。そうでないと勧告したら又政府が実行しないということを繰り返すということでは、結局それでは争議権なり団体交渉権なりというものを復活しなくちやならないのじやないかということになつて来る。つまり国家公務員の人達は、人事院の理論的基礎というものが不十分だと思う。従つて人事院というものは争議権なり、団体交渉権というものを似て補なわなければならんという結論になるのじやないか。それから第二の点ですが、寒冷地手当について、十分の正確な調査をなさつておるということに、大いに期待をいたす次第ですが、併し差当り今の石炭手当の問題についても、二千五百円という予算を政府が組んでおることに対して、できるだけ早く対策を立てられることが人事院としての責任ではないかと思うのですが、どうでしようか。
#13
○政府委員(山下興家君) 今羽仁さんの言われました勧告後の問題はどうかということは、この間の給與ベースを勧告いたしましたのと同じ考え方によりまして、人事院としては或る一定の限度があると思うのです。例えば給與ペースを勧告いたしました。それに対して政府が人事院の数字は間違つておるのだということであるから、我々は非常な責任を感じて必ずその数字は間違つておらないということを立証したいと思うのでありますが、この間のように給與白書を出された。それについて人事院が給與白書を出して、又それを争うべきだということになりますと、これは人事院は政争の渦中に入るということになつて、人事院というものはどこまでも正しい科学的の基礎の上に立つておる。それは政府にのみ勧告するのでなく、同時に国会に勧告しておるというわけは、これは数字はそのまま受取る、但し国家財政の上から考えまして、これは大所高所からお考え下さつて、そうではあるけれども、ここは差引くべきものだとか、或いはもう少しどういうふうにすべきだ、増すべきだ、そういうふうなことを国会でお決めになるということは、これは止むを得ないと思うのです。そこまで人事院がそこへ踏み込んで行きますというと、政府内で二つの派ができて争うというような恰好になることは、誠に面白くないのでありますからして、勧告する事柄それ自身は間違いはないのだが、その他の、それから後のお扱いはどうか国会で責任を以てして頂きたい。それによつて国民に人事院というものは決して政争の渦中に入るのじやないのだ、正しい道を、ただ正しいといつて国民に告げるのだということが私共の責任であり、又そういうことをしなければ信用を害するだろう、こういうふうに考えております。
#14
○羽仁五郎君 そういうふうにお考えだとすれば我々は国家公務員法に対してもう一遍問題を改めなければならん、昨年の二月にギブソンアメリカ労働次官補が国家公務員法には行き過ぎがあつたのじやないかという点、第一には、国家公務員法によつて国家公務員は政治上の活動について重大な制限を受けています。ですから人事院が政争の渦中に入らないという、一応尤ものような御理由で、政争の渦中にただ勧告を放り出すだけである。これは公平なものを実行するためには政治的な力が必要です。ただ人事院が大学教授なり、何なりみたいに、どうも学問的に見て正しい数字を国会と政府に勧告した。大学教授よりも政府と国会に勧告をなされる点において一歩出ておりますけれども、併し一歩出ておる程度で、それを実現するための政治上の責任を負わないならば、人事院は国家公務員に政治活動の自由をお返えしになつた方がいいんじやないか。第二に、財政上、その他の理由で、その勧告が実現されなかつたことについては、その後人事院としては何らの措置を講じないとすれば、やはりそこに山下人事官がおつしやつたような、人事院としての限界があるならば、その限界によつて、若し国家公務員の生活が保障されなかつた部分に対しては、国家公務員としてはその基本的な権利を復活する正当なる理由があるじやないか、その二つの点を山下人事官について伺つておきたいと思うのです。即ち第一の点は、人事院はその勧告を実現する上において、政治上の力というものをみずから持つていないと考えるならば、国家公務員にその政治活動の自由を返えすべきであるというふうに考えられると思いますが、その点についてどうお考えか、第二に、勧告が実現せられなかつた結果、現実において国家公務員の生活が劣惡化して行く、その点について人事院は財政上、その他のいろいろな諸般の事由によつて、そこにみずから限界があるとお感じになるならば、その限界が国家公務員自身によつて解決せられるために、国家公務員が争議権や、団体交渉権を回復することとが基本的権利を守る上に必要じやないが、どういうふうにこの頃はお感じになつているのかどうか。
#15
○政府委員(山下興家君) どうも私共は勧告をする。国会へ勧告をするということは、国民全体の代表者であられます国会議員に対してその正しい道を、かくのごとくすることが政治から離れて正しいと我々は信ずるのであります。その他の仕事は、全部国会でして頂きたい。そこに非常に限界が、但しそういうことを決めることが正しいのだろうと思う。若しも国会というものがなかつたら、それは仕方がないのでありますが、折角国民全体の代表者である国会がある以上は、国民全体に理解をしてもらう、道理をここに出しまして成程と思われたら、これを国会で採り上げて実行に移して頂くということ以外にはないと思うのです。それで若しもそれでいけなかつたら、それでは公務員の団体交渉とか、或いはストライキの権利を持たすべきではないかということは、これは国民に対して公務員はサービスをするというわけでありますからして、その公務員と国民との間にストライキをやつたり何かして、そうして国民に非常な迷惑を掛けるということは、これはよくないことだと思う。それですからそういう制限を受けておるから、それで国会が国民の代表者としてできるだけ一つ正しいと思うことを実現さして貰いたい。私共がそう思うことは、公務員はストライキや、なんかをする権利はない、ないけれども、国民として考える場合には、それを幸いとしてこれを国民と公務員を犠牲にして、そうして何ものかを、当り前の政策をして行こうということは考えられないことだと思うのであります。それですから国民が成る程と信じられれば、それを国会で取上げて実行に移して貰うということが正しい行き方であると考えます。
#16
○羽仁五郎君 今の点については、もう少し考えて頂きたいと思いますし、又質問を保留しておきますが、それと関連しまして、さつき寒冷地の、殊に精密な調査を御進行中であるということを述べられたので、それに対してお願いしておきたいと思うのですが、木下委員と私は最近参議院から派遣されて東北地方の給與の実態を調査して参つて、いずれその報告書について詳しく見て頂きたいのですが、その中で二、三非常に顯著な例がある。そういう点について、人事院ではどういうふうにお考えになつておるかということを伺つておきたいのですが、第一は、昨年の五月及び十一月の調査の特別CPSですか……、というもので現在大体その地域給を決定されようとしておるのですが、これは、殊に東北などにおいては、この殊に五月という月が決して妥当な月ではないという声が非常に高い。それから又、先ず一回の調査で以てやや恒久的なものを決定されるということは、毎年その調査をなさるという原則的な建前にも反することであるし、従つてもつと実情に即した調査の上に立脚されたいということの要望が非常に強いのであります。その点を現在どんなふうにお考えになつておるかを伺つておきたいと思います。
 それから第二には、今の問題と関連して例えば新潟県などにおいては、新潟県の知事が上申書を出されておるようですが、この新潟県の場合などは、新潟県の知事が出しておる上申書というものを、すでに御研究になつたことだと思うのですが、これを尊重されるような方向、尊重するというのは、何も知事が出したものだから尊重するというのじやない、それによつて客観的に、具体的な事実を訂正するお考えがあるかどうかということを伺つて置きたい。
 それから第三には、地域給は大体つまりいわゆる原則的には府県單位にやつておられるという、これは全般的には、原則的にはそれで正しいと思うのですが、併し極めて稀な例でしようけれども、東北において二、三の地域では府県単位で扱つて行くと、そこにおける公務員の或いは地方公務員の業務の遡行ということが殆んど不可能になる場所があると思う。ですから原則は原則で結構ですが、併しその原則をそのまま押付けることによつて、稀に例外的な地域において、そこで公務員が公共の福祉に奉仕することを非常に困難ならしむるような場合には、その地域だけに特に考慮されることが必要じやないか。その例は、例えば草津の例なんかそれなんです、草津が非常に寒いということもあり、それから又こういうような、草津に限らないと思うのですが、非常に多くはないと思いますけれども、併し幾つかの例外的な場合ですね、これはどうもお考えになつた方がいいんじやないかと思うのです。
 それから最後には今出ました草津の療養所などの、非常に危険な医療に従事されている職員の待遇というものがどうも私共の調べたところでは、これではなかなかああいう癩の療養及び予防について国民が危險を感じないようなふうに、そこの実際の業務が行われるということはむづかしいのじやないかと思う。最近いろいろな事件がああいうところで起つておりますが、我々国民としてああいう危險な病気が妥当に取扱われていないことから、この危險を感ずるわけです。それにはああいうところの、いわゆる技官に対して與えられているような待遇を一般の職員に與える。技官乃至看護婦などに與えられているような待遇を一般職員にも與える、或いはその他の方法で、そういう癩療養所や何かについて特別にもう少し考えるという必要がおありになるのじやないかと思うのです。今のような点について、今どんなふうにお考えになつているか伺いたい。
#17
○政府委員(山下興家君) 地域給のお話がございましたが、地域給については、随分細かく調査して見ました。ところがこれが特地、甲地、乙地、丙地と、御承知のように分れているのを細かく調べて見ますというと、現在の区分が非常に不合理だということを見まして、殆んど理屈らしい理屈を見つけることができないくらいな状態であつたのであります。それで、これではいけないからというので、CPSを三百八十一都市について調べました。そうすると全国に沢山できます。そのできたところで、一つの県の中にいくつかの、何といいますか、地域、即ちいくつかの基準になる都市が見つかるわけでございます。それを統計局によつて詳しく調べまして、そうしてこの県の中の外は、府県にお願いして、そして順位を実はつけて貰らおう。そしてそれと今度は統計局で定めましたCPSを噛み合せて見ますというと、多分うまく行くだろう、こう思つたのです。そういうわけはすべての都市が、それが研究できれば非常に結構でありますが、三百八十一都市を研究しますことについても、実は三千万円くらいかかつたのでございます。そうして時間から申しましても五月の、お話の五月のが十二月に漸く完成するという状態でありますから、これを始終調べて置くということが殆んど困難でありますから、そういうふうに僅かな三百八十一都市といつたようなものを先ず調べて、後は府県にお願いするという建前をとつて行つて見たのであります。でこの五月の、お話もありますが、なぜ五月だけかと言われますと、そういうふうな非常に金がかかるということ、何とかして外の地区も欲しいというので、実は十一月もとつたのでございます。ところが今のところまだ十一月は調べがついておらないのであります。若しよく分りましたら、五月と十二月のを混ぜて何とか外に考えて見たいと実は思つているのでございます。そういうわけでありまして、但しそこに府県だけでも工合が悪い点があるだろうと思いますから、これは給與べースが改訂になりますと同時に、国会で御審議を願いたいと実は思つているのであります。基礎の数字は我々の方で出しますから、後の方は国会で十分御審議を願いたい、ただ給與べースが変らないのに、地域給だけ出しますと、これは今まで三割のが実は二割になる。というわけは輸送費用や何かが、非常に輸送が楽になつて来ましたがために、物価が国全体として水準が保てるようになつたものですから、計算をずつとして見ますというと、三割にする必要がない、二割でいいということになつたのです。そうすると地域給だけを切り離してやりますと下つて来るという現象になりまして、とてもこれは不可能だ、そこで不合理ではありながら、地域給はそのままにして置かなくちやならんのじやないかと思つております。併し若しうまく給與ベースを変えて頂きますと直ぐそのときに一緒に地域給を御審議願いたいと実は考えておるのであります。
 それから新潟県の知事のお話でありますが、それは承わりました。ただあれはあの一部分を改正して貰いたいという御意見であります。それはその通りだろうと思いますが、今のように全体が滅茶苦茶な状態でありますから、一遍にこれを御審議願わないと、若し火がつきますと、この三割が二割に変るという全国的に非常に不利益を與える虞がありますから、これはちようど株式の書換停止みたいなものだから、暫く御猶予を願いたいということを実は申上げて置いたのであります。
 それから草津やなんかの例外のところには、今のようなときに関連して御審議を願いたい。それから癩の手当なんかは只今或る程度やつておる筈でございます。あれでまだ工合が惡いでしようか。
#18
○羽仁五郎君 職員なんかには及んでないですね。
#19
○政府委員(山下興家君) 職員にも及んでいる筈でございます。
#20
○羽仁五郎君 そうですが、技官か看護婦だけだそうでありますが。
#21
○政府委員(山下興家君) それはそうでございます。それは調べますが、今の私の知つておる範囲内においては、お話の通り技官と看護婦であります。事務員の方はまあ直接患者に接しないからということで今はそこまで及んでおらない筈でございます。尚詳しく調べましてお答えいたします。
#22
○羽仁五郎君 今の第一のお答の昨年五月の調査を主とされることのよんどころない理由を御説明になつたわけですが、これは一応御説明を了承するとしましても、その後でやはり全国的にしよつちゆうやれというわけではありませんが、五月行われた調査に明瞭に誤差があるような場合、その誤差を是正される、アジヤストする調査はときどき絶えずおやりになつた方がいいじやないかと思う。これは全国的に絶えずやれという意味ではなくて、明瞭に五月の場合についていろいろ苦情が多い、いわゆる実情に合つていないということを指摘される場合、それについても専門的にお考になつて、或いはこれを多少誤差があるじやないかということを気付かれたときには、漸次やはり調査して、そうして差当り五月、或いは十一月についておやりになつておるとしても、それをアジヤストする努力は是非やつて頂いた方がよくはないかと思いますから一つ。
#23
○政府委員(山下興家君) 只今のお話成る程それはその通りでございまして、全体の原則は今申しましたように、三百八十一都市を調べて、あとは府県にお願いするという行き方であるのであります。そうしてそれを合して見ますと、実は府県から出ておるのに激しくとても想像もできないような序列がついておるのもありますし、それから又或るものは例えば特地から急激にぱつと下るという急激な差があります。これは間違の筈でありますから、そういうものについては十分調べました。それからCPSそれ自身でも作為が入つておるようなことがあります。それで私共はCPSを使うとそういう虞れがありますから、実はCPIを使つたのであります。それによつてそういう作為もできるだけ極度に減そうと思つたのでありますが、それでもまだ所によつてありましたから、それについては直接調べまして、訂正をしております。併しこれは先刻申しましたようにベースを改訂するときに一つ……
#24
○木下源吾君 実は先程私発言を…その問題だけ一つ糾明して置きたいと思つたんですが、引続いてですが、さつき人事官のお答えで、石炭手当というものの価格を、その後実際では惡い物は安くなつた、いい物は高くなつた。こういうことを言われておりますが、事実惡い物というのは、ただあるという名目だけで、実際には売買のされておらない。というのは統制を撤廃したために、中小炭坑が潰れて行く。そういう惡い物を出すような所は…。ただ定価表にはあつて、実際にはそういう物はないということです。それからいい物は五十円高くなつたというのは、これは五十円、百円じやありません。こういうことから人事院は、もつとその実情に即した調査が必要じやないか。北海道では、惡い物の価格を標準にしたというようなことを言つておりますが、それは店先の価格表には載つておるけれども、実際には売買されておらない物を考えておる。こういうことになるのです。こういう点については、人事院は十分な内容をつまり調査して、そうしてやつて貰わなければならない。それからもう一つは、二十五年度予算が、政府はもうとうに出しておるのです。一トン二千五百円というのは明瞭です。人事院はこれに対して勧告をするということを言われたのですが、これは早急にやりませんと、片方は予算がどんどん決まつてしまうし、勧告がその後に出たところが、この政府のやることですから、とても実現の可能性はありません。この点はこの予算の何しない前に、国会で決まらん前に一応一つ勧告をせられることが私は必要と思うのですが、これはどういうようにお考えになつておりますか。
#25
○政府委員(山下興家君) お答えします。成る程ヒーターに使いますのは、実は余り惡い石炭では燃えにくいことも承知しております。それでできるだけ調査いたします。それは先刻の寒冷地手当の調査と同時にいたします。
 それから石炭が二千五百円というものを見積つておるから、今それを訂正さすべきじやないかとおつしやいましたが、実はこれは御承知のように、八月に皆手に入るようになつておりますから、実はそれまでの間に適当に寒冷地手当及びそういう石炭の価格なんかを十分調査いたしまして、実情に合つて調査いたしまして、そのときに勧告をしても遅くはないと思います。それは余り大した価格の違いにならないだろう。国家財政の上から言いましても、大したことではなかろうと思いますから、今では少し石炭価格が上がるだろうか否だろうかというような予想になりますと、又議論ということになりますから、成るべくそのときの情勢に合うような勧告をいたしたいと思つております。
#26
○木下源吾君 そういたしますと、今政府が一トン二千五百円で予算に組んでおるが、これは新たに勧告をして政府の予算を、大した金ではないから、追加予算なり補正予算なりで、政府をして実情に即した価格で支給することはできるという確信を持つておられるかどうか。
#27
○政府委員(山下興家君) 確信を持つておるということではありませんが、併しとにかくかくのごときものが正しいということを政府に勧告すれば、政府及び国会に勧告すれば、適当に考慮して頂けるものと信じております。
#28
○木下源吾君 すでに前年度の例もありまするので、この予算が出ておるので、これと睨み合せて見て、この政府がそういうことを、人事院の勧告を正しいのであると言つて、それを尊重するといういわゆる考えがあるかないかは、もうすでに明瞭だと思うのです。そこで今二千五百円だということになれば、もうそれで政府は押切ろうということは明瞭です。ですから少くも人事院は政争の中に入らんとか何とかいうのは、これは別にいろいろの意見もありましようから、勧告をするということは別に面倒なことはないと思う。調べると言いましても、我々ならば一日か二日あればすぐ分ることで、これを一つ是非予算の決る前にやるということの努力が私は必要じやないかと、こう考えておるのですが、それは何か都合が惡くてできないのですか。
#29
○政府委員(山下興家君) 別にそういうわけでもないのでありますけれども、ただ物価が今下がる傾向があるから、給與自体でさえも、あんな勧告よりも、すぐ闇物価や何か下がるから我慢をしろと言つておるくらいの政府でありますから、この際三千円でありますとか、三千五百円に見積つて呉れるべきだと言つても、なかなかそうおいそれと変らんと思いますから、外のものの調査を十分いたしましたときに、成るべく一度に勧告した方が、まあ予想が非常に当る可能性があるだろうと思います。
#30
○木下源吾君 下がるときには、物価が下がるだろうと言つて、下がるようになつて呉れればいいが、逆に上つたときにはこの政府は出さない。下がつたときだけ政府は何する。そこが人事院の公平な見地に立つての勧告です。従うと従うまいは別として、その権威のある方は、出すことが私は正しいと考えておりますが、その辺はどうですか。
#31
○政府委員(山下興家君) 研究をいたしましよう。
#32
○木下源吾君 そうしますと次はやはり暖房費に対することですが、すでに東北地方でも、従来は石炭の配給というような慣習も制度もなかつたが、実を申しますと、相当寒い所が沢山あるのであります。この附近は従来石炭こそ割当になつておらないけれども、やはり石炭を焚き、薪その他の燃料を使つて、生活損耗が多いということは事実明瞭なんでありますが、これらの方面に対して、いわゆる燃料費といたしまして何らかの措置を講じなければならないと我々は考えておるのですが、人事院は公務員を保護する建前から、そういう点について何かお考えがありませんか。
#33
○政府委員(山下興家君) 只今木下さんのおつしやるのがこの寒冷地手当だろうと思つておりまして、寒冷地手当については、十分調査するつもりでおります。
#34
○木下源吾君 そうしますと北海道の場合は、石炭というものは十分配給になつておるから石炭手当で行く。一方は寒冷地手当の支給の率等において、そういうものを調整して行こうということのお話と了承しますが、そうしますと、これを実際に救済するためには、寒冷地手当の支給の率ですね、これを急速に変えなければならんということになろうと思うのです。この点についてはどういうようにお考えですか。
#35
○政府委員(山下興家君) それは地域についても十分研究しなければなりませんし、それからして価格についても改めて行かなければならない。石炭については割合簡単でございますけれども、北海道なんか簡單ですけれども、寒冷地は全国に亘つておりまして、今その必要なしと思うところも相当あるのであります。又必要でありながら支給されておらないというところもあります。これは温度の関係、その他を細かく調べまして、そうして新しく案を作ろうと思つております。
#36
○木下源吾君 次には今の羽仁君の御質問がありましたが、地域給の問題です。この地域給においては、いろいろ調査をせられておる。本年度も、二十四年度においても一段の調査を進められたように聞いておりますが、すでにべース改訂の勧告がありました中に、新しい地域給の構想が盛られておる、このために殊に地方、勿論六大都市は、特地が三割が二割になるのですから、これはもう非常に関心事でありますが、この場合相当皆が不安を持つておる、皆この地域給のことについては……。そこでこの地域給とベース改訂とを切り離して、地域給の最高ですね、公務員の側から行けば、既得権を侵すことなく、そうして公平に地域給の支給をするということが正しいと思うのですが、この辺に対する御見解を承わりたい。
#37
○政府委員(山下興家君) それも一つのお考えであろうと思いますが、実は細かく研究して見ますというと、物価の差が非常に減つて来まして、三割の差があると思つたところが二割になつておるのであります。それですからこのベースを改訂する、べースをどこへ取つたかというと、その地域給の要らないところに取つて計算をしました、それでこの特地というものが二割でいいということになつたのでありますから、ベースが変つた。そのべースを主にして計算したのでありますから、特地は二割だから損だということにはならないのであります。ベースの方が上つておるのでありますから。それで特地は決して損になつておらない。ただべースは改訂しないが、その地域給だけを何とかしろとおつしやると、その一番上が三割のところを基準として、そうして下を上げて来るということになると、やはりそれによつてベースが上つて来ることになるのです。
#38
○木下源吾君 それがいいじやないですか。
#39
○政府委員(山下興家君) いやそれが許されれば誠に結構でありますが、私共はそれぐらいでは満足しないので、べースというものはあれだけの、この前差出しましただけのベースは是非改訂して貰いたいのだと、これを何も考えないで、ただ地域給だけで許そう、その考えをそこにだけ止めようということになりますと、これは公務員に対して、非常に損になりますから、それで私はいろいろな予算上の考え方はありましようし、又我々は予算にはタツチすることができないのでありますけれども、少くも公務員の犠牲において、いろいろな計画をせられる筈がないだろうと思うのでありますか夢、この際はベースの改訂を先ず解決して頂きたいというのが主張であります。
#40
○委員長(中井光次君) 段々御質問を御続行願いますが、大蔵大臣の御出席を実は求めており、お約束があつて本日は委員会を開いたようなわけでありまするが、大蔵大臣は通産大臣兼務となられまして、その通産省の方へ事務引継ぎのために行つておられて、只今の時刻にはお出でになることができないというので、政務次官が見えております。それで大蔵大臣に対する御質問に対してのお答は、政務次官がなさいます。それからもしこれはこの審議が終りましたしまいに、委員外の委員として、公務員試験について左藤義詮君より質問さして頂きたいという要求がありますが、時間もございますから、予め許可いたしてよければ来て頂こうかと思いますが、よろしうございますか。
#41
○木下源吾君 まあやつて見てからにして下さい。
#42
○委員長(中井光次君) 済んでからね。それでは質問を許可することにいたしまして、質問を御続行願います。
#43
○木下源吾君 今の私の質問は、べース改訂をしなくてもいいというのじやないのです。あくまでこのべース改訂はしなくてはならん、だから、同じに出しておるのを分離して出して……、この政府はただベース改訂をしないというのは、面子のことの外にないと思うんです。あなた方が科学的の資料を出して、これが正当だということを出してもやらんというのでは、あつちの方からもこつちの方からも責めつけなければいかんと思うのです。それだから地域給を別にそうしてやつたらどうかと、こういうふうに思つて御質問したんですが、これは私はベース改訂をしなくてもいいと言つたんじやないことを明瞭にしておきたいと思います。
 それから山下人事官に対しましては、この前の委員会でも又予算委員会でもいろいろお聞きしておるが大体分つておるし、殊に予算委員会で私の質問に対しまして、現政府に封建的である、公務員給與は奴隷的給與関係に置くということに対する政府の態度を是認しておられるので、私共は頗るその点は明瞭になつたと思つております。ただ問題はこのような重要な問題に対して、しばしば総裁がここへ出て来ることを要請しておるのでありますが、総裁にお出でにならない、私は総裁がお出でになれば、先程羽仁君からお尋ねになつたようなことに関連しまして、人事院は成程予算に権限がなくても、権限を十分に持つておられる面において処理される面が沢山あるんではないか、例えば四十八時間の規則を出しておられる、これはその後緩和せられましたけれども、或いは公務員の政治活動に対する制限をしておられ、いろいろ規則を出しておる、一方においてそういうことはどんどんやり得るが、事給與に関すれば何らの権限がないんだと、それに対しては勧告をやるより外にしようがないんだと、後は国会の責任や政府の責任だというふうにおつしやつておられるが、真に人事院が公務員の利益を保護し、そうして権威あらしめるという立場に立つならば、どうすれば一体公務員がそれを確保することができるのであるかということを先ず考えにやいかんと思う、科学的である人事院であります故に。であるからして若しも政府がこれをやらないという場合には、法律の中で、人事院のつまり権限に属するもの、それによつて公務員を縛つておるものをブレーキをかけておるものを、どんどん解いてしまつたらいい、そのくらいのとは人事院ができると思うのです。私は総裁が来たならば、それを私は膝付合わして一つやろうと思つておるのです。恐らくは総裁が見えないことは、深く人事院の存在の意義責任を痛感とて、そうしてこの国会に出て来られんものと想像しておる、私は人事院の存在を非常に重要視しておるために、このような事態になつておることを、私は非常に遺憾に思つておるんであります。しばしば要請しますけれども出て来られないから、この際私は山下人事官にお伺いするのでありますが、人事院の権限によつて今日まで出したところの規則、公務員を縛る規則を悉く撤廃する意思があるかどうか。このことは何も国会に関係するのではありません、予算に関係することではありません。このことを明確にお聞きしておきたい、さように考えます。
#44
○政府委員(山下興家君) 私共が今までいろいろな規則を、人事院規則なんかを出しますときも、公務員を縛るという気持ちは決してないのであります。これは公務員が国民に対してサービスをする上において、是非これは必要だと思つてやつておることでありまして、これは給與がうまく行かないから、こういうものを皆解いてしまえというようなことは、これは私は理屈にならないと思います。ただ四十八時間とか何とかいうことは勝手にどんどんやるが、予算になるというと勇気がないじやないかと言われますが、これは四十八時間とか、或いは政治活動の問題でも皆人事院がやることのできる権限でありますから、人事院独自でやつておるのでありまして、予算になりますとそうはいかない。国会がありますから国会がこれを取上げてやつて頂くということをお願いする以外には我々の力は及ばないのであります。そこの限界に立つておるのであります。又殊に総裁が出て来れば、とおつしやいますが、実は総裁は体が惡いということでちよつと出られないのでありますけれども、私も同じ権限を持つておりますから、どしどし御質問なり何なりに応ずるつもりであります。
#45
○木下源吾君 私は人事院が公務員に対していろいろの制限をすることは何も惡いということを言つておるんじやないのですよ。必要であるからせられることはよいのですが、同時に給與に対する、又公務員を保護するところの責任はある。單なる勧告で、これを勧告だけでやるんじやないということは、すでに公務員法改正のときに昨年の、衆議院においてもこの委員会においても、いろいろこういうことの、九十八條の制限、百二條の制限というものに対する代りには、こういうことをやる代りには、代りとは言つておらんのですけれども、同時に公務員を保護する、公務員の福祉のために人事院はやるのである。であるから法案に賛成せよ。こういうことを言つておるんです、まあ一口に言えば。これは衆議院の速記録を見れば分るんです。ところがさつぱりそれが行われない。一方の方の、つまり公務員に対する今の時間の延長であるとか、或いは政治活動の禁止であるとか、九十八條の適用をやるとかいうことがどんどんできてしまつて、法律だから止むを得ないというようなことでやつておる。これでは真に公務員を保護する立場にある人事院の、一体機能というものが目的を達しておるのかどうか甚だ不可解である。併しながら、これ以上あなたにお聞きしてもしようがないと思いますから、私は先程お尋ねしたことでつきております。このことは各人事官の会議においても十分御検討を願いたい。次は大蔵大臣に…。
#46
○羽仁五郎君 今の点について一言だけ山下人事官にお考え願いたいと思うのですが、二つありますが、一つは、国家公務員法にせよ、あらゆる法律というものは第一條から最後の條文まで一貫し考えらるべきものであつて、従つてその第一條から最後の條文に至るまで、或る條文が事実上において現実の事態においてですよ、十分に働かない場合には、他の條項だけを働かせるということは余程お考えにならなきやならないのじやないか、その点をもう少し考えて項きたいと思うのです。これはつまり法というものを実際に施行した上で、いろいろに考えなければならない。機械的にできるものはやる、できないものはできないでもいいのだということじやないのですから相関関係がある。殊に第一條の目的を果すということを絶えずお忘れにならないように願いたいと思います。国家公務員法の。つまりそういう点から十分に考えて頂きたい。
 それから第二に国家公務員法は、国体公務員が国家公務員たるために、人側であるところの権利をいろいろ制限しておりますね、これは御案内の通りです。従つて国家公務員が公共の福祉に奉仕するということに関係する條文が生きて来るためには、その国家公務員が公務員たる前に人間として人たるにふさわしい、勿論これには相対的なあれもありますけれどもその生活が保障されているということが前提であるということをどうかお忘れにならないように、それはさつきからも決して公務員を犠牲にすることは誰も考えていないだろうと言われていますが、それは單に主観的なお考えだけでなく、実際国家公務員法の施行の上に、又人事院が働いて行く上に、そういう点をも絶えずお考えになつて行かないと、この第一條以下の條文はいろいろに適用されるが、第一條は一向に実際に適用されないということになる。そういう全体的なお考えとそれから現実の国家公務員が人間として生きて行かなければならぬということ、これもぜひ、今おつしやつたような、木下議員から言われたような点と合せて、十分考えて頂きたいと思うのであります。
#47
○政府委員(山下興家君) 今羽仁さんの言われましたことはその通りだと思いまして、十分我々は注意いたします。ただこの際非常に遺憾に思いますことは、人事行政の改革になりましてから日がまだ浅いために、人事院の勧告を如何に扱うかということについて、いろいろな方面で誤解があるように思うのであります。大体政府といたしましても、人事院が出した事柄が間違つているということであるならば、これは重大問題でありまして、それは人事院に対して直接に、これはお前が間違つておるじやないかということを注意せられれば、我々は若しも間違つておるならばいくらでも直すのであります。併し国民に対して人事院の言うことが間違つておるのだということを、白書みたいなものでせられますと、国民は何を信じていいか実は分らなくなるのであります。それで、これは国民全体が専門家でないのでありますから、それは非常なやはり間違いの行き方だと私は思います。とにかくに、人事院が言うことは、ベースを上げるということは正しいのだということを、先ず国民全体が了解して頂ぎまして併し上げるのだけれども、国全体を大所高所から眺めると、この際は給與ベースを上げるというと外にいろいろな支障があるから、全体的にこれはいけないのだということを国民が、或いは国会の御審議がそうなれば、これは止むをないのでありまして、それまでも我々が敢行する理由は一つもないと思う。但しその人事院が出した案を間違いだという前に、これは国民が何を信じていいか分らぬということについて、よく考えて頂くことが必要だろうと思います。そうして又これが国会といたしましてもお願いいたしたいことは、国会は国民の代表でありますから、国民が或る程そうだと思う事柄については、国会で十分これを御審議になつて、そうしてそれを実行さすようにして頂くことが、これが即ち民主的な行き方である。人事院の立場としてもそうあるべきものであると私共は考えておるのであります。(「そうだそうだ、我々が足らんのだ」と呼ぶ者あり)
#48
○吉田法晴君 人事院の権威の問題に関連すると思いますので一言。人事官はこの前から、人事院は勧告をしておるのだから、あとは議会がこれをとり上げて予算の面に実施するように努力して貰いたいと、まあこういうお話であつた。大体今も世論なり或いは世論の代表としての国会の義務について仰せられたと思うのでありますが、ただ例えばこの場合にいたしましても、政府から出ました給與白書、これは給與を上げなくてもいいという、国民に対するいわばこれは解説なり、宣伝でありまして、それに対して人事院としてはそれに対する反駁みたいなものになるから、用意しておつたものを出さない、或いは委員会に配られるについても多少躊躇されたような感じがあつたと思うのです。併しこれは人事院の使命を達成する上においては、もつと人事院としてはしつかりして貰わなければならない。権威を持つて貰わなければならん。でこれに国民の間に、御承知であると思いますけれども、人事院を拵えた使命が達せられんならば、意味がないならばそういうものは要らんじやないか、こういう声が相当強く出ておることは御承知だと思うのであります。尚又同じような機関を、例えば電気の問題について作ります場合にも、若しも人事院のように、これが政府の完全な機構の一つの中に入る、その政策に従うならば、そういうものは作らなくてもいいのじやないかという意見もある。これはどの程度にあるかということはとにかくといたしまして、そういう意見は確かにある。或いはこれは別の問題でありますけれども、調停問題について、公共企業体についてなされるその調停が、とにかく政府の方針によつて踏みにじられる。或いは更に裁定が生れる。その裁定も現状のように無視されるならば、そういうものを作らなくてもいいじやないか。こういう意見が相当出ているし、それから国鉄の裁定問題について、調停委員会がみずからの調停をやらないで、裁定委員会にそのまま送り込むというような事態までも起つておる。或いは又調停委員の今の機構においては調停委員をむしろ置かない方がましじやないか、こういう意見さえ出ておる。人事院そのものについて、権威について疑う声が相当国民の中にありますこの際でありますから、この際国会が国会としての権威或いは使命を果すべきだと思います。人事院としても十分一つその点お考えを願つて、活動について一つ更に一段の御努力をお願いいたしたいのであります。
#49
○政府委員(山下興家君) 今のお話はりまして、誠に有難うございます。私共は政府が給與白書といつたようなものを出したことについて非常に驚いたのであります。これは人事院が何のためにあるかということを十分に理解せられない行き方なでないかと思うのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)でそれですからあのときに我々は白書を出したつてしようがなかつた。用意はしておつたのですけれども、若しも白書を出しますと、政府の中に二つ派があつてそうして白書戰をしておるという宣伝を若しせられますと、我々の独立性を疑われる。国民に独立性を疑われるのであります。そうなると給與局一つで結構なんであります。給與局が例えば八千円にしたいのに、いや、お前七千円にして置けと、こういうことになりますと、その七千円に合うような理屈を世の中に発表する。そうすると国民は何を信じていいのか分らないのでありますから、そういうことのないように、誰にも制限を受けないために人事院があつて、そうして公務員の給與はかくあるべしと、こう言つたのでありますが、それが間違いだということなら、これはもう人事院はなくてもいいということに私はなると思うのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)それですから、とにかくそういう白書が出ること自体がおかしいのであります、(木下源吾君「政府に言つて置かなければならん、政府委員はいないか」と述ぶ)
#50
○大山安君 人事院の御意見は十分納得のできる意見だと思います。実際に現在においての人事院の力としては、勧告の力はあるが、これを実行せしめる力はないというあり方になつている。然る上に、只今までの御意見を聽いても、そういう力のないところに私共として意見を求めることは別段ございませんが、現在としましては、私共も各地方を調査して歩いて来ましたの公務員の人達、これは他の調査しない県でもそうだと思いますが、最早もうすでに行詰りまして、政府に、或いは官公庁、勤務庁に出勤するにも事欠くではないかというような現実になつている。従つてあとの公務員の苦境というものは、推して知るべきだと思う。然らば現在では、最早もう現実に支給することを図らなければならない。(「その通り」と呼ぶ者あり)その場合にですね。すでにこの今までのベースというものは、全く毎日の赤字ということでやつて来ております。従つてその赤字であるという反面には、この人事院の性格、人事院が本能的によく複雑と責任ということを申しますが、複雑と責任を全うするところの勤務が果してできるかできないか、私共は調査して歩いて来ました結果においては、これは現在ではできないのではないか、それは沢山の公務員の中には、恵まれて、家族もなし、或いは他の方面からも援助を受けている者もあるかもしれません。そういう者は、それは人事院の方針に従つて、任務を遂行することもできるかもしれませんが、大体におきまして、現在のベースではできないということは、私はここに断言して置く。その場合に、人事院の方針としては、常にこの勤務成績を見るというようなあり方になつている。そうしてここ会務員を鞭撻すべしという場合に、実際に食う物がない。全くもう死の一歩手前という程度まで行つている者もあります。そういう場合に、この人事院は、常に官公吏に対して、鞭撻一方の気持を以てやつて行くか、或いはそういう情状を酌量して、そうして常に公務員を監督して行くかということは、これはもう現実問題になつている。ですから現在のところにおいては、そういう片輪者にして、実際に気特上においても心境は変つているわけです。従つて身体も満足に行つていない。幾分変化を起している。異常者という状態であつて、その場合に、人事院が常に人事院の性格である保護をして、そうして能率を増進せしめるものであるということは、果して今日そういう言葉で、つまり官公吏を監督しておられるか。それともそういうことを勘案して、公務員は実際に食えないだろう、これは今までに差支えになるというようなものを勘案しておられるかどうか、今後もこのべースが改訂されない限りには、どういう方針を以て臨むか、それを一つ、これは現在人事院が知つていることだと思う。人事院の力でできることだから、私はお尋ねするのであります。これを一つお答え願いたいと思います。
#51
○政府委員(山下興家君) 我々は公務員としてはやるべきことはやる。どうしてもやるべきことを怠つてはいけないと思います。国民に対して盡すべき義務はできるだけ盡す。但しそれに対して給與というものは、国民がそのサービスに対しての報酬であると心得えるのでありますから、国民としても、公務員を国民の平均生活水準以下に置いておくということはあり得ないだろうと、そう想像しております。
#52
○木下源吾君 大蔵大臣にお伺いしたいのです。大蔵大臣が先程何か通産大臣になつたから来られんと言うが、甚だ遺憾です。本委員会は後余すところ大蔵大臣に責任ある答弁を聞きたいというのが主眼であるのであります。併し来られないものは誠意のないものとしていずれかの機会に又出席を求めます。次官が今見えておりますので次官にお尋ねしますが、政府がべース改訂をしないということを言つておられるが、一体その根拠は奈辺にあるか、大蔵大臣の、或いは総理大臣の本会議等における説明等では納得が行き兼ねるので、一つ要約してその点を御答弁願いたい。
#53
○政府委員(水田三喜男君) 政府がベース改訂をしないという根拠にはいろいろありますが、すでに政府からこれについてのいろいろな見解が出ております通りでありまして、直接的には財政上の理由と、更に最近のいろんな物価情勢、いろんな点、それから人事院からも勧告されております人事院の事由の中にも、そう考えなくてもいいじやないかと思われるような点幾つかを我々認めてありますが、根本的には現政府の経済安定方策という大きい方針の上から見て、ここで賃金ベースを上げるということは、現政府の経済安定方策にとつては、相当の大きい支障になるということから出発して、賃金べースは上げないという結論になつたのであります。政府としましては、実はこの問題ついてはいろいろ議論がありまして、人事院からこういう勧告を受けておる以上は、何とかして一部こういう勧告に応じたいという努力は相当しております。いろんな検討をいたし、交渉もいたして相当の努力はいたしましたが、結論として現在ベースを変更することは適当でない、不可能であると、こういう諸般の情勢から結論を得たわけでありますが、先ず財政上の理由から申しますと、人事院の勧告に従つたら一般会計においてはどうしても一ケ月二十一億円という金が要る。これに伴つて地方の公務員の問題は、一般会計から二十九億円、地方から二十一億円で五十億円、年間六百億円の財源を持たなければ、この勧告に応じられないという事態になるわけでありますが、今の日本の財政から見まして、この六百億円を果してやり繰りできるかと申しますと、先ず一般会計におきまして少くとも百五十億円出さなければならんというのでありますが、若し今年度出しておりますあの予算案の中から、ここで百五十億円の修正をやろうとしますれば、減税の一部取止めということは必至でありまして、政府が最も力を入れて、ここで経済安定に伴つて減税をやりたいという、この方針が先ずぐらついて来る。それから債務償還の問題で債務償還費を削つてこれに応じたらよいではないかという要望が非常にございますが、これは過日参議院の本会議でも申述べました通り、日本の現状から見て自主的な資本蓄積に俟つておるような余裕がない、急速に自立経済をここで築かなけりやいかんということについては、この債務償還という形はこれは国民に一見負担をかけるようですが、この債務償還をやつた先の金は、結局国民の産業資金になるわけでありまして、いわばこれは国家による強制的な資本蓄積の一つの方法とも見られるので、この点でそう簡単に政府としてこれを減額するということはできないような事情に鑑みましても、この百五十億を一般会計から出すということは非常に困難な実情にありますと同時に、特別会計の部門においては、もつと事態は困難なことになりまして、例えば鉄道貨物運賃を計算しますと、どうしても一八%又運賃を上げなければならん。郵便料金は一〇%、電報、電話料金は四%、主食の価格も運賃の跳返りを考慮しないでも一%以上は値上げしなければならんというようなことで、物価水準の安定ということに相当大きい影響を持つて来ることも検討の上で明らかになつておりまして、更に地方財政についてみましても、平衡交付金の増額は免れないということから、又一般会計の予算の大きい組替えを要するという事態場に直面いたしますし、それを避けるためにはどうしてもここで人員整理を考えなきやいかん。そうしてこの要望に応じたいという方法も考えましたが、ここで人員整理を断行するということは、非常にやはりまだ経済安定が漸く軌道に乗つたというところであつて、過渡的な時機にありますので、ここで大巾な人員整理というものは非常にむつかしい。殊に整理しても、整理資金として百十億円、百億円以上の整理資金というものを、又政府は別途に考えなければいかんというような問題にぶつかりますので、この点からもそう簡單にはやれないというようなこと、つまり運賃料金等の値上げとか、終戰処理費、公共事業費、刑務所の收容費、もう全般にこの問題をいじり出すと狂つて来まして、現在の政府が採つておる経済安定政策というものは、もう殆んど実行不可能になるというくらい、これは大きい影響を持つ問題だと我々は考えております。
 それから先程人事院からは、人事院が間違つているということを政府が言うことは云々というお話でございましたが、私達は現在の公務員の給與が高いとは思つていません。人事院の勧告は頭から全然間違いであるというふうには考えておりません。できるだけその要望に応じたいという努力はやりましたが、以上のようないろいろなむつかしい問題にぶつかりますので、政府としてはこれをやることは適当でないという結論を付けたということでありまして、ただ人事院に対して我々が反駁しているというふうに思われます点は、七月の物価を基準にして勧告されておりますが、事実上実施したのは昨年の三月でありまして、人事院の勧告の基礎になつておる時がどうあろうとも、この賃金ベースの改訂をやつた本当の実施時期が昨年の三月であるというふうに考えております。それ以後の物価情勢がどうなつておるかというようなことを考えますと、三月以後は、物価は横這い状態になつており、むしろ段々に下がる傾向になつて来ておりますので、昨年の三月を一〇〇とすれば、一十月は一〇二・二、十一月には一〇六・四というふうに実質給與というものは、少しずつ殖えて行く傾向にあるということが言えると思います。で、若しそういう傾向としますれば、政府の考えているように、ここで日本の物価を段々に上げるというような方向ではなくて、経済の安定度に従つて物価を段々に下げて行こうという、そういう政策を持つている以上は、ここで賃金を上げるという形をとるのではなくて、実質賃金をここで向上させて、人事院の要望に応ずるような方策をとるのが至当だと、こう我々としては考えております。実質賃金を上げる方法としましては、先ず減税をここでやる、それから福利厚生施設と、その外の改善のためにも相当の予算を我々は盛つておりますし、更に物価水準の安定という方向に一段の努力を盡す。それから更に賃金べースは上げなくても、政府としては予算の許す範囲内において超過勤務の問題とか、いろいろな点を考慮いたしまして、吉田総理が言つている高能率高賃金という構想を何か生かす方法は、是非この昭和二十五年度においてとりたい。相当実質賃金は上つて来るとは思いますが、まだその上り方は所期する程のものではないと思いますので、その間において公務員が本当に高能率で働いて呉れた場合には、それに対して相当報いる方法ということは、別個に現在我々としては考えておりまして、まだこれを発表できるところまで参つておりませんが、そういう点については十分考えるということで、この際は賃金べースをいじりたくないということを、一つ国会で重分了承していきたいというのが大体政府の立場であります。
#54
○木下源吾君 只今の何は、政府の一般方針で承つておつて、我々が承服しかねる問題でありますが、具体的に経済安定の緒についたと、こう言われておるのだが国の経済の安定は、言うまでもなく個々人の経済の安定でなければならない。それが積重つて国の経済を安定しなければならんということは自明の理である。然るに政府は現在この公務員個々人の経済が安定しておると考えておるのか、若し考えだけでなく、具体的に数字に現われるものを一体持つて、そういうことを言つているのか、若しあるならば、それを一つ資料に示して貰いたい。先ずこの点から聽きします。
#55
○政府委員(水田三喜男君) 経済の安定は、先ず個々人の生活安定という形で現われなければ、経済の安定でないということは確かでございますが、それでは個々人の生活の安定をどうして確保するかと申しますというと、結局政府がここでインフレ政策をとつたりなんかするというようなこと、或いは産業資金を枯渇させて、そうして産業を伸さないでおるというような政策をとつたら、結局それによつて個々人の生活安定というものは、もう求めることはできないということを考えますと、今政府がやつておりますように、何としても終戰後年々インフレを起して経済を不安定にさせた、この状態をここで一遍に止めて、そうして本当の復興の軌道に乗せなければいかんということが、政策としてはもう先になつて来たという形で、政府はこれに全力を挙げてそういう方式をとつているのが、現在のあれでありまして、そういう意味から言いますと、公務員の生活というものは、まだ政府の経済安定政策が、十分に行つていない以上は、当然公務員の生活安定ということは現在やはりないと思います。と同時に一般民間の従業員の生活はどうかと申しますと、統計の上では、成る程賃金ベースは一応高いというように出て参りますが、個々の中小企業の実態を見ましたら、殆んど民間従業員の生活というものは官吏以上に安定しないと我々は考えております。年末において賃金の未拂があつた所は相当多いのですし、賃金を拂わないために、各個人々々が借金をして利息を拂つて、そうして食つているというような企業というものはまだ沢山ございますので、そういう、ひとり公務員だけじやなくて、一般国民の生活安定というものを急速にここで持つて来るためには、政府は相当決心した強い政策を、ここで押切らなければいかんというふうに我々は考えますので、この問題もそう簡單に我々としては取扱えない、こう考えております。
#56
○木下源吾君 只今公務員の生活の安定ができているかどうかというのに対しては、極めて曖昧な答弁であります。併し言葉の片鱗からは、安定はできておらないという、ことを是認しているように思われる。
 そこで政策の上で云々と政府は言つておりますが、私は今ここで政府の政策を糺明しようとは思わない。政府は却つてインフレを助長するような政策をとつているということだけは申上げて置く。インフレ利得者、或いは政府の補給金によつて事業を行う者、或いは国民の税によつて事業を行なつているような者が、逆に物価を自由に釣上げることのできるような状態にあるということは、先般ドツジ博士が参りまして帰るときに、政府にこれを勧告して行つている事実に見ましても、政府はこれに対して更に政策の上において実現しておらないということで明瞭だと思う。
 ただ私は、そういう政策のことを論議するのではなく、公務員の生活が安定しているかどうかということをお聽きしたのであつて、そこで今安定しているというのなら、私はその資料を求めるのでありますが。是非その資料を一つ出して貰いたい。
 もう一点は、地方における、つまり従業員というものは、労働者というものは、非常に首切りがあり、或いは賃金の遅配欠配があることは事実であるが、一体国の公務員はそういう人達と比較すべきものであると考えているのかどうか。我々は少くとも国家の場合においては最大の雇用者であると思う。これを比較するのには地方においても比較的多数の従業員を擁している、それと比較すべきが当然だと考えるのであるが、一体政府はその比較の目度をどこに置いているのか、その点を一つ伺いたい。
#57
○政府委員(水田三喜男君) 公務員は立場が特殊でございまして、一般民間人と同じようには我々は考えておりません。で民間との比較の標準をどこへ置くかという問題ですが、これは今言つたような、立場が特殊な立場ですから、民間のどこと比較するというのはこれは非常にむずかしい問題だと思いますが、要するに公務員も一般の民間人も勤労者でありまして、その勤労者である以上は、その特別な距りを設けることはできませんので、我々としてはいわゆる統計に基いて、一般の民間労働者の賃金というようなものを見て、それと距りのないようにするだけでありますが、たださつき申しましたが、あの統計上はそう現われても、民間の不安定さというものは、官吏の生活の不安定よりも、もつとひどい実情だということを申上げただけであります。
#58
○小串清一君 議事進行についてちよつと申上げます。すでに十二時四十分ですから議論が大部にぎやかなようですから、午後更に改めてやつたらどうですか。
#59
○木下源吾君 実はこれらの問題については……。
#60
○委員長(中井光次君) もう少しやつて御相談いたします、そうしてなるべく簡單に要を盡して……。
#61
○木下源吾君 只今人事院の勧告については反駁しておらんと言つておるのですが、一体人事院の勧告の基礎は、政府の基礎と違う、人事院は一昨年七月のいわゆるそれを基準にして、その当時を基準にしてせざるを得ない、法律によつて、公務員法二十八條によつて。そうしてその後一ケ年間の状態、法律に従つてこれを勧告しておるということを認めるであろう。然らば政府は、これが実施したのが三月であるからということは何らの理由も、根拠もない、こう私は考える。又国民一般もそう考えるのである。ただ政府がそういうことを言おうとするのは、どうかこうか公務員が生きてさえいればいいんだ、その後は物価もだんだん下つて来ておるのじやないか、こういつておられるとしか聞えない。人事院のことは、合法的にこれを取運んでおるのだが、政府は強いてこれを目を覆うてこの合法性を抹殺するものと我々は考えるのだが、その点についてはどういう見解を持つておられるか。
#62
○政府委員(水田三喜男君) 人事院勧告の合法性を抹殺するというような考えは持つておりません。実情において、一端賃金べースを変えたときから、現在そう惡化していない状態にあるという以上は、ここらで政府の安定工作の上からいつても、外の方面に実質賃金を殖やすという形で行くから、名目賃金の値上げという方は我慢して貰えないかといつたような気持で言つておるのでありまして、別に合法性を抹殺してという屁理屈ではありません。
#63
○委員長(中井光次君) 木下さん、ちよつと御相談ですが、大蔵大臣も今日はあんな工合でお見えになりませんで、次官が見えておりまして、問題はまだなかなかあると思います。今日で片がつくとも思いませんから、適当なときに御打切りを願つたら……。
#64
○木下源吾君 あと水田君に一つ、二つだけ。
#65
○委員長(中井光次君) それと尚いろいろ資料でお求めになることがありましたら、この際、後で皆さんからお申出願つておいた方がいいのではないかと思います。
#66
○木下源吾君 私は政府が今予算の数字を現わしたが、これは私は承服できない。併し我々は又予算が増税しなくてもできるという確信も持つておるが、こういう点については別の機会に大蔵大臣直接に何しますが、今非常に急がれておるようであるから、最後に一点、この石炭手当の問題ですよ、昨年も勧告が殆んど三千三百二十一円九十銭のやつを、何等の理由なく、やがて下るであろうという、この見通しだというので二千七百円しかやつておらん。実質においては、三千五百円も、四千円も出して皆買つとるわけであります。こういうことが今度の予算を見ますと、二千五百円、一トン、これは一体ですね、この単価の見積りの基準が一体どこにあるのか、が一点、何か若しも実際こういう時期に至つて、これで買えないという場合においては、政府は別に何らかの考慮する余地を残しておくのかどうか、この点について一つお伺いしたい。
#67
○政府委員(水田三喜男君) この問題はもうすでに御承知だと思いますが、手当を、石炭手当の問題も、我々としては一ケ月以上もう苦心した問題でありまして、この炭価の点も、まあこれがいわゆる折合つて関係筋の了解も得たというような炭価でございまして、そこにはいろいろ御質問のような問題もあろうかと思います。本年度これが又、この時期になつて現実の問題になつたときは、そのときとして十分我々としては善処したいが、予算を組むときのあれとしては、あそこでやつて行つたものだ、こういうふうに御了承願いたいと思います。
#68
○木下源吾君 これは人事院が三トンということを明確にですね、してあるので、法律に基いてですね、この三トンという焚ける炭をやろうとするのが我々は基準だと思う。この点を是非それだけをお伺いしておきたい。政府の方は、どういうようにお考えになつておるか。
#69
○政府委員(水田三喜男君) 政府の方は、こういう問題は常に金と結付いておりまして、結局これだけ出せるのだというようなことから来まして、それが三トンとして、炭価がそういうふうになつておりましても、事実上それは三トン買えないという場合もあるかも知りませんが、專ら手当の問題、予算の金額という方から今まで考えておつたことは事実だと思います。
#70
○木下源吾君 その点だけを金額というようなことと、三トンということとは違うのでございますよ。然らば現物でこれをやろうという考えを持つておらないかどうか、これは金がないからこうだとか、ああだとかいうことでなく、問題が非常に給與の何に対して重要な問題でして、政府からそこを一つ……。
#71
○政府委員(水田三喜男君) その方がいいということでしたら、現物でやるということも一向差支えないと思います。政府は現在配炭公団には相当の手持ちがございます。それから政府の手持ちだから安くやつてもいいじやないかという考えも我々持ちましたですが、同じことで配炭公団の持つておる炭を安くするということは、配炭公団の赤字をこれ以上殖やすということで、その点も我々としてはうまくできなかつたというような事情もございまして、現物で解決できるというようなことでしたら、それでも我々は一向差支えないと思います。
#72
○木下源吾君 結構です。
#73
○委員長(中井光次君) 皆さんにお諮りします、あと羽仁さんがちよつとだけといいますが、これでしまいますから羽仁さんに発言を許したいと思います。
#74
○羽仁五郎君 大蔵政務次官にちよつと伺つておきたいのですが、実は最近私共いろいろ調査しておる間に、二十五年度の予算の中に、給與ベース改訂の実行を含んでおるのじやないかというように、想像される面があるということが考えられるのですが、これはそういう問題と関連して、政府でも給與ベースを改訂しないということは、無理じやないかということを大分お考えじやないかと思う。それで伺つておきたいのは、今まで政府が述べておられるいろいろの論拠、財政上の論拠、或いは物価変動、実質賃金、その他のそれぞれの理由は、いずれも人事院の勧告される挙げておられる理由と比較して見て、政府の側に論拠がないと判断されるのが至当じやないかと思う。従つてそうなつて来ると輿論としては、政府は人事院が勧告をしておる十分な根拠があることを、不十分な根拠で弁駁しておるに過ぎないので、何か別の意図があるのじやないか、この国家公務員法なり、或いは人事院なりというものは、何か特殊なグループの利益、即ち民間の資本家の考えていることとそういうふうな利益で、国家公務員法なり人事院なりの正当な法律上保障されたものを踏みにじつているんじやないかというような結論しか出て来ないと思うのですが、そういう点でこの問題は財政の問題とか、或いは実質賃金の問題とかいろいろな、殊に財政の問題を乗り越えて政治的な問題になつて来ているということを認識されておるかどうか、その点を伺つて見たいと思います。
#75
○政府委員(水田三喜男君) 政府は別に外の考えがあつて(「簡単」と呼ぶ者あり)頑張つておるということはこれはございません。政府の現在の方針から見ましても、この方針がぐらついて来るくらいだつたら今の政府としては、これはもう存立の意義はないと言つてもいいくらい、政府にとつては相当致命的な本質的な問題になつておりますので、先程申しました理由でこれを承認しないというだけでありまして、若し政府が安定工作が崩れてしまつたというときには政府も退陣するでしようし、当然物価も上つて来るし、この政府の方策はもう敗れたのですから、低物価も何も全部政策として潰れたというときには、即時にこれは賃金べースも上げるという解決もしなければならんと思いますが、これがやれないということは、政府の根本方針から来ていることでございまして外に他意はございません。
#76
○委員長(中井光次君) 資料で何か御希望がありましたらお申出を願いたいと思います。
#77
○木下源吾君 大蔵省に資料をお願いします。この年度末の剩余金がどのくらいある見込であつて、それは今までの源泉課税等の収入の状態から推してどのくらいの剩余金が出るか。次には国際小麦協定に参加せられる予定が、大体四月頃という予想ですが、これに参加した場合においては、いわゆる輸入補給金がどのくらい減額されるか。それから本年度予算に国鉄の建設勘定が二百四十億で見返資金が四十億になつております。あと二百億は損益勘定になつておるのですが、これの損益勘定の出る主なる原因を一つお願いしたいと思います。大体そのくらいの資料を一つ……。
#78
○委員長(中井光次君) 政務次官に私からも申上げておきたいのは、新聞には給與白書というものが出たのですが、委員会は何も頂いておりませんから、そういう種類のものを委員会にも一つ……。それでは本日はこれで散会いたします。
   午後零時五十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     中井 光次君
   理事
           木下 源吾君
           小串 清一君
           宇都宮 登君
   委員
           吉田 法晴君
           川村 松助君
           大山  安君
           羽仁 五郎君
  政府委員
   人  事  官 山下 興家君
   人事院事務官
   (給與局長)  瀧本 忠男君
   人事院事務官
   (法制局長)  岡部 史郎君
   大蔵政務次官  水田三喜男君
ソース: 国立国会図書館
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