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1980/05/26 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 外務委員会 第10号
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1980/05/26 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 外務委員会 第10号

#1
第094回国会 外務委員会 第10号
昭和五十六年五月二十六日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     中山 太郎君     高木 正明君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         秦野  章君
    理 事
                稲嶺 一郎君
                大鷹 淑子君
                松前 達郎君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                高木 正明君
                中村 啓一君
                夏目 忠雄君
                鳩山威一郎君
                細川 護煕君
                町村 金五君
                田中寿美子君
                戸叶  武君
                立木  洋君
                木島 則夫君
                宇都宮徳馬君
                山田  勇君
   国務大臣
       外 務 大 臣  園田  直君
   政府委員
       外務大臣官房審
       議官       栗山 尚一君
       外務大臣官房審
       議官       矢田部厚彦君
       外務大臣官房外
       務参事官     渡辺 幸治君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       賀陽 治憲君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       防衛庁防衛局調
       査第二課長    三井 康有君
       科学技術庁研究
       調整局宇宙企画
       課長       吉村 晴光君
       外務大臣官房調
       査企画部長    秋山 光路君
       労働省労働基準
       局補償課長    林  茂喜君
       労働省労働基準
       局安全衛生部計
       画課長      山田 正美君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際電気通信衛星機構の特権及び免除に関する
議定書の締結について承認を求めるの件(内閣
提出、衆議院送付)
○条約法に関するウィーン条約の締結について承
認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○業務災害の場合における給付に関する条約(第
百二十一号)付表1(職業病の一覧表)の改正
の受諾について承認を求めるの件(内閣提出、
衆議院送付)
○連合審査会に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(秦野章君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 国際電気通信衛星機構の特権及び免除に関する議定書の締結について承認を求めるの件、条約法に関するウィーン条約の締結について承認を求めるの件、業務災害の場合における給付に関する条約(第百二十一号)付表−(職業病の一覧表)の改正の受諾について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。
 三件につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○松前達郎君 最初にいまの三条約に関連してお伺いいたしたいと思いますが、まず最初、インテルサットの特権・免除議定書に関してですね。この条約の内容を見てみますと、もっぱら職員に対する、インテルサットの業務に従事する人に対する問題が中心だと私思うのですが、インテルサットとわが国の関係、これは一体どういうふうになっているのか、ちょっとその辺を概略だけ御説明いただけますか。
#4
○政府委員(矢田部厚彦君) わが国とインテルサットとの関係でございますが、わが国は昭和三十九年にインテルサットに関する暫定的制度が設立されたときから、その時点からこの制度に参加してまいっておるわけでございまして、その後昭和四十四年から二年間にわたって暫定的制度を恒久制度に切りかえる交渉が行われましたが、この交渉におきましても、交渉取りまとめの上で重要な役割りを果たした経緯がございます。その後、インテルサットの設立後はその活動に積極的に参加してまいっておるわけでございますが、これを若干具体的に申し上げますと、まず第一に、分担金でございますが、インテルサットは各締約国からの分担金によって運営されておるわけでございますが、わが国の事業体であります国際電信電話株式会社は、インテルサット予算全体の約三%、世界で第六位の分担金を拠出しております。これがインテルサットの中での日本の活動の程度を概略、数的に示しておるということが言えるのではないかと思います。
 それから第二に、わが国は気象衛星「ひまわり」を打ち上げておりますが、この「ひまわり」による静止軌道の利用、電波周波数の使用等に関しましてインテルサットとの間に調整を行っております。
 それから第三に、インテルサットとの研究開発面での協力でございますが、署名当事者である国際電信電話会社は、インテルサット衛星の一層の活用を図るための通信方式に関しまして、インテルサットに対して技術的な支援を行うなど協力を行っております。
 それから第四に、インテルサットに対する役務の提供でございますが、これにつきましては山口の衛星通信所においてインテルサット衛星の追跡、管制等に関する役務を提供しておりまして、インテルサットとの契約によってわが国に職員二名が派遣されております。
 概略、以上でございます。
#5
○松前達郎君 そうしますと、いまインテルサットが関係をしているといいますか、関与しているといいますか、インテルサットの関与している衛星ですね、これについては一体どのくらいあるのですか。
#6
○政府委員(矢田部厚彦君) インテルサットが現在使用しております衛星は五個、大西洋に三個、太平洋に一個、インド洋上に一個と、五個の衛星が打ち上げられております。
#7
○松前達郎君 そこで、これは条約と直接の関係はないかもしれませんが、最近衛星の数が非常にたくさん打ち上げられるようになってきたわけなんですが、衛星の中でもいまのような通信衛星があり、気象衛星があり、あるいは地球の観測衛星があり、いろんな目的の衛星があるのですけれども、最近衛星の中でも特に軍事衛星というものが、この内容がよくわからないものが数多く打ち上げられていると思うのです。こういった衛星に関する情報ですね、これについて防衛庁の方はつかんでおられますか。
#8
○説明員(三井康有君) 軍事衛星の問題は、いずれの国におきましても最高の軍事機密に属する問題でございますので、防衛庁におきましても十分な資料はなかなか入手できないというのが実情でございます。
#9
○松前達郎君 しかし、打ち上げている目的とか数ぐらいは大体見当がつくのじゃないかと思うのですね、最近はまたそれに対するキラー衛生みたいなものも出てきたと、いろんなものが出てきておるわけなんですが、わが国として今後衛生打ち上げを幾つかやっていく予定と聞いているのですが、それに近いような衛星というのはありますか、軍事衛星に近いような衛星の打ち上げ予定。
#10
○説明員(三井康有君) まず最初に私どもが承知しております範囲でこれまでに打ち上げられた軍事衛星の数、あるいはその性質、目的といったものをお答えしたいと思いますが、最初の軍事衛星が打ち上げられましたのは一九五八年だと承知いたしておりますが、その後本年の三月までに各国合わせまして千七百六十四件の打ち上げがあったというふうに考えております。
 これを国別に申し上げますと、米国が五百九十二件、ソ連が千百五十二、英国が五件、フランス八件、中国三件、その他NATOの共同打ち上げが四件というふうに承知いたしております。
 この機能別の内訳でございますが、なかなか私ども詳細わからないのでございますが、その半数以上は偵察衛星であろうというふうに考えております。その次に多いのが通信衛星ではなかろうかと思っております。それから、その他のものといたしましては早期警戒衛星ですとか、海洋監視衛星あるいは航法衛星、気象衛星、測地衛星、それから先ほどおっしゃいましたキラー衛星などがあるというふうに承知いたしております。
#11
○松前達郎君 その目的はいろいろある。大体これは目的はわかっているわけですね。数多くの衛星が打ち上げられる。わが国で恐らく打ち上げられるのはMOSというのがあるはずですね、海洋探査衛星ですか、こういうものが近々打ち上げられる。この衛星の内容から見ると、これはどうも潜水艦探査の目的にも使える。いまのランドサットですら解析してみると、たとえば択捉あたりの飛行場だって長さまでぴしゃりと出てくるわけですから。こういったMOSとか、あるいはフランスはSPOTというのを近く打ち上げますね。そういったことで衛星そのものが持つ機能というのはだんだん軍事的目的が多くなってきたと私自身も考えておるわけなんです。そういう意味で情報収集に関しての非常に有効な手段として衛星が使われる。もちろんこのインテルサットの場合は通信ですから、当然、世界じゅうの各相互間の通信連絡ということで利用されている、そういうふうな状況だと私は思っておるわけなんです。これらについていまちょうど核の問題が盛んに言われておりますけれども、恐らくアメリカあたりでも核戦略の最高の機密として、やはり核の存在というものに対しては一切言わない、これは最近のいろんな問題の中でさわりたくないというような、そういうふうなことになってくるのじゃないかと、こういうふうに考えておるわけです。これは答弁要りませんが。
 さて、そこで核の持ち込みの話なんですけれども、これについては、どうも整理してみますといろいろなことが起きて、その経過を年代を追って順に並べていったときにはっきりしてくるのは、一九七四年の十二月の当時の宮澤外務大臣の発言、国会答弁ですね、これを境にして領海通過も事前協議の対象となるというふうに切りかえたと、恐らくそれ以前は、この領海通過は無害航行なので事前協議の対象とならないということが暗黙裏に了解をされていたのじゃないかと、これに対する裏づけの発言も幾つかあるようであります、そういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。そういうふうな切りかえ時期がそこにあったのかどうかですね、その点をひとつお伺いしたい。
#12
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。
 四十九年十二月二十五日の政府統一見解が昭和三十五年の安保国会の際に無害通航は事前協議の対象とならないのだという見解を変えた時点ではないかというお尋ねでございますが、私どもはそうは考えてはおりません。先生も御承知のように、昭和四十三年に、領海条約の御審議の際にこれはたしか四月の十七日付であったと思いますが、領海条約の無害通航の問題との関連におきまして当時の三木外務大臣から統一見解を出しております。
 それはポラリス等核常備艦の領海通航は無害通航とは認めないという見解を出しておりますので、それ以降わが国の無害通航に関する考え方というものがそのようになっておるということでございますので、いつからかとという御質問でございますれば、それは昭和四十三年の政府統一見解以降であるということになると思います。
#13
○松前達郎君 これは一九六八年、同じ年ですね、一九六八は四十三年ですね、この一九六八年の三月十一日の衆議院の予算委員会で当時の三木外務大臣がおっしゃったこと、領海内の無害航行については事前協議の条項にかからないという発言があるというふうに聞いているのですけれども、これとの関連どうですか。
#14
○政府委員(伊達宗起君) お答えいたします。
 三月に三木外務大臣がそのように答弁されたと、その時点においては、政府は三十五年以来の見解を維持しておったということでございますが、領海条約の無害航行の審議の際にいろいろ国会論議も行われまして、それから当時の非核三原則というものがだんだんと確立されてきたという経緯もございまして、四十三年の四月十七日の政府統一見解となったものでございます。
#15
○松前達郎君 その後一九七一年の五月十四日の内閣委員会ですね、このときの質問に対して、楢崎さんの質問だと思うのです。当時の井川外務省条約局長の答弁として、一時通過に関し日米間の了解があったかという質問があったと思うのです。それについて答弁としてはそのとおりだというふうな答弁が返ってきていると思うのですが、そうすると、この問題はそれ以降の問題ですね、その辺どうなんですか。
#16
○政府委員(伊達宗起君) ただいまの御質問で御引用なさいました四十六年五月十四日の楢崎委員に対します井川政府委員の答弁は、ちょっとこれは楢崎委員の質問が長いものでございますが、井川政府委員は「そのとおりだと思います。」と答えているのは、ただいま先生が御設問のときに一時通過に対する了解というものがあるのじゃないのかということに対する「そのとおりだと思います。」という答弁ではございませんで、それに続けまして楢崎委員は、「だから「同軍隊の装備」という、この「同軍隊」の了解が、日米の間で、そのようにいま条約局長がお答えになったように、それはそれこそ日米了解されておるのですかね、その点は。」というところに対して「そのとおりだと思います。」とお答えいたしておるわけでございます。これでは若干おわかりにならないかもしれませんが、要するに、第六条の交換公文の規定におきます事前協議の対象とされております「同軍隊の装備における重要な変更」の「同軍隊」の意味は何かということに対して井川局長が答えておりまして、それはそのとおりなのかという御質問に対して、そのとおりであると答えたものであります。
#17
○松前達郎君 その辺の問題ですね、そういったいろいろな国会討議を通じてもいろいろと核の問題が出てきているわけですが、さっき答弁ありましたように、四十三年の四月十七日の無害航行に関する答弁といいますか、政府統一見解ですね、それ以前は、そうしますと領海に関しては無害航行というふうな認識でオーケーを出していた、了解をしていたと、そういうふうに解釈していいわけですか。
#18
○政府委員(伊達宗起君) 日本側は、三十五年の安保国会以来、領海を単に通過するものは無害通行に当たるものという場合には、これは核の持ち込みという事前協議の対象となるものとは考えないという見解をとっておりました。
 日米間に了解があったかどうかの点の御質問に対しましては、これは当然日米間にその見解についての差異はなかったものと考えております。したがいまして、どうだったのかということになりますと、実際上通ったのかもしれませんし、通ってないのかもしれません。その点については何ら確証はございませんし、政府も通ったものというふうに確認をしていることはございません。
#19
○松前達郎君 何か後の方がちょっとわかりにくいのですけれども、見解の差異はないというふうな判断をした。
#20
○政府委員(伊達宗起君) そのとおりでございます。
#21
○松前達郎君 そうしますと、見解の差異はないと判断したというのは、日米間で話し合って了解事項として口頭かもしれませんが了解をしていたということじゃなくて、アメリカ側の考え方、見方と日本側の見方と、この見解それぞれ取り上げてみて突き合わしてみたときにこの差がないと判断をしたと、そういうことになるわけですね。
#22
○政府委員(伊達宗起君) そのとおりでございます。
#23
○松前達郎君 そうしますと、この問題についてはまだアメリカ側と具体的には話し合っていない、こういうことになりますね。
#24
○政府委員(伊達宗起君) 当時そのような記録ございません。
#25
○松前達郎君 大分そういうことではっきりしてきているのですが、核の持ち込みに関しては、これはもういろんな発言があって、たとえばライシャワーさんの発言、ジョンソン元国務次官の発言とか、あるいはエルズバーグ博士の発言、ニッツ元国務次官などの発言、その他たくさんあるわけですね。これの時間的経過というやつをずっと挙げてみますと、何となくこれがはっきりしてくるのですけれども、どうも核の持ち込みという訳の問題にこだわるようですが、資料をきょう新聞で見ましたけれども、確かにイントロダクションというふうな表現が使われている。これの解釈がどうも食い違っている。これだけはどうも確かに食い違っているんだと私は確信をしているわけです。ですから、核の持ち込み、イントロダクションという表現、これはアメリカの方に立ってみると、アメリカの方がどういうふうに理解しているかというと、採用ですとか、あるいは導入、貯蔵、配置とか、そういうふうな意味でアメリカ側は解釈をしていた。こういう一連の行為を指すものだというふうにアメリカは考えていたのじゃなかろうか。ですから、当然その対象としての事前協議事項の中にある配置における重要な変更あるいは装備における重要な変更を指している、こういうふうに解釈をアメリカ側はしていたんだろうと、これは常識的にそう考えられる。これは何度も私申し上げたわけです。ですから、アメリカとしてはイントロダクションの中には寄港とか領海通過は含まないのだというふうな解釈をしていた、こういうふうなことだと、これは常識的だと思いますけれども、それに対して日本側はすべて持ち込むのはだめだと、こういうふうなことで日本側の確認を国会を通じてしている。ここで初めて日米間の解釈に明らかな食い違いがあることというのがはっきりしてくるわけですが、岩国の沖にあったLSTの撤去命令その他も、当然この食い違いを示唆するものとして出てくるわけです。撤去しろという命令が出た時期、これを考えてみますと、当然あれば持ち込みに当たる、アメリカ側が考えても持ち込みに当たる、ですから撤去しろと、まあこういうふうに解釈していいのじゃないかと思うのですが。
 こういった核の問題というのは、さっき最初に申し上げましたように、核兵器の展開状況については一切明らかにしないというのがアメリカ側の通念でしょうし、そういうことからいきますと、恐らくこれは今後も持ち込んだ持ち込まない、核装備しているしないということで、しないと言えば日本政府はそれを信用するということになって、いつまでもそこのところが平行線になるのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、新たな事実、持ち込んだという事実が今後出てきた場合ですね、その時点、さっきおっしゃった四十三年の四月十七日以降の時点、そういう事実が出てきた場合には政府と、してどう対応しますか。
#26
○政府委員(淺尾新一郎君) 政府として核の持ち込みについては、艦船による核の持ち込みであれ事前協議の対象になる、その点について従来から日本政府の見解は明らかにしてきておりまして、その点についてアメリカ側と了解について差はないと考えているということは、申し上げているとおりでございます。ですから、そのアメリカ側が日本に対して事前協議をすることなく核を持ち込んでくるということは、まず考えられないわけでございます。ただ、国会等の御質問において、たとえば嘉手納の基地にB61を持ち込んでその整備をしたというようなことについて委員の方から御指摘があり、あるいは北九州の山田弾薬庫に、核災害に仲間よ注意せよ、というような御質問がございました。そういう事実に基づいての御提示については、政府としてはその都度従来ともアメリカ側に念のために照会している、こういう方針は今後とも変わらないわけでございます。ただ、ライシャワー発言、あるいはジョンソン発言、あるいはいま言われましたエルズバーグ発言というものは、発言した個人がその後記憶に誤りがあったのではないかというようなことを言っております。したがって、記憶とか伝聞に基づくそういうものについては、ここで改めてアメリカ側に確認するつもりはないと、こういうことでございます。
#27
○戸叶武君 この前の委員会において、すでにわが党の松前理事から、日米同盟のアライアンスと核持ち込みに対する政府見解との解釈の相違、受けとめ方の相違に対して、具体的な事例を挙げて質問をしておりましたが、それに対する明快な統一的見解が示されなかったのではないかと思います。それで、この問題はただ字句の問題だけでなく、アライアンスとイントロダクションの問題の解釈について日米間で、アメリカ側の受けとめ方と日本側の受けとめ方と相違があったということは、各新聞なりあるいは国会の論議においても事例を挙げて論議されておりますが、今日においてはこの問題が日本の自主外交を確立する上においてきわめて重大なポイントだと思います。この前は園田さん並びに鈴木さんが、特に鈴木首相は日本がアメリカ側のいろんな人が事例を挙げているようなことをそのままのんだならば日本の政府はもたなくなるという恐らくは危機感の上に立って、日本のもし政府を国民から離反させるようなことになると、これは日本だけでなくアメリカにとっても重大な問題ではないかという形においてきわめて平静、冷静な鈴木首相がかなり強硬にこの問題をがんばり、また園田外相がその収拾に当たり、鈴木首相、宮澤官房長官、園田外務大臣一致して日本の自主的な立場というものを強調して、アメリカにおいてもそのことを気づいてかどうか、政府の責任によって日本政府との見解に近寄ってきたのが事実だと思います。それは多くの質問なり新聞なりのとらえ方はいろいろな事例を引いてアメリカの受けとめ方を中心として政府の受けとめ方のギャップをついているのでありますが、私たちは、政府が日米同盟に軍事的な協力は入っていない、及び非核三原則に従って核持ち込みに対してはノーと答えざるを得ないと一貫して答えてきたという形において、いろいろな、もろもろの、今日までアメリカに従属してきた日本の外交、防衛に対する考え方を一掃することに努めたと思うのですが、その点は統一的見解としてもっと一般にわかりやすいように、大分腹はわかったのですが、アメリカとの比較で言うのじゃなくて、今後日本政府の責任において具体的にこれはどこまで実施できるかということに疑念も持たれているのでこの際正式な統一的見解を園田さんから承りたいと思います。
#28
○国務大臣(園田直君) 今回の問題は日本政府とアメリカ政府との間にできたトラブルではございません。アメリカの一民間人あるいは一私人が発言されたことが動機となって出てきたトラブルであります。したがいまして、わが方では米政府とも話し、米政府の方からもみずから発言をされて、いままでの諸規定あるいは慣例等確認されたわけであります。
 いろいろ問題ありますけれども、やはりいまおっしゃいましたように、アメリカの一人の人間あるいは伝聞等によってかき回されたり、日本が引きずり回されたりするということはまことに遺徳なことでありまして、あくまで国際社会全体の平和と安定の中に日本の平和と安全を確保する、こういうことを一貫してやりたいと考えておりますが、米国政府に対しても、御発言のとおり決して米国政府の言うとおりに動くのではなくて、日本の主張すべきところは主張していくべきであると考えております。
#29
○戸叶武君 前に日米閣僚会議がありました際に、経済閣僚としてその席に連なった宮澤さんに予算委員会で私は質問を行ったことがありますが、そのときに外務省から出た原文も、私は外務委員をやっていたワイフから見せてもらったので、コンテインメントという用語が使われているので、コンテインメントというのは、ダレスは歴代の大統領よりもおれが外交を専門的にやるのだというやり方で一貫してコンテインメント・ポリシー、封じ込め政策を遂行し、いまだにその伝統というものはアメリカ外交の中には残っている痕跡があるのです。そのときにも私が具体的な事例を挙げて質問したところが、あの用意周到の宮澤さんが、私はその席に連なっておってこの耳で聞いたのだが、コンテインメントではなくプリベントであります、阻止でありまして封じ込めではないという意味を述べたので、私はそこに英文の資料を持ち合わせてなかったのでしたが、ふとそこを見ると中川さんがいた。後で駐ソ大使になり、国連の方に行きましたけれども、まじめな人ですから、中川さん、あなたは条約局長としてその資料を持っていると思うが見せてくれないかと言ったら、中川さんという人は非常に率直な人だから見せてくれましたが、それにはちゃんとプリベントでなくコンテインメントです。なかなか解釈の柔軟な点において宮澤さんは見上げた方でありますけれども、その一事から私は宮澤さんの信用を若干なくしてしまいました。この目でその席に連なって私が聞いたんだから間違いありませんというけど、そのままだとそのまま宮澤ペースで持っていかれちゃうんでしたが、条約局長の中川君という非常な手がたい方がおりましたので、政治的な駆け引きなしにすぐに私に示してくれました。
 そういう点から、アメリカにおける封じ込め政策、水際政策、ぎりぎりのところまで共産圏を封鎖して、そうして音を上げさせようというような面がアメリカにはあったと思います。ただ、キューバ事件が起きたときに、一九六二年の七月二十三日と思いますが、偶然私は南米ブラジリアで行われた列国議会同盟会議に代表として赴くので国連本部を訪ねましたときに、そのときに佐藤榮作さんと会って、私はこれからの日本の外交進路というものはイデオロギーや国の立場が違っても、日本なくしてアジアの進歩なく、中国を除いてアジア問題の解決はない、日本と中国とがおのおのの立場は別であるが、お互いにやはり助け合って、そうしてやらなければ極東の安全というものは保てないのじゃないかと思う、という意見をしましたら、そのときには木村元帥と橋本登美三郎君が随行して、佐藤さんは自民党といっても離脱して一匹オオカミであったはずですが、それにうなずいていたはずです。しかし、その後において、依然としてチャイナロビーとコーリアンロビーに抑えられてひとつも進まなかった。戦争は起こさなかったからノーベル賞だけれども、七年間大切なときに無為に過ごした点においては、何でノーベル賞もらったのかと言って、佐藤さんをひやかしたことがありました。
 しかし私はこれらの動きを見て、政府だけでなくこの日本の立場というものは野党、野党だけではなく主権者としての国民が、安保闘争においても浅沼はあの犠牲となって、私の学友であった浅沼は死にましたが、浅沼君はだれにも黙っていましたけど、死を覚悟してたんです。あんな反響があるとは、彼は思ってなかったんでしょう。それを河上先生は感じて、浅沼よりもおれは年配だ、君は浅沼君と学生時分からの反軍国主義運動を起こした僚友であるから、浅沼を守ってくれ、おれは浅沼のかわりに死ぬ、浅沼を守ってくれと、浅沼委員長になり、河上先生が左右で対立して落ちたときに、あの九段会館の便所のところまで引っ張ってって、私に説いたのです。浅沼君は何にも言わずに、やっぱり日中の立場の犠牲者となろうとしたんです。
 それは周恩来氏に、孤立した中国の活路を、アメリカは相手にしてくれない、日本に求めて近代化路線を歩まなければ中国の活路はないという形を説かれて、あれは中国の新華社が誇張した表現で、センセーショナルに世界に打電した、それがアメリカ帝国主義は日中共同の敵だという形において表現されたのですけれども、人民を敵にしているわけではないのです。帝国主義を敵にしただけのことなんで、アメリカさえ帝国主義でいかなければ、日本はアメリカたりとソ連たりとどこの国とでも親しくしていこうというのが、第二次世界戦争以後における平和維持機関として国際連合をつくり、その国際連合の宣言の趣旨にのっとって日本憲法の前文とし、その一番の問題点を憲法九条に集結しているのでありますが、それを改正するなどということはできっこないのです。
 こういう意味において私は、鈴木さんにもアメリカへ行く前に、天皇誕生日の日に宮中で会ったときの寸時を利用して、憲法だけはあなた改正するようなことはないだろうなと言ったら、絶対に憲法はしません、やっぱり一つの日本の立場ということを、素朴ながら彼は受けとめておったのは事実だと思います。しかしながら自民党の体質の中には、堂々と法務大臣が憲法前文並びに憲法第九条をも放棄せしめなきゃならぬというようなことを公然と言い放っているという容易ならない怪奇な政党です。これは鈴木内閣をぶっつぶすのには国民の反撃によってだけでありましょうが、われわれがいま言っているのは、一鈴木内閣をつぶすことよりも、日本の慎重な態度でもって、国際平和維持機関としての国連を、ヤルタ協定によって米ソ、イギリス合体してゆがめてしまった、ベルサイユ体制以上にゆがめてしまった、それをベルサイユ体制の崩壊とともに崩壊する日が私は近く来ると思います。われわれが言う必要はない。武器なき抵抗をもっていまや平和を願う、戦争によっては破滅以外にないという常識を持っている世界の人々が、私は米英ソ率先してみずからヤルタ協定の清算をやることなしにはグローバルな時代における戦争、核戦争を回避しての世界新秩序は確立できないと思います。ソ連あたりではポーランドのことを誤解し、あるいは中国のことを誤解しておりますが、中国もソ連も攻めてきたならば、それに報復する場合もあるでしょうが、私は武器なき抵抗を通じていまの間違ったヤルタ体制の清算を要求していると思いますが、その日がなしにはソ連でもアメリカでも――アメリカやソ連がどんな近距離爆弾、核弾頭を持った兵器をもってしても、ヨーロッパでも応じないし、恐らく中東でも応じなくなると思いますが、外務大臣は今度中東へ行くようですが、どうですか。どう考えますか。
 戦争がなし得られないのにもかかわらず、私は戦争への危機をあおっていくこの危ないやり方に対して、日本が率先して世界の憂いを憂いとして国際平和維持機関の再建なり何なりをするということなしには日本は世界から孤立する、これがアメリカを救い、ソ連をも救うきっかけになると思うのですが、いまのように両方とも頭に来て力と力の対決でバランスをとるとかなんとかといって軍備競争ばかりやっているようではどうしようもないと思いますが、どうですか。日本もいたずらに仮想敵を設けるということよりも平和維持をどうやってやるかというところに重点を置いて日本の外務省は平和維持機構としてのモデル的な態度を示すべきじゃないかと思いますが、そこまでは及んでいませんか。そうでないと、何となく中途半端な世界観を持たない、使命感を持たない日本の外交というものは危なくて信用が置けないような気がしますが、どうですか。
#30
○国務大臣(園田直君) 御発言のとおりでありまして、わが国の平和と安定はアジアの平和と安定、中国との友好、平和、これが必須条件で成立することは御発言のとおりであります。かつまた、いろいろ当面する問題、徴候面ではいろいろ、現象面ではございますけれども、やはり日本外交の主眼は世界の平和を願うことであるということは御発言のとおりに私も考えております。
#31
○戸叶武君 それでいまタイミングがやっぱり、園田さんは剣道をやっているせいか何か非常に霊感というか、動物的勘というと失礼だが、やっぱりタイミングを外さない名人だと思いますが、中国でもアメリカが中国を自分たちのベースへ入れてしまったというふうに現にソ連が見ている。いやアメリカがソ連から攻められたときには軍事的にも援助するという約束を取りつけたから、私の方は国民から遊離してしまっては政府は成り立たない。だから、おくれている近代化路線を定着させ、海外からの信用、国民からの信用もかち得るためには軍事費を四〇%削減して、その上に立ってわれわれは東西南北、あらゆる国々の人々とも友好を保ち、そうして近代化を行う。それなしには、信義を、この前のようにプラント中止のようなことをやったのでは、中国の取り柄がなくなってしまう。道義的生命力というものを維持していかなければ中国の長所は何にもない。国民にも信用されなくなるということです。
 それから、もう返事は要りませんから、食糧の問題、エネルギーの問題、ソ連とアメリカ、みんな三角貿易みたいで、みんな統計見れば行っているじゃないですか、米も。やらないと言っていながら。この世界の流れをアメリカは阻止することはできないのです。コメコンの国の人たちにいろんな援助をしないで近代化をやらせようとしても無理で、コメコンの行き詰まりを、外国から物をかせいで、そうして自分たちはがまんしようという形でもだめだと思いますが、問題は、今後においてはこの論争よりも、さらに事実上における軍事費の問題、統帥権と同じような、事実上において統帥権と同じような軍事優先の予算編成をするときには、無条件降状にまで導いた原点は明治憲法です。カイザーにだまされて、明治三十六年八月二十八日、あのちょうど何とか言う法務大臣、あなたの方の法務大臣の憲法論争を国会で展開した、あのころやったことはみんな日本は吐き出してしまってひどい目に遭ったじゃないですか。無条件降伏への原点は明治憲法です。こんな抽象的な論争でなく、具体的な論争で今後いきたいと思いますが、どうぞ、世界の底流の流れを見ないで、上っ面な権謀術策にのみ走っておったのでは、私は、どんな情報でも、下を流れるところの底流の、地下三千尺の心をくみ取れないような情報は、レーガンの予想が間違い、ミッテランの情報が間違うような官僚独善的な間違いであって、人の心をくみ取れないような外交は破産に瀕することは明らかですから、その点、園田さん、中東に行くのはいいですから、どうぞ中途半端でなく、あなた勘がいいから、ぐっと突っ込んで、エジプトあたりも聞いてみてください。そんなばかな、アメリカとソ連で両方でぶつかって戦場にするなら別だけれど、新兵器をつくったから君の方で使ってくれなんというのでひっかかるやつはもうないですよ。そういう意味において、時の流れの厳しさを先取りできないような外交は何の意味もありません。墓場に行って語るべき外交であって、明日に対して希望を与えてもらいたい。それに対する一言だけの御返事で結構です。
#32
○国務大臣(園田直君) 世界の潮流を見失わないように、間違いなしに外交を進めてまいる所存でございます。
#33
○田中寿美子君 先ほど松前議員が事前協議の対象となるべき事実に関し、日本政府側の考え方とアメリカの考え方とは食い違ったまま、そのままお互いにうまいぐあいに言葉だけ合わせているというような状況にあるということについて触れられておりましたけれども、大臣、いま国民はすごい疑惑の中にあることは事実です。それはよくおわかりだと思います。
 それで、安保条約上の事前協議に関して、通過、寄港というようなことが入っていないというのが事実だと思いますけれども、それが、それも含めているよというような意味のアメリカの側からの文書とか、外交的な証拠みたいなものはありますか。
#34
○政府委員(淺尾新一郎君) 従来、国会でお答えしておりますように、日本側の考え方すなわち核の持ち込みは、艦船による核の持ち込みであれ、すべて事前協議の対象である、この点について日本政府は従来からそういう見解をとっております。そういう見解に対して、アメリカ側も日本側の見解と差異はないと考えているというふうに御答弁しているわけでございます。
 さらに、時系列的に申し上げれば、ラロック証言の際に核の持ち込みの疑惑というのがございまして、その際に日本政府が照会したのに対して、アメリカ側は、アメリカ政府としてはアメリカが事前協議について安保条約及び交換公文で負っている義務というものは誠実に履行しているという回答をまずしております。それから、先般、ライシャワー証言が起きました際に園田大臣がマンスフィールド大使と会われた際に、マンスフィールド大使の方から、このライシャワー証言あるいはライシャワーの発言ということを背景として、マンスフィールド大使の方からアメリカ側の事前協議に関する考え方というものは何ら変わっていないということを言っております。
 したがって、政府としては、以上の経緯からして、この核の持ち込みについて日米間において了解に差異はない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#35
○田中寿美子君 よくわかっていながらそういうふうにおっしゃっていると思います。いままで、一遍でも、アメリカ側から、はっきりと事前協議の対象として、核搭載艦の通過、寄港、それから持ち込みですね、設備の設置あるいは貯蔵、それまでも含むのだというような、口頭でも文書でも出てこない。つまりインガソル発言だって、日本との約束は誠実に守ります、日本国民の核兵器に対する感情を十分理解しますといったような言葉ばかりですね。一つとして、本当に、はっきりと通過や寄港は事前協議の対象となるというふうに言ったことはないと思いますが、あったら示していただきたい。
#36
○政府委員(淺尾新一郎君) まず、事前協議についての合衆国軍隊の装備における重要な変更を事前協議の対象とするということは岸・ハーター交換公文で明らかにされているわけでございます。その中で、事前協議の主題となるうちの一つ、装備における重要な変更とは何かというのが藤山・マッカーサー口頭了解ということで、核弾頭の持ち込みあるいは中・長距離ミサイルの持ち込み及びその基地の建設、こういうことになっているわけでございます。で、そこで言っております、岸・ハーター交換公文の中で言っておる合衆国軍隊の装備における重要な変更というものは、日本に配置されている米軍だけでなくて、日本の領海、領空を一時的に利用する米軍が入るということは合衆国軍隊の装備における重要な変更という文脈から、これは明瞭でございます。
#37
○田中寿美子君 そういうふうにこちらが理解しているということだと思いますね。いまのその事前協議の対象となる第二番目の「装備における重要な変更」の場合というのは、外務省が昭和四十三年(六八年)四月二十五日に公式に見解発表をなすったことの中に「核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設」と、こういうふうにしてありますね。通過とか寄港というのはありませんね。それで、きょうの新聞に、きのうのわが党の土井衆議院議員が要求した藤山・マッカーサー口頭了解の英訳文が出ておりますが、実は私も昨日それをいただいたわけで、そしてそれを見ると、この日本文にもありますとおり、「中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設」、だから、イントロダクションだけじゃなくて、コンストラクション・オブ・べ−シズというものも含めて、これは事前協議になるということが書いてあるのであって、「「装備における重要な変更」の場合」というのはその二つを言っている。だから、ライシャワー教授がそういうことを非常にはっきりと言っていられるのはそういう意味だと思いますが、いかがですか。
#38
○政府委員(淺尾新一郎君) 昭和四十三年の四月二十五日に、外務省が国会に御提出した和文の二項が「「装備における重要な変更」の場合」とは何かということで、「核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設」と、 こういうことでございます。その後国会で御議論がございまして、それはそういう口頭の了解だけでは十分アメリカ側にも日本側の意向は伝わってないのではないかということが御議論がございまして、それを踏まえて日本側がアメリカ側に、日本側の了解というものはいま申し上げたような点であるということを照会いたしました。その際に、英訳文を提示してアメリカ側の意向を照会したわけでございます。それがいま田中委員が御引用になりました点でございまして、Introduction into Japan of nuclear warheads and intermediate and long-range missilesというのが一つでございまして、そしてその後に、and the construction of bases for such weapons;ということが書いてございまして、そこで言っているのは、基地の建設だけでなくて、核弾頭及び中・長距離ミサイルの持ち込みというものが含まれているというのは英文からも明らかでございます。それに対して、当時の在日米国大使とその補佐官が、宮澤外務大臣及び、その際は宮澤外務大臣と山崎北米局長と会談したわけでございますけれども、何日かたちまして、シュースミス臨時代理大使の方から、日本側の英訳文を見た上で、日本側の理解とアメリカ側の理解は異ならないという回答をしてきているわけでございます。
#39
○田中寿美子君 そこが玉虫色のところでして、アメリカ側は、イントロダクションの中に通過を含めないで解釈している。だから、パスとかトランジットという言葉が通過や寄港に当たるのだと思います。日本の側は、イントロダクションの中に、通過と寄港も含めていますというふうに国民には説明をしていらっしゃる。だから、衆議院の内閣委員会に提出したこの文章の英訳文をアメリカ側に正式に照会なさって、そしてそれで結構ですよとアメリカが言ったから、その中に日本の言う通過も寄港も含めているというふうに政府の方は言いくるめていらっしゃる。アメリカの方はイントロダクションというものの中にはトランジットは入っていないと解釈している。こういう両面の、何といいますか、非常に本当の具体的な事実を隠した態度というのは、これよくないと思います。外務大臣、やっぱりこれは日米安保条約を支持する者も、あるいはそれに反対の者も、この点がはっきりして、支持する人は支持するし、反対の者は反対する、ごまかしてアメリカの解釈と日本の解釈と違えておくというのは非常によくないと思いますが、それをはっきりさせる気はおありにならないのですか。
#40
○国務大臣(園田直君) いま政府委員が説明申しましたとおりであって、日本の本問題に関する理解と解釈は、アメリカもこれを理解しているところであります。今度問題が起きましてからも、駐日大使が私にみずから発言をして、この件についてはいままでどおり守る、理解にも変わりはないと、こういうことでありますから、それをさらに確認することは考えておりません。
#41
○田中寿美子君 先ほど政府委員が触れられましたけれども、三木内閣のときに、領海法の関係で、ポラリス原潜を入れるか入れないかという問題のときに、核搭載をした潜水艦が日本の領海を通航することは無害通航とは認めないということを三木さんも発言されておる。そしてその後、当時社会党議員であった楢崎議員が質問書を出しましたね。その中でもそれを尋ねておりますが、そういうものは無害通航とは認めない、つまり有害である、だから領海を通っていいかという問い合わせがあったらノーと拒否するというふうに答えていらっしゃるのですけれどもね。だけれども、一向に問い合わせばないから自由に通っているというのが事実であって、国民はもうみんなそれを知っていると思うのですね。
 こういうおかしなことがありながら、非核三原則ということを国の一大方針として掲げているということの矛盾をお感じになりませんですか。これは潜水艦が、核搭載をしている船が日本の領海を通るときにこれを外すなんということがあり得ないというのは、これはラロック発言でもあるわけで、あたりまえで、軍事評論家なんかだってそんなおかしなことはあり得ないと、軍事評論家、専門家でなくてもそう思うわけですけれども、外務省はそういうふうに考えていらっしゃるのですか。原子力潜水艦とか、核搭載をしている船があちこち日本の周辺を動き回っていることはよくわかるわけですけれども、でも領海に入ってくるときにはそれを取り外して入っているのだと、こう思っていらっしゃるのでしょうか。
#42
○政府委員(淺尾新一郎君) いま御引用になりましたいわゆるラロック証言、それについて昭和四十九年にインガソル当時の国務長官代理から、在米日本国大使に対して回答がございました。それについて、ラロック言明についてのアメリカ政府の見解は次のとおりであるということを言っております。
 一つは、アメリカ政府は相互協力及び安全保障条約並びにこれに関連する諸取り決めに基づく日本に対する約束を誠実に遵守している。アメリカ政府は一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明第八項に述べられているとおり、核兵器に対する日本国民の特殊な感情を深く理解しているということから、それ以後歴代のアメリカ政府の大統領が日本側に対して与えた誓約を列挙し、最後にラロック証言、あるいはラロックさんの言明というものは一私人によってなされたものであり、米国政府の見解を何ら代表し得るものでないことはすでに述べられているとおりであるということでございまして、私たちは、アメリカ側がこの安保条約あるいは関連取り決めに基づくアメリカ側の約束を随時誠実に履行してきているということでございまして、そういう事前協議がない限り、核の持ち込みが日本に行われるということはあり得ないというふうに考えております。
#43
○田中寿美子君 もう何度も言うようですけれども、日本国民の核に対する特別の感情はよく理解している、だからあなた方がやることばアメリカは守っておりますよという言葉だけであって、具体的には何も本当のことを語っていないというのが事実だと思います。
 それで、藤山さんはかっての外務大臣ですよね。それで六〇年安保のときの外務大臣なんで、藤山さんがマッカーサーとの口頭了解をなさった。そのときのことをやっぱり藤山さんはあれには通過や寄港は含まれていなかったというふうに語っていらっしゃいますね。その藤山さんはやっぱりもういまは一私人だからあの人の言っていることなんかは問題ないというふうに日本政府がおっしゃるとすれば、歴代の大臣が発言すること、みんな私人になってしまったら何にも役に立たないというような言い方と同じことになると思います。それでこれは責めてもあれですけれども、園田外務大臣ね、前回の国連の軍縮特別総会で演説をなさいましたね。あのときは非核三原則を強調なさって大変評判がよかったものなんですね。あのとき外務大臣は英語でなさいましたかどうですか。もし英語でなさったならそのときの非核三原則というのはどういう言葉をお使いになったか、もし通訳がついていたんだったらどういう言葉をお使いになったか、説明していただきたいと思いますが。
#44
○国務大臣(園田直君) 私は日本語で演説をいたしまして……
#45
○田中寿美子君 では、通訳はどういうふうに……。
#46
○国務大臣(園田直君) 前もって翻訳をした文章で同時通訳をいたしました。そのときの英文はいまここにございませんが、後ですぐ御報告をいたします。
#47
○田中寿美子君 何か文書がありますでしょう。
#48
○政府委員(淺尾新一郎君) いま大臣が言われたとおりで、ここに手元にございません。本省に恐らくあると思います。
#49
○田中寿美子君 ああそうですか。私きのうちょっと調べてもらいましたところ、これが本当であるかどうかを確認したいと思いますけれども、thethreenon−nuclearprinciplesofnotpossessingnotmanufacturingandnotpermittingtheentryintoJapanofnuclearweaponsという言葉で翻訳していらっしゃいますね。このエントリー・インツー・ジャパン・オブ・ニュークリア・ウェポンズ、これはどういうことになりますか。
#50
○政府委員(淺尾新一郎君) 私、ちょっとここに手元に持っておりませんので、ここでお答えすることはどうかと思いますけれども、そのいろいろな場合において核の持ち込みを許さないという表現が、確かに安保条約上の表現あるいはその他の演説の中の表現において違うところがあると思いますけれども、日本側の考え方は、すべての核の持ち込み、その場合には単に日本の領土内にそれを貯蔵すると、そういうものに限らないというのが一貫した考えであります。
#51
○田中寿美子君 だから持ち込みというのをエントリーとしていらっしゃるわけですね。そうするとイントロダクションでもないわけなんですね。エントリーという。そうすると、そのアメリカの解釈するところのイントロダクションというのは、核兵器を持ち込んできて陸揚げしてそこに基地を設定するところまで、コンストラクションという言葉が入っていますからね、コンストラクション・オブ・べーシズ、それが藤山・マッカーサー口頭了解による事前協議の対象の内容なんですね。それで日本の非核三原則というのは通過も寄港も、あるいは核装置の設置も貯蔵も全部しないということでなければならないと思うのですがね。このエントリー・インツー・ジャパンでそれを全部代表できるというふうに思っていらっしゃるのでしょうかね。
#52
○政府委員(淺尾新一郎君) 国連の演説については先ほど申し上げましたように、私がここに手元に資料を持っておりませんし、また私そのときにその文章を作成した者でもございませんし、有権的な解釈をする立場にはございませんけれども、少なくとも安保条約及びそれの関連取り決めに関する限りは、日本側の理解は、先ほど来申し上げているように、核の持ち込みについては艦船による持ち込みであれ何であれすべて事前協議の対象になる、その中にはもちろん寄港その他も含まれると、こういうのが一貫した解釈でございます。
#53
○田中寿美子君 そうすると、貯蔵とか基地の建設も含まれると、こういうことですね。
#54
○政府委員(淺尾新一郎君) 安保条約及び関連取り決めについては、もちろん貯蔵あるいは基地の建設が含まれると、これは明瞭でございます。
#55
○田中寿美子君 では、その文書を後でいただきたいと思いますが。私が聞いたいまの英文がそうであるかどうか。そしてそういうことをおっしゃる以上は、そういうときにはっきりと通過も寄港も、それから設置も貯蔵もということが持ち込みであるというふうなことは明らかにしていただかなければならないと思います。一体なぜライシャワー発言というものが突然いまの段階でこういうふうに発表され、そして続いてジョンソン、エルズバーグ証言が出てくるようになったのか。この背景といいますかね、それをどういうふうに判断していらっしゃいますか、大臣。
#56
○政府委員(淺尾新一郎君) いろいろな報道によれば、ライシャワー教授がこの時期に発言した背景について特にライシャワー教授自身が発言しているわけではございません。若干の報道によれば、共同声明発出あるいはその他の最近の日米関係にかんがみて、この時期にこういう発言をするのがいいと思って発言したというのは報道では承知しております。しかし他方、報道においてライシャワー教授は、従来からある新聞よりインタビューの申し出を受けておりまして、そのインタビューを行った日がたまたま共同声明発出の後になったということで、そのライシャワーの言明と共同声明の発出等については何ら関係もないということも報道されております。したがって、私としてここでライシャワー教授がどういう意図でこの時期に発言をしたかということを申し上げる立場にはございませんけれども、報道においては、いま申し上げたようないろいろな報道があるということだけは申し上げておきたいと思います。
#57
○田中寿美子君 大臣少しお答えいただきたいのですけれどもね。日米共同声明で日米同盟をうたったわけです。この同盟というのも、アライアンスを日米同盟関係と訳したところもこれも外務省が少しごまかし、アライアンスというのは同盟ですからね、それで関係で緩和しているわけですが。その中で、その防衛の役割り分担のところで、これまでより一歩踏み出しつつあると私たちは思うわけなんですがね。いままでのようだと、その米ソの対決の中でソ連はヨーロッパ方面の戦域核と対応していると、それから、全体としてペルシャ湾の問題もあったりするのでインド洋の方に艦隊をアメリカが向けていかなきゃならない、そういう状況の中で日本が、これは鈴木総理がプレスクラブで話をなさった中にあるわけですけれども、インド洋の方に第七艦隊が行ってしまって、そうしてその極東方面がお留守になる、そこのところを埋めるために適当な防衛の役割り分担をしなければならない、そこで、海・空域の守備の範囲を数百海里の空域と一千海里の海域というような言葉までお使いになったほど、いまや日米の防衛上の分担を強化しなければならないということがずっと詰められてきていると思います。来月の実務者会議で必ずそれは出てくるのじゃないかと思うのですね。そういう背景の中で、核を積んだ船が通ることすら、あるいは寄港することすら事前協議の対象にしなければならないというようなそういうばかげたことは、アメリカの側から言えばですね、もう取っ払ってもらわなければ困るということで、意図的に計画的に発言されたのではないかという感じがするのですけれども、外務大臣はどういう感触をお持ちですか。そして、そういうふうにすることの方が安保支持の人たちは大切だと考えている。私たちはそうは思いませんけれどもね。
#58
○国務大臣(園田直君) ライシャワー氏がこの時期にこういう発言をされたということは、どういう気持ちでされたかわかりません。また、軽率に推測すべきではないと考えますが、評判はいろいろございます。ある面からの評判は、これをちょっと言ってみて、そして非核三原則をなし崩しにする時期ではないかという判断から出たのではないかという憶測もありますし、あるいはまたライシャワー氏の出版された本、初版、二版までは何も書いてないのに、今度新しい版からいまの問題がつけ加えられておるわけであります。そして、この本は近く日本で翻訳されて出版されるという話があるので、そういうことの前宣伝のために言っているのではなかろうかなどといういろいろな評判がございますが、私はどちらが本当かどちらがうそかわかりません。
 次に、二番目に、共同声明の「同盟」という言葉でありますが、これは同盟関係と使おうと同盟という言葉を使おうと、同感というのは軍事的だときめつけられることは私はどうかと存じます。確かに、国際法によっては同盟の定義はございません。ございませんけれども、一例を申し上げますると、ドイツ、プロシアを初めとする神聖同盟、宗教同盟、それからケネディ大統領のときに進歩ある同盟、いわゆる開発途上国が強力に力を合わせて開発しようという、これに同盟という言葉を使っております。南米等では膨大な山脈を中心にして数カ国がまたがっておりますので、この山脈の資源、地下資源及び水、こういうものを含んで同盟という言葉を使ってこの開発の条約を結んでおります。したがって、同盟自体で軍事同盟ときめつけられることは私はどうかとは存じますが、ただおっしゃることは、日米共同声明第八項のこの役割り分担が、今度の会談で新たな防衛の役割りを引き受けたのじゃないか。そういうことはございません。これは極東の平和と安定との関係で、わが国としてはわが国の軍事力によって、安保条約の枠内の軍事力によって極東の平和と安定に直接的に貢献することはできない。また、貢献する考えのないことを従来から明らかにしてきているとおりでありまして、この点はわが国の自衛力向上を行うに当たって、総理が憲法及びわが国の基本的防衛政策の枠内で行うことは明らかにしておって、大統領はこれに対するコメント、理解を示しておることでありますから、新たなる軍事的な枠外に外れたり、使命を持ったということは絶対にないということは明らかでございます。
#59
○田中寿美子君 もう終わりますけれども、来月の大村防衛庁長官とワインバーガー国防長官との話し合いから、恐らく防衛の分担に関しては事務レベルではっきりと出てくる。ですから、今度またそれは議論をしなきゃなりませんけれども、これほど非核三原則の問題、事前協議の問題をはっきりと二通りの解釈をそのままにしながら、両方の顔を立てているようなやり方をしている状況に対して、私たちは、政府が非核三原則の持ち込ませずというのは通過も寄港も含めるのだとおっしゃるならば、それを現実に実行してもらいたい。向こうが何も言ってこないから全然持ってきたはずはないというような、こんなだらしのない状況では困る。私は非核三原則を現実に実現していく方向こそ、いま非常に危ない状況にある世界の平和の危機というか、米ソの対立を弱めるために、私たちはそれをぜひ効力あるものにしていかなきゃならないという立場から質疑しましたということを申し添えたいと思います。
#60
○渋谷邦彦君 最初に、ライシャワー発言について若干触れさしていただきたいと思います。
 二十年間この方、核の持ち込みについてしばしば議論が繰り返されてまいりました。たまたまライシャワー発言をめぐってまたもやその疑惑というものが広がりを見せながら、そして平行線をたどりつつ霧の中に包まれたような現状ではあるまいかというのが私の率直な印象であります。こうしたことが果たしていつまでも疑惑のままに継続されていいものかどうなのか、これは将来国民が厳しく判断する問題であろうかというふうに思いますけれども、しかし、われわれとしてはやはりこうしたものを明らかにしていくという、そういう役割りが一面あろうかというふうに思います。
 最も問題になりましたのが、いまも同僚議員の方からそれぞれの角度に立っての核の持ち込みについての御発言がございました。これとて、日米両政府とも了解済みであるという昨日の鈴木総理の答弁を伺うまでもなく、確かに口裏を合わしたといえば大変失礼な言い方かもしれませんけれども、それに貫かれている。かといって、受けとめる方としてはどうなんだろうという反問が出てくること否めないわけでありまして、確かに私もこの英文の文書を持っておりますし、昭和四十三年、外務省でお出しになったものをこうずっと私なりに比較して見ておりましても、たとえば、「「装備における重要な変動」の場合」とある項目の中で、「核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設」と、和文ではこうなっているわけです。ところが、これが英訳になってまいりますと、イントロダクション・インツー・ジャパンというのが入ってくるわけですね。これは意訳されたのかどうなのか、私はわかりません。こうすることが正確なのかどうなのか、こういったところにもどうしてこういうふうに変わっちゃうんだろうというささやかな、素朴な疑問がやはり出てくるわけであります。そうすると、やはりいままで明らかにされないままの寄港、領海通過については、やはり問題が残されたままではないのかというふうに思わざるを得ないわけです。
 一連の発言がしきりに出ました。それは一私人であり、あるいは伝聞によるものであるというふうに一蹴されました。いや、伝聞によるものが皆間違いであり、また一私人の発言としてそれは価値のないものであると言って、われわれはそれを全面的に否定する立場にあるのかどうなのかという問題もございましょう。確かに、いま淺尾局長が言われたのでしょうか、園田さんがおっしゃったのか、ライシャワーさん自身についても、その識見あるいは親日家と言われておりますけれども、その持っているいろんな考え方等々について、私は別の側面からあの人の人格を聞かされております。あながちにわれわれがいま言われているような評価だけではいかがなものかという点もあることを承知をしています。それを踏まえつつも、これ以上のことを申し上げるのは大変はばかりますけれども、にもかかわらず、やはりその波紋とい叶うものは大変大きな広がりを見せている。しかも、前の外務委員会でも申し述べましたように、いろんな人の名前が出てくるわけです。アメリカにおいても相当の影響力を持つであろうという方方が相次いで発言をなさっている。こうした一連の経過というものを考えると、決して偶然ではない。昨日もわが党の同僚議員が本会議で質問いたしました、これは私どもの方で調べたものを述べてもらったわけでございますが、たとえば、一九六八年四月一日、ラテンアメリカにおける核兵器の禁止に関する条約、いわゆるトラテロルコ条約を締結の際に、その第二議定書の中で当時のハンフリー副大統領は明確に述べているのです。いわゆる核兵器の領海の一時通過は持ち込みに相当しない、ということは、別にうがった物の見方をするわけではありませんけれども、さらにそれを素直に受けとめますと、アメリカの政策というものは一貫して寄港であるとか、あるいは領海通過については相当しないというふうな考え方を貫いてきているのではないかという、またそこに問題提起がなされているような気がしてならないわけであります。
 先ほど申し上げたような、要するに翻訳の段階で理解の仕方というものが、日本側の理解というものとアメリカ側の理解というものが合致したとはいうものの、本当に合致したというこちらの考え方も、向こうもそのとおり受けとめている、それが果たして何らかの形で重要な要素を含むだけに文書としてきちっと残されているかどうかということは、当然われわれとしては考えざるを得ない事柄ではなかろうか、そういうところにすれ違いの議論が常に繰り返されて、平行線をたどらざるを得ない、こんなふうに思えてならないわけでありますけれども、外務大臣としてはその点、いま私が申し上げた点についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#61
○政府委員(賀陽治憲君) ただいまトラテロルコ条約につきましての御質問がございまして、ハンフリー出時の元副大統領の条約締結当時の発言ということを御引用されておるわけでございます。
 私どもの承知しております限りにおきましては、ハンフリー副大統領は、当時述べておりますことは、本件条約の締約国が国際法の原則に従い、非締約国に対し核兵器の通過権及び運搬権を与え、もしくは拒絶する固有の権利を有するものと理解する旨の声明をいたしましたわけでございまして、その上で本件の追加議定書IIに署名をしておるということでございます。
 私どもの承知しておりまするのはこの引用だけでございまして、トラテロルコ条約そのものの有権的解釈と申しますのは、われわれの範囲を超えるものでございまして、われわれとしてはただいま申し上げました、引用いたしましたハンフリー副大統領の発言というものを承知しているのみでございます。
#62
○渋谷邦彦君 それ以上のことを私も重ねてお伺いしようとは思いません。しかし、アメリカ政府としての基本的な考え方の中に、そうしたものが一貫して貫かれているというものをやっぱり感じないわけにはいかない。
 したがって、先ほど取り上げた、外務省が和文でもって事前の協議の対象とした第二項目については、これは寄港あるいは領海通過という文言については一行も触れてないわけですね。ただ、英文に直しますと、これが寄港も通過も認められるのだという、こういう解釈に成り立っている。そういう食い違いというものはわれわれとしてはどのように理解をしたらよろしいのでしょうか。
#63
○政府委員(淺尾新一郎君) いま渋谷委員御指摘になりました点で、和文では必ずしもはっきりしないけれども、英文でははっきりしているじゃないかということでございますけれども、そもそも藤山・マッカーサー口頭了解というそれ自身は口頭の了解でございます。そこで述べているそれを日本語にあらわせば、「核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設」ということでございまして、英語で言っておりますところもまさに同じことを言っているわけでございます。
 ただ、昭和五十年当時の予算委員会において鈴木委員の方から御質問がございまして、日本側とアメリカ側との理解に相違はないのかという御質問がございまして、当時の外務大臣が時間もたっているから念のためアメリカに照会してみるということがございまして、その際に英訳文を付して照会し、若干の時日がたってアメリカ側から日本側の英訳文を見たけれども、その日本側の了解でアメリカ側も同じである、こういう回答が来ておりますので、別に英訳文が出たからアメリカ側が了解したということでなくて、もとはやはり藤山・マッカーサーの三頭了解あるいはさらにもとになります岸・ハーター交換公文の中から、艦船による核の持ち込みについてはすべて事前協議の対象であるという日本側の了解と、それに対するアメリカの了解と差異はないと、こういうふうに考えている、念のため五十年の時点で訳文を付してアメリカ側の確認を求めたと、こういうことでございます。
#64
○渋谷邦彦君 いままでの答弁は、イントロダクションに全部一切含まれるということで政府の考え方が統一されているわけですけれども、通常、寄港とか領海通過というときに使われる英語というものは、これにやっぱり集約されたものが使われているのでしょうか。
#65
○政府委員(淺尾新一郎君) イントロダクションというのが英語で何を意味するかということにひとつ返るかと思いますけれども、当委員会で先日私も御答弁いたしましたけれども、イントロダクションあるいはイントロデュースというものは、物を持ち込むとか導入する、移入するという行為に着目した語感を持っておりまして、その行為に恒久的な結果を伴う語感があるとはとうてい言えないというふうに書いてあります。また、そういう意味でイントロデュースという意味とプリング・インあるいはキャリー・インという意味においては大差がない、これも英語の辞書に明記してあるところでございます。
 それから、あといまお尋ねの軍事的用語として英語で寄港というときに使う言葉としてはポ−ト・コール、そういうような言葉、あるいは先ほど条約局長が御答弁したようなトランジットという言葉もございますけれども、その言葉をすべて包含するのがイントロデュースである、こういうふうに考えております。
#66
○渋谷邦彦君 そうしますと、このトランジットにしても全部一切それは含まれると、ただここに非常に広義な意味で解釈する場合と、狭義の意味で解釈する場合と当然出てくるんだろうと思うのですが、いままでの印象としては日本側としては大変広い意味で、いま淺尾さん述べられたように広い意味で受けとめている、だから全部含まれるのだと。どうもいままでのアメリカのいろんな方方の発言を通して考えてみますと、非常に狭義の意味にこれを用いられている。そういったところに誤解が生じたのかなという感じを持つわけですが、いま淺尾さんがおっしゃったようなことで一切が統一されているということについては、まさしくアメリカ側としてもそのとおりだという理解に立ち、そしてまた今後もそういう考え方に立って寄港また領海通過というものも含まれるのだという解釈になっているのでしょうか。
#67
○政府委員(淺尾新一郎君) 先ほど来申し上げているように、私たちの考えている持ち込み、イントロダクションという意味については先ほど申し上げたとおりでございまして、その点について日米間に了解の差異はないと考えているわけでございまして、これは繰り返しになって恐縮でございますけれども、岸・ハーター交換公文あるいはそれを受けている藤山・マッカーサー口頭了解、さらにその後政府が念のため確認いたしました、先ほど申し上げました文書による確認あるいはラロック証言についてのアメリカ側の回答、さらに最近においてはライシャワー発言を背景として園田外務大臣とマンスフィールド大使が会見したときに、まさに日本国内におけるそういう発言を背景にしながらマンスフィールド大使の方から、安保条約あるいは関連取り決めについてのアメリカ側の態度というものは変わっていないということで、ラロック証言の際にインガソル国務長官代理が言明したことをさらに再度確認してきているということから、私たちとしては日米の間にこの点について了解の差異はないと考えておるわけでございます。
#68
○渋谷邦彦君 そこまでのくだりは何回かお聞きをしておりますので、私自身も理解をしているつもりです。ただ、この口頭了解というのは将来時間の経過とともに、記憶違いだとか、いろんなまた解釈の違いが出てきたりするという危険性があるのではないか。当然これだけの重要な要素を含む中身を持っているものであるとするならば、やはり正式に文書でもってさらに明確にしておいた方が日本の将来のために万全を期することになりはしまいか、また国民はひとしくそのことを願望しているであろうというふうに思えてならないわけですね。この一点が明確にならない限りは、六月早々にエンタープライズの入港が予定されている、いま横須賀市を中心として反対デモがまさに熱気を帯びてその広がりを見せようとしている、こういったことで全国的にそういうような輪が広がっていった場合に、一体どういうふうにしてそれを説得をしながら鎮静化の方向へ持っていくという、そういう判断ができるでしょうか。これはむしろ政治的な判断が必要だという感じがいたしますので、これはむしろ外務大臣から率直なやっぱり抱負を述べていただいた方が私はよろしいのではないだろうかというふうに思います。
#69
○国務大臣(園田直君) エンタープライズの入港がいつになるか、まだはっきりいたしておりません。しかし、そういうことも、いま御発言のようなことも予想されるわけでありますから、地元の方々とはよく話し合いをして、理解、納得いただき、冷静にいままでどおりに対処されるようにお願いするつもりでございます。
#70
○渋谷邦彦君 それはまあどういう形で説得をされるかわかりませんけれども、先ほど私も触れましたように、むしろこの際再確認ということもあり得るわけですから、むしろ明確に文書でもって交換をしながら、非核三原則は厳守する、堅持するという大前提に立ちながら、そしていま問題となっているこの核の持ち込みについては寄港、領海通過も含むのだと、こういう明確な内容を持った、もう一遍念のために、念のためということは必要なことだと私は思うのですよ、ただ口頭了解だけで一般の受けとめ方というものはそれで理解できるかという、そういう危険性を感ずるものですから。このように再確認のために日米両政府は、交換公文というようなかっこうになるかどうか知りません、確認をいたしましたという方がどれほど私は説得力があるかわからない。事前にそうしたような問題を私は防ぐ意味にも通ずるのではないだろうか。そのやはり考え方はいままでどおり変わりありませんか、やらないという方向ですか、私はやった方がいいと思うのですがね。
#71
○政府委員(淺尾新一郎君) 従来政府が国会の場で述べておりますように、この点について交換公文あるいは口頭了解で明白になっておりまして、また日米の間でもその点について了解については差はないと考えております。
 さらに、繰り返しで恐縮でございますけれども、マンスフィールド大使が園田外務大臣に対して、今回のライシャワー発言という背景の中で、昭和四十九年の十月に、ラロック発育との関連で、インガソル国務長官代理が表明されているアメリカ政府の見解を再確認してきているということでございますので、私たちとしては現在の時点で、この点についてアメリカ側に、文書によってさらに再確認するという必要はないというふうに考えております。
#72
○渋谷邦彦君 これはもう、重ねてここで申し上げる必要はさらさらないのでありますけれども、政府のいままでの取り組んできたその考え方の中にも、岸内閣以来若干の変化があったことは事実でございましょう。で、ようやくまあ佐藤内閣になってから定着をするという一つの変化をたどりながら来たということは、もう衆参のそれぞれの当該委員会の会議録を見るまでもなく明白であるわけです。そういったことを、さらにいま答弁されているような政府の考え方を定着させる意味からも、やはりここで明確にすることは私は望ましいのじゃないか。誤解を招かない上からも、また国論を分断しない、そういう上からも、いまやっぱり私はチャンスだろうと思うのです。また将来において、またこれを蒸し返しをする、やっぱりそうであったのか。もし、もしですよ、もしということは、私はあえてここでつけたくないのです、何らかの形で事実関係というものが明かされた場合どうなるのか、大変な混乱、混乱だけじゃ済まされない問題が・考えられるわけです。
 それでなくても、先般も私触れましたように、米艦艇の七〇%を超える艦艇には、特に空母を中心として、原潜はもとより、核積載というものは常識であるというふうにアメリカ政府が、いろいろなその立場で、いろいろな方々がそれを述べている。それは当然われわれも、軍事専門家ではないにいたしましても、ソビエトという、そうした国を対象として考えてみた場合に、力の均衡というものを保つ上からも当然私はあり得るだろうと思うし、そういった事故に結びつかなくても、寄港とか領海通過というものは、これは常識であろう。それをあくまでも日本政府は拒否する立場でありまするならば、ここでやっぱり私は、くどいようですけれども、明確にしておく必要がある。その明確にする方法は、いま申し上げたような方法しかないであろう。やっぱりいま淺尾さんがお答えになったと同じでしょうか、外務大臣。
#73
○国務大臣(園田直君) 政府委員が答えたとおりに考えております。
#74
○渋谷邦彦君 今度はちょっと角度を変えて申し上げたいと思いますけれども、いま日本の領海通過の米国艦艇あるいは出入港している米国の艦艇、あるいは艦船と申し上げた方がいいかもしれませんが、私がこれを申し上げても、結局米政府を信頼している以外にないとお答えになるだろうと思うのですけれども、全く核の積載はない、いまでもかたくそれを信じられておられるでしょうか。これは確認の方法がないですからね。
#75
○政府委員(淺尾新一郎君) 私たちとしては、いまでも核の持ち込みは行われていないというふうに信じております。
#76
○渋谷邦彦君 この問題は、また連合審査等もあるようでございますので、その場に譲りたいと思います。
 労働省の方、お待たせしました。条約について若干触れさせていただきたいと思います。
 三つの条約のうちで、ILO百二十一号がございますね。いわゆる職業病についての追加問題でありますが、伺うところによれば、むしろILOにおいて承認されている職業病よりもはるかに日本国内における職業病の範囲が広く、また給付の基準も世界のレベルを上回っているというふうに伺っております。ただ、科学技術の進歩あるいは開発に伴って職業病というものは切っても切り離すことができない側面があるであろうというふうに考えられるわけでありますが、一つは職業病というものはいろんな原因によって起こるわけでしょうけれども、そういう職場環境というものは一体どういうふうになっているのか述べていただきたいと思うのですね。
#77
○説明員(山田正美君) お答えいたします。
 職業病につきましては、先生御指摘のようにいろいろと広範な職業病が発生しておりまして、現在私どもいろいろ職業病が起こらないための環境管理と申しましょうか、そういう予防対策についていろいろと腐心をしているわけですが、現在私どもで特にその職業病が多いために問題だという職場環境としましては、一つはじん肺の関係がございまして、これは鉱業、窯業あるいは建設業等で多発している病気ですけれども、そういうようなもの。あるいは振動障害というようなことにつきまして、これは林業でチェーンソー等を使う場合に発生する病気ですけれども、あるいは鉱業における削岩機等による振動障害、そういうような環境の改憲につきまして、あるいは環境の改善とあわせて作業管理の改善というようなこともいろいろ進めておるわけです。
 それからさらに、じん肺とか振動障害と比べて発生件数は少ないわけですけれども、たとえば建設業等におきます酸素欠乏症の問題、あるいは塗装業等におきます有機溶剤中毒等、こういうような問題について、現在、私どもの職業対策、予防対策として重点的に推進をしているというような状態になっております。
#78
○渋谷邦彦君 こういった職業病は、いま一、二の例を挙げて述べられたわけですけれども、ふえる傾向にあるのですか、減る傾向にあるのですか。そしてまた改善の方法も行政的な指導を通じてずっといままでも取り行ってきた、そういう行政指導というものが効果があるのかないのか、そしてまた多少でも減る傾向にあるのかどうか、その辺もかいつまんで、簡潔で結構ですから述べてください。
#79
○説明員(山田正美君) 職業性疾病と申しますのは急性の職業性疾病というものもあるわけですけれども、私ども問題だと思っておりますのは長期的原因で発生してくる病気、たとえば振動障害でありますと、林業で言えばチェーンソーを長い間使っている、その結果職業性疾病が発生するというような事態に着目しまして対策を打っております。したがいまして、従来から問題になり、あるいはわれわれがそれに対して対策を講じている職業性疾病につきましては、かなり環境管理等を押さえることによってその減少が図れるのではないかというふうには考えております。
 ただ、先生御指摘のように、科学技術の進歩等によりまして、たとえば化学物質等が従来予想しなかったような分野で新しく発生をしてくるというような場合、新たな職業性疾病というものが出てくるおそれがございます。そういう問題につきましては、できるだけ事前的な対策で防護措置をとりたいというふうには考えておりますけれども、そういう新たな職業性疾病の発生についてはなかなか予断を許さないものがあるというふうに考えております。
#80
○渋谷邦彦君 今回追加されて二十九種類の職業病が対象になるわけですけれども、これは一概にどの病気が一番多いか少ないか、重いか軽いかということはなかなか統計の上からもむずかしい問題であろうと思うのですけれども、一般的に見た場合、先ほどもじん肺だとかチェーンソーによるところの病だとか、そういうものをいま挙げられましたけれども、重いか軽いかの中には非常に長期の療養を要するとか、簡単に治るという場合もございましょうね。日本の国内ではどういう傾向にありますか。
#81
○説明員(林茂喜君) 先生御説明のように、職業性疾病の範囲につきましては労働基準法の施行規則の第三十五条に決められておりますが、これらのものの中には軽症のものから重症あるいは死亡に至るものまでさまざま含まれておりまして、特にこの中では幾つかの職業がんというようなものも入っております。これらは御存じのように非常に重篤な経過をたどって死亡に至るものが非常に多い。
 一方これは重いか軽いかという問題については非常に表現がむずかしいので、重いか軽いかということでなくてお聞き願いたいのですが、いわゆる死亡に至るというような意味での重篤でないものでは、やはり頸肩腕症候群のように、発病時には痛みを伴うのがありますが、適切な療養を得れば比較的早い期間に職場に復帰できるというようなものも含まれております。
#82
○渋谷邦彦君 いずれにしてもこうした職業病については、先ほども述べられたように、ふえこそすれ減る傾向にはない。したがってその給付対象というものもそれなりに広がりを見せていくであろうし、その水準についてもこれから十分考えていかなければならない。要は、できるだけ早く職場復帰ができるという方向へ政治としてその役割りを果たしていくということがきわめて重要ではないだろうか。幾ら給付水準が高くてもいつまでも長い病気で苦しんでいるのでは何にもならない。職業病の中でもがんを患って死に至るなんというようなことになればこれはもう大変な悲惨な状況に追い込まれるわけでありますので、たとえこうしたILOにおいて認められるにいたしましても、要はその職業病をいかにして減らすか。それで不幸にして職業病にかかった場合でもどうすれば早く職場復帰ができるか。そういったことについての改善。先ほども窯業だとかそれから何かを挙げられましたけれども、大体その対象が中小企業が多いんですよ。大企業あたりはもう言うまでもなくその管理体制もしっかりしておりましてね、十分そうした問題について起きないようなそれぞれの企業としてもう対策が講じられておると思うのですけれども、要は中小企業なんです。窯業なんというのは典型的な中小企業ですからね、御存じのとおり。こういった企業経営者も力がありませんから、なかなかもうわかっちゃいるけれども防護策もできない。結局労働者に対してそういうものにかからないようにするための普及のためのレクチャーであるとか、そういうものの方がやっぱりどうしても必要になってくるのじゃないか。そういったことをやはり全体的に労働者なら労働者が十分理解した上で、みずから自分の身を守るというような方向へこれは行政指導を通じて十分徹底を図る必要もあるのではないだろうかという感じがしてなりません。労働省の場合はお立場上いろいろそういう場所をごらんになっておられると思いますけれども、本当に大変ですよ。毎日ほこりを吸って仕事をしているんですから。そういうことをしないようにと言ったっていまそれはできないですよ。金はないし、そういう点についてどういう方法がとられているか。――外務大臣、十二時から予定があるそうですから結構です、あとわずかで切り上げますから。
#83
○説明員(山田正美君) 先生が御指摘になりました職業性疾病、一般的に安全衛生の問題につきましては、大企業の方に比べてやはり中小企業に大きな問題があるということは御指摘のとおりだろうと思います。私どもの行政といたしましては、労働安全衛生法並びに関係規則と申しますか、そういうようなものの施行事務といたしまして、いろいろ監督指導しているわけですが、そういう規制面における監督指導の問題、それからこれもお話のありました、助成の問題。実はその安全衛生法というのは、一方では規制をする法律ということですけれども、他方で、特に中小企業は経営基盤が脆弱なためになかなか安全衛生対策がとれない、そういうことから国としてもいろいろな助成措置を講じていく、あるいはお話がありました労働者の安全衛生教育等につきましても、これを行政指導等で推進をしていくということを考えておりまして、たとえば労働安全衛生融資制度というふうなことがございまして、職場改善を行う事業者に対して、これは中小企業を対象にしておりますけれども、低利の融資を行う。あるいは、健康管理事業といたしまして、中小企業の集団が当該集団に属する事業者に雇用されている労働者の健康診断を行うというような場合に、これに一部助成するとか、あるいは作業環境につきまして、これはたとえば非常に粉じんが出るというような作業環境については、これを測定をし、そこの作業環境に問題があれば予防措置をとらなければいけないわけですけれども、そういう環境測定につきましても中小企業を対象に助成措置をとるというようなことも講じております。さらに、安全衛生教育の関係では、安全衛生教育センターというようなものもわれわれ設けておりまして、そういうところに職場における安全衛生教育の指導者をそういうセンターで養成をするというようなことも含めて、中小企業対策については従来から打っておるわけですけれども、今後とも御趣旨を踏まえて対策の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
#84
○渋谷邦彦君 締めくくりとして、いずれにしてもこういう条約に加盟する、その精神を十分に生かされると同時に、いま述べられたような方向に立って労働省としてもその責任ある立場から十二分なひとつ対応をこれからも強力に続けていっていただきたいということだけ申し上げておきます。
 では、午前の部はこれで終わります。
#85
○委員長(秦野章君) 午後一時十分に再会することとして、休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十二分開会
#86
○委員長(秦野章君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#87
○渋谷邦彦君 科学技術庁の方来ていますね。インテルサットのことについて若干お尋ねをしたいと思います。
 現在、科学技術庁を中心にして、あるいは宇宙開発事業団あるいは東京大学の宇宙研究所等々、宇宙開発に不断の努力を傾けられて開発に取り組んでいらっしゃる。まあ日進月歩ということがありますけれども、非常に加速度的に宇宙開発が進んでおる現状を踏まえて、あるいは将来日本が当然アメリカの水準に達することを目標に描きながら、いろいろと計画も立てられ、推進をされておられると思うのでありますが、まず初めに、今後の宇宙開発に対する長期展望ですね。長期展望といっても大変漠然とした言い方になって恐縮でありますけれども、それなりに考えていらっしゃると思うのです。何も細かしいことまで必要ございませんので、大まかで結構でございますから、まずその点からお伺いいたします。
#88
○説明員(吉村晴光君) わが国の宇宙開発の基本方針につきましては、宇宙開発委員会が基本的な考え方をまとめておりまして、その委員会が五十三年につくっております宇宙開発政策大綱というのがございますが、この大綱の中で、五十三年から約十五年間の間になすべきことというものをまとめておるわけでございます。で、そういう考え方に基づきまして、具体的には自主技術を基調にいたしまして、通信だとか放送、気象、地球観測、そういう実利用衛星を開発をし打ち上げていこう、それから科学衛星を開発し打ち上げていこうということが計画に上がっておりまして、そのための具体的な打ち上げ用ロケットといたしまして、N ロケット、それから液体水素を使いますH−ロケットの開発を進めておるわけでございます。
 先ほどアメリカの水準というお話がございましたが、宇宙開発委員会といたしましては、当面私どもの力でできるものを前提にして今後の計画をつくっておりまして、わが国独自で有人宇宙船のようなものを開発するかどうかということにつきましては、今後十分技術的な調査及び世界の宇宙動向の調査を踏まえて決めていきたいということで、その点につきましてはまだオープンの状態でございます。私どもといたしましては、当面の実用の人工衛星を自分の力で打ち上げる、国民の福祉のために有効に利用できるように、そういう力をつけたいということで現在努力をしておるというのが状況でございます。
#89
○渋谷邦彦君 これから宇宙開発に伴う利用度というものが相当広範囲にわたることは、われわれもそれなりに推測されるところでありますけれども、研究等々、基本的な取り組み方の中で、恐らくいまいろいろと考えの中に入れておられる、たとえば宇宙開発基本法、これはたしかまだできていないというふうに私理解をしておるのですけれども、やはりこういったものをきちっと明確に定めて、今後の日本の宇宙開発に臨む姿勢というものを明確にする必要があるのではなかろうか、あるいはもうすでに策定の中に入っていらっしゃるのかどうなのか、その辺についてどういう進みぐあいになっているのか。また、当然そうしたものができ上がれば国会にいつの日にか上程されることにもなるであろうというふうに思いますけれども、その辺の計画はどうなっていますか。
#90
○説明員(吉村晴光君) わが国の宇宙開発の基本方針を法制的に具体化をするという意味におきまして、宇宙開発基本法のようなものをつくるべきであるという決議をいただいております。私ども鋭意検討を従来から続けておるわけでございますが、世界をめぐります宇宙開発の動向がはっきりしない点がございます。特に私どもが宇宙開発基本法のようなものを考えますときに問題といたしておりますのは、宇宙の定義ということにつきまして、これは当然宇宙開発基本法の最も重要な部分になるかと思いますが、宇宙の定義につきまして国際的なコンセンサスがまだ得られてないという実情にございます。そういう事情にございますので、私どもといたしましては日本が先駆けて宇宙の定義を国内的に定め、基本法をつくるということはいかがなものであろうかというふうに考えておりまして、国際的な動向も十分踏まえつつ、そういう法案の検討を進めたいという考え方でございます。
 ただ、そうは申しましても、宇宙開発を進めております以上、基本的考え方というものは持つべきことは当然でございます。これにつきましては、宇宙開発委員会がつくっております宇宙開発政策大綱におきまして三つほどの基本的な考え方が定められております。
 まず第一は、社会的なニーズに対応いたしまして宇宙開発を国力との調和の中で進めていこうということでございます。それから二番目は自主性の確保でございまして、自主性を確保することによりまして宇宙開発を安定的しかも自分の自由に宇宙を利用できるという形に持っていこうと。三番目といたしましては、世界の宇宙開発との調和でございまして、日本だけがからに閉じこもって宇宙開発をやるのでなくて、外国の動向を十分把握し、外国との協力ということを踏まえて日本の宇宙開発を高い水準に維持をしようという三つの考え方を打ち出しておりまして、この三つの考え方に基づきまして具体的な施策を進めておるというのが状況でございます。
#91
○渋谷邦彦君 そこで、いまお述べになったこれからの構想の中で、この前面にやっぱり障害があるなあというふうに思えるのは、国際的に情報の交換と言いましても、これはそれぞれの企業秘密等に属する場合がいろいろとあるのではないだろうか。そういった場合に、いまおっしゃるような、こちらが希望するような情報の入手であるとかあるいはまたコンセンサスを得るためのそういう場づくりというものが実際に可能性というものが考えられるのかどうなのか。その点はどういう判断をお持ちになっていますか。
#92
○説明員(吉村晴光君) 先進諸外国の技術情報の入手につきましては、御指摘のとおり非常にむずかしい面がございます。そういうこともございますので、非常に先端的な技術分野につきましては、自分の力で開発をしなければ、簡単に技術を教えてもらえないということを承知いたしておりまして、そのために自主技術の開発に力を入れておるわけでございます。
 それから、先ほど国際的な活動の調和というふうに申しましたが、外国からの技術情報の入手ももちろんでございますけれども、そのほかに国際的な協力によりまして宇宙開発を進める。たとえば、アメリカで打ち上げましたスペースシャトルというようなものを日本で現時点において持つ能力がございませんので、そういうものを使う宇宙活動というものにつきましては、そういう装置を使わせていただくということも考えられるというふうに思っております。
 それから、宇宙の定義の点でございますけれども、実はこの点につきましては、国連の宇宙平和利用委員会という場におきまして従来から議論がされておるわけでございます。私どもその活動に十分注目をしておるわけでございます。いろんな考え方が各国ございましてはっきりしてない。今後ともそういう場で議論が進められるものというふうに理解をいたしております。
#93
○渋谷邦彦君 確かにむつかしい点もわからぬわけではございませんし、それなりにまた努力をしておられると思うのです。情報の交換というのは、これは非常に大事だと思いますね。たとえば、残念ながら科学技術開発には必ず失敗はつきものだとは申せ、あやめ一号、二号については相継いで失敗をする。しかも、この機器は全部米国製でしょう。よく調べてみると、科学技術特別委員会なんかでも問題になったアポジモーターの燃焼による事故ではあるまいかと、こういうふうに言われておる。むしろ国産である場合にこういったような事故というものが防げるのか。あくまでも、少なくとも宇宙開発の先進国であるアメリカのそういう技術導入をしなければ、先ほど冒頭に申し上げたようにアメリカ並みのいわゆるレベルに到達しないのか。それがこれからの大きな日本の宇宙開発にとっての課題であろうというふうに思うのですね。そういったものがいわゆる短時間の間に解消されていくものか、あるいは追いつけ追い越せで、日本の技術というものは相当すぐれたものがあるというふうに考えられますので、近い将来それが、要するにひけをとらない、そういう開発の方向へ持っていく可能性というものはぼくは十分あると思いますが、その点についてどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#94
○説明員(吉村晴光君) 宇宙開発につきましては、できるだけ私ども自主開発を進めたいと思っておりますが、やはり資金面、人材面、従来の蓄積等の制約もございまして、すべてにわたって自分の力だけでやるということは余り効率上よろしくない、したがいまして、宇宙開発上の非常に中核になるような技術につきましては、自分たちの力で何とか開発をしていきたいということを考えておるわけでございます。
 具体的に現在重点を置いておりますものは、H−ロケットというものの開発を進めておりますが、その開発の中で取り上げております液体水素と液体酸素を使いますエンジンでございます。従来、日本で打ちげておりますロケットは、石油糸の燃料とそれから液体酸素を使っておりますが、燃料の効率からいきますと、液体水素を使う方がはるかに効率がいい。諸外国、スペースシャトルにおきましても液体水素エンジンを使っておるということから考えましても、将来の中核技術になるという判断のもとに液体水素のエンジンを開発をいたしております。
 それから、慣性誘導装置と申しまして、誘導技術の最先端の技術を現在開発をいたしております。
 そのほかにもいろいろございますが、先ほどお話ございましたアポジモーターというような重要なものにつきましては、やはり外国より現在は買ってこざるを得ないという実情にございますが、できるだけ早い機会に自主開発をするということが、いろんなふぐあいが起こりましたときの原因究明、適切な対策を講ずるという点から見ても重要であるというふうに考えまして、アポジモーターの自主技術の開発というものも鋭意進めておるというのが状況でございます。
#95
○渋谷邦彦君 あなたはいみじくも言われた。確かに自主開発の必要性というものはこれからも相当大きくなるだろうと思うのですね。ただ、それに伴って人材の面、あるいは研究費の問題等々、遠慮しいしいおっしゃいましたけれども、結局問題は予算でしょう。確かにいま行政改革だ、財政再建元年だというような状況の中で、大変厳しいと思うのですよね。しかし、日本が資源の乏しい中で創意工夫を加えながら、やはりその面の開発というものを強力に推進していかないことには、また一面から見ると生きていくことができないという側面があるわけですね。それについてはまことに、科学技術庁を中心とする予算の枠というものが多いとは言えない。だからと言って、すぐ大幅に増額をせよというのは、大変いま厳しい状況である。この辺はちょっと知恵をしぼって、昭和五十七年度以降については十分その点について――むしろきょうは中川さんに来ていただいて、その辺の政治的な判断をここでお聞かせいただくのが本来の筋かもしれない。そのぐらいやっぱり積極的に、そういう面からも遺漏のないような取り組み方というものが必要になってくるであろう。これは中核になる研究開発といまお述べになったように、これからもどんどん進むでしょう、日本人の頭脳というのは高度ですから。しかし、それに付随するであろういろんな問題点の解消については、いまそういうような隘路があることをおっしゃった。やっぱりこれをきちっと手当てをしていかないことには、日本の科学技術あるいは宇宙開発についてもきわめておくれをとる、そういうことになりはしまいかということを心配する。その点、厳しい中でこれからも開発に向けて取り組んでいくわけですけれども、どうですか、やっぱり厳しいですか。
#96
○説明員(吉村晴光君) 大変適切な御指示をいただきまして感謝をしておるわけでございますが、財政状態が非常に厳しいということもございまして、私ども憂慮はいたしておりますが、できるだけやはり効率的にお金を使って、日本の技術を早く伸ばそうという意気込みでやっておるわけでございまして、今後とも関係の皆様方の宇宙に対する御理解を得て、できるだけ宇宙の技術を伸ばすことができるように努力をしたいというふうに思っております。
#97
○渋谷邦彦君 そこで、開発にしても大変効率のいい、いわゆる費用も余りかからないというのはなかなか大変な言い方かもしれませんけれども、さっきもお触れになったスペースシャトルの場合、聞くところによりますと、小さなやつをぼんぼん打ち上げるよりも、あれ一発打ち上げた方が大変経費的には安いというようなことが指摘されておりますね。そうなりますと、やっぱりこれは魅力ですね。
   〔委員長退席、理事稲嶺一郎君着席〕
日本で決して開発できないという、不可能ということはあり得ないと私は思うのですが、やっぱり長期展望に立ちながら、そういった点についても計画的にお進めになることが必要ではあるまいかなあという、どでかい夢みたいな考え方かもしれませんけれども、そういう抱負なんかはいま科学技術庁としてお持ちになっていませんか。
#98
○説明員(吉村晴光君) 先ほどお話ございましたミニシャトルと申しましょうか、スペースシャトルが上がりました後で、日本でスペースシャトルを開発をすることはどうかという趣旨の構想を宇宙開発事業団が持っておるというような新聞記事があるわけでございますが、これにつきましては宇宙開発事業団で先見的に勉強をやっておるという状態でございます。日本として本当にそういうものをやるべきかどうかということにつきましては、先ほども触れました宇宙開発政策大綱の中で、今後十分周囲の情勢を踏まえて検討をすべきであるということになっております。今後、スペースシャトルの運航実績を見、スペースシャトルの有効性というものをもっと技術的に分析をいたしまして、そういうものを踏まえて、日本として有人の宇宙船というものについてどういう考え方で対処すべきであろうかということが宇宙開発委員会で検討されるであろうというふうに理解をいたしております。
#99
○渋谷邦彦君 それから、研究開発について効果的な実績を積み重ねるためには、先ほど申し上げたように科学技術庁があり、宇宙開発事業団があり、あるいは東京大学の研究所がある。あるいはそのほかにもあるかもしれません。大どころを言えば、その三つが大体大きな柱でしょう。
 これは、かつて私は予算委員会でも申し上げたことがあるのですけれども、できればもっと機能的にいろんな研究開発を進める上から、あるいは人材をきちっと集約的に、また機能的に取り組む上からあるいは予算の面から一元化した方がやりやすいのじゃないかという、これは素人的な発想かどうかわかりませんけれども、その点についてはどうですかね。
#100
○説明員(吉村晴光君) ただいま御指摘がありましたように、宇宙開発事業団と従来の東京大学の活動につきましては、内外からいろんな御批判、建設的な御意見がございました。そういう御批判を受けまして、私どもといたしましては、宇宙開発事業団、東京大学の側を集めて全体的な調整をさしていただいておるということでございます。具体的には、宇宙開発委員会が調整をいたしまして、宇宙開発事業団というのは、現在実利用分野の衛星及びその打ち上げ用ロケットを開発をする。それから、文部省の宇宙科学研究所、これは従来東京大学において行っていた部門を移したわけでございますが、この宇宙科学研究所におきましては、科学衛星とその打ち上げ用ロケットの開発を行うということで、衛星の内容は全く別物である。その打ち上げ用ロケットでございますが、ロケットにつきましても、科学衛星というのは固体ロケットでございます。それから、実用衛星は、一部固体の部分がございますが、中心は液体ロケットでございまして、そういう意味で、やっておりますことは内容的には重複はしてないわけでございますが、両者共通的なものもあるということで、将来はロケットの開発は長期展望のもとで一体化を図るべきであるという調整をいただいておるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、宇宙科学研究所におきましては、従来から開発をしてまいりました固体ロケットでございますミューロケットにつきまして、その信頼性が得られました段階でロケット開発は完了するということになっております。その後のロケット開発につきましては、宇宙開発事業団が一元的に開発をするという形で、現時点におきましてはロケットの開発が液体と固体で分かれておりますが、遠い将来におきましては一元化をされるという形で方針が決められております。これに向かいまして関係各者努力しておるというのが実情でございます。
#101
○渋谷邦彦君 現在飛んでいるのは「ひまわり1号」だったですか。
#102
○説明員(吉村晴光君) 現在飛んでおります衛星は非常にたくさんございまして、最近打ち上げられましたものは、東京大学が打ち上げました「ひのとり」。それから、私ども宇宙開発事業団が打ち上げました「きく3号」というものでございます。
 それから、現在、御指摘ございました「ひまわり」につきましては、気象衛星として天気予報に大変役に立っております。そのほか、飛んでおる衛星はございますけれども、かなり細かくなりますので、省略をさしていただきたいと思います。
#103
○渋谷邦彦君 大体、この耐久年数というのは三年から五年と聞いておりますけれども、また失敗すると一つ二百億円ぐらいパアになってしまう。大体そんな認識でよろしいのですか。
#104
○説明員(吉村晴光君) 衛星の寿命につきましては、その衛星の目的に合わせましていろいろ設計をいたすわけでございますので、一概には申し上げることはできないわけでございますが、たとえば「ひまわり」につきましては寿命を三年という前提で設計をいたしておりまして、現在もう間もなく四年にならんとするわけでございますが、結果的に静止軌道への投入が非常にうまくいったということで、現在もまだ使えておるという状況でございます。
 それから、一機打ち上げ失敗をいたしますと、たとえば前回の「あやめ」のときのように二百から三百億とか、そういう非常に巨額の損失になるわけでございますので、細心の注意をもって今後とも衛星の打ち上げに当たりたいというふうに考えております。
#105
○渋谷邦彦君 最後に外務大臣に、いまやりとりをお聞きになってもおわかりのとおり、これからの宇宙開発というのは日進月歩、相当のスピードで進んでいくであろうということが予測されますし、日本としても先進国家として当然それに肩を並べるだけの今後の技術開発というものが望まれていくであろう。それについては失敗もあれば、いろいろなことあると思うのです。決してむだなことで金を使っているとは私は思いたくありません。しかし、いかんせん、お聞き及びのとおり、大変予算措置というのが少のうございますね。ですから、いますぐ直ちにこういうふうにできるとか、できないとかということを論議するのではなくして、少なくとも日本の将来を考えてみた場合に、科学技術開発というものはやはり日本としての中心をなす一つの方向でなければならないということを考えてみた場合に、やはりこれを今後円滑に強力に推進するためにも、予算措置については閣僚のお一人としてやはりバックアップをされることが望ましいのではないだろうか。その辺の所信だけを伺いまして、時間が参ったようでございますので終わります。
#106
○国務大臣(園田直君) 宇宙開発は御指摘のとおりでありまして、ただいまは正直に言って、どちらかというと大国の情報収集、軍事的の目的のために開発されているような観でありますけれども、これは将来、宇宙開発は無限でありまして、これからいろんな資源その他の平和利用というものが大きく開けてくると存じます。したがいまして、そういうことを考えつつ、わが国もおくれをとらないように十分、つらいながらも対応の処置を講じていくべきであると考えております。
#107
○立木洋君 アメリカの海軍の対外広報方針規則書という中に、どのような軍艦、どのような基地、どのような飛行機の上にある核兵器または核兵器の部分品、コンポーネントの存在についても否定も肯定もしないのがアメリカ政府の確固たる政策である、というふうに述べられてあります。これはもう大臣も局長も十分おわかりのことだと思いますが、この存否を明らかにしないというアメリカ政府の政策の根拠について、どのように御理解なさっておるのか、まず、その点からお伺いします。
#108
○国務大臣(園田直君) 御発言のとおりに、米国政府は、核の問題は米国の最高の国防機密であって、存否を明らかにしない、こういうことの基本的立場に立っていると私も存じます。このことは、米国政府は核の所在を確認することも否定することもできないとの政策を種々の機会に明らかにしておりますが、この政策をとることが米国の核抑止力の有効な維持に寄与しているという考えから出てきているものであると考え、この戦略上の配置、展開、運搬、存在等について非常に大事に機密にしていることは、これは米ソ同様でありまして、そのように理解をいたしております。
#109
○立木洋君 実は、一九七六年のアメリカ上下両院合同原子力委員会の第二次年次報告書の中に、核兵器の海外持ち込みの問題に関して次のように述べられているわけです。
 核兵器がどこにあるかもその存否を明らかにしない。つまり、アメリカ政府としては否定も肯定もしないということである、この政策は核兵器が配備されている国の側の要請による、これらの国国の政府は、普通その国にアメリカの核兵器が持ち込まれている事実を公開しないように要請してきている、というふうに述べられておりますが、これはどういう意味なんでしょうか、淺尾さん。
#110
○政府委員(淺尾新一郎君) その委員会の記録それ自身を私ちょっとここに持っておりませんで、あるいは正確を欠くかもしれませんけれども、日本に関する限りは御承知のとおり事前協議の制度がございまして、アメリカに対して核を日本に仮に持ち込んでいてもそれを明らかにしないようにという、そういうような要請をしたということは一度もございません。
#111
○立木洋君 要請したと言ったら大変なことになりますから、それはそうおっしゃらないでしょうが、先ほど挙げました規則書の中に、核の存否を明らかにするただ一つの例外があるということが書かれてありますが、それはどういう場合でしょうか。核の存否を明らかにするただ一つの例外があるということが先ほど私が提起した方針書、規則書の中に述べられてありますが、それはどういう場合でしょうか。
#112
○政府委員(淺尾新一郎君) そのものそれ自身を持っておりませんので、私がここでお答えすることが、そこに書いてある例外、唯一の例外に当たるかどうか実は自信がないわけでございますけれども、従来アメリカも核の存否を明らかにした例は一つございます。それは、たとえばマクナマラがヨーロッパに核が何発あるというようなことを言った例もございます。結局、抑止力の観点から、むしろ核の存在を明らかにした方がいいという判断に立てば、それは明らかにすることができるのじゃないかという気がいたします。
#113
○立木洋君 いや、淺尾さん、実はそうじゃないのですよ。唯一の例外として同規則書の中に述べられているのは、核の事故が起こった場合だけであると、こういうふうに書いてあるのです。もちろん、事前協議なんてことは書いてないのですよ。事前協議にかける必要がある場合なんというようなことは書いてないし、それからいまおっしゃったようなことも書いてない。ただ、核の事故が発生した場合だけだということが書いてあるのですね。
 そこで私はお尋ねしたいのですが、先般私がこの問題で防衛局長にお尋ねしたときには、つまり日本に来ておるポラリス潜水艦、近海に来ておるポラリス潜水艦等々が大変航行が最近激しくなっている、こういう問題に関して、それは核を積んでいるのかどうなのか、その存否を明らかに尋ねるようなことをしないのかという質問をしたときには、尋ねることはしないし、そういうことをする意思もありませんという答弁でした。特定の場所に、特定の航空機、特定の艦船に核が存在しているかいないかということを日本政府として公式に問いただした事実はありますか。
#114
○政府委員(淺尾新一郎君) 具体的にいかなることを念頭に置かれて御質問されているのか……
#115
○立木洋君 余り勘ぐらなくて結構ですよ。
#116
○政府委員(淺尾新一郎君) はっきりいたしませんけれども、従来政府として、たとえば沖縄に核についての訓練が行われているのではないか、あるいは先般委員会で御指摘のありましたようなB61についての訓練計画があるのではないかと、そういう具体的な点についてお示しのあったときは、これはアメリカ側に対して照会してきたこともございますし、まさにB61については現在照会中、こういうことでございます。
#117
○立木洋君 日本政府のその尋ねる姿勢というのは、核の存否を明らかにせよという質問ではなくて、問い合わせではなくて、こういうことが言われているが、これはどういうことなんでしょうかという、核の存否を明確にせよという質問になっているのでしょうか、どうでしょうか、内容ですが。
#118
○政府委員(淺尾新一郎君) 内容については、従来から御答弁しておりますように、まず前提として、日本の中に核が持ち込まれているというふうには政府は考えていないわけでございます。しかし、具体的な事実をもって核の持ち込みが行われているのではないかという御照会があった場合には、それぞれの時点において、このアメリカがやっているその訓練であるとかあるいは特定の部隊というものについて、それは具体的にどういう部隊であるというようなことは照会しているということは、MWWUの例からも御承知のとおりでございます。
#119
○立木洋君 つまり日本政府としては、核が持ち込まれていないという前提に立って、核の存否を明らかにせよという問い合わせの仕方というのはしていないものだというふうに私は淺尾局長の答弁を理解していいですか。
#120
○政府委員(淺尾新一郎君) 大前提はそのとおりでございます。しかし、国民の疑惑にこたえるという意味で、具体的な事実がある場合にはアメリカに対して照会していると、こういうことでございます。
#121
○立木洋君 それで、いままで核の、つまり私たちから。言えば核の存否、特定の場所、特定の艦船、特定の航空機に核が存在するか、していないかということを、いままでのアメリカ側に問い合わしたすべての文書と、それに対するアメリカ側の回答の文書を提示していただきたい、委員会に提示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#122
○政府委員(淺尾新一郎君) すでに国会等に御提示した、御提示といいますか、国会の場で御答弁したこともございますし、そういう点については委員会の決定に従って私たちとしては処していきたいと思います。
#123
○立木洋君 では委員長、これをひとつ後でお諮りいただきたいと思いますが、つまり、日本文で提起されている場合と、英文でもらってないものもありますから、これらの問題については改めて御要望したいと思いますが、いいですか、局長。
#124
○政府委員(淺尾新一郎君) いろいろな聞き方がございまして、全く口頭でやっている場合、あるいは口頭ではあるけれども、念には念を入れて、英訳文を付してきている場合、いろいろございます。それから従来、和文だけを御提示したこともございますし、あるいは御要望に応じて、その場合の英訳文を御提示したこともございます。この点について、相手側のあることでございますから、ここで一存で全部お出しするという確約をすることはできませんけれども、委員会の判断にまって私たちとしてはしかるべく対処したい、こういうふうに考えております。
#125
○立木洋君 委員長、よろしいですか、委員長、いいですか、いまのこと。
#126
○理事(稲嶺一郎君) いいでしょう。
#127
○立木洋君 大臣、この点で、つまり核の存否を明らかにしないということは、アメリカの政策としてはきわめて重要な確固たる政策なんですね。ところが一方では、事前協議というのはこれは核の存否を明らかにするということなんですよね。この船に核がありますよということ、そうしてこの飛行機には核を積んでいまから日本の国に入りますよということを明らかにする、核の存否を明らかにするというきわめて相矛盾した内容なんですが、この核の存否を明らかにしないという政策といわゆる事前協議という政策と、これについての関連、あるいはアメリカの政府としてはどちらを優先しておると、そこらあたりについては大臣どのようにお考えでしょうか。
#128
○国務大臣(園田直君) 私は、二つの問題は相矛盾するものではないと存じます。核の存在を明らかにしない、これは戦略上の問題でありまして、事前協議とは一国と一国の相談の問題であります。したがいまして、核の存在を明らかにさすと、未来にわたってこういうことをしたいという協議でございますから、その点は矛盾しないように現実問題としては処理できると考えております。
#129
○立木洋君 重ねてもう一点大臣にお伺いしておきたいのですが、事前協議がいまだかつて一度もなかったということは、核が持ち込まれていないという保証ではなくて、核の存否を明らかにしないというアメリカの政府の結果ではないでしょうか、大臣、いかがでしょうか。
#130
○国務大臣(園田直君) 私はそのようには考えません。昭和四十九年十一月にわが方からの照会に対して、米国政府は、いかなる米国国内法も正当に権限を付与された米国政府の官吏が事前協議に関する約束を履行することを禁止またはこれを妨げるものではない、こういう回答をやっておる、この文章やその他から見ましても日米間の関係というのは信頼の上に立っておるわけでありまして、安保条約もこういう規定もすべて信頼の上でありまして、それが一片の紙にすぎないというのはこういうようなのは信頼関係が壊れるわけでありますから、そういうものではないと解釈をいたしております。
#131
○立木洋君 少しさかのぼってお尋ねしますけれども、原子力潜水艦が日本に寄港するということで大変な問題になった時期がありました。エード・メモワールの問題ですが、これはつまり原子力潜水艦が日本に出入りする問題で、アメリカと日本側で繰り返し話し合いが行われて確認し合ったという覚書、これは昭和三十九年の八月十七日ですか、に出されたものですが、ここには、
  原子力潜水艦は、推進系統の相違を除き、現在日本国の港に寄港している合衆国海軍の他の艦船となんら異なるものではなく、したがつて、日米間の安全保障に関する諸取極に基づく寄港の権利と同一の権利を享有するものである。それゆえ、これらの潜水艦の寄港は、相互協力及び安全保障条約に基づく事前協議の対象とはならないという趣旨のことが述べられており、さらには無害通航権を害することをしないという点も述べられてありますが、これは後で変更されたという意味なのか、淺尾さん、この意味をまず最初にお尋ねしておきたいのですが。
#132
○政府委員(淺尾新一郎君) いまお読みになりましたのは、昭和三十九年の八月十七日、原子力潜水艦に関するエード・メモワールでございます。そこで言っていることは、要するに原子力潜水艦、ここで申しておりますのは攻撃型の原子力潜水艦でございますが、その原子力潜水艦と普通の軍艦との差異は推進系統だけである、その他の点については何ら違いない、したがって他のアメリカの軍艦と同様に日本の港に入り、あるいは施設、区域を利用する権限は当然有する、しかし、日本国民の核についての特殊な感情を考えて、この原子力潜水艦については特別にこのエード・メモワールを交わし、そして日本への入港に際しては通常、少なくとも二十四時間前に日本側に通報する、こういうのがこのエード・メモワールの趣旨でございます。
#133
○立木洋君 ここで言われている「通常の原子力潜水艦」という「通常の」というのは、どういう意味でしょうか。
#134
○政府委員(淺尾新一郎君) ここで考えていたのはまさに攻撃型の原子力潜水艦ということで、ポラリス等核装備を常時装備している原子力潜水艦ということでございます。
#135
○立木洋君 つまり、常時核装備を有する潜水艦ではないという意味ですね、いかがでしょうか。
#136
○政府委員(淺尾新一郎君) 常時核装備を持っている潜水艦ではない。
   〔理事稲嶺一郎君退席、委員長着席〕
#137
○立木洋君 先日、衆議院で二十一日に淺尾さんが答弁なされたというのが、記事があるのですが、正確かどうか確認したいのですが、無害航行に当たる通航は当初事前協議の対象でないとしていたが、その後、核装備の軍艦は無害航行とは考えないということで明確にしたという答弁が新聞で報道されていますが、これは正確でしょうか。
#138
○政府委員(淺尾新一郎君) 私が申し上げた趣旨は先ほど午前中に条約局長が答弁したとおりでございまして、国際法上無害航行に当たるものは何か、それに当たらないものはたとえ一時通過であっても当然事前協議の対象になっていたと、しかし考えが変わったのは、その無害航行についての日本政府の立場が核を常時装備しているものについては無害航行と認めないということになった、それを申し上げたわけです。
#139
○立木洋君 つまり無害通航とは認めずということを明確にした統一見解が出たのが一九七四年の十二月二十五日という、そういう意味ですね、いまおっしゃったのは。
#140
○政府委員(淺尾新一郎君) 四十三年……。
#141
○立木洋君 一九七四年、私は一九七四年と言ったんです。昭和と西暦と言うからごっちゃになるんですよ。一九七四年の十二月二十五日と私は聞いている。三木さんが言ったのは昭和四十三年でしょう。
#142
○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。
 ポラリス潜水艦その他類似の核装備、常時核装備を有する外国軍艦のわが領海の通航は無害通航とは認めないという見解を出しましたのは四十三年、すなわちこれは四十三年ですから、一九六八年の見解でございます。
#143
○立木洋君 これは三木さんが外相のときに、当初述べられた発言が訂正された、その時期ですね。
#144
○政府委員(伊達宗起君) そのとおりでございます。
#145
○立木洋君 これは領海に関する条約ですか、これの審議が行われておったときだというふうに理解しておりますが、そしてそのようにこれが無害通航とは認めないということについては、先ほど来問題になっておりますが、ここでちょっとはっきりさせておきたいのは、淺尾さん、アメリカ側にはこのことはどういう形で知らされたのでしょうか。
#146
○政府委員(伊達宗起君) この四十三年統一見解はアメリカ側も承知しているところでございます。
#147
○立木洋君 いや、承知しているか承知していないかというのは、それは伊達さんがそういうふうにお考えになったということで、私が聞いているのは、どういう形でアメリカ側に通告なさったかと聞いているのです。
#148
○政府委員(伊達宗起君) 公式の記録でもって通報をしたというような形跡はございませんけれども、当時、国会の論議を通じましてアメリカ側もフォローしておりましたし、それから私どももまたアメリカ側にそれを示しまして、アメリカ側が承知をしているということでございます。
#149
○立木洋君 伊達さん、条約局長らしくない答弁じゃないですか。
 これは、あのときも大変問題になったこの領海に関する条約というのは、この第三部の最終条項の第二十五条のところに明確に書いてあります。「この条約の規定は、すでに効力を有する条約その他の国際協定の当事国間においては、それらに影響を及ぼすものではない。」と書いてある。
 御承知のように、日米安保条約が制定されて、地位協定の三条から五条にかけて何と書いてありますか。日本に来るアメリカの航空機、そして船舶、これは領海内をどのように移動しようともこれらに対しては何ら制限が加えられていない、日本に対して危害を加えないという条件である限りにおいて。この場合にはまだ核の問題というのは、御承知のように、地位協定それ自体には明記されていない。だとすれば、これはアメリカ側との間では、いわゆる明確にアメリカの航空機あるいは船舶等については無害通航権というのが認められていた時期があって、これを認めなくなるということが明記されたのがこの領海条約を通じての審議だったのですから、これは明らかにアメリカ側に何らかの形で明確に通告されなければならない、そうしないと効力を持たないのじゃないですか。
#150
○政府委員(伊達宗起君) 領海条約に明瞭に二国間の特約は適用しないというようなことでございますが、一般国際法の無害通航ということを領海条約は取り扱っているわけでございますので、そしてその十四条の定義では、沿岸国の平和その他を乱さないものである限り無害とみなされるという定義をしているだけでございます。そして、無害通航というのは、そもそも沿岸国の第一義的判断に従って、いかなるものが無害であるか、いかなるものが無害でないかということを決めることのできるものであると考えられますので、日本はポラリス等常時核装備を有する軍艦の通航というものは無害通航と認めないという立場をとったわけでございまして、これについては、別に国際法違反でもなければ、またそれ以前の条約で別に無害通航の考えを変更したからといって以前の条約に違反するものでもないと、そういうふうに考えます。
#151
○立木洋君 それでさっき私は、淺尾さんにお尋ねしたんだけれども、つまり、核積載艦が無害通航に、無害通航権を無害通航であると、それがあいまいであったから、一時期そういう時期があったのかどうなのかということを、先ほど私は、衆議院の二十一日のあれを確認したわけですね。あなたはそれをほぼ認められた。午前中の場合でも伊達さんも、だから、入ったか入らないかわからないという時期もあったという趣旨のニュアンスの発言をされた。これは宮澤さんにしろ、三木さんにしろあったわけだ。そういうことが変わってきた。日本とアメリカの場合には、日米安保条約という特定の条約があり、地位協定がある。そうして、無害通航の問題についても、わざわざここに、原子力潜水艦が問題になったときにはエード・メモワールまで出して確認しているのですよ。無害通航でなくなったよということを全然言わなくて、それでいままで無害通航で、無害通航ですということが認められていたのがどうして変わるのですか。
#152
○政府委員(淺尾新一郎君) 先ほど私が御答弁したのも、安保条約、地位協定上、その寄港あるいは一時通過については安保条約改定の当時から、何らわが方の見解は変わっていない。ただ、無害通航に当たる一時通過については四十三年、四十九年において日本側が無害通航という観念について考えを変えた、それは事実でございます。
 で、それをアメリカ側になぜ示してないか、こういうお尋ねでございますけれども、これはすでに国会等で累次当時の外務大臣あるいは政府委員から再三答弁しているわけでございます。
#153
○立木洋君 もうその先はわかっています。その先の御答弁はもう何回も聞きましたからよくわかっています。
 ですから、私はいままでも何回も繰り返し、この委員会でも繰り返し問題になってきた。これはまさにその一時通過がいま国会で問題になっているのだ。だから、一時通過を以前に無害通航として認めておった。だから、無害通航を認めませんよとなったからには一時通過は無害通航ではございませんよとアメリカに言ったのか。だから、この間も私は聞いたんですよ。いわゆる一時通過の問題でトランジットという言葉を明確に規定して、明示して、アメリカ側に言ったことがあるのかと言ったら、ないと言うんだ。本会議の席上では、外務大臣は、その部分だけを取り上げてとかなんとか、ちょっとややこしいことを答弁されたですけれども、あれは、ああいうごまかしというのはよくないですよ。やっぱり園田さんらしくない。もっと正々堂々と私は答えてほしい、ないならないと。だからまさにトランジットということを一回も明記してアメリカ側に文書を出したこともない、アメリカの文書にも一切ない。
 そしたら、無害通航の場合はどうだったのか。以前認められておったのが認められなくなったのだから、それもはっきり文書でアメリカに言っているのか。それも結局はないと言うんでしょう。あるんですか。変わってないだとか変わっただとか言わなくて、あるかないかで結構です。
#154
○政府委員(淺尾新一郎君) 先般当委員会で安保課長からお答えした点は、まさに無害通航ということだけ特定してアメリカ側と了解した文書はない、こういうふうに申し上げたわけでございます。しかし、岸・ハーター交換公文なり藤山・マッカーサー口頭了解から明らかなとおり、わが方としては核の持ち込みについては、艦船の持ち込みを含めて一切事前協議の対象になる、こういうことを明白に申しており、アメリカ側もそういうふうに了解していると考えている、さらにそれを確認する意味で、昭和五十年にわが方の口頭了解について英訳文を付してアメリカ側に尋ね、それにて異存ないという回答がございますし、あるいはラロック証言についても、まさにアメリカ側の方から、事前協議あるいは事前協議についてのアメリカの立場というものは変わっていないのだと、先般もマンスフィールド大使も、まさに現在のライシャワー発言ということを背景にしながら、マンスフィールド大使の方からその事前協議については変わっていないと、こういうことでございます。
#155
○立木洋君 わかりました。
 淺尾さん、これは第三者が聞いたらもう明白なんですよ。大変苦しい答弁をなさっている。ないのはないと言った方がいいのですよ。それを何とかこじつけて、いやそのイントロダクションの中には含まれている、含まれていない。この間も問題になったように、英語というのを解釈するのは英語の言葉を使っている国の人間の方が正確なんだよ。日本語については日本人が責任を持てばいいのですよ。そういうふうなあいまいな形で問題をいつまでも残しておくということは、それこそやっぱり国民に対して責任をとるゆえんにはならない。トランジットということは明確にないのだから、それはございませんとはっきりすればいいのですよ。私はもう時間がなくなってきたので、もっと本当はやりたいのですけれども、時間に制約がございますのでこれ以上できません。
 先般来問題を提起しております、この米軍の第四〇〇弾薬整備中隊、いわゆる核の修理を行ったと。これについてはもうすでにわが党の不破議員が衆議院の本会議でも提示してあるから詳しく述べる必要はないかと思いますが、一九七五年二月の二日から二月の八日までの一週間の整備された状態のここに計画書があるわけです。
 この計画を立案したのが三等空曹のウィリアム・C・フィックという人、そしてこれを査閲した検察官、整備監督官が米空軍の三等空佐ノーラン・R・ぺ−ターセンという人、さらにこれを認可したのが二等空佐のデービッド・ホーレンバウアーという人がやっておる。これがちゃんとすでに嘉手納に到着した飛行機から持ち込まれて整備されたというB61という核爆弾を嘉手納でこれが整備、修理されたという記録があるわけですが、これは照会されたというふうに午前中もおっしゃったわけですが、どういう形でこれについては米側に照会されたのでしょうか。
#156
○政府委員(淺尾新一郎君) まさにいま立木委員から御提示のありました件について、沖縄の第四〇〇弾薬整備スコードロンの週間整備計画そのもの自体についてアメリカ側にそういう整備計画があったのかどうか。あったとすれば、それはどういう意味かということを現在照会しております。
#157
○立木洋君 伊達さん、一つお伺いしますが、もしか核が現実に持ち込まれているという、これが事実だったとしたら、これは一体何違反になるのですか。条約違反になるのですか、何違反になるのですか。
#158
○政府委員(伊達宗起君) 核の持ち込みは事前協議の対象であるということは非常に明確なことでございまして、事前協議を遵守するということはアメリカの条約上の義務でございます。したがって、そのようなことはないと思いますけれども、仮にというお尋ねでございますから、その場合には条約違反ということになるわけでございます。
#159
○立木洋君 条約のどの条項に。
#160
○政府委員(淺尾新一郎君) 事前協議に関する交換公文、これも国会の御承認を得ました、広い意味でいわゆる条約という意味では条約でございますので、その事前協議の交換公文の違反でございます。
#161
○立木洋君 最後に大臣、一再、いまの議論お聞きいただいたと思うのですが、これは大臣、本当に深刻な問題なんですよ。これはその易しのぎで、いわゆるトランジットが入っている、入ってないというようなことでやっておったら、本当に日本国民に対して責任を負うゆえんに私はならない、本当に事態を明確にして平和外交に徹するならばぼくは本当の気持ちでやっていただきたいと思うのです。だから、そういう意味で、もしか核持ち込みがあった場合には大臣としてはどういう処置をなさるおつもりなのか、そのことだけお尋ねして私の質問を終わります。
#162
○国務大臣(園田直君) 仮定のことでございますから、ではありますけれども、仮にそういうことがあったとしたならば条約違反としての対応の処遇をいたします。
#163
○委員長(秦野章君) 先ほどの立木委員の御要求は理事会で御相談することにしますから、御了承願います。
#164
○宇都宮徳馬君 園田外務大臣にお尋ねしたいと思います。
 鈴木総理もしばしば非核三原則は堅持するということを言われておりますね。それから、私がこの前質問したときも園田外務大臣もこれは堅持すると、こう言われました。私は園田さんが二、三年前の国連総会でりっぱな演説をされたことを記憶しています。これは世界的にもなかなか評価された演説である。その中の一部を読み上げてみますから、ひとつ御記憶を呼び起こしてください。これは途中ですが、ごく一部ですが、「核兵器の廃絶に対する日本国民の強い願望を背景にして、わが国は核兵器を開発し得る能力を持ちながらも、あえてこれを持たず、つくらず、持ち込ませずという非核三原則を国是として堅持しております。わが国が核不拡散条約の締約国となったのも核廃絶への願いからであります。」こういうことを言われておるわけですね。ところが、何か怪しげな空気がアメリカの方から来たり日本にもあったりして、非核三原則というのが何かぐらついているような印象を国民に与えているわけですね。国民はあなたがおっしゃったとおり正直にこういう願いを持っているのですから、非常に心配しておるということは言えますね。それですから、この際はっきりしていただきたいのですが、政府が非核三原則を堅持するということ、これを、ただこの前大臣に伺ったときに、あなたは理想としては堅持するというようなちょっと条件保留をつけられたような返答をなさったのですが、それでははなはだ困るのであって、現実に非核三原則を堅持するという御決意をお持ちかどうか、承りたいと思います。
#165
○国務大臣(園田直君) この前私が申し上げましたのは、誤解があってはいけませんからさらに説明したはずでありますが、非核三原則を理想としてという意味ではなくて、非核三原則は堅持しますと、そこで、この堅持するについては理想を見失わないように現実、環境を見きわめつつ、困難ではあるが処理していくべきだ、こういう意味であって、三原則を理想と言ったわけではございません。
#166
○宇都宮徳馬君 そして、先日来、英語と日本語が問題になっていますね、持ち込ませず、持ち込まずというところに。これはもう何といいますか、日本の一部に非核三原則見直し論、これは憲法改正論と相通じていますけれども、たとえば日本の防衛はアメリカにやっかいになっているのだと、私は単にアメリカにやっかいになっているとは思いませんけれどもね、両方でやっぱりやっかいをかけ合っているというふうに思いますけれども、と同時に、実際のアメリカの作戦上核持ち込みはできないのじゃないか。一つの船舶が核を持ち込んで歩いている、そして日本のどこかへ寄港したいときに核をどこかで外すというようなことは不可能であろうというようなことから、いろいろいわゆる現実的な理論、原則を踏み外した議論、非常に危険な議論が私はなされていると、こう思いますけれども、私どもは最近の核戦争の主役というものは、陸上に据えつけられた核兵器よりも原子力潜水艦に移ってきていると思います。そして、それはなぜかと申しますると、核戦争は先制攻撃が一番有利である。ですから、先制攻撃から免れて反撃能力を保持するためには、核兵器は、電波探知機も探知できない、それから常時移動していて位置の捕捉がはなはだ困難な、非常に長距離を潜航できる、長い間潜航できる核潜水艦が起こるべき原子戦争の恐らく中核的兵器になるだろう、こういうことを言われておりまするけれども、大臣はどう思われますか。
#167
○国務大臣(園田直君) もう一遍ちょっと最後の方を……。
#168
○宇都宮徳馬君 来るべき核戦争ですね、これは先制攻撃が非常に有利だと言われているわけですね。そして、先制攻撃されると、された方の国はみんなやられちゃう可能性がありますね、いろいろな可能性があると思いますけれども。だから、陸上に核兵器を置くよりも、もう秘匿された、つまり、潜水艦というものは海の中にいますと、なかなかレーダーでも捕捉できないわけですよ、これはね。それですから見つけにくいわけです、現在の近代的ないろいろな探知装置によっても。ですから、そういうものが主力になるということが言われていますね。つまり、最初の核攻撃で破壊されない、そのためには原子力潜水艦が一番いいのだから、だからそれが中心兵器になるだろうと言われて、そうしてアメリカなんかでも、もうすでに価格にすると、これは近ごろ言われている伝聞ですけれども、伝聞によれば日本の金にして一兆円近い原子力潜水艦がつくられている、こういうことを言われているのですね。ですから、今後の大戦は必ず核戦争でしょうけれども、核戦争の主力兵器になるのは原子力潜水艦じゃないか、こう言われていますね。これは防衛庁の人に聞くのがいいかもしれないけれども、一つのこれは外交常識の根底に置いておかなければならぬことだと思いますからお聞きするのですけれども、私はそういうふうに理解していますが、どう考えられますか。
#169
○国務大臣(園田直君) 私も専門家ではありませんが、この後の戦争は逐次戦術、戦略は変化しておりまして、核の発達と水中からの発射、液体燃料、こういうものの発達とともに、おかから航空機へ、航空機から潜水艦へ、海中へと重点が移ってきたことは事実であります。ただし、その潜水艦ももはや完全無欠のものではなくて、米国の方ではソ連が、ソ連の方では米国が手にとるごとくお互いにわかっているような感じがいたします。
#170
○宇都宮徳馬君 そういうことでございましょう、とにかく完全な兵器はないのですからね。
 しかしながらとにかく手にとるごとくというよりも非常に捕捉しにくい。捕捉しにくいから、また、潜水艦の方でも周囲の状況が非常に捕捉しにくい。つまり海中においては電波探知器はきかず、音響による探知をするというようなことですから、これが非常に不正確である。ですから今度の潜水艦事故なんかが起こったわけですね。あれも私はわざと漁船にぶっつけたものじゃない、その方向探知とかそういう能力が非常にないからああいうぶっつけが起こったのだと思いますが、とにかく原子力潜水艦というものが、もしも起こるとすれば、そう起こっちゃいかぬことですけれども、来るべき大きな戦争、原子戦争を含む戦争の主力兵器になるということは私は言えると思うんです、少なくとも現状において。そして原子力戦争の場合に先制攻撃は非常に有利だとしますと、やっぱり原子力潜水艦を先制攻撃がどうして把握するかということが非常に攻める側の問題になるわけですね、これは当然。そうすると、やっぱり私は聞きたいことは、まあ寄港したっていいじゃないか、通過したっていいじゃないかという簡単な議論がありますけれども、むしろ地上兵器よりも敵側が重視するのは、相手側が重視するのは、むしろ水中を移動している兵器が重視されるわけですから、だから日本の非核三原則においていままでよりも最近の核戦争の考えられる実態を見ますと、原子力潜水艦とか、場合によっては航空機とか軍艦があるかもしれませんけれども、とにかく移動している、どちらかといえば捕捉しにくい、常に方向を決めてあれを撃つぞと決めている核基地よりも捕捉しにくいということはまあ言えると思います。ですから、もしも先制攻撃がある場合には、どういう理由にしろ核潜水艦等がしばしば瀞港するところはやはり先制攻撃の目標になる、こう思うわけですね。ですから、通過とかあるいは瀞港とかいう問題は、それが核潜水艦その他の核を積んだ水上兵器である限りは非常に先制攻撃の目標になりやすいわけですから、だから、移動とか寄港とかいう問題をいいかげんに考えてはいかぬと、いままでよりもですね。非核三原則の最後の部分をいいかげんに考えちゃいかぬというふうに思いますけれども、大臣はどう考えられますか。
#171
○国務大臣(園田直君) いまおっしゃった問題はきわめて大事に扱わなきゃならぬ問題だと思います。
#172
○宇都宮徳馬君 ですから、この非核三原則という場合の三番目の通過とか寄港とかいう問題はいいかげんに考えていいのだということは、これは私は成り立たぬと思いますね。大臣はどう考えられますか。
#173
○国務大臣(園田直君) これは非常に大事な問題だと考えます。
#174
○宇都宮徳馬君 非核三原則を重視するということは、結局現在のような核の破壊力としての比重がいよいよ高くなっている場合に、日本だけ逃れるというわけじゃないけれども、しかしながら日本の安全という上からいいますと、その核のかさの発射点というものは日本からはるか離れたところにいた方がいいということ、これは間違いないことです。それからアメリカ側のあるいはソ連側の戦略から申しましても、何も日本を攻撃する、あるいはソ連を攻撃する、アメリカを攻撃するという場合に、原子力潜水艦のようないわゆる戦略核兵器ですね、五千キロ以上の射程を持つような戦略核兵器は何も近辺にいる必要はないのですね、本当言いますと。だから日本はアメリカから守ってもらうのだから、だから日本の近辺に核潜水艦や何かがうろちょろしていなければ困ると、そうしなければ守れないということはないのであって、むしろこういうものが近所にあるということが核兵器の先制攻撃あるいは第二次攻撃の対象となり、日本が危険に瀕するということでありますから、こういう点も十分にお考え願って非核三原則を堅持していただきたい、こう思う次第です。
 もう一度伺いますが、非核三原則は日本の国民感情、国民の経験、日本の国民の平和への意欲というものを代表する一つの原則でありますから、今後いかなることがあってもこれは堅持さるべきものであると思いますけれども、ひとつ堅持に御努力を願いたいと、こう思いますね。
 それから、最近私が余り愉快な感じがしない言葉に、日米外交に通暁している人たちですね、たとえばライシャワーさんなんかそうですが、そういう人たちがいろいろ意見を言っていらっしゃる。それはもちろん自由なんですけれども、しかしそういう発言が相次ぐ中で、日本の言論機関なんかにしばしば使われる言葉であるけれども、あれは日本人の核アレルギーというものを、これを何とかなくそう、アレルギーなくそう、そのためにこう言っているのだというあれがありますけれども、これはちょっと困ると思う。日本人の核アレルギーを直すというような表現、そのためにアメリカ人あるいは日本人の一部が過去にあったかもしれない、これはいかに事前協議の対象であっても過去の古い、むしろお蔵入りの核兵器だから、まあ言わぬでいいだろうくらいで、核兵器がある時期に存続したというような事実を盛んに暴露している。そしてそれが日本人の核アレルギーを直すためだなんというのははなはだ困ると思うわけですが、大臣はそれについて、核アレルギー、それを直すためにいろいろな発露が行われていると、そういう評価が相当広く行われているわけですが、どう思われますか。
#175
○説明員(秋山光路君) ただいま御指摘の核アレルギーという言葉は被爆の惨禍を体験しました日本人の、国民の核に対します特殊な感情もしくは気持ちを表現したものと私どもは理解しております。したがいまして、政府といたしましてはこのような国民の感情、気持ちを十分踏まえまして非核三原則を堅持していきたいと、こういうふうに考えております。
#176
○宇都宮徳馬君 いま日本人の特殊な感情という言葉がありましたけれども、何も特殊ないいかげんな感情じゃなくて、あの広島、長崎に対する爆弾は、星条旗をつけたアメリカの飛行機によって落とされたのですね。落とされたのです。これは間違いない事実です。そういうものを日本人は知っているけれども、アメリカに対していまはもう、何にもそういう恨みは持ってません。これは間違いないのです。持ってないのです。持ってない一つの理由はどういうことかと申しますると、これはああいう悲劇を受けたけれども、日本人はこういう終末兵器の悲劇を最初に受けた。しかし、これをもう最終のものにしたい。日本人のみならず、他のいかなる民族にもそういう経験はさしたくない。これは一種の悟りですね。そういう悟りの心境であって、これは特殊な感情なんというものじゃなく、アメリカ人にも大いに理解してもらいたい、ああいう攻撃に対するきわめて正常な、人間的な、そしてしかもモラルな反応であるということですね。私はそういう認識が日本の政治あるいは外務省の交渉なんかにはっきりしない。はっきりしないからアメリカにもいろいろ誤解が生じて、核アレルギーを直すために自分のちょっとした戦略的都合のために日本人の核アレルギーを直してやろうなんて、ある意味じゃそんなことは不遜ですよ。不遜な感情が出るのだと思いますね。これは重要な問題ですから、外務大臣ひとつ答えてください。
#177
○国務大臣(園田直君) 核アレルギーという言葉は、われわれ同士が使うのはまだがまんができますが、外国の人から言われることは非常に私はいやな感じです。というのは、外国の人が言う核アレルギーというのは、原爆に、核に対して特別異常な精神状態で、思い出しても鳥はだが出るとか、何か特別な感情のように解釈をしておる。したがって、なし崩しにだんだんならしていけば核に対する恐怖がなくなるとか、体質改善とか、そういうところに何かおかしなことが出てくるわけで、核アレルギーではなくて、日本人の核に対する感覚というのは、現実に被爆をされて、しかもその被爆をされた惨害がまだ残っておって、それがいつまで続くかわからぬという現実の認識でありますから、体質改善とか話し合いを何回もやることによってなれるべき筋合いのものではない。本当の核の悲惨さというものは、やっぱりわれわれが世界の人類の人々に認識をさせなきゃならぬ。これはもう発言のとおりだと思います。
#178
○宇都宮徳馬君 そういう大臣がいま言われたような認識を日本の政治、外交がしっかり持つということですね。そして、そういう日本民族の唯一の体験からきた正常な反応というものをむしろ国際的に広げるという努力ですね。核アレルギーなんといって何か病人みたいにいいかげんにしてそいつを狭めてしまわないで、それをむしろ国際的に広げる努力ということが私は非常に必要なのじゃないかと思いますね。そういう努力がほとんどなされていない。実際言いますと、外交的努力というものが、これは日本の安全のためにも世界の平和のためにも非常に必要な努力であって、その努力というものはそうお金がかかるとは私は思いませんね。
 最近、日本に多くの人が来まして、そして広島あるいは長崎を見ていますね。たとえばローマ法王が広島に行った。その枢機官が長崎に行ったり……。そこで二人ともなかなかこれはいい演説をしていますよ。いいアピールをしています。それからマザー・テレサも行っていますね。ポーランドのワレサも行っています。それからデンマークの王女さんなんかも行っている。デンマークの王女さんは、日本に来て広島、長崎を見ないということは、これはほとんど意味がないということを言っているのですね。これもちょっと日本人から見ると残念なことだけれども、そういうことを言っていますね。ですから私どもは、わざわざ旅費を使っていろいろな人が日本に来て、あそこに来て、核兵器というものはもはや人類は絶対使っちゃいかぬ、何とかしなきゃいかぬと思って、みんな帰っていくのに、日本の政治というものがあの広島、長崎の惨害、人間が受けた惨害、災害をもう一度あるいはもう二度、どこかで繰り返しちゃいかぬということをはっきりさせるために、そういう高い道徳的な外交とも言えますけれども、そういうものを日本人の正常な広島、長崎に対する反応を背景にしまして、日本の外交がきわめて積極的に努力した事実がございますか、どうですか、園田外務大臣、承りたいと思いますね。
#179
○国務大臣(園田直君) 御発言のとおりに、これは世界に向かって真剣に訴えなきゃならぬと思います。国連における私の演説は、微力ではありましたが、その出発点だと考えております。
#180
○宇都宮徳馬君 たとえば、ここにいろいろ写真があるのですがね。これはわれわれは忘れちゃいけないです。われわれの同胞が単に死んだのじゃなくて、非常な苦しみを持って死んだのですからね。それで、ここにある写真の中に子供がたくさんいますよ。子供の悲惨な死骸や負傷の状態のがね。それから絵もあります。あの原爆というものは戦争のかっこ悪さといいますか、とにかく、かっこいいものじゃない。近ごろ若い者の中に、戦争はかっこいいぞなんと言うけれども、これは漫画みたいな戦争映画を見て言うんでしょうけれども、広島、長崎のこの民族体験というものが残したいろいろな写真、絵というものは、どのくらい非戦闘員が無残な死に方をするかということを示しているものですね。この中にありますが、とにかく十二、三歳の少女が、爆心の比較的近いところにいたんでしょうね、もう毛が逆立っちゃって、そして皮膚がたれ下がって、そしてなお歩いている。ですから、これは即死じゃなくて、大変な苦しみのうちに死んだという、こういう多くの絵や写真があるのですね。ですから、その事実というものを日本人は、世界の日本の政治、特に政治はそう金が要るものじゃないからそういうものをもっと世界に知らせる責任、特にアメリカ人に知らせる私は責任がある。アメリカ人は自分の国が戦場になったことないです、南北戦争とか独立戦争以外に。ですから戦争の、特に非戦闘員の悲惨さに対する知識がないから、強いアメリカだとかなんとか言っているんだけれども、それこそ強いばかりが男じゃないのであって、日本のそういう経験というものをアメリカあたりによく知らせて、そしてアメリカの政策というものに対して、これは変な政策をすれば必ずアメリカに打ち返すのですから、もしアメリカの友人であるならば特にアメリカ、それから、ヨーロッパは比較的知っているのですが、世界の各国に日本の外交がこの三十年前の悲劇というものを、いまや核戦争が再び起こるなんと言われておるときですから、これを広く周知せしめる。広く知らしめる。原子戦争をやればこんなことになるんだぞということを知らしめる努力をもっと積極的にされる、具体的なことはともかくとしましてね。たとえばあちこちで展覧会を開くのもいいことですね。日本国民にも知らせる必要がありますね。知らせる努力をされたらどうかと思いますが、そういうことに対して具体的な計画をお立てになる御意思があるかどうかということを承りたいと、こう思います。
#181
○国務大臣(園田直君) これは私の方だけでございませんが、関係各省と相談をして、そういうことは必要であると考えますから、検討いたします。
#182
○宇都宮徳馬君 もう時間が参りましたのですが、私は園田演説というものは非常にりっぱな演説だと思います。これは世界で評価されている。そういう外務大臣もおられるのだから、外務省でもぜひひとつ積極的に取り扱っていただきたいと思いますね。よろしくひとつ御尽力をお願いいたします。
#183
○山田勇君 アメリカのレーガン政権が発足して以来、日米自動車摩擦、原潜衝突問題、日米共同声明に絡むトラブル、また日米合同演習によるはえなわ漁の漁網切断、そしてライシャワー元駐日大使の核にまつわる発言、それに付随した関係者のそれぞれの証言、これら一連の事件が短時日の間に日本国民の前に出てきたわけですが、何か意図的なものすら感じているという国民も少なくないと思うのでありますが午前中の質疑の中にもそういうお話がございましたが、日米の間に何が起こり、これから何が起ころうとしているのか、これは漠然とした質問ですが、新しい任務につかれた園田外務大臣の率直な、現在の諸般の状況についての心境などを聞かしていただきたいと思います。
#184
○国務大臣(園田直君) 御承知のごとく日米関係は日本外交の基軸であり、また安保条約というものが一つの基盤になっております。したがいまして、関係が深ければ深いほどいろいろ日米間の間に問題が対立したり、起きてきたりすることは事実でございます。
 しかし、何といっても日本の外交は、国際的な平和と安定の中に日本の平和がある。しかも、国際平和というものはアジアの平和と安定の中にある。これも大原則でありますから、日米の関係も目の前に起こるいろいろの問題の処理に引きずられることなしに、大筋においてやはりパートナーである米国自体が、世界の平和と安定の方向に協力するような方向に持っていくことが日米間の基本的な、大事な問題だと考えております。
#185
○山田勇君 ライシャワー発言、またはジョンソン元国務次官の発言の内容は日本国民に大きなショックを与えていますが、一面やはりああそうであったのかという気持ちを持った人も多いと思うのですが、まあ常識的に言って、アメリカの艦船が日本の領海に入るとき核を何かに積みかえ、領海を出るとき再び核を積み込むというようなことはちょっと常識では考えられません。米国は核の所在を明らかにしない方針である以上、核の持ち込みについて確かめようもなく、非核三原則の堅持を表明するしか方法がないと思うのですが、昭和四十九年十月のラロック証言のときにマクマホン法を盾に明言を避けたわけですが、アメリカのこのマクマホン法とはどういう内容のものですか。
#186
○政府委員(淺尾新一郎君) これは一言で申し上げれば、原子兵器の設計、製造あるいは使用、それから特殊核物質の生産または使用に関する秘密資料の指定解除等の手続、あるいは秘密資料の移転の条件や手続について定めているものでございます。
#187
○山田勇君 アメリカに次いで、当然予想されたことですが、欧州共同体の、いわゆるECが日本車の輸出規制を求めているようですが、ECの外相理事会は五月十九日、ブリュッセルで、日本政府との交渉で対米自主規制並みの誓約を日本から取りつけたいというEC委員会の方針を承認したと報じられておりますが、六月一日に天谷通産審議官がブリュッセルに行き、ECとの高級事務レベル会談で自動車問題などが討議されるようですが、日本から昨年一年間にECに輸出されたのは七十四万四千八十二台で、そのシェアは八・九%と聞いておりますが、日本側としては対米措置と同じようなケースの解決方法、自主規制の考え方で臨むつもりなんでしょうか。これはアメリカともいろいろな状況が違うと思うのですが、いかがですか。
#188
○国務大臣(園田直君) 自動車の問題、いまECの財界人と日本の財界人と詰めているところでありますが、私の考えでは、こういう貿易問題は早くあわてて政府が乗り出すべきものではない。自由主義陣営のわれわれはパートナーでありますから、やはり財界人自体が話し合って、大体粗筋が出たところで政府が調停に乗り出すべきであると、こういう考え方でおります。
#189
○山田勇君 ソ連のアフガニスタンへの軍事介入に対して、アメリカが西側諸国に対して対ソ制裁を呼びかけたのは昨年の一月でしたが、その呼びかけ人であるアメリカが穀物禁輸の解禁に踏み切り、また西ドイツ、フランスなどは抜け駆け的な商談の横取りなどで、忠実に対ソ制裁を守っている日本をしり目に漁夫の利を得ていると言われておりますが、事実、先進資本主義国の中で対ソ貿易高ではずっと二位を占めておりました日本が、八〇年には五位に下がり、ソ連における多くの立場を失ったとされておりますが、アメリカが方向転換を図っているのに、ソ連軍は撤退しない限りアフガニスタン情勢に変化はないとし、対ソ制裁を続けるのは日本の国益にとってプラスかマイナスか、どういうふうにお考えになっておられますか。
#190
○国務大臣(園田直君) 昨年の対ソ輸出は二十七億八千万ドルで、前の年に比べて一二・九%伸びを示しております。そこで、この対ソ制裁措置といいますのは、なかなか現実には慎重に考えてやらないとむずかしい問題でありまして、日本だけが対ソ制裁、対ソ制裁と騒いでみたって、ソ連の側から言えば痛くもかゆくもないと言わざるを得ない。そして、やっているうちにほかのところがぼこぼこぼこぼこ抜けてきたら、これこそ大変なことになるので、そこはやはり自由主義陣営で足並みをそろえてソ連に対する抑止力を発揮することば大事でありますけれども、余り日本が制裁だ、制裁だと言ってひとりでわあわあ気勢を上げることは私は危険だ、よその国々とよく相談をしながら、横を見ながら足並みをそろえていくことが大事だと、こう思っております。
#191
○山田勇君 最後の質問になりますが、原潜衝突事故についてお尋ねをいたします。
 この事故は、アメリカ側の一方的なミスということで補償問題も解決に向かって進んでいるとは考えますが、もちろんこれは金銭問題だけで済む問題ではありませんが、私は先般の当委員会で前外務大臣の伊東さんに、乗組員などの損害賠償について、その交渉相手が外事紛争処理委員会であるのか、それとも所管であるレーマン海軍長官の決裁で直接交渉をやるのか。外務省として、この問題については積極的に関与していっていただきたいという意味の発言もしたわけですが、補償問題の早期解決に努力するようにアメリカ海軍当局の方に何らかの形で要請をしたことがございますでしょうか。
#192
○政府委員(淺尾新一郎君) すでに国会等でも再三御答弁しておりますけれども、わが方としてもこの補償問題は補償問題として早期にかつ公平に解決してほしいということを再三アメリカ側に申しておりますし、アメリカ側も補償問題については責任を持って早急に解決するということを明言しております。すでに山田委員御承知のとおり、在日米海軍司令官が窓口になって、現在、関係乗組員を代表する日本側の弁護士さんとアメリカ軍当局との間でこの解決のための話し合いが行われているということを承知しておりますし、外務省としてはその必要に応じていろいろな御照会に対して御助言をしてきているわけでございます。
#193
○山田勇君 いいです。
#194
○委員長(秦野章君) 以上で質疑は終局したものと認めます。
    ―――――――――――――
#195
○委員長(秦野章君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、中山太郎君が委員を辞任され、その補欠として高木正明君が選任されました。
    ―――――――――――――
#196
○委員長(秦野章君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、国際電気通信衛星機構の特権及び免除に関する議定書の締結についての承認を求める件の採決を行います。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#197
○委員長(秦野章君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、条約法に関するウィーン条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#198
○委員長(秦野章君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、業務災害の場合における給付に関する条約(第百二十一号)付表1(職業病の一覧表)の改正の受諾について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#199
○委員長(秦野章君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#200
○委員長(秦野章君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#201
○委員長(秦野章君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 国際情勢等に関する調査のうち、外交及び安全保障に関する件について内閣委員会及び安全保障特別委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#202
○委員長(秦野章君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#203
○委員長(秦野章君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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