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1980/04/21 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 物価問題等に関する特別委員会 第9号
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1980/04/21 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 物価問題等に関する特別委員会 第9号

#1
第094回国会 物価問題等に関する特別委員会 第9号
昭和五十六年四月二十一日(火曜日)
    午前十時十四分開議
 出席委員
   委員長 井上  泉君
   理事 青木 正久君 理事 岸田 文武君
   理事 谷  洋一君 理事 吹田  ナ君
   理事 小野 信一君 理事 武部  文君
   理事 長田 武士君 理事 塩田  晋君
      今枝 敬雄君    狩野 明男君
      亀井 善之君    木部 佳昭君
      田名部匡省君    長野 祐也君
      五十嵐広三君    春田 重昭君
      藤田 スミ君    依田  実君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      河本 敏夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     橋口  收君
        公正取引委員会
        事務局経済部長 伊従  寛君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 劒持 浩裕君
        公正取引委員会
        事務局審査部長 妹尾  明君
        経済企画庁長官
        官房長     禿河 徹映君
        経済企画庁調整
        局長      井川  博君
        経済企画庁国民
        生活局長    小金 芳弘君
        経済企画庁物価
        局長      廣江 運弘君
        通商産業大臣官
        房審議官    神谷 和男君
 委員外の出席者
        厚生省環境衛生
        局水道環境部環
        境整備課長   杉戸 大作君
        農林水産省農蚕
        園芸局果樹花き
        課長      小坂 隆雄君
        通商産業省産業
        政策局消費経済
        課長      野口 昌吾君
        資源エネルギー
        庁公益事業部業
        務課長     植松  敏君
        資源エネルギー
        庁公益事業部ガ
        ス事業課長   小島 幹生君
        運輸省自動車局
        業務部旅客課長 寺嶋  潔君
        特別委員会第二
        調査室長    秋山陽一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十一日
 辞任         補欠選任
  岩佐 恵美君     藤田 スミ君
同日
 辞任         補欠選任
  藤田 スミ君     岩佐 恵美君
    ―――――――――――――
四月十三日
 物価上昇抑制に関する請願(寺前巖君紹介)
 (第二八二〇号)
 物価高騰下における建設資材の価格安定に関す
 る請願(上原康助君紹介)(第二九八四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○井上委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青木正久君。
#3
○青木委員 いま春らんまんでございまして、花のシーズンでございます。そこできょうは、花卉園芸について若干の御質問をしたいと思います。
 大体花卉園芸というのは趣味の分野でございまして、趣味というか娯楽というか、あるいは生産からいうと露店商、大道商法といいますか、こういうのがいままでの伝統でございまして、どちらかというと行政が介入しない方がいいというようないままでの考え方があろうかと思います。そのために国会でもほとんど花卉園芸については取り上げられたことがない、こう理解しております。しかしながら、最近は花の生産、消費が非常に伸びてまいりまして、五十四年度も二千八百億を超えているというように非常に事態が変わってまいりました。花卉園芸、主として各県の園芸試験場なんかで研究しているらしいのですけれども、そろそろ中央で交通整理といいますか、行政指導といいますか、こういうことを少し本格的に始めなければならないような時期に入ったのではないか、こう考えておるわけでございますけれども、現在農林省で花卉園芸に関する組織並びに担当官が何人ぐらいおられるか、お答え願いたいと思います。
#4
○小坂説明員 御説明申し上げます。
 現在、農林省におきましては、花の行政につきまして農蚕園芸局の果樹花き課で担当いたしておるわけでございますが、果樹花き課の中の課長を除きまして花に専門に携わっている人は四人でございます。なお、そのほか農林水産省の中で試験研究におきましておのおの花の研究室を持ちながら花の試験研究を進めておる、このようなことでございます。
#5
○青木委員 花卉の種類といいますか、非常に何千何百とあるわけでございますけれども、四人というと非常に少ないような気がいたしますけれども、それぞれどういう御専門の方ですか。
#6
○小坂説明員 行政になりますといろいろと多様化いたしておるわけでございますけれども、花を担当しておりますのは、私どもいわゆる農政局等におきまして、いろいろと地域の実情等を経験していただいたような人を花の担当に持ってくるとか、そのような一連の人事交流をしながら、花の行政の方を育成と申しましょうか、そのような形で進めておる。
 なお、先ほどちょっと触れおくれましたけれども、各農政局に、七農政局でございますが、花の係を一つ設けまして、おのおの農政局に一人担当官を配置しておる、このような状況でございます。
#7
○青木委員 花卉の消費でございますけれども、五十四年度の一世帯の消費量というのは五千八百七十三円、農林省の資料によりますとそう出ております。昭和四十年の千二百六円に比べますと大変ふえておるわけでございます。しかしながら、まだ欧米先進国に比べると花の消費というのは少ないと思いますけれども、主な欧米先進国と日本との消費の比較ですか、どの程度日本の方が少ないか、わかったら教えてください。
#8
○小坂説明員 花につきましては生産が年々拡大いたしておるわけでございます。いまちょっと欧米との比較の表が手元にございませんので、この点については後ほどでも御説明させていただきたい、かように考えております。
#9
○青木委員 数年前ですけれども、デンマークあたりの五分の一とか六分の一とか大分日本の方が少ない。工業製品はほとんど日本は欧米先進国並みになっているのですけれども、そういうことを考えますと、今後さらに花の消費というのはふえると思いますけれども、見通しはいかがですか。
#10
○小坂説明員 花の消費につきましては、現在主として切り花類それからはち物類を中心に伸びておるわけでございます。他の農産物自体が停滞傾向にある中で花は伸びておる、こういう状況でございまして、私どもこれから国民生活の多様化、このような中で花の消費についてはまだ伸びるもの、かように考えております。
#11
○青木委員 消費形態ですけれども、日本の場合は、一般の花屋さんで買う花と冠婚葬祭用の花とそれからいわゆる生け花の花ですね、これは三分の一ずつだと前から言われていたのですけれども、この分野はいまでも変わりありませんか。
#12
○小坂説明員 最近の動向といたしまして、むしろ家庭用の切り花それからはち物、そのようなものがこれから伸びるんではないか、このように見ておるわけでございます。
#13
○青木委員 今年度の成立いたしました予算を見ますと、花卉園芸関係の予算というのは、生産の補助とそれから調査といいますか統計といいますか、そういういわゆる生産関係が多い。農林省というのは大体昔からそうでございますけれども、物をつくるのには一生懸命ですけれども消費の方は余り熱心じゃない。だから米が余っているのだと思いますけれども……。四人ばかりの方で非常に伸びている花卉園芸の消費、特に消費者保護ができるかどうかということは非常に問題があると思うのです。
 たとえば一つ例を挙げますと、いま花屋さんで一番出ているものの一つにプリムラ・オブコニカというのがありますけれども、御存じですか。
#14
○小坂説明員 プリムラ、いわゆるサクラソウの類かと存じます。
#15
○青木委員 確かにそうでございまして、プリムラといいますとニホンサクラソウから始まって何十種類あるわけですよ。洋種のプリムラというのはシネンシス、オブコニカ、マラコイデスの三つが戦前ありまして、シネンシスは最近はつくっておらないけれども、オブコニカというのはここ十年ぐらいから非常に店頭に出ているわけです。ところが、よく御存じないかもしれませんけれども、このオブコニカというのは葉っぱにさわるとはれるのですよ。花にさわってもはれる。子供なんかがさわりますと、すぐ非常にはれてしまう。ですから、生産農家はみんな、生産する場合、ゴムの手袋をはめましてはちの移動やなんかしているわけです。これが東京のどの花屋へ行っても一番前に並んでいるわけですよ。たくさん売られている。それで家庭に持って帰って、楽しみに買うわけでしょう。そうすると、子供がそれにさわりますとはれてしまう。そういうことに対しまして何もやってないわけです。この葉っぱに触れますとはれますよという表示はどのはちにもない、どの花屋さんにもない。そのために全国で相当な方がはれ上がって、顔がはれたり、そういう事故が起こっていると私は思うのですけれども、その点いかがでしょう。
#16
○小坂説明員 私どもこの花にどういう特性があって消費にどういうふうにあれするのか十分承知いたしておりません。したがいまして、いま先生御指摘のこのようなことがどのような状況になっているかよく承知しておりませんので、これらにつきましてはできるだけ早く実態等を調査してまいりたい、かように考えております。
#17
○青木委員 いま申し上げましたように、花卉園芸の消費行政につきまして、一例でございますけれども、そういうようなのがたくさんあろうと思うのです。ですから、生産だけではなくて消費者保護という面からそういう点もひとつ検討していただきたいと思うわけでございます。
 次に、花の値段、価格ですが、切り花に限って言いますと、昭和五十年を一〇〇として昭和五十四年が一三六・三、五年間で約四割上がっております。これは高過ぎるのですか、妥当なんですか、安過ぎるのですか。
#18
○小坂説明員 花につきましてもいろいろな種類、それから時期、そのようなものによってきわめて多様化しております。したがいまして、一概に各年度に比べて四割ぐらい上がったということが高いか低いかというのはちょっと私には判断しかねる、このような感じがいたしております。
#19
○青木委員 切り花は市場なんかで競りをやるのですから妥当な線をいっていると思いますけれども、苗物なんかは全く高過ぎるのもあるわけですよ。たとえば最近はやっているセントポーリア、こんなものは葉ざしで幾らでもふえるのですよ。御承知のとおり一本千円ぐらいする。あるいは趣味家が趣味で買うのだから高くてもしようがないと言うかもしれませんけれども、こういう点のからくりの面については農林省は全然タッチしていないのですか。
#20
○小坂説明員 花の価格自体はやはり需要と供給によって決まるものでございます。したがいまして、私ども、価格についてはできるだけ流通経路を整備することによって適正な価格になるようにしたい、市場の整備等を進める中でひとつ適正な価格を推進する、このようなことで進めておるわけでございます。
#21
○青木委員 苗物ですけれども、欠陥商品が大分出回っていると思うのです。昔は道ではち物なんか根のついていないものを売っていたりなんかしましたけれども、最近はそういうことはございません。しかしながら、まだまだ欠陥商品といいますか、不当表示というものが野放しになっている傾向もあろうと思います。植物ですから一概にきちんとはっきりしたことは言えませんけれども、たとえば花で安定していないのがあります。あらゆる花で、覆輪とかしぼりとかというまだ固定していない花があります。それをたとえばしぼりとして売っても、もとに化けてしまうというような例がたくさんあるわけです。安定度が非常に弱いものですね。サツキなんかもそうですね。そういうのは不当表示に当たりませんか。たとえばいま一番はやっているので、洋種ツバキでベティー・シェフィールド・シュープリームでございますか、これは覆輪なわけですけれども、買ってみると大体覆輪じゃないのです。大体化けてしまいます。こういうのを覆輪として売っているのは不当表示に当たりませんか。
#22
○小坂説明員 先生の御指摘はいわゆるカタログのような販売に対して、出てきたものがこれと違う、こういうことは不適切ではないか、このようなことかと思います。カタログの印刷と実物の花の色が違う、このようなことから苦情が一部出ておると思うわけでございますが、私ども、このようなことのないよう業界に注意を喚起して指導してまいりたいと考えております。
#23
○青木委員 カタログの話が出たわけですけれども、通信販売ですね。一般の方で通信販売で買う人も相当多いと思うのですけれども、通信販売を規制する根拠法があるのですか。
#24
○小坂説明員 私不勉強でよくわかりませんが、通信販売を規制する法律的なものはないのではないか、このように考えておりますけれども、詳しく承知しておりませんので、この点について何かで調べさせていただきたいと思います。
#25
○青木委員 そうすると、通信販売で買って、実際と違ったものが送られてきたという場合には苦情の持ち込む場所はないわけですね。
#26
○小坂説明員 もし花の種類が指定種苗であれば種苗法によって表示のとおりでなければならない、こういうことがございますので、私ども、そのようなことに基づきながら業界の方に、適切なものになるように指導してまいりたいと考えております。
#27
○青木委員 カタログに関係してですけれども、最近大きな種苗会社で「友の会」というのをやっていますね。千円とか二千円取って会員にして、それで割引をするとか最近の一つの傾向でございますけれども、これについてどうお考えですか。
#28
○小坂説明員 消費の拡大という面から見たら評価できるのではないかと考えておりますけれども、いわゆるコマーシャルベースでやられていることでございまして、私ども行政の方でこれについていいとも悪いとも申し上げるべきものではないのではないかと考えております。
#29
○青木委員 欠陥商品に戻りまして、特に苗物でございますけれども、病気のついた苗を送ってくるという例が最近非常に多いわけです。たとえばいまの時期でいいますとバラの苗なんか、キャンカーのついた苗、ひどいのではべと病のついた苗なんか売っているわけです。そうしますと、植えたときはりっぱでございますけれども、一年たつと枯れてしまう。こういう欠陥商品をチェックする場所とか機関はないのですか。
#30
○小坂説明員 病気がついておってそれが栽培の過程で増殖する場合もありますし、いつの段階でどのようにチェックするのかきわめてむずかしいわけでございます。しかもまた、仮に病気がついておっても育成の過程で適切な防御をすることによってこれは防御できる、このようなことでございまして、一概にこういったものが欠陥であるというふうには直ちには言い切れないのではないかという感じもいたします。
 いずれにいたしましても、病気のひどいものを出すということにつきましては、これは種苗業者の方といたしましても適切ではない、かように考えておりますので、むしろ業界の方に適切な健全なものを出すようにということで私ども注意を喚起してまいりたいと思います。
#31
○青木委員 次に、花の生産でございますけれども、花卉園芸農家の数、十五万ぐらいだという資料がございます。また総生産ですか、総売り上げは二千八百億を超えたと言いますけれども、この数字で正しいですか。
#32
○小坂説明員 花の栽培農家は五十四年で約十四万八千戸、そういう状況でございますし、全体の生産額につきましては二千八百億を超えている、こういう段階でございます。
#33
○青木委員 それはどうやって調べたのですか。
#34
○小坂説明員 農林省で統計情報部の調査、そういう中で生産統計があるわけでございますが、そのほか私ども花類の生産状況の調査をいたしてございまして、このような農林省における調査でございます。
#35
○青木委員 実数はもっと多いのではないかと思います。花の場合、道で売っている花とか、お祭りで売っている花あるいは友達に上げる花、そういうのは当然その数字に入っていないのでしょう。
#36
○小坂説明員 いま私が申し上げました十四万八千戸というのはいわゆる花を生産しておる農家、こういうことでございまして、趣味で花を栽培している農家、農家でない方はたくさんいるわけでございますが、そのような人は入っておりません。
#37
○青木委員 趣味の人を入れるとどのくらいになりますか。
#38
○小坂説明員 趣味といってもいろいろございまして、趣味でやっていらっしゃる方が、都会におきましてもベランダではち物を育てていらっしゃる方もいろいろとおりますし、各農家でも、いわゆる野菜農家であっても庭先には花が植わってない農家はほとんどない、こういう状況でございますが、幾らぐらいになるのかを私ども計算したこともございませんし、整理したものもございませんが、いずれにいたしましてもかなり多いものになることは想定できるのではないかと考えます。
#39
○青木委員 われわれの仲間では、米は四兆円で花は三兆円という言葉があるのです。ですからこれは二千八百億どころではなくて、相当な大きな量ではないかと思うのです。趣味の団体ですから、こういうのは捕捉できないと思いますけれども。
 そこで、そういう切り花あるいははち物の正式なルート、市場がございますね。二百幾つあるというのですけれども、花の市場というのはちょっと小さ過ぎるのではないか。そのために価格形成に非常に問題があるのではないか。出荷調整、生産調整がほとんど行われてないのじゃないですか。たとえば去年の暮れシクラメンが暴落しました。それも、二十日前後までは非常に堅調だったけれども、一挙に暴落をした。ハボタンについても同じことが言えるわけです。花卉の市場についてどうお考えですか。
#40
○小坂説明員 御案内のように、市場には中央市場それから地方市場があるわけでございます。中央市場の中にも、いわゆる花卉市場を新たに設ける、こういうことで現在六市場がすでに開場しているわけでございますし、ことしの六月には新たに松山の市場、合わせて七市場になる予定でございます。そのほかいわゆる地方市場が大部分でございますが、地方市場につきましても整備を図っていきたいと考えておりますが、いずれにいたしましてもかなり扱い額の小さい市場が大部分である。ちなみに取扱金額別に見ますと、十億未満のものが七三%ばかりを占めておる、こういうことで、市場の整備というものが今後重要な課題になるのではないかと考えます。
 それからもう一つは、先ほど先生がいわゆる需給安定のことを御指摘になったわけでございますが、確かに花の価格を基本的に安定するためには需給安定と申しましょうか、時期別にバランスのとれた出荷に持っていくということがきわめて重要である。このようなことから私ども主な花につきまして時期別の出荷動向を調べながら、ことしのいつの時期にどのような量を出したらいいのか、このようなことで需給の安定に努めている、こういう状況でございます。しかしながら花の種類が何分多うございます。したがいまして、このようにかなり多い、全国的な流通をしているものを中心にいわゆるバランス、需給安定をやるということにしているわけでございますが、なかなかすべての花にはむずかしゅうございますので、そこらにつきましては需要と供給のバランスの中で適切な価格形成ができるもの、かように期待いたしております。
#41
○青木委員 最近生産だけではなくて、花の輸入が大分ふえておりますね。去年あたりどのくらい一年間に輸入しているのですか。
#42
○小坂説明員 花の輸入でございますが、最近かなりふえておるわけでございまして、五十五年度年間におきまして五十六億八千万円の花の輸入がなされている、このような状況でございます。
#43
○青木委員 たとえば菊なんかにしますと台湾から非常に入っている。特に消費が一番多い十二月に台湾から大変菊が入っている。いまのところ、たくさん入っているといっても、全体から見ると非常にパーセントは少ないので、日本の農家を圧迫するところまでにはいかないと思いますけれども、一体台湾からの菊は、日本でできるのに比べましてコストはどのくらい安いのですか、高いのですか。
 それからもう一点、こういう花の輸入は無制限なんですか。
 この二点をお願いします。
#44
○小坂説明員 花、特に菊は台湾から特に冬春季の輸入が多いわけでございますが、ちょうど国内の端境期でもある、また台湾のものの品質が劣る、このようなことから、価格につきましても特に国産品との大きな競合が出ているとは考えておりません。
 それからもう一つは、花の輸入につきましては制度的にはすべてAA制度でございます。それから関税については特恵関税を適用しておりますので、関税がついておらない、このような状況でございます。したがってAA制度、このようなことから、花の輸入について輸入を制限する、こういう措置はできないものと考えております。先ほど申し上げましたように、台湾からのものにつきましては品質が悪い、こういうことで国産とそれほど大きな競合になるとは私ども考えておりません。
 なお、価格につきましては正確な数字を持っておりませんのでひとつ御容赦をお願いしたいと思います。
#45
○青木委員 いまはいいですけれども、将来の問題として、せっかく米から花卉園芸に転換をしてやっていこうという農家もたくさんいると思いますので、無制限にこういうものが入ってきますといろいろな問題が起こるのではないか。そうなってしまってからでは遅いので、いまのうちから花卉の輸入につきましては相当調査をして対策を検討しておかなければならないと考えております。
 それから次に、最近花卉園芸農家で施設園芸をやっている人が非常にふえておりますね。花卉園芸農家の三割近くは施設園芸に転向している。この率は年とともにふえているとも聞いておりますけれども、これは大変油を使うのですね。時代逆行みたいな感じがいたしますけれども、この点も、だんだん油がなくなるあるいは油が高くなる時代ですから、なるべく露地園芸に転換するようなそういう指導といいますか、こういう方向に持っていく必要があるのではないか。花は食べ物と違いましてなくてもいいわけでございまして、あくまでも嗜好でございますので、必ずしも高い油を使って一年じゅうどんな花でも見なくちゃならないというものではないと思うのです。そういう点で、ガラス室の中でつくった花の方が高いのでそういう面もありますけれども、農林省どう考えているのですか。この施設園芸をふやすようにしているのですか、それとも省エネルギー時代で抑制するように指導しているのですか。
#46
○小坂説明員 最近施設の割合がふえておるわけでございまして、現在約二九%が施設栽培の割合となっております。今後これをどのようにしていくのか、こういうことでございますが、やはり花がきわめて多様化しておる、しかも熱帯のもの等がかなり多いという中で、やはり施設物というものが農家の経営の中でかなりのウエートを占めるということについては否定できないだろうと思うわけでございます。しかしながら、御指摘の油、いわゆる石油が不透明である、このような事情がございますので、私どもできるだけ省エネルギー、いわゆる石油を使わないような形での施設栽培の普及ということがこれから必要ではないか、かように考えておるわけでございまして、いわゆる二重カーテンだとか環境制御型だとかそういうような省エネルギーの施設を導入するようなことで野菜あるいは花農家の施設化に対応してまいりたい、かように考えております。
#47
○青木委員 ぜひその必要があろうと思います。花というのは国民の心を豊かにするものでございまして、あるいは教育にも非常にいいという点で生活の一部になっているということでございますので、いままでと違って農林省としても高い立場からやはり行政指導をしていくべきだ、こう考えるわけでございます。
 先ほど申し上げましたけれども、花卉園芸行政といいますと、予算を見ますと、生産流通調査、中核産地育成整備、施設花卉振興、予算を使っているのはこの三つですね。そのほかに、一般にもう少し直接国民に訴えるような花卉園芸行政というのを考える余地があるのではないか。たとえば植物園がたくさんありますけれども余りぱっとした植物園がありませんね。どこの国でも、どこの外国の町でも町の真ん中に相当そういう花の展示場をつくったり、あるいは何といいますか、試作場をつくったり、あるいはツバキとかバラとか桜の品種を集めたガーデンをつくったり、どこでもやっていますね。日本だけないのですね。日本の場合はみんな趣味家に任せたりあるいは一部の園芸会社、種苗会社が営利のためにやったり、そういうのだけで全然行政がタッチしていない。そこでそろそろこれほど消費もふえてきたのですから、農林省としてもこういう生産あるいは調査だけじゃなくて、町の真ん中にそういうのをつくるというような計画をつくってもいいのじゃないかと思うのです。
 私は昔からバラをやっているのですけれども、御承知のようにバラというのは日本が原産ですね。日本と中国と中近東が原産地で、日本が一番このもとですよ。にもかかわらず、日本には公のバラ園というのは一つもないのです。世界じゅうどこの町へ行ってもあります。ですから、そういう面もやはり考える時期じゃないかと思う。営利が中心になりますと、苗を売ろうとかあるいは会社を宣伝しよう、そっちにどうしても走りやすい。そうじゃなくて、純粋に公のそういう植物園のりっぱなのがあればいいのですけれども、そういったようなことを考える時期に来ていると思うのですけれども、今後の花卉園芸の将来について最後にお答えを願いたいと思います。
#48
○小坂説明員 農林省の中の花卉行政をどういうふうに位置づけするのか、やはりこういうことにもかかわる問題ではないかと思うのです。花の生産から流通、もちろん消費も含むわけでございますが、そういったものを中心に私ども行政をやらしていただいておるわけでございますが、先生の御指摘のように、ひとつ都市の公園の中でそのようなものをつくるとか何か、こうなりますと、私ども現段階においてはそこらまではまだ手を回しておらない。しかしながら、各県におきますたとえばフラワーセンターみたいなそういったものには一部助成するなどでいままで整備してきた経緯もございまして、こういったものを広めながらひとつ花を、国民全体の消費の拡大に努めていくように今後とも努めてまいりたい、このように考えております。
#49
○青木委員 ぜひひとつそのようにお願いしたいと思います。
 じゃ、終わります。
#50
○井上委員長 武部文君。
#51
○武部委員 私は最初に、前回の委員会に引き続きまして、円高差益の具体的な数字について再度お尋ねをいたしたいのであります。
 前回は電力の問題を先に取り上げましたが、五十三年の円高差益の還元の問題については、電力、ガスいずれも具体的な還元をやったのでありまして、その際に出た数字が手元にございます。したがって、きょうは最初に大手ガス三社の具体的な円高差益の点についてお尋ねをいたしたいのであります。
 最初に確認をしておきたいと思いますが、五十三年度の還元をいたしましたがガス大手三社の差益額、これは東京瓦斯で二百二十八億円、大阪瓦斯で百六十二億円、東邦瓦斯で四十二億円、これが円高差益の額であります。その中から値上がり分、人件費、そういうものを差し引きまして、現実に還元された額は、東京瓦斯で六〇%、百三十七億円、大阪瓦斯で同じように六〇%、九十七億円、東邦瓦斯で四〇%、十七億円、こういう金額になったと思います。一体この円高差益の額、最初に申し上げました金額はどうして出たのか、この額は私どもと通産省とのここでのやりとりの中で、東京瓦斯はレート二百九十六円で計算、大阪瓦斯は二百九十五円、東邦瓦斯は二百九十円、こういう円レートで料金が決まっておった。それが五十三年度の平均為替レートは二百五円という非常に高い円になった。したがって、そこの差が九十一円というかつて経験をしたことのない大変な差になった。したがって、九十一円というレートの差に外貨建ての燃料購入金額を掛けたものがいま申し上げました円高の差益額だ、このように理解をし、通産省もこれをお認めになり、その結果、具体的な支出あるいは値上がり分を差し引いていま申し上げたようなことになった、このように理解をしておりますが、それでよろしゅうございましょうか。
#52
○小島説明員 お答え申し上げます。
 ただいま武部先生が御指摘になりました東京、大阪、東邦三社の五十三年度におきます円高の差益の発生額及び割引額、先生の御指摘のとおりの数字でございます。また、その円高差益を算定いたしました際の考え方は、ただいま武部先生御指摘になりましたとおり、査定いたしました際のドルの為替レートとその見込みの為替レートの差を考慮いたしまして各社別の購入数量等にそのレートを掛け合わせまして得た数字でございます。
#53
○武部委員 そのように私も思います。したがって、五十三年度のガスの差益額の算出方法並びに還元額の出し方もいま私が指摘をしたとおり通産省はお認めになりました。そういたしますと、本五十五年度上期は実績が出ておると思いますが、五十五年度の大阪、東京、東邦、この三社の円高差益の総額、冒頭申し上げたような一番最初の金額は、差し引くのはまた別でありますから、大体どのくらいになるというふうに思っておられましょうか。
#54
○小島説明員 先日のこの委員会の議論でもお話がございましたが、電気について業務課長からお答えいたしましたとおり、五十五年度全体の差益額の推定につきましては、まだ会社の決算が固まっておりませんし、五十五年度におきます購入数量等の数字を私どもまだ十分把握しておりませんので、現在お答えできない状況でございます。
 ただ、五十五年上期について申し上げますと、五十五年上期につきましては差し引きまして七十億の差益が発生したという数字を持っております。
#55
○武部委員 確かに五十五年度一年間分の差益の額をいまここで明確に述べることはむずかしいと思います。しかし、五十三年度の算出方法の形式はいまお認めになったとおりでありますから、私どもが推定、推定というよりも前回の委員会で指摘をいたしましたように、通関統計その他の円レートの平均の算出の中から出てきた五十五年度上期及び五十五年度下期のレートというものはほぼ計算ができ、おしなべて五十五年度の円レートは二百十八円ないし二百十九円、ほとんど差はありません。前回申し上げたとおり、実績としてこの数字になるだろうということはもうすでに三月まで終わっておるわけですから間違いないということになれば、そのレートを使って先ほどの五十三年度と同じように計算をした場合に、五十五年度の上期で東京、大阪、東邦は幾らの円高差益になりましょうか。
#56
○小島説明員 お答え申し上げます。
 先ほど上期数字七十億ということを申し上げましたが、この七十億の算定は、先日電気につきまして業務課長がお答えいたしましたとおり、上期の購入数量あるいはその際の為替の差益等を実績にも応じまして細かく積み上げて計算しておるわけでございますが、七十億発生いたしました差益の内訳を申し上げますと、東京瓦斯が約四十億、大阪瓦斯が約二十五億、東邦瓦斯は約五億、合計約七十億ということでございます。
#57
○武部委員 このときの円レートは幾らで計算しておりましょうか。
#58
○小島説明員 上期の円レートの平均は二百二十七円であったと記憶いたしますが、実は購入数量等につきまして若干タイムラグ等もございますので、それを細かく積み上げた数字でございまして、一律に二百二十七円をそのまま当てはめて算出した数字ではございません。
#59
○武部委員 前回申し上げましたが、私どもの計算によりますと五十五年度の上期の円レートの平均は二百二十六円六十九銭、間違いなくいまおっしゃったとおり二百二十七円と合致いたします。ここでおわかりいただけたと思いますが、五十五年度の三大手ガスで約七十億。その金額は別にいたしまして、これから下期の計算が出てくるだろうと思うのです。下期は御承知のように円のレートは非常に高くなっておるのであります。私どもの計算では二百八円でありますから、相当上期よりも高い。そうなれば、この中で七十億よりもはるかに超える円高差益の総額が出てくるだろう。そこまでは想定できるわけであります。五十三年度よりも非常に低いということはわかります。あのときよりも金額は大分減るだろうということはわかりますが、きょう私がお聞きしたかったのは、そういう算定の仕方、大手のガスがこの為替レートの円高によって一体どれだけの為替差益というものを得ることになったか。しかし、それにはまた引くものがありますからそれはまた今後の問題であります。私が聞きたかったのはそういうことでありますから、お認めになりましたからそれで結構です。
 そこで、今度は電力についてお伺いしたいんですが、この間あなたとやりとりしてなかなかうまく議論がかみ合わなかったんですが、五十三年度の電力の還元額を決めたときの算定の金額をここで私は読み上げました。あなたもお聞きになったと思いますが、ああいうやり方で二百四十二円の円レートの換算に対して実際の円レートの額を出して大体の直接差益が幾ら、そこへ値引きがあったので――値引きはたまたまここでやりとりしておるうちに参考人の口からそういう話が出て、値下げを石油会社はやっておる。電力会社に値下げをいたしました。それじゃ一体値下げを幾らしたかと言ったら、千数百億値下げした。それじゃそれは間接差益として電力会社のふところに入っておるじゃないか、そうでございますということになって、直接と間接と加えてたしかあのとき三千数百億だったと思いますが、ちょっと手元にありませんが、なった。したがって、算式方法というものは電力もガスも同じ算式方法だと、このように私は五十三年度を理解しておったんです。したがって、ことしの五十五年度、いま私どもがやりとりしている中では同じことが出てくるだろう、こう思っておったわけです。したがって、電力九社の円高差益の概要について述べていただきたい。
#60
○植松説明員 五十三年度ということでございますか。今回のという……(武部委員「五十五年度」と呼ぶ)
 前回の委員会のときに申しましたように、私、若干詳細を申し上げさしていただきますと、五十五年度上期につきましては決算書類上あらわれてまいりませんけれども、一定の前提を置きまして試算いたしますと、円高差益九電力で合計約五百億円でございます。これは前回も若干議論がございましたけれども、電力会社の場合いろいろな燃料を使っておりまして、輸入燃料におきましても原油、LNG等いわば直接外貨建てで購入しておるものと、それから国内精製過程を経まして購入しておる重油等ございますので、その辺でなかなか、先ほども先生おっしゃった、いわゆる円高差益分マイナス原油の値上がりというのが出しにくい面はございますが、一定の前提を置きまして振り分けをいたしますと、五百億の内訳というのは、円高差益分が約六百七十億円、原油価格の上昇分に見合うものが百七十億円、差し引き計約五百億円の円高が上期に出ておるというふうに試算をいたしております。
 なお、五十五年度全体につきましては、先ほどガス事業課長からも申しましたように、現在決算作業が各会社で進められている途中でございますので、まだ購入数量等、実績が出てまいりません。出てまいりましたら、その段階で検討していきたい、こういうふうに考えております。
#61
○武部委員 やはり金額が違うのですよね。そこで、どうしてそういうことになるのかということは私はよくわからないので、またこれで時間をとってもぐあい悪いのですが、計算の方法というのは別にそう違ってはいないと思うのです。ですから、こういう考え方は間違いかどうかということをちょっともう一遍お聞きいたしましょう。
 これは企画庁長官もそういう発言をされたので、私は議事録を見ておるし、聞いてもおりますが、単純な物の考え方というのは、さっきのガスと同じことで、ガスが二百九十五円の査定のときは二百五円だったから、九十一円ですか、差があった一電力の方は二百四十二円で査定しておったから、そうすると上期は、さっきの話と同じだ、二百二十七円ですよ。二百四十二円から二百二十七円、十五円という円レートの差がある。そうすると、円が一円上がると百五十五億だ、あるいは百七十億だ、いろいろなことが新聞にも出ておる。九電力は、円が一円上がったために一年間に百五十億円ないし百七十億円の利益を得ることができる、これは何回もここでやりとりをしておるのですよ。仮に百七十億といい、百五十億というから相当差がある。二十億もある。これはどういう計算の仕方でそうなるかわかりませんが、真ん中とったって百六十億、あるいはそれより若干下げて百五十五億でもいいでしょう。私は前回百五十億で計算いたしましたが、これに円レートの十五円を掛けます。そうすると一年分出るから半分にする。千百二十五億円になる。この計算はたちどころに出てくるのですよ。
 ところが、あなたのいまお話を聞くと、レートによる差益を六百七十億とおっしゃった。そうするとそこに五百億の差がある。これはどうしてそういうことになるのか。この点の説明が理解できるように話をしていただけば、私は一番納得できるのです。このことに余りにも差がある。私は前回は千百二十五億と言いましたね。あなたは六百七十億とおっしゃる。いま計算をして、そして原油の値上がり分百七十億を引くから五百億、なるほどそのとおりだ。そういう金額になりましょう。どうして私の算出の金額とこんなに違うでしょうか。
 前回の五十三年度の利益、いまここへ出ましたが、この五十三年度のときの直接差益は二千四百七十二億円という数字です。間接差益は、いま申し上げたように、石油連盟が値引きをしてまけてやった、円高で大変もうかったので、電力会社からやいやい言われたのでまけました。そのまけた金額は九電力で千四百十一億円、これが間接差益として出てきたのですよ。合計して三千八百八十三億円という差益が出た。これがまず一番表の金額ですね。それから、さっきもガス事業課長がおっしゃったけれども、OPECの値上げ分と、それから資本費とか人件費とかそういうものがふえておるから、それを差し引かなきゃいけません。その金額はよくわからぬが差し引かれた。その結果、二千六百六十五億が還元される円高差益でございます。こうなってわれわれは了解をして、月に二百七十円ずつ各家庭に還元されたんです。そういう経過が五十三年にある。五十五年度も算出根拠が全く変わったわけではない、先ほどの話のように。どうしてこんなに違うんだろうか。そのことだけちょっと説明してください。
#62
○植松説明員 算定根拠の基本的な考え方は、五十三年度と同じ考え方をしておるのでございますが、五十五年度、とりあえず上期中間決算が出ましたときに、諸資料整っておりませんけれども、その段階で一定の前提を置きまして、円高差益分がどのくらいあるだろうかというのを算定しました結果が先ほど申し上げたような数字でございますが、先ほどの六百七十億と先生のおっしゃる千百二十五億でございますか、差でございますが、一つ考えられますことは、恐らく先生御指摘の数字というのは、ちょうど昨年の三月でございますが、料金値上げのときに、諸前提というか、前提計画等に基づきまして査定をいたしました。そのときの織り込みの前提数字で試算をされておられるのではなかろうかと思いますが、その後原油の購入数量とか原油価格とか、実際若干動いてきております。
 特に大きく変わりましたのが、一つは購入数量と申しますか、冷夏の影響等もございまして、実際に使用しております燃料の量が変わってきております。これが一つ大きく響いているのではなかろうか。それからもう一つは、千百二十五億とおっしゃる数字は、単にレートが変わりましたことに伴います、為替レートの円レート上昇分に見合う円換算分ではなかろうかと思います。したがいまして、原油価格が上昇してまいりますと、その分は五十三年のときも別に引いておりますので、それと同じように引かないと出てまいらないわけですが、そこのところの計算の仕方が若干違う。これは五百億のことでございますが、数字が出てきたのではなかろうかというようなことで、いろいろな諸元が実際に査定段階で織り込みましたものよりも若干変わっておりますものですから、その関係で数字が狂ってきたのじゃなかろうかというふうに考えております。
 いずれにしましても、一番大きいのはやはり原油の購入量といいますか、それともう一つ考えますのは、先ほど為替差益分の話が出ましたが、恐らく先生の御試算の場合には全部為替レートの原油段階でのCIF上昇分が直接直ちに重油の値段にもはね返ってくるという前提での試算ではなかろうかと思いますが、この点も、実際には精製過程を経まして、若干のタイムラグを置きながら、国内電力会社が使用する。そこでは当然電力会社と石油業者との間での価格交渉がございます。そのタイムラグ等もあって――恐らく円レートの上昇分等は価格交渉の段階で反映されるべく、価格交渉が行われたと思いますが、実際にそこにタイムラグがございまして、その辺が影響して上期は小さく出ておるのではなかろうかと思います。五十五年全体を通してまだこれは試算ができる段階ではございませんけれども、決算が固まりますと、恐らくその辺のギャップがかなり減るのではなかろうかというような気がいたしておりますが、これは固まりませんとちょっとわかりませんので、とりあえずそういう感じでやっております。
#63
○武部委員 またあなたと意見が違って、またここでやりとりしておっても時間がたっちゃうので、まことに残念だけれども、仕方がない。
 そうすると、考えられることは、前回私が申し上げた出水率が非常に高くなった。したがって、この出水率が一%高まると約百億円浮く。それから原発の稼働率が一%上がると百六十五億円くらいまた浮くということは、油を使わないということになるでしょう。原油の使用量が少なくなってきた。これはそういうふうに理解できます。そういうものがどれくらいだろうかということがよくわからない。
 もう一つは、去年の六月以降、八月、十月、ことしの一月とOPECが三回値上げしてきておりますね。しかし、OPECが値上げしたけれども、需給状況は非常に緩んでおって、石油元売り会社は値上げはできなかった。OPECの方は値上げを通告したけれども、現実に需給が緩んでおるから上げることができなかった、こういう現実がありますね。したがって今月から上げようかというような動きが出てきた。こういう三回のOPECの値上げも、現実には石油製品にはね返っていないのですよ。電力にもどこにもはね返っていない。これははっきりしておりますね。そういう点でこれは、そうなってくれば当然間接差益としてはね返ってきておるというふうに私は理解できるのです。
 それから、五十五年の七月、それまでぼんぼん、やれ高くなった、いや円安になったといって、石油会社が一年に八回も値上げし、そして昨年の七月に今度は値下げいたしました。これはキロリットル当たりにして千円ないし三千円ですよ。こういう値下げをやったわけですね。この値下げのときに恐らく電力会社に対しても五十三年と同様に値下げが行われたに違いない。そういう点はどうですか。
#64
○植松説明員 当然反映させて計算すべきだと思いますが、五十五年度上期の試算に当たりましては、国内での価格交渉の結果等がまだ固まってないということもございまして、先ほど申しました間接差益分をどういうふうに見るかということで、とりあえず原油の通関CIF価格を前提にいたしまして試算をしております。そういう点から申しますと、一定のラグ等ございますけれども、CIF値下がり分、つまり値下がり分と申しますか円高差益分というものは間接に入ってきているというふうに見るべきかと思いますが、ただ国内での取引価格交渉では単に円レート分だけでなくて需給状況等を勘案して恐らく価格交渉が行われたと思いますので、いわば市況反映分と申しますかその辺は必ずしも入っていない。円レート変更分に伴う差益分と申しますか、その分は一応試算の中にはそれなりには含まれて試算がされておるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
#65
○武部委員 先ほどのガスの問題については、若干違いはありますが、私どもの金額と合うのですよ。ところが、何で電力だけこんなに違うのだろうか、その点が非常に理解できない。
 そこで、あと大事な話をしなければいかぬので、私の疑問に答えてあなたが提出されたのを持ってきておりますが、円高差益がいまおっしゃったように上期は、北海道はマイナスですが、あと全部加えて五百一億ですね。この円高差益の五百一億というものが出た根拠がここに書いてありますが、これは非常に複雑な計算方法で、「五十五年度上期平均通関CIF価格掛ける為替レート差掛ける五十五年度上期実績購入数量マイナス……」とありますね。では、これに全部数量が書けますか。あなたの方で数字が書き込めなければこの五百億は出てこないのだから、恐らくここに数字があると思うのですよ。数字を全部掛けたり引いたりして、そしてイコール五百億となっているのですよ。そうすると、これは全部数字を書けますか。もちろん書けなければうそなんだ。出てくるわけだから、それを掛けて。それでは北海道を抜いた八電力の算出というのを資料としてお出しいただけますか。そうしたら私は納得しますよ。
#66
○植松説明員 お答え申します。
 先ほど来の議論の根底にございますいまの資料でございますが、これはそれぞれ上期における各社別の燃料使用実績に応じて積み上げたものでございます。各社それぞれの燃料使用実績はまちまちでございますし、購入している先等も違いますので、それぞれ積み上げをしなければならないので、簡単に各社別というのがぴったり数字が当てはまりませんが、一応考えられますことは、たとえば五十五年度上期の平均通関CIF価格というのが全日本で申しますと三十三・四ドル程度、為替レート差は先ほど先生のおっしゃっておられた数字、ただしここで重油の方につきましては反映に若干時間がかかるということで、タイムラグを前提にいたしまして試算をいたしてございます。
 それから、実績購入数量の方は各社それぞれまちまちでございますので、なかなか資料御提出というのはむずかしゅうございますが、全体として申しますと、先ほど約六百七十億と申しましたが、正確に申しますと、CIFアップ控除前のいわゆる円高差益分が六百七十三億円、それからCIFアップ、つまり原油価格の上昇分が百七十二億円、差し引きまして五百一億円。ただし、六百七十三億円という数字が非常に小さいという御指摘がございますが、これは先ほど申しました重油等精製過程を通りますものの円高差益分の反映に若干時間がかかるということで、その辺を一定の前提に置いて各社試算してございますので、それで少し少なく出ている、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、五十五年度全体といたしましては決算が固まりますとその辺の数字がはっきりしてこようかと思いますので、各社にそれぞれ大体五十三年度にやりましたと同じような方式で差益分というのがどのくらいになるかということを明らかにするよう指導してまいりたい、こう考えております。
#67
○武部委員 時間の関係でこれをやっておったのではぐあいが悪いから、保留しておきましょう。この次にまた説明をひとつ聞かせてください。結構です。
 私はこれから公取委員長、それから通産省に、五十五年九月二十六日に東京高裁が出しました石油やみカルテル裁判に対する判決についていろいろお伺いをいたしたいと思います。
 今日、わが国の経済並びに国民生活にとって石油というものは欠くことのできない重要なものであります。この判決の持つ意味はそういう意味で大変重大だ、私はこう思っておるのであります。ここに判決文がございますが、非常に膨大なものでありまして、全部になかなか目を通すことはできませんが、問題点になったところだけは目を通したつもりであります。
 先回もこの委員会で同僚委員から通産省の見解について発言がございました。議事録を見れば一番よくわかるので待ったのですが、きょうの午後でないとでき上がりません。しかし、私は同僚委員の発言と通産省の答弁をここにちゃんと、当時メモしておりましたので、大体間違いのないところだけは記入しておると思いますから、これも参考にして聞きたいと思います。
 この判決が出ましてから、前回申し上げましたけれども、通産省の天谷審議官が文芸春秋に十八ページもの論文を書かれました。内容はこの間申し上げたとおりです。独禁法はアメリカのまねだというようなことがあの中に書いてあるし、いろいろなことがございましたが、それはそれとして、これは通産省のあの判決に対する反論ではないかということを私は申し上げました。その後、今度は公正取引委員会の事務局官房の安田参事官が天谷論文に対して反論を同じように文芸春秋に出されました。これはそう長いものではございませんが、私も拝見をいたしました。そういう中で、今度は三月十六日付で「独占禁止法と行政指導との関係についての考え方」という文書が公正取引委員会から各省庁に示されました。十六省庁というふうにこの間答弁がございましたので恐らくそうだろうと思いますが、こういうふうに出されたということを承知いたしました。
 そこで、先般の当委員会において文書が取り上げられたときに通産省の説明を聞いておりますと、こういう答弁がございました。行政指導の有効性を重視して出した、こういう話でございました。それから、公取と意見を交換して出したので見解の差はないと思う、こういう答えがございました。これに対して今度は公取の側からは、カルテル判決を参考にして、誘発するおそれがあるものは何であるかということを出したのだ、こういう答弁がございました。また、通産の考え方は三十年代と違っているし、カルテル判決後変わったと思う、こういう発言がございます。これはきょう議事録ができればよくおわかりですから、私はメモしたことを述べておるのであります。そういう意味のことを述べられました。また、公取としては、通産の行政面で変化があるのではないかと思っておる。また、交通信号にたとえておられましたが、青、黄、赤の交通信号を例に挙げて、経済行為には色弱があるというたとえでありました。その色弱を明らかにしようとするものが公取の見解だ、こういうことを述べられました。同時に、公取としては産業界あるいは産業官庁に警告したものであって、今後もしっかりやる、どういう決意のほどを述べられました。いま私が述べた両者の言い分、私ども聞いておったわけですから、その言い分を聞いておっても根本的に考え方に食い違いがある。そのやりとりを聞いておった者はだれしもそういうふうに聞いたと思います。私はそう聞きました。もう一つ、通産省は、共謀してやったことはないし、行政指導には細心の注意を払ってやってきたし、今後もやりたい、こういう発言がございました。私のメモした点を抜粋すると大体主なやりとりはこういうものでございました。
 ところが三月三十一日、参議院の予算委員会の分科会で橋口委員長はこう述べておられるのであります。これは議事録をここへ持っておりますから読めばそのとおりですが、通産省の文書は「私どもは事前に拝見をして調整したものではございませんから、これは通産御当局のひとり言というふうに理解をいたしておるわけでございまして」云々、こう述べておられるのであります。
 片一方通産省は、先ほど述べたように、公取と意見を交換して出したもので見解の差はないと言う、片一方はひとり言だとおっしゃる、これは全く私どもここでいろいろなことをお聞きをし、また議事録を見ておる者にとってはまことに不可解であります。しかも三月十六日の公取のああいう見解が出た間髪を入れず、その翌日ですか、この通産の文書、ここにありますが、出ておるのであります。私は表現の仕方が下手でございますからたとえが悪いかもしれません、あるいは失礼なことを言うかもしれません、この点はお許しをいただきたいのですが、このやりとりを聞いておって、この二つの文書、ここにあるわけですが、一日置いて出された文書に大変な食い違いがある。きょうはそこに一緒におってもらって大変言いにくいかもしれませんが、遠慮なしに発言をしていただきたい。私たちも遠慮なしに聞きたいのです。そうでなければ、一つの判決をめぐってそういう見解があちこちで文書に出されたりして大変迷惑だと思うのです。意見の食い違いは意見の食い違いで結構ですから、自分の意見は堂々と述べていただいて、そうしてよりよい結論を出すということが最も望ましいことだと思って、私はきょう公取と通産と一緒に来ていただいた。エネ庁の長官は何か商工委員会の方で来られないそうでございますから、神谷審議官においでいただいたわけですが、私は冒頭にそういう点が大変不思議だというふうに指摘をしたいのです。
 もう一点は、通産省はこういうことを述べておられる。四十八年末の石油ショックの際に、石油業界が千載一遇のチャンスというような言葉を使って価格を引き上げた、この石油業界に対して通産事務次官は、諸悪の根源だということをお述べになった。われわれは報道を通じてそれを知りました。当時この言葉は大変はやったのです。諸悪の根源、これが石油業界だ。石油業界の体質を次官はそのように表現をされておった。われわれは記憶に新しいところであります。そうして、この判決が出てから石油業界はどういう態度をとっておるか。当委員会に参考人として石連の会長の永山さんにおいでいただきました。そのときに永山会長は何と答弁されたか、ここに議事録もございますが、私は抜き書きしてきておりますが、こういう答弁であります。価格に関するガイドラインの案を業界側が通産省に提案して、そして通産省の指導案、ガイドラインというものを決めていただいた、そして、そのガイドラインに即してそれぞれの石油会社が製品価格の調整をしたということで、要するにあくまで通産省の行政指導を仰いで、それによって価格調整をしたというのが私どもの信念である、したがってこの判決は不服だ、こういうことで、日本石油を除いて全部が上告をしたのです。全くこの発言のとおり反省の色はみじんもない。たとえは悪い、言葉も悪いかもしれませんが、われわれはあの言葉を聞いておって、これこそまさにトラの威をかるキツネだと私は思いました。そういう発言と態度がこの石連の会長の答弁で出てきた。こういう背景の中で間髪を入れず通産省が翌日にお出しになった、こういう前提に立って私はこれからお伺いをしたいのであります。そういう背景があるということから私は以下お伺いをいたしますので、御答弁をいただきたいのであります。
 まず最初に公取委員長にお伺いをいたしたいのでありますが、法律的に根拠があるとかないとかということがいろいろ言われておりますが、法律的に根拠がない行政指導で強制力を持っているものは、これは独禁法以前の問題、らち外だ、こういうふうに私は思うのですが、委員長の見解を聞きたいのです。なぜこういうことを言うかというと、わが国におけるところの行政指導に強制力があるかないか、これは非常に微妙です。これは背景があるからであります。強制力があるかないか、これが微妙だというのは背景があるからです。その背景とは何でしょうか。私どもの理解によれば、少なくともわが国の産業官庁を中心とした行政の中でお上の御意向に逆らったら産業政策上から必ずしっぺ返しが来る。それがどういう形で来るかと言えば、補助金で来る、あるいは外貨の割り当て、助成金、交付金あるいは利子補給金、そういうものが待ち構えておる。したがって、新しい政策が出されたときには従っておらなければかやの外に置いてけぼりにされてしまう、そういう背景がわが国にはある。そういう点から考えて非常に微妙な問題ですが、――微妙になってしまっておる。したがって、私はいま委員長にお伺いしたいのは、法律的に根拠のない行政指導で強制力を持っているのは独禁法の以前の問題、らち外の問題だというふうに思うのですが、委員長の見解をひとつ聞きたいのです。
#68
○橋口政府委員 行政指導に強制力があるかどうかという問題につきましては、これは行政指導を行われる産業官庁の御意見を拝聴しません場合にははっきりしたことは申し上げられないわけでございますが、いろいろな形で、いまおっしゃいましたような補助金とか外貨割り当てとか融資とか、そういう形で行政指導の実効が確保される、こういう場合に独禁法との関係はどうなるかということでございますが、独禁法はあくまでも行政措置でございますから、いろいろな形で事実上の強制力がある行政指導によりまして、その結果として民間事業者の間にカルテル等の行為が行われれば、これは容赦なく摘発するのが独禁法のたてまえでございますし、摘発した結果に基づきまして審査をして、そういう事実があれば当然是正命令なり排除勧告を出すのが法律の趣旨でございますから、事実上強制力があるかないかという問題は独禁法の施行とは一切かかわりはございません。
#69
○武部委員 そのように見解を述べていただいて結構です、私もそう思っていますから。ただ、背景にそういうものがあるということを全く無視して話を進めるわけにはいかない、ということはこれから申し上げますし、前段に先ほど申し上げたようないろいろな行き違いがあるというのはそこに私は起因しておるというふうに思うからこそこの問題を質問したわけであります。
 そこで、具体的にお伺いいたしますが、判決文を読みますと、今回の判決で非常に重要なことは、設置法による行政指導は全く問題外としておるところであります。この判決文には設置法によるところの行政指導、これは全く問題外にされておる、これを指摘をしたいのであります。設置法というのは、私どもの理解によれば、これは事務の分配を定めるところの法律だ、こういうふうに理解いたします。
 今度の裁判では、行政庁が行政指導を行うところの根拠法規、その根拠法規は行政作用法を根拠としておる、つまりあそこでも話が出ましたけれども、石油業法であります。石油業法がその根拠法規である、このように理解いたします。その石油業法によりますと、勧告を行う前段階における行政指導であっても、ここに石油業法の十条二項がございますが、十条二項に言う厳しい条件、つまり「石油供給計画の実施に重大な支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認める」場合に限られておる、こういうふうにこの十条二項の中にも前段に厳しい条件がある。したがって行政作用法によってする生産調整、この行政指導にはこのように厳しい枠がはめられておる。しかるに、行政配分法にすぎない、事務の分配を決めておる設置法によって、法的な根拠もなしに生産調整の行政指導ができるはずがない、このように思うのですが、公正取引委員会と通産省の見解をひとつ聞きたいのであります。
#70
○伊従政府委員 御指摘のように石油業法の十条二項には「石油の需給事情その他の事情により、石油供給計画に重大な支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは」生産計画の変更を勧告することができるという規定が設けられておりまして、これは判決におきましても、これの発動の場合にはもちろん独禁法違反にはならない、これの正式の発動ではなくて、手続的にこの十条二項に基づく正式の勧告をとれないで、それでこの要件がある場合に行政指導するという場合については、これは石油業法の運用と考えられるという形で述べていると思いますので、私たちの方もその点につきましては、その判決の考え方を踏襲しまして、行政指導のできる範囲を、この前から問題になっております「独占禁止法と行政指導との関係についての考え方」の中で述べております。
#71
○神谷政府委員 まず、今回といいますか、本件の対象になっております判決が石油業法の勧告その他業法の規定する事項に関連して議論されておる部分がほとんどであるということは、案件の性格上当然のことと思いますし、また私どもも判決を読みます限りにおいて、石油業法あるいは行政作用法に基づかない行政指導に関して特別言を挙げて論じていないという点に関して、特に異論を唱えるというものでもございません。
 しかし、そのことが直ちに行政作用法に基づかない行政指導の存在を否定するものであるというふうには考えておりませんし、また判決のいろいろな、いわゆる論旨の運びの細かなところからも、そのような意図が浮かび上がってくるというふうにも考えておりません。
 行政指導そのものに関しましては、昭和四十九年三月二十六日、商工委員会での法制局第一部長の答弁にもございますように「行政機関が、それぞれの設置の根拠である法律により与えられた任務」「または所掌事務の範囲内において、行政の相手方の協力を得て一定の行政目的を実現されるように、一定の作為または不作為を求めて慫慂し誘導することをいう」こういうことでございますので、政府の見解として作用法がなければ行政指導ができないというふうには全くこれまでも考えておりません。先ほど申し上げましたように、この判決そのものが、業法にのみ根拠を求める行政指導について明示的にこれを否定しあるいはインプリケーションとしてこれを否定するものがない以上、この考え方は全く変わることがないというふうに考えております。
 むしろ判決文の理由説明の中には逆に、通産省は石油業法等に従い石油関係の行政を行う任務を有するのであるから、その行政目的を達成するため必要な限度において行政指導を行うこと、すなわち石油業者等に対し特定の事項につき任意の協力云々等を働きかけることは、その指導の内容が法令に違反しない限り、実質上不当な手段によるものでない限り許容されるべきものであると解すべきでありという叙述もございますので、私どもの方といたしましては、この判決によって従来の考え方が特に変わるものとは考えておりません。
#72
○武部委員 ここのところが違うと思うのです。私がいま言ったように、設置法という法律とそれから先ほど申し上げたような石油業法という具体的な法律と、その点についてこの判決文というものの読み方といいますか、それがちょっと違うのです。ですから、この判決の基本となるものは、設置法というものは全く度外視してしまって、いわゆる事務の分配というようなそういう設置法ではなくて、具体的な行政作用法によるところのものでさえも厳しい条件があるのにという、私はそこのところが違うと思うのです。このあなたの方の文書の二枚目の真ん中の方にございますが、確かに「内閣法制局及び学界における」と書いてありますが、「通説」ということで「設置法に定められた所掌事務の範囲内で行うことができるとされており」とこういうふうに書かれておりますが、この判決から見ると、私はそのようにとれないのですがね、もう一遍、ちょっとあなたの見解を。
#73
○神谷政府委員 まず私ども通産省の「行政指導についての考え方」という文書あるいはここの中で述べておりますことは、先ほど先生が例示されました公正取引委員会の五十六年三月十六日付の考え方というものを念頭に置いてここに書いておるわけでございまして、公取委員会のこの考え方というものは、設置法に基づく行政指導ができるかできないか、あるいは行政指導というものは行政作用法に基づくものでなければならないのかどうかということを論じているものではない。むしろ行政指導と独禁法との関係を論じておるものである。あるいは行政指導と独禁法というよりも、むしろ行政指導というものがあって、その結果生ずるカルテル行為その他、民間で行われるカルテル行為その他が独禁法にどのような抵触をするのかしないのか、あるいは行政指導があることによってそれがどう左右されるのかされないのか、あるいは委員長も言われましたように、このような行政指導の場合にはこうなる蓋然性が非常に強いから注意した方がいいのではないかという親切心といったようなものがここに述べられておるものである。したがいまして、その際にここで私どもが考えております考え方として、公取が、作用法に基づく行政指導はいいが設置法に基づく行政指導は悪いというようなことを言われるはずもないし、またそのような判断をされるはずもないと考えておるわけでございますが、たまたま二つに分けて書かれておりますので、行政指導そのものが、作用法に基づかない行政指導というものは本当にできるのかできないのかというような誤解が出るといけないので、それを通産の立場から補足する意味でこのように書いた、こういう趣旨でございまして、おのおのの行政指導と独禁法との関係というものはまたそれなりに議論されるわけでございますけれども、私どもの見解といたしましては、いずれにしてもどのような行政指導であっても、その行政指導を受けてそれに関連して事業者が共同行為を行えば独禁法違反になるという公取の考え方に特段の異論を差しはさんでいるものではございません。また、公取委員会の見解も突き詰めればそこに帰着するのであって、設置法に基づくものであるか作用法に基づくものであるかということをここで特に議論せねばならないのかどうかということに関しては、このような議論をここで特にしなければならない原因というものはこの判例の中には出てきていないのではないかという趣旨で先ほど申し上げたわけでございます。
#74
○武部委員 なかなか専門的な――あなたの方が御専門だから私はよくわかりませんが、私はそのようにこの判決の本質をとったのです。したがって、もし通産省が行政指導をやらなければならぬというようなことがあるとするならば、それは石油業法なり、あるいは当時はありませんでしたが、その後できた例の国民生活二法というものがあるのですから、そういうものでやればいいではないかというふうに私は簡単にもう単純に、そんなむずかしいこと言わなくたってちゃんと法律があるのだし、石油業法について、あるいは石油の価格について量についてみんなあるのだから、その法律を根拠にして行政指導をやればいいではないか、このようにこれをとっておるのですよ。そういう理解の仕方をしたからいまの問題を提起したのですが、それでは具体的に一つお伺いをいたしましょう。
 このあなたの方の文書についてのやりとりが衆参両院の予算委員会で若干されております。その議事録を私は見ました。見たが、問答の中で、どうもよく理解できません。そこで、通産省にお伺いをしたいのですが、この通産省の文書の一番最後の(2)のところに「公取委は、見解の中に引用してはいないが、個別事業者に対する行政指導については、石油カルテル判決においても、「個々の事業者に対し、個別に指導を行う限り、独占禁止法の禁止規定に形式的に違反する行為ではありえない」と明確に示されており、これは、当省の考え方と同様である。」、こういう文章が出ていますね。「禁止規定に形式的に違反する行為ではありえない」というふうに明示されておって、これは自分のところと同じ意見だ、こういうことがここに書いてあるのですが、これはこの判決の一部を自分に都合のいいところだけ引用して述べておるというふうに私は見ざるを得ない。なぜならば、なるほどいまのあなたのおっしゃったことはこの判決文の「行政指導と独占禁止法」というところに、その文章がありますよ。問題はその後です。その後はカットして全然その文書の中に書いてない。この後が重要なんですよ。この後から次のページが重要なことだと私は思うのです。それを読んでみますと、
  問題となるのは、通産省が多数の精製業者に対し、一律に原油処理量(製品生産量でも同じである。)を制限する基準を定め、又は個々の業者の原油処理量を指示した割当表を示してこれに従うよう指導する方法である。この方法は、個別的指導を一括して行なったものと見る余地はあるが、各業者は他の業者もこれに従うことを前提としてのみ従おうとする場合が多いであろうから、業者間の共同行為を招く危険がある。これが行なわれた場合、業者の行為のみが違法であるとは言い難いであろう。また、このような方法は、国家統制的な色彩が強く、営業の自由の侵害となる疑いを生ずる。
ここのところがあなたの方の文書には抜いてあるのですよ。そして、しかもその後にもう一つ飛んで、
 しかもそれは、ほとんど常に共同行為を招くことになる上、事業者団体に対し独占禁止法八条一項一号に形式的に違反する行為を指示することにほかならず、石油業法がその運用として本来そこまで予定しているものとは解し難い。石油業についても、独占禁止法の定める不況カルテルの要件を満たすに至り、共同行為を必要とするときは、正規の手続をふみ公正取引委員会の認可を受けてこれを行なうべきであるというのが法の趣旨であると解される。したがって、右のような行政指導は、一般に許容されないものといわなければならない。
と、これに書いてあるのです。ここが一番大事なのに、この前のところだけここのところに書いて、当省の考えと合致する、これはちょっといただけないと思って私は読んだのですが、いかがでしょうか。
#75
○神谷政府委員 まず私どもの文書は、先ほど申し上げましたように、公取の十六日付の文書に関連したものでございまして、公正取引委員会のこの文書では、先生がただいま私どもの方が意図的にスキップをしたとおっしゃった部分がかみ砕いていろいろ書いてあるのです。むしろ、ここのところを各省に説明するために公取はこの文書を準備されたのではないか、あるいは策定されたのではないかと考えられるわけでございますので、そこを繰り返して私どものペーパーで引用し、あるいはこれについて公取と同様の見解をここで述べる必要はないと考えておるわけでございます。むしろ、これらの判決の内容、そこから出てくる行政指導と独禁法との関係に関して公取事務当局といろいろ議論をいたしました際に、前回の当委員会においての答弁でも申し上げさせていただきましたが、考え方に基本的な大きな両者の開きはありませんが、公正取引委員会は公正取引委員会の立場というものがございますし、私どもは産業官庁としての立場というところに立っておりますので、本質的に同じと思われるようなものも、見ておる場所が違いますと陰影が若干異なってくるかもしれない。こういう意味で、私どもは行政指導の重要性、有用性を非常に重視するという観点から言えば、個々の事業者に対して個別に指導を行うのは形式的違反行為ではない。しかし公取はその後に、同公取の文書の中で1の(2)で述べておられますように、しかしそういう場合でも若干の危険はあるのですよということを言ってある。私どもは、そこの若干の危険があるというところのみを出されるのではなくして全般を出されたらどうかというのがわれわれの考え方でございます。公取の方は、それでは注意喚起の観点から必ずしも適当でないと考えられたのかどうか、その理由は私は知りませんが、公取の方からはその前段部分は落とされた。したがって、私の方はその前段部分がありますよということを、省内に今後の行政の指針として、判決を読めばわかることでございますけれども、思想統一上の文書の中にこれを盛り込んだということでございます。公正取引委員会自体も判決のこの部分に関して特に否定するものではないというふうに考えており、その点でも基本的な見解において変わりはないと思う。
 ただ、ちょっと蛇足でつけ加えさせていただきますと、そういう文書でもあるにかかわらず、公取はこの文書は通産省のひとり言ではないか、事前に調整などはされてはいないのではないかという御指摘が冒頭にございましたので、それについていまの答弁に関連してお答えさせていただきますと、公正取引委員会とは、先ほど申し上げましたように、特に事務当局と、この判決とそれに関連しての独禁法並びに行政指導についての考え方のディスカスは何回もいたしました。その議論の中で、われわれとしては基本的な考え方にそう相違はないなという理解に双方達した。しかし、先ほど申し上げましたように若干の陰影はある。それを踏まえて、公取は公取の立場からこの文書を出されたわけでございますから、この文書の中にはわれわれの考え方は相当、恐らく議論の結果はそれなりに反映されているのではないかと思いますので、私どもとしてはこの文書に関しては、公取の出された文書ではございますが、その前にいろいろ議論はした、こういう前提で踏まえております。しかし、さっき申し上げましたように若干の陰影の違いがございますので、私どもは省内用に、私どもが従来主張していたことを私ども単独でペーパーにいたしまして、これを省内の思想統一用に使うとともに、求めに応じて配付をした、こういうわけでございますので、前回の委員会でも申し述べましたが、基本的に考え方の差がないというのは議論を通じてでございまして、このペーパーに関して公取と協議、調整の上にうちが出したというものではございません。
#76
○武部委員 私はいまの発言にちょっと納得できません。この賢明な公取委員長が国会の場で、通産の見解をひとり言と言われるのはよほどのことがなければそういうことは言われないと実は思うのです。これはよその委員会の議事録ですから、それを見て、やはりそうかなというような気がしたのですが、いまの通産省の答弁を聞いておられまして、一体公取としてはどういうお考えでしょうか。私ちょっと見解を求めたいのです。
#77
○橋口政府委員 三月十六日の「独占禁止法と行政指導との関係についての考え方」という文書は、一カ月以上にわたりまして関係省庁と公正取引委員会の事務局と意見の調整をした結果生まれた文書でございますから、これは当委員会でも前にお答えいたしましたように公的な文書でございますし、また公取委の事務局長の名前で十六関係省庁の事務次官あてに正式に文書として出したものでございますから、いわば社会的に認知されたものであるというふうに考えております。
 それに対しまして通産省の御発表になりました文書は、いまお答えがございましたように、主として省内向けに作成されたものだということでございますから、ひとり言と申し上げてもよろしいと思いますし、独白というふうに申し上げてもよろしいと思いますし、通産御当局の自作自演であるというふうに申し上げてもそれは差し支えないと思います。ただ、それはいまお答えございましたように通産省の中における誤解をできるだけ少なくしようという善意から出ておるものだというふうに考えておるわけでございまして、したがいまして、通産省の御発表になりました文書それ自体を問題にするという考え方はございません。
#78
○武部委員 私は、いまの通産省の答弁なり、それから通産のこの文書を見ておりますと、判決に書いてある文字から見てこういう解釈が成り立つんだというような態度であるようにとったのです。問題は、この判決の奥にある行政指導の行き過ぎあるいは間違い、そういうものを指摘しておる点をくみ取らなければならぬのだ、そういうふうに思うのです。表面だけで自分の都合のよいようなところだけを主張するというようなことは、この判決を正しく理解をしておらないというふうにしかとれないのです。
 そこで、それはそれとして、先ほどこの判決文を読み上げましたけれども、この中で「業者の行為のみが違法であるとは言い難いであろう。」これは前回の委員会でも私ちょっと指摘をいたしましたけれども、このことは大変重要だと思うのですよ。なぜこういう文章が判決文の中に出てきただろうか。これは、私は通産省の行政指導に非常に大きな責任があるように思うのです。このことは、カルテルという独禁法上の犯罪でもし訴追された場合、違法行為を教唆し個別の行政指導を行うに至った通産省の担当官の犯罪になり得ることを指摘しておる、この文章はこのように理解しなければいかぬのですよ。したがって、このように判決は明確に通産省の行為を批判しておる。にもかかわらず、これからも通産省としてはこの個別指導を行うことは間違いないと考えておられるのか。この点は大変大事なことであるから聞きたいのです。
 そこで、これまた公取委員長の発言を引用いたしますが、同じように三月三十一日、質問に答えて委員長はこう答えられておりますね。これは参議院の予算委員会であります。「民をあみするような行政は御遠慮願いたい」という発言をしておられるのですよ。これはどういうことでしょうか。私は本質を言われておると思う。「民をあみするような」というのは、これはちょっと私どもの年代の者でなければわかりませんが、「民をあみするような」という言葉を吐かれて「御遠慮願いたい」、これは通産省に対して端的に指摘をされておるのですよ。警告を発せられておる。私はそういうように思うのですが、いかがですか。
#79
○神谷政府委員 判決の中のこの部分の読み方というのは非常にむずかしいと思います。論旨の運びをこの文の中から推察せざるを得ませんので、私も裁判官がどういう意図で書いたものであるかということを正確にここで申し上げる自信もございませんし、それだけの材料もございません。ただ言い得ることは、それに従ってたまたま独禁法違反というような事態に陥るというようなことになれば、やはりその原因行為そのものに関して、業者に対してある程度同情的な感情をこの裁判官が持っておったのではないかというふうに考えるわけでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、行政指導は本来法律上は法的な強制力のあるものではございませんし、それに従うか従わないかは、結果的には、終局的にはその関連する事業者の判断の問題でございますので、法的にどうこうとか、あるいは先生御指摘になったような犯罪になるというようなことになるのかどうか、これは法律論としては私疑問がございます。しかし、行政上の責任の問題といたしましては、私ども行政指導をしておきながら、それを後になって非難をされたり、あるいはその欠陥を指摘されたからといってその責任を回避すべきではないという意味においては十分の責任と、ある意味においては将来に対する危険性を腹におさめながら、やはり公益上必要だと思って常日ごろ毎日行政指導をやっておるわけでございます。今後もそういう観点からはやはり行政指導は行わざるを得ないと思いますし、それに関しては行政としての道義上の責任というものを十分踏まえた上でやっていく。したがって、できるだけ細心に、しかも大方の世の中のいろいろな議論というものを十分拝聴した上で、公共のために、国のためになるという場合であれば、作用法に基づかない、設置法に基づく行政指導であろうとも、やはり行政指導は行わなければならないと考えております。
 先ほど先生御指摘のように、確かにいろいろな法律はございますので、われわれも法律のある限りにおいてはそれを使って行政を行いたいし、それに基づく行政指導を行いたいと思いますけれども、世の中はまさに変化は著しいばかりでございまして、非常にスピーディーに動くわけでございますから、新しい事態が起きてそこで何か法的な手当てをしなければ行政は全く物を言ってはいけないということでは、日本の社会経済というものは円滑に進まないだろうと思いますし、前回も申し上げましたが、ほとんどの委員会において、法律に基づかない行政指導をやれやれという御要請が毎日のようにわれわれのところに来ておるわけであります。それはやはり国家目的、公共利益のために行政機関がそのように行動することが適切であると立法府の先生方も判断をされて、われわれにそういう要請をされているんだろうと思います。もちろん要請をされたからといって、その結果に対しての責任というものを全く無視し、あるいは回避して行政指導を行うつもりはございませんで、行政府として、われわれとしてできるだけの材料を集め、できるだけの判断をし、かつ相手方の協力を得た上で行政指導を行っていきたいと思っております。
 したがいまして、判決の先ほどの部分にありました文脈というもの、これに関して正確にお答えはできませんが、そこから浮かび上がってくるような問題というものは、行政指導を行う行政官庁に非常に重い責任が課せられているものと受けとめて今後の行政に生かしていきたいと思っております。
#80
○武部委員 あなたの言わんとしておる、通産の言わんとしておるいまのそこのところが問題点だと思う。しかし、あなたがおっしゃるように、ほかの議員が何か行政指導をやれやれと要求してと私に言われたって、大きな迷惑で、それはちょっと別な問題であります。私はそんなことを一つも言っておらぬのだから。ほかはどうか知らぬが、われわれはそんなことは一つも言っておらぬ。したがって、これが問題なのはそこなんですよ。あなたが言わんとするいまのところが、私は通産と公取委との違いだと思うのです。
 そこで、それならばもう一つお聞きいたしますが、この見解の中の一枚目の下の方、「公取委員解について」、「今回、公取委が明らかにした「独占禁止法と行政指導との関係についての考え方」について、当省は次のように考えている。独占禁止法は、「事業者の行為」を規制するものであり、行政庁の行為を規制の対象とするものではない。」こういうことを言っておるわけでありますが、私は、先ほども質問いたしましたけれども、なぜ個別指導だけをとりたてて「独占禁止法の禁止規定に形式的に違反する行為ではありえない」と強調する必要があるか、ここのところが問題なのです。あなたの方はなぜそういうふうに、「独占禁止法の禁止規定に形式的に違反する行為ではありえない」と強調する必要があるか。通産省は、個別指導を行えば事業者は独占禁止法の違反として問われない、カルテルを招かないというふうに考えて、これまでどおり通産省としては価格や生産制限について個別企業ごとに行政指導を行う、そういうことを考えておられるのですか。あなたの方はこれからも価格や生産制限について個別企業ごとに行政指導を行おうと考えておられるかどうか、これを伺いたい。
#81
○神谷政府委員 正確に申し上げますと、むしろ先ほど申し上げましたような国家的見地から、あるいは公共上の必要性から行政指導を行わなければならない。特に価格あるいは生産等に関して行政指導を行わなければならないようなときには、独禁法に形式的に抵触するような方法は避け、個別行政指導という方法をとる等、とっただけでは十分とは思っておりません。とる等細心の注意も払いながらやっていく必要があろうというふうに考えております。
#82
○武部委員 私は、行政指導をこれからもやろうやろうということがこの中に随所に目につくのです。ですから、片一方の方は独占禁止法と行政指導と、判決の中にも非常に問題点が次々と指摘をされておるという中で、注意をしてやろう、これからは細心の注意をしてやろうという、そのこともわかりますけれども、しかし現実にどうも余り注意してやるような意思じゃないんじゃないか。これは大変言葉が悪いけれども、この間のやりとりを聞いておっても、何をとぼけたことを言っておるか、これほど揺れ動く、いまたまたまおっしゃったけれども、揺れ動く経済界、産業政策、産業界の中において、そんなこと言っておったってやれるか。おっしゃるように、後ろの方からはほらやれやれとつつかれるしというので、現実に即応して産業官庁はやらなければならぬのだ、こういうことで、公取がこの判決に基づいて見解を出したが、ああそれは勝手に公取の一人相撲だ、うちは現実にやっているんだから、こういうことでこれからも注意はしますが、まあやりますわい、こういう態度にしかとれないのですが、そうでございますか。これは言葉が悪いけれども、そうとしかとれない。
#83
○神谷政府委員 確かに私どもの官庁は経済官庁でございますので、行政指導という手段というものが非常に重要であるということは、もう先生御指摘のとおりでございます。しかし、だからといって、重要であるから独禁法などはどうでもいいなどと、この法治国家でございますから行政機関がそんなことをとうてい考えているわけでもございませんし、公取の出された見解というのは、やはり独禁法を所管する官庁がそれなりにいろいろ御議論されてつくられたものでございますので、われわれとしては十分そういうものを熟読玩味した上で、公的な必要性と法治国家としての独禁法の存在というものを両者にらみながら、この中の調和点、細い道を通っていきたいと考えております。全くそういうものは聞く耳持たぬというようなことは全然ないわけでございます。現に通産省は、他の経済官庁を引き合いに出すと怒られるかもしれませんけれども、相対的に独禁法というものあるいはいろいろな行政的な措置が独禁法にどう関連するかというようなことを省内自体でも非常に多く議論されておる役所ではないかというふうに考えております。
#84
○武部委員 いまのことはそれでいいのですが、いいことはないが、それはちょっと……。
 公取委員長、私はさっきあなたのおっしゃったことを引用いたしましたが、これは非常に大事なことなんですよ。ちょっとあなたの方にお聞きしたいんだが、判決文の中に「業者の行為のみが違法であるとは言い難いであろう。」こういう判決は私どもの承知するところでは余りないと思うのです。したがって、あなたがおっしゃった、正確に言うと、――これは大変大事なことを言っておられるので、議事録から正確なことを言わないといけないな。三月三十一日の例の参議院でこういうことを述べておられますね。「いわゆる各省設置法に基づいて行われる行政は、ともしますと内容が明らかでなかったり、あるいは密室の行政であったりして後で問題を起こすわけでございまして、その結果として仮に事業者問に独禁法違反の行為があります場合には、これは民間事業者は独禁法違反としての処分を受けるわけでございますから、民をあみするような行政は御遠慮願いたい」これは一カ所でなしにほかにもあったのですよ。どういう御見解でこういうことをお述べになったか、ちょっとこれをお聞きしたいのです。これは大事なことだと思います。
#85
○橋口政府委員 問題は刑事法の領域の問題とそれから行政法規のレベルの問題と、二つあるというように思います。
 刑事法の問題、つまり刑事法の適用の問題の案件としましては、昨年の九月の高裁の判決の中にも、いまお読みになりましたようなことが言われているわけでありまして、これは石油事件につきまして公正取引委員会が、専属告発権に基づきまして検事総長に対しまして告発をしました際にも、衆議院の法務委員会で質疑応答がございまして、たしか稲葉委員であったと思いますが、当時の刑事局長に対して、事件の進展いかんによっては、行為者だけでなくてこれに関与した人間の犯罪という問題も生ずるのではないか。ちょっといま突然の御質問でございますからあるいは不正確かと思いますけれども、そういう趣旨の質問をされまして、刑事局長は、そのとおりであるということをおっしゃっておるわけでございます。したがいまして、私は参議院の答弁の中でも、教唆とか従犯とか、そういう刑事法の領域の問題として将来生じ得ることがあるかもしれないということをたしか申し上げたと思いますけれども、これは私がお答えする領域の問題を越えておりまして、本来であれば法務省なりあるいは刑事局の見解として表明されるべきものでございますけれども、高裁の判決を読みました限りにおきまして、そういうインプリケーションと申しますか、そういう含意もあるのではないかということを申し上げたのでございます。
 それから第二の問題は行政法規のレベルの問題でございまして、これは独禁法の施行の問題でございますから、行政指導の当事者が関与しようがしまいが、そういうこととかかわりなく、失われた独禁法秩序というものをできるだけ迅速に回復するというのが独禁法の使命でございますから、そういう観点から、先ほど申しましたような是正命令とかあるいは排除措置とかいうものを、これは何ら顧慮することなく出してまいることが必要でございまして、失われた自由経済の秩序というものをできるだけ早く回復するためには、行政指導の当事者が関与しておられるかおられないか、全くの民間事業者の発意であるかということにかかわりなく、法の施行として当然行われるべきことではないかというふうに考えておるわけでございます。
#86
○武部委員 この見解をあなたにお聞きしたかったわけです。
 そこでだんだん時間がなくなってきましたので、いま議事録をちょっと読み上げた中にもございましたけれども、行政指導というのがとかく密室性を持っておるというようなことが言われて批判があるわけですが、いわゆる指導内容、行政指導の指導内容を文書化する、そういうようなことの改善を通産省としてはやっておられましょうか。
#87
○神谷政府委員 行政指導と一言に申し上げましても千差万別でございまして、その性格あるいは強さ、程度、いろいろ異なって、対象も異なってまいります。したがいまして、すべての行政指導に関して、このような手続を踏んでだれがどういうふうにすべきであるというのを形式的に決めていくということは適当でございませんし、現実の行政にも即さないというふうに考えております。したがいまして私どもとしては、一般論といたしましては、その重要性に比例しながらできるだけオープンに、しかもできるだけ責任のあるところの事実上の決裁をもとにして行政指導を行うことが必要であろうと考えております。ただ、これを文書にして行うということに関しては、特に考えておりません。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、行政指導というのは結局説得行為でございます。説得行為というものと、一片のと言うと、非常に形容句を入れて言葉が悪いのですが、文書をぽんと出すということとでは、全く効果が異なりまして、文書による行政指導というものは私どもは効果が非常に減殺されますし、ぜひ実現したいという方向に事業者を誘導するということにもならないと思っておりますので、特段考えておりません。しかし場合によって、事業者等が要求する場合に文書を発出する事例というものはケースとしてはないわけではございません。
#88
○武部委員 文書による指導はやっていないということでございましたが、それならばこれはいかがなことでしょうか。ことしの一月十七日の日本経済新聞に大きな記事が出ました。これを写してここへ持ってきていますが、これを見ますと、「産業政策局がこのほど資源エネルギー庁、基礎産業局など産業界を所管する部局との間で「国民経済へ与える影響が大きい重要な問題や」、「影響が大きい重要な問題」とはどれが重要かよくわかりませんが、「競争を制限し、市場条件の変更を迫るような需要見通し」、これもちょっと「競争を制限し、市場条件の変更を迫るような需要見通し」、これは独禁法違反ですが、「価格、設備に関する行政指導は原則として課長以上が内容を文書にして行う」ことを申し合わせた。」こういう報道が一月十七日の日本経済新聞に載っていますが、これは全くうそですか。
#89
○神谷政府委員 その記事を私も読みましたが、具体的には産業政策局においてそのようなアクションを起こしたという事実はございません。ただ、先生御指摘のように、できるだけ密室性といいますかあるいはあいまい性というものを排除する意味で、文書でできるものなら文書でやった方がいいのじゃないかというようなことは、第一次オイルショックのころから内部でも主張する方もおられますし、できればそういう方向が望ましいという考え方もありますが、先ほど御説明させていただきましたような理由で、そういうことにしろというようなことを内規として各局に通達したというようなことはございません。
#90
○武部委員 不思議なことですね。こんな詳しい報道がなされておるわけですが、全くやっていないということは非常に不思議なことです。それはないとおっしゃればどうしようもないので、ただそういうことが現実に報道されていますね。これはそういう問題があったからこういうことになっておるのであって、これから申し上げますが、私も前回の委員会で二つの問題を指摘したことを覚えています。ですから、そういう点でこういうことをやられたのかなと思ったのですが、やられた内容がまたこれは問題なので、いま読み上げたことどおりなら、これはまた「重要な」とは何で、どこが重要な問題なのやら、それから独禁法違反の内容がここに書かれておるものだから、これは変だなと思ってお聞きしたかったわけです。
 私は前回の委員会でも申し上げましたけれども、通産省とそれから産業界というものとの結びつき、言葉が悪いが癒着ぶりというか、そういうことについて二つの例を挙げたことを覚えています。一つは、例の鉄鋼業界のことでありました。ここにも新聞記事で報道されておるとおりでありますが、通産と鉄鋼業界には月曜会という会合がある。正式名称は市況対策委員会総合部会というのですが、ここでは通産省の担当課長が毎回月曜日には出かけていって、司会役はこの担当課長、こういうことになっておる。このように通産省の課長が司会役をして、毎週一回こういう鉄鋼業界のメンバーを呼び寄せてやるというようなことは、これはちょっと密着し過ぎておるじゃないかという批判があるではないかということを指摘をしたことを覚えています。石油判決でも言われましたように、行政指導が行われたかどうかということが非常にあいまいだという指摘、したがって行政指導のあいまいさあるいは密室性をなくする、そういうために何かあなた方の方でそういう批判にこたえるような考え方をお持ちか、今後この行政指導のあり方、あるいは密室性があるんじゃないかといって非常に批判をされる、こういういま申し上げたような点について、改善策なりそういうものをお考えでしょうか。
#91
○神谷政府委員 業界と物資原局あるいは担当原課との関係が非常に密接であるということは、御指摘のとおりでございます。恐らく世界的に見ても非常に連絡のいい国ではないかというふうに考えております。物事は御指摘のように、一つのことはいいこともあれば悪いこともあるわけでございますので、われわれはそういう中からメリットを最大限に生かして、デメリットを最小限にしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 月曜会の運用というものも、私自身の経験も含めて申し上げれば、まさに非難されるようなことはなくて、むしろ基幹物資として非常に大事な物資、大事な産業と国、行政との意思の疎通が常時図られておるということは、経済の安定的発展のために非常に好ましいのではないかというふうに考えております。しかしそこで、ともすればいろいろいままでの議論の中から御心配になられるようなことが起こるのではないかということに関しては、それは責任の担当課長が十分心して行動をしていくべきものと考えておりますし、そういう疑念を起こさないようにふだんの実績で示していくべきだと考えております。したがいまして、こういう業界とのいわゆる意見交換その他をできるだけ離して、常時意思疎通もしないようにしておいた方がいいというような方向で行政指導についての改善は考えておりません。
 先ほど御指摘のように、行政指導というのは、とかくよくわからない段階であったのかないのかと言われるようなこともございますので、「重要な」ということがよくわかりにくいかもしれませんけれども、大事なものは責任のある者がやはり明確に指導を行うべきであり、その意味においてオープンでなければならないと考えております。しかし課長以下の者が絶対行政指導できないかと申し上げますれば、すでに省の方針として確立しているようなことに関して、具体的事象がやや事業者の行動等がそれた場合に、それに関してリコメントする等々は担当班長等が常時行うことであり、またそれは時期を失せず行うことも必要かと思いますので、そういうことまで否定するわけにはいかないと思いますけれども、一つの大きな考え方というものを省として出す場合には、責任者がしかるべき関係者と十分協議した上で明確に行政指導を行うべきものというふうに考えておるわけであります。
#92
○武部委員 時間が大分経過をいたしました。私は時間をかけて申しましたが、今回のカルテル判決に基づく公取の文書、これに反論する通産省の考え方、まあ反論ではないとおっしゃっておるけれども、明確にこれは反論だと理解せざるを得ないのです。天谷さんの論文そのものからまず出てきておるのであって、これは一連の流れがあってその中で出てきておる、こういうように私は理解するわけです。
 そこで、いまやりとりをしたわけですけれども、やはり公取の見解と通産省の見解には相当な食い違いがある。行政指導のあり方をとってみても、わずかな時間ですから最後まで理解できるようなことになりませんでしたけれども、いまのやりとりを聞いておってもそのように思います。しかも通産の文書というものは、これは部内向けだ、部内に徹底するための文書だと言いながら、これはだれにも手に入るものであって、われわれも手に入れておるわけだ。そうなってくると、通産省がこれからの産業界の問題についてどんな行政指導をしようとするのかというような点は、これが基本となると思わざるを得ないのです。
 そういう点から見ると公取との見解に大変差がある、このように理解せざるを得ないのであります。まあ言葉は別としてひとり言だ。今度は自作自演という言葉がございましたが、自作自演で片一方はやっておる。しかし現実にやるのは通産省がやるので、公取がやっておるのじゃないのですからね。通産省がやったのを公取がそれはおかしいじゃないかと言うことになるので、もとの方が勝手だというような態度でおやりになれば問題はさらに複雑になってくるわけですから、そういう意味ではいまのやりとりを聞く中で、あるいはこの文章の字面から見る点では、残念ながらこの判決文の本質というものを通産省としては的確に把握をしておられないのではないだろうか。その点がこれからの行政指導の面において、どうも余り違った行政指導をされないで、いままでどおりのことをやろうとしておるのではなかろうかというようにも推測されるわけであります。これはいずれまた具体的な問題が出れば明白になるわけでございまして、その問題は次に譲らなければならぬと思います。
 いずれにしても膨大な判決でございますから、全文を頭に入れて質問したわけではございませんし、実は重要な点だけを私としては取り上げたつもりでございます。したがって、冒頭に申し上げましたように、公取も通産も何も遠慮せずにそれぞれの意見を堂々と述べて、そしてその中から一体今日の行政の中でどれが正しいだろうか、どれが産業の発展に役立つだろうか、あるいは消費者のためになるだろうか、そういう点についての研さんにこれからもひとつぜひ努めていただきたいと思います。
 時間の関係で、私は次に紙業界の問題についてお伺いいたしたいと思います。
 これも前回この委員会で取り上げたものでありますが、通産省の行政指導を挙げたときに私は紙パルプ業界の問題を取り上げました。これは昨年の夏、内閣が省エネのために夏季休暇の指導をしたところが、直ちに通産省の紙業課長が文書をつくり、あるいは業界を招聘をしてその席に出席をして一週間程度の夏休みをやれというので指導をした。たちどころにこの紙業界は一週間の夏季休暇をとった。そのために減産となって高値安定、こういうことになったのではないかということを指摘をしたのであります。そこでお伺いいたしますが、こういう体質を持った紙業界から不況カルテルの申請があるというふうに聞いておりますが、その内容についてどんなものかお伺いしたいと思います。
#93
○伊従政府委員 現在紙の業界からは上質紙及びコーテッド紙について不況カルテルの申請の希望が出されておりまして、それについては調査中でございます。クラフト紙についてはまだでございます。
#94
○武部委員 クラフト紙ですか。
#95
○伊従政府委員 クラフト紙ではございません。コーテッド紙でございます。
#96
○武部委員 わかりました。
 次に、公正取引委員会は去年の四月ですか、いまおっしゃったクラフト紙製造メーカーに対して価格カルテルの疑いで立入検査を行ったわけですが、立入検査を行ったこの事件の進捗状況はどういうふうになっておるか、違反事実が認められたかどうか。
#97
○妹尾(明)政府委員 昨年の四月に紙関係、対象といたしましたのは段ボール関係でございまして、段ボール原紙それから段ボールシート等の製品につきましてメーカーによります価格カルテルの疑いということで調査を行っているわけでございます。クラフト紙は対象ではございません。段ボール原紙のうちクラフトライナーが対象に入っております。クラフトライナーの関係につきましては調査もほぼ終わっておりまして、近々に結論を出す、そういう段階になっております。
 以上でございます。
#98
○武部委員 違反事実はもうはっきりしておるのですか。
#99
○橋口政府委員 審査部長から申し上げましたように段ボール関係の審査は結了いたしまして、御承知のように段ボールのシートにつきましてはすでに勧告いたしまして、東段工という東日本地区の段ボール工業組合はこちらの勧告を応諾しまして、いま課徴金の計算をやっておるところでございます。いま審査部長からも申しましたようにジュートライナー、クラフトライナーにつきましても審査は結了いたしまして、きょうの午後関係者に対しまして勧告をすることにいたしております。事実の関係はそのとおりでございます。
 もとに戻って恐縮でございますが、先ほど先生がおっしゃいました独禁法と行政指導の関係は長い歴史がございまして、歴史をずっと追っていただきますとよくおわかりいただけますように、昭和二十八年には不況カルテルという制度が設けられまして、三十年代には不況カルテルという制度が十分浸透しなくて、産業官庁によるいわゆる勧告操短というものが相当程度行われておりましたが、次第に勧告操短も整理をいたしまして、物の考え方としましては、不況カルテルなりあるいは中小企業団体法に基づくカルテルに乗せる、つまり法的な措置のもとに置くというふうに変わってきておりますから、したがいまして、御心配のように行政指導だけがまかり通って競争制限的な行為が容認されるような状況が過去に比べてますます強くなってくるというふうに私どもは考えておりませんし、またそれが現実であろうと思います。また、その後の独禁行政をしさいに御点検いただきますと、そういう点につきましては前進があるのでございまして、基本的なことを申し上げますと、独禁法と他の法律との間におきまして、他の法律で独禁法に対する排除措置、つまり適用除外という措置を講じておれば独禁法と他の法律は対等な立場に立つと申しますか、十分相撲がとれるわけでございますけれども、そういう適用除外措置がない場合、つまり各省設置法とかあるいは行政作用法がありましてもその作用法に決められた事項を逸脱して行う行政指導につきましては本来独禁法との関係におきまして対等の相撲はとれないわけでございますから、そういう点で申しまして独禁法と行政指導の関係は本来独禁法の施行の問題であり、独禁法の領域の問題だというふうに考えておるわけでございます。そういう点で何か両者が対等の関係にあって独禁法の領域が侵害されているというようなことは全くないわけでございますから、その点は誤解はないと思いますけれども、なお念のために申し上げさせていただいたわけでございます。
#100
○武部委員 その点はわかりました。
 そこで、いまの問題に関係してもう一つ最後にお伺いいたします。
 不況カルテルの認可の問題です。これには注文があるわけです。さっきもちょっと紙パルプのことを言いましたけれども、紙パルプのようなカルテル体質を持っておるところの業界には厳しい態度で臨んでもらわなければいかぬ、そういう点が注文であります。少なくとも価格カルテルの違反事実がある、そういうような場合はそれが解消しない限りは不況カルテルの申請は認める必要はない、こういう態度で厳しく臨んでもらいたい、こういうように思いますが、公取の見解をひとつお伺いしたい。
#101
○伊従政府委員 先生御指摘のように、もし違法なカルテルがございましてそれが独禁法違反で追及されました後、それを不況カルテルに乗りかえるというふうなことは絶対にないようにしたいと思っております。ただ、紙の業界につきましても、これはいろいろな種類がございまして、またメーカーも違いますので、一部の紙の種類につきまして違反行為があったということでほかの種類についてどうするかにつきましては今後慎重に検討したいと思っております。
#102
○武部委員 それでは話題を変えます。私がこれから申し上げたいこと、お聞きしたいこと、要望したいことは、消費者の保護、救済と消費者保護基本法の改正強化ということについてであります。
 昭和四十三年、いまから十三年前、当物価の特別委員会でわれわれは与野党で協力し、議員立法によって消費者保護基本法を制定いたしました。初めての法律でございましたのでそれぞれみんなわからぬながらも勉強しながら消費者保護基本法を制定をいたしました。いま申し上げたようにあれから十三年たったわけであります。こうした中で大変世の中も進歩し、発展をし、いろいろな問題が発生をしてきました。こうした中で十三年たった消費者保護基本法が果たして今日消費者である国民を守っておるだろうか、まさしくその名のとおり保護しておるだろうか、この点について私はいろいろと具体的な問題について検討をしてみました。経企庁からいただいた資料、整備された法律、大変たくさんの法律があの基本法によって改正強化をされたり新しくできたり、いろいろなことをいたしました。しかし、現実にはまだまだ消費者の基本的な権利を保護したりあるいは損害を救済したりするようなところになっていない、いや、むしろその面の方が目につき始めたという点から、以下、具体的に私の考え方を述べますので、これについて特に経済企画庁あるいは公取の見解等をひとつお伺いさせていただきたいと思うのであります。
 国民生活審議会消費者保護部会、この保護部会の中の消費者救済特別研究委員会というのがございます。これは、東大の前総長の加藤一郎さんが座長でございまして、四十九年七月に、「消費者被害の現状と対策」という中間覚書を出しておられます。また、五十一年の十月には、国民生活審議会の消費者保護部会から、「消費者被害の救済について」という、これまた中間報告が出されておるのであります。こういう内容が出たわけでございますが、この中間報告によりますと、立証責任、挙証責任の緩和を図る方向で検討せよ、こういう内容であります。端的に言えばそうであります。それはなぜかというと、今日わが国における消費者の経済被害については、ほとんど門前払い的な扱いを受けておる。これは後で申し上げますが、裁判をとってみてもそうなんです。ですから、ほとんど経済被害については門前払いだ。こういうことについての緩和、あるいはさっき申し上げたような立証責任の緩和というような形で、具体的に改正する必要があるという提言であります。
 まず冒頭に、そういうことを申し上げておきたいのであります。従来の民法から見ますと、被害者が立証しなければなりません。ところが、消費者被害というのは、今日、時代が変わって、大量生産、大量消費の時代になった。したがって、多くの人たちが多様な被害を受けるようなふうになってきた。これは、いわゆる拡大被害というような言葉が使われておるようでありますが、そういう時代になった。この拡大被害に対応するところのものとしては、従来の民法では対応し切れない、そういう点があるのではないか。つまり、民法は賠償責任の確認が非常に遅い。同時に、訴訟手続がまた非常に遅い、迅速ではない。また、責任が裁判で確定しても、賠償が確保されない。たとえば、例のカネミ油症の問題がそうでありますが、賠償が確定されても倒産して金が払えない、こういうような点がある。そういう問題をいろいろと検討しながら、消費者保護部会の建議となった、こういう経過をぜひ承知をしていただきたいのであります。
 たとえば、そういう問題から見て、最近の立法の例を見ますと、例の自動車の自賠責では最高二千万円。それから、スモン病が契機となってつくられました医薬品副作用被害救済基金法、これは経企庁のこの中にも書いてありますが、五十四年に制定されました。消費生活用製品安全法、これは指定は七品目。たとえば、ヘルメット、野球の金属バット、それからコーラのびんとかそういうものの、いわゆる消費生活用製品安全法、これも最高は二千万円であります。国民生活局長おられますか。――そのほかに、予防接種法、それやら原子力損害賠償法、こういうものがありますが、いずれも無過失で無限賠償です。
 また、裁判を振り返ってみますと、イタイイタイ病、この判決は、四十六年に富山地裁でございまして、四十七年に名古屋高裁で判決が下りました。新潟水俣病では、四十六年に新潟地裁で判決が出ました。四日市ぜんそくでは、四十七年、津地裁で判決が出ました。私は、この三つを具体的な裁判の例としてこれから申し上げたいのですが、この三つの裁判は、いずれも因果関係の推定ということで、損害賠償責任を事業者側に課したのであります。そういう裁判であります。
 以上申し上げましたように、次々と判決が出たのでありますが、これは人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律、昭和四十五年、この法律の第五条、この第五条がこの三つの裁判の中に非常に大きな貢献をしておるのであります。第五条とは「推定」であります。この「推定」がイタイイタイ病や新潟の水俣病や四日市ぜんそくの判決に非常に大きく作用しておる。もう御承知のとおりだと思いますが、この第五条は「推定」、「工場又は事業場における事業活動に伴い、当該排出のみによっても公衆の生命又は身体に危険が生じうる程度に人の健康を害する物質を排出した者がある場合において、その排出によりそのような危険が生じうる地域内に同種の物質による公衆の生命又は身体の危険が生じているときは、その危険は、その者の排出した物質によって生じたものと推定する。」という第五条があるのです。この第五条があるからこそ、水俣病、イタイイタイ病や四日市ぜんそくやそういう代表的な三つの裁判が、あのような因果関係の推定ということで判決を下して、損害賠償を判決の中にはっきりと盛り込んだ、こういうことになっております。これは一体どういうことかと言えば、いま申し上げたように、身体や生命の危険に対して出た損害賠償であります。ところが、この経済的な損害賠償に対しては、公取で問題になりましたところの松下カラーテレビの裁判、あるいは先般判決が下りました鶴岡の灯油裁判、これを見ますと、いずれも独禁法違反と被害者の経済的損害との因果関係の立証を消費者に求めておる、ここが問題であります。消費者にその立証を求めておる。私は、ここがこの裁判の特質だと思うのです。これは松下カラーの再販問題ですね。それから鶴岡の灯油裁判の問題、これは例の東京高裁で問題になったあれに関連をする民法の裁判であります。この二つは、いずれも因果関係の立証を消費者に求めておる、ここが問題であります。これは先ほど申し上げたイタイイタイ病とか四日市ぜんそくという三つの裁判に比べると非常に厳しいものであります。そこで、この消費者保護部会が提言をいたしましたように、立証責任の転換ないしは緩和あるいはこの三つの裁判が示しておりますように、因果関係の推定、こういう消費者保護ができるような消費者保護法が必要ではないかというのが私の指摘をしたいところであります。いまの消費者の経済的な被害についての救済は、いま言ったように推定などというものではありませんから、立証を求めておる、こういうことになってくると、非常に立証は困難です。個々の消費者がそういうことをやるということは全くもって不可能なことだということになるわけであります。
 そこで、この松下カラーテレビ裁判は、鶴岡の灯油裁判と違って独禁法第二十五条による損害請求裁判、そういうものであります。今日せっかく独禁法第二十五条がございますが、そういう意味から言うならば、いわゆる消費者の被害救済については絵にかいたもちしか役割りを果たしておらない、極端な言葉で言えばそのようにとらざるを得ないのであります。したがって、無過失責任を想定しておりながら、消費者の挙証責任がある、消費者が立証しなければならないという民法の原則によってされるために、ほとんど消費者にとって不可能な、そういう実態が今日の消費者の現実の姿ではないだろうか、このように思うわけです。したがって、裁判ではいずれも二つとも負けてしまった。松下カラー裁判でも鶴岡の灯油裁判でも消費者側が敗北をした、こういうことになってきたわけです。
 そこで、私が要望したいことは、独禁法二十五条においてもまた二十六条、この二十六条は「審決が確定した後でなければ、裁判上これを主張することができない。」となっておりますが、この二十五条ないしは二十六条、この立証責任を企業側に転換するために裁判所の柔軟な対応の仕方が必要だと思います。しかし、これは裁判所のことですから。裁判所の柔軟な対応が必要ですが、同時に早急な立法措置も、先ほど申し上げたような、人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律が出てきたわけですから、そういうような立法措置さらには独禁法二十五条あるいは二十六条、こういうものを改正して、たとえばやみ再販行為があった場合には公取が審決で適正な小売価格を提示するような義務づけあるいは公取が消費者に価格形成だとかあるいはデータだとかそういうものを公開する、こういうような改善策を緊急にやるべきではないだろうか。保護基本法ができて十三年、これだけ世の中が進歩をし、あるいは公害犯罪ができ、あるいはいろいろな形で消費者が被害をこうむっておる、こういうときに、消費者被害を救済するためには、さしむき、いま申し上げたような二つの裁判で敗北を消費者がしたわけですが、その実例を見ると、人の健康や生命には、こういうふうに大変りっぱな法律ができて、推定という第五条によって裁判が非常にりっぱな判決を下して、それぞれの被害者が救済されておる。片一方では、経済的な被害については、立証という大変重大な、しかも困難、ほとんど不可能な、そういう挙証責任を消費者に負わせる。これでは被害者の救済ということは実現しない、このように思うのであります。したがって、こうした問題の解決に早急に経済企画庁も取り組んでいただきたいし、これは基本法の所管官庁でありますから経済企画庁の見解と今後の取り組み方、同時に独禁法二十五条、二十六条、そういうものに関連をして公正取引委員会の法改正の意思があるかどうか、こういう点についてお伺いをしたいのであります。
#103
○小金政府委員 ただいまの立証責任の問題につきましては、御引用になりましたうちで、昭和五十一年の「消費者被害の救済について」という中間報告がありますが、この中で立証責任の緩和ということをはっきり明言しておりますのは、一つは欠陥商品によりまして被害が発生した、これの因果関係の推定に関する被害者の挙証責任を緩和するということが出ております。それから、公害も同じであると思いますが、それは欠陥プロセスによって発生した負担に関する因果関係、これの立証を、従来のやり方では被害者にとって酷に過ぎるということから、これが緩和されております。
 それからもう一つは、身体、生命に関係するようなサービスから発しました損害の場合には、これも挙証責任を緩和すべきであるという見解がこの中間報告の中でなされております。
 現在のところは、そういうふうに、主として身体、生命に関するものと、それから物的な商品及びその製造プロセスということに関する立証責任の緩和が行われておるわけでございまして、先生御指摘のものはこれと直接関係のないカルテルであるとか再販であるとかによって発生した被害についても同じようなことがあるべきではないかという御趣旨かと思いますが、この身体、生命に関する問題とか、あるいはフィジカルな欠陥によりますものは、それがその被害の原因になっているかどうかということを推定するのは非常にいままでむずかしかったわけでございますが、これに対して立証責任の緩和というものが行われる。そうなりますと、これを被害金額に換算するやり方というのは、まあ人間の生命、身体に関するものを換算するやり方というものが一応あるわけでございますが、このカルテルでありますとかあるいは再販行為によります場合、仮にその被害が発生したであろうということ、まあそれによって値段が上がったということは推定できると思いますが、これが幾らぐらいになるかということを推定するのは相当困難なのではないか。
 この中間報告におきましても、その立証責任の緩和ということが、こういう取引なりカルテル類似行為等によるものにつきましてはこれを救済せよということは申しておりますが、立証責任の緩和ということまでは申していない。ということから、これはなお将来の問題になるかと思います。
 なお、これに関連いたしまして、消費者保護基本法の改正を考えておるかという御質問でございますが、保護基本法は、消費者政策の基本的な理念と施策の枠組みを示すものでありまして、立証責任負担の軽減というような具体的な措置を盛り込むことはこの目的に必ずしもなじまないのではないかというふうに思います。このことは、こういうこと自体が不必要であるということでは必ずしもなく、先生御指摘のように、いままで各種の消費者保護の政策の改善がなされておるわけでございますが、それはこの保護基本法の基本に基づきまして個別にやれるところからいろいろと改善をしていくというふうにいままでやってきたところでございまして、現在この保護基本法に直接的に立証責任の問題を入れていって緩和するということは、いまのところわれわれは考えていないということでございます。
#104
○橋口政府委員 独禁法につきましては、先ほど法のたてまえを御説明申し上げたところでございますが、独禁法違反によりまして失われました独禁法の法益をできるだけ迅速に回復するというのが本来の使命でございまして、そのために民間企業者に対しまして是正命令とか排除措置を命ずるわけでございますから、そういう目的を達成される範囲内におきまして最大限度の活用をすべきであるというふうに基本的に考えておるわけでございまして、第二十五条の無過失損害賠償責任の規定が十分働いていないのではないかという御指摘でございますが、これは挙証責任の転換よりさらに徹底して民法の過失責任の制度を否定いたしているわけでございますから。そういう点から申しますと、いわゆる挙証責任の転換よりもっと進んだ制度であるということが言えると思います。
 ただ、問題はそれから先でございまして、確かに無過失損害賠償という責任は原因者に課されておりますけれども、それでは一体、因果の関係がどうであるか、またその損害額がどうであるかという事実認定の問題が最大の隘路でございまして、アメリカは御承知のように三倍額損害賠償請求制度がございますけれども、この制度におきましても、やはり三倍の損害額の請求をできますのは、直接被害を受けた被害者に限られております。ところが、いまお話しになりました石油裁判等々は、間接被害の問題になるわけでございまして、幾つかの段階を経まして商品が末端の消費者の手に渡ります過程におきまして価格に大きな変化も生じてまいりますので、したがいまして、まず因果の関係が立証できるかどうか。まあそこは推定すればいいじゃないかという御指摘でございますが、そこの立証の問題と、もう一つは損害額がどうであるかということの認定がほとんど困難だということでございまして、そういう点から申しまして、無過失損害賠償の規定はございますけれども、なかなか事実上の隘路が多い。そこで、この問題を抜本的に解消いたしますためには、他の類似の制度にございますように、もし仮に先生がおっしゃいますように因果の関係を推定し、損害額まで公正取引委員会が何らかの推定を出すということであれば、これは当然保険制度とか補償制度と一体でなければ運営ができないわけでございます。これは他の損害の関係とか自動車損害賠償等々を見ましても、いずれも補償制度とか保険制度と表裏をなしておるわけでございますから、そこまで問題を広げて解決することが現時点において適当であるかどうか。経済企画庁からお話もございましたような製造物責任という問題もまだ未解決でございます。特に経済行為でございますから、生命、身体、健康というような問題とやや事例を異にしておるというような事情等も考えますと、御指摘でございますからこれは慎重に検討はしなければならないと思いますが、いまの時点において何らかの改正措置を講じたら妥当であろうという結論には達していないということを御了解いただきたいと思います。
#105
○武部委員 これで終わりますが、私はこの問題は確かに生命、健康の問題については前進をしておると思うのです。しかし、いま申し上げたような経済被害についての救済はほとんどない。しかも具体的な例がたちどころに二つ出た、こういうことであります。しかも、この損害額の認定が非常に困難だと両方から言われましたが、今度の石油カルテル裁判で、公取は東京高裁に対して損害額の意見書を出しておりますね。裁判所はこれは採用しなかったからそのままになってしまったんだけれども、私は公取の文書を読んでみました。あれは明らかに損害額というものをこうこうして算出できると書いてあると私は読んだのです。したがって、そういうことが全く不可能だとは言えないのですよ。そういう点は確かにむずかしいかもしらぬが検討に値する問題だ、こういうところから健康、生命以外の消費者の被害救済についても消費者保護の立場から検討する必要がある、こういうことで、きょうは時間が来ましたから申し上げませんが、いずれまたこの問題については取り上げて、皆さんの御意見も聞きたいし、私どもの見解も述べたい、こう思います。
 時間が来ましたので、私の質問はこれで終わります。
#106
○井上委員長 長田武士君。
#107
○長田委員 まず初めに現在の景気動向についてお尋ねをいたします。
 政府は、去る三月十七日に総合経済対策を打ち出して、すでに一カ月を経過いたしておるわけでありますが、当初期待していたような景気対策にはなっていないんじゃないか、効果が出ていないんじゃないか、そういう感じを私は強く受けております。一方、物価は安定に向かいつつも、個人消費は依然として低迷しておるというのが現状ではなかろうかと思っております。その一つの証拠といたしまして、在庫調整も予想以上におくれておるわけであります。また輸出につきましても、自動車問題など非常に予測しがたい条件が最近特に重なってきております。こうしたことから、私は現在の景気の足取りは非常に重いんじゃないかという感じを持っております。
 そういう意味で、経企庁長官、現在の景気動向をどうにらんでいらっしゃるか、まずお尋ねをいたします。
#108
○河本国務大臣 日本の経済は世界経済と非常に密接なつながりがあるわけでございます。さて、しからば世界経済はどういう状態であるかといいますと、OECDの見通しなどを見ますと、昨年の後半からことしの前半にかけては一番悪い時期である、第二次石油危機の悪い面が集中的にあらわれてきている、こういうような情勢でありますけれども、ことしの後半以降来年にかけましてだんだんと回復に向かうであろう、こういう見通しを立てております。たとえばことしの後半は一%強の実質成長、来年の前半は二%強の成長、来年の後半になりますと約三%、こういう順序で経済は回復するであろう、このように見通しが出ておりますが、私は、日本経済も昨年の夏以降現在までの状態が第二次石油危機の悪い影響が集中的にあらわれておる、こういう感じがいたします。
 そういうことで現在の状態は決していい状態であるとは言えません。そのために昨年の九月に第一回目の若干の対策を立てました。今回の第二次対策は三月十七日に決めたわけでございます。
    〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
これは第二回目の対策でございます。まだ第二回目の対策の基本路線が決まっただけで、中身は長期プライムレートのように目下調整中である、こういうものもございますので、どれだけの効果が出たかということは具体的には言えませんが、世界経済全体の回復と相まってだんだんと、ことしの後半以降日本経済は回復の方向に行くであろうと考えておりますし、また行がないといろいろな面で支障を来しますので、今後ともそういう方向に十分注意をしながら進めてまいりたいと考えております。
#109
○長田委員 景気の低迷感を強くさせておりますものに在庫調整のおくれがあるように私は考えております。昨年来の予測では十−十二月期に終了するであろうと予測されておりました。しかしその在庫調整がおくれまして、五十六年の一−三月期、さらには四−六月期とずれ込んできておるわけであります。特にアルミ、紙パルプなどの素材産業において、当初不況カルテルや自主減産で一−三月期で終了すると考えられてまいったわけでありますが、在庫調整のおくれの原因と今後の見通し、これについてはどうお考えでしょうか。
#110
○井川政府委員 在庫ということは、結局生産する物とそれから実際に買っていく需要との差の問題でございます。したがいまして、いろいろな見込みで生産をいたしましても実需がついていかないということになりますと、それだけ在庫が多くなる、多くなりますと調整するのに手間がかかる、こういうことになるわけでございまして、われわれの五十五年度の見通しにおきましても、もう少し内需の高い伸びを期待をしておったわけでございますが、現実には個人消費支出、それから個人住宅等々予想以上の低迷を示したわけでございます。
 低迷の原因というのはやはり予想以上の物価高ということになるわけでございますが、いずれにいたしましてもそのことによって実需が減る、実需が減りますともう少し早目に適正在庫にと考えておりましたその在庫調整が延びていくというふうな状況でございまして、消費、それから個人住宅等の実際の需要が減ったということが在庫調整が延びた原因と考えておるわけでございます。
#111
○長田委員 もちろん、いまお話がありましたとおり、物価の動向というのは非常にポイントになると思います。しかし先行き見通しといたしまして私は非常に憂慮しておるのです。と申しますのは、各種公共料金あるいはこれから物品税も上がってまいりますし、国鉄運賃を初め大型な個人消費を特に足を引っ張るような要因というのは数多く出ておるわけですね。こういう情勢下にあって、果たして在庫調整のできる個人消費というのが伸びるかどうか、この点どうでしょう。
#112
○井川政府委員 消費の伸びをどう見るかという問題でございますけれども、御案内のように実質消費が伸びなかった原因というのは、やはり実質所得がマイナスを長い間続けてきたということがございます。これは消費者物価の高騰が大きかったということにあるわけでございますが、この四月以降、その消費者物価も従来より鎮静化して、五十六年度全体として五・五%、大体それでおさまっていくというふうなことになりますと、実質所得がマイナスからゼロになり、プラスになる。その時期もそう遠くないと考えるわけでございます。そういたしますと、実質消費というふうなものの復調、従来の姿に返るというふうなことが考えられるのではないか。
 それから、個人住宅につきましては、長期的、構造的な問題もあるというふうなことが言われておりますが、しかし少なくとも現段階の低迷は大き過ぎる。これは一つには、建築関係の資材の値上がりあるいは住宅ローン等が非常に高い水準であったという影響も相当大きいというふうに考えるわけでございまして、現にわれわれの持っておる数字も一月は六万台でございましたけれども、二月は八万台ということでございます。これは多少一月が落ち過ぎということでございますか、いずれにしろ現段階、底かあるいは底を脱したという状況ではなかろうか。住宅ローンも下がり、建築資材も値上がり率が低くなるというふうなことによってある程度伸びが期待できるというふうな状況ではないか等々考えてみますと、そう急激な上昇ではございませんけれども、徐々に明るい方向へ向かっていくということが期待されると考えておるわけでございます。
#113
○長田委員 五十六年度の消費者物価は五・五%に抑える、これは目標でありますけれども、実は五十五年度で私たち手痛い目に遭っておりますから、そういった面、非常に油断ならぬと思っております。長官、五・五%の見通しですね、それから四月は五%台に抑え込みたいとよくおっしゃっていますけれども、自信はおありでございますか。
#114
○河本国務大臣 昭和五十五年度の消費者物価見通しは大変御迷惑をおかけいたしましたが、五十六年度につきましては十分達成できる、こう思っております。それから、四月五%台ということは、これはよほどのことがない限りまず間違いない、このように考えておりますが、なお私どもが五・五%という消費者物価目標を達成できるという判断につきましては、統計等のこともございますので、物価局長から答弁させます。
#115
○廣江政府委員 五十六年度の見通しでございますが、基本的には昨年のいまごろは卸売物価が二〇%を超すというような状況で推移しておった、それが本年の場合は非常に落ちついているということは、先生御案内のとおりでございますし、四月の上旬値は対前年同月比で申しますとマイナスを記録するというような状況でございますけれども、これが一番基本的にさまが変わっていると思います。
 それから、もう少し技術的な点で申し上げますと、これは昨年の公共料金が電力、ガスというものを中心にいたしまして相当大きく上がった、あるいはいままで電力、石油の影響等があるにもかかわらずこれを抑え込んでおったようなものが、五十五年度にみんな出てきて上がったといったような要素があると思います。もちろん五十六年度におきましてその点油断ができるわけではございませんが、五十五年度のような大きな公共料金の押し上げ要因というものは考えられないと思っております。電気、ガスが一・一%寄与度で五十五年度物価を押し上げたわけでございますが、そういう要素は考えられないと思っております。これはこれからも十分注意していかなければいけませんが、こういう要因が多い。そして公共料金等の根っこにあります問題といたしまして、昨年度は石油が異常に上がったわけでございます。これを五十五暦年と五十六暦年で見てみますと、円ベースで申しましていわゆる八〇%から上がっておりますが、こうしたものがもろもろの物価を押し上げた大きな要因でございます。もちろん石油につきましてはOPECの情勢その他がございまして、予断を許さないわけでございますが、現在の需給状況あるいは節約マインドの世界的な普及あるいは世界的な備蓄の状況等を考え合わせますと、五十五年のようなことは万々ないのではないかと想定されます。
 いま三つばかりの要因を申し述べましたのですが、こうしたものを考え合わせましたときに、五十六年度の消費者物価は五十五年度のようなことは考えられない。政府が掲げております見通し五・五%というのは十分達成できるんじゃないかと考えておるわけでございます。
#116
○長田委員 これまで景気を支えてまいりましたのは設備投資なんですね。この設備投資につきましても一月−三月期には中小企業の投資がマイナス九・七と予測をされておるわけであります。また、日銀の調査によっても五十六年度の中小企業の製造業における設備投資計画は、前年比三〇・八%に落ち込んでおるわけであります。そこで私は、中小企業の設備投資については、金利水準あるいは製品需要給によりまして影響されやすいために、環境の整備がどうしても必要だと考えております。そういう意味で、そこらの認識についてはどうでしょう。
#117
○井川政府委員 おっしゃるとおりでございまして、現在設備投資については二極分離と申しますが、大企業の設備投資はきわめて堅調に推移する反面、中小企業につきましては設備投資意欲を持ちながら、実際の数字は対前年比マイナス、これは五十五年下からそういう傾向になってまいっておるわけでございます。しかしながら、設備投資というものが今後のわが国の民間バイタリティーのまさに大もとであるということを考えますと、そうした設備投資の冷え過ぎは十分警戒しなくちゃならないという段階でございます。そういう観点から、先月の総合経済対策におきましても、特に中小企業の設備投資を冷やさないような対策ということでいろいろな項目が挙げられたわけでございますが、一番中心になります政府系中小企業金融機関の金利について特段の措置をとるという点につきましては、実は公定歩合一%下げ後の長期金利の実勢を現在にらみながら、政府の中及び金融当局で検討中でございまして、ここらあたりできるだけ大幅な引き下げが望ましいというふうに考えているわけでございます。実は中小企業庁のアンケート調査によりましても、設備投資する気持ちは持っている。ただ現在の金利水準が高いというふうな企業が半数近くもあるというふうなことでございますので、今後のそうした金利水準いかんということによって、中小企業設備投資も徐々に正常に復するであろうということを期待いたしておるわけでございます。
#118
○長田委員 次に、輸出でありますけれども、五十六年度政府見通しでは一四%増を見込んでおるわけであります。これは五十五年度の二七%増を大幅に下回っているわけですね。特に貿易摩擦などは輸出鈍化の一因になることは当然でございまして、昨年まで輸出を支えてまいりましたVTR、二輪車あるいは乗用車の伸びが、欧米諸国との摩擦によりまして私は頭打ちになるのじゃないかというふうな懸念を持っておるわけであります。こういう点についてはどうでしょう。
#119
○井川政府委員 経済見通しで発表いたしております国際収支、貿易収支、輸出入は円で、兆円で発表いたしてございます。五十五年度につきましてはその円ベースでもって対前年度比二〇・八%アップという実績見込みを出しておるわけでございますが、どうも実績は多少これを上回るぐらい根強いもので推移をしているわけでございます。しかし、五十六年度につきましては円ベースでもって一一%アップというふうな見通しを発表いたしたわけでございます。これをドルベースに直しますと、多少円レートの関係からこれより率が大きくなりまして、五十五年度については二六、七%のアップ、そして五十六年度については一四%程度のアップということになるわけでございます。
 この伸び率が半分近くになったのは、ただいま先生がおっしゃいましたように、現在非常に国際競争力もあって、基調として根強い趨勢は示しておりますものの、しかしながら五十五年度全体を趨勢的に見てみますと、輸出数量の伸び率は多少低まってきている、こういう趨勢がございます。これは円高の影響あるいはまた十分海外の摩擦を防いでいかなければならないという配慮、そこらが実際に動いているという感じがするわけでございまして、試みに五十五年度の四半期別の輸出の数量の伸びを申し上げますと、四−六月期が二〇%増、七−九月期が一九%増、十−十二月期が一六%増、一−三月期が一二%増とだんだんと下がってきている。しかしながら数量でまだ一二%、そういう意味からいうと根強い姿を示しておりますが、五十六年度全体につきましては、競争力としてそういう根強いものを持ちながらも、五十五年度に比べますと伸び率は鈍化をする、こういう姿を描かざるを得ないと考えているわけでございます。
#120
○長田委員 長官にお尋ねいたします。
 通産省は去年の十月以来行政指導を通じまして、自動車の対米輸出について自粛をしておるわけでございます。その結果、三月の輸出台数は前年同月比マイナス二四・七%、一−三月期ではマイナス三・四%の四十四万六千台、四半期ごとに大体四十五万台という目標でありまして、行政指導どおりに落ちついておるわけであります。またこの五月には日米首脳会談が行われますが、その結果によりましては大幅な規制が行われ、それによって日本経済に大きな影響を与えるであろうという予測も実はされるわけであります。昨年の対米輸出台数は年間百八十二万台、経企庁長官よく御存じのとおりであります。聞くところによりますと、アメリカに自民党のミッションが行っていますけれども、その交渉過程といいますか、状況を見てまいりますと、百六十万台であるとか、あるいは百五十万台であるとか、昨年ベースを大分下回っておる、こういうニュースが流れておるわけであります。
 そこで長官、去年の実績と比較いたしましてどの程度規制を受けると国内経済に影響するか、この点長官の見解をお聞かせいただきたいと思います。
#121
○河本国務大臣 日本からアメリカへ出て行きます自動車が問題になり始めましたのは、主として昨年の秋以降だと思います。もっともそれまでくすぶってはおりましたけれども、正面切って大きな問題になったわけであります。ただ、そのときはアメリカの需要が極端に落ち込みまして八百八十万台に下がる、こういう状態であったと思います。先般アメリカからアメリカの自動車業界の実情を説明するためにミッションが来ておりましたが、その話を聞きますと、ことしは九百五十万台だ、こう言っておるようであります。しかしアメリカの業界あたりは一千三十万台、こういう発表をしております。政府の見通しと民間の見通しが相当違うと思いますが、それにいたしましても、中をとればざっと一千万台前後、こういう水準まで回復するのではないか、こういう感じもいたします。また先般アメリカの政府の正式な発表を見ますと、来年は乗用車で千百万台、再来年は乗用車で千二百万台、別にトラックが約三百万台の需要がある、こういう発表をしております。かつてアメリカでは千二、三百万台の乗用車が売れた時代もあるわけでありまして、私は、このアメリカ政府の見通しは決して楽観したものではない、こう思います。と申しますのは、レーガン政権は、アメリカ経済はことしからだんだん回復過程に入って、そうして来年は四光成長、再来年は五%成長を期待しておるという発表をしておりますが、私どもは、いまの政府の計画どおり経済が回復いたしますならば、それは十分期待できるであろう、こう思うのです。
 問題は、八百八十万台にアメリカの需要が下がったのでこのトラブルになった。しかしこれが二、三百万台も需要がふえれば自然に解消する。むしろ日本から自動車をもっとふやしてもらいたい、こういう声すら出てくるのではないか、こういう感じがいたします。もともと貿易上のトラブルというのは、その問題だけを社会経済全体から取り離して議論しても私は無意味だ、こう思っておるのです。やはり世界経済全体が回復する、そして世界全体の購買力がふえる、そういう中で問題を処理していく、こういう考え方が必要だ、こう思っております。
 昭和五十三年に西独のボンでサミットが開かれましたときに、西独首相のシュミットが第一次石油危機の悪い影響が残っておるので、ひとつ三カ国が協力して一%見当の成長をさらに加えていこうではないか、加算していこうではないか、そうすれば大抵の国際的な紛争は解決できる、アメリカは少し状態が悪いから、アメリカは別にして、それ以外の国はひとつやってみよう、こういう提案をいたしまして、各国が合意したという経過がございますが、それによって昭和五十三年の後半以降、一九七八年の後半以降世界経済が目に見えて回復過程に向かいまして、多くの国際的な貿易上のトラブルというものは自然に解消した、こういうことがあったことを考えますと、アメリカの自動車摩擦というのも、アメリカ経済がそういう方向に行きますならば自然に解消できる、私はこのように考えておりますので、そういう動きをにらみながら、最も賢明なかつ合理的な解決が望ましい、こう考えております。
    〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
特に自動車産業は日本のいま最大の産業でありますから、軽々にこれに大きな制限が加えられるということになりますと日本の経済にも悪い影響が出てまいりますし、また私は、いろいろな意味からアメリカ経済にとっても、いまの時点で日本車を厳しく制限するということは決して得策ではない、こういう感じを持っております。
#122
○長田委員 私はここに日本興業銀行がまとめました輸出減少による影響額試算一覧表を実は持っておるわけであります。これによりますと、たとえば生産が一〇%減少しますと影響額が一兆三千億円というふうに出ております。これはGNPに換算いたしますと〇・一七%落ち込むということであります。御存じのように自動車産業は、いま長官が言われましたとおり、非常にすそ野の広い産業でございまして、今後の対米自動車交渉の結果によっては国内経済にもたらす影響は非常に大きいと私は考えます。したがいまして長官は、こうした事情を踏まえまして通産大臣とも十分協議をされて対応した方がいいのじゃないかという感じが私はいたしております。そういう意味で、最悪の場合総量規制ということになりますと、長官もある程度楽観されておるのでありますけれども、私はもっと厳しいのではないかという感じを持っておるのです。そういう意味で輸出減少に伴う影響についての研究を、もうすでにされていると思いますけれども、されていないようなことがありましたならば、始めたらどうでしょうかと思いますが、どうでしょうか。
#123
○井川政府委員 いろいろな機関が対米自動車輸出の減少を前提とした作業をやっておられるように聞いております。数字をわれわれも持っておるわけでございます。しかしこれは全部それぞれきわめて大胆な前提を置いている。しかも対米交渉の結果具体的にどうなるかということは全然まだ未定の段階でございます。かつまたさらに次の要件として、そのほかの地域への自動車輸出の増をどの程度見るかというふうなこともございます。したがいましてわれわれ政府としては、先ほど大臣からも申し上げましたように、自動車産業というのは非常に大きい産業で、製造業の中では一割を超える非常に大きい地位を占めてきたということ、しかも非常に輸出のシェアが高い産業である。おまけに対米輸出は大きい。その対米輸出が制限された場合ということになりますれば、それは影響としては軽微とは言えないということでございますけれども、余り政府自体が、現段階で軽々に前提を置いた試算をするのもどうかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、そういう大変重要な産業であるということで、本問題については、そういう意味で経済全体としてもきわめて強い関心を持っていかざるを得ないというふうな考え方でございます。
#124
○長田委員 私が申し上げましたのは、私も商工委員会のメンバーですから、自動車問題については何回となく国会で質問をいたしておりますし、アメリカへ参りましてUSTR代表にも会いました。その中で、アメリカの産業が日本の乗用車の輸出を制限して立ち直るとは、私たちは決して考えていないのです。総理訪米前に決着をつけようということで、決して軽率な行動をとらない方がいいという私たちは主張なんです。この自動車産業というのが日本の景気の大きな支えになっておりますし、重要な産業でございますから、もしかそういうふうに決められた場合、日本がそういうふうに対応しなければならないということで、あわててがたがたするよりも、十分研究したらどうでしょうかという提案をしているのですよ。貿易は相手があることですかち、そういう点、手のうちがわかるみたいではうまくないでしょうけれども、そういう最悪の場合もある程度考慮して対応が必要じゃないのかなという感じなんです。もう一度答えてください。
#125
○井川政府委員 われわれ経済企画庁はマクロ面を担当いたしているわけでございますが、しかし個別の大きい産業の動向によって経済全体がどうなるか、それは条件が決まりさえすれば、そこらあたりを研究として、数字として出すことはそうむずかしい問題ではございません。それよりも、いま先生もおっしゃいましたけれども、この問題が国内にきわめて大きい影響を与えないようなかっこうでうまい決着がつくことを念願するわけでございまして、これが決着した場合どの程度かというのは、そのときの情勢、そのときの条件を考えれば、経済企画庁としても十分そういうふうな決めはしていくというふうな考え方をとっております。
#126
○長田委員 次に、個人消費についてお尋ねをいたします。
 政府の総合経済対策を見てまいりますと、世界経済の状況から見て、わが国経済は内需、特に国内民間需要の堅調な伸びに依存せざるを得ない状況にある。そして、従来の輸出依存型から内需依存型へ景気回復を目指しておるわけであります。しかし、実質消費支出は昨年四月以降、十月を除きまして十二月まで減少しております。これは、実質賃金のマイナスと相まってこの低迷が続いておるわけであります。経企庁は、家計調査によって五十五年十月から十二月期の選択的支出が一年ぶりに前年同月比で実質一%になったことや、耐久消費財が同じく一・四%増、一年半ぶりに増加したことで、個人消費の回復の兆しが出てきているんじゃないかなという発表をしているようですね。それはちょっと甘いんじゃないかと私は思いますが、どうですか。
#127
○井川政府委員 二つの面がございます。御承知のように、実質というのは名目からデフレーターあるいは消費者物価を差し引くというふうな問題でございます。そういう形式上の形からいいますと、消費者物価あるいはデフレーターが下がりますと、実質消費は直ちにふえていくということになります。この面が一つ。もう一つは、現実に八%台の物価、あるいは平均をして七%台の物価という状況から、物価が五%台になるということによって消費者が消費マインドを正常に復する。いままで締めていた財布のひもを通常にしていくというふうな、いわば消費マインドの問題。このためには、数カ月ぐらいというか、やはりある程度の期間が必要でございます。したがって、その二つの面から考えまして、先ほども議論の出ました消費者物価の動向から考えますと、実質消費のプラスというのは近い将来から期待をしていいのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#128
○長田委員 なかなか私は期待できないように思いますから、あえて指摘しているのです。と申しますのは、この四月からの値上げを見ましても、お米、麦、郵便料金、国民年金保険料、健康保険料、それに国鉄運賃、さらには私鉄も連休があけると値上げされる。これに加えて増税、酒税が上がっておりますから、ビール、清酒、ウイスキーの値上げがあります。そういう点ではわれわれの生活環境はもう値上げラッシュなんです。先ほどガスと電気料金が去年は大きかった、ことしはその点がないからうまくいくんじゃないかということでしたが、石油製品だってこれから値上げしようと言っているんですよ。そういう点では、どこを向いても、右を見ても左を見ても値上げラッシュです。そこへ持ってきて、いま春闘をやっておりますけれども、非常に低賃金で抑えられる傾向が強い。こうなりますと、個人消費が伸びる要因というのは常識的に考えてどうですか、あるのですか、ないのですか。
#129
○井川政府委員 やはり相対的な問題があろうかと思います。電気、ガスの値上げが家計にも経済にも非常に大きい影響を及ぼしたというのに比較をいたしますと、今回、いま先生が挙げられましたような公共料金の値上げはございますけれども、しかし年度間としては五・五%は実現できるという見通しでございます。
 それからもう一つ、実質所得の問題がございます。五十五年については実は政府は一人当たり雇用者所得の伸びを七・三と置いたわけでございますが、不幸にして物価上昇がそれを超えるというふうな状況でございました。その結果、お話のございましたように実質所得マイナスというのが現在までずっと続いてまいったわけでございます。現在、春闘さなかでございますけれども、われわれの見るところによりますと七%台は確実である。われわれの政府見通しは一人当たり雇用者所得七・五と置いておるわけでございますが、仮にわれわれの政府見通し七・五をとりましても、物価が五・五%だということであれば実質所得二%の増になるわけでございます。実質所得二%の増というのは、最近の趨勢をごらんいただきましても、やはり所得の増としてはある程度のものであると考えていいのではないか。ということになりますと、年間を通じて個人消費が正常に返る、消費マインドが正常に返るということを期待していい、こういう考え方を私たちはとっておるわけでございます。
#130
○長田委員 いま春闘のさなかでありますから、当然物価は五・五%で抑えるということですが、まだ始まったばかりですからそういうことが言えるのですよ。台風が来ました、野菜が上がりました、季節商品が上がりました、物価がそれを原因として上がっておりますなんて、いつもやるじゃないですか。ことしはそういうことは言いませんね。
#131
○廣江政府委員 五十五年に物価を押し上げました要因をいま振り返ってみますと、先ほどもお答えいたしましたように、やはり一番大きな要因は石油が大きく上がったということだと思います。石油については、五十六年は五十五年のようなことはないだろうという想定というか予想をいたしております。しかし、これにも対外的な要因でございますとか、わからない要因もあるわけでございますが、そういう要素は考えられないだろうというのを一番大きな根拠にいたしております。
 なお、季節商品についても、ある程度のものは五十五年度においても考えておったわけでございますが、昨年の夏の季節商品の値上がりは何十年ぶりという冷夏の影響を大きく受けておるということでございます。ことしの冬の影響は、もうすでに経験済みのような非常な異常乾燥、異常寒波といったのが大きく動いたわけでございまして、こういうことがないことを私どもは期待しておるわけでございますが、ある程度のものには対応できるような方策をとらなければいけないと思いますし、三月十七日に出しました総合経済対策でも、そういう野菜を中心とする季節商品対策には万全を期するように、供給確保に十全を期するんだということをうたっているわけでございます。私どもはそういうことのないように大いに気をつけなければいけない、こう思っておるわけでございます。
#132
○長田委員 政府のこの総合経済対策だけでは、個人消費が大きく前進する、伸びるということはとうてい考えられないと私は考えています。特に所得税減税については、さきに与野党で合意いたしました剰余金によってそれに対処するということで話し合いがついております。しかし剰余金のことですから、もし最悪の場合は剰余金が出ないということも考えられます。そうなった場合、減税がむずかしい場合、今後の個人消費に対する大きな刺激剤、タイムリーな政策というのが当然必要になってくるんじゃないかと私は思いますが、長官どうでしょうか。
#133
○河本国務大臣 五十五年度の財政で剰余金が相当出まして、そして物価調整減税が、先般の議長裁定の中身にありますように、ある程度出てくることを私どもは期待をしておるのです。出てこないときはどうするかということでございますが、いまのところは出てくることを期待しておる、こういうことでございます。
#134
○長田委員 では、出てこない場合また質問するといたします。
 次に、行政改革の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 五十六年度における最大の課題は行政改革であると言っても決して過言ではございません。現に鈴木総理も、来年度は増税によらない歳出のカットを目標に行革には政治生命をかけると決意を表明しておるわけであります。そこで、河本長官も有力閣僚の一員といたしまして、当然総理と同様の立場に置かれていらっしゃるだろうと思いますが、その決意のほどをお尋ねしたいと思っております。
#135
○河本国務大臣 私は、五十七年度を目標にいたしまして、思い切った行政改革をやろう、客観的な条件は非常に熟しておるのではないか、こういう感じがいたします。まず世論が全面的に支持しておるということ、それとアメリカ等におきましても、日本の考えている行財政の改革を一けた上回るようなそういう大規模な大改革をいま進めようとしております。アメリカの条件は日本よりも私は相当悪いと思うのですが、そういう条件のもとにおいてもあれだけのことをやろうとするわけでありますから、日本政府が考えておりますような程度の行財政の改革ができないことはない、このように私は考えておりますし、また世論もそれを強く支持していただいておると思うのです。昨日、内閣と党を挙げてこの問題に取り組もうということで行革推進本部がスタートいたしましたが、私どもも全面的に支持しなければならぬ、こう思っております。
 ただ、問題は、やはりある程度の予算規模を減らすということになりますとその分はやはりデフレ効果は免れない、こういう感じがいたします。御案内のように、アメリカでは思い切った行財政の改革と並行いたしまして、やはり思い切った大減税をやっていこう、企業減税のほかに所得減税もやっていこう、こういう組み合わせでデフレ効果を避けていこう、こういう考え方でございますが、日本といたしましても何らかの形でその対策を考えていく必要があろうかと思いますが、まだ中身はわかりませんので、私どもも、その中身を見ながらいま研究をしておるというのが現状でございます。
#136
○長田委員 歳出カットにつきましては、特に鈴木総理は補助金の一律削減方式、七%とか一〇%とか具体的な数字で打ち出されておるわけであります。これを受けて各省庁ともその研究はなされておるようであります。そこで、この方式について長官はどういうお考えでしょうか。
#137
○河本国務大臣 実は中身はまだ何も決まっておらぬわけでありまして、きのうは、五十七年度に増税なしで予算編成ができるようなそういう行財政の改革をやっていこう、こういうことを決めたばかりでありまして、中身は、行管長官の報告によりますと、第二臨調、土光さんが会長でありますが、土光さんからの答申を受けてそれを実行していこう、こういうことのようであります。七月の初めに答申が出るわけでありまして、いまおっしゃったように、具体的にどうするかということはこれからの課題だろう、こう思っております。
#138
○長田委員 次に、大変古い話で恐縮でありますけれども、経企庁は、昭和四十五年四月六日、物価政策会議の「行政介入と物価について」というパンフレットをつくりました。ここで提言をまとめておるわけでありますけれども、この十七ページに「本提言の具体化を積極的に推進し、一日も早くその成果を国民に明示することを強く要望する。」その中でさらに「今後、政府が本提言の意のあるところを汲み取って、積極的に再検討を加えていくことを是非とも希望したい。」こう結んでおるわけであります。この提言についてはその後十年間以上も経過したわけでありますが、その後のフォローについてはどのようにされておりましょうか。
#139
○廣江政府委員 昭和四十五年四月に物価安定政策会議から「行政介入と物価について」という御提言がございまして、基本のポイントは、いまも先生がおっしゃいましたが、政府は、自由な価格形成を通ずる経済合理性の追求が経済の効率化をもたらす、ひいては物価が安定するゆえんであることを強く認識して、この提言の方向に従っていろいろな施策をやれという御提言でございました。この御提言を受けまして、当時の問題点と改善の方向が取りまとめられたものでございますが、提言後それぞれの行政官庁を中心に御検討の上、実行可能なものにつきましては提言の趣旨に沿って改善されていると承知いたしております。
 何項目かにわたりますので具体的な項目を挙げますのは差し控えさせていただきますが、中には当時と事情の変わったものもございます。それから、御提言の趣旨に基づきまして法律に所要の手当てをするとか、あるいは行政措置においてその趣旨を入れた方策が講じられておると思います。
 なお、行政介入のあり方につきましては、第二次臨時行政調査会におきましても検討されることとなろうと思いますが、経済企画庁といたしましては、物価安定の立場から見ましても、さきの提言を踏まえ、行政介入のあり方について今後さらに検討されることが望ましいものと考えております。
#140
○長田委員 私は、昭和四十五年に出されましたこの提言が現在もそのとおり当てはまるとは考えておりません。しかし、少なくとも政府が価格形成に介入するためにかえって効率を妨げ価格上昇をもたらしている面がなきにしもあらずだろうと思っておるのです。したがいまして、自由経済体制下における競争原理を活用しまして、価格の安定、消費者の利益のためにも私はこうした提言による改革は今後とも必要であろうと思われます。そこで、こうした課題に今後どのように取り組んでいくつもりなのか、私は当然経企庁の行政改革の大きな柱になろうと思いますが、この点どうでしょうか。
#141
○廣江政府委員 先ほどお答えいたしましたが、四十五年四月の御提言の趣旨を受けまして、それぞれ各行政庁等におきまして手当てが行われておるわけでございますし、さらに先生がいまお尋ねの今後どうするのかという点につきますと、行政介入のあり方につきましては第二次臨調においても十分検討されることと期待いたしておりますし、ともかく物価安定という立場から見ましても、さきの提言を踏まえて行政介入のあり方につきましては今後ともさらに検討されることが望ましい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#142
○長田委員 河本長官は四月十一日に松山市で、行革の規模については二兆八千億円を目標にすべきであると講演されておるわけですね。この根拠はどういう根拠でしょうか。
#143
○河本国務大臣 昭和五十七年度予算の大蔵省の試算を見ますと、財源が七兆五千億足りない、こういう数字が出ております。それに対して経済の活力をある程度維持していく、四兆七千億の税の自然増収を確保したい、こう言っておるんです。それでも二兆八千億財源が足りない、こういう数字が出ておりまして、二兆八千億の中身はいろいろあるわけでありますけれども、先般、経済四団体で大蔵省の試算をもとにいたしまして土光会長に対して第二臨調では二兆八千億という一応の数字を目標にすべし、こういう意見具申をしております。大蔵省の試算で二兆八千億足りない、こういう数字が出ておりますので、一応それを参考にして検討をしたらどうか、こういう趣旨のことを言ったわけでございまして、それを断定的にそうでなければならぬ、こういう趣旨ではございませんで、二兆八千億の中身はなお吟味する余地は残っておるであろう、このように考えております。
#144
○長田委員 たとえば二兆円にいたしましても、行政改革によって財政の削減がなされたとするならば、当然経済に与える影響というのは予想されますね。先ほど申し上げました長官が言われたデフレ効果という問題であります。ここに日経のデータバンクが出した資料があります。これによりますと、第一に政府最終消費支出、第二には社会保障給付、第三には補助金について、それぞれ一兆円削減した場合GNPとの乗数を試算してみますと、政府最終消費支出の場合は一兆四千億円、それから社会保障給付の場合は八千億円、それから補助金の場合一番少ないのでありますけれども七千億円、このデフレ効果が出ると実は試算しております。つまり、補助金によるカットの場合影響が一番少ないということが結果として出ておるわけであります。この点については長官、どうお考えでしょうか。
#145
○河本国務大臣 私は、仮に二兆八千億という行財政の改革をやりましてその規模の予算が減りましても、それは民間経済の活力を拡大することによりまして十分その埋め合わせば可能だ、こう思っております。ことしのGNPは二百六十五兆と想定しておりまして、来年はまだこれから作業に入るわけでありますが、ざっと三百兆前後の経済ではなかろうか、こう思っております。たとえば住宅投資などいま非常に落ち込んでおりますが、これがある程度回復をいたしますと、これはすぐその見当のものは補てんできる、こう私は思うんです。昭和五十一年から五十四年までおよそ百五十万戸見当の住宅が建設されておりましたが、五十五年度は建設省の試算では大体百二十二万戸見当だ、こういうことを言っております。そうすると、過去四年間に比べましてざっと三十万戸減った、こういうことになりますので、一戸当たりの建設費は土地代を除きまして千三、四百万円でなかろうか、こう思いますが、そのために四兆ばかりの投資が減っておるわけであります。三十万戸全部回復しなくても、仮にその半分回復いたしましても二兆の投資がふえていくだろう。住宅は、経済に対する影響は即効性がありますし、それから波及効果も非常に大きいということになりますと、住宅政策が軌道に乗るということだけで十分カバーはできると私どもは考えております。あるいはまた民間の設備投資がさらにふえるというような条件を整えるということによりまして、二兆や三兆の民間の設備投資をふやすということも十分可能だと考えておりますし、また、物価政策の進め方いかんによっては民間の消費活動を盛んにすることも可能だ、このように考えられます。あるいは、今回の対策でプラント輸出の拡大を図っていこう、混合融資も時と場合によっては考えていこう、こういうことも具体化をいたしておりますので、これによってプラント輸出がふえるということによってある程度カバーすることも可能である、こう思っております。そういう幾つかの対策の組み合わせでも可能でありますし、二兆八千億という数字がそのまま出てくるのかどうかわかりませんが、とにかくその見当の数字であれば日本経済の大きさから考えまして民間の力を拡大することによって十分その埋め合わせばつくであろう。またその埋め合わせをつけませんと、一方で行革はできましても税の自然増収が入ってこないということになりますと財政再建できないということにもなりますから、こういう点はやはり総合的に対策を立てていくことが必要だ、こう思っております。
#146
○長田委員 いま長官が言われましたとおり、行革デフレの対策はやはり景気対策、景気回復の対策に力を入れなくちゃならぬと私は思います。その意味では、いま話がございましたとおり宅地それからプラント輸出さらには土地問題ですね、これが解決しませんと住宅は建ちませんので、この点やはり重要であろうと考えております。先週十七日に住宅・宅地関係閣僚連絡会議が開かれまして種々検討されたようでありますけれども、これまでどちらかというと住宅宅地問題については抜本的な対策がないままに今日を迎えておると言っても決して言い過ぎではないと思うのですね。特に土地対策については長官、何かお考えがありますか。大分勉強会を開いてやるようなニュースも流れておりますけれども……。
#147
○河本国務大臣 三月二十七日に政府は建設省のつくりました第四次住宅建設計画を閣議で承認をいたしました。五カ年間に七百七十万戸の住宅を建てていこう、こういう計画であります。この計画が円滑に進みますと日本経済の安定成長のために非常に大きな役割りを果たすであろう、私はこう思っておるんです。ただ問題は、最近の住宅事情から考えまして、これを円滑に進めるためにはやはり幾つかの条件整備が必要だ、環境整備が必要だ、このように考えまして、またその環境整備は建設省だけでもできにくい、こういう問題もたくさんありますので、そこで住宅・宅地関係閣僚連絡会議というものを開きまして、関係する八人の閣僚が、これから七月の末まで約三カ月間かけまして問題点を全部洗い直してみよう、そして三月末の先ほど決定した第四次住宅建設計画が円滑に軌道に乗るようなそういう対策をこれから考えていこう、こういうことでありまして、それじゃ中身は何だということでありますが、中身はこれから各方面の御意見をいろいろ聞きながらまとめていきたいというところでございます。
#148
○長田委員 それでは、最後にタクシー料金についてお尋ねをいたします。
 六大都市のタクシー料金につきましては、去年の十月でしたか、申請が出されておるわけであります。申請の状況及びその内容についてどのようになっておるのか、運輸省にお尋ねをいたします。
#149
○寺嶋説明員 お答え申し上げます。
 先生の御指摘のとおり、昨年十月の東京を皮切りにいたしまして、六大都市のタクシー事業者から運賃改定の申請が出ております。燃料費の異常な高騰あるいは人件費の増高等を理由といたしております。現在のところ、東京、横浜、大阪の法人、個人のほとんどの事業者、京都につきましては一部を除く法人事業者とほとんどの個人事業者、名古屋と神戸につきましては、すべての法人事業者からは出ておりますが、個人からは出ておりません。
 以上のような状況でございます。
 これらの申請につきましては、前回の改定後のタクシー事業者の経営状況を厳正に審査いたしまして、さらに今後の物価及び国民生活に与える影響等を十分に勘案いたしまして、慎重に対処していきたいと思っております。
#150
○長田委員 五十四年八月二十四日に物価問題に関する関係閣僚の会議で「六大都市タクシーの運賃改定について」、これによりますと、「乗合タクシー制度の拡充、小型タクシーの普及の検討等省エネルギー対策の推進を図る。」こういうふうにして要望されておるわけでありますが、この小型タクシーの普及状況はどうでしょうか。
#151
○寺嶋説明員 先生御指摘のとおり、物価問題関係閣僚会議からの指示がございましたので、運輸省といたしましては、これを受けまして、事業者団体に対して小型タクシーの導入を図るように指導してまいったわけでございます。
 それで、従来普及が進んでおりませんでした東京、横浜、大阪、神戸の各事業者団体におきまして、各事業者の保有車両数の一定割合を小型化するという計画を立てまして、逐次導入を進めておるところでございます。現在までのところ、大阪につきましては、目標千二百両に対して五百二十二両、神戸は目標二百九十両に対して百八十二両、東京は目標の二百二十両に対して九十九両、横浜は目標の九十五両に対して三十二両というように導入が進みっつございます。
#152
○長田委員 これはどういうところに原因があるかといいますと、われわれもタクシーに乗るが、やはり実感として、一つの原因として私は料金の問題があろうと思います。いま初乗り十円しか違いませんね。あと効率の問題で、どうも利用しにくいという面があるんですね。そういう意味で、今回のもしも改定をする場合の料金の一つのめどといたしまして、もう少し格差を設ければ、私は利用者もふえ、さらに普及もできる、こう考えますが、どうでしょうか。
#153
○寺嶋説明員 小型タクシーは、中型のタクシーと比べまして、燃料費あるいは減価償却費等が多少安くて済みますので、トータルの経費といたしましては二ないし三%程度コストが安く済むわけでございます。他方、現行の運賃体系で参りますと、先生御指摘のとおり、実車率が変わらない限りは、中型タクシーより一〇%くらい収入がダウンするわけでございます。これに比べまして、運転者の疲労の問題等もございまして、いままでのところ経営者、さらに運転者側とも小型タクシーの導入について、必ずしも積極的な姿勢を示しておりません。したがいまして、今後小型タクシーの一層の導入を図るためには、このあたりも勘案しまして、各都市の実情に応じた小型タクシーの運賃体系のあり方につきまして検討していく必要があろうかというふうに思っております。
#154
○長田委員 以上で終わります。
#155
○井上委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時五十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十二分開議
#156
○井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。塩田晋君。
#157
○塩田委員 行政改革の推進との関係におきまして、経済政策、物価等につきまして河本大臣にお伺いいたします。
 いまや行政改革の推進は国民の最大の当面の課題でございまして、またさきに臨時行政調査会、第二次臨調が発足いたしました。鈴木内閣総理大臣は、行政改革に政治生命をかけるということを言明しておられます。
 ところで、河本大臣は今月十七日の某所における講演におきまして、行政改革による歳出カットは日本経済にデフレ効果をもたらすと述べられたと伝えられておりますが、その真意はいかがでございますか。
#158
○河本国務大臣 行財政の改革は、私は思い切ってやらなければならぬと考えております。特に来年度増税なしの予算編成ということになりますと、これはもう絶対の課題である、こう思うのです。
 ただ、行財政の改革は財政再建のためにやるわけでございますから、総合的にいろいろなことを判断していかなければならぬ、こう思います。大蔵省の五十七年度予算の試算を見ますと、来年度の財源は七兆五千億足りない、そのうち四兆七千億を税の自然増収で確保したい、残る二兆八千億をどうするかというようなことをいまクエスチョンマークのまま国会に出したのが御案内の試算でございます。
 いま行革の対象になっておりますのは、この二兆八千億を一体どうするのか、こういうことについての議論だと思うのです。常識上考えられますことは、どういう形になりますか内容はわかりませんが、とにかく財政支出を相当額カットいたしますと、当然その分はデフレ効果が出てまいります。それをそのままほうっておきますと、経済の活力が低下いたしまして、予定しておる税収が入ってこない、こういうことになりますから、財政再建は支障を来す、こういうことにもなろうかと思うのであります。
 そこで、行政改革というものはどうしてもやらなければなりませんが、それによって生ずる影響というものをよく検討いたしまして、デフレ効果が当然出てくると考えられますので、それを何らかの形で埋めなければならぬ、こう思っております。五十七年度のGNPはおよそ三百兆円と想定しておりますので、どの程度の規模になりますかわかりませんが、巷間伝えられるような二兆八千億見当の仮に行財政の改革をやりましても、民間経済の活力を維持拡大することによりまして十分その補てんは可能である、このように考えております。私の申しましたのは、財政の改革ということが目標であるから、そのために総合的にいろいろなことを判断していく必要がある、こういう趣旨のことを言ったのであります。
    〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
#159
○塩田委員 増税によらない財政再建というもの、これは行政改革の推進以外にはないわけでございます。この時期におきまして、行政改革による歳出カットがデフレ効果をもたらすという議論を唱えることは、行革の推進の足を引っ張ることになるのではないかと思いますが、いかがお考えでありますか。
#160
○河本国務大臣 私は先ほども申し上げましたように、行政改革は何のためにやるのだ、これは財政再建のためにやるのだ、来年増税なしでやりたい、こういうことでありますから、財政再建をするためには予定された税収が入ってこなければなりません。たとえば四兆七千億という数字を申し上げましたが、しかし、これは経済の活力が維持されることによってそれだけの税収が確保されるわけであります。
 過去の例を振り返ってみましても、昭和五十年は前年度に比べて税収はマイナスであります。それから五十一年から五十三年までは、税収はふえておりますけれども、年間に数千億しかふえていない、こういう状態であります。五十四年になりまして幾らか税収は伸びましたが、それでも二兆前後である。五兆前後の税収が期待できる経済になってきたのは五十五年、昨年度からでありまして、ちょっと経済の力が弱くなってまいりますと、五十一年から五十三年のようなわずかな税収しか期待できない、こういうことにもなろうかと思うのであります。
 そうなってまいりますと、一方で行政改革によって財政支出はカットしたけれども、予定された税収が入ってこないと予算は組めない、こういうことになりますから、先ほど申し上げますように、行革によりまして当然デフレ効果が考えられますから、その分を民間経済によって埋めなければいかぬ、それは十分可能だし、そんなにむずかしいことじゃない。したがいまして、総合的にこれを判断しなければならぬ。しかし行革というものはこれはどうしてもやる必要がある、こういうことを言っておるわけでありまして、総合的にすべてのことを考えながらやる。私は、このことによって行革の足を引っ張るとかそういうことは絶対にないと考えておりますし、またそういうことがあってはいけない、こう思っておりますので、その間の誤解のないように、十分配慮しながら発言をしたつもりでございます。
#161
○塩田委員 過去何回か行政改革が企てられ、また推進をされたわけでございますが、いずれも大した所期の目的を達することなくつぶれております。ほとんど失敗に終わったと言っていいと思いますが、その理由は何であると考えておられますか。
#162
○河本国務大臣 まあいろいろあろうかと思いますが、私はやはり国を挙げてこの問題に取り組むという、そういう態勢づくりが不十分であった、こういう感じがいたします。現在はアメリカあたりでも日本と一けた違うような大規模な行財政の改革をやっておるわけでありますし、アメリカの財政、経済の状態を見ますと日本よりもはるかに私はやりにくいと思うのですが、そういうアメリカにおいてすら五十年ぶりの大改革と言われるような内容の改革を進めておるわけであります。そういう背景もありますので、今回は世論が幅広く盛り上がってきたのではないか、ごう私は思っております。昨日も内閣と党を挙げてこの問題と取り組んでいこうという態勢づくりができましたので、今回は成功するであろうと私は期待をしております。
#163
○塩田委員 行政改革はだれでもがこれを求め、そしていよいよ実行の段階になるとなかなかできないというのが、過去の実例を見ましても読み取れるところでございます。私は、行政改革はこの時期何としても増税を避ける立場から実行しなければならないと思います。
 ところで、この行政改革につきましては国民全般に非常な推進論、賛成論がありますと同時に、反対論といいますか、まあ言う言わぬは別といたしまして、行革についての強い抵抗がいつもあらわれるというところを見ますと、賛成論、反対論というものがいずれもかなりある、このことを考えておかなければならないと思うわけでございます。そして、いままでの経緯を見ておりますと、行革を取り上げてやらなければならぬということについてはだれも賛成する。当初におきましては、大方の世論は行革推進論に支配されるわけでございますが、だんだんこれを具体化していく個々の問題が煮詰まっていく際にどうしても反対論が多くなり、抵抗が強くなってうやむやになってしまう。これがよく言われます総論賛成、各論反対ということで常に行政改革が失敗に終わった筋道でございます。
 私がここで特に長官にお伺いしておきますのは、行革についての反対論というものがかなりあるということ。言う言わぬは別として、特に行革が唱え始められたその当初においては反対論がない、公に出ない、しかしそこには広範な反対、抵抗論があるということを念頭に置いてかからなければ、この行革に対する正しい対処の仕方あるいは成功に導く方途は見つけられないのではないかと思います。この賛成論と匹敵するような反対論というものに、言うならば行革デフレ論が勢いをつけるというか、特に最後の段階になるに従って行革デフレ論が反対論の根拠になるということになりかねない危険性を感ずるので、このことを特に申し上げておるわけでございます。しかしながら、河本長官の御意図は、いまお伺いしましてわかりました。行革によってデフレが起こる場合、税収が得られないということでは角をためて牛を殺すようなことになりかねない、そうなってはならないということを十分配慮しながら行革を総合的に進めていくのだというお考えでございますので、その点は了解したつもりでございます。
 そこで、私は公務員に対する世論といいますか、いろいろな非難が起こって、これが行革推進の一つの根拠になっておる。ほんのごくわずかの例でありますけれども、一部の公務員に不正があり、非能率あるいはむだ遣い、また役所の窓口に行ってもたらい回しされるとかなわ張り争いでなかなか仕事が進まない、権力をかさに着てきめつけてくる、こういった公務員一般に対する不満、その不満のはけ口が公務員に対する批判、行政改革推進の一つの根拠になっておるのではないかと思います。
 しかし、私も公務員生活を二十五年やりまして、その体験から言いますと、官僚制一般が批判されておるようでございますけれども、官僚制全部がそのような状況であるという見方は必ずしも十分ではないのじゃないか。公務員諸君がいま公企体を含めて三百万人として、大部分の者は良識を持ち、みずから安い給料と思いながら国のため社会、公共のために身を挺して働いておる。皆さんこういう自覚を持って、また自負を持ってやっておられるし、また日本の官僚制といいますか公務員制度、公務員の優秀性、能率性というものが世界的にも日本経済を飛躍、成長させるのに大きな力をなした、貢献したということを認めている世界の論者も多いわけでございます。ところが、官僚制につきましては、どうしても役所の権限とか仕事とか予算とか職員といったものをどんどんふやしていく、そのことを務めとしておるような傾向が出て、その量が過大なものになっていくということが、官僚制度そのものに本質的なものとしてあるわけでございまして、そういった観点から、官僚制度の行政改革が常に能率的に国民の側から行われなければならない大事だと思うのでございます。また、これには議会制民主主義政治あるいは首長選挙といったものも影響して、機構、人員がどんどんふくれていく、予算もふくれていくということがあると思います。議会人みずからもえりを正してこの問題に対処しなければならないと思うのでございます。河本長官は、こういった現在の公務員制度、いわゆる官僚制度というものについてどのようにお考えでございますか。
#164
○河本国務大臣 私もいまの御意見、賛成であります。ただ、今回の行財政の改革は増税なしで財政再建をやっていこう、これが基本的な考え方でありますから、私はその趣旨を実現していくことが肝心であると思っておるのです。役所の名前を変えたりするようなことだけでは財政再建になりませんから、やはり中身のある行財政の改革をやっていく、増税なしの財政再建、この大目標を実現することが何よりも必要だと思っておりますから、横道にそれないようにやる必要がある、私はこう思っております。
#165
○塩田委員 現在の行政改革の推進の必要性というものは、当面する、増税か安価なる小さな政府かという選択の中で進められて議論がされていることは確かでございます。そして未曽有の財政赤字、これをいかにして克服するかという問題、これに対する最も有効な手段としての行財政の改革、歳出のカットということであろうかと思いますけれども、単に収支のつじつまを合わせる、あるいは税収をどうこうするということだけではなしに、やはりこの際、行政改革をそのプロパーとして、私が先ほど申し上げました公務員制度、官僚制と言われるものに特有の膨張主義といいますか、これが日本の場合は特に経済の高度成長に助けられて、そしてまた日本の明治以来の官僚制というものに結びついて膨張を続けてきた。そして国、地方を問わず膨張を続けておるという中での最もいいあり方としての民主制を達成する上での公務員制度のあり方、公務員機構のあり方、あるいは行財政のあり方というものを十分に検討してあるべき姿に持っていく。効率的な安価なる政府、小さな政府、国民のための政府をつくっていく、政治体制をつくっていくということにあろうかと思います。
 そこで、河本長官の行革デフレ論というのは、行革のメリットのみならず、景気対策との関係におきましてデメリットがあるということを指摘されたと一面では考えられるわけで、そのためのデメリットを起こしてはならないという対策を指摘されたことだと思いまして、これはきわめて先見性のある、またいまの時期においてはきわめて勇気のある発言と言えると思うのでございます。したがって、民間の第一線経営者の間でも、河本長官の御発言につきまして関心が高まって検討が進められておるということも聞いておるわけでございまして、そういったバランスを持った、全体に視野を広げた行財政の改革を進めるというごとの重要性、こういったことが認識されてきておる証拠だと思うのでございます。
 そこで、歳出カットのうちどのような項目が最も景気に影響するというふうにお考えでございましょうか。
#166
○河本国務大臣 まだどういう中身になるかわかりませんので具体的に申し上げかねますが、昨日、行革推進本部の第一回会合に際しまして、行管長官が座長を務められましたが、行管長官のお話によりますと、第一段階は、五十七年度予算編成を増税なしでやるということのためには何をすべきかということを臨調でまず検討してもらう。そして第二段階では行政機構のあり方等について検討してもらう。何もかも一遍にやれないのでそういう順序を追うてやりたい、こういうお話でございましたが、しかしながら、その内容は第二臨調、土光さんを会長にしてスタートしたわけでありますから、その答申を待って判断したい、こういうお話でございましたので、私も中身がわかりませんのでこれ以上具体的なことは申し上げかねますが、私が行革によるデフレを民間経済の活力の維持拡大によって補てんする必要があるということを言ったのは、これは原則論を言っておるわけでございまして、中身につきましては第二臨調の答申を見ながらいろいろ具体的に判断をしていきたい、それによって具体的な対策を立てていきたい、こう思っております。
#167
○塩田委員 この中身につきましてはこれからということは、臨調自体がまだ発足をしたばかりでございまして、いま検討を進めようとしておるところでございますから言えないということはわかりますが、原則論として行革デフレ論を唱えられたということでございますから、原則論としてどのような部分が一番歳出カットの影響があるかということは、先見的にはある程度予想し把握ができる、また一部の情報では民間のコンピューターシステム、シンクタンクに依頼してそういった試算を始めたということも聞いております。
 そういったところで、やはり公共事業費の関係がカットされた場合には、最も経済の影響が大きいのじゃないか。特に大型プロジェクトとかあるいは住宅関係関連のものがカットされるときは経済の影響が非常に大きいとか、あるいは社会保障関係給付がカットされるとか、補助金も内容によっては非常に違ってくる、影響が出てくると思います。また人件費でいくのか、旅費、庁費等も含めてどの程度やっていくか。また国鉄とか健保とか、いわゆる三Kですね、三Kに対する国の支出をどの程度にするかということによっての影響も、またそれぞれの項目、部門によって影響の度合いが違ってくるかと思います。
 河本長官、たとえば、ことしのこれからの景気の先行きはどういうふうに見通しをしておられますか。そして歳出カットの公共事業部門、特に住宅は波及効果が大きいと思うのですが、そういったところへの影響があるとするならば、景気への影響はどのように考えられるか、お伺いしたいと思います。
#168
○河本国務大臣 いまやろうとしておる行革は、五十七年度予算との関連においての行革だと思うのです。ことしの予算はつい先般成立したばかりでございますから、成立した予算の内容に従ってこれを執行していく、こういうことでございます。したがいまして、行革によってどういう影響が出てくるかということは来年度以降の課題だ、こう思っておるのです。中身によりましてはそれぞれ影響も違うと思いますが、先ほども申し上げましたようにまだ中身はわかりませんので、この七月には答申が出ますから、それからいろいろな作業を始めても遅くはない、こう思っております。
 それじゃ今後何によって補てんをするかということでありますが、補てんの仕方はいろいろあると思います。幾らでも対策はあろうと考えております。何しろ日本経済の規模はずいぶん大きくなっておりますから、その対策は、きわめて容易であるとは申しませんが、そんなにむずかしいことではない、こう思っております。
#169
○塩田委員 ことしの景気の状況から、来年にかけてのここ一、二年の経済情勢の推移というものを大まかにどのように考えられておりますか。それが一つの行革歳出カットを考える際の前提になると思いますので、長官のお考えを聞きたいと思います。
#170
○井川政府委員 五十六年度の経済成長は五・三%と決定をいたしておるわけでございます。御案内のように、中長期的な平均成長は新七カ年計画の五・五%と置いておるわけでございますが、五十六年度は、第二次石油ショックからの影響を脱却して安定成長を軌道に乗せる年とは言いながら、その一部の影響は避けられない。現に五十六年度当初、現在のような状況でございます。われわれは先月総合経済対策を政府として決定をいたしたわけでございますが、こういう決定の結果等もあり、物価の落ちつきと相まって、大体今後次第に明るい経済になっていく、そして年間五・三%の成長ということが期待される、こういう状況でございますが、来年度につきましては、またその直前のいろいろな経済情勢によって変わってくると思います。しかし、現段階われわれが想定しておりますのは、やはり新七カ年計画で想定しております五・五%といったような成長に持っていくのがわれわれの目標であるというふうに考えているわけでございまして、そういう意味からいいますと、今年に引き続いて、さらに均衡のとれた安定成長というものを期待するというのが考え方でございます。
 それから、なお、先生、行革の仕方によって、いろいろなGNPの政府支出の中身によって影響が違うであろう、こういうお話がございました。確かにそういう面がございます。五十五年度につきまして政府支出が四十七兆、五十六年度が四十八兆、これは中央地方を合わせ、土地代を除いた数値でございます。しかしながら行革自体は、そっちの影響がどうなるからこうするということではなくて、まさに行政改革、必要なものをやるというそちらの方から来る問題でございまして、むしろ政府支出の中で消費支出、その消費支出もいろいろございます。公務員給与もありますれば、旅費もありますれば、補助金もあります。それからもう一つの資本形成、これは公共事業でございます。もちろん計数は違いますけれども、それによって行革の態度が変わってくるというのではなくて、行革のあり方が決まって、それに応じて政府支出がどういう影響を受けるか。先ほどから大臣から申し上げておりますように、しかしそこらの程度を軽微にとどめるというふうな全般的な経済運営をどうするか。要するに支出は必要だけれども、それに十分たえるような体質を常に守っていくというのが河本大臣なりわれわれ経済企画庁の考え方でございます。
#171
○塩田委員 いま御説明がございましたような問題が、景気と行政改革あるいは経済成長と行政改革による歳出のカットの問題として起こり得ると思います。
 そこで、最後にお願いをしておきたいと思います。いまは第二臨調が発足したばかりですが、検討されて項目別にもいろいろ具体的なものが出てきた場合、削減項目の部門別のデフレ効果、カットすればデフレの効果が出てきますね。その効果の予測、これを最新の計算手法によりまして経済企画庁として試算をされ、そして本委員会でもまた御説明をいただきたい。河本長官言われますように、そのデフレ効果に対して有効な手段を講ずるというところに主眼があるわけですから、そのためにカットすればこうなるよという、しかしさせないようにこうするんだというものを含めまして、対策も含めて、ひとつ本委員会で討議ができるように資料をお出しをいただきたい。そのための試算をしていただきたい。民間でも研究が進められ、試算も現に行われております。そういったものも参考にしながら、それ以上のいいものが企画庁ではできると思いますので、ぜひともそれをお願いします。あわせまして、その際の物価への影響、卸売物価から消費者物価について効果が、影響があると思いますので、それも出していただきたい、このことを要請をいたします。
 それから、この問題につきましては諸外国の例ですね、行政改革の推進、歳出カットにつきましては、先ほど大臣も言われましたように、アメリカでは思い切った、いまだかつてない歳出カットをやっておる。これを十分に検討していただきたいと思いますし、またイギリスもやっていると思います。それから近くの中国、中国は経済調整を始めて、特に今回の予算編成におきましては、伝えられるところによりますと二割から三割歳出をカットしている。そんなに急激にカットをすると、国民経済が混乱を起こして大変じゃないかということを危ぶむ声が出ておる。また日本から行った大来さんなんかも心配して、そういう忠告をされたようでございますが、そういう例が諸外国にずいぶんあるわけです。また、それの、もう現に手をつけてやっておることですから、経済への影響、波及効果等がわかろうかと思います。こういったものもひとつ、いずれお聞きしたいと思いますので、御調査を願いたいと思います。
 いずれにいたしましても、国民のための行政改革を断固としてやっていただきたいという立場でありますし、また増税よりも行政改革、機構簡素化によって、あるいは能率的な小さな政府、これを実現することによって、日本の現在の当面する財政再建の課題を解決していかなければならないと思いますし、われわれもまたそういった立場に立って、この行政改革の推進に協力をし応援をしていきたいと考えております。
 以上をもって終わります。
#172
○武部委員長代理 藤田スミ君。
#173
○藤田(ス)委員 私は、パンパース、つまり赤ちゃんの紙おむつ製品の問題とそれから訪問販売についてお尋ねをしたいと思います。
 この製品は、プロクター・アンド・ギャンブル・サンホームという会社がつくった製品です。赤ちゃんの紙おむつが入っているわけです。メード・イン・USAということになっています。コマーシャルで非常に誇大宣伝のナンバーワンだと消費者から批判を受けている全温度チアーと一緒の会社がつくっているわけです。この箱の六つの面に「ぬれてもさらっと 赤ちゃんごきげん」と、どこを見てもみんなこういうふうに書いているわけです。ところが大阪の消費者団体連絡会の調査によりますと、景表法に照らして不当と思われるコマーシャルはというこの調査で、この商品はワーストファイブに入っています。その理由としては、六〇%以上の人が、使ってみるとむれるとかあるいはかぶれるとか漏れるとかさらっとしないとか、そういう宣伝とはずいぶん違うということを理由に挙げているわけです。私はこういうふうな苦情を、これは経済企画庁ですか、聞いていらっしゃらないかどうか、まずお尋ねをしたいと思います。
#174
○小金政府委員 国民生活センターが知っているところによりますと、昨年の四月からことしの三月までの間に五件ほど消費生活センターから事故報告が入っております。それで現在、国民生活センターといたしましては、銘柄別の比較テストを行っておりまして、その項目の中にはかぶれに関する事項も含まれている。なお、このテストの結果は七月から九月ぐらいの間に発表する予定であるというふうに聞いております。
#175
○藤田(ス)委員 いまそういうふうなテストをやられるということなんですが、この箱には、ここに「ぬれてもむれないサラットシート」とか、それから「赤ちゃんのお肌をやさしく包むふんわりソフトな吸水パッド」とか、それから「通気性をよくする工夫も充分」とかというふうなことが書かれている。それからこちらを見ますと、昼夜を問わず使用できるというふうに書いているわけです。これはコマーシャルも同様の趣旨であると私は思いますが、しかしこれは消費者に対して誤認広告、誇大広告だとは言えないかと思うわけです。この製品の宣伝どおりだとすると、赤ちゃんはぬれたという感覚それから気持ちが悪いなという感覚がなくなってしまうわけですから、敏感な赤ちゃんのはだがぬれたままで体温によってぬくめられていって、むれやかぶれを起こしていくのは当然だと思いますし、赤ちゃんがぬれても泣かないために、母親が気をつけていてもかぶれるということになっていくわけです。同社の宣伝ではそういうことを全部抜いてしまって、ただはだをむれから守るというような言い方をして宣伝しているわけですが、これは誇大広告だとは言えないでしょうか。
#176
○劒持政府委員 ただいま先生御指摘になりました紙おむつの表示につきましては、実は先ほど先生御紹介になりました大阪の消費者団体のほかにも、東京の消費者団体等からも、表示につきまして要望が公正取引委員会の方にかつて出されたことがございます。私ども表示について調査いたしましたところ、おっしゃいますようにぬれてもさらっととかさわやかとかというような表示をしておるようでございまして、これが実態とかけ離れた表示ではないかというふうに私ども考えておりまして、一般的な要望でございましたので、業界側の団体がございますが、そこを通じまして公正取引委員会として不当景品類及び不当表示防止法に違反する疑いがあるので自粛してほしいというような要望を出しております。したがいまして、先生御指摘になりましたような点は、私どもといたしましても引き続きまして業界に注意を促しているところでございます。
#177
○藤田(ス)委員 それは大変結構なんですが、まだぐあいの悪いことがありますので指摘をしておきたいと思うのです。
 景表法の第四条第一号では「競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良」だというような宣伝をしてはならないというふうに挙げられておりますね。
    〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
ところが、これは消費者団体に配ったり、つまり消費者に渡すためにこの消費者課が発行しているパンフレットなんです。これを見ますと、非常にていねいに布おむつよりもパンパースの表面の水量が低いとか、あるいは使い捨ての他の商品、A商品、B商品よりもずっとそういう水量が低いんだとか、それから他の商品は夜間における最大負荷水量はパンパースの十三倍から三十倍もあるんだというようなことを書いてあるのですね。これは、こういう景表法第四条に触れませんか。
#178
○劒持政府委員 先生御指摘のように、景表法の第四条第一号でございますが、優良誤認というふうにわれわれ申しておりますけれども「実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示」は不当な表示であるというふうに規定されております。
 そこで、これは「著しく優良であると一般消費者に誤認される」表示というのを具体的に検討する必要があるわけでございますけれども、いままでのところ紙おむつについては一般的な御指摘はございますけれども、具体的な事実に基づきます個別の指摘というものが実は参っておりません。しかしただいま経済企画庁の国民生活局長の方からの御答弁でもございましたように、国民生活センター等でいろいろな調査等も行っておられるやに承りましたので、われわれといたしましてもそこら辺の調査結果等を見ながら、不当な表示に当たるかどうかということについて具体的に判断してまいりたいというふうに思います。
#179
○藤田(ス)委員 私は何人かのお母さんからこの製品についての苦情を直接聞いているわけで、赤ちゃんというのは泣くことによって不快さを訴え、そしてそれを聞いたお母さんがそのことによって育児を身につけていくとか、あるいはしつけをきちんと覚えていくというか、お母さん自身がのみ込んでいくという点でも、お母さんがぐんと楽になりましたなんというようなコマーシャルをつけてこういう製品が販売をあおられるということを、私は非常に危惧するわけです。商品テストについても、これが直接赤ちゃんのはだに触れる問題でもありますので、ぜひそのテストというのはしかと行っていただきたいし、それから公取委としても業者指導、コマーシャルについての自粛の促しなど怠りなく進めていただきたいと思います。
 もう一点このパンパースの問題なんですが、使用後の処理が非常に便利だというふうに、「あと始末も簡単」とここに書いてあるのですが、使用後の処理の問題で、吸水する紙の部分は水洗トイレに流したらいいと書いてあるわけです。厚生省にきょうはお願いしておりますが、浄化槽水洗の保守管理上これは問題はありませんか。
#180
○杉戸説明員 お答えいたします。
 御指摘のように浄化槽水洗便所にそれを投入した場合には、やはりパイプの詰まりとかあるいは浄化槽の正常な機能を維持する上で支障が生ずる、そういうおそれはございます。その点につきまして現在厚生省ではいろいろな角度からの検討を開始しておるところでございます。
#181
○藤田(ス)委員 これはこの社自身が、この問題をちゃんとこのパンフレットの中でも認めて言っているわけです。こっちには書いてありませんよ。しかしパンフレットで詳しく、コマーシャルをする方には書いているのです。どういうふうに書いているかといいますと「日本のし尿浄化槽は米国のそれとやや異なるため、現在、日本における確認テストを進行中です。」こう書いているのですね。そういうふうに自身も認めながら、この中のこの部分を全部流せ、こうなっているのですね。こういうふうに、流してもいい、後始末も非常に簡単だというふうな書き方、宣伝をしているというのは、これもまた明らかに景表法上非常に大きな問題があるのじゃなかろうかと思いますが、どうでしょうか。
#182
○劒持政府委員 ただいま厚生省の方からお答えございましたように、厚生省の方で何か浄化槽の水洗便所に流すことについて御検討なさっているようでございますが、まあ紙おむつの処理等の問題は広く言えば公衆衛生の一つの問題であろうかとも思いますので、そこら辺の検討結果を待ちまして、私ども表示の立場からそれが優良誤認に当たるかどうかということにつきまして検討を進めてまいりたいというふうに思います。
#183
○藤田(ス)委員 最近聞くところによると、また業界の方ではトイレに捨てるのではなくて一般ごみと同様に扱うのだ、こういう言い方もしているわけです。そうすると必然的にごみ箱に捨てるということになるわけですが、厚生省、これは本来屎尿として処理されるものがまた公然とごみ箱に捨ててもいいなんということが言われ出したとしたらどうでしょうか。
#184
○杉戸説明員 御指摘の点につきまして、その汚物部分それからその付着した部分でございます、それを水洗トイレなどへ流して、そしてシート、カバーでございますか、ビニールなどを使用しておりますそういう部分につきまして一般ごみとして排出するような、何かパンパースの宣伝によりますとそのようなこともございますが、一般のごみとして、直接汚物は付着してない部分でありましても、それは作業員の労働衛生上の問題というような点もございます。この点につきましても、現在、社団法人全国都市清掃会議というのがございますが、そこの方でその検討を進めてもらうように進めております。
#185
○藤田(ス)委員 結局、トイレに捨てればトイレが詰まる、それからごみ箱に捨てるのも問題だということになると、使い捨てで後始末が非常に簡単だという宣伝ですけれども、実際は布おむつよりももっと始末が悪い品物だというふうになってしまうわけですね。だからこの点についても不当表示ということでぜひともこの業者に指導をしていただきたい、私はこのことを要望しておきたいと思います。どうでしょう。
#186
○劒持政府委員 私ども、先ほど申しましたようにすでにこの業界に対しましては注意を促しておるわけでございますが、重ねて先生からの御要望がございますし、具体的な事実に基づきまして景表法違反であるかどうかということについて判断を進めてまいりたいというふうに思います。
#187
○藤田(ス)委員 それではよろしくお願いしまして、次の質問に移ります。
 全国的に国民生活センターや消費生活センターなどに寄せられた苦情相談件数というのは昭和五十四年でも十六万八千六百件に上っていると聞いておりますが、大阪府立消費生活センターの昭和五十四年度の消費生活相談集というのを見てみますと、特徴的なことは訪問販売によるトラブルが非常に激増してきている。法の盲点をついた悪質な商法が目立ってきているわけです。昭和五十一年に訪問販売法が制定されましたけれども、皮肉にもその後年々ふえまして、大阪では五十四年度ちょうど倍増してきています。近畿ブロックの三十五の消費生活センターが集まりまして調査したものを見ましても、五十二年、五十三年、五十四年、明らかにふえてきております。一般の相談受け付け総件数の中で苦情件数というのが三〇%ですけれども、販売方法、契約サービスに関する相談件数は五八%というふうに苦情件数の割合は高いし、さらに訪問販売総件数の中で苦情件数は五九%というふうに、割合からいっても非常に高いものになっているわけです。こうした傾向に全国的にも見られると思いますが、調査をされたことがございますでしょうか。
#188
○小金政府委員 国民生活センターは自分自身も苦情を受け付けておりますし、それから地方の消費生活センター九つと提携いたしましてそこから情報をとっておりますが、それによりますと、先生御指摘のとおり訪問販売に関する苦情相談件数は非常にふえております。ただ、国民生活センターが直接受け付けておりますものは、五十年に百七十件ばかりあったんですが、五十五年は約百件でございまして、国民生活センター自身の受け付けば減っております。九つの消費生活センターは宮城、石川、静岡、愛知、大阪、兵庫、岡山、香川、福岡というようなところでございまして、こちらの方は合計いたしまして五十年の三百九十九件に対しまして五十五年は千五百二十一件というふうに非常にふえておる、地方の方の増加傾向が非常に強いというように思います。
#189
○藤田(ス)委員 いずれにしても結局訪問販売法の盲点をついた商法というのが全国的な傾向としてふえている、特に地方に激増しているということは事実だと思うのです。
 そこで私は一つ一つ聞いていきますが、訪問販売法の盲点をついた商法の一つというのにキャッチ販売などの例があります。ターミナルでアンケートの調査に応じたら、後日あなたにお礼の記念品を差し上げたいので営業所に来てほしい、こういうわけです。そういうことで電話で呼び出されて営業所へ参りますと、英語の教育機器を買うように勧誘されて非常に巧みなセールストークに負けて契約書に判を押してしまったというような例がたくさん出ているわけです。この種の苦情は近畿ブロックのセンターだけで百二十件あります。つまり営業所での売買契約というのは法規制の対象外に置かれておりますから訪問販売法が適用されないのを悪用したものだというふうに思うわけです。しかも最近は販売方法がターミナルでの呼びかけだけではなくて、電話を使って在校生名簿などで呼び出していくというようなケースもあるわけです。契約がたとえ営業所であったとしても営業所の外で勧誘が行われた場合は訪問販売法を適用するようにしていくべきじゃないか。営業所などに連れ込んでの商法は法律を非常に巧みに使ったやり方だと思うのですが、通産省はどのような御見解をお持ちでしょうか。
#190
○野口説明員 御説明申し上げます。
 法律上の考え方でございますが、法の二条におきまして「営業所等」というものを、営業所、代理店、それから一定の期間、二、三日を考えておりますけれども、指定商品を陳列いたしましてその商品を販売する場所で店舗に類するもの、そういうもの以外で行う場合には訪問販売というふうに考えておるわけでございます。先生いま御指摘の点につきましては、私どもキャッチセールスとかアポイントメントセールスとか俗称させていただいておりまして、確かにそういう苦情は多々耳にいたしております。厳密に解釈いたしますれば、いま申し上げました営業所等で申し込みあるいは契約の締結が行われた場合は法律上は確かに適用はないという解釈に立っております。先生いろいろ御説明いただきましたように、実際上は路上等で取引の相談が行われておりますが、形式的にはそういう営業所等で行われますので、法律的には厳密に言いますとなかなかむずかしゅうございますけれども、私どもの実際の行政指導におきましては、法の精神を体しまして個々のケースにつきましては厳しく指導をいたしておるところでございます。それからまた業界におきましても、こういう例が多々ありますものですから、関係業界十数団体ございますけれども、折に触れ集めましてそういう中でも自粛するようにということは指導してきたところでございますけれども、最近業界もその辺を十分認識をいたしまして、倫理綱領というものを訪問販売業界で設けまして、そういう不当な勧誘、強引なセールスというものをやめるということで申し合わせして会員各位に自粛を図っておるところでございます。
#191
○藤田(ス)委員 ということは、この法で網をかぶせるということではなしに、実態をとらえて、行政上は法の精神を生かしながら、実際にはこれを適用しながら、つまり街頭で誘われたり電話で呼び出されて契約をした場合でも訪問販売に当たるということで、訪問販売法によって消費者は保護をされるのだというふうに、私、解釈してよろしいでしょうか。
#192
○野口説明員 厳密にはむずかしいところなんでございますけれども、私どもの法律の厳密な解釈では、申し込みをする場所、それから契約を締結する場所で一応判断をせざるを得ないのでございます、いろいろ係争の問題が起きた場合に。ですけれども、いま先生の御理解のように、私どもとしては、この訪販法と申しますのは、弱い消費者の保護を趣旨とするものですから、そこは若干その解釈上の拡大があると思いますけれども、貴意を体して検討させていただきたいと思います。
#193
○藤田(ス)委員 拡大解釈で消費者を訪販法で守っていくというふうに確認をして、次のもう一つのキャッチ販売に移りたいと思うのです。
 もう一つ最近ふえているのは、品物が安く買える、そういう会員を募っていく商法だとか、あるいは旅館が安く使えると言ってレジャー会員を募る商法だとか、この種の商法というのが非常にふえて、近畿ブロックでは年間百一件こういう苦情が出ています。サービス行為は訪販法の対象外であるということから、もちろん解約の申し出も断られるということで苦情が多いわけです。訪問販売法では、指定する商品が決められておりますけれども、会員を募るというふうな商法ですね、サービス行為として訪販法の対象から外されているわけですが、私は、会員を募るような商法は、サービス行為として訪販法の対象に組み入れていくべきではないか、限られた部分であっても、そういうふうにするべきではないかというふうに考えますが、どうでしょう。
#194
○野口説明員 御説明申し上げます。
 現在の訪販法におきましては、物品、商品だけを実は対象にしておりまして、法律の二条でございますけれども、定義の条文がございまして、「日常生活の用に供される物品のうち、定型的な条件で販売するのに適する物品」ということで、現在政令で四十三品目が指定されているのは御承知のとおりかと思います。確かに、レジャー会員権などは、したがいまして現在の法律では、政令で指定するというのは無理で、できないわけでございますが、ただ、実態上、そのレジャー会員権につきましては苦情が多々あることは承知しておりますので、さしあたりのところは、実態的な問題としまして、消費者に啓発を徹底することをまず一番大きな私どもの主眼としておりますと同時に、個々の具体的なケースにつきましては、関係企業、業者に対しまして強力に指導して、消費者の保護を図っているところでございます。ただ、レジャー会員権等についてどう考えるかということにつきましては、訪販法の範疇の中かあるいは外かということにつきましては、まだ私ども、より一層の勉強をしなければいかぬところでございますけれども、レジャー会員権と申しましても、いろいろその契約形態が違っておったり、複雑多岐でございます。若干、中には金額も非常に高うございますし、それから、一部投機的な面も見られるなどの理由がございまして、もう少し私どもも研究しなければいかぬと思っています。
 ただ私ども、特に学習塾などで商品を伴う場合で、かつ役務、添削などのサービスを伴う場合がございます。こういう場合につきましては、私どもは、教材を売るという商品の販売という部分に着目いたしまして、これは訪問販売法の指定商品がございますので、それの対象にいたしまして、訪販法の適用を積極的にいたしております。あわせて添削等のサービスにかかわる部分につきましても行政指導をいたしておるところでございます。
#195
○藤田(ス)委員 たくさんおっしゃったのですが、こういうサービス販売というんですかね、そういうサービス行為に類するものにでも限って考えていけば、本当に多くの人が迷惑をこうむっている部分を抑えていくことができるのじゃないかというふうに私は考えるわけです。たとえば、これはもう先ほども、よく御承知だということですから、繰り返して言うこともありませんけれども、一冊三千円の旅館のクーポン券を四冊ぐらいぱっと買わされたとか、これを一冊買ってくれたら三、四人に一人は、あなたの御家族で一人は無料で行けますよとかいうような、何か非常に乗りやすいような宣伝で、道端で誘われたり、売りに来たりしてひっかかっていくわけですね。こういうのはサービス行為を限定してでも、私は、規制の網をかぶせていかなければ、これからもっとふえていくのじゃなかろうかなというふうに思います。このことは、ちょうど河本長官が通産大臣でいらっしゃったころにこの法案が出されたわけですが、そのとき趣旨説明で、訪問販売などは「販売条件があいまいになりやすく、また、購入者が十分に検討することなく契約の申し込みを行いがちである」というふうに説明をされて、いろいろクーリングオフなんかの問題についても措置をとる必要があるというふうに強調されたわけですが、この旅行クーポン券だとかあるいは物品購入会員権というような、こういうふうに非常にあいまいになりやすく、購入者が十分検討する間もなく買わされる典型的な例だと私は思いますので、この点は、ひとつ長官からも御答弁を求めたいと思うのです。
 それからもう一つ、先ほどの御答弁で確認をとりたいのは、おっしゃるように、この塾と教材、それから添削指導と教材というふうなセットで買わされた場合に、その商品についてはサービス行為だ、これは訪販法対象外だというふうに言われて泣き寝入りしている消費者が多いのですが、それについては、そうではなしに訪販法をその商品については適用するということで指導をしていかれる、そういうふうに解釈していいのか、もう一度確かめておきたいと思います。
#196
○野口説明員 お答え申し上げます。
 線の引き方が非常にむずかしいところでございますけれども、私ども、実際に訪販法の運用に当たりましては、先生が御指摘されましたように、商品に係る部分につきましては、政令指定商品でございますので、法の厳正な運用をいたしておるところでございます。添削等のサービスにつきましては、通常の場合、セットでございますので、厳密には法律的に議論のあるところではございますけれども、法の精神に照らしまして、私どもとしては、一緒に行政指導の適用をさせていただいているところでございます。
#197
○藤田(ス)委員 河本長官、どうでしょうか。ちょうど通産大臣をなさっておられましたので、お聞きをしたいわけです。
 こういうふうなサービス行為というのが除外されているために、最近ますますふえている旅行クーポン券だとか商品購入券会員だとか、こういうことで募っている特定のサービス行為に限ってでも、私は規制の対象に、訪販法の中に取り入れていくべきだと考えますが、どうでしょう。
#198
○河本国務大臣 訪問販売法を制定いたしますときにいろいろ問題がございました。まず、こういう法律ができるかどうかということから議論を始めまして、ずいぶん長い間議論をいたしましたが、最終的には御案内のような内容の法律ができたわけでございます。それだけ運用もなかなかむずかしいと思うのです。いまクーリングオフなどのお話も出ましたが、確かにそういう話が出たことを、趣旨説明でしたことを覚えております。具体的な適用方法につきましては、通産省の当事者が来ておりますから、通産省からお聞き取りいただきたいと思います。
#199
○野口説明員 役務を訪販法の対象にすることにつきましては現行法上ちょっと無理なのでございます。それは御案内のとおりかと思います。レジャー券等のそういうサービスその他役務につきましては、私ども実態は現在勉強中でございますけれども、さらにその辺は、私どもとしましても、苦情の実態等踏まえながら検討してまいりたいと思っています。ただ、法律的には時間のかかることでございますので、実態上は行政指導の強化と、それからだまされないように、なかなかむずかしゅうございますけれども、消費者の方々が少しでもおわかりいただけるように広報活動等を積極的にやってまいりたいというように思っております。
#200
○藤田(ス)委員 次は、さっきちょっと言いましたが、消費者がクーリングオフについて十分な知識を持っていないわけですね。だから、そういうのをいいことにして販売業者がクーリングオフ期間を意図的に言い逃れをして、そしてクーリングオフ制度が実際には機能しないような状態が起こってきているわけです。クーリングオフ期間というのは契約日から四日以内ということになっているのですが、この期間中であっても販売業者は、消費者の方から解約の申し入れがあったりしても、この解約の手続をきちんと伝えようとしないで、いま係員はいないんだとかあるいは理由が明確でないとそんな解約なんかできませんよとか、もうすでにあなたの名前はコンピューターに入れてしまったので動かしようがないんですというような、そういうことを言って解約を逃れるケースが多いわけです。これは近畿ブロックでは年間三百七件という数字になっています。こうした業者に対してはもっと厳しい指導を行うべきだと思うのですが、どうでしょうか。
#201
○野口説明員 先生御案内のように、クーリングオフの制度と申しますのは、消費者の保護を図るために民法の原則を超えた例外であるわけです。これは確かに、先生がおっしゃるように、なかなか消費者の方にはわかっていただけない向きもあろうかと思いますけれども、この制度は消費者が一方的に解除ができて、かつ解除に伴う諸費用につきましては販売業者が一切の責任を持つことになっているわけです。現在は法律上、御案内のように契約をしてから四日間ということになっておりますけれども、この辺を私どももう少し、企業に、実際にセールスを行う場合にも消費者に対して十分情報の提供を行わせると同時に、消費者の方々もよくわかっていただくように努力をしなければいかぬと思っています。
 たまたま、大変恐縮でございますけれども、私ども、こういうリーフレットをつくって、配っております。これは昨年百万部こういうものをつくりまして、これを生協とチェーンストア協会、スーパーマーケットですが、レジのところに置いてもらいまして、百万部全国に配布いたしまして、主婦の方々に、ひとつ玄関に張ってくださいと書いて、これは一つの例でございますが、その他、テレビなどでやっておりますけれども、こういう形をとりながら、一人でも多くの主婦の方々にこのクーリングオフ制度のよさといいますか、をわかっていただいてとお願いをしているところでございます。
#202
○藤田(ス)委員 ところが、こういうふうな意識的な引き延ばし、まるまる教えないというのもありますし、意識的に四日間が過ぎるように引き延ばしをするというのもありますが、そういうことから消費者を守っていこうと思ったら、私は、クーリングオフの期間を、やはり四日というのは非常に短過ぎるのじゃないかというふうに思うわけです。
 大体クーリングオフ期間内に土曜の午後とか、日曜日とか、祝日とか、そういうふうなものを含むようにして契約をしている例が、これは近畿ブロックで五百十二件に上っているわけです。どういうことかというと、郵便局に行ったって手続がとれないわけですね。はがきだったら一方通行になりますから、内容証明をとろうと郵便局に行く。だけれども、土曜の午後は開いていない、日曜日は休み、祝日は休み。だから、そういう日をわざわざとって、この五百十二件は、クーリングオフを消費者が活用できる機会をそういう面から奪ったりするわけですね。この点では私は、やはりクーリングオフの期間というのはもう少し長くしておかなければいけないのじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
#203
○野口説明員 クーリングオフの期間につきましては、四日間でございますが、五十一年に法律を制定されたときの考え方は、個々の売買取引の安定ということと、先生御指摘の消費者保護という観点、二つのバランスを考えて四日というふうに決められたわけでございます。あくまでもこれは民法上の原則の例外であるということであります。
 補足させていただきますが、クーリングオフのまず一つは発言主義でございますので、郵便等で行う場合に、消印の日をもって判断をする、そういうことでさしてもらっておるほかに、法律上は書面によってクーリングオフの制度を告知をしなければならないとなっております。万一業者の方が、セールスマンが、クーリングオフの制度を告げなかった、書面でしなかった場合は、このクーリングオフ制度は永久に適用されることになります。私ども、実際の法の運用上も、そういう場合はそういうことで運用をやらしていただいておるわけでございます。
 そうはいっても、なかなか議論がありますので、具体的に私どもとしては可能なことをいろいろやっておるわけです。たとえば、実際に訪問販売等で行われる場合は、通常私ども月賦といっております個人割賦購入あっせんの取引がほとんどでございます。代金を月々後払いするわけでございますが、そういう形に、私ども標準約款ということで行政指導をさしていただいておりますけれども、そういう中で、クーリングオフの仕方はこうしなさいという、ちょっと見にくくて恐縮でございますけれども、官製はがきの様式を約款の中に、契約書の中に入れさせまして、断るときはこういう形でお断りくださいということをさせていただいたりいたしておりまして、その辺はできるだけ消費者個々の取引を行う場合の便宜を積極的に図らさしていただいておる。
 それから、若干補足でございますけれども、法律上は書面でクーリングオフを行うことになっておりますけれども、たとえば先生がお断りになるときに電話等で相手の企業に対して断りたいということがあるわけでございます。確かに書面では行っておりませんので法律上むずかしゅうございますけれども、電話であっても相手方が解約の申し込みを受けたということを承知している場合は、実態上は私どもの方はクーリングオフの適用をさせるように運用をさしていただいているなど、消費者保護の立場を全面的にこの運用に当たっては配慮さしていただいておる次第でございます。
#204
○藤田(ス)委員 契約書の中に新しくそういうはがきのサンプルをお入れになって消費者に徹底を図られるよう業者に指導されたということは大変結構だと思うのですが、それは義務づけではありませんね。それから、電話というのも、現実はそんな甘い話はないわけです。逆に、電話をかけたためによけいに、何というんですか、電話であきらめた消費者というのもずいぶん多いわけです。だから、そういうやり方だけでは解決ができない。このクーリングオフは訪販法を成立させる際にも論議の非常に重要なポイントになったんじゃないでしょうか。そしてマルチ商法の場合は、原案では、政府案はクーリングオフの期間を七日ということで提案されておりましたね。だけれども修正されて十四日に引き延ばされたんじゃないかと思うのです。違いますか。――そうですね。そういう経過から見ても、私は、訪問販売のクーリングオフの期間は四日ということじゃなしにもっと延ばすという立場で検討していただくべきじゃないかというふうに考えるわけです。これはきょう私具体的に持ってこなかったですけれども、外国の例と比べても日本は非常に短いのですよ。だからぜひ検討していただけませんか。
#205
○野口説明員 これは先ほど申しましたように、取引の安定とのバランスが非常に問題のあるところでございますので、何日がいいかということにつきましてはなかなかむずかしいところでございます。ただ、先生もお気づきで御承知かと思いますけれども、訪問販売業者の中では一部中小零細あるいは個人企業もおりますので、その辺もよく配慮しなければいかぬかなと思っております。これはあくまでも現行法の原則の全くの例外でございますので、その辺は慎重に配慮する必要があると思っておりますが、なお改めて勉強させていただきたいと思っております。
#206
○藤田(ス)委員 なかなか検討してくださるというふうにおっしゃらないので、最後にこれはまたまとめて長官から御意見をお伺いします。
 訪問販売法の第三条では、訪問販売の際には、まず消費者に対してみずからの氏名を明らかにし、売ろうとする商品の種類も言わなくてはならないとなっているのですね。ところが実際には、保健所から来ましたとか健康調査に来ましたとか、あるいはひどいのは厚生省や文部省の名前をかたったりして強引な販売を行うケースが、これは近畿ブロックで二百七十七件出ています。氏名の明示というのはもっと厳しい義務づけが必要で、これは罰則規定がないわけですね。だから、そこに悪質な販売をどうしても正すことができ切れない弱さがあるんじゃないかと思うわけですが、どうでしょうか。
#207
○野口説明員 御説明申し上げます。
 先生おっしゃいますように、法律では、訪問さしていただいたときに訪問販売業者の氏名あるいは企業の名前、それと商品の種類というものを告知する義務があるわけでございます。御指摘のとおりこれは罰則がございません。
 罰則のない理由につきましては、まず一つは、そういう告知義務あるいは明示義務につきましての履行の確認、つまり違反事実の確認がなかなかむずかしいのではないだろうかというような実態上の問題。それから、たとえば商品の種類を例にとっても、罰則の対象にする場合にどの程度まで商品の中身を言うべきかということにつきまして、いろいろ複雑でございますので、商品は多岐にわたったりするものですから、その辺のつまり構成要件の確定というのが非常にむずかしいということなどから、現在の訪販法では罰則の適用がないのでございます。
 つまり、法的な安定性とか実効性の両面から見る限りにおきましては、確かに先生がおっしゃいますように、厚生省という名前をかたってドアの中に入れてもらうようにいろいろ知恵をしぼる販売の方もおられます。そういう方につきましては、私ども実態上行政指導その他で強く指導はいたしておりますけれども、現在、実はこの四月から訪問販売員登録制度というものを発足をさせました。これは社団法人日本訪問販売協会というのが昨年四月できまして、その傘下団体及び企業団体の数が十七、企業の数が九十九企業で、登録制度ができ上がりますと約八十万人のセールスマンを対象にいたしまして、セールスマン一人一人につきまして研修教育を行って、一定の基準に基づきましてテストをして、その結果合格した者につきまして登録証というのを持たせる。身分証明書でございます。私どもとしては、セールスマンの資質の向上と自分の職業に対する誇りというのを持ってもらうことがこういうことをなくす一番ポイントだと存じておるものですから、教育をしてもらうと同時にセールスマンの方々の身分の安定と地位向上を図るという趣旨から制度を始めたものでございます。
 こういうことをしながらそういう強引な、あるいは詐術を弄したセールス販売をできるだけ自粛し、やめさせるように行政指導をしてまいりたい、そういうふうに思っております。
#208
○藤田(ス)委員 登録制ができたことは非常に結構だと思いますが、もともとこの法律は義務づけがあるにもかかわらず実行していない業者が多い、したがってセールスマン登録制というのも別に義務づけではないわけですから、そういう点ではさらに一層それを逸脱する業者というのは現実にあるだろうというふうに思うのです。
 私は、何ぼ近畿で二百七十七件といったって、潜在的な数はもっと多いでしょうが、しかしそれにしてもセールスマンの方の本当に一部だと思うのですよ。だけれども、その一部の悪質な業者がいるがために全体のセールスマンの生活も脅かされ、社会的な地位も低く見られるとしたら、私はそういうことに非常に憤りを感ずるわけです。だから罰則を設ければいいじゃないかということを要望したくなるわけです。同時に、何遍繰り返しても言うことを聞かない悪質な業者は公表などを考えるというようなところまできちっと押さえた指導並びに法の改正の検討をやはり要望したいと思います。これは同じ御答弁になると思いますから繰り返しません。
 時間もありませんし続けていきますが、こういうトラブルは先ほどからもおっしゃるように確かに消費者ももっと賢くならなければだめだと思います。しかし実際にはそういうふうなことでなかなか知るという機会が少ないわけですね。スーパーに張っていらっしゃるというさっきのビラも、果たしてどれだけの人が目に入れているかというようなこともありますし、テレビだとか特に新聞の広告なんかでもう少しきちっとした消費者教育というのですか、啓蒙に取り組んでいただけないだろうかというふうに私は考えますが……。
#209
○野口説明員 先ほどリーフレットをお見せいたしましたけれども、消費者の方々に対する啓発、御指導につきましては、テレビも映画もそれからパンフレットも、私ども少ない予算ではございますけれども、できるだけ実効の上がるPRを考えてまいりたい、経済企画庁さんも全官庁の総括官庁としてこの辺のPRにつきましては積極的にやっていってもらいたいと思いますので、私ども引き続き特に効果の高いテレビなどを活用しながら粘り強いPRをしていきたい、そういうふうに考えております。
#210
○藤田(ス)委員 これで終わりますが、私は、訪問販売法の盲点を悪用した悪質な例を幾つか挙げながら法の改正をお願いしました。しかし、いまは法の改正というところまで考えていないんだということですが、これは私が勝手に自分の意見として言っているのではなしに、近畿ブロック消費生活センター所長会が昨年の十一月にちゃんとこういう「「訪問販売等に関する法律」の一部改正について要望」というのを出しておられて、この中に十五項目にわたって要望書が出されております。非常に配慮され、いろいろ御検討された結果まとめられたこういう要望書もあるわけです。したがって、私は、国の方ももっと実態をよく調査して、そして法の改正ばかりではもちろんありません、業者に対する指導の徹底、それから法をできるだけ運用して、訪販法に、厳密に読めば適用しないだろうけれども、しかし、これは適用していくんだということで大胆な拡大をやっていただく。と同時に、将来的にはこういう意見を謙虚に聞いてやはり検討をしていただきたい。これは最後にしますので、ひとつ長官の方からよろしくお願いいたします。
#211
○河本国務大臣 消費者の保護をするというのは政府の責任でございます。いま消費者の利益がいろいろ侵害されておるという具体例を御説明になりましてお話がございました。そこで、この行政に携わっております者は企画庁にもおりますし、それから通産省にもおられるわけでありますので、そういう関係者の間で、いかにして消費者の利益を守るかということにつきまして、いま御指摘がございました点などをよく打ち合わせをいたしまして、どうすればよいか具体的に検討してみたいと思います。
#212
○藤田(ス)委員 どうもありがとうございます。
#213
○井上委員長 次回は、来る五月十二日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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