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1980/06/04 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 内閣委員会 第13号
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1980/06/04 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 内閣委員会 第13号

#1
第094回国会 内閣委員会 第13号
昭和五十六年六月四日(木曜日)
   午前十一時十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月三日
    辞任         補欠選任
     関口 恵造君     山内 一郎君
 六月四日
    辞任         補欠選任
     山内 一郎君     関口 恵造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  ゆう君
    理 事
                藏内 修治君
                竹内  潔君
                矢田部 理君
                柄谷 道一君
    委 員
                板垣  正君
                岡田  広君
                源田  実君
                関口 恵造君
                中西 一郎君
                林  寛子君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                片岡 勝治君
                野田  哲君
                山崎  昇君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                安武 洋子君
                秦   豊君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       中山 太郎君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
   政府委員
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       任用局長     斧 誠之助君
       人事院事務総局
       給与局長     長橋  進君
       人事院事務総局
       職員局長     金井 八郎君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   和田 善一君
       総理府人事局長  山地  進君
       防衛庁参事官   石崎  昭君
       防衛庁長官官房
       長        夏目 晴雄君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛施設庁長官  渡邊 伊助君
       防衛施設庁施設
       部長       伊藤 参午君
       労働大臣官房審
       議官       小粥 義朗君
       自治省行政局長  砂子田 隆君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       外務省北米局外
       務参事官     松田 慶文君
       大蔵省主計局共
       済課長      野尻 栄典君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国家公務員法の一部を改正する法律案(第九十
 三回国会内閣提出、第九十四回国会衆議院送
 付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案(第九十三回
 国会内閣提出、第九十四回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 国家公務員法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○山崎昇君 一年目、二時間程度という理事のお話があって、それで残余は持ち越せという話もありまして、最初いろいろ組み立ててお聞きをしたいと思っておったんですが、はしょりましたために少し問題点があっちへ行ったりこっちへ行ったりしまして、大変政府側にも御迷惑かけたんじゃないかと思いますが、きょう、それらを少し補足をしながら、私どもの見解もまた述べていきたいというふうに思っております。
 きょうは、かなり時間いただけるようでありますから、少し細かな点まで質問をしたいと思っているんですが、まず第一に、実は午前中行政管理庁の長官おいで願っておりませんので、いずれ行管長官にお尋ねをしたいと思っているんですが、一昨日私は、朝日新聞の報道でございましたけれども、臨調の第二特別部会で議論されているという報道がありまして、その真偽についてお尋ねをしました。管理庁長官から、そんなことありません、やるつもりもありません、この趣旨の答弁がありまして、関連して総務長官並びに人事院総裁からもそういう否定の答弁がございました。
 しかし、きのうの朝日新聞に重ねてこの問題が報道されて、これによりますというと「二日までに」といいますから、おとといまでに、私が質問を終了した直後じゃないかと思うんですが、第二特別部会ではこれらがもうまとまる、そして方針が答申案として出されてくる、こういう趣旨のことが重ねて報道になりました。そして、その内容はもう皆さん御案内のとおりでありますが、政府が五十四年あるいは五十五年の暮れに閣議決定でやりました行革方針が大きく変わって、改めて五十七年度から定員削減のスタート、さらには御案内のとおり、そのために半年間の待命休職制度を導入をするということが重ねて報道になりました。私はきわめて遺憾なやり方だと思っているわけです。
 一体政府の行政計画、閣議決定というのは何なんだろうとおとといも申し上げましたけれども、何でもかんでも臨調、臨調で臨調を隠れみのにして、そして行管がこれをリードして世論をつくって、臨調の委員が何にも知りません、いいこと教えてもらいましたと言わんばかりのことをやらせておいて、いま私ども審議しておりますこの法案の根本にかかわるようなことが次から次と報道されてくる。私は本当にこの委員会を通して遺憾のきわみだと思っています。心から私は怒りを覚えるわけなんです。
 そういう意味で、まず第一にお聞きをしておきたいと思うんですが、この朝日新聞の報道にありますように、五十七年度から新たな定員削減計画というのを導入するのかどうか、これは国務大臣として総務長官からお答えを願いたいと思うんです。
#4
○国務大臣(中山太郎君) せっかくのお尋ねでございますけれども、私はいわゆる五十七年度から実施をするという計画を承っておりません。
#5
○山崎昇君 それは午後行管に聞きたいと思いますが、しかし少なくともあなたの方は人事管理としては最高の機関なんだ。こういうことがもしあなた方に何にも相談なくて、あるいは何にもあなた方に連絡なくて、私は幾ら臨調といえども勝手に何でもかんでもこういうことをやれる仕組みのものではないと思うんです、あの法律の趣旨から言いまして。そういう意味では、私はやはりあなたに何らかの相談等があったんではないかという、私なりに、これは感覚でありますが、とるわけなんですが、重ねて、何にもありませんでしたか。
#6
○国務大臣(中山太郎君) 何にもございません。
#7
○山崎昇君 人事院総裁にお聞きをいたしますけれども、これは一昨日もあなたは否定されました。しかし重ねてまた、これは「半年間の待命休職制度を導入して高齢者を中心に退職促進を図る、との方針を固めている。」と報道されている。一昨日は行政各機関へ全部連絡済みだと報道された。こういうものを、一連のものを私は流れとして受け取るときに、きわめて公務員制度としてはこれまた公務員法にないような制度をこういう形で報道されてくる。一体これが公務員諸君にとって公務能率が上がることなのかどうか、公務員諸君がきわめて不安を感ずるんではないだろうか、こういう趣旨もありまして、人事院総裁はこういうものが出た場合に一体どうされるのか、重ねてあなたの見解を聞いておきます。
#8
○政府委員(藤井貞夫君) その案件については、総務長官もいまおっしゃいましたように、総務長官自体が何にも御存じないということでありまして、いわんや私どもの方にそういう連絡があるはずもございません。私も一切承知いたしておりません。
 したがって、この問題については、どうなるかわからなぬことを前提にして申し上げることは差し控えたいと思うんですが、感じとしては、この間の山崎さんの御発言に対して感想的にお漏らし申し上げた点、ああいう気持ちであるということだけはいまも別に変わりません。一切この案件については連絡受けておりません。
#9
○山崎昇君 人事院も知らないと言う。人事管理の責任者である総務長官も知らないと言う。しかし、これだけ大きなスペースで中央紙は報道する。これは私どもどういうふうに理解をして――この国会でいまこれだけこの定年制度をめぐって論議をしている最中に、追い打ちをかけるように新たなこういう制度改正論というものが報道されてくる。これは私自身、何でこんなところで私はいま議論せねばならぬのかという、そういう気持ちにさえ駆られるわけです。
 そういう意味で、総裁から重ねてこの間の見解をお述べになりましたから、この点はこの程度にしておきたいと思いますが、第三点にまた、この中で言われておりますように、人事院勧告の値切り、実施時期の延期、そして人事院勧告制度そのものの見直し、こういうこと等がまた報道されている。これはいまさら私から申し上げるまでもなしに、この人事院制度というのは、当時私も公務員の一人でありましたから、批判的な態度をとった一人であります。しかし当時の政府は、公務員の給与や任命制度やその他公正な基準をつくったり、科学的な人事行政をやるためには第三者機関としての人事院制度が一番いいのだというので、つくったのは政府みずからです、この制度を。大方の公務員諸君の批判を封じてまでこの制度をつくった。そして今日まで三十何年間の歳月を実は経ているわけです。
 そして御存じのように、人事院勧告は昭和三十五年の勧告までは実施期日が明記されませんでしたね。したがいまして、昭和三十四年までは御案内のとおり、人事院勧告というのは民間賃金を一年おくれて実施をされてきておる。三十五年に初めて人事院は十月実施という実施期日を明記をして、そして三十五年から半年繰り上がって、民間の賃金を半年おくれで実施をされてまいりました。そして、それから十二年たって、昭和四十七年に初めて民間賃金と相対するように、人事院勧告で言うならば完全実施という方向になった、こういう歴史があるわけですね。
 そして、その間、御案内のとおりILOからドライヤーさんを委員長にしましてドライヤー調査団が参って、これが日本におきます労働事情等々を調査しまして、昭和四十年にドライヤー報告として出されます。これは膨大な報告でありますから、内容はそう多くは申しませんが、その中の一つに、人事院は代償機能であるにかかわらずその人事院勧告が完全実施されないのは、代償機能としては機能していないということが指摘をされまして、そういう点もありまして、いま申し上げましたように、昭和四十七年から完全実施ということになって、ようやく公務員諸君の給与というのは民間と相対するような状況になってきておる、これが歴史ですね。
 そして、加えて申し上げるならば、人事院の人事官の任命についてもこのドライヤー報告で触れておりますが、きょうは私はそれ触れません。しかし、私はいつかこの委員会で、せめて人事院の機能は仲裁裁定のような機能にすべきではないか、それは労使、公益、三者構成にして、制度として労働組合の意見を聞くような制度にすべきではないかという論戦をしたこともあります。しかし、そうではなくて、あなた方は、人事官というのは人格が高潔で人事行政制度にそれなりの識見をお持ちの人事官で構成されているからこの制度がいいのですと言って今日まで推移をしているわけです。
 ところが、いまや行革という名前で、政府みずから三十年間もやってきてこれが一番いいという制度が根幹から揺さぶられるようなことが報道されてくる。まして人事院制度そのものが否定されるような報道がされてくる。私は公務員制度の論から言うならもはや許されないと思っているんです、これは。私は人事院制度全般が最高だとは思っておりませんけれども、いずれにいたしましても、この制度がこれだけ成熟した段階でこういうやり方というのは、私はきわめて遺憾だと思うからなんです。
 そこで、人事院総裁、報道でありますからある意味では仮定だと思うんですが、こういうことについてのあなたの決意を改めて聞いておきたい。そして総務長官としては、一体こういうことに対して、あなたはどういう考え方をお持ちなのか。これから八月には人事院勧告が出るでしょう。秋の臨時国会には公務員給与法の処理をしなければならぬでしょう。それを迎えて私は、総務長官の任務もまたきわめて重いと思うんです。そういう意味におきまして、この報道に関連をして、総裁の見解を改めて聞くと同時に、総務長官の見解も聞いておきたいと思うんです。
#10
○政府委員(藤井貞夫君) 先月の十一日でございました、臨調の総会の方から、一度私に公務員制度の現状とそれから課題と申しますか、重要問題について話を聞かしてくれというお話がございましたので、大変いい機会だと思いまして私は喜んで参上をいたしました。その席上で申し述べましたこと、あるいはやりとりというような点については詳しくここで、会議の内容でございますので、申し上げることは省略をいたしますが、一般的にお述べして差し支えないと思いますことは、私は、その御説明の際に、わが国のやはり人事院制度の根幹、趣旨、経緯、沿革というものについてるる御説明を申し上げました。人事院制度というものができたその理由、それといまお話にも出ておりましたILOの評価、その他一連の問題も全部触れて申し上げたつもりでございます。
 その中で、なかんずくこの給与問題については、これは最も重要な労働関係の問題である、労働関係ということはこれは軽々に改めたりなんかというような問題じゃないんだと。無論、情勢適応の原則というものがございますから、情勢に適応していろいろ改善措置を講じなきゃならぬことは当然であろう、しかし基本線というものははっきりしているわけなんです。しかもこれは、いま山崎委員もるる申し述べられましたように、勧告自体の問題をとりましても長年の積み重ねで今日まで来ておるわけです。ここまで来るためには、それこそ大変なたくさんの人の御心配と御努力によってここまで積み重ねてきたものだと思っております。これは軽々にいろんなことでもって基本を変改するということは私は許さるべきことではないんだというふうな見解に立っております。
 そこで、人事院のいろいろな役割りあるいはその制度自体の問題になれば、私は、それすらもこれは立法事項の問題ですから、それ自体も唯我独尊で、人事院の制度、これはもう千古不滅のものであるというようなことは申しません。申しませんが、しかし人事院ができたその背景というものには、やはり最も基本的に労働基本権の制約の問題、そういうことが根本にあるんだ、そのことを忘れてもらって、最近はおかげでもって公務員の労働関係というものは比較的円滑に推移をしてきておる、その事態はほおかぶりしまして、問題がないからとやかくというようなことは、私はやはり許さるべきことではない。したがって、人事院制度の根幹に触れるような仕組みの問題を考えるのであれば、それと同時に、前提になる労働基本権の制約の問題、それは全部解除してしまうのかどうなのか、そういうふうな点もあわせて論議をしてもらわないことにはこれは片手落ちのことですよと、とうてい一般の公務員の了解を得ることはできませんよということを特に強調をいたしました。
 そういうたてまえを私はいままでも堅持をしてまいりましたし、今後とも現行制度がある限りはその線は崩すべきではないという確信を持っております。しかもこれは、自画自賛ではございませんが、その一連の仕組みというものはやはり世界の各国からも大変注目して評価されている制度であるという自負心を持っております。
#11
○国務大臣(中山太郎君) 私は、かねて申し上げておりますように、この人事院制度、人事院の勧告によって政府がそれを尊重し、完全実施をしていくということは、公務員の諸君のいわゆる国民へのいいサービスをしてもらうところの基本の原則であると、そのように考えておりますし、またそう信じております。ことに労働基本権が制約をされている公務員の諸君にとっては、やはり人事院という公正な中央人事機構の機関が民間の賃金を調べ、そうして公務員の生活を安定させるために政府に給与等に関して勧告を行う。それを完全に実施することが政府の一つの基本でなければならない、私はそのように信じて今日まで行動しておりますし、現存の制度が存在する限りそのようでなければならないと、このように考えております。
#12
○山崎昇君 いま総裁から、第二臨調におきます説明の内容等加えながら決意のほどが示されました。また総務長官からも、この制度の存続する限りそれでやっていくんだという決意も述べられました。私は素直にそのとおり受け取っておきたいと思うんです。
 いま労働基本権についても総裁から触れられました。これも公務員制度審議会等々を通じてかなり激論があって、私どもは承服できない立場もありますけれども、私ども、いまの制度下で言うならば交渉展開をしながらやってきたわけです。さっきも申し上げましたように、民間賃金にリンクすると言いながらも、完全に公務員賃金が民間賃金にリンクされたのは昭和四十七年ですね。二十一年に臨時人事委員会が発足して以来二十何年たって初めて民間賃金と同一といいますか、ある程度の水準に達したという経緯ですね。そして私は、今日までの経過で言えば、財政の苦しいときに逆に一月でありますけれども実施期日が前進しているんですね。財政が豊かで、経済が成長しているときに公務員賃金が、たとえば十月から九月になったり八月になったりした経過はないのです。逆に、公務員の皆さんに本当に公務能率を上げてもらうためには、こういう苦しいときにやはり公務員の皆さんにそれだけのことをしなきゃいかぬのではないかというので、言うならば、歴史的に言えば公務員賃金というのは財政の苦しいときに前進していました。これは今日までの歴史です。
 そういうことを考えるときに、片方ではいま論議されております定年制にいたしましても、あるいは退職手当の問題にいたしましても、行革と関係ありませんとあなた方は言う。総理以下は、行革の一環であり、これが前哨戦だと、こう言いながらやってくる。ここにまた内閣の不統一がある。私どもいろんなものを見ながら議論してきたつもりでありますけれども、そういうことを考えるときに、不信感だけがつのってきます、正直に申しまして。ですから、いま総務長官から、この制度でやると言うんですから、私は、人事院は先般、どんな事態があれ、従来の方針に従って従来の項目に従って民間の調査をいたします、そして従来の方向であれば八月十日前後には人事院勧告が出るであろうと。ですから、仮定でありますけれども、総務長官、こういう新聞報道にあることはこれは間違いなんだ、総務長官としては人事院が勧告を出したらそのままやります、いまの制度はそうなんですから。重ねて、あなたの決意をこの機会に聞いて、公務員諸君をある意味では安心さしてもらいたい。公務の能率を上げるためには、そういうことがやっぱり明確になりませんというと公務の能率というのは上がらないんです。重ねてあなたの決意を聞いておきたい。
#13
○国務大臣(中山太郎君) 重ねてお答えを申し上げますが、第二臨調でどのような論議が行われているか、先ほども申し上げたように私は承っておりません。そのために、それが間違いであるとか正しいとかということは、現在の私の立場で申し上げることは控えさしていただきたいと思います。
 ただ、先ほども人事院総裁が申しましたように、すでに十年間、この勧告を完全実施するということは、習熟した、慣熟した一つのことでございますから、私は特に昨年は実質賃金が一%近くダウンしているということもよく承知をいたしている立場で、やはり今年は人事院から勧告があればそれを完全実施するように全力を挙げて努力をいたしたい、重ねてお約束を申し上げておきたいと思います。
#14
○山崎昇君 この問題は午後また行管長官に、臨調の問題にまつわりますからお尋ねをしておきたいと思っております。一応この問題についての質問はこの程度にきょうはしておきたいと思うんです。
 そこで、全体の質問の時間の配分等もありまして少し中断になりますが、防衛庁に、それから外務省おいでになっていますか、お聞きをしておきたいのでありますが、先般来この核の持ち込みの問題、そしてそれと関連をしまして事前協議の問題等々が集中審議、あるいは外務委員会あるいは安保特別委員会等々でずいぶん議論になってまいりました。しかしけさ、私どもも余り情報がありませんが、いろんな新聞等を見ておりますというと、一つはライシャワー大使の補佐役でありました方々の談話として、あの事前協議というのは妥協の産物なんだ、こういう見出しで、言うならば大平当時外務大臣との間に口頭了解あったかなかったかという点については、これはあいまいにされてきております。したがいまして、この事前協議というのが妥協の産物で、日本側としては詰めた問題ではないんだと、こういうことになってくると、これはまた今後大きな問題点を含んでいるんではないだろうか。そういう意味で、外務省に重ねてこの事前協議制の当時からのあり方、またこの前あなた方は見解を示されておりますけれども、改めてお聞きをしたいのが、第一点。
 それから第二点は、地位協定の第二十四条の解釈がきわめて変わったのではないか、これがまたけさ報道になりました。そして新聞の見出しだけで皆さんに申し上げれば、先般の日米共同声明の同盟の実を示すために、あかしを立てるために、言うならば日米地位協定を拡大解釈して新しい建物でも施設でもどんどん日本の財政でやり得るんだと、こういうことにこの協定自身の解釈が拡大をされたという報道がされてきております。これも一体どういうふうに考えられて外務省がおられるのか、これが第二点としてお聞きをしたい。
 それから、施設庁長官にお聞きをしますが、もし外務省の言うこの第二十四条の拡大解釈が成り立つと仮定をすると、五十七年度予算ではこれを処理をしなきゃならぬあなた方の立場になってくるであろうと思う。したがって、今日までのこの地位協定に基づく日本の分担が、金丸さんのときには労務費については御案内のとおりに五十三年でしたでしょうか、ふやしました。五十四年からは、たとえば修理その他についてはこれは思いやり政策だというのでふやしました。そういうこと等も含めて、一体地位協定に基づきますこの施設等の問題についてはいまどんな現状にあるのか、施設庁長官からお聞きをしたい。
 まず三点、重ねて私の方から、少し羅列的になりましたけれども、見解をお聞きをしておきたいと思います。
#15
○説明員(松田慶文君) 第一点の事前協議の問題につきましてお答え申し上げます。
 けさの朝日新聞の報道によりまして、ザヘーレンという元国務省次官補代理のインタビューが掲載されておりましたが、この種の元公務員であったとしても現在私人である方が御自分の御記憶、御経験等でいろいろおっしゃる点がこのところ続いておりますが、政府は一貫して、政府としての認識ないしは理解を求める相手は米国政府であって、このような私人の方の御発言には政府として公的には一々コメントできないということを重ねて申し上げてきております。したがいまして、この席で私といたしましてもこのインタビューの内部の一々につきましてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、このザヘーレンという方は非常な知日家、勉強家、りっぱな評価のある方でありまして、全体として流れるトーンは私どもの印象としてはなかなかしつかりしたことを言っていらっしゃるという印象は持ちます。持ちますが、おっしゃっている個々のこと、なかんずく先生がいまおっしゃった、事前協議は双方の国の立場の妥協であるという云々は、これはこの方の主観的な御認識でございますので、この点は論評を控えさしていただきたいと思います。
 それから第二点、これまたきのう、きょうの朝日新聞の報道で、地位協定二十四条に関する、私どもにして言わせればセンセーショナルな報道がございましたが、一口で結論から先に申し上げますと、ここで新しい解釈、新しい事態が惹起されたがごとき報道の内容となっているのは間違いであります。これは報道をされる方の立場の、まあ私率直に言わせていただくと御勉強の不足であります。四十八年三月に衆議院予算委員会において大平外務大臣が、代替の範囲を超えるリロケーションは控えるという御答弁をなさったのは事実でございますが、その事柄の意味、それから関連いたしますもろもろのこと、一口で申し上げますと、新規提供は従来どおり必要に応じて自主的に判断してやっていく、ただ、あるものが古くなったから取りかえるときは、そのもとにあるものより大きくはしない、これが運用の方針であるということを答弁なさったわけでございます。そのことの意味につきましてはその後も多々御議論がございまして、たとえば三月十六日の当院の予算委員会の御議論、または最近では五十三年六月二十九日の当参議院内閣委員会における御議論でも、その辺は正確に政府から御説明申し上げたと考えております。
 なお、追加の御質問があれば敷衍さしていただきます。
#16
○政府委員(渡邊伊助君) ただいま外務省の方から御答弁ございましたように、私どもは現行地位協定の範囲内で施設、区域を米側に提供しておりますが、新規の施設、区域というものも提供し得るものであるという考え方に立って、昭和五十四年度から施設については一部負担をしておるということでございます。それから、先ほど先生の方からお話ございました労務費については、五十三年度から一部負担をいたしておるわけでございます。
 現状はどうかというお尋ねでございますが、昭和五十六年度の予算について申し上げますと、施設関係につきましては大きく四つの分類で申し上げますと、隊舎、それから住宅関係の施設、それから環境関連の施設、それからその他というもので、総額二百七十六億四千万計上さしていただいております。それから労務経費につきましては、福利費等、あるいは給与の一部として格差給、語学手当あるいは退職手当の一部等を一部負担をしておるということで、これにつきましては百五十八億七千六百万、総計で四百三十五億一千六百万、こういうものを計上さしていただいておる、こういうのが現状でございます。
#17
○山崎昇君 それからもう一つ外務省に、これは私どももそう詳しく調べていまお聞きをしているわけではありません、けさのことでありますから。これも一面で出ておるわけでありますが、核を積んだ艦船、航空機等の領海通過あるいは領空通過等々について、アメリカとオーストラリアとの関係については、言うならば双方で明記されておる。アメリカは国によって扱い方を変えているのではないか、この趣旨のことがありまして、中身としては、アメリカとオーストラリアとの協定の第一項でありますとか七項でありますとか八項でありますとか、こういうこと等を具体的に記載をされまして報道をいまされております。私は、けさのことでありますから、それが事実かどうかも確かめる間もなくあなたにいまお聞きをしているわけなんですが、一体外務省としてアメリカとオーストラリアとの間においては、こういう報道されているような状況においてこの問題が処理されているのか。もしそうだとすれば、確かにアメリカとオーストラリアとの関係、アメリカと日本との関係は違ってくる。この辺は外務省としてどういう考え方をお持ちになっているのか、その点だけお聞きをしておきたい。
#18
○説明員(松田慶文君) 御指摘のとおりの報道がございましたが、B52を米戦略空軍が豪州の北部に基地を使って活動したいという申し入れがあり、しばらく交渉をして、この三月にまとまったことはそのとおりでございますが、その際の両国間の取り決め事は、核の持ち込みないしは通過ないしは寄港ということには全く触れておりません。けさの報道も、見出しと中身が違っておりまして、掲載されております、引用されております協定文のどこにも、いささかもそういった文言は使われておりません。使われておりますのは、米国がB52の洋上偵察と訓練、この目的のためにだけ基地を提供する、これ以外のことに使おうとする場合には協議を必要とすると。その他、情報交換、協議等々の条項がございますが、基本的にはただいまの一点に尽きます。
 この点は、いま言ったようなこと以外のもの、たとえば戦闘作戦行動に使うとか等々の場合には、米国政府としては豪州政府の承認を要するという取り決めでございまして、この点は私どもが持っております事前協議制度と基本的には軌を一にするものと思います。ただ、個々の表現の意味合いあるいはその他の話し合いの状況につきましては、先生お触れになりましたように、米豪間という第三国同士の話でございますので、これ以上立ち入ったことは私どもとしてはコメントいたしかねる次第でございます。
#19
○山崎昇君 いまあなたからせっかくお答えありましたけれども、この報道によりますというと「オーストラリアの場合、同じ事前協議といっても、「ノー」より「イエス」に比重がかかっているようで、野党」――まあ「労働党」になっておりますが、「野党などからは、「有事の際のB52の核持ち込みに道を開いたもの」と批判も受けている。」という報道もありまして、言うならばオーストラリアの場合におきましても、やはり核の持ち込みはノーばかりではないんではないか、こういうことが、これ新聞で言えば報道されてきておる。したがって、日本とアメリカとの関係、アメリカとオーストラリアの関係は、その意味においてかなり違いがあるのではないかという指摘になっているんですね。その点あなたは、もちろんアメリカとオーストラリアのことまで日本が立ち入ってどうのこうのと言う立場にないことは私も理解をいたしますが、その間の事情についてあなたにひとつ聞きたいということが一つ。
 それからもう一つは、同じこれも朝日の報道でありますけれども、かつて全駐労の長崎地本の執行委員をやった方がけさ投書をされておりまして、やはりサブロックでありますとかあるいはその他のものが運び込まれておる、こういうことを私の経験上明白でありますということを投書されております。これは本人が書いているわけでありますから、そういう意味で言うと、先般来議論がありますように、岩国にいたしましてもその他にいたしましても、事実上そういうものが持ち込まれておるのではないか、そして、全駐労に働く労働者の皆さんは、それを自分の目でやっぱり見ているんではないんだろうか、これほど確かなものはないんではないんだろうか、こう私どもは考えるんですが、この点は一体どうでしょうか。
#20
○説明員(松田慶文君) 二点お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、米国と豪州、ニュージーランドはANZUS条約のもとで相互防衛援助協定を結んでおります。これは私どもの安保条約と違いまして、相互が集団安全保障体系を持っておりますので、御指摘のとおり日本ないしは日本国民のこの種問題に対する対応ぶりとは違う点は、先生まさに御指摘のとおりだと思います。豪州の中におきましても、核の持ち込みを含め、あるいは米国の軍事行動に対する協力ぶりに関しても国内に若干の議論の分裂があることは従来から事実でございます。そういった観点から、御引用になったようないろいろな論議があったことは事実でございますが、重ねて申し上げますと、全体としての共同防衛に対する対処ぶりが違うということを御指摘させていただきたいと思います。
 それから第二点、お尋ねの朝日新聞の投書の件は、申しわけございません、私まだけさ拝見しておりませんので、これからすぐ調べさせていただきますが、このような個人的な御体験あるいは米海軍の、たとえば水兵の証言とか、過去何年かの間に間々ございましたが、私どもは何度も申し上げておりますとおり、核兵器の持ち込みはない、これは事前協議を経ずしてそういうことはあり得ない、できないという仕組みになっておりまして、その仕組みは日米の揺るぎない信頼関係に立脚しておりますので、個々のそういう御証言については、総理、外務大臣が述べておりますとおり、政府として調査等をしなければならないと認識するがごとききわめて客観性のある事実に直面しない限りは、私どもはそういうことはないということで対処せざるを得ません。
 従来からいろいろと核についての御議論がありますが、そのほとんどは核の訓練をしたとか、あるいは核の設備があるとか、あるいは核を扱う部隊がいるといったような、核関連の事柄についてはある程度おっしゃることもわかるのですが、そのことと物体としての核兵器、核爆弾が持ち込まれているということとは実は関係ございません。そういう体制を整える、そういう能力を常時維持しているということは米軍の場合常にやっていることでございますけれども、安保条約事前協議制度のもとで、物体としての核兵器が本土――日本の領域であろうと領海であろうと領空であろうと、持ち込まれたことはないというのが私どもの重ねての御説明でございます。
#21
○山崎昇君 いまあなた読んでないと言うから、これは読まれてからでもいいと思うんですが、しかしいまそれはあなたは私人がそういうことを書いても、政府はアメリカを信頼しているからそんなことは何もないと、こう言う。しかし、現実にその場で働いている人がここに書いているのは、アスロックあるいはサブロックという英字がきちんと表示されておりました、それは確認できております、こう言うんですよ。これ以上確かなものないんじゃないでしょうか。あなた方は、何も目に見えないもので信頼しております、アメリカが言っておりますから信用します。働いている労働者は、現場で弾薬等を運び込んでくる、その荷揚げ作業をやっておるわけですから、それが英字でサブロックでありますとかアスロックでありますとかと書いたものを運んでいるんですよ、労働者は。これ以上確かなものないじゃないでしょうか。そういう経験に基づいて書いているんですが、あなたは読んでないと言うから読まれてからでもいいですけれども、そういうことはやっぱり謙虚に私は日本政府は認識をして、この核問題というものに対処しないと誤るんじゃないんでしょうか。重ねて、あなた読んでないと言いますが、私の方から指摘して見解を聞いておきます。
#22
○説明員(松田慶文君) 証言というものの重みは、それなりに私も軽視するわけではございませんが、どなたかが過去に見たことがあるとお言葉でおっしゃるだけでは私どもは動くわけにはまいりません。両院のいろいろな委員会での御指摘でも、政府が調査をお約束し、米側に問い合わせておりますのは、写真であるとか状況の地図であるとか図面であるとか、客観点な事実をお示しの上で調査のお求めがある場合には、時宜に応じて政府も調査させていただいておりますが、過去に見たことがあるというお言葉ならば、実はそれは日米安保条約に対する重大な侵害であり、日米関係に対する基本的な問題提起であるので、なぜそのときに問題提起がなされなかったのか、いまになっておっしゃるのもなかなか解せないところでございまして、いずれにしましてもその投書を早速拝見させていただく所存でございます。
#23
○委員長(林ゆう君) 関連質問を許します。野田君。
#24
○野田哲君 山崎委員の質問に関連して、地位協定の運用について外務省、それから、これはやはり地位協定二十四条に思いやり分担などという言葉を使って穴をあけたのは金丸防衛庁長官がまず穴をあけたわけでありますから、防衛庁のやった仕事なので、私は防衛庁長官に最終的には見解を伺いたいと思うんです。
 まず地位協定について、行政協定から地位協定に変わるときに政府の説明は、行政協定と地位協定と比較したときに、地位協定の一番の行政協定と比較して変わった点は、日本はこれ以降は防衛分担金を出さなくてもよくなったこと、これが地位協定の一番の行政協定と違うところですと、こういう説明を当時の外務大臣などはやっているわけです。これから以降はもう日本は金を分担しなくてもいいんですと、こういうふうに説明していますね。それがその後、先ほど説明がありましたけれども、四十八年ですか、大平外務大臣がリロケーション、提供している施設、区域の中で分相することについて、代替施設の範囲を超えることはないというリロケーションの問題で国会で答弁をしておられます。それからその次に、金丸防衛庁長官時代に思いやり分担という形で最初に出てきたのが、アメリカ側が駐留軍労働者に対する賃金等を出し渋るものだからということで、それにかわる措置として法定福利費のいわゆる使用者側負担分についてこれをまず受け持ちますと、こういう措置がとられた。その翌年には、今度は直接の軍事施設にまで踏み込んでいっていますね。
 たとえば長崎県の何とか鼻というところの貯油施設、油を貯蔵する施設、それから沖繩県の嘉手納のサイレンサー、こういうふうな直接の軍事施設にまでついに入っていっておるわけですね。そのことをただすと、長崎県の何とか鼻というタンクについては、もう古くなっているから、これはこの周辺に対する被害を防止するために必要なんだ。あるいはまた、それじゃ嘉手納のサイレンサーはどうなんだ、こういうふうに質問をすると、このサイレンサーというのは直接の攻撃的な性格を持ったものではなくて、むしろ逆に周辺の住民に対する騒音を防止するための日本の国民に対する福利の施設だ、居住環境改善のための施設なんだ。こういうふうに次から次から新しい口実をつくって、行政協定から地位協定に変わったときに、地位協定と行政協定を比較したときに一番の変わった点は、もうこれからは日本側は防衛分担をしなくてもよくなったことなんですと、こういう説明をその後だんだんだんだん拡大をしてきているわけなんです。特に金丸防衛庁長官時代から新たな負担をする穴があいたわけなんです。
 こういう状態では、私は地位協定の二十四条の解釈、それから日本側の負担の歯どめ、こういうものについてきちっとした統一的な見解をやっておかなければ、明確にしておかなければ、だんだんだんだんこの地位協定の解釈、これが変わってくるし、日本側が金を出す限度がだんだんふくらんでくる、こういう懸念を持っているんです。
 大村長官もこれから六月の終わりにはアメリカへ行く、そして向こうの国防長官等と会談をするということになれば、当然日米首脳会談によって合意されたこれからの日本の負担、これが一体どこまでやってもらえるのか、当然向こう側からはただされると思うんです。一体どこで歯どめをされるんですか。その見解と、もう一つは、一体地位協定の二十四条が、一九六〇年当時に国会で説明をされたことが、こうも政府側の解釈、答弁が変わってきていいものなのか、許されないことではないか、私はこういう点について防衛庁長官並びに外務省の見解を伺いたいと思うんです。
#25
○説明員(松田慶文君) 最初に、地位協定の二十四条の運用及び解釈に係る御質問の部分にお答えをさせていただきます。
 御指摘のとおり、現行安保条約に移行しました際のこの地位協定には、旧行政協定にありました防衛分担金の制度は消えております。これは御指摘のとおり一つの変化でございました。しかし、そこで廃止されたのは現金支出としての防衛分担金の負担がなくなったということではございましたが、御案内のとおり地位協定二十四条第二項では、日本国は、この安保条約のある期間中合衆国に負担をかけないで施設、区域を提供すると明記されております。すなわち現金で金を渡すことはないが、施設、区域、すなわち基地の提供は日本の金でやるということを約束してあるわけでございます。これが地位協定二十四条の解釈でございますし、かつこの解釈は、昭和三十五年以来政府としては全く変えておりませんし、現在も変える、または今後変えることを意図しているつもりもございません。
 問題は、この二十四条の枠組みのもとでの運用の方針であろうかと存じます。確かに御指摘のとおり昭和三十年代におきましては、わが国の財政事情あるいは防衛に対する諸般の考え方等々もございまして、積極的にわが方が新規の提供を行う必然性はございませんでした。二十年代占領下から引き続きまして在日米軍は旧軍の既存の施設をほとんど使用しておりましたから、新規提供はほとんど必要がなく、その基地内のものの整備等は米側が自分の金でやっていたわけでございます。したがいまして、当時の答弁の多くの中に、日本政府は土地は提供するけれども、その土地の上で建物をいじるのはいまのところ米側にやらせておりますという答弁が幾つもございますが、これは地位協定の解釈ではなくて、米側が自発的にやっておるという運用の問題でございます。
 ところが、だんだん時間がたちまして四十年代になりますと、旧軍の昭和十年代あたりの宿舎、隊舎等は老朽化し、非常に問題が生じてくる側面も出てまいりました。またわが国の経済力の向上、防衛関係の変遷に伴いまして、わが方に求められる役割りも高まってきたわけでございます。そういう過程で、順次予算という形で国会の御了承を得て提供施設の整備を続けてまいりましたが、その過程で先生御指摘のとおり、岩国、三沢の隊舎の建てかえの際に、既存のものよりも大きいものをやるのはおかしいという御指摘がございまして、そのとおりでございますという形で大平答弁がなされておりますが、あわせまして別途、その建てかえではなく安保条約の運用上必要な施設、たとえば防音設備であるとかシェルターであるとかといったものを時の必要に応じ国民的議論を踏まえて新規提供いたしますことは、これは協定の解釈の問題ではなくて、防衛予算の運用の問題かと存じます。そしてその運用については、これから先は防衛庁あるいは施設庁の御答弁を期待しますが、ときどきの予算の範囲内で国会の御審議を十分経てやっていくと、そういうことになろうかと考える次第でございます。
#26
○政府委員(渡邊伊助君) 先ほど先生から御指摘があった労務費につきましては……
#27
○野田哲君 労務費はいい。どこまで広がっていくのかと、歯どめを聞いているんです。
#28
○政府委員(渡邊伊助君) ちょっと申し上げさせていただきますが、昭和五十三年度から始まった労務費は、雇用の安定の確保という問題と、かたがた米側の財政事情等を勘案して一部負担を行ってきたわけでございますが、五十四年度から施設整備について提供してきたということは、石油ショック以来わが国の物価が非常に高騰してきたということで、在日米軍の駐留経費が非常に逼迫をしてまいったわけでございます。このことから、在日米軍の活動が円滑を欠くようになってはやはり日米安保体制ということから適当ではない、こういうことを懸念をいたしまして、地位協定の範囲内でできる限りの努力をしようということで、わが国の地位協定の範囲内でどのような措置をとるか、また自主的にどのような方法でやるかということを検討するに至った動機あるいは姿勢、そういうものが思いやりという言葉で表現されたというふうに理解をいたしております。
 わが国といたしましては、在日米軍の駐留活動が円滑になるようにという観点から、この在日米軍の施設、区域を整備し、提供するということによって在日米軍の駐留経費の負担が軽減をされるということから、在日米軍の活動が円滑になるようにということで、従来から施設、区域というものを整備し提供するということをやってきてまいったわけでございます。その場合の考え方といたしましては、その施設、区域の整備がどの程度緊要度があるかという問題。それから、かたがたわが国の財政状況等を勘案し、個々に米側の考え方というものを聞きながら決定をする、こういう考え方で従来からまいってきておるわけでございます。
 労務費については、現在負担をいたしております項目が現在の地位協定の解釈上なし得る限度であるというふうに考えておりますので、これ以上の項目の拡大ということを考えてはおりません。
 施設、区域につきましては、どのような種類のものをやるかということについては、これはあくまでも理論上でございますけれども、地位協定上明文のものがございませんで、施設、区域として現在考えられております概念としては土地、建物、公有水面というものを指すというふうに言われております。そのような概念に該当するものについては、これは地位協定上理論的には可能であるというふうに考えております。現在のところ、私どもは先ほど申しましたような考え方で在日米軍の負担軽減と、それから駐留活動の円滑化というような観点から考えますと、現在米側の方の希望として、住宅とか隊舎というものが非常に不足しておるのでこれをぜひ整備してほしいという希望がありますので、それらをある程度中身においては優先をしたいというふうに考えております。それから、先ほど先生申されましたサイレンサーとか、あるいは貯油タンクとかいうようなものにつきましては、まあ公害関連ということもございまして、地域住民の対策のためにもなるということでございますので、これらもあわせて整備をしていきたいというふうに考えております。
 そして、歯どめといたしましては、先ほど外務省の答弁にもちょっとございましたが、一番大きな歯どめとしては予算の枠でございます。私どもが在日米軍の駐留経費について幾ら負担をしたいというふうに考えておりましても、いずれにせよわが国の財政事情、防衛関係費の予算の制約というものがございます。その枠の中で、それから他の費目とのバランスを考えなければならないということがございますので、どのような事案をこれから採択をしていくかということにつきましては、個々によく米側の考え方を聞きながら決定をしていきたいというふうに考えております。
#29
○野田哲君 長官答えて。
#30
○国務大臣(大村襄治君) ただいま施設庁長官が述べたとおりでございまして、地位協定二十四条二項に基づいて、地位協定の範囲内で、しかもわが国が自主的な立場において判断して提供するものでございますので、緊要度、財政状況等を総合的に勘案の上、個々に来年度決定していく、これは予算の審議の際に御審議を仰ぐと、こういうことで進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#31
○野田哲君 地位協定に基づく分担が、問題はその歯どめは予算だと、こういう解釈になってきたことは、私はこれはもう驚き以外の何物でもないですね。そうでしょう。一番最初地位協定の説明、いま外務省の参事官が言われたように、防衛分担金という制度はなくなりました、もうこれからは日本は金は負担しなくてもいいんです、そういうふうに説明をして、いままで負担していたのは、今度は日本側では自衛隊の方にその金は使えるんです。こういう説明だったわけでしょう。それが今度は、その次に負担をすることの問題を指摘をしたところが、それはリロケーション、こういうことで代替施設をつくってあるんだから、いままで提供していた施設の老朽化したもののかわりをつくってあるんだ、こういう説明を岩国の例、三沢の例で当時の大平外務大臣がやられているわけでしょう。
 それが今度は労務費を分担することになったわけですね。労務費については地位協定の制約がありますので、日本側で負担をするのは法定福利費、これの使用者負担分だと、これを負担するんだと、こういうことで労務費を負担することになった。それが今度はサイレンサーとかあるいは貯油タンクを新しくつくりかえることにまでいっているわけでしょう。そうすると一番最初が、行政協定との違いというのは、金はもう分担しないんだと、こういう原則でスタートし、そして二十四条二項のことばかり言われるけれども、一項、二項で明確になっているわけでしょう、日本側の負担とアメリカ側の負担というのは。金の負担は明確になっているわけです。それをだんだん広げておいて、いまになって今度は日本側の負担の線引きは予算でやるんだと、こんなことは私は許されないと思うのですよ。地位協定に基づくアメリカ側か日本側かの負担の線引きというのは、当然これは予算でその都度その都度決めるものじゃないと思うのです。地位協定の法律的な解釈、条約上の解釈、これを明確にしておかなければ、私はその都度その都度予算事情で変わるというようなことではないと思うのです。どうでしょう。
#32
○国務大臣(大村襄治君) ちょっと言葉足らずでありましたので、追加して申し上げます。
 地位協定第二十四条第二項の規定が根拠でございますので、あくまでその解釈上許される範囲内で行うものであると、これは第一の歯どめであるということは申すまでもないところでございます。具体的には毎年度の予算措置で御審議を願うと、こういうことではないかと思うわけでございます。
 また、四十八年三月の外務大臣答弁云々の関係でございますが、これは外務省の政府委員が先ほどお述べになりましたように、当時における国会論議を踏まえての原則としての運用上の方針を当時の時点で示したものであって、一般的に新規提供及び追加提供について触れたものではないと。したがいまして、私どもといたしましては二十四条二項の規定の解釈上許される範囲内で行うものにつきましては、別段これを拡大解釈して行うものではないというふうに理解をいたしておるわけでございます。
#33
○野田哲君 二十四条第二項の許される範囲というものの解釈を私は聞いているんです。それはその都度その都度の予算措置だと、こんなことではないと私は思うのですよ。
 一項は、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される。」、こうなっているわけですね。そして、日本国側の負担として二項で、「第二条及び第三条に定めるすべての施設及び区域並びに路線権をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供し、」と、こういうことでその施設、区域というものは決めたわけですね、そのときに。一九六〇年の地位協定のときに、ずっと細目を決めましたね。決めた施設、区域についてその後住宅をつくったりなんかしていることを国会で追及されると、それは代替施設としてその範囲内でやっているんだと、こういうふうに当時の大平外相は答えられた。代替施設の範囲内でやるんだと、こうなったわけです。ところが、今度は代替施設以外のところまで踏み出したわけでしょう、サイレンサーとか。嘉手納にある予定されたサイレンサーなんというのは、これはそのときには何も決めてないで、新しい施設ですよ。あるいは労務費にしても新しい負担ですよ。それをそのときどきの地位協定の日本側の解釈によってだんだん範囲を広げていったわけだから、私は、大村長官の言う、くどいようですが、許される範囲というのは明確にしておかなければ、そのときどきの予算で決めてくれなんというしろものじゃないでしょうと、こう言うんです。
#34
○説明員(松田慶文君) 協定の解釈でございますので私どもからお答えさせていただきますが、先生のお言葉の中に、地位協定締結時、昭和三十五年に提供した施設、区域がまずあって、それの後の代替ならともかくも、別途に新規に提供することは協定上問題があるという御趣旨かと存じますが、私どもの一貫した解釈では、実はそういうことではございませんで、地位協定の二条、二十四条は、必要に応じては新規の提供もその後いかなる時点でもできる、理論上、解釈上、条約上はできると、やるやらないは別個の問題でございますが、協定上はできると。やる場合には日本政府が全額負担するというのが二十四条二項の趣旨でございます。
 実際問題としては、御案内のとおりこの数十年間、三十五年以降、日本の国内の過密あるいは防衛上の必要等々の事情から、あるいは米軍のニーズから新しい土地が欲しいとかそういう事態は全くございませんで、むしろ整理統合という大きな流れでやってまいりましたから、現実の問題として新規のさらの土地を提供することはございませんでしたが、既存の提供をしている土地の中の建物の更改、あるいはいままでなかった土地に新しいものを建てる、設備をつけるというようなことは間々ございました。それは二十四条二項で律するところの私どもの協定上の義務でございます。
 どこまでやるかという先生の歯どめの基準でございますが、これは一概に明確な数字を付しての基準はなかなかいたしかねます。私どもが従来から御説明申し上げておりますのは、安保条約の目的の範囲内で、この条約の安全保障という効用を確保するために必要なものであって、たとえば日米の防衛の相関関係の枠組みの中で、かつ地元の経済社会的な事情も十分配慮して、そして最後に財政の許す範囲内で国民の支持を得て行うと、こういういろいろな配慮、基準を念頭に置いて年々仕事をさせていただいておりますが、非常に明確な尺度で、これ以上はできるできないと言うことは、事柄の性質上なかなかいたしかねるものではないかと考えております。
#35
○委員長(林ゆう君) 午後一時二十分委員会を再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十七分開会
#36
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国家公務員法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#37
○山崎昇君 防衛庁にお聞きしますが、自衛隊員の定年法もいま出ているわけなんですが、今日まで自衛官で停年退職された方はどれぐらいで、そしてそういう方々がやめてからどういういま生活状況にあるのか。
 それからあわせまして、本来なら全部と言いたいところなんですが、特徴的な就職先といいますか、それとそれからあわせて、やめてから民間その他へ行っているんでしょうが、一体どの程度のポストにつかれておるのか、これも特徴的な点でよろしゅうございますが、それと、どの程度の待遇を得てやめた後の生活というものをやっているのか、できれば階級別ぐらいに特徴的なことを御説明いただければ一番いいんですが、まずその説明を願いたい。
#38
○政府委員(石崎昭君) 自衛官の退職者の数でございますが、五十四年度の数がきちんとまとまっておりますのでそれを申し上げますと、全部で五十四年の場合、二万二千百七十人でございます。その中を大別してみますと、停年制のつまり幹部、准尉、曹クラスの停年でやめていった人たちが五千二百七十人、それから士クラスの任期制でやめていった人たちが一万六千九百人という内訳でございます。
 それらのやめていった人の中で退職後新たな就職を希望している人の数は、全部を通じて申し上げますと、一万一千七百八十八人ということで、退職者のおよそ半分ぐらいが新たな就職先を希望しておるということでございます。
 その希望者のうち、実際に新たな職場へ就職が決まった人の数は、停年制の人も任期制の人も合わせた合計で申し上げますと一万一千三百五十人ということで、就職希望者の九八・八%、希望している人のほとんどは新たな職場が見つかって就職をしているという状況でございます。以上が数字の員数の問題でございます。
 それから、就職は大体どういう先へ行ってどういうことをやっているかということについてお尋ねの点に順次お答えいたしますと、再就職の先の職場について見ますと、将、将補クラスのいわゆる将官クラスの人々の場合は、主なものだけ申し上げますと、製造業関係が三七%ぐらい、それから金融業、これは保険業とかそういうものを含みますが、金融業が二〇%、大口はそんなようなところでございます。それから佐官クラスについて申し上げますと、金融関係が二二%、製造業関係が二〇%、それからサービス業が一九%でございます。それから尉官クラスについて申し上げますと、サービス業が二七%、金融関係が一六%、卸売小売業この方面が一四%、それから製造業一三%、以上のようなところでございます。それから准尉、曹クラスで申し上げますと、サービス業三一%、製造業二一%、それから卸売小売業という方面が一七%。行き先の業種別、またクラス別の数字を申し上げますと以上のようなことでございます。
 それから、再就職先でそれぞれの業種でどういうポストについておるかというお尋ねでございますが、これは各業種で千差万別のポストについておりますのでなかなか全部を申し上げるのはむずかしいのでありますが、概要を申し上げますと、将官クラス、トップの幹部クラスでやめた人たちの場合は、民間企業の中では顧問とか嘱託というようなポストの人が半数以上という状況でございます。それから佐官クラス以下の人たちの場合は、管理職として再就職できる人は非常に限られておりまして数も少ない状況でございます。ポストについて申し上げますと、大要は以上のようなことでございます。
 それから、いろいろお尋ねがありましたので、ちょっと給与についてお尋ねがあったかどうか、給与ありましたですか――給与について申し上げますと、再就職したときの初任給は、将官クラスで見ますと、給料の多い人少ない人相当幅広く分布しておりますが、一番多くを占めているのは月給十八万から二十五万円ぐらいのところにおさまっている人たちが一番多くて、将官クラスの人の場合ですが、約九〇%がその幅のところにおさまっております。それから佐官クラスの場合は月十四万から十六万円ぐらいの幅のとろへおさまっている人が一番多くて、二二%という数字でございます。あとはそれよりも給料が安い高いでパーセンテージが少しずつ減って、その前後に分布しておるという状況でございます。それから尉官クラスの場合は十四万円から十六万円ぐらいの幅におさまっている人が約三〇%、それから十二万円から十四万円ぐらいの幅に入っている人が同じく三〇%、大体そういうような分布状況でございます。それから准尉、曹クラスの場合は月十二万円から十四万円、この幅に入っている人が一番多くて約四〇%、以上のような分布状況でございます。
#39
○山崎昇君 いま御説明聞きました。そこで、いまの説明によると、やっぱりクラスによって行くところが違うのはそのとおりだと思いますが、大ざっぱに言って製造業というふうに言われているんですが、この中身わかりますか。たとえば将官クラスでは製造業三七%、佐官クラスで製造業二〇%、こうありますね。階級が下になるに従って製造業というものはぐっとなくなる。この製造業というのは、私が聞きたい内容は、かなり兵器関係の業者に行っているというのを私はよく聞きます。
 それから、これはあなたの方で出しているのかどうか知りませんが、一遍自衛官の全員の就職先のこういう名簿みたいなものを私は見たことがあるわけですが、定期的につくっているのかどうかわかりませんが、もしあったらこれは提出願いたい、こう思うんです。
 この製造業という中身についておよそどういうものか、たとえば三菱重工だとかさまざまありますが、兵器関係に多いと聞くものですから、その内容についてひとつ説明願いたい。
#40
○政府委員(石崎昭君) 製造業の中の細かい内訳、全部きょう持ってきているわけではございませんけれども、兵器関係も若干ございますが、必ずしもそこへ集中しているということはないようでございます。ほかのいろいろな業種に広範にわたっておるということがうかがえます。
 それから、自衛官を退職した人たちの再就職の詳細なリストというものでございますが、これは現在の実情は陸海空によって扱いが違っておりまして、わりあい幹部自衛官についてそういう行き先についての名簿がまとまっておるのは航空自衛隊が一番まとまっておる状況でございますが、陸海の場合は各方面、各部隊ごとに行き先を整理して保管しておるという状況でありまして、中央で全部一本にまとめてそういうリストをつくっておるという状況ではありません。そういうことでありますので、再就職先の全リストをすぐまとめて提出するというのは技術的に非常にむずかしくて、非常に数が多いものですからそれはむずかしいというのが一つ。
 それから、個々の人間について具体的にどこへ行った、どのくらいの給料で使われておるかというふうな問題は、その人たちが再就職先とか、それからもらっている給料について言いたがらないケースもずいぶんございまして、プライバシー保護という面で具体的な人名とそういうものを結びつけて全部公開するということは非常に問題があろうと思っております。ただ、大まかな行き先、それから具体的人名を挙げずに、何人が大体どの方面へ行っているというような形での資料の提供はもちろん、多少時間はかかるにしても可能でございますから、もしそういうことであれば検討さしていただきたいと思います。
#41
○山崎昇君 しかし、先般野田委員から質問しましたように、やめた方々はほとんど隊友会という組織に入っているんじゃないでしょうか。したがって、隊友会の支部その他で名簿がないということはあり得ないと思う。これは現住所なり、あるいは就職先がどこか、待遇までは載ってないでしようけれども、そういうものはないわけがないと私は思っている。ですから、いますぐあなたに出せとは言いませんが、そういうものが私は自衛隊にないとは言えないと思っておりまして、ぜひひとつ、時間は多少かかっても明示をしてもらいたいということを重ねて申し上げておきたいと思うんです。
 それから、いまお聞きをしましたが、最近、依然として自衛官の補充については陸海空で違いますが、やはり陸の場合はかなり補充関係が少ないんではないか。言うならば、定員に対してかなり欠員があるのではないかというふうにも聞いておりますが、これは質問通告しておりませんけれども、もしいまおわかりだったら概略ひとつ説明してくれませんか。
#42
○政府委員(石崎昭君) 自衛官の充足状況、いま手持ちの資料で申し上げますと、これはことしの四月末の数字でございますが、陸海空全部合わせまして定員二十七万百八十四に対して現員二十四万二千三百八十三、充足率が八九・七%という状況になっております。
#43
○山崎昇君 やっぱり、あんまりいいことではないんじゃないかと思います。そういう点は、これはまた行政改革等々通じて定員問題のときに改めてお伺いします。
 そこで、防衛庁長官に私は聞きたいんですが、憲法第九条で、国権の発動たる戦争というものと、それから武力によって相手を威嚇したり、あるいは行使したりしてはいけませんと寸こう二つに分かれておりますが、あなたの見解として、戦争と武力による紛争とはどう違うのか、どこにそういう区別があるのか、あなたの見解をお聞きをしたい。
#44
○国務大臣(大村襄治君) 突然のお尋ねなんでなにでございますが、戦争と、武力による威嚇と申しますか紛争と申しますか、どう違うかというお尋ねでございますが、少し性質も違いますし、後の方が範囲が広いような感じもいたすわけでございます。戦争という場合には、宣戦を布告する場合もございましょうし、いろいろあろうかと思うわけでございますが、それに対しまして、武力による紛争とか威嚇というのはやや広い概念ではないかという気がいたします。
#45
○山崎昇君 そうすると、今日まで第二次大戦後いろんなところで紛争が起きているんですが、この中であなたの感覚で戦争と規定をできるもの、それから紛争というかっこうで色分けできるもの、これは数多くありますが、特徴的な点があったらあなたの見解としてお聞きをしておきたい。わが国が関連したもので言えば、よく朝鮮戦争、朝鮮戦争と言いますが、これは戦争ですか、紛争ですか、例で言えば。――いや、あなた三軍の司令官だから、少なくとも日本の防衛を預かる最高責任者だから、あなたの間違いがいいとかどうかというんじゃないんだ。あなたの見解を私は、後日いろいろこれらについて論争したいという考え方を持っているものだから、せっかくの機会ですから聞いておきたい。
#46
○国務大臣(大村襄治君) 突然のお尋ねでございますので、私も余り正確なことは現在わからないわけでございますが、朝鮮戦争の場合、朝鮮動乱と言っておりますので、宣戦布告のなかったという点から言いますと、広い意味の戦争に当たるのかもしれませんが、いわゆる紛争とも少し違うんじゃないかという気がするわけでございます。そのほかベトナム戦争と言われておりますけれども、これが一体戦争なのか紛争なのか、それからイスラエルとアラブとの間のあれが一次から四次までありますけれども、あれも戦争と普通は言われておりますが、正確な定義による戦争か、ちょっとその辺は私、的確にお答えできません。
#47
○山崎昇君 何を言っているのかよくわかりませんがね。結局あなた自身、日本の防衛をやる、やると言っても、そういう基本的なことについての認識が余りないんではないんだろうか。ただアメリカとの間に何かいろいろいきさつがあって、そして日本を守るから日本の防衛力増強、防衛力増強と言っているだけであって、確たるものがないんじゃないかという気が私はします。
 いま、私は朝鮮戦争の話をいたしました。これはその人の呼び方でありますからいろいろありますけれども、かつて統幕会議に勤務されて空将でやめられた奥宮正武さんという方の著書を私は読ましてもらった。これによると、韓国では朝鮮戦争と言わない、朝鮮動乱と言うというんですね。だから、いま国連という機構があって、宣戦布告をして戦争をしかけるなんということはもはやできない、言うならば世界で。地域的な小競り合い程度のことはできても、俗に言う戦争なんということはあり得ないと言うんですね。ましてや、先般来核抑止力でいろいろ議論されておりますけれども、核を使って戦争なんということはもうできない。
 そういうことから考えると、私は戦争なんというのはもはやこの世の中にはあり得ないんじゃないんだろうか。これから起こるということはあり得ないんではないんだろうか、こう考えることが一番正しいんではないんだろうか。ただ民族問題宗教問題あるいは経済問題等が多少絡んで地域的な紛争だとかそういうものはあり得たとしても、いまあなた方が描いているような、日本がアメリカと一緒になって相当程度の防衛力を整備しなきゃならぬなんという国際的に言っても状態でないんではないんだろうか、こういう考え方を持つものだから、いまあなたの見解を聞いてみたんだ。ところが、さっぱりはっきりしないですね。その点は。重ねて聞きますが、一体その点はどういうふうにあなたお考えでしょうか。
 それから、もしあなたの言うように戦争というものがあるとすれば、戦争に関する条約がたくさんございます。私の調査では十四ぐらいあると聞いておりますが、これは日本は第二次大戦前に批准したままですから、戦争に関する条約はあるんです、批准しているんです。しかし、日本は憲法第九条で戦争はできない、国権の発動たる戦争はできない。そうすると、第九条とこの戦争に関する条約というものとどういうふうに私ども理解をしていったらいいのか、これもあなたの見解をきょうは聞いておきます。
#48
○国務大臣(大村襄治君) 戦争の定義はむずかしいものでございますからなかなかお答えしにくいわけでございますが、今後の可能性と申しますか見通しといたしまして、核戦争は起こらないんじゃないかという御見解でございました。私も人類の破滅につながるような核戦争は起こらないことが望ましいとは考えるものでございますが、この点も確たる予断を下すことは時期尚早ではないかと思うわけでございます。また、通常兵器による紛争はこれまでもしばしば行われておりますし、今後もその可能性が絶無ではない、むしろこれもらは通常戦争の発生の可能性の方が多いのではないかという見方もあるわけでございまして、核、通常兵器を含めての戦争の可能性が全くないということは言いにくいのではないかと、そう思うわけでございます。
 また、戦争に関する条約との関係でございますが、条約の主管官庁でございませんので的確なことは申し上げにくいと思うのでございますが、自衛のための必要最小限の実力を保有する自衛隊、いたしましては、戦争に関する条約のうちでも俘虜の処遇に関する問題でありますとか、そういった問題につきましては、自衛力の行使の範囲内におきましても必要性があるものがあるんではないか、さように考えておるわけでございます。
#49
○山崎昇君 戦争は日本できないんでしょう。あなたは通常兵器による戦争、戦争と、こう言っておる。第九条で日本は戦争できないんですよね。どうして日本は戦争できるんですか、できないでしょうが。これは幾らあなたに聞いてもさっぱりわからぬから、いずれはまあこれ本腰入れてやらなきゃなりませんし、なぜ私はこれを聞くかというと、最近自衛隊が増強されて、そして攻められてくる、何かそれだけじゃどうもならぬから、ある意味では外に出て戦うような兵器も持たなきゃ日本は守れないんだというような方向にいま行きつつあるように私は危惧いたします。そういう意味で言うと、日本の国土が戦場になるわけでしょう、あなた方が考えているようなことが起きてくれば。そうすると、いまの自衛官はいやでもおうでも戦死する者もおれば、けがする者もおれば、攻めてきた者も捕虜になる者もおれば、そういうことが起き上がってくるわけでしょう。しかし憲法の第九条からいけばそういうことはあり得ないと考えなきゃならぬ。その辺がやっぱり一つの矛盾点で私はないんだろうかというふうに思うがゆえにいまあなたにお聞きしたんだけれども、あなたの的確な答弁ありませんから、なかなかこの問題、きょう本命でありませんので、いずれはやらしていただきたいと思うんです。
 そこで、最近それらに関連して、議論の中で、市民防衛組織といいますか国民防衛組織といいますか、そういうものを整備をしていきたいという考え方が防衛庁にもあるようであります。どなたかわかりませんでしたけれども、先船の集中審議でも質問があったようにも聞いております。ところが、これどこが所管をするんでしょうかね、そういうものは、これは。
 まず、そういう組織をつくるということに防衛庁はいま一生懸命やっているんでしょうか、計画を立てているんでしょうか。その点からお聞きをしておきます。
#50
○政府委員(塩田章君) 防衛庁といたしましては、市民防衛の問題に大きな関心は持っておりますけれども、防衛庁の所管、直接所管事項かどうか、これは問題がございまして、私どもといたしましては、政府レベルでこの問題を取り上げてどういう形で対処するかを決めていただきたいという気持ちは持っておりますが、防衛庁がいま御指摘のように何か積極的に研究をしたり、何かこの問題についての動きをしておるのかというお尋ねであれば、まだそういうことはいたしておりません。
#51
○山崎昇君 そうすると、防衛庁としてはそういう計画はいまのところもないし、やってもいませんと。聞くところによると、何か総理府の所管でないかという話もありますが、総務長官どうですか。
#52
○国務大臣(中山太郎君) 総理府の所管ということでもございません。
 ただ、どこの省庁にもこれがはまらないということになれば、どこの省庁にも属さないという事項については総理府が扱うということは過去の事例にございます。
#53
○山崎昇君 防衛庁の所管では首かしげる、外務省でもない、ほかでもない、それじゃ総理府、他の所管に属さない事項だから総理府がやりましょうか。――総理府では何かやろうというような考え方があるんですか。
#54
○国務大臣(中山太郎君) ただいまのところ、そのような決定をいたしておりません。
#55
○山崎昇君 そこで防衛庁に重ねて聞きますが、この市民防衛組織についていま計画もないしあんまりやっていないようなお話なんですが、何かスイスがモデルにされていろいろ検討をされているともぼくら聞くわけなんですが、スイスのどういう点について検討されているのか、お聞きをしておきたいと思います。
#56
○政府委員(塩田章君) スイスに限りませんで、たとえばスウェーデンにしましても、そのほかいろんな国で、程度は違いますけれども、それぞれ取り組んでおるようでございます。そういった状況をある程度勉強するという意味での調査といいますか、そういうことはやっておりますが、したがいまして個々の国のどういうところがどうだというふうに細かく研究調査というよりも、各国のこの問題についての取り組み方というようなことについての一般的な勉強をしておると、そういった段階でございます。
#57
○山崎昇君 しかし国会では、しばしば議論されるのはモデルがスイスが盛んに出るんですね。そうすると、いま防衛庁ではスイスについてはどの程度のことを検討されてどういうふうに把握されているのか、よければここでちょっと概略説明願いたい。
#58
○政府委員(塩田章君) スイスは、民間防衛につきまして一番先進国の一つというふうに言われておるようでございます。それで、スイスにつきまして私どもが把握しておりますことをごく概略申し上げてみますと、まず国民防衛、民間防衛の概念としまして、スイスは、民防は国防の一要素である、住民を保護、救出、救助することを目的とするということをうたっておるようでございます。それで、細かい点は省略いたしますが、その基本的な考え方は、侵略を受けた場合に国民の総抵抗――国民すべての抵抗、国民総抵抗ということを基本的な方針としておるというふうに聞いております。
 個々の項目としましては、いわゆる防空体制の問題、それから被害の局限ないし復旧の問題、それから生存の維持、こういったような大きな三つの項目についてそれぞれ、対空監視でありますとか警報装置でありますとかあるいは疎開、消防あるいは交通統制、交通回復あるいは輸送あるいは工場の防護。それから生存の維持というような点でいきますと、特にスイスの場合は備蓄ということについて非常に力を入れておるというふうに聞いております。それから待避ごうあるいは待避所、そういったような建設につきましても、たとえば人口一千人以上の市町村であればもう国が市町村に義務づけておるといったようなところまでやっておるようであります。それから退避に関連しまして、中の医療の体制でありますとかそういったようなことまで細かく決めておるようでございます。
 組織としましては、スイスの場合直接担当しておりますのは法務警察省というんですか、日本で言うと昔の内務省みたいなものといまの法務省を合わせたような形のところだと思いますが、そういうところで担当しておりまして、もちろん各州がございますから、州もこれに関与をしております。それから民間の国民の義務としましては、この民間防衛につきましても国民に義務を課しておるというふうに聞いております。
#59
○山崎昇君 どうも、私がスイスに二度ほど参りましていろいろお聞きをしたのと、少しあなたのとは違うわけなんですがね。まず第一に、スイスの国情がもう参考にすると言われても日本と全く違う。第一に違うのは、スイスの場合には言語が四つある、公用語が。私の調査ではドイツ語、フランス語、イタリー語、ロマンス語、四つある。第二に地形がほとんど山で、五分の三が山であるということ。国土が狭いということ、日本の大体九分の一くらい。人口がざっと六百四十万ぐらいというんですね。さらに人口構成を見るとドイツ語系が六五%、フランス語系が一八%、イタリー語系が一二%、ロマンス語系が五万人ぐらい。その他常時外国の労働者が百万人ぐらい来ておる。こういう言語から言って、民族構成から言って、日本のような単一国家みたいな存在ではないということが最大の違いではないんだろうか。
 さらに宗教的に言えばカソリック系が四九%、プロテスタント系が四八%、言うならばほとんどがキリスト教系の宗教に属しておる。これまた日本とかなり違うということ。さらに私が違うと思うのは、徹底して地方分権制度をとっておるということ。それはなぜかというと、御存じのように二十五のカントンという州に分かれて、その下に約三千のコミューンに分かれている徹底した地方分権主義でありまして、中央政府には一部の権限しか与えてない。こういう国がやっている民間防衛組織という、ただその民間防衛組織という結果だけ日本に持ち込んできてモデルにしてやるということは、私は誤りを犯すんじゃないだろうか、こういうふうに思います。
 そしてさらに私が思いますのは、ほとんどスイスには常備軍というのがもうなきに等しい、千二百人ぐらいしか常備軍というものがない。そして将官も、幹部でありますけれども、常時おりますのは七、八名でありまして、何か起きたときには議会を開いて、そこで指揮官を決めてやる。ただ、いまあなたが言われたように、一たん何かあったら六十万から六十五万ぐらいの動員体制だけを持っていることだけは事実のようですね。そして、いま話ありましたように、一応の徴兵制度はしいておるわけなんですけれども、言うならば十八歳ぐらいから六十歳ぐらいまでの間にほぼ一年ぐらいの軍役に服して帰る。帰る際には全部武器を持って帰ってくるのですね、自分のうちへ。そういう徹底した、日本流で言えば自治体といいますか、そういうものがきちっとでき上がって、それが実際は管理をしておいて、そして周りが全部他の国と陸続きで接しておる。そういう中での中立主義をとりながら防衛というものを考えておる。ですから、単に市民防衛組織という組織だけまねして日本に持ち込んでくるというのは誤りではないんだろうか。
 さらに、備蓄の問題もいまあなたから話がありました。ありましたけれども、これは六百四十万ぐらいの人間で備蓄をやっているわけなんですけれども、日本みたいに一億、やがて一億三千万ぐらいの人口になる、これはとてもできる仕掛けのものではない。ですから私は、防衛庁がいまのところ余り計画がなくてやられてないようなお話ですが、防衛庁出身の方とかあるいはその他の方々はかなりこの市民防衛組織というのに力点を置いて、これから国民総動員みたいなかっこうをとろうとするんじゃないかという心配がかなりありますが、その際に一番中心になっておるのがスイスというものですから、私も多少調べてみても余りにも違いがある。そういう点については防衛局長はどういうふうに判断されますか。
#60
○政府委員(塩田章君) いま先生がいろいろ違う点を指摘されました。その点はすべてそのとおりだと思います。大変違います。
 しかし、先生の指摘されなかった違う点がまだあると思います。一つは、やっぱり向こうは完全に陸地続きの国々に囲まれた国であります。もちろん山地が多いわけですけれども、周りが全部他国に囲まれていて、日本は海で囲まれている。この地形の違いは、やはりスイスと日本とで基本的に違う一つと挙げてよろしいかと思います。それからもう一つ大変違う点は、いまの民防について言いました場合に、やはり私いま法務警察省等が所管していると言いましたが、それは実際は先生おっしゃいますように、州がしっかりしておりますから州単位でやっているわけですが、それにしましても、法務警察省の方でたとえば「民間防衛」というような本も出して事細かに国民に対していろんな指導をしております。それを国民が受け入れて、退避ごうにしましても備蓄にしましても、いろんなことを本当に全国民が関心を持って対処しておるという、いわば国民のコンセンサスが非常に高い、この問題について。そこは日本と非常に違うと思います。その二点において、私はいま先生がおっしゃった違いのほかにあるんじゃないかと思います。
 それから私どもは、いま先生が御指摘になりましたが、そういった違うところの組織をまねをして持ってきてもだめではないかという御指摘でございますが、それはもう当然そのとおりでございまして、私どもスイスのやっていることをそのまま持ってくるべきであるというふうに言っておるわけではなくて、最初に申し上げましたように、いろんな国の民防の体制を勉強はしておるということを申し上げたのはそういうつもりでございます。
#61
○山崎昇君 ただ私は、一般世間で言われることは、スイスは中立主義をとっておるけれども国民皆兵ではないか、軍隊はあるではないか、そういうことだけが主張されて宣伝されて、いまあなたが認めたようなこういう国情の違いとか、民族の違いだとか、言語の違いとか、国の政体の違いとか、そういうものはほとんど論議されずにやられてくる。そういう危険性を私ども感ずるがゆえにいまあなたに申し上げたわけなんだけれども、いずれにいたしましても、そういうことについていま計画もないし、やってないということですから、一応それは理解をしておきたいと思いますが、どうかひとつ余り外国のサルまねをしないように願っておきたい。そのことだけ指摘をしておきたいと思うんです。
 防衛庁の長官が何か日程があるようでありますが、もっと本当はシーレーンの問題でありますとか、あるいはこれからアメリカへ行かれたり国際情勢なんかについても長官はいろいろ議論されると思うんで、本来なら、ミッテラン大統領の出現に対してどういう見解をお持ちかとか、あるいはイタリーのいま政情がきわめて不安な状況にあります。あるいはまたオランダにいたしましても、選挙の結果おわかりのとおりの状況であります。さらにいまスペインの国内状況も大変である。言うならば、欧州の情勢というのはきわめて政情的には不安定な状況にある。それは何が中心なのかということは、よほどこれきちっと私ども理解をしませんと、ただ防衛力だけ増強して、そしてNATOで三%ずつ防衛費だけ増額してそれで国際的な均衡が守れるなどという考え方でいったら私は誤るのではないんだろうか、そういう気がしますから、本当はいろいろ長官にお聞きをしたいという気持ちを持っておりましたけれども、きょうはこれから本題の私は定年制の問題で細かに少し聞かなきゃならぬ点がありますから、後日これはやらしていただくことにいたします。
 いずれにいたしましても、日米共同声明で役割り分担だとか同盟関係だとかということから始まって、この防衛力の問題というのが大変重要な課題にいまなってきているときだけに一言この点だけは申し上げておきたいと思うんです。
 さてそこで、本願であります定年制について総理府並びに人事院の見解をこれからお聞きをしていきたいと思うんです。私は、一昨日の質問の際、なぜ定年制というものが問題があるのかということを大ざっぱに質問を展開をいたしました。その際、余り的確な答弁もなかったので、きょうはもう少し細かにお聞きをしていきたいと思うんです。
 今度の定年制法案の出されている理由に、私が承知している限りは、一つは民間が九七%ぐらい定年制をしいております。二つ目には、世論調査やってみたら、六〇%ぐらい公務員の定年制について賛成の意見がある。三つ目には、勧奨による退職では制度的に限度が来ておる。四つ目には、若い公務員に精神的なバイタリティーといいますか働く意欲を与えていきたい、言うならば公務能率を上げるためにやっていきたいんだと。そのほかに自治省は、何か地方団体の要望が強いんだということを挙げているようでありますが、いずれにしても大体この五点ぐらいに尽きるんではないかというふうに、私はあなた方の説明なり文書なり読んで整理をしてみているんですが、間違いありませんか。そして、その一つ一つに何かつけ加えて説明することがあればお聞きをしておきたい。
#62
○国務大臣(中山太郎君) 先生の御指摘の点は私はそのとおりだと思いますが、もう一つ、一点つけ加えさせていただくならば、政府としては、勧奨制度よりも定年制を導入することによって、長期的に政府のいわゆる人事管理というものが円滑にいくように、今回そういう中に一つの柱としてそういう考え方を持っておるということをつけ加えさせていただきたいと思います。
#63
○山崎昇君 事務当局で何かありませんか、いまのにつけ加えて説明。
#64
○政府委員(山地進君) 特段ございません。
#65
○山崎昇君 私は一昨日いろんな点をお聞きをしたんですが、人事院にお尋ねいたしますが、公務能率を上げるという点からひとつ考えてみなきゃならぬ点があるんではないか。そこで、いまの公務員法上、公務の能率を上げるための制度というのはいろいろあります。たとえば元気回復だとかいろいろありますが、いまあなた方がとられている公務能率を上げようとするいろんな制度について、どういうものをいまやられているか、事務当局から概略説明願いたいと思います。
#66
○政府委員(斧誠之助君) 公務能率を上げますためには、職員に対して利益について保護する、ある程度満足を与えていくということが必要でありますし、それから適正な人事管理を図りまして、そして新陳代謝が行われるということも必要でありますし、それから成績主義を原則にいたしまして、学歴とか年齢とか男女とか、そういう差別を一切なくするということによって活力を与えていくということも必要でありますし、というようなことで身分保障を与えまして、給与は勧告によって時の情勢に合わせるようにする。任用は成績主義の原則によりまして広く一般公開をして、全国的に募集を行って試験を行う。それから福利厚生、この面の健康安全の問題でありますとかあるいは災害補償の問題でありますとか、そういうことで制度を設けておるというようなことでございます。
#67
○山崎昇君 そこで、いまあなたから説明がありましたよね。一般民間では労働能力という言葉を使ったりしますが、公務員で言えば公務の能率という言葉に置きかえてもいいと思うんです。いま話がありましたように、公務の能率を上げるために最大のものは何かと言ったら、まず精神的な安定ですね。それから加えまして、あしたも働くということになれば、肉体的な安定もなけりゃなりませんね。その裏付けとしての給与あるいは労働条件、そういうものがきちんと整備されなければなかなか公務能率が上がらない、こういうことに要約すればなると思うんです。
 そこで重要なのは、私どもの立場から覆えば、労働条件をどう整備をするか、それからそれに関連をして労働環境というものをどういうふうに整備をするか、それから人間関係としての、まあ行政組織でもいいですが、行政組織というものをどういうふうに整備をしていくか、さらに働く手段として、言うならば公務遂行の手段というものをどういうふうにスムーズにやらせるようにつくり上げていくか、そういうことがやっぱり重要だと私は考えております。
 ところが、いまの公務員法でもいろんなことはやっておりますが、なかなかそういう点が整備がおくれている点もあるわけなんですが、わけても、おとといも申し上げましたけれども、今度のこの定年制に関連をしまして、最大の問題は、本人にまだ働く能力があって、本人に働く意思があって毎日一生懸命やっているのに、一定の年齢が来たら、あなたは、はい、職場から去ってください、こういう制度そのものが一体公務能率を上げることになるのかどうか、いまだに私はどうしてもふっ切れないものを持っています。
 そして公務員法全体は、おとといも申し上げましたように、こういう定年制なんて想定されておりませんから、いまあなたが説明ありましにような制度はでき上がっておるわけなんですが、無理やり八十一条から定年制を入れたために、他の規定との矛盾がやっぱり随所に出てくる。そういう意味で言うならば、公務員制度全体として定年制度というものになじまないんではないんだろうか、こうおとといも申し上げましたけれども、重ねてその点について総裁の見解も聞きたい。
 それから、総務長官はお医者さんでありますから、おととい肉体的な点についてのお話ありました。私も多少でありますけれども、労働科学研究所のデータ等に目を通してきたわけでありますけれども、なるほど肉体的な労働能力の低下は、ある年齢に来れば低下していくことはそのとおりだと思うんです。しかし、それがそのまま知識的な能力といいますか精神的な能力といいますか、そういうものとはリンクしないんですね。
 だから、これはある人の考え方ですから、必ずしもこれが全部だとは言えないにいたしましても、若い者から年とった方向にいって、一番能力を発揮するものは何かと順序を挙げた人がいます。これは一つの例でありますが、一番若くて能力を発揮するのは音楽だと言うんですね。その次に物理系統、その次に技術系統といいますから、やや理論的なものから技能といいますか。その次に小説家だと言うんですね。そして医学に携わる人だと。最後に年とっても一番能力を発揮するのは政治家だと言うんですね。こう言われてみると、いま日本の政治をやっているのはみんな明治生まれの言うならばしゃきっとした人じゃないんだね、鈴木総理以下。ですから、労働科学研究所で研究している方々のある傾向としてはそういうことが言えるのではないんだろうか。だから、そういう点からいけば、肉体的な労働に主力が置かれるような職場の人は、年齢若くしても衰えが来ると思うんです。
 しかしそうではなくて、知識とか経験とか、そういうものを主体とするような公務員等については、六十歳だから、はい、さようならということにはならないんじゃないだろうか。理論的に言うならば、あなたたちの出しております一般職が六十歳で、言葉は悪いですけれども、行(二)の労働関係が六十三というのは、これは逆さまじゃないだろうか。だから、そういう意味においても、年齢で人の能力をはかる、年齢でその人の行政経験や知識というものをはかって首にするというやり方は、これはやっぱりやるべきものではないんではないか。ただ勧奨退職というのは、御案内のとおりに、全体の人事配置の問題も考えなきゃならぬ要素の一つでありますから、この程度でそろそろ後進に道を譲ってくださいとお願いすることはいいといたしましても、法律で首を切るということは、これはどうしてもいまの公務員法上なじまないし、労働科学研究所のデータを見ましても無理があるのではないか、こう思いますが、総裁と総務長官の見解を重ねてお聞きをしておきたい。
#68
○政府委員(藤井貞夫君) あらゆる職場でもそうでございますが、特に重要なのは、公務を執行してまいります公務員の職場というものについて、これは人事管理の総合的な運営というものをやっていかなければならない必要性が最も大きいということは申すまでもないことだろうと思います。そういう観点からあらゆる措置を用意して、これの万全を期すように努力を従来からも続けてまいっておると思うんであります。制度について、ここで細かく列挙して申し上げることは、先刻来からお話も出ておりますので、省略をいたさしていただきますけれども、一つは、やはりいまお述べになりましたような組織とのかかわり、組織機構の問題、仕組みということ、これは大変重要でございましょう。そういう意味では、やはり人事管理というものと行政管理というものは、それこそ車の両輪で密接不可分でもって運営をさしていかないと非常に片ちんばな、がたがたしたことになりかねない、これは非常に重要なことであろうと思います。
 それから、直接に人事管理の部面になりますと、何としてもやはり一つは能率を発揮させるためにいろんな施策をやっていかなきゃならないと同時に、それだけに職員がその地位に安んじて大変意欲的に仕事に取り組んでいくと、そういう気持ちを起こさせなきゃならない、これは当然のことであります。そのためには、やはりそれにふさわしい待遇、処遇というものをやって後顧の憂えなく職務に専念していただくという体制をあらゆる面からやっていかなければならぬというふうに思います。
 その観点から見ますと、いろいろいままでも御意見も伺いながらわれわれはわれわれなりに努力をしてまいりましたが、もう十分でこれ以上はやることがないというものではございません。なかんずく福利厚生等の面について申しますと、世の中にいろいろの批判はございますけれども、しかしまだまだ十分ではないと、特に民間の企業のかなり進んだところと比べますと、まだまだというような部面が率直に言って残ってございます。そういう点は、さらに情勢の変化とも対応して、金のかかる面もございますけれども、できるだけ伸ばしてやっていかなきゃならぬというふうにわれわれも考えております。
 そういうことを総合的に勘案しながら、制度とそれから運用の両面を駆使してやっていかなければならぬというふうに思いますけれども、今度のお願いをいたしておりまする定年制というのは、御説のように一定の年齢に到達をいたしましたならば、その個人個人の能力、意思等と一応関係なくその職を去っていただくという制度でございます。そういう意味から言えば、見方の一つとして、やはりあくまで職員の能力というものは客観的に個々のものについて検討していかなきゃならぬものであって、一律にただ年齢だけでもってやっていくということはいかがなものであろうかという議論は確かにあり得ると思うんです。
 ただ、定年制というものは、そういうものの検討の上に長年の経験から編み出されました一つの方法でございまして、これは私から申すまでもなく、民間においてもすでに定着をいたしておりますし、また外国においてもその制度は取り入れられて長きにわたってやってきておるというような経緯もございます。それと、いま非常に急速に展開、また動いております社会経済の諸情勢、なかんずく高年齢化の現象というものをながめてまいりますると、やはりこの際そういうような制度を導入をしてまいることが、長期的に見た場合に人事管理の計画化というようなこと、また新陳代謝の促進というようなことその他を見まして、これを通じて総合して見れば、職員の公務サービスの徹底を図っていくという点から見てやはり好ましいことと認めるべき時期に来ておるのではないかというような判断からこれをお願いをしたいというふうに考えた次第でございまして、現行法上のたてまえは、これはお話になりましたように、また私の過去のいろいろ言説等についてお取り上げの方々がございまして、それに関連しては申し上げましたけれども、現行法上はまさしくそういうようなたてまえのもとに新しい公務員制度というものができ上がってまいったと思いますけれども、その後における三十余年にわたる情勢の変動というようなものから見まして、やはりこの際そういう定年制というものを導入することが通勤であるという時期に来ておるのではないか、そういう観点に立ちまして定年制を導入することが意義があるというふうに人事院としても決断を下したというところでございます。
#69
○国務大臣(中山太郎君) 労働科学研究所のデータ等お持ちいただいていろいろと御指摘がございましたが、私は正直に申し上げて、やはり人間というのは十年刻みに発育をして、十年刻みに体調が下がっていく。そうして平均余命で言えば、大体男が七十二歳八カ月か十カ月ぐらいで人生を終わるというのがわれわれの一つの宿命だろうと思っております。そういうことで昔、昭和二十年に大体人生五十年、こう言われておりました。それを基準に世の中というものは大体仕組みができておったと思います。
 しかし今日のように、戦後の医療制度の充実、保健制度の充実あるいは栄養の普及等によって日本人の生命というものはずいぶん三十五年間に延長したことはもうこれは世界が認めておるところでございまして、世界有数の長寿国になってきた。そこに樹齢化社会の問題が実は存在をしておる。なるほど内体的に力が落ちましても、理解力とか判断力というものは、先生の御指摘のように、年をとった者も相当しっかりした考え方で判断をするというのは私もその論に反するものではございませんけれども、私どもの体験からして、やはり体がよかったのは三十代、四十代になると少し厄が過ぎると体の調子が狂ってくるな、五十になると疲れが残ると、これが正直なところ五十五歳の私の率直な心境でございまして、私は大臣就任以来一日も休んだことはございませんけれども、相当な激務でございます。
 こういうことから考えて、公務に携わる方々がやはり五十五歳あるいは五十七歳、八歳というところで、六十歳という定年というのはいいところじゃなかろうかと、私はそのように実は脅えております。
#70
○山崎昇君 あなたお医者さんだから、なかなかきちんとしたことを言いたくても言えない点もあるのかもしれない。しかし私も、いま申し上げましたように、労働科学研究所のデータ等多少見て考えておととい労働省にお聞きしましたら、労働能力と年齢という関係はあんまり検討しておりませんという話でした。しかし、労働科学研究所なんかの研究官の中には、詳細なデータをとりながら検討している方々がやっぱりおられます。そういうのを見ますと、肉体的な衰えは、いま長官が言われましたように、これは否定できません。私も否定いたしません。しかし、それと知的な衰えというものはこれは違うのだと。
 肉体的な衰えの場合には、たとえば背筋力だとかあるいは瞬発力だとか、走る力だとかあるいは目測だとか、いろんな形で調査されております。そして一人二人のこれはデータでありますから、私はこれが全部当てはまるなんということを申し上げるつもりもありませんけれども、しかしそれにしましても六十歳前後でそう肉体的な衰えが、三十歳代に比べて落ちるかというと、そうではないんですね、このデータを見ると。八二、三%ぐらいに当たっているんですね。ですから私は、その仕事の内容いかんによりましては、たとえば重い物を担ぐとか運搬をするだとか、そういう文字どおり激職といいますか肉体的に激職のところはいざ知らず、そうでない公務員全体をながめたときに、やっぱり六十歳で定年制をしくということはこういう点から言っても無理があるのではないだろうか。
 さらに、いま長官から平均寿命の話が出ました。これも長官御存じのように、日本に初めて定年制というのが導入されたのが明治三十五年ですよね。日本郵船株式会社で、当時日本人の平均寿命は男が四十二歳ぐらいです。だから五十五歳ぐらいになったらお休みになったらどうですかというんで、取締役会で社員休職規則というのをつくったのが日本の定年制の始まりと、こう言われているわけです。それからもうすでに平均寿命だけでも三十年も延びて、そして最近の日本の国情から言えば、この間厚生省の説明ありましたように、六十歳の平均余命が十八歳ぐらいある、言うならば約八十歳ぐらいまで生きるということになる、いま六十歳の人は。この間、再就職はなかなか困難で、仕事もせずに、そして収入はどうかと言うと、いまの国家公務員共済組合法でいっても月額十三万程度ですね。地方公務員がちょっと高くても十三万五千円ぐらいのものです。国鉄のような三公社の諸君でも大体十三万幾らぐらいでありまして、そんな差がありませんね。
 ですから、この前も長官は御存じのとおり、私は恩給、共済組合のときに――あの衆議院の逓信委員会でやりましたように、いま郵便貯金の中から個人年金をどうするかという議論の際に、大蔵省が出てきまして、いま七十歳以上の老夫婦が一月生活するには最低十六万かかると言う。そうすると、仮に再就職するところがなければ十三万ぐらいの年金しか入りませんから、したがってこれはあとの三万や四万はどうやっていくんだろうか。これは退職手当法がやがて来たときに私は質問するつもりでもおりますけれども、そういうことを考えますと、六十歳で能力があって意思があって何にもそんなに衰えがないのに、年齢でおまえは首切るというやり方は、私は法律制度としてとるべきものではないんじゃないだろうか。
 これがおととい以来繰り返し申し上げている点なんですが、重ねてこの点は再考を私は願いたいと思うんですよ。どう考えても、あなたが言われましたように五十五歳体制がそのまま出てきて、多少ところどころ手直ししておりますけれども、それに基づいてこういう制度をつくるということは、やっぱり私は考え直さなけりゃならぬし、やるにいたしましても、もっともっと慎重にあらゆる角度から検討してこの問題は処理すべきものでないだろうか、こう思うんですが、重ねて総裁と長の見解をお聞きをしたいと思うんです。
#71
○政府委員(藤井貞夫君) 重ねての御議論でございます。もっともな点が多々あることは私も否定をいたしません。そういうような角度を含めて、人事院としては従来長きにわたっていろいろこの問題と取り組みまして検討を続けてきておったのでございます。ただ、新陳代謝なり長期的な人事管理計画の達成というような面から免れば、やはりこの際何らかの措置を講ずることが適当ではないかと。その何らかの方法というものの中に、一つの方策として、しかも最も有効な方策として、勧奨退職というものにかわるべきものとして民間でも普及をいたしておりますこの定年制を導入することが適当ではないのかということで結論を下したということでございまして、この点はまた答弁として繰り返しになると思いますけれども、御了解を賜りたいということでございます。
#72
○国務大臣(中山太郎君) 先生のお話は、それなりの一つのりっぱな御意見として私は拝聴させていただいております。ただ、十三万円の年金で退職を法律によって強制された場合に、夫婦二人で生きていけるかという点でございますね。これは私は非常に大きな問題であろうと思うんです。先般も先生のお尋ねに対して申し上げましたけれども、退職をする年齢、定年年齢といわゆる年金の給付の時期をどうジョイントするか、それから、それから先の人生の生活をどのような形でやっていくかということについては、きょうも朝、人事局長と役所で相談をいたしておりましたが、退職準備プログラムというものをやはりこの際用意しなければならない。それで民間の場合、われわれの友人なんかの場合に、そろそろ会社でも肩たたきにあって退職をいたしております。その連中は、やめるときの退職金、これを信託銀行に預けて金利をもらって、それから退職後のいわゆる厚生年金と合わせて生活の一つの基礎をつくると、そして再就職をやって、そこから受け取るところのいわゆる第二期の人生の所得体制、給与体制というものをかみ合わせた人生の設計をやる。しかしその過程においては、やはり子供たちが成長して、そして独立をしている者あるいは大学にいる者、そういうものの負担あるいは在職当時に銀行からローンを借りて住宅を建てた場合のローンの返済の残余のいわゆる借入金額は幾らになるのか、そういうものを全体的に見渡すようないわゆるプログラムというものを用意することがきわめて必要である。これが私の考え方でございます。また役所としてもそのような研究をすでに始めております。
 こういうことで、私どもといたしましては、重ねての御質問でございますから率直に申し上げますけれども、昭和六十年に六十歳のいわゆる定年制度が施行されるという事態で、私はまた今日と四年後には事態は社会全体として変化が起こっているだろうと思います。だから昭和六十年になって、私どもとしては、政府は当然新しい高齢化社会における公務員制度のあり方というものについての検討を絶えずしなければならないと、そういうふうな基本的な考え方に立って公務員の諸君の生涯設計というものに政府としては当たる責任がある。この点に対してはいわゆる労働団体の方々ともいろいろ意見を交換しながら、前向きに研究をさしていただくことには何らやぶさかな考え方を持っておりません。その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
#73
○山崎昇君 自治省来ていますか。――お聞きをしますが、自治体における勧奨制度、いまの時点における勧奨制度の現状を概略説明してください。
#74
○政府委員(砂子田隆君) 自治省で調べております昭和五十四年度における勧奨退職の実施状況について御報告をいたしたいと存じます。
 勧奨退職の制度を設けている団体は、都道府県では全部でございます。市におきましては九八・一%、町村におきましては九三%が勧奨退職制度をつくっております。
 これに対しまして、勧奨退職の実施状況でございますが、府県におきましては八九・四%、市におきましては七七・九%、町村では八九・七%が実施されております。合計で約八六・四%になっております。
#75
○山崎昇君 そこでしばしば議論になるんですが、勧奨制度では制度的に行き詰まるであろう、こういう話があるんですが、一体自治体でどこか行き詰まったところがありますか。
#76
○政府委員(砂子田隆君) 勧奨退職が行き詰まるということでありますが、これはおいおいそういう年齢に達してきたときにそういう事態が起こるであろうということが推定をされておるということでございまして、現実に勧奨退職をした中でも、市町村の中でも大変ばらつきがございまして、勧奨退職をした結果、わずか一〇%に満たないという市もございます。非常によくて九〇%を超えるというのももちろんありますが、非常にばらつきがあるものですから、そういう意味では非常に小さい率のところではむしろ行き詰まっておるんだろうというふうに推定をいたしておるわけであります。
#77
○山崎昇君 あくまでも推定ですな。そしてやっぱり自治体ですからね、それはその自治体、自治体の行き方があってしかるべきものであって、それが行き詰まるという物の考え方はやっぱりとるべきじゃないんじゃないだろうか。
 そこで、総務長官にお尋ねいたしますが、先ほどの私が四点ばかりに集約した中で、勧奨による退職制度は制度的に限界が来ているんではないんだろうか、こういう説明がありました。しかし、今度のこの定年制度をとったにしましても、これはあなた方、これではどうにもならぬものだから、御存じのように勤務の延長とかあるいは再任用とかという制度をとらなければ施行できませんね。これと、勧奨制度で多少の人間が勧奨に応じない、で残っている人もおるかもしれません。それと一体どういうふうに私どもこれは理解したらいいのか。あなた方が一番いいと言ってつくられるこの定年制度をとったにしても、そういう制度を併置しなければ定年制度は遂行できないんですね。
 だから、やっぱり公務員法の精神である能力の実証主義、成績主義、それに加えて本人の働く意思というものを確認をして、能力的にそんなに衰退がない者ならば当然働かせるというのが本筋じゃないでしょうか。そうしなければ、この勤務の延長にしましても、再任用という理論が通らぬのではないだろうか、私はこう思いますよ。これは、やっぱり私は定年制のデメリットだと思うんです、この点は。矛盾でないかと思うんですよ。中身はいろいろな考えあるでしょう。いろんなことがあるからこういう制度をつくっておいて、言うならばその人はある程度処理をしたいという考え方もあるかもしれません。あるかもしれませんが、制度論で言えば矛盾ではないかと思う。だから、そういうことを考えると、勧奨制度を推定で行き詰まるとか、行き詰まるであろうとか、そういう形で法律で人の職を奪うということはやっぱり考え直さなきゃならぬではないだろうか。
 そして、改めて聞きますが、この間来からあなた方が言っているように、定年制度をしいても勧奨は残していくと言うんですね。これも制度論でいったら矛盾ですよ。だから繰り返し申し上げますけれども、この定年制度というのはそんなにメリットがない。そして、これは別なときに議論をいたしますけれども、たとえば高校卒十八歳で入ってきまして、六十歳までいるとしますと四十二年ですね。いま国家公務員の共済組合法をながめますと、平均在職率は三十三年ですよ、この間の説明によれば。言うならば年金財政にもこれは深刻な影響を与えてきます。それからあなた方の説明で、定年退職やった者でも、二十五年以上は退職手当法の五条を適用するという点については野田質問に答えられておりますね。これはすべて五条適用になってきますよ。
 ですから、そういう点等々も私ども総合的に判断すれば、この定年制度というのはやっぱり一考を要する制度ではないんだろうか、逆に。ですから、多少の例外は残るとしても、やっぱり働く意思があって、能力がそんなに衰えてなくて、仕事ができる者は職場で活用するという考え方がいまの国家公務員法の精神ですよね。それを踏襲すべきであって、この制度は改めるべきじゃないんだろうかと重ねて私は思うんですが、人事院総裁の見解と総務長官の見解を聞きます。
#78
○政府委員(藤井貞夫君) 先刻の御質問に対してお答えを申し上げましたとおりでございまして、そういう御見解も当然あり得る事柄でございましょう。すべて職員についてその個人個人、個々の方々の能力なり、あるいは成績なり、意思なりというようなものに基づいてその処遇というものを最終的には決めていく、それでいいではないかという御議論、確かにございましょう。ただ、そういうふうなことでやってまいりますと、いまの分限規定ということの運用になってまいりますので、何か勧奨と定年とは一応別ですけれども、勧奨に応じたような形になっておる人が終局的には定年がないということになりますと、分限の関係で何号に該当したのか、しないのかというようなことになりましてもいろいろ不都合も生ずる面もあろうというような配慮があって、恐らくこの定年制というものがいろんな経験の集積として民間でも取り上げられてきたのではないかというふうに考えております。
 先刻お述べになりましたように、わが国における定年制のはしりは明治でございます。その後、戦前においては地方公共団体で一部やっておったところがございます。そういうようなことはやはり長年の経験に基づいて、その集積として、こういう制度の導入というものがむしろ全般的な、長期的な見通しとしては適当ではないかという判断に立って行われたものではないかというふうにわれわれは見ておるわけであります。
 まさしく今回の定年制の導入というのも、従来退職勧奨というものが大体目標どおりに機能してきたということはございますけれども、やはり見通しとして、このままでまいりますとそれが機能しにくくなってくるということは現実の姿でありまして、この点は毎年私も直接出てまいりましてお話しをし、またお話を聞いております。各省庁の人事担当課長さんのお集まりでも、そういう声がだんだんと強くなってきておるという現実の姿もございます。そういうような点を総合的に勘案をいたしまして、やはり民間にも普及いたしておりまする点、それとわが国の全般的な雇用対策、労働対策というようなものから見て、六十年六十歳というのは、まずまずここらあたりが適当ではないかという結論を下したわけでございます。
#79
○国務大臣(中山太郎君) ただいま人事院総裁がお答え申し上げたとおり、同感でございます。
#80
○山崎昇君 そこで総裁、重ねてあなたに聞きますが、確かに勧奨制度で、自治省の説明もありましたように何人かは例外のところもあるかもしれません。あるいは思ったほど勧奨制度が遂行できなかったところもあるかもしれません。そういう何人かの例外の人を対象にしまして、それを一般化して、意思も能力もある者を一定年齢で切るというやり方が私はおかしいと言っているんですよ。そういうものに対する対策なら対策で、従来から話が出ておりますように、労使間でもっと話をするなり、あるいはその他の方法がないわけでありません。ごく少数の人間のために多くの人間が制度として首切られるようなことを法律でやるということに、どうしても私はそれは納得できない。勧奨退職でそれができないという法はないですよ。やろうと思えばやれる場面だってありますよ、それは。
 だから、あなた方は衆議院でもそうでありますけれども、今日まで勧奨制度そのもので勧奨退職でスムーズにやってまいりましたと、そんなに支障がありませんでしたと、ただ将来を見たらどうも行き詰まりそうだから法律で首を切ります。これは私はどうしてもいただくわけにいかない、そういう物の考え方は。そして、いまの国家公務員法の精神はそういうことででき上がってないんだ、何遍も言いますけれども。科学的人事行政というのは、職と人を分けたり公開試験をやってみたり、能力の実証をどうやってやるか、そういうものをどういう方法で採用するかと細かく規定をしてあなた方やっているわけでしょう。そういうことが一切抜きにされちゃって、そして六十歳になったらあなたは首ですというやり方は、これはどうしても私はその点は納得できない。そうしなければ人事管理ができないなんというものではないと私は思っています。
 いま総裁からも話もありましたように、日本郵船取締役会の議事録もここにあります。これの中身を見ると、「当会社の業務を健全かつ敏滑に施行するには、老朽社員淘汰の必要あり。しかるところ、ただちに解傭するときは生活に困難を生ずる恐れあり。社員休職規則を設定す。」、決定されてやったのは、明治三十五年にこれが提起をされて実施したのは一九一八年、これは大正七年です。これが、当時日本郵船株式会社の取締役会の議事録ですよ。そして、そのときに日本人の平均寿命は幾つかと言ったら、男性は四十二・三歳ぐらいですよ。だから平均寿命四十二歳ぐらいですから、人生五十歳時代で五十五歳になったらお休みになってもいいではないですかと、それがそもそもの発足ですよね。何遍も言いますけれども、それから平均寿命が三十年も延びて、国連で言います、四十五歳以上の人口が七%を超えたら、これが御存じのとおり高齢化国家と定義づけているわけです。日本はそれに入ってきたんですね。そして、この間の厚生省の説明ではありませんけれども、五十歳前後で第二子はようやく大学卒ぐらいのものです。六十歳になったら、もう本人は首切られて、ほとんどいまの状態で行けば再就職、特定の者はいざ知らず、困難です。収入はと言えば、先ほど申し上げたように、共済組合の十三万程度です。退職金、これをつぎ込めばようやく食いつなぎができるかもしれない。そういう中で、何人かの人のためにこれを一般化して、制度として定年制を設けるということにはどうしても私は納得できない。これしか人事管理ができないなんぞということにはならないと私は思っている。
 重ねて私は、しつこいようですけど人事院総裁に聞きたい、本当に。そして、あなたも聞いておったように、厚生省の話では平均余命はかなり延びますね、ざっと十八・三歳ぐらいでしたから、いま六十歳の者は八十近くまで生きるんですね。そうすると、高校卒で仮に六十歳でやめたとしても、働いた期間の半分ぐらいの期間は、老後として何にもせずに私ども済まさなきゃならぬことになっちゃう。これは容易ならざることですよ。しかし、いずれかの時期に職場を去らなきゃならぬことは、私もそのとおりだと思うのです。死ぬまでいるわけにいきませんからいずれかやめなきゃならぬが、それは労働者がみずから判断をする裁量を残すべきではないだろうか。法律でそういう裁量まで奪っちゃって首切るということはどうしても私は納得できないんですが、重ねて人事院総裁の見解を聞きたい。
#81
○政府委員(藤井貞夫君) 繰り返しの御答弁ではなはだ恐縮でございますけれども、いまの勧奨について従来までかなりの成果を上げておったということ、これは事実であります。私もこの席上でも申し上げたことがあるということを記憶いたしております。ただ、その勧奨自体がむずかしくなってきつつあるということは、これは確かな現象でございましょう。また事実、高年齢化ということがだんだんと進んでまいり、また御指摘のようないろいろ今度の平均余命その他との関連を考えてまいりますれば、そういうような傾向はさらに強化されてくるであろうということもおよそ見当のつくことではあるまいかというふうに思います。
 お挙げになりましたるるの点は私も頭からもともと否定はいたしておりませんし、そういうことも考えの中に入れつつ、あれこれ思案してここまで来ておるわけでございますけれども、しかし社会一般の情勢の変化なり民間の動向、それとやはり国の雇用政策のあり方等を考えますと、六十年の六十歳というのは一応のめどとしてこれはしかるべきことではないかという結論に達した次第でございまして、ただ、この点われわれの方からも申し上げておりますように、今後急速に情勢が変化するわけですから、その間において社会一般の実態が非常に変わってくる、非常に際立った変わり方をしてくるというようなことがございますれば、これはわれわれとしても当然それについては追跡調査その他をやっておりますし、毎年の給与調査のときの関連で調べてもおることでございますので、そういう顕著な変化等があらわれまするならば、その時点においてまたわれわれの意見を取りまとめ、それなりに御審議をいただく機会があり得ると思うんでありますが、いまのこの時点についてはやはり将来の見通し等の点に立ってしかるべき結論ではあるまいかということでございます。
#82
○山崎昇君 やっぱりただ世の中の周りがそうだからいまの時点ではそうしなきゃなりませんというだけの話でありまして、それ以上のものではないんですね。やっぱりこの定年制そのものは、公務員制度から言っても、あるいは人間の平均寿命の延び、あるいは人間の労働能力、そういう点から考えても、あなた方自身が矛盾感じているんじゃないでしょうか、無理だと思っているんじゃないでしょうか。だが、冒頭に申し上げたように、民間で九〇%ぐらいやっている、勧奨退職では何人か残ってどうもうまくいきそうもないような気配もある。だから、まあやむを得ません、ただ総務長官から一つつけ加えられて、長期的な人事管理上考えておりますなんというのをつけ加えられました。しかし、メーンはそうじゃないんですね。ですから、私はこの問題、この点だけやっているわけにまいりませんけれども、繰り返し申し上げますけれども、特定の何人かの諸君のために一般的に法律で首切るという法律を制定することはどうしても私は納得できないということを重ねて申し上げて、次の質問に移っていきたいと思うんです。
 そこで、今度の法律の体系は分限の条項に入れてきているわけなんですが、この分限という考え方、それからこの中には、分限でもあるけれども勤務条件でもあるという、こういう説明が今日まで行われておるわけなんですが、分限という考え方について改めて聞いておきたい。
#83
○政府委員(山地進君) 分限と申しますのは、身分保障を前提として身分の変動にかかわることの総称であるというふうに私どもとしては理解しております。この国家公務員法、分限という款があるわけでございますが、そこには休職、免職、その他の身分の変動に関することが書いてあるわけでございます。
#84
○山崎昇君 分限とあなた方いま一般的に言うのは、身分の変動を規定する内容であると、こう言う。しかし反面、これは勤務条件であるという側面を否定することもできない、こういうことを何回か衆議院でも述べられておると私ども理解をしています。もしそうだとすれば、当然勤務条件という範疇の内容からいけば、交渉事項の一つであるということも帰結として出てこなきゃなりませんね。そういう意味で言うならば、六十歳で定年制をとるかどうかについてもやはり組合と交渉して、交渉が決裂した結果、あなた方の権限で出すということはあり得る。ただ組合の意見を聞きっ放しだけで、そして法律を提案するということは行き過ぎではないだろうか。そういう意味で言うならば、この勤務条件という側面についてどんな組合側と交渉なされて、そして今度の提案になったのか。これは人事院もかなり話し合いされていると思いますから、人事院と総理府からお聞きをしておきます。
#85
○政府委員(斧誠之助君) 職員団体の方々とはこの定年制度につきまして、総裁、事務総長以下、各レベルで書簡発出までに三十数回お会いしております。そこでいろいろの御意見をいただきまして、主たる御意見は定年制、度については、そのこと自体に反対するしないは別として、法制化という手段でやるのはよくないではないかという御意見が非常に主要な御意見であったように思います。私たちは、るる現在の公務員の在職状況、書簡に書きましたような事情を御説明しまして、御納得を求めるように努めたわけでございますが、そういう御意見も拝聴しながら、結果として書簡に述べましたような結論をまとめ上げたという経緯でございます。
#86
○山崎昇君 総理府。
#87
○政府委員(山地進君) この定年制に関係しまして、組合との会見の回数を申し上げますと、総務長官が八回、人事局長が十四回、合わせて二十二回でございますが、このうち法案の閣議決定前までの回数を申し上げますと、いまの中の内数になるわけでございますが、総務長官が六回、人事局長が十一回。したがいまして、法案提出前が大部分だったというふうに御理解いただきます。
#88
○山崎昇君 それはお聞きをしたということでしょう。俗に言う勤務条件については団体交渉事項の一つだから、協約締結権まで私は言いませんけれども、しかし、ただ会ってお聞きをしたという程度のことであって、回数はわかりましたけれども、通常に言う団体交渉のような形式じゃないんじゃないでしょうか。
 そこで、おとといも聞きましたが、自治省にもう一遍重ねてお聞きをしておきますが、実はこの間も示しましたように、昭和四十四年六月六日の衆議院の地方行政委員会で高辻法制局長官が、地公企労法第七条四号についてこういう答弁をされました。地公企労法の第七条第二号は「昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項」を決めております。第四号は「前三号に掲げるもののほか、労働条件に関する事項」を決めております。そこで「「労働条件に関する事項」というのがございますが、この定年制の採用に関する問題はやはり労働条件に関する事項に入る」、したがって「団体交渉事項になると思います。」、これが高辻法制局長官の地公企労法第七条第四号に関する答弁なんですね、法制局としての。その後法制局としてはこの答弁を変えたことがないんです。
 そうすると私は、一般職の場合は、なるほど労働基準法なりそういうものの適用を排除されておりますし、あるいは労働三権が制限されていることも事実問題として私は承知をいたしております。しかし、事地方公務員のうちでも、地方企労法に関係のある公企体関係の労働者諸君というのは、明らかにこの法制局長官から言えば団体交渉事項になってくる。したがって、団体交渉をやって、それに基づいて協約が締結されて、パンクするときもありますね、締結される場合もある。そういう後に、地方公務員に関する限りは定年制法案の提出なら提出があり得るんであって、そういう団体交渉なしに、分限事項でございますから聞きおく程度ですということになると、これは法制局長官の見解に相反してくる。
 そこで、地方公務員の場合にはどういう経過をたどって今回また出したのか、重ねてあなたの見解を聞いておきたい。
#89
○政府委員(砂子田隆君) 先般も御質問がございましてお答えを申し上げましたが、御案内のとおり、地方公営企業法の適用を受ける職員につきましても、地方公務員法の分限の規定の適用があるわけであります。したがいまして、分限の適用がある、そういう法律上の決められている事項についての団体交渉がないことは、もう御案内のとおりであります。
 南辻さんの、実は私も言われましてから、いま日にちがわかりましたが、けさそのときの速記録を捜そうと思ったんですが、ちょっと見つけられませんでしたので実はそのまま参ってきたわけですが、いまお聞きしたところ、定年制について交渉があるんだと、こうおっしゃっておられましたが、若干それ、もし高辻さんが定年制度とおっしゃるのであれは、分限との間で非常に法律上抵触する部分がありますから問題があると思いますが、定年ということについて団体交渉すると、こうおっしゃったのであれば、それはそれなりに、法律上、今度定年制度が設けられるわけでありますから、定年についての交渉というのは私はあり得ると思いますが、定年制度自身の問題につきましては、分限条項である限りやはり法律の問題でございますので、団体交渉の対象にはならないものだというふうに考えております。
#90
○山崎昇君 そうじゃない。
 いまあなたに言ったように、「定年制の採用に関する問題はやはり労働条件に関する事項に入る」、したがって「団体交渉事項になると思います。」という答弁ですよ。定年制の採用そのものについても団体交渉事項と言うんですよ、法制局長官は。あなたにいま私は、ですから昭和四十四年六月六日の衆議院地方行政委員会のこれは答弁ですよ。それは明確にしておきませんといかぬのですよ、これは。ですから、もし、あなた方が団体交渉をやらずにああいうものを提案したとするならば、もう一遍団体交渉をし直して、結果は同じものが出るかもしれません、結果は。結果は同じものが出るかもしれませんけれども、団体交渉すべきですよ。法制局長官の見解に明らかに反しますよ。どうですか。
#91
○政府委員(砂子田隆君) ただいま申し上げたような問題であろうと思います。ただ、一番初めの昭和三十一年なり、四十三年のときの問題につきましては、定年制の導入ということについての道を開くという法案であったと私は記憶しておりますが、そういう意味で高辻さんがそういう御答弁をなさったというのであればそれなりの考えがあったんだと思います。ただ、ただいま上程をいたしております地公法の改正につきましては、すでに御案内のとおり、分限ということで法律上明らかにしているわけでありますから、これについての考え方はやはり修正されたと思わざるを得ないと思います。
#92
○山崎昇君 法律でやろうが条例でやろうが、法制に間違いはありませんよ。適当勝手にやっておるわけじゃないですよ。行政権限でやっているわけじゃありませんよ。それは許されない。だから当然、地方企労法の適用を受けるものについては、団体交渉事項としてあなた方確認をしてやりなさいよ。この点は強くあなたに申し上げておきます。
 したがって、これに関連して、五現業の場合は、当然これは公労法の八条の四号に該当してくる、そういう意味でこの点もつけ加えて総理府に申し上げておきたいと思うんです。
 それから、もう時間も大分詰まってきましたから二、三別な項目でお伺いしますが、参考までに外国におきます定年制の状況についてお聞きをしておきたい。それは、たとえば、アメリカなんかの場合には七十歳定年制まで廃止をしましたね、連邦公務員の場合には。他の外国につきましても、私の知る限り、大体六十五歳から七十歳前後が多いと記憶しているんですが、外国の主なる国で結構でありますけれども、実情についてお聞きをしておきます。
#93
○政府委員(斧誠之助君) 西欧諸国の先進国の例で申し上げますと、アメリカはいま先生がおっしゃったとおりでございますが、西ドイツ、六十五歳でございます。イギリス、これは六十歳から六十五歳の幅の中で各省ごとに組合と交渉して決める、こういうことになっております。フランスは六十五歳、イタリア六十五歳、オーストリア六十五歳、オランダ六十五歳、デンマークは七十歳、スウェーデンが六十六歳、そういう例でございます。
#94
○山崎昇君 いま説明がありましたように、これらの国をしのぐぐらいいま日本では平均寿命の延びなり老齢化が進んでいるんですね。ですから、西欧先進国と言われるところを、いまお聞きした限りでは、アメリカはない。西独が六十五歳、イギリスは六十歳から六十五歳、各省ごとにまた別に決める。フランスが六十五歳、イタリア六十五歳、オーストリア六十五歳、オランダ六十五歳、デンマーク七十歳、スウェーデン六十六歳、日本みたいに六十歳でやっているところありませんよね。そして日本は、いま申し上げたように、国連の定義による老齢国家に入ってきた。そして、猛烈な勢いでいま老齢化してきていますね。したがって、中高年の雇用政策というのがきわめて重要な課題になってきて、法律で採用のパーセントまで決めていますが、なかなかそれが採用されない。
 こういう状態の中で、この外国の例から言って、よく大蔵大臣なんか、何か言うと外国の数字を出して外国がこうなっておりますということをずいぶん説明するんです。こういうことになってくるというと、外国よりはるかに低い制度をあなた方はおとりになろうとする。これは私は納得できませんね、これは。ですから、これずっと見ても一番低いところで六十五歳ですな、一番低いところ。こう考えるときに、外国を参考にしてやるということになると、いまのあなた方が提案している定年制というのは、やっぱりこれは余りいいものではない。仮にしくとしてもいいものではない。西欧民主主義といいますか先進諸国と、日本はずいぶん経済大国と言われるんですけれども、こういう制度に関しては後進国ですな。この点はどう理解しますか。
#95
○政府委員(斧誠之助君) 定年年齢もそうでございますけれども、勤務条件一般、給与、勤務時間、そういうものを含めまして、そういう労働条件がどういうふうに決まってくるかというのは、その国々の歴史的事情とか、その経済状況とか、そういうものを背景に決まってくるものだと思います。いま日本の状況の中で定年年齢を定めます場合に、どういう定め方がいいのかという点でございますが、これは先ほど来総裁からるる御説明しておりますように、わが国の各省における勧奨年齢、それの実態、それから民間の状況、それから年金支給の開始年齢、そういうものから見まして、総裁申し上げておりますように、現状では六十歳が妥当なのではないかというふうに考えたわけでございます。
#96
○山崎昇君 いや、現状ではあなた、妥当ではないかと言ったって、国会でずいぶんいろんなことを議論しますね、たとえば本会議でもそうでありますが、税率の問題でありますとか、あるいは所得税の問題でありますとか、社会保障制度の問題でありますとかというと、必ず外国の例を出して、日本は遜色ありません、外国と同じでございます、こう言うんだ。これはもう一般的にどの委員会でも説明されるのは、外国の例を引いて必ず言われますよ。いま聞いたら、外国ははるかに年齢が高いんですよね。そして、日本の場合には経済大国でございます、こんなすばらしい発展した国ございませんと言って、こういう制度論になるというと後進国並みになってくる、言葉は悪いですけれどもね。これはやっぱり一考を要するんじゃないでしょうか。あなた方外国を一般的に、政府は外国、外国と言うわけでありますから、そういう意味で、この点は指摘をきょうはしておきます。
 それから、次にお聞きをしますが、これは衆議院でもかなり議論になりましたけれども、きょう私は大蔵省を呼んでおりませんが、この制度をしいたら、まだ年金のつかない者がかなりおると私ども聞いております。そこで、国家公務員で一般職でどれぐらいおるのか、現業関係でどれぐらいおるのか、公社関係でどれぐらいおるのか。自治省にお聞きしますが、自治体関係でどれぐらいおるのか、説明願います。
#97
○政府委員(斧誠之助君) 人事院で所管しております給与法の適用職員についてお答えいたします。
 この前歴を調査するというのは、しかもそれが年金加入していたかどうかという調査は大変むずかしくございまして、いま申し上げる数字が絶対それに誤りないというふうにはならないわけでございますけれども、私たちが把握し得たのは百四十五名ということでございます。
#98
○政府委員(山地進君) 五現業の方でございますけれども、約三百十名でございます。郵政が百五十、林野が百六十でございます。
#99
○山崎昇君 三公社は。
#100
○政府委員(山地進君) 三公社の場合は私調べておりません。
#101
○政府委員(砂子田隆君) 定年制の実施の際に地方公務員の年金制度におきまして年金の受給権を有しないという人がどのくらいあるかということは、実は正確に把握してございません。ただ、昭和五十四年に財源率の計算をいたしました際に、地方公務員の共済組合の組合員の総体についてこれを考えてみますと、昭和六十年の三月末で六十歳以上の職員で組合員期間が二十年未満の者、あるいは同月の末におきまして六十歳未満ではありますが、六十歳までに在職しておっても組合員期間が二十年にならない者、そういう者を総計いたしますと、全体の二・一%、約六万四千人であるというふうに考えられております。
#102
○山崎昇君 いま説明ありましたように、給与法の適用者、非現業といいましょうか百四十五、現業が三百十、公社関係がわからぬと言うんですが、何か私ども聞くというとかなりおるんじゃないかと、こう言われます。それから自治体関係で、いろんな要素ありますけれども、六万四千ぐらい、ざっと合わせまして六万五千人ばかりいるわけですね。これはどうしますか。これはやがて共済組合法の改正というかっこうにするのか、あるいは別途の何らかの方途を講ずるというのか、その対策についてお聞きをしておきます。本当は年金関係なら大蔵省所管でありますから、大蔵省呼べばよかったんですけれども、総理府の見解を聞いておきます。また人事院の見解も聞いておきます。
#103
○政府委員(山地進君) この件に関しましては、かねがね大蔵省と御相談申し上げている点でございますが、そのことについて申し上げますと、このような無年金者に対しましては、民間における任意継続組合員等の特例措置を参酌して、共済法上特例措置を設けることにより対処することが適当であると考えております。今後とも関係省庁間で協議をしてまいりたい、かようなことを私どもの意見としては申し上げております。
#104
○政府委員(砂子田隆君) ただいま申し上げました六万四千人の者に係る共済の問題でありますが、実はこの中にはあるいは通算退職年金の制度の適用になる人がやっぱり入っておるんだと思います。入っておるということは別にいたしまして、いま人率局長からもお話がございましたが、もともと民間における厚生年金制度でもこれに対する救済措置があるわけであります。そういうことがございますから、そういうものも参酌しながら、関係省庁と話し合って共済法上の措置によって救済をしたいというふうに考えております。
#105
○山崎昇君 当然これは救済しなきゃならぬのですけれども、ただ総理府に言っておきますが、任意継続組合員制度といいましても、これは職は失って、収入はぐっと低下して、掛金は在職中の倍払わにゃいかぬのですよね、使用者分も払わにゃいかぬわけですから。これは単純に任意継続組合員制度でやるということにはならない。いま自治省は共済組合法を何とか検討して共済組合法で処置をしていきたいというお考えですが、任意継続組合員制度だけはこれはとられたんでは、本人はとてもじゃありませんけれども、掛金が容易じゃありません。ですから、そういう方向にならぬようにひとつあなたにこの点は指摘をしておきたいと思うんです。
 さて次に、もう時間が迫ってきましたから細かに少し入っていきますが、この間もお聞きをしましたように、長野さんの解釈を参考にしてこの間申し上げました。一体この定年による職場からの離脱というんですか、離れろというんですかね、これは退職なんですか免職なんですか、失職なんですか、これは何ですかね。どうしても私、よくわからないんですが、その性格についてお聞きをしておきたい。
#106
○政府委員(斧誠之助君) 国家公務員法で職員としての身分を失います場合の全体を概念する用語として、離職という用語になっております。離職の中の形態として懲戒免職、分限免職、失職、任期満了による離職、退職、それから定年による退職というふうに分かれるわけでございます。したがいまして退職という概念でございます。
#107
○山崎昇君 しかし、私がおとといあなたに聞いたときに、行政局長をやりました長野さんは、正確に物を言えば分限処分ですと言うんですよ。退職とか離職とか、そういう言葉を使ってないんですよ。分限処分と言うんですよ。処分である限りは何らかの形を出さなきゃなりませんね。あなたのいまの説明は私も承知していますよ。だから私はおととい冒頭に、公務員の任命とは何ですかと聞いた。あなたも総務長も認めた、それは。田中二郎さんの学説認めたんですがね。その上に立っていくと、本人の意思でやめるのは確かに辞職ですね、本人の意思で。それから、国家公務員法七十八条の規定によって心身の故障があるとか、職務にたえないとか、あるいは官制上に過員が生じたとか、組織がなくなったとかという場合には、七十八条の分限によって免職というかっこうが意に反してやられる、それは承知します。あるいは刑事事件に引っかかって休職になっていて、そして刑が確定する、禁錮以上の刑が確定すればその日に失職になることも承知しています。さらに任用規定の八−一二によりまして三年間という任期を切って採用する場合も規定されていますね。ですから、その場合にはそれは確かに任期満了による離職ということもあり得る。しかし、いまの公務員法上では定年退職とあなた方言うんだけれども、こういうことを想定してないものだから、したがって地方公務員のこの定年制が出るときにずいぶんこの点をめぐって議論して、そして先ほども申し上げたように長野さんは正確という言葉を使っている、正確に言えば分限処分でございますと。これが私よくわからぬものだからあなたに聞いている。離職の概念に入ってこないんです、これ、当時の説明からいくと。だから分限処分ということになるというとどういうことになるんだろうか。任用局長に聞きますが、どうですか。
#108
○政府委員(斧誠之助君) 現在でも国立大学の教官、それから検察官、この二つの職種には定年がございまして、定年による退職というのはあるわけでございます。これは離職の中の、定年による退職という、そういう概念の形態であるということで処理しておるわけでございます。今回の定年制導入につきましても、大学教官や検察官と同じでございまして、定年による退職ということになると考えております。
#109
○山崎昇君 その制度はありながら、地方行政委員会のそういう答弁。これは自治省に重ねてお聞きしますが、一体長野さんがそういう答弁されているんだけれども、どうですか。
#110
○政府委員(砂子田隆君) 山崎委員何もかもお知りの上でお話をなさっているんだと思いますから、あえて私から申し上げなくてもいいと思いますが、当時長野さんが局長でおられましたときには、地方公務員法上にそういう定年の法制化という、定年制という制度がございませんでした。新たに定年制を導入をするという道を開くという意味で地公法の改正をいたしたわけであります。そこで、どういういまの地公法上の体系の中に組み入れるかということを実は御質問なさった方がおりましたので、長野さんは、あえて言えば分限処分ではなかろうかということを申し上げたんだと思いますが、いま任用局長がお話を申し上げましたように、地方公務員法上は現在のところ何も規定がございませんので、私たちは一般的には定年による退職だというふうに認識はいたしております。
#111
○山崎昇君 それは事実上の認識であって、法解釈上の問題じゃないでしょう。だから、そういう点からいってもやっぱりまだまだこれ詰めなければならぬ点があるわけです。
 そこでおとといもちょっと触れましたけれども、勤務の延長、それから再任用にちょっと移っていきたいと思うんですが、提案されております法の規定を見ると、退職の、定年に達した日の属する会計年度の三月三十一日、こうなっていますね、基本的には。そして、その閥任命権者が適宜決めるというので、この間お聞きをしたところが、人事異動の日だとかあるいは四半期ごとだとか、いろいろ言われております。これ各省ばらばらになってもいかぬのでしょうが、人事院として大筋任命権者が決めるであろうと思われる基準みたいなものは、やがてあなた方は意思表示をしなければならぬと思うんですが、どんなことを考えておられるんでしょうか。
#112
○政府委員(斧誠之助君) 定年退職日につきましては、最も遅い時期で年度末の三月三十一日のことを法定しまして、それ以前に任命権者の指定する日が定年退職になるということにしておりますが、これは各省ごとにおける人事異動の従来からの異動時期というものが若干異なっておりますし、それから現在勧奨退職する場合にどの時点でやめるのかというのも各省ごとに若干ずつ、全部が全部同じというわけじゃございません。そういう点の人事管理の必要性というものを考慮しましてこういう規定になっておるわけですが、いつを退職指定日とするかということにつきましては、実は総理府の方でこの法案にございます総理大臣の調整ということで、職員間に不公平の起こらないように調整をしていただくということになっております。
#113
○山崎昇君 いや、だから具体的にどうするのかよくわからないね、あなた。人事異動だって各省ごとに違うんでしょう。それは多少の違いはあると思いますね。しかし人事異動日という、定期的にやっているという、たとえば、これは例でありますけれども、参議院の職員の場合には七月一日が定期らしいですね。ですからそういうものはあると思うんです。
 それから勧奨退職でいままでやってきた日付と言っても、これもいろいろありますね。あと何がありますか。そしてもしそういうことをやったとしても、三月三十一日生まれの者はどうなりますか。これは全くありませんね、余裕は。たとえば、昭和六十年の三月三十一日から法施行になるのですけれども、六十年の三月三十一日で満六十歳になった者はどうなりますか。これ、その日でちょんですか。そうでない者は多少の余裕はありますね。
 たとえば、私のことを言って恐縮ですが、私は六月二十八日生まれ、そうすると仮に四半期ごとという決めをしたとすれば、私は九月三十日ぐらいにやめるということになると多少の余裕がありますね。しかし三月三十一日に生まれた者や三月三十日に生まれた者はどん詰まりになりますね。そういう者は多少翌年のたとえば四月一日といいますか、あるいは六月三十日といいますか、そういうような運用の幅ありますか。そうしなければ、これはかなり四月の一日、二日生まれと三月三十一日生まれでは一年間の差があるわけなんですが、どこで切っても多少の矛盾は出てきますけれども、余りにもひどい矛盾が出る。そういう点についてあなた方幅ありますか。
#114
○政府委員(斧誠之助君) 学年年度の四月二日から翌年の三月三十一日、四月一日まで、ここの間に生まれた方というのは学校に入るのも一緒でございます。社会に出て就職するのも一緒でございます。いずれも仮に四月一日採用といたしますと、どの時点で生まれましても四月一日から新規採用されるわけでございまして、そういう意味では勤務期間というのは同じになるわけでございます、生まれ月がどうであっても。そういう意味で、そういう学年年度が一緒の方は一つで扱うのが一番公平ではないかという考え方で……
#115
○山崎昇君 いやいや、公平だって現実にはそうはならぬじゃないですか、あなた。あなたね、じゃ三月三十一日生まれで三十一日でちょんになりますか。だから運用に当たって法がその会計年度の三月三十一日と、こうなっているから、法律上でそうなるから私は問題があるんじゃないでしょうかと言うんですよ。これはやっぱり考えてみなきゃならぬ点じゃないでしょうか。多少の余裕なければ余りにも極端ですよ、そういう。極端な例を言っているわけだけれども、これはひとつ考えてもらいたいという点です。
 それから、この間もちょっと聞きましたけれども、どういうこれ発令形式になるんですかね、辞令といいますか。
#116
○政府委員(斧誠之助君) 定年退職というのは、先ほどから申し上げておりますように、一定年齢に達したことによって自動的に法律によって退職が決まる、こういう制度でございます。したがいまして、それは何らの処分を要せずしてそういう状態になるわけでして、したがいまして、辞令はこれを確認するという意味で、何年何月何日に定年退職したという確認通知をするのがよいと考えております。
#117
○山崎昇君 そうすると、通常官庁でやっております発令形式というのはとらないんですね。たとえば私が考えたのは、法第八十一条の二第二項により退職を承認するとか、通常なら本人が申し出た場合には辞職を承認するという辞令形式をとりますね。あるいは転任の場合もそうですね。そういうものはやらぬのですか。ただ、あなたは年齢来ましたから退職を確認をしますと、そういう辞令になるんですか。私は辞令のことを聞いているんです。
#118
○政府委員(斧誠之助君) 現在の制度で例を申し上げますと、任期のついている職員が任期満了日が達しますと、任期が満了したという確認通知を出すことになるわけであります。
#119
○山崎昇君 それだけですか。
#120
○政府委員(斧誠之助君) それと同じ概念でございまして、定年退職もその日をもって法定された、退職することが法定されているということでございますので、それは自動的なものでございます。したがいまして確認通知をするということでございます。
#121
○山崎昇君 それじゃそれに関連してお聞きをしますが、たとえばこれは決め方ですから、例で言うと、四半期ごとに仮にその任命権者が決めたとしますね、決めたとする。そこで先ほど来言っている、自分のことで申しわけないが、六月二十八日。あなたは九月三十日までが限度ですよと、おやめいただきますと。そうすると、私の定年によるあなたの言う確認の日というのは、九月の三十日ですか六月の二十八日ですか。九月の三十日ですね。
#122
○政府委員(斧誠之助君) 九月三十日でございます。
#123
○山崎昇君 そうすると勤務の延長は十月の一日からですか。九月の三十日で私は確認をされることになる、仮にやめるとすれば。そうすると勤務の延長は十月一日からですか。それから一年という意味ですか。それとも六月二十八日だから六月二十九日から一年という意味ですか。
#124
○政府委員(斧誠之助君) 十月一日から一年ということです。
#125
○山崎昇君 十月一日から。そうすると重ねてお聞きをいたしますけれども、勤務の延長がさらに延長される場合は、これもたとえば十月一日から来年の九月三十日で切れますね。そうするとまた十月一日から。こういうことで確認しておきますよ。いいですね。
#126
○政府委員(斧誠之助君) そのとおりでございます。
#127
○山崎昇君 それじゃ再任用の場合についてお聞きをしておきますが、再任用の場合も勤務の延長と同じですね。そうすると、九月三十日で私は定年による、あなたの言う確認行為だという。そうすると、再任川は一日置くということになると、十月の二日から採用するという意味ですか。
#128
○政府委員(斧誠之助君) 十月一日からでも実は構わないわけでございますけれども、退職手当法、共済年金法が退職の翌日即採用になりますと年限が引き続くと、こういうことになっておるわけでございます。そうなりますと、再任用後の給与をどのように決めるかという決め方にもよりますけれども、もし給与が下がるというようなことになりますと、退職手当あるいは共済年金で損をするというケースが出てまいるわけでして、そういうことを避けるために実はそこに一日置くとそういう損害が起こらないよと、したがって十月二日から再任用すると一番都合がいいのではないかという、そういう説明をしておるわけでございます。
#129
○山崎昇君 だから、いま私が聞いているのは、私を例にとって九月三十日で私はあなたの言う確認行為の口ですよと。再任用の場合は一日置くというから、十月二日からですねと。それから、その人がもう一年また延長して再任用するときには、今度は十月の二日から翌年の十月の一日までが一年になりますね。また十月の二日ですか。そのときまた一日置くと、十月の三日という意味ですか。
#130
○政府委員(斧誠之助君) 更新はもう翌日からでよろしいわけでございます。
#131
○山崎昇君 翌日から。はい、それ確認をしておきます。
 さて、その再任用なんだけれども、その場合あなた方は、おとといも申し上げましたけれども、新規採用と言うんだ。新規採用ということになるというと、関連する条文がたくさん出てきますね。三十三条、三十五条、四十四条、五十四条ですか。そうすると、これは試験採用か選考採用かから始まりまして、問題点が出てくるのではないだろうか。これは一体どういうふうにあなた方は考えるのかということが一つ。ただ給与だけが初任給の三号で抑えるということは、その等級のね、新規採用でありますから、これは少し私は過酷ではないだろうかという気がしますから申し上げている。
 それから、もう一つお聞きをしておきたいんですけれども、この再任用という考え方の前に、任用規則の八−一二の十五条を見ると、三年なら三年という期限を切って採用する規定もありますね。あえてこの定年制度に一年ごとに区切って再任用という形でなくても、八−一二のあの期限の採用でできるんじゃないんでしょうか。それが一つと、もう一つは、新規採用ということになるというと、六カ月間の条件づき任用期間ということが起き上がってくるんじゃないでしょうか。これは一体どういうふうにこの再任用の職員にかかわってくるのか。その他の規定との関係について説明を願っておきたい。
#132
○政府委員(斧誠之助君) 最初の、試験をやるのかどうかという点でございますが、選考については国公法の中では人事院規則で定めるということになっておりまして、その人事院規則の定めの中に、かつて職員であった者を条件つき期間――つまり正規に採用されたかつて職員であった者をその者がついていた職務と同等以下の職務に採用する場合は選考でよろしいという規定がございます。したがって、再任用のケースは選考採用ということになります。
 それから、次に八−一二の十五条の期限につき任用でございますが、これは規定にありますように、出初において事業計画が三年以内に終了するということが明確な計画がある場合に、期限を付して定員内に雇うことができるということでございまして、再任用の場合は別に事業計画というものが明確でなければならぬという性質のものではございませんので、そこが違うわけでございます。
 それから、条件づきにつきましては、これはそもそもの精神が公務員として適正があるかどうかを半年間試してみるという、そういう趣旨のものでございますので、再任用される職員は、そういう試しはもう十分受けておるわけでございますので、外していく予定でございます。
#133
○山崎昇君 おかしいじゃないですか。おとといあなたに聞いたら、欠員補充だと言った、この再任用は。欠員補充なら当然三十三条、三十五条にかかわるんではないでしょうかと言ったんです。いま、あなたは選考でやると言うんです。だから公開試験はやらぬと言う。当然新規採用ならば五十九条の条件づき任用期間というのは適用されてきますよ、あなた。
 もう一つあなたにお聞きしますけれども、公務員法上任用基準の中に人材の確保やあるいは公務が困るから採用するなんという基準はありませんですよ。だから、再任用というんで、多少あなた方は職員を救いたいという気持ちは私は否定するものでもない、それは。しかし、法律の規定上からいけばやっぱり矛盾をしてくるんです、こういうやり方というのは、取ってつけたような制度を設けてくるということは。だから、いまあなたが五十九条に言う条件づき任用はやらないと、こう言う。やらないならやらないというような根拠を明確にしておいてください、それは。単にいままでおった人をそのまままた採用するんだから、初めての採用の人と違うからその条文は適用しないでいいんでございます、それでは済まされない。法律論ではない、それは。だから、やっぱりこの定年制というのは個々の条文で言ったらそういう矛盾が出てくる。これはあなた、条文見て考えておいてください。
 それから、自治省にお聞きしますけれども、私はこの再任用の一日置くという考え方、この間も聞きましたが、国家公務員の場合には、これは労働基準法全面排除ですから発動されてきません。しかし、地方公務員の場合には、一部排除されておりますけれども、労働基準法十四条の規定が私は動いてくるんではないかと思うんですね。労働基準法十四条は何かと言ったら、一年を超える任期を定めて雇用しちゃいけませんと、ただし一つの事業が何年なら何年で終わる場合にはその任期を決めてやってもよろしゅうございますと、こうなっているわけだ。だから、私はこの地方公務員が一日置くというのは、これは労働基準法の十四条に関連をしてそういう制度を考えられたんではないだろうかという気がします。しかし、国家公務員についてはその規定がないものだから、どう決めてもいいと言えばいい形だけれども、地方公務員とのバランスをとってこういう制度をつくったのかなという感じがしているんですが、一体自治省でこういう再任用の方法をとったというのは、この十四条との関係を勘案されてやられたことなのかどうか、この機会ですから聞いておきたい。
#134
○政府委員(砂子田隆君) 御案内のとおり、地方公務員には労働基準法適用があるわけであります。一般的にもあるわけであります。再任用の規定というのも、実は国家公務員と地方公務員との整合性という問題に大変重点を置いておりまして、国の再任用というものと数を合わせたということでございます。
#135
○山崎昇君 しかし、それは逆じゃないですか。法体系から言えば逆じゃないですか。地方公務員はできないんだよね、十四条が引っかかって。だから一日置いて、次の再任用するときまた一日置いて切っておいてやる、こういうやり方を、やっぱり無理してこういう規定をつくっているところに規定上で言うならばこの定年制というのはやっぱり問題がある。これは指摘しておきます。任用局長首をひねっているけれども、あなた五十九条の適用できませんなんということになりませんよ、新規採用で欠員補充と言うなら。そういう点をまず指摘をしておきます。
 それから、この間申し上げましたけれども、休職中の者、それから公務災害の補償を受けている者、公務員災害補償法で補償を受けている者が定年来ました、はいあなたはおさらばです、これはやっぱり私は考えてみなければならぬ点の一つじゃないだろうか。
 それから、この間も申し上げましたけれども、休職にはおおよそ四つありますね。これはあなた御存じのとおり。一つは公務上の負傷等で休職する。これは期間は別に定めてないわけです。しかし給与は全額払っていますね。これは休職です。二つ目は、結核の療養の場合には二年間という休職期間がある。給与は八〇%支給しますね。結核以外の療養の場合には、一年間の休職期間で給与の八〇%をこれまた保障している。もう一つは、刑事事件で起訴されれば期間に定めがありませんね、そしてこれは給与の六〇%を生活給として保障している。この休職期間中に六十歳の誕生日を迎えたら一体どうなるかというと、この間あなたは、そこで身分がなくなります、こう言う。しかし、他の法律でこの人は処分を受けている、その処分を取り消しなくして他の規定でちょん切るというやり方は、私は規定上から言えば無理があるんではないだろうか。
 だから強いて言うならば、この定年制の法律の中に、そういう者についてはその規定によって、処分にかかわらず定年なら定年で退職するものとするとかどうとかいう、そういう経過規定が設けられるなら私はまだ理解をします。理解をする。しかし、そうではなくて、七十八条なり七十九条なりで休職処分を受けていて、その者が処分の取り消しも何もなしに八十一条以下で首切られるということは、立法技術から言ってもこれは問題点が生ずるんではないだろうか。これはやっぱり検討してもらいたいと思うんです、私は。特に公務上の負傷等で休職している者については、これは最大の考慮を払う必要があるんじゃないだろうか。重ねてあなたの見解を聞いておきたい。
#136
○政府委員(斧誠之助君) 定年制度そのものが、定年に達したことをもって自動的に退職するということでございますので、つまり、そこで公務員の身分を失ってしまうということでございますので、その定年に達した時における公務員の職員の勤務関係あるいは身分関係、そういうものがどういう状態であってもそれは身分がなくなりますよということでございますので、休職中でありましても定年退職ということになるということでございます。
#137
○山崎昇君 それはおかしいわ、あなた。別な規定で別な処分をしておいて、この規定でなくなります、その処分が消えるなんということはないよ。だから私は、最初長野さんの解釈をあなたに言ったのは、長野さんは免職処分という言葉を使ったから言っているんですよ。これは離職でも退職でもありませんと、こう言ったんだ。言っている。免職処分ですと言うから、それなら規定上同格じゃないですか、あなた。前の処分を取り消して新しい処分をするなら私は理解します、規定上で。そうではないから言っているわけですよ。これはどうしても私はこの休職中の者の扱い、とりわけ公務療養の場合には考えてもらわなければ大変なことになると思うんですよ、これは。ですから、本当は規定をもっと詳細にやればいいわけでありますけれども、ざっと私ども素人なりにこの規定自身を見てもやっぱり幾つかの矛盾があるし、無理がある、この定年制というものについては。どうしてもいまの国家公務員法全体の体系から言って、ここだけいじくるものだから、全体の体系についてある程度の考慮がないものだから、やっぱり無理が生じてくるし、矛盾が生じてくる。この点は重ねてあなたにひとつ私は指摘をしておきたいと思うんです。どうですか。
#138
○政府委員(斧誠之助君) ほかのことでちょっとお答えさせていただきますが、勤務延長、再任用、この制度は実は今回定年制を設けますことによって新たに公務員制度の中に定年制に関連する制度として導入されてくるものでございますので、従来の公務員制度のどれに当たるかということではないわけでございます。
 それから、公務災害の職員につきましては、実は定年制度が適用になるという点では、これは仮に公務災害を受けて休職にならないで病気療養中という、つまり病休中という形でありましても退職ということになるわけでございまして、そういう意味では、休職になっているなっていないにかかわらず、同じことになります。これが公務災害の補償法の取り扱いとしてそれでは不十分かどうかという点はまた別途あろうかと思いますが、任用上の関係としてはそういうことになるということでございます。
#139
○山崎昇君 いや、これは問題がある。それだけでは私はやっぱり納得できない、それは。それは新しい制度ではありますけれども、旧制度によって処分されている者が新しい制度で別な処分を受けないままなくなっていくなんということは、どうしても私は規定上の同格性から言ったってそれはできない。これは私どもも検討しますけれども、やっぱり任用局でも十分な検討を願っておきませんと、事柄は法律上の規定上の問題でありますから、お願いしておきます。
 それから、再任用された者の退職手当のやり方が、退職したときのものを基礎にして計算して、再任用したらまた別な何か制度をとりそうな考え方のようでありますけれども、再任用された者の退職手当はどんなふうに具体的にされようとするのか、お聞きをしておきます。
#140
○政府委員(山地進君) 再任用する場合には二つやり方がございまして、翌日そのまま再任用される場合には、規定の当然の適用といたしまして最終俸給が基準になりまして、かつ最終俸給でやめられる場合の年限というもので計算する、つまり再任用される前の給料よりも下がった場合には、低くなったもので、しかし期間は長くなって計算するということでございます。
 それから、一日置いた場合には、前任の職をやめたときの退職手当というものとそれから後の期間についての退職手当、つまり高い給料で長期間働いていたものの退職手当の計算とそれから後の期間についての、つまり安いであろう給料と短い期間との計算をしたものとを通算して計算するということと、それから最後の、前の一日置いたもの、置かない、すぐ翌日になった場合と同じでございますが、そういう計算のどっちか高い方をとることができるということが退職手当の規定でございます。
#141
○山崎昇君 いやいや、おかしいよ、そんなはずはない。
#142
○政府委員(山地進君) 失礼しました。退職手当の方は通算ということになっております。
#143
○山崎昇君 いやいや、そうじゃないんじゃないの。
#144
○政府委員(山地進君) 大変失礼しました。年金とごちゃごちゃになりまして。
 一日置かない場合は、先ほど申し上げましたように、安い給料で長い期間ということでございます。それから、一日置いた場合は、そこで退職いたしまして、その退職金とそれから次の新しく始まる期間についての一年なり二年なり三年なりの退職手当というものが別に今度は支給されると、つまり最初のやめたときに、再任用される前に退職手当というものを受けて、それからまた新しく就職するときは、再任用されるときは次の短い期間の給料に相応するか、短い期間の退職手当を受領すると、こういうことでございます。
#145
○山崎昇君 いや、私は具体的に聞きますよ。
 だから、さっき私のこと言ったから、九月三十日で私やめますね、そうすると、その時点で私が仮に二十五年なら二十五年おったとすると、その退職金はその最終俸給であなた方は計算して払いますと。それで、私が今度再任用されると仮定します。一日置くわけでしょう、一日置いて、ですから九月三十日に私がやめれば、十月二日に採用するわけでしょう。そして次の年の十月一日で一年になりますね。そうするとまた一日置いて――再任用の場合は一日置かないんですね、引き続いてやるわけですね。そうすると再任用の間は、閥だけで計算した退職金を別に払うということですね、別に。
#146
○政府委員(山地進君) そのとおりでございます。
#147
○山崎昇君 そうすると、重ねてお聞きをしておきますが、この間野田質問で、定年でやめたときに、二十五年以上の場合には第五条を適用してこれは五割増しで払いますと。私は、仮にいま私の例で言えば五割増しもらいますと、それから再任用された場合には、これは最高三年ですから、三年未満ですから、その率で払いますと、そのときの最終俸給でやりますと、こういうことですね。ところが、逆にこういう場合もあるんではないかと思うんですよ。私が九月三十日でやめたときには二十二年である、再任用されて、三年再任用されてやめるときには二十五年になると。そうすると第五条の適用については、九月三十日でやめたときには適用がない、三年間再任用されてやめたら低いものでもらう。結局は通算すれば二十五年で五割増しになるんだが、できないという場合がある。こういう場合はどうしますか。
#148
○政府委員(山地進君) まあ、その方の選択というとちょっと問題があるわけですけれども、翌日そのまま任用して三年間で二十五年になるような方の場合には、多少給料が減ってもそのまま勤めた方が期間が長くなり、かつ五条適用になるから、退職金に関する限りは高くなる可能性があるわけです。
 ところが共済年金の方は、これはさっき御説明したようなことで、どちらか有利な方というわけにいかないということで、これは低くなってしまうということになるわけでございますから、その選択ということを厳密に示唆、どちらが得するかということの御判断ということで、翌日の任用ということもそれはなきにしもあらずだと思います。
#149
○山崎昇君 だから、確認をしておきますが、いま言うように仮に再任用されて、その期間通算されると二十五年で五条の適用をされる、そういうこともありますと、あなたの方はそういう運用もいたしますと。しかしその場合には、再任用でありますから、初任給の等級の三号が最高位になっていますね。三年たてばその人はしかし六十歳でやめているわけですから、昇給ということはあり得ない。いまの制度でいく限り採用されたときのものでいく。ただ考えられるのは、一般的な給与水準は上がるわけですね、人事院勧告で。その分だけはふえますね。その分だけは。だから、それを基礎にして退職金は計算をする方がいいのか、それは五割増しになりますね。しかし私は、等級にもよりますけれども、仮に(一)のかなりな人が再任用された場合に、等級の三号ということになるとかなりの差になりますね、基礎俸で。これは計算してどっちが得かいますぐ具体的な例でやってみなきゃなりませんけれども、しかしそれは本人が選択するんだろうと思いますが、いずれにいたしましても確認をしておきたいのは、本人の選択に任せて、官庁側としてはその人の不利にならないように処置をいたしますと、こういうことだけは確認をしておきたいと思うんですが、どうですか。
#150
○政府委員(山地進君) 再任用というのは、必ず一日あけなければならないというふうな法律的な規定にはなっておりませんので、三日置こうが四日置こうが、それはできると思います。
#151
○山崎昇君 いやいや、それはちょっと聞くわけにいかないよ、あなた。法では一日置いて採用することにしているんでしょう。その人によってそれは二日置く場合もあるかもしれませんが、とにかく翌日ではないことだけは確実。その者が再任用の期間を再延長する場合には間置かないと言うんだから、だからさっき申し上げたように、私の例で言うと九月三十日にやめたときに退職金払う、二十五年以上の場合には問題ないんだけれども、再任用されて、それが更新されて、三年おればこの人は二十五年になって割り増しの第五条の適用を受けることになる場合がある。その場合にあなた方どうしますかとさっきから聞いている。だから、本人の選択に任せるなら任せるできちっとしてください。
#152
○政府委員(山地進君) 私の申し上げているのは、翌日でも結構でございます、何日あいても構わないということでございまして、御本人の有利な点で構わないと思うんですが、ただ、いまの点について先ほども御説明いたしましたのは、退職金に関しては翌日が有利であろう、ただ年金の計算に関しては翌日入られた場合には年金が恐らく減るであろうということでございますので、その点についてはよく御本人に御説明をして、よくお考えいただかなければいけない点が起こるだろう、こういうふうに考えております。
#153
○山崎昇君 共済組合法は七十八条、七十九条で期間通算やるわけですね。しかし一年間の平均給をとりますから、期間は通算になりましても年金計算不利になる場合もあります、それは承知していますよ。それは通算になるからいいんです。ただ、私がいま聞いているのは、退職金の場合にそういうケースが、いろんなケースが出てくる。その場合に、あなた方はいや九月の三十日であなたやめるのだからそのときの退職金ですよ、あとは再任用しましても三年だからその期間だけで計算して、それは別ですよというようなことを、基本的にはそうだけれども、しかし通算されたら五割増しの二十五年になる場合もあり得るから、その場合は本人の選択の幅というものが運用上あるんですかということを聞いているんだから、あなたあると言うから、それは確認をしておきたいと言うんですよ、いいですね。
#154
○政府委員(山地進君) あります。
#155
○山崎昇君 もっともっと私は公務員法の規定あるいは退職手当法の規定、どうも退職手当法については入らぬようでありますから質問できないんですけれども、退職手当法が上程になればなったときに詳細にまた私は現行法との関係で聞いていきたいと思っておるんですが、いずれにいたしましても、もう繰り返し申し上げているように、この法案というのはやっぱり矛盾がたくさん出るし、それから何人かの特定の人間を首切るために多くの人間を一般化して、制度として首切る制度を導入するということは、どうしても私どもこれ納得できませんし、いい法律でない。だから、おとといも申し上げましたけれども、人事院総裁なんか顔色余りよくないですな、実際見ておりまして、佐藤さんのように明朗な顔にできないのはそういうところにもあるんじゃないかと思うんだけれどもね。どうぞひとつ、やっぱり働く意思があって、能力がある場合はこういうようなことやめて、きちんと処遇をする、そういうことを重ねて最後に申し上げて、ひとまず私の質問を終わっておきます。
#156
○安武洋子君 私は、この定年制度を、一昨日も申し上げましたように、こういうものは導入すべきでない、こういう主張をいたしております。でも、あなた方は一方的にこういうものを導入されようとなさっていらっしゃる。そのことによって無年金者が出るということを御存じだということは先ほどの質疑の中で出ておりました。
 そこで、私はこの無年金者の問題についてお伺いをいたしますけれども、先ほどの御答弁の中で、給与法の適用職員で無年金者というのは百四十五名だと、それで現業を含めて四百五十五名というふうな数をおっしゃっておられました。
 そこで聞きます。退職年金はつかないけれども通算年金のつく人は何人なんでしょうか。さらに、共済組合法上の退職年金の受給資格がない人は一体何人になるんでしょうか、お答えいただきます。――ちょっと急いでください。
#157
○政府委員(山地進君) 五現業の方から先にやらしていただきます。
 五現業の方はトータルで、共済法上の退職年金の受給資格のない者は六千九百四十八人でございます。それから、通算退職年金がつく者が六千六百三十八人、したがいまして通算退職年金もつかない完全な無年金者というのはその差額の三百十名でございます。
#158
○政府委員(斧誠之助君) 給与法適用職員で、これはもう先ほどからお断りしておりますし、衆議院でもお断りしたんですが、私どもが把握しておりますということで申し上げておるわけですが、共済年金の六十歳、この定年制がもし実施されれば、その時点で六十歳以上になって共済年金がつかないというのが三千四百六十八名、そのうち通算年金がもらえる者が三千三百二十三名、通算年金もないという無年金者が百四十五名ということでございます。
#159
○安武洋子君 大まかな数字だと、だからこれは全数調査をなさったんでなくて、これは概数によるものだと思いますけれども、しかし大変私はこの数字が大まか過ぎると思うんです。
 と申しますのは、私はここに人事院の調査の五十五年四月一日現在の在職者の採用時年齢階層別分布、これを持ってきております。これは人事院の御調査ですから御存じだろうと思いますけれども、これは五十五年に採用したときの年齢階層別の分布ですから。それで、いま定年は、あなたたちによれば労務職員は六十三、そして技能職員は六十歳、こういうことになっております。
 これで拝見いたしますと、五十五年四月一日の採用で四十五歳の労務職というのは、六十三歳の定年を迎えるとすると十八年しかありません。ですからこれは年金がつきません。それから五十五年四月一日、四十一歳で採用された人は、技能職員で六十歳の定年を迎えると十九年、やはり年金がつきません。この数がどれくらいあるか――おたくの調査ですからね、これで私が拝見してトータルしてみますと、労務職員で千七百二人、それから技能職員で、これは四十歳からとなっておりますから、四十歳の方は該当しませんから、三千三百人ぐらいというふうに申し上げた方が正確でしょう。両方で約五千人あります。
 とすると、いかにも概数と言いながら数は千六百人以上違う。これは余りにもひど過ぎませんか。これは人事院の資料を見ればはっきりとこのことは予測できるはずですけれども、どうしてこんなひどい数の違いがあるんですか、お伺いいたします。
#160
○政府委員(斧誠之助君) 実はこれは統計上の調査として、たとえば任用状況調査のような定期調査としてやったものではございませんで、定年制の検討過程で、もし無年金者というような方がおりますというとそのことについての配慮をどうするかということも検討せにゃいかぬということで、各省に早急に報告せいということで報告を求めましたものを、いろいろ前歴等も調べるというような、非常にむずかしい作業をして出た、ただいま三千四百というのはそういう数字でございまして、確かにいま先生がおっしゃいます、この採用年齢から見ると少な過ぎるではないかという点はまことに申しわけないと思っておりますが、先ほどから言っておりますように、把握し得たということで、しかもこれが無年金者がいるという存在がわかるという、そこのところに非常に意義を求めた調査であったということでございます。
#161
○安武洋子君 申しわけないじゃ済まないでしょう。あなたたちは定年を導入なさろうとしている。そのことによって無年金者が出る。この人たちは生活の上に大変な影響を受けるわけですよ。それを、概数だから、千六百人も行(二)だけで違っていても単なる配慮を検討するので各省から急いで出してもらったんだから申しわけない、そういうことで済ましてもらっては私は困ると思うんです、そういう大ざっぱなやり方。とすると、無年金者はまだふえる、こういうふうにお考えですね、ちゃんと調査をするということで。
#162
○政府委員(斧誠之助君) 通算年金まで含めて無年金者というのはこれよりはふえるのではないか、そんなに多くはないと思っております。
#163
○安武洋子君 でも、前歴も調べないで――まだ調べられないんだとおっしゃっている。そして、私がおたくの資料で申し上げて千六百人も違いが出てくる。それは前歴のある人もありましょう。しかし、ふえる可能性があるのでしょう。なぜそういうことを聞くかといいますと、あなたは先ほど配慮を検討しなければならないからとおっしゃった。配慮を検討するんであれば、どれぐらいな数がいるんだということを正確に把握しないと、現状を正確に反映するようにしないと、配慮の仕方というのもはっきり出てこないじゃありませんか。そういうところをあいまいにしないで、きちっと調べて把握をして、そして配慮の検討をするんだというふうなことを私はやっぱり求めたいと思います。いかがですか。
#164
○政府委員(斧誠之助君) 通算年金も含めまして、無年金者が存在するということがこの調査で明らかになっておりますので、こういう方に対しては年金をどうするかということの配慮を行う必要があるということで、私どもの方は総理府、大蔵省それぞれ関係機関に通告をしまして検討をお願いしたということでございます。その結果、先ほど総理府の方からもお答えいただきましたような特例措置についての検討をしようではないかということになっておるわけでございます。
#165
○安武洋子君 では、いま検討している、その検討の中身について聞きますけれども、検討の中身、具体的にどういうふうにしようとなさっていらっしゃるんですか。もう少し具体的に答えてください。
#166
○政府委員(斧誠之助君) 先ほど人事局長の方から一例、この継続年金の特例措置を申し上げましたが、厚生年金ではもう一つ、十五年で年金がつくという特例措置がございます。それも検討してもらうつもりでございます。
#167
○安武洋子君 十五年でつくようにするという期間の点も考えているわけですね。
 それから、厚生年金では第四種保険というのがありますでしょう。いろいろ細かいことは抜きにして、その骨組みというのは、厚生年金で十年以上加入していた人で、受給資格がないままで後二十年に達するまではその期間は自分で掛けていくんだと、本人が十割の掛金を納めて二十年に達すると保険が当たるんだ、こういう仕組みがありますけれども、こういう仕組みなんですか。そして、期間も十五年で当たるということも検討しているんですか。そこをはっきりお答えください。
#168
○説明員(野尻栄典君) お答え申し上げます。
 私どもの方では、この定年制の導入に伴う年金者対策といたしまして、共済年金制度がやはり現在公務員制度の一環としての機能を果たしているという点に着目して、共済年金制度の上で何らかの特例措置を設けて対処するのが適当だというふうに考えておりまして、いま先生がおっしゃられましたような厚生年金で採用しております中途採用者に対する年金制度上の特例、こういうものを参酌しながら今後検討してまいりたい。その中身としては、いま先生がおっしゃったような任意継続組合員の問題とか、あるいは受給資格期間の短縮の問題とか、これらを含めて検討すべきであろうとは思っておりますが、これは国家公務員の共済だけでなくて、地方公務員の共済とかあるいは公企体の共済等を含めて、共済関係各省で今後具体的な内容については協議を進めていくというつもりでおります。
#169
○安武洋子君 期間の短縮というのは、短くても足らなくても、やっぱりこれは資格を与えるということはぜひ検討してください。そして、期間が二十年に満たない場合、その間は本人が掛金を掛けていく、こういう制度につきましては、これはひとつぜひ検討をやっていただかないと、こんなむごいことないです。定年をしくというふうなことはおたくたちが一方的になさるわけです。ですから、こういう制度がなかったら、この人たちは年金がつくまで勤めてそしてやめるというふうな選択の自由があったわけです。その選択の自由を一方的に奪ってしまうというふうなことですから、私は、掛金なんというのはこれは企業負担分ぐらいは政府が見ると、こんなに全部、本人に十割も負担さすというふうなことでなく、民間の企業が受け持っている、そして本人が受け持っているその割合ぐらいは政府が見るというふうな、そういう検討もあってしかるべきではなかろうかと思います。総務長官、そういうことを検討していただけますか。各省と連絡して検討してください。
#170
○政府委員(山地進君) 各省と現在も検討しているわけでございますが、今後とも十分にいろいろと検討してまいります。
#171
○安武洋子君 それ、ぜひ私のいまの趣旨を含んで、本人に十割も掛けさすと、そんなむごいことはやめてください。
 それから私は、時間が限られているので大変急いでやっているわけですけれども、特例定年についてお伺いいたします。
 現在、この特例定年について検討しているようですけれども、当局とか職員団体から現在検討をされているこの官職のほかにまたこういう官職もというふうなことで求めてくるというふうなことが十分考えられるわけなんですよ。そういうのは、私はやはりその当局とか職員団体とかの意見を尊重すべきだというふうに思いますけれども、それについてはいかがでございましょうか。
#172
○政府委員(斧誠之助君) そのようにするつもりでおります。
#173
○安武洋子君 現在人事院で検討している官職、これは一般的に例示しているのが七つぐらいありますけれども、それ以外にどのようなものが現在検討に上っているんでしょうか。
#174
○政府委員(斧誠之助君) 宮内庁関係では、あと大膳だとか、膳部の職員ですね。それからカモ場の職員でありますとか、非常に特殊な職種の方がまだほかにいらっしゃいます。そういう点は検討しなければならないと思っております。それから海難審判庁では理事官、これを検討の対象にしていて、これはかなり人車管理の、相当長い期間の人事異動の状況など把握しませんとなかなか決定できないんですが、そういうことが検討せられておる。それから税務大学校の校長さん。これは歴代判事の方がなられている慣習もあったりしまして、どういう定年が適当かということを検討したい。そんなことをいま考えております。
#175
○安武洋子君 そういう規則は大体いつごろまでに考えようと思っていらっしゃるのですか。
#176
○政府委員(斧誠之助君) いまちょっと間違えましたので訂正いたします。税務大学校ではなくて、国税不服審判所の所長でございます。
 それからいつごろまでにとおっしゃるわけですが、ただいま先生が申されましたように、これからいろいろまた新たな官職について要望がたくさん来るのじゃないかというふうに思っております。それがどういう期間を要しまして完了しますかちょっといまのところめどが立ちませんので、できるだけ早くとは思っておりますが、いつまでというお約束は現在ではまだいたしかねるところでございます。
#177
○安武洋子君 これからの行政はいろいろ多様に変化していくわけです。ですから、行政の需要とかあるいは人事行政で今後いろいろ変化するのでそれに対応するようにしなければいけない。固定的に考えてしまって、これをもう固定化して動かさないものだというふうなやり方をするのはまずいと思うわけです。ですから、今後人事院規則を固定的にしないで、やはり柔軟性を持って考えられる余地を残しておくべきだと、こう思いますけれども、人事院総裁はいかがお考えでしょうか。
#178
○政府委員(藤井貞夫君) これはお説のとおりでございます。われわれもこの問題だけじゃなくて、人事院、特に人事院規則の改廃あるいは運用等については、情勢の変化に対応した措置をできるだけ速やかに講ずるように努めてきておるわけでございますが、特にいま御指摘になっております問題は大変重要な、これに関係のある職員にとっては身分上の大問題でございます。したがいまして、今後も関係当局ないしは組合等の意見も十分聞くという努力をいたしますとともに、決まりましたらこれはもう一切手をつけないんだというようなかたいことではなくて、情勢の変化に応じてそこは弾力的な運営を心がけてまいるとともに、要すれば、やはり人事院規則の改廃等も同時に考えてまいる所存でございます。
#179
○安武洋子君 今度は、定年による退職の特例条項八十一条の三、ここの中にいろいろ書いてあるわけですけれども、これの運用基準、これはどのように定めるんですか。ここは定年に達したことにより退職する職員の「職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるとき」「一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。」こととする。この場合においてその期限は一年を云々と書いてありますけれども、この運用基準、どう定めるんですか。
#180
○政府委員(斧誠之助君) 運用基準は、特に具体的なものを定めるかどうかまだ考えておりませんが、少なくとも推進規定は要るのではないかと思っております。もう法案で明らかになっておりますように、その者の職務が非常に特殊であって後任者が非常に得がたい、急には後任者の補充ができない、それから現在その職員が職務を遂行しているその職務が継続的であって、その職員が欠けることによってその職務が停滞が生ずるというような、そういう職務を遂行している職員、それについて十分な理由がある場合ということでございますので、ケースとして予想しておりますのは、たとえば非常に辺地のお医者さんで定年は来たけれどもまだ後任がなかなか得られないというような場合とか、それから非常に技能的な名人芸的な方が、実はここの中にはいろんな職種がありまして、いるわけですが、そういう方がいなくなるとその方が担当している名人芸が消滅してしまうというような場合はしばらく延長する。それから、大型プロジェクトチームで研究遂行中ということで、非常に中心的な役割りを果たしているというような方は、それが完了するまでは継続するというようなことを考えております。
#181
○安武洋子君 結局はこういう判断は任命権者がやられるわけでしょう。そして人事院がそれを承認するわけなんでしょう。それはどうなんですか。
#182
○政府委員(斧誠之助君) 当初の勤務延長の命令は任命権者のみで判断してやることになっております。
#183
○安武洋子君 任命権者は何を基準にして判断をするんですか。どういう基準があるんですか。
#184
○政府委員(斧誠之助君) 法案にお示ししているとおりでございます。
#185
○安武洋子君 法案にお示しと言って、ちょっと待ってください。この法案は、職務の特殊性それから職務の遂行上の特別の事情、公務の運営に著しい支障、こういうことですね。ですから、これは任命権者が先ほど言われたような職種を判断する、こういうことに受け取ってよろしいんですか。その職種は固定しませんね。
#186
○政府委員(斧誠之助君) 固定したものではございません。
#187
○安武洋子君 これは衆議院の附帯決議もあります。この附帯決議の中では、やはりこれについては職員団体の意見を聞くようにと、各省庁に人事院は指示をすべきだと私はこういうふうに思うんですけれどもね。この附帯決議御存じですね。附帯決議の中では「勤務実績および関係職員団体の意見を反映する等運用の公正を確保するものとする。」となっております。ですから、職員団体の意見を十分聞いていただくと。で、やはり人事院、単にそんなことだけ思っているだけでなしに、これは実行してもらわぬと困るわけですからね。やはり各関係省庁に指示をして、そしてちゃんとこういうふうになるようにするように私は努力してもらいたいと思いますけれども、どうですか。
#188
○政府委員(斧誠之助君) そのようにするつもりでおりますし、それから総理府の方で実は定年制の実施の運用につきましては調整するという役割りが法案に規定が載っておりますので、総理府もそういう努力をしてまいることにいたしております。
#189
○安武洋子君 そうすると、今度は再任用なんですけれども、この運用の基準はどのように定めるんですか。
#190
○政府委員(斧誠之助君) その者の持っております技術、技能、あるいは職務経歴、それが公務に活用できるという証明が得られることが一つでございます。それから、勤務実績が良好であるという証明が得られることが一つでございます。それから、再任用するポストは退職前のポストより同等以下であること、三つぐらいの基準を考えております。
#191
○安武洋子君 それでしたら、一時金とかそれから給与とか、退職金とか年金とか、具体的な労働条件、ちょっと具体的に言ってみてください。
#192
○政府委員(斧誠之助君) 再任用職員は常勤の、つまり定員内の職員でございますので、定員内の職員と全く同じ勤務条件でございます。
 ただし、退職金と年金は、先ほどから論議されておりますように、退職時に一たん精算して、矛の後の再任用期間について改めてもらうか、それとも翌日再任用になって通算するか、そういう問題がありますし、年金につきましては一日置きませんというと、通算が有利か、前の勤務期間と後の勤務期間と別計算しましてその合算が有利か、どちらかとれるようになるわけですが、それもそこのところが一般の定員内職員とは異なるというだけで、あとは全部同じでございます。
#193
○安武洋子君 一時金とかそういうものは全然変わりませんね、ほかの職員と。
#194
○政府委員(斧誠之助君) 一時金というのは期末・勤勉手当のことでしょうか。
#195
○安武洋子君 はい。定員内職員だから全然変わらないと、そういうことですね。
#196
○政府委員(斧誠之助君) 同じでございます。
#197
○安武洋子君 いま年金の問題をおっしゃいました。ですから、これは本人が十分知らないと後で大変不利になるというふうなことも出てくるわけなんでしょう。ですから私、これは職員一人一人についてやはり十分にこのことを知らせるというふうなことが大切なことだと思うんです。それはどういう手だてをとられますか。
#198
○政府委員(斧誠之助君) 再任用に当たりまして、各任命権者は職員にそのことを十分説明した上で再任用に応ずるかどうかの決断を、意思決定をしてもらうように、そういう説明をしなさいということはよく指導したいと思っております。
#199
○安武洋子君 その再任用の話を持っていくときにしたんじゃ遅いんじゃないですか。総務長官は、六十歳定年というのはずっと将来にわたって生活設計を立てさせてやるためだというふうなことをおっしゃられる。答弁の中でそういうことをおっしゃっておられましたよね。私はそんなのはとんでもないことだと思います。勧奨退職こそ、自分が将来の目標が立ったら、そうすれば自分の方からやめていこうと、目標が立たないうちはやはり職場にとどまってがんばっていようと、こういうことになるわけですから、そのお説はいただきかねますけれども、しかし将来にわたっていろんなことを考えようと思えば、こういう制度の中身というのはちゃんと知っておかないと、将来に向かって自分はどの道を進もうか、どういうふうな生活設計を立てようかというふうなことにはならないわけでしょう。だから、そういう再任用の直前にならないとわからないとか、雇用延長の直前にどうだというふうな話でなくて、いまいる人たちに十分周知をしないといけないと違いますか。どういう手だてをとられますか。
#200
○政府委員(斧誠之助君) 人事院としましては、従来から法律を制定するとか改正するとかという際には説明会を各地で開きまして、職員団体、それから人事当局者、そういう方に集まってもらいまして十分説明しております。この場合も、もし成立しますればそういう機会を持ちたいと思っておりますが、そういうことを通じて各省、各職員団体に周知いたしますとともに、各省としても今回の改正についてはひとつ職員に周知方を十分にやるように指導してまいりたいと思っております。
#201
○安武洋子君 私はこの定年制というのは本当にとんでもない法案だと思っております。しかし、あなたたちがこれを強引に導入なさるというふうなことになれば、職場の中は大変ないままでにないことが入るわけですから、混乱が生じるわけなんですよね。そういうときには職員団体を通じ、また当局を通じ、各省庁を通じ、そして人事院としても本当に責任を持って人事院は人事院なりに手だてを尽くして、職員がどういうふうな身分の変化になったのだということを十分周知徹底しないと、ただ六十歳になって首切られるだけだ、やめさせられるだけだというふうなことではないわけでしょう。そこらの点はもっと慎重に具体的に考えていただかなければならないと思うんです。藤井総裁いかがでございましょうか。
#202
○政府委員(藤井貞夫君) それはお説のとおりでございますので、十分配慮をして慎重の上にも慎重の手だてを講じてまいりたいと思っております。
#203
○安武洋子君 それで、ここのところで法案の中に、定年により退職した者と、定年による退職の特例により勤務した後退職した者も含むと、「その者の能力及び経験を考慮し、公務の能率的運営を確保するため特に必要があると認めるときは、」となっております。この能力及び経験をだれが考慮するのか。公務の能率的運営を確保するため特に必要があるとだれが認めるのか、だれなんでしょう。
#204
○政府委員(斧誠之助君) 任命権者でございます。
#205
○安武洋子君 任命権者がそういう判断をする基準というのは、具体的にどんなものがあるんでしょうか。
#206
○政府委員(斧誠之助君) 先ほど申し上げました三点でございまして、その者の能力、技術、技能等が大いに活用できるという証明が得られること。それから、その者の勤務実績が良好であったという証明があること。それから、退職前についていたポストと同等以下のポストに任用すること。
#207
○安武洋子君 この能力、技術、そういうふうな具体的なのが挙がっております。ポストは別個です。しかし、いろいろ豊富な経験というのも、一般公務員の場合です、これは任命権者によっていろんなところに配置されるわけですね。自分はそこにずっとおりたいというふうにはならないわけです。あちらこちらに行くから、豊富な経験というのは一体どういうことなのか。同じところにずっと長くいた人、あるいはそうでなくて任命権者の命によってあちらこちら、ばらばらばらばらといろんな職業にこう渡っていったというのも本人の意にかかわらずあるわけなんですよね。だから、豊富な経験なんというのを判断する基準はどこにあるんですか。
#208
○政府委員(斧誠之助君) 任命権者は、採用後三十年になりますか四十年になりますか、ずっとその職員見ておるわけでして、そういうことは任命権者が一番よくわかるわけでございます。
#209
○安武洋子君 三十年間も同じ任命権者がずっと同じ人見たりしますか。そんなことできっこないわけで、だから私は、同じ仕事ばかりその人の意思でなくてずっとしてきた人とか、あるいはずっといろんなところを渡り歩いてきた人とか、どちらが経験豊富なんですかと。そういう経験豊富だという一つのことについても、基準はどこにあるんですかということを聞いております。
#210
○政府委員(斧誠之助君) 特に基準ということはなかなか定めがたいんですが、この勤務評定もその者がその省に入って以来記録がございますし、それから各監督者は後任者に対して職員の能力とか経験とかというのは引き継ぎをやっておりますし、ずっとその者の、その職員を見ているのが任命権者でございます。
#211
○安武洋子君 それでは豊富な経験はどちらですかという答えにはなっていないわけでしょう、いまのはね。任命権者が勤務評定をいたしておりますとか、引き継ぎを受けておりますとか、これだけのことでしょう。だから、豊富な経験なんて言ったって、どちらが豊富な経験なのかという基準もそんなものありませんでしょう、正直言ってね。そのときそのときの任命権者の判断によるわけでしょう。能力とおっしゃる。能力もいま公務員ばらばらばらばらの仕事していますでしょう。隣の人の仕事がわからないというふうなね。だから、なかなか能力なんかというのも、特に管理能力なんかというのも判定しがたいわけですよ。やはり公務員というのは国民に奉仕をすると、それがよく奉仕できているかどうかということで、みんなで本当に納得できるように、たくさんの人が民主的に能力というものはやはり判定すべきだと、こう思うんです。
 ですから、単にこういうふうにうたわれただけでは、任命権者の恣意というものがずいぶんと入ってしまう。だから、私は任命権者の恣意が入る余地を少なくしなければならないと、こういうものについては。だから、私はこういうものについてやはりこうこうであるというふうな基準というものを、任命権者のそういう判断余地が入りにくい、任命権者の恣意が入りにくいようにやっぱりきちっとやるべきではないかと思っておりますが、人事院総裁いかがでしょうか。
#212
○政府委員(藤井貞夫君) これは先生も御承知ように、任命権者というのは最終的には各省大臣でございます。自分が一人でやるわけでございませんので、それぞれつかさつかさに従って下部の者に委任をいたしております。この見方というものがいままで別に大きく間違ったとかなんとかということはございません。その点は、やはり長年にわたる経験でもって、組織でもって仕事をしてきておる任命権者の考え方にひとつ信頼を置いていただきたいと私は思っております。
#213
○安武洋子君 任命権者の信頼の問題でなくて、いろいろいままで職場の中でも勤務評定をめぐって論議があるはずなんですよ。もっと謙虚に耳を傾けられて、私は任命権者の恣意ができるだけ入らないように、民主的に公正にこういうことをやるようにしなければ、こういう運用基準一つでも大変な問題をはらみますよと。豊富な経験と言ったって、先ほども的確なお答えなかったじゃありませんか。だれだってそんなことよくわからないというふうなことになりますでしょう。
 私はもっともっといろいろ御質問したいんです。質問事項も持っておりますけれども、相当まだあるんです。ですけども、きょうはいまは三十分。でも、私は五時間要求してまだあと一時間残っていますので、そのときにちゃんと聞きますから、そのときにちゃんとお答えください。そして、質問を留保いたします。
#214
○矢田部理君 今日、高齢化社会の問題は社会問題にとどまらず、急速に政治課題になろうとしています。特にわが国の場合には、高齢化社会への傾斜が非常なピッチでやってくる。そういう状況もありまして、昨年一九八〇年のILOの六十六回総会では、「高齢労働者の機会及び待遇の均等、高齢労働者の雇用における保護並びに引退の準備及び機会に関する基準」などについて重要な勧告が出ております。
 この勧告を総務長官御存じでしょうか。どのようにまた受けとめておられるでしょうか。
#215
○国務大臣(中山太郎君) 勧告が出ておることは存じております。この勧告の内容等も私どもとしては拝見をしておりますけれども、この今回の定年制とは矛盾するものではないと、そのように理解をいたしております。
#216
○矢田部理君 定年制と何か直接関係がないみたいな言い方をされているわけでありますが、この勧告は幾つかの点で重要な指摘をいたしております。若干さわりの部分を読んでみますと、「各加盟国は、年齢のいかんを問わず労働者の機会及び待遇の均等を促進するための国家の方針並びにこの問題に関する法令及び慣行の枠内で、」という限定はあるものの「高齢労働者に関し雇用及び職業における差別待遇を防止するための措置をとるべきである。」あるいはまた「高齢労働者は、年齢を理由とする差別待遇を受けることなく、特に次の事項に関し、他の労働者との機会及び待遇の均等を享受すべきである。」ということで具体的な問題の列挙等もあるわけでありますし、特にこの高齢労働者にとっては、老後保障とあわせて雇用問題が重視される昨今でありますだけに、ただILOの勧告と定年制は関係ありませんということでは説明不足ではないでしょうか。
#217
○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘の、この「機会及び待遇の均等」の中には、「国家の方針並びにこの問題に関する法令及び慣行の枠内」ということが明記をされておりまして、それぞれの国家にはそれぞれの長い歴史、民族の生活態様等が存在をいたしておりまして、また、この雇用関係というものもその国の歴史の中に育ってきたものでございますので、この勧告の中にも特にこの一項を明記しておるのは、われわれの社会における雇用体系というものが終身雇用体制、また年功序列型という日本の独特の雇用体系とヨーロッパ先進諸国のいわゆる雇用体系との違いというものは十分それぞれの国で違うということを確認した上での勧告であって、政府といたしましては、この勧告の中身をそのように理解をいたしておるところでございます。
#218
○矢田部理君 それは少しく違うだろうと思うのです。
 従来、終身雇用制をとってきた公務員制度、その身分保障なり雇用なりを安定、確立をさせていくべき方向をこれは示唆をしているのでありまして、逆に六十歳でばっさりやる、結構だというようなことを言っている趣旨ではないというふうに私は受け取っております。その点で長官の理解等が少しく基本的認識に欠けているのではないかという指摘が第一であります。
 同時にまた、ここではお話をしておきたいと思いますのは、先ほど山崎委員からも指摘がありましたように、先進諸国と言われる国々は定年制を採用しているところもそうでないところもありますが、おおむね六十五歳、これが定年の原則年齢になっている。それに比べてみましても、少なくとも日本は五歳早い。人間の生涯の年齢がずっと延びている時期でもありますだけに、そういう点でも大変おくれをとっている。どうも六十以下というのは開発途上国なり、いわばおくれている国々が五十代であったり、六十以下であったりする。そういう傾向から見ましても、まさに今度の定年制では、とりわけ六十歳という原則定年を決めたことは、時代の流れに対する逆行であり、老齢化社会に対する対応としては風向きが違うということを言わなければならないというふうに思っております。
 加えて、アメリカなどの例を見てみますと、御承知のように雇用差別禁止法というのがあります。ILOの勧告に先立って、アメリカではすでに七八年に、従来あった定年制をむしろ廃止をしている、そういう状況ですね。そういう国際的な流れ、ILOの勧告、状況等についてもう一度長官の所見を伺っておきたいと思います。
#219
○国務大臣(中山太郎君) 先進国では平均の定年が大体六十五歳だということでございますけれども、私どものこの日本の六十歳定年というのが後進国的ではなかろうかというふうな御意味も含んだ御発言でございましたが、アメリカで連邦公務員の定年制が廃止された背景には、定年まで勤める職員はきわめて例外的であるということが一つ背景にございまして、その定年制を廃止してもほとんど影響がないというのが、私どもの承知しておるアメリカにおける廃止のいわゆる経過でございます。
 そういう中で、少し数字を御紹介いたしますと、連邦公務員の平均退職年齢の推移、一九六五年六十四・一歳ですね。それから一九七〇年六十一・一歳、一九七五年六十一・三歳、一九七七年六十・九歳、一九七八年、つまり三年前ですね、六十・八歳。こういうふうな数字をアメリカの連邦公務員の場合は示しておりまして、私ども政府といたしましても、海外の実態等も調査の上で今回の法律案の御審議をお願いしているということでございます。
#220
○矢田部理君 いまの長官の挙げた数字だけでは説得性がないと思うんですね。従来、アメリカは七十歳定年制を置いておったわけです。だから、六十ちょっとでやめたから、早くやめるから定年制を外したんだということでは論理的につながらないわけでありまして、特にアメリカの年齢による雇用差別禁止法、これはやっぱり私はひとつ大切だというか重視をして見る必要があるだろうと思います。
 労働省からおいでいただいておりますので、若干の説明を伺っておきたいと思いますが、年齢による雇用差別禁止法の中身で雇用差別が禁止される年齢について幾つかの段階を設けています。たとえば、民間と地方公務員については七十歳未満、国家公務員については上限をつけない、こういう規定になっているわけでありますが、これはどういう事情に基づいてこういう差なりができてきたのか、その背景なり理由なりをまず御説明をいただきたいと思います。
#221
○政府委員(小粥義朗君) アメリカの年齢による差別禁止法は一九六七年につくられまして、その後一九七八年に改正されまして、現在その対象となる年齢の範囲が、原則として四十歳から七十歳という年齢層になっているわけでございます。
 先生いまお尋ねの地方公務員あるいはその他の職種について特に年齢差が設けられたという具体的な点につきましては、実は私どもその詳細な理由を承知してない面もあるのでございますが、最初にこの法律が六七年につくられました際の考え方といたしましては、実は中高年齢者の雇用を年齢よりもその能力に基づいて促進することと、それから年齢による雇用の懇意的な差別を禁止する、あるいは年齢が雇用に与える影響から生ずる諸問題を解決できるように使用者なり、労働者を援助するといった目的でつくられたわけでございまして、七八年に改正されました背景といたしましては、実は雇用情勢の中で、いわゆる中庸年齢春の失業が前よりもふえて問題になってきたといった雇用情勢を一つの背景に置きまして、さらにそれ以前の段階から、いわゆる通常の退職年齢よりも以前にやめます早期引退の傾向が強まっていた。それがそのまま続くと、いわゆる非労働力人口の方が生産活動に従事している人口よりも大きくなるというような、言うなら労働力の構造にいびつな形が生ずるおそれがあるといったような問題を背景にして、一九七八年に法改正が行われ、従来六十五までであった年齢が七十まで引き上げられたというふうに理解いたしております。
#222
○矢田部理君 これは資料等にも書いてあるわけでありますが、やっぱりこの失業問題、雇用問題を一つは重視をしている。特にこの高齢者の失業問題がかなり深刻になってきているという状況下で、国家公務員については定年制を廃止すると、こういう方向が実は出てきているわけですね。わが国にとっても失業問題は対岸の火災ではなくて、かなり状況としては深刻になってきているし、とりわけ高齢者の雇用問題というのは重視をしていかなきゃならぬ時期に入ってくるわけです。平均余命も延びているということになれば、ますますその点は重視をされなきゃならぬというふうに私どもは思っているわけですが、そういうことについて総理府なり労働省なりどんな考え方を持っておられるのか。六十歳で切ればいいということではないのではないかというふうに思われますので、労働省並びに総理府の見解を求めたいと思います。
#223
○政府委員(小粥義朗君) 高齢化社会への移行に伴いまして、当然わが国の労働市場の中でも特に高齢者の雇用問題がむずかしくなり、それだけにまた政策の対象としても重点的に取り上げていかなきゃならないという考え方に立っているわけでございますが、いわゆる高齢者の雇用対策を進めます場合に、高齢者が年齢によっていろいろ就業意識その他も変わってくる面があるわけでございますが、六十歳を超えますといろいろ就業意識も多様化してくると、通常の雇用よりもむしろ二次的な就業ないしは短時間的な就労を希望される向きも出てくるといったことから、いま行政といたしましては、六十歳までは定年延長によってその企業に引き続き雇用されるような形をぜひとも実現していきたい。で、六十を超える年代層につきましては、一律の定年延長に限らないで、勤務延長ないしは再雇用といったようなこともあわせまして、とにかく雇用の機会が確保されるように進めていきたいというように考えております。
 基本的には、いわゆる労働生活からの引退が円満に移行するような形で考えなきゃならないと思っておりまして、そのためには当然雇用対策と、一方における社会保障政策との連携といった問題もあわせ考えていかなきゃならないという視点で、現在高齢者の雇用対策を進めているわけでございます。
#224
○政府委員(山地進君) 総理府といたしましては、公務員の良質のサービスをどうやって維持するかということがもう一つあるわけでございまして、そのためには、やはり公務員の能率の増進ということを常に心がけなければいけないわけでございまして、その点から六十歳の定年ということを導入したのは前からいろいろとるる御説明しているところでございます。
 そこで、公務員の、一体こういった高齢化する社会における退職後の生活をどうするのかというのは、いまの労働省の御説明のような高齢者の雇用対策なり何なりということの中でやはり解決するということが一般的には必要になってくるわけでございますし、また公務員の社会の中では、大臣から申し上げておりますとおり、退職準備プログラムというようなこと、あるいは先ほどお示しいただいたILOの勧告等にございますような高齢者向きの職業と、つまり短時間でロードの少ないようなものというものの開発をやはり期待せざるを得ない。こういうことでございまして、公務員の中でいろいろと解決することとしては、再任用というのは民間の再雇用に当たるわけでございますし、それらの運用というものは、今後の民間の再雇用政策あるいは勤務延長政策というものをよくながめながら私どもとしても研究を進めたいと、かように考えております。
#225
○矢田部理君 私は、総理府の答弁を聞いていると、政府は国民に対して良質のサービスをしなきゃならない、何か年をとると質が落ちる、悪質になるみたいな物の言い方をするのは大変けしからぬ話だとかねがね聞いておったのですが、そういう理解なんですか。――それは逆じゃないでしょうか。いろいろな経験や知恵、その他むしろ若い人たちにはない能力を――判断力も含めてですね、総合的な判断力も含めて持つということが、また国民にとっても決して否定すべきものではなくて、必要だとすら私は思っているわけでありまして、良質であるとかないとかいう基準で定年を設けるというのは私はいささか納得できないのでありますが、その点いかがですか。
#226
○政府委員(山地進君) 私、高齢者のサービスが低下しているということを申し上げたのではございませんで、公務員という制度、つまり公務員の組織というものが全体として活力のあるものにしなければやはりサービスが低下すると、こういう意味で申し上げたわけでございまして、それ相応の高齢者の知恵というものを合わせながら、全体的に活力を維持するためには、やはり民間も同じような意味で六十歳定年ということを御採用になっているわけでございますので、組織全体が活力を持つということで定年制を導入すると、こういう意味で申し上げたので、私の言葉が足らなかったようでございます。
#227
○矢田部理君 民間の退職年齢が低い、あるいは定年制の関係が六十を目途にいろいろな動きをしておりますが、民間は、どちらかと言えば少なくとも六十まで雇うべしという、言うならば基準法で言う最低基準、最低目標をやっぱり決めようというのが民間労働運動の流れになってきているわけですね。
 ところが、今度の定年制というのは上限論なんです。それ以上労使間で話し合って決めるということならまだしも、そこでばっさり一斉にやめさせるというところに一つの本質的な問題点があるわけでありまして、その点で、私はある意味では先進資本主義国などがとっているいまの体制に十分学んで、少なくとも思想としての年齢による雇用差別、こういうことを、やっぱり直接的な表現である定年制などについては再検討の余地があると、すべきだという考えを特に申し上げておきたいと思います。
 総論的な話をちょっと防衛庁に移したいと思いますが、いま世界は軍拡競争の時代に入っています。一方で加速度的に強まる軍拡はもう御免だと、膨大な軍事支出は、福祉に対する圧迫、国民の負担も非常に過重になょてきているということで、非同盟諸国などを中心にして、軍縮への動きもこれまた急速に盛り上がっている。第二回目の国連軍縮総会も開かれようとしているわけでありますが、防衛庁長官、軍縮についてはどういうふうにお考えになっているのか、まず伺っておきたい。
#228
○国務大臣(大村襄治君) 軍縮につきましては、わが国は平和憲法の理念に基づき、国際平和の実現のために、国連を初めとする国際的な場において実現可能な措置を一つ一つ積み重ねていくことが肝要であるという立場をとっているところでございます。
 防衛庁といたしましても、このような基本的な立場から、軍縮の進展のために今後とも可能な範囲で積極的に貢献してまいりたいと思っております。
#229
○矢田部理君 どうも私どもが見ているのとは大分違うんですが、軍縮ということで、具体的な日程、具体的なプランみたいなものを防衛庁自身が考えていることあるのですか。あったらひとつ聞かせていただきたいと思います。
#230
○国務大臣(大村襄治君) 防衛庁といたしましては、いま申し上げましたような観点から、外務省との間で随時緊密な協議を行いながら、軍縮関係の国際会議に必要に応じて専門家を派遣しているところでございます。
#231
○矢田部理君 外務省と連絡とるとか、専門官を派遣するのじゃ軍縮じゃないんで、演説に行ったり、各国の演説の内容を聞いてきたりするだけである。軍拡ではなくて具体的に防衛庁の装備をこう減らすとか、定員をこうするとかという計画はあるんですか、ないんですか。
#232
○国務大臣(大村襄治君) 防衛庁といたしましては、現在わが国自衛のための必要な範囲内で、いわば平時における最低水準の防衛力を整備しようとしているのでございまして、この防衛力自身が他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるものではないと考えているわけでございます。また、わが国がこのような必要最小限の防衛努力をすることは、ひいては東アジア地域の平和に貢献し、ひいては世界の平和にも貢献するものと考えております。したがいまして防衛庁といたしましては、現在整備しております防衛力を削減するというようなことは具体的に考えておらないところであります。
#233
○矢田部理君 さっきの一般論とは大分違った趣のお話であるし、また事実、別の方向に問題は流れているわけでありますが、私がなぜこういうことを申し上げるかというと、二九年恐慌の後、日本も大変な不況、不景気に見舞われました。当時浜口雄幸内閣でありましたが、財政破綻をどう解決をするかということで、公務員に対して非常に厳しい仕打ちが行われたわけです。官吏減俸令というのが当時出されました。ところがこれが猛烈な反発を受けるんですね。ついに一週間でこれを撤回せざるを得なかった。一方浜口内閣は、あの時代で、公務員にだけ犠牲を強いるんではない、軍縮を政策の大きな柱にした。こういうことまでやって公務員にも犠牲を求めたのであります。そういう時代の歴史、状況についてあなたはどう考えておられますか。一方では軍拡だ、重税だ、大変な財政危機だという中でそれをやろうとしている。他方では、公務員に犠牲をいろんな意味で強いようとしている、その流れで行革も動きつつある。防衛庁長官というよりも、政治家としてのあなたに少しく所見を伺っておきたいと思います。
#234
○国務大臣(大村襄治君) 昭和の初期におきまして、世界的な恐慌下におきましてわが国の財政を運営する上でいろいろな問題が検討されたということは私も承知いたしているわけでございます。
 ただ、その場合におきます当時のわが国の軍事費と申しますのは、今日とは全く違いまして、相当大きな蓄積のもとに毎年多額の予算を充当しておったという事実があると思うのでございます。それに引き比べますると、今日の防衛予算の国家予算に占める割合はわずか五%程度ということでございまして、そういった観点からいたしますると、先ほども申し上げましたように、必要最小限度のものを国会で御承認願って、これを整備を進めているところでございますので、これをさらに削減をするということは、当時の事情とも全く趣を異にするので、昭和初年の軍縮あるいはそれに関連する措置と事情は全く異にするのではないか、私はさように考えているわけでございます。
#235
○矢田部理君 いま現在、あなたは必要最小限度だと言いながらも、世界で六番目か七番目の軍事力を持つに至った。決して、昔は大きかったけれどもいまは小さいんだと言うわけにはいきにくい実態については、私から指摘するまでもないと思います。そういう点で、当時と事情が違うから防衛庁はいっぱい予算をもらうんだ、公務員は切り刻むんだという議論は私は成り立たないと思っています。
 特にもう一点だけ伺っておきたいのは、軍縮の中でも核軍縮といいますか核兵器廃絶を目指す運動が非同盟諸国を中心にして起こっている。この核軍縮、核の問題についてはどういうふうに長官お考えになっていますか。
#236
○国務大臣(大村襄治君) わが国は非核三原則を堅持しますから、わが国自身がこれを持たないということは当然でございます。また、核拡散防止の条約にも加盟いたしまして、その点にも協力をいたしているわけでございます。今後さらに国連の場等におきましてこういった問題が審議される場合には、わが国といたしましてもこれに参加して、この問題が前進するように協力していくことがわが国の立場からして当然ではないかと、さように考えておるわけでございます。
#237
○矢田部理君 ところが、長官が言われた日本の場合には非核三原則は堅持すると言っています。これも持ち込みをめぐっていろんな議論があることは御承知のとおりでありますが、ところがそのアメリカの核の抑止力に依存をすると、もう一つの核政策をとっているわけですね。言うならばかさっき三原則、これでは非核の誓い、核軍縮への協力ということでは、日本の場合には有資格者ではないとすら私は考えているわけです。その点で、将来の問題としては、いまやめろと言ったってあなた方はやめるなどとは言わないでしょう。そういう核のかさに頼るということも、将来の方向としてはやめるということを防衛庁として考えておられるのかどうか、長官どうですか。
#238
○国務大臣(大村襄治君) わが国といたしましては、核の抑止力につきましてはアメリカの抑止力に依存することにいたしております。今後それをどうするかというお尋ねでございますが、現在のところ、これを変える考えはいまのところ持っておりません。
#239
○矢田部理君 核軍縮のために努力する、核廃絶を目指すというお話になったんだから、冒頭のお話は。そうだとすれば、そういう核のかさに頼る、核の抑止力に依存するということも将来の課題としてはやめる方向で考える、検討するというのが防衛庁の態度ではないんですか、非核三原則だけではなく。もう一回答弁を求めます。
#240
○国務大臣(大村襄治君) わが国が持たない、つくらない、持ち込まさない、三原則を堅持していることは御承知のとおりでございます。将来国連の場等におきまして、この核の管理の問題あるいは軍縮の問題が進んだ場合には、まだ国際的な情勢が変わってくる可能性もあると思うのでございます。さらばと言ってこれを、抑止力をすぐやめてもいいという事態が将来実現するのかどうか、その点は申し上げがたいと思います。そういう意味におきまして、アメリカの核の抑止力に依存するという点は変えるわけにはいかないのではないか、さように考えておるわけでございます。
#241
○矢田部理君 どうももごもご言われて何を言ったのかよくわかりませんが、それがきょうは主題ではありませんから、次の質問に変わりたいと思いますが、外務省に伺います。
 いま、核の問題が延長国会の中心的な議題の一つになっておりますが、例の、岩国沖に一九六〇年前後に停泊をしておったLSTの艦名が明らかにされています、報道によればであります。「サン・ホアキン・カウンティ」、これは先般野田議員も指摘をしているところでありますが、こういう艦名のLSTがこの当時岩国沖に停泊をしておったかどうか、外務省は確認しておられますか。
#242
○説明員(松田慶文君) 現時点では確認しておりません。
#243
○矢田部理君 従来、ライシャワー発言あるいはまたエルズバーグ発言など、私人の発言であり伝聞だというようなことで否定をされてきたのでありますが、今度の報道によりますと、乗組員の証言が具体的に出てきたわけであります。だから、また聞き論は少なくとも説得性がない、伝聞だから当てにならぬという言い方はできない。こういう状況下において、外務省としてこの問題、具体的な指摘がありますから、今後どういうふうに扱われるおつもりでしょうか。
#244
○説明員(松田慶文君) 二点お答え申し上げる必要があろうかと存じます。
 第一点は施設、区域、その提供水面を含めまして施設、区域への米艦船の出入は、地位協定第五条により自由とされておりまして、日本政府に対する事前事後の通報は必要とされておりませんので、一艦一機の出入につきまして日本側が記録を持つ、または問い合わすという状況にはございません。したがいまして、先ほど私が申し上げましたように、記録もない、あるいは確認もしていないというのは、そういう仕組みになっているということをまず申し上げたい次第でございます。
 第二点の、先生御指摘の報道の件でございますけれども、私どもはただいまの時点で、いずれにせよ報道されていることは従前から言われているとおりの伝聞にすぎないと申し上げざるを得ません。いま先生が言及されました乗組員の証言というのも、私どもが報道で承知する限りにおいては、自分はその間LSTに勤務していたと、そういうことは言っております。しかし同時に、そこに核があったとかなかったとかいうことは自分は知る立場に全くなかったとも言っております。したがってお尋ねのポイントが、その時期にLSTのそういう名の船がいたかいないかということであれば別途の問題でございますけれども、その船にいうところの核が搭載されていたか否かという点につきましては、私どもはもっと根本にさかのぼってるる申し上げておりますとおり、事前協議制度のもとでそういう事態はないということを申し上げるほかございません。
#245
○矢田部理君 あなたは少しく報道の事実を一面的にだけ語り過ぎているように思われます。この通信士官の新聞を通じての証言によりますと、「自分としては海軍での誓約に基づいて自船に核があったかどうか確認も否定もできない」と述べた上で、「自分の出す通信が極秘扱いであり、これは通常の輸送船にないことを知っていた」という、状況証拠とでも言いましょうかそういう中身の指摘になっているわけです。加えて、ライシャワー氏やエルズバーグ氏は、当時核があったということにもなっておるわけでありますから、当然この段階で、この岩国沖に停泊をしておったLSTの船舶名等を確認をし、日本政府が調査をしてほしいとまず思うのですが、いかがですか。
#246
○説明員(松田慶文君) この点につきましては、先週来の両院における連合審査等々で総理大臣、外務大臣が明確に政府の基本的立場を申し上げておりますので、それを繰り返しさせていただきますが、状況ないしは伝聞による一つの事実の指摘のみについては政府としては具体的な対応をとる立場にないと、そういうことを言っておりますので、それにて御了解願いたいと存じます。
#247
○矢田部理君 あなたはすりかえてはいかぬよ。私は、まずアメリカに問い合わせろとかという話はまだしていない。野田委員が示しましたように、当時の写真も、航空写真あるわけです。で、あれを拡大をしでみますと、LSTの形になっているんです。艦名まで当時の乗組員から指摘をされているということになりますと、しかも中身は、核問題については確認も否定もしないという、アメリカではこれを簡単に話すことはできない法律上の制約があるということを考慮して考えてみるなら、相当の意味での状況証拠というふうに考えられるわけでありますけれども、まずもって、アメリカに問い合わせるかどうかではなく、こういう船が停泊しておったかどうか、船名等についても含めて緊急にやっぱり調査を求めたいと思いますが、いかがですか。
#248
○説明員(松田慶文君) その件は先ほど御答弁させていただいたつもりでおりますが、施設、区域に出入する米艦船の状況については、地位協定上日本側が承知する状況、仕組みになっておりませんので、しかもかなり昔のことでございますので、私どもの持ち合わせの記録あるいは関係省庁の問い合わせ等を通じましても、それを確認する手だてはないということを申し上げております。
#249
○矢田部理君 手だてがないかどうかじゃなくて、調査をしなさいよ。その結果、わかりませんでしたというのはまああり得るかもしらぬけれども、当時の写真、航空写真まであるんだから、われわれですら入手をしているのに、政府の手によって関係省庁等々問い合わせて、その程度の調べがつかないということはないと思う。だから、まず調査をする。その結果どうであるかは後でまた聞くことにしましょう。
#250
○説明員(松田慶文君) お言葉ではございますが、そのような報道がなされたという事実をもって私どもがそういう調査を行わなければならないというふうには考えておりません。
#251
○矢田部理君 まことに白々しい答弁で……。核の疑惑が指摘をされているときに、あなた方もたてまえ上は非核三原則だと言っている。対米関係についてもいろいろあることは承知しているし、対米折衝やるべしというのが基本的な私たちの議論でありますけれども、少なくとも日本国内で関係団体に当たればある程度の調べはつくような状況についてまであなた方はかたくなに拒否されるということになると、外務官僚というのは、核に対しては一切言わない、自分の手の届くところにあっても調べすらしない、きわめてけしからぬと思うのですが、それでもあなたは前言を翻しませんか。
#252
○説明員(松田慶文君) お言葉、篤と承りました。しかし、それ以上私は申し上げる立場にございません。
#253
○矢田部理君 まあ、この議論をあんまりやっている時間はありませんが、いずれにしてもあなたとしては帰って相談してほしいという要望だけして、とりあえず、五時過ぎ一たん理事会を開くということでありますので、切れ目がいいものですから、ここでやめます。
#254
○委員長(林ゆう君) 暫時休憩いたします。
   午後五時二十分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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