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1980/05/18 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 大蔵委員会 第22号
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1980/05/18 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 大蔵委員会 第22号

#1
第094回国会 大蔵委員会 第22号
昭和五十六年五月十八日(月曜日)
   午後一時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     坂倉 藤吾君     大木 正吾君
     近藤 忠孝君     佐藤 昭夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 太郎君
    理 事
                衛藤征士郎君
                嶋崎  均君
                藤井 裕久君
                穐山  篤君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩動 道行君
                岩本 政光君
               大河原太一郎君
                片山 正英君
                塚田十一郎君
                藤井 孝男君
                鈴木 和美君
                対馬 孝且君
                和田 静夫君
                多田 省吾君
                矢追 秀彦君
                佐藤 昭夫君
                三治 重信君
                野末 陳平君
   政府委員
       大蔵省証券局長  吉本  宏君
       大蔵省銀行局長  米里  恕君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   参考人
       金融制度調査会
       会長       佐々木 直君
       全国銀行協会連
       合会会長     村本 周三君
       日本証券業協会
       会長       北裏喜一郎君
       全国信用金庫協
       会会長      小原鐵五郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○銀行法案(内閣提出、衆議院送付)
○中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀
 行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○銀行法の施行に伴う関係法律の整備等に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、坂倉藤吾君及び近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として、大木正否君及び佐藤昭夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(中村太郎君) 銀行法案、中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案、証券取引法の一部を改正する法律案、銀行法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、以上四案を一括して議題といたします。
 本日は、四案審査のため、参考人として金融制度調査会会長佐々木直君、全国銀行協会連合会会長村本周三君、日本証券業協会会長北裏喜一郎君、全国信用金庫協会会長小原鐵五郎君、以上四名の方々の御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、四案審査の参考にいたしたいと存じます。
 これより参考人の方々から御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方からお一人十五分以内程度で御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、よろしく御協力をお願いいたします。
 それでは、佐々木参考人から順次お願いをいたします。
#4
○参考人(佐々木直君) 佐々木でございます。
 金融制度調査会の会長をいたしておりますので、この銀行法に関する答申をいたしました経緯等を御説明申し上げたいと存じます。
 金融制度調査会は、昭和三十一年に発足しておりますが、そのときそのときの金融制度の問題につきまして大蔵大臣の諮問に答えて答申をしてまいっております。
 昭和五十年の春、私、会長を仰せつけられました直後に、大蔵大臣から、新たに「経済金融情勢の推移にかんがみ、銀行に関する銀行法その他の法令及び制度に関し改善すべき事項並びにこれらに関連する事項について、貴調査会の意見を求めます。」こういう諮問がございました。それで、この諮問に基づきまして、まず普通銀行法、いわゆる銀行法の改正につきまして審議を開始いたしたのでございます。
 申し上げるまでもございませんが、現行の銀行法は昭和二年に制定されておりまして、すでに五十年たっておりますのと、それから、あのときの環境というものはいまと非常に変わっておりますことはもちろんでございますが、特に金融恐慌のさなかと申しますか、その前後に法案がいろいろと検討されておりますので、その色彩も非常に強い。たとえば休日に関する規定なんかもそうでございますが、そういう非常に特殊なスタートではございましたけれども、銀行というものが預金者保護に徹しなければならないということがその恐慌の教訓として与えられておりましたために、その銀行法の基本的な考え方がそこにございまして、それか五十年の風雪に耐えて今日まで法律として生きてきた一番大きな原因であったかと思います。その後わが国の経済も非常に変わりましたことはいまさら申し上げるまでもございません。特に石油ショック、第一次石油ショックを機会といたしまして、一般に企業、特に金融機関のあり方に対する国民、社会一般の関心が非常に高まり、かつ質的にも変わってきたという状況にあってこの大蔵大臣の諮問があったものと、こういうふうに考えております。
 したがいまして、こういう大きな変革を背景といたしましていまのような金融機関の基本法を考え直すということでございますので、金融制度並びにその背後の経済情勢すべてについて十分なる検討をしました上で金融機関についての法律の答申をいたすのが必要である、こういう考え方で、審議に当たりましては基本町な問題からスタートいたしました。
 それで、七つの討議事項を定めまして、これに沿って審議を進めてまいったわけでございますが、第一は、今後のわが国の経済構造及び金融構造はどうなるかということでございます。われわれの住んでおりますこの時点で将来を見通しますことは非常に困難ではございますけれども、しかし、将来の見通しなくしては今後に通用する法律をつくることはできないということで、この問題にまず取り組みました。
 そうして第二は、そういう金融環境の中で銀行の果たすべき役割りは何であるかということを検討いたしました。
 それから第三に、銀行の資金配分機能のあり方。これは要するに、日本の経済活動に対して銀行としてその血液に当たる資金をどういうふうに供給するか、その配分の問題の検討でございます。
 それから第四に、銀行経営の健全性の確保の方策。これは先ほど申しましたように、預金銀行であります銀行の非常に大事な、最も基本的とも言える機能の問題でございます。
 第五に、国民のニーズの多様化等に対応するための銀行取引、サービスのあり方。これは経済活動の発展とともに、国民のニーズも多様化してまいります。これに銀行として対応しなければならない、そのサービスのあり方はどうでなければならないかという点でございます。
 第六番目には、その経済金融構造の変化の中で、金融機関の業務範囲をどういうふうに考えるべきか。これは相当いろいろな方面に広がってまいりますし、これからまた、国際的な、インターナショナルな問題も出てくるわけでございます。
 それから最後に、第七といたしまして、銀行に対する監督のあり方はどうであるべきかと、こういうふうに七つの柱を建てて検討を進めてまいりました。非常に基本的なものの検討から始めましたものですから、ずいぶんたびたび、数は省略いたしますけれども、委員会も開き、しかも時間も諮問を受けてからまる四年かかりまして、昭和五十四年の六月に答申を出したと、こういう経緯になっております。
 それで、この答申の重点はどこにあるかと申しますと、いま七つの柱を申し上げましたので、それで大体尽きておるかと思いますが、さらに要約いたしますと、日本の経済は高度成長から安定経済に移っていくということを頭に置いたものになっております。それから第二番目は、先ほども触れましたけれども、国民の資産選択の範囲がだんだん広がってまいりまして、多様化してまいりまして、国民のニーズの変化が非常に見られるということ。それから第三番目には、海外との交流がふえて国際化が進展しておると、こういう環境の中で、国民経済的な観点に立ちました公共的機能を金融機関がどういうふうに発揮するか、またそれと並行いたしまして金融の効率化をどういうふうに進めていくかと、こういう点を検討して答申にいたしたのでございます。
 それで、この答申が出ました後、二年たちまして今回の国会に対する法律案の提案となったわけでございますが、での法案の要点は、これはもう申し上げるまでもございませんが、第一には、銀行の目的規定が新しくできまして、銀行の公共性と銀行の自主的な経営努力の尊重をあわせてうたっておるということ。第二番目では、現行法では特別な規定がはっきりいたしておりませんので、解釈上いろいろな見方も分かれておりました銀行の公共債に関する証券業務の取り扱い、これに対しまして明文の根拠が与えられて、業務範囲に関する規定の整備が図られたということが第二番目の特徴かと思います。それから第三番目に、銀行の業務及び財産の状況につきまして、国民一般の理解を深めるために説明書類の縦覧の形によりまして、ディスクロージャーを促す規定が新設されたということ。第四番目には、行政指導ということで行われてきておりました大口信用規制につきまして客観的な法的根拠が与えられたということ。それから第五番目には、国際化の進展に伴いまして、在日外国銀行に対する規定の整備が行われたということ。それから最後には、週休二日制を要望した規定も設けられたと、こういうことが特徴であろうかと思います。
 調査会の答申とここに出ております法案との間に多少の差がございます。しかし、その差を検討いたしますと、われわれが調査会で議論いたしました内容が、まとめ方は変わっておりますけれども、その内容から全く離れた問題ではなかったように思います。ただ、先ほど申し上げましたように、相当まとめるのに時間がかかりましたこと、さらにまた答申から法案の上程までにまた二年たっておるということ、この間にたとえば最近の行政改革の小さい政府といったような物の考え方が出てきておるというようなことが今度の新しい提案された法案に影響があるというふうにも見られますし、私どもとしては、答申を出した者として根本的に非常に違うものがあらわれたという感触は持っておりません。
 以上は、銀行法に関して申し上げましたけれども、このたびはいま申し上げました銀行法の改正法案のほかに、中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案、証券取引法の一部を改正する法律案、銀行法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、この三つが出ております。このうち、いま一番最後に申し上げました整備法案では、金融制度の中核であります銀行法の改正に伴ういわゆる横並びの検討でございますし、それからまた、証券取引法の一部を改正する法律案は、先ほども申し上げましたけれども、銀行の証券業務についての銀行法の法文に伴うものでございまして、この銀行法の改正に付随するものと存じます。それから、中小企業金融制度の整備改善に関します法律は、これは主として相互銀行、信用金庫、信用組合さらに労働金庫の業務内容の拡充を目指したものでございまして、先ほど申し上げました五十四年六月に銀行法についての答申を済ましました後、さらに続きまして去年の十一月の答申までに検討してまいった問題でございます。こちらの方につきましては答申がほとんどそのまま法案に生かされておりまして、こういういま申し上げました中小企業専門金融機関の業務拡充というものはこれからの中小企業金融機関の取引先の多様化するニーズに十分こたえていくものと期待しておりまして、銀行法と相並びまして非常に大事な法案であろうと存じます。
 私といたしましては、この四法案を十分皆様方が御審議いただきまして、一日も早く成立することを心からお願いをいたしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#5
○委員長(中村太郎君) ありがとうございました。
 次に、村本参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(村本周三君) 全国銀行協会連合会の村本でございます。
 本日は、銀行法に関する私ども銀行の考え方について申し述べさしていただく機会をお与えいただきましたことに、まず厚く御礼を申し上げます。
 初めに、一昨年六月に金融調度調査会答申が出されましてから約二年間にわたり、法案作成に熱意を持って取り組まれた関係各位の御努力に対し、深い敬意を表したいと存じます。
 半世紀ぶりの新銀行法案を拝見いたしますと、法文が現代文化されました上、第一条に目的規定が設けられ、銀行の公共性や社会的責任が明らかにされますとともに、業務運営に当たっての銀行の自主的努力の尊重がうたわれていることが注目されます。私ども銀行は、従来以上にその責務の重要性に思いをいたし、社会の負託に十分こたえられるよう努力を傾注する覚悟を新たにしているのでございます。
 高度成長期並びに石油危機をはさむその後の十年余りの間に、銀行の決済機能は、給与振り込みや各種の公共料金の自動振替などの形で広く家計部門にも浸透し、国民生活に深く根づいておるのであります。また、住宅ローンや消費者ローンも着実に伸びており、あらゆる金融サービスが、家計、企業並びに政府と経済の各部門に活用されておるのであります。こうした多方面にわたる金融サービスの質を高め、効率的にこれを供給してまいりますために、私どもは、民間企業としての銀行の自主性と活力を十分に発揮してまいりたいと考えております。
 金融制度調査会の答申にもございましたように、銀行の行う金融サービスはいまや多様化し、複雑化しております。これは、国民の銀行に対する需要の変化とそれに対する銀行の適応とを反映したものでありまして、世界的に見ましても、銀行はきわめて幅広い業務を行うようになっているのが現状でございます。
 こうした現実に照らしてみますと、今回の銀行法案は、私どもにとりましてなお十分には満足できないところを残していると申さなければなりません。新銀行法案では、現行法と異なり、銀行の行い得る業務がはっきりと示されており、特に銀行の証券業務につきましてその可能なことが明記されました。この点が現行法に比べ特に目を引くところであります。
 しかしながら、現行法のもとにおいて銀行の証券業務は可能であるというのが従来当局の公にしてこられた有権解釈であり、私どもも国民経済の円滑な運営に資するようシンジケート団を組み、国債引き受けに御協力してまいったのであります。窓口販売などの業務を行わなかったのは長期国債が発行され始めました昭和四十年度当時の証券会社経営を取り巻く環境の厳しさをおもんぱかってのことであります。
 今回の法改正におきましては、いわゆる証券業務三原則によって、法に明定された事項につきましても私どもはこれを直ちに行うことができません。証券業務について改めて証券取引法上の認可を要することになっております。私どもは、証券業務認可の時期が一刻も早くまいり、日本経済とその中での金融の流れが一層円滑に進むよう法が運用されますことを心から願ってやまない次第であります。
 証券業務に関連いたしまして、昨年秋の外国為替管理法の改正に伴い、外国で発行された短期証券、すなわち譲渡性預金やコマーシャルペーパーが本邦に持ち込まれた場合の取り扱いを証券業界にも認め得るような証券取引法の改正が提案されております。私どもは、基本的に金融のかきねは低い方がよいと考え、相互に同じマーケットで競争することが全体の金融を効率的に進めることになると考えております。しかし、譲渡性預金は性質上銀行業務に属しておりますし、コマーシャルペーパーは主として米国特有の制度であり、当面は海外の短期証券の取り扱いにとどめらるべきものと考えております。特に国内のコマーシャルペーパーにつきましては、わが国では手形制度とその割引が長い歴史を持ってうまく機能しており、それを前提として金融市場や金利体系あるいは金融政策手段が整えられていることを考慮いたしますと、そのあり方の検討は十分慎重に進められるべきではないかと考える次第であります。
 次に、行政当局の監督権限等について触れてみたいと思います。
 広く国民から預金等をお預かりし社会の金融機能を担う銀行が、一般企業よりある程度厳しい規範のもとに置かれることは当然でありましょう。また、当局が恣意に走らぬよう行政指導の根拠を明示し、あわせて行政の意思決定の過程を外からもわかりやすくするといった観点からも、最小限の監督規定は必要なわけであります。
 しかし、規範が行き過ぎますと、銀行は自由に活力を発揮できなくなり、結局預金者を初め銀行のお客様に十分に御満足をいただくことがむずかしくなってまいります。法律でがんじがらめに練らなければ何をするかわからないとのお考えもあり得ましょうが、これだけ深く国民に密着している銀行はそうした行動はとり得ないのであります。監督権限を必要最小限に抑え、報告や届け出の簡素化を図りますことは、銀行の自主的努力促進の上でも、また行政簡素化を具体的に進めるためにもきわめて重要な意味を持つものと考えております。
 ディスクロージャーに関しましては、これを推進する旨の規定が置かれました。私どもは、こうした訓示規定のもとでこそ、各行が創意と工夫をこらし、それぞれ競い合って特色を発揮したディスクロージャーが可能になると考えております。
 個別銀行の例を申し上げて恐縮でございますが、私ども第一勧業銀行は、創立以来毎年ディスクロージャーのための小冊子を発行しております。昨年十月の第九号では、貸借対照表や損益計算書のほか、資金運用につきましては業種別貸し出しや中小企業向け貸し出しあるいは住宅ローンを含めた個人向け貸し出しの推移等を明らかにし、私どもが経営理念をどのように具体化しているかを御理解いただけるようにと努力しております。
 大口信用供与規制につきましては、現在の行政指導が法に明定され名ことになりました。行政指導の根拠を法定することはまことに結構なことであります。ところで、現在行われております業態別の指導基準の差につきまして私ども業界の中では、厳しい限度を課せられている普通銀行とその他の業態の間で若干意見を異にしております。こうした問題点につきましても、健全性や資金の適正配分等の見地から、将来十分な御検討をいただきたいと存じます。
 お骨折りいただき法的障害が取り除かれた週休二日制をどのように実行に移していくか、あるいはこれは行政段階の話でございますが、私ども本邦銀行の海外現地法人の証券引受業務に関する当局のこれまでの指導をどのように国際的に標準的なものにしていくかなども、銀行法改正に関連する重要な問題であります。このような具体的問題を一つ一つ解決し、実績として積み重ねていくことがいま最も大切だと感じるのであります。
 さて、冒頭にも申し上げましたように、私ども銀行の仕事が社会に広く浸透すればするだけ厳しい社会の御批判を受けるようになってまいります。そうした御批判の背景には、私どもの努力の不足言あろうかと存じます。私は、ここでまず、お客様本位に、お客様の身になって考え行動することを改めて全役職員に徹底させることを申し上げたいと思います。
 お客様の利便のために、私どもは、現在機械化コーナーの高性能化や、台数の増加を図り、あるいは御依頼の事項に応じて受付の窓口を分け、最も短い待ち時間で済むような新しい店頭体制を採用するなどハード、ソフト両面の改善を進めております。
 新商品開発につきましては、銀行の努力が足りないとのおしかりをいただくのでありますが、私どもは常に開発の努力を怠ってはいないつもりでございます。この六月からは新たに期日指定定期預金を発売いたしますのもその一例であります。ただ、商品開発には少なからぬ制約があることをぜひとも御理解いただきたいのであります。すなわち、一つは、銀行は民間の私企業であり、独立採算でありますから、収支の基本を危うくするような条件で商品を提供することが困難であります。また、銀行の運用資金の源泉は大ぜいの国民の方々からの預金でありますから、回収の危検率が高いような内容の与信を行うことも不可能であります。さらに新商品の開発に当たりましては、実際上行政当局の御了解が必要であり、それには私どもの手の届かない阻害要因があることも御認識いただきたいところであります。もちろん私どもは、そうしたもろもろの制約の中で最大限の努力を今後とも続けてまいる所存でありますが、それとともに、真のディスクロージャーに努め、開かれた銀行をモットーに広く社会とのコミュニケーションを深めてまいりたいと考えております。
 最後に、わが国の金融制度や行政のあり方を国際的に比較してみますと、やや特殊の性格があるように思われるのであります。私は、一昨年秋から約一年半にわたり日米経済関係グループのメンバーとして米国側と話し合う機会を得たのでありますが、米国の金融人から見ますと、日本では各種金融機関を余りに細かく細分化し過ぎている。これは国際的なスタンダードからちょっとかけ離れた制度ではないかというのであります。日本の金融機関が国際的に活躍しようというのなら、こうした点を改善してつき合ってくるべきではないかと彼らは申すのであります。
 また、これは金融行政に限ったことではございませんが、日本の行政指導というものは外から見てきわめてわかりにくい仕組みになっており、常に行政当局と意思疎通を図っているというわけにはいかない外国企業、外国銀行にとってはまことに対応しにくいということも指摘されております。一九八〇年代の日本経済は、金融を含め一段と国際化、インターナショナライゼーションを進めていくと考えられますだけに、現在の日本の金融に関するこうした問題点を放置いたしますれば、日本の金融機関の国際的活動、ひいては日本経済全体の活力にも影響を及ぼすことになると愚考するのであります。
 このような観点からも、広く金融業務に従事するすべての機関、その中には郵便局を初めとする各種政府系金融機関並びにすべての民間金融機関が含まれると考えるのでありますが、そうした全金融機関を通して金融のあり方を検討する必要があるのではなかろうか。そうした全体の枠組みの中での銀行というものの位置づけを考えるべきときが来ているのではなかろうか。そうした感想をただいま私は持っているのでございます。
 いまや銀行は大きな転機に差しかかっております。資金の吸収面でも運用面でも、そのシェアは目立って落ち込んでおります。私どもは、社会に対する効果的な金融サービスの供給を旨として、積極的でかつ効率的な経営の定着に腐心しておりますが、銀行法改正につきまして私どもの考えにも御理解をいただき、十分な御審議をお願い申し上げる次第でございます。
 本日は大変ありがとうございました。
#7
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。
 次に、北裏参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(北裏喜一郎君) 本委員会におきまして、四法案の御審議を進めるに当たりまして、皆様方各位非常に御熱心に御審議いただいていることに対して、お礼がたがた非常に高く評価いたして御尊敬申し上げております。と同時に、こういう機会に私ども証券業協会の意見を申し述べよということでございまして、非常に厚く感謝いたします。
 それでは、特に銀行等の行う公共債の証券業務に関してのみ意見を申し上げて御参考に供したいと思います。
 御承知のとおり、証券界といたしましては、今回の銀行法の改正に際しましては、銀行法上公共債に関する証券業務を明記することは非常に反対でございまして、絶対反対の意見を主張してまいりましたが、私ども証券界がこのような主張をしてまいりました根拠は、すでに皆様御承知のとおり、第一には、国債の個人消化と申しますのは、現状におきましては着実に進行いたしておるということであります。
 第二は、銀行が証券業務に進出するということは、お客様にとりましては公正な取引あるいは価格形成の両面におきましていろいろの弊害をもたらすおそれがあると、こう思ったからであります。
 第三には、銀行が公共債をお取り扱いになるということは、これを主要業務といたしております証券会社にとりましては重大な経営上の影響を及ぼすということでありました。
 第四には、御承知のとおり、間接金融を上位といたしまするわが国の体制が十分金融界では確立されておりますので、国民経済的な観点からしましても、銀行が証券業務を行う必要性も、また必然性も認められないということでございました。
 私どもは、このような主なる理由から、銀行の窓口販売、ディーリング等につきましては基本的に反対してきたのでありますけれども、昨年末大蔵省当局からいわゆる三原則という考え方が提示されましたのでございます。その三原則と申しますのは、銀行法上、公共債業務に限定して明記するということでございます。第二番目は、証券取引法上認可を必要とする。それから第三番目は、銀行の証券業務を法制化いたしましても、明記いたしましても、直ちに認可しないというものでございました。私ども証券界といたしましては、この三原則が証券取引審議会及び金融制度調査会の答申を踏まえまして、大蔵省当局におきましても十分なる御検討を経て出されたものでございますから、いたずらに自己の主張のみに拘泥することは許されないものと判断いたしまして、証券界にはなお強い強い異論がございましたが、まずは三原則による法制整備が図られることにつきまして、ぎりぎり、これまたやむを得ざる線と考えまして、受け入れることにいたしました。
 このような意味から、今回の法改正につきましては、三原則の精神が今後も引き続き維持されるという前提のもとに、また、今回の法改正はあくまでも法制整備の一環として行われるものであるという理解のもとに、私どもといたしましてはこれに原則として賛成するのでございます。したがいまして、銀行法、改正証券取引法の具体的な運用につきましては、今後の問題として残されているものと了承いたしております。
 つきましては、今後の法律運用に関しましては証券界といたしまして要望事項を申し上げたいと存じますので、何とぞ御理解賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 まず最初に申し上げたいのは、今後窓販問題について御検討される際には、この問題の背景となっております国債の発行、消化が今後どうなっていくか、この点を十分御配慮願いたいと思います。御承知のとおり御当局より、大蔵省より明らかにされておりまする「財政の中期展望」等の資料に基づきますのでございますが、幾つかの前提を置いて試算いたしますと、今後の国債発行は漸減するという見通してございまして、また、これにより国債の消化負担も相当に軽減されると見込まれておるのでございます。すなわち、「財政の中期展望」等によりますと、新規国債の発行額は、今年度は十二兆円でございますが、昭和六十年になりますと七兆円弱と相なりまして、減少することになっております。一方、六十年度からは借換債の発行が本格化いたしまして、これが大きな問題になっていることは事実であります。しかし御承知のとおり、借換債というのは、本来市中から新たな資金を吸収するのではございません。また、同じく六十年度から大量の赤字国債――特例国債の償還が始まりますが、これまた償還資金は市中に還元されまして、国債に振り向けることも可能でございます。
 このような諸種の事情を考えますと、今後の個人消化というものは、金融資産の増加がほぼ推測いたしますと年間四十億ぐらいでございますが、郵貯資金の活用等の道もございますので、これを加えて考えますと、国債の発行条件が市場実勢と著しく離れぬ限りは、適切に決定されます限りは、大きく見まして私は今後の国債の市中消化は相当余裕を持って行われるものだと信じております。
 第二に申し上げたいことは、私ども証券界は、これまで国債の個人消化促進に鋭意努力してまいりましたが、今後も従来に増して努力を重ねまして、業界を挙げて万全の態勢をとってまいりたいと考えております。
 御参考までに申し上げますと、昨五十五年度につきましては、私ども証券界といたしましては、国債の市中消化額約十兆のうち三八%に相当いたします三兆九千億を取り扱っております。また、国債の大量発行が始まった五十年度からの通算でも、平均市中消化は二四%でございまして、これを考えますと、昭和四十一年の国債発行以来、人的にも資金的にも公社債部門の充実に努めてまいりました結果にほかならないのでありまして、しかも、こうした公社債部門の充実の動きは、当初は大手でございましたが、いまや二百五十五社ございますが、全部証券会社挙げての動きとなっております。私どもは、御承知のとおり、大量国債が発行されて以来三、四年でございますが、その受け入れ機関といたしましてさらに今後体制を整えまして、万全の消化体制をしきたいと存じております。
 ここで、あえて付言さしていただきますれば、私は、国債の個人保有は、本来金融資産の増加に応じまして徐々に増加していくことが望ましいと考えております。もともと私は、銀行が窓販を行いますとしましても、全体としてトータルとして個人の消化が増加するとは考えておりません。しかし仮に、これによりまして急激に個人消化が増加するということになりますと、その後の流通市場を預かっておりまするわれわれとしましては、価格形成において非常に好ましからざる影響が生ずることがあり得ると思うのであります。そのことを実は心痛しているのでございます。
 第三に申し上げたいことは、これまで申し上げてまいりましたことを踏まえまして考えますと、窓販等の実施時期につきましては、いまこの段階では云々するだけの客観情勢はあるとは存じておりません。
 しかるに、法案が国会に提出される前から、新聞などで巷間、実施時期が決定しているかのごとく伝えられますのははなはだ遺憾でございます。まして、五十九年から実施を予定されておりまするグリーンカード制度とのかかわり合いから、窓販の実施時期を云々する向きがございますが、もしそれが事実であるとするならば、これは本末転倒した意見であると思います。その意味におきましては、実施の時期等御検討につきましては、今後の国債の発行の推移、その中の国債消化の状況一時に個人消化の状況等、客観情勢に慎重な御配慮を願いたいのでございます。
 最後に、今回の法改正が意味していることはどこにあるかと申し上げますと、私どもの考え方を率直に申し上げますと、その一つのポイントは、銀行の営み得る証券業務が公共債に限って、証券取引法上の認可業務として明記されたことであります。
 一部には、証券取引法上の認可を受けないでもできる証券業務の範囲はどこまでかという細かい議論もあるように聞いておりますが、しかしながら、今回の法改正の趣旨に照らしまして考えますれば、おのずから結論は明らかでございます。改正法の施行後におきましては、法の趣旨に従いまして厳正な運用をされ、いやしくも法の趣旨がゆがめられることのないように十分な御配慮をお願いしたいのでございます。
 次のポイントは、過去五十年続きました銀行、証券のそれぞれの分離主義というものが依然として貫かれておるということでございます。
 今回の法改正に当たりましては、銀行が認可を受けて営むことができる証券業務が公共債に限定されたことは、あくまでも兼業主義による弊害を避けようとする御判断によるものと存じます。資本市場の健全な発展を図っていくという見地から、この点につきましては、今後とも明確に一線を画していかれますようによろしくお願いする次第でございます。
 以上、今回の法改正につきまして私どもの考え方を申し述べた次第でございますが、申すまでもなく、銀行と証券は資本市場におきましておのおのその機能を十分に発揮することによりまして、民間経済の適切な運営に寄与することが期待されることは、先ほどの銀行協会長と同じ意見でございます。
 先生方におかれましても、今後とも政策の決定に当たりましてはこの点を十分御配慮くださいますようにお願いする次第でございます。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。
 次に、小原参考人にお願いいたします。
#10
○参考人(小原鐵五郎君) 私、御紹介をいただきました全国信用金庫協会と全国信用金庫連合会の会長を兼務いたしておりまする小原でございます。
 私ども信用金庫の運営につきましては、諸先生方には日ごろから格別の御指導、御高配を賜っているのでございまして、本席をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日は、本委員会で御審議中の銀行法案、中小企業金融制度等の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律案、証券取引法の一部を改正する法律案及び銀行法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について意見を述べるようにとのことでございますが、せっかくの機会でもございまするので、信用金庫の現状と法律改正に関する私どもの考え方を簡単に申し述べさせていただきたいと存じます。
 御高承のとおり、信用金庫は昭和二十六年信用金庫法に基づいて設立されました中小企業や勤労者など国民大衆を対象とする会員組織の地域金融機関でございまして、発足以来本年で三十年を迎えましたが、この間、昭和四十三年、四十八年の二度にわたる法律改正により、経済の進展に即応するよう信用金庫の機能の整備拡充を図っていただいたわけでございますが、おかげさまで、今日では中小企業並びに国民大衆の金融機関として重要な役割りを果たすまでに成長することができましたことは、ひとえに諸先生方の御理解のたまものと深く感謝申し上げる次第でございます。
 現在、信用金庫は全国に四百六十一金庫、本支店を含めた店舗は五千六百余店を数え、その預金量は三十四兆円、貸出額も二十六兆円を超え、中小企業への貸出金は政府系金融機関を含めた全金融機関の中で約一九%のシェアを占めている状況にあり、またその出資会員数は五百六十六万人に達する実情でありまして、わが国金融機構の中で確固とした地歩を築くまでに成長してまいりましたが、さらに中小企業の健全な発展、豊かな国民生活の実現、地域社会繁栄への協力という三つのビジョンの実現を目指して鋭意努力しているところでございます。
 この意味におきまして、今後も中小企業金融の円滑化を図り、わが国経済の均衡ある発展に寄与できるよう経済、金融の実態に即した信用金庫の機能整備に係る今回の法律改正案につきましては、ぜひともその実現をお願いいたしたいわけでありますが、これに関連して幾つかの意見を申し述べさせていただきます。
 まず、信用金庫の機能拡充につきましては、第一に外国為替業務の取り扱いの問題であります。
 現在、信用金庫が取り扱い得る為替業務は内国為替に限られております。しかし、近年わが国経済の国際化の著しい進展に伴い、信用金庫の主要取引先である中小企業の貿易取引への進出は目覚ましく、また海外渡航者数も逐年増加し、このような状況を反映して地域の中小企業等からの信用金庫に対する外国為替業務取り扱いの要望は日増しに高まっている現状でございます。
 このような実情から、信用金庫の取引先である中小企業等の要望に適切にこたえていけるようぜひとも実態に即した制度の改正をお願いいたしたいのであります。
 第二は、信用金庫の融資対象となる法人会員資格の問題であります。
 現在、信用金庫の法人会員の資格基準につきましては、従業員基準と資本金基準が法律で定められておりまするが、そのうち資本金基準については経済の進展に即応した弾力的な処置が可能となるよう、これが政令への委譲についてお願いいたしたいわけでございます。中小企業の資本金規模は経済情勢の推移や経営環境の変化等に応じて逐次拡大しており、このような資本金規模の拡大の実態に弾力的に対応し、これらの中小企業を引き続き会員として取引を継続させ、その金融の円滑化を確保することは、国民経済的にもきわめて重要なことと存ずるのであります。また同時に、現行の資本金基準二億円は昭和四十八年七月に設定されたもので、すでに八年の長期間を経過しているのでありまして、この間中小企業の資本金規模の拡大等に照らし、これを四億円に引き上げていただきたいと存ずる次第でございます。
 第三は、各種公庫、公団等の資金の取り扱いについての問題であります。
 現在、信用金庫は、政府関係公庫、公団等の業務について、その委託を受けて数多くの取り扱いをいたしておりまするが、これらの機関の余裕金の運用等その資金の取り扱いについては、当該公庫等の法律において銀行に限定されておる場合が多く、信用金庫は業務上の制約を受けているのが現状であります。信用金庫も他の金融機関に伍して、今日では遜色ない金融機関に成長しているわけでございまするので、これらの面について他の金融機関と同様、その取り扱い可能となるようぜひとも御配慮をお願いしたいと存じます。
 次に、全国信用金庫連合会の機能拡充に関する法律改正でございます。
 御高承のとおり、全国信用金庫連合会は、信用金庫の事業中央機関として信用金庫の事業の円滑な運営に資するため各種の事業を行っておりますが、信用金庫の機能補完の見地から、連合会に外国為替業務の取り扱いと各種公庫、公団の資金の取り扱いをお認めいただきたいのであります。外国為替業務について申し上げますと、信用金庫における取り扱いに当たっては、外国為替及び外国貿易管理法上の認可を要することとされておりますが、この認可基準に達しない信用金庫の会員についても全信連がこれを補完することにより、その利便に資してまいりたいという趣旨、また各種公庫、公団の資金の取り扱いについては、先ほど申し上げました信用金庫の場合と同様の理由から、これをお願いいたしたいと存ずるのであります。
 以上、今回提案されておりまする問題について簡単に私どもの意見を申し述べた次第でありますが、今次改正法案が皆様の御審議を経まして一日も早く成立することをお願いする次第であります。
 御清聴ありがとうございました。
#11
○委員長(中村太郎君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の陳述は終了いたしました。
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#12
○委員長(中村太郎君) 速記を起こして。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#13
○和田静夫君 まず佐々木会長にお願いをしますが、一九七九年六月に答申をされた「普通銀行のあり方と銀行制度の改正について」の基本的な考え方と申しますか、そのプリンシプルとは一体一言で言ってどういうものなのか。私の印象では、どうも金融の効率化、自由化という点に力が入っている。これまでのいわゆる護送船団方式といいますか、過保護行政とまあ世上言われてきた、そういうような現在の金融制度と、それを前提とした制度を市場原理に基づく自由化体制へと転換させる、そういうようなトーンが非常に強いのではないかと感ずるのですが、いかがですか。
#14
○参考人(佐々木直君) どうも基本的な点を一言でと言いましても、なかなかむずかしいのでありますけれども、先ほど御説明に申し上げました昭和二年の銀行法というものが金融機関の健全性ということに非常に大きな重点を置いておった。それがあの法律の長命であった一つの理由であると私は理解しております。そういう意味で、いまでも金融機関というものにある程度の護送船団式な思想が入ってくるのは、その健全性と申しますか、預金者に対する迷惑をかけないようにという配慮からこれは必要なことだと私は考えております。したがって、それを踏まえた上での効率化であり、競争であるというふうに感じておりますので、今度の銀行法がそういう、まあ近代化という言葉は当たりませんかもしれませんが、競争を中心としたあるいは効率一本やりの金融機関を是とする考え方で貫かれているとは思っておりません。
#15
○和田静夫君 答申を読ませていただきまして、効率化という概念と自由化という概念が等値をされている。効率化というのはイコール自由化である、こういう背景があるような気がいたしますが、ありませんか。
#16
○参考人(佐々木直君) 私はそうは考えておりません。
#17
○和田静夫君 まあ、われわれの読み方が悪いのかわかりませんが、自由競争というマーケットメカニズムを導入するということが非常にどうも強いように感じて、そうなってくると、一般の企業間のそれと金融機関のそれとは私はかなり異質なものだと考えますね。最近はケインズ政策が行き詰まるということもありまして、自由主義的な考え方が、たとえばマネタリストであるとか、サプライ・サイド・エコノミーとかという考え方の台頭が著しいわけでしょう。しかし私が考えるには、自由主義といったところで、それが十九世紀のものに戻ってしまう、言ってみればアダム・スミスの世界に戻るなどというようなことはあり得ない。一般的な産業政策で言うと、チェンバリンの独占的競争理論だとか、クラークの有効競争の概念の導入によって適正な競争を保障する企業規模がそれなりに理論的に導かれると言えるように考えられますね。それに比べると、金融機関の有効競争というのは一体何なのかということになってきますと、論点は非常にむずかしいんだろうと、専門家の皆さん別として、私はそういうふうに思う。特に温室状況にあると言われる日本の金融システムの中では、どういう競争が現実に適正なのかあるいは適確なのか、きわめてむずかしい問題と思われるわけですね。そのあたりの議論というのは調査会ではどういうふうに展開をされたんでしょうか。
#18
○参考人(佐々木直君) 日本の自由主義経済というものが競争に支えられているという事実は、これは無視はできないと思います。しかしながら、いまも御指摘がありましたように、金融機関というものにはそれの特殊性がございますので、一般の企業とは競争といっても内容が変わってくるところがもちろんあると思います。したがいまして、今度の答申の中で競争あるいは自由化という、そういう問題がいろいろ取り上げられておりますけれども、基本的に金融機関の特殊性を考えた措置が絶えず必要であるということは、これは調査会の討議の中でずっと一本貫かれた筋であるというふうに思います。ただ、競争そのもの等につきまして深い議論といいますか、そういう経済の本質にどういうかかわり合いを持つかといったような議論はそうはなかったように記憶しております。
#19
○和田静夫君 この答申を読ませていただいて、どうも大きいことはいいことだといった大規模化のメリットといいますか、その辺の強調が非常に強くて、そしてデメリットの部分というのが非常に弱い、これは私の感じですが。たとえば、金融機関の適切な合併による規模の拡大に関して四点を挙げていますね。そしてこの四つの効果が考えられ、「経営の効率化、安定化及びより適切な金融サービスの提供等に資する面が多いと考える。」というふうに述べられているわけです。答申はそういうふうに、いま引用した個所の後段で、規模の拡大の限界、寡占への配慮などを指摘をされているわけです。ここのこの叙述というのは、合併の勧め、合併をお勧めいたしますというふうに読まれて仕方がないんですがね、そういうことはありませんか。
#20
○参考人(佐々木直君) このときの議論を思い出しますと、業者の間で合併の希望があればそれは前向きで認めてやった方がいいんではないかという考え方であったと思います。ただしかし、その合併を認めてやるときに、合併にはこういうマイナスの問題もあるから、そのマイナスというのは十分考慮しなければいけない、こういう答申の書き方になっておると思うのでありまして、調査会のあれでも合併がそうそう、何といいますか万能薬であるというような考え方はなくて、大きなものの合併にはどうもやってみると後でなかなかむずかしい問題が起こってくるといったような議論もずいぶんあったように思います。
#21
○和田静夫君 法律案の論議のときにいろいろやらせていただく参考に御意見を承っているわけですが、金融機関の同質化という現象は、これは事実として認められるわけですが、この現象は一体どういうようなことで生じているのだろうかということを考えますと、どうも私は都銀のデパート化といいますか、あるいは機能の拡大、そういうところに一つはあるとは思いますが、それが唯一の理由ではないにしても、一番大きな理由であるようには思われるわけですね。会長はそういうふうにお考えでしょうか。
#22
○参考人(佐々木直君) いまの同質化は外国でも非常に進んでいると思うのでございまして、ですから外国のそういうものが進んでおる原因がどういうところから来ておるかということについて、特に外銀について私調べたことはございませんが、ただ、日本の国内における同質化は、ただいまの御指摘のように都銀のそういうビヘービアも一つの原因かもしれませんが、私がいろいろ皆様のお話を伺って感じましたことは、日本の人たちの勉強熱心といいますか、できるだけいろんな仕事に積極的に出ていきたいという気持ちが各種金融機関の方におありだと。だから今度の中小企業金融機関の整備につきましての法律でもございますけれども、どんどんやっぱり普通の金融機関、銀行などのやっている仕事にだんだん広がっていくという傾向はございますが、それはやはり自分たちの仕事を伸ばしていきたいという積極的な気持ちから出てくるものだというふうに私は理解しておりました。
#23
○和田静夫君 いわゆる都銀の機能の拡大というのは、一言で言えば大企業の銀行離れというスタグフレーション下のビベービアによる。それはそうでしょうかね、そうだったんでしょうかね。
#24
○参考人(佐々木直君) どうもこの調査会の審議が進んでおりました間は、都銀の総預金の中での相対的な地位の低下はございましたけれども、企業の銀行離れという問題はまだその頭が出たという時期でございまして、この調査会の議論の中でいま申し上げたような点が特に大きく出てくるというところまでは行っておりませんでした。
#25
○和田静夫君 金利の自由化は、まあ大勢としては乱そういう方向に向けられるべきだとは思うんですが、金利の自由化を阻む理由といいますかね、そういう理由としては一体何が考えられましょうか。
#26
○参考人(佐々木直君) これは私、どこまで御説明申し上げる資格があるかどうか問題だと思いますけれども、金利の自由化にはやはり限界が私はあると思います。たとえば貯蓄性の預金の金利などにつきましては、自由化を考えますときにやっぱり特別なものとして考慮すべきだと思うんですが、ただ一般の企業、普通の企業が発行しますたとえば社債の条件とか、そういうようなものはどんどん自由化を進めるべきでありまして、それぞれその自由化を進めるが当然の分野と別扱いにしなければならぬ分野と、やはり分けて考えなければならぬ問題だと思っております。
#27
○和田静夫君 そうしますと、この金利の自由化を進めるにしても、小さな小口預金者の保護といいますかね、そういう観点は私は残すべきだろうと強く考えますが、それはいかがですか。
#28
○参考人(佐々木直君) ちょっといまの御質問の趣旨がよくわかりませんでしたけれども。
#29
○和田静夫君 小口の預金者の保護という観点は残すべきだろうというふうに考えますがね。
#30
○参考人(佐々木直君) 先ほど私、貯蓄性の預金については別に考えなければいかぬというふうに申し上げましたが、それはそういう趣旨で、おっしゃいましたような趣旨でございます。
#31
○和田静夫君 そうしますと、たとえばこの文章の中に「複利預金等の金利・条件については、預金者にできるだけ有利な金融資産を提供していくという見地からも、民間金融機関として可能な限り流動性と収益性の両面において国民のニーズに即したものとすることが望ましい。」、こうされていますね。これは複利預金以外の庶民預金も含むというふうに考えておいてよいわけですね、ここのところは。
#32
○参考人(佐々木直君) その記載がございますときの議論から申し上げますと、先ほど村本参考人が新しい預金の紹介をなさいましたけれども、かねがね郵便貯金との比較等から言いまして銀行の預金の種類にもう少し新しい工夫が要るんじゃないかというような意見もございまして、それがいまの答申の中の結果として出ておるわけでございますが、ただそのまた背後には、もちろん貯蓄性の預金にはできるだけ条件のいい商品を提供するという考え方が入っておることは私も記憶いたしております。
#33
○和田静夫君 またこの「流動性と収益性」そして「国民のニーズ」という言葉がこういう形で出てくるわけですが、ある場合には、この国民のニーズと金融機関としての収益性、流動性とは対立する可能性があるのではないだろうか。この辺の兼ね合いはどういうふうにとらえておいたらいいんですか。
#34
○参考人(佐々木直君) その点は御指摘のとおり非常にむずかしいところで、恐らく銀行の経営者が今後金融の大衆化が進みます中で一番頭を悩まされる問題だと思います。これをこの段階で抽象的に、これはこう、あれはああというふうに決めることはほとんどできないむずかしい問題ではないかと思います。
#35
○和田静夫君 全銀協の立場ではどうお考えになりますか、いまの同じ質問です。
#36
○参考人(村本周三君) ただいま先生の御質問のとおり、銀行側から見た流動性と収益性という、いわばオファーできるものがございます。これに対して預金者の方からは、自分のいわば預金が流動性と収益性がどういうふうになるか求められた、いわゆるビッドとオファードと、そういう両方のいわば一つのバーゲンがありまして、そのぎりぎりのところで決まっていくと、かように考えております。
#37
○和田静夫君 それに関連しまして佐々木会長、いま大問題になっている郵貯と預金とのイコールフッティング論が展開されているわけですけれども、これはここでいうところの(イ)項の国民のニーズ論を踏まえて出されてきていると考えてよいわけだろうと思いますが、そう考えておいてよろしいでしょうか。
#38
○参考人(佐々木直君) 郵貯と一般の民間金融機関の預金との間の問題というのは、実にいろんな基本的な問題を含んでおりまして、金融制度調査会の答申の中でも、この両方をより高い見地から見て検討する機関といいますか、組織が必要じゃないかというような言葉を中に入れております。したがって、郵便貯金と銀行預金とただ単純に比較して、この条件がこうだとかあの条件がこうだといったような比較は非常にむずかしいし、また軽々にやるべきではないんじゃないかというふうに思います。
#39
○和田静夫君 これは村本参考人にお聞きするんですが、率直に言って、庶民感情としまして、銀行に対しましてはいんぎん無礼であるとか、あるいは預けるときはえびす顔ですけれども借りるときは渋い顔とか、閻魔顔だとかいろいろ世上言われているわけです。そういう国民的な感情があることは間違いがありません。
 それに対して、郵便局というのはふだん着て、げた履きでとことこ行くことができると、あるいは郵便局長とは隣組的な感覚でつき合えると。そういう感覚なものだから郵便局長が自由民主党の票を全国区で集めるのは一番強いと、こう言われているんですが、郵貯が急激にふえたという事実は、単に金利選好性が強まっただけではないというふうに私たちは思うわけですね。その点、全銀協は何か御反省がありますか。
#40
○参考人(村本周三君) ただいま先生御指摘の、銀行はいんぎん無礼であるという御指摘に対しましては、私、公述の中でも申し上げましたように、そういう非難があることは承知しております。
 そういう非難が起きることはまことに残念なことであると考え、私どもよく、私たちの全支店に対しても、その地域のコミュニティーバンクになるようにということを申しておりまして、そういう意味で郵便局と同じような地域性、隣組のような親しさを持つようにということを常々申しておるわけでございますが、そういう非難が幾らかでもあるとすれば、われわれはこの上ともえりを正していかなければならないと考えております。
 ただ昨年来、銀行預金に対して郵便貯金が大変ふえたのは、そういう反省はどうだというふうにおっしゃいますと、いわば郵便局がそういうふうな大変庶民的にやってこられたということは、これは明治の初めからそういうふうであったわけでありますから、まあ去年急にふえたというのはそういう差だけではなしに、まあ税制だとか、そしてあのとき、これから金利が低下するというときに、いわば金利選好、長期にわたる金利選好が働いた、そういう二つの原因があったんだろうと理解をいたしております。
#41
○和田静夫君 次に、ディスクロージャーの問題にちょっと移りますが、ディスクロは金利の自由化、経営責任の明確化との見合いで導入されるということであるわけです。したがって、一方で金利の自由化などの監督行政が撤退、こういう状態というのは、ディスクロの拡大にならなきゃならぬ、そういう関係にいまあると思われるんですが、これは佐々木会長、村本会長、御両人から御意見承りたいんですが、いかがでしょう。
#42
○参考人(佐々木直君) 金利の自由化の問題と関連してディスクロージャーをどういうふうにやるかという御質問の趣旨でありますでしょうか。ちょっと……
#43
○和田静夫君 金利の自由化という、いわゆる監督行政のわれわれから見れば撤退ですね、それは一方ではディスクロの拡大という関係にあるだろうと思うんですが、そういう関係にあるというふうに私は理解をいたしますが、そういうふうに理解をして間違いでしょうか。
#44
○参考人(佐々木直君) ディスクロージャーというのはある事態と中心ますか、金融機関のいまやっていること自身の説明でございます。それで、金利の自由化が進んでいき、それで要するに金利の決定についての行政の介入が減ってくるということは、ディスクロージャーの対象になる銀行の資産のあり方、そういうものに影響はあると思いますけれども、ディスクロージャー自身の範囲等については余り関係はないんじゃないかというふうに思います。ちょっと御質問に合っていないかもしれませんが。
#45
○和田静夫君 そうしますと、小委員会の意見ですが、おたくの小委員会の意見では、ディスクロージャーは義務規定的ですね。それから大蔵省の当初案でも、答申を受けてこれは義務規定でした。答申が出た段階で、前の徳田銀行局長などから具体的に説明を受けたときだってここのところが非常に強調されたところでして、特に私は、ずっと過去十二年間、大小金融機関のいろいろな問題をこの委員会や決算委員会、予算委員会でずっと取り上げ続けてきた関係もあって、ここのところを目玉にしながら大変いろいろ説明を受けてきたわけですね。そうすると、それが世に言われる百日戦争を経まして大幅に後退をしたことだけは間違いありません。そこの後退の部分が引っかかったかどうか知りませんけれども、与党内では今日まで銀行法案が出てこないぐらいの長い、それこそ初めて経験をしたぐらいの逐条審議までやられるような、いろいろな思惑があったんでしょうが、長い期間を経過をしているというようなことがあるわけですね。
 そうすると、私は、その意味ではここの部分は後退をしたと考えて当然ですが――当然であるかどうかは別として、われわれは考えますが、この義務規定扱いにされた、いわゆる佐々木会長が取り扱われたときのその根拠というのはどういうものであったのか、もう一遍ここで教えておいてください。
#46
○参考人(佐々木直君) ディスクロージャーの問題につきましては小委員会の席上で非常に議論がありましたところでございまして、金融機関に関係しておられる委員の方は現に自分たちがやっているんだと、それには銀行それぞれの性格に合った、また銀行が自分のそれぞれの独立した物の考え方に基づいて特色を出しているところに意味があるんで、これを一律に規制するということは反対だというような意見はずいぶん強く言われたわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたように金融制度調査会が諮問を受けましたときのあれから言いますと、たとえば目的規定の設置だとかそういったような銀行に対してはっきりした国の意思、国民の意思を反映させる規定をつくるべきだということでございましたので、そういうことを受けてディスクロージャーについての答申ができたわけでございます。ただ、重ねて申しますけれども、そういうものを現にやっておられる方からはいまさら法律でやられる必要はないということが非常に強く言われたことも事実でございまして、したがって、私先ほど申し上げましたように非常に時間のかかりました答申、それからまた答申が出てから二年間たちました。この間の世の中の移り変わりはこういうところにあらわれているんじゃないかというふうに私は考えておるわけでございます。
#47
○和田静夫君 その移り変わりは逆の意味であらわれてきたように私どもは考えているんですが、これは法律案の論議でやらしていただきますが、監督規定は佐々木会長などの努力で小委員会意見でも大変詳細に規定をされているわけです。私は監督規定を法文に明記するというのはこれは行政の恣意を避けるという上で当然の措置だと思います。そこのところが後退をしたことは大変けしからぬと思っているんですが、佐々木会長は、二年間の経緯云々のお話はわかりましたけれども、やっぱりここのところはもっと明文化すべきだとお思いになっていませんか。
#48
○参考人(佐々木直君) 確かに行政指導という名でやっておられることを根拠法規をすべてはっきりしろということは、私はいまのような銀行法のような性格の法律からいえば必要なことだと、そうあるべきことだと思います。そういう意味で、今度答申をいたしますときにそういう行政指導をできるだけ明文化したということは、いまでも私筋が通っていたと思います。
 たとえば大口の貸出規制などが今度明文化されたことはこれは非常によかったと思いますが、ただ非常に率直に申し上げますと、そういう趣旨で全部やってみますと、いかにも法律がたくさんずらずらっと監督規定が並んでしまいまして、逆に言えばそれだ竹行政指導が多かったということにもなるんだと思いますけれども、そういう余りに法文がずらっと並び過ぎたという感じは禁じ得なかった点があったかと思います。そういう意味で、私はある程度今度のそういう監督規定についての整理が行われたということがわからないで名ないんですけれども、筋としてはやはりそういう監督規定はできるだけはっきりした方がいいとは思っております。
#49
○和田静夫君 そこのところはどうも同意見のようですね。私はディスクロージャーが後退したということは、ほかの皆さんも聞いていらっしゃるから言っておきたいんですが、監督規定を復活させるということに通ずる問題だと私は考えているわけです。ここは法律案の論争にしたいと思っております。
 百日戦争は、村本参考人、北裏参考人にお聞きをしたいんですが、両協会ともども不満を残しつつ矛をおさめたというのが一般的な報道です。そういう理解でいいんだろうと思うんですが、世間の風評というのはそういうふうになっていますね。現在の両業界の考え方は先ほど述べられましたからあれですが、今後行政に望まれるものというものがもしあれば率直にこの機会にお聞かせください。
#50
○参考人(村本周三君) 和田先生の御質問にお答え申し上げます。
 先ほど北裏参考人から詳細両方不満を残したことについて、証券側の不満の考え方がございましたので、そのことに簡単に触れて、だからこういうふうに行政やっていただきたいというふうに申し上げたいと思います。
 先ほどいろいろお話しございましたが、銀行側ではこの問題はやっぱり二つの観点から考えて銀行の社会的責任というふうに考えるべきだと思います。
 第一の観点は、国民のニーズにいかにこたえるかということであろうと思います。先ほど北裏参考人がおっしゃいましたように、年間四十億円の金融資産がふえると申されましたが、私は四十兆円であろうと思いますが、四十兆円も年間国民の金融資産がふえていくというような世の中になり、したがいまして、一世帯あたりの金融資産も五百万円とか何とかいうような金額になりますと非常に個人の間に金利選好が働いてくると同時に、また、流動性その他の問題を入れまして個人の金融資産を多様化したいという要求が出てくることも事実だと思います。その多様化そしてまた、長期的に投資できる資産を投資する対象として国債はきわめて適当なものでございますから、国民のこういった金融的ニーズにこたえるために、金融資産保持上のニーズにこたえるために銀行側が窓販に参加することは、何と申しましても取り扱いの店舗がぐんとふえることでございますから、国民には大変便利であろうというのが第一の観点かと思います。
 第二の観点は、財政との関連でございます。先ほど北裏参考人から昭和六十年には国債の新規発行額は大分減るような見通しになっておるから、証券界だけで個人投資の消化は十分だという御見解の表明がございました。これについては、実際に六十年度にどれだけの新規の国債が必要であるかということについては、現在議論してもまあ水かけ論に終わる面があろうかと思います。ただ、六十年度から非常に借換国債がふえてくることはこれは厳然たる事実であります。そういうことを考えますと、これはいずれ歴史が証明してくれることだと思いますが、私どもは証券界が十分おやりになっていただかなくてはならぬけれども、しかし、乱本の財政全体として望ましい個人消化が十分にできるためには、銀行、証券相携えて窓販に当たる方がいいのではなかろうか、そういうふうな財政の必要に応ずる面、この二つを非常に重要な柱と考えております。そういった二つの柱を満足させるということが銀行の社会的責任を全うするということであるならばぜひその方向に進みたい。
 したがいまして、現在われわれが行政当局にお望み申し上げたいことは、この昭和六十年度というような年を一つの目標として、それまでに各金融機関が新しい制度になじみ、トレーニングをして六十年度には国債の大量の個人消化が可能になるように、そういうふうにいまから準備をしていただきたいということであります。銀行が取り扱うからといって全体の個人消化の量は大してふえないんだという御意見もございましたが、私どもはかなりふえると思っておりますし、ふえるふえないよりも国民に便利を与えたい、さような意味合いから、私どもは行政当局に対して、この法律ができました上は一日も早くその実施について細部の規定をつくっていただき、一日も早く御認可をいただいてわれわれも準備をし、市場に参入をさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。
#51
○和田静夫君 北裏参考人もうちょっと、もう一問やってからにしてください。
 その間にちょっと佐々木会長にもう一言だけお願いしたいんですが、言ってみればこの両業界とも不満を残した、こういう事態を招いたことの一つには、答申そのものが十分審議を尽くさなかったところに問題があるのじゃないかという指摘が、銀行局長経験者であり大蔵事務次官経験者である石野さんから論文があるわけですが、読みました。実際、答申では両論併記の上、その調整については行政当局に結果的にはどうもげたを預けたようなかっこうになっています。こういうような石野太陽神戸の会長の指摘について何かコメントがございますか。
#52
○参考人(佐々木直君) 御承知のように、いまの銀行法では銀行の窓販についての明文が何にもないわけです。しかし、いろいろなほかのものの決め方からいって、筋としてはできるはずだということになっておって、ただ、まだ現実にはそれが行われておらない、そういう事態でございます。答申にはそういうような事態を踏まえまして、「銀行が、その店舗網を活用して新発公共債の募集取扱い及びそれに関連する業務を行うことが有益であり」というふうにはっきり言っておるわけです。ところが、この小委員会の中には証券業の代表も入っておられますから、それから非常に文句が出まして、それで答申には「なお、」というなお書きで少数意見を併記してあるわけです。
 それで、御承知のように、大蔵省の諮問機関には金融制度調査会のほかに証券取引審議会がございまして、そこでもこの問題を証券側のまた立場から検討しておられるという事実を私どもはこの検討の最中に承知しておったわけです。ですから、大蔵省の二つの審議会がそれぞれ余り正面から衝突するような答申を出すのもどうかというようなわれわれの配慮もございまして、そういう点がまだ進行中であるから、こういう一応小委員会での皆さんの御意見は御披露する、この答申の中には入れるけれども、これを最終的に取りまとめるのはやはり行政当局に任せる方がよろしいということで、こういう段取りにしたわけでございます。したがって、お話しのように、答申で一本にまとめることができればもっとよかったという自分で反省は持っております。
#53
○和田静夫君 そこで北裏会長、銀行の公共債の売買について伊東光晴金融問題研究会座長がこういうような意見を述べておるんですね。「国債の銀行窓販は、結果においては、証券会社のためでもある」、それから「銀行が国債あるいは地方債の窓口販売をやれば、証券会社のサービスは向上する。いままでの”株屋”というイメージとは異なるものになるだろう。」あるいは「一時的に銀行に食われることはある。だが長期的には証券会社の仕事の拡大になるだろう。なぜならいまの日本は銀行預金のウエートが高すぎるのだから。」、こういうように「金融財政事情」の中で伊東光晴千葉大教授は述べておるわけです。
 私は、これはかなり客観的な、意見としては正しい部分が多いと思うんですが、先ほどの質問と兼ね合わせて答えてください。
#54
○参考人(北裏喜一郎君) 私は、まず冒頭に訂正させてもらいますのは、偶人金融資産額が、村本参考人がいま言われましたように、億でなくて兆でございます。四十兆と申したつもりでおりましたが、四十億ということならば間違いでございます。
 私は業界として、銀行の窓販をやりましてもトータルとしてそうふえないだろうという趣旨を申しましたが、仮にふえるといいましても、主に店頭のマル優あるいはマル特というものになりますと、これが極端な場合四割も五割も六割もふえていけぱいいというものではありません。われわれは、証券会社は消化面だけではなくて後のアフターマーケットの価格形成に非常に役割りを演じておるわけでございまして、多々ますます個人消化がふえればいいというものではないと私は思っているんです。これは証券会社だけでやりましても同じであります。ましてや、窓口が多い銀行がやるということは、いま申されたとおり、非常に厚みが増すという点ではわからぬことではございませんけれども、ますます個人消化が進むという見解一本やりで言われていることついては反対でございます。将来ともせいぜい、私どもは極端な例を言いますと七割、八割も個人消化しては危い、むしろ平均三割ぐらいがいいんじゃないかと思っておるんでありますけれども、その点は多少意見の違いがございます。
 それから、六十年代になりまして国債の発行額が多くなるという場合に、銀行と両方やるということでございますけれども、これは私は冒頭、陳述で申し上げましたことは、特例公債の消化額それから借りかえというのは、大きく見て新規の資金の需要ではないということを申し上げたのでございます。よろしゅうございますか。
#55
○和田静夫君 効率化行政が金融再編成を引き起こすのではないかという論点にちょっと戻るんですが、小原会長に中小企業金融の専門家としてちょっと見解を承りますが、今度の答申及び銀行関係法に明確な中小企業政策がないのではないかという指摘があるんですよ。これはどういうふうにお考えになっていますか。
#56
○参考人(小原鐵五郎君) ただいまのお尋ねの問題ですが、私ども中小企業の金融機関といたしましていろいろと言われておりますけれども、銀行さんが今度上からだんだんに中小企業の方へおりてくるという面もございます。ありまするけれども、私ども大きな銀行さんが下の方へ下がってきましても、中小企業の中に大中小がございます。犬と申しますか、中小企業の一番上の規模の大きな方は銀行さんがおりてこられると思いますけれども、つまり中小企業の中、零細企業といったようなところまではおりてこられないんじゃないか。これはわれわれが担当すべき面であって、そこらは技術的におりてこられないんじゃないか。こういうふうに思っておりまして、特別に金融制度調査会でもそういったような問題はなかったというふうに考えております。
#57
○和田静夫君 佐々木会長にもう一遍戻りますが、中小金融機関のあり方の答申の第二章第二ですが、そこで「今後の中小企業金融の供給構造」云々とあって、そして「各金融機関にあっては、銀行をも含めて相互に適正な競争を行い、金融の効率化を図っていくような仕組みが適当である。」こういうようにされているのですが、これは具体的にどういうことをイメージしたらいいんですかね。
#58
○参考人(佐々木直君) 具体的にと申しまして、結局、中小企業金融というものにつきまして先ほどもちょっと御指摘もありましたけれども、特に中小企業とは何ぞやといったような点についての一応の検討はわれわれいたしましたけれども、そうここで、新しい時点に立って新しい見方を中小企業に対して持つ、それに基づいて中小企業金融を考えるというようなことではあのときはなかったように思いまして、その点は、いま考えますと、多少掘り下げ方に不十分な点が残っておったかと思います。
#59
○和田静夫君 もう一問ですが、この効率化の内容もそれぞれの専門別といいますか、専門性といいますか、そういうものを持つ金融機関によって異なるという指摘があるわけですが、これは佐々木会長並びに小原会長、どういうふうなお考えでしょうか。
#60
○参考人(佐々木直君) それでは私からまず。
 それは中小企業金融専門機関には、たとえば小原さんのところのような信用金庫という非常に独特な活動範囲を持っておられるところもございます。それから労働金庫がありますし、それから相互銀行はまた普通銀行と非常に近い形を持っております。そういうように中小企業金融専門機関のあり方は、一般の普通銀行を論ずるときのように一般的な理論の仕方ができない、そういう趣旨であったかと思うんです。
#61
○参考人(小原鐵五郎君) 金融の効率化ということは、私は効率化とは何ぞやというふうに反間するわけなんです。
 と申しますことは、金融の効率化と申しますと、大きな銀行さんにたくさん金が集まって大企業にその資金が流れていくということが何か金融の効率化のような常識があります。けれども私は、それでなくして、国民経済的に見て、たとえ中零細企業であっても、適切な金がわれわれ小さな金融機関にも集まり、その金が適切に国民経済的に非常に役に立つ方面へ流れていくことが効率化じゃないか、こう思っておりまして、ただ単に大きなところへ金が集まり、大きなところへ金が行くことだけが効率化ということはちょっとナンセンスだというふうに私どもいつも申し上はておりまして、やはり大きなところは大きなところなりに、いま申し上げました国の経済のためとか、日本の産業のためになる金をそこへ持っていくならば効率化かもしれません。けれども、それでないようなところへ持っていったとするならばこれは効率化ではないんじゃないかというふうに思いまして、これは大きい、小さいというようなことでは考えてないのが私どもの考え方でございます。
#62
○和田静夫君 二、三問、ちょっと時間がなくなりましたから小原会長にまとめてお尋ねをいたしますが、一つは先ほど公述にございました外為業務の問題です。
 中小金融機関として外為が必要でないということは言えない、私もそう思っています。現に、玩具だとか衣料などの地場産業を抱える信金では外為を取り扱っているというふうにたくさん聞かされてきましたし、これが現行ではどのように処理をされているかということをひとつお聞きしたいわけですね。
 それから、そういう状態では不自由だというふうに当然お考えなんでしょうが、そういうふうにお考えになっているのか、あるいは外為はリスクが大きいと思われるわけですね。これは後で村本参考人にもお答え願えれば幸いだと思うんですが、大手都銀などでも私は外為のリスクの問題を考えるとかなり慎重に取り扱われるべきだというふうに思いますので、その点はどういうふうにお考えになっているか。
 それから小原会長、先ほどもお話がありましたが、全信連で一括して外為を取り扱うべきという意見ですが、それをもうちょっと具体的に、理論的に教えていただければ幸いだと思うんです。
#63
○参考人(小原鐵五郎君) お答え申し上げます。
 ただいまの、これから外為がやれるようになりまするためにはもう二年くらい前から――信用金庫は御案内のように、先ほど申し上げましたように、非常に中零細企業の方からも、信用金庫が各地区でひとつ外為をやってくれという要請がございます。そういったような面からいたしまして、いまお話のありましたように非常に仕事もむずかしいですから、これにつきましては先進の都市銀行さんなり外為を専門にやっておりまする銀行さんの方々に来ていただいて、いろいろと各金庫でもってトレーニングをしておるというのが現在でございます。
 それからまた、全国の信用金庫協会なり連合会におきましても、全国の信用金庫の担当の人たちを集めまして一生懸命勉強しておりまして、もしこれが御認可いただけるようになりますれば、そのときにひとつ事故の起こらないようにいまから注意をしておるというのが現状でございます。
 なお、この問題につきましては、非常に外為もむずかしいですから、これはわれわれとしましても慎重に考えて、扱った以上間違いのないようにいたしたいと思ってます。
 現在、内国為替をわれわれがやっておりますけれども、内国為替はきょう村本さんも御出席ですが、銀行さんなんかと一緒にやっておりまするけれども、非常にわれわれの業界としましても間違いがなくやっております。外為につきましても間違いのないようにひとつやりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 それからもう一つ、連合会でやるのは、これはいま申し上げましたように直接外為のやれまする信用金庫は四百六十一の中で百三十一くらいは直接それがやれると思います。けれども、規模の小さな金庫がございます。こういう金庫では、自分のところの金庫だけではなかなか事務的にもいろいろな面でむずかしい面がございます。けれども、やっぱりそういう小さな金庫でも外為をやってくれというお客様の要望がございますので、そういう金庫に対しましては、連合会には北海道の札幌支店から九州の熊本支店まで連合会の支店がございますから、連合会がそういったような小さな金庫さんのために外為をやって金庫さんの親機関と申しますか、そういうふうなことにしてやりたい、こういうのが連合会でやらしていただくという目的でございます。ですから、自分でやれるところは自分でやる、やれないようなところは連合会がめんどうを見てひとつやっていきたい、こういう考え方でございます。
#64
○参考人(村本周三君) 和田先生の御質問にお答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、外為業務というものはある意味で非常にリスクがあるものでございます。したがいまして、われわれは過去半世紀を超えるあるいは一世紀に近い歴史の中で、世界じゅうの外為銀行がどういうふうにすればこのリスクの多い外為業務をリスクがないようにできるかということを、国際商業会議所その他でいろいろ研究をし発展させてまいりましたのが現在のコルレス契約、特にその中心は信用状、こういうことに相なっておるわけでございます。
 現在われわれとしては、コルレス先銀行を厳正に選び、確実なLCその他の手続を踏んでおれば、外為業務からくるリスクはそれほど大きいものとは思っていないわけでございます。ただ、外為業務というものは、何と申しましても外国が相手でございます。したがいまして、つい二、三年前まではあの国は大丈夫と思っていた国が現在問題を起こしているような事例もございますし、あるいは外国には日本の主権が及びませんので、われわれは商業的な輸出と思って外為上の業務を取り扱っておりましたら、突如それが無理やり長期の貸し金に切りかえられたり、あるいは切り捨てられたりしたような例もございます。これはやはり何と申しましても外国でございますから、こういったリスクはやむを得ないと存じます。ただ、わが国の企業がそういった方面に発展している以上は、銀行は企業に対する奉仕者としてそういうリスクもある程度一緒に担いながら発展をしなければならない、かように考えております。
 したがいまして、私どもはこういう関係でいろいろ蓄積いたしましたノーハウその他を、小原さんの、先輩のお求めに応じましてできるだけ私どもとしても提供いたしまして、小原さんの方も誤りなくやっていただけるようにと協力いたしておる現状でございます。
#65
○和田静夫君 時間ですけれども、最後にまとめますので、これで終わりにしますが、小原さんにもう一言だけ、信用金庫の共同組織制という点だけちょっと聞いておきたいんですが、高度成長を経て、かつてのような町の金庫という性格をそのままで貫くというようなことができるなどというふうに考えているわけじゃありませんけれども、しかしながら、協同組合的性格というのは信用金庫の原点でもありますから、この辺を今度の改正作業を通じてどういうふうにお考えになっているか。
 それから、最後に佐々木会長に一言だけお聞きしたいんですが、青山俊さんが座長をされている金融制度研究会の提言を見ますと、実は貯蓄銀行の設立を重言をされているわけです。この提言は貯蓄銀行構想の概要ということで、四点を挙げているわけですが、いまもう時間がありませんから一つずつやめますが、こういうような構想というのは現在の金融制度再編成協議に一つの私は示唆を与えるものだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。あるいは、今後金融制度調査会において議論される課題ではないかというふうにも考えますけれども、どういうふうにお考えになってますか。
#66
○参考人(小原鐵五郎君) ただいま共同組織制をどう考えるかということですが、私ども信用金庫は共同組織の金融機関であるということをはっきりと考えております。
 それで、今度仮に会員組織について、法人ですが、法人会員の資格を二億円を四億円にしていただきたいということを申し上げでありますが、これはいまから八年も前に決めた二億円でございまして、これが八年もたっておりますと貨幣価値も違っておりますし、また中小企業もまじめに一生懸命やれば、その中小企業は幾らかずつ資本金がふえてくるのは当然なんで、そういったような人たちが会員としてめんどう見られなくなっては困るというのでもって今度はお願いしたわけで、しかし、信用金庫としましては決して上の方へシフトを合わせるような考え方は持っておりませんで、どこまでもやっぱりすそ野金融ということを申し上げておりますが、まあ中小企業の底辺、また一般国民大衆のための金融機関として定着していく、またそれをやっていくことがわれわれの役目じゃないかと思っていますし、共同組織制を忘れて何か仕事をやるというふうな考え方は持っておりません。
 それからまた、出資の配当にいたしましても、まあたとえてみますというと、株式組織のところが配当いたしますのには、大体銀行でも最低一割の配当をしています。それからまた、場合によれば株の無償交付とかなんとか、ああいうこともやれます。けれども信用金庫は共同組織でございますので、そういったようなことでなくして、配当は八分以下ということになっておりますし、どこまでいっても、今度は会員が四億円になれば幾らかそういったような人が入ってまいりますけれども、決して上の方へシフトを合わせないで、どこまでも会員組織として、また共同組織としての考え方で今日、これから先も進んでいくということがいいんじゃないかと。またそれが信用金庫の発展につながるというふうに思っていまして、上にシフトを合わしたら、銀行さんのまねしたらば、これは信用金庫の失敗じゃないかと、こう私ども考えておる次第でございます。
#67
○参考人(佐々木直君) 貯蓄銀行の問題は、今度の金融制度調査会の討議の中では積極的な討議をしておりません。ただ、私個人的には先ほどもちょっと触れましたけれども、貯蓄預金というものは考慮の値打ちのあるものだと思いますし、そういうあれから言って、個人の貯蓄を取り扱う金融機関というものも考えられていいんじゃないかと。これはしかしながら、いまの状態をそのままではとても発展の余地がございませんから、今度、たとえば郵便貯金その他全体として見直すというようなときにひとつ問題として検討さるべき、そういうときには検討される値打ちがあるんではないかというふうに思います。
#68
○和田静夫君 ありがとうございました。
#69
○多田省吾君 本日はどうもありがとうございます。
 最初に、佐々木参考人にお尋ねしたいと思います。
 今回の銀行法案は、銀行の証券業務の取り扱い等をめぐりまして、最初の大蔵原案が調整の過程で大幅に修正されたわけでございますが、金融制度調査会の答申の精神がこのためにいろいろなところでゆがめられているのではないか、このように私たちは考えております。
 先ほど佐々木先生には、答申と法案を比べると多少の差があるけれども、全く離れたものではない、根本的違いはないと思っていると、このようにおっしゃいましたけれども、ディスクロージャーにつきましても、小委員会の意見の義務規定から訓示規定に説明書類の縦覧等が変わった。あるいは大口融資規制あるいは監督規定の点でやはり答申の精神が変わっていると、このように私たちは思うわけでございますが、先ほどもいろいろ御答弁があったわけでございますが、まとめて、どういう点で少しは変わっているけれども根本的違いはないとおっしゃっているのか、その辺をもっと率直な御意見をお伺いしたいと思います。
#70
○参考人(佐々木直君) 変わっている点は、大分数がございますのであれですが、先ほども申し上げましたように、金融制度調査会で検討しておりますといろいろな立場の委員がおいでになりますから、その席上で多数意見になったものを答申としてはまとめて出して、特別な場合には少数意見も付記すると、こういう形になっております。
 それで、ディスクロージャーなどにつきましては、とにかく金融機関から出ておられる委員の方は、自分たちがもう現にやっているんだから、やっているのをそれぞれの銀行にふさわしい方向で発展させていく方が特色があっていいんだというような意見もずいぶん強く出ておりました。それで法的な規制にはそのときに非常に反対だったのでございますが、しかし、まとめるのにはそういう方針で、一応基本はみんなに通用するものをつくった方がいいという答申になったわけです。そういう議論の経過から見ますと、今度のあるいは訓示規定になりましても、銀行自身がもうすでにやる気でありますし、それから銀行自身がやる気であるものを、わざわざ法律で書かなければどうしてもいけないという性質のものではないと思うのであります。
 ただ、さっきもちょっと触れましたけれども、監督規定の中で、たとえば行政指導をいままでやっておられたのに、根拠を与えるといった意味で法案が整備されたのがそれがなくなっているという点などは、これは並べて見ますと、非常に確かにごたごたはしておりましたけれども、あそこまでなくなるというのは少し行き過ぎではないかという感じは私も持っております。しかし、審議にいろいろ年月がかかりましたこと、それから答申後二年たちましたこと、それから現在の行政改革の問題なんかで、いろいろ小さい政府等の問題が出ておるというようなことがやはり影響しているのかと思います。その点は私どもは答申の後につきまして、いろいろな皆様の御意見は伺っておりますけれども、しかし、総体としてみればそう基本的な点で違ってないということが申し上げられるかと思います。
#71
○多田省吾君 村本先生にお尋ねしたいと思います。
 いま佐々木先生からお話しのあったディスクロージャーの問題あるいは監督規定の問題等で、法案は答申よりも若干後退したように私たちは受け取っているわけです。特にディスクロージャーにつきまして、小委員会の意見及び当初の銀行法案では利益の処分または損失の処理に関する書面と、それから資金運用の概要に関する書面も公告することになっておりましたが、今回の改正案ではこれが削除されております。特に、資金運用の概要等については国民にこれを知らせるということは、銀行の公共性から見ましても非常に重要な点であると思いますけれども、全銀協会長というお立場での御見解を一点お伺いをしたいと思います。
 それからもう一つは、監督規定につきましては、監督命令、保全命令の規定が削除された結果になりましたけれども、このことは逆にこれを補うための通達が出されることになりまして、実質上の監督強化につながるということになりますけれども、その点はいかにお考えでございますか。この二点をお伺いしたいと思います。
#72
○参考人(村本周三君) 多田先生にお答え申し上げます。
 最初のディスクロージャーの問題でございますが、私どもは今回の銀行法によりまして、規制を受ける立場でございますから、原案とどっちがいいかというよりは、ここに提出された銀行法についてどういう意見を持っているかということを申し上げさしていただきたいと思います。
 私どもは、ディスクロージャーということは銀行が開かれたものになっていく以上は、どうしても必要なものであると、こう考えておるわけであります。それはさっき申し上げましたように私どもの、私事を申し上げて恐縮でございますが、私どもの銀行が四十六年に合併いたしましてから、四十七年から毎年一回ずつ私どもはそういったディスクロージャーについての小さな冊子を出しておるわけでございます。一九七六年、昭和五十一年に私がナッソーでバンク・オブ・アメリカのバン・ブリアデンという上席副頭取と、われわれが共通に出資をしておりました国際金融機関の取締役会で会いましたときに、バン・ブリアデンが私に、ミスター村本、自分の時間がいま一番食っているのは何かと思うかと言うから、私もちょっと返事に迷っておりましたら、それはディスクロージャーなんだということを言ったわけであります。これは御承知のように、バンク・オブ・アメリカがその前からアメリカでいろいろな非難を受けております。それに対応するためにはどうして開かれた銀行になっていけるかということで考えていたことでございまして、七六年の十一月にそういう意味のバンク・オブ・アメリカのディスクロージャーコードを公表したわけでございます。そこには七十項目ばかりございます。それから金融制度調査会で出された御答申でよかろうとおっしゃったのはたしか五十三項目であったと記憶します。私どもの銀行で現在出しておる小冊子には三十七項目出しております。いま先生が特に御指摘になりました資金をどういうふうに使っているかということは、銀行が国民経済に対してどういうふうに役立っているかという意味で必要ではないかとおっしゃったのでございますが、そういう数字は大体その小冊子にはわれわれば出しておるつもりでございます。そしてわれわれがそういうことをしている限りは、この問題につきましては、よそは開かれた銀行になってもおれは閉じ込められた銀行のままだということはとても許されないと思いますから、皆さんそれぞれに開かれた銀行となるようにいい意味の競争をすることになると思いますので、先生御期待のように事態は運ぶものと信じております。
 それから、もう一つの監督の問題でございますが、これは将来のことでございますので、どちらが監督度が強くなるかとおっしゃいますと、大変。私どもはお答えをいたしにくいのでございますが、私どもは、先ほど佐々木参考人からも申し上げましたように、一つ一つの事項については、確かにいままでいろんな意味で御監督を受けていたことでありますから、そういうふうないわば一種の監督ないしは行政指導が法的根拠を持つことはいいことだと思ったのでございますが、確かに並べてみると余りに多過ぎるということで、これではどうも監督が多過ぎると民間の活力を損うのではないかという気も同時にいたしたわけであります。現在のような姿になったわけでございますが、私どもは行政当局が将来とも適切な御監督を賜り、私どももまた進んで国家社会の役に立つような態度でこういった法の趣旨に合っていきたい、かように考えております。
#73
○多田省吾君 北裏先生にお願いしたいと思います。銀行の証券業務につきましては、先ほど御意見をお述べになられましたように証券界から強力な反対意見が出されたわけでございます。その四つの理由は、先ほど国債の個人消化が着実に進んでいる、また公正な取引に弊害をもたらす、また証券界にとって経営上の影響を受ける、また国民経済から考えても必要性は認められぬと、窓販や公共債の取り扱いですか、このようにお述べになったわけでございますが、この法案に対しましては法制整備のみだということで条件づきでやむを得ないということで御賛成になっておられるようでございますが、事実これが実施されると大変困ると、こういう御意見のように思いまして、現在でもやはり反対というお立場には変わりないようにお伺いをしたわけでございます。その二つ目の理由の、公正な取引に弊害をもたらすという理由をもう少し詳しくお聞きしたいわけでございます。いかがでございましょうか。
#74
○参考人(北裏喜一郎君) 今度の銀行法の改正につきましては、私どもとしましては先ほど申しましたように、ぎりぎりいろいろ不満もありましたけれども、基本的には賛成したと、こう申しておりますが、反対したことをもう一遍繰り返すようになりますので、その点はひとつ誤解をしないようにお願いをしたいのであります。
 私どもは世に言うブローカーでございます。売り手と買い手の仲介者でございます。銀行は投資家でございます。本来、投資すべき性格だと私は思っております。その投資家が果たして仲介手の役割りができるかという懸念を持っておったのでありますけれども、いよいよ仲介されるならば、三原則の中に入ると、こういうことでございましたのでぎりぎり了承したと、こう申しました。この点は仲介者であるという証券会社の立場を十分御理解願いたいと思います。よろしゅうございますか。
#75
○多田省吾君 小原参考人にお尋ねしたいと思います。先ほどからのお話で、信用金庫業界の御要望の事項につきましては、第一に外国為替業務の認可、また二番目に法人会員資格の資本金基準を政令に委譲する、第三番目に各種公庫公団等の公金取り扱いの認可の三点が織り込まれたわけでございますけれども、また四番目も連合会の問題がございましたが、法改正に臨みまして、信用金庫業界で要望しておられた事項が全部満たされたのかどうか、他にどういう御要望があったのか。
 それから第二点は、中小金融専門機関関係の法改正が先ほどお話のように昭和四十三年と四十八年と今回と、十年間で三回、制度改正の法的措置が講ぜられたわけでございますけれども、この法改正に際して、長期的展望を盛り込んだものにする必要がないのかどうか、その辺お伺いしたいと思います。
#76
○参考人(小原鐵五郎君) お答え申し上げます。
 ただいまお尋ねの面でございますが、今回私どもが要望いたしました外為法の問題と、それから法人の中小企業の会員資格の問題、それから公社公団の取り扱いと、そのほかに私どもが要望しておりましたのは、員外の貸し出しが総貸出金の二〇%の範囲ということになっております。その範囲で操作するということですが、その中に地方自治体に対する貸し付けも含んでいるということになっておりまして、そこで私ども信用金庫の中でそこにほかの銀行があればいいけれども、ほかの金融機関がない地域がございまして、信用金庫の事務所だけっきりない地区が大分ございます。そういう地区でございますというと、そこの可なり市なりというところで金が必要だということになりますと、どうも町や市がどうすることもできないというので、いま申し上げました地方自治体なんかに対する貸し付けですね、これを員外貸し付けの、つまり二〇%の枠内でなくやらしていただきたいということをお願いしました。それについては私も北海道の稚内の礼文島ですか、もう一つ島がありますね、利尻島ですか、二つ島がございますが、そこへ行くというとほとんど信用金庫だけっきりないわけです。そこでいろんな、小学校をつくるとか、それからまた老人ホームをつくるといってもやっぱりどうにもならないということ、それからごく北と南のことを申し上げて恐縮ですが、私も現地へ行ってまいりました。それから南の方の奄美大島の与論島とか、沖永良部、徳之島というところにも、徳之島なり沖永良部には信用金庫がやっぱり支店が二つございますが、ほかに何にもないんですね。そういったようなところが、そこの町の人が町で金を借りたいというときにどうにも操作ができないという面もございますから、ひとつ特別にそういったような地区をお願いしたらどうかというふうにお話申し上げましたので、大蔵省が大乗的見地からこれはひとつ何とかめんどうを見ていただくということになりましたのです。そのほか、いまのところ当面これでもって信用金庫は今度の法律改正していただくならば、しばらくはやっていかれるんじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#77
○多田省吾君 次に、週休二日制への道が開かれたわけでございますが、村本参考人と小原参考人の両参考人にお尋ねしたいのでございますが、最近の趨勢といたしまして、土曜日の金融取引の状況は増加傾向にあるのかどうか、これを預金、払い戻し両面において機械化することによってもなお金融取引上の不便を取引関係者に与えることになるのかどうか、そしてまた、もし金融の取引慣行を見てから土曜休日に踏み切るということでございますと、結果的に見ていつまでも不可能になるのではないかと思われますので、今後この法案が成立いたしましたならば、土曜休日に踏み切って金融取引の慣行を指導していくという必要があるのではないかと思いますが、そのお考えのほどをお尋ねしたいと思います。
#78
○参考人(村本周三君) 多田先生にお答え申し上げます。
 多田先生がおっしゃいましたとおり、私どもも週休二日制に賛成でございます。このたびの銀行法がこのまま御可決願うならば、われわれにとって従来の銀行法で週休二日を実施するために一つの壁として立ちはだかっていたものが取り除かれたということに相なると思います。ただ、その壁が取り除かれたところで具体的に週休二日制が実施できるかどうかというと、私どもはそこに二つの問題点があると思います。
 一つは、社会的なコンセンサスを得るということでございます。その中には、われわれはなるべく土曜日の仕事を滅していただこうということで、かねてから銀行協会におきましてはお取引先の会社に対しましてなるべく土曜日のお取引はやめていただきたいということをお願いしておるのであります。しかしながら、皮肉なことにいま多田先生御指示のとおり、個人の取引につきましては、世の中に週休二日制がだんだんふえてまいりましたのでかえって土曜日は繁忙になりまして、土曜日は本部その他から周りの地区の支店に応援を出しているのが現状でございます。私どもは週休二日制を展望いたしまして、初めにCDそれからATMというような機械を次第に装備をしてまいったわけでございます。これは今回の銀行法との問題にも関係いたしまして、一体土曜日が休日になったときにそういう機械を動かす御認可が得られるかどうかという問題もあるわけでございますが、私どもは、現在主に土曜日に行われておりますのは個人の所用に基づくものでありますから、それも主には引き出してございますから、CDまた預入のしたいときはATM、それを使っていただけばほぼ皆様方の御要求に沿えるのではなかろうかと思っております。しかしそういった、まあ多田先生からいま金融界が先に立ってやったらどうかというお勧めでございましたが、私どもは週休二日制をやりたい、しかし社会の皆さんから、ああ銀行も週休二日になったかという程度に受け取ってもらえるように皆様方のコンセンサスを得た上でやりたいという気持ちでございます。これが一つ。
 もう一つは、金融機関が同時にサービスをしておりますし、決済機構もその中でございますので、金融機関が週休二日をするときは一斉に週休二日ができるという状況でなくてはなかなか行いがたいというのが現状でございます。
#79
○参考人(小原鐵五郎君) ただいまのお尋ねの面でございますが、私ども週休二日制は現在時代の要請になっていると、こういうふうに思っておるわけでございまして、私ども信用金庫業界としても賛成をいたしておるわけでございます。ただ、これをやりますにつきましては、やはりいま村本さんからもいろいろお話がございましたが、私ども信用金庫としましても中小企業なり一般国民大衆がお得意様であり、取引先でございます。この人たちがわれわれが週休二日制をやっても差し支えないというふうな意見が多くなって、先ほどお話しのありましたコンセンサスを得られるようになったときには、ひとつぜひやらしていただきたいというふうに考えております。
 それからもう一つは、いまもお話がございましたが、全金融機関がこれをやるということと、一つは、もういろいろ問題になっておりまする郵便局も一緒にひとつ週休二日制をやるということでないというと、われわれちょうど郵便局とかなり競合する立場から賛成いたしかねると、こういうことでございまして、郵便局もやっぱり中へ入れた全金融機関が一斉にやるというような方法に持っていっていただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。
#80
○多田省吾君 佐々木参考人に、銀行に証券業務を認めるかどうかの問題で一点だけお尋ねしておきたいと思います。
 その実施面は制度面と切り離して考えるという三原則の立場がとられているわけでございますが、もし現実的に大蔵省の認可がとられるという状況になった場合、現実問題として認可を受けることができるのは大規模の銀行に限られることになりまして、銀行間の格差というものが拡大されることになりはしないか。また、競争原理を導入して金融の効率化を図るべきだとする答申内容からすると好ましい方向だとは考えられないのですが、その点どう考えられるかお尋ねしたいと思います。
#81
○参考人(佐々木直君) 認可の基準につきましては私どももちょっとここで関与できない立場にございますけれども、まあしかし、答申の趣旨から申しますと、一般的に銀行について前向きに答申を書いております。したがって、特に大きな銀行だけに許されるというものではないというふうに理解をいたしております。
 それから、もう一つの点でございますけれども、銀行が自分のいま持っております窓口を利用して国債の販売業務を行うということが効率化を害することにはならないんではないか。それはいまのいろんな仕事の中の一環としてやれば処理できることであるというふうに考えております。
#82
○多田省吾君 いま佐々木先生に御質問した後段は、やはり大規模の銀行に限られるということになりますと競争原理がなくなるという、こういう意味でお尋ねしたわけです。
 最後に、先ほども小原先生の方から郵便局との競合問題というお話がございましたので、村本先生に最後に一点お尋ねしたいんですが、郵便貯金の預金残高が個人預金のみのシェアで見た場合は、昨年暮れで五十九兆五千八百三十億円、本年になりましてとうとう六十兆円を超えたと言われておりまして、昨年末でも個人預金のシェアで見た場合は二八・七%になっているわけでございます。こういう政府機関による全体の三割近い預金獲得ということに対しましてもいろいろな問題が起こっております。官業による民間金融機関への行き過ぎた進出だと、こういうことで、先ほど村本参考人も銀行のシェアが落ち込んだと、このようにもおっしゃったわけでございますが、最近また郵政大臣等は、私も質問したのですが、国債の直接引き受けを郵便貯金によってやりたいというような意向もありました。また最近、やはり郵便貯金というものは庶民の貯蓄だけではなくて大部分が富裕者の無記名預金であるというような、あるいは二〇%程度のシェアが妥当ではないかというようないろいろなことが言われているわけでございますが、銀行にとって新しい預金形態がなかなか、郵貯の定額貯金等に匹敵するものがなかなかとれないというような状況もございまして大変かと存じます。先ほど佐々木参考人から、答申の中に、高い見地から見て検討する機関が必要であろうということも述べられておりますが、その辺いかに考えられるかお尋ねしたいと思います。
#83
○参考人(村本周三君) ただいま多田先生御指摘のとおり、郵貯問題というのはいろんな問題をはらんでおると思います。私どもの基本的な考え方は、われわれは日本経済は民間の活力を生かすように運営をしていくのが日本経済が一番伸びる道であると、かように信じておるわけであります。そしてわれわれは、民間企業と申しますか民間の金融機関として、消費者の皆様からもっと勉強してくれなくては困ると言われることがないように一生懸命やっていきたいと考えておるわけでございます。しかしながら、私どもはやはり民間企業でございますから、そこに一定の採算という壁があることも事実でございます。したがいまして、明治の初年に郵便貯金ができましたときのように、当時はまだ銀行の支店も少なかったことでございますが、簡便、確実なる貯蓄手段を全国津々浦々で国民に提供すると。それは民間企業においては、民間金融機関においては採算に合わないことかもしれないけれども、国民にそういう利便を与えることが必要である。こういう意味において、官業と民業とがうまく相携えていたと思います。しかし、先生御指摘のように、官業が非常に大きくなってまいりますと、今度は日本の全体のキャッシュフローと申しますか、お金の流れの中で非常に問題も出てくると思います。われわれは個人部門と法人部門と公的部門との金の流れの仲立をいたしておるわけでございますが、その中に非常に大きな支流ができますと、全体の流れというものが果たしていいのかということが問題になってくるわけであります。
 そういった中で、われわれはもう一つお願いしたいことは、競争条件を均等にしていただきたい。たとえば税制について、たとえば補助金について、そういう点でフェーバーを持つ官業が民業と一緒に競争しては、日本の経済社会はなかなかうまくいかないのではないかと、かように考えておるわけであります。
#84
○佐藤昭夫君 私の持ち時間きわめて限られていますので、四人の参考人の方すべてに御質問をすることができないかとも思いますが、その点あらかじめお許しをいただきたいと思います。
 まず、村本参考人にお尋ねをいたしますが、先ほど来同僚委員の御質問の中でも、今回の法案が金融制度調査会の答申に照らしても重要な部分で内容的な後退が起こっているんじゃないかということで、ディスクロージャーの規定の仕方の問題など指摘をされておるわけですが、私も同様の感じを持つんですが、そこで、佐々木会長がそのことにかかわって、たとえばディスクロージャーの問題について言えば、すでに銀行の業界の方が法律でいかに定めるにかかわらず、これを積極的に開かれた銀行にしていくために、それに積極的にやっていこうという態勢が進んでいるので、さほど結果として出てくる姿には変わりはないでありましょうというようなことも言われておるわけでありますが、そういうこととの関係で村本さんにお尋ねをするんですが、一つは、すでに第一勧銀などは今回の法律に先立って自主的にこのディスクロージャーを実施をしてきたという経過があるわけですけれども、今度のこういう法律が出されたことによって、すでに実施をしておるその内容に新たなる何かの一層前進方向での内容の見直しが起こるのかどうかという問題が一つ。
 それから、業界全体として、先ほど来のお話しの、法律でいかに定まるにかかわらず、自主的に開かれた銀行にしていくためのディスクロージャーに、銀行として、業界として積極的に取り込んでいく態勢が進んでいるということでありますが、しからば、協会として何かディスクロージャーについてこれこれしかじかという最低基準のようなものをつくって、最低この点は全銀行が実施をしていくといったような準備は始まっているのかどうかという問題ですね。
 それからもう一つは、話変わりますが、大口融資規制の基準、これは当然厳正に守るべきことが基本だと思うわけでありますが、当委員会でもいままで何回か例のあの三井の問題がいろいろ議論になってきたわけですけれども、たとえば三井のあの扱いについてどういうことになっていくのか。こんな点についてまずお尋ねをしたいと思います。
#85
○参考人(村本周三君) 佐藤先生にお答え申し上げます。
 第一の問題は、ディスクロージャーについて、この法律ができたら第一勧業銀行は現在しておるディスクロージャーの小冊子について見直しをするのかという御質問であったと思いますが、私どもは、この法律の実施に伴いましてさらに一層研究を進めていきたいと考えております。したがいまして、方向といたしましては、いまここで何が加わるということをお答え申し上げるのはちょっといたしかねますが、そういう方向で常に検討を進めており、これからもそうするつもりでございます。
 それから第二に、業界の中でどういうふうになっておるかというお尋ねでございます。私どもは、先ほど金融制度調査会答申のとおりに法律になった場合も、それから今回のように訓示規定でなった場合も余り変わりはなかろうがというお話でございましたが、私どもはディスクロージャーというものは、性質上余りリジッドに法律で決めるよりも、こういう訓示規定にして各行がそれぞれに知恵を尽くして自分のところを開かれた銀行にしていくというやり方の方が、結果的に余り違わなくても方法としてずっといいという考えを持っておるわけであります。
 いま、それでは業界として統一したどういうことを出すかということをやっておるかという御質問でございますが、私どもも社会的責任に関する委員会というのがございまして、いろいろなことを研究しておるわけでございます。しかし現在、これでディスクロージャー案というものはできておりません。しかし、すでに幾つかの銀行がこういったディスクロージャーについての小雑誌を出している以上は、それぞれ皆さんが工夫をなさり、その上でおのずから業界における一つのいわばノルマというものもでき上がってくるのではなかろうかと思っております。
 第三番目は、大口融資規制の問題について、三井銀行はどうなるかというお尋ねでございます。大変恐縮でございますが、よそさんのことでございますので、私から余りはっきり申し上げかねますけれども、今回の規定並びにそれによるいろいろな細かい詰めを考えますと、私どもは三井銀行さんもクリアされるものと確信いたしております。
#86
○佐藤昭夫君 もう一つ村本さんにお尋ねをしたいと思いますが、現に多くの銀行で何周年記念の預金とか、預金獲得競争でしばしば問題を起こしておる、そういう場合もあるわけですけれども、今回この国債も取り扱いができるということになれば、今度はまだその国債の販売競争というようなことも起こってくるんではないかということを危惧をするわけですけれども、そうした点で職員に預金の獲得にとどまらず、国債の販売を強要をするようなこと、これは断じてないというふうに言えるかどうかということ。
 それから、系列の中小金融機関や中小企業預金者に国債を押しつけるようなことが起こりはしないか、こういった問題について所見を伺っておきたいと思います。
#87
○参考人(村本周三君) 佐藤先生にお答え申し上げます。
 私どもは、昭和四十六年に合併をいたしましたときに経営方針として四つの事項を挙げました。第一は、広く国民大衆に最上の金融サービスを提供すること、第二は、企業に豊富低廉なる資金を供給すること、第三に、国際金融の面で活躍すること、そして第四に、私どもはわれわれの職場は人間性を尊重した生きがいのある場所にしていきたいと、かようにうたってきておるのでございます。
 ただいま佐藤先生が御指示なさいましたような、国債をわれわれが窓販でやるようなことになりましてそれを強制的に販売さしたりするようなことはないかという御質問でございますが、私どもはこの理想に照らしましてそういうことはないと申し上げておきます。また、傘下の金融機関あるいはお取引先に対して国債を押しつけることはないかという御質問でございますが、金融機関といえども、お客様に対していろんなことをお願いはいたしますが、それをお願いすることの自分におけるいわば利益と不当なお願いをしたことの不利益というものは十分わきまえておるつもりでございます。実際問題として国債をそういうふうに押しつけるということは金融機関にとっての利益は余りに小さいことでございまして、そういうことをして不評を買うというようなことは金融機関としてはしないだろうと、そういうふうに私どもは確信をしております。
#88
○佐藤昭夫君 北裏参考人にお尋ねをいたしますが、証券会社においては中小の収益悪化が強まって倒産や合併の動きが出ていると思いますけれども、その際、そういう合併に当たって労働者の意向を事前に十分尊重をして、企業の側の、会社の側の方針をつくっていくということで当然あるべきだと思いますが、この基本的な考え方についてはどうでしょうか。
#89
○参考人(北裏喜一郎君) 佐藤先生にお答えいたします。
 基本的には先生と同意見でございます。合併にはいろいろの事情がございますが、大勢としては、今日の交通通信その他の事務機械化その他に伴いまして、どうしても地方よりも東京に集中されるような方向に向いておりますので、地方の業者であるいは東京の業者と合併する場合もあるんではないかと思いますけれども、経営の悪化といういろいろな事情もありますが、そのものについて、地方は地方でやはり非常に得意な地盤を、あるいは経営基盤を持っておりますので、それらを十分活用しながら同時に東京に集中されること在どう適応するかという意味の合併以外は考えられないのであります。経営悪化上合併するということは少ないと思います。
#90
○佐藤昭夫君 最後に一問。私も週休二日制の問題でお尋ねをしておきますが、先ほど多田委員がいろいろ御質問になっておりましたが、北裏参考人にまず、これはもう確認というようなことですが、全金融機関が一致して週休二日制にできるだけ早く踏み切っていきたいということが村本さん、小原さんそれぞれ言われておりましたが、その際、証券業の業界についても同様の方向だというふうに確認をしてよろしいのかということが一つ。
 それから、週休二日制に踏み切る趣旨については賛成だと、ただ社会的コンセンサスをつくり上げていく上でのなお解決すべき問題が残っているということを言われておったかと思いますけれども、しからば業界としてプログラムといいますか、いつまでにこうこうこういうふうな手を打って社会的コンセンサスを成熟をさせていくという、そういうプログラムのようなものがあればそれをお聞かせをいただきたい。これはどなたがいいのか、村本さんにでも代表してお尋ねをいたしたい。
 以上です。
#91
○参考人(北裏喜一郎君) お答えいたします。
 週休二日制につきましては、各参考人からも申された基本的な趨勢としては業界も了承しているわけではありますけれども、必ずしも具体的に社会的なコンセンサスを得るべき、どういう時期にどうなるかということはまだ未解決です。ですけれども、いま協会内にそういう研究会をつくっておりまして、週休二日制が今度の銀行法で前向きに検討されるならば、同時に社会的な要請に沿うならば、また証券界も具体的に研究しようと思っております。ただ、村本参考人も申されましたが、主としてこれは個人でございまして、現在でも法人を対象にするものは相当部分法人の方で週休二日制をとっておりますから、法人活動といたしましては現在でも実際上は活動してないので、個人の場合はこれは諸種の検討が要るかと存じます。
#92
○参考人(村本周三君) お答え申し上げます。
 私は、昭和五十二年にも全国銀行協会の会長を相務めまして、そのときも国会におきまして週休二日制の問題についていろいろ御質問も受け、お答えも申し上げた次第でございまして、そのときからわれわれは一貫して、週休二日制、いわゆるマル完運動の――部分的にはすでに週休二日をとっておりますので、マル完、完全週休二日制の実現のために努力をしてきておるところでございます。ただ、佐藤先生のようにどういう時間表でやっておるかとおっしゃられますと、大変私ども困るのでございますが、先ほど小原参考人からも申し上げましたように、私も金融機関という中にむろん郵便局を含めて申し上げていたのでございますが、全金融機関、郵便局を含めた全金融機関が一緒でなくてはなかなかできないということでございます。やはり金融機関も週休二日になったかということの中には、そういった公務員という問題が大きな問題になっておると思います。したがいまして、私どもはいまどういう時間表だと言われると時間表に書き込んでいないのではございますが、公務員の方も先生方のお力によりまして次第に進んでおるようでございますから、私どももそれに平仄を合わしてアズ・スーン・アズ・ポシブルというつもりでやっていきたいと思っております。
#93
○三治重信君 できるだけ重複を避けてひとつお話ししたいと思うんですが、きょうの参考人の御意見は主に今度の法改正の問題に限って解説をされ、また質問もそれに限定をされている面が多いし、また改正される中でそういう十分な質問というのか、ただすべき御意見を拝見する事項も多かったわけなんですけれども、私はこの窓販の両業界の御意見がはっきり聞けてきょうは非常によかったと思うんです。大蔵関係だとわりあいにとかく下の方で先越えしてしまって、業界の意見が、本当の腹の意見がはっきり聞けないのがどっちかと言えば不満だったわけですが、きょうは北裏参考人や何かはっきり言われたのは、非常に業界というのか、自分たちの意見、主張してきた意見をはっきり述べていたことがこういうような参考人の意見聴取に私は非常にいいと思うんです。その点感謝を申し上げます。
 ただ、私が一つこの問題の中でちょっと問題に言っているのは、金融機関全体で国債なんかを、大蔵省あたりから直接強制的な割り当てになっているんだけれども、その中で銀行の割合が非常に多い割り当てになっている。したがって銀行の方は郵便局と同じように集めた金をみんな国債で持てと言われてもそれは不満があるだろうと思っておったわけなんですが、それが窓販という形で出てきたんじゃないかと思うわけなんですが、北裏さんの方では、銀行がとにかく発行するやつを一番先にたくさん持てとこう言って割り当てて、証券界でぱっとみんな持ってもらえればこれは銀行の方もそう文句は出なかったんだろうと思うんだけれども、この点をどう考えておられるかという問題。
 それから、銀行の方はそうやってシンジケートで物すごくたくさんを引き受けていながら窓販ではほんの一部しかはけないだろうと思うんですけれども、今後こういうような問題の消化について、私はもっと国民がこういう債券のいわゆる担保というもの、融資の関係、個人でも何でも利用する体制を金融界でぜひ持っていただきたいと思う。こういうような担保の問題で、本当から言えば法案審議や銀行の運用、いわゆる金融機関の運用の問題の方で参考人として来ていただいたときにじっくり聞くべきだと思うんですけれども、審議の方が非常に急がれているものですから、十分聞く機会はないと思うんですけれども、そういう点についてひとつ総合して佐々木参考人の方から。
 私は、こういう日本の資金の融通、担保の問題で余りにも土地に偏向している。これが土地を非常に高くしている大きな原因だと思っているんです。高度成長時代に笠信太郎さんが「花見酒の経済」という本を出された。これは一時有名になったけれども、しかしそれは日本の金融の中で考えてみると一番危ないし、これは結局もう少し、ことに国債があの当時はまだ発行されてなかったからよかったけれども、こういうような国債を非常に抱える経済の中では、やはりそういう担保の問題をいわば金融機関の安定性のためにぜひひとつ議論さるべきじゃないかと思うんですが、その点の御意見。それひとつお三人からそれぞれの専門のところだけで結構ですからお聞きしたいと思います。
#94
○参考人(村本周三君) お答え申し上げます。
 最初の御質問は、証券界が全部消化してくださったらそれでいいという考えだろうかという御質問だったように思いますが、私どもとしては大変ありがたいお話だと思います。昭和五十四年におきましては、われわれは集めた預金一〇〇に対して国債を一〇四持ちましたので、とうていうまくいかずにいろんな問題が出てきたわけであります。そういうことで、先ほど昭和六十年から後は、北裏参考人からは、要するに償還国債の償還する金が出るんだから、結局どこか回り回って買うことになるんではなかろうかというお話がございました。これは私ども少し意見を異にしております。
 たとえば、ケインズは貯蓄と投資は相等しいと言いましたけれども、相等しいというのは結果であって、どういうふうな大きさで相等しくなるかということが国家経済の伸展に非常に問題になってくると思います。日本の国内で金が出て日本の国内で回っていけばいいのでありますが、たとえば現在かなりの国債が外国によって持たれております。これを償還した場合、外国はそれを日本にまた投資してくれるとは限らないわけであります。恐らく日本の銀行に預金をするでありましょう、とりあえずは。そうすると、それは金のつじつまは確かに合いますが、それで銀行が国債を買わなければそこはうまく回っていかないわけでありますから、私どもは昭和六十年以降はやはりなかなか大変だというふうに考えておりますので、全部をお引き受け願えるならばこれにこしたことはない。しかし、銀行も銀行の社会的責任ということを考えれば、いま資金量よりも非常にたくさん引き受けているではないかとおっしゃいました。まことにそのとおり歴史的現実でそうなっておりますが、私どもも私どもの資金量に応ずるだけのものはやはり銀行の社会的責任として当然お役に立っていきたいと、かように考えてはおります。
 それから次に、国債を担保にする貸し出しのことのお話がございました。これは窓販をいたしましてから後の問題にも関係してくるわけでありますが、私どもは現在国債を担保にしておる貸し出しというのは非常にわずかであります。と申しますのは、現在私どものお取引先の個人の方に大分金融資産が多くなられましたから、国債いかがでございますかと申し上げてお願いしておるという状況ではないのでありますから、個人からわれわれが預かる、担保にして貸し出すことはほとんどない。法人は十年間国債を持とうとして入手なさるよりも非常の短期間の資金運用としてお持ちになりますので、国債を担保として貸し出すということは実際問題してはほとんどないのであります。
 たとえば、私どもの有価証券担保の貸し出しの比率は全体の貸し出しの二%でございますけれども、その大部分の担保は株式並びに社債でございまして、国債を担保とするものは非常にネグリジブルだと思います。それからもう一つは、国債を担保としてこれから貸そうという場合に、時価の掛け目が少し低過ぎるのではないか、もっと目いっぱいに貸したらどうだということでございますが、私どもは大体現在国債は時価の九〇%ということを担保価値といたしております。これは私どもの長い経験から、まあ危険がないとは言えないが、つまり、たとえばこの前の六・一国債のように暴落いたしますと危険がありますから、危険がないとは言えないけれども長い歴史的な知恵で大体この辺ならばいいのではなかろうかということでいたしておる水準でございます。
#95
○参考人(北裏喜一郎君) 先生にお答えいたします。
 非常にいいことを聞きましたが、村本参考人の腹の中は、もし証券会社だけでやれる時期があれば証券会社だけでもいいと、こういうような御発言がございましたが、それは第三者である、まあ御説明によると三人委員会なりの皆さんが御判断なさって大蔵大臣が認可する、それも環境上克服さるべきいろいろ条件がありますからそのときでなくてはわかりませんが、基本的にはわれわれだけでやれる時期があればそれでもいいと、こういうことを申されました。非常に参考になりました。
 それから担保の問題ですが、これは先生の御質問にはなかったと思いますが、証券界では証券担保ということはできません。これは法律的にできません。そういう意味では証券界では時価――いまわれわれ考えておりますのは主として有価証券的な国債を考えておるわけです。もし有価証券でない、たとえば各国にある貯蓄国債のような市場性のない、値動きのないものであればこれは一向に構いませんが、値の動くものをやる場合は掛け目の問題もあるし、またわれわれもある場合は担保を、証券業としては無理でありますけれども、あるいはイコールフッティングというような意味でそういう御配慮があれば非常にありがたいとは思っておりますけれども、いまのところそれを表向きお願いしているわけではございません。
#96
○参考人(佐々木直君) どうもいまの担保の関係のことは私から申し上げるのは、私自身金融制度調査会でこの議論は出ておりませんのでちょっとあれですが、ただ戦後の金融から言いますと、有価証券担保が戦前ほど行われておらないということは、借り手の信用の限度というものを担保と別に、いろいろこれは戦後の特徴でございますが、金融機関側で検討しておられまして、担保がありさえすれば金を貸すという慣行でなくなっていることが影響しているんではないかと思います。
#97
○野末陳平君 質問だけ先にまとめてさしていただきますが、村本参考人と北裏参考人と小原参考人、この三入の方にお願いします。
 村本参考人には、国債の窓販といずれ関係が出てくると思うんですが、例のグリーンカードの問題ですが、全銀協の中ではかなり批判的であるやに闘いたこともあるんですが、事実わかりませんので、その辺のことですね。賛成であるとしても気になる部分があるとすれば一体どこなのか、この際率直に参考意見を聞かせていただきたいと思います。
 それから北裏参考人には、先ほど銀行の国債窓販、これがお客に弊害をもたらすんだというような指摘があったと思いますね。話の中では、価格形成で好ましからざる影響を生じかねないというような表現もありましたので、さっきの、仲介者として証券界からどんな弊害をお客に銀行の窓販が与えるのか、具体的に、ちょっと想像はするんですがなかなかわかりかねますので、それをお願いします。
 それから小原参考人には、信金も多分郵貯にかなり食われているんじゃないかなと思うんですが、その実態が去年の秋あるいはことしの春までにどのようになっているのか。もしそうであれば、郵貯に食われていく大きな原因というのは一体何かというのを、信金の立場でどう理解なさっているか、それについてお願いしたいと思います。
 以上です。
#98
○参考人(村本周三君) お答え申し上げます。
 グリーンカードにつきましては、いまさらここで申し上げますのは釈迦に説法でございますが、しばらくお許し願って申し上げさしていただきますと、私も税制調査会のメンバーとしてこのグリーンカードの審議には参加をいたした者でございます。で、時間もございませんので簡単に申し上げますと、私どもはグリーンカードについては二つの大きな目的があったと思います。第一は、少額貯蓄優遇制度というものを残しながら、それを適正にやるためのグリーンカードというものと、それから利子・配当所得の総合課税ということに使うためのグリーンカードというものと、二つ目的があったように思います。
 そのそもそもは、いわゆる一般消費税の論議におきまして、租税の不公平、あるいは行政機構改革なくしてはそういった長期の日本の財政は考えにくいということから出てきておることも御承知のとおりでございます。したがいまして、私どもは、さきの国会におきまして所得税法改正その他の措置が講ぜられました際にいろいろ事情をお話しいたしまして、そのとき附帯決議をつけていただきました。その主なるものは、第一が、金融資産の間に新しい不均衡を生じないことということでございます。そして第二は、個人のプライバシーが必要以上に脅かされるというようなおそれを与えないことということでございます。そのほかに私どもがお願いいたしましたのは、これが金融機関の窓口に過当な負担をかけないこと――たとえば、お客様が見えて預金をしたいとおっしゃっていただいたときに、あなたはどういう方ですかと、その名前、その人が本人であるというのを確認するのに、グリーンカードがない場合に一体どういうことになるのか。そういうことで銀行側がお客様とトラブルを起こしたりすることがないように、また、いろいろな事務的負担ができないようにということをお願いをしたわけであります。現在、グリーンカードにつきまして私どもはいろいろな方面でいろいろな意見が出ておるやに伺っておるのでございますが、それは、いま申し上げた附帯決議の第二の、個人のプライバシーというものをどの程度にのぞくのが適当かという議論であろうかと思います。全銀協全体の現在までの議論といたしましては、すでに所得税法が通ったことでございますから、われわれは一日も早く細かい規定ができてわれわれがお願いしたようなおそれがないことを早く明らかにしていただきたいというのが全銀協としての公式の考えでございます。しかし、そのプライバシーのところについてまた立法府でもいろいろな御意見がありますならば、われわれも心をむなしくして承り、またわれわれの御意見も申し上げたいと、かように考えておる次第でございます。
#99
○参考人(北裏喜一郎君) お答えいたします。
 ただいまの御質問で、ある場合は価格形成にゆがみが生ずるのではないかということを申されました。それは私はゆがみが生ずるというよりもそういう懸念がありはせぬかと思うんです。先ほどたびたび申し上げましたが、われわれは売りと買いの仲介者になり得るが、銀行さんは投資家でありまして、預金を取っていくというのが本職でございますので、条件をどうしても引っ張られやせぬかという懸念を持っておるわけです。有価証券的な公債などにつきましては、主としてそのときの実勢をまず尊重してもらわないと投資家は困るんでございますけれども、銀行さんは預金レートが特殊でございますので、それに引っ張られる懸念がないだろうかということを懸念しておるわけです。もし引っ張られるならば、私の言う基本的な有価証券である国債が、時価に即応するということでなくなるおそれがあるという懸念を申し上げたわけでございます。
 以上でございます。
#100
○参考人(小原鐵五郎君) お答え申し上げます。
 私の方の、郵便貯金が伸びた割りに信用金庫がどの程度影響があったかということでございますが、いままでは信用金庫は大体二けた台の伸びでございましたが、昨年は二けた台にいかなくて一けた台になったということで、かなり影響があったということは申し上げられるところであります。ことに私どもの資金は個人預金が多いんでございますね。ですから、ほかの金融機関と違って一番影響を受けるのは個人預金をたくさん取り扱っておる信用金庫とか、農業協同組合、漁業協同組合といったようなところが非常に影響を受けているということは申し上げることができると思います。
 そこで、これははっきりした数字はわかりませんが、郵便貯金の勧誘に当たって、郵便貯金は税金に強いんだとか、非常に税金が有利だということをおっしゃって、それで勧誘なすっているそうですが、これははっきりした私は、うちの方の信用金庫の会員からよく聞くんでございます。私考えますのに、郵便貯金というものは一体だれがやっているんだということですね。だれがやっているんだということになれば、これは日本の政府でやっているんじゃないか、こう思うんですね。日本の政府でやっているものが、税金に強いとか、税金をうまくごまかす、と言っては失礼ですが、それに近いようなことをおっしゃってやるということになって、御指導になっているということになれば、これは税金を――われわれは明治の人間ですから、三大義務の一つとして税金は完全に納めなきゃ、間違いなく納めなきゃならないというふうに三大義務の一つとして考えておる。ところが、政府のやっているところで、税金をこれがうまくいくんだなんということを言ってしまったら、しまいには一億一千万の国民がみんなが税金をごまかすという国になったら大変なことになる、こう思うものですから、これについては皆さんもひとつぜひ御注意になっていただきたいということをお願い申し上げるわけです。しかし、そういうことをおっしゃって大分勧誘しているということは、もうこれはよく方々から聞くわけでございます。
 もう一つは、定額貯金を集めるときに勧誘費を大分払っているらしいですね。これがかなりの額になっているらしいんですよ。われわれ民間の金融機関は、サービス品にしましても大蔵省の方でこれ以上のサービス品はやっちゃいかぬというふうな規定がございますから余りサービスができない。ところが、役所でやっている郵便貯金がそんなにたくさんなことをどうしてやれるかと、われわれは民間金融機関ですから、先ほど、信用金庫にしましたって、国債の協力にしましてもシンジケートに入って、現在シンジケートで発行額の五%は信用金庫が引き受けている、かなりこれは高率な国債を持たせられているんです。そういったようなこともやって一生懸命にやっているんですね。にもかかわらず、われわれの方でそういうことができないということになれば、ますます郵便貯金にシフトをするのは当然だ、こういうふうに考えますので、これはどこの会計でやるか知りませんけれども、そういったような予算はたくさんお要りお構いなしに国が出してくだすって、それで郵便貯金を集めるということになると、とても民間の金融機関は競争できないと思いますから、よろしくひとつ御賢察のほどをお願い申し上げます。
#101
○野末陳平君 どうもありがとうございました。
#102
○委員長(中村太郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたり本委員会に御出席を願い貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。重ねて厚く御礼申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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