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1980/05/07 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 交通安全対策特別委員会 第9号
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1980/05/07 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 交通安全対策特別委員会 第9号

#1
第094回国会 交通安全対策特別委員会 第9号
昭和五十六年五月七日(木曜日)
    午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 斎藤  実君
   理事 浜野  剛君 理事 林  大幹君
   理事 水平 豊彦君 理事 安田 貴六君
   理事 沢田  広君 理事 永井 孝信君
   理事 草川 昭三君 理事 玉置 一弥君
      阿部 文男君    上草 義輝君
      浦野 烋興君    鹿野 道彦君
      片岡 清一君    久間 章生君
      関谷 勝嗣君    田名部匡省君
      玉生 孝久君    塚原 俊平君
      中西 啓介君    中村喜四郎君
      丹羽 兵助君    粟山  明君
      城地 豊司君    新盛 辰雄君
      米田 東吾君    三浦  隆君
      中路 雅弘君    伊藤 公介君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 塩川正十郎君
 出席政府委員
        運輸大臣官房長 角田 達郎君
        運輸省自動車局
        長       飯島  篤君
 委員外の出席者
        大蔵省銀行局保
        険部長     松尾 直良君
        厚生省公衆衛生
        局難病対策課長 柳沢健一郎君
        厚生省医務局総
        務課長     水田  努君
        厚生省社会局国
        立身体障害者リ
        ハビリテーショ
        ンセンター整備
        室長      池堂 政満君
        運輸大臣官房審
        議官      棚橋  泰君
        労働省労働基準
        局労災管理課長 小田切博文君
        特別委員会第一
        調査室長    長崎  寛君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月七日
 辞任         補欠選任
  加藤 六月君     片岡 清一君
  鹿野 道彦君     田名部匡省君
  玉生 孝久君     上草 義輝君
  中西 啓介君     久間 章生君
  丹羽 兵助君     粟山  明君
  後藤  茂君     城地 豊司君
同日
 辞任         補欠選任
  上草 義輝君     玉生 孝久君
  片岡 清一君     加藤 六月君
  久間 章生君     中西 啓介君
  田名部匡省君     鹿野 道彦君
  粟山  明君     丹羽 兵助君
  城地 豊司君     後藤  茂君
    ―――――――――――――
五月一日
 交通安全施策の改善に関する請願(永井孝信君
 紹介)(第三六一〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 自動車事故対策センター法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第四四号)
     ――――◇―――――
#2
○斎藤委員長 これより会議を開きます。
 自動車事故対策センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。永井孝信君。
#3
○永井委員 今回の運輸省が提案してまいりました事故対策センター法の一部改正案について、いままでの審議を通して、自民党を除いて各野党の先生方から質問をされましたその内容を踏まえまして、その御意見も承りながら質問をしていきたい、このように考えるわけでありますが、まず初めに、大臣に療護施設の用地の取得問題についてお聞きをしておきたいと思います。
 国が用地を取得するに当たっていささかも国民から指弾されることがあってはならないと考えるわけであります。したがって、この施設の用地というのは可能な限り国有財産を利用することが望ましいのではないか、このように考えるのでありますが、どうしても国有財産を利用することができない、そういう条件が存在するとき、いわゆる不可能な場合ですね、そういう場合は交通あるいは環境など諸般の状況を考慮して最適地を選んでいく必要がある、このように私は考えるわけであります。また、この用地取得に際して、過去幾つか例があるわけでありますが、用地取得という問題に関して利権が介在をしたり不明朗なうわさが出ることもいままで経験をしてきているだけに、厳にそういうことがあってはならない、こういう立場を貫いてもらいたい、いわゆる公正な用地取得ということを絶対的な条件にしてもらわなければいけないと考えるのでありますが、ひとつ大臣の決意をお伺いしておきたいと思います。
#4
○塩川国務大臣 用地につきましてはやはり一定の条件が必要でございまして、入所希望が多いことであるとかあるいは付近に提携病院の確保ができるとかあるいは患者家族と職員の交通の便がいいとか、そういう前提を踏まえて選定しなければならぬと思うのです。その選定に当たりましてはできるだけ国有地という仰せでございまして、われわれもでき得ればそういたしたいと思うのでございますが、国有地で幸いそういう適地があるかどうかということが疑問であろうと思うております。しかし、努力は重ねていきたいと思うておりますが、万一国有地でない場合にいたしましても、あるいは地方自治体のお世話になるとかいたしまして、できるだけこれが公正に取得をいたしたい、いささかも疑惑を残すようなことのないように十分に注意いたしまして、努めてまいります。
#5
○永井委員 仮に用地の取得が公正を貫くことができたという前提に立つわけでありますが、施設の建設、整備という問題もその後に続いてくるわけですね。したがって、施設の建設工事あるいは医療機器などの購入に当たっても当然業者の介入に伴う不正があってはならない。これは老婆心で言うわけではありませんけれども、こういう問題を通してもいろんなうわさが過去あったことがあるわけでありますので、仮にそのことが事件として立件されなくとも、そういううわさが出てはならぬ、こういうふうに考えますので、そういう施設の建設工事とか医療機器などの購入に当たっても、できるだけガラス張りの民主的な措置が要請されてくるわけですね。この点についても、いまの用地取得と同じように、大臣の方のきちっとした対応というものをお願いしたいと思うのでありますが、どうでございましょう。
#6
○塩川国務大臣 そもそもこの原資はいわば税金と同じような全くの公金でございますので、それを行使いたしますにいたしましても、仰せのとおり、われわれはもう全く公金として厳粛な気持ちで執行いたしたいと思うておりますので、十分にそういう点につきましては注意もし、また自動車局がセンターに対しまして要請いたしておりますのも同様のことでございますので、ひとつ御安心いただきたいと思います。
#7
○永井委員 今度つくる施設における治療、養護という問題でありますけれども、これはいままでの当委員会における質疑を通しまして、保険金の二重給付ではないかという問題が提起をされてきているわけですね。これに対して、厚生省側は、施設における治療、養護は金銭給付から現物給付にかわるものだという基本的な見解を答弁として明らかにしているわけでありますが、また一方で大蔵省の方は、不特定多数を対象としたたとえば火災保険での滞留金で消防署への消防車の寄贈、こういうものなどを例示として答弁の中で述べているわけでありますが、私は、不特定多数を対象としたそういう消防車の寄贈などと全然問題の次元が違う、今度の場合はこの施設に入る人は特定の人でありますしするのでありますから、これらと同一に論ずべきでない、このように考えるわけであります。仮に給付するとしても本来は厚生省において行うべきものではないのかというふうに考えるわけであります。
 いずれにいたしましても、この二重給付ではないかという疑問に対して、いままでの委員会の質疑を通しては必ずしもその答弁の中で明確になっていない、このように考えますので、これについてひとつ法的な見解を大臣の方から明らかにしてもらいたいと思います。
#8
○塩川国務大臣 この問題につきましては、しばしば御質問もございましたし、私の方からも明確にお答えさしていただいたつもりでございますが、要するに見解の相違というのが根底にございまして、その点につきましては、確かに解決はしておらないのでございますが、私たちは二重給付という考え方は全然しておりませんで、先日も申し上げましたように、滞留資金の運用によるところの運用益のいわば使途の一つとして選択したことでございます。でございますから、二重給付という考え方には立っておりません。
 それともう一つは、特定の給付という言葉が御質問の中にございましたが、われわれもこれをあえて狭義で申しまして特定とは思うておらないのでございまして、いわば対象になる人がごく少数でございますだけに、見方によりましては特定という判断もつくかもわからぬと思います。けれども、私たちがあらかじめ予想した方を収容するというのではなくして、そういう病気の状態になっておる方というものを対象にいたしておるのでございまして、その点につきましては、われわれも、その入所について特定的な扱いがされるようなことがないようにいたさなければならぬと思うております。
 それからなお、この資金の使途についての裏づけでございますけれども、自動車損害賠償責任保険審議会というのがございまして、この審議会におきまして、滞留資金の運用益については、保険収支の改善に充てるほか「救急医療体制の整備、交通事故防止対策等」云々とございまして、そういうふうな面に活用すべきであるという意見書が付されておるのであります。ここで救急医療体制というものにこれが該当するかどうかということにつきまして御質問もございましたが、私たちは救急医療体制の一環として、こういういわば不幸にして植物人間になられた方々のせめてもの救護対策をとりたい、こういう意図でございますので、いわばこの審議会から付されております意見に基づきまして資金の使途を決定したということでございます。
#9
○永井委員 大臣は、運用益の使途について、決して二重給付ではない、審議会の意見書にもそういう答申が出ているという御意見を言われているわけでありますけれども、しかし、そこの施設に収容される人、この人は収容されるまでに損害賠償額を給付されているわけですね。給付されておって、入った人がそれが現物給付であってもそこで給付されるということは、これはどう解釈してみても法的には二重給付の疑いがあるということを私は言わざるを得ないと思うのですね。
 そうして、いまこの運用益の問題で答弁をされたわけでありますが、この前の委員会における質問の中で、大蔵省の松尾保険部長も答弁をしているわけでありますが、滞留金というのは基本的には契約者へ還元すべきものだと考えるという答弁もされているわけですね。だから、基本的に契約者へ還元すべきものだということを認識しておられるとするなら、その基本を曲げて他の目的に使うというのは本来の筋道ではないと私は考えるのですね。
 この自賠責保険の運用益というのは、これも質問の中で明らかになってきたわけでありますが、年々六百億円程度この運用益が生じているというふうに答弁がされております。そうしてその累益も、五十四年度で二千三百五十億円、五十五年度になりますと三千九百億円、積立金としては五千六十一億円という金額に上っているわけですね。
 したがって、滞留金の運用益がこれだけあるから、この金を使って何をやってもいいではないかということには本来ならぬのであって、大蔵省も答弁をしておりますが、本来運用益の使途というのは、保険料の負担を軽減させるとかあるいはその他の方法でこの保険料を納付した人たちに還元することをまず第一義的に考えるべきものであって、そうして不幸にして、言葉は悪いのでありますが、いわゆる植物人間と言われるような状態になっておられる重度後遺障害者、これは本来、自動車事故であれその他の原因であれ、そういう状態になったことは結果としては同じでありますので、全体的に国が厚生行政の中で本来対応していくべきものだというのを私たち基本的に持っているわけでありますので、そういう面からいくと、いまの大臣の、二重給付に当たらない、運用益を使うんだからこれはよいではないか、あるいは審議会が意見書を出しておりますように、本来の交通事故を少なくしていくための施策その他の問題に使ってもよいと言っているので、これは何ら抵触しないという答弁だけでは私はどうも納得がいきませんので、再度その辺のところを御答弁願います。
#10
○塩川国務大臣 運用益の活用につきましては、将来長い期間にわたりましても永遠に検討しなければならぬ問題だと思うておりまして、仰せのようにこれが直ちに保険の給付なりあるいは保険料そのものに還元するという方法も、これは確かに一つの方法であろうと思うております。しかしながら一概に、現在の自動車保険の制度そのものから申しましたらそう簡単にいかないようなところもございまして、制度のあり方等も今後あわせて検討していかなければならぬのではないかと思うております。
 さしずめ、滞留しております資金の運用益、いわば孫利子的なもの、この運用につきましては保険の利用者にどのように還元するかということにつきまして、選択の一つといたしまして私たちはこういうことを決定したようなことでございます。これは私たちから申しますならば、一方におけるニーズにこたえる一つの方法と信じましてこのような措置をしたことでございますので、御理解をしていただきたい。
 しかし、だからと言って今後ともこういうことが最良であるということはわれわれも言っておるのではございませんで、いろいろな活用方法があるだろうから、その活用方法については今後とも検討は続けていかなければならぬ、これは申しておるとおりでございます。
#11
○永井委員 いま大臣も、この還元の方法はいろいろ検討していかざるを得ないだろうという御答弁でありますが、たとえばいま言われております審議会に、これらの滞留金の運用益について還元の方法をさらに検討してもらうという意味で大臣の方から改めて諮問をされる意思があるかどうか、これをひとつお聞きいたします。
#12
○塩川国務大臣 これは運輸省の所管じゃございませんで、大蔵大臣の諮問機関でございますので、大蔵大臣にも永井議員からそういう御質問があったということはお伝えいたします。
#13
○永井委員 もう一つこの問題に関連して私の考え方を申し上げるわけでありますけれども、いま大臣が言われておりますように、ニーズにこたえていく、私はこれは必要なことだと思うのです。ですから、この施設がつくられて、そこに五十名程度のそういう重度後遺障害者の方が収容される、私はこのことが決して間違いだとも思っていないし、そのことが一つのニーズにこたえていくということであろうと思うのですが、本来のあり方として、繰り返して言いますけれども交通事故に遭われた被害者であるからということで二重給付の疑いがあると私たちは言っておるのでありますが、自賠責の保険の金を使って特別の施設をつくることが本当の正しい姿だろうか。本来なら全体の厚生行政の中で対応すべきことであって、そういうものが幾つも幾つも国の施策としてできることは望ましいことでありますので、そういう意味で私は執拗に質問しておりますので、その点はあえてここでもう一度申し上げておきたいと思います。
 その次に、適性診断の問題について質問をいたしますが、この自動車事故対策センターが行う適性診断ということは、いままでのこれも質問の中で明らかになってきておるのでありますが、現在自家用自動車運転者に対しては法の運用によって行っている、こういうのが実態なんですね。この前のこの自動車事故対策センター法が成立しましたときの附帯決議の中にもこのことが触れられているわけでありますが、現在の受診率は全体の五%弱ということになっているわけですね。受診率が全体の五%弱ということになってまいりますと、本当にこの適性診断の必要性というものが認識されているのかどうなのかというような基本的な問題にもかかわってまいります。あるいはなぜ受診をしないのかという問題も出てまいります。当然この適性診断ということが交通事故を減少させるために必要なことである、こう考えるのであれば、適性診断を受ける受診率というものがもっと高まるような行政の指導というものがなければならない、あるいは受診をしないという原因が幾つかあると思うのでありますが、その受診をしない原因を探って、受診をするようなことを考えていかなくてはいけない、私はこのように考えるわけであります。そうして、現在五%弱となっている受診者の大半が大企業に集中しているわけですね。したがって、事業用自動車以外の自動車の運転者も自由に受診できるような何らかの具体的な措置、適切な措置というものがここで必要になってくる。適性診断ということが必要であれば受診させることが必要になってくる。このことについてこれからどのように指導されるのか、明らかにしてもらいたいと思います。
#14
○塩川国務大臣 自動車運転者のいわば資格というものは、免許証を受けますときに一応は適性も含めて検定されておるのでございますが、センターが行っております適性診断というのは、永井さんも御承知のように、いわば長時間運転をする、あるいは非常に過重な運転に従事するいわばプロ的な方、こういう方に対する適性をさらに強めた適性検査をしよう、こういう趣旨でございます。したがいまして、センター自身にも診断をいたします能力というものもございますし、いまだに十分な対象を広げていっておらないということは私たちも承知いたしておりますが、現在持っております能力をフルに活用いたしまして、業務上支障のない限りにおいては申し出のある方々は積極的に適性検査をいたしたい、こう思っております。
 なお、さらに対象業務を指定し、拡大するかということにつきましては、これはまだ現在のところは検討いたしておりませんが、現在では本人の申し出はできるだけこれを受けとめて受理して診断をする対象に入れたい、こういう考えで臨んでおるところでございます。
#15
○永井委員 申し出のある人については積極的に受診をさせるようにしていきたいということであります。この五%という受診率の内容がほとんど大企業ということになっているわけでありますが、このプロ的な人ですね、たとえば中小零細企業で運送業に携わる、こういうところはずいぶんあるわけですよ。そういうところの受診率がきわめて低い。ほとんどゼロに近いところもあるわけですね。そう考えていくと、申し出があるから積極的にやるのではなくて、積極的に受けさせるという、たとえばプロ的な運転者であっても受けさせる。この行政指導が私は必要になってくると思うのです。それを受けさせるためには、中小零細企業などは業務に支障が出るとか、あるいは運転者にしても、受診のために一日休むことが自分の収入にも差し支えてくるといういろいろな問題があると思うのです。そこのところをもっと、受診ができるような状態に持っていくための具体策がなければならない。私はこれが行政だと思うのですよ。そういう意味で私は質問しているのでありまして、いわゆるそういう立場からの適切な指導、措置というものを講じてもらいたい、こう申し上げておるので、再度そういう立場でお答え願いたいと思います。
#16
○塩川国務大臣 自動車事故対策センターといたしましては、仰せのようにそれは一つの大きい努力目標でなければならぬと思いまして、私たちも行政指導の面からもそのようにセンターが活動範囲を、そして能力をできるだけ広げていきますように指導もし、助成もしていきたいと思っております。
#17
○永井委員 次に、最近行政改革ということが盛んに言われておりまして、この行政改革の一環として特殊法人であるとか認可法人であるとか、そういうところの業務の縮小も入っているのでありましょう、あるいは補助金の削減も入ってくるかもわかりません。そういうことがいま非常に大きな政治課題として浮かび上がってきているわけですね。そしてその中で、行政官庁から関係機関への天下り人事ということも、最近は盛んに問題として指摘がされている、こういう状態になっているわけですね。
 そういう厳しい批判が集中している現状を考えてみますときに、これもすでに質問の中で指摘されているのでありますが、たとえばこの事故対策センターというものに対して、そこの役員、概数でありますが、二百五十五人中百五人が運輸省の関係者で占められているという。なるほどこれはそのセンターの性格からいって、設立当時から運輸省が強く指導せねばいかぬという、そういうこともわかりますけれども、しかし、天下り官僚ということが厳しい批判にさらされているということから考えますと、私はこの二百五十五人中百五人までが運輸省の関係者で占められているという実態は、必ずしもノーマルなものではないというふうに考えます。したがって、このセンターの人事というものは、今後さらに公正であり、民主的な立場で行われなければならない、私はこのように考えるのであります。
 今度の施設をつくるにしても同じことが言えるのでありますが、ひとつそういう立場で、人事の公正、民主化、こういうものを絶対的な前提として業績の向上に努めてもらいたい、こう思うのでありますが、大臣の決意をお伺いいたします。
#18
○塩川国務大臣 仰せのことは将来十分に配慮しなければならぬことでございますし、またわれわれも今後の指針として、そういう気持ちを持って取り組んでまいりたいと思っております。
#19
○永井委員 次に、自動車事故対策センターの業務量でありますが、交通事故が多発していく、免許証所持者がふえていく、車の台数がふえていく、こういうことなどから当然、年々業務量そのものが拡大してきておるのでありますが、新たに療護施設の運営というものが追加されますと、センターとしての業務の執行に伴う財政も当然ふくれ上がらざるを得ない、これは当然の帰結なんですね。そのように考えるのでありますが、それだけに、今回モデルケースとしてつくると言われておるのでありますが、このモデルケースとしてつくられる施設も含めて、自動車事故対策センターの将来の財政計画がどうあるべきかということなどは、当然作成をして明らかにすべきだというふうに考えるのであります。できればこれからの将来構想などについて明らかにして、早い機会にこの委員会に報告ができるようにしてもらいたいと思いますが、どうでございましょうか。
#20
○飯島政府委員 お答えいたします。
 自動車事故対策センターの将来の財政計画につきましては、今後の財政状況等を十分考えながら、また関係方面とも協議の上、お示しできるようできるだけ努力したいと考えております。
#21
○永井委員 次に、重度後遺障害者の対策というのは、先ほども私ちょっと指摘したのでありますが、現在、各行政機関別に行われているというのが実態なんですね。たとえば、労災で重度後遺障害者になった人は、労災病院ができるだけそれを扱っていくとか、今度のように事故対策センターの中で一つのそういう施設をつくって、そこに交通事故の関係者を収容していくとか。こうなっていきますと、医療行政そのものがてんでんばらばらになってしまう、このように考えるのであります。
 現在もばらばらになっているというそしりを免れることはできないと私は思うのでありますが、そうなりますと、患者やその家族にとってはきわめて不都合だと言わざるを得ないわけですね。原因がどうであれ、常時の介護を必要とする生活困窮者やあるいはいわゆる植物状態にある患者に対して十分な介護、医療あるいはリハビリ、こういうものを確保することによって家族の肉体的あるいは精神的あるいは経済的な負担を軽減することが必要だと思うのであります。早急に総合的かり一元的な政策というものを確立すべきだと私は考えるのでありますが、どうでありましょうか。
#22
○塩川国務大臣 仰せのとおりでございまして、私たちも、今回この施設をつくりますにつきましては今後厚生省並びに医療関係機関と十分密接な連絡をとって、将来におけるこの種の患者の方々に対する対策の一つの大きい試金石ともいたしたいと思っておるのでございます。
 つきましては、従来一般の医療施設におきまして交通事故による、それに原因するいわゆる植物人間的な方とそれ以外の方といろいろございましたが、なかなかその施設は国全体としても十分には行き届いておらない。そこで、せめても自動車による事故でこうなられた方々の救済をと、特に医療そのものよりも家族の方々の救済と申しましょうか、そういうことを重点に考えたのでございます。しかし、これは今後におきます医療体系の中で、こういう施設というものは非常に重要な一つの企画になってきておると思っております。ですからこれを私たちは一つの体験といたしまして、今後各省庁あるいは機関と十分な連絡をとって、その上で重度障害者対策全般についてのあり方等にも積極的に自分らで果たせる分野においてその役割りを果たしてまいりたいと思っております。
#23
○永井委員 いま運輸大臣からそういう御答弁をいただいたのでありますが、医療行政に直接携わる厚生省の側からひとつこの問題についてのこれからの対応の仕方をお答えいただけますか。
#24
○柳沢説明員 先生仰せのとおり、自動車事故に起因いたしまして、十分な介護、医療、リハビリテーションというものにつきましては非常に必要なことでございますので、厚生省といたしましても、植物状態と申しますか、重度意識障害者の予防あるいは治療、リハビリテーションといったようなものに至るまで、現在やっております各般の施策につきまして今後とも拡充強化を図ることによりまして対応してまいりたいと存じております。
#25
○永井委員 厚生省に私再度お伺いするわけでありますが、運輸大臣の方は、そのように全般的に扱うように各省庁と連絡を密にして対応していきたい、こう答えておられるわけであります。私は何回も繰り返すことでありますが、そういう難病対策といいますか、重度後遺障害者、原因はどうであれ、国民の中には多数のそういう対象者がいるわけでありますので、本来でありますと、運輸省が事故対策センター法の一部を改正してまでこういう施設をつくる必要がないほど厚生行政の中で対応を先駆けて行うべきが本来の厚生省の姿だと思うのであります。そういう立場を含めて私は質問しておりますので、厚生省、もう一回答えてください。
#26
○柳沢説明員 重度意識障害者あるいは植物状態になった人につきましてはもちろんでございますけれども、その発生の予防等につきましてこれまた重要なことであろうと考えております。したがいまして、厚生省としては、予防からリハビリに至るまで各般の現在進めております事業をさらに強化してまいりたいと存じております。
#27
○永井委員 強化してまいりたいということで、なかなか具体的なことは出てまいりませんが、私は、もっともっと積極的に施策を講じて、本来なら運輸大臣が御心配なさらぬで済むようなことまで厚生省はやるべきだと思いますので、このことを強く申し上げておきます。
 その次に、現行の自賠責保険の支払い限度額の問題であります。この前実施されてから三年近くたっているわけですね。現在の経済情勢、生活状態、こういう諸般の情勢から考えまして、自賠責保険の支払い限度額をさらに引き上げていくことが私は必要だと思うのでありますが、そういう立場での検討あるいはこれからの対策をお聞かせください。
#28
○塩川国務大臣 御承知のように、昭和五十三年七月に限度額を改正いたしまして、死亡については従来の千五百万から二千万円に引き上げさせていただき、傷害につきましては百万円から百二十万円に改正をしたのでございます。またさらに本年五月一日から支払い基準を改定いたしております。そういうふうに被害者救済の充実を図ってきておりますが、今後保険金の限度額の引き上げ等につきましては、いろいろな条件はございましょうが、まず第一に裁判等におきますところの賠償水準という問題がございますし、二番目には物価、賃金の水準の推移も検討の材料にしなければならぬと思いますし、それから他の損害賠償制度における賠償水準がどのように変わっていくかということでございますとか、保険収支の状況、こういうものを勘案いたしまして、要するに被害者の保護に欠けることのないように現実に即した賠償が行われるように検討しなければならぬだろうと思っております。
#29
○永井委員 最前から何回も触れておることでありますが、一般医療機関や労災病院においては、言葉が適切でないと私は気にしながら申し上げておるのでありますが、いわゆる植物人間については治療手段がないとして退院を強要されるケースが多く見受けられるわけであります。そういう話もずいぶん持ち込まれてくるわけであります。しかし植物状態になったとしてもその患者を入院させることは本来医療行政の基本的な態度でなければいかぬ、このように考えるわけであります。したがっていわゆる植物状態になった患者を入院させることが非常にむずかしい、不可能に近いという現状から考えますと、これらの重度障害者の救済のために一般医療機関や労災病院においてもこれを治療あるいは介護ができるように現行の医療体制をさらに具体的に充実していくべきではないかと考えるのでありますが、これについて厚生省いかがでございましょうか。
#30
○水田説明員 お答え申し上げます。
 私どもは、医療行政を進めるに当たりまして、まず植物状態に陥らないように最善の治療を尽くし得る、いわゆる脳神経外科の専門家が常駐している、救命救急という高度の医療設備を持った基幹的病院の整備を現在も進めておりますし、それのネットワークを拡大していくことに努めてまいらなければならないと考えているわけですが、不幸にして植物状態になられた方につきましては医療のケアを要する限り適正な医療が行われますように今後とも御指摘の方向で努力してまいりたいと考えている次第でございます。
#31
○永井委員 労災病院を持っていらっしゃる労働省の方はどうでございましょうか。
#32
○小田切説明員 御承知のように、労災病院は労災保険事業の一環として設けられているわけでございますが、病院でございますから、労働災害の被災者の方々以外の一般の方も現に相当数受け入れて治療しているわけでございます。いずれにしましても、労災病院本来の性格からいたしまして外科部門それからリハビリ部門に特色があるわけでございますが、そういう方面が得手であるわけでございますが、今後とも私ども、そういう労災病院の特色をより生かせる方向で労災病院の充実を図ってまいりたいと考えておりますが、当然その中で地域等の御要請があれば、現にいまでもそうでございますが、労災患者以外の一般の方々も相当受け入れる体制にはなっております。
#33
○永井委員 次に、重度後遺障害者を身体障害者福祉法の対象とすべきではないかという質問もこの委員会で行われました。私もそのように思うのでありますが、現在身体障害者福祉審議会において検討中だと聞いているのでありますけれども、速やかに結論を出して法の対象とするようにできないか、してもらいたい。あわせて、身体障害者療護施設へ入所できることも具体的な措置としてやってもらいたい、こう考えるのでありますが、厚生省、いかがでございましょう。
#34
○池堂説明員 先生の御指摘の点につきましては、先ほど先生からも御指摘がございましたように、身体障害者福祉審議会において現在検討しておるわけでございますが、その中間意見が六月末に、最終意見が十二月に出されることになっております。それらの意見が出た段階において検討してまいりたい、かように考えております。
#35
○永井委員 次に、重度後遺障害者数ですね。運輸省の把握している実態というものは、この前私の質問で明らかにされたわけでありますが、その総数が四百四十四名というふうにお聞きをいたしました。これらは本人からの介護料の受給の申し出に基づいたものであるということになっているわけでありますが、具体的な実数というのは調べればもっと上回っていると私は思うのです。四百四十四名ではない、もっと上回っているだろう、このように推定しているわけでありますが、自動車事故による重度後遺障害者数だけではなくて、その他の要因による重度障害者についてもその実数を把握すべきではないか。実数を把握しないと、これに対応する具対策もなかなか実態に合ったような内容で企画することができない、こう思うのでありますが、これについて運輸省そして厚生省、それぞれ簡単にお答え願いたいと思います。
#36
○飯島政府委員 現在、自動車事故による脳損傷を受けて重度の後遺障害を残して常時介護を要する者のうち、一定の要件に該当する者については、先生のお話にありましたとおり介護料の支給を行っておりまして、この対象者の分布状況はすでに明らかになっております。全体の姿をつかんでいないのではないかという御指摘でございますが、警察、その他と連絡を密にいたしておりまして、大体全体をつかんでおるというふうに考えております。それで受給の希望をお出しになっておる中で、一定の要件に該当する者について介護料の支給を行っているという状況でございます。
 また、重度脊髄損傷者について今後支給を開始いたします。しかるべき期間が経過いたしますれば、その分布状況も明らかになると考えております。
 なお、今後必要に応じまして引き続き全国的分布を把握することといたしたいと考えております。
#37
○柳沢説明員 運輸省が行っておられます介護料の支給要件に相当する状態にある人のその他の要因に基づく人の人数につきましては、相当数おるということは想像されるわけでございます。これについては、すでに学者による全国の患者数の推計数でありますとか、あるいは最近になりまして、一部の地方自治体等において特別の施策を実施しているそれらの地方自治体において、それの施策を実施する上において把握した数、そういったような資料があるわけでございますけれども、この人数を把握するということについては、これらの資料を参考にしながら、さらに慎重に検討してまいりたいと考えております。
#38
○永井委員 把握をきちっとしないと医療体制のそれに対応する対策も充実できないので、これは努力をするというだけではなくて、早急に実数をつかんで、そして全体の医療体制の中でそれを見直していく、こういう施策につなげてもらいたいということを強く要望しておきます。
 次に、療護施設の開業に当たっては医師あるいは看護婦、施設の要員などが当然確保されなくてはならないのでありますが、この施設の特殊性あるいは現実のこれらの要員の需給関係、こういうものを考えると多くの困難があると私は思うのです。特に、計画されている施設が医師の立場からすると研究機関的な要素を具備していないということでありますので、なおさらだと思うのです。したがって、この施設はできたけれども、開業が要員の確保ができないためにおくれるということがあっては問題がありますので、当然この要員の確保については万全を期さなくてはならないと考えるのでありますが、この関係について具体的に間違いなく要員の確保ができるめどがついているのかどうなのか、これがまず一つであります。
 そして、この療護施設そのものの経営基盤についても、現在の運用益がかなりあるといっても、この施設にすべてをつぎ込むことはできないはずでありますので、経営基盤の確立という問題についても十分な成算があるのかどうなのか。この二点について御答弁願います。
#39
○飯島政府委員 先生を初め当委員会で再三、医師、看護婦等の施設要員の確保ができるかという御指摘がございました。私どもとしては、本件がおっしゃるとおり最大の問題であるというふうに考えております。しかしながら、これはぜひとも解決しなければならない問題でございますので、地元の公共団体あるいは病院等関係者の協力を得まして十分な体制をつくりたいというふうに考えております。開業まであとまだ二年ございます。この法律が成立をいたしました後に直ちに準備にかからせまして、時間をかけて努力させていく所存でございます。
 それから、施設の運営についてでございますが、センターに対しまして、入所者に対する適切な治療及び養護を確保しながら、かつ一方で財政基盤の確立について最大限の努力をするよう指導してまいりたいと考えております。なお、国も必要な助成を行うなどいたしまして、経営基盤の確立に努めてまいりたいと考えております。
#40
○永井委員 施設の開業は五十八年度からということになっているわけでありますが、それまでの間、実際現在たくさんいる重度障害者の方々をどう扱っていくかという問題、これは施設をつくろうとつくるまいと日常的に存在する問題であります。しかし二年後にそういうものができたとしても、それまでの間、重度障害者の平均寿命からいくと、できるまで現状のままで放置せざるを得ないということだけで済まぬ、やはりそれまでの間の別途の対策というものも充実するように、運輸省としても、厚生省としても考えてもらわなくてはいけないと思うのでありますが、これについて一言簡単に、どういうふうな決意をもって対策を立てられるか、お答え願いたいと思います。
#41
○飯島政府委員 本療護施設を一日も早く開設したいというふうに考えておりますけれども、周到な準備が必要であることもまた事実でございます。なお、この施設の開業までの間につきましては、現在行っております介護料の支給を中心といたしまして、重度後遺障害者対策の充実に努めてまいりたいと考えております。
#42
○永井委員 この施設ができたとして、その入所者を決める場合、単なる障害度だけでなくて被害者の生活実態あるいは困窮度というものを十分に参酌して、たとえば関東につくられだとすると、関東の地域だけに限定するのではなくて、一つの地域に偏重するのではなくて、全国的な視野に立って当然この選定をすべきだと思うのでありますが、この選考基準も明らかになっていない現在、どういうふうに扱われるのか、これをお聞かせください。
#43
○飯島政府委員 今回の施設に入っていただく対象者につきましては、まだ具体的な基準を最終的に詰めていないのでございますが、大体の考え方といたしましては、入所希望者からの予約制をとりまして、家族の介護労働力の状況、経済的負担力等を考えながら、困窮度の高い者を優先するなど、公正な方法によって選定することにいたしたいと考えております。
 なお、再三申し上げておりますように、モデル事業として関東地区に整備するということでございますが、人所者の家族との地理的関係も相当重要な要素になりますので、原則としては関東地区在住者を中心として考えざるを得ないのではないか。ただ、先生のいまのお話もございますので、今後の参考にさしていただきたいと考えております。
#44
○永井委員 家族との関係で、施設が設置される地域中心にというお答えでありますが、私はそれはおかしいと思うのですね。モデルケースとして対応する以上、それがうまくいけば、運輸省のお考えでは、もっと全国的なものに広げていきたいという御希望も持っておられるようでありますので、そうなるとやはり全国的な規模である程度選考して、その地域にもそのセンターの実体がわかるようにしていくのが一つの筋道ではないか、このように考えるのでありますが、どうでございますか。
#45
○飯島政府委員 収容予定も五十名でございますし、なかなか全国的な規模で希望者を募るというわけにはまいらないというふうに考えておりますが、関東地区を中心として、場合によってはその周辺を含めて検討をいたしたいと考えております。
#46
○永井委員 いまも言われておりましたが、この施設の入所は五十名程度ということなんですね。大多数の障害者が、結果としてはこの施設の関係から見ると取り残されるということになってまいります。したがって、全国的規模の施設の整備というものがいま現在見通しが立っていないいわゆる不明確な現状において、新しくできる施設に入所する者に準じて治療、介護が行われるということができれば一番いいわけですね。繰り返し繰り返し恐縮でありますけれども、現在すでにある公的病院、こういうものなどに、たとえばこの施設に準ずるものとして、その地域の患者を委託することなども含めて救済することができないかということを私は一つ考えるわけであります。そういう立場に立って、受け入れる側の公的病院の施設の充実なども当然必要になってまいりますけれども、これについて一つの対応策が考えられないか、お答えをいただきたいと思います。
#47
○飯島政府委員 今回つくろうとします療護施設は、全く他に例を見ない施設でございまして、モデル事業として五十名収容の施設をつくろうという構想でございます。確かに本施設に入所できない多数の重度後遺障害者が残ることは事実でございますが、先ほど申し上げましたように、これらの方々につきましては、当面は現在行っております介護料の支給を中心として救済対策を進めてまいりたいと考えております。なお、モデル事業の成果を見ながら、今後の方針については検討をしてまいりたいと考えております。
#48
○永井委員 その次に、この施設の運営に当たってですが、運輸省の試算によれば、平年度の運営費が四億五千九百万円ということになっておりますが、万一この自賠責の保険収支が赤字になって、それが増大していくことがあっても、この施設の運営が結果として保険料の値上げにつながらないように万全の措置を講ずるべきだと私は考えるのであります。この前の委員会の中でも、運輸大臣は、交通事故の発生が飛躍的に上がれば別だが、今後の自賠責の保険の収支を考えてみても、保険料にはね返ることは当分ないと思う、このように答弁されておるのであります。この保険料ということを考えました場合、再度ここで確認しておきたいのでありますが、保険料の値上げにつながらないような万全の措置を講じてもらいたい、こう思うのでありますが、その決意をお伺いいたします。
#49
○塩川国務大臣 この前もお答えいたしましたように、私たちも十分にその趣旨を体しまして努力してまいります。
#50
○永井委員 本事業はモデル事業として実施するということでありますので、モデルとしてふさわしい、実効ある措置を講じてほしい、こう私は思うのであります。たとえば医学技術の向上に資することも大事であります。そうして、その実績によっては、この施設にもリハビリテーションの部門を併設することも十分検討に値することだ、これはいままでの質問の中にも出てまいっておりました。したがって、そういう治療、養護の実績などについて当委員会にも報告をしてもらう、そうしてその実績を見ながらそういうリハビリの部門も設置をすることなどを含めて、これから検討、対応していくというふうにしてもらえないかと思うのでありますが、どうでございますか。
#51
○飯島政府委員 先ほどから申し上げておりますように、今回整備します療護施設はわが国でも初めての施設でございます。したがいまして、その運営につきましては、専門家なり関係省庁等の意見を十分聞きながら遺漏なきを期してまいりたいと考えております。
 なお、この施設で得られます資料は、今後の重度意識障害者の治療技術の向上に有益なものがあると考えられますので、できるだけこれを役立たせる方向で検討してまいりたいと思います。なお、結果等が出ました場合には、適当な機会にこの委員会にも報告さしていただきたいと考えております。
 次にリハビリの問題でございますが、この施設におきましては、いわゆる初期のリハビリと申しますか、関節の拘縮、褥瘡等の防止のための四肢の他動運動等の初期リハビリは行うことといたしておりますけれども、患者が本格的なリハビリテーションを必要とする場合には、他のそういった専門の施設等へ移っていただくことも考えていただかなければならないと思っております。
#52
○永井委員 そのリハビリを、本格的に必要な場合は他の部門に委託するということでありますが、本来モデルケースである以上、本当はそこで必要な措置がとれるように、やっぱり併設してやることが一番望ましい。せっかくの新しい構想に基づく施設でありますので、そのことを私は再度お願いをしておきたい、こう思います。
 その次に、この施設の運営に当たっては、非常に恐縮でありますけれども、運輸省は本来医療についてはずぶの素人と言ってもいいわけですね。したがって、この施設の運営をするに当たっては、厚生省が本来具体的な指導についても協力すべきだし、むしろ運輸省の方から率直にこの協力を求める態度があっていい、こう思うのでありますが、これはどうですか。
#53
○塩川国務大臣 仰せのとおり、全く当然でございます。
#54
○永井委員 厚生省、どうですか。
#55
○水田説明員 今回運輸省でユニークな専門施設をおつくりいただくわけでございますので、私どもとしてもぜひ成功していただきたいと考えておりますし、運輸省から各種の御相談なり御協力の要請があった場合には、厚生省としても十分こたえてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#56
○永井委員 次に、自動車事故対策センターへの助成の問題でありますが、年々四十億、五十億というふうに上っているわけですね、大きな金額になっております。さらに、施設の運営によってもその額は当然増大してくると思うのでありますが、最前も私申し上げたのでありますが、補助金の削減が大きな政策課題になっている現在、どのようにこの助成という問題について長期展望を持っておられるのか、あるいはこの助成金を少なくしていくような立場でどのように節減、効率化を進めるのか、基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
#57
○飯島政府委員 自動車事故対策センターの業務の性格上、なかなか受益者負担等の収入増を図るということは困難な仕事が多うございます。したがいまして、基本的には助成に負うところが多いわけでございますが、原資は何といっても、先ほど大臣が申し上げましたように、自動車の保有者が拠出した貴重な保険料の運用益を財源としているものでございますので、今後ともその指導に当たりましては、合理化、効率化を図ることによりまして、できる限り節減に努めるよう事故対策センターを指導してまいりたいと考えております。
#58
○永井委員 大蔵省保険部長、お見えになっておりますね。保険部長にお伺いいたしますが、この自動車保険料率の改定問題でありますけれども、この前の質問で私は触れました、他の党の委員からも触れておられましたが、この料率算定会のメンバーにユーザーの代表が入っていない。私はそれではユーザーの意見を反映させることができないと思うのでありますが、この保険料率の改定に当たっては、たとえば公聴会を義務化するとか広く関係者の意見を聴取するとか、この料率算定について民主的に具体化をしてもらいたい、こう思うのでありますが、大蔵省、どうでございますか。
#59
○松尾説明員 前回もお答え申し上げましたように、これは自動車保険料に限らず、保険料全般を通じまして、保険料決定というものが現在料率算定会、自動車の場合は自動車料率算定会、その他は損害保険料率算定会、そういうところでいろいろな計数、統計をもとに算定をいたしまして、それを大蔵大臣が認可するというのが一番主流を占めておるわけでございますが、このあり方につきまして、ただいま保険審議会におきまして損害保険事業のあり方ということで御討議をいただいておりますが、その中でもいま先生御指摘のような算定会のより中立性を保つと申しますか、各般の公正な意見が反映するようなこと並びに料率決定がどういうプロセスで行われているかをもう少し外に明らかにするというような御意見をいろいろちょうだいをしておりまして、近く結論が出る予定になっております。そうした議論を踏まえながら、この前もお答えしましたように、私どもといたしましては前向きに取り組んでいきたい、かように考えておるところでございます。
#60
○永井委員 交通事故に遭われた場合の被害者あるいは不幸にして亡くなられた方の遺族、これらの方々の生活を保護していかなくてはいけない、これが保険の一番基本的な精神だと思うのでありますが、この損害賠償の機能をそういう意味ではより強化する必要がある。したがって、支払い基準の限度額も当然全体的に引き上げる、そうして被害者の保護が具体的に充実をされる、このように私はしていくべきだと考えます。したがって、この支払い基準の問題についてこれからも積極的に対応してもらいたいと思うのであります。たとえば任意保険で言いますと損保関係と共済関係、これでは内容的に差があるわけですね。もちろん料率の関係も必ずしも同一とは言えませんけれども、しかし少なくともこういう保険による補償という問題については国が支払い基準については統一するぐらいのことをやっていいのではないか、こう考えるのでありますが、これはどうでございましょうか。
#61
○松尾説明員 支払い基準を物価動向その他実態に即して見直しをしていくということは御指摘のとおりでございまして、先ほど運輸大臣から御答弁ございましたように、自賠責保険につきまして支払い限度額の改定をいたしましたが、同様に任意保険についても改定をいたしております。
 御質問は、共済と損保というものが内容に違いがあるではないか、これを統一するのが望ましいのではないかという御意見でございますが、被害者サイドで考えますと、損害保険に入っておる人が加害者であった場合といろいろな共済に入っている人が加害者であった場合によって支払いを受ける内容が違っておるというのは、被害者保護という観点から見ますと、お説のようにこれが統一されることが望ましいというのはごもっともなお考えであると存ずるのでありますが、御指摘のように商品内容というのも若干違います。それから、共済と損害保険というのはある意味で本質的に違う面もございますし、それから共済というのは非常に各種の共済制度というのがございまして、非常に狭い範囲の助け合い、全く助け合い的なものから非常に大きな組織を持ったものまでさまざまございまして、それぞれが違った法規制なり監督官庁を持っておるということで、前回もお答えしましたが、大変恐縮でございますが、私どもといたしましてはほかの共済制度というものについて直接詳しく存じませんし、またその内容に立ち入る立場でございませんので、お考えは大変ごもっともなお考えであると存じますけれども、私どもの立場からほかの制度についてとやかく言う立場にない。ただ、その支払い基準というものを充実していかなければいかぬという点は、損害保険につきましても常時適切な対応をしてまいりたいということでございまして、今回もそれに合わせて改正をいたした、こういうことでございます。
#62
○永井委員 大体以上で当委員会で各党の先生方から出されました問題も踏まえての質問を終わるわけでありますが、最後に再度私は強く要請しておきますが、本来、自動車事故であれ何であれ、そういう重度後遺障害になられている方々、こういう人たちを救済するのが各省庁ごとの対応であってはならない。あくまでもこれは国全体が一元化のもとでそういう人たちの治療あるいは養護というものに当たるべきであるし、そうしてその家族や御遺族の方々の生活を守っていくためにこの保険というものがより機能を充実しなくてはいけない、こう考えますので、ひとつ当委員会のいままでの経過も踏まえながら、政府として全体的な対応をさらに強めてもらうということを強く要望いたしまして、私の方からの質問をこれで終わります。どうもありがとうございました。
#63
○斎藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#64
○斎藤委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。林大幹君。
#65
○林(大)委員 私は、自由民主党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブの四党を代表いたしまして、自動車事故対策センター法の一部を改正する法律案に賛成の意を表したいと存じます。
 わが国における自動車事故の発生件数は、昭和四十四年をピークとして減少の一途をたどっておりましたが、近年に至り再び増加の兆しを見せ始め、依然として毎年六十万人余の死傷者の発生を見ていることはきわめて遺憾であります。
 特に自動車事故により頭部などに重大な損傷を受け、その後の治療にもかかわらず寝たきりの状態に陥った被害者につきましては、症状の悪化に備えた継続的な医学的措置とともに、細部まで行き届いた昼夜にわたる介護が必要とされ、同時にその介護に当たるこれら被害者の家族の肉体的、経済的負担はきわめて大きいものがあり、その負担を緩和するための適切な救済措置が強く要望されているところであります。
 このような実態にかんがみ、これら重度の後遺障害者を収容して治療及び養護を行う専門の施設を整備することとし、その設置及び運営を自動車事故対策センターに行わせようとする本法律案の内容は、まことに時宜を得た適切なものであると考えられるのであります。
 今後、この施設の運営に当たっては、要員の確保、機器の整備等について万全を期し、適切な治療及び養護を確保するとともに、交通事故防止対策の一層の推進と自動車事故被害者救済対策の一層の充実を図られるよう希望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#66
○斎藤委員長 次に、沢田広君。
#67
○沢田委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております自動車事故センター法の改正について、反対の立場から討論をするものであります。
 今回運輸省が、交通事故を原因とする一般的に言われる植物人間、重度後遺障害者の方々に救済の手を差し伸べることは、情において理解しないものではありませんが、特に交通事故に起因する人たちのみを対象とすることは当を得たものでないと存じます。
 以下、幾つかの理由を明確にして反省を求めるとともに、将来に大きな禍根を残すものとして反対するものであります。
 一つに、これらの対象の人々は全国的に三十五万人とも言われます。国民的政策の中に解決を図るべきものであります。特にまた、保険を原資とする方法について大きな疑問を抱くものであります。
 この入所施設は、事故センターが行うのでありますが、今日の増税なき財政再建を至上命令とする中で、特に鈴木首相も政治生命をかけると言っているこのときにおいてかかる先駆け的な行為を行うことは、政府みずからが口で言うことと行動が全く背馳するものであり、許されるものでないと存じます。まさに行革逃れの温存であり、そのそしりは免れないものと存じます。
 一たん給付が行われ、完全に終結した事案に対し、現物給付とはいいながら、同一の原資に基づきさらに保険給付を行うことは理解に苦しむところであり、なぜ時効が設定されたのであろうか、二重給付は今後の保険行政に大きな影響を与えるものと思います。
 棚橋審議官は当初答弁に当たって、自動車の原因者負担の原則に立って説明されましたが、このことはまさに二重給付であります。その後大臣の答弁では政策としての対処であると言っております。政策であるとすれば一般財源に依存すべきであり、かかる矛盾の法改正は許されません。一たん終結した案件に、いかなる名目を問わず給付を行うことは法体系上にも疑問を残し、これを認める場合、その事件終了後に再請求の道を開くことに通ずるのであり、その実行例をみずからが示すものであると言い得るものと思います。
 事故センターの現状は、補助金に寄生する依存団体であり、現状においても二十六億の補助、税金を食い、七億近い赤字を出しており、将来ある団体とは認められません。現在置かれている人々を憎んで私は言っているのではありませんが、言うならば今日の政治的ゆがみの象徴であるともいうべきでありましょうし、まことに同情にたえません。他の同種同況にありまする障害者に対する不公正を招くことになり、公正を最たるものとして政治課題となっておりまする今日、望ましい形態とは言えないのであります。
 高級官僚の天下りが社会から大きな批判を受けているとき、この団体の助長は望ましいことではなく、みずからえりを正すときにかかる法改正は撤回すべき性格のものでありましょう。
 厚生省が、この種の病態にある人々に対し今日まで何ら手をつけられていなかったことは、政府の無策を象徴するものであり、かかる微温的措置によってごまかそうとする自民党政府に大きな反省を求めるとともに、怒りさえ覚えるものであります。
 この種の施設が、万一全国何カ所かの増設を考えれば、保険料の値上げにはね返ることは必至であります。四千二百万人に対する形を変えた大増税になることでありましょうし、この形態は老人保健法などに示されるように、いわゆる原因者負担の体質を強めることになると思います。健全運営に対する保障も全くない団体であることは嘆かわしいと思います。
 保険金の剰余金の還元方法については、現在の給付の改善を第一に置き、二千万円を増額するなら増額すべきでありましょう。あるいはまた、保険料を引き下げることにすべきであると思います。
 今日、原因は別として、常時介護を要する重度一級障害者の方々で病床にあるもの及び同家族は大きな不満を起こすことになると存じます。運輸エゴ以外の何物でもないと思います。国民的合意を得る必要があるものと考えます。
 以上のほか、附帯決議や総括質問の中でこの法の矛盾、不明瞭な点なしとしません。ただ、ささやかな植物人間への思いやりと家族の解放感のみを見て全般的、国民的行政の立ちおくれを見逃すことはできません。行革も恐らく事故センターはどうなのだという禍根を残すことになるでありましょう。
 政府、運輸省の冷静にして大局に立った判断に立ってこの実行により慎重であり、また政府部内の統一を図り、思いとどまることを期待し、まず障害者の実態を把握し、総合的に研究、施設対策が国民的視野に立って福祉行政の大きな分野として取り上げられることを期待し、反対の討論といたします。(拍手)
#68
○斎藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#69
○斎藤委員長 これより採決に入ります。
 自動車事故対策センター法の一部を改正する法律案について採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#70
○斎藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#71
○斎藤委員長 ただいま可決いたしました本案に対し、林大幹君、沢田広君、草川昭三君、玉置一弥君、中路雅弘君及び伊藤公介君から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者から趣旨の説明を求めます。草川昭三君。
#72
○草川委員 ただいま議題となりました自動車事故対策センター法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブの六党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    自動車事故対策センター法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 重度後遺障害者療護施設の開業に当たっては、医師、看護婦等施設要員の適正な配置、治療及び養護の充実について充分検討すること。
 二 療護施設の運営に当たっては、経営基盤の整備について特に配慮するとともに、運営の健全化のため最大の努力を払うこと。
   また、運営上、万一赤字が増大することがあっても、これが原因となって、自賠責保険料の引上げが行われないよう充分配意すること。
 三 療護施設のモデル事業としての性格上、その成果が今後の重度後遺障害者対策の充実に活用されるよう努力するとともに、重度後遺障害者の回復、自立更生の実をあげるよう努めること。
 四 療護施設に入所できない重度後遺障害者については、その救済対策に遺憾なきを期するとともに、療護施設の成果をふまえ制度的改善について更に努力すること。
 五 社会保障的観点から、療護の施設の在るべき姿を速やかに検討すること。
 六 自賠責保険における保険金支払限度額の引上げについて一層配慮するとともに、その改善を検討すること。
 本附帯決議案の趣旨につきましては、法律案審査の過程におきまして種々論議され、十分御承知と思いますので、その詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#73
○斎藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 林大幹君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#74
○斎藤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。塩川運輸大臣。
#75
○塩川国務大臣 ただいま自動車事故対策センター法の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の結果、御可決いただき、まことにありがとうございました。
 また、附帯決議につきましては、政府といたしましてその趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存でございます。どうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
#76
○斎藤委員長 なお、ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○斎藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#78
○斎藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 交通安全対策に関する件、特に自動車保険に関する問題について、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○斎藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の出席日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#80
○斎藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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