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1980/05/27 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 法務委員会 第8号
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1980/05/27 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 法務委員会 第8号

#1
第094回国会 法務委員会 第8号
昭和五十六年五月二十七日(水曜日)
   午後一時四分開会
  ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     宮本 顕治君     山中 郁子君
  ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木 一弘君
    理 事
                大石 武一君
                上條 勝久君
                寺田 熊雄君
                藤原 房雄君
    委 員
                臼井 莊一君
                平井 卓志君
                真鍋 賢二君
                円山 雅也君
                八木 一郎君
                瀬谷 英行君
                丸谷 金保君
                山中 郁子君
                中山 千夏君
   政府委員
       法務大臣官房長  筧  榮一君
       法務省民事局長  中島 一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥村 俊光君
   参考人
       東京大学法学部
       教授       竹内 昭夫君
       東京商工会議所
       商事法規委員会
       委員       星野  孝君
       日本監査役協会
       会長       中野 拙三君
       日本公認会計士
       協会会長     中瀬 宏通君
       日本税理士会連
       合会専務理事   四元 正憲君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○商法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係
 法律の整理等に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十六日、近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として宮本顕治君が選任されました。
 また、本日、宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として山中郁子君が選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(鈴木一弘君) 商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を、便宜一括して議題といたします。
 本日は、両案審査のため、参考人として東京大学法学部教授竹内昭夫君、東京商工会議所商事法規委員会委員星野孝君、日本監査役協会会長中野拙三君、日本公認会計士協会会長中瀬宏通君、日本税理士会連合会専務理事四元正憲君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 本日は、ただいま議題といたしました両案につきまして、それぞれの立場から忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じます。
 これより参考人の方々に順次御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方から順次それぞれ十分程度で御意見をお述べいただき、その後委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず竹内参考人からお願いをいたします。竹内参考人。
#4
○参考人(竹内昭夫君) 御紹介いただきました竹内でございます。
 まず私は、今次の改正が求められるに至りました要因と申しますか、それからごく簡単に申し上げたいと存じます。
 まず第一は、昭和二十五年の会社法の大改正以来、部分改正、緊急改正を積み重ねてきたわけでございますが、この際、会社法の全面的あるいは根本的見直しを行うべきではないかということが、かねてから立案関係者の間の通説的な意見になっていたということがございます。すなわち、戦後の会社法立法作業が求めるいわば内在的な要請として今回の根本改正、全面改正が求められるに至ったということでございます。
 第二は、直接の政治的な要因といたしまして、昭和四十九年の商法改正の審議を終えるに際しまして、衆参両院の法務委員会において根本的な諸問題を列挙した上で、それらを含む全面的な改正作業を行うべきであるという附帯決議がなされておりますことは、御承知のとおりでございます。
 第三のいわば社会的要因といたしましては、昭和四十七年ごろから企業、特に大企業の反社会的な行動に対する批判が高まってまいりまして、企業の社会的なあり方、その使命をめぐりまして、多くの真剣な議論がなされてきたということが挙げられようかと思います。
 これを要しまするに、今次の改正は、かねてから必要と考えられてまいりました全面改正、根本改正としてスタートしたわけでありますが、その方向づけをいたしましたのは、先ほど申し上げましたような企業のあり方をめぐる社会的な関心の高まりということを背景として行われた国会の附帯決議であったということが申せるかと思います。
 しかし、今回の法案は、当初予定しました改正の課題のうち、企業結合と、それから大小会社の区分及び最低資本金制等の問題はいわば積み残しになっております。それは御承知のように、一昨年春、航空機疑惑事件のような事件の再発を防止するために、それのためにも会社法改正を急いでほしいという政府からの要望にこたえまして、それまでに試案として発表していた株式及び機関の部分に、当時審議中でありました計算・公開の部分を加えまして、早急に要綱を取りまとめることに方針を変更したからでございます。私はこの方針変更に賛成をいたしました。
 その理由と申しましては、第一に、企業の不正経理の防止のためにも、まとまった問題はなるべく早く実現した方がいいというふうに考えられる点が一つ。それから第二に、これらの問題は審議課題のうち相当重要な部分を占めておりまして、それについてある程度まとまった案があるとすれば、これをいわば全面改正の先取りとして実現する方が望ましい、これが第二の理由。第三の理由は、政府におかれましても、それから世論においても、商法改正をやはり実現すべきであるという声が高まっておるときにそれを実現する方が、迅速に行うことができるのではないかと考えられる。これらがその理由でございます。
 そして、昨年十二月末に、商法部会は六年余りにわたりまして審議した結果をまとめた要綱案を決定いたしました。そして、それがそのまま本年一月二十六日の法制審議会において要綱として決定されたわけでございます。その後、法案の起草段階におきまして、要綱に対する一部の反対意見との妥協が試みられました。一たん要綱として決定されましても、立案段階におきまして技術的な問題等についてはなお手直しの必要が出てき得るであろうということは、これは私も認めるにやぶさかではありませんけれども、基本的な問題については国会審議の場で修正されるということは当然のこととして、要綱から立案、起草の段階で要綱を改めるということはいかがなものかと私は考えないわけではございませんけれども、しかし、全体として考えた場合、今回の改正案が会社法の現代化という課題に向けての大幅な前進であるということは、これはどなたもお認めになるところではなかろうかと存じます。その意味で私は、この法案の今国会における成立を強く希望するものでございます。
 そのことは、先ほど申しました今回の改正法案に積み残しとなっている課題の大小会社の区分の問題につきましても、それから企業結合の問題につきましても、非常に大きな、かつ解決困難な問題でありますだけに、このような積み残しの問題に真剣に、かつ早急に取り組むことができるような体制をつくるためにもぜひ必要なことではなかろうかと。かように考えておるものでございます。
 次に、法案の内容につきましてはすでに御承知のことでございますので、ここでは私の受けとめ方について、ごく概略の点を申し上げるにとどめさせていただきたいと存じます。
 法案は、株式、機関、計算の三つが大きな柱でございまして、そのほかに新株引受権付社債に関する規定がつけ加わっておりますが、第一の株式につきましては、投資単位の合理化のために、新設会社が設立に際し発行する株式の発行価額を最低五万円と定めるとともに、上場会社につきましては単位株制度を採用いたしまして、いわば段階的に株式併合を行うということにしております。単位株という制度が従来なじみのないものであるためもございまして、一部にはこれについて批判的な意見もあるようでございますが、私は、株式併合、これは現行法も認めているところでございまして、これを一挙に強制するよりは、段階的に株式併合を実現する大株という制度の方が、はるかに賢明な措置であるというふうに考えておるものでございます。
 第二の機関につきましては、まず株主総会につきまして、一方においては取締役等の議案説明義務、株主提案権、それから大会社につきまして書面投票制度といったものを採用いたしまして、形骸化しているという批判のあります株主総会のいわば活性化を図ると同時に、他方におきましてわが国特有の、そしてまた、多年の積弊をなしてまいりました総会屋を根絶するための多面的な措置を講じております。総会屋の根絶ということは、今次改正の最大のねらいの一つではないかと私は考えております。取締役会につきましては合議制の強化を図り、監査役につきましてはその権限の拡大を図るとともに、報酬費用等の規制によりまして、その独立性の保障を強化し、また特例法上の大会社につきましては複数監査役制、常勤監査役制を採用いたしまして、監査の充実を図ったことも、適切なことではないかと考えております。
 会計監査人監査を強制される特例法上の大会社の範囲を資本金五億円以上の会社または負債総額二百億円以上の会社としたことも、要綱よりは後退しておりますが、しかし、監査の充実強化という点で現行法よりも大きな前進を示しておるものでありまして、少なくともこの程度の改正はぜひ必要と考えております。上場基準は資本金二億としている取引所もあることからわかりますように、資本金五億の会社といえば、れっきとした中堅企業でございまして、多数の従業員を抱えているだけではなしに、子会社、関連会社、下請というような形で、それに頼っている企業関係者は非常に多いわけでございます。そういう会社にとりましては、会計監査人監査を受けるという形でいわば定期的な健康診断を受けるということは、その社会的責任という点からしても当然のことではなかろうかと私は考えております。
 計算につきましては、株式の発行価額のうち資本組み入れ額をふやしまして、間接的ではございますが株主に対する配当の増加をねらっておりますし、利益留保性引当金を排除する趣旨で条文を改めるとか、あるいは大会社の営業報告書、監査報告書の記載事項を法務省令で定めることを明らかにするという形で、開示の強化を図っております。
 この省令で定めるという事項を、計算の試案におきまして参考意見として示してあったわけでございますが、それが今回の要綱に出ていないということをもって、これは後退であるというような意見も一部にあるやに伺っておりますが、しかし、これは最初から省令で決めるということを考えているものでございまして、それが後退という結果になるかどうかということは、今後の商法部会の審議を経て省令が決まる段階で答えが出てくるところであろうと存じます。
 その意味で、どいう内容が望ましいのかということにつきまして、国会の審議を通じて御意見を承ることができれば、私どもとしても十二分に参考にさせていただきたいものだと、かように考えております。
 最後に、新株引受権付社債は、多額の外貨建て債権を有するに至ったわが国の企業が、為替リスクをヘッジする手段として経済界がその創設を要望したところでありまして、私はこれまた、合理的な改正ではないかと考えております。
 私としましても、個々の問題についてはもちろん個人的な意見がないわけではございません。しかし、以上のように全体として見た場合にはかなり大幅な前進でありまして、かつ次の課題に取り組む体制を整えるためにも、この改正の実現はぜひ必要なことと考えております。
 その意味で、重ねて法案の成立を強く希望するものであるということを申し上げまして、私の意見の陳述を終えさせていただきたいと存じます。ありがとうございました。
#5
○委員長(鈴木一弘君) ありがとうございました。
 次に、星野参考人にお願いをいたします。星野参考人。
#6
○参考人(星野孝君) 東京商工会議所の商事法規委員会の委員をいたしております星野でございます。本日は、参考人として商法等一部改正法案につきまして意見を述べる機会を与えていただきましたことに感謝しております。
 皆様すでに御存じのように、商工会議所と申しますのは、法によって設立運営されております地域を基盤とした総合経済団体でございます。つまり、その地区の六ヵ月以上営業を行いました商工業者が、一定の欠格要件さえなければ、だれでも業種、規模のいかんにかかわらず会員になれるという組織でございます。この意味で、商工会議所というのは地域の総合経済団体ということで、他の経済団体とは異なったところがございます。
 東京商工会議所と申しますのは、東京都の二十三区を地域とする商工会議所でございまして、ただいま申し上げましたような性格からして、現在までも会社法の改正が行われるというような場合には、常に関係方面に意見を提出、建議いたしてまいりました。今回の法案につきましても、法務省民事局試案等が発表されまして、これに対する意見を求められる都度、商工会議所の中にございます商事法規委員会が中心となりましてこれを検討し、その都度意見、要望を行ってまいった次第でございます。
 今回の法律案を拝見いたしますと、私どもがこれまでに提出いたしました意見、要望の、もちろん全部ではございませんが、ほとんどが少なくとも大筋において認められておりますので、私どもとしてはこの改正案に賛成でございます。
 ただ、この機会でございますので、関連と申しますか、二つばかり意見を述べさせていただきたいと思います。
 その第一は、企業内容の公開。ディスクロージャーと言われておりますが、この点についてでございます。
 今回の改正は、企業の経理、業務の内容の開示を充実強化することを一つの眼目としておりまして、そのため営業報告書、附属明細書の記載事項を広げるということになっております。この方法としては省令によることになっておりますが、いずれにしてもこういった方向で考えられていると思います。
 こうした改正の目的が、株式会社における粉飾決算や取締役の不正行為の発生を防止しようとすることにございますことはよく承知しておりまして、この方向についてはもちろん賛成でございますが、ただ、その範囲あるいは方法に慎重を期していただきたいということをお願いいたしたいと思います。よく実情を検討いたしまして、必要な開示はどこまでも求めますが、そうでないものにつきましては、やはりいろいろと問題の起きる可能性がございますので、特に中小企業の場合につきまして十分の御検討をお願いいたしたいと思います。
 第二掛目は、会社の大小の区分の問題について申し上げます。
 今回の改正は、その当初、会社関係の諸問題を全面的に検討した上で行う予定であったと思いますが、先ほど竹内先生からもお話のありましたように、一昨年でございますか、企業の不正行為の問題が起きたのを契機といたしまして、それまでに検討をいたしました問題、株式会社の機関とか計算・公開、さらに株式という問題の範囲で検討する立法を進めることとなり、大小区分の問題は検討をすることなしに、いま申しましたような点で法案をまとめてまいったように伺っております。
 その結果、この大小区分の問題につきまして、先ほどちょっと申し上げました、たとえばディスクロージャーの問題でも、中小企業と大企業との間に配慮をお願いしたのでございますが、それだけでなしにいろいろの問題が出てくると思います。両者を区別する必要がありますと同時に、両者の区別をどのようにするかということにも、また問題があるのではないかと思います。
 最初に申し上げましたように、商工会議所は総合経済団体でございまして、いろいろな規模の会社を会員といたしております。したがいまして、いま申した点につきまして十分実情を調査され、十分な検討を行われました上で、各規模の会社に適当な立法を早く行っていただくようお願いいたしたいと思います。
 以上で私の意見を終えさせていただきます。ありがとうございました。
#7
○委員長(鈴木一弘君) どうもありがとうございました。
 次に、中野参考人にお願いをいたします。中野参考人。
#8
○参考人(中野拙三君) 社団法人日本監査役協会の会長を務めております中野拙三でございます。監査役の立場から、商法等の一部を改正する法律案について意見を申し上げます。
 今回の商法等の改正につきましては、改正の経緯から見て、会社の自主的な監視機能を強化し、その運営の一層の適正化を図られようとしておるものと評価いたしております。特に、企業のディスクロージャーの強化と監査制度の強化は、自由経済体制を維持するための時代の要請であると存じます。
 わが国の監査役制度は、昭和四十九年の商法改正によって大きくその職務権限が強化されましたが、この新しい監査制度は、その後、漸進的ではありますが、堅実にわが国の会社に定着しつつあると言えます。その最も著しい変化は、個々の会社において、監査役に選ばれる人が変わってきたということであります。従来の監査役に比べて、実力と気力と意欲の強い監査役が選任されるようになってきております。新しい監査役は、次第に企業内部の監査機関としての信頼を持てるようになりつつあると考えられます。
 これは主として、多くの会社において取締役である社長が、昭和四十九年の商法改正の精神を理解して、みずからの会社内に新しい監査体制を築いていこうという考えのあらわれであると存じております。
 各会社の監査役は、商法改正以来、日本監査役協会を中心といたしまして熱心な研修及び研究に励んでおります。そして、多数の会社においては、自主的な監査役監査規程を制定し、監査のルールを社内に定着させるとともに、職制を改正して監査役室あるいは監査部などの監査役スタッフ部門を設け、監査実務の充実を図っております。
 このような監査の実態から見て、監査役の常勤制は絶対に必要であると思われますが、今回の改正法案において常勤の監査役の選任を義務づけようとされているのは、このような実情の上に立って立案されたものと存じます。今後、さらに監査役制度が十分に機能するためには、会社の経営執行体制、ディスクロージャー、監査体制とがそれぞれ相互に関連を持って構成せられることが必要であると思われますので、今回の法案のような総合的、根本的な改正は、監査役の立場からも、一日も早く成立することを希望いたします。
 次に、法律案の内容について若干の意見を述べさしていただきます。
 監査役の関係については、昭和四十九年の商法改正で積み残された事項の改正、それから会社の機関及び計算の改正に伴う監査制度強化のための改正、及び昭和四十九年改正後の監査の実態の見直しによって改正を必要とされた事項の改正等が法案の内容として立案されており、いずれも望ましい方向への改正であると存じます。
 急見の第一として、監査とディスクロージャーの関係につきましては、申すまでもなく密接な関係がございますので、監査体制を強化するためには企業内容の開示制度も強化すべきであると思われます。したがって、営業報告書、附属明細書、監査報告書などの記載事項につきましては法務省令で定められると聞いておりますが、それらの具体的な記載事項を定められるに当たりましては、監査役の意見もぜひ考慮していただけるように御配慮をお願いいたします。もし、会社が開示を避けるような事項について、監査報告だけに依存するような改正は不適当だと思われます。たとえば、会社がする無償供与の問題などは、取締役が開示をした上で監査を行うのがよろしいのではないかと考えます。
 意見の第二としましては、監査特例法の改正法律案によりますれば、二人以上の監査役と常勤の監査役の選任が義務づけられておりますので、監査役の員数は平均していま以上に増員されるものと思われますが、今後は監査役相互間の連絡協議がますます必要になってくるものと思われます。現在においても、監査役会を設置して、監査役相互間の連絡協議を制度化している会社も多く見受けられますが、監査役制度の強化の一つとして、今後、監査役会の法定化について御検討くださることを希望いたします。
 意見の第三としまして、監査役の子会社に対する監査に関しましては商法第二百七十四条ノ三の規定で、必要あるときは調査することができるということになっておりますが、解釈としては、何か問題が生じなければ子会社の監査はできないという意見がございます。また、海外の子会社に対しては監査役の権限は及ばないという意見が強いようであります。しかし、今日の企業活動を見ますれば、国の内外を問わず、子会社に対する監視機能の強化が必要なことは、最近報じられました会社事件などを見ましても明らかなところであります。そこで、監査役の子会社に対する監査権の強化についても、立法化が必要かと思われます。
 最後に、監査特例法の改正につきましては、会計監査の充実と会計監査人の独立性の強化が図られているものと存じますので、望ましい改正であると思われます。監査役としましては、会計監査人の独立性と監査役からの会計監査人に対する信頼性の向上が必要と思われますので、日常の業務の上でも両者が互いに連絡をとりながら研究を重ね、一段と監査実務の充実と向上を図る所存でございます。
 以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
#9
○委員長(鈴木一弘君) どうもありがとうございました。
 次に、中瀬参考人にお願いをいたします。中瀬参考人。
#10
○参考人(中瀬宏通君) 日本公認会計士協会会長の中瀬宏通でございます。本日、参考人として意見陳述の機会が与えられましたことに、心から感謝申し上げます。
 さて、現在御審議中の商法等の一部を改正する法律案につきましては、昭和四十九年の商法改正案審議の際、本参議院におきましての「企業の社会的責任を全うすることができるよう、」「所要の法律案を準備して国会に提出すること。」との附帯決議に沿ったものであり、また、昭和五十四年九月発表されました航空機疑惑問題等防止対策協議会の提言の趣旨にも合致しておりますので、日本公認会計士協会といたしましては、基本的に賛成であると、まず申し上げます。
 しかし、このことは、私どもが一〇〇%満足しているという意味ではございません。と申しますのは、私どもは本年一月二十六日に発表されました法制審議会の答申に全面的に賛成の立場に立っておりましたが、その後、法案として提出されましたものは、その趣旨が若干後退している感があるからでございます。しかし、私どもが自己の主張を繰り返しているだけでは、改正の成立の妨げになるばかりでございます。
 そこで、現在提出されております改正案でも相当の前進であると判断し、基本的に賛意を表することといたした次第でございます。したがいまして、この法律案は納得できるぎりぎりの線でありますので、これ以上後退することなく、今国会において成立することを心から念願するものでございます。
 次に、私どもに特にかかわりのあります監査特例法改正案のうち、幾つかの条項について意見を申し述べさせていただきます。
 まず第一は、第二条に規定されております会計監査人の監査の対象となる会社の範囲についてであります。法制審議会の答申にございました売上高基準が削除され、また、負債額基準が百億円から二百億円に修正されましたことは、債権者保護の観点からはなはだ遺憾に存じております。なお、資本金五億円は、法制審議会答申そのままの唯一の基準であり、本則にすでに盛られておりますので、この点につきましては、負債額基準とともに、これ以上決して後退することのないよう切望する次第でございます。また、資本金一億円から五億円までの会社につきましての任意監査規定が削除されました点は、提言におきます自主的監視機能を強化促進させるという趣旨にかんがみましても、まことに遺憾に存じております。
 第二番目は、第三条に規定されております会計監査人の選任についてでございます。公認会計士はアメリカにおきましてはサーティファイド・パブリック・アカウンタント、通称CPAと呼ばれております。職業の名称の中にパブリック、すなわち、公共のためにという名称が付されている点でもおわかりいただけると存じますが、CPAは公益的見地から社会一般のために尽くすということを使命としている職業でございます。わが国の公認会計士という名称も、公に認められたということばかりでなく、公共のために尽くすという意味も含まれていると私は理解しております。
 私どもは、常に公正不偏の立場に立ち、適切な監査を実施し、社会の信頼にこたえ得る監査意見を表明することを職業的使命としております。この使命に反し、独立性を喪失して、社会の信頼を失うような行動をとったとすれば、私どもの職業をみずからの手で滅亡に導くものと、すべての公認会計士が深く自覚しているところでございます。
 協会におきましても、多くの施策を適時適切に行ってまいりましたが、近年におきましては、法定監査実施要綱を抜本的に改正した組織的監査要綱を制定し、さらに各会員の監査の実施状況を監視する機関として監査業務審査会を設けるなど、監査水準の向上に努め、独立性の強化を図ってまいりました。
 このように、私どもは常に独立性を堅持すべく、会員、協会ともども一丸となって努力を重ねているところでございます。したがいまして、本来的には選任母体がどう変わろうと、会計監査人の独立性の維持には影響ないものと考えております。しかしながら、株主総会で選任されるようになりますことは、会計監査人の地位をさらに制度的に強化するものとして賛意を表する次第でございます。
 第三番目は、第四条の会計監査人の資格に関する条項でございます。ここで、法制審議会の答申にはありませんでした会計監査人の業務制限に関する条項が第二項として新設され、同時に第七条第五項で、監査補助者についても同様の規定が設けられました。公認会計士の業務制限規定は、公認会計士法第二十四条を基本規定といたしまして、政・省令により厳しい規制が行われておりますので、必要ないものとして、監査特例法におきましては特段の規定はありませんでした。しかしながら、今回、会計監査人の独立性を監査特例法におきましても明確にする必要があるとの理由から、この条項が新設されたのでありますが、まさに屋上屋を重ねるものであり、私どもは必要ないと判断しているのであります。
 ただ、私どもは、いささかでも第三者から、依頼人と特別の利害関係があると疑われるようなことは避けなければなりませんので、あえて拒むことをいたさなかった次第でございます。
 最後に、第十六条の計算書類の定時総会における取り扱いについてでございますが、今回の改正案では、会計監査人が適法意見を述べ、監査役が会計監査人の監査を相当であると認めた場合には、計算書類の確定を取締役会の権限とし、定時総会には報告要項とすることとされております。これは、会計監査人の選任規定と表裏一体の関係にあり、株主個々が専門的かつ技術的な計算書類の内容の適否を判断することはむずかしいとの考えから、その適否の判断を会計の職業的専門家である会計監査人の手にゆだねたものと考えられます。この改正によって、会計監査人の職責がさらに一段と重くなると痛感いたしております。
 私ども公認会計士は常に不断の努力を重ね、協会もまた適切な監査が実施されるよう常々会員を指導してまいりましたが、法律が改正されました暁には、さらに一層監督機能を強化して、万が一にも法の期待を損うことのないよう努力することをお誓い申し上げ、第十六条の改正案に賛成であることを申し上げたいと思います。
 以上、私どもに直接かつ深く関連する条項について意見を申し述べさせていただきましたが、今回の改正により、会計監査人はさらに一段と重い責任を負うことになると受けとめており、協会も独立性の維持、監査の充実にいままで以上に努め、公認会計士一同、わが国経済の発展に多少なりとも裨益したいと念願しておりますので、先生方にも今後とも御理解を賜りますようお願い申し上げ、私の意見陳述を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#11
○委員長(鈴木一弘君) どうもありがとうございました。
 次に、四元参考人にお願いをいたします。四元参考人。
#12
○参考人(四元正憲君) 日本税理士会連合会専務理事の四元でございます。本日、このような機会を与えていただきましたことを、まず御礼申し上げます。
 ところで、いままでの参考人の御意見は、お四方とも法律案に賛成の方向でございます。ひとり私だけが、真っ向から法律案に反対の御意見を申し上げることになります。反対するからにはそれらしい理由を申し上げなければなりません。また、日税連の――日税連と申しますのは、日本税理士会連合会の略称でございますが、内部事情はいろいろと複雑でございます。その複雑な内部事情についても触れさしていただきたいと思います。それやこれやで、若干時間が超過いたすかもしれませんけれども、お許しいただきたいと思います。
 日税連は、全国十四の税理士会の連合体でございます。税理士業界の組織は、いわば二重構造ということになっております。したがって、税理士業界の意思集約には手間暇がかかる、慎重を要するということになります。しかし、幾ら慎重を尽くしましても、どうしても少数異説が出てまいります。少数異説が行動に出れば、分派行動というわけでございますが、税理士業界の現在の体質かもしれません。民主的と言えばそれまででありますが、外部からごらんになりますと、税理士業界がまとまっていないと見られるおそれがございます。
 そういうわけで、日税連としましては、税理士業界の意思集約にはずいぶんと気を使います。今度の商法等の改正に際しましても、三月二十四日法律案が衆議院に提出されました翌二十五日、日税連は商法対策実行本部正副本部長会というのを招集しまして、今後の対策を協議いたしました。この商法対策実行本部正副本部長会といいますのは、日税連の会長、専務理事、全国の税理士会の会長、それから日本税理士政治連盟の会長、各地の税理士政治連盟の会長といったメンバーでありまして、いわば税理士業界の各会代表の集まりでございます。そこで、今後の商法対策を真剣に検討いたしました。
 なぜ、この会議を招集したかといいますと、一月二十六日法制審議会から法律案要綱が出ましたときには、これはひどい、日税連の意向は全然無視されているということで、部内の意見が相当硬化いたしました。その後、おかげさまで、法制審議会の要綱を大幅に修正していただいた法律案ができまして、それが国会に提出されました。と同時に、基本問題構想というのが自民党筋に浮かび上がってまいりました。基本問題のことについては後ほど申し上げます。つまり、情勢の変化でございます。日税連執行部だけで対策を決めないで、各税理士会、それから政治連盟の意向も聞いて対処しようということでございます。
 この会議の席上、一、二の人は、例の資本金基準の引き下げの点につきまして、玉砕覚悟で十億円をがんばるべきだ、日税連ががんばった結果、国会審議が長引き廃案にでもなればもうけものだという強硬論もあったわけでございますけれども、そのほかの二十人以上の出席者は、だれもこれに同調いたしません。玉砕戦法はだめ、基本問題の方が大切だ。資本金基準を十億から五億に下げることは、もちろん反対だけれども、余り五億、十億の問題にこだわって反対運動をやり過ぎると、せっかく基本問題が自民党の中で――ここでちょっとお断りいたしますと、三月二十五日といいますのは、二十四日法案提出の翌日でありますから、まだ基本問題のことは自民党の方々とだけしかお話ししておりません。基本問題のことを各野党の先生方にお願いしたのは、その後のことでございます。
 とにかく、この三月二十五日の時点では、自民党の中で、この法律が上がった後で基本問題をやってやろうということになっているのがぶっ壊れてしまっては大変だ。そして基本問題の件は、ぜひとも国会の附帯決議に取り上げていただきたいと、こういう意見がほとんどでございまして、三月二十五日の会議はこのように決定いたしたわけでございます。以後、日税連と日本税理士政治連盟は、この線で各党の先生方にお願いしているわけでございます。また、四月二十一日には、日税連の常務理事会というのを開催いたしまして、この方向を了承いたしました。
 ここで、基本問題のことについて申し上げます。
 日税連は、基本問題とは次のようなものだというぐあいに部内に説明しております。
 一が、会計監査人の独立性の問題であります。二が、会計監査の事後審査制の問題であります。三が、会計監査人と税理士業務のかかわり合い、すなわち職域上の調整の問題であります。四が、公認会計士と税理士の制度上の調整の問題。五が、以上全部を踏まえた上での会計監査制度の見直しの問題でございます。
 一の会計監査人の独立性の問題といいますのは、最近、学者、識者からよく指摘されておりますとおり、アメリカや西ドイツでは、社長の上に社長に対する人事権と監査権を持っている組織がある、アメリカではボード・オブ・ディレクターズであり、西ドイツでは監査役会でありますが、これが社長を選ぶと同時に会計監査人を選ぶ。これなら、会計監査人は遠慮なく社長のやっていることを監査できます。しかし、日本では申し上げるまでもございません。会計監査人を選ぶのは、実質的には社長であります。今回の改正で株主総会が会計監査人を選任することになりますけれども、実質的にはいままでと同じことであろうと思っております。社長に選ばれた会計監査人が、よく社長を監査できるかどうかという問題でございます。
 二は、事後審査制の問題といいますのは、アメリカでは、かの有名な証券取引委員会が会計監査人のやった監査を事後審査しております。会計監査人たる者、うかつな監査はできません。内容の正確を期さなきゃならないわけであります。ところが、日本の商法監査はやりっぱなしであります。監査内容に一抹の不安を感じざるを得ません。
 もちろん、日本の公認会計士が、そのモラルと資質向上に努めておられることはよくわかります。私がここで申し上げているのは、そういう問題ではなく、システムの問題であります。何も、アメリカや西ドイツのまねをしろというのではありません。日本らしいやり方で、会計監査の実効性を高めるシステムを工夫すべきではないかという意味でございます。
 こういうことを申し上げますと、人の業界のことによけいな口を出すなと、よくおしかりをちょうだいいたします。しかし、公認会計士の職域拡大は、ストレートに税理士業界に大きな悪影響を及ぼします。決して人ごとではございません。今日の日本の会計監査が社会的実効性が高ければともかく、税理士業界として少々の悪い影響はしんぼうのしようもございますが、今日のような会計監査のシステムでは社会的実効性に乏しいと税理士業界は考えておりますので、そのような会計監査の拡大のために税理士業界が犠牲を払わされるのはがまんできない、こういうわけでございます。
 そこで、どんな悪い影響があるかということになりますが、監査対象会社の資本金基準を十億円から五億円に引き下げるのに反対するのもそのためでございます。先ほど申し上げました基本問題の三と四、つまり公認会計士と税理士の職域上と制度上の調整が図られますならば、税理士業界に対します悪影響はほとんど解消いたします。
 具体的に申し上げます。今度の改正で、資本金基準を十億円から五億円に引き下げるというのは、非上場会社の問題であります。上場会社は、すでに昭和四十九年から五億円になっております。十億円から五億円の引き下げで、監査対象に該当する会社は六百社あると伺いました。そのうち三百社は、すでに子会社などの関係で公認会計士の監査を受けているから、残りの三百社が今度の改正で新たに監査を受けることになるとも聞きました。また、これらの会社のうち、現在税理士が関与しているのは十社もないと言われております。大した影響はないじゃないかという意味だろうと思います。
 確かに、直接的にはそうだろうと思います。しかし、被監査会社には子会社があります。孫会社もあります。関連会社もあれば、下請会社もあります。三百社は、たちまち三万社に広がります。これらには、ほとんど税理士が関与しております。これらの税理士は、力関係で、被監査会社の公認会計士の息のかかった者にいつ職域を奪われるかもしれないという不安な状態に置かれるわけでございます。
 もちろん、このような職域侵害に対する法的規制は現在でもあります。公認会計士法、それから証券取引法の規制であります。今回の改正法律案によれば、同様の規制を監査特例法にも入れていただくことになりました。ありがたいと思っております。しかし、率直に申し上げて、ざる規制であります。本人と配偶者は、被監査会社の税理士業務をやることはできません。しかし、親、兄弟はよい、子供もよい、使用人もその会社の担当者でなければよいというわけでありますから、ざると言わざるを得ません。
 もう一つここで申し上げたいことは、非上場会社に対する会計監査の対象範囲を資本金基準で決めるのがそもそもおかしいのではないかということでございます。
 非上場会社というのは、いわば同族会社であります。株主は身内だけであります。その会社におきまして、株主のために外部から会計監査人を入れて監査をやる必要は全くない。しかし、こういう同族会社でも、債権者が大勢いて負債総額も大きい場合には、当然債権者のために会計監査を行うべきであります。今回の改正で負債総額基準が取り入れられまして、負債総額二百億円以上には会計監査人の監査を受けなきゃならないことになりますが、これこそ、債権者のための会計監査でございます。一方、負債額の少ない同族会社におきましては、債権者のための会計監査は必要といたしません。さっき申し上げたように、株主のための会計監査も必要ありません。
 日税連は、こういう意味で、非上場会社について資本金基準を十億から五億に下げる必要はない、昭和四十九年から七年たってインフレも相当進行しているのにというわけでございます。
 資本金五億円から十億円程度の同族会社といえば、中会社でございます。中会社にとりましては、常勤監査役を一人置き、外部監査を受けるということは負担でございます。一千万ぐらいかかるとも聞いておりますが、負債総額でも大きければやむを得ないことでありますが、そうでもなければ外部監査は不必要でございます。したがって、私は、同族会社にとりましては資本金基準は不必要である、負債総額基準だけで十分ではなかろうかと申し上げたいのでございます。
 結論に入ります。法律案が衆議院を通過するに際しまして、附帯決議がつけられました。その第七項と第九項は、日税連の基本問題に関しますお願いを大体御理解いただけた結果ではないかと考えております。
 そこで、日税連におきましては、五月十九日、またもや商法対策実行本部正副本部長会を招集しまして、これに各税理士政治連盟の会長のほか、幹事長も参画いたしまして、今後の対策を慎重協議いたしました。そして、ほぼ満場一致をもちまして、基本問題に関します衆議院の附帯決議は大変ありがたい、参議院でも、どうかこの基本問題について御理解を賜りまして、適切な附帯決議をお願いいたしたいということを申し合わせたのでございます。
 そして、肝心の資本金基準を十億円から五億円に下げられるということは、依然として反対でございます。会計監査人の税理士業務規制の条項も、さっき申し上げたように不十分でございます。しかし、いろんな政治的な事情もあるやに伺っておりますので、ここに至りまして、日税連で余り激しい反対運動をやっても無理ではなかろうか、かえって基本問題構想をぶち壊してしまうのではなかろうか。むしろ、しかるべき附帯決議をつけていただきまして、法案が上がりましたら、早急に基本問題の検討に入っていただくことが一番ありがたいのだがと、こんな気持ちでございます。どうか、日税連の意のあるところをくんでいただきたいと存じます。
 いろいろ申し上げて、時間も超過いたしまして申しわけございません。どうもありがとうございました。
#13
○委員長(鈴木一弘君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の意見の陳述は終了いたしました。
 これより、参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#14
○寺田熊雄君 最初に、竹内参考人にお尋ねをいたします。
 会社の社会的責任を商法の中にうたうべきではないかという意見もかなり強いように思うんですけれども、先生はこれについてどういうふうな御意見を持っていらっしゃるか、その点をお伺いしたいと思うんです。
 それから、順次各参考人にお尋ねをしますので、一応全部の質問が終わりましてから、竹内参考人から順次お答えをいただきたいと思うんです。
 それから、星野参考人にお尋ねをいたしますが、大方の小会社では計算書類の公告の規定が、これは何か遵守せられておらないように思いますけれども、これについてはあなたはどういうふうなお考えを持っておられるでしょうか。
 また、商工会議所としては、計算書類の公告の方法は定款で定められておりますね。それが遵守せられていないというのは、それが小会社にとって無理なんでしょうか。それとも、やはり債権者や株主の保護の見地からは、これはやはりどこまでも貫いていくべき原則だというふうに考えられますか。その点、お伺いしたいと思います。
 それから、これは商工会議所の意見というものを文書で拝見をしたんですけれども、この中に計算書類、これは貸借対照表と損益計算書のことだと思いますが、計算書類及び附属明細書を商業登記所に提出して、これを登記所に備えつけてもらって、一般の閲覧に供せしむべきであるという意見がその中にうたわれておりました。かなりいい御提案のように思うんですが、星野さん御自身もやはりその御意見でしょうか。その点、お伺いしたいと思います。
 それから、中野参考人にお尋ねしたいのは、監査役協会としては、貸借対照表や、それから損益計算書を監査人の承認をとり、監査役がその監査報告書に異議がなければ定時総会の議決を要しないとした今回の法改正、これをよしとせられますか。これはやはり原則に立ち返って、株主総会の議決事項とした方がいいと思われますか。その点、ちょっとお伺いしたいと思います。
 それから、さっき子会社に対する監査役の監査権限の強化の立法は必要だというふうにおっしゃったように聞いたんですが、これは現行法でもある程度規定がありますね。あなたのおっしゃった、これは二百七十四条ノ三ですか、その規定がありますし、これは特例法にも準用されておりますね、監査人の監査に準用するということがね。それでもなおかつ足りない。どういう趣旨の規定が必要だというふうにお考えなんでしょうか。
 それから、中瀬参考人には、実際の業務というものを私ども知人の比較的大きな会社の監査役に聞いてみますと、大体よくやっているという返事が返ってくるわけですが、ただ、今度仕事の範囲が拡大せられますね。あなた方のお仕事が拡大していく、それを十分消化するだけの監査能力といいますか、それは人数にもよりましょうし、あなた方のスタッフにもよるでしょうけれども、それは十分吸収して賄っていくだけの素地というものがおありなんでしょうか。まだまだもっと余力があるとおっしゃるのか、その辺ですね。なかなか高いんだということを、私の友人の監査役経験者が言いますね。それは資本金五億円程度の会社にとっても相当な経理上の負担になりますか、その程度は大したことはないと思っていらっしゃるのか、そういう実務上のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 それから、あなた方の書面による御意見を承りますと、計算・公開に関する規定の整備というものは、決して中小企業にとって負担ではないということを言っていらっしゃいますね。それを、もうちょっと説明していただきたい。
 それから四元さんには、もうちょっとわかりやすく、公認会計士とあなた方の職域の分担の境といいますか、ボーダーといいますか、そういうものを明確にしてほしいという、それはどういう方法であなた方はそれができるというふうにお考えになっていらっしゃるのか。
 それから、この商法改正が中小企業にとって好ましくないというような御意見を、あなた方の会の若い諸君が盛んに私どもに言ってきますが、反対意見もあるわけですね。わかりやすくその点を説明していただければ、ありがたいと思います。
 時間の関係がございますので、お一人五分以内でお答えいただきたいと思いますが。
#15
○参考人(竹内昭夫君) 御質問は、企業の社会的責任に関する規定を商法の中に定めることについての意見ということについての御質問だったと思いますが、私は、商法の中に企業の社会的責任に関する規定を定める場合には、その定め方に問題があるのではないか。むしろ、個々の問題についての規定の整備を図ることによりまして、企業の社会的責任を全うできるような体制づくりをする、この重要性については私も十二分に認識しております。
 ところが世間、間々、大会社は社会的責任を負うというような抽象的、一般的な、私ども白地条項などと申しますが、そういう規定を入れることを支持される向きもございます。さる高名な元最高裁判事の中にも、そのような主張をお述べになりました方がいらっしゃいまして、私はそれに反対の論文を書いております。
 その反対の理由は、第一に、企業の社会的責任と言った場合に、みんなわかっているようなつもりで議論しておりますけれども、法律的に詰めていった場合に、一体何なのかということがはっきりしないという点であります。言い方をかえますと、法律的責任だけでは果たし得ないものを、社会的責任と言っている場合が多いのではないか。つまり、法律的責任が終わったところから、まさに社会的責任というものは始まる。そういうものだといたしますと、それを法律の条文の中に書くということが一体何を意味するのかということ、これが第一であります。
 それから、第二の理由は、たとえば企業は社会的責任を負うというような規定を置いた場合、その規定にどういう実効性があるのか、効果があるのか、社会的責任の内容についていろいろ争いがある。そうしますと、社会的責任を果たさなかった場合に、その違反だということを一体だれが決めてどのような方法で守らせるのか。これについての見解の統一が図られない以上、そのような白地条項を入れるということは疑問であろう。
 かつてナチスドイツが、御承知のようにこれと似た規定を戦前にドイツの商法に入れたことがございますが、その当時ですら、一度もその規定は発動されなかったということは、発動しようもない精神的な訓示にとどまるのではなかろうか。そうだとすれば、これは世論の問題であり良識の問題ではあっても、法律の問題として取り上げるのには不向きなことではなかろうか、これが第二の理由でございます。
 第三の理由は、企業がたとえば社会的責任を負うというような規定を商法の中に入れた場合には、それを提案される方の事志と反しまして、むしろ経営者の裁量をいたずらに拡大するという結果になりはしないか、それを私は恐れるものでございます。
 と申しますのは、社会的責任を果たすために世の中の人がやってほしいと思っているよいことというのは無数にございます。環境整備のためにお金を出すのも、消費者に利益を還元するのも、労働者の福祉を考えるのも、みんな社会的責任であります。ところが、個人にとっても企業にとっても力は限られております。限られた力をどこに使うかということは、結局、経営者の判断に任せるしかない。そうしますと、法律は悪いことをするなということは書くことはできますけれども、いいことをしなさいということを書きましたときには、そのいいことはあなたがいいと思うことをやりなさいという結果になりはしないか。そういう形で、現在、企業の社会的責任に関する議論を主張されている方が経営者の裁量権の拡大を願っているものとは思えませんものですから、したがって私は、このような一般規定を入れることについては反対でございます。
 先ほど申しました私の論文は、外国の学者が英語に訳してくれましたものですから、二、三の外国人の学者にプレゼントいたしましたところ、いずれも、おまえの意見におれも賛成であるというような返事しか返ってこなかったわけでございままして、私としてはそのような白地的な条項を入れるということについては、恐らく諸外国においても支持は得られないのではないかと、このように考えております。
#16
○参考人(星野孝君) お尋ねの件の第一点は、株式会社の小さいところは公告を必ずしも行っていないけれども、これをどう思うかという点だったと思います。これは、もうまさに株式会社である以上、するのが当然だと思いますけれども、一面、こういった点につきまして、先ほど申し上げましたように、中小会社の特殊性と申しますか、そういう点が明らかに認められるならば、そういった点に別の処置ができれば、そういった処置をとっていただきたいと思います。
 それから、第二の計算書類及び附属明細書を登記所に提出して一般の閲覧に供するという点でございますが、これは私どもの今回の意見書の中に、最初にそういうことを確かに申し上げております。しかし、その後の意見ではこういうふうになっております。現在、株式会社は、試案のように、計算書類自体か、または少なくもその要旨を新聞紙等に公告した旨を掲載した書類を商業登記所に提出することを要求することは、現実を離れた措置であって、中小会社の一般的な取り扱いを決定した後に初めて考えるべき問題であり、これだけを引き離して早急に解決しようと考えること自体が無理である。この点につきましても、やはり大中小の区分を考えられた後で適切な処置をとっていただきたいと思います。
#17
○参考人(中野拙三君) 初めの貸借対照表、損益計算書などの計算書類について、会計監査人の証明を受け取って、監査役がこれを相当である、適法であると認めたときは総会の決議は不要ということについては、賛成でございます。それは、会計監査人の監査及び監査役の監査が責任が重大であるとともに、監査役の権威も高まるし、両者が密接な連携をとって責任ある回答を答えた方が実際的であると思いますから、賛成であると思います。
 それから、子会社については、現行法では調査権というのがありまして、必要があれば調査ということになっておりますが、私たちはいつでも調査し得るというように改めることを希望いたしたいと思います。現在、なかなか子会社の調査というのは、この条文では十分に行うことがむずかしいというふうに考えますので、そのような改正をお願いしたいと思っております。
#18
○参考人(中瀬宏通君) 質問の第一点でございますが、監査能力があるかということについて言えば、私どもはいま公認会計士が約六千人、それかがら士補が二千人、会計八千人おります。これ一年間に一人二百日ずつ監査ができるといたしますと、約百六十万人日のマンパワーがあるわけでございます。これに対しまして現在証取監査、商法監査で使われております延べ日数は約七十万人日でございます。と申しますことは、約九十万人日余っていると、こういうことでございます。私ども公認会計士になって監査をしたいというのが大ぜいいるにもかかわらず、その半分以下しか監査に関与できないという現状でございますので、今回の改正で私どもどの程度ふえるかわかりませんが、約十万人日ではないかというふうに思っております。そういう意味では、資本金一億円以上でも十分こなせるだけの力を持っております。
 それから、第二点でございますが、報酬はどうだということでございますが、これはやはり企業の内容によって報酬高というのは違います。どの程度の難易度があるかによって違いますので一概には言えませんけれども、四元参考人が言われたように一千万円などという多額な報酬をいただければ、私どもも悠々自適でございます。決してそんな高いものではございませんし、私どももやはり企業の収益状況等を見ながら、十分企業が成り立つような監査報酬をちょうだいしておりますので、その辺の御懸念はないと私は思っております。
 それから、第三点の中小企業にディスクロージャー制度が負担になるんではないかということでございますが、今回の改正では、特に中小企業に負担になるようなディスクロージャーの改正は私はないと思っております。むしろ今度は、貸借対照表の公告を要約でいいというような非常に省略規定もございます。それからさらには、附属明細書の記載事項とか、あるいはそういった内容がまだ決まっていない部分がございますが、この辺についても中小企業の場合には省略規定等が置かれて、そのような負担を来さないように処置されると私どもは考えております。
#19
○参考人(四元正憲君) まず、第一点の公認会計士と税理士の職域の問題でございますが、これは、いまよく言われているように、戦術的問題と戦略的問題とちょうど似通ったような問題がございます。一つは、現実の職域といいますか、職務上の税理士が公認会計士に侵されるという問題、もう一つは制度的な問題でございます。
 まず、最初の方を申し上げますと、さっきもちょっと触れたところでありますけれども、監査する側、つまり会計監査人の側としましては、公認会計士、それからその配偶者、二親等以内の親族、使用人、大体こういった者が特別利害関係人になってほしいと。それから監査法人の場合は、当然その社員、それからその配偶者、それから二親等以内の、つまり親、兄弟、それと使用人といった者を特別利害関係人にしてほしいと。それで相手方は、もちろん被監査会社でありますけれども、そのほかにそこの役員、それから子会社、その役員、親会社、その役員といったようなものであります。これを組み合わせますと四十八本の組み合わせができるわけでありますけれども、ところが今度の法律改正では十三本の組み合わせがだめだと、規制されるということになりまして、あとは野放しであります。
 具体的に申し上げますと、子会社につきまして自分はもちろんできません。公認会計士自身はできない。奥さんもできません。しかし、自分の兄弟は差し支えない。子供も差し支えない。それから使用人も、そこの担当でなければ税理士業務をやらしても差し支えない。もっとひどい例は、こういう場合が考えられます。Aという公認会計士はA´という被監査会社の会計監査人であります。したがって、その会社の税理士業務はできません。しかし、今度はBという公認会計士がおりまして、B´という監査会社を担当しております。そこの税理士業務はできません。しかし、これをクロスしますとできるわけであります。交換しますとできるわけであります。
 そういうぐあいにしまして、これはほとんどこの規制がないと等しい。よく公認会計士が、公認会計士の監査が入っていけば、そこは税理士業務ができなくなるんだから税理士業務がふえるじゃないか、こういう説があるわけであります。一見もっともらしいのでありますけれども、実情は全く違います。それは確かに、いままでそこの税理士業務をやっていた公認会計士は、被監査会社になりまして監査を引き受けたらこれはもう税理士業務はできませんけれども、じゃあというわけで、その税理士業務をほうり出してだれでも持っていけと、こうはやりません。ましてや、税理士会あたりに持っていきまして、どうぞなんということはいたしません。必ず自分の知り合いか弟子かなんか知りませんが、そういう者にやるに決まっていますから、これは決して税理士業務がふえるというふうに税理士会一般に均てんしないという実情でございます。
 でありますから、そういう点もとにかく今度の監査特例法でもがっちり縛ってほしかったんでございますけれども、現在の公認会計士法、それから証券取引法の規制がございます。それよりも超えちゃいかぬというう大蔵省の方から厳しい注文がついたそうでありまして、法務省としてはいかんともしがたい、これで勘弁してくれ、こういうことでありますから、しょうがないですなということで現在あきらめておりますけれども、実態はそういうことでございますから、その辺をもっとかっちりひとつ縛っていただきたいと思うわけであります。そうでありませんと、税理士たるもの、やはり非常に職務上の不安にいつも悩まされているということになるわけでございます。
 それから、これはやはりもっと戦略的といいますか、もっと制度的に解決していただくべきじゃないかと思いますのは、税理士というのは、申し上げるまでもございませんが、独立した公正な立場でやりますけれども、しかし、納税者の信頼にこたえてやりますので、結局どっちかと言えば弁護士的な、つまり納税者べったりというわけじゃございませんけれども、納税者の味方であるという考え方であります。ところが、公認会計士は、申し上げるまでもないわけですけれども、中立な公正な立場で第三者として監査なさるわけでありますから、どっちかと言えばこれは裁判官的といいますか、公証人的といいますか、そういう立場でございます。申し上げるまでもありませんが、弁護士は裁判官を兼ねられません。資格は持っていても兼ねられない。逆も同じであります。公証人も同時には兼ねられません。と同じように、公認会計士は同時には税理士業はできない。
 資格は、もちろんそれは現在の税理士法によって公認会計士は税理士業務の資格を与えられますけれども、その資格を剥奪しようというんじゃなくて、業務としては同時にはできないということで、そこまでやっていただけますれば――税理士業界と公認会計士業界は事あるごとにいがみ合っております。今度もそうであります。二年前の税理士法改正のときも、逆に公認会計士会に食いつかれて、われわれ大いに閉口したわけでありますけれども、これから先もそのたびごとに百年戦争を繰り返すんだろうと思います。それを解決するためには、いまみたいなことしか方法はないんじゃないか。税理士業界一同それを非常に望んでおりますので、さっき申し上げました基本問題というのは、そこでございます。基本問題としまして、その点も十分お考えいただけないか、こういうわけでございます。
 それから、もう一つの中小企業に対しますところのことでありますけれども、これは何といいましても一番大きいのは、やはり私がさっきるる申し上げました非上場会社、つまり同族会社ですね、これの五億、十億程度のものはこれは大したことありません。自分が家を一軒持っていれば一億するんですから、五億、十億大したことありません。そういうものに対しまして、負債額でもさっき申し上げたように百億も二百億もあれば、それは今度は二百億以上になっておりますけれども、あるいはそれは十分債権者のための監査というのは必要だということはわかりますけれども、わずか身内の株主のためにどうしてそういうものに監査が必要なんだろう、こういうふうに思うわけであります。
 でありますから、中瀬参考人は一千万円もかからぬとおっしゃいますけれども、それは実際三百万か五百万かかるんだろうと思いますし、それから常勤の監査役を置かなければいかぬ。常勤の監査役は、やっぱり五百万や一千万かかるんだろうと思います。どうしたって合計一千万超える。こういうものをみすみす払わなくちゃいかぬ、負担しなくちゃいかぬということになりますので、中小企業といたしまして、今度の非上場会社に対します監査基準の引き下げということは確かに困るわけでございます。
 あと、法務省の試案の段階で一番困るなと思いましたのは、例の計算書類を登記所に提出するということだったんでございますけれども、これは幸いわれわれの方でもいいいろ意見を申し上げましたところ、没ということになりましたので、その点は安心いたしております。
 あと、これに類する細かい問題がございまして、それは日税連からその都度、法務省参事官室の試案に対しまして意見を申し上げました。これは大体お聞き届け――もちろん日税連の意見を聞いたというのではなくて、そういう意見が多かったからだろうと思いますけれども、お聞き届けいただいておりますので、日税連としましては余り異存ございません。
 ただ、東京税理士会が別個な見地から、中小会社を圧迫する自己株式の引受制度に反対する、あるいは取締役に対する三ヵ月ごとの中間報告制度の強制は中小会社に無用の負担をかけるので反対するというようなことを、文書をつくりまして関係方面に提出しておるようでございます。これは、さっき申し上げました日税連のいわゆる二重構造でございまして、税理士会は税理士会としまして一つの生き物、独立体でございます。だから、そういう意見をまとめてやることはあえて違法とは申し上げませんが、日税連ではこの問題は取り上げていない。日税連としましては、中小会社に対する問題は、さっきの私が声を大にして申し上げました負担過重のことだけを除きまして、あとはいまは余り問題にしていない、こういう状況でございます。
 以上であります。
#20
○寺田熊雄君 それぞれの御意見で結構ですが、余りきょうは議論の場じゃありませんからこれ以上申し上げないんですが、ただ、中野参考人にお尋ねしますが、昭和五十年六月十二日、法務省民事局参事官室の会社法改正に関する意見照会に対する意見というのですか、そういう書面を拝見いたしますと、先ほどあなたのおっしゃった御意見とは違って、「株主総会は形がい化しているとはいえ、会社の最高の機関であり、また最も重要なディスクロージャーの場である。そして、株主総会の承認を要するということは、取締役が会社の経営執行または計算書類の作成について安易に流れることを防止し、その責任をよりいっそう重く感ずる心理的要因となっており、その結果、公正が担保されることになるので、現行どおり株主総会の承認事項とすべきである。」、こういう意見を述べていらっしゃるので、ちょっとあなたの個人の御意見と違うのを協会として述べておられるのだけれども、これはどういうふうに理解したらいいでしょう。
#21
○参考人(中野拙三君) 今回申し上げたことが違いますのは、今回の改正案に、監査役の権限の強化というのが法案にはっきりうたわれておりますので、その上に立って今回の意見を申し上げたのでございまして、前回は、前回の監査役の権限の上に立っての回答でございまして、今回の方が監査役協会としての正式の意見でございます。
#22
○寺田熊雄君 承っておきましょう。結構です。
#23
○丸谷金保君 どうも皆さん御苦労さまでございました。
 最初お三方に、あとお二方と、二回に分けて質問したいと思います。業界を代表したお二方になるたけいろいろお聞きしたいものですから、先の方を簡単にひとつお願いいたしたいと思います。
 竹内先生にお伺いいたしますが、学界の学者の中で、今回の商法の改正に反対だというふうな御意見の方も相当ございますか、御存じでしょうか。それが一点。
 それから、総会屋を根絶するためにこれは必要だとおっしゃった。本当に先生は根絶できるとお思いになっておるかどうか。おっしゃったのだからそうだと思うんですが、その点をお伺いしたいと思います。
 それから、星野参考人に、ディスクロージャーを中小企業と大企業と区分して考えていくべきだということですが、この場合に、一体東京商工会議所ではどの程度は大企業で、どの程度は中で、どの程度から小だと。これはまあ中小企業庁やなんかの分け方はありますけれども、それとは別に、お考えになっている点をひとつお述べいただきたい。
 それから、中野参考人にお伺いいたしますが、いま寺田委員からもお聞きした子会社の監査の強化、これは地方自治法などでは、四分の一以上を自治体が出資した会社には常時監査ができるというふうな明文規定があるんです。そういうような意味でのやはり明文規定を設けろと、こういうふうなお考えかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
 以上、簡単にお三方ひとつ。
#24
○参考人(竹内昭夫君) 第一点から申し上げます。
 反対の学者というものがあるかどうかでございますが、もちろん私ども、今回の要綱がまとまるまでに、日本商法学会という学会におきまして、商法学者ほとんど全部を網羅するような学会でございますが、そこで何度かシンポジウムをやりまして、私も何回かリポーターを務めさせられました。もちろん、たとえば社会的責任に関する規定のあり方についても、あるいは私が申し上げたのとは反対の御意見の方があるかとも思いますし、それから開示のあり方とか単位株というもの、いままでにないものでございますから、そういったものを認めるということについても、これはまた御意見があろうかと思います。そして、いろんな意見はもちろんありますけれども、しかし私は、全体として今回の改正案に反対だとか、それは実現しない方がいいとかいったような意見はついに聞いたことはございません。個々の問題についての賛否という問題については、これはもういろんな意見がございますことは確かでございまして、私も持っております。
 それから二番目、総会屋の根絶ができると思うかということでございますが、そういう御質問を受けまして、私が感じたことを正直に申し上げることをお許しいただけるなら、もし立法府の方々ができないと思っておられる、あるいはむだだと思われるのであれば、この総会屋根絶の規定を私としては削除していただいても構わない。それはむだかどうかというのは、立法府の方々がその責任において御判断になるというのであれば、私としてはこれはいたし方のないこと、かように考えます。それでは、今度は逆にそうじゃなしに、むだではない、かなり効果はあるだろうけれども、もっといい方法があるはずだという御意見であれば、そういうものをつけ加えるような改正をしていただくということにつきましても、私はとやかく申し上げる立場にはないということでございます。
 それでは、私として、おまえはどう思うかということでございますので申し上げるわけでございますが、私は、経営者の方がやる気になれば、これは当然できるはずだ。要するに、総会屋というものがございますのは、企業が金をばらまくじゃ口を締める決意をするかしないかということでございまして、ほかの国ではないものがわが国ではあるということは、お金を出すからそういうものがあるわけでございまして、金を出さなきゃなくなるはずでございまして、もちろんいわゆるトラブルメーカーというものはありましょう。いやがらせをする人はありましょう。しかし、それで食っていくということはできなくなるはずじゃないか。したがって、今回これだけ丹念に規定してあるわけでございますから、本気になってやるつもりになってくれれば根絶できるはずだ。これでも根絶できないということであれば、やはり経営者の中には総会屋というものを温存しておきたいと思う人がいるんだと私は考えざるを得ない、このように考えるものでございます。
#25
○参考人(星野孝君) ただいまのお尋ねの点でございますが、東商の法人会員が現在二万七千五百社ございますが、この中で五千万未満の会社が八五%を占めております。それから全国的に一般的に見ますと、株式会社中で資本金五千万未満の会社が九七%を占めているという数字でございます。こういう点から考えますと、まず五千万というのでは高過ぎる、これより大幅に低い金額を考えなければいけないのではないかと思います。先ほど申しました東商の法人会員のうちで、一千万未満でもなお五〇%を占めている状態でございます。したがいまして、この問題につきましては、さらに実態をよく調査して考えませんと、なかなか具体的な数字は出てこないのではないかと思います。
#26
○参考人(中野拙三君) 地方自治体の常時監査のことはよく存じておりませんけれども、私が申し上げますのは、子会社並びに関係会社に対しても必要があるときは親会社の監査役が監査できるように、そういう規定を設けていただきたいという趣旨でございます。
#27
○丸谷金保君 中野参考人にちょっともう一度お聞きしたいんですが、その場合に私がお聞きしたいのは、地方自治体のように、地方自治法のような明文規定で、どれだけ以上出資している場合にというふうなことを、この法令の中に盛り込むことが必要だというふうにお考えかどうかということなんですが。
#28
○参考人(中野拙三君) それは、商法の子会社という規定がございますですね。その資本の過半数に当たる出資をいたしている親会社はその子会社に対してと、そういう趣旨でございます。
#29
○丸谷金保君 中瀬参考人と四元参考人にそれぞれお聞きいたしたいと思うんでございますが、最初にまず中瀬参考人にお伺いいたします。
 いま非常に微妙な言い方で、株主総会で監査人の選任をするというふうなことは制度的に強化されたと、こういうふうにおっしゃっているんです。四元参考人の方は、実態的になかなかそういかないんじゃないかというふうな趣旨の御発言があるんですが、これはきわめて制度的にというところを強めて、制度としてはできたと。しかし、実際には、なかなかそうはいかないとお思いになりながら言っていたんでないかと思うことは、実は衆議院の記録で読みますと、中瀬参考人が五月六日の記録の十三ページのところで、「私どもはそのすべてを完全に見破るということではないわけです。財務諸表の全体としての適正性ということに責任を持っておりまして、一つ一つ不正支出があった、あるいはこういうことがあったということについて責任を持っているわけでは」ございませんと。それからさらにその最後の方に行って「私どもとしては、正当な注意を払ってもなお見つからなかったというケースについては御容赦を願いたい、」と非常にここでは弱気な、なかなかそうは言ってもできないんだと、こういう御発言をしておるわけなんです。
 ですから、そういう点、これを読んでいまのお話を聞きますと、どうも余り自信ないように、公認会計士が見たってそれはわからないのはわからないんだから、制度としてはというふうなところへ強くアクセントを置いて発言なさったのかなと、こういう感じが一ついたした次第でございます。
 それから、選任母体が株主総会に変わりました。しかし、これは実態はどうお思いですか。実際には、株主総会に提案するのは社長、取締役会が決めて提案しますわね。そうすると、いまの日本の実態の上でこれが否決されるというふうなこと、こういうことが予測されますでしょうか。ちょっと私は、いまの株式会社のあり方の中でこれが予測されるということはあり得ないんじゃないか。恐らくまずあり得ないだろう。そうしますと、公認会計士がこの特例法によって五億になったということで非常に自主的な監査の独立性ということの幅が広がったということは、選任母体が変わったということによって余り意味がないんではないか。実際は変わったって結局は前と同じじゃないかというような気がするんですが、特にこれが変わったことによって、この監査特例法で五億にまで下げて、しかもそういうふうに商法が改正されることによって非常に大きな違いが出てくるでしょうか。この二点についてお伺いいたしたいと思います。
 それからもう一つ、私は初めてでよくわからないんですが、公認会計士協会の会長ということでございますね。何かこの間、選挙でおわかりになったというふうなことをちらっと見たんですけれど、まだ任期があるということなんですか。そうすると、本当に御苦労さまでございます。
 それから、それじゃ四元さん、一緒にお伺いしますが、四元さんのいまのお話を聞いていますと、どうも真ん中は非常にはっきりしているんです。一番最初と最後だけがずんぶん気になるんで、実はこれは一体どうなんだろうか。反対する以上はそれらしい理由を何とかと、ちょっとこれ、ぴんとこないんですよね。何かわしは本当はそうでもないんだけれど、ここへ来てそれらしい理由をつけなきゃならないと。もっとも四元さんも任期はもう切れているんですね。だから、どなたか書いた原稿を、そういう点で、何か非常に真ん中はきちんと読み上げていたようですが、後とさきだけはどうも御本音が出たような感じがするんですね。
 それから、一番最後の方にくると、今度は基本問題の調査会ができるというふうなことを自民党さんの方でやっていると。これがうまくいくようになれば、十億、五億という反対ばかりやっていると、何といいますか、二兎を追う者一兎をも得ずということになってしまうと困るので、そこら辺はどうも反対といってもこんな気持ちでございますというふうなことで、そうすると、真ん中は理路整然としているんですが、一番最初と最後の原稿で読まなかったところだけがきわめてはっきりしないので、それは要するに、はっきりしない部分は四元さん個人の御見解で、真ん中の読んだ部分は税理士会の統一見解なのか。そこいら辺を、ひとつ正直に率直に言っていただきたいということが一つ。
 それから、実はきょうも、五億ということになって、非上場会社と合わせると、実際に税理士がかかわっているのは三百社のうちの十社くらいだろうと、こういうお話がございます。これは衆議院の方の御発言を見ますと、私の方でいろいろアンケートをとった結果によると、わずか七人しかいないということでございますと、はっきり七人と、こうおっしゃっておられるんです。これを受けて、これがそのままぴたっと次の今度は国会の答弁の中で、政府委員側は七人と、こう言い切った答弁をしているんですよ。そうすると、参考人としてお述べになったこの数字というものは、その後の国会審議にはもうきわめて重要な固まった数字として出てくるわけでございます。
 しかし、実際に私が聞いている範囲では、そういうアンケートで七人とか十人くらいだというふうなアンケートを税理士会がとったというふうには覚えておらないんですがね。いろいろ調査資料を集めた中で、私の手元にあるアンケートによりますと、会社法改正に関する実態調査回答状況、三月十二日現在、全部で回答のあったのが百七十一、当該会社が三百十。これは、当該会社の三百というのは大体当たっていますわね。回答のあったのは百七十一。そして、そのうちこの資本金別の内訳で見ますと、五億から十億というのは三十三あると、こういう数字が出ている。しかも、御丁寧に、このアンケートは外部に漏らしてはならないと、こういうような、何といいますか、申し合わせ事項までができているというんですが、どうもそれから言うと、これ以外にこういうアンケートをとっておいでになって七という数字が出てきたのかどうか。これは、きわめてこういう参考人の発言から出てくる数字というのが今後の国会審議の上で重要な要素を持ってくるので、重ねてその点もひとつ明らかにしていただきたい。
#30
○参考人(中瀬宏通君) お答え申し上げます。
 先生の御質問ですが、若干誤解があるようでございます。私が選任母体が株主総会になったということについて制度的に強化されたもので賛意を表すると、こう申し上げましたことと、衆議院におきますところの不正支出等が皆無であるということの保証はなかなかできないと申し上げたこととは、全く別の次元でございますので、再度もう一回申し上げますと、御承知のように私どもの独立性、これは法律がどういうふうになろうと、常に私どもが独立性を維持しているんだと。これは昭和二十三年の公認会計士法ができて以来、私どもはこの精神的な独立性をじっと維持してきた。
 もう一方、こういう一つのエチケットなりモラルとともにルールというもの、いわゆる法律、要するに独立性というものは、そういうルールとそれからモラルと、二つが両輪になってやはり世の中に独立性が維持されると、こういうふうに見られると思うんですね。今回は、この法律的なルールの方の改正が行われた。私どもの気持ちとしましては、そういうふうにルールがどうなろうが、自分たちの精神的な独立性は完全に維持しているんだと申しませんと、法律的によくなれば独立性が維持されるんだということになりますと、じゃあいままでどうだったんだ、こういうことになるわけでございまして、私どもはそういう法律的なあれももちろんありがたいと思いますけれども、そんなことよりも自分たちの手で独立性を維持していると、こういうことを申し上げたかったわけでございます。
 特に、今回のこの株主総会への選任母体というのは、計算書類の確定と表裏一体だと私初め申し上げたと思いますが、私どものあれという点もございますが、やはり総会の承認を要せず計算書類の確定をするというところからこの改正が行われたと、こういうふうに考えているわけでございます。
 それから、私が非常に弱気な発言を衆議院でしたと、こうおっしゃいましたが、私は全く弱気ではございません。強気でございますが、ただし、要するにわれわれが監査をすればすべての不正支出や使途不明金が全部見つかるんだというふうにお考えになられると困る。私どもはデュー・プロフェッショナル・ケア、要するに職業会計人としての、プロフェッショナルとしての正当な注意を払うということをあれしておりまして、すべての証憑を全部精査するということはしてないわけです。いわゆるテスティングで、テストでしておりますので、完全にすべてが網羅できるということではない。しかしながら、非常に重要な虚偽なり不正なりというものがあれば、これは当然発見できるかもしれないけれども、小さなものはそこまではなかなかいかないだろう。これは経済的な理由もございます。いろいろな面がございまして、やはり投資家がある程度安心してできる、財務諸表を信頼できるという程度のところで監査をしていると、こういうふうに御理解を賜りたいと思う次第でございます。
#31
○参考人(四元正憲君) お答えいたします。
 私が申し上げましたことは、全部日税連の意見のつもりでございます。私の個人意見は入っておりません。それらしい理由と申し上げましたのは、とにかくちょっと十分程度じゃ無理だな、もう少し時間をいただきたいという理由としましてそういうふうに申し上げたわけでありますが、かた苦しく言えば、正確に理由を申し上げなくちゃならないのでと言うべきところを、それらしくと、ただ軽い気持ちで申し上げたわけでございます。特に他意はございません。
 それから、基本問題と十億の兼ね合いでありますけれども、これは十億維持というものが可能であれば、何かそこに、わらにでもすがりつくといいますか、何か可能性があるとすれば、日税連のとった戦術は違ってきております。しかし、去年の十二月、一月、二月、各方面に接触いたしまして、さっき私の言葉の中で、政治的事情もあるやに伺っていると申し上げたのはそこでありますけれども、十億維持はほとんど見込みがないというふうに判断したわけでございます。自民党の先生方を私初めいろいろと、税理士業界の幹部の者あるいはまた若い者たちがそれぞれ歴訪いたしまして、十億で何とかというようなことをおっしゃったのはたった一人しかいらっしゃらない。たった一人です。七、八億ぐらいでどうかなとおっしゃった方が一人いらっしゃいます。あとは全部五億です。ほとんど見込みないというふうに判断しまして、そういう情勢判断に基づきましてとった戦法であります。
 さっき、玉砕戦法は避くべきだとみんなが言ったのも、やはりそういう同じ考えだと思いますけれども、だから、いまからでも遅くございません。もし十億の可能性があれば、日税連は直ちに戦法を変えます。しかし、恐らく十億の可能性は今度の国会においてはないと見ましたので、大変失礼でございますけれども、最初からないと見ましたので、ああいう基本問題で、捲土重来といいますか、この次の商法の改正を期しまして、さっき私が申し上げましたような点をひとつ抜本的に見直していただければと、こういう考えでございます。それもまた、日税連としましての一つの大きな流れといいますか、考え方でございます。
 それから、七社の問題でございますけれども、これは先生の方にはまた何か特別な資料が提出されているようでございますけれども、日税連で実はアンケートをやりましたとき、非常にアンケートの回収が悪いわけでございます。これはどこでもそうかもしれませんけれども、この問題は前もとにかく悪くて、それで資本金五億、十億というのは――七億というのは、私は社会党の某衆議院議員のところへ行きましたとき、七億という言葉が向こうから出ましてぎょっとしたわけでありますけれども、いま聞き直してみますと――七億じゃありません、七社――六社だったそうでございます。
 それで、先生の言われましたのは、多分、負債百億以上ですね、百億以上につきまして三十何社とかあったらしゅうございますので、多分それではないだろうか、こういま事務局の方から担当課長が申しておりますので、そういうことでいいんじゃないか。それで、私もさっき申し上げましたように、アンケートの成績が悪いものですから、衆議院では、アンケートで返ってきたのは七社と申し上げたのでございますけれども、あるいはもうちょっとあるかもしれません、返事をよこされないので。
 それで、十指に足りないとか、そういう表現、十社以内というような言葉を使ったわけでございますけれども、それとしましても、実際、現在、税理士が税理士としまして税理士業務としまして関与しておるのは幾らもない。そこの顧問なり、あるいは職員なりで入っておるのは相当あるようでございますけれども、たとえば元の税務職員というような方が税理士資格を持ってなおかつ入っておる、しかしそれは税理士としてじゃなくて職員としてやっているんだというような話でございまして、関与しているのは大体その程度だろうと、こういうふうに思っております。
 以上であります。
#32
○円山雅也君 私は、もっぱら竹内先生にお尋ねをいたします。
 まず、先生がお書きになった今度の改正商法への御見解を拝見しました。まず、私の理解が正しいかどうかを確認いたしまして、それから御質問をさしていただきたいと思います。
 それは、いわゆる株主提案権の問題でございます。しかも、かつ、これは既存会社で単位株制度をとらなかった場合の会社の株主提案権の問題でございますが、先生の御意見ですと、単位株制度をとった会社の場合はこれは三百単位になる、それから単位株制度をとらないとこれは三百株になる、値段にして約千倍の開きが出る。そうしますと、千倍の開きがあるのに、これを両方既存の会社で、単位株制度をとらない会社が三百株で提案権を与えるというのは、バランス上の見地からおかしいじゃないか。もしそれが、そういう解釈が通るならば、当然に単位株制度をとった会社は一単位でよいとしなきゃおかしいじゃないかという御意見がございました。これは先生のいわゆる法律ができる前の立法論的な希望意見なのか、それともこういう現在の改正法ができた後の解釈としてもそういうことが成り立つのか、その点をちょっとまずお聞かせをいただきたいと思います。
#33
○参考人(竹内昭夫君) お答えいたします。
 私のつたないものをお読みいただいて恐縮でございますが、私の意見はもっぱら立法論的意見でございます。加えて私といたしましては、既存会社で単位株をとらない会社において、三百株でも私はこれは構わないんじゃないかと思っておるわけでございまして、そうだとすると、単位株制度をとっている会社について、これまでの持ち株要件を要求する必要はないのではないかというところに力点があるわけでございまして、その小さい方の会社についての要件をふやせという方ではないということも、あわせて申し上げておきたいと存じます。
#34
○円山雅也君 わかりました。
 実は、先生のそれを読んだものですから、先日法務省側に、こういう意見があるんだけれども解釈論としてどうかと言ったら、法務省は、いやそんなことはとれないと。そうすると、先生の意見をもし裁判所が採用になっちゃったら、今度は解釈論でもって修正されちゃうということで、そうしますと、この法律ができれば、もう一回確認をいたしますけれども、既存会社で単位株制度をとらない会社は三百株で提案権を持つ。そうしますと、先生が指摘された一千倍のアンバランスですね、これはしょうがないんでしょうか、暫定的なあれとして。
#35
○参考人(竹内昭夫君) 解釈論としては、やむを得ないところであろうと思います。そしてまた、既存会社で単位株制度をとらない会社というのは、恐らく同族的な会社とか何かでございまして、そういうところで提案権を――もともと提案権というのは、自分の意見をみんなに聞いてもらうということでございますから、提案をさせる、総会で発言をさせる自由というのは、ある意味ではもっとオープンに認めていいものではないか。ましていわんや、同族的な会社のように、異分子と申しますか、総会屋などが入ってこないようなそういうところでは、お互いに自分の意見をみんなに聞いてもらうというような権利は、余りびくびくしないでもっと認めていっていいんじゃないか。そうだとしますと、千倍のアンバランスはありますけれども、私は格別の不都合というものは恐らく起きないのではなかろうか、かように考えております。
#36
○円山雅也君 この点はよくわかりました。
 次に、株主権行使に関する利益供与禁止の規定新設ができました。これは民事的にも刑事的にも両面から新設、この点について先生の先ほどのお答えも、これだけ丹念に規制しているんだから、総会屋対策はあとはもうやる気になればできるはずだという御意見でございました。そこで、私は実は弁護士をずうっとやっている。そうすると、弁護士の立場からはこれはちょっと大変こわい規定でございます。と申しますのは、私も何十か顧問会社を持っております。そうすると、当然顧問会社のお世話の一環として株主総会の運営について意見を聞かれたり、それから株主総会が円滑にいくように協力を申し上げるということも一つの仕事になってまいります。ところが、弁護士だけでは顧問会社の株主総会に出席できませんですから、同時に幾らか株を持ちまして、そして顧問弁護士兼株主として株主総会に出席するというケースが多くなってまいります。多く実情はそうだろうと思います。
 そこで、従来は、現行法では四百九十四条で、不正な請託を受受けてという、不正なという縛りがございました。これが今度の改正では取っ払っわれて、不正なというのはなくなりました、新設規定では。民事的には株主の権利行使に関してとにかくもらっちゃだめなんだと、民事的規定。それから、今度はもちろん罰則もそれにございます。つまり、不正なという縛りがなくなりました。そうしますと、たとえば文理上の解釈からいきますと、先生今度の総会頼みますと、こう顧問会社から言われまして、それでいろいろ相談も受けて、株主総会へ乗り込んで、それでまあ議事の進行、円滑に御協力申し上げて、帰りに、先生御苦労でございました、お車代と、こうなりますと、どうも文理解釈からいきますと、推定規定もございますから、無償の供与があった場合、当然権利行使に関したものとやられると思います。
 推定まで御丁寧にあるものですから、どうも文字どおりそういう行動をした場合にはこの規定に違反して、民事的には当然のこと、刑事的にも罰則を受けるんじゃないかという心配があったものですから、これも先日法務省側にお尋ねをしたら、法務省側は、いや、そんな心配はないでしょうと、こう言う。ところが、そのときはそうかなと思って家へ帰りましたんですが、一晩寝二晩寝て考えると、どうもストレートに解釈がぶつかりそうなんでございますけれども、この点は先生いかがでしょう。
#37
○参考人(竹内昭夫君) いままで私、考えなかった問題でございまして、新しい問題を提起されたと思っておりますが、しかし私は、いまお話の中で弁護士の資格だけでは総会に出られないから株を買うんだと、ここに私はひっかかりを持つわけでございます。むしろ弁護士として株主総会に出ていって、チェアマンのそばにアドバイザーとして座っておって、しかるべきアドバイスをするというのは、私は当然行われていいことであって、弁護士がフロアにおいて弁護士なのか株主なのかわからないような資格で実は協力するというふうなことを続ける必要は全然ないんじゃないか。そういうふうな形で、まさに弁護士業務の一環として法律的な問題について尋ねられたときに意見を述べて、それについて報酬を得るということであれば、それが株主総会の場で行われようと、その前に行われようと、そんなことはひっかかるはずの問題ではない。
 その意味で、お話のございました中で、むしろ弁護士としてやっているつもりなんだけれども、形として株主としての資格で出ていくようなことになっておるからと、そこを工夫していただければ、推定規定もかぶってきませんし、民事、刑事の規定というものも働く余地はないと、かように考えております。
#38
○円山雅也君 実は私もそういうふうに考えまして、この改正法が通ったら、やはり株主の地位は退いて、先生のおっしゃるとおり、弁護士としてやるべきだと思ったわけです。だけれど、法務省の見解のように、問題がなければ、強いてお返しをしてどうのとやる必要もないなと思ったんですが、しかし、その資格を兼ねて株主として出席をして、そしてやれば、やっぱり今度の改正法にはひっかかりますでしょうか。
#39
○参考人(竹内昭夫君) 少なくとも私が申し上げられることは、ひっかかるという見解も十分あり得るのではないか。そうだといたしますと、もちろんひっかからないという解釈もあり得ると思いますが、ひっかかるという解釈もあり得るとすれば、安全のためには、株主としての資格は持たないで、もっぱら弁護士としての資格において事をするという方が、まさに李下に冠を正さずというところから申しましても賢明なやり方ではないか、このように考えます。
#40
○円山雅也君 ありがとうございました。それでは、また問題を変えさしていただきます。先生の先ほどの御意見の中に大小会社の区分、これは今度の改正に直接触れておりませんが、はなはだ立法的には解決が困難であるという御意見を申されました。私も困難であるとは思います。思いますけれども、四十九年の改正のときに参議院の附帯決議は、かなりその点を具体的に何とかお願いをしたいという御希望を申し上げておりました。そして、事実いまある会社のいわゆる非上場で小さな規模の会社の場合、特に小会社の場合、会社をつくって商売をしたいからというんじゃなくて、対税上の利益を得るためだけに逆に株式会社組織を利用する。その結果、商法違反は当然のことながら、もう背任横領、業務上横領ですね、せんじ詰めれば、いろんな犯罪が潜在をしていると思うんです。
 それからまた、対債権者関係でも、御承知のとおり、最高裁が法人格否認まで出して債権者保護に乗り出さざるを得なかった。私なんか考えますと、潜越ですが、最高裁の法人格否認の法理というのは、解釈論でなくて、むしろ何か司法が司法作用を飛び越えて立法に介入したみたいな、立法がぐずぐずしているから、もうしょうがない、対債権者関係では否認せざるを得ないんだと、乗り出したというふうに感じておりまして、立法府の責任ではないかと思っておりますが、そんな意味で、たとえば現実問題として、明らかにそういう実際のケースでは法人格を否認されるようなそんな会社を温存――これは大変な数だと思いますが、それの区別、本当の意味の会社と、そういう本来の否認されるような会社とのその区別すらも、立法的には困難でございましょうか。
#41
○参考人(竹内昭夫君) これは私は困難だと申し上げましたのは、一つは、理論的に見た困難というものもございます。それからもう一つより大きな困難は、申し上げるまでもなく、政治的な困難さと申しますか、そういったわが国にあるたくさんの零細企業が会社形態をとっているもの、この人たちにいわば賛成してもらえるような案というのは一体どうやってできるだろうか。これが一方では税の問題と絡み、他方では無理なことを法律で要求しましても、これは無視されるだけでございますから、したがって、守ってもらえそうな規定にしなければならない。しかし、その守ってもらえそうな規定でもって有限責任を享受しようという以上は、債権者との関係は少なくともきちんとしてもらわなければならぬ。
 こういったことを考えてまいりますと、白紙の上で案を書きまして、そして模範答案を出すだけであれば、これはある程度のことはできるかもしれませんけれども、これを各方面の意見をサウンドしながら実行可能な案に取りまとめていくということは、きわめてむずかしいことではあるまいか。せんじ詰めてまいりますと、最後には七人の株主が集まって株式会社をつくれば、有限責任の原則を享受できることになっているわけでございますが、御承知のとおり、見せ金とか何とかで実際は七人は集まっていないにもかかわらず有限責任の原則を認めているということであれば、一人であったってきちんとしているのなら有限責任の原則を認めていいじゃないかという考え方も出てまいります。
 そうなりますと、有限責任の原則を認める根拠として一体何を今後は残すべきかという問題にも絡んでくるわけでございまして、そういった意味で、私どもこの問題も学界でも前から議論しておりますし、私も昔、要するに、こういう零細会社というのは商法に違反することによって初めて生まれ出て、かつ違反することによって存続し得ている会社ではないかということを申したこともあるわけでございますが、頭から一概にそう決めつけるのは失礼であるにいたしましても、そういう会社が多いということは事実だろうと思います。
 そういうものにいわば無理なく、しかし、債権者との関係では、合理的な規制をきちんとするという形の立法を今後考えていくということが課題であろうと思うわけでありまして、そういった意味で、私どもはむずかしさを身にしみて感じておるというわけでございます。
#42
○円山雅也君 そこで、たとえば、先生、株式会社を分離して簡単な手続の有限会社法をつくりました。あの有限会社法をつくったような意味で特別な小会社法をつくるという考え方と、それからいまの株式会社法の最低資本金をぽんと切っちゃう、会社を認めない、法人格否認というのと、学界と申しますか、先生方の御意見は、その改正をするとしたらどっちの方向でございますか。
#43
○参考人(竹内昭夫君) 恐らく私だけではなしに、ほかの多くの方もそうだろうと思いますけれども、有限会社法あるいはさらに、これよりももっと簡単ないわば零細企業の体に合った洋服とでも言うべき法律をつくるといった方向をねらうべきであるというのが、恐らく学界の多数意見ではなかろうかと思います。
 それで、最低資本金でぽんと切ってしまって、あとは会社でなくしてしまえなどというのは、これはもう何と申しますか、学者子供が頭の中で考える分には勝手でございますけれども、世の中に通る議論とはとうてい思えないわけでございます。したがいまして、零細企業であっても、有限会社よりももっとあの法律をわかりやすくしまして、あの法律自身が余りわかりやすいと私は思っておりません。もう少しわかりやすくしまして、そしてまた、あの中でもまだ無理な規定はないだろうかということも考え、そし内部的な組織につきましては、その会社の構成員が自由に自分たちの体にフィットする、合うように、いわばイージーオーダー的な法律、レディーメードじゃなくて、若干イージーオーダーの要素を組み込んだようなそういう法律というものを、いわば小会社法とでも言うべきものをつくっていくことが必要なのじゃなかろうかと、かように私も思っておりますし、恐らく方向としては、それが学界の多数意見ではなかろうかと思っております。
#44
○円山雅也君 ありがとうございました。終わります。
#45
○藤原房雄君 きょうは、参考人の方には大変お忙しいところありがとうございます。
 私ども審議の中にございまして、今日までもそれぞれの分野について議論もしてまいりましたし、また現場の声といいますか、きょうもまたいろいろなお話ございまして、十分ということですからまだまだいろんなことでお述べになりたいことやら、また御主張になりたいことも多々あるだろうと思うのであります。そういう点につきまして率直にお述べいただき、また今後の審議の過程に生かしていきたいと、こういうふうに思います。ただし、わずかの時間でございますので、そう多くの問題を取り上げることはできませんが、私どもいろいろ検討しております中で、制約された時間の中での何点かということで、若干御質問さしていただきたいのであります。
 最初に竹内先生に、これは先生のお話にもございましたし、また私も過日の質疑の中でも申し上げたのでありますけれども、当初はこの商法は全面改正ということを目標にしまして作業がスタートした。社会情勢、その背景になることについては先ほど先生からもいろいろお話ございました。それが五十四年の七月、いろんな経緯がございまして、分割改正の方針という、こういう方向に行ったわけですね。ともすると今日までの商法の改正というのは、そのときどきの経済界の強い要望とか社会情勢、こういうことで継ぎはぎといいますか、細切れというのか、そのときそのときに改正をしてきておるという、そういうことで、全面改正をしようということでお取り組みになったわけでありますけれども、しかしながら、現在この社会情勢の中で方向転換いたしまして、分割改正ということになったわけですね。
 こういうことから、それぞれの制度でやはり継ぎはぎというか、そのときそのときに応じてやっておるものですから、それぞれの制度の中で矛盾といいますか、整合性が欠けているようなものもあるのではないかという、こんな感じもするわけですけれども、そういうような見地の中から、このたびの改正につきまして、先生の大約的な御意見は先ほどあったんですけれども、いま申し上げましたようなことの中から考えてみまして、今度の法改正というのはどうなんだろうかという、こんな感じがするんですけれども、率直にひとつお述べをいただきたいと思います。
#46
○参考人(竹内昭夫君) 確かに戦後部分改正、緊急改正を積み重ねてきておるということは、先ほど私も申し上げたとおりでございますし、したがって、また各制度の間に整合性が欠けているのではないかという見地から、総合的な再検討をしてみようではないかという声が強いことも事実でございます。
 しかし、今回の改正は、御指摘のように、全面改正ということでスタートしたものを、途中でもって、いわば全面改正の前編と後編とでも申しますか、そういうものとして仕分けをしておるわけでございまして、たとえば昭和四十一年などの商法改正の改正事項とお比べいただければわかりますように、経済界の要望したような緊急改正事項だけをいわばつまみ食い的に取り上げたというものではないわけでございます。株式、機関、計算・公開というそれぞれの問題について、いわばじゅうたん爆撃的な検討を行った上で、しかし、第一編といたしまして、今回の問題をまとめて要綱を作成しておるということでございます。
 したがいまして、今後の課題といたしましては、いわば後編に当たる先ほど申しました企業結合法と大小会社の区分、この問題をやらなければならないのはもちろんでございますが、そのほかに株式とか計算・公開、それから機関の試案の中でも、今回急いで要綱を取りまとめなければならないために、途中までは検討したけれども、これは全部の検討を終わったときにもう一遍見直しをすることにしようという形で見送っているものもございます。したがって、そういうものを含めて、先ほど申しました二つとあわせて検討した上で全部を見直すという作業を数年後に行えば、そのときには、私どもが四十九年改正のスタートに当たって目指した全面改正が実現することになるのではないかと、かように考えております。
 したがいまして、今回の改正は、途中で方針は変更いたしましたけれども、いわばつまみ食い的な緊急改正に方向転換したわけではなくて、全面改正、根本改正の前編をこういう形で実現しようとしておるものだと、このように御理解いただければ幸いに存じます。
#47
○藤原房雄君 先生のお話、確かにそれはそういう見方といいますか、考え方になるのかもしれません。
 それから、最近の著しい社会情勢の変化の中で、日本の経済、日本だけでは考えられない国際経済の大きな流れの中で、やっぱり日本経済というものをとらえなければならない時代、そういう中では、このたびの商法改正の中にも一部株式のことについてもそういうことも勘案して取り入れられているようであります。
 それで、今後の課題としましては、こういう国際的な見地の上からまた見なければならない、日本の国としては制度としてはできておりましても、諸外国、国際的ないろんな商取引や会社関係の関連性の中で、日本だけがどんなにきちっとしておりましても、外国との関係でやっぱり改めていかなければならない問題もどんどん出ているように私どもは痛感をいたしておるわけでありますが、こういうことにつきましても幅広い検討といいますか、考え方もしなきゃならぬだろう。そんな先々のことは順次そういうことはやればいいことで、四十九年の時点で全面改正ということで立てた柱、これをきちっとすることが何と言っても急務なんだろうと思いますけれども、一歩踏み込んで、そういう国際的な感覚の上から先生なんかはどのようにまたお考えになっていらっしゃるのか、その点もちょっとお伺いしたいというふうに思います。
#48
○参考人(竹内昭夫君) 今日の巨大企業は、いわば国境を越えた一つの組織になっておるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、多国籍企業といったものに対して一体どのように会社法の面からアプローチすべきかということは、それぞれの国の立法者が頭を悩ましておることでございまして、私どももいずれはこの問題についても検討をしなければならない。そのいわば一つの課題が、先ほど中野さんがおっしゃいましたように、海外子会社に対して監査役がたとえば調査権があるのかないのかといったような形で、もうすでに現実的に課題として突きつけられておるように私は感じております。
 したがいまして、それだけじゃなしに、もっと総合的に、いわば企業が国際的に活動し国際的に組織を広げつつある今日におきまして、一国の法律としてどのようにアプローチしていくことができるか、すべきかということ、これも立法者が国際的なレベルでもって知恵を出し合わなければならない問題かもしれません。今後、先ほど御指摘のとおり、四十九年改正の作業のスタートに当たって立てた課題をその解決に向かって努力を進めながら、いま御指摘のような問題についても私ども今後検討してまいりたい、かように考えております。
#49
○藤原房雄君 先生に集中しておるので申しわけないんですが、ちょっと見ましたら、先生のある雑誌の座談会での御発言が出ておったものですからあれなんですけれど、先生は「私は今回の会社の機関に関する改正試案には多くの問題が取りあげられていますが、総会屋問題さえ抜本的に解決されるのなら、あとは何もやらなくてもいいのではないか、少なくとも今回の改正作業の意義はあったといえるのではないかという気がいたします。」というような、こういう意味のことが述べられておりまして、きのうも総会屋の問題について警察庁にいろんな角度からいろいろお聞きいたしました。数の上からも金額の上からも大変な問題であるということで、またこのたびの改正は、それなりに総会屋対策という評価もできるのではないかと思います。
 そういうことの一つのあらわれか、ある総会屋では外国へ行って勉強してこようというような動きもこの前新聞、雑誌にも出ておったようでありますが、率直なところ、先生はこのようにお述べになっている立場からしまして、このたびの改正法案につきまして、どのように総会屋対策についての評価をなさっていらっしゃるか、御所見をお伺いしたいと思います。
#50
○参考人(竹内昭夫君) 先ほどの丸谷委員の御質問とも重複するお尋ねだと思いますが、私自身は、私どもとして出せる知恵は言ってみれば出し尽くしたという感じをいまは持っております。あと、もちろん法務省令の中で定められるべき開示の問題、営業報告書や附属明細書において無償供与をどのように開示するかということは、先ほど申しましたとおり、今後検討されるべき課題として残されておりますけれども、それを別にすれば、ほぼ打てる手は大体打ったという感じがしております。しかしながら、これでもなお根絶できないという結果になるやもしれません。それは先のことだから、何と申しますか、私としては根絶したいと思って努力いたしましたつもりでございますし、また、多くの方とその願いをともにしておるものでございますが、先のことでございますから予言はできません。
 しかし、私どもの期待が外れた場合には、先ほどもお答え申したとおり、それは挙げてわが国の経営者の責任というふうに考えていただくほかはあるまい。外国ではこのような規定はなくったって、総会屋などというものはばっこしておらないわけでございまして、何年か前にSECの元委員長や委員が何人か日本に来ましたときに、談たまたま総会屋の話になりました。それは英文で書いたものの中に総会屋に関する記事が載っておったというのを飛行機の中でたまたま読みまして、その雑誌を持ってまいりましたSECの元委員長が私にその雑誌を突きつけて、この中で信じられないことが書いてあるけれども、おまえこの雑誌を読んで本当かどうかおれに返事してくれということを言われたわけであります。
 私は、別に一晩借りて読まなくてもここで数ページ読めばわかるからと言いまして、一、二ページ読みまして、ここに書いてあることは大体本当だということを申しましたときに、そこに列席しておりましたSECの元委員長初め委員何人かの方々は一斉に驚きの声を上げました。これは本当だということだ、おれたちは長年アメリカで会社関係のローヤーを、弁護士をやってきたけれども、株を持つことによって配当とキャピタルゲイン以外に三番目にまだもうかる方法があるということはいままでついぞ気がつかなかった、これができるというなら、おれたちも日本へやってきて総会屋というものになろうじゃないかということを言われました。私は、そのとき本当に恥ずかしいと思いました。今後、外国の学者やローヤーと議論するときに、日本の総会屋のことはもう話するのはよそう、話をしたところで笑われるだけだからということを、そのときに何人かと話し合った記憶がございます。
 そういう意味で、外国まで出かけて行って日本の総会屋というものを広めてこられるようなことをされるのは、私としてまことに残念きわまりないことでございますけれども、そういうことがないようにするためにも、経営者の方々に、日本は自動車、テレビだけじゃなしに総会屋まで輸出してきたかと言われることのないように、十二分にお考えを改めていただきたい。私が念願とするところはここでございます。
#51
○藤原房雄君 次に、星野参考人にお尋ねいたしますが、参考人からお話ございましたように、地域での総合経済団体という、そういうことで、現場で最も実務に携わるこういう立場にいらっしゃる方々、そういう立場の方々なればこそ、このたびの商法改正につきましては非常な関心をお持ちになっていらっしゃると思いますし、私もいろいろお聞きしたいことはございますが、時間もございませんので数多くできないのが非常に残念ですが、商工会議所という立場からしまして、やっぱり総会屋対策、いま先生からお話あったわけですが、こういうことについてもいろいろ苦慮していらっしゃったり、また、それに対する対策ということについてもお考えになっていらっしゃるかと思いますが、今回の改正案では会社が総会屋に対して金を供与することができないということになるわけですね。
 こういうことから、会社としましては、これからは総会屋に対しては金を出すことは違法ですから出せませんという、こういう一つの口実ができるわけですね。いままではそうじゃないということでは決してないかもしれませんが、今度は法文の上からも。こういうことで、いままでとは違った面で、撃退法という一つの決め手になるということではないのかもしれませんが、一つの法的な裏づけの上に立ってそれなりの効果といいますか、そういうものも期待できるのではないかというような感じもするわけですけれども、いままでの商工会議所のいろんな動きの中で、こういう総会屋に対してはどういう現状にあって、そしてまた、今日までもそれに対してどういうふうな対処をし、今日の改正によってどのような変わりがあるんだろうか。そういうことについて、実務を担当していらっしゃる立場からこの問題について御所見をお伺いしたいと思うんです。
#52
○参考人(星野孝君) 大変むずかしい問題でございまして、私の会社では少なくともそういうことはございませんので、何とお答えしていいのかわかりませんが、しかし、基本は、やはり先ほど竹内先生からおっしゃったことに尽きると思います。こういうことまでして法律の裏づけをつけていただいた以上は、それを守りまして、これを撃退していくよりほかに仕方がないと思います。
 別に、また新しい手を考えるというようなことは、少なくとも商工会議所では一切いたしておりません。
#53
○藤原房雄君 先ほど星野参考人のお話の中に、会社の財産公開のことについて省令にゆだねられておることになったわけですが、その範囲とか方法とかについては慎重を期してもらいたいというお話ですけれども、そういう一言でここは終わっているわけですが、これはいろいろ議論のあるところですけれども、参考人の立場としまして、ここの問題については具体的にはこれはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、もう少しひとつ詳しくお話しいただきたいと思います。御説明いただきたいと思いますが、どうでしょう。
#54
○参考人(星野孝君) 具体的にどうするかと申しますと、この辺は私どもの委員会で検討した間でもいろいろございまして、一方はやはりきつくするのが当然なんだからそれでいいじゃないかという御意見もあると思いますが、反面、いわゆる実情、会社の内容の発表が他の会社を利するとか、そういうことから、その辺を考慮してほしいというような意見もございます。その辺で、私どもではこの線だということは、こちらからは現在までまだいたしておりませんで、今後のむしろ線が出ます折に、われわれもそれについて意見を述べて妥当な線を出していきたいと思っております。
#55
○藤原房雄君 中野参考人にお伺いしたいのでありますが、四十九年の改正で監査役、内部監査ということについて充実強化ということがとられたわけであります。その有効性とかいろいろな議論も今日までありまして、四十九年の改正を見て、今日もいろいろ議論されておるわけでありますが、従来、日本の企業者というのは、とかくにこういう監査役の監査というのは非常に軽視しがちといいますか、そういう傾向にあったことは否めない事実だろうと思います。
 四十九年に改正になりまして、それからも大きな会社の粉飾決算やいろいろございました。私らも非常に苦々しく思っておるわけでありますが、日本監査役協会の会長という立場で、四十九年の改正によりまして、監査役の監査というものが企業の認識の上において一歩も二歩も前進したという、それは法の上から当然のことでありますけれども、そういう強い弱いといいますか、大きな前進というか強弱というか、そのあらわし方はちょっとむずかしいんですけれども、確かに四十九年の改正によって変わったことは変わったと思うんですけれども、具体的には、携わっている立場からしまして、どういう状況にあるのか、大きな変化だというふうに御認識になっていらっしゃるのかどうか、その辺ちょっとお伺いしたいと思いますが。
#56
○参考人(中野拙三君) いま先生おっしゃったように、四十九年の法律改正が行われて、果たして日本の会社でそのような監査が定着するかというのは、やはり当時は非常に危ぶまれていたように思いますですね。ことに、当時、経営者団体の方々が非常に反対されていたので、その後の法律が有効に定着するかどうかというのは危ぶまれておったのでございますが、私どもの日本監査役協会で、その後六年の間、前後二回の監査制度の実態調査というものを行いまして、その定着の状況を調査いたしたのでございます。
 それで、冒頭に申し上げましたように、これは統計では出ないことでございますが、私は、監査役の人が非常に以前の監査役の人と変わったということが、最も大きく変わったことではないかと思うんでございます。いわゆる大物監査役というわけではございませんけれども、非常に現役の監査役といいますか、非常にやる気の強い人々が大ぜい選ばれつつあるということが最も大きな、監査役協会の会長をやっておって実見したことでございます。
 そういうことは、いろんな研究会とか研修会を催しますと、非常に多数熱心に来られる。それから、春秋二回全国の監査役の会議を開いておりますが、そのときに、最初は法律家や会計学者の意見を聞く会でありましたが、最近は、自分の会社ではこのようにやっておるということを積極的に意見を発表される。従来は、意見発表することを何となしに恐れていた感もありましたが、最近は非常に率直に、積極的にやっておるというので、これはただ監査役のせいだけでなくて、やはりこの監査役の選任に当たっている経営者側の方々が、四十九年の商法改正をやっぱり素直に受け取って、立法の段階では相当抵抗されたようでしたが、現実に法律になって施行されるに及んでは、非常にこれを素直に受け取って、なるべくそれにふさわしい人物を監査役に選ぶということではないかと思うんでございます。
 ただ、監査役がそういう意欲の高い人が選ばれるばかりでなくて、現実に会社の取締役会に出席することは当然でございますが、会社の最高の経営会議である常務会に監査役が出席する例が非常にふえまして、実は実態調査で六五%回答を受けたんですが、その回答された会社の大体四割強の会社では、監査役が常務会に出席しておる。それから回答している会社の六割強が、自分の会社で監査役監査規程を設けている。それから五割の会社が、自分のところは従来スタッフがなかったが、職制を改正して監査役スタッフを設けた。それから回答の四割の会社が、監査役会というものを、これは法律上の制度、機関ではございませんが、事実上の監査役というものを設けて、もろもろの監査報告書をつくるとか、その他の会議には監査役会を設けてやっておるというようなことが行われておりまして、法律の期待するものが十分ということは言い過ぎかと思いますが、相当程度各企業の中に定着しておる。
 これは、ひとり監査役の力と言いますよりも、取締役である経営者の方々がやはりそういう気持ちになって、社内の最高機関にも出席してもらう、社内の規程も設ける、それからスタッフも人員を割いてそうするというふうに、取締役がその気になっている会社は監査制度も非常によくいっているというので、私は、四十九年の改正は、取締役と監査役とがそれぞれ自分の責任の立場においてよく理解して定着化に努めておるということは、これはもう覆うべからざる事実であると確認いたしております。
 しかしながら、十分であるかという点につきましては、まだまだという面が強いので、今回の法律改正によって一段とその不十分な点が補強されることを、非常に期待しておるものでございます。
#57
○藤原房雄君 あと時間もございませんので、中瀬参考人と四元参考人に一言ずつ。
 いろいろお尋ねしたいこともあるんですが、先ほども中瀬参考人からもいろいろお話ございまして、私どもも具体的なことを一つ一つお尋ねする時間もございませんのであれですが、今度の改正の中では、何といいましても、監査役、会計監査人というのは非常に大きな立場に立ったわけですね。先ほど社会的責任を全うすべしというような御決意のほどもございましたが、監査報告書において適法意見を述べる場合には、計算書類、株主総会の決議、承認を求めなくてもいいんだということですから、これは大変な責任の重大さということになります。
 先ほどもちょっと触れておりましたけれども、こういうような条文が明確化するということを受けて、さらに精神的なことよりも、具体的に会長という立場や、また会計士協会という中で、このことを受けていろいろな議論なり、または皆さん方の中での、協会の中でのお話し合いというのはあるんだろうと思いますけれども、そこらあたりちょっと何かお話ございましたらお述べいただきたいと思うんです。
 それから、四元参考人にはいろいろお伺いしたいこともございますが、時間もございませんので一つだけ伺いたい。
 いろいろお述べになったことはよく私どももわかりますが、今後について、基本問題ですね、これもよくひとつ理解してもらいたい、一つのステップとしてというお話でございました。その中で、私どもはいままで参考人を初めといたしましてお書きになったものをいろいろ読ませていただいてもおるわけですが、またそれなりに理解もしているつもりでありますが、先ほど基本問題の中で二番目にお話ししておりました事後監査のことですね、このことについて、もう少し補足といいますか、御説明いただければと、こう思うんであります。
#58
○参考人(中瀬宏通君) 協会といたしましては、商法監査受け入れプロジェクトチームというものをつくっておりまして、今回、商法改正が行われましたならば、適正に受け入れられるような受け入れ体制の整備を着々と進めております。それで、用意万端おさおさ怠りなしというところでございます。
#59
○参考人(四元正憲君) 事後審査制ということでございますけれども、先ほどはアメリカの証券取引委員会の例を引いたわけでありますが、これは聞くところによりますと、職員が二千人おりまして年間の経費も百億だとか、いま日本は行革で、ちょっと時世が違いますので、そっくりまねはできないと思うんでありますけれども、とにかく商法の会計監査におきまして監査のやりっ放しだと。そうすると、頼るものは何かといいますと、公認会計士の資質とモラルでございます。そこにしか頼るものがない。
 学生だって、試験がなければ勉強いたしません。じゃ、われわれ税理士はどうだと、これは自分のつくった決算書それから申告書というものを税務署に提出する、税務署なり国税庁が事後審査しているのと同じでございます。弁護士はどうだと、これは裁判に出ます。へたなことをやりますと負けます。やはり事後審査であります。医者だってそうであります。病気は治りません。だから、それも事後審査です。ところが、商法の公認会計士だけは、だれも気がつかない。何年か後に、何か会社が倒産したとき、ああそうだったのかということにしかならぬのじゃないかと思う。それを担保するのは、ただ公認会計士のモラルと資質だけである。これでは情けない。何かアメリカのまねをしようというのじゃございません。日本らしい工夫をこらしまして、やはりだれかそれをカバーしていく、ほかの人が違った目でカバーしていくという方法を考えるべきじゃないか、こういう意味でございます。
#60
○藤原房雄君 中瀬参考人に何もこれは反論とかなんとかということじゃなくて、その間のこと、いまのお話ありました事後審査ということについて、これはいままで会計監査人は、公認会計士というのはそれ相応の法律によって定められた立場にあるわけでありますから、そういうことについては私どももそれなりに十分に理解もいたしておりますけれども、最近打ち続くいろんな問題の中で、やっぱり企業のモラルといいますか、こういうことが非常に重視されておるわけでありまして、それなりに公認会計士協会の中でもいろいろな議論があるのじゃないかと私は思うんですけれども、何かこういうことについての議論があったら、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#61
○参考人(中瀬宏通君) ただいまの事後審査につきまして、商法監査には事後審査制度がないというふうな御発言がありますが、私はあると思うんです。それは社会一般、株主全体がわれわれを事後審査しているわけでございますね。もしもわれわれの監査が信頼置けないというようなことになれば、もう監査不要であるというふうになろうと思うんです。そういう意味で、個々のあれよりも、もっと大きな意味でわれわれは社会の信頼にこたえなきゃならぬ、そういう意味での強い事後審査を受けていると私は考えている次第でございます。ですから、そういう意味での対応策を着々と練っていると、こういうことでございます。
#62
○山中郁子君 参考人の皆さんには御苦労さまでございます。大変限られた時間でございますので、できれば三人の参考人の方から、数点にわたりまして御意見を重ねてお伺いをしたいと思います。
 初めに、竹内参考人から三つの点で御意見をいただきたいと思っております。
 一つは、企業の経理を公明正大なものにするために現在の内部監査のやり方ではおのずから限界がある、きょうの質疑の中でもしばしば出てまいりましたけれども、たとえばアメリカのSECのような、企業に対する強力な監視、監督の機関を設けて、公的監査機能を強めるべきではないかという意見が御承知のようにあるわけですけれども、この点についての先生の御意見をお伺いしたい。
 それから二つ目は、今回の単位株制度の採用によりまして、既存の株主から議決権等の共益権を奪うということが憲法二十九条つまり財産権の侵害であって、憲法十四条、法のもとの平等に違反するという意見があります。これは先ほど先生も、この改正案自体については、個々の問題ではそれぞれに学者の中にいろいろ反対もあるという御意見がありましたけれども、先生御自身がこの点についてどう考えられていらっしゃるか、お伺いをしたいということです。
 それから三点目は、これも先ほどからいろいろお話があります総会屋の問題とも関係するんですけれども、近年株主総会の空洞化、形骸化ということが一貫して指摘されております。それで、これは現代の株式制度にとっては避けられない問題だと考えられるかどうかということなんですね。あるいは特別の対策によってこうした傾向を回避することが可能だと考えられるのか、その原因と対策について、これが三点目でございます。
 初めに、竹内先生から御意見をちょうだいしたいと思っております。
#63
○参考人(竹内昭夫君) SECのような機構をというふうな御意見を承ったわけでございますが、それに対応するものはわが国ではもともとは証券取引委員会というのがございまして、その仕事を大蔵省証券局が引き継いでおるということは御承知のとおりでございます。したがいまして、そういった政府機構をということであれば、大蔵省証券局の大幅な拡充、とりわけて先ほど来御指摘がございましたような、企業に対して立入調査権を持っているような、要するに証券警察といったような業務をやる人間をどうやって確保し、その資質を向上し、その権限を強化していくかというようなことが課題になろうかと思いますけれども、しかし、これは行政改革による人員削減ということが叫ばれておる折から、そのようなことを申してもとうてい実現できることではあるまい、かように私は考えております。
 二番目、単位株ということでございますが、共益権を奪う、これが憲法二十九条違反ではないかというふうなことでございますけれども、これははなはだ私個人は形式論ではなかろうかと思っております。と申しますのは、株式を併合してしまえば、そこでもって一挙に端株として処理せざるを得ないものだろうと思うわけでございますけれども、そういうことをいたしますと株主の権利に影響が及ぶだけではなしに、株式の取引、こちらの方面にも影響が及んでまいります。したがいまして、これをだんだんとやっていくことによりまして、いわば経済社会に及ぼすインパクトを少なくしょうということが、この段階的な株式併合であるところの単位株という制度でございますから、一遍にまとめちゃうのはいいけれどもだんだんまとめていくのはおかしいという議論は私はいかがなものかと、このように考えております。
 それから三番目、株主総会の空洞化は避けられない問題かということでございますが、これは考えようによれば、ある意味では、また、ある範囲では避けられないのかもしれません。と申しますのは、株主総会に出ていきましたところで旅費をくれるわけでもなし、日当をくれるわけでもない、そして株主が自分の議決権に物を言わせようといたしましてもその力は限られておるということであれば、やはり総会に出ていっていろいろ発言なんかをするよりも、そんな暇があったら自分の仕事をしようということになるのもこれはやむを得ないことか、かように考えるわけでございます。
 しかし、私はいまある範囲ではと、あるいはある限度ではという限定をつけましたのは、わが国では、それがいま申しましたような必然的な傾向として避けられないよりもはるかに空洞化がいわば進んでおる。したがって、それを是正することによりまして、株主総会に出ていけば自分の意見も聞いてくれる、お互いがまじめに議論し合うという雰囲気ができてくれば、いままで行って物を言うと、おっかない人たちににらまれるかもしれないというようなことで行かなかったような人は、これは出てきてくれるかもしれない。
 それが、わが国における経済社会というものを支えております企業のいわば姿勢を健全にし、国民、投資家大衆との間のコミュニケーションを太くする、国民の側から企業に対する不信の念をぬぐい去っていく一つの手段ではないか、このように考えまして、先ほど来申しておりますように株主提案権とか説明義務とか、それから議長の権限も強化いたしましたし、それからいろいろな規定を加える、書面投票制度もそうでありますが、そういったものをつけ加えることによりまして、ある程度ともかく空洞化してある株主総会を活性化しようという試みをしておるわけでございます。
 それが、終局的にはどうやってもむだなことだということにそういう結論が出ることを、私としてはむしろ恐れているわけでございます。そういった結論がもし出た場合には、総会にかわる何か監督機構を設けるべきではないか、すべて政府がやるべきかといったような議論が出てきてしまうことを、私はむしろ恐れている者の一人でございます。
#64
○山中郁子君 そうしますと、いまの御意見で、結局避けられる部分についてはやはり企業の姿勢にかかっている、その総会屋問題との御意見とあわせて、そういうことに尽きるという御主張になりましょうか。
#65
○参考人(竹内昭夫君) 法律としても打つべき手はもちろんあろうと思いますし、説明義務とか提案権とか書面投票といったような、今度の法案が事を決めようとしておりますのは、法律として打てるべき手は打とう、と同時に、それだけでなしに、企業の経営者としても、株主総会という年一回の場においてできるだけフランクにあなた方の会社の実情はこうなんだという姿勢で話しかけ、株主の意見を聞くような姿勢を運用上も持っていただくことが必要だ、両方相まって私は株主総会の形骸化を防ぎたいものだと、かように考えております。
#66
○山中郁子君 次に、星野参考人に御意見を二点お伺いしたいと存じます。
 一つは、いま竹内先生の御意見はあったんですが、この単位株制度ですね、これは六〇年代のいわゆる経済の高度成長期に個人の株式の取得がいろんな形でもてはやされていたという経過があって、にもかかわらず、経済が低成長期に入ると、今度は株式の管理コストを理由に単位株制度を採用して、個人株主、中小零細株主を整理していこうという考え方になっているわけですけれども、これもいわゆる経済界の強い要求があった結果だということも言われておりますが、余りにも経済界中心の御都合主義じゃないかという面はいかがお考えになっていらっしゃるかということが一点でございます。
 それから、いまの総会屋の問題なんですけれども、これは先ほど藤原委員からも御質問があってダブるんですけれども、私はやはり竹内先生のかなり熱心な御主張も伺ってきたんですが、商法にどんな条文を設けたところで、経営者が腐敗して総会屋につけ込むすきを与えるということならば何の効果も上げないということは、かなり端的に言って明白な経過でもあるし事実でもあるわけです。現在ほど企業の経営者に社会的責任の自覚が求められているときはないわけですから、有力な経営者の団体である東京商工会議所として、メンバーのモラルの向上のためにどんな効果的な対策を講じておられるのか、先ほどのお話ですとよくわからなかったんですが、当然何らかのあれがされていてしかるべきだと思うので、その二点について御意見を伺いたいと思います。
#67
○参考人(星野孝君) まず、単位株制度について申し上げますと、この単位株制度というのは、もともとは株式の単位が非常に小さいからもう少し大きくしよう、これは明治時代にできた五十円というのがそのままでは無理だということから、単位株というよりも、むしろ株式そのものの単位を引き上げるという話から始まってまいったわけでございます。これでまいりますと、むしろ全く株主を切り捨ててしまうという状態になるわけですが、その辺につきましていろいろと検討をした結果が、先ほどから竹内先生も御説明になっておるように、一つは、なし崩しであるし、それからもう一つは、端株制度というものができまして、これによりまして少なくとも自益権については千分の一の部分、現在の一株単位が切り捨てられるだけで、十株以上は端株として残るというふうになっておりまして、私どももこの検討に当たりましてその辺の主張もございまして、その結果がこういうようなことになりましたので、単位株制度はむしろもともとの考えよりは非常に進んでいるものではないかと思います。
 それから、第二番目の総会屋の問題でございますが、これは対策と申しまして、率直に言ってこの法律が決まった以上はこれでやっていくということを考える以外にないと思います。むしろ法律が後ろ盾になってくれる制度をつくりましたわけですから、それに従って自分たちも自覚をして進んでいくよりほかに方法はないんではないかと思います。
#68
○山中郁子君 二点目の問題は、私がお伺いをしたいことは、今度の法律がどう変わるかということだけでなくて、これは一貫して大きな批判の対象になってきているわけですね。それで、先ほど星野参考人自身、自分の会社はそういうことはしておらぬというお話でございましたけれども、有力な経営者団体である東京商工会議所として、そのメンバーのモラルのためにどういう対策を講じておられるのか。何もされてないということはあり得ないのじゃないかと思ってそのことをお尋ねしたんですけれども、その点はいかがでしょうか。
#69
○参考人(星野孝君) 今度の法律改正に当たりまして、総会屋についてこういうような規定を置くことにつきまして、これは商工会議所の商事法規委員会でもむしろ進んでこういうことをやるべきだという意見でございまして、むしろ精神的にこういう総会屋に金銭をやるべきではないというだけのことではなしに、その裏づけを少しでもつくろうという方向で考えてまいっているんだと思います。
#70
○山中郁子君 まあ議論をする場所ではございませんので、お伺いをしておきたいと思います。
 最後に、中野参考人にひとつ一点だけお尋ねをいたします。
 最初に、全般的な御意見の開陳があったんですが、改めて現在のような内部監査の制度で果たしてその目的を達成することができるのかどうか。監査制度の独立性を確保する必要性が各方面からも叫ばれておりますし、さまざまな議論にもなっておりますけれども、この点についての御意見を聞かせていただきたいと思います。
#71
○参考人(中野拙三君) 内部監査で果たして実効が上がるかとおっしゃいました点、ことに独立性の問題、やはり内部監査だけでは十分でないと思いまして、今回の法律の改正案では、内部監査を担当する監査役と外部監査を担当する公認会計監査人との連携によってやろうというので、内部監査のみで不十分な点は外部監査で強化していこうという趣旨であろうかと思うんでございます。法律ができて果たして非常な実効が上がるかどうかは今後の課題でございますけれども、現行の制度から数歩前進した法律案になっておるようでございます。
 独立性につきましても、法律の立法の方が可能な限り苦心してつくられておるようでございますが、完全な独立性ということについてはまだ検討の余地があるかと思うんですが、現在の状態よりも数段独立性の方も強化されている。物事は、やはり漸進的に順序を追っていかないと現実から遊離した法律になりますので、やはりこの程度の補強策で相当の成果は上がるんではないかと私は思っております。
#72
○山中郁子君 今回の改正案、この問題に関して中野参考人の御意見としてはそのように理解をしているわけですけれども、考え方として監査制度の独立性を確保するということの必要が叫ばれているわけで、その点については、それはもちろんそうだというお考えの前提に立っておられるのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。
#73
○参考人(中野拙三君) この監査制度というのは、私は、やはり自主的な監査という姿勢が経営者になければ効果が上がらないと思うんです。仮に、監査人なり監査役の独立性のみを強くしても、監査を受け入れる人にそのような経営姿勢が欠如しておれば、独立性をつくったところで実効が上がらない。やはり監査を受ける人が監査を受けようという姿勢、それに対して可能な限り独立性のある監査人が監査を行うという、両者の姿勢が必要ではないでしょうか。私は、独立性のみに意味があるんじゃなくて、監査を受ける人の経営姿勢により根本的に問題があって、その姿勢を欠いておれば、仮に独立性をつくっても効果は余り期待できないんじゃないか、そのように思うんです。
#74
○山中郁子君 ありがとうございました。
#75
○中山千夏君 きょうはどうも御苦労さまです。
 最初に、星野さんにお尋ねしたいんですけれども、先ほど竹内さんのお話を伺いまして、外国では別にこんなふうに法で規制をしなくても総会屋というものは存在しないということだったんですけれども、いろいろな事情が日本の中で、個人株主の権利意識の問題であるとか、社会機構そのものの問題だとか、あらゆる問題がつながってきていてこういう状況が起きているのだとは思うんですけれども、その中で、経営者のあり方というものが、やはり総会屋というものを存在させている大きな柱であることは間違いないと思うんです。
 それで、星野さんがいろいろごらんになっていて、日本の経営者のどういう姿勢、あるいはどういう事情がこういう状況につながっているんだというふうにお考えになりますか。
#76
○参考人(星野孝君) これは、やはり日本的な体質と申しますか、まず、総会というのを議論の場にするとかいうことを避けたいという意識があった、そこに乗じた総会屋という制度が生まれまして、それがかなり長い間とにかく続いてきた、それでこれを一挙に絶滅するというのが非常にむずかしくなってきているんじゃないかと思います。したがいまして、先ほども山中先生からもお話がございましたけれども、この対策とすれば、まず経営者に対して裏づけを与えて、鼓舞すると申しますか、ということが必要なので、この機会に、との規定の趣旨を経営者は十分理解して、この法律の方向に進むように求めるのがこの際の方法だと思います。
#77
○中山千夏君 この改正案で、法律としては総会屋を一掃できるはずだということなんですけれども、経営者の方たちとしてはいい法律ができた、これを後ろ盾にしてひとつ一掃してやろうという雰囲気なのか、あるいは、もう少し、何というんですか、こんな法律ぐらいじゃどうにもならないよという雰囲気で経営者は受けとめていらっしゃるのか、その辺、全般をごらんになっていて、いかがでしょうか。
#78
○参考人(星野孝君) 少なくとも、現在まで行われておりましたような総会屋のやり方というものを抑えることは、効果があり得ると思います。ただ、それなら、会社から金を引き出す方法というのが全然なくなるかと申しますと、これはまた別の問題でございまして、この規定でそこまで抑え切れるとは思いません。
#79
○中山千夏君 そこで、経営者の側の努力といいますか、そういうことがすごく重要になってくると思うんですけれども、総会屋というのは、ずっとこの審議の問いろいろ警察からもお話を伺っていまして、暴力団と密接なかかわりがあって、そして、暴力団の方にたくさんお金が驚くほど流れている。暴力団を温存するというような点でも非常に社会的に大きな問題なので、ぜひとも何らかの自主的な御努力をお願いしたいというふうに考えるんです。
 次に、中瀬さんに少しお伺いします。
 独立性の維持ということを非常に強調していらっしゃったと思うんですけれども、その維持を行っていく上で、これはすごくむずかしいと思うんですね。それから、先ほどもモラルの問題だということをおっしゃっていましたけれども、ところが、最近世の中を見ていますと、本当にモラルを必要とされるような職業で、しかも、そこで一生懸命モラルを守ろうと皆さんが努力していらっしゃるような場ででも、たとえば、警察官の犯罪だとか起こり得るわけです、それから検事さんだとか。そういう中で、どんなふうに独立性を守り、あるいはモラルを徹底させようという努力を具体的にしていらっしゃるのか、それをちょっとお伺いしたい。
#80
○参考人(中瀬宏通君) 公認会計士になろうという者は、そういうモラルを持った者がなるわけでございます。したがいまして、いまだかつて贈収賄によってひっかかったとか、そういう公認会計士はいないわけです。ですから、そういう気持ちを持たない方はわれわれの業界に入ってこないわけです。そういう意味で確実に守られている、こういうことでございます。
#81
○中山千夏君 いや、そこまでおっしゃるとは思わなかった。非常な自信ですね。
 でも、やっぱり、警察官になる人も警察に就職するときには、なぜ就職できるかというと、こいつは悪いことをするかもしれないと思ったら雇わないわけで、やっぱりそう信じて警察官に採用されるのだと思うんですけれどもね。そうすると、特に努力はしなくても、最初からモラルがあるから大丈夫だというふうにお考えなんですか。
#82
○参考人(中瀬宏通君) 私どもの試験は、日本でも一番むずかしい試験とされているわけですね。それだけのむずかしい試験を受けるということは、やはりそういう基本的な理念があってなおかつむずかしい試験を受けようと、こうしているわけですね。ですからそういう意味で、私ども必ずしも満足していないというのは、それに比しては報酬が少ないと、こういうことでやや不満があるわけでございますが、精神的には、武士は食わねど高ようじではございませんけれども、それを維持することによってわれわれの職業というものが守られているんだ、もしもこれがなくなればわれわれの職業自体が滅亡する、このくらいの危機感を持って日々やっているわけでございます。
#83
○中山千夏君 大変に会計士の皆さんがモラリストだということはわかったんですけれども、具体的な研究だとか、それから、モラリストでいらっしゃるでしょうけれども、そういうものをより一層高めるために、具体的にどういうことをしていらっしゃいますか。
#84
○参考人(中瀬宏通君) 当初の冒頭の意見陳述でも申し上げましたが、監査実施要綱というのをつくっておりまして、各人がそれを守るようにしましたし、ことしの三月には監査マニュアルという監査手続書を全会員に配りまして、均質な監査手続ができるようにしております。それから紀律委員会というのがございまして、そこでこの独立性が完全に守られるように、われわれが常に自主的にチェックをしている。そのほか私どもが、試験が二回ございますけれども、二次試験が終わりますと、実務補習所というところで一年間協会が実務補習をするわけでございます。その中で、そういう精神的な独立性も十分訓練いたしますし、いろいろな手を打っているわけでございます。
#85
○中山千夏君 これはおわかりになれば教えていただきたいんですけれども、先ほど四元さんから基本問題のときに触れられた職域の問題と関係があるんですけれど、税理士と会計士、この両方の資格を持っていらっしゃる方は、おたくはさっき八千人というふうにおっしゃいましたが、その中でどのくらいいらっしゃるのか、それから両方を兼務していらっしゃる方はどのくらいいらっしゃるのかという点について、ざっとの数で結構です。
#86
○参考人(中瀬宏通君) 現在、公認会計士が六千人、これが町方の資格を持っております。会計士補の方は持っておりません。六千人のうち、税理士会に現在入っていらっしゃる方は約四千人程度だと思います。それから通知公認会計士、これは税理士法の改正で三年後になくなるわけでございますが、税理士登録はしておりますけれども税理士会に入っていらっしゃらない方が約千五百人くらいいらっしゃるのではないか、こういうふうに思っております。
#87
○中山千夏君 最後になっちゃったんですけれども、竹内さんにちょっとお伺いしたいのです。
 四元さんからさっき提出されました基本問題の中の職域の問題なんですけれども、今度の法改正に関してということでなくても結構ですので、この問題についてどう考えていらっしゃるか、ちょっと御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#88
○参考人(竹内昭夫君) 私は、職域問題というものには、何といいますか、率直に申しまして余り関心がないと申し上げる方がいいのかもしれません。公認会計士の方がどれだけ職業上プラスを得ようと、税理士の方がどれだけマイナスであろうと、それよりも私どもといたしましては、日本の企業の経営なり、それからそれを通じて株主なり債権者なり、これがどう守られるかということが大事でございまして、そのためにその最もふさわしい監査体制はどうあるべきか、そういう角度から物事を考えておるわけでございまして、報酬をどう分けるか、仕事をどう分けるかというような話は、私にとって、率直に申しますと、何だか耳を洗いたくなるような感じもしないわけではないわけでございます。
 しかし、そうは申しましても、生身の人間の社会でございますから、それぞれの利害というものが複雑に絡み合ったままでは、四元さんが先ほど来おっしゃっておりますように、いつまでもいがみ合いが続くということではこれは困るわけでございまして、私は、だれが見ても合理的なような利害調整なり何なりであれば、それこそオープンな場においてそれが行われるということを望むものであります。そういたしませんと、二人両当事者だけはそれで納得したかもしれませんけれども、どういう納得ができたのか、周りの者、利害関係者だれもわからぬということでは、それはその調整した結果、それ自体がはなはだ不明朗な雰囲気の中で不明朗な形で落ちつくということもあり得るわけでございまして、私としてはそのようなことにならないようにということを願っておるものでございます。
#89
○中山千夏君 ありがとうございました。終わります。
#90
○委員長(鈴木一弘君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、本日は長時間にわたり貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
 次回は、明二十八日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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