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1980/03/23 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 本会議 第8号
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1980/03/23 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 本会議 第8号

#1
第094回国会 本会議 第8号
昭和五十六年三月二十三日(月曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第八号
    ―――――――――――――
 昭和五十六年三月二十三日
  午前十時 本会議
    ―――――――――――――
 第一 所得税法の一部を改正する法律案(閣法
  第一一号)、法人税法の一部を改正する法律
  案(閣法第一二号)及び租税特別措置法の一
  部を改正する法律案(閣法第一三号)(趣旨
  説明)
 第二 地方税法及び国有資産等所在市町村交付
  金及び納付金に関する法律の一部を改正する
  法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。日程第一 所得税法の一部を改正する法律案(閣法第一一号)、法人税法の一部を改正する法律案(閣法第一二号)及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(閣法第一三号)(趣旨説明)
 三案について、提出者の趣旨説明を求めます。渡辺大蔵大臣。
  〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(渡辺美智雄君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、所得税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 所得税につきましては、最近における社会情勢の変化等に対応して所得税制の整備合理化を行うことといたしております。
 まず、家計を助ける主婦等に対する配慮として、控除対象配偶者などの所得要件につきまして、給与所得等に係る所得限度額を現行の二十万円から二十九万円に引き上げるとともに、父子家庭のための措置として、妻と死別し、または離婚した者のうち一定の要件を満たすものにつきまして、寡婦控除に準じた所得控除を認めることといたしております。
 また、豪雪等災害に直接関連して支出した金額が年間五万円を超える場合に、その超える部分の金額を雑損控除として所得控除できることとするほか、所要の改正を行うことといたしております。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 法人税につきましては、現下の厳しい財政事情及び最近における社会経済情勢に顧み、法人税の税率を引き上げるほか、制度の整備合理化を行うことといたしております。
 まず、財政体質の改善に資するため、相当規模の増収措置を講ずることとし、法人税の税率を一律二%引き上げることといたしております。
 また、中小企業に対する配慮として、中小法人に対する軽減税率の適用所得限度を年七百万円から年八百万円に引き上げることとするほか、所要の改正を行うことといたしております。次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 租税特別措置につきましては、現下の厳しい財政事情及び最近における社会経済情勢に顧み、法人税法における税率の引き上げに対応して配当軽課税率等の引き上げを行うとともに、租税特別措置の整理合理化等を推進するほか、エネルギー対策の促進に資するための措置を講ずるなど、所要の改正を行うことといたしております。
 すなわち、第一に、法人税につきましては、ただいま申し上げました法人税法の一部を改正する法律案により、その税率を二%引き上げることとしておりますが、これに対応して配当軽課税率等を一律二%引き上げることといたしております。
 第二に、企業関係の租税特別措置につきましては、適用期限の到来するものを中心に見直しを行うこととし、産業転換設備等を取得した場合の特別税額控除制度を廃止するほか、特別償却制度及び準備金制度の整理合理化などを行うことといたしております。また、登録免許税の税率軽減措置などにつきましても所要の整理合理化等を行うことといたしております。
 第三に、現下の緊急の課題とされるエネルギー対策の促進に資するため、省エネルギー設備、石油代替エネルギー関連設備及び中小企業者の取得する一定の機械等につきまして、三年間限りの措置として、取得価額の三〇%の特別償却と取得価額の七%の特別税額控除とのいずれかの選択を認める措置を講ずることといたしております。
 第四に、交際費課税制度につきましては、定額控除額を超える交際費支出額のうち、前年同期の交際費支出額を超える部分は全額損金不算入として、課税の強化を図ることといたしております。
 第五に、普通乗用自動車などに対する物品税の軽減税率につきましては、課税物品相互間の負担のバランス等を考慮し、二・五%引き上げることといたしております。
 第六に、割引債の償還差益につきましては、利子課税とのバランス、割引債の流通性等に配意しつつ、総合課税のための具体的方法を定めることといたしております。
 第七に、中小企業等海外市場開拓準備金制度など適用期限の到来する特別措置について実情に応じその適用期限を延長するほか、所要の改正を行うことといたしております。
 以上、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(徳永正利君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。大木正吾君。
  〔大木正吾君登壇、拍手〕
#6
○大木正吾君 私は、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表し、総理並びに関係大臣に対し質問いたします。
 昭和五十六年度予算について、政府は、歳出規模を一けたに抑え、公債発行額を二兆円減額できたといたしまして、財政再建に大きく踏み出したと自己評価しておられます。確かに歴史的にも、また国際比較におきましても、まさに異常としか言いようのない公債依存の赤字財政から一刻も早く脱却しなければならないことは当然でありましょう。
 しかし、問題は財政再建の手段であります。今回の公債発行二兆円の減額は、高度成長時代に肥大化いたしました補助金の抜本的見直しを行うなどの歳出削減に力を入れた結果ではなく、四兆四千九百億円に上る税の自然増収と、一兆三千九百六十億円という史上最大の増税を国民に押しつけ実現しようとするものにほかなりません。
 以下、三法案に関連いたしまして質問いたしますが、まず財政再建の政策目的についてお伺いいたします。
 財政の再建は、長期にわたって大量の国債発行を継続することにより生ずる数々の弊害を除去しようとするものであります。究極的には、財政の自由度を回復し、財政に課せられました機能を十分に発揮して、国民生活の安定に寄与せしめるということではないでしょうか。私は、五十六年度予算並びに税制改正の内容を見る限り、財政の機能回復への方向とは合致しないばかりでなく、むしろ逆行すると断ぜざるを得ません。
 その理由は、「小さな政府」を目指しながら、歳出削減よりも増税に依存しようとしていることであり、資源配分の調整機能をより以上に減殺させるだけでなく、現在の景気低迷の最大の要因とされている個人消費の不振に拍車をかけ、経済の安定化の機能をも阻害する内容となっているからであります。
 まず、今回の大幅増税が財政の持つ資源配分の調整機能、経済安定化の機能に与える影響について、総理並びに大蔵大臣、経企庁長官の答弁を求めます。
 さらに、より大切なことは、所得の再配分機能についてであります。
 所得税の減税を四年間にわたって放置する一方で、酒税、物品税を中心とする間接税の増税を行おうとしている事実は、低中所得層の税負担を増大させることとなり、所得再配分の機能を阻害しているではありませんか。
 そもそも、間接税を増税するなどの税制改正や所得税の物価調整減税を見送ることにより国民の税負担が増加する場合、あるいは公共料金を引き上げる場合、全体を合算して国民のどのような階層に相対的な負担が重くなるのかを明示する必要がありましょう。これこそ財政民主主義の大前提だと思うのであります。したがって、これらの資料を公表する意思ありや否やを大蔵大臣にお伺いいたします。
 次に、自然増収についてであります。
 今回の二兆円の国債減額は、増税と自然増収によって実現しようとしていることはさきに述べました。四兆四千九百億円に上る自然増収額のうち六一%を超える二兆七千六百九十億円は所得税の自然増収額であり、このことは所得税の減税を見送った場合自然に税負担が増大する、つまり隠された増税が進行していることを物語っているのであります。
 この事実は、国税収入に占める税目別の割合を見ても明らかであります。来年度は法人税を六千二百四十億円増税しようとしているというのに、その割合は三〇・五%から三〇・六%へとわずか〇・一%しかふえませんが、増税していないはずの所得税は三七%から三八・七%へと一・七%も割合がふえています。実質的に進む所得税の自然増税に対する大蔵大臣の御見解を承りたいと考えております。
 次に、国民の家計に与える影響についてであります。
 総理府の家計調査報告によって見ても、昨年の勤労所得者の実収入は、一昨年に比べ名目では七・三%ふえましたけれども、消費者物価が八%も上昇したため実質では〇・六%の減となっています。これは第一次石油危機後の四十九年の〇・三%減を大きく上回り、三十九年の本調査開始以来最大の落ち込み幅となっているのであります。ところが、実質減収となった家計に対しても所得税は名目所得に課税されるため、その負担は容赦なく加重され、前年比で一九・一%の増加となり、住民税や社会保障負担の増加と相まって実質手取り収入は一・四%の減となっているなど、家計をひしひしと圧迫いたしております。個人消費低迷、不況経済の原因をもつくっているわけであります。
 政府は、今回の野党五党が結束をいたしまして要求した所得税減税の背景と必然性を謙虚に受けとめ、これまでの国民不在の財政再建即増税という誤った路線を根本から変更すべきであり、今国会での衆議院議長裁定による減税はもちろんのこと、五十六年度以降におきましても引き続き調整減税を行うべきであります。総理並びに大蔵大臣、経企庁長官の所見を伺います。
 以上、所得税の物価調整減税の必要性を強調してまいりましたが、ヨーロッパ諸国では、スウェーデンの税率調節、イギリスの所得控除引き上げなど、ほとんどの国で法的に、あるいは裁量的に物価調整減税を行っております。
 わが国での物価調整減税については、昭和三十七年の税調答申でその考え方を示しております。いわばその先進国であったはずであります。その答申では、「所得税の本来の負担は、実質所得に対する負担を中心に考えられるべきものである」とし、名目所得の増加による税負担の実質増加部分は自然増税にほかならず、これを調整する必要があることを強調しているのであります。そして、この自然増収は、税率が小刻み累進であるために低所得者ほどその程度が著しく、税負担の増加が逆進的に働くことに注目すべきだといたしております。今後、物価の動向に応じて課税最低限を引き上げていく考え方はないか、大蔵大臣にお伺いいたします。
 また、政府は、所得税については、欧米諸国と比較いたしまして負担水準が低いという見解のようであります。そして、その一つの指標として課税最低限の国際比較を例示しながら、フランスに次いで高いと主張しております。しかし、この国際比較は、単なる為替レートによる比較であって、現実の生活の姿を示すものとはなっておりません。課税最低限が最低生計費非課税の原則によるものであるからには、最低生活費水準で比較すべきであります。これが不可能なら実質購買力指数で修正すべきでありましょう。たとえば西ドイツの実質購買力はわが国の二倍と言われているところからいたしましても、わが国の課税最低限は決して高い水準にあるとは言えません。さらにアメリカでは課税最低限の計算に給与所得控除を含めないとか、国によって各種控除を除外して計算するなど、その内容が統一されたものではないということであります。このような観点から見ても、わが国の所得税の負担は国際的に見て低いとは言えないと思いますが、大蔵大臣の所見はいかがでしょうか。
 所得税の負担水準が増大することは、そのことだけでも重要な問題をはらんでおりますが、現行の所得税の持つ不公平がさらに増幅されるということが重要であります。すなわち、所得捕捉の不十分さからくる、いわゆるクロヨンの問題資産性所得の軽課、勤労性所得の重課という、課税原則に真っ向から背反する不公平問題に抜本的対策を講じなければ、所得税負担の増加するごとに不公平がさらに拡大していくこととなるからであります。大蔵大臣は、小刻み累進など、現行の所得税制が生む不公平増幅の制度を放置するおつもりかどうか、その見解をお伺いいたします。
 次に、法人税について伺います。
 五十五年度に財界の圧力に屈して断念させられました法人税増税については、今回、経営基盤の脆弱な中小企業や協同組合などにも大企業と同率の一律二%引き上げというきわめて過酷な負担を求める内容となっております。特に最近、中小企業の倒産がかつてない規模で多発しており、それによる失業者が急増しているなど、大きな社会問題となっていることは周知の事実であります。
 政府は、これ以上中小企業に過剰な負担を求めないためにも、わが国経済を支えてきた中小企業に対し特段の配慮をすべきであります。中小企業の税率を据え置き、四十九年以降引き上げをしていない軽減税率の適用所得限度を一千万円程度まで認めるべきではないでしょうか。それこそ鈴木内閣の血の通った中小企業育成政策と言えると思いますが、総理及び大蔵大臣、経企庁長官の見解をお伺いいたします。
 また、私どもが再三検討すべきことを主張してまいりました法人擬制説に立脚した現行法人税制の不合理性については、過般の政府税調中期答申で、企業の資金調達や個人の金融資産選択などに無用の混乱を招きかねないとして現行制度をそのまま容認しておりますが、全法人百三十五万のわずか一・一%にすぎない資本金一億円以上の大企業では資本と経営の分離が行われ、その事業活動を遂行するに当たって数々の公共からのサービスを享受していることなどから見ても、法人実在の立場から、法人累進課税の導入が公正な税制を満たすためには当然と考えるものであります。
 また、それに関連いたしまして、法人、個人間の二重課税調整ということから、株を所有しているということだけでもって、五十三年を例に引けば、七千二百七十五億円に達する法人の受取配当が非課税とされ、また個人株主については、配当控除あるがゆえに、標準世帯における配当のみでの課税最低限が勤労世帯の約二倍の四百万円程度であることなど、不労性所得に対する課税が極端に軽減されていることは、税の不公平の表徴であります。そこで、法人の受取配当の益金不算入制度を廃止し、配当控除率を逓減することが必要だと考えますが、大蔵大臣の御所見を伺います。
 さらに、今回政令改正で金融機関の貸し倒れ引当金の繰入率を引き下げることとしておりますが、依然として実際の貸し倒れ発生率との乖離が見られ、改正内容はきわめて不十分であります。特に、このような引当金、準備金の利用度は、税務統計から見ても、資金繰りの苦しい中小企業がきわめて低い反面、大企業はフルに活用し、実質的には無税で内部留保するという大企業優遇税制化しております。そこで、企業規模や実際の発生率を勘案した各種引当金などの積立率にするなどして、これら制度を再編成すべき時期と考えますが、いかがでしょうか。
 過去に、東京都財源構想研究会が本問題指摘の際、政府は、現制度が企業会計上合理的なものであるという、きわめてあいまいな回答でこの指摘を退けております。実情を見た場合、大蔵大臣、大企業優遇であるこれら制度について現在でも合理的であると判断されておられますか、その根拠を明らかにしていただきたいのであります。
 また、今回の法人税率の一律二%引き上げにより、普通法人の実効税率は五一・五五%とほぼ欧米並みの水準となると言いますが、予算審議でも明らかにされましたように、各種企業優遇税制の存在により、法人企業の資本金階級別の法人税負担は逆累進となっています。五十六年度の政府税調答申では、昭和五十一年以来、租税特別措置の整理合理化を精力的に進めたとし、税負担の公平を確保する見地から整理合理化はおおむね一段落したとの見解をとっていますが、法人税の逆累進が現実に存在し、その主たる原因が租税特別措置にあることは否定できない事実でございます。たとえば、航空機の特別償却、海外投資等損失準備金、特定鉄道工事償却準備金などの諸制度は、担税力のある一部大企業に偏した優遇制度でありまして、今後、政策税制として存続させることの必要性は皆無と考えています。
 また、補助金の整理合理化が強く求められている現在、いわゆる隠れた補助金にほかならない各種租税特別措置全般にわたってその終期を設定し、国民の合意が得られるもの以外はその終期がきたら廃止するという租税特別措置廃止計画を策定し、それに基づいて今後租税特別措置法の根本的見直しを図るという方針をとるべきと考えますが、大蔵大臣の所見を伺います。
 さて、私は、質問の最後に、第二臨調の発足に関連いたしました鈴木総理の発言についてお伺いいたします。
 総理は、去る十八日の日商総会のあいさつなどの中で、第二臨調の答申の完全な実施とあわせて、大型間接税の導入はしないと言明された旨報道されていますが、そのとおりに絶対に大型間接税の導入はしない御決意であるかどうかを確認いたします。同時に、渡辺大蔵大臣の担当大臣としての見解をただして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(鈴木善幸君) 大木さんにお答えをいたします。
 まず、私の財政再建に対する基本姿勢についてお尋ねがございました。
 私は、財政の再建は、わが国の将来の基盤を確かなものにするため、どうしてもなし遂げなければならないものと考えております。このため、私は総理就任以来、私に課された緊急の政策課題として財政の再建に取り組み、五十六年度予算では二兆円の国債減額を基本に歳出の抑制合理化に努力し、予算の伸び率を二十数年ぶりに一けたにとどめました。また、既存税制の枠内ではありましたが、一兆四千億円に近い増税を国民の皆様にお願いいたしました。私は、これによって財政再建元年と呼ぶに足る成果を上げ得たものと考えております。
 しかしながら、財政の中期展望でお示ししたとおり、現行制度をそのままにして所要の財政支出を将来に投影してみますと、財政再建を進めるためにはなお多額の要調整額が生ずるのであります。五十七年度予算編成においても、二兆七千七百億円という要調整額をどう処理するか、その対応が求められるのでありますが、私は、時あたかも第二次臨時行政調査会の発足した折でもありますので、五十七年度予算編成では、徹底した歳出の削減合理化によって財政再建を推進したいと考えております。
 財政再建第二年度である五十七年度予算では、大型新税の導入など念頭に置かず、行財政の合理化に全力を尽くすというのが私の考えでありまして、このため、臨時行政調査会の発足に当たり特にお願いして、今年の夏までに歳出の削減合理化、つまり金減らし策について中間答申をいただくことといたしました。これを五十七年度予算等を通じて実施に移してまいりたいと考えております。どうか各党各会派におきましても、行政改革、歳出の削減合理化に御協力と御支援を賜りたいと存じます。
 次に、物価調整減税を行うべきではないかとのお尋ねでございました。
 ただいま申し上げましたとおり、財政再建は緊急の課題でございます。また、大型新税の導入などを考えず財政の再建に当たるという決意を固め、歳出の削減合理化に立ち向かうやさきでございます。物価調整減税はしばらくお許しいただきたいというのが私の率直な気持ちでございましたが、三月六日の衆議院議長裁定及びそれに基づき行われた六党国対委員長会談合意事項ができましたので、政府としては、もちろんこれを尊重してまいる考えでございます。
 以上、御質問にお答え申し上げましたが、残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたします。(拍手)
  〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答え申し上げます。
 財政再建の基本的な考え方については、ただいま総理大臣からるる申し上げましたので割愛をさせていただきます。
 ことしの予算が増税再建じゃないかとよく言われるのでございますが、これは私はそう思っておらないのでありまして、四兆五千億円という自然増収の中で、まず二兆円の国債減額をする、あと二兆五千億円については地方交付税と国債費でなくなってしまう。ところが、一兆九千億円の当然増というものがどうしてもなかなか一千億円ぐらいしか切れないという状態だとすればどうするかということであって、それについては既存の制度等でもかなり歳出カットをいたしまして八千数百億円の歳出の抑制節減、それでも足らない部分が出てまいりまして、約一兆四千億円弱の国民負担をお願いした。これらの大部分は社会保障、文教あるいは科学技術の振興等に充てられたものでございますから、増税のための財政再建というようには考えておらないわけでございます。
 財政再建の理論的な意義づけ。これももう総理大臣の説明の中で明らかなように、いままでは国債の増額発行はそれなりの意義がございましたが、現在になってそれをどんどん増額して続けていくということは、もうすでに金融政策その他においてもいろいろな支障を来しておって、非常に民間の資金よりも国家の資金は高くつくというふうな話になってしまっていろいろな弊害が出てきておる。このままこういうことを継続すると、そればかりでなくてインフレ要因にもなってくるというようなこともございますし、赤字国債というものは、いま赤字国債によって給付を受ける人はいいけれども、後に赤字国債を払わなければならない人は大変だというような世代間の不公平を招く。一方、財政は非常に窮乏して、今後の高齢化社会に向けての対応力を持っていないということでは困るわけでございますから、ますますこれから高齢化社会になってまいりますと、どうしても財政である程度対応せざるを得ない問題がございまして、そのためにもいまから財政体質というものを強くしておく必要があると、こういうようなことが財政再建のためにどうしても必要だということを申し上げたいと存じます。
 それから、財政民主主義の立場から、一般の公共料金でも何でも公的負担にかかわる資料を全部公表せよと。われわれも税務統計資料等各種の資料は可能な限り公表をいたしてきたつもりでございますし、今後ともできるだけ御趣旨に沿って、できるものについては御協力をしてまいりたい、こう考えております。
 それから所得税が自然増収の中で非常に大きい、しかも累進税だから取られる割合も飛躍的に大きいのじゃないか、こういうようなお話でございます。それは、ことに五百万円以下の層の所得税というものは、各国に比較いたしまして日本は私は非常に安いと実は思っておるわけでございます。それは二百一万円の標準家族の人が一年たって二百十五万円なり二十万円になれば、それはいままで税金は、所得税は払っていないわけですから、その人が一年とか二年たって所得が二十万円ふえれば二万円の税金がかかる。そうすると、おととしはゼロだったのに今度は二万円だから、無限大に率から言って所得税がふえたと、理屈は全くそのとおりでございますが、しかし可処分所得も十八万とかあるいは何万とかふえるわけでありますから、それは月給がふえれば税金もふえる、これは仕方のない話ではないだろうか、こう思うのでございます。
 ただ問題は、実質所得の問題について、去年は初めて実質賃金が一%減ったと、そういう中で税金を下げないから手取りでいうと一・四%減ったという御指摘がございます。これもそのとおりでございまして、私は、それは決して否定も何もいたさない、全くそのとおりでありましたということを言っておるのでございます。しかしながら、これは日本だけではない現象でありまして、アメリカなどはもっとその倍以上も実質賃金が減っておるわけでございます。この原因というものはすべて石油の高騰、インフレの高進、それに賃金が追いつけなかった。もうほとんど世界じゅうがそうで、イギリスのように、確かに物価以上に賃金を上げた国もございます。しかし、それはもう大失敗をしてしまって、結局、物価は下がらない、ともかくインフレは高進するということですから、サッチャーさんは、この間その制度をやめると。要するに、いままでの物価が上がれば自動的に減税するという制度は今回は見送るというように政策の変更をせざるを得ない。しかも失業者の大群が発生するということでございますから、総合的に考えてみないとどっちがいいかということはなかなか問題がございます。したがって、私どもは、確かに実質賃金が減ったことは間違いないのでございますが、所得税においては、ほかとの関係で課税最低限も日本は比較的恵まれておる状態にございますので、ひとつ今回だけは御容赦いただきたいということを繰り返し申し上げておるところでございます。(「今回だけで四回だ」と呼ぶ者あり)いやいや、誤解のないようにお願いをしたいのです。
 それから課税最低限の国際比較につきまして、実質購買力によって比較すべきで、レートによって比較するのはおかしいと、そういう議論もございます。ございますが、だからといって実質購買力平価でやるということも国際的に確立されている方法でございません。これはアメリカの人が日本に来て生活する場合、アメリカと同じような生活をすれば非常に金はかかるわけですし、日本の人がアメリカに行って、特定な地域ならいざ知らず、シカゴとかデトロイトとか、あるいはワシントンとか、いろいろなところがございましょうが、そういうところで、たらこを食って、納豆を食って、うどんを食って、そばを食って、刺身を食って、畳のある家に住んでとかいうようなことになると、これはやっぱり金がかかるのでして、ですから、これはなかなか同じ生活水準ということじゃないわけでございますから、それは一律に、ただ国連の人が東京とニューヨークだけで比べたからといって、それだけではなかなか普遍的ではない。しかし、それは参考には私はしなければならぬと思っているのです、参考には。だから、レートでやることが一番わかりやすいのですが、しかし、そういうものも参考にしながら、将来、所得税の問題が出てきたときには十分に考慮させていただきたいと考えております。
 それから所得税の課税最低限の物価スライドの話は先ほど申し上げましたので、省略をいたします。
 それから税の捕捉率の問題でございますが、いわゆるクロヨン問題、これも再々私はお話をしておるところでございますが、制度上には余り問題はないのじゃないかと。問題は執行面でございまして、執行面では、特に事業者等で申告脱漏がある、あるいは反税団体が調査もさせないというような問題がときどき問題になっております。したがって、これらに対しては、どんな暴力が加えられようともやはり厳正に調査をするものは調査して、そして納税道義の高揚を図って、正直者がばかを見ないようにしなければならない、私も同感でございます。
 それから中小法人の軽減税率を一千万円に引き上げろということでございますが、この問題も理論上いろいろ問題がございまして、たとえば九百万円の人とか一千万円の人は、いままで九百万円の中小企業者は四〇%の税率を払っておるわけです。その部分については、七百万を超えた部分については。八百万もそうですが、一千万だと、七百万との三百万の部分は四〇%の税率をいまでも払っているわけですから、それを結局二八%にするということになれば、むしろ減税ということになるわけであります。ほかはみんな増税をしておいて、大体八百万から一千万、これはずっと厳格に言うと千八百万近くまで減税になるわけです、一千万まで上げますと。そのことは個人所得とのバランスもございますし、大体中小法人というのは同族会社みたいのが圧倒的に多いしということも考えまして、今回は勘弁をさしてもらったわけでございます。七百万円から八百万円に引き上げるということにしたわけでございます。
 それから法人の受取配当、その益金不算入、配当税額控除、これは不公平だということでございますが、これはやっぱり現実の問題として法人の持ち合いといういうようなものが多いということも現実の姿であって、それについて二重課税を防止するという意味で、これは調整措置を講じておるわけであります。本来ならば法人の株所有よりも民間の個人の株所有というものがもっとうんと広がっていかなければならぬものが、だんだん民間の株の所有者が減ってしまった。(「優遇しないからだ」と呼ぶ者あり)いやいや、それはやっぱり優遇策の問題もございまして、しかし、個人株主優遇という問題も考えなければならぬけれども、そうなってくるとまた金持ち優遇だ何だかんだという話が起きてきて、今後は株式の民主的あり方ということについては、従業員が株をたくさん持ったり、個人の株主がふえるという方向に、やはり私は持たせていくことがいいんじゃないのかなと思っているのですが、今後の御相談とさせていただきたいと思うわけでございます。
 それから貸し倒れ引当金とかその他のものについて大企業優遇だということがございます。確かに、退職給与引当金などは中小企業は余り積んでおりません。積むほどの余裕もないというのが現実の姿でございます。しかしながら、たとえば田舎の農協へ行っても、農協はみんな積んでいるとか、信用組合も積んでおるとか、青色申告をやっているちょっと大きな規模のところはやっぱり退職引当金をやっております。したがって、これを廃止するとか直すといってもいろいろ問題があって、これもしかし、五〇%一遍にやめた場合なんというのは現実的ではないので、四〇%に下げました。四〇%も現実的ではないから三〇%に下げろというような御意見もございます。私はこれは真剣に考えたいと思っております。
 貸し倒れ引当金につきましても、これは繰入率が非常に金融業等についてはまだ実態と合わぬじゃないかという御指摘でございますので、今回の税制改正におきましても、いま御議論になっておる中で、法定繰入率を百分の五から百分の三に引き下げる予定でございますから、これは御要望に沿えようかと、かように考えておるわけであります。
 補助金が、いろいろ話題になっておりますが、この補助金という問題について、これの廃止計画というものをきちっとつくってやれということでございますが――ちょっと失礼しました。特別措置法は隠れた補助金じゃないかと言われますが、考え方によってはあるいはそう言っても差し支えございません。ございませんが、現実に特別措置法におけるところのいま一兆円の減税というものについては、これはその八割が個人向けのいわゆるマル優とか住宅対策とか、そういうものが多いし、法人向けのものについても公害とかエネルギーとかというものでございまして、ほとんど中小企業対策の部分でございますから、これは皆さんの意思の統一ができて、ともかく、いまそんなもうマル優なんかあれしてもいいじゃないかというような時代が来れば私は決して廃止をすることにやぶさかではございません。したがって、これは経済の実態に即しながら不断の見直しを引き続き行ってまいりたいと考えておるわけでございます。それから大型間接税導入の問題については、鈴木総理からお話がございましたので、私も同じ考えでございますから、以上であります。(拍手)
  〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(河本敏夫君) 今回の増税が経済にどういう影響を及ぼすかということでありますが、増税そのものは経済にデフレ効果を及ぼしますから、これは経済の足をそのこと自体は引っ張る、こういうことになろうかと思いますけれども、しかしながら、増税された国の歳入が財政支出を通じまして国民経済全体に還元をされる、こういうことを考えますと、一概にその結果を議論することはなかなかむずかしい、こう思います。
 それから、今回の増税分につきましては、五十六年度の消費者物価五・五%の中に計算済みでございます。
 それから第二点は、最近勤労者の実質所得が減っておるが、これに対する考え方いかんということでありますが、私は、まずこの勤労者の所得をふやすためには、やはり経済が活力を維持拡大するということが前提条件だと思います。それからまた同時に、経済そのものが生産性の向上を続けるということがその前提条件だと思います。生産性向上をさせるためには、近代化のための投資活動が必要である。こういう前提条件が幾つかあろうと思いますが、同時に物価の安定ということが何よりも必要だと、このように思います。
 それから所得減税の問題につきましては、これは総理並びに大蔵大臣からお話がございましたように、今後の大きな課題であろうと、このように考えております。
 それから中小企業に対する考え方はどうかということでございますが、中小企業がわが国経済に大きな役割りを果たしておりますので、政府といたしましても中小企業対策は特別に重要に考えております。
 今回の対策におきましても、一つには、金融対策といたしまして、長期プライムが幾ら下がるかまだ結論は出ておりませんが、できるだけ大幅に下げていきたいと考えておりまして、その下げ幅が決まりますと、三月十八日にさかのぼりまして新規貸し出しからこれを実施する、こういうことにいたしております。
 それからもう一つは、仕事の量が確保できるということが必要でありますので、今回の対策では、官公需につきましては前期比一〇%増と、こういうことを考えております。
 以上のようなことを中心といたしまして中小企業対策の充実を図っていきたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(徳永正利君) 塩出啓典君。
  〔塩出啓典君登壇、拍手〕
#11
○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま提案されました所得税法、法人税法、租税特別措置法のおのおの一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 御存じのように、第二次臨時行政調査会は「増税なき行政改革」を目標に、その成果を五十七年度予算に最大限に盛り込むとの意気込みで、七月に中間答申を出す方向で去る十六日スタートいたしました。この方向は、国民大多数の共感を得ていると思います。
 五十六年度予算編成で、政府は「財政元年」と名づけ、国債発行額を前年に比して二兆円減額したものの、国民の念願していた行政改革、補助金整理等は遅々として進まず、一方、所得税減税見送りによる見えざる所得税増税二兆七千億円余、初年度一兆四千億円に近い未曽有の増税が行われ、まさに増税元年と言わざるを得ない結果となったわけであります。この結果が示すように、行政改革は、総論賛成、各論反対で、第一次臨調以来かけ声倒れになっているわけであり、この推進には多くの困難が横たわっておるわけであります。
 総理は今度こそ行政改革に政治生命をかける決意と承っておりますが、果たして本当にやれるのか、国民は期待とともに危惧の念を持っております。総理は、どのような決意で、どのような具体的方法で行政改革による増税のない財政再建に取り組むのか、お伺いしたい。
 また、中曽根行政管理庁長官の使命も重大であります。長官は、行政改革により二兆円の財源を確保するため非常手段をとることを第二臨調の緊急課題にする由、報道されておりますが、長官の御決意と非常手段の内容についてお尋ねをいたします。
 財政再建も、その結果が日本経済の活力を失わしめては、角をためて牛を殺すの結果となり、そうならないよう慎重な配慮が必要であります。そのためには、国民生活への犠牲は最小限にとどめるべきであります。その点、勤労者に見えざる所得税増税を押しつけ、この四年間物価調整減税も見送ってきた政府の姿勢は認めるわけにはまいりません。
 今回、五十五年度剰余金を全額減税に回すとの与野党合意を見たことは一歩前進と評価いたします。政府としては不要不急の支出をとどめ歳出削減に努力するよう強く要望するものであります。総理大臣の御決意をお聞きしたい。
 また、大蔵大臣として具体的に歳出削減にどう対処されるのか伺いたい。
 さて、不公平な税制度を改め公平なものにしていくことは国として守るべき大前提であり、何人も異論のないところであります。
 五十九年一月より施行されようとしているグリーンカード制も利子・配当所得者に対する税の不公平を是正し、総合課税への第一歩のはずであります。ところが、最近、グリーンカード制実施により金の流れが変わる、あるいは数十兆円が郵貯や株、債券へ、さらに金や不動産、美術品に、さらには海外に流れる等の理由からこの実施に反対の動きがあります。全国銀行協会連合会会長も「グリーンカード制が新しい不公平を生じている面がある、もう少しうまいやり方を考えてもいい」というような見解を発表しております。
 しかし、私はグリーンカード実施への反対論は筋の通らないものであると思うのでありますが、大蔵大臣の見解を承りたい。
 また、このような各界の反対意見に対して総理としてどう対処する決意か、お伺いをしたいのであります。
 税の制度面における公平とともに、執行面の公平もこれまた重要であります。
 最近発表された大蔵省の資料によりますと、給与所得者の八四%が税金を納めているのに対し、自営業者は四二%、農家は一五%の人しか税金を納めていない見通しと言われています。この数字がそのまま所得の捕捉率の格差とは言えないにしても、勤労者の間には執行面の不公平さに大きな不信を抱いていることもこれまた事実であります。執行面にも不公平はありませんという従来の大蔵大臣の紋切り型の答弁だけでは国民は納得はいたしません。
 また、執行面の不公平が福祉政策等の所得制限の関係でさらに不公平を拡大し、まじめな国民の納税意欲を阻害するものと言わざるを得ません。国民が納得できる税執行面の公平を保つため大蔵大臣として具体的にどう対処されるおつもりか、お伺いをしたい。
 また、三百万円を限度とする郵便貯金が本来の趣旨から外れ、悪用され、資産家の人たちの脱税に利用されている事件がマスコミでも時折報道され、これは氷山の一角と言われております。限度管理、名儀確認等はグリーンカード制の施行を待たず現在においてもきちんとされなければならないと思います。郵政大臣としてどう考えているのか、また今後どう対処するのか、お伺いをしたい。
 国の機関である郵便貯金が脱税の温床になるようなことがあっては断じてならないと思うのでありますが、総理としてどう対処するのか、具体的対策をお示しいただきたいのであります。
 次に、租税特別措置の問題についてお伺いいたします。
 昭和五十六年度における租税特別措置による租税の減収額は、交際費課税の強化による増収額分を差し引くと、初めて一兆円の大台を突破し、一兆七百六十億円に達すると試算されております。租税特別措置は、税負担を軽減すること等により特定の個人または法人に恩典を及ぼすもので、いわゆる隠れた補助金として税負担の公平を阻害することになるわけであります。過去において、わが国経済がきわめて脆弱であった際には各種の政策税制もそれ相応に存在意義を有していたと言えますが、現在のように、わが国経済の目覚ましい発展等により、欧米において貿易摩擦をも引き起こしていることでもあり、この際各種特別措置については、ゼロ査定から出発し、政策効果の見られないもの、政策目的に合致していないものは全廃するという厳しい姿勢で臨むべきであります。
 各種特別措置について、税負担の公平を犠牲にしても、なおかつその存続の必要性のあるものだけを残すべきと考えますが、租税特別措置に対する今後の基本姿勢について大蔵大臣にお伺いしたいのであります。
 最後に、最近の報道によりますと、自民党本部の財政難を解決するために、政党への企業献金の総枠制限を拡大する方向で政治資金規制法の全面的見直しに政府・自民党が着手したと言われております。
 国の財政再建で国民に多くの負担をお願いしなければならないときに、政府・自民党のこのような姿勢は、安定多数を背景にしているとはいえ、とうてい国民の理解は得られないと思います。また、個人献金の方向を強化せよとの政治資金規正法附則八条の趣旨にも反し、反対せざるを得ません。このような動きは事実であるのか。もし事実であるとするならば、総理・総裁としてどう対処されるのかお伺いをして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 行政改革による増税なき財政再建についての私の決意について御質問がございました。
 先ほど大木議員の御質問にもお答えいたしましたとおり、私は、五十七年度予算の編成に際しましては、大型新税の導入などは念頭に置かず、徹底した歳出の節減合理化を強力に推進することによって財政再建をさらに一歩進める決意でございます。
 その具体的方策につきましては、臨時行政調査会に早急に御検討願い、夏までに中間答申をいただきまして、五十七年度予算編成等でこれを実施に移すよう全力を傾注してまいります。
 次に、先般の衆議院議長裁定及びこれに基づく与野党合意による所得税減税との関連で、不要不急の支出を削減せよとの御意見でございましたが、予算はその目的、内容に従って適正に執行されるべきものでありますから、与野党合意の有無にかかわらず、予算に余裕が生じたからといって、ただ不用額を生ずることのみを恐れて不要不急の支出を行うというようなことがあってはならないと思います。
 私は、先般、閣議においてこの点特に閣僚に注意を喚起いたしましたが、予算のむだな執行を生ずる結果となることのないよう注意してまいりたいと存じます。
 グリーンカードの問題につきましては、かねて申し上げておりますように、税の公平という見地から、昭和五十五年度税制改正において制度の採用が決定したものでありますから、政府はこれを確実に実施してまいります。
 郵便貯金についてもお尋ねがございましたが、仮にも郵便貯金が脱税に利用されているという疑惑を招くことがあってはなりませんので、限度額の管理に厳正を期しております。グリーンカード制度の実施後は、郵便貯金についてもグリーンカードにより限度額管理を行うこととしておりますので、一層の徹底が図られるものと存じます。政治資金規正法の見直しにつきましては、各党間でいろいろな御意見があろうかと思います。現在、自民党の選挙制度調査会においてもこの問題について検討を始めたところであると聞いており、今後いろいろな御意見が出てくるものと存じますが、各党のよって立つ財政基盤がそれぞれ異なることでもありますから、今後とも各党間で十分議論を煮詰めていただきたいと存じます。
 以上、御質問にお答えいたしましたが、残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたします。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨時行政調査会が発足いたしましたが、この調査会には日本の各界を代表するりっぱな見識のある方々が参加されております。したがいまして、この調査会の出されました結論は国民の世論を代表し、また、国民の願望をわれわれに伝え、国民の意思として私たちは厳粛に受け取らなければならないと考えております。
 さきに、この調査会の発足に当たりまして、私は三つばかりお願いをいたしました。
 一つは、官民協調でやっていただきたい。いたずらに役所をさきに敵に回すような小さな根性ではいけないと思います。それから第二番目は、自分の所属を離れて国家的大局に立った判断をしていただきたい。財界とか労組とか、いろいろの御出身の方がおりますが、これはもう国家的大局に立った御判断をお願いいたしたい。第三番目は、答申をいただきました場合に、われわれが汗をかいて一生懸命やれば可能である、しかも国民の皆さんからよくそこまでやったと、そういう案を出していただきたい。初めから不可能な案をお出しいただいてもそれは無理です。やれば可能である、しかしよくやったと、そういう案をつくっていただきたい。この三つのお願いを申し上げたのでございます。
 非常手段を講じてもやるといういまの御質問の趣旨でございますが、先般、閣議におきまして総理からも御発言もあり、われわれもいままでの行革がなぜ失敗したかということを反省してみますと、いろいろなポイントがありますが、一つは、各省庁の公務員の自分のなわ張りを守ろう、あるいは自分のときにこういうことをやられたという歴史を残すまい、そういう官庁エゴが非常にあります。したがいまして、自分の官庁に不利なことが出てきたり、新聞に報道されますと、ややもすれば財界や企業に手を回して反対運動をしてくれとか、あるいは団体や政治家にお願いをして反対運動をしてくれとか、そういう波の中で行革が失敗してきたというのが過去の歴史の大きな例であります。そういうようなことは今回は許さない。この間の閣議で、行政管理庁としては監察をして、もしそういう悪質なエゴに基づく反対運動を公務員がやるようなことがあれば、これはもうめちゃめちゃになるから、大臣にも通報し、あるいは総理にもお願いをして、そのような公務員については措置を要求することもあり得ますと、その点はよく各官庁戒めてください、そうお願いをしたのでございます。
 やはり行革につきましては、公平を期して、しかもよく話し合って、その上で国民の皆さんからの代表としていただいた案については、われわれは重大な責任をしょっておりますから、これはもう心を鬼にして鉄の意志で断行しなければならぬ、そういう心構えで進みたいと思うところでございます。(拍手)
  〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 六党合意によって減税をすることになったんだが、不急不要の支出を削減する必要があると。いままでわれわれは極力不用額というものはつくらないように、つくって国会でしかられますから、つくらないようにしてきたのですが、世の中も変わりまして、不急不要な不用額を残せと。私は本当にそのとおりだと思うんです、実際の話が。どうしても二月から三月になりますと、予算があるから、ともかく無理して出張するとか、予算があるから早く使ってしまわないと来年予算が削られるとかいう風潮がありまして、どうしてもいろいろな問題があった。それはしかし極力抑えていかなければならない。特にこういうような財政の非常に苦しいときでありますから、幾ら予算をつけても、間に合うものは途中でやめてくれということでかなり厳しくやってまいりたい。特にこの問題については総理大臣からも閣議で御指示が各省大臣にありまして、具体的に各省庁ともこれは不急不要な事業や不急不要な経費は支出をしないということに努めておるところでございます。
 それから、グリーンカードにいろいろ反対論があるんだが筋を通せと、これは総理大臣からも答弁があったように、もう法律が実施をされておるわけでございますから、しかし、所得税法の大改革であることは間違いないので、その時期に合わしていろいろ所得税法の是正はしなければなるまい、そう思っております。
 たとえて言えば、資産所得の合算というのがございまして、いまは夫婦共かせぎというのが普通の形になっておって、夫が代議士で奥さんが重役だとか、そういうのもございます。それはどっちが扶養家族になるのか、生活の中心はどっちになるのか。それぞれ預貯金があっても、共かせぎで預貯金があっても、その預貯金で三百万超えたものは今度は課税になるわけですから、課税になるものはどっちかに合算するわけです。今度ははっきりしますから、分離課税はなくなりますから。ということになると、妻が自分で働いて、自分の貯金が五百万あった。その二百万の分が税金合算でおやじさんの方に課税になると、どうもこれはちょっと実情に合わぬじゃないかとかいうような問題が必ず出てくることだと私は思います。したがって、そういうようなものなど、ここで話していたらきりがありませんが、幾つか問題がございますから、そういうようなものについては、やはりそれは実施のときまでに直す必要があろうかと思いますが、グリーンカードの執行そのものは着実にやってまいりたいと、そう考えています。
 それから、グリーンカードにすると、海外に金(かね)だけじゃなくて、土地や株や金なんかに行っちゃうんじゃないかという御指摘ですが、土地に行くことはないんじゃないかと思います。土地へ行っても登記簿があってすぐわかるし、短期の売買については譲渡所得に対して四〇%と、一般の所得の一〇%増しのいずれか高い方の税金と、こうなっておりますから、余りメリットはありませんしね。すぐつかまってしまう、土地は。土地はうまくいかない。株式といっても損することがありますからね、株は。もうかることばかりありませんから、これもそういかないし、名儀書きかえすればすぐわかるということで、そういう心配も余りないのじゃないか、そう思います。金についても、これもまあ価格変動が非常に厳しゅうございますから、私は余りそう心配ないのじゃないかと思っております。海外のシフトという話もございますが、海外に逃げていけば、これはちゃんとわかりますから、こちらで。そう大口のものは一定の手続が必要でございますから、これは追跡調査ができるということで、そんな心配は余りないのじゃないか。しかし、こういうふうないろいろ経済なんというものは思いがけない問題がときどきありましてね、思いがけない話が。そういうことにはまだ時間がございますから、思いがけないデメリットが出ないように、いまのうちからそれは穴ふさぎを考えていく必要があると、そう思っております。抜け道ふさぎです。
 それから不公正税制の問題で、具体的な方策をしろと、これも再々塩出議員の前でも何遍も何遍も私はお話ししていることでございますので、余りくどく申しません。これは確かに事業所得者の所得は給与所得者の場合に比して捕捉が困難であるということは事実でございます。青色申告の普及とか税務調査の徹底とかいうようなことで不公平のないように考えてまいりたいと、こう思っておりますが、世にクロヨン、クロヨンと言いますが、これは私はそう思っていないのです。いつも言うように、農家は一五%ぐらいしか納税者がいないとおっしゃいますが、そうでなくて、娘や息子はみんな役場とか会社とかへ勤めているわけですから、この人はみんな給与所得者として課税をされておるわけで、農家所得になると給与所得、農家所得を統計上集めて一緒になるから所得は大きいけれども、実際の税務は分離されているわけです。息子はちゃんと会社の方、父ちゃん、母ちゃんはともかく農業の方ということになっておりまして、農業だけの所得は非常に少ないということは言えるわけで、出かせぎに行けば日雇い人夫でやっぱり源泉税は取られているわけですから。だから農家は農業だけの所得ということになると納税者が少ない、これは事実でございます。これは所得が少ないからでございます。事業者の場合にときどき問題がありますが、これについても、先ほども言ったように、青色申告を普及させる。しかし、反税団体ができて調査を妨害するとかなんとかというようなことについて税務署がへこたれちゃって行かないとか、こんなことは許しておけませんから、これはやはり不公正の是正と言うからには、それはもうそういうふうな腕ずくで調査させないなんということについては断固たる処置をとらなければならぬと覚悟を決めておるわけであります。
 それから特別措置については厳しい基本姿勢で臨めと、全くそのとおりでございまして、われわれとしてはいままでもきちっとやってきたつもりでございますし、いまの特別措置法というのは、前にも言ったように、そう必要ないというものは余り入っていないのですよ。退職給与引当金とか貸し倒れ引当金、貸し倒れ引当金については実情に合うように今度提案いたしております。退職給与引当金等については、これは債務性の問題でございますから、まあ全部の人が、四〇%やめるなんということはないのじゃないかということになれば、もう少し減らしてもらってもよろしいわけでございまして、これは今後の御相談ということでございます。
 そのほか、やはり終期の到来したものが利権化しないようにするとか、もうこれからびしっとそういうことはやっていく必要がありますので、御趣旨に従いまして今後とも常に目を光らしてまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。(拍手)
  〔国務大臣山内一郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(山内一郎君) 郵便貯金の限度額管理の問題でございますが、ただいま総理からも御答弁がございましたけれども、多少補足をさしていただきます。
 まず、預け入れの際に確認資料を持ってこさせまして本人であるかどうかを確認を行って、架空名義をまず防止をする。さらに、預け入れられた金額につきましては、預金者ごとに全国一本の名寄せという作業を行って管理をしている次第でございます。なお、この名寄せ事務は従来から手作業で実施をしておりましたが、現在はオンライン化の終わった地域から逐次コンピューターによる名寄せに切りかえておりまして、ただいまのところ、全国の半分近い地域においてすでにコンピューターによる名寄せに移行しております。したがって、従来よりも正確かつ迅速な作業が行われているわけでございます。しかし、名寄せによりまして限度額を超えているということが判明した場合は逐時払い戻しをしてもらっているわけでございます。
 郵政省といたしましては、御指摘にもございましたように、仮にも郵便貯金が脱税に利用されているという疑惑を招くことがあってはならないので、職員に厳重にひとつやるようにということで十分に配意をしているところでございますし、さらにグリーンカード制度が実施をされますと、グリーンカード番号というものが各人につくようになりますので、その番号によって限度額管理を一層ひとつ徹底的にやってまいりたいと、こういうことで確信をいたしている次第でございます。(拍手)
#16
○議長(徳永正利君) 近藤忠孝君。
  〔近藤忠孝君登壇拍手〕
#17
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表し、所得税法、法人税法、租税特別措置法の改正案について、総理並びに大蔵大臣に質問いたします。政府は来年度予算を「財政再建元年予算」と言っておりますが、国民にとっては軍拡元年、福祉切り捨て元年、大増税元年であり、この三法案はまさにその内容をなすものであります。
 昨年の労働者の実質賃金はマイナスとなり、家計の実収入も狂乱物価以来の実質一・四%減を記録しました。中小企業の倒産も月千五百件ラインが常態化し、農家も冷害のあおりで二年続きの実質所得低下を示しました。まさに国民の暮らしと経営は、大企業が史上空前の利益を謳歌しているのとはうらはらに、慢性化した深刻な危機に陥っているのであります。大増税や福祉切り捨て、公共料金の軒並み値上げが国民に重大な打撃となることが明白であるにもかかわらず、政府はあえて一兆四千億円もの新規増税を押しつけようとしております。国民生活が一層破壊されるのみならず、個人消費を抑えて不況を一段と深めずにはおきません。いまこそ財政を国民の暮らしと営業を守るために活用すべきであります。総理の見解を求めます。
 次に、所得税の問題であります。
 四年越しの減税見送りの結果、来年度所得税収入の二一%、実に二兆八千億円もが自然増収という驚くべき実態となっております。国民の減税要求は、せめてこの取られ過ぎた税金のほんの一部を返せというにほかなりません。大蔵大臣は、大蔵委員会で私の質問に対し、減税したいが財源がない。しかし、この問題については誠意をもって話し合っていくと答弁しました。適切な財源があれば所得減税を行うという趣旨だと思います。財源は、軍事費を削ることや、私が以下指摘する不公平税制の是正などで確保可能であります。衆議院での経過はありますが、本院において改めて検討し直し、税額控除方式により、六千億円程度の規模で実現させるべきだと思いますが、責任ある答弁を求めます。
 今回、政府は、大企業への課税強化を求める世論を逆手にとって、中小法人税率も含め法人税を一律に二%引き上げようとしております。今日の深刻な中小企業の実情を見れば、とうてい中小法人税率の引き上げなどは考えられないはずであります。政府は、中小企業の状況は大変であり、この対策が当面の最重要課題だと繰り返し答弁してきましたが、これは口先だけのことなんですか。中小法人については、軽減税率適用限度を一千万円程度に拡大し、税率は従来どおりの二八%に据え置くべきであります。
 大企業に対しては、現下の財政危機が過去の大企業のための景気対策の国債増発によっており、しかも、そのてこ入れで今日の大企業の大もうけが保証されてきたことからいたしましても、一段と多くの税負担を求めるべきであります。中小企業への軽減税率があると同様に、大企業には、その利益、担税力に着目した政策的な重課税率を適用し、今次改正案を上回る税率で財政再建に協力させるべきではありませんか。
 次に、政府の言う不公平税制は租税特別措置に基づくものだけに限定し、法人税や所得税の本法に規定されている明白な優遇措置については不公平税制ではないとし、かたくなにその是正を拒否し続けている点であります。
 本法で定められていようとも、優遇は優遇であります。たとえば法人税本法による金融保険業の貸し倒れ引当金の繰り入れ限度は貸出額の千分の五とされておりますが、現に発生しているのは千分の一程度であります。担保を取って貸し出しを行っている銀行にどうして実態の五倍もの限度枠を認める必要がありますか。不公平税制については、本法に規定されているものも含め、根本からの見直しを行い、実態からかけ離れた引当金、準備金、特別償却などを整理縮小すべきであります。
 また、受取配当益金不算入、支払い配当軽課の措置につきましては、過去の税制調査会答申でも、「法人税制を法人の社会的、経済的実態に適合させるという方向で引き続き検討していくべきである」と指摘されました。この趣旨も踏まえ、廃止すべきだと考えるが、いかがですか。
 さらに、最近の誠備グループ事件でも明らかなように、証券市場の投機的傾向を強め、市場の攪乱要因ともなっている異常な取引が横行しております。これを抑え、あわせて脱税を防ぐため、有価証券取引に対しては、取引税の若干の引き上げだけではなく、特に譲渡益への課税を強化すべきであります。その方法としては、証券会社に顧客資料の提出を義務づけるほか、課税対象となる現行の年間五十回かつ二十万株以上の取引との規定を、回数にかかわらず、どんな銘柄でも全部で二十万株以上売った場合には課税するように変えること、さらには、一定規模以上の大口取引については証券会社が国税庁へ通知するなどで、法制上でも課税実態の上でも対応を強めるべきであります。
 政府はあたかもわが国税制にはもはや不公平な税制度が存在しないかのように強弁しておりますが、それは事実に反するところであります。不公平な税制は政治をゆがめるものであります。以上の点について大蔵大臣の所見を求めます。
 わが党は、かねてより大型間接税導入や国民サービス切り捨ての行政改革に断固反対してまいりました。財政再建に向けては、不要不急経費の削減と、大企業、大資産家への優遇税制の是正、さらには民主的行政改革を徹底して進めるべきであります。特に行政改革については、利権と腐敗の温床となっている政、財、官の癒着構造にメスを入れること、軍事や国民弾圧、大企業奉仕の部門は圧縮し、国民生活密着部門を充実させること、機構や手続の重複をなくし、民主的効率化を図るなどを積極的に推進すべきであります。
 総理は、最近、大型間接税は慎重にとし、行政改革に政治生命をかけると主張しておられます。しかし、それが国民サービス切り捨てを中心としたものとなることは、政府の「行政改革大綱」や大蔵省の「歳出百科」などが示すところであります。新税導入はもちろん、国民サービス切り捨ての行政改革の計画はともにやめ、国民的立場からの財政再建、行政改革に取り組むべきであります。
 また、総理は、先ほど大木議員の質問に対し、大型新税は念頭に置かないと答弁しましたが、今後大型間接税が念頭に浮かぶことはあり得るのか、絶対導入しないと明言できるのか。改めて総理の明快な答弁を求めます。
 最後に総理、税財政についての国民的論議のための資料を積極的に提供し、国民の批判や提案には真剣かつ謙虚に対応すべきであります。約束できますか。
 わが党は、今後とも所得税減税の実現、軍備拡張反対のため断固闘う決意を表明し、質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 まず、国民生活の防衛のために財政を活用すべきであるとの御意見でございました。
 私は、現在のような大量公債発行に依存した財政運営は、インフレをもたらす危険をはらんでいるものであり、国民経済と国民生活を根底から揺るがすものになりかねないと憂慮いたしております。したがって、国民生活を防衛し、わが国の将来の基盤を確かにするためには、当面何よりも財政の再建が必要と考え、財政再建を私に課せられた最重要政策課題の一つとして受けとめ、これに取り組んでいるところでございます。
 財政再建に当たっては、すでに申し上げましたとおり、大型間接税の導入などは念頭に置かず、これは再び念頭に上ることはないと思います。歳出の削減、合理化に全力を注いでまいりたいと考えております。当然各種補助金、行政サービスの見直しに努め、高度成長下で肥大した行政の減量を図るわけでありますから、既往の施策のうち整理合理化の対象となるものが出てまいりましょうが、総論賛成、各論反対ということにならぬよう、高い見地に立って御支援、御協力を賜りたいと存じます。
 資料の提供、情報の公開についてのお尋ねでありますが、御承知のとおり、昨年五月の閣議了解がございますが、これに基づきまして各省庁で閲覧手続規定、目録などを整備しまして、昨年十月から文書閲覧窓口を設置するなど、情報提供に関する改善措置を講じております。今後とも閣議了解に沿って努力してまいります。
 以上、御質問にお答えいたしましたが、残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
  〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大蔵大臣は財源があれば所得税を減税すると言ったじゃないか、財源はあるだろう、軍事費を切れと、それはそういうふうに割り切ってしまえば、それはできるわけでございますが、われわれは、国防費というものは非常に国家安全保障上必要だと、そういう前提に立っておりますので、これはもう幾ら話してもかみ合わない話でございますから、次に参ります。中小法人の軽減税率をこれも一千万円まで現行二八%で据え置けと。これは先ほども大木さんのときですか、お答えをいたしましたが、そうすると八百万、九百万の人はもちろん減税になってしまいますと。現在でも四〇%納めているわけですから、その人を二八%に下げろということですからね、そういうことになってしまう。
 それからもう一つは、中小企業と大企業の税の較差はもともと五%しがなかったんですが、中小企業をずっと据え置いて、大企業だけどんどん上げてきたものですから二八%に広がったということでございまして、これをさらに一千万円まで二八%にいたしますと、減税になるほか、要するに個人所得との関係、同族会社などはかなりそういうものがございますから、それとの関係で不公正になりますということで、ひとつ御勘弁をいただきたいと言っておるわけでございます。
 それから、大企業には重課をしろというお話でございますが、これは四九・四七、実効税率、それから五一・五五に今回の税法が通ればなるわけでございまして、かなりこれはまあ諸外国並みにしておるわけでございます。資本金などによって異なった税率を適用するということも、この前も言ったように、なかなかむずかしい問題がございます。したがって、今回はとりあえず二%ということで法案を提案しておるような次第でございます。
 それから、不公平税制は特別措置法だけでなくて所得税法、法人税法の本法の中にあるじゃないか、いろいろな引当金、準備金がこれはございます。ございますが、その中でも金融業については実態が千分の一だとおっしゃいますが、実態はもう少し多いのじゃないかと思います。今回、千分の五から千分の三にこれを引き下げるという法案を上程をいたしておりますので、御協力をいただきたいと存じます。その他の準備金等は、これは政策の問題でございまして、あるいは引当金などもございます。退職給与引当金というようなものもございますが、これは債務性のものというふうにわれわれは考えておりますが、それは多過ぎるというのであれば今後の検討課題にしたいと思っておりますが、今回は手をつけない次第であります。不公平だというふうにわれわれは考えておらないので、政策の結果それを債務性と見るか見ないかということでございます。
 それから次は、受取配当益金不算入、これはもう前にもお答えをたびたびしておりますので理由は申し上げませんが、これは二重課税防止という観点から調整する仕組みでございますので、現在廃止する考えはございません。
 有価証券譲渡益課税を強化せよ、なかなか一挙に皆様のおっしゃるようにはいきませんが、有価証券の今回の移転税につきましては、共産党には御賛成をいただきまして本当にありがとうございます。参議院においてもよろしくお願いを申し上げます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(徳永正利君) 三治重信君。
  〔三治重信君登壇、拍手〕
#21
○三治重信君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま提案されました所得税法、法人税法、租税特別措置法の各一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。わが党は、わが国経済の安定的発展と国民生活の維持向上を図る立場から、昭和五十六年度予算におきましては、行財政改革の断行と不公平税制の是正を行うことによって、大衆増税によらない財政再建予算を編成するよう強く主張してまいりました。
 しかるに、五十六年度予算案は行財政改革を後回しにし、財政再建の名のもとに自然増収が四兆五千億も見込まれているのに、赤字国債の二兆円減額と引きかえに一兆四千億円もの大増税を行おうとするものであります。
  〔議長退席、副議長着席〕
 まず、近年経済の安定化に従いまして賃金、物価とも落ちついてまいりましたが、実質賃金がマイナスになることは余りなかったのであります。昨年は賃金労働者の平均実質賃金がマイナス〇・九%という結果を生じました。これは毎月勤労統計調査開始以来初めての経験であります。また所得税は、明年五十六年度を含めますというと五カ年間も物価調整減税を行わないことになります。先進国においては最近例のないことであります。したがって、高度な累進税率を採用している所得税はその負担の公平さを欠き、大変な重税を課することとなっております。
 このような事態を踏まえ、先日、与野党合意により五十五年度の剰余金をもって昭和五十六年度の所得税減税を行うことになりました。私は、財源として三千億円程度の捻出が必要であると思います。しかし、現在この五十五年度予算の剰余金額は全く不明であります。この措置が実りあるものとなるためには、政府が年度末に不要不急の支出を行って予算の消化を図るというようなことがないよう行政各分野において予算の節約に十分配慮することが必要であります。政府は与野党合意を実効あらしめるよう誠意を持って対処することをお約束をしてもらいたいのであります。総理、いかがでございますか。
 次に、総理は、去る十八日の日本商工会議所で、行財政改革に命をかけるとあいさつされ、また新聞報道では、五十七年度予算には大型間接税を導入しないで行財政改革を行う、これがために本年七月に第二臨調の中間答申を得て臨時国会を開催をし、その全面的実現を図りたいとのことであります。
 わが党は、去る二十日、佐々木委員長を長とする行政改革推進委員会を新たに設けまして、昭和五十七年度には、五十六年度と同額の赤字国債二兆円の減額、大型間接新税を含む増税を一切回避する、必要な予算不足に見合う額を行財政改革によって捻出する、こういう三大項目の基本方針を決めました。私は、総理の行財政改革の不退転の決意をこの本会議の場で改めて御表明を願いたいのであります。
 さて、所得税法の一部改正案の中に、配偶者控除を受けられる配偶者の所得限度を二十万円から二十九万円に引き上げる改正が提案されております。
 その結果、パートタイマーの例をとりますと、五十万円の給与所得控除を加えて七十九万円までの給与を受けても、夫は配偶者控除が受けられることになります。所得限度額九万円の引き上げは一歩前進だと思いますが、常用雇用でない雇用の場は広がりつつあるとともに、核家族におけるパートタイマーとして家庭の主婦の労働力が活用されることは今後ますます必要であります。しかるに、配偶者の所得限度を超えることによる夫の配偶者控除が受けられないということは、主婦の職場進出を著しく妨げるものであります。また独身者との負担の公平と核家族の精神的和合を維持する上からも、夫婦のいずれかに配偶者控除二十九万円は無条件に維持されるのが望ましいと思いますが、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。次に、法人税法の一部改正でありますが、一律二%の引き上げはこの際やむを得ないことと考えますが、今後実効税率において先進国との比較考慮を図ることが必要であります。
 また、わが党は、法人税法の中小企業の軽減税率の適用限度額を現在の年七百万円から千二百万円に引き上げるよう主張してまいりました。しかし、改正案では八百万円とし、わずか百万円の引き上げにとどめております。大蔵大臣は、去る二月十九日の衆議院の本会議において野党議員の質問に、企業利益八百万円以下の中小企業が中小企業の九〇%を占め、軽減税率の恩恵を受けているとの御答弁をされております。しからば、今後ともこの中小企業の九〇%が軽減税率の適用を受けられるよう、限度額の引き上げについても今後御配慮を願いたいことを強く申し添える次第であります。
 次に、租税特別措置法の一部改正について、わが党が従来主張しております交際費課税制度の強化は一歩前進でありますとともに、また、エネルギー対策として租税特別措置を三カ年間に限りとられることは適切な対応かと思います。
 最後に、租税の公平の原則について大蔵大臣にお伺いいたします。
 租税の公平の原則は、政府の最も配慮しなくてはならない重要な問題だと思います。税法上の課税の公平の問題はしばらくおきまして、税務行政上、徴税の不公平さが巷間話題を呼び、これが納税義務感を損なうことを恐れるものであります。
 一、二の例を挙げます。
 所得課税について、クロヨンとかトーゴーサンと言われております。市町村立の保育園の保育料は、所得階層別に定められることになっております。実際は、所得税か住民税の額の階層別で保育料が徴収されております。アパートや団地住まいの若いサラリーマン家庭の保育料が高く、商人や農家の保育料が低いということがまた事実であります。
 次に、法人所得について、税務署の職員の実地調査に相当多額の申告漏れが捕捉されております。しかも、その実調率は年々低下をしていると言われております。税務調査にたまたま当たったのが運の尽きというような感触が一般化するのを恐れるのであります。
 また、公益法人または非課税団体等、非営利団体と言われるものが営利事業類似行為を行っていると言われております。これら法人及び団体の営業利益に対し適正な実地調査が行われているのか、適正に課税されているのか等々、税法だけでは公平を期せられない税務行政上の措置による正しい納税道義心の向上によって負担の公平を図る、正直者がばかをみない、所得逃れを困難にする努力が実行されなければならないと思います。したがって、税務職員の増員が必要であると思います。しかし、政府全体として行政改革を行う中で、職員の減員はあれ、増員はほとんど困難と思います。事実、税務職員の数は十数年間増減なしであります。
 昭和四十八年秋のオイルショック以降、民間企業においては、血と汗の犠牲を払いつつ減量経営に努力をし、合理化によって生産性の向上を図ってきたところであります。減量経営には、企業内の人員の配置転換はもちろん、大企業においては、世界に例を見ない企業間の配置転換とも言える労使協議の納得の上の出向制度まで実行されております。
 政府は、民間に見習って、同一省庁内の職場転換はもちろんのこと、各省庁間の職員の配置転換並びに出向制度を積極的に活用し、計画的に、しかも大量に行う必要があると思います。このような措置によってでも税務職員の充実強化を図るべきだと考えます。中曽根行政管理庁長官の積極的な指導をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。まず、先般の与野党合意についての御質問でありますが、三月六日の衆議院議長裁定及びそれに基づく六党国対委員長会談の合意事項につきましては、政府としてもこれを尊重してまいる考えでございます。
 なお、歳出予算の執行については、与野党合意の有無にかかわらず適正を期すべきものであり、今後とも節減合理化に努めてまいります。
 五十七年度予算の編成に当たりましては、すでに再三申し上げておりますとおり、大型新税の導入などを念頭に置くことなく、臨時行政調査会の中間答申を得て、歳出の削減合理化に全力を傾けることによって財政再建第二年度にふさわしい予算をつくり上げる決意であります。
 勢い補助金の整理、行政サービスの見直しなどに取り組まなくてはならないことと存じますが、総論賛成、各論反対となりがちな事柄でございますので、広く各党各会派の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
 残余の点につきましては関係大臣から答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 パートタイムなどで税金のかからなくするのに、いままで七十万円までは配偶者がもらっておっても、夫はその配偶者をやはり自分の所得から配偶者控除として引くことができた。これについて、一千万円以下ぐらいの所得者だったらば、妻の収入に関係なく、配偶者が所得があったっていいじゃないか、こういうような御趣旨と私は受け取ったのですが、それはちょっと困るわけでございまして、やはり妻に相当な所得があって、しかも夫の配偶者になるというのは、やっぱりちょっと私は納得がいかないわけでございます。これはやっぱり二十九万円という基礎控除の限度までと。それ以上妻に所得があればこれは配偶者から離れていただく、妻が幾ら所得がふえたって差し支えないわけですから。ただ、夫が一千万円未満の場合は、妻が百五十万円取っても百三十万円所得があっても夫の配偶者にしろというのは御勘弁をいただきたいと思います。
 それから、その次はトーゴーサンの話に触れまして、税の公平の原則を確立してやれと、ともかく商店の人あるいは農家の人よりもその近くの団地の奥さん方の方が保育料が高いじゃないかという例をとられたわけでございます。これはよくそういうおしかりを受けるのですが、東京などでも農家の方がいい暮らしをしておる、そして、おばあちゃんがともかく老齢福祉年金をもらっている。その近くに住んでおる人がそんないい暮らしをしていないのに老齢福祉年金をもらえないとかいう話がございます。それは農家などは財産を持っておりますが、所得がないというのも事実でございまして、しかしながら、仮に同じ三百万ぐらいを所得だとすれば、農家の方が五百万ぐらいには使えるかもしれません、蓄積がございますから。新しく買う物はないし、家は先祖譲り、土地も先祖譲りとか、菜っぱ、大根は家の周りでつくれるとか、食う物には事欠かないということですから、入った金はみんなほかに使えるということで、消費支出に目をつければ、確かに同じくらいの金が入れば農家の方が豊かに使えると、これはもう事実でございます。事実でございますが、所得が少ない場合は何ともしようがないので、それでは資産まで見て所得制限つけるかということになりますと、農家の資産はすぐつかまえることができますが、預貯金で持っている人はつかまえられないという問題が起きてきてしまうので、非常にむずかしい実は問題があります。しかしながら、事業者等で申告がどうもつかみようがないというために低いというようなものがあれば、これはやはり厳しく調査をしていかなきゃならぬと、かように思います。
 現在、それでは税務職員が足りないのじゃないか、できるのかと言われておりますが、これは機械化、合理化等で、統計事務や何かの方はかなり手数がかかっておったのですが、これは非常に手数が省けてきた。問題は調査能力の問題でございますから、人さえふやせば調査能力が一遍に広がるというわけではもちろんないのであって、その方面の専門的な研究、大口についてはそういうふうな研究とか、あるいは実際の中小企業の調査等についても人手が足らぬということも事実でございますが、悪質と思われるようなものを重点的、能率的、効率的に、いい調査官を派遣して、その調査の徹底を期してまいって、そういうふうに脱税で逃れる者がないように、世間が見ていて、あいつはどうも少ないのじゃないかと思うのがあれば、どしどし教えていただければやらせますから、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 今後とも、税務職員の充実ということにつきましては、私も努力をしてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(中曽根康弘君) 国税当局の職員が非常に困難な状況のもとに一生懸命よくやっていることは、われわれも非常に高く評価しているところでございます。
 現在、国税関係の職員の定員は五万二千七百八十九名でございますが、ここ二、三年来、年間四百人から五百人ぐらい第一線の方を増強しようということで定員の強化に努めておるところです。これは大体、地方局から都市局の方へ人間を異動させるとか、あるいは大蔵省の内部においてやりくりをして第一線を強化する、そういう方向でやってまいりました。本年におきましても同じような方向で、大蔵省全体としては百五十二人人間を減らしております。しかし、国税の第一線につきましては四百三十八人ふやしております。これは主として管理部門とか総務部門とか、施設部門から第一線の方へ補充をしたような状態でございまして、今後も、いまの国税職員がよく一生懸命やっておる情勢にかんがみまして、最大限われわれは人的強化を図っていかなければならぬと思っております。来年以降につきましてもよく考えてみたいと思います。(拍手)
#25
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#26
○副議長(秋山長造君) 日程第二 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。安孫子自治大臣。
   〔国務大臣安孫子藤吉君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 明年度の地方税制の改正に当たりましては、現下の厳しい地方財政事情と地方税負担の現状にかんがみまして、その負担の適正化を図りますとともに地方税源の充実を図ることを基本といたしております。
 以下、その概要について御説明を申し上げます。
 第一に、地方税法の改正であります。
 まず、個人住民税につきまして、低所得者層の税負担の実情にかんがみまして、昭和五十六年度限りの措置として、所得の金額が一定の金額以下の者について所得割の非課税措置を講ずることといたしております。
 次に、法人住民税について、法人税の税率引き上げに伴う法人税割の増収額を市町村税源の充実に充てるために、道府県民税及び市町村民税に係る法人税割の税率を調整いたしますほか、均等割りの税率適用区分の基準を改め、課税の適正化を図ることといたしております。
 さらに、個人事業税について新たに不動産貸付業等四業種を課税対象事業に追加をいたし、また、不動産取得税について住宅政策に配慮しながら、その税率の引き上げを行うことといたしております。
 また、固定資産税等に係る非課税等の特別措置のうち十六項目について整理合理化を行うほか、産業用電気に係る電気税の非課税品目を二品目廃止することといたしておるのであります。
 そのほか、税務執行面における実質的公平を確保いたしますため、脱税の場合の更正、決定等の制限期間を延長いたしますとともに、住民税及び事業税の脱税に関する罪についての法定刑の長期を五カ年とすることといたしております。
 第二に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正でございますが、日本国有鉄道に係る市町村納付金について、納付金算定標準額の特例措置の適用期限を二年延長することといたしております。
 これらの改正によりまして、明年度におきましては、七百五十六億円の増収と相なる見込みでございます。
 以上が、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○副議長(秋山長造君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。佐藤三吾君。
   〔佐藤三吾君登壇、拍手〕
#29
○佐藤三吾君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案に関連しまして、自治体行財政の基本問題につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたしたいと思います。
 一九七五年以降の経済危機によって、わが国の社会が大きな過渡期に入ったことは、いまや何人も明らかにしているとおりであります。すなわち、政治的には、昨今の情報公開要求に見られますように、政府、特権官僚による閉ざされた意思決定を日の当たる政府として公開することが求められ、社会経済のあり方としても、管理社会からの離脱が強く求められているのであります。「地方の時代」が今日広く国民全体の共通意識となっているのも、こうした過渡期の離脱方向をトータルに示しておるからにほかなりません。
 したがって、いま政府と国会に課せられた課題は、こうした認識に立って社会の諸制度、とりわけ政治制度を改革し、こうした転換を急速かつスムーズになし逐げることと考えますが、残念ながら鈴木内閣にはそのような気概さえ全く感じられないのであります。
 私は、このような転換を地方の時代認識に立って実現するためには、まず自治体の基本にかかわる法律の立法過程に根本的なメスを入れる必要があると考えます。
 御承知のように、ただいま議題となっている地方税法改正案が可決成立されますと、自治体はこれを条例化するわけでありますが、残念ながら自治体における議会審議は、時間的に制約され、十分な審議の保証さえもなく、首長の専決処分によって住民に納税義務を課しているところも少なくないのであります。地方税法第三条は全く空洞化しております。住民と自治体にとって地方税制は心臓とも言うべきものであり、これが十分な審議がなされないまま決定される状況のどこに地方自治がございましょうか。結局、つまるところ、政府が法と条例との関係に相互の固有の領域を確立することなく、条例を国の行政目的達成のための手段、手続としてしか認識していない結果、このような問題が生じるのであります。
 そこで、まずお尋ねいたします。
 この際、政府は先ほどのような時代認識に立ち、真に地方の時代を確立しようとする意思があるならば、法と条例との関係を従属から協同の関係に転換し、立法過程とその内容に大きな変更を加えるべきであります。すなわち、地方税法について言えば、租税法定主義の原則に立ちつつも、法の内容については標準税制とし、住民に対する課税義務は条例による具体的制定を待って生じるよう改めるべきであります。
 そして、地方税制の改正に当たって行政府における意思決定に際しては、国の税制調査会において一括して行うことをやめ、地方税制調査会を別途創設し、国、自治体及び学識経験者による共同決定を図るべきであります。総理並びに関係大臣の率直な答弁をいただきたいと存じます。
 次に、本年度税制改正における税源配分の基本問題についてお尋ねいたします。
 本年度税制改正による地方税増収額は、ただいま御説明ございましたように、わずか七百五十六億円にすぎません。しかも、このうち六百五十九億円は国税の改正に伴う地方税へのはね返り分であり、地方税独自の改正による増収額は一割強の九十七億円しかございません。ここにも国税の付属物としての地方税の認識しかない政府の態度がよく示されております。しかも、国税改正の中心であり、法人税の二%引き上げに伴う法人県・市町村民税のはね返り分六百五十九億円によって、あたかも自治体の法人課税が強化されたかのような印象を与えておりますが、事実は全く逆であります。これまで国、自治体の法人課税の配分割合は国が六六・八%、自治体が三三・二%であったのが、今回の改正によって自治体に厚くなるどころか、逆に国は六七・五%にふえ、自治体は三二・五%に減少しているのであります。まさに国の財政再建のために自治体財政が踏み台にされているのであります。財政再建は自治体財政の確立を含めた制度の改革によって初めて国民的意義を持ち得るのであって、このようなやり方は地方の時代に全く逆行するものと言わなければなりません。
 一体、自治大臣はこうした税制改正をいかなる理由をもって認めたのか。また、大平前総理の地域重視の政策をそのまま引き継ぐことを言明されておる鈴木総理にとって公約違反であると考えますが、明快な答弁をいただきたいと思います。
 また、現行おおむね二対一の法人課税の配分割合について、この際五対五程度となるよう法人課税の割合を改めるべきだと考えますが、あわせて答弁をいただきたいと存じます。
 次に、個人住民税の問題についてお尋ねいたします。
 今国会において所得税減税がわが党を初めとする全野党はもちろん、労働四団体など広く国民から求められておりますが、この問題の重要さもさることながら、国民にとってさらに重税となっているのはほかならぬ個人住民税であります。所得税の課税最低限二百二万に対し個人住民税のそれは現行では百五十八万四千円となっており、政府は、これに対して五十六年度限りの措置として百七十五万七千円まで非課税措置とするという、わずか十二億円のまやかし減税によって国民の減税要求を糊塗しようとしております。これまでの控除額の引き上げを凍結し、一種の免税点制度を持ち込むことは、地方税制の根幹を揺るがすものであり、十分な検討のないままこのような一時しのぎの措置を持ち込むことは許されるものではありません。
 したがって、この際、個人住民税について抜本的な改革を加える必要があります。すなわち、これまで政府がたびたび言明してきたように、個人住民税の課税最低限を三カ年計画で所得税の課税最低限まで引き上げ、個人住民税と所得税の格差を解消し、その上に立って国民の所得税を一本化し、市町村から都道府県、国に逆配分していくよう改めるべきであります。政府の考えを明らかにしていただきたいと存じます。
 次に、第二次臨時行政調査会の発足に関連して補助金、租税特別措置の問題についてお尋ねいたします。
 第二臨調は、今年七月を目途に、来年度予算編成に向けて約一兆五千億円から二兆円の財源をつくり出すために補助金の整理等を行うことを当面の課題としておりますが、これに関連して土光会長及び経済四団体の首脳は、増税は行わないとたびたび言明し、先ほど総理も大型新税は念頭に置かないと言明いたしております。これら経済団体の首脳の発言は、額面どおり受け取れば増税ストップとして大いに結構なことであります。今日の不公平税制の実態を見れば、こうした発言が国民の反増税ムードを利用した不公平税制の温存発言であることは明らかであります。
 すなわち、政府資料によっても、五十六年度国、自治体合わして約一兆円の税の優遇措置が講じられており、こうした優遇措置を廃止することは大企業にとっては増税ということであります。言いかえれば、増税ストップとは、こうした優遇税制の温存を意味するもので、経済四団体の第二臨調に対する異常とも言うべき肩入れは、まさにこうした意味が込められていると言わざるを得ません。先ほど大蔵大臣も認めたように、第二の補助金とも言えるこうした優遇措置に徹底的にメスを加えることこそ、増税なき予算編成を可能にする道であり、行政改革の緊急課題と言わなければなりません。政府の所見を伺いたいと存じます。
 これと関連して、自治大臣にお尋ねいたします。
 地方税制における大企業優遇税制の最たるものの一つとして産業用電気税の非課税措置がありますが、一体いつになったらこれを撤廃するのでありますか。
 昨年の福岡県大牟田市の電気税違憲訴訟は、裁判としては敗訴でありますが、非課税措置が妥当なものとは認定されておりません。自治体がみずから原告となって提起した違憲訴訟の意義を正しく受けとめ、千三百九十六億円と見込まれる非課税措置を撤廃すべきであると考えますが、大臣の決意のほどを伺いたいと存じます。
 最後に、国鉄ローカル線廃止にかかわる自治体行財政の問題についてお尋ねいたします。
 先般、ローカル線廃止に関する政令が明らかにされ、全国四十二線区の廃止路線が示されました。申し上げるまでもなく、住民にとって鉄道は生命の綱でありますが、住民に対する影響のみならず、周辺の市町村の行財政に大きな影響を与えることは明らかであります。
 そこで、お尋ねいたしますが、ローカル線廃止によって自治体は地域経済の変化する中で税収入その他歳入にいかなる変化が生じるのか、また、代替交通機関の維持等に要する直接の費用負担とは別に、住民生活の動態変化に対応してどのような財政需要が生じるのか。単なる交通問題にとどまるものでない以上、影響予測調査を行っているはずであり、明らかにしていただきたいと存じます。
 以上、私は地方税制を中心に自治体行財政の基本問題について質問してまいりましたが、総理並びに関係大臣の明快な答弁を強く要請し、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 私は、地方自治を尊重することにおいて国が最も注意しなければならないことは、地域性、すなわち各地方団体がそれぞれの地域に固有の事情を持っていることについて国が正しい理解を示すことではないかと考えております。地方財政の問題、特に地方税の問題についても、そのような見地に立って、税制調査会等の場を通じ、地方税源の充実強化に努力してまいりたいと考えております。
 五十六年度の法人に関係した税制の改正による増収額が地方に不利になっているのではないかとのお尋ねでありましたが、地方交付税として地方に交付される分まで考慮に入れますと、その増収額を国と地方とでおおむね折半する形になっておりまして、御質問のように地方軽視となっているというようには考えておりません。
 次に、第二次臨時行政調査会の土光会長が増税によらない財政再建という基本的な考えを示されておりますが、それとの関係で、企業優遇税制の整理についてどう考えるかとの御質問でありました。
 いわゆる政策税制、すなわち租税特別措置につきましては、昭和五十一年度以来積極的な整理合理化を講じてきており、おおむね一段落というように考えております。しかしながら、社会経済の実態に即して税制の見直しを続けていくことは当然のことであり、増税なき行財政の再建という考え方が、五十七年度においては税制の合理化、公平化のための手直しまで禁ずるという趣旨のものであるとは考えておりません。今後とも公平な税制の確保のため最善を尽くしてまいりたいと存じます。
 残余の点につきましては所管大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣安孫子藤吉君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(安孫子藤吉君) 第一点の税制に関する法律と条例の関係でございまするが、特に税制におきましては、公平と申しますか、そうした問題が強く要求されております。しかし、一方におきまして地方自治体の自主性という問題がございます。との辺の調整というものがきわめて困難な問題だと考えております。したがいまして、御質問の法律と条例の関係につきましては、今後慎重に検討いたしてまいるべき課題だと考えております。
 第二に、国税と地方税の問題、今回の措置についてでございまするが、今回の法人関係税の改正による増収額は、平年度ベースでは、国八に対しまして地方が二の割合になっておるのは御承知のとおりであります。しかし、増収となる法人税収のうち、地方交付税として交付される分を考慮いたしますと、法人関係税全体の増収額をおおむね国と地方で折半をする形に相なっておるわけであります。
 なお、法人所得全体に対する国、地方の課税の配分割合は、今回の法人税の税率の引き上げによりまして地方への配分が若干低下することと相なりますが、これにつきましても、地方交付税を考慮いたしますと、実質的には国と地方とでおおむね折半することと相なっておるわけでございます。したがいまして、今回の法人関係税の改正がすなわち地方軽視ということには必ずしもならないものと考えておるわけでございます。
 次の御質問の個人住民税の問題でございますが、これは住民税の課税最低限について、明年度におけるところの厳しい地方財政の状況を考慮いたしますときに、その引き上げは見合わせるほかはないわけでございましたが、低所得者層の税負担につきましては特に配慮を加えるために非課税措置等を講じておるところでございます。
 なお、住民税におきましては、地域社会の費用につきまして、住民にその能力に応じてできるだけ広く負担を求めることが望ましいと考えておるのでございまして、住民税の課税最低限を現在以上に所得税のそれに近づけるべき必然性はないものだと考えておる次第でございます。
 次に、第二臨調に関係いたしまして優遇税制を廃止すべきではないかという御質問でございます。それで、産業用電気に対する非課税措置は、原料課税を排除するという見地から、重要基幹産業または新規重要産業に係る製品で、製品コスト中に占める電気料金の比率がおおむね五%以上のものについて講じておるのでありまして、このような非課税措置の性格から適用期限を定めていないものだと考えております。しかし、従来から社会経済情勢の変化に応じましてその内容の見直しに努めてまいっておるところでございまするので、今回の改正案におきましても二品目の整理を予定しておるわけでございます。今後さらに検討を続けてまいる考えでございます。
 次に、ローカル線の地域社会に及ぼす影響等についての御質問がございました。このローカル線の問題はきわめて重要な問題でございまするので、国鉄ローカル線の政令基準の制定に当たりましては、地域の実情あるいは将来の開発等についての配慮を十分に加えて、地域に与える御質問のようないろいろな影響をできるだけ少なくいたすように努めてまいったところでございます。その結果、当面の対象路線というものは、バス輸送が比較的容易と考えられる三十キロ未満の路線等に限定されることと相なったわけでございます。
 また、地域の特殊の開発につきましては、輸送増が見込まれるものについて輸送密度の算定の上で考慮することといたしておるわけでございまして、その方法等につきましては、ただいま協議をいたしている最中でございます。なお、地域においても、協議会等において十分な論議が尽くされることを期待いたしておるのでございまして、そうした配慮を加えながら、地域社会に大きな変動を与えないように努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 以上、御質問にお答えをいたしました。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 法人税関係の税収の中で、地方と国との取る割合を五対五にしろと、こういうお話でございますが、これは非常にむずかしい問題なのです。たとえば、もとから五対五に取ってしまいますと国の方では財政の再配分の機能がなくなってしまう。たとえば全国平均の指数で人口一人当たりの指数をとってみると、東京が一七七なら沖縄は五〇というようなことで、東京のように本社がいっぱいあるところへは金がどかどか入ってきますが、入らないところはさっぱりいかない。幾ら二分の一もらったってもともとがないんだから、小さいものの二分の一はもっと小さいということで、これはなかなかうまくいかない。どうしてもやっぱり地方交付税のようなもので調整するほかはない。結局、地方交付税で調整した結果は大体三二%、法人税とかなんかで三二%返りますから、そこへ一七・五%自分たちも取るわけですから、国との配分はまあまあいいところだと、そう思っております。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(中曽根康弘君) 第二臨調と税制の関係でございますが、第二臨調におきましては、補助あるいは既成行政あるいは保護助成、そういう点につきましてはいろいろ論議されると思います。そういう観点から税制についてもいろいろ検討は加えられると思いますが、特定の税制をどうするかという点に触れるかどうかは私は疑問であると思います。それよりも、もっと制度の根本に触れた点にメスを入れていただくことが大事ではないかと、そのように思っております。(拍手)
#34
○副議長(秋山長造君) 大川清幸君。
   〔大川清幸君登壇、拍手〕
#35
○大川清幸君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま御説明のありました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣の御所見を伺います。
 地方財政は、昭和五十年度以来、毎年二兆円を超える膨大な財源不足を生じております。このような財政危機が叫ばれてからすでに七年を経過するわけでありますが、この間、政府は地方財政に対し何ら抜本的な対策を講じようとはせず、地方の財源不足を補うために交付税会計の借り入れと地方債の増発という借金政策をとり続けてきたのであります。このため、いまや地方は四十兆円にも上る巨額な借金を抱えており、この借金返済のために五十六年度の地方財政計画を見ても四兆円近くのお金を充てなければならないことになっております。言うまでもなく、地方自治は民主主義の基盤であり、その地方自治を支える地方財政の確立を図らなければ、地方自治は財政面から崩れるおそれがあるわけであります。
 そこで、総理にまずお伺いをいたしますが、総理は、この深刻かつ不安定な地方財政の現状をどう認識されておられますか。また、その健全化のために今後どのような具体策をおとりになるか、まずお伺いをいたします。
 ところで、今日の地方財政は、その歳入の規模が四十兆円を超えておりますが、その自主財源である地方税は相変わらずこの歳入全体のわずか三〇%台に低迷しております。この実態を見れば地方自治体の活力ある行政運営がいかに制約されているか明白であります。しかも、国と地方との税源配分は、従来から言われておりますように、国二に対し地方一の割合であります。また、なるほど歳出面においては国一に対し地方二という逆転現象にはなっておりますものの、この逆転現象は、自治体の事務の大半が補助事業によって占められていることからも明らかなように、補助制度が国の地方統制の手段に使われていると言っても過言ではないわけであります。現在の国の補助制度が自治体の事務のほとんどすべての分野にわたっているために、自治体は補助金のつく事業をかなり優先的に取り入れて実施せざるを得ないのが実情であります。
 しかも、国の補助金は、そのほとんどが地方自治体の一般財源によって裏負担を強いられることになるために、本来地方自治体の自主財源であるべき地方税は、その使い道が大きな制約を受けることになるわけであります。そこで、自治体が独自の構想に基づいて行う単独事業を実施しようとする場合、勢い借金である地方債に頼らざるを得ない仕組みになっております。
 このように、今日の地方行政は国が規定した枠組みの中に完全に組み込まれており、このために全国至るところでいわゆる画一行政が行われ、地域の特性や住民の意思を生かした行政が行えない状態にあるわけであります。先ほど総理も御答弁になっておりましたが、地方自治体の特殊性、地域の自主性については、どうも御答弁のような状態にはなっていないと思われるわけであります。最近の住民の価値観の多様化に伴って、これに対応する行政の推進を図らなければなりません。このためには地方分権化を進めることが必要であり、このことが今日の地方行政にとって最優先の課題であります。
 そこで、お伺いいたしますが、このような地方税財政の実態を総理はどのように認識しておられますか。また、どのような改革を行うべきか、そのお考えをお伺いしたいと思います。
 また、地方税制度は地方自治の本旨を達成する上でその基本であり、自主財源強化が急務であります。私どもは現行の国中心の税源配分を国と地方とが一対一になるよう配分すべきであると主張してまいりました。これに対する政府の見解をお伺いいたしておきます。
 次に、地方制度改革と第二臨調についてお伺いをいたします。
 このたび、第二臨調が発足したのでありますが、この発足に先立って、中曽根行管庁長官は第二臨調の答申を無修正で実行すると言っておられます。総理も予算委員会の答弁で同趣旨のことを言われておりますが、政府の正式見解と受け取ってよろしいか、お伺いをいたしておきます。
 さらに、自治大臣と行管庁長官の間で、地方自治体固有の問題を第二臨調で審議するとの合意がなされたようでありますが、個別の自治体の定員、給与について取り上げることは、地方自治の侵害にもつながりかねない上、地方制度調査会の審議内容と重複することにもなり、このことについてあえて第二臨調に答申を求める理由は何であるか。また、検討する場合その範囲についてどうなるのか、御答弁をいただきたいと思います。
 さらに、国、地方間の問題については、第十七次地方制度調査会の答申等もあり、その実施が各方面から強く要望されているところでありますが、この答申に対してどう取り組むのか、あわせてお伺いをいたしておきます。
 次に、地方自治体の課税自主権の問題について御意見を伺います。
 地方自治体は、自治の本旨として、当然課税に対しても自主性、すなわち課税自主権を持っているわけであります。しかし、現行の地方税制度のもとでは、地方の自主性が幾重にも制約を受けているのが実情であります。その一つは、各種非課税制度に見られるように、自治体の意思にかかわらず地方税法で非課税品目が規定されております。しかも、現行制度は、国税の租税特別措置等によって減免されたものについても地方税はその影響を受ける仕組みになっておるわけであります。二つには、事業所税等に見られるように、課税団体の制限であります。すなわち、現在事業所税は人口三十万人以上の都市だけが課税を許されており、三十万に満たない都市では、事業所があり財政需要があっても課税はできない制度になっております。
 したがいまして、地方自治体の課税自主権を確立するために、一つには、税の減免措置については、国で規定するのでなく、自治体が減免措置の必要がある場合は、その自治体の定める条例で非課税措置がとれるようにするとともに、国税の租税特別措置等による地方税への影響も同時に遮断できるような措置を講ずべきであります。二つには、事業所税については課税権を自治体に任せるべきであると考えるものであります。これらの問題に対する関係大臣の御見解を伺います。
 次に、法人事業税の外形課税の導入についてお伺いをいたします。
 現行の事業税は所得課税方式をとっておりますが、地方自治体から種々の行政サービスを受けている大企業でも、欠損法人は国税、地方税にわたってそれぞれ均等割しか納めていないという矛盾が生じております。この不合理を改めると同時に、税収の安定を図るために法人事業税の外形課税を導入すべきであると思うが、いかがでしょうか。
 最後に住民税について伺います。
 現行の個人住民税の課税最低限は百五十八万四千円であり、生活保護基準額の百六十二万三千円を下回ることになるわけであります。このことは、今回の税制改正で従来のような課税最低限の引き上げを行わなかったための現象ですが、この矛盾を回避する措置として、単年度に限り非課税の限度額を設けるというこれまでにないこそくな措置をとらざるを得なかったのであります。
 また、先日総理府が発表した家計調査によると、五十五年度は物価上昇等によって勤労者世帯の実質収入は六年ぶりに対前年比〇・六%の収入減を来しております。生活は苦しくなっておるわけであります。五十六年度もこのような傾向が続くことは必至と言わざるを得ません。したがいまして、政府は、この個人住民税の課税最低限をせめて百七十万円程度に引き上げる御意思はないか、お伺いをいたします。
 以上、私は当面の緊急課題について御質問をいたしました。関係大臣の誠意ある御答弁を期待して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 まず、地方財政についての現状認識をお尋ねでございました。
 地方財政の収支の不均衡は逐次縮小してきているようでありますが、昭和五十五年度末の地方債残高が約二十九兆円、地方交付税特別会計の借入金が約八兆円と見込まれる状況でありまして、地方財政の現状はきわめて厳しいものと見ております。地方財政健全化のためには、五十六年度予算において国が目指している方向、つまり徹底した行財政制度の見直し、合理化によって財政の立て直しを図るという方向が地方においても基本であると考えます。地方団体の中には、すでにそのような方向で行財政改革において国に一歩先んじて成果を上げているものもあると聞いておりますが、すべての地方団体がそれぞれの個性を生かしながら、国と相呼応して行政の改革、歳出の削減合理化に努力していただきたいと希望するものであります。
 国と地方の税財源配分の問題につきましては、先ほど佐藤議員の御質問にもお答えいたしましたように、地方の持つ固有の事情に正しい理解を示しながら、地方税源の充実強化等について努力してまいりたいと考えております。
 国、地方の税源配分を一対一とすべきでないかとの御意見でございましたが、税源配分は、国と地方の事務配分がどうなっているか、また税源の偏在をどう調整するかなど、地方行財政制度全般のあり方と関連する事柄でありますので、頭から一対一とすることが適当であるかどうか問題が多いのではないかと考えます。しかし、御趣旨は自主税源の充実を図るようにとのことであると存じますので、その点につきましては今後も引き続き努力してまいります。
 第二次臨時行政調査会の答申を無修正で実行するとの発言は政府の正式見解かとの御質問がございました。
 私も、中曽根行政管理庁長官もそのような意気込みで行政改革に取り組んでおり、臨調の答申は最大限に尊重してまいります。国会におきましても、行政改革についてとかく生じがちな総論賛成、各論反対という結果にならないよう、各党各会派の御支援を賜りたいと存じます。
 以上、御質問にお答えいたしましたが、残余の点につきましては関係閣僚から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(渡辺美智雄君) 税源配分の問題につきましては、ただいま総理大臣から御答弁があり、また、佐藤三吾議員に対して先ほど答弁したとおりでございます。つまり、地域間の経済力の格差が大きく、したがって税源の偏在が著しいという問題がございます。したがって、いますぐ事務配分の問題とも絡み一対一というわけにはまいりません。
 それから、現行制度では特別措置法、これで地方の税収入が減収になってしまう、どこかで遮断したらどうかということでございますが、課税技術上いろいろ問題がございます。自治大臣から答弁をしていただきたいと思っております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣安孫子藤吉君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(安孫子藤吉君) 最初に、法人関係税についての国と地方との配分の問題に触れた御質問でございましたが、これは佐藤議員に対してお答え申し上げましたとおりに、結論的には地方交付税を入れますと大体一対一という配分関係になるということをお答え申し上げます。
 それから第二点といたしまして、第二臨調との関係で人員あるいは給与も含むというお話でございましたが、こういう問題について一体どんな話になったのかということでございますが、定員の問題につきましても、実は国の制度との関係が非常に密接であることは私から申し上げるまでもないところでございます。この辺が国の行政機構の問題とも強く関連を持つ問題でございます。したがいまして、かような点については、国の行政のあり方という問題との関連をいたしまして、第二臨調においても取り扱われてしかるべきものであろうかと考えておるのでございます。行管との間におきましては、こうした問題を扱うについては、第一次臨調と同じような範囲においてこの問題について審議をしていただくという意味においての合意を得ておる点でございます。
 次に、課税自主権の問題にお触れになりましたが、これも先ほど佐藤議員にお答えいたしましたとおりにきわめてむずかしい問題でございます。この問題については、先ほどお答え申し上げましたとおり、今後の十分なる研究課題にいたしてまいりたいと考えております。
 次に、租税特別措置法による地方財政へのはね返りを遮断する問題でございますが、この点については、申すまでもなく、国の租税特別措置の中には、地方税においても同様の軽減を行うことが適当なものもあります。また、国の租税特別措置を地方税で回避することが課税技術上非常に困難なものもあるのでございまして、これらの地方税への影響をすべて遮断するということはできないのではないかと考えております。最近における地方の厳しい財政状況等にかんがみまして、地方税における非課税措置等の見直しを行い、政策の必要性等を十分に勘案しながら、でき得る限り整理合理化をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。
 なお、非課税措置の中には、全国的な視野に立って一律に定めることが適当であるものがございます。これらにつきましては地方税法において一律に定めることが適当であるというものもあると私は考えております。
 また、事業所税の課税団体の範囲につきましては、事業所税が人口、企業の増加による都市環境整備の必要性に着目をいたしまして事業所に税負担を求める税であることにかんがみまして、全国的な均衡が図られるような配慮をする必要があると考えております。したがって、法令でこれを定めることが適当であると考えておるのでございます。次に、外形課税の点についての御質問がございました。事業税の外形標準課税の導入に関しましては、地方団体から御指摘のとおりに強い要望がなされてきているところでございます。地方税源の安定的な確保の見地からは、できるだけ早期に導入すべきであると考えられるのでございます。
 しかしながら、この問題は、企業関係税、間接税等、税制全般とも関連をするのでございまして、なおまた、五十五年十一月におけるところの税制調査会の中期答申におきましても、課税べースの広い間接税の導入の問題とあわせて検討することが適当であるというような論議が展開されておるところでございます。したがいまして、今後租税制度全般について抜本的な検討がなされる場合に、さきの税制調査会の中期答申をも踏まえまして、法人事業税の外形標準課税の問題につきましてもあわせて検討することが適当であろうかと考えておるのでございます。
 なお、個人住民税の課税最低限の点についての御質問がございました。現下の厳しい地方財政の状況からいたしまして、住民税の課税最低限の引き上げによることは大幅な減収につながるので、今回はやむを得ず見送ったところでございます。ただし、低所得者層については特別の配慮を加える必要がありと考え、夫婦子二人の給与所得者の場合、年収百七十五万七千円までの者については住民税所得割を課税しないという措置を講じたところでございます。
 以上、お答えを申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(中曽根康弘君) 無修正で実行するかという御質問でございますが、これは総理大臣と全く同じでございます。
 地方制度との関係においていかんという御質問でございますが、これは自治大臣と全く同じでございます。
 ただ、地方制度調査会の答申と重複するではないかという御質問がございますが、これは重複しても結構である。と申しますのは、地方制度調査会の方は地方の方から国の制度を見る、第二臨調の方は国の制度の方から地方を見る、そういう意味において角度が違うものでございますから、これは重複しても差し支えないと、このように考えます。(拍手)
#40
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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