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1980/03/16 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 本会議 第7号
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1980/03/16 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 本会議 第7号

#1
第094回国会 本会議 第7号
昭和五十六年三月十六日(月曜日)
   午後四時三十七分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
    ―――――――――――――
 昭和五十六年三月十六日
  午後四時 本会議
    ―――――――――――――
 第一 酒税法の一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、請暇の件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第九十八番、地方選出議員、千葉県選出、臼井莊一君。
   〔臼井莊一君起立、拍手〕
#4
○議長(徳永正利君) 議長は、本院規則第三十条により、臼井莊一君を法務委員に指名いたします。
     ―――――・―――――
#5
○議長(徳永正利君) この際、お諮りいたします。
 土屋義彦君から海外旅行のため明十七日から十四日間の請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(徳永正利君) 日程第一 酒税法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。渡辺大蔵大臣。
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(渡辺美智雄君) 酒税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 わが国の財政は、現在、特例公債を含む大量の公債発行に依存せざるを得ない状態にありますが、こうした状況から一刻も早く脱却をして、財政の対応力を回復しておくことかぜひとも必要であります。
 このような考え方に立って、昭和五十六年度予算におきましては、公債発行額を前年度当初予算よりもさらに二兆円減額することとし、自然増収を優先的にこれに充てることといたしました。これを受けて、歳出面においては思い切った節減合理化を図ったところでありますが、福祉、文教等の行政水準を維持するためには、なお相当の財源が必要とされるところから、これに対処するために、歳入面において徹底した見直しを行うこととしたところであります。
 したがって、税制面においては、現行制度の基本的枠組みの中で相当規模の増収措置を講することとしており、その一環として、酒税につきまして、物価水準の上昇等に伴いその負担水準が低下してきているなどにかんがみ負担の引き上げを求めることといたしたものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、酒税の従量税率の引き上げを行うことといたしております。
 すなわち、清酒特級、ビール、果実酒類、ウイスキー類、スピリッツ類、リキュール類及び雑酒について二四・二%程度その税率を引き上げることといたしております。
 また、その他の酒類については、その消費及び生産の態様等に配慮して、税率の引き上げ幅を、清酒一級については一四・五%、清酒二級、合成酒、しょうちゅう及びみりんについては九・六%程度にとどめることといたしております。
 第二に、溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のものを酒類の範囲に加えるほか、酒税の納期限を延長するなと酒税制度の整備合理化を行うことといたしております。
 以上、酒税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(徳永正利君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。鈴木和美君。
   〔鈴木和美君登壇、拍手〕
#10
○鈴木和美君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました酒税法の一部を改正する法律案に対し質問いたします。
 まず初めに、税財政の基本についてお尋ねいたします。
 わが国の財政運営に当たって、いま重要な課題は、言うまでもなく財政を立て直すことであります。政府は来年度予算に対する評価を「財政再建元年予算」と自画自賛しておりますか、その内容は、特例国債二兆円の減額と一般会計の伸び率を一けたに抑えたことを挙げております。
 ところで、財政再建のためには、安易な国債依存財政に道を開き、今年度末で約七十一兆円にも達する国債残高、言いかえれば国民の巨額の借金を招いた原因と責任の所在を明確にしていただきたいのであります。
 次に、鈴木内閣のいわば目玉とも言うべき二兆円の国債減額を実現させたものは、国民に対する大増税の実施であります。
 今回の税法改正による一兆三千九百六十億円の新規増税はもとより、自然増収という目に見えない増税か実に四兆四千九百億円もあり、これによって国債の削減も予算の編成も可能になったものであります。国民か政府に求めている、むだな経費を省いて財政の体質を変えることについて不十分であったと考えているものでありますか、政府はその点どのように国民に対して釈明されるのでありましょうか。財政の赤字を国民に対する増税で穴埋めするのはきわめて安易なやり方でしかなく、国民の負担は一向に改善されていないではありませんか。総理はこのような国民の疑問にどうお答えになるのでしょうか、お伺いいたします。
 第三に、今回の増税対策に関して伺います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 今回の増税から除外されたものは、目的税としての揮発油税、相続税、砂糖消費税、トランプ類税、さらに入場税などであり、揮発油税以外は税収額の小さいものであります。言いかえれば、高収入の目ぼしい税目はすべて増税の対象となっております。鈴木総理を初めとする政府の関係者の言う「既存税制の枠内」での選択的増税どころか、実質的には一般的増税ではありませんか。総理の見解を求めるものであります。
 第四に、中期税制改革の問題について伺います。
 昨年秋に出されました政府税制調査会の中期税制答申では、現行の不公平税制の是正は一段落し、「広く消費一般を対象とする間接税」の導入を必要とすると強調しております。また、答申では、四年後には国民総生産に対して三%程度の税負担の増加か避けられず、一%は自然増収で、残り二%を新規増税で賄うよう主張しております。この大増税を実施するためには大型間接税、すなわち新一般消費税の導入の必要性を明らかにしているのであります。政府もこれに呼応して、庫出税とか売上税、あるいはEC型付加価値税なと、具体案を検討していると聞き及んでおります。そして、近くそのための政府税制調査会の再開も予定されて、本格的な軌道づくりか始まると言われておりますか、その実情はどうなっているのか明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、去る一月三十日の閣議で了承された「財政の中期展望」では、八二年度二兆七千七百億円、八三年度四兆九千六百億円、八四年度六兆八千億円の歳入不足か生ずるとしております。この展望自体についての批判は今回省略いたしますが、政府の見通しているこの財源不足はいかなる方法で解消するつもりなのですか。総理の率直な見解と、大蔵大臣の中期税制改革についてのもくろみのほどをお示しいただきたいのであります。
 第五に、財源対策としての不公平税制の是正について伺います。
 さきにも述べましたか、政府の税制調査会の基本的見解は、不公平税制の是正は一段落したと述べていますか、国民の立場からはとうていそのような実感にはありません。その最たるものは給与所得者、すなわちサラリーマンの税負担の重いことであります。これは来年度の自然増収か二兆八百億円に上っていることにもあらわれております。名目所得の上昇に伴う実質増税か着々と進められ、今後三年間、一切の所得税の物価調整減税を実施しないという政府の方針か貫かれるとなると、勤労者の税は低所得者層ほど重くなるのであります。
 たとえば、五十五年度、夫婦と子供二人の家庭で年収三百万円たった人は、年収が八%アップすると税金は実に二七%もアップします。四百万円の人は二〇%にもなります。つまり、知らない間に税負担率は重くなっているのであります。このように不公平な税負担を放置し、今後もなし崩しの実質増税を続けるのかどうか、総理の見解をまずお聞かせいただきたいのであります。
 また、不公平な所得の捕捉率の是正や、大企業、大法人の実質的優遇税制を洗い直すことを国民は望んでおります。いまこそ応能原則に立って、最低生活費非課税の原則、勤労所得税軽減、不労所得重課の原則を貫き、所得の把握を完全に行い得る職員の配置など、抜本的な不公平税制の是正に取り組まないことには、国民の税に対する不信は増幅する一方であると考えますか、大蔵大臣の答弁を求めるものであります。
 さて、本題の酒税でありますか、以上指摘しましたように、現在の税財政については多くの問題か解決されないにもかかわらず、大衆課税の典型である間接税か増税され、酒税か引き上げられようとしています。それによって来年度は二千八百三十億円か庶民のふところから取られることになります。
 労働省の調査によっても、昨年一年間の勤労者の実質賃金は〇・九%から一%のマイナスとなっており、厚生省の国民生活実態調査では、現在の暮らしか苦しいと答えた世帯は四九・二%と約半分にも上り、一年前より七%近い上昇率となっているのであります。中でも家計か苦しくなったと答えた世帯は五五・二%といったように、国民の生活は厳しさを増してきているのであります。このような状況にあるのに、なおかつ増税で大衆に追い打ちをかけるのですか。これは単に家計を苦しめるだけてなく、個人消費全体を冷え込ませ、経済運営の点からしても逆行する政策ではありませんか。
 また、今回の酒税の値上げに伴う消費者物価へのはね返りは〇・二一%とされています。その計算に当たって、政府は消費者物価指数の構成内容で酒類のウエートを一万分の百八十七としております。しかし、酒に対する家計の負担を考えますと、庶民の消費は家庭で三割、あとは赤ちょうちんなどの流通を通して七割か消費されているのであります。これを考慮すれば、労働者の支出実態はきわめて多く、政府の言うはね返り数字は実感に乏しいと考えますが、大蔵大臣及び経済企画庁長官の答弁をいただきたいと存します。
 次に伺いたいことは、今回の税率引き上げに伴う消費者に対する税負担の逆進性についててあります。
 酒税の負担割合を所得階級別の税負担表で比較しますと、第一階級と第十階級とては、十位の高所得者の負担は第一の階級の負担率のほぼ半分程度なのであります。この傾向から見ても、所得の低い層ほど酒税の負担率は高くなっているのであります。しかも、今回の税率の引き上げ幅についても、大衆の消費量か最も多いビールか二四・二%も引き上げられることとなり、政府か酒税負担の逆進性に十分配慮しているとは思われませんか、大蔵大臣の見解を承りたいのであります。
 次は、一体、政府は酒税負担の適正率をどう考えているのかということであります。
 政府は、今回の税率引き上げの理由に、小売価格に占める税金の割合か低下したことを挙げております。そして、清酒一級の二四・一%を二六・六%程度に、ビールの四二・五%を四七・八%程度に、ウイスキー特級の四三%を四八・二%程度に上げようとしておりますこのような考え方では、小売価格の上昇と税率の引き上げとかイタチごっこを繰り返して、絶えざる値上げと大衆負担の増加をもたらすことは言うまでもありません。日本のビールの税率は世界最高であります。アメリカの八・八%、フランスの一六・八%、西ドイツの一九・五%と比較すれば異常な高率であります。なぜこれほどわが国の税率は高いのでありましょうか。
 また、酒税は一九六七年から七九年まて四回の値上げが行われました。今回はわずか二カ年間を置いての値上げであり、財政収入確保のための値上げてあることか一層明らかになってきています。それだけに業界も購買力の展望から反対しているではありませんか。大蔵大臣の酒税についてのお考えを承りたいと存します。
 次は、税率の引き上げに伴う小売価格のいわゆる便乗値上げについて伺いたいのであります。
 増税されれば小売価格に上乗せされるのは必至でありますか、それに加えて端数調整を値上げて処理されるのも避けられません。たとえばビールの価格か現在の二百四十円から二百六十四円六十九銭にとどまることは不可能であり、少なくとも二百六十五円となるでありましょう。これによって差益は二十億円にも上ると見積もられているのであります。酒全体では三十億円の差益か生ずるとも言われています。このような不当利益に対して、大蔵大臣はどのような防止策と利得吸収の方策を講しられるのか、伺いたいのであります。
 最後に、間接税増税に当たっての大原則とも言うべき高級品に対する高率課税の観点からすれば、現行の酒税を従価税と従量税の二本立てとしている制度を改めて、従価税方式へ統一する必要があると考えますか、大蔵大臣の方針を明らかにしていただきたいのであります。
 酒は、いまやわが国人口の半数に近い五千万人か愛好する嗜好品であり、伝統的、歴史的、文化的に見ても欠かぜない生活物資であります。このような実情を踏まえるなら、安易な大衆課税のための今回の値上げは中止するとともに、勤労者全体が望んでいる物価調整措置を必ず実現するよう要請して、質問を終わります(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 まず、今日の巨額な国の借金を招いた原因と責任の所在を明らかにせよとの御質問でございます。
 御承知のとおり、第一次の石油危機か生じましたのは昭和四十八年度でありましたが、この年の年度末における公債残高は七兆五千億円でありました。昭和五十五年度末では御指摘のとおり約七十一兆円、つまりこの七年間に公債残高は実に十倍近い額になっております。わが国か二度にわたる石油危機を世界で最も巧みに乗り切った国と言われておりますか、しかし、石油価格か一気に四倍にもなるという強烈なショックに対応するには相当の混乱があったのでありまして、物価上昇、景気停滞の二重苦の中で、民間経済か減量に、合理化に努力する間、景気の落ち込みを防ぎ、倒産や失業を防止するため、財政か公共事業を中心に積極的な役割りを果たす必要があったのであります。
 また、昭和四十八年という年は、一方で福祉元年と呼ばれた年でありまして、この年からわが国の福祉政策が急速に充実された年でもあります。その後高まった国民の福祉や教育などの施策の水準引き上げに対する期待に国かこたえる努力かなされてまいりましたか、これも歳出増加の要因となっております。他方、歳入面ては、かつての高度成長下のような自然増収が期待できなかったわけでありますから、勢い公債の増発となり、今日七十一兆円という巨額な残高を抱えるに至ったわけてあります。これはいわば二度にわたる石油危機かわが国に残したつめ跡であります。
 今日、わが国経済は先進諸国に比し、成長、物価、失業、国際収支、いずれの面で見ても幸いにして順調な推移を示すに至っておりますので、今度は半身不随の状況にある財政の健全性を回復する必要があると考えまして、私は、五十六年度予算の編成において二兆円の公債減額を予算編成方針の中心に据え、財政再建を軌道に乗せる努力をいたしました。
 歳出削減の努力が足りないのではないかとのお尋ねがありましたか、五十六年度予算では、歳出全体の伸び率を一けたに抑え、一般歳出については四・三%と二十五年ふりの低い伸び率にしております。もちろん、これて十分と考えているわけではなく、来年度以降さらに歳出の抑制合理化に最善の努力を払ってまいりますか、五十六年度予算の一般歳出の増一兆三千億円の約四分の三か福祉、文教関係の経費増に充てられていることからおわかりのとおり、国民の要望の強い分野の行政水準の維持との調和ということにも配慮を必要とするという問題もございます。
 私は、行政改革も含め、高度成長下で肥大化した行財政の減量という見地からこの問題に取り組んでまいりたいと考えており、本日、第一回の会合か行われた臨時行政調査会におきましてもその旨申し上げたところであります。
 一方、五十六年度におきましては、歳出の抑制合理化、電電公社の特別納付金などの政府部内での増収措置等を図りましたか、なお不足する額について、御審議をお願いしている酒税を初めとして、法人税、物品税、印紙税、有価証券取引税について増収をお願いしております。これらはいずれも既存税制の枠組みの中での増収をお願いしているものであります。
 財政の中期展望についててありますか、これは昭和五十六年度予算における制度、施策を前提として、これを将来に投影する後年度負担額推計という基本的性格のものでありまして、要調整額をどのように調整するかという政策判断は、実際の予算編成に当たり、そのときの社会的、経済的な諸条件、政策の優先度等をよく勘案して適切に対処すべきものと考えております。私は、その際基本となるのは歳出の抑制合理化だと考えております。
 今回、所得減税につきまして、衆議院議長の裁定か出されました。私は、この議長裁定に沿って与野党間で具体的な検討が行われ、合意か得られた場合には、政府はこれを尊重してまいる所存でございます。
 残余の件につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 これだけ借金かふえてしまって、その責任と原因は何かという話で、総理大臣からお話かあったとおりてございますか、それは過去七年間で、税収は昭和四十八年十三兆か五十五年は二十六兆、二倍にしかなりません。にもかかわらず、文教予算は約三倍とか、それから社会福祉の予算は約四倍というように、税収以上にそういう面においては、需要といいますか、御要望が強くて、税金の範囲で賄っていれば赤字にならぬわけでありますか、税金以上に、国民生活の安定向上ということで、政府か景気の回復ということと一緒にそれをやった結果が私は赤字になったと、こう見ておるわけであります。しかしながら、それは成功いたしまして、日本では失業者は世界で一番先進国の中で少ないといういい面も出てきております。失業者か少ないから、したがってどろぼうの数もアメリカやドイツやイギリスより約三分の一だと、強盗もそうだということで、社会的に私はかなり貢献をしてきたことは間違いないのじゃないかと、そう思っておるわけでございます。
 その次は、これは庫出税とか売上税とか、EC型の付加価値税とかいうようなものを検討しているかという話でございますが、これにつきましては、税制調査会でそういうような個人所得に対する負担を求める方法についてどう考えるか、課税ベースの広い間接税についてどのように対処するかという点を初め、いろいろ検討していくべきだ、研究すべきだという考えか述べられております。しかし、われわれといたしましては、総理大臣がいまおっしゃいましたように、来年度予算に向かいましては極力経費の削減というものでまずひとつ徹底的にやってみようということてごさいまして、どれくらいのものがどうして出るのか、どれくらい抑えられるのか。これは、要するに収入と歳出というものは裏表でございますから、皆さんの国会におけるいろいろな御議論というものに謙虚によく耳を傾けまして、今後検討をしてまいりたいと考えております。
 それから中期税制につきましても回しような考えてございます。これは財政の中期展望というようなものを出しまして、いわゆる調整額というものを出したところか、これは増税キャンペーンだというようなことでおしかりを受けたのですか、そんなことではございませんでして、これは、歳出はいまのままではこんなに伸びます。したがって、これを極力切れば、その切った中でおさまってしまえばそれていいわけでごさいますから、そういうような点との関連かございますので、そういう幅広い観点から検討していきたい、かように考えます。
 それから大法人等に対する優遇税制、これを徹底的に洗い直しをしてやれ、それから不労所得は重課だ、勤労所得税減税というふうなお話でございますか、これらにつきましては、いわゆる特別措置法で約一兆円くらいのものかありますか、その大部分というものは、個人向けのマル優の三百万円以下の利子所得を免税にするとか、あるいは住宅対策とか、あるいは生命保険料の控除だとか、あるいは企業向けだと中小企業対策、あるいは資源エネルギー対策、こういうようなものが大部分でございます。しかし、これらにつきましても、もうその必要かないじゃないかというようなことでありますならば将来の検討課題にいたしたいと思いますか、現在のところ、まだそういう要望が非常に強いということでございます。いずれにいたしましても、特別措置というものは既得権じゃございませんので、その時代時代に必要なものはつけますか、必要がなくなれば消していくということは、めりはりをつけてやってまいりたいと考えます。
 なお、所得税減税の問題については、総理からも御答弁がありましたとおり、当分、今回は見合わせていただきたいと考えておる次第でございます。
 それから……(「違うじゃないか」と呼ぶ者あり)いやいや、所得税の問題については、諸外国との比較等も考えまして、現在のわが国の財政事情の現状を考慮すれば見合わせるほかはない、こういうことでございます。
 それから不公正の税務行政の執行面につきましては、これはちょいちょい御指摘を受けておるわけでございますが、非常に課税漏れ、そういうものがあるのじゃないか、もっと税務職員をうんとふやして徹底的に調べろという御叱正をいつも受けておるのです。われわれといたしましても、極力、限りある人員ではございますか、まず納税思想というものを高揚いたしませんと、幾ら税務職員をふやしましても、申告制度でございますからこれは限りのあるものでありまして、これについてはまず納税者の納税思想の向上に努める、その一方で事務の機械化、合理化、こういうことも進めてまいりたい。国税職員の充実を図ったり、一方においていろいろな調査技術、調査能力、こういうものも高めて、そうして御批判を受けないように今後とも一層努めてまいりたいと考えております。
 それから酒税によって個人の家計が非常に苦しくなる、経済運営の点から言っても逆の政策ではないか、こういうような御批判でございますが、民間の最終消費支出に占める酒類の消費支出というものの割合は大体三彩程度でございまして、家計消費支出における酒類支出の割合は一%程度というようなことでございます。したかいまして、それによって大きく政策に相反するというほどのものではないと、私はこういうように考えております。
 なお、消費者物価への影響ということにつきましても、現行の小売価格に対してビールで一〇%、清酒では一%程度でございます。したがいまして、この影響がないということではございませんが、当然影響はございますが、二級酒の場合は、毎日一合の晩酌をやっても一本で人体一円五十銭でございますから、月に四十五円というようなことでありますし、その程度のことであるならば、現在の国民生活から見て御負担いただけるものだと、こう考えております。また、ビールについては、ビールが高過ぎると。まあ酒の方はいいけれども、ビールの方は一杯にしても四円とか五円とか上がるじゃないかと、酒に比べてうんと高いという御批判があるのです。これは本当にそういう御批判があることは私もわかっているのです。しかし、一方におきまして、酒税ということでございますが、実際の実態感を申しますと、たとえば昭和五十五年度の補正後の状況を見て、酒税は大体一兆四千億円なんです。中身を見ますというと、名ばかりお酒税なんでございますが、お酒の税金というのは二千六百億しかないのです。一兆四千億のうち二千六百億かお酒税、名前はお酒税だか清酒の税金はわすかに約二割弱。お酒税と言いながら、実態はビール、ウイスキー、これてもう約一兆一千億円を占めるわけであります。いままで非常なスピードで伸びてきた。
 これは、結局ビールの場合は原料か安い、原料か安いものですから値上げというものはそんなにしなくても済んできた。一方、お酒の場合は、原料というものか国産でございますから、お米で、ストレートに毎年上かった。したがって、これらのことについては、ビールというものは外国産の麦を使っておりますから、ビールだけかどんどん伸びちゃう、お酒か小さくなってしまうというのも国全体の政策としていかかなものかというようなことも配慮をいたしました結果でございますということも御承知願いたいと存します。
 それから過去の酒税負担の適正率をとう考えているかということにつきましては、これは、負担の程度を決めるに当たりましては、特殊な嗜好品としての酒類の特性というものを前提としながら、過去の酒税負担水準との比較、国民の所得、消費水準の動向、酒類の生産状況、消費の態様、他の消費税との比較、こういうようなものを十分に配慮いたしまして、しかも国の財政事情を総合的に勘案して決定したつもりでございます。今回の改正案におきましても、これらの要素を検討した上で適正な負担を求めるように考えたつもりでございます。
 それから便乗値上げの問題でございますが、これも大事な御質問でございまして、われわれといたしましても、自由価格でございますから、その増税に伴って増税額か価格に転嫁されることはやむを得ない、しかし、それによって、赤ちょうちんその他で飲む人が多いんだし、料理屋で飲む人もかなり多いんだから、それを便乗値上げさせちゃ困ると、全く私もそのとおりたと思います。したかいまして、これらにつきましては、端数の整理ということはある程度やむを得ないと思いますが、極力行政指導を通しまして便乗値上げをさせないように指導をしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
 それから最後に、従価税に統一する必要があるのじゃないかと。この論争も長く、古くて新しい話でございまして、いろいろ実はあるわけなのです。しかしながら、一長一短ございまして、現在のように量にかけるということは案外つかみやすいのですが、価格にかけるということになると、価格か千差万別だということで、非常に捕捉をするという場合にむずかしい問題が一方にございます。それから高級なものについては、値上がりした場合は価格にかけますからぼっと一遍に税収もふえますか、値段もうんと高くなるという問題等いろいろございますので、いまのところ踏み切れない。しかし、これはもうかねてからいろいろな議論がございますから、せっかくの御提案でございますので、現実的な観点をも踏まえながら、お酒の税金制度全体のあり方とも関係をいたしますので、中長期的な問題として十分に慎重に検討させていただきたいと、かように考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(河本敏夫君) 今回の酒税の引き上げの国民経済に及ぼす影響でありますが、約三千億弱という金額でありますが、との分はそのまま国民経済全体にデフレ的影響がございます。ただしかし、これを政府の方の増収にいたしまして、さらにこれを財政を通じて国民経済全体に還元するわけてありますから、この面から見ますと、やはり国民経済に貢献をする、こういうことにもなります。そういう意味で、一概に結論を出すということは大変困難だと思います。
 それから第二点の消費者物価に対する影響につきましては、ただいま御指摘のとおりてございまして、また大蔵大臣からも御答弁がございましたが、えてして主食であるとか酒とか、こういうものはその引き上げが、波及効果といいますか、便乗値上げを誘う、こういう傾向かございますので、このことにつきましては厳重に監視することが必要であろうと、このように判断をしております。(拍手)
#14
○副議長(秋山長造君) 答弁の補足がございます。渡辺大蔵大臣。
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は一貫して所得税減税については御容赦願いたいと言ってきたわけでございますが、私の意思でなくて、今回議長の裁定によりまして与野党間で具体的な検討か行われる、それで合意か得られるという場合には、政府はこれを尊重するということで、それに従います。(拍手)
#16
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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