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1980/05/13 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 決算委員会 第12号
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1980/05/13 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 決算委員会 第12号

#1
第094回国会 決算委員会 第12号
昭和五十六年五月十三日(水曜日)
    午前十時二十二分開議
 出席委員
   委員長 國場 幸昌君
   理事 越智 通雄君 理事 東家 嘉幸君
   理事 原田昇左右君 理事 森下 元晴君
   理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君
   理事 春田 重昭君 理事 中野 寛成君
      近藤 元次君    桜井  新君
      竹下  登君    近岡理一郎君
      田中 昭二君    和田 一仁君
      辻  第一君    石原健太郎君
      楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 藤尾 正行君
 出席政府委員
        労働大臣官房長 谷口 隆志君
        労働大臣官房会
        計課長     高橋 伸治君
        労働省労政局長 細野  正君
        労働省労働基準
        局長      吉本  実君
        労働省婦人少年
        局長      高橋 久子君
        労働省職業安定
        局長      関  英夫君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 加藤  孝君
        労働省職業訓練
        局長      森  英良君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力局政策課長  中村 守孝君
        大蔵省主計局司
        計課長     岡崎  豊君
        大蔵省主計局主
        計官      安原  正君
        運輸大臣官房政
        策計画官    中崎  昂君
        運輸省自動車局
        業務部旅客課長 寺嶋  潔君
        労働省労働基準
        局監督課長   岡部 晃三君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 望月 三郎君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部企
        画課長     小村 雅男君
        建設大臣官房人
        事課長     海谷 基治君
        会計検査院事務
        総局事務総長官
        房検定審議官  西川 和行君
        会計検査院事務
        総局第三局長  肥後 昭一君
        決算委員会調査
        室長      黒田 能行君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十三日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     石原健太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  石原健太郎君     山口 敏夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算
 昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算
 昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和五十三年度政府関係機関決算書
 昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和五十三年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (労働省所管)
     ――――◇―――――
#2
○國場委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 私、療養中、委員の皆様方には何かと御迷惑をおかけいたしました。おかげさまで本日復帰いたしましたので、何とぞよろしくまたお願い申し上げます。(拍手)
 昭和五十三年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、労働省所管について審査を行います。
 まず、労働大臣から概要の説明を求めます。藤尾労働大臣。
#3
○藤尾国務大臣 労働省所管の昭和五十三年度決算について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。
 歳出予算現額は四千二百九十二億六千五百十四万円でありまして、その内訳は、歳出予算額四千二百七十七億八千九百四十七万円余、予備費使用額十四億七千五百六十六万円余となっております。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額四千百九十四億五千四百十五万円余、不用額九十八億一千九十八万円余で決算を結了いたしました。
 支出済み歳出額の主なものについて申し上げますと、雇用保険国庫負担金及び失業対策事業費等であります。
 これらの経費は、雇用保険法に基づく求職者給付等に要する費用の一部負担及び緊急失業対策法に基づき実施した失業対策事業に要したもの等でありますが、このうち失業対策事業の主な実績は、事業主体数六百四十六カ所、事業数二千五百十九、失業者の吸収人員一日平均八万五千人余となっております。
 なお、不用額の主なものは、職業転換対策事業費等であります。
 次に、特別会計の決算について申し上げます。
 まず、労働保険特別会計について申し上げます。
 この会計は、労働保険特別会計法に基づいて昭和四十七年度に設置されたものであり、労災勘定、雇用勘定及び徴収勘定に区分されております。
 初めに労災勘定について申し上げます。
 歳入につきましては、歳入予算額一兆百七十一億百五十九万円余に対しまして、収納済み歳入額九千四百四十八億三千六百六十五万円余でありまして、差し引き七百二十二億六千四百九十四万円余の城となっております。これは、徴収勘定からの受け入れが予定より少なかったこと等によるものであります。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額一兆二百十四億五千四百八十八万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一兆百七十一億百五十九万円余、前年度繰越額四十三億五千三百二十八万円余であります。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額六千五百三十八億八千六百六十六万円余、翌年度繰越額三十一億七千百七十七万円余、不用額さん千六百四十三億九千六百四十四万円余で決算を結了いたしました。
 支出済み歳出額の主なものは、労働者災害補償保険法に基づく保険給付に必要な経費及び労働福祉事業に必要な経費等であります。
 この事業の実績の概要について申し上げます。
 保険給付の支払い件数は五百七万六千件余、支払い金額は四千七百七十五億七千三百三十六万円余となっております。
 なお、不用額の主なものは、支払い備金等に充てるものであります。
 次に、雇用勘定について申し上げます。
 まず、歳入につきましては、歳入予算額一兆三千四百九十億八千四十八万円余に対しまして、収納済み歳入額一兆九百十二億二千三百六十四万円余でありまして、差し引き二千五百七十八億五千六百八十三万円余の城となっております。これは、失業給付金等に不用額を生じたこと等により、積立金からの受け入れを必要としなかったこと等によるものであります。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額一兆三千四百九十六億四千九百四万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一兆三千四百九十億八千四十八万円余、前年度繰越額五億六子八百五十六万円余であります。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額一兆六百五十一億三千九百六十二万円余、翌年度繰越額十六億四百三十二万円、不用額二千八百二十九億五百十万円余で決算を結了いたしました。
 支出済み歳出額の主なものは、雇用保険法に基づく失業給付に必要な経費及び雇用安定事業等四事業に必要な経費等であります。
 この事業の実績の概要について申し上げます。
 失業給付のうち、一般求職者給付及び日雇労働求職者給付の月平均受給者実人員は、一般求職者給付七十万一千人余、日雇労働求職者給付十二万九千人余、また、短期雇用特例求職者給付及び就職促進給付の受給者数は、短期雇用特例求職者給付七十万八千人余、就職促進給付五万人余でありまして、支給金額は、一般求職者給付七千二百六億二千百六十二万円余、日雇労働求職者給付二百六十七億七千五百二十九万円余、短期雇用特例求職者給付一千百九十七億一千六百三十六万円余、就職促進給付五十億九千七百九十三万円余となっております。
 また、雇用安定事業等四事業に係る支出実績は、支出済み歳出額一千五百十三億一千五百七十九万円余となっております。
 なお、不用額の主なものは、予備費等であります。
 次に、徴収勘定について申し上げます。
 まず、歳入につきましては、歳入予算額一兆五千七百八十七億七千三百四十八万円余に対しまして、収納済み歳入額一兆四千二百五十億三千六百四十四万円余でありまして、差し引き一千五百三十七億三千七百四万円余の城となっております。これは、賃金の上昇率が予定より低かったこと等により、保険料収入が予定を下回ったこと等によるものであります。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額及び歳出予算額とも一兆五千七百八十七億七千三百四十八万円余であります。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額一兆四千百七十九億八千三百二十万円余、不用額一千六百七億九千二十八万円余で決算を結了いたしました。
 支出済み歳出額の主なものは、労災勘定及び雇用勘定への繰り入れに必要な経費であります。
 この事業の実績の概要について申し上げますと、労災保険適用事業場数百六十六万八千余、労災保険適用労働者数二千九百九十万八千人余、雇用保険適用事業場数百十六万三千余、一般雇用保険適用労働者数二千三百九十二万人余、日雇雇用保険適用労働者数十七万二千人余となっております。
 なお、不用額の主なものは、他勘定へ繰り入れた必要な経費であります。
 最後に、石炭及び石油対策特別会計のうち、労働省所掌分の炭鉱離職者援護対策費及び産炭地域開発雇用対策費の歳出決算について申し上げます。
 歳出予算現額百六十八億一千四百六万円余でありまして、この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額百五十八億八千九百二十八万円余、不用額九億二千四百六十七万円余で決算を結了いたしました。
 支出済み歳出額の主なものについて申し上げますと、炭鉱離職者緊急就労対策事業に必要な経費及び産炭地域開発就労事業に必要な経費であります。
 これらの事業の実績の概要について申し上げます。
 まず、炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、事業主体数四十四カ所、事業数二百二十、就労人昌一延べ六十七万四千人余となっております。
 次に、産炭地域開発就労事業につきましては、事業主体数四十八カ所事業数百七十二、就労人員延べ七十三万一千人余となっております。
 なお、不用額の主なものは、炭鉱離職者援護対策費であります。
 以上が労働省所管に属する昭和五十三年度一般会計及び特別会計の決算の概要であります。
 なお、昭和五十三年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。
 これらの指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしたいと存じます。
 以上をもちまして、労働省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の説明を終わります。
 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#4
○國場委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。肥後会計検査院第三局長。
#5
○肥後会計検査院説明員 昭和五十三年度労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三件であります。
 検査報告番号一一一号は、労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたものであります。
 労働保険は労働者災害補償保険及び雇用保険を総称するものでありますが、この保険事業に加入している事業主が保険料を申告納付するに当たり保険料算定の基礎となっている賃金総額が事実と相違しているなどにより、徴収額が不足していたものであります。
 また、検査報告番号一一二号は、雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもので、雇用保険事業における失業給付金の受給者が再就職しているのに引き続き失業給付金のうちの基本手当等を支給しており、給付の適正を欠いていたものであります。
 また、検査報告番号一一三号は、雇用保険の雇用調整給付金の支給が適正でなかったもので、雇用保険事業における雇用調整給付金の給付に当たり、実質的に休業日に該当しない日を支給対象の休業日としていたなど給付の適正を欠いていたものであります。
 なお、以上のほか昭和五十二年度決算検査報告に掲記しましたように、失業給付金の不正受給金返納金債権に係る延滞金債権の取り扱いについて処置を要求しましたが、これに対する労働省の処置状況についても掲記いたしました。
 以上、簡単でございますが説明を終わります。
#6
○國場委員長 これにて説明の聴取を終わります。
    ―――――――――――――
#7
○國場委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
#8
○井上(一)委員 まず私は労働大臣に、労働大臣の所信表明に「労働行政がまず第一に取り組むべき課題は、この高齢化社会に対応する施策の推進」である、こういうことを申されているわけです。まさに高齢化社会の中にあっての行政が第一優先課題として取り上げられたということについては、私はそれなりの期待をむしろ寄せるわけであります。
 このことにつきましては、昨年の決算委員会でも、私から強く指摘をいたしました。当時の大臣は、省庁の壁を乗り越えて高齢者対策と総合的に取り組んでいきたい、そのことが大切であり、そのために労働省は全力を挙げて努力をいたします、こういうふうにお答えがあったわけです。しかし、その後どのように高齢者社会に対応する取り組みをなされてこられたのか。
 さらには、具体的に私は決算の中で、たとえば昨年も指摘をしましたけれども、定年延長奨励金の不用額等については、非常に多額な不用額を出している、このことは何を意味しているのか、こういうことであります。当初、定年延長奨励金が設定された初年度、あるいは次年度等については、まだその周知徹底が図られていないということで、十分な執行がなされていないという理解もいたしたいわけでありますけれども、その後においてもこれの執行が当初の見込みより非常に下回っておる、このことは一に高齢者雇用の問題としての取り組みがまだ不十分であるということを私は意味すると思うのです。ただ具体的に数字を挙げて議論をするということよりも、やはりそういう哲学的なもの、あるいは行政の取り組みという姿勢の問題として指摘をしておきたい。
 その裏づけとして、五十三年度では四十四億二千二百七十三万五千円の不用額、さらに五十四年度では五十八億以上にこれがなっていくわけです。五十一年、五十二年、これはもう両年度とも執行額が一割にも満たないわけなんです。当初予算を設定された、計画をされたその時点から、いかに達成率が少ないか、こういう点について、大臣からひとつお考えなりあるいは今後の取り組み、具体性を持った取り組みを含めて、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#9
○藤尾国務大臣 お答えを申し上げます。
 この決算の御指摘の中の不用額の問題につきましては、後ほど政府委員から御答弁をさせていただきますが、御案内のとおりで、私どもをめぐります雇用の関係、こういったものを考えてみまして最大の問題は、何といいましても日本民族全体の平均寿命が延び、そうしてまた、非常に残念なことでございますけれども、その反面に出生率がきわめて長年にわたって低下し続けておるということでございますから、そういった大きな環境並びに時代の流れの中で、私どもが今日享受いたしておりますような繁栄をさらに一層進めていかなければならぬということになれば、当然こういった傾向に対しまして適切な措置をとっていかなければならぬ、当然のことでございます。でございますから、この高齢者対策といいますものが、私どもの所掌いたしております雇用の問題につきまして最大の問題を提起しておることはもちろんのことでございます。
 私どもは、とりあえずこういった一つの大きな流れに対しまして、従来、本当に恥ずかしいことでございますけれども、こういった高齢者対策といいますものに手がついてこなかった、本当に大きな流れが流れておるにもかかわりませず、いまだに五十五歳定年というようなものが存在し続けてきた、こういった政治の立ちおくれといいますものは本当に情けない、私どもの無力のせいでございまして、おわびのしようもないわけでございますけれども、しかしそれにいたしましてもこれを放置しておくわけにはまいらぬわけでございますから、一日も早くこの問題に対処をしていかなければならぬということで、国会の御了解もちょうだいをいたしまして、とりあえずの目標を、昭和六十年度に五十五歳定年をなくしてあらゆる事業所で六十歳定年を実現をするというところに目標を置いて現に進んでおるわけでございます。
 ところが、昭和六十年というような、これからさらに数年を必要とするというような時点になりましたときの、その高齢化の激しい流れといいますものの実態について考えてみますと、もうすでにそのときは六十歳の定年制度を推進しておるというようなことが、かつての五十五歳の定年を私どもが考えておったような、そのような考え方になり、時代おくれもはなはだしいということになりかねない、こういうおそれがございますので、私どもといたしましては、できるだけ早く、この六十年の目標といいますものを一年でも二年でも早く達成をさせていただいて、そうして同時に並行いたしまして、六十歳定年をさらに六十二歳、六十三歳、六十五歳というようなところにまで延長をしていただく、また、現実に働いておられます方々の健康というようなものを考えてみましても、もう五十五歳になったら年寄りだというようなことではないわけでございますから、そういった現実といいますものを踏まえたことを考えてまいりましたならば、できるだけ早くこれを六十五歳定年の方に切りかえていかなければならぬ、そういうことでございまして、事業所におかれましても、それぞれのお立場からそういったことをお考えいただいて、いままでは五十五歳の定年を六十歳に延長するにつきましても奨励金を出していかなければいかぬのじゃないか、こういう考えでおりましたけれども、しかしながら、今日では奨励金を差し上げなければなりませんのは、むしろ六十歳までの定年というようななまぬるいことではなくて、さらにこれを六十五歳に延長し、さらにその先にまでやっていただけるというような対応をしていただきますために私どもが政治の助成を差し伸べていく、そういう方向に御指導をさせていただく、誘導をさせていただくということがいまや適切になりつつある、事業主等におかれましてもそのことを十二分に御理解になっておられる、さように私どもは感じておるわけでございます。
 したがいまして、今後とも、そのような不用額がいっぱい出てきておるということにつきましては、私どもの仕事のやり方がおくれておるという御指摘の面も非常にたくさんございます。しかし、あわせて、そんなものはなくてもやっていくのだ、こういう風潮に現に移っておるといういまの状況といいますものを、私はここに国民の各位に申し上げさせていただいて、私どもの努力をさらに前の方に、六十五歳に向けて前進させていきたいな、かように考えておるわけでございます。
#10
○井上(一)委員 大臣、丁寧なお答えに、受けとめていいのか、ちょっと私は首をかしげたくなるのです。それで、一生懸命やるというそういう御決意、それはまあそうしていただきたい。労働省は高齢者雇用の問題をどういうふうに位置づけていくのかということなんですよ。老人対策だというような位置づけでは私は困るわけで、この点についてここで大臣に、そうじゃない、そして取り組みも老人対策と同一のテーブルというか同一の土俵でそういうものに取り組むのは間違いであるという私の考えをお認めになるのか、そして老人対策でない、いわゆる労働者としての、高齢者の労働という立場でこれは取り組むべきである、そういうことで今後取り組んでいくというお考えなのか、この点、聞いておきます。
#11
○藤尾国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私どもはこういった定年延長対策といいまするものを老人対策などというような不運な位置づけはいたしておらないわけでございまして、私どものあるべき雇用政策といたしましてそのような位置づけを正しくしていきたいということの当然の施策であろう、かように考えております。
#12
○井上(一)委員 それじゃ、ちょっと尋ねますが、労働省では高齢者の雇用問題に取り組む機関というのでしょうか、そういうものを持っていらっしゃるのでしょうか。これは大臣からでなくても担当の方で結構です。そして、いま大臣の答弁なされたそういう趣旨で取り組んでこられたでしょうか。
#13
○谷口(隆)政府委員 急速に高齢化社会が進んでおりますので、労働省といたしましても高齢者対策につきまして雇用問題が重要なのは当然でございますが、同時に雇用問題がたとえば賃金とか退職金等の問題にも関連いたします。そういう労働条件の問題とか、あるいは全体的に高齢化していきますと、能力開発等もあわせて従来とは違った形で進めていかなければならぬとか、また生涯にわたる対策というような面からも資産形成等の問題も重要になってくるというようなもろもろの問題もございます。
 そういう観点から、従来高齢者対策も主として雇用対策ということで職業安定局が中心になって進めておりましたけれども、ここ一、二年におきましては、そういう各局にまたがる対策を進める必要もございますので、省内に高齢者対策を総合的にやるためのプロジェクトチームもつくっておりますし、また、こういう総合的な対策を進めていきます場合に学者その他関係の方々からいろいろ御意見を承ります場として高齢化社会問題研究会というようなものも設置いたしまして、労働省としては省内一丸となって今後の対策を進めていくための体制をつくって進めておるところでございます。
#14
○井上(一)委員 時間がないから、こちらの言っている質問の趣旨に簡略に答えてください。労働省が老人対策的なものでなく高齢者の雇用対策としてどういう機関を任意的に持っていらっしゃるのか、そして、それは政府にどう反映させたのか、そういうことがあれば聞きたいし、なければないで結構です。
#15
○谷口(隆)政府委員 ちょっと御質問の趣旨が受け取りにくいのでございますが、労働省は先ほど言いましたような対策をやっておりますし、最初御指摘になりました高年齢者対策が非常に重要であるということと、それから関係各省にまたがる問題が多くて総合的に取り組まなければならぬということがございましたが、その点につきましても関係各省庁と協議を進めておりますが、当面は政府全体の総合的な高齢者対策の推進体制として老人対策本部というようなものもございますし、そういう場を通じて総合的に連携をとりながら進める。同時に、藤尾大臣から就任後直ちに指示がございまして、特に関連いたします厚生省とか文部省等との関係におきましては定期的な会合も持って十分密接な連携を持って対策を進めていくというような形も進めておるわけでございます。
#16
○井上(一)委員 私が指摘したことをいまになって、老人対策の中での位置づけをしているわけで、老人対策は、政府機関としては老人対策本部というものをつくって、そこに労働省は労働基準局長なり職業安定局長が幹事の中に入ってそういう組織立った動きを検討している。さらには老人対策室あるいは老人問題懇談会と、いわゆる老人という形の中でこういうものを取り扱っていらっしゃる、取り組んでいらっしゃる。私はやっぱり、これはさっき大臣が言われたように、少しその中で取り組む――連携は密にしなければいけない。そしてそういう中で十分な論議は必要であるけれども、労働省としては別個に、高齢者に対する雇用問題、そういう政策を推進していくための機関は必要である。そういうものを持つべきである。いま、ないわけなんです。そうでしょう。あれば、こういうものが具体的にあるとおっしゃっていただいたらいいのです。だから、そういうものを何らかの形で機関化して十分やってほしい、こういうことを私はお願いをしておきます。
 さらにもう一点、大臣、高齢者の問題については私は昨年も指摘をしたのですけれども、それぞれの地方自治体が努力をなさってシルバー人材センターという形の中で運営をなさっていらっしゃる。国家予算という一つの枠の中での取り組みであるということも少しは理解をいたしますけれども、当初は人口二十万都市を基準としてそれ以上を対象にしていく、しかし、昨年のこの決算委員会での私の指摘で、それに準ずるという形で大幅な緩和策をとって運用をなさった。これは前進をされた。いいことだと思います。しかし五十六年度においてはそれが十万の人口を一応の基準とされた。十万の都市に住む高齢者であろうが、二十万であろうが、五万であろうが、そこに何ら変わりはない。その中身の問題である。だから、人口が十万だとか二十万だとかいう基準はできるだけ早い機会にこの枠を外すべきである。むしろその中身の実態の問題について判断なさっていくことが望ましいし、それが正しいのだ、こういうことを実は指摘をしたいのです。このことについても大臣の所見を承りたいと思います。
#17
○藤尾国務大臣 御趣旨のとおりでございまして、別に二十万以上でなければシルバー人材センターを置くだけの価値がないとか、十万以上にこれを広げたからそれで十分だとかいう性質のものではございませんから、五万であろうが三万であろうが一方であろうが、至るところに、日常の生活の中にそういったものができておる、それが活用されておるという姿が当然であり、そこへ行くべきだと私は思います。ただ、御案内のとおり、予算的な措置を始めたばかりでございますし、予算的な制約があるものでございますから、とりあえずその発足といたしまして二十万のところにどうであろうかとか、あるいはそれをさらに倍にして十万ぐらいのところに置いてみたらどうだろうかということを試みにやっておるだけの話でございまして、私は先生と同じように、これをどこまでも日常化して、どこにでもだれでも利用できるものがあるというところまでやっていかなければ政策にはなっていかない、さように考えております。
#18
○井上(一)委員 藤尾大臣と私は全く見解を同じくしており、今後の御努力をさらに期待いたします。
 さらに二点目に、労働行政の課題として、特に心身障害者など特別な配慮を必要とする人々のための対策、さらにはその中で身体障害者雇用率達成指導の強化等、いわゆる国際障害者年にちなんで非常に力強い取り組みを大臣は表明されたわけであります。それで、このことについても私は昨年の当委員会で強く指摘をしました。その後、法的に決められたその法定雇用率も達成していないいわゆる政府機関、これはまことに残念なわけですが、こういうことに対してどう取り組んでいったのか。私はもう経過なんということは聞きたくありません。こうしました、ああしました、大変努力はなさったと思うのです。しかし現実に達成していないというのは事実でありますから、これをどうするのか、ことしどういうふうに取り組んでいくのか。たとえば具体的には国土庁なんかは法定雇用率も達成していない。民間に指導なんてできませんよ。政府みずからがそういうことをやっている。まだ達成していない。大臣だけがひとり決意を強めておっしゃられているようではこれは困るわけでありますから、さっきの総理大臣を本部長とする対策、さらには今度は身体障害者に対するこの雇用率の問題、ひとつそういう点についてどうするか。
 さらに、現在も雇用の年齢分布が非常に偏っているのじゃないだろうか。具体的には高齢的な層に偏っている。それは五年先あるいは十年先には必ずこの雇用率は低くなるわけです。どういう埋め合わせをしていくのかというか、どういうことをいまやっているのか。いわゆる若年雇用者に非常にそれが少ないということ、この点について私はさらに聞いておきたいと思うのです。
 それから、政府自身がみずからそういうことでありますから余り強い指導もできないと私は思うのですけれども、特殊法人、いま非常に問題を抱えている特殊法人がどのように身体障害者の雇用に関して熱意を示しているのか、この点についても、私は、労働省所管の特殊法人、これはもう全部達成していただいていると思います。しかし、他の関係の省庁についてはどうなのか、こういう点についてもひとつ聞いておきます。
#19
○関(英)政府委員 まず、国の雇用率達成の問題でございますが、先生から御指摘ございましたように、国の場合は全体としては達成しておるわけでございますが、中で国土庁におきまして未達成でございます。これにつきましては、特に大臣から国土庁長官に対してその達成方を強く要請されるとともに、私ども事務当局も連絡を密にしてやっておりますが、御承知のように、国土庁が発足間もないということと、各省からの出向者が非常に多くを占めておりまして、みずから新規採用する余地が少ないということから、なかなかその達成困難な面がございますが、ことしの国際障害者年を控えて、あらゆる努力を払ってこれを達成していただくように特に強く要請を申し上げて、御相談をいたしておるところでございます。
 それから次に、国の場合に年齢の高い身体障害者が多いのではなかろうかという御指摘でございます。確かに国の身体障害者の年齢別の分布を見ますと、高齢者へいくほど構成比が高い、こういうことになっておりまして、これは戦争の影響を受けられた方を雇用しておる、そういう方が非常に戦後相当の年数をたちまして高齢に達しておる、あるいはまた、民間よりも中途障害になった人を引き続き雇用し続けておるとかいろいろな理由がございまして、国の場合は非常に高齢者の身体障害者の構成比が高くなっておることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、現状で雇用率を達成しておるからといってそのまま満足しておりますと、遠からず雇用率が下がってくることは目に見えております。そういった点は、各省の担当者を私どもに集めまして、昨年も何回かにわたりまして会議を持ちましたけれども、その席上特に来年の国際障害者年を控えて、各省は雇用率を達成しているだけでは十分でないので、民間の範となるように雇用率を高めてもらいたい、それから特に重度の障害者を雇ってもらいたい、また、このまま放置しておいたら雇用率はだんだん下がっていくのだから、積極的な採用に努力してもらいたい、そのために特別の弧といいますか組織ですか、プロジェクトといいますか、そういうものも設けて、どういうところに新しく雇えるかというようなことを研究してもらいたいというようなことを呼びかけておるところでございます。
 それから、特殊法人につきましては先生御承知のとおりでございまして、国の場合と比較して達成率が非常に悪うございます。昨年二回にわたりまして人事担当役員あるいはその監督官庁、そういったものを集めまして、私からきつく要請いたしたところでございます。未達成のところすべてに対して達成のための計画の作成を命じております。特に悪いところには勧告もいたしております。そういうことで、特殊法人も国と同じような、民間に率先垂範して達成するような努力を要請しているところでございます。
 答弁漏れがあるいはあったかもしれません。御指摘いただければありがたいと思います。
#20
○井上(一)委員 開局長が非常に御苦労なさっていらっしゃるということは私も理解をします。しかし、なかなか思うようにいかない。国土庁は各省庁からの連全部隊だ一各省庁がやはりその取り組みがそういう姿勢がないから、集まったところでは全くそれが達成されてない、こういうことになる。民間に対して行政指導をし、ときには事業主を公表することができるのだ、公表するのだ。これはまだ公表したことがないのです。できないわけなんです。なぜかというと、みずからが正してないから。これは私は、そういう民間にも強く呼びかけなければいけないけれども、やはり政府自身がきっちりとしてほしいということです。
 さらに特殊法人については、私の調べでは非常に悪いわけなんです。労働省は当然雇用率の達成はなされているわけですけれども、通産省あたりは三分の一以下でしょう。特に運輸省、建設省は、全くすべてが達成をしておい。大臣、こういう事実が明らかになっているわけなんです。これは一体どうなるのか。このことば何を意味するか。私はあきれ返ってしまうというか、本当に大臣が一生懸命所信を申し述べ、そしてそれに各それぞれの政府委員が一生懸命努力をなさっているのに、片側でこういう状態だ。これは一体どうするのか。これはひとつ大臣から、こういう状態をほっておくのか。どういう形で――こうであります、ああであります、あるいはこう努力しましたという、もうそれはかえって言いわけになりますから、むしろ私の質問に対しては、どうするかという答弁を私は求めたいわけであります。
#21
○藤尾国務大臣 まことに御指摘のとおりのお恥ずかしいようなざまでございまして、申し上げようがないわけでございますけれども、私もそれを所管をいたしておる責任者でございますから、私の責任におきまして各特殊法人に対しましても厳重な指導を行います。この次この決算委員会で御審議をいただきますときには、なるほどこれだけよくなっておるかと言われるように必ずやってお目にかけますから、暫時の間私にお預けをいただきたい。
#22
○井上(一)委員 ひとつこれは強く、雇用率の達成というただ数字的なことだけでなく、やはり意識としても、完全参加と平等のテーマのもとに取り組む障害者年である、そういう強い意識の理解のもとに、これはきっちりやってもらわなければいけないと思うのです。
 それで、いま暫時努力を見てほしいということですから、大臣も予定では十一月まで、こういうことなんです。私は、労働大臣の非常に歯切れのいいのには、いままでからそれなりに評価をしたいと思うのです。同和問題に対しても、あなたは、地名総鑑を買われた企業に対しては大臣自身の書面を事業主に送られて一そしてそれからの取り組みはどうなんだということを早速やられたわけです。私はこれは勇気ある行動だと思う。そして、これこそやはり真剣に――このごろ政治生命をかけて云々と言うのがそれこそはやっているわけですよ。私はそういう意味で、ええかっこしてとかいろいろな批判があるかもしらぬけれども、やはりそういうことは、きっちりと考えを十分に伝えていくという一つの方法としては非常によかった。
 どうですか。暫時、期待はし、待ちますけれども、具体的にそれぞれに大臣からきょうお約束をなさった趣旨、そしてそういう精神を申し伝えて、改善をするように、これは大臣、特殊法人の責任者をみんな一度労働省に呼ばれたらどうですか。呼ばれて、一応、取り組み、目標、そういうものの計画も出させて、これは十一月までにきっちりとしておいてもらわないと、予想される私の暫時というものはそれまででっしゃろな、こういうふうに理解するわけです。呼んで、ひとつ強くそういう指導をなさる決意、さらには、めどとしては大臣就任中、そういう考えを持ってよろしいでしょうか、こういうことです。
#23
○藤尾国務大臣 国際障害者年を迎えましてそういったものに対する対策を総理大臣みずからがおやりになっておられるわけでございますから、こういったことは総理大臣の責任においてやっていただくというのが筋であろう、かように考えます。私はその一閣僚といたしまして、総理大臣の命を受けてそれを達成すべく努力をいたしてまいる、こういう立場におるわけでございますから、先生の御指導のように、私が行動すればそれだけの効果を上げ得る、私はそのように思っておりますから、必ずやります。
#24
○井上(一)委員 必ずやるということですから、大いに期待をします。総理大臣の命を受けるという意味では、閣議でも発議をされて、これはもう当然そういう取り組みをしてほしい。
 さらにもう一点、これは全国的な問題でもあるわけですけれども、物価高さらには賃金の抑圧というのでしょうか、そういう中で非常に苦しんでいる人たる、いわゆる内職、家庭内の主婦が一日に数時間働くという内職的な仕事に対する工賃が非常に低いわけであります。これはそれぞれの地域の最低賃金との均衡を見ながら労基局が決めるわけですけれども、この工賃の引き上げについて現状に見合った引き上げを指導すべきではないか、決定すべきではないか。委託する側が応じないという一つの壁もありますけれども、それはやはり行政の指導の中で理解を得て、内職労働者の工賃の引き上げを強く働きかけていく労働省の姿勢を私は伺いたいわけであります。
#25
○吉本(実)政府委員 御質問の最低工賃の設定につきましては、御承知のように、地方におきます各労働基準局に置かれております最低賃金審議会あるいは最低工賃の部会、そういった審議会におきまして決定をする仕組みになっております。
 また、その審議会におきましても、そのときどきの賃金の情勢、そういったことを考えながらやっておりますので、最低工賃の引き上げ等の関連においても家内工賃の引き上げもやるというような方向もとっておりますし、それぞれの地域におきます賃金の実態に沿ってそういった措置をとるような形をとっておりますので、そういった方向で検討してもらえると思います。
#26
○井上(一)委員 じゃ具体的に、一時間当たりの賃金は平均どれぐらいが好ましいと労働省は考えていらっしゃるのですか。
#27
○吉本(実)政府委員 賃金につきましては、それぞれの審議会で三者構成の中で決定を見ているわけでございまして、私どもがその工賃につきましてどういうところが妥当であるかどうかというところまでは判断しかねるということでございます。
#28
○井上(一)委員 賃金の決定は三者構成で取り決めがなされていくということについては私も理解しているわけなんです。それは余りにも安過ぎるという私の認識だし、事実はそうなんです。やはり労働に、さらには生活に見合っていくような賃金が必要になる。そういう行政指導をしていかなければいけない。どのような額で決められるということは後の問題である。だから私の申し上げているのは、いま一番焦点になる一時間当たりの賃金は大体どれくらいが望ましいというか、労働省がいま把握していらっしゃるので普通一時間当たりどれくらい支払われていると認識されていますか。
#29
○吉本(実)政府委員 正確な資料を十分用意しておりませんですが、専業的な内職労働者では、男子で一時間当たりの平均工賃が六百七円、それから内職的家内労働者が大半を占めております女子で二百八十九円、こういうことになっております。
#30
○井上(一)委員 家内労働者、主婦が一時間当たり二百円や二百五十円で働いている。これはいろいろな条件があって外へ働きに行けないわけですから、そういうことを考えれば、最低賃金制度の基準等も勘案する中で、やはり私は二百五十円やそこらで働かなければいけない、そういう実態というのは好ましくないし、これは改善していくべきだ、こういうふうに思うのです。これは何も藤尾労働大臣が決めるわけでもないしどうこうじやありませんけれども、大臣の私見でも結構でございますから、そんなことは無理だよ、二百五十円なんかではやっていけないのだよ、これが偽らざる生の声だと私は思うのです。そういうことが実際問題としてないように労働省も努力をしてほしいという、これは私の方の願いなんでございますが、この点については大臣の所見を承っておきます。
#31
○藤尾国務大臣 ただいま政府委員から申し上げましたように、何円だからどうだということを私が申し上げるわけにもまいらぬわけでございますけれども、いま御指摘のような御内職の方とかあるいはパートでやっておられる方とかいうような方々が、いわゆる組合が組織されておりましてその組合によって守られておる方々の労働条件と比べてみましたときに、非常に劣悪だ、これは何といいましても否定しがたい事実でございますから、私どもといたしましては、組合があるからよくて組合がないからだめだというような状態をつくり出したのでは申しわけがないという気持ちでいっぱいでございます。ただ、非常に残念なことには、そういった方々の労働条件を改善をしてまいりますためにも、余りにもその間の中間的な経路が複雑になっておりまして、これをもっと単一化して、そして中間的なさや取りと申しますか、そういったものをできるだけ圧縮していけば、私は、現行の一つの体系の中でも、もっともっとその内職条件をよくしていくようなことは十二分に可能であろう、かように考えますので、これは今後力を入れてその努力をさせていかなければならぬ、かように考えております。
#32
○井上(一)委員 組織化されてないところで、あるいはそういう枠の中で働いていらっしゃる方に対しても十分な配慮が必要であるし、そうすべきだということを私は指摘をし、要望をしておきます。
 続いて今度は、敦賀原発の事故に関しての問題について、労働者の立場という観点から質問をいたします。
 原発等に労基局が監督に行くわけですけれども、これは敦賀原発も含めて、通常一年に何回ぐらいを原則としているのか。そして、それは下請、さらには二次下請、ひどいところは三次下請があるわけですけれども、どの次元まで、いわゆる一次下請までなのか、二次下請までなのか、あるいは三次下請までなのか、やはり最終まで調査、監督をしていくのか、こういう点についてまず聞いておきたいと思います。
#33
○望月説明員 原子力発電所に働く労働者に対しましては、監督の面で特に安全衛生が一番重要であることは御承知のとおりでございますが、私どもは、被曝線量の測定あるいは被曝線量限度の遵守、それから健康診断の実施等を重点事項といたしまして、下請労働者が多く集まる定期検査などの際に監督、指導を実施をしてきたところでございます。それから、その際に、原子力発電所の社員はもとより、常駐下請、及び定期検査時に下請の労働者が相当ふくれ上がりますので、そういった労働者の被曝管理等をあわせて監督、指導を実施しておるということでございます。
 それから、これは昨年の監督実施状況でございますが、昭和五十五年の実施状況は、原子力発電所十三件、それから常駐下請五十五件、定期検査時の下請二百四十五件について監督を実施してございます。
#34
○井上(一)委員 私が言ったように何次下請まで、これは最終までなんですか。すべて最終までですね。そういう下請労働者がどのような作業を行っているかということは把握されていると思いますけれども、電力会社等は、下請に作業を行わしているということをきっちりと報告をしているのでしょうか。あるいは下請は使ってないというふうに報告をされているのか。この点についても聞いておきましょう。
#35
○望月説明員 私どもの方には電力会社から直接下請をいまはこれとこれを使っているという報告はございませんが、下請の各企業から報告をとっておるということでございます。したがいまして、監督時におきましてはそれらをにらみながら、いまどういう下請が入っているかということを把握しながら監督を実施しているということでございます。
#36
○井上(一)委員 では、逆に電力会社は下請を入れていないという報告をしているわけですか。下請業者が労働省に報告をする、電力会社は報告をしないわけですか。なぜしないのですか。させないのですか。
#37
○望月説明員 そういうことで両方、電力会社そのものから報告を随時とればもちろん電力会社は報告してまいりますが、私どもの方は定期報告という形で事業場から毎年一回ずつ報告をとっている、形は各企業の事業主からとるという形になっておるわけでございます。
#38
○井上(一)委員 これは後で大臣からも聞きたいと思うのですけれども、やはり電力会社から報告を出し、そして従事した下請企業も報告をする、そのことがそこに従事する労働者に対する健康の保護、そういうことにかかわってくるわけです。これは先に聞いておきましょう。大臣、電力会社は出してないのですよ。私は、これは出さすべきだと、こういうふうに思うのです。そのことがあらゆる意味で事故防止策だと。この点について大臣どうですか。
#39
○藤尾国務大臣 何でもないことでございますから、早速御指摘のとおり出させるようにいたします。
#40
○井上(一)委員 私は当然そうあるべきだと思うし、何でもないことをやらないから大変なことが発生するわけなんですよ。
 さらに続いて、今回の敦賀原発の事故の後に各原子力発電所に対して労働省は調査をされたのかどうか。定期検査を含めて、今回の敦賀のは突発事故だと位置づけれられるか、あるいは人災だというふうに受けとめられるか、これは別として、ほかの原発に対してどういうような対応をなされたのか。私の承知している範囲内では、行かれてないと、こういうふうに承知しているのですけれども、そういう点もあわせて聞いておきます。
#41
○望月説明員 敦賀の原発の事故につきまして、私どもも相当動員をいたしまして、いま原因の究明と事故の事実関係につきまして究明中でございます。したがいまして、これを待ちまして、結果の上に立ちまして適当な指示をしたいと思っておりますが、とりあえずは、先般各ブロックの会議がございましたので、その際に、原発地域の局の責任者に対しまして、敦賀の事故を例に挙げまして指示をしてございます。そういうわけで、大々的な文書の指示ということは現在はやっておりません。
#42
○井上(一)委員 さらに、労働省がそういう原子力発電所に行くときは事前に通知をする、いつ幾日行くから、あるいはこうだというような取り組みをいままでなさってきたわけなんです。そうしたら、やはりそれに対して相手側はいろいろな面で準備をするわけなんですね。そういうことだから、抜き打ち的に、事前通告をしないで、そういうこともときには必要であると思うのです。ただその答弁で、恐らく事前通告をせずにそういう立入調査をやると危険性があるのじゃないだろうかとか、いろいろなことを弁解されるかもわからぬけれども、抜き打ち的な検査というものは必要になる、そういうことが実態の十分な把握につながっていく、事前に通告をした中での実態調査というものは、つくられた実態調査になるということを私は指摘をしたいわけです。この点についてはいかがですか。
#43
○吉本(実)政府委員 先生御指摘のように、管理区域内での実際の作業の状況を中心にした監督指導の場合は、出かける監督官自身の被曝管理も必要でございますので、そういった点、管轄区域内での実際の作業の状況をやる場合には、実際に行き得る監督官自身の問題もございますので、そういった点については、いろいろ監督予定の個所に応じまして、防護服をつけたり、あるいは被曝用の測定器具を持っていったり、あるいは健康診断の結果も提示したりするようなことで、事前の通告をするわけでございますけれども、それ以外のところにつきましては、私どもはいままでは抜き打ちでやっているわけでございます。しかし、先生がおっしゃる、いま中心になるところはまさに管轄区域でございますので、そういった点ではおっしゃるとおりでございます。
#44
○井上(一)委員 いや、指摘をしたからそのとおりですそのとおりですではなく、これからはどう対応していくのかということをやはり聞いていかなければいけないわけです。さっきも少し尋ねましたけれども、電力会社に下請を云々のこともこれから提出させるということですが、いままでは下請を使っていないという否定的な報告なのか、あるいはそういうことには触れられなかったのかということもひとつ事務当局に聞いておきます。電力会社の報告書は、下請を使っていないと否定した報告になっているのか、触れていなかったのか。これは触れていなければ、私は今回、大臣の体日弁でそれでいいと思う。
 さらに、いまの答弁に対して補足を欲しいのは、肝心なところは抜き打ちでやっていないわけなんですが、こういうことについても今後検討をなさるのかどうか、こういうことについて聞いておきます。
#45
○望月説明員 私どもが従来とっております電力会社からの報告書の中では、下請の点については触れていないということでございます。
 それから、いまの監督の点でございますが、私どもとしては、やはり私どもの職員も汚染をしてはたまりませんので、監督官の身体の問題もございますので、その辺は目的が生かせるような形で検討をしてみたいと思います。
#46
○井上(一)委員 私はここで、敦賀の今回の事故を契機に、さらにたくさんの問題を抱えた現場があるという推測をするわけです。同じ機種、同じ管理からいくと、他の施設でも同様の事故があるということが容易に想像されるわけですが、むしろそういうことが表に出ないことが問題だ。たまたま今回の場合は、いろいろな寄り合い世帯であった、そういうことも一つのことにつながるわけですけれども、いろいろな意味で他の施設にも同じような問題があるのじゃないですか、こういうことも指摘をします。
 さらに、敦賀原発事故の労働省としてとらえた調査報告、こういうこともやはり私は明確にしていただかなければいけないと思います。私は、これは後で資料でいただいたら結構だと思います。
 ただ、いろいろな意味で各省庁が資料等をお持ちになるわけです。あるいは調査報告がまとまるわけですけれども、私は統一したものあるいは食い違ったもの、そういうものがそこに生まれてくると思う。全部すべてが統一されているのかどうか、あるいは調査に部分的にしろ違うところがあるのかどうか。まず私は、労働省の調査結果が通産なら通産が調べた調査報告等と食い違っている点があれば、ひとつここで聞かせておいてほしいと思います。
#47
○望月説明員 三月八日の事故でございますが、これにつきまして私どもの調査によりますと、三月八日、その日に八名の発電所職員が応急処置や簡易除染に従事しております。そして三月九日以降十五日間にわたりまして四十八名、これは下請でございますが、一次下請の作業員並びに二次下請の作業員四十八名がこの除染作業に従事しておりますが、私どもはその一人一人がどういう被曝線量であったかということを非常に重要な観点として調査を進めておるわけでございますが、現在のところ、通産省と私どもの調査結果につきましては食い違った点はございません。
#48
○井上(一)委員 通産省も十分な調査の結果、告発にまで踏み切る、そういう用意を示されているわけですけれども、今回のこの問題で、労働省としても告発をも含めて強い対応をとるというお考えを持っていらっしゃるのかどうか、これは大臣からひとつお聞きをしたいと思います。
#49
○藤尾国務大臣 これは衝かれる方の安全に関する問題でございます。同時に、これから私どもの経済を支えていくエネルギー源をどのようにしていくかということにもかかわっておりますので、私どもといたしましては、慎重の上にも慎重を期して的確な調査と判断、これを必要とすると思いますが、それがきちっとできましたならば、私どもはこれにきぬを着せたり、あるいは粉飾をしたりというようなことがあってはならぬわけでございますから、的確にこれに対する措置をどのようにしてとるかということを検討をいたしました上で、きちっとした、国民の皆様方に御了解のいただける措置を必ずとらせます。
#50
○井上(一)委員 それは強い姿勢という受けとめ方をしてよろしいですね。
 さらに、私は、さっきお答えがあったその被曝者の人たちの中に日雇いの労働者が何人いらっしゃったのか、そしてその人たちの被曝の程度は十分把握していらっしゃるのか、この点も聞いておきたいと思います。
#51
○望月説明員 ただいま御説明いたしました三月八日の事故の、日雇いがいるかどうかということでございますが、私どもの調査では、第一次の下請の原子力代行という会社の作業員数が十六名でございまして、第二次下請の株式会社藤沢事業と有限会社井上工業というところの作業員が二十五名ということでございまして、この中の、その日だけ雇ったという日雇いの数については、ちょっと手元に資料がございませんので御了承を得たいと思います。
#52
○井上(一)委員 それは後刻報告をいただくこととします。
 通常の定期検査等で、原発は千五百人程度あるいはそれ以上の人たちが作業に従事をするわけですけれども、その大部分が下請の労働者、中には原発周辺に住む地元の農民なり漁民が駆り集められている、こういうことが私の調査ではっきりしたわけなんですけれども、労働省はそういう実態を承知しているのかどうか。
 さらに、こういう定期検査の折に労働基準監督官が入ってないわけですね。私はそう承知するのですけれども、入っているのか入ってないのか、なぜ入らないのか。この二点について聞いておきましょう。
#53
○望月説明員 定期検査時には相当の下請の労働者が中に入りますので、そのときは恐らく日雇いの労務者も相当中に入ってくるのではなかろうかという観点から、私どもはそういうときが一番危ないという認識で、定期検査時をつらまえて、そのときに監督指導をやるという態勢で従来から来ておるわけでございます。そういう意味で、現地の監督署といたしましては、日雇いも相当あるという認識でやっておるつもりでございます。
 それから、定期検査に監督官はなぜ立ち会わないのかという御指摘でございますが、それはまた電気事業法の方の問題で、通産省の所管でございますので、私どもはむしろそういう検査時に労働者の安全について立入検査をやるという形で、権限の分配と申しますか、やっておる次第でございます。
#54
○井上(一)委員 いわゆる日雇い労働者を就労させる場合には、その目的を明確にしなければいけないわけなんですよ。そういうことがなされているのかどうか。
 さらには、日雇い労働者が被曝を受けた場合、今回の事件も含めて、原子力損害賠償法の補償の対象になり得るものではないか。日雇い労働者も一生涯補償を受ける権利があるのだという考えなんです。そういうふうになっているのか、なっていないとすれば、なぜなっていないのか、この点についても聞いておきます。
#55
○望月説明員 労働省といたしましては、日雇い労務者も労働者であることには変わりがございませんので、事故が万一起これば当然労災保険の対象になるということでございます。
 原子力損害賠償の方は、ちょっと私の所管ではございませんので……。
#56
○中村説明員 お答えいたします。
 原子力損害賠償法の対象となります原子力損害は、原子力特有のいわゆる核分裂の過程におきます作用あるいは核燃料物質による放射線等の作用によって生じました損害を原子力損害と称しているわけでございますが、この原子力損害につきましては、その補償の責めに任すべき原子力事業者、簡単に申しますと、今回の場合でございますと原子力発電会社でございますが、それの受けた損害以外につきましてはすべて対象になることになっております。
 したがいまして、いま先生のおっしゃいました日雇いの方々の受けました原子力損害につきましても原子力損害賠償法の対象となります。
#57
○井上(一)委員 さらに、被曝線量の規制に新基準を設けようという一つの提案があるわけです。このことについての労働省の見解はどうなんでしょうか。
#58
○望月説明員 いまの先生の御質問は、恐縮ですが、けさの新聞にちょっと出ている電労連の御提案でございますか。――私どもはいま最高限度を三カ月三レム、それから一年間五レムという基準を法制度として採用をいたしましてやっておるわけでございますが、この数値は国際放射線学会で決まった数字でございまして、もちろんこれを国内的に採用するに当たりまして、日本の放射線審議会というのが科学技術庁にございますが、ここで審議をされて了承された数値でございます。したがいまして、これが現行はとにかく確保できるような形で指導をしておるわけでございますが、もちろん低ければさらにいいわけでございますが、それらの動きは一つの動きといたしまして、私どもも重要な関心を持っていきたい、こう思っております。
#59
○井上(一)委員 時間がありませんので最後に。
 私は冒頭にも申し上げたように、敦賀だけの問題ではない、すべての原発現場で起こり得る可能性を持った問題である、すべてに敦賀と同じような強い調査を速やかにやるべきである、私はこういうふうに考えるわけです。敦賀一点に目を集中させて他をほっておく、関心が薄らぐというようなことがあってはいけない。この際に、敦賀を一つの現実的な事例として、他の原発現場にも実態を調査するための労働省の強い取り組みを私は要望するわけです。最後に大臣からそういう取り組みの決意をお聞きして、私の質問を終えます。
#60
○藤尾国務大臣 今回の敦賀原電事故といいまするものについて、いま安全部長から申し上げましたように、現実にいま監督官を派遣いたしまして、私どもは私どもなりの立場から十二分の調査をやらせておるわけでございます。こういった一つの経験といいまするものが、先生の御指摘のようにきょうの敦賀の経験が、そんなことはやたらに生きては困りますけれども、他に及んではならぬわけでございますから、これで最後にしてもらわなければいかぬわけでございますから、そういった意味におきまして、そういった調査で修得をいたしました知識あるいは分析、そういったものを全部合わせまして日本全国の原子力発電所といいまするものに適用いたしまして、二度と再びそのような事故が起こりませんような措置を十二分にとりたい、これが私どもの願いでございます。
#61
○井上(一)委員 終わります。
#62
○國場委員長 新村勝雄君。
#63
○新村委員 私は、最初に大臣にお伺いをしたいわけですが、春闘はほぼ山を越えたわけでありまして、ことしの賃上げの状況はほぼ先が見えたわけでありますけれども、ことしの春闘の経過、そしてまたその中で決まりましたあるいは決まりつつある賃金の水準、それからまた、それが日本経済に及ぼす影響というようなことも含めて、ひとつ御感想を伺いたいわけです。
#64
○藤尾国務大臣 春闘の中におきます今回の労働条件の決定といいまするものにつきまして、私がそれを高いとか安いとかいうようなことを言える立場ではないわけでございまして、これについてとかくのことを言うことは慎まなければならぬと思いますけれども、しかしながら、ともかく今回の八一年春闘といいまするものが、いまのところ大きなストライキもなく山場を越えてきたということに対しまして、いままでそういった春闘に当たられました組合の方々あるいは経営者の方々のそれぞれのお立場におきます御努力、そういったものが日本経済の現況並びに将来に対しまして非常に大きな貢献をしていただいたのではないか、さように私は高く評価をいたしておりますし、感謝もさせていただいておる、かようなことでございまして、特段と今回、言葉はいろいろな言葉がございまするけれども、経営者のお立場から言えば生産性に見合ったといいますか、あるいは組合のお立場から申し上げればいまの経済の整合性と申しますか、そういったことがある程度目標のように理解をされ、かつ、そしゃくをされて今回の春闘に生かされてきたのではないかという感じでおるわけでございます。
#65
○新村委員 大臣のお立場はおっしゃるとおりだと思いますけれども、やはり春闘の成果というか、そこで決まった賃金水準は日本の経済活動、経済成長の中でもきわめて大きな役割りを果たすわけであります。そういった意味で、これは鈴木内閣の閣僚の一人として、日本の安定的な経済成長にとってこれが妥当なものであるのか、あるいはまた低過ぎるのか、あるいは高過ぎる――高過ぎるということはないと思いますけれども、そういった面での評価ないしは御指導ということも必要ではないかと思うわけであります。そして、五十五年度においては初めて労働者の家計が実質ダウンになった。マイナス一・一%ということが確定をいたしたわけでありまして、国民経済の健全な発展からいってもこれはきわめて大きな意味を持つものではないかと思います。そういった点からして今回の春闘はどういう位置づけをされるのかということが問題なわけであります。そして、ことしの春闘に対する、これはまだ終わっておりませんけれども、評価の中に、このように逐年低目の賃上げで推移をするならば日本経済はやがてその面から活力を失ってくるのではないか、そういう見方もあるわけであります。毎年毎年低目の賃上げということであれば当然に、国民大衆ほとんど全部が労働階級でありますので、消費水準も低く抑えられる。それが場合によっては日本経済が縮小再生産に陥っていく危険なしとしない、こういうような見方もあるわけでありますが、そういう点からは大臣はどうお考えでありますか。
#66
○藤尾国務大臣 賃金と物価の関係におきまして五十五年度中につけました私どもの予測、これはみごとに外れまして、御指摘のとおりの実質賃金一・一%の落ち込みを記録した。まことに恥ずかしい、至らぬことであった、かように考えておるわけでありますが、そういった私どもの反省の上に立ちましても、いま私どもの政府が立てております五十六年度の物価の設定でありますとかあるいは経済成長率の見込みでありますとかいうものが考慮に入れられておるわけであります。したがいまして、これは今後の推移によるわけでございますけれども、今回の春闘の結果といいまするものが非常にありがたい御努力の結果であったと私どもが言っておるということは、その裏には、その御努力を生かしていかなければならぬという私どもの責任を含んでおるわけでございまして、そういった責任の立場から考えましたならば、私どもは、五十六年度中におきまする実質賃金を政府がいまお約束をいたしおりまする五・五%以下にこれを抑え込んでいくという努力を懸命にやらなければならぬ。そうしてそういったことによって、大体昨年の消費者物価水準並みになっておりまする今度の春闘結果の賃金といいまするものの実質的な価値の維持と申しますよりは、実質賃金のむしろ引き上げ、そういったことに結果をさせるような物価政策といいまするものを徹底をしなければならぬというのが私どもの責任でございます。これは私はあらゆる指標といいまするものを考えてみましても、現実の趨勢といいまするものを考えてみましても、いまここでお答えをさしていただいても、私は必ずそれが非常に大きな間違いにならぬように、必ず五・五%以下にこの一年を通じます消費者物価を安定さしていくということはできる。これは何といいましてもいまの非常に大きな原因でございます石油の国際価格の推移あるいは石油の供給量というようなものの推移を考えてみましても、あるいは公共料金の設定というようなことを考えてみましても、昨年の電力とかガスとかいうような決定的な大きなものはことしはないわけでございますし、また昨年度非常に御迷惑をかけました私どもの生活の必需物資でございます食糧というようなものにつきましても、野菜を中心にいたしまして昨年の例を十二分に生かして、その作付を五%ぐらいよけいに増した作付をお願いをするというような予防、予測措置を十二分にとっておりますから、そういった面におきましても、なるほどこれはこれからの天候そういったものに影響されることは十二分にあると思いまするけれども、それにいたしましても、その天候要因によってこれだけはね上がったのだというようなことを私どもが転嫁して言わなければならぬということがないように措置をしておるはずでございますから、これもまた私どもは十二分に評価し得る、かように考えておるわけでございまして、この春闘の結果といいまするもので経済の非常に大きな需要の落ち込み、こういったことを結果をして経済を混乱をさせ、成長力を弱めていくというようなことには恐らくならぬであろう、またしてはならぬ、かように考えておるわけでございます。
#67
○新村委員 ことしの春闘はお互いに節度のある春闘であるというふうに大臣もおっしゃっておるわけでありますが、確かにそうだと思いますけれども、やはりその節度というものが、労働者階級の当然の要求までもそういう節度という言葉の中に抑え込んでいくということであってはいけないと思うわけです。われわれ考えるに、賃上げを評価するめどとしては、一つは物価ということがあると思います。一つは生産性、もう一つは成長、特に名目成長、賃金は名目でありますから、これは名目成長ということが一つのめどになると思うのです。労働者とすれば、これは望むべくんば名目成長まで欲しいというのがこれは偽らざる気持ちだと思うのです。それだけ経済が名目的に成長するわけですから、そこまでの要求はしてもこれは不当ではないと思う。ただ、ここずっと名目成長まではとてもいっておりませんし、そういう意味からすれば大変控え目な形での賃上げがずっと行われてきたわけです。そのことが日本経済の安定的な成長にとって、ある意味ではその節度が貢献したと思いますけれども、反面を言えば、そのために労働者階級の実質的な賃金が切り下げを受けておる、こういう面があるわけでありまして、それを見落としてはいけないと思うわけです。春闘あるいは労働組合が大変良識を持って、ほとんどストもやらずに妥結をしたということは大変良識ある態度だと思いますけれども、こういう労働階級の良識に対して、やはり政府は絶対的な要請として物価を五・五なら五・五以下に抑えるという、こういう責任があると思うのです。もし仮に、このような大変日本経済全体を考慮した良識ある春闘の妥結を見たにもかかわらず、政府の失政とはこれは一概に申し上げませんけれども、物価が仮にも五・五を超えてしまった、そしてまた五十五年度と同じように五十六年度も労働者の家計がマイナスになったということでは、これはもう政府としては大変な政治責任を負わざるを得ないし、これはどんなに追及をされても一言の申し開きもないと思うのです。そういった意味でひとつ労働大臣、直接の経済閣僚ではないと思いますけれども、労働者の生活を守るという立場の大臣でいらっしゃるわけですから、五・五を絶対に維持をする、そして少なくとも何%であっても労働者の家計がプラスになるように全力を挙げての御努力を願いたいと思うわけであります。
 次の問題でありますが、日本においては労働組合の組織率が非常に低い。先進諸国に比較をしても低いという実態があるわけであります。この実態を大臣はどうお考えですか。まず感想を伺いたいと思います。
#68
○藤尾国務大臣 今日、私どもの国におきまして、各事業所内におきまする労働組合の組織率といいまするものは約三分の一でございますから、三分の二が未組織、これは私は日本の労働組合運動とされましても、まだまだこれから大いにがんばっていただかなければならぬ、そういうことを示しておると思います。外国と比べましてその組織率がおくれておる要因は一体どこにあるか、こういうことでございまするけれども、これは私どもの労働組合といいまするものが日本の場合は企業別になっておりまして産業別になっていないというようなことも、私は多少ともそういった組織率がおくれておる一つの要因ではないか、かように考えるわけでございますし、そういった企業別組合になっておりますがために、中小企業、特段と零細企業に及びます組合の結成といいまするものが非常に貧しい、これは私どもといたしましても、今後注目をし、また頭に置いておかなければならぬ大きな一つのファクターであろう、かように考えております。今後ともそのようなことも頭に置きつつ、私どもが別に労働組合を組織するわけじゃございませんから、このことはそれぞれのナショナルセンターというような非常に強力な組織力を持った、かつ卓越した組織があることでございますから、そういったところにもよく話し合いを申し上げまして、組合運動をいまの質からさらに広げていただくような御努力もひとつ話し合いの中でお願いしてみたいなという期待を私どもは持っておるわけでございます。
#69
○新村委員 これは労働省の数字でありますけれども、日本の労働組合の組織率は三二・六、西ドイツが四二・一、イギリスが五八・五でありますから、かなり低いわけですね。確かに大臣がおっしゃるように、大臣は組織についての責任はないと思いますけれども、労働者の生活を守る、福祉を守っていくという責任は大臣におありなわけであります。そして、この未組織労働者が広範に存在をする、こういう状況の中から具体的にかなり問題が出ておるわけであります。それは未組織労働者、特にその中でパートの労働者の問題があるわけであります。日本におきましては、労働基準法を中心として労働者を保護する諸立法はおおむね整備をされておるわけでありまして、その点についてはほぼ先進国並みと言ってもいいかと思いますけれども、残念ながら労働組合の組織率が低いということが主たる原因だと思いますが、せっかく労働諸法が整備をされておっても、その保護を受けられない人たちがかなり広範に存在しているということも事実であります。未組織労働者、特にパートの労働者、こういう方々は全くこの法の保護を受けられないままに放置をされておるというのが実態でございますが、これらの未組織労働者の実態、特に労働諸法の保護を受けられないで放置をされておる労働者の実態、これを労働省としてはどんなふうに把握していらっしゃいますか。
#70
○吉本(実)政府委員 お答えします。
 先生御指摘のように、未組織のところに多いパートタイマーの労働者の労働条件の確保ということにつきましては、おっしゃる点が非常に多い、こういうように思います。パートタイマーといえども法制上は労働基準法の保護の対象になっておるわけでございますけれども、その実態といたしましては、労働時間管理といったものを中心にしまして、労働条件の確保についてはいろいろ問題があるということで、労働省といたしましても、やはりこういった労働条件の適正化というような観点からいろいろな施策をとっておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、こういった未組織分野のところでございますので、私ども、そもそもの労働時間管理の基礎からそういった問題についての啓蒙指導なり、またそういった方面についてのてこ入れをする、こういう覚悟でやっておるわけでございます。
#71
○新村委員 そういう労働者の実態、数字的にどう把握していらっしゃいますか。
#72
○吉本(実)政府委員 パートタイム労働者の問題につきましては、いろいろ態様が区々でございますので、たとえば雇用動向調査、これは一日の所定労働時間がその事業場の一般労働者より短い者、あるいは一日の所定労働時間が同じでありましても一週の所定労働日数が一般労働者より少ない者、こういうような定義のもとに行っています雇用動向調査によりますと、昭和五十年が七十万人、五十四年には急増しておりまして、百四十八万人ということでございます。
 また一方、労働力調査といいまして、これは非農林の短時間雇用者数、週に三十五時間以内ですね、そういうようなことを対象にした形の調査でございますが、これは昭和五十年で三百五十三万人、昭和五十四年、ここはそう動いておりませんが三百六十六万人、こういうふうになっております。
#73
○新村委員 このように、広範な労働者が現在労働諸法の保護を受けられないでいるわけであります。なぜこういう状況が広範に存在をするのか、その理由はどうお考えになっておりますか。
#74
○吉本(実)政府委員 これらの理由につきまして確たる資料を用意しておりませんが、私どもの考えとしましては、やはり雇用の角度から、そういった需要に応じてパートタイマーの労働者が出てきているという面が一つと、それから労働者自身の方からもそういった欲求があって、しかもそれにふさわしい短時間の就労の機会がある、こういうことでそういった点についてのものも出ている、双方のところが結びついて現在のような形になっているのではないか、こういうように考えております。
#75
○新村委員 パートが存在するということじゃなくて、パートの皆さんが労働法の保護を受けられない、実際に適用されていないという実態、その実態は労働省の責任だと思うのですね。本来ならば、パートといえども基準法を初め各労働諸法の適用を受けられるはずであるし、これは受けることが当然なはずでありますけれども、実際にはそれが受けられないでいるということは、労働省、特に労働基準監督局あるいは各地区の労働基準監督署、それらの方々が十分にその機能を発揮すればそういう気の毒な労働者をなくすることができるはずであります。それができないということは、これは労働省としても大きな問題ではないかと思うのですけれども、大臣、この問題についてどうお考えでしょうか。
#76
○藤尾国務大臣 いやしくも労働の質といいまするものが同じであって労働条件がまるきり違っておるというようなことがあってはならぬわけでございまして、本当に残念なことでございまするけれども、これは非常にりっぱな大手の電機企業におかれましても、組合に入っておられる方々の労働条件と、同じ仕事をなすっておられる方々の中でパートとして働いておられる方々との間には、賃金の上におきましてもあるいは福祉というような面におきましてもその待遇が違っておることは事実でございます。私どもが労働行政をやっておりまする以上は、そういったことをなくしていく方向に進んでいかなければならぬ、かようなことだろうと思います。しかしながらいまの現実は、企業別の組合におきましてクローズドショップ制になっておりまするから、組合内におきます加入労働者の労働条件といいますものをできるだけ守りたいということのために、パートで働いておられます方々にそれを同時に適用していくということはどうも賛成しがたいというような空気も中にはあるのではないかという気もいたすわけでございまして、こういった面をできるだけなくしていただいて、企業では、もちろんでございますけれども、そういった労働条件に格差のある、もっと悪い言葉で言いますと、安いパートの方々を使っていった方が得だというような物の考え方をされたのでは困るわけでございますから、私どもといたしましては、企業、管理責任者並びに組合双方に対しまして、そういったことが漸次解消されて組合の中に包含していただけるようなお勧めをしていかなければならぬ、かように考えておりますし、また現実にスーパーでありますとか、そのたぐいの小売店等々におきましては、組合のあるところもあり、ないところもあるということで、これまた安定した組合をつくって、それとの労使慣行をつくってやっていただくことがよろしいに決まっておりまするけれども、まだまだその業界が発足したばかりで、とりあえずその安い労働力を使っていかなければ企業の安定がないというようなことから恐らくそういうことになっておるだろうと思いまするけれども、パートの方のみの雇用に偏重をしておられるというような企業者もないではないわけでございますから、そういったことは労働基準監督署等々を通じまして、できるだけ基準的な一つの労働慣行の中に入っていただくような施策を十二分に行政指導を通じてやらしていきたい、そうして漸次そういった格差をなくするような方向に持っていきたい、かように考えております。
#77
○新村委員 現在の世相としてはというか、労使ともに、使う方も使われる方も、パートについては労基法その他の法の適用はないのだというふうに考えている向きがあると思うのですね。使われる方も、パートだからそういった一切の特典はないというふうに初めからあきらめておるわけです。ところが実際はそうでないのですけれども、そうあきらめておる。また使う方でも、パートなんだからということで気安く、就業規則もなし、また給与の規程等も全くなくて、適当に一日幾らということで使っておる。これが実態だと思うのです。そういう問題を解決するのは、労働組合の問題ももちろんあるでしょうけれども、そうではなくて、労働省が労働基準監督署を中心として、言葉は適当でありませんけれども、労働者を守る制度から落ちこぼれておる人たちの救済をこれから本格的に考えていただかなければ、日本における労働者の二重構造、処遇の上での二重構造が解決をしないのじゃないかと思うわけです。一流企業の正規の職員の賃金水準あるいは処遇についてはもうほぼ先進国のレベルに達しておると思いますけれども、一方、いま申し上げておるようなパートあるいは中小企業の未組織の労働者、こういう人たちは、あらゆる点から言ってきわめて劣悪な労働条件の中に置かれておるわけであります。これをひとつ基準監督署の機能をフルに発揮をしていただきたいわけでありますが、聞くところによりますと、東京等におきましても監督官が非常に不足をしておる、監督官がその管内のすべての事業所を回って懇切に指導監督をするとすれば、一回りするのに五年も六年もかかるのだ、あるいは十年もかかるのだと、こういうことが言われておるわけであります。これではとても監督署の機能を発揮することもできませんし、何よりも劣悪な条件のもとで働いておる労働者が救われないということになるわけでありますが、こういう点について大臣どうお考えですか。いま行革という問題がありますけれども、監督官を初めとして、労働者を守る行政を推進する職員については、必要なところは増員をしてもこういう行政についてはぬかりなくやっていくべきだと思いますけれども、監督官が非常に不足をしておる、そして監督署の機能が十分発揮できない、こういう実態について大臣はどうお考えですか。
#78
○藤尾国務大臣 御指摘のとおり、監督署の人員が仕事の量に比べましてきわめてまだ少ない、そのために十二分の基準監督の仕事が行き渡っていない。まことに事実でございますし、また残念なことであろうと、かように考えます。したがいまして、この人員をできるだけ充実をさしていくということもやっていかなければならぬわけでございまして、現に今度の予算編成に当たりましても、行政改革というようなことから人員の削減ということを厳しく言われておりますけれども、その中におきましても多少の人員増といいますものをお許しをいただいたということもございますし、とてもそのようなもので先生のおっしゃられるような十二分な手当てということができるということではございませんけれども、そういった不足といいますものは、私どもの省内におきます人員の転換その他を通じて必要なところに最大限の努力を集中をしてやっていけるような知恵と、そうして努力を必要とすると、さように思います。特段と今日脚案内のとおりの財政状況の中におきまして、五十七年度予算の編成を中心にいたしまして、第二臨調というようなものを通じてどのような結果を御勧告いただくかわかりませんけれども、ともかくも何とかぜい肉を落としてできるだけ小さな政府でやれという御趣旨のようにも伺っておりますから、そういった中におきまして増員ということはなかなか言いにくい環境にもありますけれども、しかしながら必要なことは必要なことでございますからやっていかなければならぬ、かように考えておりますし、これは私どもも十二分にやりますけれども一同時に、良識のある、ひとつ政治全体の中におきましても強く御指摘をいただいて、やるべきところはやるようにというような強い御支持をちょうだいをいたしますことがありがたいことではないかと、かように考えるわけでございます。
#79
○新村委員 この恵まれない労働者の立場を守るということは労働省の責任でもあるし、これは政治の一つの重要な課題でもあると思うのです。ところが、人員が不足であるというようなことでそれが十分なされない。十分ところではなくて、これはかなり広範な人たちが気の毒な境涯にいるということでありますね。
 そこで、これは一つの試みを御紹介したいのですが、東京の葛飾の労働組合が、葛飾春闘共闘会議という組織が、未組織労働者あるいはパートの労働者の皆さん方の不満を吸い上げて、これを解決をしようということで努力をされておるわけですね。いわゆるパート一一〇番というのをつくりまして、そういう方々の不満の相談をなさっておるわけでありますが、こういう中で続々と未組織の方々、パートの方々から不満が寄せられておるわけです。たとえば、パートで三年間勤めたけれども退職金がもらえなかった、あるいは十二年もパートで働き一生懸命やっているけれども、全然賃上げもないし、会社に言うにも言いづらい、組合もない、どうしたらいいのだろうか、あるいはまた、パートには厚生年金も雇用保険も何にも適用がないというふうに言われているけれどもこれは本当なんでしょうかというような、全く気の毒な訴えが次々に来ておるということであります。
 そこで、そこへ来た一つの手紙にこういう手紙があるのですが、これを御紹介しますと、
  この前パート一一〇番のチラシを見ました。私、四十八年よりある病院で働いている看護婦ですが、時間給で日給制で一週間に一回の当直もありますが、当直は午後一時より明日の午後一時までの二十四時間です。一時に帰っても明日は九時よりの勤めです。何年勤めても有給休暇は一日もありません。日曜日とか祭日、また元日でも普通の日と同じ給料で働かなければなりません。だれ一人心の中では思っていても相談する人はいません。これを院長に話すこともできません。こわいからだと思います。二十人くらい働いていますが、皆さん月給の人は二、三人しかいないようです。十年の人も二十年の人も有給休暇はないようですが、どうしたらよいでしょうか、ないしょで教えてください。
こういうような、まことに近代社会ではちょっと想像できないような気の毒な労働者がおるわけであります。こういう人たちはかなり広く、数も多いのじゃないかというふうに考えられるわけであります。一生懸命働いていながら、労働者を保護する諸立法の保護を受けることが全くできないということですね。これは非常に重要だと思います。それからまた、こういう問題についても、ないしょで教えてください、一生懸命働いていながら、何か悪いことでもしているような、そういう卑屈というか、胸を張って堂々と自分の権利を主張できないという境遇ですね。これは近代的な社会の中で、しかも健全な労使関係をつくっていくという上においても、非常に問題が多いのではないかと思います。こういう事態が広範にいま存在をしておる。こういうことは、もともとならば労働組合がやるよりはむしろ労働省が、監督署が、こういう細かいお世話までするのが本来だと思いますけれども、それができないわけであります。こういった点についてひとつ大臣、何かお知恵がありましたら、こういう問題についての解決の手をぜひ打っていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#80
○吉本(実)政府委員 ただいま先生の御指摘になりました一つの葛飾の例、私どもは初めてでございます。大変貴重な材料だと思います。私どもも十分これに対して対処してまいりたいと思いますが、いずれにしましても、先ほど申しましたような広範囲な中における恵まれない人たちに対する労働条件の確保ということについては、私ども少ない人数の中でこれをさらにやっていかなければならない、このように思っているわけでございます。先ほど大臣の方から答弁もございましたが、むずかしい環境の中でそういった増員等についても今後考えていかなければならぬし、また、ただいま御指摘のあるようなそういった一つの工夫というものも今後十分考えていかなければならない、こういうふうに思います。
#81
○新村委員 工夫といいましても、大臣から先ほどお話がありましたように、行革の中で増員は非常にむずかしい。こういう問題は、現在の監督官を倍にしてもすぐには解決はつかないと思いますね。そのくらい大変な仕事だと思います。これは、いま直ちに監督官を急増してこういう問題に対処をするということはまずできないでしょう。いかに大臣が御努力をなさってもこれは無理でしょうね。ですから、こういう問題を解決する何かの方法ないし知恵はないものかということをお伺いするわけですが、たとえば福祉事業では民生委員というのがありますね。民生委員というのは、これは全く無報酬で底辺の方々をお世話しておるわけです。正規の公務員を増加しなくても、考えようによっては、知恵を出せば、たとえば民生委員的な任務を持った人を嘱託をして、そういう末組織の方々あるいはパートの方々の相談に乗ってあげるとか、そういうことはそんなに金を使わなくてもできると思います。たとえば、これは一つの思いつきにすぎませんけれども、そういうことが考えられないのかどうか。あるいはまた、これは労働組合にお願いするということは無理だと思いますけれども、労働行政に関心の深い、あるいは労働問題に経験の深い方々に委嘱をして、こういう相談に乗ってあげるとか、そういったことができないかどうか、これは大臣、ひとつ御意見を伺いたいのです。
#82
○吉本(実)政府委員 先生ただいま御指摘がございましたような形で、実は本年度から、まだ試験的でございますが、三十カ所ぐらいを目当てに主要な監督署に設置する予定にしておりますが、労働基準相談コーナーというような形でそういうものを設置して、先生おっしゃるような形の人に委嘱もしながら、そういった点に対処してまいりたいと、いま実は考えております。
#83
○藤尾国務大臣 ただいま局長から申し上げましたように、昔の目安箱みたいなものでございますね。これを労働省内に設けてございますから、そういったところにどんどんひとつお知らせをいただいて、そのことそのことを、できることかできないことか、あるいはどのようにしていったならばどのような道があるかというようなことの御相談に応じ、それの御指導を申し上げるような措置を講じてございますが、まだこれも発足をいたしましたばかりで、恐らく私は同様の御趣旨のようなことは、全国見ましたならば非常にたくさんあると思います。
 したがいまして、相談コーナーを設けたからそれがどのように解決をされていくかということは、ここで口幅ったく申し上げるわけにもまいりませんけれども、しかしながら、いずれにいたしましても一つの道を開くという意味におきまして、どれだけの御相談があって、どれだけの事件の解決ができていくかということを、これから経験的に積み上げまして、それではどうすればいいかということを、ひとつ私どもの組織的にもまた行政上にも反映をさせていくということをやってまいりたい、かように考えます。
#84
○新村委員 今度始められるこの相談コーナーの構想を、もう少し具体的にお話しを願いたいのですが……。
#85
○岡部説明員 今年度から予算が認められまして発足いたしました労働基準相談コーナーでございますが、これは労働基準相談員というものをそこに配置することにいたしております。これは全国の中で、とりあえず主要な三十署につきまして実施をいたしたところでございます。これはまだ設置が終わってないところもございますが、早急に近々全署にこの三十名を配置するようにしておるところでございますが、そのねらいといたしますところは、やはり先生先ほどから御議論ございますように、特に未組織労働者が一体どこに相談に行ったらいいのであろうかというふうなことで非常に悩んでおられるということをかねがね承っておりまして、組合のあるところは組合を通じてでございますが、そういう未組織労働者が直接に問題を相談をするという、その機能をわれわれ期待をしているところでございます。なお、三十署でございますが、これはさらに今後とも要求をいたしましてふやしまして、できれば全国三百六十四署、全署に行き渡らせたいというふうに私ども計画をしているところでございます。
#86
○新村委員 三十カ所とりあえずおやりになるということでありますが、これは一カ所あたりどのくらいの経費がかかるものですか、それを伺います。
 それから、やはりこの問題の最大のネック――ネックというか、協力を願わなければならないのは、何といっても経営者ですね。経営者がこの問題についての十分な理解と協力の態度があれば、これはもう、一挙にとは言わないまでも、速やかに解決をすることができると思います。そういう点で、経営者に十分協力してもらえるような指導をしていただきたいわけです。経営者といえども、こういう人たちの厚生を図っていくということが、やはり自分の事業の発展を期する上からいっても、これはいいわけですから、それからまた、良好な労使慣行が確立をされれば、未組織よりはかえって組合があった方がいいということも言えるわけだと思います。経営者から見ても労働組合というのは常にマイナスばかりあるわけじゃないわけですから、労働組合をつくることについてもやはり経営者は、協力ということはないにしても、少なくとも妨害をしない、あるいは理解を示すということが、これは絶対必要なわけでありますから、そういう点について経営者の協力を求めることをひとつ大臣からも強力に指導をしていただきたいわけであります。そのことがやはり日本経済の発展にもつながるわけですから、決していますぐ資本主義をひっくり返すというようなことをだれも考えているわけじゃないですから、そういう点で労働者の権利を守っていく、あるいは労働者の団結権を尊重していく、こういうことを大臣もひとつ積極的にお考えをいただきたいわけであります。
 それでは、さっきの点と、それから大臣の基本的なお考えをひとつ。
#87
○岡部説明員 相談コーナーの人数の点だけお答え申し上げますと、これは現在のところ各署一人でございますが、できればやはりさらに充実していきたいというふうな考え方でございます。
#88
○藤尾国務大臣 御趣旨のとおりでございまして、先ほど井上先生にもさようなことを申し上げたわけでございますけれども、いまの日本の経済といいますものは、端的に申し上げれば中小企業で維持されておるというように申し上げましても言い過ぎではない、かように思うくらい中小企業というものは大切でございます。
 その中小企業の中でそういった未組織の方々が多いとか、あるいはパートの方々を酷使をしておるとかいうようなことがあったのでは、これは日本の経済自体がひずんでしまうわけでございます。そういったひずみの中で正しい成長を示していくということはできないわけでございますので、先生の御指摘のとおり、これが健全に発展をしていけるような基盤をつくり上げていくということに私どもは努力をしていかなければならぬということはもちろんだろうと思います。
 ただ、残念なことには、私どもが経営者の方々に組合をおつくりなさいということを強制する立場にございませんので、その辺のところをどのような呼吸でやっていくか、これは私どもが今後考えていかなければならぬ行政の中に織り込んでいきたい、かように考えます。
#89
○新村委員 さっきの質問にお答えがないのですが、一カ所どのくらいの経費がかかるかということですけれども、これは後でいいです。
 それから、この問題の解決は何といっても経営者の方々の御理解が必要なわけでありまして、大臣もおっしゃるように、日本経済を支えているのは中小企業でありまして、さらにその中小企業を支えているのは一人一人の労働者であります。ところが、そのきわめて大切な労働者の皆さんの中の相当の部分が、依然として、当然受けられるべき処遇なり権利なりが受けられずに放置されておる、この事態を一日も早く解決をしなければいけないということをお願いをしたいわけであります。
 時間がありませんので、もう一つお伺いしたいのですが、失対事業の件です。この制度は、戦後の混乱の中で当時の事態を緊急避難的に解決をしようということでできた制度だと思いますけれども、ずっと数十年その制度の中で努力をしてこられた方々が、まだ全国には五、六万ぐらいですか、おるわけであります。最近の失業対策制度調査研究報告の中にもありますように、この答申に基づいてこの制度を廃止をしていくという方向のようでありまして、その中に、六十五歳以上についてはもう紹介をしないというようなこと、それからまた、それに伴う引退者の処遇等がございますが、この基本的な方針を伺うと同時に、この方々がやめていくあるいは転職をしていく場合の最後の処遇でありますけれども、聞くところによりますと、百万円を支給をしてそれっきりだということでありますが、こういう方々はいままでも、先ほどからお願いしておるようなパートあるいは未組織の方々と同じように、労働省の保護を受けられなかったわけです。そうして低賃金で長い間働いて、しかも主として建設事業の現場の仕事というような仕事をやってきたわけであります。こういう方々もやはり日本経済の一番底辺に位置をして日本経済の復興に努力してきたという意味からすれば、これは能率が悪いとかなんとかという議論がありますけれども、しかし、こういう方々の努力、汗というものはやはりとうといものではなかったかと思うのです。そういった意味で、この方々の引退あるいは再就職に対する処遇について、これは大臣としてもできる限りの御考慮をぜひお願いしたいと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
#90
○岡部説明員 相談コーナーの費用でございますが、これはそこにお願いする相談員の方に対しまして、一日三千五百円から四千円の日当を差し上げるという予定でございます。一カ月におけるお願いをする日数は十二日から十五日ぐらいを予定して、大体半常勤的にそこに詰めていただくというふうな形で民間の識者の活用を図りたいということでございます。
#91
○藤尾国務大臣 失業対策事業でございますけれども、これは先生御指摘のとおりでございまして、戦後の非常な混乱の中で、働き手の中心をなす御主人を亡くされた、子供を抱えられた方々、そういった方々も含めまして、何とかそういった方々に安定をした仕事におつきいただきたい、安定をした御生活をいただきたいということのためにつくりました緊急な失業対策事業でございます。したがいまして、それがいまだに、三十年以上もたちましてまだ引き続いておる。たとえば失業対策事業という名の事業に御就職になっておられるというようなことは、これはいかにも労働省といたしましては行政にならないことでありまして、こういったことを放置しておいたということ自体が私どもとしては恥ずかしいことでございます。そういった方々をそのもっと前に定職についていただく努力を私どもはさせていただかなければならぬ、また、してまいったわけでありますけれども、やはり長い間一つの同じような仕事をやっておられますと、そこにお仲間もできますし、気安さもできるというようなことで、いま、これは非常に奇異なことでございますけれども、平均年齢から申しますと全国的に言いましても六十五歳をあるいは超えるかというような方々がいまだに失業対策事業という名の公共事業と申しますか建設事業と申しますか、そういったものにお働きをいただいておる。まことに不自然でございます。でございますから、これを自然な状態に戻すという努力をやっていかなければならぬということで、いままでもこういった一つの失業対策事業という仕事に新規に就職をしたいという方はひとつおやめを願いたいということで、入り口の方は一応とめさせていただいた、こういう経緯になっております。したがいまして、新しい方が参入されませんので平均年齢はどんどん上がっていくようなことで、今日平均年齢六十五歳というようなことになっておることもございまして、これをできるだけ早くひとつ定職の方に御転換願いたいということをお願いいたしておるわけでございます。
 しかしながら、お願いをいたしたからといいまして、明くる日からそれでは転換をしていただけるかということになりますと、なかなかそうもまいらぬということもございますために、こういった方々に対しましてはことしの九月までに、中には八十歳に近い方々がおられるわけでございますから、そういった方々はできるだけこの機会に御勇退を願えないものだろうかということで、この機会に御勇退願える方に対しましては、これは別にそういった雇用契約があるわけではございませんから、決して退職金とかなんとかというものではございませんけれども、新しい御転職をいただきまするための準備金というようなことで百万円のお金を差し上げて、そうしてひとつ新しいお仕事をお始めになるための一助にしていただいたらどうだろうかということと、それはいやだ、おれはどうしてもいままでのこの事業を継続していきたいという方々に対しましては、仕方がございませんから、とりあえず五年間という猶予期間というものを置いて、できるだけある一定の年齢以上の方々には御勇退を願えるようにということで、いま措置をさせていただいておるというわけでございます。
 私どもといたしましては、こういった方々の御将来といいまするものをできるだけの御配慮をさせていただかなければならぬわけでございますけれども、一般的に申し上げましても、ただいま六十歳定年を何とかしてやりたいということをやっておる最中でございますので、これがいますでに六十五歳の平均年齢に達しておるということは、少し五年間の猶予期間を置けば七十歳におなりになるわけでございますので、そろそろ、失業対策事業というようなことを政府のあるいは公共機関の事業として置いておくということは、ちょっと歴史の中で正しい評価ではないのではなかろうか、これをできるだけ正しい評価を受けられるようなことに転換していきたい、そのための十二分の私どものお手伝いもさせていただくということで、いまお願いをいたしておる、こういう関係でございます。
#92
○新村委員 パートであるとかあるいは未組織の方々、あるいはまた失業対策の労働者の方々のような悪い条件の中で働いている方々に対する一層思いやりのある労働行政の展開をお願いし、御期待をして、終わります。
#93
○國場委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
    午後零時五十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十七分開議
#94
○國場委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。春田重昭君。
#95
○春田委員 私は、本日、労働省所管の決算に当たりまして、一つは障害者の雇用問題、二点目には地方労働基準局の架空経理の問題、三点目に原電敦賀の事故の問題、この三点につきまして御質問をしてまいりたいと思います。しかし、限られた時間でございますので、どうか答弁に当たりましてはひとつ簡潔明瞭な御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
 最初に、身障者の雇用の問題でございます。
 ことしは国際障害者年である。したがって、障害者対策がさらに充実し拡大していかなければならないことは当然でございます。障害者対策には福祉や教育、生活といったさまざまな問題がございますけれども、いま一番必要なことは、社会への「完全参加」というテーマからして、私は身体障害者の雇用問題でなかろうかと思うわけでございます。
 そこで、身体障害者雇用促進法が制定されたのは昭和三十五年でございます。二十年以上経過した今日、年々よくなってはきておりますけれども、一般民間企業が四八・四%、特殊法人が六三%という未達成割合になっているわけでございます。労働省としてこの現状をどう認識し、あと何年ぐらいまでに雇用率達成をしていくのか、そうした決意も含めて御答弁をいただきたいと思います。
#96
○関(英)政府委員 ただいま御指摘の雇用率未達成企業の問題でございますが、民間におきましては確かに多くの企業が未達成でございます。ただ、その中を見ていきますと、あと一人雇えば達成するというような企業が全体の未達成企業の半数ちょっと超えるぐらいございます。それだから別にそこをやりさえすればいいというわけじゃございませんで、特に大企業の未達成に対する指導を強めていかなければならぬと思っておりますが、特に大きい企業につきましては、労働省において私が、直接責任者、社長、人事担当重役等を呼んで雇用率を達成するように、具体的な計画に沿った実施を図るように個別に言っております。私がおらぬ場合でも労働省の幹部が大企業に対しては直接やっておる。
 それから、地方におきましては、県の知事さん、副知事さんを含めて県庁幹部が直接個別指導するように、こういうふうなことをいたしております。
 また、特殊法人の御指摘ございました。特殊法人も、私自身二度にわたりまして人事担当の役員及び監督官庁の方にお集まりをいただいて、民間に率先して達成すべきだということを強く要請いたしております。具体的にあと何年ということをここでいま直ちに申し上げるわけにまいりませんけれども、未達成のところで非常に悪い大きなところには三年くらいで達成するような計画をつくらせてそれを実行させておるところでございますので、できるだけ早い機会に現状の雇用率を達成させるように努力していきたいと考えておるところでございます。
#97
○春田委員 雇用率の改定は五年ごとに見直すということで、ことしの十月がその見直しの時期になっていると聞いておりますが、私はその時期に、いま公表制度というものもあるわけですから、それぞれ官庁によって違いますし、企業によっても違いますけれども、あと何年後までには雇用率を一〇〇%達成するのだと明確にそこで出すべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。
#98
○関(英)政府委員 先ほど申し上げましたように、未達成の大企業等に対しましては三年程度の期間で達成するような計画をつくらせ、そしてそれを達成状況を見ていきまして、一年たって計画を十分達成してない、最初の一年目にうまくいってないようなところには勧告もいたしておるわけでございます。それからまた、先ほど申しましたように、個別に幹部が直接指導しております。そういうことに応じて社内で具体的に事業所ごとに割り当てをいたしましたとか具体的なプロジェクトをつくってやっておりますとかというような答えも得ておりますので、そういう計画期間中に達成するように指導を強めていきたいというふうに思っております。
#99
○春田委員 未達成の企業につきましては計画書を出させる、なおそれでも達成しないところは勧告する、なお達成しない場合には公表という最終の手段があるわけですが、こうした計画書、そして勧告、公表、こういう形で、すんなりいけば大体達成するわけでございますけれども、ぎりぎり最終の公表はないとすれば、計画書ですべて達成する、なおできなくても勧告で達成するとすれば、労働省としては大体何年くらいで雇用率を一〇〇%達成するかということはお考えになっているのですか。
#100
○関(英)政府委員 繰り返しになりますが、三年の期間をもって達成するような計画をつくらせて、その実施状況に応じて特に悪いところにはいま勧告を出しているところでございます。そういう意味で、私どもの目標としては三年間かけて達成してもらいたいということを一応の目標にいたしております。ただ、企業の状況によりましては、業況その他によりまして希望退職を募らなければならぬような事態もあろうかと思います。そういう場合には、あるいはもう一度計画をつくり直すというようなことに迫られる場合もございます。しかし、そういう場合を除きまして、私どもとしては三年で達成するように指導していきたいというふうに考えております。
#101
○春田委員 現在、計画書を出すように労働省が出している企業が千数百社であると聞いておりますが、この計画書を出す時期はばらばらだと思うのですけれども、最終、出してから三年ということですね。ということは、一番遅い企業で、年度で言ったら大体何年くらいなんですか。
#102
○関(英)政府委員 昨年が最後だと思いますから、五十七年になりましょうか。一番遅いのでそういう年度になってくると思います。
#103
○春田委員 それから特殊法人でございますけれども、午前中からも質問がございましたが、各省所管の特殊法人の中でもやっているところとやっていないところがある。ほとんどやっていないというのが六三%という形になっているわけでございます。各省所管の特殊法人、いろいろあるわけでございますが、その中で運輸省の特殊法人が七つありますけれども、この運輸省の特殊法人の雇用率達成はどうでしょうか、運輸省の方がおいでになっていると思いますが、お尋ねしたいと思うのです。
#104
○中崎説明員 御説明申し上げます。
 現在、運輸省の所管では七特殊法人がございますが、残念ながらいまのところすべて未達成でございます。
    〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕
#105
○春田委員 それでは建設省はどうでしょうか。
#106
○海谷説明員 お答えいたします。
 建設省所管の特殊法人、七法人あるわけでございますけれども、現在のところこの七つとも残念ながらまだ達成されていない、そういう状況になっております。
#107
○春田委員 そこで両省にお伺いしますけれども、達成しない理由は結構でございますから、自分の所管の特殊法人の雇用率をいつまでに達成するのか、それぞれ運輸と建設から御説明いただきたいと思うのです。
#108
○中崎説明員 御説明申し上げます。
 現在の時点ではいつまでということはちょっと申し上げる状況でございませんけれども、本年が国際障害者年でもございますので、各特殊法人に対して一層努力するよう指導してまいりたいと思っております。
#109
○海谷説明員 お答えいたします。
 私ども、七法人ございまして、先ほど御答弁しましたように、いまのところ一つもないわけでございますけれども、これは、こういう法人が、仕事の内容が住宅であるとか道路であるとか、そういう公共事業をやっておるという関係でなかなか身体障害者の方から見てなじみを持ってもらえない、こういうようなこともあるのではなかろうかと思うわけでございますけれども、今後いろいろなPRその他をしまして、できるだけ早く達成するようにしたい、七つのうち全部でなくても、少なくとも一つでも二つでも三つでも、早く達成するようにということでできるだけの努力をしたいというふうに考えております。
#110
○春田委員 ちらりと建設省の方が大規模の事業といいますか、プロジェクトが多いからなかなか雇いにくいのだということを言われましたけれども、それはどこの省庁でもあるわけですから理由にならない。先ほど、午前中の質問で藤尾大臣は、両省ともゼロである、したがって私の任期中には少なくとも、幾つとはおっしゃいませんけれども、必ず達成させる、そういう誓いをなさったわけでございます。両省、それにこたえる決意がありますか。もう一回運輸省と建設省から言ってください。
#111
○中崎説明員 御説明申し上げます。
 運輸省所管の法人の場合は、たとえば京浜外貿埠頭公団とかのように事業主体が変更とか……(春田委員「理由は要らない、時間がないから」と呼ぶ)はい。特殊法人に対して個別にきめ細かい、たとえば学校へ行くとか職業安定所へきめ細かく足を運ぶとか、そういうような努力をさせまして、できるだけ達成するよう指導したいと考えております。
#112
○海谷説明員 各特殊法人と個々にできるだけ早く詰めまして、一つでも二つでもといいますか、あるいは全部、七つにつきましてできるだけ早く達成するようにということで最大の努力をいたしたいと思います。
#113
○春田委員 時間がないから、ぼくの質問の趣旨をよく聞いてくださいよ。任期中にということは、大体十一月ということで想定されるということで大臣はおっしゃったわけですから、その間にできるかということです。抽象的な答弁は必要ないのです。
 これ以上二人に聞いても非常に苦しいと思いますので、大臣、両省の担当の方がこういう答弁でございますけれども、午前中では大臣は確信を持っておっしゃったわけでございます。お二人おいでになっておりますので、再度、大臣の両省に対する特殊法人の雇用率の問題につきまして御答弁いただきたいと思います。
#114
○藤尾国務大臣 ただいま先生がお聞きになりましたとおりで、こういう衝に当たっておる役人自体が、ことしは何の年であるかということの認識すらない、総理大臣がそういった機構を設けておる意義がどこにあるかということの認識も非常に足りない、こういうことでございますから、なかなか達成の目標を与えられて、その目標が達成できないというのが今日の状況でございますから、まずこういう認識の根性をたたき直しまして、言われたことはやりますということでなければ、これは役人じゃないわけでございます。できないなら役人をやめりゃいいわけでございまして、そういうことを私はきちっと申し聞かせまして、必ずやれるように総理大臣の命をもちましてやらせるということを申し上げているわけでございますから、こういう方々が何をお言いになろうと、必ず私はやらせます。
#115
○春田委員 それでは、運輸省及び建設省の方は結構でございます。
 さらに特殊法人でございますけれども、これは民間企業と違いまして、公共的性格が強いわけです。したがって、民間企業より達成率がよくてあたりまえ、私はこう思っておるわけでございますが、いま言ったように実態は非常に悪いわけです。
 ところで、特殊法人では一定の範囲のものは雇用納付金制度がないわけですね。これは国からかなりの出資をしているということで、雇用率が悪いからといって納付金を取るのは国の金を取るようなものだという説もあるみたいでございますけれども、民間企業は雇用納付金を取ることによって若干よくなっていっている。こういう点から考えても、私は、いわゆる特殊法人につきましても納付金制度というものを考える必要があるのじゃないかと思うわけでございますけれども、この点についてはどうでしょうか。
#116
○関(英)政府委員 特殊法人におきます納付金制度につきましては、先生もお述べになりましたように、その財政的基盤を多く国に依存しております。それからまた、納付金を取るということは、雇用率未達成のところから納付金を納めていただいて、雇用率を超えて達成したところに報奨金を支給する、あるいは新規に雇い入れる事業主を助成する、こういう経済的負担の調整を図る趣旨でできている制度でございます。したがいまして、納付金を取るとなると、今度雇った場合の助成もするということになりますが、こういう特殊法人をまた納付金会計から助成するかということにもなってまいります。その出入り双方考えまして、国の経済的負担に多くを依存しているこういった特殊法人については、そういう納付金制度で雇用率を達成していくのではなくて、国と同様の、民間に率先垂範して高い雇用率を課して範をたれていただく、そしてまた未達成の場合には、労働省の命令を待つまでもなく雇用計画というものを定めて達成していくようにしていくというようなことで、みずからその責任を痛感してやっていただく、これがいいのではなかろうかというのが現行法のたてまえではなかろうかと思う次第でございます。
 そういう趣旨が貫かれますように、私どもの努力もまだまだ足らなかったわけでございますが、今後ますます特殊法人の、特に幹部の方の認識というものを強めていただくように努力いたしたいと思います。
#117
○春田委員 雇用率の場合は民間が一・五、それから特殊法人が一・八、官公庁が現業部門が一・八、非現業が一・九という形で違うわけでありまして、特殊法人も国並みの雇用率を高めているわけでございますが、民間よりも率を高くしているから取る必要はないということではなくして、現状は一・三四ということからすれば、いわゆる納付金ではなくして、いろいろな意味のペナルティーも課しながら、やはり国が率先し、またそうした公共的性格の強い特殊法人が率先しなかったら民間はついてこないということなんです。そういう点を指摘しているわけでございますので、先ほど言ったように、この秋の雇用率の改定の問題につきましてはそうした問題も十分論議していただきたい、このように要望しておきます。時間の関係で、この問題につきましては終わります。
 続きまして、昭和五十四年度の会計検査院の検査報告が出ておるわけでございますが、その中で愛知労働基準局、広島労働基準局の不当事項が掲記されておるわけでございますけれども、その内容につきまして検査院の方から御報告いただきたいと思います。
#118
○肥後会計検査院説明員 愛知、広島労働基準局の不正経理の概要を申し上げます。
 両局では、五十三年度、五十四年度に臨時職員延べ千七百二十九人、これは一月を一人として数えた数でございますが、千七百二十九人に対しまして一億百七十四万円を支給したこととしておりましたけれども、これを検査しましたところ、雇用した事実がないのに雇用したとして架空に賃金を支払っているものが延べ八百八十四人分、五千六十九万余円ございました。そしてこの資金を別途に経理していたわけでございます。
 それらの資金の使途については、実地検査当時、現金でまだ使わないで保有していた百六十八万余円を除いた四千九百一万余円につきまして、当局では、四千三百八十三万余円は部内外の会食の経費やタクシーの使用料それから臨時職員の付加給付などに充て五百十八万余円は使途不明である、こういう説明でありましたが、その事実については、決算検査報告作成時までに裏づけとなる領収書それから裏帳簿等により確認できましたものは二千六百二十二万余円で、その他については確認できない、こういうものが内容でございます。
#119
○春田委員 この不正経理の手口ですが、どのような形で行われたのか、もう少し具体的に御説明いただきたいと思います。
#120
○肥後会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 以前に雇用したことのある臨時職員の名前を、その人がやめてから後で名前、印鑑を借用してやっている。それからまた、特に雇用したことのない他人でございますが、ある名簿からとったりなんかしてそういう名前を借用して、それから印鑑をつくって、それによって支給調書とか出勤簿をつくって作為していたというものでございます。
#121
○春田委員 出勤簿や賃金支給調書に架空職員の名前や印鑑を使用したということですね。これは公文書偽造まがいの行為じゃないかと思うのですけれども、この点では会計検査院としてはどう御判断なさっているのですか。
#122
○肥後会計検査院説明員 一応、公文書偽造行使の疑いはあると存じますが。
#123
○春田委員 ところで、支給人員が千七百二十九名のうち八百八十四名が架空となっているということでございますが、実際の人員は何名なのか、愛知と広島の労働基準局に分けて、数字でもってお答えいただきたいと思うのです。
#124
○肥後会計検査院説明員 八百八十四名は延べでございますが、八百八十四名のうち実人員は愛知労働基準局では百十三名、広島労働基準局では三十三名でございます。
#125
○春田委員 いま愛知労働基準局では百十三名、広島では三十三名とおっしゃいましたけれども、これは架空の人員じゃないですか。もう一回ちょっと説明していただきたいと思います。
#126
○肥後会計検査院説明員 千七百二十九名の実人員は愛知が二百十九名、広島が百二十五名、先ほど申し上げたのは架空の人員でございます。
#127
○春田委員 いま御答弁がございましたように、実際の人員は三百四十四名なんですね。そして架空が百四十六名。これは両局を分けた場合、愛知が実人員二百十九名、架空の人員が百十三名、率にして五一%、半分以上が架空の人員です。広島の労働基準局が実人員は百二十五名で三十三名が架空の人員、率にすれば二六%でございます。要するに、常識から考えて考えられないことなんですね。半分以上が架空の人員なんですよ。だから、担当の課長や係長や――局長が見れば、当然請求で本省の方に行くわけでございますから、帳簿を見れば一目瞭然としてわかるわけですよ。それがこういう形で出てきたというのは、五十三年、五十四年――五十二年以前は資料がないということでございますが、恐らく五十二年以前もあったと思うのです。こうした今回のいわゆる不正経理というのは、かつて日本住宅公団で土路という主査ですか、架空経理をやりましたけれども、ああしたわずか一人や複数の人間じゃない、もう局ぐるみでやらなかったらできないような行為じゃないかと私は思うのですが、この点どうなんですか。ツービートが、赤信号みんなで渡ればこわくないと言っておりますけれども、この愛知と広島におきましては、局ぐるみといいますか課ぐるみの、みんなでやれば悪くないというそういう感じがあったのではないですか、どうでしょうか。
#128
○吉本(実)政府委員 ただいまのお話でございますが、まことに私どもとして大変遺憾に存じておるわけでございまして、決してそれぞれのことが一緒になってということではない、検査の結果そんなような指摘をされたというふうに思っております。
#129
○春田委員 そうしたら、だれの責任ですか。
#130
○吉本(実)政府委員 それぞれの課でそれぞれの形でそれぞれの責任を負いながら、全体としてこれの弁済を求められているということになろうと思います。
#131
○春田委員 そういう抽象的な御答弁じゃわからないのですよ。
 これは会計検査院に聞きますけれども、そうした、いわゆる課ぐるみ局ぐるみの不正行為という形で見られませんか。
#132
○肥後会計検査院説明員 私ども検査をいたしまして、実際にこういう書類をつくったりそれから架空の金を捻出したりして使っていたのは局の中の数課でございますが、その内容について局長、次長が十分知っていたかどうかは確認できませんでしたけれども、使途の内訳から見ますと、局長や次長が知らなかったというふうにはわれわれも考えておりません。
#133
○春田委員 検査院の答弁と違うじゃないですか。要するに、広島では安全衛生課と労災補償課がかかわっているわけです。それから名古屋の方におきましては庶務課と労災管理課と労災業務課の三つが重なっているのです。これは課長の決裁印が要るのですよ。最終的には局長の決裁も要るのでしょう。知らないはずないじゃないですか。会計検査院としては知らないはずはないという答弁でございますけれども、再度お答えいただきたいと思います。
#134
○吉本(実)政府委員 ただいま会計検査院の御指摘のあったとおりでございますが、先ほど申しましたのは、そういった一つ一つの行為についていろいろな検査結果を踏まえて申し上げたわけでございます。
#135
○春田委員 私は大問題だと思うのです。この問題については後で大臣の御見解も承りたいと思いますが、その前に、今回こうした五千万近くの架空金額という形で出ているわけでございますが、検査院として、この弁償責任はどうなるのか、この辺をお伺いしたいと思います。
#136
○西川会計検査院説明員 お答えいたします。
 検定のための検査の結果、国の損害となると判断した金額は、愛知労働基準局の分については千四百六十八万余円、広島労働基準局の分については四百六万余円でございます。一方、国に弁償された額は、愛知労働基準局の分が千五百三十八万余円、広島労働基準局の分が四百三十七万余円でございました。それで、それぞれ損害額を上回っております。このように、国の損害額がすでに補てんされておりますので、会計検査院としては検定、すなわち有責、無責の判断は行わないでその検査を終了いたしたのでございます。
#137
○春田委員 実際五千万近くの金が出ているわけでございますが、使用していないお金が若干ありますので、実際出ていったお金が四千九百一万円となっております。検定の結果、国損に値するといいますか、その額がいまお話があったように一千八百七十四万円である、したがって残り三千二十六万九千二百七十一円というものが全体の額から出てくるわけでございますが、これはどういう額なんですか。
#138
○西川会計検査院説明員 お答えいたします。
 ただいま先生がおっしゃいました、三千二十六万余円となると思いますが、この額は業務運営上必要な経費に使われたと見まして、国に損害はなかったと見たものでございます。
#139
○春田委員 全体の額の約三分の二が必要経費となっているのですね。必要経費にどういうものがあるかということで私も資料をいただいたわけでございますが、飲食費、アルバイト等に対する付加金、贈答費、雑費、消耗品代という形で書かれておりますが、たとえば飲食費は二千六万円出ております。その中で一千四百九十三万円が必要経費になっているのですね。会計報告ではタクシー代という形ではっきり出ておりますが、検定結果では雑費という形になっております。雑費の中にタクシー代が入っていると思いますが、この雑費が一千八百十六万。そのうちの一千五万円が必要経費。この中にタクシー代が入っていると思うのですが、本省では午後十一時以降は夜間のタクシーは大体使用していい、それまでは交通機関があるから交通機関を利用せいということでしょう。ところがこの両局においてはタクシー等を使っている。こういうことになれば何か不自然ではないかと思うのです。会計検査院の別の労働検査の方が約五千万円近い不正経理があるのだ、架空経理があるのだ、ところが検定の結果、必要経費というものが約三分の二あって三分の一が国損である。何か納得できない額である、こういうふうに私は思うのです。したがって、いわゆる国損とはどういうことかという定義になってしまうわけでございますけれども、いずれにしましてもこの検定は非常に甘いのじゃないかというふうに私思うのですけれども、時間がございませんので、ひとつ簡単に答えてください。
#140
○西川会計検査院説明員 お答えいたします。
 検定は、故意、重過失で違法な支出などの行為をしたことによって国に損害を与えた事態があるときに、その違法な支出などの行為をした職員に弁償責任があるかどうかを審理いたしますので、まずその国損がどれだけあるかを判断するわけでございますが、この場合、架空支出で捻出した資金の使用でありましても、これが国の業務に必要な経費として使われていれば国損はないと考えておるわけでございます。
 したがいまして、ただいま甘いのではないかという御指摘ございましたが、検定のための検査では、かような意味で業務上必要な経費であるかどうか逐一見てまいりまして、決して甘い態度でそのような処理をしたわけではございませんで、厳正に検査を行いまして国損額を判断したわけでございます。
#141
○春田委員 労働基準局が全国に四十七ございます。この二基準局が今回の検査報告に出ているわけでございますが、残りの基準局も会計検査院としては検査されたと思うのですが、そうしたいわゆる不正経理が出てないかどうか、そして出ていないとすれば、いま検定員がおっしゃったように必要経費というものはこの両局以外ではとらえているのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
#142
○肥後会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 昨年は四十七労働基準局のうち三十一労働基準局を検査いたしましたが、検査報告に書いたのはその二件でございまして、あと比較的金額の小さなところが、やはり架空経理が一件ございましたが、これは数十万でございましたので掲記いたしておりません。あとのものについてもほぼ同様の検査をいたしましたが、そういう問題は出ておりませんでした。
    〔原田(昇)委員長代理退席、越智(通)委員長代理着席〕
#143
○春田委員 ほかの局がそうした架空経理はないし、また必要経費も取っていない、こういうことでございますけれども、そうしたら、同じ労働基準局でありながら――ここは事務量が多いと聞いておりますけれども、この広島、名古屋よりも多い事務量というのは、東京だってありますし大阪だってあるわけですね。そこではそういう必要経費も取っていないわけですよ。片方では夜食を出したり夜間のタクシーを利用したり、いろいろな交際費を出したりしている。それも三分の二が必要経費となったならば、他の労働基準局から物すごい不満の声が出てくるのじゃないかと思うのです。したがって、正規な手続をやれば出せるお金は国損ではないという見方ということで聞いておりますけれども、こうした問題は、今回のこの必要経費三分の二認めるということは、各署とのバランスの問題で相当問題なんじゃないかと思うのですよ。だから、確かに必要経費もある程度決められた枠でございますから、本省にお伺いするのはなかなか大変だということでそうした捻出もやると、いい見方をすればできますけれども。これは何といいますか、両局では認めて、他の局ではそうしたことをやっていないわけですから。それでは果たして残業をやっていないかどうかという論議になりますけれども、時間がありませんからやりませんけれども、恐らく残業でもやっていると思うのです。夜食とっても自弁でいっているか、また夜間のタクシーも使わないで自分で電車で帰ったり、また自弁でタクシー代を使っているわけでしょう。そういう面からいっても、こうした架空の経理につきましてはもっと厳しく査定をすべきじゃないかと私は思うのです。検定員の方に再度御答弁いただきたいと思います。
#144
○西川会計検査院説明員 お答えいたします。
 必要経費をどのくらい見るか、確かにこういった不正経理について全然見る必要は広いのじゃないかという先生のお話も……(春田委員「全然とは言っていない、三分の二ですから」と呼ぶ)はい、その点でございますけれども、私どもとしては、これは本当に逐一厳密に調べた結果でございますので、その点について御不満がおありかもしれませんが、全く誠心誠意やったつもりでございますので、これで御勘弁いただきたいと思います。
#145
○春田委員 こうした必要経費というのは、たとえば予算の枠で当然これは見るべきだと思うのですが、こうしたいわゆる当然必要な経費であるということが労働省から予算の段階で出てきた場合は、これは当然予算の枠がふくれ上がると思うのです。これは大蔵省としては認めますか。
#146
○安原説明員 本来適正に執行されるべき予算につきまして一部不正経理の御指摘が会計検査院からありましたことにつきましては、私どもといたしましても遺憾に存じております。
 この会計検査院の御指摘を受けまして五十六年度予算でどのように対応すべきかということで、労働省とも十分協議をさせていただきました。その結果、御指摘がありましたように、五十三、五十四の両年度にまたがって約五千万の不正経理の金額があったということでございますので、単年度相当額としましては約二千五百万ということになりますので、五十六年度予算の労働基準局の臨時職員の雇用のための予算につきまして約二千五百万円の減額措置を講じさせていただいたわけでございます。御理解いただきたいと思います。
#147
○春田委員 だから、ペナルティーとして減額したわけでしょう。ところが、必要経費というのは認めなければいけないわけですよ。増額すべきなんですよ。ところが、大蔵省としてはペナルティーとして減額した。ぼくが聞いているのは、必要経費ということでこれが検定されたわけですよ、そうした場合大蔵省に、これは当然必要経費でございますから従来の予算の枠にプラスしてくださいよということがいわゆる予算折衝段階であった場合、それを認めるかどうかということを聞いているのです。
#148
○安原説明員 労働基準局の必要な経費につきましてどの程度であるか、これは労働省から要求を受けまして厳正に査定をさせていただきまして金額を決めさしていただいているわけでございまして、決まりました金額の範囲内で適正に執行していただくということをわれわれとしては期待している、そういうことでございます。
#149
○春田委員 会計検査院の労働検査としては、国の会計基準に従って五千万近いお金が出たわけですよ、ところが、検定の結果約三分の一が国損で三分の二は必要経費である、となれば、この検定の結果というのは国の会計基準そのものを否定することにつながるのじゃないかという疑いを私は持つわけでございますけれども、時間がございませんから、私は、こうした架空経理、不正経理につきましては検査院としてももっと厳しく対処すべきじゃないかと要望しておきます。
 いずれにしましても、大臣、こうした論議を踏まえて、いろいろな大変な問題が上がっているわけでございますけれども、私は、こうした問題は地方の一基準局の問題じゃない、やはり労働省全体として真剣に考えていかなければならない問題じゃないかと思うのですね。また、そういう温床がやはり残っているのじゃないか。私は、これは労働省本省の問題として考えるべきであると思う。処分も今回三十一名行われておりますけれども、三十名が地方の基準局の処分ですよ。本省では事務次官が厳重注意みたいな形でされておりますけれども、こうしたいわゆる問題になったものを本省がもうちょっと――もうちょっといいますか、きっちりとやっていれば起こらない問題ですよ。各署からずっと上がってくるわけですから、それと比較したら歴然とわかるわけでしょう。なぜ愛知だけが、なぜ広島だけが大きく臨時職員の経費が高いのかと比較したらわかるわけですから。二つの基準局だけを責められないという問題があると私は思うのですね。そういう点でいろいろ本省の方にも質問したかったわけでございますけれども、時間がございませんから、最後に大臣に、この問題につきましての決意なり再発防止につきまして御答弁いただきたいと思います。
#150
○藤尾国務大臣 何と申しますか、私の一番きらいなことが起こっておりまして、私は、就任いたしますときにも全職員を集めまして、厳正な綱紀の粛正を守ってもらいたい、すべてのことはそれから発するのだということを強く要望いたしたわけでございますけれども、そういった際に、それはそれぞれの出先の事務所におきまして、確かに仰せられるとおり、仕事が延びて残業をかなりやらなければならぬということになる、夜食も出さなければならぬ、あるいは帰りのタクシー代も払わなければならぬというようなことは私はあろうと思います。しかしながら、いかなる理由があるにせよ、それが必要なら必要であったということで本省に請求すればいいことでありまして、それの経理の運用につきましてはそれぞれの者もおりますし、全然そういうことの動きのつかぬようなことではなかろう、私はかように思っておるわけです。ところが、それが現地におきまして、公文書を改ざんをするというような非常に刑事的な措置までとって埋めなければならぬというようなそういった――やったやつは、これは話にも何もなりはしませんけれども、しかし、そういうことではなくて、そういうことを慣行にさせておるような空気、そういったことが私は一番残念でならぬ、こういうことでございまして、そういったことの必要性をまるきり見なかったということも確かにあろうし、ただいま大蔵御当局からも五千万円の出てまいりました金額の二年分の半分二千五百万円を改訂したということを言っておられましたけれども、そういった空気が出てくるような、まことに動きのつかぬようなそういう予算計上、これも考えてやらなければならぬということであろうと思います。
 しかし、何といたしましても、どのような事情があるにせよ、決められました規則に違反をする、あるいはそれを越えて刑事的な責任もあえて犯していくというようなことを、いやしくも人様にこういうことをやってくれ、こういうことをやってはなりませんぞと言うべき立場にある官僚がみずから犯しておるというに至っては言語道断でございまして、私自身がその全責任をかぶってでもこういったことを根絶をしなければならぬ、かように考えておりますし、今後とも厳重に注意をさせまして、二度と再び皆様方のそういった御指弾を受けませんように厳重に監督をさせていただきます。
#151
○春田委員 大臣の懇切丁寧な決意がございましたのでいいわけでございますが、時間の方がなくなりまして、あと原電の敦賀の問題をやる予定でございましたけれども、一、二点だけ触れて終わりたいと思います。
 この事故によりまして、敦賀の基準監督署また福井の労働基準局が作業員四十八名ですか、職員が八名おりまして、五十六名でございますが、この作業員の四十八名から聞き取り調査をやっておると聞いております。どこまで進んでいるのか、いつごろ完了するのか、そして現時点で異常と認められる被曝線量はあったのかどうか、この辺を簡単にお話しいただきたいと思います。
#152
○望月説明員 現在調査を続行してございます。それで被曝線量でございますが、下請につきましての作業員の被曝状況は、一日当たり最高五十六ミリレム、一人当たり最高百五十五ミリレム、平均三十九・五ミリレムという数字でございます。
 それから私どもは、ポケット線量計それから集積線量計、そういうもののデータとともに、先生いまおっしゃったように個々の被曝者につきましてその裏の聞き取り調査をやっております。そして、それについてはぼ完了しそうでございますが、まだ数名若干残っている、なかなかつかまらない被曝者がございますので、それらを全部つぶすということで鋭意努力をしておりますので、もうしばらく猶予をいただきたい、こう思うわけでございます。
#153
○春田委員 もうしばらくというのは今月いっぱいなのか、あと一週間ぐらいなのか、その辺どうですか。
#154
○望月説明員 一週間ないし十日くらいで終わると思います。
#155
○春田委員 調査の基準は、いまおっしゃったようにポケット線量計とフィルムバッジで調査されているということでございます。私も現地へ行った人間の一人として、実際中へ入ってポケット線量計をつけたわけでございますが、この敦賀発電所のポケット線量計というものは、入るときにどれだけか、出るときどれだけか、その差で被曝線量がわかるわけですね。ところが鉛筆書きなんですよ。この敦賀以外はほとんどタイプ印刷やまた一部、中部では何かボールペンで書いているみたいでございますが、ここでは全部鉛筆で書いているわけですね。だから改ざん可能なんです。だからその辺で、要するに事故が起こった、今回原子力代行以下、井上工業と、もう一つ藤沢ですか、下請が入っておるわけでしょう。四十八名、こうした従業員に対して、労働者に対して、いわば上の方から圧力をかければできないこともないし、またやり方によっては改ざんだってできるわけですよ。そういう点を重点的にやる必要があるのじゃないかと私は思いますが、この点十分注意してやっておられますか。
#156
○望月説明員 本来そういう記録につきましては、これは経営者ももとより、労働者本人も自分の体を守るという基本的な考えでやっていかなければならぬわけでございますが、しかし、そういった鉛筆で書くとかあるいは強制されて書くというようなこともいろいろ耳から入りますものですから、それらについて大丈夫かということで裏づけをとって、そういう観点からも考慮を払いながら調査を進めておる次第でございます。
#157
○春田委員 最後に、この被曝線量の限界というのは、一日が百ミリレム、三カ月で三千ミリレム、そして一年間で五千ミリレムとなっておるわけでございますが、こうした被曝線量を負った労働者というのは、たとえばオーバーしちゃった場合雇ってもらえないわけですね。いわゆる首になっちゃうわけですよ。おまえは異常なそういう被曝を受けたのだからもうだめなんだ、そういうこわさのために、あえて虚偽の申告をしたり改ざんしたりするおそれがあるわけですよ。そういう点で私は、やはり人間の生命という点からとらえて、今回の調査というのは厳重にやっていかなければいけない、こう思うわけです。そういう点で、敦賀の発電所につきましては、過去何回も報告義務違反やったり、またうそばかり言っておるわけですよ。岩越所長が知らなかったというけれども、知っている。私たちが行ったあくる日、違うメンバーが行ったら、また違う答えが返ってきているということで、本当にこの敦賀の体質的な問題があるわけです。そういう点で、どうか労働基準局としては厳正に、いわゆる労働者の生命を守るという観点からひとつ対処していただきたい。あいまいな形で決着しないように要望しておきます。
 時間が来ましたから、終わります。
#158
○越智(通)委員長代理 次に、和田一仁君。
#159
○和田(一)委員 労働者にとって非常に大事なものは賃金ですけれども、それと同じようにあるいは同等以上にいま大切になっておるのが労働時間の問題だと思うのですけれども、この問題について若干お聞きしたいと思います。
 日本の労働者、労働時間を見ますと、これを国際的に比較してみますと、これは統計のとり方がいろいろあろうかと思いますが、ILOの労働統計年報によりますと、これは一九七九年の製造業に限っているようですけれども、週間当たりで日本は四十一・一時間、アメリカは四十・二時間、英国が四十三・二時間、西ドイツが四十一・八時間、フランスは四十・八時間、こういう数字が出ておりまして、英国や西ドイツに比べるとむしろ日本の方が短いのではないか、こういう数字が出ております。新聞などでも最近の日本の労働時間はそういうような傾向にある、こういう報道もあるようですけれども、労働省の五十四年の白書を見ますと、これは七八年での比較のようですけれども、同じ欧米主要国に比べて日本の方が長いという指摘がされております。統計のとり方の違いもあるのではないかと思うのですけれども、私は、いま労働者にとって大変重要な問題であるのがこの時間の問題だ、こう思うのです。この時間について大臣は、日本の労働時間が国際的な比較において一体どのようなところにあるか、お考えをちょっとお聞きしたいと思います。
#160
○藤尾国務大臣 まことに残念至極でございまするけれども、日本の企業の中にももういろいろございまして、その統計に出てまいりまするようないわゆる大企業というような企業におきましては西欧各国に比べまして日本の労働時間の方が著しく長いというようなことではないと私は思います。しかしながら、そういった組合のないような中小企業、零細企業あるいは家族内職というようなところまで考えてみましたときに、いま日本の労働時間がそれでは一般的に言われるような西欧的な水準になっておるかどうかということになりますと、とてもそういうことではない、まことに寒心すべきものがある、努力すべき余地が十二分にある、かように私は考えております。
#161
○和田(一)委員 日本の経済的な発展に対して先進国の中からもいろいろ言われるわけですけれども、特にウサギ小屋に住む働きバチだというようなそういう批判もあるわけなんですが、私どもは、この資源の少ない国でそして貿易で何とか経済を支える、こういうような立場を考えますと、やはり国際的には自由貿易体制というものが堅持されていなければいけない、こういうふうに思うわけです。そのためにもいま大臣の御答弁のように、残念ながら日本の労働時間というものは欧米のそういう国々と比べてまだバランスがとれていないのではないか、やはりこういった公正な労働基準の確保ということがいままで以上に大事になっていくのではないか、こういうふうに思うわけです。
 特に、これはそういった意味も含めて、さらに今度は労働者の個人の問題としても大変労働意識の変化が出てきたわけです。いままでと違って、やはり働くこと、その中から少してもゆとりのある暮らしがしたい、こういう意識の変化もあるわけなんで、そういう中にあってゆとりある生活というのは何も経済的な面だけでは充足されていかないだろう、時間的なもの、拘束されない自由な時間、こういうものがどれくらいあるかということも労働者個人にとってはいま非常に大事な問題になっておるわけですね。ですから、そういう意味では、これはやはりいま国際的に見ておくれている、こういう立場を踏まえてこれを短縮していかなければいかぬ。これは個人の労働者の生活の充実ということと加えて、やはり一つには日本の社会情勢がこれから高齢化社会に進んでいく、そういう中で、高齢者はそういう社会の中にあっても就業を望んでいるし、そうかといって経済が急速にまた高度経済にはならない、安定成長だ、こういうことを考えますと、そこでの雇用の大きな伸びというものはなかなか期待できないだろう、そうして、そうなってくればやはり高齢者にも働いてもらうということになって、高齢者が占める部分というものは非常にふえてくる、こう思うわけなんですけれども、そういう高齢者の社会への対応ということからもやはり時間の問題は考えていかなければいけないと思うわけですね。そういうことを踏まえて週休二日制等労働時間対策推進計画というのが立てられているようでございますけれども、これによって昭和六十年までに欧米並みにしていくというような計画でございますが、これを六十年というのでなくもっと早く実現するというような手だてはないのかどうか、そういった対策等についてお聞きしたいと思います。
#162
○吉本(実)政府委員 労働時間の短縮の手だてとしまして、昨年の暮れに週休二日制等労働時間対策推進計画を策定いたしまして、これをもとに推進を図っていこうということにしておりますが、これは一昨年の経済計画並びに雇用対策基本計画の中で、六十年に向けて欧米主要国並みの水準に持っていこう、こういう政府の決定に基づきましてこの推進計画を進めているわけでございます。そういう意味で、昭和六十年を目指しまして計画を立てていこうということでございます。もちろんこれをできるだけ手前に持っていくという努力も当然とっていくわけでございますが、一つの計画としてはそういった形でのものとしてつくっているわけでございます。
#163
○和田(一)委員 この推進計画の目標である年間の総労働時間は二千時間を超えないようにという目標の設定でございますけれども、現に年間の総労働時間というものは二千百十四時間、これは所定外の時間も含んでいるのですけれども、そういうふうに統計が出ているようでございますが、この数字を比べてみますと、やはりヨーロッパの国々では千七百とか千九百とかいうところでございますけれども、二千時間というこの目標設定をされたのはどういうところから設定されたか。
#164
○吉本(実)政府委員 ただいまの目標といたしまして昭和六十年度に二千時間を割るということにしているわけでございますが、これはわが国の労働時間の現状を見ますと、産業なり規模によりまして大変異なる実態でございますので、これを一般的な形で考えてみると二千時間を割るという姿でございますが、これは、一つは週休二日制の問題、年次休暇の完全消化の問題、それから労働時間のことにつきましては、欧米と異なりまして雇用慣行というものを前提にしておりますので、時間外労働というものが一つの要素としても繰り込まれておるというようなことも考えまして、そういった姿、いわゆる時間外労働もある程度はやむを得ぬ、そういうものを加味しまして二千時間を割るという形にしているわけでございます。したがって、これは一般的な形としてとらえておるわけでございますが、実際にこれを推進する場合にはそれぞれの産業なり規模に応じて対応していくという考え方でございます。
#165
○和田(一)委員 二千時間で欧米並みの水準、こういう目標を立てられて二千時間、片方は千七百あるいは千九百というのが現実のようですね。そうすると、それだけではどういう形でこの水準になったのかというところが国民にはちょっと理解しにくいと思うのですが、欧米並みの水準というからにはもっと低い目標値を設定していかなければならぬと思うのですが、それは六十年までであって、さらに努力するという意味でしょうか。
#166
○小村説明員 技術的な問題もございますので、説明員からお答えさせていただきます。
 先生御指摘のヨーロッパの千七百時間とか千八百時間という労働時間の中には、御案内のアブセンティズムという要素がございまして、いわば働くという約束をしておるのにポカ体なり病気と称して休んでしまうというものが統計的な結果に入っておるわけでございます。それから、先ほど局長が申し上げました残業の関係でございますが、御案内のように、わが国では生涯雇用ということを大事にするということで、不況になっても簡単に解雇いたしません。短期的な生産変動に所定外労働で対処するということ、ヨーロッパでは不況になったら簡単に解雇するレイオフがあるということでございますので、わが国の方の残業時間が諸外国に比べてどうしても心持ち長くならざるを得ないということ、これらは日本的な特殊事情として主張できるところであり、またヨーロッパの休みの中には無断欠勤のような好ましくない慣行があって、そこまでを見習う必要はないということで私ども整理したものが、先ほど局長が申し上げましたような二千時間を割るという形で、日本的な雇用慣行、日本的な特殊事情あるいはもう一つ加えさせていただきますと夏休みの問題でございますが、北欧の方は夏たっぷり休みを取って体をやいておきませんと冬場健康で働けないという事情で非常に夏休みが長うございます。わが国は太陽に近い国でございますし、年末年始とかゴールデンウイークとか、夏休みもヨーロッパに比べて短うございますが、一週間もあれば十分、そういう形の労働時間がわが国になじんでおる、そういうふうな要素を踏まえたものとして二千時間を割る、近代的な労働慣行である完全週休二日制なり年休の完全消化そういうものはちゃんと実現できる、そういうような数字が二千時間を割るということに相なっておるわけでございます。
#167
○和田(一)委員 日本的ないいところを何もなくせと言うのではないのですけれども、冒頭に申し上げたように、いま労働者にとって賃金と同等以上に時間というものが非常に大事なわけで、私たち一人一人は一日二十四時間以上の時間は与えられていないわけなので、そういう意味でも一つの大きな個人的に与えられた資源だと思うのです。そういうものを活用していくことがこれからも非常に大事ではないかと思うわけなのです。
 いろいろな業種や規模によっても違うのでしょうけれども、日本の場合は千人以上というような大きな組織になりますと、そういう企業にあってはいまおっしゃるような二千時間に比較的近い数字で現に行われている。それがだんだん低くなるに従ってそうではなくて二千二百時間以上、こういうような実態です。それから、休日そのものを考えますと今度は逆に大企業の方が多くて、中小企業、零細企業になればなるほど休日数は少ないですから、休日を完全に取るということでも、中小企業、零細企業にいる人々はまだまだこの目標には達していけないのじゃないかと思うのです。そういった実態の中で、特に、いまおっしゃった終身雇用もありますけれども、休日を自分だけで取るということを非常に遠慮する、また一つには私傷病に対する備えとしてこれは残しておくのだということで、せっかく年次休暇や有給休暇があってもそれを取り残す、こういうこともずいぶん大きな影響があると思うのです。
 そういうことからいって、さっき大臣もおっしゃったのですけれども、週休二日制をとっていながらそれが完全に消化されなかったり、年次休暇があってもこれが残されてしまうという実態の中で、週休二日制をもっと進めるあるいは年次休暇は取らせていける、昇給にも関係ないよというようなことについての指導というものがあるのでしょうか、どうでしょうか。
#168
○吉本(実)政府委員 ただいま先生御指摘の週休二日制なり年次有給休暇の問題でございますが、業種、業態によってそれぞれ違いがございます。先生御指摘のように、たとえば大企業あたりにおきましては、せっかく週休二日制があってもむしろ休日労働なんということになったり、あるいは年次有給休暇が十分与えられておる、つまり法定以上にあるという場合でもなおそういったものは残っておる、こういうような形がとられているところもあるわけです。そういうところにつきましては、それに対応したような形で労使でその点を十分議論し合ってそこをまとめていくように私どもは環境も整備する、また、休日の日数が少ない、週休二日制がまだ完全に実施されておらない、あるいは年次休暇の取得日数そのものが少ない、こういった中小の部面につきましては、私どもそれぞれのグループといいますか、そういった問題のある業種とかあるいはそういった地域的な形でのとらえ方をしながら集団的に問題点をさらし出して、具体的にどういうふうにしていくかということを進めていくような形での指導の進め方をとっておる、こういうことでございます。
#169
○和田(一)委員 ぜひ具体的に指導していただきたいと思うのです。いま御答弁の中にあったように、確かに日本ではバカンスというような長期に夏休みを取るという慣行はないようですけれども、また北欧のようにそういった意味での必要はないのかもしれませんけれども、日本独特の慣行の中でその地域その地域では休んでいるというような行事がありますね。そういうときにもかかわらず労働者だけは弁当を持って、地域の人たちがみんな休んでいるような地域のお祭りごとみたいなときにも自分だけ疎外されたように仕事に行かなければならぬ。そういうときにはむしろ休みやすいチャンスなのですから、具体的にはそういう地区ではそういうところでとったらどうだ、私はそういうふうにも考えますので、ぜひそういうふうにして少しずつでも前進させていただきたい、こんなふうに希望いたします。
 それから、先ほども触れましたけれども、これから非常に高齢化社会への移行のスピードというものは速まっておるわけでございますが、これだけはもう避けて通れないことでございまして、統計によりますと、全人口比の中で六十五歳以上の高齢者が、昭和五十五年では八・九%、六十五年には一一%、七十五年には一四・三%、これは厚生省の人口の推計でございますけれども、非常に速いスピードで高齢化社会に移行していく、こう考えます。
 高齢者が失業してしまうということは少しずつ改善されているようでございますけれども、まだやはり相当厳しいものがあると思います。高齢者の雇用の問題について、高齢者の構造に変わると同時に非常に技術革新も進んでおりまして、そういう意味での対策も同時に並行して考えていかなければならない、こういうふうに思うわけで、職業をきちっと与えて生活の安定を図るというのが私は労働行政のこれからの非常に大きな問題点だと思うわけなのです。
 雇用や就業対策についていまどういうふうな対策を立てておられるか、基本的なことをお聞きしたいと思います。
#170
○関(英)政府委員 先生御指摘のとおりに、わが国はかつて先進諸国が経験したことのない急スピードで、また先進諸国がかつて経験したことのない高い率の高齢化社会にと移行していくわけでございます。そういう意味で、高齢者の雇用対策というのは私どもの最重点課題というふうに思っております。
 わが国の雇用慣行を考えますと、その対策の第一は何といっても定年延長。終身雇用慣行ということを考えますと定年延長がまず第一でございます。
 そこで、御承知のとおりでございますが、昭和六十年までに六十歳定年を一般化させようということで現在定年延長に取り組んでいるところでございます。これを一年でも二年でも早く達成した上で、さらに六十歳代前半層の雇用対策にも取り組んでいかなければならないと思っております。そういう意味で、今後は施策の重点を六十歳代前半における雇用対策ということに次第に移していかなければならないと思っておりますが、六十歳代前半になってまいりますと、高齢者個人によって体力、能力等もいろいろ多様化してまいります。そういう意味で、六十年、六十歳定年の一般化というような形での一律の対策でなく、もちろん定年延長、勤務延長、再雇用、短時間勤務、シルバー人材センターのような雇用、そういうような多様な対策をとっていかなければならないだろうと思っております。
 それで、定年延長に対しましては定年延長奨励金、あるいはその後の六十歳代前半層の雇用のためには高年齢者雇用確保助成金、こういったものを今年度から新設していこうと思っておりますし、それからまた、高齢者の雇用促進のための特定求職者雇用開発助成金というような制度も新設いたしまして、高齢者の雇用の促進ということに努めていこうと考えているところでございます。
#171
○和田(一)委員 先ほども申し上げましたように、大変技術革新が進んでおりますので、高齢者、中高齢者にとってはそういう職業能力の開発向上が伴わないと時代に取り残されるというかそういうような形になりがちで、やはりその点を並行してやっていかなければいけないと思うわけなんですが、第三次の職業訓練基本計画というのがありますけれども、そういう中で、中高年の能力開発というものについて基本的にはどういう対策をお立てになっていかれるつもりかお聞きしたい。
#172
○森(英)政府委員 お答えいたします。
 第三次職業訓練基本計画におきましては、まず基本的にわが国の社会が高齢化社会へ急速に移行しています中で労働者の職業生活も非常に長くなってくるということをとらえまして、その長期にわたるようになる労働者生活の安定充実を図ることが第一点。
 また、わが国の経済社会の活力を中高年労働者が多くなってくる中でなお維持してまいりますためには、やはり中高年労働者の職業能力の開発向上ということがきわめて緊要であるという認識に立っておるわけでございます。
 そして、計画ではこのような見地に立ちまして、第一には、中高年労働者と申しますと圧倒的に在職労働者でございますので、民間の事業主が行う中高年齢者の職業能力の開発向上というものについての助成というものを強化していこうということを第一点に取り上げております。
 また、これを補完する意味におきまして、公共職業訓練におきましても、特に六十歳代前半層に対する多様な形での就業の場が確保されますように、特に高年齢者向けの訓練の拡充ということに努力すべきであるというふうにまとめておるところでございます。
#173
○和田(一)委員 生涯訓練体制というものがあるようでございますけれども、こういうものについても現にある公共職業訓練の場と、それからいまおっしゃっていたような民間のそういった施設、そういったものの役割りがそれぞれあろうかと思うのですけれども、これをやはり有機的に連携をとっていかなければいけないと思うのです。生涯訓練体制そのものについての整備はいまどういうふうに進められているのか。時代の流れが速いだけにそれにおくれないようなそういう対応をぜひしていただきたいと思うのですけれども、内容充実等についての対策、そういったことがどんなふうに進んでおるか、お聞かせいただきたいのです。
#174
○森(英)政府委員 生涯訓練体制と申します前に、無からそういうものをつくるわけではございませんので、当然職業訓練の現状から出発してさらに充実を図るということであるわけでございますが、現在のわが国における職業訓練の状況を見ますと、新規採用者に対する養成訓練、これは民間の企業におきましても非常に熱心にやっておられますし、また公共訓練の分野でもこれを補完します形で従来から相当注力をしてまいったところでございます。
 また、向上訓練につきましても、大体四十歳程度までの労働者に対する向上訓練につきましては、主として企業におきましてりっぱな計画をお持ちでありまして、公共訓練の分野でも向上訓練をお引き受けする形でやってまいったところでございます。
 問題は、その四十歳を超えた層になりますと、企業におきましては各段階の管理監督者に対する訓練というものがございますが、そうでない人たちの中高年に対する訓練というものがいまのところまだ十分に実施されていないという状況でございまして、これが定年延長その他に伴います労働生涯の長期化ということに照らしましてこれからの問題でございまして、要は中高年齢者に対する広い職業訓練というものをつくりますことが職業訓練の生涯訓練体制の整備のかなめになるというふうに理解しておりまして、そういう観点から指導してまいろうというふうに考えておるところでございます。
 したがいまして、生涯訓練の中でのキーポイントでございます中高年齢者に対します訓練といたしましては、やはり事業主の行う民間の職業訓練というものを主体に考えまして、他方、公共職業訓練につきましてはこれを補完する形で在職労働者に対する向上訓練も行いますが、特に民間で行うことが困難な中高年離転職者に対する訓練でございますとか、身体障害者に対する訓練に重点を置いて今後の職業訓練体制の整備を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#175
○和田(一)委員 そういった中に人材カレッジというのがあるようでございますけれども、これはどういう意図でつくられたのか、そして現在どんなふうに活用されておるか、ちょっとお聞かせいただきたい。
#176
○森(英)政府委員 人材カレッジと申しますのは、先ほどもちょっと申し上げましたように、中高年齢者に対する職業訓練ということがこれからの重要な課題であるという認識が高まりつつある中で、それではどういうふうな訓練をやるべきかということについて必ずしも十分な検討がまだできていないという状況にあるわけでございますが、そういう状況を踏まえまして、高齢化社会への移行に伴って必要となる中高年齢者に対する職業能力の開発、向上のために、いわば実験的、先駆的な意味も含めまして中高年齢者向けの講座をみずからつくりまして、直接中高年齢者の需要に、こたえるということを考えますと同時に、そのような事業を行います中で経験、情報等の蓄積を進めまして、これをもとに民間における中高年齢者向けの職業訓練の普及、振興にも資していこうという趣旨で昨年の十一月につくったものでございます。
 その後の運用の状況でございますが、何分にも始まったばかりでございまして、必ずしもその利用状況は芳しいという状況にはございませんで、前年度の実績でございますが、八百人の定員に対しまして受講者が五百四人、受講率六三%というような状況にとどまっております。したがいまして、いろいろ問題はございますが、内容はむしろ受講者には評判がいいようでございまして、PRの不足といいますか、十分に皆さんに知っていただいていないということが根本原因でございますので、今後、訓練内容の充実も考えながら同時に効果的なPRの方法を研究、検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
    〔越智委員長代理退席、委員長着席〕
#177
○和田(一)委員 ぜひ喜ばれるような講座内容、それからこういうものがあるということがまだ周知徹底していないようなので、PRもしていただかなければいけないと思います。
 それから、地域職業訓練センターが新しくつくられているわけですけれども、これの運営と実績はどんなふうでしょうか。
#178
○森(英)政府委員 地域職業訓練センターは五十三年度から設置を始めておりまして、現在までにすでに二十三カ所予算化されておるところでございます。そのうちすでに運営を開始しているところが十一ございますが、その他個所づけを終わったものも含めまして、地域的には北海道に三、東北に三、関東に四、東海に三、北陸に一、近畿に三、九州に四、大体そういうふうな設置状況にございます。
 地域職業訓練センターの目的は、地域における中小企業事業主等が行う職業訓練のために必ずしも施設が十分利用できないという状況にございますので、そういう中小企業主等が行う職業訓練のために必要な施設を提供するというのが目的でございまして、これは雇用促進事業団が設置しまして、その運営は都道府県を経由して地元の事業主団体等に委託して行っているという状況でございます。地域における工業的な職種はもちろんでございますが、さらに商業、サービス業等、広くいろいろな業種の事業主、労働者等がその教育訓練ニーズに従いましてこの施設を利用して訓練が受けられるように配慮しておるところでございます。
#179
○和田(一)委員 これは将来的にはどれくらいまで進めていかれるお考えなんでしょうか。私は、生涯訓練の推進上、大変いいやり方だと思うわけなんですけれども、どの辺くらいまでこれを広げていく予定がどうか。これのいいところは、余り四角張った厳しい基準に縛られないで、弾力的に運営ができて、その地域でのそういう生涯訓練の推進に役立っていくのではないかと思うので、これがまだ設置二十三カ所と聞きましたけれども、これからどれくらいまで広げていかれる予定か、お聞きしたい。
#180
○森(英)政府委員 先生御指摘のように、地域職業訓練センター、非常に評判がよろしゅうございまして、これからも逐次設置を進めてまいりたいと考えておりますが、毎年五つとか六つとかの施設についての予算がとれている状況でございまして、将来幾つまでという最終目標までまだ決めている状況ではございません。当面今後とも順次幾つかずつ設置を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
#181
○和田(一)委員 訓練の場はそのほかにもまだたくさんあるようでございますけれども、俗に言う総訓ですか、そういったところ、あるいは職業訓練校、こういうところで教材が足らないというような声もよく聞くわけなんですが、こういった訓練をされる上に教材が整備されるということは欠かせないことだと思うのです。そういう面について、予算の面で教材が足らないというような実態なのかどうか、その辺について伺いたいと思うのです。
#182
○森(英)政府委員 職業訓練校で使用いたします機械、設備等につきましては、これは訓練科目ごとに必要とされる設備の基準が決まっておりまして、これに基づいて整備しているところでございます。また、材料費、光熱水料などのいわゆる実習経費というのがございますが、これも訓練基準に定める学科、実技を習得するに必要な経費相当額を計上しておりまして、それを物価上昇率等も勘案して毎年度実習経費の引き上げを行っているという状況でございます。したがいまして、こういう実習経費等が十分あればあるほど訓練の成果もまた上がるわけではございますが、予算の面にも限界がございまして、現在のところ、この実習経費の不足で訓練の実施に致命的な問題が起こっているというふうには理解しておりませんが、今後とも充実した訓練ができますように、予算の充実につきましては努力をしてまいりたいと考えております。
#183
○和田(一)委員 シルバー人材センターのことが先ほど出ましたのでちょっとお聞きしたいのですけれども、正式には高年齢労働者能力活用事業というのですか、これの状況、これをひとつお聞きしたいと思うのです。五十六年度予算ではどのようにこれが措置されているか、さらに、これが置かれるときに、人口規模などについても論議があったようですけれども、それはその後どういうふうに措置されているか、あわせてお聞きしたいと思います。
#184
○加藤(孝)政府委員 シルバー人材センター、昨年度から発足をいたしましたが、全国各地で着実に業績を上げて大変好評を博しておるところでございまして、現在まで全国で九十二団体がシルバー人材センターとして業務を開始をいたしておるわけでございます。いま会員数が全国で約四万七千名というような状況でございまして、一団体平均約五百名、多いところでは二千名の団体もできております。また、契約金額も大体一団体平均で五百万程度ということで、多いところでは二千八百万というような月実績を上げているところもあるわけでございます。
 また、新年度の措置といたしまして、継続分、これが百団体ございますが、新たに新年度五十団体分を加えまして百五十団体、予算も昨年六億でございましたが、新年度九億七千五百万というような増額をいたしております。また補助金額にいたしましても、昨年は六百万ということでございましたが、継続分は今後は七百五十万というようなこと、あるいはまた新規分につきましては、設立の時期によって違いますが、平均四百五十万というような形で新年度は措置をいたしております。
 また、人口規模につきまして、おおむね人口二十万以上の都市、昨年度はこういうことでございましたが、本年度につきましては、おおむね人口十万人以上の都市または地理的経済的状況あるいは高年齢者の就業規模の状況等からおおむね十万以上の都市と同規模の事業の実施が見込めるということであれば必ずしも人口十万人以上ということでなくても対象にし得るというようなことで、人口基準の緩和も図ったところでございます。
 また、補助の対象経費につきましても、従来、昨年度は人件費、活動旅費、事務所借り上げ料、備品費というのが補助対象経費でございましたが、新年度は、これに加えまして新たに技能訓練を会員に対してやるという費用につきましても補助対象に加えるというような措置を図ったところでございます。
#185
○和田(一)委員 技能訓練というと、具体的にどういう場でどんなふうにされるのでしょうか。
#186
○加藤(孝)政府委員 新しく対象経費に加えましたので、まだ広く行われているわけではございませんが、すでにやっておりますものとしては、たとえばセンターの近所に場所を借りまして、ふすま張りの講習をやるとか、あるいはまた、いろいろ修繕、家屋の簡単な修繕等につきましての実習所を設けて、そこでやるとかというような形での訓練。それからまた、造園とか花卉栽培の関係等につきましても近所のそういう場所を見つけまして、樹木草花等のいろんな手入れ等の講習をやるというような形のものが実例としては行われておるわけでございます。
#187
○和田(一)委員 最初は二十万でしたか、それが人口規模も広げられて、それからまた参加する人も大変ふえてきている。こういう実態の中でこれがまたこれからもどんどん活用されるようになると、年齢も何か当初は六十から六十五歳という強い限定があったようですが、六十五歳にこだわらないというように広がってくると、だんだんこれを利用し、活用していくという人もふえるわけなんです。仕事は危険な仕事は少ないだろうとは思いますけれども、やはりその中で事故、傷害、そういったものが発生しないとは限りませんけれども、そういったものができた場合の対策、これは現状の労災保険の適用は無理なのではないかと思うのですが、そういうことに対して、対策はおありになるのかどうか。
#188
○加藤(孝)政府委員 御指摘のように、いろいろな就業の場での災害の問題は私どもも留意をしておるところでございます。ただ、御指摘ございましたように、シルバー人材センターと会員との関係が雇用関係でございませんで、そういう意味で労災保険の適用というのは無理がございます。しかし、やはりその点についての何らかの配慮をしていかなければならぬわけでございまして、そういう意味で私ども検討を続けてまいりまして、ことしの四月から民間の傷害保険制度の一環としましてシルバー人材センター団体傷害保険制度というものが発足をいたしたわけでございます。
 これは、年間八百二十二円の保険料で、死亡とか後遺障害に対しまして二百万円の保険金が出る、あるいはまた、入院の場合には日額三千円、また通院の場合には日額二千円、こんなような形のシルバー人材センター団体傷害保険というようなものを発足させたわけでございまして、これによりまして少しでも会員の方々が安心して就業できるようにしていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
#189
○和田(一)委員 団体保険ということでしたので、個人個人の保険加入ではなくてセンターごとに加入される、こういうことですか。
#190
○加藤(孝)政府委員 おっしゃいますように、センターが一括して金額を納入いたしまして、そしてどなたがそういう傷害を受けられても対象になる、こういう形でございます。
#191
○和田(一)委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、冒頭申し上げましたように、中高年齢者の対策というものがこれからの労働行政の大変大事な課題であると思いますし、それらについてのそれぞれの対策がどうぞひとつきめ細かく行われますように希望いたしまして、終わります。
#192
○國場委員長 辻第一君。
#193
○辻(第)委員 私は、タクシー労働者の問題についてまず質問をいたします。
 私は昨年の三月の予算委員会で、タクシー労働者の問題について運輸省、労働省に対して、その劣悪な労働条件の改善、車両の整備や管理の問題を取り上げ、改善を求めました。
 それまでの奈良県のタクシー労働者の状態、本当に厳しい、劣悪な労働条件でありました。ことに一カ月の総労働時間が三百時間を超えるというのがざらにある。ひどいのは四百時間も働いたというケースがありました。当然その賃金制度はいわゆる累進歩合制度がほとんどであります。また、車両の整備に関してもあるいは管理に関しても非常に不備な状態でありました。こういう状況の中で新しく労働組合が次々と生まれ、タクシー労働者が本当に体を張ったような長い厳しい運動や闘いの中で、そして多くの労働者の励ましの中で大きな成果を上げてきているわけであります。当然陸運事務所や労働基準監督署、労基局の方々の大変な御努力もいただいたということは感謝をしているわけであります。
 車両の問題は 定の改善を見ました。お客や労働者からも大変口ばれたところであります。しかし、労働時間や一金などの労働条件については、わずかではありますが改善を見たのでありますが、まだまだ大変深刻な状況であります。いまだにほとんどの会社が累進歩合制を採用いたしております。そして、固定給などで言えば二万円台とか三万円台というのが相当数あるというのも現状であります。また、年次有給休暇というものがほとんど保障されていないとか、ボーナスは涙金、退職金はほとんどないというようなところもたくさんあるということであります。それから、後で述べるわけでありますけれども、残業手当とか深夜手当が規則どおりに払われていない、不十分な払われ方しかしていない、こういう問題もあるわけであります。それで、きょうは主に賃金問題を中心にして質問をしたい、このように思っております。
 まず、労働省から旧二・九通達にかわりまして昭和五十四年一二・二七通達が出されまして、昨年から施行されたわけであります。そして、このようなパンフレットも出していただいたということでありますが、この新しい通達の内容にのっとってどのような措置をとられてきたのか、お聞きをしたいと思います。
#194
○岡部説明員 新二七通達につきましては、ILO条約等を踏まえまして新しい現在時点におけるあるべき改善基準ということで発出したわけでございます。これは周知期間を経まして昨年から具体的な施行段階になったわけでございます。昨年の十月一日からこれを実際に発動いたしまして、全国的な一斉監督も実施をいたしましてこれの普及に努めているところでございます。
 この内容の多くの部分は労働時間の新しい基準の徹底ということでございますが、賃金関係につきましては、先生御指摘のとおりに、一つには保障給の定め、それからもう一つは賃金制度といたしまして累進歩合制度の廃止というところに眼目を置いて指導をしている次第でございます。
#195
○辻(第)委員 それでは、労働大臣にお尋ねをしたいと思うわけであります。
 いま出ました累進歩合制度でありますが、今度は、新しい通達では累進歩合制度を廃止することとはっきりうたわれているわけであります。しかし、これまでの歴史的な経過を見てまいりますと、二・九通達にも同様のことがうたわれておりました。しかし、現在の時点でも、奈良県におきましては累進歩合制というのはほとんどとっておるという現状です。これは奈良県だけが特におくれているのではなしに、奈良県もおくれているかもわかりませんけれども全国的にこの問題は残っている、当然そういうことだからこういう通達を出されたと私は思うのでありますが、前の二・九通達がずっと出されておっても現在の時点でそういうことだ、こういうことであります。
 しかも、この累進歩合制というのはきわめて不安定な給与ですね、その月によっていろいろ水揚げが変わりますから。私も国会へ出てまいるまでは医者をしておったわけでありますが、私の患者さんにタクシー労働者がたくさんおりました。それで、その月の決めのところまであと一週間ぐらいのときに、たとえばかぜできつい熱が出ても、休まなければいかぬと何ぼ言っても乗るわけですね。というのは、一定の水揚げにならないと収入がうんと減るという状況なのでそういうことが起こる。そういうことで、生活の不安定さ、また健康上の問題、そしてそのような状態で、三百時間、ひどい人は四百時間も働くわけでありますから、非常に過労な状態で運転をされますと非常に危ないですね。こういうことがやられてきた。交通事故の問題、こういうことも含めて、私はこの累進歩合制というものは一刻も早く廃止をしなければならないと考えております。そして、今度の通達でははっきりと、廃止することと書かれておるわけでありますが、この累進歩合制度について大臣のお考え方、そして本当にこの問題をどのようになくしていくのかということの御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
#196
○藤尾国務大臣 私も詳しいことは知りませんので、まことに不敏でございますけれども、ともかく健康状態も非常に損なわれるとか、交通の安全にも関係をするとかというようなことが公然とまかり通るようなことを私どもが見逃していくわけにはまいらぬわけでございまして、こういったいままでのタクシー業界の慣行は一日にしてさらっと直るというわけにはなかなかいかぬだろうと私は思いますけれども、しかしながら、これはある時点におきまする踏み切りが大事でございます。いつまでもずるずるというわけには私どももまいらぬということでございますから、一つの目標を立てさせまして、その目標時点までにどのような経路をたどって改善措置をとりながらそれを改めていくかという改善計画をそれぞれ立てさせまして、それによっておっしゃるような歩合制度といういままでの旧習、そういったものを改めさせていきたいと考えますし、必ずそのように指導をさせるつもりでございます。
#197
○辻(第)委員 どうかいま大臣がおっしゃられた御決意のことを必ずやっていただきたい、重ねてお願いをする次第でございます。
 次に、保障給の問題であります。これも当然重要課題の一つであると思うわけでありますが、通達では「労働時間に応じ、固定的給与と併せて通常の賃金の六割以上の賃金が保障されるような保障給を定めるものとする。」こういうふうになっております。全国的にどの程度達成されているのか、現時点の状態をお聞きをいたします。
#198
○岡部説明員 保障給がどれぐらいであろうかということは直接的な調査はなかなかないわけでございますが、私ども、この六割の確保ということで行政を進めております。
 一つは、五十三年十一月に行いました調査によりまして、賃金の中に占める固定的な給与の割合を調べております。これが御質問の保障給がどれぐらいであろうかということに大体相応すると思います。その数字を言いますと、六割以上の固定的給与がある、つまり保障給が六割以上確実に確保されているというものが七三・七%でございますが、反面、二六・三%が六割未満ということになっております。この中に六割基準というものを達成していないものがかなり含まれているというふうに考える次第でございます。
#199
○辻(第)委員 いまの数字、私はどうしても甘いと思いますね。奈良で見てみますと、一、二社を除いてはほとんど六割の保障給というところに到達をしていないというのが現状であろう、こういうふうに思います。ですから、全国的にもそれに近い数字ではないか、こういうふうに思いますね。
 それから、この保障給を定めるということは、やはり、たとえば労働協約に明記をするとか賃金制度の中に書くとか、単に口で言っているだけではなしに文章化されるべきであると思いますが、この辺はどうでしょうか。
#200
○岡部説明員 その点はおっしゃるとおりでございまして、賃金といいますのは労働条件の中でも最も重要な部分でございまして、これにつきまして労働条件の明示をしなければならないということで、就業規則におきまして必ず記載すべき事項に相なっているわけでございます。したがいまして、いま御指摘のような点も定められるべきであると同時に、また労使関係の中でも、この点につきましては労使の御努力によりまして明確に労働協約に規定されるよう、争いのない形で規定されるように、労使の御努力もまた期待いたしたいというふうに考えます。
#201
○辻(第)委員 いま私は一二・二七通達の、主に賃金に関係する部門についてお尋ねをし要望をしたわけでありますが、どうか本当にこの基準をやり遂げるような御努力をいただきますように重ねて強く要望をして、次に移りたいと思います。
 残業手当、深夜手当などについてお尋ねをいたします。
 労働基準法では、残業手当や深夜手当については二五%の割り増しが規定をされているわけであります。現に奈良県ではこれが規定どおり支払われていないという訴訟にまでなっている例があります。それ以外にも同じような例があります。これについてはどのように対処をされるのか、お答えをいただきたい。
#202
○岡部説明員 労働基準法三十七条によりまして、時間外労働及び休日労働につきまして割り増し賃金について法的に強制されているわけでございます。通常の労働時間または労働日の賃金の二五%以上の率で計算した金額を支払わなければならないというふうに規定されておるところでございまして、労働基準監督機関といたしましては、従来からこの適正な支払いということにつきましては重点的に監督指導を行っているわけでございます。したがいまして、問題の認められました事業場に対しましては是正を回らせてきておりますし、また今後ともその方針を貫きたいというふうに考えております。そのような事実が発見されました場合には、ひとつ最寄りの労働基準監督機関に申告をいただくとかその他の方法で御連絡をいただけますれば、これは調査をいたしまして是正を図るということで、法定の最低基準の確保ということにさらに努めてまいりたいというふうに考えております。
#203
○辻(第)委員 いまお答えになったように、本当に積極的に解決のために御努力をいただきたい、こう思います。
 次に、タクシー運賃改定と労働条件の問題についてお尋ねをいたします。これは主に運輸省にお尋ねをしたいと思います。運輸省の方、お越しですか。
 タクシー運賃に占める人件費の比率はどのようになっているのか、まずお尋ねをいたします。
#204
○寺嶋説明員 お答えいたします。
 五十四年度におきましては、本省の調べによりますと、ハイヤー・タクシー事業の経常経費におきます人件費の比率は七三・七%を占めております。
#205
○辻(第)委員 タクシー運賃に占める人件費の割合、いま七三%あたりとおっしゃったわけでありますが、相当高いですね。他の業種と比べてどうなのかということをお尋ねをしたいわけでありますが、私の聞いているところでは、全産業で、三十人以上の労働者のおる事業場、その平均の年間所得に比べますと、タクシー労働者の年間所得、これは東京だそうでありますが、大体百万円ほど低い、こういうふうに聞いておるわけであります。タクシー労働者の賃金は他の業種と比べて低いということでありますが、運輸省は具体的にどのようにおつかみになっているのか、お尋ねをいたします。いま言ったのは全産業と比べてですね。
 それともう一つは、バス・トラックの労働者と比べてどうなのか、この二つお答えをいただきたいと思います。
#206
○寺嶋説明員 お尋ねの件でございますが、賃金比較はなかなかむずかしい問題でございますが、労働省で編集発行されております昭和五十四年の賃金構造基本統計調査報告をもとにいたしまして私どもで算出いたしましたところによりますと、ハイヤー・タクシー産業におきましては、一人当たり年間給与が二百六十万六千円、それから、同じ調査報告をもとにいたしまして全産業の男子労働者の平均をとりますと三百十五万六千円いそれから営業用のバスの運転者の賃金は三百七十三万四千円というふうになります。それからトラックにつきましては、これは労働省の数字がございませんので、全日本トラック協会が編集発行しております昭和五十五年版の「トラック運輸事業の賃金実態」という調査がございますが、これをもとに算出いたしますと、路線トラックで年間三百三十三万円、それから区域トラックでは三百二十五万五千円、こういうふうになります。
 したがいまして、ハイヤー・タクシー産業におきましては、他産業あるいは全産業と比べましてかなり低い水準にあるということは言わざるを得ないかと思います。
#207
○辻(第)委員 いまのお答えから見てみましても、ハイタク労働者の賃金が非常に低いということが明らかになりました。しかも、タクシー労働者というのは、先ほども私申しましたように、いわゆる超長時間労働というようなところが多いわけですね。それから累進歩合制、こういうふうに労働条件は本当に劣悪だ。まあ体をすり減らしてがんばっておる、こういうところでの賃金がなおかつ非常に低いということであります。それから、運賃に占める人件費の割合が非常に高い。これはタクシー労働者は平均一・四人の客を乗せて走っておられるそうでありますが、そういう点で非常に労働集約的な仕事であるということから当然であろうと思うのですね。
 こういうふうに、いまの答弁も含めてタクシーについては運賃に占める人件費の比率が高い、また賃金が低いということが明らかであります。
 そこで、お尋ねをするわけではありますが、運賃改定に伴う労働条件の改善ということがきわめて重要な課題である、こういうふうに思うのですが、運輸省としてはどのようにお考えになっているのか。
#208
○寺嶋説明員 ただいま先生御指摘のとおり、運賃の改定に際しましては、従来ともタクシー労働者の労働条件が改善されるようにということで事業者を指導してまいっておるところでございます。今後も六大都市を初めとしましてタクシー運賃改定事案が控えておるわけでございますが、当省といたしましては、従来同様あるいは従来にも増してこの方向で事業者を指導していきたいというふうに考えております。
 なお、個別的具体的な労働条件につきましては、もちろんその労使間で話し合いをされるべき問題でありまして、そこまで役所が介入すべき問題ではございませんけれども、運輸省といたしましては、先ほど申し上げたように、運賃改定の効果が労働条件の改善につながるようにという指導はしていく所存でございます。
#209
○辻(第)委員 そして、運賃改定に伴う労働条件の変更に関して労使の紛争というのがかなりあるわけですね。これはやっぱり大きな問題だと思うのですね。ですから、運賃改定に伴う労働条件改善のために、運輸省はいまおっしゃったような観点で十分な指導や措置をとっていただきたい、このことを要望いたします。
 それから、労働省に今度はお尋ねをするわけでありますが、運賃改定に伴う労働条件の改善、このあり方についてはいま明らかになったというふうに思うのですけれども、労働省として運賃改定に伴う労働条件の改善を図るためにどのような措置をとられるのかお尋ねをしたいと思います。
#210
○岡部説明員 先生御承知のとおり、運賃改定がございますと、その水揚げがまず違ってくるわけでございます。そういたしますというと、水揚げの中でその歩卒と申しますか、どれくらいの率を掛けてその運転手の取り分が決まるかという、いわゆる足切りというものがいろいろ決まっていくというふうなことで、これはその都度労使間できわめて慎重に話し合いが行われるというのが、運賃改定時におけるいままでの慣例でございます。したがいまして、これは労使の大きな関心事でございます。これは賃金の決定ということでございますので、一言で申しますというと労使自治の原則と申しますか、労使が話し合ってこれを決めていくということでございます。その際、私ども労働省の方として業界あるいは労使に要望したいと思いますことは、やはり二七通達というものが生かされますように、それがそのような機会に少しでもよい方向に動くようにというふうな形で、私二七通達が生かされる方向でその労使の話し合いというものが実るように、そういう形で指導をしてまいりたいと思います。
#211
○辻(第)委員 そうしますと、たとえば昭和五十四年の運賃改定のときに千葉の労働基準局長は業者団体に指導文書を出しておられます。このようなこともされるということでしょうか。
#212
○岡部説明員 タクシーをめぐります諸問題といいますのはきわめて地域的な特色がございまして、各県によってまちまちでございます。したがいまして、どのような指導が適切かというのは、それぞれ各局の独自の判断でいたすというふうなことに相なろうかと思います。
#213
○辻(第)委員 ぜひ積極的に対策をとられたいと要望いたします。そして、タクシー労働者の賃金問題を中心とする労働条件の改善を促進するということは、何度も申しますが、四十万ハイタク労働者の生活や健康や権利を守る上でも、交通事故を防止し、安全な輸送を確保する上でも本当に重要な問題である、こういうふうに思います。
 改めて、この賃金問題を中心とする労働条件の改善、その促進、このことに関して労働省の決意をお伺いをしたいと思います。
#214
○吉本(実)政府委員 私どもも、先生御指摘のように、労働条件の確保ということを中心にしながら、この新しい二・九通達はまさにそういった趣旨でつくってあるわけでございますから、そういった点についてさらに徹底していくということを考えております。
#215
○辻(第)委員 続いてそれでは、運輸省としての御決意を承りたいと思います。
#216
○寺嶋説明員 運輸省といたしましても、運賃改定の機会あるいはそれにとらわれず、常々タクシー労働者の労働条件の改善について指導しているところでございまして、今後ともその方向で進めていきたいと思っております。
#217
○辻(第)委員 よろしくお願いします。
 それでは、次の問題に移りたいと思います。
 労災保険の問題についてお尋ねをいたします。労災保険の加入促進については、私は労働行政の一つの中心的な課題であるというふうにも思うのですが、労働省はこの加入促進についてどのような措置を講じられてきたのか、お尋ねします。
#218
○谷口(隆)政府委員 御案内のとおり、労災保険は現在労働者を一人でも雇っておりますと適用になっております。いわば全面適用でございますので、できるだけ把握適用を進めていくという基本的な考えでございますが、何しろ現在未適用になっております大部分のものは、五十年四月から適用になりました五人未満の商業とかサービス業等の零細事業でございまして、これらの事業につきましては、変動が激しいとかあるいはまたそういう保険関係の事務の処理能力が乏しいとかというようなことから、なかなか十分な適用が進んでいないのが現状でございます。
 そこで、そういう観点に立ちまして適用を促進してまいらなければならぬわけでございますが、いま申し上げましたように、未適用の大部分が零細事業であるということ、あるいは私ども第一線の行政機関の行政体制というようなものから見ましても、できるだけ事業主に理解をしていただいて適用されるように進めていく。またそのためには、事業主団体等を通じて把握を進めていく、こういうようなことで進めていかなければならぬと思っておりますが、具体的には御存じのように労働保険事務組合というものを通じて、適用、保険料の徴収等の仕事もしてまいっておりますが、そういう事務組合の委託の促進を進めるとかいうようなことで、事務組合の活用及び育成の強化、それから事務処理体制の問題といたしましては、できるだけ保険関係で電子計算機等を活用しまして事務処理を効率化しながら、あわせて必要な増員も確保する、そういうようなことで行政体制も確保しながら進めていきたい。同時に、特に今年度からは民間の有識者の方々に労働保険適用推進協力委員ということで委嘱いたしまして、官民一体によります労働保険制度の啓蒙普及というようなことも努めておるところでございます。
#219
○辻(第)委員 それでは、いま全国で労災適用をすべき事業所がどれくらいあるのか、またすでに加入された事業所はどのくらいなのか、これを全国とそれから奈良県でわかりましたら教えていただきたい。
#220
○谷口(隆)政府委員 労災保険が現在適用いたしております適用事業場の数は五十四年度末で百七十六万四千事業場、適用労働者数で三千七十六万人でございます。これらの適用事業なり適用労働者数が、その適用されるべき事業なり労働者のどのくらいを占めるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、零細事業につきまして正確に把握することが非常に困難でございますので、たとえば事業所センサス等と比較をしてみますと、事業所センサスの把握の対象と労災保険の対象は違うわけですけれども、五十三年の事業所センサスの数字と比較いたしますと、三百三万事業所に対しまして、先ほど申しました百七十六万四千というのは五八二一%ということでございます。ただ、もちろん十分というわけではございませんが、労働者数で見た場合は、三千二百七十四万人の九四%程度が適用になっておる、こういう状況でございます。奈良県につきましては、適用事業所の適用率で七一・七%というような数字が手元にございます。
#221
○辻(第)委員 事業所の数でいけばまだまだ十分でないというのが現状であろうと思います。どうか労災保険の加入を促進するために御努力をいただきたいと思います。
 それと、労災保険は、その加入の有無にかかわらず、労災事故があれば適用されるということですが、特に未加入の場合に労災事故があった場合、その会社で引き続き働く意思を持った労働者はほとんど申請をしない、泣き寝入りになっている、こういうふうに言われておりますし、そういう人を何人か私は聞いておるわけでありますが、こういう点でもぜひ加入の促進の御努力をいただきたい、こう思うわけであります。
 私はいま労災保険の問題でお尋ねをしたわけでありますが、このように労災保険にすら入っていらっしゃらない、あるいはもっと言えば、雇用保険にも入っていらっしゃらない、こういうような、本当に恵まれない労働者と申しましょうか、厳しい状況、無権利の状態に置かれた労働者というのは非常にたくさんまだおられますね。こういう方を労働省は、救済すると言うといけませんが、どうしても保護していただく、労働条件を本当に守っていただく、そのための真剣な御努力をいただきたい、こういうふうに思うのですが、その点ではどうお考えになっているのか、お尋ねをいたします。それと、本当にやる気があるとおっしゃるのなら、その体制があるのかどうか、この点も重ねてお尋ねをしたいと思います。
#222
○谷口(隆)政府委員 労災保険とか雇用保険の適用につきましては、先ほど労災保険の適用でお答えいたしましたような状況でございますが、これも御案内のことと思いますけれども、未適用の事業所で障害を受けるとかあるいは失業するというような方が出られた場合には、未適用の事業所でございましてもそういう労働者の方々には保険給付を行う、しかもその事業所を把握して保険料を徴収して適用事業にしていく、こういう仕組みでございますので、そういうようなことを通じて、零細事業所の労働者の方々の福祉に欠けることのないように、労働行政としても万全の措置を図ってまいりたいと思うわけでございます。
 二番目に御指摘の労働行政の体制の問題につきましては、私どもの方から見ますと、残念ながら年体として四十三年から定員削減ということが進められておりますし、特に最近は行政改革ということで非常に厳しい財政事情、定員事情の中でございますので、そういう中で先ほど来御指摘のございますような労働者の労働条件なり福祉の問題をどう改善確保していくかというようなことにつきましては、できるだけ事務処理の体制を合理化する、効率化するというようなこともいたしておりますし、また民間へ業務を委託するというようなことも進めながら、必要な増員につきましては、定員削減の中でございますけれども、重要な業務等に視点を置きながら努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#223
○辻(第)委員 もう一度お尋ねをいたします。
 いまいろいろと、努力をしたい、こういうふうにおっしゃいましたけれども、正直なところいまの体制でできますか。それはどうでしょう。
#224
○谷口(隆)政府委員 政府全体の情勢の中で進めていくことでございまして、定員削減とそれから増員というものが年々予算編成のときに結果として出てまいりまして、残念ながら労働行政におきましては、差し引きでは最近は純減のような形で続いておりますけれども、そういう中でも業務の重要性を考えながら職員配置をするとか、先ほど来言っておりますような電算機を導入する事務処理体制の効率化で浮いた人員をそういうところへ回すとか、業務の民間委託をするとか、そういうようなことを総合的に進めながら対処していかざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
#225
○辻(第)委員 どうもいまのお答えは、本音じゃなしにたてまえであったように思うのですが、奈良の現実の状態を見ましても、たとえば振動病なんかも年々ふえておりまして、五十三年には百三十六人、五十四年には百九十八人、五十五年には二百八十五人というふうにふえて、この休業補償業務などだけでも大変な状態になってきておる。労働者の保護のためには監督官が果たす役割りというのは本当に重要である、こういうふうに思うのですが、奈良県の例で見ますと、三十年間に事業所が六・三倍になっていますが、監督官は三割しかふえていないのですね。これでは十分な労働基準監督の行政ができないというふうに私は思うのです。いま奈良県には二十八人の監督官がおられるのですが、局長だとか署長さんだとかを除きますと、第一線の監督業務に働ける方は十三人ぐらいだろう、こういうふうに聞いているのですね。私も第一線の労基関係の方、監督官の方といろいろとお話をしたこともあるのですが、昔の言い方で言えば、本当に粉骨砕身というような大変な激務をこなしておられる、いっぱいすることがあるという状況の中で走り回っておられる。そうなりますと、一人の人間がこなせる量というのは、これは物理的に限度がありますね。ですから、私が見ておるのは、総花的にちょっとずつしかできない、重点的に思い切ったことができないというような状態ですね。ですから、逆に国民の側から見れば、いろいろがんばってくれているけれども、十分なことをしていただけないというようないら立たしさを感じているというのが現実の姿である。私は大臣、本当にこのような状態、労働者の労働条件を改善し、労働者の生活や権利を守るという重要な課題から見ますと、どうしても監督官を初め労働省の第一線の職員をもっとふやしていただきたい、そのための御努力をいただきたいということを強く要望するわけでありますが、それは後でもう一度お聞きすることにいたしまして、次に職安の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 この職安関係も、奈良では県の職安課や雇用保険課、そして公共職業安定所、ここでやはり定員削減、人員削減がずっとやられているわけですね。ところが現実は、いまの不況、それから大企業の減量経営というような状況の中で失業者がふえております。もう時間がありませんので丁寧に申すことができなくなりましたが、求職者はふえておりますね。ところが求人はふえていないということでありますし、また中高年者の失業者がふえ、求職者がふえておる、また心身障害者の求職者がふえておる、ところがむろん求人というのはなかなかないということですね、こういう状態であります。いま申しました中でも中高年者あるいは心身障害者の方、このような方の雇用を拡大するためには、簡単にはいかぬと思うのですね。これはやはり求人の開拓あるいは啓蒙とかいろんなことが、大変な努力がそこに必要になってくる。ところが逆に人員が減ってきておる、これではまともなことができるはずがないと私は思うのですね。話に聞きますと、忙しいときには一人の職員の方が二人の人を相手にしてお話をするようなときもある、こういうことも私は聞いたわけでありますけれども、これは本当に深刻な問題だというふうに思っているわけであります。
 それと、ことしは国際障害者年の二年目なんですが、この障害者の求職の方がふえておりますね。奈良県で見ますと、求職申し込み件数ですね、四十五年には百九十七人だったのが五十四年には四百八十人になっている。このように二・五倍になっているのですね。それから、心身障害者の登録件数で見てみますと、四十五年は五百五十三人だったのが五十四年には千七百五十八人、こういうようにふえておるわけですね。こういう状態の中で、心身障害者の雇用の問題を積極的に解決していく、その具体的な対策を何かやっておられるのかどうか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
#226
○関(英)政府委員 御指摘がございましたように、第五次定員削減計画の中で、私ども一方で増員にも努めておりますが、結果的には安定行政関係の定数も純減ということになっております。そういう意味で、五十六年度におきましても、奈良県におきましても一名か二名だったと思いますが、純減という形になっております。しかしながら、これもまた御指摘ございましたように、中高年齢者の雇用対策なり心身障害者の雇用対策なり、私どもこれから最重点課題として取り組んでいかなければならないと思っております。一つの方法として、雇用保険の業務をトータルシステムという形ですべて電算システムに乗せて簡易に電算機ですべての処理をしてやっていくというようなことをことしの七月から導入するようにいたしております。そういったことによって多少浮いてまいります人員を重点事項に配分していく、そういうことによって積極的な求人開拓をしていくように努めていきたいと思っております。
#227
○辻(第)委員 最後に大臣にお尋ねをいたしますが、いまのように労基局あるいは職業安定所は本当に深刻な人手不足でありまして、国民の切実な要求に十分こたえかねているというのが現状ではないかと思います。しかし、労働者の労働条件を改善し生活や健康や権利を守るということは本当に重要な課題であります。どうか、いまの一律的な定員削減ということに負けないで、本当に国民を守っていくという立場から増員の御努力をいただきたい、このことを要望するわけでありますが、大臣としての御見解を承りたいと思います。
#228
○藤尾国務大臣 非常に御同情に富むといいますか、いろいろの御激励もちょうだいをいたしたりおほめの言葉もちょうだいをいたしたり、きわめて複雑な気持ちでございますけれども、仰せのとおり、お働きになっておられまする方々の健康と福祉とそして労働条件の改善のためにやっていくということが私どもに与えられました行政の根幹でございます。したがいまして、多少とも――なるほどいまのような時勢でございますから、財政上どうしても小さな政府でなければならぬということで行政整理をしていかなければならぬという一つの政府の大方針のもとにおきまして、しからばこれだけの人数がいればこれだけのことができるから人間をふやしてくれ、もちろんこれはふやしてくれるにこしたことはございませんから、そういったこともお願いをすべきところはお願いをいたしますけれども、しかしながら、人間が足りないからそれじゃ仕事はそれだけ少なくても済むのかというようなわけにはまいらぬわけでございまして、そこはいま職業安定局長が申し上げましたように、機械化というようなこともございますし、ありとあらゆる方法を駆使いたしまして、そうして国民の御要望といいまするものにこたえ、そうして私どもの責任を果たしていくということをやるというのが私どもの当然の責任でございます。先ほど来、辻先生のお国元の奈良県におきましていろいろな不首尾が行われておるじゃないかというようなお言葉がございましたけれども、それはなるほど手の足りないところもございますし能力の落ちるところもございましょう。しかしながら、たとえば基準監督行政におきまして署長がやっちゃいかぬとか局長がやっちゃいかぬとかいうことじゃないわけでございますから、必要とあらば局長であろうが署長であろうがあるいは本省から増員をいたしましてもやらなければならぬことはやらなければいかぬですから、やらせます。そういうことで、いかなる事態に対しましても国民の皆様方から御指弾を受けるというような労働行政はやらせないつもりでございますから、どうぞひとつ御安心あってお任せいただきたい。
#229
○辻(第)委員 その署長さんが全然やっておられないということじゃないのですよ。やっておられるのですけれども第一線でそれに専念できない、こういうことを申し上げたのでその点はひとつ……。
 もう時間が参りましたので、これで終わります。
#230
○國場委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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