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1980/05/12 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 商工委員会流通問題小委員会 第1号
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1980/05/12 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 商工委員会流通問題小委員会 第1号

#1
第094回国会 商工委員会流通問題小委員会 第1号
本小委員会は昭和五十六年二月二十四日(火曜
日)委員会において、設置することに決した。
二月二十四日
 本小委員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      天野 公義君    小川 平二君
      梶山 静六君    粕谷  茂君
      泰道 三八君    辻  英雄君
      鳩山 邦夫君    林  義郎君
      松永  光君    森   清君
      渡部 恒三君    上坂  昇君
      清水  勇君    山本 幸一君
      渡辺 三郎君    北側 義一君
      武田 一夫君    横手 文雄君
      小林 政子君    阿部 昭吾君
二月二十四日
 渡辺三郎君が委員長の指名で、小委員長に選任
 された。
昭和五十六年五月十二日(火曜日)
    午前十時四分開議
 出席小委員
   小委員長 渡辺 三郎君
      植竹 繁雄君    梶山 静六君
      泰道 三八君    辻  英雄君
      鳩山 邦夫君    森   清君
      上坂  昇君    清水  勇君
      北側 義一君    武田 一夫君
      小林 政子君    菅  直人君
 出席政府委員
        通商産業大臣官
        房審議官    神谷 和男君
 小委員外の出席者
        通商産業省産業
        政策局商務・サ
        ービス産業室長 江崎  格君
        資源エネルギー
        庁長官官房鉱業
        課長      山梨 晃一君
        参  考  人
        (全国商品取引
        員協会連合会会
        長)      多々良義成君
        参  考  人
        (社団法人日本
        金地金流通協会
        会長)     田中淳一郎君
        参  考  人
        (悪徳商法被害
        者対策委員会会
        長)      堺  次夫君
    ―――――――――――――
五月十二日
 小委員武田一夫君二月二十六日委員辞任につ
 き、その補欠として武田一夫君が委員長の指名
 で小委員に選任された。
同日
 小委員粕谷茂君三月二十日委員辞任につき、そ
 の補欠として植竹繁雄君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
同日
 小委員小川平二君及び森清君三月二十四日委員
 辞任につき、その補欠として小川平二君及び森
 清君が委員長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員阿部昭吾君四月八日委員辞任につき、そ
 の補欠として菅直人君が委員長の指名で小委員
 に選任された。
同日
 小委員山本幸一君同月七日委員辞任につき、そ
 の補欠として山本幸一君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
同日
 小委員植竹繁雄君同日小委員辞任につき、その
 補欠として粕谷茂君が委員長の指名で小委員に
 選任された。
同日
 小委員菅直人君同日委員辞任につき、その補欠
 として阿部昭吾君が委員長の指名で小委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 流通問題に関する件(金取引問題)
     ――――◇―――――
#2
○渡辺小委員長 これより商工委員会流通問題小委員会を開会いたします。
 本日は、流通問題に関する件、特に金取引問題について調査を進めてまいりたいと存じます。
 本問題について、参考人として、全国商品取引員協会連合会会長多々良義成君、社団法人日本金地金流通協会会長田中淳一郎君及び悪徳商法被害者対策委員会会長堺次夫君、以上三名の方々に御出席を願っております。
 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人各位には、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。
 最近、金市場開設に関して巷間論議が高まっており、行政当局も検討を進め始めていると言われておりますが、本小委員会といたしましても、金取引に関する諸問題についてこの機会に論議を深め、今後に予想される問題点を明らかにすることによって、公正な流通政策の確立に資してまいりたいと念願いたしております。
 参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
 なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分程度取りまとめてお述べいただき、次に小委員の質疑に対してお答えをいただきたいと思います。
 なお、念のために申し上げますが、発言の際は小委員長の許可を得ることになっております。
 また、参考人は小委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。
 それでは、まず多々良参考人にお願いをいたします。
#3
○多々良参考人 ただいま御紹介いただきました全国商品取引員協会連合会の会長を務めております多々良義成でございます。
 私どもの意見を申し述べさしていただきますけれども、きわめてふなれな点、お聞き苦しいと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 私どもは、金取引所の設置につきまして、金が完全に自由化になりまして以来、その必要性について強く要望してきたところでございます。
 たとえば、昭和五十三年七月二十日付で時の通産大臣あてに「金取引所設立に関する陳情書」を提出いたしまして、翌五十四年五月十五日には、私どもの団体でございます全国商品取引員協会連合会と、もう一つの私どもの業界の団体でございます商品取引所の団体である社団法人全国商品取引所連合会の連名で、「金取引所設置の必要性について」という提言書を関係当局に提出しておるのでございます。特に、昭和五十五年四月二十六日のいわゆる商品取引所法第八条の逆転解釈以降は、その対策上からも、公認の金取引所の必要性を強く要望してまいったところでございます。
 以上のような経過を踏まえながら、私どもが常日ごろ考えております金取引所の必要性について、簡単に所見を述べさせていただきます。
 まず第一点でございますけれども、経済的見地から見た金の自由化及び金の商品化に伴う金取引所の必要性についてでございます。
 金は長い間、通貨体制の中に組み入れられておりまして、第二次世界大戦後も金ドル本位制とIMF体制のもとで、国際通貨決済手段の主軸を占めてまいっておりましたが、一九七一年、昭和四十六年八月十五日のいわゆるニクソン・ショックによりまして、金とドルの交換が停止されて金為替本位制が崩壊し、一九七八年、昭和五十三年のIMF新協定の発効で、金は国際通貨制度上全く廃貨されるところとなりました。
 わが国におきましても一九七三年、これは昭和四十八年でございますが、この四月一日の円の変動相場制採用と同時に、金の輸入自由化が行われ、五年後の一九七八年、昭和五十三年に当たりますが、この三月末日に貴金属特別会計が廃止され、翌日の四月一日には、IMFの新協定発効と同時に、わが国におきましても金輸出の自由化が行われ、金は完全に商品として位置づけられるところとなりました。
 以上のように、国際的にも国内的にも商品と化した金でございますが、それまで長い間統制的に管理されておりましたので、各国間の保有が偏在しており、これが自由化とともに修正運動を始め、各国間の金の移動が目立ち始めてまいりました。たとえば、金に対しまして従来比較的関心の乏しかったわが国では、昭和五十年には百六・四トン程度の需要量にすぎなかった金が、昭和五十四年には百九十三・七トンと二倍近い需要量にふえております。
 こうした金の国際間の移動増加に伴いまして金取引も増大し、加えて石油価格の高騰や各国間の為替相場の変動と相まって金の価格変動も激しくなり、金取引に関して、わが国においても権威ある金市場の確立が要請されるところとなったと判断いたしております。
 私どもが考える権威ある金の市場とは一体何か、こう申しますと、まず信頼できる公正な価格が形成され、そしてその公正な価格に基づきまして安心して取引できる市場で、しかも金関係の当業者が価格変動に伴うリスクをヘッジでき、国際的にも日本の立場が明確に主張できる市場ということになろうかと思います。このような市場は、現行法制下では、商品取引所法に基づく金取引所以外にないと思量するのでございます。
 以上のことをいま少し具体的に敷衍して申し上げてみたいと思います。
 その一つは、わが国の金保有量がいかにも僅少でございまして、たとえばわが国の公的保有金は一九八〇年末で七百五十三トンと少なく、アメリカの公的保有金の十二分の一、西ドイツの四分の一、フランスの三・五分の一、イタリアの二・六分の一というような数字になっております。私的保有金に至りましては、日本の私的保有金を仮に三百トンと見積もったといたしましても、フランスの二十一分の一、インドの十二分の一、アメリカの十一分の一にすぎない。この金保有量の僅少さが、今後わが国の金保有意欲を刺激し、ことに保有財産の多様化あるいはインフレヘッジ手段の多角化傾向と相まって、一気にわが国の金保有を進展させるものと推測されるのでございます。
 この金保有の増加は、国益上も好ましいことであり、その円滑な流通促進のためにも、信頼できる価格で購入ないしは換金できる権威ある金の取引所が必要であると考えているのでございます。
 その二は、すでに自由世界の金供給量の一割内外の需要量を持つわが国において、主体性のある金市場が必要と考えられる点でございます。
 市場経済的に見まして、海外の有力市場に依存していることは、その市場に隷属することを意味し、国益を損なうことが多いばかりか、海外市場を利用し得ないような中小関連業者に益するところが少ないと言わねばなりません。
 特に金市場に関しましては、国内に円建て市場を設置することによりまして、円為替のリスクヘッジが容易となり、国民経済の安定的発展に貢献するところ大と考えるのであります。
 その三は、世界の趨勢が金の先物市場開設に向けて急速度に進展しているという点でございます。
 これは各国の金市場の拡大強化と市場覇権の確立をねらった補強措置で、わが国はその趨勢に乗りおくれてはならない、このように考えます。
 ちなみに、金の先物市場を開設している海外の取引所を列挙いたしますと、カナダのウィニペグ取引所、ニューヨーク商品取引所、いわゆるコメックスでございます。次にシカゴ・マーカンタイルの国際通貨市場、いわゆる一MMでございます。そのほかニューヨークのマーカンタイル取引所、シカゴ・ボード・オブ・トレード、中部アメリカ商品取引所とアメリカに五つの金先物市場がございます。そのほかにオーストラリアのシドニー、それからシンガポール、香港の各取引所、世界で合計九取引所がすでに先物取引を行っております。しかも近く、恐らく年内だろうと推定されますけれども、ロンドン金属取引所、いわゆるLME並びにブラジルのサンパウロ取引所が金の先物取引を開始すべく準備を進めておるということでございます。
 第四番目は、実態論として、拡大しております国内の金取引に関連いたしまして、金取扱業者の方々から私どものところへ、既設の国内金市場の価格についてなかなか理解できにくいといった考え方も持ち込まれまして、公正な価格形成市場としての金取引所の設置要望がまいっております。また、海外市場の利用にふなれな金取扱業者からは、価格変動リスクのヘッジ機関としての金取引所の設置要望も寄せられておるのでございます。
 次に、社会的見地から、以下申し上げます二つの点で、金を商品取引所法に基づく政令指定商品とし、オーソライズされた金取引所の設置の必要性を痛感するのでございます。
 その第一点は、昨年四月の、ちょっと先ほど触れましたいわゆる商品取引所法第八条の逆転解釈により、金の私設市場が、商品取引所法の精神に反しまして野放しに近い状態に放置されておりますので、一日も早く金を商品取引所法に基づく政令指定商品とし、悪質な金の私設市場や低資質の関連業者の一掃を図る必要があるということであります。
 その第二点は、香港等海外商品取引所関係の受託業務資格を取得した人たちの中で、無軌道な金取引の受託活動により、一般投資家に不測の損害を与えるトラブルが頻発しているやに聞き及んでおりますが、これら社会的弊害防止のために別途方策を講ずる傍ら、並行してわが国に公設の金取引所を設置し、資質の高い受託業者による正しい金取引の普及啓蒙を推進する必要があろうと考えておるところでございます。
 以上でございます。
#4
○渡辺小委員長 次に、田中参考人にお願いいたします。
#5
○田中参考人 田中でございます。
 日本金地金流通協会といたしまして、本件に関する考え方が先般理事会でまとまっておりますので、この結論について、書類を読ましていただきたいということでございます。
 衆議院商工委員会
 流通問題小委員会
 小委員長 渡辺三郎先生
           日本金地金流通協会
              会長 田中淳一郎
    陳 述 書
  私は、社団法人 日本金地金流通協会 会長 田中淳一郎で御座います。
  此の度「金」が商品取引所法の政令指定商品とされることについて私共の意見を申し述べます。
  私共は現行の商品取引所法の当業者主義の精神に則り、当業者の価格ヘッヂのために先物市場を開設するということで、大きな課題を抱えております。
  即ち、こうした方針のもとでは当然のことながら、当業者である私共が積極的に参加して健全な先物市場を形成することが、必要であるように一般の方に期待されておる向きもありますが、私共は、これまで先物取引市場を利用した価格ヘッヂを行なっておりません。というのは私共は伝統的に現物を所有するという形で、事実上ヘッヂを行なってきたためであり、当協会の会員会社の多くも同様のやり方を行なって来たわけであります。
   即ち、他の一般の商品と異なり「金」は長い間「質」も変化せず、また長期では金利以上の値上りを続けて来た訳ですから、私共は一定の在庫量を保有し毎日売れた量だけ買手当をし、常に同じ量の在庫水準を保つといった方法が最も良い方法であることを知っているからであります。
   私共は先物市場が一般投資家の意志を直接取引所に反映出来ることや、先物市場が出来ることによって「金」を資金の現先運用に利用出来ることなど「金」の資産としての価格を高めることなどの目的を果すものと考えますが、しかし、こうした性格の市場であるアメリカのコメックスを例にとっても先物市場が大衆の投機の市場となることを考慮し、一般投資家の保護が充分に尽される必要があると考えます。従って、金の先物市場の開設を検討するに当っては
   一般投資家の保護のための措置を充分に勘案した上で審議が尽されることを希望します。
   いずれにしても、現在先物市場を開設する方向で情勢が動いている訳ですから、私共の立場で協力出来る現物の売買・溶解・検査等については協力していくつもりですし、私共にとっても利用の可能性について充分検討を行なわなければならないと考えております。
 また、金の先物取引所の会員になることについても、私共の伝統的なヘッヂのやり方を考慮しつつ、今後充分に検討した上で私共の方針を決定する所存で御座いますので宜しくお願いしたいと存じます。
   どうも有難う御座いました。
   以上
 二、三つけ加えておきたいと思いますが、この日本金地金流通協会というのはどんな内容になっているのかというと、伝統的な金地金業者、つまり親の代からの金地金屋であって、溶解であるとか精錬であるとかあるいは鑑定であるとか、諸般の一通りの能力を十分に持って、日々この能力を活用しながら商売をしているという連中が、正会員と称しまして三十二社ございます。それから、それほどの技術、能力は持っていないんだけれども、金の販売について従来からやっておるし、あるいはこの際流通協会の方針に賛同して手を染めてみたいし、またこの方針に従ってやるという方を承認をいたしまして登録をいたしまして、この登録会社が本日現在で二百二十九社。それから賛助会員というものがございまして、これはたとえば金を産出する鉱山会社であるとか、まあ産出するといっても買鉱というようなことが主たることになりますけれども、いわゆる供給者であるというところの産金業者、それから各商社の中で金を取り扱っておられる方、こういうような方が賛助会員として五十七社、計三百十八社の方が日本金地金流通協会の会員として属しておるわけでございます。
 このほかに、この数字に入っておりませんけれども、各デパートであるとかあるいは各デパートのそれぞれの支店であるとかいうようなところがこの数字の中に入りませんで参加もしておるわけでございますし、またそれぞれの地金業者が自分との関係で特約店というようなものを持っておりますので、これは北海道から沖繩までに散在をしておりまして、おおむね千軒ぐらいのものが金の現物販売に従事しておるというふうにお考えをいただいてよろしいのではないだろうかということでございます。
 以上で私のお話を終わりたいと思います。
#6
○渡辺小委員長 次に、堺参考人にお願いいたします。
#7
○堺参考人 悪徳商法被害者対策委員会会長の堺でございます。
 四十九年二月から、庶民を食い物にする経済犯罪の摘発、撲滅、被害回復の指導というような市民運動、消費者運動に携わってきております。これまで主なものとしましては、マルチ商法、ネズミ講がございますが、その双方につきましては、立法府の格別な御理解をいただき、マルチ商法につきましては規制法、ネズミ講につきましては禁止法を制定していただいております。大変深く感謝しております。
 金の私設市場、通称ブラックマーケットと呼んでおりますが、これを舞台にした先物取引につきましては、五十三年七月からその対策に取り組んできております。五十三年七月から五十六年四月現在、当委員会に訴えられました被害者の訴えは、手紙によるものだけで六百二十一人、総額三十億四千三百万円に達しております。一人平均五百万円の被害でございます。この被害者対策及び消費者保護という観点から、いろいろ意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 私どもは、消費者保護あるいはまた金のブラックマーケット退治という点から、現在、商品取引所法に基づき金を政令指定品目に加えて先物市場を開設するということにつきましては反対でございます。現時点では、国民の金に対する知識のなさ、あるいは投機行為に対する知識のなさ、及び商品取引所法の消費者保護規定の不十分さ、また商品取引業界、特に専業取引員の姿勢から見て、一般消費者を巻き込む形の金公設先物市場の設置は、その必要を認めておりません。また、危険であって、反対でございます。
 以下、理由を申し上げます。
 まず、被害者層、この金のブラックマーケットの被害に遭った人々の被害者層の実態というものをお聞きいただきたいと思います。
 私どもが訴えられた被害者の方々からアンケートをとりまして調べたところによりますと、この被害者といいますものは、その九割以上が商品取引の経験がありません。株式経験者は約半数ございますが、その八割は信用取引の経験がありません。つまり、被害者は投機の知識、経験がない者が大部分で、金の現物を購入するつもりが、言葉巧みにペーパー取引に引き込まれたものであるということでございます。ですから、リスクを承知して契約した者はほとんど存在しません。年代は四十代、五十代が多く、職業的には退職公務員、特に元女性教員が目立っております。このような人々が、百万円あるいは五百万円、一千万円というお金がパアになるかもしれないと思って投機することはまずあり得ないわけでございます。そしてこの人々は、話が大豆や砂糖といった商品取引への勧誘であるならばほとんど加わっていないと申し述べております。金であるがゆえにこの話に乗ってしまったということから見て、事が金ということから、大変に危険性を覚えるものであります。
 次に、後を絶たぬ商品取引トラブルについて申し上げます。
 商品取引業者の中の専業取引員がすべてそうであるとは申しませんけれども、一般市民を勧誘して起こすトラブルは、ここ五年間を見ましても、取引所に訴えられた紛議件数は百件を下ったためしがございません。私どもにも被害訴えがございますし、地方公共団体の消費生活センター等への訴えもあります。この大部分は、取引員の過当な勧誘あるいは取引員の重要な事項を告知せぬ説明、不十分な説明、これが一任売買や無断売買につながっておりまして、これらが主なものであって、これに金が加わったらこれが一気に改善されるであろうかということを考えます。
 また、金ブラックマーケットの手口の悪らつさ、巧妙さはマスコミでよく知られるところでございますが、このワルたちの前身は商品取引員の外務員が約八割を占めておりまして、商品取引業界にいたときからその手口を覚えていなければ、まさか金ブラックマーケット業界に移って急にその手口を覚えたものであるとは言い切れない、そのように考えます。
 また、商品取引所法は消費者保護規定が大変不十分であります。商品取引所法は消費者保護法ではございません。当業者主義の流通経済法でございまして、でありますから、何回もこれまでに商品取引所法を改正しておりながら、いまだもって後を絶たない。たとえば四十九年四月十七日に産業構造審議会は、商品取引所制度の改善について次のように述べております。「わが国の「商品取引所法」制定以降、数次の法改正により変遷を遂げてきており、特に前回の昭和四十三年の法改正においては委託者保護に重点を置いた諸々の措置が講じられたが、なお、商品取引所制度をめぐる問題は引き続き生じている。」この昭和四十三年を前回の法改正、昭和五十年に当てはめても、これはこのままそっくり言えることでございまして、これに金が加わるということについて、大変に危険を覚えるものでございます。
 それからまた、通産省の金の対策につきます対応を、私ども、きわめて疑問に思っております。これまで通産省当局におきましては、金問題対策については、国民の金知識のなさが原因であるといたしまして、一、現物の流通機構の整備、二、消費者啓発を行う、三、現物市場の育成を図ることを方針として対応してきておりました。社団法人日本金地金流通協会が五十四年十二月にできましたのも、この現物の流通機構の整備ということが目的でございます。そしてまた、この方針は、昨年の予算委員会あるいは商工委員会でたびたび確認されておりまして、昨年七月には資源エネルギー庁が、同庁の私的諮問機関、金地金流通問題研究会の検討結果を、日本では金取引所は現物、先物とも設立は時期尚早と発表しております。少なくとも昨年秋の衆議院商工委員会でもこの件は確認されておりますので、この秋から半年あるいは一年間で環境が急激に変わるといったことは疑問でございます。
 私どもは、金ブラックマーケット対策につきましては、商品取引所法の第八条の発動、そしてそれが発動できないのであれば、立法趣旨の考え方に八条を改正して取り締まれということを要望してきておりました。その結果、通産省当局におきまして本年三月二十五日、産業政策局長の私的諮問機関である商品等の取引問題研究会におきまして、中間報告の形で発表された多数意見の中で、私設先物市場の問題につきましては、私設先物市場の開設禁止並びに先物取引及びその類似行為の一般投資家を対象とする勧誘または受託の禁止を図るということが多数意見を占めたということを聞いております。これはとりもなおさず、八条問題を立法趣旨の考え方に戻すということであって、この立法化こそ推進していただきたいというように考えております。
 それからまた、最近はブラックマーケットの中に香港市場の正会員の代理店あるいは準会員と称するワルが大いに蔓延をしておりますが、この問題につきましても、同意見書の中では、規制法を設けるということが多数意見を占めたということを聞いておりまして、これこそ早く立法化していただきたい。それをやればブラックマーケットは退治できるのであります。ですから、大義名分論としまして、ブラックマーケットを退治するために、あるいは大衆投資家の保護のために、金の公認の先物市場を開設するということにつきましては、われわれはきわめて不本意に感じております。
 どうぞよく御審議いただきまして、私どもの消費者保護の意見が言いっ放しにならないようにお願いしたく思っております。
 以上でございます。
#8
○渡辺小委員長 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#9
○渡辺小委員長 これより質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上坂昇君。
#10
○上坂小委員 先に田中さんにお伺いいたしますが、金の持っている特質といいますか、価格が非常に変動するというふうに考えられるのかどうかですね。私の感じでは、あんまり大きな変動をしない、こう思うのでありますが、その点いかがでしょうか。
#11
○田中参考人 申し上げます。
 金の価格の変動ということが今後著しくあるのかどうかというふうな御質問と考えますけれども、これはちょっと妙な言い方でございますけれども、一番おわかりいいことは、金の値段というのは、金自体としては変わらないのだ、ほかのものは変わるのだけれども、金の値段というものは変わらないので、むしろ各国の為替相場が変動をするとか、あるいはインフレーションが起こるとか、あるいは事変が起こるとか、こういうようなことで、環境の変化が金の値段を変えるので、いわゆる金は価値の尺度である。しかも、これは一定の国に属するものではございませんで、日本の金だからどうだ、あるいはアメリカの金だからどうだということじゃございませんで、国籍のないのが金の特徴でございます。むしろ金は値段が一定であるのだけれども、これを取り巻く環境の変化が金の値段を変えるものである、こうお考えいただいていいと思いますことは、たとえば、この辺はよく御承知いただきたいと思うのですが、たとえロンドンで金の値段が一ドル上がりましても、現在の値段でグラムに直して円貨にいたしますと、七円ぐらいしかこたえてまいりません。ところが、日本のドル為替が一円変動しますと、約三倍の二十一円ぐらいの変動がある。したがいまして、その国の為替が強いか安いかでその国の金の値段が変わってくる。このようにしさいに、状況の変化を正確に受けて変動する可能性のあるものだ。
 最も最近のことを申し上げますと、昨日金が暴騰とまではまいりませんけれども、かなり上がったのでございますが、これは御承知のフランスの選挙の結果によって経済界に混乱が起こるであろうということをすぐに反映をいたしまして、昨日金を上げた。御承知のように、あのことによってフランスの国内で株が暴落をしておる、こういうような事態が世界的の金に影響を与える、こういうふうにお考えいただくことがいいのではないだろうかということでございます。
#12
○上坂小委員 同じ質問ですが、いまの問題について多々良さんはどんなふうにお考えになりますか。
#13
○多々良参考人 私の考えを申し上げます。
 いま田中参考人からもお話がございましたように、金そのものの価値は変わらないかもわかりませんが、これを円ないしはドルで表示した場合には相当な動きがございます。たとえば、ごく最近で申し上げますと、一グラム六千五百円弱ぐらいまで上がった金が、わずかな期間に三千百円台ぐらいまで暴落した事実もございます。そういったふうに、円とかドルで表示しますと非常に動きますので、これの取扱業者の中には、やはりプライスリスクをヘッジしておかなければならない、こういうことではないかと思います。
#14
○上坂小委員 金は大変な数量というのですか、一般の商品のように動くようには感じられないわけですね。取引所で現在の商品のような形での動きは示さない性質のものだというふうに私は思います。ただし、価格は非常に大きなものになると思います。
 したがって、金のあり方というのは、やはり国際的な価格によって決まってくることが非常に多いのであって、そういう性格の中から、先ほど多々良参考人がおっしゃったように、当業者の、いわゆる地金協会の皆さんがみずから需給のバランスをとりながら、価格の変動を余りひどくならないように抑えている、こういうお話があったわけでありますが、私は、そういうことが実際にできる性格のものであるというふうにいまお話を承って、なるほどなと思ったわけでありますが、そうなりますと、わざわざ先物市場を設けて、そこでいわゆるヘッジングといいますか、そういうものに当業者の人たちが参加をしていくという必要性というのは、どうも余りないのではないかという感じがするわけであります。その点については先ほど、非常に多くの業者の皆さんが金の現物販売というのですか、取引にタッチをしておる、千軒ぐらいの人たちがいるというようなお話がありましたので、こういう人たちの扱っている金の数量というのですか、割合というのは、全体の金の量からいきますとどのぐらいのものを占めているのか。これは田中さんにお伺いいたしたいと思います。
#15
○田中参考人 お答え申し上げます。
 いま申し上げました、おおむね千軒の日本金地金流通協会の会員がどのくらい扱っているかということを推定するのは、非常にむずかしいわけでございます。なぜむずかしいかというと、値段の変動によって非常に需要がふえることもございますし、反対に、むしろお客様がお売りになって、われわれが買いの立場をとるというようなことになりますので、この流通の量というのは非常につかみにくいほかに、御承知ですか、最近いろいろの金貨が販売されておるわけでございますので、その金貨と金地金と一体どう違うかというような問題も出てまいりますけれども、大体御承知になりたい御意図ということを考えました場合に、この千軒の流通協会の会員で、金をお買いになりたいという方に対して、御迷惑とか御不自由をかけているというようなことはまずないのではないだろうかということが推測されるわけでございます。
 ただ、そんなに千軒もあるのにかかわらず、余りぱっとしないじゃないか、金をどこへ買いに行ったらいいのか、まだよくわからないというような感触もあるかもしれませんけれども、私どもは、特に電話だとか勧誘員を使って、金をいま買えば得だとか、あるいはお買いなさいということをむしろ厳に戒めながら商売をしておりますし、そういう売り方をすると金の売買というものは長続きしないので、いわゆるお客様に喜んでいただける結果が出るような、相互理解の間で金の売買が行われていくというようなことをやるだけでございますので、比較的皆さんから見ると不活発で、目にもとまらなくてと、こういうような感触をお持ちだと思いますけれども、金属の装飾品を売る売り方と地金を売る売り方というものは、その辺に著しい違いがあるのではないだろうかというようなことで、いろいろな御感触がお持ちいただけるのではないかということでございます。
#16
○上坂小委員 多々良さんにお伺いしますが、私は、いままでの商品取引所の会員の皆さんは、金の現物の取引というものにはタッチをしてなかったのではないかと思うのです。ところが、お話によりますと、いろいろ意見書を出されて金を市場の指定商品にしろというふうな提言もなされておるということをいまお聞きしたわけでありますが、もし、いまの取引所法によって当業者がこの取引をするという形になってきますと、いままで金を取り扱ったことのない皆さんがそこへどうやってタッチしていくのかということが私は非常に疑問なわけです。それができるのかどうかということについても非常に疑問なわけですが、その辺についてはどんなふうにお考えになりますか。
#17
○多々良参考人 当業者主義につきましては、先生の御指摘のとおり、現在の商品取引所法では当業者でないとこれは行えません。そのとおりでございますが、われわれの間では、そういったことも踏まえまして、金の取引が自由になって以来、取り扱いを開始した者もございますし、また、新たに金の取り扱いをすべくいろいろな準備をしたり、現に行動を起こしたりした者もございまして、流通の一つの形としての商品取引業というものがございますので、対象商品が実は金であれあるいはその他商品であれ、商品取引業という一つの業態からしますれば、流通の一つの形からいたしますれば、その辺のところはきわめてノーハウが似ておりますので、なじみやすいという意味合いからそれほど問題はないと思いますけれども、しかしながら、法のたてまえもございますので、すべて金の取り扱いにもうすでに従事したり現在準備したりいたしておる者ばかりでございます。
#18
○上坂小委員 田中さんの陳述書でありますが、これによると、いますぐ取引所を開設する、あるいは先物市場を開設するということについて特別に賛成をしているわけではないし、全体の動きから見ますと、私たちはちゃんとやっているから、いまのところ要らないよというような感じでこれを読ませていただいたわけでありますが、そういう形に受け取ってよろしいかどうか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
#19
○田中参考人 いまおっしゃられました点もございますし、先物取引の必要性ということについて、現在私どもは、やったこともございませんし、やる必要を感じておりませんが、これはあるいは私どもの独断であるのかもしれませんし、現にコメックスというような先物取引もアメリカで発達をしているということも事実であるとするならば、いわゆる過去の経験にかんがみまして、金の魅力を利用しながら無理に押しつけ販売をするというようなことはやらないことにして、そういうようなことをやるということがこれから先必要になってくるのかどうだろうかということについて、もうちょっと私どもも勉強しなければならないし、皆さんにも金についての勉強をしていただかなければならないしということで、現在は協会といたしましては、金について諸般の知識を皆さんに得ていただく時期であろう。この中で、こういう教育だとかいうようなことは期限がございませんので、いまよくなったのかどうかというようなことを察知するのは非常にむずかしいわけでございますが、私どもは現在熱心に、たとえば昨年あたりはロンドンのゴールドフィールズの重役に来ていただいたり、ロスチャイルドの重役に来ていただいて金の講演をしていただいて、われわれ自体も勉強するし、あるいは会員にも勉強させるし、本もつくって一般に徹底をする。それから、本年は六月の初めにゴールドフィールズの三人の重役に来ていただいて、金の世界的な情勢について講演会を開くことになっておりますけれども、その点をもっともっと勉強していく必要があるのではないだろうか。
 ただ、ここで注意したいことは、アメリカでやっているからいいのだとか、ロンドンでこうだから日本でもこうだ――金は世界的なものでごさいますけれども、先ほど申し上げたように金自体は変わらないのだけれども、その国柄によって輸入禁止もあれば輸出禁止もあれば、その状況がまことに変わってまいりますので、日本としては独自な立場で、独自なしっかりした考えをまず持たなければいけないのではないだろうかというようなことを考えております。
#20
○上坂小委員 現在の取引所法によると当業者が主役をなしているわけでありますが、その当業者の方々がいま金に対して勉強中で、国民に対する教育も必要だという形でいろいろと研究を重ねておられる。ところが、その反面でやたらに、やたらと言ったらおかしいですが、情勢が進んでしまいまして、まるで今月にでも決まってしまいそうな、夏になると市場が開設されるというような報道がどんどん行われてきているということは一体どういうことなのかと思って、私は非常に疑問なんですね。そういうところが、どうも展開の仕方がちょっと異常なふうにとれるわけです。どこかで変な根回しが行われたり、変な情勢づくりが行われて、急速にぐっと進んでいってしまう。実際にここにタッチするところの当業者の皆さんはそうではないということになりますと、金地金とか加工とか何か流通をやっている人でない人、ただノーハウだけは同じだという人たちが一生懸命になって進めているというところに非常に疑問を感ずるわけです。
 そういう点で、もしそんな形で進んでいったら、いままでの取引所におけるところのトラブル、そういうものが金の市場にも出てくるおそれはないか、どうもこういうふうな感じを持たざるを得ない。そういう心配があるわけですが、この辺については堺さんはどんなふうにお考えになりますか。
#21
○堺参考人 私どもも、上坂先生おっしゃるとおりの危惧の念を強く抱いております。
 商品取引のトラブルが後を絶ちません。商品取引所法の精神に基づいて金を政令指定品目の八番目に加えるということになれば、法律が不備なだけに、このまま進行いたしますと当然一般客の勧誘が始まります。一般客の勧誘をやらないで先物取引をやるというのならば私ども別に構いやしませんけれども、一般客の勧誘をやれば、物が金であることから、これまで以上のトラブルが発生することは必至であろうと考えます。
#22
○上坂小委員 取引所の本来の役割りといいますか、これは公正な価格の形成あるいは公正な取引のあり方というようなものをやるわけですが、実際には先物取引の場合には、そこにタッチされている会員といいますか、当業者の皆さんのヘッジングの機能を果たしているというのが本来の姿じゃないかという感じがするわけです。
 しかし、実際にはどうなるかというと、先ほど堺さんの方から御報告がありましたように多くのトラブルが起きているということは、何といいますか、一般投資家をどんどん参加をさせていかないとどうもうまくいかないんだ、こういう考え方になっているというのが取引所の実態ではないかという感じがするわけですね。いままで私たちもいろいろ商品取引の問題を取り扱ってきましたが、余りにもトラブルが多過ぎる。ということは、どうしても大衆投資家といいますか、そういう人を無理やりに参加をさせてきたというところにあるんじゃないか。そしてまた、そういう人を参加させることによって保証金であるとか手数料であるとか、そういうものが入ってくる。そのことによっていわゆる会員の企業が成り立っている、こういうふうな感じがするわけでありますが、この辺については多々良さんはどういうふうにお考えになっておりますか。
#23
○多々良参考人 先生の御指摘のように、トラブルが多いということは私どもも非常に遺憾に存じております。ただ、先生もお話がございましたように、取引所の機能と申しますのはヘッジの場を提供する、それから公正な価格を形成する、そういったことが主たる目的でございますけれども、確かに御指摘のようにトラブルも多くて遺憾に思っております。
 しかしながら、最近では、数次にわたる委託者保護を中心としました法の改正であるとか、あるいは業界自身でも自浄に努めまして、たとえば昭和五十三年の三月に全国の商品取引員の全国大会を行いまして、そこで受託業務の適正化を推進するための三つの協定をつくっております。ちなみに申し上げますと、新規取引不適格者参入防止協定、それから新規委託者保護管理協定、それから新規委託者管理改善特別措置基準といったような三つの協定をつくりまして、業界を挙げてトラブル防止に躍起になっており、その効果も徐々にあらわれていると私どもは判断いたしております。ただ、商品取引というものは金銭が絡むそういった取引でございますので、取引結果によっては苦情とか不満が提起されやすいということは御理解いただきたいようにも思うわけでございます。
 それから、あえて申しますれば、私どもは、紛議も確かにそういった意味合いで起こっておりますけれども、商品取引の持つ本来の役割りといったようなもっと別の次元から考えましても、金の取引所は必要ではないかとも思うわけです。先ほどの話の続きから申し上げますと、確かにトラブルが起こっておるのは、むしろブラックマーケットと称されるところで起こったのが表面に出ているわけでございまして、かえって公設市場にすることによってそういったことも回避できるのではないかという期待も持てるというふうに私どもは判断しております。
#24
○上坂小委員 あと二つばかりお尋ねしますが、いわゆる委託保証金ですか、これはいま何%ぐらいになっておるのですか。
 それからもう一つ、商品取引員の手数料ですか、これがいま委託証拠金の何%ぐらいを占めているか、この辺についておわかりでしたらお答えいただきたい。
#25
○多々良参考人 商品によって委託証拠金の率は違いますが、おおよそ申し上げますと、大体一〇%内外になっております。
 主なこの決め方でございますけれども、たとえば過去一年間程度の価格の変動を集計いたしまして、その結果その変動に見合う担保率を設定する、こういうやり方が一つとられております。いま一つは、先ほど申し上げましたように大体一〇%前後で、実は私どもの方には値幅制限というのがございますが、一日に動き得る制限額、価格変動の制限額がございますが、これの二回分ぐらいがカバーできる、そういった目安がいま一つございます。一律ではございませんのできわめて御理解いただきにくいかと思いますが、変動率が中心になって設定されておりまして、結果的にそれが一〇%内外になっている、このように御判断いただければいいのじゃないかと思います。
 それから、いま一つの手数料でございますけれども、いろいろな商品の売買単位が一枚でございますけれども、一枚単位の片道が大体四千円前後ということでございます。これも価格によって変わりますので一律には申し上げかねますが、大体平均いたしますと四千円前後、このように御理解いただければありがたいと思います。
#26
○上坂小委員 先ほど堺さんの方から香港金市場の問題が出まして、何かお話によると、向こうの正会員というのですかあるいは準会員というのですか、その準会員といろいろ関係のある日本の商品取引員、そこの人たちが参加しておる、こういうようなお話でありましたが、これは多々良さんの方では御存じなわけですか。また、御存じであるとすれば、そういうふうな形で向こうで金のあれをやるということについては、商品取引員の場合はできるのかどうか。これは外国だからできるというふうに考えられるのかどうか、その点お伺いしたいのです。
#27
○多々良参考人 私どももその存在はよく知っておりまして、憂慮しておるところでございます。
 それから、私どもの方がそれをやることができるか、こういうことでございますが、私どもの方には兼業を禁止する勧告規定というのが商品取引所法の五十条の二か何かにございまして、通産省の方からかたくそういったことは戒められておりますので、私どもが直接そういったことをやるということはございません。中にはまじめにやっておられる方もあろうかと思いますが、そういったところから紛議が最近頻発しておると聞き及んでおりますので、これの対策をむしろ私どもとしても主務省にお願いしている段階でございます。
#28
○上坂小委員 もちろん正式な形でやれば、これはいまの兼業禁止にひっかかると思います。そこで、どういう形で出るかということになれば、これは当然ダミーというかっこうになってくるだろうと思うわけでありますが、このダミーによる参加にしても、これは許されないことではないかというふうに思うわけです。その点については通産省の方に任してそれで取り締まるという形だけでは、なかなか防げないのじゃないかという感じがするわけです。やはり会員の皆さん自身が心を引き締めて、そしてそういうところへは絶対にダミーも参加させない、設けないというような形にしなければいけないというふうに思うわけでありますが、その点はいかがでしょう。
#29
○多々良参考人 先生の御指摘のとおりで、私ども自身の努力も大切かと思いますが、ただ、現在の状況から申し上げますと、国際的な自由化が促進されておる過程でございまして、私どもの仲間のうちの何社かがダミーで出ていることも事実かと思いますが、それがすべてそういったふまじめな活動をしているということでなしに、そういった国際的に自由化がいま進んでいる過程で、まじめに取り組んでいる方もいようかとも思うわけでございます。ただ、先生御指摘のように、中にはそういった不心得な方もあるやに思いますので、それにつきましては、今後私ども自身も、単にお役所にお願いすることでなしに、私ども自身も何らかの手を打たなければならない、このように考えております。先生の御指摘のとおりだろうと思います。
#30
○上坂小委員 堺さんにお伺いしますが、いまのダミーによる被害、そういうものは実際に起こっておりますか。
#31
○堺参考人 ブラックマーケットの現状についてちょっと御説明したいと思います。
 ブラックマーケットの被害が一番多かったのは、五十四年の秋から昨年の一月にかけて国際的な金地金価格が上昇傾向にあったときが一番多いです。その後警察の御努力あるいは被害者側の告発行動や集団訴訟、私ども現在十一地方裁判所で百五十八名の訴訟を指導しております。こういうものであるとかあるいはまたマスコミによるキャンペーンの成果もありまして、相当落ち込んでいたわけです。ところが、昨年八月に香港商品取引所に金が上場になったわけです。ここで出てきたのが香港系ブラックでございまして、多々良さんの方ではすべて悪いわけではないというようにおっしゃられますけれども、少なくとも私どもへ訴えが最近参ってくる現状を見ると、むしろ国内ブラックマーケットは一時期二十の私設市場と二百の業者と言われましたが、これはいまや青息吐息で、残党は二私設市場それから加盟業者が四十ないし五十に下がってきております。逆にふえてきているのがこの香港系ブラックでございまして、大体四十社ぐらいはいまあるのじゃなかろうか。ことしになって、これまでの国内ブラック被害の訴えとそれから香港系ブラックの被害の訴えが逆転をいたしました。今後恐らく香港系ブラックの方の被害の訴えがまだまだふえるのではないか。この香港系ブラックの背後には、日本の国内の正式な商品取引員が絡んでいるわけでございまして、商品取引員の業者の方々が、ブラックをなくすために公認の先物市場をつくれということは、ちょっとどこか筋が違うのではないか。むしろ順序としては、まず自分たちの関係のある香港系ブラックを一掃させるのが筋ではなかろうかというように考えます。
#32
○上坂小委員 田中さんにお伺いいたしますが、いま田中さんの流通協会、これは通産省の肝いりで設けられたものではないのですか。
#33
○田中参考人 日本金地金流通協会というものが通産省の肝いりでできたのかどうかという御質問でございますが、これは私どもも、こういうものをつくらなければいかぬというような機運にもなってまいりましたし、とにかく自分たちの金の取引を将来守っていくためには、このブラックマーケットを排除していかなければいかぬという立場を、これはもう自分の商売かわいいものですから、当然そういうことを考えながら、いろいろわれわれ自体が、実はその前にも、公のものではございませんでしたけれども、日本金地金協会というものが私的にあったわけでございますけれども、これが熱心に自分たちの金地金の販売について、身を守るためにどうしたらいいだろうか、こうしたらいいだろうかというようなことで、通産御当局にもいろいろお伺いもいたしましたし、その前からいろいろまたお指図も承っておりましたので、どちらが主導権をとってつくったかということが非常にむずかしいのでございますが、通産御当局もそうでございますし、われわれの考え方とタイムリーに一致してこの御許可を願うようなことが非常にスムーズにいった、こういうふうに考えております。どちらがどっちを引っ張ってどうだというようなことではなかったので、むしろ世の中の趨勢がこういうものをつくったことになり、このこと自体は現在成功しているのではないだろうか、こういうふうに考えております。
#34
○上坂小委員 ありがとうございました。
 協会の定款についてちょっとお伺いしたいと思うのですが、定款に先物取引について何か決められていることがございますか。
#35
○田中参考人 定款を一貫して規定しておりますことは、先物取引をやらないということを一つの条件にして、現在の金地金流通協会の定款は決まっておるわけでございます。しかし、世の中は変化してまいりますので、私どもとしても、いつまでもそれを金科玉条としてやるべきか、あるいは国の方針あるいはその他を勘案しながら先物取引を認める方向にいくのかどうかということは、いまは考えておりませんけれども、定款がこうだから、われわれはその定款の中でにっちもさっちもいかないのだというような考え方は持ちたくもございませんし、そういう意気地のないことではないようにしたいと思っておりますが、現在はどうなんだと御質問いただけば、現在の状況で守っていきたい、こういうふうに考えている程度でございます。
#36
○上坂小委員 現在の状況では先物を取り扱わないということでありますから、言ってみれば、先物市場の必要はない、現状ではそう認識をしていいと思う。ただ、時の趨勢というか、いろいろな社会情勢の変化によっては決してそれにこだわるものではない、こういうような御回答だというふうに思います。
 そこでもう一度、先物取引市場が、現在そういう情勢があったにしても、本当に必要というふうに考えられておられるかどうか。それから、先物取引所が開設されないと、金の公正な価格構成ができないというふうにお考えになっておられるかどうか。それからもう一点は、業界の中でいろいろ、加工業者の皆さんもいるし、流通の分野にタッチされている者もいる、産金業者の方もいるわけでありますが、その人たちの中で金のいまの価格変動といいますか、そういうものに対するヘッジングをどの程度の人たちが一体必要としているのか、その辺についてもお答えをいただけばありがたいと思います。
#37
○田中参考人 金地金の価格のヘッジという問題につきましては、私ども現在のところ、必要は感じてないわけでございます。私どもというのはどういう範囲かというと、いわゆる電子工業用に必要な金の細線でございますとか、あるいはその他歯科用の金でございますとか、あらゆる工業用の金の加工もやっておりますし、一方装飾用の金地金の供給加工というようなこともやっておりますし、もちろん一般の御需要にも応じておるわけでございますので、金のお取引万般を現にわれわれはやっていると考えていいと思うのですけれども、どうしてもヘッジをしてくれ、ヘッジをしてもらわないとやりにくくてしょうがないということはございませんので、御需要者も私どもも、いまここで金のヘッジをしなければならぬというようなことも実はないわけでございます。それから、われわれのお客様で、どうもヘッジができないので金というものは非常に不自由だとか、あるいはヘッジをするからひとつお願いしますよと言われたこともないわけなので、どうして金というものはそんなにヘッジをしないで済むものだろうかということも、むしろ現在の考え方からいくとちょっとおかしなことになるような気がいたします。
 考えてみますと、金というものは先ほど申し上げたように値段が変わらないで、むしろお金を持つよりも何を持つよりも金を持っていた方がいいんだという方が、工業用は別として、お買いになるわけですから、何も自分がいいと思って買った金がこわくてしょうがないとか、値をどこかに預けてうまくヘッジしなければいかぬというような心配があればお買いにならないわけですし、また、そんなことをしてまでも買いたいと言うお客様もどうもなさそうに、現在はですよ、将来はわかりませんけれども、現在ないように受け取りますことと、それから歯医者さんにいたしましても、金の歯を入れると幾らだと言うと、その日の値段で幾らぐらいだということで答えが返ってきて、それでいいと思うのですけれども、実際に入ったときの値段が、金がどうなるかわからないからヘッジをして云々というようなことが非常に煩わしいことでもございますしいたしますので、必要なものだけ買って必要なものだけ使う。また金は高いものですから、そんなによけいに買って云々ということはなかなかできがたいものでございます。
 そういうようなことで、現段階においては比較的ヘッジの必要性がないのかなと考えております。将来については、またいろいろ複雑になってくるとわかりませんけれども、現在そう考えております。
#38
○上坂小委員 先ほど堺さんの方からの八条逆転解釈ですね、これはやはり改正しなければいけないということになりますと、取引所法の改正をしなければならぬと思うのですね。する以上は、いまのような当業者主義から、本当のことを言うと、一般投資者、投資家保護のものに持っていかなければならない。聞くところによりますと、ニューヨーク市場でも非常に投資者保護に徹していて、FBIまでこれに関連をして、トラブルが起きないように管理体制というのですか、そういうものが本当に充実をしていると聞いているわけでありますが、そういう形ができてからならば安心できると思うのです。いまの状況の中で、いま田中さんからおっしゃられたように、当業者の皆さんで別にヘッジの必要もそう深刻に感じていない、深刻にというよりも、むしろいまのところ感じていない、必要がないというようなお話と両方相まっていくと、ここで先物市場を開設していくということは一体どういう意味があるのか。しかもそれを推進しておられる人たちが、金の関係の人たちではなくて別な商品の取引所、現実に取引所をやっている人たちが推進をしているということになりますと、これはいままでどおりの取引所の形態をそっくりそのまま金のところへ持っていって、いまダウンしつつあるところの取引所のあり方というもの、商売がずっとダウンしている、出来高の枚数も大分減っているわけでありますが、それを回復するために、私は起死回生の指名代打制という名前を使うのでありますが、そういうものを金に求めているような感じがしてならない。そういうところに一般大衆投資家を全部参加させていく形態が継続をされる、こういうふうに思われるわけです。そういう危険性を感じているわけでありますが、その辺のことについて堺さんからもう一度お話しをいただきたいというふうに思うのです。
#39
○堺参考人 商品取引所法が制定されたのは昭和二十五年です。これは流通経済法であって、消費者保護法ではありません。その後何回か改正を繰り返して、無論当初のころよりは消費者保護の理念というものが現行商品取引所法には入ってきておりますけれども、われわれ、消費者の保護という立場から見るならば、いまだもって不十分です。トラブルが後を絶たないということから見てもそれは明らかであろうと思います。ニューヨーク・コメックスの話が出ましたが、こちらの方の消費者保護の規定はもともとが消費者保護法でございまして、日本の商品取引所法は当業者主義の流通経済法ですから、基本的立場が違うわけです。ですから、上坂先生おっしゃられましたように、いまの状態では危険この上ないというふうに考えておる次第です。また、いまの商品取引所法が消費者保護の精神にのっとり、全面的に消費者保護法として改正されるということになれば、これはその時点で金の先物取引についても未来永劫にわたって禁止してしまえという議論ではないというふうに考えております。しかし、いまのところは危険だという考えです。
#40
○上坂小委員 きょうは余り時間がありませんから、通産省の方には質問ができないわけで、せっかくおいでいただきました参考人の皆さんにいろいろお聞きして、それを参考にして今度は通産省に対して質問を展開していかなければならぬのですが、十五日に質問の機会があるので、そこでやりたいと思います。
 なお、当業者の皆さんもいま勉強中、研究中であるというし、被害者は減ってないでこれからふえる形跡があるということになりますと、余り急いでやるとこれはやはり問題が大き過ぎる。しかも、新聞とか何か見てみますと、どうも政治的な配慮が多過ぎるとかいろいろなことが出ておりまして、そういうことで政界が痛くない腹を探られたり政党が勘ぐられたりするとこれは政治不信につながりますから、政治不信につながると問題が別なところへ発展していきますから、そういう意味ではわれわれも十分研究するし、それから取引所の皆さん、推進をされている方々にももっと勉強してもらうし、それから通産省でも、いま出てきているのは中間報告だから、最終的な報告が出てくるのだろうから、それをゆっくり研究をして、そして本当に一般大衆投資家の被害がなくなって、当業者の皆さんの中で正常な取引が行われ、公正な価格が決定をされるというような方向にいくべきであろうと私は考えます。
 そこで、きょうは大変いろいろなことをお聞きしてお答えをいただいて、参考人の皆さんに心から感謝を申し上げます。
 同時に、通産省に対しては、十五日にもう一回これについて質問させてもらいますから、どうぞひとつ準備していてくれるように願います。
 では、以上で終わります。ありがとうございました。
#41
○渡辺小委員長 武田一夫君。
#42
○武田小委員 三人の参考人の皆さんには、大変御苦労さまでございます。いろいろと意見をお聞きいたしましたが、私、二、三御質問いたします。
 その前に通産省に確認といいますか、お尋ねをちょっとだけしておきます。
 それは、最近いろいろ新聞、ラジオあるいは雑誌等を見ますと、来年の四月に金の公設市場を東京で開設する方針を固め、その準備に入っている、この五月に商品取引所審議会に諮問して七月に政令指定、そして来年四月スタートのスケジュールを組んだというようなことが、これは「商品取引レポート」というのを読みましたら出ているわけでありますが、まず、こうした事実があるのかどうか、もしそうだとすれば、そのわけはどういうわけか、簡単にひとつ。
#43
○神谷政府委員 御指摘のように、金の上場問題を決めますには、取引所法に基づく政令指定をするかどうかということを第一義的に決めなければならないわけでございます。そのためには、いろいろ各方面で御議論があり、いろいろな御意見が出されているということはわれわれ十分踏まえておりますけれども、行政府としてもやはり行政府としての責任でいろいろ勉強をいたさなければなりませんので、その非常に重要な一環としての取引所審議会に諮問をするということは必要でございます。
 したがいまして、五月の下旬に商品取引所審議会に、金を取引所法に基づく政令指定商品ということで取り上げることが適当かどうかという諮問をいたしたいど考えております。したがいまして、それから審議会の御意見、御審議があるわけでございますから、その後のことはその結果を待ってという以上何も申し上げられないわけでございます。
 しかし、そういたしますと余りにも紋切り型でございますので、そこで、いま先生が御指摘になったようなスケジュールについてコメントさせていただければ、この審議会の審議というのはそう早くやれといってもすぐにとはいきませんよ、どんなに先生方に御審議いただいたって夏ぐらいにはなるでしょう、政令指定がもしその結果できたとしてもすぐ取引所ができるというようなものではございませんよ、というようなことをいろいろ聞かれるにしたがって御説明しておりますので、それが御指摘のような形で報道されておるのではないかというふうに考えられます。われわれが現在決めておりますことは、五月の下旬に審議会に諮問をしたいと、まだ決裁をとっておりません、したいと考えておる、これだけでございます。
#44
○武田小委員 それでは三人の参考人の皆さんにお尋ねいたしますが、まず、そうした動きがあることはいま通産当局の話で明らかでありまして、これは大いに注目しなければならないわけでありますが、通産省もこのことにつきましては、以前はどちらかというと消極的であったわけです。それがこういうふうにここに至っていろいろと動きが急速に早まってきているような感じがするわけでありますが、こうした動き、この動きに対して皆さん方は、何か通産省に、あるいはまたその周辺に、そうなるべき特別な変わった事情がある、あるいはあったのではないかというようなことを、何か御推察なりあるいはお考えがありましたら、三人の参考人の皆さん方に一人一人、その点についてのお考えあるいは推察等々お聞かせ願えれば参考になると思うのですが、よろしくお願いしたいと思います。
#45
○多々良参考人 的確なお答えになるかどうかわかりませんが、まず、通産省の考え方が変わったということはそのとおりかもわかりませんけれども、その本当の事情は私ども、わかりかねます。
 ただ、二つの意味で、一つには積極論としての考え方ですけれども、経済が動いてきたということ、状況が変わってきたということ、そしていろいろな角度から金の上場がふさわしいというふうに御判断なさったということがあるかもわかりません。いま一つは消極論として、金の、いまホワイトですけれども、ブラック対策をどうするかというようなこと、あるいは香港の金市場の進出に対するトラブルが誘発されておる、そのことをどうするかといったこと、そういった一連のことの両面から考えがお変わりになったのではないか。これはあくまでも推測でございますけれども、そのように判断いたします。
#46
○田中参考人 私どもとしては、どういうことでこういう問題が起きたかということについては全くわかりません。どちらかというと、現物専門のかたわみたいにわれわれ考えておりますので、この点につきましては全くわからないと申し上げるよりほかにないと思います。
#47
○堺参考人 少なくとも消費者サイドあるいは被害者側から、金の先物公認市場を設立してくれという要望を出したことはございません。私ども、昨年四月に、金先物取引被害撲滅全国大会というのを開きまして、そのときに政府及び各政党に要望しましたことは、商品取引所法八条の発動によってブラックマーケットを取り締まってくれ、八条が発動できないようであれば発動できるように改正をしてほしい、それからまた金の取引については現物だけに限って、登録義務制にして商売をさせるようにしたらどうか、この問題について要望いたしました。
 昨年二月の衆議院の予算委員会あるいは商工委員会におきましては、資源エネルギー庁の森山長官からは、現在は社団法人日本金地金流通協会でこの対策を打っていく、現物の流通機構の整備と消費者啓発を図っていく、その上でなおかつブラックがおさまらないようであれば登録義務制というものを考えるというようなことを示唆しておられました。ですから、そのときでさえも、あるいはまたその後商品取引所法八条が逆転して、その後七月の時点でさえも、公認現物市場あるいは公認先物市場さえ時期尚早という意見が通産省内にあったわけですから、なぜこれが急激にひっくり返って、ごく最近のいろいろな報道を見れば、もう既定の方針として走っていらっしゃる通産省の対応というものがちょっと不可解なわけです。
 同じように先物取引にしてほしいという業界に合板業界というのがございまして、この業界は七年前から働きかけをやっておりますが、少なくとも農林水産省では、当業者の意見が固まってから検討するという姿勢を崩しておりません。しかし、この金を見る限りは、きわめて通産省主導型で事が運んでいるような気がしてなりません。ちょっと不自然さは感じております。
#48
○武田小委員 通産省にもう一度お尋ねいたします。
 いま堺参考人が農林省関係の合板の問題を取り上げました。これは農林省では、五十四年の十二月から五十五年の八月まで、もうすでに八回検討して、なおかつ結論を出しておりません。非常に慎重にやっているようでありまして、やはりいま言った当業界の合意といいますか、大勢がそういう方向だというような意見を十分に吸収するということの重要性、これを農林省が着実に、忠実に守っているのじゃないかと思いますが、そういうような方向を考えますと、いま担当者の方はこれから十分検討していくということでありますが、そうした方向を十分に踏まえての意見の吸収といいますか、収集に最大の努力を払っていく必要があると思うのですが、そういう方向の姿勢、それはお持ちであるかどうか、その点確認しておきたい、こう思います。
#49
○神谷政府委員 実は、いまの御質問のベースにございます通産省の態度が急変したのじゃないか、しかも十分当業者の意見も聞かぬで変わってしまったのではないかという趣旨の御質問かと思いますが、まず私どもの態度がコペルニクス的に変わったというようなものではございません。
 簡単に申し上げますと、従来われわれは金先物市場反対というようなことを公言していたことは、通産省としてはないわけでございまして、時期尚早である、要するにわれわれは結論をまだ出しておりませんから、いま政令指定するつもりはございませんということをかねがね申し上げておった。しかし、その一方では、先生御承知のように、資源エネルギー庁の中にいろいろ研究会をやりまして、いろいろ御意見も伺っており、検討してきた。当然のことながら、関係者の中にはいろいろ消極論、積極論もございますし、役所の中にも消極論、積極論が実はあったわけでございます。そういう状況のもとで時期尚早と言っておったのが、ある段階で役所の中でも大体コンセンサスに近いものができてきたということでございます。業界の中あるいは一般関係の方が全部コンセンサスができておる、世の中にこういう全員賛成などというものはございませんものですから、完璧は期せませんが、少なくともそれに近い形になっておるなどといまここで申し上げるつもりはございませんが、役所の中では、ひとつ審議会で検討していただこうではないかという結論を最近出したということでございます。
 したがいまして、合板の御指摘でございましたが、従来われわれは資源エネルギー庁を中心とし、産業政策局等も参加しながら、この問題はずっと勉強してきた。しかし、その後国民の金に関する関心の急激な高まり、各方面のいろいろな御意見、そういったようなものを踏まえ、われわれ従来の研究以上に細かく個々にいろいろな方々に当たって御意見を伺い、その結果、やはり現在の商取法の精神に基づいての市場というものはフィージビリティーがあるな、こういう考え方に傾きつつありましたので、少なくとも省内の意見では、ひとつ審議会にかけてみようではないか、こういうふうにまとまってきたという状況でございまして、合板と同じように考えております。ただ、合板と違いますことは、いろいろな御意見はあるが、いまのところ、まあ堺さんの御意見はございましたけれども、当業者の中で特に反対である、したがって物資を所管する資源エネルギー庁として金上場に反対であるというような状況にありませんので、その点農林省の合板とは違っているわけでございます。
#50
○武田小委員 多々良参考人にお尋ねします。
 私も商品取引の皆さん方といろいろとお会いするときがあるのですが、ずいぶん熱心ですね。異常なほど熱心なんですよ。仕事熱心はいいのですが、そこで非常なトラブルもあるのです。私は仙台ですが、仙台でもありまして、いまいろいろ困っておる方もおるわけですが、そういう商品取引業者の専業取引員と一般市民との間のトラブル、いろいろと指導もしているのでしょうけれども後を絶たないというのは、どういうところに原因があって、いまどういう努力をなさって、そうしたものの防止に力を入れているのかということを、ひとつ具体的なことをお聞きしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#51
○多々良参考人 本当に御指摘のとおり、トラブルが後を絶たないということで遺憾に思いますが、私どもの方では、ではどのように考えておるかと申しますと、先ほどもちょっと御説明させていただきましたように、五十三年の三月末に全国の取引員の代表者を一堂に糾合いたしまして、その席上でいろいろ論議を尽くしまして、三つの受託業務を適正化するための協定を結びました。先ほど申し上げたとおりでございます。そしてその後は、その精神にのっとりまして一生懸命やっておるところでございます。
 ただ、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、金銭がついて回る、そういった取引でございますので、結果的に御損をなさると、とかく不満になりがち、あるいは苦情になりがちという点もあわせて御理解いただきたいと思います。もちろん私どもは、結果的に御損になられても不満や苦情のないような対応をしなければならぬというふうに自戒はいたしておりますけれども、金銭がつきまとうだけに、トラブルの発生を全面的に防止するということはきわめて困難だろうと思います。
 それから、私どもが金の取引所に非常に熱心だという御指摘でございます。確かに熱心でございますが、これは二つの面で熱心でございまして、一つは、金そのものの持っている性質であるとか、今後の対応であるとか、国際的な視野に立った場合であるとかというような、いわゆる金そのものの性質からくる取引所の必要論でございます。
 たとえば、先ほど田中参考人からは、それほどただいま現在ではヘッジ機能として必要ではないという御意見もございましたが、私どものところに寄せられております中には、やはりヘッジ機関として必要であるというような御意見もございます。
 ちなみに申し上げますと、ついせんだって、ある新聞社主催の経済セミナーで、ある商社の方が、ヘッジ機関があれば非常にわれわれはやりいい、こういう意味のことをおっしゃられておりました。考えてみますというと、数百年来金の取り扱いをなさっていらっしゃる方はそれほどのことはないと思いますが、短い期間、しかも期間計算という決算ごとの期間に追われている人からすれば、その期間内の逆な価格の動きというものは非常に決算上も問題になるはずでございますので、ヘッジの必要性は当然起こってくるのではないか、このようにも思います。
 それから、いま一つの消極論の意味合いでの熱心さでございます。それは先生も御承知のとおりに、フランクマーケント――去年の四月二十六日からはもはやブラックマーケットと言ってはならないかもわかりませんが、いうところのいわゆる金のブラックマーケットがいろんな問題を惹起いたしました。これを取り締まっていただくのに一番便利なのは、取引所類似施設であるということで取引所行為ができなければ一番いいわけですが、去年の四月の逆転解釈でこれが実はできるということになっております。そのために、そういった業者の方々による紛議が後を絶たない。これと私ども商品業界とは画然と一線を引いておりますので、その辺もぜひ御理解をいただきたい。
 実は私ども、常日ごろ困っておりますのは、そういった方々がかつて商品業界に籍を置いたことがあったりした人たちが相当いますので、その関係上、ブラックの紛議はすなわち商品業界、われわれの紛議であるというがごときイメージをどうしても与えがちなので、いうところの割りを食っている状態にございまして、実は私ども自身がそのことに一番迷惑を受けておるわけでございます。そのために、これを排除するためにも、金を政令指定することによって、むしろそういった取引所の類似施設を一切排除した方がいい、このように考えて、その意味合いからも取引所に上場されることを熱望しておる、熱心に動いておる、こういう状況でございます。
#52
○武田小委員 田中、堺両参考人にお尋ねします。
 もし、いまの状況の中で金の先物市場の開設ということがあったとすれば、大衆投資家の保護という観点から、果たしてこれは役に立つものかどうか、もし不十分なところがあるとお考えであれば、どのような点をこれから手を入れていかなければならないか、この点についてひとつ御両人から御意見を伺いたいと思います。
#53
○田中参考人 単なる商売上の必要に基づくヘッジ以外に大衆が金の先物取引をする、またはそういうことをさせるということになりますと非常に問題が大きいと思いますので、参考になることを若干申し上げておきますと、これはコメックスが一体どういうふうになっているかということの抜粋でございます。
 アメリカの商品取引法では、リスク・ディスクロージャー・ステートメント、いわゆる金の先物取引についての危険開示というようなことをやらなければならないことになっておるわけでございます。投資家が先物取引の契約をする際には十項目でコントロールされてございますが、その中の重立ったものを三つ申し上げますと、まず第一に、あなたの証拠金は全部なくなることがあります。二、証拠金でも足りなくて、さらに損害の賠償をしなければならない場合が生じます。三、あなたがこれからする取引は非常に危険な取引であることを、あなたは十分に知ってかからなければなりません。こういった十カ条に上る消費者に対する危険予告が、法律で文章、様式まで決められ、それに投資家が自筆でサインしないと取引をしてはいけないことになっているのがコメックスでございます。さらに、勧誘員はすべてFBIが管理し、FBIのライセンスがないと勧誘員になれない制度になっております。
 私どもは、コメックスのこうした資料を入手して関係各省にお配りもしてございますが、本日も一組お持ちしてございますので、御必要ならば御参考に供したいと考えておりますけれども、これは日本のことではございませんで、まあ一つの例を挙げると、こういうようなことがあり、こんなことまで言われたんじゃばかばかしくて金なんか買えないということにあるいはなるのかもしれませんけれども、こういうような国もあるということを、御要求がございましたので、御参考に申し上げたわけでございます。
#54
○堺参考人 投機というものは、もともと損があり得があるわけですが、大体金のブラックマーケットの被害者の方々は、投機ということを承知してお金を損したわけではございません。いわばだまされて取られたお金で、詐取されたお金です。このお金の額が推定で、被害表面化率とかあるいは警察が摘発をしたデータ等からの推定ですが、いたしますと、約一千億円ぐらいはあるのじゃなかろうかと思います。この人々は、先ほども申しましたけれども、少なくとも当方へ訴えられている被害者で見る限りは、大豆、小豆というような商品取引であったら加わっていないという方が大半でございます。ですから、物が金であるというところに特徴があるわけでして、金の先物取引が行われ、外務員が積極的に公認というにしきの御旗を持って勧誘をして全国的に活動を始めますと、一千億円どころの比ではないと思います。少なく見積もってもその十倍、あるいは百倍あるかもわかりません。だからこそ、消費者保護という点から見て、国民にまだ投機行為というものに対する知識がありませんし、金に対する知識もありません。それからまた、現在商品取引のトラブルを起こした被害者の人たちに対しまして、一般の目は、要するに欲深であるということで冷たい、一般的に社会の同情を得られないわけです。ですから、金かいまブラック――いまはまたブラックだと思います。ところが公認ということになって被害が出た場合、これはやはり世間一般から見れば、もうけようと思って入ったことだ、損するのはあたりまえだというようなことで片づけられはしないかということを考えるわけです。
 最近の消費者保護の流れを見ますと、ここ五、六年あたりを見てみますと、東大の法学部教授の竹内先生もおっしゃっておられますが、消費者というものは無知で欲深だというところから消費者保護行政というものは考えていかなければいけないというようなことをおっしゃっておられます。私も同感でございまして、であるがゆえに現在大変慎重に事を進めていかなければいけないというように考えるわけでございます。
#55
○武田小委員 この「金取引所の開設について」全国商品取引員協会連合会のものをいただきました。先ほどもお話がありましたが、「金を政令指定商品とし、商品取引所に上場することによって、いわゆる金の悪質取引を駆逐することができる。」というふうに書いておるのでありますが、この点につきまして堺参考人はいかがお考えですか。
#56
○堺参考人 私どもは、ブラックマーケットの対策につきましては、八条を改正すればよい、事実通産省もそのような中間報告を出されているわけですから、それを一刻も早く立法化してもらいたいというように考えてきておりますし、現在もそうでございます。
 確かに八番目に金を加えれば即その日から商品取引所法八条を発動できることになりますけれども、それ以上にこわいのが、公認の先物市場ができるということになるわけでございます。私どもは無論最初は、確かに八番目に加えればなるほどいいのではないかということを考えたこともありました。しかし、八番目に加えることによってのデメリットそれからメリットを比べれば、デメリットの方が大きいというように考えておる次第です。
#57
○武田小委員 田中参考人にお尋ねします。
 以前に私、どこかでちょっと読んだような記憶があるのですが、先物市場が開設されても協会としては会員として参加はしないというようなこと、今回のこの意見陳述の中では今後十分検討していくということでございますが、この間に何か心境の変化があってこういうふうになったものかどうか、その点ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
#58
○田中参考人 現在、流通協会といたしまして議論をする際には、先物取引をやってはいけない、やった者は会員になれないというようなことがあるわけでございますけれども、世の中の変化に応じて、先物云々というようなことが一般に言われてまいりますと、私どもは定款がこうだからそのことはだめなんで云々というようなひとりよがりなことを言ってはおられませんので、一つには、金に対する啓蒙を猛烈にスピードアップしていかなければならぬという責任も感じておりますし、いままで全く無知であった金の先物取引というものについて研究もしていかなければならないというような、立場が変わったと言えば変わったわけでございます。まだ研究段階でございますのでどういう結論が出るか、いま結論を言えというと、現状維持であると申し上げるよりほか仕方がないのではないだろうかということでございます。
#59
○武田小委員 堺参考人にもう一度お尋ねしますが、今後消費者保護ということが非常に大事な問題でございますが、その点につきまして、こういう点を十分に配慮してほしいということがありましたら、もう一度重ねてお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
#60
○堺参考人 現行商品取引所法が消費者保護規定が不十分であるということを、もう一度ちょっと具体的に述べたいと思います。
 どういう不備があるかと申しますと、これはまだほんの一部でございますが、まず第一番に、九十四条の「不当な勧誘等の禁止」に罰則がございません。同じようにマルチ商法という、もうかりますよと言って勧誘するネズミ講に商品をくっつけた商法がございますが、これの規制ということでは、重要な事項についてうそを言ったりあるいは事実を隠蔽したりした場合は懲役刑が課せられるといったような最近の法律があるわけでございます。
 それからまた、同じマルチ商法の規制法、正式には訪問販売等に関する法律と申しますが、この中で不当な勧誘の禁止については行政罰が加えられ、それを守らない場合はこれまた刑事罰が加えられるといったような最近の傾向があるわけです。
 もうかりますよという話としてはこの商品取引の場合と同じだと思いますが、同じようにまだほかにもございまして、いまの商品取引は証拠金率が大体一〇%内外という多々良さんのお話でございましたが、低いものは五%ぐらいのものがあるわけです。つまり五円で百円の取引をやっているわけです。二十倍の利益がある反面、二十倍の損もあるわけですが、この損があるということをなかなか言わないのが外務員でございます。
 それからまた、立入検査に基づく処分や措置結果の公表制度がありません。取引所内の紛議調停委員会が第三者機関とは言えず、力も弱い点、あるいは専業取引員に自己玉を認めているという点、そういう点がまだまだ不十分であるわけです。
 結局は外務員制度に問題があると言っても過言ではございませんで、この外務員が、商品知識の経験がなく資力や信用に乏しい一般大衆を取引に参加させているわけでございます。こういう人々が参加することは、商品取引所法の第一条の目的である公正な価格の形成に参加しているとはわれわれ思いません。このような商品取引所法が現在のままで進行いたしますと、大豆、小豆のトラブルの比ではないというように考える次第であります。
 ですから、商品取引所法を消費者保護の精神に基づいて大改正した上であれば、その上で検討は可能であるというように考えております。
#61
○武田小委員 いろいろと貴重な意見をいただきまして、ありがとうございます。私のお聞きする点は以上でございますが、いろいろとまた参考になりました問題を取り上げまして、通産当局のいろいろな今後の考えをお尋ねしたいと思うわけでございます。
 きょうは大変ありがとうございました。
#62
○渡辺小委員長 小林政子君。
#63
○小林(政)小委員 参考人の皆様には大変御苦労さまでございます。
 私は、最初に悪徳商法被害者対策委員会の堺会長にお伺いをいたしたいと思います。
 最近、金のブラックマーケットによる被害が続出をいたしておることは、先ほど来ずっとお話が出ておるところでございますけれども、その一つの背景といいますか、それは政府が、商品取引所法八条一項に規定されている「何人も、先物取引をする商品市場に類似する施設を開設してはならない。」、この解釈をめぐっていままでもいろいろと論議をされてきたような問題があるわけでございます。私は、このあいまいな態度といいますか、政府がこういう態度をとったことが一つの大きな原因ではないか、このように思っておりますけれども、過去三十年間指定商品以外の物については先物取引をする商品市場の開設については原則禁止という態度をとってきた政府が、昨年四月二十六日に、指定商品以外の物については原則自由とする新解釈を打ち出したことが原因ではないかと考えます。したがって金の私設市場についても規制を受けない、こういうことになったわけでございます。
 こうした中で政府は、従来、金のブラックマーケットは先物取引に該当しないんだ、こういう態度をとり続けてきております。その内容としては、延べ取引とかあるいは予約取引というものはいわゆる先物取引ではないんだ、こういう見解をとっているわけでございますけれども、商品取引所法第八条で禁止されるのは先物取引に関するもので、従来行われていたような延べ取引だとかあるいはまた現物の予約取引、これは対象にはならない、こういう考え方を政府がとっているという点について、参考人の皆さんから、これについてはどういうことなのか、その点をはっきりとお示しをいただければありがたいと思います。
#64
○堺参考人 商品取引所法第八条の問題につきましては、私どもは当初より、金の私設市場の開設については八条違反であるというように主張してまいりました。現在でもそのように考えておりまして、昨年四月に見解がひっくり返りましたけれども、私どもはあくまでも昭和二十六年の内閣法制局の見解というものが立法当時の考え方であるというように判断いたしまして、全国でいま訴訟を進めておりますけれども、損害賠償請求訴訟ではありますが、一つの柱としては商取八条違反ということで司法判断を仰ぎたいと思って、係争中でございます。無論この商取八条が発動されれば、恐らくブラックマーケット、こんなに蔓延することはなかったわけでございます。
 事実、実は政府が昨年四月になって急に八条見解、ひっくり返したわけではありません。五十二年の七月に警察庁は貴二貿易という金の先物取引会社が先物取引をやっているということを察知いたしまして、北海道警が動いてこれを摘発をしております。そのときに北海道地検が商取八条での起訴を見送ったわけでございます。この時点で、本当は通産省は八条の不備ということについて気がついていいはずでして、恐らく気がついていたのだろうと私は思いますけれども、それが宙に浮いたままずっとその後時間のみ流れた。そして昨年四月に質問主意書に対して正式な回答をしなければならない羽目になったので、やっとこさ正式に表に出たということで、私は、商取八条のこの問題については通産省、大変怠慢であるというように思っております。少なくとも五十二年の七月にその対応が考えられたはずだと思います。
 ただしかし、一応通産省は現在は、商取八条の考え方については立法当時の考え方が通産当局の考えであったというように、つい先日衆議院の商工委員会でも御発言されておりますし、またその旨に沿っていま八条を改正しよう、中間報告でそれが多数意見を占めたということでございますので、いまからでも遅くありませんので、この八条についてはいまのところ行政上のエアポケットになっておりますから、何としてでも早く改正、立法化をお願いしたいと思っております。
#65
○小林(政)小委員 次に、同じく堺参考人にお伺いをいたしますけれども、商品取引における被害について、現行商品取引所法のどこにどのような欠陥があってこれだけの大きな被害が出てきているというふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
#66
○堺参考人 結局は、いま商品取引のトラブルとして取引所の中の紛議調停委員会に上がってきたり、あるいは地方公共団体や私どもの会あるいは全国商品取引被害者の会等へ訴えがあるものは、大体初めて取引に参加する新規委託者と外務員の間のトラブルが一番多いわけです。ですから、その外務員の制度そのものに問題がありはしないか、結論としてはそこに尽きると思います。どうしても投機に参加したいという人は、このようないまの社会環境を見れば、通信も発達しておりますし、交通手段も大変便利になっておりますから、昭和二十五年当時とは違いますから、どんな山奥にいたって町の営業所に出てくることは可能であろうと思います。ですから、基本的には商品取引などというものは、これは店頭で取引するものであって、外務員というようなものを使わなければいいのじゃないかというように考えもいたします。
#67
○小林(政)小委員 続けて、やはり堺参考人に伺いますけれども、商品取引被害者の会に委託者から相談または苦情がいろいろ持ち込まれているということで、これについて誠意を持ってこたえているというお話が先ほど来ございましたけれども、被害者対策を専門に取り扱っていらっしゃるその対策委員会の目から見て、具体的にどのような感じを受けていらっしゃるのか、率直な御感想を伺いたいと思います。
#68
○堺参考人 商品取引のトラブルにつきましては、私どもは扱った件数は少ないのでございますが、しかし、大体似たり寄ったりではなかろうかと思います。
 私どもの方へ訴えがあった場合、一応商品取引員の業者に連絡をいたしまして話し合いに入るわけでございますが、まずやはり取引員の業者の最初の態度が、投機であるからには損もあり得もあるという、この表看板が一番最初に出てまいります。無論その商品取引員の業者の方々も、新規委託者の勧誘については自主規制をされているということでございますが、しかし、いろいろよく調べてみますと、大変逃げ道といいますか、抜け道はいっぱいあります。たとえば年金生活者であるとか母子家庭であるとかあるいは家庭の主婦であるとか公金を扱う人々を勧誘してはいけないというようなことを書いてありますけれども、「ただし」という条項が入っておりまして、どうしてもやりたい人間については構わないのだというようなことで逃げられてしまう。結局自主規制の意味をなしていないといったこともありますし、それからまた、新規委託者については三カ月間は二十枚以内の建て玉にしなければいけないというようなことがあっても、きょう二十枚買い、あす二十枚売って、あさってまた二十枚買ったとしますと、累計では四十枚になるわけでございますが、しかし生きているものが二十枚だということで、これはその自主規制が生かされているのだというような大変に、たとえば被害回復の交渉等に当たりましても、なかなか全額返ってくることはまずまれな例でございましょう。恐らく紛議調停委員会に上がっている例で、聞くところによりますと、大体期間が半年もかかった上に二割程度ぐらいしか返してこない。商品取引員があくまで間違いなく過当な勧誘をやり、不法行為を犯しているとしても、実際証拠が残っていないわけです。残っていないとなれば、商品取引員がやはりそこで言ってくることは、投機だからこれは損があるのはあたりまえだということで水かけ論に終わってしまう、こういうところに問題があろうかと思います。
#69
○小林(政)小委員 それでは、全国商品取引員協会の連合会長さんにお伺いをいたします。
 商品取引で被害を受け、破滅に追い込まれたというような犠牲者といいますか、こういう人の数というのは相当数に上る、金額の面でも相当数に上るというふうに言われておりますけれども、これは私はいままでの論議を聞いていましても、やはりあなた方の団体の体質といいますか、そういうものと深い関係があるのではないか。最近でも私の知っている岩手県の方が、やはり現物条件付予約取引ということで、ある業界の約款を持って相談に見えておりますけれども、こういう点など考えてみますと、金及びその他の商品取引で合計約二千五百万円もの被害を受けている、こういう訴えが出されております。そして、その方は結局自殺をしてしまったわけでございますけれども、業界としてやはりこういう被害が出ているということについて本当にどのような責任と、また体制をとろうとしているのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#70
○多々良参考人 先ほどちょっと申し上げましたけれども、金の取引と私どもとは全く異質のものでございますので、先ほど例示がございました岩手県のその場合につきましては、どういうことなのか私どもとしても申し上げかねますが、私どもの体質として紛議というお話でございましたけれども、しかし、私どもは私どもなりに、そういった紛議を絶滅すべく努力をもちろん続けておるところでございまして、たとえば先ほど田中参考人からお話のございましたアメリカのリスク・ディスクロージャーというのとほぼ似たような、同一の文言ではございませんが、ほぼ同様趣旨の取り決めももちろんいたしておりまして、ことに「委託のしおり」という、そういったしおりなどもつくりまして、初めてのお客様につきましては十分な啓蒙を、リスクもあるという啓蒙をするように心がけております。
 それから、先ほど堺参考人からお話しのございました、いろいろな規制はしているけれども抜け道だらけではないかという御指摘がございました。御指摘のとおりの部分もございます。と申しますのは、私どもの業界で、たとえば婦人の方はおやりになってはいけませんよ、こういうことは一応やっておりますけれども、しかし、婦人の方で、なぜわれわれには機会を与えないのだ、それは差別ではないかというようなことをおっしゃる方もございますし、あるいはまた先ほどの例にございましたような主婦であるとか公金の取り扱いの方でも、自分はこれは私的な金でやりたいのに一切受け付けないのはおかしいじゃないかというお話も逆の意味合いでございまして、われわれとしては、それを全面的に禁止するとか協定を全面的に強行するとかいうことは、逆な意味合いでなかなかやりにくいという意味合いも御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
 それなりに努力をし、それなりにいま紛議は当業界自体としては減ってきているというふうに私どもはある程度喜んで、これをもとに、また将来にかけてより減らすための努力をしたいと思っておるところでございます。
#71
○小林(政)小委員 問題は、一般大衆の委託者保護のために具体的にどのような対策がとられているかということが一番肝心なところだろうというふうに思いますけれども、先ほど堺参考人からも、資力のない庶民の年金や貯金まで当てにするような、これを引き出させて投機に使わせるというようなことは、これは悪徳商法というようなもので、根絶させなければならないと私どもは考えておりますが、あなた方の社会的責任として、こういう問題について今後具体的にどのように対処されていくのか、もう一度お答えをいただきたい。
#72
○多々良参考人 いまおっしゃられました年金とか母子家庭あるいは退職金、そういったことで生計を維持する者ということにつきましては、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように機会均等ということで、その他の方々、たとえば公金取り扱いの方々には特に申し出があれば取引をいたしていただいておりますけれども、いま先生の御指摘のございましたような恩給とか年金、そういったもので維持する方々につきましてはそういう例外規定を設けることなく、基本的にはお断りする、要するに商品取引の適格者じゃないというふうにして、自分たちで自律申し合わせをしてそれを実行しているところでございます。
 今後とも、そういった自分たちの取り決めがあるにもかかわらずこれを破る者につきましては何らかの罰則を加えるべく、私どもも努力していかなければならないと思います。
#73
○小林(政)小委員 一般大衆の委託者保護ということが言われておりますけれども、具体的には、被害をこうむっている人の中には確かに投機で損をすることも覚悟の上でというような人も大分いるだろうと思います。だがしかし、私どもの方が聞いているのは、先ほど来からお話の出ております、結局資力のない庶民や年金で生活をしているあるいは婦人であるとか家庭の主婦であるとか、こういう人たちから問題が持ち込まれてきているわけです。ですから、何でこういう問題が出てくるんだろうかと非常に大きな疑問を持っているところでございますし、私は、その点について今後はっきりとした規制の対策、自主規制を立てることも非常に重要だということを強く申し述べておきたいと思います。
 次に、金地金流通協会の会長さんにお伺いをいたしたいと思いますけれども、業界としては、金地金流通協会というものは先物取引は定款によってしないのだということを先ほど来から言われておりますし、私も、そういう点では非常に良心的にお仕事をされているんだなというふうに聞いておりましたけれども、しかし百九十三社と言われる金の会社の中には金の先物取引をしている会社もあるのではないか、皆さんの業界の中でそういう人たちがいるのではないか、このように伺っております。私は、流通協会とブラックマーケットの関係などについてひとつ具体的なお話をいただきたいと思います。
#74
○田中参考人 流通協会の会員の中に不都合な者云々というようなお話でございますが、一つの例を申し上げますと、流通協会の会員にすることについて非常に厳重な審査を実はいたしまして、こんなに勝手な審査をしていいかと思うくらいに実は厳重な審査をやっておるわけでございます。しかしながら、余りやかましいことを言っておりますと、既存の流通協会がいわゆる自分たちで城を守って新入会員を全く入れないということでも、現在員の社会性という問題に相反することになります。いわゆる登録会員の方の中には、必ずしも金について十分な知識を持ってないけれども、金というものをこれから自分が扱ってりっぱな金地金業者になりたいというような熱意を持ち、それだけの御資格のある方については教育をしながら、われわれの金地金というものをそれにふさわしい取り扱い方をしていただこうということでお願いをして、余り幅を広げ過ぎても玉石混淆ということになりましょうけれども、余り独善的に城を築くみたいなことでもいけませんので、この点については正直申し上げて選考というのは非常にむずかしいわけでございます。
 しかしながら、いままでブラックマーケットに関与してたとかあるいは云々というような方については格別の注意を払いますし、格別またそういう方については御理解を願うということはむずかしいにしても、やはりいろいろ難点が出てくる場合がございますので、そういうようなことでかなり勇気をふるって御辞退願うということもやっておるわけでございます。
 流通協会の会員の中には、金をきょう何グラム売らなければ飯が食えないというような方はまずございませんで、たとえば金のネックレスだとかそういった装飾品もやりながら金地金もお売りになるとか、あるいはいままで時計もやっておったんだけれども、時計も余りもうからなくなったし、金を扱うことによって、あるいは流通協会に入って金を扱うことによって銀行の信用も増してきたとかいうようなことを、かなりメリットとしておやりになっております。何でもかんでも金を売らないときょうの飯が食えないというようなことになると、えてして問題も起こりやすいわけでございます。その点は、われわれ長くから金を取り扱っておる者として、われわれ自体がまた金だけ売って飯を食っているわけではございませんで、いわゆる工業用の金の加工をするとか圧延をするとかいうようなことが飯の種になっていくということで、金地金あるいはプラチナを売るその他のことについては無論お客様に対して熱心ではございますが、一つの原則として、お客様に利益を与えるからこの業界が、遅いかもしれないけれども発展をしていくので、お客様に御迷惑をかけたり御損をかけるとしたらわれわれの命脈は絶たれるのだというようなことを大原則としてやっておるわけでございますので、もし流通協会の会員にして具体的な不始末があるとしたらば、いまでも結構でございますし、後刻ぜひお聞かせをいただきたい。これはまた私どもの仕事を守るきわめて重要な問題にかかわることだ、こういうように考えております。
#75
○小林(政)小委員 それでは通産省にお伺いをいたしますけれども、商品取引は今後当業者主義ということを原則としてやられるというように伺っておりますし、また、その研究会の中間報告によりますと、私設先物市場開設及び先物取引等の勧誘問題に幾つかの対応策というものを講じられておられますね。その中で、一、二、三、こうあるのですけれども、Aの場合「私設先物市場の開設禁止並びに先物取引及びその類似行為(延べ取引等)の一般投資家を対象とする勧誘又は受託の禁止」というのが第一項目にございます。これでいく場合は当然現行商品取引所法の改正が必要となりますけれども、通産省としては、この三つの対応の中でこれを重視されているというように受けとめてよろしゅうございますか。
#76
○神谷政府委員 結論を簡単に御説明をさせていただきますと、先生御指摘の研究会の中で幾つかの御意見がございましたが、研究会のメンバーの方々、若干のニュアンスはございますけれども、法律上問題なければAにすべきではないかな。本来経済取引は自由であるべきであって、やたらに国が規制をしたり介入したりしてはいかぬというのが先生方の大方の御意見でございますが、消費者保護という観点からやっていく場合には、介入し過ぎも困るが実効ないのも困るのでAではないかなという御意見がかなり強かったわけでございます。しかし、一部の御意見で、やはりBでとどまるべきであるとかあるいは少なくともCでいいのだという御意見もございましたので、並行して、実は経済の基本にかかわる――本来簡単にこういうものはやめてしまえ、本来的悪というようなものではございませんで、経済基本法の一部を特例的に改正するという考え方でございますので、世の中にてきるたけ長く――私は、日光にさらしてと申し上げておりますが、いろいろな御意見、これに対する反対とか賛成とかを聞いて、その上で、われわれとしてはやはり先ほどの金と同様、商品取引審議会に諮問させていただきまして、そこの御意見を伺った上で法律の改正をしたい。その法律改正が、先生御指摘のように商取法の改正になるか特別立法になるか、これも法技術的に法制当局とさらに勉強したいと思っております。
 状況はそういう状況でございます。
#77
○小林(政)小委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
#78
○渡辺小委員長 以上で質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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