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1980/04/21 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 外務委員会 第4号
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1980/04/21 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 外務委員会 第4号

#1
第094回国会 外務委員会 第4号
昭和五十六年四月二十一日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     岡部 三郎君     永野 嚴雄君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     坂倉 藤吾君     戸叶  武君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     宇都宮徳馬君     秦   豊君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     中山 太郎君     谷川 寛三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         秦野  章君
    理 事
                稲嶺 一郎君
                大鷹 淑子君
                松前 達郎君
                宮崎 正義君
    委 員
                谷川 寛三君
                夏目 忠雄君
                鳩山威一郎君
                細川 護煕君
                町村 金五君
                田中寿美子君
                戸叶  武君
                渋谷 邦彦君
                立木  洋君
                木島 則夫君
                秦   豊君
                山田  勇君
   国務大臣
       外 務 大 臣  伊東 正義君
   政府委員
       外務大臣官房審
       議官       栗山 尚一君
       外務大臣官房外
       務参事官     渡辺 幸治君
       外務省アジア局
       長        木内 昭胤君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省中南米局
       長        枝村 純郎君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       外務省経済協力
       局長       梁井 新一君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       運輸大臣官房観
       光部長      西村 康雄君
       海上保安庁次長  大塚 正名君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       防衛庁防衛局運
       用第一課長    萩  次郎君
       外務省アジア局
       外務参事官    長谷川和年君
       外務省国際連合
       局外務参事官   小宅 庸夫君
       外務省情報文化
       局外務参事官   加藤 淳平君
       通商産業省機械
       情報産業局自動
       車課長      西中真二郎君
       運輸省航空局管
       制保安部長    武田  昭君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本国政府とオランダ王国政府との間の文化協
 定の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出)
○日本国政府とギリシャ共和国政府との間の文化
 協定の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出)
○アフリカ開発銀行を設立する協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○一次産品のための共通基金を設立する協定の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議
 院送付)
○東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター
 を設立する協定の締結について承認を求めるの
 件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(秦野章君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 日本国政府とオランダ王国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、日本国政府とギリシャ共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、アフリカ開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件、一次産品のための共通基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定の締結について承認を求めるの件、以上五件を便宜一括して議題といたします。
 五件につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○稲嶺一郎君 まず最初に、一次産品の件についてお尋ねをしたいと思います。それからその後で、この前、カンボジア問題あるいはまたタイの問題等について質問をしなければならないようなことがございましたので、後でこの問題に触れていきたいと思います。
 それで、私、外務省の方から出された報告書でございますが、一次産品共通基金について見ますと、これの中に署名状況と出ておりますが、これに共産圏は中国以外は一国も出ていないのですが、この一次産品の問題について、その他の共産圏の国々はどういうふうに考えておられますか。
#4
○説明員(小宅庸夫君) お答えいたします。
 ただいま先生御指摘ありましたとおり、中国を除きましては共産圏諸国で署名をしている国はありませんが、ただ、昨年の六月この一次産品共通基金を採択したときには、共産圏諸国も含めまして多数の国がコンセンサスでこれを採択しております。したがって、共産圏諸国もこの共通基金の設立には賛成であると、私どもは考えております。
#5
○稲嶺一郎君 共産圏の方も賛成だということでございますが、署名の状況から見ると、去年の十月一日から四月八日までの間にまだ三十三カ国しか署名はされてない。その点から考えますと、いま参事官からおっしゃったように、これに対する署名は、共産圏から今後相当たくさん署名する可能性のある国々があると考えますか。
#6
○説明員(小宅庸夫君) ただいまのところでは、共産圏諸国のいずれの国が早期に署名するか、あるいは加入するかという確たる見通しは立っておりません。
 ただし、これらの国々の場合には、署名をもって協定自身に加入できる、国会承認とか批准とかいう手続を要しないところもありますので、これら諸国につきましては、いずれ近い将来に署名をし、加入することをわれわれとしては期待している次第でございます。
#7
○稲嶺一郎君 まあ期待はしているようだが、実際に共産圏の国々はこの一次産品の問題についてはどういうふうに考えていますか、非常に理解に苦しむわけなんですがね。
#8
○説明員(小宅庸夫君) 共産圏の諸国でも、砂糖協定とか小麦協定とか、個々の一次産品の商品協定には加入しております。したがって、一次産品問題の解決を価格安定あるいは所得安定ということに目標を置きまして、そのために個々の商品協定をつくるとかあるいは商品協定のメカニズムの中にそういう機能を含めていくという、そういう基本的な考え方につきましては、共産主義諸国も賛成であると思います。この一次産品共通基金が目的としておりますのも、そういった形での国際商品問題の解決、開発途上国の所得安定、それから価格安定ということでございますので、私どもとしては基本的には共産主義諸国は依然としてこの一次産品共通基金の設立を支持しているものと考えております。
#9
○稲嶺一郎君 私は、南北問題について考える場合に、南の方における従来物価の変動、それから経済の混乱というものが一次産品の価格の変動においてずいぶん大きな影響を受けたように感じられるのでございます。その点から考えて、私は、東西を問わずこの問題については支援をすべきだと。これについてわが日本の方が積極的に支援をし、リーダーシップをとっていることについては、ぼくは非常に適切なる措置を講じておられると思うんですが、ぜひこの問題については、南北問題の大きなかなめの一つになると思うんで、共産圏の方においてもこれに積極的に入るように、日本としても協力をしてもらいたい。
#10
○説明員(小宅庸夫君) この一次産品共通基金につきましては、引き続き準備委員会におきまして設立の準備作業が進められておりますが、その準備委員会の会合の場などを利用いたしまして、共産主義諸国及びまだ加入してないその他の諸国に対して私どもとしては加入を呼びかけてまいりたいと思っております。
#11
○稲嶺一郎君 それから、いまの続きになりますが、これを見てみますと、アジアそれからヨーロッパ、アメリカ等、北米の方は大体において署名をしておるようですが、アフリカ、それから中南米は非常に少ないんです。これはどういうふうに理解したらいいんですかな。
#12
○説明員(小宅庸夫君) 先生御承知のとおり、ただいま商品協定があります物としては、たとえばすずとか天然ゴムとかがあるわけでございますが、この一次産品共通基金が発足いたしますと、一番受益する可能性があると見られておりますのがまさにすずとか天然ゴムを輸出している国でございます。これらの諸国はアジアに多いわけでございまして、この長い南北間の交渉の過程でASEAN諸国を中心にアジア諸国は大変これに積極的でありました。これに比較いたしますとラテンアメリカあるいは一部のアフリカ諸国はそれほどでもなかったということは言えるかと思います。こうした姿勢の相違が現在までこういう署名の時間的おくれということになって出てきているのではないかと私どもとしては推測している次第でございます。
#13
○稲嶺一郎君 私は、アフリカの場合は非鉄金属とか、そういうのも相当資源としては豊富だと思いますが、今後、いま十八品目が一次産品になっておりますが、これは多くなる可能性もあるのじゃないか、またそういうふうな要請も出てくるのじゃないかと思いますが、そうなってくると、アフリカ等からのこれに対する興味というのがもっと強くなるのじゃないかなという感じもいたしますが、その点いかがですか。
#14
○説明員(小宅庸夫君) アフリカ諸国のうちにも、すでにこの一次産品共通基金設立協定に署名している国は幾つかございます。
#15
○稲嶺一郎君 これからのことで……。
#16
○説明員(小宅庸夫君) これから先もアフリカ諸国が加入、署名することを期待しているわけでございますが、ただいま先生御指摘の十八品目でございますけれども、これはUNCTADの総会で採択された決議に基づきまして十八品目が決まっているわけでございますが、とりあえずはこの十八品目というものを頭に置きまして一次産品総合計画というものを進める、その総合計画のいわば中心的な機関としてこの共通基金が今後生まれていくと、こういうことでございます。したがって、一応当面の課題としてはこの十八品目に重点を置きまして共通基金が活動していくと、こういうことになるかと思いますが、ただいま先生御指摘ありましたとおり、ほかの品目がこれに追加されるという可能性は常にあるわけでございます。
#17
○稲嶺一郎君 それで、一つお伺いをいたしたいのですが、石油ショックによって第三国が非常な影響を受けておる、あるいは破産のもうぎりぎりのところまで来ておる国々もあるんだというふうに聞いているわけですが、この一次産品の問題を批准することによって若干これに対して助けになるかどうかですね。あんまり関係はないのかどうか。
#18
○説明員(小宅庸夫君) この一次産品共通基金は、一次産品を輸出している国に対して所得安定あるいは価格安定のために活動をしております国際商品協定の機能を補完するためにこの商品の機関に対して融資をするものでございます。したがって、石油危機といいますか、あるいは石油価格の高騰によって国際収支面等における危機に直面している開発途上国に対しましては、ことに石油を輸出していない非産油開発途上国に対しましては、この一次産品共通基金というのがいわば新たな追加的な資金を受け入れる機関として働くことになるものであります。
#19
○稲嶺一郎君 直接な関係ないわけなんだが、石油ショックによる第三国のこうむった影響というものは無視できないものがあるので、わが国としては十分これについては配慮しながら外交政策を進めていく必要があるのじゃないかということを感じますので、感じておることだけを申し上げておきます。
 一次産品につきましてはこのぐらいにいたしまして、次に東南アジア開発センターの問題についてお伺いいたします。
 私、今日まで東南アジアの国ともいろいろな話をしてまいりましたから感じるのですが、彼らが常に言っているのは、日本と東南アジアの国々との貿易がアンバランスだと、だからこれをぜひバランスのとれるようにしたいということでございましたので、この点について、今回、この東南アジア諸国連合貿易観光促進センターを設立するということはきわめて私は意義が深いものだというふうに考えております。ただ十分に各国の情勢を判断をすること、この対策を誤る場合においてはあんまり効果がないんじゃないかということも感じます。
 実は一昨年タイに参りましたときに商務大臣と話をしました。あの当時貿易バランスの問題でずいぶん厳しい要請もあったもりですから、そのとき日本の方から六十名の大きな団員でタイに行った。ところがタイの考えというのは非常に細かい問題なんで、この問題について話し合うにはどうも団員があんまり偉過ぎて言えなかったんだという話も聞いております。だから、その意味におきまして、十分に相手の国の実情に検討を加えてこれに対応するような措置を講ずる必要があるのじゃないかということを感じますので、この点についてどなたかひとつ答弁を願います。
#20
○説明員(長谷川和年君) 先生ただいま御指摘のような問題が、日本と東南アジア各国との間に貿易に関してございまして、このセンターができますればセンターを通じまして日本側の中小の貿易業者、あるいはASEAN五カ国の組織を持たない貿易業者、こういった人たちを指導して、あるいは助言してASEANと日本の間の貿易の拡大ということに貢献すると思います。他方日本の大きな貿易商社等につきましては、それぞれ現地に支店あるいは現地法人等を持っておりまして、十分に現地の情勢等をつかんでおりますので、こういったセンターの援助をかりないで日本とASEAN五カ国の貿易を伸ばしていくということができると思いますが、センターができますれば、貿易の不均衡の問題を含めまして、センターの活動を通じまして日本とASEAN五カ国の間の貿易の順調なる伸びというものがだんだん達成されていくのではないかと期待しております。政府としてもそのために相応の努力をいたす所存でおります。
#21
○稲嶺一郎君 私は現地を訪ねて、なお現地に対する十分な理解が足りないのじゃないかということを感じますので、その点については十分の御配慮を賜りたい。それからなお、日本の行政は縦割りということになっているので、まあその点からいろんなひずみが出てくるのじゃないかということも感じますので、関連機関の方で十分に打ち合わせをして、万遺憾なきを期していただきたい、その点を要請します。
 それから次に、投資の問題でございます。これは投資につきましては、私、インドネシアにおきまして、各関係者とずいぶんいろいろと意見を交換をいたしたのでございますが、そのときに感じましたのは、タイに日本の合弁事業が二百あるんだが、そのうちの百八十が華僑との合弁、あと二十、一割が――向こうはヒッピーと申しますが、民族企業との合弁をやっている。どうも日本が民族企業を何か軽視してるのじゃないかなという印象を、インドネシアの世論も、あるいは学生諸君の方とも話をしたのですが、持っているのでございます。私はヒッピーの大会、約五千人集まったところで、いやそういうことはないのだ、日本は民族企業の育成に対して力を与える用意があるのだということを言いましたら大分喜ばれたのでございますが、このインドネシアの民族企業の諸君が、最近においては――従来は華僑反対ということでずいぶんかたまっていたのでございますが、それだけではいけない、どうしても自分の力を強くしなければならない、それにはやっぱり一番日本が模範になるのだということで、いま彼らは積極的に日本を学びたいという姿勢でございます。先般も私、大統領の弟さんになる方が向こうの商工会議所の副会頭で、それから民族企業の顧問をやっておりますので、これと一緒になって中小企業庁の長官といろいろと意見交換をしたのでございますが、そのときに私は彼らが非常な熱意を持っているということを感じたのでございます。それで、ぜひわが日本においても、従来のように華僑に余り偏向することなしに、十分に民族企業の実態を把握し、これを伸ばすような方向において進んでもらいたいというふうに考えますが、いかがですか。
#22
○説明員(長谷川和年君) 日本の企業の海外投資に関しましては、基本的には民間の自主的な判断と責任のもとに行われておりまして、政府としても、こういった海外投資をする企業の進出に当たりましては、受け入れ国、まあインドネシアの場合にはインドネシアでございますけれども、その関係の法令を遵守しまして、かつ現地社会との融和に十分配慮するように指導しております。確かに先生御指摘のような華僑資本との密接な関係というのが従来からございますことは事実でございますが、だんだんこういった問題につきまして一も、現地側政府の指導、それから日本側の投資者の自覚等によって事態が改善されているものと理解しております。たとえば、インドネシア政府が大統領令によりましていわゆるプリブミと言われる現地資本の育成をやっておりまして、こういった資本とだんだん日本からの進出企業が提携していくというようなことも聞いておりますし、政府としてもできる範囲内で、現地の関係法令を尊重しつつ、そういったことを助成していきたいと念じております。
#23
○稲嶺一郎君 それから、これに関係する問題ですが、実は私いつも感じているのは、日本のマスコミでもそうですが、インドネシアのマスコミ等も、どうも悪い面だけを取り上げて、日本がやっているいい面の方は余り宣伝しないように私は感じているわけなんです。
 と申しますのは、この前、総理のお供をしましてインドネシアへ参りましたときに、まあわれわれ国会議員はナショナル・ゴーベルといいまして、松下電器との合弁でやっておる会社を見に行ったのでございます。そうしましたら、いま約二千名余りの工員でございますが、これが実に工場の方も整備されておりますし、それから工員の方も能力が非常に上がっておる、大体日本の能率の八〇%ぐらいにはなるのじゃないかというふうに言われております。そういうふうに言っておりました。それから、その下請会社がまあ四社あるそうですが、これも松下電器の、ナショナルの方の指導によりまして非常にこれはうまくいってる。それからゴーベルの方が、最初は百四十名からスタートしたのが、現在においては二千名を超すような状態になっておる。それから下請の方も、初めは四名だった、ところが指導よろしきを得て、現在においては四十名でやっていてうまくいっているのだというふうな話をお伺いしたのでございます。私はこれによって非常に感銘を受けたわけなんです。
 それで、まあ私は相手を知ることが大事だという感じがしますのは、いまのように、従来外務省もそうだが、あるいは日本の商社等も、二、三年でみんな帰る、だから、本当の指導というものはこの二、三年においてはできないのだ、これは何年もかかって親身になって教育をすることによって、彼らのノーハウあるいは技術においてもあるいは管理能力においても、すべてにおいて十分に成長するようにできるのだということを私は感じたのでございます。と申しますのは、この松下の方の代表をやっている方が、向こうに十一カ年間いる、そして、初めは非常に困ったんだが、現在においては自分がもう満足するようなところまで来ているのだと。これと同じようなことがブラジルにもございまして、ブラジルの方に行っている日本の商社マンが、これも八年間行っている、そのために非常に会社はうまくいっているということでございまして、だから、われわれが今後ASEANの諸君と技術協力をする場合において、向こうの能力は足りないんだと、これは植民地時代が三百年もあるし、しかもその間余り教育もされなかった。だからこれはもういろんな面において劣るのがあたりまえなんで、初めから完全なものを期待して行く場合においては非常な失望をするのじゃないか、それは結局またその後の事業の運営にも影響をするのじゃないかと思いますので、その点で長期的な展望に立って合弁を考える。すぐ利益を得るのじゃなしに、長い間において利益を得ればいいのだという考え方でいくべきじゃない、その点について私は政府の方と政治家の方も民間の企業の方も一緒になって一遍この問題について話し合う必要があるのじゃないかなという感じさえも持っておりますが、こういった考え方について政府はいかがですか。
#24
○説明員(長谷川和年君) ただいま先生御指摘の点に関しましては、政府としても全く同感でございます。ただ、こういった投資家の場合には、民間の方が自分たちの責任で、自分たちの判断に基づき現地に参るということは先ほど申したとおりでございますが、先生御指摘のとおり、やっぱり日本と投資した先の利益を長期的に考える必要がございますし、政府としても可能な範囲内で息を長く対処していきたいと念じております。
#25
○稲嶺一郎君 この問題についてはこのぐらいにいたしまして次に移りたいと思います。
 それでタイ国の問題についてお伺いをいたしたいのでございます。先般タイにおいてクーデターがあり、これは国王のプレム首相に対する信頼によって何なく解決したのでございますが、これはどういう理由でこのクーデターが起きたのか、またその後タイの政治情勢はどうなっておるか、お伺いいたしたいと存じます。と申しますのは、私はいまカンボジア問題等これありで、タイの位置というものは地政学的に言ってきわめて重要なものでございまして、これの安定こそが東南アジアの安定につながり、またアジアの安定にもつながるというように考えておりますので、この点についてのお考えを聞かせていただきたいと存じます。
#26
○政府委員(渡辺幸治君) 先生御指摘のとおり、先般タイの一部軍部によるクーデターの試みがあったわけでございますけれども、約二十四時間余の間に事態が収拾されてプレム内閣が引き続き存続するということになったわけでございます。クーデターを試みた一部軍部がどういう趣旨でクーデターを起こそうとしたかということについては、現在取り調べということで必ずしも明らかでございませんけれども、過去におけるプレム内閣の政治のやり方が、これら軍部の人から見れば十分でない、経済政策その他について国民の間に不満があり、むしろプレム首相自身がもっと強い指導力を発揮してほしいというような主張であったというように考えております。それに対しましてプレム首相は、先生御指摘のとおり国王の非常に強い支持を得て説得に当たったという結果、クーデターを試みた将軍及び一部の佐官クラスの幹部はそれに屈服したということでございます。
 私どもといたしましても、先生御指摘のとおり、タイはインドシナ問題の前戦国家といいますか、一番直接かかわり合いのある国でございまして、その国内政情については非常に強い関心を持っているわけでございますけれども、クーデターを収拾したということで、プレム内閣及びタイの国内政治については当面安定しているというように判断しているわけでございます。先生御指摘のとおり、タイの政治において、タイの国王とそれからタイの軍と仏教というものがタイの政治の安定の三つの要諦でございます。その安定の要素というのは今後も引き続き存続するのではないかというように考えております。
#27
○稲嶺一郎君 タイ国は、日本と同じように、植民地にならないで独立を保ってきたアジアにおける二国のうちの一つでございまして、政治並びに外交というものはきわめてわれわれとしては注目すべきものである。その意味におきまして、タイの安定のためにわれわれ日本の方が力を与えるならば、十分にどんな危機でも切り抜けていける国だというふうに私は考えております。
 ところが、今後問題になるのは経済の問題でございまして、これもいま、新聞等によりますと、たとえば東北タイにおける問題あるいは南部タイにおける回教徒の問題等これありで、かなり国内治安については不安を持っているようでございます。特に東北タイの場合においては、農民の国民所得が百ドルだというわけでかなり不安な状態に置かれている。だから、これをわが日本においても、この前総理が行かれて東北タイに対する資金援助も約束されたのでございますが、どうかこのタイ国の実態を十分に把握して最も効果的な援助になるようにひとつ考えてもらいたい。特に東北タイの農村というのは非常に水が不足していて、その水の不足のために作物がなかなか思うようにいかない。しかもこれは長い間の焼畑農業をやったために土地が大分砂漠化してきたのだという話も聞きます。
 それで私思うのですが、これは話はちょっと飛びますが、この前中国の方で揚子江がずいぶん水かさが多くなって、約二千万の農民が被害をこうむったのだというふうに言われております。それから河北の方においては、きょうの新聞にもありますが、約一千万人ぐらいは影響を受けているのじゃないかなということもこれあり、だから干ばつと洪水とがやっぱり一番私は農村における、農業における敵じゃないかというふうに考えております。
 だから、ひとつわが日本においては、外国の問題ということでなしに、これは今後これらの国々に対しては運命共同体的な立場に立って、われわれの方が十分研究をする、そうして自分の国において考えるごとくアドバイスもするということが大事じゃないかなというふうに考えております。さもないと資金的に援助をやってもこれが十分な効果を持たないような形になるのじゃないか、この点について十分な配慮をしてもらいたいと、この点についてひとつお伺いいたします。
#28
○政府委員(渡辺幸治君) 先生御指摘のとおり、タイはカンボジア問題のいわゆる紛争周辺国といいますか前線国家であると同時に、伝統的に日本と非常に親しい友好関係を結んできた国であるということがまず前提でございます。その上にアジアの諸国の多くの非産油国と同じように現在かなり困難な経済情勢に直面しているということもございます。それから多くのアジアの諸国と同じように、都市と農村の所得格差、特に農村の貧困の問題というのは非常に深刻な問題でございまして、その点についてもわが国として施策を着々と講じなきゃいけないという問題意識を持っております。そういうことを背景といたしまして、先般鈴木総理がASEAN訪問をされた際に、バンコクにおいて、今後の経済技術協力の重点事項として、エネルギーあるいは中小企業等と並んで農村建設ということを非常に強調されたわけでございます。
 タイにおきまして鈴木首相とプレム首相は、協同組合を含む農村及び農業開発について、その重要性について合意され、これは共同声明で明らかにされております。今後タイに対する経済協力の重点はそういうところに参っていくのではないかというように思っております。
 ちなみに、先般鈴木総理がバンコクを訪問された際に、本年度の円借款として五百五十億円の資金を供与するということを明らかにされたわけでございますが、くしくも本二十一日、現地バンコクにおいてこの五百五十億円の円借款の交換公文が署名されるということになっております。先生御指摘のアジア諸国、中国を含めてアジア諸国における農村開発あるいは農業振興の重要性については、先ほど申しましたように、政府としても今後の経済協力の重点事項として大いに推進してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
#29
○稲嶺一郎君 いま真剣にタイの問題について考えておられるということは、渡辺参事官の御意見でわかりました。どうかタイに対して日本との関係あるいはアメリカとの関係あるいはASEANとの関係あるいはビルマとの関係等を勘案しながら、最も効果的な実のあるような施策を遂行していただきたい。時間がないものですからこれでやめますが、最後にその点についての外務大臣の御意見をお伺いいたして、私の質問を終わりたいと存じます。
#30
○国務大臣(伊東正義君) 私もこの間総理と一緒にお供をし、その前にも去年の九月初めて外国を訪問のときにもタイへ行ったのでございますが、タイはまさにカンボジア問題、インドシナ半島の平和ということに直接かかわりのある第一線の国でございますし、従来からも日本との関係は非常に密接な関係がある。そこの特に農村地帯の開発というようなことにつきましては、これはやはりその国が経済的に強くなるには、まず農業国は農村地帯の開発ということが第一でございますし、総理もそういうことを重点にひとつ考えようということでタイでも声明を出されたのでございまして、日本としましては、タイが東南アジアでASEANの中で非常に重要な国だということを十分認識を持っておりますので、今後ともASEANの中でのタイ、東南アジアの中のタイというものの重要性を考え、経済協力その他に力を尽くしてまいる考えでございます。
#31
○松前達郎君 最初に条約等について、特に文化協定にしぼってお伺いをして、その後で前回お伺いをした中でちょっと腑に落ちない点が幾つかありました、これは日昇丸のことですが、それについてお伺いしていきたいと思います。
 最初は、現在文化協定を日本と結んでいる国ですが、たくさんあるのじゃないかと思いますが、その概要をちょっとお知らせいただきたいと思うんです。
#32
○説明員(加藤淳平君) これまで日本が文化協定を結んでおります国は、フランス、イタリア、メキシコ、タイ、インド、ドイツ連邦共和国、エジプト、イラン、パキスタン、英国、ブラジル、ユーゴスラビア、アフガニスタン、ベルギー、オーストラリア、カナダ、イラク、フィンランド、アルゼンチンの十九カ国でございます。
 このほか本日御審議いただいておりますオランダとギリシャの文化協定が未批准ということになっております。
#33
○松前達郎君 その内容なんですけれども、いま十九カ国ですね、この内容は、きょうここで討議しておりますオランダ、ギリシャ、この両国の文化協定と比べまして大体同じような内容ですか。
#34
○説明員(加藤淳平君) オランダとギリシャの文化協定は、文化交流に関する種々の便宜供与その他随時の協議の実施等を規定しておりまして、この内容はこれまで他の国々と結んだ協定とほぼ同じ内容のものでございます。
#35
○松前達郎君 そうしますと、いまおっしゃった中に入ってないのは、これはソビエトが入ってないわけですけれども、このソビエトに関しては、以前に文化協定を結ぶ寸前のところまでいっていたというふうなことをちょっと聞いたことがあるのですが、このソビエトとの文化協定のいままでの経過、どういうふうになっているんでしょうか。
#36
○説明員(加藤淳平君) ソ連との文化協定締結につきましては、以前は政府間取り決めといたしまして日ソ文化取り決めというのがございましたが、これをさらにより広範な協力を行えるような内容にいたしたいということで、昭和五十一年の一月にグロムイコ外務大臣が来日された際に、両国間で日ソ文化協定の締結交渉を始めるという合意ができまして、この合意に基づきまして、わが方としましてはソ連側から提示いたしておりました案を検討いたしまして、昭和五十三年の初めにわが方の協定案をソ連側に提示いたしました。これに対してソ連側から回答がまだ来ておらないという状況でございます。
#37
○松前達郎君 そうしますと、ソビエト側からの回答が来れば、一応その検討を始めようと、こういうことに解釈してよろしゅうございますか。
#38
○説明員(加藤淳平君) この検討を始めるかどうかということにつきましては、種々の情勢を考えまして、さらにしさいに詰める必要があると存じますけれども、現在の時点ではすぐ協定交渉を積極的に推進し得るというような状況にはないというふうに考えておる次第でございます。
#39
○松前達郎君 種々の情勢を検討しながら進めるということをいまおっしゃったのですが、それと、いまそういったそれを進めていくような状況にないというのは、やはりこれは日ソの外交の問題ですね、そういうものが絡んでくる。とにかく一言で言えば文化交流も戦略の一つだと、こういうことになるわけですか。
#40
○説明員(加藤淳平君) 文化協定そのものは日ソ間の政府ベース及び民間ベースの交流事業全般の枠組みをつくるというものでございますので、これは政府ベースの事業だけでございません。したがいまして、全体といたしまして、この文化交流事業が円滑にできるような、そういう情勢にあるかどうかということの判断が必要なのではないかと存じます。
#41
○松前達郎君 民間ベースの枠組み、政府と民間ベースとの枠組みの中で検討するということなんですが、問題は民間よりも政府側にあるのじゃないかと思うのですね。
 それで、前にもちょっと外務大臣にもこちらで質問さしていただいたことがあるのですが、外交というものはやはり多面的な面を持ってなきゃいけないのじゃないか。片や非常に抗議をしたり、いろいろと相手の行動に対する批判をする、これはいいと思いますけれども、ある一面では、逆にそういったことにとらわれずに交流もやっていかなきゃならない、こういう多面的な面を持っているべきだと私は思っているのですが、文化交流については、まあ体制の差は確かにあるわけですけれども、こういう壁をできるだけ乗り越えて何とか進めていった方が、将来の問題を考えた場合、外交面でのパイプをあけるということも含めて考えた場合に、非常に有益になるのじゃないかと私は思っているのですが、この協定、日ソ間の交流協定ですね、これについて外務大臣として今後どういうふうに進めたいというふうにお考えでしょうか。
#42
○国務大臣(伊東正義君) 文化協定の問題は前から、こういう事件、いまのような環境になる前からこちら側から案を出して、向こうから返事がないので、これはそのままになっているものでございます。
 それで、私になりましてから、その後特にこの文化協定をどうするかというようなことを相談したことは実はございません。ございませんが、文化の交流といいますか、文化の問題は私はこれは政治、経済以前のものぐらいに大切なものだと思っております。お互いが相手側の文化というものを尊重し、また交流していくということは非常に大切な問題でございますので、前から日本側から向こうに案文を送っているのですが、向こうから返事がないという状態のままで、その後でこういういまのような冷たい関係になったわけでございますので、向こうから、ソ連から言ってくるかどうかはわかりませんが、返事が来た段階でどうするかということは、これはよく考えてみます。ずっとほうってあって、なぜいまごろ来るだろうかということも一つの問題でございます。来た場合にそれをどう取り扱うかということも、これは全然その後、申しわけございませんが検討をしておりませんので、来た段階で検討さしていただきたい、こういうふうに思っております。
#43
○松前達郎君 それではソビエト側の出方待ちというかっこうに受け取れるのですけれども、これはソビエト側がそういうふうに出してくるかどうか、これはちょっとわかりませんけれども、文化交流に関してはできるだけ体制を乗り越えてやっていった方がプラスになるのじゃないか。まあ経済とかその他の面はいろいろと事情があるかもしれませんけれども、そういう点でひとつ御尽力いただければというふうに思います。
 それから次は、これはちょっと通告してなかったのですが、サケ・マス交渉が終わりましたですね。それで協力費の問題、これがまた年々上がってきたけれども、またことしもプラスされまして、そのプラスの上で妥結をしたということになるのですが、これと絡み合って海洋二百海里時代、海洋資源に関する二百海里の専管水域といいますか、そういう問題がいま出て、前からこれは問題になってきておるのですが、わが国としてこの際領海を広めたらどうかというふうなですね、さらにもっと広く、そういう意見もちらほら聞くわけなんですが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#44
○国務大臣(伊東正義君) いま松前さんおっしゃいました日ソサケ・マスは、きのうでしたか、モスクワで議定書の署名を終えまして、きのうの持ち回り閣議で閣議決定をいたしたのでございまして、四万二千五百トン、これは四年間据え置きでございます。豊漁年、不漁年を通じて四万二千五百トンということでことしも決まったわけでございます。協力費が去年は三十七億五千万でございましたが、ことしは四十億になり、二億五千万ふえたということで、きのう署名を終えたわけでございます。これは二百海里の実は外の海域で、アジア糸のといいますか、ソ連の川で産卵したアジア系のサケをということで対象になっているもので、二百海里の外の公海の条約でございますが、いま先生おっしゃったのは、二百海里ということが言われているのだから領海十二海里というものをもっと広めるということはどうだろうかと、こういう御意見でございますが、二百海里は、これはそこにあります天然資源に対する排他的な管轄権ということで海洋法で認めているわけでございまして、水産動物とか海底資源でございますとか、そういう資源に対する排他的な管轄権を認めるというので、もう一つは汚染の関係の、海上の環境の問題ですね、汚染の取り締まりということは二百海里の中で認められておりますが、そのほかはこれは全然、航行の自由でございますとか、公海と同じような取り扱いに海洋法でなっておるわけでございます。いわゆる領土的な、領海的な管轄権というものはないわけでございまして、領海条約その他海洋法、みんな考えましても、やはり世界の大勢は十二海里領海ということになっておりますし、日本がまあ貿易の面でございますとかいう関係の面とか漁業の面でございますとか、海外に行って活躍することが相当日本は多いわけでございますので、そういう面から考えると、逆に十二海里を広めるということが日本にとって有利かどうかということは、これは大きな問題でございますし、世界の大勢も十二海里と領海条約で考えておる。今度の海洋法でも十二海里を前提にしまして考えているということでございますので、いま政府としましては、やはり十二海里が領海としては世界的に認められた考え方で、これでいいのではないかというふうにいま思っておるところでございます。
#45
○松前達郎君 いまのは後で質問させていただくことの関連もあったものですからちょっとお伺いしたのですけれども、それでは次に移ります。
 さっき申し上げましたように、実は、昨日現地の鹿児島へ行きまして調査をしてきたわけなんですが、その結果も含めて、この前質問さしていただいたことでまだちょっと腑に落ちない点が二、三ありますから、それについてお伺いしたいと思いますが、まず最初に防衛庁にお伺いしたいんですが、護衛艦の「あおくも」「あきぐも」ですか、この二隻の護衛艦が救助をしたということになっておりますが、この二隻の護衛艦の用途、用途と言うことが適当かどうか知りませんが、任務といいますか、これについてどういうふうな内容のものを持っているのかお知らせをいただきたいのですが。
#46
○説明員(萩次郎君) 救助いたしました二隻の護衛艦は、いまお話ございました「あおくも」と「あきぐも」でございます。で、いずれも自衛隊の護衛艦ということでございまして、主目的は対潜任務でございます。したがいまして、通常の装備は魚雷でございます。そのほか速射砲というものももちろん積んでおります。
#47
○松前達郎君 そうしますと、対潜用の船であるということになりますと当然ソナーも持っているでしょうし、それからアスロックというのがありますね、アスロック、これも搭載しているわけですか。
#48
○説明員(萩次郎君) 搭載しております。
#49
○松前達郎君 そうしますと、当然海の中と、それから海上ですね、これの警戒に当たるわけでしょうから、航空機用のレーダーももちろん持っているわけですね、このレーダーに当時上空を旋回していたと言われているP3Cですね、これについては認めているのかどうか、その辺はどうでしょうか。
#50
○説明員(萩次郎君) 事故当時、事故海域上空を飛行しておりました米軍機につきましては、近くに下甑のレーダーサイト、航空自衛隊のレーダーサイトでございますが、そこがキャッチしております。二隻の護衛艦の方はいずれも航空機をキャッチしておりません。
#51
○松前達郎君 そうしますと、キャッチしたのはいまの甑島のレーダーサイトがキャッチをした、それだけだということになりますね。
 そこで、これも運輸省の方なんですが、フライト・プランがもうすでに出ていたということですね、後から検討したら、多分そのP3Cではないかというふうなことが言われておるのですが、このP3Cというのは、その当日旋回をしていたP3Cについては、これはその後三沢基地に戻ったのですか。
#52
○説明員(萩次郎君) このP3Cは三沢基地所属のものでございますので、当然その飛行の後は三沢基地に戻っておると確認しております。
#53
○松前達郎君 それで、その辺からいろいろと事故のあった後の問題についてどうも食い違いが出てきておるわけなんですね。というのは、乗組員の証言と、それからP3Cが哨戒、哨戒というか、上空を飛び回っていたにもかかわらず認められなかった、遭難した人を発見できなかったということとか、あるいは潜水艦が後から浮上したにもかかわらず遭難を認めなかった。また最近になりますと、日昇丸は沈んだのじゃなくて航行し去った、そういうことをアメリカ側が言っているというふうなことも最近になってわかってきたようでありますから、どうもその辺の情報が非常に混乱をしておったのじゃないか。ですから発表も、それぞれみんなわかりながらなかなか発表しない、そういうふうなことですね。たとえば、海上保安庁の巡視艇が引き取ったときも、引き取った後、引き取るというか、その通報を受けた後、これは重大事故じゃなかったと判断したものですから県側にも発表してない、何かそれぞれみんな思惑があってなかなかうまく情報がすぱっとまとまっていかない、そういうふうなことが大体この今度の事件についてあったのじゃないか、こういうふうに私は思うわけなんです。
 それで、その当時、場所としては下甑島西南西約三十七海里、宇治群島から二十二海里の海域、事故が起きている海域ですね、その付近だと言われているのですが、普通で言いますと、たとえば通報が早ければ当然海上保安庁がその救助に向かった場合、向かったと想定した場合でも、六十マイルしかないので巡視船でも四時間ぐらいで行けるんだ、また同時に航空機なら一時間以内にその現場まで行けるんだ、こういうことを言っておるわけなんですが、事故の通報が早ければ救助はもっと早くできただろうし、さらに二名の行方不明者に対しても救助が可能であったのじゃないかということが考えられるのですが、その点はいかがでしょうか、これは海上保安庁。
#54
○政府委員(大塚正名君) いま御指摘のように、SOSを私どもが受信しておれば航空機は、いまお話に出ましたように、三、四十分で現場に到着いたしますし、また巡視船は四時間ぐらいで現場に到着することができるわけでございます。したがいまして、時間的関係からだけ申し上げますと、救助の可能性はあり得たのじゃないかという考えもございますが、いずれにいたしましても海難救助につきましては海象条件あるいは周囲の環境、条件等によりまして一概には言えないというところが正確なところでございます。
#55
○松前達郎君 遭難乗組員の話を伺いますと、事故があった後、沈没した後も各種の音が聞こえた、これはもう新聞その他でもさんざん報道されておりますが、夕方にも再び潜望鏡が確認できた、こういうふうなことを言っておるわけですが、しかもP3Cが上空を旋回していた、こういう点から言いますと、どうも普通の状況じゃない感じなんですね。やはり何らかの演習を行っていたと思われるのですが、これはいろいろな情報をまとめてみて防衛庁として一体どういうふうに考えておられるか、演習を行っていたというふうに判定されているのかどうか、その辺をちょっとお伺いしておきたい。
#56
○説明員(萩次郎君) 事故当時、上空をP3Cが飛んでいたということだけしか事実関係をつかんでおらないわけでございまして、報道等によりますれば、これは訓練をしていたのではないか、あるいは航空機と潜水艦の間で通信をしていたのではないかというようなことがいろいろ言われておりますが、防衛庁といたしましては、いずれにつきましてもその確証をつかんでおりませんので、いまのところどういうものであったかという推測はなかなか困難でございます。
#57
○松前達郎君 そうしますと、乗組員がそれぞれ口をそろえて言っておられるいろんな音がしたということ、これは御存じですね。
#58
○説明員(萩次郎君) 報道等でシュルシュルという音がしたとかドーンという音がしたということでございますので、私どもの専門家にいろいろ尋ねたわけでありますけれども、なかなかシュルシュルというのとドーンという音だけではどのようなことだったのか、どうも憶測の域を出ないような状況でございます。
#59
○松前達郎君 それから、音だけではということですが、音がしたことは事実なんですね。事実というか、証言に出ているわけですね。しかも、海中を何かが走るような感じの音、これは恐らく静かなところで漂流していたわけですから、当然これが間違いだとも言えない面があると思うんですね。そういったような証言といいますか、遭難した乗組員の証言については防衛庁は――いま海上保安庁が調べていますね、それから情報を得ていますか。
#60
○説明員(萩次郎君) 事故発生以来、第一報を海上保安庁に入れておりまして、それ以来海上保安庁との間では緊密な連絡をとり合っております。乗組員の証言等につきましても海上保安庁より通報を受けております。
#61
○松前達郎君 それからもう一つ、北米局長がおっしゃったんだろうと思いますが、原潜は通常活動、いわゆるルーチンオペレーションをやっていたのだと、こういうことをおっしゃっていましたが、これはアメリカ側からそういうふうなことの連絡があったんですか。
#62
○政府委員(淺尾新一郎君) 十日の日に、この衝突が起きた後にアメリカが、海軍のステートメントというものを私たちの方に通報いたしました。その中に、通常の活動に従事していた、ということがございます。
#63
○松前達郎君 その現場の近く、この海域のちょっと北の方になると思いますが、アメリカ軍の演習海域があるんですね、フォックストロットという海域だと思いますが、この海域で演習を行うということを前提としてどうも行動していたのじゃないかということも考えられるわけですね。それと、たとえば音がしたというのも、模擬魚雷を発射したとか、いろいろなことが考えられる。ではその回収をだれがやったかとか、これは想定ですよ、いろんなことが考えられるのですが、たとえば、護衛艦の乗組員から二等航海士が聞いたことは、救助された後ですが、君たちの救助にやってきたのだというふうなことを聞いたというふうに言っているわけなんですが、そういう点をずっと総合しまして、どうも、前にもちょっと護衛艦二隻の行動というものについてまだ腑に落ちない点があったものですからお伺いしたわけなんですが、護衛艦がすでに遭難事故を知っていたのじゃないかというふうな疑義もいまだにはっきりしてない面があるのですが、これは確かに知らなかったわけですね。
#64
○説明員(萩次郎君) そういう疑義がさまざまなされておりましたので、私どもも艦長等乗組員から詳しく事情説明を受けました。その結果、その四月十日の未明に、両自衛艦が漂流中の十三名を助けるまでは、事故が発生したということは一切知っておらないというふうに確認いたしております。
#65
○松前達郎君 もう一つ伺っておきたいのですが、アメリカ側の回答というか、状況についての説明の中では、遭難者を乗せているゴムボートも発見できなかった、捜索活動はある程度やったというふうなことを言っているのですが、P3Cというのは、上空を飛んでいて、わりと低空を飛んでいたと思うのですけど、あんなゴムボートすら発見できないような飛行機なんですか。
#66
○説明員(萩次郎君) P3Cと申しますのは、本来は対潜哨戒機でございます。御存じのとおり、潜水艦を捜します場合には、P3Cからソノブイというものをまきまして、電波を受信して捜索するということで、この航空機は本来上空から下を見るという機能を持っておりません。したがいまして、本当に見えなかったのかどうかというのは米側の調査にまつよりしようがないと思いますが、もし、P3Cがよほど低空までおりてきて、相当詳細な調査をしない限り、P3Cの本来の機能から、すぐ下が見えるということはなかなか困難ではないかと思います。
#67
○松前達郎君 すると、今度は運輸省にお伺いしたいのですが、フライト・プランについては、常にこういった飛行、P3Cの飛行も含めて事前にやはり出しておく――これは民間航空機との接触事故なんかあると大変ですから、そういう意味も含めてだと思いますが、そういうふうな慣習になっているわけですね。
#68
○説明員(武田昭君) 米軍機につきましても、航空交通の安全のために、飛行計画を出していただくということになっております。
#69
○松前達郎君 すると、防衛庁の飛行機については、航空自衛隊についても同じだと解釈してよろしゅうございますか。
#70
○説明員(武田昭君) 防衛庁の航空機につきましても、航空交通の安全のために必要な目的のために、飛行計画を提出していただくということになっております。
#71
○松前達郎君 そういうふうなことをずっと伺ってみまして、これは調査の結果全体がまとまっていないので、まだはっきりわれわれとしても考え方がまとまらないのですけれども、そうしますと、いまおっしゃったようなことを総合してみると、もっぱらこれはアメリカ側のミスといいますかね、まあ日本の防衛庁、海上自衛隊もこれに関与していない。ですから、アメリカ側が単独に組んだ演習あるいはそれに類するもの、こうだというふうに解釈せざるを得なくなってくるのじゃないかと思うのですが、そうなってくると、やはりどうしても焦点は事故を起こしたときの後の処置の問題、情報その他も含めて、そういう問題に帰着していくのじゃないかと思うのですね。前にもちょっと申し上げましたけど、その辺がどうもうまくかみ合っていない、判断の仕方もいろいろとあった、こういうことになろうと思うので、その点再びここで申し上げますけども、やはりそういった海難、いわゆる衝突事故その他、今後ないとも言えないので、その点をひとつ十分振り返って検討しておいていただきたい、こういうことを要望しておきたいと思います。
 それからもう一つ申し上げたいのは、この日昇丸という船は一体どのぐらいの船歴・船齢を持った船か、私が聞いた範囲だと相当のぼろ船だと聞いたのですけど、いかがでしょうか。
#72
○政府委員(大塚正名君) 日昇丸が建造されましたのは四十年六月でございます。
#73
○松前達郎君 それから、ゴムボートを海中に投げ出して――これは普通の救命ボートも持っている船なんですね、ところが、そいつはどうもふだん動かしたことないから、全然振り出しができない。振り出しというか、外に出せないのだろうと判断して、時間もなかったと、しようがなくてゴムボートを外にほうり出して、ふくらんだことはふくらんだと、乗り移ったらみんな底が抜けたってわけですから、これも相当ずさんな管理をしていたのじゃなかろうか。聞いてみますと、船員法で大体一カ月に一回訓練しなきゃいけないことになっているのですね。これもどうもやってなかったみたいだと。そうなると、結局今度の問題は、損害賠償とかいろんなことを言っているけれども、船主側にとってはこれはかえって大もうけしたのじゃないかというふうに言っている船員もいるわけですね。で、われわれはどうしてくれるのだと、こういうふうな話になってくるわけなんで、損害賠償、補償問題というのがやはり今後、お金の額の問題もあるでしょうけども、管理の問題ですね、安全管理の問題で非常に大きな問題が出てくるのじゃないかと、こういうふうに思っておるわけです。まあその点について、やはりこれは運輸省の所管ですね、その点についてもやはり今後十分検討していただかないと、いざとなったら全然役に立たないようなボートを載っけていてもこれはもう話にならない、こういうふうに思うわけなんで、その点もひとつ今後検討していただきたいと思うのですね。
 どうも事故そのものの原因はアメリカ側の問題である、それから、事故が起こった後の処置の問題については、日、米、それぞれの所轄のところの情報交換あるいは判断の仕方が非常にちぐはぐであったということですね。それから、さらに救命については船側の、船主側の怠慢といいますか、船主側の責任が大いにあるのじゃないか、いまのボートの問題、その三つにどうも分けられるのじゃないか、かように思っております。損害賠償その他については、これはまあお金で解決しようというのでしょうけれども、これはこれで、これは国際的な司法機関に恐らくゆだねて、それの方から解決をしていくのじゃないかと思いますが、こういった事故をずっとながめておりまして、まあやはり日米間の問題としてこれは大きな問題になったわけなんですけれども、今後の外交日程の中でどういうふうにこれを処置をしていくのか。たとえば、先日の委員会で外務大臣が、アメリカ側の調査報告がおくれた場合、五月の日米首脳会談、あるいは六月の日米安保事務レベル協議、さらに防衛庁長官とワインバーガー国防長官の会談、そういう機会をとらえてアメリカ側にただしていくのだというふうにおっしゃった、これについては変わりありませんか。
#74
○国務大臣(伊東正義君) 本当に不幸な、遺憾な事件でございますので、やはりわれわれの国民感情からすれば一日も早く事故原因というものを納得するような調査をしてもらいたい、再発防止のために。あるいは通報のおくれというような問題、あるいは人命救助についてどういう努力をされたかというようなことをやはりはっきり調査をして通報してもらいたい、国民の疑惑を解くようにすべきだ。それから日米の友好関係を維持するためにも事後処置といいますか、補償を含めて処置をしっかりやってもらわなければ困るということを再三マンスフィールド大使、あるいはワシントンで日本の大河原大使からワインバーガー国防長官あるいはロング米太平洋軍司令官、これは総理も会われたのでございますが、機会あるごとにそれをアメリカに要請をしていたところでございます。できれば中間報告でもしてもらいたいということを言ったのでございますが、それは五月の七日、八日に日米の首脳会談が予定されているわけでございます。そういう際までに、大体この事故の大筋はわかり、たとえば損害賠償、損失補償の問題であれば、それも大体目鼻がついているというように、大方のものは決着がついているということが望ましいし、なるべく早くそういうことになることが日米の友好関係を維持する上に大切だということで強く要請をしたのでございますが、中間報告につきましては、これはいずれこの問題は個人の責任とかいう問題にもなるおそれが多分にある、そうすれば、中間報告をして、そういう審判とか裁判になりますかわかりませんが、そこに予断を与えるということは困るので中間報告は無理だと、しかしアメリカ側としては異例のスピードで調査はやっている、迅速に調査をして報告を出す、大統領も鈴木総理あての親書の中で、これは自分としては非常にこの問題については関心を持っておる、そして遺憾の意を表明するとともに、自分としてこの事件の解決については個人的な注意を払っている、また鈴木総理がワシントン訪問の前に双方にとって必要なことを満たす十分な進展が見られることを非常に期待している、というような親書を先週土曜日、十八日でございますか、マンスフィールド大使が持ってこられたわけでございますので、日本としましてはこの調査が一日も早くできるように、そして首脳会談の際には大体目鼻がついているということになることを時間的には期待をしているわけでございます。
 一方、損失補償、損害賠償の問題はもうすでに日昇丸の所有者あるいは遭難された乗組員等の代表、代理の弁護士さんが決まっておりまして、アメリカ側と接触が始まっておるわけであります。この問題についても、事故原因の最終報告が出る前にもうこの問題については話し合いを始めるというようなことをアメリカ側は言っているわけでございまして、私どもは、異例のスピードで調査をする、出た真実はそのまま伝える、うやむやにしたり隠蔽したりするようなことはしないということをはっきり言っているわけでございますので、それを信じていま調査を待っているというところでございまして、日米首脳会談前に大筋のものはわかり、話し合いがついていることを私は期待をしているということでございまして、これは余り長く原因もわからぬ、なぜおくれたのかもわからぬというようなことが続くことは両国関係の友好親善関係にひびが入るおそれもございますので、向こうも首脳会談の前に十分な進展が見られることを非常に期待している大統領の親書でございましたので、それを評価していま調査の結果を待っている、片一方では、損失補償の問題は民間の方がアメリカの大使館、海軍の方と話をしておられる、こういうことでございます。
#75
○松前達郎君 では最後にちょっと要望をしておきたいことがあるのですが、先ほども申し上げましたけれども、こういった事故等の通報、救助対策、こういうものについての総合的な検討をひとつしていただきたいのが一つ。
 それからもう一つは、最近与論島付近や東シナ海のルートというのは非常に交通が頻繁だということなんでしょうが、この海域で特に軍事行動をする艦船が非常に多いということを漁船の人たちが言っておるのですね。たとえば、鹿児島県漁協では四月十八日付で外務大臣、水産庁長官に対して陳情書を出している。私もそれをもらいましたけれども、この中でも、「米原潜によるあて逃げ事件は起こるべくして起こった」というふうに書いてある。こういうふうなことですから、今後日本周辺海域の漁船の安全操業の確保、このために外務省、防衛庁、その他関係省庁十分な検討をして対策を立てていただきたい、こういうことを最後に要望いたしまして質問を終わらしていただきます。
#76
○田中寿美子君 ただいまの松前委員の質疑応答を伺っておりまして非常に不審な点だらけでございますが、中間報告もアメリカの大使からはこれが出せない。それを外務大臣も了承なさったし、それからけさ私は出がけにちょっと小耳にはさんだニュースでしたからはっきりと具体的にあれなんですけれども、賠償要求も日本の遭難者の方から出している九億幾ら、これに対してアメリカの方ではあるいは金額は正しくないかもしれませんが、百万ドル以上ですか、議会運用にかけなければいけないからそんなに長引かせないで早目に始末してしまおうという態度をとっているというようなことが報道されておりましたが、そのようなことはお聞きになっているか。そして何か次第次第に外務大臣あるいは日本の政府側の姿勢が後退していっている感じですが、そのようなことがないかどうか、そのことについて一点だけいまのことに関連して伺います。
#77
○国務大臣(伊東正義君) 損害補償の額等はいま私は何も聞いておりませんが、政府委員の方からアメリカの規則等について御説明申し上げますが、われわれアメリカに対する態度は何も変わっていないんです。この事件をうやむやにするとか、そういうようなことは絶対あっちゃいかぬ、あくまで向こうも調査をやって、そうして真実はそのまま日本に伝える、うやむやにするようなことはしないということを向こうもはっきり何回も言っておりますし、総理も私もロング太平洋軍の司令官にも厳重に日本側の要請を伝えまして、大使にも伝えておるところでございまして、私は決していま先生のおっしゃったようなそういう考え方は毛頭ございませんで、ちゃんとけじめをつける、非は非、是は是としてちゃんとしてやるという姿勢でこれは最後まで取り組むつもりでございます。法律、手続等でいろんなことがおくれるというようなことが訴訟の場合等あるいはあるかもしれませんが、それはそれで別な問題でございますが、日本側としてはなるべく早く決着をつける、それはちゃんとして事後処置をやってもらうということでなければ、国民の皆さんはこれは納得しませんから、そういう態度でやらぬとかえって日米の間に悔いを残すということになることを私はおそれますから、そこは十分注意して最善の努力をするつもりでございます。
#78
○政府委員(淺尾新一郎君) アメリカの国内法の関係で申し上げますと、まず人的損害については一人当たりについて二万五千ドルまで、これは海軍長官がそのままできます。それからさらに、二万五千ドルを超えた補償についても、それが適切というふうに認められる場合には、二万五千ドルを超える分も支払うということを議会に証明した上で、同じように支払うことができるようになっております。
 それから、物的損害、要するに船体、あるいは貨物でございますけれども、これも海軍長官は、行政措置として、百万ドルを超えない範囲であれば行政的に処理していく、さらに、百万ドルを超える賠償額で示談が成立した場合には、同じように海軍長官は議会に証明をした上で、同じようにその示談で支払いができる、こういうことになっております。
#79
○田中寿美子君 そのことについて、海軍長官みずからが乗り出して、賠償の問題は早く打ち切ろうとしているというような情報が、外務省には入っておりますか。
#80
○政府委員(淺尾新一郎君) 補償の問題については、すでに再三にわたりまして、アメリカ側の方から、事件の究明と切り離して補償の問題を早く解決したいということを言ってまいりましたけれども、レーマン海軍長官が二十日、アメリカにおいて発表いたしまして、その概要を申し上げますと、海軍長官は本日、これは二十日でございます、海軍はジョージ・ワシントン号と日昇丸の衝突事件の責任、英語ではライアビリティーということを言っておりますけれども、を認める旨発表した、本件衝突は四月九日に起こり、右日本商船の沈没という結果を招いた、この措置――というのは、その補償を早くしようということですが、この措置は、長期にわたる訴訟を避け、海軍がすべての関係当事者と早急に交渉を始めることを可能にすべくとられたものである、この措置は、ジョージ・ワシントン号の艦長及び乗組員一人一人の責任問題、パーソナル・ライアビリティー及びレスポンシビリティーを何ら予断するものではない、こういう発表をしておりました。
 要するに先方は、補償問題について早く解決しようということでございますが、その示談だけで逃れよう、あるいは事故の究明をしないでやろうということではなくて、この補償問題はきちんと早くけりをつけたいというのが、こういう行政措置をとる趣旨だろうと思います。
#81
○田中寿美子君 外務大臣、その点アメリカに何となく遠慮をしていられる感じがしますので、そういうことなしに、こちらの主張すべきことはどこまでも主張するという立場をとっていただかなければ困ると思います。
 きょう、私はアフリカ開発銀行設立の協定と一次産品共通基金設立の協定、それから東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターの設立、この三つの問題について質問を申し上げますが、この三件とも日本が途上国に対していかに経済的に協力するかという姿勢を問う協定であると思います。これらは日本として私は大いに協力すべきものであると考えております。二国間協定じゃなくて、こういうふうに第三世界と呼ばれる国々、途上国は、いま百十カ国もあるわけですが、それらすべてに及ぼすことのできるような経済協力というのは、最も私は日本がやるべきものであると思います。
 協定の細部のことを議論する時間もありませんので、私は非常に大切な点であるところの、つまり日本は軍事大国になるべきではない、しかし、経済大国と呼ばれている経済力を持っている日本が、発展途上国に最もよく貢献して、そしてそのことによって途上国の国民の生活の安定を図り、開発を助け、そして結果として世界の平和に貢献する、平和の維持に貢献すると、こういうふうな立場で協力すべきものだというふうに考えております。したがって、今度の協定の締結は大いに賛成なんですが、日本が途上国、つまりいわゆる第三世界に対する経済協力の姿勢ですね、そのあり方について、政府の姿勢をただしたいと思っております。
 で、一番最初にお尋ねすることは、アフリカ開発銀行は、アフリカの独立の年と呼ばれている一九六〇年から六一年ごろですね、十七カ国も長い間の植民地から解放されて独立いたしました、その年ごろからもうすでにこのアフリカ開発銀行への準備が始まっている、そして六四年にこの資料によりますと、協定が成立している、業務の開始は六六年、こういうふうに非常に早くから開発銀行をつくってきたけれども、なぜ域外には開放しないで、資金力だってわずか十億ドルそこそこというので今日までやってきたか、なぜそういう立場をとってきたというふうに外務大臣、お考えになりますか。つまり、ほかのアジア開銀だとか米州開銀なんかと違うのですね。
#82
○政府委員(梁井新一君) 田中先生御指摘の、何ゆえにアフリカ開発銀行だけが資金源のソースを域外国に求めずに域内国だけでスタートしたかという問題でございますけれども、この銀行のできました過程におきまして、アフリカ諸国はまだ独立を達成した直後でございまして、その独立を達成したときの意気込みからぜひ自分だけでやりたいと、ぜひ自分たちだけで、域内国だけでやっていきたいという気持ちがあったことも想像できるところでございます。ただ、その後の経緯を見ますと、やはりほかの地域銀行も域外国からの資金を導入しておりますし、アフリカ開発銀行におきましても、その過程におきましてアフリカ開発基金というものをつくりまして、これは域外国からも資金を導入しておるわけでございますけれども、今般アフリカ開発をさらに進めるためには、やはり広く資金源を域外国にも開放、求めて資金源をふやそうということになったものと了解しております。
#83
○田中寿美子君 アフリカ開発基金というのは、オイルショック以後にできたものですね、ずうっと後でしょう。これはちょうど六〇年あるいは五〇年代にアジアの諸国が植民地から独立していく。六〇年代に入ってアフリカ諸国が次々と独立していきました。たまたま私、アジア・アフリカ人民連帯運動に参加しておりましたので、その当時、アジアやアフリカ諸国の会議にたびたび出たわけです。独立直後のアフリカ諸国の人民の意気というのはまことに盛んなものがあった。しかし、長い間植民地支配を受けていたために経済力は全く疲弊していた。だから、開発は非常におくれていた。政治的に独立しても――したことには非常な喜びを感じていたけれども、これを経済的にまた他の国に依存するようなことがあったら独立が危うくされると、こういう気持ちが非常にあったと思います。ですから、大変警戒をしてわずかの資金であってもそれで続けてきた。開発もそれに応じてあんまり進まないということがあったかと思います。だけれども、もうやがて独立国がたくさん出てきて、国連にも――六四年だったと思いますけれども、グループ七十七という途上国を代表するグループができて、そして人民間のそういう運動をしなくても、国連で発言権をたくさん第三世界が持つようになりましたですね。そういう関係から、オイルショックの後でアフリカ開発基金を設けて、後発途上国の援助はそこからやる。たとえば、資料で見ますとマリだの、タンザニアだの、エチオピアだの、中央アフリカだのというのは、主として農業に投資するところの資金をアフリカ開発基金から受けて、これは無利子で五十年というような期限のものを使っています。だけれども、もう少し先に進んできているところの途上国の方では、やはりもうここまできたら資金をもっとたくさん必要とするということになったんだろうと思いますね。ですから、やっぱり第三世界、途上国というものの、よくナショナリズムと言うけれども、やっぱり途上国の独立への強い意欲、そういうものを十分察しなければならないと思うんですね。
 そこで、お尋ねしますけれども、アフリカに対して日本と二国間の経済援助を結んでいる国というのはどういう国がございますか。そして、どんなような中身でしょうか。
#84
○政府委員(梁井新一君) アフリカに対しまして日本の政府開発援助、最近かなりふえておるわけでございますけれども、現在日本は――実は私、いまここでアフリカと申しますのは外務省の分類でございまして、サハラ以南のアフリカについて申し上げております。
#85
○田中寿美子君 北は抜かして。
#86
○政府委員(梁井新一君) マグレブ諸国のアフリカを含まない統計で御説明いたしますので、御了承いただきたいと思いますが、現在日本が承認しておりますアフリカ、サハラ以南のアフリカでございますが、そこに開発途上国が四十四ございまして、その中の四十カ国以上に政府の開発援助がいっております。ただ、この政府の開発援助と申しましてもいろんな形態がございまして、技術協力の場合、さらに資金協力の場合。資金協力にも無償の資金協力とそれから政府貸し付けと二通りあるわけでございますが、七九年の実績で申しますと、日本の開発援助の金額の非常に大きい国はザイール、それから象牙海岸、マダガスカル、それからニジェール、タンザニア、ザンビアというところが日本の援助の大きな受け取りの国でございます。
 これは七九年の支出の実績でございますので、実はそれ以前に日本政府がコミットいたしました経済協力の実績が出てきたということでございまして、現在私が持っておりますのは七九年の資料でございまして、それ以後の新しい実績の数字は持っておりません。
#87
○田中寿美子君 いまのお話ですと、アフリカでは比較的多くの国に日本が二国間の援助もしてきているということなんですね。今回の場合のは多国間援助に当たると思いますが。
 そこで、私は日本の経済協力について伺いたいのですが、大臣、GNPの一%までというようなことをずっと言われておりましたが、最近GNPの〇・七%を五年間に経済協力を達成するのだという目標を出していらっしゃるわけですね、それは本当ですか、それは事実ですね。
#88
○政府委員(梁井新一君) ただいま田中先生御指摘の、最近の政府開発援助の目標と申しますのは、過去五年間の日本の政府開発援助の総額の倍以上の政府開発援助を今後五年間に出そうという中期目標でございまして、その中期目標の中には政府開発援助の対GNP比の改善を図るという言葉が入っておりますけれども、〇・七%というのはかつて国連におきまして決議されました目標でございまして、日本も期限を定めずに受諾しております。努力目標として受諾しておりますけれども、最近の成果を含めました中期目標におきましてはGNP比の改善を引き続き図っていくということが入っておりまして、目標の一番主要な部分は過去五年間の政府開発援助の総量を今後の五年間で二倍以上にするという点にあるわけでございます。
#89
○田中寿美子君 だから、国連では〇・七まで達成するというのを目標として出されていて、日本もその方向に向かうということだろうと思いますが。
 そこで、日本の経済協力の基本的な原則ですね。経済協力をするときにどういうことを条件としていられるか、ちょっとお尋ねいたします。大臣いかがですか、経済協力をなさるときにどういうところにはするという原則があるんですね。
#90
○国務大臣(伊東正義君) 原則的な考え方でございますが、経済援助の世界的な理念といいますか、人道主義あるいは相互援助というようなことを頭に置いて、相互依存関係とかいうことを頭に置いてやるわけでございますが、日本ではこれは国会の決議にもありますように、軍事目的とかそういうものには使わぬ、紛争を助長するというようなことには使わぬというのでございまして、発展途上国の社会、経済の開発あるいは民生の安定、社会福祉の向上ということが衆議院の外務委員会で決議があるわけでございますが、そういうことを頭に置きながら、まあどちらかというと私は南北問題に資する、それが世界平和に寄与するのじゃないかということを頭に置きまして考えておるわけでございますが、相互依存という中には、これは経済的な問題もあれば政治的な問題もあるわけでございまして、総合的に考えなければならぬわけですが、中心は南北問題ということに、少しでもそれに寄与するということを頭に置いて運営していくという考え方でございます。
#91
○田中寿美子君 南北問題の解決に資するという目標、これは非常に大事な点だとも思いますし、それから同時に日本は資源や原料をほかの国に負っておりますから、ある意味ではギブ・アンド・テークみたいなところもあるかと思うんですね。
 そこで、いわゆる総合安全保障という考え方がありますね。大平さんの政策研究会であったところの経済協力に関しての答申を出されたものがありますね。たとえば防衛費の比率を高めるということは日本は非常に無理があるから、その分だけ経済協力でこれを補っていこうというような考え方がありますが、大臣はそういう考えをお持ちになっていますか。
#92
○国務大臣(伊東正義君) 総合安全保障ということを考えました場合には、これは狭い意味では軍事費の強化ということもございますが、もっと広く考えてそれはエネルギーの問題もあれば、食糧の問題もあれば、あるいは世界に平和外交をやっていこうというときに南北問題というようなことを頭に置いて考えまして、南の国が生活水準が低いということは経済不安、社会不安につながり、それが政治の不安にもつながっていくということの可能性は多分にある、日本というものは、先生も御承知のように、資源もない国でございますし、どこの国とも平和ということが望まれる、どこの世界の地域でも紛争というものはなるべくないようにしなけりゃならぬ、それがまた日本の平和につながることなんだということから考えますと、当然広い意味の総合安全保障の中には経済協力というものも入ってくるということで私どもは考えておるわけでございます。
#93
○田中寿美子君 その大平さんの対外経済協力審議会の答申の中にある思想、それから外務省の中にもそういう思想があると思うのですけれども、経済協力を日本と友好関係にある国、そこのところになるたけやる、日本の場合、アメリカと友好関係にある国の方に、アメリカから軍備の増強を非常に迫られているけれども、軍備の方で寄与できない分を経済協力で寄与しようという考え方が私はあると思うのですが、その点を外務大臣はどういうふうに考えておられますか。軍備に金は使えないから経済協力でというのは、非常に普通によく言われることではないですか。
#94
○国務大臣(伊東正義君) 私、この間アメリカへ行きましたときにもそのことを実は議論をしたのでございまして、アメリカが言われるように、東西関係ということにこの経済協力というものの重点を置いているという考え方をとられるということが新聞に伝わっているが、日本はこれはやっぱり世界の平和ということから考えれば、経済協力というものは南北問題というものをやっぱり中心に据えて考えるべきじゃなかろうかと、それが世界の平和につながることじゃないかということで私はヘイグさんと議論をしたのでございますが、そのときに南北問題が中心でございますが、これは人道主義あるいは相互依存ということも頭にありますので、相互依存関係の中には御承知のような資源、経済的な相互依存関係もある、あるいは政治的な相互依存関係もあるわけでございますが、その政治的なことだけを非常に重視するということではなくて、やはり南北問題というものを重視する、結果においてそういうところの国が入ってくるということもそれは南北問題を考えたときにあるかもしらぬけれども、頭の置きどころは南北問題の解決ということを重点に考えていく必要があるということを私はアメリカとの話し合いで主張をしたわけでございます。
 一方、いま先生のおっしゃる、日本は軍事的なことはもう個別自衛権しかないのだからそれ以外のことはできないということはもうそのとおりでございまして、日本としましてはあとは経済協力ということで世界の平和を何とかして保っていこうという、これは考え方は南北問題とやっぱり私は一脈相通ずるものだというふうに考えております。
#95
○田中寿美子君 経済協力のあり方一つで相当危険な関係も生まれてくるわけです。いま外務大臣は南北問題を中心に、だから開発のおくれているところをそれを日本が埋めていくのだという考え方を一番中心にするというふうにおっしゃったのですけれども、しかし、最近鈴木総理もそうですし、外務大臣もそうですが、いわゆる西側の一員としてという言葉を非常にたびたびお使いになる。先日宇都宮先生も西側の一員のことをおっしゃったのですが、ちょっと十分、お声が小さかったものですから私は聞きとれませんでしたけれども、第三世界への途上国への援助に特定の選択をしているのじゃないかという感じがするわけなんです。西側という、西側の一員というのは大臣はどういうふうに解説なさいますか。日本は西側の一員であるとおっしゃるのだけれども、西側の一員というのはどういうふうに言えるわけですか。
#96
○国務大臣(伊東正義君) 西側の一員と言っておりますのは、経済問題あるいは政治上の考え方、こういうものにつきまして自由主義、民主主義というようなことで考えを一つにしている、それはそのリーダーはアメリカじゃないか、そういう考えを一にする日本、ヨーロッパ、その他の東南アジア、あるいは大洋州、それぞれの国々と世界の平和をという場合に協調、連帯を十分に考えていくというのが西側の一員ということを考えているわけでございますが、それはそれ以外の国は何も敵視するとか、敵対する、そういう意味じゃないので、それはどの地域でもそういう原則を踏まえながら平和友好関係は維持していくというのが西側の一員としての日本の外交の基軸だと、私はこういうふうに考え方を持っているわけでございます。
#97
○田中寿美子君 カーター政権の末期からレーガン政権になってから西側の一員、かつては東西関係といったら、ソ連を先頭にする社会主義圏とそれに対抗するアメリカの方の側というのを東西関係というふうに言っておりましたですね。最近の西側という場合に、やはりアメリカを一番先頭にしているけれども、アメリカ自身の経済力の問題もあって、ずっとアメリカから始まって日本あるいは中国も含まっていると思うのですね。それから、ヨーロッパに向かって中東の親米の諸国とそういう線を西側というふうに呼んでいるのじゃないですか。だから、言いかえればある意味では対ソ包囲線といいますか、そういうものを意味しているのじゃないかと思うのですけれどもね、いかがですか。
#98
○国務大臣(伊東正義君) やっぱり西側と言っているときは東西関係の西という意味に私は解するわけで、いま先生が中国が西側かどうかというようなお話がありましたが、それは別にしまして、やっぱり東西という、西というのはアメリカを中心とした自由主義、西の国々、こういうふうに私は解しています。ただ世界は、第三世界といいますか、非同盟国といいますか、そういうまた別な要素の存在が数多くあるということも確かでございます。
#99
○田中寿美子君 時間を急ぐものですから、余り十分にお話ができないのですけれども、いまの世界の米ソの対立関係、ソ連の軍事力の脅威ということが非常に強く宣伝されている。それに対して、アメリカを先頭にしたアメリカ側の軍事体制、世界の戦略体制ですね、それの方にくみするものを西側というふうに漠然と呼んでいるように私には思えるわけですね。ですから、そのこと自体は実は非常に危険なことではないか。つまり、ソ連をも挑発するし、ソ連の方からも挑発している、両方が軍備競争、ことに核軍備競争を進めていったら本当に危ない状況になっていく、こういうのはだれでもいま認識していることではないでしょうか。ですから、それに備えてアメリカは、特にレーガン政権になってからは大変強く軍備を訴えているわけで、そしてそれはソ連に対して備えなければいけないということを訴えており、そのことについて日本にも防衛力の増強を要求している。その際に日本は、防衛力でこたえにくいから、ある程度はそれに応ずるけれども、経済協力でというような方向に向かっているように私には思えるのですね。それで、そのこと自体非常に危険なことで、米ソというのは戦わせてはいけないでしょう。それは外務大臣も賛成だと思います。ですから、むしろデタントの方向に持っていくために向こうを挑発してもいけないし、向こうからもさせてはいけない、こういう立場は外務大臣として貫いてほしいし、それから、日本は平和主義の国家ですから、ですから総理大臣もアメリカに行かれたら、その点では大変レーガン大統領とその周辺の人たちの考えとは違うわけですから、やっぱりその立場は堅持していただきたいということを要望しておきます。
 それで、その経済協力がいわゆる西側のラインに特に最近になって多くなっていっている、つまり、紛争周辺国、しかもそれは背後にはアメリカとソ連がいるような関係というふうに言われている、そういうところに多いわけですね。ちょっと資料を見ますと、タイ、タイはそこでカンボジア、ラオスと接しておりますし、ベトナムが入っておりますから、紛争地域ですよね。それからパキスタンはアフガニスタンに接していますが、これはもう数字を挙げれば円借款も無償供与も七九年、八〇年にかけて非常にたくさんやられている。それからトルコ、これはイラン、イラク、ソ連と接している、そして紛争周辺地域ですね。それからオマーン、ホルムズ海峡の首根っこのところ、そしてこれはアメリカに軍事基地を提供しているところですね。そういうところに日本からの経済協力援助がどんどん広げられている。
 特に私が、いま心配だと思われますのはジャマイカですが、ジャマイカに三月ですか、一千万ドル、二十一億円の円借款を供与することを日本は約束しましたですね。いままでジャマイカには全然供与していない。ジャマイカというのはカリブ海の――アメリカに言わせればキューバがあるし、そしていまエルサルバドルの内戦がある、あるいはコスタリカだとかニカラグアとか、アメリカにとってかつてはアメリカが支持していた独裁政権が倒れて、そして中立志向の政府もできつつある。ところがジャマイカは今度親米政権にかわった、その途端にジャマイカにそういうたくさんの援助をする、こういうやり方は非常に危険だとお思いにはなりませんか。
#100
○国務大臣(伊東正義君) いま田中さんおっしゃった中で、オマーンは、これはずっと昭和五十一年ぐらいから技術協力をやっているところでございまして、いまはいわゆる円借款というようなことはやっておりません。それで、オマーンからの要望は、あそこは鉱物資源はあるけれども、農業が発達しておらぬので水資源を何とかして確保して農業振興をやりたい、地下ダムですが、水資源の確保ができるかどうか技術調査をやってくれと言われて調査はやっておりますけれども、借款はやっておりません。
 それからジャマイカの問題は、これは前はバンクローンで、やはり三千万ドルでしたかバンクローンは去年までやっておりました。災害のときにたしか無償援助をやったことがございますが、これはことし世銀が関係国を集めて援助会議をやりまして、幾分の民生安定のために協力をしてもらいたいという世銀主宰で会議がありました。従来はバンクローンをやっておりましたが、おっしゃった約一千万ドルの意図表明をやったことは確かでございますが、これは世銀が世界に呼びかけたということで、実は意図表明は一千万ドルということでやったわけでございます。
 あとの周辺国は先生おっしゃったとおりでございまして、これはもうタイもパキスタンも従来からやっていたところでございますが、不法な武力介入ということがベトナムあるいはソ連からありまして、国連でも皆撤兵ということを決議しているのですが、それが実行されない。難民を抱えて非常に苦労している国でございますので、そこには難民のことも頭にあり援助をふやしたことは確かでございます。またトルコも周辺国ということでやったのは確かでございますが、これはあくまで、たとえばタイをやりましても農業がほとんど主たる借款でございますし、パキスタンも特に何何目的とかそういうものには使ってなく、民生安定ということでやっているわけでございまして、軍事上の目的に使うとかそういうふうなことは全然考えていない、民生安定ということでやっていく、目的はそういうことでございます。
#101
○田中寿美子君 時間がないので大変急いでおりますから、詳しく私も反論できないのですけれども、オマーンはいま円借款を考慮中と。これは円借款というのはGNP一人当たり一千ドル以下ぐらいのところというのですけれども、オマーンは産油国でして、三千ドルぐらいあるのですよね。ですから一々全部、これは親米的な国に最近非常にたくさんつぎ込んでいる。アメリカとしては海外へお金を出さない方針をいま出しておりますからね、そこを日本が埋めてやっていっているということ自体が私は非常に危険なもの、つまり軍事援助じゃない、けれども、そういうふうにすることによっていわゆる西側のラインを守らせるということになる心配があるということを申し上げているわけです。そして特にカリブ海のことですが、エルサルバドルの問題は、日本では余り報道されませんけれども、私、二月半ほど体の療養でホノルルにおりましたので、全米のネットワークのテレビを毎日見ておりました、新聞も見ておりました。毎日エルサルバドルのことの論じられない日はなくて、非常にいまの中央政権と呼ばれるものへのてこ入れは、出兵しないだけのことであって、五十四人ももう軍事顧問団が入っている。それから武器供与もアメリカからはどんどんやっている。ちょうど第二のベトナムになるというふうに言われているような状況のところに、日本がよもや経済協力を出すというようなことはしてはならない。カリブ海というのは非常にデリケートなところです、米ソが対立しつつあるのですから。それで、たとえばニカラグアみたいに、独裁政権を倒して中立を志向しているところまでを敵視することによって、アメリカ側、西側とそうでないものに分けてしまうようなことをすること自体が非常に世界の平和にとって危ない、そういう役割りを日本は絶対に果たしてはいけないということを要望申し上げておきます。
 アメリカの中の識者も、エルサルバドルに対しては出兵するな、武器援助もするな、非常に近代的な武器援助をして、それが一般市民を殺戮するのに使われている状況なものですから、それでカトリックの神父すらテレビに出てきて、エルサルバドルのいまの中央政権に対して反対の行動をとっている人たちというのは、まるで全部ソ連の手先で、マルクス・レーニン主義者だというようなことをレーガン政権の人たちは言うけれども、もう全くそれはうそだと、われわれカトリックは弱者の味方であるから、だからいま反政府の運動をしている者の立場を支持しますというようなことをはっきりと言っているわけですから、日本がうかうかとアメリカの要請でああいうところに経済援助をするようなことがないようにこれは要望いたしておきます。
 そして、時間の関係で一次産品共通基金の問題ですが、まあさっきから南北問題の解決に資すると外務大臣がおっしゃっておりますので、これなどもそのためには非常に大事な基金だと思いますけれども、昨年のガットの東京ラウンドの締結の際に、途上国からの加盟はアルゼンチンしかなかったみたいですが、その後どんな程度に加盟しているかということと、続けて申し上げますけれども、今度の一次産品の共通基金の第一勘定、第二勘定、いわゆる第一の窓、第二の窓と呼ばれておりますけれども、これらが実際に有効に働くかどうか。それから、発効の条件が九十カ国が批准しなければならない。こんなことでは果たして近い将来にこれが発効できるようになるのかどうか。やはりガットの東京ラウンドに対しても発展途上国から非常な不満が述べられておったわけですね。途上国への優遇措置が欠如しているというようなことを言われていた。この辺をまとめて御答弁願いたいのですが。
#102
○国務大臣(伊東正義君) いま政府委員からそのことをお答え申し上げますが、オマーンは先ほど決めているとおっしゃいましたが、いわゆる可能かどうかという、そういうダムができることを調査しているだけの段階でございまして、三千ドルを超えているということをわれわれはよく知っておりますから、これは慎重に考えるべき問題だと思っております。調査だけでございます。
 それからエルサルバドルの問題は、あの国がなかなか治安の問題も、右、左両方からいろいろテロ行為があったり、いろいろ非常にむずかしい状態にある国だということはわれわれもよくわかっておりまして、第三国が武器を持ち込むというようなことは、それはすべきでない、反政府のために、というようなことを国会でも御答弁したことがあるわけでございますが、まだ何もいま経済協力の要請とか、そういうものがあるわけじゃございませんので、この問題は日本としてはいまのところは何も考えてないし、慎重に考えることだと私も思います。
 最後にアメリカの要請ということを言われましたが、経済協力をやりますとき、アメリカがどう言ったからどうなんということをわれわれは考えていない。この間もヘイグさんとやったのですが、日本は自主的にひとつ考えるということでこの間もやって意見の食い違いやなんかいろいろあったりしたのでございまして、その点はあくまで自主的に日本が判断していくという態度でやってまいるつもりでございます。
#103
○説明員(小宅庸夫君) 一次産品共通基金の関係についてお答えいたします。
 この一次産品共通基金といいますのは、一九七六年ナイロビで開かれましたUNCTADの総会で、このときの決議に基づきまして四年以上かけた交渉の結果成立したものでございますが、これは開発途上国、特に七十七カ国グループと言われておりますが、これら諸国の非常に強い要請あるいは提案に基づき具体化するに至ったものでございます。
 確かに先生御指摘になりましたとおり、目下のところ署名の出足は非常に遅いと思います。現在署名国三十三カ国ということでございまして、私ども事務的には、この一次産品共通基金に加盟可能な国が百六十カ国以上あると思いますが、これに比較いたしますと確かに少ないと思います。しかしこの中でも、三十三カ国のうちでも半分ぐらいは開発途上国でございます。
 で、私どもといたしましてはあらゆる機会を利用いたしまして早期にこの基金を発足せしめるように努力していきたいと思っております。確かに発効要件九十カ国というのはむずかしいように思われますけれども、しかし開発途上国の場合には署名によって締結行為が終わるというところが多いと思われますので、あるいははずみがつきますとどんどん各国署名に傾くということも考えられると思いますけれども、将来のことは私ども予測をいたしたくありませんが、私どもの気持ちとしては、やはりここまでもんでまとめてきた協定ですので、早期発足というものを希望しているということでございます。これはある意味ではささやかなものかもしれませんが、南北問題解決への一つの具体的な成果というふうにわれわれとしては評価しております。
#104
○政府委員(羽澄光彦君) 東京ラウンドの関係についてお答えいたします。
 東京ラウンドにおきましては、特に開発途上国に対して追加的な措置をなるべくとるようにということで発足いたしまして、関税につきましても関係開発途上国の関心品目についてできるだけ関税を下げるとか、あるいは関税以外の障壁につきましても開発途上国に関してはできるだけその利用等が可能になるように技術協力をするというような方途を講じたわけでございますけれども、なお開発途上国側においてより多くのことをしてほしいというような不満があったことは事実でございます。ところが、七九年の十一月でございますが、ガットの総会でこの東京ラウンドの成果を採択いたしますときには開発途上国も含めまして満場一致で了承したわけでございます。
 それでどれだけ現在までに加盟した国があるかと申しますと、開発途上国としましては、初め先生がおっしゃいましたように少なかったわけでございますが、四月二十日現在のところでは二十二カ国加盟するに至っております。ただ、この二十二カ国が東京ラウンドの全部の成果に加盟したわけではございませんで、一つとか二つとかだけに加盟したというものもございますが、なおなるべく多くの開発途上国に参加してもらうようにということでガットの事務局でも努力しておりますけれども、わが国としてもそれに協力してきておる次第でございます。
 それから東京ラウンドはこれで一応済みましたけれども、ガットとしてはなるべく開発途上国というものに対する措置を拡大していきたいということで、熱帯産品とか開発途上国の関心品目に対するいろいろな保護措置とか、特に後発開発途上国に対する措置をどうすべきかというようなことでいろいろな委員会を設けまして、今後ガットとして東京ラウンドの以後の取り扱いをどうするか検討を進めているところでございます。
#105
○田中寿美子君 もう時間が来てしまっていますので恐縮ですが、ただASEAN貿易投資観光促進センターのことも一言申し上げておきたいと思うのですけれども、先ほど稲嶺議員からこれは大変いいことだから進めろというふうなお話があって、私もそれは賛成なんですけれども、いまサンシャインビルに準備の過程のセンターがございますね。で、私自身が行かれないので代理の人に行って見てもらったけれども、特に私は観光促進の面でひとつぜひ申し上げておきたいのですが、観光に関してはまるで交通公社みたいにASEAN諸国の観光案内のリーフレットがあるばっかりなんですね。実は去年の末ごろだったと思いますが、衆議院で日本の東南アジア買春ツアーのことが非常に問題になりましたですね。その後それが一体どういう状況に改善されているのかということと、それから、あのようなセンターを設けるならば観光促進のためにもっと役に立つアドバイスを、関係する運輸省なりあるいは業者なりにするようなことをしなければならないのではないか。これは東南アジアだけではなくて、実は私も二カ月半ほどホノルルにおりまして、ホノルルのワイキキで、やはり日本の男性は現金を持ってきているものですから売春婦を買うのはほとんど日本の男性で、そして売春問題以上に窃盗、つまり身ぐるみはがれたり、時には殺人にまで及んでいる、これは隠されておりますよね。東南アジアだけではない、そういう現象が日本の観光の、男性の中にあるという問題については私はまた別の機会にぜひもっとちゃんと議論をし、これは法令だけでできるものではないけれども、そこで、ハワイ州ではいま上院の方に刑法の改正案が出ております。その改正案というのは、売春の取り締まりをもっと強くする、強くするという意味は売春する女ばかり罰するのじゃなくて、男性も罰するという法案なんですよ。処罰したから直るものではないけれども、そのようにおどさなければ日本の男性はしようがないのじゃないかというようなことでは大変困ると思います。私はその問題はまた別の機会にやりたいと思います。
 で、大臣に御要望申し上げたいことは、つまり、西側の一員、西側の一員といいながら、アメリカの世界戦略のラインの中に入り込んでいってしまうということは、今度はソ連側を刺激することで戦争の危機を招いていくことなんだから、それを緩和する方向にアメリカと話し合いをするときにはぜひやってもらいたいということです。
 以上で、お答えのある部分は――運輸省の方がいらっしゃっておりましたら、済みません。
#106
○政府委員(西村康雄君) ただいま買春観光の問題についてお話がございましたが、私ども実際にフィリピン等でどの程度にどうやっているかという実態について定かに知るわけにはなかなかまいらないのですが、ただ、一般的な傾向を申し上げますと、いわゆる賀春ツアーと申しますものは、これは男性の東南アジア方面の団体旅行客というのがほとんどでございます。
#107
○田中寿美子君 現状の説明ではなくて、その後改善されたかどうかということだけなんです。
#108
○政府委員(西村康雄君) それで現在、現状と申しますか、現地での状況はかなり下火になっている、フィリピンなりタイなりへ行く男性旅行客の数がこの際急減しております。それは……
#109
○田中寿美子君 売春がないと減るというのはおかしいですね。
#110
○政府委員(西村康雄君) したがいまして、そういった買春ツアーの温床になるような旅行自体がかなり自粛されてきている、しかし、これに反しまして家族旅行が主のような、いわゆるパッケージツアー、これは伸びております。そういう状況が一般的な状況でございます。
 それから、ASEANセンターの役割りでございますが、あそこのASEANセンター、先ほどのサンシャインビルの、やり方でございますが、あれは一般的な日本人旅行者に対しての現地紹介というための展示場を設けておりますが、センター自身はこれから日本に対しても、また、現地の各機関に対しても、実際にどういう形で日本の観光客を誘致したらいいかということを具体的に日本側と相談をしながら、そして新しい観光地の開発というもの、魅力ある、そしてまた、先ほどの問題の少ない健全旅行を促進するようなそういった観光地開発というものをどうしたらいいかということをこれから検討することが課題になっておりますので、そういう方面での活動を私ども期待したいと思っております。
#111
○渋谷邦彦君 条約案件に入ります前に、日昇丸事件について再度確かめたいと思います。
 ただ、本日は大変限られた時間でございますので、すべてをあれこれ申し上げられないと思いますが、今回の事故は、いずれにせよ大変陰湿な、国民をしていらいらせしむるそういう状況の中で依然として解決がおくれている。いままでも政府から繰り返し答弁がありましたように、あるいは中間報告というようなことも考慮に入れつつ、アメリカ政府に対して要請を繰り返してまいりました。しかし中間報告も拒否されると、果たしてそういう状況の中で三十日以内に回答が来るのであろうかという疑問等々がいまわれわれの眼前に横たわっていることも事実であろうと思うのです。大変不思議なことは、断定的な結論が出る前にからめ手と言った方がいいのか、周りの方からいろいろな分析あるいはその経過というものについて、ときにはその事実関係についての断定あるいは推測というものを織りまぜながらその全貌というものが逐次浮き彫りにされてくるようなありさま、だから調査結果の報告が全然おくれている、そういう中で先ほど浅尾さんの答弁を聞いておりましても、レーマン海軍長官が明らかにアメリカ側の過失であるということを言明された。ここまできますと、何を一体ちゅうちょする必要があるのだろう。それは乗組員あるいはその家族に及ぼす影響というものも、それはアメリカ側としてあるかもしれません。しかし、国全体ということを考えてみた場合に、その及ぼす影響というものはおのずから違ってくる。日米関係というものの関係というものを今後とも友好というそのきずなのもとに持続するとするならば、やはり日本政府の要求に敏速に対応するというのがやはり外交の一つのあり方ではなかろうか。アメリカにはアメリカのいろいろな事情があるのだろうとは思いますけれども、こうなってきますと、いままでの日米関係の信頼関係というものは一体どうなんだろう、どう受けとめたらいいんだろうという新しいそういう疑問が出てくるわけです。ひょっとすると、こういう問題がきっかけになって、日米関係に悪い影響を将来にわたって残しはしまいか、いままでの答弁も一切もうアメリカを信頼してということが繰り返しあるんです。先回も私、当委員会で申し上げました。アメリカの原潜は恐らく日本の領海を悠々と運航しているのではなかろうか、だれもそれを確かめる手だてはございません。
 今回の起こった事故現場についても宇治島のわずか離れた地域で起こっているわけです。それで公海上であるからそこまで言及するわけにいかぬと、しかしわれわれが素人的な発想でもって考えましても、これはやはり艦船の運航については領海というものを通過するその可能性というものは十分に考えられはしまいか。それもただ信頼する以外にはないと、ただそういうことで果たして問題の解決になるのであろうか。今回の結果報告についておくれをとっている、そこに一つの非常にぎすぎすした問題が表面化してきている、そういうことで全くその信頼関係が失われるとは私、思いません。思いませんけれども、やはり何となく気まずいような、あるいはというそういう気持ちを国民に抱かせるようなものが今回の事故を通してあったろうと思うのです。それをその前提に考えてみた場合に、領海侵犯というのは当然考えられはしまいか、そこへ今度核弾頭を搭載しているということになれば、非核三原則の問題はどうなるのだ、当然事前協議の対象になるのではなかろうかという問題が出てくる。しかし核弾頭を積んでいるか積んでないかということは、積んでいませんということを言われればそれを信頼する以外にない。しかし核弾頭を搭載しているということについてはアメリカ側は公表しないということが前提になっているわけです。こうなると、どこまでいっても水かけ論になりますね。いまそういうような非常に頻繁に、この東シナ海あるいは日本近海を中心としてアメリカの原潜のみならずソビエトの原潜もいろんな地域を水中においても運航しているということが、今回の事件を一つの発端にいたしまして明確になったのではないだろうか。
 では、そういうことが何もなければ、なぜ一体調査結果の報告がおくれなければならないのだろうか。あと十日しかありませんよ。果たして物理的に十日以内でわれわれが要望している三項目、賠償を含めると四項目にわたっての政府のいままで要求したことが、果たして満足のいく回答として返ってくるのだろうかというような新しいいま時点に立っての疑問が私の脳裏をやはりかすめて仕方がない。中間報告が拒否された、で三十日以内の回答を待つ以外にはない。どうでしょう、いままでの経過の中で、伊東さんとしても今度の問題はずいぶん苦慮されたと思うんです。世間の批判も背に受けながら、日本政府として何とかしなきゃならぬということで、もうとにかく死にもの狂いであったろうと思うんです。マンスフィールド大使とのやりとりの中身も見せていただきました。そうした中でも伊東さん、いろいろ苦心の跡があるような発言もされている。果たしてそういう日本の、あるいは日本の国民の気持ちというものを十分理解しているとは言うものの、その理解しているというそのものが、われわれの要求していることに対して満足のいく回答として一体来るのだろうか。ちょっと質問の中身が長くなりましたけれども、いま日米首脳会談というものが目の前にぶら下がっているものですから、それやこれや心配の余り、この辺を伊東さんとしての率直な気持ちを伺っておきたいのですよ。
#112
○国務大臣(伊東正義君) いま渋谷さんおっしゃったように、信頼関係ということをおっしゃったが、そのとおりでございまして、安保体制も非核三原則もこれは信頼関係がもとでその上に立っているわけでございますので、信頼関係が損なわれるというようなことは、これは厳に両方がそういうことがないようにといって努力をせにゃならぬと私は思っておるわけでございます。人命を二人失ったという不幸な事件でございますので、私はいま渋谷さんがおっしゃったような国民がどうもわからぬことがあるということで、特に四点私も向こうへ再三にわたって要請し、また中間報告もできないかということを話したのでございますが、補償のことは別にしまして、これは早く交渉するということですから、これは別にしまして、あとの三点につきまして、向こうもロング司令官もマンスフイールド大使もそこがまさに調査の核心なんだ、そして先ほど海軍長官の声明の中にも読みましたが、これは向こうの責任者の問題にかかってくる問題なので、それに予断を与えるようなことをあらかじめ言うということはどうも法律上ぐあい悪いのだ、それで異例のスピードで調査は迅速にやる、そして真実は隠さない、出た結果は知らせる、うやむやにしたり隠蔽というようなことはしない、ということを実は再三にわたって向こうは私に言うわけでございまして、三十日ということは少し遅いじゃないかということを私も司令官に言ったのでございますが、その直後大統領から鈴木総理あての親書が来まして、ワシントン訪問の前に双方にとって必要なことを満たす十分な進展が見られることを自分は非常に期待している、大統領がそこまで個人的に関心を持っている、遺憾なことだ、ということを言って親書をよこしておりますので、私はそれを評価し、誠意を信じて、総理が行かれる前までに国民に説明して納得してもらえる調査の結果が通報があるものだということを私は期待をしている、そうでなければこれは信頼関係に、うやむやのようなことになったら傷がつくと向こうも認め、日本もそう考えているわけでございますから、私はそれをいま期待しているというのがいまの心境でございます。
#113
○渋谷邦彦君 いまのお話ですと、期待が裏切られるということは全く考えられないと理解してよろしいでしょうか。
#114
○国務大臣(伊東正義君) 私は大統領までいまのような手紙をよこしているわけでございますから、大筋なものは首脳会談の前に調査の結果が通報あるものと信じておるわけでございます。
#115
○渋谷邦彦君 そうなりますと、時々刻々あと二週間余りに迫ったこの日米首脳会談においては、原潜の問題は一応決着をつけた上で首脳会談に臨む公算が強いというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
#116
○国務大臣(伊東正義君) 私は首脳会談でこういう問題をやりとりする、まだ調査ができてない、アメリカおかしいじゃないかというようなことでやりとりをするということは、これは本当は好ましい状態でございませんので、その前に大筋のものは決着をしているということを強く希望しております。
#117
○渋谷邦彦君 さらに問題は、恐らく早いか遅いかの違いがあっても、アメリカ側における調査結果の報告はいずれどんな形か出されるでありましょう。むしろ問題は、将来において二度とこういう事故の再発が起きないということについて具体的な話し合いというものは、調査結果の報告を待ってやるのか、それとも日米首脳会談までその問題は新しい一つの問題点として話し合うというような課題にするのか、その辺はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#118
○国務大臣(伊東正義君) 事故の原因を国国に納得するようにちゃんと調査して説明してもらいたいと言っていますのは、まさに大きな目的は再発防止ということでございますので、それに対してどういう対策ができるか、向こうの完全なエラーであって、向こうがこれからそういうことについて十分注意するというのか、その辺のところは調査結果が出てみませんとわかりませんので、いまここで何とも言えませんが、基本は私はアメリカの国民も日本人というものを信頼をする、日本人の人権、生命の尊厳というものを守る、日本もアメリカの人々の人権、人命の尊厳を守る、こういうのがまず基礎だ、それはどうしても両方で確かめ合う必要があると私は思っておる。その上に立って、事故の原因というものがどういうことで起きたのか、技術的な問題いろいろございましょうから、それは聞いて、どういうことをするかということは調査の結果を待って私は判断をせにゃならぬ問題だと。でございますので、なるべく早くということで調査の結果を待っているところでございます。
#119
○渋谷邦彦君 いずれにしても今度の事故を通じて新しい問題提起がなされなければならないのではないか。いわゆる事故の再発防止ということは当然として、それではそういう再発防止というものをお互いに話し合ったとしても、絶対起き得ないという保証が一体あるのかという問題、それから核弾頭を搭載している場合と搭載していない場合の日本の領海というものを原潜が通過する場合には一体どういう措置がとられるのか等々、やはり国民感情に直ちに影響を及ぼすであろういろんな問題がいま渦を巻いているわけです。こういったものはどういうふうに整理をされて、そして究極的には再びこういう忌まわしい事故の再発というものを防ぐ上から効果ある話し合いというものができるかどうか、これがやっぱり一番望まれている課題ではないだろうか、恐らく三十日までの報告があったとしても、果たしてそこまで整理ができるかどうかという問題は日米首脳会談まで持ち越される可能性が強いのではないだろうか、やっぱりこの機会にじっくりそうした基本に立ち返った問題の討議というものがなされてしかるべきであろう、このように思えて仕方がないんですが、その辺の再整理をしながら新しい時点に立った話し合いをする用意というものを全く考えていらっしゃいませんか。
#120
○国務大臣(伊東正義君) ロング司令官にも話したのでございますが、非核三原則の話をしまして日本の大方針という話をしまして、ロング司令官も、アメリカもそれは尊重しておる、今後も尊重するということを話したのでございまして、調査の結果どういう調査が出てきますか、それを予断してこうであればこういう相談とか、いまここで具体的に申し上げかねますが、調査の結果を見まして、日本側として言うべきことがあれば当然アメリカ側に強く要望するということは考えておりますが、それがどういう問題であり、いつごろかということはいまちょっと調査が出てきませんと申し上げかねますので、お答えすることは、いま具体的にどうだということは御勘弁を願いたいと思います。
#121
○渋谷邦彦君 念のために伺っておきたいのですが、三十日までの間には土曜、日曜が三日あります。衆参両院で委員会等が開かれる日数が果たして何日になるかわかりません。安保特別委員会も当然入ってくるでしょう。アメリカ側から調査結果の報告が出た場合に、そういう休みの状況も入れながらどういう公表の仕方をなさいますか。
#122
○国務大臣(伊東正義君) 調査の結果を待っているわけでございますが、私はどの場でどういうことを言うかということはいま何も決めたわけではございませんが、これはやっぱり国民がみんな非常に疑問に思っておるところでございますから、国会の場で、一番早いのは国会の場になるか新聞発表になるかそれはちょっといま私はわかりませんが、いずれそういう場で国民に、アメリカは調査の結果はこうだということで発表しようと私は思っています。
#123
○渋谷邦彦君 では直ちに発表する、公表すると理解してよろしゅうございますか。
#124
○国務大臣(伊東正義君) これはもうなるべく早く、一日も早くということを言っているわけでございますから、出てきたものをいつまでも暖めているというふうな考えはございませんで、なるべく早く国民の皆さんに納得してもらう、説明するということが私は必要だと思います。
#125
○渋谷邦彦君 くどいようですが、もう一つ念を押して伺っておきたいのですが、日にちがだんだん迫ってきます。一応の約束があります。途中でもう一回催促するようなことはございますか。
#126
○国務大臣(伊東正義君) マンスフィールド大使にはまた会う機会がございますから、これは大統領のこういう手紙ももらい、それには首脳会談の前にと、両方の必要なことを満たす十分な進展とこういうことの手紙もございますから、私は会う機会にぜひひとつこの前の話もあり、このことは実行してくださいよと言う機会もあると思いますし、向こうも異例のスピードでやりますと、やってみますということを何回も言っておるわけでございますから、会いましたら私も必ず言おうと思っております。
#127
○渋谷邦彦君 異例のスピードと言われましてもいろいろございまして、通常ならば二カ月か三カ月かかるところを一カ月という場合もあるかもしれないし、半年かかるやつが二カ月か三カ月という場合もあるでしょうし、その辺の解釈はいまここで申し上げても水かけ論になるに決まっておりますので、異例のスピードということは一体いかなるものかというまた疑問が出てこないでもありませんが、それはさておきましょう。いずれまたこの問題は取り上げる機会があろうかと思います。
 それでは残りの時間を少々条約案件に入らさしていただきたいと思います。
 私はアフリカの開発銀行の問題を中心にお尋ねをしたいわけでございますから、関係のない局長さんやなんかは、お帰りくださって結構でございます。
 まず、アフリカに対する基本政策というものが明らかなようで明らかでない。何か問題が起こるとそれというわけで、中東政策のようにオイルショックかなんか起こるとそれということで、その対応を改めてそこで考え直されるという場合がどうも日本外交の場合しばしばあったのではないかという気がしてなりません。いまアフリカについては急速なスピードで、これこそ急速なスピードで脚光を浴びつつあるのは事実でございましょう。ただ、日本との歴史的な関係というものを考えますと、一部の国を除いてはほとんど今日までなかったのですね。そういう背景のもとに今後アフリカ開発銀行設立に伴い、またそれに加盟することによってどれだけの一体効果が上がるのか。余りにも南北関係の格差が広がり過ぎているその状況の中で、確かに世界平和への大きな足がかりとして、発展途上国の繁栄というものは、われわれとしても期して待つべきものがあるであろうというのは論をまたない問題点であると私思います。そういった立場から基本的にはいまどんな考え方に立ってアフリカ対策というものを考えているのか、その辺のくだりから確認をさしていただきながらお伺いをしたいと思います。
#128
○国務大臣(伊東正義君) 私はあるところで、植民地の国だった人ですが、総理大臣ですね、われわれは独立を闘ってきたのだ、いかに独立というものが大切かということはもう痛いほど知っているという話をされたことがありまして、われわれが想像もつかぬような苦労をなめ、独立というものが非常に貴重なもので、あらゆる犠牲を払ってこれをかちとったのだという意味のことを言われたわけでございますが、アフリカの国々というのはそれぞれ、いま渋谷さんが言われたように、どちらかと言うと植民地であった国がほとんどで、独立したわけでございまして、自分の国をどうやってこれから開発していくか、復興さしていくか、そして世界の中でどういう立場をとっていくかということは非常に皆想像以上に熱意を持って考えておられるわけでございまして、アフリカの大部分の国は御承知のとおりいわゆる第三世界、非同盟という国が大部分でございます。私、去年国連に出ましたときにも、このアフリカ、これは五十一カ国いまたしかあるはずでございますが、南アはちょっと別でございますが、この国々の団結というものが世界の、特に国連という政治舞台で非常に大きな役割りを果たしておられる、想像以上でございますし、また日本とは遠い国でございましたが、しかし、いろんな経済的な面、鉱物資源でございますとかいろいろ考えてみますと、これまたなかなか日本にとりまして大切な国が多いわけでございまして、日本としましてはどちらかと言うと縁の薄かったこのアフリカ諸国の開発、それに対する技術的なあるいは経済的な援助ということをやりまして、アフリカの人々がなるべく生活水準を上げて社会不安、政治不安を起こさぬように、この国々が本当に平和を保っていける、そしてまた日本との関係が緊密になるようにという努力をしているわけでございまして、経済協力等も大体倍々というように、もともと少なかったものですから、進んでおるわけでございますし、人の交流も、最近向こうから日本に来て日本の実情を見て、いいところはとって自分の国の開発に使おうというふうなことで、人の交流、ハイレベルの大統領でございますとか総理とか来られる人も多いということで、今後日本にとりましてアフリカというものは非常に大切な国が多いという考え方でいろんな問題に取り組んでいこう、こういうつもりでございます。
#129
○渋谷邦彦君 最後のくだりでちらっと日本の今後のアフリカに対する取り組み方というものについてお述べになっていただいたと思うのですが、いずれにしても、これは相対的に日本人がアフリカに対してどれだけの認識と理解を持っているか、逆に言うと、アフリカの国民が日本という国に対してどれだけの認識と理解を持っているか、本当の交流というものはこれから始まるのだろうと思うのですね。先ほど冒頭に申し上げたように、特に戦前なんかほとんど絶縁状態であった。それが戦後においてようやくアフリカが脚光を浴びるに至って、日本としても先進国の役割りを果たす一環として考えなくちゃならぬということで動き出した。が、いまだしという感じがしないではない。特に日本としてのどから手が出るほど欲しいものは何かと言えば非鉄金属を中心とする鉱物資源です。これは予算委員会でも私取り上げた。ところが日本が目をつけたときにはもう米ソがすでに何年も前から目をつけて、この戦略物資の争奪をめぐってきわめて深刻な相克がいま行われている。というようなことになると、一体アフリカの開発ということは、名前はまことに結構なことでありますけれども、その内情というものは、アフリカ全体の人類のためにわれわれが意図していることで果たして貢献できるのかどうなのかと言えば、またそこに問題が起きはしまいかという心配が出てくるんですね。
 そういう点、いま細かいことを申し上げている時間が余りにも少のうございますので口頭試問みたいなやりとりでおしまいになってしまうようなことになろうかと思うのですが、いまアフリカ全体がそういうようなきわめて認識も評価も乏しい中で日本に対して何を期待しているのか、そして同時に、日本としては何がいまできるのか、そして、そのことによってアフリカ開発にどれだけの貢献がなし得るのか、これをどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#130
○政府委員(梁井新一君) 私どもアフリカに対する経済協力は、大臣おっしゃいましたとおり、過去三年間に急速に増加してきたわけでございます。ただこれを国際的な場で議論いたしますと、たとえばOECDのDACで議論いたしますと、やはりアフリカの場合非常に開発がおくれておりまして、いわゆるLLDCと言っておりますけれども、後発の開発途上国という国が非常に多いわけでございます。そういう観点から、日本のできます経済協力はどうしても無償協力ということに重点を置かざるを得ないわけでございまして、政府のODA全体の中を見ましても無償協力の伸びの方が速いわけでございます。
 それから同時に、今後のアフリカの国づくりに貢献するためには、人づくりの協力、すなわち技術協力が非常に重要でございますけれども、これにつきましても非常にむずかしい問題がございまして、特にアフリカのフランス語地域につきましては、なかなか日本はフランス語で現地に行って教える方は非常に少ないということもございます。しかし、技術協力の伸びは、無償資金協力も少ないわけでございますけれども、技術協力につきましてもかなり大幅に伸びてきているというふうな現状でございます。そういう形でございますので、私どもといたしましては無償協力の拡大と技術協力の一層の拡充ということに努めていきたい、こういうふうに考えております。
#131
○渋谷邦彦君 私は、この時点でもう一遍経済協力のあり方を見直す必要に迫られているのではないかという気がしてならないのですね。それは金を与えることも結構だろうとぼくは思うんです。必要だと思うからそれは要求もあるでしょう。けれども、たとえばいまアフリカにおいては言うまでもなく恒常的な飢餓状態が続いているわけですね。大変な、深刻な事態に追い込まれている。もう食うや食わず、あしたの命も定かでない。そういう中で、たとえば農業の振興なんという問題を一つ取り上げてみた場合に、すぐれた日本の農業技術というものは、ただ技術を導入する場合でもそれは人が必ず絡むわけでございますから、そういった問題だとか、あるいは病院をつくるとか、あるいは学校施設をつくるとか、日本という国によってこういうものが建設もされ、開発もされたんだという具体的な効果ある、そしてそれぞれの国民がなるほど日本の力によってここまでわが国の進歩というものがなし遂げられたのかという、そのことの方が日本に対する理解を深める上で大いに役立つということにつながらないか。お金ですとこれはどこでどういうふうに使われているかわからないんですよ。来たしてそれが一般大衆まで恩恵を与えるだけのそういう効果というものがあるかどうか。これは東南アジアだって同じことが言える。そういう点で特にアフリカについては一遍洗い直してみる必要がこの段階で来ているのじゃないかなという感じがしてならない。その点はいかがですか。
#132
○政府委員(梁井新一君) 先ほど私は数字の面だけで申し上げましたけれども、中身につきましては先生御指摘のとおりでございまして、私どもまずアフリカの難民、このところ食糧が不足している国が多いわけでございますので、食糧援助の拡大に努めております。
 それから、たとえば衛生面につきましても、ガーナにおきましてはすでに研究所を始めておりますし、それからザイールにおきましても病院をつくる、またエジプトにつきましても病院の要請が出ておりますし、そういうように民衆の福祉に直結するような援助というものに日本の経済協力の重点を指向していく必要があるというふうに考えております。
 水につきましても、非常に水の足らない地域が多いわけでございますけれども、幸い日本は地下水を開発する技術がかなり進んでおりまして、マリであるとか、ああいう砂漠国におきましても地下の水資源を開発するという協力をやっておるわけでございまして、今後ともアフリカ諸国の民生安定のために、地域住民の福祉に直結するような援助というものに重点を置いてやっていきたいと、こういうふうに考えております。
#133
○渋谷邦彦君 伊東さんね、私はここで日本としてこれからも大きな役割りを果たしてもらいたいということ、もう恐らく私のみならず多くの方がそういう願望を持っているだろうと思うのですが、援助という名前をかりて、そして特に米ソ二大陣営がアフリカを土台にして食い散らす――まあ食い散らすというその言葉は過ぎた言葉かもしれませんけれどもね、いまは刻々そういうことが進んでいるんでしょう、実際この鉱物資源の争奪をめぐって。社会主義国家の独立がどんどんふえている。そこへ持ってきてアメリカとしても負けじとばかりにその橋頭堡を築く。いろんな問題が国連でも問題視されているような経過もございます。
 また、石油資本のメンバーは、いままで蓄積されたすぐれた知識と組織力とお金をもって、そして新しい鉱物資源の開発を目指して乗り込んでいる、こういう話ももうすでに伝えられております。しかも、それは軍拡への道をさらに広げるための効用しかない。そういったことがこれからエスカレートしていってみた場合に、アフリカというのはまさにまた悲惨な道を歩むことになりはしまいかということを非常に恐れるんですね、もう現実にそういう問題が起こっているわけですから。そういったことも今後は、単に、自分の国益優先ということも必要ではありましょうけれども、グローバルな立場においてこういった問題の解決というものも考えの中に入れながら、交通整理をしていく必要があるだろう、それがアフリカであろうと私は思うんです。その問題をきょうは締めくくりとして、伊東さんの意のある答弁を私は伺って終わりにいたしましょう、おなかもすいたことでございましょうから。
#134
○国務大臣(伊東正義君) 非常にむずかしい御質問でございますが、この第三世界が、おっしゃるように食い荒らすという言葉はまあ非常にいかにもそれに合ったような感じの言葉でございますが、あそこを舞台にしていわゆるアフリカの人々が結局幸福にならぬ、安定しない、そして社会不安、経済不安、政治不安が続くということでは、これは私は本当に世界のために悲しむべき現象でございますので、いま渋谷さんおっしゃったように、そういうことを避けるために努力すべきじゃないかという意味のことをおっしゃったわけでございますが、これはやっぱりこの間難民援助の国際機関がスイスで会議をやりました。日本も二千万ドル拠出するということをやったわけでございますが、こういういわゆる中立的な国際機関がアフリカの開発ということに力を注いでいくということは、これは遠回りのようでございますが、やっぱり一つの私は正しい道だと、こういうふうに思うわけでございまして、そういう意味から言いまして、こういう国際機関を充実していくことも必要でございますし、日本としましては、さっき言いましたような、これはやっぱり南北問題ということを頭に置いて、そういう国々が少しでもやはりレベルアップしていくということに努力をしていく。日本はいままで、おっしゃったように遠い国でございますので、余り力が入らなかったことは現実でございますが、やっぱり今後はもっとアフリカという大陸には、私は南北問題という視点で力を入れていくということが必要だというふうに考えます。
#135
○委員長(秦野章君) 午後二時二十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後一時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二十一分開会
#136
○委員長(秦野章君) ただいまから外務委員会を再会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、中山太郎君が委員を辞任され、その補欠として谷川寛三君が選任されました。
    ―――――――――――――
#137
○委員長(秦野章君) 休憩前に引き続いて質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#138
○宮崎正義君 最初に、日本国政府とオランダ王国政府との間の文化協定の締結についての件を質問をいたします。
 大臣の趣旨説明のお話にもありますけれども、今回のファン・アフト・オランダ王国首相との話し合いで、ちょうど外務大臣が大臣臨時代理としてこの五十五年四月二十二日ですか、東京においてカウフマン駐日オランダ王国の大使と署名なさいました。そのことがあって今度は担当大臣として本協定を結ばれるということです。お話にもありますように、江戸時代の蘭学の時代から、私どもの国民感情とすればもっと早くこの協定はできていてよかったのじゃなかろうかと思っているぐらいなんでございますが、大臣もこの辺のことを十分お考えになられて、感慨深いものがあったと私は思うわけです。
 申し上げるまでもなく世界平和の基本といいますか、基礎といいますか、それらは文化交流以外に平和の手段というものはなかろうかと思うのですが、この文化交流を積極的に進めていくということ、このわれわれの、わが国としての行き方が最重要な平和外交の行き方であろうと、こう思うわけですが、まず大臣のお考えを端的にお伺いをいたしたいと思います。
#139
○国務大臣(伊東正義君) オランダとの文化交流でございますが、おっしゃるように江戸時代の出島から考えまして、蘭学ということで日本の近代化に非常に役立った国でございますので、私は日本とオランダ関係の文化協定ということには、やはり日本人としてみんなひとしお私は感慨深いと思うわけでございますし、いまオランダはまたECで議長国をしておりまして、日本とECとの関係でもまた非常に密接にいま連絡をしておるところでございます。
 宮崎さんおっしゃったように、よく経済とか政治ということを言うわけでございますが、文化の問題というのは、やっぱりそのもう一つ底にある、基底にある問題でございまして、両国民があるいは世界じゅうがその国民の伝統的な文化なり考え方なりを知るということの上に、経済とか政治というものが花が咲いてくるわけでございまして、非常に文化交流というものは私は大切だというふうに思っておるわけでございまして、
   〔委員長退席、理事稲嶺一郎君着席〕
実は国際文化交流基金の運営審議会には私は努めて出まして、皆さんからいろいろ文化交流の話を伺っているというようなことでございまして、非常に文化交流というものは大切なものだというふうに考えております。
#140
○宮崎正義君 そこで、国際交流基金の出資金の件につきまして、担当の政府委員の人にお伺いしたいのですが、資料をいただいております。五十二年度から五十六年度、今年度の予算までのことがこの資料によって出ておりますが、この説明を簡単に要点だけお願いしたいと思います。たとえばこれだけ最初あったけれども、年々減らされてきて今年度はこれだけ減ったという、その辺を明らかにしてもらえばいいのじゃないかと思うのですが。
#141
○説明員(加藤淳平君) 国際交流基金の出資金につきましては、御指摘ございましたとおり、五十二年度、五十三年度、五十四年度の予算では五十億円の出資金を出しております。その後に、五十五年度二十五億円、五十六年度十億円と、出資金の金額といたしましては確かに減額されてきておるわけでございますが、これは出資金全体が徐々に大きな額になっておりまして、五十六年度の出資を終えました時点で四百八十五億という数字になっております。
 この出資金の運用益によって事業をいたしておりますので、まあ財政状況厳しい折からでございますので、出資金そのものが少しずつ減額してくるということは、それなりにやむを得ないこともあるかと存じますが、これによって事業に支障を来しているということはございません。
#142
○宮崎正義君 事業に支障を来さないと言われますけれども、これは発展させなきゃならないわけですよね。物価も上がっているし、国際経済も私がいま申し上げるまでもなく、日本経済を見ていきましても、これでいいかどうかということは問題だと思うのです。ですから、このままいけばまだ預金があるから、基金が貯金されているから、そのまま積み重ねていくからいいのだと言っているけれども、経済情勢というのは変わってきておりますし、預金だって事業で減っていくのですから、完全に文化交流の事業を遂行していこうといえば、減るのじゃなくてふやしていかなきゃならない。そういうところに考え方がなければ、いま大臣の御答弁なさったことと反することになると思うのですよね。そういう面から私は申し上げているわけです。
 いまのようなことをおっしゃっておられますと、今度はまた来年の予算措置で、そうじゃなくても行革で大蔵省は補助金をどんどん整理していこう、いいあんばいにこんなところ何にも文句言わないし、やっているのかやっていないんだかわからないような平和な状態なんだから、これは減らしていってもいいだろうと、そういうような考え方が、国際交流基金の運用益の事業を削減してでも、防衛予算でも重点政策としてそっちの方へ回したらいいんじゃないかというような考えを持たれるようなことがあって、せっかくのその文化交流というものの事業が、私は考えていることとやることが違っていくのじゃないか。一つのことを、端的な例を申し上げても、映画の宣伝にいたしましても、昔の映画を持ってきて、まだそれを見せているような状態ではだめでありますし、日本のいまの工作機械の現状なんというのは最優秀だ、すぐれている、欧州にもアメリカにもすぐれているというそういう面もアピールしていかなきゃならないというようなこと等、一つのことを考えていっても、間に合っておりますから、融通していきますから、その範囲内でやっていきますというのじゃなくて、十九カ国ではなくて、日本の国をどんどんわからせるために、また、世界の平和のためにも、まだ協定を結んでいない国にどんどん話をしていくということが私は大事ではなかろうかと思って、いまあなたに聞いてみたわけですが、どうですか。
#143
○国務大臣(伊東正義君) 私からお答え申し上げますが、宮崎さんのおっしゃるのはごもっともなんでございますので、私も予算のときに、ある段階でこれはタッチしたわけでございます。あるいはお手元に資料が行っているかもしれませんが、本当は、スタートのときは国が五百、民間が五百ということで、大体千億の基金ということでこれはスタートをしたことでございますが、民間の方がほとんど実は出ていないわけでございます。それで、大蔵省と交渉しましたときに、民間の方もひとつ出すように大臣も努力してくれということでございまして、それとあわせていままで出た二十五億ぐらいのものになるようにということで、外務大臣も努力せいということが経過において実はございまして、それで、宮崎さんからおっしゃることはそのとおりでございますが、われわれとしましても、ひとつ民間の方からも何とか出してもらうように努力しなけりゃならぬわけでございまして、それでいままでの預金があるからいいという考え方じゃ全然ございませんで、われわれとしましても、国、民間両方で何とかこれをますます拡大していくという努力を今後ともやっていかなければならぬと思っておりますので、その点はひとつ御了承願いたいし、われわれもその努力をするつもりでございます。
#144
○宮崎正義君 大臣の答弁で私は満足いたしましたけれども、実際、当面して事業を係りの局の人たちがやっておられるのは、予算の中で案分をしながら、苦労してやっている面が何となくわかるような気がするわけなんです。そういう面が感じられますものですから、特にその予算面の上から質問をしたわけですが、アメリカや欧州等に比べましても、比較してみてもわかることだと思うので、この点をつけ加えて、お考えをまたひとつ一層改めて、重ねてやっていっていただきたいことを要請しておきます。
 それから、ほかの問題に入る前にちょっとお伺いしたいのですが、四月十六日の日に、タイ、カンボジアの国境で難民の救援活動を行っていた日本奉仕センター、バンコクの同胞が殺されました。大変残念に思いますし、遺憾に思うわけでありますが、このボランティア活動をやっている人たちに将来不安を与えるようなことがあってはならない、こういうふうに考えるわけでありますが、午前中も難民問題等もありましたけれども、この事実、数少ない人たちの活動がいまわしい殺人事件なんかに発展をこれからされるようなことがあれば、とうてい、奉仕したくても奉仕できないというようなことになってしまうのじゃなかろうかと思います。また、在留邦人の婦人の方々もボランティア活動をずいぶんやっておられる。それで、現地にそれ専門に行かれておるというふうなことも伺っておりますが、治安維持の問題については、タイの方も、わが国の方から相当強力に今度の事件では要請されて、一生懸命に犯人の捜査をされて、一人はとにかく逮捕されたと言っておりますが、まだ共犯の人が逮捕されていない。それはそれとして、留守の家族の人たちの不安というものは大変なことだと思うんです。そういうことを考えますと、今後の治安維持、こういうふうなことが非常に大事なことになると思うんですが、この辺について、特に大臣のお考えを伺っておきたいわけなんです。
#145
○国務大臣(伊東正義君) おっしゃるとおり、ボランティアという、社会奉仕という意味で、非常にとうとい志で働いてもらっている方にこういう事故ができたということは、政府としても非常に申しわけないというか、心から哀悼の意を表する次第でございます。実は、私も、あの事故が起きました難民キャンプは昨年も行ったのでございますし、この間総理と行きましたときも、難民ボランティア関係の星野さんという長くやっている女の人がおられるのですが、その人を中心に青年団との座談会を私やってまいったのでございますが、こうした事故で亡くなられるということは本当に残念で、日本がボランティア活動で、だんだん、最近国際的に日本はよくやってくれるという評価を得ている際に、こういうことが起きたということでボランティア活動の人の意欲が低下するというようなことがあってはいかぬというふうに私も心配しているわけでございますが、すぐにタイ政府にも、厳重に、犯人の逮捕、またこういう事件が起こらぬようにということで申し入れをしているわけでございまして、今後ともあの難民キャンプ近くで働いている人々、ボランティア、在バンコクの邦人の奥さん方も大分休みには行ってもらっているということもあるわけでございまして、タイ政府に厳重にひとつ治安の維持については努力してもらうようにということを申し入れをしたわけでございますし、今後とも十分気をつけなければいかぬと思っております。
 西崎君のことにつきましては、これは、いま政府としてどういうことができるか、この間通していただきました法律は、あれは日本の国内と日本の飛行機、日本の船の中で起きた事故に適用がございますけれども、本件は適用がないわけでございますので、将来の立法問題としてこれはどう考えるべきかということもあり、いまあの法律の適用ができないということで、それなら政府として、外務省としてどういうことができるかということで、いま、叙勲の問題でございますとか、いろいろ初め、できるだけのことをしようということで考えているところでございますが、今後とも、ボランティア活動の人が、活動をされる人々が安心してやれるようにということを外務省としてもタイ国の政府と十分話し合いながらやってまいるつもりでございます。
#146
○宮崎正義君 次に質問をしようと思いましたことが大臣から先に答弁がございましたが、あらゆる手だてをしてお考えを願いたいということ、お話がありましたように、星野さんをかばうために西崎さんが亡くなられたということ、その家族の方々、ボランティアの活動をやっている人、そういう人たち、留守家族の人たちがやはりこんなようなことが次から次へとあるようだったら心配でそれどころではないというようなことになりますし、いま大臣から御答弁がありましたその災害補償、日本の国の中には法律ができておりますけれども、それ以上のようなことをお考えになって手配をしていただきたいということも重ねて要請をいたしたいと思います。この点よろしゅうございましょうか。
#147
○国務大臣(伊東正義君) いま申し上げましたように、この法律の適用はないわけでございますが、それでは、それにかわって外務省として、政府としてどういうことをやったらいいか、できるだけの努力を私はすべきだと思いますので、私どもとして最善の努力はしてみたい、こういうふうに思っております。
#148
○宮崎正義君 次に、ASEAN諸国連合貿易投資観光促進センター設立のことにつきまして、午前中ちょっと触れておられたようですが、あの暫定センターへ私、行って見てまいりました。そのことは別にいたしましても、事務局長さんは非常な熱意を持って、今度の協定について大きな期待を持っておられましたのですが、その事務局長さんの要請といいますか、希望といいますか、これから臨んでいく自分の決意といいますか、そういうようなことをひっくるめまして、いろんな話を伺ってまいりました。
 その中で感じましたことを一つ二つ申し上げたいので、それをまた参考にしていただければと思うのですが、何といってもASEAN諸国の産品について日本になじむ産品はどのようにしたらいいのかということが一番大きな悩みの一つであるということ、現在は、局員の人たち、暫定センターにいる人たちは全部日本人です。この協定が結ばれますと、今度は関係諸国からそれぞれ人を入れるようになってくると、その受け入れの住宅の問題とか、教育の問題とかあるいはその経済の問題だとかというものが非常に心配である、また、多額の金も要るようになってくる、それからまた、もう一つはPRをどうしたらいいだろうかというようなことを相当悩みとして話しておられたのでありますが、これはもともと福田元総理が約束されて、暫定センターというのをつくられた関係性もありますし、そういうふうな面からいきましても、大臣も一度ごらんになりまして、どんなふうなことをいまやっているかというようなことを、ちょっとでも時間があればあっち方面へ行かれるときに立ち寄られてみられたらどうかなと思っております。いま、私が事務局長さんと会って、その話の中からかいつまんで中身だけを申し上げたのですが、その辺いかがですか。
#149
○国務大臣(伊東正義君) 百聞は一見にしかずといいますか、直接お会いして話を聞くということは、これは大切でございますので、日程を差し繰って国会中でも必ず行ってみたいと思います。
#150
○宮崎正義君 次は、午前中も南北問題の話が大分出ておりました。今回提案されております一次産品のための共通基金あるいはアフリカ開発銀行、あるいはいま申し上げました東南アジア貿易観光センターの設立協定というものも、全部南北問題の解決の一つだという意味で受けとめまして、そこで、午前中の大臣の御答弁なさったそれらをひっくるめましてお伺いするわけなんですが、七月のカナダで開かれる先進国首脳会議、オタワ・サミットでございますね。実は、その前に当初は六月十三日から三日間メキシコでいわゆる南北サミットが開かれる予定でありました。これはもう御案内のとおりですが、これがアメリカの思惑といいますか、それらのことによって六月のメキシコの南北サミットに対する延期ということで、南側の期待は非常に大きかったろうと思うんですが、こういうふうなことを考えまして、午前中の南北問題に対する大臣の御答弁から考え合わしてみて、六月十三日を延期した点について、大臣はどんなふうに考えておられるのか、その辺を伺っておきたいと思うのですが。
#151
○国務大臣(伊東正義君) 南北サミットの問題は、実は準備会の段階からどの国が参加するかとか、いろいろ問題がこれはあったのでございます。オーストリアとメキシコが中心になってやっていたのでございますが、これは日本も実は準備段階には呼ばれなかったんです。二度ありましたが、呼ばれませんでした。そこでどの国が参加するかというようなことをいろいろ議論になり、まだ実は議題は決まってない、どういう議題にするかということは決まってないわけでございますが、その過程で、聞くところによると、南北サミットの開始時期を、オタワ・サミットの前がいいだろう、後がいいだろうとか、いろいろ国によって準備段階から議論があったということを聞いておるのでございますが、一応十三日、十四日ということが十月の下旬に延びたわけでございますので、その前にオタワ・サミットがある。そして八月一日、二日にメキシコで参加国全部から外相が集まりまして、秋開かれる南北サミットの議題の問題とかいろいろ準備の相談をするということが決まっておるわけでございますので、私は、これ第一回の南北サミットでございますから、ぜひ成功さしたらいいと思っておりまして、その準備もまだ議題も実は決まってなかったわけでございますので、私は十月に延びたということは、一回決まったのが延びたのでございますから、それなりに私はプラス・マイナスあると思うのでございますが、これを延びたことをひとつプラスにするように、八月一日、二日には全参加呼びかけの国の外相が集まるということでございますから、そこで十分準備を整えて、そして第一回の南北サミットが成功裏に終われるように、私は、若干時間ができましたので、そういう意味でおくれたということをひとつうまく活用して、南北サミットが効果あるサミットだ、有意義なサミットだということになるよう期待しているわけでございます。
#152
○宮崎正義君 私の時間がもう少しでおしまいになりますので、またこの南北問題についてはいろいろこちらの考え方もありますので、申し上げたいと思うのですが、時間がありませんので、一つだけ……。
 総理と伊東大臣も五月の日米首脳会談にお行きになる予定でございますね。その会談の重要課題として当然南北問題も提案をされるだろうと私は思うのですが、総合安全保障の問題だとかあるいは経済援助の拡大を防衛強化に代替していくような話もされると思いますが、重要課題として南北問題を提案されるかどうか、この点一点お伺いをいたしまして、時間が来てしまいましたので私の質問は終わりたいと思いますが、いかがですか。
#153
○国務大臣(伊東正義君) 南北問題というのは先生も御承知のように、非常にこれは世界の平和にとりましても重要な私は問題だと、第三国というものの、開発途上国の発展ということは大切な問題でございますから、オタワのサミットでも当然これは私は日本からも言わなけりゃならぬと思っておるのでございますが、特にアメリカとの首脳会談では、私はこれは日本側からも主張し、経済協力との関連でこの問題はぜひ話題の一つとして意見交換をするということが大切だというふうに思っております。
#154
○宮崎正義君 終わります。
#155
○立木洋君 大臣、この間アメリカ側からのステートメントとそれから補足説明のあれをいただいてよく見せていただいたのですが、このステートメントと補足説明の中に食い違いがあるのですね。大臣もお読みになっているだろうと思いますけれども、ステートメントの方では「商船は霧と雨による視界不良のため視界から消え去った。」と、そして「被害があつたか否か確認することができなかつた。」と、つまりどうなったか不明だということがステートメントでは述べられているわけですね。ところがこの補足説明の中では、「当該船舶が遭難の様子もないまま航行し去るのを目撃した。」と、片一方はどうなったか不明ですと、片一方は遭難がないのを、そして去っていくのを目撃した、これは矛盾、食い違っていると思うんですけれども、大胆どのようにお考えでしょうか。
#156
○国務大臣(伊東正義君) 私は片方では、後からおっしゃったのは質疑応答のために用意したと、こういうものでございまして、私はステートメントで国会でも答弁し、これが私どももらった正式なものだというふうに解釈しております。私はこれで国会、ずっと皆様方にも御説明をしておるわけでございます。
 で、質疑応答と若干これはニュアンスが違うこと、私もそう思います。ただ、要するに実情がわからぬということで、いまの、もらったこのステートメントでもわからぬのでございますし、質疑応答という補足のものを用意しておられるということでございますが、これでも私ども聞いている、生存者についてこう言っているということ、この間海上保安庁が一回国会でも答弁したことがありますが、それともこれは食い違っていることでございますし、実情がどれだかわからぬ、やっぱり国民に納得できるような調査をちゃんとしてもらわなければいかぬということをアメリカ側に私どもは主張をしているわけでございまして、きょうも向こうから、海軍長官は向こうの責任だということを認めたものを発表したということでございますので、だんだんそういうことを向こう側でも認めてきているということでございますので、私は最終的な向こうの調査を待って、そしてそれと日本側との両方で突き合わしてみるということをして実情をはっきりしたい、こういう考えでございます。
#157
○立木洋君 これは確かにおかしいということを大臣自身もお認めになったと思うのですけれども、この補足説明を受けたその瞬間にこれはちょっとステートメントと違うのではないだろうかということを即座に問い返したのでしょうか。大臣ではおわかりにならないと思う。局長が来ないとだめなんだな。
#158
○国務大臣(伊東正義君) これは私はその場でやりとりをしませんでしたので、実情ちょっとわかりませんので、後で政府委員が来ますからひとつお聞きを願いたいと思います。
#159
○立木洋君 後もう局長が来ないと質問が進まないのだ、困るな。
 大臣もいろいろな場面で、アメリカ側の大使を初めその他要人に対して事態の究明のために努力をしてほしいという趣旨のことを再三申し述べられておるようでありますけれども、外務省としては文書で調査、解明事項をアメリカ側に渡したということはありませんか。文書で申し入れをしたとかというようなことはありませんか。
#160
○国務大臣(伊東正義君) 私もやりましたのは口頭でございまして、文書で、たとえば外務大臣の名前で向こうへ出すということはやっておりません。
#161
○立木洋君 局長が来ないと困るのだな。ちょっと休憩しますわ、これ、質問が進まない。大臣がおわかりにならないことがあるかもしれないし、ちょっと休んでください。
#162
○理事(稲嶺一郎君) 速記とめて。
   〔速記中止〕
#163
○理事(稲嶺一郎君) 速記始めて。
#164
○立木洋君 淺尾さん、お忙しいことはわかりますが、ちゃんと出席してくださるようにお願いしてあるのですし、何ぼ私の質問がいやかもしれませんけれども、それはやはりちゃんと時間どおり出てきていただかないと困ると思うのですね。
 最初にこの間十六日に私がお尋ねしたとき、淺尾さんは補足説明について述べられたのに関して重要な部分を省いて説明された。これは衆議院で問題にされたときには要旨を述べたのであって、全文を述べたのではございませんという趣旨の答弁をされたと思うんです。局長自身は要旨を述べたというふうにお考えになっているかもしれませんが、省いた部分というのがつまり問題になる「当該船舶が遭難の様子もないまま航行し去るのを目撃した。」という部分をいわゆる削除してお述べになった。私は要旨というのは本来の趣旨が変わるような削除の仕方は要旨を述べたということにはならないだろうと思うんです。これはこれ以上私はお尋ねしません。問題を正しく解明していくという点から言っても、また委員会での質疑を順調に進めるという点から言っても、やはり私は淺尾局長が先回答弁された点はきわめて遺憾であったということだけを指摘しておきたいと思うんです。
 それでお尋ねする点については、外務省として今回の事件に関して文書でこれこれの事態を解明してほしいという幾つかの項目をアメリカ側に申し入れたことがないかどうか、その点からお尋ねします。
#165
○政府委員(淺尾新一郎君) まず最初に、おくれて申しわけございません。実は車列にとめられましたものですから。どうも済みません。
 文書で申し入れたことはございません。
#166
○立木洋君 私はこうした重要な事態でございますから、やはりどういう問題を明らかにすべきかということを少なくとも文書で申し入れるべきだと、こういう点を解明してほしいということはやはりそれがやられていない、言うならばそれはそれとして、それならば文書ではなくても口頭によって相方側にこういう事態を解明してほしいという申し入れをこの十項目以外に行った項目はあるかないか。その点いかがでしょうか。
#167
○政府委員(淺尾新一郎君) いまお尋ねの十項目というのは、アメリカ海軍が……
#168
○立木洋君 補足説明ですね。
#169
○政府委員(淺尾新一郎君) 補足説明というか、口頭要領で送ってきたということを指しておられるということだと思いますが、私たちとしては、各委員会において大臣及び政府委員から随時御答弁しておりますように、本件の事態の解明にとって最も核心である、なぜ事件が起きたのか、なぜ通報がおくれたのか、救命活動を十分にやったのか、その三点、さらに今後補償措置はきちんとやってほしい、こういうことは申し入れておりまして、それは口頭であっても公式の会談において日本側の立場を述べておりますので、日本側の希望するところあるいは意図するところというものは十分アメリカ側に伝わっているというふうに確信しております。
#170
○立木洋君 これは淺尾さんを疑ぐったような質問して申しわけないけれども、相手側に質問し相手側からすでに回答が来ておる問題で、国会の委員会の席上まだ述べてない問題は一つもありませんか。
#171
○政府委員(淺尾新一郎君) ございません。補償の問題はけさ申し上げました。これは新しく来た問題でございます。
   〔理事稲嶺一郎君退席、委員長着席〕
#172
○立木洋君 やはり前回も申し述べましたように、十日にすでに補足説明が来ていた部分が十六日まで公表されなかった。また、先ほど私申し上げましたように、説明も重要な部分が除かれて説明されるというふうなことがあるわけで、念のためにお尋ねしたわけですが、今後これらの事態、国会等々でいろいろ質疑されている内容の問題に関してより正確を期する意味で、相手側に、いままでのいわゆる乗組員の証言の問題もありますし、これらの問題を文書でまとめてアメリカ側に質問を行うという考えは全くありませんか。
#173
○政府委員(淺尾新一郎君) 日昇丸の乗組員の事情聴取については現在保安庁でやっておられるというふうに承知しております。実はまだ私たちはその聴取の事情について承知しておりません。まだ文書でもいただいておりません。その日本側の調査が終わった段階、あるいは私たちがそういう海上保安庁の調査について通報を受けた時点においては、やはりアメリカ側に対して、日本側としてはこういうことであるということを当然伝えてアメリカ側の調査の参考に資したいというふうに考えております。ただそれを文書の形でするのか、あるいは口頭の形でするのか、それはいまの段階でまだ決まっておりません。
#174
○立木洋君 それはいつごろになりそうですか。
#175
○政府委員(淺尾新一郎君) まだ私たちいただいておりませんので、ちょっといつごろかということをここで申し上げる段階ではございませんですが。
#176
○立木洋君 ではこの問題の最後に大臣、午前中から他の議員からもいろいろ質問が出ておりましたし、大臣も日米首脳会談前に何らかある程度の問題解決の方向がはっきりされるということが望ましいし、向こう側もそうした努力をしてもらえるのではないかという趣旨の希望を述べられたわけですが、私もこの点に関して大臣がいまお考えになっている見通しといいますか、これは希望的な観測ということではなくて、大体どういうふうな見通しで問題をどういうふうにされていくのかということが一点と、それから、大臣自身がお述べになっておるこの問題はあいまいにしないという、そのあいまいにしないということはどういう内容なのか。この二点お尋ねしておきたいと思います。
#177
○国務大臣(伊東正義君) 時期の問題は、この間ロング司令官と話したときに大体三十日という話が出ましたから、私は三十日では首相の訪米に間に合わぬおそれがあると、もっと早く欲しい、できれば中間報告ということで言ったわけでございますが、向こうは中間報告は、向こうの、法律的に厳格に責任者の問題もあるし調査をしなければならぬので、中間報告ということはむずかしいという話があったわけでございます。私は三十日では遅いということを言いました。その後で、それから二日たってマンスフィールドさんと会いましたときに、レーガン大統領の親書を持ってこられたわけでございまして、この親書の中に大統領が個人的にも非常にこの問題については注意を払っているということと、それから鈴木総理がワシントンに来られる前に双方にとって必要なことを満たす十分な進展が見られることを自分は非常に期待しているのだという親善の内容でございますので、私は総理訪問の前にある程度大筋のものはもう報告があるものと期待をしておりますし、またこれとは別に補償の問題はもう話し合いが始まっているということでございますので、総理が行かれる場合にも何もわからぬというようなことでは、私はこれは信頼関係も、総理が行かれるについてもまだわからないのかと、大統領がこういう親書をよこしているじゃないかということもございますので、私はその両方から考えましても行かれる前にある程度大筋のものはわかるだろうというふうに思っておるわけでございます。
 それから、向こうもあいまいにしない、真実は伝える、こういうことを言っておるわけでございますし、私がうやむやにしないということを言いましたのは、補償の問題も含め、通報がなぜおくれたか、救助をどういうふうにしたか、どういう原因かということを、やはり国民の皆さんがこれは納得するという、ある程度常識的に考えればわかるということでないと、これはうやむやにしたままにこの問題がたとえば悪い言葉で言えばやみに消えてしまうというふうなことがあっては、これは両国の信頼関係を傷つけるということになりますので、私は国民の皆さんから納得してもらえるような説明がつかなければこれはやはりいかぬというふうに考えております。
#178
○立木洋君 大臣、そのあいまいにされないという問題の中で、どうしてもちょっと聞きたくなってきたのですが、鈴木総理はつまり非核三原則の問題についても徹底したいという趣旨のことをお述べになっておられたのですが、やはりそういう非核三原則の問題を徹底するという点についてもあいまいにしないという内容の問題の一つとして理解していいですか。
#179
○国務大臣(伊東正義君) 非核三原則の問題はですね、この間もロング司令官に私申しまして、日本の非核三原則の立場、考え方を言ったわけでございまして、ロング司令官も日本の非核三原則は向こうも尊重するのだ、変わりないということを明確に言っているわけでございますので、それはもうすでにアメリカ側からそういうことは言ってきている。私も話しまして、向こうもはっきり尊重するのだ、こういうことを言っているわけでございます。
#180
○立木洋君 ではこの問題については改めてまた次の機会にお尋ねすることにして、きょうの問題になっております条約の点についてお尋ねしておきたいと思います。
 一次産品のための共通基金の設立協定、この協定ができたということは、一次産品の生産や輸出にきわめて大きく依存している開発途上国にとって好ましいというだけではなくして、原材料の安定供給を図るという先進国の要望からいってもきわめていいことではないだろうかというふうに私は考えるわけです。しかし、問題はこの協定ができたということですべてがもう万事解決してしまったということでなくて、私自身もこれから後のいろいろな問題がまだ残されているのではないかということをどうしても感じるわけですが、政府としてどういう点が大きな問題として残されているというふうにお感じになっているのか、その点からお尋ねいたします。
#181
○説明員(小宅庸夫君) ただいま立木先生から御指摘のありましたとおり、確かにこの一次産品共通基金がすべての一次産品問題を解決するということにはまいらないと思います。しかし普通一次産品問題といいますときには、一次産品の輸出に依存している諸国の所得の安定ということとそれから価格の安定、これは消費国にとっても大事なことですが、この二つがあるわけですが、この二つの目的を達成するために一次産品共通基金を通ずる融資活動というものが相当有効な力を発揮するだろうということは期待されると思います。したがって、そういう意味で早くこれが発足することを希望するわけでありますが、先生御承知のとおり、事一次産品共通基金というのはこの基金ひとりで活動するものではなくて、その前提として消費国及び生産国を網羅した国際商品取り決めというものが存在してないといけないわけでございます。現在のところそういう商品取り決めといいますか、が結ばれていますのはすず、天然ゴム、コーヒー、砂糖、小麦、オリーブ油と、こういうことになっておりますが、これからの一番大きな問題は、これらの商品協定の活動を十分有効にしていくということが一つと、それから二番目に、UNCTADで採択されました決議により一次産品総合契約というのがありまして、これに十八品目開発途上国の監視品目が掲げられてありますが、このうちにはまだそういう商品取り決めの存在していないものがたくさんございます。それからこういうものについて生産国と消費国の両方が支持していけるような国際的な取り決めをつくっていくということがこれからの大きな課題ではないかと思います。
#182
○立木洋君 共通基金が設立しましても加盟商品機関つまりきわめていま少ないわけですね、いま言われましたように。これではやっぱり十分に機能しないのだろうかという不安がどうしても残るわけですが、問題は十八品目あっても全然まだ協議すら行われていない。それからまた緩衝在庫をやるにしてもあるいはバナナだとかああいうものは全く適さないということはもちろんあるでしょうけれども、しかし、こうしたものを十分に加盟商品機関が少ないということを今後どのようにして解決していくというふうな考えにいまなっているのか、そのあたりはどうなんでしょうか。
#183
○説明員(小宅庸夫君) もうすでに国際商品取り決めのあるものにつきましては、その取り決めの範囲内でいろいろ会合等が行われておりますので、それはたとえば商品理事会で行われますので、これはこちらの方で今後取り上げていくべきことでもございますが、そのほかこれから新たに取り決めをつくろうというものにつきましては、主としてUNCTADがそのための話し合いの場として使われると思います。現実にジュート及びジュート製品とか熱帯木材とか硬質繊維とか、一部そういう話が進んでいるものもございます。それからそういうところまでもいってない話し合いとしてはFAOという国連の専門機関がございますが、このFAOの枠内では、先ほど御指摘になりましたバナナも含めましていろいろと問題が、何といいますか、研究されております。ですから、私どもといたしましては、日本はとにかく世界でも有数の輸入国という立場にありますから、こうした話し合いの場を通じまして、輸入国の立場にありながらかつ開発途上国の立場にも向くような何らかの取り決め、先生御指摘のように、品目によっては緩衝在庫というものは不向きですし、それからまた余りがっちりとした権利義務関係を規定した国際商品取り決め協定にしていくのは必ずしも適当でないようなものもあると思いますから、それはその品目の特性に応じたそういう国際的な枠組みというものをつくっていく。これは非常に時間もかかりますし、関係国が品目によって異なりますので、そう簡単にはまいらないと思いますけれども、現在の予定されておりますいろいろなUNCTAD及びFAOの場での話し合いの場にこれからそういった考え方で取り組んでいきたいと思います。
#184
○立木洋君 現在の状況の中で、第一勘定と違って第二勘定の方ですね、これは一次産品のつまり研究開発だとか、あるいは市場の開拓だとか生産性の向上だとか、そういう面での資金供与に充てるというこの第二勘定の持っている意味というのは私はやっぱり重要じゃないかと思うんですね。ところが、遺憾ながらアメリカの方はこの第二勘定の方の拠出を拒否されている。これはきわめて遺憾なことなんですが、一体どういう理由なのか、またその点について日本の政府としてはどういうふうに考えられておりますか。
#185
○説明員(小宅庸夫君) アメリカは、先生御指摘のとおり、第二勘定には現在まで拠出の意向を表明しておりません。これに対しましてわが国はかなり早い段階からこの共通基金というものは国際緩衝在庫に対する融資という第一勘定のほかに、これですとどうしても受益国が限られますので、そのほかに第二勘定というものを設けまして、国際緩衝在庫融資以外に活動も行い得るようにしたらという考え方を出していったわけでございます。アメリカ側は、この第二勘定の拠出に消極的な理由として私どもが承知しているところでは、アメリカ自身が行っております二国間の援助あるいは世銀とかIDAあるいはUNDP等が行っている多数国間の援助と重複するのではないかという考え方に立っているように思われます。この点につきましては、私どもといたしましてはアメリカの見方もそれはあるかと思いますけれども、この一次産品共通基金がいたします第二勘定のやり方というのは、一次産品に視点を当てたという意味では非常にユニークなものでありまして、既存のそうした援助との重複を避けながらやっていけばそれなりの効果があるものと考えております。実際、一次産品共通基金設立協定の中にも、そういう既存機関の活動との重複を避けるということはうたわれております。
#186
○立木洋君 私たちもこれができる限り早く発効されることを望んでおりますし、ですから加盟商品機関がさらにふえることや、いわゆる第二勘定も十分な効力を発揮できるような、そういう点での日本政府としての努力をお願いしておきたいと思うんです。
 次にアフリカ開発銀行の点ですが、これは旧協定と違って新しい協定の場合には、先ほど来問題になっておりましたように域外国が加盟をするということになっているわけですね。これに対してアフリカの中で反対あるいは棄権した国はどういう国があるのか、あるいはそうした国はどういう理由で棄権をされたのか、その点はどうでしょうか。
#187
○政府委員(梁井新一君) アフリカ開発銀行の加盟資格を域外国に開放するという総務会決議をめぐりまして二つの国が否定的な態度を表明したわけでございます。当時域内加盟国は四十八カ国あったわけでございますけれども、四十六カ国が賛成いたしまして、一カ国が反対、一カ国が棄権をいたしました。
 その理由の主な点でございますけれども、大体この両国とも同じような理由のもとに一カ国は反対し、一カ国は棄権したわけでございますけれども、まず従来のアフリカ地域の銀行という性格に対しまして、域外国が入ってくると当初の性格を変更するというのが第一の理由でございます。それから第二の理由は、これは域外加盟国の出資のシェアを三分の一にいたしまして域内国を三分の二にしているわけでございますけれども、域内国の負担の方が重くなるのではないか、相対的に前の域内国だけでやっていたときに比べて重くなるのではないかというのも反対ないし棄権の理由だったかと思います。反対いたしましたのはリビアでございまして、棄権したのがアルジェリアというふうに聞いております。
#188
○立木洋君 このアフリカ開発銀行が、旧協定ですが、一番最初発足した当時からいわゆる先進国の動向を見てみますと、たとえばイギリスにしろ、ベルギーにしろ、フランスにしろ、かつてのアフリカの宗主国であった国々の動向ですね、これはやはり域外国が参加するという面については、何といいますか、懐疑的といいますか、いわゆる新しいアフリカ諸国に新たな競争が醸し出されるというふうなことは望まなかったというような動きがあったというふうに私たちは見ているんですが、しかしアメリカというのは当初からきわめて積極的だったという状況ですね。先ほど言いましたけれども、たとえば一次産品の場合にはこの第二勘定、これに対しては拠出を依然として態度を決めてないといいますか、拒否している。この第二拠出については御承知のようにアフリカ諸国が多いんですよ。ところが、アフリカ銀行の場合にはアメリカは積極的なんですよ。アフリカ銀行のできた当初から域外国としてもいろいろやって、これはアフリカにいわゆる権益をいままで十分に持っていないアメリカがいろいろアフリカに進出していくと、そういうようなねらいを持っているとしか見られないのではないか、だからこういう点では、本当の意味ではアフリカ諸国の先ほど言いましたアルジェリア等々が警戒をするというふうなこともわからないではないというふうな感じもしてくるのですが、そこらあたりの点はどのようにお感じになっていますか。
#189
○政府委員(梁井新一君) このアフリカ開発銀行ができまして、当初は域内国だけでやっていくということでここまで来たわけでございますけれども、ただこのアフリカ開銀の当初の設立の準備の段階におきまして、むしろ銀行側の方から域外国に対する出資を呼びかけようとした時期がございます。それがむしろアフリカ内部の問題といたしまして、やはりまだ域外国の出資は早いと申しますか、独立早々のアフリカといたしましてはアフリカ国内だけでやっていきたいということで、アフリカ開銀の当初の段階におきましては域外国は出資しなかったというふうに聞いているわけでございます。
 それから、アメリカの態度でございますけれども、アメリカは先生御指摘のとおり域外国で一番大きなシェアで出資しておりますし、出資する予定でございますし、最近のレーガン大統領の政策下におきましても、アフリカ開銀に対する出資は変えないという態度を表明しておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、この銀行が域外国に開放された経緯というものを考えますと、やはりこの域内国だけの資金ではやっていけないということでこの域外国の資金を求めたということでございますので、まあ日本もそうでございますけれども、今回域外国として出資いたします先進国も同様に、この銀行の目的に賛同いたしまして出資するというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、別に何か政治的な意味ということよりは、この銀行の協定に書いてありますとおり、純粋に経済的なアフリカの開発のために設立される銀行である、その目的に同意いたしまして出資するというふうに考えている次第でございます。
 特に、このアフリカ開発銀行協定の三十八条には「政治活動の禁止及び銀行の国際的な性格」という一条がございまして、銀行並びに役員は「いずれの加盟国の政治問題にも干渉してはならず、また、いかなる決定を行うに当たっても、関係加盟国の政治的性格によって影響されてはならない。」と、この銀行の「決定は、経済上の考慮にのみ基づいて行う」という規定があるわけでございまして、私どももこの規定に賛同して出資する次第でございます。
#190
○立木洋君 もう時間がないので、最後に大臣に東南アジアの貿易投資観光促進センターの問題に関して一問だけお尋ねしておきたいと思うのですが、いま申し上げました一次産品の問題にいたしましても、あるいはアフリカ開発銀行の問題にしましても、先ほど同僚議員の方から問題が出されましたように、これからの援助の姿勢の問題としてきわめて重要なものであるという指摘がありました。いままでアジアの中における日本政府の姿勢として見ますと、ASEAN諸国に対する重視、これがきわめて直視した姿勢をとっておるというのは、ある意味では理解できるわけですが、ある意味ではどうも理解できない点もあるのですね。これはASEAN諸国あるいはインドシナ半島、これらの地域において平和と安定を願うということは大臣自身も再々述べられておられますから、その趣旨に間違いないだろうと思うのですが、しかしこれらの対応を見ていますと、ASEAN諸国に対する日本の対応、あるいはインドシナ半島に対する対応の仕方というのは、どうも差別の対応の仕方があるのではないだろうかという気がしてならないわけです。ですから日本の政府としては、ここの平和と安定を願うという点では、そういう差別だとかという形ではなくて、やはりもっと積極的な話し合いの姿勢によって問題の打開をしていく新たな姿勢をとるべきではないかというふうに考えるのですが、もう時間がないのできょうは細かくお尋ねすることができませんけれども、このASEAN、インドシナ半島全体に対する平和と安定を確保するという観点についての日本政府の基本的な考え方を大臣から回答いただいて、私の質問を終わります。
#191
○国務大臣(伊東正義君) 東南アジアは、ASEAN、インドシナ含めて東南アジアに平和が来るということは、これは一本も本当に心から期待するわけでございますし、そういう平和が来た暁には、インドシナ半島の復興のためにも、私は関心を持っている国みんなで協調して復興に手助けするというようなことも当然考えていくべきだ。一日も早くそういう意味で平和が来ることを期待しているわけでございますが、現状は、インドシナ半島につきましては御承知のように国連の決議もございまして、あそこに、ベトナムのカンボジアに対する軍事介入という問題については、これは早く全面的な撤兵をして、カンボジアの国民が自由に意思表示ができる、そういう条件で選挙をやったらどうかというような国連からの決議もあり、最近は国連からも特使も来て、何とか国際会議を開いてそういうことの実現をしたいということをやっているわけでございまして、ASEANの考え方、インドシナ半島のベトナム、カンボジアの現政権のヘン・サムリンの考え方、これはもう完全にいま食い違っておるわけでございます。いまそういう状態のもとで、インドシナ、ベトナム、カンボジアに何かもっと考えるべきじゃないかというお話でございますが、私はやっぱり国連というものの決議というのは非常に重みを持っているものでございまして、それが国際会議を開いて、そうしてテーブルでお互いに話し合いをしようじゃないか、日本もそれを支持するという態度でやっているわけでございますので、私はこれは経済協力の問題その他含めまして、そこにそういう前提があると、現実があるということを考えますと、やっぱりそこに政策判断というものが、どういう選択をするのだということは当然出てくる問題でございまして、立木さんとはそこはちょっと意見が違うのでございますが、日本はいまやっているように、ASEANの態度を支持し、国連の決議の実現を図って、そうして東南アジア全部の平和が来るようにということを考えているわけでございます。
#192
○立木洋君 残余は次の機会にします。
#193
○秦豊君 最初に、これ確認の意味で伺っておきますが、一次産品の協定に絡んで一つだけ。
 日本はアメリカに次ぐ高額を拠出すると言われていますけれども、一と二を合わした合計額、拠出分担、拠出をする時期、これを確認のために聞いておけばいいと思います。
#194
○説明員(小宅庸夫君) わが国は一次産品共通基金に対しまして総額六千六十七万ドルを拠出いたします。そのうち三千三百六十七万ドル、これが第一勘定に対する拠出でございます。残りの二千七百万ドル、これが第二勘定に対する任意の拠出でございます。
 払い込みの仕方でありますが、第一勘定につきましては、一部が現金、一部が国債ということで拠出をいたします。
 で、ことしの場合には、本年度の予算には全額の三〇%ですが、それは全額現金で払い込むことになっております。第二勘定につきましては一〇%、一割現金で残りの九割は国債で払う、いずれにしましても三年間に分けまして予算に計上すると、こういうことになっております。
#195
○秦豊君 わかりました。
 それでは一般の問題に移ります。アジア局長お見えですね。ちょっとお座りください。余り愉快なことを申し上げませんので、外務大臣もちょっとこれ、私も愉快な質問とは認識しておりませんので、ただ許しがたいと思っているから伺います。
 日本と韓国にまつわる問題ですが、アジア局長、前田現大使の赴任はいつでございましたか。
#196
○政府委員(木内昭胤君) 五月九日の予定でございます。
#197
○秦豊君 赴任が。
#198
○政府委員(木内昭胤君) はい。
#199
○秦豊君 須之部、いまで言えば前大使と言うべきかと思いますが、須之部大使に絡む問題です。
 アジア局長は許文道氏という、現在大統領府全斗煥政権の中枢にいる人物、許認可の許、文学の文、道路の道、許文道氏を御存じですか。
#200
○政府委員(木内昭胤君) 存じております。
#201
○秦豊君 経歴と現職をちょっと御説明ください。
#202
○政府委員(木内昭胤君) 経歴の詳細は存じておりませんけれども、日本にかつて東大の新聞学部に在籍したというふうに聞いております。そしてその後朝鮮日報の特派員として本邦に滞在し、最近に至りまして本国に戻りまして全斗煥大統領の新体制に参加し、ただいま委員御指摘のとおり青瓦台に秘書グループの一貫として参加しておると、かような程度には承知いたしております。
#203
○秦豊君 局長ね、元駐日大使館では広報官、それからジャーナリズム経歴あり、現在は局長のおっしゃったとおりだが、これは思ったより地位が高い、いま政務担当秘書官であり、近い人事異動では首席秘書官になる、こういうふうに見られていて、あわせて青瓦台を牛耳る少壮軍人グループの中では唯一の民間人出身であるという経歴が異色ですね。それは御存じですね。
#204
○政府委員(木内昭胤君) 首席秘書官にまで登用されるかどうかは存じておりませんけれども、この唯一の民間人としての秘書の一人であり、かつ知日家であるということは承知いたしております。
#205
○秦豊君 そこで、この許文道氏が示唆を与えて、最近の朝鮮日報は、前田大使着任反対の論説を掲載した事実は御存じですか。
#206
○政府委員(木内昭胤君) そのような考え方が韓国の一部にあり得るということは承知いたしております。
 ただし、御承知のとおりに、前田大使を韓国に派遣するに当たりましては、まず韓国の当局の了解、外交用語ではアグレマンと申しておりますが、を取りつけた上で前田大使の発令を行っておるという事実に基づきまして、近く御赴任いただくわけでございます。
#207
○秦豊君 韓国のマスメディアが、なぜ前田大使に反対をするか、論拠を調べてみると前田大使の経歴にある。元京城帝大卒、これはまあ学歴だから仕方がない。朝鮮総督府勤務、つまりあの人々の見解、価値観の中では、最近一年間訂正されたようだが、日帝三十五年支配の屈辱とそのシンボリックな存在である総督府勤務であるというそのパーソナル・ヒストリーがつまり反対の有力な論拠になっていると私は聞かされているが、局長はどうですか。
#208
○政府委員(木内昭胤君) 前田大使との関連でどうのということは言い切れないと思いますが、一般論としまして韓国人の間には根強く日本統治の時代をきらう感情があるのは、これはある意味では当然のことかと思います。また最近朴大統領が亡くなられまして、新体制ということでございますが、とりわけこの旧時代の感じというものに対する厳しい見方が一部にはあり得るということは承知いたしております。
#209
○秦豊君 時間を節約してずばり事件の核心に入りますがね。こういう場合、率直におっしゃってください。あなた方には全否定という手があると思うんだが、やっぱりこの許文道氏が三月中旬に青瓦台の公用車でソウル駐在日本大使館の構内に乱入をしたという事実関係について御存じか。
#210
○政府委員(木内昭胤君) 存じておりません。
#211
○秦豊君 須之部氏は就寝中であった。しかも警備の者は青瓦台の公用車だから難なく入門を認めた、認めざるを得なかった。相当高いオクターブで今度の前田赴任の問題についてわめきちらした。そのことは須之部氏から公電ないしその他の手段で本省に達している。私は架空のフィクションをここで言っているのじゃなくて、いやしくも有力なソウルの韓国筋からこのことを私は入手した。常識的には大使館は治外法権、言うまでもなく一国の代表機関である。しかも対日政策の最高スタッフの一人である許文道氏、あなたも認めたようにランクの高い知日派の一人、今後ますます枢要な地位を占めるであろう人物が幾ら酔余の一興とはいえ乱入をするというふうな事案については私は認めがたい。外交慣例上こんな不祥事は初めて聞き知った。あなた方の価値観によればあるべき日韓関係の再構築と言っていらっしゃるようだが、こういう事件を不問に付して何が日韓関係の再構築か、私はそう思うのだが、あなたはあくまで事件についてはあずかり知らないとおっしゃりたいのですか。
#212
○政府委員(木内昭胤君) あずかり知らないと申しますよりは、そういう不祥事がございましたら当然のことながら私どもに報告がございますし、また距離も近いわけで、館員の往来もございまして、非常に連絡は大使館と密接でございます。しかしながら、そのような事件があったということは私ども聞いておりませんので、どういうことからそういう事実が伝えられておるのか、首をかしげざるを得ないわけでございます。
#213
○秦豊君 伊東外務大臣ね、私は日本の外務大臣はただ一人と思っています。最近何かと來雑音が入る中で、これはおか目八目なら結構ですよ。やっぱり今度の事件――私は事件という心証を持っているのだが、今度の事件についても、仄聞すれば、なぜか伊東外務大臣ではなくて宮澤官房長官が崔駐日大使を呼んで、場所と日時は確認できていませんが、この問題について話し合った。もう外交問題の範疇では許されないと私思うのですけれども、これ以上幾ら聞いても局長もあるいは皆さんも、いや、常識で考えられません、ソウル―東京ならば事実あればすぐわかります、何をもって言われるかけげんですとおっしゃるかもしれぬが、私はその答弁では納得できないので、政府側の対応を含めて調査を正式に要求したい。調査した結果を回答をしていただきたい。そのことを伊東大臣、いかがでしょう。
#214
○国務大臣(伊東正義君) 私もいま初めて聞いたことで全然わからぬのでございますが、調査をしてみろというお話でございますが、これは調査すればすぐわかることでございますから、これは調査をして御報告申し上げます。
#215
○秦豊君 ぜひしっかりと調べ直していただきたい。そして、うやむやにしないでいただきたい。そのことが、いわゆる新しい日韓関係というものの基盤を形成するある要素でしょう。しかもこの場合に、外務省がつんぼさじきで、なぜ官邸サイドが対応し、しかも外務省がそれを知らないか、こういう点については奇異に感ずるから、奇異に感ずるのは質問者の方であって、厳重に調べていただきたいことを改めて申し上げます。大臣のお約束だから、調査の結果を期待したいと思います。
 原潜の問題ですけれども、先ほどから委員会で先輩、同僚議員の鋭い質問が続きましたから、重複は避けますが、北米局長一つだけ、それから大臣にも伺いますが、リッチ大佐の調査ぶりを見ると、あらかた横須賀では終わったようである。そうすると、せっかく伊東大臣が精進されても、アメリカから来る回答というのは、もうこれずばり、春闘じゃないが一発回答で、最終回答ですよ。しかも、軍事機密という要素を捨象してやると、抜けがらのリポートが来るわけだ。日本側が待望したポイントには一切答えていない、なぜか、軍事機密である、こうなると、その最終回答を伊東大臣が手にされても、私、相当不満と疑義が残ると思いますよ。その場合でも、五月七日、八日、トップ会談にもうタイムリミットだというので、不満や疑義が残っても追いすがる日数を私は与えられていないのじゃないかと思うんですよ。どうされます、伊東大臣。
#216
○国務大臣(伊東正義君) 御質問でございますが、予断を持ってどういう回答が来るかということを、私はいまここでわかりませんので申し上げませんが、アメリカのマンスフィールド大使は、異例なスピードで調査する、出てきた真実は日本に伝えると、それを、隠蔽という言葉を言ってます、隠したりうやむやにすることはないということを何回も私に確言をされておるわけでございますし、私はやっぱりそれを公の立場にある人ですから信ずるわけでございます。軍事上の機密だからといって、何にもわからぬような報告であれば、これは国民も納得しないと思うんです。なぜ通報がおくれたか、救助はどうだった、あるいは原因はどういうことで起こったかというようなことが、一切軍事機密だから、というような内容のものであれば、私はこれは国民の皆さんも納得されないし、やはりそれだけで終わるということであれば、これはまさに両国間の信頼関係にも私は関係してくると思いますので、私としましてはそういうことはないだろうということを期待しておりますし、マンスフィールド大使のお答えも真実は伝えると、こういうことでございますので、向こうから来た回答の結果について、よくわからないというようなことがあれば再照会をするとか、日本側は調べればこうでございますということを知らせるとかということで、私は、最後まで国民の皆さんに納得がいくような、説明のできるような調査結果を期待するということでございます。
#217
○秦豊君 淺尾局長、私、午前中田中さんの御質問を聞いてまして、例の海軍長官のあれ、ぼくも聞いてみようと思いましたけど、あれはニュースの前の方には、日本の補償要求額は四百三十万ドル、アメリカ海軍長官の権限で議会を経ないで支出し得るリミットが百万ドルと、こういうふうに聞いているわけですよ。四百三十万ドルと、まあまあ百万ドル支出権限。淺尾さんによれば、パー・ヘッドで二万五千ドルの権限もお持ちのようだから、合わせると人数を掛ければすぐ出ますけれども、やはりかなりな隔たりがある。この場合、訴訟関係でいう原告、被告で言えば、原告はもちろんわが方、日本、被告はあちらです。被告はだれになるんです。いわゆる被告、だれを相手に具体的な交渉をするんですか。
#218
○政府委員(淺尾新一郎君) まずその前に、先ほど私が言いました二万五千ドルというのは、これは人に対する補償額でございまして、一人について二万五千ドル、あるいはそれを超える二万五千ドルについては議会に証明を出せば払えると。それから、貨物については百万ドルですけれども、百万ドルを超える分についても議会に証明を出せば行政措置で払える……
#219
○秦豊君 貨物。
#220
○政府委員(淺尾新一郎君) 貨物については、ということでございます。
 それから、それ以上の場合に、不満であれば両当事者の間で今度は訴訟の道がもちろん残されているわけでございます。この場合に、すでに日昇丸の方は弁護士さんを任命されておりますので、日昇丸が訴訟をアメリカの国内法に応じて提起すると、こういうことになっております。
#221
○秦豊君 だれを被告にしてですか、そう伺っているのですよ。
#222
○政府委員(淺尾新一郎君) これは海軍当局と申しますか、相手は米国でございます。
#223
○秦豊君 外務大臣ね、こういうふうに私はすべきではないかと思うのですが、首脳会談の話は後で残り時間いっぱい使ってみたいと思いますが、これほど物議を醸し、これほどあなた方のいわゆるイコールパートナーの基本的なマインドに傷をつけ、後遺症を残し、不信を醸した、これほどの事件ですから、どういう報告が来てそして五月七日、八日を迎えるにせよですね、私は提案ですけれども、やはりこの際――提案というより私の意見ですけれども、コミュニケ、当然今度はこれはあり得ると思う。鈴木・レーガン会談ですから、コミュニケのない首脳会談でなくて、やっぱりアクセント、めり張りをつけるワシントン会談ではないかとそんたくをしますけれども、やはりこの膨大な項目の中に、私は今回の原潜問題は日米共同声明にやはり当然盛り込んで積極的に、国民感情の動向にこたえるべきではないかと、私こう思っているのですが、外務大臣どうでしょうね。
#224
○国務大臣(伊東正義君) 共同コミュニケの問題は、まだ何も決めたわけでもございませんし、これから首脳間で会談されて、どういう話をされるかによってこれはコミュニケができるわけでございますので、いまこれがどういう状態になるかということはこれからの問題でございますので、いま私どもは、コミュニケの中にこれを入れるか入れぬかということはまだ一回も相談したことはございませんから、いますぐにどうするということをお答えするような立場にないわけでございまして、私は、首脳会談前に大体のことがわかって、国民もわかったと、そうかと、そうして、こうした善後処置をとる、そんなら信頼関係も維持、発展ができるというような形でこの問題が終わるということを期待しているわけでございます。
#225
○秦豊君 これはまあ幾ら議論しても詰まる話ではありませんが、伊東大臣ね、車も首脳会談の前、原潜も前と、重い荷物は二つとも振り分けにして置いてきて、身軽に儀式をやろうというわけにいかぬですよ、なかなか、今度の首脳会談は。また、これほどの問題なんだから、コミュニケを仮に起草するかどうかはもちろん外交当局の判断だが、私は挿入してしかるべき重要なアイテムであるという観点から申し上げたわけで、ぜひ御検討を願いたいと、こう思います。
 それから、一つだけ防衛絡みで、これは伊東外務大臣に確認をしておきたいのですけれども、一部報道はすでに出ております、先日のワインバーガー長官との会談の中で、北西太平洋の例の海路分担、シーレーンの防衛、この問題については、たとえば対潜能力の強化については話はあったと、これは伝えられている。ところが、同時に、やはり対潜ではなくて、たとえばバックファイアその他の増強等に対する、あるいは対潜能力の強化という意味を込めての防空能力の強化という点についても、ワインバーガー国防長官から伊東外務大臣との話し合いの中では具体的な話があったのか、あるいは要請めいたものがあったのか、全然話し合われなかったのか、これをちょっと今後のために確認しておきたいと思いますが。
#226
○国務大臣(伊東正義君) 秦さんのおっしゃる前の分もなかったんです。後の方もないけども、前の方も、そういう対潜のどうということもなかったです。これはこういうことでございまして、アメリカが防衛努力をやっているのだという例として、ペルシャ湾の問題、インド洋の問題、東南アジアの問題ずっといきまして、そしてグアム以西、フィリピン以北のというので北西太平洋と、そういう例がずっと出てきたわけでございます。その中で、ソ連の航空能力、飛行機の問題、あるいは潜水艦の問題、そういうものもこちらの防衛は来ているのだという説明が一般的な説明としてございまして、その後で日本も経済的に力がついてきたのだから防衛力の強化について努力をしてもらいたい、また、駐日米軍の駐留費は地位協定の範囲内でできるだけ持ってもらいたいということでございまして、たとえばグアム以西、フィリピン以北の海域のシーレーンの問題だとか、あるいは海域の分担の問題だとか、そういう話は一切なかったんです。でございますので、対潜水艦の問題とか対飛行機の問題とか、そういうものについて特に防衛力の強化をしてもらいたいとか、そういうことじゃなくて、ソ連がそういう、こっちに進出をしているのだという一般の説明でございまして、その後は日本の防衛力の強化に努力してもらいたいということでございましたので、具体的にいま秦さんの言われるような、この海面はひとつやってくれとか、あるいは潜水艦がどうだとか飛行機の問題がどうだとかいうことはなかったんです。
#227
○秦豊君 前もなければ後もない、現場に居合わせないと何かとこれは不便ですな。
 日米首脳会談、もちろんそうですが、と、サミットの問題を関連させながら時間いっぱい伺っておきたいのですが、伊東さんね、今度の首脳会談は恐らく伊東外交のいままでの最大のピーク、分岐点になると、このことは同時に日米外交にとっても大きな転機になると私は思っている。その中で、やはりレーガン・ドクトリンというものがだんだんシルエットがはっきりしてきて、いろいろあるけれども、やはり対ソ共同戦略のそれこそ再構築というのが私は根強く蟠踞していて、NATOにはこの部分を、日本にはこの部分を――だからアメリカの要求というのは非常にぶ厚いと思うのですよね。立体的なわけですね。引き出しにいっぱい入っているわけですね。次々に引き出しをあけるという感じになってくるので、私は日米首脳会談の最大の眼目というのは対ソ認識あるいは戦略観の一致という点が大きなポイントになりはしないかと考えていますが、外務大臣どうでしょうね。
#228
○国務大臣(伊東正義君) 私はこの前行きまして、特にヘイグさんとは一番長かった、ワインバーガー国防長官とも話したわけでございますが、世界情勢の認識ということにつきましてはそれは議論をしたわけでございます。ただ、それから先の対ソ戦略でございますとか、そういうようなことにつきましては、これは具体的に何も話をしたわけでございませんで、日本は、日本の防衛の問題のときにワインバーガーさんに私は言ったわけでございますが、日本の憲法の問題、個別自衛権、いわゆる専守防衛、軍事大国にならず、あるいは国民のコンセンサス、財政の問題、いろいろ言いまして、日本の防衛というものはこれは日本を守るだけでございまして、個別自衛権でございますから、ほかのことをやれと、そういうことを期待されても総理もできないということを言っておられるわけでございまして、それは私はいつも国会で答弁を申し上げている考えを言ったわけでございまして、そして、日本では防衛問題というのは最近国民の皆さんから若干ずつ、少しずつ理解を得て、国会にも委員会ができたということを話しまして、自主的に日本の防衛努力というのは決めていくのだという話をしたわけでございまして、それ以上にどこをどう分担する、どこをどうするというような話はこれはしてないわけでございまして、日本とソ連との関係は、また米ソとの関係のほかに、領土問題がございますとか、いろんな日本独自な日ソ関係があるわけでございますから、これは日本は日本として日ソ関係をまた考えていくということに私はなるだろうと。この前はワインーバーガーさんあるいはヘイグさん、そうした対ソ関係の、アメリカはこういう措置をする、日本はこう持ってもらいたいとかいうような話はこの前しませんでした。
#229
○秦豊君 その辺でどうも日本とアメリカの、あるいは先進七カ国、いや六カ国ですね、日本を除けば。歯車が伊東さんね、かみ合ってないんですよ。ぼくはやっぱり今度の首脳会談からオタワに至る中で、やはり小括弧は日米連帯の強化と、大括弧は対ソ共同防衛と、あるいは対ソ共同同盟と、万事このフレームでいやおうなく動いていく。ところが、たとえばオタワ・サミットに限定して物を言えば、たしか三月十三日の当院の予算委員会総括で、宮澤官房長官が答弁に立って、オタワ・サミットの問題について、政治の話が出るのは防げないし、各国首脳が話をするのは悪いとは思わないけれども、一つの結論やコミュニケを出すのは間違いであると。私は、この答弁非常に奇異に感ずるわけですよね。構成メンバーが七カ国です。日本はワン・オブ・ゼムです。巨大な一つですよ。そうでしょう。参加はする、討議に参加はするが結論には加わらない、コミュニケには背を向けるというふうなことが国際常識として一体通用するんですか。宮澤官房長官の――時間がないからこの部分だけ抜き取りますが、宮澤さんのこの見解は外務大臣も共有していらっしゃるんですか。
#230
○国務大臣(伊東正義君) 宮澤官房長官と何も相談したわけではございませんが、オタワのサミットでは、サミットというのは大体国際経済問題が中心でございますが、しかしベニスのサミットではアフガニスタンの問題が話されたわけでございます。今後はどういうものが話されるかわからぬが、首脳が集まって政治問題について話題にならぬことはないと私も思います。なる方が普通だと思うわけでございます。
 そこで、コミュニケというものにそういうものを、そのときどういうものが話題になるか、いま何も決めているわけじゃございません、わかりませんが、どういうコミュニケを出すのか、あるいはどういう宣言を出すのか、その内容次第だと私は思うんです。それでベニスではこれはそういうものは、アフガニスタンのものについては出さないで、たしか地元のイタリーの首相が記者会見でそういう話をしたということがこの前の発表でございましたので、私は今度オタワのサミットでそういう政治問題についてのコミュニケが出るのか、あるいは何か政治問題について宣言が出るのかということは、いまの段階では私はこれはわからぬのでございまして、それに参加するかしないかということは、またこれ内容にもよりけりだと私は思うわけでございますから、いまの段階で必ず参加するのだということは私はわからぬわけでございます。
#231
○秦豊君 その辺が外務省というのはぼくはどうもよくわからないんだな。ぼくは外務委員会に初めて出っ張ってきましたけれどもよくわからないところがあるんですよね。
 何か国際的な潮流とか大きな方向、つまり総合安保でいきますと、経済援助でうちはいくんですと、文化交流でございますよと。これが大平さんの遺産、総合安保。最も正しく継承しているのは伊東正義氏。それはいいのですが、一向にそれが国際的な説得性を持たないのはなぜか。たとえばアブシャイアー氏とあなたは会談されて話し合ったでしょう。あれだって私は、いわゆる経済援助である、同盟国、イコールパートナーの役割りは担うんだから、軍事は憲法と財政でしんどいんだと、こういう論調というのはぼくは通用しないと思うんですよ。アブシャイアー氏というのは相当トップクラスのブレーンですからね。影響力もある。彼が言ったことは、一言で言えば、対外経済援助で応分の負担なんというのはわかり切ったことで、自明の理である。しかし、そのこと、一方を果たせば他方を免れるわけではないというのがアメリカのレーガンドクトリンなんですよ。これはしたたかなんだから、スタミナが違うんだから。だからいつまでも日本が総合安保だなんて言ったって、国際的にぼくは通用しない、普遍性を持たない、説得性を持たない、気がついたらずるずる押されていく。だからぼくは一番大きな責任は総合安保を生煮えのままで放置している鈴木政権にあると思う。こんな程度で国際的に通用したらぼくはこれはお目にかかります。そんなはずがない。だからお話ししていても歯車がかみ合わない。ぼくは、何だかもう二分だそうですけれども、五月は、首脳会談、伊東大臣ね、総論です、友好ムード、ああよかったよかった、荷物は全部なくなって、とんでもない。なくなったと思っているだけですわ。これは裸の王様なんだ。それで七月のサミットは各論なんだ。経済をつき破って政治、政治経済を包括して中東を含めた対ソ戦略、これを話し合う唯一のトップ協議の場がオタワ・サミットですよ。日本だけがあえてかやの外というわけにはいかない。だからその辺の認識は甘いですよ。答弁を求めてもまただらだらと同じ答えだから答弁要らないですよ。
 最後に車の問題を、まだ二分もありますから伺っておきたいのですけれども、あうんの呼吸で、伊東大臣も向こうの商務長官も、それからUAWも、なかなかどうしてレーガン政権というのはぼくはマルチのテクニックを駆使したと思うのだが、あうんの呼吸で、もう自主規制じゃありませんか。訪米前にこれも決着だ、原潜とワンペアだといったら、自主規制以外にあったらお目にかかるが、自主規制以外にない。田中六助氏あたりはメーカーときょうから会っている、精力的に。精力的なのはいいのだけれども、上限、下限をあれしてですね、土俵をつくっておいてこっちへこい、こういうわけです。それ以外にないとぼくは思うのだけれども、通産からも専門家がお見えですからまとめて伺いますが、アメリカのディーラーの上部団体であるAIADAのコナリー会長でさえ台数規制よりはシェア規制がいいんです、ヒステリックな反対キャンペーンは一部の声です、デトロイト周辺を基盤にした一部の声ですと、こう言っている。おろかしい選択だとも言っています、非公式には、日本のやり方がですよ。だから、ここで通産に聞きたいのは、今月、大臣が――結局最後は田中大臣の談話を出すか、あるいは鈴木政権として政府声明を出すか、一応車の問題はあうんの呼吸でよくわかった、自主規制をいたしましょうと。たとえば、歴年で言って何年には幾ら規制をするということで一応幕を引こうというのが政府側の考えのようだけれども、通産のいま選択の中にはそれしかもうないのか、OMAと言われている政府間の市場秩序維持協定というふうなものは全然選択肢には入っていないのか、こういう点を含めて伺っておきたい。
 同時に、最後に、これはECが早くもデモンストレーションをやっておるけれども、日米がそうならばわが方もと、こちらはグロスでいくんだというふうなことで、ECの中にもやはり日本車についての反対運動を展開しようという動きがあるが、通産はそれに対してはどういう手を打っているのか。やっぱりカラーテレビの二の舞にならないためにもおろかしい選択だけはしてほしくないという意見を含めて、答弁を求めたい。
#232
○説明員(西中真二郎君) まず、アメリカの、自主規制の話でございますけれども、現在いろいろ政府部内の意見調整とか業界との意見交換等を行っておるのは事実でございますけれども、現段階で自主規制を行うかどうか、あるいは行うとした場合にその中身をどういう形でやるのかというあたりにつきまして、具体的構想を有して固まっておるという段階にはまだ至っておりません。
 それから、第二点のECの問題でございますけれども、確かに御指摘のようにECの問題というのは一つあるわけでございますけれども、ヨーロッパ、EC全体として一つとってみますと、国によりまして非常に自由市場に近いところもございますし、あるいはフランス、イタリア等、相当輸入制限的なことをやっておる国もあるわけでございまして、EC全体についてどうこうということは考えがたいところでございますけれども、アメリカとの決着いかんによりましてECに波及するということは十分考えられるところでございますので、その辺も十分念頭に置きながら、これから考え方を調整していく必要があると、かように存じておる次第でございます。
#233
○秦豊君 OMAは頭からないわけですね。
#234
○説明員(西中真二郎君) 頭からないというお答えでいいかどうかあれでございますけれども、OMAということになりますと、やはり相当時間がかかるというふうなアメリカサイドの手続の問題等もあろうかと思いますので、現在具体的な構想としてOMAという構想を考えているということはないと申し上げていいと思います。
#235
○山田勇君 東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター設立に関する問題を絡めながらまず第一点お聞きいたしますが、午前中の宮崎理事からも御発言がありましたカンボジア難民の救済活動を行っておりました日本人のボランティア西崎憲司さんが強盗に襲われ、ピストルで撃たれて死亡した事件についてお尋ねいたしますが、難民救済に奉仕している人々はもちろん、私たちにとっても大きな衝撃でありましたこの事件は、犯人は一人逮捕されたかのように報道されておりますが、外務省としてはどの程度までこの事件ないしこの犯人逮捕の事実関係を御存じでしょうか。
#236
○政府委員(木内昭胤君) ただいま御指摘のとおり、犯人の一人が逮捕されたという程度の事実関係しかまだ掌握いたしておりません。現在、バンコクにあります大使館がタイ側治安当局と鋭意図りまして詳報がわかるように努力いたしておるところでございます。かたがた今後もこのような不祥事が起きないように最善の連絡態勢をしくということで腐心いたしておる状況でございます。
#237
○山田勇君 先ほど伊東外務大臣からタイ国政府に対して厳重に抗議を申し入れたということですが、これは口頭ですか、文書ですか。
#238
○政府委員(木内昭胤君) 私どもとしましては、タイ側に抗議ということではございませんで、今後とも連絡を密にしていろいろな情報等、円滑に入手できるように要請しておるということでございます。
#239
○山田勇君 今回のこのボランティア殺人事件とは若干内容的には異なりますが、私もバンコクで少し外食産業をやったことがありましてバンコクに長く出入りをした者の一人といたしまして、ちょっと日数的には私の思い違いがあるかもわかりませんが、いまから六、七年前にアメリカ米軍基地に勤務の家族を襲い、その奥さんを殺害したタイ人が逮捕され、白昼公開銃殺が行われたということの事実があるはずでございます。それ以後いわゆるアメリカ人というか、西欧人といいますかに対する犯罪件数は全くというほどではないにしろ、観光客に対してでも西欧人に対する犯罪件数は著しく低下したということです。これはアメリカ政府は厳にタイ国政府に対して厳しくこれは抗議です、抗議を申し入れたはずです。その結果がこういう形の中で、もちろん略式裁判的なものは行われたにしろ、これは大きく報道されたので外務省も御承知だと思いますが、そこまでどうやれというような意味で申し上げているのではなく、こういう事件については今後身辺の保障を厳重にしてもらうというようなこと、それとタイ国というお国柄にですね、われわれ同じ黄色人種だという何か安易な気持ちがあって、企業のわりかた大きなああいうような進出等がありまして、タイ人の感情は余り日本人によくないということは事実のようでございます。ですから、その辺、きちっとした形で今回の事件は外務省として筋を通していただきたいと思います。ということは、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターという案件の末尾の方で、ASEAN構成国との間の貿易投資及び観光を促進するためのセンターをということですが、観光資源によってタイ国政府というものはかなり財政的にも経済的にももっている部分があるわけです。いままでの観光のはやるといいますか、日本人がよく行くというようなところは、女性関係があるところ、これは午前中にも買春ツアーの問題が出ましたが、それ以外は治安が一番いいというところに観光業務というものが行われ、またツアーというのはそこに行ってその国を潤すということなんです。ですから、もう現にあれほど騒がれた香港なんというのは、物価はもうすごくインフレーションの中で高くなっている、その中で治安が最も悪い、一流ホテルにも金品は置けないというような事件があるということで、ずっといま下がっているわけです。ほかはフィリピンとかタイだとか、ヨーロッパの玄関口みたいになってしまっているという状況なんで、局長、これは厳重な抗議なんです。これは善意の人間が奉仕という形の中で奉仕活動をしている、そういう者に対して、日本人は金品を持っている、何か持っているというようなことでどんどんとねらわれます。単純な発想で相手はやってくるんですよ。日本人イコール金を持っているというような形の中で、奉仕しているとかしてないとかというようなことまで考えないでやってくるんですから。これは私は厳重な抗議でいいと思うんです。だから、これは文書ではっきりとして、日本人に危害を加えるとこういう形になるというふうなみせしめ的なところまで私はいってもらいたいと思うんですが、いかがですか。
#240
○政府委員(木内昭胤君) 山田委員御指摘のとおり、筋を通してきちんとこの事件を処理するということは私ども同様に考えておるところでございます。
 抗議という御指摘でございますが、これまでタイの官憲は、このような不祥事を不幸にして許しはしたものの、日本側ときわめて協力的でございます。御指摘のとおり、タイも観光立国ということで、当然のことながら治安の確保が国の経済の振興にも寄与するわけでございまして、タイの当局は、さればこそ私どもと協力的でございまして、いずれにしましても連絡を密にしてまいりたいというふうに考えております。
#241
○山田勇君 局長も御承知のとおり、アメリカもそうですが、タイランドというところもピストルとかそういう銃器類が簡単に百バーツ、二百バーツぐらいのわずかなお金で簡単に入手ができる土地柄でございます。そういう点で非常にそういう銃器による殺害事件というのはもう絶えず行われているというふうに私どもは聞いておりますし、現にわれわれもそういう目に遭ったことがございます。
 そこで、西崎さんの所属していたJVC、日本奉仕センターという組織はどういう性格のセンターなんですか。
#242
○説明員(長谷川和年君) JVCというのは、バンコクに設立されました難民問題に関する民間の連絡調整機関でございまして、実は一九七九年以来大量のカンボジア難民がタイに流入いたしまして、これを契機としまして多くの日本人が現地に赴きまして、自発的に難民の救済活動をやったわけでございます。こういった方々が自発的に横で連絡してJVC、日本奉仕センターというのをつくりました。現地でJVCはUNHCR、国連難民高等弁務官事務所でございますか、とタイの内務省それから日本大使館と密接な連絡をとりまして、タイにおける難民関係の奉仕活動についての密接な連絡をとり合ってやっておりまして、このJVCの活動についてはタイの官民からも非常に高く評価されております。
#243
○山田勇君 伊東外務大臣は、国内法が適用できないので、外務省としても補償の問題はできる限り外務省の中で行える範囲内の中でいま考えているということを先ほど午前中の質疑の中で申しておられましたですがね。西崎さんが、これはすべてが金で解決するという意味ではなく、犬死にでないように、ひとつできる限り外務省の中でこういう補償の問題等を御検討していただきたいのですが、いかがですか。
#244
○国務大臣(伊東正義君) 先ほどの法律の適用は、これは無理でございますので、外務省としてどういうことができるかということにつきまして、叙勲の問題とかいろいろあるわけでございますが、そういうこともやり、いまおっしゃったように、どうしたら一番お見舞いといいますか、そういうものを集められるか。これは私は頭にありますのは、役所だけでなくて、もっと広くそういうことを考える必要があるのじゃないかと思いまして、できるだけの私どもは努力をしてみたい、こういう考えでおります。
#245
○山田勇君 できる限りのことは、ぜひ大臣のお力でしていただきたいと思います。金は出すが人は出さないというようなおくれたボランティア活動の中で、やっとこういう機運が高まっている中にこういう事故があって、今後のボランティア活動に対して非常にまた消極的になってしまうというようなことでは大変困ります。
 御承知のとおり、国境に近いところにあります関係上、治安関係はどうしても悪くなると思うので、今後こういうボランティア活動をしている人たちの身辺の警護といいますか、何かそういうようなことを特に外務省としてはお考えになっておられますか。
#246
○政府委員(木内昭胤君) 御指摘のとおり、まさに奉仕されておられる方々はタイとカンボジアの国境に近いところで仕事をしておられるわけでございます。昨年の六月にはベトナム軍が一時タイ領内に侵攻するというようなこともございまして、決して安定した状況でないわけでございます。そこで大使館としましては、タイ側の情報将校、それから国際機関の職員の方々とも十分連絡をとりまして、このカンボジア問題にまつわります戦争等あるいは小競り合い等に巻き込まれないように十分対処しておるところでございます。個人のマン・ツー・マンでの安全の確保ということになりますと限界はおのずからあるわけでございますが、できるだけその面でも配慮すべく、大使館としては努力いたしておるわけでございます。
#247
○山田勇君 長谷川参事官にお尋ねいたします。
 先ほど午前中の質疑の中で、貿易促進に対して、これからのいろんな形の行政指導をしていくということの御答弁があったようですが、今後この貿易投資というふうな形の中で、どういうふうな形で相手国へも行政指導をなさっていくおつもりですか。
#248
○説明員(長谷川和年君) この協定が発効いたしましてセンターができますれば、当然のことながら理事会が事業計画を策定しまして、これから事業を進めていくことになりますけれども、事業の内容としましては、センター自体が日本とASEANの五カ国の間の貿易とか、投資とか、観光について、いろいろ指導をする、これは日本の国内の関係の業者に対して助言をするとか、あるいは指導をする、そういうことになりまして、したがって相手の方には特に指導するということはございません。ただし相手の方から、零細企業とか、小さな輸出業者とかが日本に支店を設けられないということで、日本の国内のマーケットの情勢がわからないとか、市場調査ができないというような場合には、こちらから前向きにそういった業者に対していろいろ助言もいたしますし、援助もいたしますけれども、いわゆる指導というのは、日本の業者とかあるいは日本の関係の方に対してセンター自身の立場から行う、そういうことになります。
#249
○山田勇君 相手側という、特に私が指摘したのは、先日も私の友人がタイからジンジャー、いわゆるショウガの輸入をするんですが、貿易上の包装技術といいますか、そういうものが非常におくれておりまして、ジンジャーを一つのダンボールの中に入れて持ってくるものですから、船で来る間に蒸れて使いものにならなくなる。そして貿易商、会社同士でそこにトラブルが発生するというようなことです。これは何でもない、もう基本的なちょっとした技術の指導があれば、ざるとか通風性のいいものに入れれば済むことですが、そういうことがなかなか、こういうことを言いますとなにかと思いますが、タイの方はそういう形でちょっとそういう貿易、輸出の包装、梱包とか、そういうものに対する技術もおくれていますので、ぜひそういうようなことも教えながら、また、こっちのそれを輸入する側もそういうような技術指導をしながら、貿易の促進にぜひ努めていただきたいと思います。
#250
○説明員(長谷川和年君) センターは、その活動の一部といたしましてこういったASEAN五カ国の輸出業者とかあるいは生産業者に対していろいろの技術協力もすることになっておりますので、ただいま先生が御指摘の点も将来生かされていくと思います。
#251
○山田勇君 アフリカ開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件について二点ほど質問いたします。
 開発途上国に対する経済援助協力は、わが国の外交政策上大きなウエートを持っていますが、このアフリカ開発銀行設立に当たって、わが国がアメリカに次ぐ大口出資国として約六百三十七億五千万円を出すということですが、この額はほかの国と比べて妥当なものですか。
#252
○政府委員(梁井新一君) 今回アフリカ開発銀行が域外国の加盟を認めるということになりまして、域外国といたしましてどういう形で出資すべきかということが域外国の間で当然問題になったわけでございますけれども、実はアフリカ開発銀行の域外国の加盟を規律する一般規則というのがございまして、その中でアフリカ開発基金に対する出資額と合理的な関係にある形で出資額を決めてくれというのがございます。実は、日本はこのアフリカ開発基金の最大の出資国でございまして、全体の一八%をちょっと超える出資を行っているわけでございまして、この域外国の間でアフリカ開発基金の出資のシェアの三分の二以上にする、これをもって合理的な関係と見ようと実は合意されたわけでございます。
 それから、同時にこの出資額を決めるに当たりましては各国のGNPも考慮されたわけでございますけれども、その結果、日本といたしましてはこの域外国の中で一四・〇四%、これは実はアフリカ開発基金の出資額の一八・二六%の三分の二以上でございますが、これはGNPの関係、そういうものを考慮いたしまして決定したわけでございまして、この出資の割合につきましては妥当な金額であるというふうに考えております。
#253
○山田勇君 アフリカ諸国のすべての国々が利用できる金融機関ということでありますが、アフリカの現状はそうすべての国が安定したとも言えません。体制の異なる国などは大変むずかしい問題もあると思うのですが、このリスクの面はどういうふうに考えておられますか。
#254
○政府委員(梁井新一君) アフリカ開発銀行は利潤追求ということよりも、開発のための金融機関でございます。したがいまして、アフリカ域内の経済的、社会的開発のために融資を行うわけでございますけれども、やはり銀行といたしまして、当然のことながらいわゆるサウンド・バンキングと申しますか、安全に資金を運用していく、それによって銀行の高い信用を維持するという必要が出てくるわけでございます。
 したがって、この問題につきましては、協定の中に規定がございますけれども、健全な銀行経営の原則ということで、リスクを回避するためにその借入人ないし保証人の債務履行能力というものを十分に考えた上で融資を行うということを行うわけでございまして、これはほかの地域開発銀行もそうでございますけれども、万一債務不履行が生じた場合に備えまして、貸し付けを受けた国の保証というものを取るのが通常でございます。
#255
○山田勇君 最後に、日昇丸事件についてちょっとお聞きをいたしたいと思いますが、私が見落としているかもわかりませんので、間違っていたら許していただきたいと思いますが、ジョージ・ワシントン号の潜水艦の艦長の名前が一度も出たことがないように思うのですが、いかがですか。
#256
○政府委員(淺尾新一郎君) 私たちまだ正式に確認しておりません。ただ、新聞ではロバート・ウォールという名前が伝えられております。
#257
○山田勇君 ああそうですか。それと局長、こういう問題、事件というのは、海上保安庁で生存者の供述を取っているということです。そのリポートを外務省がいただいているということですがね、ぼくはやっぱりこれだけの大きな国際的な事件でございますので、その生存者等の証言等のときに、海上保安庁ばっかりに任せていないで外務省からも出向いて、立ち会いの上でこういう調書を取っているというようなことはありませんか。
#258
○政府委員(淺尾新一郎君) 私、過去の例についてすべて承知しているわけでございませんけれども、やはり海難事件については海上保安庁が責任官庁で管轄権を持っておりますので、これは海上保安庁の方に聞いていただいて、そして必要があれば外務省に知らせていただくというのがやはり行政としてのたてまえではないかという気がいたします。
#259
○山田勇君 民間同士の衝突事件ならそれでいいんですがね、アメリカの軍が絡んだこういう大きな事件ということになれば、当然これからの交渉事とかそういうものに対しても、外務省も通じてやらなければいけないということになると思うんです。そうなれば、どうしてもそういう生存者の証言等を海上保安庁だけに任せて、後、こういうことを言った、ああいうことを言ったという書類だけをもらうのではなく、やっぱり外務省もそこへ立ち会ってそういうものを取ってきていることの方が、今後問題を解決するに当たってよりスムーズに行くように思うのですが、局長、いかがですかな。
#260
○政府委員(淺尾新一郎君) 山田委員の御意見は御意見として十分私たちとして参考にさせていただきたいと思いますけれども、やはり従来からの例もございますし、まあ行政の混乱ということもございますし、外務省としてそれ自身権限を持っていないということもございますので、この点についてはやはり海上保安庁に十分事情を調査していただいて、そのことを私たちに教えていただくと、こういうことで対処していきたいというふうに考えております。
#261
○山田勇君 終わります。
#262
○委員長(秦野章君) 他に御発言もないようですから、五件に対する質疑は終局したものと認めます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時二十八分散会
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ソース: 国立国会図書館
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