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1949/02/09 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第10号
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1949/02/09 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第10号

#1
第007回国会 厚生委員会 第10号
昭和二十五年二月九日(木曜日)
   午前十時五十四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○結核予防対策確立に関する調査の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) これより委員会を開会いたします。
 本日は、結核予防対策確立に関する調査に関連いたしまして、先ず当局から、結核予防対策全般について一応お話を伺つて、その審議を進めて行きたいと思います。最初に説明をお願いいたします。
#3
○政府委員(三木行治君) 我が国の結核の現状につきまして、概略の御説明を申し上げたいと思います。
 戰後、我が国の公衆衛生状態は非常に改善せられておりますることは、時時の我々の御報告によりましても御存じのことと存ずるのでありまするが、なかんずく急性伝染病のごときは、非常に減少を示しておりまして、結核も僅かではございますけれども、減少の傾向にあるのでございます。併しながら年間の死亡数は、今日も十四万五千という数でございまして、従いまして患者の総数は百五十万と推定せられるというような状態であります。而もこの疾病は御存じのように、單に問題が個人の苦痛に留まらず、一つの社会的疾病と考えなければならんという点に存ずるのであります。従いまして、この経済の面から見ましても、年間千億円に達するという損失であり、又重要なる社会政策、或いは国家経済と密接なる関係を持つておりまするために、この結核対策というものは、今日におきまして最も重大なる問題であると私共考えておるのであります。
 先ず結核蔓延の現状でございまするが、結核死亡者数について見まするというと、お手許に差上げました資料の一頁にございますように、昭和二十二年は十四万六千二百四十一人、昭和二十三年は十四万五千二百五十九人、こういうわけでございまするので、昭和十八年に十七万一千四百七十三人に比べまするというと、相当減少の傾向にあるのでありまするけれども、併しながら国民死因の順序から見ますというと、これは第一位でございます。人口一万に対する死亡率について見ますと一八・一という死亡率でございまして、アメリカの三・七、イギリスの五・七、デンマークの三・〇というような欧米各国の死亡率に比較いたしますると、五倍乃至六倍の多きに上つておる現状でございます。又死亡者の十倍が結核患者の数と推定せられることになつておりまするので、患者は概ね百五十万人、ほぼ五十人に一人の割合で患者がおるということになるのであります。尚、更に我々の注目を引きますことは、結核死亡者、或いは患者のうち、半数が十五歳乃至三十歳の青少年層である。これらの青少年層につきましては、この数年におきまして、逐次罹患率、罹病率共に下つておるのでありますけれども、ともかく今尚これらの青少年層に患者が非常に多いということは、非常に重大な問題であると考えらられるのであります。
 この結核による経済的な損失でありまするが、結核が国民経済に及ぼす損失として、経核患者の治療費、療養費、又結核に罹つたために生産能力が低下するということに伴います経済的損失、及び結核患者がおるため家族の生産能力が低下するということに伴う経済的損失というようなものを総計いたしますると、年間約一千億円という巨額に上るのであります。これらは私共の推定でございまするが、その算出の根拠等につきまして、この資料を御覽頂きまするとお分りになると存じますので省略いたしたいと思います。でこのような大問題でありまする結核に対して如何なる対策をやつているか、結核予防施設並びに予防事業の現状でございまするが、予防施設といたしましては、結核予防の指導をいたします指導施設、それから患者の收容施設及び研究施設に大別することができるのでありまして、指導施設といたしましては、保健所、職域指導施設、職域病院、療養所及び一般診療施設が挙げられるのであります。收容施設といたしましては、結核療養所、結核病院、後保護施設及び結核保養所等でありまして、これらの結核予防施設は我が国の現状ではまだ数におきましても、設備におきましても不十分でございまして、甚だ遺憾なことでありまするが、尚これの詳細につきましては、後刻予防課長からお話申上げたいと思います。
 尚この予防事業でありまするが、結核予防対策といたしましては、先ず技術的な根拠といたしまして、結核は感染即発病ではない。結核に感染するということが、即ち発病を意味するものではないという一つの事実、都会生活をやります場合におきましては、三十歳の壯年者におきましては、概ね八〇%の結核感染者があるのでありまするけれども、併しながら発病者は遥かに低いのであります。即ち感染をした者がみな発病するわけじや決してないのです。又感染するということが発病を意味するものではないという事実、第二番目には感染をしたということは、感染の時期、感染の事実というものはツベルクリン反応で知ることができるという事実、又我が国の結核におきましては、発病は概ね感染してから二年以内に発病するものであるという事実、又B・C・G結核予防ワクチンでありますが、このワクチン注射をやりました場合におきましては、発病は二分の一に、死亡は十分の一に減少するものであるという事実、又最近作られるように相成りましたストレプトマイシンというものは、結核予防に対しまして、すべての場合ではありませんけれども、非常に有力な武器であるということ、並びに結核の手術、外科的療法というものが相当に効果があるということ、以上の事実の外に、申すまでもないことでありまするが、結核は伝染病であるというような、かような技術上の認識によりまして、先ず結核予防の公衆衛生的方針を樹立いたしているのであります。勿論申上げましたように、單に保健所であり、或いは療養所であり、或いは後保護施設であるという、これらの対策を遂行いたしまするための施設のみならず、この結核患者の療養費、或いは生活費というような、いわゆる生活保護の面等も当然に協力をいたさなければならないのでありまして、かようなものを打つて一丸といたしまして、結核予防対策を樹立いたしているのであります。この結核予防対策の、殊に本年度並びに明年度の予算に直結いたしまするやり方につきましては、予防課長から御説明申上げたいと思うのであります。結核のために支出せられる国の予算についてでありますが、国は結核を予防し、結核患者の治療及び保護を行いますために、みずから事業を行い、又地方公共団体を指導して行わせておりますが、このため国が支出する予算の総計は昭和二十四年度、本会計年度におきましては約二十三億円であります。でその内予防のために支出する経費はほぼ一億一千万円でありまして、他のすべては医療、療養という方面に使われておるのであります。結核が国民経済の上にも、又国民の幸福の上にも非常に大きい影響を與えまする現状を考えますというと、結核患者を減少さして、この損失を少くいたしますために、予算を相当額投ずるということは当然のことでありまして、現在の予算におきましても非常に少い。殊に結核患者の発生を防止しようとたしまするような予防の面の経費が一億程度であるということは、特に著しくこの仕事の発展の上に欠陥に相成つておると考えられるのであります。
 私共といたしましては、單に公衆衛生当局であるからという理由を以ちまして、この結核対策というものが、單に公衆衞生施設のみを以て完全なるものであると、かように申上げるのではございませんで、結局は国民生活の安定ということが先ず基盤であるということは、申すまでもないことであります。併しながら我々の担当いたしまする公衆衞生の分野におきましても、これらの仕事を強力にやつて行きまするならば、必ず結核予防の上に非常に良き結果を與えることができ、結核死亡を半分にするというようなことは、さして困難でないということは、諸外国の実例並びに我が国におきましても、第一次欧洲大戰後におきまする結核の好成績を納めたということ等からしても言い得ることでありまして、そういう意味合におきまして、是非とも強力なる結核対策を推進いたしたいと、かように念願いたしておる次第であります。
 今年度並びに明年度の具体的な結核対策につきましては、予防課長から御説明をいたしたいと思います。
#4
○説明員(小川朝吉君) 予防課長でございますが、只今総括的な点につきまして局長が御説明申上げましたが、私から若干細部に亘りまして申上げたいと存じます。
 結核対策につきましては、今日特に新らしいものがあるということでなしに、考え方といたしましては、大体一貫した方針によつて実施せられて来たのでありますが、従来は時の政府、時の主管省の関係によりまして、その内の実施せられる分野につきましては若干の変動がございまして、或る場合におきましては施設の面に重点を置き、或る場合には予防接種等の点に重点を置くというように、若干の変動がございましたが、最近におきましては、それらの包括した事項につきまして、必要なものを全面的にやりたいという考えを以て実施いたしております。本日御説明申上げます内容は、予算と直結した恰好で申上げますよりも、お手許に差上げました資料によりまして、その事項別に御説明申上げました方がお分りかと存じますので、その資料に基いて若干御説明をいたしたいと存じます。
 先ず第一に結核予防施設の現状について申上げたいと存じます。十一頁になるかと存じます。
 先程局長から御説明申上げましたように、結核予防施設は大体指導的な分野を扱う保健所とか、各職域におきまする病院、診療所、或いは一般診療施設というような指導施設という場合と、それから收容施設とに分れるのでありますが、先ず第一に保健所について申上げます。保健所につきましては御案内のように、大体衞生行政各般の第一線機関になるのでございますが、私共結核対策につきましても、これを中心として運用いたす方針でございます。究極の目的といたしましては、少くとも人口十万につきまして一個所ずつ設置いたしまして、そこに必要数の結核專任の医師、或いは必要な技術者、保健婦等を設置する予定でございますが、来年の予算に計上いたしておりますのは、全国で七百四個所になると存じます。尚私共は各保健所ごとに最低二名の專任の医師を配置しまして、同時に保健婦が各般の業務をいたしておりますが、結核だけをやるといたしますならば、少くとも六名要るという考え方でございます。現状といたしましては、そこにも記載してございまするように、本年は六百八十九個所の保健所に対しまして、專任医は九百三十三名でございます。尚そうした見地から見ますというと保健婦も二千四百二十二名でございます。又問題は、現在の実情は非常に給與が低いために不十分と思われる定員数すら充足しておらないということが現状でございます。尚又明年は七百四個所に増加いたしまして、專任医師は千四百八名、保健婦三千百十六名に達する予定でございますが、これ又多くの困難を予想しておる次第でございます。
 次に職域指導施設等について申上げますが、現在保健所はその管内の公衆衞生をやるということは中枢的な役割だけで、実践面の役割については、例えば工場につきましては工場の衞生管理者、学校につきましては学校医というような、それぞれの施設におきまする指導施設というものが十分に活動いたさなければ、結核予防の目的は達成できないのでありますが、現在私共が見ますというと、そうした会社、工場の施設、或いは学校医等につきましては、その機能は十分であるというふうに考えておらないのであります。これは直接厚生省だけの所管ではございませんのでありますが、こういうような点につきましては労働者、或いは文部省と緊密な連繋を取りまして推進をいたしておりますが、大工場或いは特に理解のある中工場等では、或る程度の衞生管理は行われておりますが、それ以下の中小工場、零細工場等につきましては、全く指導的な役割がないと言つてもよいんじやないかというふうな現状でございます。
 尚又一般診療施設について見ますと、やはり一般人はそれぞれかかりつけのお医者さん、家庭医につきまして指導を受けるわけでございますが、結核の方は正しい指導をするためには、レントゲン施設その他の施設が必要でありますが、一般の結核を御覧になる開業医についても、十分なる施設を有する医師は必ずしも多くないのでございまして、今後こういう方面に対しましても、医師会その他と十分な連絡の上に、十分な機能を有するように要請する必要があると考えております。
 次に收容施設について申上げますが、お手許に差上げました三枚組の資料を御覧頂きたいと存ずるのであります。先ず第一に結核療養所、結核病院、いわゆる結核病床について申上げますが、第一頁に挙げてございますのは二十四年の現状でございます。これは統計上お手許に差上げました資料には昨年の十月の現在数、国立施設数につきましては、本年度予算におきまして三月末に完成すべき病床、その中から挙げてございます。私共現在これを拜見しますというと、大体全国で八万床の結核ベットがございます。その中国立として五万五千が三月末には完成する予定でございます。従来この結核病床を結核対策上幾つ作るかということにつきましてはいろいろ議論がございますが、現在アメリカでは大体年間の死亡者の二・五倍ということを結核対策上の目標とすべきだという結論のようでございます。尚又従来に国際連合等のこうした会議の結果で、最少限度の数字として死亡者数と同数にせしめるということを目標としまして了承されておることでございますが、現在の実情を見ますというと、十四万五千の死亡者に対しまして八万でございます。従つてその率は五五・三%、つまり同数にいたしますということを一応仮定いたしますと、現在は五割五分程度完成せしめておるというような恰好でございます。一応これを対する政府の考え方といたしましては、国立において取敢ず八万床にいたすという計画を持つておるのでございます。明年度はそのうち八千五百床増加することになつております。その詳細は療養所課の方から申上げたいと存じます。こういうのが現在の結核の病床の実情でございます。私共は取敢ず国立においては八万床確保するが、その八万の確保の目標といたしましては、各県毎にその県の死亡者数の半数を最少限度保有せしめ、同時に大都市周辺でありますとか、或は北海道というような広地域につきましては、少くとも七〇%―八〇%国の責任において設置する必要がある。かような考え方でございます。尚又急速に死亡者数と同数にいたしますには、地方公共団体或いは公益法人の療養施設につきましても援助をして、病床増加を容易ならしめるということが必要でございますが、現在では国立の病床の拡充の方に重点を置いておる次第であります。
 尚外国の死亡者数の実情等につきましては、この資料の附表に表を以て揚げてございますから、後列御覧頂きたいと思います。
 次に結核病院でない收容施設といたしまして、保養所という性格のものがございます。これは病気になる前、つまり発病の虞れのある者を收容したしまして、これによりまして患者の発生を防止するという施設でございますが、私共は現在発病の虞れあるものを收容するという建前から、従つて健康診断を科学的に徹底して行うということに重点を置いて運用いたしております。現在は厚生省の所管といたしましては、小兒の保養所が、東京、横浜、名古屋に一箇所、大阪に二箇所、尚本年は神戸に建設中でございます。二十五年度予算といたしましては京都に建設が決定しておる次第でございます。その他、保養施設といたしまして、文部省の所管いたしますいわゆる学校教職員の保養所がございますが、それはお手許の三枚綴りの一番最後の頁に一応揚げてございます。これは実質的に真の保養所の目的で使用されておる保養所と、それから病院に入れると恰好が惡いというので、実際は結核患者を入れております教職員の保養所と二つに分けられております。患者を入れることは医療法の適用を受ける病院とみなすべきものだか、一応表向きは保養所でございます。これが千九百八十九床あります。
 次に後保護施設につきまして申上げます。結核患者は非常に長期を要するのでありまして、或る程度治療いたしましても、昔の体に帰ることが、困難でありますので、場合によつては職業の転換等をする必要がございます。或いは又永久排薗者というような形でございますので、永久に保護を加えるというような傾向の患者もあるのであります。かような方々のためには、後保護施設いわゆるアフター・ケアー・システムという施設が必要でございます。これは日本では現在非常に少いのでございまして、そこにやはり第三頁目の表にございますように、極く僅かの施設しかないわけであります。而もこれが公にやられておりますのは現在はございませんで、国立の場合におきましても私共療養所の一部として実施しておるような次第であります。これなども将来の問題として積極的に研究の余地がある仕事ではなかろうかというように考えております。
 次に研究施設について申上げますが、研究施設は特段の行政的なものの対象となつておりますのは、結核予防会の附属結核研究所でございます。それ以外には東北大学の抗酸薗研究所、大阪大学の竹尾研究内、京都大学の結核研究所等が結核患者の対策を研究しているのであります。日本におきます結核の研究並びに業績につきましては、ある意味におきまして世界の水準若しくはそれ以上の業績がございます。問題はこれらの政策が直ちに行政に板されるという点に問題があると考えております。尚又日本の特性としまして研究施設が小さいので、立派なものを持ちながら一般的に経費が少いので、研究にはいずれも不自由しておると私共観測しております。
 以上が大体結核予防施設でございますが、次に実践面の予防事業の現状につきまして概要を申上げたいと思います。先ず第一に事業面として考えられます問題は生活の改善でございます。これには連合軍のサムス準将も指摘されておられますが、日本の生活のうち疊の上の生活、蛋白質脂肪等に乏しい生活が結核の温床であるというふうに指摘されておりますが、誠にその通りだと私考えております。特に戰後の住宅事情は結核患者も普通の家族も密集しておる関係上、最近は全般的には結核は減つておりますが、乳幼兒の死亡が増加して来ております。かような意味におきまして、住宅問題の根本解決或いは病床の増設等がその解決をするわけであります。取敢ずの措置といたしましても、患者の居室改善等につきましては意を用いるべきものではないかという考え方を持つております。次に栄養問題でございますが、栄養問題につきましては、これは一般的に日本は質の取り方が下手でございまして、従つてその関係上患者になりましても給養の質等は相当損をしているのではないかと考えております。これは栄養調査の結果に徴しても明瞭でございます。結核で一つ問題がございますのは、従来結核の施設に入院している患者につきましては主食の増配を行つておりますが、自宅にいる患者が実は多いのであります。これらの方々には主食の配給が行われておらんというようなことで、私共事務当局といたしましては懸命の努力をいたしておりますが、まだ完全な解決点には到達いたしておらんのであります。若し患者の家庭に主食が増配できるならば、これは病院に入つております患者も喜んで自宅に帰りまして療養ができる。従つてベツト等も有効に活用できるのでありますが、現在はさような矛盾がございます。
 次に予防接種について申上げます。この問題は予防事業中の最重点として実施しているのでございますが、現在予防接種法によりまして、年齢三十歳までのものにつきましては年一回の予防接種をいたします。而も尚年一回だだけの接種では、学者が示したように、例えば予防接種の結果、結核の発生を二分の一に阻止する、或いは死亡率を八分の一以上に減少せしめるということは確定の事実でございます。年に一回の予防接種ではそのままの額面通りの成績は收め得られるものではありませんので、我々の考えといたしまして患者の家族であるとか、或いは東京とか、その他結核の多い地区に存在します中学生、高等学校、或いは二十五歳までのものにつきましては、少くとも年二回を実施するように指導をするのが必要だと考えております。ところでもう一つ問題になりますことは、この予防接種の実施は従来は昭和十八年以来やつて参つておりますが、従来は予算措置によりまして、地方庁のやります予防接種に政府が三分の二を補助しまして実施して来たわけであります。予防接種法に包括された関係上、一般的の財政見地から、定期の接種につきましては実費徴收という形になつております。これは全般的の政策からそういうことを入れたのでありますが、私共事務当局といたしましては、せめて強制します予防接種ぐらいは無償でやつて貰いたいと思います。現在ではそういう状態で予算措置ができないということを、ここで御参考までに申上げたいと思います。
 次に健康診断でございます。この結核患者を早期に発見して、早く治すということがやはり又結核対策上、一般事業として最も重要なことに属します。而もこの健康診断と結核予施接種をかみ合せましてやることによつて、大体に結核対策が完成するわけであります。一番成功いたしましたのは石川県でごいます。石川県は健康診断と、予防接種を昭和十五年に強力に実施いたしましたところ、従来は日本一の結核患者の県でありましたが、現在では平均県になつております。而も尚これが十分なる実施をいたしました十五年度乃至十六年度というものは、四分の一に減少いたしております。かようなことを強力にやるという考えで、地方庁を督励いたしておるのでありますが、ここで問題になりますのは、現在健康診断につきまして法制的な基礎のございますのは、労働基準法にありますところの健康診断、それから学校教育法におけるところの学校における健康診断、並びに厚生省の所管いたしておりますところの結核予防法に基くところの健康診断と三者の法的基礎がございます。ところがこれらの診断の内容につきましては、それぞれ事務的に調整を図つておりますが、私共は率直に申上げますというと、必ずしも十分に行つておるとは限らんのであります。即ち工場におきます或いは事務所におきます健康診断では、その実施の義務が工場長、使用者になつております。現在俸給等の遅欠配もある今日、十分健康診断させるような経費につきましては、十分にやらなければならんのでありますけれども、負担に堪えない工場が多々ございます。特に中小工場、五十人以下の零細工場におきましては、全く無視されておると言つてもいいのでありますが、結核の発生がこういう零細工場にあるということは、全く注目すべき事実ではなかろうかと考えておりまして、尚又学校につきましては、理解ある学校におきましては、又父兄等の非常に金持であるような場合には、立派な施設に委嘱しまして、十分な結核診断をやつておりますが、これ又文化水準の低いような学校では、親というものは飴玉を買うには五十円、百円と金をやりますけれども、学校へ金を持つて来てレントゲンを撮るというような場合には金を出したがらないのであります。私共は健康診断につきましては強力に一本化しまして、実施しないところにはそれぞれ又補助予防策を採つて、完全実施するという政策が必要ではなかろうかと思うのであります。
 次に最も重要な問題でございますが、健康診断をかように普及いたしましても、問題はできた患者の始末であります。できた患者の始末につきましては、私共はいわゆる事後措置と申しておりますが、事後措置の徹底によつて、初めて第一の目標の健康診断ができるわけであります。例えば病毒伝播の虞れある患者が多ければ直ちに休ませるし、或いは就業を禁止する、入院を強制するという措置を取る必要があります。現在現行の予防法におきましても、さような規定があるのでありますが、実質的には運用せられないのであります。その理由といたしましては、例えば政府管掌の健康保險の対象者は六百万余りでございます。そのうちの加入者は三百万なにがしであります。五〇%近い未加入者があるのであります。この方々を若し健康診断の結果就業の禁止をいたしますということが若し可能であるといたしましても、これは翌日から生活に困窮を来たしまして、そういうような意味合からそれを救うのが保護法でございますが、保護法までの過程に何らかの措置が講じられるというのが、実質上の結核対策推進上最も大きな政治問題と考えなければならんと存じます。現在皆樣によつて御検討中の社会保障制度の確立に当りましては、特にこの点に御留意頂ければ幸せではないかと考えております。これ又政府からとしての御説明としては、甚だ不適正な言葉でございますが、私共はその点につきまして、将来において折衝いたしたいと存ずる次第でございます。
 尚次に結核患者の收容、指導、保護という問題につきましては、別の面から申上げるのでありますが、入院して治療すればこれは一番いいわけでありますが、先程申上げましたように、三百五十万の結核患者があり、病床は八万でございます。一応目標といたしますところにつきましても、非常に多数、殆んど大部分の者が自宅において療養いたしております。これらの者につきましては、適正な医師の指導と、或いはそれの協力者としての保健婦の指導、並びに社会的な保護が必要なわけでありますが、現在これも細かく申上げれば限りないことでございます。私共の專門的な見地からといたしましては、十分に行われているということは言えないと存じます。その外一般の医師の結核に対する協力というような字もございますが、これは医師が、例えば現在の結核予防法におきましては、医師が結核患者、特に病毒伝播の虞れがある結核患者を診察いたしますと、それに対する必要な指示の義務がございます。又指示を受けた者はこれによる履の行義務がございますが、実質的には非常に低調である、というふうに申上げて然るべき実情ではなかろうかと考えております。尚又保健婦の事業でございますが、これは在宅患者即ち入院しておらない患者に対する唯一の手掛けでございますが、先程保健所の整備のところで申上げましたが、現在では保健婦の数も不足でございますので、家庭におる者に対する保護の手が十分でないという実情でございます。私共としましては御医者さんの届出に対しまして、平均四回くらいの家庭訪問を実施させたいと存じておりますが、旅費等の関係等、実際の経費の足りない点で、そこまで手が伸びておらんというのが実情でございます。
 尚結核の治療について一言申上げますが、最近外科的手術、或いはストレプトマイシンという新しい薬品の発見によりまして、従来不治とせられております結核患者は、適当な時期に治療いたしますれば、むしろ治る病気であるというような結論になつて参つておるのでございます。ところが外科的手術をいたしますには、やはりそれぞれ必要な、病院施設を必要といたします。尚又ストレプトマイシンに対しましても、これ又御案内のように現在では輸入によつて極く一部の方に蒲高ておる実情でございます。かような意味合におきまして、急速に医療施設の拡充を図り、ストレプトマイシン等の生産に対しまして今少し政府が協力する必要があるのであります。特にこれ又病床等にも制約されるのでありますが、外科的手術を要する患者が再質的には非常に多いのでありますが、一般には人工気胸術というような胸郭の中に空気を入れる方法でございますが、これによりましても相当な成績が收め得られるのでございます。これに対しましても現在保健所等を非常に督励いたしまして、成績が挙がるようにいたしておりますが、やはり一般の診療施設におけるかかる近代的治療が普及するという点が問題になるだろうと存じております。まだ国民の中には迷信的治療をして、適切な医師の指導よりも、隣りのおかみさんに指導されますと直ぐ考えが変るというような、一般的なこの間違つた観念につきましても、これを矯正しませんと、近代的な治療の恩惠に国民一般が與るのが遠いのではないかと考えております。
 次に結核予防職員の確保について申上げたいと存じますが、現状といたしましては政府といたしましては相当の努力をし、又皆さんの御指導によりまして結核病床が戰後におきましては或る程度急角度に増しております。只今御説明申上げますというと、日本の結核対策は何から何まで皆不十分じやないかとお考えになるか存じませんが、これは結核という專門の見地から申上げるのでありますが、多年かかりました結核施設の眼から見ますというと、終戰後におけるいろいろな病院の増加、保健所の増加等も急角度に上つておりますが、それに対しまして技術職員が非常に不足いたしております。それは給與の水準の問題が根本問題だろうと存じます。例えば大学を出た新らしいお医者さんを五六千円の俸給で雇おうとし、或いは又十数年経ちました経験のあるお医者さんでも一万円前後であるというようなことでは、我々の期待する知識と経験の十分な医師を我我の施設に入れることすら困難ではないかというのが実情でございます。従いまして給與水準の改正につきまして、厚生省としましては人事院当局にも強くお願いに上つておるような次第でございます。尚又多数の医師に対しまして、近代的治療をなせるような立派な技術を体得させることが必要でございます。現在では結核予防会の研究所におきます訓練が一番理想的なものでございまして、これは海外から見えられた方も感心するような教育を行つておりますが、こういうような特殊の教育は量的には十分にならんのであります。従つて私共は短期の講習会を方方で行つておりますが、予算的にもまだ十分というような実情ではございません。次に特に政治的な見地から重要な問題と考えられますのは医療社会事業でございます。即ち結核はやはり貧困な方に余計出ますし、又裕福な方もこれに襲われますと貧困になります。そういう意味合におきまして、而も又結核治療には相当長年月を要します。そういう意味合から医療社会事業は結核という問題については最も大きな課題でございます。現状の医療社会事業の基礎となりますものは健康保險、その他の社会保險、或いは共済組合或いは生活保護法等でございますが、先程も申上げましたように、健康保險に入るべき資格を有しながら入らないものが三百万ございます。学校教職員等につきましても、共済組合に入つておらんものが四%ございます。これらの人は若し結核と診断されますと即日生活に困窮を来たす、医療ということよりも生活に直ちに困窮いたすような実情でございますので、かような見地から先程申上げましたように、急速に広い意味の社会保障制度が確立される必要があるのでなかろうかと考えるのであります。尚国立病院或いは一般公益法人等の療養所におきましては、社会保險或いは生活保護法の患者というのが大多数でございます。特にその一部負担のできない人の数は相当多いのでございます。或いは又保護法にはかからないが、一銭も拂えないという患者は大変あるのであります。従いまして国立病院それ自体の赤字を御覽になりますと直ぐお分りになるかと存じます。又公益法人におきましても多々ありますし、一応予算的措置をそのために国が採らなければならないというような現状でございます。その他結核予防知識の普及びまあ最後的な一般的な施策になります。これにつきましては多言を要しませんので省略いたします。
 以上御説明申上げましたところで大体私共の、事務当局の考えて来ております結核対策並びに実情というものがほぼ話し盡されたと考えますが、この予算の内容について、その実情を更に簡單に申上げたいと存じます。五十三頁から五十四頁にかけまして現在の結核予算のことが書いてございます。これによりますと、現行の予算は形の上では仕事ができるようになつております。これを率直に申上げますと、形の上では結核に対する事業は或る程度できることになつております。併しながらこれを第一線で大衆に及ぼす場合には、非常に不自由な予算であるというのが現状であります。例えば予防接種をやりますその際に、取れるものは金を取るという建前は極く僅少の金でありますから何でもないのでありますが、従つて予算措置といたしましては、貧困者の分だけの予算措置は講じております。ところが、実質的には金を持つて集まれということになると、集まらんというような点で予算の実情と……、でき得る筈のところも、実情実施しておるところの相違が、現行予算では出ておるというのが実情でございます。
 まあ以上一応結核の現状について申上げたのでございますが、私共はその結論といたしまして、担当者の考えておることを附け加えさせて頂きたいと思います。勿論結核を減少せしめます場合には、各個人の生活が裕福になり、国が富んで参りますれば、自然減少して参ります。併しながら生活向上による自然減少というものには、非常な長年月を要します。例えば、各国におきまして結核が減少した実例を申上げますというと、ヨーロッパでも或いはアメリカでも、今から百年前は現在の日本の結核の倍の惨禍に掩われておつたのであります。即ち人口一万について三十五から四十五という死亡率を示していたのでありますが、これは現在では日本の五、六分の一ということになるのでありまして、その原因を詳細に検討して見ますというと、大体一八五〇年から一九〇〇年の間におきまして、五十年かかつて結核は半分にいたしております。その頃から結核は伝染病であるということも明確になり、特定の予防技術というものが、加味されて参りまして、第一次欧州大戰の前後では、その後の半減に対しまして、二十年から三十年の日子を掛けております。それから第一次欧州大戰争から今次大戰争の、現在の絢爛たる医学が適用されることになりましてからは、十二年乃至二十年位で半減いたしまして、そして今日のように極く僅かな結核患者数になつておるのであります。従いましてこの見方から見ますと、現在では、外国では例えば結核の病床なども非常に多く持つておりますが、病院自体の数においては日本と変つておりません。日本の結核病床とアメリカの結核病床とは絶対数では大した差がありません。即ち外国は結核がどんどん減つておるから病床数が殖えて来ておる、そういうような実情でございまして、現在日本の持つております結核予防技術を以てすれば一体どの位減るかということが、私共技術者に課せられた責任でございまして、いろいろな角度から研究いたしました結論だけ申上げますならば、五年乃至十年で私共は日本の結核は半分に減らすことは、現在の日本の科学技術では可能だと考えております。又同時にこれが非常に国力、国の経済力を増加し或いは不要なる経済負担を軽減するものではないかと考えておりますが、これに対しましては十分なる御研究の結果、我我医療行政の施策の上にやり易いような政治的御配慮が願えれば仕合せではないかと思う。そういうような経過的な事項につきまして特別の計画を持つておりますが、別の機会に或いは御説明するようになるかと思いますから、一応概括的な見通しだけについて申上げさして頂きました。
#5
○委員長(塚本重藏君) 尚国立療養所に関係しまして吉田事務官から説明をお願いします。
#6
○説明員(吉田壽三郎君) 吉田事務官であります。今日は局長も課長もちよつと差支ありましてまだお見えになりませんので、大変不首尾と思いますけれども、私から説明させて頂きます。大体国立療養所の関係に限つて御説明申上げます。
 国立の結核療養所は百四十二個所ございまして、お手許にお配りいたしましたのを見て頂きまして。何しますように……。お手許に行つておりませんか、こういうものが……。それでは説明させて頂きます。二十四年度の始めにベットは三万二千床程ございましたが、この十二月には三万八千床程……、患者を説明いたしますと、百四十二個所に入つております患者は、――二十四年の四月には三万二千程ございましたが、十二月には三万八千位に増加いたしておりまして、月七百名位の増加に相成つております。この傾向は終戰後一時非常にベットが空いておりました。そして結核療養所の数というものが非常に低下して参りました。当時いろいろな点で心配しましたことを全く裏切つておりまして、とにかく百五十万というような沢山な患者が、而も現在のような貧困なる日本の状況にありまして結核に罹つておるのでありますから、当然四万や五万や乃至は八万というようなベットはすぐに一杯になつてしまうだろうということが想像できるのでありますけれども、その事実を物語つていると思います。
 この患者の内訳を次の二枚目の紙で見て頂きますと、ここに挙げましたのは大体八月の資料でございますが、肺結核の患者で入所しております者がこのうち三万三千から四千程でございます。そうしましてこうして入りました肺結核の患者は約、退所いたしまするときには半分と行きませんが、四割が死亡退所でありまして、それからその外が生存の退所になつております。それから国立の結核療養所は傷痍軍人の療養所と日本医療団の施設から終戰後成立つようになりましたのでありますが、従いまして傷痍軍人療養所の方から与りました療養所では、傷痍軍人の数が相当数占めておりまして、両方の間に非常な相違がございましたけれども、最近にはだんだん平均化されて参りまして、この表の二枚目の表の一番上の右の隅の方を御覽下されば分りますように、傷痍軍人の数は一割ちよつとになつて参りまして、大体一般大衆の療養所というふうに変つて参りました。それに伴いまして、元来は軽症者が多かつた傷痍軍人療養所も重症者が多くなるという傾向を持つて参りまして、その二段目の表の、A・B・C・D・Eというところがございますが、これは安靜度を表にいたしておるのでありまして、Aの方は比較的軽症でありまして、Bの方は重症でありますが、CDというようなところが大部分を占めるところでございまして、而もEのところがずつと増加をして来ているというような状況ですが、その次には大体退所関係のところの状態を見ますと、停止略治というような形で退所するものが多く、それから療養所というものを利用いたしました結果、好転をして出て行くというものが多くなつて参ります。その点ははつきり言えると思います。
 それから次は職員の現状について説明さして頂きます。職員のうちでこの表紙の表の一番最初のところを見て頂きますというとお分りになります通りに、医師、薬剤師、それから看護婦というようなところがまだ充員されていない状況でございます。これは先程も御説明がございましたように、殊に医師の場合は、これは給與水準が低いという点に非常に原因があります。又可なり療養所が辺境な土地にありますので、なかなか子弟の教育とかいうような点も災いしまして、優秀な医師というよりか、医師それ自身がなかなか得にくいという状況であります。外の職員につきましても給與の点は共通するのでありますが、看護婦はこれは結核療養所に参りますと、社会上の結核に対する認識がないのでありますから、そういうところへ自分の子女を寄越すということを快しとしない。又そういうところにおつた者は結婚等するのに差支えるという状況で、なかなか充実しにくい状態であります。又結核関係のいろいろな技術者というものが、これは将来特別な教育を受けて、もつと充実さして行く必要があるものと思つております。とにかく結核療養所というものはその職を得にくい。殊に技術者の得にくいということを、この表は物語つていると思うのであります。
 次に施療内容について説明をいたします。三枚目のところでございます。予防課長からもお話がございましたように、結核の治療法といたしまして、大気安靜療法というものが最初でありますが、その外に有力な治療手段といたしまして殊に外科療法、それからストレプトマイシンというものが登場して参ります。一昨年来から国立療養所におきましても、外科療法を推進して行つたのでありますが、只今のところ入所者の三分の一くらいは気胸を続行しておる患者でありまして、又胸廓整形術、それから充填術というようないわゆるそういう手術をやつておりまして、患者は入所者の、年間を通じますというと、九分の一くらいに上るような状況であります。
 それからストレプトマイシンは可なり使用法が局限されておりますが、脳膜炎とか、乃至は粟粒性結核とかいう指定されたもの以外に、更に早期の結核、それから乃至は手術後の結核の進展というようなものを防止する上において非常に役立つているようであります。
 それから次に患者の食費について申上げますが、この三枚目の一番最後の表に載つておりますように、大体患者は八月では平均一日五十四円六十九銭でありまして、これは第三四半期から六十五円となつておりますが、その内訳は次のようなことでありまして、栄養価の点から見まして、カロリーの点はまあ大体十分だと思いますが、脂肪蛋白等におきましては、結核患者といたしましては、もう少し考えなければならないのではないかと思うのであります。
 それからここに入つております患者の診療費の問題でありますが、生活保護法で入つております者が大体三割から四割。それから保險関係で入つておりますのが三割、それから免除乃至は減額をいたしております者が一割五分、それから自費で拂つておりますのが一割前後でありまして、非常に先程も申されましたように、医療社会事業関係の面を将来考えて頂かないとならないような表になつているわけであります。生活保護の患者がだんだん殖えて行くような傾向を辿つております。
 以上で国立療養所の大体の現況を、八月に例を取つて簡單に御説明申上げましたが、これを今までの沿革から申上げて見まするというと、大体結核療養所というものはサナトリユウムという概念が、一番最初ドイツで出発しましたときのように、軽症者を入れて行くという、乃至は大気安靜療法というようなもののみを中心にしてやつて行くというような状態から変遷いたしまして、だんだん肺病院と言いますか、結核病院と言いまするか、そういうふうなものに移りつつあるということであります。現在ははつきり申上げますというと、手術その他の治療が加わりまして、従つて又結核というものの診断も精細を極めるようになりましたので、結核病院と言つた方が適当な状態にあります。そういう点でその職員、それから内容というようなものを考えて頂かなければならないような状態になつております。最近試みにモデル病棟というようなものをやつておりますが、こうして適当な治療をやりますというと、その人手から何から非常にかかるのでありまして、現在のような状態では、なかなか満足な治療が與えられないというようなことを痛切に感ずるわけであります。
 次に收容力の関係を御説明申上げます。これは整備のことと連関いたしますが、大体国の療養所といたしましては、この二十四年度の末におきまして四万五千床になる予定であります。これは確実になると申上げることができます。来年度計画で大体八千五百床が増床になりまして、その外に五百床が国立病院の方から転換をいたしまして、合計いたしますと、二十五年度末には五万四千床になる予定であります。そういう予定でありますが、この二枚目の一番最後のところを見て頂きますというと二十四年度八月の收容余力調べによりますと、月末の最大收容可能数が三万九千二百八十六床ざありまして、その月末在所患者数が三万六千九百四人であります。それで收容余力といたしましては二千三百八十二ということが一応数字の上では上つております。而も待機患者が六千六百五十一名あるということになつておりますが、この收容余力というのは、これは職員その他の関係で、こういうふうに余力が表面的あるように見えましても、実際においては收容不可能状態にあるというようなのでありまして、收容できる限りにおきましては、大体マキシマムまで入れておるということが言えるのであります。ベットの廻転といたしましては、うまく経営いたしまして、どうしても少くとも一割ぐらいの空床が必要であるというふうに考えておるのでありますが、そういうものが現在得られないような窮状であります。それで先程申上げました増床計画につきましても、これは各府県を眺めまして非常にアン・バランスにおります点も、大体バランスを取つて行くようなふうに充実をして行く。それから又結核はやはり人口の稠密なところ、そういうところを背景としてやはり充実をして行かなければならないと考えておるわけであります。今までの療養所というものが、先程もちよつと申上げましたが、職員を得にくい。又いわゆるサナトリウムでなくて結核病院というような形に内容がだんだんなつているという点から考えまして、従つて或る程度重症者が入る。又手術などをして可なり短期に退所して行くというような点を考えますというと、今までのような辺境の土地に療養所があるというようなことでなくて、もつと便利な都市の近くに、多少とも無理をしても療養所の増設を行なつて行かなければならない状態にあると考えております。
 それから次に療養所の職員の中で医師は八百八十一名、昨年八月現在でございます。千名を突破する定員を頂いているわけでありまして、将来はそれが充実されて行くと思うのでありますが、とにかく結核に專念している医者がこれだけいるのであります。その外の職員もそれぞれの分野で結核に專念をしているのでありまして、これだけのまとまつた力というものが結集されやすい形に結核療養所はございますので、ただそこで三万なり四万なり乃至は五万なりの患者を收容して、その患者の面倒を見て行くというだけに止まらないで、私達療養所を指導して行きます立場にある者といたしましては、最初そこの職員が日本の結核問題というものを解決して行くと言いますか、そういうものに寄與することのできるような形に持つて行きたしと思つているのであります。つまりそこでは患者の治療という点だけでなくて、更に未解決でありますところの結核治療の研究をはつきりやつて頂く、乃至はそこから結核予防に役立つような資料を作つて頂くというふうに持つて行きたいと考えているわけであります。それから更に職員は予防面にタイアツプをしまして、まだ充実しきれないところの予防の面のお手伝いをやつて行くようにしなければならないと考えております。
 以上大変ふつつかでありましたが、これを以て私の説明を終ります。
#7
○委員長(塚本重藏君) 以上で以て大体一応の説明を聽取したわけでありますが、質問が皆さん沢山おありになると思いますが、時間の関係がありますので次回に讓りたいと思います。井上さんよろしうございますか。
#8
○井上なつゑ君 次回でよろしうございます。皆さんがそうなさるのでござましたら……
#9
○委員長(塚本重藏君) それでは次回に讓ることにいたしまして、本日はこれを以て散会いたします。
   午後零時八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   委員
           中平常太郎君
           姫井 伊介君
           山下 義信君
           石原幹市郎君
           藤森 眞治君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
  政府委員
   厚 生 技 官
   (公衆衞生局
   長)      三木 行治君
  説明員
   厚 生 技 官
   (公衆衞生局予
   防課長)    小川 朝吉君
   厚生事務官
   (医務局国立療
   養所課勤務)  吉田壽三郎君
ソース: 国立国会図書館
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