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1980/05/12 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 物価問題等に関する特別委員会 第10号
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1980/05/12 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 物価問題等に関する特別委員会 第10号

#1
第094回国会 物価問題等に関する特別委員会 第10号
昭和五十六年五月十二日(火曜日)
    午前十時十分開議
 出席委員
   委員長 井上  泉君
   理事 青木 正久君 理事 谷  洋一君
   理事 小野 信一君 理事 武部  文君
   理事 長田 武士君 理事 塩田  晋君
      小澤  潔君    木部 佳昭君
      長野 祐也君    牧野 隆守君
      草川 昭三君    春田 重昭君
      岩佐 恵美君    依田  実君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      河本 敏夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局経済部長 伊従  寛君
        経済企画庁調整
        局審議官    大竹 宏繁君
        経済企画庁国民
        生活局長    小金 芳弘君
        経済企画庁物価
        局長      廣江 運弘君
        経済企画庁総合
        計画局長    白井 和徳君
        経済企画庁調査
        局長      田中誠一郎君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部経済調査官 本多 義光君
        経済企画庁調整
        局審議官    小谷善四郎君
        外務省中南米局
        中南米第一課長 小野 純男君
        外務省経済協力
        局政策課長   松浦晃一郎君
        大蔵省証券局流
        通市場課長   野田  実君
        大蔵省証券局業
        務課長     橋本 貞夫君
        厚生省環境衛生
        局食品化学課長 藤井 正美君
        食糧庁管理部企
        画課長     松山 光治君
        食糧庁業務部輸
        入課長     羽鳥  博君
        通商産業省通商
        政策局経済協力
        部企画官    細田 博之君
        特別委員会第二
        調査室長    秋山陽一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十二日
 辞任         補欠選任
  春田 重昭君      草川 昭三君
同日
 辞任         補欠選任
  草川 昭三君      春田 重昭君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○井上委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野信一君。
#3
○小野委員 最初に、大臣の所見をお伺いいたします。
 昨年の政府の物価見通しは六・四%、しかし残念ながら七・八%に急上昇いたしました。ことしの見通しを聞いたとしても、初めでありますから、はっきりした答えができるわけじゃないと思いますけれども、今年度の五・三%の物価見通しを達成するためには、現在考えられる不安材料というのはどういうものなのか、そして今回の、今年度の物価見通しについて大臣の所見をお伺いいたします。
#4
○河本国務大臣 ことしの消費者物価の政府見通しは五・五%であります。四月の東京区部は御案内のように五%ちょうどということで、おおむね政府の計画どおりスタートすることができました。
 ことしの物価政策は、私は五十五年度に比べて相当やりやすい、こう思っております。その一つは、昨年の一月から六月までは御案内のように卸売物価が前年同月比二割から二割四分上昇しておりましたが、最近は非常に落ちついております。ほとんど前年同月比横並びである、こういう状態でございます。その影響がいずれいい結果となってあらわれてくるであろう、こう期待はしておりますし、それから昨年は、公共料金、二・二%消費者物価を押し上げております。五十三年、五十四年は公共料金による消費者物価の押し上げは〇・八%でございましたから、昨年は非常に大きく公共料金が消費者物価に影響したわけでありますが、ことしは最終的にどれだけ公共料金による消費者物価の押し上げになるか、まだ正確な数字は出ておりませんけれども、昨年よりはるかに低い水準である、こう思っております。特に、電力、ガス料金の据え置きということが、非常にその点やりやすい、こう思っております。
 それから、石油価格も最近は世界的に弱含みでありまして、突発事情でもない限り、大体この大勢が続くのではないか、このように考えておりますが、問題はやはり石油価格問題だ、こう思っております。これはわが国だけの力ではどうにもならぬ問題でございますが、何とか国際会議等を通じて、石油価格の急上昇というものが現在の世界経済の混乱のもとになっておる、こういうことを十分説明をいたしまして、石油価格の値上げのない、できるならばむしろ値下げの方向にいくように、そういう方向に努力しなければならぬ、こう思っておりますが、そういうことを総合いたしまして判断をした場合に、五・五%という政府の消費者物価見通しは十分達成できる、こう考えておりますけれども、なお細心の注意を払いながら万全の対策を進めてまいりたい、こう思っております。
#5
○小野委員 ことしの消費者物価の心配な点は輸入物価の上昇、特に石油だ、こういう大臣の答弁であります。それに加えて食糧も、あるいは穀物の輸入価格の上昇も心配される二つの点ではないか、こう考えられますけれども、これらに対する対策はどのようにとられておるのでしょうか。特に食糧の価格上昇はいま世界の趨勢として認識されております。短期的には数量なり価格を表示することによって買い占めあるいはインフレ心理を抑える、中期的には備蓄によって値上げのショックを緩和する、長期的には合理化あるいは省エネルギーによって価格の上昇を抑える、ホームメード・インフレになることを抑える、こういう政策があると思うのですけれども、私は、この中期的価格抑制への備蓄にわが国の場合に不安があるのじゃないのか、特に石油は百七日といたしましても食糧あるいは飼料において世界の価格上昇に対応できる備蓄制度がないのじゃないか、こういう心配があるのですけれども、価格面から見たわが国の備蓄政策について、どのような対策をお持ちなのか、お聞きいたします。
#6
○廣江政府委員 広い意味でいいまして経済的安全保障といったような観点から考えましたとき、先生が御指摘になりました日本の生産活動、経済活動のもとであります石油、それからもう一つ食糧といったようなのは、重要なウエートになると思います。
 石油につきましては、先生も御指摘になりましたような体制でございますし、また先進国全部がそういう体制で進んでいるわけでございまして、そういう政策はすでに述べられているとおりでございます。
 次に、重要な食糧につきましては、経済計画の中でも述べておりますが、この辺の安定的供給を図らなければいけないということは御指摘のとおりでございまして、そういう面につきましては、コストの関係をも勘案しながら必要な備蓄というのを備えなければいけないと思います。ただ、本年に限って申しますと、本年の現在の状況で申しますと、これは相場の問題もございましてなかなかむずかしい問題もございますし、それから豊凶の予測といったようなものが絡みますので、非常にむずかしいわけではございますが、ことしに入りましては少し弱含みにいっているというのも事実でございます。そしてまた、本年に急速に悪化をするという情勢も見込まれていないわけでございますが、しかし基本的には先生の言われましたようなことを十分に心得た政策をとらなければいけないと思います。
#7
○小野委員 食糧輸入の問題は、国民の生活安定のためには、その観点から必要であると同時に、私どもは、輸入価格の急上昇を国民生活に直ちに転嫁しないような政策樹立もまた非常に大きな任務であろう、こう思われるのですけれども、そういう観点からの政策が全然とられておらないということになりますか、局長。
#8
○廣江政府委員 いま先生の御指摘になりました点は非常に重要な点でございまして、その点が全然とられてないというわけではございませんで、相対の価格関係を見ながら全体をどういうふうに確保していくかというのは一番重要なことで、それは常々関係の省において御判断になっておりますし、先ほどもちょっと触れましたが、政府全体の経済計画の中でもそういう点に十分配意しておるところでございます。
#9
○小野委員 昭和三十年からわが国の物価を見ますと、昭和四十六年までは卸売物価、小売物価ともに、上昇ぎみではありますけれども、平衡しておりました。四十六年から急激に物価が上昇いたしております。四十八年のオイルショックによって物価が高騰するならばこれはだれでも理解できるわけですけれども、その二年前からすでにかなり急激な変動を来しておる。物価は、だれもが知っておるように、経済活動の反映であり経済の影である、こう言われておるのですけれども、そうなるとすれば、四十六年から日本の経済に大きな質的変化が起こっておらなければならない、起こっておると判断するのですけれども、この場合に、わが国の経済にどのような質的変化が起こって、その反映として四十六年から卸、小売物価ともに変動を来しておるものなのか、どのように分析いたしておるのか、お聞きいたします。
#10
○田中(誠)政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、いわゆる高度成長期の物価の動向を見ますと、卸売物価が安定しているのに対しまして消費者物価が上昇したわけでございます。
 これは申し上げるまでもなく、高度成長期におきまして、いわゆる大企業が生産しております工業品を中心にいたしまして生産性が上昇いたしまして、賃金の引き上げはございましたけれども価格が安定するという状況でございました。それに対しまして、生産性が若干落ちます中小企業あるいはサービス業、農業等につきましては、賃金の上昇をこれでは吸収できないという状態がございました。と申しますのは、昭和三十五年ごろからいわゆる完全雇用になりまして、したがいまして賃上げが相次いで行われたわけでございますが、そういったいわゆる低生産性部門の価格上昇が見られたわけでございます。一口に申しますと、生産性格差のインフレーションが高度成長期時代の特徴であったのではないかというふうに言えるわけでございます。
 一方四十六年以降は、先生御指摘ございましたが、特に第一次石油危機以降の局面を見ますと、四十八年、四十九年あるいは五十四年、五十五年の局面を見ますと、卸売物価が第一次石油危機以後は約二割以上、高いときには三割を超えたわけでございますが、上昇しておるのに対しまして、消費者物価は、非常に上がりましたが十数%あるいは二〇%にとどまっておるという状況でございますし、一方五十四年、五十五年は卸売物価がいずれも、年度ベースで見ますと一三%前後上昇いたしましたのに対しまして消費者物価が、五十四年度は四・八%、五十五年度は七・八%の上昇にとどまっているということでございます。卸売物価が大幅に上昇しておりますのに対して消費者物価の上昇率がこれを下回るという状況でございます。その意味で、石油価格を中心といたします輸入原材料、素原材料の価格上昇によりまして卸売物価が大幅に上昇したということでございます。ある意味では輸入インフレという点が特徴的な点ではないかというふうに考えておるわけでございます。
#11
○小野委員 経済が大きく成長しておる時代には卸売物価が安定して小売物価が上昇する、その原因は生産性格差インフレだ、こういうお答えであります。これが高度成長期の物価の特徴だとするならば、その後に来る変革期あるいは安定成長へ移る過程の変革調整過程ですか、その時代の物価というものはどういう特徴を持つものですか。
#12
○田中(誠)政府委員 石油危機は、申し上げるまでもなく非常に突発的に起こったわけでございまして、先生の御指摘のように石油危機の以前にも物価の上昇が見られたわけでございます。卸売物価、消費者物価とも上昇したわけでございまして、四十八年の卸売物価は前年比で二二・七%でございますし、消費者物価は二八・一%でございます。これは年末にかけての石油危機の影響がもちろん入っておるわけでございますが、それ以前から上昇しておりましたのは、一つには景気が大変過熱状態でございました。需給ギャップが非常に縮小いたしまして、完全雇用でございます上に物資の需給がかなり逼迫するという状況であったかと思われます。特に鉄鋼、セメントを初めといたしまして、四十八年の春には一部に物不足という状態もございました。その意味での物価上昇が見られたかと思います。
#13
○小野委員 要するに、調整過程の物価、調整期の物価というのは一つの傾向を示さない、こう考えていいわけですか。
#14
○田中(誠)政府委員 ただいま申し上げましたのは石油危機以前の状況でございますが、いつを調整過程と考えるかということでございますが、日本の経済の高度成長期から安定成長期への移行が石油危機によって促進されたという面はあろうかと思います。安定成長期への移行のパターンが実は石油危機によって非常に打ち消されておりますので、調整過程における物価の実際の姿がどういうことになるかという点はなかなかむずかしいわけでございます。したがいまして、一概に申し上げることは大変むずかしいわけでございますけれども、仮に完全雇用状況が続きまして、しかもある意味での生産性の格差がある、そういうことになりますと、先ほど申し上げましたような、高度成長期ほどではないにいたしましても卸売物価に比して消費者物価が上がりがちになるという形が、もちろんタイムラグがございますが、想定できるのではないかというふうに思います。
#15
○小野委員 いまの答弁からこう理解していいですか。要するに、日本の経済は原油の高騰によって質的な変化を来したのではなくて、その前の四十六年ごろからわが国の経済の質的変化が起こっておるところにオイルの高騰が起こって、それが劇的にドラマチックに回転していった、こう理解してよろしゅうございますか。
#16
○田中(誠)政府委員 なかなかその辺の見方はむずかしゅうございますけれども、いわゆる高度成長期の成長のパターンから四十五年ごろから少しずつ成長のパターンが変わり始めていたという状況が指摘できるかと思います。それは労働力の面で見ましても、また設備投資等の面で見ましても、そういった点が、そう顕著ではございませんけれども、指摘できるのではないかというふうに考えております。
#17
○小野委員 そうしますと、四十六年ごろからわが国の経済が質的変化を来しておった、そして安定成長にはまだ入らないけれどもここ十年くらいがその変革過程期だ、もしこう分析するとすれば、その変革期の物価というものに一つの傾向は考えられないものなんですか。
#18
○田中(誠)政府委員 そういう調整過程の物価のタイプがどういう形になるかというのは大変むずかしいわけでございますけれども、一般的に申しますと、安定成長期に入りますと設備投資の上昇率も若干落ちてまいるわけでございますし、したがいまして生産性の上昇率も低下するという状況にあろうかと思います。しかし一般的に申しまして、なお生産性についての格差が大企業と中小企業あるいは農林水産業、サービス業等に存在するわけでございますので、一般的な傾向といたしましては、卸売物価が消費者物価に比べて相対的には安定しているという状況ではないかというふうに考えております。
#19
○小野委員 先ほど大臣は、本年度の物価は昨年以前と比較してかなり御しやすい条件が整った、こう言われました。もしこのように物価が安定してまいりますと、調整期を終了して安定成長期に入ったのだ、こういうことが言えるのでしょうか。もしそうだとすれば、どのような経済指標がどのような形であらわれたときに安定成長期と言えるのか、その場合に物価はどのような特徴をもってあらわれてくるのでしょうか。その点の御意見を聞きたいと思います。
#20
○河本国務大臣 私は、安定成長ということになりますと、おおむね消費者物価もほぼ政府見通しの線で推移する、五%前後でいくということをここ数年間想定をしております。それから景気もある程度回復をいたしまして、実質経済成長率が五・五%見当、政府はそれを一応目標にしております。多少の前後はありましても、大体その水準を継続することができる。それから国際収支、昨年、一昨年と相当の赤字が続いておりましたが、これもある程度収支の均衡が回復をする。そういう状態になったときに、わが国経済が安定成長路線に近づいた、そういうことが言えるのではないかと思います。言葉をかえて言いますと、政府の目標としております一昨年決めました新七カ年計画の路線にわが国経済が大体定着したかどうか、そういう判断が常識的にできるのではないか、このように考えております。
#21
○小野委員 五%の物価上昇というのは、高度成長期あるいはいままで経験している変革期の物価と比較すると確かに低い率ではありますけれども、長期的に見ますとやはりかなり高い物価の上昇ではないのか、こう考えられるのですけれども、安定期の場合に、五%の物価の上昇というのは果たして安定した物価上昇率と言えるのかどうか、私は非常に疑問に感ずるわけです。その場合にわが国の経済成長率が五%前後だとしますと、その潜在成長率というものは、どのような計算、どのような経済指標からそういう算出がなされるものでしょうか。潜在成長力についての御意見をお聞きいたしたいと思います。
#22
○白井政府委員 先生御指摘の潜在成長力と申しますのは、一つは労働力、量の問題質の問題、それから資本装備の問題、資本生産性の問題、土地の問題、エネルギー、それから技術進歩等の条件に応じて、どの程度の経済成長が可能であるかというものを示すものだろうと考えております。
 この測定に関しましては、技術的にはきわめて困難な条件が多いものですから、統一的な手法は確立されておりません。したがって、中期的に潜在成長力が具体的にどの程度になるかということを的確に数字で示すことはなかなか困難であろうと思っております。ただ、五十六年一月の新経済社会七カ年計画のフォローアップ報告におきまして、五十五年度から六十年度平均実質成長率五・五%成長というもとにおきまして、先ほど大臣も御指摘のように消費者物価五%程度、雇用につきましても完全失業率一・七%程度、エネルギー等につきましてもバランスのとれた経済の姿を確保するという点から見まして、この程度の成長は、わが国の中期的な潜在成長力とそれほどかけ離れたものではない、かように考えておるわけでございます。
#23
○小野委員 ことしは経済成長率五%ですか、これは計算する場合にはもちろんマクロで計算しますから、なかなか説明はむずかしいのだろうとは思いますけれども、その基礎的資料、基礎的判断というものはどういう計算によってはじき出されるのですか。
#24
○白井政府委員 先生御指摘のように、中長期の経済の姿というものを描き出す場合には、マクロでもってシミュレーションをやった結果描き出しているわけでございますから、その基礎につきましては、事務的には、それだけの供給が可能であるかどうかということについては十分検討しておるわけでございまして、資本、労働、エネルギーという三つの制約条件を考慮しまして試算しますと、中期的なわが国の潜在成長力というものは、おおむね成長率で四%から六%の範囲内に入れるものという一つの試算があります。もちろんこれは一定の前提条件を置いておりますので、条件の置き方によって結論は異なろう、かように考えておるわけでございます。
#25
○小野委員 私たちが教えられた貯蓄率割る限界資本係数でやりますと、たとえば現在の貯蓄率が二〇%、限界資本係数が四%だとすれば、四、五、二〇で五%ぐらい出てくるわけですけれども、そういう単純な計算でこれは計算できますか。
#26
○白井政府委員 ただいま先生の御指摘の計算式は成長率掛ける限界資本係数イコール貯蓄率という一つの方程式、そういうものがあるということは十分承知しておりますが、単純にそれだけでもって判断できるかどうかということになりますと、それは一つのめどになろうかと思っております。わが国の貯蓄率は、御承知のように平均消費性向が大体八二%程度と考えておりますので、貯蓄率が一八%ぐらいございます。したがって、限界資本係数をどう見るかという問題はありますけれども、その点から見てもやはり実質成長率四%ないし六%ということは可能だろうと思います。また、いわゆるコブ・ダグラス型の生産関数から見て潜在成長力を試算するという方式もございまして、先ほど私が申し上げました今後の安定成長という場合、需要路線とそれから供給面の四ないし六%の実質成長力というのは、先ほどのは一つの試算でございますが、コブ・ダグラス型の典型の一つの試算値を事務的に試算したものでございます。
#27
○小野委員 もし貯蓄率が現在のような率で推移するとすれば四%から六%の間の経済成長率は可能だ、そう私も考えるのですけれども、もしそうであったといたしましても、五%の物価上昇というのは高過ぎるのではないか、もう少し低くできないものだろうか、こういう感じを強く持つのですけれども、なぜ経済成長率が四から六の間に物価が五ないし五・五%に上昇するのか、その辺を抑えることができないものだろうか。というのは、短期的には五%の物価の上昇というのは許容されるにしても、五年なり十年の単位で見ますと、かなり高い物価の上昇と考えざるを得ないのですけれども、それらに対する考え方をお聞きしたいと思います。
#28
○白井政府委員 先ほど申し上げましたg掛けるcイコールsという形の潜在成長力を計算する場合、それは実質値でございますので、したがってある程度物価の問題というのは考慮されていないというふうにお考えいただいた方がいいと思うのでございます。それで、中長期的に五%というのは、これは中期多部門モデルのシミュレーションの結果出てきておるわけでございますが、主としてその要因というのは、海外要因を今後どう見るかということが基本的に一つの大きな問題であるということと、今後の労働生産性の上昇率をどう見るか、需給のバランスをどう見るか、それから賃金のコストに与える要因をどう見るかということを、総合的に判断して決まってくるだろうというふうに考えておりまして、われわれといたしましては、消費者物価五%というのは大体物価としては安定した推移というふうに考えておるわけでございます。
#29
○河本国務大臣 五カ年計画の目標のことにつきましては先ほど申し上げましたが、たとえば成長率五・五%と考えておりますけれども、そのときどきの世界情勢はもちろんでありますが、わが国のいろいろな条件等を勘案をいたしまして、五%を超える年もある、あるいは六%台になる年もあろうかと思います。しかし、四%台とか三%台になるような年もあるかもわからぬと思います。平均して大体五・五%という成長が達成できれば雇用問題も解決できる、それからわが国の経済の国際競争力も維持できる、そういう考え方を持っております。毎年同じような五・五%という目標をずっと達成する、こういう考え方ではございません。
 それからまた、物価につきましても五%前後と想定をしておりますが、年によりましては残念ながら五%を若干上回る年も出ようかと思います。しかし、年によりましては五%よりも相当低い水準で推移することが可能な年もあろうかと思います。御案内のように昭和五十三年には三・八%という水準でありましたし、昭和五十四年は四.八%という水準でありますから、だからそういうことも可能だ、こう思っておるのです。これも年々によりましていろいろな条件を見て設定をいたしますが、いまお話がございましたように、やはりできるだけ低い水準に消費者物価を持っていくということが望ましいわけでありますから、今後ともそういう方向に工夫、努力を積み重ねていきたいと考えております。
#30
○小野委員 昭和三十年を一〇〇とした場合に、昭和五十四年度の卸売物価は二一四.八、消費者物価は四二二・五とかなり卸売物価と消費者物価の乖離があります。卸売物価は成長期には消費者物価よりも低く、転換期、変動期には逆に小売物価よりも高く出るというのは、どういう理由でそうなるのですか。
#31
○田中(誠)政府委員 高度成長期につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、やはり大企業と中小企業あるいはサービス業、農業等との生産性の格差がございます。したがいまして、高度成長の時期におきましては、賃金上昇がございましても生産性でカバーするという形で、大企業が主に生産しております工業品等につきましては価格が安定するわけでございます。特にその当時は輸入価格も非常に落ちついておりましたので、卸売物価は相対として安定したわけでございますが、それに対しまして中小企業ないしサービス業、流通段階でございますが、さらに農産物等については生産性が低うございました。そういった分野の生産物ないしサービスは消費者物価に非常に関係がございます。したがいまして、消費者物価の上昇率がこれを上回るという状況があったかと思います。
 一方、安定成長期と申しますか、成長率が下がった時期におきましては、特に二度にわたる石油危機がございました。したがいまして、輸入インフレという形で価格が上昇いたしまして卸売物価が上昇し、それに比べますと消費者物価が若干これを下回るという状況が続いたのではないかというふうに考えております。
#32
○小野委員 もしそうだといたしましても、世界の先進諸国と比較してこの乖離はわが国が最も大きいわけですけれども、それは経済成長率が高かったからこの乖離が大きかったのだ、こう説明し、あるいは理解してよろしゅうございますか。
#33
○田中(誠)政府委員 もちろん先進工業国とどの時期で比較するかによりまして差はございますけれども、やはり生産性の上昇率がどの程度であるか、また賃金と物価の悪循環が生じているかどうかということによって大きく変わってくるのではないかというふうに考えております。
#34
○小野委員 成長期の物価変動の背景は、いま説明を受けたように卸売物価が安定して小売物価が上昇するというパターンであろう、こう思います。しかし現在の変革期の物価のパターンというのは、何度も聞きますけれども、どのような傾向を示すものなんですか。そういう傾向は、いま特徴としてとらえることができないものなんでしょうか。
#35
○田中(誠)政府委員 現在の状況は、徐々に第二次の石油危機の状況を吸収してまいりまして、いわゆる第二次石油危機は物価面につきましてはこれをおおむね克服しつつあるという状況かと思います。その状況で見ますと、消費者物価は先ほど来お話がございましたように五%というふうに落ちついておりますし、四月に入りますと卸売物価も前年をやや下回るという状況でございますが、この傾向は大変顕著ではございますけれども、一般的に申しまして卸売物価が安定し、消費者物価が安定しておりましても若干それを上回るという状況ではないかというふうに思われます。先ほども話がございましたけれども、七カ年計画におきましても消費者物価の上昇率が卸売物価の上昇率を若干上回るというパターンでございまして、五%の消費者物価の上昇率に対しまして卸売物価の上昇率は四%程度と見ておるわけでございます。
#36
○小野委員 私がなぜそれをしつこく聞くかといいますと、第一次石油危機と第二次石油危機に対する物価の変化の仕方がかなり違う。そうしますと、われわれは第一次石油危機の経験から第二次石油危機に賢明に対処した。わが国の適応の仕方が世界の中で最も優等生、模範的であったろう、こう考えます。そのための変化だ、こう考えるのですけれども、その第二次石油危機に対する物価を抑える対処の仕方は、第一次オイルショックからどのようなことを学んで、どのような対策を重点的にとらなければならないと考えて対処したのか、もしそれらがまとめてあるとすれば発表していただきたいし、第三次総合経済政策にそれがどのように生かされておるのか、お聞きいたします。
#37
○田中(誠)政府委員 御指摘のとおり、第二次の石油危機に対する対応は、企業も家計もそしてまた政府も、第一次石油危機に比べますと適切であったというふうに考えられるわけでございます。それは、何と申しましても第一次石油危機の経験が生かされているということが一つにはあろうかと思います。現象的に見ましても、第一次石油危機の場合には企業、家計等におきましていわゆる買い占めが発生いたしまして物価が上昇するという状況が見られたわけでございますが、今回の企業、家計の対応は、昨年の一−三月期には若干前倒し生産がございましたし若干の買い急ぎが見られないわけではございませんでしたが、第一次石油危機に比べますと非常に落ちついたものであるということかと思われます。やはり一面では、第一次石油危機の学習効果であったのではないかというふうに思われます。
 他方、企業の面から見ますと、第一次石油危機の際には期待成長率と申しますか将来の成長率が非常に下がるのではないか、急激な変化があったわけでございます。これに対しまして今回の第二次石油危機に際しましては、企業は先ほど来御議論ございましたように、日本の経済は長期的に見ますと五、六%の成長という安定成長にあるという見方をしております。将来の成長率の見方、期待成長率の低下が余り見られなかったという状況もございます。それがその企業の行動、学習効果と相まちまして、適切なものになったのではないかというふうに思われるわけでございます。
 と同時に政策面では、金融当局が今回はかなり早目に公定歩合を初めといたします金融上の諸措置をとりましたし、政府といたしましても、かねて御議論ございましたように物価対策をかなり早目に適切にとったという、政策の対応があったのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#38
○小野委員 第一次と第二次石油危機の物価を比較してみますと、第一次は輸入インフレ率は非常に高かった。それに加えてホームメード・インフレが加わった。今回輸入インフレ率は前回に劣らず上昇しておるのですけれども、ホームメード・インフレが落ちついておった、こう考えられます。これは輸入原材料コストの上昇が国内製品に波及する際に、国内品の上昇幅がおおむね輸入コスト上昇の範囲にとどまったことだろう、私はそう考えます。なぜ第二次石油危機の場合に輸入コスト上昇の範囲内におさまったものなのか、それは企業の方がそのように抑えたものなのか、あるいは政府がいろいろな政策を実施することによってそのような状態をつくり出していったものなのか、その辺の判断をお聞きいたします。
#39
○田中(誠)政府委員 御指摘のとおり、輸入素原材料を見ますと、第一次石油危機、第二次石油危機とも、昨年について見ますと約七〇%の上昇率でございますから、おおむね同じでございます。ただ御指摘のように、輸入インフレであるにもかかわらず、ホームメード・インフレに転化しませんでした一つの大きな理由は、何と申しましても、西欧先進国では見られます賃金と物価の悪循環がわが国の場合には見られなかったということが大きな要因ではないかというふうに思います。賃金は、労使の節度ある交渉によりまして合理的な水準に決まったというふうに考えられるわけでございまして、したがってそれがホームメード・インフレに転化せずに済んだ大きな理由の一つではないかと思われます。
 もう一つは、先ほども申し上げましたとおり、政策運営の面でかなり早目に金融当局、政府が対策を実施したという効果も大きかったのではないかというふうに判断しておるわけでございます。
#40
○小野委員 第一次オイルショックのときには、総需要抑制政策を行うことによって物価を安定させましたけれども、その反面経済デフレ効果を生み出しまして、それを回復する際に非常に困難を来したことは事実でありますけれども、今回そのようなことが起こらなかった理由、反面、それならば経済の落ち込みを抑えるために物価の上昇をある程度認めた、こういう判断は、今回の第二次オイルショックの以後の政府政策の中で判断してよろしゅうございますか。
#41
○田中(誠)政府委員 政策の物価に対する対応といたしましては、第一次石油危機の場合には、石油製品の一部につきまして、価格の面でのある種の抑制措置があったわけでございます。それに対しまして、今回はプライスメカニズムに任せるという形での価格のある意味での浸透が行われたということかと思われます。しかし、そういった形での点はございましたけれども、ホームメード・インフレになっておりませんのは、何分にも先ほど申し上げました理由が大きな要因であろうかというふうに考えておるわけでございます。
#42
○小野委員 第一次石油危機と第二次石油危機の背景の違いは、一つは、第二次の場合に物価が非常に安定しておったということ。第二は、賃金と物価の悪循環を断ち切るような労働組合側の良識ある態度があったということ。もう一つは、マネーサプライがあったのじゃないのか、私はそう思うのですけれども、その場合にマネーサプライは物価を上昇させない程度の上昇率に抑えるという、このマネーサプライの増加率というものはどのような背景、どのような算定の基礎で行われるものですか。
#43
○田中(誠)政府委員 御指摘のとおり、マネーサプライとは大変密接な関係がございます。どの程度のマネーサプライが物価に適当であるかという点は、なかなか算定がむずかしいわけでございますけれども、現時点で見ますと、マネーサプライ、若干上向きではございますけれども、七%台のマネーサプライであれば、現段階におきましては、それがしばらくしまして物価に影響を持つわけでございますけれども、おおむね妥当な水準ではないかというふうに金融当局も判断しておるわけでございます。
#44
○小野委員 現在のマネーサプライの増加率はどの程度になっておりますか。
#45
○大竹政府委員 三月のM2プラスCDという指標で見ますと七・七%ということになっております。
#46
○小野委員 これもしつこくお聞きいたしますけれども、私は五%前後の物価の上昇というのは、長期的に見ると非常に危険な、高い上昇じゃないか、こう考えます。しかし、その反面、物価の上昇を抑えることによって経済の成長率が落ち込む、デフレになるとすれば、これまたそのバランスが非常にむずかしいんだろうとは思いますけれども、安定成長に入ったわが国の物価の上昇の許容範囲というものは検討できないものでしょうか。
#47
○田中(誠)政府委員 物価はもちろん低ければ低いほどよろしいわけでございますが、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、経済成長率がある程度の段階でございますと、もちろん国際情勢等もございますけれども、ある程度の物価上昇はやむを得ないという状況でございまして、先ほどの計画の面で見ましても、各種の経済指標のバランスを見た上での物価上昇率が、消費者物価で五%程度、卸売物価で四%程度という形になっておるわけでございます。
#48
○小野委員 いま物価を押し上げておる一つの大きな要因に赤字国債の発行があるのじゃないか、こう私は思います。もしこの赤字の解消にめどがついて、赤字発行額がわが国の経済なり物価の上昇に影響がなくなった、こういう時代に入ったと想定する場合に、わが国の経済成長率なり物価の上昇率というものはどの程度を予想されますか。
#49
○白井政府委員 ただいま先生御指摘の特例債から脱却する段階で消費者物価はどの程度かということは、細かくは計算しておりません。ただし、新経済社会七カ年計画の昭和六十年度におきましては、その計画期間中に特例債からの脱却を図ることを前提といたしまして、先ほど来大臣を初め御説明にありますように、物価の安定と雇用の安定、それから財政再建、その三本が満足される望ましい経済の姿ということを、計画の今年度のフォローアップで描いておるわけでございます。消費者物価は年々五%上がるというわけではございませんけれども、また、消費者物価が低いということは政策として非常に大切なことだと思いますけれども、全体としての姿は、特例債からの脱却を図りつつ、しかも物価、雇用を考えますと、計画の路線の数値というのがほぼ適当な線ではなかろうか、かように考えております。
#50
○小野委員 もし赤字国債から脱却した場合に、経済成長率は現在よりも上昇する、四%から六%の間よりも上がる、こう予想されますか。
#51
○河本国務大臣 私は、この赤字国債から脱却をすれば消費者物価が低い水準になるかどうか、これは疑問だと思うのです。と申しますのは、現在の国債政策は市中消化、つまり貯蓄の増加の範囲内でやっていこう、日銀引き受けはやらない、この基本原則をずっと貫いておりますから、国債の発行が物価に悪影響を及ぼしておる、私はそのようには考えておりません。成長にはある程度の影響は及ぼしておるかと思いますが、物価に対しては、現在のような国債政策が続く限り悪影響はないのではないか、このように考えております。
 それから、赤字国債がなくなった場合に成長率はどうかというお話でありますが、その場合に、公債政策といたしまして、これまでは赤字公債はできるだけ早くなくしましょう、五十九年には議論しなければいかぬ、こういう基本目標を立てますと同時に、一方で、建設国債は国の将来のための投資であるし、国民の財産として長く残るものであるからある程度ふえてもいいじゃないかという考え方に立っておったわけです。しかし、現在はまだそのことについて行革との関連におきましてはっきりした結論が出ておりません。建設国債もずっと増加させないで据え置くべきものなのか、あるいは建設国債はある程度増発していいものかどうかということはこれからの一つの大きな議論だ、こう思っておるのです。建設国債をある程度増発できる、していいじゃないかという議論になりますと、これは成長率にも非常に大きく響いてくると思いますので、この問題はこれからの議論だと考えております。
#52
○小野委員 再度お尋ねしますけれども、昭和四十八年のオイルショックによって物価の高騰があったことはだれもわかるわけです。四十六年と四十八年の間の卸売物価の上昇あるいは小売物価の上昇というものはどういう原因によってもたらされたものなのか。
#53
○河本国務大臣 四十八年の秋に第一次オイルショックが起こったのですけれども、日本の経済は四十七年から八年にかけましてオイルショックの前にもうすでにインフレ状態になっておったと思います。それがオイルショックによって急速に加速された、こういう感じがいたします。しかも、オイルショックというのが一挙に石油価格を四倍に引き上げたわけでございます。それから、今回の第二次オイルショックは、大体日本の物価が四%前後に低位安定しておったときに起こったということと、なるほど油の価格はずいぶん高くなりましたが、二年間にこれが数回にわたって小刻みに引き上げられたという点が違いであったと思う。一挙に四倍にするのと、二年間に小刻みに引き上げたということでは当然影響の違いがございます。今回は物価が非常に安定しておる、しかも非常に値段は高くなったけれども小刻みであったというような点が客観情勢としての相違でなかったか、こう思っております。
#54
○小野委員 これからの物価を考える場合に、いま大臣の答弁あるいは担当者の話を聞いて、国内条件とすればかなり安定的に維持できる条件が整ったのじゃないか。考えられるのは外的条件、外からの刺激によって物価が上昇される場合に最も不安を感ずる。もしそうだとすれば、外的要因に強いわが国の経済体質をつくることがこれからのわれわれの任務だろう、こう考えられるのですけれども、外的刺激、外的要因に対して強い体質とはどのような条件を備えたものなのか、その点をお聞きいたします。
#55
○河本国務大臣 外的要因に強いわが国の経済体質ということになりますと、これはやはり生産性の向上を常に世界で一番進んだ状態に持っていくということが一番のキーポイントではないか、私はこう思っております。ほとんど全部のエネルギー資源というものを外国から買わなければならぬわけでありますから、それを仮に上がった場合に吸収するということは、生産性の向上によって加工段階で吸収するということが最大の課題でありますから、ほかにもいろいろ問題はあろうかと思いますが、そこがキーポイントではなかろうか、こういう感じがいたします。
#56
○小野委員 大臣、生産性の向上できる体質、これは具体的に政府とすればどういう政策を考えられるのですか。そういう企業を育てるあるいは国家的にもそういう体質をつくるという場合に、われわれはどういう対策をいま準備しなければならぬのですか。
#57
○河本国務大臣 最近は何しろ日進月歩の勢いで科学技術が進んでおりまして、少しでもそういう進んでいる技術を産業に取り入れるという努力を怠りますとたちまちのうちに競争力は弱まってくる、最近のヨーロッパの一、二の例にも見られるとおりでございます。
 そこで、政府といたしましてはこのことに着目をいたしまして、一九八〇年代は技術立国の時代だ、とにかく科学技術の開発に対して国を挙げて全力を傾けていこう、こういうことで、昨年はエネルギー対策が非常に大きな課題になりましてようやく軌道に乗ってまいりましたので、ことしからは科学技術の開発に国を挙げてひとつ取り組んでいこう、こういう政策を推し進めておるところであります。それを背景にいたしまして先ほど申し上げましたような生産性の向上を図っていくということでありますけれども、しかしそれだけでは投資というものはなかなか思うようにいくものではありません。また、投資できるような環境は何かといいますと、金利の低い、金利の負担にならないような資金をどう調達できるか、そういう条件もつくらなければならぬと思いますし、それからやはり経済そのものが安定成長路線に定着しておりませんと投資はなかなかやりにくいということでありますから、科学技術立国としてのいろいろな対応を進めると同時に、それを産業に投資しやすいような客観的な条件というものを政策の上でつくっていく、こういうことでなかろうかと思います。
#58
○小野委員 経済成長率が三十年代、四十年代と比較して半分以下に落ち込んでおります。したがって、国民の側からすれば物価を低く抑えていただくことによって生活の向上を図るということが非常に大きな課題になっておりますので、その辺の配慮を十分行っていただきたいことを希望して、質問を終わります。
#59
○井上委員長 草川昭三君。
#60
○草川委員 草川昭三でございます。きょうは海外経済協力基金のあり方の問題、それから株式の投資顧問の被害の具体的な事例を取り上げてお伺いをしたい、私はこう思っております。
 まず第一に、五十六年度の予算で経済援助費というのが一般会計でどの程度計上されておるのか、あるいは対前年度比どのような伸び率を示しておるのか、お伺いをします。
#61
○松浦説明員 御質問の五十六年度の経済協力関係の予算についてお答えいたしますが、一般会計の経済協力費は四千二百五十四億円で、これは五十五年度に比べますと一一・二%の増になっております。ただ、経済協力費の中にも、政府開発援助、いわゆるODAになっているものがほとんどですが、そのほかのものも若干入っておりまして、ODAといたしまして集計いたしますと、一般会計の中には三千九百六十五億円、前年度比一二・八%の増となっております。
#62
○草川委員 いずれにいたしましても、一一・二、一二・八%というのは非常に高い伸び率になっておるわけです。さらにまた財投関係のものも含めますと九千億を超すという非常に大きな金額になっておるわけでございまして、これとあわせまして経済企画庁所管の海外経済協力基金という問題のあり方についても非常に重要な問題が出てくると思うのです。
 そこで、まず経済企画庁にお伺いをするわけですが、海外経済協力基金というものの性格というのは一体何か、お伺いしたいと思います。
#63
○小谷説明員 海外経済協力基金は、開発途上国の産業の開発または経済の安定に寄与する、また本邦との経済交流を促進する、そういう目的に必要な資金で、かつ輸銀及び市中の金融機関から通常の融資の条件では融資を受けることが困難なものに資金を供給する、そのことによって経済協力を促進する、こういう役割りを果たしているものでございます。
#64
○草川委員 そういう基金の性格で、いまから私、具体的なことについてお伺いするわけでございますが、アルゼンチンの国営のソミサ製鉄所、これは軍需工廠の関係があるわけでございますが、その点はまた後ほど融れるといたしまして、この国営のソミサ製鉄所の投資問題がかなりいま問題になっておるわけです。
 それで、ソミサ委員会というのが民間側なりいろいろな関係者の方を含めて現地調査もやられておるわけでございます。この国営ソミサ製鉄所に対して、官民合せわて五千万ドルに及ぶ出資を決めたというようなことが報道をされておるわけでございますけれども、これは旧大平政権時代にも現地の大統領がお見えになりまして、いろいろな要望がこれあり、また大平総理時代には政府の関与という問題についてかなりいろいろな意見があったというように伝えられておるわけでございます。
 まず最初に、アルゼンチン側は日本に対して当初、具体的にどういう援助を申し入れたのか、あるいは援助ではなくて具体的にどのような出資を求めたのか、その経過についてお伺いします。
#65
○小野説明員 アルゼンチンのソミサ製鉄所の出資問題の経緯についてお答え申し上げます。
 アルゼンチン政府は、一昨年十月の大統領訪日のときから一貫して、日亜関係における最重要事項といたしまして、ソミサ製鉄所の拡張計画に対するわが国の協力を要請してきております。この要請を踏まえましてわが国から一昨年の十一月に官民合同の調査団が派遣されまして、その後その調査結果を踏まえまして関係業界において対応ぶりが検討されてまいりました。ことしの三月に関係業界の代表団がアルゼンチンのブエノスアイレスに行かれまして交渉された結果、五千万米ドル相当の円貨の出資につきまして関係者間において予備的な合意が達成されております。なおこの具体的な出資条件などは、日亜の両当事者間で今後交渉が行われるということに聞いております。
#66
○草川委員 ちょっと正確にお伺いしますけれども、それは官民合わせて五千万ドルですか、それとも民だけの五千万ドルですか。
#67
○小野説明員 お答えいたします。
 アルゼンチン側からは日本から五千万ドルの出資を要望しております。私ども、ここの出資問題は基本的には民間の問題でございますが、民間側におきまして政府からの支援についての希望があるということを伺っております。
#68
○草川委員 希望があるということが出たわけでございますが、いわゆる官側ということになりますと、当初にお伺いをいたしました海外経済協力基金として対応するということになると思うのです。じゃ、それは援助という形になるのか出資という形になるのか、経済企画庁としての対応はどのようになりますか。
#69
○小谷説明員 ソミサの製鉄所の出資に関しまして、私ども産業界において議論があるということは聞いておりますけれども、基金に対してまだ正式の出資の要請が行われているわけではございません。基金出資につきましては、その民間の対応を踏まえて、本件の内容が固まり、要請があった段階で検討するというのが企画庁の現段階での状況でございます。
#70
○草川委員 実は新聞等の報道では、官民ということで五千万ドルということがもう事実決定のようになっておるわけでございますし、日本側の出資体制は出資全体の二〇%を経済協力基金、残りを民間出資というふうに聞いておるわけでございますが、その点はどうか、再度お伺いします。
#71
○小谷説明員 いま先生のお話しのございました二〇%云々ということを決定したことはございません。
#72
○草川委員 二〇%を決定したことがないということだと、それは経企庁としては海外経済協力基金を二〇%出さないというふうに理解をしていいのですか。どうでしょう。
#73
○小谷説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、出資の要請があればそれを受けた段階で検討するということでございまして、現段階におきましては出資をしないということを決定したこともございませんし、先ほど御答弁申し上げましたように、二〇%出資をするということを決定したこともございません。
#74
○草川委員 じゃこの点はそれで結構でございますが、問題はなぜ私がいまこのようなことを聞いたかということになりますと、実はこのアルゼンチンのソミサの製鉄所の経済協力についてはいろいろな経過があるわけですね。特に日本側企業は付随するプラント、すなわちロカ線というんですか、国鉄の電化計画の受注を別途商談をしておった、あるいはそのほか電信電話関係の仕事あるいは水力発電の仕事、大型のプラントを受注をしたがっていたわけでございますけれども、それとリンケージというんですかパッケージ政策というんですか、向こう側が、そういうプラントが欲しければということで膨大な赤字を出しておるところのソミサの製鉄所について補助を求めた、援助ということになるのか出資を求めたという結論になったのか知りませんが、そんな経過があったやに私ども聞いておるわけでございます。日本企業の締め出しを回避する意味でこの出資問題が行われたということになると、これは非常に悪い前例になるのではないだろうか。国際的にはガット、関税貿易の一般協定等いろいろな取り決めがあるわけでございます。安易な形でこのようなものが進むことについてはいかがなものかという感じがあるわけでございますが、その点について基金としての判断あるいはまた外務省としての考えをお伺いしたいと思います。
#75
○細田説明員 通産省の問題と考えますので、お答えいたします。
 アルゼンチン側は、アルゼンチン経済の工業化計画の中でソミサ出資問題というのを大変重視いたしまして、この問題の解決が対日経済関係全体をさらに発展させていくためには不可欠であるという態度でわが方に要請してきたわけでございます。これに対しましてわが方の民間業界は、ソミサ製鉄所の拡張計画に直接関係いたします鉄鋼企業、それから他の、アルゼンチンと経済関係を有する企業等が一体となりまして、日亜の経済関係全体の円滑な発展という見地から問題の解決に対処しようとしていると承知しておりまして、政府といたしましては、かかる民間の努力を注視しているところでございます。そういうふうに御理解願いたいと思います。
#76
○草川委員 日本、アルゼンチンの友好は図らなければなりませんし、アルゼンチンの今日置かれている国際的な情勢等も政治的な判断になると私は思うのです。その点はその点でいいのですけれども、こういうような抱き合わせの形は、ほかの国がとられるとするならば、一つの前例になっていくのではないだろうかという問題もあるわけです。そしてたまたまここの場合には三国事業というのですか、日本だけではなくて、一説によりますと、一期工事が八億ドルと言われておりますけれども、このうちのすべてを日本が負担するわけにはまいりませんから、西ドイツが六億ドルぐらいを負担する。そして二億ドルの問題がとりあえず日本側とドイツ側の間で話し合われる。いわゆる日独分業ということになるのですか、いろいろなお話もあるようです。私も専門的な立場でありませんからどういうことになってくるかわかりませんけれども、一つここでお伺いをしたいわけでございますけれども、ソミサの製鉄所というのは一体どういうものか。聞くところによりますと、ソミサの製鉄所の全額の株式を持っているのは軍ではないかということになっておるわけです。いわゆるアルゼンチンの軍の軍事生産局が、全額と申し上げましたけれども、九九・九七%の株式を持っておると聞いておるわけでございますが、その点はどうですか。
#77
○小野説明員 お答え申し上げます。
 ソミサと申しますのは、アルゼンチン製鉄混合会社ということになるのでございますが、この製鉄所は、ビレット、薄板、ブリキなどもっぱら各種の鉄鋼製品の製造に従事しておりますアルゼンチン最大の一貫製鉄所でございます。粗鋼の生産におきましても、アルゼンチンの生産の中で五一%を占めている製鉄所でございます。
 ただいま先生がおっしゃいましたこのソミサ製鉄所の株主の点でございますが、ソミサ製鉄所の株主は通称FM、正式にはディレクシオン・ヘネラル・デ・ファブリカシオネス・ミリターレス、直訳いたしますと軍事生産局と呼ばれます法人が九九・九七%、民間の鉄鋼企業が〇・〇三%をそれぞれ保有しております。これは当初はアルゼンチン側の民間が一〇%持っておったのでございますが、種々の事情から現在のような形になっておりますが、アルゼンチン側といたしましては、民間の資本のシェアの増大を考えているようでございます。
 このFMは独立の法人格を持っておりまして、アルゼンチンの国軍の一部を構成するものではございません。FMは軍事用資材の製造を図ることを主たる目的としまして国からの出資を得て設立されたものでございますけれども、今日ではアルゼンチンにおきます天然資源の開発、それから民間資本ではなし得ないような先端産業及び基幹産業の振興をその重要な業務としております。このような業務の一環といたしまして、FMは鉄鋼を初め石油化学、造船、鉱業、農薬など十四社に上ります各種企業に資本参加しておりまして、このように国からの出資を得て基幹産業の振興に従事しているという点におきまして、たとえばイタリアのIRI、産業復興公社と類似したシステムでもあろうかと申し上げられると思います。
 こういう意味で、ソミサ製鉄所は、ただいま申し上げましたような、FMが資本参加している十四社のうちの一つでございます。そしてこのFMの事業の非常に大きな、七〇%以上がこのような産業の振興に寄与する部分になっております。
 FMは陸軍工廠ではないかというような御質問に対しましては、陸軍工廠というものの定義の仕方にもよりますけれども、陸軍工廠が陸軍に直属して兵器弾薬などを製造修理する工場であるといたしますれば、FMは政府から独立した法人でございまして、またもっぱら武器を製造する工場ではなくして、先ほど申しましたような、アルゼンチンにおける天然資源開発及び民間資本ではなし得ないような先端産業及び基幹産業の振興をその重要な業務としておりますので、陸軍工廠には当たらない、かように考えるわけでございます。
#78
○草川委員 いま陸軍工廠ではないと言われましたけれども、いわゆるFM、軍事生産局というのは、歴史的な経過を調べてまいりますと、いま答弁の中にもありましたけれども、軍事用の資材の提供というのですか、製造を目的に設立をされておるわけですから、明らかに軍の工場であることは間違いがないわけです。この生産局、FMの直轄工場がまだあるわけですから、いま言われたようにたくさんあるわけですけれども、直轄工場では武器を一切製造していないのですか。
#79
○小野説明員 お答えいたします。
 FMには、生産局の直轄の工場というものがございまして、そこにおきまして各種の工業製品を製造しておりますし、これら製造品の中には、武器も含まれております。ただしこの直轄工場自体でも全生産量の八割は民需用でございまして、残りの二割だけが軍需用でございます。要するにその武器の生産はこの全生産量の非常に限られた一部でございます。
 それで、ちょっと御説明いたしますと、そのFMにおきましては、FM本部に千百五十名の人がおりますが、FMの直轄工場、これはただいま申しましたように、直轄工場におきましてもその八割は民需用でございますが、この従業員が一万三千三百九十六名、それから先ほど申し上げました産業振興、基幹産業、先端産業の育成のためのFMが出資しております企業、この傘下の企業の職員が全部で二万八百六十六名でございまして、かように、現在におきましてそのFMの主たる業務は基幹ないし先端産業の育成にあるということが言えると思います。
#80
○草川委員 外務省は非常に力説をしておみえになりますけれども、民需が八割で二割は武器だ。しかし、二割は武器を製造しておる工場を持っておるわけでございますし、そういう武器製造をするFMが大株主になっているソミサにわが国の民間企業が出資をすることはいかがなものかというのがあるわけです。今回の、これは経済協力になるのか民間出資になるのかどうかわかりませんけれども、大体外務省先行型だと言われておるわけです。非常に外務省の現地の大使が熱心で、かなり先行していた。しかも、いまからお伺いをいたしますけれども、この出資をするソミサ製鉄所というのは大変な赤字会社で、何ともならぬ会社で、現地の当局もほとほともてあましておった。ところがその他の付随工事に、膨大なプロジェクトでございますから、日本企業が積極的に応札をする。だったら引きかえにやらしたらどうだろうというようなことになりまして、当初民間企業も非常にいやがり、民間企業も政府が前面に出てくれというので、前の大平総理のときに現地の大統領もお見えになった。しかし、大平総理の方は、お話を聞いて、それはやはり民間ベースの話ではないか、政府が関与するのはいかがなものかというような経過があったやに私どもは聞いておるわけです。そういうところに非常に強引に民間が出資をして、果たしてペイするというのですか、目標があるのかないのか、そこら辺の調査あるいはいろんなことをやられたのかどうか。本来ならばJICAというのですか、技術的な面で検討をして、援助をするとか出資をするということになると思うのですけれども、今回の場合はJICAはノータッチだ。それで官民合同で調査に行くと言ったものの、実際そんなに具体的な、採算ベースに合うとか合わないとかというような調査をなされていなかったようでございますが、一体その間の経過はどうなっておるのでしょうか。
#81
○細田説明員 まずソミサ社の赤字問題についてお答え申し上げます。
 ソミサ社の採算状況につきましては、アルゼンチン側の企業だということもあり、詳細について承知しておるわけではございませんが、世界的な鉄鋼不況の波等もございまして、七〇年代後半に相当採算が悪化しておることは事実でございます。
 ただ、その世界的不況ということだけではなしに、ソミサ製鉄所というものが非常に半製品で外部に販売しなければならないような粗鋼生産能力と、圧延品といいますか最終製品の生産能力とのギャップがございまして、どうしても連続鋳造設備あるいはホットストリップミルその他を入れまして、薄板等の生産を拡充しなければ経営ができないという実情にあったことは事実でございます。そういう観点から、アルゼンチン内部でも相当詳細な技術的なフィージビリティースタディーはやられておったというふうに承知しております。
 それで、わが国との関係につきまして申し上げますと、調査団を派遣いたしたわけでございますが、これは一昨年秋に訪日いたしましたアルゼンチンの大統領とわが国の大平総理大臣との間の共同コミュニケに基づきまして、その趣旨に基づきましてアルゼンチンを訪問したわけでございますが、その目的は、ソミサ製鉄所拡張計画の遂行の可能性を検討して、また相互の経済協力の可能性を探求するということでございます。
 それではどういうことをやったか、どういう目的で派遣をしたのかということでございますが、あくまでもその技術的な検討はアルゼンチン側で相当進んでおりますので、その点については確認という程度の意味でございまして、あとはむしろアルゼンチン側からの強い要請もございましたので、アルゼンチンにおけるソミサ社の重要性などの位置づけ、経済における重要性、そういったものを十分見きわめて、日亜関係でどういうプロジェクトを考えたらいいのかというようなことを調査するための調査団でございます。そういうふうにお考えになっていただきたいと思います。
#82
○草川委員 アルゼンチンも非常にインフレが大きいんで、一体どの程度の赤字か、赤字の金額のつかみ方がむずかしいと思うのですけれども、出資をする以上は当然、赤字の会社にどういう年数で償還させるとか、これは全く赤字の会社だから出しっ放しなんだよということになるのか、そこら辺のFSというのですか調査はどのように考えられたんですか。
#83
○細田説明員 現在まだどういう設備を幾らで設置するかということ、それから想定すべき需給見通しなり生産量というものが最終的に確定しておりませんで、今後検討を重ねるということになっておりますので、その状況を見守っていきたいというふうに考えております。
#84
○草川委員 その赤字の金額はわかりませんか。
#85
○細田説明員 赤字の額でございますが、たとえば一九七八年期におきましては六百十四億ペソの赤字が出る。これに対しまして、一九七七年においてはまだ黒字であったわけですが、七八年六月期において相当な赤字が出たということでございます。それから七九年、八〇年と実は大きなインフレのために、在庫評価等を低く見積もりますと、つまり期初在庫などは生産時の、インフレ前の価格で換算いたしますと相当大きな赤字が出るわけで、たとえば一九七九年には五百六十億ペソというような赤字が出ておりますが、これを、現在非常に進行しておりますインフレのもとで在庫の評価がえなどをして計算いたしてみますと五百億ペソほどの黒字になるということで、なかなかああいう国の収益状況というのはどこを真実と見るか、真の姿と見るかはむずかしいようでございますが、大体いま申し上げたようなことでございます。八〇年六月期には改善しておりまして、その在庫評価などをかえませんでも百九十億ペソほどの赤字に減少しておるというふうに聞いております。
#86
○草川委員 私はいまこのペソと日本の円との換算が直ちにできませんけれども、いま通産省がおっしゃったように相当な赤字になっておるのです。そういう企業に日本企業がなぜ五千億にわたる出資をしなければいけないのか。私は、技術協力だとかあるいは技術指導だとか経営指導だとかという別な対応があってもしかるべきではないか、こう思うわけです。
 それで、経済企画庁の基金の方にお伺いをいたしますけれども、まだ民間の方から国に対する出資要請が来ていないということをおっしゃっておられます。来てから考えようということでございますが、私はそれはちょっとおかしいと思うんです。マルティネス・デ・オス経済大臣と原田日本企業代表団団長との共同コミュニケの仮訳、ことしの三月二十六日ブエノスアイレスにて行われたコミュニケがございますが、この三番目にはっきりと言っておりますのは、「フィージビリティ・スタディーの実施及び右以外の分野における協力の可能性の調査を目的とした民間及び政府の諸機関の代表より成る調査団が派遣されたことを想起した。以来、民間及び政府のレベルでの話し合いが継続され、これにより広範囲にわたる協力の枠組の基盤が固った。」ということで、各新聞では一斉に、官民合同で五千という数字が発表をされておるわけです。そして、私が先ほど申し上げましたように政府出資二割、こういうことになっておるわけでございますけれども、ソミサに対して出資をする企業はいわゆる付帯プラントを人質にとられてそれでこのような出資の話になったのではないか、そういう経過のもとにおける経済協力基金の出資はいかがなものかということを思うわけでございますが、時間がございませんので本件はこれで終わりますので、最後に長官としての御見解を賜りたい、こう思います。
#87
○河本国務大臣 先ほど来質疑応答がございましたように、出資について正式の要請があればその時点において政府はよく検討する、そういう段階でございます。
#88
○草川委員 じゃこれはこれで終わりますけれども、私どもは何も言いがかりをつけるという意味でなくて、本当に日本とアルゼンチンの将来の友好関係あるいはまた南米における現在のアルゼンチンの政治的な背景ということもあるわけですからそれなりの理解はするつもりでございますけれども、やはり軍需工廠というんですか、そういうものに対する出資は出資としてもう少し慎重な配慮があってもいいわけでございますし、民間企業にしてみれば、大変な赤字なんで政府がとにかく金を出さなければとてもこれは応じ切れないというような話もあるやに聞いておるわけでございまして、ひとつ慎重かつ国民の皆さんに理解のできる基金の使い方をしていただきたい、こう思うわけです。この基金の件はこれで終わります。
 次に、最近、投資信用というんですか、投機集団の誠備グループの問題で非常に株式市場が大混乱に陥ったようでございますけれども、最近の株式市場は一転して好況だと言われております。しかし、その裏でいろんな投資クラブだとかあるいは投資相談によって善良な方々が詐欺同然の形で非常に泣いているという事例が多いわけでございますが、そのことについて少しお伺いをしたいと思うのです。
 その前に、最近の株式の市場が、誠備ショックが終わり、そしてこれは当局がいろんなてこ入れをしたのではないか、こう思うんでございますけれども、いわゆる信用取引の規制解除、これはことしの三月十三日に東証が委託の保証料を一〇%引き下げるということで市場を刺激をするとか、あるいは大手証券の四社が積極的な買い支えをするというようなこと、あるいはその他の外人買い等の問題もあるようでございますが、現在の証券市場の動向というものは安定をしておるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
#89
○野田説明員 お答え申し上げます。
 昨年から外人投資が積極的に入ってまいりまして、それに誠備銘柄を中心といたしまして株式市場が非常に活況を呈したわけでございますが、その後年明けとともに外人投資が一たん減少をいたしまして、さらに加藤外務員が逮捕されるというようなことがございまして、いわゆる誠備銘柄と呼ばれておる銘柄が軒並みに値下がりをいたしまして比較的市場がダウあるいは株価指数とも非常に低迷をした時期がございました。しかし、その後再び外人投資が入ってまいりましたし、それから値下がりを見ましたいわゆる誠備銘柄なども一応地相場と申しますか、安定した水準に達しましていまのところは非常に落ちついております。かつ、外人投資が積極化しておりますので、むしろ過熱ぎみに推移しているという状況でございます。
#90
○草川委員 外人の日本株の買いというのはどこのグループというんですか、国が一番積極的なのでしょうか。
#91
○野田説明員 どこの国かということは私たちとしましては詳細に把握いたしておりません。と申しますのは、やはり各国によって異なるわけでございますけれども、たとえば一般市場で伝えられております中近東のオイルマネーが運用されているんではないかということが言われているわけでございますけれども、この場合も中近東から直接日本の株式を買うというやり方ではございませんで、ヨーロッパ系の銀行に委託をして買われるというような形がとられていたりいたしますので、必ずしもどこの国がどれだけかということを私たちは詳細に把握はいたしておりません。ただ、一般に言われておりますように、中近東のオイルマネーとそれから欧米の年金基金がかなり多いんではないかというように聞いております。
#92
○草川委員 昨年の外人の買い越し額というのが一体幾らぐらいなのか、あるいは売り越しというんですか、そういう一つの動きについてつかんでおみえになります数字があればお知らせ願いたいと思います。
#93
○野田説明員 総合証券会社十二社ベースで申し上げますと、昨年、五十五年の一年間にいわゆる外人と呼ばれる人が買いました株式額は、売りましたのが一兆六千億でございます。買いましたのが二兆五千七百億でございまして、約九千五百億ぐらいの買い越しになっております。
#94
○草川委員 それで、外人が買うのは結構でございますし、過熱もあるんでしょうけれども、もし政治的だとか経済的な背景で一斉に売りになれば大混乱になると思うのですけれども、そういうようなことは予測されるわけでございますか、どうでしょう。
#95
○野田説明員 最近の外人投資の特徴でございますが、日本の経済力に対する評価が高まったことに伴いまして日本の経済力を買っているという形で買ってきていると言われております。したがいまして、買っております銘柄も新日鉄とか日立、東芝とかそういう大型優良株でございまして、日本の経済力に対する評価のあらわれではないかと考えております。したがいまして、こういう銘柄に投資をいたしてきますのは、投資をしております国の運用の仕方、運用の考え方によるわけでございますが、一般に言われておりますのは国際分散投資ということで、たとえばオイルマネー投資、オイルマネーの国が投資をいたします場合に、アメリカの株式あるいはヨーロッパの株式とともに日本の株式に対しても国際分散をして投資をしようということだというふうに聞いております。したがいまして、長期投資という性格を強く持っているように見られますので急に売ってくるということはないのではなかろうか、急に売ってまいりますと当然株価が下落いたしますので、急激に売るというようなことは考えられないんじゃないかというように考えております。
#96
○草川委員 だれも保証する人がないわけでございますから、もし急激なことがあれば大変なことになると私は思うわけでございますし、それからさらに、誠備グループのいろいろな問題等を含めましても、今日の株式市場というのは大衆が背を向けている、なかんずく個人株主が非常に減っておるわけでございますから、公正な株価形成というもの、あるいは健全な資金調達市場というものからは逸脱しておるのではないかと思うわけです。きょうはこのことを論議する委員会ではございませんからはしょりますけれども、そういう背景の中で、誠備グループの問題はいまいろいろなことで逮捕されて司直の手でやられておるわけでございますけれども、これも脱税容疑という形でございまして、本来の一般の大衆が若干の手持ち資金があり株式市場に乗り出すというものを悪用いたしまして、投資相談というか投資顧問会社がいま全国的に非常に広がっておりまして、投資顧問会社というものが投資家に損失を与えているという例が非常に目立ってきておるわけです。投資顧問会社というのは全国に非常にたくさんあると言われておりますけれども、大小合わせて二百社ぐらいあるのじゃないかと言われておりますが、実際高い入会金を払って、相談料を取りながら一般大衆というかお客さんに損害を与えているという事例が多いのでございますが、その点大蔵省としてはどのようにつかんでおみえになりますか。
#97
○橋本説明員 お答えいたします。
 投資顧問業者の中には、銀行とか証券会社とかの出資が入ってできたものと、全くそういうものと関係のないいわゆる町の金融投資顧問業者というようなタイプとに分かれると思いますが、いずれにいたしましても私どもの所管しております証券取引法では、そういう投資顧問業を営む方々については証券会社と区分しておりまして、証取法の対象にしておりません。したがいまして、そういう問題が出ていることについては、私ども関心は有しておりますけれども、それについて直接何らかの意見を申し上げることができない状況にございます。
#98
○草川委員 私が最初に聞きましたように、誠備グループで大変なショックがあっていろいろな手を打って持ち直した、しかし全国的に投資顧問会社というのが相変わらず商売というのですか、そういうことをやっておる。関心を持っておみえになりますけれども、現在では取り締まる法規もないし何ともならぬじゃないか、こういう御答弁でありますけれども、現実に泣いている方がたくさんあるわけです。
 私が相談を受けた方は非常にまじめなサラリーマンでございますけれども、たまたま赤坂投資コンサルタントというどの新聞を見ましても広告が出ておる有名なところで、電話をかけて相談したら、いろいろな条件を出していろいろなグレードの会員になれということを勧められて、その都度、相談料というか会員料というのを振り込んでいく、そしてたまたま、どうなったのだ、早く教えてくれと請求すると教えてくれた、それを買って大変な高値をつかまされて膨大な損をした、何回かそれを繰り返してもうこりごりだというので一たんやめたわけです。そうしたら、ある日また突然共栄リサーチというところから電話がかかってきて、「何々さん、あなたは大変損をしておるらしいですね。私のところで相談に乗れば必ずいままでの損は取り返せますよ」「あほなことを言いなさんな。おれはもうずいぶんひどい目に遭ったんだからいやだ」と言った。「いや、絶対だ。必ずあなたの損は取り返す。だまされたつもりで入りなさい」と言うから、また入会金を払うわけです。相変わらず損をする。ふざけるなと言って怒りに行く。そうしたら今度はメンバーがかわって「いや、あいつがつまらぬことを言ったから迷惑をかけた。今度は、私が任された以上はあなたの過去の借金は本当に全部取り戻すから、ありとあらゆるところから借金をしてきなさい」そして、借金をするだけして、これを買えと言われて買うとやはり膨大な損をする。何千万円という損をする。欲をかいて損をしたのが悪い、株だから上がることもあるから上がるときのことも言えという話になりますけれども、普通の証券会社の場合は証券取引法という法律があって、この株は絶対もうかるとかこれでもとがとれるとか、そういうことをやってはいかぬということになっているのでしょう。ある種の銘柄を推薦することはできる。しかし、絶対とかなんとかということを言ってはいけないのだけれども、一方の投資顧問というのですか、相談料を取るところではそういうことが前提として行われておるわけですよ。そして、逃げるとくどいように電話をかけて追ってくるわけです。そして、人間的な弱点をつかんで繰り返し繰り返し要求をするというようなことがやられているわけでございますけれども、それは詐欺じゃないかと私は思うのです。いわゆる町の証券会社だったら、窓口でお金を取らずに、買いなさい、売りなさい、こう勧めるわけですが、それはあくまでも本人の判断になりますね。大手証券にだまされたとかどうのこうのということはあるでしょうけれども、これはしようがない話ですよ、承知して買うわけですから。しかし、このようなリサーチのあり方を見ておりますと、これはもうけさせると言って顧問料を取っていわゆるババをつかませるわけですから明らかに詐欺になると思うのですが、その点の御見解はどうですか。
#99
○本多説明員 ただいま事例としてお話しになりました件でございますけれども、具体的に実態を調べてみませんと、構成要件的に詐欺に該当するかどうかの点につきましていま直ちに何とも申し上げかねる次第でございます。
#100
○草川委員 そうすると、こういう話は大蔵省へ持ち込んでも対象外だということになるわけですから、結局一般大衆の苦情というのは警察しかないわけですか。大蔵省としてそういう苦情があった場合に対応する窓口というのはないのですか。大蔵省にお伺いします。
#101
○橋本説明員 大蔵省といたしましては、証券投資一般について投資家の方々から業務の参考のためにいろいろなケースの事情を聞くことがございますけれども、積極的に対策を講ずるとか何らかの措置をとるという点につきましては、やはり証券取引法の対象である証券会社に限られております。また、証券業の自主規制団体であります証券業協会におきましても証券投資に伴う苦情、相談を受ける組織がございますけれども、その場合も対象としては原則として証券会社に限られておるようでございます。
#102
○草川委員 これは、大蔵省が証券取引はその対象外だと言っても、責任の守備範囲になると思うのですよ。たとえば「株式市場新聞」というようなもの、ほかの新聞もございますけれども、これはお見せしてもおわかりのとおりに「入会費用は当社でお作り致します」相談料は私がめんどう見ますといって、結局高利で金を貸すわけですよ。そんなばかなことは許されないでしょう。本当に相談をしたいから金を取るという投資相談という業があるとするならば「入会費用は当社でお作り致します」などというようなこんなばかげた宣伝は、いかに業界紙といいましても広告上問題があると思うのです。もう一つの例は「株で損する奴の顔が見たい」といって宣伝しておるわけです。「株で損する奴の顔が見たい」「大胆な予測はこうなる」のだと言って、これは赤坂投資コンサルタントですけれども、こういうのも出しておるわけですね、業界紙に。これは私どう考えてもいかがなものかと思いますね。現実にこういう株式市場の中で流れている業界紙でこういう広告が積極的に行われておるわけですから、私は、社会的な責任をとらなければいかぬじゃないか、少なくとも大蔵省は規制をかけるアクションを起こすべきではないだろうか、こう思うわけです。このいわゆる証券外務員というものの資格は証券会社の中にはそれなりにあるわけでございますし、何か私どもお伺いをしますと、日本証券アナリスト協会というのが社団法人であって、アメリカ的に検定試験をやっていこうではないかというような話があるように聞いておりますけれども、とりあえず自主規制でもいいわけでありますけれども、何か大蔵省当局としては取り上げられる考え方はございませんか。
#103
○橋本説明員 現在御指摘のように社団法人日本証券アナリスト協会というのが、協会独自の自主的な試験を実施中でございまして、それに合格した者が証券アナリスト的な業務に携わることは、基本的には投資家保護の観点から望ましいとは考えておりますが、この試験を公的な資格に高めるかどうか、この点につきましては、諸外国の状況あるいは日本における証券アナリストの定着状態などを勘案しつつ今後検討していきたい、かように考えております。
#104
○草川委員 もう少し具体的な対応を積極的に考えていただかないと、私は、これは国民生活上からも問題があると思うのです。
 もう一回警察庁にお伺いをいたしますが、いま全国的にこのような苦情というのですか訴えというのですか、どの程度出ておるのか、警察庁として把握されておる数字があればお示し願いたいと思います。
#105
○本多説明員 投資家グループの皆さん方などから警察の方に対する苦情とかそれから被害申告、そういうものにつきましては、統計的なものあるいはそういう調査を行っておりませんので、これらについて正確に把握はいたしておりません。
#106
○草川委員 ぜひ私は、警察庁としても、誠備グループというのはあれだけ新聞で大きく報道されて、世間の関心を呼んだわけですから、一般の人はあれで終わったと思っておりますけれども、私がいま申し上げましたように、このような新聞は、これは五月の八日の新聞です、これは五月の九日の新聞で、いまなお現実にこういう宣伝をしながら、顧客というものを、お客さんを勧誘をしておるわけです。だから、だまされたのが欲をかいて、かくというのですか欲得でこういうものにだまされるのが悪いと言えば悪いのでしょうけれども、かつての商品相場のときに大問題になりましたね。どんどん損をさしていく。ピラニアのように損をした人のところに集中していくわけですよ。私がいまたまたま赤坂投資コンサルタントだとか共栄リサーチという具体的な名前を出しましたけれども、本人はもうやめたと言っておるにもかかわらず、そういうブラックの市場があって、名簿が回るわけですよ。その損をした人のところに行くわけですよ。しかもその損をした人はすかんぴんではなくて、市場調査、人物調査をやっておりまして、その人の資産状況あるいは家族の状況、勤め先が一定の、ある程度の信用のおける企業だとか役所だとか、いろいろな条件をひそかに、ブラックの、地下の名簿がございまして、そういう名簿がたらい回しになるわけですよ。そして最後にすってんてんになって、勘弁してくれと言えば、いまのように、絶対に取り戻すから、お金を貸してやるから投資をしろというところまでくるわけですから、だまされた人間が悪いというばかりで放置をすべき問題ではない、私はこう思うわけでございまして、この投資相談、こういうものの早急な対応を立てていただきたいと思いますし、警察庁の方も、とりたてて統計はないとおっしゃっておられますけれども、少なくとも私は、証券取引法にひっかからないのか、あるいはまた過大広告になるのではないか。大蔵省は、株ということについては担当ですから、いまのような行き過ぎた、明らかにだれがどう考えても間違っておるようなこういう誇大広告については、若干の関心を払い、注意をするということが必要だと思うのです。
 そういうことを含めまして、最後に、経済企画庁としても、このような問題等について、国民生活を守るという立場というのですか、国民生活上から、どのような考え方を持っておみえになるのかお伺いをして、私の質問を終わりたい、こう思います。
#107
○小金政府委員 私どもといたしましては、一般投資家の保護につきましては、証券取引法に基づく保護が行われているというふうに解釈しておりまして、また、いまお話しの投資コンサルタントによります株式売買というような問題は、一応これはお金をもうけるということが目的になっておりますので、いままでのところではこれを消費者保護の対象分野に入るものとは考えておりません。しかし、こういうトラブルにつきましての問い合わせであるとか苦情等が国民生活センターや消費生活センターにも来ておりますので、これらの機関相互の情報を密にいたしまして、消費者が無用のトラブルに巻き込まれないように啓発に努めるということを基本にしたい。
 なお、一般消費者に対しまして、この問題につきます適切な知識を得るような啓発活動というのに力を入れてまいりたいというふうに思います。
#108
○草川委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
#109
○井上委員長 岩佐恵美君。
#110
○岩佐委員 消費者麦価が四月一日から五。六%値上げになり、パンの値上げ等にはね返ってきて、消費者の生活はますます大変になってきております。
    〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
 そこで、今回の値上げについて、幾つか疑問点がありますので、質問をしたいと思います。
 まず、今回の麦価の値上げの根拠について説明を願いたいと思います。
#111
○松山説明員 御案内のように、麦の標準売り渡し価格につきましては、食管法令によりまして、輸入麦あるいは国内麦のコスト、価格といったものあるいは消費者米価との関係その他の経済事情というものを総合的に勘案いたしまして、家計の安定を旨として定める、こういうことになっておるわけでございます。
 本年四月から五・六%の引き上げをお願いしたわけでございますけれども、今回の改定におきましても、このような考え方のもとに具体的な算定を行ったということでございます。
 具体的には、国内産麦と輸入麦のコストというものを比較いたしまして、全体としての麦管理に必要なコストがどの程度になっておるか、その上昇要因を見ながら、消費者米価との関係でどういう関係になるかといったようなことを勘案し、さらには最近におきます家計の伸びとの関係から見て適当かどうか、極力家計負担を少なくしていく、こういう観点から五・六%という値上げ幅を決めた次第でございます。
#112
○岩佐委員 計算的にはこの五・六%という数字は小麦の輸入価格の見通しから出たものであるというふうに言えると思うわけですが、その点いかがでしょうか。
#113
○松山説明員 具体的な算定といたしましては、御指摘のように輸入価格につきましては算定時点におきます最近二カ月の食糧庁の買い付け価格というものをベースにいたしまして、それから国内麦につきましては昨年の政府の買い入れ価格というものをベースにいたしまして、平均的に内皮と輸入麦を合わせてどれだけのコストがかかるか、こういう観点から算定した次第でございます。
#114
○岩佐委員 昨年の米審以降のウエスタン・ホワイト・ナンバー2、それからウエスタン・レッド・スプリング1、それからハード・レッド・ウインター、この小麦の買い付け価格の状況をお教えいただきたいと思います。
#115
○羽鳥説明員 お答えいたします。
 御質問の銘柄の小麦の食糧庁の買い付け価格は次のとおりでございます。
 まずアメリカ産のウエスタン・ホワイト・ナンバー2でございますが、五十五年の十二月、これはトン当たり円で申し上げますが、四万九千四百九十円、五十六年の一月、四万六千三百二十五円、二月が四万六千八百五十三円、三月が四万五千三百七十八円でございます。それから、カナダ産のウエスタン・レッド・スプリングのナンバー1でございますが、同じく昨年の十二月が五万九千七百五十五円、一月が五万七千四百三十五円、二月が五万七千五百十七円、三月が五万七千四百五十七円でございます。それから、アメリカ産のハード・レッド・ウインターのナンバー2、これは粗たん白の一一・五%のもので申し上げますと、五十五年十二月が五万三千二百十五円、五十六年一月が五万九百九十円、二月が四万九千五百八十二円、三月が四万八千六百七十八円でございます。
 なお、先ほど申し上げました食糧庁の買い付け価格は、各月に買い付けました分のそれぞれの銘柄の小麦ごとの加重平均価格でございまして、輸入港の港頭倉庫渡し価格でございます。
 以上でございます。
#116
○岩佐委員 いま言われました小麦の三品種、これが消費者麦価決定の指標品種ということだと思いますが、この食糧庁の五・六%をはじき出された方法と同じように、私自身この米審以降の買い付け価格をもとに消費者麦価が一体どうなんだろうかということを計算をしてみたわけです。
 つまり昨年の十二月、それからことしに入って一月、二月、三月、この四カ月問をいま言われたような三品種加重平均、そういうことで計算をいたしてみますと、一・六%という数字が出てまいります。これは食糧庁の今回の値上げ率の五・六%の三分の一以下になります。では、これを十二月を外して一、二、三月で見てみますと一・一%、つまり五・六%に比較をいたしますと五分の一以下になってしまう。こういう計算ができるわけでございますけれども、この点はいかがでしょうか。
#117
○松山説明員 いま手元に具体的な数字を持っておるわけではございませんけれども、その後、輸入課長の方からお答えいたしましたように輸入価格自体といたしましては、買い付け価格としましては下がっておりますので、五・六よりも低い数字が出るのではないかというふうに思います。
#118
○岩佐委員 従来は輸入小麦コスト計算をするのに、どういう期間を、まあ今回は直近二カ月をとられたということでございますけれども、従来はどういう計算法でやられておられたのか説明いただきたいと思います。
#119
○松山説明員 麦の売り渡し価格の算定に当たりまして輸入価格のコストというものを法令上参酌するようになりましたのが四十八年の十二月からでございます。その後の改定が何回かあるわけでありますけれども、四十八年十一月、五十一年一月、五十一年七月、この段階におきましては、米価審議会に提出いたします各種試算を見ましても、特定の月数をとってはおりませんで、複数の月数をとった試算を提出いたしております。もともとコスト計算をいたしますときに、月数の見方をどうするか、なかなかむずかしいところではございますけれども、できるだけ新しいところの実勢を反映する必要があるという要請と、しかしながら麦の輸入価格のようにかなり変動が激しいという場合には、ある程度のブロードの期間をとって判断をしていく必要がある、こういうこともございまして、特に四十八年、五十一年の段階はかなり国際市況が高い時期でございましたから、輸入価格のコストをそのまま反映いたしました場合には相当消費者の負担が大きくなる、恐らくこういう配慮もございまして、三カ月でございますとか過去一年でございますとか、いろいろな試算をやりながら消費者の負担ができるだけ少なくなるような、そういう形でコスト価格を相当下回る形での、したがって財政負担を相当行った形での価格決定をしておったわけでございます。
 五十五年の二月がその次の段階の改定でございますけれども、そのときにはかなり様子は平穏な状態に戻っておりますので、できるだけ最近の実勢を反映する、あるいはある程度のブロードの期間を必要とする、こういうことになりますれば、今回とりました二カ月とか三カ月とかというとり方になるわけでありますが、五十五年二月におきましては三カ月、こういうとり方をいたした次第でございます。
#120
○岩佐委員 そうすると、以前は大体半年ぐらい、六カ月を基準にして値上げ率を計算をしてみたということだけれども、今回その直近二カ月にしたということなわけですね。(松山説明員「いいえ、違います」と呼ぶ)直近三カ月ですか。ちょっと……
#121
○松山説明員 たとえば四十八年十一月の例で申し上げますと、直近一カ月、直近二カ月、直近三カ月、直近六カ月というような数字のとり方をいたしまして、そういたしますと、このときのアップ率がたしか三五%の引き上げを行ったわけでありますけれども、どのようなとり方をいたしましても、三五%を大幅に上回るような試算に実はなっておるはずでございます。それで、いろいろな価格の期間のとり方をいたしました計算値を念頭に置きながら、消費者家計の安定という観点で、大体それの半分とか三分の一とかというふうなとり方をしておったのではないか、このように考えております。
#122
○岩佐委員 そうすると、過去においてはいろいろな角度から試算をしてみた、今回は直近二カ月でやられたということになるわけですね。そうすると、今回のをちょっと見てみると、もし六カ月で見ると、五・六にはならない、つまり二%ぐらい。それから、もし直近三カ月をとった場合には三・六%というふうになるわけですね。昨年の暮れという時期からしますと、一体消費者物価指数がどういうふうになるのか、公共料金が軒並み上がっている中で消費者の生活は大変苦しかったわけですね。ですから、最終的には七・八%、しかも物価高に所得が追いつかない、戦後最悪の事態ということになったわけです。そういう時期になぜ直近二カ月をとったのか、ここのところが私どもどうも理解に苦しむわけです。高くするためにその数字をつくったのではないかというふうに思うわけですけれども、その点、いかがでしょうか。
#123
○松山説明員 先ほどお答え申し上げましたように、四十八年段階におきましては輸入コストが数十%あるいは倍近くなるような場合でありましても、たとえば三五%に一応抑制的に決めた、こういう経緯があるわけでございますけれども、それは単にコストだけで価格を決めていくということではございませんで、米価との関係でございますとかあるいは財政事情でありますとか、その他の経済事情を考えながら消費者家計の安定ということを旨とした価格決定を行っていくというのが麦価決定のたてまえであるからでございます。
 それで、確かに期間のとり方によりまして若干の数字の振ればあり得るわけでございますけれども、私ども今回の麦価改定に当たりまして留意いたしましたコスト以外の重要な要素といたしましては、全体としての財政事情が非常に厳しいという状況の中で食管財政の合理化が求められておるという事情をどのように判断するかということもあったわけでございますし、同時に、米の消費拡大その他との関係におきまして、麦の価格が相対的に割り安になっておるのではないか。したがいまして、米価との関係を考えるならば、適正な対米価比というものを十分念頭に置いて価格形成を行っていく必要があるという御指摘を、前年の米価審議会の答申におきましても受けているところでございます。それらの事情を総合勘案し、先ほど申しましたできるだけ最近の実勢を反映し、かつ、ブロードな期間でということになりますれば二カ月とか三カ月とかいう数字のとり方になるわけでございますけれども、そういう事情を踏まえまして二カ月をベースにし、対米価比との関係にも十分に配慮いたしまして五・六を決めた、こういう経緯でございます。
#124
○岩佐委員 昨年の暮れの小麦の相場というものについて、十、十一月の小麦相場はかなり上がっていますけれども、十二月に価格は暴落をしております。輸入食糧協議会報の、これはことしの一月号ですけれども、五十八ページの図を見ても、大変こうストンと下がっているということはだれが見てもわかるわけでございます。このことについて兼松江商の穀物部麦課の佐竹氏が、同じこの本の中でこの暴落について、商品取引の歴史上間違いなく最大の暴落であった、マーケットの状況を表現するのに壊滅的、大混乱あるいは前代未聞という言葉が用いられたほどだったというふうに書いているわけですね。私は、専門家である食糧庁は当時当然これは御存じだったというふうに思うわけですが、その点いかがでしょうか。
#125
○松山説明員 たしか、私の記憶によりますれば、十二月十日のシカゴ相場が大暴落したという記憶がございます。私どもいろいろな海外情報を集めておるわけでございますけれども、何分にも麦の国際価格の動向につきましては、全体としての需給基調がどうかという基本的な要素のほかに、たしかあのときの大暴落はアメリカのプライムレートが非常に大きく引き上がったということが直接の契機であったというふうに理解しておりますけれども、瞬間的に高騰や下落が起こるというふうなことでございますので、確実にその時点で的確につかんでおるというふうな状況ではなかったわけでございます。
#126
○岩佐委員 しかし、海外に多くの駐在員といいますか大使館等と連絡をとって二カ月先の輸入小麦を買うという作業では、予定価格をつくらなければならない。そういう意味で相当情報網も発達をしていて、食糧庁は十分そういうことを知っていたというふうに私は思うわけですし、またいま言われたように、その点についてはそういうことを認めておられるわけですけれども、私はこの点について非常に重要な問題だというふうに思っているんです。
 まず、直近二カ月をとるか、あるいは半年、何カ月とこういうようにいろいろなケースをとってみてどこで決めるか。言ってみれば直近二カ月をとらなければならない、そういうことには小麦の決定についてなっていないという中で数字がつくられていくわけですね。そういうつくられていく場合に、農林省サイドがいろいろな情報を持っていて、そしてそれが外に出されないということであれば、結局農林省が五・六%必要なんですよとこういうふうに言えば、ああそうですかとみんながそれで信じざるを得ないという状況だと思います。だけれども、実際には、いま私が最初に申し上げたように、価格は農林省が十二月十日、つまり麦価米審の開かれる前に、もうすでにシカゴ相場が暴落をするということ、この徴候というものはわかっているということだと思いますし、実際にはいまの時点では値上げ率というのは非常に低い価格で済んでいたということ、これがもうわかっているわけであるわけですが、その点についてはいかがですか。
#127
○松山説明員 今回の五・六の基礎になっております私どもの買い付け価格は、実は十二月三日までの買い付け価格を織り込んでおるわけでございます。
 シカゴの相場での大暴落が起こりましたのは十二月十日でございますけれども、私どもの米審が十二月十日から始まってございまして、私ども一日じゅうずっと審議会で会場に詰めっきりでございますので、新聞で、日経新聞だったと思いますが、見たのが十一日の夕刊でございました。そういう意味では、私ども価格の動きがどうこうなっているんではないかというふうな質問を受けたわけでもございませんし、また私どもからあえて隠したというふうなつもりも毛頭ないわけでございます。当然十二月の十二日には朝から各委員さんの意見開陳があったわけでございまして、十一日の夕刊を皆さん恐らく御存じになっておったのではないだろうか、このように考えておる次第でございます。
#128
○岩佐委員 つまり、十日にはシカゴ相場が暴落したということがわかっている。農林省の皆さんが幾ら米審の会場に詰めっきりになっているとしても、その点について幾らでも連絡はできるわけですから、情報を全く知らないということはあり得ない。そうすると、委員の方からそういう問題が出されなかったので、その点は難もなく過ごしてしまった、そういう御説明だと思うのです。
 この米審について消費者の代表の方からよく伺うことなんですけれども、これはみんな異口同音に言うんですけれども、資料が非常にわかりにくいし、それから資料をなかなか出してくれないということの中で審議をしろと言われても、本当にわからないんだ、どういう意見を言っていいかわからないんだというような苦情が多いわけです。ですから、その点について食糧庁がもっと資料を米審の中で、あるいは消費者に対して情報公開をする。私も今回質問をするに当たりまして食糧庁の方々といろいろおつき合いをさせていただいたわけですけれども、なかなか資料が出てこない、わかりにくい、そういう実情にあるわけです。
 私は、この場で一つは経済企画庁にお願いをしたいんですけれども、こうした昨年の消費者麦価の値上げについて、公共料金の軒並み値上げのラッシュの中で便乗したといいますか、私たちいま振り返ってみてどうも納得できない、そういう面があるような気がしますし、もっと麦価の問題について注意をしていただきたいということをお願いをしたいと思いますし、また農林省に対しては、米審でももっと多角的な多様な資料に基づいて議論ができるように、しかも、時間も十分とって審議をやれるようにしてほしいということを思いますけれども、食糧庁のお考えを伺いたいと思いますし、それから経済企画庁については長官の考えを伺いたいというふうに思います。
#129
○松山説明員 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、隠したというつもりはございません。また、米価審議会におきましても、私たちのでき得る限りの努力を払いまして、極力資料に基づいて御議論をいただくように努めておるつもりでございますし、今後ともそのような姿勢で臨みたいと思います。
 なお、今回の五・六との関係からいたしますと、国内麦と輸入麦を合わせました麦管理全体といたしましては、かなりの財政負担になっておるという事情にあることもひとつ御理解賜りたいと思っております。
#130
○河本国務大臣 いま農林省から御説明がありましたように、麦価の計算をする場合には、輸入麦価ももちろん主たる参考にはするわけでありますが、それ以外の要素も幾つかありまして、それもあわせて参考にするんだ、こういうお話でございましたが、いろいろ御指摘がございましたような点は十分気をつけてまいりたいと思います。
#131
○岩佐委員 次に、小麦の輸入の問題について伺いたいと思います。
 食糧庁は輸入小麦を二十八の商社から買っているというふうに伺っておりますけれども、どのような方法で買い付けておられるわけですか。
#132
○羽鳥説明員 お答えいたします。
 外国産の小麦の輸入に関しましては、食糧管理法の目的に沿い、安定的かつ確実に買い付けを行うために、外国産食糧買入要綱を定めまして、輸入業者を通じて買い付けておるところでございます。
 対象とする輸入業者につきましては、麦類の輸入につきまして経験を有するとともに、資産、信用等、一定の資格要件を備えたものをあらかじめ登録しております。先生の御指摘では、いま二十八社だということでございますが……。
 買い付けに当たりましては、需給計画に基づきまして、種類別、銘柄別の買い付け数量とか、あるいは船積み期間等の買い入れ条件を登録輸入業者に通知いたします。それから、輸入業者からの売り渡し申し込みを受け付けまして、海外の小麦の市況だとか、あるいは用船の市況だとか、こういったものを勘案いたしまして審査し、予定価格の範囲内のうちから低額の順に採用を決定をしておるところでございます。採用いたしました輸入業者に輸入許可を与えた上で売買契約を締結するというような手順をとっております。
 なお、契約の方式につきましては、外国産の麦類の買い付けの特性にかんがみまして、会計法の第二十九条の三の四項に基づく随意契約によっているところでございます。
 以上でございます。
#133
○岩佐委員 週一回くらいの割合で入札によるというふうなことを御説明では伺っているわけですけれども、そういうような形になるわけですね。
#134
○羽鳥説明員 お答えいたします。
 原則として週一回、方式としましては、お話ございましたように、随意契約でございますが、入札形式をとりまして、見積もり合わせの随意契約、このような形をとっておるところでございます。
#135
○岩佐委員 そうすると、入札といいますか、この週は二カ月先物の小麦、何々品種について何トン買いますよということについて食糧庁はこの二十八社全社に知らせるわけですね。そして、全社に知らせて、応札された商社の中から、いま言われたように予定価格に一番近いところ、これをとっていくということになるわけですね。
#136
○羽鳥説明員 お答えいたします。
 原則として週一回、そのテンダーをやります前、原則としてこれまた二日前ということにしておりますが、私どもは、お話ございましたような銘柄とか数量とか、こういった条件につきまして全社に通知いたしまして、予定価格の範囲内で低額の順から採用していく、こういう方式でございます。
#137
○岩佐委員 そうしますと、商社から買い付けられる数量についてはどうなっているんでしょうか。
#138
○羽鳥説明員 お答えいたします。
 そのときどきの商社からの買い付ける数量につきましては、先ほど申し上げましたように、応札のあったもののうち予定価格の範囲内で低額の順に、このように採用しておるところでございます。
#139
○岩佐委員 商社の取り扱い数量、これの総枠についてはどうなっているのでしょうか。
#140
○羽鳥説明員 お答えいたします。
 外国産の麦類の買い入れに当たりましては、輸入業者ごとに前期の買い入れ実績を基礎にいたしまして、これを上回る一定の許容範囲内で売り渡し申し込みを受け付けている、このような仕組みをとっているところでございます。
 私どもがこのような仕組みをとっているということの理由は、御説明申し上げますと、全く野放しにして輸出市場から買い付けた場合におきましては、輸出市場におきまして食糧庁が買い付ける実際の数量をはるかに上回る大量のものを一挙に買い付けるというような、いわば仮需要が発生するというようなことになりまして、海外の市況をいたずらに高騰させ、わが国としてかえって高い小麦を買い付けることになるおそれがございまして適当ではないというような考え方によるものでございます。このようなことから、適切な競争をも確保しながら有利な買い付けを行うために、私どもはそのような買い付け方をしておるところでございます。
#141
○岩佐委員 各社に対する数量ですけれども、どういう形で商社に伝達されるのでしょうか。
#142
○羽鳥説明員 お答えいたします。
 それぞれの登録業者に対して、各社ごとにその期の初めに通知いたしております。
#143
○岩佐委員 そうすると、各商社は昨年実績、それは、先ほど説明された中で、いわゆる昨年実績ぴったりというわけじゃなくてアバウト、アローアンスがあるのだろうというふうに思うわけですが、そのアローアンスの範囲内で、あなたのところはことしは大体何トン輸入する目安を持ってくださいよということを言われるわけですね。このアローアンスの数字について各社はどういうふうに知ることができるわけですか。
#144
○羽鳥説明員 お答えいたします。
 私どもは、各社に示す場合には、その期の買い付け計画数量に対してそれぞれの社がどの程度の割合であるかというような形で示しますが、実際の買い付けがそれをある程度上回るというようなことで競争を確保するという考えをとっておるわけでございますが、その数量につきましては一〇%というようなことで示しております。
#145
○岩佐委員 私が持っている資料から逆算して、一〇%ぐらいなんだろうというふうに思ったところでございましたけれども、そうすると食糧庁は、この数量について業界に対して言うわけですけれども、これはどういう法律に基づいた行政指導になるのでしょうか。
#146
○羽鳥説明員 お答えいたします。
 先ほど私どもがどのような理由からこういう仕組みをとっているかということにつきまして御説明申し上げましたが、それを一言で申し上げますと、国民の食糧の安定的確保という観点から、私どもは必要なものを、小麦を海外から買い入れておるわけでございますが、私どもが実際にそれを行う場合には、これは食管法の第十一条の運用上これが必要であるというような判断から実施しておるわけでございます。
#147
○岩佐委員 その運用上の判断からということになると、食管法に基づいた行政指導であるということで理解をするわけですか。
#148
○羽鳥説明員 お答えいたします。
 御案内のように、食管法の十一条におきましては、輸入につきましては政府の許可制となっておるところでございます。その第二項におきまして輸入された小麦は全量政府に売り渡すというような義務づけになっておりまして、私ども食糧庁がこれを一元的に買い付けをする、このような仕組みになっておるわけでございまして、これを円滑に遂行するというような観点から先ほど申し上げましたような仕組みをとっておるところでございます。
#149
○岩佐委員 しかし、食管法十一条に基づく施行規則四十八条の二を見てみますと、許可を受けようとする者は、種類別数量、それから種類別単価、用途、輸出または輸入の時期、こういうものを明示して、それで申請書を農林省に出しなさいということを言っているわけですね。
    〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
そうしますと、その申請書に基づいて食糧庁が許可をするということになっていて、結局申請する場合には幾らでも数量を申請してもいいというふうにこれでは理解ができるわけですけれども、それを食糧庁がこうですよ、数量はこういうふうにしなさいということについて具体的な法律的な根拠をもう少し明確にしていただきたいと思います。
#150
○羽鳥説明員 お答えいたします。
 御指摘の施行規則の第四十八条の二に定めておりますのは記載事項を定めておるものでございます。私どもが外国産の食糧の買い付けを食糧管理法に基づきまして行っておるわけでございますが、その具体的な仕組みにつきましては先生にも前に御説明申し上げておりますが、外国産食糧買入要綱に基づいてさらに詳細な手続が定められておるところでございます。
#151
○岩佐委員 そうしますと、たとえばある商社はなかなか安い価格が出せないで、納入量が昨年実績のいま言った一〇%のアローアンス内でもできない、あるいは逆に非常に安い価格で供給できる商社が一〇%以上やれる、納入できるのだ、そういうようなことが実際に行われているわけですか、あるいはそういうことは過去にあったわけですか。
#152
○羽鳥説明員 お答えいたします。
 御説明申し上げましたように、それぞれの入札の時点におきましてはこれはそれぞれの社に対して何ら制限を課しておりません。私どもが全体につきましてそのような目安を示しておるわけでございますが、それぞれの業者はそういったことを念頭に置きながら食糧庁にいかにして予定価格の範囲内で最も安い価格でオファーするか、こういうようなことで努力してきておるわけでございます。
#153
○岩佐委員 いまの答弁でそのとおりだろうというふうに思うのです。結局、いま一〇%アローアンスの範囲内でそれぞれ商社が取引をしているという状況であるならば、もし安い価格で幾らでも売れますよというような商社があってもそれは採用できないわけですから、食糧庁が高くてもがまんをして実績のある商社からある一定量は買い入れなければならないというようなことになってしまうわけで、事前に商社自身がそこのところは考えるということになるだろうと思うのです。いずれにしろ、結局各社ごとに食糧庁が買い付ける数量が先にはっきりと明示されている限り、価格の自由な競争ということは阻害をされるということは明確だと思います。もし商社間に価格についての談合があった場合、それを食糧庁自身が知っているか知らないか、そのことは別としても、そういうことがあった場合にはそのこと自体当然独禁法違反になるというふうに私は思いますけれども、その点、公取の考えを伺いたいと思います。
#154
○羽鳥説明員 その前に一言、先ほど、仕組みの中で説明不十分だった点について私ちょっと補足させていただきますと、その期におきましては示しましたいわばシェアの一〇%のアローアンスということでございますが、それではその次の期にどのようにしてそのシェアを定めるかということにつきましては、私ども三つの要素を考えております。一つは、予定価格に対しましてそれぞれの社の応札価格がどの程度安かったかというような割合、すなわちいわゆる価格メリット、こういう要素、第二点は、安い価格で応札した結果採用が決定するわけでございますから、そのようにして多く売り渡すことができた数量の実績、いわば数量メリット、それから前期のシェア、このようなものを反映させるというような仕組みをとっておるわけです。すなわち前期におきましてより安く、より多くのものを政府に売り渡すことができた者に対しては次期のシェアがふえるというような仕組みをとって競争原理が働くように配慮をしておるわけでございます。
#155
○伊従政府委員 米麦につきましては食糧管理法によってその需給、価格、流通について国家の統制が行われておりますし、また、この食糧管理法に基づきまして先ほど食糧庁の方からの御答弁にありましたように指導が行われておりますので、その点は考慮する必要があると思いますが、一般的に言いますと、入札ないし見積もり合わせの制度のもとで価格について談合すれば独禁法上の問題が生ずると考えております。ただ、本件につきましては具体的な事情がわかりませんので、これについての意見は差し控えさせていただきたいと思います。
#156
○岩佐委員 いま食糧庁から説明がありましたように、事実上競争的な条件を確保するような形で商社に対していろいろな手だてをとっておられるというふうな説明もあったわけですけれども、しかし、談合があるかないかは別としても、いまのような範囲内での食糧庁の対応では十分に価格の競争的な条件を確保することができないんじゃないか、やはり行政指導の弊害がある、独禁法上問題があるんではないかというふうに思うわけであります。小麦の取引については商社仲間では、食糧庁が絶対保証してくれる安定した取引だし、それからこの商社についても伊藤忠、兼松江商それから丸紅、三菱、三井、日綿、日商、住友、トーメンというようないわゆる大商社が全部入っていて、二十八社といってもかなりの大手である。情報は相当いろいろと交換できる間柄にもなっているんでしょうけれども、そういう大手が占めている二十八社であるし、絶対食糧庁の安定保証、商売上の保証をしてもらえていて、商社コミッションも、これは幾ら伺っても価格にはね返るのでということで食糧庁の方は明らかにしてくれないわけですが、どうも一、二%程度というものではないんじゃないかという話もありますし、そういう点ではこういう点にもっと麦の輸入問題にメスを入れていく必要があるんじゃないかというふうに思います。公取に最後に見解を伺いたい。
 それから経済企画庁の対応も、これも申しわけないのですが大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
#157
○伊従政府委員 米麦につきましては、先ほど申し上げましたようにかなり強い国家統制が行われておりまして、特にその手段としまして、移入、輸入の米麦につきまして政府が直接買い入れるということになっておりますので、その範囲内で行政指導をすることにつきましては、法律が許しているものと解釈します。その行政指導のあり方としまして、私たちの方からいいますと、できるだけ競争原理を取り入れていただきたいということでございます。これは食糧庁の方で考慮をすべきことでございますし、今後も食糧庁とその点につきまして、必要があれば意見交換をしたいと考えております。
#158
○河本国務大臣 わが国は、エネルギー、それから食糧、それから重要な資源の大部分、ほとんど全部を外国から買っておりますので、その購入価格をわが国の経済に有利に進めていくということは、これはもう経済全体に及ぼす影響は非常に大きなものがございます。でありますから、いまのお話は食糧の買い入れ問題でございますが、関係者におかれましていろいろな動きを事前に十分調べられまして、そして最も安い価格でわが国に入るように今後とも努力をしてもらいたい、こう思っております。
#159
○岩佐委員 次に、プロピレングリコールの問題について伺いたいと思います。
 食品衛生調査会の答申によりますと、このPGについて規制値を設けるべきだというふうに答申が出て、生めん二%以下、それから生ギョウザの皮類一・二%以下、イカの薫製二%以下、その他の食品〇・六%以下、こういうふうな答申が出ているわけですけれども、この二%というのは、PPmで言うと二万PPmということになるわけですが、この二%というのは、厚生省が昨年の夏に検査を行ってことしの四月にまとめた資料で見ますと、生中華めん、生うどん、生そばについては平均値であります。また、業界の二・五%という自主規制値から見ればほとんど変わらない、つまり業界の後追い的数字であるという批判があります。「食品添加物の使用基準便覧」というのを見てみましたら、使用規制のないものは別にしても、二%の使用規制で認めているものは、糊料、CMC、そういうたぐいで三種類だというふうに思いますけれども、その点についてはいかがですか。
#160
○藤井説明員 御指摘のとおり、食品添加物の中でプロピレングリコールはパーセント単位で使われる特異な添加物でございます。普通の添加物の中では最高に加えられる添加物ではないかと思います。したがって、それだけにプロピレングリコールの安全性については、十分な背景というものを勘案して、先ほど先生の言われた数値を取り決めているわけでございます。
#161
○岩佐委員 PGをとり過ぎると、溶血性になって赤血球が減少するという犬の実験もあると言われます。また、厚生省のこの資料の中でも紹介されていますけれども、日本での染色体異常の実験例が一件、アメリカFDA委託研究でも変異原性テストで二件、プラスになっているわけです。このようなPGがパーセントのオーダーで使用される、これは非常に理解に苦しむわけです。
 それで、ちなみに業界の意見はどうなのかということを見てみたわけですけれども、たとえば、これは業界の方の書かれた論文を見てみると、「保存剤は、たとえ毒性の少ないものでも、止むを得ない時に、できるだけ少なく、できうれば使用しないで済まないかと、常に検討する姿勢が望しい。」「驚異的殺菌効果を期待することが出来た過酸化水素と、手軽な源泉混入で使用出来るプロピレングリコールがゆで、生めん保存のエースであったことから、衛生管理の改善意識を遅れさせていたことは否定することは出来ない。」とか、あるいは「初期菌数を少なくする努力を最優先させる必要がある。微生物的に見直すことでの効果は大きい。クリーン化、クーリング化がさけばれるゆえんであり、全国製麺協同組合(全麺連)が明示している基本姿勢でもある。」というふうに言っているわけです。
 それから群馬県の食品衛生監視班の指摘でも「生めんの製造から販売までの流通期間を三日間と想定した場合、PGを添加し、二十度C保存を行うよりも未使用でも冷蔵した方が日持ち効果が認められたので今後の指導にあたっては、製造段階での衛生管理はもちろんのこと、製造・販売業者に対してPGに依存することより、冷蔵保持の徹底を期したい。」こういうふうに言っているわけです。私は、もし厚生省が答申どおりにこれを進めるということになると、このような業界やあるいは地方行政の積極的な対応に水を差すことになるのではないかというふうに思うわけですけれども、この点についてどうお考えか伺いたいと思います。
#162
○藤井説明員 食品を衛生的に扱うということは、先生がいま御紹介された文章のとおり基本的な現象でございます。また、食品添加物をその代替として使うというような判断は、厚生省としては一切ございません。したがいまして、食品添加物の使用基準の決定という点につきましては、あくまで食品に対する有用性と衛生性の概念というものから判断をいたしております。
 工場における衛生の問題につきましては、そういう添加物とは別個に行政指導の対象として進めているところでございます。
#163
○岩佐委員 このPGについては、国連食糧農業機関、FAO、それから世界保健機構、WHOによって、一日の摂取許容量が体重一キログラム当たり二十五ミリグラムと決められているわけですが、この一日当たりの摂取基準と今回の規制値、これを子供の場合、小学校三年で九歳、三十キロ、平均的な例で具体的にどうなるかということを調べてみました。委員長、ちょっときょうサンプルを持ってきているのですけれども、提示してよろしいでしょうか。
#164
○井上委員長 いいです。
#165
○岩佐委員 たとえば子供が日常的に食べるうどん百グラム、それからカステラ、カステラというと高級品だと思うわけですね。ですから、私はわざわざこれを持ってきたのですけれども、子供カステラというので、この感じのものが百二十円で手に入るわけですね。ですから非常に子供たちが、九歳の子供ぐらいだったら、ポピュラーに食べるものだというふうに理解をしていただきたいために持ってきたわけです。これは、このメーカーのものが入っているとか入っていないとかいうことではなくて、そういう観点から見ていただきたいと思います。それからアイスクリーム、これはもう空でございますけれども、こういうものも子供たちが非常に好むものです。カステラ百グラム、アイスクリーム百グラム、それからギョウザについては、子供ですから二十グラムということで試算をしてみました。そうしますと、このうどん、カステラ、アイスクリーム、ギョウザの全部を一日のどこかの時間帯で食べるということになると、六十八ミリグラム。PGの摂取許容量の二十五ミリグラムからすると、何と三倍近い摂取量になってしまう。それじゃ、これをうどんとアイスクリーム、あるいはうどんとカステラ、あるいはギョウザとカステラというふうに組み合わせても、非常に高い数値になってきて、どれと組み合わしてもADI値を簡単に超えてしまうということになるわけです。私は、子供にとってその変異原性の疑いのあるもの、これはADI値を簡単に超えるような食べさせ方をすべきではない大問題だと思います。ちなみに、これはイカの薫製で、大人のビールのつまみでございます。これは百グラムなわけですね。百グラムというと、そんなに食べれないかしらと思うのですけれども、これも簡単に食べてしまうわけですね。これだけでもう本当に相当な数値が上がってしまうわけでございます。この点について厚生省はどうお考えなのか、簡単にお願いしたいと思います。
#166
○藤井説明員 プロピレングリコールに限らず、食品添加物の安全性というものをながめてみます場合に、慢性毒性から判断していく方法並びに発がん性あるいは突然変異というような方面からながめていく方法の二つがあるかと思います。ADI、一日の摂取許容量という問題につきましては、慢性毒性の実験からこれを誘導するわけでございますが、この数字はあくまで一つの判断でございます。
 慢性毒性は、動物の一生涯、人間にとって六十年という間ずっと投与をいたしまして決まってくる数字でございます。したがって、人間の五十キロで動物実験のままを――これは単に計算でございますけれども、一生涯約二・七トンのプロピレングリコールを摂取した場合に影響がなかったという動物実験の結果から、これの百分の一を持ってまいりまして、さらに一日にそれを変換いたします。したがって、すべて安全率ということを二回にかけて見ているわけでございます。したがいまして、単に一日に計算しやすいように持ってまいりましたADIが超えたからといって直ちにそのような影響が出るということはないわけでございます。
 先生御指摘のように食べ方によっては、今回の使用基準でいきますと、最高限で見ていけばADIを超える日が出てくるかと思いますが、三百六十五日、あるいはもう少し短かく一カ月あるいは一週間、こういうような形で見てまいりますと、ADIの問題はもともとが平均的な一生涯という観点から出ておりますので、その辺は、超えないことが望ましいことには違いございませんが、安全性という立場からは問題がないのではないかというふうに見ておる次第でございます。
 また、変異原の問題は確かに四つの方法で陽性と出ているわけでございますが、きわめてこの変異原の強度は小さい。たとえて言えば、しょうゆあるいはソースあるいはまたカラメル、これが示す変異原性よりもプロピレングリコールの変異原性はさらに小さいという点がございますし、また変異原試験の中で生きた動物を使います小核試験、また優性致死法、この方法では突然変異という関係は一切見られておりません。したがいまして、突然変異の問題については総括的にはプロピレングリコールは無視してもいいのではないかというふうに判断いたしております。
#167
○岩佐委員 その他食品の〇・六%ですが、これについて厚生省の御説明は、生うどんとか生めんについて二%認めている、そのうち三〇%が残る、だから単純計算して生うどんを基準にして〇・六ということでその他食品を決めたということでございましたけれども、これについて都の消費者センターの五十六年一月のPGに関する試買テスト、これは資料があるわけですけれども、たとえばカニ足風かまぼこ、これについて〇・七%が最高に入っていてそれは〇・六よりも高いわけですが、あとはみんな〇・六よりも低くて〇・三六、二三、一八、一六、一六、一三、〇九、〇八、〇七というふうになっているわけです。それからこれは東京都地域消費者団体連絡会の資料で、東京都の消費者センターが分析したものですが、カステラを見てみますと、溶剤として入ってきていると言われるものですが、カステラの最高の一・三四を除きますとあとすべて〇・〇八、〇六、〇一、あるいは全体の件数十四件のうち使っていないものは九件というような実情になっているわけです。イカの薫製にしても、どうしても使わなければならないんだという説明がありましたけれども、この同じ資料ですが、十一検体のうち六つについては検出をしておりません。きょう私が持ってまいりましたイカの薫製については、検出をしないというメーカーのものを購入をしてまいったわけでございますけれども、そういうふうなことで使わなければ使わないで済む、あるいは数量についてももっと低くて済むのではないか、それをいまの数値で決めていくと、結局厚生省がどんどん使いなさい、高い基準値を指し示すということになってしまうというふうに思います。厚生省の姿勢が問われるということになると思います。その点について厚生省がきちんと検討するということをお願いをしたいと思います。
 それから生そばについて、そば湯にPGが七〇%溶け込んでいくわけですが、食堂のそばというのはわりあいとみんなそば湯を好んで飲むわけですけれども、ずっとたまっていく。その検査を横浜市でやっているわけですが、それによりますとPGが大変高まるという実績があるわけです。このことについてどうされるのかということを伺いたいと思います。
 それから、ちょっと時間もなくなりましたので、表示の問題、パーセントオーダーで使われるような添加物について、私ども母親の立場から言えばこんなもの子供に食べさせたくない、幾ら変異原性が弱かろうと私たちは食べさせたくないという気持ちがあり、また、食べさせないで済ませるという権利が消費者にはあると思います。ですから、プロピレングリコールというふうに表示をさせるべきだと思いますけれども、そば湯と表示の二点について伺いたいと思います。
#168
○藤井説明員 ゆで汁が飲用に供されるということは検討において十分考えております。ただ、ゆで汁の飲用というのを平均的にどうながめるかという点にあるわけでございますが、いわゆるざるそばあるいはもりそば、こういったケースにおいて飲用ということがございます。しかしながら、これを全部が飲用に供されたときにどういうふうにながめるかという点でございますけれども、日本人の一般的な平均としてながめますと、プロピレングリコールのめん類からの摂取量は〇・二五グラムくらいになります。また、多食者というのを計算いたしますと〇・五グラムくらいになるわけでございます。また、このゆで汁の場合に二%、最高の基準値で入った場合には、ゆで汁の方には一・四%が出るわけでございますが、百グラムの生めんに対しまして約一リットルのゆで汁を使うのが標準的でございます。そして飲用に供するのが百cc程度でございますので〇・一四グラム程度の加算であるというような観点から、十分このADIの中に入ってくる数字だというふうにながめているわけでございます。
 その次に、表示の問題でございますが、確かにいろいろな表示というものについての必要性は十分わかるわけでございますが、私どもの表示は食品衛生法でやっているわけでございます。したがって、見分けるために表示が必要だという観点でまいりますと、これは品質表示法の方に入ってまいりまして、私どもは公衆衛生の見地からの表示という線で検討を進めていかなくてはならないわけでございます。しかしながら、プロピレングリコールについての社会的関心も非常に強いわけでございますので、現下といたしましては表示の問題をぜひ検討したいと思っております。しかしながら、法律の立場から、法審査と申しますか、そういう立場から妥当であるかどうかというのにはなお疑問が現在残されている次第でございます。
#169
○岩佐委員 時間もちょっとなくなりましたが、もう一点だけ伺いたいと思います。
 臭素酸カリウムですが、五十一年の厚生省のがん研究班が行った細菌テストで弱い変異原性があったと言われています。これは小麦粉にまぜられてパンに入っているわけですが、この問題について、消費者団体あるいはPTAの方々の全国的な運動の中で、学校給食では文部省の報告でも四十七都道府県のうち三十二府県がやめている、消費者団体の調べでは四十団体以上がやめているというふうな実態になっているわけですが、この臭素酸カリウムにつきまして、私の手元に、小麦粉に臭素酸カリウムをまぜてパンを焼いてそれを動物に与えるという長期実験を行った、そういうデータがあるわけですが、これについては厚生省は御存じですか。
#170
○藤井説明員 承知いたしております。
#171
○岩佐委員 そうすると、この中でマウスの実験で、脳下垂体、それから脳、腎臓、甲状腺重量が、ブロム酸量がふえる、あるということによって減るということですけれども、そういうことについて御存じであるわけですか。
#172
○藤井説明員 そういう実験データがあることは承知いたしております。
#173
○岩佐委員 それはどこのデータですか。同じデータなんでしょうね。
#174
○藤井説明員 先生のごらんの文献と私どもが承知いたしております文献と必ずしも一致するかどうかわからないわけでございますが、先生の御指摘のようなことが見られたという文献は、一九七九年の「フード・コスメチック・トキシコロジー」という雑誌ではないかと思います。
#175
○岩佐委員 私の文献と同じでございます。
 それで、変異原性につけ加えてこういう問題が起こっているのであります。ですから、厚生省として同じ実験を行う必要があると思いますし、このデータをもっと検討していく必要があるということを強く要望したいと思います。
 最後に、これは委員長にお願いをしたいのでございますけれども、きょうは厚生大臣にも御出席をいただけるという委員会でございません。しかし、PGの問題について、子供の健康からいって、パーセントオーダーでのPGの使用基準について私は問題があると思いますし、それから先ほど申し上げた表示の問題、あるいは臭素酸カリウムについて私どもが公に知らないデータもございます。こうしたことについて、当委員会として厚生大臣に申し入れを行うなり意見を出すなりの御配慮をしていただきたい、このことの御検討をお願いしまして、私の持ち時間がもう過ぎましたので質問を終わりたいと思います。
#176
○井上委員長 ただいまの岩佐君の御意見は、月並みな回答で恐れ入りますけれども、理事会で相談をして……。
 次回は、明後十四日木曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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