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1980/02/28 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 予算委員会第二分科会 第2号
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1980/02/28 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 予算委員会第二分科会 第2号

#1
第094回国会 予算委員会第二分科会 第2号
昭和五十六年二月二十八日(土曜日)
    午前九時三十分開議
 出席分科員
   主査 塩崎  潤君
      愛野興一郎君    金子 一平君
      村山 達雄君    阿部 助哉君
      稲葉 誠一君    新村 勝雄君
      竹内  猛君    土井たか子君
      村山 喜一君    湯山  勇君
      岡本 富夫君    大内 啓伍君
      米沢  隆君    伊藤 公介君
   兼務 上田 卓三君 兼務 渡部 行雄君
   兼務 草川 昭三君 兼務 田中 昭二君
   兼務 栗田  翠君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局審議官    大竹 宏繁君
        大蔵大臣官房会
        計課長     加茂 文治君
        大蔵大臣官房日
        本専売公社監理
        官       萱場 英造君
        大蔵大臣官房審
        議官      水野  繁君
        大蔵大臣官房審
        議官      梅澤 節男君
        大蔵大臣官房審
        議官      吉田 正輝君
        大蔵省主計局次
        長       西垣  昭君
        大蔵省主計局次
        長       矢崎 新二君
        大蔵省関税局長 清水  汪君
        大蔵省理財局長 渡辺 喜一君
        大蔵省理財局次
        長       楢崎 泰昌君
        大蔵省証券局長 吉本  宏君
        国税庁次長   川崎 昭典君
        国税庁直税部長 小幡 俊介君
 分科員外の出席者
        人事院事務総局
        給与局次長   林  博男君
        防衛施設庁施設
        部連絡調整官  箭内慶次郎君
        法務省人権擁護
        局総務課長   末永 秀夫君
        外務省北米局安
        全保障課長   丹波  実君
        大蔵大臣官房審
        議官      名本 公洲君
        大蔵省主計局主
        計官      公文  宏君
        文部省体育局学
        校保健課長   長谷川善一君
        厚生省公衆衛生
        局結核成人病課
        長       古川 武温君
        農林水産省構造
        改善局農政部構
        造改善事業課長 塩飽 二郎君
        郵政省貯金局次
        長       山口 武雄君
        建設省住宅局民
        間住宅課長   浜  典夫君
        会計検査院事務
        総局第四局農林
        水産検査第一課
        長       景山  弘君
        日本専売公社総
        裁       泉 美之松君
        日本専売公社企
        画開発本部長  岡島 和男君
        日本専売公社営
        業本部長    森  宗作君
        日本国有鉄道旅
        客局サービス課
        長       高倉 伸一君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十八日
 辞任         補欠選任
  阿部 助哉君     村山 喜一君
  稲葉 誠一君     竹内  猛君
  岡本 富夫君     斎藤  実君
  大内 啓伍君     米沢  隆君
  河野 洋平君     柿澤 弘治君
同日
 辞任         補欠選任
  竹内  猛君     湯山  勇君
  村山 喜一君     阿部 助哉君
  斎藤  実君     有島 重武君
  米沢  隆君     塩田  晋君
  柿澤 弘治君     山口 敏夫君
同日
 辞任         補欠選任
  湯山  勇君     新村 勝雄君
  有島 重武君     岡本 富夫君
  塩田  晋君     大内 啓伍君
  山口 敏夫君     伊藤 公介君
同日
 辞任         補欠選任
  新村 勝雄君     土井たか子君
  伊藤 公介君     小杉  隆君
同日
 辞任         補欠選任
  土井たか子君     稲葉 誠一君
  小杉  隆君     河野 洋平君
同日
 第一分科員上田卓三君、田中昭二君、栗田翠
 君、第五分科員渡部行雄君及び草川昭三君が本
 分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十六年度一般会計予算
 昭和五十六年度特別会計予算
 昭和五十六年度政府関係機関予算
 (大蔵省所管)
     ――――◇―――――
#2
○塩崎主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。
 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算中大蔵省所管について政府から説明を聴取いたします。渡辺大蔵大臣。
#3
○渡辺国務大臣 昭和五十六年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算につきまして御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳入予算額は、四十六兆七千八百八十一億三千百万円となっております。
 このうち主な事項につきまして申し上げますと、租税及び印紙収入は、三十二兆二千八百四十億円、専売納付金は、七千六百二十二億千百万円、公債金は、十二兆二千七百億円となっております。
 次に、当省所管一般会計歳出予算額は、七兆八千三百八十二億四千三百万円となっております。
 このうち主な事項につきまして申し上げますと、国債費は、六兆六千五百四十二億三千九百万円、政府出資は、千九百七十五億円、予備費は、三千五百億円となっております。
 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算につきまして申し上げます。
 造幣局特別会計におきましては、歳入、歳出とも二百三十四億四千九百万円であります。
 このほか、印刷局等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、お手元の予算書等によりましてごらんいただきたいと存じます。
 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算につきまして申し上げます。
 日本専売公社におきましては、収入二兆四千八百四十二億五千四百万円、支出二兆五千三百五十七億四千万円、差し引き五百十四億八千五百万円の支出超過であり、専売納付金は、七千五百七十八億六千四百万円を見込んでおります。
 このほか、国民金融公庫等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、お手元の予算書等によりましてごらんいただきたいと存じます。
 以上、大蔵省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。
 なお、時間の関係もございまして、お手元に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。
 以上でございます。
#4
○塩崎主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま渡辺大蔵大臣から申し出がありましたとおり、大蔵省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○塩崎主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔参照〕
   昭和五十六年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算に関する説明
 昭和五十六年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算につきまして御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳入予算額は、四十六兆七千八百八十一億三千百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、四兆千九百九十二億八千八百万円の増加となっております。
 以下、歳入予算額のうち主な事項につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、租税及印紙収入は、三十二兆二千八百四十億円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、五兆八千七百三十億円の増加となっております。
 この予算額は、現行法による租税及び印紙収入見込額三十兆九千十億円に、昭和五十六年度の税制改正における法人税、酒税、物品税、印紙税及び有価証券取引税の税率の引上げ等並びに租税特別措置の整理合理化等による内国税関係の増収見込額一兆三千九百六十億円を加え、関税率の改定等による減収見込額百三十億円を差し引いたものであります。
 次に、各税目別に主なものを御説明申し上げます。
 まず、所得税につきましては、配偶者控除の所得要件の緩和等による減収見込額を差し引いて、十三兆七百九十億円を計上いたしました。
 法人税につきましては、税率の引上げ等による増収見込額を加えて、十兆三千五百二十億円を計上いたしました。
 以上、申し述べました税目のほか、相続税五千百八十億円、酒税一兆八千三百億円、揮発油税一兆五千二百十億円、物品税一兆三千七百九十億円、関税七千七百四十億円、印紙収入一兆三千八百二十億円及びその他の各税目を加え、租税及印紙収入の合計額は、三十二兆二千八百四十億円となっております。
 第二に、専売納付金は、七千六百二十二億千百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、三十三億三千五百万円の増加となっております。
 この納付金は、日本専売公社納付金七千五百七十八億六千四百万円、アルコール専売事業特別会計納付金四十三億四千六百万円を見込んだものであります。
 第三に、雑収入は、一兆三千七百九十九億四千四百万円でありまして、どれを前年度予算額に比較いたしますと、三千九十八億千四百万円の増加となっております。
 この収入のうち主なものは、日本銀行納付金七千三百十七億円、日本中央競馬会納付金二千三十八億九千百万円、日本電信電話公社臨時納付金千二百億円、懲罰及没収金千八十三億四千四百万円等を見込んだものであります。
 第四に、公債金は、十二兆二千七百億円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、二兆円の減少となっております。
 この公債金のうち、六兆七千八百五十億円は、建設公債の発行によることとし、残余の五兆四千八百五十億円は、特例公債の発行によることと致しております。
 最後に、前年度剰余金受入は、六十八億千三百万円となっております。
 なお、別途、特例公債の発行、日本電信電話公社からの臨時国庫納付金の受入れ等のため、「財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律」(案)を提出し、御審議をお願いいたしております。
 次に、当省所管一般会計歳出予算額は、七兆八千三百八十二億四千三百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、一兆三千八百六十六億五千万円の増加となっております。
 これは、国債費が一兆三千四百三十八億三千五百万円、政府出資が百五十五億円増加いたしましたが、他方、特定国有財産整備費が百四億三千三百万円減少いたしましたこと等によるものであります。
 以下、歳出予算額のうち主な事項につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、第一に、国債費につきましては、六兆六千五百四十二億三千九百万円を計上いたしておりますが、この経費は、一般会計の負担に属する国債及び借入金の償還及び利子等の支払並びにこれらの事務の取扱いに必要な経費の財源を、国債整理基金特別会計へ繰り入れるためのものであります。
 第二に、公務員宿舎施設費につきましては、二百七十億三千三百万円を計上いたしておりますが、この経費は、国家公務員に貸与する宿舎の施設整備に必要なものであります。
 第三に、政府出資につきましては、国民金融公庫等三機関に対し、一般会計から出資するため必要な経費として、千九百七十五億円を計上いたしておりますが、その内訳は、国民金融公庫二十億円、中小企業信用保険公庫六百二十五億円、海外経済協力基金千三百三十億円であります。
 第四に、経済協力費につきましては、四百六十一億六千八百万円を計上いたしておりますが、この経費は、発展途上国に対する食糧増産援助等に必要なものであります。
 最後に、予備費につきましては、予見し難い予算の不足に充てるため、三千五百億円を計上いたしております。
 次に、当省所管の特別会計と致しましては、造幣局特別会計をはじめ、八つの特別会計がありますが、そのうち主な会計につきまして、その歳入歳出予算の概要を御説明申し上げます。
 まず、造幣局特別会計におきましては、歳入、歳出とも二百三十四億四千九百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、いずれも十六億八千五百万円の増加となっております。これは、補助貨幣等の製造経費が増加したこと等によるものであります。
 次に、印刷局特別会計におきましては、歳入六百二十五億二千九百万円、歳出五百七十億四千二百万円、差引き五十四億八千六百万円の歳入超過でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入は、四十六億六千百万円、歳出は、四十二億千百万円の増加となっております。これは、日本銀行券等の製造数量が増加したこと等によるものであります。
 以上、申し述べました各特別会計のほか、資金運用部、国債整理基金、外国為替資金、産業投資、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、お手もとの予算書等によりまして御覧いただきたいと存じます。
 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、日本専売公社におきましては、収入二兆四千八百四十二億五千四百万円、支出二兆五千三百五十七億四千万円、差引き五百十四億八千五百万円の支出超過でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、収入は、千五百九十六億八百万円、支出は、千五百四十六億三千六百万円の増加となっております。
 また、専売納付金は、七千五百七十八億六千四百万円を見込んでおりまして、前年度予算額に比較して三十億三千四百万円の増加となっております。
 なお、日本専売公社の事業のうち、たばこ事業につきましては、昭和五十六年度の製造たばこ国内販売数量を三千七十八億本と見込んでおります。
 このほか、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、医療金融公庫、環境衛生金融公庫、沖繩振興開発金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、お手もとの予算書等によりまして御覧いただきたいと存じます。
 以上、大蔵省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。
    ―――――――――――――
#6
○塩崎主査 以上をもちまして大蔵省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○塩崎主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。まず、竹内猛君。
#8
○竹内(猛)分科員 私は農林予算をつくる基本的な考え方について大蔵大臣に伺いたいと思います。同時にまた、農村における構造改善事業等におけるところの過剰投資とむだを省くために、現在進めている構造改善事業に関しての若干の質問をしたいと思います。
 渡辺大蔵大臣は、さきに農林大臣並びに厚生大臣を経験されて、当時から大分個性のある発言をされてきたわけでありますが、特に農林予算の場合においては、かつては大蔵省を攻め上げる立場に立ちながら、今度は大蔵大臣として守る立場に立ったということからしてみて、一体安全保障としての農業に対する予算のあり方というものについて基本的にどう考えられるか、その辺からまずお答えをいただきたい。
#9
○渡辺国務大臣 五十六年度の農林関係予算は、農林大臣からの要請に基づいて査定をしたものでございまして、総合的な食糧の自給力の向上と農林水産業の健全な発展ということを基本に考えて査定をしたわけでございます。
#10
○竹内(猛)分科員 去年の国会で、衆参両院で食糧自給力を高めるという決議をされておりますが、その決議等に基づいてもわかるように、食糧自給力を高めていくということについては、やはり予算の裏づけがなくてはならない。その場合、国の予算を一〇〇とした場合に、農林予算というのはどれくらいのシェアを持つのが理想と考えられるか。
#11
○渡辺国務大臣 これは特別に何%というようなことはないのじゃないか。そのときどきの時代の要請、財政事情、経済事情を勘案して決めればいいので、固定的に何%というような決まったものはないと思います。
#12
○竹内(猛)分科員 かつて、渡辺大臣の後だったと思いますね、中川農林大臣、そのころに、国の予算を一〇〇とした場合に大体一〇%程度が理想的なものであるということを発言されたことがある。これは記録に残っておりますが、五十年来今日まで大体一〇%という線を保ってきたように思いますけれども、最近の状況を見ますと、四十九年が一二%、これは国債費の関係やいろいろありますけれども、ことしなどはずっと下がってきて七・九というような状況にあるわけですね。そうすると、四十九年、五十年というころから見ると三分の二に農林予算がなってしまっている。こういうことになると、これはやはりどんなに農業を前進させよう、あるいは伸ばそうということにしても、裏づけがないとどうにもならなくなるわけです。こういう点で、やはりこれは後退をしているという形になると私は思うのです。この点は大臣、どうお考えになりますか。
#13
○渡辺国務大臣 問題は一般歳出に占める割合であって、地方へやるとかあるいは公債費というようなものを入れて考えなくてもいいのじゃないか。要するに、本当に政府が使える金の中で農林予算のシェアというのは、ことしは一一・五%です、一般歳出の中では。ですから、予算的にうんとへこんだというようなこともなかろう、本来ならば政府が援助しないで日本の農業の自立ができるなら一番いいのですから、予算が少しぐらいシェアが減ったからといって、直ちに農林予算の中身が悪くなったというわけにはいかないのじゃないかと思います。
#14
○竹内(猛)分科員 少しというわけじゃなくて三分の二、五十年の段階からいえば三分の二になっちゃった。こうなると、これはどう見ても後退をしたとしか言えないのです。しかも、その中で大筋として内部においては、一般それから公共、食管、こうあるけれども、特に食管の場合においては赤字だ、国鉄、健康保険それから食管が三Kだと言って、いつも農林省の中では敵のように財界から指摘をされている。ところが農家の場合には減反をやってきた。当初三十九万ヘクタールが、さらにそれを四十三万ヘクタールほど協力をした。また第二次においての五十四万ヘクタールというものについても、それをさらに上回った協力をしてきている。そういう中で農家自体は、中心である米がだんだん手取りが少なくなる。一方において食管の方は、これが赤字だ赤字だというわけだけれども、生産者米価が抑えられて消費者米価が上がっても、大蔵省とすれば別に痛くもかゆくもないことだろうと思うのです。ただ、取り扱いが問題なだけだ。そこで、食管、食管というけれども、どうも食管というのは行政の失敗を農民並びに消費者にかぶせているのではないか、こういう感じがしてならない。だから、国鉄とか健康保険と性格が違うものじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
#15
○渡辺国務大臣 私は二つあると思うのです。一つは、予算のシェアが減ったというけれども、各省庁全部減っているわけです。なぜならば、それは国債費というようなものはふえておりますから、年々国債費が予算の伸び率以上にどんどんふえるということになると、どこかが圧迫を受けているわけであって、全体から見ると各省庁ともみんな減っている。予算がふえたのは大蔵省だけだ。大蔵省は国債費を管理していますから、国債の利払い金が毎年どんどんふえるから、大蔵省の予算が毎年急増している。これも事実であります。
 それからもう一つは、食管は行政の失敗だ、こう言いますが、行政の失敗か何の失敗かよく断定しかねると私は思うのだけれども、要するに結論は、米価は採算がとれるといったようなこともあって、一番有利性がある農産物だということで、どうしてもそれが過剰生産になった。そんな高い値段をつけたおまえらが悪いのじゃないかと言えば、私も責任があるのですよ。私もベトコン議員で米を上げろとやったことがあるものですから、決して逃げも隠れもいたしませんが、そういう点からいえば、ともかく議会も政府も一緒になってちょっとやり過ぎたかなということは反省をいたしております。
#16
○竹内(猛)分科員 それは反省しなくてもいいんだよ。米価を上げろというのはあたりまえの話なんだ。反省なんてする必要がないんだ、当然の話なんだから。生産費と所得を償う米価を要求して、それを押し上げるときはよかったけれども、いま大蔵大臣になったら攻守ところをかえて逆になっちゃって、農林予算が三分の二になってもまだいいというふうにがんばるところがだめなんだ。だから、どうしてももう主計官だけの手に負えない。これは主計局長とか大臣でなければこの配分が決まらないのです。だから、この分科会に来ていつもこうやってがんばらなくてはいけない。
 これは農林省自体の今後のためにも申し上げたいのだけれども、われわれが見ていると、食管というものが常に農林予算を圧迫をする。外部から見ても食管、食管と、食管というのは敵みたいになっている。ところが食管の内部を見ると、これは何も農民の手に入るものでも消費者の手に入るものでもなくて、倉庫代や金利やあるいは損失、こういうものになっている。たとえてみれば、五十年から今日までの保管料や金利を見ると、一千四百九十五億というような額が損失になっているし、ことしの予算の中にも特別会計などを設けて損失をやっているわけだ。これでは何か農家がこれによってもうかっているような印象を与えるけれども、そうじゃないでしょう。行政の失敗というものを農民にかぶせるというのはよくない。これはやはり明らかに特別勘定で枠を別のところへ外しちゃう、そうでもしなかったら、これは迷惑至極な話だ。そこはどうですか。
#17
○渡辺国務大臣 これは原因は過剰生産のツケなんですよ。結局食べる以上によけい生産させた、その責任は政府にあるだろうと言われれば、食管制度があるんだから、政府はそれはないとは言えないですね。だけれども、そういう過剰生産は困る、したがって過剰生産をなくするようにいま水田再編対策というものに取り組んでおるということでありまして、別に農民にツケを回すというわけではないと私は思っています。
#18
○竹内(猛)分科員 そこが問題なんだ。過剰生産、過剰生産と言われますが、四十七年のときに十年計画、五十七年を展望して、これが二、三年で失敗をする。五十年にまた長期展望を出して六十年を展望したけれども、これがだめになる。それで今度は新しくまた六十五年の展望を出したけれども、これもすでに文書を出したその足元から過剰生産で崩れる。こういう物の考え方、つまり面積主義ですね、面積を減らせば量の方はどうでもいいんだ――やはり面積と量というものは両方を考えなければならない。だから農家自体は三十九万ヘクタール減反をしようといえば、それの百何%か確かにやっている。五十四万のときでもそれを上回った。こういうふうになっているときに、依然として過剰生産だということで、その責任を農林予算の中に食い込ませてしまうということになれば、これはやはり問題じゃないか。何とかこれは別な処置の仕方をしなければならないんじゃないか。この辺はどうしても理解ができないですね。
#19
○渡辺国務大臣 確かに過剰生産を面積だけで抑えるといってもうまくいかない。しかし、本当は価格でやれば一番うまくいくのです。それは売れない米は安くする、売れる米は適当な値段にするという、要するに品質格差ですね。それを二十年前から取り入れていれば、この過剰問題は起きないのじゃないか。それはやはりうんと大面積で安い米をつくるところもできるかもしれないし、新潟とかなんとかでいい米をつくるところはうんとつくるかもしらぬ。けれども、これがなかなか現実の問題としては、農協統一米価とか言っちゃって、北海道も新潟も水戸の方も米と名がつけば皆同じとか言って全部同じ値段にしろと言うから、どうしても多収穫の品種がふえる、それてどうしても量がよけいとれる、結局まずいから食わないという悪循環になっちゃった。私はやはり面積のほかに価格政策というものをこれから取り入れていかなければ、この問題は解決つかない。したがって、私はやはり政府が買うのに要らないものを国民の税金で買うわけにいかないわけですから、必要な数量を買って、残ったものについては、自主流通米で価格は自由に売らせるということをやると、おのずから落ちつくところに落ちつくのじゃないかという気がします。
#20
○竹内(猛)分科員 そこで、もう一つ問題なんですが、多収穫米の話が出たから申し上げますが、土地改良をやって、いま土地改良の償還期に入っている農家が非常に多い。ところがその土地で、今度は減反で米をつくってはいけないという。こうなると、米以外にできないところ、茨城県の私のところもそうですけれども、湿田、湿地帯、大豆を植えても腐ってしまう、愛もできない、こういうところに何を植えるのだ、これはもうレンコンか稲しかない。その稲を、えさの稲をつくろう、えさ米をつくろうというと、これは多収穫米だ、これは農林省はいまのところ余り乗り気ではない。大蔵省はどうですか。
#21
○渡辺国務大臣 減反の割り当ても、一律に割り当てるということを政府はしてないわけですよ。北海道なんか何割とか、新潟県なんかもっと少ないでしょう。減反率というのは少ないんだ。だから、結局今度は同じ県庁の中で、県庁が町村に一律でなくて、湿地帯のところは少なくする、転作できるところは多くするとやればいいのですね。やってもらうように知事にも頼んであるのですよ。ところがなかなかそれができない。知事さんも選挙がある。町村長も、今度受け取ったら、同じ町村の中でも、湿地帯のところと畑作になるところとあるわけですから、そこで濃淡をつければいい。ところが、これも町村長選挙があるものだから、結局どうしても一律みたいな話になってしまう。国はちゃんと分けてやっているのですよ、北海道の転作率と新潟の転作率とを見るとこんなに差があるわけだから。だから、そういうように一律でなくて、それぞれの行政機関が自分の責任においてそこをあんばいをしてもらえば、いま竹内委員のおっしゃったようなことがもう少し解消される。
 えさ米の問題については、これは問題は、米と似たようなものでは困りますと、だから、まるきり米と違う、米にならないえさ、本当のえさ米、そういうものを開発できれば、そして値段が採算が合えば、私はいいと思いますね。だから、これは試験的にやってみたらいいじゃないかということを、ぼくは農林大臣のときにも言ったのです。大々的にはいまは困りますよ。試験的にもしやってみて、本当に数量が十五俵もとれるとか十八俵もとれる、米としては全然これは食い物にならないというような場合で、しかも一俵、米が一万七千円だけれども、もう五千円か四千円で採算が合うというんだったら、私は、一挙両得じゃないか、そう思っておりますから、決してこれに否定的な考えを持っておりません。ただ、そういう品種がいまない。それから、ばらばらやられると困るらしいのですな。私が聞いてみるというと、要するに、美田の中でえさ米がぽつんぽつん入ると、いつの間にかそのえさ米がほかの米の中にまじっていってしまう。そうすると、米の中に麦が一粒入ったってもう米屋に文句を言われて値引きさせられているわけだから、いい米の中に悪い米がばらばらまじったりしたら大変な騒ぎになってしまう。それから品種がおかしくなってしまう。こういう問題があるから、どこか特定な、湿地帯なら湿地帯を区切って、そこは全部えさ米にしてしまうとか、何かそういうふうな工夫をこらす必要がある。品種の問題、技術の問題、地域の問題、こういう問題をみんなまとめて考えていく必要がある。私も本当は農林大臣の方が大蔵大臣よりも詳しいのです。
#22
○竹内(猛)分科員 そこまでいくと、だんだん話が合ってきた。そこで、これはもう一つ言わなげればならない。
 せっかく米をつくるように土地改良をして、そして基盤整備をしているんだから、そういうときにそこを空白にして、そこにできないものを、なじまないものを植えて、それに補助金を出す。三千何百億とことしも出しているでしょう。これくらいむだな話はないと私は思うのですね。
 だから、いま言うように、品質、それから場所、それから流通の問題等々を早く検討して、えさ用と言わないで、今度はアルコールだ。アラブやあるいは中近東を中心として紛争が起こっている。中国も石油がどうも厳しくなってきた。いよいよ石油の値段がこれから上がろうとするときに、米からアルコールがしぼれる。現にアルコール工場でしぼりを一生懸命やっている。こういう問題を考えてみると、何も空白にしてそこに補助金を出すなんてそういうむだなことをしないで、これだって考えるべきじゃないですか。農林大臣の経験者であり大蔵大臣、これは結構です。両方ともがまぐちを握って指し示せば、これはもう最高の話だ。これをひとつどうですか。
#23
○渡辺国務大臣 これはもうえさ米よりもアルコールの方がもっとむずかしい。なぜかというと、値段が、えさ米だったら一〇のうち三ぐらいの比率で買える、アルコールだったら一、氷なら一〇とか、そういうようなことで、採算性の問題で非常にむずかしいと私は思う。
#24
○竹内(猛)分科員 だから、たとえば古米を一トン三万円でえさに払い下げをするとか、あるいは海外に八万か九万で出すとか、みそしょうゆに十一万で卸すとかいう形で、三十万で買い上げた米でもかなり無理をしてやっている。ああいうことから考えてみれば、三万円だったら十分に成り立つじゃないですか。(渡辺国務大臣「アルコール、それは成り立たない」と呼ぶ)いや、それは成り立つ。
 そういう話をきょうはするわけじゃないから、方向として問題を提起するだけですから、そういう点について、物事は一筋で考えないで、あれやこれやとして考えて、これは無限に毎年生産できるんだから、有限じゃないんだから、もっと活用すべきじゃないかということですよ。せっかく金を投じて土地改良をやってとれるようになっているものを、そこを空白にして雑草を生やして補助金を出すなんて、そんなばかなことはよくない。これは国益に反すると私は思う。だから、えさ米、アルコール米国益論だ、こういうことをこの際主張したいわけです。この点はどうでしょうか。
#25
○渡辺国務大臣 それは御主張として承りますが、私は、アルコールは現実性がないと思うのですね。えさ米というのは、研究の仕方で可能性はあるんじゃないか、私はそう思っております。
 それから、土地改良の問題は、これは政府が勧めてやるのではなくて、その地域がともかく九八%から九九%の同意をもって住民の意思として要求してきたものの中から、それだけ熱意を持って、生産性の高い、機械化のできるような圃場にしたいんだということで願望を持って政府に言ってくるわけですから、農林省がそれを受け継いで大蔵省で予算づけをしてやっておるのであって、強静的に土地改良をやらせているというんじゃなくて、それは地域の方がそういうものを要望してきているというのも事実なので、これもお認めをいただきたいと思います。
#26
○竹内(猛)分科員 そこで、時間も最後になりましたが、もう一つこの際確かめておきたいことがあります。
 それは新構造改善事業で、前々から、大臣が農林政務次官のころからの話でありましたけれども、私たちも主張したのですが、政府が補助金を出すときに、古い材木、古い機材というものを活用して、これも使ったらいいではないか、まだ使えるものを壊して何でも新しくするということは、一つは機材のむだになる、もう一つは、農家自体は過剰投資になるということで、あれやこれや考えてみて使ったらいいではないかということを主張してきたわけですけれども、これは大丈夫ですね。いまでもそういう考え方は間違いとは言えないでしょう。
#27
○渡辺国務大臣 それはいい考え方なんですよ。これは一部もうすでに実行しているはずです。補助政策の悪いところはそこなんだから。結局、畜舎をつくっても、会計検査院の検査があると、古村を使ったのをどういうふうに評価したかということが問題だというようなところから、かつてはそういうことをさせなかったが、詳しいことは農林省から答弁してもらいますが、最近は古村の利用ということも進めておる。これは融資だったらみんな古村を使うのですよ。補助制度だから、古村を使うと問題がいろいろ出てくるというようなこともありますが、極力古村も使うように指導をしているはずです。
#28
○塩飽説明員 大蔵大臣から御答弁申し上げたことに尽きるわけでございますけれども、四十九年から二次構の中で、ただいま御指摘のありましたような古村の有効利用、そのことを通ずる農家の負担軽減あるいは国費の節約あるいは地方公共団体の負担の軽減、そういう趣旨から古村の使用を補助対象に認めているわけでございまして、御承知のように、五十三年から始まっております新農業構造改善事業その他の事業におきましては、最近、集落等で行います事業は比較的規模が大きくなっておりますので、できるだけやはりむだを省く、そして有効に施設を使っていただくという見地から、古村の使用を認めているわけでございます。
 具体的な運用につきましても、すでに通達等を通じまして末端に周知を図っておるわけでございますけれども、何分にも地元の皆さん方が、せっかくつくるからにはやはりいいものをつくりたいということで、とかく新しい材料を使いやすいわけでございますけれども、御趣旨のことを踏まえまして、今後古材の利用についても有効な活用が図られるように十分周知徹底をさらに図っていきたいというふうに考えております。
#29
○竹内(猛)分科員 会計検査院の方からも……。
 よく末端に行くと、会計検査院が厳しいからということを言われるのだけれども、会計検査院の方はどうですか。
#30
○景山会計検査院説明員 私ども、農業構造改善等で実施します農業近代化施設の会計実地検査に当たりましては、事業主体から事業完了後提出されました実績報告書等を中心に検査を実施いたしているわけでございます。
 いま先生御指摘の古材等の適切な活用、これは御指摘のとおり国費節減あるいは過剰投資を避けるという見地から当然であろうと思います。農林水産省では、従来は古材等の使用は認めてございませんでしたけれども、建設資材の高騰に対処して事業費の低減及び農家負担の軽減を図るために、四十九年ころから従来の取り扱いを変えてまいっております。したがいまして、われわれ会計検査を行います者としましても、この趣旨にのっとりましていままでも検査を実施してきましたし、これからもそういった見地から、補助事業の効率的な実施という広い見地から検査を実施してまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。
#31
○竹内(猛)分科員 このようにそれぞれが理解をされておりますけれども、末端の行政へ行くと、必ずしもそれが徹底をしておらなくて、窓口で書類が無慈悲にも返されてしまう、こういうことが間々あります。そこで、でき得れば、やはり行政の中で、もし書類を書くのになれない職員たちが書いたものに対して、それが不十分であれば、こういうように書く方がよろしい、こういう指導をするというサービス精神、親切さがあっていいのじゃないか。金がないから、それはそうですね、三つしか割り当てがないのに十もくれば、七つは切ってしまうわけだから、めんどうくさいから、書類が不備だからだめだと言う気持ちもわからないことはない。しかし、今度はだめだけれども、この次には認めてやるからという希望は持たせてやるくらいの親切さがあったっていいじゃないか、こう思うのですな、この辺は農林省。
#32
○塩飽説明員 御趣旨のとおりだと思います。補助事業、いろいろ条件がついておりますので、地元で御理解をいただくのはなかなかむずかしいわけでございまして、われわれといたしましても、古村の利用はもちろんでございますけれども、その他万々につきましてできるだけ事業が円滑にいくようにかねて指導をやっておりますけれども、御趣旨を踏まえてできるだけ皆さん方に使いやすいような制度として周知徹底を図っていきたい、あらゆる機会に地元の皆さん方に補助事業の内容を御理解いただくように努めてまいりたいというふうに考えております。
#33
○竹内(猛)分科員 時間が来たからこれで終わりますが、何もかも知っている渡辺大蔵大臣だから、長く大臣を続けてもらうことは必要ですけれども、農村をかわいがってもらわなければ困るので、予算が三分の二に減ってしまったのではぐあいが悪いですよ。五十年から三分の二になっちゃった。これは事実ですよ。国債だ何だといってもこれは事実なんです。実際三分の二だ。それは各省同じだからね、厚生省だってどこだって。公債に関係することは何も農林省だけではない。そういう点では何も別に農林省だけをいたわれとは言わない。すべてのところがそうだ。だけれども、使える予算というものは、やはり食管の方でそういう状態であって、食管のものは、実は損失というよりも政治的な行政のミスというものが過剰生産になり、それを処理するために非常に苦労されておる。しかし、そのことは農家の生産には実際余りプラスになっておるわけではない。だから、それは早く整理すると同時に、もっと価格や生産の面に力を入れていくようにしてほしい。そして国鉄、健保、食管が三Kだというところからひとつ食管を取って、Kはもう二Kでいい。そういうふうにしてもらわないと、それはかわいそうですね。
 それから、いまの過剰投資に対する防止はぜひいま中央でやっているようなことを徹底的にやっていただいて、構造改善に希望を持っている営農者に対しては、親切に取り扱っていただきたいというしとをお願いして、終わります。
#34
○塩崎主査 これにて竹内猛君の質疑は終わりました。
 次に、米沢隆君。
#35
○米沢分科員 私は住宅金融、とりわけ公庫金融の問題について若干の質問をさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、今回住宅金融公庫の融資が、目玉となっておりました年利五・五%融資に所得制限が取り入れられました。しかも個人住宅建設融資を中心にしまして、融資戸数が今年度に比べまして二万戸も減らされたわけでございます。これは一種の住宅政策の後退でございまして、公庫の存在にもかかわる事態であるとわれわれは受けとめております。景気対策の中でこの住宅建設促進が大きな柱とされておるのは御案内のとおりでありまして、こういう状況の中で公庫融資にこのような厳しい条件が付され始めておる。住宅需要が現在でも大変冷え込んでおるさなかに、このことがまた住宅建設促進にブレーキをかけるのではないかという懸念をするものでございます。そういう意味では、確かに財政が厳しい状況はよくわかりますけれども、住宅金融公庫の持つ役割りというものが少しずつなくなりつつあるのではなくて、逆に大変大きな役割りを担いつつあるということだけは頭に入れておいていただきたいと考えるわけでございます。
 そこで、まず建設省の方にお伺いいたしますが、今回のこの住宅金融の後退予算が住宅建設に与える影響をどういうふうに見ておられるのか、それから責任者としてこの問題をどう考えておられるのか、今後の住宅金融公庫の役割りを高めていくためにどのような方針で臨まれるのか、この三点をまとめて御質問いたしたいと思います。
#36
○浜説明員 お答えいたします。
 御指摘のように、五十六年度予算につきましては、厳しい財政事情のもとに、支出の効率化を図る見地から所得制限等の新制度が導入されたわけでございますが、ただ、この対象となる層は量的にもきわめてわずかである。推計によりますと恐らく三、四%というオーダーになろうと考えておりまするし、それとても公庫融資の対象としないわけではございませんで、多少金利は高くなりますけれども、民間とは比べものにならない、たとえば償還期間一つとりましても、長期低利の融資をするわけでございます。したがいまして、五十六年度におきましても、従来から果たしていた公庫の政策金融の基本的な構造は変わっていないと考えておるわけでございます。
 御指摘のように、確かに全体の総戸数は五十五年度比二万戸減の五十一万戸でございますけれども、住宅需給の動向、見通しを考えますと、個人建設についてのかねてよりの無抽せん融資を確保するに十分な戸数は確保できておるわけでございまするし、そういう意味では、お言葉でございますが、後退予算と言われますよりも、厳しい事情の中で根幹を維持しながら、かつその中でも、たとえば公営住宅と役割り分担をする地域特別分譲住宅融資等を創設するなど、時代に合った公庫の機能の向上を図る方向にあるわけでございまして、今後におきましても、たとえば財政事情等の状況には的確に対応しながら、援助の効率化を図りながら、公庫の持ち家取得の中核としての援助の機構としての役割りを維持する考えでございます。
#37
○米沢分科員 建設省としては、大蔵との折衝の中で決められた経緯がありますから、それなりの理屈を言わねばならぬことはよくわかりますけれども、ちょうどこの対象になる寸前の連中あるいはすでにかかるであろうという連中にとっては、これは後退であることは間違いないわけでございます。そういう意味で、御承知のとおり建設業界は大変厳しい状況にある。特に在来工法をやる工務店、大工さん、そのあたり倒産件数がどんどんふえておることも事実、同時に住宅着工件数がどんどん減っておることも事実。そういう意味では、そういうときにこそ金融公庫が大変大きな役割りを果たすのだという観点で今後議論を展開していただきたい、こう思います。
 そこで、次は大蔵大臣にお尋ねしたいと思いますが、大蔵省はこの五十六年度の予算編成の過程におきまして、財源難を理由にいたしまして、公庫が必要とする補給金二千七百八十七億円のうち一般会計から二千百二十六億円の支出しか認めずに、残る六百六十一億円については財投資金からの借入金で処理する措置をとったために、公庫発足以来初めて赤字団体に転落した、こういう報道がなされております。
 そこで、金融公庫にこういう措置を強いられる理由は一体那辺にあるのであろうかというのが第一点。
 第二点は、大体金融公庫は収益事業を持たないわけでありますから、赤字を分担させられても返すすべがないわけであります。そういう意味で、お聞きしますところ、最終的には五年がかりで五分の一ぐらいずつ延べ払い方式で補給金をやるのだ、こういうような話になっておるそうでありますけれども、その際、結局公庫には赤字分を積み立てた分の利子がどんどんかさむわけでありまして、赤字の積立分の利子の分まで将来にわたって補給金としてお支払いをされるのかどうか。同時に、一番われわれが心配なのは、今回そういう措置が新しく出てまいりましたけれども、来年から一体こういう状況は、公庫の融資はどんどん累増していくわけですから、赤字といいましょうか利子補給がどんどんふえることは事実でありますから、来年から一体どうされるのか。やはり同じようにこんなかっこうで順送り順送り公庫に赤字を持たして延べ払い方式で補給金をやるのを定着させるつもりなのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
#38
○渡辺国務大臣 非常に厳しい財政事情でありますから、私は場合によっては五・五%をもっと引き上げてもいいんじゃないか、実はそういう考えを持ったのです。しかしながら、現在景気対策という問題もあって、住宅の着工件数が減っておるときに、貸付金利を引き上げるというのもいかがなものか、いろいろ考えた結果、ともかく窮余の策といたしまして、とりあえず六百六十億円相当分を財投から入れることにしたわけであります。これは臨時の措置でございまして、築いた金利体系をどうするか、あるいは別な財源の目安がつくか、こういうようなことの全体的な見直しの中で考えていかなければなりませんが、とりあえずことしの分についての金利については五年間で適正に処置をしたい、こう考えております。
#39
○米沢分科員 今回の措置も財政再建の一環としての融資条件等の改革だと思うのでありますけれども、将来をながめましたときに、これからも住宅需要はそう急激に減るような事情にありませんから、先ほども申しましたように、金融公庫が金を貸す限り、いわゆる利子補給的な金額はかさんでいくことは事実でございます。したがって、それが厳しいから、きついからということで、じゃどうするかということになると、結果的には一般会計が余裕があるようになるために増税路線をとられるか、あるいはまた引き続き今回と同じように、いろいろな貸付条件等を厳しくしていくかという、二者択一しかないと私は思うのでございます。
 そこで、今度の予算折衝の中でもかなり厳しい折衝が続けられたと聞いておりますけれども、これは大蔵大臣に聞きたいのでありますが、将来を展望しましたときに、そう簡単に財政が明るくなる感じはいたしません。そういうような観点から、新聞等でよく報道されておりますように、この大きな補給金の増高を緩和するために、融資戸数を一挙に下げるのじゃないかという話だとか、あるいは公庫法を改正して、現行の上限金利五・五%を上げるか、あるいはまた段階的な金利を導入するのじゃないかとか、あるいはまた所得、面積制限を、この前議論がありましたように、これからもさらに強化していく方針をとるんじゃないかという心配をしておるわけでございます。
 その点、将来展望を踏まえて、このような厳しい条件を今後もこの住宅金融公庫に押しつけていかれるつもりなのか、建設省はこういうものに対して歯どめになってもらわなければいかぬわけでありますが、歯どめになる決意が本当にあるのかどうか、両方に聞いてみたいと思うのです。
#40
○渡辺国務大臣 政府サービスのためには財源が必要であります。ですから、その財源が確保できれば、私は現状でよろしいと思っております。財源確保が困難だという場合には何らかの工夫をしなければならぬ。一にかかってこれは負担とサービス水準の問題、裏表の話でございますから。ともかく増税路線というものは、そう簡単なものではございませんので、今回の国会での御指摘もともかくむだなものを切れ、行革をやれ、補助金を減らせというのが皆さんの圧倒的な御意見でございますから、そういう意見も踏まえて、この国会でも終われば、来年度の予算編成に向けて根本的な物の考え方について思想の統一を図っていく、その過程でどう処理するかを決めてまいりたい。目下のところ、私の定まった意見はございません。
#41
○浜説明員 五十六年度におきまして、多少異例な措置をもちましても、基準金利の維持とかあるいは無抽せん貸し付けの維持を確保したいという考えから見られますように、今後も住宅政策の中で、金融公庫によります政策金融は、持ち家取得の促進を通じての居住水準の向上を図るという全く根幹的な部分を持っているわけでございまして、いろいろな環境の中でそれなりの対応は強いながらも、基本的には、先ほど申しましたような制度の根幹は維持できますように、関係方面の御了解を得てまいりたいと考えております。
#42
○米沢分科員 次は、先ほどから話題にしております所得制限の導入にしぼって、その設けられた理由だとかあるいは今後の運用方針等に関連してちょっと質問をさせてもらいたいと思います。
 そこでまず、大蔵大臣、年収八百万円を超える世帯を金利八%貸し付けとされたその根拠についてお伺いをしたい。
 第二点は、年収八百万円を超える世帯はどのように判定をされるのか。あくまでもこれは公平を期さねばなりませんが、この二点をまず最初に伺ってみたいと思います。
#43
○渡辺国務大臣 この限られた財源の中でどういうふうに利用してもらうかということでございますが、社会保障の関係についても所得制限が設けられておるわけです。したがいまして、これはまあ融資ではございますが、高金利の中で五・五というのは、一番低い金利で多額に貸しておるわけでございますから、これについても、無抽せんというような状態の中では、できるだけ低所得層の方に低金利のものは優先をしてもらうことの方がいいのじゃないか、こういうような根本的な考え方であります。昭和五十四年の貯蓄動向調査によりますと、全世帯の平均収入は四百三十一万円、勤労者の場合の全世帯の平均収入は四百十三万円、こうなっております。また五十四年度住宅公庫利用者層の平均収入は三百四十五万円ということで、年収八百万円を超える利用者は全体のわずか一・五%にとどまっているというような現状にかんがみ、民間で言うならば、大体支店長クラス、役所、国家公務員で言うと、大体次長とか審議官クラスの人に該当するわけですが、その程度の方は、それよりももうちょっと高い金利でもひとつ御勘弁願いたい、そうむずかしい科学的根拠があるわけではありませんが、大体その程度をもって政治の姿勢を示したということであります。
#44
○米沢分科員 年収八百万円という、理論的にも確かに理屈は立ちにくい問題だと思いますが、いまいわゆる給与所得者の貯蓄の動向等を並べられましたが、やはりこれは動産だけじゃなくて不動産も入れた価格でないと、実質的な資産の持ちぐあいというのは私わからないと思うのですね。そういう資料はお持ち合わせではないですね。
 そこで、年収八百万円もらう連中の層を支店長クラス的な発想でとらえておられますが、私は逆に、この連中というのは四十代前半から後半、五十代、そういう方々がこういう所得層に入るのではないかと思います。そういう意味では、昭和の一けたから二けたの最初の方のサラリーマンでございまして、この連中は御案内のとおりちょうど子供が高校から大学に行くような年代でございまして、大変負担が多い世帯でもあります。同時に、特にサラリーマンというのは転勤等がしょっちゅうございまして、結局、さあいまからつくらぬともう間に合わぬなというころに大体八百万層に近づいておるのではないかという気がするわけですね。その上、御案内のとおりサラリーマンというのは、所得の把握について大変不満があることは事実。トーゴーサンとかクロヨンとか、これはもう周知の事実なんでございまして、そういう意味では不公平感を大変強く持っておる層だ、そう思うのですね。そして昨日も新聞に、消費者物価が二月も急騰して、実質賃金はまた減ったというようなことが書いてありまして、労働大臣さえこれは政治の失敗であるという記者会見をされるような状況でございます。そういう意味で、税負担そのもの、所得の把握のされ方において大変不公平感が強い、そういう感じを持っておる連中に、またこういう住金を借りるときさえ――私は、大蔵省の見解は個人の財産だという観念があると思いますが、社会的な資産という立場も考えてみなければならない。そういう社会的な資産をつくろうとする連中に、所得の把握で不公平をされて、貸し出すときにこういうものをまた押しつけられる、こういうことはちょっとたえられない、そういう話がいろいろと私の方にも寄せられておりますが、全くそのとおりだという気がしてならぬわけでございます。
 もともと大蔵省の方は、確かに金の少ない連中に回した方がいいとか八百万ももらっておる連中に利子補給なんというのはちょっと税金の使い方の不合理だという判断をされておるやに聞いておりますけれども、もともとこんなに金を借りないと家がつくれないということ自体私は政府の怠慢だと思います。土地はどんどんうなぎ上りに上がっていく、住宅の建設費はどんどん高くなる、一人のサラリーマンが何千万円も出さぬと自分の家さえ持てないなんというのは、私は政治の問題だと思いますね。過去の政治の失政の結果だという感じがするわけです。そうした中で何千万も出さねば買えないような家を、必死になって家ぐらいつくろうかと思ってがんばっている連中に対して、納税者の負担で利子補給するのはちょっと、特に年収八百万層以上は不合理だというその議論は、わかるような気持ちがして実際は私はわからないのでございます。その点を私はもう少し深刻に受けとめてもらいたいと思うのですね。納税者の負担なんだから、年収八百万以上の方に出すのはちょっと不合理だという感覚自体、私は過去の失政に対する反省を欠いておるものだと思いますね。
 同時に、そんなに不合理を言われるならば、もっとまじめに所得の把握の仕方をうまくやってもらいたい、そういう感じがするのですね。あるいはまた納税者で支えられております行政を、いろいろ先ほどからおっしゃいますように、行政改革等々もっとまじめにやってもらいたいという気がするわけですね。あるいはまた納税者の貴重な税金を、いろいろと事件のありますようにむだ遣いがよく摘発されますね。あるいは飲み食いに使うとか、やれ空出張だとか空手形だとか、公費天国ですね。あるいはまた官民格差を解消するのはほとんど気乗り薄ですね。あるいはまた合理化反対、近代化反対、金はよこせなんと言う。そういうもので赤字をつくったものに何千億も赤字補てんをする、これはみんな納税者の負担で支えられておるわけでありまして、そういうものと、こういう住宅建設を急ごうと、やっと一生に一度家ぐらいつくろうという、そういう連中に利子負担するなんというのと比べたら問題にならないと私は思うのですね。だから、先ほど指摘したような問題の方を本当は先にやってもらえば、私はいま大蔵省のおっしゃるような理屈はようくわかります。しかし、そんなことも全然やれずに、その上側か住宅をつくるときだけ納税者の負担だからどうも不合理だなんという議論はちょっと白々しいという気がするのですね。そういう意味で、でき得れば年収八百万という制限なんか取っ払ってもらいたい。どうしてもだめだというならば、いわゆる確定申告をやる一千万の単位、それぐらいに引き上げることが妥当ではないかと思うのですね。再考を促したいと思うのですが、大臣の見解を聞きたいと思います。
#45
○渡辺国務大臣 これは物の考え方でございます。行政改革それから公費のむだ遣い、こういうものは徹底的にやれ、これは私も全くそのとおりであって、今後とも継続して進めていきたい、そう思っております。しかし、財源に限界があるわけですから、その財源を所得の低い層に回すか、それとも所得の厚い層に回すか、これは政策判断の問題でございまして、厚い方にも回せと言えば、結局枠が足りないから抽せん制を復活させるかということになってまいります。
 そこで、われわれとしては、最終的に、確かに行政改革その他においてはまだ詰めが足りないという点もありますから、それは率直に認める、それは引き続きやってまいります。しかし、現在の段階においては、抽せん制にするのか利息を高くするのかというような現実的な問題しかないという中では、政治の姿勢として、理屈を言えば一千万がいいというのもあるだろうし七百万でもいいという理屈もあるでしょうが、まあ八百万というところに一応線を置いたということでございます。
#46
○米沢分科員 余り時間もありませんので、平行線をたどるような理屈は言いたくありませんが、来年の予算をつくられる過程において、もう少しそういう年収八百万という軽く割り切られたその感覚をなくしていただいて、年収八百万というのは大変大きな重みを持っておるんだ、そういう観点から、これを上の方に上げられるか撤廃される方向でぜひ再検討を願いたいと思っております。
 それから次に、八百万という所得制限をするということで、その収入把握をしなければなりませんけれども、その際、先ほどおっしゃいましたように三、四%という話ですね。この三、四%の皆さんを八%の金利に乗せる、結局五・五%から排除するために繁雑な事務手続が要るんじゃないか、私はそう思うのですね。そういう意味で、ごく一部の連中を排除するために、一般の貸付申込者等にも繁雑な手続を強制される、強いられる結果になるのじゃないか。その結果、また人間が要る、人間をふやさなければいかぬ、そんな議論にはならないのでしょうね。それが第一点でございます。
 それから第二点は、この八百万というものに関連しまして、今後の物価の値上がり、来年消えればいいのですが、今後も引き続きこういうことをされるとするならば、物価の値上がりあるいは所得水準の上昇に対して、その八百万円の基準というものをどういうふうなかっこうにされるのか、できればこれは相対的なものの八百万円でございますから、今後の所得の動向あるいは物価の動向等を勘案して、やはりそれにスライドして上げていくべきものだ、そういうことをはっきり言っていただきたい、そう思います。
 それから、八百万という区切りをつけますと、八百万以下は五・五でしょう、八百万以上は急に八でしょう。私は、この中間において、もし親切ならば、段階的な金利があってしかるべきだという気がするのでございます。
 それともう一つは、これは長期的な、たとえば二十年、二十五年、三十年払いをやろうとして金を借りるわけでありますが、本人がちょうどいまは現役で八百万ぐらいもらっておる。したがって、八%である。しかし、一年もしないうちに退職して急に二、三百万の年収になってしまった。そういう連中と、七百万ぐらいのところまできて来年は八百万にすぐ到達する、二十五年間がないたってからそういう差が出てくるのはわかりますけれども、一、二年とか四、五年の間に、一方はがたっと年収が下がる。その者は高い金利で借りておる。そのかわり一方の方は、一年たって八百万の水準に達したにもかかわらず、やはり安い金利で借りられる。これは差し引きしたら、二十五年たったらプラス・マイナスしたら五百万以上でしょう。六百万前後の差が出てくるわけですね。これはやはり不公平だというわけでありまして、そのあたり一工夫欲しいものだ。したがって五年なら五年ぐらいの年限を区切って、年収が急激に変動した場合には何かを考える、そのあたりの一工夫をぜひ入れてもらいたい。そういう意味で、年収が特に下がった場合の救済対策、そのあたりをどういうふうに考えておるのか、その点をお伺いしたいと思うのであります。
#47
○渡辺国務大臣 これは確かに御指摘のような問題点があることは事実だろうと思います。しかし、八百万ぐらいになると、確かにそろそろ退職時期が近づくということもあって、そのかわり退職金も入るということもございますから、いろいろありますが、問題点もあります。所得制限、社会保障でも同じような問題がありまして、線をどこかで引きますから、引くと逆にそれよりも一万円でも少ない方がよけい収入が多くなってしまうというような問題点がありまして、何かうまい工夫がないかと思って、これをひとつ検討してみろということは言ってございますから、そういうような中で、財政事情その他いろいろな絡みもございますが、米沢委員の言う点もごもっともなことでありますので、検討さしていただきます。
#48
○米沢分科員 スライドはどうですか。
#49
○渡辺国務大臣 このスライドの問題もやはり財政事情その他の事情との関係、物価の事情、いろいろありましょうから、そういうような点ともあわせて検討しますが、なかなかスライドをいますぐ約束するというような事情にもありません。これも検討します。
#50
○米沢分科員 スライドがなければ、税の累進課税と同じように、それは大蔵省はうまいことをやるかもしれませんが、やはり借りる方は問題ですから、その点ぜひ再検討してもらいたいと思います。
 それから、この年収の把握の仕方ですね。いまのところまだいろいろと御研究なさっている過程にあるというふうに聞いておりますが、そのとらえ方によってはやはり大きな格差が出てきますね。特に世帯主の収入にならざるを得ないだろうという話なんですけれども、確かに世帯主一人が働いておって、約八百五十万とか九百万もらっておる。こういう人は八%金利でしようがないですね、もしこういう形で決まれば。しかし、たとえば共働きですね。おやじが七百万ぐらいかせいで母ちゃんが四百万ぐらいかせぐ、トータルは一千百万だ。そういう者は五・五%金利。父ちゃん一人働いておる者が八%なんて、これもちょっと不合理ですね。特に、ひがむわけじゃありませんが、学校の先生方は夫婦でやっておるのが多いですね。あの連中は地域ではこれは最高の金持ち層になりますね。そういう連中は共済年金も何か五・五%か五・六%で借りられるような措置があって、住金でも五・五%、これはやはり横から見ておったら大変問題だと思いますね。その点どういうふうな感覚を持っておられるのか。
 それから、先ほどクロヨンの話が出てきましたけれども、トーゴーサンとかクロヨンとか、地域に行って自営業者とサラリーマンとどっちがいい家に住んでおるかと言ったら、圧倒的にこれは自営業者ですね。しかし、申告所得はサラリーマンの方が高いなんて、これは七不思議なんですね。たとえば保育所なんかに外車で乗りつけて子供を迎えに来るようなところが、ひいひい言って共かせぎしておる者よりも保育料が安いんだもんね。やはりこういう事実を見ますと、きょうは本題ではありませんけれども、所得税の収入の把握の仕方はもっともっと厳しくやってもらわねばならぬと思いますね。これをちょっとまじめにやることによって、かなりの金額が出てくることはもう確実ですね。もうそれはサラリーマンの目から見たら、自営業者にもいろいろ収入の低い人がたくさんおりますよ。それはいろいろと広がりはありますけれども、まあ普通サラリーマンと言われる者と普通自営業者というものと、所得申告の方は少なくとも自営業者の方がサラリーマンより低く申告されて、実質的にはいい生活をしているというこの事実だけは、大臣まじめに考えてもらいたいと思うのです。そのことを注文をつけまして、時間もありませんので、とりあえず質問を終わりたいと思います。
#51
○塩崎主査 これにて米沢隆君の質疑は終わりました。
 次に、湯山勇君。
#52
○湯山分科員 大蔵大臣御存じのとおり、大蔵大臣の最も重要な予算委員会の総括質問におきましても、同和問題が取り上げられてまいりました。その委員会審議を通じまして同和対策事業特別措置法の強化改正の問題が取り上げられまして、野坂委員の質問に対しまして総理大臣から、五十七年度予算の概算要求に間に合うように措置法の改正等については検討を進めていくという趣旨の御答弁がございました。これは考えてみますと、いろいろ便法はあるにしても、五十七年度の概算要求を正当にやっていくとすれば、この国会で結論を出すということが前提になるとも考えられまして、そういう観点から総理やあるいは総務長官に対する質問はありましたが、それらの諸般の施策というものと財政とは表裏一体であって、大蔵大臣のお考えも伺うし、またわれわれの期待しているところをぜひ実現していただきたいというような意味できょうは質問させていただきたいと思います。
 大蔵省当局におかれては、五十六年度の同和対策事業予算におきましても、昨年度を上回ること一〇・六%、財政再建という中で非常に努力を願っている。そしてまた、それはそれなりに成果を上げている。これは総理の答弁にもございましたが、私どももそのように理解をしております。
 問題は、いま中心課題になっている附帯決議をどうしていくかという問題ですが、附帯決議には、御存じのとおり法改正を含めて検討するということになっておりまして、そうだからといって、その改正には当然予算の裏づけがなくてはなりません。重要なことをお聞きする前段として、当然五十七年度以降におきましても残事業もございますし、それから新たに指定されたところもたくさんございますし、それからまたすでに古い時代にやったものは、もう一遍やり直さなくてはならないというようなもの等々もございますし、また自治体によっては、いろいろ間違った考えから、実際にはやらなければならないのに、うちはそういうことはないんだといったようなことを言っているところ等々もありまして、附帯決議にありますように、いま実態調査、ヒヤリングが進められております。これらから見て、さらに五十七年度以降においても、このような事業を継続してやっていかなければならないということは当然お考えいただいておると思いますが、その点はいかがでしょうか。
#53
○矢崎(新)政府委員 五十六年度の同和対策予算につきましては、いま御指摘もございましたように、きわめて厳しい財政事情のもとではございますけれども、同和対策事業特別措置法の三年延長の最終年度であることも踏まえまして、特段の配慮を払いまして一〇・六%増の二千七百九十二億円を計上したところでございます。
 いま御指摘の法期限後の同和対策事業につきましては、現在事業所管省庁におきまして所要の実態把握に努めますとともに、今後の施策の内容、方向等についての検討を行っていると承っておるわけでございますが、その検討結果を踏まえまして結論を出していきたいというふうに考えている次第でございます。
#54
○湯山分科員 この同和対策事業の長期計画は、当初四十四年の閣議決定では、前期五年と後期五年と分かれておりましたね。そして前期五年ではいま終わろうとしておるようなことをやっていく、後期五年ではそれの補充、そして総合的な対策をさらに続けていくと言っておったのが、いろいろな関係でその区切りが釈然としないでずらずらと来ている。したがって、長期計画の趣旨である後期における総合的、効果的な推進というのは十分に検討されていないわけですから、当然事業としては残っていくという性質のものだというのはおわかりでしょうか。結論だけ、時間ないですから。
#55
○矢崎(新)政府委員 同和対策の長期計画の前期、後期につきましての考え方が示されているわけでございますが、そういった趣旨に沿いまして措置をしてきたところでございまして、現在把握している所要の事業については、できる限り必要な予算措置を五十六年度で講じたいというふうに考えておる次第でございます。
#56
○湯山分科員 それは、大筋はそれでいいのですけれども、いま出ておりましたような総合的な、しかも効果的な検討というのは、いまなされておるわけですね。だから当然そういうものはあるというふうに理解していていいのですね。
#57
○矢崎(新)政府委員 先ほども申し上げましたように、現在、事業の所管省庁におきまして所要の実態把握に努力をしていただいておるという状況でございますので、今後の施策の内容、方向等についての検討を行っていると聞いておりますので、その検討結果を踏まえまして、そこで結論を出していきたいという状況でございます。
#58
○湯山分科員 細かい議論は抜きにいたしまして、検討ということももちろん大事な課題ですから、それによって対処するということですから、一応了解いたします。
 それから、特に附帯決議では地方負担の軽減、特に超過負担の問題が出ておりまして、これは速やかに解消しなければならないということも、附帯決議の趣旨にあると思うのです。そのことについて、有治省の方で毎年のように財政局長から各省へ文書通達をしていますね。概要三十秒か一分以内くらいでどういうことかというのを御説明願いたいと思います。
#59
○矢崎(新)政府委員 これは五十五年七月二十三日付で出ている文書でございまして、地方公共団体の財政負担の軽減のためにできる限り単価、数量、対象範囲等の国庫負担基準について適切な措置をとってもらいたい、こういうような趣旨に尽きると思います。
#60
○湯山分科員 そこで地方負担の割合が相当大きいと思うのですが、現在どれぐらいになっておるかというのはおわかりでしょうか。
#61
○矢崎(新)政府委員 これは自治省の方でお調べになった資料がございまして、単独事業でやっておられる分も含めた計数でございますけれども、そういったものを含めました総体の事業費の中の国費と地方費の割合を見ますと、国費の割合が五十四年度の計数で四八・四%になっておるわけでございますが、過去の推移等を見ますと、五十一年度が四一・八%、五十二年度が四四・二%、五十三年度が四五・八%、それが五十四年度には四八・四%と逐次高まっているという姿が示されているように聞いております。
#62
○湯山分科員 地方負担がかなり大きい。若干の改善もありましたけれども相当大きい。本来言えば、この法律を適用される事業であれば国が三分の二を持つ。それから起債についても、その八割は償還措置をとるということですから、地方負担は相当小さくなければならないのです。それ以外にも相当ありますから、またそれの適用にならない、しかし、どうしてもそれをやらなければできないという隣保館の土地とか保育所の土地とかそういうものもありますから、そういうふうになっておるので、これらも当然今後も検討される問題だと思いますが、いかがですか。これは附帯決議にそうなっているのですから、当然だというふうに。
#63
○矢崎(新)政府委員 同和対策事業につきましては、原則三分の二の国庫補助を行う等の措置を講じているところでございますけれども、同和対策事業特別措置法三年延長の際の附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、五十六年度におきましても、厳しい財政事情のもとで国庫補助の増額、補助単価の引き上げ等実態に即した必要な予算措置の充実を図りまして、地方公共団体の財政の負担軽減のために努力を払ってきた次第でございます。
#64
○湯山分科員 今後もさらにその努力は続けなければならないということはどうですか。
#65
○矢崎(新)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、五十六年度が法期限の最終年度ということになっておるわけでございますので、今後の問題についてということのお尋ねでございますと、現在事業所管省庁において実態把握に努めているという状況でございますので、今後の問題につきましては、その検討結果を踏まえまして結論を出すということになろうかと思います。
#66
○湯山分科員 当然だろうと思います。
 それから、そこで今日までの努力は評価いたしますが、しかし、それで実際に差別がなくなっていっておるかという今度は実態についてですけれども、法務省、見えておりますね。同和問題に対処することを目的とした。同和地区住民を対象にした特設人権相談所、そこでの相談件数、これは四十五年あたりが一万七千件くらいであったのが、今日では六万件に達しておる、実施以後六倍以上ですね。こんなふうになっているという数字が出ておりますが、間違いございませんか。
#67
○末永説明員 お答え申し上げます。
 私ども、人権相談を常設相談という形と特設相談という形でいたしております。その中で特設相談を全国でしているわけでございますけれども、同和地区を有する市町村において特設相談所を開設いたしております。その開設した際の相談取扱件数は、ただいま先生御指摘のように、昭和四十五年におきましては一万七千七百五十四件、昭和五十四年度におきましては六万百七十二件、かようになっております。ただ、私申し上げましたように、同和地区を有する市町村において開設した特設相談所における相談件数でございますので、その内容は、同和問題もございますけれども、それ以外のものも数多くあるということを御理解いただきたいと思います。
#68
○湯山分科員 いずれにいたしましても、同和問題に対処することを目的としたということは間違いありませんですね。
#69
○末永説明員 それを大きな目的の一つにしていることは事実でございます。
#70
○湯山分科員 そういうことですから、時間がありませんからこっちから申しますと、四十五年は一万台、四十六年は二万台、四十七年は三万台、四十九年は四万台、五十年は五万台、そして五十四年は六万台、非常に増加しているという事実。一方において対策事業はどんどん進んだけれども、いまのように件数はふえていっている。それから法務省が侵犯事件として処理した件数、その中のごく一部で、これは四十九年が三十五件ぐらいであって、五十四年は二百十四件、五十五年は百八十四件、こんなふうにこれも増加している。さらに市町村で処理したものは一千件を超えているというデータがありますが、間違いございませんか。
#71
○末永説明員 各年次におきます同和関係の人権侵犯事件数及び昭和五十四年度におきます市町村で取り扱いました同和に関連する事象の件数、これは先生御指摘のとおりでございます。
#72
○湯山分科員 今度の問題は大臣にお答え願いたいのですが、いまのようにずいぶんたくさん同和対策事業を進めていただいて、それなりに事業の方は進んでまいりました。しかし、いまのように同和問題に対処する目的で開設した特設人権相談所の相談件数は、四十五年の一万台が五十四年六万台というように非常にふえているし、これはほっておけないというのは法務省で処理した件数も、四十九年の三十五から五十四、五十五年と大体二百件増加しています。これはまことに奇異な現象のようですが、私はそういう対策が進んで、地区住民が従来泣き寝入りしていたことが泣き寝入りしない、権利意識に目覚めてふえたことで、このこと自体決して悪いことだとばかりは思っておりません。
 ただ、ここで大臣にひとつお考えいただきたいのは、差別というものの本質は、物の問題ではなくて意識の問題だ。差別意識というものが根底にあって事件が発生するのであって、その意識の問題は、せっかく財政的に御配慮願ってもそれだけでは解消しない。のみならず、そういう基本的に差別の意識をなくしていくんだという根底がなければ、せっかく出したお金も、場合によっては逆差別の事件が起こっている、あるいはまたそれに安住するあるいはその扱いをめぐっていろいろ問題が起こって、むしろそれは差別解消の逆になっている、残念ですけれども、そういう事態もあると思います。やはり何といっても根本は差別意識をなくするという基本的な立場に立たなければ、せっかく出していただいたお金も生きてこない、こういうことを私はこれらの資料から痛感いたしておりますが、このことについて大臣のお考えを伺いたいと思います。
#73
○渡辺国務大臣 差別発生の問題は、憲法に保障された国民の基本的人権にかかわる重大な問題であります。私は根本問題というのは全く意識の問題だと思っておるのです。物、金だけで解決つく問題でない、教育の問題だと思いますね。私は北の方、栃木県なんですが、私の選挙区にはそういう話は実際問題として余り聞いたことがないのです。ですから、皆がそういうことは頭の切りかえといいますか、古い頭はいかぬですよ。人間はだれもが基本的に平等なんですから、差があるはずがない。だからそういう考えでやっていかなければいかぬ。したがって、そういうような行政や教育やいろいろな面で、そういう差別意識を持たせないように徹底をさせることが必要だと私は思っております。
#74
○湯山分科員 非常にりっぱな御意見を開陳していただいて敬服いたしております。
 そこで問題は、最初申し上げましたように、いまの措置法をどうしていくかということで、附帯決議の趣旨、それから従来この法律については四党協と申しまして、当初から取り組んできた各党の協議会がございます。そこでもいまいろいろ討議を進めておりますが、この附帯決議の第一項にございますように、「速やかに法の総合的改正及びその運営の改善について検討する」という中で、今日までそれなりに成果をおさめていただいた同和対策事業特別措置法を、本来同対審の答申というのは「事業」という言葉が入っていないのです。同和対策の「特別措置法」をつくれ、こうなっていますので、いま大臣がおっしゃったように、今後の同和対策の方向というのは、事業のみに限定しないで、おっしゃったような人権あるいは労働、教育、福祉の啓蒙、そういうものにうんと重点を置いた方向へ法律も改正しなければならないというように私どもは考えて、四党協の作業も進めておりますが、何しろそれにしても財政当局のお考えというのは、常にその根底をなす、ある意味で非常に重要なので、法改正の方向としても、そのような方向でなければならないということを考えておりますが、これについても大臣のお考えを伺いたいと思います。
#75
○渡辺国務大臣 私は、同和対策の問題については、物の問題よりも、先ほども言ったように、同和に対する啓発、変な意識をなくさせる、こういうことに重点を置くことが必要じゃないか。したがいまして、いまいろいろ検討しておるそうですから、関係各省庁と協議をして、その検討結果に基づいて結論を出していきたいと考えます。
#76
○湯山分科員 おわかりになっていることに重ねてお聞きいたしますが、いま進めておる総理もお約束した改正の方向としては、いま大臣が言われたような法改正の方向としても当然そうあるべきだ。しかも、それはおっしゃったように、意識の改革ということになれば、そう三年間に区切ってとか二年間でできるという問題じゃなくて、かなり長期にわたってその施策が進められなければならないというように私どもは考えて作業をしておりますので、大蔵大臣のお考えも同じであると理解してよろしゅうございますか。
#77
○渡辺国務大臣 私は先ほどお答えをしたとおり、各省庁の検討結果を待って結論を出したいと思っております。
#78
○名本説明員 ただいま大臣がお答えになったとおりでございますが、先生おっしゃいましたように、四党間の協議、それから政府におきましては総理府が中心になって検討いたしておりまして、早急にこの同和問題を解決するための方策の内容、その方向というものを今後詰めていく、それに大蔵省としても協力してまいるという考え方でおります。
#79
○湯山分科員 いまおっしゃったことに関連して、若干の懸念があるものですから、大蔵省としては、それは決まれば金のことだけやればいいんだからということじゃなくて、財政当局の姿勢もまた同じように、物の面だけのように見えるけれども、実際はそうじゃなくて、そういう予算措置をするその腹構えとしては、やはり意識を改めていかなければならないんだというお考えを根底に置いてやっていくということが必要ではないか。そういうことならば、普通の道路をつけるとか橋をかけるとかいうように、これで切れる、ここでぴしっと切れるというものじゃなくて、これは相当長期を要するものだということも、そういった根底に認識しておかなければならない問題だというように私ども思っておるわけで、大蔵省もまた同じようなお考えかどうか。それだけですから。
#80
○名本説明員 附帯決議にもございますように、啓発というのは大変重要な問題でございまして、物とはまた別の形で考えていかなければならない。そういう問題が非常に重要であるということを十分踏まえまして、各省十分協議をして、先生のおっしゃることも念頭に置きながら検討をしてまいらなければならない、かように考えております。
#81
○湯山分科員 いまの問題は非常に大事な問題ですから、大蔵大臣からも、そのとおりならそのとおり、考えていく。これは別に他意はありません。基本的にそういう御理解をもって臨むという大蔵省の姿勢としてひとつ御答弁願います。
#82
○渡辺国務大臣 私はやはり物の問題というよりも意識の問題である、したがって、そういう意識をなくしてもらうことは、みんなが常にやっていかなければならない問題だと思っております。
#83
○湯山分科員 そこで主計局次長、最後の細かい問題になりますけれども、総理が五十七年度の概算要求に間に合わせるように努力するという御答弁がありました。これは予算の総括での野坂委員の質問です。検討の結果どうなるか別ですけれども、地方自治体なり各省が安心して概算要求の作業に取り組めるというのにはいつまでに法改正ができればいいですか。
#84
○名本説明員 私からお答え申し上げます。
 概算要求時点をめどにいたしまして方策の内容、方向を詰めてまいりたいということで大蔵省もそれに協力をしてまいりますが、法律をどうするかと申しますのは、施策の内容、いろいろなものが出そろいまして、それをどういうふうに法律で扱うかということになろうかと思いますので、そちらの方につきましては、その段階ですでにでき上がっているかどうかということは、見通しとしてはちょっと申し上げかねますけれども、概算要求を出しますまでには、各省がどういう方向で概算要求を出してまいるかということについて方向を出すように努力してまいるということでそれをやっております。それに大蔵省としても十分努力してまいりたいと思います。
#85
○湯山分科員 余り気にしないで言ってください。それから時間がありませんから、一般論として……。
 この措置法には三分の二補助とか起債について八割の償還措置はとるとか特例がありますね。そういうことが確保されるのかされないのかわからないと概算要求できませんね。だから、それがこの前のように、政府の申し合わせてそれぞれ通達というようなんじゃなくて法律がきちっとできて、法律の裏づけがあって、それによって概算要求を検討するのが正しいでしょう。できるできないは別ですから、ごく機械的に答えていただいて結構です。それには一体いつまでに結論を出せばいいということになるかということです。
#86
○名本説明員 概算要求段階におきまして、いわゆるかさ上げ立法のような法律がなければならないということでもございませんのです。政府としての方針が明らかになるならば、いわゆるかさ上げ立法は、予算関連法としてその後の国会におきまして御審議をちょうだいすれば、時間的には間に合う問題である、そういうふうに思います。
#87
○湯山分科員 委員長、あれでいいですか。答弁、ちょっとわからぬでしょう。
#88
○塩崎主査 もう一遍詳しく答弁してください。名本審議官。
#89
○名本説明員 概算要求段階におきまして、政府としてどのような対応をしてまいるかという方針が決まっておりますならば、要求はその方針にのっとってできるわけでございまして、実際問題としまして、いわゆる予算関連法案といたしましての補助率のかさ上げの立法が必要である、そういう問題はいずれ予算関連法案といたしまして国会で御審議いただけばよろしい問題ではなかろうか、かように考えるわけであります。
#90
○湯山分科員 これは予算関連法案の処理と違うのですよ。いまの特別措置がついていますからね。それがあるのかないのかわからないと地方でもできないでしょう。だから、どうしても政府が来年度はこうするんだ、そういう構えで要求せよとかなんとか指示が要るはずです。この前、三年前には実はそうしたのです。これは正しいやり方じゃない。正しく安心してやれるようにするには、いつごろが限度かと言えば、やはり概算要求までに結論を出す、法律ができておれば安心してやれる、そうでなければいろいろな便法を講じなければならない、こういうことでしょう。それだけ。
#91
○塩崎主査 名本審議官。時間がありませんので、簡潔にお願いします。
#92
○名本説明員 先生のおっしゃるとおり従来からの予算の組み方、予算関連法案ということからまいりまして、概算要求をいたします段階におきまして、どういう方針で政府が補助事業について対処していくかということがはっきりいたしておりますならば、それに従って予算要求ができるわけでございますので、先生御懸念のような事態は発生しないというふうに理解いたします。
#93
○湯山分科員 もう答え要りませんけれども、いままで続いたのが消えるのですよ。そこが違うのだから。そこをあなたは無視して答弁しておられるから合いません。それを無視した答弁だからいただけない。もう一遍また個別にでもお聞きします。
 以上で終わります。
#94
○塩崎主査 これにて湯山勇君の質疑は終わりました。
 次に、新村勝雄君。
#95
○新村分科員 私は土地区画整理組合の事業に関する課税の問題についてお伺いしたいと思います。
 土地区画整理組合法による区画整理は、現在の宅地不足に対応するため、あるいはまた良好な住宅地帯をつくるためにきわめて有効な手法として盛んに全国で行われておるわけでありますが、この施行に関して課税の問題が実は起こっておるわけであります。
 それは、区画整理組合の事業が完結をしまして、それが清算の段階になった場合に、本件の例では減歩卒が当初の予定よりも少なくて済んだ、そのために構成員に対して追加換地をする必要が起こったということであります。この追加換地に対する課税の問題が実はあるわけであります。これは千葉県下の実例でありますけれども、税務当局ではこの清算の段階における追加換地に対して課税をする、こういう方針のようでありますけれども、その方針についてまず伺いたいと思います。
#96
○小幡政府委員 お答え申し上げます。
 土地区画整理法によりまして土地区画整理事業が施行された場合におきまして、いまのお尋ねのように減歩が当初計画よりも減少した。つまりそれが変更された換地計画に基づきまして、換地処分によって換地のみを取得したという場合には、これは換地処分によりまして譲渡した方の土地の譲渡はなかったというふうにみなされますので課税関係は生じないということになるわけでございます。しかしながら、その土地区画整理組合から当該組合員の方々が、土地区画整理組合が持っております保留地を組合から低廉で譲り受けたというふうな形態になっております場合には、その取得をいたしました保留地の時価とそれから実際に組合から低廉で譲り受けました譲り受け価格との差額というものが一時所得の収入金額になる、こういうことになるわけでございますので、その具体的な例におきまして、それが変更された換地計画に基づきます換地処分として取得したものであるのか、あるいは区画整理組合が持っております保留地を購入したというふうな形態になっているか、それによって課税関係が異なってくる、こういうことでございます。
#97
○新村分科員 そうしますと、まず第一点を確かめておきますが、換地計画を変更して、ということは、これは換地計画を知事に出して、その認可を得て、正式の計画変更ということで追加の換地があった場合には、その追加換地に対しては課税をしない、こういうことですね。
#98
○小幡政府委員 そのとおりでございます。
#99
○新村分科員 正規の手続を経てそういうことになった場合には、それでいいということでありますけれども、実際に事業を運用する場合にはなかなかおっしゃるとおりにはいかないわけです。というのは、その手続を経ますと半年も一年もかかるというのが実態であります。こういう問題については、すでにもう行政改革の問題としても取り上げられておりますけれども、一つの行為をする場合に行政庁の認可を得るまでには大変な時間を要する。また時間を要するということは大変な手続も要するわけであります。それと同時に、こういう場合には、早速そこを処分をして入居者を決めなければいけない、あるいは入居した人はすぐにそこを担保にして家を建てなければいけない、そういう問題も起こってまいるわけであります。いろいろの区画整理の主体である組合の問題としても、あるいはまたそれを売る立場の個々の地主にいたしましても、そこを買って家を建てる人たちにいたしましても、いろいろそういった問題が起こってくるわけでありまして、半年も一年も実際には待っておられない。こういう場合には便法をもってその残地を各メンバーに分配する場合があるわけであります。そういう場合でも、これはやはり実態が追加換地という形でメンバーに処分されるのであれば課税すべきでないと思うのです。
 その一つの具体例として、この場合にはこういうことをやったわけです。売り渡しをしたのではなくて、民法六百四十六条の二項に基づいて保留地を各メンバーにその比率に応じて返す、こういう措置をとったわけであります。ですから、この場合には実態的には、先ほど答弁のありましたような形でやったのと全く同じです。買収ではなくて、土地そのものを追加換地という形で実態的に各メンバーに返還をしたということでありますから、その場合も正規に手続をして追加換地を受けたのと同じとみなすべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょう。
#100
○小幡政府委員 土地の譲渡に関連いたします課税処理の問題につきましては、いろいろ問題があるということで、詳細に法律で定められておるわけでございまして、ただいまの件につきましては、先ほどお答え申し上げましたような税の仕組みになっておるわけでございます。
 ただ、具体的ないまのお尋ねの件につきましては、具体的な問題として、また後はとても詳しくお話を聞かしていただけますれば、それが該当するかどうかということについてさらに詳細に検討いたしたいと思いますが、法律の基本的な筋組みは、先ほどお答え申し上げましたとおりになっておりますので、いかんともしがたいということであろうかと思います。
#101
○新村分科員 先ほどの答弁の例とは違うのです。先ほどの御答弁の趣旨は、余った土地を安く売り渡す、こういう場合には課税されるということですね。それはやはりそこに問題はあろうかと思いますけれども、本件はそうじゃなくて、売り渡してはないわけです。売り渡してはなくて、余った土地を――余ったと言うと表現は適当でありませんけれども、減歩卒が低くなったために残地ができた。その土地を、もちろんこれは売り買いではなくて、先ほど申し上げたように民法六百四十六条の二項に基づいて分配をしたということであります。この点についての解釈でございます。
#102
○小幡政府委員 土地区画整理法に基づきます土地の換地処分というふうなものに該当するケースであるのかないのか、ちょっといまお伺いした限りでは私どもよくわからない点もございますので、ひとつ後ほど詳しく事情をお聞かせいただきまして、またお答えさしていただければありがたいと思います。
#103
○新村分科員 いま申し上げたことでこのケースおわかりいただけませんですか。売買ではないのです。売買ではなくて、清算の段階で減歩卒が低下をしたために土地が余った、その土地を売買ではなくて組合が各メンバーに配分をしたということです。ですから換地処分と同じです。本来ならば、当初から正確に将来の見通しがついていれば三〇%で計画をして、当然後で追加をした分は当初の換地の中に含まれるべきものであったわけです。ところが計画がそのとおりにいかなかったために一〇%ほど減歩卒が低くて済んだ。そのために土地が余ったわけであります。その土地を売買ではなくて、当初の換地に含まれるべきものでありますけれども、追加をして換地をした、こういうことであります。ですから先ほどの答弁とは全くその内容が違うのでありますが、その点です。
#104
○小幡政府委員 ちょっと私ども理解が不十分であるかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、土地区画整理組合で土地が余ったということは、どうも法律的にいきますと土地整理組合の保有地がそれだけあって、それを組合員に配分をした。それを配分したということは、やはり組合員に時価よりも低廉な価格で譲り渡したというふうな仕組みにどうもなるのではないかという気がするわけでございますが、そういたしますと、先ほど私が、冒頭申し上げましたことと同じことになるのではないかという感じがするわけでございます。
#105
○新村分科員 いや、それは全く違うのです。これは全く性格が違うのですよ。譲り渡したのじゃなくて、現在の経済の変動がありますから、地価も上がりますから、それからまた区画整理の事業をする、事業費だって変動がありますから、当初の予定どおりなかなかいかないのですよ。それが減歩卒が上がるという場合は、組合自体の問題になってきますけれども、これは見込みよりは下がったわけですね。見込みより下がったということは、地価が上がれば見込みより下がるのです、保留地が高く売れますからね。ですから、下がった結果、土地が余った。余ったその土地を売り買いではなくてメンバーに配分をしたわけでありますから、これは別の言葉をもってすれば、本来ならば追加して分配した土地というのは、最初の換地に含まれるべきものですよ、正確に計画どおりにやられれば。ところがそれができなかった。狂った。狂った結果土地が余った。余ったから追加したのだということでありますから、そこに課税をされたら大変なんですよ。第一線の税務署はそれにいま課税をしようとしておるのですよ。これは大変な問題なんですよ。何億という税金がそこから不当にと言うと語弊がありますけれども、不当に取り上げられようとしているわけです。ですから、これは緊急の問題なんですよ。いまの三月の確定申告ですぐ問題になるのです。ですから、緊急に答弁をいただいて、正当な課税をしていただかないと困るのです。
#106
○小幡政府委員 ただいまの、土地区画整理組合でいろいろ事業をいたしまして、その結果、たとえば経費が当初よりも安く上がった、あるいは保留地の価格が当初予定したよりも高くなった、そのために保留地が全体として多くなる、組合員にその分を分けるということになりますれば、やはり一時所得、組合員にとってみれば一時所得と言わざるを得ないわけでありまして、そういう事態にならないためには、冒頭申しましたように、換地計画そのものを都道府県知事の正式の変更認可の手続をとっていただきまして、そしてその変更されました換地計画に基づいて換地をするということであればこれは課税にはならない。そういう土地の譲渡関係につきましては、特別にそういう土地の譲渡がなかったものとみなす場合についてきわめて限定的な書き方をしておるわけでございますので、そういう条件に当てはまった場合には、それは土地の譲渡はなかったものとみなすということで、課税関係は起きないわけでございますが、それ以外の場合には、やはりそこにどうしても一時所得の発生というふうに言わざるを得ないというふうに思います。
#107
○新村分科員 実態は全然一時所得でも何でもないのですよ。そうしますと所得税法における所得とは何かという議論になってきますけれども、所得でも何でもないのですね。区画整理を施行して、その結果として、これは換地として自分がたとえば一定の土地を出すのですよね。ですから、それに対して六割なり七割なり換地として返ってくるわけです。返ってくる土地ですよ、換地ですね、実態的に。それに対して課税をするということはどうも納得ができないんです。こういう場合に、確かに正規の手続からすれば、知事の認可を得て計画変更をやって、それに基づいての追加換地であればよろしいということでしょうけれども、それと全く同じなんですよ、実態的には。何ら所得でも何でもないわけです。自分の土地を返してもらって、それに対して課税されるということは全く不合理、これは恐らくだれも納得できないと思いますよ。こういう場合にみなすということができないですかね。返してもらう土地は追加換地とみなす。返してもらうんですから、これは所得じゃなくて、自分のものを一時組合に預けたものを返してもらうんですから、自分の預けたものを返してもらったそのときに税金がかるというんじゃちょっと納得できないのですがね。どうなんですか。
#108
○渡辺国務大臣 それは、幾らここで押し問答やっても恐らく時間がたつだけで解決つかぬと思うのですよ、こちらは制度論で物を言っているわけですから、あなたは個別案件で物を言っているわけですからね。だから、制度論で言うと、やはり大事とりますから、一律にそういうふうなことを、法律に書いてあることと違うことは言えないわけですよ。だけれども、実態論がどうなのか、なぜ換地の変更ができないのか。一年、半年おくれるだけでしょう。おくれてはなぜ悪いのか。それを、換地の手続をとらないうちに土地を自分のものにしてしまわなければならない、登記から何から。そういうことを言い出すと、それは国税庁の言う話になってしまうのです。そこらのことは、実態論から言えば、あなたの言うようにおかしいという議論もある。手続論からすればまた別な意見もありますから、後日、時を改めてもっと個別の案件としてよくわかるように国税庁に行って相談をしてください。それは実態に合うように処理するのがいいに決まっているのですから。ただ、制度論としてできるものを農民側がやらないでわがままなことを言っても、それは通用しない場合がございます。だから私は、ここではっきり決めちゃったらできるものもできなくなるから、これは法律論で言うわけだから、一遍政府がしゃべっちゃったらできるかもしらぬこともできなくなってしまう。だから、これは余りここで詰めないで、よく相談した方がいいじゃないですか。
#109
○新村分科員 大臣、それは結構だと思います。思いますが、いま大臣は個別の問題とおっしゃいましたけれども、これは個別の問題で決してエゴを言っているわけじゃないのですよ。こういう例がたくさんあると思います。ありますけれども、それがいままでは施行者の不利な形で一方的に課税されてきたと思うのですよ。そうだと思う。だから、そうじゃなくて、これは個別な問題では決してない。これは一つの一般的な事態なんです。決して個別のエゴを申し上げているのじゃないのです。エゴじゃない。区画整理問題に随伴して起こる一つの現象ですから、そういう問題として今後大臣にもお願いするし、別の問題として、いまだめだとおっしゃれば後で詰めていきたいと思いますので、その点、ひとつ十分御配慮をいただきたいと思います。
 それから、やはりこれに関連をするんですが、そういう形で保留地を売却をした場合、これは税金がかりますよ。売却をした場合当然かかりますけれども、その場合長期譲渡になるのか短期譲渡になるのかという問題がありますね。この点はどうなんですか。
#110
○小幡政府委員 換地処分によりまして取得した換地を譲渡した場合どうかということでございますが、これは従前の土地の取得の時期を引き継ぐということになりますので、その時期いかんによると思いますが、長期譲渡になっている場合が多いかと思います。
#111
○新村分科員 そうしますと、後の問題もあるのですけれども、実は一番先の問題が解決しないと、回答いただかないと後の問題もだめなわけでありまして、この問題は保留をして、きょうはこれで終わりたいと思います。大臣にはこの点、後で十分お願いに参りますから、ひとつ御検討いただきたいと思います。
#112
○塩崎主査 これにて新村勝雄君の質疑は終わりました。
 次に、渡部行雄君。
#113
○渡部(行)分科員 最初に大蔵大臣にお伺いいたします。
 実は二線引き畦畔という問題があるわけですが、そこで太政官布告というものが明治元年十二月十八日に第千九十六号というのですかで出されておるわけです。そこに「拝領地並びに社寺等除き地のほか村々の地面はもとよりすべて百姓持ちの地たるべし」云々と書いてあるのですが、この意味をひとつ御説明願いたいと思うのです。
#114
○楢崎政府委員 古い話でございますので、私から答弁させていただきたいと思います。
 先生よく御承知のとおりに近代的な土地所有権は明治五年、地所永代売買の解禁ということで始まったというぐあいに理解をいたしております。それ以前におきましては、近代的な土地所有権という制度あるいは概念というものがございませんで、領主による領有権の制限のもとにおいて農民が土地使用権を持っていたというぐあいに考えられております。
 先生御指摘のように、太政官布告千九十六号、明治元年に出ておりまして、それには先生がお話しのような文章があるわけでございますが、この布告につきましては、一般的には、当時武士が大政奉還等武士の社会が崩壊するというようなことを見込みまして農地を買い、この場合、農地と申しましても使用収益権に当たるというぐあいに思うのでありますが、それでしかも村の役夫を負担しないで村方に難渋をかけていた、土地は持っているけれども課役に応じないというようなことがあったために、村々の難渋を救うために、このような太政官布告が発布され、村費や課税の徴収権を図るということを目的としたものであるというぐあいに考えられているというふうに理解をいたしております。
#115
○渡部(行)分科員 私は、近代的な法体系ができたとかできないとか、そんなことは関係ないと思うのですよ。土地というのは、この地球ができたときからあるのだし、土地と人間との関係は地球上に人間があらわれたときからできているのですから。ただ、勝手に人間が、ある一つの国家体系ができたりあるいは法律体制ができたりして、そこで近代化だとかいろいろつけただけのことで、これはもともと農民が所有――領主が所有したと言えばそれまでですが、実質は農民が使用収益、管理、一切占有をやってきているわけですよ。たまたま明治元年になって今度はこのような太政官布告が出たのですから、この太政官布告の中身を解釈した場合にどうなるのかということを聞いているのです。私はそれ以外のことを聞いていないのですよ。この条文をあなたは読んで、これはどういうことなのだということなのです。
#116
○楢崎政府委員 太政官布告一千九十六号、明治元年十二月十八日に出たものでございますが、それは先ほど先生言われましたように「拝領地並びに社寺等除き地のほか村々の地面はもとよりすべて百姓持ちの地たるべししかる上は身分違いの面々にて買い取り候節は必ず名代差し出し村内の諸役差し支えなく相勤むべく申し候事」こういうぐあいに書いてあるわけでございます。したがいまして、先ほど御説明をいたしましたように、この太政官布告の目的は、当時百姓でない武士たちが、それらの土地を「買い取り」と言うと近代的な買い取りのように聞こえますが、使用収益権を譲り受けたということだというぐあいに思いますけれども、「身分違い」のそういう人たちがそれを買い取って村々の夫役に応じない、それについて禁止をした。必ず名代を差し出して、夫役「相勤むべく申し候事」こういうぐあいになっているように理解をいたしております。
#117
○渡部(行)分科員 あなた、非常に勝手な解釈をしていると私は思うのだ。この「身分違い」というのは、何も武士だけを指しているのじゃないですよ。当時、士農工商という身分の違いがあったので、いわゆる農民以外の人が買うこと、もし買った場合は届け出をして、それは租税を納めなさいということでしょう、言ってみれば。しかし、これは拝領地と寺社以外の土地は農民のものだということをまずここで宣言しているのじゃないのですか。どうですか、それは。
#118
○楢崎政府委員 先ほども申し上げましたけれども、いま所有というように先生御発言になりました。所有権というのはそれより後の時代に確立をしたものであるというぐあいに存じております。この当時におきましては、先ほど申し上げましたが、土地の所有というのは、領主による領有権というのがまず最初に大きなかさとしてかぶっておりまして、そのもとにおいて農民が土地の使用収益をしていた、こういう形態であったのではないか、かように存じております。
#119
○渡部(行)分科員 これは明治元年ですから、明治維新後ですね。そこで、昔は所有なんという言葉は余り使わなかったのでしょう。「持ち」という言葉を使っているのですよ。「百姓持ち」というのは、いまの言葉で言うならば、百姓の所有として認めるということですよ。あなたはどういう気持ちでそういうむずかしい解釈をするのか知らないけれども、大臣は至って簡明な判断をする方ですから、ここはひとつ、大臣はどういうふうにこの文面をおくみ取りになっていますか。
#120
○渡辺国務大臣 私は法律家じゃないので、よく……
#121
○渡部(行)分科員 いや、文章を読めたらその意味でいいのですよ。
#122
○渡辺国務大臣 これは「百姓持ち」というのだから、もともと農家が持っていたものだということを政府が布告したのじゃないか、こういう意味なんですね。
#123
○渡部(行)分科員 そうです。
#124
○渡辺国務大臣 いきさつがいろいろあるから、よく私はわからぬので、専門家にちょっと解説をさせますから。
#125
○楢崎政府委員 勝手に解釈をしているじゃないかと申されますが、先ほど申し上げましたように、この太政官布告は租税に関しての布告でございまして、土地所有権を確定するためのものではないのではないかというぐあいに思っております。
 また、一般的にも、学者は、先ほど申し上げましたように、当時武士が先を見越して農地を買った、しかも町の役夫を負担しないで村方の難渋を醸したことに対するために発布されたものであって、村費や課役の徴収権を確保することを目的としたものである、これが一般的な学説であるというぐあいに考えております。
#126
○渡部(行)分科員 それは全くうそだと私は思います。学者はいろいろな論説というか論文、そういうものを出しますね。そういうことを言う学者もいるかもしれませんよ。第一、法律の解釈なんというのは、いつでもシロとクロと全く違った解釈が出てくるわけですからね。人の命をとる死刑の判決すら無罪になってしまう場合もあるのです。だから、そんなものをさも金科玉条のように思っていることはとんでもない話で、私は実際に先祖からいろいろな言い伝えを聞いているのです。その当時は税金が重くて、百姓ですら土地を放した人がいるのですよ。ましてや武士が土地を見越して買ったなんという証拠はどこにありますか。百姓が山を持てと言われても持ち切れないと放して、土地をなるべく収益の上がる土地だけに集約した時代なんですよ。それをそういう解釈をしてごまかそうといったって、あなた、そうはいかぬですよ。そしてこれは免租のためだとか租税のためだと言うけれども、その後で免租地のあれがあるでしょう。大体いまの字限図面というのはなぜできたのか。この二線引きというものはなぜできたのか。すなわち二線引きというのは畦畔なんですよ。たんぼに付随する畦畔なんです。田畑に付随する畦畔なんです。その畦畔は何ら収益が上がらぬ。だからそこは免租地として除外しよう、本当に収益の上がるところだけを租税の対象にしようというので図面をかかせたのです。この図面というのは、いまは公図として法務局にありますけれども、一番最初は各村々に絵図面としてあったのですよ。そしてその図面の作成は村々の人が寄り集まってつくったのです。だから、その図面は非常に不正確で、もちろん面積なんかはそこでは出てこないわけです。ただ、所有者がどの辺の土地を持っているかという、そういうものはそれを見ればわかるけれども、その際にこの免租の対象として残ったのが、いわゆる無番地のいまの二線引き畦畔なんです。このことには間違いないでしょう。
#127
○楢崎政府委員 畦畔が成立した過程は古いことではございますが、大体先生のおっしゃったような過程を経て畦畔が二線引き畦畔として今日残っているというぐあいに思っております。
#128
○渡部(行)分科員 そこで、そうだとすれば、まず明治元年に、一応公式に拝領地や寺社地以外の土地は農民のものだと認められた。そして今度はいよいよ租税をはっきりさせるために、この字限図面、つまり当時の絵図面というものをつくらせて、そして所有者と地番をそこに書き入れた。ところが、その租税の対象にならないのは書き入れなかったのです。それがいまのいわゆる白地の部分で二線引き畦畔と言われるものなんです。それではその畦畔とは何だというと、畦畔というのは田畑を支えるに必要なあぜやあるいはくろなんです。これを畦畔というのです。だから本地に付随して初めて畦畔になっているんですよ。本地に付随しないのは、これは原野でしょう、言ってみれば。だから当然本地と畦畔というものは切り離すことのできないものなんです。そこで、田畑とは農耕に使用しておる土地及び土地を維持するに必要な土地、「畦畔と称するものは田畑の界にあるものなり」こういうふうにはっきり、これは明治九年五月の内務省議定において規定づけているのですね。しかも、大臣は非常に物わかりがいいというもっぱらの評判ですから、大臣、ちょっと見ていただきますが、こういうことなんですよ、いま言う国有畦畔というのは。これが国有畦畔になっている。それから、これ、皆そうですよ。この畦畔を取ったらどうなんです。崩れてなくなってしまうでしょう。こういうものをいまになって、字限図面を見てみたら番地がないから、これは国のなんだという理屈にはならないんじゃないでしょうか。番地がないから国のものだというのはなぜだと、私はかつて詰めたことがあるのですよ。そうしたら、これは無主の土地だというのですね。いわゆる所有者がいないというのです。無番地だから登記もされていない。だからその所有者を立証することができないわけです、公簿の上では。しかし、これは先祖伝来耕作したり、管理、収益をして、百姓は自分のものだともう信念を持って観念しているのですよ。それを今度、ただ帳簿の上で、おまえのじゃない、これは国のものだという理屈は成り立つでしょうか。そんな理屈が成り立つとすれば、私がいま大臣の下着を、名前が入ってないからそれは私のものだと言った場合、これは争いになるということですよ。いままさに大蔵省がやらんとしているのは、やらんとしてではなくて、やっておるのは、こういうことなんです。それはなぜかというと、これは関東財務局からの一片の通達でそうなったのです。明治以来今日までそれこそ何の問題はなかった。それがいまこういうふうになっているので、農民は本当にもう怒り心頭に発しておるという状態なんです。これはいま京都あるいは神奈川、そういうところに出てきて、そのために今度は国土調査がおくれて遅々として進まない。それはそうでしょう。自分の土地に時効取得の手続をするばかはないでしょう。それは自分のものか、だれのものかわからないときに初めて仮抗弁を用いて、仮にあなたのものであっても、私は十年以上無事平穏にこれを使用収益、管理をしてきたという主張をして、初めて時効取得になるのだから。ところが、先祖伝来、自分のものだと信じているものに、どうして時効取得の手続をしなくちゃならぬでしょう。これは大臣、ひとつよく考えて御答弁願いたい。
#129
○楢崎政府委員 先生いま御指摘になりましたように、畦畔というものが隣接の田畑と機能的にくっついているということは、そのとおりだろうと思います。しかし、私どもが言っておりますのは、機能的にくっついているかどうかということを申し上げているわけではなくて、所有権の話を申し上げているわけでございます。その所有権につきましては、先ほど申し上げましたけれども、明治五年、地所永代売買の禁止の解禁というところから始まりまして、改正地所名称区別とか地租改正条例等を経て確立をしていった。その間におきまして民有地と官有地の区分がなされ、近代的な土地所有権の表示がなされ、そしてそれが確定をしていった。このような過程を経ているわけでございます。その過程におきまして、先生がおっしゃいました畦畔につきましては、先生よく御存じだと思いますけれども、内畦畔あるいは外畦畔と
 というような形で、それは免租地として認められ、しかし、外あるいは内というぐあいに登記された過程におきまして民有地であることが確認をされ、そうした形で積み上がってきたものであるわけでございます。
 御指摘の二線引きにつきましては、そういう所有権の確定を通じた際に民有地とされなかったもの、すなわち改正地所名称区別におきましては、民有地にあらざるものは官有地とする、官有地第三種という規定が出ております。その過程において官有地となった、このように理解をしているわけでございます。
#130
○渡部(行)分科員 官僚の方を私がきらいなのは、もう文句をただたどって、実態を全然考慮しようとしないというところなんです。文言だけを尊重して、実態と文言との関係というものを考慮しようとしていない。だから、いまのようなことが出てくるのです。そもそも法律が出るというときには、ある程度そういう慣習か何かで事実ができ上がっているのですよ。ばかんと何もないところに法律を出して、そしてそれに合わせるなんと言ったら、社会は混乱しますよ。だから、その所有権の明治五年の確定というのは、すでにそういうことを近代法体系にするために、手初めとして手がけたものにほかならないのです。だから、もうそういう文言にこだわらないで、実態というものをもっと考えて対処していただきたい。
 これで時間がありませんから、次に進みますが、そこで私も大分これを追及して大蔵省通達も非常に改善されたことは認めます。ところが、ここにこういうことがかかっているのですね。最近出た通達ですが、これは昭和五十四年十二月五日。これに「隣接本地に係るものは除く。」という項目があるのです。2の(1)の中です。ところが、こういう手続をやっていると、結局この本地に隣接しない畦畔はないのですから、そうすると、これは全筆ごとに登記簿謄本を必要とする。しかも閉鎖登記簿謄本まで必要とするとなるとこれは大変なことなのです。しかも国土調査というのは知事の認証を経て確定するものでありますし、その前にもう国土庁からの指導等がおりているわけです。だから、その認証の結果で承認してやれば何の手続も要らないのです。しかも現実には境も何もないのですから、二線引きなんというのは。形もないのです。ただ昔の字限図面にその部分が残っているから、現在実測した図面とそれを照らし合わせて、この中には二線引き畦畔があるなどいう推定をするだけなんです。だから実態に合わせていくには、そういう認証の段階でこの字限図面と照らし合わせて、これはなるほど二線引き畦畔で、先ほど言ったような性格のものだ。どうせ手続をすれば、文句なしにこれを時効取得と認めて農民の名義にしてやるんだから、そんなよけいな手続要らないじゃないですか。そういう手続は非常に国益にかなわぬと私は思うのですよ。国が損をしている。いま一方において行政整理をやろう、行政改革をやろうというので、臨調だってつくって、第二次臨調がいま始動してきておる。そういう中でますます事務量を大きくしていったら、まさに二律背反だと私は思うのです。こういうやり方をしないで、かつてはあの関東財務局の通達が出る前は全部個人で直したものです。いわゆるいまの登記法の中で、隣接地の判こをとれば、あとは地籍訂正で全部直せたのです。ところが、その通達によってそれがスナップを食っておる、そういうことなんです。だからこれを何とか大臣、そういうむだな事務を省いて、そして、しかも登記簿というのは必ずいまの測量図面をつくるときには所有者と照合しなければならぬのです。そして測量には隣接する人たちの立ち会い、これが義務づけられているのです。だから、これは屋上屋を重ねるようなものでちっとも国のためにも益にならないし、また個人のためには最も損害が出る。登記簿を一件とったって大変です。印紙税だけで三百五十円するのです。強いて言うなら、その印紙税が欲しくてやっているのかどうかしらぬけれども、そういうみみっちい考え方はやめて、国土調査がこんなにおくれている段階ではもっとひとつはっきりとその辺は決断していただきたいとお願いします。
#131
○楢崎政府委員 先ほど現実を見ておらぬというおしかりを受けましたが、私は実は法律論として申し上げておりました。現実の姿において田畑の畦畔につきまして、隣接する方々がそれを使用収益しておられるということは、私どもも十分承知しているわけでございます。そしてその上に立ちまして、時効取得を申請があれば認めていくという立場をとっていることは、先生よく御存じのとおりであろうかと思います。さらにまた国会の中におきまして、先生を初めとしていろいろな御議論がございました。本件の取り扱いの簡素化をいろいろ御提案いただいているわけでございます。そういう上に立ちまして私どもも時効取得の取り扱いをできるだけ簡単にしたいという趣旨で、先生先ほど言われました五十四年通達を出したわけでございます。その通達を出すに当たりまして、地籍調査をやっておるところにつきましては、地籍調査の実施機関がいろんな調査をしておりますので、その成果を活用するということで、たとえば公図であるとか実測図であるとか住民票であるとか、そのようなものは一切不要であるというぐあいに簡素化をいたしました。
 そこで、お申し越しのありました隣接地の謄本でございますが、私どもとしますれば、取得時効を認めるということは、最小限占有が続いているということを確認しなければ職制取得を認めるわけにいかない。というのは、これは法律論としてそうであろう。また役所の責務としてもそうであろう。そのような意味におきまして、最小限必要なのは、隣接地の地主が十年間あるいは二十年間続いてそれを所有しておられる、あるいは占有を続けておられるということを知る必要がある。そのためにはどうしても隣接地の謄本が必要であるなということで、最小限のものとしてそれをお願いをしたいということでございます私どもとしては、精いっぱいの簡素化を図ったつもりでございます。ぜひこの手続に従ってやっていただきたいという。ぐあいに思っております。
#132
○渡部(行)分科員 これはとんでもない話ですよ、これが精いっぱいだなんというのは。私ども農民は、自分の土地だと思っているのに、あなたは、国の土地だからこれは時効取得の手続だと言うのでしょう。しかも、役所がこの公図をつくるまでに登記簿謄本を全然見ないでやるならわかりますよ。全部照合するのですよ。照合して、なぜそのほかにまた同じものをここに添付しなければならないのですか。そんなばかな話ないでしょう。二重にも見るわけじゃないでしょう。ただ、隣接地の承諾書はいいでしょう。この境界は間違いありません、そういうことはいいでしょう。しかし、それだって閲覧させるのだから問題はないのですよ、本来は。事務を簡素化して、そしていまの行政の行き方にどうして姿勢を合わせるかという、その思想がなくてはどうにもならない。
 時間がありませんから、最後にもう一つ、このことを大臣、まとめてひとつ答弁をお願いします。
 あとは、いまの豪雪の問題ですが、五万円の足切りで今度雑損控除も少しは改善されましたけれども、しかし、それじゃ五万円以下の場合どうかというと、これは全くどうにもならないですね。ところが一番困っているのは、税金も納められない人たちが、雪が降ったのに、おれは税金を納めないから、この雪はおろすわけにはいかないと言ってうちをつぶすわけにはいかないですよ。幾ら税金を納められないからといったって、大雪が降れば、それは自分ででも、あるいは人を頼んででもおろさなくちゃならない。その人たちの救済は全然考えられていない。だから五万円などと言わないで、かかった経費は皆見ましょう、こういうふうになぜいかないのですか。
 それからもう一つ、減税のお世話になれないほどの低所得の人に対しては、やはり負の減税と申しますか、お見舞い金でも差し上げるくらいの対策をひとつ考えていただきたい。
 時間が参りましたので以上で終わりますが、大臣、この二点についてひとつよろしくお願いいたします。
#133
○渡辺国務大臣 最初の話ですが、政治論で言うと、私も政治家だからあなたの言う方に手を挙げるのですが、こちらは法律論を言っているわけです。公務員は憲法と法律に従わなければならないというものだから、私も政治的にやってやりたいのだが、大臣というのは公務員で、お役所の方はどうしても大事をとる。両方自分のもので、その真ん中に畦畔があるという場合もあるでしょう。他人様との境に畦畔がある場合もあるでしょう。両方自分のものだったら余り騒ぎはないが、他人様との間の畦畔はどっちの人のものかというようなことにもなる。急なところもあるし、平らなところもありますから、そこらのところよくわからぬが、問題は、要するに、謄本をよこせというのは他人との関係、それから同意の問題で後でごたごたが起きないようにというようなことのために、私は役所は言っているのだろうと思いますが、できるだけこういうものは簡素化することは実際問題としていいと思う。これは栃木県も多いのです。鹿沼とかああいうところは、調べてみると比較的段々畑みたいなところの方が多い。栃木県なんかの場合、税金逃れというようなことで、どうも昔は重かったから、実際に田畑に使わないものは、自分のものを持っていたって、自由に使えるのだから要らぬということで多かったのだという伝説をなす者もあります。
 しかし、いずれにしても、国家がそんなもの持っておったって何の御利益もない話であって、ですから、身軽になるためには、国が持っても役に立たないものは積極的にどんどん払い下げる。払い下げには無償もあれば有償もあるわけだから、手続はいずれにしてももっと簡素化する必要があるということは私はかねて実は言っておるのです。したがって、御趣旨を踏まえてもっとさらに簡素化できるところがあれば簡素化すべきだと私は思う。したがって、それは検討させます。それは法律の範囲で簡素化するのは決まっておるが、法律がうんとじゃまになれば法律を直したらいい。だから、そういうものも含めて、それは検討させます。
 それからその次は、かかった経費はみんな国が持てと言われても、これはちょっと勘弁してもらうほかない。これは雪だけでなくて、洪水が出たらみんな国が持て――台風が沖繩へ毎年来ますから、それをみんな国が持てと言われても、これはなかなかむずかしい。
 それから、負の減税の問題も、税の制度としてそういうものがもしできれば、将来の検討課題として、これはことし、来年というわけにはなかなかいかぬかもしらぬが、やはりそういうことも今後の社会保障や何かの見直し等も含めたときの大きな検討課題の一つであることは間違いございません。
 以上であります。
#134
○塩崎主査 これにて渡部行雄君の質疑は終わりました。
 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
#135
○塩崎主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 大蔵省所管について質疑を続行いたします。上田卓三君。
#136
○上田(卓)分科員 まず、質問は三十分のようでございますので、大臣の答弁はできるだけ簡潔にお願い申し上げたい、このように思います。
 さて、現在の中小零細業者の課税最低限は夫婦子ども二人標準世帯で百三十二万二千八百円、月額にして十一万ちょっとというようなことでございます。
    〔主査退席、愛野主査代理着席〕五十六年度の生活保護基準の予定では、標準世帯は月十三万四千九百七十六円ということになるわけでございまして、昭和五十三年度から所得税減税がなされていないために、生活保護基準以下の世帯にまで課税されているという現状があるわけでございます。生計費非課税の考え方から言うと大変矛盾していることになるわけでございまして、少なくとも課税最低限を生活保護基準並みにするべきではないか、引き上げるべきではないかというように思っておるわけでございますが、大臣のお考え方をお聞かせいただきたい、このように思います。
#137
○梅澤政府委員 ただいま委員が御指摘になりましたのは、事業所得者の場合の課税最低限の数字であろうと思いますが、その事業所得者の課税最低限はどういう水準で考えるかということは実は非常に問題があるというふうに私ども考えておるわけでございます。
 いま委員が御指摘になりましたのは、恐らく標準四人世帯ということで、いわゆる四人の人的控除分を勘案した課税最低限の数字で申されたかと思うのでございますけれども、事業所得者の実態を見ますると、たとえば白色の場合と青色の場合と事情が異なるわけでございますけれども、白色の場合、たとえば奥さんが事業に専従している場合に控除を受けているかどうかというような問題もございますし、家族の人が専従している場合にやはり控除があるわけでございますね。それから青色申告になりますと、これは完全給与制が認められておりますから、その事業所得の世帯の事業の実態に応じまして、そういう完全給与を受けている場合もありますし、さらに青色申告の場合でございますとみなし法人課税の選択が受けられます。そういたしますと、事業主報酬ということで給与分がまた落とせるわけでございますね。だから、本当は課税最低限を考える場合の所得のトータルでその世帯を見る場合には、そういったものを全部含めませんと、単純に人的控除だけの基準で生活保護基準のモデルよりも高い、低いという議論はできないのじゃないか、そういうふうに私どもは考えております。
#138
○上田(卓)分科員 そういうふうにいろいろ総合的に考えなければならぬということはよくわかるわけですけれども、少なくとも、いま私は標準世帯の問題を取り上げて申し上げたわけでありますが、現実に生活保護基準以下の世帯まで課税されているという現実はあるわけでしょう。それはないのですか。ないなら別ですよ。現実にそういう世帯があるということになれば、それを改善することは当然のことじゃないのですか。
#139
○梅澤政府委員 これは基本論になるわけでございますけれども、所得税の課税最低限と生活保護基準を単純に比較するのはどうかという基本的な問題があると思うのです。と申しますのは、生活保護と申しますのは資産の保有状況、それから御案内のとおり民法上の扶養とかあらゆる援助を受けて、それでもなお国が定めた最低生活費に満たない場合に国から給付を受けられる、こういう社会保障のシステムでございますね。
 ところが、税の世界と申しますのは、毎年毎年のフローの所得で課税が起こるか起こらないかという問題が起こるわけでございまして、事業所得者の場合でございますと年によって赤字の場合があるかもわからない。その人たちは税金を納めないというケースも当然起きるわけですが、ではその人たちが直ちに生活保護を受けられるかというと、そういうことではないわけでございますね。それと、先ほど私が申し上げましたような点から申しまして、実際に事業所得者で数字の上での生活保護基準よりも以下の人で課税を受けているという実態というのは事実上余りないのではないか、そういうふうにも考えられるわけでございます。
#140
○上田(卓)分科員 現実にそういう矛盾があるわけですから、少なくとも五十三年以来所得税減税がないということに基本的な問題があるわけでありまして、物価減税の問題も大きな山場を迎えておるわけでございます。そういう点で、ぜひとも善処方をお願い申し上げたい。時間の関係もありますから、次に参りたいと思います。いま、みなし法人云々のこともお話があったようでございますが、中小零細企業の事業主は本当にそこに働く労働者と同じように、あるいはそれ以上に額に汗して働いておるのが現状ではなかろうか、私はこういうように思っておるわけでございまして、そういう点で事業主についても労働力の再生産費というものを考慮に入れるということは当然あってしかるべきではなかろうかと思うわけでありまして、そういう意味でのサラリーマンの給与所得控除に見合うような制度があってしかるべきだ。
 現実にはみなし法人制度があるわけでございますが、しかしこの手続がきわめて複雑であるというようなことから、なかなか中小零細企業が利用しにくいという現状があるわけでございまして、そういう意味でもっと簡単な制度といいますか、あるいは運用を考えてはどうか、このように思うわけですが、それについてお答えいただきたいと思います。
#141
○梅澤政府委員 ただいま御指摘のありました給与所得控除は、申すまでもないのですけれども、勤務に伴う必要経費の概算控除という性格を持っているわけでございます。事業主の場合は、個人事業主の場合と存じますけれども、これは所得計算上必要経費は皆落ちるわけでございまして、その上に事業所得者固有の控除というのは税理論的にもむずかしいし、そういう必要もないのではないか。ただいま御指摘のありましたように、事業主報酬は、青色になりますとこれは選択で事業主報酬、給与として受けられるわけでございまして、私どもといたしましては、なるべく青色になっていただければそういう制度を御活用願えるわけでございますので、そういうことをお勧め申し上げておるわけでございます。
#142
○上田(卓)分科員 先ほどの質問を含めて、大臣に答えてもらいたいと思います。
#143
○渡辺国務大臣 かつて、中小企業団体連合会だったか、みなし法人というようなものをつくれと言ったことがあるのです。そのとき私は、そういう制度よりも青色申告控除みたいな方がいいのじゃないかということを言ったのですが、それは団体側がそうじゃない方がいいといういきさつがありまして、みなし法人制度ができたということでございますから、いまそれを変えるという考えは持っておりません。ただ、零細企業やなんかについて特殊な何かをこしらえると言っても、これはやはり所得税全体の問題であって、所得税の税率とかあるいは基礎控除とか、所得税法を改正するような時期が来れば、そのときに一つの同じ枠組みの中で全面的にそれは給与所得も事業所得も訂正されるべきものではないか、さように考えます。
#144
○上田(卓)分科員 いずれにしても、そういう中小零細企業の倒産件数は去年だけでも一万七千、もう一方八千に近い状況にあるわけでございまして、やはりみなし税というものがあるわけですから、それを最大限に活用すればいいのだけれども、いま言ったようになかなか活用しにくい手続的な問題がいろいろあるわけですから、ぜひともこの改善が必要だ。そういう意味で、新しい制度をつくるかつくらないかは別にして、いずれにしてもそういう状況に対して改善策があってしかるべきだと思うのですが、大臣、その点についていかがですか。
#145
○渡辺国務大臣 倒産がふえていることは私もまことに残念だと思っております。しかし、倒産するような方は、中には金繰りができなくて黒字倒産ということもあるでしょうが、大多数は赤字で倒産をしておるということで、直接税金を払わないような人がむしろ倒産をしているということではないか。したがって、これは経済全体の問題ですから、現在の景況を維持発展させていくというためのいろんな施策を講じていかなければならぬ。日本経済全体の問題として考えなければならないと思います。
#146
○上田(卓)分科員 次に進みます。
 私はきのう大阪の堺の税務署の前を通ったおけですが、ちょうど税務署の前にプレハブが建っておりまして、二月から三月にかけてのいわゆる還付金の申請の手続で、労働者に会って聞いたわけですけれども、一日に三十人も四十人も来られて、本当に手続に大変な手間暇がかかっている。しかし、国税といえば酷使の酷税というふうに言う人もあるわけですけれども、税制面において国民にサービスするということは大いにいいことだ、こういうふうに私は思っているわけでありまして、そういう意味では、やはり職員をふやすとか待遇改善をするとか、そういうことがぜひとも必要ではないか、一点はそれでございます。
 それからもう一つは、現在、国税の職員が五万二千人おられる。国税大阪あるいは全国会議の方々は、これでは少ないではないか、もう一万人ふやせというような要求もあるやに聞いておるわけでございます。特に現在の職員の中でもベテランと言われる中堅以上の方々、四十六歳以上の職員が二万人以上だ、十年後はどうなるのか、こういうようなことも訴えられておることは大臣もよく御存じだろう、このように思うわけであります。いわゆる税務職員の高齢化対策というのですか、そういう対策から見ても、ベテランの職員に調査実働部隊での、たとえば署長並みの地位を与えて意欲を持たせるようなことも非常に大事ではないか。
 そうして、大企業とか法人の脱税というのですか、いろいろな形で、たとえば財産債務明細書の提出が義務づけられておるにもかかわらず、年間所得の二千万円以上の方々の二〇%ぐらいが提出していないということも聞いておるわけでありまして、サラリーマンの場合は罰則規定があるが、これはないというようなことも非常に矛盾でもあるし、なぜそうなっているのかということも聞きたいし、やはりこういう点にもっともっとメスを加えていただきたい、こういうように思っておるわけでございます。
 そういう点で、中小零細企業の方にそういう徴税攻撃をかけるよりも、もっともっと大企業に対して、手間暇かかるということでみんないやがる、あるいは経理に先輩がおられるということでなかなか問題があるわけでありますが、一般消費税というのですか、大型の消費税などを導入するというよりも、もっと取るべきところから取るべきじゃないか、このように思っておりますので、大臣の考えを聞きたいと思います。
#147
○川崎政府委員 先生御指摘の点、一々ごもっともかと思いますが、順番にお答えしたいと思います。
 確定申告期になりまして非常にたくさんのお客さんが来て、もうすでに非常に忙しくなっております。また、庁舎が狭い等のこともございまして、各地でプレハブ等を利用しておるところもございます。全般的に職員の仕事が余り偏らないように、バランスがとれるようにということを十分私どもも配慮いたしまして、健康面でも、事務面でもいろいろの施策をとっておるわけでございますが、何分にもずっと限られた定員でやっておりますので、アルバイトをこの時期にはかなり雇うとかいろいろなことをいたしまして、窓口サービスの改善にも努めてまいりたいと思っております。
 第二点の、かなり高齢者の職員が偏って多いのではないか、また、こういう人々の処遇をどうするのかというお尋ねかと思いますが、いわゆる処遇の面でいろいろな意味でポストもつくっていかなければならぬ。また、意欲のわく地位を与えましていい仕事ができるようにしなければならない、そういうことで、この十年来いろいろ税務署の機構なり組織にも改善を加えまして逐年努力をいたしておるわけであります。まだ十分とは考えておりませんが、定員の増加といったことも含めまして引き続いて努力をしてまいりたいと思います。
 第三点でございますが、いわゆる税務の調査の重点をどこに置くかという問題かと思いますが、御指摘のように中小企業ばかりということではございませんで、悪質重点、また大口重点ということでやっておりまして、限られた人員で最大限の効果を発揮いたしますように努力をしてまいったつもりでございますが、なお今後とも努力をいたしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
#148
○上田(卓)分科員 大臣の決意を伺いたい。
#149
○渡辺国務大臣 ただいま国税庁次長が言ったように、極力税務についても人員増ということで今後も引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
 なお、脱税その他の問題については、負担の公平を図るという見地から一層能率的に重点的に調査を進めさせたいと考えます。
#150
○上田(卓)分科員 ぜひとも意欲的にひとつがんばってやっていただきたい。そうしないと、国民は、取れるところから取らないで、そうして弱い者から税金を、またそれも増税というような形で、非常に反発も強いわけでありますから、その点十分留意してやっていただきたい、このように思います。
 次に、午前中もわが党の湯山先輩からも同和問題で御質問があったかと思うわけでありますが、残された時間をそれに費やしたい、このように考えます。
 大臣は、私の選挙区ではそういう差別の問題は聞いたことがない、こういうようなことをおっしゃっておるようでございますが、午前中の討議の中にも出てまいりましたように、一九七九年一年間だけでも、法務省とそれから関係の府県の調査だけで、悪質なものだけで何と千七百六十三件ある、こういうことでございますが、大臣の地元の栃木県で法務省が直接扱っておるので四件あります。
    〔愛野主査代理退席、主査着席〕
それから県が扱ったものが、それとは別に二十八件あるのです。どういうことは初めてですか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#151
○渡辺国務大臣 私は全然ないということを言ったわけじゃありませんが、関西や何かで騒がれるような問題は、幸いに私のところでは非常に少ない。数件ぐらいはそれはあったかもしれませんが、数字はいま初めてです。
#152
○上田(卓)分科員 それに関連してでありますが、大臣は、物的なもの、特に残事業の問題が大きく話題になっておるわけでありますが、それもさることながら、この問題は意識の問題である、教育の問題だ、そういう非常に古い考え方を持っている人はいけない、こういうようなこともおっしゃったようでございます。人間は基本的に人権が認められなければならないし、平等であるということもおっしゃっておるようでございますが、本当に明治以後でも百年以上も経過し、戦後においてでも三十五年以上経過しているわけでございまして、今日の日本の国民の中で、大臣、どうですか、人間が人間を差別していいというように開き直る人というのは少ないのじゃないか。国民の一人ずつに、あなたは基本的人権を守りますか、人を差別しますか、たとえば在日朝鮮人、韓国人をあなたは差別していいと思いますか、あるいは、いま同和問題が大きな問題になっているけれども同和の人を差別していいと思いますかと言うたら、正面切って言われたらみんな、それはだめです、私は差別していませんと言う人ばかりじゃなかろうか。
 差別してはいけないということ、基本的人権は守らなければならない、人間は皆平等だということがわかりながら、にもかかわらず、部落民は皆殺しにせよとか、どこどこの地区の人間を消せとか、ウジ虫であるとか、どうだこうだということで、本当に聞くにたえない。この三年間だけでもこれだけ、この本一冊にまとめられるぐらい、約三百件の差別事象なんですが、こういうものが出ておるわけでございます。そういう点について、私は何らかの形で、啓蒙とかあるいは啓発という部分は教育でやらなければならないけれども、悪質なものについては法治国家ですから法的なもので取り締まっていくということも必要ではないか。そういう意味での同和対策事業特別措置法の強化、改正というのですか、特に三年延長の際には附帯決議に「総合的改正」という文言が入っておるわけでございますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
#153
○渡辺国務大臣 私は、基本的には何と言ったっていまどき人間に差別を考えるということ自体が根本的に間違っているのです。ですから、そういうことの起きないように子供のときから教育するということが一番大事じゃないか。何でそれではわれわれの地方と南の方とそんなに差があるのか、正直な話、私は本当に理解に苦しむのです。だから、みんながそういう気持ちになれば差別問題というのは起きないのじゃないか。したがって、起こさないようにすることは社会的な義務でもありますから、みんなで注意をする必要がある。法律上どういうふうに該当するのか私にはわかりませんが、名誉棄損になる場合もあるでしょうし、いろいろなこともあるでしょう。したがって、われわれは就職とかそういう問題については一切差別をさせないように、今後とも自分の所管事項については最大万全の努力をしていきたい、そう思っております。
#154
○上田(卓)分科員 日本の大方の大企業は部落地名総鑑を買うているということは、もう国会の法務省に対する追及の中で明らかになっておるのです。それだけじゃなしに、大蔵省所管の金融機関で何と三十五社も購入企業があるのですよ、大臣。安田信託銀行なんかは、この本を使って地区出身者を就職から排除してきたということ。そして、それはそういう地区住民の追及によってその非を認めて、今後絶対にこういうことはしません、こんなあほなことをして、ということで反省文も出しておるわけでございます。
 大臣、こんなばかなことをする人間がいなくなることを望むのだということだけれども、私が言うように、みんなそういうことはけしからぬことだと思いながら現実にそういう差別があるということ。だから、一市民がひとり言を言うようなことでは困るわけです、大臣。同和対策事業特別措置法という法律があって、国がこれだけ物的施設の問題も含めて、あるいは啓蒙の問題もやりながら、なおかつこういう問題が減るどころかふえてきているんですね。そこに問題があるのです。減ってきているなら、私は何直言いませんよ。だんだん減ってきていますからしんぼうしてください、もうあと一息ですということになると思うのですけれども、措置法の三年延長以後においても、いま言うようにこれだけ悪質な例が三百件もあるということなんです。
 私も議員になりまして結婚式などによく呼ばれるのです。大臣、ちょっと聞いてくださいよ。あなたも行かれると思いますけれども、めでたい結婚式で、片方は部落の出身者で、片方は部落の出身者じゃないと言われる人たちの結婚式も中にはあるのです。あるから差別がないのじゃないのです。問題は結婚式の中身なんです。片方は親、きょうだい、親戚、だれも来ないのですよ。そんなので結婚式ができますか。だから、こちら側の子供や学校の友だち、そういう人たちを身内がわり、親がわりにして、そうして結婚式をやっているのです。その結婚式が盛大であればあるほど、非常に深刻なんです。
 本当にそういう意味では、結婚の問題だけじゃございませんよ、そういうのが現実にあるのです。そうして毎年、何十人という人たちが結婚差別や就職差別で死んでいっているんですよ。人の命は地球よりも重いという言葉があるように、これだけ人権問題で、アメリカにおいても黒人差別撤廃のためにということで大統領がみずから先頭になってやっていますよね、それはただ単に選挙対策ということだけじゃなしに、本当にそういう意味では、核戦争と差別をなくすることがわれわれ人類の悲願じゃなかろうか、このように思うのです。
 そういう点で大臣は、こういう深刻な問題がまだあるというこの現状、それから、たとえば関東においても――まあ西の方が多い、確かに多いかもわかりませんが、東京を中心にして関東でもそういう意味では差別の実態というものは明らかにされてきておるわけでございます。比較的同和対策事業というものが進んだと言われておるところの大阪でさえも、まだ同和対策事業が何ぼ残っておるかといったら、二千八百億ほどの残事業が五十四年度以降にある。大阪府が言っているのはあと最低五、六年はかかる、こういうことを言っているのです。それから福岡などでは昭和五十五年度以降にまだ三千二百十億円残事業が残っている、こういうことが言われているのです。まだ同和対策を一つもやってないという地域もあるのです。いまの法律に全然かからないで五戸、十戸というみじめな部落も、まだまだ愛媛とか広島とかそういうところにあるのですね。非常に深刻な問題があるわけですから、そういう点で私はこの残事業の問題についても、政府の考えというものと実際同和対策をやっている府県とか市町村との把握の違いがあると思うので、早急にこの残事業についても把握すべきではなかろうか。
 いわんや、これは物的なものだけじゃなしに精神的なものが大きな問題になっておるわけでございます。三年延長の際に、附帯決議がつけられました。その附帯決議というのは、法の有効期間中に総合的改正を図ること、その総合的改正を図るという中身として、同和対策をする場合の府県、市町村の超過負担をなくすこと、それから、差別事件が非常に増発していることにかんがみて、これを早急に何らかの形で法的規制をしなければならぬ、総合的改正の柱はこの二本なんですね。超過負担をなくすということと、残事業を再調査して実態の把握をしてもう一度見直して、これに対する財政的な裏づけをする、そして悪質な差別事件に対してどう規制するかということが大きな課題になっておった、私はこういうふうに思っておるわけです。
 特に、差別事件がこうやってふえてきているというのは、一つは市町村財政を同和予算で食い物にしているというような間違った考え方がある。しかし、間違った考え方であるが、ちょっと考えてみれば、たとえば、いままでの各自治体の同和対策で使った中で国から借金をしている部分があるのです。同和債というのですが、これが何と四千七百六十三億円あるのですね。これは自治省が発表しているんですよ。四千七百六十三億円の赤字があるのです。これを国に元利償還しなければならぬという問題があるのです。まあ決算、予算という形でしか出ないけれども、いつもその数字が出てくるわけです。そういう点で私は、やはりそういう法的な規制の問題と同時に、残事業と言われるもの、あるいは現実に残っている同和債の償還について、法律的な裏づけをもって対処されることが一番大事じゃないか、このように考えますので、時間の関係もありますので簡潔に大臣のお答えを聞きたい、このように思います。
#155
○渡辺国務大臣 目下、各省庁それぞれの部署で実態の検討をいたしておりますから、その検討結果を踏まえて、政府としてはどうするかということを最終的に決めていく方針であります。
#156
○上田(卓)分科員 そういうことでなしに、来年度の概算要求もあるわけですから、やはりそういうことから考えて、鈴木総理が本会議でも予算委員会でも述べられておるように、その概算要求までに一定の結論を出さなければならぬ、こういうことでございまして、それは具体的には今国会で結論を出すということではなかろうか。すでに、衆議院、参議院の国会議員でもう過半数以上の三百八十人近い方々がこの強化、改正の署名をなさっているし、自民党の先生方でさえも、衆参でいま百一名御署名をいただいているという現状であります。そういう意味を考えて、これは総理府の所管でございますが、ぜひとも大臣として、有力な大臣でございますから、積極的に今国会で結論が出るように努力したいという決議をひとついただきたい、このように思います。
#157
○渡辺国務大臣 今後必要な施策の方向、内容については、昭和五十七年度予算の概算要求時期までに取りまとめることを目途として、総理府を中心に目下鋭意検討いたしております。
#158
○上田(卓)分科員 不満ですが、時間が来ましたので、終わります。
#159
○塩崎主査 これにて上田卓三君の質疑は終わりました。
 次に、栗田翠君。
#160
○栗田分科員 私は、まず最初に、静岡県清水港におきます指定保税地域の管理の問題について伺いたいと思います。
 この指定保税地域における管理の形態というのはどんなふうに決められているのでしょうか。
#161
○清水政府委員 指定保税地域と申しますのは、御案内のとおり大蔵大臣が指定をいたします。その趣旨は、一定の区域を貿易の円滑な運営のための特別の区域といたしまして指定をするということで、公共性等が高いと観念されているわけでございます。通常の例といたしましては、その指定保税地域の所有者と申しますか管理者、それは法律にも規定してございますが、国、地方公共団体、外貿埠頭公団というようなところも従前あるわけでございますが、そのようないわば公共的な機関が指定の相手方になっている、こういうことでございます。
#162
○栗田分科員 関税法基本通達によりますと、いまお答えがありました国または県などの公共的な管理者と、もしくはその管理のもとに利用者の組織する事業協同組合が運営する場合もあるというふうに書かれておりますが、そうですね。
#163
○清水政府委員 御指摘の関税法基本通達は私どもの方で出しているところでございますが、その中に、ただいまお読みのございましたようなことがうたってございます。若干補足させていただきたいのですけれども、これは通達でございまして、税関長あてに出されるものでございますが、この趣旨で税関の立場において運営に当たっていく、こういう性格のものかと思います。
 ただいま御指摘の部分でございますが、指定保税地域というものは、港湾管理者と申しますか、つまり地方公共団体それ自体がみずから運営に当たることもあるわけでございますし、それからまた、その管理のもとに利用者の組織する事業協同組合が運営するというような場合も想定をしているわけでございます。
 ここで少し補足申し上げたい点は、「利用者の組織する事業協同組合が運営し、」というふうに通達には書いてございますけれども、これはあくまでも港湾管理者である地方公共団体の管理のもとにということでございます。ですから、地方公共団体がみずから運営しとか、あるいは管理をするということがそこに出ているわけですけれども、問題のポイントは、結局、指定保税地域の本源的な所有者であり、ないしは管理者の立場に立っている公共団体の管理のもとで、たとえばみずから公共団体が運営するという場合であっても、そこにあります営業の形態の方から申しますと、これは上屋業をそこで展開しているということになるわけですから、上屋業自体は、申請をして公共団体から許可を得た民間業者が上屋業を展開して、業者は個々の荷主であるお客さんを相手に荷さばきとか荷おろし等の業務をそこで展開する、こういうのが指定保税地域の中における営業の実態なのでございますね。
 そういうところから言いますと、公共届体の「管理のもとに利用者の組織する事業協同組合が運営し、」というのは一つの形態を言っておりますけれども、事業協同組合は、逆に言えばもともとそう本源的な運営権があるというものではないわけでございまして、運営をするといいましても、これは一、二の例を申し上げた方がいいかもしれませんが、たとえば東京都の場合ですと、東京都からその事業協同組合がまとめた形で使用の許可をもらってきて、そこでそれぞれの組合が、もともと上屋業者として運輸省の関係の法令によって許可なり免許を得ている業者なんですから、その法体系のもとで営業を展開するということになっている、こういうことでございます。
#164
○栗田分科員 そういたしますと非常に公共性の強い性格を持っているということだと思いますけれども、事業協同組合というものが管理をした場合、組合そのものの持っているゆるがせにできないような性格というのはどういうものでしょうか。たとえば、もう少しわかりやすく質問いたしますけれども、事業協同組合といいますと、中小企業等協同組合法などにははっきり事業協同組合の要件というのが書かれております。法人格を持つとか、県その他に対して年間のきちんとした報告をするとか、いろいろ条件がついていますが、こういうものは当然必要になるわけでございますね。
#165
○清水政府委員 おっしゃいますように、たとえば中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合という形をとっている例も現にございますが、そこでの主たる性格といいますか、名目的には法人格を持っているということはまず当然にあるわけですけれども、もう一つぐらい指摘すれば、それはやはり協同組合の性格の重要な一つとして言われております、そのメンバーのいわば民主的な運営といいますか、平等な地位といいますか、あるいはまた加入脱退が自由であるというようなことが中小企業等協同組合法から来るところの事業協同組合の場合に言えるのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。
#166
○栗田分科員 いま清水港の管理を任されてやっていますのは清水の上屋利用組合というものでございますが、これはどんな形態になっているか御存じでしょうか。
#167
○清水政府委員 その点につきまして先生から御照会もございましたので、私も実情を調べてみたわけでございますが、これはいま例に挙げました中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合というようないわゆる法人格を持っている団体ということではなくて、いわば法人格のない任意団体、こういう状態のものということでございます。
#168
○栗田分科員 そういう任意団体がいま言いましたような公共性の強い仕事を県から任されて管理をして、しかもそこから収益を多額に上げるということは許されるのでしょうか。
#169
○清水政府委員 その点につきまして、私が最初に申し上げたことと関係がございますので、若干繰り返しのようになって恐縮でございますが申し上げさしていただきますと、公共団体、この場合静岡県でございますけれども、清水港における保税指定地域の中においてどういうふうに運営が行われるかということでございまして、その運営の眼目は、要するに公共性のあるような運営が行われるべきである、こういうことにあると思います。県の管理のもとに上屋業者がそこを使ってお客のために上屋業を展開するというのがその営業の実態であるわけですが、その場合に事業協同組合のようなものを、つまり上屋業を営む人たちが法人格のある形で事業協同組合を結成してやっているという状態も、当然一つのいい状態だろうというふうにも考えられます。しかし、そこの場合に大事なことは、法人格の有無ということには必ずしもないように私は思います。逆に言いますと、県がみずから運営するといいましても、上屋業自体を、要するに個々の上屋さんに県がそこの使用許可を与えるというような形で実際には展開されるわけでございます。
 事業協同組合が仮に法人格を持っている場合においてどういうふうにやるかといいますと、東京都の場合ですと組合がいわば一括して使用許可を申請して、その使用許可のもとで実際には組合を構成する各メンバーである上屋業者それぞれが自分の業を展開していく、こういうことになるわけです。
 したがいまして、清水港の場合について言いますと、まとめをしておりますのはいわば法人格がないわけですけれども、したがって仮に言えば総代というようなことで、たとえば県に手続をとるときに便宜それを一括して手続をとるというような働きは、これは法人格がない任意団体の場合でも事実問題として起こり得るわけですけれども、結局はそこの内容というのは、この場合で言えば法人格がないけれども任意組合のメンバーになっておる数社の人たちが県の許可のもとで一定の場所について上屋業の許可を得て上屋業を展開する、こういうことになるわけでございますから、問題は、その業務の展開なりというようなことが格別に公共性に反していなければいいのではないか。つまり、形式的なことは必ずしもその場合に本質的なポイントではない、こういうふうに申し上げられるかと思います。
#170
○栗田分科員 私が調査いたしましたら、全国に指定保税地域七十七カ所ありますけれども、その中で法人格を持たないこのような協同組合的なものが運営しているところは、清水以外に一つもない状態でございますね。やはりそれは公共性からいいまして、またこの通達に書かれている内容の性質からいいましても、本来はきちんとした法人格を持ち、それからまた公共性にふさわしいような運営ができるといったてまえからいってこうなっているのではないかと思いますが、清水だけであるというこの実態はそうでございますね。
#171
○清水政府委員 おっしゃいますように、七十七指定保税地域の中で、いまの運営がどういうふうに行われておるかということの視点から分類をいたした場合に、法人格のある事業協同組合が運営の、私はこれは正確に言えば運営の一部に関与しているというものだと思いますけれども、そういうような現象のあるところは全国の中で四カ所あるということでございます。それから、いまの法人格のないもので、だからこれは運営しているという言葉が必ずしも適当な言葉でないような気がいたしますけれども、いずれにしても、いまの清水港の任意組合が県との間で何かいろいろの手続をとる場合のまとめになっているというようなことがあるのは、ここの港だけということでございます。
 しかし、ほかのところは、いまのような視点から言えば、つまり形式的な視点から言えば、公共団体というような港湾管理者自体がいわば運営に当たっているというように分類をされておりますが、ここで先ほど申しましたように、公共団体が運営すると言っても実態としてはどういうことかというと、これはさっきから申し上げていますように、許可を直接個々の人に与えるか、それとも一括して与えるかというぐらいのところが際立った違いであるのじゃなかろうか。やはり問題は、その上屋業の展開されている内容といいますか、その実質にあるのではなかろうかというふうに思います。
#172
○栗田分科員 それでは、その実質の方に少し入らせていただきますけれども、関税法の基本通達によりますと、ここで物を倉庫に置いたり野積みをしたり、輸出して関税をかけるために荷を置く場合があります。その料金は「港湾運送事業法による料率の適用除外とし、一般より低くなるよう措置するものとし、特に輸出貨物については貨物搬入後二日間は無料とする」ということが言われておりますけれども、特に安くするというのはどういう趣旨でございますか。
#173
○清水政府委員 その点は、大体の趣旨として言えますことは、指定保税地域というのはほかの保税倉庫とか保税工場などに比べればより公共性が高いというふうに考えられておりますので、したがって、そこでのいわば使用料といいますか、具体的には保管料と言った方がよろしいかと思いますけれども、そういうものは通常の場合よりも割り安にすることが望ましいことであるというような趣旨をここで言っているということだと思います。
#174
○栗田分科員 使用料というのは、県条例で定められて公表されていると思いますけれども、それ以外にいろいろな形でお金を取る、そういうやり方についてはどうお考えになりますか。
#175
○清水政府委員 「蔵置保管料」とここで言っているものは二つの中身からできているというふうに考えてよろしいかと思いますが、その一つは、これは県から許可を得てそこで上屋業を展開する場合ですから、県に対して納めるべき一ものがある、これがある意味ではいわゆる使用料、これは県なら県の条例で定められているものという部分がございます。それをお客からいただいて県に納める。もう一つは、そこで上屋業者自身が自己の営業を展開しているわけですから、それについての適正な保管料のようなものを取るということは当然あるわけでございます。しかし、それは当然運輸省の方から認可をされているものに従わなければならないということになろうかと思います。
#176
○栗田分科員 あくまで公共性が強いので一般より安くするようにということ、それから「搬入後二日間は無料とするものとする。」と書かれておりますから、これは守らなければならないわけですね。
#177
○清水政府委員 その点につきまして、組合ということでいま御指摘いただいておりますけれども、この清水港の場合の公共上屋の保管料がどうであるかということを私、所轄の名古屋税関にも問いただしてみたわけですが、この保管料は一般の料金の八割を基本料金として、これに条例に基づく上屋等の使用料を加えたものとなっております。したがいまして、こういう状況でございますから、まとめて言えばこの業者たちの取る蔵置保管料が格別どこか不当なものがあるというふうには理解いたしていないわけでございます。
#178
○栗田分科員 私の調査によりますと、県の港湾事務所などは一般倉庫並みに取っているようだと言っておりまして、八割とは言っておりません。それからまた、港湾料率表がございますが、これは県が出しているものですけれども、これも保管料は関係鉄道の定めるコンテナ貨物料金表のコンテナ保管料によりますと書いてありまして、八割というふうになっておりません。
 実際に私、いろいろ聞きましたけれども、非常に高いということが問題になっています。たとえば平地で野積みをしてあるコンテナなどの場合ですけれども、一平米当たり、県から借りるときには四円、四十フィートのコンテナを積みますと三十平米の面積をとるわけですけれども、一般利用者に対しましては六百五十円から七百五十円、しかも三段に積み上げて同じ料金をとっているということですね。これは積んである写真ですが、ごらんください。ですから、そのように三段に積みますと三十平米当たり二千円ぐらいをここで徴収しているということになります。三十平米、県から借りている料金は一カ月百二十円になりますけれども、これが毎回、一カ月でなくこれだけ取っているわけですから、非常に多額のものを掛けているということが言われているのです。その名古屋関税局の報告とかなり違うように思いますが、いかがですか。
#179
○清水政府委員 御指摘のいまのコンテナヤードの方の料金の具体的な数字は、ちょっと私の方でもよく把握しておりません。大変申しわけございませんけれども、ただいまのそういうお話でございますので、なおその点はよく把握するようにいたしたいと思います。
#180
○栗田分科員 また、実際いま例に挙げましたように、静岡県の滝水港管理局が出しているものにも八掛けというふうには書いてないという事実もありますし、よく御調査いただきたいと思います。
 しかも、いま私がなぜこれを問題にしているかと言いますと、県の施設を借りて営業をやっているわけですが、八つの会社が上屋利用組合をつくっているのですけれども、実質的には鈴与株式会社関係が大半を占めています。名前は違っていても、ほとんどその関係の会社なんですね。そこがこういう形で任意団体の形態で利用している。そしてかなり暴利をむさぼっているのではないかと。いう声が出ているという問題があるわけですから、こういう点はぜひともきちっと御調査をいただきたいと思います。
 大蔵大臣に伺いますけれども、この問題で共産党の静岡県会議員団が文書質問をいたしまして、一体こういうやり方はどうなのかということを聞きましたらば。県としても税関の方に問い合わせて、向こうの御意見も適合しているとみなされるのではなかろうかということでございましたから、現在の形で運営をしているというふうに、県がいわば税関の答えを使って答えているわけですね。しかし、実態としては非常にそういう意味では任意団体で値段も高いということが言われている。ここらは、みなされると簡単に言って、県が税関の名を出しているという実態がございますので、十分疑惑のないような御調査、また御指導をお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
#181
○清水政府委員 恐縮でございますが、実態の把握についてはもちろんさらに努めますけれども、ただ、私、港湾におけるそういう料金というものは、大体におきましては港湾運送事業法によって認可を受けて実行されているというふうに理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、疑惑があるということはまずないだろうというふうに思っておりますけれども、それからまた、それは高過ぎるというようなお言葉もございましたけれども、その認可料金との関係がどういう関係にあるかというような点をさらによく調査はいたしてみたい、そのように思います。
#182
○栗田分科員 では、次に問題をかえまして、全税関の女子労働者の差別の問題で伺いたいと思います。
 問題になっておりますのは、門司税関徳山支署の下松出張所に働いております伴淑子さんの問題でございます。この方はどういう形で採用され、現在に至ったかと申しますと、昭和四十年の四月に大学入試を志して失敗して、浪人をしていたわけですが、そのときに高校の母校から、税関が事務員を募集しているから行かないかというふうに紹介されまして、高校率で採用されました。ただし、このときは選考採用でございまして、当時、昭和四十年から四十三年ぐらいまでは公務員試験を受けずに選考採用の例というのは非常にあったようでございます。辞令には「行政職、用務員に採用」とあり、おかしいと思ったのを、見ていて察した支署長が「名目だけです。あなたは事務をやってもらいます」と言いまして、それから十数年、用務員とは本当に名目だけで、文書、給与、会計、厚生等の庶務事務を割り当てられ、なれると総務、管理の事務にも回されたということです。ところが、後から入ってくる人が次々に彼女の給料を追い越していくのを見て、やっと行(一)と行(二)の給与の体系の違いを知ったというのですね。そして行(一)にかえてほしいといろいろ言っておりますが、十数年間いまだに行(二)職のままになっているというのが現状でございます。
 初めに人事院に伺いますけれども、この方は実際、事務の仕事をずっと十六年やってきたわけで、実態として行(一)の仕事をやっているのにこんなに長く行(一)が適用されていないのですけれども、これは行(二)から行(一)に切りかえるのが当然ではないでしょうか、その辺はいかがでございますか。
#183
○林説明員 職員にどの俸給表を適用するかということにつきましては、一般職の職員の給与に関する法律、それからそれを受けまして人事院規則で規定されておるわけでございます。したがいまして、職員の方の処遇もそれに応じて、そういった規定に基づきましていずれかの俸給表を適用する、こういうことになるわけでございます。それで、これは各省各庁の長の方でおやりいただくということでございます。
 いまお示しのケースでございますけれども、これに行政(一)表を適用するか、あるいは行政。表を適用するかということは、したがいまして関係省庁の長の方でお決めになるということでございます。
#184
○栗田分科員 しかし、採用のときに、事務員として募集されたと考えておるし、また実際に「名目だけです。あなたは事務をやってもらいます」という採用の仕方ですね。事実、十六年間事務職をやってきたわけです。これはいわゆる行(一)に値する職務内容でございますけれども、それにもかかわらずこうなっている。ここはやはり問題があるのではないでしょうか、いかがですか。
#185
○林説明員 本来の行政目表に当たるような職務のほかに、あわせて人事その他の庶務をやっておられるということでございますれば、そのどちらが主なものであるかということで判断していただく、こういうことになろうかと思います。
#186
○栗田分科員 そうではないのですね。この方は最初十年間は事務職だけをやっていました。ところが、いつまでたっても行(一)にならない。そして、組合にいろいろお願いしてもはかばかしくいかないというので、五十一年の九月に全税関に加入したそうです。そうしたら、それから以後、事務の仕事を少しずつはぎ取りまして廊下をふかせたりということが始まっている。私は、これはまた組合に入ったということでの不当労働行為でもあるというふうに考えるわけでございますが、それまで十年間は事務職だけをやってきたというのが実態です。しかも、選考採用であっても同じ条件で入った方たちが次々に切りかえられているわけでして、例を挙げますと、昭和四十八年に神戸税関で岩根勝子さんという方、この方はやはり行(二)で採用され選考採用だったのですが、切りかえられているし、五十一年にも同じ門司税関署内でも同様のケースの方が行(一)になったし、その他四十年から四十二年までにはかなりこういう切りかえている例があるということでございますが、こういう形である特定の組合に入ったためにそれまでの仕事をそのときから変えていく、これは人事院に伺うことじゃなくてむしろ労働省にでも伺いたい中身ですけれども、こういう実態になっているというわけでございますね。十年間全く行(二)の仕事はやっていなかったというこの例をお考えになりましたら、どうでございますか。
#187
○林説明員 事務見習いということでございますと、これは人事院規則にございますが、行政目表の適用になりますが、いわゆる行政事務ということでございますれば、これは他のいずれの俸給表の適用も受けないということで行政(一)表の適用を受けるということになろうかと思います。
#188
○栗田分科員 それでは、時間がなくなりましたので、最後に局長に伺いますけれども、こういった例でございまして、十六年間もこういう状態になっている方があるわけでございまして、周りの同じケースの人たるの例を見ましても、この方は行(一)にもう変えるべきではないかと思います。
#189
○塩崎主査 栗田君に申し上げます。
 時間がすでに過ぎておりますので、結論を急いでいただきたいと思います。
#190
○栗田分科員 特に女性でなかったらいつまでもこんなふうにはされていなかったのじゃないかという意味でも、私は大変気になるのですけれども、局長のお考え、速やかに行(一)に切りかえていただけるような御指導をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#191
○塩崎主査 簡潔にお願いいたします。清水関税局長。
#192
○清水政府委員 お話をよく承りましたので、慎重に検討させていただきたいと思います。
#193
○栗田分科員 では、終わります。
#194
○塩崎主査 これにて栗田翠君の質疑は終わりました。
 次に、土井たか子君。
#195
○土井分科員 きょうは、国を挙げて財政再建に大変難渋をしておられるやさき、実は税金の問題について、専門家であり、さらにはフェミニストであり、大変愛妻家として有名な大蔵大臣に対して、少しお尋ねをしてみたいと思っています。
 大臣、これは何回となく私たちもこの問題を取り上げて押したり引いたりしてまいりましたが、女性の就労者の中でパートタイマーの方々が非常に多い、このパートタイマーに対して税の上で何か控除の中身を引き上げていただくわけにはいくまいかということでいままで質問をいたしまして、先年やっとのことで総額七十万から七十九万というかっこうに控除の中身が引き上げられるということになったわけでありますが、現状、パートタイマーに対しての控除の中身は具体的に言うとどういうことでございますか。
#196
○梅澤政府委員 いま委員が御指摘になりましたパートタイマーの場合のいわゆる限度額というふうに言われておるわけでございますが、現在、政府といたしまして五十六年の所得税法改正でもって国会での御審議をお願いする予定にしておるわけでございますが、現行制度は実は限度額が七十万円ということになっております。この七十万円というのは、もう少し分解いたしますると、七十万のうち五十万は給与所得控除の場合の最低保障額でございます。それからあとの二十万と申しますのは、だんなさんの所得税額を計算する場合の配偶者の要件がございますが、その所得限度額が二十万というふうになっておるわけでございます。したがいまして、この二つを合計いたしまして通常パートタイマーの所得限度額は七十万である、こういうふうに言われておるわけでございますが、先ほど私が申し上げました今回の五十六年の所得税法改正で予定いたしておりますのは、二十万の方を二十九万までに引き上げていただくということで、いま委員が御指摘になりました七十九万という数字になるわけでございます。
#197
○土井分科員 これは配偶者の所得の控除に対しての限度額を引き上げるということに結論としたらなっているわけなんですね。
 そこで、片や女性がやはり就労している中身でございますが、内職に対しての控除というのはどういうかっこうになっていますか。
#198
○梅澤政府委員 内職と申しましても、雇用形態で行われる場合は受けるのは企業でございますから、いまの七十九万で判定が行われるわけでございますが、通常内職と言われております場合はいろんな形態があるわけです。たとえば請負とかいろいろあるわけでございますが、給与所得以外の場合は、一般に事業所得として収入から必要経費を控除いたしましたものが課税所得ということで税額がはじかれるということになるわけでございます。
#199
○土井分科員 それはそうではなくて、いまの事業所得ということでも認識をされていない内職というのが実はあるのです。家でいろいろ委託を受けて封筒ののり張りをやるとか、それからよくゴム製品の履物なんかがありますが、あの部分を接着させるとか、そういう手内職と申しますか家内工業的な労働をいわゆる内職としてやっているという職種がございます。これはいまお答えをいただいた事業所得に当たらない中身なんですが、こういう場合はどういうふうに理解されますか。
#200
○梅澤政府委員 事業所得と申しますのは継続いたしまして営利の目的のためにやっている事業ということでございますが、内職の態様によりましては税法上たとえば雑所得として分類されるような場合もございます。しかし、この場合でも所得計算は収入から必要経費を引くということで計算するわけでございます。
#201
○土井分科員 いまの継続的に事業税の対象になっているというのは逆に言うと事業所得として認められますが、いまおっしゃったのは雑所得として内職を認めていく場合にもそれにかかった必要経費は落とすことが考えられている、こうおっしゃるのですが、いま私が申し上げたように、手内職で内職をやっていて雑所得と認められるような職種の中で、必要経費を落とすような必要経費というものは実際問題としてあるとお考えですか。これはいろいろ事実を調べてごらんになるとよくわかりますよ。必要経費というのは落としようもないですね、事実上余りないのですから。労働の現場といったら家の中なんです。交通費も要らない。しかし、ここでお考えいただきたいのは、パートタイマーや一般の給与所得者と違いまして、むしろ外に出て働くことができないという恵まれない条件にある人に家内労働的な内職は多いのです。子供を抱えて預けて働くわけにはいかない、だから子供のめんどうも横で見ながら内職をやらざるを得ないとか、それからまたいろいろ福利厚生の施設などもパートタイマーや給与所得者ならば利用できますけれども、内職をやっている人たちにとってはこういう機会も全くない。そういうことからすると、むしろパートタイマーや給与所得者に比べて、暮らし向きから言うと働かなければ食べていけない条件でありながら内職しかでき得ないという、非常に恵まれない諸条件の中でやっておられる実態が多いと思うのです。いま、必要経費をその中から落とすという特典があるとおっしゃいますけれども、実際問題、これを調べれば調べるほど、必要経費を落とすというその必要経費というのがどうも出てこないのですがね。だから、特典と言われる特典に浴していない労働実態だということをまずひとつ御理解いただきたいわけです。
#202
○梅澤政府委員 いま委員が御指摘になりました内職の実態、それから課税の執行上の問題については常々国会でも御論議のあるところでございまして、私どもずっと勉強はしてまいっておるわけでございます。これはむしろ国税庁の方からお答えを申し上げた方がいいかと思える面もあるわけでございますけれども、必要経費の立証と申しますか、税務当局との関係で、一人でお仕事をしておられて非常に手間がかかるというような問題もあるわけでございます。そこで、いま私どもが入って、労働省、国税庁の間で実際の内職の実態に即応いたしまして、やはり家でお仕事をされる場合、光熱費とか経費はかかっているわけでございますが、それを帳簿につけるというのは非常にめんどうな話にもなる。そこで労働省の場合は、家内労働法の適用を受けますと家内労働手帳というのがございます。そういうものも活用しながらどういった円滑な執行ができるのかということをいま鋭意勉強いたしておりまして、なるべく早く結論を得たいというふうに考えております。
#203
○土井分科員 そっちの方向でお考えになる側面もあろうかと思いますが、大蔵大臣、いまの内職ということについては税の取り扱いの上で少しお考えをいただく側面もあるようなんです。どうも私はあるように思われる。この内職というのを事業所得ということで見ないで、むしろ給与所得に準じて考えていって控除という問題を取り上げていってはどうだろうかという考え方があるのですが、大臣、こういう問題に対してどういうお考えをお持ちいただけるでしょうか。
#204
○渡辺国務大臣 これは論争のあるところなんですよ。要するに、給与所得と事業所得とを見て不公平があると言いますが、法理論から言うと、零細な事業所得で完全に青色申告をやって一〇〇%申告している人の方が実際は不利なんです。なぜかと言えばいまみたいな話があるから。何%控除というのはないわけですし、しかも売り上げとか在庫に対してもこれはみんな所得の対象になっているわけですから。したがって、これを制度問題で解決しようとすると大きな論争になるのです。それでこれはすぐ直すというわけにはいかないので、所得税全体の見直しでもやるときには――よくクロヨンだのニコヨンだのと言われるけれども、ぼくは不愉快なんだ。制度上から言うと、本当に零細なものは給与所得者の方が事業所得者よりも実際は有利なんですよ。しかし、そんな小さな事業所得者はないだろうというふうな頭でやっているのだろうと思いますね。ですから、当面の問題としては、いま梅澤審議官が言ったように、これはやはり一人親方の大工さんみたいな取り扱いで給与所得にしている場合もあるのですね。したがって、税法論争でいくと結論が出ないから、具体的ケースに従って課税の取り扱いとしてどうするか、なるべく有利に詰めることを私は進めます。
#205
○土井分科員 いまの大臣の御発言、まことに結構なんですが、それを詰めてずっといっていただくというのは、次の税法の改正ということとは関係なくいろいろと検討をお進めいただくというふうに理解をしてもよろしいのですね。
#206
○渡辺国務大臣 いま所得税の減税をやる考えを持っておりませんから、次の税制改正ということになるとずっと先になってしまうかもしらぬ。したがって、それとは切り離して、実態に応じて――これはやり方なんですよ。たとえば自分で材料を買えばそれが事業所得になってしまうし、材料支給なら向こうだ。しかしミシン仕事で、ミシンだけ自分のものだけれども針とか糸とかはみんな向こう持ちだという場合どうするのか、そのときはミシンは会社に借り上げてもらったことにしてやらせるとか、方法はあるわけです。ですから、そういう方法をうまく講じて説明がつくように、そして乱用、悪用されないようにすることは、なるべく早く検討をさせます。
#207
○土井分科員 なるべく早くとおっしゃるとおりにひとつ取り組んでいただきますと、いままで全く日の当たらないところに少し薄日が差してくるという感じになりますので、ぜひともそれはお願いを申し上げたいと思います。
 それで、いまの大臣の御発言の中にもちらほら出てまいりましたけれども、税金というものを考えてまいります場合に最も大切なことは、やはり公平な負担であるということだろうとだれしもが思うのですね。そういうことから、一律的な公平がつまり実質的に公平な措置であるとは必ずしも言えない点というのは、あちこち見た場合に多々ございます。私は女性ですから、勢いこの税金のあり方などについても女性の立場から見るという側面がどうしても先行いたします。そういうことからしますと、御案内のとおり民法が一部改正されまして相続に対して妻の取り分が変わりましたから、それに対しての相続税のあり方も変わるということで、私も何回かこういう問題を取り上げて、実は大蔵委員会にも先年出かけましていろいろ御質問を申し上げたという経過もあったりしたものですから、三分の一から二分の一になるというのは単にその数字が変わるだけでなくて、相続のあり方に対して基本的な問題を考えさせられるということで大変貴重な機会であったとも私は思うのです。
 女性の経済的な自立というふうなことを前提に置いて考えてまいりますと、税の取り扱いの上で妻の立場から少し意見があるという点が幾つか出てまいります。
 まずその一つに、大変残念ながら不幸にして離婚ということが具体的に出てまいります場合に、離婚の際の財産分与というものが不動産で行われる場合、その不動産で行われるということのために、譲渡による所得として分与者に所得税が現在は課せられています。したがいまして、スムーズに財産分与が行われない、これが障害になって財産分与に対してブレーキがかかるというふうな例があちこちにあるようであります。そういうことからすると、妻の協力によっていままで形成されてまいりました財産に対して、妻の寄与分を考えた上での持ち分というものが具体的に財産分与ということによって果たされ得ないという結果も出てまいりますので、何とかこの財産分与に対して課税の繰り延べということを考えていってはどうなんだろうかという意見がちまたにあるのです。
 つまり、その財産分与の時点で税を課さない、財産の分与を受けた妻が後で第三者に譲渡するとか売却するというときに課税をするということを考えてはどうかという問題なんでありますが、大蔵大臣は愛妻家ですから、こんなことを聞いても実感としてぼくはわからぬとおっしゃればそれまでかもしれませんけれども、現実の問題としたら、妻の立場からすると非常に深刻な方々があちこちにあるので、ちょっとお尋ねしてみたいのです。いかがですか。
#208
○梅澤政府委員 いま委員が御指摘になりました離婚の場合の財産分与でございますが、この財産分与契約というのは法律的にどういう議論があるかというのは、これは先生が御専門家でございますが、学説でいろいろ分かれておるようでございます。
 そこで税法では、いまおっしゃいましたように、主人が離別する妻にたとえば不動産を財産分与の一つとして渡すという場合を考えてみますと、財産分与の契約でございますので、現金を渡す場合、それから不動産を渡す場合、いろいろあるわけです。それで、受け取る方はもちろんそれだけの経済利益を受けるわけでございますけれども、お金で一千万渡すのと不動産で一千万渡すのとを考えた場合に、不動産を渡すということはその時点で一千万円の経済的価値として他人に移転しているわけですから、これは当然その時点で、税法上は譲渡による所得発生ありというふうに見ざるを得ないというより、見るべきであるということで所得税が課せられるということになっておるわけでございます。
#209
○土井分科員 これは最高裁判所のいろいろな判例なんかもあったりするのですが、いま常識から判断してもどうもその御答弁は納得できないのです。私が申し上げているのは、これは財産分与義務の履行そのものにほかならないのですよ。離婚によって夫から妻に財産を分与する、夫から妻にということを私は例として挙げますけれども、その財産分与義務の履行そのものにほかならないので、経済的な利益の発生ということにはなり得ないのです。財産分与行為というのは、婚姻中夫婦の協力によって形成された財産の潜在的な持ち分をここではっきりさせましょうという一種の確認行為と見なければならないと私は思っているのです。だから、妻の寄与分が問題になるのですよ。そうでなければ何もわざわざ、どれほど寄与しているかということをことさら問題にする意味はないだろうと思うのです。だから、財産分与行為というのは一種の確認行為と見なければならない、経済的な利益の発生と見るべきではない、こういうことをこの節はっきり確認することが大切ではないかと思っているのです。大蔵省は、物を取ることに急であって、こういう問題に対しての本筋というか、本来よって来るべき問題点の所在というものをきちっと確かめないで、どうも税金を徴収することはかりを考えられるきらいがあるのじゃないかという批判が世の中にあるのも、私はこのあたりに一つの問題点があるようにも思えてならないのです。大蔵大臣、どうですか、私がいま申し上げたような物の考え方というのは。これはそんな技術的な問題じゃない。政治家としてどうお考えになりますか。
#210
○渡辺国務大臣 こちらの言うのは、要するに二人でつくったものか、親譲りのものを持っているのか、実際は違うのですよ。安いときに買ったものは値段がうんと上がっている、上がっているものを安い価格で渡すというのでなくて、一千万円相当のもので渡すということになると、所得が発生したじゃないか、だから売ったと同じだと言っているわけですよ。
 それに類したような話もいろいろある。よけいなことを言うようだけれども、たとえば夫婦で、奥さんが株を持っているとか、いっぱい貯金を持って、自分で働いている、一緒に住んでいる、亭主の方に合算なんだ。そういうことなど、私はちょっとおかしいと思う。自分で働いた金なのに、何で利息が亭主の所得に合算になるのかというようなことなど、問題点はあると思うのですよ。ですから、これはすぐにというわけにはいかない。所得税法を直すようなときに、そういう問題も少し洗いざらい出してもらって、現状にそぐわない――共働きというのはいま普通になっているわけだから、実際は妻が取ってきて、夫の名義で買ったか妻の名義で買ったかだけで、本当は夫婦間では財布はごちゃごちゃ一緒なんだ。ただ単にうちで家事手伝いだけでなくて、自分でも所得のある場合があって、名義は亭主の名義になっている場合もあるし、逆の場合もあるでしょう。そういうように世の中が変わったのだから、それに合わないようなところはこの次の税制の抜本見直しの際に問題点をさらけ出して、直すべきものは直すという方向でやったらいい。しかし、これは残念ながらいますぐには間に合いませんな。
#211
○土井分科員 願わくは渡辺大蔵大臣のいらっしゃる間に……(渡辺国務大臣「長くやっていればね」と呼ぶ)長くとおっしゃるのは、それほどこれは時間をかけてやらざるを得ないという意味ですか。
#212
○渡辺国務大臣 これは三月、半年で片づく問題じゃないのですよ。これは根本問題ですから、一年とか二年とか、もう少しかかるかもわからぬが、ともかく学問的にかなり議論の出てくるところですから、ある程度時間がかかります。
#213
○土井分科員 時間はかかるでしょうが、確かにいま、現行の税法がつくられたときと事情も変わっているということも考えなければならないし、第一、財産というものに関してどういうふうな考え方がより実情に即応した物の考え方になるかということも詰めていかなければならないと思います。だからその点は、大臣のおっしゃるとおり、ひとつこれは前向きで取り上げてやってください、改正のときにと言ったって、いま大蔵省としてどういう考え方を持っていらっしゃるかということが、すなわちそれに反映をしていきますので。
 先ほど私が申し上げたこと、財産分与は一種の確認行為と見るべきだということについて、大臣は異論はおありにならないでしょう。
#214
○渡辺国務大臣 これは学問の世界だから、私は大臣であってもやはり法律違反みたいな話も言えないし、私はよくわからない。だから確約できないが、私が言ったことについては、これは大臣と国会と約束する話だから、だれが何と言おうとそれは政府に義務が起きるのであって、私がやめたって義務は継承される。したがって、そういうように時代に合わない、時代の現実と所得税の体制に違いがあるというような部分については、それは前向きに改正されるように検討することは当然だということです。
#215
○土井分科員 それは当然でしょうね。
 時間がもうありませんから、最後に一問だけ、これは大臣に申し上げたいのですが、先日予算委員会でも取り上げられました近畿、神戸の方のある病院の史上空前と申し上げてもいい巨額の脱税事件、あの一連の脱税の中身を見てまいりますと、どうも今回が初めてではございませんで、四十八年から四十九年の間税務署長を勤められた方がいまはそこの税理士になっていられるわけでありますけれども、実は税務署長時代、四十八年にこの大量な脱税を摘発されたという方であるわけなんです。なぜいまその病院の税理士になられているかというと、この事件で摘発をいたしました四十八年以後、所得税法違反で起訴をされまして、五十四年三月に大阪高裁で判決が出ているのですが、その有罪が確定する間、つまり係争中で裁判にかかっている間に、この元税務署長はその問題のみずからが脱税を摘発した病院の税理士になられているというかっこうなんです。これは常識から考えましても異様なことなんですね。おかしなことなんです。
 私はかつて、税理士法が改正される前夜でありましたけれども、決算委員会に出かけまして、天下り税理士のあり方の問題を、税理士法違反にも引っかかるような事例も挙げながら問題にしたことを記憶しておりますけれども、天下り税理士というのは思わしくない、これは本来許されることではないと私は思っております。しかし、今回の問題は法以前の問題だろうと思うのですが、こういうことがちまたに現実にあることは事実なんです。大臣、こういうのをお聞きになりましてどうお思いになりますか。大臣自身も税理士でおありになるわけですから、そういうことかもすると他人事ではおありにならないはずですが、どうお考えになりますか。
#216
○渡辺国務大臣 役所をやめた人が税理士をやってはいかぬということではもちろんありませんし、検事をやめた人が弁護士になっちゃいかぬ、そこにもいらっしゃいますがね、そういうわけでもありませんが、やはり自分のかかわった問題については、ある一定の期間は当然、人事規則か何かで決まっているのでしょう。だから、そういう法的な問題はないが、ただ私は、あの事件を後から新聞で見て、国税庁をやめた人が一つの病院に五人も八人もいるなんということは常識的には考えられない。しかし、それにもかかわらず大阪国税局はよくあれを摘発したと思って、おほめの言葉を実はぼくは賜っておるのです。しかし、そういうことのないように、今後は十分に注意をさせたいと思っております。
#217
○土井分科員 いまの御答弁は、摘発した方に対してこれをほめるというところに重点があったらしいのですが、私の言ったこととそれは問題点の置き方が全然違うのです。(渡辺国務大臣「いやいや、ちゃんと答えているのです」と呼ぶ)いやいや、私が言っているのは、税理士の天下り問題をかつて取り上げたあのときに指摘したわれわれの心配が、こういう形でもあらわれておるという側面を問題にしておるのです。かつて自分自身が摘発した脱税事件が起訴されて裁判中にその病院の顧問税理士になるというのは、これはちょっと常識からしたって考えられないことなんですが、現実にある。こういうことを認めていかない、何とか事前に、こういうことであってはならないという措置をとるということになると、これはどういうことが必要なのですか、大臣。
#218
○渡辺国務大臣 これは法律の問題と道義的問題と二つあると思います。税理士なんて単なる顧問で入ったのだからいいじゃないかという、それは一つの脱法行為じゃないかとぼくは言っているのです。ですから、これは厳格に解釈をして、世の中から批判を受けないように指導監督を強めていかなければならぬ、そう思っております。
#219
○土井分科員 時間ですので、終わります。
#220
○塩崎主査 これにて土井たか子君の質疑は終わりました。
 次に、村山喜一君。
#221
○村山(喜)分科員 若干の金融政策、年金の問題をお尋ねしてまいります。
 最近の日本経済の冷え込みはまことにひどい状態になりつつある。そういうことから、物価は上昇するし、中小の倒産件数は記録的な数字を示しておるし、鉱工業の生産水準を見ましてもちょっと落ち込みがひど過ぎるのではないかというような深刻な状態になりつつある。
 私の近くの町にも建て売り住宅を三百戸ぐらいつくっているのですが、ほとんど売れません。東京は一万軒ぐらいのマンションの売れ残りがあると言われる状況です。製材所は仕事がなくて半分が休業しているという状態です。
 このように建築業者の仕事がないという状態の中で、政府の経済見通しは、どういうような措置を講じたら来年度の経済成長の見込みが、明るい数字というのですか、物価を五・五%にしたり経済成長の実質の伸びを五・三にしたりすることができるのだろうか、そのために、いま公定歩合の操作を初めとする金融政策に全部寄りかかっているのではなかろうかというような気がするのです。一・五%くらい金利を下げてほしいという声が日増しに高まってくる。ところが、消費者物価は依然として、七%程度という経済見通しの修正もしたけれども、それでも追いつかない。実質家計所得の場合にはマイナスの状況が続いている。したがって、購買力も失われているわけです。
 こういうような状況の中で五十六年度の経済の見通しを立てられたその背景には、公定歩合政策も織り込んでいくということで、住宅投資の伸びを予定しあるいは企業活動等を織り込む形の中で、金融政策の弾力的な措置を織り込みながらあの数字を出されたものなのかどうか。それで、物価の見通しは基調的には安定をしているからとおっしゃるけれども、石油の値上がりによる基本的な消費者物価への影響というのは、コンスタントに何%かは石油の値上がりを見込んで計算した場合には、それだけの物価上昇の基礎が生まれる。だから、それを計算してみると四、五%は石油の値上がりによって上げ底にならざるを得ない。わずかに五・五%であれば一・五%ぐらいの措置、この線を動かす以外に政策の余地はないのじゃないだろうかという気がする。
 その点については、経済企画庁が五十六年度の経済の見通しをつくる場合にどういうことをその算出の基礎にされたのであるかということをまず承って、それから、今日の金融の状況について、長期金利の動きなりあるいは短資の動きの中でそういう条件が生まれつつあるのだろうかということを、大蔵省の方から説明を願いたい。
#222
○大竹政府委員 明年度の経済見通しの作成に当たりましては、わが国をめぐるさまざまの環境、それから国内の経済情勢等いろいろな要素を勘案して作成することは当然でございますが、その中の大きな要因として、もちろん石油価格の見通しということはあるわけでございます。ただ、見通しの中では、その石油価格だけを取り出しましてそれを幾らというふうに明示的にはお示しはしてございません。私どもの考え方といたしましては、価格が幾らであるということを政府が公式に申し上げるというには、石油価格はきわめて微妙な性格を持っておるということでございますので、これは国際的にも計算のやり方は大体似たようなことをやっているわけでございますけれども、世界の工業製品の輸出価格の上昇率程度を原油価格の上昇率と見るという計算方式が大体共通でございます。たとえばOECDの毎年二回発表になります経済見通しにおきましても、同じような見通しのやり方をしているわけでございます。見通しの前提はそういうことになっておるわけでございます。
 それでは、ことしから明年度にかけましての政策運営をどういうふうにするということで、五十六年度は五・三%の実質成長率を達成できるのか、そういうお尋ねかと思うわけでございます。この第二の問題につきましては、すでに御承知のように「昭和五十六年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」という閣議決定をいたしました政府の経済運営の基本方針に基づきまして運営をしていく、こういうことになるわけでございます。それでは何をするのかということは、現在の段階ではあれでございますが、抽象的に申しますと、機動的な、弾力的な政策運営を行っていくということが基本的な方針であるというふうに申し上げたいと思います。
#223
○水野政府委員 短期金利と長期金利の動きを御報告申し上げます。
 短期金利の典型のものはコールレートが挙げられますが、二十七日現在で八・六二%でございます。これは先般公定歩合引き下げが行われましたのは十一月上旬でございますが、十月下旬ごろに一一%程度の高い金利でございました。公定歩合の引き下げ後、相当急速に下がっていることは事実でございます。
 それから、長期金利の典型的なものが国債でございますが、国債の利回りが八・二八%、これは現在九十八円七十五銭という八%ものを出しておりますのでこれをとらしていただいて、残存期間が六年ほどのものでございます。それで、二十七日現在で、八・二八%ということに相なっております。これも前回の公定歩合引き下げ後順次下がってきつつございます。ただ、全体の姿から申し上げますと、まだまだ長期の方におきましては現在発行しております利回りよりも市場の金利の方が上でございますので、環境としてその方向に向かいつつあるけれども、すっと素直に行くような状況には必ずしもなっていないという懸念がございます。
 以上でございます。
#224
○村山(喜)分科員 ちょっといまの点をお尋ねしますが、発行利回りは何ぼですか。いま、国債の六年残ものの債券相場の流通利回りをおっしゃったのでしょう。
#225
○水野政府委員 現在の発行利回りが八%の九十八円七十五銭ということで、八・二二七%でございます。これは十年ものでございます。
#226
○村山(喜)分科員 たしか一月ですか、四年ものの国債を売ったところが価格が大変安くて中期債の消化が全部できなかったですね。これはその後どういうふうになっておりますか。
#227
○水野政府委員 恐縮でございます、正確な数字は持っておりませんが、中期国債を出しまして、八・四四ぐらい出たと記憶をいたしております。その後、中期国債の発行、これは公募入札でございまして、随時やることになっておりますが、やっておりませんので、そのときの数字が残っているということに相なります。
#228
○村山(喜)分科員 たしかそのときには十年ものの国債の発行利回りよりもその利回りから計算をすると上回るような惨たんたるものであったのですが、それでいま八・二八の利回りに下がってきた、だから金融の環境としてはその当時よりするとよくなってきた、こういうふうに見ていらっしゃるわけですか。
#229
○水野政府委員 いま申し上げました金融の環境と申しますのは、先ほど申し上げました同一の銘柄をずっととっておりまして、それがこのところ八・六二程度まで下がってきたということでございます。
 先生御指摘の中期国債は、そのときのは四年ものないしは三年ものだったと記憶いたしておりますけれども、短期の金利と長期の金利とのかね合いがございます。それで、むしろ十年ものよりも高く出てしまった、こういう時代がございました。その中期国債につきましては、その後出しておりませんので、それについて判断いたしておるわけではございませんで、長期の十年ものの残存六年ものの価格が上がりつつある、流通利回りが下がる方向に進んでいる、こういうことを申し上げているわけでございます。
#230
○村山(喜)分科員 そこで、最近資金需要が多いですよ。ところが、中小金融機関を初め地銀あたりも預金が集まりません。そこで、金を借りたいという人はわんさわんさ来ている。それで、コール市場から金を借りましてそれを貸してやろうという資金枠は銀行筋はあるわけですよ。地場銀行でも。ところが、それを借りてまでやるということになると逆転現象だ。こういう状況の中で、どうも貸してあげたいけれどもどうにもなりませんという、一種のクラウディングアウトが生じているのじゃなかろうかと私は見ているのです。そういうような意味では、この短期金利をもっと下げるという具体的な方策を立てられているのですか。これはコール市場の状況から見るとだいぶ下がってはきましたが、一体どういうふうになるのですか。効果ある措置がございますか。
#231
○吉田(正)政府委員 御指摘のとおり、ただいまのところ郵貯へかなり資金が集中したり、あるいは定期預金の方に資金が集中したりいたしまして、個人預金のウエートの高い中小企業専門金融機関や農協などの預金が伸び悩んでおります。そのようなことで、これらの余資金融機関の短期市場への資金供給とかあるいは既発国債の購入などが減少しておる、これはまさに先生の御指摘のとおりでございまして、こういう状態がやはり金融債券市場を逼迫させていることは事実でございます。今後それをどういうふうに持っていくかということは、長期的にはいろいろと制度面も検討していかなければならないかと思いますが、全体といたしましては、やはり日本銀行その他の協力を待ちながら、短期の方への資金誘導を図っていくということが必要かと存じております。
#232
○村山(喜)分科員 私はそういう意味では同感だと思うのですよ。ところが、なかなかその手だてがないから苦慮しておるのじゃなかろうかと思うのですが、そういうような民間資金が圧縮をされまして長短の金利が下がりにくい、そういうような状況が現実に生まれている。通貨数量のM2の伸びあたりから見ましても、どうも余り締まり過ぎているのじゃなかろうかというような気がするのです。それはインフレ、物価の関係においてそこら辺がまた非常に微妙な点だと思うのですが、そういうような弾力的な金融政策とは抽象的には言えるのですけれども、日銀政策の窓口の指導あたりで片づく問題であろうかどうだろうか、どうも気になってしようがないのですが、何かうまい手がございますか。
#233
○吉田(正)政府委員 いまの逼迫要因と申しますのは、それぞれいろいろな要因があると思います。先ほど申し上げましたような中小あるいは農協金融機関の金融逼迫もございますし、あるいは個人の金利選好資金による長期資金への固定化、その他もろもろの要因がございます。その情勢について今後どういうふうにやっていくかにつきましては、やはり景気とか海外情勢とか長短金利水準全般の推移、金融環境とかその他全般どういうふうな影響がございますか、あるいはそれらの推移等を総合的に見ていくということではないかと存じております。
#234
○村山(喜)分科員 大臣、消費者物価は依然として高いですね。四月になったら五・五に落ちつきますよと経済企画庁では言うけれども、ぼくはそんなにうまくはいかぬと思うのです。もっと不況になれば別ですよ。しかし、不況を放置するわけにはいかぬでしょう。そうなると消費者物価は、構造的な物価高というものが、石油価格がそれに転嫁されていく。五十年の産業連関表から計算をしてまいりますと、二倍に原油価格が上がってきたわけですから、四%ぐらいのげたをはいているようなかっこうになっているのです。そうなると、いま八%近いものを、急にこれを五・五%に下げるということは容易じゃない。
 そういうことを考えますと、消費者物価は依然として高い、米国の金利は御案内のように下がったかと思ったらまた上がった、そうして国債の金利など長期金利は依然として高いわけですね、そういう中で、公定歩合を早く下げろ下げろと田中通産大臣や河本経済企画庁長官は言っているようだけれども、あなたは一体どういうような気持ちでいらっしゃるのですか。もう環境がそういうような環境になってきたという判断をして、やるべきときが近づいている、こういう判断をされておりますか。
#235
○渡辺国務大臣 公定歩合につきましては、大蔵大臣は物を言わないことになっておるわけでございます。
#236
○村山(喜)分科員 まあそれはたてまえだろうと思うけれどもね。日銀の管轄領域だろうと思うけれども、しかしこれは、景気てこ入れ政策はやらなければいかぬ、いろいろな手を使って総合的な政策だと言ってみても、余りいいものは出ておりませんね。そうなると、やはり金融政策というものに頼らざるを得ないというようになってくる。ところが、実質的な所得は勤労者世帯はマイナスになっている。来年は増税で可処分所得がまた奪われる。そこへもってきて預貯金の金利まで下げられたのでは、二重三重の責め苦を負うというかっこうになってくるわけですね。それでもサラリーマン世帯はがまんをしろということにあなたは踏み切るのか、それとも、それは大を生かして小はやむを得ないという気持ちでおるのか、そこをぼくは聞きたかったのですよ。お答えにならないのだったらそれでもいいけれども、何か所感がありますか。
#237
○渡辺国務大臣 景気はやはり持続して発展させなければ根本が違ってきちゃうわけですから、われわれも十分に配慮しているところなんです。ただ、金融の問題については、国債が多く出過ぎてそれがクラウディングアウトのような状況になっている、これも村山議員の指摘するとおり。何よりも大事なことは、国債の発行量を減らす、これが最優先なんですよ。
 その次は、金利問題についてはいろいろ議論があります、もっと低金利にしろと。低金利にしろと言ったって、公定歩合を下げたからといっても低金利にならぬわけですからね、これは。公定歩合だけでそれは貸出金利が末端まで全部下がるなんということはあり得ない。公定歩合を下げてそれが有効に機能するためには、やはり一般の預金金利も下げなければ機能しないのです。それは短期プライムレートが連動するといっても、銀行でも非常にいま利ざやが少なくなっておりますから、そうなれば、これだけ大きな枠の短期プライムを小さくするだけですから、自分でつぶれるわけにはいかない、赤字は出せないということになると、これはいろいろ問題がある。だからといってそれじゃ長期金利も下げるのかといっても、国債が多過ぎて足を引っ張っているから長期金利をすぐ下げるということは人為的にはむずかしいですよ。これも議員の指摘したとおりなんですよ。しかし、そんなことを言ったって、預金金利も下げて短期金利も下げれば、そのうちには長期金利も自然に下がらざるを得ないじゃないかという議論もある。いろいろ議論がありますが、私は大蔵大臣ですから、そのいずれをとるとも申し上げるわけにはまいりません。ただ、適時適切に機動的に対処するということは申し上げます。
#238
○村山(喜)分科員 その程度だろうと思うが、そこでもう一つ、年金の問題を聞きたいのです。いま確定申告の時期ですね。そこで、衆議院の会計課の方から、国会議員は社会保険の互助年金として、支払い保険料九十二万九千八百八十円を社会保険料として控除してありますからという文書をもらっております。これは公的年金ですね。それから共済年金等がありますね。それから厚生年金、国民年金といろいろございます。その中で、今度、適格年金というのは、御案内のように、私の理解するところでは共済年金の頭にそろえましてそこまでは控除することができるということになっておる。だから、現役の職場におる人たちは、税法の上から言えば、これは大臣が一番詳しいわけだが、厚生年金プラス適格年金、企業年金、それが公務員の共済年金等と匹敵をするところまでは所得控除として認めましょうという仕組みになっておる。ところが、国民年金の受給者等の場合には、適格年金、企業年金というのはございませんね。そこで、所得の中で国民年金だけじゃ食えませんから、やはりそこには個人年金というものを打ち立てて、そして自分の老後の生活を自前で保障しなければならない制度にいまなっておる。そこで、これは郵政省がやろうがあるいは民間がやろうが、年金というものについてはそういうような国民のいわゆる官民格差をなくするという意味において、同じような均等な処理を願いたいという気持ちは当然働いてまいります。
 そこで、私、具体的にお尋ねをしてまいるのですが、今度は郵便年金の法律が閣議決定をされまして、来週には出てくるそうです。七十二万円が最高だ。これには終身年金と定期年金がございます。七十二万円をめぐって、ああでもない、こうでもないと言って大変な論争をされておったようですね。われわれは関知してない、そういう中で決まった、提案をされた、これはどういう中身のものを用意してくれているのかということを問いたいというのが国民の側から見た気持ちではないだろうかと私たちは思っておるのです。そういうような意味においては、今度出てまいります郵便年金というものは、自営業者の人たちがそういうものを利用したいと思っておりますね、ところが、メリットは何も与えていないでしょう。しかも、資産の運用は限定されたものですから、やり方によっては、うまくやれば民間の方が有利になるはずです。それを七十二万円ということでやかましく大蔵省の方は言われて、郵政省の方と半ば歩み寄ったような形でそれが決まったように聞いておるのですが、そういう年金制度については、税法上のメリットというものをこの新制度が始まる場合にどのように検討されたものであろうかということを、私は具体的に自分たちがもらう社会保障経費の控除の問題に関連をしながら考えたわけですよ。それはどういうふうになっておりますか。
#239
○梅澤政府委員 年金の問題につきましては、委員御案内のとおり、いわゆる社会保険の年金につきましては給与所得控除というかっこうで課税をされておりますし、それから一定の年齢に達しますと老齢年金者控除という制度があるわけでございますが、民間の私的年金につきましては、受け取り段階はほかの所得と一切の区別はしておらないわけでございます。ただ、民間年金の中でも保険契約型のものにつきましては、現在、生命保険料控除というものがございまして、郵便年金もこれの対象になっておるわけでございます。全体といたしましてこの生命保険料控除を年金との関係でどう考えるかというのは非常に大きな問題があるわけでございますけれども、現在、生命保険料控除自体の減収額も非常に多うございますし、私どもはいまの生命保険料控除の限度内で、こういう財政事情の折からでもございますので、今後の個人年金の問題につきまして税制上優遇措置をどうするかということについて具体的な検討はまだいたしておりません。
#240
○村山(喜)分科員 郵政省からおいでになっていますから一言だけ聞いておきますが、七十二万円を決めた。その後に新聞が伝えているところでは、金融の分野における官業の在り方に関する懇談会、これは一月二十六日に発足をして有沢さんが座長になられたようでございますが、その中で、七十二万円、郵政省の主張が大分通ったから、あとは金利一元化の問題で、その懇談会の結論を大蔵大臣も郵政大臣も尊重するものとするとなっているのだから、そういうような意味において一元化の立場に立ってやるのだという構えでございますか、その点だけお答えをいただいておきたいと思います。
#241
○山口説明員 郵便貯金の考え方でございますが、郵便貯金は簡易で確実な少額貯蓄の手段を国民の皆様方に提供いたしておるところでございます。そして、国民の経済生活の増進、福祉の向上を期しておるところでございます。
 この郵便貯金の金利の決定に当たりましては、郵便貯金法によりまして、預金者の利益を増進し貯蓄の増強に資するよう十分配意する、あわせて民間の金融機関の金利にも配意する、こういう仕組みになっておるものでございます。預貯金の金利につきましては、主として預ける側、預金者の側の保護の立場、それから預かる側、金融業界あるいは産業界のお立場から決定されるもの両方あって併存し、事実上両者が状況に応じて調整されるということで、結果的に国民全体の利益も擁護される、そういうことで国の政策としての適正さが確保されているものでございます。したがいまして、私どもとしましては現行の金利決定方式が適切なものと考えておる次第でございます。この方式を変更しまして金利を一元的に統制しようということは、預金者保護の機能を失わせることとなりはしないかというふうに私ども考えておる次第でございます。金融懇でいろいろ御審議いただくわけでございますが、私どもの立場はいろいろと御説明申し上げて十分御理解を得ながら進めていただきたい、このように考えておる次第でございます。
#242
○村山(喜)分科員 大蔵省、何かそれに対してございますか。
#243
○吉田(正)政府委員 私どもの方といたしましては、金利政策はあくまでも国民経済的視野ということで、物価、景気を調整するという立場から実施あるいは判断されていくべき問題でございますので、その機動的運営が図られることがまず第一義的だと思っております。預金者の利益については十分配慮しなければならない、かように存じておりますが、金利の機動的運営によりまして国民経済が適切に運営される、その結果、国民所得の増大なり景気の安定なり通貨価値の安定が図られることによって、預金者を含む全体の国民の利益が上がるということが最も第一義的な預金政策でございますので、その点からは金利は機動的かつ一元的に運営さるべきだ、かように考えております。
#244
○村山(喜)分科員 時間がありませんが、大臣に一言。
#245
○塩崎主査 簡潔に願います。
#246
○村山(喜)分科員 先ほど指摘をしました社会保険料の税法上の取り扱いの問題は十分検討してください。そうでないと、公的年金制度の恩恵を受けない国民の層はそれだけ税法上不遇な措置を受けているというふうに受けとめているのですか。ら、均衡のあるものとして老後の生活の保障は同じように国民的な立場において考えていかなければならない問題であるということを私は指摘をしておきまして、この問題については御検討をお願いをしておきたいと思います。
#247
○塩崎主査 簡潔に願います。渡辺大蔵大臣。
#248
○渡辺国務大臣 所得税改正の際には検討さしてもらいます。
#249
○塩崎主査 これにて村山喜一君の質疑は終わりました。
 次に、稲葉誠一君。
#250
○稲葉分科員 きょうは私はきわめて初歩的なことをお伺いさせていただきたいと思います。私自身よくわかりませんから、よくわかるように御説明を願いたい、こう思います。
 最初に、日本の法人税法の六十六条では、税率を四〇%にしていますね。これはいつごろから、どういう理由でこういうふうに決めたのか、そこをひとつ御説明願いたいと思います。
    〔主査退席、愛野主査代理着席〕
#251
○梅澤政府委員 お答えを申し上げます。
 日本の法人税率の戦後の推移でございますけれども、昭和二十七年四二%、これは朝鮮事変の直後でございますが、これが戦後の最高の税率でございまして、その後日本の経済が復興いたしまして、高度成長の過程にかけましてこの基本的税率はずっと引き下げられてまいりまして、昭和四十一年三五%になっております。その後、四十年代に入りまして漸次引き上げが行われておりまして、ちょうど四十年代の中ごろでございますが、この時点でただいま申し上げました当時の基本税率三五%の五%増しという税率で四年間引き上げてまいりまして、したがいまして現行の四〇%の税率になりましたのは昭和四十九年からでございます。
#252
○稲葉分科員 日本の場合はどうしてそういう単一の税率をとったのかということですね。アメリカの税法の場合を調べてみますと、一九七九年、つまり五十四年一月一日からは二%ずつ減りました。それでアメリカの法人税率は最低が一七、そして二〇、三〇、四〇、四六というふうに五段階に分かれておりますね。これはいつごろこういうふうになったのか。このときに四八%が二%減って四六になったのですね。そうすると、一七、二〇、三〇、四〇、四六というのは日本円に直すと幾らから幾らというふうになっていますか。
    〔愛野主査代理退席、主査着席〕
#253
○梅澤政府委員 五十四年以前は五万ドル超二六%ということになっておりましたが、五十四年からただいま御指摘になりましたように十万ドル超、それから七万五千ドルから十万ドル、それから五万ドルから七万五千ドル、それから二万五千ドルから五万ドルというふうに区分けができておるわけでございます。
#254
○稲葉分科員 私の言うのは、一九七九年一月一日から変わったのでしょう。大体二%ずつ、二%でなくてうんと減ったのもありますが、日本円に直して一ドル二百円なら二百円でいい、それに直して計算すると概略現在のアメリカの法人税法はどういうふうになっておりますか。この前、堀さんは所得税のをやりましたけれども、法人税法を日本円に直して計算をすると、これは五段階に分かれている。日本と非常に違うのですね。どういうふうになっていますかと聞いているのです。
#255
○梅澤政府委員 仮に為替レートを一ドル大ざっぱに二百円と置きますと、十万ドルでございますから二千万円でございますね。それから、二万五千ドル刻みでございますから五百万円刻みになっておるということでございます。
#256
○稲葉分科員 そうすると、最高が四六%でしょう。四八%が四六%になったわけですね。それは所得が二千万円以上からそういうふうになっている、こういうことですか。
#257
○梅澤政府委員 御指摘のとおりでございます。
#258
○稲葉分科員 そうすると、日本の税金と比べるとアメリカの法人税というのは物すごく安いということじゃないのですか。率は高いですよ。一番下は一七ですけれども、五段階に分かれていて、二千万円以上が四六。日本の場合は全部が四〇、こういうことになってくるのだから、これは法人実在説の立場から言っても、理屈は抜きにしても当然こういう形に累進を考えていいはずだと私は思うのですね。それを単一に四〇%にしていくということはおかしい、私はこういうふうに思うわけです。これによって日本の税法とアメリカの税法との関係で結局金額的にずいぶん差異が出てくるのではないですか。これを当てはめてみると、二千万円以上の所得のあったものは日本でも四六%取れる、こういうふうになれば、いま四〇%ですから六%の差が出てくれば日本の法人税収もずいぶんふえてくる、こういうことになるのではありませんか。引当金の問題なんかいろいろ細かい問題はありますよ、それは抜きにして。
#259
○梅澤政府委員 アメリカの法人税率といいますか、法人税制につきましては、委員が御指摘になりましたようにいろいろな考え方があると思います。
 ただ、この問題につきまして私どもの立場から若干の御説明をお許し願いますと、昨年十一月に税制調査会が中期答申をおまとめになったわけでございますが、実はおまとめになる段階で、去年の春から主として学者の先生方に集まっていただきまして、企業課税の特別委員会を設置していただきまして、この税率構造についていろいろ御議論を願ったわけでございます。
 その議論の過程で、いま先生が御指摘になりましたことに関係のある部分について触れますと、法人税というのは基本的に比例税率であるべきであるという点については異論がなかったわけでございます。したがいまして、いまおっしゃいましたように、アメリカの十万ドル以下何段階かの刻みで税率が組まれておるわけでございますけれども、これも実際に学者の方にアメリカへ御調査をお願いいたしまして、その結果、アメリカの十万ドル以下の税率構造の刻みというのは基本的には日本で言いますいわゆる中小法人に対する軽減税率という政策的配慮で設けられているものであるという御結論をいただいておるわけでございます。わが垣の場合も当然、今回御改正を願うわけでございますけれども、現行制度におきましても年所得七百万円以下につきましては基本税率四〇%に対して二八%という低率を設けておるわけでございます。したがって、その国々によってやり方はいろいろございますけれども、基本的に法人税というのは比例税率であって、中小法人に対してどの程度の配慮をするかというのは、国情あるいは経済の実態に応じてそれぞれの国で税制を組んでしかるべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
#260
○稲葉分科員 私はそんなことを言っているんじゃないのです。中小の場合は実際にいろいろな軽課措置をとって低くしているのです。これはわかるのです。そうじゃなくて、一番上がアメリカの場合は四八が四六になっているじゃないか、それを日本の場合は四〇で抑えているということは、今度二%上げるとしても、それはおかしいではないか、この辺にもっともっと考える余地があるのではないか、こういうことを言っているのです。わかるでしょう、これは。アメリカに比べて非常に税率が低いじゃないですか。それはアメリカの経済と日本の経済は違うと言えば違うかもわからぬです。もちろん違いますよ。一律にそういうことで比較はできないとしても、この点でもっと余地があるのじゃないかということを言っているのです。この点はもっと十分にお考え願いたいわけです。
 私はこういうふうに思うのです。比例税率ということはなるほど理屈はそうかもわからぬけれども、個人が累進なんですからね、必ずしも法人が比例でなければならぬということはないですよ。現在の法人の活躍というものを見れば、だれが見たって個人と同じあれをしているわけですから累進でやってもいいわけです。当然考えていいわけです。日本の学者でもそういう考えを持っている人はたくさんいますよ。そうでない人もいますけれども、大体日本の学者は累進税の方が強いのじゃないかな。それは佐藤さんでも何でも大体累進の考え方を持っているように思いましたがね。まあ学者の考え方はいい。学者は学者の考え方があるからそれはいいですが、私はその点について疑問があるということをまず最初に申し上げておきます。
 そこで、もう一つの問題は、大蔵省が出しておる法人企業統計というのがありますね。これは私は新しいのをこの前あれしましたが、あれは、もと「エコノミスト」にいた人でいま名古屋の社会福祉大学に山本正雄さんという方がおられます。その人のあれなんか見ても、法人企業統計から見たときの日本の自己資本というものはこの二、三年どの程度伸びているか。たとえば、五十三、五十四――五十五はまだ出ませんね、その中で、十億円以上のものがどのくらい伸びているか、それから資本剰余金がどういうふうになっているか、そのうち十億円以上のものがどれだけになっているか、それから負債性引当金というものを加えた場合にどうなるかとか、いろいろな計算があるわけですね。
 いま一部上場は幾らくらいありますか。古いのだと千四百七十三。いまもっとあると思います。千五、六百あるかな。いずれにいたしましても、そういう計算をしていくと、自己資本で非常に伸び、資本剰余金が非常に伸びておる、特に十億円以上の資本金のものが非常に伸びておる、こういう数字が大蔵省から出ておる法人企業統計でも認められるのではないか、そう私は思うのですが、その点はどういうふうになっておりますか、一番新しいのを二、三年ちょっと……。
#261
○吉本(宏)政府委員 ただいま先生の御指摘は、自己資本比率の動向がどうか、それから資本剰余金の問題、負債性引当金の問題ということでお尋ねがございました。
 自己資本比率でございますが、全企業で見ますと、五十二年からの数字を申し上げますと、五十二年が一四・一%、五十三年が一四・三%、五十四年が一四・三%ということで、全企業で見ますと大体横ばいということでございます。これに対して十億円以上の資本金のものをとってみますと、これは全部で千九百十三社ございますが、五十二年が一五・六%、五十三年が一六・七%、五十四年が一六・五%、大体一六%台の数字でございます。
 それから次に資本剰余金でございますが、これは全企業の数字を持ってまいりましたが、全企業で見ますと、五十二年が、これは資本準備金で申し上げますと、三兆六千六百十九億円、五十三年が四兆二千九百九十五億円、五十四年が五兆一千百五十六億円でございます。ちなみに十億円以上だけの数字で見ますと、五十四年度では四兆五千三百六十二億円ということになっております。
#262
○稲葉分科員 負債性引当金はいいです。
 いまの数字を見て、大臣、あなたおわかりになると思いますが、自己資本の増加を見ても、これは金額で出てないのでパーセントで出ていますから実際の感覚がこれではちょっとわからぬのですけれども、それで見ても、十億円以上のものの伸びと全体の数字の伸びとが非常に違うということがわかるんですよ。日本の場合、資本金十億円以上の千九百十三社というものが非常に自己資本をふやし剰余金もふえて、利益をうんと上げているということがわかるわけです。これは日本の経済の特徴ですよ。資本主義経済だから、大資本が中小企業や何かを犠牲にして伸びていくということは、これはあたりまえの話と言えばあたりまえなんだけれども、こういうことから見ると、この法人税率というものを一概に四〇としてやっていくということは、私は低いのじゃないか、こういうふうに考えられてくるわけです。その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#263
○吉本(宏)政府委員 自己資本の中で、いま数字を申し上げましたが、その中でどうも大資本の、十億円以上の資本金の自己資本比率が高くなっているじゃないか、こういうお尋ねでございますが、これは一つは、自己資本は御承知のとおり資本金とそれから資本準備金、利益準備金、そういったものを総資産で割ったわけでありますね。ところが、資本金は別といたしまして、資本準備金がいわゆる時価発行増資というようなことで大方の企業の時価発行増資がかなり大きい、こういうことが一つの原因ではないか、このように考えております。
#264
○稲葉分科員 細かく言えばいろいろな原因がありますよ。だけれども、資本金十億円以上のものとそうでないものと比べたときに、日本の場合は十億円以上のものの方が利潤が大きく上がっておる、これはあたりまえの話ですよ、貸本主義経済というものはそういうものなんだから。そうでなければ、あなた、資本主義経済なんて成り立っていかないわけですからね、あたりまえの話です。
 そこで、私がお聞きをしたいのは、日本の場合は自己資本の率というのはアメリカなどと比べて非常に少ないですね。銀行借り入れが非常に多いでしょう。大体自己資本の率は三割までいきませんか。平均どのくらいになっていますか。二割五分、三割程度でしょうね。アメリカの場合は逆というか、あれですね。そうすると、そこで問題が起きてまいりますのは、これは大蔵大臣にお尋ねをしたいのですが、私も実はよくわからないのです。ということは、公定歩合の引き下げによって、過去何回かありましたよね、それによって貸出金利が連動する。連動するといったときに、自己資本というのは銀行からの借入資本によって形成されている日本の大企業、大資本というものは、連動した場合に、金利というものは非常に下がってくるから、それに対する支払いが下がってきて、そこで大きな利益が日本大企業には当然生まれてきておるのではないか。こういうふうに思うのですね、理屈の上から言っても。その点はどういうふうにお考えでしょうか。
#265
○渡辺国務大臣 公定歩合が引き下げられると、いままでの状況では連動して下がるのは短期プライムレートだ。つまりそれはかなり優良な企業、大企業でしょうな、それの借りる資金が連動して下がる、そういう点では有利であることは間違いないと思います。
#266
○稲葉分科員 そこで、過去何回かの公定歩合の引き下げによって連動して貸出金利を下げられた、そのことによって日本における一部上場の大企業が一体どれだけの利益を得たかということ。貸出金がわかれば、有価証券報告書にも全部出ているわけだから、わかると思うのだ。いまここですぐというわけじゃないですよ、ぼくもそこまで細かくは言ってませんから。私の常々疑問に思っていることをここで聞いているわけだから、ここで解決してくれということを言っているわけじゃありません。だから、それによって非常に利益を得ている。どれだけの利益を各大企業が公定歩合の引き下げ、それによるレートの引き下げによって得ているかということは、あなたの方で計算できるはずだと私は思うのですよ。まず計算できるかできないか。やろうと思えばできるでしょう。いまここで出してくれとは言いませんよ。できますか、やろうと思えば。
#267
○吉田(正)政府委員 この計算でございますけれども、貸出金利ももちろん公定歩合が下がりますと下がるということで、企業の負担が軽減されることは事実でございますけれども、その場合にどういうふうに長短金利の動き方等、それからそれによりましてどのようにたとえば企業が判断いたしまして長期金利の方に移るか、長期借り入れと短期借り入れの配分をどのように変えるか、あるいはその金利負担の度合いに応じまして負債の度合いあるいはその預金の構成をどういうふうに変えるか、大変いろいろの要素がございます。また、つけ加えますと、金利低下のテンポなどがどういうふうになっていくかというふうなことがございまして、大変むずかしいことでございまして、全体としてただいま大臣が申し上げましたように金利負担の軽減ということは確かにございますけれども、定量的に申し上げるのはかなりむずかしいように事務的には考えております。
#268
○稲葉分科員 それはむずかしくしようと思えばむずかしいのですよ。あなたの方は計算するのがいやだから、後でいろいろなことでそのデータをこちらに有利に使われるから、あなたの方ではそれをいやがって出さない。もちろん数字をはじくときには条件があるわけですよ。その条件というものを一番簡単なものに捨象して数字をはじいているわけでしょう。あなたの方だって。これはあたりまえの話。だから、そういう形ではじいてごらんなさいと言うのだ。
 実は、なぜこういうことを言うかというと、私はある大学の教授といろいろ話をしたわけですよ。そうしたら、問題は法人税の引き下げとかなんとかということによって大企業が利益を得ているのではないのだ、公定歩合の引き下げに連動する貸出金利によって利益を得ているのが一番大きいのだということを言うわけですね。たとえば東大の林先生と話したときも、そういうふうに言っておられるのだ。だけれども、ああいう人たちは資料がないから資料を私の方からくれというようなことを言われたので、大蔵省からもらって東大の方へ渡して、林先生のところで研究してもらおうと思っているのですよ、そうすると、あなた方の言うことがうそかまことかわかるから。まあ、うそは言わないでしょうがね。そういうようなことで、やればやれないことはないでしょう。だけれども、前提はありますよ。余り細かい前提を置いたらだめだ。前提をきわめて少なくして、だからそれは大ざっぱかもわからぬけれども、計算してごらんなさい。これはできるわけでしょう、あなたの方でやろうと思えば。やらないと思えばできない、それだけの話でしょう。だから、やります、すぐはできない、しばらく時間をかしてください、こういう答えなら、それはそれでしようがない。どうですか。
#269
○吉田(正)政府委員 御指摘のようなことについては、先ほど申し上げたような不確定要因がもちろん多うございますけれども、大胆な推測というようなことでございますれば、たとえば前回の公定歩合の浸透率とか、あるいは法人企業の対象をしぼるとか、それから期間を限らないで効果が出尽くした期間をどのように限るかとか、そういうことについての若干の大胆な前提を置きましてのようなことであれば可能かと存じております。
#270
○稲葉分科員 だから、あなたの方で、あなたの好きなように前提を選んでください。前提は明記しなければいけませんよ。それで計算してくださいね、ぼくが大学の研究室に送って研究してもらうから。あなたの方でもよく勉強している人がいるでしょう。吉田和男君なんか、「日本の財政金融政策」というむずかしい本を書いているね。中は数字がいっぱい書いてあってわからない。ああいう貴重な人もいるけれども。
 そこで、もう一つ私はわからない問題があるのです。それは、日本とアメリカがなぜ直接税中心で、ヨーロッパがいわゆる間接税中心なのか、この原因は一体どこにあるのか。これはいかにも初歩的な問題だ、きょうのはみんな初歩的なことを聞くわけだから。むずかしいことはゆっくり聞くから、その点、どうなんですか。
#271
○梅澤政府委員 これは大変むずかしい問題でございますが、いろいろな見方があるようでございます。ただ、基本的に私ども考えておりますのは、税制というのはその国の経済社会の中で生まれてきました一つの社会事象といいますか、文化現象でございますから、やはり歴史的な経緯というものが非常にあるのではないか。つまり、ヨーロッパの場合は市民革命のようなかっこうを通じまして近代の議会民主主義の国をつくったわけでございますから、それはむしろ税に対する問題というのが一つの引き金になっているという観点はございますね。ところが、アメリカの場合は、むしろ新天地でいろいろな新しい人たちがたくさん集まってきて、その中での社会契約のようなかっこうでお互いが税法を申告に基づいてきちんとやろうということで、むしろ直接税が比較的受け入れられたのではないか。これはそういう歴史的な背景の一端でございますけれども、そのほかいろいろな事情があると思います。
#272
○稲葉分科員 アメリカの場合は、税金というものはきちんと納めるものだという考え方が非常に強いわけですね。だから、この前もちょっと聞いたことがあってぼくもよくわからなかったのだけれども、アメリカでは開業して一年、二年というものの場合は収入申告主義というものを一応形の上でとっているわけでしょう。そこでやるから、日本のように自分で判断しての所得の申告じゃないわけです。収入申告してそこで向こうが査定をするから、開業したときでも所得はあるという認定もできるわけでしょう。日本の場合はその点が、開業二、三年というものはほとんど税金を納めなくて済むというような形。形はいろいろある。これはいいですよ、ここでなくて。これまだよくわからない、むずかしいところなんですよ。アメリカの収入申告主義というのが、果たしてそういう言葉で呼ぶのが妥当かどうかということをぼくも疑問に思うところがあるのです。よくわからないですね。実際のことはわかりませんから、書物の上だけだから。
 そこで私が思いますのは、今後日本のいわゆる直間比率というものを変えていこうというのが大体の動きにいまなっているわけですね。これは大平さんも盛んにそういうふうなことを言っておられた。これは大蔵大臣もそうでしょう、そういう考え方ですね。そうすると、直間比率を変えていくということになって間接税をふやしていくということになると、当然それに伴って連動するかどうか、いわゆる所得税の刻みが日本では十九でしょう、アメリカでは十五ですね、この刻みというものによって、自然増収というものは日本の場合は非常にふえてきているわけですが、この刻みがまた改正されなければならないですね。こっちをふやしていこうというのだから、こっちをある程度減らしていこうということになるのはあたりまえの話なんで、これはそういうふうな考え方でしょう。そうすると間接税を中心にしていこうという考え方になってくると、自然増収というものがいままでのように見られなくなってくる、こういうことは当然言えてくるのではないでしょうか。そうでないと、こっちも取る、こっちも取るということになりますからね。これはひどいことになるので、この点は大臣、どうなんですか。
#273
○梅澤政府委員 それは間接税の比重をふやしていくという場合に、これは一般論として申し上げますのでお断りしておきますけれども、一般に間接税は比例税率であるということになりますと、マクロ的に見まして税の弾性値というのはかなり安定的であろうということは一般論として申し上げられます。
 では、累進構造をとっております所得税につきまして弾性値が果たして大きくなるか小さくなるか、これは自然増収が大きくなるか小さくなるかという議論のうらはらの問題でございますが、これはやはりそのときに仕組みました税率構造と、一番大事なのは、それぞれのブラッケットに入っております所得階層の分布、これとの相関関係でございますので、一概にどうなるということは言えないと思います。
#274
○稲葉分科員 一概にどうなるか言えないことは、これはあたりまえの話。間接税の場合には自然増収ということは考えられるのですか、考えられないのですか。
#275
○梅澤政府委員 自然増収の定義の仕方でございますけれども、前年度の税収額を前提にいたしまして、税制が一切変更がない、経済の実勢に応じて税金がふえるということを自然増収と定義いたしますれば、間接税の比例税率といえども、消費とかその他の支出が拡大していけば当然税収はふえるわけで、その意味での自然増収は当然あり得るわけです。
#276
○稲葉分科員 私の言うのは、所得税が日本の場合に十九に段階が細かくなっているでしょう。そういう関係で所得がふえれば税率が上へ上がっていきますね。そういう形でいま自然増収というものがふえている。そういう形での自然増収というものは間接税の場合にはなくなるでしょう、こう言っているのですよ。
#277
○梅澤政府委員 一般論としてはそういうことはあながち否定できないと思います、いま先生がおっしゃったことは。つまり、比例税率でございますので、弾性値の比較からいたしますれば、累進構造を持っております所得税の方が弾性値は一般的に高くなる傾向がある……
#278
○稲葉分科員 傾向も何もじゃなくて、それはあたりまえの話ですよ。
 そこで、私は、いろんな問題があるのですが、よくこういうことを言われるのだ。そうすると、大蔵大臣、明年度――ことしもやるのだろうと思うけれども、ことしは別として、物価調整減税をやるとかやらぬとかということで、来年所得税の減税をやろうということになってくると、これは十九ある段階というものを、こういう細かい分け方を整理するのですか。こういう形で減税をやるというふうに将来は向かっていくのか、どういうふうになるのですか。これはこのままにしておいてやるの。所得税減税をやると言ったって、どういう形でやるのですか。この細かい分け方をもっと大ざっぱにするとか、それによっても浮いてくることがあるだろうし、あるいは税率を変えるとか、いろいろなことが出てくるでしょうね。これはどういうふうにやるのですか。
#279
○梅澤政府委員 ただいま御質問の点につきましては、大蔵省といたしまして基本的に具体的な方向を考えているわけではございませんが、税制調査会での御議論の背景等を通じて御説明申し上げますと、これは先ほども申し上げましたけれども、昨年十一月の中期答申で、中期的に見てわが国の税制の検討課題といたしまして、例のいわゆる幅広い課税ベースを持った間接税の問題と現行の所得税をどうするかという問題が提起されておりまして、その中で所得税の問題点といたしましては、日本の特徴は一つは課税最低限が一般に諸外国に比べて高い、同時に累進構造が急になっておるという特徴と、いま一つは、そういうことも関連がございまして、水平的と申しますか、各種の所得者の間の税負担の公平の問題、これは誤解に基づくいろいろな議論もあるわけでございますけれども、皆さんに税制は公平であるなあという信頼を持っていただくためにどういうことを検討したらいいのかというふうな問題も提起されておるわけでございます。
#280
○稲葉分科員 税制調査会は、五十八年度までは所得税減税をすべきではないという答申をしているのでしょう。そうじゃないですか。それはどういう根拠によってやるわけですか。自然増収でやればどんどんふえていくからそれでやれ、それで足りないところは公共サービスを減らしたらいいじゃないか、こういう考え方ですか。
#281
○梅澤政府委員 中期答申では「財政再建が重要課題とされている現状では、課税最低限の水準をさらに引き上げることは至難であると考えられる。」というふうに述べられております。
#282
○稲葉分科員 いずれにしても、この前、堀さんがあそこで質問されましたね。あれはあなた方も聞いておられたと思う。私も聞いておりましたけれども、私は聞いていて、日本の国会議員の中であれだけ質問できる人はいないと思いましたよ。社会党にも十人ぐらいしかいないのじゃないか、こういうふうに思ったのですがね。あれだけの質問はなかなかないですね。あれは大蔵大臣も感心しておったと思うけれども、何か余り反駁がなかったというか、あれだけの議論はできないですね。私はなかなかいい議論だと思った。りっぱな議論ですね。私はああいうのが国会でかみ合っていって本当の国会になると思うので、いままでのような国会のやり方では国民の信頼を失ってしまいますね。こっちが勉強してないということもありますよ。こっちが勉強してないということは確かにあるけれども、あなた方の方も何とか言い逃れしよう、言い逃れしようとやっている。そういう行き方では国会というものは国民の信頼を失いますよ。これではいけないと私は思う。あれは非常にいい模範で、私も考えなければいけない、こういうふうに思ったのです。
 そこで、世間一般に言われていることですが、これは大蔵大臣に答えてもらいたいのです。一般的ですが、間接税になるとそれが一般国民に重い負担になってくる、こういうことがよく言われていますね。これに対して、これを避けるための方法というものも当然あるわけですね。あなた方のいわゆる大型間接税というのはどういう形のものがよく知りませんが、仮にやろうとするならばその点が一番問題になるだろう、その点をどうやって避けるかという点が問題になってくる。ことに生活必需品に対する間接税というものをどうするか、これが問題になってくると思いますね、これは大衆負担になるわけですから。だから、間接税をやれば一般の消費者、一般の勤労国民に対して重い負担になってくるのだということに対する考え方、それに対する対策といいますか、そういうことについてちょっと大臣の方からお答え願いたい、こう思うのです。
#283
○渡辺国務大臣 それはやり方だと思いますがね。どうしても間接税になれば税金を納めてない人も払うということはあり得るわけですね。ところが、納めてなくとも豊かな生活をしている人は、いまでも納めてないのだから、そういう人は納めるようになるということもある。たとえば例示的に言うと、それはよく農家の場合が例にとられるのだが、農家が所得税を払わないというのは、これは大体が所得が少ないから払わないのですよ。捕捉率の問題じゃないのですね。ところが、そう貯蓄しなくとも使える金がいっぱいあるということで、サラリーマンが三百万取るのと農家の人が三百万取るのでは、農家の方が使いでがあるわけですよ。だから、所得税は払わないけれども生活は楽だ、自動車も持っているというような話になって、一つの例だけれども、自動車は税金を払っていますが、それ以外の分野においてもそういう人も税金を払うようになるのじゃないか。ある意味では部分的な公平もあり得るのじゃないか。
 もう一つは、知らず知らずのうちに税金を払うということは、取りやすいところから取るのだ、こう言うけれども、一々酒を飲みながら税金は幾らか、たばこを吸いながら税金は幾ら払ったかと毎日計算している人は余りないのです。ですから、そういうような意味で間接税というのは、一たん決まって人のふところに入ったものを手を突っ込んで取るよりは取りやすいことは事実ですね。問題は程度問題ではないか。そこらのところの詰めが、幾らにしたらいいかということもよくわかりませんが、間接税のシェアが三割というのは、諸外国から比べて、アメリカ以外、イギリスとかドイツとかフランスとかと比べて日本は非常に低いから、もう少し間接税のシェアが多くてもいいのじゃないか、学問的に少し勉強してくださいということを頼んであるのです。
#284
○稲葉分科員 間接税になった場合に、結局累進性がないわけでしょう。累進性が一〇〇%ないと言えるかどうかは別として、ないというふうに考えられれば、大金持ちが生活必需品を買った場合の傘と、そうでない一般勤労者が生活必需品を買う率とは非常に違うわけですね。それから考えれば、勤労者に対する税率が知らず知らずのうちに重くなってきている、こういうことは一般的に考えられるのじゃないですか。だから、生活必需品、食料品、輸送サービス、一定限度以下の衣料品とか家賃とか、そういうふうなものを広範に免税にするという形でないと、非常な不公平が出てくるのではないですか、それを私は言っているわけなんですが、その点はどうでしょうか。
#285
○梅澤政府委員 いま委員が御指摘になりました税制の累進性あるいは逆進性の問題でございますけれども、これも税制調査会の御議論の過程を引用して非常に恐縮でございますが、直接税にいたしましても間接税にいたしましても、結局家計が負担をいたす税金につきましてはトータルとして逆進性があるいは累進性がという判断をしなければならないだろう。つまり、所得税が持っております累進税の構造と間接税の構造とを合わせまして、税制全体として所得に応じた応能負担と申しますか、適度な累進性が維持されているかどうかを検討すべきであって、個々の税目ごとに逆進性、累進性を議論する、それ自体は非常に意味のあることでございますけれども、最終の判断になるのはトータルの逆進性、累進性の話である。
 同時に、間接税の問題も、ただいま委員が御指摘になりましたように、あらゆる消費につきまして全部比例税率でやるということにいたしますと、これは一般的な傾向としていわゆる逆進的な傾向を持つということが言われております。税制調査会の御議論の過程におきましても、したがってその場合に課税の対象となる消費のあり方をどう考えるか。つまり、工夫いかんによって全体としてなだらかな構造といいますか、比例的な構造にする工夫は当然ある。
 諸外国で現在大型の間接税を持っている国はたくさんございますが、それぞれその国々によってやり方は違いますけれども、たとえばいま先生が御指摘になりました生活必需品、特に食料品のような問題でございますが、それぞれの国なりに工夫をいたしまして、余り逆進的な効果を持たないような税制でもって者やっておるということだと思います。
#286
○稲葉分科員 これは私はよくわからないのですが、いわゆる間接的という形の中でヨーロッパの型のものとそれからカナダの型のものとあるわけでしょう。カナダの場合は製造売上税、それから小売売上税、この二つの種類になっておるわけですね。これはヨーロッパの場合と比べてどういうふうに違うのですか。
#287
○梅澤政府委員 消費税の一般的な型として分類されるのは、どの段階で税金をかけるかという問題でございます。
 EC型の付加価値税と言われますものは、物をつくる段階から中間の流通段階、それから末端の小売段階まで各段階で売り上げに対して課税が行われる、そのかわりに前段階で課税した税額は控除されるということで累積が行われないという形でございます。
 それからヨーロッパのもっと古い形になりますと、各段階で税金をかけますが、前段階の税額を控除しない、いわゆる累積型の取引税的なタイプのものもかってございました。
 それから、いま御指摘になりましたカナダの場合は、製造者売上税と申してもよろしいでしょうし、製造者消費税と申してもいいのでしょうが、これは課税をするのは製造者段階だけなのでございます。製造者段階の売り上げに一定の比率でもって課税する。ただし、その場合でも中間製品とか原材料のようなものは製造者段階で売り上げが行き来いたしますので、その分は課税から除外するというふうな仕組みを持っております。それから、これはカナダの国の税金でございますが、地方の税金で、末端の小売に着目して小売の売上税を行っておるということでございまして、いろいろなタイプがあるわけでございます。
#288
○稲葉分科員 なぜ私はこんなことを聞くかと言いますと、これはカナダのやり方ですが、製造売上税が一二%でしょう。軽減税率が五%になっている。それから小売売上税が五%から八%ですね。これはあるいは資料が古いもので変わっているかもわかりません。それはいいのですが、そういう形のものも一つのモデルになるというようなことをちょっと私、聞いたものですから、そこでカナダの例を余りよく調べたものがないので私はお聞きをした、こういうことでございます。
 そこで私、お尋ねしたいのは、いまの点はすぐ問題になることではないと思うのですが、「財政再建を考える」というのを見ると、五十四年度の自然増率を一四・四%前よりふえているというようなことで予定していますね。これは実際には計算した結果どうなったのですか。
#289
○梅澤政府委員 あるいは委員が御指摘になっている事項と違う点があるかもわかりませんけれども、一四・四%というのは、五十四年度の税収実績に対しまして補正予算で見込みました私どもの伸び率が一四・四%ということでございます。
#290
○稲葉分科員 それは決定ではないようなことを書いてありますね。まだ予定と書いてあったですね、あなたの方で出している本には。そうすると、それは現在幾らぐらいに全体として自然増収は見込まれるのですか。それから、五十五年度はまだ途中ですけれども、おおよそどの程度見込まれるということになってくるわけですか。
#291
○梅澤政府委員 ただいま申し上げましたように、補正予算で国会で御承認を得ました五十五年度中の税収総額は、五十四年度に対しまして一四・四%の伸び率を見込んだわけでございます。
 これが今後どうなるかというのは、これからの税収の推移を見なければならないわけでございますけれども、現在十二月までは確定数字がございまして、一月の税収につきましては私ども毎日日本銀行から日報を取り寄せまして推計をいたしておるわけでございますが、現在の足取りから見ますと、一四・四%に対しまして一月までの税収実績は五十四年同期と比較いたしますと一三・三%というふうな趨勢になっております。つまり、補正後で見込みました伸び率よりも一ポイントぐらい下回っているような税収の現状にございます。ただ、これは三月に入りまして所得税の確定申告がございます。それともう一つ、法人の三月期決算というのは年間の法人税収の三割近くを占めている非常にかたまりの大きい税収が待っておりますので、この推移を見ないと何と直言えないわけでございますけれども、税収の伸びとしてはややダウンしておる、最近の現状はそういうことでございます。
#292
○稲葉分科員 失礼しました。私は「財政再建十間十答」、これの二十一ページですね、「こうした点からみて、今後、公共サービス水準を低下させない限り、自然増収だけで財政再建が可能であるとする議論は非現実的であると言わざるを得ない。」「最近における租税収入(一般会計分)の伸びの推移(税制改正調整後)」というので、五十一年度が一二・三、五十二年度が一二・四、五十三年度が一〇〇五十四年度は決算見込みとして一四・四、こう書いてある。それで加重平均で一二・三と出ています。それを言ったわけですね、ちょっと資料を間違えましたが。そうすると、三月になって急にふえますから、これよりももっとふえるということが考えられるというふうに私は見ていいと思うのですが、この点についてははっきり数字が出てくれば出てきた段階でまたお尋ねをしたい、こういうふうに思います。
 そこで、これは大蔵大臣にお尋ねをしたいのですが、防衛費の関係で、GNPの一%以内というのは、この前予算委員会で聞きましたけれども、鈴木内閣としても堅持するということを鈴木さんは言っておられました。それと、主計局で、防衛費をGNPの何%以内というのはもうナンセンスだという文書を出していますね。ぼくは見たのだから知っているよ、どこにあるかということを言うとあなた方のあれになってまずいかもわからぬけれども。だから、鈴木内閣としては防衛費はGNPの一%以内というものを堅持するのだということを言っておる、そのことと、主計局が出しておる防衛費をGNPの何%なんというのはナンセンスなんだという議論は、一体どこでどういうふうにかみ合うのですか。まず大蔵大臣から答えていただいて、それから主計局から答えてもらいたい。一いや、そういう文書が出ているよ、それはあなた、あるんだよ。ぼくはちゃんと見たもの。ナンセンスだとちゃんと書いてあるのだ。
#293
○西垣政府委員 一般的に申しまして、予算の各費目につきましては、GNPの何%でなくちゃならないということで毎年度の予算を組むのではなくて、そのときそのときの財政経済情勢、それから各予算科目間のバランス、そういったものを考えながら積み上げて決められる、決まったところでたとえばGNP比が幾らになるか、本来そういうものであるはずだということを申したものだと思います。
#294
○稲葉分科員 それはあたりまえの話だ。だけれども、文書の内容はそういうふうに書いてない。防衛費や何かをGNP比ではかるのはナンセンスだと、ナンセンスという言葉がちゃんと書いてある。ちょっとあれは問題を起こしますよ。あれは外部に流れないように気をつけた方がいいですよ、ぼくは見たのだから、流れちゃっているのだけれども。
 それはそれとして、そうすると大蔵大臣としては、GNPの一%以内というものは一%は入るのか入らないのか、どっちなんですか。また、防衛費に対してはちゃんと守るのですか、どうなんですか、これは。
#295
○渡辺国務大臣 一%以内というのは、各年度の防衛関係費の総額が、当該年度の国民総生産の一%に相当する額を超えないことをめどとしてこれを行うことに決定している。したがって、現在この方針を変更する考えはありません。
#296
○稲葉分科員 それはそうですよ。鈴木内閣がそういうように言っているんだもの。それをあなたが違うことを言ったら、あなたは奥野さんみたいなことになってしまう。だけれども、それには当分の間というのがついていないですか、三木内閣のときに。(渡辺国務大臣「当面だ」と呼ぶ)だから、あなたとすれば鈴木内閣の閣僚としては当然その一%以内というのを、一%を上回らざることを守っていく、防衛庁からいろいろな要求があっても、アメリカから要求があってもそれは守る、こういうことですね。
#297
○渡辺国務大臣 内閣の方針でございますから、そのようにいたします。
#298
○稲葉分科員 そこで、あなたにはほかにいろんな質問があるのですが、あなたも大臣になられたときに言われたのですけれども、いろんな奨励金、補助金というものがありますね。ところが、こういうことがある。
 全国知事会で「「国庫補助事業の複雑な手続きの実例」として、ある県の国道改良事業に関し、国から補助金を獲得し事業を完全させるまでの実態調査を公表している(臨時地方行財政基本問題研究会報告案)。」というのですが、それを見ると、それをもらうまでに約二年半、「補助金事務に関連して従事延人員(作業日数×人員)二八八五・五日、上京した県職員の数が六四人で前後一九回」こういうふうに書いてあるのですね。これは何か省によると十九回ではだめなんです。大体三十回来ると何とか補助金をやるようにする、そこまで来ないとだめだというようなことが言われているのですね。うそか本当か知らぬけれども。
 そんなばかばかしいことはないので、補助金行政については陳情なんか来たってだめだ、むだなことばかりやっていて、そういうことはもうやめなさい、それは出すべきものは出しますよ、こういうことをはっきりさせる。こんなに、補助金をもらうのに県の職員が延べで六十四人、十九回も来ているという。まあときどき県の職員が遠いところから来るのも楽しみなんですよ。一泊がついて旅費がよけいもらえるから楽しみで、そういう一つのあれでも来るのです。これは午前中歩いて終わっちゃうのだ、余りいろんなことを言わぬけれども。あなただって県会議員のときやったろうが。ぼくもやったのだから、それはよく知っているのだ。それはそうとして、こういうことをある程度やめるように閣議の中でぴったりさせた方がいいと思う。これはむだですね。日本人というのは悪い癖なんだ、何回か頭を下げて名刺がたまっていないと熱心でないようなふりをするのですね。こういう点を今後十分気をつけてもらうように、大蔵大臣として考え方を述べてほしい。
 それから、あなたは厚生大臣のときに盛んに医療制度の改善、改善と言ったのだ。あのときみんなは拍手したわけなんだけれども、このごろ余り言わなくなった。――多少言っているかな。そこら辺のところ、医療制度の改善について、ことに医療機関の乱診乱療、薬づけでしょう、こんなのは世界で日本が一番じゃないですか。外来の受診回数を見ても、大蔵省の「歳出百科」に出ているのか、日本が物すごいですね。それから平均在院日数、病院にいるのは日本が平均四十二日ぐらいか、フランスでもどこでも外国は二十日までないですね。それから医療費に占める薬剤費の割合というのは日本が物すごく多い。こういうようなことを考えますと、ここら辺のところを一体どうするかということをあなたにお聞きしたいわけです。近ごろ病院も不景気になってきまして、病院の倒産が去年だけで二、三十件あって、銀行はもう病院には危ないからと言って金を貸さなくなったというのだ。まあ状況は変わってきました。
 いずれにいたしましても、あなたを大蔵大臣にしたというのは、とにかく世間がなかなかやれないようなことをあなたならやるだろう、多少蛮勇のところがあってなかなか魅力があるから、あなたを大蔵大臣にした。そこをしっかりいろいろな点でがんばれば、この次は総理大臣というふうに――あなたは最高点を二回とれば総理大臣になるなんてこの前演説していて、ぼくはそれを聞いた。それはいい、総理大臣になって悪いことはないけれども、そのときは塩崎さんを大臣にしてあげなさい。
 まあ話がよけいなことになってしまったけれども、いずれにしても、そういうようなことで医療の問題あるいは陳情、とにかくむだが多いから、そういうものをしっかりやりましょうというあなたの決心をひとつ聞かせていただいて、私の質問を終わります。
#299
○渡辺国務大臣 補助金については、先ほど例示されたものはあったのでしょうが、極端な例ではないか。われわれは閣議におきましても、ともかく不要な陳情はやめさせてもらいたい、各役所が団体をあおってやらせるケースが多いのだからそれはだめだということで、総理からもこの前も申し渡しをしたのだけれども、まだ徹底しなかったうらみがあったと思われます。さらにこれを徹底させたい。
 医療の問題は、何といっても十二兆円も使ってその三分の一が国庫補助を出しているわけですから、一方において一つの中くらいの病院が十五億円も脱税するとか、それがチェックができないでいる、調べてみたらみんな架空とか水増しみたいなのがその中身だったとか、そういうふうに非常にむらがあるわけです。したがって、これについては厚生省と一緒になって徹底的にそういうようなインチキ診療は防止をしなければ、まじめなお医者さんには気の毒ですから、これは引き続き徹底してやらせるつもりであります。
#300
○稲葉分科員 あなたの言うとおりで、その点は今後もしっかりやってもらいたいと思います。
 もう一つは、調べましたら、たとえば脱税などの時効がないところがありますね、イギリスかどこかは時効がないですね。ないけれども、実際は十年くらいで打ち切っているらしいということがありますね。今度は脱税の期間の延長の問題もあります。
 それから、国税庁は来てないかもしれませんが、告発がきわめて恣意的なんだな。告発が入りそうになると国会議員が行ってもみ消してしまって告発させないというのが非常に多いですよ。これは名前を出せばずいぶん出てくる。これは国税庁はすぐ入りませんから東京国税局とか関信越が入るのでしょうけれども、そういうふうな査察が入って告発しないのが、この前開いたら約三割ある。これはちょっとおかしい。何かある。そういうことのないようにさせなければならないし、時効期間の延長、脱税の問題については善良な市民のためにもしっかりやるということはあたりまえのことですから、それは希望だけしておきます。
 終わります。
#301
○塩崎主査 これにて稲葉誠一君の質疑は終わりました。
 次に、草川昭三君。
#302
○草川分科員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。
 私は、きょうは専売公社の方々を中心に、たばこの問題についてお伺いをしたいと思います。
 まず最初に、専売公社が昨年「たばこと健康Q&A」というパンフレットを配布なされたわけでございますが、これは非常に重要な内容を含んでおると思うわけでございまして、一言で言うならば、たばこについての有害性をことさら軽視をしておる、消費者を惑わすような文章ではないだろうか、これが私の結論であり意見であるわけでございます。特にこのたばこの有害性の問題については、WHO、世界保健機構も厚生省の方もいろいろな呼びかけをいたしておるわけでありますが、国営企業としての公社がこのようなものを配布するということはいかがなものか、こう思うわけであります。これは公社に一つの焦りがあるのではないか。売上減で、大蔵省の方からも納付金の問題で強いプレッシャーがかかっておるかどうかわかりませんけれども、非常に焦りがあってこういうものを出すのではないか、こういうことでございます。
 私どもが言いたいのは、いわゆる黒を白というふうに言いくるめる論法というものは、決して今日的ではないと思います。公社としては、たばこの有害性ということを事実は事実として認識をした上で、喫煙者並びに非喫煙者のためにもいろいろな方策を立てるというのが根本的な問題ではないだろうか、こう思うわけでございます。質問者に平易に答えたいということで言っておるということでございますが、ひとつ公社の方に、なぜこういうものをあえて出さなければならなかったのかということからお伺いします。
#303
○泉説明員 私ども昨年、お話のような「たばこと健康Q&A」というものを出しましたのは、別段、たばこの有害性を否定するつもりではございませんで、公社の職員あるいは関連する産業に従事している人たち、さらには消費者の方から、よくいろいろな質問を受けるわけでございます。たばこと健康の問題につきましては、お話のようにWHOの見解もございますし、また疫学的には、たばこを吸う人の方が肺がんにかかる率が多いといったような知見も得られておる、あるいは心臓病とか肺に欠陥のある人はたばこを吸うべきではないといったようなこともいろいろ言われておるわけでございますが、それらの問題につきまして職員からいろいろ心配の声が上がっておりますので、それに対しまして答えるという意味でこれを出したのでございます。別段、たばこの売れ行きが伸びないので焦りを感じてというようなことではございません。
 ただ、疫学的にはいろいろ知見が得られておりますけれども、病理学的にはたばこと健康についてまだ結論が出ていないというのが私どもの感じでございまして、別に、黒を白と言いくるめるつもりではございません。たばこの中には、御存じのようにベンツピレンといったような発がん物質もあることは十分承知いたしておるのでございますが、ただその量がきわめて少量でございまして、たばこを吸えばすぐ肺がんになる、あるいはそのほかのがんになるといったほどの性質のものではないと考えておりますので、このようなパンフレットを出した次第でございます。
 先ほど申し上げましたように、これは主として職員に知らせる、それから、サービスセンターに置いて、聞きに来られた方にその点をよく御説明してお渡しするということをいたしておりまして、これを各方面にばらまいて世論に訴えるつもりで出したものでは決してございません。どうかわれわれの意図につきまして御理解を賜りたいと存じます。
#304
○草川分科員 私は、いまの総裁の答弁の中にこそ問題があると思うのです。たばこを吸ったから翌日ごろっといくなんということは、だれも言ってないわけです。長期間にわたって少量のものを喫煙することによって結果として多くの発がん性の実例があるということを、WHOも言っておるわけであります。そこを大切にしてもらいたい。だから統計的な調査で、この「Q&A」の中でも有害性の問題については一応触れておりますが、その触れた後に必ずこれを否定するような文章が同じ比重でこの中に書かれておる、ここが私は、このPR文書をつくった人は非常に利口な人というのですか、うまい、心理的なことをねらって書いておみえになるのではないかと言うのです。いわゆる有害性が薄められて、たばこを吸うことは非常に安全だという形でこの文章が書かれておるところに、私どもは非常に問題があると思うのです。特に、いま総裁がある程度認められておりますが、この中には明らかに無害論だという立場の、たばこを吸ったからといって肺がんにはならぬという文章もあるわけでございまして、私どもは非常に納得できないものがあります。そして同時に、もし余り問題があるとするならば、たとえば気になる方はニコチン、タールの少ないたばこを選びなさい、そういう文章もあるわけです。じゃ、果たしてニコチン、タールが少ないということをどこで見るのかということになりますと、この中にもありますように、ニコチン、タール量の一覧表はたばこの販売店にあるからそこへ行って見なさい、こういうことなんです。
 だから、私どもはかねがね主張しておるように、WHOも言っておるのですけれども、少なくともたばこの箱に有害表示ということを複数で取り上げなさい。いま当局の方は、健康のため、たばこの吸い過ぎに気をつけろというだけの表示でございますが、これは非常に問題があるわけですから、ニコチン、タールの少なくとも含有量はたばこに掲載すべきだと思うのですが、その点はどのように考えられますか。
#305
○泉説明員 この点につきましては昨年もお答え申し上げたと思うのでございますけれども、たばこの個装に、世界各国でいろいろな表示のやり方がございます。およそ四通りくらいあろうかと思うのでございますが、一つは、アメリカと同じように、サージャン・ゼネラル・ハズ・デターマインド・スモーキング・イズ・デンジャラスというような、喫煙が健康にとって害があるというような表示のもの、それからもう一つは、イギリスのようにキャン・ダメージ、あなたの健康に害を及ぼすかもしれませんという言い方、あるいはカナダのように、エクセス・スモーキングは危険であるという言い方、それから、いま日本あるいは韓国がとっておりますように、吸い過ぎに注意するというようなやり方とあるわけでございます。
 私ども、短い日本語で喫煙について注意を促すという点からいたしますと、いまの表示が妥当なのではないか。いまお話しのように、世界の中でスウェーデンが、個装にいろいろな表示をいたしております。これはもう草川先生御承知だと思いますけれども、喫煙をやめると健康になるチャンスが増すとか、どうしても吸うならば深く吸い込まないようにというようなのとか、いろいろあるわけでございますが、私どもいろいろ検討いたしましたあげく、短い日本文でそういう点を喫煙者に注意するという意味では、いまの表示が適当なのではないか。スウェーデンなんかがやっておりますように、余り深く吸い過ぎるなとかあるいは根元まで吸うなとかというようなことは、たばこを吸う場合の心得としてそれはもちろん大切なことでございますから、その点についてのPRは十分行いたい。しかし、個装に一々そういうことを表示するについては、私ども、消費者会議というのでいろいろ意見を徴したのでありますが、そんなことはたばこを吸っている者はわかっているのだから、よけいなことは書かぬでもいいといったような意見が多うございまして、いまのところ、複数の表示をする考えは持っておりません。
#306
○草川分科員 簡単に御答弁願いたいのですが、だから、やる気がないということですね。ところが、いまアメリカだとかカナダだとかいうところは明らかに危険であるという表示をしておるわけですから、それはやはり日本も素直に参考にされたらどうなんでしょうかということを、私は繰り返し申し上げているのです。ところが公社の方は、そんなことはわかっておるからわざわざ書き込まなくてもいいだろう。わざわざ書き込まなければいけない影響力がいま青少年の方にも及ぼしてきておるわけですから、私どもはこの問題を強く申し上げておるわけです。これは押し問答になりますから、WHOも複数の有害表示をしろと言っておるのですし、別にこのことについていつまでもこだわらなくて、有害表示の新しい表示をひとつぜひ採用されることを私は強く要求をしておきたい、こういうように思います。
 そこで、このQ&Aの中に、「喫煙が健康に及ぼす影響もよく分かっていません。」というような文章があるわけです。これは「ニコチン・タール量の少ない」というところの答えでございますけれども、本当に公社がそのように思っておみえになるなら、私はこれは問題だと思うのです。一番最初の御答弁の中にも若干このようなことがございましたけれども、意図的に事実誤認をしてみえるのではないか。たとえば動物実験でも、たばこの煙で肺がんを発生しておるという例は、すでに一九七〇年代にアメリカで、アウエルバッハ博士の実験で犬に肺がんができたという有名な実験報告があるわけです。これは公社の方でいろいろな研究をなされてみえるそのデータの中にもあるわけです。だから、単なる疫学調査だけではない、具体的な治験ということがもう行われておるわけでありますから、こういう事実については正確につかんで公社としての対応を立てていただきたい、こう私は思うのです。
 特に、専売公社の方も、いろいろと喫煙と健康に関する研究運営協議会というのをつくっておみえになって、一億数千万円のお金を出しましていろいろな研究をやって、そのデータというのですか、その方々の御意見を中心にこのQ&Aというものをつくったということを言っておみえになりますが、実は協議会の先生方は、去年の七月十八日に委員会を開いて、Q&Aは誤解を招くことがあるので遺憾である、この問題にこの協議会、先生方は一切関与しないということを公社の方にもお告げになっておるというふうに聞いておりますが、それは事実でございますか。
#307
○岡島説明員 先生ただいま申されましたように、このQ&Aは、委託研究の結果といたしましても「経過と展望」というものがございまして、それが大変に専門的でございますから、それを私どもがわかりやすくまとめた「研究について」というものを公表いたしたわけでございます。その際に私どもといたしましては、これは委託研究の成果だけではないけれども、いろいろのいままでの治験をわかりやすくまとめたものとしてQ&Aがありますということでお知らせをしたところが、これが先ほど先生から御指摘のように、大々的にPRしたというふうに言われたわけでございますが、経緯的に見ましても、これは「研究について」という方がいわば運営協議会でおまとめになりました「経過と展望」に基づいているものでございまして、Q&Aそのものは委託研究運営協議会の方とは直接関係がないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#308
○草川分科員 それは先生方だって怒りますよ。こういう書き方で自分たちの研究がちょいつまみで利用されれば、直接関係ないと言わざるを得ない。また公社の方も、そう言われてみれば違うと言うわけですけれども、それでは、これは勝手に公社の皆さん方が自分たちの知恵だけでこういうものをつくったのか、という問題も出てくるわけです。
 そこで、時間がございませんので厚生省にお伺いいたしますが、一方、国営の専売公社がこういう文書を出すわけでございますが、厚生省としては、昨年三月十三日にも公衆衛生局長の通達で、喫煙が肺がん、心臓病その他の呼吸器疾患と密接な関連があるということを通達をしておるわけでございまして、非常に厳しい通達が出ておるわけですが、厚生省としてはどのようにお考えになられますか。
#309
○古川説明員 委員御発言のような立場で、厚生省は衛生教育その他研究活動等を進めているところでございます。Q&Aに対して反論をしろということでございますが、厚生省の方では省内連絡会議を開きまして、そうした席で、Q&Aの経緯等についても聴取をし、厚生省の考え方を申し上げているところであります。文書によりきめきめに抗議を申し入れる考えはございませんが、今後とも理解を深めてまいりたいと思っております。
#310
○草川分科員 私は、文書を出せとかということよりも、いま厚生省として専売公社に理解を深めるということを言っておりますけれども、はっきりと、間違っておる点は間違っておる、あるいはWHOとしてのこういう態度があるわけですから、逆なでをするようなことをしなさんなというようなことだけは明確に言うことが必要だと思うのです。
 特に私は、最近の専売公社のPRのあり方でございますけれども、非常にがまんのならぬものがあるのですけれども、週刊文春のことしの二月五日号に、専売公社提供のマイルドセブンのPRのコラムがあるわけです。この中で、日本心臓財団の懸賞論文、いわゆる禁煙の標語の入選作品に対する中傷記事が出ております。作文に当選をしたのはわずか十歳の少女でございますけれども、その少女の論文というのですかスローガン、これを非常に個人的に非難中傷しておる文章が出ました。
 私はこの作者がどうのこうのということを申し上げませんけれども、専売公社としての買い上げのPRのところでございますから、事前に原稿なんかをもらっておると私は思うのです。だったとするならば、少なくとも公社として、このような特定の個人の批判あるいは人権を阻害をするようなPR文章というものは載せるべきではない、こういうことが必要だと私は思うのですけれども、その点について公社としてはどのようにお考えになられますか。
#311
○森説明員 お答えいたします。
 私ども、先生御指摘のように、「マイルドセブン喫煙室」というのを週刊文春に出しておるわけでございますが、これは昭和四十二年から続けておるわけでございます。いろいろの有名な作家の方あるいはタレントの方というような方を週刊文春を通じましていろいろ御推薦の中で原稿を依頼をして、ああいうところに記事を出しておるわけでございます。
 今回の件でございますが、私どもは原稿につきまして、従来からもそうでありますけれども、事務局段階におきまして拝見をさせていただいておるわけであります。ただ、私どもとしましては、原稿の中で、たばこについての明らかなミスと申しますか、価格が間違っているとかあるいは名前が違っている、こういった点につきましては訂正をお願いするというようなことになっておりますけれども、内容につきましては御自由な立場で書いていただくというようなことで今日までやっておるわけであります。これに出す方々はほとんどがたばこを吸われる方々でございますが、中にはたばこを吸われないという方々もいらっしゃるわけでございます。たばこを吸う方あるいは吸われない方いろいろいるわけでございますが、私どもとしましては、たばこについてのお考えなりまた感想といったようなものにつきましてああいうところに発表していただきまして、たばこについての理解というものを求めてまいりたいという趣旨でやっておるわけであります。
 今回の件につきまして沢野先生とも直接お会いをしたわけでございますが、先生も、あの趣旨は、同じ嗜好品でありながら酒とたばこについて若干扱いに差別があるのではないかというようなことを言いたかったのだ、お嬢さんのことに触れておりますけれども、これは特に中傷するというようなつもりで書いたものではないというようなお話もございました。
 以上のような経過でございますので、その点につきましてよろしく御理解をいただきたいというように思います。
#312
○草川分科員 そういう御答弁でございますけれども、そうまで言われるなら私は言いますけれども、十歳の女の子の標語を、化け物、こう言っておるわけですよ。しかも、こういう子供について、将来はどうだとか親がどうだとかということまで悪たれが書かれてあるわけでございますが、作者がどうあろうと、提供したのは専売公社だと思うのです。だから、専売公社の責任ですね。そうまでしてPRをしなければいけないのかどうか。少なくとも私は、雑誌の広告の掲載基準にもこれは違反をするのではないだろうか、こう思うわけです。そういう点では、こういうことをやればやるほど、日本の将来の子供に対する影響力、あるいはまた、たばこと非行化というような問題等についても公社が手をかすことになるのではないか、こう思うわけです。
 いま日本消費者連盟の方からも、女性のたばこをすすめるために無署名で一般記事を装って雑誌にたばこの宣伝をするという、一種の告発が出ておりますが、これも雑誌の広告掲載基準にも違反をする。こういう違反を承知の上に公社の方が積極的にPRをやられるということは、きわめて問題だと私は思うのです。
 諸外国の例を言いますと、アメリカであろう、イギリスであろう、ドイツであろう、ヨーロッパであろう、広告規制というのがぴしっとしておりまして、法律によってラジオ、テレビの広告は禁止をされております。これはもうほとんどが禁止をされております。日本だけがなぜそういうことをしなければいけないのか、非常に重要な問題だと思います。
 時間がございませんので、簡単に国鉄に。
 こだま、ひかり号に一台ずつ禁煙車をつくってもらったわけでございますが、在来線について、今後中長距離列車にふやす気があるかどうか、簡単にお答え願いたいと思います。
#313
○高倉説明員 お答えいたします。
 国鉄の優等列車につきましては、五十一年八月から、こだま号に試行的に禁煙車を設けてやったわけですけれども、その後、五十五年の十月、昨年の十月からひかり号についても、非常に要望が強かったこともありまして禁煙車を設けまして、現在、新幹線は全列車に一両、禁煙車を設けております。
 なお、先ほど御指摘のありました在来線の特急、急行列車につきましては、編成車両数、自由席車両数がそれぞれまちまちなものでございますので、現在のところ、まだ禁煙車をつける状況になっておりませんけれども、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
#314
○草川分科員 文部省にお伺いをいたします。
 喫煙に対する健康教育ということが非常に急がれておりますし、最近、中高生の喫煙の増加が非常に著しいと言われておりますが、たばこの公害から子供を守るためにどのような考え方を持っておみえになるか、お伺いします。
#315
○長谷川説明員 お答えいたします。
 文部省としましては、先生いま御指摘のように、生徒指導上からも、喫煙をやります中学生、高校生がふえているということにつきまして、放置できない問題であるととらえておりまして、学級担任が学級指導の時間に、たばこの害について適宜指導するようにいたしているところでございます。
 また、保健体育の中の保健学習の中におきまして、中学校、高等学校で取り上げておりますけれども、特に新たにいま、高等学校の学習指導要領を改定いたしまして、五十七年度から実施でございますけれども、この中にたばこの害につきまして指導するということを加えまして、位置づけたところでございます。
 なお、養護教諭を初めといたしまして関係の教職員の講習会、そういったものでも、たばこの害につきまして指導するようにやっていきたい、そういうふうに考えております。
#316
○草川分科員 問題は、厚生省の方も文部省の方も国鉄の方もそれなりに対応を立てられておみえになるわけでありますから、ひとつ専売公社だけが逆行のないように、行うべき点は行うようにしていただきたいと思います。
 最後になりますが、ひとつ大蔵大臣にお伺いをいたします。
 大蔵大臣の所管になるわけでございますし、大蔵大臣自身はかなりのヘビースモーカーだとお伺いをしておりますが、本日はたばこを吸っていただかなくて参加をしていただいて、私は非常に敬意を表するわけでございますが、実は、歴代の総理大臣というのはたばこを吸っていないということがわかったわけです。大蔵大臣もいずれ総理になられると思うわけでございますが、たばこを吸っておる限りは総理になれないと思うのです。そこで、田中さんもやめられた、三木さんも福田さんも大平さんも、そして次期をねらう中曽根さんも河本さんもやっておみえにならぬというわけでございますが、次期総理大臣候補としての大蔵大臣の御見解を最後に賜りたいと思います。
#317
○渡辺国務大臣 私は本当に少し吸い過ぎなのです。国会でたばこを吸っているものですから、テレビなんかに出ると、あっちこっちから、吸い過ぎるという苦情の電話がかかってきます。ちょっと吸い過ぎるので、何とかして減量したいと思っていま努力中でございます。
#318
○草川分科員 ひとつ大いに節煙になるように。
 以上で終わります。
#319
○塩崎主査 これにて草川昭三君の質疑は終わりました。
 次に、田中昭二君。
#320
○田中(昭)分科員 大変、お互い御苦労さまでございます。
    〔主査退席、阿部(助)主査代理着席〕
 まず、端的に所得税減税のことについて、大臣も毎度のことだと思われるかもしれませんが、ぜひひとつ聞いていただきたいと思います。
 所得税減税を政府がやりたくないという大まかめ理由を私なりに整理してみますと、一つは、借金財政を繰り返しておる。二番目には、税の自然増収も案外少ないだろう、足りない、こういう言葉が適当であるかどうかわかりませんが、三番目は、そこで財政支出も大変縮小したのだ。そのほかにもあると思いますが、このような政府の説明は、私たちは大変納得しにくい。
 野党各党はいま減税要求を出しているわけですが、これは国民の多くのサラリーマンの強い要望であろう、そしてそれには妥当性がある、こういうふうに私は思います。ただ、政治状況が、政府は与党の多数を持っておりますし、減税案を受け入れない、そしてこの予算案をごり押ししよう、その中での減税拒否が続けられておりますが、こういうことをやっておりますと、私は、国民の自民党に対する、いわゆる反対のしっぺ返しといいますか、そういうことを受けることになると思います。そういう意味からも、ひとつ減税を実行するお考えはございませんか。
#321
○渡辺国務大臣 私も個人的な考えを申しますと、六割以上、六五%くらいの税率課税を受けておりますから、所得税を減税してもらいたいという感情はないわけではないのです。でございますが、国全体のことを考えると、この際やはり財政の再建が優先されなければならない。そういうような点から御容赦を願いたいということを、私は繰り返して申し上げておる次第でございます。
#322
○田中(昭)分科員 政府の税制施策といいますか、税のことにつきましては、公平、適正ということをもとにして国民の納得をいただくように努力する、そういうことが再三述べられておりますが、現状は一向に改善をされているとは思われない。逆に悪くなっておる。すなわち、幾つもあると思いますが、大企業法人等の申告漏れ、そして脱税、また政治家、医師等の税金逃れ等が増加しているというふうにも報道がひっきりなしにあるわけです。こういう中でサラリーマンの納税者は収入を一〇〇%捕捉されるという中で、世間ではトーゴーサンやクロヨン税制と言われる所得の捕捉の問題、ここにも不公平感が増大しております。こういうことを考えれば、より以上に減税要求が強くなってくるのは当然だと思いますが、いかがでしょうか。
#323
○渡辺国務大臣 御承知のとおり、税は公正でなくちゃいけないわけでございますから、制度的な公正確保はもちろんのこと、問題はむしろ執行面でいろいろなことが言われるわけでありまして、いろいろ工夫をこらしまして、限りある人員ではございますが、不公平の起きないように徹底的に監視をしてまいりたいと思っております。
#324
○田中(昭)分科員 所得税の減税は強い要求でありまして、これは国民世論となっております。政府の、税は取りやすいところから取るという、今度の史上最高と言われます増税施策を見ましても、その責任は大きいと思います。私は、この国民の減税要求に対する政府の拒否の姿勢は、つまるところは、社会の混乱と納税思想を悪化させはしませんか、そして結果的には、適正な納税とは逆に、脱税を増大させ、増長させる方向ではないでしょうかと思うのですが、いかがでしょうか。
#325
○渡辺国務大臣 私はそうは思わないのです。ともかく、皆さんから御指摘を受けるような点については、いまもお話しいたしましたように、極力、負担の公平という点で努力をしていけば、理解していただけるものと考えます。
#326
○田中(昭)分科員 それは、あなたがそういう面について目をつぶっての発言だからそうなる。あなたも総理大臣を目指すのであれば、あなたが総理大臣のときにこういう脱税の方向が増長されたら責任問題ですよ。もうその問題はおきましょう。
 次に、今度は、あなたが現実に行った話の中で、大臣は昨年、予算編成の大分前ですが、ある取材に応じられました。ところは大蔵省のようですね。その取材のタイトルは、「歴史にとどめを残せ渡辺財政」こうなっているのですよ。記憶ないですか。あなたと同県人で、親しい、あなたの同士とも言える方。思い出しませんか。思い出しましたね。その中で議論されていることを少し問題にしてみたいと思います。
 結局、内容はあなたの財政再建についての御発言が中心ですね。特に税制と適正な税収については、あなたとその方は専門家同士だから、大変貴重な意見が交換されております。あなたは大蔵大臣になった、大蔵大臣をかち取った、本当にうらやましい、おれも税理士だがなとかいろいろなことがあって、税の専門家としての意見が交換されております。
 そこで、まず税制の問題に移りますが、ことしのこの税制改正の要綱、この中の一般会計の税収見積もり、ここで――これよりも表で見た方がいいでしょう。第二表で見ますと、一般会計の合計のところ、三十兆九千十億円ですか、こういうふうにありますね、現行法による収入見込み額。これを前提に話が進んでおるようなんですね。この前提の税収額が、対談者のEさんは、結論的にこういうふうに言っているのですよ。「財政再建に当り緊急と認められる税制上の重要事項のゆがみの是正を行えば増収できる、その額はなんと、約三兆円から四兆円になります。」これに対してあなたは、「いやあ、これは有難う。まだ予算編成までに時間もあることだから、事務当局に充分検討させよう。」というふうに言っておりますね。この発言の趣旨はお認めになりますか。
#327
○渡辺国務大臣 私は、その対談はいたしましたが、その記事の原稿は、実はいま初めてそういうものが出ていることを知ったのです。どういうやりとりをやっておるか見ていない。発言の趣旨と言われましても、それは不正や何かがあればそういうものについては極力メスを入れていく、そういう趣旨だと思います。
#328
○田中(昭)分科員 あなたたちは同郷人で、お互い税理士同士として親しい間柄である。だから、Eさんがずっといろいろ述べられていますよ。いまあなたが言ったようなことも含めて、六項目にわたって。政府の見る予算額の三十兆円には、当然それ以上、三兆円から四兆円の増収ができる、こう言ったのに対して、あなたは、大変ありがとう。財政再建を考えている五十六年度の税収を考えるあなたにとっては、大変ありがとうというのはその意味ではないですか。これを言ってないというなら別ですけれども、大体意味はわかると思いますから、そういう意味で……。
 そこで今度は、取材者側は、三人で会っているのですが、このあなたの発言を受けて、「国家財政百年の計をたてるためにも、財政再建のためには、三兆円から四兆円も税収があるなら増税をやるのでなく、直ちにこの専門家同志のおふたりの云われるようにやるべきではないか」専門家というのは、あなたとEさんです。この人が言っているようにすべきではないか、こう取材者側が発言しますと、あなたは、「充分検討します」こう言っておられるのです。そこで、これを受けてEさんは、「大臣、貴方の不惜身命の構えを聞いて、心強いし、やっていただくとおっしゃって下さって、期待します」こういうふうな発言が続いているのです。さらに、あなたがこのEさんの発言を受けて、「私はこのことに全力をだしている」。このことというのは、財政再建に当たって、税収をきちっと見積もらなければいけない、そういうことで、「全力をだしている。腹をくくっているので、充分検討します」と言っておるのです。結局、この対談の経過は、Eさんとあなたとの発言は十分かみ合っておるのです。その趣旨は私も理解できます、私も税理士ですから。
 ところが、ここでこういう議論をすると、あなたは一つもかみ合わないのですけれども、ここでは話がかみ合っているのですよ。いま言ったように、「有難う。」とか「充分検討します」予算編成の前だから、いいことを聞いたというような意味でしょう。そこはどうですか、私が言ったことは大体おわかりいただけますか。
#329
○渡辺国務大臣 そのとおり言ったかどうか、記憶はありません。ありませんが、別に間違ったことを言っておるつもりはないし、ただ、三兆円出るかどうかということについては、そのとおり私は認めているわけでもありません。
#330
○田中(昭)分科員 認めていなければあなたは否定するはずですよ。(渡辺国務大臣「何が」と呼ぶ)いや、三兆円から四兆円あると言ったのに、ああ、そうか、ありがとう。だから、そこが、あなたがここで言うことと外で言うこととの違いがある。(渡辺国務大臣「それはテープを聞いてみなければわからぬ」と呼ぶ)テープって、ここにちゃんとあるんだもの。それじゃ、もうあなたが言わぬとか言ったとかいうことじゃなくて、意味はわかったと思いますから。しかし三兆、四兆は自分はないと思うと言うから……。
 私がここで申し上げたいのは、五十六年度予算の税収の見込み額、先ほど言った三十兆九千十億円に三兆円から四兆円が上乗せされなければならないはずなんです。結果的には上乗せはしておりませんから、これは約束違反であり、期待にこたえない。納税者国民を裏切ったことになる。これもまた、あなたは言ってもあれだから、言い切っておきましょう。
 そこで次に、このEさんはさらに、「貴方、大臣は、税金をとりやすい処から取るというやり方でなく、税制のゆがみを是正する意味で「税の不公平を叫ぶ者がいない状態」にまで課税正義の原則を貫いて欲しいし、そうしないと国民が納得しない、そのあとに増税を考えるべきだと思う」こういうふうに言っておる。あなたはそれに対しても、それが正しいと言っておるんですよ。これを見てもあなたは、国会では私が言うと、先ほど言ったようになかなか話がかみ合わないけれども、外では大変物わかりのいいことを言っておられるというふうに、これを読んでみますと私には思える。どうでしょうか。
#331
○渡辺国務大臣 表でどう言ったか私も全部の記憶はありませんが、極力、不公正なものやそういうものは取り除いていかなければならぬ。そして本当にそれが完全にできるということが一番いいわけですよ。しかし、現実の問題としては、予算編成は時間が限られているわけですから、二年も三年も編成しないわけにはいかないんで、十二月になればすぐ予算編成して暮れまでには終わらなければならぬという時間的な制限があるわけですから、その中で最大の努力はしてきたつもりであります。
#332
○田中(昭)分科員 いま私が言わんとするところは、あなたが国会以外で親しい方と話すときには、なるほどとその人の言い分を聞いて、それが本当です、そうやります、こう言っておりながら、ここで、本当に適正にということについて、逆なことばかり政府はいままでやっているんじゃないですか、それが多いじゃないですか、こういうことを言うわけですけれども、あなたがそのときのことをここで自分がはっきり記憶がないとおっしゃれば、詰めてみても仕方がありませんから。しかし、いまの御発言については、私は大変残念に思います。
 そこで、私なりに改正要綱を見まして、これは私の乏しい知識、そういうもので、今度の税制改正の中で具体的にどういうふうに五十六年度に過小見積もりになっておるかということを申し上げますから、聞いておってください。もう弁解は要りません、弁解するばかりではどうしようもないですから。
 まず、この三十兆九千十億円の税収見込みの中で主なものは、税収の大きいものは法人税、所得税ですね、これはわかりますね。そこで、結論から言いますと、まず法人税で一兆二百六十億円程度ふやして予算額を十一兆三千七百八十億円にすべきだろうと私は思います。
 その内容を少し申し上げておきましょう。まず、五十五年度に対する法人税の最初の見積もりの基礎に伸び率一一〇%を見込んでおりますが、このくらい見込めば、五十六年度の申告納税、昭和五十六年度の申告税額というのが九兆七千億ぐらいありますね、これが少なくとも十兆二千九百億円程度になります。これはどんなにしてもこの程度にならなければいけない。
 ここでひとつ、大臣、ちょっと数字的に申し上げておきますと、五十六年度は五十五年度よりも、当初予算の税収に相当する分は一兆五千五百億円ふやしておったんです。五十五年は八兆一千七百八十億です、それを九兆七千二百八十億ですから。ところが前年は、五十五年対五十四年は、ここの数字だけでも一兆七千三百億円ふえている。実際、五十五年の決算面では、法人税が二兆一千億を超えでふえている。ということは、一〇%の伸びを見れば、少なく見積もっても二兆一千億くらいは伸びなければいけない、そういう意味です。これは要りません、一応見ておってもらえば。
 ここで約五千億の増になりますと、次には、一番下の方にある更正決定分、大臣、見てください、わかりますか。この更正決定分の収入見込み額は、ここに千二百四十億と上がっていますけれども、これは五十五年よりも少なくなってはいけないと私は思うのです。なぜかならば、実調率も上げていくんでしょう。五十五年も調査をやらないなら別です。先ほどから公平、適正を図ると言うなら、実調率は上がるはずです。そうすると、五十五年分でも千三百四十億ですから、これは私はこれ以上、千五百億円、これも少な目に見積もって、ここで二百六十億円の増が出てきます。
 次に、税制改正による分です。前の方にありますが、税率を二%上げたために六千何百億の増を見ておりますが、これは少なくとも一兆二千億となるはずです。ここで約五千億の増となります。
 このほか租税特別措置関係の限度額の引き上げや合理化等による増収分もございます。これでまた一つおかしなことは、十三ページにあります法人税率の二%引き上げによる初年度の増収額、その下に軽減税率云々、こうありますが、これが五十五年度は租税特別措置等の限度額の引き下げによって、五十五年度でも約三千二百五十億あるのです。ことしも特別措置を切り下げたり合理化をしたわけでしょう。そういうことを考えればここの数字はこういうことにならない、こういうふうなことを私は言うわけであります。
 いま指摘しました特別措置の問題を除いて、五十六年度で、この税率分過小見積もりが百三十億、その分を除いても、結果的には、申告税額で見ますと約五千億、更正決定分で二百六十億、税率アップで約五千億、この三つでおおむね一兆二百六十億円ふやさなければいけないということですね。
 次に源泉所得税です。その一番最初にありますから見てください。これでは、給与総額が九%程度ふえるとすれば、これまた十四兆九千億以上ふえなければいけません。給与総額は百二十兆三千二百億円。政府の方は百十八兆三千億程度見ていますね。なぜおかしいか。これだけ指摘しておきましょう。
 その前の年、五十五年は同じ九%で給与支払い総額が十三兆七千億、約十四兆円近い増になっているのです。そうしますと、ことしも九%増ならば、もとの数字が大きいんだから十三兆七千億よりも多い、十五兆円程度ふえなければならない。ですから、ここで大体、課税所得が二兆円くらいふえることになります。そうすれば収入見込み額は七兆四千七百億円。次のページの五ページの上の方の五番目ぐらいにある。収入見込み額が七兆四千七百億円。現行法による五十六年度収入見込み額は、その次のページになりますね、十兆二千百七十億円。すなわち、予算額で約三千億円ふえて十兆二千億程度になるわけです。
 次に申告所得税、これではもう内容は省きます。総所得金額が一兆二千億から二兆円ぐらいふえるはずです。税額で平均三千五百億円程度ふえる。
 どうしてもちょっと指摘しておかなきゃならないのは、いつもトーゴーサンなんか言うと違うと言うが一番おかしいのは申告所得税の農業関係の納税人員、これは大変おかしいですよ。五十一年よりも五十六年がずっと減っておるのです。それから、その他の所得なんかも、細かい計数は申し上げませんが、これは全然低過ぎます。こういうことから考えれば、申告所得税はそういう程度にならざるを得ない。大臣は農業所得については詳しいようでございますが、五十一年は、三十一万の納税者で四千二百七十億円ですかね。ところが、五十二年が二十九万、五十三年が二十五万、五十四年が二十九万そして五十五年二十七万、五十六年は、今度の予算では二十一万人ですよ。こんなでたらめがあるものですか。
 以上申し上げましたが、時間が来ましたから最後の問題に移りたいと思いますが、一言、大臣から感想を聞かせてください。
#333
○梅澤政府委員 いま詳細な御指摘があったわけでございますが、いま委員がおっしゃいました計数、大体合計いたしますと一兆七千億前後に相なりますが、一兆七千億といいますと、五十五年度の私どもの実績見込み二十七兆円に対しまして割合にいたしますと約六%ぐらいになります、自然増収ベースで。そういたしますと、私どもは五十六年度予算で、自然増収ベースでトータル一三・七%と見ておりますので、それを合計いたしますと、実は二〇%の自然増収を見込むということになるわけでございますが、これは五十年代以降の伸び率で一番高かった年が五十四年でございます。(田中(昭)分科員「後でまた、あなたと計数は合わせましょう」と呼ぶ)
 それで、私どもの考え方だけ一応申し上げるわけでございますが、そのほか個々の御指摘ございました、昨年度の租税印紙収入説明と対比されまして御指摘があったわけでございます。払いま感じましたのは、昨年の伸び率とことしの伸び率を比較しながら御指摘が二、三あったわけでございますけれども、言うまでもなく、ここに出ております数字というのは補正後のベースからやっておるわけでございますから、対当初当初でいきますと……(田中(昭)分科員「だから数字は後で合わせましょうと言っているんだ」と呼ぶ)
 それから、農業の問題も御指摘になりましたけれども、ここで、租税印紙収入で農業と言っておりますのはいわゆる専業農家でございます、税務統計の整理といたしましては。そういたしますと、専業農家はやはり五十年以降、減反等も絡みましてずっと減っておりますので、これは実勢であるというふうに御理解願いたいと思うわけでございます。
#334
○渡辺国務大臣 私としてもできるだけ歳入があった方がいいわけですから、それはいろいろな点も含めてぎりぎり見積もってみてくれ、こういうことで、専門家が長い月日をかけまして積み上げてきておるので、私は大蔵省の見積もったところはかなりぎりぎりな線、現在の収納ぐあいその他から見てぎりぎりのところだという感じを受けておるわけです。
#335
○田中(昭)分科員 大臣、言っておきますけれども、何もお役人さんをあれするわけじゃありませんけれども、そういうことは役人じゃできないんだ、それはもう政治の責任だというようなことを、あなた自体が去年の予算委員会のときにおっしゃってますよ。ですから、その辺を、よく自分の言ったことといま私が求めているものと考えて今後はしてもらいたい、こういうふうに思います。
 最後に、細かい問題でございますが地元の問題で、実は福岡国税局管内の福岡税務署でいま準備を進めておられますが、納税者の所管変更が準備されておるのです。これについては今後どんなふうな状況になりますか。
#336
○川崎政府委員 福岡市におきまして区制の区域変更が行われるということになっております。それに伴いまして、私ども税務署の管轄区域を変更するということで検討を進めております。手続といたしましては省令の改正ということになろうかと思います。
#337
○田中(昭)分科員 そのことは、納税者にとってはどうですか。ただ役所にとってだけ都合のいいことであっては困るわけですが。
#338
○川崎政府委員 地方自治体と十分打ち合わせをしまして、住民の御希望に沿った線の案で進める予定になっております。
#339
○田中(昭)分科員 では、以上で終わります。
#340
○阿部(助)主査代理 これにて田中昭二君の質疑は終了いたしました。
 次に、伊藤公介君。
#341
○伊藤(公)分科員 私は、東京周辺の基地の問題で何点かお尋ねをいたしたいと思います。
 すでに基地利用が、返還をされて進んでいるところもございますし、すでに返還はされたけれども跡地利用で遅々として進まないという地域もあれば、あるいは返還を強く要求されているけれどもこの問題に今後取り組まなければならない。いろいろ、それぞれの基地によってあるわけでございますが、ちょうど私どもが初めて国会に山さしていただきましたときにお願いをいたしました、東京に天皇在位五十周年を記念して昭和公園の指定をぜひ立川の基地跡地にしてほしいということを強く要望いたしてまいりました。関係各方面の大変な御協力によりまして、すでに立川の基地跡に昭和公園の指定が決定をして、その作業が順調に進められているように伺いますが、昭和公園の進行状況をお伺いをいたしたいと思います。
#342
○楢崎政府委員 いま仰せられました昭和記念公園は、立川基地の跡地につくっておられる記念公園のことであると思いますが、本件につきましては五十四年十一月三十日に閣議決定がなされまして、天皇陛下御在位五十周年記念事業の一環として、東京都立川市内に約二百ヘクタールの記念公園をつくるということで、私どもとしましては、中央審議会及び関東地方審議会の議を経まして、すでに建設を前提とし、所管がえを前提といたしまして建設省に一時使用を認めるということで、建設省において現在事業を進めておられるように考えております。
#343
○伊藤(公)分科員 昭和公園が指定されてから関係方面のいろいろな御努力もございますし、また地域でのいろいろな要望もございまして、せっかく新しくできることだから、スペースの上からも特筆すべき広大な公園になり、内容のある公園にぜひしてほしいという、いろいろな施設に対する要求も出ているわけでありますが、実はさまざまな公共施設とともに、この昭和公園をできるだけ自然の森のような形の、できるだけ東京の郊外の週末を過ごせるような、そういう自然公園的なものもぜひ並行してつくってほしいという要求もございまして、実は三木内閣の時代に、立川の基地跡地と、それから多摩ニュータウンに隣接をしております多摩弾薬庫の跡地をグリーンベルトでつないで、文字どおり東京周辺最大の昭和公園をつくろう、こういう計画も検討されて、一部その計画は新聞にも載った経過があるわけでございます。
 そこで、五十二年の予算委員会の分科会で、実は多摩弾薬庫の跡地返還をぜひ進めてほしいということを取り上げて、お願いをいたしました。その後、隣接、特に地元の多摩市であるとか稲城市であるとか、市長さんあるいは議会、それから市民の、とにかく何万という署名も集められて、関係各方面に強い働きもされてまいりましたし、地元では、この昭和公園が立川基地跡に指定をされたのと相まって、ぜひこの多摩弾薬庫の返還をしていただいて――御存じのとおりニュータウンは、ニュータウンだけでも三十五万を超える、周辺を集めまして約五十万都市に間違いなくなると言われている。しかも非常に高層住宅でございまして、五十万都市の多摩ニュータウンにしてみれば、弾薬庫の跡地返還は非常に切実な問題になってきておるわけでございますが、その後、多摩弾薬庫の返還につきましては、どういう内部的な御検討をいただいて、どういう経過になっているかを伺いたいと思います。
#344
○箭内説明員 ただいま御質問の件でございますが、私どもは多摩サービス補助施設というふうに申しておりますが、この多摩サービス補助施設につきましては、かなり以前から地元等から強い返還の要望がございました。それを踏まえまして防衛施設庁としましては、非公式ではございますが、米側に対しまして、その返還の可能性について意向を打診しておるところでございます。これまで数回意向を打診しているわけでございますが、米側の方の意向としましては、これは米軍人軍属等のいわゆる福利厚生施設として現在使用しており、将来ともこういうふうな使用を続けていきたいというふうな意向が強うございますので、したがいまして、この返還の見通しということは現在のところは立っておらない状況でございます。
#345
○伊藤(公)分科員 実は私、この多摩弾薬庫の跡地に大変近いところに住んでおりまして、かなり状況は把握をしておるつもりでございますが、多摩弾薬庫の跡地が現実にどのように利用されているのか。また、これはかつて昭島にありましたゴルフ場を返還してもらうという、ある意味では肩がわりとして、多摩弾薬庫が在日米軍のゴルフ場等に使用されるということになったかと思いますが、どうも状況を伺ったり、実際に見ておりますと、弾薬庫の跡地は利用されている方が非常に少ない。地域の方々もそういう状況をよく把握されているわけでありますが、多摩弾薬庫跡地の利用状況を御説明いただきたいと思います。
#346
○箭内説明員 多摩サービス補助施設は面積が約二百ヘクタールございます。そこで、そのほぼ半分がゴルフ場地区それから残りの約半分が野外練成地区というふうに分けられまして、米軍が使っておるわけでございます。ゴルフ場地区につきましては、主として関東地区における空軍関係を中心とした米軍人軍属等が相当頻繁に使っております。一日の平均で申しますと約百八十名前後というふうな利用状況であるというふうに承知しております。それから野外練成地区は、キャンプとか集会とかそういうふうな目的のために使用されておる状況でございまして、私どもとしては、両方とも十分に利用されているというふうに承知しております。
#347
○伊藤(公)分科員 私の方が実際に現地にいられる方々からお話を伺い、あるいは私どもの手元にいただいている利用状況から言いますと、きわめて利用状況が少ない。利用しているのが一日百八十名というのはゴルフですね、これはどういうデータか私はよくわかりませんけれども、ぜひ再調査をしていただきたい。特別な日が一日か二日あったのかどうかわかりませんけれども、平均して百八十名利用されているなどという状況では全くない。事実私も、その中にいる方々のお話も伺っているわけでございまして、ぜひ状況をよくもう一度調査をしていただきたい。現実にほとんど利用されていない広大な跡地がそのままにされている。実はニュータウンの建設が進んでおりまして、すでに入居がどんどんされているわけでございます。最近のニュータウンの住宅公団の家賃は、住民の方々にすればべらぼうに高くなってしまいました。高いものは七万円を超えるという家賃、そういう状況で、ぜひこれはもう――在日米軍が非常にこれを活用されていて、しかも利用状況からいってこれが生かされているということであれば、当然、私どももそれなりの理解をするつもりでおりますし、地元の市町村あるいは地元住民の皆さんも理解を示してくれると思いますけれども、現実はそういう状況ではない。ぜひ現地のいろいろな実態の調査をもう一度していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#348
○箭内説明員 ただいま多摩のゴルフ場地区の利用状況、平均しまして一日約百八十名前後ということを申し上げでございますが、これは私どもが米軍から聞いた数字でございます。今後の利用状況につきまして再調査ということでございますが、その点につきましては承っておきます。
#349
○伊藤(公)分科員 実は今後ぜひ前向きに検討していただきたいということが私のお願いでありますけれども、何年間も同じ状況で、そのままの状況で来ておりますから、やはり正式に米側に対して、そういう具体的に実態を調査された上で返還への見通しを話し合いをしていただきたい。それにはこちら側の検討も当然必要だと思いますけれども、お話を伺いますと、日米合同委員会の分科会であります施設特別委員会での交渉で基地返還というような問題は検討されるのだということでありました。先ほど、非公式にそういうお話をすでにされてきたというお話がございましたけれども、非公式にお話をされてきたというのは、この分科会でそういう話が出たということではないわけですね。あるいはそういう、されたという経過がもしあればお話を伺いたいと思います。
#350
○箭内説明員 施設特別委員会というのがございまして、ここで定期的に会合が開かれるわけでございますが、地元から従来、返還の要望というものが非常に強く出ておるという実態もございますので、そういうことを勘案しまして、私どもがそういう委員会の場を通じまして非公式に、折に触れて、いろいろ米側の意向を打診してみたということを申し上げたわけでございます。
#351
○伊藤(公)分科員 日米合同委員会の分科会のメンバーなんですけれども、どういうメンバーでこういう問題はお話しされるのか。もしお差し支えがなければ、分科会のメンバーを教えていただきたいと思います。
#352
○箭内説明員 私どもからはちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
#353
○伊藤(公)分科員 この分科会でお話を進めてくださいというお話を、実は私ども、行政側にも、地元市町村の陳情あるいは市町村長さんお見えのときにお願いをした経過もあるわけでございますが、外務省からお見えでございましたら、分科会のメンバー、もしお差し支えなければ教えていただきたいと思います。
#354
○丹波説明員 本件につきましては、実はアメリカ側との間で一々のメンバーは公表しないということになっておりますので、御勘弁いただきたいのですけれども、きょう土曜日で、アメリカ側と調整する時間もございませんので、きょうのところは代表だけの名前を申し上げますから、それで御了解いただきたいと思うのです。
 日本側は、防衛施設庁長官が代表しております。アメリカ側は、横田の本部におりますところのツルーステール大佐が代表しております。
 以上で御勘弁していただきたいと思います。
#355
○伊藤(公)分科員 メンバーは結構ですけれども、何人で構成されておりますか。
#356
○丹波説明員 これは常時入れかえがあったりして変わっておりますけれども、大体、日米双方とも十数名というのがメンバーになっております。
#357
○伊藤(公)分科員 当然、行政側の方たちですよね、日本側のメンバーの方たちは、役所の関係の方々ですね。
#358
○丹波説明員 防衛施設庁の関係幹部が中心になっております。
#359
○伊藤(公)分科員 もう一度ぜひ強くお願いしたいと思いますが、現地の状況を再度しっかり調査していただいて状況判断を十分した上で、これは基地返還ですから、政府の方針として多摩弾薬庫の跡地を返還することがいいのかどうなのかということを当然御検討いただいて、こちら側の方針として、じゃ、あれを返還するということで一応の打診をしてみようということになって話が進められるだろうと思いますが、大臣、お勉強中で恐縮でございますが、東京にとっては大変大事な問題で、基地返還ということ、これは政府自身が腰を上げていただかないとできないことでありますから、東京の多摩弾薬庫の跡地返還は、昭和公園をつくるということとも関連をいたしておりまして、歴史に残る作業の一つでありますので、私どもが伺い、データをいただいている中では、余り利用してないという状況を考えますと、ぜひ日本側の意向を固めていただいて、具体的に米側に打診をしていただくということをお進めいただきたいと思います。大変有力な閣僚メンバーのお一人として大蔵大臣の御見解を伺い、もしてきることなら政府としてぜひ御検討をいただきたいと思うのでございます。
 これは先ほど申し上げましたとおり、確かに横田あたりの方たちがゴルフにときどき来ているという状況で、実際にはもうほとんど使っていない。ときどき近くの日本の方々が、これは規定上、米軍の紹介がないと日本人は中でゴルフができないという規定になっているそうで、むしろ日本側の方たちが、横田あたりにいる知り合いと一緒にゴルフをやっているという状況の方が多いと伺っておりますので、とにかく実態の調査をした上で、政府の方針としてぜひ御検討をいただきたいと思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
#360
○渡辺国務大臣 私の聞いているところでは、四年前に同じような質問があったそうです。その後、施設の返還については施設特別委員会というんですか、そういうのがありまして、そこで日本側から非公式に米側に対して、再三にわたって打診をいたした。ところが、本施設は、在日米軍の人たちの福利厚生施設として現在も使っている、他に代替施設がない、将来においても必要なので、ともかく目下返すことができないという答えだ、そういうことを聞いております。したがって、これは大蔵省の直接の関係ではございませんので、防衛庁なり施設庁なりから、その後どういうふうになっているか聞いていただきたい。
#361
○箭内説明員 多摩サービス補助施設の利用状況につきましては、先ほど私から御説明申し上げたことでございますが、繰り返しになりますけれども、私どもが非公式に米軍に意向打診をしたところ、米軍としましては、やはり米軍人軍属等の福利厚生施設として現在有効に使っておる、将来ともこれを大事に使っていきたいというような希望を持っておりますので、この多摩サービス補助施設の返還につきましてはきわめて困難な状況にあるという事情を、ぜひ御理解いただきたいと思います。
 それから、先ほど、今後の状況についてさらに調査をしてほしいというような御要望がございましたけれども、その点につきましてはよく承っておきます。
#362
○伊藤(公)分科員 非公式で結構ですけれども、施設特別委員会でお話をされたという経過はあるわけですか。
#363
○箭内説明員 実はこの問題につきましては、数年前、施設庁長官からも御答弁申し上げたとおりでございまして、防衛施設庁としましては、その施設特別委員会の場を通じまして非公式に何回か、米軍の方へ意向打診をしておるという事実がございます。その結果は先ほど申し上げましたとおりでございまして、米側としては引き続きここを有効に利用していきたいという状況でございます。
#364
○伊藤(公)分科員 時間が参りましたので締めくくらせていただきたいと思いますが、この特別委員会に、そうした返還してほしいという状況があるということで米側にその意向を再度伝えていただくことができるでしょうか。ぜひ伝えていただいて、もう一度、米側の御理解をいただけるような御努力をいただきたいと思います。
#365
○箭内説明員 ただいまの御要望の件につきましてはよく承っておきます。
#366
○伊藤(公)分科員 終わります。
#367
○阿部(助)主査代理 これにて伊藤公介君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算中大蔵省所管についての質疑は終了いたしました。
 次回は、来る三月二日午前九時三十分より開会し、文部省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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