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1980/02/24 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 科学技術委員会 第2号
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1980/02/24 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 科学技術委員会 第2号

#1
第094回国会 科学技術委員会 第2号
昭和五十六年二月二十四日(火曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 中村 弘海君
   理事 小沢 一郎君 理事 椎名 素夫君
   理事 塚原 俊平君 理事 日野 市朗君
   理事 八木  昇君 理事 草野  威君
      前田 正男君    村上  勇君
      与謝野 馨君    渡辺 栄一君
      五十嵐広三君    上坂  昇君
      安井 吉典君    和田 一仁君
      瀬崎 博義君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      中川 一郎君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     下邨 昭三君
        科学技術庁計画
        局長      園山 重道君
        科学技術庁研究
        調整局長    勝谷  保君
        科学技術庁原子
        力局長     石渡 鷹雄君
        科学技術庁原子
        力安全局長   赤羽 信久君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       高橋  宏君
 委員外の出席者
        資源エネルギー
        庁長官官房石油
        代替エネルギー
        対策課長    川田 洋輝君
        資源エネルギー
        庁長官官房鉱業
        課長      山梨 晃一君
        資源エネルギー
        庁石油部計画課
        長       浜岡 平一君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事長)     瀬川 正男君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事)      中村 康治君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事)      中島健太郎君
        科学技術委員会
        調査室長    曽根原幸雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十日
 辞任        補欠選任
  北山 愛郎君    山田 耻目君
  上坂  昇君    石橋 政嗣君
同日
 辞任        補欠選任
  石橋 政嗣君    上坂  昇君
  山田 耻目君    北山 愛郎君
同月二十三日
 辞任        補欠選任
  村山 喜一君    川口 大助君
同月二十四日
 辞任        補欠選任
  北山 愛郎君    五十嵐広三君
  広瀬 秀吉君    安井 吉典君
同日
 辞任        補欠選任
  五十嵐広三君    北山 愛郎君
  安井 吉典君    広瀬 秀吉君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○中村委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興の基本施策に関する件について、本日、参考人として、動力炉・核燃料開発事業団理事長瀬川正男君、同理事中村康治君及び同理事中島健太郎君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#4
○中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塚原俊平君。
#5
○塚原委員 科学技術庁長官の所信に対しまして、自由民主党といたしまして若干の質問をさせていただきたいと思います。
 資源小国である私どもの国が今日の繁栄を築いたのは、何といいましても、官民一体となって科学技術の導入、開発に努力をしてきたからにほかならないと思います。エネルギー問題など、国民の生活及び経済にとってこれまでに例を見ないほど深刻な問題が山積をしているただいまでございますので、科学技術に対する社会的要請はきわめて大きいと思います。
 私ども自由民主党といたしましては、このような観点から、昭和五十六年度の党の運動方針等におきまして、科学技術の振興、技術立国の推進ということを大きく打ち出したところでございます。先日中川大臣の所信表明をお聞きし、大臣の科学技術振興に対する並み並みならぬ御熱意を感じ、非常に意を強くしている次第でございます。
 本日は、科学技術振興に関する重要な問題点につきまして御質問させていただきたいと思います。
 まず第一に、今後の科学技術の振興を図るに当たりまして、導入技術依存の体質から自主技術開発主導体質への脱皮が大変に急務であると思います。このためには、欧米先進国と比べておくれている研究開発投資の充実が不可欠であると思いますけれども、自由民主党は政府に対して、国の投資比率を大幅に引き上げて、先端的、基盤的な科学技術研究開発を積極的に推進するよう、党の運動方針において強く要請をしているわけでございます。これに対する政府の決意をお伺いをしたいと思います。
#6
○中川国務大臣 御指摘のとおり、わが国が、資源小国あるいは国土の狭小、こういう厳しい条件にもかかわらず、世界からうらやまれるような今日の経済を築いた大きな基礎をなしたのは、科学技術を導入しあるいは開発し、そういった科学技術によって今日の経済があると言っても過言ではないと存じます。さらに、今後資源が厳しくなってきた将来のことを考えますと、いよいよ科学技術というものがクローズアップしてこなければならない、こういうことだろうと存じます。幸い、自民党におきましても、党の運動方針あるいは予算要求大綱の大きな柱として取り上げていただいておることに深い敬意を表する次第でございます。
 科学技術庁としても、こういったことを踏まえまして、ことしの予算要求に当たり、あるいは関係閣僚連絡会議ができ、予算の総額におきましても科学技術庁だけで九%の伸びになり、全般としても八・三%と一般会計の伸びを相当上回った予算ができております。したがって、いままでのように民間重点から国費投入比率を上げなければならぬということに対して、まだまだほど遠くはありますけれども、予算の段階でこれが力を入れられたということは非常によかったと思っております。さらに、研究調整費というようなことで中身の濃い研究体制をつくっていきたい、あるいは流動研究システムによる創造科学の推進、こういった柱も出てまいりまして、科学技術立国元年と言えるかどうかわかりませんが、そういった姿勢で取り組みたいと思っております。いろいろと御指摘、御指導をいただきましてありがとうございました。
#7
○塚原委員 りっぱな御決意だと思いますので、御努力をくださいますようにお願いを申し上げます。
 第二番目に、科学技術の一層の振興にとりまして科学技術会議の機能の強化は不可欠な課題であると思います。この意味から、政府がこれを昭和五十六年度の施策の大きな柱として掲げられたわけですけれども、これは時宜を得たものであり、まことに結構なことであると思います。科学技術会議の機能強化策として具体的にどのようなことを考えていらっしゃるのか、立法措置も検討されているのかを含めましてお伺いをいたしたいと思います。
#8
○中川国務大臣 今日まで科学技術会議が科学技術会議としての機能をりっぱに発揮はしてまいりましたが、一段とひとつ機能を強化したい、こういう空気が強まりまして、それにはやはり先ほど申し上げた調整費を持つ必要があるだろう、そのことによって実効ある調整ができるということから、三十三億円調整費として要求、予算の中に認められたわけでございます。
 現在、この調整費の使い方を含め、科学技術会議のあり方、調整機能の発揮の仕方等についてそれぞれ御検討いただいております。法律改正までいくかどうか、いまのところはそこまで決まっておりませんが、実効ある調整機能ができるようにいま万般の努力をし、検討を重ねておるところでございます。近く成案を得られるものと、こう思っております。
#9
○塚原委員 次に、原子力の問題についてお伺いをしたいと思います。
 エネルギーの安定供給の確保を図ることは、わが国にとって大変に必要な課題になっているわけでございますし、早急に解決をしなければいけないわけですけれども、私どもの自由民主党は、電源立地の促進を図るために、先般電源立地等推進本部を設置さしていただきましたし、立地円滑化のために各種対策を積極的に講じていくこととしているわけでございます。石油代替電源の中枢としては、これは何といっても原子力発電以外には考えられないわけでございまして、政府においては原子力発電の立地促進方策をどのようにお進めになるおつもりなのか、お聞きをしたいと思います。
#10
○中川国務大臣 石油事情が厳しくなった今日あるいは将来に向かって考えますときに、省エネルギーに並んで代替エネルギーの開発ということは、国際間の最大の課題となっております。わけてもエネルギー自給率の少ないわが国にとっては、日本が生き抜いていくための最大の課題だと言っても言い過ぎではないかと存じます。
 その場合、やはり原子力発電というのが大きなウエートを占めてこなければなりません。もちろん石炭やあるいはLNGの利用あるいはサンシャイン等多面にわたるわけでありますが、量的にあるいはコスト的に一番有利なものが原子力であるということは、もう日本のみならず世界で定着をしておるところでございます。したがいまして、この原子力の開発利用については最重点を置かなければならない。党においてもそういったことで特別に機関をつくっていただく、本当にありがたいことだと思っております。
 この場合、一番大事なのはやはり立地問題でございます。十年後に五千百万から五千三百万キロワットに持っていきたい、この計画を達成する上において一番支障となりますのは立地問題でございます。
 立地問題については、まず安全性ということの御認識をいただくことが最大の課題でございまして、この点については、まず実績をもって見ていただく。過去二十一基、千五百万キロワットの発電を行っておりますけれども、いまだ人身事故は一回も起きていない。これは国際的にもそういうことが言えます。ただスリーマイルアイランドの事故がありましたが、これも人身事故は幸いにして起きておらない。一時期動揺をいたしておりましたが、最近はまた回復をしてきて、この安全性については、必要性と並んで大分認識は持っていただいたと思いますけれども、この安全性についてはさらに細心の注意と熱意を払って、国民全般の御理解をいただく努力をいたしたいと思っております。
 もう一つは、これに並んで地元の福祉対策といいますか、地元の開発振興、メリットということについても、従来電源三法によってそれぞれやっておりましたが、来年度からは、さらに電源特会の改正を行って、実質電気料金が安くなるような仕組み、あるいは地元の開発といったことについてもさらに前向きの施策を行って、この立地問題に真剣に取り組んでいきたい、こう思っておる次第でございます。
#11
○塚原委員 ただいまの原子力開発、発電に関します安全性というものにつきましては、私どもも十分に確保されているものと確信をいたしておりますし、私も茨城県の東海村から選挙に出さしていただいているわけでございまして、過去三回の選挙、いずれも原子力の必要性を一生懸命お訴えをして、大変に多くの票数をいただいて当選をさしていただいてまいりました。特に前回の選挙におきましては、各政党でこの原子力に対しますいろいろな議論というものがございました。その同じ政党の中でも意見が分かれていたような政党もございましたけれども、その政党の中で、片一方の候補の方が原子力に反対をなさる。自分自身の票が減ってもいいから、それでも私は信念で、原子力というものの危険性を皆様に訴えてこれを反対するんだというお訴えをした方は、そのとおり票が減りました。私は、一生懸命お訴えをして票がふえたわけでございますけれども、最近東海村で、再処理施設においてトラブルが発生をして運転が停止しているわけでございます。これについてやはり周辺住民の中には、特に報道等も大きくなされるわけでございまして、不安がっている方も多いようでございます。やはり彼らは確信をしても不安がっているわけでございまして、そういうところで、周辺環境にどのような影響を与えるような重大なトラブルがあったのかどうか、そういうことをちょっと明らかにしていただきたいと思います。これは安全局長さんで結構でございます。
#12
○赤羽政府委員 御指摘のとおり、最近再処理施設においてトラブルが続いておりまして、御心配かけて申しわけないと思います。
 この主なものを申し上げてみますと、臨界警報装置が誤作動をいたしたことがございます。それから、使用済み燃料の溶解槽から液を送るためのポンプが、動作が不良になったというトラブルがございました。また、酸回収工程でプルトニウム溶液が混入したというトラブル。その次に、酸回収の蒸留塔の加熱用の蒸気パイプに硝酸が入ってしまった。それから、本工場でありませんが、分析所で短時間に排風機が一時とまったというようなことがございました。
 これを一々見てまいりますと、臨界警報装置の誤作動、これは単に機器の誤作動でありまして、その後原因がわかりまして対策が講じられました。それから、ポンプの動作不良とかプルトニウム溶液の混入というトラブルについては、これは工程の中で起きまして、行き先が間違ったというようなことでございます。漏洩はございません。それから、蒸気パイプに硝酸がまざりましたのも、この蒸気の水はいずれ廃棄物として処理しておるものでございますので、やはり施設内への影響はございません。排風機が一時とまったためにこれは内部の作業員の汚染を心配したわけでございますが、短時間でございましたので、一切異状がないことを確認しております。
 こういうことで、いずれのトラブルにおきましても作業員の被爆はございませんでした。まして周辺への影響というのは全くなかったわけでございます。
 こうした意味で、いままで講じてきました安全対策が基本的に裏切られたというわけではないのでございますけれども、しかし、本格操業後間もないトラブルであったということを考えますと、当庁としては、今後の安全確保対策を進める上にさらに慎重にしなければいけないということで、動燃事業団に対しまして、機器の面については故障の原因の究明を徹底して行うように、そしてその対策を立てるように、それから作業員の操作ミス等がございましたので、これを防止するための保安規程あるいは安全作業基準、こういうものをきちんと守るような徹底訓練をするように指示してございます。これに対しまして、動燃は、トラブルの発生した機器について慎重な点検を現在行いつつありますし、さらに人の訓練を含めた安全管理体制の総合点検を行う方針で現在進めていると聞いております。
#13
○塚原委員 本当に全面的に協力をしてくださっている地域住民の皆様方でございますので、信頼を裏切るようなこと、これはむろんあり得るわけはないわけでございますけれども、やはり心配を持つというのもその一つの信頼を裏切ることにつながりますので、その辺の真実のPRというものをしっかりなさっていただきたいと思います。
 最後に、国際科学技術博覧会についてお伺いをいたしたいと思います。
 科学技術の円滑な振興を図るためには、国民の科学技術に対する理解を深めること、とりわけ、わが国の将来を背負って立つ青少年に科学技術に対する夢を与えるということは大変重要だと思います。この点から、筑波研究学園都市で開催される国際科学技術博覧会の意義は大変大きいと思います。私も、地元とはちょっと外れますけれども、茨城県選出ということの国会議員にさしていただいておりますので、むろん非常に大きな関心があるわけでございますし、その準備には積極的に協力を今日までしてきたつもりでございます。技術先進国として世界に恥ずかしくないような博覧会をぜひやってもらいたいと強く希望いたしております。
 そこで、国際科学技術博覧会について、どのような構想で、どの程度の規模のものをまず考えておられるのか。また、現在までの準備状況及び今後の準備の進め方についてお伺いをいたしたいと思います。ちょっと具体的なことなので、計画局長さんにでもお話を例えればと思います。
#14
○園山政府委員 お答えいたします。
 国際科学技術博覧会につきましては、先生御指摘のように、昭和六十年春から秋、約百八十日間ということで、筑波研究学園都市で開催したいということで準備を進めておるところでございます。
 この博覧会をどういうねらいでやるかということにつきましては、いま先生の御指摘にもございましたように、やはり二十一世紀に向かいまして、いろいろと資源の制約その他重苦しいものが人類にのしかかっておりますので、これをどうやって科学技術を活用して切り開いていくかということを国内外の方々に見ていただこうというものになればと思っておるところでございます。
 その具体的と申しますか、効果、意義といった点になりますと、いま先生お話しのように、特にこの科学技術というものを国民の皆さん方によく理解していただきたい。特に、先生も御指摘のように、これからの日本の科学技術を担いますためには、やはり青少年、できるだけ若い層にこの科学技術に理解と興味を持ってもらいたいということでございまして、そういう人たちが、この博覧会の場におきましてある種の感激を持って科学技術というものに接するということができればと、これが意義として一つの大きなものに考えております。
 また、具体的に六十年に科学技術をテーマとして博覧会を開くということで、国内でも、そこでいいものを見せたいということで集中的な技術開発というようなことが進められることも期待されるわけでございまして、そうした結果がわが国の技術水準を一段と引き上げる、こういう契機になろうかというのが第二の意義でございます。
 それから三番目は、やはり科学技術につきまして、国内だけでなくて国際的にも、外国からも、これは先進国、発展途上国を問わず、科学技術に興味のある人というのが大ぜい見えることでございますので、そういう機会に、国際的な科学技術に関する情報交換というものが行われるということを期待いたしておるわけでございます。
 それからもう一つは、御承知のように筑波研究学園都市、昨年度末で当初予定しました四十三の機関が移転を完了したわけでございますけれども、いわゆる都市としての機能というのはまだそれほど充実してないということでございます。これは輸送問題にいたしましても、周辺の環境にいたしましてもいろいろ問題が残っておりますので、こういったものをこの博覧会を契機といたしまして本当の都市として熟成し、しかも世界的な科学技術のメッカにしたいという考えを持っておるわけでございます。
 いま申し上げましたようなことをその意義として考えておるわけでございます。
 この博覧会のテーマでございますけれども、御承知のように国際的な博覧会国際事務局というのがございます。一昨年来ここに申し出をいたしておるわけでございますが、テーマといたしましては、私どもは人間とか居住、環境といったものに焦点を当てまして、これらが科学技術とどうかかわり合っていくか、科学技術がこれから人間、居住、環境というようなものにどう寄与していくかということをテーマに掲げたいと思っておるところでございます。
 会場の規模といたしましては、大体百ヘクタールという広さを考えておりまして、現在のところ予想の入場者数というのは約二千万人ということを頭に置いて準備を進めておるわけでございます。
 具体的な準備の状況でございますけれども、昨年十一月二十六日に、先ほど申し上げました博覧会国際事務局、BIEと言っておりますけれども、この総会におきまして、この博覧会を昭和六十年の春から秋にかけて開催するということが了承されました。また、昨年十二月一日には、具体的な開催場所につきましても、先生方の御支援をいただきまして、谷田部町に決定するということができまして、いよいよ本格的な準備が進められる条件が整ったところでございます。
 五十六年度予算案におきましては、科学技術庁に予算が七億一千五百万計上されております。これは会場の基本設計、それから会場の中に政府として出展いたします政府出展の基本設計というものを進めるための経費でございます。現在まで、いわゆる基本設計の前段階でございます基本構想といったようなものを詰めておりますけれども、これを踏まえまして、来年度基本計画段階を進めたいというところでございます。また、おかげをもちまして科学技術庁に博覧会担当の審議官もつけていただきまして、庁内の実施体制も一段と本格的に進めることができる状態になっております。
 また、かつての大阪万博あるいは沖繩海洋博の例にならいまして、国際科学技術博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案を今国会に御提案申し上げておるところでございます。
 具体的にその博覧会の内容をどう展開していくかといういわゆる構想でございますけれども、これにつきましては、現在博覧会協会の中に、有識者に多数お集まりいただきまして基本構想委員会あるいは会場委員会というようなものをつくりまして、具体的な展開をどのようにするかということの御検討を始めていただいておるところでございます。
 一方、この博覧会を成功させますためにはやはり輸送問題が非常に大事な問題でございまして、先ほど申し上げました一応入場者数二千万人ということを考えておりますけれども、これが実際にどの程度おいでになるか、さらに詳細なこの入場者の予測という作業も進めております。いずれにせよ、半年間にこの二千万人というような人を運ぶわけでございますけれども、これはピークのときには一日二、三十万という人が見えるということでございますので、現在建設中でございます常磐自動車道というのはもう二、三年で開通される予定でございますが、この常磐自動車道から現地まで運ぶ道路網の整備、あるいは常磐線の最寄り駅からこの会場まで運びますところのバス輸送というようなことにつきまして、計画をいまいたしておるところでございます。これもいろいろ専門家の方のお知恵が必要でございますので、博覧会協会の中に輸送対策委員会といったようなものをつくりまして、専門家及び関係省庁の御協力をいただきまして現在検討を進めているところでございます。特に常磐線からのバス輸送というようなことになりますと相当多数のバスも必要でございましょうし、これらの運転手の人たちの確保といったいろんな問題がございますので、そういった点を含めまして、きめ細かく検討いたしております。
 大体申し上げましたようなことで、現在までの博覧会の準備というのは、おかげさまで比較的順調に進んでおるかと思います。今国会に御提案申し上げております法案につきましての御審議もいただきまして、今後ますます本格的な準備ができるように、私ども、関係省庁と力を合わせまして、また民間、地元の方々の御協力もいただきまして、その準備を遺漏のないように進めていきたい、このように考えておるところでございます。
#15
○塚原委員 いまの科学技術博覧会につきましては、自由民主党の方といたしましても精いっぱいこれは成功をさせたいと思いますので、あと細かいいろいろな点につきましては、後日法律案審議もあるということでございますので、そのときに同僚議員の方からさらに細かく質問させていただきたいと思います。
 科学技術振興は長期的な観点に立ってじみちに進めていかなければいけないわけでございまして、私どもといたしましても、今後とも積極的に精いっぱい応援をしてまいりたいと思っております、
 特に、いままで科学技術庁長官は、歴代背広の似合うゼントルマンがずっと就任をなさっていたわけでございまして、ここに来てどちらかというと制服の似合う大変リーダーシップの強い中川大臣が――制服というのは決して防衛関係のことではなくて、作業服等も制服と言うわけでございまして、強力なリーダーシップをますます発揮されまして、全力を挙げて科学技術庁、そしてその振興に携わる人たちが科学技術の振興に取り組んでいかれることをお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
#16
○中村委員長 五十嵐広三君。
#17
○五十嵐委員 私は、主として高レベル放射性廃棄物の処分問題について御質問申し上げたいというふうに思います。
 ついこの間行われた総理府の世論調査の結果を見ましても、原発に不安を持つという人が半分以上おられるようでありますし、特に、今後原子力について何を知りたいかという問いに対して、廃棄物の処分対策と、こういう答えが三割ほどあるわけですね。しかし、事実上、原子力開発の最大のネックとされているこの廃棄物問題の深刻さというものを知っている国民は決してそう多くないのではないかというぐあいに思うのであります。
 そこで、以下この問題について御質問を申し上げたいと思いますので、かなり欲張って質問項目をつくっちゃったものですから、恐縮ですが簡単に、明快に御答弁をお願い申し上げたいというふうに思います。
 まずお伺いいたしますが、昭和五十一年六月に出されている放射性廃棄物対策技術専門部会の中間報告というのがございますが、あの報告で計画されていた昭和五十一年から六十年までの開発スケジュールは、いまのところほぼ予定どおり進んできたかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
#18
○石渡政府委員 五十一年の技術専門部会で考えました計画、現状若干おくれぎみであるというのが現在の姿でございます。
#19
○五十嵐委員 若干というのは、まだあれから五年かそのくらいしかたっておりませんから、つまり一、二年ということですか、ほぼそんな程度か教えていただきたいと思います。
#20
○石渡政府委員 一、二年もしくは二、三年と言った方が実情に近いかと存じます。
#21
○五十嵐委員 わかりました。
 この一月に出版になりました日本の原子力技術という本は、これは専門部会の委員でもあります川上先生らの執筆によるものでありますが、これによりますと、フェーズ1は、どのような地層であれば地層処分が可能であるかの調査だが、すでに動燃事業団は、全国二十五カ所の鉱山を選んで、業者から各種のデータを提供してもらって分析をしたというようなことが書いてあるのでありますが、輝緑岩、花崗岩、粘土質の地層が主な対象になっているようでありますが、大体どこどこお調べになられて、どんな結果であったでしょうか。
 それから、一九八〇年十二月の廃棄物対策専門部会の報告によりますと、フェーズ1においては、まず文献調査によって地層処分の研究対象となり得る複数の可能性ある地層を抽出するということになっているわけですが、その抽出の経過並びに結果等についてお知らせをいただきたいと思います。
#22
○中村参考人 動燃の核燃料開発担当の理事の中村でございます。
 先ほど先生から御質問ございましたように、まず現在は、フェーズ1と申しましょうか、第一段階でございます。御指摘のように、いろんな根拠からまず図上で各地方の可能性を調査いたしました。数え上げると御指摘のように二十数カ所になります。その地区一々地名を申し上げるのはちょっと資料手元にございませんが、主として北海道地方、東北の北の方あるいは南の方、あるいは四国、ずっと外れて九州と、各地方の地質なんかを調査してございます。それをもとにいたしまして、その地質からその地域環境、社会環境、こういったことも調査しております。
#23
○五十嵐委員 後段に質問した、まず複数の可能性ある地層を抽出する、こういうことになっているわけですね。この可能性ある地層というのは、改めて言うまでもありませんが、つまりどのような地層であれば地層処分が可能であるかということの調査なわけでありますが、この複数の地層というのは、その選考はどういう状況になっていますか。
#24
○中村参考人 実は、この廃棄物の処分の問題は単にわが国だけの問題ではなくて、これは全世界の問題でございます。そこで、私ども、国際会議そのほかを経由して、一体どのような世界じゅうの趨勢かということを調査しておりますが、日本にあり得る地質構造ということから考えまして、花崗岩質、凝灰岩質、安山岩質でも不可能ではないと考えております。
#25
○五十嵐委員 どうもすかっとした答弁でないですね。しかし先に行きましょう。
 動燃事業団が北海道の上川部下川町の下川鉱山で、三菱金属に委託をして地層調査をなさっておるわけでありますが、この調査は五十六年度で終わるわけですか。あるいは五十六年は大体何月から何月まで試験を実施する予定になっていますか、
#26
○中村参考人 下川の調査は、ごく基礎的な地質の性質を調べるという趣旨でございまして、現在まだ実験に着手しておりません。実験準備段階でございます。
 予定では、原子力委員会の専門部会の方針に従いまして、五十八年までにはおよそその基礎調査、ここばかりじゃございませんが、基礎情報を用意をして、それでしかるべき評価をお願いするという段取りでございまして、当面その期間は実験を続けたいと思います。
#27
○五十嵐委員 いまお話しの下川で行うこの調査研究につきましては、あるいはその後の段階もあるかもしれませんが、放射性物質は一切使用しないのかどうか。
 それから、あそこにも書いてありますが、トレーサーを用いる核種吸着性試験は行うのか行わないのか。行うとすれば、トレーサーに用いる物質は一体何か。
#28
○中村参考人 先ほども申し上げましたように基礎知識を得るということでございまして、たとえば、掘り出した岩石で水のしみぐあいを測定するというのと、実際岩盤にある状態での拡散状態とは違ってくるだろう、こういうことで、放射性のものはこの期間は一切使いません。
 まだ実験の将来計画は詳しく決まっておりませんが、トレーサーという言葉はちょっと誤解を生ずるかと思いますが、非放射性のたとえば食塩とかそういったものを使うかもわかりません。これはまだ決めておりません。
#29
○五十嵐委員 核種吸着性試験についてもですか。
#30
○中村参考人 核種というのは学術用語で、決して放射性のものを言うわけではございません。非放射性のものも核種と申します。
#31
○五十嵐委員 去年の十二月十九日に発表された放射性廃棄物対策専門部会の高レベル放射性廃棄物処分に関するレポートでありますが、あのレポートの中の地層処分研究開発の手順、さっきもちょっと話が出たところでありますが、その第一段階、すなわち可能性ある地層の調査の段階において、まずいろいろな地層の調査研究をするということになるわけなんだ。これはさっきもお話しのとおりです。岩石特性試験あるいは透水性試験、またいま言いました核種吸着性試験なんかをやるわけでありますが、そうして地層の包蔵性を調査するということになっているのでありますが、下川鉱山の調査はこの部分の調査をやっているといいますか、そう考えでいいですか。
#32
○石渡政府委員 御指摘のように、可能性ある地層の調査の一環といたしまして地層の評価手法の確立のための研究である、これが位置づけでございます。
#33
○五十嵐委員 さっきの理事のお話と少し違うような感じがします。つまり、いまのこの最初の一段階の調査は、ぼくがいま言いましたように、さまざまな調査をして地層の包蔵性を調査するということになるわけでありますが、下川地域のさまざまなそういう調査をして、地層の持つ包蔵性を調べるのだ、こういうことではないのですか。
#34
○中村参考人 言葉がちょっと不十分だったかもわかりませんが、この地区での包蔵性を調べるということではございません。そういう評価をする手法について、一番手元に使いやすかった施設ということで考えております。
 ついでにもう一つつけ加えさせていただきます。実は可能性のある地層ということでいろいろな地層を考えておりますが、花崗岩について申し上げますと、先ほど申し上げましたようにこの問題は単にわが国だけの問題ではない。そこで、私どもは、OECD・NEAの国際プロジェクトがスウェーデンの北部で計画されておりますが、このプロジェクトに参加いたしまして、花崗岩質におけるそういう評価手法をいま学びつつございます。
#35
○五十嵐委員 しかし、一般的な手法の開発であれば何もあんなところでやらなくてもいいのではないですか。わざわざ坑内に実験ルームをつくってやっているわけですね。それで、私もこの間現地に調査に入りました。あそこでやっていることは、下川の現位置で下川の輝緑岩等の地層の岩石の透水性試験やあるいは岩石加熱試験をやっているわけで、これの試験の結果というのは下川の地層の包蔵性の調査結果そのものが出てくるのじゃないですか。現にやっているのは、事実上の問題として。アメリカのエネルギー省が一九八〇年の四月に発表した「法規作成のための見解」というのがあって、それによりますと、地層処分に関する情報は「試掘を含む現地の地質学的研究によってのみ得られる」、「のみ得られる」こう言うのでありますが、下川の岩石を現に調査をしているということは、下川自体における地層処分に関する調査と事実上なるではないかと思うのでありますが、いかがですか。
#36
○中村参考人 先ほどもお答えいたしましたように、一般手法として、取り出されたサンプルと一応地層の中における相関を見てみる。先ほど御紹介いたしましたOECD・NEAの国際プロジェクトも、まずその基礎試験の経費を節約するという意味で、鉄鉱山の使わなくなったところの地下七百メートルのところでのそういう部分実験をやっております。これも、決していきなり放射能物質を使っているわけではございません、
#37
○五十嵐委員 さっき一番最初にお伺いしたのでありますが、放射性廃棄物対策技術専門部会の昭和五十一年六月に出した中間報告、あれによる開発スケジュールは、さっきの答弁によりますと一、二年ないし二、三年ですかはどうもおくれているということでありますが、そういう状況で進行してきているわけであります。五十一年の中間報告の研究開発年次計画というものによりますと、地層処分に関する「可能性のある地層の調査検討」というのは五十一年半ばから五十五年度まで。そして「候補地層の物理探査、試錐」は、五十四年、五十五年に準備をして、五十六年、五十七年度にこれを実施するという計画になっているわけですね。さらに、五十四年、五十五年に準備し、五十六年、五十七年に施設の建設をし、五十八年度からはその候補地において模擬パッケージ及び実物パッケージの現地試験をすることになっているわけです。まあ一、二年か二、三年がおくれているというお話ではありますが、いずれにしてももう処分候補地というものは決まるような段階に入っちゃったということになるのじゃないですか。
#38
○中村参考人 先ほど原子力局長からも指摘を受けましたように、このスケジュールはかなりおくれております。というよりも、もともとあの時期に考えたのが楽観的に過ぎると申した方がいいかと思います。繰り返し申し上げますが、現在はまだ基礎調査、基礎勉強、こういう段階でございます。
#39
○五十嵐委員 全然違うのじゃないですか。おかしいじゃないですか。お手持ちにあると思いますが、当時スケジュール表が出ているわけですからね。
 それじゃ、ひとついまのレポートの本文をちょっと読んでみたいと思います。「地層等処分に関する調査研究」の「可能性のある地層の調査」というところでありますが「先ず国内文献、資料の収集、検索及び解析を行ない、次いで国内各抽出地層別の分布、形態・岩質を調べ、地域別・地層別分布を調査する。一方、海外で地層処分の対象とされている地層の種類やそれらの地層が対象とされている理由等を検討し、地層処分要件の把握を行う。国内情報及び抽出地域の自然災害、人口密度、将来の産業活動の場となる可能性、輸送条件、地質変動の発生予測、地質構造の解明等を考慮して有効な地層と地域を選定する。」これは、後についている表で言うと昭和五十五年までにやる、こういうことになっているわけですね。これは下川の段階で言うと、もう終わっちゃっているやつですよ。
 二番目に「候補地層の物理探査、試錐」というのがある。「候補地層の物理探査、試錐等を実施し、岩層の分布、地質学的、鉱物学的性状等を調査すると共に採取コアーについて高放射性固化パッケージとの両立性に関し熱的、物理化学的諸性質等を検討する。」これは、表によると昭和五十六年、五十七年に行う、こうなっているやつですが、現に下川でやっている調査は、私はこの間行ってきたけれども、これじゃないですか。
#40
○中村参考人 先生が引用されている資料は少しく前、五十一年の状態でございまして、先ほどまた引用していただきました放射性廃棄物対策専門部会の報告書は、五十五年十二月の半ばに再検討された結果でございます。これによれば、第一段階が可能性のある地層の調査、ここでいろんなそれ自身の特性の調査、あるいは言葉として出てまいりますが、工学バリアを加えるということも効果がどうだ、こういう基礎段階でございまして、この資料によれば、この第一段階が五十八年度いっぱい努力をして五十九年に見直す、次いで第二段階に入るということでございます。確かに五十一年度のその資料段階では、いまぼちぼち第二段階に入っているような時期に当たるかと思います。それが数年のおくれと局長が言ったことだと考えます。
#41
○五十嵐委員 いま申しましたように、実際に現地に行って、それから多少おくれているとはいえ、しかし計画を立ててからまだ五年しかたってないんですからね。いままでそういうスケジュールに従って予算をつけて作業が実施をされてきている、そんなことを照らし合わせてみると、ぼくはどうもやはり下川でやっているのは一般的な手法の開発なんというような程度のものではないという実感がいたしています。
 いま理事から去年十二月のレポートについて御説明があった。じゃ、それについてひとつ話してみようじゃないですか。
 改めてこの地層処分候補地の選定の手順について簡潔にお聞きしますが、まず複数の可能性ある地層を抽出して、いまお話しのように、その中から五十九年までに有効な地層を選定するということですね。いかがですか。
#42
○中村参考人 御指摘のとおりでございます。
#43
○五十嵐委員 次に、この五十九年までに選ばれた有効な地層というものにおける試験地を決めるわけですね。それで、格別な支障がなければ、それは試験的処分場ということになるわけですね、あれによれば。間違いないですか。
#44
○中村参考人 繰り返し引用いたしますが、世界じゅうの認識では、いわゆる鉱山地帯を処分候補地にするということは避けるべきだというのが一つの認識でございます。したがって、現在、私どものところあるいは世界各国の例を見ましても、独立に候補地を最初から決めて、そこに坑道を掘って実験をするという段階までは至っておりません。西ドイツの場合に、岩塩層があるということで最初からそれを考えた坑道試掘がございますけれども、それ以外の地層についてはまず基礎調査という段階でございます。
#45
○五十嵐委員 ひとつ聞いたとおりお答えいただきたいと思うんですね。聞かないことをお答えいただいたってしようがないですからね。時間も余りありませんから、ひとつ端的に聞いたことにお答えください。いま言ったのは、レポートに書いてあるのをそのままぼくは言っているのですから。それを確認しているだけですからね、
 もう一遍言いますよ。有効な地層における試験地を決める。これは五十九年までに決められた有効な地層における試験地を決める。そして、格別な支障がなければ、それは試験的処分場になるということになるわけですね、あのレポートの順序から言えば。
#46
○中村参考人 昨年末に発行したこの報告では、有効な地層を調査いたしまして、そこで必要とあれば試錐を含む広域調査、精密調査を行います。それから、特にその間に工学バリア、単純な地層にいきなり入れるんじゃなしにバリアの効果も総合的に含めて、その後で模擬固化体を使った実地試験に入って、その間いろんな調査が進められて、やがて候補地というのが選び出されるということであります。
#47
○五十嵐委員 手順だけ端的に抽出していきますから、簡明に答えてください。ぼくのいま質問の中で言ったことは間違いでないですね。いいですね。
#48
○中村参考人 そのこと自身は書いてあるとおりでございます。
#49
○五十嵐委員 わかりました。
 試験的処分場というのは、格別な支障が出てこない限り、将来本格的な処分地になるわけですね。この点はどうですか。
#50
○中村参考人 可能性のある地層も複数で考えますし、その次のステップの調査も複数で考えることになると思います。そして順次可能性が固まっていく、こういうステップを考えております。
#51
○五十嵐委員 それじゃ、可能性のある地層というのはあすこではわざわざ複数のと書いていますね。複数の可能性ある地層というものをまず選んで、その中から五十九年までに有効な地層を選ぶ。この有効な地層というところには複数のなんということは書いてないんですよ。可能性ある地層というのは複数と書いていますよ。しかし、その中から有効な地層を選定するというのは、これは単数でないですか。
#52
○中村参考人 五十一年の資料を非常に単純に――(五十嵐委員「去年のですよ」と呼ぶ)去年のこの資料では、有効な地層といってもこれはまだ複数という概念で書いております。
#53
○五十嵐委員 しかし、お読みになってください。複数の可能性ある地層を抽出して、その中から有効な地層を選定するというんでしょう。可能性ある地層というのは複数のと書いてあるんですよ。有効な地層は書いてないんですよ。これは単数でしょう。
#54
○中村参考人 いますぐ何ページの何行目という指摘ができませんが、複数だというふうにわれわれは考えております。
#55
○五十嵐委員 じゃ指摘しましょうか。――わかりましたか。もしあれでしたら、これの概要というのがありましたね。お持ちになってない。概要を見てもわかりやすいと思いますがね。それじゃ続けていって、それはひとつ後でまたちょっとそれまでに調べておいてください。
 そうすると、いずれにしても五十九年までには有効な地層というものは選定しよう、こう考えていることには間違いはありませんね。
#56
○石渡政府委員 そういうことを予定いたしまして研究開発を進めていくということでございます。
#57
○五十嵐委員 今度はこの有効な地層の中からいわゆる試験地というものを選んでいくということの段階に入っていくわけですね、先ほどのお話のように。そうすると、何かわれわれはあるいは住民も、処分地の決定というのはどうも二十年か三十年か先のようなそんな感じをいままで持っていたのだけれども、実際に去年十二月の専門部会のレポートというのをよく見ると、それはそうじゃないんだ。五十九年までには複数の可能性ある地層の中から有効な地層というものが選ばれるわけです、この有効な地層の中から試験地が決まる、その試験地というのは格別な支障のない限り試験的処分場になる、試験的処分場というのは特別な事情がない限りそのまま本格的な処分地になるということなんだから、ここ二、三年で処分場につながる決定がなされていくというふうに理解をせざるを得ないと思うのです。
#58
○中村参考人 この報告書の三十三ページ、三十四ページにございますけれども、試験地を選定するというのは昭和六十六年から七十年までの間にかけて決めていく、こういう予定になっております。
#59
○五十嵐委員 だけれども、その処分地というのは、つまり有効な地層が選ばれたらその中から処分地というものを決めるわけでしょう。そうですね。そこ以外のところから決めるということにはならないわけですからね。有効な地層というものが決まれば、その有効な地層の中で試験地をこの場所だというやつを決めていくということになるわけですから、有効な地層そのものは五十九年に決まるのですから、そうすればこれは目の前ということになるのではないですか。
#60
○中村参考人 先ほど発言いたしましたように、処分場ということになってくるとまた別の判定基準が考えられます。現在やっているのは可能性のある地層を決めるという作業でございます。そして、処分場の選定については世界じゅういろいろ議論しておりますけれども、先ほども言いましたように、鉱山地帯は将来のことも考えると避けなければならないというようないろいろな条件が与えられているわけでございます。
#61
○五十嵐委員 なるべく話がつながっていくように答えてもらわなければうまくないですね。
 だから、それは可能性のある地層の調査の段階は第一段階、それは五十九年までですね、その段階で有効な地層というものを決めるというのですから。そうでしょう、五十九年までに。そして、その次の段階に入って、その有効な地層の中で試験地というものを決めるというわけですから、だからその前提になる有効な地層は五十九年までに決まるということは、少なくとも処分の試験地については、その試験地を決める地層については五十九年までに決まるものなわけですから。これはそうでないという根拠があれば聞かしてほしいが、通常考えてそういうことなわけですね。
 さて、次の段階に入りますが、この間私どもは現地調査に入って、特に御同行いただいた和光大学の地質学の生越教授のレポート等いただいたのでありますが、第一に、輝緑岩は地層処分に適する岩種ではないと先生はおっしゃっているわけであります。下川の輝緑岩は輝緑岩と粘板岩が入りまじってといいますか、いわば複合して構成されている岩体で、輝緑岩の優勢な部分とそれから粘板岩の優勢な部分とがまじり合っているような複雑な地層になっているようであります。あれは大体長さ二十キロくらい、一番幅の広いところで二キロくらいという地層になっているわけですが、その両側のところは粘板岩がずっとあるわけであります。しかし、輝緑岩の地層そのものも、見てみますと、あそこはもう通産省等で何回も何回も地質調査をしているものですから一日して明らかなんであります。私、いま地図も持ってきております。これは五万分の一の広域調査下川地域地質図でありますが、ここでごらんになりまして、濃いところがありますね。これが輝緑岩の岩層になっていて、ここのところに縦にしまがいっぱい入っているでしょう、これが粘板岩なんですね。こういうぐあいに非常に入りまじっている。黒いので横になっているのは破砕帯が、実は縦横に断層ができているという状況なわけです。ですから、こういう状況から言うと、あそこは処分地などということは全く考えられない、そういう地層ではないかということをおっしゃっておりました。
 なぜ一体輝緑岩なのかということでありますが、輝緑岩が岩塩層、花崗岩あるいは頁岩、石灰岩などとともに地層処分に適する岩種の一つとして一般的に考えられている、こう思い込んでいる点があるのではないか。しかし、いま申し上げたような点も含めて、こういう見方というものは決して正しいものではないようであります。
 輝緑岩は他の諸岩種に比較しても、特に断層や節理などの岩石の不連続面が発達しにくい岩石というわけではないわけで、あるいはまた岩質が均一性を保持している岩石というわけでもない。さらに地下水を通しにくい岩石で含水量も少ないということもないし、放射性核種を特に吸着しやすいという性質があるわけでもない。ですから輝緑岩は一般論としては高レベル放射性廃棄物の地層処分の試験対象として特に好適な条件を具備した岩石だということは決して言えぬと先生は申しているのであります。
 あるいはまた、世界的に見ても輝緑岩が特に処分候補地層として考えられているというようなことにはなってない。天沼教授、これは専門部会の委員でもあられるわけでありますが、この先生が一九七九年十月に欧米諸国における高レベル放射性廃棄物等の貯蔵、処分などについての考え方の調査をしてこられた。これによりますと、処分候補地層として考えられている岩種は、ベルギーでは粘土層、フランスでは花崗岩及び頁岩、西ドイツでは岩塩、スウェーデンでは花崗岩などの結晶質岩、スイスでは花崗岩、イギリスでは硬質岩、粘土層、アメリカでは岩塩、玄武岩、粘土層あるいは緑色凝灰岩、いわゆるグリーンタフというやつですか、ECでは花崗岩、粘土層、岩塩ドーム、こういうことになっているようで、輝緑岩というようなことはどこにも出てこないわけですね。あるいは日本に存在しているいろいろな岩種について、地層処分の適否というような問題を東京電力の下田秀雄さんがレポートを出しておられるわけでありますが、これなんか見ましても、輝緑岩は決して適になっていないわけです。あれの分類では、中間ですか、中ということになっていたと思うのでありますが、こういう点から言うと、輝緑岩そのものは適しているということにはとてもならぬのではないかというふうに思えます。
 さらに、地層処分には地下水が非常に重要な問題になるわけです。この点についても、下川はどうも適していないのではないかとぼくは思います、地層処分された高レベル放射性廃棄物と人間環境とつながる媒体となる唯一最大のものは、言うまでもなく地下水ということになるわけであります。鉱山側の資料によりましても、一日最大四百三十トン内外、こういうかなりの坑内湧水が見られるということが明らかになっているわけでありまして、試験地点としての、地下水がほとんどないに等しい状態が好ましいといいますか、あるとしてもほとんどないという状況でなければならぬということにはとうてい実は向かないのではないかというふうに思うのでありますが、このような下川地域の地層が処分地として適当であると思うかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。
#62
○中村参考人 またおしかりを受けるかもわかりませんが、現在私ども輝緑岩が一番いい地層だと決めているわけではございません。花崗岩そのほかいろんな可能性をまだ調査している最中でございます。そして、たまたま坑道があって、ユーティリティーがいろいろ使える、そういった便宜上、岩石の地層における特性を調べる一つの場所ということで選んだわけでございまして、当該地方が将来の候補地になるということを意識して手をつけたわけではございません。
#63
○五十嵐委員 ぼくが聞いているのは、輝緑岩等のあの地質が処分地として適しているかどうかということなんです。
#64
○中村参考人 あの地区の輝緑岩の岩層がどうだということを申し上げているのではなくて、輝緑岩というものも一つの候補地層だ、そういうふうに考えております。(「適しているかどうかと聞いている」と呼ぶ者あり)輝緑岩そのものは不適だとは思いません。ただ、あの地区がどうだということをいまお答えしておるわけではございません。(「あの地区がどうかということを聞いているのでしょう」と呼ぶ者あり)
#65
○五十嵐委員 大事なところなんで、わからないならわからないでいいですけれども、まさかわからぬこともないと思うのですが、正確に下川地区の輝緑岩について、処分対象として適当であるかどうかということのお答えをいただきたいのです。
#66
○中村参考人 どうもすれ違いで恐れ入りますが、あの地区を処分候補地だという考え方では全く見ておりません。ただ、輝緑岩の、ある地層に存在する状態における特性試験をする場ということで考えております。
#67
○五十嵐委員 だから、これは一つの想定ですよ。想定として、下川におけるこういう輝緑岩のあの岩層に処分するとすれば、これは適当なところであるかないか。適当でなければ適当でないでいいんです。
#68
○中村参考人 そういう角度でいまの地点を見ているわけではございません。繰り返しになるからもうやめますが、先ほど来申しましたように、鉱山地帯を避けるべきであるというのが世界じゅうの認識でございまして、そういう意味から言えば、非鉄金属とはいえ、現在鉱山地帯になっているところを選ぶことは妥当ではない、そういうふうに考えています。
#69
○五十嵐委員 どうも困りますが、時間が余りありませんから先に進みます。
 昨年十二月の科学技術庁のコメントでは、下川鉱山はたまたま本試験の実験場所として――いまいろいろお話しになったとおりですね、実験場所としただけであって、将来の地層処分を同鉱山で行うということではないと述べておりますが、それはわかりやすく言えば、下川で地層処分は行わないということに受け取っていいですか。
#70
○石渡政府委員 下川鉱山で基礎的な実験を行うだけであるということを申し上げているわけでございまして、将来のことを云々申し上げたわけではございません。ただ、中村参考人からも申し上げましたいろいろな一般論は、私どもも参考として判断されるであろうとは思っております。
#71
○五十嵐委員 つまり、あそこでやらないというものじゃないということですね。あそこでやらない、処分しないというんじゃない。そう言い切るものじゃないと――。
#72
○石渡政府委員 現在はそういう判断をする時点ではないんだということを申し上げたわけでございます。
#73
○五十嵐委員 つまり、言いかえればそれは、あそこを処分地とする可能性も残っておる、可能性もある、こういうことですか。
#74
○石渡政府委員 鉱山の地帯あるいは地層が相当荒らされたと申しますか、いろいろ掘られているというようなところは処分地として避けられるべきであるという一般論は、われわれ十分承知しております。そういう判断基準で将来ある時期に判断がされるでありましょうが、その一般的常識は十分参考にされるであろうというふうに考えます。
#75
○五十嵐委員 委員長、先ほど申しておりました複数の可能性ある地層ということの資料がいまはっきりしましたので、ちょっと差し上げたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#76
○中村委員長 どうぞ。
#77
○五十嵐委員 それはそれでちょっと調べておいてください。
 下川鉱山の所有者である下川鉱業株式会社から下川町長あての文書によりますと、下川鉱山を処分場所として提供する意向はないと明記してあります。言うまでもなく下川鉱業株式会社は三菱金属の子会社なわけですね。それから、去年十二月、北海道議会において、北海道知事は、この問題の質問に答えて、廃棄物の処分は認めないと述べ、下川町長も、あそこで処分されることには絶対反対というふうに言明をしているわけであります。さらに、下川町議会の特別委員会も、二月十九日、核廃棄物等一切の危険物の持ち込み及び投棄は絶対にこれを認めないということを確認をいたしています。あるいは、下川鉱山の横を流れている名寄川の下流で水道用水を取水している名寄市におきましても、市議会に特別委員会ができまして、重大な関心をこれに寄せているわけであります。何年先であろうと何十年先であろうと、下川鉱山に放射性廃棄物を持ち込むようなことがあれば、下川の町民もわれわれ北海道の道民も、体を張ってでも将来の子孫のためには断じて阻止するということを、ひとつこの際よく覚えておいてほしいというふうに思います。お聞きしますと、きのう予算委員会で長官は、そんなようなことはない、処分する考え方はないというようなお答えがあったということをお聞きしまして、さすが北海道選出の長官というふうに思ったのでありますが、長官から一言、さらに念を押しておいてほしい、こう思います。
#78
○中川国務大臣 先ほど来、政府あるいは事業団から答弁しておりますように、輝緑岩というものに着目をして、廃坑であると基礎実験がやりやすいというところから、放射性物質を全く使わないで、基礎データを得るための実験をやっておるものでございます。したがって、ここが将来可能性があるかないかという判断でやっておるものではないので、そこで、強いてそれでは可能性があるかといったら、まずまずあれだけ傷のついた地帯あるいは資源のある地帯ではまず考えられない。絶対ないかといったって、将来決める人のことを、あそこはやらないことに決定いたしましたというようなものではありませんが、まずない。ましてや地元にそれだけの反対がある以上は、地元の納得を得ないでやるようなことは、これは絶対ない。でありますから、まずまずお願いすることもないし、それから、地元が反対しているうちはこれを強行するということはない、したがってない、こう見た方がいいのではないかと存じます。
#79
○五十嵐委員 ないと見た方がいいのではないかという、何かやや評論家的な言い方で、しかも結局――
#80
○中川国務大臣 そこをこだわられるとあれなのですが、いまその可能性があるかないかということを決めなければならぬ段階ではないものですから、いや、ここはない、あそこはあるということを言う段階ではないものですから、まずないと見ていいという言葉が一つひっかかるのだろうと思いますが、まずありません。御心配なく――。
#81
○五十嵐委員 まず、というのがつくわけですな。
 しかし、次の質問に移りたいと思います。
 いま長官からも、それほど地元の反対があればという話があったのでありますが、この地元住民にとってきわめて重大な問題が、道知事及び町長にも事前に知らせることなく、まして住民には全く秘密裏に、去年十月から事を運んで、偶然地元新聞がこれをスクープするまでは地元では全くだれも知らない。一体これはどういうことかと思うのです。全くの自治権の無視である。しかも、あの鉱山地域は国有林でありますから、営林署に使用許可をとらなければいかぬわけでありますが、その使用認可申請も出していない。十月から鉱山の廃坑内で実験室の建設などにどんどん入っているわけなものですから、十二月にこの問題が道議会等ではっきりいたしましてから初めて事実を知った営林署からも抗議を受けるなど、極端な秘密主義になっているのではないかと思うのです。民主的運営や公開を定めた原子力基本法にもどうも反するやり方ではないかというふうに思うのであります。この地元無視ということについて、この際、動燃事業団は、この場を通じて地元住民に陳謝すべき点があるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
#82
○中村参考人 私どもといたしましては、これがきわめて基礎的な試験である、また格別放射性のものを扱うわけではない、この地区を処分の前提とした調査ではない、こういったところから受託者に全部任せてやったわけでございます。そういう意味で、受託者は九月に、あるいは十二月に関係方面にいろいろ御相談に上がっておるようでございますが、結果的には、一つの社会的配慮といった点で地元をお騒がせいたしましたことは、まことに遺憾だと存じております。
#83
○五十嵐委員 原子力ことに廃棄物等に関しては、住民は非常に大きな関心を持ち、心配をしていることなのでありますから、自今そういうことのないようにしてほしいというふうに思います。
 そこで、この機会ですからさらにお聞きいたしますが、いままで試験室外で、下川鉱山のように鉱山などで高、中、低レベルの放射性廃棄物陸地処分に関する試験研究が行われたことがあれば、ここ昭和五十年以降ぐらいで結構でありますが、その地名、時期、試験研究の内容等についてお知らせをいただきたい。
 あるいはそれらの地域についても、それぞれ所管の地方自治体に事前に説明がなされているのかどうかということもお聞きしたいと思います。
#84
○石渡政府委員 手元に五十三年からのデータしかただいま持ち合わせはございませんが、まず、五十年以降という御要求でございますが、そのころ全国的なサンプルを採取いたしまして、いろいろ分析をしたということはあるようでございます。委託というような形で調査を始めましたのは、五十三年度、原子力研究所がやはり三菱金属に委託をいたしまして、細倉鉱業所で、安山岩に関して安全性の評価手法に関する調査ということをやっております。五十四年度に原子力研究所明延鉱業所で、玄武岩に関してやはり調査を行っております。本年度、同じ研究を引き続いてやろうということでございますが、まだ計画が最終段階に至っておりません。少しおくれております。それから五十五年度、動燃事業団でスタートいたしましたのが、ただいまいろいろ御議論いただいておる下川鉱山のケースでございます。
#85
○五十嵐委員 五十六年度、下川以外に御予定はありますか。
#86
○石渡政府委員 下川鉱山におきます輝緑岩の調査を引き続き続けたいと存じております。それからもう一件ぐらい、頁岩等を対象にいたしました調査をスタートさせたいという計画でおりますが、まだ具体化しておりません。
#87
○五十嵐委員 しかし、どうなんですか、下川に別にしぼったものでないということをさっきからお話しになっているのだが、そんなに、一カ所かもしくはもう一カ所ぐらいなんということでのんびりやっていていいのですか。つまり、それしかやらないということは、もうややそれに決まってきているということでもないのですか。
#88
○石渡政府委員 全体的な試験研究の考え方といたしましては、輝緑岩、頁岩、凝灰岩、この三種類について国内でやりたいと思っております。それから花崗岩、玄武岩、粘土層につきましては外国で、それぞれスウェーデン、米国、ベルギーで調査の計画がございますので、国際協力ということでデータを収集いたしたい、こういう計画でいるわけでございます。
#89
○五十嵐委員 なお、この機会にお聞きしておきたいと思いますが、北海道幌延町から各方面に原発誘致の申し入れがなされているようでありますが、科学技術庁にもこれはありましたか。
#90
○石渡政府委員 先般、幌延町から人がお見えになりまして、原子力関係の施設をぜひ誘致したい、ついてはいろいろ調査をしてもらえないかという御要望がございました。
#91
○五十嵐委員 仄聞するところによると、原発だけでなくて、原子力関連施設の誘致も考えているということでありますが、そうでしょうか。それで、この場合の原子力関連施設というのは、たとえば再処理施設であるとかあるいはまた廃棄物処分施設というようなことなども含めたといいますか、対象の中には入るものですか。どういうことですか。
#92
○石渡政府委員 お話では原子力発電所並びにその関連施設ということでございまして、具体的なイメージはお持ちでないようでございますが、いろいろこれから勉強をしてみたいし、またいろいろ教えてほしい、データも欲しいというようなことでございましたので、今後いろいろ検討される運びになっているのだろうと了解しております。
#93
○五十嵐委員 一般的に言って、関連施設というのにはそういうものも概念の中に入るわけですか。
#94
○石渡政府委員 そういう段階まで話は詰めてございませんが、私どもはそういうふうに理解をいたしました。
#95
○五十嵐委員 どうも大分質問が残ってしまいましたけれども、また何かの機会に改めて質問させていただきたいと思いますが、さっきの複数の可能性ある地層から有効な地層を選ぶというのは、差し上げた文書に明らかなように、可能性ある地層というのは複数とついているのですが、有効というのはついていませんね。
#96
○石渡政府委員 その資料に関する限り、御指摘のとおりでございます。私どもが概要をまとめたわけでございまして、この点配慮が足りなかったと思っております。
 この際申し上げさせていただきますが、私どもはずっと最終段階まで複数という考え方で一致しておりましたので、特にその正式のリポートではその点は記してございません。
#97
○五十嵐委員 かつて一九五五年の第一回原子力平和利用国際会議の日本代表団はその報告書に「現在の原子力工業における大きな悩みのひとつは、放射性廃棄物の処分問題である」と述べて、そして「放射性廃棄物処理問題の可能性の限度は、やがて原子力工業発展の限度を決定するものといえよう」こう言い切っているわけであります。これはきわめて当然な理性的見解というべきものであろうと思うのであります。今日の現状は余りにも廃棄物処理問題の可能性を無視したまま暴走していると言わなければならぬのではないかというふうに思うのです。確かに放射性廃棄物の処理問題こそ原子力開発のアキレス腱と申すべきものであります。
 昨年来、低レベルの海洋投棄が問題になっているわけですが、高レベル廃棄物の処理の問題の困難さというのはもうけた違いのものがあるわけであります。何十万キュリーという驚くべき放射能を持って、何万年も人間社会に脅威を与え続けるものであります。何代も何十代もにわたって私たちの子孫たちに大変な厄介な荷物を残すことになる。恐らく何百年、何千年かの後の時代に、二十世紀後半に生きていた私たちがまことに厳しい批判にさらされるのではないかという懸念を持たないわけにいかぬのであります。今日の繁栄のために未来に恐怖と苦痛を残すことは人類の文明にとって罪悪であります。長い人類の歴史の中で、現代に生きる私たちは、正しい文明の歩みから脱線し、暴走しているのではないかと思わざるを得ないのであります、
 このきわめて重大な放射性廃棄物の問題について、最後に長官の日本の未来に対する責任ある答弁をひとついただきたいと思います。
#98
○中川国務大臣 御指摘のように、原子力発電開発利用で一番問題になるのはやはり廃棄物の処理処分の問題だと思います。
 二つありまして、一つの方は低レベルでございますが、これは国際的にももう処理処分の海洋投棄であれ陸上投棄であれ、セメントで固化することによって人類に影響はない。ただ、投げ方については、より人間社会に関係のないところに投げることが適当である。そういうところから、海底四千メートルの人類が関係する可能性が非常に少ないというところで、これはもう国際的にも定着しておるのじゃないかと思うのです。
 ただ、御指摘のハイレベルについては、ガラス固化等によって地層処分を行えば人類に影響を与えないのではないか、こういうふうに専門家の中で言われておりまして、そういう方向であることは決まっておりますが、具体的にどこでどういう形でということはまだ決まっておりません。この点はこれからの研究課題でありますが、幸いにしてこれは量的に非常に少ないものでございますから、三十年、五十年ぐらいのところは貯蔵が可能である。こういう点に着目して、それまでの間に先ほど言った基礎データ試験を重ねて、千年ぐらいは影響するのじゃないかと言われておりますから、そういった単位で人類に未来永劫迷惑をかけないというものを生み出してこれを処理していかなければいかぬ、こう思っております。このことはわが国だけじゃなくて世界共通の悩みでございますから、世界の国々とも十分連絡をとってやってまいりたいと思っております。
 ただ、原子力も未来永劫のエネルギーじゃなくて、三、四十年、早ければ二、三十年とも言われておりますが、核融合の時代に入っていくだろうから、つなぎのエネルギーであるということ。しかも、つなぎのエネルギーとしては、将来にそういう問題がないとは言い切れませんけれども、量的に、科学的に原子力の開発利用を避けて通れない、これもまた現実の問題でございますから開発利用を避けられませんけれども、この廃棄物の処理処分については、もう国民の皆さんに納得のいく姿、ましてや人類に悪影響を与えるようなことはないという道を求めて処理をしていきたい、こう思います。
#99
○五十嵐委員 どうもありがとうございました。
#100
○中村委員長 安井吉典君。
#101
○安井委員 続いてお尋ねをしていきたいと思いますが、政府としていわゆる高レベル廃棄物の処分は地層処分ということにきちっとしぼってこれからいかれるということになっているわけですね。
#102
○石渡政府委員 現在の時点では、地層処分が最適な方法であろう、また実現可能な方法であろうと考えております。いろいろ御提案はあるわけでございますが、われわれの研究開発の焦点は地層処分にしぼっていきたいと考えております。
#103
○安井委員 地層処分地点は国内で一カ所だけということですか、それとも複数を考えているのですか。
#104
○石渡政府委員 スペースを、必要な広さということを考えますと一カ所でもいいのかとも思いますが、恐らく複数になろうかという感じがしております。その段階でございませんが、感じとして申し上げさせていただきます、
#105
○安井委員 複数というのもいろいろあるわけですが、二カ所ですか、三カ所ですか、そんなにたくさん要らぬでしょう。
#106
○石渡政府委員 常識的には二、三というところではないだろうかというふうに思います。
#107
○安井委員 これは調査を進めるために大変なお金がかかるし、また処分をするということになりますとべらぼうな金がかかるのではないかと推測されるわけでありますが、調査段階でどれぐらいかかるのか、処分実施にはどれぐらいかかるのか、お見込みをひとつお話しいただきたいと思います。
#108
○石渡政府委員 研究開発の初期の段階でございますので、なかなか正確な見通しはむずかしいわけでございますが、少なくとも調査段階で四十億円ぐらいの予算ではなかろうかというふうに見通しております。それから、実際地層処分をやる場合に費用はどのくらいかということでございますが、これも世界的にまだ試算の段階でございますが、百万キロワット一年当たり約十五億円ぐらいの費用であろうというのが、国際核燃料サイクル評価、いわゆるINFCEでの試算でございます。
#109
○安井委員 この最終処分の費用は発電コストに入れるというお考えなんですか。つまり原発に負担させるというお考えなんですか、どうなんですか。
#110
○石渡政府委員 費用につきましては、電力コストの一部であるということで、電力会社が負担すべきものというふうに考えております。
#111
○安井委員 そうしますと、その調査段階からの費用も含まれるわけですか。それとも純粋の処分費用だけというふうにお考えなのですか。そしてまたキロ当たり大体どれぐらいになりますか。
#112
○石渡政府委員 処分そのものの費用は電力コストに織り込むべきであるという点ははっきりしておりますが、それに至る試験研究、開発の段階の費用をどうするかということにつきましてはまだ議論されておりません。ただ、実施に近づいている段階での開発費用といったものは、いわゆるメーカー負担と申しますか受益者負担という考え方がほかの例でもございますので、恐らく将来そういう議論になるかと存じます。
 それから、コストについてどのくらいであるかということでございますが、外国の例で恐縮でございますけれども、米国の原子力規制委員会等の調査では、低レベル、高レベルの処分費用合わせて全発電コストの一%前後というふうに見積もっております。ただ、わが国の場合、土地の価格が高いといったような事情もございますので、もう少し高くなろうかと考えます。
#113
○安井委員 どれくらいコストがかかるかという点については、地層処分そのものがうまくいくのかどうかということから問題が始まってくるのではないかと私は思います。
 きのうも予算委員会でも申し上げたわけでありますけれども、今度の北海道の下川鉱山の例にしても、先ほど来の御説明によれば、純粋の基礎調査なのだ、投棄や何かとは関係ないのだと皆さんそうおっしゃるけれども、それが道議会がストップするような騒ぎになったり、地元でも大変な動きが起きているようなわけであります。こういう段階で、調査をするというときにそうなのですよ。だから、これから全国で一カ所とか二カ所ということで処分地点を決めるという段階になったら、これはどうなるのです、皆さん。大臣は理解と納得ということをさっきから言われている。そのとおりでなければこれは大変なことになりますよ。しかし、北海道知事は、投棄困ります、こう言ったわけでしょう。下川町長も、投棄は全然だめです、こう言うのですからね。ですから、全国どこで地層処分の可能性があるのですか。
 それは、物理的、自然科学的な要素は先ほど来ここで議論されたとおりです。しかし、人間の心の問題を科学技術だけで判断するというのでは、これは大変なことになるわけですよ。地層処分というのは日本国内のどこかの地点を犠牲にするわけでしょう。とにかく、いまの時代だけじゃなしに、もう何十代も何十代もの子孫――子孫じゃない、孫孫孫孫と、こういくわけですからね。それまでの犠牲をその地点に強いるというようなことが簡単に私は住民の納得が得られるように思いませんがね。どうです、大臣。私は、地層処分というものを物理的、科学的にだけ考えていくといういまのこのあり方自身に大きな疑問を持つわけであります。むしろ地層処分というよりも半永久的に人間の監視下に置くべきではないかという意見もあるわけですね。どうなんですか、そういう意味において、地層処分というものは可能性があるのですか。大臣、どうお考えですか。
#114
○中川国務大臣 いまのところ考えられるのは地層処分であるということで、地層処分の可能性を研究しているわけです。しかも、可能性が出てきても、地元の方々の納得というものが得られないとできないという、二重の歯どめがやはりあろうかと存じます。したがって、三十年、四十年たってどうしてもできないということになれば、やはり永久に監視して保存しておくというようなことにもなるのかもしれませんが、いまの段階では、科学的に地層処分が可能であるという方向を見出して、それに必要な基礎データをいま集めている、こういう段階で、将来できるかできないかと言われれば、私どもとしては、やりたい。先々、まだ三十年も先のことですから、実際選定をするのは二十年三十年先だと思います。その段階でまた新たな判断が出てくるかもしれませんが、いまの段階では地層処分でいきたい、可能性を求めて研究を続ける、こういうことだと思います。
#115
○安井委員 これは北海道の新聞に出ていたので、本当かうそか知りませんが、中川長官について、道内入りをして、資源の乏しい日本にとって科学技術の振興は必要で、特に北海道の総合開発を促進するためにも、岩内のいま原発の計画があるが、それに引き続いて第二、第三の原発計画を進めたいということを言われて、北電の方もまた同じような言い方をしているわけです。その後この下川の問題が出てきたものですから、中川長官は北海道の中に高レベル廃棄物の地下投棄の場所を選定しているといううわさが飛んだ、こう書いてあるのです。これはうわさでしょうね。ですが、それを受けて北海道知事は、だめだ、こう言ったのですから、北海道の中に投棄地点を、地層処分の地点を求めるということはもうできないわけでしょう、地元がだめだと言ったらだめだとさっき言ったでしょう。北海道はだめですよ。どこかの県がやはり持ってくれるというわけなんですね、あなたのさっきのおっしゃり方からすれば。地元の納得を得られるという――北海道はだめですよ。ほかでどこかで受けとめるところがあるのですか。私は、地層処分というのは、そういう段階で必ず行き詰まってくると思うのですよ。どうですか。
#116
○中川国務大臣 北海道へ行って発言した前段はそのとおりでございます。将来のこのエネルギーの事情を考えると、特に石油の事情を考えると、コストの面あるいは量の面からいって、まだ一カ所もないというのは残念なことである、岩内をまずやっていただきたいし、そして次にまた第二、第三と代替エネルギーとしての原子力発電を設置しなければならぬ、こう思っております。ただ、それだからといって、北海道に高レベルのものを投棄の個所にしたいなんということはゆめゆめ思ったこともありませんし、うわさというよりも誤解という方が正しいのじゃないかと存じます。この点ははっきり言っておきます。
 ただ、北海道知事がだめだと言ったから北海道はだめだとか、日本じゅうにいいというところはないのだからやめた方がいいという性質のものではなくて、安全性がこうであって、いよいよ一番適地であるというものを提示して、そして知事さんや皆さんの納得を得てやっていくということであって、いま誤解に基づいて、ああ選定したのだ、してもいないのに選定したのだという前提で、北海道がだめだから永久に北海道はだめだというものではないので、やはりわれわれが地域住民に納得できる材料を提供して、そこで判断を求める、こういうことになるのだろうと存じます。
    〔委員長退席、塚原委員長代理着席〕
#117
○安井委員 先ほどの五十嵐委員とのやりとりの中でも、鉱山を投棄場所と考えることについて決して適当なものだとは思わないという発言がございました。これは当然で、アメリカのエネルギー省の商業放射性廃棄物の管理に関する最終環境影響声明書ですか、その中にも、資源や価値を持っている鉱物を持っているようなところは不適当だという提案もあるわけであります、ですから、これは一般論として廃坑が廃棄物の予定地になるというような報道がずいぶん行われるわけでありますけれども、鉱山にはもう一切考えられない、そう理解してよろしいですね。
#118
○中村参考人 世界じゅうの認識が御指摘のようなことでございます。
#119
○安井委員 世界じゅうという中には日本も入っているわけですね。日本もその方針ですね。
#120
○中村参考人 当然しかるべきことと考えております。
#121
○安井委員 そういうことはここで確認をされたわけでありますけれども、ただ、下川の現地の人たちの考え方というのは、これは予定地じゃないんだ、廃棄を予定してここが調査をされているのじゃないのだとずいぶん言われるわけだが、しかし調査がだんだん進む、いまの基礎調査が終わって一段落ついたら、もうそれでおしまいかと思ったら、せっかくやったんだから次の二段階の調査に入る、そしてまた、そこまでいったんだから三段階に入るというふうに、ずるずるいっちゃって、いつか核のごみ捨て場になっちゃうのじゃないか、その心配なんですよ。だから、先ほど五十嵐委員も繰り返し繰り返し政府、大臣の明確な答弁を求めている。そういうことではないかと思います。可能性のある地層の調査がいつの間にか有効な地層の調査にいき、試験地にいき、処分投棄と、いままでの政府のやり口というのが余り信頼されてないのですね。とにかくずるずる結論にいってしまうというそのことを恐れでいるわけです、とにかくこれから基礎調査がどんどん進めば、日本じゅうで一番データのそろった地点になるわけですから、その地点が、たとえ複数であっても選ばれないとも限らないということを恐れるということではないかと思うわけであります。
 ですから、私はきのうも申し上げたのですけれども、そういうおそれがないように、第一段階の基礎調査だけです、そうおっしゃるなら、もう第一段階の基礎調査が終わった段階でいまの施設を全部取っ払っちゃって、あのルームも全部ぶっ壊しちゃう、そういうことをきょう明確に、きのうも何だかわかったようなわからぬような御答弁があったのですけれども、ひとつ明確に言っていただけませんかね、大臣どうですか。
#122
○中川国務大臣 これは本当に理解してもらいたいのですけれども、私も北海道ですから、事務当局、専門家に聞くのですが、あそこを前提にしたものでは全くない。輝緑岩というものの地層が基礎データをとるのに便利であるということだけであって、あそこでやったから、調子いいから、ひとつ次に頼むというものでは全くない。しかも、しばしば答弁しておりますように、鉱山のあるところ、あるいは亀裂のついておるところ、傷跡のあるようなところは不適当である。やるとすれば、将来とも資源のない、傷跡のない純粋のところに穴を掘って、しかも千メートルとか五百メートルとかいう人類の手の届かない、そしてまた未来永劫そこへ手をつけるようなことがない、地下水の影響もないというところを純粋に探すのであって、決して下川に下心があってやるものではないということでございます。したがって、試験研究が終わった段階で、地元の皆さんが納得いくような形で、やらないという保証はきちっとして差し上げたいし、国会を通じて、ここ三年ぐらいの熱水あるいは水の浸透、これに限った基礎データだけであるということをはっきりお答えして、万々にもこれが足かかりになってずるずるといくということはないということだけははっきり申し上げておきます。どうぞひとつ、先生方がどうも不安だというのでは地元も不安がりますので、まず地元選出の両先生には特に、私はうそを言わない男でございますから、御心配のないように、きっかけになるということは一切ないということだけははっきりお答え申し上げておきます。
#123
○安井委員 それから後ずっと将来、適地であるというようなことはまあない、まずまずない――さっきおっしゃった、まあとか、まずまずとかいうのがちょっと気にかかるものですから、それはいつまでもあなたは科学技術庁長官であられるわけではないし、あるいはもっとたったら総理大臣になるかもしれないし、まあ先のことはわかりませんけれども、語尾のあいまいさはやはりきちっと明確にしておいていただきたいと思いますが――。
#124
○中川国務大臣 これは、決める段階ですと、ないとはっきり言えるわけなんです。私はいま決める権限を持っておらないものですから、決める段階ではないので、五年先、十年先、二十年先の人が判断するわけですが、私がないと言ってみても、将来の人が決めることだからという意味で、私は正確に物を言う意味で申し上げているので、これはもうないと判断していただいて結構でございます。
 これは先ほどから言うように、一般的な原理から言っても、鉱山跡地というようなものは不向きである。ただ、輝緑岩に着目しての基礎データであるということで申し上げているので、まずないと言うたからあるのかもしれぬ、やる気持ちがあるかもしれぬというふうに受け取らないで、これは本当に決める段階なら、私はないとはっきり申し上げますが、先々の人が決めることを、私が先々を先取りしてここでいたしませんと、こう言ってみたところで意味のないことですから、意味のないことを申し上げないというだけであって、まずない。まずということをつけるから――何と表現したらいいんでしょう、やることはないと見ていただいて結構でございます。
#125
○安井委員 そのまずがまだきちっとしないような気がしますけれども、私の時間がないようですから、あと二点だけ伺ってきょうは終わりますが、もう一つ伺っておきたいのは、低レベル廃棄物の海洋投棄の問題ですが、これもミクロネシアの反対が激しくてなかなかうまくいかないで、閣議も大論争があったというふうに新聞も伝えておりますけれども、どうなんですか、見通しは。
#126
○中川国務大臣 まず最初に、閣議で大論争というのは新聞の見出しでして、ただ鯨岡大臣から、二百海里の問題が海洋法会議で決まる段階に廃油の問題について国際間で自粛するようにという意見と、もう一つは、藤尾労働大臣から、南の国々に十分説得をしてやるようにした方がいいですよ、こういう御指摘があったまででございまして、これは当然の御指摘でございます。われわれとしては、海洋投棄は国際的にももう定着いたしておりますし、いま投げようとしておる地域も決して南太平洋地域の庭に投げるのではなくて、向こうから千百キロ、東京から九百キロの、むしろ中間地帯より日本側であるということ、したがって被害をこうむるとすれば、一番被害をこうむるのは日本の漁民でございますから、日本の漁民の皆さんに納得してもらわなければなりませんし、また中間地点よりこちらにあるとしても、南の国々の皆さんにも納得してもらわなければいかぬということで、数次にわたる調査団を派遣して事情説明を行っております。安全性については大分理解を持ってきてくれておるのではないか。言ってみれば、いま日本の発電所に二十六万本分も陸上に置いて、私も現場に行って、ドラムかんに抱きついてもほおずりしても一切害のない、どこへ置いたって安全なものなんです。しかも海底四千メートルのところに置けば、井戸もない地域でもありますし、岩石となってしまう、こういう判断であること。それに対して南の人が、いやそんなに安全ならば、先ほどの話じゃないけれども、北海道の中川さんの選挙区に持っていったらどうですかというような飛躍した議論になります、
 そこで、その点については、どこへ投げてもいいのだけれども、国際基準、国際監視があって、やはり一番人類の手の届かないところに置くのがいい、その地点がいまお願いしているところである、この点をあらゆる段階を通じていま説得中でございます。まだ最終了解を得られておりませんが、そういった方向で今後粘り強く、納得のいった上で試験投棄、そして本格投棄、こういうふうにいきたいと思っております。
#127
○安井委員 もう少し詰めたいところですけれども、もう余裕がなくなりましたので、最後に通産省からもおいでいただいていますね、――あの下川鉱山、いま問題の鉱山はいま人員整理やその他で廃鉱寸前のような状況にあるのは御承知のとおりであります。これは金属鉱山全体の運命なり宿命といいますか、それによく似ているわけでありますけれども、とにかくいまの状況の中でも何とか山がさらに開発が進んでいけるように、そしてまた従業員がもっと安心して働けるような場ができる必要があると思うのですが、政府としてさらに御努力を願いたいと思うのです。その点、どうですか。
#128
○山梨説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘のございましたように、下川鉱山は現在経営状態がきわめて厳しいわけでございまして、現在の操業状況を相当縮小するという方向で労使間の話し合いが行われていることは御存じのとおりだと思います。
 それで、下川鉱山地域につきましては国の広域調査というものを四十一年から四十二年度まで実施したわけでございますが、その結果、若干詳しく調べたら有望地域があるかもしれないというような地域を見つけまして、四十四年度以降二次にわたりまして、さらに具体的に地域をしぼりまして精密調査を実施したわけでございます。実はこれは今年度まで実施してきたわけでございますけれども、残念ながら余り有望な地域を発見するに至っておりません。このほか鉱山自体といたしましても毎年探査事業をやっておりまして、これに対しましても国の方から年間約八千万円ほどの補助金を出してきております。きておりますが、残念ながら現在までのところあの地域で操業を続けられる、少なくともいまの規模で操業を続けられるというような鉱量を発見するに至りませんで、したがって、現在ある鉱量をいまのままの規模でやっていくと寿命が相当短くなるというようなこともございまして、規模を縮小して当面延命策を図るというのが、先ほど先生申しましたように鉱山の宿命と申しますか、いまのままでいったら鉱量が尽きるときに鉱山が尽きるということにならざるを得ないので、当面縮小して延命策を図るということで話し合いを続けているという段階でございます。
 当面縮小せざるを得ないわけでございますけれども、その規模に応じまして、さらに探鉱作業というものは鉱山の命脈の尽きるまでやるというのが経営の本質でございますので、会社側に対しましても、その探鉱作業をなお精力的に続けるよう私どももただいま話をしているわけでございまして、会社側もその決心でおるというふうに聞いておるわけでございます。したがって、全然あきらめてしまっているということではございませんで、規模は縮小いたしますけれども、それなりに探鉱作業を続けていきまして、もし有望なものが見つかりましたらさらに今後の発展に結びつけるという方向を考える、そのときを期待していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#129
○安井委員 山自体の問題もありますし、日本の金属鉱業政策全体のもっと思い切った転換も必要ではないかと思います。国内資源の有効な活用というのは非常に重要なので、何かそんなような弱みにつけ込んで放射能の調査が始まるなんということでは困るわけです。山自体の存続、発展のためにも政府の御努力をさらにお願いしておきたいと思います。
 終わります。
#130
○塚原委員長代理 草野威君。
#131
○草野委員 私は、先日長官の方から所信表明が行われましたことについて、何点かお伺いをしたいと思います。
 その前に、きょうはエネルギーの需給関係につきまして、通産省においでをいただいておりますので、まずお伺いしたいと思います。
 昭和五十四年八月に発表されました長期エネルギー需給暫定見通しては、昭和六十五年度における石油の依存度は五〇%を目標にする、このような政策努力目標が出されているわけでございます。それに関連してきょうお伺いしたいことの第一点は、昭和五十六年度の石油供給計画は、わが国の石油政策、産業政策に対しましてその指針ともなるべき重要な問題であると思いますけれども、その五十六年度の石油計画の策定方針の見通しなりまた考え方につきましてお示しをいただきたい。
#132
○浜岡説明員 お話のとおり、石油業法に基づきまして毎年度先行き五年間の供給計画を策定することになっています。五十六年度から先行き五年ということになりますと六十年度までにまたがるわけでございます。現在そのための作業を開始いたしておるところでございますが、御承知のとおり、五十五年度あるいは五十五暦年の石油需要が非常に低い水準になっておるわけでございます。ただ、このレベルにつきましては、消費節約意識の浸透ということに加えて、予想外の景気後退でございますとかあるいは冷夏の影響というような特殊要因が重なっておりまして、現在五十五年度の実態解明を急いでおるところでございます。
 これを踏んまえまして五十六年度以降の供給計画を策定するということにいたしておりますが、現在の段階ではまだ具体的な数字をデッサンするというところに至っておらないわけでございます。ただ、五十五暦年の石油輸入量につきましては、多分五百万バレルから五百十万バレルの間の線に落ちつくのではなかろうかというぐあいに見ておるわけでございますが、いま少し実態解明を急ぐ必要があろうというぐあいに考えております。
#133
○草野委員 ただいまお話しございましたように、五十五年暦年の見通しが五百万ないし五百十万バレル、このような見当になりそうでございますが、最近の新聞等の報道によりますと、五十五年よりさらに五%程度抑制されるのではないか、こういうようなことも言われているわけでございます。
 そこで、昭和五十六年度から五年間、すなわち昭和六十年度の輸入目標につきまして、どのくらいになるかわかりませんけれども、たとえば、一般的に言われておりますように五百七十万バレル程度に抑制することになりますと、これは東京サミットで合意されました日量六百三十万バレルの輸入目標に対しまして大幅に下方修正をしなければならぬ、こういうことで、先ほど申し上げました長期エネルギー需給暫定見通しも修正をしなければならないのか、その点についてまずお聞きしたいと思います。
#134
○浜岡説明員 六十年度の数字につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、まだ具体的な数字のイメージを描くに至っておらないわけでございます。ただ、この前後の年度になってまいりますと、陸上の国家備蓄基地等の稼働も始まるというような要因もございますし、それから石油供給計画でございますので、節約等が不幸にしてフルに達成されなかった場合のアローアンス等々も勘案する必要があるものでございますから、いろいろな角度から現在検討いたしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、ある時期にこの数字を確定をしていく必要があるというぐあいに考えておりますが、現在の段階でははっきりしたイメージを持っておりませんので、暫定見通しにつきましていまの段階でどういう方針をとるかということは確定をしておらないというのが現状でございます。
#135
○草野委員 いろいろな要素があると思いますけれども、五十五年度の実績、またこれから五十六年度がいろいろと策定をされる予定になっておるわけでございますけれども、昭和六十年度の当初の石油輸入量六百三十万バレル、これを前提としてつくられているわけでございますけれども、もしこれが大幅に下方修正される、このような事態になった場合でございますけれども、やはり昭和六十五年度の石油代替エネルギーの供給目標、これもすでに発表になっておりますけれども、この石油代替エネルギーの供給目標につきましても、やはりこれは修正をする必要が出てくるのじゃないか、まあこれは仮定の問題として申し上げるわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
#136
○川田説明員 お答え申し上げます。
 いま御指摘の石油代替エネルギーの六十五年度におきます供給目標につきましては、わが国の脆弱なエネルギー供給構造にかんがみまして、官民挙げて、できるだけ早くかつ大幅に石油代替エネルギーの開発導入を図ろうという見地から作成をいたしたものでございまして、現時点では、私どもこの達成に向けてひとつ官民挙げての努力をできるだけ傾注していって、この達成を図りたいものだというふうに考えておるところでございます。
#137
○草野委員 大臣にお伺いいたしますが、ただいまもお話しございましたように、昭和六十五年度の石油代替エネルギー、これの目標については総力を挙げてやっていくというわけでございまして、そういたしますと、原子力の場合、六十五年度の目標は五千百ないし五千三百万キロワット、こういうふうになっているわけでございますけれども、これは私どもも非常にむずかしい、困難な問題がたくさんあると思いますけれども、この実現につきまして、単なる努力目標とされていらっしゃるのか、また願望なのか、それとも実現できるというはっきりした根拠をお持ちになっているのか。エネルギーを担当される大臣として御見解を承りたいと思います。
#138
○中川国務大臣 御指摘のように、長期目標では原子力発電を五千百から五千三百万キロワットにしたい、ところが、いまのところではなかなかむずかしいのではないかと言われておるのが実態でございます。そこで、そういうむずかしい実態ではあるけれども、何としてもやらなければならぬということで、まあわが党にも立地のための特別の会合ができておりますし、また、来年の予算でも立地のための電源特会の改正も行う等、あるいはまた安全性についてさらに地元の説得を行い、地元の協力を得る、万般の策を講じて、何としてもこれを達成したい、最善の努力を払おう、こうしておるところであり、まあ努力していけば私は実現不可能ではない、こういう気持ちも持ちながら取り組んでおる次第でございます。
#139
○草野委員 一生懸命努力をされるということでございますが、昨日も予算委員会におきまして田中通産大臣からこの問題につきまして御答弁があったようでございます。それによりますと、通産大臣は、六十五年度におきまして五千万キロワットは達成できる、このように報告を受けておる、こういうような御答弁だったようでございます。それには稼働率を上げることがまず必要である、こういうようなお話でございますけれども、現在の計画によりますと、五千百万キロワットの場合で稼働率は六五%、このようになっているようでございますが、それが、五千万キロワットなら何%の稼働率が必要になってくるか、これはエネルギー庁の方にひとつ――。
#140
○高橋(宏)政府委員 昨日通産大臣が五千万キロワットというお話をされましたけれども、大臣がお話しされましたのは、電気事業用の発電において五千万キロワットという趣旨で話されたかと思います。これに研究用、自家用の施設等含めまして五千百万キロワットを達成するという目標には変わりがないということをちょっと御説明さしていただいておきます。
 そこで、いま御指摘のように、原子力開発をやる、それが石油の依存度を減らすということになりますと、結論はどれだけの電気を発生するかということになりますので、どれだけの設備をつくるかということと、その発電所を稼働率よく動かすか、この二つが重要な課題になろうかと思います。そういたしますと、五千百万キロワットの場合二千九百二十億キロワットアワーを発生するためには、計算をいたしますと約六五%の稼働率になる、こういう計算でございますので、ちょっと私いま計算をしておりませんけれども、五千万キロワットの場合にはこれが一%あるいは二%上がることになろうかと思います。計算結果は、単純な式でございますので、ちょっと係の者に計算さしてお答えいたしたいと思います。
#141
○草野委員 先ほどもお話しございましたけれども、現在稼働中の原子力発電所は二十一基で全部で千五百万キロワット、現在建設中のものが七基、それから電調審を通りまして建設準備中のものが七基、合計十四基分、千三百万キロワット分、これがすべて昭和六十年までに完成できる、こういうふうになっておりますけれども、私もこれについてもやはりいろいろな問題があると思いますけれども、この六十年度までの合わせて二千八百万キロワット、これの達成について大臣はどのような御見解をお持ちですか。
#142
○高橋(宏)政府委員 お答えいたします。
 いま御指摘のように、現在二十一基、約千五百万キロワット動いておりますが、そのほかに建設中のものが十一基、約一千万ございます。これらにつきましては、それぞれオンスケジュールで建設が進んでおります。すでに一部の発電所は試運転、電気を発生いたしまして試運転中でございます。さらに、建設準備中のものが三基、三百万キロワットございますが、すでに許可済みで、工事計画の審査中のものとか、あるいはすでに二次ヒヤリングを終わった地点というものでございまして、私どもは、これらの合わせまして三十五基、約二千八百万キロワットは目標どおり昭和六十年度中には運開できるものと思っておりますし、その線に沿いまして努力いたしているところでございます。
    〔塚原委員長代理退席、委員長着席〕
#143
○草野委員 ただいまのお話のとおりに、現在稼働中のもの二十一基、建設中、準備中全部合わせて三十五基、これが全部稼働したとしても二千八百万キロワットになるわけでございますけれども、そうしますと、長期目標の五千百万にあと十年間で二千三百万キロワット、これだけの原子力発電所を新たに建設しなければならない、このようになるわけですね。
 これの具体的な見通しにつきましてお話しをいただきたいと思いますけれども、この残りの二千三百万キロワットの中で、すでに電調審を通過していなければならないもの――現実には全部がまだ電調審を通過していない。いただきました資料「要対策重要電源一覧」これによりますと、原子力地点が十二地点示されておりまして千六百四十五万キロワット、この中には十八の原子力発電所が出ておりますけれども、その中で電調審にかかっているものが七基でございますので、それ以外の十一基についてはまだ電調審にもかかっていないという段階である。また、電調審にかかっている中でも、豊北原発の場合には六十七年の十一月という運用開始の目標になっておりますので、六十五年度にはまだ間に合わない。また、この電調審にかかってない十一基につきまして、これの出力を合計いたしますと、一千万キロワット、このようになっているわけでございます。したがって、残りの一千三百万分につきましては、現在どういうような計画をされていらっしゃるのか、この点についてひとつ明らかにお示しをいただきたいと思います。
#144
○高橋(宏)政府委員 お答えいたしますが、その前に先ほどの稼働率でございますが、約一・三%ぐらいだそうですから、六六・三、四%ぐらいになろうかと思います。
 次に、いまのお尋ねで、五千百万キロワットを達成するためには今後六十五年まで二千三百万キロワットほど不足する、これの具体的な見通しいかん、こういう御質問かと存じますが、そのとおりでございまして、私ども、この二千三百万キロワットの達成にはこれから全力を注ぐわけでございますけれども、これらの数字につきましては、個々の地点の積み上げで目標を決めたというものではないわけでございます。今後地点がそれぞれ具体化するにつれましてこの数字が埋められていく、こういう目標になっておるわけでございますが、ただいま先生も御指摘になりましたが、この中にはすでに一部電調審を通過しておるものもございますけれども、いろいろな段階のものがございます。たとえば、第一次公開ヒヤリングを終えまして電調審にかかる寸前のもの、かけようと計画しております寸前のもの、それから環境調査というのをやりますけれども、それをほぼ終わりまして地元縦覧をしておるような地点、こういうものが済みますと今度ヒヤリング、こういう順番になるわけでございますけれども、さらには現在環境調査をしているもの、さらには、そういう問題につきまして地元と話をしている地点、こういうぐあいに、たくさんそれぞれの開発の進捗のレベルに応じた地点がございまして、一概に言えませんが、それにいたしましても、この二千三百万キロワットをここ数年間のうちに電調審にかけて持っていくということは大変な仕事でございまして、先ほど中川大臣のお話もございましたけれども、諸施策をやりまして何とかがんばる、こういうことかと存じます。
#145
○草野委員 何とかがんばるというお話ですけれども、大臣は先ほど、五千百万何としてもこれは達成するようにするんだ、こういうお話でございますけれども、ただいまのお話のようにあと二千三百万キロワットということになりますと、これはこれから十年でどうしても達成しなければならない数字。ざっと見ましても、出力百十万キロワット級の大型原子炉、これの約二十一基分ぐらいに当たると思いますけれども、これについて、現段階で電調審を通っていたとしても、少なくとも十年かかる。それがまた電調審にもかかっていない、こういう現状ですね。そういう中のいまのお話でございますので、六十五年にこの目標達成はかなりむずかしいんじゃないか、このように思わざるを得ないわけでございます。
 さらに、いまいろいろと問題になっておりますけれども、この原子力発電所の計画から運用開始までの期間が非常に長過ぎるという問題が話題になっております。たとえば電事連の会長さんの談話によりましても、原子力発電所の計画から電調審にかかるまで約五年くらいは最低かかるであろう、電調審から着工までで約四年、着工から運用開始までが約六年、これをずっと算術的に計算しますと十五年もかかるということでございます。こんな十五年もかかるということになりますと、現状でこのままいけば、六十五年度で五千百万キロワット達成なんというのは、これはもう本当に絵にかいたもちみたいな状態になるわけです、こういう現状の中で、大臣は、何とか目標を達成できる、このようにおっしゃっておられるわけでございますので、何かいろいろなお考えを持っていらっしゃると思うわけでございますけれども、そういう点についてきょうはお話しいただきたい、こういうことでございます。
#146
○中川国務大臣 確かに御指摘のような過去の実績、話が始められてから運開まで約十五年くらいありますが、工事期間もかなりモデル化してくるというのですか、当初は六年くらいかかったのがいま五十カ月ですか、四年少々、五年足らずということになっていくでしょうし、それから、まず何といっても地元が納得してくれるということが一番早道でございます。ここは一番のネックになりますので、先ほど申し上げた電源特会によって地元還元メリットというもの、特に電気料金を安くしてもらわないことにはという反対が非常に強かったようであります。電気料金は安くできなかったけれども、それに似た政策も講じ、地元の理解、協力を得る、このことが達成できるというか、やらなければならぬ一番のポイントだと私は思います。この辺に最大のウエートをかけ、そのほか、安全審査が長過ぎるという議論もないわけではございません。しかし、安全性というものは大事でございますから、早めなければならないけれども安全性を損なうということは、これはもう聖域でございますのでその点はそう努力はできませんが、できるところがあったらばやっていくということも含め、それやこれや、あらゆる手段を講じて総合的に早くできるように、目的内にできるようにしたいものだと思っておりまして、特に手のうちに何があるというものではございません。
#147
○草野委員 ただいまのお話の中で、あらゆる手段を講じてもということでございますが、大臣もちょっとおっしゃったように、原発の立地手続の短縮という問題につきまして、そういうものも含んででしょうか。
#148
○中川国務大臣 すべてを含んでございます。
#149
○草野委員 通産省の方は見えていらっしゃいますか。エネルギー庁だけですか。どなたかお答えいただきたいと思います。
 新聞の報道によりますと、このような記事でございますが、「通産省は原子力発電所の立地を促進するため、電力会社が原発立地を地元に申し入れてから着工するまでの立地手続きを簡素化する方針を固めた。」こう具体的に何項目か出ているようでございます。これは事実でしょうか。
#150
○高橋(宏)政府委員 私どもも、電源立地を円滑化するためには諸手続につきましての実態把握、その迅速化ということが一つのポイントであろうかというぐあいには考えております。そこで、私どもは、内部に研究会を設けまして、こういった問題のまず実態把握から勉強していきたいというぐあいに考えておりますが、簡素化という表現は当たっておらないと思います。私どもは、必要な審査等の手続は当然十分慎重にやるべきでございまして、たとえばそういうものを、並行審査といったようなことの可能性、そういうことによる効率化、円滑化ということができるかどうか、こういった角度から勉強していきたい、こういうぐあいに考えております。
#151
○草野委員 目下いろいろ検討している最中ということでございますが、この中の第一項目につきましてこういうふうに出ておりますね。「電源開発調整審議会の認可を受けて行う原子炉などの安全審査を電調審の認可前から開始する」こういう項目が第一項目で出ておるようでございますけれども、この点についてどのように検討されていらっしゃいますか。
#152
○高橋(宏)政府委員 安全審査というプロセスが原子力発電所を立地する中で非常に重要な位置を占めているということは申すまでもございません、特に、この原子力発電の開発推進に当たりましては安全性の確保ということが非常に重要でございますので、この安全審査の件につきまして手続上どうするかという問題は、いまお話ししましたような安全性の確保が非常に重要であるということを十分踏まえながら、今後慎重に検討してまいりたいと思っております。いま先生がお読みになりましたようなことを現在すでに方針として決めたというようなことは全くございません。
#153
○草野委員 しかし、このように報道されておりまして、通産省の内部におきましていまチームをつくってこのことをいろいろと検討されている段階のようでございますけれども、もしこのようなことを実施されるというふうになった場合、原子力関係のいろいろな法律がありますけれども、そういう法律の法改正、こういうものが必要になってくると思いますか、思いませんか、どちらでしょうか。
#154
○高橋(宏)政府委員 ただいまのところ、その必要性について私どもはそう認識しておりません。
#155
○草野委員 法改正の必要はない、このようなお話でございますが、この件につきましてもう少し伺いたいわけでございますけれども、このような形で行われる安全審査ですね、これが予備審査的な性格なら、電調審の後の安全審査に加えて、これは一層安全を目指すものだ、このように私どもは理解することができると思います。しかし、その電調審の決定、公表後三十日以内に利害関係者は意見を申し出ることができると、このように法で決まっているわけでございます。こういう手続を飛ばしてしまって、いきなり原子炉等規制法等に基づく安全審査を行うということは、関係者また地元住民を無視することになるのじゃないか、このような感じも持つわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。
#156
○高橋(宏)政府委員 そのような点も含めまして、今後の手続の研究会におきましては十分議論をし検討してまいりたいというぐあいに考えております。
#157
○草野委員 はっきりしたお答えがいただけなくて残念だと思いますけれども、このような事務手続を短縮したとしても、そのやり方が住民の反発を買うような結果になってしまったら、原発立地を促進するところかかえって反対の結果を招いてしまうと私は思います。したがって、こういう事務手続を変更するとか、またその簡素化をするとか、こういう場合にもやはり住民の同意を事前に得ておかなければならないことは私は当然だと思いますが、この点につきまして第二項目のところにこういうようなことが出ておりますね。「同型の原子炉を増設する場合は安全審査項目を減らす」おわかりですか。こういうようなことが出ておりますけれども、こういう点についてのお考えはいかがですか。
#158
○高橋(宏)政府委員 繰り返して申し上げますが、手続を簡素化する、必要な手続をしない、省くということでは全くございません。いま御指摘がありましたが、電源立地の、原子力立地の円滑化のための研究ということでございますので、地元の皆様方、国民の皆様方に納得いただける検討とその結果でなければいけないというぐあいに考えております。
 それから、同型炉に対します審査のことが書いてあるが、どうかという御質問でございますが、私どもはいろいろな意味でこの原子力発電所の機器類を標準化していくということの必要性を非常に痛感しております。その際、アメリカから導入しました技術そのもので標準化するということではございませんで、被曝低減とかあるいは稼働率向上、十分供用中検査ができるといったようなことを含めまして改良いたしまして、できるだけ日本の技術をベースにして改良いたしまして、その結果を標準化していこう、こういう考え方でございます。
 そして、標準化することによるメリットとしましては、それだけ機器の信頼性も上がる。先ほど申しましたようないろいろな利点がございますが、そのほかに、審査におきましても同じ設計の部分につきましては十分一度審査しておけばいい。その都度、かわるたびに新しいことを審査するよりは、一つのタイプをじっくり審査して、そのいいものは標準化していく。いいから、うまい結果が出たから、すぐまた次の機械をまたすぐよりよくしようというのが実は日本の導入後しばらくとっておった道でございまして、余りにもよりよく、よりよくということで次から次へと新しいアイデアを入れていったということが、一つには手戻りになった原因だと思っております。
 そういう意味で、標準化というものは、審査の効率化という点から見ましても、機器の信頼性向上という点から見ましても結構なことであろうというぐあいに考えておりますが、たまたまそういったことのちょっと舌足らずの表現が、そこに先生お読みになった記事になっておるのではなかろうか、そういうぐあいに考えております。
#159
○草野委員 この点につきまして科学技術庁の方にお伺いしたいわけですが、安全局長、お願いします。
 いまのようなお話でございますけれども、私どもが心配することは、同型の原子炉の安全審査の項目についていろいろ標準化されるということにこの理由があると思いますが、その安全審査の項目を減らすということになりますと、たとえば原子炉で一カ所でも故障があって停止するようなことになった場合、同型のすべての原子力発電所は停止をさせなければならない、こういうことになるわけですか。この点の解釈についてお伺いしたいと思います。
#160
○赤羽政府委員 まだ具体的な検討をしたことがございませんので正確にはお答えできないのでございますけれども、安全審査をいたします場合、原子力安全委員会はわれわれがその事務局を務めておるわけでございますが、機械だけで安全審査判断をできる場合と、その立地たとえば地震に対する強度みたいな個別の要素を加味して審査する面と両方ございます。全く機械だけで判断できる場合には、通産省の申しますように過去の判断結果あるいは計算結果というのを応用して作業が手短になるというケースは十分あり得ると思います。立地に固有の数字が入って計算されるようなものにつきましては、これは個別に検討しなければならないと思います。
 それから、トラブルが起きたあるいは故障が起きたという場合は、たまたま製作上のミスとか材質上の欠陥というものに基づく個別の故障であるか、あるいは基本的な性能、設計に基づく故障であるか、これは十分究明しないといけないと思います。そして設計に基づくような場合には、当然同型のよその原子炉にも対策を共通に講じなければいけないということは言えると思います。
#161
○草野委員 この問題につきましてもう一問だけ、お伺いというより確認をさせていただきたいと思いますが、この中にこういう要望が出ております。「原子力の安全、防災、再処理、廃棄物処理など原子力固有の問題について国の姿勢を明確に示し、一般の理解が得られるよう努めてほしいこういうような項目でございます。非常に抽象的と言えば抽象的でございますけれども、これも反対に考えてみますと、このような安全、防災、再処理、廃棄物の問題等につきましてまだまだ国の姿勢が明確じゃない、このように電事連の方々自身が受けとめていらっしゃる、このように受け取られてもやむを得ないと思いますけれども、こういう問題について、科学技術庁としてはどのような姿勢をお示しになるつもりですか。
#162
○石渡政府委員 防災あるいは再処理、廃棄物処理の問題につきまして、それぞれ原子力委員会あるいは原子力安全委員会の考えは明確にしているつもりでございますが、まだその辺が十分御理解を得ていないという御指摘かと思います。それぞれ段階がございますので御説明のむずかしい点もございますが、できるだけ明快にしてまいりたい、またいくべきであると考えます。ただ、電力事業者自体がそういうふうに考えているのだということになるとこれはまた別の問題でございますので、この辺は十分意見の交換をいたしたいと考えます。
#163
○草野委員 大臣にお伺いしたいと思います。
 次は、使用済み核燃料の再処理問題でございますが、この問題につきまして、東海再処理施設の運転延長の問題につきましては、昨年末から協議を行ってきて、本年の六月一日まで期間を延長し、新たに五十トン、使用済み燃料を追加再処理する、このような道が開けたということになったわけでございます。この問題につきまして、鈴木総理が五月の上旬に訪米されるということになっているようでございますが、この使用済み燃料の再処理問題について、レーガン政権は従来のカーター政権に比べましてかなり前向きになってきているというような報道もなされている中で、総理の訪米に際してこういうことが議題になるのかどうか。また、中川長官自身がこの問題を含めまして訪米をされる、こういうような予定はおありになりますか。
#164
○中川国務大臣 この問題は日米間の非常に大きな問題でございますが、まだこの問題に対するレーガン政権のはっきりした姿勢は聞いておりませんけれども、まあカーター政権よりは前向きではないかなという期待も持っておりますが、鈴木総理訪米時期が五月でございますから、その段階であるいはお願いしなければならないかなとも思っております。ただ、私がこの問題で行くというようなことは、いまのところ考えておりません。
#165
○草野委員 六月一日が期限切れになるわけでございますが、この期限切れというタイムリミットに対しまして今後どのように対処されていくのか、この点についての政府の御方針をひとつ承りたいと思います。
 また、核不拡散法の改正問題という話も出ておりますし、こういう中で、この使用済み核燃料の再処理につきまして、従来は量的な枠またその期限の問題、こういうことが細々といろいろ挙げられておりましたけれども、こういう量的な枠の撤廃とかまたその期限についても撤廃を求めるとか、こういうことを含めて政府はどのようにこれから対処されるのか、こういう点についてのお考えをひとつ承りたいと思います。
#166
○石渡政府委員 六月一日以降についての考え方でございますが、私どもは、動燃の再処理工場あるいはその次の第二工場につきましても、核不拡散という鉄則を守りつつ、日本としては自由にやりたいというのが基本的な考え方でございます。従来アメリカの態度は非常に厳しかったわけでございますが、この暫定延長と申しますか、六月一日までの延長に際しましても、たまたま政権の交代期ということもございましたが、日本が困ることが起こらないようにという基本的な態度で米側も対応してくれたわけでございまして、まだ新政権の基本問題に対する基本的な考え方、態度は明確になっておりませんけれども、少なくとも日本側の考え方というのは一貫しているわけでございまして、核不拡散と平和利用、特に再処理の日本の希望と申しますか、日本の事情によってこれが運転されるという基本的な考え方あるいは態度を持ちまして今後とも米国側と折衝してまいりたいというふうに考えております。
 いずれにしましても、今日の段階では米国新政権の基本的な態度、方針の決まりぐあいを見守っておうという段階でございますので、少し先の時点でまた何らかの動きが出てくるのではないかという状況でございます。
#167
○草野委員 この東海再処理施設の本格的運転開始ということで、わが国もいよいよプルトニウム時代に入った、このように言われておるわけでございまして、各国の日本を見る目は非常に厳しいものがいろいろあるのではないかと思います。こういう中で、いまも局長からお話しございましたけれども、わが国自体が非核三原則の厳守ということで、非核の決意というもので技術的また制度的にきちっと歯どめをかけていかなければならない、こういうことは非常に重要なことになってくると思いますが、この点についての大臣の御決意のほどをひとつ承りたいと思います。
#168
○中川国務大臣 確かに再処理をいたしますとプルトニウムができるわけでございますが、わが国は、御承知のように非核三原則であり、もう一つは核不拡散条約にも入っておりまして、この点は厳重な対処をしてまいりたいし、国際機関の監視機構もございますので、世界的にも誤解を与えないように万全を期して核不拡散と平和利用を両立させたい、こう思っております。
#169
○草野委員 もう一点大事になるのが安全性の問題でございますが、本格的な操業を開始した直後に次々と事故が発生した。先ほども安全局長からお話しございましたけれども、この事故原因につきましてもう少しお話をいただきたい。それからもう一つは、このトラブルにつきまして、いつから再開できるのか、再開の見通し。
 またさらに、これはどちらですか、六月一日までに九十九トンプラス五十トン、こういうふうになっておりますけれども、この再処理の見通しについて、こういうことを含めてお答えをいただきたいと思います。
#170
○赤羽政府委員 本格操業を一月十七日に始めましていろいろトラブルが起き、御心配をかけて申しわけないと思っております。
 その主なものにつきまして原因を現在調査中でございますが、わかりましたところを申し上げますと、最初に起きましたのが、使用済み燃料を溶解しました溶解液を移送するためにポンプがございます。ジェットポンプと申しておりますが、このポンプの前のパイプが詰まって、四基あるわけですけれども、三基が詰まってしまったという現象がございます。何かによって詰まったわけでございまして、そのうちの二基につきましては外から操作できる穴が設けてありますので、いまこれを導通するような作業を行っておるところでございます。
 さらにその次には、プルトニウム溶液が酸回収工程におきまして、間違って行くべきでないところへ行ってしまったということがございます。これは原因がはっきりいたしまして、薬品の添加の手順が悪かったこと、それからもう一つは、プルトニウムが来てないということを分析した結果、確認して次に送るべき工程が、順序が逆になって分析結果を待たずに送ってしまった。いずれも作業ミスでございまして、こういうことがないように厳重に今後の管理体制を引き締めていく対策をとっているところでございます。
 それから三番目といたしまして、酸回収精留塔、硝酸を回収する塔がございますけれども、そこでの加熱に使っております蒸気のパイプに穴があいていたらしくて、硝酸が蒸気系統に逆流してきたということがございます。これは単なる腐食によって全面的に起きたものなのか、あるいは材質の一部欠陥によって部分的に起きたものか、現在取り出して検査中でございます。それによって原因がわかり、対策も講じられる予定でございます。
 それからさらに、これは本工場ではございませんが、分析所におきまして停電があったときに、排風機がすぐに予備電源で始動しなかったということがございます。これは長い間排風機がとまっておりますと、たとえばグローブボックスなんかの圧力がプラスになって放射性物質が作業場へ漏れてくる可能性がございますが、短時間に回復いたしまして結果的にはそういう汚染事故は起きておりません。しかし、これにつきましても重要なポイントでございますので、原因を調査中でございます。まだはっきりしておりません。
 それから、再開の見通してございますが、それらの原因なり対策がはっきりいたしまして、加えまして操作ミス等もございますから、そういう管理体制あるいは再訓練についての手当てが全部完了した後に再開させたいと考えておりまして、いまいつ再開できるということを特に申し上げられる段階にございません。
 それから、補修につきましては、硝酸の回収塔の加熱パイプが局部的な修理で済むものなのかあるいは全面的な取りかえを要するものなのか、わかってからある程度の見当がつくものと思います。
#171
○草野委員 いまの安全局長の御説明を伺っておりましていろいろ感じたわけでございますけれども、ともかく何でこんなことでこんなつまらないトラブルが起きたんだろうか、こういうことをまた率直に感じました。この東海の再処理工場も、五十二年から開始されまして間もなく約一年半ぐらい、トラブルで運転がストップしたとか、また廃液を四トンも近くの川に流し込んでしまったとか、こんなようないろいろなトラブルがありました。県や東海村から立入検査、こういうような事態にもなりまして、非常に私どもも心配をいたしました。今回のこの事故等を見ましても、本当にもう少し慎重にやっていれば別にこんなトラブルは起きないんじゃないかなというような感じのする事故ばかりなんですね。たとえば一番ひどいのは、作業工程の指示を間違えて流してしまった、こういうものなんですね。本当に予想外の事故じゃないかと思うのですね、この間あれだけの大問題を起こしたスリーマイルアイランドの事故のあの教訓を一体どこまで生かしておられるのか。単に技術が未熟だけじゃなくて、かなり管理体制にも問題があるんじゃないか、私はこういうことを感じました。したがって、こういう点についてもう少し管理体制を含めて厳重にやらなければ、大変な事故が起きてからじゃ間に合わないと思います。またこのピンポールが生じたという問題についても、材質云々の話でございますけれども、こういうことはかなり事前に予測される問題じゃないかと思うのですね。こういうふうにして何年間も試運転をやってきて、いま本格運転に入った途端にこういうような事故が起きる。かなり油断もあるんじゃないか。どうか大きな事故が起きる前にこれからも十分にひとつ注意をして作業を進めていただきたい、このように要望いたします。
 時間がございませんので、次の問題に移りたいと思います。
 低レベルの放射性廃棄物の海洋処分問題でございますが、これも先ほどから議論がございました。この中で二、三お伺いしたいわけでございますけれども、国際手続、OECD・NEAに加盟する問題でございます。NEAの監視制度に近く参加をするということでございますが、これはいつごろ加盟をされるか、この目標等について、決まっておりましたらひとつお聞かせいただきたいと思います。
#172
○赤羽政府委員 海洋処分につきましては、昨年の衆参両院の附帯決議をいただきましたこともございまして、国際的な協調のもとでやらなければいけないという方針でございます。それにはロンドン条約だけではなく、OECD・NEAの監視制度に参加をしてこの監視を受け、なおまたこちらからも意見を出し、研究を進めるわけでございますが、そういった国際的な枠組みの中でやるということを基本方針としているところでございます。
 昨年十一月にロンドン条約への加盟が発効いたしまして、それに引き続く一連の手続としてNEAの監視機構への加盟も考えてきたわけでございまして、現在関係省庁との調整を進めているところでございまして、できるだけ早い機会に加盟したいと考えております。
#173
○草野委員 できるだけ早い機会に関係各省と協議をしてというようなお話でございますが、現在まだその日取り等が決定しておらないのは、関係各省間の合意が得られていない、たとえば外務省とか農水省とかいろいろありますけれども、そこら辺の合意が得られていない、このように受け取ってよろしいわけですか、もし何かそういう合意が得られない理由がありましたら、ひとつ理由をおっしゃっていただきたいと思います。
#174
○赤羽政府委員 御指摘のように外務省あるいは農水省のように関係する省庁はほかにもございまして、役所の機構でございますので、広い範囲にわたって詰めを行い、同意を得るということについてはやはり時間がかかるのはやむを得ないことかと思われます。特にNEAの監視制度に対する加盟が試験投棄の着手を決定したという誤解を与えないための根回しと申しますか、そういうことにやや時間をとってきた面もございますけれども、現在かなりの進捗を見ております。そう遠くなく加盟できるものと期待しております。
#175
○草野委員 実際問題として、このNEAに加盟すれば投棄に、海洋処分につながる、これが前提だと思います。したがって、各省でいろいろと足踏みする面もあると思うのですけれども、たとえば農水省の場合、国内の水産業界に与える影響もかなり多いのではないかと思いますが、特に二百海里に関係するミクロネシア、パプア・ニューギニアとかソロモンだとかありますけれども、ここら辺でカツオだとかマグロ漁、こういう漁業をやっているわが国の水産業界、これは相手国との話し合いがつかないうちに加盟なりまた投棄処分の通告なり、こういう事態になれば、ここでまた必ず相当大きなトラブルが出てくるのじゃないかと思います。
 そこで、確認しておきたいことがございますけれども、NEAに加盟するということは、これらの関係諸国と処分についての合意が得られる以前であってもNEAには加盟する、こういうことになりますか。それとも関係諸国と十分に合意が得られた段階でNEAに加盟し、そしてさらに投棄のためのいろいろな手続に入る、こういうことですか。どちらをとられるのですか。
#176
○赤羽政府委員 われわれとしまして、NEAに加盟することが必要な条件と考えております。その意味では海洋投棄を計画する段階ではまずNEAに加盟することが必要ということで手続を進めているわけでございます。ただ、NEAに加盟するということは、わが国が投棄するばかりではなくて、ほかの意味もいろいろございます。たとえば大西洋におきます投棄に立ち会うこともできますし、それから共通の技術基準の作成、改正に参加することもできますし、さらにより進歩した技術情報を交換するという意味もございまして、投棄の実施いかんにかかわらず、将来投棄を志す場合にはできるだけ早い加盟がまず有意義ではないかと考えております。加盟することがすなわち投棄を決定することではございませんで、新しい地点に対する投棄につきましては一年前にNEAに通告するという必要性はございますので、時間的余裕があるということもございますけれども、その通告にいたしましても、水産業界なり南方諸国の方々なり、大方の納得を得られた後でなければやれないわけでございまして、実際、投棄計画の決定と加盟とは直接関係づけておりません。
#177
○草野委員 時間が参りましたので最後にしたいと思いますが、いま局長がおっしゃったように、NEAに加盟することが即海洋処分につながることではない、こういうことでございますが、私はやはりこれはたてまえであろうと思います。したがって、いま外務省にいたしましても農水省にしましても、ロンドン条約の加盟に基づいてこのNEAに入るわけですから、これは基本的に何も異存がないことであるけれども、しかし現実問題として、NEAに参加する、これだけで関係諸国がどういう反応を示すだろうか、こういうことを非常に心配をしております。そういう意味で国内の水産業界に与える影響というものは非常に大きなものもあろうと私は思いますので、どうかひとつ投棄処分の件につきましては来年度も十分力を入れて誠意を尽くして交渉をされ、十分に相手国の同意を得るように努力されたいことを要望いたしまして、質問を終わります。
#178
○赤羽政府委員 昨年、四次にわたりまして、南方諸国に投棄につきまして説明に回ったわけでございますが、そのとき、相手との話し合いの形にもよりますけれども、わが国の投棄の前提といたしましてNEAに加盟して、共同の監視を受け、審査を受け、研究もしていくんだということは、すでにかなりの国に御説明してございます。
 それから、そういう話し合いを通じて日本の漁業交渉をどうしようという話は、まだ出たことはございません。要するに別の問題として考えてくださるというくらいの了解までは、こちらの熱意ある説明でできたのではないかと考えております。
#179
○草野委員 以上で終わります。
#180
○中村委員長 午後三時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時四十分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時八分開議
#181
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。和田一仁君。
#182
○和田(一)委員 科学技術政策の基本方針について少しお尋ねいたします。
 科学技術の振興というものは、これは経済発展の原動力でありますし、また、未知の世界のとびらをあける大変大事なかぎでもあります。そこには新しい未来が切り開かれていく可能性が非常にありますし、それが同時に人類の幸福と平和、そういうものに寄与するものでなければならないと思います。国民の生活向上に資するのはもちろんですけれども、同時に、人類すべてがその恩恵に浴して、共有の財産としてこれが開発利用されていくべきものだ、こういうふうに考えております。
 私は、わが国の科学技術のレベル、これは決して低いものだとは考えておりません、がしかし、すべての分野において最高のレベルであるかどうか、そういう水準で研究開発が行われているとも言い切れない、こう思うわけです。核融合、宇宙開発、海洋開発、ライフサイエンス、こういった分野において非常な可能な世界が目の前にあるわけでございますけれども、そういうものに向かって各国はいま競って一斉に走り出しております。したがって、この振興が非常に大事であり、また、大臣はその所信表明の中でも、石油やその他の少資源国である日本が、狭い国と、それから二十一世紀に向かって一億を超える人口を養っていくためには、何としても科学技術を積極的に振興し、科学技術立国を目指す、こういうことが不可欠だとおっしゃられた。私は全く同感でございます。
 そこで、一体その科学技術立国を目指すために、いま日本の科学技術のレベルというものを長官はどの程度だとお考えになっているか。大変先進的な立場にあるかどうか、どういうふうに御理解いただいているか、お聞かせいただきたいと思います。
#183
○中川国務大臣 わが国の科学技術はかなり先進国の中でも高いレベルにあるのではないか。そのことが今日のわが国の経済、貿易の拡大、自動車産業、テレビ産業等を伸ばした原動力だろうと思っております。ただ、わが国の科学技術は、どちらかというと外国の先端技術あるいは基礎技術を応用、改良、そしゃく、吸収、言ってみれば改良型の技術であったということが言えるのじゃないかと思います。そこで、今後としてはやはり創造的な、先端的な、基礎的な科学技術に取り組む必要がある。
 同時にまた、投資額から見ると、まだ世界先進国に比べて低い。現在国民総所得の二・二九%程度、これを当面二・五%ぐらいに、やがては三%ぐらいに持っていく努力をしなければならない。さらに、その総額の中でも国の占める割合が、諸外国が五対五であるのに対して、わが国では国が三、三対七という低いレベルにございますので、これをひとつ改善していく努力をしたい。
 おかげをもってことしの予算も、非常に厳しい財政の事情ではありましたが、科学技術庁の予算が九%、あるいは全体で見ても八・二%と非常に前向きになりましたし、あるいは科学技術会議の活用、そして研究を効果あらしめるための振興のための調整費、三十三億でありますが、こういうことに芽が出た、科学技術立国元年と言えるかどうかではありますが、気持ちとしてはそんな気持ちで取り組んでおるところでございます。
#184
○和田(一)委員 確かに予算を見ますと、大変厳しい事情の中で九%の伸び、これは科学技術に大変な力が入っている。同時に大臣の政治力も大変あった、こういうふうに理解しておりますが、しかしながら、科学技術立国を目指すというからには、学問の世界ではやっぱり基礎が大事だ。これは建物でも同じですけれども、大きな構造物をその上へ建てようとするならば、やはりその基礎というものがしっかりしていなければ、そこには大きなものは建たない。科学技術の面においても全く同じでありまして、基礎と応用あるいは開発というような、こういった区分は厳格にはできないかもしれませんけれども、そういった中で基礎に対する取り組みが従来も現在もまだまだ十分ではないような気がいたします。
 特に、いまおっしゃられたように、どうもいままで先進国の技術を導入して、そして改良、改善をしてきた。しかし、これからはそういった分野でいままでと同じようなやり方で、日本の科学技術が同じレベルで、あるいは凌駕して、科学技術立国を築くという段階ではもうない。やはり基礎を本当にしっかりと築いた上で新しい科学技術立国を目指してもらわなければいかぬ、こう思うわけですけれども、そういう意味で、いまおっしゃられましたまだ五対五にもなっていないんではないか、基礎、応用、開発という分け方をすると、どうも三、三、三ぐらいの感じで取り組んでおられる。こういった面について、これからどのようにこれを広げていかれるか。全体的な投資については、いまおっしゃられたように二・三ないし二・五に早くしたいというようなお話でしたけれども、これは国民の科学技術に対する投資だと思うのですけれども、政府自体の、いわゆる官学民の中で官がこれからそういった基礎のためにどういうような力を入れていくか、具体的にもしあればおっしゃっていただきたいと思います。
#185
○中川国務大臣 先ほども申し上げましたように、また、ただいま御指摘ありましたように、わが国の基礎科学あるいは先端科学、創造科学というようなものがおくれておった、そして改良型であったという指摘もございまして、ことし予算要求におきまして十億ほどお願いしたのですが、最終的には五億――基礎科学、創造科学をつくり上げる。この場合もう一つ大事なことは、官と民と学者と、官学民がやはり知恵を出し合える、こういう協力体制が必要であろうということで、新研究システムによる創造科学の推進ということで新しい科学の芽を出す、そういう意味でこの予算をお願いしているわけでございまして、まだスタートで五億程度でありますけれども、今後はひとつこの芽を大きく育てていって、先端技術、基礎科学というものに重点を置く方向を打ち出していきたい、こう思っております。
#186
○和田(一)委員 ぜひひとつ大事な点なので、基礎の方に力を入れていただきたい。外国から見ていてもやはり気になると見えまして、江崎玲於奈博士なんかも、ぜひその基礎に力を入れるという陳情をされているようでございますけれども、ぜひそういった取り組みをしていただきたいと思います。
 いまも長官のお話にありましたけれども、先進技術を取り入れてこれだけの経済発展をしてきましたけれども、非常に少ない資源で、そしてさらにその中でもエネルギー資源というのは乏しい。そういった中で私たちは新しい品物をつくって、そしてそれを有用に活用して今日の生活を享受しておる。文明もつくり上げてきた。
 しかしそのつくる手段を考えますと、非常に高温高圧、高い温度と高い圧力の中で素材を分解したり合成したり鍛えたりしながらつくってきている。そういう工業手段をもってきたわけですけれども、そういう中でやはり一つの壁が出てきているんではないか。ところが自然界の中では、バイオマスだとか光合成だとか、非常に常温常圧の状態の中で大変みごとな生産をやっているという面がございます。こういった動植物の生命のメカニズムに大変深い科学のメスが入るようになってきた。そういった新しい分野で、そういうメカニズムを利用して、新しい産業分野がいま開かれているわけですけれども、こういったバイオテクノロジーについて、これの将来をどういうふうに考えておられるか。あるいは日本の産業構造そのものが一つの大きな壁に当たってきている今日、産業界では非常にここへ注目をしているんじゃないかと思うのです。むしろ先進国などはそこに一つの活路を見出して、異常なほどにそこに力を入れている。したがって、非常な進歩が見られているわけで、このバイオテクノロジーについてどういうふうに見ておられるか、これをぜひひとつ聞かせていただきたい。特に、いまこういった工業技術が、資源やエネルギーや環境問題等で非常に行き詰まってきている今日、非常に新しい分野ではないか、こう思うだけに、ぜひひとつ長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#187
○園山政府委員 ちょっと事実関係等について、御説明をさせていただきたいと思います。
 先生御指摘のようにバイオテクノロジー、あるいは科学技術会議におきましてはライフサイエンスという言葉を使っておりますけれども、これが今後の技術領域におきまして非常に大きな発展を遂げる領域であるということが、すでに数年前から科学技術会議において議論なされまして、科学技術会議に担当の部会等をつくられたわけでございまして、昨年の八月でございますか、科学技術会議がライフサイエンスの総合的な推進方策という意見をまとめられておるところでございます。
 この認識といたしましては、まさに先生御指摘になりましたように、いわゆる従来の伝統的な生物学的手法に工学、物理、化学的な手法も取り入れまして、いわゆる分子生物学等の発展によりまして今後の生命現象を解明いたしまして、それをいろいろ実用的な面に活用していくということが基本でございますけれども、特に最近におきましては、非常に新しい医薬品の製造等につきまして注目されております遺伝子組みかえ、組みかえDNAというような技術も非常に進展してまいっております。したがいまして、このライフサイエンスと言っておりますところは現在非常に組みかえDNAが注目を浴びておりますけれども、この遺伝子組みかえだけでなくて、先生おっしゃいましたような生物の本来持っております機能を活用する、あるいはその生物が本来持っております機能を人工的にまねまして、これを工学的な応用に持っていくというようなこと、さらに、生物と自然のかかわり合い等の問題にまで発展する非常に広範囲な分野のものだというような認識のもとに、この科学技術会議が意見を出されたところでございます。
 これはそういう分野でございますので、もちろん大学におきます基礎研究それから各国立の試験研究機関、あるいは先生御指摘のように民間の産業界も非常に注目いたしておりますので、これらの全体が協力をいたしましてこのライフサイエンスを推進すべしという基調の御報告でございました。なお、遺伝子組みかえ等につきましては、やはり未知の領域でございますので、そういった面についての安全性の確保というようなことも踏まえてこういった新しい分野を推進すべしという基調の御意見が、昨年八月科学技術会議でまとまって提出されておるところでございます。
#188
○和田(一)委員 いまDNAの組みかえのお話が出ましたけれども、長官の所信表明の中で、このことに関してでしょうが「一層の推進を図るため、安全性の評価研究等を行う最高度の物理的封じ込め機能を有する研究施設の建設に取りかかる」というところがございますけれども、これをひとつ具体的に御説明をいただきたいわけでございます。これはまず、いつ、どこへ、どのようなものをということでお答えいただきたいと思います。
#189
○園山政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のこの「最高度の物理的封じ込め機能」を持つ実験施設、これは科学技術会議におきまして、先ほど申し上げました意見とは別に遺伝子組みかえ、組みかえDNAと言っておりますが、これの実験指針を作成されたわけでございまして、この中では、先ほど申し上げましたように余り科学的知見のない分野に取りかかるわけでございますので、したがいまして遺伝子を組みかえた場合にいろいろ有害な生物等が出てくると困るということもございまして、この組みかえDNAの実験をいたしますにはいろいろの制約条件をつけてございます。
 その中で、特に相当複雑な高度な実験をいたしますためには、先ほど申し上げましたP4レベル、これは物理的封じ込めのレベルで1、2、3、4と分けてございますが、最も厳しいP4というレベルの実験施設が必要であるということが示されております。しかしながら、日本にはまだこのP4レベルの施設が一つもございませんので、新しい遺伝子組みかえの実験の安全性の実証といったような実験を行います場合に、これができないということで相当な障害を来しておったわけでございます。
 これにつきましては、各省庁あるいは産業界あるいは学者の方々からも、ぜひこのP4レベルの施設を国の責任で国がつくれという御要望が非常に強いわけでございますので、五十六年度の予算におきましてこのP4施設を、科学技術庁の傘下にございまする理化学研究所、ここにライフサイエンス推進部というところがございますので、ここがめんどうを見ましてつくるということで予算を要求したわけでありまして、総額十数億かかりますが、おかげさまで初年度といたしまして五十六年度に四億円余りの予算をちょうだいしたわけでございます。これを私どもは筑波研究学園都市につくりたいということを現在考えておるわけでございまして、予算がお認めいただけました暁にはそういった手続をいたしたいと考えておるところでございます、時期といたしましては、来年度五十六年度から取りかかりますが、五十七年度に基本的な部分は完成したい。そして、先ほど申し上げました遺伝子組みかえの実験で安全性の実証試験等を行う必要があるものにつきましてはここで実施する、この施設は理化学研究所がお世話をしてつくりますが、いわゆる共同利用施設ということで学界、産業界、各省庁等にもお使いいただくという形で建設していきたい、このように考えているところでございます。
#190
○和田(一)委員 いまの御答弁の中で、これは理研のライフサイエンス推進部でつくる、場所は筑波学園都市である、この理化学研究所は埼玉県の和光にあるわけですけれども、つくられるP4はその埼玉県の和光ではなくて筑波の方につくられる、こういうことでございますね。
#191
○園山政府委員 そのとおりでございまして、これはただいま申し上げましたように各方面の共同利用の施設ということでつくります。御承知のように筑波研究学園都市にはすでに四十五機関、いろいろな研究機関がございますし、その周辺に民間の研究所等も来ておりますので、共同利用という立場からは筑波研究学園都市が最も適切であろう、このように考えておるところでございます。
#192
○和田(一)委員 いまの御説明で、P1からP4まで四段階の物理的封じ込めのランキングづけがされているようですが、ひとつわかりやすくP1はどの程度、P4はどの程度という、ごくわかりやすい御説明で結構ですが、おっしゃっていただきたいと思います。
#193
○園山政府委員 御説明いたします。
 御質問のP1からP4のPというのは物理的封じ込め、フィジカルコンテインメントのPをとったものでございますが、四段階に分かれております。いずれも基本的には、実験室の中で遺伝子を組みかえたりいたしますときに、そこの出てきましたものが外に出ないように、また実験者がそれによって危険にさらされないようということを基本にいたすものでございますが、まずP1レベルと申しますのは、普通のいわゆる微生物を扱うような施設と同じような実験室でございまして、実験終了後、実験者が手を洗ったり実験者そのものを消毒したり、あるいは実験に使いました器具その他を消毒したりということで微生物が実験室外に出ないようにするという程度のものでございます。
 次に、P2レベルとなりますとこれは若干高度になってまいりまして、実験室の中にセーフティーキャビネットという安全設備を設けることが要求されております。これは部屋の中にさらに実験場を囲いまして、その中で行います実験中にいろいろな水滴が飛んだりというようなことがその安全キャビネットから出ないようにするということでございます。こういったセーフティーキャビネットの設置がP2レベルでは要求されるというのが主なところでございます。
 さらにP3レベルになってまいりますと、ただいま申し上げましたセーフティーキャビネットというのが単なる箱だけではなくて、実験者が実験しますときに手を入れるだけの小さいすき間というところから手を入れて実験をするということがございますし、さらに実験室の中の気圧を若干負圧、陰圧――気圧を少なくいたしておきまして、外から空気は入るけれども中から外には空気が漏れ出ないというようなことが要求されております、それから、こういった段階では実験室に出入りいたしますときにもちゃんと前室が必要でございまして、とびらが二重になっておりまして、二つのとびらが同時にはあかないとかいろいろ細かい条件を十数項目つけてあるわけでございます。
 一番高度なP4レベルと申しますと、いまの部屋の中を陰圧にしておくというようなことは当然でございますけれども、さらにセーフティーキャビネットというものだけではなくて、グローブボックスと申しまして、箱の中に実験者は直接手を入れない、いわゆるグローブ、手袋がついておりまして、手袋の中に手を差し込んで実験をするということでございますので、外気とこのグローブボックスとの中とは全然遮断されておるというような設備が必要でございますし、さらにこのグローブボックスの中で実験に使いました機器等は、これを出しますときに非常な高圧な蒸気で滅菌消毒するということで、そこを通らないと外に出てこないというようないろいろな設備をつけたものでございます。
 これらのP1からP4というのは、先ほど申し上げました科学技術会議で決めましたガイドラインの中で、いま申し上げました十数項目といったような要求条件がそれぞれ決められておるものでございます。
#194
○和田(一)委員 伺いますと、P3くらいまではそうめんどうな施設ではないようですが、P4になると、これは予算から言っても十億要求されたのですか、それで四億とかいうお話ですから、相当の設備ではないかと思うのですね。ということは、この実験はそれだけのものを設備しないとやはり危険なんでしょうか。
#195
○園山政府委員 この遺伝子組みかえの実験につきましては、御承知かと思いますが、数年前世界じゅうの学者が集まりまして、こういう遺伝子組みかえということが技術的に可能になったけれども、それがどういう危険性をもたらす可能性があるだろうかということがはっきりするまでは一度自主的に研究を中断しようという申し合わせがございまして、その結果、各国におきましていろいろ知見を得て、そして実験指針、ガイドラインをつくって実験を再開したという経緯があるわけでございます。当初、全く未経験の分野ということでございますので、いろいろこの危険性につきまして心配されたわけでございますけれども、その後諸外国におきましてもいろいろ実験、研究によりますところの経験、実績が蓄積されてまいりまして、現在では、当初世界の学者が集まりまして一時中断しようというときに感じたような危険性はほとんどないという感じになってきております。したがいまして、この実験指針につきましても諸外国では相当緩和される方向に向かっているわけでございます。
 しかしながら、これはそれでは全く危険がなくなったか、あるいは全く安全であるかといいますと、そういうわけでもございません。つまり非常に奥の深いものでございますので、いろいろ有用であり、人間社会に非常に効用がある技術でございますけれども、そのためにはいろいろな組み合わせの遺伝子をある生物の細胞からとってきて別の細胞、バクテリアその他に入れるというようないろいろな組み合わせがあるわけでございますので、これを有効に活用していくためにはそれぞれの組み合わせにつきまして安全性を確認しておくということが大事でございます。したがいまして、御質問のように、そんなに大変な施設をつくらなければならないほど危険なことなのかという御質問に対しましては、現在のところ世界の学者の中で、それほど重大な危険性をもたらす可能性というものはないという方向になっておりますけれども、今後どんどん進んでいく領域でございますので、前もっていろいろな組み合わせにつきましてその安全性を十分チェックするということが必要であろうかと思いまして、そういう意味でP4施設を使っていくということで、危険であるからこれを使うというよりも、まだ科学的な知見が得られてない、わからない分野というものをやる場合にはできるだけ慎重を期すという意味で、こういった施設の中で新しいもの、未知のものにつきましては実験をやっていこうということでございます。
#196
○和田(一)委員 確かに未知の分野に対する非常に安全な配慮だろうと思うのですけれども、きょうの新聞を見ますと、科学者の方からこの実験のガイドラインの大幅な緩和の動きが相談されて、何とか緩和する方向へということが大きく出ておるわけですね。実際に扱う科学者の方はもうすでにそういう意見が強くて、むしろ研究の阻害になる、いまのガイドラインに従って研究をやっていたのではますますおくれてしまうのではないかというような感じじゃないかと思うのですね。これを拝見しますと、科学技術会議、これは総理の諮問機関ですが、これに対して遺伝子操作協議会、これは生化学会だとかそのほか十七学会が集まって相談しているところのようですけれども、そういうところが科学技術会議に対して近々そういう規制の緩和を申し出てくるという記事でございます。そして、いままでよりずっと緩和されるような中身でそういったことを、言いかえればこれは欧米並みぐらいに下げる、こういうことでございますが、一体、いま政府は新しい年度でP4をつくる、最高レベルの物理的な封じ込めをやるんだ、一方では、現場というか第一線にいる科学者は、逆に緩和してくれ、こういうことで、方向がずいぶん違うような感じなんですがね。それはどういうふうにされるのですか。これは結局、こういった現場の声を入れてつくるけれども、実際の操作にはガイドラインを緩めるという方向なのか、そうはしないで、やはりP4で厳重に規制をして開発してもらうという方向なのか、どっちなんでしょうか。
#197
○園山政府委員 お答えいたします。
 御指摘のように、けさの新聞に、遺伝子操作協議会というところが、ある種のまとめを行っておられることは私も拝見したわけでございます。この遺伝子操作協議会というのは、文部省が監督しておられます団体で、いろいろ遺伝子組みかえのことを研究しておられることは承知いたしておりますが、その中身、どういうまとめをされたか、これはまだ今回具体的には伺っておりません。ただ、先生御指摘のように、またあるいは先ほどちょっと申し上げましたように、諸外国で実験指針を緩めていくという方向にある、あるいはもうすでに相当緩めていることは事実でございまして、したがいまして、そういう中で日本の実験指針というのが相当厳しい状態にあるということは御指摘のとおりでございます。
 ただ、これの決め方につきまして、若干諸外国と違った点もございまして、わが国の場合の実験指針と申しますのは、これは先ほど御質問にもございました科学技術会議での御審議を経て、一昨年の八月に第一次のものが決まったわけでございますが、この決め方と申しますのは、安全性に関する知見が十分得られておって、かつ研究上の必要性があると認められます遺伝子組みかえ実験、これにつきまして、先ほど申し上げましたようないろいろなレベル、こういうものはP4でやりなさい、こういうものはP3、P2、P1というような決め方をいたしておるわけでございます。したがいまして、知見が得られてないものにつきましては基準を定めていない。これは勝手にやってはいけないということでございまして、これは国の監督指導――国の監督指導と申しましても、科学技術会議での専門家の学者の方々の御指導をいただいてということになるわけでございますが、そして実施する。つまり、基準が決められてない領域が非常にたくさんあるわけでございます。外国の場合、聞くところによりますと、逆にこういうものはやってはいけないというものだけを決めておるようでございますが、日本の場合には、そういうただいま申し上げましたような形で決めてございますので、科学技術会議で御審議がされました場合にも、ただいま申し上げましたように、安全性が確認され、かつ実験の必要性があるというものは、これを逐次追加していくという御方針でこの基準ができておるわけでございます。
 したがいまして、すでに一昨年八月に最初のガイドラインをお決めいただきましてから二回にわたりまして、この科学技術会議での御審議を経て改定をしているわけでございます。改定と申しますのは、ただいま申し上げましたように、いろいろ安全性が実証され、また実験上必要であるというものを追加していくという形でこの改定を行ってきたわけでございます。
 先生御指摘のように、学者の方々あるいは産業界から、いろいろもっと緩めよ、つまりこの基準の中にもっと多くのものを入れて、それを実験できるようにしろという御意見があることは確かでございますので、私どもはこの考え方によりまして、いろいろな研究、実験等の成果で安全性が実証され、そうして実際に実施する必要があるというものは、これからも追加していかなければいけないと考えておるわけでございます。これはいずれにいたしましても非常に専門的なものでございますし、科学技術会議で部内の最高レベルの学識をお持ちの方々に集まっていただいて御審議をお願いしておりますので、その場での御審議を十分に踏まえまして、この改定を慎重を期しながら、必要でかつ安全なものができないという事態がないように見直しを行っていくつもりでございます。
 なお、これは御質問の中にございましたが、P4レベル、P3レベルというものは、これを追加いたしました場合に、この実験はどのレベルでやるべきかということになるわけでございますので、必ずしも改定をいたしていきますとP4レベルが要らなくなるということではございません。さらに高度なものというのは、常に高度の封じ込め施設でやらなければならないというものが残るもの、こういうふうに考えております。
#198
○和田(一)委員 それでは伺いますけれども、この間二十日に、組みかえDNAに関する総合研究なるものを、科学技術庁新しく出されたわけですね。これも私は新聞で承知したわけですけれども、これは、かぜのビールスだとかB型肝炎のビールス、こういうものを、このDNAの組みかえ技術を利用して大腸菌で培養しよう、つくろう、いままでのようにビールスを培養できないB型肝炎もこれならいけるということで、これは科学技術庁として全く新しい分野に踏み込んでこられた、こういうふうに私は思うんですけれども、これについては、こういったP4などとは関係なく、大丈夫だという確信があってこういうふうにゴーのサインを出されたんですか。
#199
○勝谷政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生おっしゃいましたように、私ども昭和五十五年度から三年間の計画で特別研究促進調整費を使いましてワクチンの製造法を研究することにいたしております。
 ただいま先生が申されましたように、インフルエンザワクチンの生産につきましては、現在行っておりますのは三カ月程度必要といたしまして、ワクチンができ上がるまでには三カ月かかるわけでございます。しかし、この新しいDNAの組みかえ方式を用いまするならば、きわめて短期間に生産ができるわけでございます。大腸菌は三十分に一度分離し、拡大をしていきますので、猛烈な勢いでふえるわけでございます。したがいまして、インフルエンザが流行し始めました時期に、直ちにこのビールスに合いましたワクチンを急ピッチで生産をいたしまして、本格的な流行に対応することができるわけでございます。
 さらに、従来は、先生御指摘のとおり、人工的な培養が困難でございましたためにワクチンの生産ができなかった肝硬変等のB型肝炎ビールス等に対しましては、初めてこの技術を活用しました培養ができまして、ワクチンを生産することができるということでございます。私どもは、これをいたしますために、先ほど申しました特別研究促進調整費を支出いたしまして、厚生省、文部省の国立研究機関、大学を中心にいたしまして民間の研究機関の協力をも得まして、大腸菌によりますインフルエンザワクチンとB型肝炎ワクチンの大量生産技術に関する応用研究というものを、先ほど申しましたように三カ年計画で開始したところでございまして、五十五年度は三千四百万円、三カ年で約一億三千四百万円を使うことによってこれを完成したいと考えておるわけでございます。
 内容はいいけれども、これに対する安全確保は大丈夫かというお話でございますが、この研究の安全確保につきましては、遺伝子を組みかえる実験を実際に行いますのは、このチームでは大阪大学の医学部でございますけれども、大阪大学医学部におきましては、先ほど計画局長の方から説明いたしました、国が定めます「組換えDNA実験指針」というのがあるわけでございますが、この最高の封じ込め方法によりましてその安全性の確保を図ることとしているわけでございます。
 若干中身を申し上げますならば、同指針におきまして、自然環境下では生存能力が低くて安全な宿主となる微生物といたしましては、B1レベルというものとB2レベルというものの大腸菌がおのおの認められておりますけれども、この研究では、B1レベルに比べまして特に生存能力の低いもの、一たび外に出ますと直ちに消滅するというようなものでございますが、自然環境下では二十四時間後に一億分の一以下に減少する、こういうB2レベルの大腸菌を用います。したがいまして、外に出ました際には非常に安全性が高いというB2レベルの大腸菌を用いました上に、先ほど説明を加えましたP3実験施設、このB2については一番高いP3の実験施設を用いることによりまして、大腸菌が外部に拡散しないようにするということにしております。このP3実験施設は、すでに大阪大学に設置してあるわけでございます。この施設を使いまして、安全には万全を期すということにいたしたいと思っております。
 以上のとおりでございますが、先生御指摘もございますこの総合研究の安全性につきましては、十分に配慮をいたしまして、今後の研究の推進に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#200
○和田(一)委員 いま御答弁の中でちょっとわからないのは、B型肝炎のウイルスはいままで培養できなかったのができるようになったとおっしゃったのですが、これは培養じゃないでしょうね。いままでのインフルエンザウイルスは、これは培養はできたので、そこでそれを弱毒化して、それで生卵か何かでワクチンをつくることができたわけでしょう。今度は、このB型肝炎の場合にはそれができないから、このDNAの組みかえをやろう、こういうわけですよね。そうなると、一体この組みかえるもとになるウイルスですね、B型肝炎ウイルス、これを使うわけでしょう。これを使ってその大腸菌に植え込む、だからやはり非常に危険なんじゃないか。これが拡散していく心配はないのですか。それともこのB型肝炎ウイルスというものを使わずにやる方法が何かあるのでしょうか。
#201
○勝谷政府委員 従来のものは、ウイルス自体を培養いたしまして、ウイルスとその菌の抗体が全部できました中で有用な物質をその中から選ぶわけでございますが、このたびは、有用なDNAだけを引き抜きまして、そしてこれを大腸菌に植えつけるわけでございますので、そのようなものを手で扱わないという意味で非常に安全性が高いというわけでございます。
#202
○和田(一)委員 どうも私が聞いたのでは、B型肝炎のウイルスの培養というのが従来できないのだというふうに聞いていたんですよ。新聞にもそう書いてあるんですよ、できないのだと。だから、それを今度は培養でなくてDNAの組みかえによってそれでつくるんだ、だから早くできるのだというふうに理解しておるのです。そうなると、これはやはりB型肝炎ウイルスそのものを使うんでしょう。だから、そこに危険が出てくるのじゃないか、そういうふうに理解しているんですがね。
#203
○勝谷政府委員 従来は人工的な培養が困難でありましたために、ワクチンの生産ができなかったわけでございます。これを、このたびの組みかえ方式によりますれば、大腸菌等にワクチンを生産させるということになるわけでございます。それで、先ほど申しましたB2の大腸菌にP3の方法でやりますので、それが外に出ないということになるわけでございます。したがいまして、新しいものをつくるときは……
#204
○和田(一)委員 そうでなくて、植えつけるもとになるB型肝炎ウイルスをいじくらなければ大腸菌に植えつけられないのでしょう。組みかえできないのでしょう。そのB型肝炎ウイルスというものがこわい、危険だから。使う方の宿主の大腸菌は、K12というような弱い株で大丈夫かもしれないけれども、もとのB型肝炎ウイルスがこわい。それを切って大腸菌に植えるのだから、そっちをいじくるのに、こんなことでいいかと言うんですよ。大丈夫かと聞いているんですよ。
#205
○勝谷政府委員 おっしゃるとおり、従来はできないからやっていないわけですが、このたびはやるわけですから、ウイルスをいじる意味においては危ないというのはもちろんでございます。しかし、そのウイルスをいじって組みかえをいたすわけですが、それはそのP3の施設の中でB2を使っていたすわけでございますから、それ自体大丈夫なわけでございますけれども、さらに、一たび組みかえをいたしましてできたときは、そのできたものを今度は宿主に入れまして培養していくわけでございますから、その段階ではもうウイルスではなくて、新しい遺伝子になっているわけでございます。
#206
○和田(一)委員 それはよくわかるんですよ。できた大腸菌の方は、これはもうそんなに強いものではない。むしろそれを飲むわけでしょう。そこでできた大腸菌がつくってくれたその抗体のものをワクチンとして人間が飲むなり使うなり注射するなりするのだから、そっちじゃなくて、それをつくらせるためには、もともとB型肝炎ウイルスのDNAを切って、そして大腸菌に植えるわけですね。そのB型肝炎ウイルスそのものが非常に危険なわけでしょう。これは、お医者さんが自分で肝炎の患者の手術をして、もし手にメスでけがをして、そこから入っただけでもなってしまうというような大変強烈な菌なわけですから、それを切ったり何かする、それはたくさん扱わなければできないのでしょうから、たった一回それをやればいいのかどうか、その辺を私は、この大量生産をさせようという中で大丈夫かどうかという心配をしているわけです。
#207
○勝谷政府委員 最初の段階では少量、先生おっしゃるとおりのことをいたすわけでございますが、非常に注意しなければなりません。これを、先ほど申しましたB2でP3の状態でやることでよろしいという判定をいただいて、大阪大学でいたすことにしておるわけでございます。これは一定の基準のもとに学者が集まりまして、それでやってよろしいという判定をいただいておるわけでございます。
#208
○和田(一)委員 私も専門家ではございませんし、大丈夫だとおっしゃられるなら、それ以上私も心配する知識はないのですけれども、ただ、かつてペニシリンというものが発見されて、そのペニシリン以外たくさん抗生物質がつくられました。これは大変有益な薬として多くの人命を救ってきているわけですけれども、しかし、これは使い方がずさんであって、素人がやたらに飲んだためかどうか知りませんけれども、抗体ができてしまったという現実ですね。そういう意味で、大変有用性があり発展性がある分野だけに、企業がこういったものに非常に目をつけて、どっちかといえば過熱しているぐらいにこういうものの開発をいま急いでいるわけですよ。いいものだけに、これがもろ刃の剣というような両面を持っているのじゃないか。DNAの組みかえというものは、言いかえれば一番神秘的な生命の根源にメスを入れているような感じがするわけですね。それだけに、扱いそのものも、大変倫理的な問題まで含めて非常に大事な問題だと思うのですけれども、そういった中で基礎的な研究から企業化までの距離がなさ過ぎるという感じがするのですよ。実験室の試験管の中でこうやったらうまくできたということですぐこれが企業化されてしまうような、大量に扱われるような傾向がいまあるわけですよ。実際にこれは資本投資も、土地を取得して大きな工場を設備してというようなものでなくて、言いかえれば四畳半やそこらのマンションの一室でもやろうと思えばできるようなものだけに、これを政府が今度組みかえDNAに関する総合研究として予算をつけてやらせるというお考えの中にそういう心配をしていらっしゃらないのかどうか、その辺がやはりちょっと気になるのですよね。
#209
○勝谷政府委員 先生の御心配はごもっともでございます。私どもこの研究の推進に当たりましては慎重にも慎重を期して、御指示のように措置してまいりたいと考えております。
 ただ、この予算は企業化を進めるための助成金ではございませんで、先ほど申しましたように、大学、文部省さらに厚生省の国立の研究所を中心にこの勉強をいたしまして、この研究成果が三年間で上がりまするならば、その次に民間で実用化に入るということになろうかと考えておるわけでございます。御了承いただきたいと思います。
#210
○和田(一)委員 それでは、いまこのDNAの組みかえといったものは大変将来性があり、有用性もあり、開発性がある分野だけに、民間あるいは学界でも、これをやっている分野は非常に多岐にわたっていると思うのですよね。これは食料の面でもやっているし、医薬の面でもやるだろうし、あるいはエネルギーの面でもこれに取り組んでおる。そういういろいろな各分野でこの大変大事な分野についてやっておりますけれども、こういう時代になってきたら、情報を集めるだけでなく、やはり一つの窓口というか、そういうものをつくっていくべき時代ではないかという感じがするのですね。それをもしやるとするならば科学技術庁がやるべきだ、こういうふうに私は思うのですけれども、いまのまま各省庁が思い思いにやっていくのか、それともこういう時期になったのでこれを一つの窓口にして総合的な調整を図っていく、そのためには、公開という原則を踏まえて各分野でやっているものはチェックできる、そういうような一つの機構をもうそろそろ考えていいのじゃないかという気がしますけれども、そういう点についてはどんなふうにお考えですか。
#211
○園山政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、この遺伝子組みかえの技術と申しますのは、非常に基礎的な研究の成果というのが即実用性を持つということがございまして、非常に大規模に産業的に活用した場合に大丈夫かという御懸念があることも確かでございます。このために先生は窓口を一つにということでございますが、そういった考え方によりまして、先ほど科学技術会議での実験指針の検討だけ申し上げましたが、これは科学技術会議での答申というだけではございませんで、それを受けまして内閣総理大臣名によりまして国の実験指針という形でこれを位置づけまして、関係各省はもとより民間に対しましても、これは経団連等を通じまして、経団連の努力によりまして、あらゆる関係の企業等に対しましてもこれを全部通知いたしております。
 さらに、この実験指針そのものにつきましては、現在決められておりますのはそのいわゆる研究という段階を対象にいたしておりますので、これを大量に工業生産段階に結びつけていくというときにつきましてはざらに検討が必要であるということにいたしております。現実には二十リットルでございましたか、それ以上のものにつきましては、先ほど申し上げました考え方によりまして基準を設けてない、つまりそれは勝手にやってはいけないということにいたしておるわけでございます。
 これらは非常に進歩が激しゅうございまして、特にこの一年あたりは諸外国におきましてもどんどん産業に使っていく気配が出ておるということでございますので、現在この科学技術会議のライフサイエンス部会におかれましても、そういった段階についてどうすべきかということの御検討を始めようとしておられるところでございます。したがいまして、そういった御審議を踏まえまして、また現在の日本の国内におきます進展状況というものを見まして、どういう形で安全性を確保するようなシステムをつくっていくかということは私どもも今後十分に研究しなければいけない、こう考えておるところでございます。
#212
○和田(一)委員 時間がありませんので少し割愛いたしますけれども、そういったものが必要だというのは、やはりこれは外国の情報も必要だし、またこういうものを扱うのは、一つの国だけが厳重にやっていても、ほかが緩んでしまえば何にもならないわけですね。私が心配するのは、こういった外国での状況の情報がうまくとれているのかどうか。開かれた社会の国ではそれぞれ学者の交流もあるし、いいのだろうと思いますけれども、閉ざされた社会の国でどのようなことをいまやっているか、そういった情報をつかんでおられるかどうか。
 そしてさらに、P4というような施設が必要であるというのは、さらにさらに未知の分野において研究を進めていこうということでしょう。そうなってくると、ここにまたこの生物化学の中での新しい兵器の出現というようなことも、これはSFじゃなくて、現実にいまそういうことが考えられる時代なんですよ。それだけにこういうものの情報収集や管理、チェック、こういうものをやはり真剣に考えていくべき時期だろう。少なくもそういった取り組みを私はしていただかなければならぬと思う。そういうような感じがするわけですね。
 そういう意味で、よその国の情報やらそういったものを収集していく上でも、お互いに公開してチェックし合うというような方針を確立していく必要があるのじゃないか、国内的にもそういうことをやはりしっかりしていく必要があるのじゃないか、そういうふうに考えているわけなのです。その点について、外国での状況なんかわかればぜひお知らせいただきたいわけです。
#213
○園山政府委員 お答えいたします。
 外国の状況につきまして、米国あるいはヨーロッパにつきましてはいろいろ状況を把握いたしております。特に日米、日独、日仏といった間におきましてはこういう科学技術に関しましての協力の事業がございますので、そういう国際会議の場等を通じまして相当詳細に把握することができております。ただ、ソ連等につきましては、ソ連でもこのガイドラインをつくって、そこの中で進めているということを伝え聞いておりますけれども、詳細につきましては残念ながら把握できておりません。
 つきましては、先生御指摘のような点で今後諸外国の情報も十分収集いたしまして、またこの研究の進展というものを踏まえまして、あるべき姿、安全についても十分注意しながら、しかし有効なものは進めていくという形で対処していきたい、このように考えておるところでございます。
#214
○和田(一)委員 もっと伺いたいことがございましたが、時間がなくなりましたのでやめますけれども、この問題については、私も新しい分野で非常に大事だと思っておりますので、これからもまた機会がありましたらぜひひとつ御質問させていただきたいと思って、きょうはこれで終わりにいたします。ありがとうございました。
#215
○中村委員長 瀬崎博義君。
#216
○瀬崎委員 中川大臣は、最近機会あるごとに原子力発電所の推進を強調されておるわけですね。ところが、わが日本の再処理工場は、一月十六日でしたか十七日でしたか、政府のお墨つきをもらって営業運転に入った。われわれが早まったことをするなよといろいろ警告をしたにもかかわらず、営業運転に入った。ところが、二十日ほどの間に六回連続事故、故障を起こして、ついに運転中止のやむなきに至ったわけですね。原子力発電所を運転すれば当然そこに燃やし終わったウラン燃料が生まれてきて、それは核分裂生成物、俗に死の灰と言われるものを非常にたくさん含んでいて、きわめて危険で、それは当然のことながら後始末をしなければならないし、残っているウランやプルトニウムの再生を考えなければならない。俗に言われる核燃料サイクルですが、この確立がきわめて困難であることをいまの日本の再処理工場の実態が示していると思うのです。そういう中で原子力発電所を日常的に運転するということはやはり無謀ではないか、原子力発電所の推進を言うにしても、一番危険な死の灰の処理がきちっとできるようになって言うべきではないか、こういうふうに思っているのですが、大臣、再処理工場の実情を見ながらどうお考えですか。
#217
○中川国務大臣 東海村における再処理工場の事故については、たび重なっておりますから、まことに残念であり遺憾であり、申しわけないと思っております。
 ただ、それだからといって再処理が不可能だというわけではありませんで、安全性は守られておるわけですから、そしてまた第二工場等しっかりしたものをつくっていけばこの問題を克服できる。ましてやこの問題でもって原子力行政を見直すというようなことはこれはもうあり得ないことであって、いまやエネルギーの代替として原子力はわが国のみならず世界じゅうで安定しておりまして、フランスなんかでは共産党の人も非常に賛成している、こういうことでございますから、どうかただ一部の事故、故障を見て、やめろというような飛躍的な御意見を持たずに、これから先々の経済を考え、世界を考えますときに、これを安全なものにして推進する、こういうことで何とぞ御協力いただきたいと存じます。
#218
○瀬崎委員 日本の共産党はフランスの共産党と意見の違うところがまたこれいいところなのでありますが、依然として大臣は強気を示された。しかし同時に、営業運転に入るや否や短期間に六回も事故を起こした再処理工場の実態については、事重大だというお考えを表明された。
 当然私も国会議員として非常にこれを重視いたしまして、早速この再処理工場の調査に行きたいと思った。ところが動燃事業団の方から強硬に拒否をされました。一たん切符の購入までしたのでありますが、総務部長まで二日間にわたって出かけてきて、私たちの調査を阻止したわけです。大臣は昨年の臨時国会でも、動燃事業団というのは原子力基本法によって設立されている原研とともにたった二つの研究機関だ、だから率先して原子力三原則――自主、民主、公開を受け入れなくてはいけないのだということをお認めになっているのですね。国権の最高機関にいる国会議員が、事重大だ、調査に行きたいと言っているのを断っておいて、一体何が原子力三原則かと言いたいのでありますが、こういう態度について大臣の所信をぜひ伺っておきたいと思うのであります。これは、大臣が三原則を守らせるとおっしゃったのですから答えていただきたいですね。
#219
○中川国務大臣 自主、民主、公開は原子力行政の基本でございます。いま理事長に聞きますと、込んでおったのでしばらく延期をしてもらったのであって、秘密だから見せないというものではないと存じます。
#220
○瀬崎委員 込んでおったとは一体何が込んでおったのですか。
#221
○瀬川参考人 ただいま御質問にもございましたように、蒸発かんの故障等でその近辺が非常に仕事がごたごたして、外部からのお客さんがありますと非常に手数がかかるということでございまして、したがって、先生のお申し込みは非常に時間をかけてゆっくり見たいというふうなお話であったので、一応もうちょっと先に御視察いただいた方がいいのではないかという意味でお願いしたというふうに聞いております。
#222
○瀬崎委員 われわれはむしろ、大臣は安全に安全にということを強調されているわけです、そのもとでこういうことが起こるわけですから、そのトラブルの起こっている核心を調査するならしたいわけです。その一番大事なときを何とか外そうとする。これでは、何と弁解してみても、本当に公開の原則を受け入れているとは考えられない。同時にまた、われわれを単なるお客さん扱いするのも、これは態度としておかしいと思うのですね。今後はこういうふうなことがないようにするかどうか、これだけはっきりしてください。
#223
○瀬川参考人 従来もございましたが、再処理プロセスの機器の修理というのは非常に厳密な管理を要しますので、したがって、御視察いただく時間とかあるいは人数とかいうような関係で、その辺をにらみ合わせながら、その都度適宜、どの程度に、どのタイミングで御視察いただくかというのは、やはり現場の状況とにらみ合わせながら考えていきたいと思っております。
#224
○瀬崎委員 拒否ではない、しばらく待ってもらっているのだという理由ですから、また機会を見て早急にわれわれ調査に伺いますから、そのときの受け入れ体制は十分とっていただきたいと思います。
 現在の商業用の再処理工場の世界の状況なんですけれども、御承知のように、現在辛うじて動いているのはフランスのラアーグ工場だけなんですね。一月二十二日付の原子力産業新聞を見ておりますと、安久津再処理工場長がこう言っていますね。「ただひとつ稼働中のラアーグ工場と、じゅうぶん肩をならべる技術と実績だと思います」と、大変自画自賛なさっているのですよ。ところが、その直後に今度ラアーグは火災を起こしたし、動燃事業団の再処理工場はトラブルを起こして運転停止をした。まさに未熟ぶりで肩を並べたのではないかと思うのですよ。こういう点から考えて、いかに商業用再処理工場は困難なものであるか、こういう認識を持ってかかるのが一番大事なところではないかと思うのです。大臣も、科技庁が最終的にいろんな点検試験をするわけですが、そういう心づもりで臨んでいただいているのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
#225
○中川国務大臣 再処理技術というものは非常にむずかしいものであり、御指摘のようにフランスでは成功しておりまして、わが国でもこの技術水準に追いつきたいということで努力しておるわけでございます。ただ一点救われるのは、安全性については、機械ですから故障とかトラブルとかこれは避けられないものであって、安全性については、そういった故障、トラブルがあっても確保されておる、この点は高く評価していただいていいのじゃないかと思うわけです。
 そういうことで、故障があっていいというわけじゃありませんから、故障のないように、最善を尽くしてこの核燃料サイクルの完成を期したい、こう思っております。
#226
○瀬崎委員 時間の関係もありますから六件全部をただすわけにいきませんので、まずプルトニウム蒸発かんでの事故について、凝縮液受け槽にプルトニウムが流出した、この原因は何であったのか、簡単に述べてください。
#227
○中島参考人 原因は二つございます。一つは、プルトニウムの溶液の蒸発かんにおきまして突沸現象が起こりまして、そのために凝結液の受け槽の方に若干のプルトニウムが行ったということが一つでございます。それで、この突沸の原因につきましては、その蒸発かんにフィード、給液しておりますところの液の中にヒドラジンというのが入っておりますが、それと硝酸との異常反応があってやったというふうに考えております。
 それからもう一つは、その凝縮液受け槽を空にする場合、その中のプルトニウム濃度を分析して確認してから送るということだったのですが、その手順が守られていなかったということでございます、
 それで早速、対策といたしまして、そのプルトニウム、微量でございまして――微量といいますか数十グラムでございましたが、これはリワーク系にもう回収しております。それからいまの突沸対策につきましては、作業手順をさらに細かくしたということ。それからもう一つ、分析結果を見ないで送ったということにつきましては、この問題をもうちょっとシリアスに考えまして、班長が確認した上でその操作をするということに改めてございます。
#228
○瀬崎委員 プルトニウム蒸発かん内でのヒドラジンと硝酸の異常反応、なぜそういう異常反応に至ったのですか。
#229
○中島参考人 これは、その蒸発かんへの給液がやや多過ぎた、そのために部分的にヒドラジンがやや反応しないで残っていたというふうに考えております。
 それからもう一つ、実はこれは瀬崎先生、前に昭和五十年のときにもここで御質問がございまして、われわれも後、再現性試験などいたしまして、作業手順に、初めにヒドラジンを分解させるために硝酸を添加して、それから加熱をするという手順でやっております。
#230
○瀬崎委員 ヒドラジンが少し多過ぎたようだというお話なんですが、ヒドラジンの注入の方法はどういうふうにしてやっていたのですか。
#231
○中島参考人 ヒドラジンが多過ぎたのじゃなくて、プルトニウム蒸発かんの給液が多過ぎたということでございます。
#232
○瀬崎委員 それは何の給液ですか。
#233
○中島参考人 これはプルトニウム溶液を蒸発するかんでございます。それで、給液、フィードですね、これはプルトニウムの精製サイクルから出てまいりますプルトニウムの薄い溶液でございます。その中にプルトニウムの還元剤といたしましてヒドラジンを若干入れております。
#234
○瀬崎委員 還元剤としてヒドラジンを入れた、その給液が多過ぎた、こういうことなんでしょう、結果としては。
#235
○中島参考人 給液量、これが多過ぎたということでございます。
#236
○瀬崎委員 では、もう少し具体的に、そのヒドラジンを投入して送っている液、それをつくっていく過程ですね、これを説明してほしいのです。
#237
○中島参考人 ちょっとこれは複雑というか、言葉で言うのはむずかしいのですが、再処理のプロセスからずっと申し上げますと、まず剪断した燃料片を――
#238
○瀬崎委員 いやいや、蒸発かんのとろのずっと――。
 もう一遍ちょっと。われわれが大体知り得ているところでは、蒸発かんにいま何か希釈した液を送ると言われたでしょう。その液の前でやはりヒドラジンを入れるわけでしょう、抽出器のところか何かで。そこからどういう経路でずっと蒸発かんの方へそのヒドラジンを入れた希釈液が、つまり給液が行われていくのか、この経路だけ説明してくれ、こういうことなんです。
#239
○中島参考人 ちょっともとからやはり説明しないとまずいのですけれども、まず溶解液がございますね、そこをまず第一サイクルというところでFPだけ分離します。残ったのはウランとプルトニウムでございます。このウランとプルトニウムを分けるときに原予価調整というのをいたします。プルトニウムを三価にして、そうしますとプルトニウムが分離するわけですね。その次に、今度はプルトニウムを四価にした状態で精製いたしますので、そのために原予価を保つためにヒドラジンを還元剤あるいは安定剤として使うということでございます。
#240
○瀬崎委員 その安定剤として使うのはわかるけれども、ヒドラジンというものは決して直接、先ほど言われたようにプルトニウムの蒸発かんに入れているわけじゃないわけでしょう。ですから、その経路を説明してください、こう言っているのです。
#241
○中島参考人 いま申しましたようにウランとプルトニウムを分離する第二サイクルのところで入れております。
#242
○瀬崎委員 それじゃ質問を変えてこういうふうに質問しましょう。運転マニュアル上、運転手順上、ヒドラジンの投入作業、注入作業といいますか、これをどういうふうに決めているか言ってください。
#243
○中島参考人 まず最初に訂正いたします。ヒドラジンを入れるのは第三サイクルでございます。ウランとプルトニウムを分けてプルトニウムを精製するそのサイクルでございます。
 それから、入れる手順でございますが、これは私、ただいま詳しくは存じておりませんのでお答えいたしかねます。
#244
○瀬崎委員 運転マニュアルにその投入の手順は決めてあるのかないのか、これだけ答えてください。
#245
○中島参考人 決めてございます。
#246
○瀬崎委員 だから、その決めた範囲内のことだけおっしゃってください、こう言っているのです。事故がいま起こっているのでしょう。問題になっているのでしょう。
#247
○中島参考人 ただいまここにマニュアルを持ってきておりませんのでお答えいたしかねますけれども、いずれにしましても、エバポレーターにフィードするときの成分としましてヒドラジンの量が抑えられているわけでございます。
#248
○瀬崎委員 そのフィードするときのヒドラジンの量の調整なんですけれども、これはいわゆる機械的といいますか自動的に行っているのか、いわゆる人手によって、人によって調節が行われているのか、どっちですか。
#249
○中島参考人 これはマニュアルでやっております。
#250
○瀬崎委員 あなたが先ほど、プルトニウムの今回の事故は二つあった、一つは突沸現象だ、突沸現象の原因はヒドラジンと硝酸の異常反応だ、それが起こったのはヒドラジンを注入したその希釈剤をフィードバックする量が少し多過ぎたんだ、こういう説明をされたわけでしょう。したがって、やはりそこが事故の一つの原因なんですから、その原因を究明するに当たって、もしマニュアル、つまり人手でやっているなら、人手であっても間違いを起こさないような運転要領が決めであるかどうか、これが大事なのに、それが答えられませんということになったら、一体何をいま原因調査をやっているのか、こう言わざるを得ないでしょう。余りにもそれはいいかげんだと思うのですね。
 そもそもヒドラジンを投入しているのは第九抽出器のところで、そこから希釈剤の溶液に移り、相当な距離を経て貯槽に入って、それからフィードバックされてプルトニウムの蒸発かんに入るようになっているんじゃないかと思うのです。この間の距離といいますか、むしろ時間的距離ですね、これは一体どのくらいかかるものなのか、明らかにしてほしいのです。
#251
○中島参考人 ただいまの御質問にちょっと直接じゃございませんけれども、ヒドラジンの濃度は、今回の突沸のときも調べましたけれども、正常でございます。
#252
○瀬崎委員 それじゃ、ヒドラジンの濃度が正常で、しかし蒸発かん内ではヒドラジンと硝酸との異常反応になった、その原因をそれじゃもう一遍はっきり言ってください。
#253
○中島参考人 手順といたしまして、蒸発かんを操作する前にまずあらかじめ硝酸溶液を投入いたします。これは、前回そういうことをしなかったために突沸が起こったためでございますが、そういうことをいたしまして加熱をいたして、それからフィードを開始するということでございます。
#254
○瀬崎委員 そうしたら、その運転開始に当たって新しく硝酸溶液を入れることにした、それじゃその入れ方に問題があった、こういうことなんですか、
#255
○中島参考人 入れ方に問題はございません。
#256
○瀬崎委員 そうしたら、ヒドラジンの濃度も正常だった、それから新たに運転開始に当たって硝酸を入れることにした、これも問題がなかった、一体何が問題だったのですか。
#257
○中島参考人 ですから先ほど申しましたように、フィード溶液が多過ぎますと若干温度が下がります。そこで分解がやや少なくなって、ヒドラジンがやや蓄積した、それで突沸が起こったということに考えております。
#258
○瀬崎委員 それじゃ、フィード溶液の調整はマニュアルでやっているのですか、それとも自動でやっているのですか。
#259
○中島参考人 マニュアルでございます。
#260
○瀬崎委員 それじゃ、それはマニュアル、つまり運転マニュアル、運転要領では手順をどういうふうに決めていますか。――あなたが自分でおっしゃったその原因について私聞いているのですよ。
#261
○中島参考人 先ほどから申しておりますように、いままでに比べましてフィードが多過ぎたわけです。
#262
○瀬崎委員 だから、そのフィードが多過ぎた原因は何かということなんです。なぜそうなったか。
#263
○中島参考人 これはマニュアルでやっておりますので、その送る量を多過ぎるようにしたということです。
#264
○瀬崎委員 だから、マニュアルでやる、いわゆる手作業でやる場合にはやはりそれなりにチェックのポイントがなければ、これは多過ぎたり少な過ぎたりするのがあるでしょうが、そういうことが恐らく運転要領にきちっと決まっているはずだと私は思うのですよ。たとえば、どういう測定計器が座っているか知りませんけれども、これとこれとこれとを見て、そして確認した上でやりなさいとかなんとかなっているはずだから、あなたはまさにここが原因だと言われるんだから、その運転手順がどうなっておったのか、つまり、そういう決められているあなたのところの運転規則に問題があるのか、規則どおりにやらなかった運転員の方に問題があるのか、この辺からまず入らなければ話が進まないでしょう。
#265
○中島参考人 このフィードは、一種のレギュレーターといいますか、回路を調節するものでやるわけでございます。それからマニュアル的には、実はそこまでどういうぐあいにやるかということはいままで決めてなくて、しかしそれで過去五年間こういうことはなかったのでございますが、今回のトラブルにかんがみまして、給液のやり方をさらに詳しく手順としてつけ加えでございます。
#266
○瀬崎委員 まずはっきりしたことは、人手でやろうと言っているのに、どういう操作の仕方をしなさいというマニュアルは決めてなかった、こういうことがはっきりしましたね。こういう状態のまま営業運転に入っているのですよ。これは非常に物騒な話であります。
 それから次に、この前五十年の十一月のときの科学の委員会で私中島さんに質問していますね。一定以上の圧力が上がると自動的に運転停止になるような自動制御装置があるのですかと私がお尋ねしたのに対して、中島さんは「おっしゃるような制御装置はついております。」こう明言されておるんです。それじゃ、なぜ今回もまたこの自動装置が働かなかったんですか。
#267
○中島参考人 おっしゃるようなものはついてございます。ただし、今回はその設定値以下でございましたので作動しなかったということでございます。
#268
○瀬崎委員 となると、この自動装置もいいかげんなもので、今回のような状態では作動しない、こういうことになるでしょう。前回も制御装置がついているのにそれが働かなかった、中島さんはその原因について、現在調査中で、原因がわかれば改善したいという答えまでされているんですね。これはちっとも改善されてない、こういうことになるわけですね。自動装置の役割りを果たしていないんですよ。それがそのまま現在までほったらかしで、今回も作動してない、こういうことが今度ここで一つ明らかになっていると思うのですね。
 それから、先ほどフィード溶液を回路調整しているとおっしゃいましたね。その場所は全体どの辺なんですか。
#269
○中島参考人 五階のコントロール部にありますパネルでございます。
#270
○瀬崎委員 つまり主制御室のことですか。
#271
○中島参考人 そうです。
#272
○瀬崎委員 そうしますと、私も見せてもらっておりますが、この主制御室にはプルトニウム蒸発かん内の物理的状態を示すいろいろな測定機器がついていますね。私の記憶しておりますのでは、液の検出、圧力の測定、温度の測定、密度の測定くらいはあったと思うのですよ。前にいろいろなチャートを見せてもらったことがありますね。これらのいわゆるチャートに今回のこういう突沸現象はどういうふうにあらわれておりましたか。
#273
○中島参考人 圧力上昇が、ちょうどこれは設定値が〇・二キロのプロテクション回路なんですが、その若干下の〇・一八まで上がっております。
#274
○瀬崎委員 それじゃ、そちらの方の圧力が上がるということで、片一方のフィードする液の回路調整というのはリンクしてできなかったんですか。
#275
○中島参考人 済みません。質問ちょっともう一回お願いいたします。
#276
○瀬崎委員 つまり、このフィード溶液の回路調整も主制御室でやっていた、こうおっしゃっているわけでしょう。その同じ主制御室にはプルトニウム蒸発かん内の物理的状況を示す計器類が全部ついているわけですね。だから当然それを見ながら回路調整をしていると思うのですが、にもかかわらず調節がうまくいかなかった、こうなってくると、その測定器の方のデータに問題があるのか、あるいはその測定器にあらわれてくるデータをそのままリンクして回路調整にいかせないような仕組みになっていることに問題があるのか、この辺の追求が必要になるからその辺はどうだったか、こう聞いているわけです。
#277
○中島参考人 いまのチャート、記録の方にフィードの分も出ております。それをその前のものと比べまして非常にフィードが多過ぎたというふうに見ております。
#278
○瀬崎委員 それは後からの話ではないかと思うのですよ。問題は、回路調整を手でやるのですから、少なくとも刻々蒸発かん内の状況を見ながらこの調整ができているかどうか見なければいかぬわけでしょう。時々刻々チャートにあらわれてくるその異常と調整とこのリンクはうまくいっておったのですか、これを聞いているのです。
#279
○中島参考人 御質問の趣旨が十分わかり切ってないのでございますが、要するに――(瀬崎委員「異常があったことは認めているのでしょう」と呼ぶ)そうです。ただし――(瀬崎委員「結果ではだめなんで、作業過程で」と呼ぶ)もう一回御質問をお願いします。
#280
○瀬崎委員 つまり、とにかく異常があったということはお認めになったのですね。測定器に、記録に異常があらわれたことはお認めになった。しかし、これが後の祭りではいかぬわけでしょう。つまり、一方でバルブの調整といいますか、回路調整をやっているわけなんですね。片一方に異常があらわれてくるわけですから、これは当然異常が見つかれば、こっちの方の調整が対応しなければいかぬわけでしょう。これはうまくいったのか、こう聞いているのです。いかなかったから事故になっているのでしょう。
#281
○中島参考人 まず、事故という言葉は、私はこういう場合は使いたくないのでございます。先ほど申しましたように設定値が〇・二キロですから、その以下での反応でございます。
 それから、いま申しましたように、ヒドラジンというのはたまると異常的に反応するということでございますので、回路調整をやっていたのですが、やや多過ぎた。それからしばらくしてあの突沸が起こっております。
#282
○瀬崎委員 圧力が〇・二キロ以下だからとおっしゃるけれども、この五十年十二月十七日の委員会で私とあなたとの間にこういうやりとりがあるのですよ。「あの制御室にあります計測装置そのものがいまの能力のものではだめなのではないか、もう少し高い能力のものか幅広い計測装置が備わってこないと、このプルトニウム蒸発かんそのものの円滑な運転に」差し支えるのではないですか、こういうふうに聞いているのですね。この点に対して「もちろんそれも一つの重点でございます。」とお答えになっている。今後の再現実験で、現在の計測装置だけでは不十分ということになれば改善を加えると理解していいわけですね、こう言っているのに対して「そのとおりでございます。」とあなたは答えているわけなんですよ。今度のように圧力の変化が〇・二キログラム以下であったとしても、当然そういう変化が一方のフィード溶液の回路調整に反映するようなことになっていてこそ私は改善になるのじゃないかと思うのですが、そういうことはしなかったのですか。
#283
○中島参考人 五十年の十一月に、あのウラン試験中でございますが、そういうことがありまして、早速翌年二月から四月にかけまして再現性試験をいたしました。それで手順も改定いたしましたし、同時に計装回路も見直しまして追加しております。
 それから、その五十年十一月の時点では、特に問題になったのは計装配管の方にまで上がったということで、その辺もさらにフランジの位置の改善とか、あるいはチェッキバルプを入れるなどの改善をしております。したがって、その後いままで五年くらいでございますが、そういうことなしにやってきたわけでございます。
#284
○瀬崎委員 なしにやってきたけれども、今回起こっているわけでしょう。その点から見れば、私がこの前に指摘したことに対するあなた方の対応が果たして十分だったのか、まさにこの部分に私も触れているわけなんですからね。つまりマニュアルでやろうという以上は、十分なマニュアル調整ができるように片一方の計器類の方がうまく対応できるようになってないと、後で見たら異常でしたというのでは役に立たぬということをこのときに言っているわけですね。そういう点で果たして十分な改善が行われておったのかどうか、この点を聞いているわけです。
#285
○中島参考人 五十一年にそういう改善をいたしましてからことしの一月までそういうトラブルなしでやってきたということは、その改善の効果は上がってきたと思っております。
 ただ、先ほど申しましたようにマニュアル的にもうちょっと詳しくした方がいいだろうということで、今回マニュアルを改善するということにいたしたわけでございます。
#286
○瀬崎委員 先ほど再現試験はやったとおっしゃいましたね。これについてすでに試験結果の報告が出ていますね、安全衛生委員会の報告があります。そこに「今回の試験では硝酸濃度の低い間は、ヒドラジンの分解反応はゆるやかでヒドラジンは蒸発缶内に蓄積されるが、硝酸濃度が高くなると急激な分解反応をおこし、蒸発缶内のヒドラジン濃度が低下することがみとめられた。このことにより突沸現象は、蒸発缶内に蓄積されたヒドラジンが急激な分解反応(発熱反応)をおこし」云々のことが書いてありますね。それで、このときは運転開始に当たって硝酸を入れることにした、こういうことなんです。しかし本来は、このときに、これと同時にいまのヒドラジンを入れたフィード溶液の調整についてもやはりきちっと改善を講じておかなければならなかった、この点での不備は免れぬのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#287
○中島参考人 まあこれは、その後五年間そういうトラブルなしでやってきたという実績から見れば、まずまずのものであったと思うのです。ただ、今回のようなことにかんがみまして、マニュアルをさらに詳しくするということで対処をしたいと思っております、
#288
○瀬崎委員 先ほど、それと同時に受け槽からさらに、本来ならそこでプルトニウムの有無を分析して次の工程、酸回収工程に送るべきだった、それを怠っておったからだ、今度は班長の許可を得てとかなんとかおっしゃいましたね。
 そこで、いわゆる中性子吸収装置というものがついている部分がありますね。これは一体この回路ではどこまでついているのですか。
#289
○中島参考人 これは、蒸発かんの凝縮液でございます、塔の上から出ていく硝酸分でございますが、それを受ける受け槽にボロンの入ったラシヒリングというのが入っております。
#290
○瀬崎委員 それ以後の回路、工程には入ってないわけですから、今回のようにプルトニウムがそちらへ移ってしまうと、吸収されなくなって大変なんですね。
 そこで伺うのですが、このプルトニウムを検出する装置、アルファ線インラインモニターというものがありますが、こういうものさえあれば、何も一々分析の云々と言わなくたって、モニターですぐ検出できるのですね。これは凝縮液受け槽についているのですか、いないのですか。
#291
○中島参考人 ついておりません。
#292
○瀬崎委員 それさえついておれば、今回のような――あなた方は人為ミスとよく言うけれども、これは多重防護で直ちに自動的に検出されるわけなんです。それがついていないわけなんです。
 しかも、この問題については原産の原子動力研究会の四十四年、十年以上前なんですが、論文「再処理工場の建設から運転まで」という中で「一g/l未満のプルトニウムを検出するところには、プルトニウムから放出するα線を連続的に測定するインラインモニターを設置する。」こういうふうに書いているのですよ。だから、これから言えば本来設置されていなければならなかったのではないかと思うのですが、いかがですか。
#293
○中島参考人 その原動研の記事は、ミキサーセトラーからの廃液系統だろうと思います。いまのオンラインは、感度から申しまして現在の酸回収につけるには十分でないというふうに考えております。
#294
○瀬崎委員 つまり、これがついておったとしても検出は不可能、こういう言い方ですか。
#295
○中島参考人 まあ恐らく、ちょっといま私検出限界値を持っておりませんけれども、ぎりぎりのところか、あるいは無理じゃないかなと思っております。
#296
○瀬崎委員 しかし、当時でさえこういうラインに、この原産の論文では「一g/l未満」となっていますから、検出できると見ているんじゃないかと思うのですが、これを中島所長が不十分だとおっしゃるなら、より精度の高いこういうモニターをつけることを考慮するというのが、私は当然あるべき態度ではないかと思うのですが、どうですか。
#297
○中島参考人 これはこの場所に限らず、われわれとしましても、さらにいろいろな計測技術の進歩に伴って改善し、設置する必要のあるところにつきましては大いにまた改善努力は続けたい、これはここの部分に限りませんけれども、思っております。
#298
○瀬崎委員 当時の議事録を振り返ってみると、なかなか教訓に富んでいるわけですね。十一月十二日の最初の委員会では、当時の生田原子力局長があの当時の蒸発かん事故について「現象は非常に軽微でございまして、一般の問題として処理して適当なものと考えます。」こういう答弁から出発して、事はそれほど簡単ではなくて相当長期のテスト、再現試験までせざるを得なくなったんですね。それが同月十九日には事の重大さがだんだんはっきりしてきて、佐々木科技庁長官が、ウランテストにおいて「そういういろいろなトラブルが起きたということは、不幸ではありますけれども、考えようによっては、それを直さずして発見せずして最終段階に入った場合にはもっとおかしなことになりますから、 その原因を十分究明し、最終的な実験に支障ないようにさせる」こういうふうに言われて、その後、動燃の方の態度もずいぶん変わってきている。瀬川さんもお見えになっておって、「ホットランでこういうことが起きますれば、これは先生御指摘のように大変重大な事故と考えざるを得ないわけであります」と重大事故を認め、一応こういうことを点検することがテストの目的だ、こうおっしゃったわけですね。そして、当時の清成理事長も、ウラン試験はこの試験を通じていろいろな設計上の点あるいは工作上の点のふぐあいを発見して、徹底的に補修して、完全なものにしてホットテストに入りたい、こういうふうにおっしゃっているわけですね。ところが、いま完全でないことがまたわかってきたわけでしょう。こういうことから、この当時の教訓が十分に生かされたとはどうも考えがたいのでありますが、瀬川理事長どうお考えになります。
#299
○瀬川参考人 ただいま問題にされておりますプルトニウム蒸発かんの以後の経路のプロテクションの問題でございますが、これは大体私も、ただいま先生のおっしゃったような一つの方向でございますね、それは私も考えておりまして、中性子吸収槽から送液を開始するときは、何らかのモニタリングもしくはチェックポイントを新たにつけ加えるべきものというふうに考えております。そのために実はその後ろにリワーク工程がくっついておるわけでございまして、そっちの方にその場合は溶液を回せるような設備になっておりますので、ただいまおっしゃったようなそういうチェックシステムをつけさえすれば万全を期することができるというふうに私も考えておりますので、その処置はとりたいと思います。
 また、いまおっしゃられた後段の対策がまだ不十分ではないかという点につきましては、これは私どもも今後ますますプラントの安定化に努力するつもりでございますが、しかし私は、冒頭において先生がおっしゃったように、営業運転に入っておるんじゃないかというふうにおっしゃられたわけでありますが、このプラントを営業行為をするプラントとして考えたわけではないわけでありまして、初めからパイロットプラント的な性格のものである、つまり将来の商業工場を実現するための、そのために技術改善、改良を進めていくパイロットプラントであるというふうな設計でやった関係上、プロセスの各段階で商業プラントとしては必要な予備機器も十分ではないというふうに考えております。その意味におきまして、多少のトラブルがあればその都度修繕して直していくというふうな運転の仕方をせざるを得ないと思っております。
 要するに、私は、商業プラントとは違う設備である、したがって最大の要点は、環境に対する安全をあくまで守るとか、あるいは従業員の健康に重大な影響を与えないというその二点だけはあくまで守って進める。また幸いにして、先生からいろいろ御指摘のあるようなトラブルもかなり経験されておるわけでございますが、いままでも環境及び従業員に重要な影響を与えるというようなことはなかったと思いますので、今後もそういう点を守りながら、あくまで技術の改善という方向で努力していきたいと思っております。
#300
○瀬崎委員 一応の認識としては営業行為とは考えていない、パイロットに徹するというお話ですから、ぜひ実際面でいまの話を生かしていただきたいと思うのです。何せ先ほど来のお話のように、今回の事故原因が二つあった、それが二つとも人手でやっていて起こったということになるわけですね。最初の方は、フィード溶液の回路調整を人手でやっていてこれがうまくいかなかった。それからもう一つの方は、凝縮液受け槽から酸回収工程へ送るところのバルブの操作、これも人手でやっておってこれがうまくいかなかった、こういうことなんです。これが案外運転員のミスと言われがちなんだけれども、本来は、装置上そういうことが自動的にチェックしようと思えばできるんだということは、いま理事長もおっしゃっておるわけですからね。そういうことがやられていないことの方が根本原因、この装置の改善はそういうところにあるんだということが、私はやはり教訓の一つとし大事だと思うのです。
 余り時間はないのですが、もう一点だけ。これは例の使用済み燃料の溶解槽のジェットポンプの目詰まり問題ですね。これについて、一体何が詰まったのかということをめぐってなんですが、この目詰まりを起こした不溶解物について科技庁側の説明を聞いたら、金属片などの異物というふうなことであったのですが、東海村議会が中村東海事業所長を招いていろいろ説明を聞いた際には、原子力発電所で原子炉の中を循環している水の水あかが燃料に付着しておって、それが実はたまったんだ、こういうようなことを説明されたようなんですね。これはテープもとられておりまして、はっきりとそういうふうにおっしゃっているわけなんです。一体この目詰まりを起こした物質、不溶解物は何なんですか。
#301
○中島参考人 この目詰まりは過去にもございましたけれども、一番はっきりしているのは、金属の小さなチップでございます。それはどこでわかったかといいますと、ジェットポンプの上のところにそういうのがひっかかってきて、そこでジェットが作動しなかった、これははっきりしております。しかし、必ずしも上で詰まるか下で詰まるかというのがまだ明確じゃない点がございます。それで現在考えておるものの一つとして、いまの水あかもあるのではないかというようなことを言ったんだろうと思いますが、それからもう一つ考えられるのは、不溶性の沈でん物というものも一つの原因かとも思います。こういうことでございます。
#302
○瀬崎委員 いまのように幾つか詰まった物質については考えられるわけでしょう。こういうときに同じ動燃事業団のそれも幹部の方が、行った先々で言えば、われわれから見れば、そのときどきいいかげんな発言をされる、このこと自身はある意味で非常に無責任じゃないかという感じがするのですが、理事長としてもこういう行為について一定の見解を示しておかれるべきではないかと思うのです。
#303
○瀬川参考人 ただいまのお話のポイントは、溶解槽からのジェットポンプの辺の目詰まりという点についてのお話でございますが、再処理工場といいましても、ケミカルな、つまり化学工学的な機器がつながっておるわけでございまして、一般化学工業におけると同じような、いまのような水あかあるいは剪断によるチョッピングの粉が詰まったのか、その辺はなかなか判断に苦しむところでございまして、そういうトラブルは化学工業でもしばしば起きる問題だと私は思うわけでございますが、それを一日や二日で判断するにはなかなか迷う場合が多いわけでございまして、私どもの運転の非常にむずかしいところでございます。いずれにしましても、その都度適当な対策で再び運転に戻すということはかなり時間がかかるわけでございまして、私どもの方の事業所長とかあるいはその他工場長、その辺でもその途中の段階では判断に差がある場合が間々あるようでございますが、そういう経過の間ではこれはどうもやむを得ぬのではないかと私は思いますが――。
#304
○瀬崎委員 私が言っているのはこういうことなんですよ。去年の十月の「原子力工業」という雑誌には中島さんの論文が出ていますね。それによりますと「燃料の燃焼度が高くなると」つまり商業用の原子炉の場合ですよ、「溶解液中にFP」俗に言う死の灰ですが「に起因すると見られる不溶解性沈澱物が急に増加する。」こうはっきり書いていらっしゃるわけですね。だから中島さんはFP説なんでしょう。片方は水あか説が出るのでしょう。いま理事長はそういう点はなかなか判断に迷うところだとおっしゃるわけでしょう。にもかかわらず、ある程度断定的にこうだろうこうだろうと動燃の幹部が行ってしゃべる、こんなことがあっていいのかということを私は聞いているわけなんです、
#305
○中島参考人 先ほど先生が引用された雑誌ですが、これは私は一般論として書いたのでございまして、それが必ずしも溶解槽に詰まるとか詰まらぬとかいう書き方をしたわけではございません。
 それから原因につきましては、これは村の全員協議会でございますが、私直接出たわけではなくて、後で聞いた話としては、中村事業所長ではなくて福田副工場長が一つの原因として述べたというふうに受け取っております。
#306
○瀬崎委員 しかし、述べたことは事実なんですからね。そういうことが非常に無責任な態度として国民には受け取られるわけですから、いまは、むしろ原因究明に一生懸命になっているときには率直にそれを表明すべきだと思うのですね。わかりにくかったらわかりにくい、判断しにくいなら判断しにくい、これが正しい態度ではないか、こういうふうに私は思いますよ。もともとこういう溶解液中にFP、フィッションプロダクトがたまりやすいということはお認めになっているわけですね。だとすれば、こういうことが本来未然に防がれなければいかぬ、それが目詰まりにならないように手を打っておかなければいかぬわけですね。通常そういう溶解槽の溶解状態というものは連続的に測定できるようになっているわけではないのですか。
#307
○中島参考人 いまの御質問は、溶解槽の中の溶解反応が連続的に測定できるかどうか――はい、できます。
#308
○瀬崎委員 そうだとすれば、不溶解物がたまって沈でんすると当然上の方の溶解液の密度が低くなるとかというふうな形でわかるのではないかと私ども思うのですが、そうはならないのですか。
#309
○中島参考人 これはかなりむずかしゅうございます。いま私が連続的に測定できると申しましたのは、デンシティー、密度を記録しておりまして、だんだん溶けていきますと密度が上がりますので、それによって見ていくということでございます。おのずから感度もそんなによくないということです。
 それからもう一つ、仮にFPといたしますとFPの総量はせいぜい三%ぐらいです。その中の仮に一割が――一割もないと思うのですけれども、一割が不溶性といたしましても〇・三%ですから、そのぐらいのものを見分けるということは非常にむずかしいと思います。
#310
○瀬崎委員 そうなってきますと、一方ではそういうFPが不溶解の状態で沈でんしやすいということは認めるが、それを測定で検知することは困難だということになりますと、結局は、ジェットポンプの目詰まりを起こして初めてこの不溶解の物質の状態がわかるのだ、あることがわかるのだ、こういうことにしかならないのですか。これも頼りない話だ。
#311
○中島参考人 いま目詰まりの原因には、チップそれから不溶性沈でん物あるいは水あか、どれと決めつけているわけでもございませんということでございます。
#312
○瀬崎委員 決めつけているのではないけれども、それが事前に測定されてわかるのなら手が打てるでしょうが、いまそれは測定では非常にむずかしい、こうおっしゃったのですね。そうなると、そういう不溶解物とか水あかとか金属片にしろ、目詰まりを起こしそうな物質がたまっているということは、目詰まりが現実に起こってこなければわからないということなんですか、こう聞いているのです。これから何回目詰まりを起こすかわからぬことになってしまう。これも頼りない話になる。
#313
○中島参考人 先生の御質問は、イエスかノーかというと結局、はなはだ真ん中のお答えになるのですが、われわれ溶解いたしまして、溶解槽から溶解液を抜いて、それから次に計量するわけです。それで、その辺の数値バランスから考えますと、とにかく有意なものが残るというようなことはとうてい考えられないわけでございます。
#314
○瀬崎委員 そもそもジェットポンプが目詰まりを起こしたりすると、ここは放射能が非常に強いところですかも後の始末が大変なんですよ。しかもジェットポンプですから、そう簡単に目詰まりを排除することもやりにくいというところなんでしょう。ですから、本来ならそれが未然に防げるようになってなければいかぬわけですね。こういう処置が全然とられていない。そこが問題ではないか、こういうことを言っているのです。どうなんですか。
#315
○中島参考人 少なくともわれわれいままでに約八十五トンの燃料の処理をやってきたわけでございます。(瀬崎委員「前も詰まったでしょう」と呼ぶ)ええ、詰まりながらですが――。それで、この辺は再処理技術としてなお一層改善する価値のあるところじゃないかと思っております。
 なお、誤解のないように申し上げますが、私は常に申しておるのでございますが、再処理技術というのは基本的には確立しております。しかし、これが安定運転に持っていくあるいは稼働率を上げるという点では、装置的にもあるいは方法的にもなお大いに努力して、よりいいものに持っていきたい、その中の一つに入ろうかと思っております。
#316
○瀬崎委員 まだいろいろ言いたいこともあったのですが、時間が来ております。
 そこで、この前の国会のときにもずいぶん指摘された、やはりそこが再び今回のトラブルの問題点になっているわけですね。いまの蒸発かんなどはそうです。それから、動燃のすぐれた技術者である中島さんなどが論文でいろいろと指摘されていること自身が、今回の目詰まり等の原因となってやはりあらわれているのではないかと思われる。大体、問題のありそうなところは過去に指摘されながら、繰り返していろいろなトラブルとなってあらわれてくる、こういうことが現在の事実だと思うんですね。そういう点はいま中島さんもお認めになっていると思うんですよ。
 そこで、先ほどの瀬川さんのお話、パイロットプラントに徹するのだ、決して営業状態にあると思っていないという趣旨からいくならば、今回それこそ徹底して理論的にも実験的にも原因をよく究明する、必要なら各種のテストもやり直す、それから技術の改善、装置の改善はもちろん、マニュアル上も見直しを十分にやっておく、こういうことが必要で、運転すればするほど汚染度がひどくなるのですから、後々大変になるに決まっているんですね。また従業員の危険も高くなる。こういう点から考えますと、今回はよほど慎重な対処が必要だと思うんですね。そういうふうにした場合、今後の見通しなのです。相当長期の運転停止を考えられているのかどうか、この点を伺ってみたいと思います。
#317
○中島参考人 われわれ現在二つばかり、いまのトラブル関連で非常に対応に励んでおります。しかし、それと同時に、マニュアルについての再教育あるいは類似の施設についての点検、こういったものは並行して進めております。しかし、見通しといたしましては、われわれはそんなに長期をそれに要するとは考えておりません。
#318
○瀬崎委員 あと二問ほどで終わりますから。
 それほど長期でないと言われましたけれども、しかし、事故を起こしてから一カ月もたつのですから、ある程度の見通しは立てられておると思うんですね。どのくらいの期間をそういういろいろな原因追求、改善等に費やそうとされるのか、これをもう一遍、ちょっとはっきりさせてください。
#319
○中島参考人 この件につきましては、いま一生懸命実態の把握、あるいはいま申しました点検などをやっておりますので、長期でないということだけできょうはひとつ御勘弁いただきたいと思っております。
#320
○瀬崎委員 これは大臣の方に伺いたいのですが、いまいろいろお聞きになったと思うんですね。やはり非常にむずかしい。まだ技術、方法等の安定的な確立のない部分も多いわけです。これは、最終的には科学技術庁がいろいろな法律等に基づく検査で安全のお墨つきを出すわけなのです。そこが一つ問題になりますね。たとえば先ほどのプルトニウム蒸発かんの方は、ちゃんと科技庁が性能検査をして、よろしいとオーケーを出したものがまた事故を起こしているわけです。一方、もう一つの溶解槽のジェットポンプの方は、現在、その使用前検査の性能検査の対象にも入っていないわけなのです。こういう点からいきますと、やはり科技庁の今後これが改善された後の検査は、従来とは違った厳密な水準でやってもらう必要がある。それから、現在の性能試験の項目、内容等についても少し再検討する必要があるのではないかと思うんですね。こういう点はぜひ大臣の方で御研究、御配慮いただきたい問題ではないかと思うのです。お答えをいただきたいと思います。
#321
○瀬川参考人 長期間とめて徹底的に調べてみろというような御意見だと思いますが、先ほど申し上げましたように、私どものパイロットプラント的な性格の工場におきましては、商業プラント的に継続的な安定運転をねらうのはやや無理でございまして、環境に対する安全とか従業員に対する安全とか、その二点を確保すれば、先ほど申し上げましたような化学工学的な機械である蒸発かん等は、多少目詰まりはときどき起こすけれども、しりをぶったたいて運転するというぐらいのやり方は私はせざるを得ないのじゃないかと思います。また、いままでの経験から申しますと、ああいう機器は長くとめておくほど水あかがかえってふえて、フルロードで運転できなくても、ときどきある程度の揺さぶり的な運転はした方がかえって安全ではないか、いままでの経過から見て、私はそういう気持ちでおります。御参考までに。
#322
○赤羽政府委員 使用前検査合格書を渡したわけでございますが、これは設計及び工事方法の認可に当たりまして、記載されたことがそのまま実現しているかどうかを逐一チェックした結果渡したものでございます。その観点は安全性にありまして、すべての機械が全然故障が起きないということの保証をするとか、試験をした結果のものではなくて、むしろ故障等が起きることを前提にしまして、それに対する多重防護なり安全性の確保ができていることを確認して出したものでございます。したがいまして、トラブルの結果いろいろなことがわかりまして、さらに追加すべきことがあれば、今後の定期検査等に取り入れてまいりますけれども、原則的には、現在やっているような原因の究明あるいは対策の開発の様子を見まして、安全性が多重防護を加えて確保されているということならば今後の運転は差し支えないと思います。ただし、今回は総点検等を指示してございますので、その結果を総合的に勘案した上で再開の承認をしたいと思っております。
#323
○中川国務大臣 いま安全局長が答弁いたしましたとおりで、検査を取り消してやり直すという性格のものではない。管理体制をしっかりやってもらって、事故の原因は究明して、しっかりしたものにしてやっていただく、こういう方針でございます。
#324
○瀬崎委員 最後に委員長に要望しておきたいのです。先ほどの五十年のときのプルトニウム蒸発かんを中心とした、動燃事業団は事故と言うといやがりますから、トラブルと言っておきますが、このときも本委員会は重視しまして、委員会として調査に行っているわけです、今回は、同じ部署、危ないなと思われているところでまた繰り返されています。相当現地は、所内も所外も注目をしているときですから、本委員会として一遍現地を調査しておく必要があろうと思うのです。あわせて国会としてそういう調査を行い、十分議論して、国会なりに一定の結論を出すまでそう安易に運転の再開等が行われることのないように委員長の方からもきちっと指示も出しておいてほしい、こういうふうに思っております。
#325
○中村委員長 理事会の議題として次に諮りたいと思います。
#326
○瀬崎委員 終わります。
#327
○中村委員長 次回は、来る二十六日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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