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1980/03/24 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 地方行政委員会 第5号
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1980/03/24 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 地方行政委員会 第5号

#1
第094回国会 地方行政委員会 第5号
昭和五十六年三月二十四日(火曜日)
   午前十時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十四日
    辞任         補欠選任
     伊藤 郁男君     柳澤 錬造君
 二月二十五日
    辞任         補欠選任
     井上  孝君     石破 二朗君
     関口 恵造君     岩上 二郎君
     森山 眞弓君     鍋島 直紹君
     鈴木 和美君     佐藤 三吾君
 二月二十七日
    辞任         補欠選任
     柳澤 錬造君     伊藤 郁男君
 三月三日
    辞任         補欠選任
     吉田 正雄君     田中寿美子君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     神谷信之助君     宮本 顕治君
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     宮本 顕治君     神谷信之助君
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     石破 二朗君     谷川 寛三君
     鍋島 直紹君     松浦  功君
     田中寿美子君     小谷  守君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀長 友義君
    理 事
                金井 元彦君
                熊谷  弘君
                志苫  裕君
                伊藤 郁男君
    委 員
                岩上 二郎君
                後藤 正夫君
                谷川 寛三君
                名尾 良孝君
                原 文兵衛君
                福田 宏一君
                松浦  功君
                小谷  守君
                小山 一平君
                佐藤 三吾君
                和泉 照雄君
                大川 清幸君
                神谷信之助君
                美濃部亮吉君
   国務大臣
       自 治 大 臣  安孫子藤吉君
   政府委員
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       自治大臣官房長  石見 隆三君
       自治大臣官房審
       議官       大嶋  孝君
       自治大臣官房審
       議官       矢野浩一郎君
       自治大臣官房審
       議官       川俣 芳郎君
       自治省行政局公
       務員部長     宮尾  盤君
       自治省財政局長  土屋 佳照君
       自治省税務局長  石原 信雄君
    事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
    説明員
       環境庁企画調整
       局環境管理課長  清水 良次君
       国土庁長官官房
       参事官      平戸 正尚君
       国土庁土地局土
       地政策課長    渡辺  尚君
       国土庁土地局土
       地利用調整課長  河村 勝三君
       文部省体育局学
       校給食課長    奥田與志清君
       厚生省公衆衛生
       局難病対策課長  柳沢健一郎君
       厚生省環境衛生
       局食品化学課長  藤井 正美君
       厚生省児童家庭
       局母子衛生課長  福渡  靖君
       通商産業省立地
       公害局工業再配
       置課長      高橋 達直君
       通商産業省立地
       公害局立地指導
       課長       竹野 正二君
       通商産業省機械
       情報産業局電子
       機器電機課長   田中 達雄君
       労働省労働基準
       局安全衛生部計
       画課長      山田 正美君
       建設省住宅局住
       宅政策課長    伊藤 茂史君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のた
 めの国の財政上の特別措置に関する法律等の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び
 納付金に関する法律の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀長友義君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二月二十五日、井上孝君、関口恵造君、森山真弓君及び鈴木和美君が委員を辞任され、その補欠として石破二朗君、岩上二郎君、鍋島直紹君及び佐藤三吾君が選任されました。
 また、去る三日、吉田正雄君が委員を辞任され、その補欠として田中寿美子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(亀長友義君) まず、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に伊藤郁男君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(亀長友義君) 次に、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。安孫子自治大臣。
#6
○国務大臣(安孫子藤吉君) ただいま議題となりました、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明を申し上げます。
 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律及び首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律は、新産業都市、首都圏近郊整備地帯等の整備を促進するために必要な国の財政上の特別措置を講ずることを目的とし、昭和五十年度までの事業を適用の対象とするものとして、それぞれ昭和四十年五月、昭和四十一年七月に制定をされたものであり、その後、昭和五十一年三月の法律改正によって、特別措置の適用の対象は、昭和五十五年度までの事業とされております。
 政府といたしましては、新産業都市建設促進法等に基づき新産業都市建設基本計画等を策定し、鋭意整備事業の実施に努めてまいったところでありますが、諸般の事情によりこれらの地域に必要な公共施設の整備はいまだ十分でない状況にあります。このような状況にかんがみ、さらに新産業都市、首都圏近郊整備地帯等の建設整備を推進するため、昭和五十六年度以降も引き続き国の財政上の特別措置を講ずる必要があると考えられるのであります。
 また、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律は、国民の健康で文化的な生活を確保する上において公害の防止がきわめて重要であることにかんがみ、公害防止計画等に基づき実施される公害防止対策事業の一層の推進を図るために必要な国の財政上の特別措置を講ずることを目的として、昭和五十六年三月三十一日までの時限立法として、昭和四十六年五月に制定されたものであります。
 政府といたしましては、公害防止計画地域等における公害防止対策事業の推進に努めてまいったところでありますが、諸般の事情により公害防止計画の目標等が十分達成されるに至っておらず、昭和五十六年度以降も公害防止対策事業を推進するため国の財政上の特別措置を継続する必要があると考えられるのであります。
 以上がこの法律案を提案する理由でございます。
 次に、法律案の内容について御説明をいたします。
 まず第一に、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律につきましては、都道府県分の利子補給措置について政令の定める基準により財政力による調整を行うこととするとともに、市町村分の国庫補助負担率のかさ上げ措置について財政力による調整の割合を若干高めることとした上、同法の適用期間を五年間延長することといたしております。
 第二に、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律につきましては、市町村分の国庫補助負担率のかさ上げ措置について財政力による調整の割合を若干高めることとした上、同法の適用期間を五年間延長することといたしております。
 第三に、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律につきましては、その有効期限を十年間延長し、昭和六十六年三月三十一日までとすることといたしております。
 以上が新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由説明及びその内容の概要でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可欠あらんことをお願い申し上げる次第であります。
#7
○委員長(亀長友義君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○佐藤三吾君 きのうは本会議で質問したんですが、大臣、答弁の間じゅう私の方をにらんで答弁しておったですけれども、今度は近いんですから、時間もございますから、ひとつゆっくり御意見も伺いたいと思います。
 新産都の問題、それから首都圏、公特の問題についてですが、これを設定した当時は昭和三十八、九年ですね、ちょうど高度成長の時代にこの法律が施行になったんですが、それから十五年たちました。そうして、いま説明によりますと、公共施設の整備がいまだ十分でないとか、それから公害関係についても十分な態勢ができていないというのが今度の延長の趣旨になっておりますね。どういう点が十分でないのか、十五年の評価をまず大臣からお聞きしたいと思います。
#9
○国務大臣(安孫子藤吉君) 新産都市が発足いたしまして十五年でございますが、その間においていろいろと都市建設についての仕事も進んでまいったわけでありますが、生活関連施設等についてはまだ十分でない。それから、企業が思うとおりに入ったかと申しますと、必ずしもそういう状況にはないわけでございます。これにはいろいろな原因があると思いますが、私といたしましては、誘導政策等について、やはりもう少し方策を講ずべきではなかったかという考え方もいたしておるわけでございまするが、当初考えましたような目標に向かってはまだまだ実現はしておらないというのが現状であると考えております。したがいまして、今回さらに期間を延長いたしまして所期の目的を達成するために努力をいたすべきであろうと考えておるわけでございます。
 それから、ちょっとつけ加えますけれども、当時は高度成長時代でございました。しかしながら、いまは客観的情勢が相当変わっておるわけでございます。この変わった時期においてこうした延長をすることはどうかという一つの問題点もあろうかと存じまするけれども、やはり日本全体といたしまして、この問題は過密過疎の解消ということが一つの基本的な理念になっておるわけでございまして、この点は現代社会におきましてもいまの日本の状況におきましても、この問題というものはやはりきわめて重要な課題だというような考え方もいたしておるわけでございます。したがいまして、今回御審議を願って、この延長の問題をひとつ御可決いただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#10
○佐藤三吾君 国土庁来ていますか。――いま大臣が、十五年間の問題として幾つか挙げましたが、生活関連、企業配置の状況がうまくいっていないとか、それから、高度成長から低成長への移行の中でも、過疎過密の問題を重視しなきゃならぬというような言い方だと思うんですが、具体的にどうなんですか、この十五年間をどういうような評価をしておるのですか。
 また、新産都、首都圏を含めて実態はどういう実態にあるんですか。
#11
○説明員(平戸正尚君) お答えいたします。
 ただいま自治大臣から御答弁ございましたとおりでございますが、若干数字について申し上げますと、まず、この十数年間にわたりましての成果でございますが、一つは工業出荷額の面で評価できるかと思います。出荷額につきまして申しますと、この十数年間、具体的には四十年から五十三年の数字でとっておりますが、全国の出荷額の伸び率は実質で五・六倍になっております。その間におきまして、新産・工特地域の出荷額の伸びは六・六倍ということで、全国に比べて一〇〇%というか、一倍伸びが高くなっておる。したがいまして、この結果として、全国の工業出荷額に占める新産・工特地区の出荷額のシェアも四十年で一四・一%でございましたが、五十三年では一六・八%というふうに二・七ポイント上がってまいっております。
 それから人口でございますが、これは四十年から五十五年の数字で見ておりますが、この間全国では一八%の増加を示しております。それに対して、新産・工特地区では二二%の増加ということで、全国の人口増加率を上回る増加を示しておる。これはシェアで見ますと、四十年の一四・四%から一四・九%というふうに〇・五ポイント上がっております。全国の人口の増加は、先生御案内のとおり、大体大都市圏において増加しておりますので、この間においていわば地方における新産・工特地区の増加が全国を上回ったというのが一つの評価できる点ではないかと思います。それがこの四十八年の石油ショック後の長期不況というふうな影響がございまして企業立地も相当冷え込んでまいっております。この過程において工業出荷額も相当伸び悩みを見せてきている。したがって人口の方も伸び悩んでおりまして、現行計画では達成率は相当低くなっております。
 達成率をちょっと申しますと、五十一年から最近までの工業出荷額の達成率は二九・一%という数字になっております。人口の方は六六・八%というふうな達成率になっております。
 それから、生産、生活関連施設の整備の進捗状況、これは比較的順調にまいっておりますが、現時点での施設の整備水準といういわばストックの概念で見た場合は非常に低水準にございまして、たとえば下水道で見ますと、全国平均の五十三年度の普及率は二六・七%となっておりますが、これに対して、新産地区十五地区で十二地区、つまり三地区を除いて全国平均まで至っていない。それから工特地区六地区ございますが、これはいずれも全国平均まで至っていないというようなことで、特にこの施設整備のストック的な面で低水準にございますので、今後とも積極的にこれの整備を進めていきたいというふうに考えております。
#12
○佐藤三吾君 いまあなたの御報告を聞きますと、一口で言うと、四十八年までは順調であった、ところが石油ショックが出てからダウンしてきたというように聞こえるわけですが、そういうことなんですか。そういう実態がもし前提であるとするならば、今度の法改正の意義というのはどういう点にあるんですか。
#13
○説明員(平戸正尚君) 一口で申しますとそういうことが言えるかと思いますが、やや詳しく見ますと、旧計画期間中、つまり五十年度までの計画期間中においては、施設の関係では生産関連施設は比較的順調に整備されたと思っておりますが、生活関連施設の整備が若干おくれたということはその期間においても言えるかと思います。
 ちなみに、この間の生産関連施設と生活関連施設の投資の比率、大ざっぱに申しますと大体六対四ということになってございまして、生活関連施設が相対的に立ちおくれているということがこの面で反省されまして、五十一年度以降現行計画ではこの比率を逆転させまして、生産関連施設四、生活関連施設六というふうなことで整備を進めておりますが、それにしましても先ほど申しましたように、施設の整備水準という点ではまだ劣っているということが言えます。その意味で、一つは今後とも整備を進めていく必要があるというふうに考えております。
 それからまた、現在の第三次全国総合開発計画におきまして、定住構想を推進するということが非常に重要な課題になっておりますが、このためにはやはり地方において雇用の場をできるだけ拡大していくということが必要でございますが、そういった意味でこの新産・工特地区に工業の集積をさらに高めまして、工業出荷額あるいは人口、こういった面で受け入れができるようにしていきたい、こういうことで考えでございます。
#14
○佐藤三吾君 さっき大臣が言った、企業配置の状況がうまくいっていないと、そういう説明があったんですが、新産都・工特関係で、土地造成で、たとえば造成はしたけれども企業は来ない、そこで野ざらしになっておると、こういう実態はどういう状況になっていますか。
#15
○説明員(平戸正尚君) この点は、二つの面から大きく見られるかと思いますが、一つは、工業出荷額が達成状況が非常に悪い。先ほど申しましたように、五十三年の工業統計で見まして、達成率が二九・一%というふうな低位にとどまっているということが一つございます。それからもう一つは、工業用地の造成をいたしておりますが、その用地の売却状況、こういったのが一つのメルクマールになるかと思います。
 ちなみに売却状況で申しますと、五十年度までの完成分で申しますと、売却用の面積が一万六千九百九十四ヘクタールございました。そのうち売却されましたのが、これは五十年度の時点での数字でございますが、一万四千四百三十八ヘクタールということで、この時点での売却済みの比率は八五%ということでございました。それが五十一年度から五十三年度までの完成分について見ますと、合計で一千二百八十五ヘクタールということになっております。そのうち売却済みのものが、これは五十三年度末での実績でございますが、五百五十六ヘクタールということになっておりまして、売却率では四三・三%ということになっております。五十年度以降の完成分というのは、それまでに比べますと非常に面積は小さくなっておりますが、売却済みの比率という点では非常に低くなっておる、こういう状況でございます。
 ちなみに三十九年度以降五十三年度までの合計で見ますと、面積が一万八千二百七十九ヘクタール完成しておりますが、そのうち売却済みの面積が一万四千九百九十四ヘクタール、売却済みの比率では八二・〇%、こういう数字になっております。
 こういった点から見まして、確かに企業の進出というか誘導、この点でいろいろ問題もございましたので、今後の計画においてはできるだけこういった点にも配慮してまいりたいというふうに考えております。
#16
○佐藤三吾君 これまでに投資をした額というのは、国の場合に、たとえば地方債のかさ上げであるとか利子補給であるとか、そういった額はそれぞれ出されておりますが、全体として一体どの程度の資金投資をしたのか。
#17
○説明員(平戸正尚君) 総投資額を旧計画の期間と新計画の期間に分けて申し上げますが、旧計画期間中の施設整備の関係の概算経費は、名目でございますが、三十九年度から五十年度までで九兆七千七百五十七億円という数字になってございます。それから、新計画は現在まだ進行中でございますので基本計画の数字で申しますが、十二兆七千百九十七億六千六百万円ということになっております。ただ、これは基本計画の達成のための総費用でございまして、やや細かくなりますが、一般の国のお金と、それから、たとえば住宅について住宅金融公庫なんかの融資がございますが、その住宅金融公庫の融資あるいはそれの裏負担としての自己負担分、こういった数字も入った数字でございます。
#18
○佐藤三吾君 その中で、この財特法に基づく国の支出というのはどの程度ですか。
#19
○政府委員(矢野浩一郎君) 新産・工特関係の財政特例措置による実績でございますが、四十年度から五十四年度までの累計でございますと、まず道県分に係る地方債の発行額、これが二千八百八十五億でございます。それから同じく地方債の利子補給が三百九十億円でございます。それから、市町村の方、これは国庫補助負担のかさ上げでございますが、四十年度から五十年度までの間に千六百二十四億円のかさ上げ措置を講じておるところでございます。
#20
○佐藤三吾君 いまざっと十五年間の新産都・工特を中心にした財政投資、それから実態、問題点、こういう点をお聞きしたわけですが、大臣、いまお聞きのとおりに、かなり莫大な資金投資を、新産・工特だけですけれども、やられておる。それにしても、際立って違う点は何かというと、五十年以後の、たとえば立地の問題にしても企業の配置の問題にしても、それから出荷額の問題にしても、急速にダウンしておる。これは逆に言えば、やっぱり何というか、日本全体の経済構造の変化というか、そういったものが無視できないのじゃないかというようなものを感ずるわけです、いま聞いただけでも。そうすれば、こういったものの措置をただここで延長していくということで問題が処理できるのだろうかという危惧を持つのですがね、いかがですか。
#21
○国務大臣(安孫子藤吉君) 確かに高度成長時代と背景は変わってきておる。日本の産業構造も相当これから変わらざるを得ないと、こういうことで、そのことがこの現象の一つの要因にもなっているわけでございます。
 しかしながら、やはり今後の産業構造の面から考えまして、一つの例でございますけれども、従来新産都市等におきましては常に石油化学等の誘致というものを非常に希望しておったように私は覚えておりますが、そういう時代じゃない。しかしながら、また新しい産業というものも方向としては出ておるわけでございまするので、そうした産業というものをこうした地域に配置をすることによってやはり大きな意義を持つものじゃなかろうかと思います。まあ産業構造の変革に応じての新産業都市等に対するところの企業の再配置という問題を考えますと、やはり依然としてこの問題は重要ではなかろうかと、こう考えておるわけでございます。
 しからば、どんな企業がいいかという問題に論点は移ると思いますけれども、今後における日本経済を支える基幹的な産業というものを頭に描いて、こうした地域に再配置をするという努力をわれわれは重ねていくことが、過密過疎の解消にもきわめて大きな意義を持つものではなかろうかと、こんなふうに考えておるところでございます。
#22
○佐藤三吾君 その問題は後でまた議論しますが、たとえばいま国土庁の報告の中にも若干出ましたけれども、私が調べた内容を見ても、目標値に対して実績というのが、工業出荷額、これは五十一年以後の問題だという説明がつきましたけれども、二九・一%ですかね、それから人口増の六六・八%、こういった数字が出されておりますが、今度はそれをもう一歩進めて、生活関連の実態を見ますと、これはもっとスピードというか、実態がおくれておる。下水道一つとってみましても、全国都市平均の中で、新産都・工特地区は都市平均を上回っておるというのは三つしかない。あとは全部下回っておる。それから、公園の一人当たり面積を見ると、六割が全国都市平均を下回っておる。さらに、市町村の舗装率を見ると五割が下回っておる。これだけの国家投資なり地方財政の投資をして、そして新産都づくりをやっておる、そしていま企業誘致等を行っておるわけですが、その目標値から見ても実績は大きく下回っておるのに加えて、いま言う生活関連の面から見ると、その地域に住んでおる住民の皆さんに大変な犠牲を強いて、その実態の中で進められておるというのが私はこの新産都・工特の実態像じゃないかというような感じがするんですが、いかがですか。
#23
○国務大臣(安孫子藤吉君) 御指摘の点はそのとおりだと思います。したがいまして、今回の延長につきましても、生活関連施設の整備が大変目標からおくれておるので、これを急速に上げていかにゃならぬ、そういう意図をもちまして御提案をしておるわけでございます。
#24
○佐藤三吾君 そうしますと、法律の性格が変わってくるわけですか。いま大臣のお話を聞きますと。
#25
○国務大臣(安孫子藤吉君) 法律の趣旨は変わっておりません。従来の方針でこれを延長していきたいと考えておるわけであります。
#26
○佐藤三吾君 ところが、法律の趣旨を私はやっぱりこの際変えていかぬと、このままでいけば、たとえば五年たって見てみるとまたこの延長線上しか出てこないと思うのですよ。なぜかといえば、日本経済の構造の変化というものは、そう五年間の中で変わる見通しというのは私は出てこないと思う、いまの状況というのは。なぜかというと、五十年のときから見れば五十一年にはがたっとこう出ておるわけだ。そうでしょう。その中で、せっかくそういう実態を踏まえて今度の法改正をやるとするなら、そこに法の趣旨も変えていくという前提でなしにはいけないのじゃないかというような感じがするものですから先ほど大臣の見解を求めたんですがね。ところが法律は変わらないと。
 私の出身の大分が新産都の言うなら指定地区なんですが、地元では新産都の優等生と、こういう言葉を知事も市長もしょっちゅう言っておるのですが、これは自治省、国土庁に参考のために聞いておきたいんだが、優等生なのかどうなのか、これはぜひ聞いておきたいと思うのが一つ。それと同時に、優等生というのは一体どういう基準で、物差しで優等生と優等生でないというのを示しておるのか、それもあわせてまず聞いておきたいと思うのですが、いかがですか。
#27
○説明員(平戸正尚君) ただいま大分地区が優等生かどうかというお話がございました。実は、私ども国土庁――自治省もあわせてかと思いますが、特段、特定の地区が優等生とか劣等生とかというふうな分類はいたしておりません。ただ一般的に、先生の地元でもそういうふうなお話があるということでございますが、私どもが類推するところでは、大分の計画が、特に五十年度までの旧計画は非常に野心的なものでございました。その達成状況もそういう大きな計画のわりには比較的順調にいっている。こういったことから、それを象徴的に言っているのではないかと思います。
 ちなみに、旧計画で三十五年の基準から五十年度までの大分の工業出荷額の伸び率でございますが十二・五倍、実質でございますが十二・五倍になると、こういう計画でございました。それに対しまして、全国の新産の平均では六・三倍ということでございましたので、全国の倍ぐらいの伸び率を考えております。そういった意味で相当野心的な計画であった。達成率は全国の方が九七・四%であったのに対して大分の達成率は七〇・三%にとどまりましたが、それにしましても、実質的な意味での大きさといいますかそういった点では相当の成果を見たというふうに考えられます。しかしながら、人口の達成率あるいは施設整備の達成率、この辺は余り全国の数字と大きな乖離はございません。それから下水道の普及率でございますが、五十三年度の数字で私ども把握しておるところでは、全国の二六・七という普及率に対しまして大分地区では一六・〇ということでございまして相当下回っているということでございますが、これはやはり、こういう計画を実施してきたその結果として低かったと。工業なり人口なりは相当伸びたけれどもそれに生活関連施設が追いつかなかったという先生の御指摘の点があるかと思います。
#28
○佐藤三吾君 自治省どうですか。
#29
○政府委員(土屋佳照君) ただいま国土庁からお話があったわけでございますが、お尋ねの大分について、私ども直接その後追いをしている立場にございませんのでよく存じませんけれども、いまの話のように、かなり当初大きな計画を立てておられたことは事実でございます。その推移の中でいろいろの問題もございました。しかしながら、全体としてはまだまだ水準は目標値には低いというような感じを持っておるわけでございます。
 ただ、そういうことではございますけれども、私ども、全体といたしましては新産・工特地区についての財特を設けて推進をしていった意義というものは今日でもそれは薄れていない。ただ、その進め方については、いろいろと過去の実績の上に立って今後産業構造とか経済基調の変化に対応いたしまして必要な措置を、基本計画の改定に当たって十分留意して対応していかなければならないだろうというふうに考えておる次第でございます。
#30
○佐藤三吾君 これは、国土庁の次官を前にやっていた下河辺さんが大分へ来てそういう発表をやったわけです、優等生だと。いま聞きますと、必ずしも優等生でないようなあるような言い方ですね。まあわかりましたが、おたくは工業出荷額、人口の問題を基準にして優等生的な言い方をするのですか。それとも、生活関連とかそういうものを見て言うのですか。新産都の目的は何ですか。
#31
○説明員(平戸正尚君) 新産都の目的は、既成大都市以外の地域に開発の拠点を建設または整備いたしまして、また同時に、これらの拠点に産業及び人口の吸収を図りまして、それによって既成大都市への産業及び人口の過度の集中を防止することと、それから、地域格差の是正を図る、あるいは雇用の場を創出する、そういったことをもって国土の均衡ある開発発展と国民経済の発展に資することかと考えております。
 そういったことから言いますと、一つはやはり工業出荷額、人口、これがどういうふうに集積されつつあるかというのがあると思いますが、やはり人口が集積するということになりますと、その関係の生活関連施設、これの整備がどのくらい行われているかと、こういったことも問題になりますので、私どもは人口、工業出荷額あるいは生活関連施設――生産関連施設もありますが、そういった諸施設、こういったものの整備状況でいろいろ考えております。
 ただ、先ほど申しましたように、優等生、劣等生というのは特に分類しておりません。これが優等生なのか劣等生なのかということであるようなないようなとおっしゃいましたが、確かに工業出荷額の集積あるいは人口の集積、そういった点からは比較的いい成績を残しておるということは言えますが、生産関連施設等につきましてはさらに一層の整備が必要であるというふうに考えております。
#32
○佐藤三吾君 大臣、これを当初三十七、八年ごろ打ち出したときに自治省なり国土庁が大きく国民に宣伝してやったというのは、大都市への人口と産業の過度集中を緩和して地方に中核都市をつくってそこに人口と産業を、そして地域の繁栄をもたらしていくと、そのことがそこに住んでおる地域住民にとっても豊かな生活を保障する道だ、こういうことでなかったのですか。
#33
○国務大臣(安孫子藤吉君) そういうことでございます。
#34
○佐藤三吾君 そこで、大分の場合なども誘致の際には、ちょうちん行列はやらなかったけれども、大変に大分県が栄えるということで、公害のない快適な地域産業の発達する都市づくりができるということで、チョウよ花よというぐらいに歓迎したものですね。ところが、いま優等生かどうかの基準については評価していませんと言いますが、これは国土庁もそういうことを再三言っておるのですよ、実態は。ところが大分では、確かに工場は来ました。新日鉄、昭和電工、九石、パルプ、東芝、住友。工場が来ました。それに伴った雇用の拡大もしましたし、関連下請企業もできましたですね。ところが、公害が続発したんですね。あの別府湾が赤潮で大変な状態になった。河口のウナギはもうほとんど食べられないという状態に落ち込んでしまった。さらにその公害の問題から、いまだに第二期工事の八号地は住民との対立て埋め立てそのものができない。いま裁判ざたになっていますね。これは一時立木知事のときに、余りにも険悪な情勢だったものですからたな上げという方法をとった、今度は、いまの知事になって、たな上げはなくして、アセスを含めて公害調査をやるということで、いま住民の説得に躍起になっておりますがね。こういう問題が起こってきた。もう十五年から争っているわけですからね、そういう問題で。
 さらに今度は、進出企業の中で、さっき大臣がおっしゃったように、五十年の段階で着工するということで太鼓をたたかれたんですが、造船ですね、造船はもうほとんど引き揚げてしまった。国土庁にきのう聞いてみますと、いやまだ引き揚げておりませんと、こう言いますけれども、もう事実上、大分の方から見ると造船は来ないんじゃないかと。用地は確保していますよ。用地は確保したんだけれども結果的に進出しない、こういう実態にある。そこを今度は石油の備蓄基地に変えようかという動きさえ出てきている、そういう状態なんです。
 さらに人口増が、過疎の中の過密という状態で――農村部から出てきますからね、それに対して公共施設が追いつかない、ですからどういう現象が起こっておるかというと、いま一番問題になっておるのは、民間も含めて大型団地を建てるということで、土地も取得して着工直前になっているけれども許可がおりない。どうしておりないか。上水道が間に合わぬわけですよ、上水道が。ですから市の方としては、建てても水の保証がない、だから許可しない、こうなってきたんですね。
 こういう問題が起こっておるのですが、これは大分だけの問題じゃないと私は思うんですが、新産都全域に、いまあなたがおっしゃるように人口が集中して、そして出荷額が異常に高いところはそういう現象が起こっておるんじゃないかという感じがするのですけれども、こういった問題が各地区にあるのじゃないですか。同時にまた、こういった問題についてどうお考えなんですか。
#35
○説明員(平戸正尚君) ただいま御指摘の公害の問題でございますが、確かに工業、人口の集積が進むにつれまして、いろいろ問題も出てまいった地区が幾つかございました。それで、特に四十年代後半からはいろいろそういう問題が大きくなってまいりまして、私どもそういう情勢に対応しまして、五十一年度以降の現行計画におきましては、基本計画の中に「環境の保全等」という一項目を設けまして、そこで公害の防止、環境の保全に努力してまいっております。最近では、大分県を含めまして相当程度の成果を上げてきている地区が多いというふうに私ども報告を受けておりますが、今後とも、環境の保全の問題きわめて重要な問題でございますから、五十六年度以降の計画を作成するに当たりましても、御指摘のような点もいろいろ参考にさせていただいて、十分留意してつくってまいりたいというふうに考えております。
#36
○志苫裕君 ちょっと関連して。
 二、三関連をしてお伺いしますけれども、新潟の場合――私も新潟なんですが、二つばかり問題点を提起して見解を伺いたいんですが、一つは、新潟も御多分に漏れずマクロの意味で人口の集積とか出荷額とかというものは、自然増であるにはありますけれども、あそこの臨海工業地帯の造成という視点から見ますと余りうまくは行ってない。そこで、いわゆる石油備蓄、石炭火力というふうに、少し当初の計画とは違った要素ですね、備蓄基地をどの辺に置くといったって、雇用効果なんかは余りないわけでありまして、石炭火力というと、何か世界一という規模を考えているとかという話なんですが、そういったものになってきますと、全く当初もくろんだといいますか、当初計画したものとは異質のものになっていくわけですが、そういったものは、これから計画変えというものを、あるいは新産地域の性格を変えていくといいますかな、そういう問題にかかわっていくのかどうなのかということが一つです。
 それから、工場が来るだろうというので大きい工業用水を用意したけれども、来ないんだから水が売れないわけですね。ですから、十の能力を持った工業用水をつくったら一しか働いてない。したがって、企業サイドで言うとこれはマイナスになる。赤字です。それから用地は、売ろうと思って買ったけれども売れないというようなことで、抱え込んでいるうちに、一般会計からの繰り入れも膨大なものになっているはずです。こういう財政運営――最終的に売ればもうけますよという計算なんでしょうけれども、その間は帳面の上で、一般会計から借りては返しまた借りては返しといううちに、どんどんどんどんふくれ上がって、もうずいぶんでかい規模になっているはずですね。こういう財政状況をつくり上げているんじゃないかと思うんですが、この二つの点について、一方は財政当局から、もう一つは国土庁の方から見解を述べてください。
#37
○説明員(平戸正尚君) お尋ねの、第一点の、具体的には新潟において石炭火力とか石油備蓄、こういったことでいろいろ動きがあるということでございます。そういったことによって、新産地区、新産制度の性格が変わっているのじゃないかということでございますが、私ども、この新産地区というのが、極端な場合に、地区全体が原油備蓄基地に変わるとか、あるいは石炭火力に変わるということになりますとこれは問題だと思いますけれども、やはり新産地区は相当の面積、広がりを持っておりますし、公共施設、産業基盤施設、いろいろ整っている、そういったところにおいて、四十年代後半以降のエネルギー情勢の変化とか、そういったことに対応しつつこういう石炭火力とか、あるいは石油備蓄とか、こういった計画が出てくるということは許されるのじゃないかというふうに考えております。計画そのものも具体的には余り細かく定めておりませんで、基本的な大綱を定めたものでございまして、社会経済情勢の変化とか企業の立地動向とか、そういうものに対応しながら具体的に建設、整備を進めていくものというふうに規定をしておりますので、そういった面からも許容されるものではないかというふうに考えております。
 それから、工業用水の点でございますが、一般論といたしまして、確かに五十年代以降の企業立地の冷え込みということもありまして、一方で工業用水の施設、これはダムの建設とか、これは工業用水だけではなくて、上水道とかあるいは治水とか、電源開発も場合によってはございますが、そういった多目的なダムが先に建設されると、企業の立地がおくれているために、その分財政負担がふえている、こういった実態のある地区は確かにございますかと思いますが、経済情勢がこういうことでございますので、事工業用水の点につきましては、やや長期的にお考えいただければありがたいというふうに考えております、
 ちなみに、工業用水、能力的には各地区とも十分対応できるようにしておりますが、現実の給水施設というような面では、企業が来るまでその施設工事はしていないように聞いておりますので、できる限りのそういう節約と申しますか、企業の立地動向に応じた対応というのはしているというふうに考えております。
#38
○政府委員(土屋佳照君) 新産・工特地区につきまして、財政特例措置を講じながら整備を進めてまいりました対象は、御承知のように、上下水道とか学校とかごみ処理施設とかいったような、まあ公共施設でございます。これに対する補助のかさ上げと利子補給等をやっておるわけでございます。しかしながら、御指摘のございましたように、この定住を進めますためには生産基盤を整備をして、そこに雇用の場となるような企業が来なきゃなりませんので、どうしても埋め立て、土地造成等をやって誘致しようということになるわけでございますが、それがいろいろな経済情勢の変化等によって売れ残っておるところも相当ございます。それは確かに金利から見ても大変な状況になっておるということは、私も認めざるを得ないと思っております、
 そこで、それが売れるという状況のもとでつくっておるわけでございますから、来なければどうするかということで将来不安がございますし、現にそのためにやや資金繰りが困ったところもございます。そういったところには、とりあえず借換債等で措置はいたしておるわけでございますけれども、将来ずっと来なきゃどうなんだということになりますと、私どもとしてももちろんそれは不安な点がないわけではないわけでございますけれども、まあ少なくともこの新産・工特地区につきましては、全国を見渡してみましても、いろいろな意味でポテンシャルを持ったところでございますから、できるだけ経済の情勢の変化に即応し、また定住構想の考え方にも即しながら整備を進めて、できるだけ所期の目的が達成できるように努力しなきゃならぬ。しかし、ぎりぎりのところでどうしていくかということになりますと、その地域における土地造成等土地のあり方を含めまして、どういったふうにそれを処分していったらいいか、あるいは利用転換とかといったようなことまで含めていかなけりゃなりませんが、まあ遠い先のことでございましょうけれども、できるだけ私どもとしては、こういった、能力的に見ればすぐれた地域でございますから、できるだけそういうことのないように努力はしなきゃいかぬというふうに考えております。
#39
○志苫裕君 自治省は、決まった仕事にがさ上げをしておればいいわけだから、ということになるかもしれぬけれども、しかし、本元の方で財政需要がずっとこう財政圧迫要因になっているわけですよ。私も地元の知事とそう細かい話をしたことはないけれども、さっき私が前段に言った、エネルギー基地の問題ですね、あるいは火力の問題。これは、そっちの方にずっと走ることは別に好きじゃないです、余りね。しかし、一方は国の要請その他の要請もあることも確かですけれども、財政圧迫要因になるんですよ。気のきいた企業が来てくれるまで土地を持っているとか、そういうことができないわけね。毎年借りかえ、借りかえでもうどんどんふくれ上がっていきますからね。何でもいいから早く始末したいという、そっちの方の要請で、そういうエネルギー基地にかじを切りかえるという、そういう背景も、やっぱり私は見ていますとあるんですね。こうなってまいりますと余り健全じゃないですね。もう少しがまんできればそんな企業選ばぬでもっと雇用効果の大きいものを選ぶかもしれないですよね。あるいは公害の少ないものを選ぶかもしらぬのですが、財政の圧迫要因というものがずいぶんひどくなってくる。
 そういうふうに私見るものですからこの問題提起したわけですが、どうですか、ざっくばらんな話、新潟の――皆さんよく新潟の財政も知っていなさるでしょう。あれ、あんまり正常だとは思わぬでしょう。ほかの県のことは私わからないけれども、ずんぶんひどいですよ。どう思いますか。
#40
○政府委員(土屋佳照君) 私も実態はなかなか見る機会はございませんので承知をいたしておりませんけれども、いまおっしゃいましたことは、もうそのとおりだと思うのでございます。やはり一般会計じゃなくて準公営企業というかっこうで金を借りて土地を造成して売れないということになると、金利がかさむ、それをどう一般会計で処置するかというようなことになってきますと、財政に影響するわけでございますから、単に財特法による公共事業の執行の面以外にそういうことがあることは私も十分承知して申し上げておるわけでございますけれども、ただ、とりあえずのところは借換債等をもってつないでいくということをしておるわけでございますけれども、なるべく低利の金のあっせんというようなことをしながらつないでいきますが、将来ずうっとそのままなっていったらどうかということになると、不安なきにしもあらずということで申し上げたわけで、どうしてもその意味では所期の目的が達成できるように、いろいろな方途を講じていかなければならないと思います。
 ただ、そうは申しましても、まあ企業の立地のための意向というものと地元側との意向というのがなかなかうまくいかないということもございますから、いろいろ問題はございます。しかし、私どもとしては、そういった地方団体の財政運営の状況等はなるべく相談を受けながら、自治省としてできる範囲のことは協力をしなければいけないと思っております。
#41
○佐藤三吾君 いま、財政問題を含めて出されましたが、これは後ほど私やろうと思っていたんですが、これは率直に言って、大分などでも何も県全体が新産都じゃないわけですから。県から見れば一部なんです。そこにそれだけの莫大な投資をして、結果的には県全体が手薄になるじゃないかということで、大分の県議会のもう自民党の皆さんまで、「大分市を除く議員団」というのをつくっているわけですね。そうして、そこだけに投資をするのはおかしいじゃないかということを議会でばんばんやっておる。こういう状態にいまなってきているわけですね。それが、優等生かどうかしらぬけれども、下河辺さんは優等生と言うた、その優等生である新産都の大分の実態ですよね。
 しかもその中では、さっき申し上げたように公害問題で、第二期工事の一番柱である八号地がデッドロックに打ち上げている。また、生活関連の下水道は、さっきお話しのように、これもまた大変な状態で行き詰まってきておる。家を建てたいけれども水道が通らぬということで市がストップをかけている。こういうあつれきが出てきておるというのが実態なんですよ。こういう中で、いまこの新産都の財特法が延長するかどうかという議論になっておるわけだから、そこはやっぱり当然現実を見た上においてどこをどう正していかなきゃならぬかというポイントがなきゃならぬじゃないかと私は思うんですよ。
 ところが、いま出されておる内容を見ますと、大臣の説明では単なる延長と、単なる延長じゃないんですね。いわゆる財政負担の面については、今度はまた減そうと、こうしておるわけだ。そうでしょう。たとえばかさ上げの部分にしても補助の負担割合の問題にしても減そうとしておる。そういうことで果たしてこの所期の目的が達成できものかどうなのか。もう一遍これは大臣にひとつ見解をいただきたいと思うんです。
#42
○国務大臣(安孫子藤吉君) 新産都市の問題は、当時からいろいろ議論があったことは私も承知をいたしております。つまり、その波及効果というものが、いまもちょっとお触れになりましたが、そういうものが一体どこまであるのかという問題。それから、新産都市はおおむね臨海的なものでございました。そういうことで、当時のことを考えれば、大体太平洋岸に主力が置かれるじゃないかと、国土の均衡ある発展の点から見れば問題があるじゃないかというような議論も相当あったわけでございます。しかしながら、その過程におきまして、新産都市の立法が行われ、財政措置を講じたわけでございます。
 ちょっと横道にそれますが、私なんか大分に行ってみますと、なかなか優等生じゃないかというような感じも、大分については、ほかの地域と比べるとそういう感じがするわけでございます。
 そこで、これから一体どうするんだということになるわけですけれども、先ほどのことを繰り返すようでございまするが、また、志苫さんからエネルギーの問題について、今度はエネルギーの基地になるのじゃないか、そういうことで内容が変化するのじゃないかというような御質問もございましたが、しかし、新潟地区が全部エネルギー基地になるわけじゃありませんので、エネルギーの問題は、石炭火力というふうなことになりますれば、石油の事情からいたしましてどうしても転換せざるを得ない。しかし、それに対するところの公害防止については、これはもう本当に真剣になって火力発電に対するところの公害の発生原因を除去するという努力をすることによって、それはそれなりの力になるだろうと思うのでございまするし、そして東新潟でございますか、あの地域については、これからもいろいろな企業がそのエネルギーを中心として配置をされるということになれば、これはやっぱり一つの意味があるのじゃなかろうかと私は思っておるわけでございまするが、そういうことで、今後における産業構造の変革に伴いまして、いろいろ問題はあるといたしましても、基本的な考え方というものはやはり私は変わらぬものじゃなかろうかと、こう思っているわけでございます。
 そういたしますと、この方向というものを時代の変化に即応して、実際的にはいろいろな産業の種類が変わりましても基本的な構想というものはやはり不変であっていいのではなかろうか。それに対して財政的な措置を従来同様に講じていくということが現在の日本にとりまして適当であろうと、こう考えて現在御提案をいたしているような次第でございます。
#43
○佐藤三吾君 いま大臣そうおっしゃいますがね、これから六十年に向かって一体どうこの基本計画を進めていこうというのか、そういう点については一つも明らかになっていないんですね。財特でもってこういう公共施設の問題を中心に補てんしていくのだということは出されておりますが、そのあるべき六十年代――この計画を見ますと、今後十年間を展望しながらとりあえず五年間で線を引いてと、こういう発想になっておりますが、十年間何をどういうふうにしていくのかということについては、基本計画には全然出されていない。新産都・工特の位置づけも不明確、こういった点について、国土庁ひとつ絵を持っているのなら言ってくださいよ。どういう展望を持っておるのか。詳細に。
#44
○説明員(平戸正尚君) 先生御指摘のように、これからの五十六年度以降の計画につきましては、計画期間は五年間と考えておりますが、その際、そういう計画を描くについては十年程度の展望のもとに描いてもらいたいと、こういうことで考えでございます。基本計画は御案内のとおり関係道県が作成しまして、それを内閣総理大臣が承認するという仕組みになっておりまして、この十年間の姿を展望して五年間でと言いますのは、各地区がそれぞれ自主的にいろいろお考えいただいて、そういう中で十年後の展望をしつつ五年間の計画をつくっていただきたいと、まあこういうふうに考えております。
 それでは、国のベースで見た場合の十年間の展望をどういうふうに持っているかということでございますが、私ども、実は計量的に詳細なものは持っておらないというのが実情でございます。ただ、関係道県がそれぞれの地域について十年程度を展望していく場合に当たって参考となるような基本的な考え方、こういうものはまとめたいというふうに考えておりますが、その際ベースになりますのは、やはり現行の国土総合開発計画でありますところの三全総の六十五年の姿。まあいろいろございますが、たとえばフレームで申しますと、人口は大体一億二千八百万人程度になるのじゃないかというふうに書いてございますし、産業活動の規模としましては、五十年比で見まして六十五年には大体二・四倍ぐらいになるのじゃないかというふうな姿を描いておりますし、また、工業の中では、都市型工業の比率が相当拡大していくのじゃないかというふうなことが描かれておりますが、基本的にはそういったこと。あるいは、産業という面で、産業構造審議会の通商産業政策のビジョンというふうなものも出ておりますが、そういった将来の産業の姿、こういったものを念頭に置きながら、今後国土審議会あるいは関係各省庁いろいろ御相談申し上げて、そういう基本的な考え方というものをまとめまして、各関係の道県にお示ししたいというふうに考えております、
#45
○佐藤三吾君 通産省、来ていますか。――通産省は、最近八〇年代の産業構造の展望と課題というのを出していますね、これを見ますとちょっと、新産都関係との関連で、どういう展望になるんですか。
#46
○説明員(竹野正二君) お答えいたします。
 いま先生の御指摘にございましたように、通産省におきまして、昨年の三月に八〇年代の通商産業政策ビジョンというものを出しております。これは産業構造審議会から御報告をいただいてまとめたものでございます。それによりますと、八〇年代には国民のニーズの変化とかあるいは国際経済環境、特に資源とかエネルギーをめぐる情勢が非常に産業構造というふうなものに影響してまいりまして、今後は技術の集約化あるいは高付加価値化というふうなものに変化していくと、こういうふうに見ているわけでございます。
 生産構造で見ますと、第一次の産業が農林水産業を中心としてウエートを低め、第三次産業がサービス業を中心としましてウエートを高めていくであろうということでございます。第二次産業につきましては、ほとんど横ばい、変わらないと見られておりますけれども、その第二次産業の中でも主要な部分である製造業の中で見てまいりますと、鉄鋼とか化学というふうな基礎資材産業あるいは繊維、紙・パルプなどの生活関連産業は、依然として、その重要性には変わりはございませんけれども、総体的には一般機械とか電気機械、輸送機械などの加工組み立て産業のウエートがだんだん高まっていくと、こういうふうに見ております。
 産業構造全体としては、知識集約型産業が主導産業として発展をするということでございまして、個々の産業界の中におきましても知識集約化が推進されるというふうに見ておるわけでございます、
#47
○佐藤三吾君 いま通産省から今後の産業構造のあり方の問題が出されましたが、いま申し上げた第三次産業を中心にしていかなければならぬということを強調しておるわけですが、とりわけ高度加工型、知識集約型という産業が望ましいと、こう言っておるわけですけれどもね。
 国土庁どうですか。いまの新産都の実態から見て、工特を含めて。そういう方向に展望が持てますか。
#48
○説明員(平戸正尚君) 新産・工特地域は全国で二十一ございますが、地区によって、産業の状態とか、あるいは今後導入すべき産業とか、導入できる産業とか、いろいろ地区によってまちまちではございますが、基本的には、私どもやはり雇用吸収力の大きな産業の導入ということを考えておりまして、この意味としましては、ただいま通産省の方からお答えがありましたように、基本的には知識集約化という方向において、機械あるいは電子、電気、そういった高度加工型の産業ということを考えております。こういった産業の導入、なかなかむずかしい問題もあるかとは思いますけれども、五十六年度以降の計画において、各地方の実情を生かしながらできるだけそういうものの導入に努めてまいりたいというふうに考えております。
#49
○佐藤三吾君 どうもはっきりせぬけどね。――まあこれは、これから先の計画、基本計画は地方が立てるんだからそれを見なければわからぬと言うし、通産省の言う方向に努力はすると言っても、私はいまの実態から見ると夢のような話に聞こえてならぬのです。しかも、先ほど志苫委員が指摘したように、大変な投資でね、財政赤字の中で造成はしたけれども土地は売れない。企業が来ない。企業が来ないとなれば、それを待てぬということから、そんな理想的なことを追求しておったのではもう間に合わぬ。まあ自治体にしてみれば、国の誘導政策に乗ってやったけれども、結果的には住民の生活面、地域産業の発展という面から見て非常に前途が暗いと、こういうことが私は言えるのじゃないかというように思うんです。そこにもってきて、今度はこの本法の改正の中で、そこら辺を財特法でもってもっと充実、強化するという方向ならいいんだけれども逆に、たとえば都道府県の利子補給、それから市町村の補助率の内容を見ますと、低下させるんですね。こういう方向が出されておる。これは言うこととすることの内容が違うんじゃないですか。どうですか。
#50
○政府委員(土屋佳照君) お話のございましたように、まだ新産・工特地区の整備というものが必ずしも十分ではないわけでございますが、十六年間を見ればかなりの程度の成果を上げてきておるということも事実でございまして、地域によって差異はございますが、各地域の経済力とか財政力も創設当時に比べれば高まっておるわけでございます。そういった制度の背景になりますいろいろな状況にも変化がございますので、さらに今回延長するに際しましては、こういった状況を総合的に勘案して地方公共団体の財政力による調整措置の見直しを行う、そういった手直しを行うことにしたわけでございます。
 なお、おっしゃいますように、成果があったとしてもなお人口、工業出荷額の状況とか公共施設の整備水準は、計画目標から見れば下回ってはおるのでございます。特に生活関連施設の整備が立ちおくれておるといった事情もございますから、引き続き整備を図っていく。そういった意味ではどうしても多額の金がかかるので、財政措置は必要である。だから、今回財政特例法の延長をお願いをいたしますが、その背後にある状況はやや変わってきておるのではないかということで、財政力調整措置を強めるという形で手直しをして法律の延長をお願いしたいと、こういった考え方に立っておるわけでございます。
#51
○佐藤三吾君 どういう意味がよくわからぬのだけれどもね。結果的にこれから、財政需要が逼迫してきておる、生活関連の事業がそのために滞ってきておる、こういう十五年間の実態から見て、むしろ今度はかさ上げ部分をふやしてそうして財特法の改正を機会に充実させていくんだと、こうならわかるんですよ。ところがそうじゃなくて、財政力調整と言うけれども、中身は下げるわけでしょう。そのことはどういう意味になるのかということですね。これはもう大臣、あなたの言う趣旨と、いま財政局長の言う趣旨は全然違うんだよ。あなた自身知事の経験を持っておってどうですか、いまの地方自治体の実態の中で。こういう問題は。むしろ延長してやるのが――いま財政局長の話を聞けば、延長すること自体がまあ恩恵だ、だから少しぐらい下げたっていいじゃないかと、こういうふうに受け取れるんですがね。そういう理解ですか。
#52
○政府委員(土屋佳照君) 説明の仕方が悪かったのでございましょうか、大変恐縮でございますが、私どもとしては、一回延長した財特法が期限が切れる、その際にどうするかということで、いろいろと実態を見ながら判断をいたしたわけでございますが、現在においても新産・工特地区の整備というものはこの三全総における考え方と矛盾しているわけではないし、やはりこういうところの整備は引き続きやっていかなければならない。そういった意味で、財政措置は続ける必要があるという判断に立ったわけでございますが、その財政措置をどういう形で進めるかということについてはいろいろな意見もございました。しかし、私どもとしては、基本的な大筋は変えるわけにはまいらないということで、いろいろと関係方面とも接触をいたしまして折衝をいたしまして、その結果、議論の過程で、最初に申し上げましたように、制度の創設当時と現在ではいろいろと条件も変わってきておる。まだまだではございますけれども、地域の経済力や財政力も変わってきておるので、したがって、新しい手直しをするといたしますと、財政力による調整措置を講ずるというところはやむを得ないであろうという判断をしたわけでございます。
 したがいまして大筋は変えてない。それでも若干減るところが出るのではないかという御指摘はそのとおりでございますけれども、それは情勢の変化と、それぞれ財政力の強いところにはやや調整をするというような意味で手直しをしたわけでございますから、大きくは変わっていない。そういった形で今後整備を進めるという点に特に支障はないであろうし、そういった形ででもぜひともこの財政特例法は続けたい、こういう気持ちを申し上げた次第でございます。
    ―――――――――――――
#53
○委員長(亀長友義君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、田中寿美子君が委員を辞任され、その補欠として小谷守君が選任されました。
    ―――――――――――――
#54
○委員長(亀長友義君) 質疑を続行してください。
#55
○佐藤三吾君 大臣、これはいろいろ議論すると尽きないんですが、これでこの問題は締めくくりたいと思うんですがね。
 さっき私が申し上げましたように、あなた自身が大分に行って優等生だという実感を持つ大分市が、さっき申し上げたような実態におる。そうして、家は建てたいけれども上水道が間に合わないということで、やむなく団地もストップしており、現地ではいま大変な問題になっている。そういう実態にある。さらに公害問題が起こってきた。これはいま第二期工事が全然手つかずになっている実態がある。こういうような新産都の実態の中で、いま国土庁の話を聞きますと、六対四の実態が今度は逆にして、むしろ生活関連の方に六を置くんだと。こういうお話もあった。そうなればなるほど財特法の意味というものが重要になってくるわけです。そういう段階の今回の改正に当たって、財特法のいわゆる財政調整という言葉でございますけれども、中身は何かというと、補助率を下げるということですね。こういう地方財政のいまの危機的な状態の上でこういう方法をとるということはいかがなものか。ここら辺を私はやっぱり大臣に明確にひとつしていただきたいというふうに思っておるわけです。
 それが一つと、もう一つの問題は、いま大分で一番問題になっておるのは、誘致した企業というのが、企業の論理というのかね、採算がとれなくなったり都合が悪くなるとさっさと帰っちゃう。これは新産都では三井造船が一つのその典型的なものだと思いますがね。いま、新産都じゃありませんが、その向こうに佐伯市というのがある。ここでは四つしか主な企業がない。日本セメント、それから興人、二平合板、佐伯造船。ところが、日本セメントはもうかなり縮小整理をして、限られた人員だけでやっていますがね。興人は倒れました。倒産しましたね。そうして、これはいま更生に入っていますね。佐伯造船が、これがまた倒れまして更生にいま入っていますね。二平合板が、これが倒産しまして、いままだ更生の手続をしておる段階なんですね。
 そういうのを見ると、たとえば二平の場合には、二つの日本の代表的な物産がからまっている。そこで、言うならば外材の価格高と合わせて今度は住宅産業が傾斜したものですから、そういうことを理由にしてさっさと引き揚げちゃうと。で、これはおかしいじゃないかということで、引き揚げだけとまって、いま保全管理に入っています。佐伯造船も石播なんです。石川島播磨。ここも言うならばもう造船不況を理由にして引き揚げていく、そのために倒産。ところが今度は造船の方が好況に向かってきた、受注ができてきた。そうしたら何と言っているかというと、言うならば労働組合のたちがよくない。総評だからだめだと、それを理由にして今度は管財人がやめちゃう。こういうことでいま大騒動なんです。
 余りにも誘致産業が、企業の論理かもしれませんが、社会的に納得できないような理由で次々に手前勝手なことをやる。こういった問題について、私は、これだけの国家投資をし、市町村の財政投資をしてつくっていく中では、もっとやっぱり地域社会に対する責任を感ずべきだと思うんですよ、また、それに感ずべきようなものが理由経済の中でもきちっととられる方向の中で新産都を進めるとか、こういうものが伴っていかないと、調子が悪くなると――これは言うならば大分の地域とは関係ないわけですね、経済構造の変化というものは。それでもってさっささっさやられたのではたまったものじゃない。こういった問題は、私は、これは大分だけではなくて次々と起こってきておるのではないかと思うのですが、こういう問題について、一体大臣はどういうふうな決意、理解というものを持って対処しておるのかお聞きしたいと思うんです。
#56
○国務大臣(安孫子藤吉君) 誘致企業が倒産をする、あるいは事業を縮小する、これは地域社会にとってきわめて重大な問題でございます。したがいまして、誘致企業についてその地域の責任者がそうした事態に対応いたしまして、これにどう対応するかということについては、誘致企業と本当に真剣に話し合ってみにゃならぬ問題だと思います。第一段階としては、そういうことであろうと思います。もし、それがなかなか成功しにくいときには、やっぱり企業を担当しておりまする中央の、あるいは通産省でございますとかあるいは国土庁も入るかもしれませんが、そういうところの連携をとりながら、本社との間の話を進める、こういうような具体的な措置によりましてこの問題は解決するよりほか、いまのところは手がないのではないかと思っております。私なんかの経験でも、そうした事態がございましたが、そうした方法によりましてかわりの企業を、同列会社でもって経営をしていくというような方向転換をしたような事例もあるわけでございまするから、これは誘致をした地域社会においての責任者が、誘致企業と十分な話し合いをしてやっていく、そしてこれに対して中央もバックアップしていくと、こういうことで具体的な事案を解決していくよりほかいまのところは道がないのではなかろうかと、こう思っております。
 それから、さっきの、少し減らしたのはよろしくないのじゃないかということでございますが、おっしゃる点は私もわからぬわけではありませんが、財政的な背景というものが当時とはまた違ってきたので、これに適応して若干の引き下げをしたということでひとつこれは御理解を願いたいものだと思っております。
#57
○佐藤三吾君 その財政的な背景が違ってきたというのは、国の財政の背景が違ってきたというのですか。自治体の方は、借金財政がどんどん高まってきておるわけだからね。だから、そういう面から見ればむしろ手厚くすべき方向ではないんですか。どうですか。
#58
○政府委員(土屋佳照君) 仰せの意味はよくわかるのでございますが、私は、国の財政事情を特に申し上げたわけではございませんで、十六年間かかって延長ももう再度でございます。そういった中で、地方団体の実情を見ますと、財政力指数もかなりなところが上がってきておるということでございまして、やはり財政力の高いところにはある程度がまんをしてもらうという方策もこの際は考えざるを得ないといったようなことで、いろいろと議論をした結果、こういうことになったわけでございます。しかしながら、それによって非常に大きく影響を受けて今後の整備に困るといったようなことではわれわれとしても納得できませんので、その点では大きな基本的な枠組みは変えない、この程度のものであれば十分今後のものに整備を行うに後追いができるという考え方のもとにこういった制度にしたわけでございます。
#59
○佐藤三吾君 まあ納得できない部分があるんですけどね。これはひとつ、今後新産都を進めていくとするならば、当然私は財政面でも無理な事態が出てくると思うので、そこら辺はひとつ実際運営の中ではそういうことの起こらないような措置をとってもらいたいというふうに思っております。要望しておきたいと思います。
 問題は、誘致企業の問題で、先ほど大臣から見解ございました。しかし、これはいまの自由経済の中ではなかなか政府といえども律することができない部分を持っておると思います。しかし、余りにも、私がさっき申し上げたように、この労働組合はだめだ、この労働組合に入らぬからけしからぬとかいうような理不尽な企業については、私はやっぱりきちっとしなきゃならぬと思うんですよ。そういう問題であるとか、それからもっと言えば、これだけの地方財政を投資した、そして立地条件をつくってきて、そのために生活関連の地域住民の施設がおくれて大変な迷惑もこうむっておる。そういう中でも地域経済の繁栄ということを前提としながら求めてきた地域の住民の皆さんに、いや企業の論理の方が優先するのだと、こういうことでやられたのではこれはたまったものじゃないと思う。ここら辺は私は、やっぱりこういう誘導策をやろうということについては、私は是か非かという問題についていろいろ議論はありますよ。時間がございませんからきょうは議論しませんがね。それをやる者の責任がきちっとしていかなきゃならぬのじゃないかと思うんです。それが自治省か国土庁か通産省がわかりませんが、いずれにしましても、そこら辺の問題について、今後はきちっと主管大臣として明確にしていただきたい。いかがですか。
#60
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方で解決する面もありますけれども、どうしても中央段階において問題を処置しなけりゃならぬという場合には、具体的な事例については私といたしましても関係省庁と連絡をいたしまして、努力をいたしたいと考えます。
#61
○佐藤三吾君 環境庁来ていますか。――一つだけ聞きます。
 今度十年延長という公害防止事業のあれが出ていますが、下水道事業に対して、国庫補助負担とか、中で対象事業が拡大されていませんね。都市下水路、終末処理場、特定公共下水道、こういったところについては適用になっていますが、用地取得や管渠設置事業等が除外されたまま出されておりますが、これは地元の面から見ると非常に強い要望を持っておるわけですがね。そのために下水道の終末処理場ができないで工事が遅延しておるという原因にもなっておるわけですよ。ここら辺の問題、どうしてこの際拡大しなかったのですか。また今後どういうふうに対処しようとしておるのですか。
#62
○説明員(清水良次君) このたびの財特法の延長に際しましては、地方団体あるいは関係省庁といろいろとこの内容についての検討を加えたわけでございまして、結論的には、国の財政事情もございまして、まずこの法律延長をすることが第一義ではないだろうかということで、ただいまのような形で御提案を申し上げているところでござます。
 御指摘のように、下水道の整備、公害対策、とりわけ公共用水域の水質の汚濁対策につきましては、非常に効果が高いものではございますけれども、これは公害防止計画地域だけではなくて、全国的に処理人口普及率が三〇%未満といったような状況でございますので、これは下水道の整備率を早急に全国の都市を通じて引き上げていく必要があるということで、いわば事業の総量を確保することが急務というふうに考えていた次第でございます。こうしたことで、全国的に下水道整備の推進を図るということで、御指摘のように、流域下水道あるいは公共下水道につきましては、水質汚濁の防止に直接寄与する終末処理場の整備について特段の手厚い措置が講じられているところでございますけれども、御指摘いただきました管渠につきましては、これにつきましても普通の公害防止対策事業に比べまして高率の補助率によっているというようなこと、それからまた、この公害の財特法を根拠にいたしまして、特に地方債につきましての政府資金の優先充当でございますとか、あるいは地方債の元利償還について基準財政需要額へ算入される措置があるといったような特別な財政措置があるということで、現行のまま延長をすべく御提案を申し上げた次第でございます。
#63
○佐藤三吾君 しかし、せっかく今度の改正に当たって、地元の皆さんから強くこの点は要求されて、そしてそのことが終末処理場そのものの建設をおくらしている原因になっておるということになれば、当然私はやっぱり改正の際にそこら辺を検討すべきじゃないかと思うんですよ。この問題、もうここで議題として出ておりますから、どうとは言いませんけれども、今後の問題としては、やっぱりこの問題を対象事業として拡大する検討をぜひひとつやってもらいたい。
#64
○説明員(清水良次君) 先ほど申し上げましたように、このたびの延長に際しましていろいろと検討をいたしました結果ではございますが、これからの水質管理をいたしていく上におきまして、下水道の整備が不可欠のものでございますので、われわれといたしましてもなお検討をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#65
○佐藤三吾君 ちょっと最後に、きょうの問題と違うのですが、二、三文部省と労働省に聞いておきたいと思います。
 昨年の五月の八日、十二月の十七日だったと思いますが、私が学校給食の問題で職業病、労働安全の問題を取り上げたんですがね。田中文部大臣から、五十六年度直ちに調査に入ると、こういうお話がございました。ところが、なかなかそうなっていないということなのでございますが、これは一体、大臣のこの発言というのは、事務当局において否定されるべき性格の問題なのかどうなのか。そうでないとすれば一体どういう考え方なのか聞いておきたいと思うんです。
#66
○説明員(奥田與志清君) 先生ただいま御指摘の件でございますけれども、昨年の十二月の決算委員会におきまして、大臣の方から、学校給食調理員の労働安全衛生問題等につきまして、五十六年度、来年度に調査をするというふうに申し上げたわけでございます。私どもは、この問題が非常に重要であるということから、特に先生御指摘の、御紹介くださいました色々な資料等ございましたので、そういうふうなものを検討もし、またあのときの質疑の趣旨も踏まえまして、さらにまたこの問題は、先生もあの際御指摘でございましたけれども、労働省とも関連する事項でございますので、現在労働省とも相談をしながら来年度におきまして適切にこの調査はしたいという方向で取り組んでいるところでございます。
#67
○佐藤三吾君 そうすれば、大臣約束どおりやるわけですね。
 そこで、労働省。これもやっぱり同じく決算委員会、地行でも取り上げた問題ですが、一体労働省というのは労働者の安全の問題についてどう理解しておるのか私はわからなくなってきたんですが、あれだけ職業病が発生をしておる。そして、労働安全施設の実態が、文部省の体育局長の答弁じゃございませんが、ほとんど実態調査をやってない。安全違反件数が累増しておるという実態もあなたお聞きになっておるわけです。そういう実態があれば、私は、直ちに立ち入り検査をやり、そして調査をすべきだと思うんですよ。人の命にかかわる問題ですからね。ところが、なかなかそれらに手をつけていない。
 私の方で、奈良県の橿原市とそれから桜井市の実態をちょっと発表しますが、橿原市の場合に、給食数が小学校で千二百七十二食なんです。二十一校あるわけですが、それに対する調理員数が六名。そして、調べたところ、ここの冷凍食品の調理の際のやけどとか洗剤によるかぶれとか、さらに施設を調べてみますと、学校給食事業における安全衛生管理要綱に基づいて調べてみますと、二十五項目にわたる安全違反が明らかになっておるのですね。桜井市の場合もそうですが、ここは五千八百食です。これを調べてみますと、やはり三十一項目にわたる安全違反が明らかになっておる。
 時間がございませんから内容申し上げませんが、こういった事実は、先般私が決算の際にも幾つか問題を挙げましたね。こういった問題が起これば直ちに現地の立ち入り検査に入って、そして労働者の命と健康を守る意味でもやるのがあなたの義務じゃないんですか。ここら辺をきちっとしていただきたいと思うんです。
#68
○説明員(山田正美君) 先生御指摘のとおり、給食現場につきましていろいろ問題があるということにつきましては、お話もありましたし、私どもそれなりに全体の監督指導の能力の中である程度は実行しているつもりでございますけれども、率直に申し上げまして、従来必ずしもこの面十分に把握しているというようなことでなかったという点は認めざるを得ないと思っております。
 それで、文部省からのお話がありましたように、五十六年度において、その実態把握につきましてやっていこうということで、私どもも文部省に参りまして実は御相談をしております。したがって、全体的な把握につきましてはそういうことで進めてまいりたいというふうに思っておりますけれども、あわせて、お話のございました個別事案につきましても、実態の把握に応じましてそれぞれ現地において対応させるというふうに努めてまいりたいと思っております。
#69
○佐藤三吾君 最後に、もう一つあわせてお願いしておきたいと思いますのは、昨年彦根の清掃現場でガス中毒で三人亡くなりましたですね。その途端に、防毒マスクというのですか、あれが彦根だけじゃなくて滋賀県内の店屋から京都周辺まで、一遍に消えたというんです。言うならば、それが全然常備していなかったわけですね。あわてて買いあさって、京都、滋賀県ではなくなったというんです。ところが、十二月二十七日には今度は千葉県の市原でまた二人同じような事態で亡くなった。こういった清掃現場についても労働安全というのがほとんど守られていない、そういう施設整備がやられてない。こういった点について、立ち入り検査をやっておるのか。同時に、この二つの犠牲の上に立って直ちに全国的調査をやったのか、やるのか。それだけ聞いて私の質問を終わりたいと思います。
#70
○説明員(山田正美君) 御指摘の点でございますけれども、私ども、このような事故を――もちろん発生いたしましてそれを調査したわけですが、いろいろと問題が出てまいりました。したがいまして、そういう問題に即応いたしました対策をとるように、それぞれ各都道府県の局長あてには通達を出しておりますし、来年度におきます行政上の重点対象といたしましても、これらの対象を特に重点的に監督指導を行うという方針で進めているところでございます。
#71
○委員長(亀長友義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#72
○委員長(亀長友義君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#73
○和泉照雄君 午前中もいろいろと新産・工特の法案の質疑があったわけでございますが、私は角度を変えていろいろお尋ねをしてみたい、このように思います。
 まず第一点は、新産・工特促進法が制定をされてからもう十五年経過をしておるわけでございますが、この間、当時の環境と開発理念などが現在大きく変化していることは事実だと思います。そこで、今日の時点で、新産・工特の基本理念をどのようにお考えになるか、それをまず大臣に伺いたいと思います。
#74
○国務大臣(安孫子藤吉君) 新産・工特が十五年前に発足をいたしましたときは、都市に産業が集中し、過密の状態になっておる、しかもまだ、どんどん人口が都市に集中をいたしまして、地方がだんだんとさびれてきておる、こういう状態は決して健全な状態でないので、やはり地方にも就労の場を拡大するという意味において産業を再配置をしてそして国土の均衡ある発展を図らにゃならぬ。それについては、拠点都市をつくりましてその波及効果によって地方の繁栄を図ろうと、こういうようなことで新産業都市構想というものが生まれてきたと考えておるものでございます。
 そういうことで施策を講じましたが、午前中も申し上げましたとおりに、いろいろな施策を講じましたものの、目標はまだ達成しておらぬわけでございます。目標に達しておりませんので、これをさらに推進をしなくちゃならぬというのが一点。
 それから、経済情勢、社会情勢が大きく変化をいたしましたので、別に考えるべきじゃないかという立論も成り立つと思いますけれども、基本は、日本の均衡ある発展を図らにゃならぬ。過密をできるだけ解消して、そして人口の分散もするというような命題はいまなお厳然として日本としては存在しておるわけでございまするので、その観点からもこの施策というものをさらに継続してやっていく必要があるだろうと、こういう観点からこれを延長し、また財政的な援助もいたして推進してまいりたいと、こういう構想のもとに今回御提案をいたして御審議を願っておるわけでございます。
#75
○和泉照雄君 今回の法案では、若干の財政力の調整による手直しだけで延長をされておるようでございますが、新産・工特の現状、成果、今後の役割りなどについてどのような分析を行っているか、お伺いしたいと思います。
#76
○説明員(平戸正尚君) お答え申し上げます。
 まず、新産・工特、この十数年間の成果の点でございます。成果の点につきまして、私ども、工業出荷額の現状あるいは人口の伸びあるいは施設の整備状況と、こういった観点からいろいろ分析を行いましたが、まず工業出荷額の点につきましては、四十年から五十三年の数字で申し上げますと、全国では五・六倍の伸びになっておりますが、新産・工特地区では六・六倍ということになっておりまして、全国の工業出荷額に占める新産・工特地区の出荷額のシェア、これで見ましても、四十年の一四・一%から一六・八%というふうに相当のシェア・アップをしている、これは一つの成果ではないかと考えております。こういう形で工業集積は着々と集積の度合いを高めているということが言えるのかと思います。
 それから人口の点でございますが、四十年から五十五年までの数字で分析してみますと、全国では一八%の増になっておりますが、その中にありまして新産・工特地区では二二%の増ということになっておりまして、人口の対全国シェアで見ますと、一四・四%でありましたのが一四・九%ということになっております。この四十年代は特に地方から大都市圏への人口の流出期でございましたが、そういう中にあって新産・工特地区で全国を上回る人口増を見ているということは一つの成果ではないかというふうに考えております。
 しかしながら、最近の状況を見ますと、四十八年の石油ショック以後の経済情勢を反映しまして、工業出荷額、人口ともに伸び悩みが見られます。
 また、施設の整備水準でございますが、これにつきましても、計画で定めております施設整備の進捗状況は非常によくなっておりまして、五十五年度の計画ベースで見ますと約九〇%というところまできております。しかしながら、絶対的な施設整備の水準というのがもともと低うございましたので、いわばストックの点から見ますとまだまだ施設整備を続けていく必要があるということでございます、特に下水道とか一人当たりの都市公園面積、こういったもので見ますと立ちおくれが著しい、こういう現状でございます。
 ただいまのが成果及び現状分析でございますが、今後の役割りという点でございますが、やはり新産・工特制度、先ほど先生御指摘のように、地域開発といいますか国土開発の理念はいろいろ変わってきておりますし、それに応じまして全国総合開発計画も旧全総、新全経、三全総というふうに変わってはまいっておりますが、依然としまして国土の均衡ある開発発展と国民経済の発達ということは重要な理念、基本的に変わらない理念でございます。こういった理念に新産・工特制度が非常に寄与し得ると、こういった意味において今後とも新産・工特制度を続けていきたい。ただし、御指摘のように、社会経済情勢の変化というのはございますから、五十六年度以降の計画をつくる際にはそういう変化も織り込みましてできるだけ現状に合った将来に展望の開けるような計画に持っていきたいというふうに考えております。
#77
○和泉照雄君 新産・工特の建設整備というのは、いまおっしゃったとおり、第一次全国総合開発計画、といいますと拠点開発方式による地方の都市づくりと、こういうことで、それから新全総、三全総というふうに国の都市づくりが変わってきておることはもう御承知のとおりでありますが、この新産・工特というのは、高度成長時代の観法ともいうようなそういう位置づけでございますので、この開発方式を抜本的に変える、見直すというような作業が行われて当然ではないか。これをなぜしなかったのか。その理由は。
#78
○説明員(平戸正尚君) ただいまの点につきましては、私ども国土庁内の検討及び国土審議会における検討をいただいてまいりました。その検討の過程において、御指摘のように、三十七年に策定されました旧全総、それから四十四年に策定されました新全総、それから五十二年に策定されました三全総というふうに全総計画は変わってきておりますし、その中における開発の理念なり方式というのは変わってきております。
 御案内のとおり、三十七年の旧全総において拠点開発方式というのがとられまして、それを実現する一つの有力な手段として新産・工特制度が誕生したことは事実でございます。しかし、それが新全総においてどういう位置づけが与えられたかということを見てまいりますと、新全総においてその拠点開発方式は必ずしも否定されているというものではございません。やはり開発方式というのは、そのときそのときの社会経済情勢の変化と、そういうものを勘案いたしまして、過去の反省に立ちまして不十分な点を補完していくと、そういういわば歴史的な積み重ねというふうに理解されます。したがいまして、旧全総の拠点開発方式では十分でないという点を新全総において補完しまして、一般的に言われます大規模プロジェクト方式とかあるいは広域生活圏構想と、こういったものが出てまいりまして開発がなされてきたわけでございますが、その前提としては、あるいはその中に埋め込まれているものとして拠点開発方式に基づく新産・工特制度があったというふうに考えられます。
 それが三全総に至りまして、三全総におきましては自然環境、生活環境、生産環境、こういう人間居住の総合的な環境を整備していくということで開発方式が位置づけられておりますけれども、その中におきましても、やはり国の果たすべき主要計画課題というのがございまして、その中で新産・工特制度は、国土利用の均衡を図るための基盤の整備というふうな項目に位置づけがなされております。したがいまして、そういう位置づけに従って経済情勢とか地域の実情、こういった面を勘案しながも引き続き建設整備を推進していくことが位置づけられているというふうに私ども結論に達しまして、今回延長をお願いした次第でございます、
#79
○和泉照雄君 国土審議会の意見の中で、企業の立地のおくれ、工業出荷額、人日の目標が大きく下回っていること、それから施設整備水準の低位など多くの問題があるとしながらも、新産・工特の建設は雇用吸収力の大きな産業の導入、周辺地域への波及効果を通じて人口の地方定住を促進をし、ひいては三全総の定住圏構想を実現するにあると、このように言っておりますが、また、同地域の今後のエネルギーの問題に対応するとともに、望ましい産業構造を実現するために産業立地面からも大きく貢献する可能性をも持っていることを指摘しておるようであります、
 まず、雇用吸収力の大きな産業の導入とはどのような業種なのか、そのような企業の立地の可能性は実際あるのかどうか、お伺いいたします。
#80
○説明員(平戸正尚君) 「雇用吸収力の大きな産業の導入及び周辺地域への波及効果を通じて」というふうに国土審議会の意見書ではなっております。ここで「雇用吸収力の大きな産業」といいますのは、具体的にこれとこれとこれというふうな、限定的な考え方はいたしておりません。地域の実情に応じて導入可能な、あるいは導入が望ましい産業を導入していくと、こういうことというふうに理解しておりますが、何といいましても、地方においては雇用の場の創出ということが非常に現実に深刻な課題になっておりますので、そういう地方の雇用、いわば雇用吸収力の大きな産業の導入ということで集約したというふうに理解しておりますが、具体的に申しますと、たとえば機械工業とか電機あるいは電子工業その他の高度組み立て型工業等を想定いたしております。
 それから、それではこういうふうな高度組み立て型工業等が導入できるのかどうかという御質問でございますが、御指摘のように、高度成長期において見られたような活発な企業立地というのは今後なかなか期待できないということは事実でございますが、三全総の定住構想を推進する上では、何といいましても雇用の場の創出ということが重要な課題である。そういうことからしまして、今後とも、この新産・工特制度はもとよりでございますが、それ以外にも関係各省の各種の施策がございますので、そういう施策の活用あるいは関係地方公共団体の努力等によってこういう雇用吸収力の大きな産業の導入を実現していかなければならないというふうな覚悟を持っております。
#81
○和泉照雄君 次は、周辺地域の波及効果を期待しておるような文章でありますけれども、果たしてできるのかどうか。
#82
○説明員(平戸正尚君) 周辺地域への波及効果を十分に上げるということが、なかなかむずかしい問題だというふうに考えております。私ども、これまで十数年間の新産・工特制度の現状、実績を見てみますと、率直に申しまして、所期の効果が完全に上がっているというふうには考えておりません。しかしながら、私ども実は五十五年に関係道県の協力を得まして一つの調査をいたしました。
 これは具体的に申しますと、新産・工特関係の道県の新産・工特地区に進出している企業六十八社を選びまして、その企業の一次下請及び二次下請の事業所がどういう地区に立地しているかというふうな調査をしてみました。一次下請及び二次下請の事業所の総数は――この六十八社の一次下請、二次下請でございますが、合計九千八十八社ございました。そのうち新産・工特地区内に立地しております事業所が四千四百八十四ということで、全体の四九・四%、約半分ございました。そのほか、同じ道県内の新産・工特の地区外及びその道県の近隣接県内というのが合計二千百四十六社ございまして、非常に大ざっぱに申しますと、全体の四分の一というのがそういう地区外に立地しているというふうな実情が出てまいりました。この四分の一の地区外というのはいわば一つの波及効果ではないかというふうに私ども考えておる次第でございます。
 もとより波及効果といたしましては、その進出企業のいわば対等の取引先といいますか、取引関係の企業の立地とか、あるいはそれが一次産業、三次産業にどういう影響を与えるかとかいろいろございますけれども、先ほど申しました進出企業の下請企業、事業所がどういうふうに分布しているかというのも一つの波及効果の事例であろうというふうに考えておりまして、波及効果、いろいろ御議論はございますが、ある程度の波及効果はあった。今後、五十六年度以降におきましても、こういう波及効果をできるだけ大きくしていくというふうな方向で計画の作成に当たってまいりたいというふうに考えております。
#83
○和泉照雄君 国土審議会の意見の中では、新産・工特の建設を推進をして、三全総の定住圏構想を実現すると、このようにありますけれども、新産・工特の見直しをせずに、どのように定住圏構想と関連をさせるのか、それが第一点。
 新産・工特の三全総における位置づけというものはどのように考えておられるのか、これが第二点。お伺いします。
#84
○説明員(平戸正尚君) 三全総における新産・工特の位置づけという点でございますが、この点につきましては、やはり三全総の開発方式である定住構想、これを推進していくと、過密過疎に対処をしながら地方の振興を図っていくと、こういうふうな観点から、自然環境、生産環境、生活環境と、こういったものを総合的に整備していくわけですが、その際、何といいましても前提になるのは、やはりそこで人が定住できる条件、すなわち職場というのが非常に大きな要素を占めるというふうに考えております。
 その職場を提供するための各種の施策、いろいろ三全総のもとでの施策ございますけれども、新産・工特制度というのも各地方に開発の拠点を建設整備しまして、そこの集積の効果を広く及ぼしていくと。先ほどお尋ねのありました波及効果というのが一つ大きな問題でございますが、そういうふうな波及効果をできるだけ及ぼして各地区に職場を創出していくと、こういった関係にあると思いますので、いわば私ども三全総の定住構想推進の一つの手段であるというふうに位置づけております。
 したがいまして、私ども、新産・工特制度は今後どうあるべきかということで、これまで果たしてきた成果あるいは現状、それから今後果たすべき役割りと、いろいろ分析検討をいたしまして、その結果として、やはり新産・工特制度はこの三全総のもとにおいても妥当するものというか、三全総において位置づけられているものであるし、今後ともこれの建設整備を進めていくべきである、こういうふうに考えたわけでございます。ただし、それはこの十五年間の歴史を顧みないということではございませんので、その間における社会経済情勢の変化とか、あるいは、場合によってはエネルギー問題を中心にした国際環境の変化、こういったいろいろの変化を織り込みまして、一定の方向づけを行った上で新しい計画を立てていきたいというふうに考えております。
#85
○和泉照雄君 次は、新産・工特地域が今後どのようにエネルギーの問題に対応ができるのか。
#86
○説明員(平戸正尚君) 国土審議会でこのエネルギー問題に対応すると、そういった点で、産業立地面からも大きく貢献する可能性を持っているというふうに意見を具申しております中身としましては、今後のエネルギー問題を考えていく場合には、一つはやはり石油代替エネルギーというものをどう位置づけていくかということが非常に大きな問題でございますし、あるいはまた省エネルギーということも非常に重要な課題かと思います。
 新産・工特地区におきましては、これまでの建設、整備によりましてある程度まで産業基盤整備というのが進んでおりますので、わが国のほかの地域に比べて相対的には相当有利な立地条件を持っている。そういうところにおいて、たとえば石油・石炭の混合燃料だとか、あるいは重質油の分解装置とか、あるいはLNGの基地とか、あるいはLNGの基地ばかりではございませんで、それの波及関連産業というのも将来出てくるかと思いますが、そういうもの。あるいは、ある程度遠い将来の問題としてはオイルシェールとかタールサンドとか、そういった問題が出てまいりますが、そういうプラントあるいは施設の設置の、立地面でそういうプラント類を設置する余地があると、そういう意味で産業立地面からも貢献する余地があると、こういうふうに考えた次第でございますし
#87
○和泉照雄君 「望ましい産業構造を実現」とありますけれども、どのようなものなのか、同地域が産業立地面からも貢献する可能性があると、このように述べておられますけれども、高度成長型の産業基盤の上で望ましい産業構造の実現が果たして可能なのかどうか。
#88
○説明員(平戸正尚君) 国土審議会の意見書で、「望ましい産業構造」という言葉を使っておりますが、基本的にはこういう内外環境が変化する中におきまして、国民のニーズに適切に対応していくためには産業構造が望ましい方向に導かれる必要がある、基本的なそういう認識を持って書いておるわけでございます。具体的には、後で申し上げますけれども、ここで書いておりますのは、いずれにしろそういう形で産業構造が動態的に変化していく、あるいは変化させていかなければならない、そういう場合に、新しい、望ましい産業構造にかなった企業の立地面ということを考えた場合には、やはりそういう産業基盤が相対的に整備されている新産・工特地区というのがその立地の受け皿になるのじゃないか、こういう意味で書いてございます。
 それでは、「望ましい産業構造」とは何かということでございますが、国土審議会における議論といたしましては、産業構造審議会の八〇年代の通産政策のビジョン等に描かれております−一言で抽象的に申し上げれば、創造性の発揮を基調とした高次の知識集約化の推進と、こういうふうな基本的な認識のもとに議論が行われてきたというふうに承知をしております。
 それから、高度成長型の産業基盤、これが今後の望ましい産業構造を実現する上で果たして役に立つのかという点でございますが、望ましい産業構造というものを考えます場合におきましても、基本的にはその高次の知識集約化と申しますが、現実問題として、鉄鋼とか石油とか石油化学とか、そういう基礎資材産業の重要性というのは依然として変わらないのじゃないかというふうに考えておりますので、道路にしましても空港にしましても港湾にしましても、やはり従来の産業基盤の重要性も同様に変わらないのじゃないかというふうに考えております。
 ただ、先生御指摘のように、産業構造の変化に対応したそういう産業基盤の重点の変化、たとえば港湾よりも空港だとか、そういった意味での重点の変化というのは地区によっていろいろ出てまいるかと思います。その点につきましては、五十六年度以降の新計画におきまして、これを作成する段階におきまして十分に検討してまいりたいというふうに考えております。
#89
○和泉照雄君 地方公共団体からは、新産・工特財特法の延長のほかに、制度そのものの見直しに対する要望もあったと思いますけれども、今回の改正案については、それらの点が改善をされていないようでありますが、どのように検討されたのか。
#90
○政府委員(土屋佳照君) 今回の財特法の延長に当たりましては、自治省としても財政特別措置のあり方について、関係省庁や地方団体の意見も聞いて全般的にいろいろな角度から検討を加えてまいったわけでございます。私どもといたしましては、新産・工特地区の整備は、基本的にはなお所期の目的、目標が達成されるに至っていないと、そういう認識に立っておりますが、それはそうといたしまして、やはり財政特別措置を講じながら整備を進めてきたこの十六年間にそれなりの成果は上げているということ、それから地域によって差異はございますが、各地域の経済力や財政力も創設時に比べて高まっているということ、そういった事情にかんがみまして今回のような措置をとったわけでございまして、財政特別措置の基本的な枠組みをさらに拡大し、強化しなければならないほどの状況にはないという判断に立ったわけでございます。
 また、地域整備のための事業について見ても、基本計画に基づいて関係地方団体が実施する基幹的な事業で財政負担の大きなものはすでに対象事業とされておるわけでございます。さらに、財政特別措置において用いられておるもろもろの基準数値についても、今回これを改めるような特段の理由はないと判断しておるわけでございまして、関係の地方団体からは若干条件の変更等についても話はあったようでございますけれども、非常に強い御意向は延長についてということでございまして、私どもいろいろな点について検討はいたしたわけでございますけれども、今回はお手元に提案いたしておりますような内容で足りるのではないかという判断をいたした次第でございます。
#91
○和泉照雄君 その要望の中で、たとえば財政力の弱い市町村のための特定事業について、通常市町村が負担し得ると認められる額の標準財政規模に占める割合が現在十分の一とされているが、これを引き下げていただきたいという要望については、検討されたことがあるのかどうか。
#92
○政府委員(土屋佳照君) 市町村の標準負担額について意見はございました。そういった点についても私どもいろいろ検討したわけでございますが、御承知のように、この制度の創設時の決算から見まして、市町村が財政特例の対象事業に通常充当しております標準的な一般財源の負担が標準財政規模の一〇%程度であるということから設定されたという経緯がございました。その後の実績を私ども見てまいりましても、現在でもこの率で適当であるという考え方に立ちまして、特別これを動かすということはしなかったわけでございます。
#93
○和泉照雄君 次は、市町村債への利子補給の創設についてはいかがですか。
#94
○政府委員(土屋佳照君) 市町村債への利子補給ということについても、一部には意見がございました。その点につきましても、現行制度で市町村については、まあ利子補給ということではなくて、国庫補助事業についてかなり高率のかさ上げ措置を講じておるわけでございますから、さらに別途市町村債への利子補給をあわせて行うという措置までこの機会に講ずる必要はないであろうという判断に立って、この点も見送ったわけでございます。
#95
○和泉照雄君 財特法の対象事業の拡大についてはいかがですか。
#96
○政府委員(土屋佳照君) 対象事業の拡大につきましては、社会教育施設なり社会福祉施設とかあるいは高等学校等の整備事業も対象事業として追加してほしいといったような要望もございました。しかし、現在財政特別措置の対象としております事業は、基本計画等の上で基幹的な事業、普遍的な事業で、事業費なり事業量のウエートが高くて大きな財政負担となると考えられているものでございまして、原則として、法律に基づく補助事業ということにされておるところでございます。
 いま申し上げたような諸事業についても要望があったわけでございますが、これはそれなりで地方団体がそれぞれ実施をしてきておるわけでございまして、まあそれぞれの一般財源等からそれは支出しておるわけでございます。今回の延長に当たって対象事業をどうするかということで議論はしましたけれども、あえて現在の対象事業を変更して広げるというだけの事情はないと考えられましたので、現状にとどめたということになったわけでございます。
#97
○和泉照雄君 衆議院でも、議論の中では、八〇年代の産業構造は、従来の基幹資源型工業も重要ではあるけれども、雇用吸収力の大きな、付加価値の高い知識集約型の産業を導入をし、これによって三全総の開発計画の定住圏構想を推進すると、このように答弁をしておられるようでございますが、それならすでに新産・工特のこれまでの開発方式は質的に変化しているのであって、たとえば新しい時代に呼応する新産・工特の対象事業についても見直しをすべきではなかったかという、そういう疑問が起こるわけでございますが、これはいかがですか。
#98
○説明員(平戸正尚君) 新産・工特地区に今後どういう産業を導入していくべきかと、そういった御議論は、おっしゃいますようにございました。実は、この新産・工特制度は、基幹資源型工業の導入というのを第一義的に考えておったことは事実でございますが、それと同時に、関連産業の導入、まず基幹資源型工業が入りまして、その波及効果といいますか、そういう観点から関連産業が入ってくると、導入してくると、こういうふうなことを当初から考えておったわけでございます。その関連産業の導入の面で特に当初考えました目標から見ると、相当低位にとどまっておるということがございまして、今般の基本計画の改定に当たりましては、そういう関連産業の導入ということを雇用吸収力の大きな産業の導入というふうな言葉で表現いたしまして、その内容につきましては、基本的には機械工業とか電子電機工業、そういった高度加工型の、あるいは高度組み立て型の工業を中心に考えていこうと、こういうことで考えたわけでございます。
 この場合に、産業基盤というのをどういうふうに考えていくかということでございますが、やはり基本的には道路にしましても、空港、港湾にいたしましても、基本的にはやはり重要性を持っているのじゃないかというふうに考えております。ただ、地域によりまして、そういう産業を導入するために特にこういう産業基盤の整備が先決だと、こういうものがございましたら、計画の段階でいろいろ勉強をしていきたいというふうに考えております。
#99
○和泉照雄君 次に、通産省にお伺いをしますが、工業再配置の問題について若干お伺いをいたします。
 三全総でうたわれている人口の地方定住によって過密過疎の問題を解消をして、住みよい地域社会をつくるという目標に沿って、地方自治体が中心になって全国各地で工業団地の造成を行って、大都市からの企業誘致を図ってきましたけれども、長引く景気停滞から昨年前半まではかなりの工業団地の売れ残りが目立ってきているようでありますが、後半になって、自治体の努力と景気の若干の回復によって少しずつ企業進出が上向いてきたようであります。
 そこで、最近の工業団地の売れ行き状態と今後の見通しについて、通産省はどのように把握をしているか、お伺いをいたします。
#100
○説明員(竹野正二君) 先生御案内のように、売れ残り団地といいますか、最近景気も上向いてまいりまして少しずつよくなっているわけでございますけれども、現在、当省において調査したところによりますと、五十四年九月三十日現在の数字でございますが、全国の工場団地が数で千四百六十一ございます。この千四百六十一の工場団地の面積は約十万一千ヘクタールあるわけでございます。この十万一千ヘクタールのうち、道路とか緑地とかというふうな関連施設面積を除いた面積が工業用地の面積と、こう言っておるわけでございますけれども、これが六万九千ヘクタールでございます。この六万九千ヘクタールが要するに売り出される面積でございますけれども、この六万九千ヘクタールの工業用地面積のうち、現在分譲済みのものが約四万五千ヘクタールでございまして、六四・二%売れていると、こういう状況でございます。なお、あと二万四千ヘクタールぐらい、その差があるわけでございますけれども、そのうち現在売り出され中のものが八千ヘクタールと、こういう状況でございます。
 今後の売れ行きの見通しはどうかという御質問でございますが、私どもで工場立地動向調査というものを毎年やっております。先生先ほど御案内のように、だんだんと工場立地の動向も件数はふえてまいっておりまして、四十八年のオイルショック以降非常に低迷を続けておったわけでございますが、最近の企業の設備投資動向を反映いたしまして、大体件数で申しますと五十二年が最低でございまして、面積で言いますと五十三年が最低だったわけですが、つい最近の調査では、五十四年度は五十三年に比べまして件数で約一・四倍、数で申しますと、五十三年が千三百五十三件でございますけれども、五十四年は千九百五十九件、敷地面積では大体五十三年と五十四年では一・七倍と、こういうふうなことになっておりまして、五十五年度上期においてもなお上向いているということでございます。
 こういうふうな企業の動向からいたしまして、今後団地の売れ行きというのは、先ほど六四・二%と、こう申し上げましたけれども、だんだんとその分譲済み面積はふえていくのではないかと、こういうふうに考えております。
#101
○和泉照雄君 自治省にお伺いをいたしますが、いま通産省がいろいろと説明をされましたが、この売れ残りの団地造成に対して、どのような手段で手当てを地方自治体にされたか。
#102
○説明員(竹野正二君) 通産省でございますけれども……
#103
○和泉照雄君 通産省はいいんだよ、自治省と言ったんだ。
#104
○政府委員(土屋佳照君) まあ各地方団体がそれぞれ工業用地等を整備をされまして売り出しておりますが、いまの話のようにかなり売れ残りもございます。それをどう指導するかということでございますが、私どもとしては、関係省庁とも十分相談をされまして、確かに企業自体の立地の意向というものと一致しませんとこれはうまくいかないわけでございますけれども、できるだけ関係方面と引き合い等についても連絡をとりながらこれが売れるように連絡をとる。最終的にどうなっていくか、まだ将来わかりませんけれども、その間におけるいろいろな利子その他の負担等もございます。そういった点については、起債の借りかえ措置等も考えながら、なるべく良好な売れ行き先を見つけるといったことで、関係方面と連絡をとるようにと、そういったことをやるしかいまのところ適切な手段はないと考えておるわけでございます。
#105
○和泉照雄君 いまの御答弁では余り芳しい答弁でありませんが、売れ行きは少し上向きになったとはいいながら、地域的によってはかなりのアンバランスがあるようであります。九州、北海道、山陰というところは売れ残りがまだ相当あるようでございますが、造成済みの団地を放置しておきますと、その分だけ金利の負担がかさみまして、販売価格が押し上げられるということでますます売れにくくなると、こういうような点がありますので、自治体だけの処置に任しておるのではなくて、自治省の方も積極的にやっていただきたい。
 そこで、通産省にお聞きしますが、自治省あるいは自治体だけのそういうことでなくて、これは通産省の方でも側面的な協力が必要だと思いますが、この協力はどういうようなことをおやりになっていますか。
#106
○説明員(竹野正二君) お答えいたします。
 私どもの施策としまして、工業団地に企業の立地を促進するためにはいろいろな施策があるわけでございますけれども、その一つとして、工業再配置の促進費の補助金という制度がございます。五十四年度には、その誘導地域内の工業団地が立地した場合の補助金の単価を、一平米当たり二千五百円引き上げるということをやっております。それから、五十五年、五十六年には企業のインセンティブを高めるという観点から、補助施設の対象としまして、誘導地域内の従業員の施設、あるいは消融雪施設――雪を解かす施設でございますけれども、こういうものを追加しまして、こういうものを企業がつくる場合にも補助対象とする。さらに、五十六年度には、誘導地域内に原子力とかあるいは石炭火力というふうなものがありますところを特別誘導地域というふうなことにして、なお補助単価をかさ上げするというふうなことをやっておるわけでございます。
 それからもう一つ、基幹工業特利という制度がございまして、これは開発銀行とか北東公庫で基幹工業特利融資というものが行われておりまして、五十六年度にはこれらの制度の拡充というものを図りまして、大規模な工業立地への促進特利の創設というものを行っておるわけでございまして、五十四年度の地域開発枠としまして千六百億円を計上しているということでございます。
 このほか、工業開発指導員制度というものがございまして、各立地地点、団地にそれぞれ企業の専門家の派遣を行いまして、こういうふうな団地にはどういう企業がいいとか、どういうふうにすればもっとよりよい誘導策が得られるかというふうなことを行っているわけでございます。
#107
○和泉照雄君 いまの答弁は、一般的な援助といいますか、応援といいますか、そういうこととお受けしますが、新産・工特地域に限ってはどのような側面的な応援があるんですか。
#108
○説明員(竹野正二君) 新産・工特地域につきましては、ある程度、全国比率においても、立地件数、面積とも二〇%ほど高いシェアを占めておりまして、全国の団地に比べれば、売れ行きとしましては非常によろしいということになっております。そういうことはやはりたくさんの企業がいろいろ集まったりして、いろいろな集積のメリットがあるからそういうところにはたくさん行くのであろうと、こういうふうにも考えておりますが、なお、新産・工特地域につきましても、現在御審議いただいている自治省による財政上の特別措置とか、国土庁によります種々な助成措置がございますし、われわれの工配の補助金にしましても、新産・工特地域におきまして、先ほど言いました平米当たり五千円とかというふうな補助制度もございますので、今後こういうふうなものを総合的にいろいろとやっていくべきではないかと思っております。
 それからまた、二度のことになりますけれども、工業開発指導員制度というふうなものを特に新産・工特地域というようなところに重点的にやる、そんなようなことも一つ考えられるのじゃないか、そのように考えております。
#109
○和泉照雄君 以上で新産・工特の関係は終わりますが、これに関連をして、次は公害防止事業について質問をしますが、厚生省来ておられますか。――現在、食品添加物については野放し同然とさえ言われるくらいに対策が講じられていないようでありますが、その研究及び規制について御説明をいただきたいと思います。
#110
○説明員(藤井正美君) 化学的合成品たる食品添加物については、厚生大臣の指定したもの以外の使用を禁止するとともに、使用を認めるものについても規格及び使用基準を設定いたしまして、限定して使用されるように規制いたしております。
 また、昭和三十七年以来、科学技術の進歩に対応いたしまして、最新の科学技術の水準をもって安全性の再評価を実施いたしておる現状でございます。
#111
○和泉照雄君 いわゆる難病の中で、食品添加物とかあるいは農薬を原因として発生をしている、そういう疾患がありますか。
#112
○説明員(柳沢健一郎君) 難病と申しますのは、原因が不明でございまして治療方法も未確立であり、かつまた、後遺症を残すおそれの少なくない疾患の総称でございますけれども、これらの疾患の原因の究明及び治療方法の確立のために、厚生省では昭和四十七年以来、研究班を組織いたしまして研究を進めてきたところでございます。現在、四十三の研究班を組織して鋭意研究を進めているところでございますけれども、難病の原因といたしまして、食品添加物や農薬につきまして、いまのところ、原因とされる化学物質は確認されておらないところでございます。
#113
○和泉照雄君 そういうような病気ですね、病名――ま、病名はつけられないかもしれませんが、そういうような病気の種類があるかどうか。あったらそれを知らせてください。
#114
○説明員(柳沢健一郎君) 現在、四十三の研究班でもって、病気の数にいたしまして約百五十ほどの疾患につきまして研究を進めているところでございますけれども、現在までのところ、そういったような化学物質等によって引き起こされた難病というようなものにつきましては確認されていないところでございます。
#115
○和泉照雄君 じゃ、次に聞きますが、先天性の異常児、奇形児が最近増加をしておるということを聞いておりますが、その原因は何であるのか。私は先般も、これはサルの例で、ニホンザルの奇形児が非常に多いということで質問をしたわけでございますが、これもやっぱり食品添加物、リンゴとかあるいはミカンとか、それを食べてのということが原因であろうかというような推測をされるわけでございますが、人間の先天性の異常児、奇形児というのが最近非常に多い。これは食品添加物やらあるいは食品の中に含まれておる農薬のせいではないかと思うのですが。
#116
○説明員(福渡靖君) お答えをいたします。
 先天異常児あるいは奇形児の発生状況について、国として正確に調査をしたものが、残念ながら、いままでございません。それで、正確にその増減ということについて申し上げることができないわけでございますけれども、幾つかの数字がございます。
 その一つは、先天異常と言われた原因で死亡をした乳児の状況でございますが、これを見てみますと、昭和二十五年から後、主な年を申し上げますと、昭和二十五年の乳児の先天異常による死亡数、これは五千五百四十、生まれた数千に対しましての割合というのが二・四でございます。昭和四十年、これは三千六百十、率にいたしまして二・〇。昭和五十三年が三千七百五十二、率が二・二というような状況でございます。
 それからまた、奇形というものをどこまで取り上げるかという定義、あるいは対象の範囲を決めるということが大変むずかしいと言われておるわけですが、それでもある幾つかの研究的な調査がございます。たとえば戦前では日赤病院が中心になりまして何例かのものを調べておりますが、そこで先天奇形というふうに判断をされたものが大体〇・九%ぐらいと言われております。それから最近では、日本母性保護医協会がやはり全国の百五十ぐらいの病院の協力を求めまして先天奇形の頻度というものを調べておりますが、それを見ますと、大体〇・八%前後、〇・七から〇・八というような状況でございます。
 そういうような状況でございますので、一つには、はっきりと増加をしているということが申し上げられませんし、また、それが減っているということも申し上げられないという状況でございます。したがいまして、その原因についてもいまのところは調査をするということがなかなかむずかしいわけですが、中には幾つかの原因がわかっておるものがございます。
 非常に典型的なものは、ビールスの感染症であります先天性風疹症候群というのがございます。こういうものは、妊娠ごく初期の時期に母体が風疹の感染を受けたという場合に、子供にいろんな障害が起こってまいります。心臓奇形であるとか聴覚障害であるとか、あるいは目が悪いとか、こういうような形での障害が起こってまいります。
 それから、遺伝的な原因と言われるものがございます。これについては、遺伝というふうに考えておりますけれども、単に遺伝的な要因があるから必ず障害を引き起こすかというと、必ずしもそうではない。それにある環境要因が加わって障害となってあらわれてくるという考え方が非常に強いわけですが、そういうようなことについてもこれからの研究課題として取り上げていくべきものがたくさんあるという状況でございますので、まだいまのところ明確に原因がこういうものであるということは、ごく限られたものだけしか言えないという状況だと思います。
#117
○和泉照雄君 私が最初に申し上げたとおり、厚生省の方ではもう少し積極的にこの問題を取り上げないと、薬害の問題等は、副作用等については相当綿密な調査をしておられるようでございますけれども、食品添加物というのはもう毎日、三度三度食べる中でいろいろ添加物で害を受けるようなものが入っておったら大変でありますから、もう少し研究班も積極的にやってもらいたい。いま聞いておると、何となく、日本の食品添加物のその因果関係の追跡調査というのですか、そういうような研究は進んでいないような印象を受けるわけで、大変もう心配な状態だということが言えるのじゃないかと思います。もう少し積極的にやっていただきたいと、強くこれは要請をしておきます。
 そこで、HLD病というのですか、微細脳損傷症候群というものはどのような病気なのか、また、この病気のわが国における実態とその発生の原因についてはどう考えておられるのかお答え願いたいと思います。
#118
○説明員(福渡靖君) お答えをいたします。
 微細脳損傷症候群というのは、一つの症候群というふうに考えられております。現在、どのような症候群かということについての一応の定義はなされております。これは、機能はほぼ正常あるいは正常以上ではあるけれども、軽度から重度までさまざまな程度の学習能力障害、それから行動異常、あるいは運動機能障害を持っている状態というふうに言われておるわけです。
 しかし、このものが一つの症候群として把握をした方がいいのかどうかということについては学界でも意見が分かれておりまして、非常に幅の広い異常というものを対象にしておる関係で、診断基準も明確にされておりません。そういうような状況でございますので、現在のところ実態を把握をするという方法論が確定しておりませんので、学界でも数字として公表されているものはほとんどございません、そういう状況でございます。
#119
○和泉照雄君 脳には、種々の毒性を脳に入れさせない関所の役目を持っている脳血液関門という門があると言われております。
   〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕
脳血液関門が完成するのは二歳前後と言われておりますが、もし二歳以前とか、この脳血液関門が未完成のときに食品添加物、農薬及びその他の化学合成物が入った場合、脳に障害が起こる可能性についてはいかがなんですか。
#120
○説明員(柳沢健一郎君) 先生御指摘のように、脳と血液の間につきましては物質が選択的に移行するということになるわけでございまして、普通は脳血液関門は脳の中にございまして、血液に対する有害物質を排除するという、そういう働きをしているわけでございます。これが未完成な時期に有害物質が体内に入るということになりますと、理論的には脳の中に侵入するということは十分考えられるわけでございますけれども、現在までのところ、実際にこの脳血液関門の機能不全によると考えられるような異常につきましては、確認されていないところでございます。
#121
○和泉照雄君 二歳前に、赤ちゃんのときですね、この脳の血液の関門がまだ完成されてない前に汚染をされた、そういう場合、成人になったときにはどういう症状が起こるのでしょうか。
#122
○説明員(柳沢健一郎君) 先ほども申し上げましたように、現在までのところこの脳血液関門の機能不全によるとされる異常が確認されておりませんので、それが将来どのような状況になるかというようなことにつきましても十分の解明がなされてないところでございます。
#123
○和泉照雄君 以上で法案の関係の質疑は終わりますが、時間がございますので、関連として大臣が所信表明をされた件について質問をしてみたいと思います。
 警察庁の方おられますか。――大臣の所信表明の中でも暴力団の組織壊滅ということについては強く述べておられますが、最近、北九州市の小倉において、暴力団の抗争によるものと思われる発砲事件が相次いでおるようであります。警察庁は発生状況と捜査状況、これについて説明をしていただきたいと思います。
#124
○政府委員(中平和水君) ことしの二月の四日の午前零時ごろに、北九州市の小倉区の繁華街におきまして、かねてから対立をしておりました工藤会という暴力団の配下におります矢坂組の組員数名と、それと対立関係にあります草野一家という団体の傘下団体である大東亜会員数名、これが駐車車両のことで口論を始めまして、口論の最中に双方がそれぞれ拳銃を発砲いたしまして、双方の組長がそれぞれ拳銃によって射殺をされ、また、一方の組の副組長が重傷を負うと、こういう事犯が起こったわけでございまして、その後、この両組の対立関係がますますエスカレートいたしまして、二月の十八日までの間に双方の事務所あるいは幹部の家等に拳銃等が発射されまして、その事件が大体六件ございます。それから、その過程で、一方の組の事務所のところで、道を探しておりました大学生が巻き添えを受けて暴力行為の被害をこうむったと、こういうケースがございました。
 現在、福岡県警におきましては、県警の総力を挙げてこの事犯の解明、それから徹底検挙に臨んでおる状況でございまして、現在までの検挙の状況は、一方の工藤会という方の系列の者二十名、それから対立団体の草野一家の者三十七名、それから両組織をそれぞれ支援しておる団体がございますが、この関係者四十二名、合計九十九名を逮捕いたしまして、同時に多方面にわたる捜査活動を実施した結果、拳銃三丁を押収をいたしておると、こういうことでございます。
 現在、一応両組の対立関係は鎮静化の方向にいま向いておるわけでございますが、警察といたしましては、先ほど申し上げましたように全力を挙げてこの事件の解明と関係団体などの徹底的な検挙を行ってまいりたいと、こういう方針で臨んでおる状況でございます。
#125
○和泉照雄君 特に小倉北署の管内は、暴力都市と言われるくらい非常に暴力団の犯罪が多いと言われておりますが、最近五年間の犯罪の実態について述べていただきたい。
#126
○政府委員(中平和水君) 昭和五十一年以降の小倉北署の管内におきますこの種の暴力団の検挙状況を申し上げますと、五十一年には百二十二件、百四十名。五十二年には百八十五件、百五十二名。五十三年には百八十一件、百四十七名。五十四年には二百十七件、百六十八名。五十五年には百五十六件、百九名。過去五年間に合計八百六十一件、七百十六名の暴力団員を検挙している状況でございます。
 なお、北九州市内には、現在警察の把握しておる暴力団の数は四十団体、千六十三名いまおるわけでございます。
 なお、北九州の市内におきます暴力団の昨年の検挙の総数は八百十二件、六百四十二名と、こういうことになっておりまして、逐年相当数の暴力団の検挙は見ておる状況でございますが、先ほど申し上げましたように、先般相次ぐ対立抗争が起こったと、こういう状況でございます、
#127
○和泉照雄君 小倉の市民も、暴力追放決起集会を開くなどして、また、北九州市も暴力団が絡む公共事業の締め出し、あるいは生活保護の不正受給のチェックなどに乗り出しておるようでございます。しかし、残念ながら、つい最近、北九州市会議員の自宅に発砲されるなど、市民の運動にもかかわらずその根は絶えておりません。市民が立ち上がって暴力団の撲滅に乗り出しているのに、どうしても警察の取り締まりの手ぬるさが目立つようであります。
   〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕
というのも、二月九日に暴力団の総長の住むマンションに銃弾が撃ち込まれた事件では、市民から銃撃について通報が寄せられながらこれを阻止できなかったこと、さらに、暴力団の住むマンションの前に、「ここから拳銃を撃たないように」という、全く警察がなめられた看板を許しているなど、どこまで本気で取り組むのだという気がするからであります。なぜ警察は徹底した壊滅作戦を行わないのか。いま聞いてみますと大分やっておられるようでございますけれども、壊滅に至るまでの徹底した作戦がとられていないというのはどういうわけでしょう。
#128
○政府委員(中平和水君) 先ほど御指摘になりましたように、暴力団の組長の家に拳銃弾が撃ち込まれた事件につきまして、当初参りました捜査員の捜査の不徹底から、その事犯を見逃してしまった。これは私ども重々反省し、こういうことのないように今後してまいりたいと、こういうように考えております。
 なお、北九州の暴力団に対する取り組みにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、本部長が陣頭指揮をやって、現在約三百名ぐらいの捜査員を動員して、引き続いて捜査をいたしておるわけでございます。なお、先般の人事異動におきましても、この小倉北署に全国に初めての捜査四課というものを置きまして、いままで十一名でやっておったのを二十一名に、一挙に倍増するとか、あるいは県本部の方にも、この種の暴力団を徹底的にマークするための行動確認班的な人員を増強する等、それなりの手を打ってやってまいっている状況でございまして、いましばらく、ひとつ時間をかしていただきたいと思っております。
#129
○和泉照雄君 昨年の暮れ、暴力団の取り締まりの担当の特捜刑事が小倉北区の暴力団の組長の奥さんと交際をして、数百万円の借金をしたり、紫川事件でも暴力団担当刑事の方と暴力団員との黒いうわさが出るなど、警察側の汚点があらわれてきておりますけれども、警察庁としてはどのように暴力団とのなれ合い防止に取り組んでおられるのか。最近私の鹿児島でもそういうような体験を――やはり捜査のためにいろいろ接触があると思うのですよ。それが度が過ぎていろいろ問題を起こされるのじゃないかというような気がするわけでございますが、それについての防遏の手段はどのようにおとりになっておるか。
#130
○政府委員(中平和水君) 暴力団との関係は非常にむずかしい問題がございまして、やはり暴力団の中枢に触れる情報をとるためにある程度暴力団と接触をしなきゃならない。しかしこれは、暴力団というのは、私ども解散、壊滅を目指しているまさに犯罪集団でございますから、やはりそれなりのきちんとしたけじめを持ってやらなきゃいかぬ。これは一にかかって、担当する者の一つには心構えの問題、けじめをつけ厳しく対決していくという姿勢、それからやはりそれを管理する幹部の人事管理の問題、こういう問題があろうかというふうに考えております。
 福岡の問題につきましても、御指摘いただきましたような大変残念な結果になりまして、これにつきましてはやはりそれなりの処分等はやりまして、今後再びそういうことを繰り返さないように、責任の所在を明らかにすると同時に、この種の管理の体制の問題、あるいは捜査員の心構えの問題等についても、さらに教養を徹底さしてまいっておると、こういう状況でございます。
 なお、今後とも、この種の不祥事犯が一たん起こりますと、せっかく暴力団の取り締まりについて警察が全力を挙げていることにつきまして、一般の国民の方々から不信の念を抱かれることにもなるわけでございまして、今後そういうことのないように、さらに指導、教養の徹底に努めてまいりたいと、このように考えております。
#131
○和泉照雄君 昭和五十三年七月の暴力団山口組組長の狙撃事件でも問題になっておりましたが、最近暴力団の対立事件では必ず拳銃が使用されております。組員一人にピストル二丁という時代だと言われておるようでありますが、なぜこのように簡単に拳銃が暴力団の手に渡るのかお聞きしたいのでございます。
 ところが、昭和五十五年の警察白書によれば、拳銃の押収は五十一年をピークにして落ち込んでおり、これは「警察の厳しい銃器取締りにより多数のけん銃が摘発されたことから、その隠匿方法がますます巧妙化」したことを理由に挙げておられるようでございますが、こうも日常茶飯事のように拳銃を使用されると、巧妙とはほど遠いような気がしてならないわけでございます。今度の事件でも、暴力団員が常に拳銃を携帯していた結果ではないかと思うわけでございます。
 そこで、今後の警察庁の拳銃等の所持の取り締まりの方策をお伺いをしたいと思います。
#132
○政府委員(中平和水君) いま警察で、暴力団関係で年間押収する拳銃は、このところ平均いたしますと千百丁ぐらい押収をいたしております。暴力団の拳銃のルートにつきましては、一つにはやはりこれは東南アジアその他からの密輸のルート、それが非常に多いわけでございます。ただいま問題になっております九州等におきましても、やはりこれはその種の密輸ルートで入ってくるのが相当多いわけでございまして、これにつきましては、やはりこれは水際で押さえると申しますか、税関当局等との連携を緊密にしながらやっていくという手が一つでございます。さらに、これは入手ルートは海外でございますから、一昨年来特に日米暴力団対策会議というのを持ちまして、ハワイあるいはフィリピン、まあ先般ハワイでやりましたが、アメリカのFBI等にも入ってもらいまして、要するに密輸拳銃のルートを断つという形での国際協力、そういう施策も講じつつあると、こういう状況でございます。
 それからなお、いま御指摘がありましたように、北九州の問題では、暴力団が日常的に拳銃を持っているではないかと、こういう御指摘がございましたが、拳銃につきましては、昨年は福岡県警では百八丁の押収をいたしておりますが、その中で、対立抗争に関連して二十三丁押収いたしております。つまり、これは対立抗争事件をきっかけに、徹底した職質による身体捜検あるいは捜索、差し押さえ、こういうものを反復実施いたしまして相当の量の拳銃を押収しておりますが、この種の施策をさらに強力に推進をしてまいる。それから、非常に拳銃の隠匿の手法というのが全般的に巧妙化してまいっておりますので、これにつきまして、いろんな所に隠しておる、そういう先訓を十分に生かしながら取り締まりの徹底を期してまいる。そういう方向の中で、ひとつ暴力団の戦闘の根源である拳銃を一丁でも多く取り上げると、そういう方向を強力に推進してまいりたいと、こういうふうに考えております。
#133
○和泉照雄君 昨年の三月の銃刀法の改正の際にも、当委員会において、「暴力団に対する取締りを一層徹底し、銃器使用犯罪の絶滅のため万全の対策を講ずること」という附帯決議が行われております。さらに先般は、国家公安委員長は暴力団の組織の根絶を目指し、総合的な取り締まりを引き続き強力に推進すると所信を述べられております。一層の徹底を図っていただきたいと思います。
 なお、暴力団の動向とこれに対する具体的な方策を御答弁願いたいと思います。
 最後に、国家公安委員長の暴力団絶滅に対する決意のほどを伺って質問を終わります。
#134
○政府委員(中平和水君) 最近の暴力団の全国的な動向でございますが、警察が把握しております暴力団の数集五十五年末現在で二千四百八十七団体、十万三千九百五十五名、一応把握をいたしておるところでございます。これは、昭和三十八年ごろが約五千二百団体、十八万四千人でございましたから、暴力団の数自体は半減をしておるわけでございますが、しかし残念ながら非常に組織の強大な暴力団、山口組とかそれから稲川会だとか、そういう暴力団はますますこれは肥大を一応しておりまして、非常に強い勢力を持っておると、こういう状況になってまいっておる状況がございます。
 それから、暴力団のよって立つ不法の資金源の問題につきましても、従来からの暴力団の主要な資金源である賭博とか恐喝とか覚せい剤、ノミ行為、こういうものに加えまして、最近では企業恐喝だとか暴力金融だとかあるいは総会屋だとか倒産整理屋だとか保険金詐欺だとかいうふうな、何といいますか企業社会とかあるいは市民の日常生活の経済取引の分野にまで暴力団が進出をしてまいる。つまり、暴力団犯罪が著しく知能化の傾向を示しておると、こういう状況になっております。それと同時に、やはり取り締まりの強化、その他の状況によりまして、暴力団の対立抗争というのがこのところまた再び激化の傾向にある。そういう状況になってまいっておるわけでございます。
 したがいまして、これに対します警察の基本的な取り締まりの方針といたしましては、一つには何といいましてもこれは首領とか幹部等を含む大量の検挙、検挙の反復繰り返しによりまして暴力団の組織を弱めていく。つまり、社会から一人でも多く暴力団を隔離し、そのことを通じて暴力団の組織を弱めていき、究極的には解散、壊滅に追い込んでまいる。
 第二点は、暴力団のよって立つ資金源、これに対する封圧の作戦を強力に推進してまいる。違法な資金源につきましては取り締まりという方向、合法な資金源等につきましては、たとえば公共事業からの締め出しをやるとかあるいは課税措置をやるとか、そういうふうなやはり総合的な資金源封圧作戦というものを強力に推進してまいる。
 それから第三点は、暴力団の戦闘力の根源である拳銃等の武器につきましては、先ほど申し上げましたように、あらゆる方策を使って、やはりこれは暴力団から拳銃を一丁でも多く取り上げて戦闘力を弱めてまいる。
 それから、暴力団につきましてはやはり何といいましてもこれは一般の国民の方々の協力を得ながら排除をしてまいらなきゃいかぬわけでございますから、暴排運動等の総合的な諸施策を通じて暴力団を孤立化させていく。そういう方向の中で暴力団を逐次追い詰め、解散、壊滅に持ってまいると、そういうふうな基本方針で臨んでおります。今後ともさらにこれを徹底してやってまいりたいと、このように考えております。
#135
○国務大臣(安孫子藤吉君) 暴力団は、私から言うまでもございませんが、その存在は決して容認のできない、社会公共の敵でございます。したがいまして、これをどうしても壊滅をせにゃならぬと考えておるのでございます。したがいまして、警察当局は、ただいまも申し上げましたとおり、全力を挙げてその壊滅に向かって努力をしているところでございます。
 同時に、この問題は、こうした暴力団の存在を許す社会的風土という問題もございます。この点については、地域社会においても非常に努力をされておるわけでございまするが、私どもはそうした方々にさらにエンカレッジしていただくように努力をいたしますとともに、重ねて申し上げますけれども、社会公共の敵でございまする暴力団の壊滅に向かって、警察は全力を挙げてこれから闘っていくつもりでございます。御了承願います。
#136
○和泉照雄君 終わります。
#137
○神谷信之助君 最初に大臣に一問聞きたかったんですが、それは後に回しまして、早速新産・工特の方の法案の問題について質問をしたいと思います。
 まず最初にお伺いしたいのは、この法律を延長をするに至った理由についてお伺いしたいと思います。
#138
○政府委員(土屋佳照君) 御承知のように新産・工特地区につきましては、大都市への人口と産業の過度の集中を緩和し、地域格差の是正と雇用の場の創出を図るということで指定をされたわけでございます。それ以来建設整備というものが長年にわたって進められてまいったわけでございまして、これまでも相当の成果が見られているわけでございますけれども、地区内の人口なり工業出荷額等の状況は、計画目標から見ますとなお大幅に下回っておるという状況でございますし、特に、生活関連施設の整備は依然として立ちおくれておると言わざるを得ないわけでございます。
 今後とも新産・工特地区の整備を進めていくことは、雇用吸収力の大きい産業の導入、それから周辺地域への波及効果を通じて地方人口定住を促進をいたしまして、三全総に掲げておりますいわゆる定住構想を実現するための有力な政策手段となるものと考えております。その意味で、その意義は大きいものがあると私ども考えておるわけでございます。したがって、地方におきます雇用の場を拡大するための企業立地の促進と、良好な地域社会を形成しますための都市機能の充実に重点を置いて、これらの地域の整備を引き続いて計画的に、また積極的に進めていく必要があると考えておるわけでございます。
 こういった考えのもとで、国土庁においても五十五年度を目標としておりました現在の新産・工特基本計画を、今後十年程度を見通しながら、昭和六十年度を目標とする計画に改定をして、新産・工特地区の建設整備を積極的に推進したいということにされておるわけでございます。この新しい計画において予想されます需要に係る関係地方団体の財政負担はきわめて多額なものになるものと予想されておりまして、その実施に当たっては国の財政上の特別措置の継続がどうしても必要であるというふうに判断をいたしまして、当面新たな計画目標年度とされております六十年度まで、新産・工特財特法によります特別措置の適用期限を延長するということにいたした次第でございます。
#139
○神谷信之助君 そこで、国土庁にお伺いしますが、延長に当たって、いままでの実施状況について総括をなさっていると思いますから、投資実績、それから企業立地、それから工業出荷額、雇用の状況、これらについて、目標に対する達成率、それから全体としてどのように評価をしておられるのか、それから問題点はどこにあるというようにお考えになっているのか、それらについて、全体としてひとつお答えいただきたいと思います。
#140
○説明員(平戸正尚君) 現行計画の達成率について申し上げますと、施設整備の関係では、基本計画で想定しておりました経費の概算の合計は十二兆七千億円ということでございまして、これが五十五年度の計画まで含めて集計してみますと、名目では十三兆一千億円ということになっておりまして、実質では十一兆三千億円ということでございまして、達成率は八九・一%、約九〇%になっております。
 それから、工業出荷額でございますが、目標値は三十五兆五千億円ということでございましたが、実績値が二十七兆六千億円という、これは名目の数字でございます。これを実質化いたしますと、二十五兆八千億円ということになっておりまして、達成率が二九・一%、三〇%弱ということでございます。
 それから、人口集積でございますが、目標値は新産・工特地区全体で一千七百八十一万人になると、こういう想定をしておりましたが、五十五年の国調で見まして一千七百三十三万人ということでございまして、達成率は六六・八%、約六七%と、こういう数字になっております。
 それから、企業立地件数でございますが、これは敷地面積九千平米以上、あるいは建物の面積三千平米以上と、こういうふうな比較的大きな企業でとっておりますが、五十四年までの実績値、これは三十九年以来の集計をしておりますが、二千百九十七と、こういう数字になってございます。
 それで、私ども、成果といたしましては、やはり関係地域における工業出荷額及び人口は、総じて他の地区と比較しまして高い伸びを示しておりますし、所得の地域格差の是正とか地方における人口流出の歯どめ、そういった点で国土の均衡ある発展に大きく貢献してきたというふうに判断しております。
 現時点で考えております問題点でございますが、先ほど申しましたように、工業あるいは人口集積はそれなりに進んではおりますが、いまだ当初考えました目標と比べますと十分とは言えない。特に五十一年度以降の石油ショックを契機とする経済停滞、こういうふうなことの影響としての企業立地の冷え込み、あるいは工業出荷額の伸び悩み、こういうこともございますし、こういうことを反映して、また人口も同様に集積が伸び悩んでいる、こういう状況にございます。したがいまして、こういった達成率、現行計画の達成率が低くなるという点で問題が一つあると考えておりますし、また、施設整備の進捗状況というのを見ますと、先ほど申しましたように施設整備の事業費ベースの数字では八九・一ということで、比較的順調でございますが、施設整備の水準という点を見ますと、相当低い水準にとどまっておりまして、特に生活関連施設の下水道とか、一人当たりの都市公園面積とか、あるいは市町村道の舗装率とか、そういったもので見ますと、なお低位な水準にございます。
 したがいまして、こういった点を今後の五十六年度以降の計画において、できるだけ当初の所期の成果が上がりますように努力してまいりたいと考えております。
#141
○神谷信之助君 この新産・工特の事業を早く始めたところと遅く始めたところ、これが、とりわけ第一次石油ショック以来の状況をもろに受けておるところと、もうすでに企業立地が済んでいるところというので大きく差が出てきているだろうと思います。こういうアンバランスの問題についてはどういうようにお考えになっていますか。
#142
○説明員(平戸正尚君) 御指摘のとおり、比較的企業進出といいますか企業の誘致が早かった地区、具体的には、新産の地区で申しますと岡山とか大分とか、そういうのは比較的早かったと思いますが、こういったところでは比較的工業集積、したがって人口の集積も進んでいる。それに対しまして、どうしても企業誘致がおくれたと申しますか、そういったところについては工業集積がもう一つ芳しくないと、こういう状況はございます。そういった点につきましても、そういう地区ごとの現状ということを十分踏まえまして、五十六年度以降の計画では、そういうおくれた地域については、そのおくれた地域の要因分析とかいうことも十分行いまして、そこで誘致が望ましい企業とかそういったものをできるだけ検討いたしまして、その計画に反映させ、建設整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
#143
○神谷信之助君 そこで、新産・工特のでもうすでに造成をしたところ、それからすでに造成にかかっているところ、これらを含めましていま売れ残っておる土地ですね、これは一体どれだけありますか。
#144
○説明員(平戸正尚君) 三十九年度以降五十三年度までの集計をいたしておりますが、そこで工業用地の売却用の面積というのが、新産・工特合わせまして一万八千二百七十九ヘクタールということでございます。これだけ完成しておるわけでございますが、そのうち売却済みの面積を見ますと、一万四千九百九十四ヘクタールということになっておりまして、売却率を見ますと八二・〇%ということになってございます。ただ、五十一年度以降におきましては、こういう経済情勢を反映いたしまして比較的売却率が下がっているというのが現状でございます。
 ただいま申しましたのは五十三年度までの総計でございます。
#145
○神谷信之助君 五十一年以降はずっと売却がなかなか進まない状況になってきていますね。
 それで、現在売れ残っているのを今後どうするつもりなのかという点、これはどうお考えですか。
#146
○説明員(平戸正尚君) 売れ残っております用地面積が、先ほど申しましたように、私どもの集計では約三千ヘクタールということになってございますが、特に五十一年度から五十三年度までに完成いたしました面積、これが合計で一千二百八十五ヘクタールで、そのうち五百五十六ヘクタールが売却済みでございますので、残りの七百二十九ヘクタールというのがこの計画期間中で売れ残っているということになってございますが、これをどうするかという点につきまして、当該道県あるいは市町村非常に真剣にいろいろ検討しておりますが、いかんせんこういう経済情勢を反映した企業立地の冷え込みということでございまして、私どもも苦慮してまいったのが実情でございます。
 ただ、企業立地の最近の動きを関係省庁の話などから総合いたしますと、比較的明るい兆しが見えているというのが現状のようでございますので、私どもはそういった点に期待いたしまして、できるだけ早くこういう売れ残り団地が良好な企業に売れていくということを期待しているというのが現状でございます。
#147
○神谷信之助君 私は大体、この事業を政府が計画をしてやってこられたわけですから、簡単にその失敗を認めるということはなかなかされないからこういうことになるんじゃないかと思いますがね。高度成長でどんどんどこへでも広がっていくような状況で、しかも来てもらえればちゃんとサービスもいたしますと、いろんな条件を整えるという状態とは、いまは、経済の成長の状態というのは変わってきているわけですね。そういう状況で、五十一年以降の状態が起こっているにもかかわらずそのまま延長をして、この計画を進めるというのに問題を感じているわけですよ。生活関連事業なんかおくれているから、これらもやらないかぬという点も主張されておりますが、私はそれならそれで、それは別の立法として、全体として――これは全体的にもおくれていますから、それに必要な手段を考えるべきではないかというように思うんです。
 まあそれはそれにして、ひとつ具体的に議論をしてみたいと思うんですが、秋田県の開発計画に関する問題です。秋田県の新産地域の実績というのは計画目標から見てどうなったのか。この点についてまずお伺いしたいと思います。
#148
○説明員(平戸正尚君) 秋田県の秋田湾地区の新産の基本計画の実施状況について申し上げますと、まず施設整備の関係では目標値が三千六百億円、この計画期間中の概算経費三千六百億円ということでございましたが、五十五年の計画ベースで見まして、名目で三千三百億円という数字が出でございます。これを実質化いたしまして達成率をはじきますと七九・五%ということになりまして、約八〇%。それに対しまして、新産・工特合計の達成率は先ほど申し上げましたように八九・一%ということでございますので、約一〇%程度全国平均を下回っているという実情にございます。
 それから、工業出荷額につきましては、五十五年度の目標を三千九百億円というふうに想定いたしましたが、五十三年の工業統計の実績で見ますと二千六百億円という数字になっておりまして、実質の達成率は一四・一%、全国の新産・工特地区の平均が二九・一%の達成率でございますから、やはり相当達成率は低くなっているという実情にございます。
 それから、人口につきましては、三十八万人の目標を立てておりましたが、五十五年の国勢調査で見まして三十七万人ということになっております。これは達成率が七六・〇%でございまして、この点については、全国の達成率が六六・八%でございますので、約一〇%達成率がよくなっているということでございます。
 以上、総括いたしますと、この三つの項目につきましていずれも計画目標は相当下回っているということでございますが、ただ、この達成率を一つの指標として私ども使っておりますけれども、どういう計画を描いたかということとの関連がございますので、達成率だけでこの計画がどうであったかということを判断するのは多少問題があるというふうに考えておりますが、いずれにしましても秋田湾開発がおくれているというふうな事情もございまして、全体的にややおくれが見られるということははっきり指摘されるべき点だと思います。
#149
○神谷信之助君 これ、東北地域は大臣も御承知のように産業的には後進地域ですから、新しい産業の創出、それからそれに基づく雇用の創出ということで相当無理をして開発の計画を進めてこられた。実際にかかってくるのが、大分おくれて進み出していますから、そういう点できわめて特徴的だと思うんですが。
 それで、現在どういう結果を残しているかという点ですが、たとえば男鹿市の場合、船川港を中心にして、県の企業局が木材コンビナート基地を造成をしました。十九万三百三十九平米、うち工場用地は十六万五千九百二十七平米です。その十六万五千九百二十七平米のうち十一万七千平米を、大半の用地を使って、秋田永大木材工業、これを誘致したわけです。その地域の進出企業は十六社ですが、永大を除く企業というのは、地元の小規模でこの永大のためにつくったような企業であるわけですね。この永大木材工業は四十六年の六月から操業の開始をしましたが、四十九年からは一時帰休が始まり、五十年の十二月には倒産、工場閉鎖になる。そして、五十三年の三月の二十日には秋田地裁に特別清算の申請をする、負債総額四十五億円という状況になっているわけです。せっかく木材コンビナート基地をつくるということで県の企業局で埋め立てをして、そうして誘致をしたけれども、四年ほどの間に倒産をして、ついに四十五億円の負債を残すという状況になったわけです。
 これに対して男鹿市が、四十七年から四十九年にかけて、固定資産税分に相当するものを奨励金として戻しています。あるいはまた、その後固定資産税が入り出したのですが、倒産をしたから固定資産税が入らないという状況になってきています。これは自治省の方に調べてもらうように言いましたけれども、守秘義務だということで言えないそうですから、私どもの方で調査をした数字を言いますと、四十七年から四十九年にかけて奨励金として交付をしたのが四千百四十一万六千三百八十円です。その後固定資産税を今度は払うということになりましたが、五十二年の固定資産税が千九百五十三万三千九百四十円ですが、そのうち四期分から倒産で払わない、滞納になったのが六百五十二万四千六百円です。その後五十三年が二千四百四万何がし、五十四年が千五百八十八万何がし、五十五年が千六百四十九万何がしと、合計約六千三百万円固定資産税が未納になってしまったんですね。だから、四十七年から四十九年にかけて固定資産税をまけてあげて、いわゆる奨励金として約四千万円ほど渡したんだけれども、結局倒産によって、さらに六千三百万滞納という状態になっている。実質これ税金は入ってこない。だから交付税の計算の方は調定していますから収入と見ますからね、だからそれの四分の三は収入済みになりますから、基準財政収入額には欠損が実際上起こっている。これ簡単に計算すれば約四千五百万ぐらいが欠損になるわけでしょう。だから、いろいろなサービスをするということで、奨励金までつくって、造成までしてそうして来てもらったけれども、倒産をすると、こういう状態になってきているんですね。
 ついでにちょっとこれはお聞きしておきますが、こういうぐあいに歳入欠陥を生じている場合、交付税でこの処理というのは当然やられると思うのですが、これはどういう形でやられるのですか。
#150
○政府委員(矢野浩一郎君) お尋ねのような企業の倒産等の事由によりまして固定資産税が未納になっております場合でございますけれども、現在の交付税の算定、省令上の規定によれば、土地なりあるいは家屋の課税台帳に登載されておりますもの、すなわち課税すべきであるもの、これにつきましては、交付税の基準財政需要額の中に算入をするということでございます。したがいましてお尋ねのような場合にでも、交付税上はこれは算入されていく。倒産の結果、いずれこれは清算が行われ、地方税の債権でございますから、国税とともに優先的に確保されるわけでございますけれども、それによって収入が入ってくれば、いままで基準財政収入額で算入されておったものが結果的にはこれに見合うものになるというようなことに相なるわけでございます。
#151
○神谷信之助君 まあいずれにしても債権者会議で、まあ税金ですから先取り特権がありますからある程度保障はされるでしょうが、清算をしてもらわなきゃならぬ、そういう状況です。
 それで、税金の問題だけじゃなしに、永大が来れば一日一千トンの水が必要だというわけですね。そこで専用水道施設を五十年度に約一億数千万円かけて完成をした。そのうち永大の使用料として一億一千万円ぐらいは戻ってくるだろうという計画で、水道施設を五十年度に完成したんです。ところが倒産をしてしまいましたから、年間五千万円全体として水道使用料が入る見込みが全部崩れてしまう。その結果、その分はどうにもならぬわけですから、五十四年度に一般の住民、市民に対して、水道料の値上げ二八・八%をやる、その中に含まれるという、そういう負担、犠牲がかけられるわけですね。これが一つあります。
 それから、玉川ダムを、建設省の直轄のダムで多目的ダムをいま建設をしています。これは、実施計画の調査は四十八年で、建設は五十年から開始して完成は六十年の見込みで、総事業量は八百五十億ですか、県の負担分二百八十億、現在トンネル工事それから国道のつけかえあるいは町道や林道の工事にかかっているのですが、このアロケーションを見ますと、上水道が四・七%、秋田市及び雄物町で使用する。工業用水を一八・九%、県の方で日量四十五万トン使用する計画です。この日量四十五万トンという数字がなぜ出てきたのかといえば、それは秋田湾開発によって日量四十万トンの工業用水を必要とするということだったわけですね。だから、秋田湾開発に基づいてそれに必要な工業用水確保のために五十年から玉川ダムの建設を開始をしたわけです。ところが、いまお話のあったように、秋田湾開発は、五十六年の県議会で知事が凍結宣言を行って、いまストップをせざるを得ないという状況になってきています。
 それはなぜかといえば、開発の基本計画は鉄鋼の一貫コンビナートをつくろうという予定だったのが、御承知の状況で来そうもないということで、凍結して、現在新しい計画を設定をするという段階になってきているんですね。しかし、一たんダムをつくり出していますから、つくらざるを得ないだろう。これできましても、秋田の現在のところの状況で工業用水はどうなっているかというと、現在、給水能力が日量二十万トンで、工業用水として使用しているのが十四万四千トンですから、十分余っているわけですね。だから、このダムをつくって日量四十五万トンの工業用水が確保できるといっても、現在はまだ必要でない、使い道がないという状況であります。これには県の方が五十二億余りですかもうすでに支出をしております。
 さらに、もう一つ言いますと、秋田湾開発を進めるための緩衝緑地帯をつくるという計画がある。これで八十四億余りの投資計画で、すでに六十億ぐらい投資して、五百三十五平米は買収済みになっているわけです。これも、秋田湾開発がいま見通しがつかぬということで、結局買ったけれどもいまのところはもう――むだにはならないだろう、何かに使い道はあるでしょうけれども、そういう状況になっているわけですね。だから、バラ色の夢を描いて、国も援助し、そして県も出費をし、市町村も協力していろんな開発の計画を進めたけれども、このような事態になって凍結宣言を出さざるを得ない、計画自身を根本的に変えざるを得ないという、そういう状態になってきているわけです。
 これは私は企業を誘致をするといっても、やってくる方の企業はもうけがなければ来ないわけですから、採算がとれるという見通しがあり、収益が将来にわたって保障されるという状況がなければ来ない。しかし、後進地域ではどうしても鉄鋼なり石油、近代的なそういう産業が必要だということで、政府が鳴り物入りでそういうところには補助のかさ上げもいたしますよといって宣伝をする。だからそれに期待をかけて造成をする。借金をしてでも造成をすると、経済はきわめて流動していますから、そのように思うとおりに来ないし、また、来てもらおうとすれば、買い手市場ですからとにかくいろんなサービスをしなきゃならない。経済状態が悪くなれば、いまの秋田県のように来てくれなければどうにもこうにもならない。こういう拠点開発といいますかね、自由主義経済のもとで、いわゆる資本主義経済のもとで最大限利潤の追求をしている、そういう法則が働いている社会の中で、あっちにもこっちにもそういう拠点開発をやって、そうしてどこにもここにも鉄鋼のコンビナートができたり石油のコンビナートができたりというようなことには常識的に言ってもなりっこない。それを無制限にどんどんと進めてきて、そして実際にはあの石油ショック以来の資本主義のきわめて深刻な危機の状態の中に落ち込んで、客観的に言えば国費のきわめて莫大なむだ使いに終わっている、こういう事態になっていると思うんです。
 この点は、うまくいっているところはいっていますよ、早くやったところは。しかしそこのところは、公害の問題とか過密の問題とか、いろんな他の社会的な解決すべき新しい問題を提起をしているわけですけれども。後進地域ではよけいにもうどうにもこうにもならないようなところに、展望が持てないような状況になっているというように思うんですが、この辺について、関係大臣の一人でもありますが、自治大臣、政府としてはどういうようにこの事態を、そういう事態に陥ったことを反省をし、それを解決するためにどういう方策を考えておられるのか。この点をひとつお聞きしておきたいと思うんですがね。
#152
○説明員(平戸正尚君) 大臣がお答えになる前に、国土庁でございますが、先ほど先生御指摘の秋田湾開発の点でございますが、秋田湾開発につきましては、わが国に残された数少ない大規模工業基地の適地でもございますし、三全総において環境影響評価を含めて調査、検討の上、その結果を踏まえて建設を図ると、こういうふうな位置づけがございます。現在秋田県を初め関係各省庁において調査、検討が進められておりますが、その大規模性あるいは地域への影響力の大きさ等から、さらに綿密な調査、検討を要するというふうな段階にございます。私どもの新産・工特関係の秋田湾の基本計画においては、こういう大規模な鉄鋼の立地を検討するということになっておりまして、今後いろいろ各般にわたる検討が進んだ段階で具体的な埋め立てとかいうことが出てくるというのが現状でございます。
 それからただいま御指摘の玉川ダムでございますが、確かに計画におきましては、上水関係で一八%程度のアロケーションはあったかと思います。しかしながら、玉川ダムそのものはそれ以外に治水あるいは農業用水あるいは上水、発電、こういうふうなことを行う多目的ダムとして計画されておりまして、その施設規模は洪水対策上の必要性及び長期的な水見通しによって決定されたと聞いております。したがいまして、ダムの建設そのものは総合的な観点から緊急性に迫られて行われているものでありまして、また秋田湾開発自体も、先ほど申しました各般の検討が進めば近い将来には必要となってまいる問題でございますので、むだな投資とは私ども実は考えておらないわけでございます。
 それから同様に、緑地につきましてでございますが、これにつきましても、生活環境の保全とか、あるいは砂が飛ぶ、飛んで来る砂を防止すると、そういうふうなことを主目的に買収されたというふうに聞いておりまして、それがあわせて秋田湾開発における緩衝緑地としての機能を持つと。いわばこちらの方の機能は付随的なものというふうに私ども実は聞いておりますが、したがいまして、現在におきましても、必ずしもむだに買収されてむだに使われておるというふうには私ども考えておらないのが現状でございます。
 確かに秋田湾につきましては、御指摘のように新産地区の指定ということも相当おそく、ほかの地区に比べますと二年ぐらいおそく行われているということもございますし、鉄鋼の立地というのも、こういう石油ショック後の経済情勢の変化ということもございまして、先行きなかなか厳しいものはあると思いますけれども、私どもとしては、五十六年度計画においてこういう鉄鋼の立地の問題あるいはそのほかの関連産業の導入の問題、いろいろ考えて、この地区の建設整備をさらに一層推進していきたいというふうに考えております。
#153
○国務大臣(安孫子藤吉君) 私へのお尋ねでございまするのでお答えを申し上げますが、新産・工特の指定の際に、これがやはりいろいろな立地条件のほかに、主たる企業が大体来そうだというような前提に立って指定をしておった経過があると思います。しかし、そこに造成される土地なんかについて、ほとんど全部企業が配置されるという、そういう見込みじゃなかったと、メーンの企業が来るという見当がつきますと、まあそれじゃひとつ指定しようかという経過があったと思います。したがいまして、メーンの問題は別として、その工業用地にいろいろな企業を配置しなければならぬわけでございまするから、メーンのほかにいろいろな企業について、地方自治体なり地方の経済界におきましてはいろいろと手探りをいたしまして誘致をするわけでございますが、もちろんその中には、その後において芳しくない成績のものも入ってくる余地は十分にあるわけでございます。特に景気、不景気の波動というものは地方団体で予測できない条件があるわけでございまするから、当時はいいと思いましても経済の変動に伴いまして非常に苦しい経営になる。場合によりますと撤退をする、縮小をするというようなそうした事案が出てくるわけでございます。これは自由主義経済下においては、なかなかこれに対する対策を樹立することは困難な面であろうと思っております。
 しかしながら、全般的にかんがみますと、そこに新産・工特の産業立地ができ上がりますと、全体としてはやはり地域社会に対して大きなメリットがある。しかしながら、その一部についてはお尋ねのような問題も派生をするということでございまして、この辺は、この問題を評価するにつきましては、全体の非常な大きなメリットがある点に御理解を賜らなければいかぬ問題ではなかろうかと、こう考えておるわけであります。
 それから、そうした縮小する、あるいはやめるというようなことになりました場合には、地方としては非常に困る問題でございます。特に失業の問題ももろにかぶってくる問題でございます。そのほか各般の問題がございまするので、そうした状況になりますと、誘致をいたしました地方団体としては非常に窮境に立つ問題でございまするがゆえに、地方団体の責任者といたしましては、何とか方法がないだろうかと、更生の道がないだろうかということについて、企業体と真剣に協議、努力をしているのが現状だと思います。これに対しましては、先ほどもお答え申し上げたわけでございまするが、地方において最大の努力をする。それでもなかなか片づかぬという場合には、いまの状況におきましては、やはりわれわれのところにもひとつ御連絡を願いまして、自治省なり、あるいは国土庁なり、特に通産生局と緊密な連絡をとって、そこで何とか企業が稼働できるような状態をつくり上げることに具体的な問題として努力をしていかなければならぬと、そういう道筋しか残っておらぬと私は思っておるわけでございます。
 そこで、御答弁にならないようなことではございまするけれども、新産・工特の制度を実施をして、そして、大勢といたしましては地方社会にとって非常なメリットがあった。中にはそういう問題も派生をする、そういう問題については、その問題を具体的に個々の問題として関係者が努力をして解決をしていくということではなかろうかと私は思っておるわけでございます。
#154
○神谷信之助君 きょうは時間が余りありませんからね、秋田県の問題を具体例で出したんですよ。
 それで、前に私は倉敷の例も出しました。県や市町村の投資、それに対してどれだけ税収が伸びたのか、あるいはそれに伴ってどれだけ上下水道、その他教育施設、これらの整備が進んだのか、こういった問題を具体的に数字を挙げて、結局、税の収入で言えば、国税の収入はうんとふえましたよね。県税及び市町村税のメリットはうんと少ない。そういう具体的な例も挙げました。うまくいったといわれる倉敷でもそうです。
 それから、これと同じような状況では、五年前のこの延長法案のときには、いわき市の問題を具体例で出しました。向こうでもあの当時大変な問題を抱えて困っていたんですね。あのときも私は、もう延長すべきではないと。そういうバラ色の夢を描いて飛びつかせながら結局は――ああいう経済の変動時期に、見通しが立たぬときにそういうものをするというのは、もううまくいかぬのは決まっている。ただしかし、つくった以上は生活関連事業その他つくった造成土地の処分なりしなきゃなりませんよ。それはそれで別の法律をつくればいい。それは新産・工特それ自身についてはやっぱりはっきりと評価をして、そうして新しい開発方法というものを考える必要があるということを主張したわけですね。今回も私はつくづく思うんです。
 それで、これは五十五年の一月に郵送調査で、秋田県の各界の代表、主な人たちを対象にしてアンケート調査をやられました。郷土秋田の将来について今後どのような方面に力を入れればよいかというアンケートですね。一番多いのが七三・九%で、これは地場産業の振興なんです。だからそういう意味で、たとえば先ほど言いました永大木材というのは、秋田は林業の盛んなところですから、それと結びついてお考えになったんだけれども、残念なことには倒産をする。あるいはチップ工場をつくるということで秋田湾の向こうのところに移してやられましたけれども、これも県内産を使うという目的が、実際にはもう外材の使用が中心になってしまって、県内の林業の振興には余り役立っていないという状況になってきています。これは自由主義経済ですから、採算のとれる方、安い方に行きますからね。そう思っているとおりにはいかない。そういうのを、開発計画といって、わざわざ海を埋め立てて造成をするというような方法をこのまま続けていくことがいいのかどうかというのは、私はもう結論は出ているんじゃないかというように思います。
 国土庁、いま鉄鋼コンビナートが埋め立てがそうはいかぬことになったので、後、いろいろ考えておられるようなことを言っています。確かに石油備蓄港の計画もあったりいろいろしています。しかし大体が、向こうは秋田湾開発と言ってますけれども、われわれが習った地理では秋田湾というのはないんですからね。開発をするために秋田湾という名前ができて、いつのまにやら秋田湾が、地理学上はない名前が濶歩しているような状況になっているわけでしはう。
 大体そういう意味では無理であり、しかも経済法則からいってもきわめて確率の悪いそういう拠点開発方式というのはやめて、やっぱり地場産業、ふるさとを発展をさせる方法として地元の人たちの多数が考えている地場産業の振興、これらを中心にして経済の、地域産業の発達を考える、それに対してもっとてこ入れをするというように私はすべきだというように思うんです。
 この辺は、とりわけ隣県で御苦労なさっている大臣よくおわかりだと思うのですが、その辺ひとつ、最後にもう一度お伺いしておきたいと思います。
#155
○国務大臣(安孫子藤吉君) 新産の問題は、大体臨海性のところをねらったものだと思うんです。それで、大規模であり輸出に関連をする、日本の高度成長を支えた産業、そういうものを大体頭に描いて新産都市というものは構想されたものだと思います。そこで、当時私どもは、それだけが日本の経済のすべてではないのじゃないか、内陸の工業団地も必要であろうし、特に、いまおっしゃった地場産業の振興ということがきわめて重要じゃないかということを力説した記憶がございます。それによりまして、この制度とは別に、内陸の工業団地の造成とか、あるいは農村地帯における工業化の施策というものが制度的にも打ち出されてきたわけでございます。したがいまして、この方面で地場産業というものがある程度集積をいたしましてそのメリットを得ておるという実情はあると思うのでございます。
 そこで、地場産業の問題もこの新産・工特について私は一つのファクターとして考えるべきだと思いますけれども、そもそもの経過というものは、むしろ地場産業じゃないんだという構想であったことにこの地域の一つの特徴があると思っております。お話の点の地場産業等につきましては、その後の施策の充実によりまして、これ以外の地域において地場産業というものがある程度活発化している面もございます。しかし、日本の将来を考えますとどういうことになりますか、とにかく日本の輸出という問題だって、これは決して無視できない産業でございまするから、今後における産業構造の問題と関連をいたしますけれども、新産・工特地域につきましてはそうした観点からの企業の再配置ということも私は重点を置いて考えるべきじゃなかろうかと思っておるわけでございます。
 秋田につきましては、私の隣県でありますからよく承知をいたしておりますが、非常に秋田といたしましては焦った事情がございます。時期がちょっとおくれたこと、そして相当努力をいたしまして指定を受けたという事情があるわけでございます。それだけにこの企業の誘致につきましては大変苦労しただろうと思うのでございます。その一つがいまお話しになっておりまする永大の問題もそういう心理的な背景がなかったわけではなかろうと思います。当時といたしましてはこれは大丈夫だということであったろうと思いますけれども結果的に見ればそういうことになった原因はそこじゃないかと言われてもやむを得ない面もあろうかと存じまするが、この点は先ほど申し上げましたとおりに、全体の秋田の開発の一つの力をあそこで秋田は得たわけでございまするから、そしてまた、あそこで企業として稼働しておる問題もあるわけでございまするから、この問題だけで秋田の問題を決定づけるということはいかがなものだろうかという感じもいたさないわけではございません。
 私の所感を申し述べましてお答えにしたいと思います。
#156
○神谷信之助君 時間の関係もありますから、次に公害財特法の関係で質問をいたします。
 公害財特法では、下水道に対する補助のかさ上げですね。これは空振りになってるのじゃないか、実効を十分果たしていないのではないかというように思うのですが、いかがですか。
#157
○政府委員(土屋佳照君) いまお話のございましたように、公害財特法におきましては二分の一ということにされておるわけでございますが、下水道法の施行令では四十九年以降その率が高められておりますから、現実問題としてはその高い方の率を使用しておりまして、おっしゃるような形になっておると言わざるを得ないわけでございます。
#158
○神谷信之助君 だから、結局実効があるのは特定公共下水道と都市下水路ぐらいではないかということですね。
 それで、新産・工特の方は、あるいは大都市圏の財特法ですね、これは、この空振りの状況はどうですか。
#159
○政府委員(矢野浩一郎君) 新産・工特あるいは首都圏、近畿圏の場合には、定められております補助負担率に対して最高一・二五倍までのかさ上げを事業量と財政力の両方から行うわけでございます。ただ、基本的には、事業量が標準負担額を超えませんとそのかさ上げが出てこないという点でございます。
#160
○神谷信之助君 新産あるいは大都市圏、これの方は事業量が一定水準を超えないとということですが、大体事業自身が大規模事業が多いですからあるんですけれども、いずれにしても、かさ上げ方式が公害財特と違うと、この理由は一体どこにありますか。
#161
○政府委員(土屋佳照君) 新産・工特なり首都圏等の財政上の特例措置は、その地域開発等の積極的な効果を期するという意味で、いわば先行投資として集中的に事業が行われる、そのために通常の負担を超えて財政負担が出てくるということで、それがきわめて大きくなるので、結果的には事業量と財政力の要素によって市町村の事業についてかさ上げをすると、こういう形になっておるわけでございます。
 これに対して公害防止対策事業は、現にある公害の除去あるいは環境の保全といった性格も持っておりますし、現状から見て緊急に実施することが要請されておるわけでございますので、低い補助率を全体としてかさ上げをするということでございまして、事業量とかあるいは財政力のいかんにかかわらず高率補助をしておる。おおむね五割ないしは二倍の補助率負担になっておるということでございまして、それがいま申し上げましたように、基本的には一挙に通常の負担を超えて集中的に先行投資をするという場合と、そういう事業量にかかわらず全体として高い率でその整備をしていくというそこらの違いだろうというふうに考えておるわけでございます。
#162
○神谷信之助君 いま大臣お聞きのように、新産・工特のやっとそれから大都市圏のかさ上げのやり方、これと、公害財特のかさ上げの仕方というのは違うんですよね。それで、実際の実効はどちらが大きいかというと、新産・工特あるいは大都市圏の方がかさ上げの実効があるという状況になっているんです。しかし、公害防止事業というのはこれはやらなきゃならぬ仕事ですわね。片一方の大都市圏あるいは新産・工特というのは、やらなければならぬと言えばそういう面もあるかもしれませんけれども、まあやるのが望ましい方の事業でしょう。ところが、その補助の仕方は、公害の方が薄いといいますか実効が上がらぬというのは、私はこれはおかしいと、本末転倒しているんじゃないかというように思うんです。
 そこで、さらにちょっとお伺いしますが、公害防止の計画地域と新産、大都市圏と重複する地域、これはその扱いはどうなっているのか。それから、重複しない地域は一体どこかという点をお聞かせ願いたい。
#163
○政府委員(土屋佳照君) 公害防止計画地域と新産・工特及び首都圏等の財特法が重なっておるところについての補助の問題でございますが、新産・工特地域については、その公害財特地域のものについて適用されておる率についてかさ上げが適用される、そういう形になっておるわけでございます。
 それで、公害財特が適用となります地域とそれから新産・工特等と重なっておるところが、四百六十八のうち四百八市町村ございますから、全然重なっていないところが六十市町村ということになっております。
#164
○神谷信之助君 では、重なっているところについては、高い方の新産・工特の補助方式がかぶさるわけでしょう。そうすると、重なっていないところは、低い方の公害しか、余り実効の上がらぬやつしか適用されぬと、こういうアンバランスが起こっているわけですね。
 そこで具体的に見ますと、いまの重複しないところで、北九州や宇部もありますが、これは産炭地域の方でかかってきますから、残っているところを見ると、瀬戸内海沿岸地域が大体がかっていないんですね。公害だけなんですね。そこで具体的に、広島・呉の地域と香川、この二カ所についてですが、公害防止計画は五十年に発足をして五十四年に終わって、いま新しい計画に入っているわけです。
 そこで、環境庁にお伺いしますが、もう時間の関係がありますから私の方から言いますが、それで間違いないか。おたくの方の資料で抜き出したんですが、広島・呉地域の猿猴川ですね。この目標はCのハ――CというのはBOD五ppm以下で、ハの方は、「五年を超える期間で可及的速やかに達成」をする地域というのが目標ですが、五十二年度は一・三ないし三二ppm、平均は四・七ppmで、不適合率が二七%という状況である。五十四年度は〇・九から二一ppmというように、全体としては薄まったけれども、平均は五・二ppmで、だから汚濁が濃くなってきているんですね。不適合率はしたがって三五・三%。結局五十二年より五十四年度というのは悪くなってきています。
 それから京橋川ですね、これは太田川の支流ですが、これは目標がAのイです。Aは二ppm以下、イは「直ちに達成」する地域と、そういう目標で、五十三年度は〇・五から九・一ppm、平均が二・一ppm、不適合率が二九・九%。五十四年度は〇・五から六・〇ppmになって、平均は一・七ppm、不適合率は二七・六%。少しよくなってはきているけれども、直ちに達成する、二ppm以下にするという点では非常におくれているという状況です。
 香川県の杣場川、高松市ですが、これは、いまと同じように言いますと、Eのハです。EはBODの一〇ppm以下ですね。ハは先ほど言いましたように、五年を超える期間で達成すると。これは五十二年度九・〇から七一ppm、平均が二五ppm、不適合率が四八%。五十四年度は六・〇から一〇〇ppmで、平均が二三ppm、不適合率七五%。まあ五年を超える期間で可及的速やかに達成するという目標ですが、不適合率はさらにふえてきています。
 西汐入川も同じように、不適合率だけ見ますと、三三%が五〇%になるというように、これも悪い。
 東京で一番悪いといわれる綾瀬川の下流で、BODは六・五ないし五八ppmで平均が二八ppmですか、不適合率九三・八%、そういう状況ですね。
 これは環境庁、大体間違いございませんか。
#165
○説明員(清水良次君) 御指摘をいただいた各河川につきましては、広島地域の猿猴川、あるいは京橋川、それから香川地域の杣場川、西汐入川、それぞれ五十四年度の数値を見てみますと、御指摘いただきましたように環境基準を達成をいたしておりませんということでございます。
#166
○神谷信之助君 そこで、当然広島でも香川でもこの下水道整備を急いでいるわけですね。しかも瀬戸内海ですから、瀬戸内海環境保全特別措置法で、水質の保全といいますか、これが法律もつくられてその仕事も進められています。ところが、この瀬戸内海環境保全特別措置法には、財政援助の規定はあるけれども具体的な措置はないと、こうなっています。したがって、この財特法が空振りということでは、下水道事業を進めるにしてもこれに特別に援助をする規定というものがない。新産あるいは大都市圏の財特法にはあって公害にない。こういう状態は、高度成長時代の悪い仕組みがそのまま残っているものと言わなきゃならぬというように思うんですが、せめて公害財特法の方も新産あるいは大都市圏並みに実効あるように――同じやり方がいいかどうかは別にしても、実際に効き目のあるようにする必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#167
○政府委員(土屋佳照君) ただいまお示しのように、下水道につきましては、公共下水道が三分の二、それから流域下水道が四分の三と、かなり高率の補助がとられておるわけでございます。そういうことで、全国的に一斉に整備を緊急に進めなければならぬということで、特別な高率の補助がとられておる、そういうことでございますので、一応全般的にその補助がかかっておるから、それ以上引き上げることはない。ただ、重なっておるところにつきましては、別途の目的において先行的な形で、急激に集中的に投資をしていかなければならない、しかもその量が通常の規模を超えてかなり多量にあると、そういうことであるから、新産・工特についての特別のかさ上げがあるということでございますから、それはそれなりの目的があって重なっておるというふうに考えられるわけでございます。
 したがって、いわばそのプラスアルファのかっこうになっていない、重なっていないところはそれは非常に冷遇ではないかということでございますが、それはそれなりで、通常よりもかなり高い補助率が四十九年以来とられてきておるということでございまして、そこのところは必ずしもそちらだけを冷遇しておるといったようなことではないのではないか。やはり目的が重なっておる結果のことではないかと私どもとしては考えざるを得ないのでございます。
#168
○神谷信之助君 いまの財政局長の理屈は通らぬと思うんですよ。全国的に下水道事業がおくれておるということで補助率はずっとだんだん上がってきていますね。よくなってきた、改善はされたと。その上に、新産・工特あるいは大都市圏のところは集中的に早いことやれということで、〇・二五以内のプラスアルファをつけてやろうと、こうなっているんですよ、公害防止地域も同じように、それは公害防止地域として指定され、公害防止計画を立ててやるのだからあそこは早いことやれ、しかも公害ですから、これは人命にかかわる問題だ、だから新産・工特や大都市圏のやつよりもより一層事業は急速にやらないかぬ、集中的にやりなさい、だからかさ上げしましょうというのがあたりまえであって、だから先ほど言ったわけです。やらなならぬところは悪うて、やってもらった方が望ましいというところに厚い補助のかさ上げをしているというのはおかしいじゃないかと、本末転倒だと言っているんですよ。私はそこが問題だと思います。
 だから、公害財特法の補助のかさ上げの実績を見ましても、事業量から見ますと、四十六年から五十三年の事業費総額見ると、公共下水道がトップで一兆四千九百九億ですか、二番目が廃棄物処理施設で四千九百四十一億です。それに対するかさ上げの実績は、公共事業の方は九十三億しかかさ上げがない。だが廃棄物処理施設というのは五百五十七億もある。それから、これから以後、五十六年から六十五年に向けてのそれらの公害地域の事業の規模を自治省でとられたのを聞きますと、公共下水道が六兆三千九百二十九億、約四倍から五倍近くありますね、それから廃棄物処理施設の方は一兆七千九十一億です。それに対してかさ上げする額の見込みは公共下水道九十五億ですよ。一兆四千九百九億の事業に対して九十三億の実績だったんだけれども、これから以後の六兆四千億近い事業費に対しては、九十五億ぐらいのかさ上げの補助しか見込めないのがいまの仕組みなんですよ。だから、公害地域の事業で一番多いのが公共下水道等の事業で、二番目が廃棄物処理施設ですね、この金額から言いましても。ところが一番多い公共下水道の事業に対するかさ上げの適用が一番実効がない。もう六兆三千億からのやつにわずか九十五億ですからね。だから、せっかく公害財特法、これを延長して後十年引き続いてやりますといったって進まぬことになる。急がないかぬのはこっちの方や。財政局長の言うのは反対ですわ。こっちの方を急がないかぬ。人命にかかわる、きれいにせないかぬでしょう、いかがですか。
 この点、もうきょうはこの法律自身が採決になるという状況ですから、いまこの補助の仕方をどうのこうのするということは直ちにはできない相談だと思いますがね。だからひとつ大臣、これ、これからまだ十年延長するという法案なんですね。わが党もこれには賛成なんです、この法案については。検討していただいて可及的速やかに時期を見て、機会を見てこの点を検討してもらって、そういう点の改善ですね、少なくとも新産・工特あるいは大都市圏並み、それにふさわしいような補助の実効のある方法を考えてもらいたいという点、ひとつ大臣の方からお答えいただきたいのですがね。
#169
○政府委員(土屋佳照君) ちょっと、大臣がお答えになります前に申し上げますと、公共下水道の終末処理場については、確かに十分の四のときにこの財特法ができて二分の一ということになりましたから、そのときは効果があったわけでございます。したがって、いまお尋ねのように、四十六年から五十三年度までのかさ上げ分はわりと高く出てきておるということが言えると思うのでございますが、四十九年に、全国的に緊急に整備をしようということで、こういった地域以外のところにも下水道については高率補助をするということで、三分の二の率になった。したがって、御指摘のとおり、それでいわば空振りみたいなかっこうになっておるじゃないかということでございますが、やはり緊急にやるという意味で、全体の事業量を何とか確保しようということで、なかなかその点が、それ以上にがさ上げということはできなかったという状況で今日まで来ておるわけでございます。
 そういう状況があるから、五十六年−六十五年になりますと、高い率から考えておりますから、非常に低いかさ上げ率になっておるということになるわけでございまして、御指摘の点はよくわかるわけでございますけれども、下水道についての全体の事業の進め方は、建設省あたりのお考え等も、何とか総量を確保して早く全国的に進めたいという気持ちが先行しておる。しかも補助率ももう相当高くなっておるじゃないかということでございまして、今日に至っておるわけで、今回の法改正の際も実はいろいろ検討もしたわけでございますけれども、そういった政府部内でのいろいろな意向等も聞いてこういう形になったわけでございます。おっしゃる意味はよくわかっておるわけでございますが、実態を踏まえてこういうことにしたということは御理解賜りたいと思います。
#170
○神谷信之助君 こういうことになったことはわかりましたからね、これから後の努力をやっぱりちゃんと……。
#171
○国務大臣(安孫子藤吉君) 要するに、財特でもってある程度プラスであった。それで全体的に非常によくなったから――あなたのおっしゃるのは、そのときによくなった上にまた財特法をつけ足したらよかったじゃないかということじゃないかと思うんですが、それをいまからでもやったらどうかということじゃないかと思うんですが……
#172
○神谷信之助君 いや、大都市圏はみんなよくなって、また上にかさ上げつくんですよ。
#173
○国務大臣(安孫子藤吉君) だから、それにもかさ上げしたらどうかと、こういうことですね。この問題は、まあ経過もございまするし、いまおっしゃる点もわからぬわけではございませんので、とくと研究させていただきます。
#174
○神谷信之助君 いろいろ検討されて、建設省や大蔵省との関係でこういうことになったんだと思いますが、もう一度言っておきますが、たとえば、大都市圏で下水道や何かすれば、いわゆる三分の二の補助率にまだ〇・二五以内の分がプラスになるんですよ、大都市圏の場合は。同じ公共下水道事業をやって、ただ公害のところはもう上がったからいいじゃないかと。大都市圏はそれにプラス、新産・工特もそれにプラスしているんですよ。だから同じようにすべきじゃないかと言っているんですから、まあひとつ研究をしてもらいたいと思います。
 最後に。これ、一番初めに聞きたいと思ったんですが、席を外されましたので。
 この三つの法案というのは全部性質が違うんです。財政上の特例の措置という点では一致するけれども、延長期間も違うし、それからそれぞれの法律の目的も違う、これを一括提案をなさっているわけですね。こういうことは、私は国会の審議権の侵害だというように思います。後で討論のときにも言いますけれども、この三つの法案に対してわが党は態度が違うんですよ。採決は一括ですよね。別々に審議をされる、あるいは審議は一括審議しても採決は別というならできますけれども、提案をなさっている方が一つの法案として、議案として出されているわけです。
 この問題を調べてみますと、以前に、四十九年に、電力用炭の販売株式会社法等の一部を改正する法律案が提案をされたときに、同じように、電力用炭販売株式会社法の一部改正、石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部改正、それから産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部改正、この三つを一緒にして提案をされています。この三つ、それぞれ内容が違うわけですが、しかしこの法案の場合は、四十九年の三月末から五十二年の三月末まで延長する、三つとも三年間の期限延長です。今度の場合はそうとは違う。そのときに衆議院の石炭対策特別委員会は、「政府は、本法案のような、それぞれ別個の意味をもつ三法律を一本として提出するが如き形式をとることは、審査の万全を期する上で妥当を欠く面も生ずるおそれがあるので、十分留意せられたい。」という附帯決議がなされて、当時の中曽根通産大臣は、「御指摘の点につきましては、今後十分慎重に対処してまいりたいと思います。」、こう言って、政府側は、そういうことをしませんと言っておるんですよね。
 今回またこういう措置をやられた。これでは十分な審議を尽くすこともできないわけですね、しかも、それぞれ法案の内容が違うわけです。時間の関係があるから、私は、たとえば大都市圏の問題についてはきょうは質疑をしていないんです。だから、そういう状態での提案というのは私は、まあ今回はもう出ているわけですから、いまさらどうのこうのはできないでしょうが、ひとつ政府部内でも慎重に検討して、十分これからそういうことのないように留意をしてもらいたいという点を申し上げておきたいのですが、よろしいですかな。
#175
○国務大臣(安孫子藤吉君) 今後十分注意をいたします。
#176
○神谷信之助君 それじゃ終わります。
#177
○伊藤郁男君 私は、新産工業都市あるいは三大都市圏の振興整備事業と深いかかわりを持っております住宅建設の問題に焦点をしぼりまして、質問をしたいと思います。
 まず第一に、建設省にお伺いをしたいわけですが、斉藤建設大臣は昨年の臨時国会におきまして、住宅基本法をこの国会に提出すると、このように約束はされているわけです。この住宅基本法については、わが国の住宅政策のあり方を初めて定める法律だと、こういうように言われているわけでございまして、私どももきわめて興味を持っておるわけでありますが、斉藤建設大臣のお約束どおり、その法案提出の準備が進んでおるのかどうか、その点、まずお伺いをしたいと思います。
#178
○説明員(伊藤茂史君) 御説明いたします。
 住宅基本法案、まあわれわれ仮称と呼んでおりますが、これにつきましては、現在建設省で鋭意検討中でございまして、大臣のたびたびの国会の答弁と態度は変わっておりません。
#179
○伊藤郁男君 ということは、建設大臣の約束どおり、今国会に提出できるのかどうか。
#180
○説明員(伊藤茂史君) 御説明いたします。
 基本法案につきましてはいろいろと経緯がございまして、若干長くなりますが御説明申し上げますと、最初のきっかけと申しますか、五十年の八月に住宅宅地審議会から「今後の住宅政策の基本的体系について」という答申をいただきまして、そのときに基本法の検討をしなさいという御提案をいただいております。その際に、十分注意すべきことということで、国民的合意といいますか、住宅の問題は非常に国民生活に密着した問題でございますので、国会の各党を問わず、ジャーナリズムとか、国民とか、広く意見を聞きまして、国民的合意を得た上でやはりつくるべきではないかという意見が付されております。
 それから、今回第四期住宅建設五カ年計画を策定中でございますが、これに先立ちまして、昨年の七月にやはり「住宅政策の基本的体系について」ということで住宅宅地審議会から答申をいただいておりますが、その中でも、実質的施策の第一としまして基本法の検討を挙げて、国民各層の幅広いコンセンサスを得てその内容を確定していくべきだというふうに言われております。
 われわれ鋭意検討中でございますが、この過程でやはり国会の各党から、社会党を初め公明党、いろいろと基本法につきまして、名称は違いますけれども、御提案がございますし、与党であります自民党の中でも住宅対策特別委員会の中にプロジェクトチームをつくりましていろいろ検討いただいているということでございます。したがいまして、そういった国会の中のいろんな政治的な動きというものも十分くみ取りながら、できるだけ答申の線に沿って幅広い国民の支持を得たいということでございます。したがいまして、事務的には鋭意検討中でございますが、そういった動きもあわせて見てまいりたいというふうに思っております。
 したがいまして、態度としましては国会に提出したいという気持ちでございますが、この先どういうかっこうになるかというのはまだいまのところ見通しがつかないという状況でございます。
#181
○伊藤郁男君 この住宅基本法については、すでにもう建設省は案はできておるわけですね。いま言われるように、確かに国民的合意あるいは各党間の合意が成り立ってこのような重大な法案が成立をするということが、もうこれは前提として非常に大切なことだと思うわけですけれども、いまのお話のように、なかなか見込みが立っていない。その見込みが立っていないという理由は何ですか。
#182
○説明員(伊藤茂史君) われわれの方は、事務的には省内で十分詰めております。したがいまして、いま申し上げましたことは国会内の動きとの絡みがございまして、われわれ憶測できないところもあるわけでございますが、建設委員会を中心にいろいろとお話し合いが、動きがございますので、それらを見守って、建設省としても対処してまいりたいというふうに考えております。
#183
○伊藤郁男君 新聞に報ぜられるところによりますと、この住宅基本法につきましては、建設大臣の約束があったにもかかわらず、今国会は見送りの公算が大きいと報ぜられているわけですね。しかも、その理由は、宅地供給のめどが実際に立っていない、宅地供給のめどが立っていないのにこんなものをつくってもやっぱり絵に描いたもちだと、こういうような理由が最大の理由ではないか、こういうように私は思うんですが、その点はどうでしょうか。
#184
○説明員(伊藤茂史君) 御説明申し上げます。
 現行の住宅建設計画法という法律がございまして、現行の各毎期の五カ年計画はこの法律に基づきまして策定いたしておりますが、この中では、特に土地対策あるいは宅地対策につきまして特別の規定は何もございません。したがいまして、住宅政策としていまの住宅建設計画法を主要な部分としていろいろと法案を練るということも可能でございますが、先生おっしゃいましたように、確かにいま現在の住宅問題というのは土地を抜きにしては考えられないという現状であることはわれわれ十分認識いたしております。したがいまして、省内で検討いたします際には、住宅に付随します宅地供給の促進という観点から、基本法案の中にそういった施策についても考え方を盛り込んでいくということで考えておりまして、それが提出できないネックであるというふうにはわれわれ考えておりません。
#185
○伊藤郁男君 それではお伺いをいたすんですが、四期五カ年計画ができましたですね、これは内容も私も読ましていただいておるわけですが、その中で――三期五カ年計画の場合におきましては、この計画に伴う新規宅地の必要量をたしか計画書の中に明らかにしておったと思うわけです。ところが、この四期五カ年計画では、計画書の中にさえ新潮宅地の必要量が見当たらない。どのくらい一体四期五カ年計画では宅地を必要とするのか。あるいは、計画書の中にその必要量が明記されていないのはいかなる理由によるものか。その点をお伺いをしておきます。
#186
○説明員(伊藤茂史君) 御説明申し上げます。
 ただいま御指摘の、第三期住宅建設五ヵ年計画では宅地必要量を見込んで計画内容にそういうことを盛り込んでおったではないかという点でございますが、この点に関しましては、若干誤解もあるのではないかということでございます。と申し上げますのは、閣議決定されました五カ年計画そのものの内容というものは、宅地につきましては宅地供給を促進するという文章が入っておりまして、御指摘の宅地必要量というものは、この第三期住宅建設五カ年計画の参考資料ということで、閣議決定に伴いまして新聞発表等をします際にこれに付随してつけました資料の中に、「住宅建設に必要な新規宅地の供給面積の推定」ということでございまして、八百六十万戸の住宅建設のうち新規に宅地を必要とする戸数が三百五十万戸、宅地供給面積は六万六千ヘクタール要るということが参考資料の中に出ておったということでございます。
 では、四期の五カ年計画についてはどうするかということでございますが、ただいま各省協議中でございまして、近々閣議決定をいたすわけでございますが、これと並行いたしまして計画局で、これは宅地供給を所管しております建設省の計画局で、今後の宅地供給施策の指針ということでございまして、昭和五十六年度から六十年度、これはちょうど四期の五カ年計画と期間は一致しておりますが、その期間と、それから六十一年から六十五年までの五カ年間、前後合わせまして十年間という長期にわたる期間を対象期間にしまして、宅地需給の長期見通しというものを策定作業をいま行っております。第四期住宅建設五カ年計画の策定と相前後しましてこれが決定されるという運びになろうかと思います。したがいまして、第四期住宅建設五カ年計画の参考資料といいますか、そういうものに、第三期と同じようにその数字を盛り込むということは可能でございますし、われわれはそういたしたいと思っております。
 ちなみに、いま現在作業しておりますけれども、第四期住宅建設五カ年計画に対応します新規宅地の必要量は六万二千五百ヘクタール前後というふうになる見込みでございまして、この量は全体の住宅需要そのものが三期に比べまして相当落ちておりますし、新規に宅地を必要とする戸数も相当減ってまいりますので、そういうことから現状のいろんな供給施策、過去の区画整理済み地もございますし、いろんなこれからの供給施策もあるわけでございますが、そういうものを努力をすれば十分供給可能な量であるというふうにわれわれ聞いております。
 したがいまして、御指摘の宅地必要量の見込み数というものは、四期五カ年計画の参考資料の中に、三期と同様なかっこうで盛り込みたいというふうにわれわれ考えているわけでございます。
#187
○伊藤郁男君 ぜひそうしていただきたいと思うわけですけれども。
 最近の新市街地におきます宅地供給量の推移というものは、非常に急激に落ち込んでおるわけですね。それは御承知のところです。建設省の資料によりましても、この急激に落ち込んだ実情は大変なものですね。公的供給の場合には、四十七年の三千百ヘクタールから千五百ヘクタール、これは半分以下に落ちている。民間供給の場合でも、四十七年の場合には八千二百ヘクタール、これが三千六百ヘクタールに落ちているんですね。全体として一万四千五百ヘクタールから八千六百ヘクタールへということで半分に落ち込んでいる。こういう現状の中で、いまお話のあったように、四期五カ年計画の中で六万二千五百ヘクタール、これが必要だというわけでありますけれども、果たして、こういう現状の中でこれだけの宅地供給というのが見込まれるのかどうか、その点の見通しをお伺いをしたい。
#188
○説明員(伊藤茂史君) 御説明申し上げます。
 先ほど新規宅地必要量が六万二千五百と申し上げましたが、これは既成市街地で、たとえば工場跡地にマンションが建つという例があろうかと思います。あるいは、すでに宅地になっておりますが、空き地の状況にあるものの上に宅地を建てていくというものもございましょうが、そういったものも含んでおります。したがいまして、三期五カ年計画で六万六千ヘクタールと申し上げましたのは、新市街地で新規に開発する宅地必要量ということで三期の場合には積算をいたしたと聞いております。したがって、今回の六万二千五百ヘクタールを、計画局の作業をやっておりますのを聞いている範囲ですと、大体七割ぐらいが新市街地だというふうに聞いております。残りは既成市街地、国勢調査でDID地区と申しておりますが、既成市街地の中での新規宅地ということになっております。したがいまして、七割といいますと四万三、四千でございましょうか、それくらいの量になりますから、これを五で割りますと大体九千ヘクタールということになります。したがって、一万ヘクタールをちょっと切るぐらいのところの供給があれば足りるわけでございまして、先生御指摘のとおり、現状、五十三年度八千六百ということで落ちておりますが、この水準からしますと、これにプラスの若干の政策努力をすれば可能な量であるというふうに踏んでおるというふうに聞いております。
#189
○伊藤郁男君 四期五カ年計画で、五カ年の間に七百七十万戸の住宅を建てる、これは総括的な方針でございますけれども、一体建設省はこの四期五カ年計画を確実に自信を持って達成できる、このように言い切れますか。
#190
○説明員(伊藤茂史君) 七百七十万戸の総住宅建設戸数につきましては、この中には政府の政策手段の薄いと申しますか、税制等ございますけれども、非常に薄い分野がございます。したがいまして、七百七十万戸が達成できるかどうかということは、日本の経済全体あるいは社会情勢の推移に非常にかかわり合いを持っている部分があろうかと思うわけでございます。したがいまして、自信があるかというお尋ねでございますが、経済社会七カ年計画というのがあるわけでございますが、そこで想定されました経済の動き、所得の伸びあるいは物価の動向等を踏まえまして、われわれが積算いたしました結果、七百七十万戸という中期的な需要というものがあるというふうに判断いたしたわけでございまして、そういった経済運営が実現できれば、これは可能であるというふうに考えます。
 ただし、先生御心配のように、現時点で着工統計ベースで申し上げますと、百三十万戸を年間建設量として割るような事態でございます。これは、所得の伸びが非常に現在低うございますし、それに対しまして建設資材は、五十四年から五十五年にかけまして――五十五年の前半でございますが、相当上がりまして、マンション価格のごときは三〇%も高くなるという事態があったわけでございます。現在は次第に建設資材価格も落ちつき下落傾向でございますし、地価の方も次第に上昇率が落ちるというかっこうでございまして、住宅価格そのものはだんだんとこれから落ちついていくという動きにはございますけれども、総じて五十五年に見られたような経済情勢が今後五年も続くということになりますれば、これは七百七十万戸は不可能と言わざるを得ないと思います。
 したがいまして、われわれは、経済計画に見込まれているような日本経済の動きというものを前提にして、七百七十万戸の長期的な需要は顕在化は可能であるというふうに考えております。
#191
○伊藤郁男君 見通しどおりいっていただければ結構ですが、私は、この四期五カ年計画七百七十万戸につきましても、もう最初からこれが達成できないのではないかと、こういうように思われて仕方がないわけでございます。いまもお話のありましたように、五十五年度においても百三十万戸を割っているわけですね。そういう新設住宅戸数の現状でありますから、あるいはまた、七百七十万戸を達成するということは、年間百五十万戸以上を建てなければとても達成できないわけですね。ところが、五十五年度は百三十万戸を割っている、あるいは公営住宅の建設戸数も五十六年度は五万五千戸と、こういうわけですね。年間六万二千戸建てなければこの公営住宅も五カ年計画で達成できないのに、五十六年度は五万五千戸にとどまっている。こういうことを見ますと、最初から計画が達成できないのではないか。しかも重大な問題は宅地供給の問題であるということで、私はどうもその辺が十分に理解をできないわけでありますけれども、計画達成のために最大限の努力をしていただきたいと思います。
 次に、持ち家対賃貸住宅の比率を三期の計画では六対四、今度は七対三とするとなっているわけですね。持ち家の比率をこのように高めたのはどのような理由によるものでありますか。それをお伺いします。
#192
○説明員(伊藤茂史君) 御説明申し上げます。
 御指摘のとおり、七百七十万戸のうちに持ち家が五百五十万、借家・給与系が二百二十万ということで考えております。こういうふうに推計をしました基礎と申しますのは、一つには、世帯数の動向でございます。五十六年から六十年に世帯の構成がどういうふうになっていくかということを見たわけでございますが、六十年度末でわれわれは三千七百五十万世帯というふうに見込んでおります。その場合に、世帯主の年齢構成を見てまいりますと、五十年から六十年にかけまして、世帯形成で、一番最初に単身で独立をする、あるいは結婚をいたしまして世帯を持つといった若年層でございますが、二十歳代の世帯形成がこの五十年から六十年の十年間で申し上げますと三十七万減少いたします。それに対しまして、三十代、特に三十代の後半でございますけれども、戦後のヘビーブーム世代がちょうどその年齢に達しまして、その三十歳代が五十年から六十年までの間に百二十万増加をするということでございます。したがって、世帯増の主要な部分、しかも住宅需要としてあらわれます世帯増の主要な部分というのが三十歳代の後半ということになります。
 若年層の住宅需要というのは、最初に家を持ちます場合に九割近くが借家に入居いたします、それから次第に借家の中で広い借家に移住をいたしまして、最終的には八割近い方々が持ち家に移るというのが戦後の日本国民の住宅選択の動向でございます。これは各五年ごとに行われております住宅統計調査を見ますと、一貫した傾向になっております。したがいまして、この傾向を見る限り、三十歳代の後半の世帯数がふえるということはこの部分で持ち家居住世帯がふえてまいる。したがって、借家から持ち家への住みかえが行われ、その借家の空き家の後に若年層が入る。あるいは、その場合に非常に古くて、すでに水準の悪いものは市場から脱落をしていくということになろうかと思いますが、そうしますと、全体としては借家需要に向かう年代層が減り、持ち家需要に向かう年代層がふえるということでございまして、新規に建設をする、あるいはその中にはストック増に向かうものもございますし、過去のストックを建てかえるものもございますが、そういったものを世帯増を考慮して考えてまいりますと、持ち家の比重を上げざるを得ないというふうにわれわれ考えまして、五百五十万対二百二十万という数字にいたしております。
#193
○伊藤郁男君 それではお伺いするわけですが、この三大都市圏ですけれども、確かに住宅の志向としてはマイホーム志向が多いわけでありますけれども、しかし、このように土地の値段が上がる、建設費がもう毎年のように高騰をしていく。こういう現状の中で、勤労者国民は結果的にはマイホームをあきらめざるを得ない。マイホームは持ちたいけれどもあきらめざるを得ない、こういうように状況が変わってきているのではないか、こういうように私は思うわけです。
 たとえば、これももう新聞で報道をされておりますけれども、例の日本住宅公団の空き家に対する応募数を見ますと、まさに史上最高の競争率を最近は示しているわけですね。だから、持ち家政策も結構でありますけれども、そういう現状の中で、やっぱり賃貸住宅の建設というところに大いに目を注いでいかなければならぬのではないか、こういうように私は思うわけでありますけれども、建設省としては、三月十八日に住宅審が意見書をまとめられているわけです。その意見書の中では、大都市圏における公営、公団などの公共住宅の建設をもっと促進すべきだ、そのために用地取得の円滑化とか、あるいは国、公有地の活用だとか、老朽化した低層公営住宅の建てかえによる中層化、こういうようなことを住宅審は意見として提案をしているわけでありますけれども、これについてどう思いますか。
#194
○説明員(伊藤茂史君) 御説明をいたします。
 先ほど五百五十万対二百二十万という持ち借の比率を申し上げましたが、これは全国ペースの話でございます。いま御指摘のありました公共賃貸住宅に関しましては、やはり大都市圏の住民の居住水準というものが全国から見ますと非常に悪いわけでございます。五世帯に一世帯近くが、われわれが定めております最低住宅水準未満ということでございますので、そういう最低居住水準未満の世帯をできるだけ六十年までになくしていきたいというふうに計画は考えておるわけでございます。したがいまして、第四期五カ年計画で定めております公営住宅三十六万戸、公団住宅二十万戸、その他公社賃貸が若干ございますが、そういった住宅、あるいは民間賃貸住宅に対します助成をいたします住宅がございますが、そういったものはできるだけ大都市の方に重点的に配分をするというふうにいたしたいというふうに考えております。
 現在、公営住宅、公団住宅のストックは、全国で二百四十万ございます。そのうち六二%が大都市圏にございます。この二百四十万ございます公共賃貸ストックから、大体年間七%の割合で入居者が転勤やらあるいは持ち家を持ったということで出てまいります。その後に改めて若年層あるいは低所得層といった方々が入るということでございます。先ほど非常に倍率の高い公団空き家のお話が出ましたが、それがそれに当たるわけでございますけれども、したがいまして二百四十万のうち七%といいますと、毎年十七万戸でございます。五カ年間で累計しますと九十万近くになるわけでございますが、こういった空き家にどういった層を入居させるか、その上でなおかつ大都市圏で必要なストック増といいますか、公共賃貸住宅のストック増がどのくらい要るかという推計をいたしまして、できるだけ六十年に、自力では最低居住水準を確保できない方々のためにストックを用意したいということで計画をいたしまして、今回の公営住宅三十六万戸、公団二十万戸、それから公社、その他の民間賃貸住宅ということで考えたわけでございまして、必要量を計画をした。なぜそんな比率になるかと申し上げれば、それは全体の人口構成その他からしてそういった戸数で足りる時代になってきたというふうにお考えいただきたいと思うわけでございます。
#195
○伊藤郁男君 私は、やっぱり持ち家政策というのですか、こういうものを過度にあおり立てるということが――後で私は国土庁にもお伺いをする予定にしておりますけれども、地価を引き上げた原因の一つになっているのではないかと、こういうように思いますし、やっぱり過度の期待を持たせる、このことは大変危険なことだと思いますし、そのことがローン地獄とかサラ金地獄、そういうものに落ち込む人をつくり出すという原因にもなっていると思うわけです。
 すでに五十三年の福田内閣のときに、この持ち家取得政策を大々的に推進したということは御承知のところです。そして住宅融資枠を大いに拡大して振る舞ったと、こういうことですね。その結果何が起こったかといいますと、マンション業者やミニ開発業者がもう大いに土地を買いあさった。その結果、大都市圏では宅地がもうほとんどなくなってしまって、今度はもうそれで全国的に土地の買いあさりが行われた。あるいは、石油の値上げによるインフレ気配の中で土地の買い急ぎがふえた。こういうような理由がありまして土地の高値取引というものが常態化したのではないかというように私は思うわけでありまして、このようないままでの失敗を再び繰り返してはならない、こういうように思っておるわけでありますが、この点について御見解はいかがでしょう。
#196
○説明員(伊藤茂史君) 御説明いたします。
 第四期五カ年計画の考え方は、先ほど申しましたように、国民の需要動向というものを経済情勢とあわせて見通しまして、それにふさわしい住宅供給を考えていくということで計画案を策定いたしておるわけでございます。したがいまして、まあ表現が適切かどうかわかりませんけれども、持ち家をあおるというようなことはゆめ考えていないわけでございます。
 問題は土地でございますけれども、土地につきましては、先ほど申しましたように、今後は、いままでの公共、民間の力でまあ何とかなるという時代にだんだん移りつつある。大都市に多数の若年層が流入をしてどんどんとふくれ上がっていくという時代ではございませんし、日本全国の人口構成を考えても若年層がふえるという時代ではなくなっていく、むしろ中高年齢化が、あるいは高齢化社会が問題になるという事態にだんだんと推移しつつあるわけでございまして、そういう事態で、いままで非常にともすれば足りなかった宅地供給あるいは公営、公団の住宅供給というものが、次第に公共の力で何とかなる時代がやってくるということではないかと思っておりまして、今後は先生御心配のような事態にならないように、われわれも施策推進の上で十分考えてまいりたいというふうに考えております、
#197
○伊藤郁男君 それでは、国土庁にお伺いをしたいわけでありますけれども、三大都市圏における最近の地価の動向、大変私は憂うべき状況にあると思います。四十九年当時の地価狂乱時代、これを上回る状況ではないか。このところもう一〇%以上の値上がりでありまして、特に東京においては一八%も上がっていると、こういう状況ですけれども、その実情はどうでございましょうか。
#198
○説明員(渡辺尚君) 御説明申し上げます。
 地価の動向でございますけれども、国土庁で行っております四半期ごとの地価動向調査というのがございますが、その結果を累計しまして昨年一年間の地価変動を試算いたしますと、全国の全用途平均では八・三%になっておりますが、全国の住宅地では一〇・九%、それからいまお示しの三大圏の住宅地では一二・六%というふうになっております。ただ、昨年一年間のこの四半期ごとの地価動向調査で見ますと、全体としては上昇率に鈍化の兆しが見えるというのも事実でございます。ただ、三大圏を中心といたしまして、確かに地価の水準は高いわけでございまして、今後の動向に十分警戒をする必要があるというふうに考えております。
#199
○伊藤郁男君 こういうように地価が急激に上がってきている原因についてはいろいろあると思います。問題は、このような地価の高騰を食いとめる有効な手段の問題でありまして、一体このような地価高騰を食いとめる有効な手段はあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
#200
○説明員(渡辺尚君) 地価対策の点でございますけれども、やはり何と申しましても基本的あるいは長期的には、いわゆる過密過疎問題に対処しまして国土の均衡ある発展を図るということが基本であるというふうに思います。ただ、やはり当面の土地対策といたしましては、最近の地価の上昇の原因等を見てみますと、やはり非常に根強い住宅地に対する需要、これに対して供給が不足しているということが主因と考えられますので、やはり、当然のことながら、投機的な土地取引に対する抑制というものを引き続き行いながら、宅地の供給を促進していくということがどうしても緊急な課題であろうというふうに考えております。
#201
○伊藤郁男君 そこで、園田国土庁長官時代に、園田さんは、地価凍結のためにせっかくできている国土利用計画法、この適用を検討するんだと、こういうことを発言をされておりますけれども、その考えはございませんか。
#202
○説明員(河村勝三君) 御説明申し上げます。
 国土利用計画法によります「規制区域の指定」といいますのは、一つは、土地の投機的取引が相当範囲にわたって集中的に行われるというのが一つの要件でございます。それと、地価が急激に高騰する、そういう事態に対して緊急な対策を講ずるという場合に指定が行われるという制度でございますが、現在の状況は、先ほども御説明ありましたように、旺盛な宅地需要に対して供給が不足しているということを主因にした地価の状況でございますから、現在のところでは、こうした規制区域制度の要件でございます投機的土地取引が行われているという状況は認められないのではないかというふうに考えておる次第でございまして、いずれにいたしましても、土地取引動向に対する監視はこれは必要でございますから、十分行ってまいりまして、必要な場合には機動的に規制区域の指定を行うという考え方を基本にして、この制度の運用に当たってまいりたいと、こういうふうな考え方をいたしておる次第であります。
#203
○伊藤郁男君 規制区域の指定につきましては、いまおっしゃったような、投機的なことが集中的に行われている、それに伴って急激に地価が上昇をするという双方の条件が満たない場合はこの法律が適用されないと、こういう理解ですね。しかし私は、この二つの条件というものを一つ一つ分離して考えることができないだろうか、そういうことを考えているんですが、その点についてはどうでしょうか、
#204
○説明員(河村勝三君) 規制区域につきましてこういう二つの要件を設けておりますゆえんのものは、これがきわめて強い規制だということでございまして、そういう意味からこの制度が、こういう規制区域を指定する場合には、地域と期間を限定して、そうしてこうした強い規制に入っていくと、そういうような措置でこの制度が設けられているということと私どもは承知しております。
 先ほども申し上げましたように、現在の状況から見ますと、こうした非常に強い強権的な措置を適用するということは、そうした現在の地価問題の現状を考えますれば、果たしてそうした地域と期間を限定するだけで効果が出るかというような問題もありましょうし、それから、そうした措置のもとでは逆に土地取引が混乱し、あるいは円滑な土地供給に阻害が生ずるのではないかというような問題もあるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#205
○伊藤郁男君 もう一つ。たとえば五十四年度の土地取引件数は二百七十六万件あったわけですね。しかし、届け出によって確認をされている取引件数はこのうちの二十四万件、十分の一に過ぎないわけですね。これは法律によって、届け出を必要とする条件として二千平方メートル以上の土地に限られておりますから、そういう結果が出ているわけですが、十分の一しか土地取引についてチェックできない。これは私は現状の法律の欠陥ではないかと、このように思うわけです。二千平方メートルといえば七百坪ですから、七百坪以上の土地の取引だけにしか、それしかチェックできない。こういう現状を改めて、もっと基準の見直しをすべきではないかと、こう思うんですが、その点についての見解はどうでしょう。
#206
○説明員(河村勝三君) 届け出につきましての基準を設けました経緯といたしましては、四党共同提案によります現在の法律の審議過程でいろいろ御議論もありましたようでございますが、その際、一つは都道府県の事務処理能力、それからもう一つは大規模取引の規制の波及効果というような面等を考えまして、現在設けられております面積基準が適当ではないかというふうに決められたというふうに私ども承知しているわけでございますが、現在の状況から見まして、これを直ちにまた対象面積を変える必要があるやなしやという点については、もう少し私どもで検討さしていただく必要があるだろう、こういうふうに思っておりまして、当面は現行の措置によって万全を期していきたいというふうに考えている次第でございますが、いろいろの御議論もございますので、その点についてはさらに引き続き検討を加えさしていただきたい、そういうふうに考えている次第であります。
#207
○伊藤郁男君 それでは、別の問題で質問をしたいんですが、これは自治省か建設省、どちらかお答えいただきたいんですが、いま民間デベロッパー、民間企業が団地等を開発する場合に、八百八十五の市町村においてこれは全く法律的根拠のない開発指導要綱なるものがつくられておることは御承知のところです。この中にはかなり行き過ぎたものも見られるわけでありまして、たとえば開発を許可する条件として開発者にかなりの負担を強いている。たとえば団地がつくられれば団地内に教育施設をつくれ、まあ学校をつくれということ。あるいは団地の外にも浄水場をつくれとか水道施設をつくれとか、あるいは教育施設をつくれとか、それをつくらなければそこに団地をつくることを許さないと、こういうことですね。こういう行き過ぎたものについては、三年ぐらい前に、自治省と建設省がこの見直しを検討するんだ、こういうことを言われたと、こういうように言われているわけでありますけれども、この開発指導要綱の見直し作業というものがどのようになっているかお答えをいただきたい。
#208
○政府委員(大嶋孝君) この宅地開発指導要綱等によります行政指導でございますが、一つは、地方公共団体が無秩序な宅地開発の防止あるいは良好な生活環境の整備を図る必要がある、さらに地方公共団体に過重な負担がかかることを軽減する必要があるというような事情から行われておるところでございます、この運用に当たりましては、地方公共団体とデベロッパーの両者が合意の上に行われなければならないものだと考えております。
 御指摘の点につきましては、過去に建設省と数回話し合いをした経過があるようでございますけれども、最近では、この要綱等による過度の負担例ということで自治省に持ち込まれたケースはございません。ありますれば、今後とも関係省庁、さらにデベロッパー、さらには関係市町村というような意見を聞きまして、行き過ぎがないように留意をしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#209
○伊藤郁男君 ぜひそういう方向で検討をしてもらいたいと思うんですが、実情は、団地をつくるような場合に、総事業費のうちそういうような公的な開発負担というのですか、それが四五・五%にも上っているわけですね。これが結局は家賃にはね返ってくる、こういう現状にありますので、ぜひその点はなお一層検討を進めていただきたいと、このように思います。
 次に、宅地供給に関連をいたしましてお伺いをしたいと思うわけでありますが、これは例の宅地並み課税農地の問題でございます。市街化区域内の農地は一体全国でどのくらいあるのか。その面積がわかりましたらお答えをいただきたい。
 関連をいたしまして、その中で宅地並み課税の対象農地はどのくらいあるのか。そして、その宅地並み課税の対象農地のうちの減額措置をしている農地というものの面積はどのくらいなのか。宅地並み課税を完全に実施をしている面積というのはどの程度になるのか。これをお伺いをしたい。
#210
○政府委員(石原信雄君) 市街化区域農地の総面積でございますが、五十四年度現在で、全国で二十二万八百八十九ヘクタールでございます、それから、このうち、いわゆる宅地並み課税を実施している面積でございますが、これはA農地、B農地と言われるものでございまして、三大都市圏の特定の市のA農地及びB農地について現在宅地並み課税が実施されております、その総面積は一万六百九十一ヘクタールでございます。それから、これにつきまして減額措置が適用されておりますものの面積は八千二百七十六ヘクタールでございます。
#211
○伊藤郁男君 それは、A、B農地の宅地並み課税対象農地の半分が減額措置をされていると、こういうように理解してよろしゅうございますか。
#212
○政府委員(石原信雄君) 対象面積一万六百九十一ヘクタールのうち、八千二百七十六ヘクタールが減額の対象になっている、したがいまして半分以上でございます。八割程度が対象になっているということでございます。
#213
○伊藤郁男君 五十五年の二月一日ですから昨年のことですが、後藤田前自治大臣は、A、B農地に対する宅地並み課税を軽減し自治省がその減収分を地方交付税で補てんをしている、こういうしり抜けの現状について、この見直しを指示したと、こういうように報ぜられているわけでありますけれども、この点についてどのような検討がなされているか、お伺いをしたい。
#214
○政府委員(石原信雄君) いわゆる市街化区域農地の宅地並み課税につきましては、ただいまお示しの減額措置を含めまして、五十六年度までは現状のままで制度を維持したい。五十七年度以降につきましては、法律上も検討条項が定められておりますし、また、五十四年十二月の税制調査会の答申におきましても、五十七年度から課税の適正化措置を行うべきであるという旨の答申をいただいておりますので、五十七年度に向けて、現在その内容の検討を行っているところでございます。
#215
○伊藤郁男君 確かに減額措置は五十六年度で切れるわけでありまして、五十七年度以降は確かに法律に基づきまして課税の適正化を図ると。課税の適正化を図るということは宅地並み課税を実施する、こういうことであろうと思うわけでありますが、C農地を含めて五十七年度から宅地並み課税を完全に実施するつもりなのかどうか、お伺いをしたい。
#216
○政府委員(石原信雄君) 先ほど申し上げました五十四年十二月の税制調査会の答申におきましても、五十七年度分以降の市街化区域農地の課税の問題につきましては、C農地を課税の適正化措置の対象に加えるということをはっきり指摘しております。したがいまして、私どもは、この問題の検討に当たりましては、当然C農地も課税対象に加えるという前提で検討をしてまいりたいと、このように考えております。
#217
○伊藤郁男君 その場合、国土庁長官は、一月二十七日の記者会見で、C農地であっても、農業を続けていきたい、こういう強い意思のある者については宅地並み課税はしないんだと、こういうように言っているわけでありますが、自治省の考えはいかがでしょうか。
#218
○政府委員(石原信雄君) 税制調査会の答申におきましても、この市街化区域農地の課税問題の検討に当たりましては、「長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮を行うなど必要な措置を講じつつ」適正化をすべきだと、このように述べられております。したがいまして、C農地を課税適正化の対象に加えるに当たりまして、長期にわたって営農を継続する意思のある所有者に対して何らかの措置が必要ではないかと、このように考えております。
#219
○伊藤郁男君 この宅地並み課税によって、果たして農地が宅地として吐き出されていく可能性があるのかどうか。いままではしり抜けでありましたから現実には効果がなかったと思うんですが、五十七年度からそのような形で実施をしていった場合に、果たして農地が吐き出されてくるのかどうか。その見通しはどうでしょう。
#220
○政府委員(石原信雄君) いわゆる市街化区域農地の宅地並み課税の効果であるかどうかという点についてはなかなか判定しにくいわけでありますが、少なくともこれまでの実績を見ますというと、A、B、C各農地の宅地化の状況を見ますというと、A、B農地の方がC農地よりも宅地化の面積がずっと多くなっております。したがいまして、今後C農地を適正化の対象に加えるということによって、宅地化の促進の面で何がしかの効果は期待できるのじゃないかと、このように考えるわけでありますが、その場合、現在のA農地及びB農地について行われております減額制度、これが宅地供給促進の足を引っ張っているのじゃないかと、このような批判もあるわけでありまして、当然五十七年度以降の市街化区域農地の課税の扱につきましては、この減額制度の取り扱いについても検討対象としていかなきゃならないと、このように考えております。
#221
○伊藤郁男君 では、最後に自治省にお伺いをしたいんですが、リージョンプラザ構想というものがあるようですが、それはどういう内容のものでしょうか。
#222
○政府委員(大嶋孝君) 最近広域化してまいりました地域社会に適切に対応し、かつまた、文化の時代にふさわしい地域の整備を図りますために、自治省におきましては、五十四年度から三カ年計画で、全国の広域市町村圏、それから大都市地域広域行政圏におきまして、新広域市町村圏計画の策定を推進しておるわけでございます。この計画は、地域のいろんな課題に対応する総合的な計画でございまして、とりわけ住民の高度化あるいは多様化したニーズに適切にこたえる総合的なサービスシステムの形成を中心的な課題としております。
 このようなサービスシステムの整備を推進いたしますために、五十六年度からこの中心となる大規模複合施設でございます田園都市中核施設の整備に対しまして必要な財政措置を講ずるということにしております。一つは、田園都市中核施設整備計画策定費補助金でございますし、一つは田園都市構想推進事業助成交付金でございます、この助成交付金につきましては、規模等に応じまして一カ所二億円から二億五千万円を三年間で交付いたします。予算的には、五十六年度に初年度分として一カ所五千万円の十カ所分が計上されておるわけでございます。この整備につきまして、当面五カ年で五十カ所を予定しておりまして、これを計画的に整備を進めてまいりたい。この田園都市中核施設の構想につきまして、従来関係者の間でいわゆるリージョンプラザ、圏域広場構想というように呼ばれてきたわけでございます。
 こういうものが内容でございます。
#223
○伊藤郁男君 それを十カ年計画で進めるわけですね。これはもう全国の三百三十四の広域市町村圏に全部やっていくのかどうか。十カ年の年次計画というものがどのようになっておるのか。お伺いをしたいと思います。
#224
○政府委員(大嶋孝君) 新広域市町村圏計画は、各団体が独自に各圏域で設定するわけでございますが、この計画期間はほとんどの圏域において十年ということになっておるわけでございます。施設を整備してまいりますのは、当面五カ年で五十カ所ということでございますので、すべての圏域にすべて行き渡るというわけではございません。重点的に、必要な個所から整備をしてまいりたいと、こういうことでございます。
    ―――――――――――――
#225
○委員長(亀長友義君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、石破二朗君及び鍋島直紹君が委員を辞任され、その補欠として谷川寛三君及び松浦功君が選任されました。
    ―――――――――――――
#226
○委員長(亀長友義君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#227
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#228
○神谷信之助君 私は、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、日本共産党を代表して、反対討論を行うものであります。
 まず初めに、新産・工特財政特例法、首都圏等財政特例法、公害防止財政特例法、この三つの異なる法律改正を一括して提案している問題であります。
 この三法は、当委員会において私が指摘いたしましたごとく、財政上の特別措置という点では共通しているとはいえ、その趣旨、目的とするところは異なり、むしろ、新産・工特と公害防止ではまさに相反すると言ってよいほどの踊りがあります。かつて、昭和四十九年、石炭問題で、共通する電力用炭販売株式会社法、石炭鉱業経理規制臨時措置法、産炭地域における中小企業信用保険特別措置法の三年延長を一括提案した際、衆議院石炭対策特別委員会は、附帯決議をつけて、「それぞれ別個の意味をもつ三法律を一本として提出するが如き形式をとることは、審査の万全を期する上で妥当を欠く」として、政府に今後このようなことのないよう注意を求めました。これを受けて当時の中曽根通産大臣は、今後慎重に対処してまいりたいと述べています。今回の一括提案は、まさにこの愚を犯すものであり、議会軽視と言わざるを得ないのであります。
 次に、三法への態度についてであります。
 新産・工特財政特例法は、新産・工特の建設を促進し誘導するためのものであることは明白であります。新産・工特は、かつての高度成長時代の工業優先、大企業優先の開発方式として国民各般からの批判が集中し、実現性の薄い企業立地を前提に産業基盤の整備を進めて、地方財政を圧迫し住民負担を強いるなど、あしき開発の代表とされてきたものであります。この法律延長の理由として、産業基盤先行によっておくれている生活基盤の整備に役立つとされていますが、この十五年の実績を見ても、道県の地方債は明らかに産業基盤重点に投資され、市町村においても、上水の名目で工業用水が整備され二公園の名目で緩衝緑地が取得されるなど、必ずしも生活基盤と言い得ないものもあるのであります。仮に生活基盤に投資されるとしても、このような工業優先の国土開発の後追いとして行われる仕組みをそのまま容認することはできず、反対であります。
 首都圏等財政特例法につきましては、大都市のマンモス化に伴う深刻な過密問題への対応と、大企業本位の開発、再開発の両面があり、わが党は棄権の態度をとるものであります。
 この二法につきましては、関係地方自治体の延長要望もありますが、これは期限切れによる減収の回避が主な理由であり、むしろ、かねてからわが党が主張してまいりました地方財政の緊急措置、すなわち交付税率の引き上げ、超過負担の解消、総合補助金制度の導入等の措置によって基本的に充足すべきことを主張するものであります。
 最後に、公害防止財政特例法についてであります。公害防止対策の緊急性、重要性についてはいまさら云々する余地はなく、そのための国の補助、負担の特例を初めとする財政措置の延長が必要であることは当然です。しかし、この法律には不十分な点も少なくありません。さきに私が本委員会で指摘しました下水道補助のかさ上げについて、新産や首都圏等の財特法に実効があり、公害の財特法にそれがないのもその一例であります。わが党は、この法律の延長には賛成するとともに、その内容の改善を強く要望するものであります。
 以上、個別の三つの法律の個々についてわが党の態度は異なっています。したがって、採決は分離して行って初めてそれぞれの法案に対する態度を正しく反映できるのでありますが、これを一本の法律案として提出するという審議権を侵害するがごとき正しからざる提案方法のため一括採決されますので、筆頭法案に対する態度をもって反対とするものであることを述べて討論を終わります。
#229
○志苫裕君 ただいま議題となった案件について、日本社会党を代表して意見を述べます。
 新産・工特二法制定以来、わが国の経済社会は大きな変容を遂げました。国土開発計画も再三にわたって変更され、その開発方式も拠点開発から管理中枢機能のネットワーク形成、定住構想へと変遷しております。
 このような歴史的経過、経済社会の変容を考えるならば、新産・工特の二法は、その制定経過にさかのぼって抜本的な検討が加えられるべきであります。とりわけ、我が国経済が一九七〇年代に入って国際的な経済変動を背景にスタグフレーションに見舞われ、出口なき危機の打開をめぐって福祉型経済への転換が強く求められておるだけに、この二法の見直しは時代の要請と言えましょう。にもかかわらず、これを放置し、財政上の特別措置、すなわち本法のみを単純に延長することは説得力を持ち得ない。このことは首都圏等近郊整備の財政特別措置についても指摘されることであり、政府の反省を促すところであります。
 こうした基本に立って、以下、若干の問題に触れます。
 その一つは、自治体の実態を無視して代替措置のないままに本法を一方的に廃止しようとした政府部内の動きについてであります。わが党は、新産都法の制定に当たって基本的な疑問を提起しながらも、自治体の創意性を尊重し、地場産業の振興と生活環境の整備に重点が注がれるよう主張しました。そして、当初は道路をトップに、義務教育施設、公営住宅、下水道、屎尿処理施設の順であった事業が、一九七八年の見直しによって、下水道をトップに義務教育、道路、公営住宅、都市公園の順に事業の構成が改善されたことを評価します。首都圏等についても同様であります。このような改善が見られるとはいえ、その水準はいまだに全国水準をさえ下回っておるのが実情であるにもかかわらず、財政特別措置を一方的に打ち切ろうとした試みはおよそ容認できるところではありません。
 第二は、補助のかさ上げに係る財政調整の問題であります。
 補助のかさ上げが一般財源として地方財政に構造的に組み込まれることからして、調整率のあり方に合理性が求められるのは当然であるが、このたびの政府案は、法の延長と引きかえにただ抑制策を講じただけであります。少なくとも現実の平均的な財政力指数を採用して合理性を加味するのが当然であり、たくさんの事業を行えばかさ上げがなされ、標準事業規模の一割以下の自治体では対象にもならないという不合理は是正されるべきであります。
 公害防止に係る財政特別措置は、法制定経過に照らして延長措置は当然であります。ただ、自治大臣指定のしゅんせつ事業等の割合がきわめて少ないことは問題であり、法指定事業に加えて個々の自治体の実情に沿った事業をさらに拡大するよう強く要求しておきます。
 以上、本改正法案について述べましたが、基本的には新産・工特二法そのものが問題ではありますが、自治体における事業と財政の実態にかんがみ、本改正案には賛成であることを申し上げ、討論といたします。
#230
○和泉照雄君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行います。
 まず、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための財政上の特別措置法改正案についてであります。
 いわゆる新産・工特法は、大都市への人口及び産業の集中の緩和、地域格差の是正、雇用の場の創設を目指し、昭和四十年に制定されたのでありますが、過去十五年間における目標達成率は、工業出荷額二九・一%、人口五九・八%、施設整備八九・一%と、当初予定を大幅に下回っております。
 昭和四十八年度における石油ショックによる高度経済成長から減速経済への移行、新規投資意欲の減退が原因であると考えるものでありますが、今後、雇用吸収力の大きな産業の導入、人口の地方定住の促進はなお一層進める必要があり、また計画の途中での中止は関係地方団体に対し多大な影響を与えることは必至であります。したがいまして、現時点において本法律の延長はやむを得ないと考えるものであります。
 次に、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備のための国の財政上の特別措置法についてでありますが、近郊整備地帯、都市開発区域等においては、人口が増加し、諸機能の集積が進んでおりますが、これに伴う住宅、生活環境施設等の整備が対応できないのが実情であります。したがって、これらの地域の生活環境施設等の整備を引き続き進めていく必要があり、本法律の延長に同意するものであります。
 次に、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律についてであります。
 本法律は、施行後地方団体の公害防止事業の促進に寄与してまいりましたが、今後なお大都市地域を中心とする公害防止計画策定地域において現行計画の期間内達成は困難となっており、引き続き公害防止対策事業を積極的に実施する必要があります。こうした状況から見て、本法律の延長も同意するものであります。
 以上をもって賛成討論を終わります、
#231
○委員長(亀長友義君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#232
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#233
○委員長(亀長友義君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#234
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#235
○委員長(亀長友義君) 次に、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。安孫子自治大臣。
#236
○国務大臣(安孫子藤吉君) ただいま議題となりました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明を申し上げます。
 明年度の地方税制につきましては、現下の厳しい地方財政事情と地方税負担の現状にかんがみ、その負担の適正化及び地方税源の充実を図るため、所得の金額が一定の金額以下である者について昭和五十六年度限りの措置として個人住民税所得割の非課税措置を講ずるとともに、法人住民税について均等割の税率適用区分の基準の変更並びに道府県民税及び市町村民税に係る法人税割の税率の調整、個人事業税について課税対象事業の追加並びに不動産取得税について税率の引き上げを行い、固定資産税等に係る非課税等の特別措置の整理合理化を図り、あわせて地方税に係る更正、決定等の制限期間の延長等の措置を講ずることとするほか、日本国有鉄道に係る納付金算定標準額の特例措置についてその適用期限を延長することとする等の必要があります。
 以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。
 次に、この法律案の要旨につきまして御説明を申し上げます。
 第一は、地方税法の改正に関する事項であります。
 その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。まず、個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、低所得者の税負担の実情にかんがみ、昭和五十六年度限りの措置として、所得の金額が二十七万円に本人、控除対象配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額以下の者について、所得割の非課税措置を講ずるほか、控除対象配偶者のうち年齢七十歳以上の者については、老人配偶者控除を適用し、その額を二十三万円とすることといたしております。
 次に、法人の道府県民税及び市町村民税につきましては、法人税の税率引き上げに伴う法人税割の増収額を市町村税源の充実に充てるため、法人税割の税率の調整を行うこととし、市町村民税の標準税率を百分の十二・三に引き上げるとともに、道府県民税の標準税率を百分の五に改めるほか、均等割の税率適用区分の基準を資本の金額または出資の金額に資本積立金額を加えたものに改め、均等割の課税の適正化を図ることといたしております。
 その二は、事業税についての改正であります。個人事業税につきましては、社会経済情勢の推移に伴い、負担の公平を図るため、新たに不動産貸付業、駐車場業、コンサルタント業及びデザイン業を課税対象事業に加えることといたしております。
 その三は、不動産取得税についての改正であります。不動産取得税につきましては、現下の厳しい地方財政の状況にかんがみ、地方税源の充実を図るため、標準税率を百分の四に改めることといたしておりますが、最近の住宅建設の状況等に配慮し、住宅及び一定の住宅用土地の取得については、今後五年間に限り現行税率に据え置くことといたしております。また、一定の要件を満たす新築住宅についての課税標準の特例措置の控除額を四百二十万円に引き上げることといたしております。
 その四は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。固定資産税及び都市計画税につきましては、鉱工業技術研究組合の機械装置に係る課税標準の特例措置等の整理合理化を行う一方、地域エネルギー利用設備に係る課税標準の特例措置を新設する等の措置を講ずることといたしております。
 その五は、軽自動車税についての改正であります。軽自動車税につきましては、課税事務の簡素合理化を図るため、月割り課税制度を廃止することといたしております。
 その六は、電気税及びガス税についての改正であります。
 まず、電気税につきましては、産業用電気に係る非課税措置の見直しを行い、二品目に係る非課税措置を廃止する一方、繊維製品及び紙の製造用電気に係る軽減措置の適用期限を延長することといたしております。
 また、ガス税につきましては、エネルギーの利用の合理化及び効率化に資する一定のガスの使用について、ガス税を課さないことといたしております。
 その七は、国民健康保険税についての改正であります。国民健康保険税につきましては、被保険者の所得水準の上昇等を勘案して、課税限度額を二十六万円に引き上げるとともに、昭和五十六年度分の国民健康保険税に限り、減額の基準を二十三万円に一定の金額を加算した金額とすることといたしております。
 その八は、更正、決定等の制限期間及び罰則等についての改正であります。この改正につきましては、税務執行面における実質的負担の公平を確保するため脱税の場合の更正、決定等の制限期間を二年延長いたしますとともに、道府県民税、事業税及び市町村民税の脱税に関する罪についての法定刑の長期を五年とすることといたしております。
 第二は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正に関する事項であります。
 日本国有鉄道に係る市町村納付金につきまして、納付金算定標準額の特例措置の適用期限を昭和五十七年三月三十一日まで延長することといたしております。
 このほか、地方税制の合理化を図るための所要の規定の整備を行っております。
 以上の改正の結果、明年度におきましては、個人住民税の非課税措置、新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例に係る控除額の引き上げ等により二百八億円の減収となる一方、法人住民税の均等割の税率適用区分の基準の変更、不動産取得税の税率の引き上げ等により九百六十四億円の増収が見込まれておりまするので、差し引き七百五十六億円の増収となる見込みであります。
 以上が地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#237
○委員長(亀長友義君) 次に、補足説明を聴取いたします。石原税務局長。
#238
○政府委員(石原信雄君) ただいま説明されました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の主要な内容につきまして、お配りしております新旧対照表により補足して御説明申し上げます。
 第一は、地方税法の改正であります。
 まず、総則の改正であります。
 第十七条の五及び第十八条の二の改正は、脱税の場合の更正、決定等の制限期間を五年から七年に延長するとともに、脱税の場合の徴収権の消滅時効は、一定の期間進行しないものとしようとするものであります。
 次は、道府県民税の改正であります。
 第二十三条第一項第四号の二の改正は、資本等の金額について、その用語の意義を定めようとするものであります。
 第二十五条第一項第一号及び第二号の改正は、国民健康保険組合等が収益事業を行う場合には、道府県民税を課税しようとするものであります。
 第三十四条第一項及び第五項の改正は、控除対象配偶者のうち年齢七十歳以上の者について老人配偶者控除二十三万円を適用しようとするものであります。
 第五十一条第一項の改正は、道府県民税法人税割の標準税率を現行の百分の五・二から百分の五に、制限税率を現行の百分の六・二から百分の六にそれぞれ改めようとするものであります。
 第五十二条第一項及び第四項の改正は、法人等の均等割の税率適用区分の基準を、先ほど御説明いたしました資本等の金額、すなわち資本の金額または出資金額に資本積立金額を加えたものに改めようとするものであります。
 第六十二条の改正は、法人等の道府県民税の脱税に係る法定刑の長期について現行三年を五年とし、これに伴い法人に罰金刑を科する場合の公訴時効期間を五年としようとするものであります。
 次は、事業税の改正であります。
 第七十二条第五項、第七項及び第八項の改正は、個人の事業税の課税対象事業に、不動産貸付業、駐車場業、コンサルタント業及びデザイン業を加えようとするものであります。
 第七十二条の四第一項及び第七十一条の五第一項の改正は、国民健康保険組合等が行う収益事業に対し事業税を課税しようとするものであります。
 第七十二条の六十の改正は、事業税の罰則等について法人等の道府県民税の場合と同様の改正を行おうとするものであります。
 次は、不動産取得税の改正であります。
 第七十三条の二第十一項及び第十二項の改正は、農住組合が行う事業で土地区画整理法の適用があるものの施行に伴う仮換地等の取得について、一般の土地区画整理事業と同様の課税の特例を設けようとするものであります。
 第七十三条の六第三項の改正は、農住組合が行う事業で土地区画整理法の適用があるものの施行に伴う換地等の取得について非課税措置を講じようとするものであります。
 第七十三条の十四第一項の改正は、新築特例適用住宅に係る課税標準の算定上価格から控除する額を現行の三百五十万円から四百二十万円に引き上げようとするものであります。
 第七十三条の十五第一項の改正は、不動産取得税の標準税率を現行の百分の三から百分の四に引き上げようとするものであります。
 なお、住宅及び一定の住宅用土地につきましては、後ほど御説明いたしますが附則において特例措置を講ずることといたしております。
 次は、料理飲食等消費税の改正であります。
 第百二十九条第七項の改正は、領収証等の写しの保管期間を現行の六月間から一年間に延長しようとするものであります。
 次は、市町村民税の改正であります。
 第二百九十二条、第二百九十六条、第三百十二条及び第三百十四条の二の改正は、道府県民税と同様でありますので説明を省略させていただきます。
 第三百十四条の六第一項の改正は、市町村民税法人税割の標準税率を現行の百分の十二・一から百分の十二・三に、制限税率を現行の百分の十四・五から百分の十四・七にそれぞれ引き上げようとするものであります。
 第三百二十四条の改正は、市町村民税の罰則等について法人等の道府県民税の場合と同様の改正を行おうとするものであります。
 次は、固定資産税の改正であります。
 第三百四十三条第六項の改正は、農住組合が行う事業で土地区画整理法の適用があるものの仮換地等について、一般の土地区画整理事業と同様の課税の特例を設けようとするものであります。
 第三百四十八条第二項第二十八号及び第三百四十九条の三第二十八項の改正は、貿易研修センターの業務用固定資産に係る非課税措置を廃止し、課税標準の特例措置を設けようとするものであります。
 第三百四十九条の三第六項の改正は、鉱工業技術研究組合の機械及び装置に係る課税標準の特例措置を縮減しようとするものであります。
 次は、軽自動車税の改正であります、
 第四百四十五条の二及び第四百四十七条から第四百四十九条までの改正は、軽自動車税の月割り課税制度を廃止しようとするものであります。
 次は、電気税及びガス税の改正であります。
 第四百八十九条第一項の改正は、電気鋳造耐火れんが及びアセトアルデヒドに係る電気税の非課税措置を廃止しようとするものであります、
 第四百九十一条の二の改正は、エネルギーの利用の合理化及び効率化に資する一定のガスの使用について、ガス税の納税義務を免除しようとするものであります。
 次は、特別土地保有税の改正であります。
 第五百八十六条第二項第十七号及び第十七号の二の改正は、日本勤労者住宅協会がその本来の事業の用に供する土地またはその取得について非課税としようとするものであります。
 次は、事業所税の改正であります。
 第七百一条の三十四第三項の改正は、農住組合が農業を営む者の共同利用に供する一定の施設について非課税としようとするものであります。
 次は、国民健康保険税の改正であります。
 第七百三条の四の改正は、課税限度額を二十六万円に引き上げようとするものであります。
 次は、都における特例の改正であります。
 第七百三十四条の改正は、市町村民税の標準税率等の改正に伴う規定の整備であります。
 次は、附則の改正であります。
 附則第三条の三の改正は、昭和五十六年度分の個人の道府県民税及び市町村民税に限り、所得の金額が二十七万円に本人、控除対象配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額以下である者について所得割を非課税とするとともに、所要の調整措置を講じようとするものであります。
 附則第十一条の改正は、不動産取得税について、農業委員会のあっせんに基づく農地の交換分合により取得した農地に係る課税標準の特例措置を廃止するとともに、農用地利用増進計画に基づき取得した農業振興地域内にある土地及び農住組合が行う交換分合により取得した土地に係る課税標準の特例措置を講ずるほか、農用地開発公団が新設しまたは改良した農業用施設に係る課税標準の特例措置の適用期限を一年延長しようとするものであります。
 附則第十一条の二及び第十一条の三の改正は、先ほど御説明いたしましたとおり、昭和五十六年七月一日から昭和六十一年六月三十日までに取得された住宅及び一定の住宅用土地に係る不動産取得税については、住宅に係るものについては現行税率を据え置くこととし、一定の住宅用土地については、税額の四分の一を減額する措置を講じようとするものであります。
 附則第十一条の四第七項の改正は、心身障害者を多数雇用する事業所の事業主が身体障害者雇用促進法の規定に基づく助成金の支給を受けて昭和五十六年十月一日から昭和五十八年三月三十一日までの間に取得した一定の事業用施設について、不動産取得税の減額措置を講じようとするものであります。これに伴い従来の心身障害者モデル工場に係る減額措置については、縮減の上、その適用期限を半年延長することといたしております。
 附則第十一条の四第九項の改正は、入会林野整備等により取得した土地に係る不動産取得税の税額の減額措置の適用期限を二年延長しようとするものであります。
 附則第十二条の二の改正は、電気自動車に係る自動車税の税率の軽減措置の適用期間を二年延長しようとするものであります。
 附則第十四条の改正は、一般廃棄物の最終処分場の構築物等に係る固定資産税について非課税としようとするものであります。
 附則第十五条第一項から第十六項までの改正は、固定資産税について、野菜供給安定基金の一定の保管施設及び消防法第十条第一項の貯蔵所の防油堤に係る課税標準の特例措置を廃止するとともに、日本自動車ターミナル株式会社の事業用家屋及び償却資産並びに地方、離島以外の国内路線に就航する航空機に係る課税標準の特例措置を縮減の上、その適用期限を三年、営業用倉庫及び地方鉄軌道の乗降場の延伸工事により敷設された構築物に係る課税標準の特例措置を二年、心身障害者モデル工場に係る課税標準の特例措置を縮減の上、その適用期限を昭和五十六年九月三十日まで、省エネルギー設備に係る課税標準の特例措置を縮減の上、その適用期限を二年それぞれ延長しようとするものであります。
 附則第十五条第十八項から第二十四項までの改正は、固定資産税について、通信・放送衛生機構の業務用償却資産、地域エネルギー利用設備、地方卸売市場の用に供する一定の家屋及び償却資産、乗り合いバス業者または地方鉄道業者が特定地方交通線の転換に係る日本国有鉄道の交付金を受けて取得した事業用償却資産、日本国有鉄道から無償で譲渡された特定地方交通線に係る構築物、農住組合が取得した共同利用設備並びに心身障害者多数雇用事業所の家屋及び償却資産に係る課税標準の特例措置を設けようとするものであります。
 附則第十六条第五項及び第六項の改正は、市街地再開発事業及び住宅街区整備事業の施行によりそれぞれ従前の権利者が取得した一定の施設建築物及び施設住宅に係る固定資産税の減額措置の適用期限を二年延長しようとするものであります。
 附則第三十条の二の改正は、電気自動車に係る軽自動車税の税率の軽減措置について、自動車税と同様その適用期間を二年延長しようとするものであります。
 附則第三十一条の改正は、繊維製品及び紙の製造の用に供する電気に係る電気税の税率の軽減措置の適用期限を昭和五十九年五月三十一日まで延長しようとするものであります。
 附則第三十二条第二項の改正は、特定地方交通線の転換に係る日本国有鉄道の交付金を受けて取得した一般乗り合い用のバスについて、自動車取得税の非課税措置を講じようとするものであります。
 附則第三十二条第四項の改正は、電気自動車に係る自動車取得税の税率の軽減措置の適用期限を二年延長しようとするものであります。
 附則第三十二条の三第二項の改正は、地域振興整備公団が造成した土地の譲渡を受けて設置した事業所等に対する新増設に係る事業所税の非課税措置の適用期限を昭和六十一年十一月十二日まで延長しようとするものであります。
 附則第三十三条の改正は、昭和五十六年度分の国民健康保険税に限り、減額の基準を二十三万円に一定の金額を加算した金額としようとするものであります。
 附則第三十三条の二から第三十四条までの改正は、附則第三条の三の改正に伴う所要の規定の整備であります。
 附則第三十五条の二第一項及び第三項の改正は、個人の市町村民税について、山林を現物出資した場合の山林所得に係る納期限の特例措置の適用期間を昭和五十八年度まで延長しようとするものであります。
 第二は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正であります。
 附則第十七項の改正は、日本国有鉄道の市町村納付金に係る納付金算定標準額の特例措置の適用期限を二年延長しようとするものであります。
 以上でございます。
#239
○委員長(亀長友義君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#240
○伊藤郁男君 最初に、大臣にお伺いをしたいと思います。
 それは、現下の中央地方の財政事情から考えまして、財政再建のために行財政の改革を断行するということは、これはもう私が申すまでもなく、まさに当面する最大の課題ではないかと思うわけであります。鈴木総理大臣も本会議の答弁の中におきまして、この問題については政治生命をかけて当たる、あるいは中曽根長官も、鉄の心を持って当たっていくのだと、こういう力強い決意が表明をされておりまして、私どもはそのことを高く評価をしたいと思いますし、何としても行財政の改革を断行してほしいと、このように考えているわけでございます。特に私どもが、昨年の十二月に鈴木総理と佐々木委員長との党首会談におきまして、五十七年度の予算編成前に中間答申を出すべきだと、こういうことを要求をしておったわけでありますけれども、いまも内閣の方針はそのような方向に進んでおる、このことを率直に評価をしたい、こういうように思います。
 この中間答申に当たりましては、私どもは特に次の基本方針を貫くべきだということを要望しているわけであります。一つは、五十七年度においては二兆円の国債減額を実現をしていただきたいということ、同時に、大型間接新税を含む一切の増税を回避すること。そして、この結果生ずる歳入不足については行財政改革によって捻出をすべきだ。こういうような基本方針を実現をするために、それでは具体的にどのようなところに重点的に的をしぼるか、このことにつきましては、補助金の大幅整理、あるいは中央地方を通ずる人と組織の行政改革、三番目は民営移管の推進、四番目に国有財産の処分、こういうところに重点的な的をしぼって取り組むべきではないか、このような方向を申し入れもし、要望もしておるわけでありますが、この第二次臨調に臨むに当たっての自治大臣としての基本姿勢をまずお伺いをしておきたいと思います。
#241
○国務大臣(安孫子藤吉君) これから取り組んでまいりまする来年度予算編成にも関連をする行政改革の問題はきわめて重要な問題でございます。民社党におかれましては、この問題についてただいま申し述べられましたような御提案を早速ちょうだいをいたしておりまして、私どもは敬意を表しているところであります。
 自治省といたしまして、特に第二臨調との関係においてどんな方針を持って臨むかというお尋ねでございまするが、第二臨調の問題は、もちろんわれわれが関与することの前に、第二臨調の委員各位の活発なる論議によって結論が得られるものだろうと私どもは考えておるわけでございます。ただ、この際私ども考えますることは、少なくとも行政改革という問題は、国自体の問題のほかに地方公共団体の関連もあるわけでございまするから、その関係におきまして、長い間われわれが主張してまいりました国と地方公共団体との間の機能分担の適正化を図るということをやはりぜひ論議してもらいたいと考えておるわけであります。
 すなわちそれは、結局いたしますところ行政の簡素効率化につながる問題でございます。その観点から申し上げまするならば、国、地方間の行政事務をどう再配分するか、長い間の懸案でございまするが、これをひとつ結論を得ていただきたいし、あわせて許認可事務の整理、これも長い間論議をされた問題でございまするが、必ずしも所期の目的を達しておりません。この問題。あるいは国庫補助金等の整理合理化の問題、これも財政的にもきわめて重要な問題でございます。なおまた国の出先機関というものが相当たくさんあるわけでございます。この辺の整理合理化というようなものをぜひ答申としては得たいものだと考えておるわけでございます。
 以上、数点につきまして私の希望を申し述べましたが、以上の問題は、日本の行政改革の面において長年の間論議をされましたけれどもいまだ解決しない問題でございまするので、この際の第二臨調におきましては、この点をひとつぜひ取り上げていただきまして結論を出していただきたいということを強く要望いたしているものでございます。これによりまして地方公共団体の自主性、自律性というものが強化をされ、そしてまた地方分権の推進というものにきわめて役立つものであろうと考え、そしてまた、日本の行財政の簡素効率化に大きく寄与するものだと確信をいたしておりまするので、以上の点を私としては希望いたしているわけであります。
#242
○伊藤郁男君 そこで、鈴木総理大臣も、本会議の答弁を通じまして、総論賛成、各論反対にならないように、それはもう各党、各会派を通じてそういうことにならないように要望をするということを強く言っておられました。私どもは、その点についてはまさにそのとおりだと思うわけでありますが、しかし、いま大臣が言われましたように、補助金の整理一つをとりましても、恐らくこれから中間答申の出る直前まで各論反対ということで陳情合戦が繰り広げられてくるのではないか、こういうことが予想をされているわけでございます。そういうような場合に、大臣としてはどのように対処されるか、その考え方をお聞きしておきたいと思います。
#243
○国務大臣(安孫子藤吉君) 恐らくこれからそうした動きというものが顕在化するだろうと私は思いますが、しかしこの問題は、日本の将来にとってきわめて重大な問題でございまするので、この基本的な方針を崩さないで進んでまいりたいと思っております。
#244
○伊藤郁男君 ぜひそういう立場で臨んでいただきたいと思います。せっかく世論も非常にこの問題に期待をしておるわけでありまして、そういう立場から断固として行うと、こういう姿勢の中で貫いていただきたいと思います。
 二番目に、この問題と関連をいたしまして、地方制度調査会がすでに設置をされておりまして、地方の行財政の制度について逐次答申を出している。このことはもう御承知のところだと思います。そこで、地方制度調査会と第二臨調との関係についてどうように理解をされておるのか、この点をお伺いをしておきたいと思います。
#245
○国務大臣(安孫子藤吉君) 今度の第二臨調において取り扱うべき問題についての調整を私どもといたしましては措置をいたしたわけでございまするが、この点について率直に申し上げますれば、地方制度調査会において取り上げられた問題が、国の関係において第二臨調においてまた取り扱われるということはあり得ると思います。これは私はそれでよかろうと思っておるわけでございます。したがいまして、ダブる面もございまするけれども、いま申し上げましたような問題は、これはいずれも国の制度と関係する問題でございまするので、国の立場においてこの問題の結論を第二臨調としても出されることが至当であろうかと、そしてこれが地方分権の構想実現に向かっての前進を来すものであろうかと、こう考えております。
#246
○伊藤郁男君 さらに、第二臨調と関連をいたしまして、地方公務員の数の問題、それから人件費の問題ですね。こういう問題について審議を行ってほしいと自治省としては考えておるのかどうか、この点をお伺いをしておきます。
#247
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方公務員の定数の問題になりますと、これは御承知のとおりに国の関係において増員する問題がきわめて大きいわけであります。教員、警察あるいは社会福祉関係等々、挙げれば、国の関係において増員を来しておるのが現在の実情であります。地方団体独自でもって増員をしているということは、ここ三、四年間の間はほとんどないと言ってもいいぐらいに少ないのでございます。地方の定員増という問題が、すべてと申しませんが、大部分が国との関係においてそれが行われておるという実態を考えますと、この問題についても論議されてしかるべき問題だと思っております。
#248
○伊藤郁男君 そこで、補助金の問題と関連をいたしまして、わが民社党は、五十六年度予算編成に当たっての党首会談、あるいは国会での代表質問やあるいは予算委員会での質疑等を通じまして、これはもう大臣も御承知だと思いますけれども、第二交付税制度の創設を政府に対しまして強く要請をしてきたところであります。これに対しまして大蔵大臣は、基本的には賛成であると、したがって第二次臨調で検討してもらうんだと、こういう旨の発言をされているわけでございます。
 御承知のとおり、第二交付税の制度の創設の問題は、地方財政法第十条の二に掲げております、普通建設費補助負担金、これを一般財源として一括交付して、そしてその使途を自治体の裁量にゆだねて、自主的、効率的な財政運営を保障しようと、こういう考え方に立つものでありますけれども、大臣としてはこれについてどのように考えられますか。御所見をお伺いしておきます。
#249
○国務大臣(安孫子藤吉君) 第二交付税というきわめて大胆な御提案に対しましては敬意を表するものでございます。ただ、いささか地方自治関係にも関係をいたしてまいりました私といたしまして、若干懸念もいたし、また考究もしなければならぬであろうと思われる点を一、二点申し上げます。
 国の補助金あるいは負担金制度というものは、国の一つの水準を維持したいという立場においての負担金、補助金という面もあるわけでございます。それを地方団体に全部任してしまった場合にその目的が達成し得るかどうかという問題、この点は一つ検討を要する問題であろうかと思います。また、その問題に関連をいたしまして、大蔵大臣も言っておったかと思いますが、そうした第二交付税を地方に配分をいたした場合に、それがどういうことに使われるかわからぬのではないかという懸念をも持っておったように私は承知をいたしております。この懸念も、私は必ずしも的を得ていないものではないと考えておるものでございます。
 したがいまして、第二交付税制度というものを設けます場合に、国の目的といたしておりまする国庫補助負担金制度の本旨との調整をどこでとるかという問題がきわめて重要だと思います。もちろん補助金あるいは負担金につきましては、そうした補助金、負担金の基本的な構想から相当離脱をいたしまして、マンネリ化して地方財政の一般財源化しておる問題もあるわけでございまするから、その辺の振り分けをどうするか、その辺の研究は第二交付税の今後の実際的な制度確立の面においては問題点としてわれわれは検討する必要があるだろうということを、まあよけいなことでございまするが、一言中し申し上げました。
#250
○伊藤郁男君 私どももこの問題についてはもっと、いま大臣が指摘されたような問題点もあることだと思いますし、さらに研究を続けまして、第二交付税ができるような形のものを党としてもさらに検討を続けていきたいと考えております、
 それで次に、今回説明がございました地方税法の問題につきまして具体的に御質問を申し上げておきたいと思います。
 まず、住民税でございますけれども、五十六年度限りの特例措置として個人住民税所得割の非課税措置を設けましたけれども、これは一体いかなる理由によるものかということでございます。
#251
○政府委員(石原信雄君) 住民税につきましては、昨年度の場合も一昨年度の場合も、それぞれ各所得控除の引き上げにより課税最低限を引き上げ、住民負担の軽減を図ってまいったわけでありますが、所得控除の引き上げを行いますと、たとえば基礎、配偶、扶養の三控除をそれぞれ一万円引き上げただけでも平年度七百三十億円の減収を生ずるという問題があります。過去二カ年度の場合には、それぞれ他の税目の充実等によりまして減収額をカバーし得たわけでありますけれども、五十六年度の場合はそのような方法も思い浮かばない、また地方財政の現状は依然として一兆円を超える財源不足の状況にある、こういうようなことから、従来のような形での所得控除の引き上げができない状況にあったわけであります。しかしながら、低所得者層に対する負担軽減措置は五十六年度の場合もぜひともこれは実現する必要があると、このように考えまして、初めての試みでありますが、一定の所得以下の住民を所得割の非課税対象に加えるということにいたしたわけであります。
 このような措置を五十六年度限りのものといたしました理由は、非課税限度額の設定というような試みがまだ所得課税における制度として必ずしも定着していない、いろいろな御意見もあり得るであろうという意味で、とりあえず五十六年度限りの措置といたした次第でございます。
 このような制度が今後どうあるべきか、所得課税の中でどのように位置づけられるべきかというようなことにつきましては、引き続き研究してまいらなきゃならないと、このように考えております。
#252
○伊藤郁男君 五十六年度限りの措置ということは、五十七年度において生活保護基準額との逆転現象が起きた場合は住民税の減税を行うという意味なのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
#253
○政府委員(石原信雄君) 五十六年度におきまして非課税限度額を設けました一つの理由は、課税最低限の引き上げをそのまま行わないで放置した場合においては、いわゆる生活保護基準と課税最低限との逆転現象が起こる、こういったことは税制上放置することは問題があるのではないかというようなことで非課税限度額を創設することにいたしたわけであります。したがいまして、五十七年度以降同じような問題が起こってくれば、当然何らかの措置を講じなきゃならないであろうと思います。ただ、その場合に、その対応策として、課税最低限の引き上げでいくのか、あるいは今年度創設した非課税限度額の見直しでいくのか、あるいはそれ以外の方法でいくのか、これらにつきましては引き続き検討していかなきゃならないと、このように考えております。
#254
○伊藤郁男君 関連して、ちょっと大臣のお考えをお伺いをしておきたいと思うんですが、御承知のように、政府は昨年、物価を六・四%に抑えるんだと、こういうことを公約をしておるわけです。しかし現実には、その後物価は相当の勢いで上昇をいたしまして、八%を超えるという現状にあります。各労働組合も、昨年の賃上げ闘争のときには日本経済全体のことも考え、かつ政府の六・四%に抑えるという公約を信じながら賃上げ率を八%に自粛し抑えて、結果的には、六・九%、おおよそ七%のところで妥結をしたという現状、御承知のところでございます。ところが、こういうような労働組合の自粛した賃上げ、これが完全に裏切られた。こういうことが問題になりまして、所得税減税の要求が高まってきた、こういうことであろうと思うわけでございます。
 したがいまして、自治大臣も政府の一員として、閣僚の一員として、その道義的、政治的責任を痛感しなければならぬと思うわけでありまして、そういう意味から控除の引き上げなどの住民税減税を行うべきではないか。それがやはり公約違反に対する責任のとり方ではないかと、こういうように思いますが、その点いかがでしょう。
#255
○国務大臣(安孫子藤吉君) 住民税の問題については、いま税務局長が御説明いたしましたとおり、地方財政に対する影響はきわめて大きいわけでございまするので、残念ながら本年度においてはこれを見送ったわけでございます。この点はひとつ御理解をしていただきたいと思うのでありますが、現下の問題といたしまして、物価減税という問題については、予備金の問題等と絡んで、議長裁定によりましてこれが実現をすることに相なるわけでございまするので、その辺で本年度の問題はひとつ御了承を賜らなければならないのではなかろうかと、こう考えております。
 もっとも、住民税の限度引き上げにつきましては、いままで何回か行ってきております。本年は特に財政事情を考えて見送ったわけでございまするので、来年度以降の問題としては十分に検討をいたしてまいらなければならぬ問題だと思っております。
#256
○伊藤郁男君 では次に、自動車関係税についてお伺いをしたいと思うんですが、今回は市町村税である軽自動車税の月割り課税制度の廃止が行われることになっておりますけれども、これはどのような理由によるものでしょうか。
#257
○政府委員(石原信雄君) 軽自動車税につきしては、すでに原動機つき自転車あるいは農耕作業用の自動車、それからさらに二輪及び三輪の軽自動車、これらにつきましては月割り課税制度が廃止されております。しかし、それ以外の軽自動車について現在月割り課税制度が行われているわけでありますが、この月割り課税につきましては、それによる課税額あるいは還付額が非常に小さいわりに手間を非常に食う、経費倒れであると、こういうようなこともありまして、市町村の課税の第一線の人たちからこれを廃止してほしいという御要望が強かったわけであります。そこで、今回月割り課税制度の廃止に踏み切りたいと、このように考えたわけでございまして、これを廃止する理由は徴税事務の簡素化ということでございます。
#258
○伊藤郁男君 その徴税事務の簡素化、合理化によりまして、一体このような制度改善でどのくらいの財源が浮くのか。そのデータがあったら示していただきたいと思うんですが。
#259
○政府委員(石原信雄君) 最近の課税状況などをベースにして推定いたしてみますというと、おおむねこの月割り課税制度の廃止によります徴税費の節減額は三十億円程度と、このように見ております。
#260
○伊藤郁男君 今回の改正によりますと、たとえば自家用の軽四輪車を買う場合に、三月末に買えばまるまる六千五百円の税金がかかる、四月二日以降に買えば一銭もかからないという現象が生ずることになるわけですが、税負担の公平という見地から、この問題はどのようなものか、御見解をお伺いをしておきたい。
#261
○政府委員(石原信雄君) 現行制度におきましても、三月末に軽自動車を購入された方は、四月一日現在軽自動車をお持ちでありますから、年間まるまる税金がかかるわけであります。今回の改正によって変わるのは、四月二日以降購入した方はその年はまるまるかからないという意味では軽減になるわけです。しかしそのかわり、従来軽自動車を持っておった方が四月二日以降廃車をいたしましても、四月一日現在に保有しておれば年間税金を納めていただくと、途中の軽減はないということでありまして、その人について取得時と廃車時と両方を勘案すれば、負担は、トータルとしてはそう変わりがないじゃないかというような考え方をしているわけであります。したがいまして、ただいまお示しのように、三月末に購入される方と四月二日以降購入される方との間に税負担の差が生ずることはこれはやむを得ないと、このように考えております。
 ただ、このような月割り課税の廃止に踏み切りました一つの理由は、軽自動車税の税額が、たとえば最も高い自家用の軽自動車の場合でも、年税額にして六千五百円という税額でありますので、このような徴税簡素化のための改正について御理解いただけるのじゃないかと、このような考え方をした次第でございます。
#262
○伊藤郁男君 次に、自動車税につきましては月割り課税についての改正は行われておりません。しかし自動車と軽自動車との違いはありましても、本来同じ趣旨で課せられている税金でありますので、したがって課税方式が全く違うというのはちぐはぐではないか、こういうように思うわけです。
 そこで、自動車税について、今後課税方式の見直しについて考えていくつもりがあるかどうかお伺いをしておきたい。
#263
○政府委員(石原信雄君) 自動車税は御案内のように道府県税でございます。したがいまして道府県の区域内で年度の途中に自動車の所有権の移転がありましても、同じ公共団体の区域内の場合には、みなし保有制度というようなことがありまして、現在でも実質的に月割り課税は実施しておりません。自動車税は、そういうようなこともありましてこれまで月割り課税のケースが比較的少ないのであります。それからまた何よりも自動車税の税額が、たとえば自家用の自動車の場合で申しますと、一・五リットル超の場合には年額で三万四千五百円というようなかなり税額が高い。したがって月割りを廃止する場合の影響が大きいという問題もあります。さらに、たとえば年度途中で新車を購入されたような場合には、その新規登録の際に証紙徴収制度というものが導入されておりまして、課税事務が非常に省力化されております。こういうような実態から、自動車税につきましては月割り課税の廃止についての意見も余りありませんし、またその必要性も軽自動車税に比べますと少ないのじゃないかと、このように考えております。したがいまして、私どもといたしましては、自動車税について月割り課税の廃止を目下全く考えておりません。
#264
○伊藤郁男君 そこで、次に住民税の所得控除の問題ですが、障害者等の非課税限度額が五十二年から八十万円のままで据え置かれておりますけれども、ことしは国際障害者年にも当たりますし、この限度額を引き上げる意思はおありかどうか、お伺いをしておきます。
#265
○政府委員(石原信雄君) 御案内のように、障害者につきましては、現在住民税独自の制度といたしまして、一般的に稼得力が低い、したがって担税力が乏しいと、こういうふうな考え方のもとに、現在年所得が八十万円以下の方々については非課税としておるわけでありますが、この年所得八十万円という金額は、これを収入金ベースに置きかえて見ますと百三十三万四千円になります。今回、新たに非課税限度額を設けようとしておりますが、この非課税限度額について、たとえば独身者の場合について申しますと七十七万円、それから夫婦の場合ですと百四万円というような水準になるわけですが、これと比べましても障害者の方々の非課税限度額は百三十三万四千円とかなりの水準になっている。こういうふうな考え方から、五十六年度の改正におきましてはこの八十万円の金額を据え置くことといたした次第でございます。
 しかしながら、今後の所得水準の状況あるいは障害者の方々の実態等をよく勘案しながら、将来の問題としては引き続き検討していかなきゃならないと、このように考えております。
#266
○伊藤郁男君 次に、不動産取得税ですね、県民税の問題に関連をいたしまして。五十五年七月一日以降につくった家につきましては、控除の申請書を六十日以内に届けなければならないと、こういうように規定をされているわけでありますが、しかし、この規定は現実には実情に合わないと、こう言われているわけです。そこで自治省もこの六十日間というのについては弾力的な運用を図るよう文書で通達をしておるわけでありますが、弾力的に対処せよという意味はどのようなことを意味するのかお伺いをしておきます。
#267
○政府委員(石原信雄君) 弾力的な取り扱いをするようにという指導の趣旨は、たとえば、六十日を一日でも経過したらもう受け付けないというようなことではなくて、六十日を過ぎても、このような制度ができたことを知らなかったとか、その他同情すべき事情があるという場合には、特例の対象として取り扱っていだきたいと、こういう趣旨で指導をしているところであります。
 このような弾力的な取り扱いをここ一両年やっていただきたいという指導をしております趣旨は、昨年の改正によりましてこの不動産取得税の新築住宅に係る特例控除の適用対象について一定の要件をつけることにした、これは中古住宅、既存住宅の取得について特例措置を適用をすることにしたこととの関連で、一定の要件をしぼることにしたこととの関連で申告を義務づけることにしたわけでありますが、このような新しい制度を導入したばかりである。そのためにこの制度の周知徹底をさらに図らなければいけないというようなこともありまして、ここ一両年は弾力的な取り扱いをしていただくように指導しているところであります。
 したがいまして、ここ一両年のこの取り扱いの実態を踏まえまして、この六十日という期限が非常に実情に合わないというような結論に到達するならば、それは当然再検討しなければいけないと思います。いずれにしても、もう少し実態をよく見きわめた上でこの期限の当否について検討していきたい、このように考えております。
#268
○伊藤郁男君 この六十日間というのは本当に余りにも短過ぎるわけですね。その理由は、いま核家族化が進んでおりましてどうしても共かせぎも多い。そのために留守家族も多い、こういうことが現実であるわけですね。したがって、これを調査するにしても相当の時間を要するわけです。そういう意味で、六十日間というのは余りにも短過ぎるから、せめて一年くらいに延長する考えはないかどうか、これをお伺いをしておきます。
#269
○政府委員(石原信雄君) 不動産取得税におきまして、一定の要件を満たすものについて特例控除を適用するということについて、六十日以内という期限を付したわけでありますが、この六十日以内という期限は他の不動産取得税あるいは国税の登録免許税、その他ほかの税制度においてとられております申告期限などとの均衡も考えながらこのように決めたわけでありますが、先ほど申し上げましたように、課税の第一線における実情をよく聞きまして、ここ一両年の間の実績を踏まえて、これが非常に実態に合わないということであればこの延長を検討してみたい。それが一年がいいのか半年がいいのか、あるいはもっと長いことが必要なのか、この辺はもう少し課税の第一線の実態をよく調べた上で検討してみたいと、このように考えております。
#270
○伊藤郁男君 ひとつそれは実情に合うように十分に検討をしていただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。
 時間がありませんので次に移りますが、テクノポリス構想というものに関連をいたしまして、これは通産省にお伺いをしておきますが、最初に、IC産業の将来見通しについて伺いたいと思います。
 日本におけるIC産業は、四十年度の半ばから急速な発展を遂げておることは御承知のところです。鉄が産業の米だと言われましたけれども、いまやICが産業の米だと、このように言われておりまして、日本における唯一の成長産業、大変な急速な成長を遂げておるわけでありますが、その現状と将来見通しについてどのように考えておりますか、お伺いをしておきます。
#271
○説明員(田中達雄君) 御説明申し上げます。
 先生御指摘のとおり、集積回路産業は日本で約十二、三年前から本格的な生産が開始されておりまして、現在も着実な成長を遂げてございます。最近時点の五年間をとってみましても、その間に金額ベースで約四・八倍の成長を遂げて、昨年一年間で約五千七百億円の生産額に達しております。このような成長を遂げた背景といたしましては、現在普及の著しい電子計算機の欠かせない重要な部品ということで、電子計算機産業の進展とともに、質的にも量的にも成長してきたわけでございますが、それに加えまして集積回路そのものは、これを使うことによりまして電子機器を非常に小型化、高性能化する、さらにはエネルギー消費を少なくするとか、従来の電子機器では果たせなかった機能を付与するというような、非常に多面的な効果がございますものですから、集積回路の使われる分野が非常に拡大してきてございます。当初の電子計算機のほかに、卓上式の電子計算機――電卓と呼んでおりますけれども、それから時計、カメラ、それから各種の家庭用電子機器、そのほか最近では自動車にまで入ってきておる、こういうような状況でございます。
 それで、今後の動向でございますけれども、いま申し上げましたような集積回路使用によってもたらされる効果というのは、今後、集積回路技術の進歩と価格の低廉化が期待されますので、ますます需要分野は拡大していくだろう。そして、これによりましてわが国産業の高度化というものが果たされ、進められていくだろうと。産業の米というお言葉が出てまいりましたけれども、まさにそのような位置づけで、今後とも新しい需要分野は着実に拡大しつつ発展していくものと考えております。
#272
○伊藤郁男君 いまお話のように、ICの利用というのは、電気を使うところはもうほとんどこれに関連をするということで、大変な規模のものだと思います。
 そこで、このIC産業というのは日本では大手が十一社、中小は五十社くらいあると言われておるわけでございまして、その大手もことしは設備投資にかなり意欲的な計画を持っておりまして、大手だけで二千億円の設備投資をしよう、こういう考えに立っているようであります。
 そこで、IC産業の日米比較ですね、いままではアメリカが相当のウエートを占めておったわけですが、昭和五十年にアメリカ側を一〇〇として日本が二八%程度であったものが、五十五年度には五一%にも達している、こういう急激な高度成長を遂げておるわけでありますが、これが将来ますますいまのように発展をしていくということになると、カラーテレビや自動車のようにやっぱり新しい日米摩擦の原因になるのではないか、そのおそれはないのか、この点をお伺いしておきます。
#273
○説明員(田中達雄君) 昭和四十二、三年ごろから日本では生産開始されたわけですけれども、その間現在までわが国とアメリカの半導体の貿易バランスは一貫してアメリカからの大幅な入超ということで来ておりました。たまたま一昨年の後半からアメリカで需要が非常に立ち上がった時期に、アメリカの生産能力が追いつかずに日本から大量にアメリカへ輸出されました。昨年、年間で見ますと、ほんのわずかでございますが、約二十八億円くらいアメリカとの間での日本側の出超ということになりました。その前年が二、三百億円の日本の入超でございますので、その限りで見ますと非常な逆転ということは言えるわけでございますけれども、月ベースで見ますと、それも昨年の十月から現在までまだ日本側の入超ということになってございます、
 それで、先ほどちょっと使用形態で御説明申し上げましたように、ICの使われ方というのが非常に多様でございまして、いろいろなタイプのICが実際には必要でございます。このすべてについて日本がアメリカを追い抜くということはとうていございませんで、現在も品種によってはアメリカの方がはるかに強い物がございますし、日本が得意とする物もあって、まあ輸出入ベースではバランスしているというのが実情でございます。
 ただ、一昨年の後半から昨年にかけまして、アメリカでは、日本からの輸入が相当ふえるということでかなり危惧の念を持って、いろいろとマスコミ等で対日批判のキャンペーンが行われたことは事実でございます、その幾つか挙げられておりますアメリカ側の論点といたしましては、たとえば日本の金融制度の問題でありますとか産業政策上の問題でありますとか、ずいぶん誤解に基づくものが多かったわけでございます。
 ただ、これも昨年一年間、日本側の業界、また外交ルートを通じてのいろいろな説明が功を奏しまして、現在では、そういう誤解に基づく批判というのはほぼ鎮静化しておりまして、アメリカでの現在の論点といいますのは、いかにしてアメリカ政府からアメリカの半導体工業に助成措置を引き出すかという方向にやや変わってきております。
 それから、一方、日米の半導体企業間の交流といたしましては、相互に資本進出をし合って、まあ非常にいい関係が築かれつつございますので、基調としては、先生御心配いただいたようなことはここしばらくはないのではないか、このように考えてございます。
#274
○伊藤郁男君 通産省は、このICを初めとする先端的な技術産業を中核とした新しい都市づくり、すなわちテクノポリス構想というものを提起をいたしまして、今年度は二千万円の調査費がついているわけですけれども、通産省がこのテクノポリス構想を提起した理由は何なのか、その点をお伺いします。
#275
○説明員(高橋達直君) 御説明申し上げます。
 御案内のとおりでございますけれども、五十二年に閣議決定されました第三次全国総合開発計画、あるいは近年の田園都市国家構想にも示されておりますように、わが国社会におきまして人口の地方定住の促進というものが非常に大きな課題になっておるわけでございまして、このためにはわが国社会に魅力ある都市をつくっていくということが非常に重要な課題であろうかと私ども考えておるわけでございまして、当省といたしましても、このような考え方に基づきまして、ただいま先生からお話のございましたように、今後の成長産業を中心にいたしました産業、学術、住居――産学住の一体となった都市づくりを、テクノポリス構想という愛称のもとに御提案申し上げた次第でございます。
#276
○伊藤郁男君 いまの理由は、ちょっと私は薄弱のような気がするわけです。地方の開発が主なのか。私は、このような高度成長を遂げているIC、すなわち産業の米と言われるIC産業、しかもこれは技術がまさに日進月歩で絶えずもう変化していくわけですね。だから、その先端技術をさらに日本の産業の中心として据えてそれを伸ばしていく、伸ばしていくために、産業とそれから研究機関と住というものを三者一体にして、そこに一つのモデル都市をつくって、そして波及効果をねらっていくのではないか、こういうように考えたわけですが、定住構想などと関連をして言われますとなかなかぴんとこない。その点どうでしょう。
#277
○説明員(高橋達直君) 確かにIC産業の面から見まするとただいま先生のお話のございましたような面がございますが、私どもといたしましては、今後の地域開発の方向といたしまして、そういった成長産業をいわば利用した形で地方に就業機会をつくる、この就業機会を通じて人口を地方に定住させるという考え方をとった次第でございます。
#278
○伊藤郁男君 いまのような考え方に基づくテクノポリス構想のようでありますけれども、自治省はこの構想についてどのように関与されておりますか。
#279
○政府委員(大嶋孝君) ただいま御説明のありましたようなテクノポリス構想の概要につきましては私ども承知をしておるところでございますけれども、現段階におきましては構想でございまして、この具体化につきましては今後の調査検討を待って進められるものだというふうに理解をしております。
 したがいまして、公式に自治省としてこの構想について現在関与をしておるというようなことでもございません。いずれこの構想が具体化するにつれてまいりまして地方行財政とどのようにかかわりを持ってくるかということは明らかになってくると思いますので、その際、必要に応じまして自治省としての立場を明らかにいたしたい、かように考えておるところでございます。
#280
○伊藤郁男君 先ほどの通産省当局の説明によりますと、やはりこれは自治省が最初からかんでいなければおかしなものだと思うんですよ。いまお話しのように、自治省はこれから必要があったら参画するというか、この問題についても関与をしていくという考え方のようですけれども、どうもその辺のところが依然としてぴんとこないわけです。
 そこで、テクノポリスの規模を五万人から六万人程度、すなわち五万人程度にしたい、こういうように構想はなっておるわけでありますけれども、その根拠は何でしょうか。
#281
○説明員(高橋達直君) 私ども、このテクノポリス構想につきましては、実は昨年産業構造審議会から答申のございました八〇年代の通商産業政策ビジョンの中で位置づけておるわけでございまして、そういう意味ではまだ通産省限りの構想でございまして、五十六年度の予算案におきましても、産業配置を中心とするテクノポリス構想を基本構想という形で調査をさしていただくことになっておるわけでございまして、いずれ各省にも御相談をしながら進めたいと思っておるわけでございます。
 お尋ねのテクノポリスの人口でございますけれども、ただいまこの構想につきましては、これまで学識経験者の委員会という形でいろいろ御討議、御検討をいただいているわけでございまして、その中で新都市の都市としてのまとまりという点から見まして、一応五万人をめどにしたらどうだという提案でございます。今後この構想をさらに具体化する過程におきまして、現実的な人口の定着の見通しであるとかあるいは都市論的な観点、そういったものを総合的に勘案いたしまして人口の規模を決めていきたい、したがいまして、現段階で五万人というのは一応のめどと御理解いただきたいと思うわけでございます。
#282
○伊藤郁男君 いまICメーカーが九州地方に集中的にあるということは御承知のところでありますが、このいま既存のICメーカーが集中している地域とこのテクノポリス構想で考えられている新しい都市との関連というものはどういうものか。もし構想がありましたらお伺いします。
#283
○説明員(高橋達直君) ただいまのお尋ねは、九州に現在いろいろIC工場が出ていることとテクノポリス構想との関連ということかと思うわけでございますけれども、この構想の中心に、技術先端的産業の導入というものを据えておりまして、その技術先端的産業の一つの大きな分野としましてIC集積回路産業を考えているわけでございます。御案内のとおり、九州に現在数多くのICの生産工場等が出ておりますけれども、今後テクノポリスを九州でやるかどうかにつきましては、今後の検討を待って調査対象に加える等の作業をしていくということで、今後の問題というふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
#284
○伊藤郁男君 この通産省が提起したテクノポリス構想というのは、この文章で見る限りでは非常に魅力的な都市づくりになっていることはこれはもう私が言うまでもありません。結論的には、先端技術を持った清潔な環境で、しかもその中には社交の潤いがある、精神的な安らぎも設けていくんだ、そういうしゃれた都市を、新しい都市をつくっていこうと。非常に魅力的であるわけでございます、それがゆえに、いま非常に誘致合戦が熾烈に展開をされている、このような状況ではないかと思うわけでございます。すでに三十五都市が名のりを上げているというように報ぜられているわけでありますが、五カ所を選定をして調査をするというのですが、五カ所の選定はいつごろになりますか。
#285
○説明員(高橋達直君) 先ほど申し上げましたように、五十六年度の予算案におきまして、基本構想調査費二千万円が計上されておるわけでございまして、その積算の根拠といたしまして、現地調査費が組まれているわけでございます。したがいまして、五十六年度予算がお認めいただけましたら早速にこの問題に取り組みまして、なるべく早い機会に地点を決定してまいりたい、かように考えております。
#286
○伊藤郁男君 五カ所の選定は五月ころだと私は聞いておるわけでありますが、このような誘致合戦が展開をされている、そういうようなことから考えまして、この選定に当たってはおのずから政治的要素の入らない客観的な選定基準、こういうものがつくられなければならないと思いますし、恐らく選定基準はすでにでき上がっておるのではないかと、こういうように思うわけでありますが、もしできておるとすればそれをお示しいただきたい。
#287
○説明員(高橋達直君) 選定に当たりまして、客観的な選定基準に従ってやらなければいけないというのは御指摘のとおりでございます。選定基準につきましては目下作業中でございまして、この四月にも基準ができるという段取りになろうかと思うわけでございます。
 ただいまの段階で基準の内容を御紹介申し上げますと、私どものテクノポリス構想は、既存の大きな都市、これを母なる都市ということで母都市と呼んでおりますけれども、母都市と新しくつくりますテクノポリス、新都市という二つから成っておりまして、選定基準につきましてはその母都市に関する基準とそれから新都市、テクノポリスに関する基準ということに相なろうかと思うわけでございまして、母都市につきましては、何といっても人口が定住していかなけりゃいけないということでございまして、都市の魅力というものを中心に考えてまいりたいと思っておりますので、天候であるとかあるいは利便であるとか、文化、教育等の都市機能というものを重視したい、それから飛行場その他の交通条件というものも重視をしたい、かように考えております。一方、新都市、テクノポリスの条件といたしましては、新しい都市を開発整備をしていくわけでございますから、現実の土地利用の可能性があるかどうか、あるいは工場あるいは研究所等の立地条件というものがどうなっているかというところが中心になろうかと思っております。
#288
○伊藤郁男君 田中通産大臣は、十一月二十三日函館に行きまして、その記者会見でこういうことを述べているわけですね。「早くから強い要望の出ている函館市は、都市規模など条件が合うので調査地の一つに選びたい」こう言っているわけですね。もう政治が優先をして動いているわけですよ。私はこういう問題は政治的要素が入るべきものではないと思う。九州になぜメーカーがいま集中をしているかというと、いろんな条件があるわけですね。やっぱりIC産業というのはきれいな水がたくさん要るわけですね。いい環境。本当にほこりというものを寄せつけない産業でありますから、そういういい環境がなきゃならぬ。現実的には九州に集中しているのは労働力が安いということもあるんですね。そんなことがあっていまは集中をしているわけですけれども。
 しかし、いずれにしても、五つの調査地を選んで、そして調査をした結果一つだけ最終的に選定をして、そしてそのようなテクノポリス構想を実現をしていこうという考えですね。こういう考え方に立つと、三十五が名乗り出ておって、そうして三十四がふるい落とされるということになるんですね。だから、より問題の出ないような客観的な基準というものをつくって、それによって選定をしていかなければならぬ、こういうように思いますし、政治力がかみ合うと将来に禍根を残すというように思います。
 それと同時に、私が言いましたように、IC産業の今日の展望からいきまして、やはりこれが将来の国の大きな産業の中核のような形になるとするならば、そういう意味で先端技術を伸ばしていくんだという国策としてこれが実行されていかなければならぬという意味もありまして、そういうような政治力で決めるような問題ではない、このように考えておりますが、どう思いますか。
#289
○説明員(高橋達直君) 御指摘のとおり、当省といたしましても、選定に当たりましては、選定基準の満足度というものを基本といたしまして選定を行っていく考えでございます。
#290
○伊藤郁男君 最後に。テクノポリスについてはかなりの資金が要ると言われております。いま現在で五千億円くらいはかかるだろうと、そういうように新聞報道がされているわけでありますけれども、この五千億円、いわゆるテクノポリス構想を実現するための費用の分担の問題ですけれども、一体国がどの程度見るのか、あるいは地方自治体に分担を一部させるのか、あるいは企業にも分担をさせるのか、そういうような構想がおありだったらお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
#291
○説明員(高橋達直君) この構想の費用負担の問題につきましては今後の検討課題でございますけれども、いずれにいたしましても、十分都市として経済性、採算性が合うような都市をつくっていかなければならないと、かように考えております。
#292
○委員長(亀長友義君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後六時十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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