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1980/02/25 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 安全保障特別委員会 第2号
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1980/02/25 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 安全保障特別委員会 第2号

#1
第094回国会 安全保障特別委員会 第2号
昭和五十六年二月二十五日(水曜日)
    午後零時十五分開議
 出席委員
   委員長 坂田 道太君
   理事 有馬 元治君 理事 椎名 素夫君
   理事 箕輪  登君 理事 前川  旦君
   理事 横路 孝弘君 理事 市川 雄一君
      後藤田正晴君    塩谷 一夫君
      玉沢徳一郎君    辻  英雄君
      原田昇左右君    堀之内久男君
      石橋 政嗣君    嶋崎  譲君
      矢山 有作君    西中  清君
      永末 英一君    東中 光雄君
      中馬 弘毅君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 伊東 正義君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 大村 襄治君
 出席政府委員
        防衛庁参事官  岡崎 久彦君
        防衛庁長官官房
        長       夏目 晴雄君
        防衛庁防衛局長 塩田  章君
        防衛施設庁長官 渡邊 伊助君
        防衛施設庁総務
        部長      森山  武君
 委員外の出席者
        安全保障特別委
        員会調査室長代
        理       麻生  茂君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国の安全保障に関する件
     ――――◇―――――
#2
○坂田委員長 これより会議を開きます。
 国の安全保障に関する件について調査を進めます。
 最近の国際情勢及びわが国の防衛政策について、外務大臣及び防衛庁長官から、それぞれ説明を求めます。伊東外務大臣。
#3
○伊東国務大臣 私は、今国会再開の冒頭、わが国外交の基本方針につき所信を表明いたしましたが、わが国の安全保障問題につき所信の一端を申し述べたいと存じます。
 今日、国際関係が全体として不安定化の様相を示している状況のもとで、わが国の安全と繁栄をいかにして確保していくかは、最も重要な課題の一つであります。
 防衛面におきましては、わが国は平和憲法のもと、専守防衛を国是とし、軍事大国にならないとの基本的選択を行い、今日そのような国家として国際社会から評価を受けております。政府としては、今後ともこの方針を堅持し、国民のコンセンサスを得つつ、わが国自身の自主的判断に基づき、節度ある質の高い自衛力の整備のために、着実に努力を積み重ねていく所存であります。
 日米安保体制については、一層円滑かつ効果的な運用を図っていかなければなりません。特に一朝有事の際、米国が来援しやすいような体制をふだんから整備しておくとともに、わが国の防衛自体が米国の国益でもあると米国が認識し得るような日米関係の実体を確保することが、安保条約の抑止力を万全にする上においてきわめて重要であります。
 しかし、わが国の安全と繁栄は、防衛面における努力のみをもってしては確保し得ません。それは基本的には、世界の平和と発展の中で追求されるべきものであることは当然であります。そのために、わが国は強力な外交の推進を通じて平和で安定した国際秩序を構築するため、その責任と役割りを積極的に果たしていく必要があります。
 このような外交努力は、政治、経済、科学技術、文化等きわめて広範な分野で展開されなければなりません。
 特に政府としては、南北問題が国際政治、経済両面に与える影響の重要性に注目し、引き続き経済協力、なかんずく政府開発援助を強力に推進していくとの考えに立って、今般新たな中期目標を設定した次第であります。
 また、世界の平和と安定を確保していく上で軍縮、軍備管理面での国際的努力が不可欠であるとの認識のもとに、核軍縮を初めとする軍縮の促進を新たな決意をもって強く訴えていく所存であります。
 今後とも、わが国を取り巻く情勢がますます厳しくなると予想される状況のもとで、わが国としては、わが国の安全をどのようにして総合的に確保していこうとするか、わが国は国際社会においてどのような役割りを果たしていこうとするかについて、これを国民的課題としてとらえ、真剣に取り組んでいかなければなりません。
 ここに、改めて、本委員会の皆様の格段の御指導と力強い御支援を賜りたく、お願い申し上げます。
#4
○坂田委員長 大村防衛庁長官。
#5
○大村国務大臣 衆議院安全保障特別委員会が開催されるに当たり、最近の国際用事情勢及びわが国防衛政策について私の所信の一端を申し上げます。
 最近の国際軍事情勢は、ソ連の世界的規模にわたる長期かつ大幅な軍事力の増強及びこれを背景とした第三世界等への勢力拡張、特に、一昨年末以来のアフガニスタンへの軍事介入によってこれまでの東西間のデタントムードは大きく後退しており、ポーランド情勢、イラン・イラク戦争の勃発等とも相まって、流動的かつ不安定なものとなっております。
 わが国周辺においても、ソ連はわが国固有の領土である北方領土に師団規模に近い地上軍を配置し、また太平洋艦隊は、過去二年間に、空母ミンスク、カラ級巡洋艦を初め、大型、新鋭の水上艦艇、原子力潜水艦等の配備により、海上自衛隊の総トン数に相当する約二十万トンもの大増強を行っております。また、南シナ海においては、ベトナムのダナン、カムランの海空基地を常時使用して、艦艇を十隻以上展開し、航空機による偵察、哨戒飛行を行い、インド洋においては、この地域に多くの寄港地を持ち、約三十隻に上る艦艇を継続的にプレゼンスさせ得る態勢を確保するに至っております。さらに極東の航空兵力及びロケット軍の増強も顕著であり、新型のバックファイア爆撃機を内陸部の遠距離航空部隊のみならず、沿海地方の海軍航空部隊にも配置し、戦闘機、戦闘爆撃機についても、その半ば以上をミグ23・27、スホーイ24等行動半径、搭載重量等が増強され、攻撃及び防御の両面の能力が大幅に増大した最新鋭のいわゆる第三世代作戦機に更新、近代化しつつあります。
 このほか、NATO諸国でその対策が大きな問題となっている移動式のSS20中距離弾道ミサイルも極東に数十基配備され、わが国を含む広範な地域を射程圏内におさめている等、わが国周辺の軍事情勢は極東ソ連軍の顕著な増強と活発な行動により、一段と厳しさを増している状況にあります。一方、緊張が続いている中東情勢を受け、米国は昨年初め以来、常時二個空母群をインド洋に投入しており、この結果、わが国周辺の西太平洋においては、最近見られたように、空母機動部隊の全くの空白が生じる例も生起しております。
 わが国を含む西側諸国は、この地域の石油資源に大きく依存しており、その確保と安定した輸送のためには、米軍のかかる展開は不可欠な措置と考えられるものの、七〇年代前半までは西太平洋に常時三、四隻、七〇年代後半に入ってもおおむね二隻を中心とする空母群が展開されていたことを考えれば、他方でこの地域の米軍の質的向上は引き続き行われてはいるものの、わが国周辺海域における米海軍力の低下は否めず、この地域の安全保障を考えるに当たって、留意すべき新たな要素となっております。
 米国を初めとするNATO諸国は、このようなソ連の顕著な軍事力増強を初めとする厳しい国際情勢に対応して、それぞれ困難な政治経済状況下にもかかわらず、防衛費の実質年三%の増加、パーシングII型ミサイル及び地上発射巡航ミサイルの開発・配備による戦域核の近代化、即応態勢、継戦能力の向上等の通常戦力強化等に向けて最大限の努力を払っております。
 ことに米国は、一九八二年度予算案において、節約による全般的な支出抑制を図る中で、国防支出は相当額に上る実質増を提案しており、さらに引き続き増額の基調を堅持する決意と言われ、西欧、日本等の同盟国に対しては、このような米国の努力に見合うよう、一層の防衛努力を強く期待している状況にあります。
 このような国際環境の中にあってわが国は、御承知のようにみずから適切な規模の防衛力を整備するとともに、米国との安全保障体制によってみずからの安全を確保することといたしております。
 わが国防衛力の整備につきましては、政府はすでに昭和五十一年十月「防衛計画の大綱」を国防会議及び閣議において決定し、昭和五十二年度以降、この大綱に従い、鋭意防衛力の整備を進めてきているところであります。
 防衛庁は、この大綱に基づき、防衛力の整備を計画的に進めるため、毎年度の予算概算要求を作成する際の参考として、昭和五十五年度から五十九年度までの陸海空各自衛隊の主要事業等を見積もった「中期業務見積り」を作成いたしておりますが、さきに述べたとおり、最近におけるわが国をめぐる国際情勢が厳しさを増しつつあることにもかんがみ、これをできるだけ早期に達成することが目下の急務であると考えております。
 かかる観点から、昭和五十六年度の防衛関係予算案につきましては、厳しい財政事情のもとで、私どもとして最大限の努力を払ったところであり、中期業務見積もり早期達成のための一応の足がかりをつくることができたと考えております。
 しかしながら、わが国防衛力の現状は、規模的にもいまだ「防衛計画の大綱」の水準に達していないのみならず、装備の老朽化、抗堪性の不足、即応態勢の不備、継戦能力の不足等種々の問題があるところであります。私としては、これら防衛力の現状における不備等を是正し、平時において保持しておかなければならない、いわば最低限の防衛力とも言うべき、大綱に定める防衛力の水準を可及的速やかに達成すべく、今後とも最善の努力を傾注してまいる所存であります。
 同時に、いわゆる有事に際し、保持する防衛力を最も有効に運用し、最大限にその能力を発揮し得る態勢を整えておくことは必要不可欠なことであると考えております。このため、防衛庁においては、従来から、防衛研究、「日米防衛協力のための指針」に基づく共同作戦計画等の研究、有事法制、奇襲対処問題といった、いわばソフト面についての研究作業を鋭意行ってきているところであります。防衛研究につきましては、先般まとまりましたが、これは、陸海空三自衛隊の統合運用の観点から、各種の侵攻事態における自衛隊の運用と、これらに関連して必要となる防衛上の諸施策について総合的に研究したものであり、今後、研究成果については、さらに慎重に検討した上、できるものから具体化を図っていきたいと考えているところであります。また、日米防衛協力に関する研究作業につきましては、共同作戦計画にかかる分野について近く一応の概要がまとまるのではないかと考えております。一方、有事法制の研究につきましても、防衛庁所管の法令を中心として逐次作業が進みつつありますが、これらの各種研究作業については、今後とも英知を集め不断の努力を払ってまいる所存であります。
 ところで、近代化された装備を駆使し、防衛力を最大限に発揮できるようにするためには、隊員の平素のたゆまぬ訓練が必要であることは言うまでもありません。
 かかる観点から、昭和五十六年度におきましては、厳しい財政事情のもとで、教育訓練の効率化と充実を図るとともに、引き続き日米共同訓練を積極的に実施していく所存であり、次回のリムパックにも海上自衛隊を参加させたいと考えているところであります。
 このほか、将来の防衛力の質的水準を維持向上するに必要な研究開発の推進を図ることとし、たとえば前年度に引き続き高速ホーミング魚雷等の研究開発を進めるほか、新たに新中等練習機等に着手したいと考えております。
 また、自衛隊及び在日米軍の活動をより実効あらしめるため、防衛施設周辺地域の生活環境整備事業などの各種諸施策を充実し、防衛施設の安定的使用を図ることについても十分配慮し、今後とも引き続き努力してまいる所存であります。
 以上わが国の防衛政策に関する最近の諸問題について申し上げましたが、これら防衛諸施策の推進は、軍事大国にならないという国民のかたい決意に従い、あくまでも憲法の枠内において専守防衛、非核三原則等の方針のもとに、独立国として当然払わなければならないみずからの防衛努力を着実に積み上げているものにほかなりません。
 現在の国際情勢を踏まえ、わが国がみずからの安全保障をいかに確保していくかは、まさに国民一人一人がみずからの問題として真剣に取り組んでいくべき国民的課題であると言えましょう。
 幸い、近年わが国の安全保障問題に対する国民の関心はとみに高まっているところでありますが、本委員会における坂田委員長を初め委員各位の幅広い御識見と、豊富な経験に基づく活発かつ建設的な御審議を通じ、国民の一層の理解と認識が深まり、そのコンセンサスのもとに、わが国の安全保障が一層揺るぎないものとなることを切に期待する次第であります。
#6
○坂田委員長 以上で説明は終わりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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