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1949/02/01 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第6号
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1949/02/01 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第6号

#1
第007回国会 厚生委員会 第6号
昭和二十五年二月一日(水曜日)
   午前十時四十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○社会保障制度に関する調査の件
 (厚生省関係予算について)
○小委員の補欠選任の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。本日は厚生省社会局関係の予算説明をお願いいたします。
#3
○政府委員(木村忠二郎君) 厚生省社会局所管の昭和二十五年度予算につきまして御説明申上げます。
 予算書の五百二頁でございます。そこの厚生省社会局、最初の一番上の社会行政の統轄運営に必要な経費、これは主として厚生省の社会局の書記の経費でございます。
 それからその次の社会事業に関する調査企画等に必要な経費、これは社会局庶務課の経費が主になつております。この社会事業に関する調査企画等に必要な経費の中には、社会事業従事者の講習会の経費が入つております。この講習会は二種類ございまして、期間の短かいもので全国ブロック別にありまするもの、それから長期に亘りまする、專門別に講習会を一ケ月間ずつ二回に亘つて開くというものと、二つのものが入つております。その講習会の経費は合計いたしまして五十八万五千九円ということに相成つております。この五十八万五千九円というのは專門別の講習会でございます。一般の講習会も大体それくらいになつております。それから次に中央社会事業審議会に必要な経費、これはそこに書いてありますように中央社会事業審議会というものが社会事業法によりまして設置されておりまして、社会事業の適正な運営を図ることに相成つておりますが、この審議会に必要な経費を九万一千円計上しておるわけでございます。それからその次の社会事業学校委託確営に必要な経費、これは社会事業従事者の中心になる人物を養成いたしますために、專門学校程度の社会事業学校を東京と大阪との二ヶ所に経営いたします。東京は日本社会事業協会に委託しております。大阪は大阪府を通しまして大阪の社会事業協会に委託しております。金額は合計五百九十九万円でありますが、この内容は大体従来と同じような性質のものでありまするけれども、内容の充実及び大阪の学校が一学級だけ殖えますので、それを合せますと五百九十九万円、昨年度よりは二百七十万円ばかり殖えておるわけであります。
 その次の民生委員の指導事務強化に必要な経費、これは民生委員の活動のための経費と、それから民生委員の指導のための経費、この両方がこの中に入つておるのでございます。民生委員の活動の経費といたしまして、民生委員の活動に要しまするところの実費弁償の費用、それから民生委員協議会並に民生委員の常任委員の協議会に必要な経費、この経費が入りておりまして、それから尚民生委員の指導の経費としましては、民生委員手帳、それから民生委員に読ませますための民生時報の刊行、この両方をいたします経費を計上いたしております。この民生委員の指導に要します経費につきましては、全日本民生委員連盟に委託しまして実施をいたしますることに相成つております。
 次は社会事業施設指導に必要な経費、これは主として社会事業施設の援護活動を指導するに必要な経費でありまして、社会事業施設指導のためのブロック会議の費用でありますとか、社会事業施設指導監査に必要な旅費でありますとか、そういうような経費が計上されております。その次の生活保護に関する調査企画等に必要な経費、二千百千三方二千円、これは主として社会局の保護課の人件費でございまして、生活保護法を主管いたしておりますところの保護課の人件費が主でございます。この中に生活保護法の被保護者の全国の一斉調査の経費がこの中に含まれております。生活保護法の全国一斉調査は、すでに三回目を本年やつておりまして明年が四回目になります。毎年一回この調査をいたしまして、只今或る一定の時期におきまするところの生活保護法の該当者の実情を掴みたい。かように考えておるわけであります。その次は身体障害者保護更生に必要な経費、これは身体障害者の保護に関しまするところの厚生課の経費でございまして、身体障害者に関する各般の施策の研究立案等をいたしております。尚この外にこの中には身体障害者福祉法、先般国会で議決になりました身体障害者福祉法に基き、都道府県の負担するところの援護施設の事務費、設備費、身体障害者に対するところの各種の義肢、補聽器、盲人杖といつたようなものを給費する経費を補助するにめに必要な経費が入つております。その次の消費生活協同組合法施行に必要な経費、これは消費生活協同組合につきましては、健全な組合の育成を図りますための消費組合の趣旨の普及指導といつたような経費を盛つてございます。これには中央におきますところの経費の外に、地方の事務費というものが若干入つておるわけでございます。
 次の生活援護物資の需給調整に必要ば経費、これは現在の生活援護に必要なるところの物資の入手、斡旋、災害救助に必要なるところの物資の斡旋、又ララ物資の取扱といつたようなことをいたしまする物資課の経費でございます。
 次に生活保護費でございますが、これは百五十二億五千三百七十万三千円、この経費は生活保護法の施行に必安な経費でございまして、これに必要な経費の補助が十分の八計上してあります。尚この外に民生委員が生活保護法に基きまして生活保護法の仕事を手伝つておりますので、これに必要な経費、それから生活保護法に必要なるところの施設の拡充強化に必要な経費の補助、これだけのものが入つております。大体この生活保護法の経費の基準は、今回改訂されまするところの新米価、これによりまして昨年度の確か五月頃の経費だと思いますが、そのときの実情から毎月一・五%ずつ大体殖える傾向があります。その増加傾向を見まして今後増加するものと一応考えまして計上いたしておるわけであります。大体諸物価等が現在と余り変らなければこの経費で以て賄えるものと考えております。尚この経費の中におきましては、約一億五千万円ばかりの現在の同胞援護会が旧軍事援護会から引継ぎました施設、生活保護、その他援護のために使つておりますその施設を都道府県に移管するためにこれを買収しなければなりませんので、それに必要な経費の十分の八を補助するということにいたしまして、この経費がこの中に見込んであるわけであります。次の婦人保護費は、これは戦後の国民道義の低下と国民生活の窮迫化に伴いまして正常なる生活から転落いたしました婦人が増加いたしておりますので、これらに対しましてこれを未然に防止すると共に、それら転落いたしました者を更生させるという趣旨を以ちまして、全国に十八ヶ所の収容所を設置いたしておるのでありますが、この運営に必要なところの経費をここに計上いたしたわけであります。次に災害救助費、これは佐賀県、宮崎県及び鹿児島県、この三県に対しまして災害救助法に基きまして国から補助しなければならない救助費が残つておりますものを集計いたしまして出しましたわけであります。これにつきましては今後起ります災害につきましての救助費は入つていない、従来済んだものの清算のために必要な経費であります。佐賀県が四百二十万円、宮崎県が千百五十五万円、それから鹿児島県が四百二十万円、合計千九百九十五万円という経費が見込んであるわけであります。それからその外に災害救助事務の指導監査に必要な経費が入りまして二千三十七万円であります。
 次に援護物資取扱費は、ララから送つて参りますところの救援物資の処理に必要な経費でありましてこれは本年度非常に増加しておりますので、本年度はこの経費が極めて足りないのでありまして、現在入つて来ると見込まれますところの数量、年に四千三百二十トンというものだけ扱う、月三百六十トンくらいだと思いますが、従来の実績からいたしまして、そういう基礎に基きましてやりましたところの物資の保管と輸送の費用、その外にララの処理に必要でありますところのララ中央委員会の経費というものを合せまして、六千二百十一万ばかりの金額を計上いたしております。これにつきましては現在の状況からいたしますると、月三百六十トンよりも余計に入つて来るような様子が最近になつて出ておりますけれども、一応まだ確定いたしておりません。現在では従来の平均三百六十トンくらいでいいのではないかと考えております。勿論沢山入つて来ましたものはそのときに考えなければならないと思いますが、まだ確定いたしておりませんので、大体従来の実績によつて計上したわけであります。
 その次に更生資金貸付金でございますが、これは私のところでは扱つておりませんけれども、内容は主として引揚者のために計上されておるものであ力ます。引揚者等が生業に就きましてその更生を促進するというために、資金を貸付けるという経費であります。これは引揚援護庁の方が所管しておりますので、そちらの方から御説明するだろうと思います。
 次に五百二十五頁でございますが、国立光明寮の経費が載つております。これは東京及び栃木県の塩原にあります二つの国立の中途失明者の援護更生のために必要な経費でございまして、両方合せまして三百八十八万二千円になつております。現在両施設とも職員の充実をいたしましてよく動いております。
 それから次にその裏の国立身体障害者更生指導所は、先般国立身体障害者更生指導所設置法によりまして設立されまして、身体障害者福祉法の援護施設の一つでございます。これにつきましては大変遅れまして本年の一月十六日に新らしく入所生を入れまして、現在五十名ばかりの生徒が入つております。身体障害者が身体障害を乗り越えまして新らしい生活ができまするように、指導するという面の下に我が国における新らしい試みといたしまして施設いたしたものであります。職業の訓練、生活全般の指導、医療管理といつたようなものを併せまして、ここでやつて行きたいというふうに考えておるわけであります。これらの新らしい面での年間分の経費でございます。
 それから次に厚生省所管のものではないのでありますが、公共事業費の中に社会局といたしましては、社会医療施設の整備に必要な経費といたしまして養老施設十三ヶ所、これに対しまして二千九百六十五万円、それから特殊婦人施設の災害復旧に必要なものといたしまして東京の荒川にありますものの施設五十万円、それから身体障害者の厚生援護に関する経費といたしまして、身体障害者の収容授産施設といたしまして新たに八ヶ所新設いたしております。この経費が二千二百二十九万円、それから現在ありますものの災害復旧に要します経費が三十万円、現在浮浪者が都市に相当増加いたしまして、收容できないという実態に鑑みまして、浮浪者の收容施設を全国に七ヶ所新設するということにいたしましてこれに一千七百三十三万七千円、その災害復旧に要します経費といたしまして二百二十万円、合計七千二百二十九万二千円というものが補助費として見込んであるわけであります、大体二分の一補助でございます。
 以上が社会局の……先程申落したのでございますが、講習の経費の中で一般のブロックで行います講習が五十五万五千八百八十八円、先程申上げました通りに專門別の講者が五十八万五千九百円で両方合せますと約百十四万円ばかになります。それから生活保護費が従来と比べまして毎月二・五%ずつ殖えて行くという計算で以て計算いたしております。
#4
○委員長(塚本重藏君) 御質問ありませんか。
#5
○井上なつゑ君 お伺いいたしますが、この生活保護費の中にございます医療費と助産費が分つておりましたら、ちよつと承わらして頂きたいと思います。
#6
○政府委員(木村忠二郎君) 医療費が四十八億七千二百万円ばかりでございます。助産費は三千五百八十七万円ばかりでございます。
#7
○山下義信君 ちよつと二、三のことを簡單に伺いたいのですが、今の生活保護法の建前で適用しておりまするこの現状で、被保護世帶と申しますか、その適用の世帶の増加と申しますか、その適用して行かなければなりません対象の状態は、数的にどういうふうなことに大体なつておりますか、その点をちよつと伺いたいと思います。
#8
○政府委員(木村忠二郎君) 最近までの分つておる状況を申しますると、昨年の五月までは逐次減つて参つております。大体百六十万人というのが要保護人員になつておりましたのです。これが五月から逐次増加いたして参りまして、十月には約百七十万人という数字に相成つております。大体この傾向は今後続くのじやなかろうかというふうに私共は見ております。
#9
○山下義信君 我々も漸次増加するのではないかと非常に心配しておるのでありますが、その増加の原因は大体どいうことが主な原因であるのでありましようか。例えば失業者が増加して来るためであるか、或いは一般の経済界が不振なためにこういう階層に転落する者が多いのか、大体でようございます、当局でお分りになつておる点がありましたら伺いたい。
#10
○政府委員(木村忠二郎君) これらのものが総合して原因になつておると思えるのであります。要保護人員の内訳等について見ますると、さまで失業が原因になりまして保護の対象になりまする者が殖えておるというふうには考えられないのでありますが、失業いたしました者の中で、他の原因が附加されておりまする者、むしろ失業よりも外の原因がありまする者が、この失業といつたような状態によつて保護を要する状態に追い込まれて来るというのが多いのじやないかというふうに一応考えております。
#11
○山下義信君 政府の、主として大蔵当局あたりの説明によりますと、詳細のことは聞きませんが、一応の説明と思われる点を見ますと、明年度の生活保護費は人員は増加しない建前で計算しておるのだ。こういうことを言つておりますが、厚生省当局は大体増加する見込で二十五年度の予算を立てておりますか、その辺はどういうことになつておるのでしようか。
#12
○政府委員(木村忠二郎君) 予算といたしましては若干増加するものというふうに考えております。無論人数がどの程度増加するかということよりも、予算を組みますときには金額の増加だけを見ておりまして先程申しました二・五%殖えたと申しますのも金額の増加の率でございまして、人数の増加が果してあるかないかということははつきりいたしておりませんが、我々としましては人数も或る程度増加しておりますから、今後も増加するというふうに一応見ておるわけであります。
#13
○山下義信君 一応は基準の引上を見込んだ予算で、人員は余り見込んだような予算ではない。人員が増加すれば自然予算が又必要になつて来るわけでありましようが、そういうふうにまあ局長の御答弁を了解して置きます。次に生活扶助の扶助額の基準の改討の御計画ですが、今現に御計画のものはどういうような基準額の御計画になつておるのでしようか。
#14
○政府委員(木村忠二郎君) 最近大分昨年の秋頃考えておりましたときとは情勢が変つて参つておりまして、生計費が若干低下するという傾向があるようでございます。特に繊維製品類並びに食品、食物の実効価格と申しますか、実際の価格でございますが、闇価格と(公)との間をとりました価格、これが段々低くなつて来ております。そういつたようなことからいたしまして、或る程度内容を充実いたしましても、昨年考えましたほど基準額の総額は上らないというふうな見込でございまして、従いまして現在の予算を以ちまして、或る程度基準の増加ができるものじやないかというふうに考えております。尚予定といたしましては、そういう見込の下に、前に御説明いたしました内容によりまして、基準額は改訂するようにいたしたい、こういうふうに考えております。只今は一応米価の変動だけに止めておりますが、年度変りまでには是非ともこの前お話し申上げました内容によりまするところの基準の改訂を是非やりたい。その場合に大体昨年は六千二百円くらいになる、標準世帶で六千二百円くらいになると申しましたのが、五千六百円くらいになるのじやないかというふうに一応考えております。
#15
○山下義信君 そうするとまあ今度御計画のものが第十一次ですか、十二次ということになりますか、それは只今のお見込では、お話では五千六百円、金額が低くなる。而もその内容においては、かねて問題になつておつたように飲食物費のパーセンテージが低くなつて、その他のいわゆる文化的な面、いわゆる生活が幾らかでも向上改善せられるような内容を持つたものにしたい、こういうお考えでございますか。つまり金額は低くなつても生活内容が向上し得る、こういうお見込でございますか。
#16
○政府委員(木村忠二郎君) お話の通り、飲食物費が或る程度低下いたすということに相成りまするので、総額が若干殖えますれば、内容は大いに充実される、前に申しましたように充実されるというように考えておるわけであります。
#17
○山下義信君 現在の被保護世帶の七つまり術語で、どう申しますか、被保護世帶の生活状態は大体において現況はどういうふうでありますか。つまり生活保護をしておる世帶の者は大体において安心のできる状態でありましようか。その生存が……或いは私の伺いたいと思いますのは、被保護世帶の中から、その扶助額、保護費ではやりきれないで、いろいろな悲惨な悲劇が生まれるような者が出て来るような憂いはございませんか。大体は安心してよろしいような状態でございましようか。現状はどういうふうでありましようか。
#18
○政府委員(木村忠二郎君) 現在の適用を本当によくやりますれば、何とかやつて行けるという程度ではないかと思つております。勿論先程申上げましたように、若干今諸物価が低下いたしておるような状況がございまするので、逐次楽になつて来るのではないかと思いますけれども、それまでの間としましては、我々として考えまするのは、非常に苦し過ぎるというふうに考えております。従いまして昨年お約束いたしました内容にまで向上させるということは是非とも必要である。このことにつきましてはもう少上我々の方としましても、正確な基礎を持ちまして、どのぐらいにしたらいいかということは検討しなければならんのでないかというふうに考えております。
#19
○山下義信君 いろいろこれは重大な問題で、相当深く検討する必要があるのでないかと思うのですが、殊に基準の内容を変更して而も金額を低下してもやつて行けるということになりますと、非常にこれは重要な問題であると思います。且つ家計費の面のみでなくて、我々がいつでも考えなければなりませんことは、この被保護世帶の人達の收入の面であると思います。ですから、物価が低落して来る、いわゆるデフレになつて来る、不況時代になつて来て、生計の面においてのそういういろいろ算盤の弾き方は楽になるように見えておつても、一面收入というものが非常に困難な時代になつて来るということになると、物価の一部が若干低下したという指数を直ぐ捉えて金額を低下させるということは、余程考えて行かなければならん。一旦低下させた金額を、これを増加するということの困難なことは、本員が言うまでもないことでありますから、金額の低下は財政上喜ばしいことであるけれども、余程考慮して行かなくちやならんと私は思う。当局も十分愼重に御研究ではあろうと思いますが、この際私の所見を申添えて置きます。
 いま一つの伺いたいと思いますのは、先般来いろいろ御心配になつてられました授産所の在り方の件でありますが、最近各所でいろいろ厚生省の方針に従つて、どんどんと公私とも不適当な授産所は閉鎖しておるようでございますが、大体只今のお採りになつております御方針並びに今後の御方針の御決定になりましたような面でありましたならば、極く簡單でよろしうございます、この機会にお示しを願いたいと思います。
#20
○委員長(塚本重藏君) ちよつとお答え願う前に、先程山下氏と局長との間の質疑応答の間において、少し食違いができておると思いますが、私の感じたことは、先程局長の御答弁の中に六千二百円を五千六百円程度になる見込だ、こういうことを説明せられたので、そこでその六千二百円が五千六百円に扶助金額が低下した、こういうふうに收られておると思うのですが、これは局長の説明が少し足らんのではないか。第十次改訂では大体私の了承しておるのでは、五千二百円程度である。その当時、二十五年度の予算編成のときには大体六千二百円程度まで引上けねばならんのではないかという見込を持つておりた額である。ところが、その見込額の六千二百円までは引上げられなかつたけれども、五千二百円から五千六百円まで引上げることの予算か組まれた。こういうふうに私は了承しておるのですが、間違いありませんか。もう少し明かに……
#21
○政府委員(木村忠二郎君) 先程申しましたのは予算の基礎ではないでありまして、この前六千二百円くらいの内容にしなければならんというふうに申上げたのが、計算してみると五千六百円程度で済みそうだということでございます。従つて従来よりはどうしても引上げなければならんことは同じことではないかと私の方では考えております。無論財務当局の方におきましては現在の基準を引上げるということにつきまして、未だ同意は示しておりません。併し我々といたしましては飽くまで引上げなければならんものと考えておるわけであります。ただその引上げまするのが、従来考えた程上げなくても、従来考えた内容のものは実現できる状態になつているということを申上げただけで、この点説明が足りなかつたので補つて置きます。それから予算のことにつきましては、先程申上げましたように大体二・五%ずつ殖えて来るというふうな見通しで計算いたしておりますので、或る程度の基準の改訂でございますならば差支ございません。山下議員の御指摘になりました点は或る程度あろうと思つております。従つて一人当りの実際の支給金額というものは、やはり或る程度殖えるものと考えなければならんのではないかというふうに考えておりまして、そういうふうな意味を以て大体一応の傾向を見まして、その傾向から二・五%という数字を弾き出したということでございますので、実際の基準の引上げと、今度の予算に盛つてありますところの増加率というものとの間に、直もに慣接の関係が出て来るというわけではないのであります。従いまして実際にやるといたしますと、或いは足らなくなるということが出て来ることはないと保障はできないのであります。
 それから次に授産所の……
#22
○草葉隆圓君 ちよつとその前にそれに関連して……。今の生活保護費の増額の問題なり、人員の問題なり、或いは御質問なり、御答弁がありましたが、具体的に、例えば標準家庭において五千二百円であつた、それを仮に第何次改訂において五千数百円に幾分かずつ増した。今までこういつた傾向であつて、今後もまあ大体五千六百円くらいになると、こういう一つの考え方の場合に、一方におきましては国民生活というものを、いろんな基準によつてこれが最低限度であるからこれだけは費用を出さなければならん、その費用が五千二百円であり。或いは五千六百円であり、或いは六千円であるという考えに持つて行く、今度は一方それと離れて現在生活しておる標準家庭において四千円の收入しかない者は、従来の五千二百円の場合においては、千二百円の負担となる。或いは従来五千二百円であつた者は、五千二百円の生活保護による收入の場合には受け得ない。五千六百円になると五千六百円に対して四百円の補助を生活上受けられる。いわゆる国民の最低級に対する基準の引上げによる人員というものは、ずつと出て来るということが原則的な考え方であるべきではないか。これを一つも予算的にはお考えになつていないのではないか。従つて普通増額というものは従来の平均した二・五%くらいの漸増、自然に増すというようなお考えであるけれども、本質的に考えますと、従来例えば第何次改訂においても生活費というものを、或いは生活保護法による生活扶助費というものを四千円の基準を以て標準家庭でやつたというときは、当時において四千円の生活の人間は当嵌まらない。三千五百円の人間には五百円だけを扶助費から出す。これを引上げる場合に、五千円の場合は従来は一般に放置されておる。それ以上の、五千円の標準家庭にまでこの生活保護法による扶助費が及ぶという、この考え方ですね。これは、全然それが考えられていないのではないか。ここに一つの現在のギャツプというものがある。この点は如何です。
#23
○政府委員(木村忠二郎君) 草葉委員の御質問誠に御尤もでありまして、そういう意味の細かい調査をいたしまして、そういう調査を基礎として積算して行くという行き方ができますれば、最も正確なものが出て来るのではないか。又非常に心配になりますのは、そういう調査が現在ではちよつと不可能である。国民全体の收入と支出とのバランスはどういうふうになつておるか、而もそれが最低生活と照らし合してどういうバランスになつているかという調査が現在できておりませんし、今後も大体いろいろ調査いたしておりまする状況から見まするというと、正確なものはなかなか得られないのじやないか。もう少し調査統計の方の技術が進みましたならは如何かは分りませんが、現在の状況からいたしますると、とても無理なのではないかと思うのであります。従いまして現在といたしましては、一応大きな眼から見ますると、従来の実績というものに対しまして、或る程度、その傾向を見まして、これに今後起つて来る事態によりまするところの各種の條件を勘案しまして、これを補正するといつたようなものの数字でやる以外には、予算の立て方がないというようなことでございまして、そういうところから積算いたしたというようなわけであります。私実はこの細かい積算の仕方につきまして、今日持つておりませんから申上げることはできませんが、二・五%というのを出しましたのも、旧来のに二・五%というものを掛けたというのじやございません。他の数字に掛けたものを補正して、二・五%というものを持えたというわけでございますので、御了解願いたいと思います。
#24
○草葉隆圓君 ちよつともう一つの点について、実は従来そういう場合におきましても私の考え方は、四千円の場合のときの第何次改訂が五千円になつたと仮にこう考えます。そうするとこの千円の差額、国民の中で放置されてあつたこの階級というものは、生活保護法によつて、それまでに行かない者はいわゆる扶助の対象になり得る者である。結局本質論としてはそこに考えにやならんのに、従来の行き方においてはむしろ第何次改訂において四千円が仮に五千円になつた場合には、むしろ額が殖えておつて人員が減るというような現象を来たしておることすらあつたのではないか。これは考えられんことであつて、国民層における四千円の層までを生活保護法により足りない者である、その限度を四千円、今度は増額によつて五千円の層まで来るならば、五千円の層までは最低基準として考えるから、その間に生活しておつた人数は当然生活保護法の対象として社会通念的に一つの基準になる。これをやられないで、現在受けている者だけに増額するという考え方ではいかんのじやないか。今まで受けていないその階級、その線までは生活保護法によつて扶助をするという考え方であるべきものであり、予算の運営はそうあるべきものではないか。これが私の質問として伺いたい点なんです。
#25
○政府委員(木村忠二郎君) どうも只今の草葉委員の御質問は誠に御尤もでございまして趣旨としてはそうしなきやなりませんし、基準の改訂の場合にはそうなるように私共の万では指導いたしております。実際の事務の手続からいたしますると、恐らくこういうことになるのじやないかと思うのですが、これは基準の改訂がありますれば、現在援護いたしておりまする者につきましては、一斉に新らしい基準によりまして支給額が殖えると思います。それによりまして大体その後各自それぞれの受持の区域内を実査いたしまして、そしてこれに嵌まるものにつきまして、新たに援護を加えて行くということに相成つて来るというふうに考えております。ただ実際問題といたしますると、基準の改訂はどちらかと申しますると、後から追駈けて行くということに相成ります。実際には基準の改訂前に、生活費が本当に上つて困る者が殖えて来るというようなことに相成ります。実際問題としては基準の改訂前から若干困る人が殖えて来て、そして基準の改訂の後若干やはり人数も殖えるという傾向にある。そうして大体私の方で人数が減ります時期を見ますると、数が減るのは大体におきまして一斉調査というような特別な調査をしたときに、従来もう扶助を打切つてもいいといつた者が残つておりまして、これが減らされるということに相成つておるようでありまして、理想から申しますると基準の改訂と同時に、新たな人が出て来るということになるということは、これは大体傾向としては基準を改訂すれば人数は若干殖えるようでございます。それが同時に直ぐ殖えるのではなくて、逐次殖えるといつたような形になつております。草葉委員の御意見通りに実際は運営すべきものであるというふうに考えまして、実際におきましては今後そういうふうにいたしたいと思います。
#26
○山下義信君 私に対する答弁が残つております。尚後で質問を一つ、二つ簡單に、今日は私は簡単に伺つており、詳細なことは又次の機会に伺いたいと思います。
#27
○政府委員(木村忠二郎君) 忘れておりまして失礼しました。授産所の問題でありますが、これにつきましては、その後関係方面といろいろ折衝いたしまして、授産所につきましては大体の結論が出たのでございます。授産所を二つの範疇に分けまして、向うさんの言うことによりますれば、保護授産所というものと、その他の社会事業とし、ての授産所というものとの二つに考える。授産所というものは、これは当然こうしなければならないというのが関係当局の考えのようでございます。大体そういうようなことに従いまして、今後授産所の整備というものができるというふうに考えております。
 それから授産所に收容いたしまする者でございますが、これにつきましては、就労能力がない、ワーク・アビリティがないということが條件になつて、このワーク・アビリティがあるかないかということは、社会的の原因もございまするし、環境的な原因もあると思います。又身体的な、或いは精神的な原因もあると思いますが、そういういろいろな原因があるといたしましても、とにかく就労能力が一般よりは低い。従つて通常の職業に、職業を斡旋する機関におきましても斡旋ができないという者に限つて、授産所に收容すべきだということでございました。これは授産所の性質から見まして、当然そうあるべきだと私も考えたのでございます。従いまして、大体その線に沿いまして、もう一度授産所の再整備をしなければならんということになります。今度の再整備におきましては、内容におきまして、この線に合うように直して行くということにいたさなければならんというふうに考えております。従来は、不良な授産所をこの際落すという考えであつたのでありますが、今度は授産所をそういう線に合うように持つて行くというふうにいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
#28
○山下義信君 今一つお伺いしたいのですが、先程の公共事業費の説明の中で、明年度の御計画に養老施設の十三ヶ所、それから身体障害者の收容施設が八ヶ所、こういう御計画のようでありました。その養老施設に対しまする補助を出しまする標準ですね。どの辺の府県にどのくらい出すというあなたの方の大体の標準、身体障害者の收容施設にどれだけ出せるという、それがどういう標準になつておりますか、申請の来た府県を選定して、吟味とてなさるか、何かそこにお考えがありますか、補助を出しまするお考え。それから養老施設の方では、細かいことは今日は伺いませんが、十三ヶ所ありますと大体何人くらい收容ができますか。身体障害者の方も同様でございます。大体でよろしうございますから御計画の総体的なものをお聽かせ願いたいと思います。
 それと今一つ最後に、例の同胞援護会の資産の都道府県の買收の経費の十分の八の補助が一億五千万円、これを一つ極く概略でようございますが、どういう買方をして、どういうふうな評価の、査定の仕方などは誰がするんですか。あなたの方で一応見ますか、どういうふうになつておりますか、大蔵省が見るんですか、ざつとお示し願いたい。これだけで私の質疑は終ります。
#29
○政府委員(木村忠二郎君) 施設を設置しまする場所は、一応予定はいたしておりますけれども、これは実際にその地方の計画というものが熟さなければいけませんので、大体今考えておりまするのは、東京で二ヶ所、東北に一ヶ所、関東一ヶ所、中部地方に一ヶ所、北陸一、大阪に二ヶ所、それから近畿に一ヶ所、中国に二ヶ所、四国に一ヶ所、九州に一ヶ所、大体そのような工合でございます。
#30
○山下義信君 養老が……
#31
○政府委員(木村忠二郎君) 養老です。それから身体障害者の更生援護施設につきましては、現在十二ヶ所施設がございますが、その外に設けたいというふうに考えております。関東一ヶ所、それから北陸が一ヶ所、中国が二ヶ所、東北が一ヶ所、九州一ヶ所、近畿が二ヶ所、近畿が一ヶ所になつて北陸が二ヶ所になるか、大体その見当であると思います。大体現在あります所はできるだけ避けまして、現在ない所に作るつもりでございます。その他の施設につきましては、大体大都会及び北海道ということになつております。それから大体一ヶ所の收容人員でございまするが、五十人見当だと思います。
 それから次に同胞援護会でございますが、同胞援護会の財産につきましては、今同胞援護会の財産であつて、旧軍人援護会から引継ぎました財産のうち、現に社会事業に関する施設に使つておりますもの、及びその施設が、社会事業に現に使用していなくても、社会施設として使用できるものであつて、都道府県又は市町村が、社会事業施設に使うというふうにしたもの、これは性格がはつきりしているもので、実施できるものでなければなりませんが、そういうものに限つてこの経費で以て買放することになります。買收価格につきましては、権威のあるそういう価格の査定機関、例えば勧業銀行などが適当であるというふうに考えておりますが、大体公の施設を買いますときに、評価を依頼する機関がでざいまするので、そういつたものに委託いたしまして、適正なる価格を決めて貰いたいというふうに考えております。尚これは補助申請をこちらに出すのでございますから、全部私の方で一応見ることに相成つております。
#32
○小杉イ子君 ちよつと伺いますが、これはすべて消費経費でございますが、病院の中の患者でも、又身体障害者の中にも、機械生産によつて幾らか予算を減ずる所得がある筈でございますが、これは予算の中に加算されてございますか。又はどこかで差引いてございますのでしようか。
#33
○政府委員(木村忠二郎君) 生活保護の費用は、收入を差引いて支給することになつておりますから、働きまして收入があれば、当然それは、全部は差引きませんけれども、差引くことになつております。それから身体障害者の施設につきましては、これはその人の收入等につきましては、当然その人の收入に入るわけでございまして、これは更生のために必要な経費だけを予算に組んでおりまして、生活に必要な経費は全部生活保護費で行くことになつております。従いまして收入があり、その他外から経費の出る途が、生活費の出る途がありまするものにつきまして、この予算には生活費は含んでおらないのでございます。
#34
○井上なつゑ君 先程の山下委員のおつしやつたことにつきまして、公共事業費の身体障害者の更生施設の費用でございますね、あの中にこの頃問題になります結核患者の、コロニー、アフターケア、後保護のことをお考えになつておられますかどうか。
#35
○政府委員(木村忠二郎君) 身体障害者の施設といたしましては、一応結核の問題には触れないことに相成つておつたかと思います。従いまして今度の計画の中にはそれらは入つておりません。併し後保護の施設につきましては、別途後保護対策について結核予防の改正等の考究をしているように聞いております。その方が若しできない場合はどうするかということでございますが、一般の救護施設と申しまするか、保護施設と申しまするか、そういう方面で或る程度のものを考えなければならないじやないかということも考究はいたしております。何らかの方法で以て、逐次新らしい分野にも手を伸ばして行かなければならんということは考えております。現在の予算では、表向きそれを取上げても参れないわけでございます。
#36
○委員長(塚本重藏君) 他に御質問ありませんか。
#37
○山下義信君 この機会に社会局長にお願いして置くのですが、さつき草葉委員が御質疑しておりましたが、結局最低生活の基準の問題ですが、この次の適当なときに、我々も相当その点を一つ質疑もして見たいと思いまするから、一つ今まで御研究になりました最近の新らしいいろいろな資料の御準備置きを願つて、我々も資料を頂戴できるようにして置くようにお願いして置きます。
#38
○委員長(塚本重藏君) 次に引揚援護庁の説明に行くのですが、まだ見えておりませんから、ちよつとその間に、この機会にお尋ねして置きたいと思いますが、生活保護法の問題で、どうも従来この要扶助者とするには、無一物にならなければ生活保護の手を差延べないといつたような取扱が、古い形でずつと続けられておる。この点をもう少し緩和せられて、例えば農村地帶において家屋の所有者であるからというようなことで、生活保護者にならないといつたような取扱、又都会でもまだ何か貯えてある物があるのではないか、外出着のいいのを持つているんじやないか、そういうものを売れば、まだまだ生活が支えられるのではないかというようなことで、なかなか生活保護法の適用者にはしないといつたようなことが、随分行われているようですが、そういう無一物にならなければ生活保護の対象者にしない。それからもう一つは、生活保護の対象者にしても、勤労所得があれば厳格にそれを差引いたものを給與する、最近幾らかその点も緩和せられたようであるけれども、尚相当厳格である。こういうような面も、折角生活保護法によつて保護されてある者が、勤労所得があれば差引く。我々の考えとしては、その大部分は自力更生の資金としてもこれを貯蓄さして、そうして一日も早く生活保護の面から独立させるといつたような取扱というようなものが必要ではないか。そういうような民生委員の取扱についての指導方針というものが、今日まだ徹底していないのじやないか、そういう点をもう少しずつと改めて貰いたいと思いまするが、どういうふうに考えておられますか、又それを下部についてどういうふうに指導せられておりますか。
#39
○政府委員(木村忠二郎君) 只今の御質問は誠に御尤もでございまして、従来は生活保護を受けまする者につきましては、一応生活の最低に必要なものを残しまして、それ以外の物は一応全部無くなつたというようなことで、初めて保護をいたしておつたのであります。これにつきましては、その最低の生活を維持するに必要なものの範囲でございますが、これにつきまして相当考慮を要するじやないかというふうに考えておるのでありまして、只今考えておりまする方針といたしましては、その土地の一般的な社会状況と申しますか、その地域の社会状況、都市なら都市、農村なら農村、或いは都市でも相当富裕な地域、或いは非常に貧弱な地域、保護を受けておりまする者と、受けておらない者との間に、保護を受けております者が、そういう状況で保護を受けておるというようなことは、社会通念上認められないという程度でない限りは、最低のものを残すようにして行きたいというふうに考えております。昨年の十二月の初めに、地方の課長を集めまして、これに対しまして一応そういう方針で以て行くことにし、近く通知をするからということを申しまして、そういう方針に改めるように、はつきり申したわけであります、昨年拵えましたところの生活保護法の基本問題という冊子におきましても、具体的な事例を挙げまして、取扱の仕方を示したわけでございます。ただこれに対する正式の通牒がまだ関係方面の了解を得ておりませんので、通達いたしておりません。これは近くその趣旨を明らかにいたしまして、通知いたしたいというふうに考えておるわけでございます。従いまして将来更生する可能性がありまするものにつきましては、その更生に必要なるものというものは持つておる。これは持たして置く方がいいというように考えておるわけであります。当分更生する見込みかない、その場合に使わないというものについては、これは処分するというのが適当であろうと思つております。それから更生するまでの間使わなくても、近くそれを使うようになるだろうといつたようなものは、やはり残して置くというようにした方がいい。家屋とか、土地等につきましても、これを売りまして、生活を維持させる方がいいか、売らずに持つて行つて維持させるのがいいのかということを、実価をよく調査してやりたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから收入の問題につきましても、やはりそれと同じような趣旨で、今後考えて参りたい。これはまだ一般論的なる方針というものが出ませんけれども、そういう考えで以て基準を正確に現わし得るということに、できるだけ早くいたしたい。先般大体三百五十円というものを差引くことにいたしたのでありますが、尚これ以上に差引く、例えば更生する場合についての更生資金を蓄積させるといつたような面。これらについても十分考えて見なければならんのじやないかというように考えております。尚一定の方針を樹てました場合に、できるだけこれを下に流す、正確に流すというためにはやはり逐次専門的な、そういうものを取扱う者を増置するという必要があろうかと思いまして、この方面につきましても、有給の専門の者を拡充して行く方針で参りたい、そうして中央でできました方針を、個々の人の好みによらずに実際に適用されるようにいたして参りたいというように考えておるのであります。
#40
○委員長(塚本重藏君) それでは、社会局の説明を一応この程度で終りまして、引続き引揚援護庁の予算説明を聞くことにいたします。
#41
○政府委員(田邊繁雄君) 引揚援護庁の明年度予算の大要について御説明申上げます。五百十二頁であります。引揚援護庁の予算は、大別して大体三つに分れると思いますが、第一は引揚者の受入れに要する経費であります。私の方では、これを応急援護と呼んでおりますが、引揚者が外地から帰つて参りまして、それぞれの内地の受入れ港に上陸して、宿泊してそれぞれ郷里に到着するまでの応急的な援護に要する経費でございます。第二は、これらの方がそれぞれの郷里乃至は定着し、落着かれた後の、その方が今後更生して行かれるために必要な経費でございます。第三には、復員に要する経費でございます。その中で特に御説明申上げたいと思います点は、いわゆる引揚者の定着、更生、自立に要する経費でございますが、その最も重点とするところは、住宅と生業資金であります。生業資金は更生資金と呼んでおりますが、その二つでございます。
 先ず住宅につきましては、明年度予算といたしまして公共事業費の中に五億円の国庫負担額を計上してございます。これは八割補助でございますので総額にいたしますると六億二千五百万円に相成るのでございます。来年度におきましては今年度よりも若干建築の規模を大きくいだしまして、一戸建は一戸が七・五坪、坪当り一万二千円で、概ね五億円の補助費を以ちまして約七千戸の住宅を建設する方針でございます。建設の方針といたしましては、外地から引揚げて参ります方で、内地に全然縁故のない方の住宅、及び従来引揚げて来た人であつて、未だに住宅以外の施設に住んでおる人々、極端な例を申上げますと橋の下であるとか、或いは掘立小屋であるとか、或いは学校、寺院、病院等に入つておられる方で、住居がないためにここから出ることができない、こういう人のために住宅を用意しようというのでございます。
 それから更生資金は来年度は財政支出五億円でございます。それにすでに貸付けました更生資金の償還がございますので、概ね来年度は三億と予定しておりまするが、この償還金の三億と新規財政支出五億円とを合計いたしまして八億円の計画でございます。これは対象は主として引揚者でございます。尤も引揚者以外に未亡人その他生活困窮者にも貸付けるのでございますが、明年度におきましては引揚者と未亡人ということを重点に置くことになろうかと思つております。貸付の方法といたしましては国民金融公庫に厚生省から直接この資金を流しまして公庫からそれぞれの末端の支所に流して貸付ける。その外に県庁なり市町村がこれに関與する。こういうことになつております。貸付の限度は一世帶当り一万五千円、利率は九分でございます。尚すでに一回借りた人であつて、短期運転資金として必要なものといたしまして一世帶当り一万円程度のものを、短期資金として融通するということも併せて考えておる次第でございます。甚だ簡單でございますが……
#42
○委員長(塚本重藏君) 引揚関係で御質問ありませんか。
#43
○草葉隆圓君 ちよつと伺いますが、その七・五坪の七千戸は全国各府県に対するこの配分はどういうふうになつておりますか。
#44
○政府委員(田邊繁雄君) これは各府県から詳細な資料を取るまして、その資料に基いて配分をいたしておるのでありますが、各県段々調べて参りますると、先程申上げましたように、すでに引揚げで来た方であつて、住宅以外の施設におられるという者が相当多数に上つておりまして、これを全部收容するためには到底五億の金では不足でございまして、もつともつと沢山要るのでありますが、二十四年度においては当初四億五千万円で、年度途中において一億六千万円の追加補正予算で頂いたのでありまするが、これを配分する場合でも緊急差措き難い言うものだけを特に選びまして、具体的な氏名までを調べまして配分いたしております。明年度の予算におきましても網羅的な調査が恐らく各府県から提出さもると思いますが、それを基礎といたしまして、できればそれに比例する。こういつた方針で行つております。併し各府県の特殊事情もありますので、その特殊事情を十分尊重いたして行きたい、かように考えております。
#45
○草葉隆圓君 従来無縁故者の多い地方には主力を注いでやつて行かれた。で実は一般府県についての比率が割に少いのじやないかと思いますが、今後は余りそういうことを考えずにやつて行くという御方針でしようか、その点を一つ伺いたいと思います。
#46
○政府委員(田邊繁雄君) 二十四年中の当初の四億五千万円は、これは樺太からの引揚者ということになつておりましたので、北海道及び東北地方を重点として費用を配分いたしたのでありますが、年度途中において認められました一億六千万円の新設につきましては、お話の通り全国的の無縁故者の状況を見てやつたのであります。来年度の五億円の配分につきましては本年度一億六千万円と同様全国的な規模において配分いたしたい。かように考えております。
#47
○小杉イ子君 ちよつと伺います。七・五坪住宅は幾人と定められておるのでございましようか。又独り者であつた場合はどういう組合せをおとりになるのでありますか。
#48
○政府委員(田邊繁雄君) 何人というふうに七・五坪の一戸建に入る人数は制限しておりません。独り者の場合は成るべく既存のアパート式と申しますか、そういうところにお世話したいと、かような方針でおるのであります。今後は成るべく集団住宅は避けまして、一戸建の建設にして行きたいとかように考えておりますけれども、敷地の関係等によつて新築が困難な場合がございますので、その場合には従来いわゆる転用と申しておりますが、従来の施設で恰好のものがありましたら、これを買收いたしまして、それに改善補修を加えて住宅に使つて行く。その場合従来のような兵舎式のものはできるだけ避けて、アパート式の住宅にして行きたいと考えます。
#49
○井上なつゑ君 国民金融公庫で普通の人が貸出しを受けますのは、五万円だと聞いております。どうして引揚げの人は一万五千円ですか。却つて引揚げの人が沢山要るのではないかと思いますが、どういうわけでありますか。
#50
○政府委員(田邊繁雄君) 国民金融公庫で貸付けておりまする本来の生業資金、これは最近限度が上がりまして十万円になつたのであります。これはやはり全額償還という建前でおりますので、貸付條件は相当厳しいのでございます。勿論一般の金融に比べましては、その條件は緩和されておりますが、利子も一割二分でございますし、又貸付に当つての信用の程度というものも相当強く見る関係から、引揚者のように物的担保も持たず、内地に縁故の薄い方にはどうしてもこの手が及ばないという関係になるわけであります。そこでそこまでに行く段階としてこの少額の生業資金を貸付けまして、それによつて或る程度地盤を作つてから国民金融公庫本来の金の貸付を求めて行きたい。こういう段階になつております。尚一万五千円は現在非常に少いので、できるだけ早い機会にこれを増額したいと、折角努力しておるような状態であります。
#51
○小杉イ子君 この頃の引揚者の場合は、金品の額は如何程のものを持つて帰られますか。やはり昔と一緒でございますか。
#52
○政府委員(田邊繁雄君) 最近引揚げて来られた方は、主として大部分はソ連地区からでございます。ソ連地区から帰つて来られた方は殆んど金品は、金は持つてお帰りになりません。
#53
○草葉隆圓君 この七千戸では、とにかく今のように大変数字的に開きがあると思います。又ここまで来ましたことも大変な御盡力だと思いますが、今度のできます住宅金融公庫というような方面において、引揚者に対する優先的な住宅政策としての手を打つというようなことも、これと併せて行く必要があるのではないかと思いますが、これは何か御計画でもあるのでしようか。
#54
○政府委員(田邊繁雄君) 住宅金融公庫は、御承知の通り資金がないために住宅を建てられないという方に、金を貸して上げて住宅を建設するように仕向けて行く、こういう制度でございますが、その場合に貸付の対象となる者は飽くまで償還能力を持つておるということが、どうしても條件になるのでございます。大体個人の場合でございますると、月千円乃至千五百円毎月償還をする、こういう計算になるのでございます。従いましてそれだけの償還能力のない方は、どうしても対象かり外れざるを得ない、こういうことになるのでございます。ただ問題は、引揚者の中でも資力のある方もあるし、資力のない方もあるのでございます。償還能力を十分持つておられる方と、そうでない方とございます。償還能力のない方は、どうしてもこの引揚者住宅といつたような面でカバーして行くより外にないのではないか。ただ、償還能力のある方であつても、実際の貸付面におきましては希望者が非常に多いために、順位というものが問題になつて来ると思いますが、これは当然住宅困窮の度合、必要から優先的に貸付けなければならん、他の條件が同じならば貸付けなければならん、こういうことになると思います。従いまして引揚者は、一般の住宅困窮者の中でも占める比率が多いと思いますから、引揚者に事実上優先的に貸付けられる、こういうふうになるのではないかと思つておりますが、その点は、尚一層建設省と密接に連絡をとりまして、我々の希望を十分採り入れて頂くように話合つて見たいと、かように考えております。
#55
○委員長(塚本重藏君) 私一つお尋ねしたいのですが、今度来年度は引揚者の見込数が三十八万人ですか、見込まれて予算が組まれているようですが、その見込の内容はどういうふうになつておりますか。
#56
○政府委員(田邊繁雄君) 昭和二十五年度の予算におきましては、来年度の帰還予定数を三十六万百五十人と予定いたしております。これはこの予算の基礎となつた未帰還者の数は、昭和二十四年の四月八日現在の未引揚者の数が四十六万九千四十一人でございますが、これから二十四年度に帰還の予定されておりまする九万五千人の軍人と軍属と、それから一般邦人の引揚予定数、これは従来の実績から計算したのでございますが、それを加えた数を四十六万から引いたのでございます。勿論この中には状況が不明であるために帰れるか、帰れないか分らないというような方も含んでおりますが、今日のところ正確な状況が判明しないでございますので、受入れの万全を期するために、これを数字の中に加えたのでございます。
#57
○委員長(塚本重藏君) それから未復員者給與法の適用を受けている人数、それから特別未帰還者給與法の適用を受けておる者の現在人員は、どのくらいございますか。
#58
○政府委員(田邊繁雄君) 現在両方の法律で適用を受けておる者の概数は約五万でございます。
#59
○委員長(塚本重藏君) 他に御質問ありませんか……それでは引揚援護庁関係の予算に対する質疑を一応この程度で打止めることにいたします。
 ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、結核予防対策確立に関する小委員ですが、中山壽彦氏がお辞めになりましたので、そのあとに補欠といたしまして、石原幹市郎君を指名することにいたしまして、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれを以て散会いたします。
   午後零時五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事      今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
   委員
           山下 義信君
           石原幹市郎君
           草葉 隆圓君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
  政府委員
   厚生事務官
   (社会局長)  木村忠二郎君
   厚生事務官
   (官房会計課
   長)      大宰 博邦君
   厚生事務官
   (引揚援護庁援
   護局長)    田邊 繁雄君
ソース: 国立国会図書館
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