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1980/04/28 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 地方行政委員会 第8号
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1980/04/28 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 地方行政委員会 第8号

#1
第094回国会 地方行政委員会 第8号
昭和五十六年四月二十八日(火曜日)
   午前十時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     川原新次郎君     石破 二朗君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     小山 一平君     松本 英一君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     松本 英一君     小山 一平君
     神谷信之助君     小笠原貞子君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     神谷信之助君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀長 友義君
    理 事
                金井 元彦君
                熊谷  弘君
                志苫  裕君
                伊藤 郁男君
    委 員
                岩上 二郎君
                加藤 武徳君
                後藤 正夫君
                名尾 良孝君
                原 文兵衛君
                福田 宏一君
                小谷  守君
                小山 一平君
                佐藤 三吾君
                和泉 照雄君
                大川 清幸君
                神谷信之助君
                美濃部亮吉君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    安孫子藤吉君
   政府委員
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       警察庁刑事局保
       安部長      谷口 守正君
       警察庁交通局長  池田 速雄君
       自治大臣官房審
       議官       矢野浩一郎君
       自治大臣官房審
       議官       金子 憲五君
       自治省行政局長  砂子田 隆君
       自治省行政局公
       務員部長     宮尾  盤君
       自治省財政局長  土屋 佳照君
       自治省税務局長  石原 信雄君
       消防庁長官    近藤 隆之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       総理府内閣総理
       大臣官房参事官  山田 晋作君
       行政管理庁行政
       監察局監察官   鈴木 昭雄君
       科学技術庁原子
       力安全局防災環
       境対策室長    穂波  穣君
       国土庁大都市圏
       整備局計画課長  安達 五郎君
       国土庁大都市圏
       整備局整備課長  平野 侃三君
       外務省アジア局
       北東アジア課長  小倉 和夫君
       外務省北米局安
       全保障課長    丹波  実君
       外務省条約局法
       規課長      野村 一成君
       文部省初等中等
       教育局高等学校
       教育課長     中島 章夫君
       文部省体育局学
       校保健課長    長谷川善一君
       厚生省環境衛生
       局水道環境部環
       境整備課長    杉戸 大作君
       運輸大臣官房地
       域計画課長    土坂 泰敏君
       運輸省鉄道監督
       局民営鉄道部財
       務課長      森谷 進伍君
       運輸省自動車局
       業務部長     大久保一男君
       運輸省自動車局
       整備部保安課長  神戸  勉君
       海上保安庁水路
       部海象課長    二谷 穎男君
       建設省計画局民
       間宅地指導室長  鹿島 尚武君
       建設省都市局都
       市再開発課長   平林 忠正君
       建設省都市局街
       路課長      松下 勝二君
       建設省都市局下
       水道部下水道企
       画課長      幸前 成隆君
       建設省住宅局住
       環境整備室長   中田  亨君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○地方行政の改革に関する調査
 (地方行財政、消防行政、警察行政等の基本施
 策に関する件)
 (昭和五十六年度の地方財政計画に関する件)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○連合審査会に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀長友義君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十七日、川原新次郎君が委員を辞任され、その補欠として石破二朗君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(亀長友義君) まず、理事の辞任についてお諮りいたします。
 今二十八日、理事加藤武徳君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか、
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に金井元彦君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(亀長友義君) 次に、地方行政の改革に関する調査のうち、地方行財政、消防行政、警察行政等の基本施策に関する件を議題といたします。
 これより、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○佐藤三吾君 時間がしぼられたようですから、若干早口の質問になると思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 まず、大臣にお尋ねしたいと思うんですが、地方自治法の改正が、自治省が提起をしましてもう二カ月近くになります。御承知のとおりに、国会もきょうを境に連休後はもうまさに会期末と、こういう情勢にございます。しかし、この改正の趣旨は、地方制度調査会の中で議論をして、ぜひ行政改革の前提としてこの際明確にすべきだということが自治省が決意した一番大きな内容になっていると思うのでありますが、とりわけ委任事務の監査権の行使の問題であるとか、また、むやみやたらに国が法令改正、新基準をつくっていくことに対して、地方六団体から強い要望であるチェックの、協議の規定であるとか、これらについては、私は、いまこそ政府が当然これにこたえていくべき内容だと思うんです、そういう意味で、この改正案が、新聞等の情報では、これはもうもくあみになるのじゃないかと、こういうようなうわさもしきりに流れております。
 先般、本会議でこの問題について志苫議員の、大臣の政治的生命をかけてやるのかやらぬのかという質問に対しては大臣は答えないまま降壇すると、こういうことでございました。ここでひとつはっきりこの問題についてどういう見解なのか、今国会ではもう断念するのか、それとも政治生命をかけてやるのか、まずその点を大臣から聞きたいと思います。
#8
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方自治法の改正のその後における経過は、御承知だと思いまするが、非常に難航いたしております。
 機関委任事務等については各省相当意見を持っておりまして、なかなか調整がとれない現在でございます。また、意見提出権の問題につきましても、やはり政府といたしまして、関係する筋は、この点についての相当意見を持っておるわけでございます。その他の諸点につきましても、政府部内において調整が難航しておるというのが現状でございます。
 ぜひ出すべきだと思いますけれども、その調整ができるかでき得ないか、最後の段階に入っているわけでございますが、この点は若干の時間の御猶予を願わなければならない、こう考えております。
#9
○佐藤三吾君 私も十五日に決算の締めくくりで総理にこの問題をただしたんですが、総理のお考え方を聞いていますと、まだ地方制度調査会の感覚なんですね。地方制度調査会から答申があったので部内で検討しますと、こういう感覚なんです。いままたあなたが、部内の調整で手間取っておるということで若干の猶予と言いますが、若干の猶予ということは、この国会でもう出さぬということですか。断念するわけですか。若干の猶予をする期間ももうないんじゃないですかという前提でどうするんだということを問うているわけです。
#10
○国務大臣(安孫子藤吉君) 大変難航しておることは事実でございます。
#11
○佐藤三吾君 答弁になってないじゃないですか。難航しておることは、事実は知っておるんです。だからどうするのかと聞いておるわけです。
#12
○国務大臣(安孫子藤吉君) 近いうちにその結論を出さなければならぬと考えております。
#13
○佐藤三吾君 どういう結論を出すのか、大臣の腹を聞いているわけだから、きちっとしてくださいよ。
#14
○国務大臣(安孫子藤吉君) 私としては、これは提案をいたしたいと考えておりますけれども、全般の調整ができなければ事実提案はむずかしいわけでございます。その辺の話し合いを最後の段階として詰めていきたいと、こう思っております。
#15
○佐藤三吾君 私は、そうじゃないかなという感じがしておるのです。それはなぜかというと、あなたのこの問題に対する決意がやっぱり内閣全体の中に通ってないですよ、正直言ってもし、これがまた今国会で断念をするというようなことになりますと、これは行政改革、第二臨調がどんな答申をしてもこれはへにもなりませんよ。言うならばなわ張りでしょうが。理屈はどこにあるんですか、通らない。そのようなことを解決できないがためにこんなに補助金が膨張したり、行政が膨張してきておるわけでしょう。このことが解決できぬで、第二臨調がどうだとか行政改革がどうなんて言ってみたって、私は意味がないと思うんです。それを一番主管する自治大臣がそういう弱腰でこの問題に対処するということでは私は納得できない。その点、大臣はこの処理に当たって、ひとつもっと決意をもって――何のために二年間も第十七次地方制度調査会で議論してきたのか。その十七次地方制度調査会、私も行ってみましたが、一番の議題がこれだったんですよ。それを簡単に、もう内部の調整、言うならなわ張りが解けないから、なわ張りが打ち破れぬからできませんと。こんなばかなことがありますか。この点ひとつ大臣の決意のある態度を私は強く望んでおきたいと思います。
 もう一つあります。中曽根長官が国と地方との問題を臨調の中で盛んに言っておる。その中で彼が言っているのを見ると、これは新聞情報ですけれども、国家公務員はこの十年間に一万人減った、しかし地方公務員は七十五万人ふえたと、こういうことを言っておる。私は調べてみた。ところが、調べてみると国家公務員は四十六年からこの十年間に八千八百十名ふえておる。約一万人ふえておる。それだけじゃなくて、代行的な機関である特殊法人は五万二百二十六名ふえておる、この十年間に。地方公務員はどうかと見ると、これは七十五万じゃなくて、五十万九千七百五十九名ふえておる。しかもその六割は、あなたが言っておるように、いわゆる警察であるとか消防であるとか、もしくは福祉関係であるとか、教員であるとか、こういう国の法令もしくは新基準によってふえざるを得ない職員です。まあうそも百遍言えば本当のように聞こえるという――ヒットラーじゃありませんが、こんなことが、だれが調べてもわかることを平気でうそを言っておる行管庁長官に対して、大臣としてどういう見解を持っておるのか。この問題についてあなたの発言が一つも閣議の中で出てない、おかしいじゃないかというようなこと。どういう見解ですか。
#16
○国務大臣(安孫子藤吉君) この地方の定員の問題については、これは行管庁長官も知っておるはずです。私も何回か会いましてよく話をしておるわけでございますから。実態は承知しておるはずでございます。したがいまして、そういう認識に立って今後問題が展開していくだろうと、こういうふうに思っておるところです。
#17
○佐藤三吾君 知っておってうそを言うというのはおかしいじゃないですか。いま中曽根さんが盛んに言いよるのは、この間もテレビ討論の中で言っているのは、国家公務員はこの十年間に一万人減った、地方公務員は七十五万人ふえた、そこが問題だと、こう言っているわけでしょう。知っておってうそをどんどん言っておるということ自体が問題じゃないですか。なぜそれなら自治大臣として、そんなうそを言うべきじゃない、事実はこうだということをきちっとさせないんですか。いかがですか。
#18
○国務大臣(安孫子藤吉君) お話の点は、恐らくテレビの放送の問題じゃないかと思うんですが……
#19
○佐藤三吾君 それだけじゃありませんよ。
#20
○国務大臣(安孫子藤吉君) そのほかの問題につきましても、それは長官としてはよく承知をしておるわけです、その実態というものは。しかし、その場の発言がどうであったかということについては、テレビの討論なんかにおいても、時間の関係もあったでしょうし、いろんなことであったのであって――しかし実際、総体の数としてはふえていることは事実です。だから、その内容というものの問題になるわけです。そこまで敷衍して説明するかしないかということでございまして、この点は十分承知をしておるはずです。
 またこの間、たとえば税調におきましてもこの問題が議論がありました。私からは、その際にはっきりその点は内容を分析して税調の諸君には申し上げておるわけでございます。機会をつかまえまして常にその点は自治省の立場、地方定員の問題については実態をはっきりさしておるつもりでございます。
#21
○佐藤三吾君 この問題はまた交付税の中で議論しますけれども、しかし大臣、さっきの地方自治法の改正の問題にしろこの問題にしろ、確かにあなたどこかでこうぼそぼそ言っているかもしれぬけれどもね、国民の中に聞こえるのは、中曽根長官のうそのラッパの方がよけい聞こえるんですよ。ですからそこら辺をひとつ私は、あなた自治大臣という立場に立つなら、そういったことについてはもっときちっと折り目は折り目として正していく、こういう態度をひとつぜひお願いしておきたいと思います。よろしいですか。
#22
○国務大臣(安孫子藤吉君) そういうことで私もやってまいるつもりです。
#23
○佐藤三吾君 次に、北海道の江別の問題についてちょっと聞いておきたいと思いますが、これは先般の委員会で私がこの問題を取り上げて、自治省の方も労使の問題として対処していただいたんですが、一応現地の報告を聞きますと、合意が成立して再建のスタートは切ったようです。問題は、現地でせっかくでき上がっておったのが準用再建をめぐって決裂をして、そして今度また合意ができ上がったわけですけれども、私は、やっぱり病院再建というのは、何といっても患者さんを抱えておるし、労使の合意が基本に貫いていかない限り再建はできないという立場を堅持しておりますが、この点について今後どういうふうに指導、対処されるのか、見解を伺っておきたいと思います。
#24
○政府委員(金子憲五君) ただいまお話がございましたように、三月十日で私ども江別病院の再建計画の承認をいたしましたが、その後話し合いを続けまして、三月の二十六日に職員組合と市当局との間で準用再建計画の中の労働条件に係る件については合意を目標に今後協議するという了解が成立したというふうに聞いております。私ども今後におきましても、前回申し上げましたとおり、病院の再建の効果的な実施のためにも、市当局が関係者と十分話し合いをし協力をして、円滑な再建ができるようにしてもらいたいと、そのような方向で指導してまいりたいと、そのように考えております、
#25
○佐藤三吾君 問題は、計画案が、どっちかといえば決裂状態の中で一方的に出された内容ですから、当然そういうことになりますと計画変更その他もまた労使の過程の中で出てくるかもしれません。そういった問題点についても含めていま言った態度で対処するという理解でよろしいですか。
#26
○政府委員(金子憲五君) そのような方向で臨んでまいりたいというふうに考えております。
#27
○佐藤三吾君 次に、長崎県交通の問題についてお尋ねします、
 この二月に私も県交通の実態を、現地に調査に入ったわけですが、いま長崎県交通は、御存じのとおりに、四十八年以来の自主再建が労使協議の中で進められて、県議会での答弁、報告を見ると、予期以上の成果を上げたと、こういう執行部側の答弁も出されておるようです。しかし、昨年から燃料費が上がったとか人件費が上がったとか、こういうような問題等から県議会の中で特別決議がされまして、それを受けて自主再建から準用再建と、こういう方向に作業が進められておるという実態の中で現地に私も入ったわけでございますが、内容を見ると、私は非常に奇異に感じた点も一つあるんです。
 どういう点かというと、一つは、やっぱり国鉄と同じように、不採算路線と称するものを二千七百キロほど削減、廃止する。それから事業所、営業所の統合、縮小、売却を行う。職員の整理、賃金の抑制、合理化を行う、こういう大筋言うと三つぐらいが柱になった内容なんです。中身を吟味すると、五十五年度の累績赤字の見込みが十五億九千七百万、こういう内容なんですね。ですから、それをどう解消して再建するのかというのではないんです、この個々の中身は。そうではなくて、六十二年までに、いま現在五十五年度の見込みが十五億九千七百万の赤字であるから、このままずっといけば六十二年には百七億八千五百万の赤字になる見込みだと、したがって百十億一千万ですかの再建計画と、こういう内容になっているわけですね。
 これはほかの都市の再建計画とは全然中身が違う。言うならば、常識で考えても、そういうこれからの、いま現在十五億あるなら、それをどう解消するか、そのためにこの事業運営をどう強化していくかとか、こういう方向じゃないんです。このままでいくとこうなるから、したがって、住民の不便はもう百も承知で削減する、合理化をすると、こういうふうな立て方になっておる。これはいま労使で交渉事項になっておりますから、かなりここら辺の問題が出てくるのじゃないかと思う。
 ここの県交通というのは、年間に輸送人員が約四千八十万という、まさに事実上県民の生活路線となっておる。国鉄は御存じのとおりローカル線廃止。県交通はまた二千七百キロ削減、廃止。こういうことになりますと、長崎県民にとっては大変な足の痛手を受ける内容なんですね。
 私は、こういった問題については、もっと公共性というか、公共交通の役割り、こういうものをやっぱり自覚をしていかなければいかぬと思うんです。そういう意味合いが、もうまるで責任放棄というようなかっこうになって、準用再建計画が立てられようとしておる感じを受けました。ここら辺に対して一体どういう見解を持ち、そして自治省として指導に当たろうとしておるのか。
 それから、準用再建に仮になった場合に、どういう財政援助というのを具体的に考えておるのか。恐らくそこら辺については、自治省にもうすでに相談が来ておると思うんです。六月議会の一つの焦点になろうとしておるわけですから。そこら辺についてまずお伺いしておきたいと思います。
#28
○政府委員(金子憲五君) 公営企業の再建につきましては、一つは過去に生じた不良債務をどのように解消していくかという問題がございますけれども、それより基本的な問題は、赤字を出す構造を変えるということがあろうかと思います。長崎県交通の場合に、年々十数億ずつの赤字を出していくような構造になっておりまして、ただいま御指摘がありました再建計画と申しますか、今後の再建をするに当たっての見通し、従来のような形で行った場合には百億を超えるような赤字が発生をすると、そういった赤字を発生させないようにするためにはどのような方法をとっていくかというのが再建内容の一つの眼目になっております。そのようなことで不良債務の解消のためには現在あります不良債務を計画的に減らしていく。そのためには一部の繰り入れをする。あるいは職員数を減らす、そのための退職手当について一般会計からの繰り入れ措置を講ずるということが一つと、あと、今後赤字を発生させないようにするために、たとえば路線の再編整理でありますとか、貸し切り部門の縮小でありますとか、あるいは仕事の委託、あるいはワンマン化といったような合理化措置を講ずるというようなことがもう一つの柱になっておるわけでございます。
 それから、次の御質問の、長崎県交通の公共性の点から、生活路線については維持をしていくべきではなかろうかということでございますが、生活上必要な路線につきましては、これはできる限り維持をしていくべきであるというふうに考えております。ただ、長崎県交通の場合に、赤字が急激に出てまいりました最大の原因は、ここ数年石油ショックの後におきまして乗客数が異常に減ってきたということがあろうかと思います、長崎県交通の特徴といたしまして、観光路線を非常に持っておる、観光客への依存度が高かったということがあろうかと思います。したがいまして、乗客数が減ったところにつきましては、それに対応して路線の縮小再編をやらざるを得ない。これに伴いまして営業所等につきましても廃止統合をやらざるを得ないということがあろうかと思います。当然路線の再編整理あるいは運行回数の減少等によりまして住民の方々の利便を損う点も全くないわけではないと思いますけれども、そういった点は最小にとどめつつやはり再建を通じて長崎県交通事業の維持を図るというのが長崎県の再建方針であるというふうに承知をしております。
 それから次に、自治省としての指導方針、特に財政援助の方法でございますが、まだ再建計画につきまして正式に協議を受けておりませんので最終的に申し上げるわけにはまいりませんが、いままでの交通事業の再建についての財政援助の方法、あるいは病院につきまして準用再建をやっているところがございますけれども、これらの財政援助の内容等を見比べながら今後対処してまいりたいというふうに考えております。
 なお、長崎県といたしましては、一般会計から交通事業への繰り出しといたしましては、不良債務の解消のための繰り入れ及び勧奨退職に伴う退職手当、それの一部について繰り入れ措置をするということを聞いております。私ども、財政援助措置を講ずる場合にもこういった点に着目してやるということにならざるを得ないというふうに考えております。
#29
○佐藤三吾君 具体的な相談がないので、自治省としての対応はこれから協議だということを聞きますが、しかし、県議会の中で、自主再建で予期以上の成果を上げておるという県当局の答弁が出ておるぐらいに行っておるのが、何で急に準用再建に変わってきたのか。これはやっぱり準用再建に変わるということは、自治省の方が、具体的に準用再建になるとこうしますよと、こういうことを言わなければ出てこないんじゃないかと思う。ですから、その中身はおおよそのめどというものを私は持っておるのであろうと思うんです。正式にこういうふうにということはまだなってないと思いますけれどもね。少なくとも、申し入れが出た段階ではそういうお話がやられておると思うので、そこら辺が明らかにできるならひとつこの際明らかにしてほしいということが一つ。
 それからもう一つは、内容を見ますと百十億という予想される赤字を前提に置いて県の繰り入れを二十五億繰り入れる、こういうことを基本に置いていますが、八〇%は企業内努力、こういう構想になっておるわけですね、この内容を見ると。私は、あなたがおっしゃったように、確かに観光面が石油ショック以後下がってきたので、油の値上げと同時に、観光に頼っておった、重点を置いておったこの県交通のあり方を是正するということについてはわからないでもない。しかし、いま出されておる内容を見ると、二千七百キロというのはほとんど生活路線ですよね。あなたは、ここは何とかして守らなきゃならぬと言うけれども、やっぱりそこに廃止、縮減の焦点を置いておる。そういうあり方が県の公共交通という立場からいって妥当なものなのかどうか私は非常に疑問があると思う。しかし、いま企業内努力ということになると、どうしてもそこにいかなきゃならぬというのが県交通当局の答弁なんですね。そこら辺は、私はやっぱりこの際国もしくは県という立場で少なくとも――あの長崎県というのは御承知のとおりに山あり谷あり非常に不便なところですよ、言うならば。そこら辺にせっかく伸びておる、また、それが地方のいわゆる住民の定着化のひとつの原因にもなっておる。そこまで根こそぎやってしまったら、これは私は過疎を一層促進して、地方に田園都市とかいろいろ言ってみたって、事実上それができない。足を取り上げてしまうことになると思う。そういう意味があるから私はこの際この問題についてお聞きしておるわけであって、ここら辺はやはりもっと県交通の役割り、公共性、そうして今後の地方自治の展望等を踏まえてきちっとした指導に当たるべきであると私は思うんですがいかがですか。
#30
○政府委員(金子憲五君) 長崎県内のバス交通でございますが、全国的に見まして、比較的にバス交通に対しての依存度は高いというふうに見ております。ただ、長崎県内におきましては、その他の民営のバス事業も非常に多く行われておりまして、路線等についても競合するものが多いというふうに見ております。もちろん長崎県交通だけが運行しているというところもございまして、そういったところが不採算路線であるということで直ちに廃止をされるということになりますと、やはり住民生活に対しての影響も少なくないものがあるということは当然であろうかと思いますが、やはり全体として乗客の状況、そういった実態を見ながら路線の再編整理は長崎県交通の再建のためにもやらざるを得ないことではなかろうかというふうに思います。ただ、どうしても維持をしなければならない、しかし、乗客数が異常に少ないというようなところにつきましては、そういった条件に当てはまるものにつきましては、生活路線維持のための補助制度等もございますので、そういったようなものを受けて、維持せざるを得ないものについては維持をする。全体として必要度が低いものについては、場合によっては廃止するものがあるかもしれませんが、全体の中でそういった点については対処をしてまいらざるを得ないのではなかろうかというふうに考えております。
 それから財政援助につきまして、全体で百億以上の赤字に対して二十五億の一般会計からの繰入金は少な過ぎるのではなかろうかということでございますが、百億からの赤字は、先ほど申し上げましたように、手をこまねいているとここ七、八年の間にそれだけの赤字が累積をしてしまうという数字でございます。当然、企業の構造と申しますが、体質を改善していくのはその企業の負担においてやるべきでございまして、また、そうでなければ体質というものは改善するものではございません。自己の努力でできるだけの体質改善措置を講じてもらう。ただいままでできた赤字、あるいは過員を抱えていることによりまして退職手当の負担が非常に重くなるというものにつきましては、その相当部分については一般会計で負担をするという長崎県当局の考えであるというふうに承知をしております。各数字の関係についてはそのようなことでございますので、一般会計からの繰出金、決して少ない額ではないというふうに私ども承知をしております。
#31
○佐藤三吾君 私は、ここはひとつ指導に当たって留意してほしいと思うのは、長崎県議会の議論を聞いてみましても、たとえば百条委員会の調査という、こういうものをこの問題で設置しておるわけですよ。普通あれは汚職とか、問題が起こったときに設置されるものを、この県交通の問題で百条委員会を設置して、そして、あなたも御存じだと思うけれども、あの結論の三つの点を見ると、もう赤字になるなら民営に移しちゃえと、こういうのが基本になっておる。いわゆる県の公共性というのはあの特別委員会の報告を見るとかけらもない。文句言うなら移しちゃえと、こういう方向なんですね。国鉄のローカル線の廃止の問題、これも大変問題なんですけれども、しかしこれは、国鉄の線路は通さぬけれども、そのかわりバスを通しまして足は確保しますという前提がついておる。ところが今度の場合は、このバスそのものをなくしちゃえと、こういうのが一つの県議会の動きでもある。それに押されたのが私は今度の自主再建から準用再建に変わった県の態度だと思うんですよ。そういう内容を含んでいることが一つと、県の方は、しかしその中でもぼくらの調査の中の答弁では、県の公共性なり、それから、だからこそ民間ではどうにもならぬ問題ですと、この生活路線については。私どもはそれを守っていかなければならぬという立場は言っておりました。ですから組合とも十分協議して、協議ができぬまま自治省に出すようなことはしませんと、こういう約束もしておりました。しかし、いま言ったように、一方では議会でそういう動きがあって、百条委員会をつくって、そしてその結論が三つの項目にまとめられてやられておる。そういう中でこの問題が動いておるという事実をきちっと認識した上で対処していかなければならぬと私は思うんですよ。
 ですからそういう意味合いで、この問題について、これは大臣に聞いておきたいと思うんですが、今後六月議会に向かって重要な問題が出てくると思いますが、いま金子審議官から答弁がありましたように、やはりこのどんなことがあっても生活路線はきちっと守るんだという立場、同時に、企業内努力の中で、これから六十二年に向けての努力ですから、やれば私はできないこともない問題だと思うんです。問題は、不良債務を早く県もしくは国の措置でたな上げ措置をとって、そうして再建できる態勢をつくってやる、こういう方向でいくのかどうなのか。同時にまた、これらの問題については、せっかく現地では労使協議のもとに進められておる状態にございますから、それを言うなれば促進するというか、一方的に打ち切ってやるようなことのないように、そういう立場で指導に当たっていくのかどうなのか、この点について大臣の見解を聞いておきたいと思います。
#32
○国務大臣(安孫子藤吉君) 生活路線の保持とか公共性の問題については、現地において十分論議されておるものだと私は考えております。そういうことが一つの公営企業の使命でもございまするから、これは十分認識して、その間において再建をどうしてやっていくかということで論議が尽くされておるものだと思うんです。それがまとまりましたならば、こちらといたしましては、その再建に対してできる限りの努力をしてまいりたいと、こういうふうに思っておるところです。
#33
○佐藤三吾君 ぜひひとつそこら辺は、そういう立場を堅持をしてやっていただきたいと思います。
 それから次に、五十六年度予算が決まったわけでありますが、都市交通の全体の今後五十六年度、五十七年度を展望してどう指導、助成をしていくのか、こういった問題について、もうそれぞれ各省ごとに議論が尽くされておると思いますが、何と言っても年間輸送が人員にして四十億、そうして旅客輸送の中ではバスが二五%、地下鉄が四八・九%、路面電車が二三・八%と持っておるこの都市交通全体に対して、どういうふうに指導、助成をしていこうとしておるのか、運輸、建設、自治の各省の考え方をまず聞いておきたいと思います。
#34
○説明員(土坂泰敏君) 運輸省の都市交通関係予算でございますが、鉄道の関係とバスの関係がございます。
 鉄道の関係は、輸送需要の増大ということに対応するための輸送力の整備ということでございまして、国鉄の改良、地下鉄、ニュータウン鉄道の建設、その他民鉄線の整備、こういったものに対する補助を行っておるわけでございます。
 それからバスにつきましては、サービスの改善、これによって利用の促進を図るという見地から、バスの乗り継ぎターミナル、都市の基幹バス、バス・ロケーション・システム、新住宅地バス、こういったものの運行に対する補助を行っておるところでございます。
 これらの五十六年度の予算は、全体で千二百十七億円になっておりまして、対前年度一二・八%ということでございます。都市交通、制約の多い都市におきます交通は、今後とも公共交通を中心にして整備をしていかなければいかぬというのが基本的な考え方でございまして、財政事情の厳しいところでございますが、その充実にさらに努めてまいりたいと、こう思っておるところでございます。
#35
○説明員(松下勝二君) お答え申し上げます。
 建設省におきましては、都市の基盤の整備を図り、都市交通の安全と円滑を確保するために、都市内の道路の整備を初め各種の施策を講じております。特に、都市におきます公共交通機関の重要性にかんがみまして、都市計画街路事業等におきまして、駅前広場等の整備あるいは連続立体交差事業、これは鉄道の高架化でございますが、バス路線に係る道路の整備等を進めておりますほか、さらに、道路交通の一環としての都市モノレールあるいは新交通システム、こういったものの建設も行っております。広範な公共交通機関の整備の推進に努めておるところでございます。
 個々の事業もいろいろございますが、連続立体交差事業につきましては、五十六年度七百三十五億、都市モノレール及び新交通システム等につきましては百三十九億、駅前広場百二十三億、その他あるわけでございます。
 以上でございます。
#36
○政府委員(金子憲五君) 自治省といたしましては、ただいま運輸省、建設省の方から御説明がありましたように、他省庁所管の補助等を合わせまして、都市におきましての公共交通の維持、促進を図るというのが一つの柱でございます。私どものサイドといたしましては、従来から行ってまいりました公営交通の企業の再建を行う、このための利子補給あるいは再建事業の経営基盤の強化を図るための車両更新の補助というものを引き続いてやってまいるということになっております。なお、地下鉄につきまして、さらに建設が続行されておりますけれども、これにつきまして必要な資金を確保するとともに、特例債についての利子の補給を行う。これを通じまして全体としての施設の整備とそれから経営基盤の強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
 なお、特に大都市におきましては経営状況が非常に悪くなっておりますが、今後の大都市交通の整備を図るためにも、大都市交通のあり方、これにつきまして五十六年度において研究を行ってまいりたいというふうに考えております。
   〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕
#37
○佐藤三吾君 一応各省から聞きましたが、ここは大臣にひとつお聞きしておきたいと思うんですが、今度国鉄再建法が通りまして、これから具体的な段階に入っていく。内容は、御承知のとおりに自治体にしわ寄せする部分が非常に大きい。ローカル線廃止の問題にしましても、それから第三セクターの問題にしましても、さらにまた今度は新幹線のあれが出てまいりましたですね、自民党の方から。こういったことに対して、自治省、自治大臣としてどういうふうに対処しようとしておるのか。私は、ああいう再建法でやってみても、結果的に国民が犠牲になるけれども再建はできないと思うんですよ、あの法律では。たとえば東海道線一つとってみても約一千億を超える赤字でしょう。ローカル線全部束にして見たところで七、八百億の赤字なんですね。これ新幹線が、上越新幹線と東北新幹線が走り出すと年間約四千億の赤字と言われている。こういう問題が何ら解決せぬで、こういう地方自治体にしわ寄せをするような形でやられてくるということに対して、一体大臣はどういうふうな見解を持っておるのか。
 同時に、私はやっぱり日本のいまの立地の条件から言ってみて、石油備蓄その他いろいろやっておりますが、しかし、やはり基本は省エネをどう徹底するか。資源のない日本として。そういう観点に立つなら、こんなに道路にあふれるようなマイカーの情勢というのは、公害問題だけじゃなくて、日本の将来を展望してもいいことじゃない。展望はないと私は思うんです。そうすれば、やっぱりバスであるとか国鉄であるとか公共機関というものをどううまく活用していくか、こういったことことが私は基本でなきゃならぬと思うんです。そういう省エネの時代展望というものを含めて、今後の交通行政のあり方の問題について、自治大臣としてどういう立場をとっておるのか、できればひとつきちっとしたところを聞かせていただきたいと思うんです。
#38
○国務大臣(安孫子藤吉君) その点は私も大体同感でございまして、今後のエネルギーの問題を考えますと、やはり大量輸送機関、これにやっぱり重点を置いていくべきであろうと、これがきわめて重要な課題だと思っております。それを促進するためにどういう方策を用いるべきかということについては、今後至急に検討をすべき問題だと私は認識をいたしております。
#39
○佐藤三吾君 ですから、たとえばマイカーを消化するためには道路建設が要りますね。この莫大な経費、敷地買収とかいろいろありますわね。こういうことを考えてみると、私はやっぱり、まあいまくしくも意見が一致しましたけれども、むしろこの大量輸送を基本に置いておる交通部門を充実強化さしていく施策というのが基本でなきゃならぬと思うんですよ。そういう中にもかかわらず、国鉄再建法とか、都市交通に対する国の施策というのを見ると、たとえば不採算路線は廃止であるとか、いわゆる交通環境の悪化に伴う問題についてはどうにもしようがないから、その部分については今度はむしろ削減していくと、こういう逆な方向にいま施策が行っているような私は感じがしてならぬのですね。そこに今日の交通問題があるような気がしてなりません。ここら辺を打開していく方策というのが全然出ていない、たとえばノーカー運動を徹底させるとか、車両についての総量規制をきちっとさせるとか、専用レーンをさらに強化するとかね。専用レーンの問題について強化しますと言うけれども、この三年間千六百キロ以上全然ふえていませんね――これはどこですか、建設省ですか、運輸省ですか。全然ふえていない。こういった問題がやられてない。環境改善のためにこの際ひとつ総量規制も含めて特別立法でもやると、こういうような方向もとっていない。ここら辺については一体どういう措置を――せっかく大臣がそこまで言うんだから、やるならそれに伴った具体的な措置はどういう考えを持っているのか、この辺についてもお聞きしておきたいと思います。
#40
○国務大臣(安孫子藤吉君) 先ほどお尋ねがありましたが、ローカル線の問題にいたしましても、国鉄の赤字の問題から考えますればこれはわずかな部分でございまして、これについてひとつ手をつけよということもわからぬわけではありませんが、実際から申しますと、ローカル線に乗らないという事実もあるわけですね。ほとんど利用されていない、マイカーの普及によりまして。それからまた、回数の問題もあるでしょう。そういうことで乗らぬという事実もある。この辺を一体どういうふうに考えるべきかということも、これは大衆の感覚の問題もありますし、近代社会における大衆の生活態度の問題もありますから、一つの政策だけで解決することのできない、そうした非常にむずかしい問題を私は抱えていると思うんです。したがいまして、いまお話のございましたとおりに、大量輸送手段によるべきだという場合に、一体どういう施策が適切であるかということについては、なかなかむずかしい問題があるだろうと思うんです。
 要するに、国民がそうしたことを認識をいたしまして、そうした大量輸送機関を利用するという感覚になればよほど問題は楽になると思いますけれども、必ずしもそういう状態ではない。また、地方におきましても、新幹線、あるいは高速自動車道、これをどうしても自分たちの地域の発展のためには欲しいと、こういうことですね。そうすると、これに対しても要望にこたえていく必要がある。そこにエネルギーの問題と関連をいたしますれば、あるいは財源の問題と関係いたしますれば、なかなか調整するのに困難な面もあるわけでございます。要するに、総合交通行政というものが確立をするということがこの際必要であるし、また、それを推進するための一つの運動展開も私は必要だろうと思うんです、単なる政策だけでこれは解決する問題じゃなくて、国民の意識の改造という問題だって私はあるだろうと思うんです。そうしたことを総合的に推進をすることによってこの問題を打開する必要があるだろうと考えております。
 抽象的でありますが、お答えといたします。
#41
○佐藤三吾君 私も、そういう意味では同感ですがね。それならそれとして、やっぱり主管大臣として、いま地方自治を預かっている者として、もっとやっぱり積極的に対応策を出して、そして内閣全体をリードしていく姿勢が必要じゃないか。これだけのいわゆる交通混乱の中で、総合交通体制というのがまだできていない、ここにも私は問題があると思っている。だから、そこら辺はひとつぜひそういう立場を堅持しながら早急に手を打っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 そこで、いま、五十四年度の決算を見て一番深刻なのは、一つは、地方におけるローカル線の問題もありますけれども、大都市の都市交通というのが非常に深刻な状況にございます。そのために大都市公営交通問題研究会というのが今回つくられることになったと思うんですけれども、この具体的な構成、討議課題、期間、運営をどういうふうにやろうとしておるのか。私が聞きますところによりますと、二年間ぐらいの日程でやるということのようであります。
   〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕
しかし、いま大臣からも答弁いただきましたように、私は、事は緊急を要する問題でもあると思うんですね。そういう問題から見ると、仮に二年間でやった場合に、たとえばいま一方で臨時行政調査会がやっておりますように、この七月の五十七年度予算編成の前までには中間答申をしてでも、緊急対策、こういうものを講ずべきであると私は思うのでありますけれども、ここらについては一体どういう見解なんですか。
#42
○政府委員(金子憲五君) 大都市公営交通問題研究会でございますけれども、その目的といたしますところは、大都市における公共交通のあり方と公営交通事業の役割り、それから、大都市においての公営交通事業の維持整備あるいは経営基盤の強化策、それから大都市公共交通においての運輸調整のあり方、こういったようなものを問題としてまいりたいというふうに考えております。
 なお、御検討を願う構成メンバーとしましては、各省の行政を経験された方、あるいは大学において交通関係、交通経済あるいは交通工学等を専門としておられる学識経験者の方、これらの方々で構成をしてまいりたいというふうに考えております。
 なお、期間につきましては、本年五月ごろから始めまして、できれば来年の三月まで、場合によっては若干延びることがあるかもしれませんけれども、五十八年度の予算要求には間に合わせるようなタイミングで検討をしていただきたいと、このように考えております。
#43
○佐藤三吾君 いや、そういうことを若干聞きましたから私は言っておるのですが、言うならば、五十七年度については吹っ飛ばすというような感じがするんですがね。私は、やっぱり大都市問題というのはそう余裕のある状態じゃないと思うんですよ。ですから、緊急に処理すべき事項としては中間答申をまとめて、今年の七月なら七月に臨調がやろうとしているように、そういう手当てをすべきじゃないか。こういう点は一体どうなのか。
 また、さっき聞きますと、いわゆる各省庁のOBと学識経験者ということだけれども、当事者の意見はどういうふうに生かそうとしておるのか。この点はいかがですか。
#44
○政府委員(金子憲五君) ただいま申し上げました、研究会におきましての研究テーマが、各省庁の所管にわたりましてきわめて複雑な内容になっております。また、それがゆえに、いままでこういった問題につきまして各省庁なかなか手をつけることができなかったということがあろうかと思いますが、いまから五十七年度の予算要求までに間に合わせる、あるいは中間的な答申を得てでも部分的に手をつけるというのには余りにも課題が大き過ぎるのではなかろうかというふうに考えております。
 なお、もう一つの問題といたしまして、現在私ども抱えております大都市交通事業に対しての各種の財政制度、これが五十七年度まで継続されるということになっております。したがいまして、五十八年度の予算要求を目指してやるというのが、そういった制度との絡みから言ってもタイミング的にいいのではなかろうか。それからもう一つは、大都市の公営交通事業、現在経営の健全化のためにいろいろ努力をしておりますけれども、まだ端緒についたばかりでございます。五十六年度予算で関係の各省庁、いろいろ新規の予算についても実現をしてもらいましたけれども、こういったものの実行状況も見ながらやる必要もあると、こういったようなことで、五十八年度の予算要求を一応のめどといたしまして、それまでに結論を出すという方がより適当なのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
 なお、メンバーにつきまして、学識経験者だけということにさせていただきましたけれども、もちろん現場において直接交通事業の衝に当たっております交通事業を経営する地方公共団体、あるいはそれに従事しておる職員の方々の意見を十分に反映させることはもちろん必要なことだと思います。そういった方々の意見が当研究会に反映されるように、その運営につきましては十分考え、そのように取り計らってまいりたいというふうに考えております。
#45
○佐藤三吾君 まあ大都市について、お聞きしますと、五十六年度で端緒についたような状況で、五十七年度はさしあたって云々と、したがって五十八年をめどというお話のようでございますが、私はやっぱりそんな悠長なものじゃないというふうに思います。ですから、これらについては、これは大都市こそが、たとえば交通関係を一つとってみても緊急に解決しなけりゃならぬものがたくさんございます。そこら辺の問題を含めて、これはもう一遍ひとつ審議の中で、五十七年度に間に合わせなけりゃならぬようなものが当然出てくると思うので、そういった問題については中間答申でやると、こういう方向もあわせてひとつ検討をしておいてもらいたいと思うんです。よろしいですか。――そういうことを要請しておきたいと思います。
 そこで、二、三細かい問題でちょっと各省に聞いておきたいと思いますが、再建バス更新補助の中で、石破大臣は、私の質問に対して、大都市が含まれていないのは私も不合理と思うと、早急に五十六年度からこれらについては検討をしてみたい、こういう答弁を先般の委員会でいただいております。これが今回含まれていないのは一体どういうことなのか。同時に、五十七年度についてはどういう考え方なのか。これが第一点。
 それから、地下鉄改良工事が今度八千四百万計上された。これは形だけできたというような感じがしてならぬわけです、地下鉄に八千四百万、一体何に使うのかと建設省に聞いてみたところが、にやにや笑って答弁ができない、こういう始末ですから、これでは私はどうもならない。さらに大阪、東京、名古屋、こういうところについても、改良工事の条件ができておるところがございますから、こういったところについてどういうふうに考えておるのか。
 それから、基幹バス補助が計上されたことについては評価するわけですが、五十七年度に向けてどういうふうな考え方を持っておるのか。
 それから、バス路線総合整備モデル事業、これは五十六年度どうなっておるのか。
 それから、路面電車が最近見直しをされてきておりますけれども、事実上これらに対する整備であるとか更新であるとか、こういった問題については、財政的な措置というのが非常におくれておるような感じがしてならぬ。ここら辺に対して、企業債を含めてどういう措置をとろうとしておるのか。
 こういった点について、各省の関係者からひとつお答えをいただきたいと思います。
#46
○政府委員(金子憲五君) バス事業と路面電車の件についてお答え申し上げます。
 バスの車両更新につきまして、さきに石破大臣から検討をするという旨の答弁がございましたが、その後検討をいたしましたが、バス事業につきましては、車両の更新の負担は本来その事業の負担として、したがいまして、その事業の収入をもって賄うというのが筋でございます。四十八年以降、バス事業につきまして車両更新のための補助を出してまいりましたのは、再建を促進をするという意味のほかに、再建団体につきまして車両更新の補助をすることによってその経営基盤の健全化を図るというような趣旨があったわけでございます。五十三年度以降、大都市を除きまして中小都市だけに限りましたのは、特に中小都市におきましてはこの車両更新補助の効果が著しい。大都市におきましては他にいろいろと問題があるために、大都市を一応除外せざるを得なかったということでございます。この辺の経緯につきましては前回申し上げましたけれども、その後いろいろ検討いたしましたけれども、こういった考え方を五十六年度においてはやはり踏襲せざるを得ないのではなかろうか。今後におきまして、五十七年まで現在の中小都市に対しての補助制度は続きますけれども、大都市におきましての車両更新等の問題につきましては、研究会の答申の結果を見て全体としてどのような財政制度で臨んだらいいか、それを考えてまいりたいというふうに思っております。
 それから、路面電車につきましては、ただいま御指摘がございましたように、若干の都市におきまして業績が回復をしてきているところもございます。ただ、いずれも非常に努力をして、たとえば維持修繕等の経費につきましては、可能な限り削減と申しますか、最小限度にとどめて運営をする、あるいは運転士等につきましてもその経費を最小限度にとどめるといったような努力でやっております。全体として申しますと、路面電車はバスに比べましても非常に赤字を発生する要素が強いということで、一般的には路面電車は必ずしも推奨できませんけれども、その土地土地におきましては路面電車がきわめて有効に働き得るところもあるということがございますので、個々の団体の事情を聞きながら、たとえば軌道の維持修繕あるいは車両の更新等につきまして所要の措置を講じてまいりたいと、このように考えております。
#47
○説明員(大久保一男君) 基幹バスについてお答えいたします。
 先生御承知のように、基幹バスは高水準のバス輸送サービスを提供することによりまして、都市における公共輸送機関としてのバスの利用を促進し、都市内交通の混雑緩和等都市交通の円滑化を推進するということ、また、省エネルギー、低公害型の効率的な交通体系を形成していくことを目的としたものであります。昭和五十六年度予算におきまして初めて認められたわけでございますが、その内容といたしましては、名古屋市におきまして一路線をモデルとして整備するための助成措置といたしまして一億三千八百方円が計上されております。具体的には、名古屋市内のバス路線のうちで都市交通体系の骨格を形成するようなバス路線につきまして、バス専用レーンを設置いたしまして、低床、広ドア、冷房つきの車両と、屋根つき、あんどんポールつきの停留所施設の整備に要する費用の二分の一を補助するということにいたしております。
 今後の方針でございますが、五十六年度に名古屋市で行われるモデル事業の効果等を十分検討をしながら対処していきたいというふうに考えております。
#48
○説明員(森谷進伍君) 地下鉄の改良補助についてお答え申し上げます。
 五十六年度より、ただいま御指摘ございましたように、地下鉄の改良工事のうちで輸送力増強を目的として行います大規模な改良工事について新線建設の場合に準じた補助を行うこととしたわけでございまして、そのための所要額として八千四百万円を計上しておるところでございます。この対象としております工事は、具体的に申し上げますと、大阪市営地下鉄の一号線でございまして、これにつきましては五十五年度から六十年度までの間に改良工事が行われるわけでございます。五十六年度で計上しておりますのは、この改良工事費のうち五十五年度に行われる三十三億を対象としたものでございます。
#49
○説明員(松下勝二君) バス路線の総合整備モデル事業につきましてお答え申し上げます。
 建設省といたしましては、従来から、バスのすれ違い困難区間とかあるいは渋滞区間を中心として道路の整備を鋭意進めておるところでございますが、昭和五十五年度からこれに加えましてバス路線の再編成あるいはバス専用レーンの設置等従来交通管理の面から行われてきました諸施策と十分調整をとりながら、バス路線に係ります道路網の整備を総合的に行うバス路線総合整備モデル事業を重点的に推進しておるわけでございます。
 この事業の実施に当たりましては、当面、一部のモデル都市を選定いたしまして、それぞれ道路管理者あるいは交通警察、陸運局、バス事業者等によります協議会を設置いたしまして、十分な調整をとりながら整備方針を定め、これによって推進しておるわけでございます。
 都市計画の街路事業につきまして、バスの円滑な運行に必要な現道の拡幅とかバス停車所あるいは駅前広場といったような乗り継ぎ施設の整備もあわせて行っておるところでございます。
 昭和五十六年度におきましては、対象都市を五十五年度の八都市から新たに四都市を加えまして十二都市といたしておりますが、事業費は百八十一億、これは五十五年度と比べますと約三割増しになっておりますが、そういったことで事業を実施する予定にいたしております。
 なお、今後につきましては、これらの結果を踏まえましてなお積極的に推進してまいりたいというふうに考えております。
#50
○佐藤三吾君 いま一応聞きましたが、時間がございませんのでこれ以上この問題の追及はできませんが、大臣、これは一つは、石破大臣と私とやりとりをやったときに、都市バスの更新補助の問題については、まあ事務当局はこう言っておるけれども、しかし、お説を聞けばもっともだと。したがって私としては、五十六年度においては十分検討していきたいと、こういう答弁があった。いま聞いていますと、五十六年度はもうオシャカになって、五十七年度についても、きょうの金子審議官の答弁では、大体まだ芽も出てないような答弁をいたしましたね。一体大臣というものはそんなに軽いものですかね。大臣というものは、一遍こうやったらきちっと責任ある措置をとるのが大臣の国会に対する責務じゃないですか。この問題について、いま幾つかございましたけれども、大臣としてどういう対処をしようとするのか、もう一度ここを聞いておきたいということが一つ。
 それからもう一つは、今度の行革の中で、いわゆる補助金が対象になっていますね。その中で、私もやはり国家予算の三分の一が補助金というありようは、これは正すべきだ、そしてむしろ、正すということは何かと言えば、先ほどの地方自治法の改正案じゃありませんが、むしろ地方のやっておることについては地方に任せる。そういった権限と財政を含めて地方に移譲をしていくという姿勢をやはり基本に置いたこの補助金の整理というあり方が必要じゃないかと思っておるわけです。ただ、この補助金の中身を見ますと、いわゆる予算補助というのが都市交通にはかなり多いんですね。したがって、ここら辺がやはり一つの対象になると思うんですけれども、こういった問題について、私はもっとやっぱり都市交通の意義、あり方、こういったものを含めて自治大臣として積極的な姿勢が必要じゃないかと、こういうふうに思うんですが、そういったことについてあわせて見解を承っておきたいと思います。
#51
○国務大臣(安孫子藤吉君) 一つは石破さんの答弁のことでございまするが、これは十分検討をいたしましょうという答弁になっていると思うんですね。それで、それは十分検討したけれども、なかなか全般の事情からそういうわけにもいかなかったということは、いま責任者から答弁があったとおりでございまして、これは誠意を尽くしたものだろうと私は思っております。
 それで、来年度一体どうするんだと、こういうお尋ねでございますが、私は、来年度のことを考えますとなかなかこの問題はむずかしいのじゃないかと、こう思っております。私も十分検討はいたしておりませんが、これは今後の検討を踏まえて措置をするつもりでございまするけれども、そういう予断を申し上げることははなはだ困難でございまして適当じゃないと思いますけれども、こうした補助金については来年度というものはそう簡単なものじゃないということだけは、私の感じといたしまして申し上げておくわけでございます。
 それから、補助金について、相当地方に任じたらいいじゃないかというようなお尋ねの点だったと思いますが、補助金にも御承知のとおりにいろんな種類がございまして、やはり全部任していいやつだってある程度あります。しかしながら、やっぱり国において全体的な立場からこれを促進しなくちゃならぬというような性格のものについては、やはり任し切れないものだってあるわけでございます。この辺はよく御承知のことだと思います。その振り分けをいたしまして措置をするということが大変大切じゃないか。
 そして、一言つけ加えまするならば、補助金は整理したけれども地方といたしましてどうしても支出をしなくちゃならぬという問題だってあるわけでございます。そういたしますと、それが今度は地方の歳出増につながっていく。中央では切ったけれども地方はそうもいかぬというような事情だってないわけではございません。そういたしますと、国は切ったけれども地方がそれを肩がわりをするというような事態だってあり得ると私は思うんです。その辺を十分に精査をいたしまして処置をしないと、大変地方としては困る事態になるのじゃないかという点を留意をいたしておるところでございます。
#52
○佐藤三吾君 時間があればもっとこの問題で議論をしたいのですが、時間がございませんので、まあ大変厳しい状況にあることはわかりますが、しかし、やはり同時に都市交通の重要性というものも十分理解しておることですから、そういう点でひとつ対処してほしいということだけ申し上げておきたいと思います。
 そこで、最後になりますが、時間がございませんので、きょうは、財政問題とかというのについてはこれは交付税の審議の中でしたいと思いますので、一つだけ聞いておきたいと思うのは、二十四日に下水道整備五カ年計画が通りましたですね、法案が。この問題で私は質問をしたかったわけですが、なかなか時間がなくてそれができなかったんです。それで、この下水道整備緊急措置法というものの中身を見ますと、大変地方自治体にとって問題がある。どういう点かといいますと、第一に、計画は非常にずさんである、それでそのしわ寄せが全部自治体に来ておる。こういう内容なんです。
 現在、普及率は人口の三〇%で、七六年から始めて、第四次の整備計画を見ますと、これはことしまでですが、八五年までに普及率を九〇%を設定しておるわけです。ところが、七九年にこれを九〇年に延長しておる。そして、今度のこの実態を見ますと、四次の場合、七兆一千億の金を投資をして、そうして計画では二二・八%から四〇%にするんだと。すなわち一七・二%推進するんだと、こういう計画だったんです。ところがふたをあけてみますと、金の方は確かに九七%の六兆八千六百七十三億円使っておるわけですね。ところが、実際はどうなのかというと、四〇%が二九・六%に落ち込んでいる、結果から言いますと。伸びの面を見ると、一七・二%が六・八%しか伸びていない。それを五年間でさらに推進するというのが今度の計画なんです。この計画の内容を見ますと、五年間で四六%達成するという計画になっている。いままでこの五年間でそういう実施率であったのにかかわらず、果たしてこれができるのかと、こういう疑問を持たなきゃならぬ。そのために十一兆八千億という金を投資をする計画になっておりますけれども、きわめてここにずさんな面が一つある。
 それから、流域下水道をその中心に据えてやっておるわけですが、その流域下水道の実態を見ますと、これはもう皆さん御存じのとおりに、大変金がかかる。公共下水道と比べますと、単独公共下水道の場合に一人当たり二十四万が流域の場合は四十七万かかる、こういうことは数字で明らかになっておるわけです。しかも、年数が十五年から二十年という長期にわたるのが実態で、現に大阪の寝屋川の場合には十六年かかってまだできていない。こういう実態になっています。その間に起債の利子が雪だるまにふえて、完成していないので料金は取れない。そこで大変な問題を各面に起こしておるわけです。自治省が調査した昨年の利用状況を見ましても、公共下水道は、単独公共下水道の場合七三・八%、単独と流域併用の場合六九・二%というのに対して、それだけ金をかけ時間をかけた流域下水道の場合には三四・二%しか利用率がない。こういうふうな数字も出ております。こういうところに国の方は盛んに高率補助で誘導政策をやっておるというのがこの計画の基本でないかと思うので、ここら辺について一体どういう考え方を持っておるのか、自治体の側から見てこれでいいのか。こういう点が一つです。
 それからもう一つは、寝屋川の下水道の鴻池処理場を見ますと、計画面では一日最大二十三・六トン処理と、こういう計画になっておる。そして七九年三月の時点では、三六%、トン数で言いますと八・五トンが計画なんですね。ところが、同時点で流入の状況を見ますと、もう計画をオーバーして十・五トンの汚水が流入しておる。したがって、計画では、完成した暁は五十九万人が計画でありますけれども、しかしいまの見通しでいきますと、六割、三十五万人が精いっぱいという鴻池の処理場の現状なんですね、こういった点からまた計画の変更をいま迫られておるわけです。
 また、大阪の川俣処理場を見ますと、七九年三月末で計画の二・三倍の汚水が流れ込んで、計画は完成しても四四%しか処理ができない、こういった問題が指摘されております。こういうような計画と、それと、計画がずさんであるために一方では流入が計画よりもぐっと下がったり、一方ではオーバーしたり、こういう現象が起こっておるわけです。それらが全部いわゆる住民の方にはね返ってきておる。
 はね返った例を見ますと、たとえば富山県の福光町、愛知県の三好町、名古屋市、豊田市、滋賀県の湖東町、愛東町ですか、こういったところで事例が出ておりますが、ここら辺では、もう流域下水道について離脱現象が起こっておる。しかし、一遍計画したらなかなか離脱さしてくれない。負担金は取られる、離脱はしたい。そこで、その結果富山県の福光町などは、やむを得ず流域下水道の負担金を納めながら別の処理場をつくるというような、こういう申請もしておる。こういうような事例に対して、一体自治省としてどう対処しようとしておるのか。
 同時に、きょうは建設省も来ておると思いますが、こういった計画をこれ以上進めていくのかどうか。そういった問題についてお聞きしておきたいというふうに思います。
#53
○政府委員(金子憲五君) 下水道の整備を促進をする、それから普及率を高めていくというのは、現在、一つの大きな課題であるというふうに思っております。したがいまして、私どもといたしましては、下水道の建設整備に必要な資金上の手当てその他について、できる限りの努力をしておるわけですが、一方におきまして、普及率が高まるにつれまして地方公共団体の財政負担が大きくなりつつあることも事実であります。したがいまして、できるだけその負担を過大なものにしないように、一つには適正な計画をつくってもらうこと、もう一つにおきましては、その計画の実行、建設整備におきまして十分な配慮を払ってバランスのとれた建設整備をしていってもらうこと、そういったようなことが必要であるというふうに考えております。
 私どもの方といたしましては、資金上の手当て及びでき上がった後におきましての維持管理、あるいは経理あるいは経費負担区分の適正化等を通じまして、できるだけ地方団体におきまして下水道事業の運営が効率的に行われるように努めていきたいというふうに考えておりますが、なお、建設整備の方につきましては、そういったようなことを強く希望しておる次第でございます。
#54
○佐藤三吾君 建設省は。
#55
○説明員(幸前成隆君) 先生からいろいろの点について御指摘いただきましたが、先生御指摘のように、第四次下水道整備五カ年計画は私ども昭和五十一年度からやってまいりまして、先生御指摘のように、普及率四〇%を目標にしておりましたけれども、五十五年度末三〇%の見込みでございます。これにはいろいろの原因がございます。私どもといたしましては、その原因を五次の五カ年計画におきまして踏まえまして、計画的、効率的に事業の執行に当たってまいりたいと考えております。
 それから、先生御指摘の五次五カ年計画でございますが、私どもといたしましては、昭和六十年度までに総投資額十一兆八千億円をもちまして普及率四四%に高めたいと、こういう計画で考えております。
 それから、流域下水道につきましていろいろの御批判いただきました。私ども、下水道の整備に当たりましては、基本的には生活環境の整備、それから広域的な観点に立ちましての公共用水域の水質保全という目的を効果的に達成するために、それぞれの地域におきます自然的条件あるいは土地利用、水利用等の社会的条件、それから下水の放流先の状況、それから下水道の整備に関する費用等を総合的に勘案いたしまして、整備方式、施設配置等を定めておるところでございます、流域下水道を実施いたしますに当たりましては、このようなことを総合的に検討をいたしまして、その結果、個々の単独公共下水道を整備いたしますよりも、流域を一体として広域的に下水道整備を行う方が効果的であると判断されます場合実施しておるところでございます。流域下水道であるからむだが多いということは、私どもとしてはないと考えておるところでございます。
 ただ、流域下水道はこれに接続いたします公共下水道と一体として機能するものでございますので、その整備に当たりましては、今後とも公共下水道の整備との整合を図りつつ建設を図ってまいりたいと考えております、
#56
○佐藤三吾君 私は事例をいろいろ持っておるわけです、こういうふうにね。自治体がこの問題で大体困っておるわけです。これは大臣にもひとつきょう答弁をもらおうと思っておったのですが、時間がございませんが、いまの答弁は納得できません。これは次の機会に追及したいと思いますので、きょうはこれで質問を終わります。
#57
○和泉照雄君 私は、先般四月九日の午前十時三十分、鹿児島県の下甑島の西南西三十七海里の地点で、貨物船日昇丸が米原潜のジョージ・ワシントン号に衝突をして浸水、沈没した、この事故が発生したわけでございますが、この海域は、御承知のとおり鹿児島県下では有数の好漁場でございまして、特に甑島の九漁協にとっては絶好の漁場でございます。この漁場を米ソ原潜が活発に運航しているということが今回の事故、あるいはまた昨年の火災事故によって明らかになったわけでございます。したがって、今後は再発防止ということを図ることは当然でございますけれども、事故の絶滅を図り得ない、また事故が起こるおそれもあるという観点から、そのときの措置として、放射漏れが起こった場合どのように対処していくのか。第二点目は、人命救助について今回はいろいろと意見の相違があったようでございますが、この食い違いをどのように解決をするのか。三点目は、補償の問題。こういう問題について若干質問をいたしてまいりたいと思います。
 そこで、外務省にまずお尋ねをいたしますが、日昇丸と原潜はどうして衝突をしたのか。この予想せざる事故についてどのように考えておるのか。また、今後の再発防止に対してどのように取り組むつもりか、お答え願いたいと思います。
#58
○説明員(丹波実君) お答え申し上げます。
 今回の米原潜事故につきましては、御承知のとおり、政府といたしましても、日本国民ともどもきわめて遺憾なことである、こういうふうに考えております。
 先生が御指摘になられますところのいろいろな疑問点、たとえば、そもそも原潜がなぜああいうところにいたのか、何をしていたのか、それから、どうしてああいうような衝突事故が起こったのか、一体衝突後の米側の救助活動が十分なものであったのかなかったのかというような点につきましては、私たち政府といたしましても非常に大きな疑問を持って、アメリカ側に対して、このような点を徹底的に解明してもらいたいということを総理以下あらゆるレベルでアメリカ側に申し入れをしておることは御承知のとおりだと思います。
 先般、十八日に、レーガン大統領自身が鈴木総理に親書を寄せられまして、双方にとって必要なことを満たす十分な進展が首脳会談前にもあることを自分としては期待しておると、こういう趣旨のことを言ってきておるわけですが、先生御指摘の再発防止、そういった問題についても、まずわれわれとしては、この米側の原因究明というものの結果を見て、その結果、われわれとしてはアメリカ側にこれこれしかじかのことは申し入れるべきだという判断ができる場合には、先生の御指摘のような問題についてはアメリカにきちっと申し入れをしたいと、こういうふうに考えております。
#59
○和泉照雄君 昨年の八月の二十一日、沖縄沖でソ連の原子力潜水艦の火災事故があったのは御承知のとおりでございますが、鹿児島県はこの放射能漏れについて、海域を通っておりますので、非常に心配をしまして、科学技術庁に対して放射能の測定を依頼をしております。依頼をしたのがちょうど昨年の八月の二十五日で、中間報告が科技庁の方からありましたのが八月の二十九日、電話でありました。そして、正式に日本分析センターから書類報告がありましたのが昨年の十二月八日。このように三カ月半もかかってやって正式な文書が来たというようなことで、こういうことでは近海漁業を営んでおる漁民の方々は、非常に検査結果がおくれている、その間にもしも状況の変化があったときにはどうすればいいんだと、こういうようなことで、このおくれておるということに対して非常に非難があるのも事実であります。
 現在の測定の体制は、海上保安庁、科学技術庁、日本分析センターと、こういういわゆる連係プレーによっておるようでございますけれども、この測定の見直しをする時期が来ておるのじゃないかと、こういうふうに思いますが、もう少し簡略にする必要があるのじゃないか。この点について。
#60
○説明員(穂波穣君) 御説明申し上げます。
 まず、先生御承知のように、原子力軍艦に伴う放射能監視体制と申しますのは、三十九年八月二十八日の閣議での大臣発言として、関係各省庁が分担してこれを行い、科学技術庁が取りまとめを行うと、こういうことになっております。それで、現在わが国に米国原子力軍艦が入港する港は、横須賀、沖縄、佐世保と、この三港でございます。この三港につきましては、先生いまおっしゃいましたような、関係各省庁の分担した放射能監視体制がとられておる次第でございます。したがいまして、この三港港湾付近につきましては、万一の場合であっても迅速な放射能調査体制はでき上がっておるとわれわれは思っておるわけでございます。
 先生御指摘の、昨年のソビエト原潜の件でございますが、確かに鹿児島県の方に御報告がおくれたというのは、これは事務手続上の問題でございまして、まことに申しわけなく思っております。
 本件日昇丸とジョージ・ワシントン号につきましては、海上保安庁と協力いたしまして、迅速な放射線レベルの測定を行いまして、四月十三日付で原子力安全局としての見解を公表しております。すなわち、放射能調査を行ったが特に異状は認められず、いずれも自然放射能のレベルであったと、こういった結論でございますが、こういった結論は、鹿児島県知事からの御要望に基づきまして直ちに鹿児島県の方にお送りいたしまして、皆様方の不安を静めるという方向に動いております。
 ただいま申し上げましたのは、放射線レベルということで私は申し上げました。あと、詳細な放射能につきましては、種々の測定器を用いまして精密な測定が必要なわけでございます。この点におきまして、先生さっき御指摘の、日本分析センターというところに海水の試料等を送りまして、ある程度の時間をかけた測定、その結果を科技庁長官が委託します専門家による評価、これを受けることになっておりますので、多少時間がかかります。ジョージ・ワシントン号の件につきましては、この五月の連休前にそういった専門家の方々に詳細な分析データを見ていただきまして評価を受け、出ました場合には直ちに鹿児島県の方にもお送りするということにしております。
#61
○和泉照雄君 いまお答えのように、日本分析センターは千葉県にございます。今回の場合も、串木野からそこの海水をとりましたものを密封をして、そしてポリ容器に入れて空輸をして、放射線の測定を行っていると、こういうのが実態のようであります。
 こうたびたび原潜事故が沖縄、九州海域で発生をした経緯から推しても、対馬海峡を中心に相当数の米ソの潜水艦が運航していることが国民の目の前に明らかになったわけでございますが、今後も事故が再発する可能性も十分考えられると思います。したがって、放射能測定並びに分析の体制の強化拡充策がとられてしかるべきだと、このように思いますが、科学技術庁及び海上保安庁はどう考えているのか、所見を伺いたいと思います。
 たとえて言いますと、科学技術庁としては、原潜の公海の運航の頻度の多い対馬海峡に近い九州方面に日本分析センターの機能を持ったものを分駐をさせるなり、また海上保安庁は、海上保安庁の放射能調査船を増加するなり、特に三大海峡中心の漁場の放射能測定のためにそういうようなものを増加をするなりというようなことをお考えがないかどうか。
#62
○説明員(穂波穣君) 御説明申し上げます。
 まず先生の御指摘の点の、たとえば日本分析センターの支所のようなものを九州に設置したらどうかという御意見でございます。これは先ほど申し上げました放射線レベルの測定と放射能の精密な測定、どういうような放射性核種が含まれていて、どういうように人体に影響があるかといった二つの段階に分けてお考えいただきたいと思います。
 放射線レベルの測定と申しますと、これは大ざっぱと言っては語弊がありますが、ある程度の誤差はあっても、どのくらいの影響があるかというのを迅速にまず把握する調査でございます。これにつきましては、先般起こりましたソビエト原潜の事故にかんがみまして、海上保安庁も主要部署に測定器を配置する等の手当てをなされたと聞いております。また、ジョージ・ワシントン号の件につきましても、私どもの係官が可搬型の測定器を串木野の保安部に持ち込みまして、海上保安庁に依頼して採取しました試料を急速測定いたしまして、四月十三日の一種の安全宣言にしたわけでございます。したがいまして、私どもは、迅速な測定につきましてはある程度の体制はもうすでに整っておると考えておるわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように、分析センターのようなものを九州に置いたらどうかという意見でございますが、これは、たとえば千葉の分析センターにおきます精密な測定と申しますのは、一検体、一試料当たり約一週間かかります。これは海水を種々前処理をいたしまして、それから測定器にかけます。この測定器の測定と申しますのは、大体二十二時間、まる一日測定にかけなきゃいけない。それから、かけましても、本当にそれが放射能レベルであるかというためには、バックグラウンド、つまり何もないものをもう一遍測定器ではかりまして、測定器が汚れてないかということを確認しなければいけない。こういったように、一試料当たりの測定に要します日にちが約一週間かかるわけでございます。たとえば串木野から千葉に送りました輸送の日数でございますが、わずか一日で着いております。千葉の分析センターにはこの測定器が六台ございます。これは日本一の大きな分析センターです。この六台の測定器をフルに活用しまして十四試料を分析いたしまして、今週初めに結果が出てきたわけでございます。したがいまして、私どもは、いまの輸送に要する日数がクリティカルパスであるとは思っておりませんので、ここのところ、とりあえず千葉の分析センターでこういった精密測定をやる体制で十分ではないかと思っておる次第でございます。
#63
○説明員(二谷穎男君) 海上保安庁におきましては、調査の体制は大体次のようなことで行っています。
 まず、定例的な調査としては、日本近海における海水及び海底土の放射能レベルの調査を行っています。
 それから二番目に、原子力軍艦寄港地の寄港時及び非寄港時の放射能レベルの調査を行っています。
 それから三番目に、東海村の核燃料再処理施設周辺の海域の放射能、 バックグラウンドのレベル、それから四番目には低レベル放射性固体廃棄物の試験的廃棄候補地――北緯三十度東経百四十七度を候補地にしておりますが、そこにおける事前からのバックグラウンド調査という意味で、海水、海底土を定期的にまず実施しております。こういうことを行うためには、海上保安庁の測量船あるいは巡視船等を用いて試料をまず採取します。これは水とかどろとかということです。そうして、それを本庁の水路部に送付して測定を行い、その結果を科学技術庁に報告するとともに公表をしております。
 特に、いま先生御指摘のありました三大海峡の調査についてですが、いままで行ってきたことのほかに、こういう場所に必要性に応じて科学技術庁とも連絡をとりながら所要の調査を進めてまいりたいと、そのように考えております。
#64
○和泉照雄君 次は、外務省にお尋ねをしますが、日昇丸と衝突した原潜はポラリス型のジョージ・ワシントン号であったということはこれは御承知のとおりでございますが、このワシントン号が就役をしたのは一九五九年の十二月三十日、要するにいまから二十一年ぐらい前の原子炉を使用しているということを聞いておりますが、去る十八日、通産省資源エネルギー庁への報告で明らかになったように、日本原子力発電敦賀原発での放射能漏れは、直持原子炉からの漏れではないが、ことしの一月に二回も冷却水の漏れがあったことが四月一日の内部告発で明らかになっております。また、運転開始以来十一年間に二十八回も運転停止の事故を起こしております。物理学の小野東大名誉教授は、敦賀原発は古い原発であちこちぼろが出始めた可能性があると、このように指摘をされておりまして、全原発の総点検を提唱しておられるところであります。こういう事実から推測をして、原潜のジョージ・ワシントン号も相当に古いので、放射能漏れを起こす可能性が十分に考えられると思いますが、この辺の事情をどのように把握をしておられるのか。
#65
○説明員(丹波実君) お答えいたします。
 ジョージ・ワシントン号が就航いたしましたのは、ジェーン年鑑によりますと、先生御指摘のとおり一九五九年でございますが、搭載されておる原子炉の型式がどのようなものであるかという点については私たちは承知しておりません。この点につきましては、事故発生の通報がわが方にあったときに、アメリカ側はあわせてその原子炉あるいはその搭載武器に損傷はないということを通報をしてきておるわけですが、われわれといたしましては、念のため、十三日に在京の米大使館に放射能漏れの問題について確認を求めましたところ、米側からは、米国海軍は、本件原潜から衝突事故により放射能が排出されたということは一切ないということを確認する旨回答をしてきております。
#66
○和泉照雄君 放射能についての質問は以上で終わりますが、体制をしっかりとって、そういう不測の事故に対してひとつ万遺漏なきを期していただきたい。
 次は、人命救助について質問をいたします。
 公海上での通常船舶の衝突の場合は、公海条約の十二条の条文には、自船の船舶、乗組員、旅客に重大な危険を及ぼさない限度において、生命の危険にさらされている者を発見したときは救助すべきであると義務づけておるわけでございますが、特に軍艦については明記はないわけでございますけれども、先般の衆議院においては、軍艦についても通常船舶と同じく公海条約の適用を受けるという、このような答弁があったようでございますが、戦時中と平和時における公海条約十二条の解釈はどのように変わってくるのか、外務省の答弁を求めます。
#67
○説明員(野村一成君) お答え申し上げます。
 公海条約十二条の趣旨につきましては、先生ただいま御説明があったとおりでございます。いわゆる戦時と平和時ということでこの条文がどういうふうになるかということでございますが、これは公海条約十二条だけに限るわけではございません、公海条約その全体につきまして、その作成過程と申しますかで、いわゆる平時におきます公海の制度を定めるものとして作成されたということがございます。
 たとえば、この条約の基礎になりました草案をつくったのは国際連合の国際法委員会というところでございますが、そこのレポート、報告書におきましても、これは英語でございますけれども、「The draft regulates the law of the sea in time of peace only.」と、平和のときだけの問題を規定すると、そういうふうに書かれてございまして、したがいまして、先ほど先生からいわゆる戦時における点はどうかという御質問でございましたが、そういう戦時における解釈いかんという問題は、この条約からは起こってこないのではないか、そういうふうに考えております。
#68
○和泉照雄君 一部の報道によりますと、アメリカの国防総省の関係の意見として、「戦時なら別だが、平和時ではどんな重要な任務を帯びていようと人命救助を無視して事故現場を離れることは許されない」と、このように伝えておりますが、人道的にはそのとおりであると私は思います。当然の見解と思われるわけでございますが、この中で、「戦時なら別だが」と、こういうふうにありますが、「戦時」とはどういうような場合を考えて言われたのか。たとえば原潜の運航に当たってどういう場合に戦時の運航と定義づけるのか、ここらあたりの見解をお答え願いたいと思います。
#69
○説明員(野村一成君) 「戦時」という言葉は、アメリカの方でどういうふうに使ったかと、私はその点について特にどうこう申し上げる立場にはないわけでございますが、ただいま国際連合のもとでは戦争というものは違法化されておりまして、したがいまして、国際連合憲章第二条でございますか、あらゆる武力の行使が禁止されておるという状況におきましては、必ずしも戦時というのがそのままいまの国際社会におきまして当てはまるという状況ではないと私は考えております。
#70
○和泉照雄君 そうしますと、今度の場合は平時の場合でございますから、アメリカの原潜のとった処置というのは、これはもう人道上とうてい許されないと、こういうふうに解釈していいですか。
#71
○説明員(野村一成君) 公海条約十二条にはっきり書いてございますように、どの国も、自国船舶の船長に対しまして、こういった衝突事故の場合には、特定の場合を除きまして、相手船舶の乗組員を援助する措置をとるというふうに要求すべきだというふうに書いてございますので、それにのっとって措置がとられるべきであるというふうに考えております。
#72
○和泉照雄君 また戻りまして、「戦時なら別だが」ということでございますけれども、全面戦争になった場合は別ですが、大抵局地戦で、一方の当事者とは平時な状態、一方とは戦時の状態と、こういうふうなことが起こるんですよね。そういうときに、戦時ならば人命を救助する必要がないという、そういうふうなことになりますと、どうも解釈としてはこの公海条約の第十二条というものが生かされないと思うんですが、いかがですか。
#73
○説明員(野村一成君) いわゆる戦時ということで、具体的にどういう事態を想定するかによって違ってくると思いますので、必ずしもそういういわゆる戦時ということだけで全体的にどうだということを申し述べるのは適当じゃないと思うのでございますが、いわゆる戦時の場合には、戦時国際法というのがございまして、この規定で申しますと、このような場合に、海上にある軍隊の傷者、病者及び難船者の状態の改善に関するジュネーブ条約、いわゆるジュネーブ第二条約と呼んでおるのでございますが、その十二条で、やはり同様、人命救助を行わなければならないと、そういう規定がございます。
#74
○和泉照雄君 平和時に、この公海条約の規定があるにもかかわらず、あえてこの条約違反とわかるような行動に出た場合――今回の場合、私はそうだと思いますが、どう処理をされるのか。罰則規定があるのかどうか。また、今度の米原潜については、米国内法ではどういう処置をされるとあなたたちは解釈をしておられるのか。
#75
○説明員(丹波実君) 先ほどから先生が提起しておられる救助活動の問題につきましては、私、冒頭でお答え申し上げた中にもあるわけでございますが、政府としても、事故後の救助活動をめぐる状況は非常に不可思議だと、こういうふうに考えておりまして、われわれがアメリカに究明を求めているいろいろなことの核心的問題の一つであると、こういうふうに考えて、私たちは迅速にそこが解明され、かつ日本国民に納得のできるようなそういう回答が返ってくることを待っておるわけでございます。
 ただいまの法的な点につきましては、私の承知いたしますところ、米海軍の規則の中に、まさに公海条約第十二条の趣旨が盛り込まれておる。したがって、もしそういう規定に反するような行動があったとすれば、それは米海軍の関係規則の違反と、こういう事態で解釈されるであろうと、こういうふうに考えます。
#76
○和泉照雄君 公海条約は、文字どおり公海上における海難事故に関する取り決めてございますけれども、たとえば領海内で全く同じような海難事故が起こって、人命救助をしないで原潜が立ち去ったと想定をした場合ですね、このときは当事者に対してどういう処置が課せられるとお思いになるか。日本国内法で相手の軍艦を処罰できるのかどうか。
#77
○説明員(丹波実君) 日本の領域内で米軍がいろんな事故その他を起こしまして刑事責任の問題が発生しまする場合には、これは安保条約のもとにございます地位協定の規定がずばり適用されるわけでございまして、地位協定の第十七条におきましては、いろいろなケースに分けて、日本の裁判管轄権が及ぶ場合、米側の裁判管轄権が及ぶ場合、いろいろな区分けがしてございます。そういう法体系で処理されることになっております。
#78
○委員長(亀長友義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後の本会議散会時まで休憩いたします。
   午後零時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二十八分開会
#79
○委員長(亀長友義君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方行政の改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#80
○和泉照雄君 覚せい剤の問題について質問をいたします。
 近年、大きな社会問題となっております覚せい剤のことでございますが、昨年の十二月には私の地元鹿児島でも、鹿児島工業港に入港した韓国の石材運搬船から覚せい剤が約一キロ、末端価格で推定約三億円が押収されるという事件がありました。覚せい剤が全国的にかなりの量が流れていることを証明する事件であったと思いますが、と同時に、この事件では覚せい剤が押収されたにもかかわらず乗組員の中には犯人らしい者がいないということで、韓国の運搬船をそのまま出港をさせ、結局犯人については三カ月後に全国指名手配、また、覚せい剤の受取人については不明のままという、せっかくの捜査も現在のところ入り口で終わってしまって、覚せい剤の捜査、取り締まりのむずかしさを如実にあらわしたと思うのでございます。五十五年度の警察白書でも、「第二章 白い粉との戦い」ということで、覚せい剤の汚染がすさまじい勢いで浸透していることが報告をされておりますが、まず初めに、覚せい剤汚染の実態、同時にその特徴について、また、急増の原因について、どのように把握されているのか、警察庁にお答え願いたいと思います。
#81
○政府委員(谷口守正君) 覚せい剤乱用の状況でございますけれども、先生御指摘のとおり、昭和四十五年以降急増をしまして、今日まで年々増加の一途をたどっているということでございます。
 昨年一年間に覚せい剤事犯で警察に検挙された者でございますけれども、一万九千九百二十一人でございまして、覚せい剤の押収量は約百五十二キログラムというような状況になっております。これを前年と比べてみますと、人員で八・九%、それから押収量で二七・七%の増加ということでございます、本年に入りまして三月までの検挙状況を見ましても、検挙人員で昨年同期比で五・五%を上回るなど、依然として増加傾向が続いているということでございます。
 また、この覚せい剤の薬理作用等によりまして、突発的な殺人、放火、強盗、交通事故なども後を絶たないというような状況にあるわけでございます。
 それでは、覚せい剤がこのように蔓延している背景でございますけれども、いろんなことが挙げられるかと思います。
 まず第一に、薬物乱用の世界的な流行、あるいは最近におきます享楽的な風潮を反映いたしまして、覚せい剤を安易に試みようという傾向があること。
 それから第二には、わが国の覚せい剤密輸、密売組織というものがほぼ完全に暴力団によって支配されている。そこで、その暴力団が資金源獲得のために次から次へと需要者を拡大しているということ。
 それから第三には、これらの末端の乱用者が、自分たちの覚せい剤購入代金を捻出するためにさらに新しい需要者をつくり出すという、いわば増殖運動というものが繰り返されているというようなことが挙げられるかと、こう思うわけでございます。
 最近のこの乱用の特徴でございますけれども、少年だとか主婦、こういった一般国民層にまで広がりつつあるということでございます。特に少年の方につきましては、昨年の場合、全検挙者の一〇・二%、ついに二けたになってしまったということでございいます。その増加率におきましても、一昨年に比べまして実に二二・一%ということでございまして、成人の七・六%をはるかにしのいでいるということでございます。本年に入りましてもこの傾向は残念ながら続いているということで、今後の動向がきわめて憂慮されているというようなことでございます。
 また、再犯者が増加しているということでございまして、昨年の場合、全検挙者中に占めます再犯者というのが三九・七%でございまして、その率は年々増加しているということでございます。このことは覚せい剤の乱用の常習者が増加しているということでございまして、中毒者の増加がうかがわれるということでございます。その結果、先ほどもちょっと触れましたけれども、薬理作用によります事件、事故が後を絶たないことをあわせ考えますと、これまた憂慮される問題ではないかと、こう思うわけでございます。
 以上でございます。
#82
○和泉照雄君 ただいまの御答弁のとおり、覚せい剤がほとんど海外から密輸をされて、しかもそれに暴力団が介入をして、末端の密売人から普通の市民層に、特に中、高校生、あるいは主婦の中に浸透しているゆゆしい問題をいま指摘があったわけでございますが、覚せい剤の取り締まりの状況も、捜査上も非常に困難があろうかと思いますが、その状況について簡単に。
#83
○政府委員(谷口守正君) 先生御指摘のとおり、わが国の覚せい剤事犯につきましては、覚せい剤そのものは韓国だとか台湾などの海外からの密輸入によるものでございまして、それが密売人の手によりまして全国各地に散在します乱用者へ届けられるという国際性、広域性を有しておるということでございます。
 また、先ほど御説明申し上げましたように、暴力団が密輸、密売組織を支配しているという組織性があろうということでございます。しかも、こういった密輸、密売の方法が年々悪質、巧妙化しているということでございまして、その検挙に当たりましては、いままで以上の努力が必要であると、こういうことだと思います。
 そういうことでございますけれども、密輸の場合でも、従来の携帯して持ち込む方法のほかに、たとえば家具等の別送便に覚せい剤を巧妙に隠すというような例もありますし、外国郵便、あるいは輸入貨物を利用する方法もふえております。また、密売にいたしましても、警察無線を傍受しながら密売する、あるいは留守番電話やポケットベルを利用して隠密裏に密売する。また、テレビカメラとか、二重、三重のとびらを設けた施設で密売するというようなケースが多いわけでございます。しかも、広域性が強い事犯でございまして、数都道府県にまたがった捜査が必要だということでございます。検挙人員も多数に上がるということで、多大の捜査上の努力が必要であるということでございます。
 また、当然のことでございますけれども、覚せい剤の鑑定でございます。それから、使用事実についての尿の鑑定でございますけれども、これ、実に年間七万件を超える膨大な数に上っておりますし、しかも、これらを迅速に処理しなきゃならぬということで、捜査上あるいは鑑定上、いろいろな問題点があるということでございます。
#84
○和泉照雄君 覚せい剤の対策として考えられることは、まず密輸対策、密輸の段階における対策が第一点。それから暴力団の対策。それから一般市民への啓蒙運動の対策と、こういうふうに分かれると思うんです。
 そこで、まず海外からの密輸入についてでございますけれども、いまおっしゃったとおり、白書でも韓国からの密輸入が多いということになっておりますが、そのほか、過去にも台湾とか、ほかにもあったようでありますが、大体どこの国から年間どれくらいの量が密輸入されておるのか。末端価格で幾らぐらいになるのか。どれくらいの金額になるのか。お答えを願いたいと思います。
#85
○政府委員(谷口守正君) わが国に密輸入されている覚せい剤、特に韓国、香港、台湾などからだと思われるわけでございますけれども、押収されました覚せい剤につきまして、それの供給地が判明した分についてだけ申し上げますと、昭和五十四年、おととしの場合には、韓国からのものが約五十八キログラム、それから香港からのものが約十三キロ、それから台湾からのものが約一キロ、こういうような状況になっております。それから去年、五十五年でございますけれども、韓国からのものが約五十七キログラム、それから台湾からのものが約十五キログラムなどでございます。当然のことながら、この押収されている量というのはまさに氷山の一角ということで、相当多量な覚せい剤が日本に入ってきているというように推定されるわけでございます。
 それから、その価格の点でございますけれども、これは品質だとかあるいはその取引数量、あるいは譲り渡し人と譲り受け人との関係、いろいろなことがありましてばらつきはあるわけでございますけれども、海外から出るときには一グラム当たり大体千六百円から五千円でございますけれども、これが末端価格、乱用者の手に渡るときには、もう一グラム当たり約五万円から三十万円というような状況でございます。
#86
○和泉照雄君 聞くところによりますと、覚せい剤の生成段階においてはかなり悪臭が発生するので、国内ではこの生成はむずかしいと。ですから当然密輸入に頼るわけでありますけれども、製造元を押えれば根を断つことができると、こういうように簡単に考えられるわけでございますが、韓国でも覚せい剤の規制法というものはあると思うのでございますけれども、その辺の事情はどうなっておるのか。また、なぜこのように韓国からの密輸入が多いのか。韓国での取り締まりは不十分であるのか。韓国では余り覚せい剤というものを使っていないのか、そこらあたりも含めて。
#87
○政府委員(谷口守正君) 韓国で覚せい剤を規制する法律といたしましては、向精神性医薬品管理法というものがあるわけでございます。この法律は覚せい剤を含みます向精神剤全般について規制されたものでございまして、違反態様といたしましては、わが国の覚せい剤取締法と同じように、密輸、密造、譲渡、譲り受け、所持、使用などの禁止が規定されているということでございます。それから、罰則の面では、わが国の場合最高無期懲役でございますけれども、最高死刑ということで、大変厳しい規制がなされておるわけでございます。
 先ほど御説明申し上げましたように、わが国に密輸入される覚せい剤は、押収量で見る限りは韓国からのものが多いわけでございますけれども、これは何といっても韓国と日本とが地理的に近接しているというようなこと、人や物の往来が非常に多いというようなことだろうと思うわけでございます。そういうような意味におきまして、韓国の取り締まり関係当局とは従来から情報交換を行っておりまして、韓国当局もわが国の状況について十分認識をし、相互に協力をしながら取り締まりを強化しておるということでございます。それで、日本に連絡をいただいた場合でも、昨年来韓国におきまして覚せい剤密造所を数カ所摘発するなど、覚せい剤取り締まりを非常に強化してやっていただいておるということを聞いておるわけでございます。
#88
○和泉照雄君 覚せい剤が日本でこれほど大きな害を及ぼしておる、しかも、近いところの韓国から密輸入されておるということになりますと、これは国同士で国際的に取り締まりの体制というものを確立する必要があるのじゃないか。日本よりは厳しい法の規制があるようでありますけれども、その取り締まる実態が、言うならば緩やかであるのではないかというようなことが考えられるわけでございますが、諸外国への覚せい剤対策、取り締まり捜査協力、これはどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
#89
○政府委員(谷口守正君) 先ほど来から御説明申し上げておりますように、わが国で乱用されている覚せい剤というのが海外から供給されておるということでございまして、この種事犯の取り締まりというのはやはりどうしても国際協力というものが不可欠であろうかと思うわけでございます、そういう意味におきまして、警察といたしましては、国際刑事警察機構――ICPOを通じまして情報交換をする、あるいは韓国、東南アジア諸国へ捜査官を派遣しまして関係国取り締まり機関とのいろいろな情報交換、さらには薬物犯罪関係の各種の国際会議が開催されておるわけでございますけれども、これにも積極的に参加するというようなことをやっております。また、国際協力事業団との協力によりまして、毎年麻薬犯罪取り締まりセミナーを開催するなど国際協力の積極化に努めておるということでございます。
 なお、薬物の乱用は世界的な傾向でございますけれども、やはりその主流というのはヘロイン、コカインなど含め麻薬の乱用でございます。日本の場合には麻薬よりも覚せい剤の乱用ということで、世界的に見ますと特殊なケースだということは一応言われると思うわけでございます。
 そういう面で、覚せい剤の乱用防止のための海外協力につきましては、今後ともわが国から積極的に関係国との間で推し進めていく必要があろうかと思うわけでございます。
#90
○和泉照雄君 外務省の方は来ておられますか。――いま警察庁の方の御答弁を聞いておりますと、それなりに相当努力をしておられるようでございますけれども、お隣の国であるし、そして密輸源が韓国であるということになりますと、やはり国際的なそういう国同士の交渉が必要ではないかと、こういうふうに思うのでございますが、外務省としてはこういうような協力関係をどのように要請しておられるのか。
 それから、第二点目は、薬物乱用対策推進本部にお伺いしますが、この本部の構成を見ますと、外務省の国際連合局社会課がメンバーに入っておられるようでございますけれども、これはどういう観点から参加をしておられるのか。私は、直接韓国を担当する北東アジア課も構成メンバーに入られて現状を認識してもらって協力要請の役を果たすことが大事じゃないかと思うのですが、その辺の見解もあわせて御答弁願います。
#91
○説明員(小倉和夫君) お答え申し上げます。
 先生のおっしゃいましたまず第一点についてでございますが、外務省といたしましては、国際的な麻薬ないし覚せい剤の取り締まりあるいはその密輸入の防止の問題といったことにつきましては、二つの側面があるのではないかというふうに考えております。一つは、いま先生もおっしゃいましたように、特定の国、特に韓国あるいは一部の東南アジアの国、そういった国と日本側の関係の直接の御担当の政府の部局との二国間の交流、二国間の話し合い、そういったものが一つ考えられると思っております。もう一つは、たとえば国際連合の経済社会理事会におきまする麻薬委員会といったものがございますが、そういったいわゆる多国間の場における議論あるいは措置、話し合いと、そういった面と二つあろうかと思います。
 御指摘の韓国につきましては、先ほど警察の方からもお答え申し上げましたとおり、取り締まりという観点からは国際刑事警察機構を通じた情報交換もやっておられますし、また、全国都道府県の警察職員の方も韓国へ出張されたり、あるいは麻薬セミナーというものを開かれていろいろ話し合っておられる。それから、税関関係の方は、また別途、韓国の財務部の方といろいろ情報交換その他もやっておられるようでございますし、厚生省の立場からは、またそれなりの、韓国側のカウンターパートと申しますか、担当する部局と毎年定例に意見交換をされております。また多国間の場におきましては、韓国は現在までのところメンバーでございませんが、最近、国際連合の経済社会理事会の麻薬委員会の構成国になりたいという動きがございまして、私ども外務省としましては、これはぜひとも支持したいと、先生のおっしゃいました趣旨から申しましても支持したいと思っております。ただ、そういった、いわば専門的な立場からの二国間の話し合いを越えまして、外交ルートに直接この問題を持ち上げて話をするかどうかということにつきましては、先生のいまの御指摘の問題意識を持ちながら、同時に、いままでのこうした既存の各御担当の部局と韓国側の担当の部局との話し合いの様子を政府部内でもう一遍検討をいたしまして、各省庁の方から外務省に対していろいろ御要望がありました節には積極的に考えてみたいというふうに思っております。
 それから、第二点につきましては、国連局の社会課がこのメンバーになっておりますのは、従来私ども外務省が外務省の立場からこの問題にかかわってきましたのは、どちらかと申しますと、先ほど申し上げました多国間の場における議論、そういう場における議論というものをどのように利用していくか、日本なりの立場からそういった国際機関を利用していくかという立場から参画しておりましたので、国連局の社会課が出ております。先生御指摘の、北東アジア課が参画すべきかどうかにつきましては、これは薬物乱用対策推進本部の、何と申しますか、本部そのものの総理府の御見解いかんによるわけでございますが、外務省としましては、もし政府部内におきましての、特に地域的な面から地域的なところを担当しているものも参加した方が望ましいということであれば、検討をいたしたいと思っております。
#92
○和泉照雄君 次は、覚せい剤が暴力団の大きな資金源になっているという問題でございますが、白書によりますと、暴力団の年間収入が約一兆円、その半分近い四千六百億円が覚せい剤によるかせぎであると、このように推定されておりますが、その推定の根拠はどこにあるのか。
 また、覚せい剤が暴力団の大きな資金源になった背景について、どういうような背景があるのか。過去にもヘロインの乱用で検挙された暴力団が、新たな資金源を求めて覚せい剤に注目していったように、警察庁とはイタチごっこのような関係にあると思うのでございますが、暴力団を撲滅をするということになりますと、やはりこの覚せい剤の対策というものをしっかり樹立されることが大事じゃないかと思うんですが、そこらあたりの御見解もあわせてお伺いします。
#93
○政府委員(中平和水君) 御案内のように、暴力団の組織を支え、あるいは動かしているのは、これは組織の威力を背景にして彼らが獲得する金であるわけでございます。したがいまして、私ども暴力団にどれぐらいの金がどういう方法で入っているかということをつかむことが、これが暴力団対策の基本になるわけでございます。
 そういう意味で、これは非常にむずかしい問題でございますが、昭和五十三年に、私どもの科学警察研究所と部外の学者の方の御協力を得て、私どものいろんな取り締まりの実態から見た大胆な推計もあるわけでございますが、そういうものを踏まえて一応推計した総額が、当時の額で、暴力団に一切入っている額が一兆円、その中の一番の筆頭で四千六百億ということになっておるわけでございます。
 その数字は、これはただいま申し上げましたように、非常につかみがたいものをかなり推計でやっておりますから、まあ御参考までということで御理解をいただきたいわけでございますが、簡単に申し上げてみますと、昭和五十三年当時に、いわゆる覚せい剤取り締まりによる検挙人員が一万七千七百四十人ございます。そのうち暴力団団員は九千二百三十四人ということになっておりまして、押収した総量は九十九・六キログラムになっております。それで、覚せい剤の押収量は、過去の私どもの捜査の経験から申し上げますと、大体流通量の五%程度しか押収されていないのではないか、つまり、大体つかまえた現場で出るのはほんの氷山の一角でございまして、彼らがすでに処分をしたりしているのがたくさんあるわけでございまして、大体五%程度だろうと、これは捜査の経験でございます。したがいまして、それから逆算をしてまいりますと大体千九百九十二キログラムの覚せい剤が暴力団の組織を通じて流れているであろうと、こういう大胆な推計をしているわけでございます。
 それから一方、この覚せい剤取り締まりによる検挙人員は一万七千七百四十人でございますが、大体検挙人員の約十倍程度は覚せい剤が実際に施用されていると、こういうふうに見ておるわけでございます。そうなりますと、十七万七千四百人程度が覚せい剤の一応の施用者じゃないか。それから、これらの人が大体一日〇・〇三グラム使うといたしますと、これで約千九百四十三キログラムになるわけでございまして、押収量の五%から推計した千九百九十二キログラムとそれからただいま申し上げましたような検挙人員からこれを割り出していった数字の千九百四十三キログラム、大体数は合うわけでございます。それを、ただいま保安部長の方から申し上げましたように、グラム当たりの末端の価格は五十二年当時で大体四万から六十万ぐらいでございました。ばらつきがございますが、これは平均値で大体二十五万円程度と、こういうふうに推計をしたわけでございます。それから仕入れ価格は、当時の検挙の実績から申し上げますと、大体グラム六千円から一万円ぐらいが仕入れ価格になっているわけでございます。これを先ほど推計いたしました約千九百九十二キログラムからこの平均の、要するに末端価格マイナス仕入れ価格を引いた額で掛けますと、大体四千八百二十億六千四百万円という数字が出てまいるわけでございます。現実には、暴力団が警察に押収されてその分はもうけになっていないわけでございますから、押収した分を金銭に換算をいたしまして差っ引きますと、大体四千六百億と、こういうことになるわけでございまして、まあ大体この辺の数字が私どもが暴力団対策を立てていく上の一つの基本的な、暴力団が獲得している覚せい剤による収益であると、こういうふうに考えております。
#94
○和泉照雄君 もう時間が参りましたので、最後にまとめてお聞きいたします。
 文部省来ておられますか。――先ほども御答弁があったとおり、青少年の方にも汚染をされておるということで文部省もこの撲滅運動には相当ウエートをかけてやっておられると思いますが、本年度はさらにどういうような対策を講じておられるのか、それが第一点。
 それから次は運輸省にお尋ねをいたしますが、近ごろトラック、タクシー等の運転手の覚せい剤の汚染が多くて、検挙された人がこの二、三年間約七百人を下らないというぐらいの汚染度でございますが、過重労働ということにも通じて、こういう覚せい剤を打って疲労感を消滅をさせようということで使用しておるようでありますが、こういうような過重運転を防止するということについて、運輸省はどういうような見解を持っておるのかということが一点。
 それから、北海道の釧路では、ハイヤー協会が警察庁の指導で定期検診を行って覚せい剤の防止に努力をしておると、こういうよい事例があるわけでございますが、運輸省もこれぐらいのことを積極的にタイアップしてやっていかれた方がいいんじゃないかと思うのですが、その辺の見解。
 それから自治省にお伺いをいたしますが、ある市では職員が覚せい剤を密売をして逮捕されておる、こういうような新聞記事もありますし、その他の職員にもこれが波及をしているというゆゆしいことも報道されておりますし、また、消防署員も覚せい剤の汚染をされておるということも報道されておりますが、国民の範となるべき公務員がこういうことでは、本当に国民のひんしゅくを買うのは当然であろうかと思いますけれども、地方自治体の職員の綱紀粛正はどのように考えておられるのか、また、自治体のこういうような覚せい剤の啓蒙運動についてはどのようにお考えになっておるのか。
 最後に、国家公安委員長である大臣に、この日本国民の、特に青少年の健康をむしばんでいく覚せい剤撲滅対策について、最近は私の方の鹿児島県の国分市というところに、山口組が入り込んで、射殺事件等も起こったところでございますが、主婦の層にもこの覚せい剤の汚染が相当に広まっておるというゆゆしいこともありますので、この対策についての御決意を聞いて私の質問を終わります。
#95
○説明員(中島章夫君) お答えをいたします。
 文部省といたしましては、この薬物を乱用します中、高校生が見られるというのは、青少年を育成します上でまことに憂慮すべきことであると、こういうふうに考えておりまして、学校教育におきましては、理科、それから保健体育、それからホームルーム、こういったようなところで薬物乱用によります心身の健康破壊に関する指導を行っているということでございます。このような教科とか、あるいは特別活動とか、あるいは道徳、こういった学校の正規のプログラム以外の生徒指導という面でこの指導を充実していくということが非常に大事なことであると私どもは考えておりまして、そのようなことから教師、生徒指導の担当の指導者に対します講習を毎年各県でやっておりますのと、全国三ブロック、それから全国一つの会議というようなところで徹底して指導をしているところでございます。
 特に、昭和三十四年には生徒の問題行動に関する基礎資料ということで、盗みとか性非行とか暴走族とか飲酒、喫煙とかということとあわせまして薬物乱用に関しまして入念な解説と指導の指針を盛り込みました資料をつくりまして各中学校、高等学校にそれぞれ五部当てぐらい配付をして、こういうものを通じて徹底的に指導をする、こういう体制をしいているわけでございます。
 先ほどお話がございました薬物乱用対策推進本部というのが、このところ毎年その本部で決定しました乱用対策についての通知がございますので、こういうものをてこにして毎年注意喚起を新たにしているというところでございますが、五十六年度につきましても先般この推進本部から新しいきわめて強力な方針が出されております。こういうものをてこにいたしまして一層指導を充実をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#96
○説明員(神戸勉君) お答えいたします。
 まず第一点に、過重労働に原因があるのじゃないかという先生のお話でございますが、運輸省といたしましても、運送事業者に対し事故防止の観点から、運転者の過労による乗務というのを防止するため、労働省の法令等とも整合を図りつつ運転者の勤務時間及び乗務時間、交代運転者の配置等につきまして運行管理者の研修、事業所監査等を通じまして指導を行っているところでございます。特に、五十四年十二月に、「自動車運転者の労働時間等の改善基準について」という労働省通達が出たわけでございますが、その遵守につきまして、過労運転の防止を図るようあわせて指導の徹底を図ってきたところでございます。今後とも運送事業者に対する監査等を通じましてその遵守状況を把握するとともに、その結果を活用して、運送事業者に対して運転者の過労防止の徹底に努めてまいりたいと思っておる次第でございます。
 また、第二点の釧路のハイヤー協会の例でございますが、自動車運送事業における運転者の健康管理につきましては、労働法令に基づきまして健康診断等によって行われているところでございますが、日常の健康状態につきましては、輸送の安全確保を図るため、運行管理による点呼等において実際上確認を行っているところでございます。
 覚せい剤常用者の発見につきましては、その発見に努めるために、運行管理の面から指導をしているところでございますが、先生いま御指摘の釧路のハイヤー協会の事例に見られますように、覚せい剤使用防止を図るため、労使双方が一体となって体制づくりに取り組んでいることは非常に望ましいことと考えております。
 運輸省といたしましては、今後覚せい剤の使用防止につきまして、関係機関と連携を図りつつ事業者の指導に努めるとともに、その指導に際しまして、いま御指摘ございました釧路の例を一事例といたしまして活用してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#97
○政府委員(宮尾盤君) ただいま御指摘のありましたように、一部の地方団体等におきまして市の職員等が覚せい剤を密売あるいは使用するというような事例が見受けられておりますことは御指摘のとおりでございます。公務員は全体の奉仕者といたしまして率先して法律を守っていかなければならない立場にございます。そういう公務員がみずから法律を犯しまして住民の信頼を裏切るというような行為を行っていることはまことに遺憾でございますし、断じて許されないことだというふうに考えておるわけでございます。
 こういった不祥事件というものを防止するためには、何よりもまず個人個人が自覚をしてもらう、こういうことが第一でございますけれども、それと同時に、地方公共団体の自治当局におきましても、職員の資質の向上あるいは服務規律の確保といった点につきましてさらに努力をし、厳正な服務規律を保持をする、こういうことが必要であるというふうに考えております。
 そういう意味におきまして、自治省におきましても今後ともさらに適切な指導をしてまいりたいと考えております。
#98
○政府委員(砂子田隆君) 覚せい剤等の薬物の乱用が全国的に大変増加をいたしておりまして、先ほど警察からお話がございましたように、一般の市民層や青少年層へも浸透しておるということは大変深刻な社会問題であるというふうに理解をしておりまして、大変遺憾なことだと思っております。
 こういうような現状を打開するために、政府におきましても、閣議の決定によりまして薬物乱用対策推進本部を設置いたしておりまして、そこで乱用防止の対策を積極的に進めているところではございますが、それとともに都道府県に対しましても、薬物の乱用対策推進の地方本部を設けておりまして、住民に対する啓発あるいは各種団体の指導者に対する啓発指導の推進を図るように要請をしているところでもございます。
 自治省といたしましても、薬物の乱用対策本部の一員といたしまして、乱用対策の推進に協力いたしますとともに、問題が非常に地域的でもございますし、しかも先ほど申し上げましたように、深刻な社会問題となっておるわけでもありますから、そういう実態にかんがみまして、公共団体に対して積極的に乱用対策を進めるように指導してまいりたいというふうに考えております。
#99
○説明員(山田晋作君) 総理府の方で薬物乱用対策推進本部の庶務を行っておるわけでございますけれども、その見地から一言だけお答え申し上げたいと思います。
 去る四月二十四日に薬物乱用対策推進本部の方では「昭和五十六年度薬物乱用防止対策実施要綱」をつくりました。これは十一省庁府の方々にお集まりいただいていろいろと協議した結果、要綱をつくったわけでございますけれども、その中ではいろいろと、先ほど御指摘のございましたような点、一般のキャンペーンを含めた社会啓発の問題だとか、国民に対する啓発の問題とか、取り締まりの強化だとか、それから乱用者の防止だとかいったような問題を盛り込んでおるわけでございます。
 それの推進に当たりましては、当然それぞれの省庁の御協力が必要でございますけれども、先ほど御指摘のございましたような韓国からの密輸入が非常に多いというふうな問題がございますので、その点に関しましては外務省の担当部課の方に御協力をお願いしたいと思いますし、またタクシーだとかいったような運輸関係の方の事犯が多いということでありましたら、その面にも御協力をお願いしていきたいと思っております。
 先ほどから御指摘いただきましたような趣旨を念頭に置きながらこれからそれぞれの対策等協議してまいりたいと思います。
#100
○国務大臣(安孫子藤吉君) 私は、この問題は、大変重要な問題だと思っております。
 取り締まり当局といたしましても、昭和五十五年度はその関係で五百六十名余の人員を増加をいたし、五十六年度におきましても約三百名のこの方面に対する人員を増加をいたしまして徹底的にこれを摘発するという体制をとっているわけでございます。
 しかし、問題は非常に広範でありまして、結局吸う者がおるわけですね、使用者が。その辺をどう取り組んでいくかということについては、いま総理府でも本部を設けまして各関係省庁において一体となってこの問題に取り組んでおるわけでございますが、これはなかなか放置できない問題である。結論から申しますと、やはり地方の責任者が本気になってこの問題に取り組んでいくということが何よりも私は大切じゃないか、こう思っているわけでございます。
 私はアメリカに行きましてある町を訪れまして、そこの市長さんに、あなたの取り組む最も重要な施策は何かと聞いたところが、麻薬取り締まりだと、こういう認識でございました。マレーシアの厚生大臣に一、二年前に会いましたところが、自分の施策の第一は麻薬の撲滅だと、こういうようなことで、それだけの気魄が中央においても必要でありますし、また、末端においてもそういう気魄が必要だろうと思います。
 私といたしましても、事の重要性を認識しておりますので、総理府が中心の問題ではございますけれども、警察当局並びに自治省といたしましても、これに最大の努力をしてまいりたいと、こう思っております。
#101
○伊藤郁男君 私は、災害に強い都市づくり、このことにつきまして質問をしていきたいと思います。
 最初に、大臣にお伺いをしたいと思うのですが、特に、東京を初めとする大都市ですね、これがもう災害にきわめて弱い構造になっている、御承知のところだと思います。高速道路で一台の自動車が故障をしますともう二、三時間渋滞してしまう。場合によっては半日もおかしくなってしまうというこの事例を見ましても、大きな災害がやってきたときに、大都市の機能というものは大混乱に陥ってしまうということが想像にかたくない。東京都は関東大震災程度の規模の地震が来たときの被害想定を出しておるのですけれども、これを見ましても、特に火災がこわいわけですけれども、死者あるいは負傷者を含めて約十万人の死傷者が出るだろう、あるいは罹災者が三百五十万程度に上るだろうと、こういうことを具体的に指摘をしているわけですが、このような災害に弱い大都市を強い都市にしていかなきゃならぬと思うんですが、その点に関する大臣の基本的な考え方をまずお伺いをしておきたいと思います。
#102
○国務大臣(安孫子藤吉君) 災害に対しまして、特にこれから必ずいつかは来るであろうところの震災なんかを考えますと、一例をとりますると、東京都の体質などというものは、まことに寒心にたえない面が私もあると思っております。それだけに、いろいろな施策を現在講じておるところでございまするが、基本的に、いまの都市改造その他、これに対応するようなものにつくり上げていくというようなことは、実際問題としてなかなかむずかしい問題じゃないかと私は思っております。したがいまして、局所的な対症療法を講ぜざるを得ないのがいまの実態じゃなかろうかと、こういうふうに思っているわけでございます。
 基本的に申しますと、戦災で本当に焼け野原になった東京、これを再建するときに、そこまでの配慮をして、そして災害、震災に強い都市をつくるというような基本的な方向があってスタートすればまた別だったかもしれませんけれども、当時の実情はなかなかそういうわけにもいかなかったように思っているわけでございます。したがいまして、いまこれを基本的につくり変えていくということはなかなか問題でありまするので、やはり対症的にそうしたものに対する個別的なことを強化をいたしましてこれに対応するということが現実的な施策じゃなかろうかと私は思っておるところでございます。
 一例を東京にとって申し上げました。
#103
○伊藤郁男君 やはり東京などを災害に強い都市にしていくのには、大変なこれは時間と労力と費用が要ると思うんですね。だから、いま大臣が言われましたように、個別的なものだけでは、なかなか災害に強い都市、これは百年河清を待つがごときものだと思うんですね。だから、どんな障害があっても総合的に進める、こういう基本的な姿勢が私は必要だと思いますし、そのために、たとえば防災型の都市づくりに関する具体的なマスタープランというものをまずつくって、それに基づいて積み上げ方式をしていく、着実に将来を見通しながら進めていくという、そういう観点が必要だと思います。まあ部分的にはそのことを考えながら施策が進められていると思うんですけれども、現在の災害に強い都市づくり、具体的にはたとえばどんなことが進められておるのか、その点わかりましたらお答えをいただきたいと思います。
#104
○政府委員(近藤隆之君) 最近、地震の問題が非常に大きな問題として取りざたされておるわけでございますが、この地震等による被害を最小限に食いとめるためには、消防施設をいかに強化してもそれだけでは不十分でございまして、基本的には、ただいま先生のおっしゃるように、やはり災害に強い町づくりということになるわけでございます。私どもは、それを推進するに当たりましては、消防庁としてももちろん努力いたしますけれども、国が行っておりますあらゆる行政が、防災ということを前提に置いてそれぞれの行政を推進していただくということが何より必要だと思っております。
 特に、町づくりということになりますと、都市計画などというのがその一つの基本となるわけでございますが、都市計画などの場合におきましては、これはそれぞれ都道府県ごとに審議会というようなものが設けられまして、そこで自分たちの町のあり方の絵図面をかくわけでございますけれども、たとえばその委員の方々にも防災に関心の深いような方々を選んでもらう、防災という面にも配意したところの都市計画をつくってもらうというようなことも必要であろうかと思います。
 なお、災対法に基づくところの地域防災計画というようなものもございますけれども、その中におきましても、当然のことでございますが、緊急の措置と並びまして将来のビジョンというようなものをつくっておるような都市も次第にできてきております。昨年ですか公表されておりますところの東京都の計画などもある程度の期間、たしか五年間程度だと思いますけれども、その間の災害に強い都市づくりという見地からの事業計画というようなものもこの中に織り込まれておるわけでございます。そういった各種の計画等を通じて総合的な災害に強い町づくりということが今後それぞれの都市において行われるということを私どもは期待しておるわけでございます。
#105
○伊藤郁男君 では、具体的にお伺いをしておきますけれども、都市計画法第八条、第九条によりますと、用途地域とか特別地区とか分けて、住居専用だとか工業専用だとか、あるいは建築面積を制限をしたり高さを制限をしたりと、こういうことで進められておるわけですけれども、実際にはこのような大都会においては工場と住宅が混在をしている、あるいは自分の家の隣に危険物を扱っている工場があると、こういうようなところがさまざま見られるわけでございます。石油スタンドなども無数にできておりますから、これは一たん災害があれば大変な被害をもたらす原因にもなると思うんです。したがって、この計画法によって単に新設の建築物に対する規制だけではなくて、各地域、各地区内を細かくチェックして、現にある建物、特に危険なもの、その地域にそぐわないもの、そういうものについては移転その他の措置を強力に進めるべきではないかと、こういうように考えるわけですが、その点の御見解をお伺いしたいと思います。――これは建設省だと思いますが。
#106
○説明員(中田亨君) お答え申し上げます。
 ただいま先生のお話にもございましたように、都市計画法で用途地域その他の地域地区を定めまして、その地域地区に従いました環境ができるように建築行政で指導、建築物の規制誘導等を行っているわけでございます。
 たとえば、具体的に申し上げますと、大規模な災害の発生するおそれのあるような工場が集積するようなところには、工業の利便を増進するということで工業専用地域を定め、住宅等の建築を禁止する等の措置を講じております。また、住居の環境を保持するような必要のあるところにつきましては、住居地域を定めて工場等の建築を禁止する等の措置を講じているわけでございます。
 しかし、この場合にも、住居地域等の指定の以前からそこに存在しておりましたような工場等につきましては、いわば既得権と申しますか、これまでそこにあったというそのお立場を保護するということから、大規模な増改築等を行わない範囲であるならば存続することができるという仕組みになっております。したがいまして、これら既存の、いわゆる不適格建築物と、こう申しておりますが、既存不適格建築物について直ちに強制的に移転させるというようなことはなかなか困難であろうかというふうに思います。
 ただ、特にそのものが公益上著しく支障があるというような場合につきましては、市町村の議会の同意を得ました場合に限りまして移転等を命ずるというような措置も講ずることができるようになっているわけではございますけれども、実際問題といたしましては、一方的に移転を命ずるというようなことはなかなか実際上むずかしいという面がございます。そこで、この問題につきましては、たとえば再開発的な事業の一環といたしまして処理するといったような方法で何か総合的に対処していくことが必要なんではないかというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、住居系の用途地域内等で住宅と工場が混在していることでそのために住環境が劣っておる、あるいは防災上も危険があるというような地区につきましては、先ほどちょっと申し上げたことでございますけれども、工場移転用地の問題、あるいは工場移転跡地をどう利用するかといった問題、さらにはその移転の費用をだれが一体負担するのかといった問題、また、中には危険工場でございましてもいわゆる地域密着型と申しますか、その場所でないとなかなか業務もやっていけないというような中小工場等もございます。こういったものをどうするのかといったいろいろ困難な問題があるわけではございますけれども、地方公共団体の総合的な計画に基づきまして、たとえば都市開発資金という制度がございまして、この資金で国が資金を貸し付けまして、公共団体が工場跡地を買収するというようなことも道が開かれております。こういった既存の規制、誘導に関します諸制度をフルに活用いたしまして、できる限り対処してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#107
○伊藤郁男君 それではお伺いするんですが、いま都市再開発に関するいろいろな法律がございますですね。都市再開発法、大都市地域特別措置法、住宅地区改良法といういろいろな法律が現に施行をされているわけですが、余り実績が上がっていないのではないか。
 たとえば、これは建設省の資料にあるわけですが、四十四年に都市再開発法が施行されて以来五十五年まで、昨年までに着手された市街地再開発事業区域は百七十三地区ですね。しかし、このうち五十四年度までに完成したものはわずか四十九地区、面積は三十八ヘクタールにすぎない。これは建設省の資料に載っているわけですが、こういう実態があるわけですね。
 制度としては整備をされていますけれども、どうしてこのように事業が停滞をしているのか。その原因がおわかりでしたらお教えをいただきたい。
#108
○説明員(平林忠正君) いま、諸種の再開発事業のうちで都市再開発事業に基づく市街地再開発事業の進捗状況についてお尋ねがあったわけでございます。
 数字の点でちょっと申し上げさしていただきたいと思いますが、現在までに完了をいたしましたものは、六土地区、七十・三ヘクタールということに相なっております。
 それにつきましても、市街地再開発事業の進展に当たっての問題点といたしましては、やはりまず第一には地区内の権利者の生活環境あるいは商売を営んでいく上でのそういうような条件が変わるというようなこと、あるいは建物が共同化されますので、その点に対する抵抗感といったようなものが存在をするということが一つの理由として挙げられようかと思います。それから、さらに関係の権利者も非常に多うございまして、その権利関係がいろいろふくそうしております。特に再開発を行わなければならないような地域におきましてはその状況が著しいといったようなことが挙げられようかと思います。
 さらに事業の円滑なる遂行を期するために、事前調整にできるだけの時間をかけまして、一たん事業が着手された後はなるべく速やかに事業を完了させるといったようなことも必要でございます。そのほか、既存の建築物をすべて取り除きまして、そこに新たな建築物を建築をしていくというのが都市再開法に基づく再開発事業でございますので、公共施設の整備も伴うし事業費も多額に上がるといったようないろいろなファクターがございまして、先生御指摘のような状況に相なっているということでございます。
#109
○伊藤郁男君 まあ私の数字がちょっと古かったかもしれませんが、六土地区が完成したとしましても三分の一ちょっと強と、こういう現状ですね。だから非常にいまお話のようなさまざまな障害があるとは思うんですよね。
 しかし、何としても都市再開発、これはもう積極的に進めていっていただきたいと思いますし、これからはどういう方針で臨もうとしておるのか、お伺いをしておきます。
#110
○説明員(平林忠正君) 昨年の第九十一国会におきまして都市再開発法の改正をお願いをしたわけでございますが、その内容といたしまして、まず第一に都市の再開発に関する方針というものを、一定の都市につきましては都市計画の内容としてそれを定めるようにということに相なったわけでございます。もちろん再開発を必要とする地域につきまして定めていくわけでありますが、まずこれによって都市の再開発に関するマスタープランというものをつくっていくという改正がお認めをいただいたわけでございます。したがって、まず第一にこの都市再開発に関する方針をひとつ自治体にお定めをいただきたいと、それを推進をしたいというふうに考えている点が一つでございます。
 それから、同じ都市再開発法の改正の中におきまして、いろいろと再開発事業が進めやすくするような改正をしていただきました。たとえば、施行主体というものを拡大をお願いをいたしましたし、また、あるいは民間の活力というものが都市再開発を進める中で生かしていけるような手だてについても改正されたわけでございますので、これらの法改正の成果というものを十分活用して進めていきたいというふうに考えております。
 さらに、予算措置につきましても、比較的権利の持ち分の少ない権利者に対する取り扱いについて、できるだけこれを優遇をしていくといったような方向で予算措置の充実にもかねてから努めてきているところでもありますので、これらの制度を活用をして進めてまいりたいと思います。
 さらに、都市再開発事業につきましては、そういうような法律改正によって種々の再開発事業の推進についてのいろいろな手だてが講じられたわけでございますが、そのほかいろいろの再開発に関する手法がございます。それらの手法、たとえば防災に関して言えば防災不燃化促進といったような補助事業もございます。それらの事業というものをひとつ総合的に、たとえば都市再開発方針の中等におきまして取り入れられるものは取り入れ、総合的な見地からひとつ街づくりを進めていきたいと、かように考えておる次第でございます。
#111
○伊藤郁男君 法改正の成果を期待すると、こういうことでございますので……。
 次に、最近都市における中小河川のはんらんというのが非常に多くなってきているわけです。その原因は、もう御承知のように、上流地域におけるゴルフ場とかあるいは団地をつくったりと、そういうことによって木が切り倒される、そこで中小河川がはんらんをすると、こういうことですけれども、いま進んでいる無秩序な宅地の造成、ゴルフ場の開発、こういうものに対する積極的な規制というものを私は進める必要があると思うんですが、建設省としてはどんな対策を進めておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
#112
○説明員(鹿島尚武君) 都市計画法におきましては、主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行います土地の区画形質の変更を開発行為ということでとらえまして、一定のものを都道府県知事等の許可に係らしめるというようなことにいたしているわけでございます。御指摘の宅地造成、ゴルフ場の開発、これはいずれもこの許可の対象となされているものでございます。
 そこで、これらの開発行為を行おうとする者は、あらかじめ開発行為に関係がある河川管理者の同意を得る等の必要があるということにされておりますし、また、開発許可権者でございます都道府県知事等は、許可に当たりまして、開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じないように排水施設が配置されることについて技術的な審査を行うこととされておるわけでございます。具体的には、これらの手続の運用の中で都市の中小河川のはんらんを防止をする見地から必要な河川改修あるいは防災調節池の設置等の措置が講じられてまいっているところでございます。
 一方、宅地開発等に関連して必要となります河川の整備に要する費用の点につきましては、従来から、通常の河川整備事業に加えまして、住宅宅地関連公共施設整備促進事業というものを創設をいただいておるわけでございまして、その補助制度を活用をして整備を進めておるところでございます。
#113
○伊藤郁男君 それでは、もう時間がありませんので国土庁にお伺いをしますが、地震の問題と関連をいたしまして、避難場所確保法、こういう法律を検討をする、あるいは今国会に提出をしたい、こういうような考え方のもとで避難場所確保法、これを検討をしていたんだと、こういうように聞くわけですが、この確保法がなぜ今国会に提出をされなかったのか、その原因についてお伺いをします。
#114
○説明員(平野侃三君) 国土庁では、先生御指摘のように、避難地の確保及び防災基地の整備等に関する法律案――仮称でございますが、につきまして、今国会提出を検討してきたわけでございますが、実はこの法案の中に、避難地を指定いたしました際に、民有地がございますが、その民有地に対して行為規制を行うという内容が入っております。この検討をいたしております過程で地方公共団体及び関係省庁と協議をしてまいったわけでございますが、私権制限を行う内容等に関しまして法律上及び実態上検討すべき点が多々出てまいったわけでございまして、今後とも検討をいたしますのに相当の日時を要するということで、本法案の今国会提出につきましては断念せざるを得ない状況になっております。
 なお、国土庁といたしましては、これらの点につきまして今後さらに慎重に検討をいたしまして、本年度、昭和五十六年度の予算で、避難地及び防災基地の整備基準等に関する調査を行うことにいたしておりますが、この調査を活用いたしまして避難地及び防災施設の配置及び整備のあり方につきまして詰めてまいることといたしております。
 また、関係の地方公共団体及び関係省庁とも密接に連絡をとりまして、必要な避難地の確保及び防災施設の整備の推進方策につきまして確立を図ってまいるように努力したいと思っております。
#115
○伊藤郁男君 東京都で関東大震災と同様な規模の地震が起こった場合に、焼けてなくなってしまう木造家屋は四十七万戸程度に上るだろうと、こう言われているわけですね。まあ専門家の中には、たとえばこのような関東大震災クラスの大きな大火になったような場合に、その火から避難をするためには、少なくとも十ヘクタール程度の面積を持つ公園が必要なんだと、こう言われているわけですね。いま東京都では、たしか百三十四カ所程度の避難場所を確保しておるわけですが、これがもうとても狭いところばかりで、本当に大地震が見舞ったときには、恐らくそれは避難場所にはならぬだろう。むしろ生き残った人がようやくたどり着くためにある避難場所に――避難場所というのですかね、それは。そういう場所にすぎないとまで極言する人もおるわけですけれども。したがいまして、この避難ができる大きな公園というか、そういうものも今後積極的に考えていかなければならぬと思いますし、そのために私は避難場所確保法というのを非常に期待をしたわけですけれども、いまの御答弁のように断念せざるを得ないと。まことに残念でございます。
 そこで、現在東京などが指定をしている避難場所の現状、これで一体いいのかどうか。これについて御見解がありましたらお伺いをしておきたいと思います。
#116
○説明員(平野侃三君) 東京都の区部でございますが、先生御指摘のように、百三十四カ所の広域避難場所が指定されております。面積ごとにいろいろな集計がしてございますが、十ヘクタール以下はそのうち二十カ所ございます。また先生御指摘の、それだけでは問題でないかという点に関しましては、ことにわれわれも問題意識を持っておりますのは、三キロ以上避難しなければ避難場所にたどりつかないという区域が区部の中に四千ヘクタール程度ございます。ただいまの市街地の現状から申しますと、そういうオープンスペースがたまたまそこにないということもございまして、そのような指定状況になっておるわけでございますが、今後の課題といたしましては、それらのいわゆる避難困難地域と申しておりますけれども、そういう地域の解消を早急に図っていくというのが非常に大きな課題ではないかというふうに考えております。
#117
○伊藤郁男君 私は、ほんの少しの点だけを指摘をしてきたわけですけれども、いままで指摘をした問題以外にも、大東京を初めといたしまして大都市はさまざまな問題を抱えていると思います。特に、経済、政治、文化の中心である東京、これはもう本当に大変な状況にある、こういうように思います。
 そこで、もう二点だけお伺いをしておきたいわけですが、たとえば東京が大震災に遭遇したような場合に、政府の機能、これを維持することすらできなくなる危険性も実はあるわけでございます。そこで、危険を分散する意味から、あるいは、東京がこんなにも肥大化した、これ以上もう肥大化させない、そういう意味からも、首都の機能というものを分散をする必要があるのではないか、遷都論みたいなものもかつては言われてきたわけでありますけれども、この問題について政府はどのように考えておるのか。あるいは、何か具体的な検討を進めておられるとするならば、その内容についてお伺いをしておきたいと思います。
#118
○説明員(安達五郎君) 御説明いたします。
 先ほども先生御指摘のとおり、災害対策といった見地におきましても、あるいはそういった機能の危険分散といった観点からいたしまして、さらにまた、首都の抱えます過密を解消するという観点から考えましても、首都東京を抜本的に計画的に改造していくという観点から考えますと、いずれにいたしましてもその首都機能の移転、再配置という問題につきましては避けて通れない検討課題であると、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それで、この首都機能の移転、再配置につきましては、昭和四十八年から首都圏整備委員会、当時の首都圏整備委員会で調査を行っておりましたけれども、実は昨年から国土庁におきましても首都改造計画策定調査というものを実施しております。これは、二十一世紀を展望いたしまして首都を抜本的に改造するということを検討しておるわけでございますけれども、これは必ずしも首都機能ばかりではございませんが、首部機能の移転、再配置、そういった問題につきましても非常に重要な検討課題であるということで調査を進めておるわけでございます。
 それで、現在この調査につきましては、首都機能の配置のあり方につきまして、先ほど先生もおっしゃいましたように、首都機能全体を一括して遷都するというふうな考え方もございますし、それから、すでに欧米諸国におきましても例がございますけれども、東京以外に首都機能の一部を移転する、あるいは東京の周辺に機能の一部を移転するといったような展都、あるいは分都、こういった形態もあるわけでございまして、そういったいろいろのモデルを現在比較検討しておる状況でございます。今後さらにそれを具体的に調査検討を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#119
○伊藤郁男君 まあ検討中ということですから、直ちには首都の機能が分散をできるような状況にないことは、これはもうわかっているわけてありますが、この首都の機能分散を直ちに進めることができないにいたしましても、たとえば国にとって、あるいは地方自治体にとっても大変重要な書類、資料等があるわけでございます。地方自治体にとりましては、特に戸籍簿とかそのほかのものが全部なくなってしまうという事態も考えますれば、国、地方ともにその重要な資料というものだけでも分散をしておく、こういうことが考えられるわけでありますけれども、これについての考え方がおありでございましたらお聞かせをいただきたいと思います。これは大臣に。
#120
○国務大臣(安孫子藤吉君) これは余り論議されませんが、きわめて重要な問題だと思います。戸籍の関係、登記簿の関係ですね。この実態を、たとえば登記簿なんかを見ますというと、ある程度やっておりますけれども、全く火災、震災等に対して抵抗力のないようなところに収蔵されておるわけですね。それがたくさん見受けられるわけでございます。したがって、いまの点は、やはり自治体におきましても、あるいは法務当局等におきましても、これがそうした災害に強いような収蔵措置を講ずるということはきわめて私は重要だと痛感をしておるところでございます。これは各省庁の所管でございまするけれども、私はその必要性を痛感いたしております。
#121
○伊藤郁男君 まあ痛感をするだけじゃなくて、ひとつ実施に持ち込んでいっていただきたい、検討をしていただきたい、このように要望をしておきます。
 問題を変えます。交通安全問題につきましてお伺いをしておきます。
 交通安全運動週間が終わったわけですが、運動期間中の事故数、あるいは今回の運動期間中の事故の特徴というのですか、それがどういうところにあったのか、お伺いをします。
#122
○政府委員(池田速雄君) 去る四月六日から十五日までの十日間実施されました春の全国交通安全運動でございますけれども、昨年来の事故増加という厳しい情勢を控えまして、関係機関の方はもちろんでございますけれども、国民各層の方々も、大変じみではございますけれども、真摯に取り組んでいただいたというふうに考えておるわけでございます。
 その結果、事故の数でございますが、発生件数は一万一千六百六十七件で、対前年比では五百三十三件、四・八%の増でございますけれども、死者数では百八十八人で、四十四人、一九・〇%のマイナス。負傷者数は一万四千六十九人で四百五十八人、三・四%の増ということになっております。件数、負傷者数は増加いたしておりますけれども、死者数につきましては大幅に減少をいたしておりまして、この百八十八人という数は、昭和三十三年以降の春の運動期間中では三番目に低い数字でございます。
 死亡事故の特徴を見ますと、年齢層別では子供につきましては三人、一三%ほどふえましたものの、お年寄りの方は十八人、三四%の減ということになっておりますし、状態別では、運動の重点にも取り上げました、自転車の乗用中が十三人、四六・四%の減、歩行中の事故が七人、九・一%の減といったことになっておるわけでございます。
 警察といたしましては、こういった運動の成果を踏まえながら、さらに今後真摯に取り組んでまいりたいと思いますが、おかげさまで昨四月二十七日現在の交通事故の死者は二千三百四十九人でございまして、対前年比百四十八人、五・九%減というふうになっております。ただ、件数、負傷者数につきましては、三月末で申し上げましても、昨年に比べまして件数は〇・五%増、負傷者数は〇・四%減ということで、増加ないし横ばいの傾向にございまして、楽観は許しませんので、これから事故多発期を控えまして一層の努力をいたしまして、何とかして事故の増加に歯どめをかけたいというふうに考えております。
#123
○伊藤郁男君 まあ交通事故はなかなか減っていかないと、こういう実態ではないかと思うわけでございますが、特に交通安全対策の一つとして、児童の安全対策、これはもう児童の安全教育にも通ずる問題でございますけれども、たとえばスクールバスとか幼稚園の送迎バス、こういう車両が車道と歩道の区別がつかないような道路にとまった場合に、児童がおりますね、おりている間はもう一切車は通ってはならない、こういうようなことの法律化というのですか、こういうことを法律に規定をする、このことができないのかどうか。私はそのことによって、これらの児童がやがて成長したときに、今度は自分が運転者になる、運転者になったときに、そのような車がとまって児童がおりているときにはこれはとまらなければならないんだと、こういう意識を小さいうちから植えつける原因にもなるのではないかと、こういうように思いますので、こういうことを法律に盛り込むことができないかどうか、この点をお伺いします。
#124
○政府委員(池田速雄君) 児童の交通安全対策の面から、こういったバス等が停車しておる場合の措置でございますけれども、御案内のとおり、昭和四十五年に道路交通法を改正いたしました際に、通学通園バスにつきましては、バス自体に表示を設けるという規定を設けますとともに、こういったバスが児童、幼児等の乗降のために停車いたしております場合には、側方を通過いたします車両の運転者は徐行して安全を確認するといったような新しい規定を設けまして、こういった注意義務を義務づけておるわけでございます。正確な数字を手元に持っておりませんけれども、このことによりまして相当の安全確保が図られておるというふうに思っておりますけれども、なお今後ともよく実態を調べまして、いま御指摘のございましたように、さらに強い対策が必要かどうか慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
#125
○伊藤郁男君 ひとつその点検討をしていただきたいと思います。
 そこで文部省は、全国の高等学校に対して、自動二輪車の免許を取らせないよう何らかの形で指示したことがあるかどうか。この点、まずお伺いをします。
#126
○説明員(長谷川善一君) ただいま先生御質問の、文部省は、二輪車の免許を取らないようにということを全国の高等学校に文部省として何らかの指示を出したかということでございますけれども、現在各地で行われております二輪車の免許の取得に関する種々の規制につきまして、文部省から各都道府県の教育委員会あるいは学校に対しまして何らかの指示をしたということは全くございません。
#127
○伊藤郁男君 それでは、これは警察と文部省両方にお伺いをしておきますが、いま十六歳となっている自動二輪車の免許取得年齢、これはいまの十六歳で適当と考えられるか。もっとこの年齢を引き上げるべきではないかという意見、あるいは引き下げるべきではないかという意見も両方あるように思いますけれども、文部省並びに警察はこの点についてどのように考えられておりますか、お答えをいただきたいと思います。
#128
○政府委員(池田速雄君) 免許の取得年齢につきましては、社会生活におきます自動車の利用の実態でございますとか、運転者に対します教育のあり方の問題でございますとか、あるいは個々の運転者の知力あるいは体力、そういったものと年齢の関係でございますとか、あるいは諸外国の制度といったような問題を総合的に考慮いたしまして、現行の免許の取得年齢が定められているものというふうに考えております。
 国際条約等によりましても、自動車につきましては最低年齢は十八歳、ただ、二輪の自動車あるいは身体障害者用車両の運転につきましては十八歳未満の者に認めることができるといったような規定もございまして、諸外国の例の大多数は十六歳でございます。一部十四歳といったようなところもございますけれども、やはり現在の状況等から考えますと、私どもといたしましては十六歳というのが最も適当な年齢ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#129
○説明員(長谷川善一君) 高等学校で免許の取得につきまして制限を行っておるのは、その地域あるいは学校のいろいろな事情のもとに、現在の高校生を取り巻く交通環境あるいは社会環境のもとで、安易に二輪車を利用するのを認めるということは、交通事故の発生につながるというようなことを憂慮してのことでございます。
 昨年度も十六歳から十九歳の交通事故の死者の数は千百八十三名でございまして、対前年比七十六人の増加を見ているところでございます。そういうような状況で、交通事故を何とかして防ぎたい、あるいは人命尊重という理念を徹底させたい、こういうような教育的な配慮がございまして、あるいは父母の了解などをとりまして高等学校でやむを得ず行っておるものでございます。ただし、遠いところから通学してまいります生徒とか、あるいは家業を手伝う必要性、そういった状況を考えますと、一律に現在のような規制をすべての生徒に課するということは、文部省としてもどうかと考えております。つまり、免許年齢の引き上げというのを一気にやるということにつきましては相当な問題があろうかと、かように考えておるところでございます。
#130
○伊藤郁男君 この問題は、やはりまだいろいろ議論をしていかなきゃならぬ問題だと思いますが……。
 時間が参りましたので、最後に、運転免許証をすでに持っている人に対する安全教育あるいは適性チェックですね。これはいまのところ三年に一度の免許更新時における教育しかございませんが、私は、この三年というのはちょっと長いような気がするわけでございまして、これを二年に一遍くらいに短縮できないかどうか、こういう意見を持っているのですが、その点の御見解をお伺いをして私の質問を終わります。
#131
○政府委員(池田速雄君) 現在の運転免許証につきましては、三年ごとの更新と、こういうことになっておるわけでございますが、その際に適性検査を行いまして、不適格な方に対する排除、是正を行いますとともに、この機会に、新しい交通情勢の変化、その他安全運転に必要な講習を行うことといたしておるわけでございます。
 したがいまして、講習という点だけから見ますとできるだけ期間が短い方がいいわけでございますけれども、現在の実情ではすでに四千三百万人というような運転免許の保有者の状況にもなっておりますし、そういった諸般の事情等から考えますと、やはり更新と講習をあわせてやる関係上、現在の三年というのが適当じゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。
 ただ、講習の内容につきましては、現在ほぼ画一的に近い形で行われておりますけれども、やはり専門のドライバーの方、あるいはペーパードライバーに近い方、あるいは少年、婦人といったような、きめの細かい講習内容につきましての配意というものを今後真剣に努力してまいらなきゃいけないのじゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。
#132
○神谷信之助君 きょうは、行政改革の問題でまずお尋ねをしたいと思います。
 いま国民は、国民本位の民主的な行政改革の実施を心から願っているわけであります。すなわち、いわゆる行政の全分野からむだと浪費をなくして、利権と汚職、腐敗を一掃して、簡素で効率的な行政機構をつくり上げることを、大衆増税なしの財政再建とともに強く望んでいるところであります。これは、自民党の長期政権のもとで、わが国の行政機構には、国民への奉仕よりは対米従属と大企業奉仕を優先をし、利権と腐敗をはびこらせるところの肥大化した政・官・財癒着の行政の仕組みが定着しており、国民はこれに対して日ごろから怒りを深くしているからであります。また同時に、大企業奉仕の財政運営がもたらした財政危機の克服が、もっぱら国民の犠牲と負担によって進められようとしていることに対しても、国民は強い疑問と不満を持っているからであります。
 これに対して、鈴木総理が、行政改革に政治生命をかけると公言をしておられる。そして、増税なしの行政改革、これを打ち上げておられます。しかし一方では、渡邊大蔵大臣は、五十七年度増税の可能性さえ否定をしておらないわけであります。ですから、鈴木内閣の進めている行政改革には秘められた政治的ねらいがある。それは、一定の行政改革をやった上で、結局は増税やむなしということで、大衆増税路線へ進んでいく危険を国民は敏感に受け取っているわけであります。
 そこでまず自治大臣にお伺いいたしますが、このような国民が抱いている疑問、いわゆる増税の危険について、どのような見解をお持ちでしょうか。
#133
○国務大臣(安孫子藤吉君) これは、肥大化した日本の行財政機構、確かにその面はあるだろうと思います。これをもっと簡素化していかにゃいかぬ。それから高度成長の過程において、実際的には余り有効でないような歳出だってないというわけじゃありません。その辺もやっぱり洗い出してみる必要がある。これからの低成長時代におきましては、特にその辺は検討をする必要があるだろうと思います。そういうものをやってまいりますれば増税をしないで、そして今後における行政対応の基本的姿勢を打ち出すことができる。それを目標といたしまして行財政改革に取り組んでおるというのが実態でございます。私どもはそういう方向に向かって最大の努力をしてまいりたいと、こう考えております。
#134
○神谷信之助君 いまの大臣の答弁は、増税の危険があるのかないのかという点についてもう一つはっきりしていないんですね。私の聞きたいのはそこのところです。
#135
○国務大臣(安孫子藤吉君) 増税というものなしにやっていこうと、こういう決意をもって当っていると、こういうことでございます。
#136
○神谷信之助君 いや、決意だけでは――五十六年度は大増税をやる、五十七年度については仮に一年間増税なしに行政改革で済ませたとしても、結局それでは足らないからというので五十八年度からは増税になっていくという可能性もありますね。この点はどうですか。
#137
○国務大臣(安孫子藤吉君) 決意をもってこれに当たり、これが実行されれば、それは増税なしにやっていけると、こういう確信のもとに……
#138
○神谷信之助君 そうすると、いつまで。
#139
○国務大臣(安孫子藤吉君) 五十九年までですね。
#140
○神谷信之助君 五十九年ね――ところが、第二臨調をめぐる政府あるいは財界なんかのいろいろな言葉を聞いておりますと、その行政改革の構想は、拡大をする軍事部門は聖域化してこれに全く手を触れない。もっぱら国民の福祉部門の削減を取り上げるというように聞こえるわけですね。そして一方総理は、補助金の一律カット、これを指示したという報道もされておりますが、わが党は、こういうような国民の願いに逆行する行政改革のやり方については強く反対であります。
 そこで、さらに大臣にお伺いいたしますが、この補助金の一律カット方式についてはどうお考えか、これが第一点。
 第二点は、軍事部門の聖域化あるいはそれに伴って社会保障や教育などへの削減を逆に行うということになりますが、こういった考え方についてはどうお考えか、お伺いしたいと思います。
#141
○国務大臣(安孫子藤吉君) 一律カットという問題は、神谷さんも御承知だと思いますが、なかなかむずかしい問題なんです。実際論を――実際というか、理屈を言いますれば、各補助金の持っておる性格、その効果等々を十分に吟味をいたしまして、それぞれの縮減を図るというのがこれは本筋だろうと思うのです。しかし、実際にそれが行われるかと申しますと、これはなかなか実行しにくい。そこで一つの手法といたしまして一律カットというのが実際問題として出てくるわけですね、しかし、結果的にそれが一律になるかどうか、これはまた別問題だと思います。そういう行政の進め方、予算編成の過程におきましてそういう手法が出てくるのは私はあり得ると思います。それもまたある意味において是認をせにゃならぬと、こう思っております。そういうことでひとつ御理解をいただきたいと思います。
 それから、軍事費優先でもってほかはみんな切っちゃうんだと、これも一つの極言でございまして、それぞれの行政目的というものに沿って施策というもの、予算というものは編成されるわけでございます。そこで防衛の関係、これにつきましては、客観的情勢、世界の情勢、バランスの問題等々から申しまして、やはり相当充実をしていかにゃならぬだろうと、こういうのが一つの基本路線ですね。これは共産党の方とはちょっと違う点だろうと思いますけれども。そういうことを是認した上において必要な予算は計上すると、これはそうであるべきだろうと思います。
 そうであるがゆえに今度は社会福祉を切っちゃうんだと、その部分を。そういう発想じゃなくて、社会保障とかそういう面につきましても、従来相当ロスがあったのじゃないかとか、そういう点は是正すべきじゃないかとかということだって相当議論されておるわけです。そういうところはきちんと整理をしていこうとこういうことでございまして、軍事費と社会保障というものをバランスをかけて、その分はこっちだと、その切ったところがこっちへ行くんだと、こういうようなことじゃないことは、賢明な神谷さんだから御理解いただいておるものだと思いますが、そういうふうに私は考えておるものでございます。
#142
○神谷信之助君 いや、いまの第一の一律カットの問題は、手法としてはあっても結果としてはそういうことにはならないという、一律カットにはならないであろうというのが大臣の答弁ですね。それは一つわかりますが、第二の点は、私はやはり根本的に意見を異にします。
 結局、五六中業を実行することによって防衛大綱を前倒しで早く実現をするという方針が総理の方からも明らかにされております。こうなりますと、軍事予算というものは年々増大せざるを得ないし、しかもGNPの一%の枠を超えることさえ防衛庁の方は要求してきているという状況で、結果としては軍事予算だけふえる。いろんな形で、むだであれロスであれ、削減をされるというのは、そういうものも含めて、それに対応して結局抑えざるを得ぬわけですから、増税をしないという方向でいけば。軍事費を増大を認める限りはその他の部門が削減をされざるを得ない。私はそこに問題があるし、今日少々の軍隊やあるいは軍備の増強をやってみても、しかもアメリカの原潜の当て逃げ事件じゃありませんけれども、日本の国民の生命、財産には何ら責任を持たない米軍と協力をするようなむだな軍事予算の増大というのは、私は必要のないものだということを考えています。この点は、大臣もおっしゃるように見解の相違ですから、ここで議論をしようと思いませんが、その点を指摘をしておきたいと思います。
 ただ、私たちもはっきりしておきたいと思いますのは、真の意味での国民本位の行政改革の実行というのは、わが国の政治の民主化にとっても、また、財政の民主的再建にとっても、緊急かつ重要な国民的課題であると考えております。ですから、その具体的な提案を今日まで早くから繰り返しやってきております。たとえば政府に対しても、一九七三年の十二月の党首会談で、宮本委員長が行政改革についての提案をしているんです。その後も繰り返し要求してまいりました。そして先般、当両国民本位の行政改革の実行によって二兆円以上の削減をできるという、そういう行政の簡素化、効率化を進めるための国民的な計画要綱というものを提案をしてきているわけであります。その計画要綱の中で、地方自治の拡充を目指して総合補助金制度への移行を提起をしております。これによって、私どもの試算ですが、少なくとも五千億円程度の削減はできるというように見ておるわけですが、そういう立場からこの補助金問題について若干質問をしたいと思うんです。
 そこで、自治省の方にお伺いしますが、総理がわざわざこの事務次官会議に出席をして、そして、行政改革は天の声だということで非常に強調をされたということが報道されておりますが、具体的な提案なり提起というものがあったのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
#143
○政府委員(砂子田隆君) 去る四月十六日の事務次官会議におきまして、総理大臣から行政改革について次の四点の発言があったというふうに聞いております。
 第一点は、五十七年度の財政再建の進め方につきまして、国民に新たな負担増を求めることを避けて、行政改革、歳出削減について全力で取り組まなきゃならぬということであります。第二点は、行政改革の断行は天の声であり、国民の期待にこたえて行革を断行しなければこのような機会は二度とこない。そのために、総論賛成各論反対を言うことなく、政府が一体となって行政改革の推進を図るべきことである。第三点は、行政改革のみでは巨額の財源を生み出すことは困難であるので、各省庁が主体性を持って制度面を含め思い切った歳出の節減合理化を図るべきことである。第四点は、補助金等については法律補助も含めて見直しを図り、その削減に努力すべきである。
 以上の四点であったと聞いております。
#144
○神谷信之助君 そこで、その補助金の問題ですが、これは自治体の行財政に非常に重要な大きな影響を与える問題ですが、この補助金整理の問題について自治省としてはどういう方針で対処をされるわけですか。
#145
○政府委員(土屋佳照君) 補助金の整理合理化の問題が出ておるわけでございますが、私どもは、その際は、国と地方との事務分担と申しますか、機能分担というところを十分洗い出して、そして地方の自主、自律性を高めるといったような見地から整理合理化を行うべきだと思っております。
 またその際は、考え方としては、従来から、行政の減量と申しますかそれを基本的な目標とすべきである。できるだけ不必要な事務は整理をして、そして補助金も整理をするということが基本でなければならない。ただ単に国の補助が削られたということになりましても、仕事そのものが必要であれば地方への転嫁ということになることがあり得るわけでございますから、そういった点、まず基本はいま申し上げたような考え方でいかなければならない。そのためにも補助金自体について、整理に伴って事務事業を廃止するものと、補助金の縮減に見合って事務量、事業量を縮減するものと、従前と同程度の事務量、事業量を維持する必要があるもの、こういったふうによく区分けをいたしまして、そうして廃止、縮減を行うものについては、法令等できちんとして制度的に明らかにする、そういったことでなければ、そこらがうやむやになるおそれがあるという感じがいたしております。
 また、事務事業の廃止、縮減ができないものについては、整理に伴って地方公共団体の負担が増加することに相なりますから、整理された補助金等に見合う額は地方の一般財源に振りかえる、地方一般財源の総額を増加させるという方向で考えるべきだと思っております、なお、必要があって存続させる補助金等については、交付等に係ります事務手続等をできるだけ簡素化いたしまして、また、統合メニュー化といったようなことも十分検討すべきであろう。
 まあ簡単な言い方でございますが、ざっとそういったような考え方を持っております。
#146
○神谷信之助君 地方収入の二五%を占めるのが補助金ですから、これを乱暴に切ってしまうということになりますと、これは自治体に重大な影響を与えるというのは当然であります。
 そこで、さらにお伺いしておきますが、衆議院の地方行政委員会で、わが党の岩佐議員の質問に対して、全体として生活に密着したものについては十分評価をした上で検討をさるべきだというようにお答えになっております。すなわち、ごみとか下水道とか水源開発など、生活環境施設関係の投資についての削減には慎重といいますか、消極的な考えを明らかにしたというように伺っておりますが、この点は間違いございませんか。
#147
○政府委員(土屋佳照君) 補助金等の整理合理化が今後どういった形で行われるかということにつきましては、今後の臨時行政調査会の審議なり予算編成作業等を通じて具体的に検討をされるべきものでございまして、内容について私どもが具体的な考え方を申し上げる立場にはないわけでございます。ただ、先般衆議院で、生活関連施設の整備と関連しまして、補助金の整理の問題についての御質問がございましたので、私としては、生活基盤施設であれ生活関連施設であれ、それぞれの性格、整備の必要性に応じて検討されるであろうけれども、生活に密着した事業についての整備ということも大事なことであるから、それはそれなりの評価のもとでそれに対応する補助金等も検討をされるであろうということを申し上げたわけでございます。
#148
○神谷信之助君 その次の問題ですが、私は以前にも当委員会で、たとえば農業補助金とか教育補助金とか、いわゆる総合補助金制度の問題を提起をしておるわけであります。こうすれば自治体の一般財源も、その方法によっては大きく拡大をし自主性を保障するということになるという提起をしているんですが、
 そこでちょっとお聞きするんですが、行政管理庁の方見えていますか。――ちょっとお伺いします。「季刊行政管理研究」の七八年六月号ナンバー二に、行管庁の当時の監察官の増島さんが、「補助金事務手続の問題点及び改善策」という論文を出されています。その中で、「個々の補助金事務手続に要する人件費を中心とするコストも、正確な推計は困難な面があるものの、全国知事会が指摘するように相当膨大なものとなっていると考えられる。」とお書きになっております。この点について、昨年の十一月の十八日の衆議院の内閣委員会で、わが党の中島議員の方から、相当膨大なものになるとおっしゃっているけれども、具体的には一体どれぐらいかという質問をしましたら、行管庁の佐倉政府委員の方から、約四千億を超えるであろうという御答弁がありましたが、まずこの点間違いないかどうかお伺いしたいと思います。
#149
○説明員(鈴木昭雄君) 昨年の衆議院の委員会でもって佐倉局長から、補助金事務手続に関する地方公共団体の事務量、まあ人件費でございますが、その問題につきまして、御指摘のような答弁があったことは承知しております。事実でございます。
#150
○神谷信之助君 それに関連をいたしまして、自治体の方で約四千億を超える額が恐らく削減できるだろうということだったんですが、それに対して、国の方でも一体どれぐらい削減できるかという点についてはいかがかと思うんです。この点、行管庁の方にヒヤリングしたときには大体それぐらい国の方も削減できるのじゃないかというように聞いたというのですが、ちょっとお答えいただきたいと思います。
#151
○説明員(鈴木昭雄君) 衆議院の答弁の数字も、そのときも申し上げておりますが、きわめてラフな数字でございます。そういうことで、私どもの方でも正確な数字は把握しておりません。また、国の行政機関でどうかという話でございますが、これについても私ども数字を持っておりませんので、何ともお答え申し上げることができないわけであります。
#152
○神谷信之助君 それでは、行管庁の方はもう結構です。ありがとうございました。
 いずれにしても、そういう補助金の事務がそれだけ整理されますから、国の方の人件費、あるいはそれに応ずる調査とか監査とかいろんな出張旅費、諸費、これは国の方の財政でも相当、恐らく地方の場合と同額近く削減する可能性があるというふうに私どもでは見ているんです。こういうように補助金を自治体の財源とすること。もう現実にそれだけ国から出ているわけですからね、実際の仕事の必要に応じて出ているわけですから。そういうことやあるいは零細補助金を整理する。私どもそれを総合補助金制度化と言っておるのですが、こういうことをやりますと、国、地方合わせて約五、六千億から八千億近くの削減は可能であるというように思うんですね。この点は当委員会でも、たとえば零細な補助金は整理をしたらどうかとか、メニュー化の問題とか、いろいろ言われている。ところが、これなかなか実際に実現をしていないわけですね。
 そこで大臣にお伺いをするんですけれども、大臣は知事の経験もあるわけですから、不必要な本庁への出張費、あるいは地方の出先機関へのいろんな手続、そういったものを本当に整理をすればやれるのに、そのことはみんなわかっているのにできない、そのできない原因は一体どこにあるのか。そういう点について、そういう経験をお持ちの大臣の見解をお聞きしたいと思います。
#153
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方におりますと、やはり補助金をもらうのにそれだけの努力をせにゃいかぬ。その努力があらわれないとあるいは補助金が来ないかもしらぬというような危惧の念を持つんですね、実際問題といたしまして。それで、適当な機会にたくさん出てきまして、そうしてどうしてもそれが必要なんだということを非常に力説をする。ある団体がそういうことをやりますと、隣の団体といたしましては、あそこでやっているんだから、それ以上やらないとこれは危ないかもしらぬというような、まあ連鎖反応だってないわけじゃないんですね、実際問題といたしまして。そういうことで、陳情と申しますか、要望と申しますか、そういうものがエスカレートする傾向があることは事実ですね。そういうものがほとんどなくなるということになれば、その辺の事務費なりというものが相当縮減をするということはこれは明瞭だろうと思います。
 ただ、よけいなことでありますが、いまお話の中に、国の方も同額ぐらい減るだろうということは、私はそれはそうならないんじゃないか、要求する方はそういうことですから、国の方は受けている方ですから、それだけの同額というわけにはなかなかいかぬのじゃないかなと、そういう感じがいたします。
#154
○神谷信之助君 いや、私が聞きたいのは、そういうむだをなくさないかぬということがわかっておりながら今日まで直されていない原因はどこにあるのかということです。
#155
○国務大臣(安孫子藤吉君) だから、いま申し上げましたように、やはりそれが効果を上げる場合もあるし、隣近所を見ますとエスカレートせざるを得ない。それを知事なり市長さんなり町長さんなりが、全部ストップと、こう言ったら、その地方はあるいは大いに損をするかもしらぬというような危惧の念だって、これはないわけじゃないですから、なかなかそこは抑え切れぬという面はあると思います。セーブはできるにいたしましてもストップというわけにはなかなかいかないというのが実態だと思います。
#156
○神谷信之助君 私は、そこのところをもう一つ突っ込む必要があると思うんですよね。すなわち、補助金制度そのものを――補助金制度として残しておかなきゃならないもの、これはありますね。国として政策的に奨励をしなきゃならないものというものについては一定の補助金制度というのは必要でしょう。ただ、一方ではもう恒久化しているといいますか、恒常化しているようなもので、補助金制度にわざわざしなくても、それを財源として地方に配分をする、それで一般財源化する。あるいは総合補助金として、それの使い方については自由にさせるとすれば、もっとそういう点は削減できるわけですね。
 ただ問題は、そうすると中央官庁の権限というのはうんと縮まるわけですよ。陳情に対して大きな顔をしていばるという機会は少なくなりますからね、俗に言いますと。やっぱりそういうところで、なかなか中央官庁のなわ張り根性といいますか、自分たちの権益というやつを握って放さぬといいますか、そういう問題もあるし、しかも、それに対してそれぞれの政治家がバックについている。こういうことで、今日の非常に膨大化した補助金制度というものをもっと合理化し、そして実態に即した国と地方との事務の再配分に基づいた合理的な財源の配分というものができない、そこに問題があるのじゃないか。しかも、そういうものが今日までわかっておりながら残されているところに、政界、財界、官界を通ずるような腐敗問題というのがどんどん起こってくる、後を絶たないということになっているのではないかと私は思うんです。この点についての御見解はいかがですか。
#157
○国務大臣(安孫子藤吉君) 私は、それほど根の深いものでもないと思いますけれども、実情はそういうことなんで、それで、いままではそういう形で国の財政も持ちこたえることができましたし、ロスがあるにいたしましても地方団体もそれで仕事ができてきたと、こういう実態であったと思いますが、それが、いよいよこの段階にまいりますと、そういうわけにはいかないということになるわけでございまするから、その辺にもメスを入れにゃいかぬ。
 そこで、この問題は地方団体で御承知のとおりに以前から指摘をしている問題なんです。何もいまさら始まった問題じゃないんです。そこで、この点を地方団体といたしましては政府に対してしばしばその点について意見を申し述べ、そうした方向にいくようにと、こういうことに努力をしてまいりましたけれども、なかなかそういうわけにはいかなかったのでありますが、さて、この段階になりますと、どうしてもそこに手を入れにゃいかぬということになってまいりましたので、私はその意味においては補助金等の整理合理化、あるいは、ある一つのものについては一般財源化するとか、それから、いまお話のありました総合補助金制度でありますとか、あるいは、各省にまたがる同一日的を持つ施設の整備なんかはこれは一本化してやる、その方が国としても合理的なんですが、地方としてもその方が便利なんですから、そういう問題をこの機会に解決をすべきじゃないか、そういう方向に向かって自治省としては努力をしていきたいと、こう考えておるところであります。
#158
○神谷信之助君 大臣の言葉じりをつかまえるようで恐縮ですが、私はやっぱり陳情をすれば効果があるような状態が残されている限りは、本当に国民が期待をする簡素で効率的な清潔な行政というのはできないだろうと思います。そういう点では国民的な要求が非常に高まっているわけですから、根本的にそういう点で国と地方との関係、あるいはその財源の配分を含めて解決をするいいチャンスだと思うので、わが党の提案もひとつ十分熟読玩味をしてもらって、生かしてもらいたい、反映をしてもらいたいというように思います。
 次の問題に移りますが、次は地方自治体の行政改革のあり方に焦点を当てて、民間移譲とかあるいは民間委託というものを具体例で若干議論をしてみたいと思うんです。
 そこで、まず自治省にお聞きをしますが、第十七次地方制度調査会の答申では、例の都市経営論によって、政府が行政改革に取り組む以前に、自治体の減量経営の方針がうたわれました。そして自治省も、この答申に沿う形で行政指導をされてきておるようであります。ここでは、事務については民間に移譲できるものは民間にどしどし移せと、あるいは、行政の管理するものであっても直営でなく民間委託を進めなさいと、簡単に言いますと大体こういう方針のようであります。
 そこで、具体的にお伺いをいたしますが、事務について、どのようなものを民間に移譲をすることができる、あるいはまた、どのようなものを民間委託にすればよいとお考えなのか、ひとつ具体的な例をお示しいただきたいと思います。
#159
○政府委員(砂子田隆君) 何を民間に委託するかという問題は、御案内のとおり公共団体それぞれの判断でやらざるを得ないと思いますが、私たちが公共団体の現在委託している実態から見まして、たとえば庁舎内の清掃でありますとか、あるいは学校の警備でありますとか、あるいは屎尿収集、ごみ収集、そういう事務が公共団体の判断によって民間に委託をしておるという実態があると思います。
#160
○神谷信之助君 そこで、いまおっしゃった中で、具体的にごみ収集の問題を取り上げてみたいと思うんですが、ごみ収集はどの程度民間委託をされておりますか。
#161
○政府委員(砂子田隆君) ごみ収集の業務に係る委託の実施率を見ますと、全団体数に対して委託している団体の比率というのは、ちょっと統計が古いのでございますが、昭和五十三年の十月現在で、市におきましては約五割、町村におきましては四四・一%、全体で四五・三%が委託されておるという実態でございます。
#162
○神谷信之助君 大体二団体に一団体ですね。
 どのようなメリットがあるわけですか。
#163
○政府委員(砂子田隆君) どういうメリットがあるかというもの、これまた公共団体自身の予算の執行なりその削減の方法なりによってそれぞれ異なると思いますが、一般的に公共団体側でメリットだと思っておりますのは、経費の節減ができるということ、あるいは職員の削減ができるということ、言うならば人件費の節約ができるということ、あるいは行政サービスの向上が図られるということ、そういう点が委託のメリットになっているというふうに公共団体では判断をしているものだと思っております。
#164
○神谷信之助君 ごみの収集を民間委託にしてサービスの向上ができるというのはちょっと私は理解に苦しみますが、いずれにしても経済性の問題ですね、第一番の問題は。
 そこでお伺いしますが、自治省の方で、ごみ収集は民間委託にした方が安上がりだと、そういうデータがあるのかどうか。あるいは検討をされたことがあるのかどうか。
#165
○政府委員(砂子田隆君) 自治省として、委託をした方が経済的にベターであり、あるいは直営をした方が悪いというような、経費の比率について具体的に調査をしたことはございません。
#166
○神谷信之助君 いまのお話ですと、現実には二団体について一団体が民間委託をしている、しかし、いまこれを自治体にどんどん普及をして一〇〇%進めるというようにはお考えになっていないと、それは自主的な判断だと、こうおっしゃるわけですね。
 そこで、その次にお伺いしますが、都市経営論は、先ほども申し上げましたように、第十七次地方制度調査会答申の基礎になった考え方でありますが、この都市経営論を展開をしている「都市経営の現状と課題 新しい都市経営の方向を求めて」というのがあります。五十三年六月に発行された日本都市センターの都市行財政委員会が編者の本ですね。御承知だと思います。これをつくったところの都市行財政委員会のメンバーを見ますと、委員には自治省の審議官やまたOBの方も名前を並べておられますし、専門委員には自治省の各課長さんも名前を連ねておられます。あるいはまた、幹事には自治省の当時の各課の課長補佐さんの名前が列記をしてあります。ですから、まあオール自治省の製作と言えるようなものなんですが、この中でいろいろなことがおっしゃられているんですが、結局一口で言いますと、公営は高くつく、だから民間委託にすればこれだけ安くなるという点が一つ大変強調されているわけです。
 そこで、この点はすでに御連絡しておきましたが、この本の八十五ページに、ごみ収集でトン当たり直営と民営ではこれだけ民営の方が安いという表が載っておりますが、この点を報告をしてもらいたいというように思います。
#167
○政府委員(砂子田隆君) いまお話しがございましたように、「都市経営の現状と課題」という本の中に、民間委託というものと直営というものとについてのいろんなデータが出ております。これはそれぞれの研究者が実際に各市に出かけていきまして、その市の調査をしながら実際の経費がどのぐらいかかったかということを調べたものであります。
 たとえばごみ収集を見てみますと、トン当たり直営では一万四千五百二十八円である、民間委託をすれば四千五百十三円になります。で、民間委託というのは直営の三三・五%のコストで収集が行われておりますというのが実態としてごみ収集については載っておる。それが「都市経営の現状と課題」の中に載っておる部分でございます。
#168
○神谷信之助君 私は、民間委託すれば三分の一でごみ収集ができますというこのデータ自身に非常に疑問を思うわけです。この括弧書きに書かれているのを見ますと、相模原、八王子、町田、三鷹、武蔵野、立川、前橋、豊橋の八市の平均、日本都市センターの調査によると、そう書いてありますね、この本には、ところが、八市の平均というのは、この八市は一体何の平均なんですか。直営の平均なのか、民営の平均なのか、直営と民営はどんな形になっているのか、ちっともわからぬわけですが、一体どうなっているんですか。
#169
○政府委員(砂子田隆君) これはそれぞれの市の実態を見てみなければわからないのでありますが、この調査をした時点では、それぞれの市における民間委託の分あるいは直営でやっている分というのを、それぞれ収集の総量とそれに要した経費とから算定をしたものだというふうに理解をいたしております。
#170
○神谷信之助君 厚生省見えていますか。――厚生省にお伺いいたしますが、この八市のうち、直営は一体どこで、民営はどこかということをお答え願います。
#171
○説明員(杉戸大作君) お答えいたします。
 各市、それぞれ直営、委託両方やっておるところが多いのでございますが、相模原市につきましては主として直営で、直営が九一%、委託が四%、ほかに許可が五%でございます。それから八王子市につきましては、直営が八一%、委託一九%でございます。それから町田市は、直営九七%でございます。三鷹市は、直営が一七%、委託が八三%でございます。武蔵野市は、直営が一〇〇%でございます。立川市は、直営九%、委託九一%でございます。それから前橋市は、直営三四%、委託六二%でございます。豊橋市は直営八七%、委託三%になっております。
#172
○神谷信之助君 そうすると、直営は主として相模原、町田、武蔵野、豊橋の四市、そしてその他が民間と、こうなっています。
 それで、これは一体どういう基準でこれを抽出をして、そして比較をされているのか、それもこの本の中では明らかになっていません。だから、都合のいいものをピックアップしてそうして数字をつくり出す。まあ言うと、自分らの理屈に合うように数字をつくり出していかにも客観性があるかのような、あるいは科学性を持っているかのようにでっち上げるという状況だと思うんですよね。私はそれに自治省の幹部の皆さんが名前を連ねているということに非常に恥ずかしく思うんですね。客観性に欠けるきわめて意図的な数字ではないかというように思います、
 本当に民間に委託をすれば三分の一で済むのかどうか。私は、私なりにこれ調査をしてみました。まず、ごみ収集の経費のコストを比較する場合には、その自治体が処理全体にどの程度の経費をかけているか。そして、結果として委託の貢献度がどの程度か、こういう観点から検討することが私は必要だというように思うんです、ごみの収集から最終処分までの一貫した作業の流れ、この中における全体としての効率化を検討する必要がある、この点、大臣の御見解いかがでしょうか。
#173
○国務大臣(安孫子藤吉君) まともにお答えになるかどうかわかりませんが、委託とそれから直営の問題ですが、私は常識的に言っても委託の方が、三分の一がどうかはわかりませんけれども、効率的であって、安くなるというのは私は事実じゃないか。したがって、詳細は私は承知いたしておりませんけれども、このデータの分析が、決して意図的につくり上げたものじゃなくて、率は別としてもそういう傾向は私は示しているものじゃないだろうか、こういうふうに思っておるところでございます。
#174
○神谷信之助君 その点は、これから私が具体的なデータを出してお考えいただこうと思うんです。
 ただ、この都市経営論のやり方は、ごみの収集だけを抜き出して、その部分だけを比較しているわけですよ。それだけを比較すると、いかにもひょっとしたら安いんじゃないかという、また一般的な概念もあります、考え方もあるだろうと思います。しかし私は、こういうやり方は、結局民間の業者が委託を引き受ける、そのためにはその収益性が保障されなきゃならぬわけですよ。すなわち、その採算がとれるかどうか、利益が上がるのかどうかということを少なくとも計算に入れなければ民間委託はできません。そのことは結局どういうことになるかというと、民間委託にされた業者のもとで働いている労働者に劣悪な労働条件と低賃金を強制するという結果にならざるを得ないわけです。ですから、こういう点から言うと、住民の利益というよりは関係業者の利益を保障するというところに視点が移される、客観的に、結果としては移されてしまう。だから、問題は民間委託がいいか直営がいいかというのは、住民の利益の角度から判段をされなきゃならぬ。だとすれば、それは収集から最終処分に至るまでの一貫の流れ作業の中で、一体どれだけ委託が全体としてコストダウンに貢献をしているのかどうか、もっと大事な根本的な問題があるのではないのかどうかということを全体として見て、住民の利益に合致するのかどうかという判断を下さなきゃいかぬ。問題は、そこのところが私はこの都市経営論の議論は根本的に欠けているというように思うんです。
 そこで、具体的に私は検討したいと思うんですが、いま言いましたように、収集、それから前処理の段階の分別、それから中間処理であるすなわち焼却ですね、そして最後に最終処分のいわゆる埋め立て、あるいはこのまま海洋投棄もありますが、そういう過程でごみの処理が行われるわけです。私は、そういう都市経営論の内容の八市だけを好みで抜き出しているのでなしに、全国の自治体の中から都市形態が同じ自治体の傾向を比較をしたい、こう思うんです。
 ですから、このために指定都市から人口三万人未満の市に至るまで、あるいは産業構造が類型VからIIに至るまでの団体で、主として委託に頼っている自治体と直営でやっている自治体とを都市形態ごとに抽出をする、そして、その収集から最終処分までのすべての経費について、そのトン当たり経費、コストですね、比較をするという方法をとったわけです。もちろんその経費の中には、投資的経費は除いて経常的経費だけを比較をいたしました。そこでその点、私のそういう観点で抽出した市が適当かどうかという点について確認をしておきたいと思います。したがって厚生省にお伺いいたしますが、ごみ収集を主として委託で行っている団体名をこれから挙げますが、それは事実かどうかという点の確認をしていただきたい。第二点目は委託率を団体ごとに挙げていただきたいと思います。
 申し上げたいと思いますが、主として委託に頼っている団体十七を申し上げます。福岡市、松戸市、浦和市、高槻市、前橋市、市川市、三鷹市、川越市、流山市、三原市、新津市、下館市、名瀬市、八幡浜市、男鹿市、北上市、大町市、以上十七市です。これは大体いま言った産業構造による分類に応じて抽出した都市です。
#175
○説明員(杉戸大作君) 先生御説明のこの十七都市につきましては、厚生省が五十三年度に調査をいたしました結果によりますと、これは委託が主体の都市でございます。
 委託率につきましては、福岡六八・八%、松戸八五・三%、浦和五二・七%、高槻五八・二%、前橋六一・六%、立川九一・一%、三鷹八三・二%、川越五六・六%、流山一〇〇%、三原七四・五%、新津一〇〇%、下館七八・一%、名瀬七一・二%、八幡浜八六・七%一男鹿一〇〇%、北上五六・三%、大町一〇〇%。
 以上でございます。
#176
○神谷信之助君 次に、直営の方の十七市を申し上げますが、間違いないかどうか、厚生省お答えいただきたいと思います。
 横浜市、旭川市、大宮市、岡崎市、いわき市、武蔵野市、鎌倉市、高岡市、橿原市、尾道市、館山市、野田市、大竹市、人吉市、坂戸市、玉名市、勝浦市。
#177
○説明員(杉戸大作君) 間違いございません。
#178
○神谷信之助君 次に、自治省にお伺いしますが、いま私はそれぞれ十七団体申し上げました。これは、たとえば指定都市は、委託の方は福岡、直営は横浜。それから都市形態でいいますと、類型Vの5では松戸、浦和は委託であり、そして旭川、大宮は直営ですが、これはどちらもVの5の都市形態の範疇に入っているというように、それぞれが同じ数だけの対応をしているというように思いますが、いかがですか。
#179
○政府委員(土屋佳照君) おっしゃるような形になっております。
#180
○神谷信之助君 厚生省には各自治体からこの清掃事業の実績報告が出ていると思います。五十三年度のこれについての決算状況についてお聞きをしたいと思います。
 まず、直営の旭川市です。人件費、それから収集運搬費、中間処理費、最終処理費あるいは委託費、これらを合計をしたごみ処理の総額ですね、これと、処理したトン当たりでこれを割りますと、トン当たり幾らになりますか。
#181
○説明員(杉戸大作君) 旭川市につきましては、五十三年度のごみ処理経費は、合計しまして約八億一千四百万円でございまして、一トン当たりのコストは七千八百六十円となっております。
#182
○神谷信之助君 次に、同じ都市形態である松戸市の場合ですね。これは委託率が八五・三%だったかと思いますが、同様に計算をして、トン当たり幾らになりますか。
#183
○説明員(杉戸大作君) ただいまのその旭川市と同様に計算いたしまして、一トン当たり一万七千四百円となっております。
#184
○神谷信之助君 この両市の場合、委託は直営の約二・二倍になります。
 次に、岡崎市は直営です。同じレベルの高槻市は委託です。両市のトン当たり幾らになるか。厚生省。
#185
○説明員(杉戸大作君) 岡崎市の場合がトン当たり八千百二十円でございます。高槻市につきましては二万三千五百七十円となっております。
#186
○神谷信之助君 委託は直営の約三倍ですね、二・九倍。
 自治省にお尋ねしますが、このように、委託にしても安くならない。その理由は一体どこにあるんですか。
#187
○政府委員(砂子田隆君) これは委託の中の実態を調べてみなければ何ともすぐ申し上げかねるところがあると思いますが、一般には、この調査書にもありますように、委託をして高いとか高くないとかというのが、委託される方の職員数が多いとかあるいは給与が高いとかいろんな事情はあろうと思います。いま神谷先生がおっしゃいましたように、たまたま高いところと低いところで、直営の方が低いところということでおっしゃったのだと思いますが、同じ団体でも、たとえば福岡と横浜ですと、横浜の場合は一万四千五百六十円直営でかかりますが、福岡では三千八百八十円でできているというのも実はあるわけでして、いろいろその市によりましてずいぶん類型的に違っておるように思います。ですから、一概にどういう理由かと問われましても、ちょっと判断に苦しむ部分があるように思います。
#188
○神谷信之助君 いまおっしゃったでしょう、福岡と横浜を。横浜は一万四千五百六十円、そして福岡は三千八百八十円と。ところがこれは数字が違っていましてね、厚生省からきょう訂正してきましたよ。一万四千九百五十円なんです。
 いま私は大分かけ離れたところを例にしましたから、ちょっとびっくりされておるのだと思いますが、近いところで言いますと、たとえば尾道と三原、ここでもやはり委託の三原の方が高いというように思いますが、厚生省どうですか。
#189
○説明員(杉戸大作君) 尾道市につきましては、これは直営が主体でございますが、二万一千八百三十円でございます。三原市につきましては、これは委託が主でございますが、二万二千二百二十円となっております。
#190
○神谷信之助君 これは北海道とこっちとかいうかけ離れて遠いところを言っているのじゃないので、隣同士の市ですね。これでもやっぱり委託の方が少し高くなっています。
 それでは厚生省、十七市について、それぞれ、単純平均すればトン当たり直営では幾らになるか、あるいは委託では幾らになるか、あるいは加重平均すればどうなるか。この点はいかがでしょう。
#191
○説明員(杉戸大作君) 十七市につきまして、単純平均では直営が一万四千六百七十円、委託につきまして一万二千三百六十円となります、それから加重平均では、直営が一万四千三百六十円、委託につきましては一万四千四百七十円となります。
#192
○神谷信之助君 だから、単純平均しますとやっと委託の方が少しは安い、こういう数字が出てきます。しかし、加重平均しますとやっぱり直営の方が安い。同じ類型の同じ数だけ十七市抽出をして、そしてやってみたらこういう結果が出るんです。
 次に、直営あるいは委託の、それぞれの最高のコストの団体名とその単価を報告してもらいたいと思います。
#193
○説明員(杉戸大作君) 直営では尾道市の二万一千八百三十円でございます。委託につきましては高槻の二万三千五百七十円でございます。
#194
○神谷信之助君 最高をとってみますと、これでも委託の方が高くなってきています。
 それで、厚生省お伺いしますが、高槻市の場合は非常にこうやってコストが高くつくわけですね、トン当たり。これは特別の事情があるのかどうか、いかがでしょう。
#195
○説明員(杉戸大作君) 高槻のコストは、これは最終処分の費用が割り高になっているためと推測されますが、いまちょっと、十分承知いたしておりません。
#196
○神谷信之助君 この高槻市では、総経費の四六%が最終処分の費用になっていますね。だから非常に高くつくという状況が出てきます。そこで、大阪市と比べてみますと、大阪市の最終処分費というのが五十三年度決算で八億四百三十五万円、高槻市の最終処分費は九億九千百九十八万円。間違いございませんか、厚生省。
#197
○説明員(杉戸大作君) 間違いございません。
#198
○神谷信之助君 それで、これトン当たりでどうなるでしょうか。
#199
○説明員(杉戸大作君) 大阪市につきましてはトン当たり五百四十九円、高槻市につきましては一万九百八円になります。
#200
○神谷信之助君 大阪の約二十倍、最終処分費が高槻はかかるんです。事は、収集の部門だけを委託をすればいいとか直営がいいとかということだけで、問題はぼくは単純に済まない、こういうことが言えると思います。経済効果を本当に考えるならば、この最終処分費をどう減らしていくのか、あるいはその効率化のために一体どうすればいいのか、いろいろな点を私は考えなきゃならぬと思うのですが、こういう点についての研究を自治省はなさっているのでしょうか。
#201
○政府委員(砂子田隆君) 委託を実際効率的に行うのにどうすればいいのかという議論は私はあるとは思いますが、いまのところ、そういうことについて研究をしてはおりません。
#202
○神谷信之助君 清掃事業全般について全面的に研究もしないで、ただ民間委託の方がコストが安上がりになりますよという指導、あるいはそういう目で自治体の行政を見ていたのでは、本当に効率的な、そして民主的な行政改革というのは進まないという点を私指摘をしておきたいと思います。
 私がいま指摘をいたしましたように、大臣は、まあ三分の一というのはどうかと思うけれども安いのは安いだろうとおっしゃいましたけれども、全体として見ますと決してそれほど経済性を上げているということにならない。仮に委託の場合にコスト面で直営より安上がりという場合もあるかもしれぬ。そう仮定をいたしましても、その場合、先ほど私が申し上げましたように、そこには劣悪な労働条件と低賃金が背景にあるわけです。そして自治体が、そういう低賃金労働者、劣悪な労働条件をさらにふやしていくようなことをやっているのがどうして住民の幸せにつながるのか。私は、地方自治の根本の問題にさえかかわる問題だと思うのです。
 同時に、この収集をめぐる住民とのトラブル、これは委託にすればずっとふえてきているのが統計的にも明らかです。あるいは業者に対する管理業務もふえてくる。あるいは一たん委託業者を決めて委託いたしますと、トラブルがあってもそれを変更するということはきわめて困難であります。そして大都市、いま京都でもそうですが、大阪でもそうです、あるいは東京でもだんだんいま広がってきていますが、そういう民間委託の業者のもとで働く労働者の中に、労働組合をつくる運動が広がってきています。そして、人権を無視するような、そういう劣悪な労働条件や低賃金に対して激しい闘いが起こっている。これはコストが上がらざるを得ないでしょう。これには結局自治体側も、それだけ上げるならもう断わるというわけにはいかぬわけですね、そういうレールを敷かれてくると。だから、委託業者をかえることさえ非常に困難になります。ですから、長期的に見ると結局、一時的には安上がりだと見えても、そういうことにならない。また、資本主義社会の中における労働運動が現存する限り、それが正しく発展をする限り、私はそれが法則だと思うのです。
 ですから、こういった点を考えますと、やっぱり多くのデメリットも民間委託の場合にはあるわけで、単純に私は民間委託をすればよろしい、それが行政改革だというように短絡的に考えるのはきわめて危険だと思うんですが、この点での大臣の御見解をまず聞きたいと思います。
#203
○政府委員(砂子田隆君) その前に一言だけ申し上げておきたいと思いますが、いま委託のお話が出ておりますが、この十七市のうちで十三市につきましては確かに委託の方がコストが安いわけでございます。残り四市が、直営の方が類型別に見ると高いということになっておりまして、全体的にはやはり委託の方が相対的に安いという数字であるようにも思います。
 それから、高槻と大阪の議論でありますが、実は私も大阪におったから若干申し上げますと、大阪は御案内のとおり万国博覧会をやりましてから公共投資が大分進んでおりまして、道路の改善が大分なされました。御案内のとおり高槻というのは大変道路が狭うございまして、車一台通るのに大変むずかしい市でございます。そういう意味で、収集とか運搬に大変労力を要している部分が私は高槻にはずいぶんあるんだと思います。
 そういうことを考えますと、高槻が大阪の二十倍であるという議論はともかくとしまして、若干高槻の方がそういう意味で割り高になる部分は私はあるのではなかろうかと思っております。
#204
○神谷信之助君 大臣の意見を伺う前にいままたそう言っておっしゃると、また一言言っておかぬと答弁が狂うてしまうので……。
 なるほどそういう点もあるんです。だから、私は委託が全部高いとは言わない。高いところもありますよと。しかし、それは三分の一であるわけはない。これははっきりしておきたい。だからこれは、少なくとも都市経営論のこの統計はでたらめである。それだけははっきりしたいと思います。
 それからもう一つは、確かにいま言ったように、そういう面で高槻なんかは道路も狭いし、困難です。したがって、委託にもできない。そういう条件があります。ですから、このコストの比較もトン当たりで比較をするのがいいのかどうか、それとも走行距離で比較をする方がもっと正確ではないのかとか、まあいろんな意見が清掃事業のコスト計算の場合あります。私は、いま通常やられているトン当たりで比較をしたわけですけれども、走行距離その他でやりますと大分違うんですね。工場地域、農村地域、都市密集地域、これらによってうんと違いますし、道路の広い狭いで収集量というのはうんと変わってきますから、その点でのコストの高低というのは簡単には言えない。そういうことはよく承知をしています。私が言いたいのは、ただ単純に委託がよろしいということで見るべきではなしに、清掃事業全体の、そういう流れ全体の作業、それと全体の経費、この部分と、それと実際に収集を委託にした場合に起こるいろんなデメリット、収集を委託にしても、若干効果があったとしても、全体から言うとそれほど大きな効果がないのに、逆にデメリットを生むようなことは、単純に委託の方がよろしいということにならぬのではないかという点を言っているわけです。この点について、大臣、ひとつ明らかにしてもらいたい。
#205
○国務大臣(安孫子藤吉君) 大変精細な議論でございますが、おっしゃるような、委託の方が割り高になるんだということになれば、論ぜられました、それは労働者を搾取するものだというようなことは根底的に覆るわけですね、その点から言えば。委託が劣悪な労働条件を強いるものだということにはならないわけですね。
#206
○神谷信之助君 いや、それは違う。
#207
○国務大臣(安孫子藤吉君) それはまあ議論ですからさておきまして……
#208
○神谷信之助君 私は、委託の部分だけをとって見てはならないということです。
#209
○国務大臣(安孫子藤吉君) それで、先ほども申しましたとおりに、委託と直営の場合に、大体の感じから言えば、企業努力とか能率を上げるとかという点から言いますと、委託の方が安いのじゃなかろうか、低いのじゃないかということをお答えしたわけですが、その基本は私はあるのじゃないかというふうに思います。しかし、これは計数的にいまそれを証明するわけにもまいりません。それを証明するためには、いろいろな、比較の対象の選定とか標準とか算定の方法とか、そういう点を十分吟味をしてやる必要があるだろうと思います。この点は自治省の方でも必ずしも十分なデータを持っておるわけではありませんので、これは十分ひとつ検討をさせてもらいます。
#210
○神谷信之助君 いままで厚生省や自治省のいろいろな資料をもとにして検討をしてきたわけでありますが、私は、こういった清掃行政の行政改革を進める場合には、仕事をしている労働者の創意を引き出すということ、そして住民の理解と協力を得る、この観点が非常に大事だというように思うんです。
   〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕
 そこで、この機会に参考に一例を挙げてみますが、沼津市の場合なんですね。これは埋め立てをしておりましたが、昭和四十八年の暮れに、その埋め立て周辺の住民が、悪臭とか害虫、害鳥あるいは通過車両によるほこりなどによる農作物への被害、こういったことを問題にして、埋め立て場の継続使用反対運動が起こったわけですね。十二月にはとうとう埋立地への車両の実力阻止が住民運動で行われました。そこで、六カ月間の話し合いが行われまして、一つは生ごみの完全焼却、二つは埋め立て場の地域分散、第三には埋め立て物の適正化、こういったものを中心にして協定ができて、やっと使用が再開できるということになりました。
 ところが、生ごみの処理を完全にやろうとしますと、もう工場が老朽化してだめだと。そこで新工場をつくるということになったのですが、またこれが住民の反対に遭うと、こうなりました。そこで、いろいろな話し合いが行われて、四十九年の九月にやっと公害防止協定ができて、新しい工場の建設というのがOKになったわけなんです。
 それで一年間、そういう住民運動の中で、そこの沼津の清掃労働者はいろいろな問題にぶつかったわけですね。皆さんも御承知のように、自治体の職場の中で現業労働者というのは、事務労働者といいますかあるいは管理職の管理的な仕事をしている労働者からいうと、おまえらは頭を使わぬでもよろしい、体だけ動かしたらよろしいと言わんばかりの、そういう態度がまだまだ多く残っているし、自分たちが住民にとって大事な仕事だと思ってごみの収集、処理を一生懸命やっているのに対して、ごみというあんなものは来てもろうたらかなわぬとかね、嫌悪される、そういったいろいろな事実にぶつかる中で、自分たちのやっている仕事について、職場でみんなで討議をやり出す。それで、当時の市長は、そういう中にもどんどん乗り込んで行って一緒に議論をする。こういうことをやる中で、一つはごみを減量するという問題、あるいはこの再資源化を考えるという問題、これが職場の討議の中から出てきて、そして分別収集というものを結論づけて、その結論を今度はその労働者自身が町内会に行って、それぞれの町内会で三百回以上もその問題で議論をする。
   〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕
 こういう中で、いまでは、これ五十四年度の決算を見ますと、この再資源化による売上量は二千七万円になったんですね。大体半分は市の一般財源へ入れる、半分は住民の方に還元をするというやり方になっているんですね。私は、そういう実際に仕事をやっている人たちの労働意欲、そして自覚、それを生み出すところの民主的な職場の討議、これが徹底して行われる中からいろいろな創意が出、そしてそういう自治体労働者の、清掃労働者のそういう運動、姿を見て、地域の住民の人も胸を開いて一緒に議論をするし、そして理解と協力というのも生まれてきているという、その中で自治意識も育っているわけですね。
 これは一例ですが、私は、まだまだ数は少ないかもしれませんが、今日自治体労働者自身がそういう自分たちの職場、仕事について考察をし、自覚を高め、そして本当に住民の要求にこたえる行政というのはいかにあるべきかということ、これは自治労がもう二十年来にわたって自治研究活動をやっておりますけれども、そういう運動がずっといま広がっているんですね。私は、そういう運動と結びついて初めて住民の声を土台にした民主的な、効率的な行政改革ができるという点を申し上げておきたいというように思うんです。この点はぜひひとつ参考にして自治体に対するいろんな助言に生かしてもらいたいというように申し上げておきたいと思います。
 もう時間がありませんから、あともう一つ。住民投票の問題で簡単にお聞きをしておきたいと思います。
 自治法上の住民主権として、リコール権とか、あるいは条例請求権あるいは監査請求権等がありますが、住民が直接政策判断に参加できるいわゆる住民投票制について、今日までまだ法制化されていないわけであります。なぜないのか。最近住民参加ということが盛んに言われておりますし、この住民投票という制度も住民参加制度の重要な柱の一つであると私は思うんです。ですから、自治省としても制度として検討する時期に来ているのではないかと私は思います。
 ところで、先ほど新しく高知県の窪川町長が誕生いたしましたけれども、あの藤戸町長さんは原発立地の是非について住民投票に付するということを公約をされております。私ども共産党も、従来から原発とか新幹線とか、そういった大プロジェクト事業とか、あるいは地域住民の安全と著しくかかわり合いのある事柄については、住民投票の制度を設けて、これによって判断をするということを提案をしてきたわけでありますが、しかし、今回のあの窪川町長の公約というものは、自治法上の住民投票制度が確立をしないという現在の状況ではどのような形で運用されるか。そのやり方によって重大ないろいろな問題が起こる。そういう点で重要な私は疑問を感ずるんです。
 そこで、自治省にまずお聞きをいたしますが、過去に行われたいわゆる住民投票について、各自治体でどのような形で実施されたか。その自治体名あるいは投票に付された件名、実施機関、投票権者の範囲、投票結果、その行政への反映状況について御報告を願いたいというように思います。
#211
○政府委員(砂子田隆君) お話しのものは、法律に基づかない住民投票のようでございますので、法律に基づかない住民投票の例について具体的な例をお話を申し上げたいと思います。
 現在まで、そういう住民投票がありましたのは七件ほどございます。一番古いのは昭和三十九年に行われました東京都の由木村でございまして、これは八王子市または日野市との合併について村民の代表者との間の協定によりまして投票を行ったものでございます。これは住民投票の結果八王子市に合併をするという投票数が過半数を占めまして、三十九年八月に八王子に編入をされております。このときの投票権者は由木村におきます基本選挙人名簿の登録者全員でございます。
 それから、神奈川県の橘町で昭和四十五年の三月に小田原市との合併につきまして、やはり住民投票が行われました。これは二十歳以上の全町民が行いまして賛成が過半数を占めまして、四十六年の四月に小田原市に編入をされております。
 それから、四十七年の十一月に東京都品川区におきます区長候補者の選定、同じく四十八年の八月に大田区における区長候補者の選定、それから練馬区におきましても四十八年十月行うということがございましたが、この三つのうちで練馬につきましては、結局無投票ということで投票が行われませんでしたので、残り二つについて申し上げますと、これにつきましては、区長候補者選定投票管理委員会というのをつくりまして、そこで投票を行っておりますが、このときには、議員の選挙権を有する二十歳以上の者全員になっております。そこで、最多得票を得られた方が、その後の知事の同意にかかることで議会で選任されたというふうに聞いております。
 それからもう一つは、石川県の志賀町におきまして、四十七年の五月に北陸電力の能登原子力発電所の建設につきまして赤住地区の部落で総会が行われまして、その地区全員に対して行われましたが、これは開票をされないままになっております。
 それから、新潟県の柏崎市でやはり四十七年の七月に東京電力の柏崎原子力発電所の建設につきまして、これは荒浜の町内会の問題でございまして、荒浜地区におきまする住民についての投票が行われました。これは投票されました結果反対ということが過半数を占めております。
 以上でございます。
#212
○神谷信之助君 いま報告されましたように、自治法で認められておらなくても、禁止されてはいないわけですから、実施をされ、しかもその内容はばらばらなわけであります。これは投票をやるかやらぬかというのは、首長、あるいは町内会長の場合もありますが、それの自由裁量になります。有権者の範囲も、公選法上の有権者をそのまま認めることもあれば、橘町のように単に二十歳以上という場合もあれば、柏崎市のように一世帯一票制という場合もある。それから、実施をする地域の問題、これは志賀町、柏崎市ですか、こういうようにあります。しかも志賀町の場合は、投票を実施をしたけれども、県からの申し入れといいますか介入で、指導で、開票をしなかったという例もあります。こういうようにばらばらなわけですね。
 ですから私は、住民投票をやるという場合でも、地域をどう設定するかによって直接影響を受ける人の方が多い場合と、それから広めれば薄まっていく、そういう点で投票の結果も変わってくるでしょうし、あるいは投票権者をどうするかということによって、たとえば一世帯一票制ということになりますと婦人の意思の反映が弱いという場合も起こり得るわけであります。したがって、たとえば高知県の窪川町の場合、住民投票制度のやり方によっては町長の意思、原発立地賛成で選挙戦がやられたようですから、そういう意思なら意思を裏書きをする、そういう選挙のやり方、投票のやり方というものが採用される可能性もあるわけですね。形式が住民投票でという形式、あるいは少なくとも名称はそうなりますから、いかにも民主的なように見えるけれども、しかしそれは決して本当の意味の民主的なやり方ではなしに、そういう意味ではきわめて恣意が入る。にせの地方自治といいますか、そういうものになり得る可能性もある。
 ですから私はこういう点、このまま住民投票というものを法制化しない状態で放置していっていいのかどうか。御承知のように憲法九十五条に住民投票の制度が規定されておりますが、これはもちろん性格は若干違いますね。ですから一概にそうは言えないかもしれませんが、それとの関連においても住民投票を制度化する、法制化する、このことを自治省として今日もういよいよ研究あるいは検討をする必要があるのではないだろうか。あるいは、いまの選管はこの住民投票についてタッチはできない、いわゆるそういう業務を持っていません。あるいは少なくとも選管がその業務を暫定的にでも行うということにしてでも、少しでも公平性といいますか、を維持するといいますか、そういったものも考える必要があるのではないだろうかというようなことを私は強く考えるんですが、この点について自治省の御見解を聞いておきたいと思うんです。
#213
○政府委員(砂子田隆君) すでに御案内のとおり、地方自治法の規定というのは間接民主制ということによって民意をどういうふうに反映をさせるかということについて実は規定をいたしておるわけであります。ここしばらくの間、間接民主制の議論の仕方というのが、いろんなところで住民参加問題というものを契機にしながらいろんな議論はされておりますが、私は、基本的には間接民主制のいまの制度というのはやはり持続されるべきものだと思っております。ただ、それにどうやって直接民主制的なものを導入をするかというのが一つの問題点であろうと思います。おっしゃられておりますように、地方自治法の中でも、若干の直接民主制に係る規定、言うならリコールの制度みたいなものを入れましてそれの補完的な役割りをさせながら住民の意思の反映というのを図っております。御案内のように、最近では各市町村におきましてもいろんな、首長を囲む会でありますとか公聴会でありますとか、そういうことをしながら、住民の直の声をどういうふうに自分たちの政治の中に入れるかということでみんな苦心をいたしていることも事実であります。
 そこで、いまお話がございましたこの政策判断と申しますか、そういうものに対する住民投票制度というものを法制化する道というのがやはり開かれるべきでないかということにつきましては、私も一考に値する考え方であろうと思っております。と申しますのは、実は、御案内のとおり、第十六次の地方制度調査会が行われまして、そこで「住民の自治意識の向上に資するための方策に関する答申」がございました。そこでは、具体的に公共団体の廃置分合というものについてはそういう意思が反映されてもいいのではないかというのが開陳されましたが、残る特定の重大な施策でありますとか、事業を実施するために必要となる経費に係る住民の特別負担、まあ地方債のような問題でしょうが、そういうものまですべてどういうふうな形で入れるかということについては大変むずかしい問題がございます。そういうことで、いま私の方でも、どういうものがそういう形として合うかというのは、内々では研究はいたしておりますが、まだそこまでの成案は得ておりません。今後ともそういうものが地方自治の中にどういうふうにうまく規定できるか、研究はしていきたいと思っております。
#214
○神谷信之助君 終わります。
#215
○美濃部亮吉君 私は、地方自治について御質問をいたしたいと思います。
 民主主義化を進める大きい柱は地方自治の推進にあると思っております。地方自治体は、最もよく地域住民と密着をし、地域住民の利益を代表し、そして地域住民を幸にすることができる、そういうことがやはり地方自治、民主主義が発達する基礎になる。それだからこそ地方自治体の長は、議会の選挙と違いまして、直接選挙になっているということが言えると思います。それでございますから、中央政府と地方自治団体との間の関係は、命令者とその命令の実行者という関係ではなくて、完全に対等なものであり、その関係は、何といいますか、チェック・アンド・バランス、つまり一つは、国は国全体のことを考える、地方自治体は地域住民のことを考える。その間において意見が違うことが往々にしてある。あるいはあらゆる問題において意見が違うと言えるかもしれませんが、そういう場合にはよく話し合って、そうしてその中間の道を歩む、それで民主主義が発展をしていくということであろうと思うんです。
 そうして、地方自治を定着させるためには、何といっても地方財政を独立させて、つまり地方財政の民主化、自治財政と申しましょうか、自主的な財政が非常に必要であると思います。すなわち、自治体の財源は法律によって決められて、そうしてその支出については地方自治体のほぼ自由に任せられる、これが地方財政の自主的な姿であろう、そう思います。そこで私は、財政自主ということについて、現状の地方財政の状況を考えて御質問をいたしたいというふうに思います。
 御承知のとおり、日本の国全体の財源は、国が二四%支出をして地方が七六%を支出するという状態になっております、そのことは、国全体の仕事のうち七六%は地方自治体がする。そうして、事の重要性とかいうことは別ですけれども、量から言えば国は二四%にすぎない。そしてこのような、つまり日本全体の仕事の七〇%を引き受けてやっているその財源は、自治体が自主的に決定し得る財源でなければならないにもかかわらず、そうなっていないのが現状であると言っていいと思うんです。そして、地方に与えられる財源のうち、これも非常ないろいろな制約がございますけれども、最も自主的である、つまりその財源が法律によって決められて、そうしてその支出が地方自治体のほぼ自由に任せられているというのが、これが地方税――都道府県税とか事業税とか、たばこ消費税、それから遊興飲食税等々のものが含まれます地方税であろうと思うんです。この地方税が、御承知のとおり、私が言うまでもございませんが、地方の収入の三一%にすぎないというのが実情でございます。この状態から見ると、仕事は七六%を引き受けている。そうしてその財源のうち自主的な財源と言われるのは地方の財源のうちの三〇%にすぎない。そうして、そのほかの財源は政府のひもつきの財源であるという状態になっている。そういう状態のもとにおいて地方自治体の地方自治がうまくいくはずはない、そう考えるんです。
 そうして、中央政府のひもつきの財源とはどういうものであるか。それは具体的に言えば、地方交付税と国庫支出金と地方債でございます。そうして、地方の収入、財源のうちのパーセンテージを見ますと、地方交付税が一八%、それから国庫支出金が二七%、地方債が一〇%となっております。それで、私が言うまでもございませんけれども、地方交付税は国税三税の三二%がこれに充てられるというふうに、いかにも地方税と同じように法定されているように見えますけれども、これは、三二%という額は決められておりますけれども、それを各県各市町村にどういうふうに分配されるかということは自治省の思うがままでありまして、自治省の主観的な判断によって決められるというふうに思います。地方交付税は、基準財政需要額がございまして、その主なものは警察費とか土木費とか各費目に分かれまして、その費目を足して総額を計算するわけでございますが、この警察費、土木費とか教育費とかいうものも、額も恣意的に決められる面もございますけれども、これは何といいますか、相当適正な額が決められると言っていいと思います。しかし、どうも適正でないものはいわゆる補正係数というものでございまして、自然的または社会的な差異が各団体のうちに生ずるから、それを調整をするというのが補正係数でございます。この補正係数はどういうふうにして計算されるか絶対に外部には発表されません。外部からはどういうふうにしてこれが計算されるかよくわかりません。この補正係数は、いま申しましたように、社会的な違いによって生ずる差異、そういうものがこれに含まれるわけでございまして、そのうちの非常に大きいものが、大都市であるがゆえに出てくる財政需要、これももちろん補正係数に含まれておりますし含まれておりますことは否定いたしませんけれども、本当の財政需要額に比べれば非常に低く査定されているということは事実であろうと思います。
 それは、たとえば大都市においてはだんだんといろいろな人口と資本とが集積をしてまいりますけれども、その集積から来る不利益をこうむって、その不利益に対応するための財政需要が出てくるということや、また、大都市は大都市であることによって必要な高度のサービスや都市の施設が必要になってくる、そこから出てくる財政需要とか、あるいは大都市の地価とか賃金水準とか家計水準が比較的に高いということから生ずる財政需要とか、具体的に言いますと、老人、子供、心身障害者に対する福祉施設をつくらなければならない、小中学校もたくさん建設しなければならない、公園も大きいのをつくらなければならない、道路もまたたくさんつくらなければならない、地下鉄もつくらなければならない、下水道をつくる金もたくさんかかる、あるいは清掃工場あるいは公害対策、あるいはそういう施設の建造に要する建設費、人件費が非常に高くなる、そういうふうなものが具体的に申しました大都市なるがゆえに生ずる財政需要であると言っていいと思います。
 ロンドンなどは、この大都市なるがゆえに出てくる財政需要、つまりロンドン市特有の財政需要を賄うために特別の交付金が与えられているそうでございますが、東京都などは、首都であるために、この大都市であるがゆえに出てくる財政需要というものが非常に膨大なものでございまして、これが十分に財源が見込まれていないために、本当は一番貧しい都市であるにもかかわらず、豊かな都市であって唯一の不交付団体になっているという非常に不合理なことが出てまいります。これもその一つであると思います。
 また、この補正係数は五十年度くらいがピークでございまして、つまり、高度成長に伴って補正係数も上がってまいりましたけれども、五十年ごろから非常な勢いで下降しております。これは東京都の政策室で推定したものでございます。先ほど申しましたように補正係数の計算の仕方は公表されておりませんので何ともわかりませんけれども、しかし、政策室で計算したところを見ると、五十年度に大都市の補正係数は平均一三%であったのが、五十三年には八%に下落する。そのうちで特に東京都は二一%かも六%に低下している。低下は東京都において非常に激しい。それが激しかったことが貧しいにもかかわらず富裕団体にされてしまっている一つの原因になっていると思います。
 この地方交付税は、東京都が非常にいじめられているというのは事実でございまして、これは五十年前後に自治省の――名前は申しませんけれども、ある次官がおられまして、この人は、おれは革新が大きらいだ、ことに革新都政はきらいだ、東京都はいじめるだけいじめてやるんだと、そういうふうに公言をしていた――ぼくは直接聞いたのではないですからね、わかりませんけれども、ぼくの部下が自治省に参りまして、こういうことを言っていますよと。それがこういうふうに補正係数が非常に伸び悩んでいること、それからもう一つ直接に――これから申しますけれども、地方債の発行が非常に制限されまして、財政対策債を五、六百億お願いをしてそれが一つも許可されない。それが東京都の赤字財政の大きなもとになっている。それで、そういう事態があったということも、何といいますか、財政の自主権が地方自治体にないということの証拠であると言っていいと思います。
 それからもう一つ国庫支出金、これはパーセンテージから申しますと二七%で一番大きい。これは主として物的、人的の補助金でございますが、これは国庫の支出金でございますから、ひもつきの財源であるということは言うまでもございません。それだけではございませんで、これは政府から委任された委任事務を遂行するために与えられるものでございますけれども、必要な額だけ与えられません。それがいわゆる超過負担でございまして、つまり、みすみす超過負担が出る、赤字が多くなるということを知っていながら住民のための施策としてやらなければならない。涙をのんで超過負担を甘んじて支払って赤字を出しながらやる。そこを自治省の方は――先ほど大臣も言われましたように、哀訴嘆願をいたしまして、陳情に陳情を重ねて、何とかして赤字を少しでも少なくするために補助金を少しでも多くするということも、いかに地方財政が自主の権利がないかということを証明していると思います。
 それから最後に地方債でございますが、これは私が言うまでもないことでたびたび言われていることでございますけれども、昭和二十二年に、最初は地方自治体は議会の協賛を得て自由に地方債を発行することができると。それがすぐ変えられまして自由に発行することができなくなって、「当分の間」自治省の許可を得るということになったわけでございます。その「当分の間」というのは、恐らく戦争直後で金融もノーマルな状態ではない、そうしてまた資金の供給が非常に足りない、そういう状態のもとに地方債をよけいに発行するというふうな要求が出ても非常に困るので、その点においては国が統制をして、地方債の発行も規制せざるを得ないということから戦争直後にそういう許可制になったのだと思います。しかし、それが何と三十何年続いているんです。私はもう非常に腹が立ちまして、行政訴訟を起こすということを決心をいたしましたけれども、残念ながら都議会で否決をされて提訴することができなかった。いまもってくやしくって仕方がない思いがいたします。これはもうつまり、地方債の発行に自治省の許可を得るというのは、自治体の長を非常にばかにしているのではないか、地方自治体の長、知事でありましたけれども、そんなものじゃないんです。それは、自分のところの財政がまずくなって赤字団体に転落するというふうなことになるのは極力避けなければならないんですから、むやみやたらに地方債の発行をするというふうなことはあり得ないことでございまして、そういう点においては地方自治体の長の良識に任せられてぼくは大丈夫であるというふうに思います。つまり、景気の変動に伴って支出の変動に対応をするためにどうしても地方債の発行が必要であるということが生ずるのでありますけれども、こういうときに自由に地方債を発行できないというのはまことに困ったことであると言わなければならないと思います。
 そういうわけでございまして、ただいまも申し上げましたように、地方は国全体の仕事の七六%をやっている。そういう意味から言えば中央政府よりももっともっと大切である。そうして、そういう大切な仕事をやっているにもかかわらず財政の自主権はない。そうして、まあまあ自主的財源と言われる財源は全体の三一%であって、地方自治体の収入の七〇%はひもつきである。そのひもつきの財源にがんじがらめに縛られて、陳情、陳情でへいこらしている。そういうのが現状であると思うんです。そうして、これが日本における地方自治の発展を阻害している最も大きな原因ではないかと思うんです。
 それで、幸いにして第二臨調というものが始まります。それは増税をしないで財政を賄っていくということも非常に必要ではあるでございましょうけれども、日本の民主主義化を阻害しているような地方財政の構造を正しい姿に直すというふうなことも臨調の重大な責務であると思いますので、大臣、どうぞそういうことを大いに主張をしていただきたいと、そういうふうに思います。御意見はいかがでございましょうか。
#216
○国務大臣(安孫子藤吉君) 先に大体のことをお答えいたしまして、なお詳細の点については財政局長なりから申し上げることにいたします。
 基本的な考え方につきましては私も同感でございます。もう少し地方に財源を付与すべきだろうと、こういうふうに思っております。歳出の実態とそれから財源の配分が非常にアンバランスになっておる、これを是正することは必要だろうと思っております、そのためには今後も努力したいと思っていますが、一点、交付税の問題につきましてお話がございましたが、交付税のたとえば補正係数にいたしましても何にいたしましても、これは今回の審議にもお願いしておるわけでございますが、交付税の配分は自治省がいいさじかげんでやっているなんてものじゃありませんで、もう補正係数まで全部法定いたしまして、国会の審議を経てやっているわけでございますから、この点については、私は余りに詳細過ぎるのじゃないかという感じすら実は持っておるのでございまして、これは、自治省がさじかげんで交付税を配分しているなんていうことは絶対にございませんので、これだけはひとつ認識をお改め願いたいと思います。
 その中にありまして、大都市は非常にいじめられておるというお話がございましたが、これは私なんかも経験しておりますが、昭和三十年代、安井さんが知事のときでございますけれども、ずいぶん論争をした問題でございます。大都市のデメリットのお話もございましたが、地方のわれわれから申しますと、大体高等学校の生徒は県費でもって養成をして卒業さして、そして卒業すると皆東京に来て、東京で税金を納めておる。地方じゃ負担だけして、そして本当の納税の関係はみんな大都市で吸収している、おかしいじゃないか。したがって、東京都知事に少しリベートでもよこせと。こういうような談判をしたこともございました。そうすると、都知事の方では、冗談じゃない、おれの方じゃ頼んで来てもらっているわけじゃないんだ、勝手に来ているんじゃないか。来たために、おれの方は住宅を建てにゃいかぬ、屎尿処理もやらにゃいかぬ、大変な迷惑だと、そういう論戦をしたこともございます。したがいまして、大都市だけをいじめているなんていうことはありませんで、その辺は十分公正に交付税の運用は私は行われていると、こう思っておるわけでございます。いろいろ細部についての御意見はあろうかと思いますが、大局として私はそういうことだと思います。
 それから地方債の問題でございますけれども、法文上「当分の間」とありまするので、この点はやっぱり一つの論議の対象にはなるだろうと思います。私も若干その点についてはそういう考えが心の底にないわけではございませんけれども、何にいたしましても貧弱団体から申しますと、起債能力のない団体もあるわけでございますね。それからまた、国全体の資金計画その他から申しますと、そう自由にもできぬという事情もあるようでございまして、そういう観点から「当分の間」というものが今日に至っておる。この点は、成文の解釈から申しますといろいろ批判をされる余地は私はあると思っておりますけれども、実態は必ずしもそう簡単にはいかないじゃなかろうかと、こう思っているわけでございます。ただし、この起債の運用方法につきましては、できる限り枠的なものにいたしまして、一々の許可を得るようなことでなく、弾力性を持ってやるというようなことに自治省といたしましても工夫をこらしておる点は、ひとつ御理解を願いたいものだと思うのでございます。
 さようなことでございまして、大変いい御意見を承りまして参考に相なりました。努力をしてまいります。
 第二臨調の問題については、私もさように考えておるわけでございます。
 あと、詳細については財政局長の方から……。
#217
○美濃部亮吉君 ただいまの人口集中の問題、地方の大学を出た人たち、そういう人たちは確かに東京に――そういう人たちだけでなく、多くの人たちが来るのは事実でございまして、そういう人たちのために道路をつくったり清掃事業をしたり地下鉄をつくったり、大変な費用がかかる。しかも彼らは周辺に住んでいて、租税、税金はわれわれのふところに入ってこないんですよ。それですからマイナスばっかしあれしましてね。それから周辺地域も大変なんだ。これは非常に大変なんで、私たちから申しますとどうぞ来てくれない方がいいと。それでもう最近は人口が増加をしなくなりまして、これは非常にありがたいことだというふうに思っております。それだけを訂正しておきます。
#218
○政府委員(土屋佳照君) いろいろお話がございましたが、実際の行政分担が七割も地方団体が負担しておるんだと、そういった点はおっしゃるとおりでございまして、私どももその意味ではやはり基本的には地方税源そのものが強化されるべきだという点について、もうおっしゃるとおりだと思っております。
 ただ、御承知のように、一方では財源偏在の問題がございます。そういったことがございますから、国との財源配分に留意しながら一定水準の行政運営と財政の健全性を保持するために現行の交付税制度というものがあるわけでございます。そういった中で、交付税の算定というものが公正でなければならぬという御意見でございます。当然のことでございまして、私どもも毎年度地方交付税法の規定に基づいて、実態に即応して算定をしてきておるつもりでございます。
 御指摘のございましたように、各行政項目ごとの測定単位なり単位費用なり補正の種類なり、そういった算定方法に関する基本的な事項をちゃんと定めまして、具体的な算定方法を交付税法の規定に基づいて自治省令でも示しておるわけでございます。その自治省令の中身についていろいろと御意見があるわけでございますが、私どもとしては、毎年地方団体からの改正意見等も聴取をしておりまして、そういう意見に基づいて改善を行っておるわけでございますし、そういった省令等の改正等については、あるいはまた交付税の額の決定等につきましては地方六団体推薦の委員を含めて構成されております地方財政審議会の意見も聞いておるわけでございます。そういったことで、大都市に係る基準財政需要額の算定に当たりましても、普通態容補正なり投資補正なり事業費補正等を適用することによって、おっしゃいましたような流入人口に伴う増加需要とか高い地価に伴う増高経費等をなるべく的確に反映するというふうに努力をしておるわけでございます。高い地価なり、あるいは先ほどおっしゃいました地下鉄等の特別の財政需要等についても事業費補正の適用をしておるわけでございまして、それぞれに私どもは努力をいたしております。
 特に、五十年度を基準とした場合の東京都についての基準財政需要額を見ますと、五十年から五十五年度の間に一・四六倍伸びております。全地方団体は五十年度から五十四年度までは一・七四倍ということになっておるわけでございまして、いろいろと細かく申し上げればあれこれあるわけでございますけれども、全体的に見ますと人口集中地区の人口とか、あるいは第二次、三次の産業就業者数とか昼間流入人口等の指標の伸びは東京都以外の道府県の方が相対的に高くなっている。それだけそういった地域における都市化が急激に進んできて、東京だけではない地方都市にもそういう波が押し寄せてきておる。そういったことから、客観的に算定をしていきますと、何と申しますか、都市化の平準化という傾向が進んでおるわけでございます。そういったことから態容補正係数等を中心に係数の格差是正が行われてきておるということでございまして、結果的には全地方団体共有の財産でございます交付税を公正、適正に配分するといった意味で、いま申しました東京都以外の地域と、公正に係数等調べてみれば、そういうことになるんだということでございます。その上で需要をできるだけ反映させた上で、東京都の収入を見ますと、やはり法人収入とか法人関係税の収入といったようなものも高くて、相対的な関係でございますが、やはり結果としては交付税法上の財源余裕団体という形になっておるわけでございます。それが絶対的ないわばお金持ちで、もうあり余るほどあるんだという意味ではございません。制度としてはそういうことになっておるということを御理解を賜りたいと思うのでございます。
 それからもう一つ、地方債の問題をお述べになったわけでございますが、地方債の許可制度というのはたびたび申し上げておりますように、当然に将来その元利償還による財政負担を伴うわけでございますから、それぞれの地方団体が地方財政全体についてその適正限度を保持いたしまして、地方財政の健全性を確保する必要があることは当然だと思っております。また、元利償還金というものは地方財政計画に計上をいたしまして、所要の財源措置を講じていく必要があるわけでございまして、そのことからも地方債発行の適正限度が保持されなければならないと思っております。また、現在の財政、金融制度のもとでは、地方公共団体の資金需要も国や民間との資金需要との調整を図って、限られた資金でありますから、これを適正に配分する必要があるということもございます。さらには、先ほど大臣からもお話がございましたが、資金配分の公平を図って、特定団体への資金の偏重を防止する。要するに、実力のあるところだけが信用があってどんどん発行するということになっても困るわけでございますから、そういった資金の偏重を防止するということによりまして、財政力いかんにかかわらずに必要な資金が確保される必要がある、そういったこと等からやっておるわけでございまして、やはり、当分の間ということではございますが、そういった必要性がある限り、私どもとしてはいまの制度を維持せざるを得ないだろうというふうに考えております。
 なお、東京都についていろいろおっしゃったわけでございます。いろいろ御苦労もあったと存じますが、たとえば公債費比率、五十三年度で見ますと、都道府県の全平均が五・七%でございます。それで最高は東京都の十四・五%でございます。二位が福井、兵庫となっておりますが、一〇%以上という、この十四・五%という非常に高い率で、ある意味では抜群に最高でございまして、財政力に比べて最も起債量が多いということも実際上言えると思っております。東京都に限って特に起債を制限しているということではないということはもう数字がはっきり示しておるわけでございます。
 そういうことで、いろいろと現行の制度でももちろんこれが最善であると思っておりませんし、いろんな面で改善する余地はございます。特におっしゃいましたように、地方自治と、その強化を言うならば、この地方の自主財源というものを強化すべきだということはおっしゃるとおりだと存じます。改善の余地はいろいろあろうと思いますが、私どもとしてもそれぞれの立場でそういった充実、強化ができますように努力をしておるつもりでございます。御指摘の点についてもいろいろと今後参考にしまして十分検討をいたしたいと思います。
#219
○美濃部亮吉君 一言。総体的な結論といたしまして、東京都においては都民一人当たりの租税収入が鹿児島以下なんですよ。それはどういうふうにお考えになりますか。そういうふうな特別需要というものが、特別な財政需要というものが全然加算されていない。そのために、都民一人当たりの租税収入が鹿児島と同列になっている。これ、ぼくもそういう数字を見てびっくり仰天をしたんですけれども、そうなっております。
 これでおしまいでございます。
#220
○政府委員(土屋佳照君) 参考にしてまいります。
#221
○委員長(亀長友義君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#222
○委員長(亀長友義君) 次に、昭和五十六年度の地方財政計画について政府から説明を聴取いたします。安孫子自治大臣。
#223
○国務大臣(安孫子藤吉君) 昭和五十六年度の地方財政計画の概要について御説明を申し上げます。
 昭和五十六年度の地方財政につきましては、昭和五十五年度に引き続き厳しい状況にありますが、おおむね国と同一の基調により、財政の健全化を促進することを目途として、歳入面におきましては、住民負担の適正合理化にも配意しつつ地方税源の充実を図るとともに、昭和五十五年度に引き続き見込まれる巨額の財源不足につきましては、これを完全に補てんする等地方財源の確保を図る一方、歳出面におきましては、経費全般について徹底した節減合理化を行うという抑制的基調のもとで、住民生活に直結した社会資本の整備を図るために必要な地方単独事業の規模の確保に配意する等限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、節度ある財政運営を行うことを基本といたしております。
 昭和五十六年度の地方財政計画は、このような考え方を基本として策定いたしておりますが、以下その策定方針について申し上げます。
 第一に、現下の厳しい地方財政の状況等にかんがみ、法人住民税について均等割の税率適用区分の基準を改めますとともに、道府県民税及び市町村民税に係る法人税割の税率を調整し、個人事業税について課税対象事業を追加し、不動産取得税の税率を引き上げ、非課税等の特別措置の整理合理化を行う一方、所得の金額が一定の金額以下である者について昭和五十六年度限りの措置として住民税所得割の非課税措置を講ずる等地方税源の充実と地方税負担の適正化を図ることといたしております。
 第二に、地方財源の不足に対処し、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにするため、
(一)昭和五十六年度の地方財源不足見込み額一兆三百億円につきましては、地方交付税の増額と建設地方債の増発により完全に補てんすることとしております。
 なお、建設地方債の増発については、昭和五十五年度よりその額の縮減を図っております。
(二)また、地方債資金対策として政府資金及び公営企業金融公庫資金の増額を図ることとしております。
 第三に、抑制的基調のもとにおいても、地域住民の福祉の充実、住民生活に直結した社会資本の計画的整備等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、生活関連施設等の計画的な整備の推進等を図るため地方単独事業の所要額を確保するとともに、福祉施策の充実、教育振興対策等の推進等を図ることとし、また、過疎地域に対する財政措置を充実することとしております。
 第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、国庫補助負担基準の改善を図り、あわせて年度途中における事情の変化に弾力的に対応し得るよう配慮するほか、地方財政計画の算定内容について所要の是正措置を講ずることとしております。
 以上の方針のもとに昭和五十六年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は、四十四兆五千五百九億円となり、前年度に対し二兆九千八十三億円、七・〇%の増加と相なっております。
 以上が昭和五十六年度の地方財政計画の概要でございます。
#224
○委員長(亀長友義君) 次に、補足説明を聴取いたします。土屋財政局長。
#225
○政府委員(土屋佳照君) 昭和五十六年度の地方財政計画の概要につきましては、ただいま自治大臣から御説明いたしましたとおりでございますが、なお、若干の点につきまして補足して御説明いたします。まず、規模でございますが、明年度の地方財政計画の規模は、四十四兆五千五百九億円で、前年度に比較しまして二兆九千八十三億円、七・〇%の増加となっております。
 次に、歳入について御説明いたします。
 まず、地方税の収入見込み額でございますが、道府県税七兆九千九百二十五億円、市町村税九兆九百五十一億円、合わせて十七兆八百七十六億円でございます。前年度に比べて道府県税は八千二百十億円、一一・四%の増加、市町村税は一兆一千九百六十八億円、一五・二%の増加、合わせて二兆百七十八億円、一三・四%の増加となっております。
 なお、地方税につきましては、すでに御審議をいただきましたように、現下の厳しい地方財政の状況等にかんがみ、法人住民税について均等割の税率適用区分の基準を改めますとともに、道府県民税及び市町村民税に係る法人税割の税率を調整し、個人の事業税について課税対象事業を追加し、不動産取得税の税率を引き上げ、非課税等の特別措置の整理を行う一方、所得の金額が一定の金額以下である者について昭和五十六年度限りの措置として住民税所得割の非課税措置を講ずる等、地方税源の充実と地方税負担の適正化を図るための措置を講ずることとしたところでございまして、これらにより七百五十六億円の増収を見込むこととしております。
 また、地方譲与税の収入見込み額は、四千四百八十五億円となっております。
 次に地方交付税でございますが、国税三税の三二%に相当する額に一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる臨時地方特例交付金子三百六億円、同特別会計の資金運用部からの借入金千三百二十億円及び前年度からの繰越分三千七百五億円を加算し、総額八兆七千百六十六億円を確保いたしました結果、前年度に対し六千三百九十一億円、七・九%の増加となっております。
 国庫支出金につきましては、総額十兆六千八百六十五億円で、前年度に対し二千四百三十四億円、二・三%の増加となっております。これは社会福祉関係国庫補助負担金及び義務教育費国庫負担金などが増加した反面、公共事業費補助負担金などが前年度より減少したことによるものであります。
 次に、地方債でございますが、普通会計分の地方債発行予定額は、四兆二千七百億円でございまして、前年度に対しまして、千五百七十六億円、三・六%の減となっております、この中には、地方財源の不足に対処するための建設地方債六千九百億円が含まれております。
 地方債計画全体の規模は六兆九千三百三億円で、前年度に対しまして、千四億円、一・四%の減となっております。これは財源対策債を昭和五十五年度より三千四百億円減額したためでございまして、財源対策債を除くと前年度に対して二千三百九十六億円、四%の増となっております。
 地方債計画の基本方針といたしましては、地域住民の福祉の向上を図るとともに、魅力ある地域社会を形成するため、生活関連施設等の整備を推進するものとし、このため必要な地方債資金の総額を確保するほか、地方財源の不足に対処するための措置を講じ、あわせて地方債資金の質の改善を図ることといたしております。
 以上のほか使用料及び手数料並びに雑収入につきましては、最近における実績等を勘案して計上いたしております。その結果、歳入構成におきましては、地方税が前年度の三六・二%に対し、二・一ポイント増の三八・三%となり、これに地方交付税及び地方譲与税を加えた一般財源は前年度の五六・七%から五八・九%へと上昇し、反面、地方債は前年度の一〇・六%から九・六%へ、国庫支出金は前年度の二五・一%から二四%へとそれぞれそのウエートが低下しております。
 次に歳出について御説明いたします。
 まず、給与関係経費についてでございますが、総額は十二兆五千六百九十五億円で、前年度に対しまして七千七百二十六億円、六・五%の増加となっております。これに関連いたしまして、職員数につきましては、教育、警察、消防関係の職員を中心に増員を図ると同時に、一般職員については国家公務員の定員削減の方針に準じ、定員合理化を行うこととしております。
 次に、一般行政経費につきましては、総額九兆六千九百六十五億円、前年度に対しまして、六千二百二億円、六・八%の増加となっておりますが、このうち国庫補助負担金等を伴うものは四兆七千五十六億円で、前年度に対しまして、二千十二億円、四・五%の増加となっており、この中には、生活扶助基準の引き上げ等を図っている生活保護費、児童福祉費、老人福祉費などが含まれております。国庫補助負担金を伴わないものは四兆九千九百九億円で、前年度に対しまして四千百九十億円、九・二%の増加となっております。この中では、社会福祉関係経費を充実するほか、高等学校以下の私立学校に対する助成経費として二千六十億円、年度内及び年度越回収貸付金として一兆四千八百四十一億円、災害等年度途中における追加財政需要等に対する財源留保として四千五百億円等を計上いたしております。
 なお、内部管理的な一般行政経費は、極力抑制することといたしております。
 公債費は、総額三兆六千九百八十六億円で、前年度に対しまして六千二百二十億円、二〇・二%の増加となっております。
 次に、維持補修費につきましては、各種施設の増加及び計画的補修の必要性等の事情を考慮し、前年度に対しまして三百六十一億円、六・五%の増額を見込み、五千八百八十二億円を計上いたしております。
 投資的経費につきましては、総額十六兆五千三百五十九億円で、前年度に対しまして、六千百六億円、三・八%の増加となっております。このうち、直轄、補助事業につきましては、明年度におきまして、公共事業関係費が総額において前年度と同額とされたことに伴い、〇・三%の増加にとどまることとなっております。
 一方、地方単独事業につきましては、地方団体が身近な生活関連施設等の計画的整備を推進することができるよう所要の事業量を確保することとし、前年度に対しまして、五千八百七十三億円、八%増の七兆八千八百三十五億円を計上いたしております。
 また、公営企業繰出金につきましては、地下鉄、上下水道、病院等、国民生活に不可欠なサービスを供給している事業について、総額九千百二十二億円を計上いたしております。
 以上のほか、地方交付税の不交付団体における平均水準を超える必要経費については、税収入の増加等の事情を勘案して所要額を計上いたしております。
 その結果、歳出構成におきましては、給与関係経費は二八・二%で、前年度に対し〇・一ポイント、投資的経費は三七・一%で、前年度に対し一・一ポイント低下している反面、公債費は前年度の七・四%から〇・九ポイント上昇し、八・三%となっております。
 以上をもちまして、地方財政計画の補足説明を終わらせていただきます。
#226
○委員長(亀長友義君) 以上で説明の聴取を終わります。
    ―――――――――――――
#227
○委員長(亀長友義君) 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。安孫子自治大臣。
#228
○国務大臣(安孫子藤吉君) ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその趣旨について御説明を申し上げます。
 地方財政の現状にかんがみ、地方交付税の総額の確保に資するため、昭和五十六年度分の地方交付税の総額の特例を設けるとともに、各種の制度改正等に伴って増加する財政需要に対処するため、地方交付税の算定に用いる単位費用を改定するほか、地方公共団体の手数料について受益者負担の適正化を図り、あわせて財源の確保に資することとする等の必要があります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。
 次に、この法律案の内容につきまして御説明を申し上げます。
 第一は、地方交付税法の一部改正に関する事項であります。
 まず、昭和五十六年度分の地方交付税の総額については、昭和五十年度から昭和五十二年度までの各年度の借入金の償還方法を変更することによりその増加を図るほか、さらに、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる臨時地方特例交付金の額千三百六億円及び同特別会計において新たに借り入れる千三百二十億円を加算することとしております。
 なお、借入金千三百二十億円については、昭和六十二年度から昭和七十一年度までの各年度に分割して償還することとし、そのうち、千百三十億円についてはその十分の十に相当する額、千百三十億円を除いた額についてはその二分の一に相当する額を昭和六十二年度から昭和七十一年度までの各年度において臨時地方特例交付金として一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れ、当該各年度の地方交付税の総額に加算することとしております。
 また、昭和五十年度から昭和五十二年度までの各年度までの各年度の借入金の償還方法の変更に伴い、昭和五十七年度から昭和六十七年度までの各年度の借入金の償還額及び一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることとされている臨時地方特例交付金の額を変更することとしております。
 次に、昭和五十六年度の普通交付税の算定については、公園、清掃施設、市町村道、下水道等住民の生活に直結する公共施設の整備及び維持管理に要する経費、教職員定数の増加、私学助成等教育水準の向上に要する経費、児童福祉、老人福祉等社会福祉施策の充実に要する経費並びに過密・過疎対策、消防救急対策、公害対策等に要する経費の財源を措置するため単位費用を改定することといたしております。
 さらに、昭和五十六年度において、財源対策債を減額することに伴い、これに対応する投資的経費を基準財政需要額に算入するほか、昭和五十五年度において発行を許可された財源対策債等の元利償還金を基準財政需要額に算入する等所要の措置を講ずることといたしております。
 第二は、各種手数料関係法律の一部改正に関する事項であります。
 最近における経済情勢の変化等にかんがみ、風俗営業等取締法ほか十一法律に定める地方公共団体の手数料の額またはその上限について改定を行い、受益者負担の適正化を図り、あわせて財源の確保に資することといたしております。
 以上が地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#229
○委員長(亀長友義君) 本案に対する質疑は後日に譲りたいと存じます。
    ―――――――――――――
#230
○委員長(亀長友義君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 広域臨海環境整備センター法案について、運輸委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#231
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#232
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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