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1980/02/27 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 予算委員会第三分科会 第1号
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1980/02/27 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 予算委員会第三分科会 第1号

#1
第094回国会 予算委員会第三分科会 第1号
本分科会は昭和五十六年二月二十三日(月曜日)
委員会において、設置することに決した。
二月二十六日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      上村千一郎君    鴨田利太郎君
     小宮山重四郎君    後藤田正晴君
      澁谷 直藏君    宮下 創平君
      大原  亨君    野坂 浩賢君
      坂井 弘一君    林  保夫君
二月二十六日
 上村千一郎君が委員長の指名で、主査に選任さ
 れた。
―――――――――――――――――――――
昭和五十六年二月二十七日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席分科員
   主査 上村千一郎君
      鴨田利太郎君   小宮山重四郎君
      後藤田正晴君    澁谷 直藏君
      宮下 創平君    伊賀 定盛君
      上原 康助君    大原  亨君
      久保  等君    新盛 辰雄君
      永井 孝信君    野坂 浩賢君
      水田  稔君    矢山 有作君
      坂井 弘一君    林  保夫君
      三浦  隆君
   兼務 稲葉 誠一君 兼務 野口 幸一君
   兼務 大橋 敏雄君 兼務 鍛冶  清君
   兼務 鳥居 一雄君 兼務 岩佐 恵美君
   兼務 瀬長亀次郎君 兼務 中路 雅弘君
   兼務 藤原ひろ子君 兼務 四ツ谷光子君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 藤尾 正行君
 出席政府委員
        警察庁長官官房
        長       金澤 昭雄君
        労働大臣官房長 谷口 隆志君
        労働大臣官房会
        計課長     高橋 伸治君
        労働省労政局長 細野  正君
        労働省労働基準
        局長      吉本  実君
        労働省婦人少年
        局長      高橋 久子君
        労働省職業安定
        局長      関  英夫君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 加藤  孝君
        労働省職業訓練
        局長      森  英良君
 分科員外の出席者
        沖繩開発庁総務
        局企画課長   野村 誠一君
        大蔵省主計局主
        計官      安原  正君
        文部省大学局学
        生課長     菴谷 利夫君
        厚生省公衆衛生
        局精神衛生課長 野崎 貞彦君
        厚生省社会局更
        生課長     板山 賢治君
        通商産業省生活
        産業局日用品課
        長       坂本 春生君
        労働大臣官房参
        事官      田代  裕君
        労働省労働基準
        局監督課長   岡部 晃三君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 若林 之矩君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十七日
 辞任         補欠選任
  大原  亨君     新盛 辰雄君
  野坂 浩賢君     吉原 米治君
  林  保夫君     小沢 貞孝君
同日
 辞任         補欠選任
  新盛 辰雄君     久保  等君
  吉原 米治君     伊賀 定盛君
  小沢 貞孝君     三浦  隆君
同日
 辞任         補欠選任
  伊賀 定盛君     野坂 浩賢君
  久保  等君     水田  稔君
  三浦  隆君     林  保夫君
同日
 辞任         補欠選任
  水田  稔君     永井 孝信君
同日
 辞任         補欠選任
  永井 孝信君     矢山 有作君
同日
 辞任         補欠選任
  矢山 有作君     上原 康助君
同日
 辞任         補欠選任
  上原 康助君     大原  亨君
同日
 第一分科員野口幸一君、鍛冶清君、鳥居一雄
 君、岩佐恵美君、藤原ひろ子君、第二分科員稲
 葉誠一君、第四分科員瀬長亀次郎君、中路雅弘
 君、第五分科員大橋敏雄君及び四ツ谷光子君が
 本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十六年度一般会計予算
 昭和五十六年度特別会計予算
 昭和五十六年度政府関係機関予算
 (労働省所管)
     ――――◇―――――
#2
○上村主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
 本分科会は、昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算中厚生省、労働省及び自治省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたしたいと存じます。
 まず、労働省所管について説明を聴取いたします。藤尾労働大臣。
#3
○藤尾国務大臣 昭和五十六年度一般会計及び特別会計予算のうち労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。
 労働省の一般会計の歳出予算額は、四千九百九十億九千八百万円で、これを前年度予算額四千九百二十一億円と比較いたしますと、六十九億九千八百万円の増加となっております。
 次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。
 この会計は、労災勘定、雇用勘定、徴収勘定に区分されておりますので、勘定ごとに歳入歳出予定額を申し上げます。
 労災勘定は、歳入歳出予定額とも一兆三千六百四十二億九千四百万円で、これを前年度予算額一兆二千五十七億二千三百万円と比較いたしますと、一千五百八十五億七千百万円の増加となっております。
 雇用勘定は、歳入歳出予定額とも一兆六千七百八十二億六百万円で、これを前年度予算額一兆五千八百二十四億八千百万円と比較いたしますと、九百五十七億二千五百万円の増加となっております。
 徴収勘定は、歳入歳出予定額とも二兆一千百九十六億四千五百万円で、これを前年度予算額一兆九千九百三十億九千五百万円と比較いたしますと、一千二百六十五億五千万円の増加となっております。
 最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計の石炭勘定のうち当省所管分といたしましては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として百九十二億七千五百万円を計上いたしておりますが、この額は、前年度予算額百八十二億四千二百万円と比較いたしますと、十億三千三百万円の増加となっております。
 以下、この労働省予算の重点事項につきまして、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。
 よろしく御審議のほどをお願い申し上げる次第でございます。
#4
○上村主査 この際、お諮りいたします。
 労働省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○上村主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔藤尾国務大臣の説明を省略した部分〕
 次に、その主要な内容について概略御説明申し上げます。
 第一は、高齢化社会に対応する高年齢労働者対策の着実な推進に、必要な経費であります。
 平均寿命の伸長、出生率の低下傾向を背景にわが国社会の高齢化は世界に例を見ない速度で進むことが予想されます。わが国経済社会の活力を今後とも維持していくために、高齢化社会に対応する施策を推進していくことが重要であります。
 このため、まず、昭和六十年までに六十歳定年が一般化することを目標に、定年延長に関する労使間の合意や、社会的機運の醸成を一層促進するため、地域別定年延長研究会の拡充や高年齢者雇用率の達成指導の強化等の行政指導を積極的に展開するとともに、高年齢者職場改善資金融資制度を創設し、定年延長への動きをより確実なものとするために努力してまいります。また、今後、高齢化の波が移っていく六十歳台前半層についても、高年齢者雇用確保助成金の新設等により企業の実情に応じた六十歳以上への定年延長を含めた雇用の延長を促進し、シルバー人材センターの育成援助を進めることなどにより就業機会の増大を図ることとしております。さらには、高年齢者職業相談室の増設、人材銀行の活動の充実等職業紹介体制の強化、高年齢者向けの職業訓練の拡充などを行うこととしております。
 以上の諸施策とともに、高齢化社会問題研究会において、高齢化社会の到来に備えて長期的な観点からの対応策を検討することとしております。
 これらに必要な経費として八百六十三億九百万円を計上いたしております。
 第二は、国際障害者年を契機とする心身障害者対策の積極的推進に必要な経費であります。
 本年は国際障害者年であります。国際障害者年のテーマは「完全参加と平等」であり、雇用機会の創出が国際障害者年の五大目的の一つに掲げられています。
 心身障害者が働く場を得て、その持てる能力を十二分に発揮できる社会を実現するための施策を強力に展開してまいります。
 まず、心身障害者の雇用機会を確保するための対策として一身体障害者雇用率達成指導の強化、心身障害者重点公共職業安定所の指定、身体障害者職業相談員の新設等による職業紹介体制の強化、心身障害者職業センター機能の充実による職業能力の評価体制の確立等を図ることとしております。次に身体障害者職業訓練校の拡充を行う等心身障害者リハビリテーション体制の総合的推進を図るとともに、通勤対策の充実等による心身障害者を取り巻く雇用環境の整備充実に努めることとしております。
 また、国際障害者年の記念行事として、国際アビリンピック(国際身体障害者技能競技大会)を世界で初めて開催するほか、各種の行事を催し、啓発宣伝活動の積極的な展開を図っていくこととしております。
 これらに必要な経費として百七十五億五千八百万円を計上いたしております。
 第三は、産業構造の変化等に即応する総合的な雇用対策の展開に必要な経費であります。
 最近におけるわが国の経済は、内需全体としての伸びが依然として鈍く、経済の拡大テンポは緩やかとなっており、雇用失業情勢も弱含みで推移しております。
 このため、当面する雇用失業情勢に的確に対応した雇用対策を実施するとともに、今後における経済、産業の的確な見通しの上に立って産業構造の転換や技術革新の進展に即した雇用対策を展開してまいりたいと考えております。
 そこで、まず、複雑多岐にわたる雇用関係各種給付金を見直し、高齢化社会への移行等雇用失業情勢の変化に対応した実効の上がるものとなるようその統合と充実を図ることとし、このための法律案を今国会に提出しております。
 また、雇用発展分野としての第三次産業対策の推進を図ることとし、今後の雇用発展職種についての研究開発を進める一方、パート等の雇用情報の提供、労働条件の明確化指導、労働基準監督機関における相談体制の整備等を行うこととしております。
 これらに要する経費として一兆三千百七十八億九千六百万円を計上いたしております。
 第四は、社会経済の動向に即応した総合的な能力開発施策の推進に必要な経費であります。
 産業構造の変化、産業技術の高度化等社会経済情勢の変化に伴い、職業訓練の果たす役割りはますます重要となってきております。特に高齢化社会への移行の中で勤労者が生涯を通じて職業能力の開発向上ができるよう訓練体制の整備を図る必要があります。
 このため、民間、公共一体となった訓練体制の確立に向けて施策を推進することとしておりますが、まず、民間における能力開発の推進として、認定職業訓練に対する助成の充実、地域職業訓練センターの増設、有給教育訓練休暇制度の充実等を行うこととしております。また、公共職業訓練につきましては、離職者に対する職業訓練を機動的、弾力的に実施するとともに産業技術の高度化に対応して、訓練内容の向上の促進を図る等の措置を講ずることとしております。
 これらに必要な経費として六百二十一億九千百万円を計上いたしております。
 第五は、ゆとりある職業生活と安全な労働環境の実現のための施策の推進に必要な経費であります。
 働く人々の安全と健康を守ることは、労働福祉の基本であり、労働災害は本来あってはならないもの、起こしてはならないものであります。本年も労働災害防止対策を行政の最重点の一つとして推進していくこととしております。労働災害の防止に関しては、事故及び疾病の原因究明等の基礎的調査研究、労働基準監督機関による監督指導の強化等を行うほか、特に建設業については、災害発生件数が多く災害率が高いこと等にかんがみ、重点的な監督指導を実施するとともに、工事計画の安全性に関する事前審査体制の確立、建設業安全教育センターの設置等の安全確保対策を推進することとしております。
 不幸にして労働災害をこうむった方々に対しては、適正、迅速な労災給付を行うとともに労災被災者の社会復帰の促進を図ることとしております。
 次に、週休二日制等労働時間の短縮については、わが国の労働時間を昭和六十年度までに欧米主要国並みの水準に近づけるよう努めることとし、週休二日制等労働時間対策推進計画に基づき、業種別会議の拡充等による行政指導を強力に進めていくこととしております。
 また、中小企業退職金共済制度につきましては、昨年の法改正により、退職金給付水準の引き上げ等制度の改善が図られたところであり、その積極的な普及促進に努めてまいります。本制度の実施体制につきましては、五十四年十二月の閣議決定に基づき、本年十月に建設業退職金共済組合と清酒製造業退職金共済組合を統合することとし、このための法律案を今国会に提出しております。なお統合後の退職金共済組合において新たに林業従事者についての退職金共済事業を五十七年一月より実施することとしております。
 このほか、最低賃金制度の推進、未払い賃金の立てかえ払い事業の改善等労働条件に関する施策を推進するとともに、勤労青少年福祉対策の推進、勤労者福祉施設の整備充実等を行うこととしております。
 これらに必要な経費として八千四百五十五億八千二百万円を計上いたしております。
 第六は、特別の配慮を必要とする人々の職業と生活の安定を図るための対策の充実に必要な経費であります。
 最初に、寡婦、家内労働者等の就業対策の充実でありますが、工賃の低い家内労働者を保護するための最低工賃の普及と徹底、家内労働手帳の普及、危険有害業務に従事する家内労働者の安全衛生対策の強化等について一層の努力を払うとともに、寡婦、内職婦人等に対する就業援助対策の充実を図ることとしております。
 次に、建設業等の下請労働者につきましては、賃金不払い対策の推進、下請企業に重点を置いた労働災害防止対策の充実、建設雇用改善助成金制度の充実等の措置を講ずることとしております。
 このほか、同和対策対象地域住民、インドシナ難民、季節・出かせぎ労働者、沖繩失業者、駐留軍関係離職者及び炭鉱離職者等のための雇用対策についてもそれぞれ充実することとしております。
 また、失業対策事業につきましては、失業対策制度調査研究報告の趣旨に沿って、今後、事業の改善運営を進めることとしておりますが、このための措置の一環として高齢者や病弱者の失業対策事業からの自立、引退を勧奨する特例援助措置を講ずることとしております。なお、就労者の賃金は、五十五年度予算に比べ七・九%引き上げることとしております。
 これらに必要な経費として一千三百八十一億一千七百万円を計上いたしております。
 第七は、男女平等の促進と婦人の労働環境の整備に必要な経費であります。
 本年は、国連婦人の十年後半期の初年度に当たります。労働省においては雇用における男女の機会と待遇の平等の促進と婦人の労働環境の整備を図ることを今後の基本方針とし、男女の実質的平等についてのガイドラインの策定と法的整備について検討を進める一方、男女別定年制度の解消、その他男女差別的雇用管理の改善のための指導の強化等雇用における男女平等促進のための対策を積極的に推進していくこととしております。
 また、勤労婦人の母性健康管理対策の推進、育児休業制度の普及促進に努めるとともに就業を希望する婦人に対する就業援助対策を充実強化することとしております。
 これらに必要な経費として十億七千四百万円を計上いたしております。
 第八は、八〇年代における労使の相互理解と信頼を強化するための環境づくりの推進に必要な経費であります。
 経済社会の構造的な変化に適切に対応していくためには、労使の不断の相互理解と信頼関係を一層強化し、労使関係の安定と社会的コンセンサスの形成を図っていくことが従来にも増して重要であります。
 このため、産業労働懇話会等の場を通じ、政労使間の理解を一層深めることに努めるとともに、八〇年代の労使関係に関する総合的な研究、わが国の労使慣行に立脚した労使の相互理解の促進に関する研究等を行い、これらの成果の普及を通じて、安定した労使関係の形成を促進することとしております。
 これらに必要な経費として八億二千六百万円を計上いたしております。
 第九は、八〇年代に即応した労働外交の推進に必要な経費であります。
 近年における国際関係の変化、特にわが国の国際的地位の向上に対応して、労働行政の分野での対外施策を積極的に展開することが要請されております。
 このため、今後とも、ILO、OECD等の国際機関の諸活動に積極的に参加協力するとともに、アジア地域技能開発計画への協力、国際技能開発計画の推進等発展途上国労働者の労働能力の開発その他多角的な技術協力の推進を図ることとしております。また、先進国労働大臣会議への出席、わが国労働事情の正しい理解を得るための国際交流の促進及び海外広報等の施策を通じて、積極的な労働外交を展開し、国際化時代に機動的に対応していくこととしております。
 これらに必要な経費として二十六億七千八百万円を計上いたしております。
 以上のほか、行政需要の増大変化に対応する行政機能の整備充実及び一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。
 以上、昭和五十六年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について概略御説明申し上げました。
 何とぞ、本予算の成立につきまして、格段の御協力をお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#6
○上村主査 以上をもちまして労働省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○上村主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いをいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新盛辰雄君。
#8
○新盛分科員 私の方からは、主に労働政策の中における失業対策事業の問題について、短い時間でございますがお尋ねをして、まだこれからの理解の面をさらに深めていきたいと思っております。
 そこで、最近の失業対策事業の現状はどういうふうになっておりますか、お知らせをいただきたいと思います。就労者数あるいは平均年齢、事業の概要、そしてこれらにおける現在の実情をお知らせいただきたいと思います。
#9
○加藤(孝)政府委員 失対事業の現状につきましては、五十四年九月末現在の状況で申し上げますと、事業主体の数が全国で六百四十四ございます。就労者数は約十万人でございます。その平均年齢は六十三・六歳となっておりまして、七十歳以上の方の占める割合も二五・三%ということで、非常に高齢化いたしておる現状にございます。女性の割合も六七%ということで、女性化が進んでおります。失対への平均就労期間は二十年六カ月ということで、非常に長期間の就労となっております。また賃金につきましては、一人平均一日当たり三千三百八十八円という予算単価になっておるわけでございまして、来年度につきましてはこれを三千六百五十六円、七・九%アップをいま予算で御審議をいただいておるということでございます。
#10
○新盛分科員 現在の事業の概要ですね、甲事業、乙事業とあるわけでありますが、この種のいわゆる作業はおわかりですか。
#11
○加藤(孝)政府委員 事業につきましては、五十一年以来、高齢化の現状に合わせまして、高齢者については甲事業、一般の方については乙事業というふうに分離をいたしておりまして、甲事業におきましては軽い作業、主として屋内における物品の製造等の仕事もしていただいておる、あるいは屋外でも公園の清掃等の仕事をしていただいておるという状況でございます。乙事業につきましては、道路の補修であるとか改修であるとかいったような仕事、あるいはまた敷地の整備というような仕事などをしていただいておるという状況にございます。
#12
○新盛分科員 この失業対策事業は、もうすでに歴史的経過等については申し述べるまでもないわけでありますが、最近特に失業対策事業についての見直しという問題等を含めて議論がされてまいりました。昨年の十二月六日に「失業対策制度調査研究報告」というのが出されたわけであります。これをこれから労働省としてどういうふうに把握をし、またさらにこの報告書によって諸問題が提起されておりますが、労働大臣としては今後具体的にこの問題についてどのようにされようとしているのか。そしてまた、具体的に入っていくわけでありましょうが、その対処の方針について御見解をいただきたいと思います。
#13
○藤尾国務大臣 御案内のとおり、この研究会といいますものは、それぞれ御専門の学識経験者がお集まりになられまして、就労者団体、事業主体等の御意見を徴しながらお決めになられたものでございますから、私が拝見をいたしましてもその内容といいますものは適切なものである、かように考えます。
 そこで、私どもといたしましては、基本的にこの御報告といいまするものの趣旨を尊重いたしながらやってまいるということは当然でございます。来年度におきましては、高齢者や病弱者というような方々も、御案内のとおりでございますけれども、平均年齢六十五歳というようなことになっておりますので、ここ五年くらいたちますと七十歳というようなことにもなっていく、そういったことも考えまして、こういった方々の御自立、御引退といいまするものを促進いたしますための特例援助措置というようなものを用意いたしまして、適切に御勇退を願う、あるいはさらにお続けをいただきます方々に対しましても事業の選定、その事業の運営等々について改善措置を加えていきたい、かように考えておるわけでございます。
#14
○新盛分科員 公的就労ではなく緊急失業対策事業としてできたこの制度が、すでに三十数年を経過しているわけでありますし、これまで尽くされた社会的な貢献度というのはきわめて大きなものがあったと確信をいたしております。その方々が希望を燃やし、そして環境の整備、先ほど甲事業、乙事業等で御説明のあった種の作業を日の当たらないところで一生懸命こつこつとやっておられた、そういう人たちに対していわば終息宣言とも言うべき今回の報告によりまして、六十五歳以上の方々には御本人たちの希望等を参酌してやめていただくというか、あるいは御引退を願う、こういうこと等の内容が中心になっているようであります。
 そうしたことについて、確かに中高年齢層の就労条件等々も関連がありまして、こういう老齢化の皆さんをずっと養っていくというのはいかがなものだろうか、そういうことが前提になっているように思われるわけです。しかし社会的にいままで尽くされた多くの貢献度については、これをどういうふうに老後の保障として救済をするのか、いわゆる受けざらですね、そのことについてまだ十分にその意を尽くしていないと私は思うのであります。
 いま大臣のお答えのありましたのは、この報告書による内容から踏み出してはいない答弁でして、本当にこれからの老後の問題を含めまして、六十五歳という議論は後でしたいと思いますが、温かい気持ちを、いわゆる労働政策上もうどうにもならないんだ、しかしもっとやり方によっては、十万人前後のこの方々について希望の持てるような、国の政策としてめんどうを見てもらえているというような形を当然つくらなければいけないんじゃないかと思うのであります。この点どうでしょう、大臣もう少し前向きに御説明いただきたいと思います。
#15
○藤尾国務大臣 御案内のとおり、この失対事業といいますものは、戦後の非常な事態、御主人が戦争でお亡くなりになられたとかなんとかということで、お子様をお抱えになられて非常にお困りになっておられたといった方々に、そういった非常の際に何としてでもお子様をお育ていただかなければならぬということで用意をいたしました仕事でございまして、これが三十年間続いてまいった。そのことで私は、お子様方もりっぱにいまや成長をせられまして、失対事業というものの社会的な意義は非常に大きく果たされた、かように思うわけでございます。
 私ども労働省といたしまして考えておりますのは、一般国民の皆様方に正常な雇用、つまり失業対策という仕事に就職されるのではなくて普通の仕事に御就職を願う、そのために私どもは全力を挙げるということでございまして、そちらの方に主眼がございます。したがいまして、失業対策といいまする特別事業がもう三十年たちまして、全部御卒業願って、そしてそれにかわる恒常的なお仕事におつきをいただくために私どもはお世話をさせていただく、これが真っ当なあたりまえの考え方だと思うのであります。
 そこで、そのような一つの踏ん切りをつけるという意味でこの御報告もちょうだいをいたしておるということでございますから、私どもといたしましてはこの際に、定年もいまや六十歳、六十五歳ということでございますから、それぞれもう定年にお達しになっておられるということでございますので、それにもなお五カ年間の御猶予で、七十歳におなりになられて、そして屋外で道路の補修をされるなんということは、これはちょっとわれわれがお願いをする方が筋違いでございます。そういったことではなくて、むしろお年寄りでも働きたいという方にお働きを願うのはあたりまえのことでございますから、私どもといたしましてはシルバー人材センターでありますとか、そういった高齢者対策の普通の仕組みの中に全部お入りを願ってお世話をさせていただけないだろうかということをお願いしたい、これが私どもの趣旨でございます。
#16
○新盛分科員 大臣の温かい気持ちに立ってやっていただくということでのお話を承りましたが、人道上考えてみればこれは大変なことじゃないかということも言えるわけです。やはりこうして高齢化社会を迎えておりますだけに、国民全体がそうでありますように、勤労権とかあるいは生活権とかということの立場で考えれば、この方々のそういう気持ち、働きたいという気持ちがある以上、引退の強制ということは少しどうだろうか。全国市長会でも、やめるやめないのことについては、線引きをするのではなくてひとつ自主的な選択にしていただけないものか、こういう強い要望も出されております。ぜひそうした前提に立って、いまシルバー制度のお話も出ましたが、高齢化社会への大きな展望づくりですから、この点ひとつ前向きに、つぶすのではなくてもっと優遇措置が将来の老後保障を含めてできるように、ひとつ大臣の方でもお気持ちの中に入れていただきたいと思っております。
 それで、今回の特例の援助措置、これは確かに段階的な、六十五歳線引きにして五年間の猶予期間を与える中で、また端的には来年度七、八、九ですか、三カ月の間におやめになればその措置をということになっているようであります。
 私は鹿児島の方でありますが、非常に働いておられる方々と接触する機会がありまして、町も非常にきれいになっておりますし、甲事業にしても乙事業にしましてもそれぞれ年齢に応じて、仕事の能力に応じて大変に一生懸命やっておられます。そういう皆さんのお働きになっている現実の姿に立って、いまこの特例措置でやめろと、またそういうのがぶら下がってくると、馬の前のニンジン、それはそれこそもうこの際船に乗りおくれては大変だというお気持ちの方もあるかもわかりません。しかし、総じて私どもにお話があるのは、ぜひひとつ早くニンジンを食べなさい、百万円前後の金がこの特例措置であるのだから、それを早くつかみなさいというようなことを強制してもらいたくない、自分で判断をしたい、そういうお気持ちの方が多いわけです。だから、これは特例措置というのが先にぶら下がっちゃったので、追い出し政策に先行した形で労働省でお取り扱いになることはきわめて危険なことじゃないかと思っているわけです。
 だから、このことについて労働省としては、むしろこうした方々に対して選択の自主性、あるいは事業体あるいは組織されている組合、そして本人たちのそうした意思を尊重し得る期間十分に話し合いをされまして進めていただけるものかどうか、見解をいただきたいと思います。
#17
○藤尾国務大臣 先ほど申し上げましたとおりでございますけれども、御案内のとおり、決して私どもはこの特別給付金の百万円といいますものを全部お取りを願わなければいけませんということは申し上げていないわけでございまして、これをお取りになられて御勇退になられるか、あるいはなお五カ年間お仕事をお続けになられるかというのは御自由でございます。
 しかしながら考えてみましても、これは御案内のとおり失業対策事業という日決めの雇用関係でございまして、本来一日お働きになられて一日の賃金をもらわれれば、それで一日ずつのけじめがついていかなければならないということでございますから、退職金とかなんとかというような性質のものでないことはもちろんでございますから、決してこれはお金を差し上げますからおやめを願いたいなんということに主眼があるわけじゃないのでございます。ただ、こういう機会でございますから、こういった機会におやめになられておでん屋でも始めるかというようなときに、そういった資金の御賛助を私どもはさしていただけますならば、そういった方々のこれから先の生活保障のためにも何らか有意義な働きをするのじゃなかろうかという意味合いで、特別の措置、ですから特例という字がついているわけでありますが、そういうための資金を用意さしていただいた、こういうわけでございまして、決してこれで、こういう制度をつくったからみんなやめてくれというようなことに主眼があるわけではないわけでございます。
 ただ、そこでお考えいただきたいと思いますのは、平均年齢がいま六十五歳でございますから、五年たちますと平均年齢が七十歳になるわけでありますね。平均年齢が七十歳になるということは、それより若い方も中にはおありになるわけでございますから、中にはそれよりもうんとお年を召した方もそこにおられるということになるわけでございます。そういった方々になおお働きを願うということは、七十五歳の方に私どもがそういった戸外に出ての就労をさせておるなんということは、外国からごらんになられましても決して好ましい姿ではないわけでございますから、やはりそういう方々が働きたいということであれば、働く措置は別途正常な形で雇用のごあっせんを私どもはさせていただくわけでございますので、正常な形の方にお移りを願う。戦後の特別措置といいますものはこの辺でもう戦後ではない――ここのところはむずかしいところでございますが、戦後であるか戦後でないかという判定はございますけれども、これから五カ年さらに猶予期間を乗っけていきまして、この戦後のお子様をお育てになられるための特別のこういった日傭事業などという、失業対策というところに就職するなどという異常な就労の形は正常な方向にお導きをさせていただくということが、雇用関係を取り扱っております私どもの正常な姿である、私はさように考えておるわけでございます。
#18
○新盛分科員 時間が余りないのでここは端的にお答えいただきたいと思うのですが、この就労者が少数となった事業主体の扱いについて「就労者の自立、就職等のために必要な措置を講ずることにより、極力その廃止に努める必要がある。」という内容の、事業主体の小規模の関係については廃止するということが言われています。しかし私どもの方では、これは確かにそういう五、六人で働いているところとかあるいはそれ以下のところで事業体を持っているというのも中にはあるかもしれませんが、地方の事情はそれぞれアンバランスはあると思いますけれども、あるいは働くことについても、いまの外国人から見たら品が悪いじゃないかというところもあるのかもしれませんけれども、生き生きとしてみんなでやっておられればそういうことも目につかないのです。総じて私は、外見もそんなに悪い状況ではない、やはりまじめに働いていらっしゃるものだと思っておりますが、そういう中で小規模の事業主体について廃止をするというのはいかがなものか、逆にもっとこれは活用する必要があるのじゃないか、このところ、余りきちっと枠にはめるということは御一考を要するのではないかと思うので、これは労働省の見解をいただきたいと思うのです。
 それから六十五歳の線引は、大臣もおっしゃるように、五年たったら七十歳だとおっしゃるわけですが、これはほかの企業の場合とは非常に違いまして、戦後は終わっている終わらないは別問題として、確かにその当時から働いておられる人たちの歴史的経過を見れば、三十五年まではなりませんが三十年を過ぎているわけですね。こういう中では線引きというものはなかなかむずかしいんじゃないかと思う。それで、これは確かにそういう六十五歳というのが何の根拠でというのがちょっと見当たりません。ただ、そういう歴史的経過に乗っかっていることだけは事実ですね。だから、このことについての根拠というふうに言われるものは何か、これは端的に労働省の主管局にお聞かせいただきたいと思います。
#19
○加藤(孝)政府委員 まず第一に、小規模事業主体の廃止の問題でございますが、これは研究会の報告にもございますように、もうほんの、おっしゃるごく少数の就労者になって、実際に努力をすればそんな少数の方はもう就職させ得るのではないか、あるいはまた、その事業主体で、臨時なり嘱託なりの形でも雇い得るのではないか。そういう努力をしないで、ただ漫然と失業対策事業という形でそのままにしておるというところに問題がある。したがって、ぜひこういう人たちを正規の雇用の形へ、いろいろ関係機関、事業主体が努力をするべきではないか、そういう努力をすればそういう小規模事業主体というようなところはなくなるのではないか、あるいはまたなくし得るのではないか、そういう意味で、そういう努力をしてなくすよう努めるべきだということでございまして、ただ画一に小規模だからやめてしまえ、こういう趣旨ではございませんので、その点御理解いただきたいと思います。
 それから六十五歳の根拠の問題でございますが、先ほど大臣からもお触れになりましたけれども、まず一つは、民間では六十歳定年制を含めまして六十歳以下の定年でやめておられる方が実に九七%であるわけでございます。一方、失対事業では、年齢制限がないために七十歳でも八十歳でも現に就労しておられる、こういうような状況にあるわけでございまして、一般の高齢者に対する施策と比べまして著しくその辺がバランスを欠いた状態になっておるということが一つ問題でございます、
 それからまた、失対事業を今後労働政策の事業として適正な内容のものとして継続をしていく以上、これをそういう一般の高齢者に対する労働政策とのバランスに配慮することが必要であって、具体的に言えば、たとえば定年延長奨励金であるとか中高年の雇用開発給付金であるとか、あるいは中高年齢者の求職手帳制度であるとか特定地域開発就労事業であるとか、そういった雇用対策上特別の措置を講じております年齢の上限がすべて六十五歳、こういうことになっておるというようなことを考慮いたしまして、六十五歳ということが一つの考え方として示されておるということでございます。
#20
○新盛分科員 これからの取り扱いとして一番重要なのは、結局六十五歳線引きでそれ以上の方々にはひとつお引き取りを願いたい、そのために特例措置もできたのでぜひ協力をしてほしいという形で投げかけられるのと、この際やめた方がいいぞ、将来はもうない、終息される失対事業である、労働政策上もはや価値はない、こういう前提に立って強制されるのとでは違うのですね。私はこの際、強制的にやめなさいというようなことにならないように御配慮いただきたい。このことはぜひ確認しておきたいと思うのです。よろしいでしょうか。
#21
○藤尾国務大臣 そのことのために五カ年間の猶予期間を設けておるわけでございまして、私どもはここでやめてくれというようなことを言わないで、御勇退の道はこちらにございますということで、五カ年の間それは継続いたしますからその間に御判断をいただきたいということをお願いしておるわけでございます。
#22
○新盛分科員 時間がございませんので、これは要望と、御意見がありましたらお伺いしたいと思いますが、長年就労して、これは特例措置でこういうふうな取り扱いをされるというのですが、やはり退職金制度というのはできないものか。これは自支援護を含めて、支度金を含めてつくっていくことの方がむしろベターじゃなかろうか、こう思います。
 第二は、健康上の理由でもう能力が減退をしたという方々がおやめになる場合の、老後の年金とか医療制度とか高齢者に対する福祉対策、こうした整備を図るべき時期に来ているのじゃないか。これは十万人前後だからそんなのだけ力を入れるわけにはいかぬということかもしれませんし、全体的な取り扱い上非常にむずかしい問題はあると思いますが、そういう前向きの措置をぜひ希望したいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
 以上で終わります。
#23
○加藤(孝)政府委員 退職金制度につきましては、失業対策事業が日々雇用というものを原則としておるわけでございまして、日々の就労に対して賃金が支払われるというわけのものでございまして、そういう中でできるだけ早く民間企業へ就職をしていただくということをたてまえとしておるものでございます。そういう意味で、民間の退職金というものは常用雇用を前提といたしましてできる限り長期間その企業に勤続していただこう、こういうことを奨励するための退職金制度というのは、できるだけ早くそこをやめて失対から足を洗ってというものとは全く相入れないものでございまして、そういう意味で失対就労者にこの退職金制度というものはなじまないというふうに考えておるわけでございます。これにかわるものといたしまして、就職をされる場合に就職支度金というものを差し上げて、就職を円滑に進めるというようなやり方をしておるわけでございます。
 それからまた老後の年金の問題、福祉対策の問題のお話がございました。これにつきましては、自立、引退をされる過程におきまして安定所、事業主体、それから福祉関係機関等が連携をいたしまして、自立、引退後のいろいろな道行きにつきまして御相談をし、円滑な引退ができるような御相談をしていこう、そういう生活相談をしていこう、こんなようなことでいま検討を進めておるところでございます。ただ、特別に何かやるというのはなかなかむずかしゅうございますが、親切にその辺について御相談をしていこう、こんな構えをいまとっておるということでございます。
#24
○上村主査 これにて新盛辰雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、久保等君。
#25
○久保分科員 破産宣告を受けた会社に働いておった労働者、これに対する保護と申しますか、債権の確保を図ってまいることは非常に重要な問題であると思います。特に今日、中小企業が大変な倒産等をいたしておりまする状況からいたしますと、こういった問題は全国的にも非常に重要な課題になっておるのではないかと存じます。
 そこで、きわめて具体的な例として、私の地元で起きております問題についてきょうはお尋ねをいたしたいと思うのですが、これはひとり単なる小さな一企業の問題ではなくて、いま申し上げましたように、今日全国的によく起きております問題であろうと思います。したがって、破産法の適用を受けておりまする異常な状態の中で労働者の権利というものをどう守ってまいるか、一面から言えば生活をどうできる限り守ってまいるか、労働行政の面から考えましても非常に重要な課題だと存じます。
 実は私の地元の坂出市にあります田村鉱泉所という有限会社、きわめて小さな会社なのですが、これが昨年の十月十四日に破産宣告を受けまして、現在破産管財人の手によって清算業務が遂行せられておるのです。この間におきまして、従来ここに働いておりました従業員は四十名くらいはおったようでありますが、さらにそれが破産当時には二十名に減少するというような姿になってまいっております。
 この間における労働基準監督署のこういう問題に対する取り組みの姿勢というものが、どうも何かきわめて消極的なような事情があったようであります。本来でありますると、もう少し積極的にこういった問題に取り組んで問題の解決に当たるべきではないか、かように考えておりますが、労働省の方でつかんでおられまする今日までの経過について、おわかりになっております範囲内で簡単に御説明願いたいと思うのです。
#26
○岡部説明員 田村鉱泉所の問題につきましては、先生御指摘のとおり、昨年の十月十四日に破産宣告を受けたわけでございます。そのときの在籍者が約二十名でございますが、そのときの労働債権の状況は、退職金、賃金等につきまして約二千九百万円の不払いが存するということでございます。それから解雇は現実には十月の二十五日に行われたというふうに聞いておりますが、即時解雇の解雇予告手当は約二百七十八万八千円が不払いとなっておる、このような状況と聞いております。
#27
○久保分科員 特にこの解雇予告手当、これは本来破産法で申しまする財団債権、こういうように理解される性格のものじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
#28
○岡部説明員 この解雇予告手当でございますが、もちろんこれは当然に破産財団が処理すべき債権であるというふうに考えております。
#29
○久保分科員 もちろん破産財団が処理をすべき問題でございまするが、破産宣告がなされる以前におけるいわゆる破産債権と違って、破産宣告後のいわば解雇予告手当でございますから、いわゆる破産法上は財団債権、こういうふうに当然理解されてしかるべきではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
#30
○岡部説明員 この点につきまして私ども聞いておりますのは、破産法の四十七条の一号から九号までに財団債権の範囲が書いてございますが、その第八号に当たるというふうに聞いておるところでございます。
#31
○久保分科員 したがって、私のお尋ねしておる点についてそのとおりだということになるのだと思うのですが、そうなりますると、これは当然一般の破産債権に優先をして支払われなければならぬ問題でありますし、そういう立場で労働基準監督署としては、少なくとも何とかそういった考え方で破産管財人がこの問題の処理に当たるような指導といいますか、その破産管財人との関係においては労働省の立場としても、ちょっと同じ労働省内部の問題ではないだけに、どういうことになりますか、法律的な正確な表現はどうなるか知りませんが、いずれにいたしましても、労働省の立場で勧告なり助言なり、そういったようなことが当然なされてしかるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#32
○岡部説明員 実は本件につきましては、香川労働基準局及び坂出労働基準監督署におきまして事態を重視をいたしまして、この解雇の問題が生ずる前に、十月二十一日に破産管財人に面接をいたしまして、労働諸法令の説明あるいは確認を求めておるところでございます。それからまた十一月に入りまして、十一月の十一日にも管財人に面接をいたしまして、いろいろと指導を行ったところでございます。
 その中には、当然ただいま申し上げましたようなもろもろの賃金不払い問題につきましての指導ということも含まれておりまして、私ども、その折衝の経緯からいたしまして、その破産財団が財政的に非常に問題があるということから、これにつきましては賃確法の適用によりまして立てかえ払いを促進すべきであるという結論に達した次第でございます。これにつきましては十二月の二十七日に立てかえ払いを済ませたところでございます。
#33
○久保分科員 その立てかえ払いの、賃確法に基づく支払いの中身、内訳をちょっと御説明願えませんか。
#34
○岡部説明員 この十二月の二十七日に行いました立てかえ払い、これは四十三名分でございますが、そのほかにさらに一月に入りまして二名分、計四十五名の立てかえ払いをいたしたわけでございます。その金額は一千四百十五万七千三百九十四円でございます。これは立てかえ払いの限度が労働者一人当たり五十四万円でございまして、その限度いっぱいを使いまして立てかえ払いを行ったところでございます。
#35
○久保分科員 その五十四万円というものの内訳をちょっと御説明願えませんか。
#36
○岡部説明員 これは先ほど申し上げました賃金及び退職金に関する立てかえ払いでございます。
#37
○久保分科員 先ほどもちょっと申し上げましたように、立てかえ払いで要求いたしておりまする要求総額の約四割前後になるのじゃないかと思うのですけれども、一応そういう賃金の確保に関する法律に基づいて若干のそういった支払いがなされたのですが、その解雇予告手当の問題が財団債権という性格を持っておるものでありますならば、破産債権の支払いに先んじて優先的に支払われるということに、これは破産法の中でそう定められておるのですが、当然そういう扱いがなされてしかるべきだと思うのです。その点については、これは法律的な問題ですから問題ないと思うのですが、その点は私のいま申し上げておるようなことで間違いございませんか。
#38
○岡部説明員 この解雇予告手当でございますが、これにつきましては、労働者二十名から計二百七十八万八千七百七十九円の支払い命令を求める請求が裁判所に対して出されておりましたところ、本年の二月十二日にその額の支払い命令の決定がなされているというふうに聞いております。なお、これに対する管財人、使用者側の異議の申し立ての期間がきのうまでであったわけでございますが、けさ現在において把握いたしましたところ、異議の申し立てがございませんので、この支払い命令は確定をいたしたというふうに伺っております。
#39
○久保分科員 ちょっと話が先へ進んだのでありますが、だから私、そういう裁判所に支払い命令の申し立てをして、その申し出が認められた、こういったことを考えてみましても、この解雇予告手当の請求を労働者側の方でやっておりますことは、破産法のたてまえから申しましても、破産管財人は当然いま申し上げましたように、財団債権の問題については優先的に支払うことができることになっておるわけでありますが、そういう立場で事態の解決が行われますように当然いろいろ手段を講ずべきだと思うのですが、そういった間に労働基準監督署ではどういう態度をとったのか。少なくとも積極的に先ほど申し上げたような勧告ないしは助言、そういったようなことはやるべきじゃないんだというような何か考え方を持っておるやに私聞いておるのです。
 それはなぜかというと、要するに役所が違う。裁判所で任命せられた破産管財人に対して労働省としては余りとやかく言うことができないんだ。何か解雇予告手当が支払われることは望ましいんだという程度の意思表示、いろいろ従業員、労働者の諸君が基準監督署を訪ねて強く要望したことに対して、そういったことを漏らしておったというような話なんですが、そういったことに対して労働省としてはどういうお考えを持っておりますか。
#40
○岡部説明員 私どももこの問題につきまして、実は昨日も現地の課長を呼びまして状況をただしたところでございます。
 そこで、この解雇予告手当につきまして、労働基準行政側でただいま先生言われましたような払うことが望ましいんだ程度のことでは決してございませんで、これはやはり払うべきものであるということで管財人に対し指導をしたということを聞いておるわけでございます。
 先ほど十月二十五日の解雇と申しましたが、実は複雑な経緯がございまして、解雇の日がいつなのかはっきりしなかったというふうな問題もございますが、その点、法律関係を明確化するために現地の局署におきまして積極的な指導を行いまして、労使すべてこの十月二十五日を解雇庁として設定するということを決めまして、それ以後、先ほどのような立てかえ払いの事務も円滑に動き出したというような経緯もございます。したがいまして、問題解決に当たりまして現地局署は誠意を持って積極的にやらしていただいたというふうに私ども了解しておるところでございます。
#41
○久保分科員 積極的な指導をせられたのが、具体的にはいまお話があったのは十月二十一日に面接をした、出かけていっていろいろとお話をしたということなんでしょうか。具体的にどうも余りそういうことがなされなかったがゆえについにしんぼうし切れなくて、本年に入って支払い命令の申し立てをしたというような経過になったように聞いておるのですが、労働基準監督署として非常に積極的に助言等がなされてまいりまするならば、そういう簡易裁判所に申し立てをするといったような事態を引き起こさないで済んだのではないかと思っておるのですが、その点、もう少し明確なお答えをいただきたいと思うのです。
#42
○岡部説明員 先生御指摘の点は、もしそういう印象を与えたといたしますと、現地局において応接に遺憾な点があったのかと思いますけれども、しかし、これは通常の使用者が相手の場合と違いまして、破産管財人が相手でございます。つまり、破産管財人といいますのは裁判所によりまして任命されるわけでございますが、したがいまして、破産管財人に対しまして、労働基準行政の基本は労働条件の最低限のものを刑事罰をもって迫るというのが基本でございますが、普通の事業主に対しますと若干違いまして、相手の破産管財人は弁護士さんだということでございますが、その辺やや勝手が違ったと申しますか、そういう点もあったのかもしれませんけれども、しかし基本は、やはり破産管財人も労働法の観点からは使用者であることに間違いはございませんので、その点は十分認識して今後とも対応をしてまいりたいと考えております。
#43
○久保分科員 要請をするのにもいろいろ方法があると思うのですね。少なくとも文書等による要請なり勧告なり、そういったことはなされておらないと思うのですが、いかがですか。
#44
○岡部説明員 破産管財人に対しまして、文書による要請ということではなく、口頭でいろいろ要請、指示をいたしたところでございます。
#45
○久保分科員 だから、労働省の考え方が明確であれば結構なんですが、要するにあらゆる方法を通じて積極的に、指導という言葉が適当であるかどうか知りませんが、少なくとも強い要請を労働省の立場からはやはり行うべきだと思うのですね。いまも申し上げたように裁判に持ち出され、支払い命令を求めるという、その後、結果は簡易裁判所の方から支払い命令が現実に出た。いまお話を聞きますると、破産管財人は異議を申し立てなかったという結果になったようでありますから、さらに事態が少しずつ進展をしてまいると思いますが、いずれにいたしましても、労働基準監督署がもう少し積極的な対応をすべきであったと思いますし、労働省としては、私がいま申し上げたように文書も出すなり、もう少し積極的な対応があってしかるべきだと思うのです。
 言われた言葉の中に、支払われることが望ましいというような言葉も使ったことは事実のようでして、それがどういう段階で言われたか知りませんが、どうも役所が違うという考え方でこの破産管財人に対してとやかく言うことができないんだといったようなことも言われておったようであります。そういう点から申しますると、文書等で明確に意思表示をされることも必要でしょうし、なるほど身分関係は裁判所によって任命された破産管財人かもしれませんが、しかし、仕事そのものはいまお話がありましたように明らかに、破産法の適用を受けるといった一つの制約は受けますけれども、しかし、やはりその範囲内における労働基準法というものは当然適用せられる性格のものだと思うのです。したがって、破産管財人のもとにおいても労働基準法というものがその範囲内において適用される、そういうことは明確に言明できる問題じゃないかと思うのですが、いかがお考えですか。
#46
○岡部説明員 その点は御指摘のとおりと存じます。
 なお、この問題につきましては、立てかえ払いが行われましたけれども、これで問題が処理されたというふうに私ども毛頭考えておりませんで、引き続き退職金、賃金あるいは解雇予告手当、あるいはさらに現在労使の間で話し合いが続けられております夏期一時金をどうするかというふうな問題、いろいろ問題は山積しているようでございます。その解決につきまして、労働基準監督機関におきましてもできるだけの解決についての尽力をいたしたいというふうに考えているところでございます。
#47
○久保分科員 その破産宣告に基づきます解雇予告後、これは一カ月間のいわば雇用関係がやはり継続をしておるというふうに理解してよろしゅうございますか。
#48
○岡部説明員 これは即時解雇があるいは解雇予告後一カ月の雇用関係継続か、いずれかを選択するわけでございます。本件におきましては、労使一致いたしまして十月二十五日をもって即時解雇されたというふうに取り扱うというふうに話がついたと承っております。
#49
○久保分科員 そうしますと、この解雇予告手当と申しますか、これは何日間支給せられることになりますか。
#50
○岡部説明員 これは当然一カ月分の手当が支給されなければならない、法律上それが義務づけられるということでございます。
#51
○久保分科員 それからさらに破産宣告からその解雇通知が到着をするまで、したがってこの場合で申しますると十月の十四日に破産宣告がなされたわけなんですが、現実にその破産宣告の通知が到達をしたのが十月の二十五日ということになっておるわけですから、その間における十一日になりますか十二日になりますか、これも当然労働債権であり、財団債権ということになると思うのです。したがってそのことが認められれば、いまお話のあった一カ月、それをプラスした四十一日なり四十二日間、これに対する労働債権ということに当然なると思うのですが、その点も間違いありませんか。
#52
○岡部説明員 その十月の十四日から十月の二十五日までの賃金、少なくともその休業手当というのは一体どうなるのであろうかというのは、次のまたもう一つ大きな問題でございます。
 この点につきましては、私ども調べましたところが、実は四十数万円が財団債権から支払われております。これは十四、五名の労働者に対しまして延べ七十二日分の賃金が支払われている。これは現実に出てまいりまして会社の清算の事務、整理の事務に従事した労働者に対しまして賃金が支払われておるわけでございますが、先生の御指摘は、それ以外の者の十一日間における賃金は一体どうなっておるのかという御指摘であろうかと思います。この点につきましては、この解雇が現実に行われますまでの間は、当然賃金の請求権というものは、少なくともこの休業手当分は基準法で支払いが義務づけられる、こういう関係に相なろうかと思います。
#53
○久保分科員 解雇予告手当とそれからいまの労働債権、これはやはりいずれも破産宣告後の期間に該当すると思うのです。そうしまするならば、これを含めて破産債権に優先して支払われる性格のものじゃないでしょうか。
#54
○岡部説明員 これも先ほど申し上げましたように、破産法の四十七条あるいは五十一条におきましてそのように取り扱われるというふうに承知しております。
#55
○久保分科員 私の質問のとおりでございますか。
#56
○岡部説明員 私ども破産法、必ずしもつまびらかではございませんが、四十七条の八号の財団債権であるという場合には、これは四十七条一号から七号までの財団債権の方が優先をするという規定が五十一条の二項にございます。したがいまして、この辺、四十七条の一号から七号までに含まれるのかあるいは八号の債権なのかということによって、これはきわめて技術的な問題でございますが、その財団債権としての意味合いは、その優劣関係というものは微妙に異なってまいるというふうに伺っております。
#57
○久保分科員 余り時間がありませんので大臣にお尋ねいたしたいと思うのですが、いずれにいたしましてもいまの具体的な一つの事例について、先ほどもちょっとお尋ねいたしましたように相手が破産管財人という相手方でありますだけに、一般の労使関係における使用者側に対するような対応の仕方は一面むずかしい面もあろうかと思うのですけれども、しかし少なくとも破産法上認められた範囲内における労使関係というものが変形した形ではありまするがやはり存続をしておると思うのです。したがって、破産した場合ですから労働者の給与その他の点におきましても、何かと余り恵まれた条件では破産するまでの間においてもなかったと思うのです。それだけに労働債権イコール生活費そのものであると言っても言い過ぎではないと思うのですが、そういう点からまいりますると、労働行政の政策的な立場からいたしましてももう少し積極的な対応が当然労働基準監督署を中心にしてなされるべきだし、また対応の仕方が非常に困難だということであれば本省の指示を仰ぐ、すなわち中央と十分に連絡をとりながら、できるだけひとつ労働者保護の立場に立って積極的に解決を図るべきだと思うのです。今回のこの場合におきましても、破産管財人の任命は裁判所が行っておりますから労働省の所管ではございませんから、申し上げることも余り大して意味がないかもしれませんが、しかしとにかく比較的労働問題に明るくないという管財人だというような批判も聞いておるのであります。そうであればあるほど労働省のこの問題に対する積極的な取り組みということは必要になってくるのじゃないかと思うのです。
 そういう点では積極的な、許される最大限の御努力をいただかなければならぬと思うのですが、そういう点で、いま御説明がありましたように本件につきましても問題がすべて解決したわけではございませんし、むしろ非常にむずかしい問題が今後に残されておると思うのですが、そういう点では現地とも十分に連絡をとりながら、ぜひできるだけ平和裏に話し合いでもって解決するというような御努力をいただきたいと思うのです。特にまた、この破産法の中で定められた優先的に支払うことができるような部面については優先的に片づけていくという姿勢が当然あってしかるべきだと思いますし、そういう点でぜひひとつ積極的なお取り組みを願いたいと思うのですが、労働大臣の御所見を最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#58
○藤尾国務大臣 私どもは労働省でございますから、働かれる方々のお立場を最大限に確保していくというのが私どもの任務でございます。
 したがいまして、労働基準監督署もそういった任務に沿って仕事をしてもらわにゃならぬわけでございまして、相手の裁判所の御任命の管財人というお立場はお立場としてそれぞれ別の意味がございましょうけれども、私どもの立場は相手が管財人であろうと何であろうと働かれる方々の立場を有利にするために働くわけでございますから、もしそこで私どもの基準監督署の方々の働きが鈍いということになれば、これは明らかに私どもの任務において欠けるところがあるというように解釈をされても仕方がないわけでございまして、私が陣頭に立ちましても必ず御趣旨に沿うように積極的な、お働きの方々の保護のための措置をとらせますから、どうぞさように御了承のほどを願います。
#59
○久保分科員 どうもありがとうございました。
#60
○上村主査 これにて久保等君の質疑は終了いたしました。
 次に、稲葉誠一君。
#61
○稲葉分科員 最初に賃金と労働生産性の上昇率との関係です。
 この関係について、五十二、五十二、五十四ですね、五十五年はまだ全部出てませんから後にいたしまして、その点を御説明願いたい、こう思います。
#62
○細野政府委員 お尋ねの生産性と賃金の関係でございますが、生産性の資料をいま探しておりますので、賃金の方だけまず最初に申し上げます。(稲葉分科員、資料を渡す)
 五十二年から申し上げますが、労働生産性が五十二年が五・一、名目賃金が八・五、五十三年は生産性が八・〇、名目賃金が五・九、それから五十四年が労働生産性が一二・一、名目賃金が七・四、それから五十五年は生産性がまだ出ておりませんが名目賃金は八・一。いま申し上げましたのはいずれも年の数字でございます。
#63
○稲葉分科員 統計のとり方で、労働省の毎月勤労統計では事業所規模三十人以上というのをとっていますね、これは非常に小さいのじゃないですか。このために生産性も名目賃金も全体よりも低くなってきていませんか、こういう統計のとり方は。
#64
○細野政府委員 比較をするときに何と何を比較するかということだと思うのですけれども、賃金の実態につきましては、できるだけ小さい規模のところまでも含めて全体の賃金が明らかになるように、毎勤では三十人以上を対象に賃金統計をとっているわけでございます。一方生産性の方は、その注にもあるかと思いますけれども、生産性本部でやっておられるものでございまして、したがいまして、私の記憶では製造業に限られております。したがいまして、比較をする場合に、いま読み上げましたような数字で比較することがいいかどうかは確かに議論のあるところだというふうに考えます。
#65
○稲葉分科員 これを見ますと、五十二年度は生産性より賃金が非常に上がっておる。五十三年、五十四年、ことに五十四年度は名目賃金が七・四に対して労働生産性が一二・一、こういう数字が出ているわけですね。ことしはまだはっきりしませんけれども、ことしの統計も月によって非常にアンバランスがあるのでよくわかりませんが、この統計のとり方は。
 いずれにいたしましても、このことから見ると日本の労働者が非常におとなしかったというのか、あるいは日本の経済の発展に協力をしたというのかどっちかだ、こう思いますが、労働大臣、これから見るとことしの春闘というものは前とは違った形で賃金のアップというものを求めるというのは、労働省としてはやむを得ないのではないか、こういうふうに考えられるのですが、その点について労働大臣としてのお考えがあれば承りたい、こういうふうに思うわけです。
#66
○藤尾国務大臣 賃金問題と申しますものは、これは稲葉委員も御案内のとおりでございまして、労使それぞれのお立場からの自主的な交渉でお決めになられるわけでございますから、私どもがその中に入り込んでいきましてどうのこうのと言うわけにはちょっとまいらぬと思います。しかしながら、私どもが考えなければならぬ、責任を持たなければなりませんのは、そういった自主的なお話し合いがされるときの環境を十二分に整備をするということでございまして、そういった意味におきましては、いろいろなお考え方にお立ちになられるまでの状況の変化、こういったことにつきましては私どもがその責任を感じていかなければならぬことではないか、さように考えるわけでございます。
 したがいまして、何と申しましても、私どもといたしましては国民経済がよりうまく発展をしていくということが望ましいわけでございますから、そういった趣旨に沿いまするような調和のある賃金問題の総合的な解決がなされたらいいなというように念願をいたしておるということでございます。
#67
○稲葉分科員 その点はいろいろ議論があるところですが、ここで質問していても答えが出ないというふうに思うのですが、いずれにしてもこれは非常に生産性から見ると半分近いのもあるのですね。この計算の仕方が、企画庁ではまた違う計算をしているのじゃないですか。それはいずれにしてもいいですが、アメリカやイギリスやその他の労働者が生産性を上回った賃金を上げて、それがインフレの原因になっておるということから考えると、日本の労働者は非常につつましいということが言える、こう思うわけですね。だからある程度の春闘ということは、これはもう当然過ぎるくらい。それによって消費を拡大することにもなりますし、必要だろう、こういうふうに私は思うのですが、それは労働省としてはそれ以上のお答えはないと思いますので、次に移ります。
 それは身体障害者の雇用促進法ですね。私はこれを見たときに、きのうも実は名前を言いませんが、ある省から電話がかかってきたのですね。先生、ペナルティーのことを質問されるのですか、こう電話がかかってくるわけですね。ペナルティーというと何だと言ったら――これは厚生省でしょう。厚生省でぼくのところに夜電話をかけてきて、先生、ペナルティーのことを質問されるのですか、こう言うわけですね。だから、この身体障害者の雇用促進のための納付金、これはペナルティーというふうに一般的に呼んでいるわけだ、これがそういう本質を持っているかどうかは別として。
 そこでお聞きをいたしたいのは、まず国は基準が一・九でしょう。それから一般のところは一・五になっているのだけれども、この労働省職業安定局の出したのを見ても、一・五までいってないで平均は一・一九かな、という数字になっておるわけですね。
 そこでお聞きをしたいのは、まず最初に、一体労働省自身では一・九の基準に達しているのですか。どういうふうになっているの、基準は。
#68
○関(英)政府委員 労働省全体におきます身体障害者の雇用率は一・九%になっております。
#69
○稲葉分科員 一・九%になったと言ったって、きちんとなっているわけじゃないでしょう。そこら辺のところは各、あれになって、実際は身体障害者の雇用は労働省なり厚生省なりも一・九の基準に達してないんじゃないの。そこは労働省は達していると言えば達している、ほかの省はみんなどうなんです。
#70
○関(英)政府委員 省庁別を全部申し上げるのは大変かと思いますが、労働省の場合は一・九%に達しておるわけでございます。国の各省庁別に申し上げますと、全体平均してはもちろん達成しておるわけでございますが、未達成のところは国土庁でございます。国土庁の場合には、人数で申し上げますとあと三人雇用すれば一・九%に達するわけでございますが、御承知のように国土庁はできましてからまだ日が浅うございますし、それからできました経緯からいたしまして関係の省庁からの出向の職員が多うございまして、国土庁自体が新しく採用して国土庁をつくったという経緯ではございませんので、国土庁には大臣からもそれから私どもからも雇用率を達成していただくようにるるお願いしているところでございますが、そういった申し上げましたような経緯から、いまだ雇用率未達成ということになっておりますが、それ以外の省庁では雇用率を達成しているわけでございます。
#71
○稲葉分科員 そこで、この年度別のいわゆる雇用納付金収支状況、これを調べてみますと、この予算との関連ですが、実際の予算よりも実績の方がずっと多いですね。たとえば五十二年度は納付金が予算は五十八億でしょう。それが実績は九十六億。五十三年度が予算が百六十億で実績は百八十八億。五十四年度が百七十六億の予算で実績が百八十一億、こういうふうになっていますね。どうしてこういうふうに実績が予算よりもふえるわけですか。
#72
○関(英)政府委員 私ども予算を組みます場合に、最初につきましてはそれまでの雇用率の実情、そしてその後の民間企業におきます身体障害者の雇用の促進、そういったものを推計いたしまして、その上で納付金の収入額、徴収額を一応予測いたしましたわけでございますが、最初の年はとにかく初めてでございまして、予測とわりあい大きく食い違ったと思いますが、だんだんその辺の予測が正確になってきているのではないかと思います。
 ただ、私どもが予算で予測いたしましたよりも、たとえば常用雇用者数がふえる、そういった意味で、身体障害者の雇用には努めておりましてもなおかつ未達成だというところがふえたりいたしまして、そんな関係から収入の方が予測よりも上回る、こういったようなことになったのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
#73
○稲葉分科員 これは、いまちょっと言ったように納付金という言葉を使っていますね。使っておるけれども、常識的にはみんなペナルティー、ペナルティーと言っていますよ。政府でもそういうふうに言っているのだから。きのう厚生省からぼくのところに電話がかかってきて、ペナルティーだと言っているのだから。ペナルティーって何だと言ったら、身体障害者の雇用のあれですよと言うから。本当ですよ、厚生省の人を呼んでないけれども。だからペナルティーというふうに使われるのは、常識的に使われていますね。そういうのは、どこから出てくるのですか。
#74
○関(英)政府委員 先生御指摘のような名前で言われることが多うございますが、先生も御承知のように身体障害者雇用促進法におきましては、未達成事業所に対してペナルティーを課すというのではなくて、身体障害者を雇用する場合には特別の費用がかかる。雇用してない場合にはその費用が要らない。その間の経済的負担の調整を図る。それと同時に、そうやって集めた納付金によって、たくさん雇用したところに対して経済的負担の公平を図るための調整金を支給すると同時に、またもう一つの使い道として、その納付金を原資として身体障害者の雇用の促進を助成する、こういうためのお金でございまして、罰金的なものではないわけでございます。
 ただ、未達成事業所がその未達成の人数の割合に応じて納めていただくものですから、普通にはペナルティーと呼ばれることが多うございます。その都度、私ども、これはペナルティーではございません、これを納めたからといって身体障害者の雇用という義務を免れるわけではございませんということを申し上げておるわけでございますが、私どものそういった努力がまだ不十分でございまして、とかくペナルティーと言われている点は今後も私ども十分反省いたしまして、未達成事業所に対しては、この法律上身体障害者の雇用義務があるんだということをますます徹底させていきたいというふうに思っております。
#75
○稲葉分科員 五十二年度は十月一日からですから、ちょっと例にならないと思いますが、たとえば五十三年度の実績が百八十八億でしょう。それで支出は五十一億ですね。それから五十四年度は百八十一億の実績で、百三十二億ですか。特に五十二年度なんかは、これは始まった次の年だからという事情もあるでしょうけれども、この納付金が一体何に使われて、その余った分というと語弊がありますが、調整金、報奨金、助成金に余った分がありますね。これは五十三年度は大体百三十億あるのかな。それから五十四年度でも約五十億近くありますね。これは一体何に使われているわけですか。
#76
○関(英)政府委員 支出をいたしまして残りました部分につきましては、積立金として積み立てられておりまして、現在約二百五十億余の積立金ということになっております。先生御指摘のとおりに、この制度の始まりました当初あるいは翌年度におきましては、まだこの制度が十分活用されるということがなくて、非常に多くの剰余金を残して積み立ててきたわけでございますが、本年度におきましては特に重度障害者の雇用のための助成金制度、これが非常に活用されまして、私ども予算で予測しました以上にその助成金の支出が進みまして、この年度末には約八十億近いものを積立金から取り崩すという形で助成の方に充てていく、来年度はそれがさらに進むという形で、身体障害者の助成制度も非常に活用されてまいっているということが言えると思っております。
#77
○稲葉分科員 そうするとこの積立金というのは、ラフな言葉で言えば一般財源でなくて特定の、ことに身体障害者のためにいろいろ使われるものだというふうに理解してよろしいわけですね。そうすると、それは心身障害者が作業所をやったりなんかしていますが、そういうふうなところの運営資金なり補助金とか、そういうふうな形にも使われていいんじゃないでしょうか。それは何か法律的にはいけないことになっているらしいですが、そこら辺のところはどういうふうになっているのですか。
#78
○関(英)政府委員 これは先ほど未納付金のところで先生から御指摘ございますように、身体障害者の雇用が法定雇用率まで達成していない企業から納めていただきまして、そして身体障害者の雇用が法定雇用率以上に進んでいるようなところ、あるいはこれから身体障害者の雇用をする場合の助成といったものに使うということに法律上なっております。したがいまして、雇用関係ということがその前提になっているわけでございます。
 そこで、いまお話のございました共同作業所というようなもの、あるいは授産所というような名前で呼ばれておりますようなものがいろいろございますが、これは先生御承知のように、いま直ちには通常の雇用につき得ないようなそういった方方のために、社会福祉法人あるいはその身体障害者の両親の方々等がそういう授産所なり共同作業所をつくりまして、そこに身体障害者が行きまして、そこで仕事の注文を受けて一緒に仕事をしているというような形でございます。
 したがいまして、その多くは雇用関係にないわけでございます。そういう意味で、雇用関係にないということになりますとこの助成制度の対象にはならない、こういうことになりますが、ただ、そういう中にも法人組織等をきちっとつくりまして、雇用関係をきちっとつくったというようなところにつきましては、私どもその雇用関係に着目して奨励するということで、できる限りそういう指導をいたしまして、雇用関係をつくっていただくというような指導の結果によりこの助成制度の対象になったところもすでにあるわけでございます。
 なお、社会福祉法人等が行います。そういった事業につきまして、厚生省の方で厚生サイドの施策としての助成制度がございますし、また、そういったものの将来の拡充ということも厚生省の方において検討されていると聞いておりますが、私どもといたしましては、共同作業所という名前だから私どもは一切ノータッチで関係ないということではなくて、できる限りそこに雇用関係をつくっていただく、あるいはそこでの経験を生かして通常の民間の雇用についていただくお手伝いをして、その雇用関係に着目してこの制度を活用していく、こういうことで今後も努力していきたいと考えております。
#79
○稲葉分科員 私のお聞きしたいのはいま言った答えで大体わかりますが、現在二百五十億も積立金がある。そうすると、その八十億というのはことしの予算ですか。結局現在幾ら残っておって、それをどういうふうに使おうかということについての具体的な計画はないのですか。ことしは国際障害者年にも当たるわけですがね。
#80
○関(英)政府委員 先ほどの御説明、言葉が足らぬで失礼いたしましたが、五十五年度の予算で申し上げたのではなくて、五十五年度全体を締め切りますと、主に重度障害者の雇用促進のための助成制度でございますが、予算以上に助成金が活用されまして、五十五年度の収入額だけでは足らず、決算において従来の積立金から八十億程度を取り崩して支出に充てないと足らないということでございます。
 そういう意味で、五十六年度予算はこれから編成するわけでございますが、その編成に当たりましても、五十六年度の納付金収入のみでは足らぬので、積立金からの取り崩しを含めて予算をつくらぬといかぬだろうというふうに思っているわけでございます。そして、積立金は現在は二百五十三億に達しておりますが、ことし五十五年度を締め切ってみますと、そこから約八十億取り崩すことが必要になる、こういうことを申し上げたわけでございます。
 そこで、助成制度をもっと活用すべきだという御指摘がございました。これは昨年の臨時国会におきまして、議員立法でございますが、この身体障害者雇用促進法の改正が行われまして、民間で行います能力開発の事業あるいは身体障害者のための通勤対策といったものにもこの助成制度を活用すべしという改正が行われました。そういう形で、五十六年度は従来よりさらに幅広くこの助成制度が活用されるということになってまいろうかと思っております。
#81
○稲葉分科員 これは西ドイツにおける法律をモデルにしたようなんですが、前に細野さんがこの余剰について、要件緩和あるいは助成額の引き上げあるいは助成率の引き上げ等の大幅な改善をいたしておるというふうなことを答えておられる。これは今後どういうふうにするのかという点が一つ。たとえば一人月三万円でいいのかとか、民間事業所三百一人以上ですか、そういうふうなところの規定だとかいろいろありますね。調整金ですか助成金の場合は一万四千円ですか、報奨金の場合は一人月八千円ですか、いろいろあるわけですが、こういういろいろな問題について、こんなに積立金があって、これをどうやって使うかという一つのしっかりとした計画というものがことしあたり当然あってしかるべきものではないか、こう思うのですが、どうなんでしょうか。
#82
○関(英)政府委員 先ほども申し上げましたように、今年度この助成金制度が非常に活用されておりまして、本年度の収入のみをもってしては支出を貯えないところまで活用が進んできたわけでございますが、これは、いま御指摘の国会での御答弁にありますように、要件の緩和といいますか、あるいは非常に複雑な手続を簡素化する等々の改善措置あるいは重度障害者に対します助成制度を手厚くする等々の措置が行われました結果、助成制度が非常に活用されまして、今年度そういう収支状況になってまいったということでございます。
 そこで、この納付金の額なりあるいは雇用調整金の額なり、そういったものをそろそろ見直すべきではないかという御指摘でございますが、御指摘のとおり、納付金の額等が決められまして約五年たつわけでございます。そういう意味でそろそろ見直しの時期に入りますので、労働省にございます身体障害者雇用審議会がこの関係の審議会でございますが、そこにことしの初め、こういったものの見直しについて御審議をお願いしたところでございます。この秋ぐらいまでに十分調査、研究、御審議をいただきまして、結論をいただきまして措置していきたいというふうに考えているところでございます。
#83
○稲葉分科員 これは昭和五十三年十一月二十七日にも身体障害者展用審議会から意見書が出ているのですが、民間企業で雇用率が非常に悪い、低下しておる特定業種があるということが出ていますね。これはどういうところが特定業種になっておるのですか。それから中高年の身体障害者とか精神薄弱者の方、こういう人を採用した場合の対応というのはどういうふうになっておるのでしょうかね。
#84
○関(英)政府委員 業種別に申しますと、卸小売業とかあるいは金融、保険、不動産業といったところで従来身体障害者の雇用が非常におくれておったということ等を指してそのころ言われておったのだろうと思います。ただ、先生御承知のように、最近、銀行などにおきましても身体障害者の雇用を非常に熱心に進めていただきまして、新しく雇用される身体障害者は非常にふえておるわけでございますが、出発点の雇用率というものが非常に低率でございますので、法定雇用率から見ますと、そういった業種は現在まだ非常に低いわけでございます。しかし、最近はそういったおくれた業種におきましても、身体障害者の雇用に非常に熱心になってまいったということは言えるかと思います。
 それから、中高年の身体障害者なり重度の身体障害者あるいは精神薄弱者の雇用についてのお尋ねでございますが、この身体障害者雇用促進法が、抜本的な改正で現在のような義務化が明確にされ、納付金制度ができまして以来、次第に身体障害者の雇用について民間企業におきます理解が進み、現実の努力が行われてまいりました。そういう意味で、あえて申し上げれば、中軽度の身体障害者の雇用については、最近は非常に進んでいるということが言えるわけでございますが、現在、安定所に求職申し込みをしても就職が非常に困難で困っておられる身体障害者は、中高年の重度の障害者でございます。そこの非常にむずかしいところの雇用促進にこれから力を入れなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 その意味におきまして、先ほど来申し上げて繰り返しになって恐縮でございますが、助成金制度におきましても、特に重度中高年の身体障害者を雇用した場合の助成制度を充実したわけでございます。それが五十五年度は非常に活用されて、その金額が非常にふくらんでまいりましたために、積立金を取り崩すことになってまいったわけでございます。
 しかし、重度障害者なり精神薄弱者の雇用といいますものは、これは一人一人いろいろな違いがございまして、ケースワーク方式でやっていかないとうまくいかない非常にむずかしい問題でございます。そういう意味で、御承知のとおりことしは国際障害者年に当たるということでもありますので、ことし一年に限るのではなく、ことしを契機としてそういった一番むずかしい身体障害者あるいは精神薄弱者の雇用促進に私どもとしては力を入れていかなければならないと思っている次第でございます。
#85
○稲葉分科員 わかりました。
 大臣、いろいろと御苦労も多いことだと思いますが、せっかく実行力のある藤尾さんが大臣になられたのだから、ひとつしっかりよろしくお願いしたい。
 あなたの決意をお伺いして、終わりにしたいと思います。
#86
○藤尾国務大臣 私は稲葉先生御指摘のとおりだと思いますが、大体こういったお金がたまっておるというようなこと自体がこの活動がきわめておくれておるということの証拠だ、さように思います。したがいまして、五十五年に入りまして八十億くらいの積立金を取り崩すというような事態ができたことは非常に進歩したのではないかというように思います。
 しかしながら、いま安定局長から申し上げましたように、こういった問題につきましてなお努力しなければならぬ面が多々ございますので、今後一層この問題の解決打開のために努力をいたしまして、雇用率が完全に達成できて、さらに一層進んでおるというような状況になりますまで努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
#87
○上村主査 これにて稲葉誠一君の質疑は終了いたしました。
 次に、鍛冶清君。
#88
○鍛冶分科員 私は、本日は同和問題と、それに関連して若干の点を御質問申し上げたいと思います。
 この同和問題は、私が申し上げるまでもなく非常に古くて新しい問題でございますし、これは憲法の根底にも触れるような重要な問題であると思います。むしろ日本全国の各分野の方々がこぞってこの解決に取り組まなければならない最重要課題の一つであると思っておりますが、この点について最初に大臣の御見解を承りたいと思います。
#89
○藤尾国務大臣 これは私は予算委員会におきます総括質問あるいは一般質問の中でも申し上げておりますように、こういった問題が今日なお発生をいたしておりますとか、あるいは過去に発生をした事例を今日私どもが見なければならぬというようなこと自体が、非常に恥ずしいことだ、かように考えておりますわけで、少なくとも私はこういった事例を絶滅をする、こう言っておるわけでございますから、絶滅をするところまで私の努力を傾注したいものだ、こういうことで入念にかつ、広範にこれの啓蒙宣伝に努め、同時に、その違反事項のないように徹底して峻烈な対策をひとつとっていきたい、かように考えております。
#90
○鍛冶分科員 では、ちょっと立ち入った質問をさせていただきますが、去る昭和五十二年に、労働省におかれては同和対策対象地域住民就業実態調査という調査を行われて、その結果をまとめて発表されておるわけであります。
    〔主査退席、宮下主査代理着席〕
その調査の結果を見てみますと、同和地域の住民の皆さんの労働実態というものが、全国平均と比較した場合に非常に差がついている、こういうことがはっきり出ておるわけであります。この差というのが、労働分野における部落差別の実態を浮き彫りにしているのではないだろうかというふうにも考えるわけでございますが、この点について当局はどのような認識をされておるのか、お伺いをいたします。
#91
○田代説明員 お答え申し上げます。
 いま先生御指摘のように、昭和五十二年に労働省におきまして、同和地域の就業の実態調査をいたしました。これを全国の平均と比較してみますと、幾つかの特徴点というものが出てまいります。
 そのうち主要なものを申し上げますと、一つは有業者、つまり仕事を持っていらっしゃる方々の中で、いわば通常、安定就業だと考えられます常用雇用と、たとえば臨時日雇い、こういうふうに区分をしてみますと、同和地域の場合には常用雇用の率が全国平均に比べて劣っている。つまりそれだけ臨時日雇いの割合が高い、まずこういう特徴が一つ出てまいります。それからそのほかにも、たとえば事業主としまして自営をやっている場合でも、いわば雇用している者のない自営業者、こういったものの割合が全国平均よりも高い。あるいは内職等をしている人たちも、一般のいわば全国平均というものと比べますと高い。それからまた、就職をしています事業所の規模を見てみますと、これが中小零細の方により多く就職をしている形になる。また内容的にもいわば無技能労働というような者が多い、こういう幾つかの特徴が出てまいるわけであります。
 これは先生が言われましたとおり、私どももこの実態を考えてみますときに、いわば内容を分析していく過程で、若年の方々、つまり最近学校を卒業して職業についていかれる方々については非常に格差というものが狭まってきているわけですけれども、現在中高年齢層になります方々は相当以前に学校段階を経て労働市場に出てまいるわけでございますが、その段階では、やはり通学等をしないでいわば不就学というような結果にどうしても当時の状況からいって終わってしまう、こういうような方々もやはり相当あったわけでございまして、この方々が就業をする場合に、近代的な雇用関係に入ることが大変むずかしかった。それが現在、いま私が述べましたような不安定就業層に全国平均から見ますと率が高くなって出てきている一つの状態が、こういうふうに考えておるわけでございます。
#92
○鍛冶分科員 いまお答えの中にございました不安定就労者、この問題がやはり一番大切なポイントになるのではないかと私も思います。いまおっしゃった臨時工それから社外工、こういった問題ですね、これは特に重視をしなければならない、こういうふうに思っておるわけでございますが、それについてのお考えを承りたいと思います。
#93
○田代説明員 いま申し上げましたとおりに、新規学卒等につきましては職業指導の過程並びに事業主に対する指導というような中で逐次改善を図ってきておりますけれども、先ほど申し上げましたとおりに、中高年齢層の過去におきましてまずい状況、いわばそういった近代的な雇用に結びつき得ない状況、これを是正していかなければならない、これがやはり大きな労働行政上の課題でございます。
 そういった点で、従来私どもの方も、いわばそういった方々に対してもできる限り職業指導の機会を与えたい、また、できれば職業訓練等を受けて新しい技能を身につけてさらにそれを糧として常用就職化していきたい、こういうようなことでいままでも努力を続けておりましたけれども、特に昭和五十三年度以降は、そういった体系的な職業訓練と申しましても、現実には妻子を抱え、生活を維持しながらまた学んでいかなければならない、こういう環境にございますので、そういった長期なものでなくても短期の形でも技能が身につく、あるいは免許等の資格が取得できる、こういうようなことがございますれば、いわば従来の日雇い的不安定就業から少しでも上方移動ができる、そういう観点から職業安定講習というような制度を設けまして、これに対しては特に現在力を入れて実施してまいっておりまして、その成果は逐次広がっていく、こういう状況でございます。
#94
○鍛冶分科員 いまおっしゃった方向で、五十三年また五十五年度から制度を発足させていらっしゃるようでありますけれども、それはそれなりに非常に評価されるといたしましても、実態調査自体が若干おそかったなというふうな感じを私は持つわけでありますが、それなりに出発したということについて、いま若干お話がございましたが、その内容等についてさらに具体的にちょっとお聞かせを願いたいということと、すでに早いものは五十三年にいま御答弁ありましたように発足いたしておりますから、その効果について具体的にいろいろ調査等をなさりながら、さらにいい方向への対応をとろうという姿勢が大切ではないかというふうな気もいたしますが、そういった点についてさらに突っ込んだ御答弁をお願いいたしたいと思います。
#95
○田代説明員 職業安定講習、先ほど申しましたように逐次拡大をしておりますが、いまもう少し具体的なというお話でございますので、若干事例を挙げて御説明申し上げたいと思います。
 いま申しましたように、組織的訓練体系にならなくてもその講習効果が表へ出ることが可能ならばという前提をしいておりますので、たとえば建設機械関連あるいはクレーンの運転技術とか、御案内のようにそういった免許職種等がございます。こういった数日あるいは数週間、いろいろな講習期間がございますけれども、そういったものを履修いたしまして、したがってその資格を活用して常用化が図られる、こういうケースもございますし、またいろいろなものを取り上げることを可能にしてやっております。中にはたとえば他の行政施策の中で、農林関連の施策の中で同和対策といたしましてたとえば小型の船舶に対する補助、助成等の制度がしかれておりますが、こういったものが新たに行われるときに、その小型船舶の運転をすることが可能になるならば、従来の日雇い労働から、そういったものを身につけてそれによって今度は常用的にできるというようなことで、そういったものを中心に計画が進められ、すでに資格を持ち、そういう状況に入り得るあるいは入った、こういうような形も出てまいりまして、内容は非常に多種多様でございます。以上でございます。
#96
○鍛冶分科員 そういうことの推進をずいぶんなさって、新しく制度発足もさせている努力は評価いたしたいと思いますけれども、そういう中で具体的に五十二年にこの調査をなさったとき、著しい差があるという当時の調査結果が出ておるわけでありますが、現時点においてどういうふうにこの形でその差が実態としては縮まってきているのか、そういう内容的なものについて調査等をもしなさっておられれば、そのことについてお尋ねをいたしたいと思います。
#97
○田代説明員 不安定就業の実態等は先ほど申し上げたような点で前の状況と比較してみますと、五十二年当時でも、四十七年に、つまりそれより五年前に類似の調査をしておりまして、そういった点から見ますと、若干ずついわば常用化が進んでいるという状況は出ております。そういった意味で、私どもも、いま一つは新しい労働市場に出る方々に対して就職が可能になり、容易になる手だてというものを十分しいていくとともに、いま先生御指摘のこのような不安定就業層の解決をできるだけ早く進めますように今後ともこういった施策をできる限り十分に活用いたしまして対処してまいりたい、かように考えております。
#98
○鍛冶分科員 この調査ですが、五十二年になさっていらっしゃる、いま御答弁をお聞きしました、四十七年当時も類似の調査をなさったということでございますが、やはり何といってもこういう対策は最初大臣からお答えをいただいたあの基本的姿勢、これは非常に大切なことで、大臣からは御決意をいただいて大変力強い思いをしたのでございますけれども、しかしそれは決意があっても実態が伴わなければ何にもなりません。そういう意味では、やはり実態を常に明らかに把握しながら対応というものをやっていく必要があるのではないか、私は大切な問題だけにこういうふうに思うわけです。
 それで、やはり人権問題に触れる形の中で調査も大変やりにくいということもあるかもわかりませんけれども、いろいろ制度を発足させておやりになったことについて、そこらあたりを配慮しながらそういった効果がどうなのかというのも実態調査の上で明らかにするという方向はできないものなのか、ないしはまた五十二年当時にやったようなものをさらに内容を検討して定例的に何年かに一度はやるという形の中で状況を把握なさっていろいろな施策を講じられるということも必要ではないかなというような気もいたしますが、そういった点について御意見をお聞かせ願いたい。
#99
○田代説明員 全国の同和地域の実情は先ほど来御説明しているとおりでございますけれども、現実におきましては、同和地域も個々の地域においてそれぞれ就業構造の内容が違ってまいります。特にたとえば大都会であるとか大都市あるいは農山村とかあるいは旧産炭地域であるとかいうようなそれぞれの地域におきましてそれぞれのバックグラウンドの状況が変わってまいっております。それから労働行政といたしましても、一般的な産業構造の変化であるとか景気の変動であるとか、そういったものに常に左右をされていく姿が就業の状況の中にも出てまいるわけでございます。
 そういう点では、私ども労働省といたしましては、出先機関として公共職業安定所が網の目のように置かれておるわけでございますから、そこにおきまして日ごろから地域との接触を密にいたしまして、実情を把握するとともに、各種の相談に応じながら、それぞれの状況に合わせた対策を打っていく、それが一番必要になることかと思います。そういった意味では、それぞれの県あるいはそれぞれの地域におきましても、常にそういった努力の繰り返しを行っているわけでございまして、労働省といたしましても、そういった実情というものを十分承知いたしまして、それに基づきまして、今後とも地域地域に合った施策の展開ができるように最大の努力をしてまいりたい、かように考えます。
#100
○鍛冶分科員 いま産炭地の問題等もちょっと御答弁の中に出てきたのですが、それに関連して、実は緊就、開就問題というのもございますし、同時に、同和地域の皆さん方がこの緊就、開就等にもずいぶん従事してやっていらっしゃるという実態もございます。また、これに関連して、若干失対関係でも問題が出てくるわけでございますが、産炭地域のいろいろなそういった問題を具体的にお答えいただく前に、失対関係でありますが、研究会報告というものが昨年十二月に出されているようであります。この報告において直接、同和問題、それから産炭地域の問題等の関係に言及されているところがあるわけでありますが、ここらあたりについての趣旨並びにお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#101
○加藤(孝)政府委員 昨年十二月に出されました「失業対策制度調査研究報告」におきまして、同和対策対象地域の住民の問題あるいは産炭地域の問題につきまして、特別の理解、配慮が示されておると考えております。具体的には「失業対策事業の現状と問題点」という中におきまして、失業対策事業就労者から民間への常用就職者が非常に減少してきておる、ずっと滞留しておるというところが一つ問題点として出されております。その理由といたしまして、就労者が高齢化をしてきておるということのほかに、失業対策事業における産炭地域あるいは同和対策対象地域等の就職の困難な地域の占める割合が高まってきておる、こういう認識を一つ示されておるわけでございます。
 また、「失業対策事業の今後のあり方」の中におきまして、失業対策事業は基本的に終息を図るべき段階には来ているものの、旧産炭地域あるいは同和対策対象地域等における失対事業への就労の実情等にかんがみ、直ちに終息させることには問題があるので、なお暫定的に継続することもやむを得ない、こういうような考え方が研究会報告においても示されておるところでございます。
#102
○鍛冶分科員 そういったことに関連して、私の地元におきましては、産炭地域で、非常に重要な問題として、同和問題と同時にこれは取り上げられている問題でございますが、昨年十一月の産炭地域振興審議会の答申の中で、緊就、開就事業のあり方ということについて言及をされているようでございますが、その内容についてお聞かせを願いたいと思います。
#103
○加藤(孝)政府委員 昨年十一月に出されました産炭地域振興審議会の答申で、これら両事業について触れておられます点について申し上げますと、産炭地域においては今日なお厳しい雇用失業情勢にある。したがって、産業の振興による地域の雇用機会の拡大を図るという観点からこの推進を図ることが肝要である。しかし、早急な雇用機会の拡大が望めない現状では、緊就事業あるいは開就事業についても、その合理的な運営を図りながら、なお継続実施していく必要がある、こういう趣旨のことが示されておるわけでございます。
#104
○鍛冶分科員 その答申の趣旨というものはいま承りましたけれども、この趣旨に沿って労働省としてはどういうふうに受けとめて、どういう対処をしていくというお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#105
○加藤(孝)政府委員 緊就事業あるいは開就事業の継続実施につきましては、産炭地域の雇用失業情勢が依然として厳しい現状にあるわけでございます。雇用失業情勢は、たとえば求人倍率で申し上げますと、全国では〇・七五という状態でございますが、たとえば福岡県で見ますと〇・三一、さらに産炭地でございます筑豊の数で見ますと〇・二一という状況にあるわけでございます。こういう厳しい雇用失業情勢にある現状にかんがみまして、これらの地域で雇用機会の拡大がなお望めない状況にある。企業の誘致という面につきましても、いろいろ計画はされておりますけれども、それがなかなか計画どおりにはかばかしく進展しないということで、民間での雇用機会の拡大が望めない状況にあるわけでございます。そして、こういう中で失業者が多数滞留をいたしましてこれらの事業に就労しておられる、あるいはまた就労者のこういう産炭地における生活の実態というものを考えました場合に、いま直ちにこれらの事業を打ち切ることはできないという判断をいたしておるわけでございます。
 ただ、これらの両事業につきましても、今後におきます産炭地域振興対策、これもまた法の延長ということが今度図られようとしておるわけでございますが、そういう法の延長問題との絡みで今後産炭地域の振興対策が一層進められていきます、そういった施策の展開との関連も考慮しながら、これらの緊就事業、開就事業につきましても逐次その合理的な運営を図っていくという形をとりながら継続実施をしていく必要がある、こういうように考えておるところでございます。
#106
○鍛冶分科員 いま答弁がありましたように、産炭地域の雇用実態というものは確かに大変な問題でございまして、現時点においては、だんだんよくなりつつあるとはいいますものの、やはり地域にとりましてはいわゆる生活の糧を奪われるといいますか、そういう死活に関する問題だというとらえ方をいたしておりますし、事実、私も現地に行ってみてそういう感を深くいたしております。したがって、産炭地域振興臨時措置法の十年延長についての法案が今後提出されるようでございますけれども、これがもし可決されました場合、それに伴って、やはり法の続く限り緊就、開就等についても存続をし、そして活用をすべきである、こういうふうに私も思うわけでございますが、そういう点について見解をお伺いいたしたいと思います。
#107
○関(英)政府委員 産炭地域の実情なり、それから産炭地域振興審議会の答申を受けましてのこの両事業に対します考え方につきましては、先ほど来、失業対策部長からお答えしているところでございますが、同時に、先生も御承知と思いますが、これらの事業につきましても、始めましてから相当の年月をすでに経ておりまして、特に緊急就労対策事業等につきましては、就労者の高齢化が進む、あるいは事業効率等についても問題がなきにしもあらずというようなことが各方面から指摘されているわけでございます。そういう意味におきまして、先ほどの答申の中にも、合理的な運営というようなことが特に言われているわけでございます。私ども事業を行ってまいります責任者といたしまして、やはりこれも財政による一つの事業である以上、その合理的な運営というところにこれからますます力を入れませんと、とかくの批判を浴びる、こういうことも考えられるわけでございます。したがいまして、産炭地の振興それによります企業の誘致、そういったものによる民間の雇用の開発といいますか、そういうところへの就労促進、そういったものに力を入れていくと同時に、この事業につきましても、そういったものとの関連を考えながら、十分合理的な運営を図るような最大限の努力をしていくことが必要ではないか、こんなふうに考えておるわけでございます。
#108
○鍛冶分科員 その合理的運営というのも、やはり地域という立場、そこに住んでいらっしゃる方々の立場、その死活問題ということを根底に置きまして、そこらあたりを合理的に考えていかなきゃならぬという側面もありましょうから、そういった意味も踏まえながら、ひとつこれは真剣な取り組みをして存続、活用を要望をいたしておきたいと思います。
 時間が参りましたので、最後に大臣にお尋ねをして終わりますが、先ほど来、一番冒頭に大臣からも同和問題については御決意のほどを承りました。そういうものを踏まえながら、この同和対策の臨時措置法ですか、これがもう近々のうちに期限切れになってまいります。これは大臣のそういう御決意を聞くことにおいて、私どもは心強い限りではございますが、この措置法の延長問題、これはいま当面のやはり大きな一つの焦点になっておりますが、これについてぜひ存続をする中で同和対策の推進を図っていただきたいというふうにも私ども思うわけでございます。同時に、いま産炭地域の緊就、開就等の問題、失対問題を含めて御質問を申し上げましたが、これも同和関係の方方が多数やはり就労もなさっておられる。こういった意味合いも含めまして、これはぜひとも強力なる対策、または法の延長等をお願いしたい、こう思うわけでございますが、こういう点についての大臣の御見解を承りたいと思います。
    〔宮下主査代理退席、主査着席〕
#109
○藤尾国務大臣 この同和対策問題と関連をいたしまして、この法律を延長するか否かということにつきましては、御案内のおり総理大臣が本会議あるいは予算委員会で言っておられるわけでございますから、私がその域を乗り越えてとかくのことを申し上げるということは、これは越権でございますし、すべきではない、かように考えておるわけでございます。
 それから、産炭地の地域におきます問題は、いま局長その他から申し上げたわけでございますけれども、私は、この産炭地域ということと、この同和問題といいますこと、これを一緒に重ねて考えるということはできるだけ避けていくべきではないか。産炭地というのは、石炭事業といいますものがなくなって、そしてそこに炭柱というものがあって、そこに住みついておられる方々が多数残っておられる。石炭事業はなくなった。そこで仕事がなくなって失業状態が起こっておる、こういうことでございますから、この失業状態といいますものをその産炭地域に対しましてどのように解決をしていくかという産炭地域に対する措置法、こういったことで考えていくべきである、私はかように考えます。
 その方面に当たりまして、何と言いましても一番大事なことは仕事をつくることでございますから、産炭地域にどれだけの企業を誘致できるか、あるいは常用の仕事場をつくれるか、事業所をつくれるかということが主でございまして、それに全力を尽くすべきである。しかしながら、それがまだできていないというその空間のもとにおいては、それでは何を考えるべきかということで、これはあくまでも臨時的な措置といたしましてそのつなぎを考えていくわけでございまして、それが私どもの労働対策といたしましての主ではない。どこまでもこれはつなぎであって、きちっとした常用の仕事ができるまで私どもがやむを得ずとっておる臨時的措置であって、その措置ができるだけ短い方がよろしい、さように思います。そのためには、石炭対策の産炭地事業といいますものがより進展をしていくということが望ましいと思います。この面につきましては、通産御当局との間で緊密に連絡をいたしまして、その措置をとっていくようにやってまいります。
#110
○鍛冶分科員 では、大臣の最初の御答弁、御決意を信頼いたしまして、強く施策を推進されること、特に同和問題については推進されることを御要望申し上げまして、私の質問を終わります。大変ありがとうございました。
#111
○上村主査 これにて鍛冶清君の質疑は終了いたしました。
 次に、水田稔君。
#112
○水田分科員 私は、総合職業訓練校の再編の問題について御質問いたしたいと思います。
 七八年の四月に職業訓練法の一部が改正されました。これは公共職業訓練施設の再編整備を行おう、こういうことでやられたわけでありますが、その中の幾つかの大きな点を見てみますと、その一つは、総合訓練校を短期大学校にして、そして中卒の養成訓練はここではやらなくて、高校卒の技能労働者の養成をする、こういうことのようであります。もう一つは、向上訓練と能力再開発訓練は技能開発センターでやっていこう。そして、そこでは民間のいわゆる向上訓練も引き受ける、あるいはまた三次産業等で委託でやるとか、そういうようなことなども考えた改正だったわけであります。その際の議事録を調べてみますと、いろいろ疑問に思う点が幾つか出ておりまして、現在順次進んでいるわけでありますけれども、その中での問題はやはり解消されてないまま進んでおる、そういうぐあいに思えて仕方がないわけです。
 たとえば、この短期大学校になりますと、中学卒業生の養成訓練はやらないわけですが、一体中卒が減ったからそれでいいというものかどうか。また技術革新が、相当高度の技能が必要なそういう労働者を必要とするように。なってきた。だから、いわゆる高校卒を短期大学校で三カ間訓練する、高度の技能者として送り出すというような考え方、それはそれなりの必要性があるとは思うわけでありますけれども、たとえば岡山県の玉島の総訓、これは五十八年に短期大学校になるところです。ここには中卒が現に五十五年度は九十二名入っておるわけですね。中卒が減ったという見方、いわゆる高校進学率が上がったということだけでそれを切り捨てていいものかどうかということを私は一番疑問に思うわけであります。もちろん県にもあるじゃないかという話もあると思うのですが、この短期大学校と技能開発センターの中における中卒の養成訓練というのは一体どういう形でお進めになろうとしておるのか、その点をまず伺いたいと思うのです。
 それともう一つは、現状はこうだからこう、単なる中卒が減ったという抽象的な言葉じゃなくて、こういうことだからこういうぐあいにして養成訓練はやりたいというようなこと等含めてお答えいただけたらありがたいと思います。
#113
○森(英)政府委員 お答え申し上げます。
 先生御承知のように、五十三年の職業訓練法の改正によりまして、従来の雇用促進事業団立の総合高等訓練校につきましては、向上訓練あるいは能開訓練を行います技能開発センター、あるいは高度の技能者の養成を目的とします職業訓練短期大学校のいずれかに改組するという方針が決まったわけでございまして、これは、これからの職業訓練の全体の体制といたしましては、高齢化社会の進展に伴いまして、成人訓練あるいは能力再開発訓練というふうなものが大きな重点になってくるであろうということが第一点。また、非常に厳しい環境の中で産業構造の変化でありますとか技術の高度化が進むわけでございますが、それに即応しまして技術的な知識を持った技能者の養成が必要になってくるということで、高卒後二年間という形で訓練する短期大学校というものが必要になってくるということでございまして、他面、中卒の養成訓練というものは、中卒自体の縮小傾向に伴いまして、どうしても将来の方向としましては減少傾向にあるというふうな状況があるわけでございまして、そういうことを背景にいたしまして先ほどのような方針を決めたわけでございます。しかし、中卒の訓練ももちろん重要でございます。したがって、転換が行われれば事業団立の訓練施設におきましては中卒の養成訓練はないわけでございますけれども、一方県においてはなおこのようなことをやっておりますので、転換につきましては、十分その受けざらといいますか、中卒のこの訓練機会が不当に縮小しないように配慮してやっていこうというふうに考えておるところでございます。
#114
○水田分科員 その点、ちょっと答弁が足りないと思うのですね。総訓でやる場合は二年、県でやる場合は一年ですね、二年の制度はないわけです。法律の精神も「職業に必要な労働者の能力を開発し、及び向上させる」云々とありまして、「労働者各人の希望、適性、職業経験等」とか、そういう点から言えば、中卒が二年間の訓練を受けられない、そういう希望が現実にあるのになおかつ一年でよろしいということが言えるのかどうか。
 もう一つは、これは労働省の仕事じゃないのです。文部省になるか社会教育になるか。現在、高枝へ入っても、英語や数学はついていけないからというので中途退学がたくさんおるわけです。中途半端になるわけですね。その中で中には非行に走る者もおるわけです。そういう連中のいわゆる全人教育というのは、この中卒の総訓の中では事実上やられているわけですね。そういうきわめて大事な役割りも果たしておるわけです。たとえば、岡山県の県の中卒と総訓が扱ってきたのを五十三年から申し上げますと、岡山県の訓練校の中卒の定数は全体で二百名なんですが、五十三年が九十四人、五十四年が九十四人、五十五年が九十三人、定数の約半分しか入っていない。これも問題なんです。ところが、一方総訓は、五十三年が八十四人、五十四年が八十七人、五十五年が九十二名です。ですから、もはやほとんど全入に近い九六%か九八%の進学率になっているけれども、なおかつこういう中卒がおって、二年程度の訓練を受けて社会に出たいという高校中退でここへ来るのが現実にあるわけです。ですから、恐らく労働省なり事業団の方で見られておるのは、トータルしたら県の定数枠でちょうどいくじゃないかということかと思いますが、それはそこで訓練を受ける連中の気持ちというものを全く配慮していない考え方ではないか。私は、何らかの形でその二年の訓練ができる条件というものを、たとえ短期大学校になろうと併設するか何かしてやっていくのが本当の法の精神ではないだろうか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#115
○森(英)政府委員 御指摘のとおり、中卒二年の訓練機会というものが総訓の転換によりまして減少するわけでございますけれども、県も中卒二年の訓練をある程度やっておりますので、その辺は県の方の対応によりまして、何とかできるだけ摩擦少なく転換してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#116
○水田分科員 それでは具体的に聞きますが、岡山県の場合はどの程度の教育ができるか。五十八年にはもうあれですから来年ぐらいには募集をとめなければいかぬわけですね。岡山県はいま二年のを持っておらないはずです。簡単に言われますけれども、岡山県でいまの施設なり職員からして二年ならばっとできるか、そんなものではないと思うのですよ。そういうことでなくて、現実に年年それだけはちゃんと来ておるわけですよ。しかも、私が申し上げたように、中卒がゼロになることは高校全入ということを法律で決めぬ限りはないですよ。そうして、いまの高校教育のあり方を変えない限り、ついていけない子がそれだけ行けば必ず出る。それらがここできわめていい教育を受けているわけですね。それは技能だけではなくて、人格形成の上で大変いい教育を受けておる。そういうものを考えずに、県の方にも二年のがありますといま答弁された。岡山県には恐らく私が調べたところではないですね。それならどういうぐあいに県と話をされておるか、大事なところですからひとつ答えてください。
#117
○森(英)政府委員 玉島総訓の転換問題につきましては、計画上本年着手いたしまして、普通は二年で転換を終わるわけでございますが、このケースにつきましては、県等の要望もございまして五十八年度から開校するということを一応考慮しておるわけでございます。したがいまして、転換に伴う受けざらの問題を措置しますのは五十七年度になるわけでございますが、県の方でも、予算が問題であるといたしまして、五十七年度予算からだということでございますので、現在、その間の調整をどうするかにつきまして、県当局等と相談を始めたところでございまして、具体的にどう措置するというところはまだ決まっていないわけでございます。
 御指摘のように、確かに県の方の受けざらの問題も、いまの総訓の二年課程をぴったり引き受けて全面的にやることは、財政事情とか指導員の転換問題とかいろいろございましてむずかしゅうございますが、そのむずかしい中でできるだけの努力をしてまいりたい、その摩擦をできるだけ少なくしたいという方向で、十分検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
#118
○水田分科員 それでは、時間の関係もありますから、転換に当たっても、どういう形になるかは別として、中卒二年の訓練を受ける人たちを見捨てることはしない、そういうぐあいに理解してよろしいですか。
#119
○森(英)政府委員 見捨てるというのはどういうことになるのか、これはちょっと問題なんでございますけれども、そういう犠牲ができるだけ少ないように十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
#120
○水田分科員 もう一つは、訓練科の編成の問題なんです。これは本来地域によってそれぞれ特色を持っておるわけですが、地元の産業基盤との関連、一つは使う側のニーズあるいは訓練を受ける側のニーズ等から当然編成しておると思うのですね。ただ、こういう中で、参考に申し上げますと、岡山県における各産業別の従業員の推移を見ると、特徴的なことがあるわけですね。たとえば精密機械器具の製造業というのは、昭和四十年には九事業所で百六十二名、五年たって四十五年になりますと五倍くらい、十六事業所で七百八十五人。五十年になりますと十九の事業所で八百九十五人。新しいのはありませんが、五十三年には三十事業所で千二百三十八人。そういうニーズがある。しかも、これからの日本が生きていくためには付加価値の高い産業へという点では特徴的なものがあるわけですね。機械とか仕上げはあるのです。ところが、こういう精密なものはない。
 もう一つは、職業紹介のところから見てみますと、人を求める方と求職する方との比較で、たとえばこんなのはわりに出ておるのです。電気通信機械の組み立て、修理ですね、ラジオ、テレビの修理などのこういう分類があるのですが、昭和五十四年を申し上げますと、人が欲しいという申し出が二百五十二名ほどある。それに対して、行こうと言ったのは四十七名。五十五年は求人が百九十六で求職四十二名ですね。非常にアンバランスになっている。これは岡山県の地域における産業基盤の変化なり、そういうものが出てきた一つの特徴的なものなんですね。
 ですから、再編する中では少なくともこういう問題、これは後で大臣にぜひお答えいただきたいと思うのですが、この問題じゃなくて後で質問いたしますが、当然こういうぐあいに変えていかなければならぬ。そういうものをやはりちゃんと取り込んだ科の編成というのはぜひお願いしたいと思うのです。ですから、一つは、中卒の人たちの問題、一つは、変わるにしてもその中でちゃんと全体的に、岡山には二つあるわけです、総訓もありますし。だから、そういう中でこういう地元の産業基盤というのはどういうふうに変わってきておるかということなどを含めて検討いただきたい、こういうぐあいに思うのです。お答えいただきたいと思います。
#121
○森(英)政府委員 ただいまの先生のお話は全くそのとおりでございまして、私どもといたしましても、各訓練校の訓練科目の設定につきましては、経済の動向、労働市場の推移等につきましての長期的な見通しを踏まえまして、技能労働者に対する産業別、職業別の需要動向でありますとか、また新規学卒者研修等の要望も十分調べまして、かつ地元の御要望も配慮しながら計画をつくるということで、特に労使、学識経験者の三者で構成する職業訓練審議会の御意見も聞きながら実際には決めておるところでございます。
 ただ、先ほどもちょっと触れましたが、財政事情の問題もさることながら、一番むずかしいのは、やはり既存の指導員の訓練科目の転換ということがなかなか実際には行いがたい、あるいは時間がかかるという点がございまして、必ずしもいまの訓練科目の体系がそれぞれの地域の実情にぴったり合っておるということは、私どもといたしましてもとても言えない現状にあることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、岡山のいま御指摘のような事情につきましてはただいま拝聴いたしましたので、十分参考にさせていただきまして、さらに検討を進めたいと考えております。
#122
○水田分科員 後で少しまた触れたいと思いますが、大臣にお伺いしたいのです。
 職業訓練の中で能開訓練というのは、大体三カ月とか六カ月とか、そういうものになっているのですね。日本の産業構造は、四十八年のオイルショック以降、そして日量六百三十万バレルというサミットの確認事項等を考えていけば、その中で日本の産業構造をどうしていくか、一般的には付加価値の高い産業へ、化学で言えば、これはヘビーケミカルズからファインケミカルズへということなどが言われるわけです。それは、そうしなかったならば日本民族は生きていけないだろうという一つの見通し。エネルギーの消費が減れば連動して雇用が減ってくる、こういう考え方。エネルギーの消費が少なくてそして雇用が大きく出てくる、こういうことに変えていかなきゃならぬ。そうすると、たとえばの話ですが、四十八年のオイルショックのときに鉄鋼は相当な人が外へ出ていきました。あるいは造船、いまは帰っていますけれども造船も外へ出ていった。あるいは化学産業等はそれ以来ずっと水平線下をいっておるわけですから、たとえばアルミをとってみれば、百六十万トンから百十万トンにして、そして八十万トンにしていく、それは人が全部出ていくわけですね。そういう人たちの問題を、単に三カ月、六カ月で全然違った訓練を受けて行ったら、もとの給料の八割もらえたらいいですね。その面では、産業構造変化の中で、たとえば四十代、五十代で職場を離れざるを得なかったその人たちが、四十八年以降の変化というのは二次から三次へずっと移っていった。給料はみんな三割ぐらいダウンしておるわけですね。単に勤め先があったということだけですね。ですから、これからのエネルギー問題からくる日本の産業構造を変えていかざるを得ない、そういう政策もとらざるを得ぬ。そういう中で起こってくるものについては、すぐできるとは私は思いませんが、少なくとも、いいのは仕上工とか旋盤工とか電気のいわゆる資格を持っておるとかボイラーの資格を持っておる、それはそのまま行けるわけです。一番困るのは、鉄にしても自動車にしても、組み立てとか製造現場のいわゆるラインの中におる人たち、そこではベテランの労働者なんですが、違う職種へ行ったら同じ組み立てといっても全く素人工に扱われちゃうわけですね。そこに問題があるわけですね。ですから、スムーズなそういう転換を図るとしたならば、少なくとも二年なら二年生活の心配なく訓練を受けられる、そして、もともとの給料にはならぬにしても、せめて九掛けとか八五%以上になるような、新しい技能を身につけた人ですという扱いがされるとしたならば、三カ月や半年ではだめなんですね。
 それからもう一つは、さっき触れました、たとえばテレビの修理なんというのはむずかしいのですが、ラジオなら簡単にいく。しかし、旋盤をやっておった人あるいは仕上げをやっておった人が、精密機械ならより高度な精密な技術を身につけて職につくことができるというようなことなどを本来は考えるべきじゃないか。それから、基本的にこれからの産業構造の転換の中で職業訓練ということを考える場合には、能開についてはいまの扱いではきわめて不十分で、いますぐということではないにしても、もっと検討してもらってスムーズに、労働者が転職せざるを得ないという場合でも安心できる条件というのはつくっていくべきではないか、こういうぐあいに思っておるわけですが、大臣の所見を伺いたいと思います。
#123
○森(英)政府委員 訓練期間の問題でありますので、ちょっと私の方からお答えを申し上げます。
 産業構造の変化に伴う訓練でございますから能開訓練のことだと思うのでありますけれども、職業訓練の期間につきましては、新たに職業生活に入る新規学卒者につきましてはこれは養成訓練でございまして、高卒が一年、中卒は二年というのを原則でやっておるわけでございます。離転職者を対象とする能開訓練につきましては、これはすでに相当程度の職業経験もあり、職業能力も一応あるという人々が対象でございますので、また、事実失職して新しく就職することを急いでおる方々でもありますので、これにつきましては、養成訓練の学科部分を省略いたしまして、実技訓練を中心に六カ月の訓練ということを原則にしてやっておるわけでございます。しかしながら、能開訓練におきましても、訓練を受ける離転職者の具体的な状況によりましては一年まで延長する措置も講じておりますし、また離転職者のうちでも、相対的に若い方で若年離転職者等につきましては、適当と見られる場合には養成訓練に行くよう指導するということで、その場合は実情二年間の訓練を受けられるという形に戻っておりまして、その点は弾力的にやっておるつもりでございます。したがいまして、能開訓練として二年という考え方よりも、いま申し上げたような措置で対応できるのではないかというように考えておる次第でございます。
#124
○藤尾国務大臣 きわめて大切な問題を御指摘いただいたと思うのでございますけれども、これはいままでの経緯の中でもエネルギーの変化その他によりまして大きな転換が行われておるわけでございますが、これから先を考えてみますと、一層マイクロコンピューターの導入でございますとか、あるいはロボットの導入でございますとかというようなことで、その職業内容といいますものは非常に変わってくる可能性がある。そういった表現は非常に慎まなければなりませんけれども、いわばハードな職種からソフトな職種に変わっていかなければならぬというようなことが起こり得ると私は思うのです。でございますから、そういった非常に大きな変革の中におきまして離退職の方々が出てこられるといった場合には、やはり工場側とされましても、できるだけ対応のしやすい方々を置いておいて、これは能力が少し落ちてきたなというようなかなり中高年の方々の方にその離退職のしわが寄ってくる可能性というものは非常に濃いと思います。したがいまして、この能力再開発におきましてもそのようなことを考えていかなければならぬわけでございますから、当然訓練の内容におきましてもそのことは十二分に取り入れていかなければならない、お説のとおりだと思います。そのようにさせます。
 しかし同時に、並行して考えてみますと、世の中は工場、事業所に行くということだけが生き方ではないわけでございますから、たとえばいま一般に行われておりますように、園芸をやっていただくとか、あるいはビル管理をやっていただくとか、あるいは表具等々をやっていただくとか、あるいはいま御指摘になられましたようなテレビの修理をやっていただくとかいうようなことで、むしろ、そういった集団的な仕事でなくて個性的な仕事に生命を見出していただく、そういったことの方があるいは適当であるという場合もないわけではないわけでございますから、このところは非常に多様な形態で対処をしていかなければならぬ、かように考えるわけでございます。
 したがいまして、そういったもの全般を扱います職業訓練の係の者も、そういった多様な方法がございますということをよく御知悉をいただいて、そのためのそれぞれのコースを御相談の上でお選びをいただいて、それぞれのケースケースで最善の措置をとっていくくらいの親切があった方がいいのじゃないか、私はかように考えるわけでございまして、余りに類型的に分けていくということのほかに、そういった個性的なものも考えて指導をさしていただいたらどうだろうかなというような感じがいたします。
#125
○水田分科員 本当は、二年間安心して職業訓練を受けられるというのは生活保障の問題なんです。その点はすぐの答弁にはならぬと思いますけれども、本当に産業構造の変化に伴う労働者の移動をスムーズにやろうと思えば、生活保障というのが前提。そして、いま言われたような多様な職業訓練、東京ではたとえば表具師とか土地家屋調査士とかビル管理等をやっているわけですね。岡山を見るとそんなものはないわけです。たとえば、さっき局長言われたけれども、機械とか仕上げとか、それらを職場でいままで十年も十五年もやって、そこで中高年で出た場合は、そのまま一人前で結構使えるのです。そうでない人がこれは行くわけですよ。それが六カ月で行って、いままで現場のいわゆるラインにおった人がその機械のあれを半年受けたら、前のラインで年功序列でもらっておった賃金をもらえるか、それはもらえないわけですよ。そのことを言っているわけですから、特に中高年については、いま大臣の言われたような多様な中で、本当にいわゆる力仕事でない分でやれるものが、たとえば一年やるとあるいは二年するとこういう資格がとれるじゃないか、そういうものをもう少し考えてもらいたいと思うのです。
 最後に一つだけ。いま能開訓練を受けている中で病気とかけがした場合は十四日だけ保障があるのです。後はないわけですね。そこらあたりは何とか検討できないだろうかということを最後にお伺いいたします。
#126
○森(英)政府委員 先生御指摘のように、能開の訓練生が疾病、負傷で訓練を受けることができないという場合につきましては、十四日間だけはそのまま基本手当が支給になりますが、それ以後は打ち切られるということになっておるわけでございます。ただ、その疾病または負傷が職業訓練受講中あるいは通校途上のものでありました場合には、業務災害あるいは通勤途上災害のひそみにならいまして、十四日の病休以後六十日を限度に傷病見舞金というものが出ることになっておりますが、これはそういう場合だけでございまして、それ以外の一般の負傷、疾病の場合には十四日限度ということになっておるわけでございます。
 もちろんこういう点、何でも多ければ多いほどいいことはわかるのでございますけれども、ただ、訓練手当と申しますものは、求職活動の一環として訓練を受けるということを前提に、そのための生活の援助として支給するたてまえでございますので、現実に訓練を受けられないという場合につきましてどこまでも保障するということはちょっと無理でございまして、これは雇用保険の方の失業給付が十四日までが基本手当で後は傷病手当に切りかわるというようなたてまえとのバランスで十四日ということが出ておるわけでございまして、この十四日をさらに引き上げるということにつきましては非常にむずかしいのではなかろうかというふうに考えております。
#127
○水田分科員 時間が参りましたので。先ほど大臣の言いましたように、たとえば安心して職業訓練を受けられる、それは二年なら二年ということもあります。それからいまのように現実にやっておる中で、じゃ受けるとき食わぬでいいのかといったら、その方は困るわけですから、それも安心して訓練を受けられるということ等については要望申し上げておきますから、すぐということでなくてひとつ御検討をお願いいたしまして、時間が参りましたので、質問を終わります。
#128
○上村主査 これにて水田稔君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#129
○上村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 労働省所管について質疑を続行いたします。野口幸一君。
#130
○野口分科員 私は、労働省所管にかかわる問題の中で、特に中高年齢者、その中でも高齢者の就職問題について少しく御質問を申し上げたいと存じます。
 まず初めに、私は中高年齢者という言葉を使いましたが、むしろ私がお聞きしたいのは、いわゆる定年退職後を対象といたしまして、現在は大体五十五歳ですか、あるいはまた六十歳というのがありますが、それ以上の方、これはそういう形で統計をとっておられるかどうかはわかりませんが、それ以上の方、いわゆる第二の人生といいますか、そういうところで就職を希望される方々の実情と、それからそのあっせんの現行状況はいかがなものに、なっているか、ちょっとお聞きしたい。
#131
○関(英)政府委員 高齢者の安定所におきます職業紹介の実情ということでございますが、先生御承知のとおり、わが国は終身雇用慣行といったような雇用慣行が大企業を中心に一般的でございます。毎年四月に新規学卒者を採用するというような採用慣行が一般化しております。そういう意味で、中高年齢者に対する採用慣行というものが余り一般化してない。こういうような雇用慣行が背後にございますものですから、御承知のとおり、高齢者の有効求人倍率、こういったものも非常に低いのが現実でございます。昨年の十月におきます有効求人倍率を見ますと、全国的に全年齢の平均では〇・七七倍でございました。それに対しまして、六十歳以上の高齢者だけとりますと、〇・一二倍ということで非常に求人が少ない、求職者が多い、こういうことで再就職にとってはきわめて厳しい条件にあるということがあるわけでございます。
 公共職業安定所におきましては、まず、従来高齢者も若い人も一緒に職業相談をするような形をしておりましたが、昨年の四月からその辺を改めまして、たとえば求人を公開して、それを見て自分で就職できるような人、主に若い人たちに多いわけでございますが、そういうものは自主選択をしていただいてごく簡単に紹介していく。しかし、高齢者のような十分個々人と相談指導しないと非常に就職がむずかしい人につきましては、そういう特別援助グループで相談を緊密にする。それからまた、求人者に対しまして、条件緩和をして高齢者でも十分間に合うような求人はできるだけ高齢者を雇用していただくような指導をしていただく、そういうようなことに努めて高齢者の就職促進を図っているところでございます。
#132
○野口分科員 いまお聞きいたしましたように、非常に求人の側の数字が少ない、狭い門になっている、こういうことでございますが、これは私が申し上げるまでもなく、高齢化社会にこれから向かうわけでありまして、これは別の角度で検討しなければならぬ問題でありますけれども、現在、年金で生活ができるというような状況を想定するのは非常にむずかしい。さすれば、健康である限りにおいては仕事をしたい、仕事をしなければならないというわけでありまして、この種の関係の今後の施策というものは非常に重要視されなければならぬ、こう思います。
 そこで、現在そのことはお見通しでございましょうか。おいおいおやりになっているはずでございますが、それらのものは主として今日の状況でどういうものを取り上げてやっておられるか、また、それを取り上げてやった結果どのような現状にあるのか、それをお伺いしたい。
#133
○関(英)政府委員 先生御指摘のとおり、わが国は欧米諸国と比べまして三倍とか四倍というような非常なスピードで高齢化社会に向かっております。また、二〇〇〇年を越えてまいりますと、かつて先進諸国が経験した以上の高齢化率に到達していくというようなことでございますので、高齢者の方にできる限り働いていただく、そういう環境をつくるということが私どものこれからの最重要課題だろうと思っております。
 その場合に、わが国の雇用環境を考えますと、まず第一に、新規学校卒業者が会社に入りまして、そこで終身雇用というような雇用慣行のもとでずっと働いているわけでございます。高齢者になってから職業を転換するということは、若いうちならともかく、非常にむずかしいことがございます。そこで、でき得るならば、従来の会社にそのまま継続して雇用していただくことがまず第一でございます。そういう意味で、高齢者対策の第一の柱は、私ども定年の延長だというふうに考えております。
 御承知のとおり、昭和六十年までに六十歳定年を一般化するということで施策を強めております。もちろん六十歳定年が一般化すればそれで済むというわけではございませんが、つい先ごろまで五十五歳定年が支配的だった現在の環境を考えてみますと、一気にこれを六十歳以上にといっても無理がございますので、とりあえず昭和六十年までに六十歳定年を一般化させようということで、そのための施策を強めております。たとえば定年延長奨励金というような助成制度もその一つでございます。
 それならば、六十歳以上については何もしないのかということになりますと、もちろんそういうわけにはまいりません。六十歳以上になりますと、現状では労働者個々人によって、その体力、職業能力等に種々の差がございます。そういう意味で、いま直ちに六十歳以上について定年延長を一般化するということは無理があろうかと思いますが、定年延長できるところはしていただく、あるいは再雇用なり継続雇用していただくというようなことが非常に重要になってまいろうと思います。そういうための奨励制度もとっているところでございますし、あるいはまた六十歳を過ぎてまいりますと、フルタイムの常用雇用は無理だけれども、短時間の就労ならば可能であるというような人についての雇用促進もこれから考えていかなければならないだろうと思います。
 そういうような多様な形での雇用の奨励策、そういうものをこれからとっていく必要があろうということで、今国会にも関係法律の改正をお願いし、来年度以降そういう施策も強めていきたいと考えているところでございます。
 また、やむを得ず離職されました高齢者の方に対しまして、できるだけ雇用を促進していくために、中高年齢者雇用開発給付金というようなことで助成制度をとりまして、十万人の雇用を創出しようということで始めたわけでございますが、一年間かかりまして十万人を達成することができました。こういったような施策も強めておりますし、六十歳以上のお年寄りの方で、常用雇用は無理だが短期的な仕事で地域のお役に立ちたいという方のためのシルバー人材センター、そういったものに対する助成制度というようなこともやっているわけでございます。
#134
○野口分科員 最後におっしゃいましたシルバー人材センターの状況なんですが、当初の出始めでありまするからやむを得ぬと思いますけれども、一応大都市といいますか、県庁所在地と申しますか、そういうところでそのことが行われておりまして、中小都市にいる労働者といいますか、いわゆる離職者あるいは求職希望者がなかなか利用しにくい状況にあります。これを普遍的にといいますか、全体的に伸ばしていこうというお考えはいまのところございますか。
#135
○関(英)政府委員 御指摘のとおり、シルバー人材センターの助成制度は本年度から開始したわけでございます。開始早々でもあるということと同時に、このシルバー人材センターは、天下り的につくる組織ではございませんで、地域の高齢者の方々が集まって自主的にそういう法人組織をつくっていただいて、そして自分らの能力を生かして地域のお役に立ちたい、こういう制度でございます。そういう意味で、役員その他にも別に天下りは一人もおりませんし、そうやって自主的な組織をつくっていくには、やはり相当程度そういった高齢者の方々がいらっしゃる、そしてまた地域にそういった高齢者にぜひお願いしたいというような仕事の集積もある程度見られるというところからまず手をつけて、よいものをつくっていきたい、こういう考え方から、本年度におきましては、おおむね人口二十万ぐらいの大きな都市にまず設置してみたらどうだろうかということでスタートしたわけでございます。しかし、現実には二十万以上でない都市でもぜひやりたいというところがございまして、その点は弾力的に本年度も対応してきたつもりでございますが、来年度はこれを十万以上ぐらいに広げてみたらどうだろうかということで、本年度百団体に対しまして、来年度は百五十団体ぐらいにしたいということで、そういう予算の御審議をお願いしているところでございますが、今後とも実情をよく検討いたしまして、実情に応じてこういった施策は重視していきたいというふうに考えておるところでございます。
#136
○野口分科員 非常に前向きの姿勢で結構なんでありますが、予算が関連する話でありまするから、必ずしもわれわれの思うとおりには予算はいただけないだろうとは思いますけれども、先ほど申しましたように、高齢化社会に向かっていく段階に当たって、何とかして少しでも求職者の希望をかなえてあげていただく前向きの施策の一つとして、その問題については、十万以上ということがございましたけれども、できれば、十万に類する都市でも、そのような希望が出てまいりますならば、弾力的に御検討いただいて、ぜひともそれらの希望をかなえてやっていただくようにお願いをしたい。この点、いかがでしょうか。
#137
○関(英)政府委員 先ほど申しましたように、ある程度こういった希望する高齢者の方々がございませんと、そういった自主的な組織が生まれませんし、また、大きな都会になりますと、核家族化が進行してまいりまして、たとえば、家庭の留守番を頼みたいとか、休みにちょっと旅行するときに庭木の手入れを頼みたいとかいった、さまざまな臨時的、短期的な地域の仕事もあるわけでございますが、人口集積が少ない場合には、やはり共同体的な日常生活というものがございまして、そういった仕事も余りないという面もございます。したがいまして、小さいところでもどこでもつくれるというわけには実態上まいらない面があると思いまして、私ども、とりあえず二十万から始めて、だんだんと広げていきたいという考え方で来年度お願いしているわけでございますが、実情をよく把握いたしまして、できる限り運営上配慮してまいりたいというふうに考えております。
#138
○野口分科員 よくわかっておるわけでありますが、実は私は滋賀県全県一区でありまして、その問題については滋賀県についてしか余り知らないわけですけれども、滋賀県というのは御存じのように琵琶湖がございまして、大津が一番京都に近い、いわば県の一番端っこにありまして、そこで仮にそういう人材センターというものができましても、非常に偏っておりますがゆえに、かえってそのものの利用率が非常に偏ってしまう。その手の都市というのは非常に人口が少ないということでございまして、人口だけに基準をとらわれますと問題が起こる。地域的な考え方というのを加味してもらいたいというのが非常に高いわけでございます。各官公庁等をおやめになりました退職者の会と申しますか、そういうところでもこういう声が高こうございまして、われわれも協力する、だから、先ほどおっしゃいましたような庭木の手入れ、留守番、店番、そんなものから始まりまして、いろいろなものをお互いに持ち寄って少しでも求職の場を広げていきたいという希望もございますので、単に人口的なもので設置をお決めにならずに、地域的なものを加味された普及のあり方を御検討いただけたら幸いだと思うのですが、いかがでしょうか。
#139
○関(英)政府委員 先ほど来申しております人口規模というのは、おおむねということで私どもは考えておりまして、実際上設置いたします場合には、できる限り地域の実情に即して従来も考えてきたつもりでございますが、ただいま先生の御指摘のような地域の事情は、私どもは、関係の都道府県から十分聴取いたしまして、できる限り地元の実態に即してこの制度が活用されるように運営上配慮してまいりたいと思います。
#140
○野口分科員 少しく観点は違いますが、今日、そういった方々の求職の希望職種と求人側の職種というものに著しい差はございますか。
#141
○関(英)政府委員 全国的なきちんとした統計はございませんが、東京都の安定所におきまして、ことしの一月にそういったものを調べたのがいま手元にございます。それは六十歳以上というのはございませんで、中高年者の四十五歳以上になりますけれども、その取り扱い状況によりますと、求職の方では、まず事務的職業というのが一番多くて三七・四%、次に単純労働の職業を希望される方が一八・二%、サービスの職業を希望される方が一一・六%、こんな順序になっておりますが、求人側では、単純労働の職業が二七・一%で一番多くて、サービスの職業が二四・〇%、事務的職業が一九・三%という順序になっております。こういう関係から見ますと、求人で少ない方の事務的職業を求職者が非常に希望していらっしゃるというようなことで、求人と求職との関係でアンバランスといいますか、差があるわけでございます。
 実際の就職で何が多かったかというのを見ますと、就職率は、一番高いのがサービス関係の職業で三三・七%、三分の一がサービス関係でございます。次いで販売及び販売類似の職業が約三〇%、それから専門的、技術的職業二六・三%、単純労働の職業が二四・六%という順になってまいりまして、求職希望が最も多い事務的な職業が一六・一%というふうに非常に少ない、こういう状況になっております。この辺のところに求人者、求職者に対します私どもの指導をもう少し強めていかなければならないといった問題が所在していることがあらわれております。
#142
○野口分科員 そこで、私は、少しく労働省の特に職業安定局なんかで積極的に御指導をいただきたいのは、中高年齢者でもできる、というよりも、中高年齢者がやった方がいいという解釈のもとに、一定の職種をそういう年齢者に充てていくような形で、それらの人々が仕事がしやすい職場をつくるような御指導がいただけないものだろうか。たとえば、こんなことを言って失礼かもわかりませんが、映画館の切符のもぎりなんというものは、何も若い者がやらなくても年寄りでもできる仕事でありますから、そういうものは、就職させてはいかぬとは言いませんけれども、なるべくならば若い者には遠慮をしてもらい、やめてもらって、これは老人に限る。これは余りに言い過ぎでありますけれども、少なくともそういうように一定の職種をあけてやっていただくような指導ができないものだろうか。これは素人考えですけれども、求人の側でも少しく頭の切りかえをしていただいて、この種の仕事は年寄りの仕事だと言うわけではありませんけれども、それに向く適業としてポストをあける、そういうところに中高年齢者を充てていくというようなこととか、同じ企業ですと、たとえば外へ出て歩く仕事は若いうちにやる、中に入って事務をやるのは年がいってからやるとか、込み入った仕事で頭の回転を早くしなければならないというのは若いうちにやらせる、単純労働に近いような形になってくれば年齢的に抑える。これは恐らくどこの会社でも人事配置でやっておると同じように、そういうことが一般の求人の際に御指導いただけないだろうか。たとえば求人表がありまして、そこに希望職種、年齢として、女子職員三十歳何とか、そういうものがある場合、本当に三十歳未満の女子でなければだめだとか、これは賃金の問題もありましょうし、労働時間の問題もあるでしょうけれども、それを乗り越えまして、しかし、これはひとつ六十歳以上の方々にその場所を譲ってやってもらえぬかというような形の指導がいただけないものだろうか、こう思うのですが、その点はいかがなものでしょうか。
#143
○関(英)政府委員 確かに高齢者の職場を確保するということは、高齢者対策を進めていく上で一番重要なことでございますし、また、会社が定年延長をいたします場合に、延長後の高齢者をどういった職場で活用していったらいいかということで一番頭を悩まし工夫されている点でございます。先生の御指摘のようなことに似通っている制度といたしまして、私どもは、高齢者に適した職種であると考えられますものを職務分析等いたしまして、また関係の産業界等の御意見も聞きまして、六十三の職種を高齢者の適職として選定いたしまして、そして、そういう職種について中高年齢者でないことを条件とする求人は受理しないという形で、こういった職種にはできるだけ高齢者を活用していただきたい、こういう指導を窓口でいたしております。
 ただ、それ以上に何かその措置を強めまして、それ以外のそういった職種には若い人はついてはいけないというような形までするかどうかにつきましては、高齢者を一定の職場に何か追い込めてしまう、これから日本の高齢化社会のことを考えますと、あらゆる分野で高齢者が若い者に負けずに働いていただかなければ、日本社会の活力がなくなってしまうわけですので、そこまでいくのはどうかということで、いまのところは、いわばお勧め職種を決めまして、そこには中高年齢者でないというような条件の求人は困るということで、安定所の窓口で指導しているわけでございます。
 また、一例でございますけれども、かつて本省が言い出しましたことに、高速道路の料金所の職員につきまして、関係の公団にお願いいたしまして、当初は若い人ばかりだったのですが、ぜひ中高年の人を活用していただきたい。これは御利用になっておわかりのとおり、最近は非常に高齢者の方も働いていらっしゃる。そういうわけで、できる限りそういう方向は、先生の御指摘のようにこれからも配慮して努めていきたいと考えております。
#144
○野口分科員 結構だと思うのです。私も高速道路の切符を渡していらっしゃる方がだんだん年配の方がふえてきているということは認めます。だから、もう一歩、何かいまおっしゃるようにうらはらの関係がありまして、これからの高齢者の就職状況を促進するために枠を決めてしまうのがいいのか悪いのかというのは、私自身も確かに矛盾があるような部分も考えないわけじゃありません。しかし、いまの現状を見ますと、若い人がやらなくとももっと広げてもらう部分というのがまだまだ存在するような気がしてなりません。専門家でいらっしゃる局長ですから、その面の六十何職種とおっしゃいますけれども、恐らくまだまだあるだろうと思いますので、ひとつぜひともその点について開拓していただくといいますか、お願いをしたいと思うのであります。
 特に私が感じますのは、伝統工芸の下請と言われる部分ですが、たとえば滋賀県の場合ですと、仏壇の箔押し業というのがございますが、これは座って金箔を押す仕事なんですが、少しく訓練を必要といたしますけれども、これは若い人がやらなくとも、お年寄りでしかも根気よくおやりになる方だったらかえっていい仕事ができる。その下地をこしらえるというようなのは年配の方がやった方が非常に行き届いた仕事ができるというような利点などもありまして、そういう点は、私どもも県当局にも、そういうことがあればぜひともそういう方々を優先して職業あっせんをしてはどうかというようなことも申し上げたこともあるのですけれども、またそういったものを探し出しますと、まだまだ存在をしているように私は思います。
 これに関連しまして、また次の質問を申し上げるわけなんですけれども、実は在職中に職業をかわりたい希望がある。たとえば、六十歳の定年が間近に来ている、次にこの会社ではたとえば継続雇用はむずかしい、あるいはそういう条件はなかなかない。ついてはかわりたいんだがということで、たとえば、いま申し上げましたように、伝統工芸ならば、そういうものの手法を少しく勉強したい。いわゆる職業訓練なんですが、在職中にそういう次の就職にあてて、いわゆる職業訓練をする施設あるいはそういうようなことをさせる機関というものを、いまちょっとあるようですけれども、何とかそれをもっと幅を広げて進めていただいて、再就職の場というものを広げていただくような施策はいかがなものか。これはどういうお考えでいらっしゃるか、一遍当局のお答えをいただきたいと思うのです。
#145
○森(英)政府委員 お答えいたします。
 急速に高齢化が進行しておりまして、中高年、特に高年者に対する職業訓練が非常に重要になってきておることは御指摘のとおりでございまして、その関連で離転職者を対象とするいわゆる能力再開発訓練、これもほとんど大部分中高年向けにやっておりますし、それから特に高齢者のためには、高齢者向けの訓練機関を特に設定いたしまして、六十歳台前半層に対する多様な退職のための訓練もやっておるわけでございます。
 在職者につきましても、定年退職前三年以内の労働者というものを対象にいたしまして、定年退職前の職業訓練ということで、全国で二十六科、定員九百九十人という範囲で定年退職前職業訓練というものを実施して、これに助成をいたしておりますし、そのほか、国が専修校、各種学校等に委託いたしまして、いろいろな訓練に準ずる職業講習と言っておりますが、若干簡便な職業研修でございますけれども、これをやらせまして、それを受けるやはり同じ定年前三年以内の労働者に助成をするということも、これは一万五千人ぐらいの規模ですでに実施しておるところでございます。
 さらに、今度の国会にお願いしております雇用に係る給付金等の整備充実に関する法律案がございますが、その中で、職業訓練関係の給付金につきましても、これを統合し、かつ充実を図るということを考えておりまして、それが実現いたしますと、今度は事業主が独自にその従業員のために行います定年前の職業訓練につきましても助成の道が開かれることになっておりますので、そういう方向で先生の御趣旨に沿いまして努力いたしてまいりたいと考えております。
#146
○野口分科員 私もその点は存じておりまして、先ほど申し上げましたように、努力をしておられるけれどもということを申し上げたのはそこであります。ただいま現在就業中といいますか、就職中で、離職の前にいわゆる訓練を受けるという状況でありますが、それは時間的にも非常にむずかしい問題がございまして、いま講習をやっておられます実情を見ますと、必ずしも日曜だとか夜間だとかいうことではございません。そういうところもございますけれども、できる限りそういったいわば余暇の時間を利用して次のための職業訓練ができるような形というもの、それから、これは必ずしも全部のというわけにはいきませんでしょうけれども、そういうような機会を与えていただくような形というのをぜひともとっていただけないだろうかというようなことが希望として出てきております。できますならば、確かにそれはむずかしいでしょうと思いますが、これはいろいろな問題がございまして、必ずしも日曜だとか夜間だとかいうわけにはいきませんでしょうが、そういった形の中で次の再就職にあたっての職業訓練が受けられるような場というものを、どこかでひとつ見出しておいてやっていただきたい。そうでなければ、そういう機会に当てはまっていくということはなかなかむずかしいのじゃないだろうか、こう思いますので、その点もひとつ加えて今後の施策の中にお願いをしたいと思いますが、その点について答弁をお願いいたします。
#147
○森(英)政府委員 定年退職直前の在職者の訓練、講習につきましては、まさに先生御指摘のような問題があるわけでございます。したがいまして、これらの職業訓練、職業講習につきましても夜間にかなりやっております。それから通信教育手法をとっている分野もございまして、相当程度配慮しておるつもりでございますが、先生の御趣旨に沿いまして、なおさらに浸透を……(野口分科員「地域によってはないですね」と呼ぶ)はい。その点はあると思いますが、方向といたしましては、まさに先生のおっしゃるとおりの方向で考えておりますので、今後ともそういうふうに努力いたしたいと思います。
#148
○野口分科員 もう時間がありませんので、一つだけ申し上げておきますが、いま労働基準法でいわゆる女子と年少者については一応の対応がございます。しかし、これからは高齢者に対しても一定の基準を設けて、労働者の労働条件なりというものについて守って保護をしなければならない立場にあろうかと思うのであります。この点について、労働基準法の改正といいますか、それに類する形の中でこの高齢者の就職、労働条件についていかがな考え方でこの保護の問題をお考えになっているか、最後に、それだけお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#149
○吉本(実)政府委員 先生御承知のように、高年齢者はいろいろな知識経験が非常に豊富なわけでございますから、そういった方々が十分活用されて、こういった高齢化社会で活躍していただくということがきわめて重要でございますし、また、そういった問題についての労働条件の確保等についても、十分配慮していかなければならぬと思います。
 ただ、先生おっしゃるように、法制で高齢者についてのいろいろな時間制限をするということになりますと、高齢者自身の能力とか体力、そういったものに個人差があったり、あるいは実際の就労の場が業種、業態によっていろいろ多様でございますので、一律にやるのはいかがかというふうに思っておりますが、しかし、高齢者のそういった健康の問題とかそのほかのこともございますので、なお一層、高齢者の労働条件の確保につきましては努力したいと思っております。
#150
○野口分科員 ありがとうございました。終わります。
#151
○上村主査 これにて野口幸一君の質疑は終了いたしました。
 次に、藤原ひろ子君。
#152
○藤原分科員 日本共産党の藤原ひろ子でございます。
 私は、伝統産業に働く労働者の問題についてお聞きをしたいと思います。
 伝統産業は、古くから継承されてまいりましたわが国の誇るべき工芸品産業であり、その上、地場産業として地域経済の重要な担い手になっているということは御承知のとおりでございます。私は、伝統産業の振興を願って、これまでにもその振興策をたびたび当分科会で質問をさせていただきました。この伝統産業におきまして、とりわけ伝統的技術や技法を持った労働者が産業の発展にとって非常に大きな役割りを果たしておられるわけです。
 最初に、通産省にお尋ねをいたしますが、通産省は、伝統産業の振興にとって後継者の育成ということをどのように位置づけていらっしゃるのか、お答えを願いたいと思います。
#153
○坂本説明員 ただいま先生から御指摘ございますように、伝統的工芸産業を支えておりますものは、手工性を特徴とする伝統的な技術、技法でございますので、その技術、技法を保持して継承するのは、これはまさに人でございます。そういう意味で、伝統的工芸産業の振興策の中にありまして従事者の確保対策というのは最も重要な柱になっております。したがいまして、現在私どもが伝統的工芸産業振興法に基づきまして指定いたします指定産地がっくりますところの振興計画の中におきましても、従事者の確保というのは非常に重要な柱として計画を立てられております。これに対しまして産地が従事者の確保のために行います研修事業でございますが、これに対しましては、国としましても、補助金を出しまして、その助成をいたしております。そういう意味で、非常に重要視いたしているということでございます。
#154
○藤原分科員 伝統産業の指定を受けております京都の西陣での話ですけれども、短大を卒業しまして、ある機屋さんに勤めている二十三歳の娘さんがおります。この娘さんは、西陣織というものに大変関心と研究意欲を持ちまして、ほかにも就職の道はあったのですけれども、この伝統産業を生きがいとして受け継いでいこう、こう決心して仕事に飛び込んできたわけです。私どもは、この人に直接会って話を聞いてまいったわけですけれども、この方は仕事を始めてもう四年になると言っておられました。きれいだった彼女の右手の中指は、いまのこぎりの歯のようにぎざぎざになっているわけです。それはつめを使いまして、つめかきつづれという本つづれを織っているわけです。昨年の労働日数は二百九十五日、祭日も出勤をしております。賃金は幾らかというと、この人は年間総賃金で何と百四十二万円、普通の月ではたったの八万二千円なんですね。彼女は伝統技能を身につけて守っていくために、苦しいけれども、私はがんばります、こう言ってくれておりましたが、同じ短大出の友達は五人もやめたい、こう言っているわけです。これは伝統産業を受け継いでいこうと飛び込んできました彼女たちにとりまして、後継者を確保し、育成していこうという施策が及んでいないから、こういう気持ちに追いやるわけですね。私は、通産省がおやりになっている施策もいろいろと聞いておるわけですけれども、現実にはいま申し上げましたような姿があるわけなんです。
 そこで通産省は、現在行っている施策の枠にとらわれないでもっと効果的な対策、これもぜひ研究していただきたいというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
#155
○坂本説明員 先生御指摘のような事例は確かにあると存じます。それにつきましては、一つには、伝統的工芸産業というものが、近代産業と伍してなかなか利益を上げていけないというような点で非常に待遇が悪くなっている点もございますので、私どもとしましては、直接に従事者の研修その他のほかに、伝統的工芸産地が発展していきますために、需要開拓とかその他いろいろな面で幅広く助成を行っていくつもりでおりますし、現にそういう助成を行っております。
#156
○藤原分科員 私は、後継者の問題を考えます上でさまざまな後継者育成事業を進めていくとともに、もう一方で、いま現在、こういった伝統産業に従事をしている人たちの生活と健康を守る、このことが非常に重要だ、労働条件の改善がどうしても必要だというふうに思います。この労働者を保護するものとして労働基準法があるわけですけれども、この法律といいますのは、大企業であっても中小企業であっても、たった一人でも労働者を雇っていれば適用される。すべての使用者が当然のこととして守っていかなければならない労働条件の最低の基準を決めたものだというふうに思いますけれども、基準局長さん、いかがでしょうか。
#157
○岡部説明員 労働基準法は、先生御指摘のように、一人でも労働者を雇いました場合に適用がございます。このような西陣のような伝統的産業におきましても同様でございます。
#158
○藤原分科員 京都の伝統産業、西陣織だとか京友禅には千を超える企業が存在をいたしておりますが、労働省は、この二つの業種に対する監督の重点を何に置いていらっしゃるのでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
#159
○岡部説明員 京都労働基準局におきましては、毎年その業務運営方針を定めるわけでございますが、例年西陣あるいは友禅というものにつきまして、労働条件を大きな関心を持って見ておりまして、行政の重点に加えているところでございます。たとえば京都上労働基準監督署におきましては、昭和五十五年におきましては、監督を九十七件にわたって西陣、友禅に対して行っておりますが、その監督の重点と申しますものは、主として労働時間の適正化、健康診断の実施、災害の防止等々でございます。
#160
○藤原分科員 実は私、この伝統産業の労働者の問題では、健康のことが一番気になるわけです。産地でも健康の問題が重視をされまして、十年ほど前から西陣健康対策委員会というのがつくられて、関係者の方々もずいぶん努力をされてこられたわけです。昨年五月から十二月にかけまして、京都府労働等災害救済事業団労災職業病センター上京病院が、地域の商工団体や労働組合とも協力をいたしまして、市内の出機労働者約六千五百人のうち千七十三人について、かなり大規模な健康実態調査を行ったわけです。その結果、健康対策委員会関係者の努力にもかかわらず、健康問題でまだまだ改善されていないということが明らかになってまいりました。
 この調査結果によりますと、織物業につく前は健康であった、こういう人は八六%であるわけですが、普通の帯を織るようになってからも健康であるという人は四五%に減ってしまっているのです。これが引き箔というのになりますと一二%に激減をしております。また自覚症状では全身症状として、目が疲れる、かすむというのは七五%の人がそのようなことに対していつもある、また、ときどきそういうことがあると訴えております。体がだるいというのは七一%、視力が落ちたというのが六四%、肩がこる、だるいが八〇・七%、足がだるい七〇・五%などとなっているわけです。そして全体の七割の人が、自分の自由になる時間はできるだけ横になっていたい、こういうふうに回答いたしております。この調査報告書は、訴えの状況から判断いたしますと、かなりの病気が潜存しているというふうに考えられます。また、この調査をした関係者の方々も、重大なこのような指摘をいたしております。私は、これは大変だと心配をしております。
 そこで、労働省にお尋ねしますが、西陣における健康診断、労働安全衛生法で義務づけられているところの健康診断は一〇〇%実施されているのかどうか。現在やっていないというところがあったら、それに対してはどんな指導をしているのでしょうか、お尋ねをいたします。
#161
○岡部説明員 私ども監督指導の際に、健康診断をちゃんと実施しているかどうかということも、当然、その項目に加えて調べているところでございます。その結果、たとえば昭和五十四年分について見ますと、この西陣あるいは友禅の地域におきまして、約二〇%の事業所について健康診断を行っていないという法律違反が認められたところでございます。これらの地域の事業所につきましては、従来から集団指導等によりまして、その実施の促進に努めてまいったところでございますけれども、今後ともより一層、この実施率の向上につきまして指導を行ってまいりたいと存じております。
#162
○藤原分科員 健康診断が行われていないところがあるわけですが、さらに問題なのは、なぜ先ほど述べましたような健康状態になっているのかということだと思います。先ほどの健康調査では、仕事が立ち詰めだから、こういうふうに答えた人が七七%、仕事に縛られる時間が長いからというのが五五・七%、さらに仕事に根気が要る、ミスが許されないという回答が多いわけなんですね。調査では実に八三・四%の人が一日十時間以上働く、こんなことになっております。私どもが調べました西陣のある大手の企業ですけれども、始業時間は朝八時です。ところが朝六時には百人ほどのうち十人ほどはもう工場に入って機を織っているわけです。夕方は七時まで織っている、こういう状態です。またある企業では、朝の八時から夕方五時までと勤務時間は一応決められているのです。ところが実際には、協定なしで毎日五時半まではだれも帰れない、こういう状態になっておりました。
 さらに、同じ伝統産業であります友禅のある大手の工場を調べますと、始業時間は朝八時ですが、朝六時四十五分にはもう会社がかぎをあけている。すると、みんな七時には工場に入ってくる。そうして夜七時まで毎日拘束をされています。しかも働いている間じゅう前かがみの中腰で、忙しいときは二週間も三通関もぶっ続けの出勤をしておりました。もちろん、これは三六協定なしなんですね。こういう状態の中で、現在すでに職場では手のふるえる人が出てきておりますし、足に知覚の麻痺が起こっている人、腰痛の人とか、また肺を冒されているという人が出てきている状態まで出ているわけです。全く悲惨ではありませんか。
 基準局長、時間外労働や休日労働は、労働基準法に基づいて三六協定を結ばなければならないわけですね。京都の繊維関係で西陣や京友禅の関係で三六協定違反というのは一体どれくらいあるのでしょうか。
#163
○岡部説明員 労働基準法違反の内容を把握したところによりますと、たとえば京都上署における、ただいまのような労働時間関係の違反は、昭和五十五年中に二十八件に上っております。これは就業規則関係の二十五件、健康診断関係の三十三件と並びまして非常に高い違反率を示しているところでございます。
#164
○藤原分科員 やはり現実には協定なしで長時間労働や休日労働がやられているところがたくさんあるわけです。では、なぜこのような長時間労働が行われているのかということですけれども、私は、この賃金形態にも問題があるというふうに思います。京都府、京都市、それから西陣織工業組合は、内機の織り手さん全員、六千二百七十人を対象にしまして、昭和五十三年に第九次の西陣機業調査を行い、その報告がまとめられておりますが。それによりますと、固定給制は一六・二%、出来高払い制が七二・四%、両者の併用が一一・四%となっております。先ほど例に挙げました友禅の会社の場合も、完全出来高払いであるわけです。しかも仕事をしているときには、反物一反の値段は労働者にはわからないわけです。月末に明細書をもらって初めてわかる。前近代的なことになっております。帯で見ますと、現実に難引きが残っております。賃金を引かれないためには、難ものやきずものが出せないわけです。だから、どうなっているかというと、ほかの人よりも残ってでも仕上げなければならない。つまり、時間外の中にはこういうこともあるわけです。要するに、完全出来高払いが長時間労働につながっているということが明確にわかります。
 基準局長さん、こうした完全出来高払いというのは、結果として労働時間が長くなるとか、休業の場合の補償に困難な面が出てくるとか、いろいろ問題が多いと私は思いますが、労働省は、こうした賃金形態を好ましいことだというふうに思っていらっしゃるでしょうか。
#165
○岡部説明員 西陣地域におきましては、いわゆる出機によります就業形態が多いということで、その取り扱います製品の特殊性ということもございまして、賃金の支払いは出来高払い制がとられていることが多いわけでございます。ただ、労働者の賃金の支払い方法を定額制にするか、あるいは出来高払い制にするかということは、それぞれの企業におきまして労使の話し合いに基づきまして決定されることが基本でございます。したがいまして、出来高払い制がいいとか悪いとか定額制がいいとか悪いとか、そのようなことは行政としてその当否を申し上げることはできないわけでございます。
 ただ、労働基準法の二十七条は、出来高払い制で使用する労働者につきましては、使用者は労働時間に応じまして一定額の賃金の保障をしなければならないと規定をしているところでございます。保障給の額につきましては、基準法は何ら規定はしていないのでございますが、この二十七条の趣旨といいますものが、労働者の責めに基づかない事由による実収賃金の低下を防ぐことで労働者の最低生活を保障するということにあるわけでございますので、通常の実収賃金を余り下らない程度の収入が保障されるように保障給の額を定めるべきものであるというふうに考えております。
#166
○藤原分科員 私は、この伝統産業振興のために、健康の問題、長時間労働の問題、あるいは賃金の問題を伺ってきたわけでございますが、なぜ私の指摘したようなことが起きるのか、ここのところを明らかにすることが何よりも必要であるというふうに私は思います。
 こういったことが起こっている重要な原因の一つに、労働基準法に基づく就業規則すらない、こういうこと、また、あっても有名無実化されている、空文化されているということに問題の重要な点があるというふうに私は考えます。
 ある西陣の大手の企業ですが、いまからちょうど二十年前に就業規則をつくり、届け出ました。二年後には監督署も見に行ったわけです。しかし、それ以後ずっとそのままにされて、今日ではほとんどの人が就業規則があることすら知らないということになってしまっております。実情に合っていないのに改定もされていない。有名無実なのです。
 また、別のあるところでは、有給休暇が二十日間あることになっておりますが、しかし、それを要求しても、そんな制度はない、こう言ってとらせない。そして何をするかと言いますと、夏と冬の二回に分けてこの有給休暇を買い上げるわけですね。そしてその分をボーナスだ、こう言って支給をしております。全くむちゃくやではありませんか。就業規則もあるし、有給休暇もある、しかし、事実それはとらせないで、ボーナスがわりに買い上げる。
 基準局長、こんなことが起こっているのですが、こういうところへのあなた方の対応というのは一体どうなっているのでしょうか。就業規則をつくらせる、つくっているところには守らせるということがあなた方の義務ではないでしょうか。御答弁願います。
#167
○岡部説明員 先生御指摘のように、まず、労働者が働く、労働者を雇用するという関係の場合に一番大事なことは、労働条件の明確化であろうかと存じます。これは労働契約の形あるいはまた御指摘の就業規則の形で労働条件の明確化が図られるわけでございますが、その労使関係に入るイロハのところでまずその点が明確でないというこの状況は、わが国の中小企業におきまして間々見られるわけでございまして、私ども基準行政の一つの大きな使命がそういう基本的なところからやはり行政をやっていかなければならないということにあることは、常日ごろ肝に銘じているところでございます。今後とも、労働基準監督官というものも人数に限りがございますけれども、しかしフルに活動いたしまして、この労働条件の明確化ということにつきましては、できる限りの指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#168
○藤原分科員 昨年四月に京都の上労働基準監督署は、西陣機業労働条件自主点検、こういうのを実施されております。私も、その調査結果をここにいただいておりますが、この調査は、千を超える対象事業所の中でその回収が二百四十四ということですから、不十分さは免れません。それでも幾つかの問題が指摘をできると思うのです。
 いま、イロハのイの字にもなかなかいってないところが間々あるということでしたが、間々じゃなくて本当にたくさんあるということが、これは物語っていると思うのです。雇用時の健康診断をしていないというのが六八・六%、定期健康診断をしていない、また、ときどきしかしていないというのが合わせて三一・二%もあるわけです。こんなことは、本来労基法とか労安法とかでは認められないことですね。放置できない問題になってきております。あなた方は、この京都を回ってみますと、健康で明るい西陣というポスターもつくって張っていらっしゃいます。最初にも申しましたように、大変な健康問題が指摘されているわけですから、監督行政の責任ある対処として、少なくとも徹底をしていただきたい。
 それからもう一つ、三六協定も結ばないで時間外労働をさせる、こういうところがないように監督指導を徹底していただきたい、こうお願いしたいわけですが、この二点につきまして簡単にお答えいただきたいと思います。
#169
○岡部説明員 就業規則の作成の徹底、それから三六協定の作成の徹底、いずれも労働基準法の要請するところでございます。そのようなことにつきましては、私ども行政の重点といたしまして、もとより対処する方針でございます。
#170
○藤原分科員 同時に、健康診断の徹底、これもおやりいただくわけですね。
#171
○岡部説明員 健康診断等につきましても、集団指導等の場をとらまえまして広くその周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
#172
○藤原分科員 それでは、三点目に監督体制の問題ですが、労働省の関係で昭和四十年以降二十六の法律、規則の施行と、十二の新規業務が導入をされているわけですが、いずれも人員体制の保障のないままやられているわけです。それらが結局臨検監督にしわ寄せされてきている。このことは、先ほども局長さんちょっとおっしゃっていましたが、あなた方だってよくおわかりのはずでございます。京都労基局の場合には、昭和四十二年には適用事業所数は五万七千九百二十八で、監督官が六十二人でした。それが五十四年には事業所数が七万八千百二十九にふえまして、監督官は逆に六十一人に減っているわけなんです。適用事業はふえる、新しい法律やそれに伴う仕事もどんどんふえてくる。ところが人をふやすどころか減らしている。だから、監督率だって下がってくるわけです。京都で言いますと、四十二年に九・六%だったものが五十四年には三・九%に下がっております。国会では五十年以降、関係職員の大幅増員の請願を衆議院でも参議院でも何回か採択をしております。それにもかかわらず、政府は、五十五年からの第五次定員削減計画では、労働省定員を五年間でさらに千四百十名減らすと言っております。一体政府は何を考えているのですか。真剣に体制も考えて、人もふやして、将来に禍根を残さないように取り組んでいくべきではないでしょうか。労働大臣、いかがでしょうか。
#173
○藤尾国務大臣 まことに仰せのとおりでございますけれども、御案内のとおり、やたらめったらに役人ばかりふやすというわけにもまいらぬわけでございます。そこら辺のところは、十二分にその仕事の要請にこたえて一層努力奮励をし、頭を使って行政の徹底を図るという対応もなければならぬ、私はさように考えるわけでございます。しかしながら、そうばかりも言っておられませんから、今後とも、そういった要請にこたえまして、できる限り監督官の増員や機動力の増強を図り、さらに行政上の創意を発揮できるような仕組みを考え、そうしてそれを実行さしてまいりたい、かように考えます。
 先ほど来お話しの西陣の問題につきまして、労働時間、労働賃金あるいは健康診断、労働協約等等いろいろな御指摘があったわけでございますけれども、そういった点につきましては、私みずからが厳重に命じまして、なるほど変わったなというように言われるぐらいきちっとした対応をさせますから、どうぞひとつ御安心をして私にお任せいただきたい。
#174
○藤原分科員 安心をしていられると大変ありがたいのですが、念のために申し上げますと、私は、伝統産業や地場産業を振興、発展させていく、こういう点から見ましても、そこで働く労働者の健康や生活を守る、労働基準法の定める最低の労働条件を徹底していくということがどうしても必要だ、これがなければ大臣が幾ら分科会で安心をしてもらうようにとおっしゃっても安心ができない、こういうふうに思うのです。
 こういう視点を実情に即して申し上げてきたわけですが、一層奮励努力する、こうおっしゃったとおり、労働者の保護を抜きにして本当の意味での産業の発展はあり得ないのだ、こういうふうに私は確信するわけです。労働者の権利を守る行政の責任者でございます労働大臣、みんな労働者が頼りにしているわけです。そのことをぜひとも真剣に考えていただき、大臣に人間の痛みがわかるというように強く要請をして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#175
○上村主査 これにて藤原ひろ子君の質疑は終了いたしました。
 次に、永井孝信君。
#176
○永井分科員 私は、限られた時間でございますので、同和地区出身と言われている方々の雇用差別の問題、これ一つについて集中的に質問をしてみたいと思います。
 昨年の十月の第九十三国会でわが党の川本委員が、この雇用差別に関する質問を大臣に行っているわけでありますが、そのときに大臣は、雇用差別は絶滅させるのだというふうに非常に明快に答弁をされているわけです。
    〔主査退席、宮下主査代理着席〕
十月二十一日でありますが、そのときに川本妻負から問題提起をいたしました、いわゆる安田信託銀行における採用の差別問題、これについて大臣が直ちに信託銀行の幹部を呼び寄せて強く反省を求めた、この反省文が大臣あてに出されているわけです。ここにその反省文の全文を持っているわけでありますが、いままで委員会で取り上げられた問題でこのぐらい迅速に処理されたことは、私の知る殴りでは非常にまれなんです。そういう意味では、この労働大臣の決断と実行力に対して冒頭に深く敬意を表しておきたい、このように実は考えるわけであります。
 そこで、その大臣の決断と実行力に基づいて安田信託銀行の問題は、反省文を出すという形で一応の処理が図られているわけであります。しかし、その後も依然として就職の差別というものがなくなっていない。この就職差別が出てきているという現実は、去年のこの十月の高校生の解禁あるいは十一月の大学の解禁、こういう就職問題の採用試験に関する解禁の時点で実は集中的に全国的に起きてきているわけです。そうしてさらに、せんだっての二月二十三日の予算委員会でも、同じくわが党の川本委員が、福岡の社会保険医療協会の差別問題の質問を行っている。これに対しても大臣は、絶滅させる有効な手段をとるというふうに再度決意を示されておるわけであります。行政の責任者のこれだけのたび重なる決意、この決意に対してそのことが生かされていない。なぜいまも依然として差別が横行しているのか、この問題についてまず大臣の所感をお聞きいたしたいと思います。
#177
○藤尾国務大臣 御指摘のとおりでございまして、人間の基本的な人権でございます働く権利というようなものにつきまして、いささかでも差別を加えることは許しては相ならぬ、私はさように考えておりますので、たびたびそういった事件がありますなどということは恥ずかしいことでありますけれども、そのたびに厳重にこういったことのないように注意をさせ、そうして社会的にもかなりの制裁が加わるようにその旨を公表するというようなところまで私はやってまいるつもりでございます。
 この間もそういった間におきまして福岡の事件が取り上げられまして、私は非常に恥ずかしい思いをしたわけでございますけれども、こういった事案が次々に起こっておることはいかにも情けないことでございまして、私は、そういった前科のあります二百一でございますかの会社はもとよりのこと、直ちに私の厳重な抗議文と通告文といいますものをお送りいたしまして、反省を求めて、その善処方を求めました。どのような措置をいたしておるかみんな返答してこいということも言いつけてあります。それのみでは、あなたがおっしゃられるとおり物は片づかぬ、さように思いましたので、東京、大阪全上場の株式会社全体に対しまして、大臣名をもちまして、そのようなあってはならぬことをもしやった場合、それに対してどのような制裁を受けるかということはひとつ御覚悟願わなければなりません、厳重に今後とも注意をしてもらいたいという趣旨の通告をいたしております。これは日本商工会議所、経団連、日経連に対しましても同じような措置をとっております。
 そのようなことで、いままでもいろいろな方がいろいろなことをやられたと思いますけれども、少なくとも私が労働大臣でありまして、私が労働行政の最高点に立ちまして、その権威において労働省全体の意向をもってこれはしては相ならぬ、こう言っておるわけでありますから、それでもやるというならやってごらんなさい、こういうことになるわけでございまして、そこまで勇気のおありになる事業所はないだろう、私はさように考えます。
 そういったことをやりますと同時に、もし仮にそれでもやるということでございましたならば、私は、大臣といたしましての権威にかけて抗争してみせますから、恐らく絶滅するという私の主張は決して口だけで申し上げていることでなくて必ず実現できる、かように確信いたしております。
#178
○永井分科員 力強い大臣の決意をお聞きしたわけでありますが、ぜひその決意に基づいて具体的な成果を上げてもらいたいと思うのであります。
 昭和三十六年に、総理大臣から「同和地区に関する社会的及び経済的諸問題を解決するための基本的方策」について諮問が出されまして、これに答申が出たわけです。この答申の前文に「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。」というふうに実はきちっと明記しているわけであります。しかし、その答申に基づいて現在施行されている同和対策事業特別措置法が、結果的には同和対策事業というその事業に重点が置かれ過ぎて、本来の基本的人権に対する配慮が行政の側にも欠けておったのではないかという気がするわけでありますが、この辺の関係について、大臣の所信をいただきたいと思います。
#179
○藤尾国務大臣 御指摘のとおりでございまして、大事なのはその精神でございます。したがいまして、その精神が横の方に置かれまして、そこで何らかの特別事業を行えばそれでよろしいというような考え方は明らかに本末転倒しておるということだと思いますし、そのようなことがあってはならぬ、そういうことでございます。
 ただ事業は、とりあえずお立ちになっておられます環境などにいささかでもギャップがあるというような場合に、できるだけこれを近づけていこうということのためにする当然の措置でございまして、そちらの方をやったから、そういった人権に関する考え方をおろそかにしてよろしいというものでは決してない、さように思います。恐らく総理大臣以下全体がそのように考えておるだろう、かように確信いたします。
#180
○永井分科員 先ほども私、ちょっと触れたのですが、安田信託銀行の反省文中に、地名総鑑を購入利用してきたほか、採用選考する方法に差別につながるものが含まれていたというふうに反省しておるわけです。
 そこで、この地名総鑑の購入利用のほかというほかの中には、たとえば差別につながる身元調査であるとか、面接調書あるいはそれぞれの企業がつくっている社用紙など、本人の適性と能力というものと一切関係のないところで差別が行われているという問題についても、安田信託銀行とのやりとりの中では、そのほかという中に含まれておったのかどうか、簡単にお願いします。
#181
○田代説明員 お答え申し上げます。
 御指摘の安田信託銀行が社長名をもちまして私どもの方に書類を提出してきておるわけでございますけれども、その中に、いま先生御指摘のように、地名総鑑を購入し、かつ利用した事実と、それ以外の採用選考にかかる銀行内の体制、その中には身元調査の実施、あるいは社用紙と申しましても、現在それぞれ用紙はつくられる形となりますけれども、その中に、いわば本人の能力と適性にかかわりのない、またはそういう立場で選考するためには不必要なそういった事項もあって、これについても点検し反省をし、かつその改善を行いたい、こういう前提に立って述べられているものでございます。
#182
○永井分科員 そこで、私は具体的にお聞きしてみたいと思うのであります。
 いわゆる差別につながる身元調査、そして悪質な社用紙、これが調査対象としているものの中に、本来あってはならないもの、たとえば本籍地、本人の出生地、本人が育った生育地、あるいは本人が育った生育地の地域の環境、そして本人の思想、宗教あるいは本人や家族がそれぞれ個々に持っている財産、あらゆるものが、この身元調査や社用紙の中に含まれてきているわけです。これは地名総鑑ではなくても、結局、地名総鑑を利用してきた企業というのは、その種のことを知りたいがために地名総鑑を購入したのであって、結果としては地名総鑑と同様に差別に直結するものだと実は私は考えるわけです。大臣が言われているように、差別を絶滅させたいということは、この種の問題も全部絶滅させなくてはいけない、私は、こういうことになってくると理解しているわけでございますが、それでよろしゅうございますか。
#183
○田代説明員 先生御指摘のように、地名総鑑購入企業等が、その余の問題としても、御指摘がありましたように、本人の能力、適性とかかわりのない家族の職業であるとか環境であるとか、そういったような部分についても、これを知ろうとしてきた事実は御指摘のとおりでございます。
 そういう点で私ども労働省といたしましては、従来中学校、高等学校の卒業生に対しては、私ども統一応募書類と呼んでおりますけれども、いわば書類を統一いたしまして、その際、本籍の地番の記載のないように、あるいは家族の職業欄を抹消するなり、つまり問題となるべき事項についてはこれを削除しまして、それを唯一の社用資料として使ってもらいたい、こういうことで従来から指導してまいったわけでございます。
 そういう思想の前提に立ちますれば、外しましたその余の事項を調べる身元調査というものは、当然、差別につながるおそれある事項として外したものを調べようとすることでございますので、これは差別につながるおそれが多分にある、こういう前提のもとに身元調査等につきましても従来からこれを禁止してきた。ただ、調査自体がそのまま差別であるかどうか、これは現実としてそれぞれ見ていく必要があるかと思いますが、労働行政としては少なくともその結果が出たのでは遅い。つまり、結果として実は差別と関係なかったかもしれないけれども、結果が出たのでは遅いから、そういう可能性のあるものについてわれわれとしては行政指導としてさせない、こういう方針で従来から臨んできているものでございます。
#184
○永井分科員 いま言われましたように、仮に身元調査といいますか、あるいは社用紙による本来あってはならない項目、そういう項目が果たして差別をすることを目的に行ったのかどうなのか、それは問題があろうというふうに言われておるわけでありますが、しかし、この種の問題が差別に間違いなく利用されてきたことは事実でありますので、いま言われましたように、利用されるおそれがある場合は絶対させてはならないことだと私も考えますので、そういう態度を堅持して行政指導に当たってもらいたいと思います。
 そして、ここにそういう趣旨を求めて昨年九月二十五日、職安局長から各都道府知事あてに通達が出されています。そして同じく、いま中学校、高校は言われましたけれども、大学やあるいはそれに類する専門学校、これについては、義務教育との関係もあって統一ができていませんので、文部省の大学局長あてに、これまた職安局長あたりから文書が出されているわけですね。この中に言われている通達の内容というのは、あるいは文部省に対する書面の内容というのは、依頼書面でありますけれども、当然、労働省のとってきた基本施策というものは、これには含まれていると私は理解しているわけです。これに基づいて、文部省から改めて、大学あるいは高等専門学校長あてに通達が出されているわけです。
 この通達も非常に明快なんですね。たとえば差別をさせないようにするために応募用紙における本籍地番及び家族の職業の記入、戸籍謄本などの提出あるいは身元調査の実施など、就職差別につながるおそれのあることが行われないよう、企業への対応や学生に対する指導について再度の見直しを行え、そうしてこれらについては必要に応じて公共職業安定機関と十分連携をとってやりなさいという通達が実は出されているわけです。この出された日付が十月七日であります。ところが、その通達の出されました十月七日以降に、実は非常に通達を無視するかのような行為が各企業で行われているわけですね。
 幾つか私はここにサンプルを持ってまいりました。同じものを二部とっておりますので、ちょっと大臣に一つ渡しておきますけれども、このサンプルを見てもらうとわかりますように、いわゆる社用紙という中には、同和地区住民の就職の機会均等を壊すような項目がずいぶん入っているわけですよ。本籍地も堂々と入っている。思想の調査も入っている。あるいは本人の出生地の実情も調査の対象になっている。
 たとえば具体的な例で申し上げますと、その中に日本アート印刷株式会社という会社の社用紙が入っておりますけれども、その中には戸籍謄本から除籍した者も記載をしろとか、あるいはなぜ除籍したのか、あるいはなぜ離籍したのか、その理由を明らかにせよとか、あるいは父母が亡くなった場合に、父母の亡くなった死亡原因、病因、こういうものまで記入を求めているわけですね。あるいはその中に入っておりますが、トヤマキカイという会社の社用紙を見てみますと、本人の出身地を具体的に略図で示せ。一体何のために本人がいま住居を構えていない出生地の略図が必要なのか。おのずからその目的ははっきりしているわけですよ。地名総鑑にかわるものであるということは、これは間違いのない事実だ、私はこのように思うわけです。
 さらに加えて、大学の教授を頼って企業が身元調査をやっている事実がある。これもその中に入っておりますけれども、たとえばバイエルという薬品株式会社でありますが、本人の具体的な思想上の問題、あるいは大学におったときの加盟しておった団体、あるいは本人の家庭の環境、経済状態、和合状態――和合状態というのは日本語だとむずかしいのですが、どういうことを言っておるのかわかりませんけれども和合状態、あるいはその他特別な家庭事情、これらについて特定の採用試験を受けてきている、本人のことを熟知している担当教授などに、あるいは指導教授などに具体的にその内容を示してもらう。これは当然マル秘資料ということになってくるわけですね。こういうことが堂々と行われている。これは一体どういうことなのか。これはいまの大臣の決意とか、たび重なる行政指導であるとかいうことに対して一体どういうことなのか。言いかえるなら、これだけ決意を示されている労働大臣がある意味ではなめられておると私は思うのです。このことについてどう認識され、どう対応されるか、ひとつ具体的にお聞かせ願えませんか。
#185
○田代説明員 先ほど私、中学校、高等学校卒業者に対する職業指導並びにそれらの対策については御説明申し上げましたけれども、大学の場合は職業安定機関と違いまして、大学みずからが紹介を行える、こういったてまえのもとに従来進んできたために、私どもとしましても、中学、高校と同様の考え方で企業指導には当たっていたわけでございますけれども、現実に御指摘になるように、大学卒業者の採用につきましては、各企業とも社用紙ないしは学校によっては学用紙といって大学自身が決めているような書類等もあるところがございます。こういった点につきまして、私どもも現実の指導をしている間に、高校、中学については非常に守られる率が高いのに、大学については野放してはないのか、こういうような話が出てまいりまして、私ども昨年、そういったものについて相当主要な企業等からもそういった採用選考の書類等を集めまして、内容等を点検していったわけでございます。
 その中で、先生がいま御指摘になられますように記載事項が非常に多種多様である。それは確かに従前におきましては、何のこだわりもなく、現住所を書かせるときは本籍地を書かしていたというような名残がそのまま残っていたものもあろうかと思いますけれども、少なくとも私どもが考えますように、本人の採用選考に不必要なる事項あるいは明らかにこれは差別につながるおそれが多分にあると思われる事項も散見する、こういう状況でございました。
 そのために、私どもの方としましては、これに対する強力な指導を展開するという考え方で臨んだわけでございますけれども、いま申しましたように、大学の職業紹介等は大学において行うといったてまえがございましたので、文部省とも協議をいたしまして、先生さっきお話がございましたように、昨年九月二十五日に職業安定局長名をもちまして、まず第一には、主要な業種別の団体、約百社でございますけれども、これにつきまして、先ほど先生おっしゃられたとおりの、まずこれは最低考えてもらいたいという前提の条件を提示いたしますとともに、文部省にもその旨お願いをいたしますし、各地方にも、その対策に対して特に安定機関、学校機関との連携のもとに対処するように指示したわけでございます。
 ただ、ちょうど九月二十五日が大学の採用選考の直前に当たっておりました。したがって、現在のところ、必ずしもその趣旨が完全に徹底したということは言い切れない状況にあろうかと思いますけれども、その後私どもとしましては、文部省その他とも打ち合わせをいたしまして、いわば書類そのものについても、その記載事項についてさらに検討を進めていく。と申しますのは、大学の場合は、専門性が非常に高いといいますか、専門的な学生を採用するということもございますので、そういった事項についても、十分打ち合わせて指導の徹底を図っていきたい、かように考えております。
#186
○永井分科員 去年十月七日の通達ですから、間に合わなかったと言いたいのでありましょうけれども、しかし、その種のことで済まされない問題である。いま現実に、昨年の暮れからことしにかけての就職の機会に、この差別問題で自分の生涯というものの道が狂ってしまうという例がずいぶんあるわけです。毎日のように、ある意味で言うとそういう悪い機会にぶち当たっているという人がたくさんいるわけだから、一日もゆるがせにすることができない、そういう立場で指導してもらいたいと私は思うのです。
 そして、そのために職安局長から依頼文書が出て、文部省が一応の通達を出しているのですけれども、この種の企業からの依頼文書などに大学関係者が記入をして企業に渡すということがあれば、これは結果として大学が差別に肩入れをしてしまうということになりますので、各大学に実態を調べてもらって、文部省とも協力してもらって、そういう資料があれば全部回収をさせるとかいうことなどについて、具体的に実効の上がるようにしてもらいたい。そのために、できれば早急に文部省と労働省が具体的な協議に入って、近い時期にこういう措置をいたしましたということを報告してもらえるような、そういう措置をぜひ求めていきたいと私は思います。
 時間がだんだんなくなってきますので走りますけれども、この九月二十五日付の職安局長通達というものが結果としてはなめられておるのですから、今度は思い切って大臣の名前で通達を出されたようでありますが、そのことを追跡調査してもらう。そしていま大臣が言われたように、今度大臣がなめられたらどんなことになるかということをいわば実態的に見せつける、体験をさせるというくらいのことをぜひやっていただきたい、このことをお願いいたしたいと思います。この文部省との関係をやってもらえるかどうか、御答弁をお願いします。
#187
○関(英)政府委員 先生御指摘ございましたように、昨年いろいろ通達等をやったわけでございますが、一つには大学生の職業紹介につきまして私ども直接余り扱ってこなかったということもございまして、従来その辺の対策が中高卒に比べて私ども非常に手が薄かったということは御指摘のとおりでございます。しかし一日もゆるがせにできないということもそのとおりでございますので、ただいま御指摘のような方向で文部省と協議をして、この精神が徹底するような道を早急に図っていきたいと考えます。
 それから同時に、私ども雇用対策に関します協議会を産業界と一緒に持っております。去年の秋も大学生一般の就職解禁日の問題等で集まりました際に、こういった問題についてもそういった事業主団体の集まりの会合の席で徹底していただくように私からお願いはしたわけでございますけれども、先ほど大臣の御趣旨にもありましたので、さらに大臣の書簡をもってそういったものを上場企業に徹底するとともに、経済団体を通じて傘下団体にそれを徹底していただく、そういうことによって大学に対して企業側からよけいなものを求めるというようなことを一方でなくしていく、両方の道で、文部省と一緒になって大学側に、もう一方私どもは企業側にこの徹底を期してまいりたいと思います。
#188
○永井分科員 文部省あるいは大学当局、産業界、これの具体的な協議をされた内容については結果をぜひこちらへ報告をいただきたい。そうしてそういう不当な差別につながるような社用紙の絶滅を期するために、各企業が持っている社用紙などは全部提出をさせる、点検をするということで、具体的な間違った用紙の回収も私はぜひ求めたい、こう考えます。
 もう時間がだんだんなくなってきましたが、最後に、たとえば同和対策事業の特別措置法、この種の法律は時限立法として制定されているものでありますが、そういう法律を制定せざるを得なかった理由があって制定されているわけでありますので、当然その理由が消滅した時点においては法律の存在の意義がなくなってくる、こういう性格のものだと思うのであります。
 そこで、今国会の二月九日に、これもわが党の大原議員の質問に答えて、「改定に当たりましては、いままでの審議の経過並びに附帯決議の趣旨、これを十分踏まえまして、それを実現できるように最善の努力をしてまいります。」と総理大臣も御答弁なさっていらっしゃるわけですね。したがって、この総合的改正の検討という中に、たとえばこういう就職差別をなくする、基本的な人権を確立させるという問題も当然入ってくると私は判断をするわけでありますが、そういう判断に基づいて所管の労働大臣として今後の扱いというものをやっていただけるかどうか、最後に労働大臣のこの決意をお聞きいたしまして質問を終わりたいと思うのでありますが、ひとつ大臣、お願いいたします。
#189
○藤尾国務大臣 法律の所管は私ではございませんで、内閣の総務長官がこの問題について所管をいたしておるわけでございます。でございますから、総理大臣なり総務長官なりがそれぞれのお立場で言っておられるわけでございますから、それを侵しまして私がこうやれ、ああやれと言うわけにはちょっとまいらぬということでございますので、この点は御了承を願いたい。
 ただし、私の所管に関しますることだけは私が全責任を持ってやるわけでありますから、ただいま御指摘の社用紙でありますとかあるいは学校当局との間の粗漏でございますとかいうようなことは、私の責任におきまして必ずあなたにまあまあよくやったわいと言っていただけるようにきちっとやらしていただきますので、御安心願いたいと思います。
#190
○永井分科員 所管をちょっと間違えて失礼なんでございますが、私の言っているのは、この種の雇用問題についての差別問題、これについては労働大臣はいわば最高の責任者でございますので、そういう立場で総合的判断に基づいてこれから対応していくというこれからのこの法に対する対処の仕方の中に、当然冒頭から言われておりますように大臣の決意あるいは大臣の持っておられる勇断というものが生かされるようにしてもらわなくてはいけない。そうでないと、労働大臣所管の問題について一生懸命がんばってもらっても結果として行政の中に全体を生かすことができない、こういう意味で私は申し上げておるのでありまして、ひとつ労働大臣という立場に立って、われわれが本当によくやってもらったというようなそういう対応をしていただくように最後にお願い申し上げまして、時間が来たようでありますので私の質問を終わりたいと思います。
#191
○宮下主査代理 これにて永井孝信君の質疑は終了いたしました。
 次に、矢山有作君。
#192
○矢山分科員 先ほど永井議員の質疑を聞いておりましたので、それを踏まえながらお尋ねをしていきたいと思います。
 いま聞いておりますと、新規採用の場合に能力や適性を判定するための統一応募書類なり、あるいは一般の採用の場合にはJIS規格の履歴書ということになるのでしょうが、そういうものによって選考するので、身元調査などはやってはならぬという強い行政指導をやっておられる、このことを前提にしてお尋ねをしたいと思います。そういう方針は官公庁の職員採用の場合にも同様ですか。
#193
○田代説明員 労働行政の所管といたしましては、各企業に対していま先生がお述べになられたとおり、私どもも採用選考に当たって本人の適性、能力ということを前提として行うように強い指導を行っております。ただ、行政機関にはそれぞれの行政機関を指揮するそれぞれの部局がございますので、それらに対しましても同趣旨において同じように扱っていただきたいという旨はお願い申し上げております。
#194
○矢山分科員 警察の方からきょう来ていただいておると思うのですが、警察当局の方では警察官の採用の場合に身元調査というのを特別にやっておられるのですか。
#195
○金澤政府委員 お答え申し上げます。
 警察官の採用の場合には地方公務員法に基づきまして都道府県の人事委員会が行います競争試験、これによりまして任用候補者名簿というものをつくります。その名簿に登載されておる者の中から都道府県の警視総監または道府県本部長が任命権者として任命する、こういう仕組みになっておりまして、試験は競争試験、それに身体検査、また警察官としての適性についてのいろいろな調査、こういうことでやっております。
 以上でございます。
    〔宮下主査代理退席、主査着席〕
#196
○矢山分科員 よくわからぬのですが、特別な身元調査というのは何かやっているのですか。いまおっしゃったぐらいのことでやっているのですか。
#197
○金澤政府委員 特別な身元調査ということではなしに警察官として、警察官と申しますのは御存じのとおり強制的な権限を持って職務執行するという非常に重要な国民全般に対します大きな影響を持った仕事をやっておりますので、その警察官として適格性があるかどうかという点につきまして人物調査をする、こういうことでございます。
#198
○矢山分科員 実は最近起こった事例なんですが、昨年の十月に関西のある大学の四年生が山口県警察本部の採用試験を受けたのです。ところが、その本人の留守中に下宿先へやってきて調査をやった。生活態度だとか女性関係だとかそのほかいろいろなことを聞いておるようですけれども、こういうやり方というのは労働省はやっていいとお考えになりますか。
#199
○田代説明員 いま先生が御指摘になられましたのは個別の事例でございまして、私初めて拝聴をしたわけでございますので、私の申し上げておりますのは、いわば採用選考に際しまして一定の応募書類を出させる以外に身元調査をすることは禁ずる、この精神に外れているものであるならば、それは当然私が申し上げるとおりに是正すべきものだと考えます。
#200
○矢山分科員 そういう労働省の方針から考え、そしてその一般企業に対する指導は、同時に官公庁職員採用の際にもできるだけ遵守するようにという指導が行われておるとするなら、ただいまのような身元調査をやるということは私はいささか問題があるのではないかと思うわけです。したがって、この点について労働省の方にお願いしたいのは、警察官の採用に当たって警察当局がやっておる身元調査というのは一体どの程度のことをやっておるのか、そういった点を詳細に調査をしていただいて、そしてお知らせをいただきたいと思うのです。私どもの方もある程度の調査したものは持っておりますから、それは改めてそれぞれの担当の委員会の場でその調査をしていただいた結果に基づいて質疑をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
 そこできょうはその問題と並んで、同じような事例なんですけれども、大臣のお手元にいま差し上げたのですが、それは広島県の府中町にある東洋工業株式会社が従業員の採用に当たって身元調査をやったその調査報告書です。その中で非常に問題のある部分をそこに抜粋をして書き出したわけです。大臣、それをごらんになってどういう印象を持たれますか。
#201
○藤尾国務大臣 御指摘のとおり非常に度が過ぎておる調査だなという感じでございますから、私は私なりに対処したいということをいま感じておるわけでございますけれども、これは矢山委員もこれから御質問でございましょうから、その御質問に従ってお答え申し上げます。
#202
○矢山分科員 そこで申し上げたいのですが、東洋工業は一九五三年から一九八〇年まで従業員の採用に当たって身元調査を続けておったという事実がある。この報告書は、昨年の十二月に部落地名総監「日本の部落」を購入したという事件をめぐって第四回の事実確認会が開かれたわけでありますが、その際に会社側から提出された報告書なんです。一九七一年から一九八〇年にかけて採用された従業員六千百三十二名に対する身元調査報告書であります。この報告書を、広島の法務局、広島県の教育委員会、それから広島県の職業安定課の三者が、調査に当たった東洋工業の保安課の職員三十七名から事情聴取しながら調査し問題点を分析しております。いま大臣にお目にかけたのは、この調査の結果判明した十五名に対する部落差別を意図した記述なんです。
 そこで、これに関連をして以下お尋ねしていきたいのでありますが、この報告書だけから見ても、十年近い長い期間、しかも御承知のように五年前から部落地名総監の購入、それに伴う就職差別の問題がしばしば国会で論議をされた、また社会的にも大きな問題になってきた、そして労働省もそういう部落差別、人権侵害につながるような身元調査をやってはならぬという強い行政指導を行っておった、その中でなおかつこういうことが東洋工業で継続して行われておった。これは私、先ほど永井議員が指摘したように、労働省の行政指導というのは一体どういう意味を持っておるのか、言うならば全く効果が上がってないんじゃないかという感を強くするわけですが、その点いかがですか。
#203
○田代説明員 私どもといたしましては、事業主の指導というものはもちろん同和対策といたしまして相当早くから行ってきているわけでございます。行いながらこれはさらに強化をしなければいかぬ、こういうような判断でもって、その後も事業主指導をさらに組織化するように心がけてまいっておりますし、先生も御承知だと思いますけれども、研修推進員というような制度を設けて企業の核になるような人事関係者を集めてその指導を直接行う、そういうようなことを逐次強化してまいっております。
 ただ御案内のように、東洋工業の場合は地名総鑑の購入事実が一昨年の八月に明らかになりまして、それ以後地方法務局を中心といたしまして、御指摘がございました各行政機関が一体となって事実の確認、それからそれに伴う反省、指導、体制の改善ということに現在もまだ手を染めて行っているものでございます。その中で、御指摘のようにいわば身元調査に言われるようなものを相当行ってきたという事実がございますし、それからその中でいろいろなことが先生がいま御提示になりましたような事項として出ております。また逆に採用されている職員もございまして、ただ、それらは企業が正しい認識のもとにやっていたかどうか、当然ながらそういった調査を行うこと自体にやはり誤りがある、ただ採用すればいいということではなくて、そういう調査をすることの問題点は、正しい認識を持たない限りなかなかはっきりしてこない場合もございます。そういった点で、関係者一同集まりまして現在なおかつ指導を続けている、こういうことでございます。
#204
○矢山分科員 そこで私は、この東洋工業の場合に非常に問題だと思うのは、この身元調査には、元警察官が東洋工業保安課の職員として五名も調査に当たっておるわけです。しかも、この五名の人間は、警察をやめて会社に入って一年以内にこの身元調査に携わっているわけですね。しかも、その身元調査をやる場合に、元警察官であったという立場を利用して警察署に協力を求め、そして警察がこれに積極的に協力をした、そしてその結果、いま差し上げたような報告書ができ上がったわけです。その報告書の中に、大臣、私は丸印をつけております、赤いボールペンで。その丸印をつけた分が、警察官が直接関与をして調査し報告したものです。
 その一つだけを取り上げてみますと、「本人住所地そのものが通称○○通りと称し○○橋の土手下のスラム街で特殊部落(朝鮮人、屠殺関係者)で夜間は治安当局員も一人では通行しない場所である」、こういう報告になっておる。いま読んだのは「NO1」ですが、さらに「NO9」を見ると、「本人は特 部落に育ち、小学生の頃から町の商店で万引をし、……性格は割におとなしい方だが稍陰気で本籍地ではあまり相手にする者はない前科としての登録なし」、こういう報告書を出しているわけですね。
 一体このことを労働省はどうお考えになるのか、これほど身元調査が就職に対して差別を引き起こす、人権侵害になるということで、政府、特に労働省を中心にして強い行政指導をやっておるさなかに、こういう身元調査に警察が協力するというのは一体どういうことなんですか。
#205
○金澤政府委員 お答えをいたします。
 広島県警の報告によりますと、広島県警の退職者が東洋工業の方に再就職をしておるということは、私の方も存じておりますけれども、どういうような仕事の内容を担当しておるのかということについては県警の方も承知をしていないということでございますし、また、いまお話しございました広島県警がそういった東洋工業の社員採用についていろいろな協力をしておるということは、これは一切ないというふうに広島県警の方から報告を受けております。
 以上でございます。
#206
○矢山分科員 一切ないことはないのです。これは先ほど言った広島法務局、広島県の教育委員会、広島県の職業安定課、これがいま言った調査報告書を出させて、調査に当たった三十七人、元警察官が五人含まれておる、その人から事情聴取をした結果、その調査に当たった元警察官が警察の協力を得たということをはっきり言っておる。しかもそれに続いて、こういう調査で警察の協力を得るためには元警察官でなければなかなか協力が得られないんだ、こう言っておるのですよ。この事実をあなたは掌握しないでいまのような答弁というのはけしからぬですよ、どうなんです。
#207
○金澤政府委員 私どもの方が県警の方から報告を受けておりますのは、警察としてはそういう民間の企業の職員の採用について警察の持っておるいろいろな資料を提供するというようなことはない、こういうふうに報告を受けております。
#208
○矢山分科員 事実がないと言っても、事実そういうことがあったんだという報告が、たとえば部落解放同盟だけが事情調査をした中で出てきておるのじゃないのですよ。先ほど言った広島法務局、広島県教委、広島県の職業安定課、三者が直接調査に当たった者を呼んで事情調査した結果、調査に当たった元警察官から出ておる言葉なんですよ。警察はともすれば、何かやっておってもやっちゃいない、そんなことは知りませんと言うのがわれわれがこれまで体験してきた例なんですよ。そういうことでこれは済ませる問題じゃないのですよ。労働省どうですか、こんなばかな話。
#209
○田代説明員 私の方も、先生が先ほどお示しになられました調査の内容というものを見まして大変遺憾な事実だと思います。内容につきましても、いわば人の身辺を探るというような形で、内容的にも予断と偏見が当然出てくるということでございますので、就職差別という立場に立ってもきわめて問題であろうか、ただこれはそれ以上に人権的にも問題ではないか、かように考えます。
#210
○矢山分科員 しかもそれをやっておるのが、身元調査もやってはいけぬ、それは就職差別につながるから、人権侵害につながるからと言って強力な行政指導をやっておる政府の一機関として、しかも住民との一番接点におる警察がそういうことに手をかすというのは、これはまさに許されぬですよ。これは労働大臣どうですか。こんなばかなことはない。
#211
○藤尾国務大臣 矢山先生、ここのところはひとつ、いろいろございましょうけれども、分けてお考えいただかなければいけませんのは、一番悪いやつはそういう元警官を使いましてそういった調査をさせた会社当局にあるわけでございまして、私は、会社の命を受けまして仮に調査をしたといたしますか、調査をいたしました者があるとすれば、その元警察官であった方も会社の命令でこういうことをやってもらいたいと言われて、それはちょっと困ったなと思われたかもしれませんけれども、ともかく会社に言われたから仕方がないからということでございましょうし、恐らくその際に警察という組織の権威をもってこういったことを調べようなどということはできるはずのものではないわけでございますから、そうではなくて、個人的に自分の友達であったたとえば警察官がおられたとすれば、その警察官に頼って、こういうことなんだそうだけれども何か知らぬかねというようなことをうかつに恐らくおやりになられた事例があったのではないかというように考えるものでございます。警察当局が広島県警の名をもちまして、警察というその組織主体がそのような民間会社の採用について組織としてこれに協力をするなどということはあり得ないことでございますから、私はその報告に関する限りは警察御当局の官房長のおっしゃられたことも正しいのじゃないかという感じがするわけであります。
 でございますから、私は非常にけしからぬと思いますのは、そういったあらゆる手段を選ばずそのようなことをやろうとしたこの東洋工業という会社自体、この経営者あるいはこういった仕事に参画をしました立案者、こういったものこそ私どもがその事実を供述をしてもらい、反省をしてもらい、そしていままでやったことを全部改心してもらわなければならぬ、謝罪をしてもらわなければならぬ、そういう主体だ、かように思います。
#212
○矢山分科員 まことに大臣うまい御答弁なんですよ。私は一番の悪いのはおっしゃるようにそういう手段を弄した会社だと思います。しかしながら、政府が同和問題の解決は国の責務であり国民的課題だといって取り組んでいるわけでしょう。そうだとするならば、その政府の機関の中におる職員が、なるほど就職をした、会社から命ぜられた、だからいやだけれども調査をした、それはわかりますよ。ところが、調査をしてそれをそのまま差別的な記録として報告書に出すというのは、やはり差別問題に対する認識というか同和教育というか、そういうものがきわめて欠けておるのじゃないか。
 それからもう一つは、なるほど警察が機関としてその身元調査に協力していないかもしれない。しかしながら、少なくともあなたがおっしゃるように一歩下がって現職の警官が聞かれてしゃべったものであるとしても、いまの国の方針のもとに差別の解消に努力しなければならぬ公務員が、積極的にそれに協力するということは、私は問題だと思うのですよ。あるいは積極的に協力しなくても、聞かれたから答えたんだというにしても、これは私はやはり問題だと思う。そういう点で私はあなたに御理解をいただかぬと、一番悪いのは会社なんだ、そういう元警察官が使われたから仕方がない、調査し、また現職の警官が頼まれたからしゃべったんだろう。これでは私は問題の解決にならぬと思うのです。
 そこで私がお聞きしたいのは、行政の分野でもよく差別問題が起こるのですよ。だから政府部内で差別をなくするために一体どういった同和教育というのを積極的にやっておるのか。特に警察は警察官に対して一体どういう同和問題に対する認識を深め、そういう差別意識をなくするような教育をやっておるのか、そのことをひとつ話してくれませんか。
#213
○金澤政府委員 お答えをいたします。
 警察といたしましても、この同和問題が国の重要な課題でありますし、憲法上に認められております基本的人権、これにかかわる重要な問題ということで早急に解決を図るということで、政府と地方公共団体がやっておるというのは十分に私どもそのとおりの姿勢で警察としても受けとめておるわけでございます。第一線の各都道府県警察におきましても、まず警察官というものがこの基本的人権の尊重といいますか、各国民の自由を守り基本的人権を保障するということを第一線でやっておる仕事の関係上、警察官になりました最初の一年間で憲法の問題を初めとしてこの同和問題についても各学校でまず教育をしておりますし、出ました後も各第一線の職場におきましても、それぞれ所属でいろいろ政府それから県の各機関が発行しました資料等によりまして教育をしておる、こういうことで、私どもの方もいま先生のお話のありましたような点につきましては相当に教育をしておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
#214
○関(英)政府委員 私ども職業安定行政機関に従事します職員にとって同和対策のうち雇用上の差別をなくす問題、これは最も重要な柱の一つである、こういう認識のもとに行政に努めておるところでございまして、職員全体を含めてその問題の理解と熱意とを深めているつもりでございますが、先ほど来御指摘にございますように、たとえば大学卒の問題あるいはいま御指摘の東洋工業の問題に見られますように、大臣の絶滅を図れという強い御熱意にもかかわらずそういう問題が出てきている、これは私ども職員のこの問題に対する理解と熱意がまだまだ足らないんではないかということを非常に深く反省しているところでございます。現実にこういう問題が起こりましたときに、第一線の公共職業安定所及び県の職業安定課関係の職員はこういう問題に非常に熱意を持って関係機関と一緒になって取り組んでいる、取り組んでいる中でさらに理解と熱意を深めているということを日夜やっているわけでございますが、まだまだ私どもの努力が足らないということを反省している次第でございます。
#215
○矢山分科員 現職の警官がかかわっておるということは事実なんです。それからまた、元警察官も積極的に調査に従事していることも事実なんです。こういう事態を踏まえて、差別意識をなくす、民間に対するその啓発活動、教育というものもやらなければいけません。それもさることながら、同時に政府の機関の中で真剣に取り組まぬと大変な問題になるんじゃないかと私は思います。
 そこで、この実態というものは警察の方では十分調査をしてもらいたいと私は思うのです。それに対して、調査をした結果事実が分明したら一体どういう措置をとるのか、そのことを明白にしてもらいたいと思います。
 それから労働省にお願いしたいのは、こういう事実が起こっておるのですから、一遍国家公安委員長に厳重な注意をするなり国家公安委員長から反省文を出させるなりそれ相応の処置をせぬと、これをこのままにしておいたら大変ですよ。どうです。
#216
○関(英)政府委員 いまの山口県警の問題あるいは予算委員会の一般質問の中で出ました事件等にかんがみまして、行政及び行政の外郭団体といいますかあるいは認可団体といいますか、そういったところに起きた最近の事例等にかんがみまして、私ども全省庁に対しましてこの問題について改めて取り組んでいただきたい、そして外郭団体を含めてそういう問題の徹底を図っていただきたい、こういうことを強くお願いいたしたいと思っております。
#217
○金澤政府委員 警察庁といたしましてもいま先生のお話にありました点、十分に調査をしてお答えしたいと思います。
#218
○矢山分科員 この事案というのはもう先ほどお示ししたとおりですから、労働省においても国家公安委員会においても、つまり警察においても、実情調査の上、どういう措置をとろうとするのか、とったか、これを明らかにしていただきたいと思います。これをぜひお願いしますよ、大臣。
 そこでお伺いしたいのは、私は大臣がこの同和問題に取り組んでおられる真剣さというのは本当に敬意を表するのです。就職差別を絶滅させるために進退をかけてでも有効な手段をとるんだ、こういう強い決意を述べられたわけですが、その有効な手段ということで当面どういうことをお考えになってとろうとしておられるのか、これをお伺いしたいのです。
#219
○藤尾国務大臣 これは御案内のとおり、一般的にはいままでも労働当局が行政上の措置といたしましてかなりのことはやっておるわけでございます。それでもなおかつこのようなことが起こってくるわけですから、その起こした者を、これは並み大抵のことではいかぬわけでございますから、私自身がその社長を呼びつけまして、この事実を明示して、どうするかという決着を私自身が私の責任においてつけさせます。そういったことはただ単に東洋工業のみならず、そういった事案が出てきましたものは全部私がそれをやりますから。そのようなことで、それは私から言われたら相当なことでございますから、びりびりっとするだろうと私は思いますよ。それがずっと広がっていけば、これはいかぬということになって、恐らくやる勇気のある方はなくなるであろう、さように私は考えております。
#220
○矢山分科員 私は、大臣が強くけしからぬぞ、承知せぬぞとおっしゃれば、それは相手がびりびりするだろう、これはなるほど強くなったなということで多少びりびりするかもしれぬと思うんですよ。ところが、やっぱり文書や口だけではなかなか解決せぬのじゃないか。実効ある手段をとろうと思えば、一つはやはり法的な規制をどうやるのかということを検討しなければならぬ。この問題は私自身も三、四年前から論議をしてきたところなんです。やはり法的規制を考える。ところが法的規制というのは、いままでの論議を通じて、なかなかむずかしいという御見解も聞いておるわけです。であるとするなら、当面とれる手段は行政的な措置ですね。行政的な処置をとるべきじゃないか。
 たとえば一つの例を挙げますと、大阪府が昨年の十月二十二日に、差別図書を購入した企業ということで発注停止の処分をやっているわけです。言っても聞かない、だから何遍も何遍も言うということでは、結局労働大臣が大きな声を出して言っているだけだ、大したことないということになってしまうので、地方自治体がすでに率先してやっておるように、就職差別などをやったような企業に対しては国なり地方公共団体が発注をとめてしまうぞ、こういう措置も積極的に考えるべきだ。そのほかに、差別企業の名前を公表するとか、あるいは職業紹介をやめるとか、いろいろあるでしょう。そういういま言った措置が非常に効果的なんじゃないか。
 もう一つ考えられる措置は、これはやはり政府が全体として取り組んでいる問題ですから、たとえば政府関係の金融機関から融資を一時的にとめますよ、こういう措置も私はきわめて効果的だと思うのです。これをおやりになる気持ちはありませんか。
#221
○藤尾国務大臣 いろいろお知恵をお授けいただきましてありがたいことでございますけれども、私は私なりにそういった御注意をも含みましてやるわけでございますから、私にやらしていただいて、そうしてなおかついかぬというときに、あなたの方から私に御注意いただきたい。
#222
○矢山分科員 よろしい、まあ大臣がずっと今後長くおられれば私はいいと思うのです、いまの大臣の熱意を私は高く買うていますから。ところが、大臣がおやめになった、後を引き継いだ大臣が余り熱意がない、それほどの気魄を持ってやろうとしないというときには、これまたしり抜けになってしまう。だからやはりある程度制度的に、もし就職差別なんかやるならこういう措置をとりますよ、政府関係金融機関の金融はとめますよ、あるいは国や地方公共団体の発注をとめますよ、こういうことをきちっとした上に立って厳しくおっしゃった方が私はいいんじゃないかと思います。だからこれはぜひ御検討いただきたい。
#223
○藤尾国務大臣 私がやめましても、私のやったことはちゃんと役人はみんな見ておるわけでございますから、そういった前例ができますから、きちっとそり前例に従わせるぐらいの政治力は私は持っておるつもりでございます。ひとつお任せをいただきたい。
#224
○矢山分科員 それでは時間が参りましたのでこれでやめます。ただ、最後に大臣がおっしゃった言葉だけは私も耳に強くとめておきますので、ぜひ努力していただきたいと思います。
#225
○上村主査 これにて矢山有作君の質疑は終了いたしました。
 次に、大橋敏雄君。
#226
○大橋分科員 私は、労災並びに労働保険に関係しまして若干質問をしたいと思っておりますが、まず初めに労働大臣に御決意を伺っておきたいことがあります。
 それは、いよいよ国際障害年を迎えるに当たりまして労働大臣がどのようなお気持でこれに対処なさろうとしておるのか。というのは、職場災害で思わぬ障害者となって、一生涯お気の毒な人生を送らなければならないような重症の方もかなりいらっしゃるわけですね。そういう方々のためにも、障害者年を迎えるに当たっての労働大臣の決意をまず聞いておきたいと思います。
#227
○藤尾国務大臣 これまたただいまのお話と似たようなことでございますけれども、私は私の労働行政の一つの理想、指針といたしまして、労働災害は絶滅をしてほしいということを言い、それを訓示してきております。したがいまして、本来ならばすぱっと労働災害が一つもなくなってくれるということが非常にありがたいわけでございますけれども、残念ながら労働災害は、少なくはなってまいりましたけれども、それでも非常に多発をいたしております。非常に残念至極でございます。
 それで、こういった労働災害というものはなぜ起こるのだということでございますけれども、いろいろなケースをいろいろな場合に当てはめて考えてみますと、非常に危ないというときにはわりに起こっていないわけでございますね。そうではなくて、非常になれてきたとかあるいは大丈夫だろうというような安心感が先に立ったときにこういったことが非常に起こりがちである。気の緩みといいますものが一番恐ろしい、私はさように思います。そういったことにつきまして、その職場職場におきまして、その職場を指導なすっておられる方々が毎日毎朝こういったことをひとつ皆さんをお集めいただいて、そしてきょうはこのようなことに注意してしっかりやろうじゃないかというようにやってもらいたいということをお願いをいたしております。
#228
○大橋分科員 いま大臣は、労働災害を起こさないことが先決だ、おっしゃるとおりです。しかし、いま私が開かんとしているのは、もうすでに労働災害に遭った障害者、国際障害者年を迎えるに当たってもう一回目を当てて温かい手を差し伸べよう、その先頭に立ってくださいねとその決意を聞きたかったわけでございますが、では、具体的に問題を運びたいと思います。
 労災保険法はこれまで数次にわたって大改正がなされてきたわけでございますが、そのたびに被災者に対する救済措置は大きく前進してきたことは私もよく承知しております。しかしながら、古い時代といいますか、特に昭和三十五年以前に受傷した脊損患者などは、当時の打ち切り補償ということで処理されているために、その後における法改正の恩恵にあずからないという、言うならば恩恵の度合いに格差が生じてきているのではないかと思われる節があるわけですね。その当時その当時、全力で対処なさってきていることもわかるわけですけれども、後になればなるほどその問題点が指摘されて改善されてくるわけでございます。
 実は、私の手元にも具体的に五名の方から、こんなひどい状況がまだ続いているのです、過去に打ち切り補償はもらったけれども、もう一度再発認定をしていただけないかという訴えが来ております。その一人の例を挙げますと、嘉村与四郎さんという方ですけれども、この方はもう六十歳になる方ですが、受傷年月日は昭和二十四年四月二十日です。いまの症状、状態は、歩行不能で用便、入浴、外出等はすべて介護を要す、膀胱炎、腎盂炎などを繰り返し下肢麻痺にて疼痛あり、こうあります。これと同じようにあとの方々もみんな続くわけでございますが、私はこうした方々の実情を見てまいりますと、障害者年に当たってもう一度やはり見直すべきではないか、再発認定をしてあげるべきではないか、こう考えるわけでありますが、いかがでしょうか。
#229
○吉本(実)政府委員 けい肺または外傷性脊髄障害によりまして、労災保険に年金給付が導入された三十五年の三月三十一日以前に労災の打ち切り補償を受けた者については、いま先生おっしゃるように、給付の対象でなくなっておるということでございます。要するに当時の労災保険の中で打ち切り補償を受けたということで、いわば保険の関係においての補償は完了しているということで対象でなくなったわけでございます。したがっていまお話しのように、同一の傷病の再発があったとしましても、一たん労災保険の方で対象でなくなったわけでございますので、それを改めてやるということは、やはり制度のたてまえなり制度から困難だと思います。しかしながら先生も御承知のように、これらの人に対する保護の充実を図る必要があるということで、私どもいろいろな手をいままで加えてきているところでございます。
#230
○大橋分科員 確かに法のたてまえからいけば、過去に法律に従って打ち切り補償をされた、それはそれで理解できるのです。ところが、現実問題としてその病状がそれ以上に悪化した状態で今日に続いている、この現実があるわけですね。ですから、いま労災援護金というもので入院また治療だけは見てあげるような救済措置がとられていることも承知しておりますが、私がいま言わんとするのは、こうした国際的に障害者に対して日を当てよう、温かい手を差し伸べよう、もう一回見直していこうじゃないかという年でもありますし、またこういう方々は人数がふえていくわけではなくてきわめてわずかな人数でございますので、これはそれこそ大臣の英断以外にないと思うのですけれども、こういう人に対して特例措置で何とか年金が支給されるような形に持っていけないものだろうか。いわゆる再発認定をしていただきたい。もう一度、これは大臣にお尋ねしたいと思います。
#231
○吉本(実)政府委員 先生の御趣旨、ごもっともな点非常に多いわけでございます。また、ただいまお話がありました労働福祉事業としまして療養援護金を支給しておる。これは療養に要する費用、それからさらに入院患者なり通院患者に対しましていろいろな入院の諸雑費とか通院諸雑費という形で現在支給しているわけでございますが、本年におきましてもこれらの人の援護を図るためにさらに額の引き上げを考えているわけでございます。いずれにしましても、先生おっしゃるように、そういった方々に対する援護をさらに充実していくということはこういった障害年にとって大切なことでございますので、今後ともそういったことについては努力してまいりたいと思います。
#232
○大橋分科員 大臣では答えにくい内容かもしれませんが、とにかくいまの入院援護金ということは実費と年に一万円程度が支給されている程度でございます。いまの局長の話では、これを大幅に改善していくのだという答弁のようでございますが、せめてこの内容をとりあえず極力充実していただいて、いまの私が言わんとしている問題もなおかつ念頭に入れてもらって検討していただきたいと思います。
 時間が限られておりますので、次の聞きたいことに進みます。
 脊損患者に対する自宅介護の介護料の問題なんですけれども、これも私は大幅に改善してもらいたい、こういうふうに思うのです。脊損患者が入院しているわけでして、軽くなれば退院だというのが普通ですけれども、正直言って症状が軽くなって退院するのではなくて、複雑な家庭事情、場合によっては家庭が崩壊するのじゃないかと思われるような問題がひそんでいるわけですね。あるいは子供の教育の問題等々考えたときに、入院していれば入院料を見てもらえる、あるいは食費も見てもらえる、そういう点では非常に楽であるわけでございますが、いま言ったような諸般の事情から、もう身を削られるような思いで退院をしていくわけですね。また、その患者が入院をしている間は、奥さんなどは生計を維持していくためにほかに就職をして収入の道を開いている。しかし一たん主人が帰ってきますと、車いす生活ですから朝昼晩、夜中までめんどうを見なければならぬし、せっかく就職していたのも断念しなければならない。その収入の道もとだえるし、さりとてその介護料はいまわずかに月三万九百円ですか、もし介護していく奥さんが倒れられた場合、だれか雇ってそれを介護してもらおうといっても、この程度の金額では来手もないという現実があるわけですね。一般付き添い看護、これは無資格の看護婦さんであっても一日に六千円から七千円、いまそれ以上になっているというお話であります。こういうことであります。
 また、スモン訴訟の例をとるまでもないのですけれども、失明あるいは歩行不可能――歩行不可能といえば脊損患者は皆該当するわけでありますが、その訴訟の例をとると、そういう重症患者に対しては十万円が支給されているわけですね。そのほかの方に対しても六万円支給されているというわけですから、そこまでいかなくとも三万九百円では確かに自宅介護料は低過ぎる、私はこう思うのでございますが、大幅な改善を要求いたします。いかがですか。
#233
○吉本(実)政府委員 ただいまお話しの介護料の額でございますが、いま先生おっしゃったように現在三万九百円ということになっております。これは先生も御承知のように、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律など類似の制度におきます介護料の額との均衡で定めているわけでございます。
 また、こういった方々の介護料の増につきましても極力努力しているわけでございますが、来年度の予算におきましても若干引き上げを行いまして、三万二千百円に引き上げることを予定しておるわけでございますが、今後ともこれらのほかの類似制度の介護料との均衡も考えながら、先生のおっしゃるような形で努力してまいりたいと思います。
#234
○大橋分科員 三万九百円から三万二千百円になるんですね。五十六年の八月からですか。上からないよりはありがたい話ですけれども、さっき申し上げましたように、この程度では私は妥当ではないというふうに判断します。先ほど言ったような状況の中からもう一度再検討していただいて、一日も早くその額が妥当な額に引き上がりますように要望して、次に移ります。
 脊損患者の中には意外に単身者が少なくないわけでございます。その理由は複雑な問題があるわけでございますけれども、その単身者の障害者が死亡した場合には介護に当たっていた方、それも二十年も三十年もという方もいますね、長年付き添った介護人が葬式を出すことになるわけでございますけれども、この車いす患者の皆さんに対するお世話というものは、とにかく義務的な気持ちではとてもやり切れませんね。続くものじゃないのです。一般的な夫婦愛それ以上の献身的な精神が要求される付き添いだろうと私は思うのですが、こういう方々がいま言ったように、何十年もの長い間めんどうを見てきて亡くなった後葬式を出すことになるわけでございますけれども、現在の労災保険法による葬祭料というものは、平均しますと三十万前後ですね。やりようによればこれでも葬式ができないことはないとは言うものの、私は要望としては葬祭主には特別見舞金、いわゆる遺族特別支給金、これなどはお金がたくさん出ているわけでございますが、その程度は支給すべきではないかという要望すらあるわけでございますので、この額をもう一度見直すべきではないかということでございますが、いかがですか。
#235
○吉本(実)政府委員 葬祭料の額の点でございますが、私どももそういったことを考慮しまして日ごろ努力はしているつもりでございますが、いずれにしましても現行の葬祭料の仕組みが、定額部分を設けることによりまして生前賃金の低い場合でも一定の水準を保てるようにしよう、こういうことでしているわけでございまして、この葬祭料の定額部分につきましては一般の葬祭に要する費用の実態というものも考えまして、その都度努力をしているわけでございます。来年度におきましても一二%引き上げまして、十八万五千円にまで引き上げていこうということを予定しているところでございます。こういった点もさらに勘案しながら努力してまいりたいと思っております。
#236
○大橋分科員 もっと深刻な問題もあるのですけれども、これは後の機会に譲るといたしまして、ボーナス特別支給金制度についてちょっとお尋ねいたします。
 御承知のとおり、昭和五十二年度からボーナス特別支給金制度が発足したわけでございますが、この算定基礎額の上限額というのが発足以来相変わらず百万円ということで進んできているわけであります。私はこれはやはり不合理だと思うのですね。賃金水準の変動がかなりあるわけでございますので、当然この額も大幅に引き上げるべきである、こう考えるわけでありますが、いかがですか。
#237
○吉本(実)政府委員 ただいまのボーナス特別支給金の上限額、限度額百万円ということでございますが、これにつきましては先生おっしゃるとおりでございまして、五十二年当初から据え置かれておるわけでございます。それで最近におきます賞与の平均的な支給額の動向なども考えまして、本年の五月から五〇%引き上げて百五十万円にいたしたいということで、現在そういった準備を進めているところでございます。
#238
○大橋分科員 五月から百五十万になるわけですね。これも引き上げ方は、いま非常に財政難の折柄ですからこういうことになるのでしょうけれども、私はもっと大幅な引き上げを実は期待しておりました。
 次に、労災年金に頼って生活を余儀なくされている人たちの強い要望として、次のようなことが出ております。
 たとえば在学中の子供の教育費、これがどんどん高騰していくわけでございまして、それが生活を非常に圧迫してきている、あるいはまた幼児を抱えた被災者の奥さんが生活が苦しいということからどうしても就労せざるを得ない、こういう例も少なくないわけであります。したがいまして、私は、労災保険制度というものはこういうものを一切配慮された立場じゃないわけでございますけれども、事情がずいぶんと変わってきた今日ですから、労災保険制度としても十分対応していかなければならぬのじゃないか、改善すべきじゃないか、このように考えているわけでありますが、労働省としてはどう考えますか。
#239
○吉本(実)政府委員 ただいまおっしゃっておられます年金受給者が在学中の子弟を抱えて学資の支弁が非常に困難な場合、あるいは年金受給者の奥さんが就労のために要保護児を保育所等に預ける場合、こういったところに何らかの裏打ちをというお話でございます。これも先生御承知のように保険制度自体からはなかなかむずかしいわけでございますので、労働福祉事業の一環といたしまして就学援護費なり就労保育援護費という形で支給を行っておるところでございます。そこで、こういった援護費につきまして、労災年金受給者の最近の実情なりあるいは教育費の現状、また各種の奨励金の状況、そういったものをいろいろ考えまして、昨年も四月に引き上げを行ったわけでございますが、本年につきましてもさらに四月から引き上げを図ることといたしております。たとえば大学生につきましては月額一万二千円から一万五千円、二五%の引き上げ、また要養育児につきましては一人について月額四千円から四千五百円ということで約一三%ぐらいの引き上げということでございます。そういったようなことで現在予定をして進めておるところでございます。
#240
○大橋分科員 いろいろとそれなりの配慮をなされているようでございますけれども、先ほどから私が申し上げるとおり、本年は国際障害者年という、特に障害者に対して日の当たる年でございます。そのことも十分配慮されて思い切った対策をお願いしたいと思うのです。
 去年の社労委員会の附帯決議の中にも「労災保険制度に年金給付が導入される以前に打切補償費を受給し、なお療養を継続している者等に対する援護措置の充実に努めること。」これは先ほど言いました再発認定のことにつながるわけでございます。もう一つは「傷病補償年金受給者に対する特別支給一時金の給付について、その実現を期すること。」とありますね、覚えていらっしゃると思うのですけれども。障害補償年金あるいは遺族補償年金、この受給者については、いま言います特別支給一時金が支給されているわけですね。ところが、休業から傷病補償年金に移行した場合、この特別支給一時金は支給されていないわけですけれども、この附帯決議にも言っておりますようにぜひともこれも支給されるような方向で努力してもらいたいのですけれども、いかがですか。
#241
○吉本(実)政府委員 先生御案内のように、傷病年金受給者の場合につきましては現在そういった制度がないわけでございます。これはやはり傷病年金そのものが療養給付に加えまして手厚い年金給付がなされておるということで、いわゆる障害や遺族の場合とはケースが違うというようなことでなってきているわけでございますけれども、先般のそういった附帯決議のこと、また先生の御意見も十分わかるわけでございまして、そういう意味で、長期療養を余儀なくされる方々の実情、たとえば奥さんが就労のために何かの一時金がほしいといったようなこともあるわけでございますから、そういった事情を考えまして、ひとつ早急にこの検討に入ってまいりたいと思っております。
#242
○大橋分科員 大臣、これは非常に重要な事柄だと私は思いますので、いま局長は前向きに検討に入りたい、こう言っておりますけれども、大臣のお気持ちもちょっとこの際聞かせておいていただきたいと思います。
#243
○藤尾国務大臣 ただいま労働省を代表いたしまして局長が申し上げたわけでございますから、私がその局長の考えをさらに前進させるように励まし、バックアップをいたしましてそのようにいたさせます。
#244
○大橋分科員 それでは次の問題に移ります。
 これは労働保険事務組合の問題でありますが、労働省としましてこの労働保険事務組合のあり方についてどのように御認識をしておいでになるのか、お尋ねをしてみたいと思います。
#245
○谷口(隆)政府委員 労働保険事務組合は、御案内のとおり零細事業場につきまして労働保険の適用を促進するために設けられた制度でございますけれども、五十五年の三月末現在で一万二千六百八十四ございます。適用事業場総数百九十六万のうち八十六万、約四三%の事業場の委託を受けまして、徴収総額の約一割を納付しており、また、五人未満事業場の約六割を占めておるわけでございます。
 これも御案内のとおり、労災保険は現在原則としてすべての事業場が適用対象となっておるわけでございます。しかしながら、残念なことに適用漏れになっておる事業場もあるわけでございますが、そういう未加入の事業場のほとんどが商業、サービス業等の五人未満のいわば零細事業場でございます。これらの零細事業場は、事務処理能力も弱いとかあるいは数が非常に多いわけですし、また開業とか廃業とか変動が大きいというようなことで、行政側だけで把握するのも非常に大変でございますので、そういう意味では、やはりこういう労働保険事務組合方式を通じて適用促進を図っていかなければならぬという考えで進めておるわけでございます。
#246
○大橋分科員 いろいろな立場から非常に有効的な組合である、このように評価していっていいと私も思うわけでございますが、労働保険事務組合の方々から最近いろいろな陳情、要望が出てきております。たとえば報奨金について、対象事業規模、保険料の納付期限あるいは保険料納付割合等に関して基準の緩和をしてほしい、いろいろな要望が来ております。いまおっしゃるように労働保険事務組合が重要な役割りを有しているのであれば、この育成強化のためにはこうした皆さんの要望を十分受け入れていくべきであると私は思うのでございますが、いかがですか。
#247
○谷口(隆)政府委員 報奨金の制度は、いま申し上げましたように、零細事業主に対します労働保険の適用の促進を図るために設けられました労働保険事務組合に対する助成措置として行われている制度でございまして、労働保険事務組合は、労働保険におきます自主申告納付の例外措置といたしまして、専任の事務員等が置けないなど、労働保険事務手続を行うことが困難な零細事業主の便を図るために設けられたものでございます。
 したがいまして、いま御指摘になりましたような、対象事業場の規模あるいは保険料納付期限とか保険料納付割合等につきまして緩和をしてもらいたいという要望につきましては、私どもの方も承っておるところでございますが、ただいま指摘されましたような事項につきましてはそれぞれ、冒頭に申し上げました報奨金の性格から、たとえば現在対象事業場の規模が十五人以下ということになっておりますけれども、これを上回るような事業場を対象とするというようなことになりますと、零細事業主というような制度の趣旨にも関連する問題になりますし、また納付割合、現在確定保険料九五%以上納付していることということになっておりますけれども、これも、本来ならば一〇〇%納められたものが対象となってしかるべきだとかいうような議論、また納付期限の緩和等につきましても、ここを通じない事業主の均衡等々、いろいろ制度的にはかなり大きな問題があるわけでございます。
 ただ、冒頭から申し上げておりますように、現在まだ多数の未加入事業場がございますし、そういうところに適用拡大を図るに当たりまして、事務組合の果たす役割りはかなり大きいわけでございますから、従来から、たとえば報奨金の引き上げを図るとか、また報奨金の算定基準日の延長につきまして特例のような措置を実施するとか、いろいろの手だてを講じておりますが、そういうものを含めまして、事務組合の健全な育成を図るための効果的な方法というようなものにつきましては今後も検討し、必要に応じて改善を図っていかなければならぬと考えておる次第でございます。
#248
○大橋分科員 まだいろいろ質問したいところでございますが、時間が参りましたので問題は次の機会に譲りたいと思います。
#249
○上村主査 これにて大橋敏雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、三浦隆君。
#250
○三浦(隆)分科員 初めに大臣にお尋ねをしたいと思います。
 国際障害者年に当たっての雇用対策の問題、高齢者時代を迎えての高齢者対策としての問題、それからまた、いまインドシナ難民として日本で大ぜい受け入れるようになりましたが、その人たちの雇用対策の問題、それからマスターやドクターなどの、大学院を出て浪人中の方がいま多くなっておりますが、その人たちの雇用の問題、あるいは女子大生が大変ふえたのですが、女子大生が卒業しまして、短大と違って就職口がなく困っておりますが、そういった雇用対策の問題、それぞれに一言ぐらい簡単にお触れいただきながら、本年の雇用対策についての大臣の全般としての御所見を承りたいと思います。
#251
○藤尾国務大臣 御指摘の中、順番に言ってまいりますけれども、まず身障者の雇用対策でございますが、私は国際障害者年であるからどうだとか、国際障害者年でなくなったからどうのとかいうことを考えるのが大体おくれておると思うのでございますけれども、一つの機会でございますから、この機会に身障者の方々に対しまして十二分に雇用の促進を利用していただきますようにあらゆる措置を講ずるということは当然のことでございますけれども、この際大いにやるべきである、さように考えておるわけでございます。これに対しましては後ほど政府委員からもいろいろ御答弁させますけれども、私どもといたしましては、その雇用率といいますものを達成をしていただくための行政指導でありますとか、その他雇用の方々に対しまするいろいろな報奨金と申しますか助成措置と申しますか、そういったものを駆使いたしまして、できるだけ雇用に対して御便宜なように計らってまいりたい、さように考えております。重点は、重度の心身障害者の方々に対しまして特段と手厚くこれをやりたいということを目指しておるわけでございます。
 高齢者社会ということでございますが、これはなかなかむずかしい問題をたくさんはらんでおるわけでございますけれども、まずもって、何といいましても企業の活力と高齢化していきます今日のわれわれの寿命との相関関係におきまして、われわれは肉体的にまた非常に強くなっておるわけでございますから、従来のような考え方で五十五歳の定年とかあるいは六十歳になったら年寄りだというような考え方をこの際大変革を願いまして、とりあえずいまはしようがありませんから六十歳の定年を六十年までにというようなことを言っておりますけれども、私はそのようなことでなくて、五十八年でも五十九年にでも六十歳の定年を実現した上で、さらに同時に発足をさせまして、六十二歳とか六十五歳とか、場合によれば六十八歳というようなところを目指しまして定年の延長を行いたい。どんなことをいたしましても、これから変化をしてまいるでありましょうけれども、年金制度といいますものとのドッキングだけはさせなければならない、さように考えておるわけでございます。これにつきましても、高齢者の方々をお迎えする事業所に対しましての雇用率達成をどれだけにしてほしいというようなこともお願いしておりますし、これに対する助成措置も考えておるわけでございます。
 それから、別途御提唱になられました女子大生の方々の御就職がきわめて狭い門になっておるというようなことがあり、現実に男女間の差別などということが同一職種内であってはならぬわけでございますから、そのようなことのないようにしなければならぬわけでございますけれども、非常に残念なことには、就職をせられます女子の方々も御結婚になられますと御退職になられるなどのことがまだまだ多うございまして、事業所におきまして引き続き事業にお携わりになられるようなことがまだまだ定着をいたしておりません。そういった点で、事業の雇用主がこの女子大の方々をお迎えする際に、男子ならばすっとはいれるところを、あなた大丈夫でございますかといったようなことを聞かなければならぬような、そういう風潮がまだ残っておる、まことに残念至極なことだと考えております。こういったところにつきましては、御就職になられます方々あるいは大学当局、同時に雇用者に対しましても啓蒙活動を進めていかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
 インドシナ難民の問題は、御案内のとおりいままで私どもの難民対策といいますものが非常におくれておりまして、現実に定住センターにお移りになっておられます方々の数はまだまだ少ないわけでございます。しかしながら、定住センターに対しまして私どもは出てまいりまして職業紹介をやらせていただいておるわけでございますけれども、これもいろいろなことがございます。たとえばごあっせんをいたしまして一回御就職になられた方々も、その就職先がどうも気候が体になじまぬとかいうようなことで御退職になられた例もございます。まことに残念至極なことでございますが、ともかくも私どもは、対外問題を含んでおりますので、国内問題よりも一層に繊細な意を用いまして、これらの方々の御就職に対しまして万全を期してまいりたい、さように考えております。
 大学院の御卒業の方々も、企業でお働きを願います場合は、一般には本来ならばそれだけ教養を積まれておるわけでありますから非常に便利なはずでございますけれども、企業とされましては、企業として特別の教養を企業内で行った方がよろしいというような考え方がまだございまして、その特別にお積みになられました教養に対しましての評価が十二分になされていない、これは残念なことだと考えております。啓蒙をいたさなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
#252
○三浦(隆)分科員 女子大生については昭和三十年に六万五千八十一人でしたけれども、その後女子も高校だけでなく、短大さらに大学へと進む人がどんどんふえまして、昭和五十四年では四十万七千九百三十七人と、大変大きく伸びております。また大学院の方も昭和三十年に一万百七十四人でしたけれども、昭和五十四年には五万三千二百四十四人と伸びております。旧来は大学の研究室へ入ったりする人が多かったのですが、昨今そういう事情がなくなりましたものですから、女子大並びに大学院出の雇用が大きな話題だろう、こう思っております。
 さて、国際障害者年でございますので、そこから御質問をさせていただきます。
 ことしは国際障害者年です。「完全参加と平等」のテーマのもとに、心身障害者の雇用の機会の創出がその目的の一つとして掲げられています。
 さて、身体障害者雇用促進法においては、一定規模以上の民間企業は、常用労働者数の一・五%以上に相当する身体障害者を雇用することが義務づけられています。この制度によるところの昭和五十五年六月一日現在の雇用状況を見ますと、身体障害者の雇用率は一・一三%でありまして、法定雇用率の一・五%を下回るとともに、法定雇用率に満たない企業の割合は四八・四%もあり、企業規模別では規模が大きくなるに従って雇用率が低くなっています。ことしの国際障害者年を契機として、当然に障害者の雇用対策に力点が置かれるものと思うのですが、雇用率の達成並びにその向上に向けての具体策、今度はもう少し具体的にお願いします。
#253
○関(英)政府委員 先生御指摘のとおりに、企業規模が大きくなりますほど法定雇用率に対します身体障害者の実際の雇用率が低いという事実がございます。そういった企業に対しまして私ども個別に雇用率達成指導をいたしているわけでございますが、具体的には、非常に雇用率の低い大企業に対しましては身体障害者の雇用率を達成するための採用の計画をつくって出していただく、そしてその計画に沿って雇用を進めていただく、こういう指導を一ついたしております。これは全国に置かれております公共職業安定所を通じてやっておるわけでございますが、特にたとえば五千人以上の規模というようなものにつきましては、本省に企業の責任者に来ていただきまして、私みずから、この身障者雇用について一体どこに隘路があるのか、どうやったらそれをなくすことができるのかといったようなことを直接ただしまして、雇用率達成指導を強く働きかけているところでございます。
 そういう企業で雇用いたします場合の助成措置があるということも先ほど大臣からお話ございましたが、そういった助成措置も活用していただいて、こういった雇用率達成指導を図っている段階でございます。
 なお、その計画の実施状況が非常に悪い、中には景気の動向等がございまして新規採用が余りできないというようなこともございますけれども、非常に実施状況の悪いところにつきましては勧告をするというような措置もとり始めたところでございます。順次そういう措置をだんだんきつくとりながら、この達成に向けて努力していきたいと考えております。
#254
○三浦(隆)分科員 次に、障害者のうちの精神薄弱者の雇用問題についてお伺いいたします。
 身体障害者雇用促進法は、あくまでも身体障害者がその能力に適合する職業につくことを促進するための法律であって、精神薄弱者の雇用促進については、同法附則第四条に「その職能的諸条件に配慮して適職に関する調査研究を推進するとともに、その雇用について事業主その他国民一般の理解を高めることに努めるものとし、その結果に基づいて、必要な措置を講ずるものとする。」とし、この措置が講じられるまでの間、同法の身体障害者に対する措置の若干の規定が準用されるにとどまっています。
 そこで、時間の都合もありますので一括してお尋ねいたします。
 第一に「適職に関する調査研究」というものが現在どの程度まで進展しているかということ、第二に「事業主その他国民一般の理解を高めることに」とありますが、そのためにどのような対策を現にとられてきたかということ、第三に「必要な措置」とは具体的にどのようなことなのかということについてお尋ねしたいと思います。またさらに関連で、民間並びに国、地方公共団体の雇用率をそれぞれいまの基準より引き上げる検討がなされぬものかどうか、あわせてお尋ねします。
#255
○若林説明員 ただいま先生御指摘の精神薄弱者に対する研究でございますけれども、これまで私どもの雇用促進事業団におきます職業研究所あるいは身体障害者雇用促進協会というようなところで精神薄弱者につきましての研究を重ねてまいったところでございます。たとえば精神薄弱者の雇用管理に関します事例集でございますとか、あるいは精神薄弱者の社会生活能力と作業に関します特別研究、あるいは精神薄弱者の就職状況に関しますアンケート調査といったようなものをたびたび行ってまいったところでございまして、こういった中では、精神薄弱者の職場適応というものは社会生活能力の程度に負うことが大きい、あるいは職場の中に生活面まで世話をするような人の存在がきわめて重要であるといったような指摘がなされているところでございますけれども、なお今後の研究にまつ分野が多い。特に適職、どういう職種が精神薄弱者に向くものであるかといった分野につきましては、なお今後研究を重ねていく必要があると言われているところであります。
 それから啓蒙につきましては、私ども毎年九月に心身障害者雇用促進月間を行っているところでございます。その他身体障害音雇用促進協会等が中心になりまして精神薄弱者の雇用問題につきまして事例を紹介いたしましたり研究会を開きましたり、そういった形で啓蒙を進めているところでございます。具体的には各種の助成金が精神薄弱者にも同様に適用されておりまして、そういったような具体的な雇用を促進することを通して啓蒙活動を続けているところでございます。
#256
○三浦(隆)分科員 次に、インドシナ難民の雇用対策についてお尋ねしたいと思います。
 現在、インドシナ難民の受け入れ対策としてアジア福祉教育財団を通じて姫路の定住促進センターと神奈川県大和の定住促進センターの二カ所におきまして、日本語教育あるいは職業紹介等が行われているわけです。神奈川県の大和定住促進センターの場合は、ちょうどいまから一年前、昭和五十五年の二月二十九日から開設されまして延べ三百一人です。国籍的にはベトナム四十二名、ラオス百三十八名、カンボジア百二十一名、そしてきょう現在乳幼児を含めまして全員で百三十七名であります。
 さて、これまで三百一名、男百六十三名、女百三十八名でして、うち日本語教育を終わった者二百四十九名でありますが、にもかかわらず現在乳幼児を含めて百三十七名、それしかいないわけですね。ということはかなり早く職業につかれている、こう思うわけです。ベトナム、ラオスあるいはカンボジアから日本に来てまだ幾ばくも日がたたず、日本語教育自体恐らく満足にできていなかろうと思うわけです。もちろんそれぞれの職能、技能もそれほど十分とは思えないのですが、この人たちの雇用の実情はいまどうなっておりますでしょうか、それをお尋ねしたいと思います。
#257
○若林説明員 ただいま先生御指摘のように、大和の定住促進センターと姫路の定住促進センターの両所で日本語教育、訓練、職業紹介をいたしておるわけでございます。その両所を通じましてこれまで百七十五名が就職をいたしておるわけでございます。その就職の状況は、機械工でございますとかあるいは縫製工といったような職種に雇用されているのがかなり多いわけでございます。あるいは企業の規模で申しますと百人から二百九十九人のところに五十五人雇用されておりまして、ここが一番大きくなっておりますが、一般的には中小企業で雇用されているという現状でございます。
 これらの難民の就職した方々につきまして一月三十一日に現在の状況を調査いたしたわけでございますけれども、事業主のサイドからは大変に好評でございます。また就職をしている方々も満足をいたしておりますけれども、事業主あるいは働いている方両方から、いま先生御指摘のように、日本語がまだ不十分である、これが職場のいろいろな問題の一番大きな問題である、こういう指摘がなされておるわけでございます。
#258
○三浦(隆)分科員 私たちが雇用の問題を論ずるときには、どんな失業率の高いときでも、そのころの新聞の朝刊などを見ますとたくさんの就職口が書かれておるわけです。余りよくないからほとんどの方は入らないということだと思うのでありまして、このインドシナ難民の人たちの就職先がそれに準ずるようなものであってはならない、こう考えるわけです。
 そこで、いま現実に入られた人たちは、月どの程度の給与をもらい、どういうふうな休日、その他労働条件の中におられるのか。そうした賃金あるいは労働時間などを中心としながらお話をお伺いしたいと思います。
#259
○若林説明員 賃金は、ただいまの調査によりますと、機械工の場合は、五社で十四名でございますけれども、勤務時間が八時間から九時間で、二交代制があって、基本給が十万円でございます。それから縫製工の場合でございますが、三社十三名でございますけれども、八時間で八万九千六百円等でございます。大体、調査によりますと十万円ないし十三万円ぐらいというところでございます。労働条件は、超過勤務の有無等がございますけれども、これは格段申し上げるようなことはないと存じます。住宅は大体社宅等が供与されておるという状況でございます。
#260
○三浦(隆)分科員 ある神奈川県の例でありますが、雇う方は喜ぶと思うのです。というのは、普通の日本人と違って大変に安く使うことができる。それから、日本語が不自由なために、相当な状況下でも耐え忍ばざるを得ない。すなわち、よっぽど苦しくても定住促進センターには後がつかえていて戻れない状況でございまして、むしろ、時として神奈川新聞などに載るような、非人道的とも言っていいような雇用の中にあるということがないとは言えないわけであります。そうすると、確かに、雇っている雇い主から見れば、本当にこれは安い労働力ですから、もっともっとよこしてほしいということですけれども、実際に八万円だとか十万円だとか、われわれ一般の日本人は、中卒、高卒どこを出てももう少しまともに取っておるのじゃないのか。その人たちはいま全部社宅に入っておるというようなことをおっしゃいましたけれども、社宅に入らない人もたくさんおるはずでありまして、そういう人たちはどうやって生きていくのだろうか。自分の衣食住というものを満足させるのにはどうやったら生きていかれると思うのでしょうか。十万円前後の生活のあり方をお尋ねしたいと思います。
#261
○関(英)政府委員 ただいまの調査いたしましたものは基本給でございます。したがいまして、実際の月収ということになってまいりますとまた別の問題もあろうかと思います。しかし、先生御指摘のように、このインドシナ難民の方々を、何か国内におきます雇用よりも安い賃金で酷使できるのだというような形での雇用として使うということがあったとしたら、これは大変適正ならざる雇用と言わざるを得ません。このアジア福祉教育財団の対策本部には私どもの関係者も出向しておりますし、また全国の職業安定機関はそれに対しまして十分連携をとって協力するように申しております。また全国会議の際に、こういったもののアフターケアといいますかフォローアップというものを全国の職業安定機関でやるように指示いたしておりますが、ただいま先生御指摘のような事象があってはならないわけでございますので、そういう点をさらに注意して、今後就職後のフォローアップをするように努めていきたいと思います。
#262
○三浦(隆)分科員 貴重なケースでございます。全部調べても何人といないケースでありますから、就職された方の追跡調査を完全になされまして、それぞれが何歳でどういう職種につき、どういう状況のもとにいるかということをひとつ明らかにして、報告できるようにしていただきたいと思うのです。神奈川県を含めて日本にいたいと思いながら、そうした生活条件が悪くて泣く泣く日本を去るということのないように、言うならば国際的非難が日本に来ないように、ひとつ十分御配慮をいただきたいと思います。
 次に、高齢者雇用対策の問題についてお伺いしたいと思います。
 不透明な時代と言われる一九八〇年代にありまして、確実に予測できるのが高齢化社会の到来です。厚生省による第一回の平均寿命の調査によりますと、明治二十四年から三十一年では、男子が四十二・八歳、女子が四十四・三歳と、平均四十三・六歳で低かったのでございますが、現在では男女平均七十五歳を超えるようになっているわけです。このような人口の高齢化の進展により、労働市場においても高年齢労働者が急増することは避けられず、特にわが国においては、欧米諸国に比して高齢化のテンポが急速であるとともに、高年齢層の労働力率が高いことから、高年齢化の労働市場に与える影響はきわめて大きいものと思われます。このため、高年齢者の雇用機会を確保するため、昭和五十一年に中高年齢者の雇用促進に関する特別措置法の一部を改正し、高年齢者雇用率制度を創設し、従業員を一定数以上雇用するすべての企業が、その常用労働者数の六%に相当する数以上の高年齢者、五十五歳以上の人を雇用するように努めなければならないこととされています。
 この制度によるところの昭和五十五年六月一日現在の雇用状況を見ますと、高年齢者の雇用率は六・二%と、初めて法定雇用率六%をわずかに上回りました。しかし、内容的に見てみますと、六%に満たない企業の割合が五一・八%もあり、また企業規模一千人以上では七七・五%が未達成です。さらに産業別においては、卸小売業、製造業が四%台、金融、保険、不動産業等が五%台と、雇用率が低くなっています。
 そこで、一括してお尋ねしたいと思います。
 初めに、法定雇用率未達成企業の割合が昭和五十五年六月一日に五一・八%であり、前年の六月一日の五三・九%に比べて改善されてきたが、これをさらに改善し、雇用率を高めるための対策をお伺いしたい。
 次に、規模別高年齢者雇用状況によれば、規模が大きくなるに従い実雇用率が低下し、法定雇用率未達成企業の割合が増加しているのですが、その原因とこれに対する対策をお伺いしたい。
 第三番目に、産業別高年齢者雇用状況で、特に卸売、小売業及び金融、保険、不動産業において実雇用率が低く、法定雇用率未達成企業の割合が高いのですが、その原因と対策についてお伺いしたいと思います。
 そして終わりに、法定雇用率六%を六・五%なり七%へと、高齢化の進行に合わせて高めていく用意がおありでしょうかどうか、お伺いしたいと思います。
#263
○関(英)政府委員 まず、五十五年六月一日現在の雇用率は先生御指摘のとおりでございますが、前年に比べると未達成企業の割合は、わずかではございますが、二%ちょっと減ってまいったわけでございます。そういう意味で、この未達成企業を少しでも減らしていく努力を私ども強力にいたさなければならないと思っております。
 規模が大きいほど未達成の企業が多いではないか、実雇用率が低いではないか。御指摘のとおりでございます。その原因と対策ということになりますと、大企業ほど日本特有の終身雇用慣行でございまして、毎年四月に新規学卒者を採るということで中途採用者がない。その上に定年制が五十五なり、あるいは最近ようやくそれを見直しつつある、こういう状態でございますので、いま多少延長したといたしましても、実際の雇用率というのはまだまだそんなに上がらない、これが原因であろうと思います。私どもこういった規模の大きいところにつきましては、先ほど身体障害者の雇用率で申し上げましたのと同じように、特に規模の大きいところは私自身が企業の責任者に来ていただいて、その雇用率達成を定年延長という措置を含めてお願いをしているところでございます。いろいろな奨励措置も活用してこの雇用率の達成を図っていきたいと考えております。
 また、業種別の御指摘もございました。こういった雇用率の特に低い業種につきましては、従来は使用者側を呼んで業種別の雇用、定年延長会議というようなもので集団的に指導するようなことをやってまいりましたが、本年度に入りましてからは特に労使を呼んで、労働組合の方にもこういった問題を検討していただくという意味で、労使会議といたしまして、大きなところでは大臣にも御出席いただいて、そして問題点を検討し、この達成に向けての努力をお願いしているところでございます。
 それから六%の見直しの問題がございました。先生御指摘のように現在約半数がまだ未達成、こういう事情のもとで、これをいま直ちに改定するよりも、この未達成企業をなくすということに私どもはいま全力を注ぐべきであろうかと考えている次第でございます。
#264
○三浦(隆)分科員 労働大臣並びに労働省の当局の皆さんから大変意欲的なお答えをいただきました。ぜひそうありますようにお願いいたしまして、質問を終わらしていただきます。
#265
○上村主査 これにて三浦隆君の質疑は終了いたしました。
 次に、伊賀定盛君。
    〔主査退席、宮下主査代理着席〕
#266
○伊賀分科員 大臣にお尋ねいたします。
 昨年の十月、わが党の川本議員が部落地名総鑑差別事件に関連して安田信託銀行の差別体質を追及いたしました。その議事録によりますと「私どもといたしまして、それを黙認をしていくわけにはまいらぬ、これを厳しく糾弾しなければならぬと思います。」と大臣は御答弁をなさっておられます。この言葉は非常に強い力で発言していらっしゃいます。その後の措置並びに部落差別解消に対する大臣の決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
#267
○藤尾国務大臣 これは予算委員会の各段階におきましてそれぞれ御答弁をさせていただいておりますが、御指摘をいただきました、たしか明くる日でございましたか、翌々日でございましたか、安田信託の社長以下責任者に全部私の大臣室に来てもらいまして、この事実を中心といたしまして、どのように措置をするかということについてお聞きをいたしました。そうして詰問をさせていただきましたが、これにつきましてはもう皆様方の、川本さんのところには早速お届けをさせていただきましたけれども、まことに申しわけのないことでございましたという謝罪と、そうして今後ともさようなことは一切いたしませんという誓約書等々、社長からの直接の御回答をちょうだいいたし、それぞれの措置をとらしていただいたわけでございます。
#268
○伊賀分科員 そこで私は、中国電力の部落地名総鑑購入問題に触れたいと思いますが、御承知でありましょうか。
#269
○田代説明員 お答え申し上げます。
 先生いま御指摘がございました中国電力につきましては、昭和五十四年の十二月にいわば差別図書である地名総鑑の購入事実が明らかになりまして、その後広島法務局を中心といたしまして、私どもの機関等を含みまして関係機関がそれの事実の確認並びに共同啓発というものを行って、現在続けているところでございます。この過程におきまして、当該企業が採用選考に当たりまして身元調査等を行っているというような、いわば私どもが指導しております公正な採用選考ということに問題を持ちます不適正な方法というものが行われていたというような事実が次第に明らかになってまいっております。そういう点につきまして、私どももいわば新しい体制への切りかえということで現在なお指導も行っているところでございます。
#270
○伊賀分科員 すでに御指摘になりましたけれども、一例を申し上げますと、昭和四十七年の採用試験に当たりまして、筆記試験が二十三人の受験者中九十一点、一番下が六十三点でありますけれども、その二十三人中のトップ、一番です。この不採用の理由がどもり、こういうことになっている。これは一例でございます。そのどもりの程度がどの程度かわかりませんが、いずれにしてもそれを理由にして不採用ということになっております。また筆記試験がきわめて優秀な者でも、発声障害との理由で面接さえ受けさせていない。これは明らかに障害者差別であると思われるが、特にことしは国際障害者年等をも勘案する場合に、これを大臣どうお受けとめになりますか。
#271
○藤尾国務大臣 心身に障害がおありになるということを理由といたしまして、適正であるという判断をなすべき就職試験あるいはその後の採用におきまして差別を加えるというようなことは許されるはずのものではないわけでございます。特段と、別に国際障害者年であるからどうだこうだということではありませんけれども、私どもが身体にあるいは心身に障害のあられる方に対しましてどのような配慮をなすべきかということは当然わかっていなければならぬはずでございます。そういうときに、あたかもそれに反するようなことを行うということは、これは明らかに大変な間違いでございますから、そのような間違いを許しておくわけにはまいらぬということで、そのような事案に対しましては厳重に反省を求め、その取り消しを求め、あるいは今後における措置についての誓約をさせ、場合によりましては厳しい糾弾を加えるということをやらなければならぬ、かように考えております。
#272
○伊賀分科員 引き続きお伺いしますが、同じく中国電力の資料によりますと、身元調査要領というのがございまして、これによりますと、神経衰弱、ヒステリー、精神障害、てんかん等、精神障害者の有無を受験者の血族について調べるとあります。これは何を意味するのでありましょうか。大臣もう一度ひとつ。
#273
○藤尾国務大臣 私が採用者ではございませんから、私に意見を聞かれましても困りますけれども、恐らくいわれのないそのような精神障害者に対する侮べつであろう、かように私は考えます。したがいまして、そのようなことはこれまた絶滅をさせなければならない非常に重要な問題である、かように考えます。
#274
○伊賀分科員 引き続きお伺いします。
 同じくこの要領によりますと、環境に特殊事情があるかを調べることになっております。また受験者両親の生い立ち、在住の経歴など明らかにせよとあります。これは明らかに部落差別の一つの事象と考えられますが、大臣いかがでしょう。
#275
○田代説明員 いま御指摘になりましたような事項につきましては、従来労働省といたしましても、正しい採用選考を進める上で本人の適性、能力とかかわりのない事項であるとか、不必要な事項であるとかというものの排除に努めてきたわけでございますが、その一つの目的の中には、先生御指摘になりますように、当然ながら同和地域の方々の就職が差別的に行われるということのないように考えてきたわけでございまして、いま御指摘になりましたような点につきましては、当然われわれとしてもそれを排除するように考えているわけでございます。
#276
○伊賀分科員 同じくその他、家の宗教、家族の死因等々微に入り細にわたって調査項目が指定されております。調査対象として学校、近隣、官公署、家族をこの資料が示しております。この際どういう官公署が調査に応じていたのか具体的に御明示をいただきたいと思います。
 引き続きお伺いします。あわせて文部省に伺います。
 五十五年十月二十一日の議事録によりますと、関政府委員はこのように答弁しておられます。大学卒の職業紹介につきましては、職安法の規定により各大学が行っておりますので云々。採用選考というものは本人の適性と能力で判断すべきものであって、出身地とか家族の職業とか、差別につながるおそれのあるようなことを調べることすらいかぬことだということで従来から指導してきております云々。実は、高卒までの職業紹介につきましては、大分そういう点は全国的に徹底していると思いますが、大学卒についてはまだ不十分な点があろうかと思います云々。
 身元調査に積極的に協力しているとこの資料では判断せざるを得ません。文部省の御見解を承りたいと思います。
#277
○田代説明員 私ども、就職差別を排除するために、民間の機関はもとよりいかなる採用機関においても私の方の指導と同様な指導をしていただきたい、こういう旨でそれぞれのところにお願い申し上げている次第でございます。
 ただ、前にもお話し申し上げておりましたように、中学、高校というように従前私どもの方が直接職業紹介の本来の指導を行ってきた部分よりも、大学関係等、大学はみずから職業紹介のできるたてまえになっておりますので、そういった点で非常にそういう点のおくれを持ってきたという事実がございまして、そういう点で昨年来労働省といたしましては、文部省と協議をいたしまして、大学の採用選考に当たって従来労働省が中学、高校にしてきたものの同じ考え方のもとで臨んでいくようにということの指導に入ってきているわけでございます。
#278
○菴谷説明員 先生御指摘のそういう差別問題、文部省としましても、従来から是正に取り組む、こういう姿勢はもちろん変わりございません。それで従来毎年就職の前に、局長名をもちまして、いわゆる本人の資質や能力に関係のないいろいろな理由で選考をしないようにというような指導をいたしておりましたが、いま労働省からも御説明ありましたように、この問題の重要性にかんがみまして、昨年労働省とも御相談して、労働省からは企業側に指導をしていただく、それを受けて同時に文部省としては、各大学、短期大学、高等専門学校に対して同様に、同和地区出身の学生の就職というものが阻害されないような、いろいろな就職指導の改善を図れよということを指導した次第でございます。
#279
○伊賀分科員 高等学校の場合はわかりませんか。
#280
○菴谷説明員 高等学校につきましては、先生御指摘のように、昭和五十年からまず全国高等学校長協会というところに、書式の問題で各学校具体的な問題でございますので、高校が集まった校長協会で、どうしたらいいかといういろいろ相談をして、そこでできた成案を文部省が全国に周知させるために通知をしたということでございます。
#281
○伊賀分科員 さらに具体的に伺います。
 昭和四十七年から五十四年、すなわち八年間に、身体障害による不採用十名、身元調査によるもの九名がみずからの能力その他に関連する以外の理由で不採用になっております。民間企業はもちろんのこと、社会的責任がより強く要請される公共的企業であります中国電力でこのような差別事象があったのであります。
 大臣、これら将来有能な青年が八年間に十九人埋もれていきました。これを大臣は痛ましいとお考えになりませんでしょうか。いまこの青年たちがどこで何をしているか知る由もありません。もうすでに覆水盆に返らずと言います。やむを得ませんが、この際、大臣ひとつあなたから、差別のいけにえとなったこの青年たちに心からなる謝罪の意思表明をこの国会を通してなさる御意思がありやいなや、お伺いしたいと思います。
#282
○藤尾国務大臣 まことに申しわけのないことでございまして、おわびの言葉もないということを申し上げます。
#283
○伊賀分科員 いま大臣から、言葉は少のうございましたけれども、心を込めた御決意、御心境を承りまして、深い感銘を覚えました。
 そこで、もう一歩を進めまして、いまもお話がございました、先般の安田信託銀行に対する適切な措置、いま御答弁がございましたけれども、記録にとどめるためにその安田信託銀行からの誓約書といいましょうか、これを読み上げます。
 昭和五十五年十月二十七日
  労働大臣 藤尾正行殿
        安田信託銀行株式会社
          取締役社長 山口 吉雄
  先般十月二十一日衆議院社会労働委員会に於いてご指摘を受けました通り、当社がかつて部落地名総鑑「日本の部落」を購入利用してきた他、これまでの当社の応募者を採用選考する方法に、同和地区出身者の差別につながるものが多分に含まれていたことは誠に遺憾ながら弁明の余地がございません。
  採用上の差別を排除し、所謂「就職の機会均等の確保」を図ること、特に同和地区出身者に対するそれは、同和対策審議会の答申や、これを受けた同和対策事業特別措置法においてもひときわ強調され、企業の大きな社会的責任の一つであるとして、行政当局のご指導も頂いてまいったことでございます。
 然るに当社ではこの問題を正しく認識せず、長きに亘って基本的に旧来の考え方と手続を踏襲してきた為、社会へ旅立とうとする前途有為の青年に対して、本人の責に帰さない家庭環境、或いは同和地区出身者であること等を理由として、当社の門戸を閉ざしてまいりました。
 私は社長として今これら青年の皆さんの心中に深く思いを至して心からお詫び申し上げると共に、社会との関わりに於ける当社の企業としての不明を心から恥じ過ちの二度となきを期すことをお誓い申し上げます。これが安田信託銀行の大臣の強力な御指導による結果の明文であります。
 そこで、この際大臣は一歩進めて、購入企業トップを指導し、全購入企業から反省文または謝罪文あるいは誓約書、まあ手段、方法はいろいろございましょうけれども、そうした強力な措置をおとりになる意思ありや否や。あわせて、この中国電力は特にひどいようでありますから、それらに対する大臣の力強いお言葉をいただきたいと思います。
#284
○藤尾国務大臣 ただいまの中国電力といい、あるいは先ほど御指摘をいただきました東洋工業といい、まことにそのなしてきた罪は大きい、私はかように考えております。したがいまして、安田信託で行いましたと同様に、それぞれの社長に私のところへ来てもらいまして、そうしてこれまでやってこられたことに対する反省、今後の措置、そういったことをひとつ誓約をしてもらうと同時に、本当にそういった犠牲におなりになられました若い有為な青年諸君のためにも、今後そういった経験をどのように生かしていくかということを、誓約をしてもらうことはもちろん、きちっとした処置をしていきたい、かように考えております。
 なお、この間予算委員会でも御指摘がございましたので、地名総鑑を買いました二百一社、これに対しましても私の名前をもちます厳重な抗議文を送付いたしまして、それに対する返答を求めてございます。と同時に、日本国じゅう、ほかにも会社はあるわけでございますけれども、東京、大阪等々の株式の上場会社全社に対しまして、同様私の名前で、そのようなことをしないようにという趣旨の勧告文を送付をいたしたわけでございます、あわせて、これを統括をいたしております経済団体連合会、日本経営者団体連盟あるいは日本商工会議所、経済同友会等々に対しましても同様の文書をお送りを申し上げまして、強力な指導をしてもらうようにお願いをいたしたわけでございます。
#285
○伊賀分科員 ただいま大臣から大変力強い解放への御熱意を承ったわけでありますが、どうも一片の通達で直ちにそれらの企業が対応できるかどうかということにつきましてはなお深い疑念がございます。といって、いま九種類、二百十七社が明らかになっておると言われておりますが、その他多くの企業の社長なら社長を一々大臣が呼びつけてというわけには時間的その他からできないかもしれませんけれども、いずれにしても大臣の御熱意のこもった力強い御答弁でございまして、さきの国会の議事録を拝見いたしますと、みずからの進退をかけてもこれら差別事象の絶滅のため有効な手段をとると御指摘をされておりますが、いまの御答弁もまさにその線上にあるものとして大変感謝するものでございます。
 そこで、もう最後でございますが、御承知のとおりいま特別措置法の検討期に入っておるわけでございまして、この特別措置法検討に対応する大臣の御決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#286
○藤尾国務大臣 御案内のとおり、この問題は総理府総務長官が管掌をいたしておる問題でございますし、総理大臣みずからがみずからの責任においてこのように考えておるということを表明しておられるわけでございますから、私はその手下でございますから、私の方から総理大臣を越えて、このようなことをいたしますと言うわけにはちょっとまいりませんので、総理大臣の意思決定というものを受けまして――恐らく私の考え方と寸毫たがわぬと私は思います。でございますから、総理大臣にしかるべき決断をしていただいて、その趣旨に沿いまして私は私なりの業務の中で万全を期していきたい、かように考えます。
#287
○伊賀分科員 これまた力強い御決意をいただきましてありがとうございました。おっしゃるとおり鈴木総理大臣の一閣員には違いはございませんけれども、どうぞひとついまの御決意を閣内で強力に御発言、御推進くださらんことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#288
○宮下主査代理 これにて伊賀定盛君の質疑は終了いたしました。
 次に、瀬長亀次郎君。
#289
○瀬長分科員 私は、昭和四十六年五月二十五日に制定された中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の第十二条に基づく、中高年齢失業者の求職手帳発給の件についてお伺いしたいのですが、沖繩でこの手帳の発給を受けている人はいるかどうか。これは大臣でなくていいですから、あるならある、ないならない、こういった点でいいですからお答えいただきたい。
#290
○関(英)政府委員 ただいま御指摘の手帳と申しますのは、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法十二条の規定による求職手帳でございますが、これは、中高年齢者等の就職が特に困難な失業者で一定の要件に該当する者に対して手帳を発給して、手帳の有効期間中手当を支給しながら就職促進の措置を講じていこうというものでございます。
 沖繩県におきましては、先生御承知のように、中高年齢者が多い米軍基地からの離職者あるいは沖繩の復帰に伴います復帰失業者、こういった者に対しまして、それぞれ駐留軍関係離職者等臨時措置法あるいは沖繩振興開発特別措置法、こういったものに基づきます求職手帳あるいは指導票、こういったものを発給するといった措置が行われまして、これに伴いまして手当を支給しながらそれぞれ就職のための措置を行っていく、こういうことが行われております。したがって、現在沖繩県における中高年雇用促進法に基づく手帳所持者はないということになっております。
#291
○瀬長分科員 御承知のように沖繩は基地の町、基地の島沖繩、失業の県沖繩と言われているところなんです。私が調べたところ、ここで復帰後来年で十カ年の今日に至るまで手帳の発給が一人もおらない。ゼロなんですよ。これはこの前新聞でも取り上げられまして、大変大きく書いてあるわけです。「”該当者なし”沖繩県だけ」「求職に熱心でない 職安」「制度のPR不足だ 求職者」一番大きいものが「これはまか不思議」と書いてある。まさに常識では考えられないのです。
 ですから、いま軍から離職した者に対する手帳の問題が言われましたが、これがあってもこの該当者が事実いるんですよ。職安所長がいると言っているのだからいないわけではないのです。いるが、相当の制限があるのです。私は、労働者、就業者の中でも一番苦しい生活、弱いのはやはり中高年者の労働者だと思うのですよ。それがこういった制度があるにかかわらずこの制度の恩恵に浴していない。これは職業転換給付金を支給する制度であるわけですが、もしこれが沖繩に適用されたら、那覇市は二級ですから月額六万九千六百円、那覇市を除く市町村は三級で月額六万二千四百円支給されるわけです。これが一人の該当者もない、しかも復帰後一人もないわけです。職業安定所長にも会いましたが、向こうは悩んでいるというよりは平気な顔をしておりました。
 労働大臣、この点は少し厳密に調査して、いまの局長が言われたように、安易にこれがあるからあれがあるから、これは要らないからゼロなんだということがあってはとんでもないことになると私は思うのです、せっかくこういうものがあるのですから。
 たとえば、調べましたら、福岡は筑豊炭鉱跡で失業者が多いところですが、福岡で千二百七十六件、高知で三百十一件、大阪府で二百二十六件、これは全部現地で調べたのです。ところが失業率が高いと言われている沖繩で全然そういったことがないということは、実際上単にあなたが言われたようなことじゃないのですよ。これは大臣としてもう少し調査されて、検討して、せっかくこういった恩恵に浴させるような制度があるわけなんですから、その制度を国の予算ででもいいからうんとPRして、そしてこういった手帳が発給され、その恩恵に浴するようにしてもらいたいと思うのですが、この点はどうでしょうか。
#292
○関(英)政府委員 先ほどちょっと御説明が足りませんのでもう少し申し上げさせていただきたいわけでございますが、ただいま福岡あるいは高知等の中高年手帳の発給件数の御指摘がございました。そういったところでは、同和地域における中高年齢者で就職が非常に困難だということでこの中高年法に基づきます要件に該当する者がおってあの人数になっておるわけでございますが、先ほど私が申し上げました沖繩におきます二つの手帳の発給件数は、たとえば昭和五十二年では五千六百を超えますし、以下四千幾ら、最近でも二千名を超える者がそういった手帳で手当を受給しながら就職促進の措置を受けているわけでございます。そういう意味で、ほかの県と比べましても沖繩におきますこういった離職者に対します措置は手厚く行われておるものと私どもは考えておるわけでございます。
#293
○瀬長分科員 大臣、これは事実に反するのですよ。与儀という那覇の職業安定所長に合ったのです。会いましたが、漏れている。ただ、そういう求職者がこれを知らないからだということを与儀という職業安定所長が言っているのです。いまのような、手帳が二種類あってこうだということでは納得いかないのです。
 大臣、この点については新聞まで堂々と大きい見出しで書いてあるのです。しかもこれはいまの説明ではそういった該当者はないといったような言い分なんですね。安定所長は該当者がいると言う。いるが、いろいろ制限があって今日までこうなっておるということなんで、これは恩恵に浴させるためにもこの点はぜひ労働大臣の方で調査し、事実それがあれば、本当にこういった手帳が発給できるように努力してもらいたいと思いますが、いかがですか。
#294
○関(英)政府委員 先生御指摘のように、沖繩の中高年齢者の求職者は多いと思います。沖繩以外におきましても中高年の求職者は非常に多いわけでございます。しかし、この法律によります手帳を発給する要件に該当する者は最近ではそうないということで、本土の各県でも最近では手帳の発給件数はそうないわけでございます。
 それに比較いたしまして、先ほど申し上げましたように沖繩では二つの法律による措置によりまして離職者対策を行っておるところでございますので、またこの手帳がなくとも訓練を受けたり雇用保険による失業給付の間にさまざまな措置が行えますので、私どもはそういう措置を活用して中高年の雇用促進に努めていきたいと考えているところでございます。
#295
○藤尾国務大臣 ただいま安定局長から申し上げたわけでございますけれども、それはそれといたしまして、瀬長先生せっかく御熱心に御要望でございますから、私は改めまして調査を命じますから、調査をいたしまして、その上で、あるかないかということについて御報告を申し上げます。
#296
○瀬長分科員 大臣のおっしゃったようにぜひ調査してもらって、私はここではうそは言っておらないつもりなんです。まさか大臣の前へうそをつくために出たのじゃないのです。これは事実があるのです。だから点検し、綿密に調査すればあるので、これはこの手帳を発給さすべきだ。必ず出る。そうなれば、これに対する指導を、いまおっしゃったように行き届いた指導を行ってもらいたいと思います。
 次は失対事業の打ち切りの問題について、これは大臣にお伺いしたいのです。
 労働大臣の私的諮問機関である失対制度調査研究会ですか、現行の失対事業の就職を逓減し、現在就労している労働者に対しても、五年後の昭和六十年には失対就労者十万人のうち六十五歳以上の者約七万人を失対事業から排除すると報告するとして、これを受けて労働省は五十六年度予算で一人百万円で計算して二万人、二百億円。そのうち三分の一は国の負担で、残りは県や市町村が負担するということで六十六億円の特別援助措置を計上しておられますが、これは私はやめてもらわないと困ると思うのですよ。事実退職金に等しいようなもの、あるいは退職金というよりはあめみたいなものをやって――こんなものは要らぬと言って全部抵抗すれば実現できないのですよ。これをどのように実施されようとするかということが問題でありますが、私はこの点は、いわゆる失対事業からの労働者の排除ではなく、今日の雇用失業状態にこたえて公的就労事業の再確立を目指すべきであるというように考えるのですが、大臣、どうなんですか。
#297
○藤尾国務大臣 この問題は御案内のとおり調査研究報告が昨年の暮れになされまして、本当にこれは先生御案内のとおりでございますけれども、私どもが戦争に敗れまして、小さい子供さんをお抱えになられました、またつえとも柱とも頼む働き手を亡くされました方々、そういった方々に何とか立ち直っていただきたいということで失業対策事業というものを始めまして、そこに御就労願うということにしたわけでございますが、以来三十年たちまして、その当時のお子さん方もりっぱに御成長になられましたし、私は失業対策事業というような事業がその役割りを歴史的に十二分に果たした、さように考えておるわけでございます。
 私ども労働省といたしましては、いま私どもが取り扱わなければなりませんのは、そういう一日、一日ごとの契約による日雇い労働者といいまするものを私どもがたくさんお育てをするということではありませんで、皆さん定まった定職に、できるだけ常用労働者としてお働きを願うということのごあっせんをするということが私どもの労働省の使命でございます。そういったことを考えてみました場合に、この失対事業といいまするものも三十年を経まして、当時ここで御就労の方々はいま平均年齢六十五歳になっておるわけでございます。まあ、六十五歳と申しますのは、一般の御就職先におかれましても大体一応働きの済んだという定年年齢に当たりますし、こういった平均が六十五歳でございますから、これに五年間の猶予期間を私どもはそこでつけておるわけでございますが、ここで五年間もしさらに御就労いただくようなことになりますと、平均年齢七十歳ということになりますわけで、平均年齢が七十歳でございますから、七十五歳も八十歳も中にはおられるということにもこれは通ずるわけでございます。私どもが屋外において道路その他の整備をするとか、あるいは公園に出て公園の整備をするとかいうような仕事をしていただきまするに際しまして、このような非常にお年を召した方々にお働きを願うということは、本当にその方の御健康でございますとか、あるいはその他の職業の状態との横並びを考えてみましても、少し度が過ぎているのではないかということで、この辺のところでひとつお考え直しをいただいて、そういった毎日、毎日の御契約による仕事からほかの職業に御転職願う、できれば御独立を願うというようなこともございましょうし、あるいは他の職業に就労するというような場合もございましょう。これはそういったときの支度金というような意味合いで、この際私どもは長年のおなれになられた仕事から別に御転職をされるという方々の準備のためにその百万円といいますものを準備して差し上げるということでございまして、これは決していまの仕事を退職する退職金であるというような意味合いはないわけでございます。でございますから、その百万円を出してこの仕事から追っ払うなどという不逞の考え方は私どもには全然ございませんし、今後ともそのようなことはないわけでございます。
 ただ申し上げたいのは、重々申し上げるようでございますけれども、非常に不安定な、本来ならばおかしゅうございましょう、失業という、それを救うためにやっておる事業に御就職になられるなどということは、ちょっと私どもには常識では通らない話でございまして、そういった非常に不安定な日々契約のお仕事から、できるだけ月給でありますとかあるいは年俸でありますとかというような非常に保証された形の御職業の方に御転職をいただくということが私どもの理想でございまして、そのためにいろいろな制度といいますものも設けてございますし、その制度によって私どもは全力を尽くしてそういった方々の御転職のために働かしていただきたい、かように考えておるわけでございますから、その点はひとつ誤解のないように願いたいと思います。
#298
○瀬長分科員 私は誤解しているんじゃないのですがね。支度金であれば支度金でもいいし、あるいはあめ玉みたいなものであればそれでもいいが、いずれにしても百万円もらうからまあいいんじゃないか、もらっておこうといったような人も出るかもしれませんが、現在の失業者の実態は、私はそう大臣が言われるような状態にはないと思っているのですよ。この前の失業者の大会でも、きのうでしたかやったんですが、真っ向からこれはやめてほしいと反対の意見が多いですし、これはむしろ私申し上げましたように、今日の雇用、さらに失業状態から考えますと、公的就労事業を再確立するということが一番失業者の利益になるのじゃないかというふうに考えております。
 いずれにしても、これは先ほど申し上げましたように、失業者の抵抗に遭うと、たとえば大臣思っておられるように正しいと思ったものでも、事実はそうスムーズにいくような経緯のものではないわけなんですよ。抵抗がなければどんどん進むでしょうが、抵抗があるわけです。私その現実をいま申し上げまして、これが本当に大臣のおっしゃるような意味の善意のものであるということを理解できるのかどうか、さらにこれはわれわれの排除に等しい、こんなことは受け入れられないといったような全国的な声になるか、私はむしろその方が強いと見ております。これを指摘しておきまして、私は次に移ります。
 沖繩は失業率からいっても全国平均の二倍、さらに有効求職倍率からいっても全国平均の二倍ないし三倍という実態にある。そこで申し上げたいのは、沖繩の復帰のときに、佐藤総理時代でありましたが核抜き本土並みということで特別措置法ができて、この特別措置法に基づいて「第六章職業の安定のための特別措置 (職業の安定のための計画の作成等) 第三十八条 労働大臣は、沖繩の労働者の雇用を促進し、その職業の安定を図るため、沖繩県知事の意見をきいて、職業指導、職業紹介及び職業訓練の実施、就業の機会の増大を図るための事業の実施その他必要な事項に関する計画を作成し、その計画に基づき必要な措置を講ずるものとする。」これは義務規定でありますが、復帰後これが実現されたためしがないのですよ。この三十八条を発動していない。
    〔宮下主査代理退席、主査着席〕
 この前西銘沖繩県知事に会いました。藤尾大臣もうすでに御承知だと思いますが、やはり来年は特別措置法を見直す時期に来ておる。振興開発計画の終わる時期で、これを延長しなくちゃいかぬ。私もこの三十八条を生かして十分沖繩の失業雇用問題を解決するようにすべきだと思うのですよ。ところが、西銘知事は今月の二十日に会ったら、藤尾労働大臣が会ってくれないということを言っていましたよ。そうかな、多分会ってくれると思うのだがといろいろ話しましたが、私が大臣に申し上げたいことは、「県知事の意見をきいて」ということがあるのですよ。したがいまして、積極的にこの三十八条を生かすために、西銘県知事の意見を聞いて、これに書かれているような万全の策を講じてもらいたい。
 といいますのは、この問題につきましていろいろ長谷川大臣時代に計画を発表したことがあるのですが、ところがその計画を全然実施されていないのは何かというと、計画を出しっぱなしでそれに対応する政府の施策がほとんどやられていなかったがために、依然として失業率は全国の二倍半から三倍という傾向、さらに有効求職倍率はやはり全国平均の三倍以上というような実態である。
 この点については、せっかくあります三十八条をぜひ大臣の方で、これは労働大臣しか発動できぬわけですから、発動してもらって沖繩の失業問題の抜本的な方向を出してほしい。そうして初めて、大臣がそういう積極的な姿勢を出されれば、第二次振計を迎えておりますが――来年切れる沖繩振興開発特別措置法の再延長の問題とも関連して、この三十八条の有効な発動について大臣の積極的な姿勢を承りたいと思います。
#299
○関(英)政府委員 先生、第三十八条の計画が発動されていないという御指摘でございましたが、後ほどの御発言の中にありますように、この三十八条に基づきます職業安定のための計画、法律ではその中に「沖繩県知事の意見をきいて、職業指導、職業紹介及び職業訓練の実施、就業の機会の増大を図るための事業の実施その他必要な事項に関する計画を作成し、」とありますとおりに、沖繩県知事の意見を聞いて計画をつくって発動しておるわけでございます。
 ただ御指摘は、その中で「就業の機会の増大を図るための事業」というのが行われてないではないかということでございますが、それにつきましては、失業対策事業に見られるように公的な就労事業というのは、とかく失業者の滞留を招いて、いろいろと問題点がございますので、私どもは失業対策事業について新たに就労者を紹介しないことといたしました折以来、そういった公的な就労事業をとらずにできる限り民間の企業に雇用してもらうように努めていくといった施策をこの計画に基づいて――計画の中には具体的な施策が書いてございますけれども省略いたしますが、そういった計画に基づいて今日まで対策を進めているところでございます。
 また、現在第二次振興計画の作業が行われておりますが、雇用の問題、失業の解消には何としても基本的には産業の振興が前提条件でございます。そういう意味で、私ども第二次振計の内容といったものを関係各省と一緒になって詰めまして、そういったものによる雇用のこれからの改善に最大限の努力をしていきたいと考えております。
#300
○瀬長分科員 職安局長ですか、あなた。いまの話を聞くと、ずいぶん沖繩の失業問題もないかのごとく言っているのですが、そうじゃないのですよ。実際統計を、あなた方が出している統計なんですよ、これは昭和四十八年から五十四年までとっても、失業率は五・四、まあ五から落ちたことないのですよ。そして失業者の数も二万四千から二万五千。しかも、出されたときは、五十一年に長谷川さんが出した計画だけですよ、その翌年は何と二万九千、がっと一番上がっているのですよ、この統計は。だから、あなたの説明で沖繩の失業問題が解決のめどはつかない。
 私が大臣に特に言っておりますのは、私もこの点を知っているのですよ。多分そう言われるだろう。ところが現実は解決されておらない。だからこの解決をするために、具体的な予算も伴う三十八条の発動をぜひ西銘県知事の意見を聞いて進めてもらいたいということを最後にお願いしたいのですが、いかがでしょう。
#301
○藤尾国務大臣 ただいま職業安定局長が申し述べましたのは、労働省といたしましての労働施策の一つの方針でございます。しかしながら、先生がせっかくそのような御意見でございますから、別に私おっくうなわけでも何でもありませんので、西銘知事にお目にかかりまして御相談はさせていただきます。
#302
○瀬長分科員 では、これで終わります。
#303
○上村主査 これにて瀬長亀次郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、上原康助君。
#304
○上原分科員 短い時間ですので、二、三点だけ。
 最初に、ちょっと私の質問のあれに通告してなかったのですが、実はきょう労働省が一月の実質賃金の統計を発表いたしました。さらに総理府が一月の消費者物価の上昇を発表しているわけです。もう御案内のとおり、きょうの各新聞の夕刊はどちらもトップでこれを取り上げております。
 このように実質賃金が年度内、一月ですからあと二、三月残すだけですが、昨年十月がプラス・マイナス・ゼロですね、結局プラスの月は七月と十二月、七月〇・六%と十二月〇・一と二回だけということです。サラリーマンといいますか勤労者にとっては大変な生活面への影響が出てきていると思うのです。そういう意味で、これは労働省だけの対策なり施策ではなかなか功を奏しない面もあると思うのですが、これから八一春闘が具体的に動き出していこうという時期に当たって、物価問題あるいは賃金の実質マイナスということに対しては、国民生活を擁護といいますか向上させていかなければいけないお立場にある関係省としてもう少し真剣にこの問題をお考えになっていただかないと、いろんな面に大変悪影響を及ぼす可能性なしとも限らないと私は思うのです。
 そういう面できょうも何か労働大臣、閣議後の記者会見でいろいろお考えを述べたやにも聞いているのですが、改めてこういう事態に対しての改善策といいますか対処策を、まずお聞かせいただきたいと思います。
#305
○藤尾国務大臣 上原先生も長い間沖繩で労働運動をやってこられたわけですから切実にその問題をお感じになっておられると思いますけれども、私は正直申しまして、日本の今日の繁栄は一にも二にも労働組合並びにその指導下にあられますお働きの皆様方の御協力による、そういうことだと思います。それは本当に心からそうだと思っておりますものでございますから、こういった方々のお働きになられまする条件が悪くなっていくというようなことになりましたのでは日本経済を今後とも発展向上さしていきます上で非常な支障になるわけでございますから、そのような支障をそのまま支障あるままに置いておくというようなことは許されるはずはない、かように思います。
 しかしながら、労働条件といいますものは私どもがその中へ割って入っていきましてどうしなければならぬ、こうしなければならぬと言うわけにはまいりませんで、私どものやり得ます限界は、労使のお話し合いがどちらにおかれましても非常に順調にまとまりますような条件づくりをするという周辺の事業が私どもの仕事でございます。
 そういうことを考えてみまして、過去一年間におきまする日本の消費者物価の動向とそれと関連をいたしまする実質賃金の動向といいますものを見ましたときに先生御指摘のとおりでございまして、お恥ずかしいことでございますけれども、六・四%に消費者物価を抑えますというお約束を申し上げたにかかわりませずそれが実現できず、政府みずからが昨年の暮れには七%程度に修正せざるを得ないというようなことがありましたし、さらに今日この段階に至りましてもなお北陸地区におきまする豪雪でありますとかなんとかというようなことで、その七%程度というものもその程度がだんだんだんだん上の方に行きやせぬかという御心配までいただかなければならぬ。非常に恥ずかしいことだと思います。
 その原因は、あるいは油が上がったとかあるいは気象が非常にわれわれに味方しなかったとかということを言っておるわけでございますけれども、そういった諸条件の整備は六・四%のお約束をいたします際に中に入っていなければならないわけでございます。それは、われわれの予測以上にこれが非常に伸びたということでその見通しに失敗した。明らかに労使、使用者も、あるいは組合、お働きの皆様方にも責任があるわけではないのでございまして、一から十まで周りの諸条件を整備いたさなければなりません私ども政府の責任でございます。
 でございますから、そういった責任を感じまして、それをどのように果たしていけばいいかということに全力を挙げていくのは当然でございまして、今日ただいまこの段階におきましても、なお五十五年度の時間が多少残っておるわけでございます、その五十五年度の時間のうちにも最大限の努力をいたしまして、いまの消費者物価の高騰の一つの大きな要因になっておりますたとえば野菜というようなものに象徴せられます食料費をできるだけ低位に置いておくための努力をしていかなければならぬということで、一生懸命やっておるわけでございます。おかげさまで二月十五日を境目にいたしまして野菜等々は大体二分の一から四分の一くらいに下がりました。非常によかったと思っていたことでございますけれども、御案内のとおりのここ一両日のまた急激な零下四十八度というような冷え込みのためにこれがどうなることかなといま非常に心配しておるわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましてもそのような措置をするのは当然でございますし、さらにこういった環境の中にありましてこれっぱかしでも消費者物価を上げていく要素になっていくようなもの、たとえば公共料金の引き上げというようなことにつきましても、それぞれの事情はわかりますけれども、この際でございますからそういったことは政策的に私どもが賛同するわけにいかないわけでございまして、お慎みを願う、御了解を願うという努力を私どもは懸命にやっていかなければならぬ、さように考えておるわけでございます。
#306
○上原分科員 藤尾大臣の意欲といいますか御熱意はよくわかるわけです。しかし実態は公共料金ももう軒並み上がってしまって、これからまた予定されているものもあるのですが、そういうのはもう少し経企庁なり関係省庁とも御連絡をとっていただいて実を上げるように一層の御努力を願いたいと思うのです。物価がここまで上がった、六・四が七になった、七でもどうも抑えがきかないような感じですね、年度を通して。そうしますとやはり減税しかないのじゃないですか。これには御賛成ですね。
#307
○藤尾国務大臣 ただいま私どもは予算を御提出させていただいておるわけでございまして、予算の提出に当たりまして内閣といたしましてこれは最良の案であるということでお願いをしておるわけでございますから、そのお願いをいたしておりまするそのときにこの予算の修正を伴いまするようなことをとやかく言うべき私どもは立場にない。これは御聡明な上原委員は十二分に御承知のことと思います。
 ただ御案内のとおり、先ほど申し上げましたとおりこの周辺の整備につきましてそれぞれの立場で責任を負わなければならぬという責任感は、私のみならず大蔵大臣も経済企画庁長官も総理大臣も、それぞれ物は申しませんけれども腹の底にはじっくりと考えておるであろう、私はさように考えますし、そういった責任のとり方につきまして、それではどのような施策でこれを表現させていただくかということにつきましてはこれから十二分に想を練り、そうして国民の各層に御納得のいただけるような措置をこれから先ともかくも考えなければならぬというところだろうと思います。
#308
○上原分科員 この問題は国会全体の問題としてこれからいろいろ話し合いが進められていくと思うのですが、藤尾大臣、内閣委員長時代のおつき合いもあるので、いろいろな面では大変強硬論もおっしゃるのですが、経済問題ではいま非常にハト派的な御所見を述べておられたので御賛成をしていただくんじゃないかと思ったのですが、また内閣不統一なんということも余りよくないかと思うのでこれ以上この問題は控えたいと思うのですが、いずれにしましても、やはり政府の経済政策なり物価政策によってこれだけサラリーマン、労働者、勤労国民に影響を与えているということに対しては、所得税の減税なり何らかの方策でこれにこたえていかなければいかぬ。そのときは腹づもりでいろいろお考えになっているということですから、ぜひその実を上げていただきたいと思います。
 そこで、先ほどもいろいろお尋ねがあったようですが、もう時間もありませんから端的にお尋ねしますが、私も分科会などで、沖繩の労働問題なり全国的な失業雇用の傾向とか、あるいは賃金不払い問題等を時折お尋ねをしてきたのですが、自由主義経済といいますかこういった経済構造の中では、雇用失業対策といってもお役所ができる面は一定程度限度があるということは理解をいたします。しかし正直申し上げて、復帰して十年に差しかかろうとしているんですが、言うところの沖繩振興開発計画、特別措置法の第六章で述べられている、三十八条から四十七条まででしたか、ほとんど実を上げないで今日まで経過をしてきた。もちろん全く無意味だったとは言いません。それはいろいろな事情があったと思うのです。いま一部に、復帰十年を迎えて振興開発計画なりあるいは特別措置法の取り扱いの中で労働省関係部門については削除するというかなくしちまえという極論もあるやに聞いているのですが、私はそうあっちゃいかぬと思うのですね。実際十分な成果は上げ得なかったけれども、法律でうたわれているということは、時と場合によっては政府なりそれぞれの関係省庁は責任を持って対処策を講じなければいかぬ、不満足ながら一つの歯どめにはなり得る面はあるわけですね。恐らく労働省はそういうお考えはないと私は思うのですが、この点御見解を明確にしていただいてぜひ再延長していただきたいということと、その内容を何とか実効あらしめる方策をとっていただきたい、この二点についてお考えをぜひ明らかにしていただきたいと思います。
#309
○関(英)政府委員 沖繩の雇用失業情勢等についてはもう先生非常にお詳しいわけでございまして、そういった沖繩の実情に即しまして何とか改善を図っていくということで、私どもできる限りの努力をしてまいっておるつもりでございますけれども、第一次の振興開発計画、そういったものによりましてもなお、現に沖繩に住んで沖繩で就職したいという御希望を有していらっしゃる方々のためには必ずしも十分な産業振興というものが今日まで図られたとは言いがたいというふうに私も思っております。
 で、目下第二次の振興計画について検討が加えられている段階でございまして、私どもも関係省庁と密接に連携をとりながら、雇用のいわば前提となります産業の振興というものには重大関心を払いましてこの第二次振計の策定作業に加わり、関係省庁と連絡をとって検討を続けていきたいというふうに考えております。
 この特別措置法がどうなるかということにつきましては、来年の春のことでございまして、これは私どもだけでなく担当の沖繩開発庁を中心として関係各省を含めてこの第二次振計の作業をする中で今後の取り扱いが決まってくるものと思います。私どもといたしましては、雇用の安定といいますものは、特別措置法に基づいて行います計画に基づいてやることはもちろんでございますけれども、これはそういう計画があろうがなかろうが、求職者がおり失業者がおる限り、雇用の安定はいつまでも努力をしなければならぬ私どもの責務でございます。そういった意味合いも込めて、特に失業情勢の厳しい沖繩におきます雇用対策については、これからも力を入れていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#310
○上原分科員 もちろん沖繩開発庁なりほかの省庁とも、振興開発特別措置法の期限切れが来年の三月末で、検討せなければいけないと思うのです。
 そうしますと、これは大臣の方から、勘の早いお方ですから、お答えいただいた方がいいと思うのですが、少なくとも振興開発特別措置法が期限が切れて延長をいろいろ検討なさる面もあるでしょうが、労働省管轄部門について削除するとか、こんなものはもう要らぬという立場じゃない、むしろ延長しながら補強していく、あるいはそれを実効あらしあるような立場でやっていきたいというのが労働省の現段階におけるお考えだと受けとめてよろしいかどうか。
#311
○藤尾国務大臣 そのとおりでございますし、私がいま労働大臣でございますから、それ以上に力を入れてやらしていただきます。
#312
○上原分科員 ぜひひとつそういう方向で、まあ中身の問題は指摘をすればいろいろございますけれども、今後も継続していただいて、その内容をどう実効あらしめるようにするかという努力の方にもっと御配慮いただきたいし、また私どもも努力をしていきたいと思いますので、十分な対策といいますか御配慮を賜りたいと思います。
 そこでこれとの関連で、このことも公式、非公式に何回かお尋ねをしてきたことなんですが、例の雇用基金制度の問題なんです。なかなか目下の経済、財政状況ですから新しい制度とか基金確保というようなことは容易でないということもわからないわけじゃないのですが、沖繩の産業振興とか雇用の拡大ということを考えていく場合には、本土のように陸続きであれば、移動というか職業の選択なり非常に間口が広いわけですね。いろいろ援護措置なりそういった面はある程度充実化されつつあっても、先ほど局長の御答弁があったように、遠隔地といいますか離島から出てくる。若年者ならいざ知らず、世帯持ちとか中高年齢者になればなるほどおっくうがる、あるいは生活移動がむずかしいというようなことで容易でないわけです。そういうものの抜本的な解決がこの雇用基金問題だけでは容易でない、むずかしいとは私は思うのですが、しかし一つの手法、手段であることは間違いないと思うのです。これまでもいろいろ御努力をお願いしてきたわけですが、前藤波大臣も県案がまとまれば前向きに検討したいということを本分科会で御答弁をしたいきさつが実はあるわけです。
 その後、県案も出まして、また労働団体からもそれなりの要請が出されてまいりました。当初は五十六年度予算でも調査費ぐらいは芽出しをさしてもらいたいということで強く開発庁なり労働省に要求をしてまいったのですが、残念ながら功を奏しませんでした。現段階でどういうお考えなのか、どこに欠陥があるのか、どうすればこれが実現できるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#313
○関(英)政府委員 沖繩県におきまして、沖繩の深刻な雇用失業情勢に対処いたしますために雇用対策基金調査会を設けまして、その検討の結果として雇用対策基金の創設についての提言をいただいたということで、私どもも承知いたしております。ただ、その提言を見ましても、まだその基金によりまして一体どういう事業を実施していくのか、まだまだ具体的なことが必ずしも十分明らかになっておりません。そういう事業のうち一体どういう部分はどういう官庁の所掌になるのか、あるいは雇用対策をやります私どもとしてはどの部分を受け持っていくのか、そういう面も必ずしも明らかになっておりません。折しも、先ほど御指摘ございましたように第二次の振興開発計画が策定されようとしているわけでございますが、それとの関係というものも余りまだはっきりしてないというようなこともございまして、私どもも沖繩の雇用失業情勢に対して何らかの手を打っていく必要があるし、それは産業の振興といったことが前提ではございますが、しかし、雇用対策の面からもいまで満足しているというわけではございませんで、何か本当に役立ついい手はないものかということは常々、これからも検討していかねばならぬと思っているわけでございまして、そういう意味で、県でさらに第二次振計との関連を明確にしながらこの問題を検討していく、それに合わせて私どもも関係省庁と十分連絡しながら、どこでどういうふうにお互いにやっていったらいいのか十分検討していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#314
○上原分科員 そうしますと、目下二次振計の素案といいますか、大体でき上がっておりまして、二月の末か三月までに審議会にも諮られると思うのですね。その中でも産業振興と雇用拡大というのは、これは何も沖繩に限ったことではないですが、八十年代の一番大きな政策課題であることは間違いないと思うのですね。いまの御答弁からしますと、内容いかんによっては可能性はあると、そういった二次振計との関連づけあるいはどういった事業計画をやるのかとか、そういうものをもっと県側なり関係者が具体的に、ここにもいろいろ提言はありますけれども、これだけではいま少し不十分なので、もう少し内容面を充実したものを提言をすれば可能性はなきにしもあらずというふうな御判断なのか、また、労働省として積極的にそれを受けとめて何とか実現をしたいというお立場で検討しておられるのか、そこいらはどうなんですか。
#315
○関(英)政府委員 具体的な事業内容というものが県の検討段階でだんだん固まってまいりますれば、私ども、それを国の各省庁としてどういうふうに受けとめていくか、たとえば基金といいますけれども、二百億なり三百億の基金をつくって一体その利子で何をするのか、それともその基金は全部使ってしまうのか、それは一遍こっきりで終わってしまうのか、それともどういうものなのか、そういった事業は二次振計の中でどう位置づけられ、全体として沖繩の産業振興にどう役立ち、雇用面でどうなっていくのかというような点、まだまだ非常に検討すべき部分が多かろうと思います。具体的な事業内容が明らかになりまして、それが本当に基金という形で必要なのかどうか、そういった基本のところもまだまだ不分明なところがございます。しかしいずれにしても、繰り返しになりますが、沖繩の深刻な雇用失業情勢に対処するためにどうしたらいいのか、私どもも考えてまいりたいと思いますし、沖繩県知事初め沖繩県当局、そして関係省庁と一緒になって検討していきたいと思っております。
#316
○上原分科員 これも藤尾大臣の方からもお答えいただきたいのですが、前大臣のお答えを引用して失礼に当たるかもしれませんが、先ほども申し上げましたように、内容いかんによっては、県側から具体的な案があれば労働省としても検討してできるだけ期待に沿いたいという、少なくともこの答え、公式の場でお答えしたものから後退するようなことがあってはいかぬと思うのですね。先ほどもありましたので、いま局長からもるるありましたけれども、ぜひ大臣としても、沖繩の雇用失業対策という面あるいは産業振興という面から考えても、私どもはまだ検討すべき課題はいろいろあると思うのですが、一つの方法だという理解の仕方で今日まで提案をしてまいりましたので、その実現方に対する決意のほどを伺っておきたいと思うのです。
#317
○藤尾国務大臣 ただいま局長から申し上げましたとおりでございますけれども、私の性格は先生御案内のとおりでございます。局長がそのような心組みでおるわけでございますから、私がこれを励まし、これに大いに活力を与えて前進させるような努力をいたします。
#318
○上原分科員 ぜひひとつ一段の御努力をお願いしたいと思います。
 最後に、最近不景気になって企業倒産とかそういうのがあるわけですが、賃金不払い問題が大変出てきているわけですね。時間がありませんので簡単に触れますが、これは確か一九七六年、昭和五十一年ですかに賃金の支払いの確保等に関する法律というのができて、未払い賃金の立てかえ払いとか弁済措置も講じられているとは思うのですが、しかし必ずしも十分ではないと思うのですね。これは全国的にもう大変ふえる傾向にあるようですね。五十四年度で一万三千七百八件、百六十二億五千万、五十五年度上期で七千四百九十七件で六十五億八千万、そういう実態になっている。沖繩の方も大変多くなってきているのですね、中小零細土建といいますか、建設業関係が。これに対する労働基準監督署の監督の強化の問題とかいろいろあると思うのですが、担当省庁としては、この賃金不払いで泣き寝入りをしている下請、孫請、あるいは一般中小企業の方々の生活という面について、私は特段の考慮を払うべきだと思うのですね。この改善策について、ぜひやっていただきたいし、どういうお考えなのかお聞かせをいただきたいと思います。
#319
○岡部説明員 先生御指摘のとおり、賃金不払いと申しますものは、労働者、その家族の生活に直接影響する大きな問題でございます。私ども、その早期発見と早期解決ということをモットーに監督指導に努めておるところでございます。
 沖繩におきまして、昭和五十五年度上半期すでに百三十五件の賃金不払いが発生いたしておりまして、そのうち建設業が多くを占めるわけでございますが、沖繩労働基準局におきましては、これらの賃金不払いの事業主に対しまして強く是正を求めますとともに、悪質な事業主に対しましては司法処分をも含めて強い監督指導を行ってきているところでございます。その結果約五三%がすでに解決を見ておりますが、解決が不能なものにつきましては、いま御指摘のございました未払い賃金の立てかえ払い制度を活用いたしまして、労働者の生活に遺憾がないように措置を行っている現状でございます。今後とも未払い賃金の支払いの確保ということのために積極的な監督指導に努めてまいる所存でございます。
#320
○上原分科員 時間が参りましたのでこれで終えますが、非常に不況になったり、いろいろ物価高が出ますと、末端の労働者が踏み台にされる、犠牲にされるというようなことがないように、ひとつぜひ労働省の一層の御努力をお願いをして、最後に、藤尾労働大臣が、当面防衛問題とか余り要らぬことに頭を突っ込まぬで労働問題に御専念なさることを希望して、質問を終わります。
#321
○上村主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。
 次に、岩佐恵美君。
#322
○岩佐分科員 きょうは私は、全面参加と平等の立場から、心身障害者の雇用の問題について質問をいたします。
 本題に入る前に、いつもぶつかる基本的な問題についてお伺いをしておきたいと思います。
 心身障害者対策基本法でも、障害者の発生の予防、医療、訓練、保護、教育、雇用の促進、年金の支給などの対策が有機的連係のもとに総合的に策定をされ、実施をされるべきだと述べられています。ところが、現状では、政府内の所管省庁あるいは部局が縦割りでばらばらです。これではうまくいくはずがありません。国際障害者年ということで国際障害者年推進本部ができていますが、これは障害者年の事業が終わると、五十六年の事業が終わると解散をしてしまう、そういうことになっています。また、中央心身障害者対策協議会、これは合議体であります。だから、政府部内の機関ということにはならないし、ここではそのような任を果たせるというふうには考えられません。やはり政府内に総合的な調整機関がどうしても必要だと思いますが、この点について、厚生省の方に来ていただいておりますので、お考えを伺いたいと思います。
#323
○板山説明員 私は、実は中央心身障害者対策協議会の庶務を担当いたしておりますが、そういう立場でお答えを申し上げたいと思います。
 国際障害者年事業に関しましては、昨年の三月、閣議決定によりまして、十四省庁が参加いたしまして、総理を本部長とする推進本部ができました。そして、この事業に関する総合調整については担当室が設けられたわけでございます。御指摘のように、来年三月末までの期限つきの設置ということになっておりますが、ただ、政府部内におきましては、この推進本部が、障害者年が終わりました後は、中央心身障害者対策協議会で総合調整の機能を果たした方がいいのか、あるいはさらに推進本部を継続することが適当なのか、そのようなことにつきましては、現在の国際障害者年特別委員会の審議の中で御検討いただき、その御意見もちょうだいした上で最終的な方針は決めようではないか、このような話がいま進んでおりますので、今後の推移を見た上で対応することになろうかと思います。
#324
○岩佐分科員 きょうは政府の大事な役目を果たしておられる労働大臣がおられるわけですが、ぜひこの点については政府部内でも主張していただきたいというふうに要望を申し上げておきたいと思います。
 次に、心身障害者の雇用の問題ですが、身体障害者については雇用促進法があって、非常に不十分ではありますけれども、雇用を進められる条件はあるわけです。ところが、精神薄弱者、精神障害者やあるいは難病など内部疾患の方々、こういう方々については、働く意欲があり一定の能力を持っている方でも、職業、自立ということがなかなかうまくいっていません。
 そこで、まず伺いたいと思いますけれども、障害者を雇用に結びつける上で、能力評価を適正に行うことが非常に重要であります。評価は瞬間的、短期的に判定することはなかなかむずかしい。ですから、しかるべき施設が必要でしょうし、また体制も必要だと思います。今年度で都道府県に一カ所ずつできる心身障害者職業センターに、長期的に障害者の能力を評価する、あるいはそこで一定の訓練をしていく、そういうような機能を充実させて、そういう役割りを果たしていくべきだというふうに私は思います。この点についてお考えを伺いたいと思います。
 さらに、評価に携わる専門職員がそのセンターには相当数必要だというふうに思います。したがって、計画的に養成しなければならないと思います。どんな計画を持っておられるのか、どのような養成所でどのくらいの人数をどのくらいの時間をかけて養成し、どういう配置をしていこうとしておられるのか、その辺の計画についてお伺いをしたいと思います。
#325
○関(英)政府委員 心身障害者の雇用を進めるに当たりまして、まず軽度の方につきましては、安定所の相談の過程でその職業能力といったものも大体判定できますし、職業紹介が可能だろうと思うのですが、重度になってまいりますほど安定所の一般の窓口でやることが困難になってまいります。そういった場合のことを考えまして、ただいま御指摘のございました心身障害者職業センターというものの設置を年々進めてきたわけでございますが、今年度で全国的に設置を終わるわけでございます。そこにおきます職業能力の評価は、従来は非常に短期間に行っておりましたけれども、これからますます重度の方々の雇用を進めていくために、やはり少し期間をかけて職業能力を判定する必要があるだろう、あるいは実際に事業場等の現場でいろいろ働いてみていただいた上で職業能力を判定するということも必要であろう、そういう意味で、従来よりは期間をかけてこれから判定をやっていこうというふうに考えているところでございます。来年度についての措置でございますが、そういうことを考えております。
 一方、それに対応いたしまして、県下に一つ、心身障害者職業センターと一番密接に連携できる、主に県庁所在地の安定所でございますが、これを心身障害者の重点公共職業安定所として指定をいたしまして、そこに相談員を置きまして、判定の終わった心身障害者についての雇用の促進を図ってまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
 なお、職業センターなりあるいは重点安定所なり、そういったところに従事する職員につきましては、ずっとこういう仕事に従事している専門の職員が多いわけでございますけれども、中には人事上配置転換ということももちろんあるわけでございまして、そういう意味で、その職員の研修ということもこれから非常に大事になってくるというふうに思っております。たとえば所沢の総合リハ、こういったようなところの施設も活用して職員の研修を、従来もやっておりましたけれども、これからますます重点的に力を入れてやっていかなければならないだろうと考えておるところでございます。
#326
○岩佐分科員 私は具体的な数字についても伺っているわけでございますが、ちょっと教えていただけますか。
#327
○若林説明員 心身障害者職業センターは、ただいま申し上げましたように、評価機能を飛躍的に強化拡充しようということで今後業務を進めてまいるわけでございますけれども、それにつきましては、先生御指摘のように専門職員の養成ということが重要でございます。これまでも私ども心身障害者職業センターを年次的に配置してまいったわけでございますけれども、そのたびに、たとえば東京の心身障害者職業センターを活用いたしまして、配置をする前にここでまずオン・ザ・ジョブ・トレーニングをやる、こういうようなシステムで進めてきておるわけでございます。さらに今後は、御承知のように所沢に国立身体障害者リハビリテーションセンターができたわけでございますので、心身障害者職業センターで長期の評価に当たるような職員につきましては、こういうところでオン・ザ・ジョブ・トレーニングをやるということが一つあるわけでございます。さらに、こういったような職員を適当な時期に集めまして、評価方法でございますとか、あるいは最近の各方面の新しい知識等につきまして研修を進めていく、こういうことを進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#328
○岩佐分科員 何名ぐらい配置をされるのですか。
#329
○若林説明員 ただいま心身障害者職業センターは、全国の配置は百九十三名でございますが、今後、業務の状況によりましてその体制を考えていくということでございます。
#330
○岩佐分科員 この専門職員について、私は、身体障害者だけでなく精神薄弱者あるいは精神障害者についても当然評価を行えるようにすべきだというふうに思います。
 労働省は雇用の問題で、たとえば職安あるいは職業訓練所や心身障害者職業センターなどの窓口で、身体障害者と精神障害者を当然区別はしていないというふうに思いますけれども、その点いかがですか。
#331
○関(英)政府委員 私ども、公共職業安定所なりあるいはこのお話の心身障害者職業センターなりの業務におきまして、精薄者あるいは広い意味での精神障害者であるからといって扱いを変えるというようなことはいたしておりません。ただ、毎回御指摘ございますけれども、身体障害者雇用促進法において、雇用率の算定においては身体障害だけということになっておりまして、ただ助成制度等は全部同じに適用されている、こういう問題がございます。ございますが、それ以外の扱いにおいて差を設けるということは考えておりません。
#332
○岩佐分科員 私は、去年の暮れに所沢の国立身障者リハビリセンターを見せていただきました。ここは厚生省と労働省が同じ敷地内で、医療、宿泊、生活的なリハビリ、職業的なリハビリ、そういうことを一貫してやっている。そういう点では私は非常に画期的な事業だというふうに思いました。こういう施設が今後各地にできたらいいのにというふうに思いましたし、同時に、内容が充実すればもっといいものになっていくのではないか、そういうふうに感じたわけです。ところが、所沢の場合には身障者のリハビリセンターであって、精神障害者のための同様の施設、これが国立てはまだ一つもないんですね。精神障害者対策については、いまだに一般障害者と区別をして、主務官庁も厚生省の公衆衛生局、根拠法も精神衛生法のみ、そういう状態です。こういう日本の状況というのは、先進諸国に比べまして大変立ちおくれているし、差別行政だと言って差し支えないと思います。
 私は、国際障害者年を機会に精神障害者福祉法、こういう法律を制定して、早期発見、早期治療とともに精神障害者の社会復帰対策を根本的に充実をさせていく必要があると思います。国が何もやっていない、こういう施設も持っていないということだったので、私は都立の世田谷リハビリセンターを見に行きました。ここでは、昭和四十七年十一月から五十五年三月までの七年五カ月間に三百三十六名が利用して、百八十五名が就労しています。三名が復職をしています。ここには医療機関、宿泊施設、社会適合訓練、職業訓練の一貫した施設と体制を持っています。それからデーケア、つまり通所部門も持っております。そして、社会復帰後も障害者はここをよりどころにして相談したり休息をしたり、アフターケアの配慮がされています。
 私は伺って、この施設が大変明るくて活気に満ちている、そういうことで心強く思いました。こういう施設がたくさんあれば、精神障害者ももっと社会復帰できるはずだというふうに思いました。国としてこのような精神障害者の社会復帰のためにいままでどんな対策をとってこられたのか、国際障害者年を契機に今後どのような対策を持っておられるのか、これも厚生省の方から伺いたいと思います。
#333
○野崎説明員 従来の精神衛生対策につきましては医療面に重点を置かれてきたところでございますが、近年の保精神科医療技術の進歩に伴いまして、精神障害者対策においても、精神障害者の社会復帰、いま御指摘のような社会復帰を中心とした対策の充実を図っておるところでございます。いま御発言の中にございました中間施設、各種ございますが、こういうものの整備、また各県におきます精神衛生センター、保健所におきます社会復帰相談事業の充実等を重点に行っておるところでございます。また、精神障害者の職親制度につきましても現在省内で検討を進めておるところでございます。今後とも、精神障害者の社会的自立ということにおける社会復帰対策というものに力を入れてまいりたい、かように考えています。
#334
○岩佐分科員 特に世田谷のこうした施設というのは、全国的に最低一県一カ所あっておかしくないというふうに思いました。東京のようなマンモス都市では最低でも三カ所必要だというふうに思うわけで、この点、積極的に取り組んでいただきたい、こう思います。
 ちょっと私は精神障害者の方の御本人が書いておられる家族会にあてての手紙を引用させていただきたいと思います。この方は、精神病院に三回入院し、三回目の退院から五年八カ月たった方です。中学卒業で余りむずかしいことは書けないということで書き出しています。最初は省略をいたしまして途中からですが、社会復帰、社会復帰と言いますが、五年八カ月にもなりますのに、私はすぐ疲労が重なったり、ショックを受けるような事がありますと、すぐ頭がぼおーとなり、夜眠れなくなります。
  私のような人も沢山いると思います。五年をこえていても社会復帰職業訓練がほしいです。安心して働ける職場が一日も早くほしいなあ、と毎日思っています。
 今、一人でいるので、保健婦さんと困ったことを相談したりすると、心が明るくなります。
 まず、私達のようなものにも、第一に職場です。なんにもしないで家にいるのは、なんの楽しみもないです。あとずっと書いてありますけれども、私はこういう文章があるのに非常に心を打たれました。
 世田谷の所長の話でも、精神障害者を職につけるには、ソシアルワーカー、医師、職業紹介窓口の三者の協力が絶対に不可欠だと言っています。現に世田谷の場合でも、上野の心身障害者職業センターとは密接な関係を持ってお互いに力になり合っているという話でした。世田谷リハビリセンターの就労援助部門では、職安、職業あっせん所、訓練校の概要説明、職場の開拓、職親制度のあっせん、職場の労働条件の交渉、作業環境の確認、職種の内容、職場での心構えの指導等、幅広い活動を行っています。本来これらのうちのかなりの部分は職安で行うべきものだと思います。しかし、実際には職安の窓口では職員の体制上対応し切れないのが実情です。たとえば八王子職安の援護係の場合でも、学卒者の就労業務も兼ねている、窓口職員の苦労の割りには実績が上がっていません。このような体制だから、先ほど精神障害者あるいは精神薄弱者は区別しておられないのだというふうに言われましたけれども、実際には窓口で拒否をされたりおろそかにされたりするということで、たてまえと本音が違ってきている。せめて職員の兼務をやめさせる、そういうことが早急に行われなければならないというふうに思います。
 また、いまのような現状では、精神障害者の就労のために世田谷のような中間施設が欠かせない役割りを果たしている。このことについては厚生省も先ほどそういうことだということで認めておられますけれども、世田谷の果たしている役割りから見て、これは労働省も積極的にこうした施設をきちんと充実をさせていくことに援助をしていくべき分野だというふうに私は思います。こうした点で、最後の問題について私は労働大臣のお考えを伺いたいと思っています。
#335
○関(英)政府委員 大臣の前にちょっと御説明を申し上げたいと思いますが、私先ほど、窓口において心と体と取り扱いは分けておりません、こういうふうに申し上げました。しかし、精神障害者の場合には、先生も十分御承知のとおりなかなかむずかしい問題がございまして、医療の面が非常に進歩してまいりまして、単に病院に入れてそこで医療を継続していくということから、次第に日常の社会の中で見守りながら医療行為も継続していく、その方がよりいいんだというふうにだんだん進歩してきているわけでございます。しかし、どこまでまだ医学的管理が必要か、どこからはもう寛解者として、私どもの方で通常の身体障害者あるいは精神薄弱者等と同じように十分な職業指導をしていけば、民間の一般の雇用に安心してつけられるか、その辺の判断の問題が非常にむずかしいわけでございます。
 先生もいま中間施設、こういうふうに御指摘になりました。そういう意味で、従来の病院から一歩進んだところに厚生省としても次第にこれから施策を強めていこうというところにいっている、いまようやくその端緒についたといいますか、そういう段階だろうと思うわけでございます。しかし、そういう場合でも、その中に世田谷の例としてお挙げになりましたように、安定所との懇談会をやったり上野の心身障害者職業センターが協力したりということもあるわけでございまして、そういう中に私どもがお手伝いできる面があれば積極的にやっていくべきだと思いますし、そういうことのできる専門職員の養成等も必要だと思いますが、その中間施設自体を私どもがやるというのは、これはちょっと筋が違うんじゃないかというふうに思いますが、協力はこれからも大いにしていかなければならぬだろうと思っております。
#336
○藤尾国務大臣 ただいま職業安定局長から申し上げましたことでございますけれども、御案内のとおり、病気を治すとかあるいは管理というような面は私どもの領分についてはございませんで、本来はその最終的なお仕事の面だけに私どもの仕事があるわけでございます。しかし、そんなことは言ってはいられませんけれども。こういったことを考えます場合に、精神障害者と申します者は、その職業能力における判定が私どものお役人でつくかつかぬかということになりますと、相当むずかしい問題がございますし、そのほかに、そのようなことは余りありがたいことじゃございませんけれども、御本人のあるいは御家族のプライバシーというような問題もないではございません。あるいは職場におきましても、それじゃだれがこの方に対する管理を責任持ってやるかというような問題もございまして、身体障害者と精神の障害者との間に区別をするなという御趣旨でございますけれども、実際にこれを扱っていきます立場の者といたしましては、配慮が相当程度違ってくるところは私は否定できないと思うのです。
 したがいまして、こういった問題を両々相まって解決をしていかなければならぬわけでございますから、そういった面におきましては、これは厚生省、これは労働省というようなばかなことを言っておりましたのでは仕事になりませんから、こういった面につきましては、冒頭お触れになられましたように、これを統合いたしまして、縦割りでなくて協力して当たっていけるような体制をしかなければなりませんし、そういったことをやりますのが政治でございますから、私どもが厚生大臣やあるいはその他の総理府総務長官とかというようなのと一緒になりまして、何といいましても目的は一つでございますから、その一つの目的のためにそれぞれの力を全力を出し合って、そうして目的を果たしていくようにやらなければなりませんし、また、やるように努めます。
#337
○岩佐分科員 労働大臣の決意を伺って、大いに期待をしたいというふうに思いますが、私は精神障害者の個々の事例についてずいぶんいろいろ伺っているのです。病気が治っても社会にそのまますぐ出ていけない。薬は必要がないのですね。医療の必要がないのだけれども、すぐ出ていけない。そこの期間というのは大変重要なんです。これについていま一番問題になっているところなんで、そこのところを御認識をいただきたい。そういう観点から、施設から職場へ送り出したものの、大半が半年ぐらいでみずから退職して戻ってきてしまう、あるいはやめさせられてしまう、こういうケースが多いのですね。ところが、二回目に送り出すと大体安定をする、こういう一つのいままでの繰り返しがあるわけです。
 ですから、そこのところから、先ほど厚生省が言っている職親制度が非常に重要になってくるわけです。先ほど局長からもすでに答弁いただいているのですけれども、この職親制度についても、もちろん十分厚生省と御連絡を密にして協力をしていただけるものだというふうに思うわけです。その点について後でちょっとお答えいただきたいと思います。
 それからもう一つ、東京にアサヤケ第二作業所というのがあります。これは精神障害者のためのいわゆる適所施設であるわけです。厚生省の三つぐらいの区分の中では、適所施設じゃなくて、完全に施設という形で、社会生活適応施設という区分に入ってしまうのかもしれませんが、この施設について現在補助が全くされていないのですね。来年度からというか五十六年度から東京都で補助をするということが初めて決まったわけですが、私は当然国がこの問題について手をかすべきだというふうに思うわけです。最初の点については簡単で結構でございますが、この二点について御答弁をいただきたいと思います。
#338
○関(英)政府委員 所沢の例に見られますように、私ども厚生省と一体となってこの仕事を進めていくことが非常に重要だと思います。そういう意味で、ただいまの御指摘の問題についても厚生省が検討を始めて研究会を設けていることは私ども存じております。一緒になって進めていきたいと思っております。
#339
○野崎説明員 いまの適所施設でございますが、先ほど申し上げました中間施設とはやや趣が違う共同作業所的なものだと思います。これは先ほど申し上げました職親制度の中での、いわゆる社会復帰体系の中での位置づけということも考えながら検討してまいりたい、かように考えております。
#340
○岩佐分科員 終わります。
#341
○上村主査 これにて岩佐恵美君の質疑は終了いたしました。
 次に、鳥居一雄君。
#342
○鳥居分科員 国際障害者年ということで、「完全参加と平等」、こういうテーマ、大変大きな壮大なテーマでありますけれども、まず大臣に所信、抱負をお伺いしたいと思うのであります。
 厚生省に並びまして労働省、大変な大きな計画をお持ちだろうと思います。所管大臣として抱負をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#343
○藤尾国務大臣 私が厚生省よりも壮大な抱負を持っておるかどうか、これは何とも言えないわけでございますけれども、私は、私の考え方といたしまして、国際障害者年であるから何をしなければならぬというような考え方はおかしい、そう思っております。ただ、残念なことながら、現在、これは国連でもそのために国際障害者年を設定したのだろうと思いますけれども、特に日本の現状のもとにおきましては、障害のある方々に対しまして本当の意味の、これをあるがまま、サインのままの形で受け入れるということに欠けておる面が多い。ややもすれば、これを疎外いたしまして、この方々にれんびんというような情を注げばそれでいいではないかという考え方がいままであったわけでございます。そういうことでは相ならぬわけで、これに完全参加をしていただく。本当にあるがまま、私どもがおると同じようにそこに障害者がおられるということにならねばならぬわけでございますから、そういった意味合いにおきまして、私どもの労働行政といいますものをそのような観点に立って立て直していくというようなことが私の任務である、かように考えております。
 したがいまして、今日、障害者の方々も、これは四百万からおられるわけでございますから、そういった方々がそれぞれのお立場においてそれぞれのお仕事ができますように、そういう意味でそのお仕事を進めさせていただくという努力をしなければならぬ。ただいま私どもは、まず隗より始めよではありませんけれども、私どもの官庁におきましては、全従業者の中の少なくとも一・九%でございますとか、あるいは現業部門におきましては一・八%でございますとかいうような一つの指標をつくりまして、それの雇用の達成をお願いをしておる。官庁の場合にはその達成ができております。あるいは民間の各会社に対しましては、何とか一・五%の達成を願いたいということでお願いをいたしておる、こういうような状況でございます。残念なことながら、御案内のとおり障害者にもいろいろございますから、たとえば手足がお悪いというような方々の御就職はわりあいによくできておる、あるいは若い方々の御就職はわりあいによくできておる、私はかように思いますけれども、目に御障害がおありになるとかあるいは精神に御障害がおありになるとかいうような非常に重度の方々、あるいは重度の方々の中におきましても中高年の方々、こういった方々に、対しましては、私どもがお願いをしておりますようなわけにはなかなかいかない。そのために、お願いをいたしております一・五%の雇用達成率といいますものが、残念でございますけれども、現在のところそれに達しない。一・一三%でありますとか、多少大きくなっておりますからあるいは一・二%ぐらいになったのかもしれませんけれども、それにいたしましても全体として足を引っ張っておるというような実情があるわけでございます。こういったことを考えながら、しかもどこへ行きましても完全参加であるというような状態をつくり出さねばいかぬわけでございますから、これはよほど性根を据えて、そして力を尽くしてやりませんと、私どもの目的は達成できないじゃないかということで、心を引き締めておるというのが現状でございます。
#344
○鳥居分科員 ありがとうございました。
 それで、この身体障害者の皆さんの雇用促進、これは雇用促進法ができまして現に具体的に進んでまいりました。この三年振り返ってみまして、大変お寒い現状であることを実は私の手元の資料は物語っているわけです。ちなみに取り上げますと、雇用数が千人以上という大法人、ここでは、民間の法人ですから雇用率という目標一・五に対しまして、達成できていないというのが千七百八十七社中八一・五%、千四百五十六社ある、こういう実態。これは、計画的に雇用率を何とかして何年までにどうしようとか、こういう計画をお持ちなんでしょうか。この雇用促進法によりまして、達成できていない企業に対してペナルティーではないペナルティー、つまり協賛金みたいな形でしょうか、一人当たり月三万円ということでこれが出ております。罰金じゃないと言いますが、協力金と言っても、達成できていないわけですから、達成できていない分に関してのきちんとした上納しなければならないという納付金ですね。それで、この納付金の制度とのかかわりもあるわけですけれども、雇用率を一・五%達成するためにどういう計画をお持ちなんでしょうか。
#345
○関(英)政府委員 御指摘のとおり、大企業ほど身体障害者の雇用率が低いという実情にございます。ただ、最近大企業も身体障害者の雇用を進めなければならないということで、非常に熱心になってまいったことは事実でございます。それから、従来おくれているとされていた金融関係、銀行等においても、身体障害者の雇用に熱心になってまいったということも事実でございます。ただ出発点が非常に低いものですから、多少新規雇用が進んでも実雇用率はまだ低い。ただ、一年間に、最近新規に雇用した身体障害者の数を規模別に見てみますと、大企業が非常にふえております。そういう意味で、最近ようやく大企業も熱心になってきた、こういうことは言えるかと思いますが、出発点が低いわけですから、まだまだその雇用率は法定雇用率から見ますとずいぶん遠いところにございます。そういう意味で、大企業中心にこれら雇用率の達成指導ということを私ども強力に進めていかなければならないと思っております。
 その具体的な方策といたしましては、非常に達成の悪いところには、達成するための、三カ年程度の雇用率達成のための身体障害者の雇用計画というのをつくって出していただき、そしてその計画どおり雇っているかどうか個別に見ていく、もし計画どおりにいかない、成績が非常に悪いということであれば、達成のための勧告をする、こういうところまで来ておるわけでございます。
 具体的な指導のやり方といたしましては、全国の安定所なり都道府県で行うわけでございますが、特に大きい企業につきましては、本省におきまして私自身責任者に来ていただきまして、どこに隘路があるのか、社内でどういうことをしたらそれが解決できるのか、これを何としても進めてもらいたいということで、私自身が超大企業については指導をいたしておるところでございます。
 ことしの国際障害者年を契機に、先ほど大臣が申し上げましたあの大臣の御意思を体して、私どもこの雇用率達成にますます力を入れていきたいと考えておる次第でございます。
#346
○鳥居分科員 つまり労働省として三百人以上の法人で、それで雇用率が〇・五%以下のもの、千百十六社、これをブラックリストに載せた。そして三年計画を要求した。その三年計画に基づいて、このブラックリストに載った千百十六社がどのようにがんばるか、これを注目をし指導をしていきたい、こういう計画でお始めになりましたですね。この計画、その後雇用状況についてはどういうふうになっているのでしょうか。
#347
○若林説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘ございましたように、雇い入れ計画の作成命令を一千百十六企業に出しているわけでございます。昭和五十五年六月一日現在、計画の途中段階でございますけれども、計画におきます雇い入れ予定数に対します実際に雇い入れました人数の割合、これが四一・三%ということになっております。
#348
○鳥居分科員 そうすると、千百十六社が労働省の意向どおりその目標を達成しているかどうか、こういう状況の報告というものがまとまるのはいつなんですか。
#349
○若林説明員 これは逐次、先生御承知のように、毎年六月一日に雇用状況報告をとっているところでございまして、その際に、計画の作成命令が出されている企業につきましては実施状況をとっているということでございます。
#350
○鳥居分科員 それで、三百人以上の事業所において納付金を払う、つまり一・五%にいってないという民間の法人の場合、支払います。ですから、この身体障害者雇用納付金収支状況を見ますと、大体どんな傾向になっているかというのが一目瞭然ですね。納付金収入の欄を見ますと、五十二年度、五十三年度と、五十五年度までありますが、九十五億九千四百万、百八十八億一千四百万、百八十一億四千五百万、ずっとこう推移しておりまして、納付金収入はややふえていますけれども大体横ばい。この納付金収入というものはほぼ一〇〇%得られているはずなんです。それで、納付金を払う金額がふえていくということ、これはどういうことですか。
#351
○若林説明員 納付金収入につきましては、五十二年度は一番最初でございますので、御承知のように九十五億でございますけれども、五十三年度には百八十八億、五十四年度は百八十一億、五十五年度は百七十二億ということで年々減少をしてきているわけでございます。
#352
○鳥居分科員 それはそうだと思いますね。雇用が進むのですから、納付金の納める額というのは少なくて済む。しかし、減少の傾向というのはもうほとんど横ばいじゃないですか、どうですか。
 それと、今度は、現に身障者を雇用していこうという側に対しまして、調整金あるいは報奨金、助成金、こういう名目の助成措置がなされるわけですね。この助成の、業務費は別でありますが、支給金の傾向を見ますと、初年度、五十二年度が十七億三千百万、翌年五十三年度が五十一億三千四百万、その次の年が百三十一億八千六百万、五十五年度、予算額で百六十二億一千三百万、これは需要が増大しているわけですね。どんどん雇用していこうという傾向にあります。しかも、事業所としては零細な事業所が大変協力を惜しまない。身障者をどんどん門戸を開いて受け入れようとしている、そういう傾向がこの数字にも現にあらわれていると私は思うのです。
 従来、労働省の指導だと思いますが、雇用促進事業団のその下にあります雇用促進協会、この雇用促進協会は、納付金をその年そのまま使わずに累積させる形できているわけです。どんな納付金の使い方をするかという計画を持たないで、需要がふえるであろうそれに備えるために累積をつくってきているように思われてならないのです。雇用計画はそれぞれの企業に対しては要求いたしますが、労働省としてマスタープランをお持ちでしょうか。
#353
○関(英)政府委員 納付金とそれから雇用調整金あるいは助成金等収入と支出の関係については、先ほど数字が出ましたけれども、確かに、当初は半年でございますから別でございますが、平年度化して以来その納付金の減少幅は非常に小そうございますが、一方で、私先ほど申し上げましたように、大企業等におきます身体障害者の雇用も最近になってようやく進んでまいりました。そういうこともございますので、これからは次第に納付金収入は減少してまいるかと思います。一方で支出の方は、特に五十五年に入りまして、重度障害者の雇用のための助成制度、こういったものが非常に活用されてまいりました。そういう意味で、その年の納付金収入をもってしては足らない。それで、従来の積立金約二百五十三億からことしは八十億程度取り崩すという形に五十五年度の決算の形はなるだろうと思います。五十六年度になりますと、ますます従来積み立てたものを取り崩していくという形になろうかと思います。いずれにいたしましても、納付金は当初多くてだんだん少なくなっていく、助成金は当初少なくてだんだんふえていくという形になろうかと思います。私はそれが納付金というものの制度の当然の結果だろうと思います。
 いずれにいたしましても、この納付金の額なりあるいは助成制度なり、決めたらそれっきりということでなくて、ときどきの見直しというものが必要でございます。そういった意味で、私ども労働省に置かれております身体障害者雇用審議会において、こういったものを十分見直していただくようにことしの初め審議をお願いしたところでございまして、ことしの秋ぐらいまでにその辺の結論を出していただこうと思っております。
#354
○鳥居分科員 それじゃ、具体的な事例を通じまして、助成の実態、問題点はないのかということでお伺いをしてまいりたいと思います。
 助成の種類としてはイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リという九種類の助成策がございますね。そしてその中の一つ、典型として多数雇用事業所、これに対する助成を見てみたいと思うのです。
 五十五年度というのは現在進行中、三月末までなんですが、この多数雇用事業所については、促進協会の案内パンフレットによりますと、すでに身障者が五人以上そこに従事していて新たに十人以上になろうということが条件の一つだと言われているわけであります。そして、施設をつくるために一億円助成金をまるまる受けられる。事と次第によっては二億円差し上げましょう、こういう結構な助成です。ですから、当然需要も非常に高いものと私も思います。五十五年度の募集に対して締め切りが昨年の十月末から十一月にかけて、全国都道府県各地で協会のそれぞれの支部みたいな形で存在していますから、大体十月から十一月にかけて締め切られたのだなと私の方では受けとめています。
 ことしの予算を見ますと、五十五年度の予算では四十六件助成をしよう、そして予算として三十億三千五百万使おう。これに対して窓口をあわてて締め切ったようです。あわてて締め切って全国集計をしたら百三十件あった。その百三十件に対して予算では四十六件しかない。これはどういうふうに処理をされるのですか。協会任せですか。労働省としては、その選別、選考は一切協会に任せて責任はないというお立場ですか。どうなっていますでしょうか。
#355
○若林説明員 多数雇用事業所につきましては、従来余り活用されていないプロジェクトでございまして、私ども、県なりあるいは地方の雇用促進協会といったようなところを通じまして、この制度のPR等に努めてまいったわけでございますが、従来は、そういったような指導の中でプロジェクトができてまいりますと、一件一件それを、専門家で構成されます助成委員会、これは身障者の雇用の専門家、経営の専門家あるいは建築の専門家、こういった専門家で構成されておりますけれども、こういった助成委員会にかけまして、審査をして認定してまいったところでございます。
 御承知のように、この制度に対する理解が大変深まってきたのが現状でございまして、私ども、来年度につきましては、一定の期間中申請をお受けいたしまして、その中からプロジェクトに優先順位をつけて進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#356
○鳥居分科員 それで、窓口へ行って応募する、その応募で集まってくる件数が少なければ問題ありません。多い場合なんですが、着順で決めるのか、あるいは多数雇用の本来の目的どおり、その質で見ていこうとされるのか。要するに実態は、物差しを何も示さないで、書類に対していちゃもんがついて、それで不合格になるわけですよ。こんなことをやっていたのでは、需要がどのくらいあるのかという実態もおわかりにならないのじゃないかと思うのです。
 私は、来年度、五十六年度の応募の要領を官報で見ました。官報の一番後ろのページに二段ちょこちょこっとした広告が出ています。「おしらせ」、これによると、五十六年度の分は、ことしの一月三十日から三月三十一日まで受け付けをやります。申し込みに必要な書類は四項目あります。これだけです。この必要な書類四項目持ってこの期間に参りまして、それでどういう基準で不合格になるのか、どういう基準で合格になるのか、これは労働省としてきちんとしたものをお持ちじゃないと後々まずいのじゃないですか。特に二億円という助成金は大変魅力があります。本気になって身障者雇用、これに取り組んでいこう、しかも十人以上事業所の中で採用できる場合には、その対象になるというわけです。ですから、明確な基準というのをお持ちにならない限り、都道府県ばらばらに採用の基準が決まってもいけないことです。偏在してもいけないことです。その辺、どういうふうに考えているのでしょうか。
#357
○若林説明員 まず第一に、どういう基準で選択するのか、先着順であるのか、あるいはそのプロジェクトの内容であるのかということでございますが、プロジェクトの内容によって優先順位を決めていくということでございます。私ども、先ほど先生御指摘になりましたように、新たに五人雇用して重度障害者及び精薄者の数が合計して十人以上になるという人数要件がございます。これと同時に、安定的な雇用が継続されると認められるプロジェクトであるということが要件になっているわけでございます。もとより経営でございますから、個別具体的に自己資本比率がどうのというような基準をつくることはむずかしいわけでございまして、先ほど申しましたような多数の専門家による委員会へその書類を提出して審査を受けると同時に、これを何回も一つのプロジェクトについて開くわけでございますけれども、場合によると申請者を呼びまして徹底的なヒヤリングを行う、こういったようなことで審査を進めているわけでございます。
#358
○鳥居分科員 一つは、納付金がどんどん減っていくのが当然だと思いますね。それで、積立金がありますから、それを取り崩していくのだという考え方でこのイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リまでの助成を進めていく。しかし、これは完全に目標達成ができるまでこのままで続けていこうとしても、完全に雇用ができるまでこれを続けていこうとしましても、雇用が進めば進むほど納付金というのは集まりにくくなってくる、また一方においては、奨励金あるいは調整金というようなものの支払いがふえていくわけですから、クロスする点が当然出てくるわけですね。そういう計画はどうなっているのですか。どの辺が採算点の合う点で向こう五年間は大丈夫だとかいうめどをお持ちなんですか。
#359
○関(英)政府委員 身体障害者雇用促進法におきまして、まずこの納付金の基礎になります雇用率というものを五年ごとに見直すべきであるということが決まっております。したがいまして、私ども基本的な考え方としては、だんだんクロスしていくべきだろうと思っておりますけれども、そのときどきの状況に応じまして、納付金の金額あるいは雇用調整金の金額、こういうものをどうしたらいいかということを見直していくことになります。したがいまして、現状のまま個定していつクロスするか、いつになるとマイナスになるかということを想定しているわけではございません。
 それから、この調整金制度につきましては、先生あるいは御承知かもしれませんが、すでに昨年末身体障害者雇用審議会におきまして、現状の重度多数雇用事業所への助成金等いろいろ問題点が多いというので、見直しが行われまして、関係労働組合なりあるいは障害者団体等も委員に入っておられますが、全会一致で私どもに建議がございました。その建議を受けまして、今後、重度の方に重点を置き、かつ、安定的な雇用につける、そういうところを重点に改正をしていくということを、来年度以降この建議に基づいて考えていこうと思っております。
 そういう意味で重度多数も内容が変わってまいりますが、そういう問題もございます。そういう意味で年々必要に応じて見直しをしていくという問題であろうかと存じております。
#360
○鳥居分科員 いまイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘのヘまで申しましたけれども、助成の内容も検討されてしかるべきじゃないですか。ある程度の広がりがない。これは五十五年度の場合、八十件に限って、非常に莫大な予算をとる、もっとこれを広げていくという考え方、これもある意味では必要だと思うのです。たとえば助成の最高限度を七千万にするとか、そうすればその分広がっていくわけです。皆さんでつかんでいる需要というのはちょっとおかしいと私は思うのです。その意味で助成の内容まで含めて再検討を要求したいと思うのです。
#361
○関(英)政府委員 ただいま申しました昨年末の関係審議会の建議は、重度多数の助成について申し上げますれば、先生のおっしゃるような方向での内容の改正をとれというものでございますので、先生の御趣旨のような方向で来年度以降改善を図っていこう、そのために来年度の申請は、ある部分についてことしの春で打ち切りまして、それ以降は新制度によるものに切りかえていこう、こういう措置をとっているところでございます。
#362
○鳥居分科員 私の質問を終わります。ありがとうございました。
#363
○上村主査 これにて鳥居一雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、中路雅弘君。
#364
○中路分科員 私は、きょうは大企業に対する労働行政の指導、主として長時間労働や年休の未消化の問題、サービス残業といいますか手当なしの時間外労働、こうした問題について御質問したいと思います。
 労働省も五十三年に、基準局長名で労働時間短縮の行政指導についての通達も出されておりますし、また五十五年には、この通達の促進のために週休二日制等労働時間対策推進計画も出されているわけですが、この推進計画書の中でも、国際社会において先進国としてふさわしい地位を占めるには、週休二日制の一般化を初め労働時間の適正な確保、こうしたことを図ることが非常に必要だということも述べておられるわけです。
 しかし、現状を見ますと、これは皆さんの文書自身でも認められておるように、特に大企業では減量経営下で少ない人数でよりよい労働ということから、この長時間労働や休日出勤あるいは年次有給休暇もとれないということが広がってきて、実労働時間が逆に増加してきているということは、皆さん自身も認められているところなんです。
 私は、昨年も二回にわたって、この問題で労働省ともお話し合いをしてきたわけですが、昨年提出しました神奈川県内の大企業、特に電機産業、日立や東芝、日電、三菱、松下といった電機産業の職場の実態を、私たちが調査をしましてお示しをして、皆さんに調査や指導のお願いもしてきたわけです。提出しましたのは、十五の事業所についての問題点なわけですが、神奈川県の基準局あるいは基準監督署等を通じて調査をしていただいたと思いますが、最初に、もうまとめられたと思いますので、調査の結果について簡潔に御報告をいただきたいと思います。
#365
○岡部説明員 神奈川労働基準局におきまして、同局管内の大手電気機械器具メーカーに対しまして、労働条件の確保等に関する情報の提供に基づきまして必要な調査等を行ったわけでございます。
    〔主査退席、宮下主査代理着席〕
 その結果によりますと、労働時間管理の不適正、年次有給休暇取得等に関しまして改善を要するものが認められたわけでございまして、それぞれ改善を図るよう行政指導を行ったところでございます。
#366
○中路分科員 簡単に、法違反とか適切でないということで指導されたのがあると思いますが、総計で何件になりますか。
#367
○岡部説明員 法違反による勧告が五件、それから是正指導を行ったものが二十四件でございます。
#368
○中路分科員 私たちが指摘をした問題について調査をしていただきまして、いま御報告がありましたように、わずか十五の事業所だけでも法違反が五件、適切でないということで行政指導されたのが二十四件、二十九件に上っているわけですが、この大半が主として長時間労働や年休未消化の問題がその中身になっているわけです。
 皆さん自身が私たちの指摘で、たとえば三六協定の問題でも、最悪の残業時間を想定して協定されている状況だということを認めておられるわけですが、たとえば日本電気の玉川工場に例をとりますと、五十五年の十月で見てみますと、平均残業時間が七十・六時間になっているわけですね。三六協定では四十時間、いわゆる例外協定といいますか、やむを得ない場合の例外業務が七十時間になっていますが、いわゆる例外と言われているこの七十時間が線引きでされている。他の企業もほとんどそうですが、これがいまの実態なんですね。だから、そこで働く労働者仲間は、残業代も欲しいけれども、夜十時、十一時に帰宅して、朝も早く子供と話もできないというような、家庭生活にまでいま深刻な影響を与える実態になっているわけです。
 特に私が指摘したいのは、たとえば日立の神奈川工場の例あるいは東芝の柳町工場の例でも見られるのですが、生産計画あるいは作業工程の管理が、すべてこうした長時間労働や年休未消化を制度的に、そういうものを前提にして予算化されているということが大変問題だと思うのです。日立の神奈川工場ですが、作業時間の管理表というのが職場にも張り出されていますが、これを見ますと、出勤率が全部九六・七%になっています。それで押さえて、そこから生産計画が立てられる。その実績をもとにしてまた次の生産計画が立てられますから、単純にこれを計算してみますと、長期の病欠なんかありますけれども、こういうことを考慮に入れなくても、九六・七%といいますと、平均して有給がとれるのは七日くらいですね。八日までという状態です。
 私たちの指摘で神奈川県の労働部長も、先日こうした企業を回りまして、余りにも年休消化率が低いというので、少なくとも県としても十二日以上はひとつとるようにという要請もしてきたという話を私にしていましたけれども、たとえば十二日ということになりますと、出勤率は少なくとも九四%にしなければとれないわけですね。しかも、これは長期病欠やそういったものを考えないでの数字です。こういう点で、もともとこうした長時間労働や年休もとれない状態は、こうした無理な生産計画、そして現状に合わない出勤率、こういうことが基礎にあるわけです。
 先日予算委員会で、労働大臣は、日本人は非常によく働いて、有給休暇があっても、完全消化が、労働省が言っても、民族的な性質からか非常にむずかしいのだという話もされていましたが、確かによく働くわけですけれども、労働省の指導よりむしろ実態が逆行しているというのは、働き者というよりも、むしろこうした生産計画や出勤率が押しつけられているというところに問題があるのではないかと私は思うわけです。
 そこで、この問題で一、二要請をしたいのですが、一つは、現在結ばれている三六協定です。皆さん自身が最悪の労働時間を想定して協定を実際にやられているということを認められているわけですから、この三六協定の実態について、ここで全国的に調査を実施していただきたい。この改善のための指導をやる上でも、ひとつ三六協定について見直しをしていく調査をお願いしておきたいのですが、第一番に、この問題についてお考えをお聞きしたい。
#369
○岡部説明員 労働省といたしましては、過長な所定外労働時間につきましては、これを改善するように行政指導を行ってきているところでございまして、特に昭和五十三年以来、三六協定の様式の改正に伴いまして、実質的な中身といたしまして、一定期間当たりの所定外労働時間の上限を定めるというふうなことで、それを一つのてこといたしまして、過長な所定外時間を定めること自身につきまして、いろいろと指導を行うというふうな形で進めてきておるところでございます。
 したがいまして、この三六協定を通じての指導と申しますのは、あくまでも労働時間、労働条件面につきましての指導でございまして、生産活動そのものを云々するというわけでは当然ないわけでございますが、その労働条件面におきまして監督指導をさらに続けてまいるということでございます。
 お尋ねの三六協定につきましての調査をさらに行えという点でございますが、これは私ども、毎年いろいろな労働基準法をめぐる制度の調査ということをいたしておりますが、三六協定につきましても、これが労働時間問題の非常に重要な問題であるということにかんがみまして、来年度の労働省の重点施策の中にも、この三六協定につきましてどういうふうにあるべきかということをさらに調査する費用を予算に計上いたしまして現在御審議をお願いしている、こういうふうな段階でございます。
#370
○中路分科員 五十六年度に三六協定の問題について重点施策として調査もやっていくといういまのお答えなので、ぜひこの点は全国的に進めていただきたい。
 もう一点は、先ほどお話ししましたように、通達や推進計画が出されても、企業の実態が生産計画の段階でこうした時間外労働や年休の未消化が必然的に起きる仕組みになっているわけですから、労働省が生産計画そのものについて意見を言えという意味で私は言っているわけではないのですが、長い労働時間や年休もとれない、こうしたものの仕組みが根底にあるわけですから、そういう角度からは、こうした問題について行政の側が意見を述べ、改善を要請されるということ、ここにメスを入れるというのが当然のことだと思います。
 この点については、また皆さん自身が出しておられる、先ほどお話ししました推進計画の中でもこう述べているのです。「生産計画の策定等不合理な実態も残されている状況は早急に改善する必要がある。」ということを労働省自身が文書の中で述べておられるわけです。私は一、二例を挙げましたけれども、先ほど挙げました日立の神奈川工場の例やあるいは東芝の柳町工場でもそうですが、こうした予算管理表が皆職場にも張り出されてやられているわけですから、先ほど言いました出勤率九六・七%というようなことにしても、この改善がなしに労働省の言う時間短縮や年休消化ということはできないわけですから、こういう観点からの改善については、ぜひ行政の面でも指導を強めていただきたい、この点についてはいかがですか。
#371
○吉本(実)政府委員 労働時間の問題につきまして、時間外労働の問題からいろいろお話があったわけでございますが、昨年策定いたしました週休二日制等労働時間対策推進計画、これにつきましては、私ども、従来の経験にかんがみまして、いろいろな角度から考えたわけでございますが、これの基本は、あくまでも労使がこういった点を留意して時間対策を進めてほしいという一つの材料提供ということを主たるねらいにしているわけでございます。
 ただいま御指摘の「年休等の未消化を前提とした生産計画の策定等不合理な実態も残されている状況は早急に改善する必要がある。」というくだりも、労働慣行の見直しということで、こういったような実態もあるから、労使がひとつそういう点をお互いに話し合って改善していったらどうか、こういうことの意味で申しているわけでございます。
 また、私ども監督機関といたしましても、過長な所定外労働時間につきましては、先ほど監督課長から申し上げたように、いろいろな施策を通じながら、それの削減に努めるようにしてきているわけであります。それが、生産計画がそのもとになっておるということでございますけれども、生産計画そのもの自体も、先ほど先生もおっしゃったように、これを行政の対象とするわけにはいきませんが、そういった長時間の問題ということに関連をしながら見ていくというような形で進めたいと思っております。
#372
○中路分科員 私の要請しているのも、こういった長時間労働を改善していくという立場から、いまお話ししましたように、一例で挙げたような現状でこのまま生産の出勤率が事実上抑えられていくと、それ以上にまたそれを高めるための運動がやられているわけですから、ますます事態が逆行するわけですから、いまお話しのように、そういう角度からはこうした計画についても改善の要請、指導をひとつ強めていただきたいというふうに思います。この点は、いま話も一、二の例だけでお話ししましたけれども、相当の企業で共通した問題がありますので、ひとつぜひ改善指導を強めてほしいという点について一言大臣からもお願いをしたいと思いますが、いかがですか。
#373
○藤尾国務大臣 これは中路委員のお話でございますから、神奈川県下の電機産業がそのような実態にあるということは私は事実であると思います。しかし反面、考えてみますと、自動車産業等々におきましては、これは出てきちゃいかぬという指導をやっておるところもあるわけでございますね。でございますから、一応ねらいということであれば当然そういうことになりますけれども、しかしながら、そういったばらつきの中にも非常に長時間労働を何か慫慂するような生産計画を推し進めていかれるというようなことは適当なことではない、かように考えますから、それぞれの立場で、私も、できるだけそういった機会にお会いをいたしまして、そういったことは困りますよということは申し上げでもよろしい、かように考えています。
#374
○中路分科員 電機の企業では、きょうは時間で触れませんけれども、たとえば週休二日制になっていても休日出勤というのが大変多いわけですね。月に二日、三日だけじゃなくて、これはもう恒常化していますけれども、多い人になりますと七日、八日と休日出勤が出ていますから、週休二日というのがこうなりますと全く形骸化してしまうということなので、特に私は、きょうは電機の問題を取り上げているので、この点はひとつ大臣からも指導を強めていただくように再度要請をしておきたいと思います。
 それから、次の問題ですが、これは私、ここでもう少し明確な基準を労働省がつくっていただきたいと思いますので要請をしたいのですが、さきの労働省あるいは基準局への要請にも、この問題は多くの実例を挙げて私たちは要請をしました。皆さんに要請した職場の状態は一冊のパンフにまとめてあります。
 一、二例を挙げますが、いま職場でやられているいわゆる技術研修とか、あるいはZD、QC運動などという名前でやられている業務教育、生産性向上等の業務教育などがほとんどサービス残業、いわゆる手当なしの時間外労働になっているという問題です。
 先ほどお話しの神奈川県の調査していただきました中でも、こういう問題で、非常に適切じゃない、明らかに業務の延長と思われるのは時間外労働として対処しなければならない、自主的という名前で言われていますけれども、そう受け取れない運用状態があるので改善をされたいという、そういう意味での神奈川県の局の行政指導がやられたのが八件、先ほどの調査の中にあります。当然のことだと思いますけれども、労働者が自分の職務にかかわる技術教育や研修、こうしたものを会社から指定されて、なおかつ時間外に拘束されてやられる場合には、当然私は、手当を払う義務があると思いますが、これは最初は一般的な話ですけれども、いかがですか。
#375
○岡部説明員 ZD、QC活動、その他各種の研修活動をいわゆる時間外に行う場合に、それが労基法上の労働時間に当たるかどうかということにつきましては、一般的にこれらの研摩手の内容と業務との関連性、それから参加しない場合に不利益な取り扱いがなされるか否か、つまり、強制が行われるかどうかということによって判断すべきものでございます。仮に、これらの活動に要する時間が労働基準法に言う労働時間に当たる場合でありますれば、当然のことながら手当の対象になるわけでございますが、いずれにいたしましても、これら研修活動が労働時間か否かというのは、まことに千差万別でございまして、ケース・バイ・ケースの判断によらざるを得ない、そういう状況でございます。
#376
○中路分科員 いまお話しをされた中でも、参加しないということによって不利益を受けるとか、あるいは強制でないということですね。強制されるということは問題だということを、一つの考えを基準でお話しになっていますが、まさにいまやられているのは、おっしゃったように、参加しないことによって大変不利益を受ける、あるいはこれが制度化されて強制されているということを私たちは指摘をしているわけです。
 きょう各工場の、これは全部内部資料で持っていますけれども、限られた時間ですので一、二要点を紹介しますと、たとえば日立の戸塚工場の例ですが、やられている技術教育というのは、業務にかかわる専門教育です。たとえば自動交換機の交換方式の教育とかそういう教育ですが、それが、必ず出席するということを明記し、欠席の際は勤労に届け出をして、そして場長の捺印が必要だということも明記をされていますし、もちろん手当は払われない。たとえば三菱電気の場合も、技術講座というのがありますが、これもシステムエンジニアとして修得する基礎技術に関する講座で、出席者は会社から指名される。そしてこの文書の中にも、定時後の開催分については時間外勤務とはしないということを明記している、こういう状態になっていますし、特に明白になっているのは、ここに東芝柳町の例がありますけれども、これはZD、QC運動の実態ですが、会社の組織機構の一つとして、これを全部グループ別に組織をして、例外者は認めないという実態になっています。そしてこのグループ長は製造長より任命をされる。昼休みの三十分、就業後あるいは泊り込み研修、これが年間を通じて全部スケジュール化されて決められていますし、その内容も業務にかかわるものであります。しかも一番問題なのは、この推進のための体制ですが、会社の役員が全部ZDの幹事会を構成してすべての推進に当たる、そして参加の度合いが賃金の昇給、昇格の評価基準に位置づけられています。このZD、QCに参加するかどうかということが昇給、昇格の評価基準になるということが会社の文書で明確にされているわけですね。
 先ほどお話しになった、参加しないということで不利益を受けるということは一つの基準になるわけですし、また強制ということを先ほどおっしゃっていましたけれども、いま挙げた例は、まさにいまお話しになった基準から照らして明白に業務として認定すべき、手当を払うべき問題だと私は思うわけです。
 きょうは時間が限られていますから取り上げませんが、私のところに、東芝柳町のあるグループ長が、こうした時間が年間どれだけあるかということを詳しく整理して持ってきてくれました。私、それを合計しますと約百時間になるのです、いま言いました時間が。それで、これは全部手当を払われていない。しかもこうした研修は、数年前までは時間内でやられていたのです。
 だから、同じことが今度は時間外でやられて手当が払われてないということは、ここにも明白に矛盾がありますし、問題だということは明白だと思うのですが、いま挙げました例は一例でありまして、これは他の電機の企業にも、多少の差はあっても同じように現在行われているわけです。特にZD、QCは、生産現場が中心で、技術研修というのは、設計や開発研究部門で顕著に見られるわけですが、こうした点がいま一般的になって電機の工場で、大企業では行われていますから、こういう点で私は、このZD、QC運動の問題については、単に自主的ということだけでなくて、実態をよく見ていただく必要がありますから、これをどういう基準で明確にさしていくかという点で、やはり全国的な問題ですから、ひとつ実態も調査をして、新しいこの指導の基準といいますか、方向をここで確立する必要があるのじゃないかというふうに考えますが、いかがですか。
#377
○岡部説明員 そういうZD、QCその他の研修が労働時間か否かということについての全国統一的な基準をつくってはどうかというお話でございますが、何分にも先ほどから申し上げましたとおりに、これは態様が千差万別でございます。業務との関連性の濃さ、薄さ、あるいはその強制の強弱等々によりまして、労働時間になったりあるいは労働時間にならなかったり、いろいろとこれは事例があろうかと思います。
 したがいまして、いまのところ、基準をつくりましても、まさしくこの抽象的にいま申し上げましたようなことになってしまうわけでございまして、これの統一的な基準というほどにはまだこれにつきましての概念が固まっていない、そういう状況でございます。
#378
○中路分科員 先ほど例に挙げました、この参加の度合いが賃金の昇給や昇格の評価基準になる、これは会社の文書でこういうふうにありまして、明確にされていますが、この場合は、先ほどおっしゃっているように、明確に参加をしないということが不利益になるわけですから、これは手当が支払われるべきだと思いますが、いかがですか。
#379
○岡部説明員 たとえばいま例にお挙げになりました昇進と申しますか、昇格の問題でございますが、私ども従来申しておりますのは、その昇進のための条件といたしまして、一定の資格をとることが条件になっておるというふうな、そのための研修というふうな場合におきましては、その研修に参加することが実質上強制されていない限り、これは労基法上の労働時間とはならないというふうに全国的にいま申しているところでございます。
 したがいまして、個別に具体的な例ごとに判断を積み重ねている段階でございまして、たとえばそれが、では昇格ではなくて昇給ではどうか、賃金面ではどうかとなってまいりますと、またおのずから判断基準が違ってまいるというふうに、かなり複雑な問題でございますので、早急な結論を得るには若干むずかしいのではないかというふうに考えています。
#380
○中路分科員 重ねてお聞きしますけれども、賃金面にこれが影響するといいますか、基準になる、そして明白に強制をされているという場合は、これは明白な時間内として扱うべきだと思いますが、いかがですか、最後にお聞きします。
#381
○岡部説明員 要するに、これは強制が行われているかどうかということが、先ほど来申し上げておりますとおり、最終的な判断基準でございます。したがいまして、もし明白に強制が行われているということであれば、それは労働時間になることは当然であろうかと思います。
    〔宮下主査代理退席、主査着席〕
#382
○中路分科員 時間が来ましたので終わりますが、最後に一言。
 明白に強制であればこれは違反だということをおっしゃっておるわけですから、たとえば、そういう場合に当然、本人から申告も基準監督署にあると思いますね。そして事実、そういう認定ということになれば、基準法に基づいて二年間はいままでの未払い分は支払うべきだと思いますが、当然、そうした行政指導は、そういう判定が下ればされると思いますが、最後に、そうした点は明白にひとつ労働省としても対応していただくということを重ねてお願いして、一言お答えをいただいて終わりたいと思います。
#383
○岡部説明員 ただいま先生がおっしゃいましたことは、刑事、民事両面にわたっておっしゃったわけでございますが、労働基準監督機関は、司法警察権限を行使するという機関でございまして、刑事面について違法があり、しかも、それが悪質なものにつきましては司法刑事問題にするということはあるわけでございます。ただ、民事問題につきましては、それをもっぱらとする機関ではございません。したがいまして、ただいまのようなケースにつきまして、民事的に労働基準監督機関がどのような指導を行うのかというのは、そのときのケース・バイ・ケースの各現地局における判断ということに相なろうかと存じます。
#384
○上村主査 これにて中路雅弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、四ツ谷光子君。
#385
○四ツ谷分科員 私は、ふえ続ける婦人パートの労働者問題について、大臣に質問をさしていただきたいと思います。
 これは私が申すまでもなく、労働省の方もよく御存じですけれども、この十数年間にパート数が約四倍にふえている、それから労働者二百人以上の事業所でのパート数が三年間に二・二倍にふえ続けているということで、いまや日本の企業の中心的戦力に婦人パート労働者が進出をしてきている、こういう実態が出てきていると思うのです。
 なぜパートに出るのか、そういう理由の第一に、いまの物価高、御主人の賃金が上がらない、こういう理由で、夫の給料が安いからと答えている方が二四・八%、物価高と答えていらっしゃる方が一九・八%ということで、婦人の中にもパートで働かなければならない必要性が生まれてきているということは、もう現在の社会的な趨勢だと思います。
 ところが、婦人パートの労働者の実態というのが、賃金にしろ、労働条件にしろ、きわめて劣悪なところに置かれているということも労働省御自身がよく御存じだと思うのですけれども、婦人少年局が昭和四十五年一月十二日に「パートタイム運用の考え方」という大変すぐれた通達を出しております。この婦人少年局の果たされる役割りというのは、婦人労働者、とりわけ婦人のパート労働者の立場から見ますと、非常によい役割りをしていただいていると思うのですが、行革の立場から婦人少年局を廃止しようなんという動きもあるわけですけれども、私たちは、やはりこういうよい動きをやってくださる局は残しておきたい、こういうふうに思っているわけなんですけれども、この婦発第五号パートタイム運用の考え方によりますと「労働時間以外の点においては、フルタイムの労働者と何ら異なるものではない」ということが基本的に押さえられていると思います。それより一年前に出ております職発第四二九におきましても、これは求人受理に際しての、職業安定局から出された通達ですけれども、ここにおきましても、パートだからといっていろいろな面で差別してはならないというふうなことが明文化されていると思うのです。この通達によってもし行政指導がちゃんとされておりましたら、いま問題になっているような劣悪な婦人パートの労働者の実態というものはもう早い昔にちゃんとされているのではないかというふうに思うわけです。
 私は、ここで非常に劣悪な条件にある婦人パート労働者の実例を二、三挙げまして、大臣並びに婦人少年局長のお考え方を聞かせていただきたい、このように思っております。
 松下電器産業、このほど発表されました決算によりますと、前年比二七%増、千二百四十六億円と過去最高の売り上げ並びに利益を出しています。この松下電器産業といえば、婦人のパート労働者が中心的な戦力を占めていることは御存じだと思います。三洋におきましても、約一八%のパート労働者が三洋電機を支えているのが実情でございます。ところが残念ながら、松下さんも三洋さんも、賃金の面におきまして正社員と比べても非常に見劣りのする条件が幾つかあるということです。
 まず、松下さんについて私の調べたところを申しますと、松下では、パートタイマーとして雇用されてから十カ月間の試用期間を経ましたら、ほとんどの方が一年契約ということで定時社員という扱いになっています。私は、松下の場合は正社員と定時社員について比較をしたいと思うのです。
 まず賃金ですが、正社員の賃金体系の中にはA1、A2というクラスがあるのですけれども、この中で「二十五歳、仕事グループ A1 最低保障本給」というのがあります。十万六千五百円というように位置づけられているのですけれども、定時社員は、いま申し上げました「A1・二十五歳の最低賃金の日額換算」をいたしますと、勤続一年未満で、この十万六千五百円掛ける〇・九掛ける八分の七です。八分の七は、これは七時間勤務だから八分の七になっているわけです。一年以上二年未満で、十万六千五百円掛ける〇・九五掛ける八分の七、こうなっているわけですね。八分の七を掛けるのは、七時間しか働いていないからこれはまあいいとしましても、一年未満では、初めから一番低い最低保障本給に九割しか掛けていない。二年で〇・九五。こういうところに通達とはほど遠い実態があるのではないかと思うわけです。
 さらに、扶養加給ですが、正社員の場合は、基準内賃金の中で本給と職務加給、それに扶養加給というものが支給されることが明示されております。ところが定時社員の場合は、基準内賃金としては日給と作業加給だけであって、扶養加給はつけられない、こういうことになっているわけです。
 さらに、昇給の部分で見ますと、大体定時社員の方もコンベヤー作業に従事をしておられる方が多うございますので、そこで比較をしてみました。これは正社員の場合はA2という賃金ランクに属する人なんですけれども、これが一九七八年、一九七九年、一九八〇年の三年間に、パートと同じように七時間の実働に換算をいたしますと、正社員の場合は一九七八年では三百二十三円上がりました。一九七九年では三百四十円、一九八〇年では三百七十一円上がっているわけです。ところが定時社員の方は「勤続三年以上の日給額の標準昇給額」を見ますと、これはいずれも労働組合の発表している額ですが、一九七八年には二百九十円、一九七九年には三百十円、一九八〇年には何としたことか二百六十円しか上がっていない。この昇給を見ましても、非常に差が出てきているということがわかっております。いまのは松下電器産業株式会社の場合でございます。
 次に、三洋電機の場合を比較をしてみたいと思います。
 三洋電機は、これは定勤社員という松下と同じような制度はできましたが、これは昨年の暮れに発足をしたところで、まだ制度が完備しておりませんので、この場合は、社員とパート社員を比較してみたいと思います。
 賃金は、社員の場合に二十五歳R1、最低保障本給が、ここもやはり十万六千五百円で、時間換算をいたしますと約六百四十円になるわけでございます。ところがパートの場合は、時間給にいたしましてR1の八〇%を目安にしている、こうなっているのです。時間給でいきますと一時間当たり五百円にしかならない、こういうことになっております。
 いま松下電器産業と三洋電機株式会社、いずれも正社員とパート労働者の賃金についての比較を、私が実例を挙げてしたわけでございますけれども、一番先に私が申し上げました婦発のあの通達文書の中身から言いましても、電機産業の松下、三洋と言えば大変営業成績もいいところでございますが、そういうところで、このようにパートの婦人労働者に対する基本的な賃金、昇給、そういうふうなものに非常な格差があるということは、やはり行政指導がそこまで十分に行き渡っていないのではないか、このように考えるわけでございますが、婦人少年局長、これからこういう問題についてはどのように行政指導をなさるおつもりでしょうか、それをお伺いしたいと思います。
#386
○高橋(久)政府委員 パートタイム労働者につきましては、先生からいろいろと実態についてお話がございましたが、パートタイム労働者というのは、労働時間が短い労働者であって、それが身分的に異なるものではないので、その労働条件というものは、フルタイムの労働者と労働時間が短いという点を除きましては、やはり均衡を保つものでなければならないというふうに私どもも考えているところでございます。
 したがいまして、パートタイム労働者の労働条件を改善していくということが必要であるということでございますが、いま先生からいろいろと御指摘になりました点につきましては、個々の事業場におきましてどのような仕事に従事をしているのか、責任の度合いがどうであるかというようなことも関係してまいりますので、一概にこれがパートであるがゆえにこういった状態になっているということは把握できかねるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、パートタイム労働者というものが、パートという名前でもって身分的に差別をされ、労働条件が低いというようなことは改善していかなければならない。したがいまして、私どもは、いろいろな機会をつかまえまして、事業主の集まりがある機会であるとかそういうときには、パートタイムの労働者の労働条件というものが、基本的な考え方といたしましてはフルタイム労働者と均衡を保つものであるよう、そういった考え方でパートタイムを使わなければならないという趣旨で指導を続けていきたいというふうに考えております。
#387
○四ツ谷分科員 婦人少年局長のお話を伺いますと結構だと思うのですけれども、実際にこのようにたとえば松下の場合ですと、よく賃金の話をいたしますと、熟練度とかそういうことで、パートタイマーの場合は未熟練だとか、そういうことがあるのですけれども、松下の場合の定時社員なんていうのは、入社してから十カ月間の試用期間を経ているということから考えましても、熟練度という問題についても、そういう点では当たらないということもございますので、このように大変もうけていらっしゃる会社につきましては、ただ全体的に事業主がお集まりになったときにこうなさいよとおっしゃるだけではなくて、松下ですとか三洋電機などには他の企業の見本を示すように、ぜひ婦人少年局の方から行政指導をちゃんとしていただくように、私は再度お願いしたいと思います。
 それでは、次の問題なんですけれども、これはやはり婦発の中に、諸規定とか労働条件、慣行、そういうふうなものもフルタイマーと同じように扱うようにというふうに明示されていると思うのです。そのことで、やはりこれも松下電器産業と三洋の場合を比較してみたいと思うのです。
 生理休暇といいますのは、フルタイムの労働者でもなかなかとりにくいような状況にいまさせられてきているのは、婦人少年局長も御存じと思うのですけれども、松下電器産業の場合、正社員の場合は生理休暇の有給日は月に一日ございます。ところが、定時社員の方は有給の生理休暇はなしです。それから三洋の場合も、正式社員は一日ございますけれども、パートの場合はなし、こういうふうになっております。それから三洋の方は、有給の慶弔休暇というのが正社員の場合、父母、配偶者及び子の亡くなられた場合ということで、喪主ならば七日、非喪主ならば五日というふうに決められているのですけれども、パートの場合には全然それが決められていない、こういうことなんです。
 私は、この問題につきましては、生理休暇というのがだんだんとりにくくされている全体の婦人労働者の中で、やはりパートの労働者であっても、生理休暇はなるべくとりやすいような状況をつくり出していくというのが母性保護の立場からは当然ではないか、このように思います。それなのに、パートあるいは松下の場合は定時社員という名前のパートですが、有給の生理休暇が置かれていない。これは契約更新との関係もありまして、非常に雇用が不安定だから、休むと困るというふうなことでとれないようにしているわけです。だから、こういう点は、母性保護の立場から、パートタイマーの方にもぜひとも有給の生理休暇を正社員並みに置かせるべきだ、これは私、言えると思いますし、慶弔休暇に至りましては、これはフルタイマーであろうが、パートタイマーであろうが、基本的な人間関係の問題として、正社員だから御主人が亡くなられた場合には、これだけ休ませるけれども、臨時社員の場合には、御主人が亡くなられようが、子供が亡くなられようが、それはあなたが勝手にお休みなさい、それは会社の知ったことではないなどというのは、きわめて冷酷なやり方ではないか、非人間的なやり方だというふうに私は思うのですが、婦人少年局長、どのようにお考えですか。
#388
○高橋(久)政府委員 生理休暇につきましては、労働基準法の中に規定がございますが、有給であるか無給であるかということにつきましては、その個々の事業場における取り決めいかんになるということでございます。
 ただ、先生御指摘の事業場におきまして、フルタイムの労働者とパートタイムの労働者の間に違いがあることについてどうかというような御趣旨かと思いますので、私どもは、この通達にありますように、基本的にはフルタイムの労働者に適用されている諸規定や職場の慣行、その他の労働条件が、短時間就労という特性に基づくものを除いてはパートタイマーにも同様に確保されるように努めるということでございますので、先ほど申し上げましたように、事業主の集まり等におきまして一般的に指導をしていくという考え方でおります。
#389
○四ツ谷分科員 慶弔休暇についても同じようにお考えですか。これはただ単に労働協約とかそんな問題ではなくて、人間的な問題ですよ。その点についてはどうお考えですか。
#390
○高橋(久)政府委員 慶弔休暇につきましても、この通達にございますのは、諸規定や職場の慣行、その他の中に含まれているということで、先ほど御答弁を申し上げたわけでございます。
#391
○四ツ谷分科員 婦人少年局長の立場からいいまして、松下にそう言いなさい、三洋にそう言いなさいと言うのはぐあいが悪いのかもわかりませんけれども、これは重ねて申し上げます。松下だとか三洋のような大きなところが、こういう基本的なところが押さえられなくて、婦人のパートタイマーを一八%も使ってたくさんの利益を上げている、人間的な問題すら外して利益を上げるというようなことは許せないと私は思っております。
 そういう観点で、これは一般的な事業主というふうにまた婦人少年局長おっしゃったけれども、これはそういう問題ではなくて、もっと人間的な問題としてきちんと行政指導をしていただくように重ねてお願いを申し上げたいと思います。
 同じような諸規定の問題ですが、退職金につきましても、これは大変な差があるわけなんです。松下の場合、これが定時社員の場合、いわゆるパートの場合、勤続三年以上の方で最高もらわれましても十八万円しかないわけです。最高十八万円とする定額の退職慰労金という名前なんですね。正社員の方には退職金細則というのがありますけれども、それは適用しないということになっているわけです。正社員の場合、これが仮に十八歳で入社された方が三年でおやめになる、これも経営上の都合により退職をした場合、A1で年齢二十一歳で最低本給九万五千六百円を受けている人が退職をした場合、四十六万円以上の退職金があるわけです。だから、そういうふうなのを比較しましても、基本的に退職金が少ない。三洋の方でも、社員の方には退職金支給細則がありますけれども、この場合は退職金の規定は全然ないということになっております。私どもの調査によりますと、退職金をもっとたくさん欲しい、そういうふうな御要望が非常に強いのです。
 だから、こういう面につきましても、婦人少年局長、同じようなことをお伺いするようですが、いかがお考えですか。
#392
○高橋(久)政府委員 退職金につきまして、フルタイムとパートタイマーについての取り扱いを同じにするかどうかというようなことでございますけれども、パートタイマーの雇用形態から見まして、退職金規定を全く同じにすることが果たしてパートタイマーにとってよいことであるかどうかという点もあろうかと思います。パートタイマーにつきましては、その勤務の特殊性ということがございますので、そういった点におきましては違えなければならない面も出てくるかと思いますが、そういうことも含めまして短時間就労という特性に基づくものを除いて、職場の諸規定や慣行等がパートタイマーにも適用されるようにという考え方でございますので、私どもは、この通達における考え方に従いまして、先ほど申し上げたような形の指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#393
○四ツ谷分科員 ぜひこの通達が生かされますように、婦人少年局ががんばっていただきますようにお願いをしたいと思います。
 それではその次に、これは職安局にお聞きすることになると思いますが、新日本商事株式会社というのがございまして、これは三洋の労働者を、この新日本商事株式会社というところがパートタイマーの労働者を募集をしているということでございます。この新日本商事株式会社は、本社が大阪市の北区の野崎町にあるわけなんですけれども、三洋の本社があります大東の市民会館を使いまして、五十四年に四回、五十五年一月から七月にかけて月に一、二回の募集を行っている。これは市民会館の使用状況をもって私が調べたわけでございますが、募集をやっているわけです。そしてこの会社で雇用された労働者の方々のお話によりますと、三洋に行きますと、仕事の指示、命令系統は全部三洋の職員が行っているということなんですね。だから新日本商事の人は、仕事については指示も何にもしないということです。
 それからもう一つは、新日本商事の所有する設備だとか機材というものは一切三洋に持ち込んでやっていることはない、三洋の設備、機材を使って三洋のものをつくっている、こういう実態なんです。
 私は、いまのところまだ詳細調査をしているわけではないのですけれども、これだけ見ましても、三洋にかわって労働力を集めて、そして三洋に労働力を供給しているというふうに思われますので、この三洋で行われております新日本商事のやっている行為は、職安法第四十四条、労働力供給事業としての違反の疑いがあるのではないか、こういうふうに思いますと同時に、こういう労働力を三洋が使っているということは、そのような違反の疑いのある事業を行う者から供給される労働者を使用してはならないという第四十四条にも、三洋みずからが違反をしているのではないか、こういう疑いを私は持つわけでございます。
 それで、職安局にお尋ねをしたいのですけれども、こういう疑いがございますので、ぜひとも厳正な調査を行っていただきたいと思うのですが、それと同時に、三洋もこういうふうな雇用形態をとらないで直接雇用に切りかえるように指導していただきたい、このように思うのですが、いかがでございますか。
#394
○田代説明員 いま先生御指摘の新日本商事のケースにつきましては、現在私ども、詳細なことについては存じておりませんので、いま先生おっしゃられますように、労働者供給事業と申しますのは、職業安定法四十四条におきまして、それを禁じているところでございますし、また、その供給事業がどういうものであるのかといいますものについては、個々にもそれぞれ条件をつけてございます。先生御指摘でございますので、私どもの方でも、調査をいたしまして、もし法に反するようなことがあるといたしますれば、適切な指導措置をとってまいりたい、かように考えます。
#395
○四ツ谷分科員 それでは最後に、労働大臣にお伺いしたいと思います。
 大臣も御存じのとおりに、一九七九年の十二月十八日、第三十四回国連総会で、婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約、これが採択をされまして、日本ももちろん賛成をいたしました。昨年は世界婦人会議がコペンハーゲンで行われまして、ここで日本政府も署名をいたしました。ということは、この差別撤廃条約については、日本政府も、まだ批准はこれから国会でやるわけですけれども、内容については賛成をしたという立場で臨んでおられると思うわけです。私たちは、これは一日も早く条約の批准をするために国内法の整備をぜひともがんばっていただきたい、こう思うのです。
 ところが、この差別撤廃条約の中身は、婦人の人権尊重というところにまず第一義が置かれておりまして、そしてこれに賛成をした各国の政府は、経済的にも社会的にも文化的にも市民的にも政治的にも、あらゆる権利を男女の別なく同等に享受する権利を確保する義務を政府が負っているということを明文化しているわけなんです。
 ところが、いまパートの問題について婦人少年局長にいろいろお伺いをいたしましたけれども、現在の日本の政府が行っています婦人の労働政策を見てみますと、賃金の面一つとりましても、これは男性労働者よりも低くなっている。これはもうちゃんと統計資料に出ておりますが、はっきりしております。さらにパート労働者は、婦人の一般労働者よりもさらに低いということになりますと、これは二重の差別を受けているということになりますし、いま婦人労働者の問題を大企業がどういうふうに考えているか、これは、こういったとえ方は失礼かもわかりませんけれども、一たん勤めておられた方が家庭にお入りになって今度パートとして出てくるときに、婦人の労働力というものを、まあたとえば市場に行きますと一盛り幾らというふうに売っているああいう大安売りの野菜類と同じように見ているのではないかというふうに私は思っているわけです。本当に婦人の正当な能力を引き出すような、権利を引き出すような労働政策にはなっていない。
 ここのところは、この条約の批准をしようがしまいが、こういうふうな内容に賛成をした日本政府としては、この条約の精神を生かした婦人労働政策というものの確立が必要なのではないかというふうに私は思うのでございますけれども、大臣のお考え方と御決意を聞かせていただきたいと思います。
#396
○藤尾国務大臣 二つ問題があるわけでございますが、条約というのは御案内のとおりで、これに調印をするということは、その条約の内容について賛成でございますという意思表示をするということでございます。ただ、批准という行為に至りますまでの間に、若干の国によって時間がありまして、そしてその批准行為をやって初めて、条約といたしましては法律的効果を発効をするということになっておるわけでございますけれども、しかしながら、条約の批准をしようがしまいが、この条約にサインをするということは、その内容を是認したということでございますから、その是認をした内容を実現すべく努力をする、あたりまえのことだと思います。
 ただ、予算委員会の一般質疑の中でもこの問題が取り上げられまして、私どももひどくしかられたわけでございますけれども、しかし、いま現実に行われておる法制の中で、たとえば民法上の国籍問題でありますとかなんとかというような場合に、私はよく知りませんけれども、おやじの方の権利は非常に強くて、どうもお母様の方の権利というものは無視されがちであるというようなことが指摘をされておりますから、事実そのとおりなんでございましょう。そういったことは是正しなければいかぬと私は思うのです。しかし、すぐにそれだけばっと是正をするということが、なかなか法律の体系の中で行われがたい。ほかのものと一緒にしまして、いろいろ考究されるというような技術的な時間の差があろうと思います。
 あるいは私ども、いま御指摘をちょうだいいたしましたような労働賃金でありますとか、労働条件というようなものにおきまして、男女に差別があるというようなことは、これは全くあり得べからざることでございまして、同一の仕事につかれて同一のことをおやりになられる、能力は同じだという場合には、それはあたりまえのことでございますから、同一賃金であるということは当然であろうと思います。
 ただ、そういった場合に、その能力が同じであるか否かというような判定というようなことが、仮に、そんなことがあってはならぬわけでございますけれども、物差しとしてもしあるというようなことを考えてみました場合に、私どものこの婦人少年局長などというのは、これは何と言いましても、いまの労働省のどの局長と比べましても、その能力において劣るところの騒ぎではない、大変にすぐれておられるわけでございますから、当然、男の局長と差別があろうなどということはあり得ないことでございますから、それはもう御自身でよく御感得のことだろうと思います。そのようなことはありません。
 しかしながら、一般的に見てまいりまして、それは確かに同一賃金でございますけれども、たとえば体を使う、体力を使うというような場合に、多少の差異が出てくるというようなことは、これは私、考えてみましてあり得ることであって、それが差別であるか否かということの判断は、これはまたむずかしいところに議論が出てくるだろうと思います。そういったこともございます。
 また、これは私どものことではございませんけれども、子供たちの勉強の中で家庭科というものがありまして、それは御婦人というものは家庭におるべきものであるというようないままでの因襲みたいなものがございまして、女のお子さんだけに家庭科は必修であって、男の子どもの場合には選択科目になっておるなどということは、これはよろしからざることでございますから、文部省どのようにお考えか知りませんけれども、私は、これは是正さるべき当然のことであろうと思います。
 そういったことを、いろいろ細かいことを、私は、頭が悪いですから、何もよく知りませんけれども、そういったことがずっと整備をされまして、そうしてどこの国からごらんになられても、日本の場合にはよくやっておるなあということになって、そこで初めて、私どもがこの条約に加盟をし、そうしてその条約を意義づけておるということになるわけで、その場合に私どもが他国と比べてまさっておるか劣っておるかということが、私どもの文化の水準をはかっていただく尺度になるのではないかというように私は考えておるわけでございます。何とかいたしましてはめていただけるような、そういったりっぱな体制に持っていくべきである、また持っていきたい、かように考えておりますから、私は私なりに精いっぱいその努力をさせていただくつもりでございます。
 ただ、先ほど御指摘になられましたような、松下電器におきましてフルタイマーとパートタイマーとの間に給料の違いがあり、あるいは生理休暇のとり方の違いがあるというようなこと、私は女でありませんから、生理休暇が何であるかということは知りませんけれども、しかしながら、そのようなことがあってフルタイマーとパートタイマーとの間に差別があるなどということは、これは人間の構造に関しまして差別をつけるということでございますから、私はよろしくないと思いますし、そういったことにつきまして、そのような慣行があるとすれば、松下電器なり三洋電機に出かけていきまして、あなたこれはいけませんよと言って御注意を申し上げなければならぬ問題であろうと思います。
 ただ、そういったことをいろいろ前提にされましてそれぞれの雇用関係を結ばれるわけでございますから、そういったときに、やはりそういったことが明らかにされまして、あなたの場合には七時間働いていただくパートタイマーでございます、ですから、パートタイマーとしての扱いをさせていただきますが、その場合にはこのような差が出てまいりますよ、それでよろしゅうございますかというようなことがやはりあるのではないかという気が私はするわけです。
 私は、事実このパートタイマーの問題というのは、非常に重視をしておりまして、この内職の問題とかパートタイマーの問題とかいうものを軽視するようなことがあってはならぬ、そういうことで、厳重にその問題について労働省の一つの大きな施策の柱といたしましてやれといって言ってあるわけでございますけれども、これは調べさせてみますと、パートタイマーの方々は、フルタイマーになりたいかといってお伺いをしてみますと、私はパートの方がいいという方が七八%ですか九%ですかぐらいおありになられるというようなことも並行してあるわけでございます。そういったところに私は四ツ谷さんが――非常にあなたは御勉強で、しっかりしておられますから、それでよろしいのでございましょうけれども、パートに働かれるような方々にあなたほどの見識が欠けておる、そういったこともあるのではないか、それは私どもの責任でもあるということでございますから、今後大いに勉強いたしまして、先生にしかられないように一生懸命にやってまいりたい、かように考えます。
#397
○四ツ谷分科員 長い御答弁をいただきましたのでもう終わらなければだめなんですけれども、労働大臣のお話を聞いておりまして、一部分は納得のできるところもあります用意欲的に取り組んでいただくという姿勢を示していただきましたので、それは結構かと思うのですけれども、一、二点ちょっと問題点だけを言って私はおかせていただきたいと思うのです。
 男女の差別の問題で、体力的に云々ということがありますけれども、これは婦人が母性であるということの特性を忘れては婦人の差別をなくすことにはならないということを、まず一番押さえておいていただきたい。男性と女性の体力で比較をするのではないということなのです。母性であるということが、次の時代の人間をつくるという意味で非常に大事な社会的使命を持っているということですので、これを抜きにしては男女差別の問題は語れないということが一つ。
 それから、パートタイマーの方がいいという方が多いというのは、これは当然なのです。いまのように家庭を持ちながら、そして御主人の収入も少ないから私も働きたい、フルタイマーではどうしてもできないから、それじゃ短時間労働でということになるのですけれども、実際はフルタイマーと同じぐらい働かされているパートタイマーがたくさんいるんですよ、大臣。だから、いま見識の問題をおっしゃいましたけれども、それは労働政策なり大企業がパートタイマーを基本的な戦力に使いながら、これは出し入れ自由だ、そして労働生産力の調整の安全弁に使っている、そういうところに問題があるということを指摘いたしまして、大変長い御丁寧な御答弁をいただきましたことには心から敬意を表して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#398
○上村主査 これにて四ツ谷光子君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして労働省所管についての質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十八日土曜日午前九時三十分から開会し、厚生省及び自治省所管について審査を行います。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後七時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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