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1980/06/02 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 商工委員会 第16号
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1980/06/02 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 商工委員会 第16号

#1
第094回国会 商工委員会 第16号
昭和五十六年六月二日(火曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 野中 英二君
   理事 梶山 静六君 理事 辻  英雄君
   理事 原田昇左右君 理事 渡部 恒三君
   理事 後藤  茂君 理事 清水  勇君
   理事 北側 義一君 理事 宮田 早苗君
      天野 公義君    植竹 繁雄君
      越智 通雄君    奥田 幹生君
      島村 宜伸君    田原  隆君
      泰道 三八君    橋口  隆君
      林  義郎君    水平 豊彦君
      宮下 創平君    粟山  明君
      森   清君    渡辺 秀央君
      上坂  昇君    城地 豊司君
      藤田 高敏君    水田  稔君
      山本 幸一君    渡辺 三郎君
      長田 武士君    武田 一夫君
      横手 文雄君    小林 政子君
      渡辺  貢君    伊藤 公介君
      阿部 昭吾君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  田中 六助君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局経済部長 伊従  寛君
        通商産業大臣
        官房審議官   神谷 和男君
        通商産業省通商
        政策局次長   真野  温君
        通商産業省基礎
        産業局長    小松 国男君
        通商産業省機械
        情報産業局次長 小長 啓一君
        通商産業省生活
        産業局長    若杉 和夫君
        資源エネルギー
        庁長官     森山 信吾君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       高橋  宏君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 石井 賢吾君
        中小企業庁長官 児玉 清隆君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   漆間 英治君
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  内田 文夫君
        大蔵省関税局輸
        入課長     忠内 幹昌君
        大蔵省国際金融
        局企画課長   関   要君
        農林水産省農蚕
        園芸局繭糸課長 武智 敏夫君
        農林水産省農蚕
        園芸局蚕業課長 本間 知至君
        林野庁林政部林
        産課長     山口  昭君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 望月 三郎君
        商工委員会調査
        室長      中西 申一君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
 辞任         補欠選任
  横手 文雄君     塩田  晋君
同日
 辞任         補欠選任
  塩田  晋君     横手 文雄君
六月二日
 辞任         補欠選任
  松永  光君     越智 通雄君
同日
 辞任         補欠選任
  越智 通雄君     松永  光君
五月二十九日
 液化石油ガス事業とガス事業との整合に関する
 請願(奥田幹生君紹介)(第五五九一号)
 同(梶山静六君紹介)(第五五九二号)
 同(粕谷茂君紹介)(第五五九三号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第五五九四号)
 同(島村宜伸君紹介)(第五五九五号)
 同(野中英二君紹介)(第五五九六号)
 同(原田昇左右君紹介)(第五五九七号)
 同(松永光君紹介)(第五五九八号)
 同(武藤嘉文君紹介)(第五五九九号)
 同(山崎拓君紹介)(第五六〇〇号)
 同(渡部恒三君紹介)(第五六〇一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
六月一日
 ローカルエネルギーの開発に関する陳情書(広
 島県議会議長大山広司)(第三一八号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 揮発油販売業法の一部を改正する法律案起草の
 件
 中小企業の事業活動の機会の確保のための大企
 業者の事業活動の調整に関する法律の一部を改
 正する法律案起草の件
 揮発油販売業法の運用に関する件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
#2
○野中委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、中小企業に関する件及び資源エネルギーに関する件について調査を進めます。
 まず、揮発油販売業法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、理事会等におきまして協議が行われましたが、その結果に基づき、渡部恒三君、後藤茂君、北側義一君、宮田早苗君、伊藤公介君及び阿部昭吾君から、六派共同をもって、お手元に配付いたしておりますとおり、揮発油販売業法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定されたいとの提案がなされております。
 この際、その趣旨について説明を求めます。渡部恒三君。
#3
○渡部(恒)委員 ただいま議題となりました揮発油販売業法の一部を改正する法律案の起草案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ及び社会民主連合の六党を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 まず、起草案の趣旨について御説明いたします。
 御承知のとおり、最近の石油需給は、省エネルギーの浸透、石油代替エネルギーへの転換等により緩和傾向にありますが、先般のOPEC総会の結論からも明らかなように、依然として国際石油情勢は流動的であり、今後を展望いたしますと、産油国の資源温存政策の強化等により、需給の逼迫化と高価格化は避けられないものと考えられます。
 このような情勢に対処し、石油の使用の一層の節減を推進することは、わが国のエネルギー政策上最も重要な課題であると同時に、国際的な責務でもあると存じます。
 従来、石油使用の節減については、いわゆる省エネルギー法による諸施策のほか、国民運動、行政指導等によりその推進を図ってきたところでありますが、必ずしもまだ十分とは言えない実情であります。
 特に、揮発油は石油製品の中でも採算性の高い油種であるため、近時、過当な価格競争、給油所建設の採算地域への集中、日曜・祝日休業の弛緩等の事態が生じており、石油使用の節減の推進に支障を来すと同時に、その大部分が中小企業者である揮発油販売業者の経営基盤は弱体化するに至っております。
 言うまでもなく、揮発油は国民生活及び産業活動に最も関係の深いものであり、その円滑な流通を確保するためには、適正な揮発油の販売秩序を確立し、揮発油販売業の健全な発達を図るとともに、現在及び今後の内外石油情勢に対応し、揮発油の合理的な使用の一層の節減を図ることが必要であります。
 また、従来、往々粗悪品の出回りが問題になることにかんがみ、品質確保のための合理的な制度を整備することが必要であります。
 このような課題と状況に対処するため、今般、揮発油販売業法の改正を提案することとした次第であります。
 次に、その主な内容について御説明申し上げます。
 その第一は、本法の目的に、揮発油の使用の節減に寄与することを加えることであります。
 その第二は、営業日の制限等に関する点であります。
 現在の行政指導による日曜・祝日休業は必ずしも遵守されているとは言えず、不公平な結果になっておる現状でありますので、この際、新たに営業日の制限等に関する規定を設けることにより、さらに強力にその実施を図ろうとするものであります。
 すなわち、通商産業大臣は、揮発油の使用の節減を図るため必要があると認めるときは、内外の石油事情に応じ、揮発油販売業者の営業日の制限または営業時間の短縮の実施に関する事項を定めて、これを公表することができることとし、揮発油販売業者が当該公表された事項を実施しない場合において必要があると認めるときは、当該揮発油販売業者に対し、当該事項を実施すべきことを勧告することができることとしております。
 また、通商産業大臣は、当該勧告を受けた揮発油販売業者が正当な理由なくその勧告に従わなかった場合において、これを放置することにより揮発油の使用の節減を図ることが著しく困難となり、内外の石油事情に照らしこのような事態を解消するため特に必要があると認めるときは、石油審議会の意見を聞いて、当該揮発油販売業者に対し、当該勧告に係る措置をとるべきことを指示することができるものとしております。
 さらに、この指示に従わなかったときは、通商産業大臣は六カ月以内の期間を定めてその事業の全部または一部の停止を命ずることができることとし、その事業停止命令に違反したときは、その登録を取り消すことができることとしております。
 以上のように、営業日の制限等の勧告に従わない場合の当該勧告に係る措置をとるべきことを指示する場合には、厳格な発動要件を付しております。
 その第三は、指定分析機関制度の創設であります。
 現在は、粗悪な揮発油の販売の防止の実効を期するため、揮発油販売業者は給油所ごとに選任する品質管理者に揮発油の分析を行うよう義務づけられておりますが、新たに揮発油販売業者が通商産業大臣の指定する指定分析機関に揮発油の分析を委託することもできる制度を設けることとしております。
 通商産業大臣は、指定分析機関を指定するときは、揮発油販売業者の委託を受けて揮発油の分析を行おうとする者の申請によるものとし、この場合において、通商産業大臣は、その申請をした者が、分析業務を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有すること、その役員または社員の構成が分析業務の公正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと、その他一定の要件に適合していると認めるときでなければ、その指定をしてはならないこととしております。
 その他、指定分析機関に関し、所要の規定を整備することといたしております。
 以上が本起草案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#4
○野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 本起草案について発言の申し出がありますので、これを許します。小林政子君。
#5
○小林(政)委員 私は、日本共産党を代表しまして、ただいま議題となりました渡部恒三委員外五名の発議による揮発油販売業法の一部を改正する法律案につきまして、反対の意見を述べるものであります。
 反対理由の第一は、今回の改正が石油元売り十三社の系列支配強化となり、アウトサイダーの締め出し、揮発油の安売り規制など高値安定をより一層進めるものであり、元売りの供給証明の提出を揮発油販売業者の登録要件とすることについては、わが党の強い反対により削除されましたが、しかし、帳簿の記載に関する規定を新たに設け、省令によって元売りまでさかのぼって購入先を届けさせようとすることは、供給証明と同じ効果を持たせ、石油独占による系列支配強化を促進しようとするものであります。
 第二の反対理由は、揮発油の使用の節減のためとしてなされる措置が、何らその目的を達成できないばかりか、元売りの系列支配強化と相まって、揮発油販売業者を苦しめる結果となることであります。五十一年の本法制定後、元売りの系列支配が促進されたのは周知の事実であります。元売りの揮発油販売業者に対する支配は、帳簿から在庫まで点検するに至っています。
 また、通産大臣が必要と認めただけで営業日の制限等を行い、かつ、厳しい罰則でこれを担保することは、憲法の営業の自由や独占禁止法のカルテルの行為の禁止の点でも重大な疑義があるところであります。また、事業停止、登録の取り消しは、他の法律の行政罰と比較して過大であると言わなければなりません。もとより、わが党は、揮発油販売業者の日曜日程度の休業は推進さるべきであると考えるものでありますが、それはあくまでも業者の自由意思のもとで行われなければなりません。行政の責任は、その環境をつくり出すこと、すなわち、元売りの締めつけを排除することにしなければなりません。
 省エネルギーの促進を図るのなら、省エネルギー法で国民、産業全体で推進することが筋であります。元売りの販売政策やモータリゼーションを放置したままで揮発油販売業者の段階で規制しても何ら効果がないことは、この五年間の経過が如実に示しているところであります。
 以上の理由から、今回の改正案は、営業日などの制限を通じて、節約を大義名分とした石油元売り十三社の系列支配をさらに強化し、高値安定を目指すものであります。これは、揮発油販売業者の経営の安定にもつながらないばかりか、消費者の利益にも反するもので、日本共産党は断固反対するものであります。
 今回の発議は、本国会の会期延長後、しかも会期末十日足らずという時期に提案され、委員会での審議も全く行わず、また、従来からの各党間の十分な協議に基づく全会一致にもよらず、しかも、わが党の反対を押し切り提案されたものであり、委員会の民主的な運営という点からも断じて認めることはできないことを指摘し、私の反対討論を終わります。
#6
○野中委員長 お諮りいたします。
 揮発油販売業法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#7
○野中委員長 起立多数。よって、さよう決しました。
 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
#9
○野中委員長 揮発油販売業法の一部を改正する法律案の本委員会の提出に際しまして、渡部恒三君、後藤茂君、北側義一君、宮田早苗君、伊藤公介君及び阿部昭吾君から、六派共同をもって、揮発油販売業法の運用に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。
 本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。後藤茂君。
#10
○後藤委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ及び社会民主連合の六党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    揮発油販売業法の運用に関する件(案)
  最近、石油需給の緩和、原油仕入価格の格差等を背景として、揮発油販売に関する過当な価格競争、給油所建設の採算地域への集中、日曜祝日休業の弛緩等の事態を生じ、揮発油販売業者の経営が圧迫され、公平を欠くに至っているが、国民生活及び産業活動に不可欠な揮発油の特性にかんがみ、常にその安定供給を確保し、品質を維持するため、適正な揮発油販売秩序を確立し、揮発油販売業の健全な発達を図ることが必要である。
  よって政府は、次の点について適切な措置を講じ、揮発油販売業法の運用に万全を期すべきである。
 一 石油元売業者等揮発油卸売業者に対して、揮発油販売の適正化、公正な取引条件の確保、秩序ある給油所の建設、品質の維持等についてより一層強力に指導すること。
 二 揮発油販売業の近代化計画を促進し、すべての揮発油販売業者が円滑かつ適正な仕入れに基づき秩序ある販売を行うよう指導するとともに、登録に当ってもこの点に十分留意すること。
 三 揮発油販売業者の登録と消防法による許可及び建築基準法による確認との整合性を一層確保するよう努めること。
  右決議する。
以上でございます。
 決議案の各項目の内容につきましては、案文により御理解をいただけるものと存じますので、詳細の説明は省略させていただきますが、本決議案は、揮発油の販売秩序の確立とともに、揮発油販売業者が業務遂行に当たって、消費者利益の保護に配慮しつつ、サービスの向上及び価格の適正化に努めるべきであることを前提として提出したものであることを申し上げておきたいと存じます。
 委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#11
○野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 本動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#12
○野中委員長 起立多数。よって、渡部恒三君外五名提出の動議のごとく決議することに決しました。
 通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田中通商産業大臣。
#13
○田中(六)国務大臣 ただいま議決をいただきました決議に対しましては、その趣旨を体しまして対処してまいりたいと存じます。
#14
○野中委員長 お諮りいたします。
 本決議についての議長に対する報告及び関係各方面への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#16
○野中委員長 次に、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、理事会等におきまして協議が行われましたが、その結果に基づき、渡部恒三君、清水勇君、北側義一君、宮田早苗君、小林政子君、伊藤公介君及び阿部昭吾君から、七派共同をもって、お手元に配付いたしておりますとおり、中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定されたいとの提案がなされております。
 この際、その趣旨について説明を求めます。清水勇君。
#17
○清水委員 ただいま議題となりました中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律の一部を改正する法律案の起草案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブ及び社会民主連合の七党を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 まず、本起草案の趣旨について御説明いたします。
 いわゆる事業分野調整法は昭和五十二年に成立いたしましたが、法律施行後四年間の大企業者の進出による紛争を見ますと、進出による影響が地域的にあらわれている事例がふえており、しかも、その多くは、地域の中小企業団体との調整について、地方自治体が話し合いのあっせんを行っているのが実態であります。
 しかしながら、現行法におきましては、地域的な紛争におきましても、中小企業団体の調査、調整の申し出は主務大臣に直接行うことになっており、地方自治体の意見が必ずしも反映される仕組みになっておりません。したがいまして、事業分野調整問題が地域の実情に応じて迅速に調整されるようにするためには、都道府県の区域内の中小企業団体から主務大臣に対して行う調査、調整の申し出については、地域の実情に詳しい都道府県知事を経由して行わせ、その案件に関して、都道府県知事がその影響等について、主務大臣に対し意見を述べることができるように改めることが必要であります。
 また、大企業者の進出は、いわゆるダミーによる場合がありますが、最近のダミーによる進出の実態にかんがみ、大企業者の定義に関する規定を整備することが必要であります。
 このような実情に対処するため、今般、事業分野調整法の改正を提案することとした次第であります。
 次に、その内容について御説明いたします。
 その第一は、現在、大企業者が単独で事業活動を実質的に支配している、いわゆる大企業者のダミーは調整の対象となっておりますが、これに加え、複数の大企業者が共同で事業活動を実質的に支配している中小企業者についても、主務省令で定める関係にあるものについては調整の対象とすることとしております。
 なお、これに関連して、中小企業者の定義の見直しについては、現在中小企業政策審議会定義改定問題小委員会において検討がなされておりますが、その検討においては、事業分野調整法の趣旨をも考慮し、中小企業の業種、業態を十分勘案して対処することが必要であります。
 第二は、都道府県の区域を超えない区域をその地区とする中小企業団体から主務大臣に対して行う調査、調整の申し出については、当該都道府県知事を経由して行うものとするとともに、都道府県知事は、当該調整の申し出案件に関し、大企業者の進出の影響等について、主務大臣に対して意見を申し出ることができることとし、この場合、都道府県中小企業調停審議会の意見を聞くことができることとしております。
 なお、これらの措置を実効あらしめるためには、紛争を未然に防止するために大企業者に対する指導を適切に行うことはもちろんのこと、法律上申し出資格を欠く中小企業団体の申し出についても、地域の実態に即した弾力的な行政指導により対処するとともに、都道府県知事の意見は、主務大臣の調整措置の内容に十分反映するよう努めることが必要であります。
 第三は、附則において、中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正し、都道府県知事を経由する調整の申し出案件について、都道府県知事が大企業者の進出の影響等について主務大臣に対する意見を定めるため必要があると認めるときは、都道府県中小企業調停審議会を置く乙とができることとし、同審議会は都道府県知事の求めに応じて進出の影響等に関し調査審議することとしております。
 なお、これに関連して、同審議会のあり方として、中小企業事業分野の調整問題を調査審議するにふさわしい構成とその運営がなされるよう措置することが必要であります。
 最後に、以上のほか、調査、調整の申し出を行った中小企業団体の構成員たる中小企業者に対しては、主務大臣及び都道府県知事において、なお一層その近代化等を促進するため、指導、助成措置を強化することが必要であることを指摘しておきたいと存じます。
 以上が本起草案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ全会一致をもって御賛同あらんことをお願い申し上げます。
#18
○野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#19
○野中委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#21
○野中委員長 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻英雄君。
#22
○辻(英)委員 私は、先般来、非常に世間の注目を浴びております日本原子力発電の敦賀発電所の事故につきまして、質問をいたしたいと思います。
 今回の事故につきましては、通産省当局、資源エネルギー庁の調査結果も逐次公表されつつありますし、また、当委員会としても重大な関心を持って、去る五月八日実地視察をし、私どもも参加をして現地の具体的な事情を視察し、かつ現場責任者からの意見も聴取した次第であります。
 一方、国全体について考えますと、重なるオイルショックの中で、わが国の経済、国民生活に対するその深刻な影響から立ち直るよう、国を挙げて努力しておるときであります。特に、昭和六十五年度までにエネルギーの石油依存率を五〇%に下げるため、昨年十一月、石油代替エネルギー供給目標を定めて、その達成のために各般の努力が続けられておるときであります。
 その目標を達成するためには、目標の中で示されておりますように、原子力発電によります電気の供給量は、施設の出力で五千百万ないし五千三百万キロワットが必要であるという目標が立てられております。一方、現在運転中の原子力発電所の認可出力の総計は千五百五十一万キロワット程度でありまして、それを考えますと、六十五年目標のためにわれわれはさらに一段と努力をしていかなければならない状態に置かれておるわけでございます。
 そういう中でこのたび事故が発生いたしたわけでありますが、この事故は、幸いにいたしまして現在までのところ、直接に人間の生命、身体に危害を及ぼしていないということは不幸中の幸いであろうと思います。しかし、従来とも原子力立地を阻害しております一番大きな原因は、原子力の安全に対する住民の不信感、不安というものが一番大きな原因になっておると私は考えておるわけでございます。そういう点から見ますると、今回の事故が、数年前のアメリカのスリーマイル島の事故等とも同じような意味で、当該の敦賀地区の住民ばかりでなくて、原子力発電所を有する、あるいはこれから建設しようとする地区の住民に無用な不安を増大しておる、その点についてはなはだ残念であると考えるわけであります。私は、そのことのために、何よりも今回の事故の本当の原因を探求して、再び同種の事故が起こらない状態を速やかに確立して、国民の信頼を回復するということが通産省の重大な責任であると考えるわけであります。
 そういう意味で、その後通産御当局も今回の事故の結果をいろいろ検討して、新しい対策を御検討中であるように聞いておりますので、今日までどのような状態まで進んでおるのか、お伺いいたしたいと思います。
#23
○森山(信)政府委員 ただいま辻先生から御指摘のございましたように、今回の日本原子力発電株式会社敦賀発電所におきます一連の事故につきまして、通産省といたしましては、電気事業法に基づきます立入検査を含めまして徹底的な原因追求を行ったところでございます。
 その結果を去る五月十八日に報告書の形で公表したわけでございまして、その概略を申し上げますと、まず本年一月に二回にわたって発見されました第四給水加熱器からの水漏れ、これにつきましての調査、及び三月八日に発見されました廃棄物処理建屋内での放射性廃液の漏洩問題、この二つにつきまして原因を追求したわけでございます。
 まず第一点の給水加熱器の水漏れにつきましては、今後当該部の材料を切り出しました上で、破面観察あるいは肉厚測定等の詳細な研究、調査の必要があると考えておるわけでございます。
 なお、第二点の廃棄物処理建屋内で発生いたしました放射性廃液の漏洩原因につきましては、一般排水路への放射性廃液の漏洩という問題となったわけでございまして、いろいろな要因が重なっておりますが、総合的に評価いたしますと、放射性廃棄物処理建屋の設計施工管理上に大きな問題があったのではないかということでございまして、これに運転管理面におきます人為的ミスが加わって発生したのではないか、こういうことを私どもは把握したところでございます。
 したがいまして、今回の事故に対します国民の不信感を一掃するためには、いま申し上げましたようなポイントにつきまして会社に徹底的な改善を行っていただきたいということが一つ、それから国の責任といたしまして、こういった設計施工に関します十分な配慮、安全審査あるいは安全管理というものにつきましてなお一層の努力をする必要があると考えておりまして、私どもは、その線に沿いまして鋭意、原因の究明のみならず、対策の確立を急ぎたいと考えておるところでございます。
#24
○辻(英)委員 以下、時間がありませんけれども、幾つかの問題点に対し、今回の事故から考えられます、いま長官からありましたような包括的、全体的なお話はまことにごもっともなんですが、その中に浮かんでまいりました問題点について若干お尋ねをしてみたいと思います。
 第一に、第四給水加熱器からの漏洩につきましてお尋ねしますけれども、一月に二回にわたって抽気側胴でドレン水漏れがあったにもかかわらず、そのことを通産当局が報告を受けたのがきわめておくれた後であって、四月一日になって疑いがあるということが通産省にわかった。その間、会社側としてはそれなりの対応をいたしたようでありますけれども、基本的に見ますと、軽微な事故であれば通産省に報告する必要がない、それは行政上一応もっともでございますけれども、何が軽微な事故で、何が軽微でない事故であるかということは、どういう物差しになっておるのか。あるいは会社が一方的に、なるべく通産省に知られたくないという姿で自由な、任意な判定をして、軽微であったから報告をしなかったのだということは、非常に恐ろしいことであるような気がするわけでございます。
 同時に、関連しまして、通産省の運転管理官という方が敦賀の発電所に駐在をしておる。その方が、一月に起こった事故を四月一日までわからなかったというように伺っておるのですが、何のために駐在をしておるのだろうか、そういうやり方でいいのだろうかというのが一つの国民の疑問であると思いますので、その二つの点についてお答えをいただきたいと思います。御担当の事務当局の方で結構です。
#25
○石井政府委員 第一点の報告義務の範囲でございますが、電気事業法によりますと、電気工作物の損壊事故というものが法律によります報告義務対象とされておるわけでございますが、これが施行規則におきまして、主要な電気工作物の著しい機能の低下または喪失という規定になっておるわけでございます。そういう観点からいたしますと、きわめて定性的な定義ということでございますが、私どもは、こういった疑念が生じないように、五十二年三月、大臣通達をもちまして、いかなるささいな故障であっても報告をするようにという指導を行っておるわけでございますが、遺憾ながら、このベースにのっとった会社側の判断及び処理がなされなかったという点について、きわめて遺憾であるというふうに思っておるわけでございます。
 ただ、振り返ってみますと、いま申し上げましたような電気事業法上の報告義務範囲について、より積極的にそのクライテリアを明らかにすることなく、むしろささいなものは全部出してくるべきであるという形で、行政指導で全体に網をかけたということが、今回法律違反かどうかということを問われる段階におきまして、その具体的なクライテリアの存在が議論になってきたわけでございます。そういう意味で、逆に法律上の報告義務対象であるにもかかわらずそれが報告されなかったということで、世上事故隠しというような批判も招いておるわけでございます。そういう意味で、私どもとしましては、従来の単なる指導、通達によりましてカバーするだけでなしに、法律上の報告義務につきまして具体的なクライテリアを例示等をもちながら今後設定をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
 それから、第二の運転管理専門官についてのお尋ねでございますが、現状は、電力会社におきます保安規程の遵守状況の指導、監督という見地からサイトに常駐をいたしておるわけでございますが、その業務遂行の基本は、会社側からの報告に基づきましで、必要な書面のチェック及び現場の確認等の業務を行うことになっておるわけでございます。その意味において、単純な信頼関係だけでこれを行うことが、今回の敦賀事故の場合におきまして、いわば信頼関係が裏切られたという経験もあるわけでございますので、その点につきましては、私どもとして専門官制度の再構築を図らなければならぬ、またそうしなければ国民の負託にこたえられないという観点で現在検討を進めております。
 検討の方向といたしましては、専門官が日常チェックすべき書面の種類というものを確定いたしたいと思います。また、必要な業務の内容、方法も確定をする。これに対応いたしまして、会社側の保安規程を整備いたしまして、保安規程上専門官に対応すべき責任者の確定、あるいは先ほどの日常点検すべき書面につきましては、会社側にその当該責任者から専門官に対しまして提示すべき義務を設定をする、こういう形で、いわば保安規程の裏づけを持ちながら専門官制度の再構築を図るということで現在検討を進めておるところでございます。
    〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕
#26
○辻(英)委員 いまのお答えの中で、二、三私の意見を申し上げて、さらに伺いたいと思う点がございます。
 いまの電気事業法に基づきます電気工作物保安規程といいますか、そういうものの立て方、これは古い水力発電時代あるいは火力発電時代ということから物が歴史的に発生してきたのでやむを得ないとは思うのですけれども、扱っておるものが原子力である、あるいはそれに関連する放射能である、あるいは排水であるというようなことについての角度から、電気事業法自体なりあるいは保安規程というものをもう一回見直してみる必要があるのではないか。
 後に触れますけれども、廃棄物処理建屋からの漏水の問題に関連した建屋の建物そのものの意味合いというものは、水力電気であれば、極端に申しますと、雨にかからないように屋根があればいいというのが建屋の性格であると思います。しかし、これはスリーマイル島のときも同じでありますが、こういう場合に予想しない放射能を含んだ排水が建物の中に漏れるということがあった場合には、第一次的な防御手段になるという性格を持っておると私は考えるわけであります。
 さっき、軽微なものの報告について画一的、一律的に網がかぶせてあるところに問題があると言われましたけれども、まずその前に、電気事業法なり工作物規程等について、原子力の放射能から来る人間への被害、つまり電気事業の本来の仕事そのものに対する角度からのものは十分考えられておる。幸いにして原子炉本体についての事故は全くわれわれは聞かないというのは非常に結構なことなんですが、これはやはり本体の事業だけの角度でできておる。保安といいますか安全というものは、事業の正常運行のために必要であると同時に、人命の安全のために必要なことであります。そういう角度から電気事業法なりあるいは工作物規程というものをもう一回見直す必要があるのではないかと私は考えるのですが、御意見を伺いたいと思います。
#27
○石井政府委員 お尋ねの第一点の保安規程でございますが、原子力発電所は他の火力発電所ないし水力発電所と異なりまして、単なる電気事業法の規制のみならず、原子炉規制法による規制を受けるわけでございます。したがいまして、保安規定につきましては、原子力発電所以外につきましては電気事業法による届け出で足りるわけでございますが、炉規制法によりまして原子力発電所の保安規定は厳正な審査をする、そして許可を得るというたてまえで運用いたしておるわけでございます。もちろん、自主保安体制のいわば憲法でございますので、この保安規定の整備というものを今後とも厳重に指導してまいる必要があろうかというふうに考えておるわけでございます。
 それから、お尋ねの第二点の、放射性廃棄物処理設備その他の付属設備に関しますいわば電気工作物以外の施設、建屋あるいはそれに関連、接続いたしております電気工作物以外のそういった設備であっても、それが電気工作物を設置いたします施設と一体化いたしておるわけでございますので、それは当然チェックすべきであり、あるいはその建屋に関して言えば、放射能の密閉性といいますか、格納性について十分チェックすべきであるという御指摘はごもっともだと思っております。
 今回の事故を貴重な教訓としまして私ども第一に考えておりますのは、先ほど御指摘のように、原子炉本体及びタービン系統につきましての審査、建屋についての審査につきましては、単に耐震性のみならず格納性あるいは遮蔽性、そういった点のチェックをいたしておるわけでございますが、付属設備に関しましては、これまでそれが行われていなかったという点を十分反省いたしまして、当該電気工作物を包む施設全体を有機的にチェックをする体制をつくるべく、現在、技術基準の改正を考えておりますし、その基準に合わせまして審査及び事前検査、使用前検査の体制を改善すべく検討中でございます。
#28
○辻(英)委員 もう一つ関連してお尋ねしたいと思いますのは、保安規定にその会社の作業、行動が合っておるかどうかというか、その以前に、形式的に書かれる運転日誌等がちゃんとなっておるかということは、もちろんこれは大変大事なことであると思いますけれども、さっき言われました自主管理という名のもとに会社は誤りをしないのだ、会社から報告されたことを聞けばいいのだという形に、どうもいまの管理官制度というものはなっておるところに問題がある。あれは配置された人の数なりあるいは人の技術的能力なり、そういうものの制約があることはある程度わかるから、そのことからくる制約があれば、これは制約を除くように質なり量なりについて御努力をいただかなければならぬ。行政改革だから何でも抑えればいいというものではないと私は思っております。重要な問題だと思いますが、それと同時に、物の考え方自体が、会社は悪をなさず、会社は過失をなさずという観念は、これは安全や保安の場合には適用できないことだ、私の長い経験でそういうことを申し上げたい。
 これは悪をなすということは誤解がありますけれども、たとえば後で出てまいります廃棄物処理建屋が旧建屋と新建屋がある。旧建屋を増築した、これは地形の事情とか何かいろいろな事情があったことを承っておりますけれども、増築した際に、チェックするのに図面が会社から出てこなかったからよく見なかったのだというようなお話がちょっと、本当かうそかわからないけれども、そういうことを聞きました。会社が持ってこないから見ないというなら通産行政は要らないわけでございますから、会社が持ってくるかこないか。もう一つ極端に言うと、保安規定なんという文章に書いたもので、安全、保安が確保できるわけじゃないのだから、実態をつかまえて全体としてこれが安全、保安が確保されておるかどうかということを、通産省がひとつ責任を持って何らかの形でチェックしてくれるのでないと、国民は心配になると私は思うわけでございます。
 そういう意味で、いま申し上げましたように管理官という制度がいいのかどうか、あるいはいまのやり方でいいのかどうか、あるいはいまのような数と質でいいのかどうかということも、御検討中だと思いますけれども、物の考え方として、自主管理という名前で会社がやるのはあたりまえだ、会社がやるのは当然のことでありまして、会社の法律的、社会的責任はあるけれども、国民は会社を頼っているのじゃなくて、やはり通産省を頼りにして安全が確保されていると思うのでありますから、自主的な努力をさせる意味で自主管理というお言葉をお使いになることはいいのだけれども、会社任せかというような、さっき二、三出てきたようなことが起こるような感じを受けますと、非常に心配するわけでございます。その辺につきましてもう一度お答え願います。
#29
○石井政府委員 先ほどは運転専門官制度の見直しの方向について申し上げたところでございますが、ただいまのところは、先生御指摘のように、業務を円滑に遂行するために会社側からの報告をベースとせざるを得ない状態で業務が運営されてきたわけでございますが、今後は、専門官の守備範囲というのを明確に定め、かつ業務方法を定めまして、それに即応した会社側の義務、これは保安規定に盛り込むことによりまして、保安規定を遵守しなければいけない義務が発生し、かつそれが遵守されない場合には所要の行政上の措置がとり得るという原子炉規制法等の担保手段を背景としまして、いわば単純なる信頼関係でなしに、保安規定を遵守させるという行政上の担保を前提として専門官との対応関係を明確化したいというふうに思っておるわけでございまして、おっしゃるように、今回の経験が、いわば原子力安全委員会が申しておりますように、電気事業者と規制当局との信頼関係が損なわれたということを、どうしても今後の専門官制度あるいは審査制度の上に反映をしていかなくちゃいかぬというふうに私どもとしては思っておりまして、そういう観点から、専門官制度あるいは審査制度につきましても十全な改善を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#30
○辻(英)委員 お答えで大筋了解しますけれども、もう一つ付加して申し上げなければならぬのは、保安規定、たとえば私の知っておりますあり合わせの知識で申しますと、最近、一般工場、事業場の中で、特に建設業の中における労働災害が多い。しかし、その災害の原因というものは、労働関係でも大変分厚い法律規定、規則ができておりますけれども、それを守らなかったから起こった事故とそれと関係のない事故というものを調べてみますと、法律に違反して起こった事故というのは、私の記憶ではたしか三割程度しかない。つまり、現場における保安、安全を確保するのに、保安規定ができてそれを形式的に守っていれば安全であるという発想そのものの中に若干問題点があるような気がいたすわけでございます。公益事業部長の言われた趣旨、保安規定をちゃんとして守らせる、結構なことでありますけれども、それだけで済むものではないということは、安全の御担当の専門家の方はわかっていらっしゃると思うけれども、形で済むことではないのだということをもう一つだけ、これは私の意見として一方的に申し上げておきます。
 それから、この問題の最後でありますけれども、通産当局なり運転管理官が知らない間に二回も保修が行われたのでありますけれども、一回目の保修はそれでいいと思ってやったけれども、結果的にはだめだった、二回目の水漏れが出てまたやったという経過なんですが、今度の保修で安全な状態になったかどうか、もう大丈夫なのかどうかということが一つ。
 それから、承りますと、この設備そのものは、普通でいうと耐用期間が十五年ぐらいあるものだというふうに説明を現地で聞いた記憶なんですけれども、実際にはごく短い間に事故が起こっておる。ということになると、そういう重要な設備そのものに当初から欠陥があったのではないかというような疑いも新聞等には出ております。私はわかりませんけれども、問題の処理として、一つは、いまの保修でもう大丈夫なのかということと、本来そういうところで使われている機材、設備というものが、いわゆる表面言われているような安全なものであるのかどうかということについてどういうチェックをされましたか、どういう御見解か、伺いたいと思います。
#31
○高橋(宏)政府委員 まず、現在の第四給水加熱器B系統の状況でございまが、四月一日にこの実情を知りまして立入検査を行いましたが、そのときにこの事実を知って、直ちに炉をとめさせております。現在とまっている状態でございます。その翌日から定期検査に入ったわけでございますが、この状態そのままでは、私どもは安全上問題なしとしておりません。詳細に点検いたしまして原因を分析いたしまして、その結果によりまして必要な措置をとらせる所存でございます。
 なお、第四給水加熱器に限らず、この発電所に十ほど給水加熱器がございますけれども、すべてにつきまして定期検査を厳重にやりまして、類似のものはないかということを含めて適切な措置をとろうと思っております。
 それから、耐用年数が十五年に比べて、このようなひびが入ることは、そもそも最初から問題があったのではないかという御質問でございますが、その件につきましても、十分ひび割れの、たとえば割れ方とかあるいは割れております破面を技術的にチェックいたしまして結論を出したいと思いますけれども、一般的に申し上げますと、給水加熱器の今回は溶接部近傍にクラックが発生したわけでございますが、たとえば溶接施工の方法等によりまして熱応力があるといったようなことがございますと、こういうようなクラックがあることは技術的には間々ございます。そういうものは定期検査の際に発見して直していく、こういう形になるわけでございます。したがいまして、本件もそういうような溶接に伴う一種のひずみ等から出たものかどうかということなどを検討いたしまして、所要の措置をとりたいと考えております。
#32
○辻(英)委員 それでは、次にお尋ねしたいと思いますのは、今度の事故の中で、後から発生しました大きな廃液漏れの方につきまして、いまと同じような角度で二、三お尋ねしてみたいと思います。
 これがまた非常に発生から事故報告までの時間をとりましたことにつきましては、先ほど申し上げましたので、重ねて同じことは言わずに省略をいたします。
 それで、もう一つは、事故の幾つかの基本的な原因があると思いますけれども、第一に、この事故が起こった大きなファクターの一つとして、廃棄物処理上屋を建て増しをして、その建て増しをした中にマンホールが残っておって、それが一般排水路につながっておったということが基本的な原因の一つであると思います。
 それについて、先ほども触れましたけれども、ちょっと本当かどうかわからないけれども、要するに建物改築についての申請があったときに、図面がついていなかったのでマンホールが残っておることがわからなかったということが本当なのかどうか、もしそうであるとすれば、その図面を提出することは建物改築の申請の要件でなかったのかどうか、あるいはその要件でなかったにしても、そういう配慮をしたかどうかというチェックがどうしてなされなかったのか、実はわからない。済んだことを責めるわけではないのだけれども、今後そういうことがわかるようにするためには――どうも、どっちかというと原子炉本体については非常に御熱心だけれども、放射能を含んだ廃液であるとか、それに伴う人間に対する影響ということについての部分のチェックシステムなり通産省の臨み方に従来は何か欠陥があったような気がするわけでございます。
 その点につきまして、どういう経過で、この建物の問題、マンホールの問題、一般排水路とのつながりの問題がこういう結果になってしまったとお考えになるのか、どうしたらいいとお考えになるのか、お答えをいただきたいと思います。
#33
○高橋(宏)政府委員 御指摘の浦底湾に対します放射性物質の漏洩につきましては、私ども、三つの事象が重なったというふうに考えます。
 一つは、去る三月八日を中心としまして異常な放射性廃液が建物の中に漏れたということでございます。これにつきましていろいろと不備がございました。人的ミスあるいは制御装置等の不備があったということが一つでございます。二つ目は、この建屋の設計施工がまずく、あるいは管理がまずうございまして床面にひびがあった。その床に漏れた、オーバーフローしました廃液が、そこから下の地面に漏れてしまった、こういうことがございます。これにつきましての、設計施工あるいは管理上のずさんさがあった。それから三番目に、その漏れた廃液の下にマンホールのジョイントボックスがあって、それが恐らくすき間があいておりましてそこから入った、こういう三つの問題が起きたわけでございます。
 そういうことになった原因の一つの、いま御指摘のこのマンホールが下にあったということをどうしてチェックできなかったか、こういうような御質問になるわけでございますが、あるいはその建物の施工が十分でなかった、それを認可のときにどうして見逃しておったか、こういうような御指摘だと思いますが、現在は放射性廃棄物の廃棄設備につきましては、電気事業法に基づきまして必要な認可を得なければいけません。
 その認可の際のやり方でございますけれども、ルールを申し上げますと、この認可に際しましては、技術基準どおりにそれが設計されているかどうかということをチェックするシステムになっております。
 一つは、この技術基準そのものに、いま私が申し上げましたような三つのミスが今度はあったわけでございますが、それをすべてカバーし得るような具体的な基準があったかどうかといいますと、実はよく読みますと、そして今回のこの事故を振り返って照合してみますと、十分でなかったという反省をいたしております。それが一つでございます。
 それから次は、認可をいたします際に、たとえば技術基準に書いてなくても、技術的には常識ではないかという御指摘でございましたが、審査をいたします際には、当然申請書及び添付図面があるわけでございますが、そこにつきまして、電気事業法の施行規則別表第三というところに決められておりますが、たとえば廃棄設備につきましては「廃棄設備の構造図廃棄物処理設備のフローシート」とか「廃棄物貯蔵タンクその他の耐圧容器および管の強度計算書」、こういったものが添付書類になっておりまして、こういうものから審査するわけでございます。
 そういうことでございますので、実は建物との関係とかあるいは一般排水路等との関係について示す図面あるいは書類等がなかったということがわかったわけでございます。御指摘のように、原子炉本体につきましては当然でございますが、十分そういうことが考慮されて省令ができておるわけでございますが、実は今度のことは、言うなればある意味では予想外の出来事でございまして、そういう意味では、お言葉ではございますが、一義的には電力会社、このむずかしい巨大技術を自分で建設し、運転する電気事業者そのもののこういう問題に対するもっと張り詰めた安全感覚、あるいは設計施工についての注意というものがまず要求されるわけでございますが、今回の件にかんがみまして、いま言いましたような規則上の、結果的には私ども不備と思っておりますが、それについて十分対応策を考えていきたいというぐあいに私は考えております。
#34
○辻(英)委員 時間の制約で、その問題につきましてはさらに、通産省もお認めになっているように、建物の構造が洗たく室と廃棄物処理建屋のスラッジ貯蔵タンクの置いてあるところとがせっかく分離してあるのに、何か掃除用の穴ですか、つながっておったというような問題があった、いまおっしゃっていたように工事がよくなくて、そこで漏れた水が下に浸透するようになっておったとか、そういう問題もあろうと思います。それはそれで技術的にお考えいただければいいのだけれども、審査する角度自体について、第一次的に自主管理ということを重ねて強調されることについて、私は必ずしも賛成いたしかねるということだけ申し上げておきます。
 もう一つ、水を流し込んだ場合に開閉弁が閉まったか、あいたかという問題が直接の原因の一つであって、閉まったと思っていたところが閉められていなくてあいておって、ランプも青になっておったということがもう一つの直接のこの問題の発生の原因であるように私は理解をしたわけでございますが、その弁のコントロールをするについて、古い建屋と新しい建屋との運転装置の関係、あるいはその運転装置を操作する人間の関係、その両方をだれが統括して判断をしておるのかというような関係、これはいわば安全管理、保安管理そのものの問題でありますけれども、それをやるのが人間である以上は、施設そのものの設計配置の中で、人間の過誤が起こらない状態にできるものはしておくべきではなかったのかと私は考えるわけであります。そういう点から考えますと、土地が狭かったとかいろいろな事情もありますが、会社の原子炉本体あるいは発電装置本体に対する熱心さと比べると、放射能の防御に対する熱心さが感覚的に不足しておるような、これは私の勘でございます。したがって、通産省のおやりになっている規定そのものの審査というものも、どちらかというと規定の整備というものもその面において不備なような気がする。
 そこで、労働省においで願っておるからお尋ねしますけれども、労働省の方は、原子力発電所の中の放射線に対する被曝について何か責任を持っておられるように思うけれども、被曝の前提になる放射能漏れを防ぐのにどうするか、今度の被曝の場合、除染作業のときにどれだけ労働者が被曝したかというような問題もありましょうけれども、その以前の問題として、いま起こるような放射能漏れを生ぜしめない設備、あるいはこれは建築物もありましょうし、設備もありましょうし、あるいはそれに伴う衛生管理の前提条件としての衛生工学的な問題もあると思うのだけれども、そういう問題についてはどちらの権限になっておるのか、労働省の権限がどこまであって、どこまでが通産省とラップしているのか、いまの衛生面についてどうなっているのか、これはどちらからでもいいからお答えいただきたい。
#35
○望月説明員 私どもは、従業員の業務上の災害事故を防止するために、一定の設備につきましては計画の届け出制度というものを設けまして、対象事業場、対象機械等を限定した上で、建設物や機械の設置、移転等に係ります計画の届けをさせまして、法令違反その他について事前にチェックをするという制度をとっております。
 これは労働安全衛生法に基づく措置でございますが、原子力発電所につきましても、この規定が適用されますので、そういった事前届け出の励行について指導をしておりますし、また一たん出た届け出の内容につきましてチェックをして、安全の対策について遺憾のないようにしておるというのが現行でございます。
#36
○辻(英)委員 時間がありませんから、もう一つ労働省に聞きたいのは、今度の事故に関連して、初めの方の第四給水加熱器から水漏れがあった場合についての問題としては、関係者が被曝をするとか汚染が残っておるということはないというふうに通産省の報告で伺っておるわけであります。もう一つの放射能漏れの場合に、同じようにその後の状態は完全に廃液その他が除去された形になっておる。ただ、その廃液を除去する作業等に当たりました労働者がどの程度被曝をしたかということを通産省もお調べになって、私どもも資料を拝見しておりますから、この点は省略をいたしますけれども、一部の新聞で、線量計を労働者相互で適当に交換をして、被曝量が実態より少なくなるような操作が行われたのではないかというようなことが書いてあります。私の理解では、バッジと線量計と両方使っているからそういうことはあり得ないと思うのですけれども、あり得ないならあり得ないようにはっきりしないと、いろいろな不安が残りますので、そういう点で今度の放射能漏れに関連して被曝した作業員等の被曝状況について一応御報告いただいておりますから、細かいことはいいのですけれども、最終的にどういう状態であるのか、問題がないのかどうか、労働省の方からお答え願いたい。
#37
○望月説明員 お尋ねの労働者の被曝につきましては、調査上の重要な事項であるとの観点に立ちまして、現在まだ調査を続行中でございます。三月八日に発見されました事案の調査について、先生御指摘のように、フィルムバッジによる被曝線量と、それから個々の労働者が持っておりましたポケット線量計による被曝線量との結果の照合や、労働者からの聞き取り調査などをやっておりまして、現在のところは被曝線量の確認に努めておるところでございますが、そのような数値のごまかしというような事実は出ておりません。また、除染作業に従事した労働者につきましては、法令に定める被曝の限度を超えるといったような事実も、現在のところ出ておらないようでございます。
#38
○辻(英)委員 そのことに関連しまして、私どもが実地調査をしましたときに、一部の委員から、フィルムバッジそのものについて参考資料に出してもらいたいという御要望があります。フィルムバッジそのものを私どもが点検できるわけではないのだけれども、会社側は、そのフィルムバッジはどこか調べてもらうところに預けてしまって、ありませんというような答弁でありましたが、そのことは技術的に私はわかりませんけれども、そういうことについて何か会社が隠しているのではないかというような雰囲気で何となくそのときに受け取られた記憶を持っておりますけれども、そういうことのないように、後がどうなったのか、責任ある労働省当局は、後で結構ですから、その辺の経過がどうなったのか明白に世間にわかるように、国民が安心するようにしていただきたいと思うわけでございます。本件はこれでやめます。
 あと、もっと大きな問題で、関連した違った問題で、時間の範囲内で二、三お尋ねしたいと思います。
 第一に、今回の事故にかんがみまして、地方自治体の長がみずから立入検査ができるようにしてもらわないと責任が持ちにくい。ただ、これについては、法体系上原子力保安行政を通産省の責任で一元的にやらなければいけないからそれはうまくないんだ、そういう御見解もあるようであります。私が言いたいのは、原子力発電立地につきましても、窪川町の町長の例が全体かどうかわかりませんけれども、自治体の長は非常に苦労をして基本的に原子力立地に協力する、あるいはその地域の発展のために原子力発電所の設置にやや積極的に取り組んだ場合が多いと思う。その場合に、こういう事故が起こったときに、権限がないから自分はどうにもできないんだという答えしかできないことに対して自治体の長が何らかの手段が欲しい、住民の生命、健康を守るという立場で、何かそういう手段が欲しいという気持ちを持っておることも事実であります。したがって、直接立入検査権が与えられないのならば、自治体の長が原子力保安行政に一元的に責任のある通産当局に対して、何らかの手続をとって要求した場合、実際は恐らく自治体の長から言われればお調べになると思うのだけれども、そういう確実な保障みたいな方法ができるかどうか、何か考えた方がいいのではないかというふうに思いますが、いかがでありますか。長官からお答え願いたい。
#39
○森山(信)政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、実はいまの原子力行政が確立される際に一年ほどかけまして、行政のあり方の議論をしていただいたことがございます。その際に、地方自治体の権限問題が大変大きな論議の的になったわけでございまして、今回のような事故がありますと、自治体の方からそういう御意見、御要望が出されることもまたあたりまえのことではないかというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、私どもの基本的な考え方といたしますと、自治体の方に権限を与えるということは、裏を返しますとまた責任も分担していただくということにもなりますので、その辺の兼ね合いが大変むずかしい問題ではないかという気がいたしております。
 現実には、原子力発電所が立地いたしております各自治体の方々と原子力発電所の間におきまして立入調査等につきましての協定を結んで処理をしておられるわけでございますけれども、これを法的に裏づけをすることの可否につきまして、私どもは現在、そういった自治体の御要望も踏まえて、どういう解決策をとるのが最もよろしいかということにつきまして慎重な検討を続けてまいりたい、かように考えている次第でございます。
#40
○辻(英)委員 慎重かつ有効な御検討を御要望いたしておきたいと思います。
 もう一つ別な問題でありますが、原子力発電所の稼働率を上げたい、上げなければならないということは、われわれのエネルギー政策にとって大変大切なことだと思うのですが、稼働率を上げるために、ややもすれば保安のための必要な措置がとりにくいといいますか、手抜きという言葉はよくないと思うのですが、後回しになるというようなことが一般的にあるように伺っておるわけであります。
 もう一つは、またよく言われておりますのは、定期検査のために原子炉をとめるけれども、定期検査に要する期間をなるべく短くすべきではないか。私どももそう思うわけであります。人の話でありますけれども、通産省あるいは科学技術庁から来る検査官の数が足りないということから、やむを得ず必要以上にといいますか、よけいに時間がかかるというような話も漏れ承るわけであります。
 そういう意味で、政府の機関が必要な対応ができないから無用に操業率が下がるということははなはだ残念なことだと思う。同時に、安全面から見ますと、へたにいきますと、操業率を上げさえすればいいんだというふうに間違えるのでありますが、目先の操業率ではなくて長期的に操業率を上げようとすれば、保安、安全の確保をすることが必要であることは今回の事件からもわかるわけでありまして、ああいう事故がありましたから今日まで敦賀の原子炉はとまっておる。まだ相当期間とまらなければならぬということは、長期的に見たら、保安の手抜きをしたためにかえって操業率が下がる、こういう結果になっておると私は思います。
 こんなことは通産御当局、みんなわかっておることでありますから、そういうことを踏まえて、ひとつ本当の意味で操業率が上がるように御努力をいただきたいと私は考えるわけであります。
 なお、関連しまして、日本の原子力発電所の稼働率は、一時高かったり低かったりしたことがありますが、非常なお骨折りで全体としては逐次改良されておるように思うし、ほかの西欧諸国より高いと思いますが、御承知のように、カナダの原子力発電所の操業率が非常に高い。これは御承知のように炉の性質が違うので、例のCANDU炉だからだと私は理解をしております。CANDU炉をめぐりまして、これを日本に導入するかどうか、二年ほど前に政府部内で非常な御議論があった結果、最終的に、今日の段階ではまだそこまで手が及ばないからしばらく留保するというような結論で今日まで来ていると思います。その後、先ほども申し上げましたエネルギー供給目標という点から考えましても、原子炉の数はもっとふやさなければならぬ。そういう原子力技術を強化しなければならぬという点から考えると、私は、もう一度新しい角度に立ってCANDU炉導入問題を考える必要があるのではないか、このように思うわけであります。
 一つの問題としては、日本・カナダ貿易経済摩擦問題というのが一方においてある。実は一昨年、私はカナダに参りまして、自動車その他関連した問題で話を聞いてまいりました。これは大臣にお尋ねしますが、カナダの場合はアメリカと違って日本の方が大幅な入超でありますから、貿易インバランスという角度でこちらが文句を言われる筋合いではない。ただ、カナダの話を聞きますと、日本はカナダの技術というものを評価していないんだと。昨年出ましたカナダのゼーマン・レポートという、カナダの経済学者の書いた二十一世紀には日本がカナダの経済を支配するというちょっと極端な論文の中等にも、要するにカナダ人の不満は、日本はカナダの原材料だけは買うけれども技術を評価しないことが不満だという問題が非常に大きく言われております。このことのためにCANDU炉を導入しろと申し上げているわけではないのですが、そういう問題も一つはあるような気がする。
 もう一つ、私の勝手な推量でございますが、CANDU炉導入の阻害要素になった話の一つとして、CANDU炉を利用すると、使った後に濃縮ウランが多数できる、そのことは原子爆弾の原材料がわりに簡単にできることにつながるんだという、何か国の外からも国の中でもそういう御議論が一部にあるような気がするが、そんなことのためにいま申し上げたCANDU炉の導入ができないというのははなはだ筋違いの話であると私は思うわけであります。これをめぐっていろいろな問題がありますが、私は素直に言って、日本の原子力の利用度を高めるために、あるいは原子力の安全保障のためにも、CANDU炉を導入することを再度検討すべきではないかと思いますが、大臣から、これにつきまして御意見を伺いたいと思います。
#41
○田中(六)国務大臣 御指摘のように、日加の貿易関係は向こうの方が出超でございまして、そういう貿易量トータルで文句を言われる筋合いはございませんし、また、日加の自動車問題につきましても、一一・何%かの高関税率をカナダはアメリカと違ってとっておりますし、貿易全体といたしましては、私ども、いろいろカナダとの関係はそう悪くはないと思っております。
 ただ、御指摘のCANDU炉の問題につきましては、日本の原子力委員会がこれを一応拒否した形でございますけれども、わが政府といたしましては、カナダ側の強い要望もございまして、また日加両国の親善関係なども考えまして、CANDu炉の科学的水準が悪いというようなことはわれわれ考えておりませず、再検討の余地は十分あるという観点から、このCANDU炉問題に現在鋭意取り組んでおる次第でございます。
#42
○辻(英)委員 時間がありませんのでこれで質問を終わりたいと思いますが、私は少し人間が甘いかもしれませんけれども、社会の進歩の中にはある程度の試行錯誤があるし、特に技術の進歩についてはそういうことがあると思います。今回の事故は、はなはだ残念な事故でありますが、これを契機にしまして、こういう事故があるから第三のエネルギーである原子力発電を使わない方がいいのだという後ろ向きの発想というものは、日本の経済なり国民生活のために、はなはだ間違った考えであると私自身は信じておるわけであります。しかし、やはり人間がつくった原子力エネルギーというものを、人間がみずからそれによって危険を受けるということは、はなはだ情けないことでありまして、人間がつくった原子力を人間がコントロールできないはずはない、少し甘いけれども、そのように信じております。
 しかし、現実は必ずしもそうはいっていない面もありますので、細かいことも申し上げましたけれども、原子力が安全であるということの担保を一日も早く確立して、国民の信頼を回復して、新しいエネルギーが安心して使える状態をつくっていただきたい。これは会社任せではだめだ、自主管理という名における会社任せはだめだと、私は当局と若干意見が違うけれども、確信を持っております。必ず国の行政の責任の中で、そのために人が要れば人を、金が要れば金を使っても、私は全体から見たら大したことはないと思う。そういう意味で、今後原子力の安全性の確保について積極的に、自信を持って、確信を持って、ひとつがんばっていただくように通産御当局に強く御要望しまして、私の質問を終わります。(拍手)
#43
○梶山委員長代理 上坂昇君。
#44
○上坂委員 農林水産省とそれから大蔵省からも来ていただいておりますから、金の先物市場の問題について質問を展開したいと思います。
 去る五月二十日、商品取引所審議会に対しまして農林水産大臣、通商産業大臣の名において諮問を行いましたが、この内容は、一つは金の先物市場の開設の問題、それから二つ目は先物取引等の勧誘の問題三つ目には海外商品取引所における取引の勧誘問題、この三項目と私はとらえております。そして、これらの三項目についての対応のあり方といいますか、それを諮問をされた、こういうふうに思いますが、これでよろしゅうございますか。
#45
○神谷政府委員 御指摘のように、商品取引所審議会に対しましては、第一は、金を政令指定品目として指定することの可否についてということでございますし、第二は、先生御指摘の、八条の解釈逆転によって生じております先物取引市場、私的という言葉を使った方がよろしいのかもしれませんが、私的先物取引市場が野放しの状態になっておる状況、そこから消費者あるいは一般大衆をいかに保護すべきであるか。それから、海外からいろいろな勧誘が来ており、トラブルが若干出ておりますし、さらにいろいろ問題を起こす可能性がありますので、この問題に関してもやはり大衆保護の観点からどのように対処すべきか。この後の二つは一つの問題意識でくくって検討をお願いいたしております。
#46
○上坂委員 いまの金のブラックマーケットの問題、このブラックマーケットを退治するといいますか、そういう意味からは、この後の二つの問題を、いわゆる取引所法によるところの八条の問題ですね、この問題を先に解決をして、その上に立って市場問題を取り上げるというのが順序ではないかと私はいつも思っています。そういうかっこうにしないで、これは全く二つの、片方、二と三は関連がある、一の問題はまた別個に答申をする、こういう形にされているという形でありますが、私は、そんなふうにいまの答弁を解釈しますが、それでよろしいですか。
#47
○神谷政府委員 いわゆる金等に関連いたしまして、大衆がこうむっております被害をできるだけ防止していきたい、こういうことで従来私ども努力してきたわけでございますが、これに対応する考え方として、私どもは二つの面を考えております。
 一つは、いま先生が御指摘になりました野放しになっておる状況、あるいは八条解釈の逆転から生じておる問題に法的な対応を要すれば行っていくということでございまして、一つの規制的な考え方でございます。
 もう一方は、しかしながら、やはり金の取引というものが最近非常に活発になってきておりますし、大衆の金に対する関心も非常に高くなってきておる。さらには、金の取引量の増大、取引の活発化に伴いまして、取引にかかわる関連者等が先物のヘッジの場というものに関して関心を持ち始めておるというようなもろもろの状況を勘案した場合、それに対する適切な受け皿をつくる。しかも公的なものであって、できるだけ大衆の保護その他にも配慮した形での公的な受け皿をつくる。この二つのものを車の両輪のように考えながら進めていくことによりまして、金あるいはそれに類したいろいろなトラブルというものを防止することが可能になりますし、また、関心のある向きに関しましては、適切な場の提供が可能であるということによって、ややもすれば、いかがかと思われるような方々の勧誘に応ずることも少なくなるのではないか、こういうふうに考えておりますので、切り離して二つ申し上げましたが、これは規制面と受け皿という意味で車の両輪的に考えておるわけでございます。両者は密接に関連をしておると考えておりますので、一つの審議会に諮問をいたしたわけでございます。
#48
○上坂委員 五月十四日付の日本経済新聞を見ますと、「香港市場かたり暗躍 金 悪質業者」との見出しがあります。被害届けが多数出てきているという記事になってきているわけであります。何でこうなったかというと、いわゆる市場が公認されたということで、取引が非常にいいんだという形での勧誘が行われている。それから、五月二十三日の朝日新聞によりますと、「金取引またぞろ被害 悪質業者“かけ込み勧誘”」こういう記事があるわけです。
 最近また香港市場に名をかりて国内の取引勧誘が非常に多くなってきているわけでありますが、最近の例によりますと、兵庫県では精神障害者までこれに巻き込んでいるわけであります。いまねらっているのは社会的な弱者といいますか、そうした階層までえじきにするような非常に重要な問題がたくさん出てきているわけであります。
 金の先物市場を開設すればブラックマーケットは取り締まれるかもしれませんが、逆に、これを公認することによって大衆投資家への勧誘というものもまた公認をすることになってしまうのではないか。したがって、従来の商品取引に見られるような一般大衆の被害というものがますますふえていくということが懸念される、ここに非常に大きな問題があるのだと思うのです。こういう点を考えた場合に、先物市場開設の前にもっとやるべきことがあるのではないか、私はこういうふうに従来も主張してきましたし、いまでもそう思っているわけであります。いまのような認識を私は持っておりますが、その点はどういうものであるか、お考えを聞きたいと思うのです。
#49
○神谷政府委員 御指摘の点は、二つの問題があるかと思います。一つは、香港ないしいわゆる金のブラックマーケットと言われておるものが最近大衆に与える被害を増大させておるのではないか、これに対してどうすべきであるか。さらには、もし仮に金が上場された場合に、そこから予測される大衆に対する被害可能性をどう考えるか、こういう点だろうと思います。
 前者につきましては、五十五年度は、たとえば当省の消費者相談窓口に寄せられました国内の金の悪質取引に関する相談件数は二百二十六件でございまして、五十四年度の四百五十一件に比べると半減をしておるわけでございます。ただ、先生御指摘のように、五十五年度といいましても年度末の二月とか三月がややかま首を上げておりますので、われわれ現時点においてもさらに従来行ってまいりましたPRの強化等、さらには警察当局等との連絡を密にするというような形でこれには対処してまいりたいと考えております。
 それから、香港等海外からの苦情に関しましては、農水省並びに当省に昨年の八月ごろから苦情が大分目立ってまいりましたが、五十六年三月までの間に五十九件参っております。その過半というよりも、ほとんどが香港系でございます。したがいまして、これに関しても取引を受けられるといいますか、契約される方々がもう少し注意をしていただいた方がいいと思われるようなケースも非常に多いわけでございますので、私どもといたしましては、すべてこれがいわゆる悪であるとか犯罪類似行為であるというわけにはまいりませんけれども、慎重な対応をするようPRしてまいりたいと考えておるところでございます。
 さらに、先生御指摘の、金を上場したら勧誘が公認になるのではないか、こういうことでございますが、いろいろ立法府におきましても御審議をいただきながら改善してまいりました商取法に基づきまして、われわれといたしましてはできるだけの指導あるいはチェックを行ってまいる所存でございますし、さらには金が非常に一般大衆の関心の強い品目であるということにかんがみまして、私どもといたしましては、仮に金の公設市場を開設するということになれば、一般投資家保護には特段の配慮をする必要があろうというふうに考えております。取引員の資格要件あるいは勧誘のあり方あるいは証拠金の比率といったようなものを勘案すべきであり、現在御検討いただいております審議会におきましても、この方面についての関心を委員の先生方も持っておられるというふうに承知をいたしておりますので、それを含め御意見をお聞かせいただけるものと了解しております。
#50
○上坂委員 五月二十五日ですが、夜十時五十五分に私のところに電話がかかってきた。そうしたら、私が金の問題を取り上げているのを何かで見たのか、それとも全然知らないでかけてよこしたのか、「取引については君は知っているか」なんという電話がかかってきまして、「こういう本を読みたまえ」なんていろいろ言われたのです。こっちも少しメートルが上がっていたから内容がよくわからなかったけれども、そういうのが私のところまでかかってくる。
 いまの金の勧誘の仕方というのは、一番忙しいとき会社へ来て、そして帰り間際に、困った、ちょっと待ってくれ、帰すわけですね、そうするとあくる日電話がかかってきて、あなたのお名前で取引やりましたからと、こういうやり方で取引に引きずり込んでしまう、これがいまのやり方なんですね。ですから、非常に巧妙にやるんじゃないか。
 したがって、金はいまおっしゃるような魅力のある商品ですから、公認をされたということになると、これは一般大衆は飛びつく気持ちを持っている、そこへつけ込むすきというのが非常に多くなってくるのじゃないかということで心配になる。したがって、警察庁からも来てもらっていろいろ聞いたのですが、現在のところでは何とも取り締まりの方法がない。詐欺罪でやろうとしても非常にむずかしい。したがって、いま手を入れているのは広島県の県警が取り上げた程度しかないので非常に困っている、やはり何らかの規制措置が欲しい、こういうことになっているわけであります。したがって、市場を先につくってなくすということだけでは非常にむずかしいので、いまのスケジュールからいくとむしろ市場の方が先に行ってしまって、あとの、いま言われたような八条解釈の問題であるとか、それからその他の保護立法、そういう問題については後回しになってしまって、これは来年の国会で審議するのだということになるともう一年かかってしまうというかっこうになってくると被害というものは減らないのではないか、こういう恐れを抱いて非常に心配をしているわけであります。こういう点について心配ないと断言できますか。
#51
○神谷政府委員 断言いたしたいわけでございますが、断言ということはそう軽々にできませんので、私どもとしては最善の努力を尽くしてまいりたいと考えております。
#52
○上坂委員 審議官、もう少しでどこかへ栄転されるかもしれないから、この辺で断言しておいても大丈夫かもしれないけれども、むずかしいけれどもがんばってもらいたいと思うのです。
 ところで、農林水産省の方にお聞きいたしますが、いま南洋材は価格変動が非常に激しい、したがってリスクのヘッジングの必要があるということで、これは早くから合板についての先物市場上場問題が検討されているというふうに聞いておりますが、その検討の内容とか研究の経過とか、そういうものについて説明をいただきたいと思うのです。
#53
○山口説明員 合板の上場につきましては、従来からも業界から一部の意見がございまして、林野庁におきましては一昨年、五十四年の十二月から昨年の八月にかけまして、学識経験者とか関連業界の代表者を構成員としまして、合板先物取引検討会をやったわけでございます。
 合板の価格変動に対応する手段としまして、先物取引の制度を導入した場合にいろいろな利害得失が考えられますので、それを検討したわけでございます。先物取引の制度が十全に機能を発揮するためには、何よりも関連業界の理解と協力というものが必要でございます。現在林野庁では業界に対しまして、先物取引の導入がいいか悪いかということについて業界内部で御検討をお願いしているわけでございます。
 なお、合板の先物取引制度を導入するかどうかにつきましては、関連業界におきます今後の検討を十分やっていただきまして、これを踏まえまして慎重に判断したいと考えておるわけでございます。
#54
○上坂委員 そうすると、合板の場合、関連業界はまだ結論が出ていないということですか。大方の傾向としてはどういう方向にありますか。
#55
○山口説明員 これは全部そろっているわけではございませんで、一部は回答がございます。現在のところ、おおむねの方向としましては否定的ではない方向でございますが、まだ残ったものがございますので、どういうふうになるか、これからでございます。
#56
○上坂委員 否定的でないということは、積極的でもないということなのですか。その辺はどうですか。
#57
○山口説明員 これは、いろいろな業界によりまして、きわめて前向きの業界もあるわけでございます。それから、必ずしも積極的ではないというものもございます。そういう意見も十分踏まえて、欠点もございますから、これはまた運用上の問題もございますので検討してまいりたいと思います。
#58
○上坂委員 そうすると、林野庁では合板については、いまのところ、いわゆる当業者の方がなかなか意見が完全に一致していない、意見がまだ出てこない問題もあるということで、非常に慎重に構えているというふうに受けとめたわけでありますが、見通しとしてはいつごろまでに結論が出そうですか。
#59
○山口説明員 これははっきりは申し上げにくいのですが、ことしじゅうには何とか、右か左か結論を出したいと思っておるわけです。もう少し具体的に申しますと、そう遠くない将来には出せると思います。
#60
○上坂委員 林野庁としては、いまの取引所法の問題で、合板などがいわゆる上場品になった場合に、一般的な勧誘とかなんとかが、これはばっこするといいますか、非常に強く行われるといいますか、懸念といいますか、そういうものを持っておりますか。
#61
○山口説明員 申し上げましたように、これは運用上の問題でございますが、運用いかんによりましては欠点もあるわけでございます。考え得るわけでございます。こういうものをできるだけ排除しまして、合板にふさわしい制度を運用したいというふうに考えております。
#62
○上坂委員 合板にふさわしい制度というのは、いまそれも一緒に研究中なのですか。具体的に言うとどういうものなのですか、実例を挙げて。
#63
○山口説明員 合板に先物取引を導入した場合に考え得る問題点としましては、一つは、関連業界の意見が一致するということが必要でございます。
 それから、運営に当たりましては、一番大きな問題としましては、仕手戦によります人為的な価格の操作、こういうものが起こりますとこれは問題でございますので、ここら辺も十分に配慮する必要があるわけでございます。
 いずれにしましても、利点としましては、合板というものは価格の変動が非常に激しゅうございますから、この先行価格指標というものがあるということがメリットがあるわけでございます。それから同時に、合板業の経営の面から申しますと、売りつなぎあるいは買いつなぎということができるわけでございますから、そういう点では経営の安全性が保たれるということがございます。いずれにしましても、そういうメリットもまたございますので、メリットをできるだけ大きくして、欠点はできるだけ小さくするということが考えられるわけでございます。
#64
○上坂委員 では、次に大蔵省にお聞きしますが、昨年の十二月の外為法の改正で、海外の金の先物取引所に対する証拠金の預託などについて大蔵大臣の許可が必要だ、これを使うと香港等の金の先物市場を根城にした悪質な取引について規制ができるということになったというふうに私は考えるわけですが、昨年十二月以降この外為法に基づいて許可をした件数といいますか、そういうものはどのくらいありますか、お答えをいただきたい。
#65
○関説明員 いま先生御指摘のように、外国為替管理法、昨年の十二月一日に改正がされたわけでございます。この改正の前におきましては、金の取引は、輸出、輸入、それからまた、いま御指摘の先物取引をする、こういった関係がすべて自由になっていたわけでございます。
 改正に当たりまして、私ども、その辺を、そういう実態を変えるというつもりはなかったわけでございますが、その後、改正後の法体系を詳細に念査をいたしましたところ、どうも先物取引の部分については、外為法の十七条、これは主として相殺とかそういった特殊な決済方法について許可を要する、こういう条文でございます。それからまた外為法の二十一条、たとえば証拠金を預けるというようなことがどうも許可にかかわるのではないか、こういう疑義が出てまいりました。そこで、私ども、遅まきではございますが、今回省令を改正いたしまして、そういったものについて許可が要らないということを明確にいたしたわけでございます。
 したがいまして、いまの先生の直接の御質問でございますが、十二月一日以降私どものところで、そういったものについての許可申請は出てきておりませんし、また、許可をしたという事例もないわけでございます。
#66
○上坂委員 そうすると、せっかく改正をしたと思っていたら改正でなかった、そして改正の方、いろいろいじった方もわからなかったし、それに関連する方もわからなかったら、許可する件数は申し出もなかったし許可をした方もなかった、こういうふうな解釈になるわけでありますが、それでいいですか。
#67
○関説明員 ただいま申し上げましたように、金の取引について、十二月一日の改正時点において新たに許可にしたい、こういう意向は持っておりませんでしたものですから、ただいま御説明したような状態にあるわけでございます。
#68
○上坂委員 いまの外為法の十七条あるいは二十一条、これを解決するのにいわゆる省令でやってもいいというふうにいま聞いたわけですが、これはできるのかどうかということが第一点です。
 もう一つは、香港の商品取引所での取引を口実にして国内で非常に悪質な勧誘が行われている、その業者は実に四十社以上に上るというふうに言われているわけでありますが、これらの業者は六カ月間放置しておいた形になりますね。ですからその間はいろいろなトラブルが非常にふえた、そういうふうに思いますが、この点はいかがでしょう。
#69
○関説明員 外国為替管理法は、先生も御存じのとおり、対外的な資金の流れを国際収支の均衡を確保するとか外国為替相場の安定を図る、そういう趣旨からコントロールをしている法律でございます。したがいまして、いま私が申し上げました法律の十七条あるいは法律の二十一条、こういった運用ももっぱらそういう観点から行うことになっております。したがいまして、いま御指摘もありましたけれども、法律自身についてはかなり広い概念で対外取引をとらえておりますけれども、そういった対外取引の国際収支の均衡とか外国為替相場の安定、こういった観点から特に注意を払う必要のないような取引、こういったものについては省令等で適用除外をしていくということになっております。そういう観点でただいま申し上げたような措置をとっているわけでございます。
#70
○上坂委員 五月二十八日に大蔵省令で、国際的商品取引について大体自由化をしたわけでありますが、金については許可制をとったのですね。これはいま言ったように、非常に大きな関心を持たざるを得ない商品として金だけは除外をした、こういうふうに解釈していいですか。
#71
○関説明員 その点は先生のおっしゃるとおりでございます。金のそういった国際的取引につきましては、先ほど来先生の御指摘それから通産省の御答弁の中にもありましたように、最近国民一般の金への関心というのが非常に高まってまいりました。そういった状況の中で、国際的な金の取引というものが今後もだんだんふえていくのじゃないか、こういうふうに判断されるわけでございます。
 そういたしますと、大蔵省といたしましても、そういった国際的な金取引の状況が一体どういうふうになっているかということは、これは今後は次第に注意を向けていかなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。たまたま時期は同じ省令改正になりましたけれども、金につきましては、そういう観点から一般の人が金の取引、特に先物取引といいますそういった取引を自由に行うということは、金についてだけ例外を設けることにいたしまして、特に大蔵大臣の指定した者、こういった方がおやりになる場合だけ自由に行える、こういうことにいたしたわけでございます。これは、いまも申し上げましたように、あくまで国際的な金のそういった商品取引の実情を把握する、こういう趣旨でございますから、そういった必要がある、たとえば商社でございますとか金の専門業者でございますとか、こういったものについては弾力的に指定をしていく、こういう運用にしたいというふうに考えております。
#72
○上坂委員 いわゆる香港市場を中心にしたブラックマーケットの問題で、外為法を利用すれば本当はかなり取り締まりができたわけなんです。ところが大蔵省もわからなければ物の輸出入に関係のある通産省もわからなかったということは、これはまことにおかしな話だと私は思うのです。そういう意味では大蔵省もおかしいけれども、やはり通産省の方も少し寝ぼけていたのじゃないかというふうに思わざるを得ないわけですが、その点はどうですか、反省はしますか。
#73
○関説明員 先ほどちょっと説明を漏らしたわけでございますが、金につきましては、貴金属という取り扱いになっておりまして、輸出入も大蔵省が所管しております。
#74
○上坂委員 通産省。
#75
○神谷政府委員 先ほど御説明ございましたように、改正前は事実上、金の先物取引等に関しては自由になっておったわけでございます。したがいまして、法律改正後、通常の状態であれば省令その他の手当てが行われれば従来どおりになるというふうに私どもは考えておりましたので特段の注意を払っておりませんでしたが、ただいま大蔵省の方から御説明ございましたような理由から省令の改正をされた、こういうふうに伺っておりますので、私どもといたしましては、今後の金の、一般の取引は特に問題はございませんが、先物取引あるいは全般的な、もし国の中にそういう国際的な広がりを持つ金の商品取引所ができた場合、あるいは海外でつなぎ等を行う場合に、それら経済活動の面から見ていろいろ問題が生ずるようなことがあれば、その段階で大蔵省と相談をしていきたいと考えております。
#76
○上坂委員 農林水産省では、合板の先物市場への上場については非常に慎重に対処しているということは、先ほど明らかになったわけであります。関連業者の意見をまとめて、いわゆる当業者主義でいきたいということだと思います。通産省の金の市場の問題については、これは非常にテンポが速くて市場開設の方向にどんどん動いている。合板と金とどちらが一体先物市場開設の必要性がいま強いのかということを見ますと、疑問が残ってきます。
 そこで、商品取引所は御承知のように当業者主義であります。当業者間の公正な価格の形成あるいはリスクヘッジの必要がその根底となっているということはもう申すまでもありません。ところが、金については、この間の流通小委員会でもいろいろ質問をいたしましたが、当業者はヘッジングの必要は特に認めていない、できても参加するかどうかもわからない、いま勉強中、検討中、こういう回答であります。また、一般大衆が参加したということを考えても、貨幣にかわる非常に価値の変動の少ない、しかも価値は高い、財産形成の手段として金地金を所有するということになりますから、一般大衆についても先物についてのヘッジをするというような必要は起こってこないのではないか、こういうふうに思います。
 こんなふうに考えてきますと、どうしても金の先物市場開設というのは、やはり第一に、商品取引所関係者の商品取引についての先行きの不安、これを一掃する手段として登場させたいという希望が実を結びつつある、こんなふうに考えざるを得ない。
 第二には、先ほどから問題になっているブラックマーケット問題があります。したがって、このブラック問題を今度は前面に出して取り締まりを強化するんだという理由でこの先物市場開設、こういうところへ持っていったのではないかというふうに私は考えざるを得ないのであります。
 ちなみに、商品取引業界にも金の先物市場の開設で業界の編成がえが行われるのではないか、もし編成がえが行われた場合には、その主流から外れた業者の人たち、そういう人は大変だということで、いわゆる商品取引員の全協という協会がありますね、この協会が金市場へ、ぜひわれわれをそういうときには取次店として認めさせよう、こういう動きがいま活発になってきている。恐らくあっちこっちの政治家とか、それから通産省あたりにも陳情が行われているのではないかと私は思うわけであります。そうした問題を考えると、どうも先ほど言った心配が濃厚になってくる。
 過日、通産大臣に私たち申し入れをしたわけでありますが、「商品トリビューン」という雑誌に有賀東繊取引所の専務が一時間半にわたって講演したいわゆるレポートが載っているわけです。これについて私が申し入れをしたら、後から文句が来ました。この内容はそういうことじゃないんだというような趣旨だろうと思うのですが、しかし、一時間半も講演するということになれば、大体だれだって原稿を持ってやるわけです。よほど頭のいい人ならば別ですが、大抵は数字とか何かもあるから原稿を持ってやる。そうすれば人の名前が出てきたり政治家の名前が出てきたり、あるいは結論的なものについては少なくともまとめたものが発表される、そういうものがやはりここに載っかっているわけですね。
 これを見ますと、私たちは、ただ三年間戦ってきた一人として、その戦訓を後世に伝えることに努めるとともになんて大げさなことを言っておるわけでありますが、しまいに「我々は、あらゆる方面から政治勢力を動員し、先物市設立に向って進んでいった。」こう書いてあるわけですね。そうかと思うと、今度のいろいろな運動の中の戦訓として、「予想通り当業者主義のカベを破るには、極端に言うと政治力のみで、しかも非常に幅広い根回しが必要だということ。役所を説得するには役所間の縄張り争いの力というものを利用すること。」とある。
 先ほどから聞いていると、大蔵省であるとか通産省であるとか、どうもなわ張り争いのにおいがする。そういうようなところへぱっと入っていって、そしてうまくやって自分の思うようなことをやらせたい、こういうような者が出てくる。これではやはり通産省の信任にも非常に問題が出てくるし、われわれ政治にタッチする者でもやはり問題が出てくる。こういうところにあるので、私は、審議会に諮問したことはそれはそれでいいけれども、余り拙速主義でいかないで、やはり整備するものはきちんと整備をして、そして先物市場のいわゆる開設の準備というものをしてもらうことを特に要望したいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#77
○神谷政府委員 ただいま先生が御引用になりました新聞につきましては、私も読みました。内容は、はなはだもって穏当を欠くものであるというふうに考えております。
 ただ、そこにございますように、関連業界の一部が三年間いろいろ運動をしてきた、三年であるかどうかというのは私ははっきりわかりませんが、そういうふうに言っておるということは、やはり金の上場問題というのは相当長い期間議論をされてきたわけでございますし、私どもは、三年間であるかどうかは別といたしまして、自分たちで納得ができるまでは腰は上げなかったつもりでございます。
 ましてや、今回の件において当業者主義の壁が破られたというような考え方というのは言語道断でございまして、私ども法律を実施する者といたしましては、法律が規定しております当業者主義の観点から本件について検討を行ってきておるわけでございまして、ブラック退治であるとかその他いろいろな被害を防止する面から金の上場というのは確かに効果がございますが、それだからといって飛びつくのであれば、とうの昔にこの問題飛びついておらなければいかぬわけでございまして、私どもはやはり、金の商品取引市場というものは経済活動の一環としての先物ヘッジというものに関して当業者がどのように考えるかという点を常々勉強をしてまいりましたし、いろいろな手段で意見を聞いてきたわけでございます。一最近の状況の変化に対応いたしまして、一部の当業者は、これまでの先物市場を用いないで事実上商売をやってきたというような沿革を有しておりますので、確かにこの取引所の設立問題に関しては消極的でございますが、それとてやはり新しい動きに対応していろいろ勉強しておるわけでございますし、さらには別の新しい形で金の地金を輸入したりしておる業者あるいはその他の当業者の中には、やはりリスクヘッジを行いたい、こういう意見もございますので、私どもこれを取り上げたわけでございます。したがいまして、先生御指摘の本旨を踏み外さないで今後も検討していきたいと考えております。
#78
○上坂委員 この問題の最後に、これから審議会の諮問に関連して今後のスケジュールがどうなっていくか、およその見当があるだろうと思うので、その点についてちょっとお聞きしたいと思います。
 それから、私は、最後に申し上げますが、金問題については、先物市場の開設を急ぐ前に、一般大衆の保護を目的とした法体系の整備を図ることが先決だ、こういうふうに思うのです。
 それともう一つは、金については、ここしばらくの間国民に対する啓発といいますか、一般投資家に対する啓発ということが非常に基本的な問題になってくる。先ほど、審議官の方からもそういう話がありましたけれども、この辺についてもこれは十分やっていただかなければならぬというふうに思うのです。
 それから、先物市場をもし将来開設するとするならば、先ほど言った予約金の増額であるとかあるいは会員の資格の非常に厳密な審査であるとか、そういうようなことについては早くから十分研究をして、そしていろいろな圧力に屈しないでそういうものをきちんと整備をするということが必要だと思います。
 この点を申し上げて、これにお答えをいただいてこの問題は終わります。
#79
○神谷政府委員 審議会のスケジュールはまだ全部は決まっておりませんが、六月中にさらに一回、七月に現在のところ初めのうち二回予定をいたしております。主として関連業者その他関係者の意見を委員の先生方が聞くという第一段階についてのスケジュールが決まっておる状況でございます。したがいまして、その結果を踏まえて会長がその後のスケジュールを御検討になるものと考えております。暑くなったころにはかなり煮詰まってくるというふうに考えております。
 それから、やはりPR、いろいろ法的な措置も審議会の御意見を伺った上でわれわれまじめに取り組まなければいかぬと考えておりますが、それまでの間は、先生御指摘のとおりPRというものにできるだけ力を注がなければいかぬと考えております。七月にも通産省のテレビ関係でこれを取り上げたいと考えております。
#80
○上坂委員 次に、敦賀原発の事故について御質問をいたしますが、五月の八日に私たち商工委員会で敦賀原発の調査をやりました。その際に提出された、日本原電が出しました「敦賀発電所問題について」という報告書に基づいてやることが私はまず妥当だと思うので、そこから始めます。
 一月の十日に運転員が特別立入制限区域をパトロール中に、タービン建屋第四給水加熱器から水が漏れているのを発見して、胴本体溶接線に沿って約五ミリのヘアクラックが見つかった、一月の十四日に別件で発電所を停止する機会を利用して修理した、こういうふうになっておるわけであります。
 この別件というのは一体何を指すのか。それから、修理したのはいつやったのか。修理の仕方は鉄の当て板をすみ肉溶接した、こうありますが、これはどんなふうにやったのか。それから、発見された日の一月の十日以前から水漏れがあったというふうに私は解せざるを得ないのです。そして、一月十日以降修理に入ったのが十四日というふうに聞いているわけでありますが、その間に四日間あるわけですね。そうすると、水漏れが発見されるまで何日か水漏れがあって、発見をして、それを四日間も放置しておくということが一体許されるのかどうかということ、この辺についてお答えをいただきたいんです。
#81
○高橋(宏)政府委員 お答え申し上げます。
 まず、別件とは何かという御質問でございますが、一月十四日七時ごろ、原子炉格納容器内で圧力上昇のサインがございまして、その原因が格納容器内での駆動用窒素の漏洩にあるということがわかったわけでございます。そこで、漏洩個所を調査、点検、修理するためには発電を停止する必要がございますので、同日十六時三十三分に停止いたしております。本件につきましては私ども報告を受けておりますが、その際、この停止を利用して第四給水加熱器の漏洩個所に対して当て板を溶接して漏洩を防止したというぐあいに、その立入検査の結果判明いたしております。
 次に、当て板溶接でございますが、いつ行ったかということに関連します御質問一連につきましてお答え申し上げます。
 私どもの立入検査など、と申しますのは事情聴取もございますが、結果によりますと、当て板溶接作業は、これに付随いたします保温材カバー取り外し等の作業も含めまして、一月十四日の十八時ごろから翌日十五日の一時半ごろまで行っております。約七時間半程度になっております。
 また、事故発生以来溶接するまでに何時間放置しておったかということでございますが、御指摘のように第四給水加熱器B系統でございますが、そこからドレン水の漏洩を発見いたしましたのが一月十日の十九時三十分から二十時三十分までの間と想定されますので、実際保修溶接が完了するまで約四日間放置されていたことになります。この措置はもちろん適当な措置ではないと思っております。
 以上でございます。
#82
○上坂委員 それから、一月二十四日にまた水漏れが発見されたわけですね。点検したところが、今度は前に修理した部分から約四十ミリほど離れた個所で同じように約五ミリのヘアクラックが発見されたわけですが、ところが、前の第一回目のものは溶接線に沿って、横に沿っていわゆるヘアクラックになった。今度は縦になったわけですね。私は、こういうことは縦横にヘアクラックが出てきている問題だと思うのです。これは非常に危険な状態になっているんじゃないかというふうに思うのですね。したがって、これについて一月の二十八日に、欠陥部の周辺にコーキングを試みたところ漏洩がとまった、こういうふうにやっているわけであります。そうなりますと、縦横にヘアクラックがあるものをひっぱたいて盲にして、それでとまったといって運転をしているというのは一体どういうことなのか。かなり厚いと思うから、そんなに簡単には割れないとは思うけれども、しかし縦横に割れているものをひっぱたいたりなんかしたら、これは危険でしようがないわけでありますから、もし穴があいたら一体どうなるんだろうと素人では心配せざるを得ないのであります。
 それから、このときも、一月の二十四日に発見して二十八日にコーキングをしたと言われておりますから、ここでもまた四日間放置されている。いま第一回の発見のときもこれは適切な措置ではないということ、まあ適切でない措置がたくさん出てきたから敦賀原電はとめるような形になったとは思いますけれども、これは非常に問題があるだろうと私は思うのです。
 そこで、保護カバーであるとか、それからもう一つは、保護カバーをつけると検知が容易である、こういう報告書が出ているわけであります。よく考えてみますと、石綿みたいなもので保護して囲っておけば、そこがしみてくれば発見しやすいわけだから、わざわざ水漏れでそれが発見しやすいような保護カバーをやった、そういうことで検知が容易だ、こう言っているのかどうか、この辺のところも非常に疑問のあるところであります。
 これらについて、ひとつ御説明をいただきたいと思うのです。
#83
○高橋(宏)政府委員 第四給水加熱器B系統のヘアクラックでございますが、私ども立入検査によりまして調査いたしましたところ、円筒形の給水加熱器でございますが、輪切りにしたようなかっこうで両方溶接してございますけれども、その溶接線に非常に近いところで二回ヘアクラックが発生いたしておりまして、御指摘のように、一度は溶接線に平行の形でヘアクラックが発生いたしております。数秒に一滴というようなにじみと申しますか、リークであったわけでございます。これに対しまして、そこから十センチ前後離れまして、二回目のときには溶接線に対しまして形は今度は直角の方向でヘアクラックが発見されております。そういう意味では縦と横でございますので、縦横という表現は当たっておるかと存じますが、これが両方が、一方は平行、一方は直角ということが技術的に意味があるのかどうか、これにつきましては今後、この部分をたとえば切り取って顕微鏡調査をするあるいは破断面調査をするというような調査によりまして明らかにしていきたいと思っております。
 そこで御質問でございますが、二回目のときにはコーキングをやったようでございます。通常、コーキングという手段は技術的にはあるわけでございますけれども、こういう場合に適当だったかどうかということにつきましては、私ども、とりあえず、こういうことは適当じゃないと思っております。これも原因との関係がございますので、応急措置として全く不適当だったかどうかということは、若干言い切るのは問題かと存じますが、一般的には私は不適当だと思っております。
 それから、保護カバーが何のためかということでございますが、原電側の説明によりますと、漏洩の検知を容易にするためという釈明をいたしております。コーキングによりまして一応給措置としてこれをとめまして、想像いたしますに、保護カバーは万一再漏洩したような場合に下に飛散すると申しますか、そういうことを防止するとともに、こういう漏洩蒸気とかドレン水を保護カバーで受けることによりまして、一応その検知を容易にする効果もあろうかと思っております。
 以上でございます。
#84
○上坂委員 おたくの方が出した一番最後の報告書なんですが、これを読みますと、一月二十四日の水漏れについては「発見部付近からポタポタ程度の漏洩があることを発見」と、こう書いてあるのですね。かなりの水が流れていたということになる。そのときにはいわゆる溶接線に沿って直角なんです。ポタポタ落ちている。前は数秒に一滴とか二滴、ポタッポタッ、こういうかっこうになると思うのです。さきのときは平行にヘアクラックがあって、その次はポタポタのヘアクラックがあったということは非常に大変なことだとぼくは思うのです。溶接線に沿って大体応力腐食みたいな形が起こるということは、ずっとどこの原子炉を見てもわかるわけですね。ですから、これは相当問題な点だとぼくは思うのです。この応力腐食割れで、どこの発電所でもみんなとめて修理するというような形で――これは大事故につながるということもあるわけです。それをひっぱたいちゃって盲にして済まして、それを応急手当てだなんて言っているようでは、とてもじゃないが危なくって原子炉を任せるわけにはいかないというふうに大臣は思われるだろう、こう思うのですよ。私じゃないですよ、大臣、そう思いませんか。
#85
○高橋(宏)政府委員 御指摘のように、応力腐食割れの例は、やはり溶接線に沿ったところで、熱影響部でございます。私どもまだよくわかりませんのは、これはカーボンスチールでございまして、御存じのように、応力腐食割れと申しますのはステンレスのパイプで発見されております。同じかどうか、ちょっとまだわからないのでございますけれども、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、徹底的に原因を調べまして、一般的な問題かあるいは特殊なここだけの問題かも含めましてやりますし、それから残りの八つの給水加熱器がこの発電所にございますが、それらにつきましても、今後非破壊検査によりましてこのヘアクラック等の有無などにつきまして厳重に検査してまいるつもりでございます。
#86
○上坂委員 この二つの件につきましては、原子炉施設の安全確保上軽微であると発電所は判断をし、関係個所へ報告をしていなかったが、四月一日に至って運転管理専門官より第四給水加熱器に故障の疑いがあるとの報告を受けた通産省から指導を受けて、発電所を停止し、立入検査が実施された、こういう報告になっているわけですね。
 この種の故障は、原子炉施設の安全確保上軽微であるという判断、そういう判断が一体正しいか正しくないか一もちろん私は正しくないと思うのだけれども、軽微であると判断をした発電所の認識というものは非常に問題があるというふうに思うのです。応力腐食割れなんというのは初めて起こったわけじゃないので、いろいろな発電所でみんな起こっているわけですね。それをこんな形でやるということはおかしいと思うのです。
 それからもう一つは、その場合軽微だから報告はしなくてもいい、そんなことはないと思うのだが、この辺についてもどんなふうに考えるか、お答えをいただきたい。
 それから、運転管理官は給水加熱器の故障があるという疑問をどこで持ったのか、いつ持ったのか、その辺もなぜ早くわからなかったのか。
 それから、時間がありませんからもう一つお聞きしますが、一月十日と二十四日、十九日、たくさんあるわけでありますが、このときに溶接をしているわけですね。溶接で修理をした場合には、発電用のボイラー、タービンその他の通産省令で定める機械もしくは器具の溶接については、省令で定める溶接の工程ごとに通産大臣の検査を受け、これに合格した後でなければこれを使用してはならない、こういう電気事業法四十六条の規定が実際あるわけでありますが、これに完全に違反をしている。こういうふうに思いますが、その点はいかがですか。
#87
○高橋(宏)政府委員 まず、本件につきまして軽微であると判断をしたということでございますが、発電所側がそう判断したと原電は申しておりますが、この判断は適当でないと思っております。
 それから、運転管理専門官が四月一日に報告を受けたとなっておるがその辺の経緯はどうかということでございますが、私ども四月一日の午後に、日本原子力発電株式会社敦賀発電所で第四給水加熱器が故障したまま応急修理して使用しているという情報がもたらされたわけでございます。その情報がもたらされましたので、このため私どもは現地の運転管理専門官に連絡いたしまして、その事実関係を調査するように指示いたしました。運転管理専門官は直ちに事情聴取、現場確認等によりましてその情報がおおむね事実であることを確認し、当庁にその旨を報告いたしてまいりました。これがそのきっかけでございます。
 それから、本件につきまして溶接の検査を受けずに発電用に使用したということについての御質問でございますが、御指摘のようにその件につきましては、溶接義務を課しました電気事業法の条文に違反している疑いはきわめて濃いというぐあいに考えております。
#88
○上坂委員 高橋さん、ぼくが質問すると、適当でないとか適切でないとか、きわめて多いとか、これじゃ本当のことを言うと通産省の方針がはっきりしないと思うのです。悪いものは悪い、こういうことではだめなんだ、安全管理はできません、こういうふうにはっきり言わないからみんなだめなんです。だから、私たちは報告だけを扱ってそれでばかりやっているから弱いのだなんて遠慮していたんではよけいだめだ。それでは監督指導はますますできないと私は思うのです。それは間違っているのだというのなら間違っておるとはっきり言いなさい。それから、いまの事業法の四十六条違反なら違反である――おそれが多いなんて、それじゃ違反だか何だかわからないじゃないですか。どっちなんですか、はっきり言ってくださいよ。
#89
○石井政府委員 まず、報告義務につきまして御説明を申し上げますと、原子炉規制法によります実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則という省令がございます。これの二十四条に報告義務を定めてございます。その第二項第二号に、原子炉施設の故障があったときは報告しなければならないということにいたしてございますが、括弧をいたしまして、「(原子炉の運転に及ぼす支障が軽微なものを除く。)」という規定がございます。
    〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕
 そこで、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、原子力発電の安全性に対する信頼を確保するという観点から、あらゆるささいな故障であっても報告をするように、そういう通達を五十二年三月に発しておるわけでございます。その意味におきまして、私どもの出しました通達に明確に反しておることは明らかであろうと思っております。
 ただ、ただいま先生御指摘の、この法律上の義務に反するかどうかという点に関しましては、逆に、五十二年三月の通達を出すことによりまして、私どもとしては、法律に該当するかどうかを電気事業者として一々判断するのではなしに、一切合財通産省の方へ報告するようにという形での指導をしておりましたものですから、具体的な法違反を問われた段階におきまして、その報告義務の対象範囲が何であるかということについてのクライテリアを従前明確にする努力をしてこなかったという点を私ども十分に反省をいたしておるわけでございます。
 それと同時に、電気事業法におきましても、主要電気工作物の損壊事故が報告さるべき事故対象として規定されております。この損壊事故に関しましても同様に、抽象的と申しますか、当該電気工作物の損傷または破壊により機能が著しく低下するか、または喪失することを言うんだという規定になっているわけでございます。したがって、こういうようなことをカバーする意味におきまして、先ほど申し上げましたように、ささいな故障でも全部報告するようにということで、当方としてそれを受けとった後に分類し、安全委員会に報告をして公表するという仕組みでこれまで処理してきたわけでございます。日本原電の場合には、そういった通達にそもそも従わなかったという意味において私どもきわめて遺憾だと思っているわけでございますが、直ちにこれが法律違反、要するに報告義務違反を直ちに構成するかということにつきましては、にわかに断定しがたいと思っているわけでございます。
 それで、先ほど来申し上げておりますが、そのような反省に立ちまして、今後は、報告義務については当然従前のようなすべてのものについて報告をさせるという方針は貫きますが、法律対象につきましては具体的なクライテリアを、例示等を用いまして設定してまいりたいと思っているところでございます。
#90
○上坂委員 このB給水加熱器の本体というものは、大きいものの中にパイプが入っているわけでしょう。言ってみれば、下から入ってきてU字型に巻いていって、そしてこっちから七十五気圧くらいで抜けているわけでしょう。その間に溶接があるわけでしょう。だから私は、ヘアクラックが多くなってくると非常に危険だと思うのです。そういう意味では、完全に報告をしなければ大事故につながるおそれがある、こういうふうに思うから言っているわけであります。
 それから、溶接をしたことについて大臣の許可が必要だということについてはどうですか。
#91
○石井政府委員 電気事業法四十六条に規定する「格納容器等」に給水加熱器が該当いたしますので、これの溶接を実施した後において電気事業の用に供す場合には検査を受けなければなりません。その意味におきまして、四十六条の構成要件に該当していると思っております。
#92
○上坂委員 次に、ホンダワラからの放射能検出に起因をして明らかになった放射性廃棄物処理建屋内の漏洩の問題です。
 一般排水口から放射能が、いわゆるコバルトであるとかマンガンが検出された、したがって四月十八日から一般排水路をずっとたどってマンホールの底のどろを測定したら、廃棄物処理建屋に近づくにつれて濃度が上昇していた、こういうことになっているわけであります。そしてこの原因は、三月七日から八日にかけてフィルタースラッジの貯蔵タンク室サンプからあふれた水のためだ、こう言っているわけであります。
 私は、たった一度十五トンぐらいの水が流れただけでこうした放射性物質が検出されるのかどうか、ここが疑問になるわけであります。むしろ他に原因があって、長期にわたって放射能漏れがあって、それがたまたまあふれた洗たく水によって流されて一般排水口まで行ったのではないか、こういうふうに考えてしまうわけですね。この辺に
 ついてはどういうふうにお考えになりますか、お答えをいただきたい。
 それから、四月二十一日の科学技術委員会でわが党の八木委員が指摘したのでありますが、核分裂生成物のセシウム137、ストロンチウム90、沃素131等の流出コースとマンガン54あるいはコバルト60などの物質の流出コースは同じなのかどうか、
 これについてもお答えをいただきたいと思います。
 それから三つ目には、この建屋の増設に際して、四回ほど増設をされているようでありますが、一般排水路の上に施設が建てられたということについて、工事中になぜ確認ができなかったのか。この点については通産省としてどうお考えなのか。建屋をつくるときには下の地層であるとかいろいろと検討して、そこに建屋が建っても大丈夫かどうか。下に一般排水路があれば、その排水路は五十メートルも百メートルも下にあるのではなくて、大抵すぐわかるような深さであると思うのです。したがって原電がこれがわからないはずはないのですね。それの上に建ててしまったということになりますと、いつかこれを使ってやろう、それとも、黙って図面だけ出せばいいんだ、どうせ通産省ぼやぼやして検査に来ないだろうからというような形で、さっとやってしまったのではないかという感じがするわけであります。こうしたことについての疑問、これはいわゆる安全審査体制の問題になるわけでありますが、これについても私は非常に疑問であります。
 これらについてひとつお答えをいただきたいと思うのです。
#93
○高橋(宏)政府委員 まず、敦賀発電所の放射能漏れにより環境に放出された放射能がどのオーダーであったかという件でございますが、私どもこの事情を聴取いたしまして、いつサンプピットの中にありますサンプポンプの起動がなされたか、そしてその後パトロールによって翌日発見されたわけでございますが、その発見された時間、そしてタンクを切りかえた時間、あるいは最終的にサンプポンプがとまったわけでございますが、そういうような諸般の事情を総合判定いたしまして、この放出量を推定いたし、そしてその放出されました水にどういう放射能が含まれておったかということ、これはいま現実のものはありませんので推定しかありませんが、これを推定いたしまして、掛け合わせまして、いまの数十ミリキュリーという数字を出したわけでございます。本件につきましては原子力安全委員会におきますダブルチェックと申しますか、におきましても非常に慎重かつ精密に議論がございまして、最終的に原子力安全委員会の見解にもよりましてあの数字を固めたわけでございます。
 次に、セシウム等でございますが、御指摘のとおり、これは燃料の中にできるフィッションプロダクトでございます。私どもは、これは漏洩経路は同じだと考えております。すなわち、先生も十分御承知のように、非常に微量ではございますけれども、シッビングテスト等でピンホールのある燃料がわかりますけれども、そういう中から出てまいりますフィッションプロダクト、希ガス類等につきまして、これがフィルタースラッジ貯蔵タンク室に同じような経路で入ってまいりまして、これがオーバーフロー、そして床からの下への浸透、そして一般排水路へ、こういう順番で入ったと考えております。本件につきましても原子力安全委員会の評価を経ております。
 次に、一般排水路の上に建物が増設されたという件でございますが、御指摘のように、通常の常識といたしましてこういうことは当然避ける設計にすべきであろうと私どもは考えております。本件につきまして、たとえば場所が狭いとか、そういうような事情で安易にこの上に建てたといたしましたら、これは安全上不適当だと考えております。問題だと考えております。私ども、認可あるいは検査に際しましては、従来主としてこの放射性廃棄物を処理、扱う設備の安全チェックということに力を注いでおりましたが、今後はそれと一般排水路あるいは建屋といったような、そのもの自身は電気工作物じゃありませんでも、関連において今度のような事態になるおそれのあるものにつきましては、十分チェックできる体制に改善してまいりたいというぐあいに思っております。
#94
○上坂委員 新放射性廃棄物の処理建屋の廃液漏れがあるわけですね。これは一月十九日、濃縮廃液貯蔵タンクD及びEと二カ所になっておるわけであります。一月の二十四日に応急措置をしたわけですが、ここでもやはり五日間放置されているわけですね。原電というのはすぐやらないのですね。ずっと延ばして、そして何とかごまかしてごまかしてやろうという感じがあるわけですね。
 ところが問題なのは、この建屋ができて三年半程度だと思うのですね、三年半程度でもうこうした廃液が漏れるというような状況というのは、これは問題だと思うのですね。ですから、これは取りかえる必要があるような感じがするわけであります。
 それから、こうした一連の事故について一切報告も記録もない。これは先ほど言ったように、いろいろやらなくてもいい、報告しなくてもいい問題はあるだろうけれども、非常に大きな問題につながっているという意味で、しかもいま廃棄物が国民の生活環境の中で非常に問題になっている時期に、こうしたものの故障について、あるいは事故について報告もしない、記録もしないということは大変な落ち度であるというふうに私は思うのです。その辺についてはっきりとした見解を求めます。
#95
○高橋(宏)政府委員 新ラドの、新放射性廃棄物処理建屋の中にございます濃縮廃液貯蔵タンクでございます。これは中身が流動性がないと申しますか流れにくいので、これに熱い蒸気のパイプを通しまして流動性をよくする、そういうようなものがございます。その蒸気を通します。パイプが、このタンクを貫通している部分が二つあるわけでございます。入り口と出口とございますが、その両方におきましてタンクをパイプが貫通しておるわけでございますけれども、その貫通部分におきまして中に入っております濃縮廃液が外ににじみ出て析出しておる、こういうような事故であったわけでございます。本件につきましても対応が機敏でなかったこと、及び、どういうささいなことでも報告すべしとしております私どもの指導方針にもとっておったということはきわめて遺憾でございます。
 本件につきましては、現在総点検を指示いたしておりますが、今後この中の一環として原因の調査及び最終的な処置の仕方につきまして結論を出してまいりたいというぐあいに考えております。
#96
○上坂委員 いろいろ違反があったり何かしているので、今度日本原電に対して制裁措置として六カ月間の運転停止を決めたわけであります。いま聴聞会に入ることになっておるということを聞いておりますが、なぜ告発をしなかったのか。告発は罰金が十万円で片っ方は何千万円も損するからというようなことを言っておるわけでありますが、私は、やはり社会的な制裁としては告発をするというのが公務員としてはやらなければならない規則もあるというふうに考えております。
 ところが裁判ということになると、証人も出さなければならないだろうし、証拠物件はたくさん出して一切合財明らかになっていく、そういうものがつらかったのかな、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。
 五月十九日の朝日にはこういうことが書いてあるわけですね。「説得力欠く停止処分」こういう見出しで、一つには「原発立地推進という国策を最優先させる必要があった」、二番目には「告発した場合、同時に監督官庁として自らの責任をも厳しく問われる」、三番目は「自民党などの政治資金源とされていた電力業界をバックにした「政治」の思惑――などからとみられる。」こうあるんですね。なるほど電力九社というのは、原電の大株主だというふうに言われているわけですね。だから、やはり電力会社の鼻息をうかがわないとできないんじゃないか、そこで通産省は告発をしなかったんではないか、こういうふうに考えますが、その辺は大臣、いかがでしょう。
#97
○田中(六)国務大臣 私ども政府は、自民党を母体とした政府ではございますけれども、自民党に対する九電力からの献金というようなことと通産省とは私どもはっきり切り離しておりまして、それを関連さしていろいろな諸問題を、通産省プロパーの問題を考えたことはございません。したがって、朝日新聞がそこを結びつき合わして私どもが告発を避けたのではないかという断定は、これは全く的を射た言葉ではございませんし、私どもは告発を含めました厳正な処分をするということ、やるやらぬは別にいたしましても、告発も一つの処分であるし、また停止処分というのもこれも非常にきつい処分でございまして、朝日の記事はそういうふうに書いておりますけれども、日本原発が停止処分を六カ月間食らったということは、本当に永久に消えがたい汚名でございまして、これにつきまして私どもは本当に強い、厳しい処罰をしたという見解でございまして、告発しなかったからそれは緩やかだったとか、告発しなかったからこういうことがその下の方にあるんだろうというような考えは全くありません。
#98
○上坂委員 大臣がお答えになったようなことであれば、これは本当にいいのです。そういう疑いを持たれるようなことがあると政治不信につながるから、私はあえてこの問題を提起をしたわけであります。
 しかし、停止処分にしようと告発にしようと、通産省の責任というのはやはりこれは免れることはできないわけであります。したがって、長官は今度どっかへ行くのかどうか、そこで責任をとるというようなかっこうではないけれども、そんなことにはならないけれども、たまたまあったとしたって、これは何の役にも立たないわけでありまして、やはり責任のとり方というものは別になければならぬと思うのです。そこで、いまの二十一基の全発電所が一時ストップしてもいいから、これはやはり再点検をするということでなければならぬと思うのです。
 この報告書によりますと、そういう指示をして、おまえのところには敦賀原電のようなことはないかということをちゃんと問い合わせをしたところ、そこから全部報告が来て、その報告によれば全然ありません、だから大丈夫ですと書いてある。これではやはり本当のものではないと思うのです。私は、やはりきちんとした第三者的な機関というものをつくって、それによって徹底的にいま現在稼働している原子力発電所を全部洗い直していくということでないと、国民は本当の安心を持つことはできない、こういうふうに考えます。これをやる意思があるかどうか、ひとつ通産省にお伺いをいたしたいと思うのです。
 それから、財団法人の日本原子力文化振興財団のレポートがありまして、ここで「すべてのトラブルを細大漏らさず公表していけば、たぶん日本全国の原子力発電所の運転は不可能に陥るだろうし、そのような公表が国民の利益にすべてかなうとは、にわかに肯定しがたい。」こういうレポートが出ているわけです。これと同じような考え方が通産省にはあるのではないかというふうに思うのです。
 そこで、大臣が、告発よりも停止の方がよっぽどきつい処置なんだ、こういうことでありますから、通産省がとられた措置を認めるにしても、幸いに通産省のかわりになって原発反対の福井県民会議が、原電を電気事業法と原子炉等規制法の違反で福井地検に告発を五月十一日にやりました。このことについて通産省にもいろいろ問い合わせが来るだろうし、いろいろな書類の提出も求められるだろうと思うのです。そういうときには十分これにこたえて、こうした問題について通産省が明らかにできなかった点まで、やはり裁判の中で明らかにされるようにしていただきたいというふうに私は思います。
 それからもう一点、時間がありませんから質問をいたしますが、私たちの社会党で四月二十五日に発電所の調査をいたしました。そのときに、スラッジをマンホールからとりまして、これをぜひ送ってくれということで野口代議士と向こうの専務が調印をして、送るということで約束になった。ところが、いまだに送ってこないのです。送ってこないどころか、断りの手紙が来たわけであります。これは、マンホール内で採取した土に含まれる放射性物質に変化が生じているから、その土の分析結果が誤解を生ずるおそれがあるからだめだ。何にも誤解なんか、おそれなんかはないのですよ。どこが分析したって構わないのです。いろいろな分析があって初めて実態が明らかになる。一カ所の分析だけでこれで終わりとするような体質だから、本当のものが出てこないのです。あっちからこっちから証拠がどんどん出てきて、いろいろなところで総合的に判断をして、初めてどうであったかということがわかるのでありますから、これは当然そのどろを送ってよこすべきなのです。それを原電はやらないのです。こういうことについても十分監督をして、そんなことはないのだ、先ほど言ったようにいろいろな試料を集めて、いろいろなところから分析をした結果において総合的に判断をすることの方がより正しい解答が出るのだという立場に立って、このいわゆる試料を至急に送らせるようにひとつ手続をとっていただきたい、原電に要請をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上です。
#99
○森山(信)政府委員 幾つかの問題の御提起がございましたので、まとめてお答えを申し上げたいと存じます。
 第一点の、今回の事故に関する責任の問題につきましては、私どもは、行政のあり方について抜本的な改善策を講ずることによって国民の負託に対応する、これが責任のとり方ではないかというふうに考えておる次第でございまして、五月十八日に発表いたしました事故の報告の中にも、その旨をうたっておるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、安全審査体制のあり方、あるいは検査のあり方、あるいは安全の監督規制に対する考え方、こういったものについて徹底的な検討を加えた上での新しい方策をできるだけ早く打ち出していくということが、私どものとるべき責任の方向ではないかというふうに考えておる次第でございます。
 それから、一部の報告にございました、すべての事故を報告させられるようになると原子力発電所がとまるのではないかということは、私どもは決してそういうふうには考えてないわけでございまして、現に、先ほど担当の石井部長からお話し申し上げましたように、現段階におきましても、すべての事故を届けを出してくれというふうな大臣通達も出しておるところでございますので、いまはその大臣通達というものによりまして法律違反が形成しにくいというひずみがございますので、その点についての法的な改善策を考えておるわけでございまして、事故を隠すのではなくて、すべての事故を報告をしてもらうという姿勢は今後とも続けてまいりたいと思います。
 それから、最後に御指摘のございました、どろの引き渡しの点につきましては、私どもの立場から云々をするということはちょっと問題かと思いますので、通産省としてのコメントは差し控えさせていただきたいというふうに考えます。
#100
○上坂委員 時間が来ましたから、終わります。
#101
○野中委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後一時三十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十四分開議
#102
○野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。清水勇君。
#103
○清水委員 きょうは、蚕糸業の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 まず最初に、現在、蚕糸事業団の在庫量が全体として十五万俵を超えるに至っている。なぜ在庫がここまで増大してきたのか、その辺の見方を最初にお聞かせ願いたい。
#104
○武智説明員 ただいま先生から、事業団に十五万以上の生糸在庫があるけれども、一体それはなぜそういう状態になったかというお尋ねでございます。
 事業団には五月末現在で十五万九千俵の在庫がございまして、その内訳について見ますと、約七割の十万八千俵が輸入糸でございます。それから残る五万一千俵が国産糸でございます。このような膨大な在庫を有しておりますのは、御承知のように、最近におきます末端絹需要の減退あるいは経済の伸び悩み等を背景といたしまして、生糸の国内の引き渡し数量が大幅に減っております。
 ちなみに五十四年度について見ますと、前年度に比べまして二割減あるいは五十五生糸年度について見ますと一割減と大幅に減ったために、五十四年六月以降長期にわたりまして糸価が低迷したというようなこともございまして、事業団は糸価維持のために輸入在庫糸の売り渡しを停止すると同時に、継続的な国産糸の改良を行ったというようなことから、先ほど申し上げましたように十五万九千俵の在庫が累増いたしておるわけでございます。
#105
○清水委員 いま、そういう御説明があったわけですけれども、率直に言って、十五万九千俵のうち輸入糸が約十一万俵、全体の七割を占めている。これは消費の減退とか買い支えとか、御説明のような事情もあったでしょうけれども、やはり基本的には政府の需要見通しの誤った見方、これに伴う輸入というものが在庫量の拡大を加速させているんじゃないですか。
#106
○武智説明員 先ほど申しましたとおり、五十四生糸年度におきましては一割の需要減、それから五十五生糸年度におきましては二割の国内引き渡し数量の減というようなことで、三割以上の需要の減があったわけでございます。その間、輸入につきましては当然、五十一年度以降、日韓なり日中と二国間の協議を行いまして数量を取り決めておるわけでございますので、われわれ政府といたしましても、輸入数量の圧縮に努めてきたわけでございまして、五十四年度の協定におきましては、生糸、繭糸、絹織物を前年度協定数量に比べまして一割減らしたわけでございます。
 さらに五十五年度におきましては、生糸につきましては輸入数量は前年度の半分の数量、あるいは繭糸、絹織物等につきましては三割の減というふうにいたしましたし、さらに生糸につきましては、事業団の在庫が減らない限り発注しないということで、実はこの一年間輸入をストップしてきておるような状態でございます。しかしながら、要は需要の減退の方が、国内生産といいますか、そういうものよりも大きいために、結局在庫がふえてきたというような状況になっておる次第でございます。
#107
○清水委員 五十五生糸年度で、二国間協定にかかわらず、現実に糸について中国あるいは韓国からの輸入は実質的にストップしておる事情は私も承知しておる。しかしながら、五十四生糸年度までの間、あるいは五十五生糸年度にかかっても、二国間協定以外の分等々を考えた場合、絹の需要量に対する国内生産量による供給だけでは不足をする分、つまり国内供給量の不足分をカバーする意味で一定量の輸入を仮に行ってきたとすれば、これほどの事業団在庫の拡大というようなことが起こるはずはなかったんじゃないか、こういうふうに感ずるわけでありますが、その辺について、いずれにせよ需要見通しの見方の誤りというようなことが手伝っていたことは間違いないのじゃないか、私はそう思うので、その辺の責任の所在というのは一体どこにあるのですか。
#108
○武智説明員 先ほども申し上げましたとおり、需要の減が五十三年度をピークにいたしまして、五十四、五十五とあったわけでございます。その間におきまして、われわれといたしましては、二国間協議等を通じまして輸入の圧縮に努めたわけでございますけれども、要は需要が大幅に急減する過程におきまして、需要の減る量とそれから二国間協定で減らす量、それとの間にギャップがあったということは、これは否定し得ない事実だと思っておりますが、われわれとしまして、これは時系列の問題等もございますので、ここはやむを得なかったというふうに考えておる次第でございます。
#109
○清水委員 その辺については私も大いに議論のあるところですけれども、後でまた触れることにして、先へちょっと進んでいきたいと思います。
 五月九日に蚕糸業振興審議会で、五十六生糸年度について政府諮問案どおり基準糸価をキロ当たり七百円引き下げて一万四千円ということで決定をする、こういうことになったわけでありますが、そこで聞きたいのは、基準糸価を一万四千円に引き下げた真のねらいというのは那辺にあるのか、聞かしてもらいたい。
#110
○武智説明員 先ほども申し上げましたとおり、現在事業団には売れる目途のないまま十五万九千俵の在庫があるわけでございまして、しかも現実にはなおかつ積み増しが行われておるような状況にございます。このまま国産糸の買い入れ一方の状態が継続いたしまして、在庫糸の売り渡しもできないというような状況で推移いたしました場合には、当然これは一元輸入を含めます現在の中間安定制度の維持がきわめて困難であるということは火を見るよりも明らかであるわけでございます。
 したがいまして、現在の中間安定措置の本来の機能、これは当然に価格が低迷いたしました際に中間買い入れ価格で買い入れまして、糸価が高騰した際に標準中間売り渡し価格で放出するという、こういった中間安定措置本来の機能を回復する、あるいは正常化するといったようなねらいを込めまして基準糸価を引き下げたものでございます。
 そこで、具体的にこういった中間安定帯価格を引き下げた場合に、絹需給の改善が直ちに図られるというものではないと考えておりますけれども、少なくともこういうふうに価格を引き下げますと、事業団の在庫糸の売り渡しが円滑化されるというふうなことが一つと、それからもう一つは、これは当然織物業者の需要の拡大にもつながるんではないかというふうなことが一つ、それから国内生産の調整的な効果が生ずるんではないかというような効果も一つ、それから当然今後二国間協議等をやっていくわけでございますが、その際にも、要は交渉ポジションが強化されるといったようなねらいを込めて引き下げたものでございます。
#111
○清水委員 いま農林省からは、中間安定措置を維持、確保していくために一万四千円にしたという趣旨の御説明もあるわけですけれども、私がかねがね承っているのは、いわゆる素原料の価格を引き下げることを通して需要の拡大に資する、こういうねらいが非常に大きいのじゃないか、こういうふうに見ているわけなんです。しかし、現実に基準糸価を当初キロ当たり千円ぐらい下げたい、これが七百円ということになったわけでありますが、いずれにせよ、一万四千円に下げたということを通して養蚕農家の養蚕離れというものが結果的に促進をされるのじゃないか。あるいは製糸業者にしても、ただでさえ全体として加工賃幅が非常に小さい、こういう状況の中で、先行きの見通しを全く失うようなことになって、事業意欲がそこから大幅に減退をしてくるのじゃないか。つまり、総体的に言えば、基準糸価を引き下げることを通しながら実質的に蚕糸業者の自主的な生産調整あるいは自然淘汰といったようなものを期待する、そういう自然淘汰だとか自主生産調整といったようなものを通していわゆる縮小均衡という方向を期待したのではないか、私はそういうふうに見るのですけれども、そういう見方は当たりませんか。
#112
○武智説明員 われわれにとりまして、要は事業団の在庫、これは毎日のようにふえておるわけでございますが、これをいかに減らすかということがきわめて重要な任務であるというふうに考えておるわけでございます。そのためには、当然に一方で需要の拡大等も図っていかなければならないわけでございますけれども、これも要は即効性がないというようなこともございますので、そうであるとすれば、輸入も含めました供給を減らさなければならない。そこで、需要と供給との間にギャップを生ぜしめまして、そのギャップの中で事業団の在庫を数年かかって処理していかなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。
 したがいまして、輸入につきましても、先ほど申し上げましたとおり、五十四年度につきましても五十五年度につきましても、相当、通常の外交交渉では見られないぐらいがんばったつもりでおりますけれども、それでもなお在庫が減らないというようなこともございます。したがいまして、国内生産につきましても、要は先ほど申しましたようなことで、当分の間は、事業団の在庫が減るまでの間は、これはやはり調整的効果を期待せざるを得ない。当然われわれ、農林水産省でございますので、養蚕も農山村における重要な部門の一つでございますので、そういった暁におきましては今後とも十分維持、育成を図っていかなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。
#113
○清水委員 いまあなたはそうおっしゃるけれども、これは昨年の十月のことですよ。昨年の十月の閣議で、通産大臣もおいでだけれども、農産物長期見通しを決定しておりますね。この中で、養蚕については六十五年に十万トン生産体制を打ち出して、いわば稲転作物などとしても積極的にこれを奨励するという増産方向をとったことは事実なんです。ところが、いまの答弁を聞いていると、事業団在庫の在庫調整が行われる間は、国内産についても生産調整をせざるを得ない、期待せざるを得ない、こう言っておるわけでしょう。これでは、よく農政をめぐって、ネコの目農政だとか朝令暮改だとかいう話がありますけれども、少なくとも昨年の十月の閣議で六十五年十万トン体制というような積極的な増産体制を指し示したばかりのところへ、いま直ちに、その舌の根も乾かぬうちに、実は生産調整を期待していかざるを得ないというようなことでは、養蚕農家とすれば、一体だれを信頼してこれからのたとえば養蚕なら養蚕をやっていったらいいのか。当然そういう点で先行きの見通しを失って、養蚕離れというようなのが起こる。あなたの方はそれを期待しておるのかもしれぬけれども、私は、率直に言って、蚕糸業というのはわが国の伝統的民族産業というふうに位置づけられておりますし、かつては日本経済を支える大宗として高く評価をされていたそういう時代があるわけですし、少なくてもこれ以上崩壊過程に蚕糸業を追い込んでいくというような方向は厳に慎まなければならないんじゃないか。いまのまま進んでいけば、昨年の春、京都で通産事務次官の矢野さんが問題発言をしたことがある、つまり矢野発言の方向に日本の養蚕業が転落の一途をたどるというようなことにつながってしまうんじゃないか、こういうふうに思うので、農林省側と通産省側にその辺の所見をちょっと聞いておきたい、こう思います。
#114
○武智説明員 農林水産省といたしましては、あくまでも養蚕業につきましては伝統的な民族産業であるというふうに考えておりまして、まさに今後とも維持、育成を図っていくという考え方でございます。ただ、御承知のとおり、現在事業団には在庫が十六万俵弱ございますので、これを何とかして克服しなければならない。当然に糸価も低迷いたしておりますし、まさに今回の基準糸価の決定のごとく非常に厳しい道を歩まざるを得ないわけでございますので、要は事業団の在庫を何とか数年間かかりまして処理いたしまして、その上で昨年末に決めました長期方向の見通しに沿って、あれは十年後の見通しでございますので、その方向に沿って向かいたいというのがわれわれの心境でございます。
#115
○若杉政府委員 非常に厳しい状況でございまして、生活様式の変化に伴いまして特に大宗を占める和装需要の非常な落ち込み、これがございまして、この二、三年で十万俵くらい落ち込みましたか、それが一つ大きいわけでございますし、やはりこういう状況になりますと生産もある程度縮小し輸入も抑えて、とにかく需給の均衡を早くとらないとますます事態は悪化するんじゃないか。そして私たちは、率直に言って、和装需要も図る必要があるし、さらに洋装あるいは新装品といいますか、インテリア関係にも需要振興の道はまだあると思っております。伝統産業の和服も振興せにゃいかん、しかし需給均衡というのもこれも大事でございますので、残念ながら一たん身を縮めまして、そこからまたひとつ安定的な発展を遂げていくという方向に誘導せざるを得ない。また、そうしないと、いつまでたっても蚕糸、絹業とも安定しない、かように考えておるところでございます。
#116
○清水委員 それでは、どちらからお答えをいただいてもいいのですけれども、いま生活産業局長から、ここ二、三年需要が減退をしている、とりわけ和装が落ち込んでいる、こういうことなんでありますが、たとえば通産省のコメントによると、これは絹の需給表についてのコメントなんですが、一般経済情勢の停滞、勤労者世帯における賃金の伸び悩み等により内需は大幅に減少しているんだということを指摘している。ところが農林省あたりの見方を耳にすると、そうではなしに、むしろ御婦人たちの和装離れ、着物離れというものが減退の主要な原因である、こういうような言い方をされている向きもあるんですね。どっちが正しいか、明らかにしてもらいたいのですけれども……。
 さて、そこで、いずれにしても事業団在庫の解消のためには、何といっても一面では需要の拡大を図っていかなければならない。その場合に、通産は勤労者世帯等における実質所得のダウンによって需要が減退をしている、あるいは農林は着物離れが起こっていて需要が減退をしていると言う。仮にそうだとすれば、そういう条件のもとでもなお需要を拡大していくためにどういう努力をしているのか。私は、農林水産関係から聞いている限りでは、どうもこれといって目新しい需要喚起の施策を持ち合わせておられないような気もする、あれば聞かしてもらいたいが。
 そこで具体的に、通産の方では、多分今年度予算で千六百万だか千八百万そのための予算が計上されていると思うのですけれども、その予算を使って具体的にどういう実効ある消費拡大施策を現に進めているのか、そしてその見通しはどうなのか。こういうことが明らかにならないと、ただ口で需要の喚起というようなことを言うだけであって、先行きますます暗くならざるを得ないのではないか、こんな感じがするのですが、その辺はどうでしょう。
#117
○若杉政府委員 絹需要の低迷について意見が分かれているように御質問がありましたが、意見が分かれているわけじゃなくて両方現状だと思うのです。というのは、年次ははっきりしませんが、たしか十年ちょっと前から実は絹需要は急激に伸びたわけなんです。その原因というのは、明らかに国民所得の急激な成長というか伸びが非常に作用したと思います。それから数年前に峠に達しまして、そこから今度は急激と言っては変ですが、また相当急激に減ってきた。これはやはり二つ原因があって、和装離れも非常に大きいですし、実質所得の伸び悩みというのも大きな要因じゃないかというふうに考えているわけでございます。ですから、われわれとしては両方とも分析し、対策を立てるときに重視しなければならないことは間違いないと思います。
 それから第二段の、対策はどうかということですけれども、とにかく対策をどんどん打っていかなければならないというので、通産省としては特にいま洋装、新装品関係を、これは開拓すればそれだけ伸びるものですから中心にやっております。
 そこで、まず大きな問題は三つを考えていまして、一つは、ことしの秋あたりにデパート等を中心にシルクフェアを消費者向けにやりたい。
 それから第二に、来年の春ぐらいを目途にデパートでやるのは消費者相手でございますが、その前の段階で洋装、新装品関係ではそれをつくる人たち、つまり一言で言えばアパレル業界に対していろいろな素材を提供することが大事でございます。アパレルに対して新製品をつくろうという食指を動かさせる必要があるので、そういう業者向けにシルクスタッフといいますか、シルクのいろいろなデザイン、柄の生地の大がかりな展示会というものをやりたいと考えております。
 それから、先ほどおっしゃった予算と絡みましては、これはいま検討中でございますが、できるだけ実際の需要振興の直接起爆剤にする必要がありますので、実は予算的には試作費的なものでございますが、ただ試作に終わっただけでは意味がないので、それを試作し、かつ商品として本当に販売するという計画を持っているアパレル関係に重点的にこの補助金を投入していきたい、そしてそれを呼び水にして現実に売る場をつくっていきたい、かように考えているところでございます。
#118
○武智説明員 絹消費の拡大を図りますためには、何といいましてもその九割を占めます和装の需要の拡大を図ることが一つと、それから今後におきましては洋装部門の需要拡大ということが非常に重要な課題であると思っております。
 そこで、農林水産省といたしましては、従来からも蚕糸事業団の助成事業を活用いたしまして、三億七千万円ぐらいの需要拡大をやってまいったわけでございますけれども、いろいろ金を使っておるわりにはどうも効果がないじゃないかというような御指摘等もございますので、従来の事業の成果も踏まえまして、今後におきましては新規用途の開発研究等の充実を図っていくということが一つでございます。
 もう一つは、たとえば九月から十二月あるいは一月から三月、そういったような絹の需要シーズンに全国的にテレビなり雑誌なり、あるいはポスターを中心とした宣伝等をやっていきたい。各種催し物と一緒になりまして、まさに着物の全国的な需要促進の統一キャンペーン事業をやりたいというようなことも現在検討いたしておりますし、さらにはまた、今後におきます着物の需要の中心になります高等学校あるいは大学の女子学生等を対象にいたしまして、要は着れないから需要が伸びないといった問題がございますので、着つけ指導等についてもやっていきたいということで、何とか需要の拡大を効果的にしたいと考えておる次第でございます。
#119
○清水委員 いま、いみじくも言われるように、和装ということに引き続きウエートを置いてその需要の拡大を図っていかざるを得ない、こういうことだと思うのです。
 そこで考えることは、いま末端消費者価格は、絹の着物の場合に数十万と一口に言われているわけですね。四十万とか五十万と言われている。それに、帯から始まって必要な物を一そろいそろえれば百万という費用を必要とするわけです。着つけの指導を農林省が幾ら考えたって、そんなことでにわかに需要が伸びるということは考えられないのではないか。恐らくどの娘さんだって、自分をきれいに見せたい、美しい着物を着たいという本能がある。親御さんにしてみれば、そうさせてやりたいという気持ちがある。しかしながら、幾ら何でも着物だけで五十万もするのではちょっと手が出ない。その辺のところに一つの大きな問題があるのではないか。その場合に、現実の問題として、皆さんは素原料が高いから少しでも下げて需要拡大をしようとおっしゃるけれども、現実にたとえば着物一反の生糸の必要量は九百グラムぐらいと言われているわけですね。そうすると、たかだか一万三千円そこそこの素原料代にしかならない。これを少々下げてみたって、五十万もするような末端の消費者価格に何らの影響がないことは子供にだってわかる理屈なんです。
 そこで問題は、さまざまな流通を通りながら最終的に呉服屋さんから消費者の手に渡るときには数十万になる、なぜそうなるんだというような、多段階にわたる流通の中にあるいは問題がないのかという意味でのメスが入れられる。私が事実承知しているので言えば、着物を一着購入してくれれば、たとえば沖繩なり九州なりの何泊かの旅行に御招待いたします、そういうようなものまで全部織り込まれた数十万という価格のあり方、こういうものにメスが入れられて、ある程度流通全体として手が届くような価格にしていくということが政策的に考えられなければいけないのではないか。だから、着物が高いというのは、川上に問題があるのじゃなくて、むしろ川下の流通に問題があるのじゃないか。そうだとすれば、その辺にどういうふうにかメスを入れて、そしていまおっしゃられたような諸施策と相まって、全体として消費者のニーズにこたえられるような状況をつくっていくということが伴わなければ、これはなかなか伸びないのではないかと思うのですが、その辺、局長、どうですか。
#120
○若杉政府委員 一つは、いまおっしゃったような現象は、先生御承知のとおり、着物がフォーマル化してくる。つまり結婚式とか、あるいは娘さんであれば成人式とかいうフォーマル化といいますか、はでやかな礼服といいますか、そういう傾向をずっとたどってきたわけでございます。もちろん一反五万円から十万円の着物もございますが、一反五十万から百万の着物もございます。非常な勢いでフォーマル化したという問題でございます。
 もちろん二つの問題があります。一つは、これはちょっと水を差すようでございますが、フォーマル化ということはある程度高いというデモンストレーション、実際は半値に値引くとか三分の一まけるとかいうのも横行しているわけでございます。ただ、表面的定価は百万円であります。そうすると率直な話、私は百万円の着物を着ている、実は半値で買っておるという現象も、はっきり申しますとあるわけでございます。これは一つの示威運動の問題でございまして、実際はそれほどではない。
 もう一つは、着物の方も実は輸入の生糸と全く違いまして自由化しておりますので、それは商売人でございますので、産地直結で安く売る業者もたくさんございます。それで成功している業者もあります。しかし、余り産直をやりますと、値段が安いから買わないという変なリアクションも出てくるようでございまして、通産省といたしましても流通に問題があることはよく承知しておるわけでございますが、余りいきなりこうせい、ああせいという指導ということになりますと、かえっておかしくなるのではないかという気持ちもあって、いまは自由にしておいて、できるだけそういうものを奨励するというぐらいがいいのではないかということと、もう一つは、フォーマル化している着物需要に対してカジュアル化しなければいかぬ。つまり、ふだん着といいますか、ふだん着にするためにはデザインというか着方といいますか、一種の表現をかりて言えば、プレタポルテという洋服の感覚、プレタ着物という感覚をもって、二、三万あるいは五、六万の着物を気楽に着るという運動、これは本格的に推進しなければならぬ、かように考えているところでございます。
#121
○清水委員 さて、そこで、政府としてもどうやって消費を伸ばしていくか、それぞれ苦心をしていることはよくうかがえるわけですが、しかし、当座直ちに加速的に需要が増大することは余り期待できないとすれば、いよいよ六月以降、また二国間協定をめぐって中国や韓国ともやり合わなければならぬという事態がやってくるわけであります。いずれにしても、需給のバランスがとれる、あるいは先ほど来お話があるように、事業団在庫が一定の程度整理ができるというような時期までは、何としても生糸から始まって繭糸あるいは絹織物等について全体的な輸入規制をせざるを得ないのではないかと私は思うのです。
 たとえば三月二十六日に、五十六生糸年度における基準糸価をめぐって、衆議院の農林水産委員会が御承知のような決議をしている。あるいは五月九日に蚕糸業振興審議会も基準糸価の設定に伴ってこれまた決議をし、それぞれ政府に対して、いま私が申し上げたような、生糸から始まって繭糸や絹織物等に至る全体的な輸入調整、私の言葉で言わせれば輸入規制について実効ある措置を講じなさい、こういうふうに言っているわけです。
 そこで伺いたいわけでありますが、生糸の一元輸入の強化を初め、いかにして実効ある輸入調整をとろうとされているのか、お聞かせください。
#122
○武智説明員 御承知のとおり、わが国におきましては、まず生糸につきましては繭糸価格安定法に基づきます一元輸入制度がとられておりますし、さらにまた、繭なり絹糸なり織物なり絹の二次製品につきましては、輸入貿易管理令に基づきます輸入承認制等の措置が講ぜられておるわけでございます。さらにまた、主要な対日輸出国でございます中国なり韓国との間におきましては、二国間協定等の締結によりましてまさに輸入の秩序化が図られているところでございます。五十五年度につきましては、先ほど申し上げましたとおり、非常に厳しい二国間の調整を行ったところでございますけれども、今後におきましても、まさに現在置かれましたわが国の非常に絹需給の厳しい現状にかんがみまして、生糸、絹製品全体を通じまして二国間協議あるいは各種の輸入調整措置の厳密な運用等によりまして、輸入の実効ある規制を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 また、ともいたしますと輸入調整措置の網の目をくぐりまして、いろいろ違法輸入等があったというふうに言われておるわけでございますが、このあたりにつきましても、関係省庁と一層密接な連絡をとりましてそういったことのないようにいたしまして、実効ある輸入措置が講ぜられるようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#123
○清水委員 二国間協定なり事前確認制などというものを通しながら、輸入の調整、秩序ある輸入というようなものを強化していきたい、こう言われるわけですけれども、いまあなたの御答弁の中に、違法な輸入があったやに聞いているというような話がありましたが、これは聞いているなんということじゃなくて、最近の大問題になっているのですから、そんなのんきなことを言われていたんじゃ私は困ると思う。
 これは通産大臣にも所見を求めなければならないところでありますけれども、仮に二国間協定だとか事前確認制などを通して輸入調整措置を実効あるものにしていこうと幾ら努力していても、その網の目をくぐって不正輸入がどんどん行われる。つい最近も大きな問題になっている韓国の三星物産、これは大きなメーカーですね。その子会社である三星ジャパン社などとの兼ね合いで、中国物だということが歴然としているのだけれども、原産地証明でスペイン産などというようなものをつけて百三十七万平米というものを入れた。これがわかったものですから通産省が告発の手続をとった。その後、警察庁等もいろいろ処理を進めているわけなんであります。
 そこで、私は、この百三十七万平米のことに関連をして大蔵省に聞いておきたいのですけれども、たとえば相沢代議士の元秘書の手島某という者が百三十七万平米について緊急通関を陳情した。東京税関はこれを受けて、その日のうちに通関をさせてしまった。一体こんなばかなことが許されていいものか。この辺をまず明らかにしてもらいたい。
#124
○忠内説明員 お答えいたします。
 フィリピン産とスペイン産の絹織物輸入に関しまして、東京税関の大井出張所で通関を認めたわけでございますが、先生がおっしゃったように、通関は即日処理されたわけでございます。
 この通関の経緯でございますが、これは通関に必要な関係書類は整備されておりまして、さらに、税関といたしましては慎重に現物の検査も行いました結果、特に中国産であるという確証もないという状況でございましたので、通関を認めた次第でございます。
#125
○清水委員 警察庁はこの処理についてどのようにごらんになっていますか。
#126
○内田説明員 現在捜査中の事件でございますので具体的な内容については答弁を差し控えたいと思っておりますが、現実に現在警視庁におきまして、五十五年の七月と十月に中国産の絹織物をスペイン産あるいはフィリピン産と偽りまして、通産大臣の事前承認を受けないで輸入したという事案で、関係者八名を検挙して捜査中でございます。
#127
○清水委員 通産の告発を受けて警視庁の方は、生活課が多分中心となっていると思うんだが、調査を進める過程で、中国産をスペイン産、フィリピン産などと偽って不正に輸入したものだ、調べたらすぐわかる、こういう経過がいま述べられているわけなんですが、これを東京税関の大井出張所の関係で調べてみたけれども中国産であるということは一切わからなかった、こういうことですか。
#128
○忠内説明員 お答えいたします。
 税関に提出されます必要書類といたしましては、輸入貿易管理令に基づきます原産地証明書というものが必要なわけでございます。この原産地証明書はスペインの正式の機関の発給したものでございました。そうして税関の方は、その原産地証明書の印章その他もあらかじめ受け取っておるものがございましてそれと照合いたしたのでございますが、特に異常もなかったということで通関を認めたわけでございます。
#129
○清水委員 若杉局長にお尋ねいたしますが、いまの大蔵省の説明を静かに聞いておりますと、つまり中国産をスペイン産と偽って原産地証明などを付して不正に輸入を今後もしようとすれば、これは通関当局ではわからないでどんどん入るという可能性がありやしませんか。
#130
○若杉政府委員 一つは、一罰百戒と申しますか、今度の事件で関係者八人が逮捕されるという事態は相当重大な警告ということになっておりまして、私たちの見通すところ、まず不正事件をやる者はあらわれないだろうと思いますが、しかし、それは一〇〇%保証はできないわけでございまして、おなわをちょうだいしてもやりたいというのが出てきた場合にどうなるかということだろうと思います。これにつきましては、私たちも、ここまで悪いことをするのがいるのかと思って、やや油断をしていた面も実はございます。したがいまして、その後大蔵省等と密接な連絡をとっておりまして、何かあったらすぐ連絡していただくということで、われわれとしてはこの絹問題、毎日議論をし毎日やっておりますから、問題意識もたっぷりいままで持っていたつもりなんですけれども、全国の税関、私知りませんが、一年に何千、何百万という通関をするのでございましょうか、徹底を欠いていたということもあろうかと思いますが、現段階ではそういうことは絶無になっておりますので、まずなかろうというふうに私は確信しておるわけでございます。
#131
○清水委員 局長は、今後は一罰百戒でそういう不心得者はあらわれないだろう、こう言われるが、これはあくまでも希望的判断ですよね。
 そこで、私は、大蔵省にもう一回聞いておきたいのだけれども、たとえば元大蔵次官であり現代議士でありなどというような人の秘書が来ると、あれこれと理由を並べて、きょうのうちにひとつ通関をやってくれと言われるとやるのですか。そんないいかげんなものなんですか。
#132
○忠内説明員 お答えいたします。
 その前に、先ほどの私の答弁でちょっと言葉足らずだった点、補足いたしたいと思うのですが、絹織物の輸入につきましては、この事件が発覚以来、先ほど通産省の若杉局長から答弁がありましたように、私どもといたしましては、EC、スペイン、スイス及び米国から輸入される絹織物につきましては、その申告内容とか添付書類、貨物等について厳重に審査、検査を行うということで、さらに書類が整備されておりましても、その書類の信憑性とか、どこでつくられましたかとか、そういう具体的な説明を求めるというような形をとっております。そして、疑義が解明されないものにつきましては通関を一時留保いたしまして、本省の方に報告をいたしまして、さらに通産省とも連絡をとって解明しておるということで、これでかなり成果を上げておると思っております。
 それから、いまお話しの点でございますが、相沢代議士の秘書と称する手島という人物が二度にわたって大井税関に訪れたということは事実でございますが、税関といたしましては、これによって輸入許可の手続を簡易にするとか審査を甘くするということは全くしておりませんで、通常の手続によって行われておりまして、陳情には一切左右されておりません。
#133
○清水委員 まさか私が聞いたからといって、左右されているとはお答えになれないだろうから、これ以上のことは言いませんが、いま前段に言われたとおり、仮に形式的な書類が整っていたとしても、疑わしきものはきちっと留保して、慎重に対処する。これはくれぐれも厳重を期してもらいたい。
 それからへそのことに直接関連があるわけではありませんが、自由貿易主義であるとかガットとの関係があるとかということで、去年も、いまの農林大臣が議運の委員長当時、たとえば絹織物までひっくるめて全面的な輸入規制措置を立法化しようとしたけれどもつぶれてしまった、こういうケースがあるのです。しかし、ガットでもその第十九条で、国内産業保護のための緊急措置というものが明記されていて、この十九条で輸入規制措置等を講じ、国内産業の保護に当たるということは、やる気になればできるわけですね。
 これは田中通産大臣にお聞きをしたいのだけれども、たとえば例の自動車産業をめぐって日米間で摩擦があった折に、アメリカの議会では議員立法を準備する、アメリカ政府も、自国の自動車産業やその雇用を守る立場から、日本に対して外圧と言われるようなものを加えることによって、通産大臣初め日本政府の大幅な譲歩を引き出すというようなことをやっているわけです。したがって、わが国の蚕糸業がこのまま放置をすれば崩壊の過程に入っていくだろうという危機的なところまできている折であるわけですから、やはりこの際、改めて、輸入調整と皆さんおっしゃるわけでありますが、輸入規制についての実効ある措置を講ずるべきなのではないか、こう思うわけでありますが、大臣の所信を承っておきたいと思います。
#134
○田中(六)国務大臣 自動車産業で米国に譲歩をした、これはいま、大幅に譲歩をしたということでございますが、私どもは大幅な譲歩とは考えておりません。
 と申しますのは、一九七八年が百四十一万台、一九七九年が百五十五万台で昨年が百八十二万台です。だから、百四十一万、百五十五万よりもはるかに上回る百六十八万台ということでございますので、大幅かどうかは、まあ見方によりますけれども、私どもはそうは思っておりません。これは、アメリカの大統領がどうしてもということで、やりまして、御承知のようにアメリカに対する日本の貿易量というのは三百八十億ドル以上になっておりまして、膨大な貿易量でございます。
 私ども、根本的には保護主義貿易を排除する。したがって、自由主義貿易をあくまで貫くという手数料、いま御指摘のように、ダンフォース・ベンツェン法案というものが五月十二日にそれを取り上げるというようなこともありまして、より一層の自由主義貿易というようなことの標傍であったわけでございます。したがって、わが国の本心と申しますか、わが国の主義主張あるいは政策は、世界を自由貿易の拡大均衡へ指向するということが先決でございまして、保護主義貿易化しようとする現状を何とか食いとめていくことが日本の使命であるということがすべてでございます。
 したがって、この問題で、私どもがみずからそういう法案をつくって、国内の蚕糸業者、繭糸というものの保護ということで法律をつくることは、これは、アメリカの例をそのまま日本に当てはめるということには、私どもなかなかそうはいきませず、何とか自由主義貿易のもとで、いろいろな話し合いというようなことでうまくいかないかということをしぼってずっとやってきておるわけでございまして、現在のところ、国会でどうしても法律をつくっていくということになれば、これは国会が権威があることでございますので、いたし方がございませんが、政府みずからがそういう規制の法律をいま提案するというようなことは考えておりません。
#135
○清水委員 私の質問を聞き違えられたのじゃないかと思うのですが、私は政府に、法制をもって輸入の規制をしてはどうかという質問を別にしたわけじゃない。だから、大臣からそういう御答弁があるとは思わなかったわけですけれども、そうではなしに、たとえば自国の産業なり雇用なりを守るために、一つの例として自動車産業をテーマに、アメリカ政府の場合には先般のような行為を行った、そこで、いまやわが国の蚕糸業が文字どおり危機的な場面に立っているのであるから、たとえば蚕糸事業団の在庫量が一定程度在庫調整が行われる、解消のめどがつくというようなときくらいまでは、やはり実効ある輸入調整を行うということがあってしかるべきじゃないのかということを実は聞いたつもりなんです。したがって、もう一回お答えください。
#136
○田中(六)国務大臣 法律のことではないということでございまして、やはり私どもも秩序ある輸出ということを頭に置いておりますので、そういう点は秩序ある輸入ということも十分考えられ得ると思います。したがって、いままでの私どもの韓国や中国に対するいろいろな交渉も、実は秩序ある輸出をしてくれというようなことでカットにカットを重ねてきたようなことでございまして、その点はこれからも頭に置いていきたいというふうに思います。
#137
○清水委員 次に、五月九日、五十六生糸年度における基準糸価を決めるに当たって、政府では、たとえば養蚕農家に対し二十億円に上る低利融資などの一連の救済措置というのでしょうか、特別な措置を講じた経過があるわけですが、何か製糸業に対してそうした救済措置的なものが講じられておりますか。
#138
○武智説明員 ただいま先生がおっしゃいましたとおり、五十六年度に適用いたします基準糸価等の決定をやった際に、関連対策といたしまして二十億円の事業団助成を行うというふうに決めたわけでございます。
 具体的な内容につきましては現在関係団体等と調整中でございまして、いまだ決まってはおりませんが、まず一つは、先ほども申し上げましたような新規用途の開発、あるいは全国レベルでの統一的な事業拡大、統一キャンペーンといったような生糸、絹製品の需要増進対策、これが一つでございます。それからもう一つは、養蚕農家の経営安定のために各種資金を必要とするわけでございますが、要は低利の資金を供給するという意味で、養蚕農家経営安定対策というようなことが二つ目の柱でございます。それから三番目には、生産性の高い繭生産を行うというようなことで、繭生産の合理化対策等といったような内容を一応盛り込む考えでございます。
 御質問の製糸業に対する助成でございますけれども、これは事業団助成といたしましては、企業相手といったようなこともございまして、基準糸価の引き下げ等に伴います直接的な助成は当面考えていないわけでございますけれども、関連対策といたしまして事業団の買い入れ枠、これにつきましては今後糸価なりあるいは需給の動向を見つつ必要な事業団買い入れ枠の確保を図っていくということが一つ。それから、もう一つは資金面でございまして、経営安定を図りますために中小企業の体質強化資金の助成制度、あるいはまた日本製糸協会等で今後議論していくわけでございますけれども、要は今後過剰設備の処理等を行う必要がある際には、中小企業事業団によります設備の共同廃棄事業といったような面を活用いたしまして、製糸対策を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
#139
○清水委員 いずれにしても、基準糸価が七百円引き下げられたということを通して加工賃も圧縮をされることはもう避けられない事実だと思いますね。現に、たとえば供給過剰傾向である、そこで減産をせざるを得ない、操短をやらざるを得ない、そういう状況が起こっている。そういう中で、たとえば群馬の丸登であるとか熊本の長谷川あたりが倒産をするあるいは企業閉鎖をする、こういう事態が起こっているし、他にも数社くらいそうした傾向が今日伝えられているわけですね。
 そこで、いま製糸工場が倒産をする、もしくは工場を閉めるというようなことになると、これはもう直ちに雇用に重大な影響をもたらすことにもなる。その社会的な影響というのは非常に大きいと思うのですね。だから、そういう意味で中小製糸家に対する適切な手だてを講ずる、こういうことが行われなければならないんじゃないかと私は思うのです。
 それから、また同時に、たとえば基準糸価の中でキロ当たり労務費というものが算定をされておるわけですね。五十五生糸年度の場合にはこれが千二百四円十銭であった。これが新年度では九百七十円十銭というふうに、一九・五%も労務費の算定基礎というものが引き下げられている。これが直ちに製糸工場の労働者の賃金、労働条件というものに敏感に影響するわけですね。御承知のように、ことしの春闘ではベースアップが約一万四千円強と言われておりますが、製糸業の場合には大体七千円か、いいところで八千円というふうに、約半分ぐらいだと言われている。ですから、基準糸価を決める場合には当然のこととして、その中に占める労務費であるとか、一定の製糸業が成り立っていくような適正なマージンというようなものが織り込まれなければならないのじゃないか。こういう点についてどのように農林水産省としては考えているのか、お聞かせをいただきたい。
#140
○武智説明員 ただいま先生おっしゃいましたとおり、製糸にいたしましてもあるいは養蚕農家にいたしましても、いろいろコストは上がっております。労務費も含めましてコストが上がっておることは事実でございます。
 ただ、先ほど申し上げましたとおり、現在の生糸価格は、五十四年の六月以降二年の長きにわたりましてまさに低迷を続けておる、輸入糸の輸入も停止しておる、あるいは一方で国産糸の継続的な改良をやっておるというような状況になっておりまして、このまま推移いたした場合には、まさに一元輸入を含めます中間安定制度の維持が非常にむずかしくなっておるというような状況でございますので、今回まさに基準糸価を四・八%引き下げることによりまして、何とか従来の一元輸入を含めます中間安定制度を本来の機能を回復しようというふうにいたしたものでございます。
 当然に、こういう措置になりますと、養蚕にいたしましてもあるいは製糸にいたしましても、まさにコストを必ずしも償わないというような状況になるわけでございまして、先ほど申し上げましたとおり、生糸につきましては、たとえば製造販売加工費は六・三%上がっております。これは労務費等も含めてでございますし、それから繭生産費につきましても一一・三%上がっております。しかし、これらにつきましては、今後、まさに養蚕にいたしましても、製糸につきましても、生産性の向上等によって何とかしのいでいただこう。先ほど来申し上げておりますとおり、事業団の在庫を何とか少なくとも四、五年の間に処理したい。要は需要拡大、輸入の抑制といったようなことで政府としても最大の努力をいたしたいと考えておりますので、その間、製糸にしましても、養蚕にしましても、何とか自助努力で耐え忍んでいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#141
○清水委員 時間が来ましたからこれで質問を終わりますが、最後に通産大臣、いまも農林水産省の方から、当面は耐え忍んでもらいたいというような話もあったわけですけれども、現実には通産大臣の所管にかかわる中小企業である製糸工場などが、今度の基準糸価の設定との絡みもあって、総体的に操業短縮あるいは減産といったことを含めて縮小再生産、中には倒産というような方向へ進んでいるケースがずいぶんあるわけですね。
 そこで、そういう企業に対する手だて、あるいはそこの企業に働く労働者の雇用、こういうものに非常に暗い影がいま落ちようとしているわけですが、こうした点についてひとつできるだけその環境をとにかく何とか守ってやるというような角度に立って、特段の手だてを講じていただくことを希望したい。
 以上のことを申し上げて、私の質問を終わりたいのですが、一言何か所信がありましたらお願いします。
#142
○田中(六)国務大臣 私どもの所管の中小企業対策という面から十分配慮して、中小企業体質強化資金制度とかいうものもございますし、あらゆる中小企業対策を駆使してその対応に当たりたいというふうに思います。
#143
○清水委員 終わります。
#144
○野中委員長 長田武士君。
#145
○長田委員 まず初めに、日本原子力発電に関する問題についてお尋ねをいたします。
 日本原子力発電の相次ぐ事故によりまして、原子力発電の安全性や監視の体制、さらに、それを監督する立場にあります通産省の行政のあり方について、改めて国民に強い不信感を植えつけたことは事実であります。しかも、この不信感が今後のエネルギー政策に大きな影響を与えることは必至であろうと考えます。したがって、一日も早く一連の事故に対する原因を明らかにし、国民に対して納得のできる措置をとるべきだと考えております。
 それにつけても、こうした一連の原子力事故に関して、エネルギー行政を担当いたします通産大臣はどのような責任を感じていらっしゃるか、所信をお尋ねいたします。
#146
○田中(六)国務大臣 このたびの日本原電敦賀発電所の事故は、まことに遺憾であるというような月並みなことを言っても本当にいたし方ない、申しわけないことだと思っております。私どもは、日ごろ原子力発電所の安全性を強調してきておっただけに、またそれに一番頭を配って、原子力発電所はこういうものですよということを言ってきただけに、全く心からまいっておる次第でございます。
 つまり、原子力発電所の安全性、そういうものに対する信頼が崩れ去っておるというようなことから、一日も早く国民からの不信感を取り除くと同時に、より一層安全性、つまり安全審査、管理行政というものについての手抜かりと申しますか、そういうことをつくづく感じておるわけでございまして、一日も早くこれは結論を出しまして、結論のはっきりした線で、一応私ども、六カ月間の運転停止という線は出しておりますけれども、あらゆる面で信頼の回復をなし遂げなければならないという心境でございます。
#147
○長田委員 これは通産省の資源エネルギー庁でありますけれども、五十六年五月十八日に報告書を出していますね。
 その「はじめに」というところでありますけれども、「いずれの事故も原子力発電の安全管理にかかわる問題ではあるが、原子力発電の安全性の基本にかかわるような性格のものではないと考えられる。」このように報告しております。
 私は、このような認識では事故の処理をすることはできないのじゃないか、そういう点で大きな疑問を持ちます。そこで、今回の事故は安全性の基本にかかわりがないと澄ましておる、こういうことでいいのかどうか。大臣、どうですか。
#148
○森山(信)政府委員 ただいま長田先生が御指摘になりました原子力の安全の基本に関することにつきましては、私どもは、今回の事故は原子炉本体にかかわる事故ではないという認識でございまして、もちろん放射性廃棄物の建屋の問題、あるいは一般排水路等々の問題、これは原子力の安全にかかわる重要な問題でございますので、そういう意味の認識は十分持っておるわけでございます。
 したがって、今回の事件は、原子力の安全の基本に関することでないというような認識ではなくて、私どもが言わんと欲しました点は、原子炉本体の事故ではなかった、こういう認識を率直に訴えたような次第でございまして、そういう表現にお読み取りいただければ大変ありがたいというふうに思う次第でございます。
#149
○長田委員 これは何回読んでも、そんな感じじゃ解釈できませんよ。大臣、どうですか。いまエネ庁長官が言ったような解釈には、どうしても日本語ではとれません。どうですか。
#150
○田中(六)国務大臣 それは多分、いま森山長官が言っておったのがやはり基本的な考えのベースにあったと思います。つまり、周辺の環境に対して特段の悪い影響があったわけではないということの表現じゃないでしょうか。
#151
○長田委員 長官、本体にかかわる問題ではないから軽微だということですか、はっきりしてもらいたい。
#152
○森山(信)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおりに、私どもは、今回の事故は大変な問題だという認識を持っております。ただ、原子炉本体にかかわる事故ではなかったという認識だけがあるわけでございまして、それ以外のいわゆる付属施設に関する事故は、軽微なものであるという認識では全くないわけでございます。そういう意味で、本文の中にるる書かれております点は、私どもがいかにこれを軽微なものとして処理してないかということを意味しておるわけでございまして、いま御指摘のように、本体は大事で本体以外は大事じゃない、こういう認識では全くないということでございます。
#153
○長田委員 私はそういう点で、今回の事故の重大性から考えてみまして、このような安易な、軽率な言葉は使うべきじゃないと思っているのです。そういう点では、通産省の見方、特にエネルギー庁のこの報告は国民の反感を買いますよ。取り組みの甘さがある。これだけ世論が原子力に対するアレルギー、不信を持っておる、そういう真っただ中で、基本にかかわる問題ではないなんて堂々と書く。私にはわからない。
 そこで、私は原電の処分について申し上げるわけでありますが、当初は告発しようという考え方で来たようであります。しかし、今回は結果的には告発しないということで、六カ月の運転停止だということですね。通産省が告発に踏み切れなかった原因、理由、これを説明してください。
#154
○森山(信)政府委員 私どもは、今回の事故を踏まえまして厳しい対応をしなければいかぬということを終始考えてきたわけでございます。そこで、当委員会等におきましても、告発を含めまして厳正な処分をするということを言い続けてまいったわけでございます。
 私どもは、二回にわたります立入検査及び会社側からの事故てんまつ書、これを最終的に徴取いたしまして、行政的にいかに厳しい処分をすべきであるかということからいろいろな判断をしてまいったわけでございますが、今回の事故を突き詰めて申し上げますと、会社側のずさんな保安管理体制に問題があったのではないかということでございます。そういう点を踏まえまして処分を考えますと、刑事罰と行政罰と両方あろうかと思いますけれども、行政罰は原子炉等規制法に基づきます運転停止命令でございます。これはいまだかつて発動したことのない措置でございまして、会社にとりまして、会社が存続する限りにおきまして、行政罰を受けたということは長く会社の汚点として残るものでございますので、むしろ行政罰としてそういった点を追及していく方が非常に厳しい措置になるのではないか、こういう判断をしたわけでございまして、いまおっしゃいましたように六カ月の運転停止処分というものを内定いたしまして、近く聴聞会を開催した上で命令を出そう、こういうような決断をした次第でございます。
#155
○長田委員 去る五月十一日、福井県民会議は日本原子力発電に対しまして、原子炉等規制法の疑いで告発をいたしておるわけであります。ところが政府は、二回にわたります立入調査によりまして、一連の事故はただ保安規定違反のみとしておるわけでありますけれども、私は、福井県民会議が告発で指摘しておりますように、原子炉等規制法の法律違反があったのではないか、このように考えますが、その点はどうでしょうか。
#156
○石井政府委員 私ども、この一連の事故につきましてあらゆる観点から検討いたしたわけでございます。
 御指摘の電気事業法及び原子炉規制法、この二つの法律の各条項に照らしましてそれぞれの問題になった点について申し述べますと、第一に、給水加熱器の漏洩に対しまして一月十四日に当て板にすみ肉溶接を実施いたしておりますが、これにつきましては、給水加熱器が電気事業法四十六条の「格納容器」に該当いたしますので、これの溶接を実施した場合には通産大臣の検査に合格しなければ電気事業の用に供してはならないという規定がございますので、その構成要件に該当するのではなかろうかというふうに考えております。
 他の、いま先生御指摘の告発にかかわります原子炉規制法の報告義務あるいは記録義務の違反問題、あるいは電気事業法に言う報告義務違反問題につきましては、本日午前中の質疑におきましても申し上げておりますが、それぞれの具体化する省令に照らしまして、たとえば電気事業法の場合には主要電気工作物の損壊事故という定性的な定義がございまして、これをさらに省令におきまして、電気工作物の著しい機能の低下もしくは喪失というものが損壊事故に該当するという抽象的な規定がなされておるわけでございます。その限りにおきまして、たとえば給水加熱器のドレン水漏洩問題が果たしてこれに該当するのかどうか、それからさらに原子炉規制法に基づきます報告義務対象といたしまして、原子炉の運転に支障を及ぼさない軽微なものは除くんだというような規定、及び漏洩に関しましては異常な漏洩を報告対象としているという定性的な規定にとどまっておる限りにおきまして、具体的にこれが法律上の報告義務対象であるのかどうか、この辺について、実はこれまでの運用経験からしまして、十分違反であるという断定はきわめて困難である。
 と申しますのは、私ども五十二年三月に、原子炉規制法に言うところの軽微な故障であっても、すべてのトラブルについては通産大臣に報告をしてこいという通産大臣通達を出しまして、これを受けまして、私どもが個々のケースに従いましてケース・バイ・ケースで判断をしていくということの運用にしておりまして、具体的なクライテリアを示さないままに通達で全部カバーしておったというのが実態でございます。そういう意味におきまして、法律違反が出た段階において果たして具体的なクライテリアがどうであったかということになりますと、直ちに断定するのは非常に困難ではなかろうかという意味におきまして、私ども、この原子炉規制法及び電気事業法に言うところの報告義務について、及び原子炉規制法に言う記録義務につきまして、直ちにその違反について断定することは困難であるというふうに思っております。
#157
○長田委員 いま御答弁がありました一月十日、第一回漏洩がありました。そして一月十四日に四カ所溶接をやっていますね。その後、コーキングをやっていますね。この間商工委員会で私、やったでしょう。そして、そういうような経過がありまして、いま電気事業法第四十六条では、発電用原子炉に係る格納容器それから機械、器具などを溶接する場合、通産省令で定める溶接の工程ごとに大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ使用できないというふうになっているのですね。そうでしょう。違いますか。
 今回の事故の中で、この電気事業法第四十六条違反と見られる無断溶接が一月十四日に行われています。これについては違反じゃないのですか。簡単に答えてください。
#158
○石井政府委員 ただいまの答弁で一番最初に申し上げましたとおり、四十六条の構成要件に該当するというふうに判断しております。
#159
○長田委員 そうしますと、法律的な違反が明らかですね。
 そうなりますと、このような違反にもかかわらず、どうして告発できないのか、この点どうでしょうか。
#160
○石井政府委員 ただいま申し上げました四十六条違反につきまして、構成要件該当性があることは確かでございます。私どもはそう考えておるわけでございますが、この違反が直ちに構成されるのかどうか、これはむしろいろいろな事情があろうかと思います。たとえば、溶接検査を受けますのが受注をした機械メーカーが溶接検査を受けているという慣行、そういうようなことをどういうふうに秤量するかという問題がございますが、いずれにいたしましても、構成要件に該当していることはきわめて濃厚であるという判断でございます。
 そこで、ただいま長官からもお答え申し上げましたが、私どもとしまして今回の一連の事故を総合的に評価いたしました場合に、そのような法律違反ないしその疑いをもたらすような日本原子力発電株式会社敦賀発電所の保安管理体制が根本的にまずい、これがきわめてずさんであり、それに起因いたしまして事故対応が非常にまずかったというところが根本的な原因であるというふうに考えておるわけでございます。
 したがいまして、こういうような根本的な原因にメスを入れて十分な反省をしていただく、それには単に違反状態あるいは漏洩原因の撤去、こういう問題を将来にわたって是正するだけではなしに、過去のそういう保安規定違反その他ずさんな管理体制に制裁を加え、かつ十分に反省をしていただくという意味において、原子炉規制法に基づきます原子炉停止命令を出そうという決断をしたわけでございまして、したがって、私どもとしては、これによって最も厳しい制裁が科されたものというふうに判断しておるわけでございます。
#161
○長田委員 そういう発言はどうも理解できませんね。この違反につきましては、会社側も記者会見の場で認めております。それにもかかわらず通産省は明確に指摘できない、なおかつ告発できない。この点、私はこの問題については非常に納得できない。
 刑事訴訟法第二百三十九条によりますと「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」このように明記されております。この条文をどう解釈しますか。長官、どうですか。
#162
○森山(信)政府委員 刑事訴訟法二百三十九条との関係でございますけれども、公務員が職務の執行に当たりまして犯罪の事実を知ったときは告発しなければならぬわけでございますけれども、それにかわります救済措置を別途講ずることがあればその義務は免除されるというのが私どもは通説だというふうに理解いたしております。
 そこで、今回の事故をただ単に見逃したということであれば、まさに御指摘のとおり刑事訴訟法に違反するということになりましょうけれども、先ほどお答え申し上げましたとおり、行政罰といたしまして原子炉等規制法に基づきます最も強い行政処分をしようということは、日本原電敦賀発電所が起こしました事故に対します十分なる制裁措置をとっているというふうに私どもは理解いたしておりますので、その点につきましての整合性はとれているというふうに判断をしておる次第でございます。
#163
○長田委員 通産大臣、いま話がありましたけれども、この問題については人間の生命がむしばまれる、生命にかかわる問題なんです。その問題を私たちは事重大だと考えているのです。まあ初歩的なミスでありながらあるいは操作的なミスでありながら、しかし、人命に与える影響というのは全く同じなんです。
 そこで、通産省は常に電力の問題、この需要に対して原子力しかない、石油も高い、したがって原子力に依存せざるを得ないというような考え方を披瀝される。私たちもそういった事態を一応は理解できるわけでありますけれども、しかし、このような原子力に対する物の考え方は非常にずさんであるし、そうしてまた処分にしても非常に甘い。これでは国民は、通産省のこのようなあいまいな態度を納得できないと私は思いますよ。報告義務をきちっとやっていない、なのに告発できない、行政処分をやったというようなことで常に事足れりという態度でやっておる。通産大臣、その点どうですか、あなたは責任者ですから。こんなあいまいでいいんですか。
#164
○田中(六)国務大臣 まあ、あいまいな処罰だとおっしゃっておりますけれども、先ほどから私どもの言わんとするところは、別に告発を避けたわけではなくて、告発も処分の中の一つ、それから運転停止処分も処分の中の一つで、それを原子炉等規制法による行政処分ということで、一度も抜いたことのない伝家の宝刀、六カ月の停止処分という厳正な処分をしたというまででございます。
#165
○長田委員 それでは、別な角度からいきましょう。
 原子力発電の事故につきまして、法律によって報告義務が課せられております。また、軽微な事故についても、先ほど答弁がありましたとおり、五十二年の通達によりまして報告されることになっておるわけですね。
 そこで、法律に基づくものと通達によるもののまずその事故数、五十年度以降どのようなふうになっておるか、ちょっと言ってください。
#166
○石井政府委員 お答えいたします。
 五十年度ということでちょっとまだ計算いたしておりませんが、これまでのところ四十一年以降百九十一件でございます。それから、五十年度以降ということでございますと百二十四件、ちょっと目算でございますので、あるいは後で訂正させていただきますが、百二十四件程度というふうに考えております。
#167
○長田委員 日本原子力発電株式会社敦賀発電所の事故を言ってください。
#168
○石井政府委員 五十三年度以降につきましての数字を申し上げさせていただきますと、日本原電からこれまで報告されましたものが十四件、その内訳は東海第一発電所一件、第二発電所六件、敦賀発電所七件でございます。
 事故内容に関しまして申し上げますと、すべて原子炉の停止を伴います事故でございまして、電気工作物の損傷による停止、その他送電系統の撹乱等外部要因による停止も含めました言うなれば原子炉の停止を伴う事故の件数でございます。
#169
○長田委員 それでは、私のところに資料がありますから、こちらで話しましょう。
 敦賀の事故は、四十四年一件、四十五年二件、四十六年八件、四十七年二件、四十八年はゼロで、四十九年三件、五十年二件、五十一年二件、五十二年四件、五十三年三件、五十四年二件、五十五年は五件あるのです。間違いないでしょう、どうですか。違ったら違ったと言ってください。
#170
○石井政府委員 ただいま先生御指摘の五十五年度に関しましては、五十五年度末で二件ということになっておりまして、今回の件を加えると五件ということになるのじゃなかろうかと思います。
#171
○長田委員 このように事故が毎年起きているんですね。この事故の内容を見ますと、敦賀に限ってきょうは申し上げますけれども、五十一年一月のは落雷による送電線トリップのための原子炉停止である。それから五十一年十月でありますけれども、やはりこれは落雷。それから定期検査による原子炉停止時、冷却系の配管にひびが入った、そのためにストップさせました。原子炉圧力検出器の誤動操作、操作ミスですね、それによって原子炉を停止させました。そういうようなことが主な原因でございまして、私は、今回の漏洩事故等に関する事件よりもまだまだ非常にこの件については軽いかなという感じがするのです。その点について、今回の事故と、いままで報告されたこのような法律によって定められた報告義務を負ったこの事故報告、どっちが重いんですか、軽いんですか。
#172
○高橋(宏)政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま挙げられました事故でございますが、いずれも発電停止ということで発電支障事故という分類で整理した。これは事故かどうかということは明らかでございまして、発電停止を伴う何か故障あるいは事故等によりまして発電がとまりますと、電気事業法に基づきます発電支障事故というものに相当いたしますので出てきたものだと思います。たとえば、そういう点で外部に雷が送電線に落ちまして、要するに負荷がなくなってしまって発電をとめる、そういうものも発電支障事故という分類に分類している、そういうようなものでございます。
 そういうことでございまして、今回の一連のトラブル、故障、事故等、そういうものとどちらが重いかという御質問でございますが、それにつきましてはやはりケース・バイ・ケースで判断をせざるを得ないものと考えております。したがいまして、過去のたとえば外部に雷が落ちたのとどうかということになりますと、それは発電支障という意味では、雷が落ちて発電がとまるという、電気の安定供給という点からそういうものを事故として取り扱っている、そういうものから見ますと、電気の供給支障から見るとそちらの方が重いけれども、保守の方に関係しなかったから軽い、こういうようないろいろな評価ができるかと存じます。
 長くなりましたが、私どもはケース・バイ・ケースに判断すべきだと思っております。
#173
○長田委員 私が聞いているのは、安全性の問題をやっているのです。人命が一番重いじゃありませんか。電気の供給よりも人間の生命の方が重いのです。安全性の問題をやっているのです。安全性の上から見てどちらが重いか軽いかと聞いているのです。
#174
○高橋(宏)政府委員 電気事業法と申しますのは、安全と電気の安定供給と両方を目的といたしておりますので、ただいまお挙げになった数字の発電所の中にはそういうものが含まれている、こういうお答えをしたわけでございます。
 安全の面から見まして、たとえば配管のひび割れと今度の外部に放射性廃液が漏れたのとどちらが重たいか、こういう比較をしてみましても、たとえば配管の応力腐食割れ、午前中も御指摘ございましたけれども、これは一次系統の配管の応力腐食割れということで初期故障の一部ではございますけれども、設計あるいは材料上から見ますと一次系統におけるかなり重要な問題というぐあいに私どもは考え、すべての発電所を総点検いたしまして、該当配管を点検させると同時にかえさせた、こういう措置もとったわけでございます。
 今回は、そういうような原子炉本体に関する問題ではございませんでしたけれども、しかしながら、微量ではございましたけれども、一般排水路を通じて外に廃液が出たという意味では重要である。しかしながら、それは直ちに原子炉本体の安全設計概念には影響するものではない、こういうような判断もできるわけでございまして、比較はやはりケース・バイ・ケースだと思っております。
#175
○長田委員 私が言っておりますのは、このような法律で義務づけられた事故報告、これはきちっとなされておる。私から見れば、今回の事故から見ればやや軽いかなという認識をしております。そういう点で、今回のたとえば溶接をやった、それに対しても報告がない、あるいは許可を受けていない、こういうような道義的に許されないようなことについては、私は断固処置すべきだという主張なんです。この点についてはどうですか。
#176
○高橋(宏)政府委員 私どもも、個々の現象につきましてはいろいろと評価はございますけれども、本件は一貫して原電の安全管理体制がずさんであった、そこからこういう問題が派生してきておるということにつきましては、御指摘のとおりと思っております。
#177
○長田委員 敦賀発電所に対します行政処分については、六月十二日に開かれますところの聴聞会以後に実施されるという見通しのようであります。たとえば六カ月間の運転停止の場合、定期点検検査中を除くのか。また、施設の改善等が完了してから六カ月間運転を停止させるのか。この点はどういう基準でしょうか。
#178
○石井政府委員 原子炉の停止命令に関しましては、聴聞その他の所定の手続を経ましてから命令を発出する予定でございまして、その間停止命令期間と申しますのは、その命令が発効した時点からでございます。したがいまして、いま御指摘の現に四月以降原子炉の作動はとまっているではないかということでございますが、私どもとしては、これが定期検査中であるか、あるいは本件のケースの場合でございますと、五月十八日に会社側に漏洩原因その他についての完全な撤去及び一般排水路の完全遮断その他の改善措置を命じておるわけでございますし、さらに過去の総ざらいをいたしました上に立って保安体制の再構築を指示いたしておるわけでございます。そういったもろもろの改善事業、工事というものが行われるわけでございますが、私どもとしましては、これはあくまでも制裁期間であるという判断でございまして、たとえ仮にその間に定期検査が終了し、あるいは改造工事が終了しようと、それは運転を許さない期間であるというふうに考えております。したがって、六カ月間は命令としてとめざるを得ない状態を構成しているという意味において、私どもは、工事の期間と直ちにリンクするものではないというふうに考えております。
#179
○長田委員 発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令第三十条には、廃棄物処理設備について「放射性廃棄物以外の廃棄物を処理する施設と区別して施設すること。」第三番目には「放射性廃棄物が漏えいし難い構造であり、かつ、化学薬品等により著しく腐しよくするおそれがないものであること。」このように規定しておるわけでありますけれども、通産省は検査時において、日本原子力発電から図面の提出を指示していればこのような事故は絶対なかったんじゃないか、未然に防げた、こう私は考えるわけであります。
 そこで、さきに述べました省令について忠実な検査がなされていなかったということは事実のようですね。この点についてはどうですか。
#180
○高橋(宏)政府委員 御指摘のように、私どもが工事計画の認可を行い、あるいは検査を行います際の一つの合格基準が、先生が御指摘になりました発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令の三十条でございます。
 私ども、今回のことの経験にかんがみまして、いま御指摘になりましたこの省令の区別して設けることという表現につきまして、あるいは漏洩しない構造であるという表現につきまして、実はこれで従来やってきておったわけでございますけれども、これでは不十分だという感を深くいたしております。
 この「区別して」というのはどういう区別の仕方をするか、たとえば放射性廃棄物の処理建屋の下にあるような場合に区別したと言うべきかどうか。一言で言いますと、これはそういうものを離しておくというような具体的な決め方の方がいいんじゃないかという気もいたしております。
 次に、もう一つの問題は、認可及び検査をする際に図面とか書類をとるわけでございます。書類審査によって設計審査をし、その設計書を検査の際の中心にして行うわけでございますが、その際にとればよかったじゃないかという御指摘がいまございました。実は、とればよかったわけでございますが、いまの法律上あるいは省令では、そういうものを添付書類としてつける義務が書いてございません。そのために今回そういう見落としと申しますか、審査し得なかった、あるいは検査の際に検査し得なかったという事実がございます。したがいまして、これも今回の経験を踏まえまして、こういうものを審査しあるいは検査ができるような添付書類、説明書等をとるように改正いたすべく、現在検討いたしております。
#181
○長田委員 先月、エネルギー小委員会が開かれた際に、中川福井県知事が、原発の安全行政について地方自治体にも権限を与えてほしい、こういう強い要望がございました。今回の事故の発端となったのも、福井県が毎月行っておりますモニタリング調査で発見されたわけですね。本来、通産省が監督官庁でありますから、そういうサイドで発見するのがあたりまえなんです。ところが、いわゆる何の権限もない福井県のそのような行政の面から発見されたということなんであります。こうした面から見ましても、地方自治体がいままで行ってまいりました原発に関する安全行政について、もっともっと国が理解しなくちゃいけないんじゃないか、あるいは権限を持たせなくちゃいけないんじゃないか、そう私は考えるわけでありますが、その点どうでしょうか。
#182
○森山(信)政府委員 今回の事故を契機にいたしまして、従来からもお話のございました地方自治体に対する権限移譲の問題が大きくクローズアップされたわけでございます。
 そこで、いま御指摘のようにエネルギー小委員会におきまして、福井県知事からそういう御要望が出されまして、私どもも現在慎重に対処しているところでございます。
 考え方といたしますと、権限を付与するということは逆に責任も負っていただくということでございまして、その辺がうまくリンクをできませんと大変な問題になりかねませんので、そういう問題を含めまして、つまり原子力の安全に関する問題は大変高度な知識を要求されるものでございますので、そういった点で、逆の意味で、むしろ大きな責任だけが行くようなかっこうになりましても申しわけございませんから、そういう点を踏まえまして、どういう方策をとるのが最もよろしいかという点につきまして現在慎重に検討している最中でございます。
#183
○長田委員 特に各電力会社と地方自治体、この場合は福井県ですね、福井県が結んでおります安全協定、これは紳士協定でありますけれども、法的根拠をぜひ与えてほしい、そういう要望が強く出されました。そういう点で、国が立入検査を行う場合、県の担当職員が同行できるようにするとか、あるいは安全監視体制の面で大きな前進をさせなければならないと私は考えておるわけであります。この点についてはどういう見解を持っていらっしゃいますか。
#184
○石井政府委員 いま長官が御答弁申し上げましたように、地方自治体との連携強化方策の一環として検討さるべき事項であろうかと思いますが、ただいまの段階で、これは若干個人的な感触になりますが、立入検査と申しますのは、ある行政目的遂行のための立入検査でございまして、私どもとしましては、その一連の立入検査結果を総括いたしまして、それを総合評価して事故原因の究明その他対応策の確立に使うという観点から立入検査を行うわけでございますが、こういう過程におきまして自治体の御協力が得られるということは、私ども非常に結構なことではなかろうかと思う反面、毎日毎日の検査の結果を県として直ちにどう取り扱うのか、その情報の処理の仕方については、県サイド、地方公共団体としてもいろいろ悩むところがあろうかと思います。そういう意味において、幾つかの問題がございますが、連携強化を具体的に進めるべく検討を進めているところでございます。
#185
○長田委員 スリーマイル島の事故がありまして、あれは五十四年だったですか、運転管理専門官というのが派遣されるようになりました。この専門官というのは、御存じのとおり何の権限もないのですね。たとえば会社側で事故が発生した、そういう場合のみしかいわゆる立入検査といいますか実態調査ができない。運転管理専門官というのは、いわゆる会社の報告をうのみにするしかない。そういう点では、権限も何にもない、非常に形式的な専門官である、私はこのように見ているのですが、この点はどうですか。
#186
○石井政府委員 五十四年三月のスリーマイル島の事故に徴しまして、昨年度から発足いたしました運転管理専門官につきましては、いま御指摘のように、一般的指導監督行政の一環といたしまして、電力会社の保安規程の遵守を指導監督するという役割りを務めておるわけでございますが、それの具体的な業務遂行といたしましては、いま先生御指摘のように、特定の権限に基づいた監督、監査ではございませんので、基本的には電力会社サイドからの報告をもとにしまして、要すればその報告から必要な書面のチェック、さらに現場の確認等といった形で、日々の運転状況及び保守管理状況についてこれを把握するという形で現在行われておるわけでございます。
 御指摘のように、今回の事故にかんがみまして、専門官制度について再構築を図る必要があると判断いたしております。具体的にまだ要領等の設定ができておりませんが、一つは、会社側の保安規程の裏づけを持って専門官に対応すべき役割り及び専門官に提示すべき書類の提示義務、こういったものを課する。専門官につきましては、具体的に日常点検すべき書類の範囲を確定し、またその業務方法を要領をもって確定するという形におきましてその再構築を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
#187
○長田委員 地方自治法の第二条には「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること。」とありますように、地方自治体が原発の安全行政に関する監視権といいますか、監視権や立入調査権を持つことは当然だろうと私は思うのです、こういう地方自治法の精神からいっても。また、これについては去る五月十二日に参議院の地方行政委員会におきまして、自治大臣が明確に、地方自治体にも権限を与えるべきだと答弁をされておるわけであります。この点について、重ねて通産大臣、見解をお尋ねいたします。
#188
○田中(六)国務大臣 地方自治体にもこういう原子力発電所をチェックする権限を与えるべきだということは前からも言われておりますし、今回の事故では特にまたそれが主張されております。しかし、先ほどから事務当局が答弁しておりますように、非常に高度な、しかも全般にわたることになりますと、やはり高度な技術を要するわけでございまして、その適用を一般論として日本全国の原子力発電所に推し広げるということに対する疑問があるわけでございます。しかし、現在でも地方に権限がないということは言えないわけで、私どもいろいろな相談をして、地方自治体の意見を十分入れなければ設置できないシステムになっておりまして、これを無視していろいろな原子力発電所の設置あるいは維持管理というものはできないわけでございまして、私どもとしては、いまの程度でいいのじゃないかというふうに思っております。
#189
○長田委員 大臣、この間もエネルギー小委員会で県知事が言っておりましたけれども、設置のときには相談にあずかります、ただ維持管理という点については全くつんぼさじきです、こう訴えておったのですよ。それでいいのでしょうか。
#190
○森山(信)政府委員 ただいま大臣が御答弁申し上げましたことを若干補足いたしますと、いま大臣が答弁されました趣旨は、それぞれの原子力発電所の所在地におきまして自治体との間に協定を結びまして、立入検査等につきましての取り決めをしているわけでございますので、そういうシステムをベースにいたしまして事を判断していけばよろしいのではないか、こういう趣旨の御答弁を申し上げたというふうに私は理解いたしておる次第でございます。
 したがいまして、自治体の介入を全く排除しているわけじゃないわけでございますので、そういういまのシステムをベースにどういうふうな拡大を図ったらいいのかというようなことを現在検討中という意味に御理解いただければありがたいと思う次第でございます。
#191
○長田委員 それでは、時間が参りましたから最後に。
 中川福井県知事は、現在国で一元化されておりますところの原子力行政、この矛盾を指摘しておったわけであります。原発の推進と安全管理体制が同じ省庁で行われている点を指摘いたしておりました。いわば車で言えば、アクセルを踏むのとブレーキを踏む人が全く同じである、そういうことで、事故の最大の要因というのはやはりそこにあるのじゃないかということを実は言っておりました。そこで、このような機構を改善することが今後の大きな課題である、私は、それ以後いろいろ考えてみまして、そういう感じがいたします。これについて通産大臣の見解をお尋ねいたします。
 それからもう一点、最後になりますけれども、今回の補償問題であります。敦賀発電所の事故について、県民初め周辺地域の住民にとって多大な損害が出ておるわけですね。漁業関係者にとっては魚価の著しい暴落、それから民宿等の観光関係者にとっては旅行客のキャンセルなど、各方面に影響を与えておるわけであります。このような事態に対する補償問題については会社はどのように取り組んでおるのか、そのことについて通産省はどのように指導されておるのか、最後にお尋ねをいたします。
#192
○田中(六)国務大臣 漁業組合と日本原電とは協定がございまして、その補償を行う話を進めております。それからその他の、シーズンに海水浴場に人が来ないとか観光客の問題とか、品物が売れないとか魚が売れないとか、とれないとかいうようなこと、これなどにつきましても、県、市、それから日本原電と話し合いを進めておりますし、そういうことについてのトラブル、もつれないように私どもは十分監視すると同時に、行政指導をしていかなければならないということを感じております。
 それから、アクセルを踏むのとブレーキを踏むのが同じ通産省、それはいけないんじゃないかということでございますが、一つの自動車にアクセルとブレーキがあるように、やはり同じ者が別々にこれを踏まなければそれこそ大変なことになるような気がしますし、私どもは十分その点を勘案していかなければならないというふうに思います。
#193
○長田委員 終わります。
#194
○野中委員長 横手文雄君。
#195
○横手委員 私は、日本原電敦賀発電所の事故問題について御質問を申し上げます。
 本日もまた多くの方々が発言をされ、その内容も明らかにされつつあります。今回の事故の責任は、何といっても第一義的には事業者に帰するものであり、したがって通産省、エネルギー庁として厳重な対策を打ち出しておられるところであります。しかし、原因は究明をされても、処分は行われても、現地には深い深い後遺症が残っております。福井県、特に敦賀市とその周辺町村は、やり場のない憤りがまだまだ渦巻いている現状にあります。私は、国のエネルギー政策に協力し、安全について会社と国を信じてきた現地の人たちの胸の痛みを感じながら、幾つかの問題を提起し、御質問を申し上げます。
 科学技術庁は、去る五月十九日付で放射能漏れに係る影響評価を発表されました。その内容は、食用の魚介類及び海水からは放射能による汚染は検出されなかった。浦底湾において一部から今回の事故の影響と見られる微量の放射能が検出されたが、そのレベルは毎日摂取したとしても許容量の一万分の一以下で人体への影響はなかった。そして最後に、今回の漏洩放射能による周辺公衆への影響は今後ともないと判断すると発表されたのであります。
    〔委員長退席、渡部(恒)委員長代理着席〕
にもかかわらず、約一カ月近くにわたりまして新聞、テレビはこのことを大々的に報じ続け、大変な社会問題に発展いたしました。
 もとより、原子力発電所における事故隠しや安全管理の不徹底は許されざるところであり、社会の糾弾を受けなければならないことは当然であります。しかしながら、事故そのものによる環境への影響がほとんどなかったにもかかわらず、きわめてセンセーショナルに取り扱われた結果、社会的インパクトが大きく、原子力発電に対する恐怖に近い印象を与え、さらに残念なことは、敦賀市とその周辺に対し、放射能汚染区域で住むのも恐ろしいような印象を与えてしまったことであります。私は、今回通産省がとられた報道関係者に対する発表のあり方に問題があったと指摘せざるを得ません。
 福井県の報道関係者に聞いてみましても、四月十八日、記者の方々は午前二時前後に起こされております。そして、敦賀において放射能漏れが起こった、午前五時に記者発表が行われる、直ちに現場に走れということだったそうであります。午前六時、現地の上空は報道陣のヘリコプターが飛び交っておりました。原発反対運動の人たちはいち早くこのことを知り、朝一番の列車で現地へ乗り込んだのであります。これはセンセーショナルに扱わない方が無理だと言わざるを得ません。まず、この点について通産省の御見解をお伺い申し上げます。
#196
○森山(信)政府委員 私どもの基本的な考え方は、原子力に関します事故が起こりますとこれを公表するというのが、ひいては国民の皆様方に原子力の安全性を御理解いただける近道である、こういう基本的な認識を持っておる次第でございます。したがいまして、これまでも報告されました事故に関しましては細大漏らさず、いわゆる報道陣の方々へ公表をし続けてまいったわけでございます。
 そこで、今回の事故に関しまして、ただいま先生から、早期の発表がまことにセンセーショナルな結果に終わったのではないかという御指摘につきまして、私どもは、いま申し上げましたように、事故はできるだけ早く公表するという基本姿勢からそういう措置をとったわけでございますし、加えまして敦賀発電所におきましては、一月に二回にわたるいわゆる事故隠しと言われる事件が起こったわけでございます。そういう点を踏まえまして、できるだけ早くそういった事実を報道する必要があるという観点からああいう時間の発表に踏み切ったわけでございます。結果的にそれがセンセーショナルに扱われたことに対しまして、私どもはまことに遺憾、残念に思っておるわけでございますけれども、私どもの気持ちは、冒頭に申し上げましたように、原子力に関しますことはすべて公表することによりまして、国民の皆様方に信頼をしていただくという基本姿勢を持っておるわけでございますので、その点をぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#197
○横手委員 私は、報道について管制をしけとか、そういうことを言ったのではございません。先ほど申し上げましたとおり、科学技術庁の放射能漏れに係る影響評価ということはかくのごとく発表されたのであります。
 これを見ますと、一体全体何もなかったのに――環境汚染に対しては何もなかったと書いてあるのであります。しかし、あの騒ぎは一体何であったろうかということ。冒頭に申し上げましたように、現地の人たちにしてみれば、まことにもって行き場のないような気持ちであるということを申し上げる次第であります。報道は直ちに活字になり、あるいはテレビによって、たちまち茶の間に広がってしまいました。
 私は、いま申されたようなこと、基本的にはそれを是としなければならないと思いますけれども、与える影響について、特に私は、今回の発表に当たって事故の程度を勘案しつつ、国民にもっと知ってほしいことをわかりやすく、適確に発表すべきではなかったかというぐあいに思うわけであります。
 たとえば当日の新聞の第一面は、放射能汚染、通常の十倍あるいは百倍、一万ピコキュリー、こういった数字が次々と並んだのであります。しかし、これではとても理解し得ない。私も先般、委員長と一緒に現地へ行ってまいりました。そして御承知のとおり、入りますときには、全身をガイガー器でかけてカウントするわけであります。出てくるときにも同じようなことをいたします。私どもでさえ、入るときと出るときと、そのカウントが二百か三百違ったらどきっといたします。しかし、あの人たちは、どうぞお疲れさまということで出していく。一体どれだけ違ったときに、ちょっと待ってくださいということになりますかと聞きますと、一万違ったとき、一万カウント違ったときにちょっとお待ちください、こういうことでございますということなんです。私は、こういった点について、現地の人たちと国民との間にそういった知識が大きく大きくかけ離れているのに、それらの数字が活字としてどんどん出されていった。テレビの画面にどんどんそれが出されていった。そこに、先ほど申し上げたように恐怖に近いものが生まれてきた。そして、あの地域にはもはや、極端なことを言えば、放射能が雨あらしと降っているのではないかというような印象さえ持たしてしまったということ、きわめて残念なことだったと言わざるを得ないのであります。
 したがいまして、アメリカのスリーマイル事故のときに発表が混乱をした、そのときにアメリカがとった処置は、アメリカのNRCのデントン部長を派遣をして報道の整理をしたと言われておるわけでございます。私どもは、こういった、いわゆる原子力の先進国であるアメリカのこのスリーマイルの事故に学び、これらの報道のあり方について、国民にわかりやすく、しかも事実をきちっと、科学的根拠に基づいてそういったことをお知らせすることが大変大事なことじゃないか、こういった点において、できるだけ早く発表をしたいという通産省のそのお気持ちよりも、最後に触れられましたように、こういった大きな禍根を残したというところにその責任があったと言わざるを得ませんけれども、いかがですか。
#198
○森山(信)政府委員 原子力の安全問題につきまして、私どもは、先ほどお答えいたしましたような基本姿勢を持っておるわけでございますけれども、今回の発表に際しまして報道関係の方々に対しまして、最もわかりやすい発表の仕方をすべきではなかったかということを反省いたしておりまして、大変難解な専門用語がたくさんあるわけでございまして、それが国民の方々にどういう基準で受けとめられるかということにつきまして、もっと慎重な配慮をすべきであったという点を十分反省をいたしている次第でございます。
#199
○横手委員 強く御指摘を申し上げたいと思う次第であります。
 次に、国の安全管理指導体制について御質問を申し上げます。
 先般、大臣は現地へお入りになりました。福井県知事は、国の安全管理指導に信用できなくなったと述べておられました。原子力発電所建設の際に、住民の不安にこたえて国が答えたのは、安全管理については国が一元的責任を持ちますという約束をされたのであります。そして、スリーマイルの事故が起こった。このときに、再び住民の皆さん方から、私のところにあるあの原子力発電はという心配に対して、日本では起こり得ない事故であります、しかし念のために国としても、現地にこれからは専門官を配属いたしますと言って、配置された。しかし、今回の事故は起こったのであります。
 森山長官は、四月二十四日の本委員会における集中審議の中で、運転日誌の件についてその答弁の中で、「ただいまの先生の御指摘は大変大事な問題でございまして、私どもの専門官の名誉にかけて申し上げますと、三月八日時点及び四月十八日時点で詳細にチェックさせておりますが、記載はございませんでした。」こういう御答弁をなさったのであります。私は、事実としてあるいは国会のやりとりとして、それは一応納得できる点もございますけれども、現地の人たちから見れば、安全については国が一元的な責任を持ちます、スリーマイルが起こった、現地に専門官を派遣いたします、どうぞ御安心くださいと言われていたその国が、その会社のミスは、名誉にかけて専門官は聞いておりませんでしたという、開き直りにも似たお気持ち、発言に対して大変な疑問を持つわけでございますけれども、いかがでございますか。
#200
○森山(信)政府委員 私が答弁いたしました、いま御指摘の点につきましては、いまでも運転管理専門官の名誉にかけてそういう事実がなかったということを考えております。これは、言わんとします趣旨は、運転管理専門官が現地に駐在しておりまして全然そういう役割りを果たさなかったのではないかということで、運転管理専門官の責任になるようなことになりますと、私は行政を預かっております責任者といたしまして、まことに申しわけないことになるわけでございますので、そういう意味で運転管理専門官の立場を申し上げたわけでございまして、ただ問題は、その運転管理専門官の制度そのものがまだ機が熟してなくて、今回のような事件が起こったことにつきましては、今後の管理体制のあり方を抜本的に改正しなければならぬという観点を痛感しているわけでございまして、重ねて申し上げますけれども、運転管理専門官の責任ではなかったということを私は申し上げたかった、むしろ行政の仕組みにそういう欠陥があったのではないかということを申し上げたかった次第でございます。
#201
○横手委員 私もそのことについては理解をいたしますけれども、いま申し上げましたように、現地においてはそういったことで受け取られて、国も企業も信用できないではないか、こういうようなことに発展してしまうということにつながる、このことを申し上げたいわけであります。
 大臣に確認をいたします。こういったことにつきまして、今回のこの事故は、先ほど申し上げましたように第一義的には会社の、事業者の責任であるということでございますけれども、いま申し上げてまいりましたようなことを含めて、国としても重大な責任があると感じておる、そのことについて大臣、いかがでございますか。
#202
○田中(六)国務大臣 今回の敦賀発電所の問題は、ずさんな管理体制ということがやはりどうしても浮かんでまいります。その上にまたこれに応ずる体制もうまくいってなかったということで、いままで原子力発電所の安全性を強調してきた私どもといたしましては、全く恐れ入る次第でございますが、今後とも安全審査、管理行政、そういうものについてずさんなことのないように行政指導をすると同時に、私どもも微細にわたって国民が安心できるように、安全運転、原子力発電所がうまくいくように、より一層責任を持って当たらなければならないというふうに思っております。
#203
○横手委員 ただいまの大臣のお言葉でございます。安全管理について国も責任を持ち、住民の皆さん方に安心していただける、こういった前提に立って行政を進める、こういう御決意をお聞きいたしました。そして、いま申し上げてまいりましたように、敦賀周辺の住民の人たちは、このことによって大変な迷惑を受けておるということであります。ならば、この人たちに一日も早く立ち直ってもらう、こういうことに対して国が大きなお手伝いをしなければならないというぐあいに考えておりますが、大臣、いかがですか。
#204
○田中(六)国務大臣 現地に参りましたときに、横手委員と同様な質問がありまして、私もそこでお答えしたわけでございますが、漁業の問題あるいは観光客あるいは旅館の問題、私どもが考えも及ばないような細部にわたってのいろいろな被害の現状があるわけでございます。こういうものについては、日本原電との交渉を私どもも確実に厳正に見守っていくと同時に、そこにそごを来すようならば、私どもも口を入れて、それがうまくいくようにしなければならないと考えております。
#205
○横手委員 私は、地元住民の皆さん方の要望にこたえていく、そのためには二つの大きな問題があると思います。
 一つは、失われたイメージをいかにして回復をしていくかということ。そして、その風評によって損害を受けられた人たちに対していかに補償をしていくか、このことであろうと思います。
 まず、イメージダウンに対するイメージアップの問題について御質問を申し上げます。
 福井県、とりわけ敦賀市及びその周辺に対するイメージは、先ほども申し上げてまいりましたように著くし傷つけられたのであります。このイメージ回復のために、国は今後ともに大きな力を地域のためにかしてあげなければならないと思います。五月十八日、大臣が敦賀をお訪ねになられた際にも、敦賀市長から具体的な問題が提起をされておりました。先ほど来話が出ておりましたように、海産物の市場における入荷拒否あるいは買いたたきによって魚介類の大暴落、あるいはまたそのイメージダウンの例として、当日敦賀市長が、笑い話にもならないようなことだがと言って怒りを込めて言っておられたのは、観光バスが敦賀市を通過するときにバスガイドが、皆さん敦賀市でございます、窓をお閉めください、マスクをお持ちの方はマスクをかけてください、こういう案内をする。観光バスのガイドさんは、お客さんを退屈させないために多少オーバーな表現をされるのでございましょう。あるいはまた、この話も市長から出ておりましたけれども、敦賀市からお嫁に行く話ができておった、しかし、放射能をかぶった敦賀からは考え直すということで婚約の破棄があった、こんなことも訴えておられたのであります。
 先般、敦賀市の隣接町でございます美浜町の皆さん方が私のところへ訪ねてこられました。そのときに町の方が、これから岩手県に行きます。こういうことであります。何しに岩手でございますかと言うと、美浜町は山林の手入れをするのに、下払いをしたりあるいは間伐をしたり、そういうために岩手県から多くの人たちを頼んでおられるのだそうであります。ことしの春から来ていただいた。田植え時期が来た。田植えが済んだらまた来ますということで帰られた。その間にこの問題が惹起した。したがって、あんな恐ろしいところにはもう行きませんと、幾らあっせんをしてくださった人に電話で話をしても、その人が話をしてもだれも腰を上げてくれない、だれか現地から来て詳しい報告をしてくれなければもうどうにもならぬ、こういうことで私はいまから岩手県に行ってまいります、こういう話を聞いたわけであります。まことにはかり知れないイメージダウンであります。このイメージダウンのためにいま各市町村ともに職員の方々が、あるいは観光業者の方々が京阪神地方をお回りになっております。そして、去年も来てもらった観光あっせん業者に対して、どうもありませんからどうか来てください、こういうことで頼みに回っても、お客さんがそっちに回すなと言われるのだからどうにもなりません、こういうことで断られておる。
 御承知だと思いますけれども、敦賀市は五千万円の予算をもって全国の新聞に対して、影響はありませんでした、どうぞおいでくださいという新聞広告を出しておりますけれども、焼け石に水のような状態でございますし、これからもまた二、三千万円の予算を組んで観光業者あるいは民宿業者の皆さん方に、あっせん業者じゃなくて去年来てもらったお得意さんのところをもう一遍回ってこい、こういうことで名誉回復のために走り回っておる、こういうことを言われておるわけでございます。あるいは日本原電も各自治体をおわびに回りながら、イメージアップに対する市町村のそれらの活動に対して何か手伝うことがあったら言うてください、こういうようなことで回っておられるようでございます。
 国として、このイメージアップに対していかなる対策がございますか。
#206
○石井政府委員 政府としてとるべき措置でございますが、今回の敦賀発電所の事故は、幸いにも周辺環境に対する影響がなかったことが判明いたしておるわけでございますので、今回の事故に関する正しい情報を広く一般に提供すること自体が、敦賀市及び周辺のイメージ回復につながるという意味において重要ではなかろうかと考えておるわけでございます。
 そういう観点から、これまで関係都道府県及び市町村に対します説明会の実施等の措置を講じてきておりますが、さらに私どもとしては、政府の持てるマスメディアを通じます広報対策につきまして、現在、担当省でございます総理府と手続について協議中でございます。できるだけの持てる政府広報の手段をもって、この事故に関します原子力安全委員会の評価及び今後の原子力行政の改善方策につきまして周知広報を図ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
 それから、私どもといたしましては、広報・安全等対策交付金等の活用によりまして、さらに敦賀市あるいは周辺市町村が行いますイメージ回復措置につきましてできる限りの支援はしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#207
○横手委員 今日まで各県あるいは市町村の自治体に対して広報活動を行ってきたという御答弁でございますが、どこどこにお行きになりましたか、ちょっと教えていただけませんか。
#208
○石井政府委員 ただいまのところサイトを中心で動いておりますが、これまでの説明会の実施は、島根県及び現在北海道でやっておるところでございます。これはむしろ基本的に原子力発電関係の所在県に対する広報でございますが、先生御指摘のイメージ回復と申しますと、やはり敦賀市の経済圏域と関係がございます近畿諸地域を中心としたマスメディアによる広報が必要ではなかろうかという判断から、先ほどの政府広報の手続を進めておるところでございます。
#209
○横手委員 私が御質問申し上げておるのは、いまお答えになりましたように、先ほど幾つかの例を申し上げました、そういった話、聞いた話を並べれば切りがないわけであります。特に大臣のお耳に入りました話をいまこの席で申し上げたわけであります。したがって、それだけのイメージダウンを受けてしまったここに対して国は何をなされましたかという質問に対して、県、市町村をそのために回ってまいりましたという御答弁でございますから、どこへ行かれましたと言ったら、島根、北海道、こういうことで、原子力発電所のあるサイトのところへ行って今回の事故の説明をされたにすぎないじゃありませんか。敦賀というところは大変なところだ、あの周辺はもう海水浴にも行かないというイメージをつくってしまった、この問題に対してどうしてもらえましたかということをお伺いを申し上げておるのであります。
#210
○石井政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、政府の持っておりますマスメディア関係の手段を、五月十九日、エネルギー閣僚会議報告直後総理府に持ち込みまして、現在テレビ、新聞等によります広報の実施方について手続を進めておるところでございます。
 このほか、日本原電に対しましては、現実に地元に対する御迷惑ということを考えますと、これまで起こってきた被害はいずれ考えなくてはいかぬ問題でございますけれども、これから起こる被害を最小限にすることが必要であるという判断で、地元市町村及び観光連盟等が実施いたしますPR対策に十分協力するようにという指導をいたすと同時に、私どもといたしまして、現在交付いたしております広報・安全等対策交付金につきましても、いままでの自治体の受け取り方が、きわめて使途がシビアに過ぎて使いづらいというお話もございましたが、これを弾力的に対応し、要すれば金額等についてもできる限りの御支援をするという方向で検討する旨を敦賀市の方にも申し出ておるわけでございまして、そういう具体的な手段を通じまして、地元が行います広報対策への御協力とあわせて、政府自身の手によります広報対策を着実に実施に移したいというふうに考えておるところでございます。
#211
○横手委員 私は、現地の皆さん方の心を体して申し上げるならば、まさに隔靴掻痒の感であるというぐあいに言わざるを得ません。
 恐らく通産省にも、各観光業者の皆さん方がイメージアップのために何らかの処置をということで御陳情に行かれたことでございましょう。その話を聞いておられるのでしょう。われわれも聞いておるのです。あっせん業者のところへ行ったら、私のところで皆さんの方向へバスを向けようとしてもお客さんがノーと言われるから、私のところではどうにもなりませんと言われる、したがって去年の名簿、おととしの名簿を繰って、来てもらったその会社を訪ねていく、そうすると、何ともありませんと言っても信用してもらえません、一カ月間にわたって敦賀の放射能漏れということで書いて書いて書かれたその結果、言ってみても、何にもなければ新聞にあんなことを書くはずがない、あんたら上手を言っておるのでしょう、こういうことです、私らのふんまんをどうすればいいのでしょうかということを訴えておられる。
 いまおっしゃったように、広報を出してみる、こういったものをいろんな機関に配ってみてもどうしようもありません。だから、ここは一番、国が全力を挙げて、あれだけの事故があったけれども環境に対する汚染はなかった、こういうあの新聞報道に匹敵するくらいのことをやってください、これが現地の声であり私自身の気持ちであります。原子力発電所の建設のために協力をしてきたその住民の人たちに、裏切られたというような気持ちを持たせたときに、これからの原子力行政は一体どうなるのでありましょうか、私はそのことを含めて訴えたいのであります。もっと前向きな、積極的な姿勢をお示しをいただきたい。
#212
○森山(信)政府委員 私もたびたび敦賀の関係の方々とお会いいたしまして、いま横手先生からお話のございましたような趣旨の陳情といいましょうか、お申し入れといいましょうか、そういうことを承っている次第でございます。私も全くお気持ちはよく理解されますし、そもそもいま御指摘のございましたように、今後の原子力発電の円滑なる促進のためには、いま敦賀のこうむっておられますイメージダウンをいかにうまく解決をしていくかということがキーポイントになりますので、御趣旨を体しまして積極的にやってみたい、こう考えております。
#213
○横手委員 これからも、具体的にどこまでお進めになったかというようなことも聞きに参ります。これは切実な問題であります。
 私ども自身も、また民社党の福井県連として、エネルギー問題を考える県民会議、こういったものをつくりました。そして、全家庭に入るような形で、私どもは原子力の問題そのものと同時に、あの環境に漏れた線量はどうであったか、ほかのものと比べればどういうことなのか、その事実を皆さん知ってください、こういうことでこのビラをまいたのであります。しかし、一定のところでは、なるほどそんなものか、こういったような評価、あるいは考え方を変えてもらったこともございますけれども、これによって福井県の皆さんですら、それなら安心だという気持ちになかなかなってもらえないというのが事実なんです。まして遠くの人たち、その事実を知らない人たちのイメージ回復をするのは容易なことではないというぐあいに考えております。
 いま、地域住民の皆さんの協力があってこそできることだ、こういう前提に立って積極的にやりますという御答弁でございますけれども、大臣の御決意を一言お聞かせいただきたいと思います。
#214
○田中(六)国務大臣 やはり原子力の安全性というものを強調すると同時に、今回の問題で敦賀市民、福井県民あるいは全国の人々に不信感を抱かせたことの払拭は、並み並みならぬことだと思いますけれども、すでに私ども安全宣言をやっておりますし、さらに九日には、中川科学技術庁長官、福田元総理などが敦賀に赴きまして、より一層、市民大会を開いて、原子力発電所の安全性の大会を開くと同時に、いままでこうむった心理的あるいは物理的な被害につきましても、政府も率先して十分これが解決に当たるということを言うわけでございます。ただ、言うだけでは問題でございますので、私どももこれから先も十分安全審査、管理行政というものについて、いままでより一層真剣に取り組んで、国民の皆様の信頼の回復と安全性の強化ということを心に決めて対処していきたいというふうに思います。
#215
○横手委員 大臣のお言葉を返すようでございますけれども、九日に計画されておるのは私も参りますし、私どもも一緒になって市民会議をつくっておるわけであります。あれは主としていま、反対運動の人たちが敦賀市で署名運動を始めております。そして、かなり集まるのではないかということが予測をされます。仮にその署名がたくさん集まったということになってくると、一号炉の永久廃棄、二号炉の建設停止、そして「もんじゅ」の建設停止、このことが自治体の市民の意思として決まるということにつながる。それでは日本の将来に対するエネルギーは暗い、だからわれわれとしても、そうではないという署名運動をやろうではないか、こういうことで市民連合を組んでやっておるという行事なんです。
 そのときに、当然この環境問題に対する話も出てまいるでございましょうけれども、私が先ほど来申し上げておりますのは、日本国じゅうのほとんどの人が、敦賀市を恐ろしいところだというイメージを持ってしまった、これをどうして挽回してくれるのですか、このことであります。
 先ほど御提案申し上げました、改めて申し上げますけれども、たとえば国が責任を持って全国の各紙に意見広告を出す、そしてテレビの時間を買う、こういうことをやってもらいたいということを含めておるということを申し上げたいと思います。
 余り時間がございませんので、次に参ります。次は、補償問題であります。
 今回の事故によりまして魚介類の廃棄とか観光地への立入禁止とかの事実は全くなかったにもかかわらず、しかも繰り返し安全宣言が出されていたにもかかわらず、先ほど来申し上げてまいりましたように、魚介類の入荷拒否あるいは買いたたきによる暴落、こういった被害、また敦賀地方の名産物でありますかまぼこ、ちくわ、コダイの笹漬、加工コンブ等々、これらの原料は敦賀湾とは全く関係がないにもかかわらず売り上げは極端に落ちてしまい、あるいはまた観光客は著しく減少し、業界は甚大な被害を受けたのであります。関係者に耐えがたい苦痛を与えてしまいました。会社側は国会に参考人として出席をし、損害補償について誠意をもって当たりますと述べておられます。あるいは政府も、五月十八日に出されましたこの「放射能漏洩事故について」のまとめの中で、四十ページに六項目として「当庁としては、以上のような措置とあわせて、日本原子力発電(株)に対し、地元における補償問題等に誠意をもって対応するよう指導することとする。」ということを述べられておりますし、大臣もまた現地でそのことを述べられておりますけれども、これに対する具体的な対策をお聞かせいただきたいと思います。
#216
○石井政府委員 現在、日本原子力発電に対しまして、福井県のほぼ全域から関係団体の補償の要求といいますか、被害の発生があった旨の通告がございます。これらにつきまして一応個別に対応はしたようでございますが、今後の具体的な被害額の認定、確定、その他本来補償されるべき性格のものであるかどうか、たとえば県漁連との間には、先ほど申し上げましたように、協定及び覚書に基づきまして、「原子力発電所の保守、運営に関連して被害を与えた場合には、これを補償するべく交渉を行う。」という覚書がございます。そういう観点からする現実的な両者間の話し合いの進展はいまのところまだ起こっておりませんが、そういう意向である旨は日本原子力発電から県漁連に対して申し出ておるようでございます。
 現実にワカメ等について若干の応急手当てが必要ということで、県漁連との間において具体的なその不足資金の補てん等の話し合いを進めておりますが、一応基本的には、福井県及び各市町村の指導を得ながら誠意をもって原電が対応するという方向で各団体にはこれまで対応してきておりますけれども、被害額の確定等今後現実的な話し合いが行われた上において、それぞれ福井県及び関係市町村の指導を得て具体的な解決策を決めていくということになろうかと思います。私どもは、その節々において相談にあずかっております。われわれとしても、県、市当局と十分連携をとって遺憾なきを期したいというふうに考えております。
#217
○横手委員 おっしゃるように、気持ちはよくわかる。そういった言葉の意味はよくわかるわけでございますけれども、現場の人たちにとりましてはそれがまだ現実に目に見えてこない、こういうことで大きな不満と不安があるということを御指摘申し上げます。
 私もよくわかりますが、これから被害額が出てくるというのもあります。したがって、補償の交渉といいましょうか、そういったものは長引くであろうということが予測をされます。地元でもそのことは承知であります。したがって、先回大臣が現地にお見えになりましたときに、とりあえず困ってしまった人たちに対する一時的な応急処置を、前渡し制度といいましょうか、そういった制度をとってもらいたいという要請がございました。大臣のそのお答えの中で、現地の人たちがかなり安心をされたような、その要望にこたえてもらえる、希望を持てるような答弁を大臣からいただいたわけでございますけれども、その件についての具体的な進捗状況、たとえば、本日福井県が発表いたしました原発事故関連中小企業対策特別資金というものは、限度額を一千万とし、期間三カ年で六カ月据え置き、金利七%、融資枠の総額は二十億、国庫が二億五千万、県が四億一千六百万円、これを金融機関で二倍協調して二十億、こういうことで六月八日から受け付けを始めるということでございますが、現地で前渡し金的な補償、そういったものをということで要請があったときに、先ほど申し上げましたように、大臣がそれにこたえるというような意味の答弁をなされましたけれども、現実にいまどこまで進んでおるのか。困った人たちがどこへ、いつまでに頼みに行けばいいのか、そういうことを含めて御答弁をお願いいたします。
#218
○石井政府委員 具体的事実でございますので、これまで掌握しております経過についてお答え申し上げます。
 いま一番具体的な問題として出てまいっておりますのは、敦賀市、越前町、三方町、それから河野村その他、全体で五市町村ございます。これにつきましては、それぞれの地域によりまして事情が異なります。たとえば三方町の場合のようにほとんど民宿が中心ということでございますと、事の問題点はいわば民宿を造成いたしました資金の返済問題についてどう対応するかという問題でございますが、そういう問題につきましては、敦賀市を除きましてはそれぞれ町村当局が具体的な話し合いに原電といま入っておるところでございます。
 それで、いま一つずつ申し上げるわけにはまいりませんが、具体的な解決方策を双方で出し合って現実の対応策を詰めておるのがいまの状況でございます。
#219
○横手委員 個々の問題についてはこの場ではということでございますが、その進捗状況はいま入り口に入ったところなのか、間もなくどこへ行けばどういう形で融資してもらえるというような形になるのか、そういった点についてもう少し突っ込んで答弁をお願いいたします。
#220
○石井政府委員 いま申し上げました五つの市町村に関しまして、すべて決着がついておるわけではございませんで、進行形の段階でございますが、一番進んでおりますのが三方町でございます。具体的な措置が間もなく出し得るような状況になるのではないか。ただし、これは町当局が実施されることに対する原電の協力でございますので、発表その他については町当局が行うということになっておるわけでございまして、そういう意味において個々の措置につきましては言及を差し控えさせていただきたいと思います。
#221
○横手委員 先ほど申し上げましたように、大臣に地元の皆さん方が大変熱心に陳情された。そして、大臣はそういうことを考えるということで、地元の皆さんに対して期待を持たせる御答弁をいただいたわけでございますが、国としてのそれに対する答えはいかがでございますか。
#222
○田中(六)国務大臣 現地で私が被害を受けたと言える人々の要請を、つまり陳情を受けたわけでございます。そのときに期待を持たせたじゃないか、それをいついつまでに、どこで、いつ、どれだけあるのか言えということでございますが、横手委員もおわかりのように、被害を受けた人々にはまずメンタルな、精神的なものに対する安堵感というものが先決だと思います。したがって、私もやみくもに申したわけではないのでありますけれども、まず安心感というようなこともございまして、私どもも一生懸命それをやりますということでございまして、いまたとえば観光客の問題にしても海水浴の問題にいたしましても、いまからの問題がかなり加味されておりますし、そういうものを、いろいろ各町のことでございますし、日本原子力発電株式会社との間の交渉がいま行われているところでございまして、いますべての見通しを言えということは非常に困難ではないかと思いますけれども、私どもは誠心誠意この問題の解決に当たるということは変わりありませんし、そういうふうに持っていきたいと思います。
#223
○横手委員 すでに時間が来てしまいましたので、これ以上の質問をする時間がなくなってしまいました。しかし、申し上げてまいりましたように、今回の事故によって地域の人たちは、持っていき場のないいら立ちを覚えておられるのであります。これを放置しておくようなことがあれば、国のエネルギー政策に協力してきた住民に対して、国家的裏切りと言わなければなりません。国は全力を挙げてこれにこたえていく、誠意の限りを尽くす、当然のことでございましょう。積極的な対策を切望し、そして住民の皆さん方に、万一のときには国もここまでやってくれたという安心感、そういうことを与えてあげるというのが、原電の今後の推進に対して、あるいは立地の確保に対する最も大きな問題であろうと私は思いますし、全国のそういった立地条件にある皆さん方は、この敦賀の措置、敦賀あるいは福井県民に対する、国がどれだけ責任を持ってこれの補償を行ったかということを十分に見ていることであろう、それを見てわれわれも考えさしてもらう、こういう気持ちが起こってくるというのは当然のことであろうと思います。
 そういった事情にかんがみ、私は、今後のエネルギー政策を進めていく、そのために原子力発電がその柱の大きな一つであるという事実にかんがみ、国の大いなる施策を重ねて切望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#224
○渡部(恒)委員長代理 渡辺貢君。
#225
○渡辺(貢)委員 今回の日本原電敦賀発電所における数次にわたる事故の重大性というのは、ある意味では通産当局はもちろん国民の中にも、改めて原子力発電所の安全性の問題について、いろいろの角度から不安やあるいは疑念なども表明をされているわけであります。
 そういう点で、五月十八日、資源エネルギー庁がまとめられました「日本原子力発電株式会社敦賀発電所における給水加熱器及び一般排水路放射能漏洩事故について」というこのまとめでありますけれども、このエネルギー庁がまとめたまとめの性格といいましょうか、これは大臣も現地を視察されているわけであります。当然事態の重大性にかんがみて大臣も視察をされたと思うわけでありますけれども、そういう大臣の視察、そうした御意見等も全体として含まれてこの報告書がまとめられているというふうに考えるわけでありますけれども、このまとめの基本的な性格についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
#226
○石井政府委員 五月十八日の報告書は、御承知のように、敦賀発電所の第四給水加熱器にかかわります一連の事故及び一般排水路に放射能漏洩がいたしました事故、この二つに関しまして、立入検査結果によって判明いたしました事実及び会社側の事情聴取並びにてんまつ書の分析によりまして、総合的に徹底的な原因究明をいたしましたわけでございますが、この原因究明を徹底的に行うということが第一。要するに、事故の経緯及び原因を明らかにすることが第一の目的でございます。それから第二に、その問題点の除去に関します会社側に対する諸措置の確定。第三に、今回の事故を教訓として踏まえまして、今後の安全審査及び管理行政にかかわる改善方向、これにつきましての通産省の見解を取りまとめたものでございます。
#227
○渡辺(貢)委員 この中に、三十八ページでありますけれども、「これらの保安規定の違反は極めて重大であり、原子炉等規制法第三十三条第二項第四号に基づき六カ月間同発電所原子炉の運転の停止を命ずることとする。」とあります。そうしたいまの基本的な立場に立って、こうした運転停止という行政措置をとられたわけだというふうに思うわけであります。
 この三十三条第二項第四号に基づいて措置をとられたと思いますけれども、この措置をとられる前提になる法律があると思うのです。何に違反をしたから、だから三十三条第二項四号に基づいて措置をとったというふうになると思うのですけれども、これは原子炉等規制法のどういう条文に基づいてこういう三十三条二項四号の措置がとられたのか、その点を、この中には明らかにされておりませんので、明確にしていただきたいと思います。
#228
○石井政府委員 原子炉規制法三十三条第二項四号におきまして、「第三十七条第一項若しくは第四項の規定に違反」した場合、この場合におきまして、第二項の本文から、一年以内の原子炉の運転の停止を命令することができることになっております。「三十七条第一項若しくは第四項」と申しますのは、保安規定にかかわる条項でございまして、第一項は主務大臣の認可を受けて保安規定を設定しなくちゃいかぬわけでございますが、第四項におきまして、原子炉設置者及び従業者は保安規定を遵守しなくちゃいかぬ規定が盛り込まれております。この第四項に違反した場合におきまして、第三十三条の第二項第四号に戻りまして原子炉の停止命令が出せる規定が掲げられておるわけでございます。
#229
○渡辺(貢)委員 つまり、第三十七条第一項及び第四項に基づいてということでありますが、これは法律で規定されている保安規定の問題であります。つまり原子力発電所の安全性を担保するということになると、こうした具体的な保安規定に違反をすれば運転を停止させることができる、つまり原子力発電所の生命にかかわる問題が保安規定の中には法制上きちっと条文として明記されているわけであります。そうなると、私は思うのでありますけれども、原子力発電所の場合に、こうした保安規定、安全管理を含めて、全体として原発の安全性、機能の発揮が可能である、こういうふうに私は理解をするわけです。
 ところが、この報告書の初めでありますけれども、こういうふうに書かれているわけですね。「いずれの事故も」、この二つの事故でありますけれども、「いずれの事故も原子力発電の安全管理にかかわる問題ではあるが、原子力発電の安全性の基本にかかわるような性格のものではないと考えられる。」こういうふうに初めに述べているわけであります。
 この初めの叙述と、具体的に日本原電に対して六カ月間の運転停止という行政措置をとられた、三十三条二項四号に基づいて。しかもその基本になる法律というのは、保安規定を明記している三十七条の一項あるいは四項であります。つまり、原子力発電所というのは初めから安全性があるわけではありません。どこかに安全性があるのではなくて、原子炉本体も含めてそれこそ人間の最高の科学的な水準、英知を結集しながら今日あらゆる面で保安規定もつくられている、あるいは施設や設備を設置する場合にも認可されるという安全のための措置がとられている。つまり、安全性ということと安全管理というのは原発の基本的な性格だ、安全管理がなくて安全性はあり得ないわけであります。そういう点で、この初めに書かれている認識というのは、後ほど叙述されている法に基づく具体的な行政措置との関係では大変問題もある。つまり、原発についての基本的な認識があいまいである、不明確であるというふうに私は考えるわけであります。通産省のそういう不明確な認識が、ある意味では今日のような事故を起こす一つの遠因にもなっていた、外的な要因でもあるというふうにも考えられるわけなのですが、その点についての御見解を承りたいと思います。
#230
○高橋(宏)政府委員 ここの文章におきましては、安全管理にかかわる問題であるという認識は御指摘のとおりでございまして、私どもがここに書きました次のフレーズ、安全性の基本にかかわるものではないという趣旨は、安全管理に非常に問題があったということでございまして、そういう対照的な意味で申し上げますと、ここで言っておりますのは、原子炉本体の基本的安全設計思想を変更する必要がある、そういうような性格のものではない、そういう趣旨で書いておるのでございます。
 原子力発電所は非常に膨大な放射能を内蔵いたしております。そういう危険を潜在的に持っておるのでございまして、その潜在的な危険性を顕在化させないための原子炉施設の安全概念、設計概念がございます。私ども、本件につきましては、放射能の内蔵量について言いますと、十の十乗と十の二乗くらいの差がこの廃棄物建屋にはございます。もちろん、微量たりといえども一般環境に放射性廃棄物が出たということは問題でございまして、その点についての厳しい措置と反省を踏まえまして今後の対策をとるわけでございますけれども、いま申し上げましたように、原子炉本体の安全概念を変更する、そういうものではない。しかしながら、それを含めまして、特に付属施設、周辺施設分野についての安全管理が一般環境に放射線を出さないという意味で大事だということは十分反省させられたわけでございまして、そういう点から今後の対策は厳しくとっていく、こういう姿勢でございます。
#231
○渡辺(貢)委員 それはやはりいささか正確さを欠いているのではないかと私は思います。原子力発電所でありますから、原子炉本体ということではなくて、発電所の機能そのもの全体を指して原子力発電所と言っているわけですね。どこかに原子炉がぼこっとあるということはないと思うのですね。そういう意味で安全管理、安全性という問題は、どこかに抽象的に安全性があるのではない、そこをしっかりと押さえていただきたいと思います。
 ですから、昭和五十三年に改正されました原子力基本法でもそうだと思うのですが、それまでは原子力三原則ということで、自主、民主、公開がうたわれておりました。改めて五十三年に法改正をして、「安全の確保」ということを第二条の中に明記をしているわけですね。それだけに原子力基本法の中でも安全の確保という問題が、これは人為的な仕事であります、どれだけ大事な問題であるか。つまり、五十三年というと、ある意味では第一次オイルショックも受け、さらに第二次に入る直前であります。エネルギー政策としても、政府としては原子力に八〇年代から九〇年代にかけて大きく依存しなければならない、そういうエネルギー政策の新しい展望の中で安全の確保ということを原子力基本法の大前提にしているわけですね。そういう点で、私はこの点を強く指摘をしておきたいと考えるわけであります。
 この点があいまいになりますと、最近のいろいろな発言を見ましても、閣議における渡辺大蔵大臣の、発表の仕方がまずかったから何か魚がとれなくなってしまったとか売れなくなってしまった、そういう話になってしまうわけですね。あるいは日本原子力文化振興財団の最近の雑誌によりますと、一々事故を全部明らかにしたら日本じゅうの原発は全部とまってしまう、こういうような極論さえ出てきているわけでありますから、本当にわれわれも原子力の平和利用は決して否定はいたしておりませんけれども、そのことがどれだけこれからの国民の長い歴史の上にとって大事であるかということを考えた場合に、あいまいにはできないわけでありまして、この点は改めて強調いたしたいと思います。
 そういう点で、安全の確保という基本的な認識の問題について、通産大臣の御所見を承りたいと思います。
#232
○田中(六)国務大臣 原子力発電所問題に対しまして、安全性の確保ということについての主張あるいは言い分は、私どもが幾ら言っても言い足りないことでございまして、これからも安全性の確保ということに眼目を置いて原子力発電所の推進に努めたいと思います。それが一般国民の信頼を得る理由にもなりますし、また安全性をより以上高める核心にもなりますし、そういう点は、従来もそうでございますが、今後とも安全性ということに、科学的にもPRにおいても中心を置いていかなければならないと思っております。
#233
○渡辺(貢)委員 そこで、次の問題に移りたいと思うのですけれども、この報告書の中で日本原電に対する措置が六項目あります。同時に、「今後の安全規制行政の強化対策」ということで、これは通産省の反省も含められて、どういうことが必要であるかというふうに六点挙げられているわけでありますが、この中で一つの問題があると思うのです。
 それは、原子炉主任技術者についての問題であります。日本原電でも、重要なことの決定に当たる場合、原子炉主任技術者がそれにほとんど参画をしていないということがこの報告の中では指摘をされております。
 つまり、通産省が行う行政官庁としての管理監督、安全性の確保という問題と、日本原電そのものが行っていく、つまり稼働していくその過程で安全性を管理していくという点では、原子炉主任技術者の役割りは大変大きいと思うわけでありますが、この原子炉主任技術者というのは法律上どういう権限、役割りを持っているのか、これが一つ。
 それから二番目には、日本原電の場合には、原子炉主任技術者はどういう地位の方がつかれていたのか、この二点をまずお聞かせいただきたいと思います。
#234
○高橋(宏)政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のように、安全管理体制の中で主任技術者制度につきましては非常に重視いたしておりまして、原子炉主任技術者に関しましては、原子炉等規制法四十二条に関連規定がございます。
 まず、四十二条の前に四十条がございますが、ここにございますように「原子炉設置者は、原子炉の運転に関して保安の監督を行わせるため、」「原子炉主任技術者を選任しなければならない。」と書いてございます。したがいまして、主任技術者の役目は、原子炉の運転に関して保安の監督を行うことでございます。
    〔渡部(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
 次に四十二条でございますが、「原子炉主任技術者は、誠実にその職務を遂行しなければならない。」、そして二項に「原子炉の運転に従事する者は、原子炉主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。」こうございます。
 そして、こういうような業務の具体的な中身は、先ほど御指摘の第三十七条の保安規定に関するところで担保いたしておりまして、その四項に「原子炉設置者及びその従業者は、保安規定を守らなければならない。」、そして、この保安規定の中に主任技術者の業務を具体的に定める、こういうような一連の体系になっておるところでございます。
 そこで、今回の場合でございますが、その報告書に記載しておきましたように、いろいろな観点から見まして、この敦賀原発の主任技術者が、その保安規定に書いてある業務を十分行っていないという事実が指摘されております。その一つに、たとえば原子炉主任技術者という法律上の地位と、そしてもう一つは、会社の、発電所の中における組織上の地位というものが果たして適当であったかということがございます。
 先ほどお話しいたしましたように、非常に広く保安の責任と申しますか、監督の責任を法律上持たせてあるわけでございますので、会社としてはこれを裏打ちするような形での職務の執行体制が保安規定等を中心に書かれておると同時に、地位等もそれにふさわしい方がなるのが適当でございます。適当だと申しますのは、これは一定の資格要件がございますので、何しろ所長ならばすぐなれるというものではございませんので、資格を持っておる人でなるべく地位の高い人、これが望ましいかと存じます。
 本件の場合、この一連の事故を起こしました前後におきます原子炉主任技術者は発電所の放射線管理課の副長がなっておりまして、今回の事故にかんがみ、これを現在発電所次長に選任の変更をいたしておるところでございます。
#235
○渡辺(貢)委員 いままでほとんど機能を発揮してきてないという御報告でございましたけれども、いまの高橋審議官の御説明では一つ欠けていると思うのですね。つまり当該会社が、設置者が原子炉主任技術者を任命する、この場合には主務大臣に届けなければならない。四十三条の規定では、この原子炉主任技術者が義務を履行しない場合には主務大臣の解任規定があるわけですね。設置者に対して主任技術者を解任させることができるというふうに主務大臣の規定があるわけなんです。つまり、単に社内における内部の保守管理という側面だけではなくて、設置者は義務として原子炉主任技術者を置く、しかもそれはある意味では、解任については主務大臣が行え、つまり、ここにも通産省の主任技術者に対する義務づけが明確にあるわけであります、解任の権限もあるわけでありますから。そういう点からすると、通産省の指導というのはかなり重要になってくると思うのです。
 これは敦賀発電所が副長さん、つまり課長さんの下の方だというお話でありますけれども、こうなると、全体の問題についてラインの中に入っていらっしゃると思うのですが、全体の安全性の問題やあるいは事故のそういう重大な事態が起きた、とめてでもこれを報告をし、修理しなければならないということが、位置の上から言っても対応することはきわめてむずかしいというふうにも考えられるわけでありまして、これはほかの原発についても同様であります。
 そこで私は、地位の高い人を単に選べばいいということだけではなくて、通産省のこの報告の中でも触れられております今後の強化対策の第四「運転管理専門官制度の改善」、この専門官制度と内部における安全管理を主要な任務としていく原子炉主任技術者、これが何らかの形で現場における運転管理の安全性をある意味では担保していく最高の直接的な責任者というふうにもなるわけでありますが、いま全権はないわけですね。こういう点についても、片一方は通産省の方である、片一方はいつでも主務大臣が解任できるという一定の高い水準の資格を持っていらっしゃる方でありますから、両々相まって安全性を担保していかなければならない。個々ばらばらに切り離したのでは、運転管理専門官の機能も発揮することができないわけであります。あるいは少し地位の高い人がついてもそういう機能を十分に発揮することができない。ですから、通産省の縦の安全管理の制度と横の企業におけるそういう制度がうまくミックスして、そして機能が発揮できるというふうに法改正も含めて改善をしていく必要がある、この中では義務がありますけれども、どういう仕事をするのかという権限の問題については意外と不明確なんですね。こうした点についての御見解を承りたいと思います。
#236
○高橋(宏)政府委員 まず最初に、先ほどちょっと不足だと御指摘を受けましたが、解任命令の件につきまして御説明いたしますが、私ども今回の一連の事故を総合評価いたしまして、先ほど主任技術者の社内的な地位が低いところにあったというお話をしまして、これも先ほど答弁いたしましたように、結果的に見たら適当じゃなかった要因の一つだと思います。ただし、これも社内的に、何といいますか、法律上の監督権限を持たせておるような保安規定を十分充実してそれを守っておれば、それでも悪いことはございません。望ましいのは、ラインの仕事と法律上の監督権限を持たされているスタッフの仕事がなるべく一致するような選任の仕方が好ましいだろう、そういう趣旨でございますが、ところで本件の場合は、やはり保安規定にはいろいろなことが主任技術者の業務としてちゃんと書いてあるのでございます。それが発電所長といいますか、いわゆる会社としての管理状況がよくなくて、結果的に、たとえば重要な保安に関する会議とか計画、あるいは今度やりましたけれどもいろいろな修理、そういうところにこの人が参画させられていない、こういうようなことでございまして、個人の誠実義務よりは、むしろ十分そういうことに携われなかった会社の保安管理体制の方に問題があるという認識をいたしておりまして、個人の免状剥奪についての措置はとらなかったわけでございます。
 それからもう一つの御指摘でございますが、結果的に申しますと、私はおっしゃるとおりだと思います。したがいまして、この報告書の今後改善すべき安全規制行政の措置の中で、一つには、常駐の運転管理専門官制度の改善措置といたしまして、「日常点検すべき記録の種類、パトロール場所等に関する具体的な業務方法の内容の明確化」というのが一つございますが、これとちょうどうらはらにまさに縦糸、横糸といたしまして、横糸といたしまして会社側の保安規定の整備充実を図らせることにいたしておりまして、その中に原子炉主任技術者の役割りの明確化、そしてこの人と、運転管理専門官に提示したり説明をしたりする記録とか報告すべき事項等をリンクさせて充実させ、明確化する、こういうような措置によりまして有機的な関連を持たせて、全体としての保安規定遵守体制の監督業務を充実させたいというぐあいに考えております。
#237
○渡辺(貢)委員 それはこれからの具体的な指導になっていくと思うのでありますけれども、それから私、この報告書の中で最大の欠落があるというふうに考えるわけです。
 それは、原子力三原則が自主、民主、公開の原則を明確にしているわけでありますが、つまり、何かあったときにぱっと大きな問題になる。日常的にきちっとこうした問題が国民の前に公開をされている、節度をもってそういうことがやられているならば、もっと事故を少なくすることも可能であろう。あるいは逆に、事故を少なくすることが可能だという前提として、技術者やあるいは実際上その運転管理に携わっている労働者、そういう方々からも、事故を隠蔽するのではなくて積極的な改善の意見も述べられる。ところが、公開されていない、秘密裏である、隠していくということになると陰湿になっていくわけですね。そういう意味で、この報告の中にもう一つ必要なのは公開の原則であるというふうに思うわけでありますけれども、現在、原子力発電についての国民への公開、報告というのはどういうふうになっているのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
#238
○高橋(宏)政府委員 まず、この報告書にその点が抜けているではないかという御指摘でございますが、私どもはこの報告書、読んでいただきますと、随所にそれが報告されなかったということが指摘されておりまして、さらに原電に対する措置の冒頭にも、それが報告されなかった、要するに発電所の中で処理をされておった。軽微なもの、あるいはその他報告が必要なしというような、いわば甘い判断で処理をされておったということについて厳しく指摘をし、今後の改善措置を迫っているつもりでございます。
 そこで、この公開でございますが、冒頭に基本法を先生引用されましたが、まことに私どもは、この原子力開発に当たりましては自主、民主、公開という原則を最高の憲法といたしまして運用しておるつもりでございます。なお、五十三年に例の原子力委員会が安全規制と推進と二つに分かれました大改革がなされまして、あるいはこの担当省庁も変わりましたが、そのときにこの三原則プラス安全確保ということで、安全を確保しという文章が入ったわけでございます。
 私どもは、そういうことで、たとえば原子炉施設の基本設計事項にかかわる設置許可申請書、それからその添付資料等については、従来から公開いたしております。また、原子力発電所で発生いたしました事故、故障につきましても、その発生状況につきましては直ちに原子力安全委員会に速やかに報告いたしまして、報告の上公表いたしております。
 なお、運転状況、定期検査状況につきましても、定期検査が終了したときに、その全貌を安全委員会に報告いたして、その上で公表いたしております。
 今後とも、特に安全性に関してはできる限りの範囲で資料の公開、それが理解と協力を得る前提という考え方のもとに努めてまいりたいと思っております。
#239
○渡辺(貢)委員 公開されているというお話でありますけれども、とてもじゃないけれども、なかなか企業秘密があったりあるいはどこに公開されているかもわからない、あるいは一般の科学者や学者や技術者がそういうことを要求しても、ほとんど手に入らないというのが現状であります。そういう点でこの公開という問題について、企業秘密だからということではなくて、昭和三十二年に実用原子炉などが導入をされた場合にも閣議決定でかなり明確な見解も述べられておりますし、法文の中に資料請求権を国民の側から、あるいは専門家やあるいは地方自治体あるいは関係住民が資料を請求すれば資料をお渡しする、どこかへ行ってガラス戸越しに見るというんじゃなくて、そういう措置もとられる必要があるというふうに私は考えるわけであります。
 その点ともう一つ、最近世界的にも原発の問題が改めていろいろな角度から見直されてきている。フランスでもそうであります。一時中止をしなければならない。これは放射性廃棄物の処理の問題とも絡んで、見直しやあるいは検討の問題が出されているというふうに思うわけでありますが、日本の場合でも東海村の再処理工場、動いたと思ったらとまってしまうという現状もございます。そういう点で、今度のこうした経験、報告書では、貴重な経験、教訓という立場にある意味では立っていらっしゃるようでありますけれども、全面的な検討を含めるという点から、改めてどういう角度で原子力行政に臨んでいくのか、こういう点について長官から御答弁いただきたいと思います。
#240
○森山(信)政府委員 自主、民主、公開の原則、これは、私どもが今後原子力行政を進めていく上におきまして堅持をしなければならない前提条件、大原則というふうに理解をしておるわけでございます。そこで、先ほど担当の高橋審議官が申し上げましたように、いろいろな角度から公開をするという姿勢は今後とも続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 ただ、渡辺先生から御指摘のございましたように、すべての資料を公開するということになりますと、やはりいまの企業形態の中で限界がございますので、私どもは、その三原則にのっとった方向での公開制の追求というものを今後とも継続をさせていただきたいというふうに考える次第でございます。
 それから、第二点に御指摘のございました、先進諸国の中でもいろいろ原子力に対する考え方が変わってきたではないかという点は、そのとおりでございます。アメリカは逆に、カーター政権からレーガン政権にかわったことによりまして、むしろ原子力には前向きになったのではないか、こういうふうに私どもは理解いたしておりますし、フランスは若干逆な現象が出ておりますけれども、その国々の為政者の物の方ということによりましていろいろ価値判断があるんだろうと思いますが、要は、原子力の安全の確保ということが共通の課題ではないかということでございまして、わが日本におきましては、いま御指摘の放射性廃棄物の処理を含めまして、原子力の安全確保ということを大前提といたします原子力行政を今後さらに一層推進いたしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
#241
○渡辺(貢)委員 時間がありませんから余り反論もできませんけれども、いずれにしても国民生活にとってはきわめて重大な問題でありますから、その点しっかり押さえていただきたいと思います。
 次に、大型店の問題について三点承りたいと思います。
 とりわけ首都圏など大型店の進出が高くて、たとえば埼玉県の場合に第一種大型店の現在の状況は六百二十店、さらにこの数年間で二百十一店が進出あるいは売り場面積が拡大されるであろう、こういう計画もございます。神奈川県が五百五十店、千葉が四百五十店というふうに、流通業界は戦国時代であると言われているわけでありますが、こうした中で各所で大型店の進出に対する凍結宣言がやられているわけですね。地方議会あるいは商工会議所、商工会、あるいは商調協の中にもございます。大きな市議会では京都の市議会がそうであります。埼玉でも蕨の市議会などが凍結宣言を行っておりますが、こうした凍結宣言についてどういうふうに考えていらっしゃるか。それと、地方議会あるいは商工会議所等何カ所で行っているのか、これが一つであります。
 それから二番目は、通産省の大型店に対する指導の問題でありますけれども、そういう背景、そして小売店が消費者のために大変努力もしている、全体の小売流通業界の安定を図らなければいけないという点で、たとえば大型店の場合に法制的には五百一平米まで制限することができるわけでありますが、現実にそういう指導が行われているのか、行われたのか、またそのことが法的に可能なのか、その点が第二点であります。
 それから、公正取引委員会にお尋ねをいたしたいと思うわけでありますけれども、大型店の場合に遠交近攻戦略ということが言われております。特に一兆円を超えているダイエーの場合、トップでありますけれども、九州においてもユニードというところと提携をすれば福岡ではそのシェアが二四、五%を占めるであろう、こういうふうにも言われておりますし、関東でもそういう傾向が出ておりますが、この点について、つまり生産についての独占禁止的な状況だけではなくてこういう流通業界に対して、これは独禁法の第十五条二項でいろいろ規定があろうかと思うのでありますけれども、こういう問題についても検討しなければならないのではないか。昭和五十五年の七月だったですか、この問題について一定の何か届け出の義務づけみたいなのが通達で出されているようでありますけれども、この流通業界における独占的なシェア、合併であるとか業務提携であるとか、そのことが地域において独占的な状況を生じる場合に独禁法上どういう措置をとられるのか、この三点についてお尋ねをしたいと思います。
#242
○神谷政府委員 三点の御質問のうち、第一点の凍結宣言の問題についてまずお答えいたします。
 現在どのくらいのものが出されておるか、こういうことでございますが、現在凍結宣言を行っております地域、主体は商工会議所、商工会、地方議会、一部商調協、さらには商店街というのがございます。数ではこの商店街というのが一番多いわけでございまして、九十三件という凍結宣言が行われております。このうち商店街が行っておりますものが三十四件でございますので、それ以外のところが五十九件、こういうことになっております。
 この凍結宣言についてどう考えるかということでございますけれども、かなり広い地域一律に大型店の出店を凍結するという考え方は、人口の移動その他いろいろな流動性の高い日本の社会におきましては、私ども適当ではないというふうに考えております。
 さらに、法律的に申し上げれば、宣言というようなもので具体的に権利を制限することはできないわけでございまして、これはやはり大規模店舗法という法律がございますので、その法律に基づいて所定の手続で中小小売業者に対する影響等を勘案しながら判断をすることが適当であろうと考えております。
 もちろん、五十四年度あたりは大型店舗の届け出件数がかなり高くなっておりますので、そういう状況あるいは一般的な経済の好不況というようなものをはだに感じながら、やはり特定地域の方々が相当飽和感を持っておるのだということをいろいろな形で表現することは、気持ちとしては私どもわかりますけれども、それは、そういう影響を十分配慮して法律に基づいた調整をしてくれ、こういう意思と理解をいたしまして、私どもとしては適切な法の運用を期してまいりたいと考えております。
 第二点の、五百一平米までの勧告あるいはそれ以下の手続は可能かということでございますが、大規模店舗審議会ではすでに五百平米以下にせいという決定をなしたところもございます。これは、たまたまその決定を受けて、これは無理だというので引っ込めましたので勧告には至っておりませんが、御指摘のように五百一平米も可能でございますし、状況によっては五百平米以下にせいということも可能でございます。もちろん、きわめて局限された状況であろうかと考えております。
 第三点のダイエーの件に関しましては、現在公取と事前協議というものを行っておるというふうに了解いたしておりますので、伊従部長の方から御答弁があるかと思いますが、流通の独占問題というのは非常にむずかしい問題でございますので、公取もいろいろ御勉強中と思いますが、私どもとしてもいろいろ意見交換を行っていきたいと考えております。
#243
○伊従政府委員 第三の大型小売店の合併提携の問題についてお答えいたします。
 御指摘のように、現在小売業界では大手小売業者を中心に合併提携が進められ、これにつきましては中小の小売業者がかなり不安を持っているようでございます。この点につきまして公正取引委員会では、このような大手小売業者の合併提携によって市場支配力が形成されるかどうかについて、重大な関心を持っております。
 先生御指摘の九州ダイエーとユニードの合併につきましては、当事者から事前相談を受けて、現在検討している段階でございます。
 本件は、九州地区における有力スーパー間の合併であり、また当事会社の一方がわが国最大の大型小売店であるダイエーの子会社でもあることから、本件合併の結果、九州地区の小売業における競争に少なからぬ影響を与え、独禁法上は問題が生ずるおそれがあると現在考えております。
#244
○渡辺(貢)委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、ほかの点については、また改めて御質問さしていただきます。
#245
○野中委員長 阿部昭吾君。
#246
○阿部(昭)委員 時間が大変遅うございますから、ごく簡単に三点ほどお尋ねをいたしたいと存じます。
 農林省、おいでになっておると思いますが、先般来わが国の生糸の問題で事業団がパンクするのじゃないか、こういう状況にありまして、大変な問題になっておる。一方、私の調査によりますと、この近年新しい桑園の造成、植栽事業が相当広げられております。そうすると、蚕糸事業団というのは、ある意味で言えば、農林省側と通産省の側に政策課題としては緊密にかかわっていると思います。蚕糸事業団の方はなかなか大変、一方ではこの近年どんどん桑園の造成、植栽が進んでいる。この関係は一体どこでトータルとして掌握をしてやっていくということになるのか、これをまずお聞かせいただきたい。
#247
○本間説明員 ただいま先生からお話のありました桑園の造成についてでございますが、わが国の桑園面積につきましては、大体毎年おおむね二千ヘクタール程度ずつ造成をされております。水田からの転換等もございますけれども、それはごくわずかな数字でございまして、毎年おおむね四百ヘクタールぐらいずっとなっておるわけでございますが、一方、桑園のつぶれる面積は年々五千ヘクタールから八千ヘクタールつぶれるというようなことでございまして、全国の桑園面積は五十年にはおおむね十五万一千ヘクタールぐらいございましたけれども、近年毎年四千ヘクタールずつ減っておりますので、現在五十五年では十二万一千ヘクタール程度となっておるわけでございまして、全体として桑園の面積は毎年非常に減少の傾向にございます。
#248
○阿部(昭)委員 私がおそれますのは、トータルとしては減っておる、しかし、いま事業団がこの近津の間にパンク寸前の状態に来ておることは事実なんであります。こういう状態にトータルで、政治、政策を遂行する以上、見通しが立たぬという手はないのじゃないか。たとえば減っていくのが五千ないし八千ヘクタールだというのであれば、トータルとしては、養蚕業というのは非常に大変なことになっていくというのであれば、新たに二千ヘクタールあるいはそれ以上、毎年ふやす必要があるのかどうか。ふやした皆さんが、いずれまた間もなくの間に繭の値段は下がる、いろんな意味で大変ということになったら、そちらの方でも政策、政治に対する不信感を増幅するだけのことにしかならぬのじゃないか。どうも見ておりますと、農林省は農林省、通産大臣の方の通産省は通産省、思い思いにやっておって、そこに整合性ある組み立てというものが非常に欠けておるのじゃないかという気が私はいたします。
 いまの状態で五千ヘクタールから八千ヘクタール減るので、したがって、毎年二千ヘクタールぐらいずつふえるのはいいんだ。ふやすやつには相当の補助をやっていますね。やっていって、いずれそこの養蚕家が最後に――減反だし、養蚕でもといってみんな一生懸命やらしておる。そこがまただめになっていくのでは大変なことだろうと思うのですね。その辺の見通しはちゃんと立っていますか。
#249
○本間説明員 ただいま先生の仰せのとおりでございまして、最近の蚕糸業は非常に生糸の需給事情が悪化してまいっております。仰せのとおり、事業団の在庫も十六万俵に近い在庫があるわけでございます。こういうような非常に厳しい需給情勢でございますので、先生のおっしゃるとおり、国が積極的にそういう意味で桑園の外延的な拡大といいますか、新規造成をやるということについては非常に問題があるわけでございます。
 そういうことで、私どもといたしましては、この需給状況が改善されるまでの間につきましては、桑園の新規造成につきましては当面慎重に対処する必要があろうかと思っております。具体的には、その新規造成ということよりも、むしろ現在ある桑園の改良を積極的に進めることによりまして、桑園の生産性の向上を図っていくということに今後重点を移してまいりたい、そういうふうに考えております。
#250
○阿部(昭)委員 これは通産大臣、さっきも私ずっとお聞きしておりましたら、和装というのは非常に落ち込んでいく、こういうお話が大臣の方の局長のお話の中にございました。私も確かにそういう傾向にあると思うのです。しかし、いま農村の地方に参りますと、養蚕業もやらぬわけにいかぬのです。減反はどんどん広げなければいかぬ。トータルとしての農業所得は厳しい状況になってくる。畑や蔬菜や果樹なんというのも、だんだん市場関係はパンク寸前の状態に追い込まれつつある。畜産なども、畜種によりましてはなかなか厳しい。したがって、養蚕なら養蚕、何らかのことができるなら少しでも所得の上がる道を追求したいというのが、追い詰められておる農村の切なる気持ちですね。そのことと通産省の政策と農林省の政策が整合性を持って、がっちりかみ合っていなければいけない。
 そういう意味で、たとえば桑園造成をやるというならやっていいのですよ。国が補助まで出して造成をやるというなら、やらしていい。補助まで出してやらした以上は、最後までその政策的な展開過程に対して責任を持っていく。数年たったら、いや、事業団はパンク寸前です、なかなか繭の値段は思うようにいきません、皆さんこれでしんぼうしろというわけにいかぬものだろうと思う。政策というのはある種の、百年、二百年先を見ろとは言わぬけれども、二十年間程度の長いスパンで見通しのあることをやらせぬといかぬのじゃないか。したがって、これは農業のジャンルに属する養蚕業でありますけれども、何といってもこれは通産大臣のかかわる部分との組み合わせがなければきちっとしたことはできない。そういう意味で、農林大臣とよく協議されて、いま至るところで双方かみ合って利害だけが相対立するかのごとく表へ出てきております生糸あるいは絹織物、それと養蚕業、この関係をある時期が来たらそのときだけ、がちゃっとやるというのではなくて、毎年、毎年一遍ずつ繭の値段を決めるときだけ問題が起こるというのではなくて、もっと長期的な、生産者の側もそれから織物業界の立場もかみ合うようなやはり長期的なめどをきちっと立ててもらわなければいけない。このことで大臣のお考えをぜひお聞きしておきたいと思います。
#251
○田中(六)国務大臣 眼前の瞬間的な政策ばかりでやっておると、いろいろそごを来しますので、やはり絹織物、生糸、養蚕業、そういうものの整合性というものを頭に置いて計画してやることが農村にとっても大切じゃないかと思いますし、また絹糸あるいは絹織業の人たちにもこれは大切じゃないかと思いますし、よく委員の意を体して、農林省と私どもとも話し合う機会を得て対処してまいりたいというふうに思います。
#252
○阿部(昭)委員 そこで、私、十一月であったと思うのですが、わが国の商社のあり方に対してお尋ねをいたしたことがございます。端的に言うと、最近商社は、この経済状況の厳しい社会ではありますが、今期の決算を見ると、いずれも相当売り上げを伸ばした、こういう結果が報告されておるのでありますが、私がいま申し上げますのは、昨年の十一月申し上げました丸紅という商社のことであります。
 丸紅という商社が、この前申し上げましたように、私の調査では全国十七カ所、ここに相当膨大な土地を昭和四十年代ずっとかかって、ダミーを使い、またその手先を使って、約二十億ほどで土地を買い占めていった。この土地は四十年代、十年間ほどの間かかってやったことなんでありますけれども、あれから五年余りたって、現在この土地が国土庁の地価公示価格で二百数十億円、地価公示価格というのは、御案内のように実勢価格よりは二〇%、三〇%低いのが普通であります。したがって、二十億ぐらいで地上げをやった土地が、いまや三百億からする。そこに丸紅という商社とそのダミーと、そのまた手先、みんなこの土地の投機にかかずらわって、一獲千金何かやってやろうというしがらみになっているのだろうと思う。この間で仲間割れが起こった。そこで、その暴力団絡みで中ががたがたしておってということを私、指摘いたしました。したがって、この土地問題に長年私は関心を持ってまいりました。何人かのチームをつくってやっておる。したがって、恐らく丸紅といえども、この土地はなかなか簡単なわけにやれぬ姿になっているのじゃないかと私、見ております。去年以来いままで、この土地はほとんどそっとしておいておるようであります。しかし、御案内のように、地価はどんどん値上がっていくのであります。あの当時は、私のところにも暴力団から電話がかかってくるという状態でありました。最近はかかってもまいりません。
 そこで、私、前の質問の際に、暴力団絡みのこの状況、恐らく土地を動かしたり何かやるときには必ず暴力団絡みでいろいろな事件が起こるのじゃないかということで、警察庁当局に調査をしてみてほしいと言いました。お聞きするところによると、現在この暴力団絡みの部分について捜査段階でありますということなんでありますが、差し支えない限りにおいてぜひお聞かせをいただきたい。
 第二の点は、とにかく四十年代に日本を代表するような一人の総理大臣を食いつぶすくらいの力量を持っておる丸紅という大商社が、二十億円ちょぼちょぼで地上げをやったと思われるこの土地が、いまや三百億円もする。私、この姿は、商社だろうと何だろうと許されていいことじゃないと思っている。ずっとこれからも見きわめてみようと思っているのである。したがって、この商社のあり方に対してぜひひとつ、いろいろな行動基準とかなんとかという問題があるわけでありますが、通産省当局として調査をし、見きわめてみてほしいという希望も前回の際に私は申し上げておりました。あれから七カ月余りたちましたが、ナシのつぶてであります。もしおわかりできるならば、この点について現状どのようになって、きょうできなければ改めての機会にぜひまた、いや調べてみたらかようかようの状況と御報告いただきたい。
 それから、丸紅という商社に、これは果たしてきょうのこの場所でできるのかどうかわかりませんけれども、通産省及び政府関係官庁から天下り、ないしは天下りでなくとも、たとえばずっと前政府関係のどこかへ勤めておった人がやめました、一、二年たって丸紅のどこかへ勤めておりますというような人のリストを、できるならばぜひリストアップをして御報告をいただきたい。
 この三つだけきょう要望をいたしたいと存じますが、私の要望が無理か、いやそれ、やりましょうということになるのか、お答えをいただきたい。
#253
○漆間説明員 昨年十一月二十一日の当委員会におきまして、阿部先生からただいまの御質問のような御指摘がございました。その内容が大変具体的な問題でございましたので、私どもの方でも直ちに、御質問があったということと、それからあの際資料をいただきましたので、その資料を添えてその御質問の内容を関係府県警察に通報してございます。
 現在、それに基づきまして関係府県警察が内偵中でございます。捜査中でございますので、その内容をどこまで進んだということは申し上げかねますけれども、事柄が暴力団絡みの問題でございますので、それぞれ関係府県警察、真剣に取り組んでいるということで御理解いただきたいと思います。
#254
○神谷政府委員 御指摘の十七件の土地というのは、ただいま警察庁の方から御答弁のございました案件に関連したものと了解をいたしております。
 本件に関しましては、私どもも丸紅から事情を聴取いたしましたが、丸紅といたしましては、この十七件の土地には、一件を除いては何ら関連がないということでございまして、その一件に関しては一部売却が行われておる、こういう状況と承知をいたしております。ただ、関連者の一人がといいますか一当事者、これが丸紅関連ありと主張しておる根拠になる書類、協定書と申しますか、それにつきましては、西沢商事という会社が大東コンツェルンという会社の代表を私文書偽造で告訴をいたしておるわけでございまして、したがいまして、具体的に警察当局の手で調査中でございます。
 さらに、本件に関して、そのかかわり合いあるいはいろいろ仲間割れをされたというふうに先生お話しでございますが、それに関連しての事実が司法の場で当事者同士によって争われれば、あるいはわれわれの承知しない事実が出てくるかもしれませんが、少なくも現在それに関連した問題が告訴をされておりますので、その結果を見た上で私どもといたしましては、丸紅から聴取した事情以外にさらに調査すべきことが出てくるかどうか、それを現在推移を見守っておるというところでございます。
 それから、丸紅に行った通産省関連者のリストをアップせよというお話でございますが、一般的に個人の経歴その他をどの程度までお出しすることができるのか、これは人事当局の方でよく検討をいたした上、先生の方に御連絡をさせていただきたい、御相談をさせていただきたいと思います。
#255
○阿部(昭)委員 わかりました。ぜひいまの件をまた――いま私が問題にしておるのはダミー、ダミーというのはさっき言われた会社だろうと思います。そのまた手先がいろいろなことをやって、とにかく二十億ぐらいで地上げをやった地所が、あれから五、六年たって公示価格だけでも三百億に近い。そんなことは日本の現代の社会においてあり得べからざることではないかというのが、私が長年土地問題にかかわりを持ってきて、商社のあり方とかいろいろなものをずっと私なりに見てまいりまして、これは大変なことだな、こういう感じでおりますので、なお今後わかりましたことをお知らせいただければ非常にありがたいと思います。
 最後に、一つだけお尋ねいたします。
 私は先年、ラテンアメリカ、ブラジルなどへ行きまして、あの広大なサバンナに、酸性土壌でありますからこれを土壌改良いたしましてキャッサバを植える。亡くなった千葉三郎先生などがこのことに非常に関心を持たれました。いまわが国は、御案内のように、先ほどの養蚕業などを見ますと、なぜそこらあたりに少しでもやれるならやろうという気になるかといえば、減反をやらざるを得ない状態にあるからであります。つい最近、農林省は、水田というのはほかのものにかわれといっても簡単にかわれない、そこで実験田という制約の枠内でありますけれども、飼料用水稲を実験的にといって進んでやりました。その大英断に私は大変拍手をしております。
 そこで問題は、飼料用稲というものを通産省の政策とかかわりを持って私は見ておるのでありますが、将来日本のエネルギーがどのように展開できるかは予測のつかぬものがたくさんあります。しかし、いずれエネルギーの問題は何らかのかっこうで、英知を振りしぼって解決していかなければならぬだろうと思います。飼料用水稲というのは、十アール当たり大体一トンぐらいはとれる。いま日本の水田の水稲というのは、人間が食べる飯用としては大体六百キロあるいはそのちょっと上あたりまでいっておりますけれども、飼料用水稲ということになると一トンはまずいける。こういう技術的な開発も進んでおります。
 そういたしますと、この多収穫の水稲、米、これを原料としてアルコール化ができるのだという議論がいま技術的には解明されております。これがもしアルコール化ができて、燃料としてのコストの面でめどが立つならば、私は相当将来の問題としては一つの問題ではないかというふうに思うのです。ぜひこの点について、通産省はアラブの方から油だけ何とかやっていればいい、インドネシアから油か何かやっていればいい、中国との関係で何とかすればいい、シベリア開発で何とかすればいいというものじゃなくて、やはり日本の、さっき言ったとおり養蚕業と絹織物、こういう意味で言えば通産省と農林省であります。そういう意味で、多収穫な水稲、米、これのアルコール化、燃料、こういうことについて通産省と農林省が本格的にコストの面で、技術的には可能でありますのでコストの面でとれるかという問題であります。その意味で、私は技術的にさらに――技術的というのは、アルコール化が可能かどうかというその段階はもう終わっておるのでありますが、産業政策的な意味で、コストの面で大丈夫なのかどうかということに取り組むべき段階ではないかというふうに思っておるわけでありますが、通産省側の立場としての御見解をお聞かせいただければありがたいと思います。
#256
○神谷政府委員 私どもの方では、ローカルエネルギー開発の一環として、前から資源エネルギー庁が中心になりましてアルコールの方は勉強いたしておりますが、先生御指摘のように、アルコールに関しては技術的な問題よりもむしろ経済的な問題でございます。さらに、たまたま米、稲を例示されましたけれども、より幅広くは天然ガスからのアルコール、あるいはもちろん南方のいろいろな熱帯植物、さらには日本でも甘蔗、稲等々、いろいろな原料の経済性の問題がございますので、それら幅広く、まだ非常に前の段階でございますけれども、可能性等に関していろいろ勉強をしておるところでございます。
 私、専門家じゃございませんので、稲がどうかということに関してはちょっとお答えできませんが、一つの局面から言いますと、ガスその他と比べるとコスト的にはかなり高いところにあるのではないかというふうに考えられますが、担当の者に先生の御意見はよくお伝えをしておきたいと思います。
#257
○阿部(昭)委員 時間の関係でこれで終わりますけれども、さっきの丸紅の件ですね。神谷審議官にお願いしておきますが、私が提示をした十七の物件があります。四十年代ずっとかかって、商社というのは息が長いものであります、二十億ほどのものを突っ込んで地上げをしたと私は申し上げております。
 この土地の流れがどのようになったか、これは丸紅側の言い分だけ聞いてもなかなか本当のことは出てまいりません。したがって、私が提示したこの十七の物件が丸紅の言うとおりに一件だけですということになるのか、私はそうじゃなくて、丸紅が表に出ておるのは――丸紅はなかなかガードがかたいです。相当したたかです。しかし、ほとんどこの土地はダミーの段階のかかわりの上になっております。この土地がどういう流れになっておるかということを、商社の行動基準を律するという意味で、ぜひひとつ通産省においてお調べ願えればありがたいと思います。
 これだけ最後に要望申し上げておきます。
#258
○神谷政府委員 権利関係を非常に争っておる物件でございますので、捜査権であるとかあるいは裁判所のようにいろいろな証拠提出を命ずる権限がございませんから、私どもとしては、これが真実であるということを先生に御説明するというところは、能力はございません。争っておられる方々がいろいろな形で、特に裁判等でいろいろな証拠を提示しながらお争いになればあるいは真実が出てくるかもしれません、あるいは新しい展開が開けるかもしれません。私どもとして承知しておりますものは御説明できると思います。ただ、十分であるかどうかの自信はございませんので、御了承いただきたいと思います。
#259
○阿部(昭)委員 終わります。
#260
○野中委員長 次回は、明三日午前十事理事会、午前十一時委員会を開催することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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