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1980/04/21 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 内閣委員会 第4号
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1980/04/21 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 内閣委員会 第4号

#1
第094回国会 内閣委員会 第4号
昭和五十六年四月二十一日(火曜日)
   午前十時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     木村 睦男君     山内 一郎君
     秦   豊君     宇都宮徳馬君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  ゆう君
    理 事
                藏内 修治君
                竹内  潔君
                矢田部 理君
                藤井 恒男君
    委 員
                板垣  正君
                岡田  広君
                源田  実君
                中西 一郎君
                林  寛子君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                片岡 勝治君
                野田  哲君
                山崎  昇君
                中尾 辰義君
                安武 洋子君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       中山 太郎君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   石川  周君
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       給与局長     長橋  進君
       人事院事務総局
       職員局長     金井 八郎君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    関  通彰君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   和田 善一君
       総理府人事局次
       長        森  卓也君
       総理府恩給局長  小熊 鐵雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       警察庁警務局給
       与厚生課長    小池 康雄君
       行政管理庁行政
       管理局管理官   増鳥 俊之君
       大蔵省主計局共
       済課長      野尻 栄典君
       厚生省年金局年
       金課長      佐々木喜之君
       厚生省援護局業
       務第一課長    森山喜久雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十日、木村睦男君及び秦豊君が委員を辞任され、その補欠として山内一郎君及び宇都宮徳馬君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(林ゆう君) 前回に引き続き、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○山崎昇君 先日の委員会に引き続きまして、主として技術論になりますが、数字的な点を確認をしながら政府の見解をお聞きをしていきたいと思っています。
 前回も、最低保障額あるいは仮定俸給についてお尋ねしまして、私はどうしても納得いきかねる点がまだまだありますが、これは引き続いて今後質問をさしていただきたいと思っているんです。特に、仮定号俸をとって、それを基礎にほとんど計算しながら、その仮定号俸が事実上は兵に関する限りは全く死んでいるような状況になっておる。上級職は在職の公務員と相対するようなものになっていながら、下の者だけは在職の公務員より、それも最低よりはるかに低い。そういう数字を最低保障額の計算基礎にされるというところが私は普通恩給の最低保障額の低い最大の理由だと思っているんですが、それはまた改めて質問をしていきたいと思うんです。
 きょうは傷病関係の問題について二、三お尋ねをしていきたいと思っています。
 第一は増加恩給でございますが、御案内のとおり、増加恩給も四・八%四月から増額をしているわけでありますが、ことしの八月から六項症以下五万円を中心にしてこれを前後させながら増額をさしていくという、いわば私に言わせれば政治加算ではないかというふうに思うんですが、五万円を中心にして上の方は六万、下の方は四万と、こう減っていくわけでありますが、これは一体どういうのが基準でこの五万円というのが決定されているのか。まずその点からお聞きをしていきたいと思っています。
#5
○政府委員(小熊鐵雄君) 傷病恩給でございますが、これは傷病の公務性といいますか、これが公務扶助料と同等の公務性を持っておるというように考えまして、公務扶助料でベースアップのほかに特段の上積みをしておるわけでございます。この上積み額を傷病恩給の方にも上積みしていこうと、こういう考え方でございます。
 それで、公務扶助料では特段の上積みを五万二千円年額やっておるわけでございます。その中心の五万円というのを六項症に置きまして、症度の重い方にはさらに金額を増す、症度の軽い方は金額を少なくするということで、一項症に八万円、それから二項症、三項症に七万円、四項症、五項症に六万円、六項症、七項症に五万円、傷病年金の一、二款症に四万円、三款症、四款症に三万円、こういう上積みをやっておるわけでございます。もちろんこの金額、三万から八万までの金額でございますが、これは大体傷病ごとの間差というのが従来ともございまして、その間差をなるべく崩さないような額で上積みをしておるということで考えておるわけです。
#6
○山崎昇君 間差額は改めて聞きますが、これもかなり従来と違った方式になっていると私は見る。しかし、この五万円の基礎がよくわからないんだ、上積みの。何で五万円なのか。たとえば公務扶助料が五万二千円というので出ておる。これも私はよくわかりませんが、いずれにいたしましても、この傷病関係のいま言った――私も数字持っておりますが、第一が八で、二、三が七で、四、五が六で、六、七が五。何で五万円なんだろうか。どうしてこの六の五万円が軸になって片方上の方は六、七、八とこうなるのか。その辺がどういう計算でこういうふうになるのかよくわからぬものだから、あなた方が五万円にしたというその根拠と、それからその上に積んでいった――一万円ずつ違うわけだ。一番上とは三万違うわけですが、その理由等私は納得できればいいと思うんですが、説明してほしい。
#7
○政府委員(小熊鐵雄君) いまの中心に五万円を置いたというのは、先ほど申し上げました公務扶助料、これで特段の上積みをいたしまして月額十万三千円にしたわけでございますが、その際の上積み額が五万二千円というところから、ほぼそれに見合う金額として五万円を中心に置いて、あとは間差等を考えながら最高八万から三万まで上積みをしたと、こういうことでございます。
#8
○山崎昇君 いや、だからそれがわからないんだ。間差額、じゃ、ついでに聞きましょうか。間差額も、従来はたとえば特例傷病恩給で見ても、昭和五十三年以上は大体まあ八〇%相当額ぐらいをやっておりました。しかし、五十三年のときは七・五で、五十四年が十割で、五十五年が八割で、今度これ八〇%ぐらいなんでしょうけれども、一体どうしてそういうふうに下がってくるのか。これも私は一つわからないところです。
 それから、間差額を私も調べてみた。間差額を調べてみると、大体昭和八年の水準に近づけたいという考え方もあるようでありますし、これと同じようにしたいという考え方もあるようです。しかし、そう考えてみましても、たとえば第三項症、第四項症、第五項症、第六、これが今度の改正案の間差というのは昭和八年の間差より開くんですね。それから、第一款症は大体同じようなものでありますが、第二、第三、第四款症についても昭和八年の間差額よりも開く。
 だから、そういうものをまぜて判断すると、どうしてこういう金額になってどうしてこういう間差額になってくるのかが私はどうしてもわからない。やはり数字のことだから、きちんとした計算の基礎があって、そしてこういう理由だからこの間差額は昭和八年と同様にしたいと思ったが開いているんですよとか、そういうことでなければ。私は、政策論なら政策論でことしはこれしかとれませんでしたと言えばそれまでの話だけれども、数字の問題だとそうはならない、そういう意味でその点はひとつ明確にしてほしい。
#9
○政府委員(小熊鐵雄君) いまの先生おっしゃいましたように、間差率を戦前に近づけたいという考えはあったわけでございます。ただ、団体等の要望からしますと、できるだけ間差を縮めてもらいたい――と申しますのは、大体症状が固定してまいりまして、それはもちろん指をなくした人と手をなくした人でばかなり生活に与える影響は違うと思いますけれども、一応症状が固定してきて現在の生活をしておるという段階では、なるべく間差を縮めてもらいたい、こういう要望も強いわけでございまして、こういったことも踏まえながら、そういう方向で検討しておるということでございます。
#10
○山崎昇君 いや、だから私は縮まったというんなら話がわかると言うんだよ。これは私の計算が間違いなら間違いと指摘してください。
 たとえば、傷病年金の第一項症で言えば現行も一〇〇、改正案も一〇〇、昭和八年当時も一〇〇。それから第二は八二・九、昭和八年のときの間差は八三。第三に来ると現行間差が六七・七、今度の改正が六八…一、昭和八年の間差が六七、開くじゃないですか。いまの間差よりもっと開く。それから第四にいたしましても、わずかですけれども現行間差は五三・二、今度の改正案では五三・六、昭和八年が五三。第五が現行間差四二・六、改正が四三・三、昭和八年が四二。こういうふうに調べてみるというと、金額もさることながら項症、言うならば病気の重さが軽くなってくるに従って間差が開いていく。昭和八年のときよりも開く、現行よりも開く、これは私の計算が間違いなら間違いで指摘してもらえばいいが、私もこれはかなり調べ上げてこの数字出してみているんですがね。そういう意味で言うと、あなたの説明は少し私は納得しかねるんだよ。
#11
○政府委員(小熊鐵雄君) 先生御承知のように、この間差というのは一項症を一〇〇とした場合、ほかの項症はその一項症の何十パーセントになるかと、これが間差でございまして、これを縮めたいということで、たとえばいま先生御指摘のように、五十五年は一〇〇に対して八二・九%だったのを八三%まで縮めたわけでございます。
 そのほか、ずっと数字――いま先生御指摘のように一項症一〇〇に対してはほかの症状もだんだん縮まってきておるということになっておるわけでございます。先生御指摘の数字は間違っておりません。
#12
○山崎昇君 数字は違わない。そうするとあなた方の考えは、第一項症を一〇〇にしてその間差というものを考える。ところが、私どもから言うと現行と改正案と昭和八年という関係でいくと違ってくる。だからそういう点で、少しあなたの方は改善だと言うけれども、そう私は改善というほどのものではないんではないんだろうか。
 それから、さっき申し上げましたように、金額でかなりやっぱり――一万ではありますけれども違ってくる。それも厳密に言えば五万円という――ほぼ基礎が五万円のようですが、さっき申し上げた五万二千円を基準にして公務扶助料の方を二千円切ったんでしょう、そして五万円にしたんだと思うんだが、その理由がよく私にはわからない。そういうことで、言うならば、傷病関係につきましても私はやっぱりもう少し考えを尽くすべきではないんだろうかという気がします。
 さらに、傷病者の遺族特別年金ですか、これにいたしましても今度は二十四万円ですね、十二月から一番上がって。この二十四万円というのもどうも私よくわかりませんが、私の推定で言えば、これは恐らく普通扶助料の六年未満のものを何か基準にしているんじゃないかという気もしますが、一体そういうことなのかどうか。
 それから、二十四万三千五百円という普通扶助料の最低保障の額と一体どういう意味で均衡と言うのか、その辺もよくわからないということ。
 それから、第二款症以下の遺族に対する改善額が七五%相当だと私も思うんですけれども、これがまた四月、八月、十二月と三段階に分かれてくる。言うならば小刻みで分かれてくるんだが、その辺の理由もひとつお聞きをしておきたい。
#13
○政府委員(小熊鐵雄君) 傷病者遺族特別年金でございますが、これは先生御承知のように、いわゆる款症――非常に軽い傷病恩給を受けておられた方、傷病年金を受けておられた方、この方がほかのいろんな事故とか、要するに平病死された場合、一般の病気で亡くなられた場合に、従来はそういう方には扶助料というか、年金はその遺族の方には出ていなかったわけでございます。これは全く普通の恩給を受けてない人が亡くなったと同じような取り扱いになっておったわけです。それで、まあしかしそうは言っても遺族の方もいろいろ苦労されているであろうし、款症ですから非常に軽い、指がないとかそういった非常に軽い方ではございますけれども、そういった方についてもやはりいままで受けておった恩給が全くなくなってしまうというのもいかがかということで、昭和五十一年に新たに設けられた制度でございます。そのときは十万円という金額で始まったわけでございます。
 その後、この改善につきましては、もう一つ別に増加非公死扶助料というのがございまして、これも増加恩給を受けている方が平病死された場合、その遺族に対して出ているわけです。平病死という点では全く同じなわけでございます。そういうのにならいまして増加非公死扶助料の改善率、これをそのまま持ってきて改善しておったものでございます。しかし、やはり今年度で十八万何がしという非常に少ない金額でございまして、これに対して当委員会でも附帯決議としてもう少し年金らしい金額にすべきではないか、こういう御指摘があったわけでございまして、私どもとしましても、そういった年金として設けた以上はしかるべき金額にしたいと、こう考えておったわけでございますが、物の性質から言いますと、いま申し上げたように、増加非公死扶助料のアップ率という程度でいままで抑えておったわけでございます。
 それを、この附帯決議を踏まえまして今般は新たに、まあ先生にあれされればまた政治加算とおっしゃるかもしれませんが、まず四月にベースアップをいたしまして、八月には従来と同じような増加非公死扶助料のアップ率を用いた改善を行うと、これは公務扶助料が八月、したがって増加非公死扶助料も八月ということになっておりますので、それに合わせて八月にする。さらに、いまの特段の上積み、この上積みの基準をどこに置くかという点がひとつ問題ではあるわけでございますけれども、これもいろいろ予算の枠その他もございますので、ただ年金としては少なくとも短期で、在職年三年から六年ぐらいの人、この人に見合うぐらいのものはやはり考えるべきではないかということで二十四万円という金額を定めまして、これは全く特段の今回初めての措置でございますし、それで十二月ということで御勘弁願いた
 いと、こういう話にいたしたわけでございます。
#14
○山崎昇君 そうすると、特段の理由はないわけだ、いまのあなたの説明聞いているというと。
 たとえば、八月に二十万一千円という数字が出ているんだけれども、これ率に直すと一〇・一%改善ぐらいになりますね。そして十二月には二十四万円、これはさっき申し上げたように普通扶助料の最低保障六年未満が二十四万三千五百円ですから、それを超えちゃいけないというようなかっこうになっている、結果から言えば。だから特段の理由がないが、言うならば私が申し上げているように政治加算であって、あなた方が努力をしたということはそれなりに認めていいと思うが、しかしこの二十四万にはとりたてて何なんだという基準はない、こういうことになろうかと思うんです。
 これは、やっぱりこういう実定法に基づいて恩給というものをやるわけですから、それなりの数字についてはきちんとした理由づけがないと、私どもも地方へ行って質問されたときに、これは確たる理屈はないんだけれども政治加算ですよというだけでは終わらぬ。そういう点もありまして、これはあなた方の努力は努力で私は認めますけれども、指摘をしておきたい、こう思うわけです。
 それから、第二款症以下数字的に言えば大体七五%見当ぐらいで数字がつくられておるんですね、二十四万円を基準にして。そこで、この七五%という数字もさっき出てきました、言うならば五十三年からやり方を変えているんですが、その率を恐らくとって七五%を掛ければ第二款症以下の十二月で十八万、こういう数字に私はなるんじゃないんだろうかと思うんですが、いま、この七五%にあなた方したという考え方だけきょう聞いておきたい。
#15
○政府委員(小熊鐵雄君) いま先生第二款症とおっしゃっているわけですが、これはまた特例傷病恩給の二款症でございまして、傷病年金の二款症ではない。特例傷病恩給というのは、御承知のように、これは全く内地でもどこでも職務関連というか公務じゃなくて病気になられた方、こういった方に対する恩給でございます。その中でさらに二款症以下という非常に軽い方、この方に対しては従来も、最近上げておるんですが、増加非公死なんかが七五%と、こういう数字をとっているわけでございますが、この傷遺特についても七五%という数字をとっておるわけでございます。
#16
○山崎昇君 その七五をとるという一応の考え方はどういう考え方ですか、七五というのは。
#17
○政府委員(小熊鐵雄君) 恩給のずっと従来の経過をたどってきますと、先ほど申し上げましたように、たとえば傷病恩給、これに対して特例傷病恩給が七五%と、こういう金額でずっと決められてきておるわけでございまして、その辺が一つの目安になっておると、このきちっとした理論的な根拠、なぜ七五%でなきゃいかぬのか、公務の人が一〇〇のとき公務じゃなくても七五で、どうして七五なんだと、こうおっしゃられてもちょっと、いろんないままでの経過を踏まえているわけでございますけれども、そういったことが考えの基準になっておるわけでございます。
#18
○山崎昇君 今日までの慣例上やっておるということだね。そういう理解をしておきます。
 それから次に、前回普通恩給の最低保障についてお聞きをしたんですが、それに関連して普通扶助料の最低保障額も今度は五十六年の六月から四十八万七千円になるわけですね。これも逆算をしてパーセント出すと大体六五%前後に私はなるんではないんだろうかと思いますね。
 そこで、私のそういう考え方がそれでいいのかどうかということと、それから普通扶助料の最低保障額の六五%という数字は、どうも私が共済組合でありますとかその他の遺族年金等々の最低と比較しますと、どうしてもまだかなり低さがあるんではないんだろうか、こう思うわけ。したがって、あなたの方で承知しているならば共済関係がどれぐらいで、それから四十八万七千円にして率としては六五になるわけなんですが、どうしてそういうふうになったのか、その辺のことを説明聞いておきたい。
#19
○政府委員(小熊鐵雄君) 四十八万七千円の根拠でございますが、扶助料の最低保障額は当初普通恩給額の五〇%ということで出発してまいったわけでございます。これは四十一年に発足したわけでございます。その後扶助料の給付水準をもっと上げるべきであるという声もございまして、五十二年からは毎年毎年改善を図ってきまして、五十四年度にょうやくいまの六五%という線まで到達しまして、この六五%の線を今回も普通恩給にあわせて守っておる、こういうことでございます。なお、これには寡婦加算がつきますが、奥さんであれば、その寡婦加算を入れますと約八〇%になる、金額としまして六十万七千円ということになるわけでございます。
 御指摘の共済の金額との比較はどうだということでございますが、もう先生十分御承知のように、共済年金に比べると低い水準になっておるわけです。共済年金がこの六月から大体五十七万円ぐらいになるわけでございますので、八万円ぐらいですか、共済年金よりも水準が低いと、こういうことになっております。もちろん共済年金、先生御承知のように、これはまた掛金を取って保険数理に基づいて計算されている金額だろうと思います。しかし私どもの方のも、やはり生活の一つの支えということで、こういう差を何とか解消したいというようには考えておるわけでございますが、いろいろの制約等もございますので、今後ともほかの年金とかあるいはほかの恩給、特に短期の方と比較しますと、短期の方の扶助料がこの六五%をさらに上げますと逆転してしまうという現象も考えられます。もうすでに九十何%まで短期の場合いっておるわけでございます。そういったこともほかの恩給、年金等も考え合わせながら改善を図ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#20
○山崎昇君 これは去年も私はあなたにいろいろお聞きをした点なんです。しかし、もちろん片方は掛金かけて社会保険数理に基づいてやるわけで、しかし恩給は何と言っても、共済にいたしましてもその他にいたしましても、ほぼこれが基準みたいになって今日まで制度的には進んできている。恩給の場合はこれは給与ですから、言うならば社会保険よりもある意味では進んだ点がなければならぬ点もあっていいと思うんですよ。そういう意味で言うと、私が数字申し上げるのも失礼かもしれないけれども、どう計算しても、いまあなたの言った扶養加算等あるいは寡婦加算等入れたらやはり共済年金の場合は八〇%超すんですね、遺族年金の場合。ところが、いまあなたから説明ありましたように、寡婦加算を仮に入れましても、そう高い数字になりませんね。六五%にそれを足したと仮定いたしましても、実は七一%前後ぐらいになりましょうかね。ですから、そういう意味で言うと、やっぱり共済よりかなり低いんですね、事実上は。金額も低いし、もちろん遺族年金になります率も低い。この点は毎年毎年議論になるところであって、やっぱり恩給局としても相当これは考えてもらいたい、こう思うんですが、重ねてあなたの見解を聞いておきたいと思う。
#21
○政府委員(小熊鐵雄君) いまの寡婦加算を入れた率でございますが、先生七〇%台とおっしゃいましたけれども、やはり八〇%になります。
#22
○山崎昇君 そんなになりますか。
#23
○政府委員(小熊鐵雄君) はい。六十万七千円になりますから、八〇%にはなります。
 それで、先ほどこれは申し上げましたように、いろいろ恩給内部の均衡という問題もありますし、むしろ共済年金との均衡等も考えていかなきゃならぬと思いますが、今後ともこの改善については検討してまいりたいと、このように考えているわけでございます。
#24
○山崎昇君 いまあなた八〇%超えるという、これは本当に特定の人であってね、六十歳以上でなおかつ子供のいる人の場合ですからね、寡婦加算なんというのは。
#25
○政府委員(小熊鐵雄君) いいえ、六十歳以上であれば出ます、子供がなくても出ます。
#26
○山崎昇君 だから、そういう人であって、一般論ではない。一般論で言えば六五%しかないわけだから、そういう意味で言うと、共済の方も寡婦加算等入れれば高くなるわけですが、しかし、いずれにいたしましても一般的に比較して恩給の普通扶助料の方が低い、この点だけは明確なんで、その点はひとつ今後きちんとしてもらいたい、こう思うわけです。
 それから、その次にお聞きをしておきたいのは特別加給、いわゆる介護手当と言われるものですが、これも従来はすべて一律で出しておったんですが、今度見ますと六月から第一、第二が二十一万円、特別項症が二十七万円一これはわからぬわけでもありませんが、いままで一律にしておったものをどうしてこれ今回からこういう分け方にしたのか、その理由だけきょう聞いておきます。
#27
○政府委員(小熊鐵雄君) 特別項症というのは、先生も御承知のように、大体両手両足のない方とか、両足がなくて一項症ぐらいですから、両手両足がないとか目が見えなくてさらに手足がないとか、こういった非常に重度の方でございます。この特別介護を要する者に対する手当ということで、やはりこの際差をつけるべきではないかと。と申しますのは、そういった重度の戦傷者の方からは非常にいろんな要求が出ております。目の悪い者プラス手のない者、両方足してくれとか、いろんな要求が出ていますけれども、それはそれとして、全体像に対する恩給をつけておるわけでございますので、これにやはり特別の加給をすべきではないかということで二十一万円に対して二十七万円という特段の加給にしたわけでございます。
#28
○山崎昇君 だから、何とはなしにわかるような気もするけれども、いままで十八万円出しておって、今度は第一と第二が二十一万円になって特別が二十七万円というと、ざっと九万円ですね。片方は三万円ぐらいしか上がらない。ですから、この改定をした金額の考え方も、どこら辺にその考えがあって三万円程度にしたのか。それからいま言うように、第一と二には安くて特別だけ二十七万円にいきなりぐんと上げたんですが、そのきちっとした理由ももう一遍聞いておきたい。
#29
○政府委員(小熊鐵雄君) 特別項症と一、二項症というものの比率をどうやって見るか、これは特別項症でもいろいろ症度がありますからいろんなあれがあるんですけれども、全盲の方で考えますと、大体一項症の三割増しと、こういう金額になっております。それで今度も二十一万円、これはずっといままでの兵の仮定俸給のアップ率をとって十八万から二十一万という数字にしたわけでございますが、それの三割増しということで二十七万円という金額を決めたと、こういうことでございます。
#30
○山崎昇君 一応あなた方の計算基礎はあるわけですな。それだけきょう聞いておきます。
 それから次に、今度通算関係で特別調達庁の職員期間を入れることにしたんですが、これは衆議院でも質問やっているようでありますけれども、どうして今日までこれがおくれたのか、それからどれぐらいの人が該当してくるのか、その点をお聞きをすることが一点。
 それから、そのほかにもこの通算関係の問題になりますというと、今日までもずいぶん私も質問をしましたし、皆さんの努力もありまして、かなり通算関係が進んだ。あるいは外国特殊機関の問題等も、資料によれば十人ぐらい該当さして、これも救済をしている。しかし、それでもなおかつ今日まで私どもの手元にも陳情書が参りますけれども、私の承知する限り、見たものではざっと百近いものがまだあると、こう言われる。そこで政府としては、今後この通算関係を調達庁の関係で終わりにするのか、あるいは今後ともこういう問題点がいっぱい出てまいりますが、その他を精査をして、ある意味では時間かかるかもしれませんが、考えていくという態度をお持ちなのか、その点もあわせてお聞きをしておきたい。
#31
○政府委員(小熊鐵雄君) まず、もとの特別調達庁の通算でございますが、これは、先生御承知のように、マッカーサー総司令部の指令に基づきましてできたわけでございます。そのできたときの職員構成を見ますと、総理庁の事務官それから一般職員、それがミックスした形でできておったわけでございます。その後、調達庁は昭和二十四年の六月になりまして政府に移管になったわけでございます。で、その一般の職員――役員とか参事とかいろんな方がおられたわけですが、そういった方々は皆事務官ということで政府の職員になったわけでございます。それで、二十四年にこれを通算の措置をとっておったわけでございます。私どもとしましては、そういった二十四年に全部――全部といいますか、それ以前に公務員に移った人というのはないものと、こう考えておったわけでございます。二十四年に全部一斉に移ったというふうに考えておったわけでございます。
 ところが、その後いろいろ話を伺ってまいりますと、その途中でも総理庁事務官の中に欠員ができた場合その一般職員の中から随時上げておった――上げておったというか、公務員にしておったと、こういう経過があることがわかったわけでございまして、これはそういった総理庁事務官になった時期が違うというだけで通算してないというのはおかしいということで、今回そういった方々についても通算をするということになったわけでございます。この該当者、はっきりとはまだよくわかりませんが、いろいろ情報で伺いますと十名程度じゃなかろうかということでございます。
 それから、外国のいろんな法人とか機関、これとの通算の話でございますが、いま先生御指摘のように、特別調達庁の通算ですべて終わったのかという話でございますが、外国の特殊法人あるいは特殊機関との通算とこの特別調達庁の通算は、いま申し上げたような理由で若干違うわけでございます。外国の特殊法人、特殊機関でございますが、これは三十六、七年ごろにまず満鉄であるとかそういった特殊法人をやりまして、その後昭和四十七年になりまして、いろんな陳情といいますか、あれがあったわけでございます。で、この際徹底的に洗い直せという、当時山中総務長官でございますが、の御下命でつぶさに検討いたしまして、それで先生いま御指摘のような特殊法人、特殊機関を網羅的に通算措置をとったわけでございます。
 それで、そのほかに、先生いまおっしゃいましたように、百ぐらいのいろんな法人があるわけでございます。国策会社的なものもございます。そういったものについての通算ということでいま非常に陳情が私どものところにも参るわけでございますが、これはいろいろ組織であるとかあるいは人事交流の実態であるとか、そういったものを考えますとやはり通算したものとは違うという点が一つと、それからそういった国策会社的なものを通算するということになりますと、当時国内にも非常にたくさん国策会社的なものがあったわけでございます。まあ国策会社と言っていいかどうかわかりませんが、たとえば満洲航空というのがいま通算を求めてきておるわけでございますが、しかし片や日本航空というのがございましたし、そういったものの通算はしておらないというような事情もございますので、いま残っておるそういった陳情のされておる法人あるいは機関、こういったものについては、やはり非常にむずかしいといいますか、まず考えられないんじゃなかろうかというのが私の感じでございます。
#32
○山崎昇君 しかし、もう全くだめだということではありませんで、いまの段階では見通しとしてはむずかしいであろうと、しかしその後の調査その他等々のいかんによってはあるいは検討するときもあるのではないか、多少何といいますか、出口を全くふさいでしまわないで幾らかあけておくという程度にお考えなんだなあというふうに理解をして、この問題は打ち切っておきたいと思います。
 厚生省来られていますか。――従来から大変問題になりました陸海軍看護婦の慰労金がようやく日の目を見るようになったようでありますが、昨年厚生省で実態調査を行われたというふうに私ども聞いておりますが、その内容をちょっと説明してもらえませんか。
#33
○説明員(森山喜久雄君) 昨年、旧陸海軍看護婦の実態調査を厚生省で実施いたしました。
 この結果でございますが、回収いたしました調査票が一万三千五百二十七枚でございます。このうちには陸海軍看護婦さんじゃない、たとえば日赤の看護婦さんだけの人とかそういう人がございまして、これを除きますと旧陸海軍看護婦の方が一万一千五百三十八人でございます。この人たちにつきまして、戦地勤務の方を選びますと五千九百六十二名でございます。この内訳を申し上げますと、陸海軍看護婦で加算をつけまして、恩給法の軍人並みの加算をつけまして十二年になるというのが千三百一名でございます。それから、日赤の看護婦の期間を通算いたしますと十二年になる、つまり日赤の看護婦と陸軍看護婦と両方同一人につきまして期間がございまして、これを足しますと十二年になるというのが三十二人でございます。したがいまして、千三百三十三人というのが十二年以上ということになるわけでございます。
 この方々の勤務期間の裏づけの資料でございますが、これは公的なものもございますし私的なものもございますが、何らかの資料があるという方が千六十六名でございます。それから全く資料がないというのが二百六十七名でございます。
 それから年齢でございますが、大部分の方が五十五歳以上でございまして、この五十五歳以上の方が千二断九十二人でございます。これは、ことしの三月三十一日現在で五十五歳になる方が千二百九十二名でございます。それから、五十六年度中に五十五歳に到達するという方が十九人、その他の二十二人は五十七年度以降に五十五歳になるということでございます。
 以上でございます。
#34
○山崎昇君 大体これは、もうこれだけ調査したから、旧陸海軍看護婦と思われる慰労金の該当といいますかそういう方々については千三百三十三人とほぼ確定して間違いない、こう判断してよろしゅうございますか。
#35
○説明員(森山喜久雄君) この実態調査は、総理府の御協力も得まして、それから関係団体の御協力も得ましてかなり広範囲に実施をいたしまして、成果としては上がった方であろうというふうに評価しておるわけでございますが、若干漏れておる方はあると思いますけれども、まあ大体こういうところに落ちつくんじゃないだろうかという考えでございます。
#36
○山崎昇君 はい、わかりました。どうも御苦労さまでした。
 そこで今度は、支給する方になると総理府だそうですが、管理室長おいでだと思うんですが、お聞きをしますが、五十六年度予算でどういうふうに組まれて、それから給付内容がどういうふうで、そしてこの千三百三十三人にこれは支給されるのか、その手続等はどういうふうにとられるのか説明願っておきたい。
#37
○政府委員(関通彰君) お答えいたします。
 ただいま厚生省からお話がございましたように、昨年実態調査が実施されまして、その調査の結果、旧陸海軍従軍看護婦も戦地に派遣された方方は陸海軍病院のみならず、野戦病院あるいは兵たん病院等で日赤の救護看護婦と同様の勤務をされたということが明らかになりましたので、国といたしましても日赤の救護看護婦に準じた措置を五十六年度から講ずるということで、所要の経費を予算に計上しておるわけでございます。五十六年度計上しております予算総額は八千三百万円でございます。
 処遇の内容は、処遇の趣旨が全く日赤の看護婦と同様でございますので、処遇内容も日赤看護婦の例に準ずることといたしております。具体的には、支給対象者としましては、旧陸海軍の看護婦長または看護婦として昭和十二年七月七日以降旧陸海軍の戦時衛生勤務に服した期間及びこれに引き続く抑留期間に旧軍人と同様の加算年を算入した期間が十二年以上である者であって、年齢が五十五歳以上の者としております。
 給付金の額は、日赤の場合と同様、勤務期間の長短に応じ年額十万円から三十万円とすることといたしております。具体的なこの慰労給付金の支給は、これも日赤の場合と同様、日本赤十字社から支給するということにいたしておりまして、最初の支給時期は十二月を予定いたしております。日本赤十字社の看護婦の場合も最初の支給は十二月でございましたので、今回もその予定にいたしております。
 具体的な支給までの手続はどうなるかという御質問でございますが、昨年実施いたしましたのは勤務の実態の調査でございまして、具体的な支給に当たりましては改めて経歴等の書類をお出しいただきまして、それで審査をいたしまして、その結果に基づいて日赤が支給する、こういうことになるわけでございます。いま詳細の手続を関係機関で詰めておりますが、御趣旨を申し上げますと、看護婦さんの方々の本籍地のある都道府県を通じまして調査を厚生省が実施されましたので、やはり厚生省の方にその書類をお出しいただいて、総理府の方と一緒に審査をいたしまして、大体審査が八月から九月ぐらいにかかろうかと存じます。その結果を日赤の方に御連絡して十二月に支給、こういうふうな手続を考えております。
#38
○山崎昇君 本当に国会もかなりこれ議論しましたし、それからいま厚生省のかなり詰めた調査もあり、いまあなたの方で手続を進めているわけですが、最終段階に来ているわけですが、ひとつ漏れのないように、それから、せっかくここまで来てまた関係者から不満の出ないように、手続等の場合にはぜひひとつきちっとやってほしいということを申し上げておきたいと思います。
 それからこれに関連して、昨年の委員会だと思うんですが、日赤の看護婦さん等の慰労金についても増額を検討すべきではないかということがかなり議論になって、たしか附帯決議にもこれついたんだと思うんですが、それは一体どういうふうになったのか、関連してお聞きをしておきたいと思います。
#39
○政府委員(関通彰君) 五十四年度から支給されております旧日本赤十字社の救護看護婦に対します慰労給付金でございますが、昨年の当委員会でも御議論がございました際御答弁申し上げた次第でございますが、この慰労給付金の趣旨は、女性の身でありながら第一線の戦地、事変地で戦時衛生勤務に従事して大変御苦労いただいたと、こういう特殊事情に注目いたしまして支給することとしたものでございまして、これによりまして所得の保障を図るという公的年金的な性格は持ってないわけでございます。何分、慰労給付金の趣旨が過去の御苦労に対して報いるという趣旨でございますので、いわゆるスライド制をとっておりませんで、定額で措置しているわけでございます。かような慰労給付金の基本的な性格から定額制という制度をとっているということを御理解いただきたいと存ずるわけでございます。
#40
○山崎昇君 これはやっぱり附帯決議の点もありますし、今度は旧陸海軍の関係も入ってきましたから、あわせまして私はやはり考えてもらいたいということだけ申し上げておきたい。
 それから、恩給法に関連して長官の見解を聞きたいんですが、最近、厚生省関係でもそうでありますが、差別用語というものを改められている。この間、何か憲法の解説書にもあるというので問題になったようでありますが、恩給法にも不具廃疾という言葉はずいぶん出てくるわけですが、これをやっぱりこの機会ですから改めるという考え方はあるのかどうか。しかしながら、なかなかこれ別な言葉といってもいますぐどうというわけじゃありませんが、世の中がそういうふうな状況に来ていますから、当然恩給法上でもこういう言葉というのはやっぱり改めていくという必要が私はあるんじゃないかと思うんですが、その点について見解をお聞きをしておきたい。
#41
○政府委員(小熊鐵雄君) 私からちょっと経過だけ……。
 障害者についてのいろんな法令上の不快用語といいますか不適当な用語というものにつきましては、昨年からずっと、これは非常にいろんな法律にまたがるものですから、検討してまいっておるわけでございます。この不具廃疾という言葉につきましても、法律はもちろん恩給関係法だけとっても非常に多岐にまたがっておりますので、やはり各法律間の整合性というか、これをとるためにも統一した何か適当な用語が必要であるということで現在も検討を続けておるわけでございます。この結論が出ましたら、早速にもこの恩給法上の不具廃疾、これも何とか考えていきたい、このように思っておるわけでございます。
#42
○国務大臣(中山太郎君) ただいま恩給局長がお答えを申し上げましたとおり、この用語自身を、今回の国際障害者年に当たりまして不快用語を法律の案文の中で改正していくという作業をただいまいたしておりますが、御案内のように、非常に範囲の広い問題でございますので、私どもとしては先生御指摘のように前向きな方針で検討してまいりたいと、このように考えております。
#43
○山崎昇君 検討中ですからあえて言うこともありませんが、先般、厚生省関係は目の見えない人とか、耳の聞こえない人とか、一部直したわけですが、ひとつ早急に結論を出してもらって、その問題の解決を図ってもらいたいということを改めて要望しておきたい。
 それからその次に、内閣の、審議室長おいでいただいておりますからお聞きをしたいんですが、恩給に関連して最近地方でも戦犯に対する恩給についていろいろ議論がございます。特に戦犯でもA級の七名と、それからB、C級の五十八名ぐらいでしょうか、これとの間には私は差があると思うわけなんですが、この戦犯で処刑された方々の恩給というのは、恩給法の規定で言えばこれは何条に該当して恩給というものを支給しているのか、まず、その根拠を知らせてほしい。
#44
○政府委員(小熊鐵雄君) 戦犯者につきましては、昭和二十一年の勅令六八号で一応恩給を給してはならないということになったわけでございますが、その後、二十八年になりまして軍人恩給復活の際、これは法律一五五号でございますが、それの二十九条で給するということにいたしたわけでございます。
#45
○山崎昇君 二十九条の条文、どうなっていますか。
#46
○政府委員(小熊鐵雄君) これちょっと長いんですが、読み上げます。
 第二十九条改正前の旧勅令第六十八号第八条
 第一項の規定により恩給を受ける権利若しくは資格を失った公務員(公務員に準ずる者を含む。以下本条において同じ。)若しくはその遺族又は改正前の旧勅令第六十八号第八条第一項の規定により恩給を受ける権利若しくは資格を失った公務員の遺族は、附則第十条又は第十七条の規定により恩給を受ける権利又は資格を取得する場合を除く外、この法律施行の時から、これらの者が失った恩給を受ける権利又は資格に相当するこの法律の附則の規定及び改正後の恩給法の規定による恩給を受ける権利又は資格を取得するものとする。こういったことになっております。
#47
○山崎昇君 そこでお聞きをしたいのは、二十八年ですね、しかし戦犯として処刑されているのは早い者は昭和二十一年ですね。東條英機でも昭和二十三年十一月十三日ですね。そうすると、その二十八年の軍人恩給復活の二十九条、それから恩給法の七十三条ですね、これとの関係はどういうふうにぼくら理解したらいいんだろうか。たとえば七十三条、私も調べておりますが、「在職中死亡シ其ノ死亡ヲ退職ト看倣ストキハ之ニ普通恩給ヲ給スヘキトキ」これが一。「二 普通恩給ヲ給セラルル者死亡シタルトキ」、言うならば、戦犯というのは退職とみなすのか死亡とみなすのか、そうでなければ、私はこれ恩給の該当というのはなかなか困難ではないかというふうに考えるんだが、実際はいま遺族恩給を支給していることをどうこうという意味で申し上げているのでないが、きちっと私はしておきたいと思う。
 それから、A級戦犯の場合はこれは戦争犯罪人、明確に平和に対する犯罪として処断をされる。この者と、これは最近出された上坂さんのB、C級戦犯の本です。私はこれ、ずっと読んでみまして、実際二十四、五歳の者が軍の命令で俘虜収容所の所長だとかを担当したばかりに処刑される、その者と私は同一に扱うつもりはありません。同一に扱うつもりはありませんが、一体、戦犯処刑者というのは恩給法上これは死亡と見るのか退職と見るのか、これは私は大変な議論になってくるんじゃないんだろうか、いまごろもうすでに相当支給しているのに言うのもおかしいが、私はやはり基本として政府の見解をこの際ですから聞いておきたいと思います。
 それはなぜかというと、この間から議論しておりますように、このB、C級戦犯で処刑された方方も少尉だとか中尉だとか、当時あるいは曹長だとか、こういう諸君が大半ですから、したがってもらっている遺族扶助料も言うならば最低ですわな。それも、この間来議論しておりますように、普通恩給の最低保障ですら月額に直せば生活保護法以下になっちゃう。そういうものしかもらえないわけなんで、私はこのB、C戦犯の記録を読めば読むほど、これらの諸君の遺族というのは大変だと思うんですね、A級とは別として。そういう意味から言うと、そういう最低保障額の低さも関連をして、一体こういう人というものをどういうふうに法律上ぼくらは理解しておいたらいいのか、そういう点であなたの見解を聞いておきたい。
#48
○政府委員(小熊鐵雄君) 戦犯についての取り扱いにつきましては、先ほど申し上げました二十八年の一五五号で復活したわけでございますが、その前に、恩給法特例審議会というのが設置されまして、これは昭和二十七年の十一月でございますが、戦犯者の恩給については「一般旧軍人軍属その他一般公務員及びこれらの者の遺族の例に準じ措置する」と、こういう建議がなされて、これを受けて先ほどの一五五号の法律になったわけでございます。一五五号では、先ほど申し上げましたように、その遺族または資格を失った者について、その権利または資格を取得するということになっておりますので、この時点で軍人あるいは軍属として考えるということになろうかと思います。
 なお戦犯で処刑された方、これは公務死として扱っております。
#49
○山崎昇君 そうすると、それはA級も公務死ですか。私はA級だけはどうしても納得できない。B、Cの場合は私は理由がやっぱり違うと思う。A級もひっくるめて何でも公務死ということになると、これは私は相当議論してみないとならぬ点じゃないんだろうかなという気がしますが、きょうは時間ありませんからやりませんが、いずれもう少し調べてからやりたいと思いますが、重ねてあなたの見解を聞いておきたい。
#50
○政府委員(小熊鐵雄君) 法で復活しましても、法律上いわゆるいま先生おっしゃる戦犯者というものが軍人として復活した以上これに扱いの差をつけると、それは偉い人はこれは悪いことしたんだというような見解もあるかと思いますけれども、私ども恩給法を扱う立場としては、それに差をつけるという必然性というか、これはないんじゃなかろうかというふうに考えます。
#51
○山崎昇君 これは改めてやります。
 次に、最後になりますが、シベリアばかりじゃありませんで、大半シベリアでありますが、この抑留者の扱いについて、最近また大変私どもにも多くの陳情があります。
 そこで、政府の見解を聞いておきたいんですが、こういう抑留者の方々に対する国家の補償というものについてどういうふうにお考えになっているのか、いままでにもかなり議論されているようでありますが、重ねてきょう聞いておきたい。
#52
○政府委員(石川周君) 戦後、ソ連に抑留されまして死亡された方や負傷された方々につきましては、すでに恩給法とかあるいは戦傷病者戦没者遺族等援護法などによる援護等が行われていることは御承知のとおりだと存じます。政府といたしましては、そういうこれまでの措置をもちましていわゆる戦後処理というものは終わりといたしたいという考えでございます。
 いわゆる戦争被害といいますものは、改めて申し上げるまでもないと存じますけれども、多かれ少なかれすべての国民が受けているもの、大変なものだと思います。そして、これを完全に償うということは事実上不可能でございます。しょせんは国民の一人一人が受けとめていただかざるを得ない問題である、このように考えております。ソ連に抑留された方々、大変お気の毒、大変な御苦労をされたとは存じますけれども、いま申し上げたような考え方から、いままでの措置以上に新たに特別な措置をとることは考えていない次第でございます。
#53
○山崎昇君 いや大変お気の毒でございますというだけで片づく問題ではないんじゃないでしょうか。これはもちろん国際法の問題も絡みますし、それから戦時中で言うならば、戦時中の陸戦法規やあるいは捕虜に関する条約やいろんなものが絡んできますから、私は単純には言わないつもりでいます。いますが、しかし、これは私この間全国抑留者協議会の方々からいただいた「シベリア捕虜志」という本です。あなた方もお読みになっている。これを読んでみるというと、兵隊であった者もそれから軍務に属していなかった者も一括して抑留者として連れ去られる。しかし、そのうちヘーグ条約によって銘々票というのを作成して、そして軍籍のない者は抑留者と記載をされて一般常人という呼称をしたと、こういうんですね。しかし、形の上では軍籍にあった者と同様にラーゲルに入って強制労働をさせられているわけで、言うならば軍人であった者とそうでない者との差別が全然ない、実態上では。そして強制労働をさせられているわけなんですが、そういう者に対して、私はこれはたとえば日本国内にあって空襲に遭って財産が焼けたと、さてそれはいまになったらどの人が焼けてどの人がどうだかわからぬからそれはがまんしてくださいというのとはわけが違うんではないんだろうか、こういう気がしてなりません。
 特に国の犯した、政府の犯した政策に基づいて個人がやられるわけですから、そして国家間では賠償請求を放棄する、言うならば個人は一体どういう法益を受けることができるんだろうか。なるほど軍人であった人は恩給の対象になったりしてもらっています。あるいは引き揚げた人は戦傷病者遺族等援護法で多少の救済はある、そうでない者は全く放置されてしまう、これはとうてい私ども納得しかねるんですね、正直に申し上げまして。ですから、政府としても当然こういう方々については、あの陸海軍看護婦ではありませんけれども、詳細な調査をして当然国家補償としてこれはすべき課題じゃないんだろうか。この点は恩給と少し離れますけれども、政府の一員としてのぼくは総務長官の見解も聞きたいと思うんです、これは。今日でも大変な人数の方々がおられて、先般も全国集会がありました、私も出席をいたしましたけれども、そういう意味でこれに対する長官の見解も聞いておきたいと思うんです。
#54
○国務大臣(中山太郎君) いま内閣審議室長が御答弁を申し上げましたが、私の見解はどうかというお尋ねでございます。
 いまの先生の御指摘、私もソ連地域抑留者の方方で軍人以外の方々の筆舌に尽くしがたい御苦労ということについては、本当に心から同情もし、何とか慰労をしたいという気持ちでございますが、一方において戦争というものが、日本の内地にいる一般国民につきましても連合軍の無差別爆撃ということで多数の方に死亡者が出ております。そういう方々につきましても戦争のつめ跡というものは無差別に来ておるわけでございまして、また、あるいは南方の地で抑留されて亡くなられた方とか一般の方もたくさんおられるわけでございまして、そういう方々に対する考え方としては、ただいま石川室長が御答弁申し上げた政府の考え方というものを私どもとしては持っているということをひとつ申し上げておきたいと思います。
#55
○山崎昇君 きょうはもう時間もありませんから、そう組み立てて私も議論しているわけじゃありませんが、当時、戦争の末期、ソ連を通じて和平交渉をやった際の記録等が最近いろいろ出されてくる。また、それがまずくなって、米英に対して直接現地大使館を通じて政府の見解というのが述べられておるようでもあります。そういうものを、この本によりますというと、たとえば「和平交渉の要綱」、その「方針」、そしてその「条件」の内容に「賠償及び其他」という項目があって、「賠償として、一部の労力を提供することには同意す」、言うならば敗戦になって抑留されたらその者をもって労働提供することはやむを得ないというような方針を当時打っておったと、こう述べられているわけですね。そうすると、政府とすれば当然そういう形で賠償というものをある程度考えておられた。ところが、戦争が終わってから政府の方針が百八十度変わっちゃって、サンフランシスコ条約でもあるいは日ソ共同宣言でも、賠償はいたしません、要りません、こうなっちゃったものだから、当時こういう方針を政府は持ちながらも、結果としてはそうでないような形になっちゃった。したがって、この抑留された者は、政府はそういう形で方針を持っておったではないか、もしそうだとすれば、当然われわれは補償を受ける権利があるんだという論点になると思うんですね。そういう意味で私は、この抑留者の問題は、主としてシベリアが大半でありますけれども、この抑留者の問題について政府自体としてももう一遍再検討しまして、きちんとしないというと本当の意味で戦後というのはやっぱり終わらない。
 それから私は、これはきょうの議題でありませんが、やがて防衛問題のときなんかに議論にならなきゃならぬと思っております一つに、仮に専守防衛であっても、日本が戦場になりまして、もう一遍戦争状態が起きたときに、今度は外国で捕虜になるなんということはあり得ないと思いますが、いずれにしても戦時中のこういう問題が起きてくることは、いまのあなた方与党の考え方からいけば私は可能性があるのではないかと、こう思いますね。そういう意味で言うと、やはり政府の責任といいますか、そのときの国家の責任ということは明確にしなきゃならぬじゃないか。そういう点からいっても、過去のこういう問題について、きちんと国家はやっぱり、国家の命に服してやった者に対してはまんべんなくどの人も同じ法益ということにはならぬかもしれぬ、しかし法による利益というものは国民は受ける権利があると私は思うんです。そういう意味で、この抑留者の問題についてはもう一回ひとつ長官の見解も聞きたいし、それから審議室で、ただこれはもう一億国民全部やむを得ませんなんという単純なことでこの問題を打ち切られたら私は大変だと思うんで、審議室でももう少し私はこの問題について真剣に検討願いたいと思うんだが、それもひとつ事務当局からも聞いておきたいと思う。
#56
○国務大臣(中山太郎君) 御指摘の点も、先生の御意見等も十分拝聴いたしました。私どもとしましては、シベリア抑留者からの、一部の方から政府に対しての賠償の問題について提訴が行われております。私どもとしては、この裁判の判決の結果について重大な関心を持っておるということを申し上げておきたいと思います。
#57
○山崎昇君 いや、これはこれから提訴するわけでしょう、裁判。政府は関係者が裁判を起こして、その結果を黙って見ておって、それが出ましたら政府の見解をやりますなんというのは政治じゃないじゃないでしょうか、それは。私は、もう少しこういう問題については、政治の場でも行政の場でも、もっともっと積極的に対処すべき問題を含んでいるんじゃないだろうか、こう思いますね。
 そこで、いろんな記録の仕方あるんですが、長官に一、二点具体的にお聞きしますが、日本が本当に戦争終結したというのは一体いつの時期なんだろうか。通常昭和二十年八月十五日と、こう言うんですが、国際法的には九月二日のミズーリ艦上で降伏文書に調印をした日をもって、国際的には日本は完全に敗戦といいますか、戦争終結といいますか。それから個々の国との間の戦争状態の終結というのは、これは平和条約なりあるいは日ソで言えば共同宣言なり、そういうもので一応の決着を図ることになるんだが、そういう点について、私は、きょうはせっかくの機会ですから長官の見解を聞いておきたい。
#58
○政府委員(石川周君) 技術的な問題、私の方からお答えさせていただきます。
 戦争状態の終結という問題につきましては、恐らく外務省からお答えするのが筋かと思いますが、外務省来ておりませんので、私のとりあえずの知識として理解しておりますところは、平和条約を締結いたしました諸国とは、平和条約の発効したときということで、それぞれの国との間によりまして戦争状態がいつ終わったかという時点は違ってくると、このように理解いたしております。
#59
○山崎昇君 いや日本が、さっき申し上げたのは、ポツダム宣言を受諾回答したんだが、八月十五日に天皇陛下の放送があったんだが、国際法上で日本が本当にあれに署名をしたのは九月の二日とぼくらは理解をしていいのではないか、こう一つ考える。
 それから、それぞれの国との関係は、いま答弁のありましたように、二国間の平和条約という形もあれば、共同宣言という形で国会が承認する場合もあれば、さまざまですから、それは日にちが違うことは私も承知をする。そうすると、たとえばシベリアにおける抑留というのは、ソ連側の見解は日ソ共同宣言が一九五六年の十月十九日ですから、それまで戦争状態である。したがって、そのときを境にして、なるべく速やかに帰せばこれはポツダム宣言に違反をしないんだと、こういう見解をとっているやにもぼくらは聞くわけですが、それらについて政府としては、これは外務省に聞くのが本当は筋です。筋ですが、きょう呼んでおりませんから改めて聞くことにいたしまして、これはさっきの戦犯の恩給にちょっと関連をしまして、一、二点聞いておきたい。
#60
○政府委員(小熊鐵雄君) 恩給の話で申し上げますと、たとえば満州での加算年の計算、こういったようなものについては、九月二日ミズーリ艦上で降伏文書に調印したというときまで続いておるということでございます。
#61
○山崎昇君 これは改めて私の方も外交文書等をもう少し調べてから聞きますが、きょう恩給法でしたから、関連した部分だけちょっとお聞きをしました。
 それで総務長官に、せっかくなんで、これは恩給とは直接関係ありませんが、最近、私も交通安全の特別委員長をやっていまして、委員長だから余り質問することもできませんでなんですが、交通遺児の問題が大変いま多く出ておって、一般的にはいろいろな形で救済の方法があるわけですが、先般も全国大会等があったようでありますけれども、最近の交通事情と関連をして、交通遺児等々の問題について、これ総理府の所管でもあるでしょうから、ひとつこの点について今後どんな努力をされ、どんなふうに救済を強めていくのか、その見解だけ一点聞いて私の質問を終えておきたい。
#62
○国務大臣(中山太郎君) 交通遺児の問題につきましては、総理府の交通安全対策室といたしましても重大な関心を持っております。
 昨年の終わりであったと思いますが、交通傷害によって御主人を亡くされた家族の方々の越年の悩みあるいは上級学校進学の点についての遺児たちの困惑、これは政府にとりましてもゆゆしき事態であると考えておりまして、遺児たちの育英制度については今後一層充実するように努力をさしていただきたい、このように考えております。
#63
○山崎昇君 少し時間早いですが、私の質問これで、まあきょうは主として技術論だけ聞いてやめたいと思うのですが、いずれにいたしましても、この恩給が大体いろいろなものの基礎になってくる。しかし、そうは言いましても、最近は厚生年金とか共済年金の方の改善がまた逆に恩給にはね返ってくる。俗に言う寡婦加算なんかその例だと思うんですが、そういう意味で言うと、恩給も社会保障制度的な要素でかなり考えませんというと、もう立ち行かない事態も出てくるんではないんだろうかという気もいたします。
 それから、前回も申し上げましたけれども、ほかの方はかなり長期にわたって調査がされて見通しが持たれておる。恩給についても、重ねて申し上げておきますが、ひとつ長期的な展望でこの問題の処理に当たってもらいたいということと、それから、何回も指摘しておりますが、普通恩給の最低保障にいたしましてもかなりやっぱり低い。そういう意味ではぜひその点は五十七年度予算等でも配慮を私は願いたいし、特に私は、仮定号俸を残すなら残すように、何遍も言いますけれども、特に兵の二十一号というのが基礎で計算されるのですが、これが全く在職中の公務員の一番低い者よりもまだ低い、こういうあり方だけは変えてもらいたいということを重ねて私の意見として申し上げて、質問を終えておきたいと思います。
#64
○委員長(林ゆう君) 午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十三分開会
#65
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#66
○堀江正夫君 私は、五十六年度の恩給改善及び目症の問題につきまして、何項目かにわたって政府の見解をお聞きいたしたいと、このように思います。私の時間はきわめて限られておりますので、お答えの方は特に簡明にお願いをいたしたいと、こう思います。
 まず、五十六年度の恩給改善の問題でありますが、その第一番目は、本年度普通恩給の改善を六月にされることになっております。ところが公務扶助料や傷病恩給等の改善は八月になっておる。その理由をまず承りたいと、こう思います。
#67
○政府委員(小熊鐵雄君) いま先生、普通恩給の改善とおっしゃいましたけれども、普通恩給の最低保障の改善じゃないかと思います。
#68
○堀江正夫君 そのとおりです。
#69
○政府委員(小熊鐵雄君) これは確かにおっしゃるとおり、六月になっておるわけでございます。この普通恩給の最低保障につきましては、ほかの公的年金並びの制度でございまして、ほかの公的年金で六月に改善いたすものですから、恩給の方も六月としておるわけでございます。
 ただ一方、公務扶助料あるいは傷病恩給、これにつきましては、御承知のように、これは普通の改善率をはるかに上回る特段の改善を図っておるわけでございますが、こういった内容の密度の高い改善を図るということから、ある程度いろいろ財政的な制約もございますので八月という実施時期にいたしておるわけでございます。
#70
○堀江正夫君 いまの点、私も十分わかるわけでありますが、基本的にはやはり同じ時期にやるという、特に公務扶助料なり傷病恩給の性格からしまして、今後も御努力を願いたいと、このように思うわけであります。
 二番目は、普通恩給の最低保障額が物価の上昇率に見合って改善を勘案をされておりますが、これはもちろん当然のことだと思います。ところが、他の年金や恩給、この改善の場合、物価上昇率がどう勘案されているのか、どうもはっきりわからないところがあるわけです。御説明をいただきたいと思います。
#71
○政府委員(小熊鐵雄君) これは、いま申し上げましたように、普通恩給の最低保障額、これはほかの厚生年金であるとか、他の公的年金と横並びの制度といいますか、それでこの最低保障額のうちの一部分、いわゆる定額部分、これについてだけ物価スライドという方式を取り入れておるわけでございます。ただ恩給――恩給もそういう方式でやっておるわけですが、恩給につきましては、やはり退職した公務員の年金であるということから、現職の公務員のベースアップにスライドしてやっていくのが、現職公務員のベースアップというのが物価とかあるいは生活水準とか、そういったもろもろのことをかみ合わして実施されておるというように考えるわけですから、これが一番妥当ではないかというように考えるわけでございます。
 ただ、恩給受給者のうちでも特に老齢者であるとかあるいは戦傷者であるとか、こういった社会的立場の弱い方、これにつきましては特段のかさ上げをやっておるわけでございまして、これはとても物価のアップなどよりも非常にそれを上回った改善になっておるということも先生の御承知のことと思います。
#72
○堀江正夫君 そのような配慮がなされておることについては私も承知をしておりますし、その配慮を十分に認めておるわけでありますが、この問題につきましてもやはり物価上昇率が改善額の中に含まれておると、しかし、そもそも初めから概算要求のときには同じように含めてやったわけですから、その分が物価上昇率に見合って普通恩給の場合最低保障額がふやされた、その分だけやっぱりふやすのが基本的な考え方と同じじゃないかなという感じも持つわけでありまして、この点についても一と同様にさらに御検討をいただきたい、来年以降さらに御尽力いただきたい、こう思うわけであります。
 三番目は、公務扶助料と三号扶助料、さらに傷病者の遺族特別年金、これには寡婦加算というものがないわけですね。恐らく遺族加算があるじゃないか、こう言われるんじゃないかと思いますが、特に寡婦加算を認めておらないといいますか、ない理由をまず御説明いただきたいと思います。
#73
○政府委員(小熊鐵雄君) 寡婦加算でございますが、これも御説明するまでもなく先生御承知と思いますが、これは普通扶助料の定額加算といいますか、要するに率で上げますとどうしても上厚下薄になりますので、寡婦加算というような制度を導入して一定額を積み上げるというシステムを他の公的年金制度でとったわけでございます。これにならって恩給でも寡婦加算制度というのをとっておるわけでございます。一方、公務扶助料あるいは――もちろんこの寡婦加算は六十歳以上の寡婦あるいは有子の妻、こういった方にしかついておらないわけでございます。他方、公務扶助料におきましては、遺族加算、これはやはり公務扶助料そのものをかさ上げするというのと、遺族の置かれた特別のお立場を考慮するという意味で、これはもう父母であろうとだれであろうと遺族加算というものをつけておるわけでございます。しかも現在公務扶助料を受けておられる方の約半分は、親といいますか父母でございます。寡婦加算制度になりますと、もちろんこの親には寡婦加算はつかないということにもなります。そういう関係にありますので、遺族加算というもので公務扶助料にリンクさせるというのがやはり恩給的な手法として妥当なんじゃないかと、そのように考えておるわけでございます。
#74
○堀江正夫君 範囲を拡大をするために遺族加算という制度でやっておられるということについては高く評価をし、妥当だと思うわけでありますが、この公務扶助料や三号扶助料、これがその基本的な精神からしてほかとは基本額が違っておる、優遇されておる、これは当然だと思うわけでありますが、この精神からしますと、普通扶助料の寡婦加算が五十五年度に特別改善をされた、私は遺族加算もこれに見合うだけの改善をやるのが本当じゃないか。それをやらないから遺族加算額というものが寡婦加算額よりもむしろ額において加算額が減るような事態も起きている。どうも考えてみると不合理のような気がしてならないわけですが、これについて御見解を承りたいと思います。
#75
○政府委員(小熊鐵雄君) いま申し上げましたように、寡婦加算あるいは遺族加算もそうでございますが、これは扶助料の給付水準ということを目的として五十一年から始まった制度でございます。それで、ただいまも申し上げたわけですが、寡婦加算というのはほかの公約年金、厚生年金であるとかそういったものでそういう制度を立てましたので、恩給としてもそれの横並びの制度として考えておるわけでございます。その際、やはり公務扶助料を受ける方々にもということで遺族加算という恩給独自の制度として考えたわけでございます。したがいまして、給付水準云々ということであれば、これはもう先生御承知のように、もう公務扶助料は格段の水準の向上を図っておるわけでございまして、このいま申し上げた寡婦加算と遺族加算の性格の違いから必ずしもそれが同額でなければならないとかいうような性格のものではないと考えておるわけです。特に、先ほど申し上げましたように、寡婦加算というのは六十歳以上の寡婦とかあるいは有子の妻にしか出ておらないわけでございまして、遺族加算はこれはなべて皆さんに出しておるわけで、そういうような性格の違いから必ずしも同じものでなけりゃならぬということはないんじゃないかと、このように考えておるわけでございます。
#76
○堀江正夫君 制度上のそういう考え方は十分わかるわけですが、結果として出てきた数字が、やはり必ずしも基本的な精神に沿わないような結果になるというのはどうも納得できないじゃないかというのが私の言おうとするところでありますから、御理解いただけると思います。
 その次は、特例扶助料と増加非公死の扶助料の最低保障額の上積みの問題でありますが、これが公務扶助料に対して五十一年度から七五%ということから始まったように私承知しております。その後だんだん改善されまして、いまは八〇%を目標とするんだということになっているんじゃないかと思いますが、私は本来この特例扶助料、増加非公死扶助料、これは確かに公務扶助料とは違うわけですね。公務扶助料とは違いますけれども、大変に難症の夫を長い間抱えて苦労した、そういう悩みというものを考えますと、基本的にはやっぱり同じぐらいの額を見てやってしかるべしじゃないかと、このように実は思うわけです。また、一応七五%から始められたと、いま約八〇%を目標にしてやっておられる、この数字そのものにも必ずしも根拠がないんじゃないか、こうも思うわけです。そこで、私は今後さらに目標としては同額にするというところに置いて、八〇%でもういいんだというんじゃなくて、そこまで達すれば。もっと一〇〇%までを目標にして今後も努力していただきたいなと、こう思うわけです。御見解を聞きたいと思います。
#77
○政府委員(小熊鐵雄君) 先生にいまさら申し上げるまでもないことと思いますが、やはり公務扶助料というのは忠誠の極限といいますか、その極限の死をもって国に尽くしておると、その遺族の方の苦労は、まあよく話を聞くんですが、片足でも帰ってきてよかったという話をよく聞くわけでございますが、やはり三号扶助料とは当然差があってしかるべきではないか。また特例扶助料にしましても、公務死じゃなくて、内地におって病気になられてそれで死亡されるというような例でございますので、これもやはり公務扶助料とは差があっていいんではないかと、このように考えておるわけでございます。
 それで、当初七五%の出発というのも先生おっしゃるとおりでございますが、これは公務関係の傷病恩給と特例傷病恩給とが当時七五%という格づけになっておったのでそれから出発したわけでございますが、現在は、先生もおっしゃるような非常に遺族の方の特別な立場というのを考慮して八〇%まで引き上げておるということでございます。御了解いただきたいと思います。
#78
○堀江正夫君 最後は何ですか、もう一回言ってください。
#79
○政府委員(小熊鐵雄君) 御了解いただきたいと思います。
#80
○堀江正夫君 御了解だけですか。もちろんよく理解はするわけです、私は。理解はするわけですが、八〇%ならばそれじゃ妥当かどうかという問題があると思いますよ、私は。一歩も二歩も下がった場合においても、その辺の妥当性の問題についても今後私は十分に検討していただかなきゃならぬのではないかと思いますが、いかがでございますか。
#81
○政府委員(小熊鐵雄君) もちろん他の恩給、個別に見ますといろいろ改善を図っておるわけでございますから、そういった改善と均衡を考えながら検討、研究は続けていきたいと、このように考えております。
#82
○堀江正夫君 次に、目症の問題につきましていろいろとお尋ねしたいと思います。
 まず第一は、戦前は一目から二目までそれぞれ障害の程度が規定をされておったわけであります。現在もこの障害の程度については一目から四目まで戦前と同じだというふうに理解をしておりますが、一時金の支給の問題でありますが、戦前は四目まで全部支給をしておった。ところが二十一年の改正で、一目、二目だけには一時金を支給をするがあとは廃止をすると、こういうことになっておるように思います。なぜその三、四目をやめてしまったのか、その辺の理由を承りたいと、こう思います。
#83
○政府委員(小熊鐵雄君) これも昭和二十一年の勅令六八号で軍人恩給が廃止されましたときに三目、四目の一時金を廃止したわけでございますが、これは先生も御承知と思いますが、三目、四目というのは非常に軽微な程度の傷病でございます。これは旧厚生年金保険法、これなどでも処遇されていないというようなことから、これがそういった均衡も考えて三目、四目を廃止したと、こういう事情にあったわけでございます。
#84
○堀江正夫君 ところが、その後労災保険あるいは国家公務員の災害補償制度等がだんだんと確立をされてきております。もちろん厚生年金、公務員の共済年金制度もいろいろと整備されておるわけですが、この目症と特に労災保険及び国家公務員の災害補償制度との比較を見てみますとどうも不均衡がある、このように考えるわけであります。たとえて申し上げますと、目の場合一眼の視力が〇・三未満である。これについては目症の方では三目ですから、一時金の支給の対象にもなっておらない。ところが国家公務員の災害補償制度、労災保険では十三級ということで一時金の支給の対象になっておる。あるいは足の指の問題でも同じような問題がある。足の指につきましては、一指を全く失った者、あるいは機能を失った者、これは目症の方では三目あるいは四目ということで一時金支給の対象になっておらないけれども、労災あるいは国家公務員の災害補償制度では十三級、十四級で支給の対象になっておる。こういう非常に不均衡があるように思うわけです。恐らく総理府の方では、傷病恩給の方との比較は厚生年金とこれで比較するのがしかるべしだというお考えもあるかと思います。私は、むしろそうじゃなくて、国家公務員の災害補償制度と比較をして、さらにそれをプラスアルファで厚くするのが本来あるべき精神じゃないかなと、こう思うわけです。それらを含めて御見解を承らせていただきたいと思います。
#85
○政府委員(小熊鐵雄君) 先生おっしゃいましたように、労災とかあるいは国家公務員災害補償法、これでは三目症あるいは四目症に相当するような症度の方にも一時金を出しております。ただ、災害補償法と恩給、これではいろいろその沿革といいますか、歩んできた道も違いますし、中身自体も大分違うわけでございまして、たとえば恩給では非常に高い年金の出ておる七項症あるいは一款症から四款症まで、こういったものについても労災では一時金しか出ないとか、そういった意味で中身についても大分いろいろ違う点はあると思います。
 三目症、四目症というものについて何か出ないかということですが、やはりこれも二十一年に廃止し、あるいは二十八年に復活しなかったということの裏には、やはり戦争という国民皆ひとしく受けたいろんな犠牲、その中で特段に果たして恩給というような制度の中で考えるべきかどうか。確かにいろいろ議論があったんだろうと思いますけれども、その結果三目症、四目症程度は恩給では処遇しないと、こういう結論になったんだろうと思います。
#86
○堀江正夫君 言われる意味がわからぬではございません。わからぬではございませんが、現実的に同じ症状だと。片方は召されて戦地へ行って負傷した症状が何の処遇も受けないというのは、制度上のいろんな問題解釈あるにしても、やっぱりどうも納得できないと思いますね。
 この点は、たとえば国家公務員の災害補償制度、労災保険でも一時金を支給しておるのを、いまおっしゃったように、七項症以下款症については年金を支給をしておるわけですね。それだけ優遇しておるわけですよ、と思うんです、私は。比較をするならば。ところが目症相当の者についてはむしろ処遇が悪い、どうも均衡がとれてない、直すのを忘れておられるんじゃないかなと、こう私は思うんですよ。むしろ私は、款症を年金とされたと、こういう精神からするならば、目症の中で少なくも、全部と言いたいところですが、一、二目ぐらいは年金にすべきじゃないかと、こう私は思いますですよ。さらにもう十歩も百歩も譲ったとしても、少なくも一、二目の中の小指のない人とかその機能を失った人、こういったような人たちについてはやっぱり款症にするかあるいはそれに準じた処遇をするのが当然じゃないかと、こう思うんですが、いかがでございますか。
#87
○政府委員(小熊鐵雄君) いまの症度というか症状等差を決めましたのは、昔からずっといままでもうすでに何十万人かの受給者がおられるわけで、その秩序の中でいまの款症なり目症なりの程度が決められておるわけでございます。まあこれ、その小指をなくした人の生活の不自由さ、それは確かにあるとは思いますけれども、やはり親指をなくした人とは、私どもこうやって現実に親指傷つけてみますとわかるわけでございまして、それとは等差があってしかるべきだというふうに感じますので、いまの先生のおっしゃるような目症、小指がなくなった者でも款症まで持っていくということになりますとこれはかなり大きな問題でございますし、もちろん目症についてこれからも研究はしていきたいと思いますが、非常に、いま申し上げたように、ずっともう百年もの歴史を経てきておるものでございまして、なかなかむずかしい問題じゃないかと、このように考えるわけでございます。
#88
○堀江正夫君 いま研究をしていきたいと、こうおっしゃったわけですが、そこで五十五年度の調査研究費が五百十何万かあるように私承知しておりますが、その中でいろんな研究調査をやっておられる。この目症の問題について五十五年度ははっきりした内容について調査研究をしておられるのかどうか。もしも五十五年度はそこまでやっておらないというのであれば、いまも調査研究をするとおっしゃいましたが、五十六年度の調査研究の中にはっきり目症の問題をとらえて研究をしていただきたいと、こう思いますが、いかがでございますか。
#89
○政府委員(小熊鐵雄君) 調査研究費でございますけれども、これはいろんな恩給内の制度上の均衡であるとかあるいはそのバックグラウンドであるとか、こういうものを客観的につかまえようということでいろいろ調査研究しておるわけでございます。この中には、もちろん仮定俸給の問題であるとかあるいは症状等差の問題であるとか、こういったものも入っておるわけでございまして、もちろん症状等差の問題と言えば目症の問題も当然入ってくるわけでございます。これはいろんなグループ、班をつくりまして、それぞれテーマを与えて研究しておるわけでございますが、五十五年度あるいは五十六年度におきましても今後ともそういった症状等差の研究を続けていきたい、このように考えておるわけでございます。
#90
○堀江正夫君 まあ余りいろいろ言うのもどうかと思いますから、このくらいにしょうかなと思いますけれども、調査研究、目症も含めてやっておるとおっしゃいますけれども、やっておるといえばやっておる、やっておらぬといえばやっておらぬと、こういうところが本当じゃないかなと、善意に善意に解釈してですよ――と思いますよ、私は。
 そこで、いま目症の問題についてはいろんなお考えもあるでしょう。お考えもあるでしょうけれども、やはり全般的な処遇の改善の問題もありますけれども、取り残された一つの分野は目症なんですよ。これについてやはりもっとはっきりした姿勢で、もやもやじゃなくて五十六年度はやっていただきたいですが、いかがですか。もう一度お聞きします。
#91
○政府委員(小熊鐵雄君) いま先生もやもやとおっしゃいましたけれども、確かに五十年、百年の歴史というのは非常に重い重みを持っておりまして、これを一刀両断ですかっすかっと割り切るというのは非常にむずかしい問題だろうとは思います。しかし、私どももいろいろ目症だけじゃなくて、款症の中でもいろんな疑問を持っている点もございまして、そういったものも含めながらいろいろ傷病恩給の研究はしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#92
○堀江正夫君 まさにいまおっしゃったように、目症以外にも問題があるんですね。私もいささか勉強してみたわけです。恩給と共済組合年金及び国家公務員災害補償の適用を受けておる人について受給額をいろいろ比較してみますと、どうも不均衡がありますね。むしろ恩給の方が少ないものが多いわけですよ、項症以上において。ありますよこれ、明瞭に。いただいた資料ですから間違いないと思いますよ。そういう問題も含めてやっぱり研究してもらわなきゃならぬのは明瞭でございます。
 先ほども言いましたように、やっぱり残された分野が目症なんです。全く目症については二十一年にやったきりで手をつけてないわけですよ。それはやっぱりひど過ぎるんじゃないかと、こう思いますよ、いまのままほったらかしておくことは。これはもう最後になりますから、長官いかがでございますか、先ほどからお聞きいただいておるわけですが、せめてこの目症の問題は、目症対象者の心をくんで前向きでこれから検討していかなければいけないな、こういうお気持ちを持たれたに違いないと思うんですよ、いかがでございますか。
#93
○国務大臣(中山太郎君) 先生が大変御熱心に恩給問題について御検討をいただき、われわれに対しても御鞭撻をいただいておることは厚くお礼を申し上げたいと思います。
 恩給局長が答弁をいたしておりますが、総理府といたしましては、目症問題につきましても今後前向きに研究をさしていただきたい、このように考えております。
#94
○堀江正夫君 前向きに長官が言っていただいたんですから、大変ありがとうございました。局長、ひとつそういう長官の意図を十分にくんでやっていただきたい、こう思います。
 これで私は終わります。
#95
○片岡勝治君 まず最初に、最近不快用語を削るということで、当国会におきましても医師法の不快用語をなくした法律案が出されました。地方におきましても行われておりますけれども、なぜ医師法だけで他の法律について検討なされていないのか。恩給法の中にも若干ありますね。やるんだったら全部一斉にやったらどうかと思うんですが、どうして医師法だけやってあとはほっぽらかしておくのか、こういう点は、やっぱり障害者にとっては非常に不快な政府の姿勢だというふうに受け取っていますよ。この点についてまず大臣から。
#96
○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘の不快用語につきましては、一応国際障害者年に当たりまして国内の委員会に当たる特別委員会でいわゆるこの問題の用語の御検討をいただいておりまして、さしあたり、ただいま国会でも御論議をいただいておるような三点の不快用語については早急に処理をする。なお引き続き、いろいろな不快用語がございます。この問題については、どのような言葉をどうするかということは、特別委員会の部会でただいま障害者の代表の方もお入りいただいて御論議をいただいておりまして、その御意見に基づいて政府としては措置をしてまいりたい、このように考えております。
#97
○片岡勝治君 大変取り組みが私は率直に言って遅いと思うのですよね。地方の条例なんか、もうほとんど半数以上、都道府県市町村は不快用語を追放していると思うのですよ。むしろ私は政府の方が先行してこのとおりやったから、地方よ、ついてこいというぐらいのことでなければならぬと思うんですが、まあしかし、いま検討中ということでありますから、ひとつスピードアップして速やかに対処をされたい、このようにこれは要望しておきたいと思います。
 さて、まず私は恩給法の、恩給制度そのものの位置づけという角度で二、三いわば基本的な政府あるいは大臣のお考え方を聞きたいと思うんです。
 御承知のように、いま行革、行革ということで大変騒いでいるわけでありまして、行革を言わざる者は閣僚にあらず、行革を言わざる者は政治家にあらずと言わぬばかりの風潮であります。決してこのことば私は悪いとは思いません。それだけ大きな課題であるということでありますから、大臣も、またわれわれも、この行革について真剣に取り組んでいかなければならぬ、そういう問題意識を私たちは持っているわけであります。しかし、非常に行革に対応する何といいますか、政治姿勢もそうであるし、一体その範囲はどうなっているのか、そういう点では非常に意外と何といいますか、漠然としているというふうに私たちはとるわけなんです。たとえば大臣の発言でも、定年制法案と退職金法案は行革の基本である、これなくして行革はあり得ないと。これは大臣の言葉かどうかわかりませんが、政府・自民党筋は盛んにおっしゃっていますね。そういたしますと、すでに行革は私は始まっている、行革の網をかけて、いま政府はすべて法律案なり予算なり私は出していると思うんですよ、そう言う以上。これはいかがですか、こういう私の認識は。これから重大な質問に入りますからね。
#98
○国務大臣(中山太郎君) 国家、社会の変革に応じて、絶えず行政改革は戦後今日まで続けられてきた。各国会におきまして、政府がその時代に対応するための行政制度の改革案を法律案として国会に御審議をいただいてまいったわけでございますから、私は、行政改革は絶えず行っていくべきものであり、また今後ともそうあらなければならない、このような認識を持っております。
#99
○片岡勝治君 そういたしますと、まあ私もそうだろうと思うんですよ。いま改めて第二臨調だ、やれ行革だといって大騒ぎをしておりますけれども、裏返していけば、これは政府だけの責任ではないと思います。われわれ国会に籍を置く者もその責任の一端はあるわけでありまして、絶えず行財政そのものを見直して、時代に対応していくということでなければならぬ。しかし、そのことに必ずしも機敏に対応してこなかった、まあ言葉は悪いけれども、怠慢であったということも考えられますね。考えられる。ですから、いま大臣の言ったようなことで絶えずやっていかなければならぬ。したがって、退手、定年なくして行革はないというような言葉が出ると思うんですけれども、しかし実際は第二臨調がまだつくられたばかりであり、その推進本部も昨日ですか、発足したばかりである。口ではそうおっしゃっているけれども、実際はまだ発足をしていないときに、そういう段階に政府が退手、定年なくして行革なしと言うようなことについて、私はちょっと不可解なんです。
 それはそれとして、しからばお尋ねいたしますけれども、今度の恩給法の一部改正について、これはあれですか、そういたしますと行革という網を通したわけですね、一応。通ってきたわけですか。そういう考え方に立ってこの改正案をつくり、いま提案をしたということになりますね、大臣のお答えによれば。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#100
○政府委員(小熊鐵雄君) 恩給局としましては、この恩給制度を所管しておる立場でございまして、行政改革というものについて云々するという立場にはないわけでございますが、今度の行政改革というのが社会経済情勢の変化に対応しながら、非常に能率的、適正な、あるいは弾力的な行政、これを実現していくというように理解はしておるわけでございます。
 片や恩給でございますが、恩給の改善というのは、いろいろ議論されておりますように、戦没者であるとかあるいは高齢者であるとか、あるいは社会的に弱い立場にある戦争未亡人であるとか、こういった方々の処遇をいかに改善していくかと。これもまた経済情勢がどんどん変化していくわけでございますので、いろいろ改善を図っていかなきゃならないというような立場で改善を図っておるわけでございます。
 したがいまして、先ほど申し上げたような行政改革という私の理解がそれでいいとすれば、やはり基本的には行政改革と恩給改善というのは別個のものではないのかというように私は考えるわけでございます。しかし、非常に国家財政が厳しいわけでございまして、その中で恩給の改善を図っていかなきゃならない。五十六年度の予算にいたしましても、非常に厳しい原資の中で恩給改善を図っていくと。そのためにはいろんな手法をとっているわけでございますが、そういった非常に厳しい財政の中でやっていくというその手法のとり方、これについては、財政再建に少しでも資するという意味で、あるいはその手法の中に行革的なものがあるのかなというようには感ずるわけでございますが、しかし、基本的には先ほど申し上げましたように、恩給改善というのと行政改革というのとは違うんじゃないかと、このように考えておるわけでございます。
#101
○片岡勝治君 これは総理の発言あるいは行政管理庁長官の発言の中に、行政改革に聖域なしという、そういう言葉もしばしば使われております。私は行政改革の政治姿勢として理解できるわけであります。そういうことからすれば、いまの恩給局長の答弁というのは私はおかしいと思うんです。恩給は特別だからこれは聖域だという論理は私は成り立たぬと思うんですが、それは後でまた質問いたしますけれども。つまり退手――退職手当の問題あるいは定年法がいわば行革の先兵である、それが基本である、そういう政府の姿勢で今回出してきたということであるならば、それは二つの法律だけじゃなくてすべての法律、あるいは予算というものがそういう態度で、行革というスクリーンにかけて国会に出されるべきではないのかということなんですよ。恩給はそういう考えはなかったということならそれでもいいんですよね、先に私は質問を進めたいと思うんです。その点はっきりしていただきたい。
 二つは行革の基本なんだと、ここから出発をするんだという以上、他の法律案はそれじゃどうなるんだと。いや、それは刑だということじゃ、これは政府の行革の政治姿勢として私は理解できないんですよ。恩給もやったと、そういう角度でやった。やった形跡もあるんですよ、さっきも質問があったように、六月実施、八月実施、十二月実施、私は、これは行革だろうと言うんですよ。これは後ほど詳しく質問をいたしますけれども、その点どうも不明確でありますので、再度お答えをいただきたい。
#102
○政府委員(小熊鐵雄君) 行政改革というのをどういう概念でとらえるのか、ちょっと私もよくわからないんですけれども、ただ恩給というのは、いま申し上げましたように、恩給の中であるいは行政改革的なものが仮にあるとすれば、恩給受給の手続等についてあるいは簡素化するとかあるいは迅速化するとか、そういったことばあるいはあるかとも思いますが、恩給の中身そのものについて――もちろんこれは第二臨調ができまして、その中でまたどう位置づけられているのか私もよくわかりませんけれども、恩給そのものが行政改革の中で、行政改革だから公務扶助料は下げてもいいとか、行政改革だから最低保障は下げてもいいという話とはちょっと違うんじゃなかろうかと。ただ、恩給をこれからいろいろ審査し、あるいは恩給権を与えるというような仕事についてもっと簡便ないい方法はないか、もっと迅速に受給者にサービスする方法はないか、こういった面ではいろいろ行政改革のテーマの中に入ってくるのではなかろうかと、私はこのように考えておるわけでございます。
#103
○片岡勝治君 ちょっと質問の趣旨に合ってないお答えなんですがね。いまの答弁、それは政府の見解として私は承っておきたいと思うんですよ。しかし、これは非常に重大なことなんです。恩給の制度そのものは行革の対象でないということになれば、これはこれから出されてくる、審議される公務員共済年金関係、あるいは労災問題、あるいは厚生年金、そうした社会保障制度そのものについてはこれは行革の対象にはなりません。しかしいまおっしゃったように、年金を支給するにはもう少し簡素なやり方がないかとか、もっと受給者の立場に立った能率的な支給の方法はないかとか、手続が簡素化できないかと、そういう点についてはそれはいいと思うのです。制度そのものについては、これはあなたの答弁によれば、それは行革の対象ではない、行革という性格とは違うんだというお答えになるわけですね。あなたそうおっしゃったんだから、私はそういうふうに認識していけば、行革には聖域があるではないか。私は、聖域ということについて一つの見解を持っているのです。あっていい。これからそうした社会保障制度、国民生活を守っていくために政府も努力した、国会でも審議して築き上げたそういう国民の福祉というものについて、これを予算が足らないからといってどんどん削っていくというような行革について私は反対なんですよ。国民合意の上で築き上げたそうした福祉政策については、もっと充実すべきものでしょう。だから、私はあなたの意見に賛成なんです。恩給という制度そのものに行革の網をかけるのは不穏当であると、こういう見解は私は賛成なんですが、しかし、政府のずっとこれまでの方針なり態度なりそういうものを見ると、必ずしもそうでないのですよ。あなたの言うような方針ではなさそうだ。これはどちらが正しいのか、この辺をしっかりしてもらわないとなかなかこれからの審議が進まないと思うのです。
#104
○政府委員(小熊鐵雄君) 行政改革については、私も一番最初に申し上げましたように、私自身これを云々するという立場にございませんし、行政改革を一体どうとらえるのかということを私非常にまだ不明な点がございまして、したがいまして行政改革をどう認識するかと、その認識の場が先生と一緒じゃないとなかなかいかぬと思います。それで、行政改革はどういうものかということについては、私じゃなくて、どなたか政府として答弁できる立場の方に答弁していただければと思うわけでございます。
#105
○片岡勝治君 これは、あなた政府委員ですからね。ちゃんと辞令をもらっているんですから。政府委員でなくてもこのくらいのことは知っているんですよ。つまり非常に財政危機だと、来年度は二兆円足らないと、だからこの財源を生み出すために予算を切るんだと。どこにむだがあるか、そういうところから出発したのが端的に言えば今度の行政改革なんです。増税はしないかわりにどこか減らそう、こういうことで臨調ができ、参与三十九人、専門委員二十一人、調査員六十三人、膨大な行革機構ができた。ですから、もう行革の路線というのはある程度明確なんですね、そう思うんですよ。これは予算を削るということなんです、ずばり言って。これは大臣どうですかね。
#106
○国務大臣(中山太郎君) 大変、行政改革の定義づけということでございますから、先生お尋ねの点につきましては、政府としても慎重な取り組みをしておるわけでございますが、政府といたしまして考えておりますことは、やはりただ単に財政の逼迫がすべて行政改革のいわゆる基本であるという考え方は私はなじまないのではないかという考えを持っているわけです。つまり、われわれの社会というものは、先進工業国の中で急速に進むたとえば高齢化社会、この国会を通じましても高齢化社会への対応というものが一体どうなっておるかというお尋ねが野党各党からもずいぶん衆参両院の予算委員会の審議を通じてございました。高齢化社会に対する政府の政策というものが一貫性を欠いている、こういう御指摘も社会党からもございました。こういうことを政府としてはやはりしっかりと、社会体質の変化に対応するためのわれわれの、国民のいわゆる負担による政府のあり方、あるいは行政機構のあり方というものがいかにあるべきかということについて政府は取り組んでまいらなければならない責任が国民に対してあるんだろう、そういう感覚に立って物事を見ておる、こういうのが私はいまの政府の行政改革というものに対する考え方であるという御理解をいただきたいと思っております。
#107
○片岡勝治君 行革論議につきましては、関連法案もあることでありますので、別の機会に審議することになると思いますが、私もいまの大臣のおっしゃるとおりだろうと思うんですが、ただ一つここで申し上げたいことは、行革、行革ということで、あたかも政策選択までが行革の仕事だというふうにとられる向きもなきにしもあらずですね。私はやっぱり政策選択というのは、政治的に言えば、政府がまず政策決定をしてそれを遂行していくということになると思う。ところが、今日の風潮からすればもう聖域はないんだということでありますから、政策形成、政策決定そのものが行革の重大な一つの路線なんだということは、私は率直に言って間違いだと思うんですよね。
 行革というのはそういうものじゃない。もちろん補助金についていろいろ調べてみた。ある村に補助金が五万円行ったけれども、運動費が十万円かかっていたなんていうことがよく言われる。そういうことについてはおかしいじゃないか、個々の補助金を十分調べてということは、これは必要だろうと思う。その結果、これは都道府県や市町村に一括補助金を、指定補助ということでなくてやったらいいじゃないかというような意見が行革から出るのは私は筋だと思うんですが、どの分野に補助金を出すべきだ、どの分野は補助金を出すべきでないというようなことは、私は政策決定の問題だろうと思う。ところが、今日の行革ではその辺が混同されておる。混同されているがゆえに、いま言ったように行革に聖域なしという言葉の中には、恩給だろうと年金であろうと、社会保障制度であろうと老人の福祉であろうと、切れるものはぶった切るよというような発想が出てくる。私はこれは重大な間違いだということを言いたいわけなんですよ。
 そこで、今度出された改正案につきましてもそういう考えがあったかなかったか、私はどうもあるような気がするんですよね。たとえばさっき追及された実施時期のような問題でもどうもそういう心配が出てくる。したがって、これは行革問題の論議のときに大いに政府の見解も承りたいと思うけれども、少なくとも政策選択という政治的な課題は行革の領域ではない、そういう点を明確にした上でこれからの恩給問題やあるいは年金問題、福祉問題、こういった問題にぜひ入っていただきたい、このことをまず冒頭申し上げておきたいと思うわけであります。
 次に、行管の方に来ていただきましたので、まだ臨調の具体的な内容が出てまいりませんからお答えしにくいと思うわけですけれども、いま私が申し上げましたようなことについて今日時点で行管庁としてはどういうお考えなのか、この点をお伺いしたいと思います。
#108
○説明員(増鳥俊之君) 行政改革とは何かという、非常にある意味では理論的な問題提起というようにお聞きしているわけでございますが、先ほどの大臣の御答弁の中でほぼ御説明としては尽きているのではないかというふうに考えられますが、もう少し事務的な補足をさせていただきますと、先生の御指摘のように、従来の行政改革といいますのは、たとえば総定員法あるいは定員削減計画、あるいは一省庁一局削減あるいは特殊法人の統廃合のように、ある政策が決定され、その政策を前提として、その政策をより能率的に、あるいはより経済的に効果的にする仕組みの改革というもの、それが従来の行政改革としましては主として論議されて、また推進されてきたことであろうというふうに考えております。しかしながら、行政改革のいわば改革作業といいますか、の検討といいますのは、やはりその行政改革の裏にありますそういう実態的な要請というのがあるわけでございます。その実態的な要請は、ただいま大臣から御答弁がありましたようなまさに基本的な財政上の問題、あるいは社会経済情勢の変化というものがあるわけでございます。
 この第二臨調の検討課題、これは第二臨調でございますので、これからのいろいろ検討されることでございますが、第二臨調の中で行政の責任領域の見直しという項目が入っているわけでございます。この行政の責任領域の見直しといいますのは、やはり従来のその一定の政策というものが前提とされて、それをより経済的に、効率的に、能率的にする仕組みの改革とは少し趣の違ったものが入っている、そのことがむしろその第二臨調のいわば課題として掲げられているということでございます。この点につきましては、これを別の角度から見ればやはり政策領域のものについても検討の対象になるという考え方であるというふうに私どもは理解しております。
#109
○片岡勝治君 わかりました。しかし、大変重大な問題を含んでおるいまのお答えだろうと思いますが、しかしこれは臨調が発足してまだその作業も進んでおりません。具体的にどういうものが出てくるか明確ではございませんが、そのときにこの問題については十分論議をしていきたいと思うわけであります。
 たまたま、行管庁はこの程度のことで結構だと思うんですが、ちょっと先に進んで、行管に関係があることを一つお伺いしたいんですが、恩給関係には都道府県あるいは市町村に対する機関委任事務あるいは団体委任事務というんですか、そういうものは若干ありますね。
#110
○政府委員(小熊鐵雄君) ございません。
#111
○片岡勝治君 全然ありませんか。それでは行管の方、結構です。
 それでは次に恩給、これもいままで具体的にいろいろここで質疑、論議をされた問題でありますけれども、年金制度あるいは社会保障制度の中における恩給の位置づけ、抽象的に申し上げますとそういう課題について二、三お伺いをしてみたいと思うわけでありますが、ずばり言ってこれはどういうふうに認識をされておりますか。他の同じような制度、公務員共済あるいは一般労働者の厚生年金等の社会保障制度、あるいはその他の福祉関係の制度の中における恩給の位置づけ。
#112
○政府委員(小熊鐵雄君) 恩給というのは、これもたびたび申し上げておるわけですが、非常に厳しい制約の中で長年公務員として公務に従事した方々、この方々がおやめになったとき、あるいは亡くなられたとき、あるいは傷を負われたとき、そういったとき国の補償として差し上げる、それも法律に基づいて差し上げる年金であると、このように理解しておるわけでございます。他方、いま先生のおっしゃったようないわゆる公的年金というのは、一定の掛金のもとで保険数理に基づいて、まあある意味では相互扶助的な意味も含めながら社会保障的な処置をしていくという制度であるかと思います。
 いま申し上げましたように、恩給は非常に国家補償的な意味合いが強いわけでございますが、ただ、やはりそういった長年御苦労された方々に対する生活の支えとしての意味を持っておるわけでございますから、ある意味では社会保障的な手法も取り入れながら、他の年金制度等も横ににらみながらいろんな改善を図っていくと、こういうような考え方、これが恩給の考え方であるというふうに申し上げたいと思います。
#113
○片岡勝治君 これまでもずいぶんこの問題について質問もされ、関係当局からも答弁がなされているわけでありますけれども、一つには、いまお話のありましたとおり、一つの国家補償的な性格ということでございますね。これは特に軍人の場合にそういう性格が非常に強いと思うわけでありますが、もう一つは一般公務員、かつての共済以前の公務員に対する一つの保障、こういうことがあるわけでありますけれども、いわゆる国家補償ということといまの共済年金のいわゆる給付というものとの性格は、ずばり言ってどういうふうに性格が違うのか、その認識についてお伺いをしたいと思います。
#114
○政府委員(小熊鐵雄君) これは法律でも、国が国庫をもってこれは支給するんだということを明確に述べておりますし、それから、もちろん戦前において文官等については、いまの掛金に見合うような国庫納金というのはあったわけでございますが、これもきわめてわずかで、しかもいまの年金制度のようにそれを基金として、そこからいろんな給付を生んでいくという形ではなくて、これは国庫納金として完全に入りまして、給付については全部国庫がこれを負担すると、こういうたてまえで運営されておるわけでございます。
#115
○片岡勝治君 つまり、大きな制度上の差としては掛金の有無、もちろん旧公務員の恩給適用者については若干の納付金という制度があったわけでありますけれども、掛金ということがなかったということが基本的な差であるわけであります。
 そこで、戦争という異常な事態、その犠牲者に対する国家補償ということであります。しかし、掛金がなかったということによって、一般公務員の災害補償、一般労働者の災害補償等に比べて悪い、水準が低い点があるところが多々あるわけでありますが、つまり掛金がなかったからこの程度でやむを得ないじゃないかというような考えがもしあるとすれば、これまた大変重要な問題なんですけれども、多少遠慮がちだというような意識が働いて他の横並びの制度の給付と若干違うということがあるんじゃないですか、率直に言って、遠慮がちなところが。そういうことはないんですか、全然。
#116
○政府委員(小熊鐵雄君) 先ほども申し上げましたように、これは国家補償という精神ではありますけれども、やはり公務員をやめられた方、あるいはその遺族の方、こういった方々の生活の支えという意味では、先ほど申し上げましたように社会保障的な意味合いを多分に取り入れておるわけでございますし、また、そういう意味での最低保障といったようなものについては、これはほかの公的年金との横並びを絶えずにらみながらやっておるわけでございます。まあ、これは予算の立て方といいますか、先ほど申し上げましたように、ほかの公的年金ではいわゆる拠出金、掛金、これを中心に置いていろんな制度を考えておられる、片や恩給におきましては全額国庫ということで考えておる、そういった意味での違いといいますか、あるいは予算の枠の制約といったようなことはあるいはあるかもしれませんが、考え方自体は、いま申し上げましたように、これは掛金をやってないから遠慮するんだとか、若干遠慮すると、そういった気持ちはございません。
#117
○片岡勝治君 そういうことでありますれば、社会保障制度の一環として私は明確に位置づけたらいいと思うんですよ。しかし実際にはそうじゃないですよね。つまり国家補償、全額国庫負担だと、また、いまは財政危機なんだというようなことが連動して考えられますから、いま言ったような他の制度との格差が生まれてくると思うんです。むしろ、ですから私は、これもこれまでここでずいぶん意見が出されました、恩給というような名前それ自体を変えたらいいじゃないかと。やっぱり恩給というところの印象からいま申し上げましたような多少遠慮があるんじゃないか。恩給受給者は納付金をいままで一銭も納めてないじゃないかと、あるいは戦争という異常な事態で、戦争に行った人ばかりじゃない、内地にいたって多くの人が殺されたじゃないか、そういうようなことがあるものですから、まあ多少謙虚な気持ちで受給者がいるということ、あるいは恩給を支給する側の政府あるいは担当の局で謙虚な態度にいるということは、私はこれは麗しい姿だと思うんですが、そういう非常にあいまいとした性格が、恩給制度そのものを非常に他の制度と違って格差をつけている基本的な、根本的などうも要因のような気がしてならないと思うわけです。
 どうしてこういうことを申し上げますかというと、あなた方はそういう、恩給というのは他の制度と基本的に違うんだというような立場で、いろいろ一生懸命努力をされている点は十分私も理解するんですよ。ところが、これからこの委員会で審議される国家公務員の共済年金の改正案等、あるいはこれはすでに通過した法律案でありますけれども戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、これについて園田国務大臣はどういう提案説明をしているかというと、いろいろ前文がこうありまして、「第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。改正の第一点は、障害年金、遺族年金等の額を恩給法の改正に準じて引き上げるものであります。」、これは同じような性格の対象ですからわかるんですよ。その中でも、障害年金の額は恩給法に準じて、第一項症というんですか、の場合現行三百四十七万云々をいついつから幾らにすると、また遺族年金及び遺族給与金は先順位者の額を恩給法に準じて引き上げ云々、こういうふうにすべて恩給法が準拠されているわけですよね。まだこれは同じ性格ですから、戦傷病者戦没者遺族等援護法ですから性格はほとんど同じであると言っていいでしょう。
 ところが、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案提案理由書、これを見ますと、こういうふうに書いてある。これはまだこちらの方には参っておりませんけれども、大臣の趣旨説明はこういう言葉です。「ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。この法律案は、国家公務員共済組合法等の規定により支給されている年金につきまして、別途、本国会で御審議いただいております恩給法等の一部を改正する法律案による改善措置にならい所要の措置を講ずるとともに、」云々と、こういうことですね。つまり共済組合で今度改正する年金等の内容は、恩給法が変わったから、恩給法の基準がこうだから変わりますよ。こういう提案なんです。あるいはまたその中で、つまり年金の額ですね、「本年四月分以後、年金額を引き上げることといたしております。なお、引き上げにつきましては、恩給における措置にならい、昭和五十五年度の国家公務員の給与の改善内容に準じ、」云々ということ。つまり、これも恩給がこうなったから公務員の共済組合の年金というものはこういうふうになりますよと。次に第三番目もこうですね、「公務関係年金及び長期在職者の受ける退職年金等の最低保障額を、恩給における措置にならい改善することといたしております。第三に、国家公務員共済組合法に基づく遺族年金に加算される寡婦加算の額を、厚生年金及び恩給等における寡婦加算の額との均衡を勘案して引き上げることといたしております。」、これが国家公務員共済組合の改正の法律案提案説明、政府の方針と。
 つまり、明らかに恩給が基準になっている。恩給がこうなったからこういうふうにしますよということであります。さらに公企体の共済組合法の改正の提案説明も全く同じですね、いまと。すべて恩給がこうなったからこれはこうしますよ、次にこういう問題は恩給がこうなったからこうしますよということでありますから、あなたのいままで私の質問あるいはその他の方の質問に対するいろいろ答弁を聞いておりますと全く逆なんですよ、これは。全く逆。つまり、いまや恩給というものは公務員のみならず、厚生年金からすべての年金福祉、そういうものの基準になっているということですよ、実際これを見ると。もしこれが間違いなら訂正してもらわなくちゃ困るんですよ、大臣の提案説明書ですからね。しかし、あなたのお答えを聞いてみるとそうではない。他の公務員の給与あるいは年金、そういうものに見合ってだんだん社会保障的なものを取り入れていきたい、あるいは取り入れてきたと、こういうことになっていますね。発想がまさに逆なんですが、これはいずれが正しいでしょうか。
#118
○政府委員(小熊鐵雄君) 共済年金法につきましてはまたしかるべき担当の方に御説明いただけるかと思いますが、いま先生お読みになったところをお聞きいたしておりまして、ほかの共済年金制度が恩給にならってと申しておられるのは、先生御承知のように共済制度というのは恩給制度をそのまま引き継いできたわけでございます。国家公務員については、昭和三十四年に恩給公務員をそのままずっと引き継いだわけでございます。また公企体については三十一年、あるいは地方公務員については三十七年に恩給の制度を引き継いでおるわけでございます。したがいまして、既裁定の方、要するに恩給部分も持ち共済部分も持っておるという方がたくさんおられるわけでございます。いまのところ、恐らくほとんどの方がそういう方じゃないかと思います。したがいまして、その恩給、まあ既得権といいますか、こういったものをそのまま受け継いでいくという面も多分にあるんではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、なお詳しいことは大蔵省その他からお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、私はそのように考えておるわけでございます。
#119
○片岡勝治君 いや、私は恩給の性格なり基本的な考え方をあなたに聞いた上でいまの質問をしたわけなんでありまして、大蔵省の関係の方にも来ていただいておりますので、いま私が読み上げたのは恩給局の提案説明じゃなくて大蔵省なりその他の部局の提案説明でありますから、そちらからひとつお答えをいただきたいと思います。
#120
○政府委員(小熊鐵雄君) ちょっといまのお答えに補足したいと思います。
 先生先ほどおっしゃいました、恩給が社会保障的な手法を取り入れてきておるという点でございますが、これは、従来恩給としてはそういう手法のなかった、たとえば最低保障制度、こういったものがほかの公的年金でできますと、やはり恩給としても多分に生活の支えと――何遍も申し上げますが、生活の支え的な意味からそういった社会保障的な手法も取り入れていかざるを得ないというようなことで、私、他の公的年金との横並びとかあるいは他の公的年金を考えながらと申し上げたのは、そういった手法についてでございます。
#121
○説明員(野尻栄典君) 現在の共済年金の性格についてちょっと御説明申し上げますが、昭和三十四年に恩給等の旧制度を引き継ぎまして現在の共済年金に至っているわけでございます。
 現在の共済年金の主たる性格というのは、やはり社会保障制度としての公的年金という性格が中心に据え置かれているというふうにわれわれは考えております。ただ、それだけかと申しますと、この共済年金の一番の根拠法は国家公務員法でございまして、国家公務員法に、忠実に勤務した職員に対しては年金を支給しなければならないと、その年金を支給するための法律は別途定めるというような規定が根拠になっておりますように、公務員制度の一環という位置づけも同時にされているというふうに理解しております。さらにまた、先ほど恩給局長の方から御説明ございましたように、恩給制度を引き継いでいるという沿革から申しまして、また現在の年金受給者の全部が過去の恩給制度を持った年金受給者であるということからも、経過的にはその期間の中の一部に恩給期間を含んでいるという意味において恩給的性格もその部分についてはある。こういった複雑な仕組みに、仕組みといいますか性格が与えられているというふうに考えているわけでございます。
 そこで、先ほど衆議院での提案理由説明のお話がございましたけれども、先ほど恩給局長が御説明したとおりでございまして、私どもが抱えている年金受給者のほとんど全部が過去に恩給期間を持っている方々でございます。したがって、その恩給期間を持っている方々のその恩給期間の処遇の仕方は恩給に準じて行うというのがやはり筋道というふうに考えておりますので、今回御提案申し上げている法律案の改正内容は、五点ございますうち、そのうちの二つの点が恩給における措置にならった改正点、あとは厚生年金等とのバランスの問題、その他あとの二つは共済年金独自の改正点、こういうかっこうで御提案申し上げているわけでございます。したがいまして、最初の二点の部分については、確かにお読み上げいただきましたとおり、「恩給における措置にならい」という文言で御提案申し上げているとおりでございます。
#122
○片岡勝治君 そういうことであれば、恩給と他の共済組合の関係が大きく格差があるという理屈は出てこないんじゃないですか。恩給部分を含む現在の共済組合の給付というもの、給付を受ける部分の中に恩給の要素を持っている、それは私も認めます。しかし、大部分という数はどうですかね。もうすでに戦後生まれの人が相当出てきておりますからね、しかも新しく分離をしたというのはその後ですから。むしろ大部分は恩給とは無縁な人たちだというふうに言えるんじゃないんですか。それは率は別にして、あなたのような理屈でいけば共済組合と恩給とのそこに格差があろうはずがないじゃないですか、そうすると。つまり、共済年金というものの中に恩給の要素を持っている人がいるんだから、どうしても恩給に並ぶということになれば、こっちをこっちがそのとおり実行するということであれば格差が出るはずがないじゃないですか。
#123
○説明員(野尻栄典君) 現在の年金受給者のうちの退職年金でございますけれども、この全受給者のうちの約六割が――約六割というのは一人一人の期間のうちの六割とお考えいただければいいんですが、たとえば一人一人が三十年の勤続年数があるとすれば、そのうちの六割部分が恩給期間ということにまだなっております。いま発生している年金者というのは、現在やめても昭和三十四年から現在までまだ二十二年しかたっていないわけでございますから、いまやめる人でもさらに十年近い、十年以上の恩給期間を持っている人がいままだ現に在職しているわけでございます。したがって、いま退職して年金受給者になっているという方は全部恩給期間を持っているというふうに考えてよろしいかと思います。そこで、したがって、つい最近やめた人の恩給期間というのは十年くらい、昭和三十年代にやめた人はもう二十年近い恩給期間を持っていると。これの全体平均で六割がまだ恩給期間だというふうに申し上げているわけでございますが、今後どんどん恩給期間の方が短くなって共済期間の方が長くなってくるというのは当然でございます。
 したがいまして、まだ十年近く先までは恩給期間を持っている人が退職していくというふうに考えておりますけれども、やめた年次によって恩給期間の持ち方、その長さがそれぞれに違っていることは確かでございます。したがって、今後恩給期間がどんどん短くなってくるに従って、その短い部分についてだけ恩給にならうと。長い方の共済期間はどうするかという問題はまた別途出てまいります。これにつきましては、現在まだその期礎俸給のとり方等につきましては恩給と似たような基礎俸給のとり方を現在の共済年金もしておるものですから、そこのところは恩給のベース改定の仕方というものをならっているというのが事実でございますが、今後の問題としては、そこをどうするかというのは共済年金自体の大きな問題になってくるであろうというふうに考えております。
#124
○片岡勝治君 つまり、公務員で恩給部分を持っている者が相当数いるということは確かに現実でありますが、しかし、そういうものを持ってない人と持っている人と差別はないんでしょう、共済組合法という一本の法律の中に、これあるんですか。
#125
○説明員(野尻栄典君) これは差別と申しますか、共済年金に切りかえる際の約束事でございますけれども、恩給期間については恩給法の年金額の算定の仕方ですべて計算する、したがって基礎俸給のとり方も恩給だと最終俸給をとります。ところが共済年金に移った後はその平均俸給をとります。そういうふうに算定の基礎俸給のとり方も違います。それからその俸給に掛ける支給率、このとり方も、恩給期間については恩給の支給率をとる、共済に移った後は共済の支給率をとる、そしてお互いに計算したものを合算したのをいま経過的な共済年金と称しているわけでございます。したがいまして中身も違っております。
#126
○片岡勝治君 ですから、だんだんつまり共済一本の人が現実にふえてきているわけですから、当然その辺の調整は物理的にやらざるを得なくなるわけでしょう、これは。だんだんふえていきますからね。ですから、そういう点では恩給と共済との、私は高い方はいいと思うんですよ。しかしいろいろ細かく見れば恩給が非常に不利になっている。あるいは逆に恩給よりも共済が不利になっている点があるいはあるかもしれませんけれども、それはそれとして、だんだん接近をしていくということであれば、当然そういうものに、給付の内容につきましても当然これは整合性といいますか、近づけていかなければならぬと思うわけであります。
 それよりも何よりも、つまり恩給法適用者が亡くなられた、あるいは共済組合適用者が亡くなられた、そこに大きな支給の差があるということについては、原則的にはそういうことがあってはならないだろうというふうに私は考えるわけであります。ですから、そういう点では公務員の給与が人事院、いわば第三者機関でつくった、もちろんいろいろ問題がないとは申し上げませんし、あると思いますけれども、一応第三者機関がつくった、人事院でつくったこの給与体系、それに基づいて一つの社会保障制度、公的な社会保障制度としての共済組合の各種の給付があるわけでありますから、恩給が少なくともそれに到達してない部分についてはそれに合わすべきではないかと、そういうことをまず考えてやっていかなければならぬけれども、いま言ったように、逆に恩給の基準に公務員が合わされていく。
 いまいろいろ御説明がありましたけれども、しからばお尋ねいたしますが、実施時期について八月とか六月とか十二月、各種によって違いますね。ベースアップにつきましては、つまり仮定俸給につきましては四月からこれは四・二ですか、もちろん多少幅を持たせてやっておりますが、これは四月実施、公務員ベースアップそのとおりでありますけれども、公務扶助料は八月、傷病恩給は八月、それから傷病者遺族特別年金は、八月から増加非公死扶助料の最低保障額の引き上げ等を勘案して引き上げるほか、さらに同年十二月からこれら遺族の置かれている事情を考慮して特別の増額を行う。これはそうすると、傷病者遺族特別年金というのは八月と十二月に分けてやるわけですね。それから普通恩給は六月、それから扶養加給は四月、特別加給は六月、長期在職旧軍人、これは十月。よくもこう細分化して引き上げの時期、給与改善の時期をこんなにばらばらにしなきゃならぬのか、こういうところは行政改革でちゃんと統一してもらいたいと思うんですが、それは別な話でありますが、そうするとこういうこともあれですか、いまのあなたのおっしゃる論理に合うわけですか。こういう差をつけて、四月、六月、八月、十月、十二月、こういうふうに引き上げをしなきゃならぬ。こういうこともつまり恩給部分を含んでいるから、こっちの方に適用しなきゃならぬという理屈になるんですかね、これは。そこのところをよく教えていただきたい。
#127
○説明員(野尻栄典君) 共済年金に移りました後の、つまり昭和三十四年以降につきましては、退職年金というこれのベースアップを除いたものは余り恩給にならっていないのです。ここでなぜならっているのがあるかというと、昭和三十四年以前に恩給制度と旧共済制度が並列していた時代がありまして、旧共済制度時代にやめていた方々、現業の雇用人というふうにお考えいただければいいと思いますが、そういう方々の年金を現在まだ共済組合が支払っているわけでございます。そういう方々の年金は恩給と全くバランスを合わせた処理の仕方が妥当というふうに考えられますので、その方々を主たる対象者とした最低保障額の引き上げ等についてはすべて恩給の措置にならわせていただいているということでございまして、三十四年以後に新しい共済制度に移った後の方々についての取り扱いについては、ごく一部を除いては、そういうものの該当がないということになっております。
#128
○片岡勝治君 しかし、まずその前に、なぜこういうふうにばらばらに、これは恩給そのものの課題でありますが、その点からそれを先に聞かなければならなかったわけでありますが、なぜこうばらばらにしなきゃならんのですか。これはやっぱりさっき申し上げました行革路線に多少沿ったわけですか、経費節減ということで。
#129
○政府委員(小熊鐵雄君) 昭和五十六年の改善におきまして、各恩給の改善をいま先生御指摘のようなばらばらの実施時期をとっておるわけでございます。一番早いのがいま御指摘の四月にベースアップ、これは恩給全般についてのベースアップ、要するに公務員のベースアップにならいまして給与改善を図る、これが四月でございます。それから六月と申しますのは普通恩給の最低保障、これにつきまして、まず四月のベースアップはもちろん行うわけでございます。その後特段の最低保障の改善、これを六月に実施するということになっておるわけでございます。それから八月でございますが、これは公務扶助料とか傷病恩給とか、さらに特段の改善を図るというものにつきまして、やはり四月にベースアップをいたしまして、それからその後の特段の改善について八月に実施する、こういったようなぐあいになっておるわけでございます。
 先生御指摘のように、確かにこれを一本化するというのは事務能率といいますか、こういった面からも非常に望ましいわけでございますし、また一般の受給者からもそういった要望はたくさん出ておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、非常に厳しいシーリングの中でいかに内容をきめ細かく濃くしていくか、こういう点になりますと、たとえば公務扶助料を一カ月繰り上げることによって五十億円の金がかかる。その場合、一カ月繰り上げた方がいいのか、中身を充実さして来年度からは全額差し上げるという方がいいのか、これはいろいろ受給者の御意見も聞いたり、また部内でいろいろ検討した結果、そういったいま先生御指摘のような実施時期がばらばらになると、こういうような結果に相なっておるわけでございます。
 これは行政改革に沿ったかどうかということになりますと、確かに財政の非常に厳しい枠の中で恩給改善をいかに行っていくかということで、財政的ないろいろな窮乏をどうやっていくかということに対する一翼を担っておるのではなかろうかとは思いますけれども、その趣旨といいますか、考え方はいま申し上げたようなことでございます。
#130
○片岡勝治君 この実施時期がそれぞれの給付要素によって全くばらばらで、これがすべて八月に一斉に統一するならまだわかるんですけれども、何でこんなに四、六、八、十、十二月ですか、かくも細かく分けたなということにむしろ私は感心するんですが、この作業だけでも大変だと思うんですよ。これはまた全部給付を出すんでしょう。二百何十万。全員かどうかはわかりませんけれども、最初からもうやっちゃうんですか、それは。――まあそれはいいでしょう。事務的なことも多少大変だろうということなんです。
 そこで、もとに戻ってさらにお伺いいたしたいんですが、たとえば給付時期を共済組合の方で統一した場合に、恩給の方がそれにならうということは別に支障ないわけでしょう。
#131
○政府委員(小熊鐵雄君) いま申し上げましたような、たとえば普通恩給の最低保障、これは大体共済年金その他の公的年金にならっておるわけでございまして、したがいまして実施時期等も六月というような一緒の実施時期になっておるわけでございます。ただ、公務扶助料の特段のかさ上げとか、あるいは傷病恩給のかさ上げとか、こういったものにつきましては恩給独自の手法でやっておるものでございますので、いま申し上げたような財政との絡みといいますか、シーリングとの絡みでそういったばらばらの月が出てきた、こういうことでございます。
#132
○片岡勝治君 いや、私の聞いているのは、つまり大蔵省の方の公務員共済の場合に、恩給法にならって云々ということの実施時期については共済組合独自でやったっていいわけでしょう、これは。まあ、共済組合でやれば恩給がならうと思うけれどもね。
#133
○説明員(野尻栄典君) 先ほども申し上げましたように、主として恩給時代に退職された公務員の方とのバランスで、その当時、雇用人で退職された方々の旧共済年金をどういうふうに扱うか、こういう観点から最低保障額等を引き上げるわけでございますから、文官としてやめられた方々とのバランスを考える以上、その引き上げの実施時期等についてもやはり合わせていく方が妥当であろう、こういうふうに考えております。
#134
○片岡勝治君 しからばお伺いいたしましょう。この公務扶助料、今度改善をいたしましたね。これは山崎委員の質問にもありましたけれども、この額は一般職に逆に適用すると何等級何号の人になりますか、この給与は。
#135
○政府委員(小熊鐵雄君) いまのはちょっと、何等級何号というのは、公務扶助料の月額十万三千円、これが現在の現職の公務員の何等何号という意味でございましょうか。
#136
○片岡勝治君 現職の公務員が公務で亡くなった場合に月額十万円の、あれは何というのか、遺族年金ですか、公務……ちょっと名前は……。
#137
○政府委員(小熊鐵雄君) 共済は遺族年金でございます。
#138
○片岡勝治君 遺族年金。この対応をした場合に、つまり現職の公務興は何等級何号の人が不幸公務のために亡くなられた、その年金が十万円だと。この何等何号俸。
#139
○政府委員(小熊鐵雄君) 公務死亡の場合の、現職公務員の場合ですが、これは災害補償法とそれから共済組合法、両方かぶりまして、両方から年金が出るようになっておるわけでございます。それで、何等級何号というお答えは非常に計算が複雑といいますか、いろんな場合ございますので、なかなか何等級何号ということでお答えするのは非常にむずかしいと思うんですが、仮にいまの金額がどの程度になるんだという御質問であれば、いまちょっと一つ例、ここにございますので申し上げますと、高校を卒業して仮に自衛官になって一年程度、一等陸士といいますか、そういった方が公務死したと。しかも、その方の親、父とか母に年金が出る、こういう場合を一つ想定しますと、災害補償法の遺族年金では、これが普通公務であれば五十五万三千六百円、特別公務であれば八十三万三百円。それから、共済の方の遺族年金が四十九万二千円。両方合わせまして、普通公務であれば百四万五千六百円、それから特別公務であれば百三十二万二千三百円。ですから、その大体十万、月額十万三千円と申しますのは、百二十三万六千円ですか、になりますから、大体その辺の、まあ真ん中ぐらいのところかという感じでございます。
#140
○片岡勝治君 これ、自衛隊でいけば、いわば最下級と言っては失礼でありますけれども、最も低い層と同額ですね、最低保障が、恩給の公務扶助の今度引き上げしても。だから、いままでの答弁からすると、こういうふうに具体的な数字を出せば大きな差があるわけですよ。だから、本当に恩給部分を含んでいるものはどうしても共済として準拠しなきゃいけないんだと。またその逆もあると思うんですけれども。そうであるならば、いかにも公務扶助というのはひどいじゃないか。これを公務員の給与体系に直せば、恐らくあれでしょう、八等級ぐらいじゃないですか、これは。高卒一年――高卒というのはいまないのかもしれませんけれども、最下等の八等級程度の人が不幸にして亡くなられた場合の年金というのが月十万円ということになるわけでしょう。
#141
○説明員(野尻栄典君) 十万三千円を現在の俸給表だけで見てみますと、確かに八等級の十号俸ぐらいになります。高卒で入ってきた初級職の初任給は八等級の三号ですから、入省後六、七年たっているくらいの本俸と見合っていると、こんなような感じだと思います。ただ、現在の共済年金で、公務死によって支払われる年金額は退職年金と同率というのが原則でございます。つまり退職年金は二十年勤めて本俸の四割を出すというのが退職年金ですね。したがって、それと同率ということにしますと、この十万三千円を四割で割り戻したのがその人の本俸ということにならないといけないわけでございます。それで割り戻すと二十五万八千円くらいになります。二十五万八千円くらいの本俸の人が公務で亡くなると、その四割が遺族年金として支払われる。その二十五万八千円ぐらいの階級の俸給をもらう人たちのグレードを申しますと、三等級の十号か、四等級の十四ないし十五号といった、わりあいに中堅以上の方々の退職年金と同額のものを遺族年金として、最低保障として保障していると。わりあい高い水準であると私どもは考えております。
#142
○片岡勝治君 この最低保障額について、恩給適用者と公務員、それから一般公務員でない労働者の労働災害の年金、それからまあたくさんのものがありますけれども、非常に大きな差があるわけですね。
 一つ特徴的な問題を例に出して申し上げたいと思うんですが、警察官の職務に協力して不幸命を落とした方に対して年金が支給される制度ができておるわけでありますけれども、たとえばついせんだって、お年寄りが川に落ちておぼれかかっているのを通りがかりの人が救い出した。しかし、自分は力尽きて亡くなったという大変不幸な問題があったわけでありますが、こういう方に対して年金が支給されるわけでありますが、これはどういう計算によって支給されるのか、警察庁の方。
#143
○説明員(小池康雄君) 警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律による遺族給付年金の計算方法についてお尋ねだと思いますが、これは年金の算定基礎となる給付基礎額というのがございます。給付基礎額に一定の支給率を乗じて計算するわけでございますが、この給付基礎額というのは最低額と最高額が決められておりまして、最高額というのは、これは事柄の性格上警察官がそこにおれば当然警察官が行ったであろうことをかわりにやっていただいたというようなことでございますので、最低額といたしまして警察官の俸給、国の俸給表で言いますと公安職俸給表(一)の七等級十六号俸、これが巡査の中位号俸でございます。それから最高額といたしましては、警視の階級にある者の俸給、同じく公安職俸給表(一)の特三等級の十号俸、これは警視の中位号俸でございます。この間に現実にその災害を受けられた方の所得というものがあれば、現実のその額を給付基礎額にいたしますが、全く収入のない方でもただいま申し上げました最低額、それから非常に高い収入の方は最高額で抑えられる。そういう給付基礎額という、これは日額でございまして、公務災害補償の平均給与額に相当するものでございますが、これを基礎にいたしまして、先ほど申し上げました支給率というのは、この制度というのは国家公務員災害補償法の規定を参酌して定めることになっておりますので、全く同じ支給率を使いまして計算すると、こういうふうになっておるわけでございます。
#144
○片岡勝治君 現時点のその日額。
#145
○説明員(小池康雄君) 現在の給付基礎額の最低額は五千四百円でございます。それから最高額は九千三百円ということになっております。
#146
○片岡勝治君 ついでに――ついでと言っては大変失礼ですけれども、これはどのくらいの人数になっていますか。人数はおわかりですか。これはちょっと質問要旨にお渡ししてなかったんですが、ここ数年間の状況をお知らせいただきたい。
#147
○説明員(小池康雄君) 年間その対象になります数というのは、年によって若干ばらつきがございますが、五十五年中について申し上げますと、死亡した方が九名、傷病の方が三十一名でございます。
 なお、現在遺族給付年金を受けておられる方は八十四名でございます。
#148
○片岡勝治君 この制度を見ましても日額五千四百円、まあいわば最低保障の額ですね、どんなに高給者であっても最高は九千三百円で抑えられる、こういう一つの給付額になっているわけでありまして、これとても私は、非常に給与が低い、あるいは若い人が命を失ったという場合には、しかも人を助けて自分が死んだという場合でありますから、大変お気の毒な者に対する一つの補償でありますけれども、これもいま数字が出ましたように、ずいぶん大きな格差があるわけでありまして、公務員の公務災害と比べてずいぶん率が悪い、こういうことになっているわけであります。もちろんこうしたこの恩給、年金、民間の年金あらゆる制度それぞれ発足をした歴史的な経過、今日までのいろんな経緯がありますから、なかなか統一的な、あるいはこの水準を近づけるということは非常にむずかしい作業だと思うんですが、しかし同じ、非常に近い公務員共済と恩給にいたしましてもいろんな点でこの法案の審議の過程の中でも格差がある、差があるということの意見が出されておるわけであります。あるいはまた、公務員と局間企業の各種の年金あるいは労働災害等につきましても、率直に言って官民格差があるではないかということが厳しく追及されているわけであります。
 こういった問題については、これまでも努力されているということは私は率直に認めるわけでありますけれども、もっと積極的にひとつこの改善、解消のために努力をしていただきたい。特に官民格差などということはこれはあってはならぬ問題でありますから、この点は十分ひとつ、これは恩総局とか、あるいは大蔵省の共済関係だけじゃなくて、もっと上の段階で処理すべき課題かもしれませんが、この点についてはひとつ重大な課題としてぜひ御努力をしていただきたい、こういうふうに感ずるわけであります。この点にひとつ大臣の方から所見をお伺いをいたしたいと思います。
#149
○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘の宮比格差の点につきましては、政府といたしましても今後十分に検討してまいりたいと考えております。
#150
○片岡勝治君 警察庁の方もう結構です。それから大蔵省も結構です。どうもありがとうございました。
 次に、今度の恩給改定のいわば基本ともなるべき部分については、公務員の体系に準じて四・二%ですか、平均四・二%の改定を行いましたが、一律ではなくて若干の差をつけましたね。通し号俸七十号以下四・二プラス五千三百円、七十一号俸から七十六が十八万八千四百円、七十七号俸以上マイナス二・二%プラス二十九万五千六百円ですか、これを四十八年以降、四十八年から五十年までは一律だったわけですね。五十年以降こういう制度をとってきたその理由は、御説明がありましたとおり、公務員の給与改定は下から上まで見ていると必ずしも一律ではない、分析をいたしますとその傾向は若干差があるということでこういうふうにしたということです。大変合理的な改善であり、私も大いに賛成をするわけでありますが、だとすれば、昭和五十年以前は一律でやってきたために上の方がだんだんよくなって下の方がそのわりによくならない、こういう傾向があったから今日のような調整指標というものをつくってやってきたと思うんですが、昭和五十年から今日まで、つまり五十年以前の一律方式でやってきたために格差が出たと、だから今日の方式をとったわけでありますから、その格差是正の要素というものは五十年以降何らかの形で是正されたのかどうか、そういうことはとられなかったのかどうか、ちょっと背の話で申しわけないんですがね。
#151
○政府委員(小熊鐵雄君) 従来一定率でやってきたわけですが、これはこれなりの意味があったんだろうと思いますが、ただその後、やはり合理的な考え方から言えば、公務員の改善の率だけではなくて傾向も移していく方法はないものかといろいろ研究した結果、回帰分析方式というのを考え出しまして、これを五十一年から適用したわけでございます。格差自体は、戦前はべらぼうな十何倍という格差があったわけです、一番上と一番下では。それが現在では六倍程度になっておりますのでだんだん縮んできておると、特に途中で仮定俸給の格づけを上の方は一号俸ならば下は三号俸といったような是正もやってきておりましたので、格差はどんどん縮まっておるわけでございます。ただ、五十年に何かやったかということでございますと、五十年はいま申し上げたように一律の改善率を用いただけでございます。
#152
○片岡勝治君 そうすると、四十八年から五十年まで一律方式でやっていった、そのための出たであろう格差是正ということは、特に五十年以降の給与改定といいますか、年額恩給を増額するためのベース改定では考慮されていないというふうに理解していいわけですね。これは四十八年、四十九年、五十年三カ年で、もしこれは資料があったらば教えてもらいたいんですが、なければいいです、一体どれくらい格差があったのか、これは計算したことないですか。
#153
○政府委員(小熊鐵雄君) 計算したことございませんので、ちょっとわかりかねます。
#154
○片岡勝治君 これは一律にやったために格差が出ているから今度はこういう方式に改めたというなら、どのくらいの格差が出たのか、その是正はこうだという、それが非常に大した額でなければいいんですけれども、ここにこう書いてあるものですから、その格差はいつか是正されたのかなということをちょっと気がついてお尋ねしたんです。
#155
○政府委員(小熊鐵雄君) 大した格差ではなかったと考えていただいて結構かと思います。
#156
○片岡勝治君 木田ですか。まあいいでしょう。その後別の角度で是正されている点、私も認めるんですよ。
 それから、人事院の方に米ていただいて大変――さっき公務災害のことでちょっとお伺いをしたかったのでありますけれども、その前に、公務災害だけどうして人事院に置くのかなということを不思議に思ったんですが、これはあなたに質問していいのかどうかわからぬですけれども、人事院はもっと別の第三者機関としてあるべき存在であるのに、私はどうして公務災害の仕事は人事院が担当しているのかなというちょっと疑問があったので、これをまずお答えいただきたい。
#157
○政府委員(金井八郎君) 私がお答えするのがよろしいかどうかわかりませんが、公務員の災害補償の実施につきましては各省庁がそれぞれ実施機関として実施するわけですけれども、その統一的な運用を図らなければならないわけでございまして、そういう点でいわば第三者機関である人事院がその実施についての各種の指導調整等を行うのに適当ではないかということではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。各省庁でそれぞれ傷病等の認定をする場合にもまちまちになっては非常に困りますし、それからやはりそういうものにつきましては科学的、医学的と申しますか、そういう観点からも十分に審査する必要もあるでしょうし、そういう各種の基準を設定する等につきましても、人事院でそういうものを担当するのがよろしかろうということではないかというふうに考えております。
#158
○片岡勝治君 ちょっと前に戻るようで恐縮でありますけれども、恩給でもそうでありますし、公務員の共済、それから一般労働者の労務災害等の年金、これは死んだとき、亡くなられたときのいわば賃金が基準ですね、まあ多少計算方式はありますけれども。私は不思議というか、この点は大変気の毒だなと思うのは、仮に三十歳で亡くなられた――三十歳というと給与で言うとどのくらいなところになりますか。三十歳というと何等級何号、概略でいいですから、どのぐらいになりますか。
#159
○政府委員(金井八郎君) ちょうど手元にございます資料では、大体三十二歳ぐらいで六等級の十号、その方の平均給与額が六千円ということになります。
#160
○片岡勝治君 つまり、六等級十号の人が公務のために亡くなったという場合にこれを基準にして年金が出ますね。ところが永久にこの人は六等級十号の給与でしょう、五年たとうが十年たとうが二十年たとうが。しかし、この遺族の方は、仮に奥さんがいて子供が二人いたという場合に、五年たてば五つ子供は年がふえるわけですね、だんだん扶養のお金がかかる。もちろんベースアップはあるんですよ、いま言ったように恩給と同じようにベースアップはありますけれども、六の十の基本給というものは未来永劫変わらないんですよ、これは。しかし、それじゃ三十二歳の人が三十五歳、四十歳、四十五歳、五十歳になっても全く六等級十号の給与の年金しか受けられないということではもうこれは生活はできませんね、常識的に考えてできない。もっと気の毒な人は、もっと若くして死んだという場合のその遺族、永久にそれは二十五歳のときの基本賃金、これが土台になって計算をされますから、それから三十年たってもベース改定がなければ同額なんですよ。これはすべての年金制度にかかわる問題ですね。特に日本の労働賃金は年功序列だという特殊な事情がある。それがそうさしているのかもしれませんが、しかし、いまはこれを直すわけにはいかぬ。こういうことを考えると、これは少し何とか考えなければ、年金制度のいわば基本にかかわる問題であるかもしらぬけれども、しかし非常に私は深刻な問題だと思うんです、遺族にとってみれば。こういう問題について検討されたことがございますか。
#161
○政府委員(金井八郎君) 確かに御指摘のとおり、現在の補償体系というものは平均給与額を基礎にいたしまして、御指摘のような計算の仕方で補償しております。そういうことで、若年者で死亡した場合に、その遺族に対する年金はその職員が死亡したときの平均給与額が基礎になって、たとえベースアップはございましても、やはりその金額で年金額がずうっと出るということになりますから、まさにそういう問題は御指摘のとおりでございます。
 ただ補償法の体系そのものが、これは労災保険もそうでございますけれども、いわゆる稼得能力の喪失を補てんするというのを第一義にしております。そういうことで、亡くなられたときにどのくらいの稼得能力があったかということが基礎になってすべて算定するような仕組みになっておりますので、こういう結果になってしまう。私どもも、若年者の補償については手薄いといういろいろの御意見もちょうだいしておりますし、特に衆参両院の内閣委員会から附帯決議でもその点の指摘をちょうだいしておりますので、内部におきましてもこの若年者の補償をどうしたら改善できるかという点で種々検討をいままでしてきておりますし、内部に専門家の会議を設けましてその点を中心にいまも検討しているところでございます。
 確かに年功序列賃金体系がまだ強いわけでございます。ただ民間の企業の中には、必ずしもその年功賃金体系だけでない企業あるいは職種というものも相当ございます。そういうことで、労災との均衡をとって種々考えていかなければならない点もございますし、さらに改善策としては、たとえば平均給与額の最低額を設けるとかあるいは補償金額自体の最低額を設けるとか、いろいろ考えつくわけでございますが、いずれも補償法の基本体系にかかわることでございますのでなかなか困難な点がございます。しかし、問題点は十分に認識しているつもりでございますので、今後もその点につきましては、やはり鋭意検討努力をして何らかの方法を見出したいというふうに考えております。
#162
○片岡勝治君 先ほど、警察官の職務に協力して亡くなられた方の年金につきましても、ことしですか、五千四百円になった。一年前は五千二百円ですよね。もしベースアップがなければ、春闘でもゼロだというような時代がずっと続くと、この人は永久に五千円なんですよ。日額五千円で計算をした年金しか受けられない。特に若者の場合には、いまもお話がありましたように、そのときの賃金が、未来永劫その遺族が死ぬまでその基本賃金というものを基準にした年金になるということですから、これは今日のようなインフレ時代では、公務で死んだら先行き政府の、国の補償はないにも等しくなるわけですよ、インフレがどんどん激しくなっていけば。だから私は、こういう年金制度であれば、若者よ死ぬなと、いまの国家補償は若者に損になっているんだよと言いたいんですよ、これは。まあ年とって死んでいいということじゃありませんけれども、若者のうち死んだら遺族がかわいそうなんだと、そういう制度なんですよ。
 かつて自衛隊でも、厳しい演習で、池の中にもぐらして少年兵を殺しましたね、何人か、これは私の地元の横須賀で死んだわけでありますけれども。ああいった方の年金は幾らか、永久にあれは――まあ昔の軍隊で言えば二等兵か一等兵の階級なんですよ。そのときの賃金、それをもとにして計算をするから私はあのときの遺族はもうとても食っていけないと思いますよ、それは。これが今日の年金制度の実態。だから、若者よ銃をとるな、若者よ死んだら損をするぞ、いまの年金、いまの社会保障制度はそれほど言ってみれば残酷な年金なんだと私は若者こいつもそう言うんです。しかしそうは言っても、川でおぼれる子供を見て飛び込んで若者が死んでいくというふうなことが今後ないかと言えば、それはあるでしょう。そういう人に対しての補償だって余りにも冷たい仕打ちだと思うんですよ。
 ですから、非常にむずかしい問題ではあるにいたしましても、まあ一、二試案が出ました。一定の時期までだったらばこの平均給与にしたらどうかとか、いろいろ方法はあると思う。とにかく現状よりも一歩改定する、改善をするということでなければ、私は特に若者に対して非常にかわいそうだ。死んだ人はそれはわからぬからいいのかもしらぬけれども、遺族にとっては大変厳しい生活を強制されるということになるわけでありますから、この点はひとつ、まずはもって公務災害の方でそのことを十分検討して、一つの道を探求してもらいたいと思います。
 そういうことになれば、特に公務員の場合には自衛隊も抱えている、警察官だって命をかけて治安を維持する、年に何人かの警察官の犠牲者も出ておりますね、消防職員においてだってしかり。今後も私は戦争なんか起きることはないと思うけれども、不幸にして何か事件があって自衛隊の人が、しかも若者が死んでいくわけですからね、戦争があれば。それは別の話として、警察官や消防職員その他の公務員でも若者が死んでいく、その年金制度についてはひとつ抜本的に考えていかなければならぬだろう。きょうは関係大臣、大蔵大臣がおりませんから、大臣の見解を求めるわけにはいきませんけれども、これはひとつ、恩給、年金、労働者年金、すべてひっくるめて政府でこれに対応する抜本的な一つの検討機関でもつくってぜひやっていただきたいと思います。このことをお願いをいたしまして、人事院の方は結構であります。ありがとうございました。
 最後に、すでに質問でも大分出ましたので重複するかもしれませんが、一点だけお伺いをいたします。戦犯や何かの問題についてはすでに質問が出ましたけれども、こういう点は質問にもしあったらば結構です、山崎さんの方から質問があったということであればそれはお答え必要はありませんが。
 戦争中、もちろん戦地で、あるいは内地でも結構なんですが、陸軍刑法とか海軍刑法で処罰をされた、事件を起こして軍隊の刑法によって処罰をされた、そういうものの何か統計があるんでしょうか、どういう犯罪で何人ぐらい処罰されたか。
#163
○説明員(森山喜久雄君) まことに恐縮なんでございますが、実は先生から戦犯の数をというふうに何か聞いてまいっておりますので、その陸軍刑法関係の数字は私のところでわかるはずでございますが、いま持ってきておりませんので、まことに恐縮でございます。
#164
○片岡勝治君 では、その後聞こうと思ったんですが、戦犯がわかりましたら。
#165
○説明員(森山喜久雄君) いわゆる戦争裁判で受刑された方の数でございますが、厚生省の調査では四千二百十五名ということになっております。この内訳でございますが、いわゆるA級戦犯といいますか極東国際軍事裁判によりまして刑を受けられた方、これが二十五名でございます。それからB、C級と申しまして、これは連合各国がそれぞれの国の戦争法規に照らしてそれぞれの国で裁判したという数でございますが、これが四千百九十でございます。合計四千二百十五名でございます。
#166
○片岡勝治君 それでは、後ほどでいいんですが、その刑法の方は。失礼をいたしました。そこまでお話したと思ったんですが。
 そこで一つ問題は、内地の場合は、いずれにいたしましても戦地での戦争中のいろんな話や記事や何かを見ますと、私も短い期間ではありましたけれども軍隊生活をしておりました。終戦末期でありますから、当時の軍隊はいわば非常に殺伐としておりまして、道理が通ずるという世界ではありません。上官に絶対服従でありますから、一言言ったってビンタ、まだ往復ビンタとか体罰程度ならいいんでありますけれども、戦地でありますれば相当ひどい仕打ちを受ける、苦し紛れに上官に対して刃傷ざたをする、あるいは話によれば上官を射殺する、こういう事件が決して少なくなかった。まあ戦争という異常な社会ですから、さまざまなことがあったと思うんです。したがって、この陸軍刑法なり海軍刑法で裁判――裁判と言ったって決して弁護体制が完璧ではなかった。言ってみれば、これらの刑が必ずしもすべて妥当だとは私はとうてい考えられない。そういう人たちに対する救済について、恩給の分野でどういうふうに救済をされているのか、また今後何か救済をする道を研究されているのかどうか。
#167
○政府委員(小熊鐵雄君) 恩給法では、刑法によって処罰された人については、もしその人が受給者であれば、新憲法施行前であれば二年以上の禁錮刑、こういう方については恩給受給権を失うわけでございます。また、在職中の職務に関連して起こした罪であれば、禁錮刑以上の方については受給権を失うわけでございます。それから在任中に起こした罪につきましては、禁錮以上の罪を犯せばそれに引き続く期間、これは恩給の資格を失うわけでございます。陸海軍の刑法によりまして禁錮刑等に処された方、この方はいま申し上げたような形で、なお陸海軍刑法の場合は在職中については禁錮一年以上の刑に処せられたとき、このときは恩給を受ける権利あるいは資格を失う、こういうことになっております。
 それで、こういった方が大赦令等によって赦免された場合、このときは、これは昭和三十七年の法改正でございますが、恩給権を回復するという救済措置をとっております。それからもう一つ、昭和二十年の八月十五日、これは終戦の日でございますが、それ以降の軍法会議で禁錮二年を超えるような刑に処された場合、この場合において大赦令等によって赦免された場合は、これは四十九年でございますが、四十九年から恩給権を回復するという救済措置をとっておるわけでございます。
#168
○片岡勝治君 一部救済をされておりますけれども、戦争中、特に外地における軍法会議というのは、でたらめと言っては大変失礼でありますけれども、相当ひどい刑が行われたということは各種の資料や報告書、戦記などにはっきりしておりますね。何かそういったものの救済措置はないのか。一つ逃亡という問題をとってみても、昔、逃亡すればその場で殺された、処刑をされた、こういうことでありますけれども、しかし現実に戦地へ行って、逃亡というようなことは間々あるわけであります、逃亡した者を殺しておきながら隊長はみずから逃げ帰ったなんという例はどこにだってあったわけでありますから。しかし、軍法会議にかけられて刑を執行されたというような者は全く恩給等において見られていない。しかし一方、すでに質問があったように、戦争裁判の東条までも恩給の年限が拘置期間中もプラスされるなんということを考えれば、そういう点についての配慮があってしかるべきであろうと思うわけであります。しかし、これはひとつ研究課題として私自身も検討してみます。恩給関係当局の方でもひとつ検討していただきたい。もし救済できる、そういう要素があれば、この点はひとつ実行に移すよう努力されたいと思うわけであります。これはお約束できますか。
#169
○政府委員(小熊鐵雄君) 戦時中の陸海軍刑法といえどもやはり刑法でございますので、その犯罪の中身を見ますと、やはり恐喝あり、殺人あり、窃盗あり、いろんな犯罪があるわけでございます。必ずしも逃亡罪のようなものばかりじゃなくて、もちろん逃亡罪というのもございましたが、そういった普通一般に軍隊でない社会で起こる刑法犯と大体同じような犯罪を犯しておるわけでございますので、これが軍人であるからという理由でほかの扱いとは違えるということはできがたいことじゃないかと思っております。
#170
○片岡勝治君 いや盗人、どろぼうとか傷害とか、そういうものに適用しろと言っているんじゃないんですよ。戦争中の軍事裁判というのは、必ずしも私は適法に行われたとは思わないんですよ、特に外地の場合には。だから、そういう点について救済措置がもしできれば、いまあなたがおっしゃるようなことまで救ってくれということは私は言っておりません。しかし、同じ傷害だって、あの戦争中でありますから、苦し紛れに上官に対して傷害を起こした。内地の傷害とは違うと思うんですよ。異常な戦争という、戦場という場面ですから、私は内地の状況とは違うと思うんですが、それは別といたしまして、そういう点についてもし救済の措置があるならばぜひ救済すべきではないか。これは意見として申し上げて、ひとつ検討していただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。
#171
○中尾辰義君 最初に、長官と人事院にお伺いします。
 まず、恩給額改定の基礎であります国家公務員給与のベース改定についてお伺いしますが、最近の新聞報道によりますと、経済団体連合会が強力な行政改革を推進させるために、財界の行政改革に関する懇談会で独自の行革案をまとめ、正式に提案するようでございます。その中の一項目に、五十六年度のベースアップの見送りと、こういうことが盛り込まれておるようでございます。さらには自民党の中でも、各種の補助金カットなどが行われる場合には、人事院勧告による公務員給与ベースアップ凍結を強硬に主張していくと、こういう方針を固めたというふうに新聞報道で出ておりますが、これに関して、その事実を御存じなのか、これに対してどういう見解を持っていらっしゃるのか、人事院は見えていますか――見えてない、それじゃ長官だけで結構です。
#172
○国務大臣(中山太郎君) 公務員給与、五十六年度のベースアップの問題につきまして経団連、あるいはいま党の方でいろいろと御意見が出ておると、これに対して総務長官としてはどう考えるかというお尋ねだったと思います。
 総務長官といたしましては、公平な人事院制度、人事院というものが公務員給与の勧告をいたしますれば、従来同様勧告を実施するという基本的な取り組みというものは今後とも維持してまいりたいと、このように考えております。
#173
○中尾辰義君 人事院が勧告すればそのとおりやると、こういうことですが、長官はどうお考えかと私は聞いておる。まあいいでしょう。
 人事院見えていますか一まだ来ないの、それじゃ次にまいりまして、五十五年度の物価の上昇率ですね、これは見通しが大体八%ぐらいになるんじゃないか、こういう見通しでございまして、一方今回の恩給の方は改善が普通恩給、普通扶助料の最低保障額は四月の四・八%、六月の上積み分を合わせても七%の改善で、完全にこれは目減りということになるわけですが、この目減りが出た場合にどのように補うのか、この辺はどう考えていらっしゃるのか、まずお伺いします。
#174
○政府委員(小熊鐵雄君) いまの四・八%と先生おっしゃいましたのは給与改善でございまして、これは公務員の給与改善に基づきましてベースアップを行うという改善率でございます。したがいまして、この公務員の給与改善率が予定した物価よりも低いのをどうするかという御質問に対しては、やはり公務員の、恩給受給者というのは現職公務員と同じやはり退職公務員でございますので、これに基づいて改善を図っていくというのが妥当ではないかというふうに考えております。
 なお、先生いま御指摘の物価の問題でございますが、物価につきましては、私ども最低保障の定額部分につきまして、これは厚生年金あるいは共済年金いずれも同じ手法をとっておるわけでございますが、その定額部分につきまして物価スライドをやっておるわけでございます。これにつきましては、先生御存じのように、予算編成というのが大体八月に予算編成いたしまして、十二月に予算折衝を行うと、こういうことになっております。それで、八月の段階で――これはそのときたしか政府の見通しが六・四%だったと思います。六・四%で一応予算の概算要求を行ったわけでございます。その後、物価が上昇をたどりまして、たしか予算決定時期の十二月ごろには大体七%ぐらいと、こういうような見通しが出たかと思います。それで急遽七%にアップしまして、決定をいただいたと、こういう経過になっておるわけでございます。
 したがいまして、この五十五年度物価というのは五十六年の三月までの物価、一年間の物価でございますので、これをなかなか最終的に見通すということはむずかしいと、これをさかのぼってどうするというわけにもまいらぬわけでございまして、特に予算はもうすでに国会で御決定いただいているという状況にあるわけでございますから、これを七%を、いま大体五十六年三月で出ました五十五年度物価、これは七・八%になっておるわけでございますが、いまの段階でこれを七・八%に戻すというのは非常に不可能なことかと思います。ただ、これは厚生年金なんかでも物価スライドを行っておりますので、来年度最低保障額を計算する際に、この定額部分についてそのギャップ、これはもちろんまたそのときもある種の見通しでやるわけでございますから、たとえば五十六年度の物価にぴしゃりと必ず一致するかどうかという問題はありますけれども、五十七年度要求においてはこのギャップを埋めるように努力してまいると、こういう考え方でございます。
#175
○中尾辰義君 次に、これはいまさっきも申し上げましたが、自民党と財界の内部から行革の一環として人事院勧告ことしは見送るんじゃないかと、こういう動きがあるわけなんですね。そうした場合に、今回の改正でも、これは恩給額に目減りがしておるわけです。さらに給与勧告が凍結をした場合に、恩給の改善の方も見送りということになり、そうなりますとこれはもう大変なことなんですね。恩給をただ一つのよりどころにしているお年寄りの生活不安というものが非常に増してくるわけです。したがって、公務員給与の改善を凍結することはただ公務員だけというわけにはまいらない、その影響が非常に大きくなっていくわけですね。そこで、そういうことを考えて給与担当大臣である総務長官はこういう動きに対してどう対処する方針か、まずお伺いします。
#176
○国務大臣(中山太郎君) 公務員の方々の生活安定というものは、いわゆる行政機構を堅持していく上での基本であろうかと私は考えております。そういう意味で、いわゆる物価の上昇による生活費の高騰に対して人事院の勧告が出ると、こういうことになれば、私は従来どおりそれを尊重するように政府の中においては行動してまいる考えであります。
#177
○中尾辰義君 人事院の総裁がお見えになりましたからちょっとお伺いします。
 最初に、冒頭にお伺いしたんですが、いろんな新聞報道等によりますと、経済団体連合会が強力な行政改革を推進するために、財界のこの行政改革に関する懇談会、そういうものがあるわけです。それが独自の行革案を出して、その中の一つの項目として五十六年度のベースアップは見送りと、これが盛り込まれておるようでございますし、自民党の一部にも公務員の給与アップは凍結すべきであると、そういうような強硬な意見も出ておるわけですが、こういう動きに対して人事院総裁、総務長官はどのような見解を持っていらっしゃるのか。いま長官にお伺いしたら、人事院の方から勧告出たらその勧告どおりに前向きでやると、げたは人事院総裁に預けられたような答弁をいま聞いたので、まず総裁からお伺いしたい。
#178
○政府委員(藤井貞夫君) ちょっとおくれまして大変申しわけございません。
 ただいまのお尋ねの点についてお答えを申したいと思いますが、今度の第二次臨調が発足をいたしまして以来、いろいろこれをめぐって各方面で論議が闘わせられておる、あるいは意見が申し述べられておるということは御指摘のとおりでございまして、私も日々の新聞その他の関係を通じていろいろな動きは大変関心を持って見守っておるところでございます。
 ただ、具体的にいま御指摘になりましたようなことは、新聞紙上で報道されている向きもございますけれども、直接現在の段階でむろん私の耳に入るとか、あるいはそういう見解を伝えるとかというような動きはいままでのところ一切ございません。当然のことであろうかと思います。
 つきまして、申し上げたいと思いますのは、公務員の給与に関する人事院勧告の制度というのは、これは諸先生方ここで改めて申し上げますまでもなく、公務員には労働基本権というものが制約をされておる、しかし公務の重要性からいって、安定した形で公務員には公務に精励してもらわなきゃならぬ、ついてはその身分保障あるいは身分の安定、それなりの利益の保護というものは当然やっていかなければ、安定的な公務における労使関係というものも期待できないし、また長期的な行政の安定性というものも望み得ないというところから、公務員の給与については人事院に勧告権が与えられておるわけでございます。
 この勧告権は、その前提として、毎年官民の給与較差を比較をいたしまして、民間の給与ベースが公務員より上回っている場合におきましては、その較差を埋めていただくという意味の勧告をいたしております。これは法律が制定せられまして以来ずっと続けてまいっておったところでございまして、また事実ここ十年以上も完全実施ということで、これが制度としても定着をして今日まで来ておるという実績もございます。また諸外国等の例を見ましても、わが国でやっておりまするやり方というものが、ほぼ世界的にも評価を見ておるというふうにわれわれは確信を持って今日まで仕事をしてまいったわけであります。
 したがいまして、現在の制度のたてまえがそのまま存続してまいりまする限りにおきましては、私はいままでのやり方というものを変えるという気持ちは一切持っておりません。したがいまして、民間の給与の実態というものを調査をいたしまして、その結果、官との間に較差があれば、その較差を埋めていただくという従来の方針をことしも厳格に踏襲をしてまいるという所存でございます。
 すでにことしにおきましても、例年どおりこの五月の連休明けから六月の中旬にかけて民間の給与の実態調査を全国的な規模で実施いたしまするためにそれぞれ準備も進めておりまして、間もなく調査にかかるという段階でございます。例年どおりの処理で調査の実施をいたしまして、その結果を踏まえて、較差があればこれの較差を埋めていただくための勧告を出すということになることは例年のとおりでありまして、その方針については毫も変更するつもりはございません。
#179
○中尾辰義君 そうしますと、第二臨調の中間答申が七月ごろ出る予定ですが、答申がどう出ようと、行政改革とは別に、この問題はいまあなたがおっしゃったように官民較差を埋める方針で従来どおり勧告の方向でやると、こういうことでよろしいですな。
#180
○政府委員(藤井貞夫君) 事給与勧告に関する限りは、従来のたてまえどおりそのままの姿勢でもってやっていく所存でございます。
#181
○中尾辰義君 それでは、いろいろありましたけれども、大分同僚議員の方から各論的な質問が出ておりますので、簡単にまいりたいと存じます。
 最低保障制度ですね、これも何回か質問が出ましたけれども、これは毎年国会で附帯決議が出ておりまして、衆議院の内閣委員会でも「恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等その改善を図ること。」、こういう決議があるわけであります。このように毎年この種の決議がつけられていることの意味は、最低保障額が毎年改善はされておりますけれども、その最低保障額では生活が困難であるから改善をせよ、こういうことなんです。要するに最低保障額それ自体が低過ぎると、こういう意味でありますから、これは毎年問題になるわけです。
 そこで、今回の改正案を見ますると、普通恩給、それから長期在職者で六十五歳以上の場合には六月分から年額七十四万九千円、月額にして六万二千四言十六円と、こういうことになるんですが、これは山崎さんの方からもありましたけれども、生活保護者の方は、東京都で七十歳の老人の一人世帯、これが生活補助が五万二千八十七円、そこへ同齢加算が一万三千五百円と、こういうことですね。それから老人二人世帯、これは男が七十二歳、女性が六十七歳、それで生活扶助が八万二百二十三円、そこへ老齢加算が二万七千円、こういうふうに御存じでしょうけれども出ておるわけですが、これと比較してどのように考えていらっしゃるのか。恩給というのは生活保護と比較するべきものじゃない、こういう御意見もあるようでございますが、一応見解をお伺いしておきます。
#182
○政府委員(小熊鐵雄君) 生活保護と申しますのは、やはり社会扶助といいますか、いろんなその人の所得、財産、こういうものを全部出し尽くして、なおその生活の基準に達しない方にその差を差し上げるというたてまえのものでございます。片や恩給は、長年公務に尽くされた方、その方が亡くなられたとき、あるいはその方が退職されたとき、こういったときに給付する年金でございます。したがいまして、こういう方々にはほかに職業があるとかないとか財産があるとかないとか、そういうことを一切問うことなしに、ひとつの生活の支えとして給付を行う。こういうたてまえになっておりますので、いまの生活保護と恩給年額とを直に比較するということは必ずしも妥当ではないんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
#183
○中尾辰義君 わからぬでもないんだけれども、あなたの方から出したパンフレットにはこう書いてあるんですよ。いいですか。「公務員の忠実な勤務に対する報償制度 恩給制度は、公務員が長年忠実に勤務して退職し、または死亡したとき、公務のためにけがをしたり病気にかかったとき、公務のために死亡したときに、その功労に報いるため」、いいですか、それが生活保護より安い。功労に報いるため、「生活の支えとして国が年金給付などを行う」。だから、生活保護より安いのが長年働いてきた、公務に従事したその功労に報いるためという、言葉はきれいですよ、これ。だけど、生活保護にも足らぬのが、果たしてこの功労に報いるための、しかも生活の支えとしての年金と言えるだろうか、こういうことも考えられますから、質問もしているわけですよ。金が足らぬことはわかっておりますけれども、そうずばり結論を言うてもこれは審議にならぬからね。これはどうお考えですか。国の功労に報いるためですよ。それならあなた、もう少し功労に報いるらしいような年金を上げてもいいんじゃないですか。
#184
○政府委員(小熊鐵雄君) 先生おっしゃったとおり、まことにそのとおりでございまして、功労に報いるための年金でございます。一面から言えば、したがって生活保障というか、そういうものではなくて、特に恩給受給者の大部分――いま二百五十万ぐらいおりますが、二百三十万ぐらいは軍人さん方でございます。文官の方で最低保障というのはごく少ない。ほとんどの方はそれ以上にいっているわけです。軍人の方というのは、これも先生御承知のように、非常に短い三年とか、五年とか、六年とか、あるいはせいぜい十二年、それに加算年というのを加えて恩給を出しておるわけでございます。したがいまして、その功労に報いるというのが、一生涯を棒に振ってそういった公務に従事したという方であれば、あるいはもう老境に達するまでそういう公務に尽くされたという方であれば、これはその後で生活が困るというのは確かに制度として考えなきゃいかぬことじゃないかとは思いますけれども、いま申し上げましたように、大部分の受給者が軍人さんでございまして、ほかの職業を持っておって三年なり十二年なり軍隊に軍人として行かれたという方でございまして、その方々がまた戻ってこられて農業につこうが勤め人になろうが、そういうことを一切問わずに給付しておるのが恩給でございまして、その方々のすべての生活を全部保障して差し上げますという制度にはなっておらないわけでございますので、その点御理解賜りたいと思うわけでございます。もちろん、最低保障制度について今後とも検討していくつもりはございます。
#185
○中尾辰義君 それなら、現在最低保障の恩給が低いために生活保護を受けている老人、こういうものの実態はどのくらいありますか、わかっていると思いますがね。
#186
○政府委員(小熊鐵雄君) そういった調査は恩給局では行っていないんですけれども、厚生省の方からとりました調査によりますと、五十一年――これは何か全国一斉に調査したようでございますが、これによりますと、生活保護法の適用者のうち恩給も含めた公的年金を受給している人が四十三万九千人。そのうち恩給を受給している人が九千四百人で、これは全恩給受給荷の〇・三%ぐらいでございます。
#187
○中尾辰義君 それから、二百四十万八千人の恩給受給者のうち、各種の恩給の最低保障の適用状況はどうなっているのか、その辺ひとつ明らかにしてください。
 それから、いまの最低保障のほかに生活保護を受けている方が幾らでしたかな、九万幾らでしたか。
#188
○政府委員(小熊鐵雄君) 九千四百人です。
#189
○中尾辰義君 九千四百ね。そういうものを生活水準まで最低保障額を増額した場合、所要経費がどのぐらい要るのか。最低保障額を生活水準まで引き上げた場合にどのぐらいの経費が要るのか、その辺わかりませんか。
#190
○政府委員(小熊鐵雄君) まず最初の質問の最低保障適用者でございますが、五十九万六千人最低保障額の普通恩給受給者があるわけですが、そのうちの約八六%に当たります五十一万人、これは全体の普通恩給の受給者が百二十四万人でございますので、その率で言いますと四一%でございます。それから、普通扶助料につきましては受給者総数が四十一万人でございまして、その八四%の三十四万三千人、これが最低保障の適用者でございます。それから、公務扶助料につきましては受給者が六十二万四千人ございますが、そのうちの九九%、ほとんどでございますが、六十一万七千人が最低保障適用者でございます。
 それから、第二の、質問でございますが、この生活保護の最低基準というのをどこにという、これは非常に地域によって違いますし、世帯構成によって違いますし、年齢によって違いますし、またその保護する目的によっていろんな医療保護であるとか住宅保護であるとか、いろんな保護がございますのでちょっと一概に比較するわけにはまいらないわけでございますが、仮に東京都に住んでおる老人二人、こういう世帯についての最低保護基準、これを九十六万二千六百七十六円という金額で設定いたしますと、普通恩給でこの最低保障から九十六万円まで積み上げるための平年度化の必要経費が六百四十六億でございます。それから普通扶助料、これは三十五万五千件あるわけでございますが、これについて二百九十三億、合わせて九百二十九億、これは平年度化の数字でございます。
#191
○中尾辰義君 それから、恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限の撤廃についてですが、これは現に支給制限を受けている受給者の実態はどのぐらいなのか、それが一つ。
 それからいまこの公的年金の併給限度額、これは四十五万。これが五十六年八月から三万円を引き上げて四十八万ということのようでございますが、福祉年金は八月から二万四千円、これを年に直しますと二十八万八千円ですか、この老人は恩給が年四十八万円の場合にどういうふうになるんですかな、計算してみてください。
#192
○政府委員(小熊鐵雄君) 老齢福祉年金の併給制限は私どもの方では一向制限しておりませんで、厚生省の方がやっておりますので、その員数その他……
#193
○中尾辰義君 厚生省来ているだろう。
#194
○説明員(佐々木喜之君) 現行四十五万円の限度額を超える年金、恩給等を受給されまして福祉年金の支給を全部停止されております者の数でございますが、昭和五十五年の九月末現在で申し上げまして、福祉年金全体で二十七万一千人余でございます。そのうち、老齢福祉年金の分を申し上げますと二十六万二千人でございます。これは恩給に限りませんで、各種公的年金すべてを含みました数字でございます。
#195
○中尾辰義君 それから二番目に聞いたでしょう。二番目の問題。
#196
○説明員(佐々木喜之君) 引き続きまして、この限度額との関係を御説明申し上げます。限度額が現行四十五万円でございまして、本年度これを四十八万円に引き上げる予定でございますから、仮に先生がお尋ねのように、この限度額と同額の年金を受けておる場合には福祉年金は支給されないわけでございますが、仮に限度額以下の年金、恩給等を受けております場合は、その額と四十八万円の差額の分だけ福祉年金が支給される、かようなことになるわけでございまして、すなわち福祉年金のうち一部の額が支給され、一部の額が支給停止をされるというような仕組みになっております。
#197
○中尾辰義君 いま数字を挙げて言ったでしょう、二十八万八千円の老人福祉年金をもらっている、そういう方はこの恩給が年四十八万円の場合は数字的に幾らになるのかと。
#198
○説明員(佐々木喜之君) ただいま申し上げましたように、限度額との差額を福祉年金が支給されるということでございますので、現行で申し上げますと、現行は限度額四十五万円でございます。したがいまして、四十八万円の恩給を受給されておられますと、これは四十五万円の限度額を超えておりますので福祉年金の受給額はない、全部支給停止される、こういう仕組みになるわけでございます。それから、仮に限度額が四十五万円に対しまして四十万円の恩給、年金等を受けておられるという方の場合には、四十五万円との差額の五万円分だけ福祉年金が支給される、かようなことになるわけでございます。
#199
○中尾辰義君 それじゃ年金局、もう一つ。福祉年金の支給制限の撤廃につきましては、これも毎国会衆参の内閣委員会で附帯決議がつけられていたわけですが、この附帯決議が生かされてない。それはどういう理由に基づくのか、またその附帯決議を生かすために、委員会で決議したんですから、当然あなた方努力しなきゃならぬ、どういう努力をしてきたのか、どういう検討をされたのか、その辺ちょっとお伺いします。
#200
○説明員(佐々木喜之君) お答えを申し上げます。
 福祉年金は昭和三十四年に創設されました制度でございますが、この創設の趣旨というものが、その時点におきまして、いろいろ公務員に対する恩給等がございますが、一般の自営業の方には何もない。そこで、国民年金の制度を設けまして国民皆年金という制度をつくったわけでございますが、その際に、ほかの年金をいずれも受けておられない方に対しまして支給するところの制度ということで福祉年金が設けられましたわけでございます。したがいまして、その趣旨から申しまして、福祉年金をほかの恩給、年金と併給をするということは出てまいらなかったわけでございますが、ただ実際問題といたしまして、当時恩給、年金等の中でも額の低いものがあるというようなこともございまして、そこに限度額というものを設けまして、つまり一定の額に達しない低額の恩給、年金の場合には福祉年金を一部支給しよう、こういうことで限度額の考え方が設定されたわけでございます。したがいまして、これを、この国会の委員会の御決議は十分承知しているわけでございますが、ただいま申し上げましたような趣旨から申しまして、これを改めまして福祉年金を全面的に併給するということはなかなか制度的に無理があるわけでございますが、ただ、この限度額の方につきましては、情勢の推移に応じまして少しずつなりとも引き上げを毎年行ってきている、かような経過でございます。
#201
○中尾辰義君 最後に、旧陸海軍従軍看護婦の処遇の問題につきまして、これは五十六年度予算で旧陸海軍従事看護婦の処遇改善をして、約八千三百万円を計上して旧陸海軍従軍看護婦に慰労給付金を給付する、こういうふうになっておるわけですが、その給付の実施が今年の十二月から、こういうふうにしたのはどういうわけなのか。
#202
○政府委員(関通彰君) 従軍看護婦の処遇につきましては、先生御存じのように、従軍看護婦のうち旧日本赤十字社の救護看護婦につきましては昭和五十四年度から処遇措置を講じておりまして、旧陸海軍の従軍看護婦につきましては、五十六年度新たに処遇措置を講ずることといたしまして八千三百万円の予算を計上しているわけでございます。この慰労給付金の給付内容は、旧陸海軍看護婦の場合も、従来から実施しております旧日赤救護看護婦の処遇と同様の内容のものを考えておりまして、また具体的な慰労給付金の給付も、日本赤十字社の本社から各看護婦さんに給付されると、こういう手続を考えているわけでございます。
 いま先生御質問の、いつ支給するかという御質問でございますが、支給は年二回、六月と十二月を考えております。日本赤十字社の看護婦さんの場合、五十四年度から例年六月と十二月に半年分ずつ給付金を給付しているわけでございます。ただ最初の給付は、日本赤十字社の場合も一番最初は十二月に給付いたしております。したがいまして、陸海軍看護婦の場合も最初の給付はことしの十二月に四月から十一月までの分、八カ月分を給付することにいたしております。その後は六月、十二月というぐあいに年二回給付することにしているわけでございます。十二月にしておりますのは、初めての給付に当たりましては、やはりあらかじめ各看護婦さんの勤務記録その他をお出しいただいて、資格の認定作業等がございますので、そのような準備をいたしまして十二月に最初の給付金を給付すると、かように考えているわけでございます。
#203
○中尾辰義君 終わります。
#204
○委員長(林ゆう君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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