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1980/04/02 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 本会議 第11号
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1980/04/02 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 本会議 第11号

#1
第094回国会 本会議 第11号
昭和五十六年四月二日(木曜日)
   午後七時三分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第十一号
  昭和五十六年四月二日
   午後四時開議
 第一 激甚災害に対処するための特別の財政援
  助等に関する法律の一部を改正する法律案
  (衆議院提出)
 第二 災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸
  付けに関する法律の一部を改正する法律案
  (衆議院提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一及び第二
 一、国会議員互助年金法の一部を改正する法律
  案(衆議院提出)
 一、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する
  法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 一、参議院事務局職員の定員に関する件
 一、昭和五十六年度一般会計予算
 一、昭和五十六年度特別会計予算
 一、昭和五十六年度政府関係機関予算
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 金井元彦君から海外旅行のため来る十日から九日間、田英夫君から海外旅行のため来る六日から十日間、それぞれ請暇の申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(徳永正利君) 日程第一 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案
 日程第二 災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案
  (いずれも衆議院提出)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。災害対策特別委員長広田幸一君。
    ―――――――――――――
   〔広田幸一君登壇、拍手〕
#6
○広田幸一君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、災害対策特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案は、豪雪等により激甚災害を受けた森林を復旧するために行う事業に係る経費に対する国の特別の補助について定めようとするものであり、その主な内容は、第一に、都道府県が行う森林災害復旧事業については、その要する経費の二分の一、都道府県以外のものが行うものについては、都道府県が三分の二以上の補助をする場合におけるその補助に要する一定の経費の四分の三を補助することができることとしております。
 第二に、森林災害復旧事業の内容は、被害木等の整理、跡地における造林、倒伏した造林木の引き起こし及びこれらに必要な作業路の開設の事業で一定基準に該当するものとしております。
 なお、本案は、公布の日から施行し、昭和五十五年十二月一日以後に発生した災害にさかのぼって適用することとしております。
 次に、災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案は、最近における社会的経済的諸事情にかんがみ、災害により死亡した者の遺族に対する災害弔慰金を増額しようとするものであり、現行の二百万円を三百万円に改めることとしております。
 なお、本案は、公布の日から施行し、昭和五十五年十二月十四日以後に発生した災害にさかのぼって適用することとしております。
 本委員会におきましては、提出者衆議院災害対策特別委員長から提案理由の説明を聴取し、別に質疑、討論もなく、採決の結果、両案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(徳永正利君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#8
○議長(徳永正利君) 総員起立と認めます。
 よって、両案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#9
○議長(徳永正利君) この際、日程に追加して、
 国会議員互助年金法の一部を改正する法律案
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案
  (いずれも衆議院提出)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長桧垣徳太郎君。
   〔桧垣徳太郎君登壇、拍手〕
#11
○桧垣徳太郎君 ただいま議題となりました二法律案につきまして御報告申し上げます。
 まず、国会議員互助年金法の一部を改正する法律案は、昭和四十九年三月三十一日以前に退職した国会議員に給する互助年金について、本年四月から基礎歳費月額を現行の五十八万円から六十万円に改定するとともに、高額所得者に給する普通退職年金について、その一部支給停止の規定を設けようとするものであります。
 次に、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案は、本年四月から永年在職表彰議員特別交通費の月額を現行の二十万円から二十五万円に改定しようとするものであります。
 以上二件は、いずれも、委員会におきまして審査の結果、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(徳永正利君) これより採決をいたします。
 まず、国会議員互助年金法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#13
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 次に、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#14
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#15
○議長(徳永正利君) この際、参議院事務局職員の定員に関する件についてお諮りいたします。
 議長は、本件につきまして、議席に配付いたしましたとおりの参議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案を議院運営委員会に諮りましたところ、異議がない旨の決定がございました。
#16
○議長(徳永正利君) 本規程案に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#18
○議長(徳永正利君) この際、日程に追加して、
 昭和五十六年度一般会計予算
 昭和五十六年度特別会計予算
 昭和五十六年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長木村睦男君。
   〔木村睦男君登壇、拍手〕
#20
○木村睦男君 ただいま議題となりました昭和五十六年度予算三案につきまして、予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 昭和五十六年度予算は、公債発行額を前年度当初予算より二兆円減額すること、一般歳出を極力圧縮することにより、対前年度当初予算比伸び率を一けたにとどめること、また、歳入面では現行税制の範囲内で一兆三千八百三十億円の増収を図ること等となっております。
 五十六年度一般会計予算の規模は四十六兆七千八百八十一億円と相なっておりますが、予算の内容はすでに渡辺大蔵大臣の財政演説で説明されておりますので、これを省略いたします。
 予算三案は、一月二十六日国会に提出され、一月三十日渡辺大蔵大臣より趣旨説明を聴取し、衆議院からの送付を待って三月九日から審議に入りました。自来、本日まで熱心な審査が行われましたが、その間、二月二十五日に福島、名古屋、熊本の三市で地方公聴会を、三月二十日中央公聴会をそれぞれ開催し、三月二十五、二十六、二十八の三日間、物価・税制、国際障害者年、外交問題の集中審議を行い、さらに四日間にわたり分科会を開くなど、終始慎重かつ熱心に審査を行ってまいりました。
 以下、委員会における質疑のうち、主なものにつきその要旨を御報告申し上げます。
 まず、鈴木内閣の政治姿勢に関して、「鈴木総理が唱える和の政治は衆議院予算委員会での強行採決によって踏みにじられ、政府・与党の数に頼ったおごりの姿勢が露呈され、政治不信を招いたのではないか。総理の和の政治の根底にひそむ物の考え方を明らかにされたい」などの質疑がありました。
 これに対し、鈴木総理大臣より、「私の政治姿勢は政権担当以来終始一貫している。三月五日の衆議院予算委員会は、小山委員長が円満な議事運営に努力されたにもかかわらず、あのような事態を招いたことは、まことに遺憾である。自由民主党が安定多数を与えられたことで強引な国会運営を行うことがあってはならないし、また、野党も従来の保革伯仲下での話し合い精神を忘れ、審議を拒否するようなことがあってはならない。議会政治はあくまでも審議を尽くし、審議を通じ与野党ともに共通の目標、認識を見出すことに全力を傾けることによって政治の信頼を高めるよう、十分に配慮した国会運営を望みたい。私の提唱する和の政治とは、真心のこもった政治であり、公正を求める政治である。十分な話し合いで理解と協力を得ながら、国民の納得する政治が円満に行われることをこいねがっているもので、国際政治の面では、世界平和と繁栄、人類の幸せを願うことでもある。なお、聖徳太子の和の政治は、どちらかと言えば上から下に向かって人民を統治するといった傾向があったが、私の言う和の政治は、平和主義と民主主義を基調にし、基本的人権の尊重という理念を総合したものに近いものであると思っている」旨の答弁がありました。
 行政改革に関しては、「物価高と生活難に苦しんでいる納税者に増税を押しつけながら、行政改革はほとんど手をつけていない。第二次臨時行政調査会に中間答申を依頼しているというが、そのねらいと政府の行政改革に取り組む決意を伺いたい。さらに、当面の行政改革が経費節減に重点を置くのは当然であるが、行政改革の基本はあくまでも行政機構の簡素合理化に置くべきと思うがどうか」などの質疑がありました。
 これに対し、鈴木総理大臣並びに中曽根行政管理庁長官より、「財政再建には何よりも歳出の削減見直しが必要で、五十六年度予算で努力はしたが、これで十分などとは考えていない。民間が減量経営によって二度の石油危機を乗り越えたことを手本に、行財政を簡素合理化することは喫緊の課題である。第二次臨次行政調査会を設けたのも、国民の負担を軽減し、効率的で小さな政府の要請にこたえるためである。七月中旬を目途に中間答申をお願いしているのは、差し当たり五十七年度予算に増税による財政再建を避け行政改革による経費節減を織り込むためで、答申が出されたならば、その実現に不退転の決意で当たり、必ず実行する。第二次臨時行政調査会では、官業と民業の範囲をいかにすべきかを初め、広くわが国のいわゆる八〇年代の行財政全般にわたっての基本問題を検討してもらう方針である。現在の行財政のあり方を根本的に見直すためには、かなりの忍耐と苦痛を伴うことは避けられないが、総論賛成、各論反対の弊を打破し、鈴木内閣の政治生命をかけ、行政改革を断行する決意であるので、国会並びに国民の御協力を願いたい」旨の答弁がありました。
 次に、財政再建に関しては、「まず、当面最大の政治課題と言われる財政再建策として、国民は不要不急経費の徹底的削減と見直しを望んでいるのに、政府はこれを怠り、一兆四千億円もの増税によって一般歳出の不足を賄うやり方は安易過ぎる。五十六年度の増税による再建に引き続いて、五十七年度には大型消費税の創設を計画しているのではないか。五十年代の租税負担率の推移を見れば、新経済社会七カ年計画の負担率二六・五%は、目標年次の六十年度を待たずに達成され、あえて新税導入をしなくても財政再建は余裕をもって達成できるのではないか。さらに、一般会計予算の三分の一を占める補助金の整理は財政再建に不可欠であるのに、五十六年度で廃止整理された補助金が他方でほとんど同じ目的で名称を変え新規補助金として計上されるなど、整理がずさんではないか」などの質疑がありました。
 これに対し、鈴木総理大臣並びに渡辺大蔵大臣ほか各大臣より、「経費の節減合理化を怠って約一兆四千億円の増税を行ったとの批判は当たらない。政府は人員の抑制、経費の圧縮に努めたが、国債減額二兆円を最優先に実施したので、財源が不足し、増税はやむを得なかった。五十六年度歳出増加額一兆三千百七十二億円の八七%は、社会保障、文教、エネルギー対策等、国民生活に必要不可欠な分野に支出されており、歳出削減は言うべくして行うのはなかなか容易でないのが現状であるが、けれども、なお今後とも一層の努力をしてまいりたい。財政再建の基本は、高度成長期に肥大化した財政の縮減合理化に取り組むというのが政府の考え方である。五十六年度もこの方針に従って努力したが、一年限りでは無理なので、五十七年度以降も引き続き行財政の合理化を強力に推進することによって、新規増税に頼ることなく財政再建を軌道に乗せるようにいたしたいと考えており、一般消費税のような大型新税を安易に導入する考えは持っていない。租税負担率は、五十五、五十六の両年度に税の自然増収が非常に大幅にふえたことによって大きく伸びており、今後経済の活力が維持されるならば、比較的早く二六・五%の租税負担率は達成できると思う。補助金の整理については、政府として相当努力しており、五十二、五十三年度当時は、増加率で一八・三%、一三・八%、対前年度増加額で一兆六、七千億円にも達していたが、五十五年度は七・七%、五十六年度は四・七%の低い増加率にとどめ、増加額でも対前年六千五百四十六億円と大きくさま変わりし、圧縮を図ったことは御理解いただきたい。五十六年度予算では、法律的、制度的に決められた金額の大きいものの整理が手つかずで、法律や制度改正を待たねばならぬものが多く、この点では国会の協力がぜひとも必要である。しかし、かりそめにも指摘を受けたような、単に名称を変えたり、一時しのぎの便法であるとの批判を受けるような補助金の整理であってはならず、また、税金のむだ遣いに終わるようなことは許されないので、今後は予算編成の機会にさらに厳正に見直すようにしたい」旨の答弁がありました。
 経済及び物価問題に関して、「ほぼ一年間にわたる実質賃金の落ち込みによる個人消費支出の低迷、対前年比二割以上の住宅建設の減少、昨年九月以降、月千六百件を数える企業倒産、昨年末終了予想の在庫調整の今年春へのずれ込み、設備投資の六割を占める中小企業関係の投資の大幅後退など、経済動向は悪化の一途をたどっているが、その原因と対策を伺いたい。また、五十五年度の消費者物価は、政府の当初見通し六・四%を昨年末に七%程度と高目に修正したにもかかわらず、その達成は不可能の情勢にある、政府は物価政策失敗の責任をどう考えているのか。昨年春闘賃上げに自粛を示した労働者に実質賃金目減りの仕打ちは許されないので、所得税減税を実施せよ」などの質疑がありました。
 これに対し、鈴木総理大臣並びに河本経済企画庁長官より、「現在のわが国経済は、御指摘のとおり、消費不況、住宅不足、中小企業不況といった状況である。景気の停滞は原油値上げのデフレ効果によるもので、エネルギー関係の外貨支払いは、五十五年の二百五十億ドルが五十六年には七百億ドルにもなり、それだけ国の富が産油国に吸い上げられることになる。さらに、国際経済も激動期に遭遇しており、経済運営が思うようにいかなかった。また、国内的には、石油価格の上昇と異常気象等に災いされ、予想外の物価高騰が続いたため、最終需要が異常に落ち込み、九月に実施した第一次総合経済対策の成果は残念ながら十分発揮されなかった。五十六年度経済は、内需中心型の成長を目指しており、消費者物価の鎮静化と相まって、個人消費等最終消費需要の喚起に一段の創意と工夫をこらしてやってまいりたい。物価問題については、政府はその目標を達成すべく可能な限りの努力を傾注したが、予想をはるかに超えた原油値上げの影響と、冷夏、豪雪等思わざる悪条件が重なり、目標が実現できなかったことは遺憾である。経済運営のむずかしいこの時期に、勤労者の協力と健全な労使の信頼関係に支えられて、わが国経済が国際的に比較して今日の成功をおさめ得たことを高く評価しているが、五十五年度に実質賃金の目減りを招来してしまったことは残念であり、申しわけなく思っている。しかし、国は、財政窮迫で減税が困難なこと、さらに、大企業はともかく、中小企業の経営も大変苦しくなっていることなどの事情を勤労者に御理解願い、国民的立場での御協力をいただきたい」旨の答弁がありました。
 次に、教育問題に関する質疑が多数の参考人の出席を求めて行われましたが、「文部省は、正誤訂正に名をかりて、教科書の書きかえを強制しているのではないか。また、教科書の中には、わが国の長期政権を批判したり、時代おくれの統計でわが国が後進国であるかのような記載や、社会科の教科書から林業の記載が全く抜け落ちたものなどが見られる。教育の荒廃、非行問題校内暴力等の原因は、中学段階での厳しい振り分け教育のためではないか」などの質疑がありました。
 これに対し、鈴木総理大臣及び田中文部大臣等より、「教科書は学校教育の最も重要な教材であり、次代を背負う青少年のために、いずれにも偏向しないりっぱな教科書づくりに努力しており、書きかえの強制などはしていない。長期政権が悪いといった批判的な記述は大変な間違いで容認できない。戦後のわが国は主権在民による議会制民主主義の中で政党政治が成熟しつつあり、主権者である国民の選択を正しく受けとめるべきである。誤った統計や林業の扱い等については訂正するとともに、こうした指摘を受けた数々の事例は文部行政のあり方として重大な問題提起と受けとめ、文部大臣を中心に政府部内で十分調査検討して必要な措置をとることにいたしたい。教育の荒廃、非行等の問題の根は深く、現代社会、特に大人社会の反映という面や家庭のしつけや核家族化等の影響もある。学歴偏重の風潮が子供たちに悪い影響を与えているのは否めない。子供の適性に応じた教育ができるよう高校の多様化を図り、四十人学級の実現による定数改善等によって、ゆとりのある楽しい学校と学習のための条件整備に努めている」旨の答弁がありました。
 次に、国際障害者年に関して、「政府は国際障害者年の目的を十分果たすため何が最も大事と考えているか。また、国際障害者年のテーマである完全参加と平等の中で、重要な労働参加ということについて、わが国の法定雇用率の達成がきわめて悪い理由は何か。さらに、障害児の教育については、教育委員会ごとに勝手にその教育施設を決めているのは障害児と普通児との分断ではないか」などの質疑がありました。
 これに対し、鈴木総理大臣並びに関係各大臣より、「障害者に対し最も重要なのは年金等の所得保障の充実であると思う。雇用率の未達成は、各省庁、教育委員会、市町村等に多く見られ、また特殊法人なども多いのは遺憾である。地方自治体の教育委員会などは資格制度などで未達成であるとか、国土庁のように発足後間もないといった理由もあるが、障害者年を契機として、雇用率達成のため政府みずからが率先して努力してまいりたい。障害者の教育については、障害の程度や種類に応じて教育施設を選択してもらうようになっている。養護学校の義務化とは、強度の障害児にも相応の施設で教育すべきであるという義務を国や地方自治体に課したもので、教育委員会等が強制することは本旨に反すると思う」旨の答弁がありました。
 次に、国際問題についても多くの質疑が行われましたが、最も注目を集めているいわゆる日米自動車摩擦問題に関し、「米国議会内の動き等には、自由貿易主義の原則を忘れ、保護貿易主義に傾きつつあり憂慮にたえない。さらに、これがEC諸国等にも連鎖反応を起こしかねない情勢のように思われるが、摩擦の原因と政府の対応策を伺いたい」との質疑があり、これに対し、伊東外務大臣並びに田中通商産業大臣等より、「わが国の貿易に対する基本姿勢はあくまで自由貿易主義の堅持で、このことが世界の繁栄と人々の幸福につながると確信している。日米自動車摩擦は、基本的には過去二回の石油危機その他諸情勢に対する米国自動車産業の対応のおくれが根本原因で、したがって問題の全部を日本車の輸入に押しつけてはならない。しかし、現実に米国の自動車産業が危機的状況にあること、また米国政府が自国内での自動車の総合対策樹立を検討中であることなどを勘案し、わが国がどの程度の協力が可能かを検討することは、わが国貿易量の四分の一を米国が購入してくれており、また日米間の友好関係ということからも必要である。なお、日本政府としては、このような経済問題を政治問題化しない前提でせっかく努力中であり、さきの伊東外務大臣の訪米により、四月には米国ミッションの来日が決定し、米国の考え方も明らかになると思う。そこで、どのような方策をとることが、日米双方の独禁法等にも抵触せず、両国の合意が成立しやすいかなど政府部内で鋭意検討中である」旨の答弁がありました。
 最後に、防衛問題、海外経済援助に関して、「レーガン政権の出現によって、共同防衛の役割り分担が強調され、海上交通路、海域等についてわが国の防衛範囲が拡大され、同時に防衛力の増強と防衛費の負担の増大を強いられ、結局、米国軍事戦略の一端を担わされるのではないか。また、米国政府の戦略的重要地域への経済援助の提唱に乗って、オマーン、ジャマイカ等へのわが国の援助が積極化しているが、米国の軍事協力の肩がわりの危険はないか。さらに、経済援助は国際機関を通ずるよりも二国間援助の方が効果的であると思われるので、その比重を二国間援助に移す考えはないか」等の質疑がありました。
 これに対し、伊東外務大臣並びに大村防衛庁長官などより、「わが国の防衛は、憲法と法律の制約によって、集団自衛権はなく、個別的自衛権のみであり、さらに専守防衛非核三原則等の重要な政策上の前提があって、できることとできないことははっきりしている。また、経済大国にはなっても軍事大国にはならない方針である。これらのことは米国政府は、よく承知しており、これまで以上に新たな役割り分担を米国が要求するようなことはないと確信している。わが国の防衛は、五十一年の防衛計画の大綱に基づき、防衛力の整備はGNP一%の範囲内という閣議決定に従い、自主的に着実に進めることは当然のことである。防衛庁として、防衛海域はわが国から数百海里、航路帯を設ける場合は千海里程度を目標に海上自衛隊の整備を進めており、これを変更する考えはない。わが国の経済援助は、世界が相互依存の関係にあることを踏まえ、特に南北問題、人道問題の解決を重点に、軍事目的の援助は行わず、援助対象国の経済社会開発、民生安定、福祉向上のための援助に心がけている。さらに、援助のやり方として国際機関を通じるか二国間援助にするかは大変微妙で、政府としては現在のところ両方とも大切であると考えているが、なお今後十分検討してまいりたい」旨の答弁がありました。
 なお、質疑はその他国政全般にわたり、広範多岐に行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、本日をもって質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して粕谷委員が反対、自由民主党・自由国民会議を代表して平井委員が賛成、公明党・国民会議を代表して渋谷委員が反対、日本共産党を代表して沓脱委員が反対、民社党・国民連合を代表して柳澤委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、昭和五十六年度予算三案はいずれも賛成多数で原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(徳永正利君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。和田静夫君。
   〔和田静夫君登壇、拍手〕
#22
○和田静夫君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になりました政府提案の五十六年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算に対し、反対する討論を行います。
 総理は、施政方針演説において、二十一世紀への足固めを図る決意を明らかにされ、軍事大国にならず、温かい思いやりある社会にすると約束をされました。しかし、本予算案は、このような美しい言葉とはうらはらのものであると言わなければなりません。
 今日、わが国を取り巻く状況はきわめて厳しくかつ流動的であります。私たちの前には七〇年代とは全く様相を異にした世界が広がっています。とれまでの定規でははかることのできない状況が現出していると言って過言ではありません。このような激動する世界の動きに対して、アメリカのレーガン新政府は、ソ連との対決を強く打ち出し、みずからの抱える危機を乗り切っていく方向を明らかにしております。その姿勢はあたかもデタントを停止させ、新しい冷戦構造をつくり出していくように見えます。新しい保守主義、新しい軍拡レース、これが危機に対応するアメリカの選択であります。
 このような時代状況の中で、わが鈴木内閣はどのような選択をしようとしているのか。本予算案及び予算審議を通じて明らかにされたことは、レーガン政権に追随して危機をみずから招き寄せる政府の姿でありました。「鈴木内閣は軍事大国にならない」という言葉の裏には、まさに歯どめなき軍備強化への道を突き進もうとする政府の実像が見えます。アメリカ政府の求めるコモンディフェンスに組み込まれようとしているのです。さらに、政府は、口先では改憲をしないと言いつつ、閣僚の一連の改憲発言を野放しにし、靖国神社参拝、憲法記念日公式行事の取りやめ、教科書への反動的介入等々、右傾化の道を歩むことによって世界的危機に対応しようとしています。
 最近の経済の状態、働く国民の状態はどうでしょうか。政府の大企業一辺倒の経済運営は働く国民にしわを寄せるばかりであります。消費者物価の上昇を政府は過小に見積もりました。そして、消費者物価上昇によりて実質賃金は労働省統計始まって以来初めて目減りしました。働く国民の所得の減退は、消費の低迷、住宅建設の大幅な落ち込みをもたらしました。政府の土地無策とも相まって、庶民にとってマイホームは手の届かないものとなってしまいました。官庁エコノミストの楽観的な予測を裏切って景気の落ち込みは続いております。史上最高の企業倒産が発生し、とりわけ中小企業の倒産が相次いでおります。失業者も増加の兆しを見せています。政府は自動車輸出問題を外圧として取り扱っていますが、この問題の本質は国内問題でもあります。大企業の下請いじめ、中小企業労働者の低賃金等の上に自動車産業の強さがあることを忘れてはなりません。このように、政府の誤った施策によって働く国民の生活は苦境に立たされつつあります。その上に覆いかぶさるように、本予算案は、福祉切り捨て、軍備増強、そして大増税予算として組まれたのであります。
 政府は、本予算案をもって財政再建の第一歩を踏み出したと豪語しておりますが、その実態は見せかけだけの財政再建であり、本来の財政再建からはほど遠いものと言わなければなりません。国債発行額の二兆円減額や歳出の合理化を口実にして、所得制限の強化による福祉政策の切り捨て、公共料金、社会保険料の引き上げを図っています。そして、他方では軍事的予算の増額を図っているのであります。本予算案は、課税最低限を据え置くことによって生じた所得税の自動的増税、さらに法人税を中心とした一兆四千億円のかつてない大増税を前提としているのであります。これを福祉切り捨て、大増税予算と呼ばずに何と呼べばよいのでしょうか。不公平税制の是正など本来の財政改革には手を触れず、国民の犠牲を強いる本予算案は、財政再建逆行の予算と言っても過言ではありません。
 私は、働く国民の苦境を助長するこの予算に反対し、鈴木内閣の反省を強く求め、以下具体的な反対理由を若干述べます。
 第一に挙げねばならない反対理由は、軍事的予算の増強であります。
 全体の歳出の伸びを低く抑制している中で、防衛関係費の伸び率が社会保障費の伸びを上回ったことは危険な徴候を示すものだと言わざるを得ません。防衛関係費は概算要求の段階から聖域化され、アメリカからの防衛費拡大要請に便乗して増強が図られました。このような防衛関係費の増加は、後年度負担によって財政の硬直化を生み出すこと、また、最近の大企業の防衛生産への進出が防衛費増強の圧力となっていることもあわせて指摘されねばなりません。平和憲法に逆行し、国民を危険な戦争の脅威にさらす防衛費増額に強く反対するものであります。
 防衛関係費増とともに、平和憲法、平和外交という観点から、経済協力のあり方がきわめて問題です。政府はアメリカ政府の軍事増強をかわすため経済協力を強めると言っていますが、これはアメリカ政府の反共、反第三世界戦略の一環を担おうとするものであります。政府は西側の一員を強調し、日本をグローバルパワーととらえる方向を鮮明にしました。この方向はきわめて危険な方向であると言わざるを得ません。
 また、政府は総合安保を提唱し、エネルギー、食糧なども安全保障の要件をなすものとしています。しかし、政府のエネルギー政策は、原子力発電所を強行建設するなど、ハードパスの道をまっしぐらに突っ走っているのであります。原発建設の強行は、現地住民の意思を踏みにじるだけでなく、エネルギーの従属をさらに深めるものであり、その背後に黒い意図をはらむ危険なものだと言わざるを得ないのであります。
 第二の反対理由は、国民の生活権を奪う予算になっていることであります。
 政府は、ばらまき福祉、財政再建、高齢化社会の到来を口実に、福祉の見直しを主張しております。所得制限の一方的強化や社会保険料の引き上げ等は明らかに福祉の後退であります。八つに分立し、制度間格差のある公的年金制度、乱診乱療やでたらめな薬価基準にあらわれている医療行政のあり方、定年延長の停滞、障害者問題への立ちおくれ等々、大きな問題が残されたままであります。
 住宅問題においても、政府の計画は地価への無策によってとんざしました。政府は、国民の持ち家意識に寄りかかり、ローン地獄を生み出しているにもかかわらず、その無策を恥じようともしません。また、赤字ローカル線の切り捨ては過疎地住民の足を奪うものであり、断じて許すことはできません。
 福祉政策は、低成長時代、高齢化時代を迎え、ますます重要になっているにもかかわらず、政府は依然として場当たり的政策、国民の自力自助に寄りかかる政策しか持ち合わせておらず、予算措置を圧縮させようとしているのであります。口先では老人や身障者、弱い者への手厚い施策を施すと言いながら、具体的な措置を軽視している政府の福祉政策に強い反省を求めるものであります。
 第三の反対理由は、政府の経済政策の失敗について何らの責任がとられていないことであります。
 最近の中小企業をめぐる厳しい状況に対して、早期の金融緩和、景気対策が望まれたにもかかわらず、政府は何ら有効な手を打つことができませんでした。また、個人消費の低迷をもたらした最大の原因は、物価に対する政府の見通しに重大な誤りがあったばかりか、物価対策がきわめて不十分であったことにあります。しかも、公共料金を上げられるだけ上げておいて、その責任を石油価格と異常気象のせいに転嫁している政府の姿勢は全く納得できません。−第二次石油危機の影響を先進国の中でも比較的軽微に食いとめることができたのは、政府の政策によるものでは決してありません。これは、昨春闘における労働者の協力であり、賃金目減りと苦しい中小企業の経営に国民が耐えてきたからにほかなりません。政府はこれにどうこたえようとするのでしょうか。本予算案ではその対策が皆無と言わざるを得ません。政府の責任の一端として、私は、ことで再度政府が所得減税を誠実かつ具体的に実行するよう強く要求いたします。
 反対理由の第四は、財政再建が見せかけ倒れに終わっていることであります。
 その端的な例は、補助金の整理合理化に対する政府の態度に明確にあらわれております。わが党が委員会での質疑でも指摘したとおり、廃止したと政府が言明した補助金と全く同じ名称の補助金が、また名称だけを変更し、その機能は何ら変わらぬ補助金が新規補助金として計上されており、政府の補助金問題に取り組む姿勢は国民を愚弄するもはなはだしいと言わねばなりません。
 こうした歳出合理化が数字のつじつま合わせによってもたらされているのは、財政再建に対する国民の不信を招き、きわめてひきょうであります。本来合理化されるべき経費を切らず、公務員の給与改善費が一%分しか計上されなかった点や、住宅金融公庫補給金等の削減等、本来計上されなければならない経費を落としている点は予算編成上重大な問題と言わざるを得ず、初めから補正予算を当て込むようなやり方は欠陥予算で、断じて賛成できません。
 補正予算を前提にして本予算を組むことは、予算編成の原則を逸脱し、財政法、財政民主主義の原則をねじ曲げるものであります。この点は、本日の予算委員会の私の追及に対する閣僚答弁でも明らかにされたとおりであります。政府は五十六年度予算を前年度予算に対し一けた台の伸び率にとどめたとしている点も、その実態は必要な経費まで落としているのであり、納得できません。
 最後の反対理由として、若干の問題を指摘します。
 今年は国際障害者年ですが、わが国の障害者対策はまことに寒々とした状況にあります。障害者福祉は今日新しい観点から見直されているのが世界の現状であります。人権の一環として明確にとらえなければならないものであります。障害者の雇用、これは障害者が社会の一員として生き抜いていく必須の要件でありますが、わが国の状況は欧米先進国の水準と比較してきわめて劣悪であります。政府関係機関の半数以上が雇用達成率に届いていません。国民に範を示すべき政府関係機関がこういった実態なのであります。
 以上の「思いやりある社会」とはかけ離れた実態を指摘して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#23
○議長(徳永正利君) 古賀雷四郎君。
   〔古賀雷四郎君登壇、拍手〕
#24
○古賀雷四郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、昭和五十六年度一般会計予算外二件に対し賛成の討論を行います。
 今日、最大の課題は、申すまでもなく、赤字国債を解消し財政の再建を図ることであります。第一次石油危機後の停滞した日本経済を克服して国民生活の安定を図るため、わが国財政は、昭和五十年度以降、大量の公債発行に依存する非常手段を講じておりますが、これまで民間企業の血のにじむような減量経営等の努力と、わが自由民主党政府の適切な経済政策により、わが国経済が安定成長路線に無事軟着陸できましたことは、国民各位とともにまことに慶賀にたえないところであります。
 特に、近年の再度の石油危機により、世界の先進諸国のほとんどが不況とインフレに軒並み悩まされているにもかかわらず、資源のないわが国はこれを最小限に食いとめており、五十五年度の実質経済成長率は当初どおり四・八%を達成しておりますほか、物価も比較的安定していることから、新年度の経済も個人消費や民間設備投資の動向から前年度を上回る安定した成長経済が見込まれております。しかしながら、その反面、国の財政は依然として巨額の公債に依存するという状況を続けており、このまま放置せんか、将来の社会経済情勢の変化や、遠からず到来する高齢化社会への財政対応ができないことは必至であります。今年度末の公債発行残高は八十二兆円、この利払いのための国債費は実に六兆七千億円、これは全予算の一四・二%を占めるものでありまして、公共事業費総額に匹敵するものであります。これでは他の重要施策の新規採用を困難にするだけでなく、景気回復のための公定歩合の引き下げの妨げにもなります。いま求められているものは、一刻も早く公債依存財政から脱却して健全な財政へ移行することであります。昭和五十六年度予算は、まさにこの課題に取り組んで、財政再建を本格的な軌道に乗せたものとして高く評価できるものであります。
 以下、その賛成の理由を簡単に述べたいと存じます。
 第一は、昨年度の一兆円の公債減額に引き続いて二兆円の公債減額を断行したことであります。しかも、減額のすべてが赤字国債であることは、財政再建に取り組む厳しい政府の姿勢がうかがえるのであります。
 この結果、新年度の公債発行額は十二兆二千七百億円、公債依存度二六・二%は四年ぶりに三〇%を割っております。これは、第一次石油危機による影響で税収が落ち込み、公債発行額が大幅に増加し始めた五十年度補正後の予算とほぼ同じ水準まで改善しております。特に、赤字公債発行額は五兆四千八百五十億円となり、この結果、経常部門の赤字公債依存度は前年度の二二%から一四・四%と大幅に低下いたしておりまして、これは五十九年度までに赤字公債解消を目指す政府目標に大きく近づいたものとして評価いたすものであります。
 なお、政府においては、五十七年度以降においても赤字公債の減額に積極的に対応されることを強く要請いたすものであります。
 第二は、歳入歳出の徹底した見直しを行って財政体質の改善に努めた点であります。
 歳出については、一般会計の伸び率は九・九%、これは三十四年度以来の一けたの伸び率でありまして、特に国債費と地方交付税以外の一般歳出の伸び率は四・三%で、三十一年度以来、四半世紀ぶりの低率に抑制されております。
 一方、歳入面においては、特殊法人からの国庫納付を実施するとともに、現行税制の基本的枠組みの中で、法人税率の一律二%の引き上げを初め、酒税、物品税等について税率の引き上げを行って約一兆四千億円の増収措置を講じたのでありますが、これは現下の財政事情のもとにあって、徹底した歳出の節減によってもなお不足する福祉関係を中心とする緊急施策に伴う経費を賄うものでありまして、財政再建の見地からやむを得ず行わざるを得ないことを十分御理解願いたいのであります。
 第三は、厳しい歳出抑制のもとにあっても、長期的視野から充実を図るべき施策については予算を重点的に配分する一方、効率化すべき点については思い切って是正したことであります。
 重点的に配分したものとしましては、エネルギー対策費の一七・三%増、経済協力費の一一・二%増を初めとして、防衛関係費、社会保障関係費の七・六%増がありますほか、効率化を図ったものとして、福祉年金や児童手当に対する所得制限の適正化があります。これまでばらまき福祉の見直しが指摘されながらもなかなか実現を見なかったのでありますが、今回の勇断は評価できるものと思います。
 野党諸君は、今回の予算を「福祉切り捨て」と批判しておりますが、これは全く当を失した議論であります。
 今日、極東ソ連軍の著しい軍備増強の中にあって、わが国が防衛計画の大綱に定める防衛力を自主的に整備することは国としての重要な責務であります。今回の防衛予算の伸び率七・六一%が社会保障費のそれを〇・〇一%上回っていることは事実でありますが、これを全体の増加額について比べると、社会保障費は六千二百四十五億円、これに対して防衛費は千六百九十八億円と、実に三分の一にすぎないのであります。もともと両者の予算規模や伸び率を単に形式的に比較することは適当ではなく、国家、民族あっての社会保障であることを十分念頭に置き、自国の防衛責任を全うすべきであると考えるものであります。
 以上、本予算について賛成する理由を概略申し上げましたが、この際、付言して政府に要望いたしたいことは、その第一は、今後の景気対策であります。
 原油の値上げによるデフレ効果が経済に浸透した結果、最近、中小企業の倒産にその例が多く見られるように、産業や地域によってはかげり現象が強まってきました。このため、政府はさきに公共事業の七〇%の前倒し、公定歩合の引き下げ、中小企業対策等を中心とする総合経済対策を決定いたしたところであり、やがてその効果があらわれるものと期待いたすのでありますが、もし期待に沿わぬことが想定される場合には、速やかに次の手を講ぜられたいのであります。
 その二は、徹底した行財政改革の断行であります。
 高度経済成長時代に肥大化した行政組織をこの際思い切って簡素合理化して、政府みずからも減量経営に努力すべきであり、これがひいては財政再建に大きく寄与するものと信じます。
 政府は、新年度においても行政の簡素合理化、特殊法人の統廃合、補助金の整理合理化を実施されており、これを評価することにやぶさかではありませんが、基本問題は第二次臨時行政調査会の審議にゆだねております。これまで行政改革は歴代内閣がこれに取り組みつつも、なかなか効果を上げることが困難なのは、いかに行政改革をやることがむずかしい政治課題であるかを示すものでありまして、総論は賛成しても、各論になると各界各層も反対することが多いのであります。
 総理は、土光会長との会談で、「私は愚直だが、やると言ったことはやる」と述べられ、行政改革に政治生命をかける決意を表明されました。この総理の姿勢は現在国民が最も求めているものであり、国会も挙げてこれにこたえて行財政改革に努めるべきであると信ずるものであります。政府においては、第二臨調の七月の中間答申を五十七年度予算に着実に反映されることを強く要望して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#25
○議長(徳永正利君) 中野明君。
   〔中野明君登壇、拍手〕
#26
○中野明君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十六年度予算三案に対し反対の討論を行います。
 まず、私は、鈴木総理の言う「和の政治」の欺瞞性と政治理念の欠如を指摘せざるを得ないのであります。
 われわれは、太平内閣の跡を継いだ鈴木現内閣が唱える「和の政治」とは何か、その動向を注意深く見守ってまいりました。しかしながら、政府・自民党は、国の予算を審議する重要な衆議院予算委員会で、議会制民主主義を踏みにじり、単独強行採決という暴挙を行ったのであります。これでは力の論理を押し通す「対決の政治」以外の何物でもないと言わざるを得ません。
 このような独善的な政治姿勢に加えて、総理がいかに政治理念とリーダーシップに欠如しているかということであります。国の基本法たる憲法改正問題についての対応や武器輸出禁止法の制定問題、さらにたび重なる環境アセスメント法案の国会未提出問題など、総理はいかなる政治理念に基づき、いかなる指導性を持って内閣を指揮し、国政を担当しようとするのか全く不明であり、憤りを感ぜざるを得ないのであります。
 以下、私は、このような鈴木内閣と自民党の政治姿勢に猛省を促し、昭和五十六年度予算案に反対する理由を申し上げます。
 反対する第一の理由は、政府の節減努力なき「財政再建」のため国民に負担を強いるのみで、大衆増税再建の予算案となっていることであります。
 政府は、本年を「財政再建元年」と称しております。その根拠として赤字公債発行の二兆円減額を盛んに宣伝しております。しかし、財政再建を大義名分に「そのためには増税か行政サービスの低下か」と二者択一の選択を迫り、政府みずからが行政改革を初めとした歳出削減という努力をせず、史上最大の大衆大増税を国民に押しつけたのであります。むしろ、いま必要なものは、国民に負担を強いる増税ではなく、政府による支出の抑制であり、高度成長期についたぜい肉を落とす努力が先決なのであります。ところが、肝心の補助金の整理についても、総額で六千五百億円もふえているばかりか、整理件数や削減額は形だけで、わが党の資料要求で明らかになったように、実は名称の置きかえや転がしであったというのが実態であり、整理とは名ばかりであります。また、行政改革についても重要な機構の改廃整理等はすべて第二次臨調にゆだねるというきわめて逃げ腰のものとなっております。政府は徹底した減量政策を推し進め、歳出削減の努力をすべきであります。
 たとえば、わが党が予算審議の過程で不用額を取り上げましたが、五十年度以降年々増加し、五十四年度決算では何と約五千億円に上る不用額の実態が明らかとなったのであります。しかも、中には毎年度同じ項目で多額の不用額を出しているところがあるなど、国民には全く理解しがたい事実が明らかになりました。これらの不用額を改善するだけで、行政サービスは何ら低下することなく財政の節減ができることを政府は十分銘記すべきなのであります。
 以上の事実から、この際改めて歳出構造の見直し、行政改革、補助金整理等の徹底減量政策の推進を強く要求するものであります。あわせて、大型消費税の導入には断固反対であることを申し添えるものであります。
 反対する第二の理由は、現在、国民は物価高騰や公共料金の値上げなどによって苦しい生活を強いられており、いま最も望んでいることは所得税減税なのでありますが、この要求を無視した予算となっており、その上一兆四千億円に及ぶ史上最大の増税を国民に押しつける政府予算案になっていることであります。
 五十三年以来、四年連続して所得税の課税最低限が据え置かれた結果、異常なまでに所得税の税収はふえ続けているのであります。これは実質的な見えざる増税であります。こうした実質増税の中で、とりわけサラリーマンの税負担の増加は見過ごしにできない状況になっております。つまり、この間給与所得者の納税人員が六百万人もふえているからであります。また、七年間税率が据え置かれた結果、低所得者層ほど税の負担が重いという不公平を生み出しており、まさに見えざる実質増税の圧迫に国民の不満はつのるばかりであります。租税負担率の近年における急速な上昇がそのことを明確に物語っております。五十五年度の国民所得に対する租税負担率は二三・三%と過去最高を記録。さらに、五十六年度は大増税の結果二四・七%にはね上がるのであります。
 五十五年度の日本経済は、実質成長率で政府の見通しどおり四・八%を達成するとはいえ、その内容は政府の見通しとは大きく異なったものとなっております。すなわち、国内需要が当初見込みの三・二%から一・六%へと大きく下方修正されたように国内は不況であり、その結果輸出ドライブがかかったのであります。この景気停滞は、消費不況、住宅不況と言われるように、消費者の購買力低下が原因であります。この購買力の低下は実質賃金が目減りしたからであります。なぜかならば、勤労者は政府の言うとおり物価上昇率六・四%の見通しを信頼し、五十五年春闘で賃金引き上げに理性をもって自粛し抑制したにもかかわらず、政府の公共料金の値上げや物価抑制に対する怠慢行政によって消費者物価が七・八%も上昇するという国民を裏切る結果になったからであります。
 わが党は、断じてこのような事態を放置、容認することはできません。この事実を見れば、政府は五十六年度において所得税減税を実施し、所得の目減りを少しでも回復させようとするのが当然の責務なのであります。しかるに、政府はかたくなに所得税減税拒否の姿勢をとり続けたのであります。さきに五十五年度の剰余金を財源に所得税減税の実施が約束されたものの、政府の対応が明確でありません。政府はわれわれと国会で合意した減税を必ず誠実に実現することを強く要求しておくものであります。
 反対する第三の理由は、五十五年度予算に引き続き、今年度予算も公共料金値上げ、物価高騰を促進させる予算となっていることであります。
 消費者米価及び麦価の引き上げを初め、国鉄運賃、郵便料金、国立学校入学料、各種検定料金など、公共料金の値上げがまさにメジロ押しに予定されており、国民生活をさらに圧迫しようとしているのであります。政府は、公共料金が物価に及ぼす影響は軽微であると強弁しておりますが、昨年も全く同様の発言を行い、消費者物価上昇率六・四%の予定が八%に迫るというまさに政府の公約が大幅に崩れたことを思い合わせると、政府の「五十六年度の消費者物価上昇率の見通しは五・五%」との答弁を素直に信用することはできないのであります。むしろ、これらの公共料金が引き金となり、物価に対する連鎖反応的に消費者物価の高騰をもたらす危険性ははるかに大きいと言えるのであります。政府は各種の公共料金を厳しく抑制すべきであり、今年こそ衆議院で合意した物価対策費を機能的に活用し、物価安定に寄与するよう強く要求するものであります。
 反対する第四の理由は、政府予算案が福祉切り捨て、防衛力増強を意図しているからであります。
 消費者物価が政府公約に反し七・八%の上昇となり、実質賃金の目減りによって国民生活はますます苦況に陥っているのであります。このようなときにこそ政府は社会保障を充実し、特に低所得者層の救済を図り、あわせて停滞している個人消費の増加を図ることこそ当然の施策でありましょう。しかるに、五十六年度予算は、児童手当制度や老齢福祉年金の所得制限の強化、物価上昇に満たない年金額の引き上げなどきわめて厳しい枠を課すことによって、社会保障関係費を七・六%と五十年度以降最低の伸び率に抑え込んでしまったのであります。さらに、防衛関係費については戦後初めて社会保障関係費を上回る伸び率の予算を計上しております。一方では、私が予算委員会で指摘いたしましたように、穀物自給率を現在の三四%から十年後には三〇%に減らすような長期見通しを示すなど、まさに「バターより大砲を」という、福祉切り捨て、防衛力増強を意図する鈴木内閣の姿勢を断じて容認することはできないのであります。
 以上、昭和五十六年度政府予算三案に反対する主な理由を申し述べましたが、重ねて、国民生活を無視する「大衆増税、物価値上げ、福祉後退」の政府予算に反対する態度を表明いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#27
○議長(徳永正利君) 沓脱タケ子君。
   〔沓脱タケ子君登壇、拍手〕
#28
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十六年度予算三案に反対の討論を行います。
 わが党の宮本委員長は、昨年十二月の党首会談におきまして、鈴木総理に対し、五十六年度予算編成方針について、国民生活防衛と財政再建を両立させて進めるとともに、平和と民主主義の政策に役立つ予算にすることを申し入れいたしました。
 さらに二月には、歳入歳出の合計三兆一千九百億円の組み替え要求を提示いたしてまいりました。すなわち、軍事費の七千億円削減及び不公平税制の是正などにより確保した財源を、四人世帯で三万円の所得減税や福祉、教育など国民生活防衛に回すことを要求してきたのであります。国民のための政治を行う立場に立つならば、国民生活防衛と財政再建は両立させることができるのであります。
 ところが、鈴木内閣の提案した予算案の特徴は、「大増税元年予算」「福祉切り捨て元年予算」「軍拡元年予算」とも言うべきものであります。このことは、本国会におけるわが党の追及で一層明らかになりました。すなわち、核の岩国基地持ち込みの疑惑を初め、日米攻守同盟化に伴う危険なたくらみの追及により、鈴木内閣がレーガン政権の危険な核戦略体制に従属していることを浮き彫りにしてきたのであります。政府は、レーガン政権の圧力と財界の要求に従い、日米安保条約の攻守同盟化を基軸とした大軍拡を推し進め、そのために国民生活に犠牲を強いているのであります。
 周知のとおり、鈴木内閣のもとで国民生活はますます耐えがたく苦しいものになってきております。昨年度全国平均の消費者物価上昇率は政府公約を大幅に上回りました。勤労者の昨年度実質賃金は政府統計開始以来初めてマイナスという異常な事態となっているのであります。勤労者の家計には、税金、社会保険料などの負担とともに、公共料金やローン返済などの負担が一層重くのしかかっています。
 八一春闘で、広範な労働者が三万円以上の賃上げを要求するのも当然であります。農家の実質所得も二年連続して低下しておるのであります。中小企業の倒産は、大商社の関連会社つぶし策とも相まって史上最悪の状態となっています。これとは対照的に大企業は大もうけをしているのであります。大企業五十社の内部留保は十三兆八千七百五十五億円余りで、前年に比べて一兆二千億円の増、七三年の石油ショック直前と比べて二倍近くに増加しているのであります。
 したがって、来年度予算は、国民生活の防衛を何よりも優先し、それとあわせて財政再建を進めることが求められていたのであります。しかるに、政府原案は「財政再建」を口実に、これまでの大企業奉仕の景気対策の結果である膨大な借金のツケをすべて国民に押しつけるのみならず、「日米安保の新段階」に対応する大軍拡路線の負担をも国民にすべて転嫁するものであり、断じて容認することができないのであります。
 次に、反対の主な理由を述べます。
 その第一は、軍事費を削り、暮らしと福祉、教育の充実を求める国民世論に背を向けて、憲法違反の軍事費を急増させていることであります。
 軍事費は、予算編成の最初から別枠とされ、ついに福祉予算の伸び率を追い抜きました。しかも、新規軍備発注の大部分は後年度負担方式をとっており、これによって五十七年度以降の軍事費は二けた台の伸びが予想され、今後ますます国民生活を圧迫する要因となることは明らかであります。
 また、わが党が予算委員会において指摘しましたように、自衛隊の新規購入軍用機であるP3C、F15の購入価格は、米軍より約三千億円も高く買うことになるのであります。これでは、アメリカや日本の軍事産業をもうけさせるために、わざわざ国民の血税を湯水のように使っていると言わざるを得ないではありませんか。国民への思いやりに欠ける政府が、米軍機を核攻撃から保護するためのシェルターや米軍作戦用の軍事施設まで、米軍に対し千六百三十億円もの血税をつぎ込んでいることはい政府原案のアメリカべったりぶりを端的に示しているものと言わざるを得ません。
 反対理由の第二は、大企業、大資産家優遇の不公正税制を温存する一方で、国民や中小企業には一兆円を超える史上最高の増税、その上、所得税減税の四年間連続見送りによる二兆八千億円という莫大な実質的な大増税まで押しつけるものとなっていることであります。
 国民の強い減税要求があるにもかかわらず、わが党の六千億円の所得税減税要求を拒否したことは、断じて許すことができません。大型消費税の導入を鈴木内閣があきらめていないことは、わが党の追及で渡辺蔵相が「歳出カットの次は大型新税があり得る」と示唆したことでも明瞭ではありませんか。
 反対理由の第三は、国民にとって最も切実な福祉と教育費の露骨な切り捨て、これに着手をしたことであります。
 わずか七億円の節約のために老齢福祉年金に格差をつけようとしたのです。児童手当も所得制限強化の結果十万人が支給停止されますが、これによって節約できる国の費用はわずかに十七億円なのであります。教育の分野でも、高校建設費を初めとする教育施設費の大幅切り下げ予算、こういうものになっています。また、国際障害者年でありながら、それにふさわしい予算措置はなされていないのであります。その上、自民党は非近代的な教科書攻撃を強めておりますが、教育への政治の介入は、戦前の軍国主義化への道を思い起こし、多くの国民が深く憂慮しているところであります。
 第四は、財政再建のために、国民本位の民主的行政改革に取り組むべきときに、政府予算案がこれに全く逆行する国民サービス切り捨てと軍事費及び大企業奉仕の一層の拡大の方向を明らかにしたことであります。
 鈴木総理は、「行政改革による増税なしの財政再建」の方針を打ち出し、行政改革に政治生命をかけるとの意向を表明されております。しかし、軍拡と大企業奉仕を前提とした増税なし行革は、結局、国民の生活と福祉、教育部門の大幅な削減に直結せざるを得ないのであります。五十六年度予算案がそのことをすでに明白に証明をしてきているのではありませんか。
 最後に、わが党は一貫して、いわゆる田中復権問題を初め、空港機疑惑など金権腐敗政治の根元にメスを加えるべきだと要求をしてきたのであります。しかし、鈴木内閣の姿勢は一切の疑惑にふたをするものであり、国民は断じて許すものではありません。
 以上、日本共産党は、予算三案に強く反対することを表明するとともに、今後も、軍事費を削り、福祉、教育の充実を願う国民とともに、国民本位の政治を目指して一層力強く闘うことを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
#29
○議長(徳永正利君) 伊藤郁男君。
   〔伊藤郁男君登壇、拍手〕
#30
○伊藤郁男君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和五十六年度一般会計予算、同特別会計予算並びに同政府関係機関予算に対しまして、一括して反対の討論を行うものであります。
 申すまでもなく、わが国が直面する内政上の最大の課題は財政再建であります。実に七十一兆円にも達した国債発行残高をこのまま放置することは許されず、かつ今後とも巨額の国債発行を続けるならば、財政の果たすべき本来の機能、すなわち資源配分、所得再配分、安定的経済成長達成等の面で大きな障害をもたらし、ひいてはインフレ招来の危険性のあることは指摘するまでもないところであります。したがって、財政インフレを防止し、日本経済の健全なる発展のために財政再建が国家急務の課題であること、これまた論をまたないところであります。しかしながら、問題は、いかなる方法によってこの財政再建を進めるかであり、昭和五十六年度予算編成最大の焦点もここにあったことは言うまでもないところであります。
 わが党は、今国会の審議を通じ、わが国の財政再建は、赤字国債解消の時期を六十年代の初頭に置いて、来年度以降計画的に国債発行額を減額することによって、わが国経済並びに国民生活を混乱に陥れることなく達成できること、そしてまた、大衆増税によらない計画的な財政再建が可能であることを主張してまいりました。増税という安易な方法によることなく、今日の肥大化した行財政の徹底した改革の断行、すなわち行政機構の簡素化、むだな経費の徹底した節約、補助金の大幅整理と統合化等々、政府みずからがぜい肉を落とすために思い切った対策をとることによってそれが可能であることを具体的数字をもって提示してきたところであります。
 しかるに、政府は、わが党の主張、提言を無視し、行財政改革をないがしろにして、二兆円の国債減額分をそっくりそのまま国民の負担に転嫁してきたのであります。もともと、わが国の財政が今日のように悪化してまいりました原因は、高度経済成長時代の放漫財政をそのまま継続してきたところにあります。これは紛れもなく自民党政府の失敗であり、この失政のツケを国民に回すことは断じて容認できるものではありません。
 国民は、一兆四千億の増税と、保険料、公共料金の値上げなどによって、一世帯当たり六万円強の負担増を押しつけられ、かつ累進構造による所得税の増加分を加え、実に年間十万円という史上空前の負担増を強いられることになるのであります。この結果、わが国の適正な経済成長の維持にも障害がもたらされることは必至であります。
 わが党は、来年度は五%台の経済成長を確保すべきことを主張し、政府も、民間の活力に大いに期待して、五・三%の成長率を目標に掲げております。民間の活力に期待すると言いながら、他方で国民に空前の負担増を強制するというのでは、民間の活力を減退させる結果を招かざるを得ないこと火を見るより明らかであります。現に中小企業の倒産は依然として高水準のまま推移し、国民の消費も冷えたままで、深刻な状況を現出しつつあるではありませんか。政府はこの現状をどのように理解しようとしているのでありましょうか。わが党の田渕議員が代表質問において指摘しましたように、昭和五十六年度予算案は、まさしく自己分裂型予算であることを重ねて申し上げておきたいのであります。
 さらに重要なことは、政府のような再建方法によって五十九年度に赤字国債の解消を目指すとすれば、五十七年度以降も毎年同じような負担を国民に課し、かくて大型間接税の導入が避けられないということであります。わが党は、このようなやり方は国民生活を無視した官僚独善の思い上がりであり、とうてい国民の納得できるものではないことを訴え続けてきたのであります。鈴木総理は、ようやく、この強い国民的批判を無視できず、「行財政改革を政治生命をかけて断行し、五十七年度は増税によらない予算編成を行う」ことを明らかにされました。わが党はこの発言を多とするところでありますが、これを言葉だけに終わらせることなく、誠実に、かつ勇断をもって実行すべきことを強く望むものであります。
 その意味において、第二次臨調の果たすべき役割りは重かつ大であります。わが党は第二次臨調に対し、五十七年度予算の編成に役立つよう早期中間答申を求めてまいりましたが、そのような方向にあることを心から歓迎するものであります。問題は、答申がたなざらしにならぬよう、かつ総論賛成、各論反対とならぬよう、政府が一体となって当たるべきことであります。この点に関し、総理・総裁たる鈴木首相のリーダーシップに期待してやみません。
 さて、わが国経済は、第一次石油ショック及び第二次石油ショックを勤勉なる勤労者国民の努力によって辛うじて乗り切ってまいりました。しかるに、勤労者の実質賃金の目減りが対前年度比一%に達するという実に戦後統計史上初めての異常事態となり、勤労者国民の生活はきわめて厳しい状況にあります。現在の景気のかげりは、まさしくこの実質賃金の減少による個人消費の低迷がもたらしたものにほかありません。
 労働四団体は、昨年春の賃上げ要求に当たり、政府が消費者物価上昇率を六・四%に抑えるとの公約を信用し、八%要求という自制した闘いを組み、実質六・七四%で収拾したのであります。しかるに、政府の公約は完全に裏切られ、物価上昇率は賃上げ率をはるかに超え、八%に迫る勢いを示しているのであります。政府は、この公約違反に対し、勤労者国民に対する道義的、政治的責任を痛感しなければならないのであります。政府がその責任を痛感するならば、その道は所得税減税の実施以外にないのであります。しかるに、政府は、昨年と本年度で所得税の自然増収が一兆五千六百億円もありながら、これを補正予算で他に流用して、勤労者国民の切実な要求に目をつぶり通してきました。われわれはこれを断じて認めるわけにはまいりません。
 税金を納める国民が汗水流して苦労しているとき、税金を使う政府はこの国民に誠意をもってこたえるべきであります。会計検査院の指摘に見るごとく、行政における税金のむだ遣いは改まるどころかますますふえ、目を覆うべき現状であります。かつまた、不公正税制の是正にも何ら見るべき前進がありません。政府がかかる問題に真剣に対処しない限り、政治に対する国民の信頼感はますます薄れ、やがて議会制民主主義の危機を招きかねないのであります。
 野党が一致して行いました所得税減税の要求は国民の声であります。しかるに、自民党は、これにこたえるに衆議院予算委員会における単独強行採決をもってしたのであります。まことに許しがたい暴挙と言わねばなりません。今後とも政府・自民党がこのような高圧的な姿勢をとり続けるならば、政府の施策に対する国民の理解と協力はとうてい得られるものではありません。
 衆議院議長裁定によって国会の審議は一応軌道に乗り、今日を迎えたのでありますが、政府は議長裁定と各党合意の線に沿い、剰余金の捻出に最大限の努力を払い、もって勤労者国民の要望に対し実のある答えを出すべきであります。このことを強く求めつつ、以上、政府予算案に一括して反対の態度を重ねて明らかにして、討論を終わります。(拍手)
#31
○議長(徳永正利君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#32
○議長(徳永正利君) これより三案を一括して採決いたします。
 表決は記名投票をもって行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#33
○議長(徳永正利君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#34
○議長(徳永正利君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#35
○議長(徳永正利君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百三十六票
  白色票          百二十八票
  青色票            百八票
 よって、三案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十八名
      安孫子藤吉君    井上 吉夫君
      井上  孝君    井上  裕君
      伊江 朝雄君    岩動 道行君
      石本  茂君    板垣  正君
      稲嶺 一郎君    岩上 二郎君
      岩崎 純三君    岩本 政光君
      上田  稔君    植木 光教君
      臼井 莊一君    江島  淳君
      衛藤征士郎君    遠藤  要君
      遠藤 政夫君    小澤 太郎君
      大石 武一君    大河原太一郎君
      大木  浩君    大島 友治君
      大鷹 淑子君    岡田  広君
      岡部 三郎君    長田 裕二君
      加藤 武徳君    梶木 又三君
      梶原  清君    片山 正英君
      金井 元彦君    金丸 三郎君
      上條 勝久君    亀井 久興君
      亀長 友義君    川原新次郎君
      河本嘉久蔵君    木村 睦男君
      北  修二君    楠  正俊君
      熊谷太三郎君    熊谷  弘君
      藏内 修治君    源田  実君
      古賀雷四郎君    後藤 正夫君
      郡  祐一君    佐々木 満君
      斎藤栄三郎君    斎藤 十朗君
      坂野 重信君    坂元 親男君
      山東 昭子君    志村 愛子君
      嶋崎  均君    下条進一郎君
      新谷寅三郎君    鈴木 正一君
      鈴木 省吾君    世耕 政隆君
      関口 恵造君    園田 清充君
      田沢 智治君    田代由紀男君
      田中 正巳君    田原 武雄君
      高木 正明君    高橋 圭三君
      高平 公友君    竹内  潔君
      谷川 寛三君    玉置 和郎君
      塚田十一郎君    土屋 義彦君
      戸塚 進也君    名尾 良孝君
      内藤  健君    内藤誉三郎君
      中西 一郎君    中村 啓一君
      中村 太郎君    中村 禎二君
      中山 太郎君    仲川 幸男君
      成相 善十君    西村 尚治君
      野呂田芳成君    長谷 川信君
      秦野  章君    初村滝一郎君
      鳩山威一郎君    林  寛子君
      林  ゆう君    原 文兵衛君
      桧垣徳太郎君    平井 卓志君
      福岡日出麿君    福島 茂夫君
      福田 宏一君    藤井 孝男君
      藤井 裕久君    藤田 正明君
      降矢 敬義君    降矢 敬雄君
      細川 護煕君    堀内 俊夫君
      堀江 正夫君    真鍋 賢二君
      前田 勲男君    増岡 康治君
      増田  盛君    町村 金五君
      松浦  功君    松尾 官平君
      丸茂 重貞君    円山 雅也君
      宮田  輝君    村上 正邦君
      森下  泰君    森山 眞弓君
      八木 一郎君    安井  謙君
      安田 隆明君    山崎 竜男君
      山内 一郎君    山本 富雄君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百八名
      夏目 忠雄君    阿具根 登君
      青木 薪次君    赤桐  操君
      茜ケ久保重光君    穐山  篤君
      小野  明君    大木 正吾君
      大森  昭君    加瀬  完君
      粕谷 照美君    片岡 勝治君
      片山 甚市君    勝又 武一君
      川村 清一君    小谷  守君
      小柳  勇君    小山 一平君
      佐藤 三吾君    坂倉 藤吾君
      志苫  裕君    鈴木 和美君
      瀬谷 英行君    田中寿美子君
      高杉 廸忠君    竹田 四郎君
      対馬 孝且君    寺田 熊雄君
      戸叶  武君    野田  哲君
      広田 幸一君    福間 知之君
      藤田  進君    松前 達郎君
      松本 英一君    丸谷 金保君
      宮之原貞光君    村沢  牧君
      村田 秀三君    目黒今朝次郎君
      本岡 昭次君    八百板 正君
      矢田部 理君    安恒 良一君
      山崎  昇君    山田  譲君
      吉田 正雄君    和田 静夫君
      和泉 照雄君    大川 清幸君
      太田 淳夫君    柏原 ヤス君
      黒柳  明君    桑名 義治君
      小平 芳平君    塩出 啓典君
      渋谷 邦彦君    白木義一郎君
      鈴木 一弘君    田代富士男君
      多田 省吾君    高木健太郎君
      鶴岡  洋君    中尾 辰義君
      中野  明君    中野 鉄造君
      二宮 文造君    馬場  富君
      原田  立君    藤原 房雄君
      三木 忠雄君    峯山 昭範君
      宮崎 正義君    矢追 秀彦君
      渡部 通子君    市川 正一君
      上田耕一郎君    小笠原貞子君
      神谷信之助君    沓脱タケ子君
      近藤 忠孝君    下田 京子君
      立木  洋君    宮本 顕治君
      安武 洋子君    山中 郁子君
      井上  計君    伊藤 郁男君
      柄谷 道一君    栗林 卓司君
      小西 博行君    三治 重信君
      田渕 哲也君    藤井 恒男君
      柳澤 錬造君    江田 五月君
      田  英夫君    野末 陳平君
      秦   豊君    前島英三郎君
      森田 重郎君    青島 幸男君
      喜屋武眞榮君    山田  勇君
      中山 千夏君    美濃部亮吉君
      山田耕三郎君    秋山 長造君
     ―――――・―――――
#36
○議長(徳永正利君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後八時四十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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