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1980/06/02 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 内閣委員会 第12号
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1980/06/02 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 内閣委員会 第12号

#1
第094回国会 内閣委員会 第12号
昭和五十六年六月二日(火曜日)
   午前十時三十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     柄谷 道一君     藤井 恒男君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     中西 一郎君     江藤  智君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     江藤  智君     中西 一郎君
     藤井 恒男君     柄谷 道一君
 六月二日
    辞任         補欠選任
     山内 一郎君     関口 恵造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  ゆう君
    理 事
                藏内 修治君
                竹内  潔君
                矢田部 理君
                柄谷 道一君
    委 員
                板垣  正君
                岡田  広君
                源田  実君
                関口 恵造君
                中西 一郎君
                林  寛子君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                片岡 勝治君
                野田  哲君
                山崎  昇君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                安武 洋子君
                秦   豊君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       中山 太郎君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
   政府委員
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       任用局長     斧 誠之助君
       人事院事務総局
       給与局長     長橋  進君
       人事院事務総局
       職員局長     金井 八郎君
       内閣総理大臣官
       房広報室長兼内
       閣官房内閣広報
       室長       小野佐千夫君
       総理府人事局長  山地  進君
       臨時行政調査会
       事務局次長    佐々木晴夫君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁参事官   石崎  昭君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛庁装備局長  和田  裕君
       防衛施設庁施設
       部長       伊藤 参午君
       外務政務次官   愛知 和男君
       外務大臣官房審
       議官       関  栄次君
       外務省欧亜局長  武藤 利昭君
       気象庁次長    相良 英明君
       労働大臣官房審
       議官       小粥 義朗君
       労働省労政局長  細野  正君
       自治省行政局長  砂子田 隆君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       外務省北米局外
       務参事官     松田 慶文君
       外務省欧亜局審
       議官       堂ノ脇光朗君
       厚生大臣官房統
       計情報部人口動
       態統計課長    小林 昭二君
       労働大臣官房審
       議官       倉橋 義定君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国家公務員法の一部を改正する法律案(第九十
 三回国会内閣提出、第九十四回国会衆議院送
 付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案(第九十三回
 国会内閣提出、第九十四回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(林ゆう君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に柄谷道一君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(林ゆう君) 国家公務員法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○山崎昇君 まず、行政管理庁長官にお尋ねいたしますが、日曜日の朝日新聞の朝刊に大変大きな見出しで「国家公務員を五%削減 待命休職制度を導入」、こういう見出しで、臨調の第二部会で確認をされて、その背景としては、政府関係当局と調整済みである。こういう報道が出されておりますが、これは事実かどうか、まずお聞きをしておきたいと思います。
#6
○国務大臣(中曽根康弘君) 事実でございません。五%削減云々というようなことが具体的に討議されたこともなければ、政府の方とそういう調整をしたこともございません。
#7
○山崎昇君 いま長官から事実でありませんと。しかし、これだけの中身を予測記事で書くことは困難だ。相当多岐にわたってこれは述べられております。特に私は、重大視をしなきゃなりませんのは、いま定年制法案等について審議をしている最中に、昭和六十年の三月三十一日から実施する、それまで居座られたら困るから、その間勧奨退職ではうまくいかぬから、言うならば待命休職制度を設けて、そして定年制までの間に職員を切ってしまえ、こういうこと等が内容で報道されているわけです。
 そこでまず、あなたは違うと言うんだけれども、私は人事院にもお聞きをしておきたい。待命休職制度というのはいまの国家公務員法にもありません。もしこういうものをやるとすれば法改正をしなきゃならぬと思うんですが、この臨調でもしこういうことの方向をとられると仮定して、人事院はこういうことに対してどういう見解をお待ちですか。
#8
○政府委員(藤井貞夫君) いま管理庁長官の方からそういう事実はありませんというふうに明確に申されました。私もその記事は読みました。どういう意図であろうかということをいろいろそんたくをいたしましたが、別にこういう問題は私の耳に直接に入っておることでもございませんから、いろんな経緯からそういう記事が出たのであろうかというふうに思っただけでございます。
 お話しのように、仮にこういうことをやろうとすれば、これは制度の改変でございますから、当然法律の改正が必要です。そういうことにもなりますし、仮にそういう問題が取り上げられて臨調の意見として出されましたとすれば、その時点において人事院としての態度はいろいろ考えた上で申し上げたいというふうに思いますけれども、いまのところはそういうふうな事実はないということでございますので、私もそれなりに受け取って了解をしたということでございます。
#9
○山崎昇君 いま総裁から、仮にそういうものが出されれば、あなたの方としてもその時点でと、こういう話です。いま私どもの審議しているのは、昭和六十年三月三十一日から実施をという定年制についてやっている。臨調から七月の十日ごろに何か第一次答申が出るそうでありますが、そのときにもし仮にこういうことが出てくるとすれば、いま私ども審議している法案とこれは矛盾をしてまいります。人事院はどういう見解をそのときとるのかわかりませんけれども、最近この臨調というものを隠れみのにして既存の法律、制度、そういうものを無視して何でもかんでも先行して物を言えばいいというような風潮にいまあるんではないだろうか。そういう意味で、先般来野田委員からも、かなりあなた方に対して臨調とあなた方の権限について質問をされているわけですね。そういう意味で、私はこういう記事が出てくること自体に大変不満です。不満だし、公務員諸君から言わせたらば何なんだと、こういうことは一体。国会で議論している間にこういう記事が出されてくるのはどういうことなんだ。私は、きわめて不信感だけこれは醸成して遺憾な事態だと思っているんです。
 重ねて私は行管長官にお聞きをいたしますけれども、いまあなたは否定されました。否定はされましたけれども、この中身は相当専門的な人でないとわからないですよ、これは。単なる推測記事でやれるものではない。特に、日曜日に八時半から、あの加藤寛さんが部会長だそうでありますが、あの人が時事放談に出て対談しておりましてね、第二部会では検討したこともないし知りませんと、そういううまい方法があるなら教えてください、いいこと聞きましたというのが当日の発言でありました。私は、行官庁は、臨調というものを隠れみのにしてあなた方がリードしてこういうことをやらしているんではないだろうか、そうさえあのテレビ対談を聞いておって受け取ったですよ。本当にあなた方がこういうことないと言うなら、今後こういう記事が少なくとも出ないことにしなきゃいけないんじゃないでしょうか。私は、行官長官が行政改革に責任上熱心であることはいいとしても、余り熱心だということを行き過ぎちゃって勇み足やらぬようにしてほしいという気が強いんです、正直に申し上げまして。重ねてあなたの見解を聞いておきたいと思います。
#10
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一特別部会、第二特別部会でいま臨調としては審議しておりますが、いままでは各省庁からヒヤリングをずっとやってまいりまして、これから委員間の自由討議が始まる。こういう段階でございまして、どういう具体案を出すというような段階にはいままでございません。私もあの新聞を見まして非常に驚きました。臨調におきましてもそういうことは討議されたこともございませんし、われわれの方からもそういう案を策定しているというようなこともございません。すべては、これから特別委員会においてどういう議論が出てくるか、それを見守っておる、そういう状況であるのであります。
#11
○山崎昇君 重ねてあなたに言っておきますが、この記事にありますように、「この方針は、すでに政府関係当局とも調整を済ませており、七月に予定されている第二次臨調の第一次答申に盛り込まれることは確実で、」と、こう報道になりました。これは明らかに誤りだとあなたは否定しますね。重ねて聞いておきます。
#12
○国務大臣(中曽根康弘君) いままでそういうことを臨調におきまして討議したこともございませんし、われわれの方でもそういうものを作案したことはございません。したがって、報道は推測で根拠のないものであると思います。
#13
○山崎昇君 人事院総裁に重ねて確認しておきますが、仮に臨調から出ましても、いま私ども審議しておりますこの法案が昭和六十年の三月三十一日から施行でありますから、それまで四年間あります。その間に、もし待命制度とかこの報道されているようなことをあなたがやろうとすれば、これはあなたの言ったように法改正を要しますね。したがって、もしそういう事態をあなた方が想定するとすれば、私はこのいま審議している定年制法案は撤回をしてもらいまして、改めて別な角度から検討しなきゃならぬ。こういう気持ちを持っているんですが、重ねて、こういうことが仮に出たとしてもそんなことはできるものではありません、これがあなたの考え方だと確認をしておきたいんですが、どうですか。
#14
○政府委員(藤井貞夫君) まだ全然そういう事実がないということでございますので、私もそのことを信じて物を申しておるわけでございます。お話しのように、いま定年制の法案を御審議をいただいているわけです。これは六十年からというたてまえになっているわけです。それがありながらその前の段階におけて何かをやるということは、事柄の順序としても首肯できません。私も率直に言ってそういう感じを持っておるということを申し上げておきたいと思います。
#15
○山崎昇君 次に、行管長官にお聞きしますが、先般臨調と地方制度調査会との調整について、部会長であります林さんが発言をされているようでありますが、この臨調と地方制度調査会の調整というものをどういうふうにやられるのか。あの林さんの発言どおり長官としてもおやりになるつもりなのか。この点、お聞きをしておきたいと思います。
#16
○国務大臣(中曽根康弘君) 地方制度調査会も臨調もおのおの個別の独自の法律に基づいて設立されておる会でございまして、おのおの権威を持っておるものと思います。地方制度調査会の方は地方制度という観点からいろいろ論議をなさっておりますが、臨調の場合は国の制度全般を論じて、その中における地方制度、国との関係における地方制度、そういう意味で視点が違っていると思います。したがいまして、論議が食い違うこともありましょうし、あるいは同じようにオーバーラップすることもあると思います。いずれにせよ、両方とも独自性を持っているものと心得ております。
#17
○山崎昇君 ところが、林さんは地方制度調査会では具体的に地方自治体の問題等は議論をされますね。いまあなたの言われるように、国の立場から全体的に臨調では相談すると、こう言うんですが、少なくとも地方制度調査会として法律で設定をされておる、そこの議論すべき事項、討議すべき事項に踏み込んだような臨調の私はやり方というものは誤りではないか、こう思います。
 したがって、重ねてそういうことのないように、あなたの方は事務局を担当しておるわけですから、これまたほかの制度の中まで踏み込んで何でも臨調がやれると思ったら、私は思い上がりだと思うんです。そういう意味で、いまあなたから調整はする予定のようでありますけれども、いずれにいたしましても、何でも臨調、臨調と言って臨調を万能の神みたいなやり方は私は考え違いじゃないか、こう思うんで、この点の調整についてはきちんとしておいてほしいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、第三点として長官にお聞きをしておきたいのは、先般総理が全国知事会を招集しましていろいろ行政改革について要望したようであります。しかし、知事会の方からもかなりきつい発言があったように聞いておりますが、一体総理並びにあなたはどういう要望をされて、これに対して知事会からどういう見解が示されたのか。アウトラインで結構でありますが、この機会に御報告を願いたいと思います。
#18
○国務大臣(中曽根康弘君) 総理並びに私たちの方から御要望申し上げましたのは、今次行政改革の意義及びわれわれが考えている理念、そういうような基本的なことも申し上げまして、そして特に簡素にして効率的な政府をつくるということがいま非常に焦眉の急になっておりますと、そういう観点からも国との関係において地方制度もぜひ見直していただきたい、そういうような要望も申し上げた次第なのであります。
 知事さんの方からは非常に広範な強い御発言がございまして、まず国がみずからやるべきことをやれと、そういう基本的な姿勢をお持ちのようであります。そして、行政改革の具体的な課題につきましては、事務あるいは財源の再配分の問題であるとか、あるいは行革による過度な地方負担を避けてほしいとか、あるいは国の地方公共団体に対する関与の見直しであるとか、あるいは補助金制度の改善、それから国の地方支分部局の整理合理化、地方事務官制度の改革、あるいは地方へ地域の事情に即した特別の配慮を行ってもらいたい等々の貴重な意見がわれわれのところへ提出された次第です。
#19
○山崎昇君 そこで、長官としては、それらの意見について今後検討されると思うんです。いずれも、これはいまお話のありました内容等は何回か地方制度調査会の答申でも出され、あるいは知事会の要望事項として出され、あるいは市長会、町村長会あるいは各自治体の議長会等々からも何回かにわたって出された内容が大半ですね。しかし、ほとんどそれが実現されていない。一方的に国の考え方で押し切られている。こういう過去の経緯を見ますと、今度もまたずいぶんいろいろいま話がありましたように要望、意見が出たようでありますが、一体これについて行管庁長官としてはどういうふうに実現をされていこうとするのか、あなたの決意のほどを聞いておきたい。
#20
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨時行政調査会が設立されて御審議を願っておるわけでございますから、これらの知事さんの貴重な意見は臨時行政調査会にもお伝えいたしまして、審議の重要な参考資料としていただくつもりでおります。
 なお、地方制度調査会長の林さんも委員としてお加わりであり、非常に精通された方でございますから、林さんの御意見には委員の皆さんも非常に傾聴されるところが多いだろうと思います。委員の皆様方がそれらのことを踏まえて結論を出していただいたことは最大限尊重して実行していきたいと、このように考えております。
#21
○山崎昇君 そうすると、基本的には地方制度調査会の答申あるいはいまお話のありました知事会の要望、そういうものを最大限入れてあなた方としては行政改革に臨んでいくんだ、あるいは財政も含めての制度改正等をやっていくんだ、地方の声を十分聞くんですと、こういう趣旨にあなたが考えられておるんだろうというふうに私は理解をしておきたいと思うんです。
 それから、第四点目にお聞きをしておきたいのは、かつて行管庁は国家行政組織法について検討されたことがありますが、いま一体この国家行政組織法についてどういう検討がなされているんだろうか。臨調の答申も重要でありますけれども、国の行政組織を変えるためには、国家行政組織法の十分な検討なくしてこれはできないんですね。これはその節になれば私は個々についていろいろまたお尋ねをしたいと思っておりますが、いまの、中央官庁の行政組織一つとってみましても、あるいは審議会のあり方一つとってみましても、第三条機関と八条機関の関係をとってみても、この国家行政組織法に相当なメスを入れなければ行政改革はできないと私は考えているんですよ。したがって、行政管理庁はこの国家行政組織法というものについてどういう検討をいま行っておるのか、あるいはどの程度まで検討を行っておるのか、現状を説明願っておきたいと思うんです。
#22
○国務大臣(中曽根康弘君) 国家行政組織法の問題につきましては、第一次臨時行政調査会のときにも改正の意見が提示されていたと記憶しております。それから、行政管理庁におきましても国家行政組織法の改正案を策定いたしましたこともありましたし、法律として提案いたしましてこれが通過しなかったという過去もあったと思います。それらのことも踏まえまして、今回臨時行政調査会におきまして国家行政組織法をどうするかということも御審議になられるのではないかと思っております。われわれはその審議の結果を見守ってわれわれの態度を決めたい、かように考えております。
#23
○山崎昇君 国家行政組織法も臨調が何かしなければあなたの方は何もしないんですか。私は、なるほど臨時行政調査会というのは重要な機関としてつくられたことはわかります。しかし、少なくとも行政管理庁が国家行政組織法について何も検討しないで、それも臨調でございます、これも臨調でございます、何でもかんでも臨調、臨調で、臨調さえ検討して物を言えば日本の国家行政組織が直るような錯覚になっているんではないでしょうか。行政管理庁というのは一体何をやるんだろうか、そうしたら。ただお手伝い、事務だけでしょうか。私は不思議でしょうがないんですね。これは行政委員でも結構でありますけれども、一体国家行政組織法をどういうふうにあなた方は考えて検討しているんだろうか。いま私は一、二申し上げました。かつて私はこの国家行政組織法についてかなり矛盾点について指摘したはずでありますが、そういうものはどういうふうに検討されているんだろうか。
#24
○政府委員(佐倉尚君) ただいま長官からお話がございましたように、国家行政組織法、いろいろ御議論がございます。ただ、現在私どもの方で国家行政組織法について具体的にどうこうという検討はしておりません。
#25
○山崎昇君 そうすると、国家行政組織法については検討していない、これも臨調の答申待ちます、こういうことですね。
#26
○政府委員(佐倉尚君) 特にどこをどうするという具体的な検討をしているわけではないということでございます。
#27
○山崎昇君 だからあなたの方は、簡単に言えば国家行政組織法については検討しておりません、さっき長官の答弁によれば、臨調で何か意見が出るでしょうからそれを待ってやります、こういう話だから、国家行政組織法については手をつけておらないというふうに理解していいですね。
#28
○政府委員(佐倉尚君) 国家行政組織法の具体的な議論、どこをどういうふうに検討し、どういう点を考えればいいかという具体的なことは検討していないということを申し上げているわけでございます。
#29
○山崎昇君 具体的なことをやらなければ検討にならぬじゃないですか。国家行政組織法をながめてどうしたらいいですかというのは検討のうちに入らぬですよ、そんなものは。だから何もやってないということですね。そういうふうにしておきます。
 それから、これは少し細かいことになりますが、昨年かなり配置転換を行って、臨調に相当な資料が出ているように私ども聞いておりますが、昨年の配置転換の実績、どこの省からどういう職種が行って、受け入れた省はどういう職種でそれを受け入れたのか。先般、あの敦賀の原発の問題と関連して一部誤報がありましたけれども、そのアウトラインを報告願っておきたい。
#30
○政府委員(佐倉尚君) ただいまのお話の省庁間の配置転換の実績でございますが、出していただきました省庁は農林水産省、建設省、北海道開発庁、これは開発局の方でございますが、それから受け入れました方が法務、労働、外務、文部、大蔵、通産、主なところはそれぐらいでございますがいそのほかにも若干ございます。
 どういう職種にという話でございますが、法務省では登記事務、労働省では労働基準、職安の関係、外務省では本省の旅券等の事務、文部省では大体国立大学の事務局、大蔵省では税務署、通産省ではいまの話がございました運転管理専門官等、その他公取委員会、厚生省、運輸省、科学技術庁、行政管理庁等が受け入れております。全部で数は八十九人でございます。出しました農林水産省は営林署あるいは統計情報事務所、食糧庁の食糧事務所、そういうところから出ております。建設省におきましては地方建設局の方から出していただきました。北海道開発庁の場合には北海道開発局の方から出ております。
 おおむねアウトラインは以上のとおりであります。
#31
○山崎昇君 そこで、外務省来ておられますね。――ちょっと外務省にお聞きします。
 かつて外務省は、これから日本はますます国際化の中で生存をしていかなきゃいけない、そういう意味では、在外公館の拡充をしなければとうてい情報の収集もできないし、的確な外交方針を立てることも困難であると、そういう意味で、あなたの方は昭和五十五年の八月に、私もこれもらってありますが、「わが国外交の課題に応えるため、外務省定員を昭和六十年度までに五千名に拡充する必要がある。」というんで、麗々しいこの印刷物が配られているんですね。私はこれを見ました。
 また、外国に参りますというと、どの大使館でも領事館でも一様に言われることは、ごらんのとおりもうどうしようもありませんと、それから最近のように経済その他が国際化してまいりますというと、相当専門官を配置してもらわなきゃとても大使館の機能は遂行することができない。こういう訴え等がありまして、当時これかなり議論を呼んだ問題であります。
 ところが私は、これ調べてみると昭和五十五年度で八十人、五十六年度で八十人、昨年の配置転換で、いま説明のあったとおりであります。何も在外公館にこれ行っているわけでもない。言うならば、外務省の本省にいて、渡航事務だとか旅券発行事務だとか、そういうものに従事しているだけの話であって、一体、あなたの方で出されたこの五千人にわたる拡充計画というのはどうなったんだろうか。これに対して行政管理庁はどういう見解をお持ちになって、昭和五十五年度八十人、五十六年度八十人、わずか百六十人ですね。この計画は一体外務省どうなったんだろうか。受ける管理庁はどういう考え方でこれに対処しているんだろうか、お聞きをしておきたい。
#32
○政府委員(愛知和男君) 御指摘の定員増計画は、外務省の計画といたしまして昭和五十四年度に策定をいたしまして、六年かけて昭和六十年に五千人にしたいと、こういうことで計画を立てたわけでございます。
 その趣旨は、御指摘にもございましたが、国際情勢がいろいろ緊迫しておりますし、そういう中で情報収集機能の強化あるいは在留邦人の数、あるいは旅行者が非常にふえておりますのでそういう人たちの保護、こういった見地からもどうしても必要ということでございます。また、ほかの国との比較をいたしましても、現在の日本の状況は大変低いということで、五千人というのは大体イタリア並みでございますが、したいということで計画を立てたわけでございますが、御指摘のとおり五十四年、五十五年と必ずしもこの計画どおりに進んでいないのが現状でございまして、行政改革が検討されている現状、なかなか環境は厳しいわけでございますが、そういう中で何とかこの目的を達成していきたいと外務省としては考えております。
 なお、御指摘の配置転換云々の話でございますが、他省からの配置転換者は本省で使っておりますが、その分だけ本省の者が海外へ行けるということでございまして、このことが全然役に立たないということにはならないと、このように考えます。
#33
○山崎昇君 それじゃ、あなたの方で受け入れて、どれぐらいの人が海外の駐在へ行ったんですか。受け入れただけ、それだけ行っているわけじゃないじゃないですか。
 それから、いまあなたが説明ありました昭和六十年度までに五千名、もうすでに二年度で百六十人です。あと四千八百人ばかりどうなりますか。
 それから、行政管理庁はこういうものを受けて、どういう見解をお持ちですか。
#34
○政府委員(佐倉尚君) 私ども定員の管理をする立場からいきまして、外交の重要性等につきましては十分認識しているつもりでございます。外務省の在外公館の定員につきましても、全体として非常に厳しい定員事情のもとで、これまで私どもとしては特段の配慮を払ってきたところでございます。
 しかし現在、わが国の行政あるいは財政を取り巻く非常に厳しい状況がございますので、在外公館の定員問題も、全体の国家公務員あるいは国家の事務、そういうものの例外たり得るものではないというふうに考えております。
 外務省におきましても、申すまでもなく、外交官のいろいろな質的な面の向上あるいは仕事の能率化、簡素化等の問題、あるいは御指摘の在外公館の間の定員の配置の見直し、あるいは職員のローテーションの問題等いろいろ経験、実績等を活用する方途、そういうものにつきまして一層検討をしていただきまして、少数精鋭のもとに外交を進めていくべきものと考えているわけでございます。
#35
○山崎昇君 幾らあなた、内部で努力をしなさいと言っても、五千名の増員要求が出て、これがわずか百六十名だけ認めて、どうやって内部で調整できますか。閣議で行政改革の方針を出して、一律削減で五%やっておって、片方では各省ごとになればこういうものが出てきて、そしていま質問すれば、内部でそれは調整しなさい、努力しなさい。一体、内閣で決めた行政改革の方針というのは何なんだろうか、そうしたら。私は、絶えず委員会で行政改革ほとんど専門に質問している一人として、よくわからない、あなた方のやっていることは、正直に申し上げまして。これが少なければいいという意味ではありませんが、仮に百名、二百名だったら、外務省だって三千名もいるわけですから調整の要もできるかもしれません。少なくとも五千名の増員要求を出されてきて、百六十名だけ認めて、あとは内部で努力しなさいなんて、そんなことでごまかせるようなしろものじゃないですよ。これは一体行政管理庁長官、あなたの方が中心になって行政改革方針を閣議で決めてやるんだけれども、こういうあり方というのはどういうふうに私ども理解したらいいんでしょうかね。私どもにこれだけりっぱな印刷物来るんです、こういうもの。長官の考え方をお聞きをしておきたい。
#36
○国務大臣(中曽根康弘君) 外交の重要性につきましてはわれわれも同じ認識を持っております。できるだけ外務省の要望に沿うようにわれわれも努力してきたと思います。
 五十六年度におきましては百一人定員を総計して減らしますが、それだけでもずいぶん苦労したわけであります。その中で外務省は八十人ネットでふえておるということもやりましたし、調整定員で二百人を認めて、これを内部操作で行えるようにも実はしたわけであります。外務省もそれでいろいろ御努力を願っておりますが、ほかの省も実は非常に苦労しておやりになっておるんです。日本の官庁全体がほかの外国の官庁と比べれば効率的であり、わりあい少ない人間で成果を上げているので、これは外務省だけでなくしてほかの省も同じように苦労しているというこどもお考えいただいて、外務省の方もひとつ増員の点はできるだけわれわれも努力するからその範囲内でがまんして効率的にやっていただきたい、こう考えておるわけです。
 イタリーが五千人ということでございますが、日本の場合は、たとえば国際協力事業団とか、あるいは海外経済協力基金とか、あるいは国際交流基金とか、そういう外郭の政府関係機関の要員まで入れますと、これはかなりの数にもなります。イタリーの場合は、そういうものは本省の定員になっているやに聞いております。そういうような点も考えてみますと、必ずしも五千人一挙にいますぐふやすと言ってもそれはむずかしい状況にあると思うのであります。しかし、その中におきましても、できるだけわれわれの方は今後とも外務省の充実につきましては協力してまいりたいと思っておりますが、外務省の中におきましてもそういう事情をよくお考えいただいて効率的な人間配置等も改善していただきたい、そう思っておるわけであります。
#37
○山崎昇君 結局は、麗々しくこういうものを出したけれども絵にかいたもちですわな、正直に言って。
 そこで、いま行管長官から、海外には大使館員とか領事館員とか、公務員でない民間の協力隊員等がかなりいて、そういう意味ではイタリーと違うんだといういま話がありました。そこで、外務省にお聞きをしておきたいんですが、海外との交流計画で派遣されてたくさんの人が行っています。そして、日本からいろんな旅行者等が行って、国会議員もそうでありますが、外務省の職員でとうていお世話あるいはその他等ができない場合に、そういう方々を通訳でありますとか、その他でいろいろお使いになるわけですね。ところが、私どももそういう方々に会って話を聞くと、きわめて行っている方々の待遇関係が物すごく悪いと言われる。それから、異口同音に私どもに訴えるのは、二年なり三年なりその国におって言葉をマスターして、そこの習慣も覚えて、しかし将来身分的には何にも保障がない。ましてや日本へ帰ったら就職もままならない、こういう訴えがかなり私どもに参ります。そういう意味では外務省としては、大使館だとか領事館の足りない部分をそういう人がやっているのだけれども、そういう方々の処遇というものについて一体どうされようとするのか、この機会でありますから、いま中曽根長官から関連してそういうお話がありましたからお聞きをしておきたいと思う。
#38
○政府委員(愛知和男君) 海外の在留邦人あるいは旅行者が非常にふえているわけでございますが、そういう方々のお世話をすること、外務省の大事な役割りではございますが、しかし一方、外務省以外の民間にお願いをしてこなしていただける職種、仕事の内容もございますので、そういう意味で外務省では派遣員制度というものを昭和四十八年度から採用いたしております。これは国際交流サービス協会に委託をしているわけでございますが、そこの駐在員ということで海外に派遣をいたしましてそういったサービスに当たらせているわけでございます。
 この人たちの身分は国際交流サービス協会の職員あるいはその嘱託員ということで、任期は二年、もう一度その更改ができるということで最大四年駐在をするということでやっておりますが、こういう方々の待遇につきましては、外務省の職員ではございませんのでそっくり同じというわけにはまいりませんが、同じ学歴とか年齢とかを勘案しながら、外務省の職員との待遇を考慮しながらその待遇を定めております。
 また、御指摘の帰国後のアフターケアということにつきましては、外務省が直接責任を持つわけではございませんけれども、可能な限りこういう方々のその後の身の振り方について御相談なりあるいはお手伝いをさせていただいてきておりまして、いまのところ全部で百余名、百名ちょっと帰国者がございますが、ほぼもとの職場に帰ったり、あるいは大学に行きましたり、またその中には外務省で採用したという例もございます。したがいまして、ほぼその後の就職等につきましてはいまのところ問題ないように聞いておりますが、しかし今後こういう方々がより一層元気を出して張り切って働いていただくためにも、その後の就職等につきましては外務省としてもより一層力を入れてお世話をしていかなきゃならない、このように考えております。
#39
○山崎昇君 本来なら、あなたの方に通告してありますように、多少外交方針等について種々聞きたいつもりでおりましたけれども、きょう少し時間が制約されてまいりましたので大変恐縮に思っておるわけですが、最後に一点、外務省にお聞きをしておきたいんですが、今月の七日に国連事務総長のワルトハイムさんがおいでになる予定のようでありますね。
 そこで、私はお会いしたこともありませんし、直接この人を知っているわけでもありません。ただ努めて、どういう方かということで、幾らかでも本等を読んで理解をしようと思っておるわけなんですが、実はここに持ってきておりますのはワルトハイムさんが直接これ書かれた「世界で最も厄介な仕事」という一冊の本があるわけなんで、これを読みながら、国連事務総長というのは大変な仕事であるし、現職がよくこういうことを書いたものだと思って興味を持って見ているわけなんですが、その中に私は注目すべき一節があると思っているので、その点だけあなたの見解をお聞きをしておきたい。
 本来なら外務大臣にもお聞きをしたいと思っているんですが、実は先般来鈴木総理がアメリカへ参りまして日米共同声明が結ばれたわけなんですが、その中の最も議論になりました同盟関係というものと関連しまして、改めて言うまでもありませんが、日米両国間の同盟関係は、民主主義及び自由という両国が共有する価値の上に築かれているから同盟関係なんだという趣旨の共同声明になっているわけです。
 そこで、これに対して、ワルトハイムさんはこの西洋民主主義というものに対して痛烈な批判をしているんですね。ごく簡単ですから一節読ましてもらいますけれども、
  ついこのあいだ解放されたばかりの国々は今日、国連の過半数を占めているだけではなく、自分たちにふさわしい立場を要求し、平等に扱われるよう希望してもいる。「西洋中心主義」は、彼らにはますますもって耐え難くなってきており、この主義は彼らのなかに無理解と偏見とをひきおこすようになってきている。
  だが、これらの国々の独立のどれもこれもが必ずしも幸福には結びついていない、ということを、西洋圏内で耳にすることはまれではない。また、第三世界のほとんどの国々は独裁体制に支配されている、と主張されることも時々ある。こうした発言が外交レベルにおいて、けっして先進国と発展途上国のあいだの関係改善には貢献しないということはここでは置いておくとしても、ここには考え方のうえで大きな誤りがある、と私は思う。
  その誤りは、西洋民主主義のことを世界で最上の政体であるのみならず、地球上のすべての国々にとって、その文化、歴史、生活水準のいかんにかかわらず自動的に通用する唯一の政体にちがいない、とする見方である。こういう見方をする人が往々にして忘れがちなのは、ヨーロッパの国々においては苦心の末に国家を統一し民主主義を建設する前に、何百年以上にもわたる長い、そしてしばしば流血のいきさつがあったことである。
 と指摘して、言うならば日本とアメリカは自由主義あるいは民主主義ということを共通の認識として、同盟関係で、これが世界で最大の価値みたいなことを両者で結んでいるようでありますが、国連の事務総長はこれに対して、そういうことをおっつけたり、それが唯一の政体だと思うことは誤りだという指摘をしているんですね。
 七日に来られるようでありますが、一体こういう国連の事務総長の指摘に対して、こういう日米共同声明を結んだ外務省としてはどういうふうにお考えになるのか。まあ、多くのことを本当は聞けばいいんですけれども、時間がありませんからこの一節だけあなたに聞いておきたい。
#40
○政府委員(愛知和男君) ワルトハイム事務総長はその職にすでにもう十年おられる方でございまして、数々の重要な役割りをしておられる方でございますが、その方の御指摘になりましたような点は大変傾聴に値することだと思います。この七日にわが国を御訪問になりますが、実はせんだって総理が訪米をされた際にもワルトハイム事務総長とお会いをしたい意向があったわけでございますが、ちょうどおられなかった関係から、今度日本で会談が実現することになりまして、世界情勢、特にカンボジアの問題等を中心にして日本の首脳との意見の交換がなされる予定になっております。
 ただいま御指摘の点につきましては、私は、日本とアメリカが自由、民主主義といった価値観の共通な認識に立つ両国がお互いに関係をより深めていくという意味で結ぶ、その趣旨がうたわれた共同声明でございまして、そのことが即その価値観をほかの国にも押しつけるということを意味しているわけではございませんで、したがって、両国の間の価値観をお互いに認識し合ったということでございます。また、民主主義というのは、お互いに価値観を尊重し合うということにもその重要な意味があるわけでございますから、価値観を異にする国に対して価値観を押しつけるというのではなくて、むしろ民主主義というのは、それはそれで認め合うということに大きな意味があるのではないか、このように思いますので、日米共同声明の趣旨というのは、これを他の国に押しつけるということではないというそういうこともひとつ御理解をいただきたい、このように思うわけでございます。
#41
○山崎昇君 これは短時間でやって誤解があってもいけませんけれども。
 しかし私は、日本のいまの外交を見ているというと、何かアメリカにのめり込んじゃって、アメリカの世界戦略の中に入っちゃって、そしてそれが世界の平和を守る最大の道みたいな考え方で、きのう来、核の問題でも議論されておりますが、何か私は、端的に言えば世界の政治の流れというのはもう第三世界が中心になって、言うならば非同盟中立の考え方というのがほぼ世界的な政治の潮流ではないかという気がするものだから、余り日本がアメリカにのめり込んでいっちゃって、何かその価値観だけが唯一みたいな考え方になっては大変だという気持ちもありまして、せっかくワルトハイムさんがおいでになるというものだから、一節だけ紹介して、いまあなたの見解を聞いたわけです。これは別な機会にまた外交方針の問題としてやることにして、きょうはこの程度で終えさしていただきたいと思うんです。結構です。
 さて、そこで本題の定年制の問題について、少しく技術論も入りますが、お聞きをしていきたいと思っています。
 まず第一に、提案説明もありましたけれども、ごく簡潔に法案提出に至るまでの経過について御報告を願っておきたい。
#42
○国務大臣(中山太郎君) 定年制法案を国会で御審議をいただくまでの経過につきましては、昭和五十二年に国家公務員に定年制を導入するものとするという閣議決定が行われております。この閣議決定で定年制を導入するということに方向が決まったわけでございますが、公務員の方々の身分に関する問題でございます、身分保障に関する重要な問題でございますから、中立的、専門的な中央人事機構として存在している人事院の意見を聴取したい、こういうことで昭和五十三年二月に総務長官から書簡を発信いたしました。これに対して、人事院は一年半にわたっていろいろと調査をされ、その結果、人事院総裁という資格で書簡を総務長官あてに送ってこられた。で、この書簡は、その内容から見てきわめて重いものを示していると、こういうことで、この人事院の考え方というものを十分参酌した上で国会に法律案の御審議をお願いするような経過に立ち至ったと、このようなことでございます。
#43
○山崎昇君 そこで総務長官、いま経過を簡単に聞いたわけなんですが、総理府の参事官に片山虎之助さんという方がおられますね。この人の著書を読ませてもらいますというと、いまお話のありました人事院の書簡についてこう述べられています。「書簡形式とはいえ、この人事院見解の表明は、国家公務員法第二十三条の規定に基づく「法令の制定改廃に関する意見の申出」と位置付けられている。」と、こう断定して述べられております。したがって総理府としては、いまの経過の中でこの人事院の書簡というものは国公法二十三条の意見の申し出とあなた方は考えて処理をされているのか、改めてこれは聞いておきたいと思います。
#44
○政府委員(山地進君) 国公法の二十三条の「意見」というのは、国公法の規定にございますように、国会並びに内閣に人事院の方から自主的にお申し出になるのが「意見」の本来の姿でございまして、いま大臣から申し上げました書簡というのは、内容的な重みがあるということで私どもは尊重したわけでございますが、この二十三条の「意見」とは違うものであると、こういうふうに考えております。
#45
○山崎昇君 そうすると、この片山虎之助さんの言っている、意見の申し出と位置づけられているというこれは誤りですか。もし誤りとすれば、こういうものを堂々と著書で出して、世間一般では人事院の書簡はもう二十三条の意見の申し出ととられているんですよ、地方の人なんかは。誤りですか、これは。
#46
○政府委員(山地進君) いまの御指摘の文章というのは「自治研究」に書かれた、人事局の参事官として在職中に書かれた文章であろうかと思うわけでありますが、それはあくまで個人的な意見でございまして、私ども局の正式な意見というわけではございませんので、この点については御理解を賜りたいと思います。
#47
○山崎昇君 現職の総理府の参事官が断定的に解説みたいにして書いておいて、いまさらそれは総理府の見解でありませんの何だのということは私どもとるわけにはいかない。
 それから人事院にお聞きしますが、人事院はなぜ二十三条の意見の申し出をしないのですか。私は、なぜこれを聞くかというと、たとえば国家公務員法の二十八条の一項を一つとってみましても、国会みずからが情勢に適応するように何か勤務条件その他変えようとしても、その際には必ず人事院の勧告を受けなければなりませんとある、二十八条の一項でも。これだけ公務員制度の根幹にかかわるような制度改正をやるというときに、なぜ人事院は二十三条に基づいて堂々と国会と内閣に意見を出さないのか。仮に総理府から意見を求められて書簡というかっこうで総理府に出したとして、行政機関同士の話し合いはそれでいいかもしれない。しかし国会に対しては何の人事院の意思表示もない。改めて人事院は二十三条に基づいて国会に対する意見の申し出を行うべきではないだろうか、これが国家公務員法全体を流れている人事院に対する重みじゃないんでしょうか。その点について人事院の見解を聞いておきたい。
#48
○政府委員(藤井貞夫君) 人事院としての公式の見解の表明方式というものはいろいろあると思いますが、その中で一番中心になりますものは、いま御指摘になりました二十八条関係のなかんずく給与に関する勧告の問題、形式、もう一つは、これも御指摘になりました二十三条の意見の申し出、この二つがあるわけだろうと思います。これはいずれも国会と内閣に対して申し述べるという形を法の明文で義務づけておるということでございます。
 今回の定年制に関して、あえて人事院がその形式をとらないで書面の形でもって意見の表明をいたしましたのは、これは総務長官からもいま御説明がございましたように、総理府の方から私どもあてに、事柄は公務員の分限に関する、身分に関する事柄であるからひとつ人事院の見解を聞きたい、そういう意味のことがございました。そこで、これを受ける形で公式の人事院としての見解をお示しをいたしますのは、この形にお答えをするという形が最も自然な形ではないかというふうに考えました。
 それともう一つは、この問題が影響するところは非常に大でございますとともに、特に本問題については、わが国の一般的な公務員について定年制を導入するということは、単に一般職だけの問題ではなくて、波及するところが恐らく多々あるであろう。特別職の問題もございますし、その他いろんなところに波及する、そういう問題でもございましょうから、それについてはやはり総理府あるいは政府一体となっていろいろ調整の方策等を総合的に御検討をいただく形というものについて余地を残しておくことがむしろ適当ではあるまいかというふうに配慮をいたしたことも事実でございますが、要するに問題は、書簡が参りましたので書簡に対する御返答という形で意見を申し述べることが一番自然な形であるというふうに理解をいたしたからでございます。
#49
○山崎昇君 それは答弁にならないんだよ。あなたは五月七日、衆議院の内閣委員会で、今回正式の形式にしなかったのは人事院として定年制を正式に申し出るという機が熟していないと思う、こういう制度をとることに人事院自身は機が熟していないと判断をしたから意見の申し出をしなかったと、これはあなたが衆議院の内閣委員会で答弁しているんです。人事院として機が熟していないものを何で私ども、あなたから意見の申し出のないものをやらなきゃいかぬのだろうか。そんなに人事院というのは軽いものだろうか。いま私は二十八条の一項をあなたに申し上げて、あなたもそうだと言う。改めて、ここにありますよ、勤務条件や給与、そういうものでさえ国会が情勢に適応するように改める、随時改めていいです、その場合でも人事院は勧告を怠ってはなりませんとある。だから、人事院の勧告がなければ国会といえども情勢適応だというんで簡単に改められない仕組みになっているんですよ。ましてや、いまあなたが言うように、日本の官吏制度始まって以来この分限規定というものが改正になる、公務員制度の根幹にかかわるようなことについてどうして人事院は意見の申し出ができないんだろうか。
 なるほど総理府との間には、手紙が来たから書簡で返しました、それであなた方は総理府に対してはいいと思う。国会に対してはどうしますか。私はこれだけの重大な法の改正に際しては人事院の責任は重大だと思っているんです。改めて私は人事院は二十三条に基づいて国会並びに政府に対してこの法律の改廃について意見の申し出をすべきである。それを待って国会は審議をすべきだと私は思っているんです。
 そういう意味で、委員長に私はお願いしておきますが、この法案はとりあえず私は凍結をしてほしい。そして、改めて人事院は二十三条に基づいて意見の申し出を国会と政府にすべきである。その上に立って、私どもはあらゆる角度からこの制度について検討すべきだ、それが筋道だと思う。国家公務員法の要請している条件だと思う。そういうものを抜きにしてこの問題をどんどんどんどん進めることは私はいけないことではないんだろうかと思うんです。どうですか、総裁。
#50
○政府委員(藤井貞夫君) 私が定年制について申し上げたことについて御指摘がございましたが、それはそのとおりでございます。ただ、その時期においては、繰り返し申し上げておりますように、ちょうど人事院といたしましても、定年制というのは退職管理に関する重要な方式でございます。そういうことで、もちろん従来から大変な関心を持っておりまして、これなりに検討を加えてきておったことは事実でございます。その具体的なあらわれとしては、制度自体の検討もやっておりまするし実情調査もやっておりますし、その中の一つとして、これも本委員会等でも御説明を申し上げたことがあるかと思いますが、退職公務員の生活実態について追跡調査をするとか、そういうこともあわせて並行して行ってきておったわけでございます。それらの検討が全部終わった段階において結論が得られますれば、その段階においてどういう形で人事院の意見を表明するかということを決定をするという段階があるいはあったかもしれません。そういう途中の段階において、まだそこまで人事院の意見を固めるまでに至っておりませんという趣旨のことを申し上げたことがあると思います。そのとおりでございましょう。
 ただ、その後の情勢の変化というものがいろいろございます。閣議決定というようなこともございますし、これを受けて総理府総務長官の方からわれわれどもの方にひとつ見解を聞きたいというような、そういう御書簡も参りました。したがいまして、それを機にして、従来やっておりましたことをさらに慎重に調査検討の度合いを深めますとともに、それについてのやはり結論をそうじんぜんと経過さすべきものではないというようなことから鋭意検討を続けました結果、一年約六カ月にわたる慎重の実情の調査あるいは分析、検討の結果こういう結論に達しましたので、ちょうど書簡も来ておるので、それに対するお答えという形で、自然な形で意見を表明するということが最も正常な道ではないかというふうに考えた次第でございます。
 したがいまして、そういう情勢等が仮にない場合に、人事院がいつ結論を出し、いつどういう形でやったろうかということは、これは一つの仮定の問題でございますので私がここでとやかく申し上げる筋合いではないと思います。思いますが、しかし従来のそういういろんないきさつ、経緯から申しまして、書簡に対する御答弁、お答えという形でやることにいたしたというのが実際の経緯でございます。
#51
○山崎昇君 私は委員長にお願いしておきますが、これは理事会でひとつ御検討願いたい。改めて国会としては国家公務員法二十三条に基づく人事院の意見を出してもらいたい。これだけ重要な制度の改正について人事院が正式に、国家公務員法の規定があるにかかわらず、それに基づいた意見の申し出がないということはきわめて遺憾である。そういう意味では、これは委員長にお願いしておきますが、理事会で検討願っておきたい。いいですね。
#52
○委員長(林ゆう君) 取り計らいます。
#53
○山崎昇君 そこで次に、定年制をめぐります問題点等について二、三この機会でありますから見解をお聞きをしておきたいと思うんです。
 まず、総務長官にお聞きしますが、公務員の任命行為というのをどういうふうにあなた方は理解をしているんだろうか。きょうは私はそう時間ありませんから私の方から先に申し上げますが、私もいろいろ読んでみると、おおむね学説的には三つあると聞いています。一つは特別権力関係説、二つ目には公法上の勤務関係、三つ目は労働契約説と、こう大筋三つだと私ども理解をしておるわけなんですが、そこでいろいろ行政法学者の著書等読ましてもらいますと、大体田中二郎さんの学説というのが大方の意見を代表しているように私は見受けます。それによりますと、相手の同意を条件とする特定人に身分を与える行為である。言うならば公法上の契約説というのが大筋の方向のようでございます。もしそうだとすれば、相手方の同意を必要とするわけでありますから、当然それに対して条件を示さなきゃなりませんね。そういう条件を一方的に改めるということは、私はやっぱり片手落ちのやり方ではないんだろうかという気がしますので、この任命行為について、きょうはこれそのものについて議論するつもりはありませんが、いま私から申し上げましたように、公法上の契約だということをお認めになるかどうか、お聞きをしておきたい。
#54
○国務大臣(中山太郎君) 先生お示しのように、学説としては存在することを私どもも存じておりますけれども、その学説が即政府の正しい見解であるというふうに申し上げる立場にはないと、そのように考えております。
#55
○山崎昇君 いや、いや、学説そのものをあなたにいま認めろというんじゃないけれども、大筋、行政法学者が――いろいろありますが、見ると、任命行為というのは相手の同意を必要としてその人に身分を与える行為でありますと、こう述べられておるのが大筋の行政法学者の大体意向。だから、あなた方も公務員を任命する際には大筋そういう考え方のもとに私は任命しているんじゃないんだろうか、こう思うものですから、ほぼそういうことであなた方が理解をしているのかどうかという点でいま聞いておるわけです。どうですか。
#56
○国務大臣(中山太郎君) そのようなことと理解をいたしております。
#57
○山崎昇君 次に、見解としてお聞きしておきますが、定年制そのものについてあなた方の見解を二、三お聞きをしておきたいと思うんです。
 これも時間の都合で私の方から述べますが、かつて日経連は「定年制の研究」という本を出しました。これを私が読みますと、何点かに分けてこの定年制というものについて述べておるわけなんですが、第一は、当事者の意思表示なくして労使関係が自動的に終了する制度である、第一ですね。第二、日本は任用期間を明示せずに大筋終身職制度を中心にした契約制度をとっているんだが、この定年制というものは停止条件につき雇用契約にかわるものである。言うならば任用期間が明示をされてくる、こういうものにかわるんだ。第三点、従業員の年齢と労働能力の具体的指標と見て、一定年齢に到達した場合に経営に高質性の維持が困難となったと見なして自動的に解雇する制度である、自動的に。第四点、社会的不幸であり、失業を意味し、人生を失望と暗黒に突き落とす制度であり、人がつくったものである。これが日経連が「定年制の研究」という本で示した大筋の定年制というものについての定義であり、解説なんですね。これ、そのとおりお認めになりますか。これは経営者側がつくったものなんです。
#58
○政府委員(山地進君) 初めていま御高説承ったものでございますので、恐らく先生の長年の御経験からそういうことを御勉強いただいているんだろうと思うので、恐らく記述はそのとおりだろうと思いますが、私どもの方としては、いま一番最初に言われた簡単な定義というものでこの際定年制というものを考えてきておるわけでございます。
#59
○山崎昇君 あなた方もあやふやだね、これだけの法律を出しながら。
 私が一番注目しているのは、経営者ですら、社会的不幸だ、失業を意味するという、人生を失望と暗黒に突き落とす制度だ、そして人がつくったものだ、自然の制度ではないと言うんだ。これは定年制そのものについてこういう見解をとっているんですよ。
 そして私は、これに関連しまして、この国家公務員法というもの全体をながめて、この定年制度というのは私はいまの国家公務員法の制度からいったらなじまないものではないんだろうか。なぜならば、科学的な人事行政だと、こう言うんですね。そしてその中身としては、公正な基準を設けます、成績主義と身分保障でいきます、そしてその中身は、職と人を分離いたします、人を採用する場合には公開の採用試験でやります、能力の実証主義に基づいてやります、能力がなくなった場合には分限でおやめいただきます。あくまでも能力主義をとり、成績主義をとっているんですね。それ以外の何物でもないんです。それがいま言ったように、一定の年齢来たら何もかにもない、首を切るなんという制度は、この国家公務員法の精神からいったら私はなじまない。単に分限に一条ふやして、六十歳になったら首切ればいいという制度として考えることは誤りではないんだろうか。
 だから、後でも聞きますけれども、いろいろな点において矛盾が出てきますね。たとえば勤務の延長にいたしましても再任用にいたしましても、いろいろな規定との間に矛盾が生じてきます。そういう意味で、言うならばそういうことを検討せずしてこの定年制というのを設けようというやり方は私は不当でないかと思う。政府のやるべきことじゃないんじゃないだろうか、こう思うんですが、重ねてこの国家公務員法との関連で定年制というものについて見解を聞いておきたい。
#60
○政府委員(山地進君) 国家公務員法に身分保障の規定があるのは先生の御指摘のとおりでございますが、この身分保障の規定は、法律によらなければ恣意的には――正確に読みますと身分保障のところは、「職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、免職されることはない。」、これが身分保障の規定でございます。これをしゃくし定規に法律さえつくればいいんだということを申し上げているわけではございませんが、この国家公務員法の全体の精神というのは、国民に対して良質のサービスを提供するというのがまず基本でございます。
 そこで、この身分保障というのについて法律の定めるところ、事由によるということが合理的な理由がある場合は当然この身分保障というものの例外的なことになるというのが私どもの見解でございまして、こういったことから、私どもとしては定年制ということが合理的な理由であるというふうに申し上げておるわけでございますが、かねがねこの決定に至るときの過程において、現在の国家公務員の退職勧奨機能というのが六十歳以前において十分機能していたこと、それからもう一つは、民間においても六十歳定年ということが一つの目標になりつつあるということ、これらを根拠にいたしまして、私どもとしては六十歳定年ということの合理的な理由があるとして今回この法案を提出したわけでございます。
 それからもう一つ、終身雇用ということの関連でございますが、これは民間の場合に雇用期間の定めがない雇用契約というのがあるわけでございますが、これは四十三年の判決において、雇用の定めがないということは終身雇用を、それを決めてあるわけじゃない。単に雇用の終了期間が決めてないのだという見解が出ているということもつけ加えさしていただきたいと思います。
#61
○山崎昇君 そうじゃないんじゃないでしょうか。
 実は昭和二十六年ですが、人事院と、当時地方自治庁と言いましたが、人事行政提要というものをあなた方出されて、その中に国家公務員法の精神という項が一つございまして、公務における成績主義と終身職制度は実に身分保障をその支柱とするものであるという解説を出されている。だから、いまの国家公務員法というものは、こんな一律に年齢で首切るということを前提にしてつくられた法律ではない。あなた方が今日まで出された解説や指導書はすべてそんなことにはなってないんだ。それをいまあなたの言うようなことでやろうとすることは無理がある。この点だけは重ねて申し上げておきたいと思うのです。
 それから、これに関連して人事院にお聞きをしておきたいんですが、実はここに私は、昭和五十六年三月五日、人事院の管理局が出しました人事管理官会議開催の記録を持っているわけなんですが、その中で総裁は「公務と一般の企業とは本質的に異なるものがある」、こう述べられておるわけなんですが、一体どういう点が本質的に違うとあなたは判断されるのか。
 第二点、「他の国」というのは外国だと思うのですが、「他の国と較べた場合に、問題のない程、非常にスムーズにうまく行われているのではないかと思っております。」と、これは勧奨退職について述べられたんじゃないかと思う。だから、その点もどういうふうに具体的にあなたはこういう判断されるについてスムーズと思われたのか。
 第三は、これは事務総長が述べられていることでありますが、給与法等を例にとって過去の歴史について語られておる。それは、一遍人事院で制度をつくるということは、それは長期にわたってその制度を維持しなきゃならぬ。たとえば給与制度で言うならば、昭和三十二年にできて今日まですでに二十四年間たっている。だから、これからもし制度を変えるというなら、長期を見通してやらなければなりません。こういう趣旨のことをこの人事管理官会議で述べられて、慎重な態度をとっておられるんですね。
 そして重ねて、これは事務総長の言葉でありますから総裁に聞くのはどうかと思いますけれども、これに載っておるわけですからあなたにお聞きをしておきたいんですが、たとえば企業内雇用との関係で、企業内の秩序の中で安心して働いている。したがって、企業内の秩序をそう簡単に変えてよいものではない。言うならば、いま勤務されている公務員の皆さんは現行法の中の秩序で勤務されておる。そういうものを軽々に変えるものではないんだ、十分検討して、あらゆる角度から検討して、変えるときには変えるべきものなんだ。その際に取り組みの姿勢としては、第一に従来の経験にかんがみること、第二に将来の展望に立ってやること、第三は現在の情勢を踏まえてと、こう述べられておるわけです。これは事務総長の言葉ではありますが、あなたもおられたときの人事管理官会議で述べたことでありますから、総裁からその真意について、せっかくの機会でありますからお聞きをしておきたいと思います。
#62
○政府委員(藤井貞夫君) お答えをいたします。
 事柄が公務並びに公務員をめぐる基本的な問題に絡む御質問でございますので、多少時間をいただいて申し上げたいと思います。しかし、極力簡潔に申し上げるつもりでございます。
 第一点の公務と民間企業との相違、これは私は機会のあるたびにはそれを申し上げております。いろいろ局部的にいけば、それぞれの相違点のみならず、類似点もたくさんございましょう。ただ、本質的な問題としては、これは公務というものは予算の執行であり、法律の執行であるということでございましょう。そのために、これは全体の奉仕者として、一部の奉仕者ではないというのは憲法でも言っていることでありますが、全体の奉仕者としてやらなければならぬというのが基本的なこれは公務並びに行政の本質であろうと思っております。すなわち、これをやることによって利潤を得るとかなんとかということではないということでございます。したがいまして、その点は、民間の企業活動というものは何としてもこれは利潤追求ということがその根本的なねらいでございますので、利潤の追求というものと全体の奉仕者としての公務の執行ということとは、これは本質的に截然たる区別がある、だからということで、私は常々申し上げております。それはそういう意味で申し上げていることでございます。そのためにいろいろの法律上の規制もございまするし、また法律上の利益、身分保障その他の利益保護の規定も設けられておるものであるというふうに理解をいたしております。
 それから第二の点でございますが、わが国の公務員制度というものは大変りっぱなものであるという意味のことを、これも常々申し上げております。私はその点はいまでも誇りを持って申し上げていいのではないかという確信を持っております。世界にそれこそ冠たる公務員制度であると申してよろしいかと思います。この点は、ある審議会の内容にわたって申し上げることはこれは差し控えた方がいいと思いますが、この間、先刻山崎さんが問題に取り上げられておられました臨調――内容のことは申し上げません、これは仁義上ございますので。そこで私、呼ばれまして、公務員制度のいきさつなり本質なりということについて、ちょうどいい機会でありますから申し上げました。この内容については、いまここで申し上げることは差し控えますが、その際にある委員から、人事院としてはやはり外国の諸制度もいろいろ検討しておられますか、調査しておられますかという御趣旨の御質問がございました。私は当然、人事院としてはいまの制度の中に安住して、これが一番だというようなことでそれ以外のものは考えないというそういう固陋なことは考えておりません、したがって、これは非常に虚心坦懐な気持ちで外国の諸制度等も一生懸命勉強しております、参考にいたしたいことは参考にいたすつもりでおりますと。ただ、その点については日本に取り入れるべきかどうかということについては、これは慎重なやはり判断が必要であろうと思っておりますと申し上げました。そうするとその委員は、これはあなたの…
#63
○山崎昇君 簡単に。
#64
○政府委員(藤井貞夫君) 簡単に言います。あなたはひとつ、この問題については変なことをまねする必要はない、日本の制度は一番だからというのが、さる著名な行政学者、公法学者の御意見としてございました。それをちょっと御披露申し上げさせていただきたいと思います。
 それから第三の点は、これは実は先生も大変そういう点はお詳しいからはっきり申し上げますが、去年の人事管理官会議で申し上げましたのは、実は去年の勧告の際に報告事項として申し上げましたことの布石と申しますか、そういうことをひとつ検討しようじゃないか、そういうことはあるいは表現はいろいろ慎重を要するけれども、そういうことを物申そうではないかというようなことで内々検討を続けておりました。そういうことが事務総長の見解として表明をされたと思います。
 私は大筋は、むろん私の部局でございますし、それは全部私自身の責任として理解をいたしておりますし、そのとおりでございまして、そういう角度に立って昨年の報告を申し上げ、そこで、人事行政というものがわが国においては三十余年を経過いたしておりますから、ひとつこの時点において社会経済情勢の変転に即応して、それに対応する長期的、総合的な施策というものを掘り下げていくべきではないかということを申し上げました。その場合には余り突拍子もないことは当然人事行政ですから考えられませんですけれども、やはり過去の経緯にかんがみ、現状を踏まえ、そして将来の展望に立ってやっていくということを申し上げたつもりでございます。
#65
○山崎昇君 本当は基本論もっともっと、これ私はやりたいつもりでおるんですけれども、いかんせん時間がもう制約されてきていますから、はしょって聞いていきたいと思うんですが、厚生省来ていますか。あなたにちょっとお聞きをしたいんですが、最近の人口動態についてちょっと説明願いたいと思う。その中身は、最近の平均寿命、正確に一体どれぐらいで、それから五十五歳、六十歳、六十五歳の三つぐらいでいいと思いますが、平均余命がどうなっているのか。それから最近結婚が遅いと、こう言われておるんですが、まあ平均しか出せないと思いますけれども、平均の結婚年齢、それから第一子の生まれる年齢、それから第二子ぐらいしか平均的には生まれてないと思うんですが、生まれる年齢、それからそれらの子供が一応独立するときの親の年齢等々簡単にちょっと説明願えませんか。
#66
○説明員(小林昭二君) 昭和五十四年の簡易生命表によりますと、平均寿命、すなわちゼロ歳の平均余命でございますが、男は七十三・四六歳、女は七十八・八九歳でございます。先生御指摘の余命でございますが、男について申し上げますと、五十四年で、五十五歳の余命は二十二・五五歳、六十歳につきましては十八・五一歳、六十五歳につきましては十四・七五歳でございます。女性につきましては、五十五歳二十六・五二歳、六十歳二十二・二歳、六十五歳十七・九二歳でございます。
 それから、初婚の平均年齢でございますが、五十四年の人口動態統計によりますと、現在初婚の平均年齢は夫二十七・七歳、妻二十五・二歳でございまして、妻の初婚年齢はここ七、八年で約一歳上がっております。
 それから、第一子を出生する年齢でございますが、父の年齢で申し上げますと二十九・〇歳、第二子を産む年齢は、父の年齢が三十一・二歳、母の場合、第一子が二十六・三歳、第二子が二十八・六歳でございます。ちなみに、第一子、二子を合わせますと、五十四年の出生百六十四万人のうち八三・四%を占めております。
 第三の御質問の、子供が成人するときの父の年齢でございますが、独立というお言葉でございますが、成人で、二十歳で考えますと、そのときの父の年齢は五十一歳、第一子が成人を迎えるときが五十一歳でございまして、第二子が成人を迎えるときには父は五十三・二歳になっております。ほとんど第二子で八十何%を占めますので、第二子がもし現在の二十七・七歳で結婚するというふうに計算してまいりますと、そのときの父の年齢は六十・九歳になります。母の年齢で申し上げますと、第二子が成人を迎えるのが五十・六歳でございます。
 以上でございます。
#67
○山崎昇君 労働省来ていますか。――労働省にお聞きしますが、いまお聞きのように平均寿命がずいぶんと延びているんですが、平均寿命でも余命でもいいですが、年齢と労働能力というものについて労働省はどういう検討をされているんですか。
#68
○政府委員(小粥義朗君) 労働能力にいろんな側面がございまして、たとえば体力であるとか精神能力だとかあるいは知覚機能といったような面がございます。他方、従事する職業との関係でもいろんな態様が予想されるわけでございまして、従来労働省では、そうした体力といったような個々の側面について年齢別に調査をしたこともございますけれども、他方、個々の事例研究といったことを雇用職業総合研究所等で行ったものもございます。しかし、それらのものを総合した形での研究がまだございませんので、これから今後数年以内にまた六十歳以上の年齢層が非常にふえてまいりますから、それに際しての雇用対策をどう進めるかという観点で、実は今年度、加齢と労働能力の相関関係についての調査をいたす予定にしておりまして、現在その設計を進めているところでございます。
#69
○山崎昇君 そうすると、労働省としては何もないんだね。
 そこで長官、いまお聞きしましたように、私はこの人口動態を聞きましたのは、たとえば六十歳で言うと、平均余命が男が十八・五一歳、女が二十二・一三歳。言うならばざっと八十近くまで生きるんですね。言うならば、六十歳で首切られますと、あとの二十年間はどうやってこの人、過ごすのか。これは重大なことではないだろうか。
 それからもう一つ、いま厚生省から説明ありましたように、第二子が二十歳で成人、これはまあ平均ですけれども、父は五十三歳というんですね。そうすると、六十歳で首切られた場合に、この第二子はまだ二十ですから、独立する者もおりますけれども、いまのように大学進学率が多いということになるというと、まだ学生ですわな。とても親をめんどう見るなんということにはならない。それからさらに、この首は切られて就職はないものの、収入は、まあ仮に年金だって月十二、三万しか入りませんわ。それで、第二子をまだ扶養しなきゃならぬという状況にある。第一子は、恐らくこれでいきますというと二歳ぐらいしか違いませんから、第一子だってまごまごすると大学に在学中かもしれません。とても独立して生計を維持するなんということにはならない。言うならば、こういう人口動態からいってもこの六十歳定年制というものは無理がある、まずね。この点について、いま説明のとおりですから、あなたの見解を聞きたい。
 それから、労働省は何にもやってないらしいんですな。しかし私は、労働科学研究所のいろんなデータを見ておりまして、これは少し古いんですけれども、まあ名前言えば、大島さんだとかあるいは狩野さんという教授がおりまして、これもかつて日刊通信社からの本で、労働能力と年齢について研究成果が出されております。これを見るというと、大体肉体的な労働については、衰えについてはある程度のはかるものがあるという。これはどういうものではかるかと言えば、たとえば瞬間的な瞬発力だとかあるいはその他の問題等ではかる可能性はあるという。しかし、精神的な衰えというものについてははかりようがないという。そして、この人の結論、まあ時間がもうなくなってきましたから結論を先に言えば、肉体的衰退はある程度測定できるが、精神的衰退は不可能である、まずね。そして、結果から言うならば、むしろ経験を積んだ年配者の方が責任感が旺盛で事務処理能力の方があるというのです、若い者より。そういう意味で言うならば、一律に年齢で首を切るやり方というのはいけませんというのが労働科学研究所におられた方々のこれ著書ですよね。
 もう一つ参考までに申し上げるというと、これは京都府立大学の山田という先生でありますけれども、暦年の年齢、言うならば肉体的な年齢とそれから暦上の年齢に差があるという。どれぐらいの差があるかというと、三十五歳で四歳の開きがある、四十五歳で六歳の開きが出る、五十五歳で七歳の開きが出る、六十五歳では八歳の開きがある。これはどういう意味かというと、たとえば五十五歳の人で言えば四十八歳から六十二歳までの開きがあるというのです。だから年齢だけで首を、基準を決めて切ることは誤りでございますというのがこの人の見解でもあるわけです。
 だから、公務員法で言えば、能力の実証に基づいて健康で働く意思のある者を一定年齢に来たから首を切るというこの定年制の制度というものは、能力と年齢の関係から言っても私は無理があるんではないか。そして、自治省も来ていると思うんですが、かつて自治省はそういう趣旨の答弁をしているんです。昭和二十六年に、画一的に年齢でやるのは誤りですという答弁をしているんです、大分県の総務部長に対して。だから私は、こういう角度から検討しましてもこの定年制というのはきわめてとるべき制度ではないんだと、こう考えているわけなんですが、きょう時間がありませんが、総務長官の見解だけこの点はお聞きしておきます。
#70
○国務大臣(中山太郎君) いろいろ先生から御指摘があり、また厚生省からも具体的に数字を挙げて答弁ございました。私はやはり民間、国民に対して良質のサービスを行うということが公務員制度の基本的な哲学でなければならないと、そういうことになれば、三十代、四十代の人と六十歳を超えた者と能力が変わらないということは、私は医学を修めた立場から考えるとどうもその説には賛成しがたいと、年をとれば記憶力は減退をするし、ただしそれに反して理解力と判断力は成長をすると、そういうことから考えていくし、また子供を生むという生殖年齢にいる人たちの活動能力と六十歳以上の人たちとの能力とは、個人的な特異な例は別といたしまして、大分肉体的にもハンディキャップがあるんじゃなかろうか。私も頭はげております、先生も頭白くなっておられますが、これがやっぱり三十代の山崎昇先生と中山太郎ではまたうんと違っていたと思うんです。
 そういうことから考えていくと、やはりこの体力の充実して活動力の強い世代にしっかりと国民に対する奉仕をしてもらうということが私は必ず国民から求められる第一条件だろうと考えておりまして、やはりそういう意味から、六十歳で定年制をしくということは、個々の公務員にとっては第二の人生というものはどうも不安でならないというお考えはもちろん私はあるだろうと思うんです。その際に必要なのは、やっぱり年金制度を充実して、定年が来た場合には直ちに年金が十分作用をして、第二の人生は年金をベースにした、安定した老後というものを全体としてつくり上げることがこれからの高齢化社会には必要ではなかろうかと、このように私は考えております。
#71
○山崎昇君 もう一点この機会ですからお聞きしますが、三木さんが総理大臣のときにライフサイクルという考え方を出しましたね。私もこれかなり読ましてもらいました。それから、福田総理のときにもライフサイクルというのがずいぶん言われました。ただ、三木さんと福田さんのライフサイクルは、三木さんは四段階に分けたし、福田さんは三段階に分けた違いはありました。
 そこで、きょう私は三木さんのものをちょっと御紹介申し上げておきたいと思うんだが、こう述べておるんですね。「生涯設計計画」という題名になっている。「老後問題について」というそこでどう述べているかというと、かつては社会の発展に貢献した老人を敬愛し、静かな余生を保障して差し上げる、これはもはや後ろ向きの政策である。前向きに考えるのは生涯設計の完成期であり、ライフサイクルの中で私たちが最も自由に生き方を選択できる時期、その意味で最も人間らしい時期が老後の時期であると、こう述べておる。そのためにどうするかというと、この高齢の時期を四つに三木さん分けまして、第一期五十五歳から五十九歳までを向老期、これは勤務条件の安定化を図るべき時期だと、首切りなんと言ってない。第二期は六十歳から六十四歳、これは初老期、老後生活の基盤整備をこの五年間で行いなさい。第三期六十五歳から六十九歳、これは中老期、社会的連帯による老後生活の支えの完備をこのときにしなさい。そして最後の第四期、それは七十歳以上高老期という、これは保健医療、福祉サービスの充実をもって最終的な老人対策をしなさい、こう言うんですね。これが三木さんの唱えたライフサイクルです。
 これは五十五歳から五十九歳まで向老期、このときに勤務条件を安定化して生活の安定を図りなさい、六十歳になったら首切って勤務条件不安定にしなさいなんで三木さん言ってない。福田さんもそうでした。だから、こういうライフサイクルという物の考え方からいっても、私は定年制そのものに疑問を持つんです、そういう意味で言って。ですから、最近中高年齢層の雇用政策というのが大変重大視をして法律までつくって採用率というものを決めるのはなぜかといったら、ここにひとつ私は淵源があると。中山長官の親分は福田さんのようでありますけれども、一体こういう物の考え方についてあなたはどういうふうに考えられるのか、見解を聞いておきたい。
 それから、もう時間が本当に切迫してきましたからぐっと細かくなりまして、今度の法律を見ておりまして、勤務の延長というのと再任用というのがある。そこで、これについて少しくお聞きをしておきたいんですが、この勤務の延長にしましても再任用にしましても、どういう発令形式をとるんですか。たとえば私のことを言って申しわけありませんが、私は六月二十八日生まれですよね。そうすると、あの法律ではその誕生日の属する年度の三十一日でおやめいただきます。しかし、任命権者はその間で適当な退職の日を決めますとこうなる。だから、どういう決め方をするのかもあわせましてお聞きをする。たとえば四月二日生まれの者だったら一年ある。しかし三月三十日生まれの者だったら、三十一日だったら一日しかない。だから、その間で調整しようという考え方だと思うんですが、一体、勤務の廷長でも再任用でも同じだと思うんですけれども、これどういう発令形式をとるんですか、勤務の延長の場合には。それから再任用の場合にはどういう発令形式をとるのか、これも聞いておきたい。まず最初、総務長官からこのライフサイクルとの関係についてお聞きをしておきます。
#72
○委員長(林ゆう君) この際、厚生省小林人口動態統計課長から、先ほどの答弁の中で誤りがありましたので訂正したい旨の申し出がありましたので、これを許します。小林課長。
#73
○説明員(小林昭二君) 大変申しわけございませんでした。先ほど成人と申し上げましたけれども、第一子の大学卒業時、すなわち二十二歳のときの父の年齢が五十一歳、第二子が大学卒業するときが五十三・二歳、成人ではございませんで大学卒業時でございます。大変恐縮でございました。迷惑をかけました。
#74
○国務大臣(中山太郎君) ライフサイクルと定年制度の問題について、六十歳になるといわゆる熟年と申しますか、そういう問題との関係はどうなるのかという私の見解をお尋ねでございますが、私は、六十歳で定年をしくということになって安定した第二の人生の設計ができるんではなかろうか。私は五十七歳、五十八歳で勧奨をされておられる方々の実態を見て、また中には、私の地元の大阪なんかの場合には五十五歳で地方公務員の場合やめていっておりまして、先日も、六十年六十歳になったらどうなるかということで、市の方から、これは市の方も考え直さなくちゃいかぬというふうなお考えもございましたし、全国地方自治体等もいろいろと、それぞれの地域で独特な年齢でいわゆる退職を勧奨されておられるというふうに理解をいたしております。そういう意味で、これは野田委員にもお答えを申し上げましたが、六十歳になったら定年が来るという一つのめど、これがやはり立つ方が人生の設計にきわめて効果が大きいんじゃなかろうか。その後、それに対して政府の方も年金というものの制度の充実に全力を挙げてやっていかなければならないだろう。また、六十年六十歳ということになりましたときに社会全体がどのような形で高齢化しているかということについては、政府としては当然のことながら、人事院とも十分実態の調査を重ねて、これから迎える初めての経験である高齢化社会というものにおける公務員制度のあり方、そういうものについては今後とも熱心に研究せなければならない、このように考えております。
#75
○政府委員(斧誠之助君) お答えいたします。
 最初に、定年退職日をいつにするかという問題でございますが、最終日は年度未の三月三十一日でございますが、その間に任命権者が指定する日ということにいたしております。任命権者の指定する日ということを定めましたのは、各省によりまして業務の都合上、人事異動の時期が若干ずつ違うという実態もございますし、それから従来の勧奨退職の場合に、それぞれ退職日を決めているという実態もございます。そういうことで、任命権者が人事異動の時期に合わせたときを定年退職日と指定するというやり方でもよろしいし、それから四半期の末にその四半期に定年年齢に達した者が退職するというような決め方もできるものと考えております。
 ただ、各人ばらばらにそれぞれの誕生日に応じて退職しなさいというような決め方は、これはどうも職員間の不公平感もございますし、それから年間を通じて始終欠員が発生するというようなことで欠員補充も非常にやりにくいということもありますので、そういう決め方はどうも適当ではないんじゃないかと思っております。
 勤務延長をいたします場合は、定年退職日の前にその者の同意を得まして、何年何月までというような期間を示しまして勤務延長をするという発令を行う予定をしております。それから再任用につきましては、これは一たん退職して採用するということでございますので、期間を示しまして採用するという発令をする予定をしております。
#76
○山崎昇君 そうすると、定年退職そのものについてはどんな発令をするんですかね。私は、地方公務員の定年制がずいぶん議論されたときに、これは、きょう議事録を持ってきておりませんが、当時、自治省の行政局長の長野さんとか公務員課長なんかがいろいろ答弁されているんですが、定年によるのは、離職でもなければ退職でもないし、強いて言うならば、正確に言うならば分限処分である、こういう言葉を使って長野さんが答えておるんですね。たとえばこれは昭和四十四年五月九日、衆議院地方行政委員会、「職員の身分に関することであって、職員の身分の保障に関すること」、これは分限についての質問です。正確に言えば分限処分である、分限免職と定年退職は違う、離職とも違う、こう答えられておるんです。
 一体、定年退職とあなた方俗に言うんだけれども、これは何なんだろう、どういう発令をするんだろうか。そうして、その前の日にあなたは延ばしますよと、こういうことだと言うんですね。それから再任用の場合には、やめた次の日に発令すると言うんですね。そうすると、いま新規採用と、こういうことになっている。もし新規採用ということになれば、法第三十二条だの三十五条、一般任用基準と一体どういう関係になってくるんだろうか。そこから言っても大変問題点があるんではないだろうか。それから一日置いて一年未満で採用するわけなんですね。これは、国家公務員の場合には労働基準法が排除されておりますから適用になりませんが、地方公務員の場合には、一部労働基準法を排除されておりますけれども、大筋適用になっている。
 労働基準法の第十四条では、一年を超える任用期間を明示して雇用してはいけません、ただし三年なら三年でこの事業が終わるからその間に明示してよろしいという十四条の規定がある。私は、労働基準法十四条の規定と関連をしてこの再任用の場合には一年未満という決定の仕方をしたんではないか。そうして、また改めて次の年も任用する場合に、人事院の承認を得るわけなんですけれども、それもまた一日置いて一年未満でするということになると、私は精神としては労働基準法十四条と関連をしてくるんじゃないかという気がするんです。そして、いま申し上げましたように、離職でもなければ、分限免職でもなければ、強いて言えば分限処分だという説明をされているのですが、これはよく私はわかりません。一体、こういう見解はどうなんだろうか。
 それから、きょうせっかく自治省が来ておりますから一点だけお聞きをしておきますが、これも昭和四十四年の六月の六日、衆議院の地方行政委員会で、当時の内閣法制局長官高辻さんが地公企労法第七条四号について答弁されておる。それによるというと「「労働条件に関する事項」というのがございますが、この定年制の採用に関する問題はやはり労働条件に関する事項に入る」、したがって「団体交渉事項になると思います。」というのが内閣法制局長官のこれは見解であります。定年制そのものについて団体交渉事項、これは地公企労法ですが、地公企労法でそうなれば当然公労法の八条四号もこれに該当してくると思う。だから、少なくとも地方公務員の定年制については、団体交渉の結果として国会に法案なら提出されなければなりませんね。
 国家公務員は地公企労法の適用や公労法の適用を受けておるわけじゃありませんから法制的には多少違いがありますけれども、こういう趣旨の精神から言えば、当然この定年制については公務員職員団体と話し合いをして、まとまらない場合もあるかもしれない、その場合は政府の責任において提案することもあり得るけれども、団体交渉をまるっきりやらずに、単なる何遍か意見を聞いただけで、人事院のあの書簡というかっこうだけでこの定年制を提出するということは、これはやっぱり不当である。そういう意味で、私は、先ほど委員長に二十三条の意見の申し出と関連をして、この定年制については出し直してもらいたいということを理事会で検討願いたいということをさっき申し上げたんだけれども、この点について自治省の見解をお聞きをしておきたい。
 もう一つ、もう時間がなくなりましたから重ねて聞きますが、休職中の者の扱いについて見解を聞いておきたいと思うんです。
 御存じのように休職には四つあります。一つは、公務上の負傷等で休職する場合、これはその休職の期間中は給与の全額を公務員災害補償法で払うわけであります。第二は、結核療養等で休職する場合、これは二年間給与を八〇%払う。第三、これは結核患者以外の病気等で休職の場合、一年間給与の八〇%を払う。第四は、刑事事件で起訴されますというと休職処分になる、これは期間がありません。この際は給与の六〇%を払う。
 そこで、この休職中に定年年齢になった場合に一体どうするんだろうか。他の規定によって休職処分が行われておるんだが、その間に定年制を迎えた場合にこの者の休職処分は一体どうなるのだろうか。特に第四に申し上げました刑事事件等の場合には期間がない。そして、これが禁錮以上の刑が確定すればその日をもって失職ということになる、別の法体系になっているんですね。これと定年制の規定というものはどういう関係になるのか。この説明を願いたい。
#77
○政府委員(斧誠之助君) 第一点でございますが、国家公務員法上職員としての身分を失う、そういうケースを総体として離職と、こういうふうに定義づけております。定年制につきましても、一定年齢に達しますと自動的に退職するという制度でございますので、離職の一形態でございます。定年年齢に達した場合は、ちょうど任期を定められておる職員が任期満了に達したと同じでございまして、処分というものがあったわけではなくて、自動的に退職するわけですから、その場合は確認的に定年退職したということを通知するという発令を行うわけでございます。
 それから第二点の、再任用者の国家公務員法三十二条、三十五条、それから労基法十四条との関係でございますが、再任用者につきましては、先ほども申し上げましたように、一たん退職した職員を採用するという発令でございますので、これは国家公務員法の三十五条の欠員補充の方法の中の一つである採用ということに該当することになります。それから、三十三条の能力の実証に基づいて任用するということも適用になります。ただし、再任用者につきましては人事院規則で、従前在職しておりました官職より同等以下の官職に採用する場合は選考でよろしいということになっておりますので、選考で採用ができるということになります。
 それから、労働基準法の関係でございますが、これは一般職職員のうち給与法適用の職員には適用がないわけですが、五現業関係では適用があるというふうに考えております。これは先生がおっしゃいましたように、一年以上の任期をつけてはならないという、まあ奴隷的拘束などを排除するという趣旨のものでございますが、再任用につきましては一年ということが最長期間になっておりますので直接の抵触はない。ただ、私どもが考えましたこの再任用期間の限定といいますのは、定年制がしかれまして、まあ特例定年も含めますと年齢は六十歳から六十五歳までの間で定まるわけですが、こういう制度の趣旨を大幅に逸脱するという、制度の趣旨を損なうというようなことがないようにという配慮もありまして、労働基準法との関係もあわせ考えまして一年以内ということにしたわけでございます。
#78
○政府委員(砂子田隆君) ただいまの地方公営企業労働関係法適用でございますが、給与職員なりあるいは単純労務者の定年制度に関しましては、この地方公営企業労働関係法の七条四号に該当する限り団体交渉の対象になるというふうに考えております。
#79
○山崎昇君 もう一つ、休職中。
#80
○政府委員(斧誠之助君) 休職中の職員につきましては、定年制度というのが一定年齢に達したことによりまして自動的に退職するという制度でございますので、在職中、勤務中の勤務状態がどういうことであるかということにかかわりなく、定年年齢に達しましたら休職中の職員といえども退職するということになるものと考えております。
#81
○山崎昇君 まず、自治省の見解は違うよ。定年制そのものも団体交渉の中に入るということを長官は言っているんですよ。これは明確にしておかなきゃいけません。重ねて聞いておきます。
 それから、もう私の時間来ましたからやめますが、いま任用局長から欠員補充だという言葉がありました。そうすると人事院規則八−一二、「職員の任免」第二条「いかなる場合においても、法第二十七条に定める平等取扱の原則及び法第三十三条に定める任免の根本基準並びに法第五十五条第三項及び法第百八条の七」――これは不利益取扱いの禁止「の規定に違反して職員の任免を行ってはならない。」、いかなる場合といえども入ってきますよ。あなたは欠員補充というんで新規採用と言うなら、給与だけは初任給の三号でとどめておいて、後はあなた方の都合だけで任命しよう。そしてなるほど労働基準法の十四条は、私さっき申し上げたように、一般職には適用になってないが、地方公務員は適用になる。それと関連をして言えば、労働基準法の十四条に違反することができないものだから、一年以内に再任用は人事院の承認を受けてやりなさい、三年ですと、こうなっている。
 そのほかに、まだまだこの任用規定で言うならばいろんな規定がありますよ。第十五条の三「任用の更新」、これは三年の任期つきの任用の場合。十五条の四、それを更新する場合。こういうあなた方がつくった任用の規則がありながら、何で定年制で八十一条から始まりましてああいう方式をとらなきゃならぬのか。そしてさっき申し上げましたように、過去の国会論議ではこれは分限処分だという言葉を使って、離職でもない、退職でもないという規定の仕方をしている。どんなことをあなた方言われようともつじつまが合わないんだよ。私は、もっともっとこういう点は法制的に詰めたいという気持ちを持っておりましたけれども、きょうはいかんせん時間がある程度約束のようでありますからやめますが、きょうせっかく大蔵省にもおいでになっていただいておりますし、それから防衛庁にもお聞きをしたいことがたくさんありまして、大変恐縮しているわけですけれども、これは保留をして次回に譲りたいと思うんです。いまの点だけもう一遍答弁を願いたいと思う。
 それから、休職中はどうなりますか。あれはどんなに言ったって、他の法律で処分をしておいて、定年の規定ですぽんといくというやり方は規定上の調整からいってもできない、これは。そんな規定のやり方というのはない。これは断じて私は許されないと思う。改めてこれは検討し直されなければならぬじゃないんでしょうか。
#82
○政府委員(砂子田隆君) 先ほどの高辻長官のお話でありますが、高辻さんの話は、当時の法律の解釈をお話を申し上げたものだと私たちは理解をいたしております。
#83
○山崎昇君 そんな適当なことを言うなよ、同じじゃないか、やっていることは。
#84
○政府委員(砂子田隆君) そういうふうに理解をしております。
#85
○政府委員(斧誠之助君) 再任用につきましては、定年で一たん退職した職員を採用することができる、こういうことでございますので、採用者になるということでございます。採用する場合に、平等取り扱いの原則とか成績主義の原則とか、採用者一般に適用されます任用上の規制は、いま先生がいろいろ御指摘になりました各条は当然に適用になるわけでございまして、決して、一たんやめさして再任用することによって不利益を与えようというものではございません。
 それから、休職中の職員でございますが、定年制度ということがその年齢の到達によって自動的に退職する、公務員の身分を失うということでございますので、そちらの定年制度の規定が適用になって身分が喪失する、こういうことでございます。
#86
○山崎昇君 これはだめだ。それはそういうことにならぬですよ、あなた。分限で処分をしておいて、その処分が続いておるんですよ。定年制でその処分まで消すことはできないですよ。そんな立法技術はない。これは再検討してもらわなきゃ私は絶対承服しない。ですから、そういうことも含めまして、委員長ね、私はもっともっとこれ、給与の問題もありますし、共済組合の問題もありますし、詰めなきゃならぬ点いっぱいあるんですけれども、きょう、約束の時間でありますからやめます。
 総裁、いまお聞きのとおり、この法案はいろんな角度から検討してみなければ大変なんです、これは。明治十八年に内閣制度できて以来、公務員の制度の根幹にかかわる制度改正であって、もっともっとこれはあらゆる角度から検討しなきゃならぬ点がたくさんあります。そういう意味で私は先ほど委員長にお願いをしたわけなんだ。あなたも大分苦しいような顔をしておるんだけれどもね、総裁。これは変な話だけれども、亡くなりました前の佐藤達夫さんが本を書いた。それによりますと、人事院総裁は人事院の顔だと言うんです。人事院が健康に明朗に動けば、その総裁たる私の顔も明朗になろうと言うんだ。いまあなたの顔を見ると苦渋に満ちているんだ。だから明朗にするためには、この法案、私はやっぱりもっと時間かけてもっともっといろんな角度から検討してやるべき筋合いのものであって、単なる私どもは引き延ばしだとかこの法案どうだという意味で言っているんじゃないんです。きょうはもう時間制約されましたから、私は質問のやり方を変えて間引き運転しているからちぐはぐな点もありましたけれども、どうか総務長官、そういう意味でもう一遍ひとつ政府としても考え直してもらいたいということを申し上げて、私は質問を留保してきょうは終わりにしたいと思います。
#87
○委員長(林ゆう君) 午後一時四十五分委員会を再開することとし、休憩いたします。
   午後零時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十一分開会
#88
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国家公務員法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#89
○安武洋子君 定年退職の問題で御質問を申し上げますけれども、その前に、いままで公務員というのは勧奨退職と、こういうことで、いままでの質疑の中でも勧奨退職は有効に機能をしていたというふうに何度も御答弁なさっていらっしゃいます。
 そこで、まず退職勧奨の問題についてお伺いをしてみます。
 国家公務員法、これを見ますと第百八条の五ですね。それから公共企業体等労働関係法です。これは第八条です。ここに国家公務員法の方は「交渉」です。それから公共企業体等労働関係法、これは「交渉の範囲」というふうなことで、いずれも職員に関する労働条件、これは交渉の範囲というふうになっております。
 そこでお伺いいたします。なぜ労使の交渉の範囲にこの労働条件をお入れになっていらっしゃるんでしょうか。
#90
○政府委員(斧誠之助君) 国家公務員法上勤務条件に関しては交渉の対象になると、管理運営事項については交渉の対象としないと、そういうことが解釈になっておりまして、それで勧奨退職の場合はこれは法的な制度ではございませんで、事実行為として各省でそれぞれ実情に応じて年齢を定めてやっておると、こういう実態でございます。そういうわけでございますので、事実行為として定めるという以上は勤務条件としての面が非常に強いということで勧奨退職は交渉事項になっておる、こういう解釈になっております。
#91
○安武洋子君 確認しますが、退職勧奨というのは労働条件に入ると、こういうことですね。
 そうすると退職勧奨、これまで労使交渉してこられたわけです。そして公企体の職員は労働協約で協定をしてきたと、こう思うわけですけれども、これは間違いございませんでしょうね。
#92
○政府委員(山地進君) そのとおりであろうと思います。
#93
○安武洋子君 では、公共企業体の職員の件でお伺いいたしますけれども、退職勧奨した場合に労使の主張が一致しなかったというふうなときには、いままではどのように処置をされてこられたんでしょうか。
#94
○政府委員(山地進君) 公企体の私は担当ではございませんが、前の職業の点から申しますと、たしか仲裁で国鉄の場合に決めていた例があったように記憶しております。
#95
○安武洋子君 私は退職勧奨の問題で紛争にまでなると言うんではなくて、退職勧奨にいくまでには労使でいろんな主張があると思いますよ。こういう労使の主張がいろいろと対立しているときに一体どういうふうになさってこられたんでしょうかと、そういうふうなことを聞いております。
#96
○政府委員(山地進君) そういうふうに申し上げているつもりなんですが、要するに、公労法で紛争があったときにはどういうふうに決めていくかというのは、調停がございまして、それから調停がさらに仲裁にいくということで、仲裁が当事者を拘束するという意味で仲裁で決めている例があったというふうに私は記憶しておるわけでございます。
#97
○安武洋子君 この公共企業体等労働関係法ですね、この第一条なんですよ。この第一条のここのところに、「主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を尽さなければならない。」と、こうなっておりますでしょう。お手元にお持ちらしゅうございますから第一条の二の終わりのところの方を見ていただきたいんです。ですから、こういうことがあった場合には何よりも主張の不一致を友好的に調整するために最大限の努力を尽くすべきだと、私はこう思いますけれども、そのことに同意なさいますか。
#98
○政府委員(山地進君) 当事者同士が誠意を持って話し合いをし、その円満な解決に最大限の努力を尽くすべきが当然だろうと思います。
#99
○安武洋子君 それでは、調整に大変努力をすると、そうして両方が合意に達すると、そうするとこの合意に達した事項というのは、これは労使ともどもに責任が出てくるわけですね。ですから、使用者側もこの問題については私は誠実に実行をするという義務が生じると思いますけれども、それはどういうふうにお考えでございましょうか。
#100
○政府委員(山地進君) いまのは、双方が合意されたものは労働協約として締結されるわけでございますから、双方を拘束するものだろうと思います。
#101
○安武洋子君 ですから、双方を拘束するから、使用者においてもやはり合意した事項は誠意を持って実行するということになるわけですよね。
 そうすると、政府が国家公務員については団体交渉権を剥奪いたしております。でも、この百八条の五には「交渉」という項があります。ですから、やはり交渉という限りにおいては誠意を持ってやはり調停に努力をし、そして合意したことは誠実に実行するということはやはり当然だろうというふうに思うわけです。特に国家公務員の場合、労働基本権が剥奪されているというふうなことは労使対等でないわけですね。労使対等の条件をあなたたちが奪ってしまっている。だからこそこの合意、これについては特に留意をしなければならない、その実行については何よりも誠意を持って当たらなければならないのではなかろうか、私はこう思いますが、いかがお考えでございましょう。
#102
○政府委員(斧誠之助君) 五現業を除きます一般職の国家公務員につきましては、団体協約の締結権がございません。したがいまして、交渉をしまして当局側も組合側もよしとした場合には、内部規定で決めるとか、あるいは双方文書を交換するとかというような方法で合意した事項をお互い確認し合うというようなことをやっておるようでございます。それが合意しましたら双方はそれを守るというのは、これは交渉の効果として当然であろうと思っております。
#103
○安武洋子君 もう一度確認しますけれども、こうして合意したことは守っていくのが当然だと、こうおっしゃいましたね。
 確認して次に進みますけれども、じゃ、いままで労使が合意をして行ってきたと、これは退職勧奨です。今度仮にこの定年制が導入をされると、こういうことになりますと、退職勧奨と定年制の法制化、この関係は一体どういうふうになるんですか。
#104
○政府委員(斧誠之助君) 退職勧奨は、先ほども申し上げましたとおり事実行為でございまして、職員の意思を拘束するという法律上の効力はございません。したがいまして、勧奨を受けましても本人がなお勤めたいという場合は拒否できるわけでございます。本人の退職に同意するという前提がなければ勧奨退職ということはあり得ないわけでして、そういう意味では法的拘束力というのは何にもないわけでございます。
 今回の定年制というのは、職員の身分関係に法律でもって新たな分限事項として定年制度を導入しようということでございまして、国家公務員の勤務条件、身分、そういうものにつきましては国会の御審議を経て法定されるというのがたてまえでございますので、私たちが定年制について意見を表明しまして、それを基礎にして今回政府の方でこの法案を提案しているという次第でございます。
#105
○安武洋子君 私が聞いているのは、いままで労使が合意をされて、そしてそれは誠実に実行しなければならないと、実行するのがあたりまえだとおっしゃったその勧奨退職と、それから今度新しく定年制を導入されようとしている。じゃ、新しくこの定年制を導入されたら、いままでの勧奨退職というのはどういうふうになるんですかと、この関係はどうなるんですかということをお伺いしています。
#106
○政府委員(斧誠之助君) 定年制度が導入されますと、一定年齢に到達することによって自動的に退職するという制度ができることになりまして、従前、この定年制度にかわるものとしまして、各省ごとに一律に各職員に対して定めております年齢による勧奨という、つまり定年制度の代替としてやっておりました勧奨制度というのは消滅すべきものであろう、こう考えております。
#107
○安武洋子君 いままで労使が合意をしてやってきたこの勧奨退職というのは無効になる、こういうふうに確認していいんですか。
#108
○政府委員(斧誠之助君) 私は人事院でございますので、所管しております給与法適用職員について申し上げるわけでございますけれども、先ほども申し上げておりますように、非現業の職員には団体協約の締結権がないわけでして、そういう意味で、法的意味において労使を拘束しているという状態は存在しない。したがいまして、合意が消滅するとかしないとかということではなくて、法的措置が今回定年制を導入することによってとられたと、したがってその法律の適用が各省職員に対してある、こういうことでございます。
#109
○安武洋子君 そのことは最初にわかっているわけですよ。法的措置でなくても、あなたは先ほど労使が合意したことは誠意を持って実行していくのが当然であるということをおっしゃった。だから私も確認しました。ですから、労使が合意をして誠実にいままで実行してきた退職勧奨というのは、いま定年制を導入なさろうとしているけれども、言葉をかえて聞きますと、いま六十歳以上の方がいらっしゃると思いますが、あなたたちは六十歳で定年をしこうとなさっていらっしゃる。では、六十歳以上の人たちについて、いままでの労使が合意してきた、誠実に実行してきた勧奨退職、これは無効になるんですか。
#110
○政府委員(斧誠之助君) 実行してきたかどうか――合意しますと、誠意を持ってお互いに実行しましょうということは当然でありますということを申し上げましたが、先ほども申し上げましたように、現在の勧奨退職というものが法律で拘束していますような拘束力を持っておりますかというと、そうではなくて、実際はごく一部ではございますが、勧奨を受けても退職しない職員も存在しておったわけでございまして、そういう法的拘束力のない形ではなかなか新陳代謝も思うようにはいかないと。最近の国家公務員の在職状況を見ますと、おいおいそういう勧奨効果というものが機能しにくくなるんではないかということで、今回定年制の導入には意義があると、こういう御意見を申し上げておるわけでございます。
#111
○安武洋子君 それではいままで御答弁なさってこられたことと矛盾するではありませんか。退職勧奨というのは有効に機能してきたというふうにいままで答弁をなさっていらっしゃる。そうして、機能しにくくなるであろうというのは、これは未来形ですよ。いままではこの退職勧奨というのは有効に機能してきたんだということを確認なさっていらっしゃるわけでしょう。ですから先ほどの御答弁、それは法的な何も拘束力はありません。しかし、何度も言いますように、労使が交渉して合意した、それは誠実に実行してきた、その退職勧奨というのは有効に機能してきたんだと。ここまではあなたたちがいままでの質疑の中で確認されていることですよ。私はいまになって、それがいま現在何だか有効に機能しないんだというふうに御答弁をすりかえられるのは、これはだめだと思います。ですから私のいまの質問に答えてください。
 六十歳以上の人たちが定年制をしかれる、労使が合意をいままでしてきたんだと。勧奨退職については、これは勧奨したらみんなやめなければいけないなんということはありませんよ。勧奨して、そしてやめる意思のない人はそれでもいいということが勧奨退職でしょう。それでないと、言った人はみんなやめるということになれば、これはその年齢で定年をしくということにもなりかねませんからね、そういうのはおかしい。だからそういう勧奨退職、こういうのをいままで実行してきておきながら六十歳で定年をしこうと。それなら、六十歳以上の人もいまいるはずですけれども、こういう人たちはいままで合意してきたそのことは、有効にこれは効力を発揮しないわけですね。これは皆だめになるということですね。確認をしているんです。それに答えてください。
#112
○政府委員(斧誠之助君) 六十歳以上の在職者で今回定年年齢が六十歳から六十五歳までの幅の中で決められますが、六十歳というふうに定年年齢が決まった職員につきましては退職をしていただくと、こういうことになります。
#113
○安武洋子君 だから、いままで労使で合意してきたことをあなたたちが一方的にこれを破棄され、そして破られたということだけははっきりしていますね。たとえ六十歳以上でなくても、いままで労使で合意をしてきたと、そしてそれを誠実に実行するということは当然だと言われたと。そのことをこのたびは一方的にあなた方は破られている。六十歳定年というものを持ち出されている。これは明らかに職員に対する、職員団体に対する背信行為じゃありませんか。私は、これは労働者に対する既得権の侵害でもあるし、労働基本権の侵害とも言うべきものだと、こういうふうに思います。いかがですか。
#114
○政府委員(斧誠之助君) 先ほど来申し上げておりますように、勧奨退職というのは法律上の制度ではございませんで、実際に各省が人事管理をやっていきます上で新陳代謝を図るそういう手段として勧奨退職という方法をとってきたわけです。
 今回は、定年制という制度を新たに導入しまして、そうして新陳代謝のより効果的な確保を行いたいと、それが公務員法の精神からも別に逸脱するものではないということで意見を申し出ている次第でございます。
#115
○安武洋子君 ちっとも御答弁になっていないし、公務員法の精神から逸脱していないとおっしゃいましたけれども、それは後刻どんなに逸脱しているかということで御質問を申し上げたいと思いますが、これは法律で何も私は決まっているなんて一言も申しませんから、最初からそういうふうにして御質問を申し上げているんです。労使が合意をして誠実に進めるというのが当然であるという御答弁があったから、そうして私もそれが当然だと思います。ここまでは同意します。それなのに、一方的に破棄をされたことになるでしょうと、何とおっしゃっても、ということを言っております。
 ここで質問を進めますが、定年制というのは、これは労働条件なんでしょうか、それとも分限事項なんでしょうか。
#116
○政府委員(山地進君) 分限事項というのは、身分保障を前提とした身分の変動に関する総称でございます。定年制度というのは、従来は個々の身分変動について分限事項に書いてあったわけでございますけれども、個々ではございませんで、全体的にある一定の年齢に達したら退職するということでは、身分の変動でございますから分限になるわけでございます。ただし、労働条件といいますか勤務条件というのは、勤務を提供するについて当然考慮されるべきいろいろの条件ということでございますので、六十歳まで働くという意味では勤務条件にも該当すると、こういうものが私どもの解釈でございます。
#117
○安武洋子君 人事院総裁はいかがお考えですか。
#118
○政府委員(藤井貞夫君) 定年というのは、いま御説明がありましたように、公務員の身分に関する問題でございますので、これはやはり分限の一つの態様であるというふうに理解しております。と同時に、これが公務員の勤務提供あるいは勤務提供の継続の有無というようなことについての一つの条件、判断資料になるという意味におきまして、勤務条件たる側面も持っておるということでございます。
#119
○安武洋子君 定年制というのは分限の側面と、それから勤務条件の側面と、この二面を持つと両方から御答弁をいただいたわけですけれども、それでしたら、定年制というのはこういう二面があるわけなんです。で、この二面を持つ定年制というのは、これは労使の交渉は要らないというふうにお考えでございましょうか。人事院総裁にお伺いします。
#120
○政府委員(藤井貞夫君) これは分限という側面を制度としては強く持っておりますので、現在分限に関する事項というものは法律でそれぞれ明定をいたしまして、その該当条件というものもきちっと決めておるわけでございます。その分限条項の中に、一定の年齢に達すれば本人の意思、能力にかかわらずその職務を退くといういわゆる定年の規定がございませんので、その規定を新しく挿入をしたいということで法案の構成をやっておるというふうに私は理解をいたしておりまして、したがって、分限たる条項というものが法律上の身分変動に関しては強く持っておるということでございます。ただ同時に、それが勤務条件たる側面を持っておることも事実でございます。ということで、この面につきましては、それなりに職員団体等とも接触を保ちまして、相当念入りにお互いの話し合いを進めてまいりました。これは人事院においてもそうでございますし、当面の当局であります総理府においてもそのようにやってきたというふうに承知をいたしておるわけでございます。
#121
○安武洋子君 それでは、総理府と人事院と両方にお伺いいたしますけれども、相当綿密に職員団体と交渉してきたと、こういうふうにおっしゃいましたが、では職員組合と、人事院なり、総理府なりのこの言い分の違いというのはどこにあるんでしょうか。
#122
○政府委員(斧誠之助君) 職員団体の方々は定年制の導入は反対であるという御意見でございます。それは、公務員には身分保障があって、働く意思と能力があれば勤務を継続するというのがいまの制度ではないかと、それを定年制の導入によって著しく改変することになるということで、それは職員の利益の保護に反するということで反対ということでございます。私たちの方は、公務員法の第一条で、公務員法の目的で、国民に対して民主的で能率的な業務を提供するというそういう使命も負っておりますので、公務能率面でだんだん最近のように高齢職員が次第に増加してくるという状況のもとで、公務能率上定年制の導入ということが意義があるかどうかという点で検討する立場であるということを申し上げておるわけでございます。
#123
○政府委員(山地進君) 総理府でも各組合といろいろと折衝を重ねたわけでございますが、いま人事院から述べられたと同じような意見の違いがあったように思います。
#124
○安武洋子君 いまの御発言の中に、やっぱり私大変重大な発言があると思います。高齢者がいたらまるでこの法律の精神に反するような、非民主的で非能率的になるようなというふうな、そう言わんばかりの御発言がございましたが、私はこの件については後で改めて追及させていただきます。
 職員の団体と先ほどおっしゃったように全く不一致と、こういう場合にどうすべきだというふうに一体お考えなんですか。職員の意見と全く合わないと。そうすると、これはもう政府が一方的に、職員の意見なんか耳もかさなくて、思うようにやればよいと、そういうふうに考えていらっしゃるんですか。
#125
○政府委員(斧誠之助君) 人事院としましては、公務員制度審議会の場でも御議論されましたように、当面一般職の国家公務員について労働基本権の制約があるのはやむを得ないと、しかし人事院はよく職員団体等の意見を聞きなさいという答申が出ております。そういうことも受けまして、人事院としては、何か新しい施策を講じようとする場合に職員団体の意見を聞くということに非常に努めておるわけですが、いろいろ意見を聞きました上で、公務員制度上こういう人事管理体制の方がよろしいという人事院の意見が出ました場合に、それは国家公務員制度上、勤務条件とか身分関係に大きな変動を来すというものについては国会で御審議を願って、そしてお決めいただくというのが国家公務員の勤務条件の定め方の基本になっておるわけでございます。
#126
○安武洋子君 私は、法案を提出なさるまでの手続の問題について問題にいましてきているわけですよ。職員団体の方の御意見というのは、総理府の労働組合のお方からも私のところにたくさん、こんなのやめてくれと来ておりますよ。こういう意見の不一致というのがはっきりあるわけでしょう。そういうときに、私は先ほどのこの法令もお出ししました。ここの中で不一致の場合は第一条に書いてありますよ。これは公企体の方だとおっしゃるかもわからないけれども、この精神は国家公務員の方にだって生きないといけないわけ。労働基本権をあなたたちが剥奪されているから、よりもっと尊重しなければいけないわけです。「主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を尽さなければならない。」と、私はこういう立場に立って最後まで努力をなさるべきだと思いますが、人事院総裁はそうはお思いにならないわけですか。
#127
○政府委員(藤井貞夫君) 基本的にはその見解に全く同意見でございます。ただ、制度の問題ということになりますと、公務員法というものが最も基本的な法体系としてございますし、そこでもっていろいろの仕組みを規定をいたしておるわけでございます。この定年制につきましても、事はやっぱり分限に関する事項ということになってまいりますると、そのやり方自体については法律でもって規定をしなきゃならぬということになるわけであります。したがいまして、話を中途半端にしてある程度意見の対立があれば、それを押し切って法律でもって決めるべきだということを人事院が短兵急にやったという意味ではございません。従来からも定年制については退職管理の一方法として大変有効な手段であるというような角度から、世間の情勢もございますし、いろいろ検討を続けてまいっておったところでございます。ところが、御承知のようないろいろないきさつがございまして、総理府の方から意見を求められるということになりましたので、これに対する御回答を申し上げたということでございますが、その間において、われわれはわれわれなりにできる限りの誠意を尽くして意見の一致を見るように努めてまいったことは事実でございます。
#128
○安武洋子君 短兵急に事を急いだわけではないとおっしゃっておりますけれども、ずいぶんと人事院にも総理府にも、職員の方々からの反対であるという、これは私どものところにも来ておりますけれども、いろんな陳情なりはがきなり電報なりと、そんなものが行っておりましょう。ということは、意見が不一致で、その意見、職員団体が最後までこの調整に努力をしたと、どうしてもここの点だけはだめだったというところまで本当にやられたのかどうか。そうじゃありませんでしょう。職員団体の先ほど意見をどんな主張ですかと聞かせていただいた。全く相反するそういう状態で、ただ総理府から意見聞かれたから、政府から意見聞かれたから出したんだという、そういう乱暴なやり方をなさるからいまみんなから反対の声が上がっているというふうな状況になるわけです。
 そこで、私は何のために交渉なさるのかということを聞いてまいりますが、昭和二十六年の四月十八日付、これは二十六年は当時は法務府になっております。ここの法制意見、第一局長が労働省の労政局長にあてて出している法制意見がございます。これを読んでみますと「労働関係法規が保護の対象とする労働者の労働条件とは−別異に解すべき特別の理由がない限り−労働者が自己の労働を提供し、若しくはその提供を継続するか否かの決心をするに当って一般的に当然考慮の対象となるべき利害関係事項を指すものと解すべきであり、雇用契約の終了をもたらすところの解雇の条件は、労働者の生活そのものに重大な影響を有するものであるから、それが労働条件に包含されるものであることは疑のないところである。」と。それで「これを雇用契約に基き現実に労務を提供する場合における条件に限定し、解雇の条件はこれに包含されないと解すべきいわれはなく、従って同条項の規定により、これを団体交渉の対象とすることができるものと解する。」ということで、交渉をする前提として、これは労働者の生活に重大な影響が出るからなんだということを挙げているわけです。
 私は、雇用契約の終了、特に定年で労働者を職場から追い出してしまうんだというふうなことは、これは労働者にとっては非常に重大な生活に影響が出てくると、労働条件の大きな変更であると、だから交渉の対象だと、こう思います。私は、交渉なら誠意を持って本当に最後まで労使の合意を得るまで努力をされるべきだと、何のために交渉されてこられたのか、そのことをお伺いいたします。
#129
○政府委員(斧誠之助君) 公務員制度上、公務員の勤務条件、身分関係の基本にかかわる事項、そういうものは法律で定める、つまり勤務条件法定主義という原則がございまして、そういう意味で今回の定年制も国会で御審議をお願いしているということでございますが、その意見をまとめますまでの間において職員団体の御意見を十分に拝聴して、できれば双方の意見が一致するようにお互い最大限の努力をするということはこれはわれわれの責務と思っておりまして、その点は十分やってきたつもりでございますが、どうしても意見の一致を見なかった場合にどうするかということになります。われわれは、職員団体のそういう反対の御意思でありましたけれども、反対の理由などもよく吟味しまして、再任用でありますとか勤務延長でありますとかというようなこともつけ加えまして意見を申し上げたわけでございまして、こういう意見に基づきまして政府の方で今回法案を提出しておるわけでございますが、その是非につきましては十分この国会で御審議をお願いするということでございます。
#130
○安武洋子君 法定主義はわかっておりますよ。でも、そういう定年というのをあなたたちが出してこられる過程を私は問題にしているわけです。この定年の問題についても、雇用の終了というのは、どんな形にしろ、労働者に大きな生活上の影響を与えるわけでしょう。だからこういうものは法制意見として、交渉をやっぱりすべきですよということを書いてあるわけですよ。
 さらに言いますけれども、私は一体何のために交渉なさったのだと言ったんですけれども、それに対しては職員の団体、法定主義になっておりますからとか、そういうふうなお答えしか出ませんでしょう。もうぎりぎりいっぱいいろいろやってみたけれどもという、そんな段階に達しておりませんでしょう。ほとんど職員団体の意見は無視をしたと。ほんの少し、それは再雇用とか勤務延長とか、そういう制度はありますけれども、それはまた後で私はどんなに問題があるかということを申し上げとうございますが、そういうことです。
 私はここにこの当時の法制意見を持ってきております。この法制意見に「「労働条件」を団体交渉の対象たる事項としてとりあげたゆえんは、いかなる労働条件を創設するか、又は既存の労働条件をいかに変更改正するかという、いわば労働条件の設定の段階を労使の間において交渉することが適当とされることによることはいうまでもないが、」と、こういう前提がありまして、そしてその後に「当事者間においてすでに設定された労働条件に違反し、又は違反の疑いがある行為がなされた場合に、当該労働条件の設定に関係して、その内容と意義とを最もよく熟知している労使双方の当事者の間において、まずその解決をはかることとすることこそ、労働条件について団体交渉を認めた法の趣旨に合致するものというべく、」と、法の趣旨であるというふうにこの法制意見は出ているわけです。法の趣旨というのは、まず何よりもいろいろ労働条件、これをつくり上げてきた、交渉してきた、その当事者である労使が一番よくその事柄を熟知しているから、その両者において円満に解決を図ることとする。これこそがまず何よりも法の趣旨である、平たく言えばこういうことなんです。こういう法の趣旨にあなたたちの行動というのは私は全く沿っていないと思います。法の趣旨を尊重するなら、もっと誠意を持って最後まで交渉を続けるべき、そして合意に達するように努力をすべきだと思います。人事院総裁に御意見を伺います。
#131
○政府委員(藤井貞夫君) たてまえ論はまさしく御指摘のとおりでありまして、私たちも基本的にはそういうやり方、そういう姿勢というものについてはむろん異議はございません。いままでも率直にそういう趣旨に従いましてあらゆることについて心がけてやってきたつもりでございます。
 この定年制の問題につきましても、大変職員の身分に関する、また勤務条件に関する重要な事項でございますので、そういう意味から、密接に連絡をとりつつ交渉すべきものは交渉してきたということでございます。ただ、ぎりぎりのところで意見が合わないということになりますれば、これは人事院といたしましてもその職責というものが基本的にございます。職員の利益の保護ということも大事なことでございますが、同時に人事行政の公正確保というようなこと、あるいは公務の能率的運営というような事柄等も終局にはこれは考えあわせてまいらなければなりません。そういうような観点から彼此総合勘案をして、いまややはり定年制を導入すべき時期に来たのではないかということで、意見の申し入れを、意見を総理府に対して申し上げたということでございまして、その間にわれわれといたしましてはできる限りの措置は講じてきたつもりでございます。
#132
○安武洋子君 たてまえ論としてはそのとおりだと合意なさる。たてまえと本音とが違うなんということは私は許されないと思います。たてまえというのは、論理が通っているからですからね、私はたてまえどおりにおやりになるべきだと思いますし、ぎりぎり意見が合わないと言われますが、ぎりぎりまで私は行っているとはとても思えません。何なら職員団体の方にここに参考人として出てきていただいて、意見を述べていただきたいというふうに思います。
 それで私は、やはり意見は聞いたと、聞きっ放しにしていいものではないと思います。先ほど、人事院としてやはり職員の意見は聞くけれども、ぎりぎりになれば行政の効率的な運用を図るためにとかいろんなことをおっしゃいましたけれども、それはとんでもないことだということをこれも後で申し上げとうございます。
 そこで、私は十分ここで心がけていただきたいのは、あなたたちは公務員に対して労働基本権を剥奪し、あるいは制限をなさっていらっしゃる。ですから労使対等でない。うっかりすると権力の乱用だと、こういうことになりかねないわけです。ですから私は、当局は謙虚にやはり本当に十分に注意をして、職員団体の意見を聞いて――聞き過ぎるということはないと思うんです。そういう立場をしっかりと踏まえていただかないと、これはとんでもないことだと思います。
 私はさらに質問を続けますけれども、政府は定年制は労働条件の面もあると、こうおっしゃっています。労働条件は、公労法の八条でも「交渉の範囲」と、こういうふうになっております。交渉して不一致のときは、公労法の一条二項で調整に最大限の努力を払うと、こういうことになっております。ところが、政府は話し合いの合意もなく一方的に法案を提出したと私は申し上げます。先ほどから一生懸命交渉はしたとおっしゃいますけれども、結局職員団体の意見を入れてもなさらないと、これだけたくさんの反対があるということはそう言わざるを得ないわけです。とすると、私はこの公労法にうたわれている規定、八条、この規定は一体政府はどういうことでこういうことを担保なさろうとするんでしょうか。公労法だから知らないと人事院はおっしゃるかもわかりませんけれども、同じ精神は国家公務員にも生きるわけなんです。こういうことはどのようにして担保をなさろうとするんですか。そこのところをひとつ聞かせてください。
#133
○政府委員(藤井貞夫君) 公労法の規定は御承知のとおりでございますが、ただ一般の公務員――人事院が対象といたしておりまする給与法適用職員というものの労働関係につきましては、過去いろんないきさつがございまして、労働三権についての制約が課されておる。これは現行法のたてまえからそういうふうになっておるわけでございます。
 ただ、その中におきましても、やはり三法の趣旨に沿ってでき得る限り公務員の特殊性というものの整合性を図りつつ調整をとらなきゃならぬというような観点から、団体交渉権というもののかわりに職員団体による交渉があり、また団体協約のかわりの協定というような措置も講ぜられておるわけでございます。そういう意味から、事柄が対象の範囲に属する問題につきましては、われわれとしても従来から誠意を持って交渉をいたしてまいりましたし、今後ともそういう問題についてはできる限りの努力はいたしてまいる所存でございます。
 ただ、この問題につきましては、分限に関する事項でございまして、終局的には法律をもって規定をしなければならぬ事項に属します。ただ、その場合に、従来の勧奨というものの実態等を踏まえまして、原則定年を決めまする際の年齢の決め方あるいは特定の年齢、原則に対する例外定年というようなものの決め方あるいは先刻来お話に出ております勤務延長なり再雇用というような事柄等につきまして、組合側の意見も十分拝聴し、これを盛り込むという努力はいたしたつもりでございます。
#134
○安武洋子君 労働基本権、この三法の趣旨に沿うことは大切なことだというふうにおっしゃいました。私は、やはりこの法の精神というのは、これは時代が変わろうと変わるものじゃないと思います。ですから、先ほど申し上げたように、この現行の法というのはやはり交渉をちゃんと労働条件についてはやって、そして不一致のときは調整に努力をしてというふうになっているわけです。そして、そのときに私はまた重ねて申し上げましたように、労働三権を剥奪してしまっている、労使対等でないんだと、そういうときにはやはり官側は謙虚でなければこれは権力の乱用ということにもつながりかねないということを先ほどから重々申し上げているわけです。公務員の権利、二重、三重にこういう形では踏みにじられたことになります。職員の言い分も盛り込んだということになれば、こんなになぜ職員の方が反対なさるんですか。人事院には職員の声が届いていないんですか。私は、人事院は職員の権利を保護するという任務をまさに放棄されていると、こうしか思えないわけです。私は、こういうやり方は、本当に人事院にも総理府にも申し上げますけれども、職員の意見を全く無視している、そして一方的である。いままでの既得権を侵害し、労働三権を奪った上にさらにこういうやり方をすると、こういうやり方は私は納得できません。こういうことで、もう法案は撤回すべきだというふうに思います。
 そこで、さらに質問は進めますけれども、現在の公務員というのは、雇用されたときこれは定年ということはないわけです、いま現在もありませんけれども。それで服務の根本基準としましては、法の九十六条に、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すると、こういうことになっております。こういうこととともに、一番最初入ったときには何等級何号俸にするんだとか、どこに勤務するんだとかと、いろいろ勤務条件があるわけですけれども、そのときには定年制はないわけです。ということになりますと、定年制というこの雇用期限が定められてしまうということは、これは労働条件の大きな変更になると思います。いままでは、自分の意思でいつまでも勤めたいと思えば一応勤められる状態であった、こういう既得権を剥奪することにもつながるんじゃありませんか。そういう点は人事院総裁、いかがお考えですか。
#135
○政府委員(藤井貞夫君) 労働条件の側面を持っていることはそのとおりであるということは申し上げておるとおりでございますが、これは公務員制度というものの成り立ちを考えましても、また法の制度、たてまえということから考えましても、この制度自体が一たん決められればこれは全然変わらない、不変のものとして永続をすべきだとか、また永続するものだというものではございませんので、おのずから社会情勢、経済情勢の変動、その他諸般の情勢をかんがみまして、変改すべきものは変改をしていくということに相なろうかと思うのであります。したがいまして、それを一方的に使用者側が独断でもってやるというようなことは当然許されることではございませんので、そういうことについての交渉というような規定もございますし、終局的には事柄は国会でもって御審議をいただいて決定をするということに相なろうかと思うのでありまして、この定年制自体についても、まさしくそういう面を持っている問題であろうというふうに理解をいたしております。
#136
○安武洋子君 私は、人事院はそういうことでは職員の利益を保護するんだと、こういう看板をおろさなくちゃいけないんではなかろうかと思います。
 それで、次に続いて聞きますけれども、定年制は分限事項の側面を持っております。そこで、そういう御答弁ですし、分限について御質問を申し上げたいんですけれども、いまの制度の中でも検察官とか、それから国立大学の教官とか、こういう方たちは一部定年制を設けていらっしゃいますけれども、その設けていらっしゃる理由というのはどういうことで設けていらっしゃるんでしょうか。
#137
○政府委員(山地進君) これらの特別の法律で定年制を設けているいまおっしゃたような方々につきましては、かなり長い歴史を持っておりまして、それらの定年制の設けている理由というのも、やはり全体的な組織の新陳代謝というものを考え、能率を向上するということをモットーにして設けられておるんじゃないかと思います。
#138
○安武洋子君 なぜ、こういう人たちに定年制を設けているのか、その理由を聞いております。
#139
○政府委員(山地進君) いま申し上げたのが理由でございまして、片方ではもう一つ申しおくれましたけれども、公務の中立性というものを考えて身分の保障ということから、六十歳なりあるいは六十五歳なり、あるいは七十なり、それぞれの法律で年齢が違うわけでございますけれども、免職をされないというところを、身分保障というものを明確にしているというふうに考えます。
#140
○安武洋子君 では、一般公務員と、いま言いましたような裁判官とか検察官とか、こういう身分保障は違うんでしょうか違わないんでしょうか。
#141
○政府委員(山地進君) 本来身分保障というのは、その公務といいますか、そういったものの中立性なりあるいは効率性というものを考慮して考えるべきものだろうと思います。
#142
○安武洋子君 私の質問に答えてください。一般公務員といまのような裁判官とか検察官とかの身分保障、違うんでしょうか同じなのでしょうかと、こう聞いております。
#143
○政府委員(斧誠之助君) 国家公務員の行政執行の中立性を確保する、それから公務執行の公正さを担保するという意味で、国家公務員に対して身分保障をしようという精神では同じでございます。
 ただ、職務の特殊性によりまして、たとえば大学教員ですと大学管理機関の議を経た後でなければ免職できないとか、検察官ですと検察審査会の審議を経た後でなければ身分を変動できないとか、そういう特別の身分保障を公務員一般の職員以上に厚くしております。これは検察官が職務の公正執行について非常に強い期待が持たれている、大学につきましては大学の自治ということが非常に尊重されているという特別な職務の特性によるわけでして、身分保障を公務員に対して与えるという精神では同じでございます。
#144
○安武洋子君 大学の学長とか教員とか、あるいは部局長とかですね、これは教育公務員特例法五条で転任についても身分保障がありますね、間違いありませんね。――わからなかったらいいですわ。
 身分保障がやっぱりずいぶんと分厚くなっているんですよ。そのことを悪いと言っているんじゃないですけれども、一般公務員に比べて身分保障はずいぶんと分厚くなっている。だから私は言いたいのは、定年制をあなたたちがどうしても導入なさるとこうおっしゃるなら、いま申し上げた大学の学長とか、あるいは裁判官とか、検察官とかと、このような人たちと同じような身分保障を分厚くするべき、私はこう思いますが、いかがお考えなんでしょうか。
#145
○政府委員(山地進君) 個々のいろいろの職についてそれぞれのいろいろ歴史がございますし、また職務についての特殊の身分保障というのがあり得てもいいんだろうと私は思っております。
#146
○安武洋子君 事前協議が長かったわりにえらい御答弁簡単ですね。
 私は、一般公務員も民間労働者と違って特殊性とおっしゃるなら、職務上の特殊性というのがたくさんあると思うんです。ひとつこれ、どんな特殊性が民間の労働者と違ってあるのかということを挙げていただけますか。国公法で言っていただいて結構です。
#147
○政府委員(斧誠之助君) 国家公務員には先ほど来お話が出ております労働権についての制約があるという特殊性がございます。
 それから、一部の奉仕者ではなくて全体の奉仕者であるというそういう公務員の特殊性から、いろいろな民間企業の職員とは異なる厳しい服務規定がございます。そういうことのために、それと公務員の行いますのは行政でございますから、行政は公正でなくちゃならないし中立でなくちゃならぬということで、そういう特殊性から身分保障を与える。それから人事院を設けまして、職員の利益の保護に当たらせるというような措置をとっておるわけでございます。
#148
○安武洋子君 先ほど二つだけ言われた、労働基本権、これは九十八条ですね。それから全体の奉仕者、九十六条ですね。その他もろもろと言わないでもう少し丁寧にきちっと言ってみてください。
#149
○政府委員(斧誠之助君) 服務について九十七条以下、「服務の宣誓」「法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止」「信用失墜行為の禁止」「秘密を守る義務」「職務に専念する義務」「政治的行為の制限」「私企業からの隔離」、そういう民間にはない厳しい規制がかけられておるわけでございます。
#150
○安武洋子君 せっかく調べて言ってくださったけれども、まだ抜けているでしょう。兼業の禁止とか、あるいは「他の事業又は事務の関与制限」と、こういうものもあるはずなんですね。専門のあなたたちでもすっと言えないというほどこれだけたくさんの制約、義務が課せられているんです。とすると、身分保障はどんなに厚くしても厚くし過ぎるということはないはずだと思いますよ。
 定年制をいま導入するというのは、これは情勢の変化があったからだと、こういうふうなことをいままでの国会答弁でも、先ほどの御答弁の中にも出ていましたけれども、こういうことを言われている。私はそんな単純なものじゃないと思います。これだけのやはり民間の労働者と違って制約を受けている、義務を負っている。こういうことであれば、身分保障というのはずいぶん厚くしなければいけない。特に私が最後に申し上げた私企業との隔離、これは公務員たる者は私企業と隔離をされているわけでしょう。ということは、非常に転職がしにくいということはあたりまえなんです、高級官僚を除きまして。あそこは天下りしてやりますけれども、それ以外の一般公務員というのは、これは私企業から隔離されればどんなに就職条件が悪いかと、困難になるかということはおわかりだろうと思うんです。ですから、法制当時にいまのこの定年制が予測されなかったというふうなことではなくて、私は、この公務員制度に定年制を導入することがなじまないと、なじまないからこそいままで定年制をしいてこられなかったと、こう思いますけれども、総裁いかがですか。
#151
○政府委員(藤井貞夫君) これは制度自体として定年制がなじまないというものではございません。当時、制定の当初の情勢においては、定年制自体を分限の一つとして導入をすると、規定をするというまだ機運になっていないという判断があったものだというふうに理解をいたしておるのであります。それの前提に立って制度運営をしてまいりましたが、事実上退職勧奨その他運用によってほぼ満足にいままでは来ておったという事実がございました。したがって、定年制の導入というのは、臨調の関係あるいはその以前の公務員制度調査会その他でもって取り上げられたことはございますけれども、制度として導入するというところにまでは至っていなかったということでございます。
 その後の情勢、非常に変化をしてまいりました。特に高年齢化、高学歴化というようなことが非常に急激に進んでまいりました結果、公務員の場においてもやはりそういう措置を講じないことには、職場の新陳代謝なりを通じまして、あるいは長期的、中期的な人事管理という方法というものを確立することによって、公務能率の増進を図ってまいるということにも差し支えができるのではないかというような情勢が出てまいりましたということもございまして、この際やはり公務員の場にも定年制を導入すべきであろうという見解を申し述べたということでございましょう。
#152
○安武洋子君 この制度をつくったときに導入する機運でなかったというふうに御答弁なさいましたけれども、藤井人事院総裁、あなたは昔そんなことはおっしゃっていないんです。これは後で私は申し上げます。
 それで、この定年制についてですけれども、人事院はいろんなことについてすぐ民間準拠と、この定年制でも民間準拠というふうなことをおっしゃっておられます。そうすると、聞きますけれども、民間では定年制という制度、これはいつから発足しておりますか。
#153
○政府委員(斧誠之助君) 最初の御質問にまずお答えしたいと思いますが、定年制の場合は民間準拠でやったということではございません。定年年齢を定めるに当たりまして、民間の定年制の実施状況は大いに参考にしましたということは申し上げておりますが、それで、今回の私たちが定年制について導入するについて意義があるという意見の結論を得ましたのは、国家公務員の在職状況、それから各省の退職管理の実態、日本全体の高齢化傾向による一般の就職意識の変化、そういうものから見て、新陳代謝がどうもこれからは従前のような十分な機能を果たしにくい状況に立ち至るであろうという予測が成り立つ。そういうことで定年制、しかも民間を見ると非常に高い普及率で、いまや六十歳の定年年齢に向かって努力しつつあるという状況があるということも参考にしまして、導入についての意見を申し上げたわけでございます。
#154
○安武洋子君 だから、民間を見て民間が大変高い普及率であるからというふうなことは御答弁の中で再三再四出ているわけですよ。だから民間と比べてやはり公務員の方にもと、こう思われたことだけは間違いないじゃありませんか。ですから私は、民間ではいつごろから一体こういう制度は発足しているんですかと聞いています。
#155
○政府委員(斧誠之助君) 年ははっきりは記憶をしておりませんが、大正の初めごろからだと思っております。
#156
○安武洋子君 だから民間にはずいぶん古くからあるわけですよ。それで民間にこういう定年制があるけれども、それが法律、こういう事項になっていないと、こういうことは憲法の十四条、法の下に平等でなければならない。これは年齢差別で、これにぶつかります。それから二十七条の勤労の権利、これは年齢で勤労の権利を奪っていくと、これにぶつかります。だから、こういうものを法律にのせないで労使で話し合ってこういうことをやってきたという歴史があるわけでしょう。それを、労働基本権を奪いながら、分限の面があるから、一般公務員に本当に合意も得ずにこういうものを導入すると、私は全く一方的であるということを重ねて申し上げざるを得ないわけです。そして政府のやり方というのは、これはいまの国際的な動きにもずいぶんと逆行します。
 その分限と労働条件、二面を持ちます。でも、この二面を持つ定年制だから労使で合意しなくてもよいとか、こういうことにはならないんです。矛盾はないわけです。というのは、私は何よりもいま民主的な近代的な労使関係、これを打ち立てるべきときだと思うのです。近代的な労使関係を打ち立てないと職員が安心して業務に専念できないと、こういうことになります。ですから近代的な、民主的な労使関係を打ち立てるということは、職員が安心して業務に専念できる。だからあなたたちのよくおっしゃる、何よりも効率が上がっていくわけです。それから、やはり業務が安定しますから、国民に奉仕もできるというふうになります。
 しかも、ILOで採択されております公務における団結権の保護及び雇用条件の決定のための手続に関する条約、これ第百五十一号です。これでも、職員団体を雇用条件決定や紛争解決に参加させる必要性、これを指摘しているわけですね。ですから、これがいまや国際的な一般常識になっています。近代的な労使関係を確立すると、このことを非常に大事なことだというふうに総務長官はお思いになりませんか。
#157
○国務大臣(中山太郎君) ILOからの勧告が出ておることは私もよく存じておりますけれども、日本のいわゆる職務のあり方というものが終身雇用型で、まあ何といいますか人事管理というものが生涯同じ場所で行われるという一つのわが国の特異な体系が従来歴史的に確立されてきた。ヨーロッパ社会においては、横割りに異動するオープンショップといいますかそういうふうな形で動きがあるわけでございますから、それぞれの国の歴史等を十分踏まえてこういう問題は解決していかなければならないと、このように考え、ILOの勧告で全部が拘束されるものではないというふうに理解をいたしております。
#158
○安武洋子君 そういう歴史的なこととか、置かれている条件とかということとは別に、職員団体を雇用条件の決定とか紛争解決に参加をさせていこう、物事を円満に、近代的に、民主的に処理をしていこうと、こういう精神についてはいかがお考えでしょうかという質問です。
#159
○国務大臣(中山太郎君) この法律案の国会提出までには、それぞれのお立場において組合の方々ともお目にかかってまいりましたし、今後またこの法律案が成立させていただいた後、それぞれの現業等におきましても、いわゆる団体の方々とも十分御相談をしながら運営の円満を期してまいりたいと、このように考えております。
#160
○安武洋子君 円満を期していただくのは結構なんですけれども、先ほどから論議をしている中で、職員団体の意向というのがやはり一方的に無視をされたと言わざるを得ない経過を私は出してきたわけです。ちょっと中座をなさっていたので、その点をお聞きになっていらっしゃらないかもわかりませんけれども、とてもそういうことを言えるような状態ではないと。ですから、円満におやりになるならこの法案提出の過程についてもおやりをいただきたい、非常に非近代的なやり方ではなかろうかというふうに思うわけです。
 それで、ちょっと確認をいたします。一昨年の八月に、総務長官の書簡に対しまして藤井人事院総裁名で定年制についての人事院の見解、これを明らかにしておられますけれども、その中で、定年制の意義などについて述べておられます。この人事院の見解は、これは法的な根拠を持っていないということですけれども、これは別にいたしまして、総理府はこの人事院の見解の中身について人事院と全くお考えが一緒なんでしょうか。意貝の違うところがあるんでしょうか、お伺いいたします。
#161
○政府委員(山地進君) 基本的には人事院の書簡について尊重しておりますけれども、一つだけ違う点というのは、五現業に関するところでは、企業の自主性を尊重して別に法律を定めることが望ましいというふうな御見解がございますが、私どもとしては特例定年等の主務大臣が定めることについて特別の五現業について規定を設けたということで、この件に関しては人事院の御意見を尊重して実施しているところでございます。
#162
○安武洋子君 確認しますけれども、ではこの五現業以外のところについては基本的には全く一致をなさっていらっしゃると、こう受け取ってよろしゅうございますね。
#163
○政府委員(山地進君) そのように私どもとしては基本的には人事院のお考えを尊重してまいっておるところでございます。
#164
○安武洋子君 人事院は、この定年制度の見解をお出しになるまでは、私は定年制の導入については非常に消極的であったと思うわけです。藤井総裁の国会答弁を拝見いたしますと、退職勧奨は所期の目的を達成している、今後とも効果的運用を期していく、十分これは検討に値する、こういうことで退職勧奨制度の効果、運用に非常に意欲を示して、定年制導入に否定的なこういう答弁をなさっていらっしゃると思うんです。ところが、五十二年の十二月の二十三日の閣議で定年制導入の検討、これがなされますと、定年制は退職管理の上できわめて有意義なもの、あるいは退職勧奨には限界がある、こういうことで定年制導入に積極的な御意見を示していらっしゃいます。このように、閣議決定で意見を出される、そうすると総裁は御自分の御意見を私どもの立場から見ると一変されたとしか受け取れないわけなんです。閣議で決められると態度をなぜこのように急変をなさるのかなと。公務員擁護の人事院と言いがたい。これは政府の代弁機関ではなかろうかと、こういうふうに思うわけなんですけれども、藤井総裁、なぜ態度をこういうふうに急変をなさったのでしょうか。
#165
○政府委員(藤井貞夫君) 態度を一変したとか、急変したとかいうようなことでございますが、これはわれわれの言動に対する評価、批判の立場はいろいろございましょう。したがいまして、そういう見方というものもあえて否定はいたしませんですが、私自身といたしましては、本問題に対する人事院の態度を従来と一変して急変をしたとか、そういうふうな理解はいたしておりません。従来からも御説明、御答弁申し上げておりますように、人事院といたしましては、やはり定年制というものははっきり民間においても根づいてきて長年運用されてきている制度でもございますし、特殊の例外ではございますけれども、公務員についても全くなかった制度ではない。また事実、戦前においては地方公共団体等においてもかなりの程度で採用されておったという実績がございます。そういうような背景のもとに、最近におけるいろんな情勢の変化というものもつぶさに検討を続けてまいっておった次第でございます。
 われわれといたしましては、やはり定年制というのは退職管理の一つの有効な方法であるという見解は従来とも持っております。ただ、それをいつの時点において導入に踏み切るべきかどうかというようなことについては、事柄が重要でございますので、慎重に調査検討を遂げておったのでございます。それの一環として、御説明も累次いたしましたが、たとえば民間の状況のみならず公務員の場においても退職勧奨の実態はどうなっているか、人員構成がどういうふうになっているのか、年齢の構成がその後どういうふうに推移をしていっているのか、あるいは退職公務員の退職後の状況はどうなのかというような一連の関連事項について慎重な調査検討を行ってまいりました。
 それと並行いたしまして、最近とみにこの高年齢化の現象が非常に際立った問題として浮かび上がってきたということがございまして、それとの関連で各省庁の実態等も見ますると、従来非常にうまく作用してきた勧奨退職というような制度がだんだんと有効に作用する度合いが少なくなっていくというような傾向も見えないことはない、それが今後の長期的な展望に立てばますます傾向として拍車がかかってまいるんじゃないだろうかというような見通しもございます。
 そういうことから、一面においてはやっぱり公務というのは、先刻来御指摘にもございましたように、大変重要な仕事でございまして、国民全般の奉仕者としてやっていかなきゃならぬ、公務の遂行を期さなきゃならぬという問題がございます。その場合においては、やはり非常に能率的な運営というものも一つの目標でございます、至上命令でもございますということもございまして、彼此検討いたしました結果、政府においてもそういう趣旨の閣議決定があり、またこれを受けて総理府の方からわれわれどもの方に見解を聞きたいというお申し出もございましたので、これに対して従来の検討の結果を総合的に判定をいたしました結果、意見として申し上げたということが実情でございます。
#166
○安武洋子君 いま、御答弁を聞いておりますと、藤井総裁は定年制は何か導入の時期、それだけの問題であるような御答弁です。しかし私はそうじゃないと思います。藤井総裁は定年制導入には元来反対の立場をとられていたのではないんですか。
 私ここに持ってきておりますけれども、藤井総裁が自治庁の公務員課長当時、いまの法制局長官の角田さんとともにつくられた本がございますね。これは「地方公務員法逐条解説」、著者は地方自治庁公務員課長の藤井貞夫となっております。この序の中には「この小著は、私の名において出されているが、実は、地方自治庁公務員課角田事務官と私との共著というべきものである。角田君は、私とともに本法の企画と立案に最初から参画してきた唯一の人であり、過程におけるいい知れぬ苦労をともにしてきた心友である。」と、こういうふうに書かれております。この逐条解説を拝見いたしました。これには「本法においては、直接、停年制を否認する旨の明文はないが、少くとも本法の精神は、停年制を排除するものと解せざるを得ない。」、こう言っておられるんです。これは最初から自分がこの企画立案に角田さんとかかわってきたということを、参画してきたということを言っておられる。その御本人の藤井貞夫さんが「停年制を排除するものと解せざるを得ない。」、はっきりこう言っておられる。これは地公法ですけれども、この地公法と対応するものとしての国公法もあるわけですから、地公法を企画立案された御本人がこのようにおっしゃると、これほど確かなことはないと思います。法の理念というのは、これは情勢が変わったからといって変わるものなんでしょうか。私は藤井総裁にお伺いしたい。なぜ立法当時は定年制を排除されたのでしょうか、お伺いいたします。
#167
○政府委員(藤井貞夫君) 私の昔の本を挙げられての御質問でございます。こういう席上でそれにお答えをすべきがいいのかどうか若干迷いますが、大変具体的にお話がございましたから、私の考え方というものについて申し上げたいと存じます。
 その本は、地方公務員法ができましてそれの内容の解説を図っている。非常に新しい戦後の民主的、能率的人事行政制度ということでございますので、当時まだ一万余の地方団体というものがあった状況で、これをできるだけ過ちなく法の精神を伝えたいというような気持ちからこういうものを物したということは正確に知っております。記憶もいたしております。これは当時私が、いまお挙げになりました、いまの法制局長官の角田君と、それからもう一人、いま広島県の知事をやっております宮澤君ですね、この二人が事務官で、三人で作業したのです。作業しましたが、これはやはり国家公務員法というもの、いまお話がございましたように、理論なり理念なり哲学なりというものはこれは同じものでございます。そういう意味から、いち早く国家公務員法ができておりましたので、これを右に見ながら、地方制度としてどういうふうに導入していくかということには腐心をいたしたのであります。
 その詳細なことは申し上げませんが、腐心をする際に、当然のこととして理念は理念としてそのまま持ってくるけれども、地方団体の自主性というもの、地方自治の本旨というものがございますから、地方自治の自主性と、それから地方公共団体の多様性、府県、市町村、いっぱいあるわけですから、その多様性にどういうふうに対処するかということに非常に気を使って立案に当たったことをまざまざと思い起こします。
 ところで、その法律の解釈、逐条解説みたいなものについて、私が定年制について申し上げましたのは、その限りにおいてはそのとおりでありますが、ただ、これは現行法の解釈――当時に制定されました法律の解釈としてそういうふうに申し上げたのであります。すなわち、公務員の職責というものは大変重要なものであるから、それを保障する意味において身分保障の規定がある。恣意的に任命権者の勝手の都合でもって職員の地位を脅かすことはできないという基本的なたてまえがございますからして、それについて強調をしなければならぬということはこれは大事な事柄でございます。そういうことの一環として分限の規定なり身分保障の規定を強調したということでございますけれども、それの一環といたしまして、定年制というものについては規定がないと。規定がないというのは、これはやはり分限としてその当時においては取り上げるべきものではないというふうな背景があるんだと、そういう意味のことをたてまえとして申し上げたのであります。
 そういう点は、これは自治省からの御答弁がしかるべきだと思いますが、その後において、果たして現行法上定年制が地方公務員についてできるのかどうなのかという疑問がありまして、地方団体側からも照会があり、それに対して回答したというような行政実例の問題もあったと思いますが、そういう際に、やっぱり現行法の解釈としては定年制というものは従来と違ってできなくなるんだというふうなことを申し上げたと思います。
 ただ、この点は先刻も申し上げましたように、制度として現行法のたてまえはそうなっておるけれども、そのたてまえがずっと変わらずに、また、それを変えることがいけないんだという趣旨のものではないことは申すまでもないのでありまして、分限事項は法律事項でございます。そういうことで、情勢の変化に基づいて適当な措置があればそういうものを盛り込んでいく、これについてはしかし重要な問題であるから国会において御審議をいただくという順序に相なったものだと理解をいたしております。
#168
○安武洋子君 総裁、大変苦しくて、論理が通っておりませんですね。総裁がここに書かれているんですよ、「近代的公務員制度の理念は、能力実証主義を根幹とするものであって、職務遂行の適格性を有する限り、年齢等によつて、その取扱に差別をすることを認めない。長年の経験は、優秀な公務員を生むことは事実である。才幹ある職員を老齢なるが故に一律に淘汰することは、許されないところである。従って、本法においては、直接、停年制を否認する旨の明文はないが、少くとも本法の精神は、停年制を排除するものと解せざるを得ない」と。これは現職の――地方公務員法、この逐条解説ですけれども、現職の公務員課長が書かれて、そしてこの法律を企画立案された方、そして法の精神を伝えたいということでと、いま御答弁がありました。
 私は、法の精神というのは、おっしゃるように近代的公務員制度の理念は能力実証主義を根幹とすると、これは変わらないと思いますよ、書いていらっしゃるんですからね。そして、それなのに、才幹ある職員を老齢なるがゆえに一律に淘汰すると、こういうのは定年制であるからそういうものは否認するということをはっきりと書いていらっしゃる。私は総裁の御答弁というのはまことに一貫性がないと思いますし、そして情勢によってこういう法の趣旨までもくるくると変えられるというふうなことは、やっぱり公務員の利益を保護するという人事院本来の使命から見ても私は問題があると思います。
 そこで聞きますけれども、わが国は非常に早いテンポで世界の中でも老齢化が進んでおります。この高齢化社会に対応しまして、高齢者の雇用保障の問題、これが非常に深刻になって社会的にもそのことが求められているわけです。そこで政府は高齢者の雇用保障にどう対応されているのか、基本方針を長官にお伺いをいたします。
#169
○国務大臣(中山太郎君) 急速にやってくる高齢化社会におきましてわれわれはどう対応していくのかと。高齢者の雇用の問題は、労働省も――労働省来られていますか。労働省も来られていますが、労働省においてはすでに法律をもって中高年の雇用促進法がございまして、これについては労働省から御答弁を願うことになると思いますけれども、政府としては、急速にやってくる高齢化社会ということよりも、事前にすでに高齢者の雇用というものについては重大な関心を持って、国会でも法案の御審議をいただき、法律の成立後はその法律の適用に努力をしてきていると。また民間企業に対しても新経済社会七カ年計画、それから第四次の雇用計画というものを示しまして、昭和六十年をめどに民間においては六十歳の定年制が浸透するように政策誘導をやっておると。このようなことでございますが、今後私どもとしては中高年の雇用にはさらに一段の努力をしていかなければならない、それは私どもの基本的な考え方であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
#170
○安武洋子君 政府は常々高齢者の雇用対策については、これは本当にもう重点政策であると、それを進めていかなければならないということは再三再四繰り返し表明をなさっておられるわけです。
 そこで、私はここで、定年制についての人事院の見解についてちょっとお伺いしていきますけれども、この中で人事院は、
  近年、我が国の人口構造の急激な高齢化の影響もあって、勤労者の間に高年齢まで就業したいという意識が高まってきている。このことは、公務部内においても例外ではなく、高齢者の労働市場が狭いことなどと相まって、近い将来、勧奨は十分には機能しにくくなり、公務部内における職員の高歯化の傾向が次第に強まるものと考えられる。その結果、組織の活力の低下、昇進の停滞による職員の志気の低下等をもたらし、公務の能率的運営に支障を来すおそれがある。
  このような情勢に対処するためには、適正な新陳代謝の促進と長期的展望に立った計画的な人事管理の展開を通じて、職員の志気の高揚を図り、組織の活力を維持するとともに、職員を安んじて公務に専念せしめ、もって、より能率的な公務の運営を期待し得るよう、退職管理制度が整備される必要があると認められる。
 これを実現する手段の一つとして、国家公務員制度に定年制度が導入されることは意義のあるところである。
 こういうふうになっているんですね。そうすると、これは平たく言いますと高齢者社会になってきたと、労働市場が大変狭いと、公務員も近い将来労働市場が狭いからやめなくなるであろうと。そのために、いままで退職勧奨がうまく働いてきたけれども、退職勧奨では公務員は職場から出ていかなくなるだろうと。そうすると組織の活力が低下して公務の能率的な運営ができないと。だから定年制で公務員の首を切るのは意義のあるところであるというふうなことで、いつまでも公務員は組織の中にしがみついてくれるなよというふうなことで、非常に労働市場が狭くなっているということは認められているわけです。たださえ狭いこの労働市場に高齢の公務員にしがみつかれては困るので、定年でこの不安定な労働者をもっとたくさん増してしまうと。政府の手でさらにこういう不安定労働者をつくり出すと。こういうことになるんじゃありませんか。いかがですか。
#171
○政府委員(斧誠之助君) 従来、われわれ世代の人間は後進に道を譲るとか、あるいは勇退をするとかというような気分がわりあいありまして、そういうこともあって新陳代謝というのがわりあいスムーズであったと。この書簡で述べておりますのは、その辺のところに一般の高齢化社会の影響もあってだんだん意識の変化が出てきて高年まで働きたいというような意識にだんだん移ってきたと。一般の職場が労働市場が狭いということもありますが、そういう面で公務員の新陳代謝というものが阻害されるというと、組織の原理としましてこれは能率に影響があるのではないかと。で、人事院の場合、責務としまして公務能率を向上させるような人事管理制度、そういうものを常に研究していなければならないという責務があるわけでございまして、そういう公務能率の見地から見ました場合に、新陳代謝が停滞するような状況が予想されるもとで、その停滞を取り除くようなそういう退職管理制度をこの際考えたらどうかと。それには定年制導入ということで退職管理制度を新たに導入するのが意義のあるところであると。こういうことの結論に達したわけでございます。
#172
○安武洋子君 何とおっしゃっても、要するに労働市場が狭くなってきたと、だから公務員は高齢になってもやめないと、いつまでも職場にしがみつくと。そういうことをされると、高齢者というのは能率が悪くて効率も悪いから行政も能率が上がらなくなると。だから定年で追い出してしまうんだと。ということは総務長官、政府は高齢者の雇用を促進すると、これを大変重点に政策的に考えてなさるということとずいぶん矛盾するじゃありませんか。どうお思いですか。
#173
○国務大臣(中山太郎君) 政府は公務員の方々のことも考えますと同時に、主権者であり納税者である国民のことも絶えず忘れるわけにはまいらないのでございまして、主権者の方から見て、民間から見て、国民のサイドから見て、自分たちが求める行政サービスが一番いい効率を上げておるか、こういうところに一つの視点があることはひとつぜひ御認識をいただきたいと思うのであります。
 そういう点と、また公務に携わる方々がやはり一番安心して働いていただくように、われわれ政府は人事院勧告というものを完全実施するようにここ十年ほど努力をしてまいってきております。片一方だけを見るわけには政府としてはまいらないのでありまして、絶えず大多数の国民が何を求めているかというところに視点の中心を置いて行政をやっていかなければならないと、このように考えております。
#174
○安武洋子君 国家公務員も、長官、これは主権者であり納税者であり国民なんですよ。ですから、主権者であり納税者であり国民である公務員を失業させてよいということにはならない、政府の政策に反するわけですからね、基本的な大きな。だから先ほど確認したんです、人事院と基本的に一緒ですかと。人事院の方では、高齢者になったら労働市場が少ないからいつまでも公務員にしがみつく、これは困ると。だからもう定年で出ていってもらおうと、こういうことなんですよ、先ほどのあれを読みますと。この定年制についての見解というのは。
 そこで長官にお伺いすれば、何か公務員が主権者、納税者、国民から外れているようなあれがありましたけれども、やはり大多数の国民ということで、大多数の方は公務員以外だとおっしゃるのかもわかりませんけれども、大多数の国民もこの行政からはきちっとしたサービスを求めているわけです。私は、この定年がどんなサービスの低下をもたらすかということは後でまた追及をさせていただきます。
 そこで、高齢者の就業希望というのを見てみますと、六十歳から六十四歳、これは八一%です。六十五歳以上で六五%になっております。その理由というのも、調べてみますと圧倒的に経済的な理由が多いわけです。働かないと生活できない。これは社会保障の貧困を物語っていると思います。
 そこで、厚生省の五十四年度の国民生活実態調査、これを見てみますと、六十五歳以上の層の世帯の収入に占める稼働所得の割合、これはわが国では四四%に上っているわけです。アメリカ三〇%、西ドイツ一八%、イギリス二五%。いかにわが国では自分を養うために働かなければならないか、その必要に迫られているか、この数字が示していると思うんです。それにもかかわらず、高齢者の雇用比率、これを見てみますと六十歳から六十四歳層で五三%です。欧米の先進諸国ではこれが八〇%前後と、こういうふうになっておりますから、わが国はかなり低いわけです。言いかえますと、働きたくても働けない失業者が多いということになるわけです。これは官も民も含まれている数字ですから、公務員の場合も基本的に私は変わりはないと思います。
 そこで労働省は、私がいま申し上げたのは労働省の調査ですからこういうことを肯定なさると思いますけれども、こういう現状に立った上で高齢者の雇用対策、これは強力に進める必要があるということでいろんな施策、方針をお持ちだろうと思うんですけれども、基本的な方針、施策をまず最初にお伺いいたします。
#175
○政府委員(小粥義朗君) わが国は非常な勢いで高齢化社会を迎えるということで、高齢者の雇用問題は雇用政策上の最重要課題の一つになっているわけでございまして、具体的な対策といたしましては、一つには定年延長でもって少なくとも六十歳まではそれぞれの企業で雇用の場が確保されるようにしていきたい。そのために定年延長の促進という形で高齢者の雇用率を初めとするいろんな行政指導をやっているわけでございます。
 それからいま一つは、やむを得ず離職をされた高齢者の方は、先ほど来お話もございましたように、現在の労働市場では高齢者向けの求人が少なくてなかなか再就職しにくいといった事情にもございますので、たとえばいろんな給付金を出しましてその再就職を助成していく、あるいは促進していくという形の施策をとっております。
 三番目には、高齢者の雇用がなかなかむずかしい一つの理由といたしましては、賃金その他の原資が高くつくといった問題がございますが、同時に高齢者向けの職場がなかなかないというのが企業の声としてもございます。したがって、そうした面については高齢者向けの職場をつくり出すためにいろいろ企業が設備、施設その他の改善を図る場合の融資といったことを行うことによって、そういう高齢者向けの職域を広げていくといったことを今年度からもその融資制度を新しくつくりましてやるようにいたしております。
 さらには、これからの六十年までの間は、どちらかと言えば五十五歳から六十歳までの年齢層がふえるのでございますが、六十年を超えますと、今度は六十歳代層の労働力人口が非常な増加を示すということが見込まれますので、いまからその六十歳代層の就業対策といったことにも気を配っていかなければいけないということで、定年をすでに六十歳に引いている企業でも、さらにその定年退職者を六十一歳以上に継続雇用ないしは勤務延長といった形で雇用していく場合の助成を図る、あるいはそうした通常の企業の雇用にはなかなかつけないけれども、他方、短時間でもいいから働きたいという方のためにいわゆるシルバー人材センターといったようなものをつくって、これは五十五年度からでございますが、そうした方々に就業の場をできるだけ確保できるような施策を講じているところでございます。
#176
○安武洋子君 それでは、総理府は「高齢者問題の現状」と、こういう御本をお出しでございますね。これは老人対策室ですか、そういうところでまとめていらっしゃいます。だから、非常に重視をなさっていらっしゃるというふうに私は思うわけですけれども、労働省に少し細かいことですけれども聞いてまいりたいんです。
 高齢者に対する施策、いろいろとおっしゃいましたが、高齢者の雇用奨励金の仕組みですね、まず最初に仕組みをちょっと教えてください。
#177
○政府委員(小粥義朗君) 定年延長奨励金という給付金は、雇用保険のいわゆる雇用安定事業その他四事業でございますその一環として行っておりまして、民間の企業が定年を五十六歳以上に引き上げた場合の、引き上げの対象となって雇用が伸びることになった労働者一人について年間で三十万円、中小企業の場合は四十万円の給付金を支給するという制度でございます。
 その支給実績を御参考までに申し上げますと、制度そのものは四十八年から実施いたしておりますが、五十五年度の、これはまだ三月まで全部入っておりませんので見込みになりますが、支給金額としては約三十一億、対象人員として九千三百五十人といったような見通しになっています。
#178
○安武洋子君 済みません、ちょっともう一度言ってみてください。
#179
○政府委員(小粥義朗君) 数字でございますか。
#180
○安武洋子君 はい。
#181
○政府委員(小粥義朗君) 五十五年度の……
#182
○安武洋子君 いままでの累計で言ってほしいんですけれども。
#183
○政府委員(小粥義朗君) それでは四十八年から五十五年までの累計で申し上げますと、金額にしまして五十六億七千三百万円強、対象人員にしまして二万五千人強というような数字でございます。
#184
○安武洋子君 いまお答えくださった数字ですけれども、いまのは何でお答えくださったのでしょうか、どういう制度でお答えくださったのでしょうか。いまの私は雇用奨励金でお伺いしました。
#185
○政府委員(小粥義朗君) いまお答えしましたのは、定年延長奨励金についてお答えしたわけでございますが、雇用奨励金についてのお尋ねでございますか。
#186
○安武洋子君 いまのは定年延長奨励金でお答えくださったんですか。
#187
○政府委員(小粥義朗君) はい、そうでございます。
 それでは、高齢者に対する雇用奨励金の制度についてお答えをいたしたいと思いますが、これは雇用奨励金といいますのは、高齢者であるとかあるいは身体障害者のように就職が特に困難と思われる方々を企業が雇用した場合に、月に金額にして原則として一万五千円、それを一年ぐらいの期間その企業に対して支給するという制度でございます。高齢者に対する分は五十年から創設されておりまして、その支給実績を申し上げますと、七十三億七千三百万円強、対象人員にしまして、これは実人員でございますが、十二万四千三百九十五人というような数字になっております。
#188
○安武洋子君 この制度ですけれども、これは五十五歳から六十五歳未満の人ということになるのでしょうね。
#189
○政府委員(小粥義朗君) そうでございます。
#190
○安武洋子君 そうして、この人たちは一年間一万五千円ずつ支払われると、一人についてね、企業に。そうすると、一年そのお金もらってすぐやめるというような人でなくて、一年済んでもまだ相当期間勤務するであろうという人に対してこれは支払われるわけですね、ちょっと確認しておきますが。
#191
○政府委員(小粥義朗君) 支給の要件としましてはいろいろ要件がついておりまして、当然に高齢者を雇ってそれを常用労働者として雇用していくということが条件になっておりますので、助成金の支給期間は一年でございますけれども、それが切れた後も引き続き雇用することが見込まれる者という前提で、高齢者と申しますのは五十五歳から六十五歳未満という範囲でございますが、そういう範囲の高齢者を雇用した事業所に支給しているものでございます。
#192
○安武洋子君 それで長官も聞いておいていただきたいんですけれども、この仕組みというのは、いまお答えがあったように五十五歳から六十五歳未満に適用される。ですから六十五歳の人を雇うとしますと、一年間、月に一万五千円ずつこれはお金が出されていくわけですね。で、相当期間その後常用労働者として勤めるということですから、六十五、六十六、六十七、六十八と大体七十ぐらいまでというふうな、そこら辺ぐらいまでも勤めるということが見込まれる人に大体こういうお金を出していこうという政府の制度が一つあるということなんです。覚えておいていただきたいと思います。
 それから、続いて今度は労働省にお伺いいたしますけれども、中高年齢者の雇用開発給付金ですね、この仕組みをお伺いいたします。
#193
○政府委員(小粥義朗君) 中高年齢者の雇用開発給付金は五十二年に制度は発足いたしましたが、その後五十四年に雇用情勢が非常に悪化した段階で、いわゆる中高年齢者の雇用がむずかしいところから、十万人の雇用創出ということで制度をつくり変えまして、これは特に雇用状態が悪い期間を限りまして、その間に企業が中高年齢者を雇用した場合に賃金の五分の三、中小企業の場合は五分の四の率で助成金を支給する。支給期間は高齢者と中年では半年ほど違いますが、一年ないし一年半の期間にわたってこの助成金を支給するということで実施しております。その支給実績は……
#194
○安武洋子君 ちょっと待ってください。そこで結構です。
    ―――――――――――――
#195
○委員長(林ゆう君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、山内一郎君が委員を辞任され、その補欠として関口恵造君が選任されました。
    ―――――――――――――
#196
○安武洋子君 いまの仕組みですけれども、もう少しちょっと、私はこう思っているんですけれども、四十五歳から五十五歳未満の人を雇った場合に、六カ月間は五分の四、それから後の六カ月間は三分の二となるんじゃありませんか。それから五十五歳から今度は六十五歳、高年齢の人を雇った場合には五分の四、一年間出る。そして後の六カ月は三分の二出る。大企業の場合は違いますけれども、率が。ということは、四十五歳から五十五歳という年齢の低い方は最初の五分の四が出るのは六カ月だけ。そして後の六カ月になると三分の二になる。ところが、五十五から六十五という高年齢になると、これが一年間五分の四という金額が出ていく。そして、それから後の六カ月が三分の二になる。半年五十五歳以上の方が長いわけで、しかも金額にして最初の五分の四というたくさん出る金額の期間が四十五歳から五十五歳未満は六カ月であるけれども、五十五歳から六十五歳になるとこれが五分の四というのが一年になる、こういう仕組みになっておりますか。
#197
○政府委員(小粥義朗君) いろいろ期間によって補助率が違うんでございますので、先ほどちょっとその点はまとめてお答えいたしましたが、いま御指摘のとおりでございます。
#198
○安武洋子君 というと、四十五歳から五十五歳未満よりも五十五歳から六十五歳、これが期間も半年長い、しかも五分の四というたくさんの金額が出るのが、片方は四十五歳から五十五歳未満の低い方は六カ月であるけれども、五十五歳から六十五歳の年齢の高い方は、これは五分の四が一年というようにしている。この理由は何なんでしょうか。
#199
○政府委員(小粥義朗君) 私どもの公共職業安定所の窓口での求人求職の状況を見てみますと、年齢別に見て、年齢が高くなるほど求人が少なくなりまして、言うならば求人倍率が下がるわけでございます。それだけ就職がむずかしくなるという情勢にもあるわけでございますので、特に高齢者の方に手厚くして雇用が促進されるようにしようという考え方で中年と高年とに差をつけたということです。
#200
○安武洋子君 ということは、やっぱり四十五歳から五十五歳よりも五十五歳から六十五歳と年齢が高くなっていくと就職がむずかしい。だから、それだけにこういう手当を手厚くした。こういうことですね。
#201
○政府委員(小粥義朗君) そのとおりでございます。
#202
○安武洋子君 そうすると、いまの制度ですね、雇用開発給付金、この適用した事業所、この数と、それから人員と、いままでの累計金額、これを教えてください。
#203
○政府委員(小粥義朗君) 先ほど申し上げましたように、五十二年から創設されておりますが、五十四年から制度は変わっておりますので前後つながらない点がございますが、一応五十二年からの全部の累計で申し上げますと、昭和五十二年から五十五年、これは二月まででございますが、金額にして九百八十一億九千九百万円強、対象人員にしまして二十万五千人強、こういう数字でございます。
#204
○安武洋子君 総務長官、これもお聞き取りいただきたいんです。非常に高齢になると就職がしにくいということで、政府の施策の一つとして九百八十一億九千九百五十二万円とお答えいただいたんですが、これだけのお金を出して、手厚くこういう高齢者のための就職を何とか確保していこうという政策をやっておられます。
 その次に、先ほどこれはお答えいただいたんでしょうか、定年延長奨励金というのがありますね。これを一応、どういう事業所数、人員、金額、これを少し教えてください。
#205
○政府委員(小粥義朗君) 定年延長奨励金につきましては先ほど数字を申し上げたわけでございますが、要するに五十六歳以上に定年年齢を引き上げた場合に、それに該当して雇用を延ばすことになる労働者一人について年間三十万円、中小企業の場合は四十万円の金額を支給するという奨励金でございまして、四十八年から五十五年までの累計で申し上げますと、金額にしてこれは五十六億七千三百万円強、対象人員にしまして二万五千人強という数字でございます。
#206
○安武洋子君 それから、四つあると言われたもう一つですね、これは継続雇用奨励金ですね。この制度の仕組みと、それから事業所の数、それから人員、それから累計金額、これがいかほどになっておりましょうか。
#207
○政府委員(小粥義朗君) 継続雇用奨励金は六十歳以上の定年年齢をしいております企業が、その定年でやめた人をさらに再雇用ないしは勤務延長という形で雇用を継続した場合に支給されるものでして、その該当者一人について年間十五万円、中小企業の場合は二十万円という金額を支給いたしております。それの支給実績は、五十一年度から創設された制度でございますが、五十一年から五十五年までで金額にしまして百二十五億二千六百九十七万円、対象人員が八万八千百五十七人、対象事業所数で一万八千三百二十六ということになっております。
#208
○安武洋子君 長官もそこで聞いていただいて、これが私は十分な施策だとは思っていないのです。しかし、高齢者の雇用促進関係のまだ一部ですけれども、この主な四つの、定年を延長したら奨励金をあげましょうとか、それから六十以上にさらに定年を延ばしたときには補助を出しましょうとか、あるいは先ほども言ったように、四十五歳から五十五歳どころか、五十五歳から六十五歳、ここのところはこういうのを雇ったら四十五歳から五十五歳よりも手厚くしましょうとかと、このたった四つの施策のお金の合計ですね、いまそちらで述べていただいた、これは千二百三十八億円になるわけです。千二百三十八億円、一方には中心的な高齢者を雇う施策に政府が出しているわけです。私はこれを何もたくさんだと言ってはおりません。まだ私はここをもっと手厚くすべきだと思いますけれども、千二百三十八億円が出ているということを頭に入れていただきたいわけです。
 それから、さらに労働省にお伺いをしたいんです。これは雇用保険の面で高齢者の雇用を援助している、こういうふうな制度はございませんか。
#209
○政府委員(小粥義朗君) 雇用保険事業の中で高齢者に対して特に配慮した施策をとっておりますのは、先ほど申し上げた四つの給付金は大体雇用保険の事業の中でございますが、それ以外には、いわゆる失業した場合の失業給付について、特に中高年齢者についてはいま、これは臨時的に期間を限ってやっておるわけでございますが、六十日の給付延長をするといったような仕組みもございます。さらに、先ほど高齢者向けの職場をつくるためのいろいろな融資制度があると申し上げましたが、そうした事業はこれは雇用促進融資の中でやっていきますので、原資そのものは財投から借り入れた資金でやりますけれども、それに伴う事務に要する経費その他は雇用保険の方で見ていくといったようなこともやっておるわけでございますが、それ以外、特に改まって高齢者向けというのはちょっといま思い当たりません。大体そんなようなことをやっております。
#210
○安武洋子君 六十歳以上の人を引き続き雇用していく場合に、雇用保険料の徴収ですね、これは事業所、本人分を免除する、そういう施策はとっておりませんか。
#211
○政府委員(小粥義朗君) どうも失礼いたしました。保険料について、これは労働者も保険料の一部を負担することになっておるわけでございますが、特に六十歳以上の高齢者については、保険料の労働者負担分の納入を免除するという仕組みをとっております。
#212
○安武洋子君 長官、政府自身は六十歳で定年をしこうと言っている。そして政府の施策では、六十歳以上引き続いて雇ったら、それはいいことだから、事業所に対しても本人に対しても保険料の徴収は免除しましょうと、これだけの施策を出しているわけですよ。私は、この政府の施策、それから先ほど申し上げましたけれども、千二百三十八億円、それも高齢者になるほど厚くしている。こういうやり方を一方でとっていらっしゃる。また引き続き雇う事業所はいいことだということで、雇用保険の面では保険料でもこういうことをなさっていらっしゃる。これは政府の、高齢者の雇用を確保していこうという基本施策、基本方針、それと公務員は六十歳で、職場の中で非常に労働市場が狭いからうんとしがみつくであろうと、しがみつかれたら困るから追い出そうと、これは大きく矛盾するんじゃありませんか。相反するんじゃありませんか。いかがですか。
#213
○国務大臣(中山太郎君) 先生のおっしゃっている御指摘の点が、いわゆる公務員と民間と、私は政府の考え方が先生の考え方と少し違うんじゃなかろうか。政府の場合は、いわゆる良質のサービスを国民のために提供するのが公務員である。そうして、その公務員の人たちが年をとってくると能率が下がってくることは、これはもう否定のできない事実であります。そのために、やはり定年制というものをしいて、最も質のいい公共サービスのために公務員の方々が働いていくと。民間の方は、年をとった人たちはいわゆる労働の質が低下するということを企業自身がよく知っております。そのために、できるだけ若い人を採用したい、そういう企業のいわゆる利潤追求の組織に対して高齢化の雇用問題というものを少しでも解決するためには、企業のいやがる質の落ちたいわゆる高齢者の雇用を促進するために、政府がその率の落ちた分だけできれば補助金を出して、それを振興したい。こういう考え方で私は二律背反はないと。つまり公務員の場合と民間産業界における場合との政府というものの考え方というものは、高齢化の雇用問題についてはそのような考え方で対処をしてきているのが今日までの施策であろうと考えております。
#214
○安武洋子君 長官、私は二つ大きな問題があると思います、いまの御答弁で。
 公務員は年をとれば良質のサービスができないという御認識、能率が下がるという御認識、これは後に私は論議させていただきます。それはそうじゃありませんということで申し上げとうございます。
 それから民間は、これは利潤を追求していくわけですね。こういう利潤追求のところに、いやがるからお金をつけているんだと、こうおっしゃいますけれども、民間こそ本当に利潤追求ですから、うんと若い人たちに働いてもらって利潤の追求をどんどんどんどんしていきたいと、こう思っているわけでしょう。しかし、こういう民間が定年を延長しましょうと、こういう動きはずっと出てきているわけですよ。そして、まだ政府の施策がいろいろとやられておりますけれども、民間の定年延長の動きというのは、政府のこういう施策があるなしにかかわらずこういう動きをしている。そんなときに政府が公務員は良質のサービスができないからと言うのは、大変おかしな論理だと思うんです。これは後で具体的な例を挙げて申し上げます。
 それで、またこれはお金の面だけでなしに、人も投入しておりますね。労働省に聞きます。職業安定所で高齢者雇用のために人員を配置していると思うんです。配置しているとしたら、私はその職名と、それから職名別の人員、これを聞きたいんですけれども、一つずつ答えていただけますか。
#215
○政府委員(小粥義朗君) 公共職業安定所でやはり中高年齢者の再就職のあっせん等に当たっております職員はいわゆる就職促進指導官と言っておりますが、各種の就職促進指導官の中でいわゆる中高年齢者を担当する就職促進指導官は、五十五年度で六百五十七人でございます。
 それからいま一つ、高齢者の雇用率が中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法で決められております。そうした雇用率の達成指導であるとか、その他企業が高齢者を雇う場合にいろいろ雇用管理の面であれこれ配慮しなきゃならない問題等について指導をする雇用指導官というのがございます。これが五十五年度で三百二十人、それから人材銀行がいわゆる中高年齢者を対象に、特に管理者的な仕事であるとか、そうした仕事のあっせんをいたしております。これは二十五全国でございますが、そうしたところにもいわゆる相談員といった方を配置しておりますし、他方、安定所のほかに市町村の庁舎の中にいわゆる高齢者の職業相談室を置きまして、そこに相談に当たる相談員の方を配置いたしております。そうした相談員の方が全体で八百四十名、五十五年でございますが、そういうような状況になっております。
#216
○安武洋子君 ちょっとにわかには暗算ができませんけれども、しかしこれだけ――長官、よろしいか。いま人員、お聞きのように千八百――二千人足らずですね。それだけの人員、非常に定員で削減されてほんとに苦しい中でこういう人員を配置している。この人数は非常に私は不足だと思いますけれどもね。そういうことも、人的にもお金の面でも、組織もつくっているというふうなことなんです。
 そして、総理府自身が何とおっしゃっているかということは、この高齢者問題について、行政サイドとしては、これは直接老人に対して生きがいを与えるというふうなことは不可能であると。しかし、行政サイトとしては、動ける間は働き――というふうなことで、働ける間は働いて、老人にやはり生きがいを持ってもらわなければならない、直接には与えられないけれども、というふうふうなことで、これが生きがいであるというふうに言っておられるわけです。
 私は、やっぱり人間、働きたい間は健康で働けるというふうなことは何よりの生きがいだというふうに思いますけれどもね。働く。そして、まだそういう能力もあるというふうな公務員を追い出すということは、私は生きがいを奪ってしまう。長官はよく答弁の中で生きがいというふうなことをおっしゃいますけれども、これはいかがお考えなんでしょうか。
#217
○国務大臣(中山太郎君) 私は、生きがいというのは、公務にずっと携わるだけが生きがいじゃないと思うんです。人間の生きがいというのは、それぞれの年代に応じて考え方が変わってくる。だから、働きたい。しかし民間におりても働けるわけでありますし、また働かないでおれは一生暮らしたいと思うのも一つの考え方だろうと。
 だから、やっぱり生きがいというものは、その人その人がやはり自分の追い求める一つの人生の生き方というものでございましょうから、私は一概にすべてを一つのことで律するわけにはまいらないと、そのように考えております。
#218
○安武洋子君 働きたい人を働けなくするという、そういう制度を持ち込まれていることを私は問題にしているんです。だから働きたいときは働きなさいと、それが生きがいですよということを御自身で高齢者の問題の中でおっしゃっている。ところが、それはいろいろの生きがいもありましょうけれども、働きたいと本人が思っている、それなのにそういう働きたいと、意思も能力もあるのにそういう人たちを職場から追い出してしまうという定年のやり方というのは、私は全く生きがいを奪うことではないかと、おかしいことではないかということを申し上げております。
 そこで、これは人事管理、行政運営からも大変大きな問題があると思います。行政の効率を上げるためにとおっしゃっておられますけれども、それは全く反対です。私はいまの行政運営に大きな困難が出てくると思います。
 一つ例を挙げますと、現在の給与法適用職員の年齢別、これ資料いただきました。これを見てみますと、四十八歳から五十三歳ですね、この年齢層に大きなかたまりがありますね。こういう人たちは年齢的に見てみますと、戦後に一挙に採用されたと、いわば終戦処理だというふうな大変苦労をされてこられた人たちです。こういう人たちは非常に困難な時代を経ていまや行政のベテランというふうな人たちですけれども、こういうかたまっているところの人たち、これを一挙に退職させるというふうなことになりますと、公務員は国民に奉仕をしなければならないと、こういうふうになっておりますのに行政が質的に低下をしてしまう、国民へのサービスというのが大変薄められてしまう、行政執行がさらに困難になっていくと、こういうふうに思います。そういう部署も出てくると思いますけれども、これはいかがお考えなんでしょうか。
#219
○政府委員(山地進君) いまのかたまりがあるということは私どもも常々承知しているところでございまして、従来公務員の間には勧奨退職ということで五十七、八歳から六十歳ぐらいでいわば秩序正しく公務から退かれているという伝統があるわけでございます。それを踏まえて私どもとしては六十歳定年というのを導入したわけでございますけれども、公務員たる者はそういった公務の実態というのを常にわきまえていると思いますので、そういう方々が円満に退職されていかれるものと私ども期待しているわけでございますが、一方、それらの方々のかわりに新しく採用される、新規に採用されるわけでございまして、いま先生の御指摘のようなことについては、なお六十年までの間の人事の管理ということに配慮いたしますれば行政能率の低下ということにはつながらないんではないかと、かように考えております。
#220
○安武洋子君 本人の円満に退職していかれるというふうなことで本人の自発性に待つならこれは一番自然な形で、いままでの退職勧奨、これが一番ふさわしいのではないんですか。
#221
○政府委員(山地進君) いま私申し上げましたのは、一つは六十年の定年制ができるまでの間のことが一つあるわけでございます。それから、六十年の三月三十一日以後は定年制ができますから、これは勧奨退職と同等の年齢でございますから、いま申し上げたような退職ということが自然に行われるだろうと、こういうふうに申し上げているわけでございまして、その退職によるいまのこぶの問題というのを六十年三月三十一日以前において、これは人事管理上かなり注意深く取り扱わなきゃいけないだろうと、こういうふうに申し上げております。
#222
○安武洋子君 六十年三月三十一日までにいまの勧奨制度でなだらかにうまくやっていこうと、確認しますけれどもこういうことなんですか。
#223
○政府委員(山地進君) それが一つ入るかと思います。つまり勧奨退職ということについて、これは六十年三月三十一日までは定年制ございませんから勧奨退職ということは依然として残るわけでございまして、これの運用ということが考えられるわけでございます。ただし、その場合に勧奨退職に応じないという方が起こるという可能性は否定してはおりません。
#224
○安武洋子君 そういうことでこの問題が解決できる問題でしょうか。あなたたちは、私は申し上げたのは、いま非常に年齢がかたまっているのは五十歳の初めであるということを申し上げました。そうすると、これはいまから五年たちますとまだ六十歳にならないわけですよね。こういうところに大きなこぶがあります。
 一つそして例を挙げてみたいと思うんです。気象庁の例を挙げます。これは気象庁では職員の総数というのが六千五百四十一名です。そのうち五十歳から五十九歳が二千五百八十九人で三九・六%、四割近いわけです。それから、他省庁と比較してみましても大変ここはこの層の年齢層が本当に厚いわけですね。四割が五十歳以上にかたまってしまっているということですよね。この全省庁の五十歳から五十九歳、これ全体に占めるのは二三・六%ですから倍になるわけですよね。
 この中で特に問題なのは、私は予報官だと思うんです。予報官などの仕事をしている人ということで見てみますと、五百三十一名です。その中で五十一歳から五十八歳まで、これ見てみますと四百三十三人。五百三十一名中四百三十三人というと、これは八一・五%なんですよね、八割です。だから、予報官は何と五十一歳から五十八歳までの人というのは八割もいると、この八割の人を定年制をあなたたちは導入されると、そういうことで退職させると、一体この後どのようにして行政をやろうとなさっていらっしゃるんでしょうか。私は、この人たちの後に欠員を補充したとしても一挙にそういう人たちを雇わなければならない、八割ですからね。ということになりますと、予報官ですよ。新しい予報官が一挙に入ってくる。天気予報ますます当たらなくなると、国民サービスの低下もいいところですね。災害とか人命とか農作物、こういうものにもかかわるわけですから、一体こういうことをどうお考えなんでしょうか。
#225
○政府委員(相良英明君) お答え申し上げます。
 ただいま先生の御指摘、特に予報官に的をしぼっての御質問かというふうに承ったわけでございますが、御指摘のとおり予報官の平均年齢というのは五十二・八歳、そして八〇%以上が五十歳を超えております。しかし、そのバランスというのは、最も集中しておりますのが五十四歳あるいは五十五歳というところでございまして、これまでの間に私どもといたしましては、現在すでに行われつつあります職場の研修を含めました研修その他を行いまして鋭意技能の養成というものに努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
#226
○安武洋子君 一体、八割の人がやはり五十歳以上だということになると、本当に気象庁の人見てみると新しい人ばかりになってしまうというふうな状況が生まれてくるわけですよね。研修をなさるというふうなことをおっしゃっておりますけれども、予報官などの仕事というのはずいぶんと経験が要請されるんじゃありませんか。いろんな機械が入っていることは私も知っております、アメダスとかいろんなものが。
 しかし、気象なんというのは、いまのところでもやはり長年の、地形に合ったこういう状態ならどうだというふうな、機械でははかり知れない勘というものが必要であるとか、あるいは目視をしなければならないというふうなものがいっぱいあるとか、川一つ隔てれば気象条件も変わってしまうとか、それがどれほど大きな影響を与えるかというふうなのは、私はこの前も少し申し上げたこともありますけれども、つい近くなら都城の周辺ですけれども、このお茶の産地で四月下旬から五月の上旬、一番茶を摘む時期に、これ一番茶で収入の七〇%、八〇%これが占めるわけですよね、この時期に霜がかかると壊滅的な状態になる。ですから、こういうときには霜注意報をやはり出していかなければならないというふうなこと、しかし霜なんというものは大きな地域、これだけで見ているというわけにはいかないわけでしょう。本当にそこの山一つ隔てればとか、川一つ隔てればとか、町中とか、いろんな状態があるわけでしょう。そういうことで本当に長年のこういう勘が――勘というんですか、経験ですね、そういうものが予報官には要請されるわけでしょう。そういうベテランのいままでの経験を豊かに積んでいる予報官がいなくなる、ほとんど一挙にいなくなるというふうなことに対して、私は、どう対処されるのかともう一度聞きます。
#227
○政府委員(相良英明君) 現在、気象庁の職員、六千五百四十一名おります。その中での予報官と申しますのは五百三十一名でございます。予報作業に実際に従事しております者はこういったような方々が中心となっておるわけでございますけれども、私どもの気象庁職員六千五百人のうちのかなりの部分が技術を持って勤めておる公務員でございます。こういったような階層というような者を、鋭意私どもといたしましては、予報技術の研修、これは気象大学校といったようなところの研修あるいは各管区での職場での研修といったようなものを含めまして、全力を挙げましてこの後継者の養成というものにまず当たってまいる所存でございます。
 それから、もう一つ申し上げたいと思いますのは、先ほど先生からも御指摘がございましたように、気象関係でございますと、技術の進歩というもの、私どもはできるだけこれに追いついて、そして世界的にも先端の技術を取り入れてまいるように努力を払ってまいりました。この結果がようやく実りつつございまして、たとえて申しますならば、監視網のきめの細かさを達成するとか、あるいは伝送網といったようなものの迅速さを達成するというようなことがございまして、各第一線の予報官の方々に十分な支援資料を中枢の方からお与えすることができるようになりつつございます。この方向を今後一層進めましてこの事態に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
#228
○安武洋子君 定員がどんどんどんどん削減されていく、それからこれはけさほども問題になっておりましたけれども、国家公務員五%削減と臨調の部会が方針を出したと、待命休職制度も導入しようかというふうなことが言われているわけで、いま職場の現状を私よく知っておりますけれども、十分に研修に時間をかけて一人一人を養成をしていくというなかなかそういう人員の余裕はないはずです。そして私は、やっぱり長年の経験と、豊かな経験というものがどんなに大切かということを思います。
 それは何も気象庁だけではありません。こういう傾向というのは労働省でも一緒です。これは労働基準行政とってみますと、この第一線の基準局とか基準監督署です。この監督官の場合ですけれども、この監督官も五十歳から五十四歳、わずか五歳の間に全体の二六・八%この職員がいるはずです。それから五十歳から五十九歳では四〇%にもなっているはずです。こういう人たちを定年で退職させる。新規に採用しましても研修だとおっしゃるかもわかりませんけれども、直ちに行政の第一線に出て監督行政をやるというふうなことは、これはなかなかできないことです。私はこういう点一体どのようになさろうとしているのか、まず伺ってみます。
#229
○説明員(倉橋義定君) 労働基準行政におきます監督官の年齢構成でございますが、五十歳代の年齢層が高くなっていることは御指摘のとおりでございます。私どもこういう情勢は前々から十分認識しておりまして、したがいまして監督官の充員に当たりましては、かつては部内選考方式であったものを四十年度から公募試験採用方式に切りかえまして、有為な人材を求めるということを四十一年度採用から行っているわけでございます。
 さらに、最近におきます技術革新等に伴いまして技術系の知識等が非常に要請されるという情勢でございますので、試験制度の改変等を行いまして、技術系大学卒業生の受験が容易になるような試験制度を採用するなど、非常に適格者、質のいい監督官の採用に努めてきているわけでございます。
 さらに、行政に入りまして、これにつきましては、研修につきましては採用時研修、さらには中堅研修、幹部につきましてはなったときの幹部研修等と計画的に監督官の研修を行っておりまして、これらの者の資質の向上をより高めて、監督行政に支障のないようにかねてから配慮をしてきているところでございます。
#230
○安武洋子君 優秀な人材をいかに雇用しようと、私は若い人の能力というのを否定するわけではありません。そういうことは別として、監督官の場合は一定の権限を持って企業の中に立ち入るわけでしょう、大企業に行くと。本当に学校を卒業してきたばかりの人たちが大企業を相手に権限を持っていろいろ指導したり告発したり、そんなことが対等にできるとまじめにお考えなんでしょうか。そういうことは本当にできないじゃありませんか。ある一定の社会経験を経た人で初めてそういうことができる、こういう仕事じゃありませんか。
#231
○説明員(倉橋義定君) 私ども適格者である監督官を、いろいろ業務の中でより高度の監督技法を取得するようにいたさしているわけでございますが、先ほど申しましたように、すでに公募方式を採用しまして十数年をたっております。一期生はすでに署の幹部、署長に登用するというような時期に来ておりまして、その後につきましても採用につきまして計画的な採用数の確保に努めてきているわけでございます。したがいまして、私ども今後におきまして、たとえば五十歳層の方が勇退されるというようなことがありましても、かねてからの計画に従いまして充員に努めておりますので、支障が生ずるというふうには考えておりません。
#232
○安武洋子君 四割の人が五十歳以上、そういう人が四割やっぱりやめていくんでしょう。これから十年の間には四割の人がやめてしまう。そうするとそれに欠員補充ということで雇えば、やっぱり新しい層ができる、こぶみたいなことになってしまうということが一つ。それから私が言ったように、いかに能力があろうと、若い人が大企業相手に本当に一定の権限を持って告発なんかできるのかということ。
 それから、これは監督官ではありませんけれども、やっぱり実情に会った私は御答弁、認識をしていただきたいと思います。ここのところでは労働安全衛生で検査をしている人たちの手記が出ております。この人が書いておりますけれども、少し読んでみます。
  「私がはじめてボイラーを検査したのが、一七年前であった。ハンマー一丁を渡され、ボイラーを見たこともない人間が、工業学校の機械科を卒業しており「技術系職員」として採用されているというだけのことで、検査にやらされた。
  現場に行って、「これがボイラーというものだ」とわかった。どこから見ていいかわからない。とにかく「穴」を探してボイラーの中に入った。しかし、どこがいいのか悪いのかわからない。確かに本に書いてあるピッチングらしいものはあった。それがどれほど現実に影響するものか。私は一応ピッチングの深さをはかり、規格にあわして計算し、その結果をいった。しかし、相手は軍隊以来の技能経験者であった。三〇分以上も反論され、私は異常なし「合格」にした。」
  「それから、何年かたって、県内唯一の工業都市に転勤させられた。林立する大型クレーン、見たこともない機械が目を覆うばかりに設置されていた。
  私は、まず、クレーンの名称を学ぶことからはじめようとした。しかし、その時間的余裕はない。私がやらなければならないことは、現実には見たこともないクレーンの検査でありボイラーの検査であった。そしてこれも見たこともない機械設備の「安全点検」であり、その「指導」であった。
  私は転勤早々、ハンマー片手に走りまわらなければならなかった。そして、それはほとんど毎日のようであった。」
 こういうふうなことがずっと書いてありましてね。この人はもうワイヤロープが摩耗しているからかえてくれと言ってもそんなことはなかなか聞き入れられなかったとか、役人の威厳で何とかかえろと言ったらかえたけれども、その翌日にワイヤロープですか、これが切れたと。交換されていなかったと。しかし私は責任者を呼び出したけれども、その必要な措置をとっていないと怒ったけれども、切断したワイヤロープを見ると私が指摘した個所が切れているんでなくてほかが切れていたと、大体ざっとこういうふうな状況ですね。
 こういう現状を踏まえた上で、こういうことで国民に対して本当にサービスをする、監督官はきっちり立入検査をして労働者の安全を守らなければいけないわけですよ。しかし人員的にいま十年に一回ぐらいしかはいれていない、その監督官が一挙に新しい人たちにかわって、若い人が来て大企業相手にいまのような例もあるわけです、検査の仕方もなかなか新しい機械が日進月歩で入ってくると、そういうのに対応していく技術を研修する間も定員削減でなかなかないと。そんな中でなぜ支障がないというふうな御答弁が出るんでしょうか。もう一度聞きます。
#233
○説明員(倉橋義定君) お話しでございますが、私どもの行政におきます監督官そのものは、若さに燃えて、若い者も若さに燃えていろいろ職務を遂行しているわけでございます。したがいまして、与えられた職務につきましては能力を十分発揮して行政目的を十分達しているものと私は確信しております。
 先ほど言いましたように、従来勧奨退職制度のもとにおきまして勇退される方、そういう者の後を継ぎまして若い世代が十分育ってきております。もちろん時代の変化によりましてその資質の向上はより高めていく必要があるかと思いますが、やはり勇退される方にかわって若い者を育てていくことが今後は必要ではないかと思うわけでございます。その点で十分対処できると私どもは考えております。
#234
○安武洋子君 余り御答弁になっていないんですよね。もうそれで私次に移りますけれども、次の質問の中でよく考えておいていただきたい。
 行管庁、いらしてくださっていますか。――一問だけ聞くだけですから。行政改革に当たってはむだのない効率的な行政を目指すとともに国民サービスを低下させないと、これが目的であると、こういうことを国会答弁の中でも言われておりますけれども、それは間違いございませんか。
#235
○政府委員(佐倉尚君) 行政改革、申すまでもなく現下の重要政策課題であるというふうに考えております。したがいまして、行政の徹底した合理化に取り組みまして、簡素にして効率的な政府を実現するということによりまして国民の期待にこたえるということが必要であろうかと存じております。このためには、やはり行政の事務・事業等の全体にわたりまして、言うならば不要不急のものあるいはむだとか非効率のあるものなど、そういう各種の観点から徹底的な見直しを行う必要があるというふうに考えております。この実施に当たりましては、各分野の行政の実情、これを十分踏まえる必要が当然あるわけでございまして、時代の要請、国民の要望、こういうものに適切に対応していく必要があろうかと思います。それで、そういう点を種々踏まえまして、国民に御納得のいただけるようなものとする必要があろうというふうに考えております。
#236
○安武洋子君 再三、国会論議で国民に対するサービスは低下させないと中曽根長官がお答えでございましたが、それがいま納得がいくというふうに言い変わりましたけれども、国民のサービスは低下をさせるんですか。
#237
○政府委員(佐倉尚君) 行政の国民に対するサービスというものはいろんな観点から見られるわけでございますが、当然国民に対するサービスは低下させないように行政改革を実施していくということは必要だと思います。全体的に国民の御納得をいただくような行政改革を実施していく必要があるというふうに考えているわけでございます。
#238
○安武洋子君 国民へのサービスを低下させないという御答弁を確認しておきます。
 そこで、国家公務員法の第一条、ここのところに「この法律の目的及び効力」というのがございます。ここのところで「公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。」と、こういうことなんです。それで私の先ほどからの質問に対して、年をとれば能率が落ちると、だから定年制をしくんだと、そして行政を能率あるものにするんだという再々の御答弁ございました。
 そこで申し上げます。この第一条に、「公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。」、なるほど能率的な運営というのがございます。しかし、この民主的というのがございますが、この解釈ですが、淺井清さん、人事院の一番初めの総裁の方でございますね。この方が、民主的と能率的とは同一水準ではなく、矛盾しているとさえ言える。最も能率的なやり方は最も非民主的な独裁的なやり方であるから、今日の政治、行政の最高の指導原理とも言うべき民主的ということは独裁的なやり方より手間暇がかかるのであるから、民主的な枠の中でのみ能率的ということを考えなければならないと、こうおっしゃっているんです。能率的、能率的とおっしゃいますけれども、やはり国民に対して奉仕をし民主的な行政でなければいけないわけです。これはそれはそのとおりだと思います。最も能率的なやり方というのは最も非民主的で独裁的なやり方、そうすれば確かに能率的でしょう。だから、民主的ということと能率的ということは全く相反すると、だから同一水準ではないと。この法の解釈としては、これは民主的な範囲の中で、この枠の中で能率的ということを考えるべきなんだと、こういうことを言っていらっしゃいます。私はそのとおりだと思いますけれども、長官はいかがお考えでしょうか。
#239
○国務大臣(中山太郎君) 独裁的なことが最も能率的だとは私は思いません。独裁的な社会において最も能率が上がっていない例もたくさんいろいろな国家では今日見られるところでございまして、われわれの国家が最も能率的であろうと、私はそのように考えております。
#240
○安武洋子君 論議をすりかえていただいたら困るんです。私はこの国家公務員法、わが国のことで申し上げております。この法律の目的及び効力なんです。それで、人事院の初代総裁の淺井さんが、公務の民主的かつ能率的な運営、これで物を言っていらっしゃる。人事院総裁はどのようにお考えでしょうか。
#241
○政府委員(藤井貞夫君) 初代の総裁の淺井さんの御見解というのも、私も直接に御指導を受けましたし、また著書その他でもってその考え方を拝見をいたしておりますのでよく存じておる次第でございます。私は私なりにこれについての解釈を持っておりますが、私は、この民主的、能率的というのはやはり車の両輪であって、民主的であってかつ能率的であると、そういう要請にこたえるような制度でなければならないし、運営もその目的にかなうようなことになるように最大限の努力をしなければならぬという意味であると理解をいたしております。
#242
○安武洋子君 多少私が先ほど引用さしていただいた初代の淺井総裁のお考えと違いますけれども、しかしどちらにしてもこの第一条には、行政というのは民主的かつ能率的な運営というふうにうたってあるわけです。ですから私は、やはり国民へのサービスも低下させないと、民主的で安定的でそして効率的でというふうに行うのが基本だと思うんです。ということになりますと、先ほど支障ありません、支障ありませんと気象庁も労働省もお答えになった。しかしだれが考えたって、一定年齢層、戦後の一時期に雇われた人たちが、定年退職というのをあなたたちがしかれると一斉にやめていかざるを得ないというふうなことは、これは行政が本当に不安定になるわけです。そしてこのやり方も非常に民主的でない。私はこういうことで、行政の運営の基本にもやはりこういう大量に一挙にやめさせていくということは合わないと思います。こういう一定のかたまった層というものは、これはある一定時期、定員法がありますけれども、この定員法の枠外に置くべきですよ。そして長期的な展望に立って、長期的な見通しを立てて人員を徐々に雇っていく、養成をしていく、こういうことがなければ本当の意味の、先ほど若い人を養成しなければならないとおっしゃいましたけれども、行政の安定、民主的な運営、国民へのサービスを低下させないと、そういうことを考えるならそういうふうにやるべきだというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。
#243
○政府委員(斧誠之助君) 先生おっしゃいますように、定年制が六十年から実施されますというと、それ以後のある時期に相当多数の定年に達する職員層が存在するということは事実でございます。で、任命権者というのは、常に後継者を養成しまして、そしていまおっしゃいました行政の安定性、継続性というものを確保して公務に支障がないように努めなくちゃならぬというのは当然でございまして、その意味でただいま気象庁の方、労働省の方が将来の人事計画として支障なきを期すようにやりたいということを申し述べましたですが、その評価が、十分であるという見解と、いやとてもそれでは業務に支障が起こるのじゃないかという見解が分かれるのは仕方がないといたしまして、任命権者としては、定年制実施後になりますと、ある特定の職員層が何年になったら退職していくんだということがはっきりするわけでして、そういうもとでの後継者の養成、つまり人事計画の策定でありますとか必要な要員計画、それに伴います研修あるいは職場巡回、そういうことに相努めて業務に支障のないようにしていただきたいということでありますとともに、実はこの法案にもございますが、総理府が定年制の実施に関して各省の調整に当たるという任務も持っておりまして、総理府からも適切な助言、指導、そういうものが行われるんではないかと思っております。
#244
○安武洋子君 とてもそんなことで私は解決できる問題でないということを先ほどからるる申し上げているわけです。
 私は時間が大変迫ってきていますので次に進んでいきますけれども、定年制導入の理由ということでポストの問題、ポストがないから、ポストがつかえているから、だから若い人が士気を阻喪するんだとか、こういう論議をよく御答弁の中で出していらっしゃいます――うなずいてなさるからそうなんでしょうけれども。私調べてみましたら、民間企業ではいまや定年が伸びていると。それで民間企業で定年が伸びれば高齢者がふえるわけですけれども、労働省が調査されていますこれによりますと、人事が停滞する、そういう理由で定年延長はできないと、こういう企業ですけれども、これは五百人以上で調べますと、昭和四十九年には六三%もあったんです。ところが、これが五十五年になりますとわずか一八%、激減しているんです。ということは、民間と公務員というのは多少の違いはありましょう。しかし多少の年齢構成とかいろんな違いはあったとしても、基本的な方向として、高齢者が多少ふえても人事の滞留があると、こういうのは何も主要な原因にならないんじゃないですか。この動向を見てみても、民間企業でも六三%四十九年、五十五年には一八%、こんなに激減している。私は政府の言うその理由というのはおかしいと思います。いかがですか。
#245
○政府委員(山地進君) いまのお示しのことは、企業がかなり日本の高齢化社会にどう対応するかということに積極的に取り組んでいる結果だろうと私も思うわけでございますが、いまのお示しの企業というのは、恐らく五十五歳から六十歳に定年制を延長しつつある企業の話だろうと思います。この企業と私どもの公務員社会というのは、これは五十七歳、五十八歳あるいは六十歳というような退職勧奨というものをすでに実施している、民間から比べると退職年齢については高齢化している部類に入るんだろうと思うわけでございます。それで私どもとしては、六十歳というのは民間の標準的なもの、つまりそういった中ですでに昇進というものもビルトインされている社会、つまり公務員社会と同じような社会であろうと、私どもとしてはそれ以上に高齢化の人間を持つということは問題があるであろうと申し上げているので、民間のいまの四十九年からの趨勢というのは、六十歳定年に当たってはそうであろうということだろうと私は思います。
#246
○安武洋子君 ポストについたら、そのポストについた人から順番に定年になっていくと、そういうものじゃありませんでしょう。ポストについている人もそれからポストについていない人も、一律に六十歳になれば定年ということなんでしょう。ですから私聞きますけれども、六十歳以上でいまポストについている一般公務員の数というのはどれぐらいあるんですか。
#247
○政府委員(斧誠之助君) ポストと言われますと、係長から次官までずっとあるわけですが、高いポストという意味で本省庁の課長クラス以上、そういうポストについております六十歳以上の方を申し上げますと、私どもで把握しておりますのは、人事院で行政的なポスト……
#248
○安武洋子君 特別職じゃない一般公務員。
#249
○政府委員(斧誠之助君) 一般職員でございます。行政的ポストについております本省庁課長相当以上について審査しております。で、在職者が三千五百七十八人おりますが、六十歳以上の者は四十六名でございます。これは五十三年四月一日現在の数字でございます。
#250
○安武洋子君 ポスト、ポストとおっしゃっても、六十歳で定年しいたとしてもたった四十六名じゃありませんか、三千五百七十八名で。ポストなんて問題と違うわけでしょう、実際は。私の調べで、これは出先の出張所の課長ですね、出張所も含めて課長以上のポスト、これは指定職も含めました、これは人事院からいただいたわけですけれども、この調査をしてみますと、ポストの数というのは三万八千百八十一です。それに行政系の職員の数、約三十八万人。単純に割り算しますと十人に一人しかポストにつけない。十人に一人といいましても、ポストなんてこれはキャリア組が占めていくポストというのがずいぶんあるわけですから、ポストでも一般職員がつけるポストというのは本当に限界があるわけです。そういうことは一般職の公務員というのは知っているわけですね。だから六十歳で定年で皆やめてもらわないとポストがあかないから。ポストというのはたった四十六ですわ、六十歳以上がやめたとしても。ですからこれは理由にならないと思います。
 これは、私はやっぱりポストじゃなくて、職員がいまやっている仕事、その仕事にふさわしい社会的な評価を与える。そしてその裏づけの給与も給付していくと、これが士気を阻喪させないやり方というふうに思いますけれども、いかがなんでしょうか。
#251
○政府委員(斧誠之助君) 再三申し上げておりますように、従来は退職勧奨を行いまして、それが比較的円滑に機能しておったということで、こういう管理職員の新陳代謝も適正に行われておったということでございます。これが果たして今後もこの状態が続くのかどうかということで現状をいろいろ調査、分析しますと、どうも停滞するおそれがある。そういうことで、この際定年制の導入を図ったらどうかという意見を申し述べたわけでございます。
#252
○安武洋子君 ポストで一般職員はつけないところというのはたくさんあるわけですよ、キャリア組が占めてしまうと。そして、先ほどもそれも含めて私は単純な数の計算をしました。十人に一人だというふうなことね。そして、ポストについているような人はさっさと天下りしていくと、こういう例も大変多いわけです。だから、このポストにもしがみつくのではなかろうかというおそれなんて、何か有事立法みたいですけれども、こういうおそれだけで定年制の合法的な理由にしていただいては困るんです。私は職員の士気というのがそんなことで阻喪しているんではないと。それはいまのいわゆる頭打ち、こういう現象だと思います。
 これは、私調べてみますと、去年の九月の公務員共闘の学習会に人事院の給与局の次長の林さんがお出になっておられますね。給与制度の見直しについてという講演をなさっていらっしゃいます。この中で給与制度の現状についてお話しになっておられますけれども、数字で言いますと、行(一)の等級別平均年齢の推移というのが、本年は一から五等級までの年齢が余り上昇していないと。それに比べて六等級以下が非常に若くなっている。これはきわめて大きな問題で、たとえばいま三十五歳で六等級に昇格したとして、退職まであと二十年以上もあることになると。で、昭和三十二年の四十歳で六等級に昇格していたときとは著しく事情が違うことになる。等級別の昇給率で四、五等級を見ても、昭和三十二年の昇給率が四・五%前後であったのが昭和五十四年では二・三%と約半分に減っている、こういうことをおっしゃっている。これは人事院の給与局の次長さんがおっしゃっていることですから、この数字というのはいまの現状をはっきりと反映していると思いますけれども、これがいわゆる頭打ちの問題じゃないですか。たとえば労働省の行(一)で見てみますと、第二双子とか三子号俸以上、この人員が四等級で四〇%、五等級で四六・二%もいるんですよ。こういう問題を解決しないでいやポストだと。本当に問題にならないようなことを取り上げて定年制を導入なさるというのはおかしい。先決はこういうふうないわゆる頭打ち問題、これを解消することじゃないでしょうか。総裁のお答えをいただきます。
#253
○政府委員(藤井貞夫君) 給与局の次長が申し上げましたのは数字の事柄でございますので、そのとおりのことを申しておるというふうに私自身も理解をいたしております。問題は、いまの頭打ちの問題というのは、これは一応定年制の問題とは別個に考えていっていいことであろうと私は考えております。
 頭打ちの問題は、これは年齢が毎年毎年進んでいくものですから、それの結果として職員構成上いろいろ派生的に問題が顕在化してくることでございます。過去におきましても、その層の厚いところが通過する時期にはいろいろ問題が起きておりまして、最近ではいわゆる五等級ポストというものの処遇が大変問題になった時期がございます。われわれといたしましても、問題は問題として、いまのいわゆる頭打ち制度と申しますか職員構成の実態に対する対処策というものはそれなりに重要な問題ですから、対処をしていかなければならぬという認識を持っております。事実、これに対応する措置は、毎年程度の差はございますけれども、やってきております。
 具体的には、やはり人のために職をつくるということ、ポストをつくるというわけではありませんけれども、しかしその職員がやっておる職務の重要性に対する評価その他がやはり情勢の変化で変わってくるというようなこともございますので、そういう点に着目をして事実上のそういうポストづくりもあわせてやっていく。たとえば主任制度というものを取り入れていくというようなこともありましょうし、あるいは専門職制度を導入するというようなこともあわせ考えております。またそれと同時に、頭打ちの問題として重要でありますのは、ある等級の号俸が頭打ちになってしまって、その以後についてはいわゆる枠外という処遇をせざるを得ぬという場合がございます。枠外ということになりますと、これは昇給の期間その他格付の期間がその分だけ延びますので、それだけ処遇については本人としてお気の毒なものになるということでございます。これは俸給制度があり等級と号俸制度がある限りは、野方図にこれを延ばしていくというようなことは人事院制度としてあり得べからざることでございますのでおのずから限界がございますが、しかし枠外におられる職員の人数なり構成なり全体として占めているパーセントなりというようなものを総合的に勘案をいたしまして、その実態についても各省庁から具体的に人事を担当しておられる方々から詳細に意見を聞きまして、実情も精査した上で、たとえば号俸延伸というような措置も現実にいままで講じてきたところでございます。そういう点はそういう点として、定年制の実施の時期その他とはおのずから別個の角度から検討を加え、やるべきことはやっていくということは考えていかなければならないと思っております。
#254
○安武洋子君 ポストの数がもう限定されてしまって、そしてちっともやめないでそれにしがみつくから士気が阻喪する、だから定年制をしいたと、こうおっしゃるから。そうじゃなくて、そういうものよりもいわゆる頭打ちの問題の方が士気が阻喪しますよと、私はこう言ったのです。ですから、それは頭打ちの問題は別個に考えるべき問題だとおっしゃるなら、それならポストも別個に考えるべき問題で、定年制と絡ませるべきじゃないわけですよ。そして、ある一定の人たちが――非常にかたまっているところの人たちですね、そういう人たちがいて非常に困難もあったとおっしゃいますけれども、だからかたまっている人たちはいままでにいいこと一つもなしですよ。この人たちはポストにつくのにも、大変なかたまりようだから、そして昇給の問題でもここが頭打ちになっていくとなかなか昇格できない、いろんな矛盾が出てきてしまっているわけです。これはその人たちの責任でないからね。私は、行政の責任としてこういう人たちは特別にやっぱり考えなさいよと先ほども解決の仕方を申し上げましたけれども、やはりこういう士気が本当に阻喪するのはどこなのかと。もっと現実を直視していただかないといけないんじゃないでしょうか。
 そこで、さらに続けて伺います。定年制というのは世界の趨勢にも非常に逆行している。アメリカでは七十歳定年、これは廃止している。そしてその他の国でも大体六十五歳です。六十歳というのは韓国並みですね。定年を六十歳としたのは、わが国の人口の高齢化傾向等を総合的に判断しと、こういうことをおっしゃっておられるわけです。
 そこで聞きますけれども、総合的な政策判断で六十歳ということを決定なさったということなんですけれども、政策的な判断であれば、その基礎に――基礎というんですか何を基礎にされたかということなんですね、この政策判断。ですからやはり、これは科学的な機能年齢の分析をして決められたんだろうというふうに思うわけですけれども、その合理的な根拠というのをひとつ教えていただきたいんですけど。
#255
○政府委員(斧誠之助君) 定年年齢としては何歳が適当であるかということの検討のためには、現に勧奨によって新陳代謝が行われている、そういう実態というものを無視するということは最も危険なことだとわれわれは考えております。そういう実態を把握をしまして、そして大体各省の勧奨基準年齢を見ますと、五十五歳から六十五歳ぐらいまでにわたっておりますけれども、集中しておりますのは五十八歳、六十歳、その辺に集中しておるわけでございます。そういう実態があるということが一つ。それから、年金の支給開始年齢がやがて六十歳になっていくという共済法の改正も行われております。それから、民間の定年制度の実施状況、普及率並びに一律定年年齢により定めております実態を見ますと、六十歳に逐次移行していく傾向がうかがわれる。それから、政府の雇用政策としましても六十年六十歳に当面持っていくということが雇用政策の基本になっておるというようなことを参考にして、六十歳という意見を申し上げたわけでございます。
#256
○安武洋子君 私の質問の御答弁になっていない。私は、やはりこういう政策判断をするなら、科学的な機能年齢ということで考えられたのであろう、そういうことを分析されたのであろうと。そうすると、共済とか民間とか政府の政策とかというのは、こんなものはちっとも科学的根拠じゃないじゃありませんか。
 そこで、私一つデータを持っているんです。これは、「機械工業における年齢別職務適応度」というんですけれども、これは機械振興協会経済研究所が行っているわけです。この中に中高年齢層の職業能力の調査結果があるんです。この中のちょっと例を挙げてみますと、
  機械加工や機械組立のように機械工業の基幹職務においては、加齢とともに職務適応度が高まっている点で、六十歳以上の高年者が最高であった。
  第二は、それに対してこれらの職務における三十歳以下の若年者の適応度が平均値を下回っている点で、機械加工が四一・八%、機械組立が三八・五%であった。
  このように、職務のなかでもとくに高い「技能」を必要とする機械加工や組立において、高年者ほど職務適応度が高いということは、高年者の豊かな「経験」が職業能力を決定する重要な要因となっている点を示唆していよう。このことは、同様に、高年者の職務全体の平均値が予想以上に高いことの理由でもあり、加齢による機能低下が経験によって十分に補われることを示している。
  ところで、今回の調査の対象となった各職務をこなすのに必要な経験年数はおおむね二〜三年であり、それほど長いものではなかった。そして大部分の若年者は、この必要経験年数を満たしていたが、それにもかかわらず、経験不足ということが、彼らの職務不適応の大きな原因となっていた点はやや奇異な感じを与える。しかし、この点は、必要経験年数があくまで最低限度の年数で、「技能」とは経験が長くなるにつれて向上する骨肉化されたカンやコツを意味すると考えれば、納得的である。
 こういう調査が出ております。これに対してどういう感想をお持ちでございましょうか。
#257
○政府委員(斧誠之助君) 加齢と労働能力の関係につきましては、午前中も山崎先生から御指摘のありました労働科学研究所の調査もございます。しかし、いままだ日本ではこれがまさに科学的な加齢と労働能力との関係であるというものはないように私たちは思っております。実験的にはいろんな試みがありまして、いろいろそういういま先生の発表されましたようなこともございますが、人事院として、これこそ科学的であると自信を持って御提示できるような調査はまだ日本にはないということでございます。
#258
○安武洋子君 では、科学的なものがなければ、六十歳で引くことは無謀じゃないですか。六十歳から能率が落ちると決めつけていることがより問題じゃないですか。人事院の見解というのは、公務員制度の理念ということで能力実証主義と、こういうことをおっしゃっておられます。
 そこで私、申し上げますけれども、雇用促進事業団の職業研究所の調査でこういう調査結果もあるんです。タクシーの運転手です。これ、タクシー運転手の年齢と職業能力についての分析結果。これを見ますと、三十歳以下の若年層のほとんどが平均以下の収入なんですよ。そして四十歳以上、もちろん六十歳以上も含まれているわけです。そのほとんどが平均以上の売り上げを上げている、こういうこともあるわけです。六十歳なんて何の根拠もないじゃないですか。藤井総裁の御感想をちょっと伺いたいんですが。
#259
○政府委員(藤井貞夫君) 何の根拠もないというものをわれわれは意見として申し上げるはずがございません。これはやっぱり長年の経験というものがございましょうし、民間の実態というものもございます。それと各省庁における具体的な勧奨基準年齢というものがございます。これはきのうやきょう思いつきで取り入れたものではないんであって、これこそいろいろな話し合いの結果積み上げられてきた勧奨年齢の基準でありまして、こういうものを参酌しながら、しかもわが国における労働政策、民間に対する指導理念、指導方法、そういうものも十分勘案いたしました結果、原則定年としては六十年が妥当であろう、かような結論に到達したわけでございます。
#260
○安武洋子君 何も科学的な根拠、いまの御答弁の中で出てきませんよ。きのうきょう考えたことでない、そしていろいろ勘案したと、そういうことです。でも私、その中で、きのうきょう思いついたことでないというのはこれは正直だと思います。というのは、総裁御自身が、私は先ほども引用しましたけれども、「自治研究」の逐条の解説の中で、近代的公務員制度の理念は能力実証主義だ、だから「職務遂行の適格性を有する限り、年齢等によって、その取扱に差別をすることを認めない。長年の経験は、優秀な公務員を生むことは事実である。才幹ある職員を老齢なるが故に一律に淘汰することは、許されないところである。」と、許されないところであると、ここまで言い切っておられる。「才幹ある職員を老齢なるが故に」、老齢とも言えないですよ、いま六十歳というのは。先ほど言ったように、タクシーの運転手、若い人よりもたくさん収入を上げている。それから機械のこの経験者でも若者よりもいい成績を上げている。こういう人たちを才幹あるのに能力実証主義だと、こう言っているのに、なぜ、こういうことで六十歳定年で一律に淘汰することは、許されないと言われながら、そういうことをおやりになるんですか。御意見を聞きます。
#261
○政府委員(藤井貞夫君) 能力実証主義というのは、公務員制度の理念並びに実際の公務員制度運用に当たっての基本原則でございます。これは年齢によって昇任昇格その他の点について差別をやるべき問題ではないんであって、おのずからこれは能力の実証主義でやっていきなさいということを宣明しているものであって、それはそのとおりであります。従来も人事院としてはその線によって各省庁とやっておりますし、各省庁もそのつもりで人事行政の運営に当たっておるというふうに確信をいたしておるのであります。
 なお、先刻来お挙げになっておりますが、私が繰り返して申し上げますように、年齢でもって云々というのは、現行法上のたてまえ、その時点においてそういうことは考えていないと、それを強調するという角度から申し上げておるのでありまして、それ以来いろいろ年月が相当経過いたしておりますし、その間における社会経済情勢の変遷には顕著なものがあるわけで、そういう顕著な変動の上に立って将来の展望をいたしまする際には、やはりいまが定年制導入の時期ではないかというふうな判断に立ちまして御意見を申し上げたということでございます。
#262
○安武洋子君 総裁、時代の顕著な変化と言うなら、それは昔は六十歳は老齢であったかもしれません。しかし、時代の顕著な変化は、いまや六十歳は働き盛りと言ってもいいぐらい、大変若返っているわけです。ここに一つの時代の顕著な変化があります。そして、あなたは「長年の経験は、優秀な公務員を生むことは事実である。才幹ある職員を老齢なるが故に一律に淘汰することは、許されないところである。」と、これは別に現行法上でなかろうとあろうと、これは同じことじゃありませんか。長年の経験というのは優秀な公務員を生むんだと、それを年齢によって才幹ある職員を老齢なるがゆえに一律に淘汰するごときは許されないんだと、こういうことでしょう。何が変わったんですか。情勢の変化ということぐらいしか結局はないわけですけれども、情勢の変化は、私は著しい変化なら六十歳はいまや老齢でないということを申し上げたいのです。
#263
○政府委員(藤井貞夫君) 六十歳が老齢であるかないかということについては、情勢の変化によってやはり評価の違いがあろうかと思います。そういう意味で、政府の労働雇用政策等についても、高年齢者の就職あっせん、あるいはそれを含めての生きがい問題の解決のために大いにいろいろやろうではないかということで、諸般の情勢を検討しつつ、対策を考究中であるということでございます。それと公務員制度の中に定年制を導入するということとは若干次元が異なるわけでございまして、この原則定年年齢を実態に合わず非常に低いものに抑えるというようなことになりますれば、これは大変問題でございましょう。私は、そういうようなことになれば、これは意見を申し上げるようなことはいたしませんですが、しかし社会一般の情勢から見て、また民間の定年制の実施の年齢その他から見まして、また、従来からやっておりまする各省庁の勧奨年齢の基準年齢等から見て、六十年六十歳というのは大変いまの現時点では妥当なところではないかというふうに考えた次第でございます。
#264
○安武洋子君 私は六十歳がふさわしいかふさわしくないかという論議も確かにいたしました。あなたは六十歳のこの評価の違い云々とおっしゃいました。それなら、六十歳が何か評価が違うなら、より六十歳が時代によって老齢化したと、こういうふうな認識かどうかこれはお伺いしたいところですが、しかしそれよりも私は、あなたが言ってなさるのは六十歳という年のことじゃないんですよ。「長年の経験は、優秀な公務員を生む」のに、それを、「才幹のある職員を老齢なるが故に一律に淘汰する」、定年制のことです。定年制を導入することがまったくこれは不合理なことではないかと、あなた自身もそう書いてなさると。だから私は定年制のことで申し上げております。
#265
○政府委員(藤井貞夫君) したがって定年制の問題として私もお答えをしている部分が多いわけでございますが、これは、やはり年齢と経験との相乗関係というものもございますし、経験というものは非常に大事であって、その積み重ねによって優秀な職員が養成されるという事実はそのとおりでございます。これは否定をすべき問題でも何でもありません。ですが、ただ、定年ということになりますと、いろいろな情勢を総合して、ある一定の年齢に達すればそのことのゆえをもって、本人の意思能力にかかわらず、その職場から去っていただくという制度、たてまえでございまして、これは民間においても習熟したことでもある、また公務員の場においてもこういうことの制度を導入すべき時期に来ておるという判断でもってこういう新制度の導入がしかるべきであるということを申し上げたのでありまして、現行制度は、導入されたその当初の時期において考えておりました客観情勢と私自身の認識というものと今日において変化があるということは、それはやむを得ないんではないかと思います。
#266
○安武洋子君 情勢の変化によって法の理念が変わったりしたら大変ですよ。
 それから、あなたは能力実証主義、近代的公務員の理念は能力実証主義であると先ほども認められた。ところが、能力実証主義であるにもかかわらず、意思、能力があるにもかかわらず、一定年齢が来たら去ってもらうんだといまおっしゃった。これはおかしいじゃありませんか。能力実証主義、こう言いながら、一方では能力がある、それなのに一定年齢で解雇してしまう。全く矛盾する論理をおっしゃっていると御自分では思われませんか。
#267
○政府委員(藤井貞夫君) 矛盾しているとは思いません。
 定年制というのは、やっぱり一応の基準年齢というものを設定をいたしまして、それを基準として、その年齢に到達をした方には職をおやめいただくという制度であって、そのことが職場の新陳代謝なり、あるいは長期にわたる人事管理計画というものを可能ならしめる、それを通じて国民に対する公務の能率的運営を保障しようというねらいがあるわけでございます。それとこれとは私は別個の問題として考えていってしかるべき問題ではないかと思っております。
#268
○安武洋子君 御答弁にならないわけですわ。
 私は、定年を導入する、そのことが実際おかしいじゃないかと。あなたの論理から言ってもと。能力実証主義だと言っておりながら、能力がある、そういうことの有無にかかわらず、意思、能力あるにもかかわらず一定年齢で切ってしまうんだ、これ論理の矛盾です。そして、いままでいろいろ言われましたけれども、「才幹ある職員を老齢なるが故に一律に淘汰することは、許されないところである。」と言いながら、法の趣旨、理念、これを変えて――情勢の変化で変えるものじゃありません。これを変えて、六十歳で能力が落ちるから、行政の効率が妨げられるから、だから定年制をしくんだ、こうおっしゃっている論理の矛盾を言っているわけです。御答弁になっていませんので。
 それで、私は人事院総裁と押し問答していても、あなたはこれいまさらお認めにならないでしょうけれども、どれだけ論理の矛盾をおっしゃりながら、そして人事院が一番に掲げなければならない職員の利益の保護、この看板を投げ捨てておられるかということがこれでよりはっきりするわけです。そして私は、この定年というものがいかに不合理なものであるか、こういうものは撤回すべきであるというふうなことをさらに重ねて申し上げます。
 それから、六十歳で定年をしくというふうなことはいままでにないことをするわけです。公務員の歴史の中でも、本当に根本的な制度にかかわるようなことをするわけです。だから、職場の中に混乱が起きてくるというのはこれは理の当然だろうと思います。私は、こういうときには定年は断固撤回すべきものだと思います。しかし、こんなものを無理やりに導入しようとすれば、こういう困難というものは、これは緩やかに、激変を避けるべきものだ、こういう必要があろうかと思うわけです。で、六十歳の定年、こういうことになりますと、非常に不安を抱いて六十歳までにやめる人、こういう者も出てくるのではなかろうか。情勢は安定いたしません。しかし、こういう人も出てくるのではなかろうかと思います。
 そこで聞きますけれども、民間で、定年延長に伴いまして、延長した期間に退職した、そうすると、こういう人は定年で退職したという人と同じように扱う。民間では早期退職優遇制度、こういう名前で呼ぶらしいですけれども、こういう制度がかなり普遍的に普及しているというふうなことは把握なさっていらっしゃいますでしょうか。
#269
○政府委員(山地進君) 定年に達する前にいろいろの事情でやめる方について優遇措置を講じているところがどれくらいあるだろうか。これはたしか私どもの方で調査してあったと思うのでございますけれども、今回の退職金の調査の中で優遇措置を調べたところ、たしか私の記憶では全体の一五%ぐらいがそういった優遇措置を講じている。その優遇措置の程度でございますけれども、これは大部分が定年と同じような率の退職金を払う、こういうようなことをやっていたかと思います。
 ちなみに、今回の私どもの定年制ができるまでの間、いまのような六十歳になる前におやめになる方がいるということでございますけれども、その点については現行の退職手当法が生きているわけでございまして、その間、勧奨退職という制度は制度上存在するわけでございますから、勧奨退職ということでおやめになる場合には従来の割り増し金の制度というのがそのまま適用になる、かように理解しているわけでございます。
#270
○安武洋子君 私、資料を持っておりますけれども、鉄鋼労連とか電機労連の共同調査の資料ですけれども、ここの中では早期退職優遇制度、これは島津製作所ですね、五十歳以降定年退職扱いというふうなところもあります。それから五十五歳以降でやめると定年退職扱い。それから藤倉電線というようなところは五十歳になっていますね。それ以降ですと定年退職と同じ扱いをするというようなことで、数で調べてみますと四十社中二十八社と、こういうことで、早期に退職すれば優遇制度というのを定年延長に伴ってやっているわけです。
 ですから私は、いままで一番最初に職員団体との合意をした、そしていろいろやってきた、そのことを誠実に実行していくということはあたりまえだとおっしゃった。おっしゃりながら、こんな定年をお出しになるということで破っておられます。しかし、いままでの職場の中にいろんな慣行があるわけです。ですから、いずれにしても私は、たとえ定年制が――私は賛成しませんよ。しかしこんなものが導入されたとしても、いままでの労使の慣行、これを守るということ、それから職員の既得権を奪うことのないように十二分の配慮をするということ、このことを労使でよく話し合うということ、この点はいかがでございましょうか。人事院総裁と、それから総務長官、お答えください。
#271
○政府委員(藤井貞夫君) これは具体的な人事管理運営の問題でございますので総理府の方からお答えした方がよいと思いますが、お述べになりました線は私も賛成でございますので、過渡期に当たっては混乱が起きませんようにできるだけスムーズに推移をしていくように、私たちは私たちなりにできるだけの努力はいたしたいと思います。
#272
○安武洋子君 ちょっと待ってください。
 六十歳の定年がしかれるまでの推移と、それから六十歳の定年がしかれたとしてもその後にやはりいまのことを守っていただきたいという両方込めております。
#273
○政府委員(藤井貞夫君) 定年制がしかれた後におきましては、定年制というものはきちっと決まってくるわけでありますので、おのずからそこに限界があると思いますが、しかし特例定年の決め方の問題なり、あるいは勤務延長あるいは再雇用の問題なり、こういう運営については御指摘になりましたような線は体しつつ努力はいたします。
#274
○安武洋子君 私がなぜ民間のこういうことを申し上げたか。民間の方でもこういう努力をしているわけです。定年延長に伴う優遇制度、五十五歳以上になれば定年でやめたようにしましょうとかあるいは五十歳以上になればやりましょうとか、こういうことをやっているわけでしょう。いままでの労使の慣行があります。だからそういう既得権を奪わないで、この問題については労使でよく話し合いをしてくださいと、こう言っているんです。話し合いをやっていただけますか。長官に聞いている。
#275
○政府委員(山地進君) まず、勧奨退職制度ということが一つの根幹にあろうかと思うんでございますが、勧奨退職制度というのは定年制ができるまでの間は制度として存在いたしますから……
#276
○安武洋子君 それはあたりまえのことです。
#277
○政府委員(山地進君) いや以前というふうにおっしゃったから。で、それは当然のことでございます。
 それから、以後については定年制度と抵触するような形で退職勧奨制度というのは運営できないと私は思います。したがって、六十歳定年以下の勧奨退職ということについては今後いろいろとお話をしなければいけないと、かように考えております。
#278
○安武洋子君 いまのを確認しますけれども、定年制がしかれても六十歳以下の勧奨退職については労使とよく話をすると、こういうことですか。
#279
○政府委員(山地進君) 従来も勧奨退職については、一般の公務員の場合には交渉、それから五現業については団体協約ということでやっておりました。したがって、定年制度のもとにおいて勧奨退職制度というのについていろいろの御意見があろうかと思うわけでありますが、それらについてもし意見の一致を見る場合があればそういったことは実施する場合があり得る。ただ、私どもが申し上げているのは、定年制ができた場合には集団的な退職管理制度である退職勧奨というのは機能しないであろう、個別的な勧奨退職というものについてはこれは残るであろう、特にそれは管理職員について残るのではないかということを再三申し上げているわけでございまして、いまのは仮定の議論で、そういった退職勧奨制度というものについて特別の御認識があればそれはまた別途お話をするということはあるだろう、かように申し上げている次第でございます。
#280
○安武洋子君 どちらにしても、仮に定年制が導入されていくと、そうするとそういう過程、そうして導入された後、こういうのは大変問題が多いわけです。この間の種々の問題については労働者の既得権を擁護しながら職員団体と十分な話し合い、ただ聞きっ放しじゃなくて、合意を前提にして誠意を持って調整すると、こういうことを前提にして話し合いをちゃんと続ける、そういうことでひとつ総務長官、そういうふうにしていただけますね、お約束ください。
#281
○国務大臣(中山太郎君) 政府は絶えず円満な人事管理ということを基本に考えておりますので、従来もいろいろと職員団体との交渉をやってまいりましたが、この法律が成立後もそのようなことは続けてまいりたいと、このように考えております。
#282
○安武洋子君 人事院総裁もお答えください。
#283
○政府委員(藤井貞夫君) 総務長官が申し上げたとおりでございます。
#284
○安武洋子君 定年制によって生活に困る人たち、どういう職員層だと考えてなさいますか。
#285
○政府委員(斧誠之助君) 生活に困る困らないというのは、長い人生の中でいろいろ準備される方もありますし、心がけの悪い方もありまして一概に言えませんけれども、先生のおっしゃる生活に困るというのを退職時において給与が低い人はどういう方かということで申し上げますと、役職についてない一般職員でありますとか、あるいは行(二)の適用の職員ではないかと思っております。
#286
○安武洋子君 私、これはどうおっしゃろうと一般公務員を犠牲にする、一般公務員、特に給料の低い人に犠牲を強いる、定年制というものはそういうものであるというふうな主張を申し上げたかったわけです。
 私はきょう四時間のお約束をしました。しかし、きょうは三時間半ということで、あとの時間については私は五時間を要求いたしておりますから、あとの五時間に達する時間については委員長の方で保障をしていただけるというふうなことになりましたので、そういうことであれば、次にこの問題を質問させていただくということできょうは質問を留保いたしまして、一応お約束の三時間半ということでございますので、きょうはこれでやめます。
#287
○委員長(林ゆう君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#288
○委員長(林ゆう君) 速記を起こして。
#289
○柄谷道一君 わが国は先進国にも例を見ないスピードで高齢化社会に突入してまいりました。それは社会全体に大きな変革をもたらすものであろう、そしてその対応は雇用、社会保障、福祉という問題にとどまらずに、官公庁の組織、企業、地域社会、家庭のあり方にまで波及する私は重要な政策課題であると、こう認識いたしております。こうした現実に立ちますならば、公務員や公共企業体の職員に対しまして、定年制の導入、給与体系と昇任管理、退職手当と退職管理運用、共済年金、退職後の再就職など公務員制度の総合的見直しが必要であろう、民間の実態を踏まえた抜本的な検討がなされなければならない、こう思います。ひとり三十年を経過した現行の公務員制度についてこれを聖域とするということではとうてい国民の理解が得られるものではない、こう思います。
 ところで、定年制の導入についてでございますが、昭和五十四年八月九日の人事院見解では、給与法適用職員の平均年齢が年々高まりつつあること、高齢者の労働市場が狭くなり、近く勧奨が十分機能しにくくなること、その結果、職員の高齢化傾向が次第に強まり、職員の士気の低下と公務の能率的運営に支障を来すおそれがあることなどを指摘いたしまして、適正な新陳代謝の促進と長期的展望に立った計画的な人事管理の展開を通じて、職員の士気の高揚を図り、組織の活力を維持するため、定年制導入は意義がある、こうされております。私は、非常に上手に書かれた文章であると、こう思うんでございますが、それだけではその定年制導入の動機と背景を十分に説明していない。これだけでございますと、言うならば国の行政、財政の国家経営を減量したい、行政上に要する経費をできるだけ切り詰めたいというのがその目的であるかのごとく受け取られると思うのでございます。
 私は、もちろんこの行財政の改革によって増税なき財政再建を図る、それを遂行するための視点というものが必要なことは否定いたしません。しかし、そのほかに民間における退職管理の実態、また定年制ということは、その年齢に達するまで雇用が保障されることを一面持っておるわけでございます。そのことにより退職後の生活設計という面があわせてクローズアップされなければ、私は定年制導入の真意というものが誤解を受けるのではないか、このようにすら思います。
 そこで総理府長官に、改めまして定年制を導入する意義について総括して明確にお答えをいただきたい。
#290
○国務大臣(中山太郎君) 定年制を導入する意義そのものについて総括して意見を述べろということでございますが、私は、まず社会全体が大変な勢いで変わりつつある、それは先生の先ほど御指摘のとおりでございまして、わが国は例を見ない急速なスピードで高齢化社会に向かってばく進しておる。そのような中でいわゆる人口の再生産率が一を割った。つまり若年層が、これから生産年齢人口というものが将来減ってくる。それと反対に、高齢者のいわゆる人口増加率が非常に高いスピードを示してくる。つまり、若年層の非生産人口に対する負担が相当大きくなる社会がこれから二十年ぐらいの間にわれわれの国にやってくる。こういう中で、やはり一つの部門として行政分野をどうとらえていくかということが私は現代の政治に与えられた大きな責務であろうと考えております。
 しからば、どういうふうな政策を展開していけばいいのか、それが最も国民のためにいわゆるコストが少なくて、しかも納得のいける社会をつくり出すことができるんだろうか、そういうところから考えていきますと、われわれの公務員制度の中にいまだかつて導入されていない定年制の導入ということについて、私どもとしては民間がどうか、国民がどう考えているかということについて世論の調査をいたした結果を申し上げてみたいと思いますが、世論の結果は、公務員制度の中に定年制度を導入すべきである、こういうふうな意見が六〇%を超えております。そういう中で民間の方はすでに九七%を上回る定年制の普及というものが行われておる。一方、政府はこのような変化を激しく続ける社会に対して経済社会七カ年計画あるいは第四次の雇用計画というものを国民に示して、われわれの来るべき社会に対する民間の雇用の条件のあり方というものについては、六十年に六十歳定年を志向することが新しい高齢化社会への入り口に立ったわれわれの国家のあるべき姿であろうということを世論形成を努めてやってまいったというようなことでございまして、一方公務員制度の中の方からこれを見ると、やはり先ほどからの質問にもございましたように、一つの大きな過去の高度成長期にあって公務員の採用が幾つかのこぶになって、そこの一カ所に大きなかたまりを示している、こういう状態がある。いままでは各省とも勧奨制度によって非常に退職が円満に行われてきたことは、これは労使間の大きな努力のたまものであったと高く評価をいたしたいと考えております。
 ただ、これから先どうなるかということにつきましては、やはり将来の勧奨制度というものは現行のようにうまくいかないだろうというのが一つの見方でございまして、そのためにはやはりこの世論の意思と流れというものも踏まえながら、公務員制度というものに定年制度を導入していく。それはいろいろとこれからの変化に直ちにそれを適用するのではなしに、数年間の余裕を持ってこの制度を導入すべきである。ただし、この制度は公務員の身分に関する問題でございますから、すなわちこの国会で法律を定めることによってやらなければならない。それについては人事院の意向というものが、公務員法の中の基本である中立的な人事管理機構として存在している人事院の意見を求めることが必要であるということから、人事院総裁に対して総務長官が書簡を発信して、閣議のいわゆる決定がこういうふうになったと、それについての意見を求めて、その結果が人事院総裁の書簡として総務長官にやってまいった。それを踏まえて私ども政府といたしましては国会に法案の御審議をお願いしていると、こういうふうなことであると御理解を賜りたいと考えております。
#291
○柄谷道一君 私は、現在行われております退職勧奨は、民間における定年制にかわるものとして退職管理の手段として機能してきた、こう思います。したがって、定年制が実施される昭和六十年まではいわゆる退職管理制度が新たに生まれないわけでございますから、経過措置として勧奨制度が残ることは当然であろう、こう思います。しかし私は、民間の認識で言いますと、定年制というものはそもそもその定年年齢に達すれば自分の意思とはかかわりなく自動的に退職しなければならないという規定であると同時に、その定年年齢に達するまではみずからの意思に反して退職を強制されることはないという身分保障の、雇用保障の一要因をあわせ持っている、こう認識しておるわけでございます。
 そこで、この経過期間が終わりまして昭和六十年度に定年制が導入された場合、私は理論的には勧奨制度というものはなくなる、新しいそこに退職管理制度が発生する、こう理解するのが筋ではないか、こう思うんですが、いかがですか。
#292
○国務大臣(中山太郎君) お説のとおりでございまして、昭和六十年定年制度ができました以降は、この勧奨制度、集団的な勧奨制度というものはなくなる。つまり、そこに公務員の諸君には権利が法律のもとに発生するわけでありますから、それ以降において一部の管理職については勧奨制度が残るというふうに認識しておりますけれども、基本的にはこういうふうな、現在行われている勧奨制度というものはその姿を消していくだろうと考えております。
#293
○柄谷道一君 国家公務員の中で、いま指定職の適用を受けている者は約千五百名いると承知いたしております。そのうち、検察官及び国立大学、国立短期大学の教官など別に法律で定年が定められている者、これが約六百六十名程度いる。こう理解いたしておりますが、間違いございませんか。
#294
○政府委員(山地進君) 検察官は検察官俸給で別でございます。それで、教育系の職員、教官で指定職になっておりますのは、先生いま御指摘のとおり六百六十人でございます。
#295
○柄谷道一君 それらの方々は別に法律で定められているわけですから、今回の法案とはかかわりなく従来の扱いがされると、これはもう当然なんでございますが、高齢化社会が進展していくこの中で、私は、それら別の法律で定めている人々の定年についても、いま直ちにというわけではございませんけれども、この際改めての見直しが行われて至当ではないか、こう思うんでございますが、いかがですか。
#296
○政府委員(山地進君) これらの、特に別の法律で定められている定年制度というのは、それぞれの所管大臣があるわけでございまして、その所管大臣の判断というのが第一義的に尊重されるべきだと考えておりますけれども、今後一般公務員に定年制度が導入された以後におきましては、十分各省と話をいたしまして、政府全体としての整合性のある対応というものも考えなければいけないだろう、かように考えております。
#297
○柄谷道一君 現在、指定職の場合五十二歳から五十二歳で勧奨による退職をしている例が多いと承知いたしております。政府は、組織の中核である指定職の職員の場合、新陳代謝を早めて組織の効率的な運営を図ることが今後とも必要と思われる、このように答弁しておられるわけでございます。
 そこで、改めてお伺いいたしますが、集団的な勧奨退職制度はなくなるけれども、個別的な退職管理としての勧奨退職制度は指定職に限って六十歳定年制が実施された場合も存続させると、こういうお考えでございますか。
#298
○国務大臣(中山太郎君) 御指摘のとおりでございます。
#299
○柄谷道一君 あわせまして、指定職以外の職員でも長期の勤続者に対しましてはいわゆる退職手当の加算制度がございます。したがって、いわゆる指定職以外の職員について、この経過措置期間が終わりまして昭和六十年を迎えたその後も個別的な退職管理制度としての勧奨退職制度は残すというお考えでございますか。
#300
○政府委員(山地進君) この点につきましては、まず集団的な退職勧奨というのはなくなる、これはもう間違いないわけでございますけれども、個別的な退職勧奨制度ということは、私どもとしては場合によってはこういうのは必要があるであろうと思うわけでございますが、片方では職員の中には、個別的な退職勧奨制度を残す場合には、非常に権力関係が強いから、そういうものを残す場合は非常に職員にとって不利なケースが起こるんじゃないかというような御懸念もあるようにいろいろ御意見を承るわけでございます。そこで私どもとしては、そういった場合も、この定年制ができてしまえば幾ら退職勧奨しても応じない、応じなければ定年までいて、定年になればその定年に見合う退職手当を支給されるわけでございますから、そういうことで職員の地位というのは定年制施行後は強くなるから、退職勧奨に応じない場合でも不利益なことはないという意味では大変退職勧奨制度の運用上強い地位に立つ、したがって個別の退職勧奨ということはあり得るのじゃないだろうか、かように考えておるわけでございますけれども、これらについては十分いろいろな意見を承りながら運用してまいりたい、かように考えております。
#301
○柄谷道一君 私は、定年制実施後も組織の実情によって個別的な勧奨は残るということであるとするならば、定年年齢まで雇用を保障する性格を持つこの定年制というものと勧奨との関係をどう関連づけて考えていくべきか、これは大きな問題になってくると思うんですね。
 私はさきにも指摘しましたように、現行の勧奨退職は定年制にかわる退職管理の手法として存在してきたわけでございます。したがって、定年制実施後は退職管理は当然定年ということになるわけでございますから、現行の勧奨基準年齢というものは存在しなくなると思います。いわゆる集団的な退職勧奨制度はその時点をもって消えるわけです。そこで、職員は六十歳まで雇用が保障される、それを前提として勤務し、かつ安定した老後の生活設計を行っておる。そこへ、定年前にあなたは退職したらどうかという勧奨がある。しかもその場合は個別的ですから、それが個人対政府、任免者の関係として生じてくるわけでございます。個人の立場は弱いものでございます。とすれば、あるいは個人の意に反して、表面上は本人の都合という形はとりましても、みずからの意思というものがそこに曲げられる懸念はないのか。そういうことになれば、安定的な老後の生活設計というものはそこで根底から崩れるという結果になるわけでございます。それでは定年制を導入した意義が働く者の立場からすれば全くないという結果にならざるを得ない、こう思います。
 そこで、再度お伺いいたしますが、定年制実施後の個別的な勧奨は指定職や課長職以上というような上級職の者に限定されるのか、一般の職員にまでこれが及ぶのか。重要な問題でございますので、明確にお答えをいただきたい。
#302
○政府委員(山地進君) 私どもかねて御答弁申し上げておりますように、個別的な勧奨退職というのは幹部職員に限って今後とも必要があるであろうけれども、一般職員についてはその必要性は乏しいと、かように申し上げております。
#303
○柄谷道一君 いまの御答弁、乏しいと言われたんですか、それはあり得るということですか。
#304
○国務大臣(中山太郎君) ないというふうに御理解をいただいて結構でございます。
#305
○柄谷道一君 私は、今回の法改正は退職管理について、いわゆる勧奨制度にかえて定年制を導入するというところに積極的な意義がある、このように理解いたしております。
 そこで次に、それではその年齢を六十歳としたその根拠についてお伺いいたします。
#306
○国務大臣(中山太郎君) 各省においてこの勧奨が現在行われている大体平均値というのは五十八歳、九歳というところがきわめて多い、また民間におきましても六十歳定年というものが比較的多い数値を示しておりますので、今回の法律案で六十歳定年というものの制度に踏み切ったわけでございます。
#307
○柄谷道一君 その六十歳とした根拠について、現在の勧奨基準年齢と同時に民間の実態を勘案したということでございますが、そこで、それでは民間の実態でございます。私は、一部に選択定年制の動きがある、これは十分承知しております。しかし安武委員と認識が異なるわけでございますが、これはあくまでも勧奨ではございません。みずからの意思によって転身するか否かを決定するといういわばこれ自己申告制でございます。それは一部にはありますけれども、大勢としては民間では六十歳の定年制を実施をし、現行の厚生年金の六十歳の支給開始年齢との連動、リンクを図る、そこに民間における目標がいま向けられております。同時に、労働省においても昭和六十年度を目標として定年六十歳制を一般化する、そのための、そこに目標を置いての施策が展開されているわけでございます。しかし、ここで留意しなければならないことは、本国会で労働省提案を議決したんですが、雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関係法律の整備に関する法律、これ長ったらしい名前でございますが、その中で新たに高年齢者雇用確保助成金制度を創設したわけでございます。この制度は、六十歳定年制を実施後、これが定着後八〇年代後半の政策課題として継続雇用を促進しようというのがその目的でございます。その対象の中には、定年を六十歳以上に延長する場合はもちろん含まれますが、同時に制度としての継続雇用制度もその対象となることになっております。したがって、今後民間におきましては昭和六十年度以降、定年年齢そのものの引き上げ、また再雇用制度、勤務延長制度、嘱託、パート等による常用労働者より短い労働時間での雇用の制度、または子会社や関連会社に出向という形式をとる継続雇用の制度など多様な継続雇用の形態が逐次一般化してくると、こう思われるわけでございますし、またそうしなければならぬというのが労働省の方針でもございます。
 そこで、私はこうした民間の傾向及び労働省の方針からして、定年そのものですべてが延長されるかどうか、これにはいろいろ問題はあると思いますけれども、実質的に六十五歳まで継続してその企業が雇用するという制度は今後伸びてくると思うんです。この公務員に対する定年六十歳が実施される昭和六十年にはこれが顕在化してくると、こう思われます。そうしますと私は現在、昭和六十年六十歳というこの法案と、今後展望をされる民間における変化、これをどう認識し関連づけていかれるおつもりなのか、この点をお伺いしたい。
#308
○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘の点は私はきわめて大事なポイントであろうと考えております。つまり、民間において昭和六十年にどのような雇用形態が整備されていくか、この国家公務員あるいは地方公務員の場合でも六十歳六十年というようなかっこうになっていく中で変化が起こることに備えまして、政府といたしましては絶えず人事院と連絡をしながら、昭和六十年の時点においてどのようないわゆる社会現象が起こるか、それを十分検討しながらそれから後の公務員の制度全般に対する考え方の研究をしなければならない、そのように考えております。
#309
○柄谷道一君 私は政府提案の中で職員の定年退職後の勤務延長、再任用という道が開かれておることは承知します。しかし、それは勤務延長の場合、定年に達した職員が退職すると職務が特殊であるなどの理由ですぐその後の補充ができないため公務の運営に支障が著しいと予想される場合、各省庁の長は、人事院規則が定めるところにより、当該職員を引き続き勤務させることができる、こういう趣旨ですね。再任用の場合は、定年に達して退職する者の有する知識、技能、経験を引き続き公務部内で活用することが公務運用上有意義であると認められる場合、各省庁の長は、人事院規則の定めるところにより、その者を常勤の職員として再採用できる、こういうことです。いわばこれは業務上の必要というのがその中心でございます。しかもその必要とするか否か、その期間を更新をしていつまでにするかどうか、これはすべて判断するのは各省庁の長でございます。
 したがって私は、これはいま労働省が指導し、民間で目標といたしております高年齢者の雇用を確保することを目標とした制度としての継続雇用とは異質のものである、こう思わざるを得ません。公務員の六十歳定年制が実施される昭和六十年以降、さきにも指摘いたしましたように、民間では多様な形における継続雇用の形態が進んでいくと思います。とすれば、民間の実態を勘案してと、それが一つの大きな要因である限り私はこの傾向を無視することはできない、こう思うのでございます。私はこういう論法でいきますと、いま提案されております六十歳定年制は、大きな意味では暫定的な退職管理制度という意味を持つのではないか、こう思います。いかがでしょう。
#310
○国務大臣(中山太郎君) 暫定的と申し上げることが政府としては適当かどうかは私は申し上げかねると自分で考えておりますが、新しくやってくる高齢化社会に対して公務員制度を預かる総理府といたしましては、高齢化社会対策の第一段階であると、このように認識をいたしております。
#311
○柄谷道一君 人事院総裁の御認識も同じでございますか。
#312
○政府委員(藤井貞夫君) 同じでございまして、何しろ高齢化社会というもののテンポが非常に速いということがございます。したがいまして、いま御審議をいただいておりますものが六十年六十歳ということでございますが、それまでの期間における情勢変化というものも、いま御指摘になりました点を含めて、きわめて顕著なものが出る可能性も多々あります。したがいまして、そういうものもあわせて、われわれとしては慎重に、しかも深刻に受けとめて把握をしていって、しかもそれに対して何らかやっぱり具体的な対策を講ずる必要性がございますれば、それに対して対応策を講ずることにやぶさかであってはならない、かように考えております。
#313
○柄谷道一君 私は、一つの政府なんですね、その政府の労働省の向かわんとする姿勢と公務員に対する姿勢の間に乖離があってはならない、こう思います。どのような事態に進展していくか、これはあとしばらくの推移を見なければならぬわけでございますが、私はやはりこの六十年の定年制度が実施されたと、その時期には、次は今度は、八〇年代後半に向かっての老齢化社会に対応する施策、民間を踏まえながら真剣な検討と対策が打ち出されて至当である、こう思います。長官どうですか。
#314
○国務大臣(中山太郎君) 全く同感でございます。
#315
○柄谷道一君 次に私は、公務員に定年制度を導入することは、そのこと自体に意義があることはもちろんでございますけれども、定年制の導入によって現在の公務員の賃金、退職手当、年金等労働条件全般を見直すきっかけになるという面で意味をまた持っているのではないか、こう思います。
 事実、私の手元にも定年制導入反対の労働組合のビラをいただくこともあるわけでございますが、それを見ますと、定年制導入そのものに反対というよりも、私の印象でございますけれども、そのことによる、たとえば高齢者に対する定期昇給のストップ、年功賃金体系を変えることに対する問題点、また共済年金制度の改悪に反対するという視点、そういうところに的を当てておられるということを読むわけでございます。しかし、それはそれで一つのお考えでございましょうが、私は民間の立場からいたしますと、なかなかこれは理解できない面が一つあるんでございます。
 それは、民間では厳しい国際競争、国内競争の中で働いております。したがって、定年を五十五歳から六十歳に延長すること、そういう団体交渉の中では、そのことによって生ずる費用負担をいかに調整するか、これをめぐって労使が現実的に対処し団体交渉を行っているというのが実態でございます。そして、現実には労使交渉の主題はその点に置かれていることもまた現実でございます。たとえば鉄鋼五社の場合、定年五十五歳から六十歳に延長いたしました。そのときに、五十五歳で役職を勇退する、賃金体系は現在でも大体四対六ぐらいで職能給、職務給が導入されておりますけれども、それでも五十歳以上の基本賃金は横ばいをさせる、退職金は現行の勤続三十年水準を三十五年水準にずらす。こういう調整を行いまして、高齢化社会に対応する定年延長、六十歳の実現というものに全力を挙げ、協定が行われた、これが実態なんですね。また、これは鉄鋼労連の一例を申し上げましたけれども、民間産業の一般的な傾向だと言っても私は過言ではございません。
 また、定年後継続雇用をする、そういう場合はこれも一般的にその定年時における能力に応じまして、傾向としては賃金が下方調整される、そういうこととの見合いにおいて継続雇用制度を採用しておる、これも実態であろうと思うんでございます。
 そこで、私はそういう意味では、今回の人事院の書簡では触れられていない労働条件や人事諸制度の見直し、定年制導入による労働条件の調整、これが重要な問題になる、こう思うんでございますが、これらにつきまして今後どのような方針で対処、対応しようとしておられるのか、お伺いします。
#316
○政府委員(藤井貞夫君) いまお述べになりましたような点は、定年制の導入に関連をいたしましてきわめて本質的な、基本的な重要な問題であろうというふうに私も考えております。人事院といたしましても、そういう認識がございますために、総務長官に対する書簡をお出しをいたしました際に、同時に定年制の導入ということをめぐって、これに伴ういろいろな問題点を並行して考えていかなきゃならぬ、それが定年制度実施をさらに一層円滑ならしめるゆえんであるという認識に立ちまして、任用制度なりあるいは研修制度なりというような問題、これはやめてから後の処遇の問題にも絡まります。そういうような点についでも、即刻並行して検討を進めてまいりたいというふうに申し上げました。
 また、さらに広範な立場としては、昨年の給与勧告に伴う報告におきまして、これらの点については、先ほど先生お述べになりました基本的な認識のもとに、三十年の経過を経ておりまする今日の公務員制度全般について、その背景をなす環境というものが非常に大きく変貌しつつある状況でございますので、それを踏まえて長期的な、しかも総合的な検討を人事諸制度についてやっていかなければならないと。これは単に任用、給与だけにとどまらず、その他の人事諸制度全般についてそういう検討を早急に開始すべきであるということを申し上げましたのは、その趣旨に沿うものであるというふうに理解をいたしておりまして、きわめてわれわれとしては重大な関心を持っておる事項でございます。
#317
○柄谷道一君 ただいま総裁の言われました並行しての見直し検討ですね、これは私が承知しますところでは、五十八年までに全体的な見直し検討を行いまして、具体案をまとめて、六十年に実施する。こういうお考えやと承知しておりますけれども、私はその場合、これは具体的でございますが、五十六歳昇給の延伸、五十八歳昇給ストップという現行の制度、また民間で定着しつつございます賃金体系、特に職務給の導入、こういった面も見直し検討の対象の中に含まれるのでございますか。
#318
○政府委員(藤井貞夫君) 当然それらの点も含めて検討したいと思っております。
#319
○柄谷道一君 労働省いらっしゃいますか。――その際、見直しの対象に五現業が含まれるのかどうか、公労法の団体交渉権との調整をどう考えておられるのか、また公企体基本問題会議の意見書の関係をどう考えておられるのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
#320
○政府委員(細野正君) 五現業関係につきましては人事院での御検討の対象外というふうに伺っておるわけでございまして、私どもは、五現業のいわゆる一般の労働条件につきましては、これは労使の団体交渉において決定をされ、話がつかない場合にはこれが公労委の調停制度に乗る、こういう仕組みになっているわけでありまして、そういう意味で、御指摘の基本問題会議の意見書等との間に特に矛盾はないんじゃなかろうかと、こういうふうに考えているわけでございます。
#321
○柄谷道一君 私は、団体交渉の対象であることは当然知っております。ただ、団体交渉というのは、理事者側と職員側とあるから団体交渉があるわけですね。問題提起は時としては労働組合から提起されます。時としては理事者側から提起されます。そして交渉が始まるわけですね。
 そこで、いま人事院はお聞きのとおりの方針で見直しをやろうというわけです。団体交渉の結果がどうなるか、これはもう交渉の結果ですから別として、理事者側として、そういう公務員の総合的見直しという人事院の検討というものを受けて、いわゆる団体交渉に問題の提起をされるのかどうか。その点いかがですか。
#322
○政府委員(細野正君) 五現業の労働条体につきましては、御案内のように民間賃金準拠という考え方でやっておりますので、したがいまして、民間の動向というものは、当然三公五現の交渉の場合に準拠すべき一つの基本原則として働くでございましょうし、いま御指摘のようないろいろな民間を踏まえての御検討というようなものも当然団体交渉における労使の考慮すべき要素というものになってくるんじゃなかろうかと、こういうふうに考えておるわけであります。
#323
○柄谷道一君 私は、この定年制の導入に際し見直しが必要なことは、公務員給与や退職手当、年金に限られるものではないと思います。現在の公務員制度は三十年以上経過いたしております。今後の社会情勢に一体対応することができるのかどうか、これを検討しなければならないことは当然であろう、こう思います。その場合、端的に言うならば、公務員の能率をどのような基準で評価し測定しながら個々人の昇進、昇任、任用を行うのかという昇進管理、昇任管理の問題。また採用は厳選する、しかし後はエスカレートという方式ではなくて、その後の研修によって配置がえを可能とする職務への対応、対策。また行政能率の維持、向上対策ということも必要でございましょう。業務管理のこれに伴う改革も必要になってくるかもしれません。私は、人事院というものは、今後こうした大きな情勢の変化、この中に対応して、失礼ではございますけれども、単なる任用局という立場にとどまってはならない。職務遂行能力をどういう方向に向けて昇進、任用を含めて形成していくのか。どうしたら公務サービスを確保することができるのか。こういう大きな視野に立って根本的に見直さなければ定年制を導入する意味はない。同時に、それを行うことなくしてやはり国民の認識、評価を高めることはできないとすら思うのでございます。改めて総裁の御所見をお伺いします。
#324
○政府委員(藤井貞夫君) いまるるお述べになりました基本線は、私は全くそのとおりであるというふうに思っております。そういう基本線に立ちまして、定年制をめぐる提言、あるいは昨年の給与勧告に伴う報告の中での人事院の態度というものに言及をいたしましたつもりでございます。総じて申しますれば、日本の公務員制度の基本的なあり方というものについて原点に返って反省をし直すとともに、そういう原理、現実、哲理から見て現在の制度にはどこに問題点がありどこに欠陥があるかというような点をつぶさにひとつ検討をしていきたい。
 三十年の間、いろいろその間における応急の手直し的な改善は、国会の御協力も得まして、漸次やってきたつもりでございます。しかし、基本的な問題になりますと、なおその対応について問題があるという認識がございます。特にこの間における情勢の変化というものはきわめて著しい。普通の時代の十年、二十年ではございません。大変大きな変動というものが現実に行われつつある。しかも、今後の展望といたしましても、そういう急激な変動というものはさらに続くのではないかというふうに思われます。
 そこにおいて、公務員制度というものを通じて行政というものをりっぱにやっていく、国民に対して能率的な行政を保障していく、その具体的な方法というものはいかにあるべきかということは、場当たりではなくて、やはり長期的な視野に立って、長年の長期にたえる施策というものを打ち出してまいらなきゃならぬ時期に来ておるのではないだろうかと思っております。したがいまして、ただ単なる任用制度というようなことではなくて、人事院自体もこれは任用だけでなくて、給与の問題職員の福利厚生全体の問題、いろいろやっておりますが、それらの各局の総力を挙げてこの問題に積極的に対処をして、できるだけ速やかに結論を得、この結果につきましてはなおいろいろ御意見も拝聴した上で国会の御審議をお願いするという段取りを立てておるわけでございます。
#325
○柄谷道一君 次に、私は退職手当も年金もそれが老後のいわゆるまた定年後の所得保障であるという面においては同じであろうと、こう思うのでございます。そこで、これは私の耳に入りますまあ率直な民間労働者の声でございますけれども、公務員の方は退職されてもその共済制度から脱退する。これは退職であるということで、年金は減額されずにこれは全額支給となります。したがって、退職後の賃金が少々低くても、その賃金と年金額とを合算すれば生活の方は保障される。こういうことで、民間に比べれば再就職が比較的容易なのではないか。民間では、定年退職をしても年金は、もう御承知のとおり、六十歳までは支給されません。六十歳を過ぎましても、収入に応じまして減額年金の支給となります。六十五歳を過ぎましても二〇%は減額される。そこで、この高齢化社会に対応して、民間の定年退職者というのはその再就職先の賃金というのが生活のすべてを支えるという結果になる。そういう職場を探そうと思ってもなかなかない。
 そこで、これは高齢者の有効求人倍率から見ましても、公務員の方の民間への進出が民間における定年退職者の職場を縮めているのではないか。また、同じ職場に働いておっても、余りにも退職金と年金額を合算した待遇が違うのではないか。こういう率直な疑問を持つ人が多いということも、これは現実であると思うのでございます。
 そこで、私はこうした民間労働者との競合といいますか、それを避けるという配慮をしなければならない。そのためには、一つは年金の官民格差の是正も必要でございましょう。あるいは、場合によっては職域の調整ということも必要でございましょう。また、場合によりましては、最賃法の厳格な運用という面においてその収入を確保することも必要でございましょう。私はこの問題について、現在もございましたけれども、今後老齢化社会の進展が著しくなればなるほどこの官民の調整、これが重要な政策の課題になるごとは否定できないと思います。この点に対する長官と労働省の御見解をお伺いします。
#326
○国務大臣(中山太郎君) これから先のいわゆるリタイア、退職後の職場の調整という問題につきましては、これはやはり職業の自由とかいろんな問題で政府が直接介入することは私は穏当ではないと思っておりますけれども、この先のいわゆる再雇用の問題がどのような現象をあらわすであろうかと。私は公務員の場合には数が非常に明確になっていると思うんです、公務員の場合は。地方公務員の場合もこれは数が明確になっておる。しかし、地域との密着性というものは国家公務員よりも地方公務員の方の密着度の方が高い。そういうことから、地方自治体を退職された方々が民間におりていかれる率の方が国家公務員の経験者よりも高いんではなかろうかと、単なる推測でございますけれども、いままでの傾向から見てそのような流れが見られるんじゃなかろうか。ただし、この問題は非常に大切なこれから先の課題であろうと思っておりますので、総理府といたしましても、いろいろと職域団体の意見も聞きながら十分ひとつ研究をさしていただきたいと、このように考えております。
#327
○政府委員(細野正君) いま総務長官からお話ございましたように、非常に大事でありますと同時にむずかしい問題でございますので、私どもも関係の省庁ともよく連絡をとって研究をすべき問題だと、こう考えております。
#328
○柄谷道一君 私はこれはむずかしい問題であることは十分承知しております。しかし、これは避けて通れない道なんですね。やはり民間も公務員の方々に対して深い理解を持たねばならぬ、また公務員の方々も長い間公僕として勤められてきたわけでございますから、民間のことも当然お考えになると思うんです。この面を本日詰めることは時間の関係からも無理と思いますけれども、ひとつ真剣な政府としての御検討をおわずらわししたい、このことを要望いたしておきます。
 次に、具体的な問題にちょっと入りますが、最近における勧奨退職者の数はどれぐらいか、その勧奨退職をされた人のうち、大体何%が再就職されているのかお伺いします。
#329
○政府委員(山地進君) 一般職の給与法の適用を受ける国家公務員の総数は五十四年三月三十一日で約五十万でございますが、五十四年度に、勧奨と定年と合わせてでございますが、退職した者は一万三百八十人でございます。在職者総数の二・一%になっています。この退職調査では、定年と一緒になっておりますので、定年と勧奨退職との別はございませんが、御存じのとおり定年という数はかなり少ない数だと思います。
 なお、これらの方々の再就職率については、私どもとしては把握しておりません。
#330
○柄谷道一君 私は長官ね、やっぱり心の通う行政ということになれば、退職した後どうしておるのか、それだけ親身の追跡の調査が行われてしかるべきだと、こう思います。統計がないということですからこれ以上聞けませんけれども、それは行政の心としていたすべきことではなかろうかと、こう思います。
 そこで私は、比較的勧奨退職の場合は民間と比べますと、民間等に、まあ高級官僚は別にしまして、一般職の方でもやっぱり再就職されている方の率は高いと思うんですね。そこでこの定年制を導入した場合に、その事態が変わることがないのかどうか。私はもし定年制を導入するとすれば、いま民間では定年制があるんですけれども、その定年前に再就職先の職業訓練、また講習、こういうものを積極的に企業労使が行いまして、企業によってはその就職のあっせん活動すらにまで手を伸ばしておる、そしてこの老齢化社会に対応して老後の生活不安というものを少しでも軽減しよう、その真剣な努力がいま行われているというのが民間の実態ですね。私は定年制を導入するからには、こうした定年前の対応策、これが当然制度的に検討され採用されてしかるべきではないか、こう思うんですが、いかがですか。
#331
○国務大臣(中山太郎君) 私は、この新しい雇用のための訓練、これは非常に必要なことだろうと実は考えております。先般の委員会における御質疑もそういう点がございました。私は退職準備プログラムというものがそれぞれの官庁において立てられ、持たれるべきではなかろうかというふうに実は考えております。と申しますのは、役所の方が民間に雇用される場合、つまり役所というものは概して言えば守備型のシステムである、そうして民間企業というものは激しい競争原理の中で生きておりますから、攻撃型のいわゆるシステムを持っておる。そういう守備型から攻撃型のいわゆる職場に移るという中で、果たしてその公務員の体験のある方々が十分にその中に融和していけるかどうか、こういう問題が現実の問題として私はこの社会に存在していると思います。そういうために、あらかじめ定年を迎えられる年次がわかっておるわけでございますから、その年次に向けて自分が再びどういう職業を求めるか、そういう職業についてのいわゆる講習、訓練というものを受けることの希望を募るというようなこと、いわゆる退職準備プログラムというものがこれからの行政の中にも用意されるべきではなかろうかと、そのように考えております。
#332
○柄谷道一君 私は全くその点同感でございまして、それが単に長官の希望ではなくて、やはりこの昭和六十年に定年制が実施される場合に、その前にそうした退職後のプログラム、これが確立されてしかるべきだ、こう思いますし、これが多年公務員として国民と国家のために奉仕してきた者に対する私は当然国としてとるべき方法ではないか、この点を指摘いたしておきたいと思います。
 そこで私は次に、これはあるいは本法案に反対されている方々の批判を受けるかもしれませんが、私は民間で労働組合の経験もございます。そうした私の認識からしますと、民間では、勧奨、肩たたき、これはきわめて不安定な雇用保障制度である、したがってこれを排撃いたしまして、いわゆる定年という管理制度の確立を労働組合みずからが要求する、そして高齢化社会に対応してこれの年齢引き上げを要求する。こういう私のとってきました経験からしますと、むしろ定年制の導入ということは、いまのような勧奨制度ではなくて、労働組合から、定年制の導入、その年齢をどうするかは別ですよ、これが要求されるのが私はあり方ではないか。これは批判はあるかもしれませんが、民間の意識はそのようなものであろうと、こう思うんです。そこで、それができないと、そして勧奨制度の方がいいということは私はそれなりのメリットがあるからだと、こう思うんですね。そのメリットとは何か、これはまあいろいろあるでしょう。年金にしましても、恩給法のよいところと、戦後、年金になってからの年金上のよいところを両方とっていこうという過去の蓄積、それからいまの減額年金制度もないという実態で、比較的民間に比べれば再就職はしやすいという環境、さらに勧奨退職による上積み退職手当、こんなものがあるんではないかと、これは間違っておれば失礼でございますけれども、そういうものが背景にあるんではないかと、こう思います。
 そうした意味で私は、いま総裁も長官もおっしゃったわけでございますけれども、これから新しい定年制の導入に伴う総合的な施策の見直しが必要だということになりますと、私は公務員、特に政府管理者側の意識改革といいますか、これがなければこの問題はとうていできないと思うんです。それなくして、私は国民の意識とはますます乖離する結果になるのではないかと、こう憂えます。率直なひとつ長官としての御所見をお伺いしたい。
#333
○国務大臣(中山太郎君) この法案が国会で御同意をいただいて成立した場合には、いわゆる昭和六十年六十歳定年というものが既定の事実となってこれから迫ってくるわけでございますので、政府といたしましては、そのいわゆる昭和六十年に向けて、ただいままで御指摘のありましたような点も踏まえ、職域団体の意見等も十分くみ上げられるようなシステムの中で退職準備プログラム等のいわゆる研究が十分でき得るようなシステムをつくりたいと、つくって検討を始めたいと、このように考えております。
#334
○柄谷道一君 私は、先ほど安武委員が気象庁の予報官ですか、これの事例を挙げられまして、五十一歳から五十九歳までに非常に原爆のキノコ雲型に集中しておる、これが一時に退職すれば大変ではないかという御指摘があったんですけれども、私はそれは定年制を導入しても、現在の退職勧奨基準年齢を決めておきましても同じ現象だと思うんですね。これは別個の問題として、いま残念ながら原爆になっておるわけですから、これをどう調整し、国民サービスを低下しないで業務を執行していくか、これはまた別途の問題として私は検討され、実施されるべき問題だと、まあこの点ちょっと感じましたので、質問の前に言っておきます。
 そこで、具体的問題についてさらに質問したいんですが、現在各省庁の平均勧奨退職年齢は大体五十八・六歳と承知しております。すると、上級幹部職員の個別的な勧奨制度は残るにしても、長官は、もう一般職員は勧奨制度はないと、こう言われましたね。ということは、公務員の平均勤続年数は自動的に長くなると、こういうことを私は意味すると思うのでございます。
 そこで、昭和六十年に六十歳定年制が実施された場合、いわゆる滞留しておるわけですから、六十歳以上の人が。それを含めて、その時点における定年退職になる者の概数はどれぐらいか。その後、大体毎年どれぐらいの者が定年退職者となるのかお伺いします。
#335
○政府委員(斧誠之助君) 各省の退職基準年齢でいきますと、一般の職員は現在でも大部分は六十歳以上となっておるわけでございます。六十歳以下で決めているところはごく少数でございます。課長補佐クラス以上でただいまおっしゃいました五十八歳程度が平均になっておるわけでございます。そういう勧奨制度のもとで、実は昭和五十五年三月三十一日現在で六十歳以上の職員というのは約一万四千人いるわけでございます。将来、これから意識もいろいろ定年制法案が成立しますと変化があると思いますし、それから、これから定年制法案が成立しますれば、各省は円滑な実施のための準備にも入りますし、人事院、総理府も協力して調整に当たるわけですが、そういう影響もあります。正確な数字はとうてい推定することはできないんですが、もしいまの勧奨制度が六十年までは通常の機能を発揮するといたしますと、この五十五年三月三十一日現在に存在します一万四千人程度が、定年をオーバーする職員として、定年到達者になるのではないかと思っております。
#336
○柄谷道一君 政府は、この定年制導入の一つの理由に財政上の視点も述べておられるわけでございます。この面からとらまえれば、いま言われました約一万四千人の六十歳以上の方がいなくなる、と同時に現実には平均勤続年数が延びると、こういうかっこうになりますね。これらを比較考量してどの程度の人件費が節減になるか、はじかれたことございますか。
#337
○政府委員(山地進君) 正確に幾らぐらい節減になるかということを計算したことはございませんが、まず第一に、この定年制度というものと行財政改革の問題につきましては、かねがね御答弁申し上げておりますように、財政的な節減ということを主目的にはしていないわけでございます。ただ、定年制の導入ということをする場合としない場合では、高齢者が少なくなって若年者にかわるという意味では、長い目で見ると給料が三分の一の人が多く入ってくるという意味では財政効果はあるだろうと、ただし六十年までの経過を見ると、先生の御指摘になるように五十八・六歳のものが六十歳近くに平均年齢が若干上がるかもしれない、あるいは六十年の三月三十一日までにいま人事院の方で御指摘になりました一万四千人が若干ふえてくる可能性もなきにしもあらずだと思うんです。そういったことがございますので、短期的、つまり六十年の三月三十一日までの実態というのがどういうふうに推移するかということについてはかなり予測が困難な事象ではないだろうか、ただ長期的に、六十年の定年というものを導入しない場合に、六十歳を超える長期の方が長くおられるという場合に比較すると、その点については財政上のメリットが付随するであろうと、かように考えております。
#338
○柄谷道一君 財政上のメリットは本定年制を導入する主たる要因ではないと、このように理解しておきます。
 そこで、次に五現業の場合ですけれども、五現業の職員につきましては、私が言うまでもなく、公労法によりまして団体交渉権が認められております。そこで、政府は国家公務員に対して定年制を法定した場合、法律で定めた範囲内で団体交渉するのが筋であると、こうしばしば答弁をされているわけでございます。それでは、それだけでは私は法定主義と、国家公務員に法定で定めたということと団体交渉との関係が必ずしも定かではない、こう思います。
 そこで、具体的に伺うわけですが、国家公務員に対する定年年齢をそのまま適用するという考え方なのか、団体交渉で年齢の変更を協定することが容認されるのか、また仮に原則を六十歳とした場合でも特例を団体交渉で協定することができるのか。これは団体交渉の結果ですけれども、理事者側である政府のお考えをお伺いしておきます。
#339
○政府委員(細野正君) 現在の御審議いただいております改正法の定年制に関する条文そのものは五現業の職員に対しても適用になるわけでございます。したがいまして、五現業の定年年齢も原則的には六十歳ということになるわけであります。その場合に、いまお話しのように、特例定年の範囲その他につきましては団体交渉の対象ということになりますけれども、六十歳定年そのものを、特例定年として法律上認められている場合以外についてこれを採用することについてはできないと、こういうふうに考えております。
#340
○柄谷道一君 さらに具体的にお伺いします。
 たとえば五現業の中には郵便配達など肉体的に六十歳まで勤労することが困難な職種というものが出てくると、こう思うんです。これらにつきましては当然団体交渉によって労使の一致点が求められなければなりませんけれども、六十歳まで任務遂行ができないと団体交渉で合意した職種については、一定年齢を過ぎた場合、勤務する職種の転換を図るようにその基準を協定して具体的指導を行うという方法もあるでしょう。また、職種の転換も行われずに同一職種で働いておる職員については、肉体的な理由から定年前にいわゆる定年制を設けて、これには、もちろん団体交渉でその職種や基準を定める必要があると思いますけれども、特例の措置を講ずる、これが現実の問題として浮かび上がってくると思うのですが、これに対してもノーでございますか。
#341
○政府委員(細野正君) 六十歳の特例を設ける場合には法定をされておるわけでございますから、その法定の場合以外につきまして年齢を団体交渉で左右することはできないわけであります。したがいまして、いま御指摘のような場合には企業の中で配置転換等の措置を交渉によって講じていく、こういうことになっておるというふうに考えております。
#342
○柄谷道一君 長官ね、たとえば民間でも厚生年金の支給開始年齢、これは六十歳ですよね。しかし炭鉱労働者、いわゆる坑内労働者ですね、それから船員、こういった特別の職種につきましては、いわゆる五十五歳支給開始という制度を残しておる。これはやはり現業というのは非常に広範な職種にわたるわけですから、その職種によっては六十歳までの勤務が客観的に見て困難ではなかろうかというものも出てくると思うのですね。現に、これは後ほどまた防衛庁長官に御質問いたしますけれども、防衛庁では別に停年を定めておるわけですね。原則定年六十歳制になった場合でも、そうした職種の実態に広じてやはり団体交渉で弾力的な取り扱いというものを決めていく、これは常識じゃないでしょうか。いかがです。
#343
○政府委員(山地進君) 先ほど来いろいろ御質疑ございましたように、六十歳というのが権利という形で六十歳定年ということを設定しているわけでございますが、先生の御説のように、肉体的な条件が許さない、特にその中で職場転換というようなことについてもそれが実現できない。そうすると、その場合にはその職業から出ていくというような場合、これは団体交渉で行う場合は、本来から言いますと定年の特例というようなことも方法としては考えられないことはないのかもしれませんけれども、現行のもとでいきますと、従来から五現業についても退職勧奨ということで合意が成立した場合もあるわけでございますから、そういう場合に、退職勧奨という集団的なことになるわけでございますけれども、退職勧奨ということについてある種の合意を見るというような特別なケースもあり得るかと、かように考えております。
#344
○柄谷道一君 私はここでこれ以上詰めませんけれども、やはり特殊な事情が出てくると思うんです。こういうものに対しては、労使が十分に話し合って、理事者側もその実態を容認するという場合はやはり臨機の措置がとられる、それがぼくは制度というものではないだろうかと思うんです。一たん決めればどんな事情があろうともこれを守っていくということであれば、せっかく六十歳定年制があって雇用が保障されておっても、みすみすその前に退職せざるを得ない、こういう現象になってくるわけです。この点については、私は一つの大きな問題点としてきょうは指摘しておくにとどめたいと思います。
 次に私は、いままで申し上げてまいりましたように、長官も人事院総裁も、定年制の導入を一つの契機としてこれから公務員の全般の労働条件について見直し検討が行われる必要がある、こう述べられました。とすれば、そういう作業を行う過程において、公務員につきましては当然人事院というものが真剣に検討して、団体交渉権を与えていないという実態をカバーすることが必要でございましょう。団体交渉権を持っておるところについては、十分に団体交渉して、その意見を今後の全般的見直しの中に生かしていくという措置が必要でございましょう。当然そうした措置がとられるものと確信しますが、いかがでございますか。
#345
○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘の点につきましては、十分御趣旨を尊重して、これからの来るべき新しい公務員の人事管理制度の円満な、かつ円滑な運営のために努力をしてまいることをお約束申し上げたいと思います。
#346
○柄谷道一君 次に私は、特殊法人の定年制について質問したいわけでございますが、各省庁の特殊法人の職員数、常勤だけで結構ですが、その中で六十歳以上の者がどれだけいるのか、さらにその定年制の実態はどうなっているのか、御説明をお願いいたします。
#347
○政府委員(山地進君) まことに申しわけございませんが、常勤の職員が何人いるか、それから年齢別の構成がどうなっているかについては、後刻調査して御報告したいと思います。
 現在の定年制の実情でございますけれども、定年制度を実施している法人は三十六法人ございまして、定年年齢は、五十五歳が五、五十七歳、五十八歳、六十歳がそれぞれ十でございます。十の特殊法人、それから六十二歳が一つございます。それから定年制を実施していない法人が五法人でございます。
#348
○柄谷道一君 それらの資料は後ほど提示されるように要求いたしておきたいと思います。
 そこで、特殊法人は労働三権を持っている団体でございます。そこ、に定年制を導入するかどうか、その年齢を何歳とするか、これは組織体個々の事情で労使が協議されるべき問題だと思いますが、他面、この制度上、人件費等の運営について国から多額の財政的援助が行われているという側面もまた考慮しなければならない、こう思います。
 そこで、政府として特殊法人の定年制についてどのように対応されようとしておるのか、特に理事者側としてどうしようとされておるのか、お伺いします。
#349
○国務大臣(中山太郎君) 先ほど人事局長がお答え申し上げましたように、定年年齢に関する特殊法人の実態について御報告を申し上げておりますけれども、現状では比較的うまく作用していると見ております。ただし、政府といたしましては、政府の一つの大きな公務員に対する考え方というものが法律によって成り立つわけでございますから、特殊法人におきましても、やはり政府からの補助金を受けている団体としては、当然政府の基本的な考え方に協力をしてもらいたいというのが当方の考え方でございます。
#350
○柄谷道一君 お待たせいたしましたが、防衛庁にお伺いします。
 自衛官の定年につきましては、政府は昭和五十四年から五十九年までの六カ年間に段階的に引き上げていく。そして一佐は五十四歳、二佐から曹長までは五十三歳、一曹は五十二歳というように延長しようとしておられると、こう承知いたします。確かに私は、自衛官というのは有事の際に戦闘に参加いたしまして全能力を発揮しなければならぬという任務があるわけでございますから、一般より若い定年が必要であるということは理解いたします。しかしこれと同時に、最近装備の近代化、複雑化に伴う熟練隊員の能力の活用が必要とされてまいりました。同時に、国民一般の平均寿命の延長、さらには肉体的能力の向上という面も著しいということもまたその側面であろうと思いますし、労働情勢一般の背景も変化いたしております。私は、防衛庁として五十九年度一応の措置が終わった場合、さらに自衛官そのものの定年というものについて見直し検討される用意をお持ちなのかどうか、お伺いします。
#351
○国務大臣(大村襄治君) 自衛官の定年の延長につきましては、ただいま御指摘のように、六年間で現在延長計画を達成するために防衛庁としては全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 そこで、自衛官の特性として、ただいま御指摘がありましたように、有事の際には心身の全能力を挙げて国家のために奉仕しなければいけないというふうな特性はもちろんあるわけでございますが、他面、装備の近代化に伴う熟練度の要請も高まってきているわけでございます。私ども諸外国の同様のケースとの比較研究も行っておるわけでございますが、一概に申せない状況でございます。概して言いますと、英米等におきましては、達成後の定年に比べまして概して高いと、ところがフランス、西ドイツ等におきましては概して低いという状況でございますが、また運用の面においていろいろ各国特性があるようでございまして、一概にそういった比較はするわけにはまいらないと考えているわけで、なおその点の研究も進めているわけでございます。
 そこで、現在の計画が五十九年度で達成するわけでございますが、さらにこれを延ばすかどうか、現時点で直ちにどうするかということは、現時点では判断することは困難と考えますので、引き続きあらゆる角度から検討を進めてまいりたい、かように考える次第でございます。
#352
○柄谷道一君 これはもう資料要求の形をとっておきますけれども、一応主要先進国の自衛官の定年制度の実態について、これは後ほどで結構でございますので、私の方に資料を御提供願いたいと、こう思いますが、よろしゅうございますか。
#353
○国務大臣(大村襄治君) いま御要請の資料については提出できるようにいたしたいと思います。
#354
○柄谷道一君 私は、長官、この本法案は公務員の分限に法定の定年制を導入しようとするものでございます。いわば定年の法定主義を実現されようとしているわけですね。ところが、民間に対しましては、われわれ野党が、定年制の法定、当面は六十歳にしなさい、そして将来は六十五歳へという、定年法の制定といいますか年齢差別禁止法の制定といいますか、これを法案として提出をいたしますと、政府の方はそれは労使間の団体交渉で決められるべきものであるということで、その法定化に対していわゆるノーとお答えになるわけでございます。高齢化社会に対応する同じ雇用政策でありながら、片や法律をもって定める、片や団体交渉で対処しなさい、官と民と使い分けておられるのですね。私は、これは矛盾であり、法のもとでの平等という立場からして、政府の方針が一致していないということを指摘せざるを得ないわけです。民間の定年法制化に対してどうお考えですか。これは総理府長官にお伺いすると言ったら所掌外であると逃げられると思いますから、国務大臣としての所信をお伺いします。
#355
○国務大臣(中山太郎君) 本来、労働大臣の所管事項でございますから、お答え申し上げるのは御遠慮すべきでございますが、国務大臣としての考え方を申し上げれば、民間企業というものはあくまで利益を追求する一つの集合体である。しかもそれが同族であれあるいは非同族であれ、いわゆる投資が行われる。投資が株主によって行われて、それの配当をせなければ企業というものは経営者としての責任上成り立たないシステムを持っている。また労働賃金が安ければ、いわゆる雇用条件が悪ければそこに働く人が集まってこないという一つの宿命を持っている。また企業が安定していなければ、いわゆる生涯そこにかけて、日本のような終身雇用型の社会においては、そこに就職することが自分の生涯を決めることでございますから、そういう点については、そこの定年が幾つかということもあらかじめ入社の以前にそこに就職を希望する人は十分認識をしてそこに就職試験を受ける。これが私は民間の一つの大きな現在の流れであろうと思うんです。
 ところが公務員の場合は、民間企業と異なりまして倒産という不安が全然ない。そうしてそこに勤めればいわゆる生涯の設計というものを、まずよほどの悪いことをしない限りは、まじめに勤務する公務員にとってはある一定の年齢までは生活が保障される。そういうふうな一つの大きな同じ人生、働く場所というものが民間企業といわゆる国営企業体とは全然違うわけでございますから、一律に私はそれを法で規制するとか規制しないとかということはできないのではなかろうか。あくまでも民間においてはいわゆる労働団体、労働組合と経営者側との話し合いによって定年というものは企業が存立し得るような形で話し合いをしていかなければならない。一方、政府の場合には、やはりこれは分限に関することでございますから、人事院の意見も求めて国民の代表者が集まっておられる国会で御審議をいただくことが基本的な筋道であろうと私は考えております。
#356
○柄谷道一君 私は、国家機関というものと民間というものがそれは性格的に違う面はあると、これはもう十分承知しております。しかし、働いておる人々が高齢化社会の中でいわゆる老後の生活が不安であるということは同じですね、これ。しかもいま長官、まあ私、言葉じりとるわけじゃございませんけれども、そこに採用する場合に、一体雇用保障たる定年がどうなっているのか、賃金はどうなのか、退職手当はどうなのか、休日休暇はどうなのか、やっぱり労働条件全般を見てそこに就職の意思を決めるということは、これは公務員であろうと民間であろうと私は同じであると、こう思うんです。この点議論しておりますと、私これだけでも相当の時間かかると思うんですけれども、ひとつ本法案を提出されました総理府長官として、労働大臣と一遍閣内で十分お話しを願いたいと思う。私もまた、これは労働大臣に対して別途の委員会で大いに論戦をしてみたいと、こう思います。この点は、私はただいまの長官の御答弁には直ちに素直に了解しにくいという点だけを申し上げておきたい、こう思います。
 そこで、本日はこれ質問通告もしておきませんでしたし、またきょうは退職金の審議する機会ではございませんので、私は三つの点を質問だけしておきます。退職手当に関する私の質問のときに慎重御検討の上、お答えを願いたい。
 第一点は、昭和四十六年四月二十二日給実甲三百六十二号、これは五十五年二月十二日給実甲四百九十八号で改正されておりますが、そこで通達されました勧奨により退職する場合の特別昇給について、別に定める日まで勤務成績が特に優良な職員のうち勤務期間が十年以上の職員は一号俸、その期間が二十年以上の場合は二号俸退職時に昇給させることができると、こうされておりますが、その適用は通達どおり、特に勤務成績が優良な職員に限定されているのか。その者の該当する勤続者の中で何%がこの対象になっているのか。また、この通知はどういう背景で、何を根拠とし、何を目的として出されたのか。これが第一点でございます。
 第二点は、事務総長により、別に定める日、これを五十七年三月三十一日までとしておられる理由と、その日をもって打ち切るという根拠について明らかにしていただきたい。これが第二でございます。
 第三は、退職手当が民間に準拠して決定されるとすれば、五十七年時点で調査し、五十八年度に退職手当水準の官民比較が行われるわけでございますが、その比較検討の結果、仮に官民逆較差が明らかになったという場合は、速やかに何らかの形でその是正措置を講ずることが民間準拠にのっとる筋ではないかと思われるが、その見解をお示し願いたい。
 以上三点につきましては、本日の直接の議題ではないことと、質問通告をしていなかったということで、退職金の私への答弁の冒頭にお答えをいただきたい。このことを要望しておきます。質問の予告でございます。
 最後に、私は以上定年制問題につきまして種々の角度から質問を続けてまいりましたが、定年制導入の焦点は単に定年制という制度だけにあるのではなくて、公務員の生涯賃金というものを見直すきっかけであり、六十歳というこの年齢も高齢化社会に対処する一つの階段である、このように理解をしております。そこで、定年制導入に関連する労働条件等の改革につきましては、職員の意見が十分に反映され、人事院の勧告もしくは五現業における団体交渉の結果これがそれらの中に十分に反映されなければならないという点を指摘し、私の時間は余しましたが、質問を終わることとします。見解をお伺いいたします。
#357
○国務大臣(中山太郎君) ちょっともう一回、大変恐縮ですが確認さしてください。
#358
○柄谷道一君 私言いましたのは、定年制を導入する、そして人事院総裁もこれは定年制導入だけの問題ではないと、これから賃金の問題、昇任昇格の問題、いわゆる三十年続いてきた公務員の制度全般についても当然見直さなきゃならない、こう言われておるわけですね。私はこれは一つの大きな公務員制度改革のスタートだと思うんです。そして今後そういう検討が行われていく、その中には、団体交渉権を持たないところについては人事院がそれをカバーする、団体交渉権を持っているところは労使の交渉の結果を十分に反映する、そういう運用なくして私は公務員制度の改革を円滑に進めることはむずかしい、こう思うのでございます。そこで、国務大臣としての御見解を伺ったわけでございます。
#359
○国務大臣(中山太郎君) 団体協約の締結権のない公務員の方々のために人事院制度というものが現存しておりますし、この意見というものを政府は絶えず尊重してまいると、また団体協約締結権のある組織においては、職域団体との十分な意見の交換をしながらこの公務員制度全般にわたる円滑なかつ円満な運営ができますように私どもは努力をしてまいりたい、このように考えております。
#360
○秦豊君 最初に総理府に伺います。
 総理府の今年度予算の中で世論調査関係の費用の総額、それから調査予定項目、分野――ジャンルですね。これをちょっと最初に伺っておきたい。
#361
○政府委員(小野佐千夫君) お答えいたします。
 昭和五十六年度におきます世論調査の予算の総額は三億三千九百万円でございます。なお、世論調査の予定テーマでございますが、これは総理府といたしましては関係各省庁からの御要望を受けて、それを取りまとめ、調整の上実施いたしておりまして、それぞれの省庁からの要望がございますので、外交問題あるいはエネルギー問題でございますとか環境問題でございますとか、各省庁に関連の深い問題が含まれております。
#362
○秦豊君 遠慮しないでもっと具体的に。
 まだ要求が相次いでいるのかどうか。常識的にもうあなた六月でしょう。だから各省とも調整が終わってきていると思うから、具体的にどういう調査をするのかぐらいははっきりできるでしょう、それを聞いている。
#363
○政府委員(小野佐千夫君) 現在予定しておりますのは、国民生活に関する調査、それから外交問題、自然保護に関する調査、公害問題、それから国民の暮らしについての調査、そのほか各省庁から御要望が来て調整しておりますけれども、まだ具体的な調査の時期とか、いつどれをやるかということについて計画をいまいろいろ協議してまとめておるところでございまして、はっきり確定していないというのが実情でございます。
#364
○秦豊君 いや、私は、官庁のことだからもう年次計画というのがびしっとあって、いつは何、アイテムも分野も決まっているかと思ったから聞いたんだが、茫漠としていればかえって好都合だが、中山長官、一つ提案があるんですがね。きのう連合審査が行われたことは御存じのとおりです。だから防衛庁長官初め皆さんお疲れだと思いますが、私はきょう大体百二十分、時間をちょうだいしておりますからゆっくりやっていいわけですが、いつ終わるかはかかって政府側の答弁にあるんで、余りだらだらした感度の悪い答弁が続くならば百二十分を満了する、いいですか、そうでなければ早く終わりたいと思います。
 そこで、いまちょうど広報室の方からそういうお答えならかえって好都合で、きのう鈴木総理に提案しようと思いましたのは、政府はいつまでも自衛隊支持率八〇数%、ほとんど九〇に触れんばかりですわな。それで自衛隊は支持されている、災害出動に役立っているとか、非常に古典的なデータを踏まえて、自衛隊は国民合意の最大多数を背景にしていると、こういう論法なんです。御存じのとおりです。そこで、恐らく私の記憶に誤ちなければ、防衛庁独自の調査もあった。防衛問題についての国民意識それから総理府――おたくがあった。恐らくぼくは三年間ぐらい間があいていると思います、現在を基準にして。
 そこで、中山長官は感度の鋭い党人派閣僚で特にそういう方面非常にシャープだと思いますので、予算が大体アローアンスが相当ありそうだから思い切って、三億九百万円もありますから、なるべく早く防衛についての国民の世論動向を正確に把握していただくために、自衛隊は役に立っていると思いますか、マル・バツではなくて、現在日米共同作戦、有事法制、リムパック――来年もあるが、それからライシャワー発言以後のいわゆる非核三原則をめぐる壮大な虚構、あれは裸の王様論議なんです。そして防衛計画の大綱早期達成、さらに千海里、日本の庭先論などという非常に漠たる比喩的表現を含めて、私はやはりあなた方が考えていらっしゃる防衛の方向と路線というのは、私によれば国民合意を逸脱してきわめて危険な方向に急転回をしつつあるとこう思っている。いいですか、いま一番大事なことは、政府には独走が許されないという原則、これはそうでしょう。ならば、国民の世論を正確に把握すること、これは必須です。不可欠です。だから中山長官ならばおわかりいただけると思うが、幸いに三億数百万円の納税者の拠託によってあなたに予算がゆだねられているんだから、なるべく早く、なるべくサンプル数を多くして、国民の世論動向を的確に本防衛問題に関する把握をしていただきたい、それが一つ。
 あわせまして、七月に中間答申の出る行政改革問題について、設問の選択肢をなるべく多くして、将来方向を含めた世論調査、つまり防衛と行革、この二つに――余り漠然と総花で世論調査しても意味ありませんよ、そんなものは。だから、重点的に今日的な問題にしぼってぜひ実施をしていただきたいと思いますが、長官、いかがでしょうね。
#365
○国務大臣(中山太郎君) きわめて現在の日本にとっては重要な課題でございますので、防衛問題については防衛庁と、あるいはまた行政改革については行政管理庁と十分連絡をとりながら、御趣旨の点を実行すべく作業を進めさしていただきたいと考えております。
#366
○秦豊君 その場合は一般の世論調査――どこに頼んでいるかわからないが、電通か電通の傍系かよく知らぬが、世論誘導的な設問ではなくて、クールな、非常に純客観の、しかもサンプル数の多い、いわゆる三千サンプルなんて言わないで、新聞社の選挙予測でも数万サンプルの面接調査をやるんだから。今回は、国民投票制度がわが国にないんだから、それにかわる――まさるとも劣らぬとは言えないけれども、かなり近似値を持った世論動向をつかむために、ひとつ大村長官と中曽根長官と相談されて、コーディネーター中山太郎長官ということで実現の方向でやってください、もう一回。
#367
○国務大臣(中山太郎君) 実現をするべくお約束を申し上げます。
#368
○秦豊君 そういう答弁なら、経過を報告していただいて、食い逃げしないようにしていただくならば、きょうはもう結構です。
 それから、外務省と防衛庁にこれは連関をいたしますのでお伺いいたしますが、堂ノ脇審議官いらしゃいますか。――私、ちょっと解せなかったのは、はえなわ事故についてのソ連側と日本側のやりとりなんですよね。これは去る五月二十九日の夕刻に、本省のおたくの方へコマロフスキー参事官が訪れて一方的な声明を渡していますな、回答というのか。これは本文は拝見しておりませんけれども、いわゆるマスメディアの報道によると、ソ連が明らかにしたのは、事故海面に――五月十四から十六日の間に周辺海域には数隻のソ連軍艦がいたことは認めたけれども、あとはほおっかぶりのし通しなんですよね。おたくの方は兵藤ソ連課長が対応をされたようですが、この程度の回答というか表明で一応このことは対ソ連については終わっているんですか。それとも、これでは納得できない、さらに外交ルートを通じた交渉の余地があるのかないのか、その辺まずちょっと言ってください。
#369
○説明員(堂ノ脇光朗君) お答えいたします。
 五月二十九日の午後、先ほど秦委員から御指摘のございましたとおり、外務省欧亜局ソ連課長のところにコマロフスキー参事官が参りまして、回答なるものを伝えてまいりました。
 その内容は、伝えられているとおり、ただいま御指摘のございましたとおりでございまして、五月十四日から十六日の期間に北海道西方の日本海上に通常の訓練航海を行っていた数隻のソ連軍艦が存在していた。しかし、これらの軍艦は日本漁船の漁具に何らの損害も与えていない、そういう趣旨でございました。もちろん、これに対しましては、外務省としましては関係各省にこの回答を伝えて検討することを行っておりますが、内容的には、このソ連側の回答によって今回の事故が起こらなかったということには必ずしもならないんではないかというふうに考えておりまして、もし今後日本側におきまして調査した結果、ソ連側に責任があると考えられるようなケースがある場合には、ソ連側とさらに話し合いを行う必要があるというふうに考えております。
 五月二十九日以降の外交接触はいまのところございません。
#370
○秦豊君 防衛庁ね、ソ連はこう言っているんですよ。積丹沖のソ連艦艇なんていう写真は日本の檜町のでっち上げだと言っているんですよ。あんなことは黙って聞いていていいんですか。
 それからもう一つは、技術的にソビエトの艦艇が曳航式にやっているブイはたしか可変深度ソナーだと。そうするとかなり水没しますね。その水没の深度とはえなわ沈下の深度というのは符合するんじゃありませんか。そうすると、事故の可能性としては私は否定できないと思うんだ。しかも、相当広範に張られているはえなわのある一点を切断してもそのはえなわはだめになるという観点からすると、あのVDSソナーを引っ張っていたソ連艦艇は恐らく一隻じゃないと思う。そういう意味を含めて、これ、でっち上げ説を含めて、防衛庁側、何か反論したいことがあったら言ってくだ
 さい。
#371
○政府委員(岡崎久彦君) 防衛庁の調査関係といたしましては、今回の事件につきまして、これはもちろん確たることは申し上げられないんでございますけれども、まず一言、結論から申し上げまして、ソ連艦艇による可能性は大きいものというふうに考えております。
 その理由は、いろいろ材料はあるんでございますけれども、わが方が持っております材料は、P2Jが視認している材料、これは常に全部跡をついて回ったわけではございません、三日間にわたりまして何時間かずつ、いる位置を全部見ております。それと、その事故が発生した部分とを照らし合わせてみますと、見ている時期あるいは見ていない時期に、その時期に切った可能性は非常に大きいと、大きいというよりも、それは可能性があるということでございます。
 それから、VDSというものは、これはカラ級が曳航しているのは写真で撮っております。それ以外の艦艇の写真は撮っておりません。これは、撮った写真についてはわれわれも自信がございまして、これまた政府が正式に言ったのではございませんで、タスがこれはうそであると言っておりましたので、タスに反論するまでもないと思って反論はしてございません。通常VDSというのは、これはカラにつきましては見たわけでございませんので、見たと申しまするか検証したわけでございませんのでわかりませんけれども、アメリカ艦艇、日本艦艇の例から申しますと、通常二トンぐらいのソナーを約百メートルぐらいのワイヤーでつるしてそれで走っております。それで、はえなわの深さというものは、これは場合によるのでございますけれども、水面ぎりぎりの場合もございますし、それから六、七メートル深くなる場合もある。むしろ余りぴんと張りますと切れることもありますので、ゆとりがあって泳いでいる感じもいたしまして、これ自衛隊の護衛艦の経験者の経験によっても、これはブイとブイとの中間を非常にゆっくりしたスピードで通っていけば切れるものではない。しかも、そう何十本も切れるものではない、それからスクリューに巻きつけばこれはすぐわかるということでございます。
 あと、アメリカの方の報告ございますけれども、アメリカはこれは異常に注意して通っているということを言っております。
 ただ、われわれは飛行機の上から見ておりますので、実際に船がはえなわの上を渡ったかどうかということはわからないわけです。上からはわからないわけでございまして、証言でもはえなわの上を渡ったという証言は非常に少ないんでございますけれども、唯一の証言はこれは「赤旗」なんでございます。「赤旗」に、十六日の午後一時ごろにかけて南から北にかけて、なわの上を軍艦が来たと、船体番号は一〇四一、五六五、二四と。で、一〇四一と二四はアメリカの駆逐艦でございまして、五六五がこれはまさにカラでございます。これもし、この証言が正しいといたしますと、アメリカの船の場合はこれは切る可能性もあったし、切らない可能性もあった。それからソ連の場合は、これはVDSを引いていない場合は切っていない可能性がございますけれども、VDSを引いていればこれは必ず切っているというふうに考えられます。
#372
○秦豊君 確かに防衛庁がタスに直接反論する必要がない、その点よくわかる。それから技術的な説明もある部分わかった。そうすると堂ノ脇審議官の方は何を待っていらっしゃるんですか。どの程度まで何が判明したら外交交渉というルートに、チャンネルに乗っけるのか、そういうことをちょっと聞いておきましょう。
#373
○説明員(堂ノ脇光朗君) お答えいたします。
 事故現場におりました日本の関係漁船から関係省庁で事情をお聞きになりまして、それでより詳しい事実関係がはっきりしましてから、ソ連側の主張――事故を起こしたことがないという主張が正しくないと思います場合には、申し入れなり行う必要があるというふうに考えておるわけでございます。
#374
○秦豊君 やはりはえなわの事故、つまり加害者の可能性があるのは米艦、ソ連艦、自衛艦であると、こう三つ言われている。しかし、状況的に見ると自衛艦の可能性が大変少なくなりつつあって、そして残るのが米艦とソ連艦である。こういう点ははっきり決着をつけなければだめです。だから、こういう点ははっきり外交的に決着をつけなければならぬという要望で、いまのところデータがどうもそろってない印象ですから、防衛庁側としさいに打ち合わせの上、厳正な態度をとっていただきたい。
 それから、きょうあなたにいきなりおいで願ったので、なるべく早く解放をしてあげたいんだが、さっきのニュースによると、きのうも問題になったヘイグ氏と園田氏はたまたま別な場でああいう会い方を近くされるようだけれども、今後の対ソ外交日程、これは堂ノ脇審議官の範囲で、園田外相の閉会後の外交日程の中での対ソ外交日程、あるいは臨時国会を貫いてでもいいから、今後の対ソ外交日程は外務省としてどう策定しつつあるのか、参考のために。
#375
○説明員(堂ノ脇光朗君) 対ソ外交につきましては、日本政府、外務省の基本的な姿勢自体は従来からいささかも変わっておりませんで、具体的な日程といたしましては、当面予想されますのは、九月に外務大臣が国連総会に出席される際、恒例となっておりますソ連側のグロムイコ外務大臣との会談があり得るというふうに考えております。また、その他年末には日ソ間の二百海里漁業水域に関する漁業交渉も予定されております。このような実務的な交渉が予定されている以外、特にただいま御質問のございましたのにお答えになるかどうかわかりませんけれども、対ソ外交をどのように進めるという具体的な日程があるわけではございません。
#376
○秦豊君 やはりレーガン政権の対ソ外交方針が軍事戦略的にはますます強化と、強いアメリカの優位性を背景にと、経済的には穀物輸出の例の一方的――日本に対して通告しなかったという意味の一方的な、アメリカの国内農業の理由を理由とした一方的な措置ね。あれに象徴されるように、かなりアローアンスを持ってモスクワと向かい合おうとしている。そういう中での対ソ外交だから、万遺憾なきを期していただきたいという要望だけで、本当にきょうはお忙しいところを……。
 それから防衛庁、いまのはえなわの結末をつけますけれども、実弾射撃を伴わない演習は通告をする習慣がないということが今回の事故の遠因である。直接とか近因と言うつもりはないが、私は遠因の一つではあろうと、参事官、思うのですよ。今後は、やはり少なくとも実弾射撃を伴おうが伴うまいが、海域を使ってやる訓練については、いわんや国内産業じゃありませんか、同胞じゃありませんか、必ず通告をするという慣例とシステムをこの際確立をしてもらいたいし、内政上の処置としても防衛庁、水産庁、海上保安庁、関連がわっとあるでしょう、外務省。これを全部連絡協議会をつくって、それから年間の演習計画というのはわかるんでしょう、大体。大体突発もあるが、年ごとにそういう対応をとってもらいたいのでこれはぜひ要請をしたいと思いますが、どうでしょう。
#377
○国務大臣(大村襄治君) 今回の共同訓練に伴います漁船のはえなわ事故等の状況を点検してみまして、いま先生御指摘のようなことを今後の対策として考究しなければならないと考えておりまして、いまそれを進めているところでございます。
 担当の石崎参事官からその問題、御説明をさしていただきたいと思います。
#378
○政府委員(石崎昭君) おっしゃるとおり射撃を伴わない訓練については従来そういうことをしないでやってきておりました。その理由は、危険を伴わないということ、漁船を見かけたらこれを避けて訓練を行うということでずっとやってきましたので、こういうことなわけですが、御指摘のとおり、今回いろいろ漁民に要らざる不安感を与えたというような結果を生じたことにかんがみまして、射撃を伴わなくても射撃訓練と同じようなくらい関係方面に事前によく連絡をとって、必要な広報もし、それから不必要な不安を与えないようなことでやりたいと思いまして、いま関係官庁と協議しまして、そういう場合の新しいルールづくりといいますか、それをやっている最中でございます。早く結論を出して、その新しいルールにのっとってやりたいと考えております。
#379
○秦豊君 ならば防衛庁長官、あなたもいろいろお忙しいでしょうけれども、いま参事官の言われたことを防衛庁長官として責任を持って決着をつけ、そしてぜひ確立をして、そのことを同時にアメリカ国防当局に対しても、日本の慣例を尊重したまえと、これミニマムなエチケットだと、ルールだ、常識だということを徹底させていただけますか。
#380
○国務大臣(大村襄治君) ただいま御指摘の点は、私といたしましても、まず関係官庁と協議して新しいルールをしっかりつくることに全力を挙げて取り組みたいと思います。なおその上で、米側にもしかるべき方法で連絡して、その点が実行できるようにいたしたいと考えております。
#381
○秦豊君 わかりました。
 外務省松田参事官、これはいつだったのかな、きょうですかね、これは。きょうですね、「ジョージ・ワシントン」のウォール艦長らに対して、実質はこれは懲戒免職と解釈されるような措置がとられたと。しかもこれはアメリカの海軍省筋によると、軍法会議に対する本人の異議申し立てを含めた追加措置は認めないんだと。つまり裁判で言えば結審した、判決が下ったんだというふうな報道がありまして、原潜事故については一応海軍省内部では決着を法的にはしたと理解されているんだが、仮にもしそうであるとすれば――いままでは決着がついていないから、あの例の伊東前外相にアメリカで手渡された中間報告で終わっているんだけれども、最終報告はかなりおくれますよというふうなことを一方的に言っていましたね。しかし、仮に法的に全部終わったのなら、最終報告をおくらせる理由が消滅したことになるんだから、これは松田参事官、あなた方の外交努力によっていわゆるファイナルなリポート、日本に対する、これを責任を持って取ってもらいたい。それで国会に報告をしてもらいたい。こう思いますが、どうでしょう。
#382
○説明員(松田慶文君) 御説明申し上げます。
 秦委員御指摘の処分は、第七艦隊司令長官が行った処分でございます。処分の内容は、御指摘のとおり艦長ウォール大佐に対して艦長職を解いておりますが、その他若干の乗組員に対する処分も含めまして第七艦隊司令長官がただいま申し上げたような処分をいたしました。この処分の報告は太平洋軍司令長官に送付されました。今後は、太平洋軍司令長官がこれを検討し、この処分を容認するか、あるいは留保するか、さらには別途の処分を上級権限者として行うか、今後の問題でございます。そして、太平洋軍司令長官のプロセスを経た後は海軍作戦部長に上がりまして、同様な承認または追加処分という手段がとられます。したがって私どもは、ワシントンからの公電によりましてこのように承知しておりますので、これがファイナルなものであるとは理解しておりません。
#383
○秦豊君 そうすると、最終報告までにはかなりまだ時間を待たねばならぬということになるわけですか。
#384
○説明員(松田慶文君) お答え申し上げます。
 それがかなりの時間になりますかどうか、そのかなりがどの程度を意味しますか現状では私ども明確なめどを持ってお答えできませんが、時間的にはまだ相当かかる可能性は御指摘のとおりあろうかと思います。
#385
○秦豊君 だっておかしいよ。大体これ海軍の規則では、もう艦長としての資格剥奪ということは、あらゆる名誉を失ったということなんだ。軍人にとっては最大のこれは処分なんだ。だから、いまさらおめおめとネイビーコートに出ていって、私はなんて、一身上の弁明をするような余地はないんですよ。昔なら切腹なんだから、武士社会、封建社会ではこれはあり得ない。だからあなたが言うように、第七艦隊、今度はホノルルの太平洋艦隊、ずっと上がっていく、時間が相当かかりそうだ。そういうイメージになるけれども、軍の常識としてはそんなことあり得ない。かなり短いんじゃありませんか。だから私が質問している気持ちは、要するに、あなた方はもうきちきちとそう言うけれども、最終報告、このままであればもういまの国会終わってしまうし、閉会になってしまう。それで、そういうことをアメリカはじっと見ているんだから、このままフェードアウトになってはかなわないから明確に対応してもらいたいという意味で言っているんでね、そんなにあなたの言うほど時間がかかるとは思いませんがな。
#386
○説明員(松田慶文君) 私どもの立場からこれを見ておりますと、制度的にはこの処分のほかに上級機関が、このような一種の懲戒処分では不十分であって、軍法会議に付議すべしという官側の決定を行う可能性も排除されておりません。そのことも含めましてどのような進展が行われますか、ただいま日本政府として責任ある御答弁はできないという趣旨でいま申し上げておりますが、それは別にして、調査の早期完了、妥当な措置、十分な補償ということは、総理、外務大臣が一貫して御説明し、かつ米側に求めているところでございますので、このラインに沿っての努力は一層行う所存でございます。
#387
○秦豊君 きょうは私いきなり言ったものだからね、もちろん園田さんは外務委員会、北米局長もあっち。だから出席者に合わして質問していますから、きのうの連続はできないし。それで、このことをちょっと聞かしてください。
 日本政府は、RDFつまり緊急派遣展開部隊、アメリカの、このRDFが在日米軍基地を中継地として使用をするということは何らの妨げもないという答弁をたしかしていると思いますね。しておりますね、たしか。そうなりますと、レーガン政権というのは、いま対ソ戦略の再構築をこうずっとやっているわけですよ。それは一部のリポートによると、通常戦は長期化すると、なかなか核全面戦争でなくて通常戦が長期化するというシナリオを検討しているわけです。そうすると、特定の戦域に対して膨大な輸送、物資の補給、集積等が当然伴ってくるわけです。そういう場合の同盟国の協力ということが今後大変多発、頻発をするわけですね。これは軍事的な合理性だ、必然性だ。そういう場合に、たとえば政府がすでにRDFが在日米軍基地を中継地で使うのはちっとも構いませんよとまで踏み込んだ答弁をされているあなた方として、そのRDFへの補給とか、あるいは輸送活動への援助、協力、支援を正式に政府レベルで求められた場合には一体どんなふうな対応をするんですかね。
 それから同時に、このRDF用の物資の買い付けを日本国内で行うという場合には、これは外務省なり防衛施設庁なり、協力の義務を負わされるんだろうか。どうでしょうか。
#388
○説明員(松田慶文君) 実は申しわけございませんが、御質問の趣旨が十分理解できません。RDFというのは急速展開部隊、これを必要に応じてどのように運用いたしますかは、時々の態様、方法によって千差万別であろうかと思います。先生の御質問のRDFが、どのような態様のものに着眼して言っていらっしゃいますのか、たとえばジエゴガルシアに配備されております事前集積船だけを言っていらっしゃいますのかどうか、その点を御教示賜りたいと思います。
 それから第二の御質問の、在日米軍の物資調達につきましては、地位協定に明文規定がございまして、在日米軍は地位協定の定めるところに従い、これは十二条でございますが、物資等の調達を自由に行うことができます。その際に、両国政府間で合意があるときは日本政府がその調達を援助、支援することがございます。しかしそれ以外は来側が自由に契約し調達するたてまえとなっておりまして、自由経済のわが国においては米側は任意にその調達が可能でございますので、ただ、いま一点私どもがやっておりますのは、硫黄島における補給は、あそこでは物品調達ができませんので若干の手助けをしておりますが、日本本土等におきましてはいささかもいま手伝っている状況にはございませんし、今後ともそのような状況は推測されません。
#389
○秦豊君 ぼくの質問を注意深くあなた聞いていれば、そういう反問はないわけだ。つまり、いま何杯か配置されている事前集積艦船、特殊補給艦ね、これをイメージしているんじゃないの。ある戦域に対する膨大な補給支援活動について日本にサポートを求めた場合にどういう対応があり得るのかと聞いているんだから、いまジエゴガルシア島あたりの周辺で俳回している、巡航している集積船にはないわけ。私の言う意味はわかったでしょう。それなら答えられますか。
#390
○説明員(松田慶文君) まだ十分理解しておりませんが、在日米軍がわが国の国内におきまして施設、区域の使って物資を調達することそれ自身は、安保条約及び地位協定は……
#391
○秦豊君 買い付けのことを言ってない。ぼくの日本語はかなり明晰なはずだが、あれでもわかってもらえぬかな。
#392
○説明員(松田慶文君) 申しわけございませんが、十分理解できません。
#393
○秦豊君 RDFの事前集積艦ね、これはまだ何杯も動いてないわけだ、これはね。いいですか。それは理解できたかな、そこまで。私の言っているのは、ある有事を想定した――アメリカの国防総省は、たとえばヨーロッパとか、たとえば北東アジアから、アメリカ本土から、さまざまなルートで膨大な物資を集積するわけ。ところがキャパシティーがあって、輸送能力があって、アメリカのキャパシティーを超えるというふうな場合に同盟国の協力を当然求めるわけ。しかもそれは、まず出撃するのはRDFであり、あるいは沖繩の第三海兵師団であり、本土からの空挺兵力であり、空軍兵力であるという場合に、それに伴った展開をするわけ。そういうものについての協力を、膨大な補給行動への支援活動を求められた場合にどうするかということ。まだわからぬかな。
#394
○説明員(松田慶文君) 補給活動の支援を求められた場合にいかに対処するかという最後の部分が御質問の核心かと存じますが、補給活動への支援とおっしゃる内容がまたなかなか理解できません。これは調達の支援なのか、何かわが国が船を仕立ててどこかに持っていけということまで含めておっしゃるのか、これは防衛庁の専門家も多々おそろいなので少し内容を御明確にしていただきたいと思いますが、安保条約の枠組みの中であればもちろんその目的に合致した仕事をいたしますが、そうでなければできないという抽象論しかただいまのところはちょっとお答えいたしかねます。
#395
○秦豊君 あなたには大体そういう癖があるようだな。まあそれはいいですよ。船とは何か、補給とは何か、サポートとは何か、一々やっていたら時間がもったいない。
 ただ、ぼくがこういう質問をしたのは、きょうたまたまわりとゆったりしているし、それからぼくが出した質問主意書なんかもう実に大胆におたくは踏み出すんだ、外務省は。それでどんどんどんどん世論を引っ張っていっている。たとえばホルムズ海峡の合同艦隊への分担金などは何ら憲法上妨げがないとか、それは集団安全保障、集団自衛権のらち外だとか、どんどんどんどん進んでいるから、このRDFが在日米軍基地を中継地として中東に、インド洋に展開する場合には何ら妨げがないと言っているから、それに対する補給活動は一体どういう対応をするんだと聞いているんで、あなたと話をしているとだんだんだんだん自律神経がおかしくなるからね、あなたはもう結構です。それでもっとこの問題は別なときにやろう。それであなたでない人に答弁を求めよう。しかし、きょうはそれにしても突然どうも御苦労さまでした。
 それから防衛庁に伺いますけれども、ホノルル、もうすぐですよね。それで、これはあれですか、一部のこんな小さな報道はちょっと見たんだけれども、これは確認の意味でね。これは外務、防衛、両方行くわけですけれども、メンバーも決まっていますしね。ただぼくらが知りたいのは、日程ね、それから議題を特定しないというふうなことがちらっとどこかで聞こえてきたんだけれども、きのうでしたかな。ならば両方の専門家、ハイレベルが集まって何となく同卓会談をやりましょうというふうなのどかなものじゃありませんよ、今回は。ならばどの範囲を討議するのか、これちょっと初めに言ってください。
#396
○政府委員(塩田章君) このハワイにおきます事務レベル協議では、特定の議題を出して協議するという形ではないということは、私からどこかの委員会でお答えをしたところでございます。じゃ、どういう形で行われるかということでございますが、まあ議題を決めませんので、話題としては……
#397
○秦豊君 話題と言うんですか。
#398
○政府委員(塩田章君) いろんな議題といいますか話題といいますか、とにかく議題といいますと、あるテーマについて両者が協議して結論を出して合意に達するという形を前提にした意味での議題というものは出さないということでございます。そういうことでなくて、そのときの話題が出るという意味の議題は出ると思います。それで、どういうことかといいますと、わかりやすく申し上げますと、間違いなく出るのは、まず国際情勢についてアメリカの方からブリーフィングがあると思います。それをめぐりまして日米が意見を交換する。これはまず間違いなく例年行っております。それから、それ以外はやっぱりアメリカはアメリカ側の国防努力といいますか、そういったことについて説明をするでしょうし、日本はまた日本の防衛努力についての説明をするというようなことになって、意見の交換をしながら進めていくと、こういう形が例年のやり方でございます。今回もそのようなつもりでおります。
#399
○秦豊君 何だかぼくたちが予想していたのと違うような、あるいは何か覆い隠すためにそういうゆったりした答弁が行われているのかわかりませんが、大体事務レベルホノルル会談というのは、必ずこれ一年に行われて、その後のいろんな日米両防衛当局の、安全保障当局のレールになっているんでね、いままでは。だんだんそれで好ましからざる方向に行っているんだけれども、だから塩田防衛局長が言われたような、とにかくわあっと集まりましょうと、それでこう話題とまでぽっと言いたくなったほど峻烈なテーマが特定されてなくて、それで国際情勢のブリーフィングから入って日米双方がまず意見を言い合う、しかし結論を誘導するものじゃないと。そんなもので行われているとはついぞ知らなかったね。そんなものなのかね。
 そこで、じゃ具体的に聞きますが、こういう場合はアメリカのどこからどんな公式文書がおたくに来るんですか。その文書を見せてもらいたい。
#400
○政府委員(塩田章君) ルートは外務省でございますから、私の方に参りますのは外務省から参ります。その文書は、したがいまして外務省のあれでないと私の方からお出しするというわけにはまいりません。
#401
○秦豊君 それはどの辺まで表現された文書なんですか。ただ何月何日にどこどこにいらしていただきたい、それから日程、その程度の文書ですか。内容を言うのは差し支えないでしょう。
#402
○政府委員(塩田章君) まず日程と、それから日本側の出席者はだれか、向こう側はどういう人が出席するということを言ってまいります。それから今回の場合は十日、十一、十二と三日間でございますが、三日間のうちの最初の日にブリーフイングをやりますというようなことを連絡してくるわけでございます。
#403
○秦豊君 塩田さんね、あの鈴木・レーガン会談、日米共同声明、それで七項、八項、四項もあるが、ああいう日米同盟路線の直後に行われる日米実務ハイレベルの会議がそんな悠長にのどかに展開され終わるはずがないですよ、あなた。いいですか、やっぱりこれは国会なんだからある程度の資料がなきゃ困るんで、日米同盟は総論ですよ、共同声明というようなものは。それは常識ですわな。これは塩田さんも私も意見は変わらないと思う。ならば、それをペンタゴンと檜町でどう具体化するかの第一回の、しかも予定されているところでは最大の場がホノルル会談じゃありませんか。そんな調子で終わるはずもないし始まるはずもない。何の結論も期待しない、そんなばかな税金のむだ遣いをしますか、あなた、いま緊急のペンタゴンが、海軍省が。あたりまえじゃありませんか、太平洋軍司令官が。そういう答弁で一々を逃れようとするから、何のこともありません、ただ集まって、こう行って会って、時間があったら、まあゴルフとは言わないけれども、そんなものじゃありませんよ、あなた。だから、アメリカはいまはっきりあなた方から、大村・ワインバーガー会談の下敷きになる何かの感触とデッサンを今度のホノルル会談からぜひ摂取し、それを上に上げる。そしてこの俊敏なる大村防衛庁長官を待ち受けているわけだ。いいですか、そういう段階と手順になっているときに、あなた、ホノルル会談の答弁がそんなものじゃ、とても一野党議員は納得しませんよ。いいですか。違いますか、私の言っていること。やっぱり、一千海里防衛軍、三次元戦力の拡充強化、これはあなた、アメリカのまさにねらいですよ、あなた。それと向かい合う防衛局長その他外務省の審議官、何とか審議官、こういうふうな者がそういう調子じゃいけない、対応できないと思いますよ。違うかな。
#404
○政府委員(塩田章君) 私は、従前から毎年行っておりますハワイ会談の性格、いままでのやり方について申し上げたわけであります。それで、ことしも当然そういうことで行われるであろうということを申し上げましたが、先生のいまの御指摘のように、ことし唯一の違った点といいますか、ことしの違った点と言えば、共同声明の第八項の一番最後のところに、ハワイ会談に――その後の大村長官の訪米も含めてでございますが、ハワイ会談に期待するという言葉が入っております。これは、ことしのわれわれの事務レベル協議を行うに当たつての例年と違う点でございます。その点は私どももよく踏まえております。ただ、その場合に、いま先生がおっしゃったようなことをアメリカ側が言い出すかどうか、どういう内容を言い出すか、それはいまの時点では私どもにはわかりません。そのことは、内容はわかりませんが、そういう点で例年と趣が変わっておる点があるということは私どもも踏まえておるわけであります。
#405
○秦豊君 これはあなた、さりげなく言うけれども大きな差じゃありませんか。はい、大きな差ですと言ったらどこまでも食い下がられるから、いや、まあまあこの程度ですと平常体で言っておるけれども、大きな差ですよ。
 それじゃこう聞こうか。じゃ、外務にもデータがあるが、防衛当局は特にどういう資料を入念に用意しているんですか、いま、持っていこうとしているんですか。やっぱり海空戦力の充実、具体的には対潜哨戒機P3C、これの増枠、前倒し、これは焦点ですよ、ハワイの。それでなきゃ大村さんワシントンへ行けませんよ、これは。
 じゃ、もっと具体的に聞きましょうか。あなた方はP3Cを四十五と言うておる。四十五じゃなくてプラスアルファという路線がいま敷かれつつある。たとえば五十三年八とかいろいろありますわ、年次計画あった。ところが来年は、もうこれF15も入ってくるし、P3Cも入ってくる。発注年度になるわけでしょう。アメリカ側はそんなことは熟知していますよ。しかも共同声明後のホノルル会談に期待すると言えば何を期待しますか。ゼロ回答を期待しますか。冗談じゃない、そんなあなた交渉はありません。一種のこれ実質的な交渉なんですよ。懇談会にあなた方に行ってもらうんじゃないんですよ。そうでしょう、懇談会に行くんじゃない。ならば、向こうはあなた方がさりげなくしたって、ペンタゴンは相当な用意をしてあなた方を待つんですよ。膨大な資料を持ってきますよ、向こうは。それと対応するのはあなた方なんだ。だから、これは焦点は四十五機プラスアルファの、つまり対潜哨戒機の増枠プラス前倒し、これは必ず執拗に迫られますよ、あなた。違いますか。
#406
○政府委員(塩田章君) 先ほど申し上げましたように、迫られるかどうかはわかりません。P3Cの話が出るかF15の話が出るかもわかりませんが、それは逆に言えば出るかもしれません、もちろん。私どもは、いずれにしましてもいま防衛庁はどういうことを中心に準備しておるのかということも途中にございましたけれども、私どもいまの時点で、四月二十八日の国防会議での御決定をいただいていま作業をしておる、あるいは五十七年度の予算につきましてはいまシーリングの折衝をしておりますけれども、そういった時期でございます。そういった時期に私どもが言えることはおのずから限られております。ただそれは、私どもは言える範囲のことはもちろん言うつもりでございますけれども、先方がどういうことを言ったからそれに対して一々約束するとかしないとかそういう態度ではなくて、私どものいまの時点で言えることは言います、こういう考えで臨むつもりでございます。
#407
○秦豊君 なるほど。じゃ、どの程度まで言うつもりですか、言えるんですか。
#408
○政府委員(塩田章君) 日本側の現在の防衛努力はどうだということになりますと、一つは、やはり四月二十八日の国防会議の決定の意味はどういう意味だというようなことは当然話題になるだろうと思います。それにつきましては、その内容や説明して、こういう意味の国防会議の決定をいただいたんだということを言うことになろうと思います。
 シーリングなり五七予算につきましては、まだシーリングを受けておりませんし、それから八月の概算要求の時期でもございませんので、おのずから言えることはほとんどないという、シーリングがその前に決まればまた別ですけれども、その辺はそのときの事態を踏まえて言える範囲で見解を述べますし、それ以上のことは言えないという立場でいくよりしようがないというふうに考えておるわけでございます。
#409
○秦豊君 じゃ、塩田防衛局長の所掌の範囲で、たとえば対潜機四十五機、これはもうアメリカの下級幹部知っていますよ、海軍省でも国防総省でも。そんなことはちっとも聞きたくない、あたりまえだから。問題は、たとえば護衛艦とかあるいはその他の海上艦、潜水艦とか、これは発注から取得まで相当時間がかかる、そうでしょう。やはり非常に素早い対応のかっこうの対象は対潜哨戒機なんだ、これは。しぼればそれしかないんだ。優先順位二番目がF15なんだ、これは。あとはもうその他のレーダーとか何とか、補給とかはやっぱり別になってくるから、どうしてもそれが焦点になるんですよ、塩田さん。そうすると、アメリカが本当に聞きたいのは、日本側は四十五機という枠を鋼鉄のように守り抜くのか、そうでなくてやはり幅を持った対応が近い将来可能なのかということを最も聞きたいわけだ。つまり、ぼくの言う増枠というのはそういう意味なんだ。そういうことについては当然爼上に上りますよ、塩田さん。ならば、当然それに関連していつまでにそれを達成していただけるんですか、アメリカにはアメリカの、千海里、シーレーン防衛は日本にという根強い要求があるわけだから、そういう点を含めて増枠と前倒し、つまり達成期間、この二つはおのずから向こうがほほえんでいようがどうしようが、表情に関係なく基本的な要求であなた方に突き刺さってくるんで、相当な用意をしていかなければあなた方は行けないんじゃないですかということを含めて聞いているんだが、それは当然焦点でしょう。
#410
○政府委員(塩田章君) もしお尋ねのようなP3Cの四十五機以上どうするんだとかいうような話が出れば、それは米側の意向として聞いてくることは、それは当然聞いてくるわけですし、逆にこちらから、それはいまの五六中業のまだ作業に入ったばかりの段階で将来のことをどうだというふうなことはとても言えませんので、その辺は私どもは、いまの先ほど申し上げましたように、四月二十八日の国防会議の決定を踏まえた応答をしてくるということでございます。
#411
○秦豊君 防衛庁長官ね、あなたはホノルルへ出席するメンバーにどこまでの権限を委譲し、どこまでの許容を与えていますか。
#412
○国務大臣(大村襄治君) まだそこまでいっておりませんので……
#413
○秦豊君 まだってあなた十日ですよ、きょうは六月二日ですよ。冗談じゃないですよ、あなた。そんなとんでもない。
#414
○国務大臣(大村襄治君) その点の検討を進めているところでございますので、せっかくのお尋ねでございますが、また……
#415
○秦豊君 来年の六月の話しているんじゃないですよ。もうあなた一週間、いや五日で出発じゃないですか、冗談でしょう。
#416
○国務大臣(大村襄治君) 総理の御意向を伺う必要もございますし、また外務大臣も関係を持っておりますので、(「総理はきょう原次官と会っているよ。さっきニュースでやっていたよ。」と呼ぶ者あり)今後その点をしっかり詰めていきたいというアイ・エヌ・ジーの段階でございます。
#417
○秦豊君 そのアイ・エヌ・ジーなんていう段階じゃなくて、さっき野田委員が言ったけれども、あれは報道されている、原さんが鈴木さんに会ってと。それで官邸サイドからは檜町にくぎは刺されていますよ、見えないくぎが、大きいやつが。聞くだけで帰ってこい、約束をしてはいかぬ、専守防衛と、こう言っているんだ。だけれども、防衛庁内部の作業というのは、きょう、原氏が書類かばんに何を持っていったか、もう決まった案を持って、総理、こういう線で発言をしてまいります、よろしいでしょうかと。総理が原次官を呼んでレクチュアしたんじゃない。逆なんだ、報告に行ったんだ。許可を求めに行ったんだ。位置関係は逆なんだ。だから、原次官が行くということは防衛庁に案ができているということなんだ。長官、そうじゃありませんか。だから、ここは内閣委員会なんだから、主管委員会なんだ、安全保障問題の。いいですか、そこで答弁するときに、そんな子供だましみたいな答弁したらだめです。重ねてひとつ、長官。
#418
○国務大臣(大村襄治君) 重要な問題でございますので慎重に取り進めておりまして、決して決まったものを用意しているという状況ではございません。
#419
○秦豊君 これは恐らく、まだ時間はたっぷりあるからいいけれども、十三日に終わる、そして大村さんが行く。そしてこれは恐らく委員長、皆さん、閉会中審査の重要なこれ議題になりますよ。ホノルルで何が話し合われたか、何にも話し合われませんでした、懇談を終えて帰ってまいりました、友好のうちに。こんなんじゃ済まないようにだんだんなるから。いいですか、閉会中審査の大きなこれはテーマになる。きょうはこれ以上聞いても何のあれも返ってこないだろうから、恐らくそうだと思うけれども。
 まだ委員長いいですね。――それで大村長官の訪米ですが、これは総理から、何か日米会談がらみの特別な資料、つまり防衛庁長官には特別に日米会談がらみの会議録のようなものは見せておきたいということを非公式に述べていらっしゃるんです、総理がね。それはもう拝見されましたか。
#420
○国務大臣(大村襄治君) 総理がお帰りになりましてから、よく関係資料を勉強するようにという御指示がございましたので、私も入手できるものは見て勉強をいたしております。
#421
○秦豊君 それでどうですか、その中でやはり一番重点は海空戦力の充実、アメリカ国防総省の意向、そういうものの含まった資料をあなたは披見されたんでしょう。
#422
○国務大臣(大村襄治君) 余り具体的なものはなかったですね。むしろその考え方が記されたものが多かったように記憶しております。
#423
○秦豊君 どういう考え方なんですか。
#424
○国務大臣(大村襄治君) たとえば共同声明におきましては、防衛問題につきまして憲法、国防の諸原則にのっとりながらわが国の領域と周辺海空域の防衛力の一層の充実を図っていきたいと、総理の発言がございますので、そういった場合の憲法諸原則につきまして総理がかなり詳しくお述べになっているので、その点が非常に目につくわけでございます。
#425
○秦豊君 長官、あれですか、日米会談の議事録的なものをごらんになったんじゃなくて、総理の、日本の総理の見解、今後の日米会談に臨むに当たってというふうなそういうものが述べられていたという意味ですか、ちょっとどういうことなんですか。
#426
○国務大臣(大村襄治君) もちろん鈴木総理の発言されたことも記されております。
#427
○秦豊君 日米会談ででしょう。
#428
○国務大臣(大村襄治君) はい。それから向こうの大統領ですね、国防長官の発言されたものがございますので、それを勉強しているということでございます。
#429
○秦豊君 じゃ、ホノルル会談を控えてきょう原次官は終わった。あと防衛庁内部はまだ詰めが残っているんですか。それから、大村さんが出発されるまでには総理官邸サイドとは、外務も含めて、どういう打ち合わせを終えて出発されるのですか。
#430
○政府委員(塩田章君) 原次官は、確かに総理のところに伺いまして、総理の基本的な御意向等は伺ってこられたはずです。私はまだ原次官にその後会っておりませんが、そういういきさつはありました。それを受けまして、いま先ほど大村長官もお答えになりましたが、防衛庁内での最終的な考え方を、態度を急いで決めなくちゃいけません。それをやりまして、もちろん外務省とも連絡をとって、もう一度時期を見てその結果を総理にも御報告をして出発する、こういうことになろうと思います。
#431
○秦豊君 それじゃ、防衛庁をまず終える、それから外務とやる、それが終わるのはいつです。日にちもないから。
#432
○政府委員(塩田章君) いま具体的に何日に何するということじゃございません。もうあとわずかしかございませんので、その間にそれだけのことをやって出発をするということでございます。
#433
○秦豊君 皆さんの作業の進め方というのは、意外な面もわりとありますね。厳しくカレンダーと向き合っているのかと思ったら、わりと行き当たりばったりのところもあるんですね。非常に不思議だと思うんです。
 とにかく大村長官、今度の訪米、ワインバーガー会談というのは、恐らくあなたが防衛庁長官としてこられたこれまでの中では一番重い旅になりますよ、重い会談になりますよ、これは。決して私は容易ではないということ、そしてやはりアメリカの軍部というのは非常にクールだから、さまざまな手法を心得、しかもかなり長いロングレンジで物を見て、やはり同盟国の防衛庁長官来たるということは大変な場なんですから、向こうはホノルルを終えて最大限度にあなたを接遇し、同時にあなたとホノルルで決まった方向を確定しようと。しかもそこで決まった方向というのは、恐らくこの両三年の日米防衛協力、共同作戦、シーレーン防衛あるいは三次元戦力の拡充強化というまさに大きな方向が今度決まるんだから、あなたは相当腹を据えて行ってきてくださいよ、それこそ。どういう決意を持っていらっしゃるか。
#434
○国務大臣(大村襄治君) 大変ありがたい御注意を賜りまして、決して容易でない会談であるということは御指摘のとおりでございます。そういった点に深く思いをいたしまして、わが国の防衛のために国益を踏まえ、また憲法その他の諸原則を踏まえながら、わが国の防衛のために、そしてまた日米安保体制の今後のしっかりした運営が図れるように万全を期して臨みたいと考えておるわけでございます。
#435
○秦豊君 やっぱり長官、日米会談を終わった、帰ってみえた、伊東外相辞任と同盟の解釈のあつれき、こういうことが起こって直後、しかもその同盟の路線を軍事的に確定しようという会談ですからね、ほぞを固めて行ってきていただきたいことを重ねてあなたに申し上げて、帰ってみえた、国内的な大きな対立の焦点になったと、必ずなりそうだからあえて申し上げておくんだが、やがてやっぱり内閣委員会でお目にかかりたいと思いますがね。そういう意味で行ってきていただきたいと思います。
 それで、あとまだ具体的なことを、ちょっとこれは今後のために伺っておきたいのですが、正面装備の後年度負担ですね、五十七年度は一体これはどれぐらいになっていますか。いまシーリングのやさきだから、もう最中だからデータあるでしょう。内訳どうなっていますか、わかりますか。これが防衛庁が要求している概算要求の枠に全部絡まってきますので、そのことを聞いておきたいのです、あとの質問にこれはかかわりますから。わかりますか、局長。
#436
○政府委員(塩田章君) いまその資料を持っておりませんので、数字的にはちょっとわかりかねます。
#437
○秦豊君 それではこれは後でちょっと知らしてください。これをずっと積算していくとあなた方のシーリングが、今年度比のパーセンテージが計算できますから、これはぜひ知らしてください。
 それから確認。五六中業を達成するためには、海上ですよ、新たに護衛艦が十隻、潜水艦二隻、戦闘機など航空機百十機でしたかな、ちょっとそれ。
 もう一つ、それは新規取得であって、いわゆる更新はそれに含まれていないでしょう。更新をプラスした規模を言ってください、数量。
#438
○政府委員(塩田章君) 大体そのとおりですけれども、護衛艦につきましては、十隻じゃなくて約十隻でございます。それから、航空機につきましては、航空自衛隊は百十機、そのとおりでございますが、海上自衛隊の航空機は約四十機と思います。
 それで、御指摘のように、これは更新分を含んでおりません。更新分はこれからの、いまの数字を達成するまでの間の更新分を更新しなくては大綱の水準に達しないわけですが、含んだ数字が結局幾らかということであれば、含んだ数字は結局大綱の水準で書いてある数字と、こういうことになるわけであります。いまの不足分とその間の落ちる分の更新分とを足したものが大綱の水準に達する数字だと、こういうことでございます。
#439
○秦豊君 そうしますと、この四月七日の、これは、衆議院の方の内閣委員会で澤田防衛課長がどなたかの質問に対してこう答えているんですよ、いまの戦力増強に関連して。シーレーンのお尋ねですが、グアム以西、フィリピン以北の海上を自主防衛するためならば、対潜能力で言えば大綱の水準より二〇ないし三〇%の増強はぜひ必要と考えますと答弁しているんですよね。こういう数字を、数量、二〇%とか三〇%と言われるとなかなか第三者がわかりにくい。まず、この答弁について局長はどう判断されていますか。同じですか。それから、二〇ないし三〇の対潜能力、水上艦艇、航空機等を増強するというのは、数量化すると、数字で表現すると具体的に何をどれぐらいふやせばこの課長の言っているレベルになるんですか。
#440
○政府委員(塩田章君) その答弁は私が理解しているのとはちょっと違いまして、ここにございますが、鈴切先生でございますが、先生の方から例の一千海里かグアム以西かという話で、グアム以西まで行けば二、三割広くなるんじゃないかというようなお話がございまして、澤田課長の答えは、そういうふうに海域の一千海里というものと、グアムまで行けば千二、三百になりますから、そういう意味で比較すればそれは二、三割ふえるという意味のことは言ったようでございますけれども、防衛力の整備目標として澤田課長がそういう意味で何十%伸ばすとか、伸びる必要があるとか、そういう意味の答えではないはずでございます。
#441
○秦豊君 これは後でもし時間があったらシーレーンの防衛と防衛期待度、竹田五郎論文に絡めて実はやりたかったんですがね。いまでもやりたいんですよ。
 それで、その前に和田局長にちょっと、これも確認ですが、日米の装備技術関係の提携あるいは協議、かなり緊密になっていますね。それで、今度はいつ第何回の会談がどこで行われて、どういう議題が予定されていますか。これがまず一つです。
#442
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。
 日米装備技術定期協議でございますが、これは第一回、昨年の九月にございまして、それから第二回目が十二月にございまして、今度やれば第三回となるわけでございます。
 昨年の十二月に行われましたときに合意されましたことは、装備技術関係につきまして防空、エアディフェンスにつきまして装備技術面でひとつケーススタディー的にお互いの間の装備技術の協力関係を調べてみようということでやったわけでございますが、それは、十二月の会議は一日でございまして全部尽くしませんでしたので、引き続き次回もそれをやろうということになっております。
 それから日取りの点は、そのころには夏前にもというようなことをアメリカは言っておりましたけれども、その後アメリカは政権がかわりまして、装備技術担当の次官ペリー博士もおかわりになりまして、後でデ・ラウアという方が来ておりますが、それからまたその下の次官補、私どもはカウンターパートと言いますが、相手方になる方でございますが、こういったような方もおかわりになったりしまして、いまのところは次回いつやるかということは決まっておらない。いまは目下調整中という段階でございます。
#443
○秦豊君 あれですか、これはやっぱりバーゲニングですからね、この分野も。これは、たとえばアメリカの最新鋭の技術のレディースを一方的に日本にたれ流すわけじゃなくて、反対給付を期待するでしょう、常識として。ところが常識的に考えて、日本がアメリカにレディースというか提供するようなノーハウ等を含めて、たとえば八八式戦車の水冷千五百馬力なんていうのはわりと興味があるみたいだけれども、あなたの担当範囲で、装備局長として、日本がアメリカにこたえ得る分野というのはあるんですか。
#444
○政府委員(和田裕君) 第一回、第二回目で合意されたことでございますが、合意と言っても別に紙に書いたもので合意されたというようなことじゃなくて、口頭でいわば了解されたことでございますが、資料交換に関します取り決めというのが昭和三十七年十一月十五日に締結されておりますが、この資料交換に関します取り決めに基づきまして、日米相互の間でこれまでも装備技術関係のデータその他の情報の交換をやっておりましたけれども、これを今後ともより活発にしていこうと、こういうようなことでございます。
 日本からどういうものがあるかという御質問でございますが、これは、実は資料交換の取り決めというのは秘密になっておりまして、これにつきましては細かな内容を申し上げることはできませんけれども、大体お察しだと思いますので、おおよそのことを申し上げますと、アメリカ側としては、日本のエレクトロニクスとか、たとえば一つの例でございますが、そういった関係についての情報が欲しいというようなことを言ってまいりまして、そういった面は日米の装備技術関係の資料交換の内容の一つになっております。
 それから、これは資料だけでございませんで人の交流も入っておりまして、現にこれはアメリカからも人を受け入れておりますし、また日本からもアメリカの三軍省ですね、それぞれの研究所に人を出すということをやっておりますけれども、そういった面におきましても今後ますます緊密にやっていきたいというふうに思います。
#445
○秦豊君 両方とも次期戦車を考えているのだけれども、砂漠戦も考えているしね、アメリカは。だから、ぼくが当てずっぽうに言ったわけではないのだけれども、八八式戦車のエンジンなんというのはかなり向こうは関心を持ちたがる、持っている分野でしょう。それから、エレクトロニクスだって、ちょっとぴんとこないのだけれども、特定できませんか。それも秘密事項ですか。
#446
○政府委員(和田裕君) いま戦車のお話が出ましたのですが、実は戦車につきましては、この前九月に、最初第一回私がアメリカに行きましたときに、アメリカのその当時、まだXM1と言っておりましたが、いまのM1戦車につきまして、いろいろ向こうからお話も承りましたし、それからまた実際現物も見せていただくということで、いろいろなお話をしたわけでございますが、そのときに特にアメリカ側から、日本で開発中の八八について特に際立った御質問はなかったというのが実態でございます。八八につきましては、ガスタービンという非常に新しい方式でやっておりまして、当初はいろいろごみが入るとか、そういうことで苦労したようでございますが、いまのところは非常に満足しているというようなことでございまして、特にその関係で質問があるというようなことはございませんでした。
#447
○秦豊君 それから、あと二つだけあなたに聞きましょう。それで次にいきたいと思いますが、アメリカの国防総省は、こういうことを考えていますか。アメリカの最新の通常兵器類を日本が希望をすれば、どの兵器でもほとんど日本国内でのライセンス生産を許すと、配慮するというふうな意向を考えておりますか。あるいはそれについて装備局長、日米間の合意があったのかなかったのか、それを聞かしてください。――わかりましたか。
#448
○政府委員(和田裕君) いや、ちょっと……。
#449
○秦豊君 わかりませんか。さっきの外務省の参事官とは違って善意のあれだと思いますから、繰り返しますから。アメリカ国防総省はアメリカの最新の通常兵器類を、日本がもし希望するならば、ほとんどの種類にわたって日本国内でのライセンス生産を認めてもよろしいというふうなことを配慮しているんですか。あるいはもっと事態が進んでいて、ぼくら第三者が知らぬ間に日米間のそれについての合意がすでに形成されているんですかということです。
#450
○政府委員(和田裕君) 実はアメリカと日本との間で通常兵器一般につきまして、これ、いわばどう言いますか一般的な技術開示についての合意とか、あるいはこちらからのお願いとかいうことはしておりませんで、むしろ話の中に個別論の一環として出ることはございますけれども、われわれ主としてやっておりますのは、具体的にたとえばアメリカからいま技術を導入しておりますF15とか、P3Cとか、あるいはAIM9L、サイドワインダーでございますが、空対空の赤外線ホーミングのミサイルでございますが、こういったものにつきましての技術の開示につきましてなるべく多くやってほしい、こういうお話はしております。それに対しましてアメリカの言い方は、片やアメリカといえどもやはり一番最新の技術については秘密にわたるもので開示できないものもあるということ、それから国内のメーカーの最低限度の生産能力の維持というのはやはり防衛上の観点から必要であるということ、それから物によっては、これはいわば特殊な限られた分野でございますが、アメリカの雇用を確保するという必要上、それについてはアメリカの方で生産することにしたいと、外国には、日本ということじゃございませんで、NATOを含めまして外国に対しては生産させないというようなことを言う場合はございます。それに対しまして、われわれはなるべく日本に対して生産させるようにということで、それはかなり、何といいますか繰り返しかつ粘り強く交渉しておりまして、これまでのところは、結果におきましてアメリカ側が日本側に、かなり日本側の主張を入れてくれまして国産化を認めてきていただいておるというふうに評価しております。
#451
○秦豊君 いいですよ。長官もよく聞いてくださいね。つまり、NATOにも認めていないような特恵的な措置を日本にはなぜか配慮しようとする形跡があるんです、国防総省筋にはね。なぜかというと、日本の兵器国産化、これに水を差して、ライセンス生産どんどんさせてあげますよというと、うっかり飛びつくと、いよいよ正面装備を含めて対米依存が強まってくるという路線が当然結びついてくるわけであって、アメリカはそういう気をどんどんどんどん出してきますよ。そういうこともあなたの所掌の範囲だから、ワシントンで恐らく出ますよ。含んで行ってきていただきたい。
 それから、これ一体何時かな。どうしますかね。これから竹田五郎論文のシーレーン問題でまさに佳境に入るわけなんだが、一つ二つだけ聞くと大体八時半になるんで、八時半を一応の常識的な大枠にしましょう。そうしましょう。
 そうしますと、(「あなたは質問のときだけ出てくるんだから」と呼ぶ者あり)黙って聞いてらっしゃい、あなたは。何言ってるんだ。(「聞いてあげているじゃない」と呼ぶ者あり)黙って聞いてらっしゃい、本当に。何ですか、失礼な。人がまじめな質問をしているときに、何ですか。黙って聞いてらっしゃい。(「そんなことを言う権利はないわよ」と呼ぶ者あり)失礼な。何言ってます、あなたは。
 では、質問を続けましょう。質問を続けますが、竹田五郎論文というのがありましたね。これはどういう処理をされていました。あれは提言というふうな受けとめ方になっていますか。それとも、部内ではもう廃棄をされた文書というふうになっていますか。どうなっています。
#452
○政府委員(塩田章君) 先生のおっしゃいます竹田提言なるものは、ちょうどあのころ、たしかことしの一月の終わりか二月の初めごろだったと思いますが、竹田さんが雑誌に寄稿といいますか対談をした記事が出まして、大変当時いろいろにぎわしたことがございますが、そういうことがございました前後といいますかその前だと思うんですけれども、竹田さんが自分で書かれたものを何人かの人に配っておられたようでございます。それをたまたまそういう事件がございましたので竹田さんの方で急いて回収をされて、それで現在はございません。そういういきさつでございまして、まだ本人のそういった段階にとどまっておりまして、私ども提言とか、ましてや防衛庁がこれを認めたとか、そういった性質のものではないというふうに思っております。
#453
○秦豊君 これは私は委員長の許可がある間は発言もしますし、理事懇で合意されている百二十分のうちの百二十分のXという合意で、ほぼ九十分という皆さんの御指示のもとに発言をしていますからね、それでよろしいわけですね。――それにはまだ十分少々ありますから私は質問を続けているのでありますので、よろしく。
 そこで、竹田論文というのは、提言というのはいろいろありましてね、四十二ページもあるから。ただ、読んでみるとなかなか示唆に富んだものもあるし、やはりこの程度かなというものも正直言ってありますわな。だけれども、あの中で私が非常に考えましたのは、国としてはやはり長期の統合戦略を練る必要があると。やっぱり防衛期待度、国が自衛力に、防衛力に何を期待するのか、有事の際にはどの程度の損害を――たとえばシーレーンでもですよ、想定し、何をミニマムに守らねばならないかについての防衛期待度は確定しなければならないのではないかというところだけは正論だなと思ったんですよね。塩田局長、あれをお読みになって、いまのところについてどうですか。
#454
○政府委員(塩田章君) 大変恐縮ですが、私は読んでないんです。いつかも先生から、防衛局長読まないはずないだろうと言われたことがありますけれども、事実読んでおりません。ただ、新聞の記事は読んだことございます。
#455
○秦豊君 これは岡崎さんの範囲でしょうかね。この竹田氏は、こう言っているんですよ。シーレーンの防衛に関しましては、巨大なわらの山から針を捜すほどむずかしくはない。対潜機も整備し、またアメリカ海軍もソ連の太平洋艦隊のうちの五十数隻の原子力潜水艦に対しても海峡封鎖その他を併用すれば三カ月間で制圧ができる。かつて言われていたようにむずかしくはありませんというふうなことを述べている個所があるんですよ。それについてはどうなんです。
#456
○政府委員(塩田章君) このわらの中の針ということも比喩でございましょうし、それから先ほどの防衛期待度にも関係しまして、シーレーンでどこまで守れるかというのを実際上一〇〇%を期待するということはあり得ないと思いますが、そういうことをいろいろ考えましてその上でおっしゃっていることと思いますが、たとえばいまお話しの、潜水艦を探すというようなことにつきましても、そういう意味で一〇〇%とかいうことじゃなくて、実際にいまの技術からいきまして、かなり捜索のための能力は高まってきておるということは竹田論文のとおりだと思います。
#457
○秦豊君 それから、これは岡崎さんの分野でし
 ようか、これこそね。
 たとえば、ソビエト海軍のソコロフスキー元帥などの論文を読んでみると、ソ連海軍の任務の優先度というのをずっと並べておるでしょう。そうすると、まず最重要は対空母戦闘である。それから敵艦隊の撃滅並びに海軍用及び一般海上交通路の遮断、あとは沿岸目標に対する核ミサイル攻撃を特に重視すると付言し、最後に陸上兵力の支援というふうなカテゴリーがちょっと並べてありましてね。だから、ソ連海軍がターゲットにしている優先順位が大体これに尽くされているのかどうかはわからないが、ややわかるというふうに理解されていますが、ソ連のそうすると太平洋艦隊の主任務の一つにシーレーンの制圧、撃破、これは当然含まれると考えねばなりませんか。
#458
○政府委員(岡崎久彦君) いま御引用になったのは、たしかソコロフスキーでございますね。ゴルシコフ……
#459
○秦豊君 ええ、ゴルシコフ。ソコロフスキーという引用だったものだからね。
#460
○政府委員(岡崎久彦君) ああ、そうでございますか。海軍戦略についてはゴルシコフ元帥を引用しておりますけれども、いまの御指摘のとおりだと存じます。入っております。
#461
○秦豊君 そこで、まあこれはやっていると切りがないから、八時半にはとてもおさまらないから、あえてはばかるんだけれども、いままでシーレーン論議というのは、私も五十年以来ずっとやってきて、いま五十六年だけれども、わりとじっくり論議する場がないから、シーレーンの防衛については国会における論議としてはなかなか深まっていない。やっぱりこれは北方脅威論なんかと同じで、なかなかリアリティーに乏しい面がある。やや幻想的なところがある。しかも、現実の課題であるという接点に立って、大変私はデリケートな問題だと思う。これは、やっぱり時間をもっととって、安全保障特別委員会とかあるいは当該この委員会なんかで一般的な問題を論議していいときに、もっと防衛庁側と、あなた方にもデータを出してもらいたいし、私も持っているデータを、予算委員会でも部分的にやりましたね、あれをもっと突き詰めてやりたいと思います、きょうはとてもおさまりませんからやめますが。
 それで、その一つとしまして、竹田提言のところで一つだけちょっと触れておきたいんだけれども、これを私見逃がせないなと思ったのは、竹田提言の四十二ページの全体からうかがえますのは、かつてあれほど防衛庁サイドあるいはユニホームから喧伝された北方脅威論、これが非常に簡単に切って捨てられておる。どういう表現になっているかというと、いろいろデータを並べておるんだ。塩田局長はお読みになっていないそうだけれども、いろいろ並んでおるんですよ。並んでおって結論のところだけ言うと、したがって、極東ソ連軍による奇襲侵攻の可能性は小さいと推論できるとなっている。これがあの人のこの問題についての結論なんですよ。そうすると、あれほど喧伝されたものを、ある時期統幕議長をやった、最高の職位を担った、素人でなくて専門家ですよね。専門家がこういうことを言い残してやめていったわけなんだから、ライシャワーじゃないが、個人だとか知識人だとか年とっているとかいう種類の問題じゃなくて、まだ元気にがんばっている竹田五郎前統幕議長の非公式な提言としても私は軽視できないと。だから、これはもちろん安全保障特別委員会などで彼を呼んで聞くに値する論説だと思うんです。ただ、この個所についてだけ塩田局長の御意見を伺って終わりたいと思いますが、どうでしょう。
#462
○政府委員(塩田章君) 政府としまして、ある国から奇襲の攻撃の可能性があるとか、そういうふうなことを、あるいはその奇襲の可能性が大きいとか小さいとか、そういうふうなことをこういう席で申し上げることは、私はやっぱり慎むべきことだと思います。
 ですから、防衛局長としてお答えははばからしていただきますが、竹田さんがおっしゃっていることは、恐らく一般論としまして、要するに、日本は海に囲まれている国ですが、海を越えてその向こうへ上陸作戦を行うということは大変なことだという一般論は、恐らく竹田さんの信念としてお持ちになっておってお述べになったんではないかと、私はそのように思います。
#463
○秦豊君 委員長、終わります。
#464
○政府委員(塩田章君) 委員長。ちょっといまの、数字を申し上げます、さっきの。
#465
○秦豊君 それわかりましたか。ちょっと委員長、いいですか、さっきの補充があるようですから、まだ八時半になっていませんから。
#466
○政府委員(岡崎久彦君) 先ほど「赤旗」を引用しましたときに日付を申しませんでしたので、追加さしていただきます。
 本年五月十八日付の「赤旗」でございます。
#467
○秦豊君 ああそうですか。
#468
○政府委員(塩田章君) 先ほど五十七年度の後年度負担というお尋ねでございましたが、恐らく御質問は、五十七年度の歳出化予定額ではないかと思いまして申し上げますが、五十七年度歳出化予定額は、正面で四千六百二十三億円、後方で二千四百二十九億円、合計で七千五十二億円。で、対前年度増で申し上げますと、正面で五百十五億円、後方で二百九十二億円、合計で八百六億円の対前年度増加額でございます。
#469
○秦豊君 はい、どうも。
#470
○委員長(林ゆう君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後八時二十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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