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1980/04/15 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 農林水産委員会 第9号
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1980/04/15 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 農林水産委員会 第9号

#1
第094回国会 農林水産委員会 第9号
昭和五十六年四月十五日(水曜日)
    午前十時五分開議
 出席委員
   委員長 田邉 國男君
   理事 菊池福治郎君 理事 津島 雄二君
   理事 羽田  孜君 理事 福島 譲二君
   理事 新盛 辰雄君 理事 松沢 俊昭君
   理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君
      上草 義輝君    小里 貞利君
      亀井 善之君    川田 正則君
      岸田 文武君    北口  博君
      北村 義和君    近藤 元次君
      佐藤  隆君    菅波  茂君
      田名部匡省君    高橋 辰夫君
      玉沢徳一郎君    丹羽 兵助君
      保利 耕輔君    渡辺 省一君
      小川 国彦君    串原 義直君
      島田 琢郎君    田中 恒利君
      竹内  猛君    日野 市朗君
      安井 吉典君    吉浦 忠治君
      神田  厚君    辻  第一君
      寺前  巖君    野間 友一君
      木村 守男君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  亀岡 高夫君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      中曽根康弘君
 出席政府委員
        臨時行政調査会
        事務局次長   佐々木晴夫君
        行政管理庁行政
        管理局長    佐倉  尚君
        農林水産政務次
        官       志賀  節君
        農林水産大臣官
        房長      渡邊 五郎君
        農林水産省構造
        改善局長    杉山 克己君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    二瓶  博君
        農林水産省食品
        流通局長    渡邉 文雄君
 委員外の出席者
        大蔵省主税局税
        制第二課長   大山 綱明君
        通商産業省生活
        産業局通商課長 末木凰太郎君
        通商産業省生活
        産業局繊維製品
        課長      若林  茂君
        農林水産委員会
        調査室長    小沼  勇君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十五日
 辞任         補欠選任
  野間 友一君     辻  第一君
同日
 辞任         補欠選任
  辻  第一君     野間 友一君
    ―――――――――――――
四月十五日
 日ソサケ・マス漁業交渉に関する請願(近藤元
 次君紹介)(第三〇二九号)
 畜産経営の危機打開に関する請願(寺前巖君紹
 介)(第三〇六四号)
 同(野間友一君紹介)(第三〇六五号)
 同(林百郎君紹介)(第三〇六六号)
 農林年金制度の改善に関する請願(瀬崎博義君
 紹介)(第三〇六七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 蚕糸砂糖類価格安定事業団法案(内閣提出第三
 二号)
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第四七号)
     ――――◇―――――
#2
○田邉委員長 これより会議を開きます。
 蚕糸砂糖類価格安定事業団法案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松沢俊昭君。
#3
○松沢委員 きのうからずっと質疑をやってまいりましたが、この事業団の合併法案というのは行政改革の一環として行われてきたのだ、こういうような説明でございました。ちょうどいま新聞では行革問題が花盛りということになっておりますので、一体政府の行政改革の考え方、理念と申しますか、それと目標は何であるか、ちょうど中曽根長官もおいでになっておりますので、まずそれを冒頭にお伺いいたしたいと思います。
#4
○中曽根国務大臣 一言で申し上げますと、国の活力を回復するあるいは増進するために、簡素にして効率的な政府を形成する、そして新しい時代に即応できるように行政の体系を整備する、そういうことでいいと思います。
#5
○松沢委員 いろいろと新聞には書かれておりますし、それから十三日ですか、臨調に対しまして中長期の基本課題と緊急課題というものを提出されたということを聞いておるわけであります。中身を見ますと、いろいろなことが取り上げられておりますけれども、特殊法人等の場合におきましては、廃止統合、民営移行、それから事業範囲の縮小、こういうようなことがうたわれておりますが、この二つ、砂糖と生糸の両方の事業団の合併、これは基本理念から当を得たところの合併であるかどうか、長官の考え方をお伺いしたいと思います。
#6
○中曽根国務大臣 本件は、両方が畑作関係の仕事をしていらっしゃるということ、それから価格調整、輸入物品その他に対する調整作業の仕事が大きい、そういう共通点を求めまして一括まとめたという考え方に立っております。
#7
○松沢委員 長官も群馬県の御出身でありまして、生系、養蚕、そういうことについては大変明るいと思います。そういうことでお聞きしたいわけでありますが、確かに畑作と言えば言えるわけでありますけれども、てん菜やあるいはまたサトウキビというのはそれがすぐ砂糖になるわけでありますし、生糸の場合におきましては桑をつくって、そして蚕という動物を媒体としながら製品をつくっていく、そういう意味からしますと、桑だけの部分は畑作であるかもしれませんけれども、大変性質が違っているじゃないか。
 それからもう一つの問題は、何しろ両方の事業団の関係しているところの地域が重複していないわけなんでありまして、てん菜は北海道、そしてサトウキビは鹿児島、沖繩、こういう状況であり、養蚕の場合におきましては、長官の群馬県を中心にいたしました本州ということになるわけであります。そういう点におきましてはやはり大きな違いというのがあるわけであります。
 あるいはまた調整の面にいたしましても、砂糖の場合においては三分の二以上が外国依存という状況でございますし、生糸の場合におきましては、御承知のように、いままでは日本が世界一の輸出国であったわけであります。それが、戦後養蚕がだんだんと落ち込んでまいりまして、そしていま三割ぐらいが輸入に依存して、あとは国内産で調整をやっていく、こういう状況になっているわけなんであります。
 それから、資金の面におきましても、日本蚕糸事業団は出資金で運営が行われている、一方、糖価安定事業団は補助金と交付金を中心にして運営が行われている、こういうようなことでございますから、業務の内容というのも非常に専門的であります。
 しかも、場所の面からいたしましても、砂糖の場合におきましては、外国から入ってくるところの港がたくさんございますし、あるいは南北相当離れておりますので、そういう意味におきましてやはり事務所の数も相当たくさん置かなければならない。そういう点からいくと、生糸の場合におきましては横浜と神戸に地方の事務所があれば結構、こういうことになっていますので、それは畑からとれるのだからと簡単に割り切るわけにはいかないのじゃないかと私は思うわけなんであります。
 そしてまた、関係者が違っているわけでありますから、合併いたしましても経理区分というものを明確にしていかなければならない。どんぶり勘定ではとてもだめなんでございますから、こういうようなことを考えた場合におきまして、これは合併してもいままでどおりの事業団と同じ仕事をやっていくということならば、単なる数合わせであって、メリット、デメリットを考えた場合におきましては、メリットの方はほとんどないじゃないかと思われるわけでありますが、この点については一体どうお考えになりますか。
#8
○中曽根国務大臣 確かに、松沢さんのおっしゃるようになじみにくい点もあると思います。あると思いますが、行政改革をやって冗費を浮かし、人員を節減する、そういう大目的のためには、この際、そういうなじみにくいところもがまんしていただいて、小異を捨てて大同につくという大乗的精神でひとつ御勘弁願いたいと思っておる次第でございます。なじみにくい点は内部におきましていろいろ調整を行いまして、円滑に行われるように今後努力してまいりたいと思う次第でございます。
#9
○松沢委員 そこで、内部において調整をやってこれから円滑な運営をやっていきたいとおっしゃるわけでありますが、はっきり申し上げますけれども、どういう調整をやっていくのであるか。これはもうどんぶり勘定でやられたらたまったものじゃない、そういう意見というのもまたあるわけでありますから、長官の言われるように大局的な見地に立っても、大体、合併すること自体が無理なものをどうしても一緒にさせる、簡単に申し上げますならば、結婚したくないというのをどうしても結婚させる、だけれども当分の間は別居だ、また同居しても財布は母ちゃんと父ちゃん別々にやっていかなければならぬということになれば、円滑にいく道理はないのじゃないかと思うのです。幾ら小さい事業団でも、たとえば蚕糸の場合においては三十数人の職員の方々、あるいはまた糖価の場合においては九十数人の方々、これは事業団という面からするとなるほど小さい事業団であるかもしれませんけれども、歴史的に見まするならば、今日まで大きな役割りを果たしてきているわけなんであります。だから、小さいから合併をさせるという考え方が間違っているのじゃないかと私は思うわけでありますが、再度長官の御意見を聞きたいと思います。
#10
○中曽根国務大臣 必ずしも大きい小さいという考え方でやったのではございません。やはり調整作業という共通点におきまして非常に類似した点がございますし、機能的にも同一の点もございます。そういう面から、この際は、不符合の点も多少ございましょうが、大きい行革という目的のためにがまんしていただきまして、不便は忍んで、ともかく調整を内部でうまくやりながら進行させていこう、そういう考えに基づいたものでございます。
#11
○松沢委員 私たちは決して行革に対して反対というわけじゃないわけなんでありまして、やはり効率的に行政が進むような体制というものをとっていかなければならない。しかし、不必要なものは削減するけれども、必要なものはむしろまた拡充強化をする、これが行革の一つの目的にならなければならない、こんなぐあいに実は考えているわけなんです。
 そこで、いまむしろ国民の方から行政に対する批判が出ているということは、事業団なんかを例にとりますならば、いわゆる官庁出身の理事、言われておりますところの天下りあるいはまた渡り鳥、こういう非常に悪評の高い人事の面について批判が出ているのじゃないか。今回の統合の面におきましても、三人は減りますけれども、それ以上は減らぬわけなんであります。この事業団の理事は、蚕糸の方は民間がおられますけれども、ほとんどが官庁出身、しかもその官庁というのがちゃんと、やはり歴史的に、このポストのところは大蔵省、このポストのところは農林省、こういうぐあいに固定化しているという面があるわけなんであります。
 そして、その月額報酬にいたしましても批判されているわけなんであります。しかし、それは社会的な地位、社会的活動という面からして、そこまで私は追及いたしませんけれども、退職金の場合なんか、官庁から退職されるときにおきましてすでに多額の退職金というものを取っておられるわけなんであります。それがこの事業団の役員に就任されるということになりますと、一カ月で大体三六%の退職金が支給される。一般の職員の場合におきましては一年勤務して一カ月、こういうことでございまするから、これは相当の開きというものがあるわけであります。こういうことを繰り返し繰り返しいままでやってきているわけなんであります。
 それからまた、仮に理事におなりになったとしても、三年間の任期が終わって再任されて、そして六年目にやめてまた別な特殊法人に渡っていく、こういうようなことが繰り返されてきている。こういうものは全くむだなんじゃないかという強い批判が国民の間にあるわけなんであります。要するに、この事業団が合併いたしましても三人理事が減るだけの話であって、それ以上変化というのはないわけなんです。だから私は、この二つの事業団だけではございませんけれども、特殊法人の役員の天下りあるいは渡り鳥、こう言われているところに行革としてはどうメスを入れられるのか、その点をお伺いいたしたいと思うわけなんであります。
#12
○中曽根国務大臣 御指摘になりましたいわゆる渡りという役員の異動あるいは在職年あるいは退職金等につきまして、いままで閣議決定等におきまして御期待に沿うようにいろいろ規制し監督してきたところでございます。まだ十分とは言いませんが、近年はかなりその線に沿いましていま是正されつつある状態でございます。年齢にいたしましても、普通の理事は六十五歳までとか、あるいはいわゆる渡りというものは一回以上やってはいかぬとか、あるいは退職金にいたしましても、おっしゃいましたように月給の三六%掛ける在職月数、これは民間準拠ということで、民間の状況を調べまして、それに合わせるようにしたわけでございます。
 そういうような是正策をいま懸命に努力しておる最中でございまして、今後もさらにこの点は鋭くやっていかなければならぬと思っております。
#13
○松沢委員 これは批判が非常に強いわけなんであります。私ははっきり申し上げますけれども、在職中の手当にまで、報酬にまでけちをつけようとは思いませんけれども、退職金なんかにつきましてはやはり削減の方向に進んでもらうべきじゃないか、こういうぐあいに実は考えておりますので、長官の方でもそういう方向で行っているという御答弁でございますのでこれはこれで終わりたいと思います。
 それから、特に補助金の整理削減。まあ確かに補助金と政権政党の関係等につきまして、すでに一冊の本にまとまっているものもございます。あるいはまた、新聞などを通じまして、その政権党の政治家と補助金の関係、いろいろ批判が出ております。そういう点はやはり十分に癒着関係を断ち切っていかなければならない、よくわかるわけなんであります。
 ことしの一般会計におきましても十四兆円以上というのが補助金である、まあ予算の総額の三分の一というのは補助金である、こういうことでいろいろと批判が出ておるわけなんであります。しかし、農林省関係を見ますと、ことしは全農林省の予算の五五・八%、ほかと比較いたしますと相当割合が高い、こうなっておるわけでありまするけれども、日本の農業の歴史というのがあるわけなんでありまして、それともう一つは近年、日本の食糧の自給率というのが実は大変下がってきております。そういうことで、昨年の春にも国会におきましては全会一致で自給力強化に関するところの決議がなされたところでございます。でありまするから私は、補助金そのものの再検討というのは必要であるけれども、しかし、農業というものは非常に零細な農家が経営をやっているわけでございまして、やはりいままでの日本の農政の特徴と言った方がいいですか、補助金によってこの零細な農民というものも助けられてきている、こういうことは言えると思うわけでありますし、それからまた農家というものを保護育成をしていかなかったならば自給力の拡充強化ということも目的を達成するわけにはいかぬ、こういうことになると思います。
 そういう意味で、財界等では、要するにろくな税金も払わぬで補助金だけもらっているじゃないか、こういう批判、日本の農産物は高いじゃないか、だから安いところの外国の農産物を買うべきである、こういう批判がある中で行政改革が進められるわけなんであります。私は、いろいろ意見はあると思いまするけれども、日本の農政の歴史というものを考えながら、農業の補助金は高いからこれは大幅に削減をしていかなければならないなどというような方針が出るということになりますと、日本の農業に重大な支障がある、こう思われるわけなんでありまするが、この点長官はどのようにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
#14
○中曽根国務大臣 日本農業の特質というものはよくわきまえなければならぬと思いますし、農業と工業の性格の相違という点もわれわれはよく留意していかなければならぬと思います。しかし、食糧の自給率を高め、かつ国際抵抗力を増していく、生産性を高めていくということは基本国策の一つであると思いまして、その線に沿ってやるためにも農家が自主、自立、自助の精神で雄々しく立ち上がっていただかなければならぬ点もあると思います。そういう点をよく考えながら調整してまいるべきであると思います。
#15
○松沢委員 これで質問は終わりますけれども、行革に当たりましては、日本の農業というものももう長官十分おわかりだと思いまするけれども、歴史がございますのですから、その発展の阻害要件にならぬように注意をしながら進めていただきたいということを希望いたしまして終わります。
#16
○田邉委員長 安井吉典君。
#17
○安井委員 中曽根行管長官が農林水産委員会においでをいただいてお話を聞くというのは、これもそう機会がないことだと思います。したがって、いわゆる行政改革と、私どもがこの委員会として関心を持っております農林水産行政とのかかわりにおいて若干のお尋ねをしてまいりたいと思います。
 いま私たちが審議しているこの蚕糸砂糖類価格安定事業団法案ですが、私たちはこの事業団は木竹事業団、こう言っているわけです。つまり木と竹を接いだ事業団だからです。これは全く法律的な基礎が違うものをただつなぎ合わせて一つにしただけで、これを二つ一緒にすることによってお金がどんどん浮いてきたり人手が減ったりなど、そういう仕組みになっていないものをこうやってしまっているわけですね。たとえば経理だって三十一条には「区分経理」と書いてあって、蚕糸事業団の方の法律根拠と砂糖の方の法律根拠は全く違うわけですから、一緒にするわけにいかぬわけですよ。一緒にしたって経理は別々ですよ、こうなっているわけですかち、理事長が一人になることは間違いありませんけれども、天下りの方は相変わらずだし、さっぱり改革というメリットがあらわれていることにはなっていないのではないかということを、長官はきょう初めてですけれども、きのうまでこの委員会で繰り返し繰り返しやってきたところであります。
 私は、昨年の宇野行革といいますか、五十五年行革というのは、大臣の前ですけれども、数だけ合わせて、とにかく何でもいいから各省で特殊法人を一つだけ削っていきなさい、地方のブロック別機関を一つだけ減らしなさいという数合わせであったということにおいて、きわめてメリットの薄いものに終わってしまっている、そう思うわけです。どうですか。
#18
○中曽根国務大臣 宇野行革と言われるものは、私は、よくやった、そう思っております。ただ、おっしゃるように数合わせではないかという鋭い御批判のあることもよく承知しております。どうも行革というものはなかなかむずかしい作業で、百点取るのはとてもむずかしい、まあ七十点取れたら御の字ではないかと言われるような性格のものでありまして、そういう点から見れば、宇野君よく健闘した、そのかわり各省や皆様方に御迷惑をおかけしたことも多々あったのではないかと反省しております。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)
#19
○安井委員 与党の方からもそのとおりという声が出ていますね。
 そこで、これからいかなるように農林水産に対する行政改革が進んでいくのかということが非常に大きな関心事であります。そういう中でまず農林水産大臣に伺いたいわけでありますが、何といいましても、補助金の件数からいっても金額からいっても農林水産省関係は一番大きいわけですよ。それだけにねらわれているのではないか、率直に言ってそういう気もするわけでありますが、特に財界やあるいはまた大企業にかかわる労働組合などは、補助金は一括して一〇%ぐらい削減しろ、こう言っているわけです。臨時行政調査会の中でもそういう発言があるわけですね。その一括削減、もう農林水産の仕事も何もかにも一括削減という、そういう方式については農林水産大臣としてはどうお考えですか。
#20
○亀岡国務大臣 一括削減という考え方も一つの考え方かと存じますが、しかしいろいろ知恵を出さなくてはいかぬなということもあろうかと思います。その点、内閣として厳正に行政改革をやってまいる、こういう方針をきちんといたした以上は、農林水産省といたしましても全面的にこれに協力をして、先ほど行管長官の申されたような活力のある軽量な政府機構で最大の効果を上げてまいるという目的を達するようにしなければならぬ、こういうことで、わが省といたしましても事務的にいろいろと検討に入っておるところでございます。
#21
○安井委員 私が特にお聞きしたいのは、何でもかんでも一律に削減せよという意見について農林水産省としてはどうか。とにかくこういう時期ですから、やはり財政再建ということも一つの、私はそれだけが大きな目的じゃないと思いますけれども、それも当面の課題であることは間違いないし、それへの協力は必要なんですけれども、ほかのどれとも一括して一律で削減しなければいけないのか。その点においては私どもは、それぞれの事業事業について、国民の福祉や生活やこれからの新しい日本の方向づけにおいて、大事なものともうちょっと待ってもいいものと両方あるのじゃないかと思いますよ。そういう具体的な優先順位をつけた上で同じ削減でも削減という方向に臨むべきではないかと考えるわけなんですが、その点はどうなんですか。
#22
○亀岡国務大臣 第二臨調の七月までの答申がどういうふうな姿になって出てまいりますか、ここで推測するわけにはまいりませんが、とにかく筋が通っておるものが答申されると私どもは確信をいたしております。したがいまして、この答申を実現してまいりますために、わが省としては、やはりわが省の任務と申しますか行政目的と申しますか、それを十分に果たし得るような形においてあらゆる手法をこらして、そうして農林水産省としての行政改革の具体案をつくっていきたい、こういうことで、いまその手法をどういたしたら一番いいのか、そういうことを検討に入らしておるところでございます。
 もちろん農林水産行政の目的を果たしてまいりますために、いろいろな予算項目におきましても重要の度合いというものがあることは私どもも十分承知いたしておりますので、やはり農林水産行政を円滑に効率よく効果的に、しかも農林漁民の積極的な生産意欲を維持し向上してまいることのできるような形におさめていきたい、こう考えております。
#23
○安井委員 もうまさに政府の優等生みたいな御答弁なんですが、余り自分の役所のことをかばったりするようならおまえ首にするぞと言わんばかりの鈴木総理大臣の政治生命のかけ方だそうですから、そういうことの影響があるのかどうか知りませんけれども、しかし現実に問題は優等生的な答弁だけで過ぎていけるのかどうか、そういう段階にだんだん行きつつあるように思いますよ。その点を私はひとつ大臣に注意を喚起しておきたいと思います。
 やはり食糧の自給率をいかに確保するかということ、それをどうして向上するのかということが、これはエネルギーの問題とともに日本の政治の大きな焦点になってきていると私は思います。ですから、農林水産省の仕事をただいいかげんに守っていればいいというのではなしに、国の政治全体における農政の位置づけというものをやはり農林水産大臣としてもう少し明確に打ち出していただきたい、そう思うわけであります。そのことを、これはまだ問題が突き詰まったわけでも何でもありませんから、これからの段階にひとつ期待しておきたいと思います。
 そこで、何といっても最後は中曽根行管長官のところでいろいろそろばんやあるいはさじかげんが行われるということではないかと思うのですが、農政、広く農林水産という政治について、ほかの政治との優先順位をどういうふうにあなたはお考えになっているか、それをひとつ伺います。
#24
○中曽根国務大臣 私は率直に申して、亀岡大臣の顔を見ると憂うつになることが多いのです。それは閣議でもこの行革の問題が出ますと、農水関係の仕事の重要性をしばしば力説されておられる。確かにほかの補助金に比べまして農水省関係の補助金というのは、生活に直結する、あるいは生産に直結する、家計と非常に密接に深い部分がございまして、ほかの工業関係その他と違う性格があるわけであります。それを抱えておられる大臣でありますから、行革というものでずいぶん心労なすっておられるなということを伺いまして憂うつになるわけであります。しかし、私もその御心境には非常に共鳴いたしまして、そういう特殊性をよくわきまえながら冗費を思い切って切っていかなければならぬ、そう考えているところであります。農水省関係の経費とほかの各省の経費の軽重を私ここで申し上げるわけにはまいりません。みんな同じように大事であると思っております。おりますけれども、そういう性格の相違というものは私は認識しているつもりであります。
#25
○安井委員 けさの新聞では、昨日鈴木総理は自民党の国対関係の会議に出て、各省は大蔵省の査定前に省庁ごとに八ないし一〇歩みずから削減するようにというような言い方をしているようですね。各省庁のを応分、平均、公平に切らなければならないということを改めて強調した、こういうふうなあれになっております。八ないし一〇多という言い方、それからまたこの総理の考え方は行管庁長官と御相談済みだと思うのですが、これはもう少し内容についてお話しいただきたいと思います。
#26
○中曽根国務大臣 どうしてそういう数字が出たか私わかりません。総理とそんな数字の話なんかまだしておりません。けさもわれわれの朝飯会で国対副委員長に聞きましたら、総理は八とか一〇とかという数字は言わなかったと思う、何かの間違いじゃないか、私は総理のそばにいたけれども、私の聞いた範囲ではそういうことは余り記憶にない、そういうことを言っておりました。そういう数字がどうして出たか、私も不思議に思っておるところでありまして、現在臨時行政調査会でそういうキーポイントをいろいろ論議しようとしているときでございますから、政府が先走っていろいろ言うことは委員会の独自性を損なうゆえんでありまして、厳にわれわれ慎んでおるところであります。
#27
○安井委員 ただその八ないし一〇%というのはどの新聞もみんな同じなんですね。見出しにもなっています。それだけに気にかかったものですから伺ったわけであります。
 最近、過保護農政という言葉を財界は盛んに使うわけですね。そのことについて中曽根長官はどうお考えですか。
#28
○中曽根国務大臣 そういう声をよく耳にいたしておりますが、必ずしも財界側からだけではなくして、一般消費者、サラリーマン、都会に住んでいる方々、そういう方々から耳にしておるところであります。
#29
○安井委員 言葉ではいろいろ出るのですけれども、最近財界が農業に関する提言を相次いで出しているわけです。御承知のとおり経団連も日経連も、その他もですね。そういう中で具体的に過保護農政という言葉を使っている。あちこちにあるということで問題を分散するような御答弁ですけれども、実際集中的にいま出ているのは財界ではないか、私はそう思います。そのことが、農業に関係のある団体や農民の間では、これが行革というようなものとどう結びついてくるのかという心配を持っているわけであります。
 たとえば三月の末に乳価が決定されました。ところが、その乳価は四年間据え置きになったわけですが、その根拠には乳製品が、バターや脱脂粉乳などが在庫がふえていて半年分も余りでいる、そういうような状況で乳価を上げるわけにいかぬということを農林水産省もここで説明したわけですね。ところが乳価据え置きで決まった後になってきたら、実はそんなには余っていないのだというようなことがわかってくる。乳製品会社の倉庫はそんなに余ってないのだ、こういうわけです。だからそうなると酪農民は、じゃ一体われわれはごまかされたのじゃないか、だまされてああいうふうな乳価据え置きの状況をのまされたのではないか、そういうような鋭い反論が出ているわけです。もうかんかんになっていますね。
 ですから、このあり方をストレートに結びつけてはあるいはまずいかもしれませんけれども、そういうような財界への不信感もあるわけです。ところが財界主導型の行革というような印象を受けている昨今の動きとそれが結びついてくるわけです。ですから、行革というのはあくまで国民のための行革ですから、私たちが国民行革と言っているそれでなければならぬと思いますよ。その点を中曽根長官は明確にしながら今後の対応が必要であり、きわめて深刻な状態にある農政の状態を十分に含んだ対応というものをしていただかなければならぬのではないかと思います。どうですか。
#30
○中曽根国務大臣 財界が行革をやっているのではありません。政府と国会が行革をやらんとしておるのであります。これははっきりと確立しておりますし、今後もそういう気構えで参ります。むしろこれは国民行革である、安井さんおっしゃるように私らも共鳴しているところで、きのうも国会で、一言でどういうことかと言いますから、みんなで行革、みんなで世直し、そういうことを申し上げましたが、一財界の意見のみによって左右されるような行革は絶対とりません。今度の臨時行政調査会におきましても、委員構成を見ましても財界関係の方は三人であります。そのほかに地方団体、学者が一人、それから労働関係からお二人、ジャーナリストがお一人、行政経験者が一人、こういうことで、財界の数は九人のうち三人でございます。そういう面から見ましても、これを全国民的な調査会にしようという配慮で各層から傑出した国民的代表の人士を御出馬いただいたわけでございまして、財界行革などは絶対あり得ないところであります。
#31
○安井委員 そう言われるけれども、農林水産関係の人は少ないようですね、専門委員なんかに全然いないとは言わぬけれども。
 私がいま心配なのは、日本の財界がいま非常に熱心に取り組んでいるのに三つあるわけです。その第一は農業と農政に対する見直しの要求であると思います。原料のコストをできるだけ安くしたいということ、低成長ですからね。そういうふうな要求が農林水産に対して来るのだろうし、それからもう一つは国内生産よりも外国から輸入することによる貿易による利益を財界は考えているに違いない。それからまた労働力の不足に対しては農業サイドからもう少しはみ出させたい、そういうようなことが一つ一つの提言の中にあらわにあらわれているような気がするわけです。
 それから、財界が熱心な第二の問題は、防衛、軍事予算の増額ではないかと思います。日本経済も低成長になってきて、あとこれからの成長産業というのは防衛産業だ、そこにどうもねらいをつけているようで、それが防衛予算の増額ということにきわめて熱心な態度にあらわれてきているのではないかと思います。
 第三は行政改革です。小さな政府で国民の負担を少なくするということは、これはもう国民全体の要求であることは間違いないけれども、その負担といったって、最も多く負担しなければならないのは、最もたくさんお金を持っている人であるはずです。大企業だとかあるいは資産家がそうなわけですね。大体国の予算というのは、金のある人から集めたそれを歳入として、金のない人に対して、比較的弱いところに歳出として予算をまいていくのが国の政治の実態、これはどんな政権ができたってそうじゃないですか。ある人からもらったものをない人の方に、できる限りそれらをうまく生活が安定できるように使っていくというのが。
 ところがいまの行革の姿勢というのは、歳出を減らせ減らせということなんですからね。歳入の方はそのままにして歳出を減らせ減らせということになれば、結局弱い人にばかり鋭く犠牲がいってしまう、そういうことになるのではないかと私は思います。それが、本能的にと言っていいかどうかわかりませんけれども、行革をやれやれと言う財界の姿勢になっているのではないか。
 ですから、この三つ以外はそうでないとは言いませんけれども、その三つの中に私は農業と行革と二つ入れたわけですよ。それだけに今度の行革というものに、私はいま農林水産委員会の論議の中にいるものですから、この委員会として大きく関心を持たざるを得ないということを申し上げているわけであります。
 いま大臣は、行革というのは財界行革じゃないんだ、本当の国民のための行革だ、そう言われるが、それでは、財界に対してというか、大きな企業に対して税の優遇措置があります。これも補助金の一種ですよね。これは国税で租税特別措置があるわけですが、たとえばグリーンカードに対しても、これが完全にできればもっと税金が上がってくるわけですが、資産家にはこれは影響があるものですから、これに反対の空気が自民党の中にもあって、いま動きがあるでしょう。それから、国税だけじゃないのですよ。地方税にありますよ。たとえば電気産業の固定資産税というのは半分です。あるいは三分の一というのもあります。固定資産税や電気税や、そういったような税の優遇措置がたくさんあるわけですよ。これは表に出ているものだけでも一兆円以上になります。私どもの試算では、恐らく二兆円を超えるのじゃないかと思います。
 だから、零細な補助金は切るという、その態度が先ほど来のお話で明らかですけれども、それではそのような企業に対する税の優遇措置も切りますね。企業の方も、自分たちも出血しますよ、国民の皆さんもがまんしてくださいというのなら納得しますよ。税の優遇措置に対するお考えはどうでしょうか。
#32
○中曽根国務大臣 石油危機に際しまして、経営をやっていらっしゃる方々は非常な苦労をなすってきたわけであります。酪農の農家もあるいは野菜をやっている農家も、石油が値上げをされて、といって野菜や乳価がそう急に上がるわけじゃなし、また工業生産をやっていらっしゃる方々も石油代金が非常に高くなって困った。みんな節約をしたり、株を売ったり、土地を売ったり、あるいは夜間作業を延ばしたり、そういう苦労をして、粒々たる苦労の上に今日切り抜けてきたわけであります。ところが、では政府の方はどうかと見るというと、役人はそう数は減っているわけじゃなし、あるいはいままでどおりのうのうとしてやっているじゃないか、政府はこの辺で汗を流して国民と同じ苦労をしろというときに来まして、いまの行革というものが出てきていると思うのであります。
 そういう厳粛な、国民が汗を流して苦労して石油危機を切り抜けてきた苦労を政府がいまやらなければ、国民に申しわけがないし、政治が動かない、そういう段階で、いわんや増税というようなことを――それをやらずに済ませるという状況ではない、そういうような考えに立ちましてこの行革というものが進められていると思うのでありまして、そういう面からは、やはり政府みずからができるだけ節減を行い、冗費を省き、人間を、できるだけ少ない人間で効率的に使うという厳粛な気持ちで立ち上がらなければならぬと思っておるのであります。
 それで、財界云々と仰せられましたけれども、そういう声は財界だけの声じゃなくて、農民の声でもあり、中小企業者の声でもあり、あるいは源泉課税で取られているサラリーマンの声でもあり、民間全般の声であると私は受けとめておるわけなのであります。
 そういう考えに立ちまして、いかに公平に犠牲負担をやっていただくか、各官庁あるいは行政ベースにおいて、そういうことをわれわれは真剣に取り組んでやっていかなければならぬと思いまして、そういう面から、行革はきついことであり、われわれみずからが耐え忍ぶことであり、あるいは一部国民の皆様方にも御苦労願ってがまんしていただかなければできないことである、決して甘いことではない。そういう意味において、いままでかりそめにも甘えの構造とか過保護とか、そういう面があるとすれば、それはこの際思い切って整理しなければならぬ、そういうものであると思っておるのであります。
#33
○安井委員 みんな耐え忍ばなければいかぬということですから、では税の優遇措置にも切り込みますね。どうですか。
#34
○中曽根国務大臣 この点は、大蔵省や専門家がそういう同じような観点から検討していただいておるものであると思うし、第二臨調におきましても検討していただけるものであると考えております。
#35
○安井委員 いずれにいたしましても、行政改革という本来のあり方は、正しい国民のニーズを正しく受けとめてあるべき政治の方向をつくり上げていく、そういう行政のシステムをつくり上げていくというのが私は行政改革だと思います。
 ところがもういまの場合は、まるで来年の予算をどうするかというところに矮小化されてきているという感じを受けるわけですが、やはり基本的な行政改革の方向というものは明確にしながら当面の課題は解決しなければいけないでしょう。そういうことでいかなければいけないので、財界主導型というようなそしりを受けないような配慮が必要なんで、これは本当に財界が自分の税の優遇措置まで切られると思ったら、あんなにはしゃぎようがないですよ。財界がはしゃいでいるというのは、たとえば農業の農民に対して切り込みをして、そちらの方から支出が減れば自分の税金が安くなる、そういうことで、いま大臣はどこまで本気で言われているのかわかりませんけれども、本当に財界そのものも大きな血が出るんだということを明確にすれば、私は、恐らくあんなはしゃぎようはないと思うのですよ。その点を私は、きょう大臣がやりますと言うから、それじゃぜひおやりくださいというように申し上げておきたいと思います。
 セルフサービスという言葉を大臣はお好きで、アメリカもあるいは英国もそうなんだから、日本もそれでやりましょうということなんです。しかし、セルフサービスという言葉に連なる私どもの印象としては、どうも力の論理につながっていきやしないかという心配であります。つまり、自分のことは自分でせよ、他人に頼らないで何でも自分でやるようにしろ、こういうことになりますと、自分でやる力のない人は一体どうなるのかということになるわけです。
 日本の農民の全体を見ても、専業農家として農業だけでやれる人は一三、四%しかいないのではないですか。そうなると、それらの人たちは助けてやるけれども、あとの九〇%に近い人はおまえら勝手にやりなさい、こういうような論理に聞こえてしょうがないのです。力のない者はもうしょうがないんだということでは困ると思うのですが、その辺をもう少し明確にしていただきたいと思います。
#36
○中曽根国務大臣 力がないからといってあきらめるのではなくして、力をいかにつくるか、全馬力をいかに発揮させるか、それが政治や行政の要諦ではないかと思います。身障児たちを見ましても、普通学級に入れたのがどんなにうれしいか、あるいはリハビリテーションというものは自分の生命力を一〇〇%発揮できるような喜びを与えるものだと考えておりますが、人間の本質にはそういうものがあるのではないかと思うのであります。
 農家の経営におきましても、いかに自主、自力、自助、自立でいくかという精神を発揮して喜びを味わう、そういう環境をつくり、そういう手段を講ずるというところに政策の中心があるべきで、困った困ったと言うからといって何でも母乳を与えるようなやり方でやったら、これは人間精神をスポイルすることにもなりかねないと思うのです。ただし、しばらくの間とか、生産力を上げあるいは自立できるまでの間、そういうことを目標にしていろいろな施策を講ずるということは十分考えてやるべきであると思いますけれども、何でもかんでもお金や物を与えて助けてやればいいとかということは、人間精神の存在から見てかえって無責任なやり方ではないかと思っております。
#37
○安井委員 その点はもっともだと思われる点もあります。何でもかんでも保護さえすればいいというものでないことは間違いないと思います。あなたの言われるような考え方で救われる人もあるかもしれませんけれども、そうではなくて、農民切り捨てという形で切り捨てられてしまう人が同時に出てくるわけです。その中間地帯において、あるいは外見においてたとえ過保護と見られるところがあったって、切り捨ててしまって、おまえは死んでしまえという人をつくるよりは、若干そこでむだができたって私はしょうがないのではないかと思うわけです。
 そこでメリットとデメリットを計算する段階に入ると思うのですが、あなたは、はっきりここから上はセルフサービスで、それから後はと言いますが、しかし、農政の場合は、専業農家はたしか一四%ぐらいしかないのではないですか。ですから、そういうところにセルフサービス、セルフサービスと言われたって、農民全体としては、何だかわれわれは総体的に切り捨てられるのではないかという印象を持たざるを得ないのです。そういう実態をもう少し把握した表現をしてもらいたいと思うのですが、どうですか。
#38
○中曽根国務大臣 やはり政治の基礎には愛情というものがなければならぬと思いますし、人間存在の根源に立脚した、自然と人間の大道にのっとったものでなければ長続きはしないと思います。いわゆる切り捨てというような昔のお侍さんがやったような考え方はとらざるところでありまして、あくまでその存在の価値を発揮させる、それを助けていくという考えに立ってやるべきではないかと思います。
#39
○安井委員 あと時間がもうわずかしかありませんから、多くの問題を取り上げるわけにはいかぬわけですけれども、もう一つ、さっきもお話のあった公務員の数が多過ぎるという問題です。
 いろいろ調べてみますと、なるほど国家公務員の数は、総定員法ができたときと現在とでは余り変わっていません。わずかしかふえていません。そして地方公務員の方は七十万人ふえていると言うが、実は数のあれが違うわけで、二百何十万人の基礎からの七十万人ですから、地方公務員の方は三割ふえています。あなたはいつも数字ばかり言うけれども、ふえているのは三〇%、しかも教育や福祉等であります。国家公務員はふえていない。
 ところが、国家予算を四十三年と現在と比べてみますと、何と九倍です。物価が二・八倍に上がっていますから、それでたとえ修正したって総予算は五倍くらい上がっているわけですよ。地方公務員は三〇形の増、国家公務員はゼロ、それでやっているということになると、国家公務員はよけい働き過ぎているのじゃないですか。農林水産省のお役人さんもたくさんおられるけれども、予算は膨大になっているが、人員は同じなんですよ。だから、なぜそれができるかというと、結局外側に、事業団にしても公団にしても、農林水産省の別働隊としての第二農林省ができておるからですよ。それでも足りなくて、公益法人として財団法人、社団法人がみんなできておるでしょう。そういう形で外延的な広がりの中でやっておるので、本来の国家公務員はふえていないわけですよ。だから、予算、仕事がふえているということを余りおっしゃらないで数のことばかりおっしゃるものだから、私どもは非常な違和感を覚えるわけです。何も知らない人たちは大臣のおっしゃることはごもっともだということになるのかもしれぬのですけれども。そういう事実を踏まえた対応がなければこれは間違いになるということを一つ申し上げておきたい。
 それから、もう時間がないようですから締めくくりますけれども、アメリカの原子力潜水艦の当て逃げ事件は、天人ともに許さざる事件だと思います。早く助けに行けばあるいは二人の命が助かったかもしれませんよ。あの助かった人と対話をした人の話を聞きましたけれども、恐ろしく怒っていますね。だから、なぜやらなかったのかよくわからぬけれども、アメリカの核戦略の中に組み込まれている彼らとしては、そうやすやすと機密を漏らすわけにいかぬからやらなかったに違いないと思いますよ。
 いまの日本の行革も、財政再建という重大な問題があるから、こういうことなんですけれども、しかし、そういう問題があるからといって見殺しにしてはいかぬですよ。そういう政治の方向は私たちは絶対に困ります。あくまでも財政再建のために思い切ったことをやらなければいけないと思います。私どもも作業を始めました。しかしながら、弱い者をたたき切ればそれで済むのだというものであってはいかぬということを最後に申し上げて終わります。
#40
○田邉委員長 武田一夫君。
#41
○武田委員 行政改革につきまして二、三御質問を申し上げます。
 鈴木総理が高々と吹き鳴らしました行政改革の進軍ラッパ、それが内外ともにオクターブが日増しに高まりつつあるわけであります。首相の行財政改革に政治生命をかけるという発言、並み並みならぬ決意だと私は思うわけでありますが、歴代の内閣がこの問題に手をかけ、なかなか思うようにいかなかったということ、そこにはそれなりの理由、数々の難題があるわけでございまして、こういうときにこの鈴木総理の決意を踏まえて、所管の大臣としまして中曽根長官はどのような決意でこの問題に対処していくか、その決意のほどをまずお聞かせ願いたいと思います。
 また農林大臣としましては、多くの点で行革の対象になるような、そういうふうに思われている所轄大臣としましての行革に対しての取り組みの心構えといいますか、どのような態度で臨むか、この点をそれぞれ大臣にお尋ねいたしたいと思います。
#42
○中曽根国務大臣 戦後三十数年たちまして、日本の行政機構あるいは公務員等につきましては非常な功績のあった部面もございますけれども、特に石油危機前後の高度経済成長のときにおきましてかなりの肥大化が行われまして、そしてその情勢が余りにもひどくなってきていると国民の目に映じていると思います。それから、八〇年代、九〇年代にわたりまして高齢化社会であるとかあるいは情報化時代であるとか、新しい情勢が幾つも現出しようとしております。これらの過去のこと及び未来のこと等に対処し得るように、この際行政制度、機能等を改革して、そして国民が納得するような行政体系をつくり、いかなる事態にも新しい時代に即応できるような行政機構体制を整備するというのが今日の課題でございまして、この歴史的な大きな使命を抱えまして鈴木内閣は一体になって異常な決意で臨んで実行していきたいと思います。
 農林水産省関係の仕事につきましては、先ほど来申し上げましたように、日本の社会経済体質の中における農業の特異性、農林水産関係の独得の性格というものをよくわきまえまして、そして合理的な納得し得るような改革案を実現していかなければならないと心得ております。
#43
○亀岡国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、行政改革には内閣がすべてをかけてやろうということにいたしておるわけでございますので、農林水産省といたしましても全面的に協力をしてまいる。ただいまも行管庁長官から申し上げましたように、農業の持つ特異性というものを十分理解した上で筋の通った改革をやっていこう、こう仰せられたわけでありますが、私もそのとおりである、こう確信いたしております。
 特に食糧の供給、生産の面から農業の果たしてきた役割り、また果たさなければならない役割り、大変重要であります。しかも、社会的、経済的、自然的な条件の非常に劣悪なもとに経営をしていかなければならない、昨年の冷害のごとくすべての努力がゼロになるという、その危険性を持つ農業というものの特性というものを十分理解した上で、そして、しかも全国の農民、漁民、林業家の諸君が生産意欲を失わないだけの体制をつくりつつ行政改革の実を上げてまいる、こういう立場で取り組んでいきたい、もう取り組んでおる、こう申し上げて差し支えないと思います。
#44
○武田委員 いままでいろいろな努力をなさりながら行政改革が十二分に目的を果たせなかった。まあ反面から言えばかけ声倒れになってきたというその原因はどこにあったとお考えでしょうか。中曽根長官にお尋ねしたいのです。
#45
○中曽根国務大臣 いろいろ複雑な原因があっていままで行政改革が遅々として進まなかった点もあると思います。やはり国民の皆さんによく御理解いただいて、国民世論として怒濤のようなものが出てこないとなかなかこれはやりにくい。アメリカでフーバー委員会というのができまして行革を思い切ってやったことがございますけれども、それはアメリカ全部に市民委員会ができまして、それがバックアップしてフーバー委員会の成案を実行させたといういきさつもございます。やはり国民の皆様方にしっかりとした御認識と御支援をいただくということが一番の基本ではないか、その点で抜かった点があったのではないか。今度はそういうことを大いに反省してやりたいと思っております。
#46
○武田委員 いろいろと理由、原因というのはあると思いますが、やはり一つは、一番大事なのは首相のリーダーシップの問題ではなかったか。それに呼応した閣内の意思の統一といいますか、そうした確固たる理念というものを最後まで押し通す、そういう力の弱さというものが一つあったのじゃないか。そのほかに官僚あるいは労組等の問題、また政治家等の利害に絡む問題等々ありますが、しょせんはやはり総理を中心とする内閣の一つの大きな団結といいますか、意思の統一の中でやっていく、その政治生命をかけるという一点に欠けていたのではないか、私はこういうふうに思うわけであります。総理が今回そういう決意で臨むということでありまして、長官あるいは農林大臣等もそうした決意のもとに今後の行革を進めていくということでありますから、今後厳しい中でのそうした実行方をわれわれも注目をしておるわけでございます。
 そこで、今後の行革に取り組む対応としまして、当面行革の検討課題として取り上げられるものは何か、具体的にひとつお聞かせ願いたい。そして今後の行革のスケジュールといいますか、そういうものもあわせてお尋ねしたいと思うのです。
#47
○中曽根国務大臣 行革の検討課題及びスケジュールは、臨時行政調査会の委員の皆さんが主体的にお決めになることで、いまその作業が進行中でございます。ただ政府といたしましては、来年度予算の編成の問題がございますので、七月半ばごろまでにこの第一次の緊急課題に対する御答申、御報告を願って、それで概算請求そのほか来年度予算編成に影響あらしめよう、そう考えてお願いをしているところでございます。
#48
○武田委員 その中で補助金の一律カットというようなこと、きょうは八%ないし一〇%ぐらいという一つの数字が出ておるわけでありますが、この一律カットという問題について、たとえば五十七年度までには緊急性の高いものとか、あるいは五十八年度には中間的なものとか、五十九年度には大規模なものと、段階的に着手するということであります。この一律カットという問題について今後長官としましては、いま段階的にやっていくようでありますが、五十七年度緊急性の高いものというもの、これは来年度のことでございますから、具体的にはどういうものを考えておられるのか。もし差し支えなければそういうものをお話し願いたい。特に農業の問題につきましては、行革の対象としての非常に大きな的になっているようでございますので、そういうものがこの五十七年度の緊急性の高いものの中に入っているものかどうか。そういうものがありましたら、ひとつ聞かせていただきたい、こう思うのであります。
#49
○中曽根国務大臣 機構、定員、補助金、すべての問題について臨調の報告、答申を待っておる状態で、われわれの方が先にとやかく申して先入観を与えたり、審議に影響を与えることは厳重に差し控えなければならぬと思っておりますので、私たちはまだ白紙の状態で待っておる。ただ内部的にはいろいろな御下問があるでしょうから勉強だけはしておかなければならぬ。しかし、外部にそれを表明することは差し控えるように、そういう態度で終始してまいりたいと思っております。
#50
○武田委員 財界あるいはその他種々のところから農業過保護論というものが言われているようでございますが、長官はこの意見というものにどのような所見をお持ちでございますか。
#51
○中曽根国務大臣 財界から言われているよりも、むしろ都市生活者あるいはサラリーマン等々から言われているのが多いのではないかと思います。国会議員さんの中でも、与野党を通じて都会出身者、都会に選挙区を持っておる方々から、どうも農業は過保護だ、もう少し都市政策に重点を入れよ、そういう声をよく耳にするので、むしろ財界というよりもそういう都市生活者やサラリーマンの皆さんからそういう声が強いのではないかと思っております。
#52
○武田委員 長官としてはどういうふうに思いますか。
#53
○中曽根国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、日本農業の独特の社会的体質というものも考えなければいかぬ。しかし、中にはそういうふうに言われるようなものもなきにしもあらずではないか、そういうふうに考えております。
#54
○武田委員 補助金が非常に多く出ているというような話はありますが、実際に現場の農家の皆さん方のところに行って実態を調べますと、農家の皆さんが補助金で潤っておるよりも、ほかの部分、たとえば土建業者等々が中間的に潤っている方が多いのだというような点、そういう細かい認識の上で――こうした議論があたかも正論のように論ぜられていくということは、農家の皆さん方にとっては非常に心外この上ないことであります。こういうようなことの議論の中は農業に対する補助金の一律カットなどということが安易に行われることは、私は、十分に注意してよく内容をわきまえた上での対応を心なければいけない、こういうふうに思うわけであります。
 それにつけても、臨時行政調査会の委員の名簿等を見ますると、会長以下九人の委員の中には、どうも農業に理解ありそうな方がいそうでいないですね。これは問題だと思うのですよ。日本の基盤産業としましてあらゆる産業の中で重要な部門を占める農業というものを理解し、そこをよくわかる方がこうしたところに名を連ねて意見を十二分に言って、それを吸収するというようなものでなければ、その調査会等の意見というのもやはりそれなりに十分評価できるものとはならない、こういうふうに私は思うのですが、長官いかがでございますか。
#55
○中曽根国務大臣 専門委員会というのが実際に案をつくって実質的な活動をする大きな使命を持っておりますが、その中に、農林次官をやり農林中央金庫の理事長をしておった森本さんが参加されておりますし、また、農業問題の権威者であります鶴園さん、かつて参議院議員で勇名をはせました実力者も御参加になっておりまして、そういう点で農業についてもよく配慮しておるところでございます。
#56
○武田委員 そう言いましても全体で三十名くらいですかいる中に、もっと現場の声をよくつかまえた方々が必要じゃなかろうかというふうに私は思うわけであります。そういう声が十分に反映したときにこの行政改革の中に実りあるものが出てくる、私はこのように思うわけであります。今後そうしたことのいろいろな不都合が出てこないことを私は期待しているわけでありますが、時間の都合でこのくらいにしまして、最後にお尋ねいたします。
 金減らし、人減らし、制度の改善等々、いろいろなさなければならない仕事があるわけでありますが、これは中央段階だけの問題ではなく、やはり地方自治体との関係もございます。各種団体等の問題もございますが、そうした連携というものはどのようになっているのか。中央がこういうふうに一律にやるということによって果たして効果があるものか。聞くところによると、自治体の中におきましても、六つの県でしたか、自主的にそうしたものに対応していこうといういい傾向があるわけでありますが、国としましては、そうしたお互い中央、地方あるいは各種団体等との十分な連携の中で効果がある一つの行革というものをなすべきじゃなかろうかと私は思うのであります。
 この点につきまして、まず調整をするといいますか、そういうものを統括するようなものが必要でないか。第一次臨調のときにいろいろと問題がありまして、行政改革推進本部ができても結局は行革を思うように進め得なかったというようなことがあるものですから、そういう点での調整機関というものをよく動かしながら進めていく方がいいのではなかろうか、こう思うのでありますが、こういう点について何かお考えかどうか、最後にお聞きしたいと思います。
#57
○中曽根国務大臣 国と地方との調整につきましては、委員の中に地方制度調査会の会長をしておられました林敬三委員の御参加などで、こういう有力な方々の御発言も有効に効いてくると思いますし、また成案ができました暁には、自治省が中心になりまして地方団体との間でいろいろ調整していただける、またその間におきまして、知事会や市町村長会等々かちもいろいろ意見を徴するとか、そういう作業も行われるのではないかと思います。
#58
○武田委員 時間が来ましたので、以上で終わります。
#59
○田邉委員長 神田厚君。
#60
○神田委員 蚕糸砂糖類価格安定事業団法案の審議に当たりまして、本日特に行政管理庁長官に御出席をいただいておりますので、限られた時間でございますが、二、三御質問をさしていただきたいと思います。
 最初にまず、第二次臨調が発足するわけでありますが、この第二次臨調におきまして特に農林省関係についての考え方について、基本的なことはどういうふうなことになっておりましょうか、長官の方から……。
#61
○中曽根国務大臣 これは第二次臨調の委員の皆さんが、機構や定員やあるいは仕事、補助金等について、いろいろこれから御検討になるであろうと思いますが、日本農業の特質とか日本の社会的体質とか、そういう点についてもいろいろ慎重にお考えの上結論をお出しいただけるものと期待しております。
#62
○神田委員 非常に現在日本の農業が厳しい状況に置かれておりまして、転作を初めとしまして、農業の再編成といいますか、構造的なものも含めまして再建をしていかなければならない、こういう大事なときであります。特にそういうことから考えますと、第二次臨調で十分審議をされるでありましょうけれども、農業についての行政のあり方というのはこの際特に慎重に審議をしていただかねばならないというように私ども思っております。
 そうしてその中で問題になりますのは、たとえば補助金問題等につきましても、一律一〇%カットというような形での論議がなされておりますが、農業の補助金も、これは補助金の性質から言いますとそれぞれそうでありますが、非常に細かくしかも長年にわたってそれが構造的にずっとやられているというような状況を見ますと、これらの補助金問題等にどういうふうに手をつけていくかというのは非常にむずかしい問題だと思うのでありますが、その点はどういうふうにお考えでございますか。
#63
○中曽根国務大臣 補助金につきましてはこれから第二次臨調で論議がされようとしておるところで、まだ一律カットとか一〇%カットとかいうものは決まったものではございません。
#64
○神田委員 特にわが党といたしましては、一律カットというのは多少問題がある。たとえば防衛費などについては、補助金ではありませんけれども、それ相応の考慮をしていかなければならない、そういう考え方も持っておりますが、その防衛費等についてはどういうふうにお考えでございますか。
#65
○中曽根国務大臣 いま貿易と言われたのか防衛と言われたのかよくわからなかったのですが、防衛ですか。(神田委員「そうです」と呼ぶ)
 補助金やら予算を点検するという際には聖域はない、われわれはそう考えております。
#66
○神田委員 本日は事業団法の関係があるのですが、この事業団法の問題一つとりましても、行政改革が主体なのか財政改革が主体なのか。われわれは両方の行財政改革という形で言っておりますけれども、ともすると行政改革と財政改革と取り違えられておる、あるいは一緒にされている、そういうようなことがございます。そしてこの事業団法自身につきましても、一体どっちをねらっているのか、行政機構の方を簡素化するということがねらいなのか、それとも財政的な問題に主力があるのか、この辺が非常にあいまいであります。その辺のところにつきましてはどういうふうにお考えでございましょうか。
#67
○中曽根国務大臣 行政改革は幹であり、財政改革はその場合は枝になると思います。今度の法案は、幹の方に当たる行政改革だろうと思います。
#68
○神田委員 この行政改革は、機関とかあるいは事業団の合併とかそういうことだけではなくて、一番の問題は、行政の質というものを行政監察の対象にしていかなければならない。そういうことがなおざりにされてただ単に二つの事業団を一つにしてみたりあるいは幾つかの機構を減らしてみたりということではなくて、総体に行政の質についての行政監察の力というものを及ぼしていかなければならないというふうに考えておりますが、その点はいかがでございますか。
#69
○中曽根国務大臣 質を重要視するという点については同感でございます。
#70
○神田委員 それではもう一つの問題で、これは前に長官と内閣委員会でいろいろ質疑をさせていただきましたが、たとえば配置転換等の問題があります。この配置転換等の問題は、少しずつは進んでおりますけれども、なおまだまだ不十分なところが多い。したがいまして、この配置転換等についてもう少し思い切った考え方を出せないかどうか、その辺はいかがでございますか。
#71
○中曽根国務大臣 第二次臨調の結論のぐあいにもよりますけれども、お説は、今後非常に重要視すべき大事な問題になるであろうと思います。
#72
○神田委員 それでは、事業団法の関係につきまして質問をさせていただきますが、二つの事業団を統合してこれを運営するという法案が出されてまいりました。私どもこの法案を審議して、参考人を呼んでいろいろ話を聞いたのでありますけれども、二つの事業団を一緒にしても本当にそのメリットがあるのだろうかというようなことも問題になってまいりました。この際、特に両事業団を統合の対象として選択した積極的な意味というものはどういうことなのでございましょうか。
#73
○中曽根国務大臣 行革を行うために、簡素にして効率的な政府及び政府関係機関を整備する、そういう意味におきまして農林省の関係の方にも御苦労をお願いいたしまして、そしていろいろ選択しました結果、共通点がややあるもの、それは畑作関係ということと調整行為を行っているということ、そういう共通点を求めまして御一緒に合併を願ったということでございます。
#74
○神田委員 この両事業団を統合した場合のメリットについては、この前の参考人に対する質疑では、当初のメリットというのは余りないというふうな意見が大変強かったのであります。関係生産者あるいは関係業界等に与える逆のデメリットの方を非常に心配するわけでありますが、これらについてはどういうふうにお考えでございますか。
#75
○中曽根国務大臣 いろいろ御批判を聞いております。メリットの方はそれほど多くないという御批判も部分的には当たっていると思いますが、デメリットという面はそれほどないのではないか。メリットとデメリットとプラスマイナスするとメリットの方が多い、そのように思います。
#76
○神田委員 これからの運営の方法でいい方向に出ていけば一番いいわけでありますが、私ども非常に心配をしているところもあります。たとえばサービス向上、こういうものが二つの事業団を統合することによって機能の低下がもたらされるおそれはないのかどうか、それから行政サービスの向上に配慮が必要であるけれども、それらが本当にうまくいくのかどうか、さらにどういう内部組織の再編成を行い、どういうふうな構想でこれをより機能的なものにしていこうとするのか、その辺につきましてはどんなふうにお考えでございましょうか。
#77
○中曽根国務大臣 これらは、合併後関係者及び農林省等におきましていろいろ調整して、効率を高めていただくようにしていくことであろうと思います。しかし、パーキンソンの法則じゃございませんが、人間や機構は簡素にすればするほど原単位の効果は高まる・そういう要素もなくはないと思います。
#78
○神田委員 それからもう一つは、統合に伴う職員の処遇の問題についてでありますが、これは今後いろいろな事業団が統合されていく際に非常に重要な問題になってくると思うのであります。それで現在、給与体系、勤務条件はこの両事業団それぞれ違うわけでありますが、統合に当たってはこれらを統一をしていくという方向が当然とられるわけでありますが、どういうふうな形でこれを調整しようとなさっておるのでありましょうか。
#79
○佐倉政府委員 ただいまの統合に伴う職員の処遇の問題でございますが、両事業団の給与体系、勤務条件等の労働条件につきましては、両事業団のいままでの経緯にかんがみまして若干の相違があるように聞いております。統合後、両事業団の職員がもちろん一体となって効率的な業務の運営に携わっていく必要があるわけでございますが、考え方としましてはやはり一本化されることが望ましいであろうというふうに考えております。
 しかしながら、いままでの経緯もこれあることでございますので、いきなり早期に完全な一本化ということも若干無理があるかと思いますので、現在両事業団の労使間で話し合いが行われていると聞いておりますが、今後とも話し合いによってそういう点を解決していくことが必要かと思います。いずれにしましても、職員の労働条件につきましては事業団当局と職員との話し合いが基本であろうか、このように思っております。
#80
○神田委員 いまのお話ですと、早急に一本化するということは非常にむずかしいという話でありますが、同じ職場に働いていて従来の経緯から相当の賃金格差のある中で労働をするということは、労働意欲その他に関しましても非常に問題があるというふうに私ども考えておりまして、たとえば既得権等についてはこれが十分に尊重されるということは基本的にはそのとおりであろうと思いますから、そういう点を十分に考慮して、統合に伴っての不利益というものを最小限に防いでいかなければならないというふうに考えております。その点につきましては、今後とも行管等の方でも、時によっての指導というのは事業団に対しましてできるのでありましょうから、それはひとつよろしくお願いをしたいと思っております。さらに、職員の人員配置あるいは人事交流、これもそれぞれの事業団は専門化しておりますから、調整機構だからあるいは畑作関係だからというだけではちょっと対応のし切れないような問題がたくさんあると思います。これらについては機構等も含めてどういうふうにこれを進めていくおつもりでありましょうか。
#81
○佐倉政府委員 新しい事業団の内部の組織の問題でございますが、業務にかかわる分につきましては従来の二つの事業団がそれぞれ業務を遂行していく。それから管理部門、総務部と申しますか、これにつきましては統合してやっていくというのが現在の結論でございます。
 人事配置の点でございますが、現在までのいろいろな豊かな経験がございます職員も活用する意味において、当然、適材適所というような観点に立っていくべき問題だというふうに考えております。
#82
○神田委員 適材適所はそのとおりで結構でございますが、人事の問題もむずかしい問題をたくさん抱えておりますですね。その辺のところはやはりきちんとした指導の中でこれをやってもらわなければならないというように考えております。
 それから、いわゆる天下りの問題が出ておりますが、これは非常に社会的にも現在強い非難を受けております。この両事業団の合併に伴いましても、相当数の天下りの人事というものがここに見られているわけでありまして、それらがやはりいろいろ問題になっているというふうに聞いておりますが、これらの現状はどういうふうになっておりますか。
#83
○二瓶政府委員 天下りの現状ということでございますが、まず蚕糸関係について申し上げます。
 日本蚕糸事業団の役員につきましては、常勤役員六各おりますが、この中の三名が農林水産省出身者でございます。あと二名が養蚕、製糸、それぞれの業界から一名ずつ出ております。それから残りの一名でございますが、これが内部登用者ということに相なっております。それから職員の方でございます。全体で三十五名おるわけでございますが、官庁出身者が七名ということでございます。このうち出向者が二名。それから部課長、所長、次長といったいわば管理職ポストでございますが、これにつきまして、十三名管理職ポストがございますが、その中で七名が内部登用者というふうに相なっております。
 それから糖価の方の関係でございます。糖価安定事業団、これにつきましては常勤役員六名おりますが、そのうち五名が農林水産省出身者、残り一名が内部登用でございます。それから職員の方は九十二名おりますが、官庁出身者が十八名、出向者が六名となっております。また管理職ポストを見ますと、三十名中二十二名が官庁出身者もしくは出向者というような現状に相なっております。
#84
○神田委員 いまの御報告を聞いても、かなりの人数が天下りという形でいるわけであります。
 長官に最後にお尋ねをいたしますが、いわゆる天下りの問題は、悪弊といいますか、余りいいものではないという形で現在われわれは考えております。この際、天下り人事を極力排除して思い切って内部登用を図って、名実ともに行政改革の趣旨に沿ったものに運営をすべきだというふうに考えておりますけれども、今後のこういう全体的な天下りの問題についての方針と決意をお聞かせをいただきたいと思います。
#85
○中曽根国務大臣 全く同感でございます。内閣でもいままでしばしば閣議決定等でその点の努力をしてまいりましたが、今度はさらに一層思い切った努力をやってみたいと思います。
#86
○神田委員 終わります。
#87
○田邉委員長 寺前巖君。
#88
○寺前委員 増税なしの行革と言われて、国民の間にかなり大々的に行政改革についての宣伝がなされたように思うわけです。
 ところで、昭和五十四年十二月十八日の閣議了解として、昭和五十五年四月一日以後任期を完了した際に、後任を補充しない方法で三年間を目途に実施するということで、特殊法人の役員の縮小などについての方針が出されているようです。あるいはまた、その後ですか、閣議決定ということで「公団、事業団等特殊法人の役職員の人事、給与等の適正化」というのが出ております。その前には五十二年十二月二十三日閣議決定「特殊法人の役員の選考」という問題など、国民の批判の前に閣議として態度を示してこられたと思うのです。
 私はまず最初に行政管理庁長官に、いわゆる天下り規制に関する閣議決定とも言うべき五十四年十二月十八日の「役員選考基準の運用方針」と「役員の縮減」、この方針が三年をめどとして実施するというふうに位置づけられたものですから、きわめて期限を明確にして実施され、しかも「主管省庁は、役員縮減の計画を定め、内閣官房長官に報告するものとする。」というところまで決意をせられた以上は、この内容についてうまく実践されているのかどうか、お聞きをしたいと思います。
#89
○佐倉政府委員 ただいま御指摘の閣議決定に基づきまして、特殊法人の役員の関係の問題でございますが、民間からの登用の推進につきましては、これは俗に言う天下りの規制でございますが、特殊法人の役員総数のうち国家公務員の経験者の割合が、五十五年一月には六〇形であったものが五十六年には五七%に下がっております。それから、これも俗に言う渡り鳥の問題でございますが、あるいはたらい回しと言われているものでございますが、いわゆる転任者の割合、これも五十五年は四形、五十六年は三・五%というふうに若干下がっております。
 それから役員の年齢制限の問題でございますが、例外者に該当する者が五十五年は四%であったものが五十六年には二・六%というふうになっております。
 それから長期留任の問題でございます。これはおおむね六年と一層厳しく運用するということになっておりますが、例外者の該当でございますが五十五年八%、五十六年六・五%ということでございます。
 以上のように、こういう役職員の人事の問題は主務大臣の所管でございまして、統一的な基準につきましては内閣官房の方で取り扱っておりますが、現在、私の手元にあります数字はそのようにあらわれております。
#90
○寺前委員 どうも質問しているのが下手なのか、正確に御理解をいただきたいと思うのです。私はうまくいっているのかどうかということを聞いたのです。具体的に事実を提起してみたいと思います。
 まず、一昨年の十二月に提起された役員の縮減の問題について、幾つかの所管省庁の事業団などの実態を見ました。たとえば科学技術庁、新技術開発事業団というのは、理事は定数四人以内ということに法律でなっています。去年の八月一日付で理事が欠員になるというので、どうしたのか、いままでどおり補充をしてしまいました。国土、建設、通産が関係する地域振興整備公団は、理事の定数は十二名以内ということになっている。去年の九月十六日付で理事が二人退任することになっているのに、ここでまたそのまま補充をしてしまった。通産の所管になる日本小型自動車振興会は、理事の定数三人以内、去年の十月一日付でここでも理事はそのまま補充をしてしまった。外務、農水、通産の所管する国際協力事業団は、理事の定数は十二名以内と法律でなっている。ところが去年の七月、二人の退任の補充をそのままやってしまう。農水省に直接関係する農用地開発公団は、理事の定数五名以内と法律でなっている。去年の七月と九月で二人の退任に対し、またそのまま二人の補充をやっておる。
 三年を目途として役員の任期を考えれば、去年の役員の切りかえのときには当然考えなければならない補充、不補充の問題ではなかったのでしょうか。にもかかわらずそのまま満杯の補充をやってしまう。閣議でわざわざ決めていながら、これではうまくいっているというふうに挙げることはできないじゃありませんか。管理庁長官、これでうまくいっていると言えるでしょうか。いかがなものでしょう。
#91
○佐倉政府委員 ただいま御指摘の役員の規模の縮減の話でございますが、各省庁ごとに主管法人の常勤役員総数の少なくとも一割を縮減する、こういうふうになっています。先生御指摘のとおり三年間を目途に実施するということでございまして、現在この三年間、すなわち五十七年度までに逐次実施していくことになっております。これは各省庁ごとということになっておりますので、各省庁の主管しております特殊法人につきまして一割の縮減でございますが、法人の廃止に伴うような減員等も含めまして、五十五年度には三十九人の縮減が済んでおります。でございますので、特殊法人ごとの問題につきましてはもっぱら各主務官庁において取り扱っているということでございまして、逐次実施しているということが言えるかと思います。
#92
○渡邊(五)政府委員 役員の定員につきまして、農林水産省にも御指摘がございましたので御報告いたします。
 ただいま行政管理庁の方からお答えいたしましたように、省全体の役員数の減ということで、五十八年三月末までに計画的に実施しておるところでございます。したがいまして、その中には対象とならないものもございます。対象となるところとしましては、すでに私どもといたしましては、農業者年金基金あるいは地方競馬全国協会、農林漁業金融公庫において各一名ずつ役員を減じております。さらにただいま御審議をいただいております両事業団の合併によりまして、三名の常勤役員を減ずることにいたしておりますし、この四月一日に、農林漁業金融公庫の役員を一名減にいたしております。あと五十八年三月までに、全体が当省九十四名でございますので、この一割を減らすということになりますので、この計画に沿って私ども努力いたしてまいりたい。したがいまして、該当するところとしないところとあるわけでございます。
#93
○寺前委員 私は行政管理庁長官に聞いておるのですよ。私は、これが去年行われた役員の任命の仕方になっているから、これでは縮減の方針とは違うではないか、変えることができなかったのか、もう具体的事実を各省ピックアップしてやってみた。やむを得ないのであってうまいことやられていると言うのか、それとも、やはり決定した以上はもう少し考えてもらわなければ困るではないかと言うのか、その点について長官に聞いている。
#94
○中曽根国務大臣 いまの状態に必ずしも満足しておりません。
#95
○寺前委員 私は先ほどからの政府委員の答弁を聞いていたら、全部個々具体的に挙げたことへの答弁になっていない。もう少しまじめに答えていただきたい。
 その前の五十二年十二月二十三日の閣議決定では、「特殊法人の役員の選考」という中に「たらい回し的異動は、原則として行わないこと。」ということを決定している。ところが、それではその閣議決定後にたらい回し的人事はなかったのだろうかと見直してみました。七八年の六月に、農業者年金基金の理事長から農林漁業金融公庫総裁にかわった人がちゃんとおるわけです。中野和仁というお方です。それから、七八年六月に、農林中央金庫専務理事から東北開発総裁にかわった人がおる。それぞれ経歴を見ると、特殊法人の分野だけを見ても、その東北開発の総裁は宇佐美というお方で、四回かわっている。中野という農林漁業金融公庫の総裁は二回目だ。せっかく原則として行わないということを決めていながら、これは農林も関係がないとは言えない分野だと思うが、この分野においても依然としてたらい回しというのか、こういう人事が残っている。
 私は長官に聞きたいと思うのです。鈴木総理も長官も、行革に真剣に取り組むということをおっしゃる。それをおっしゃる以上は、過去に決めたことは総点検をして、必ずチェックをして、メスを入れて実践するのだという――過去に決めたことをたな上げにして次の方針と言っても、筋は通らないと思うのです。いかがなものでしょう。
#96
○中曽根国務大臣 現在の臨時行政調査会でいずれ見直しが行われるものと期待しております。
#97
○寺前委員 見直しは結構ですけれども、決めたことについてやり抜けないようなことではだめだと思うのです。
 そこで、いまかかっている二事業団の統一の問題ですが、蚕糸事業団は、三十五人の職員で常勤役員が六人もいる。あるいは糖価安定事業団は、九十四人の職員がおって、常勉役員が六人。両方合わせたところで、百三十名前後の職員です。常勤役員を減らしたといっても九名だという。非常に高い常勤役員の率ではありませんか。民間会社でこんなに常勤役員を持っているところはそうないのじゃないでしょうか。
 しかも、常勤役員が所管をしている仕事を見てみると、その部局の中にはちゃんと部長がおって、その部長一人に対して常勤役員一人という関係が確立している。こんな常勤役員の配置というのはむだじゃないのだろうか。もっと思い切ってこの分野についても、単に、総務部門が両方にあったのを、一つになったらその分野だけ人数を一人減らすとか、理事長が両方に一人ずつおったのだから、合わさったんだから理事長は一人でよろしい、あたりまえの話だけでは、この分野の行政改革は終わりだというわけにはいかないだろうと私は思うのです。明らかに常勤役員の数は多過ぎるというふうに指摘をせざるを得ないと思うのですが、いかがなものでしょう。
#98
○中曽根国務大臣 私も同感で、どうも役員の数は、いまでも多過ぎるように思います。
#99
○寺前委員 時間が参りましたので、終わります。
#100
○田邉委員長 神田厚君。
#101
○神田委員 先ほどに引き続きまして、この両事業団の統合問題につきまして御質問を申し上げたいと思っております。
 農林大臣が所用で席を外しているようでありますので、政務次官、かわってひとつよろしくお願いを申し上げます。
 まず、第二次臨調の問題に関連しまして、この第二次臨調に農林水産省としてはどういうふうに対応していくのかということについて御質問を申し上げますが、第二次臨調が発足して、本格的な行政改革実現のために総理も政治生命をかける、こういうふうに決意をして、秋には行革のための臨時国会も召集するというようなことにもなっているようでありますが、この行政改革の中で最大のガンは農林水産省関係だ、土光会長がこういうふうなことも言っております。そして、この行革というものが、ともすれば、農政批判を強めている財界主導によって展開をされ、その農政批判の矛先が行政改革というものを通して農林水産省関係に向けられてきている、こういうことが大変心配になるところであります。
 以下、何点かにつきまして御質問を申し上げたいと思いますが、これらの、いわゆる土光会長の、最大のガンは農林水産省関係だというようなことにつきましては、どういうふうにお考えでございますか。
#102
○志賀(節)政府委員 お答えいたします。
 行政改革そのもの自体は大変大事なことでございまして、私ども農林水産省としては、これに協力をしていかなければならない立場であることは申し上げるまでもございません。ただ、農林水産省として臨時行政調査会に期待をするのは当然でございますが、その期待をいたします点は、以下二、三の点にございます。
 第一は、農林水産業は、自然的、社会的、経済的に見て不利な条件に置かれているということ。それから第二点は、農林業活動を通じて国土の保全や自然環境の確保に寄与しているということ、これも申し上げるまでもございません。また第三点は、わが国の農林業は諸外国に比べまして零細規模のものが多く、また水産業は新しい二百海里規制等の困難な事態に当面をいたしております。それからまた、第四点は、昨年の国会決議に食糧自給力の強化に関するものがございますが、これを踏まえて、総合的な食糧自給力の維持強化のために、生産者が積極的に生産性の向上を図る必要がある。
 こういう以上四点にわたりまして当然この臨時行政調査会の慎重審議が行われまして、筋の通った御答申が出されることを期待しておるわけでありまして、その審議が始まる以前、あるいは審議が行われている過程において、いまこの問題等についてまだ結論が出ておらぬわけでございますから、われわれとしてはいいのあしいのと言うべきものではない、ただ、いま申し上げたようなことは当然臨時行政調査会の中で頭に置いて、そして、そういう筋の通った答申のなされることを期待する立場にある、こういうことでございます。
#103
○神田委員 この問題は大変大事な問題になりますから、また大臣が出ましたときに改めて大臣の方から御見解をお聞きしたいと思っておりまして、以下、多少細かい問題になりますが、御質問申し上げます。
 まず、農林水産省所管の補助金の問題でありますが、この補助金の現状というのはどういうふうになっているのか、それから、政策目的として補助金がつけられてきたわけでありますけれども、その政策目的に果たした役割りというのはどういうふうなものなのか、主要なもので結構でございますから、明らかにしていただきたい。
#104
○渡邊(五)政府委員 御指摘の農林水産省補助金の件でございますが、所管の予算が現在三兆三千億円、そのうち約二兆六百億円が補助金と言われるものでございます。このうち、農林水産省の特徴といたしましては、法律に基づきます補助よりも、予算措置に基づきます補助が比較的多いというのが特色になっております。
 補助金自体はやはり各般の政策上の必要性から出ておりまして、特に、農業基盤整備、農業構造改善事業あるいは御承知のような水田利用再編対策等、これらの奨励金等も含めまして、現在約二兆円の補助金になっておりますが、それぞれ戦後の過程をたどりましても、規模の拡大あるいは生産性の向上、価格の安定、農山漁村の生活環境の整備等、私どもとしては、それぞれ重要な役割りを果たしてきたものでありますし、現在もそういう評価を持っております。
 ただ、私どもといたしまして、付言いたしますならば、これらの農林水産省関係の補助金には、従来から、総花的あるいは零細性とか各般の御批判のあることも事実でございまして、それらにつきましては、これまでも統合メニュー化等の各般の努力をして、実態に適合するように努力いたしてきておるものでございます。
#105
○神田委員 ちょっと答弁の中で触れられておりましたが、農林水産省において、補助金あるいは行政機構、これらの面でそれぞれ行管等との話し合いの中で合理化を図ってきているわけでありますが、それの実績はどういうふうになっていますか。
#106
○渡邊(五)政府委員 補助金につきましては、すでにお答えいたしましたように、これまでも統合メニュー化なりあるいは補助から融資へというような切りかえ等の努力はいたしております。具体的には、五十四年の十二月の「行政改革計画の実施について」の閣議決定に基づきまして補助金の整理統合を図ってきておるところでございます。全体に本数の四分の一を減らすということで、五十四年度は千二百五十五件、五十六年度、現在要求しております予算におきましては千百二十六件というふうに、補助金自体の本数を減らし、かつ統合等を図ってきておるわけでございます。
 そのほか機構、定員等につきまして概略申し上げますと、定員削減等の機構の問題は、四十三年度から削減計画等がとられまして、農林省定員につきましては約二万人、全体で十万人から八万人台に現在きておりまして、二〇%近くの減でございまして、各省で最も大きいものと考えております。
 地方出先機関につきましても、五十五年度までに食糧事務所の出張所を全廃いたしまして、統計情報事務所の出張所につきましても二百十四を整理いたしました。付属機関としても、昨年国会でお諮りいただきましたように、生糸検査所を整理いたし、この間特殊法人についても五法人の廃止をいたしてきております。本年につきましても、ただいま御審議をいただいております両公団の統合、あるいは営林署について七カ所を整理統合する、定員につきましても従来の計画を上回る千七百六十五人の削減をする、こういう考えで五十六年に臨んでおるわけでございます。
#107
○神田委員 財政再建ということですから、行革が大きな政治課題で、農林水産関係も避けて通るわけにはいかない、その点はよくわかるのでありますが、先ほど政務次官もおっしゃいましたように、日本の農業は非常に特殊な状況の中にある、そして現在構造不況の中で農業再建を真剣に考えていかなければならないときに、一律に、十把一からげに行革の対象という形でこれらをやられてしまうと非常に大変な問題になってくると考えております。ですから、第二次臨調に向けて農林水産省としては具体的にどういう基本姿勢でこれに対応していくのか、その方針をお聞かせいただきたいと思うのであります。
#108
○渡邊(五)政府委員 第二次臨調につきましてはいろいろ情報の連絡等はございますが、まだ方針としてのおおよその考え方について私ども承知はいたしておりません。先ほど政務次官がお答えになりましたように、昨年の自給力強化に関する決議あるいは昨年秋に出ました農政の基本方向に沿いまして、基本的に今後の農林水産業の発展のための必要な政策につきましては、私どもぜひこれを実現するように最大限の努力をいたさなければならないと考えておりますが、なお、全体的な予算等の圧縮と申しますか、削減等があるという事情について私どもも十分理解していかなければならないだろう、そうした中での努力なり工夫をいたしまして政策目的が達成できるような対処をいたさなければならない、こう考えております。
 現在の段階はまだ具体的な提案がございませんので、抽象的ではございますが、基本的にはそうした国会決議なり農政審議会の答申を踏まえまして、基本的な政策が実現できるように努力、工夫をしてまいる考えでございます。
#109
○神田委員 国会決議あるいは農政審議会の答申等を尊重するということになると、いわゆる水田再編の補助金等の問題については存続をさせていく方針ですか。
#110
○渡邊(五)政府委員 まだ五十七年度の予算要求をまとめておる段階ではございませんが、従来の経緯からいたしまして、第二期に入りました水田利用再編対策につきましては既定方針でぜひ進めてまいりたい、私どもこのように考えております。
#111
○神田委員 遅かれ早かれ農林省の方としては基本的な対応を迫られるわけですね。いま官房長はいろいろ御答弁しておりますけれども、しかし出されてくるごとは間違いがないわけであります。そこで農林省としては、重要政策としてこれとこれとこれは守るのだ、こういう問題についてはやや検討して譲っていくこともやむを得ない、もうすでに内部でそういういろいろな検討がなされていると思うのでありますが、その辺はいかがでありますか。
#112
○渡邊(五)政府委員 まさに御指摘のような点がございまして、御意見なりを反映しながら省内でもいろいろ検討はいたさなければならない段階でございますが、いまこの席でお答えすべき段階にも至っておりません。私どもとしては、先ほどの基本的な方向に沿いまして農政の充実強化が図れるような方策を考えたいということで、目下鋭意努力をしておる段階でございます。
#113
○神田委員 次に蚕糸絹業の振興につきましてお尋ねを申し上げます。
 この法案とも関係がございますが、特に蚕糸の問題では、事業団在庫が十五万俵近くまで増大してきている。この過剰在庫をどういうふうに解消するかが大変大きな問題になってきております。この点につきましてはどういうふうなお考えをお持ちでありましょうか。
#114
○二瓶政府委員 ただいま先生からお話しございましたように、事業団の在庫はこの三月末で十四万八千俵に上っております。なお、この四月から新年度の枠といたしまして三万俵買い入れ枠の開設をいたしておりますので、現在の糸価の状況からすれば今後さらに買い増しは進むものというふうに考えております。
 そこで、これをどう処理するかということでございますが、やはり今後買い増しの進行をセーブする、その上でまた現在までに積み上がってきた在庫を放出していくというためには、何といいましても絹需給のバランスをとっていくことがどうしても基本でございます。
 それではどういう形で需給バランスをとるのかということになりますと、これという一つの手だてだけの特効薬はございません。一つは、やはり需給ということを考えますと、需要を伸ばす、そのためには需要増進対策を相当力こぶを入れてやらなくちゃならぬ。それから供給の面になりますと、外部からの供給としては輸入があるわけでございますが、輸入調整対策、こういうものもその削減等に最大限の努力を払っていかなくちゃならぬだろう。国内面の供給の問題になりますと、価格対策なり生産対策面でいろいろ工夫を要するのではないかというようなことで考えておりまして、逐次有効な手だてができますれば実行に移していく、そういうことで、有機的、総合的にこの絹需給の改善を図るという角度で物事を考えていく。そうなってくれば現在の買い上げもとまってくるでしょうし、すでに買ってたまっております在庫糸も出ていくであろうということで考えておるわけでございます。
#115
○神田委員 需給バランスをとるということでありますが、この絹の需要拡大のために現在官民でいろいろやっているというようなことを言っておりますけれども、どうも具体的にどういうことをやっているのかなかなか明らかでないので、これらについて、具体的にどういうふうな形でこの絹の需要拡大のための方策をしているのか、さらに予算措置としてはどういうふうな形でこれが裏づけされているのか、その辺はいかがですか。
#116
○二瓶政府委員 絹需要拡大のための方策とその予算関係というお尋ねでございますが、まず絹の消費の面では、いま約九割が和装需要でございます。それから一割が洋装部門というようなことになっております。そこで、日本蚕糸事業団による助成事業というようなことで、これを活用しまして需要増進対策をやっておるわけでございます。五十五年度は約三億七千万円の予算をもちまして、具体的には着物の着つけ指導など、これは和装需要の拡大というようなことでやっております。それから洋装関係等につきましては、特に新規用途開発研究事業というような角度で十二ほどのテーマをとらえまして助成を展開いたしておるわけでございます。この十二の研究テーマの中でも、たとえば絹とテトロンの交織編み物の試作研究というような関係、あるいはシルク紡績糸による下着等の開発研究、いわゆるメリヤス製品のようなものでございますが、そういうようなものの試作等に対しましても助成等もやっておるというようなことで、何とかこの需要を伸ばしていきたいというようなことでいろいろ考えております。もちろん別途通商産業省の方でもいろいろ検討はしておられるわけでございます。
#117
○神田委員 大臣もいまお聞きになっておられたと思いますが、絹需要拡大のために官民で一緒になっていろいろやっていると言われましても、その内容はただいま御報告があった程度のものでございまして、これは額といいましてもその規模といいましても非常に不十分であるというように考えております。これは生産者の問題でもあるし、消費者の問題にもなるわけでありますから、この絹需要拡大のためのもっとしっかりした体制というもの、これをつくっていかなければならないというように考えておりますが、大臣としましてどういうふうにお考えでございましょう。
#118
○亀岡国務大臣 やはりこの生糸の需要を増大するということになりますと、長い伝統を持っておりますところの絹関係の流通機構、取引所を中心にした流通機構、今日までの長い間に培われた仕組み、これを無視していろいろなことを考えてみても、大量の絹の利用を増進するということは非常にむずかしい問題である。しかし、これはやり遂げなければならないという至上命令が一方にあるということで、ただいま局長から答弁を申し上げましたように、生産者団体あるいは機屋関係、さらには製糸、それから産地等にも呼びかけをいたしまして、そうして絹のPRをする。また和装関係の着物の会、全国的な組織を持つそういう着物関係の会を通じて絹の需要を拡大してまいるということを、これはもう神田先生御承知のようにずいぶん前から根気強くこつこつとやっておるわけであります。
 しかし、需要が停滞をしてなかなか思うとおりに伸びないということで苦労をいたしておる。いろいろ新しい発想をしながら努力をいたしておるわけでありますけれども、速効性のあるような需要増大ということがなかなか求められなくて苦労をしておるというのが現状でございます。しかし、これだけの危機情勢になってまいりました以上は、もう本当にいままで以上に馬力をかけて、政府としても各界各層の協力を得ながら、また行政指導の面を強化いたしまして、そして絹需要の拡大を図ってまいりたいということで努力をいたしておるところでございます。
#119
○神田委員 この蚕糸綿業の抱えている問題の解決策のポイントは需要拡大しかないわけです。ですから、これは予算措置その他を含めてやはりもっと積極的に取り組んでいかなければならない緊急の事態だと思うのです。ですから来年度予算等におきまして、この絹需要拡大のための予算関係等も増額というふうな方向で、これはどうですか大臣、蚕糸問題では日本の一番権威者でありますが、その辺のところも含めて、予算問題等についてこれはいま現在いろいろやっておる最中でありましょうから、ひとつその辺のところの考え方をお聞かせいただきたいと思うのであります。
#120
○二瓶政府委員 五十七年度予算の要求の問題につきましては、まだ具体的な作業に入っておりません。ただ、従来一般会計予算においてこの需要拡大という角度の予算は計上しておりません。むしろ所管の通産省におきまして、五十六年度予算におきましても予算計上をしておるということでございます。ただ、絹織物とかそういう最終製品の姿になれば所管は通産省になるわけでございますが、幸い日本蚕糸事業団におきまして蚕糸業振興等のための助成事業というのがありますから、一般会計の面ではなかなかむずかしい向きがございますが、そちらの助成事業というものを活用しまして助成をする。しかもその助成するものにつきましては、蚕糸業振興審議会に需要増進部会というのがございまして、そういう部会の方、専門委員の方、むしろそういう方々にいろいろ知恵を出していただきまして、そういうものの上に乗った姿で助成事業を展開している。役人だけが頭で考えた姿のものでは有効な手だてがございませんので、そういう面も十分考えさせていただきまして、むしろ官民一体的な角度でやっていくというようなやり方をやっているわけでございます。一般会計予算の問題につきましては検討はしてみますが、なかなかむずかしいのではないかというふうに感じます。
#121
○亀岡国務大臣 ただいま局長から答弁申し上げたように、一般会計から絹需要拡大の予算を取るということは今日までも非常に困難ということで、蚕糸事業団の内部の助成の一環として絹需要の増進という面についての予算化を今日までいたしてきておるところでございますが、御指摘のような点もありまするし、またことしも異常の年であるということにかんがみまして、その辺大いに積極的に検討をして、大蔵とも折衝をして来年度のためにできるだけの確保をするように努力をしたいと考えております。
#122
○神田委員 大臣の前向きの御答弁をいただきましたが、この解決の最大のあれは需要拡大をどういうふうにしてやらせるかということでありますし、特にこういう緊急事態でありますので、その辺の積極的な検討ということをよろしくお願いをしたいと思っています。
 それから通産省の方見えておられると思いますが、昨年のスペインの青竹の輸入貿易管理令等の違反容疑、この判定の見通しはどういうふうになっておるのでしょうか。またこれらの類似事故を発生させないための予防策及び違反の場合の処罰の迅速化等についてどういうふうなお考えをお持ちでありましょうか。
#123
○末木説明員 御指摘のスペインからの絹織物の輸入の事件でございます。発生以来相当の時間がたっているのでどうしたかということだと思いますが、国内関係の調査はおおよそめどがついた段階でございますけれども、海外の調査がまだ終了しておりません。これは海外から入る情報はこれでおしまいだということになれば、その段階でいずれにしても結論を出さざるを得ないわけでございますが、きょう現在のところなお情報が入る期待が持てる状況でございますので、大分時間がたっていることは御指摘のとおりですが、私どもといたしましてはなお海外の調査をいましばらく続けて、しっかりした事実に基づいて結論を出したいというふうに考えております。
 それから第二点の、こういったことが今後また起きないようにどうするのだという点でございますが、私どもいまの段階ではこの問題が輸入管理の制度上の欠陥に原因があったとは必ずしも考えませんが、なお全体の調査を終了いたしました段階で、もし制度上の問題があればもちろんこれは改善していかなければなりませんし、それから実務執行上の問題ということでございますれば、関係省庁と今後とも密接な連携のもとに、日々の仕事を通じて再発を防止したいと考えております。
 処理の迅速化という第三点でございます。もちろんこのような事件が不正な行為であることが判明いたしました場合には迅速に処置をしなければならないと思いますが、ただいま申し上げましたような調査の状況でございますので、いましばらく時間をかしていただきたいと思っておるわけでございます。
#124
○神田委員 この見通し、いましばらくと言っていますけれども、どうですか、もうちょっと督促して、いつごろまでに判断しますか。
#125
○末木説明員 何月何日というふうにお答えすることは非常にむずかしいわけでございますが、実はごく最近も外国から本件に関しまして新しい情報が入っております。したがいまして三カ月も四カ月もというふうには考えておりませんけれども、一週間やそこらでというのは無理ではないかという状況でございます。
#126
○神田委員 次に、五十六生糸年度の基準糸価等の問題で大臣も頭を痛めているところであろうと思うのでありますが、まだ未決定でありますが、これからの決定に至るまでのスケジュール、どんなふうな形でいつごろ決めるのか、また額等についてはどういうふうに考えておりますか。
    〔委員長退席、福島委員長代理着席〕
#127
○二瓶政府委員 五十六生糸年度に適用いたします基準糸価等の行政価格でございますが、例年三月末に決めるということでやっておったわけでございますが、ことしの場合は先ほども申し上げましたような三月末十四万八千俵の事業団在庫というようなことで、絹の需給の関係等々非常に異常でございます。したがいまして相当慎重にこの価格を決定すべきであろうということで、今後の絹需給その他の一般経済の動向など、そういう面をよく見届けて決めたい。
 それから、実勢糸価の方につきましても非常に低迷をいたしております。最近に至りますと先物が相当低落をしておるというような状況もございますが、この辺の実勢糸価の動きもさらに見届けたい。それから事業団在庫の方でございますが、これも三万俵の買い入れ枠を設定いたしております。したがいまして、今後、この四月なり五月なりでまたどのくらい事業団に積み増しになってくるのか、その辺の動向も見たいというようなことで、慎重の上にも慎重に考え適正に決定をしたいということでございます。六月から新生糸年度が始まりますので、遅くとも五月末までには決定したいということでございます。
 それから、基準糸価の具体的な金額につきましてはいまも引き続き検討をしておるところでございまして、まだ最終的にどういう線というところまで現段階ではいっておりません。
    〔福島委員長代理退席、委員長着席〕
#128
○神田委員 基準糸価はまだ決定できないでいるわけでありますが、一部には引き下げるというふうなことが伝えられて大変心配をしているわけであります。大臣、額の見通しについてはどんなふうに考えていますか。
#129
○亀岡国務大臣 いま二瓶局長から答弁申し上げましたように、今年は生糸をめぐる事情が非常に異常である。とにかく事業団にも十五万俵近い生糸を保留しているというこの一事をもってしましても、六月になれば二国間協定も始まります、韓国、中国との二国間協定も行わなければなりません。そのときに果たしてどういう態度をとるべきか。できるだけ輸入を控えるという方針でやるにいたしましても、昨年は緊急事態であるから半分にしてください、こういうことで、本当に無理なことではありますが輸入を半分にいたしておるわけでありまして、実質的にはほとんど入れてない、こういうことをことしも続けることができるのかどうかというような問題等もやはり予想しなければなりません。
 そういう事態並びに、これは神田先生なんかもよくお考えいただければと思うのですけれども、取引所というものを一方に置いておいて行政的に安定制度を運営してまいるということは、私も農林水産大臣としてその責任の立場でやってみまして、まことにむずかしい、非常にむずかしゅうございます。普通の、乳価とかあるいは豚価とかの問題であります際には、各界各層の方々とざっくばらんに情報を交換し合って、その大勢の、大体の気分の一致するところをある意味では見きわめることができるわけでありますけれども、この生糸だけは、それをやりますとすぐ相場に影響してくるということ、それが一つ。
 それから、繭糸価格安定法という法律に基づいて私どもが忠実にやっております事柄が、絹とか養蚕とか機とかそういうことに全く関係のない一部相場をやる方々によって非常に大きく左右されるということもあるわけでございます。こういう危機に立ち至っておる折でもありますので、その辺も十分見通してことしの基準糸価は決めていきたい。それにつきましても、やはり今日までの政府の態度、生産に対するわれわれの態度というものを全部忘れてしまったようなことはしてはいけないな、その締めだけは忘れずに取り組んでいきたい、こんな気持ちでおります。
#130
○神田委員 なかなか微妙な御答弁ですが、取引所の問題は私どもの同僚も何回か御質問したりなんかして党内でも検討はしております。非常にむずかしい問題だと思っております。また、大臣のお言葉でありますが、基準糸価の問題につきましては、ここまで決定が延びているという一つの状況がありますが、これはひとついい方向に私どもとしては何とかして御努力をいただきたい、こういうふうにお願いをして、それ以上の御答弁は無理でございましょうから、次に移らしてもらいます。
 この蚕糸問題で最後になりますが、養蚕農家がだんだん経営規模が拡大されてきまして、一戸の農家でも養蚕を主業としてやっていこうというところもふえてきたようであります。養蚕農家戸数は減っておりますけれども規模拡大は進んでいるというような状況でありますが、これらにつきまして農林省としてはどういう方策、振興策をおとりになるお考えでございますか。
#131
○二瓶政府委員 養蚕業は、先生御案内のとおり、農山村畑作地帯におきます農業経営上重要な作物の一つでございます。地域農業の振興等に非常に寄与しておるということでございます。
 そういうことからいたしまして、従来から養蚕の機械化あるいは新技術の導入ということなどを通じまして、生産性の向上と養蚕経営の改善に努めてきたところでございます。先生からもお話がございますように、養蚕農家戸数なり総面積は減少傾向にございますが、一戸当たりの面積なり収繭量という面で見ました経営規模の拡大は着実に進んでおるわけでございます。しかし、これで十分かと申しますとそうじゃございませんので、やはり海外からの輸入圧力もございますが、そういう面の内外価格差というものも相当ございますので、今後は生産性の向上というものを考え、足腰の強い養蚕経営というものを育て上げていくという努力が必要であろうと思っております。
 五十六年度におきましては、今後とも養蚕の発展が期待される養蚕適地を対象にいたしまして、養蚕振興地域育成総合対策というような事業、これは十一億の予算規模で、中身といたしましては経営基盤の整備なり、省力多収技術の導入なり、広域的生産流通施設の充実等を内容にした新規の事業でございますが、こういう事業を展開をする。そして蚕業改良普及事業という独自の普及組織も持っておりますので、その技術指導と相まちまして足腰の強い養蚕主産地を形成し、養蚕を主業とする農家経営というものの確立に努めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#132
○神田委員 養蚕問題ですから、大臣の方からも一言、振興策その他についてお聞かせいただきたいと思います。
#133
○亀岡国務大臣 これは私どもが今日まで養蚕振興ということで積極的な施策として進めてまいっておりまするし、しかも転作作目としての重要な一部分として取り扱いをしてきておるわけでございますから、今後もできるだけの生産性の向上を図りながら養蚕振興というものを持っていきたい。
 そうして私の基本的な考えとするところは、日本が養蚕業をなくしてしまった際の日本の製糸、絹業界に及ぼす影響というものはまことに大きなものがございまするし、しかも、日本の養蚕業がだめになったということになりますると今度輸入生糸が非常に高騰をしてくるおそれがある、こう考えるわけであります。日本で生産しておるのが約二十四、五万俵ですか、それから入ってくるのが十七、八万俵、四十万俵をちょっと超す需要をずっと続けてきておったわけであります。最近になってその需要ががたんと落ちてはおりますけれども、それだけの需要がある。それに対して日本の二十数万俵という生産が全くなくなったとすれば、世界じゅうの生糸を集めても、なかなかこれはもう日本の機屋さん、製糸屋さんを動かしていくということができなくなる、ということになりますと大変高い生糸を買わされる、そういう事態が予想されるわけでありますから、そういうことをしてはいけない。
 やはり日本も、養蚕関係の伝統産業というものは、そういう意味においてもまことに重大な意義を持つということで、省力養蚕あるいは品種改良という立場で、いい桑をつくり、いい種をつくり、いい品種をつくって、いい繭をとって農家の収入を上げていくという努力も片面で大いにやりながら養蚕農家の伸展を図っていく、この施策は積極的に進めていかざるを得ない、こういう考え方が基本でございます。
#134
○神田委員 次に、砂糖問題につきまして二、三御質問申し上げます。
 昭和四十年代の後半以降わが国の砂糖の消費が停滞ないしは減退の傾向を示しておる。最近になって一層その減退傾向が顕著になってきておりますけれども、政府としてはこの原因をどういうふうに分析して、今後どういうふうな見通しを持っておられるのでありましょうか。
#135
○渡邉(文)政府委員 若干数字を踏まえて御答弁申し上げたいと思います。
 ただいま御指摘のように、全般的には砂糖の消費は横ばいないし減退傾向にございますが、過去の経過を見てみますと、いわゆる高度経済成長の時期におきましては、所得の向上に伴います食生活の高度化等々を背景にいたしまして、砂糖の消費は順調にふえてまいったわけでございます。四十九年に、オイルショックの前後でございますが、砂糖価格が大変高騰したことと時期を合わせまして減少に転じてまいりまして、ここ二、三年も横ばいないし微減の傾向を続けておるわけでございます。
 これを全体の数字で申し上げますと、五十四砂糖年度について言えば約二百八十七万トンの需要でございましたが、五十五砂糖年度につきましては、まだ数字は最終的ではございませんが、二百五十万トン前後になるのではないかと思っております。ただ、この原因といたしましては幾つかのことが挙げられるわけですが、特に五十四と五十五との対比について申し上げますと、昨年大変な冷夏でございまして、夏場にたくさん売れます清涼飲料の消費が大変減退をいたしまして、そのことが五十四対五十五の数字にあらわれているのではないかと思いますが、それ以外にも、一つには、よく言われます一般的な意味での甘味離れ傾向というようなものがベースにあるのではないかとも思われます。それから、同じ糖分ではございますが砂糖ではございませんで、いわゆるでん粉からつくりました異性化糖というものの生産が数年前からふえてまいっておりまして、従来清涼飲料に向けられておりました砂糖にこれがかなり代替をしてきているということがこの一、二年顕著になってきております。こういうようなことが全体の姿でございます。
 それから、ただいま先生が御指摘になりましたように、一人当たりの消費量を見ましても、全体の傾向がそのまま反映しているわけでございますが、四十八年ごろには一人当たり年間二十八キロぐらいまで行ったわけでございますが、その後漸減傾向でございまして、ごく最近では二十四キロ台になっております。
 今後の見通しはどうかということでございますが、今後の砂糖の消費を予測することはなかなかむずかしゅうございます。一般的な話で大変恐縮でございますが、ただいま申し上げましたように砂糖の消費をめぐります環境条件がきわめて流動的であるというようなこともございますが、私どもといたしましては、一人当たりの消費量というのはもう大体底ではなかろうか、こういうことで人口増、反面異性化糖の進出等を踏まえますと、トータルとしては微増というような感じを持っております。
#136
○神田委員 砂糖離れの現象の一つとして砂糖の健康への影響、これがいろいろ問題になっておりまして、砂糖を使ってないあるいは砂糖の使用量を落としている、そういうことを売り物にした清涼飲料やお菓子が大変多く出回っているわけです。民間の研究機関であります農政研究センターの五十五年版の食料白書の中でも砂糖のとり過ぎを警告しているということもございまして、健康問題と砂糖が同時に論じられて砂糖離れに拍車をかけている、こういうふうな感じがするのでありますが、政府の方としてはどういう御認識で、またどういうふうな対処の方針を持っておられますか。
#137
○渡邉(文)政府委員 最近、国民の食生活に対します関心が非常に高まってきたということを背景といたしまして、たとえばカルシウムをたくさんとるとか、塩分あるいは脂肪等につきましてはなるべく抑えた方がいいのではないかとか、幾つかの食品につきまして各方面からいろいろな御指摘がございます。砂糖につきましても同様な御指摘がございまして、栄養面あるいは医学の側面からいろいろなことが言われておるわけでございます。
 ただいま先生が御指摘の食料白書でも、一つの医学的な立場からの砂糖につきましての見解が述べられておるわけでございますが、日本人の食生活全体は非常に理想的な状態になっている、いわゆる脂肪、たん白、でん粉のバランスも非常にいいということではあるけれども、幾つかの食品について問題がある、こういう中で砂糖について取り上げられているわけでございます。絶対量の二十数キロの使用量が多い、量的な問題というよりもむしろ、若い時代に砂糖をたくさんとり過ぎると将来いわゆる老人病的な意味で原因になるのではないかという視点での見方になっておるのが一つ特徴的だと思います。それからもう一つは、従来いろいろな問題があるということで使用が禁止あるいは規制されております人工甘味料は、使うことの害よりも使用することの益といいますか、使用することについてももう一つの見方があるのではないかというような指摘になっておるわけでございます。
 私ども、現在の日本人の食生活を概括いたしました場合に、先ほどの食料白書でも言われておりますように、PFCの摂取バランスが非常によくとれておりますし、こういうバランスのとれた食事の中で日本人の年間一人当たりの消費量が二十四キロ台ということでございますが、欧米の一人当たりの消費量が四十ないし四十八キロということでございまして、それに比べますと日本人の砂糖の摂取量は五割ないし六割程度ということで、かなり下回っておる。また、そのことだけが原因であるかどうかは別といたしまして、食料白書でも将来心臓病とか糖尿病の原因になるのではないかというような趣旨の指摘をしておりますが、データ的には日本人の心臓病とか糖尿病による死亡率は欧米と比較しますと非常に低いという事実も別途あるわけでございます。
 それからそう一つの視点から言いますと、日本人のとっております砂糖の消費量をカロリーで計算をしてみますと、日本人は一日に全体で大体二千五百カロリーとっておりますが、先ほどの二十四キロ台ということでございますとそのうちの約一割、二百七、八十カロリー程度というふうにも思われますので、このことにつきましては私も、学問的に非常にはっきりした見解が出ているわけではございませんが、全体のバランスからいきまして現在の消費量が特に多いというふうには考えておらないわけでございます。加えて、先ほど申しましたように、一人当たりの消費量がここ数年減る傾向にもあるという点も申し上げたいと思います。
 それから別途、これはまたよく言われることでございますが、砂糖といいますものは食生活を豊かにするとかあるいはゆとりあるものにするという意味での評価もあるわけでございまして、栄養だけの視点で、いろいろ御議論があることも大事なことだとは思いますが、そのことだけで右だ左だというふうにきめつけることにつきましても若干の問題があるのではないかというふうに考えております。
#138
○神田委員 御丁寧に御答弁をいただきましたが、これは健康の問題ですから、特に結論が出ているということでもないのでいろいろむずかしい面を持っていると思います。
 いずれにしましても、消費が減退傾向にあるということが精糖業界そのものにも非常に大きな影響を持ってきているわけでありますから、その辺のところをよく考えまして、精糖業界、輸入精製糖の場合も過剰設備等を抱えて非常に苦労しているわけでありますが、これらの問題についてはどういうふうなお考えを持っているのか。過剰設備等の問題は構造改善、いろいろやられておりますけれども、関係者の中には雇用不安等の問題を大変心配をしている面もありますから、これらについて政府は業界に対して今後どういう指導をしていくのか、あるいはどういうふうな支援策を講じていくのか。
 また、特例法の延長問題が時間的に当然問題に上がってくるわけでありますが、これらの取り扱いについてはどういうふうな考え方を持っているのか。簡単で結構ですから。
#139
○渡邉(文)政府委員 精製糖企業をめぐる厳しい情勢につきましては先生よく御理解いただいていると思います。
 現在精製糖企業では、いわゆる構造改善といいますか、体質改善ということに取り組んでおるわけでございますが、昨年の春に精糖工業会としましても一つの目標を定めまして、現在自主的に各企業ごとあるいは商社グループ系列ごとにいろいろ努力をしているところでございます。私どもといたしましては今後とも、各精糖企業の財務体質あるいは設備削減を含みます業界全体の体質強化ということにつきましての努力を評価し、できるだけその前進につきましての指導、応援を行っていきたいと思っております。
 御指摘の雇用問題でございますが、五十二年に砂糖の特例法をつくりましたときに附帯決議をいただいております。その中でも関係者の雇用の不安につながらないようによく指導するようにということが指摘されてございまして、私どもそれを念頭に置いていままでもやってきたわけでございますが、たとえば特例法施行後に行われましたある会社の工場閉鎖の例を見ましても、閉鎖に当たりまして従業員の方と十分話し合いを行い、その閉鎖された工場の従業員につきましても、その会社の他の工場への配置転換とか関係の子会社に対する就職あっせん等によりまして、特に問題のないようにおさまっているというふうに理解をしておるわけでございます。
 それから、もう一つの特例法の問題でございますが、これは現在の糖安法、糖価安定制度におきましては、御承知のように輸入の自由化を前提として、国内の各企業の自由な競争の中で輸入糖の売買を通じ、あるいは国産糖の価格支持を通じまして、一定の幅の中に国内糖価を安定させていくということであるわけでございます。現実にはただいま御指摘のように、企業の過剰設備を背景といたしました過当競争というふうなことで、しばしば糖価が低落することがあるわけでございます。
 一方特例法自体は、五十二年に国際糖価が非常に下落をいたしました際に、そのときまでに、五年間の約束で日豪で、民間で非常に高い水準での長期の契約糖がございまして、国内精糖企業が非常に疲弊したということで、その契約いたしました砂糖を引き取ることができないということで大変な国際問題になったわけでございます。そのことを背景に臨時応急の措置としまして数量規制的要素を持ちます特例法をつくったわけでございます。したがいまして、特例法はあくまでも臨時特例ということでございますし、この措置を糖価安定制度の中自体に組み込むということはなかなかなじみがたいのではないかというのが現在におきます私どもの認識でございます。
 しかし、いずれにしましても糖価の安定を期することが大事なことでございますし、そのためには業界の体質改善によります、業界全体として適正な価格の実現を図るような体質に持っていくということが基本だろうと思いますので、そういう意味におきましての体質改善につきましての指導につきましては、今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。
#140
○神田委員 大臣はこの特例法の問題をどんなふうにお考えでございますか、延長問題。
#141
○亀岡国務大臣 この砂糖の問題は非常にむずかしい情勢にあるわけでございます。過剰設備といったような、そういう中で国産製糖といわゆる輸入糖との関係をどう持っていくかというようなことによりまして、業界としてもいまいろいろと構造改善等をやって努力をしているわけでございます。
 特例法につきましてはただいま局長から答弁申し上げましたような線で対処してまいりたい、こう考えております。
#142
○神田委員 それでは最後に、先ほど大臣が中座をしておりましたときに政務次官の方にお尋ねをしたのでありますが、第二次臨調の会長であります土光会長が、最大のガンは農林水産省関係だ、こういうふうなことを言って、農林水産省の関係が一番問題があるというようなことを言われておりますが、それらに対して大臣としてはどういうふうに考えて、農林水産省は、第二次行政調査会に向けてどういうふうな対応を、どういう決意を持ってこれに対応していくのか、その点の御見解をいただきまして質問を終わりたいと思います。
#143
○亀岡国務大臣 財界、産業界の方は経済合理性を追求してみんな成功された方々が指導的役割りについておることは厳然たる事実ですね。私は常日ごろ申し上げておりますとおり、農林水産業というものはおてんとうさま相手、そして投下した資本も労力も全部ゼロになるなんというようなことは農林水産業以外にないわけですね。そういう特質を十分理解をしていかなければならぬ。したがって、おてんとうさま相手ですから、経済効率の上からいってもあるいは社会的な立場から見ても自然的な立場から見ても、非常に不安定な要素を持ったのが農業という産業である。これに意欲を持って、そして物を生産していく、無から有を生じていくということをやるのが農業であって、やはり経済合理性だけで判断すればあるいは過保護に見える面もあるかもしれません。
 しかし私は、昨日申し上げましたように、とにかく日本の農業というものは、戦後主権在民という制度を進めて初めて農民のというか、国民の農業というものになったような気がするのですね。したがって歴史的に見ましても、土地要件の整備一つを見ましても、農業としては基礎条件が、環境が先進国に比べれば非常におくれておる。これから農業というものが国際競争の場に乗り出して、そしてたくましい日本農業を建設しようというふうにして、国会の適切な決議等あるいは立法措置等によってそういう環境ができたばかりのところにもってきて、あれも過保護これも過保護という経済合理性一辺倒でやられたのではかないませんぞということを、私は閣議でもたびたび申し上げてきておりますし、今度の臨調関係の方にもできるだけ耳に入るように物を申しておるつもりでございます。
 ああいう経済の指導的立場に立たれる方は、経済合理性一辺倒で農業というものを見るわけでもありませんでしょうし、土光さん自身も農業を自分でもおやりになって、物をつくる喜びということも御理解になっておられるようですから、その辺はそう筋の通らないことはおやりにならぬだろうな、私はこんなふうに見ております。しかし、これはどういうあれが出てくるのかわかりませんから、それには農林省は農林省としての正しい農業の実態というものを積極的にPRをするということはこれからも続けてまいりたい、こう思います。
#144
○神田委員 終わります。
#145
○田邉委員長 この際、午後三時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後一時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時四十三分開議
#146
○田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。寺前巖君。
#147
○寺前委員 最初に、両事業団の合併によって新しい事業団ができる。先ほどからいろいろございましたが、両事業団で働いている人たちの賃金とか労働諸条件の問題がこれに伴って起こります。不利益にならないようにということを皆さん非常に関心をお持ちであるわけです。
 ところが労働組合法の十七条を見ると、こう書いてあります。「一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の四分の三以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。」という条項があります。すなわち、四分の三以上の労働者との労働協約が片一方である、小さい労働協約の方は同じ事業場ということになるときにはつぶされてしまう、こういう法文だと思うのです。それから基準法を見ましても、六法を見ると、第三十六条でしょうか、「時間外及び休日の労働」というところがありまして、その後にこういうことが基準局の通達として、二十三年四月五日に出ているのです。労働組合が二つある場合は過半数を占めるものが協定締結権を有するというのがあるのです。
 要するに労働条件について、事前にそれぞれの大きな数を持つ組合と小さい数を持つ組合が結んでおったとしても、それは同一事業場になった場合にはつぶされますよということになるわけです。非常に不安な問題をもたらす要因というのはここにあるわけです。これをめぐっての判例はいろいろ起こっています。
 そこで私は、現実に執行していく、これから新しくできる事業団に対する管轄を持たれる農水省としては、大きな数を持つ労働組合と小さい数の労働組合とが統一して、それぞれ事前に結んでおって、労働条件の約束事に対して不利益にならないように、労働組合法なり基準法があったとしても、しゃくし定規にそのようにはしません、不利益にならないように十分尊重するよう指導していきますということが言い切れるのかどうか。御回答いただきたいと思います。
#148
○二瓶政府委員 ただいま例示を挙げられまして、労働条件等につきまして不利益にならぬように指導するのかというお尋ねでございます。
 そこで、労働組合法の十七条の関係の規定等につきましては、先生先ほど読み上げられたように、労働組合法では「一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の四分の三以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受ける」場合について規定しておるわけでございますが、現状から見ますと、この「一の工場事業場」ということで見ますと、それぞれ個々の事業場で見るというのが一般のようでございます。したがいまして、本部の職員あるいは事務所といいますか、そちらの職員ベースで見るということのようでございますが、そういう「一の工場事業場」で見ますれば、糖価関係の職員が四分の三以上を占めているというところはないわけでございます。さらに、現段階におきまして糖価につきまして労働協約といったものがないということからいたしまして、御指摘のようなことにはならないと解釈をいたしております。
 その他労働基準法の関係でのお話等もあったわけでございますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては両事業団間の労働条件の一本化をどうするかという問題でございまして、単に職員が多い少ないということではなく、十分労使間で話し合いをして解決していくべき問題であろうというふうに考えております。したがいまして、労使間で十分話し合いをしていただくということをベースにいたしまして、監督官庁の立場からいたしましても、労働条件等につきましてこの統合ということによりまして不利益にならないように極力指導してまいりたいというふうに考えております。
#149
○寺前委員 不利にならないように指導するとおっしゃったし、私はそれを期待したいと思います。
 ただ、法律ができますと法律自身がひとり歩きをいたしますから、現に組合が片方はやっとできたところで労働協約はないとおっしゃっても、あるいは現実に一つの事業所でいまの二つがおらないという現実だからといって、将来それが一つの事業所の中に入るという可能性はないわけじゃないですね。必ずそういうこともあり得るわけです。また、合理的にいろいろやっていく場合にはそういうことは起こり得る問題ですから、そのときに法律がひとり歩きしますから、やはりこういう法的問題というのはきちんとしておかなければならない性格のものだ。それを考えるとあえてこの問題について、あすにでも労働協約が結ばれるかどうかわかりませんから、したがってさっき局長がおっしゃったように、こういう法律があろうとも不利益にならないように前の結んだあれについてはやっていくのだ、尊重していくように指導するのだというふうにおっしゃることを私は尊重してこの質問を終わりたいと思いますが、もしも私の提起していることに異論がございましたら御答弁いただいたらありがたいのですが、いいですか。
#150
○二瓶政府委員 特に異論はございません。先ほど申し上げましたような答弁の線で今後も指導の方はやっていきたい、かように考えております。
#151
○寺前委員 先ほど行政管理庁長官がお見えになったときに少しく質問をした点ですが、農林大臣にお伺いをしたいと思うのです。
 蚕糸事業団と糖価安定事業団を一つにするわけですが、一つになったときに常勤役員を減らすのだということが今度の法律の提案の中にございます。現在蚕糸事業団は三十五名職員がおりますが、六人の常勤役員を持っている。糖価安定の方は九十四名の職員の中で六名を持っている。両方合わせても今度百二十九名です。減らしたと言っても九名です。私は、百二十九名のような事業体で常勤役員が九名おるということ自身まだ異常に多いと思うのですが、従来も非常に多かったと思うし、依然としてこれも多い。将来これはやはり検討を要する人数ではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
#152
○二瓶政府委員 事業団の役員の定数につきましては、五十四年十二月末の「昭和五十五年度以降の行政改革計画(その一)の実施について」という閣議決定の趣旨に即しまして、極力縮減をするということにいたしているわけでございます。このような考え方に従いまして新事業団におきましては、常勤役員につきまして現在両事業団合わせて十二人のところを九人ということで、三名の減というふうにいたしておるわけでございます。常勤役員のうち理事長、副理事長及び監事を除く六名につきましては、両事業団の業務をそのまま引き継ぐということからいたしまして、業務の円滑な運営を期する必要からいたしまして、蚕糸、糖価両事業団の役員の任務分担に照らしまして、これ以上削減するということは新事業団の業務執行上問題が多いのではないかというふうに考えております。この役員の数の面につきましては、当然行政管理庁等とも相談した上で決定したものでございます。
#153
○寺前委員 大臣にお伺いをしたいのです。
 現在蚕糸事業団は三部一室そして二事務所を持っております。三部一室であるのに六人の常勤役員、だから一つの部に対して担当常勤理事が一人という関係になっている。そんなに常勤役員というのは置いておかなければならぬものなのだろうか。ここに私は民間との明らかな違いがあるように思うのです。そこにまた天下りポストを設けているじゃないかという批判が出てくるわけです。いま内閣として行政改革の全面的な取り組みをやるのだという方針をお出しになっておる、このときに農水省としてみずからこの行政改革の一つの問題として、役員のポストが多過ぎるではないかという問題について、具体的にそういうふうに改善をしなければならぬと私は思うのですが、いかがなものでしょう。
 私はいま蚕糸の話をしましたが、糖価の方について言うならば、糖価の方にしても部の数はそんなにないのですね。総務部、輸入部、国内産部、部の数は何ぼもありませんね。あとは所長さんですよ。部の数は、国内産部、輸入部、総務部、そんなものだと思いますよ。部が非常に少ないのに常勤の理事さんの数が非常に多い。私はどう考えたってこれは再検討を要する常勤役員の数だと思うのです。細部の話はまた御検討いただくとして、大臣としてこの問題についてどういうふうにお考えになっているのかをこの際聞いておきたいと思うのです。
#154
○二瓶政府委員 特殊法人の場合の理事の常勤役員の数と内部組織の部等の数というような面での比較といいますか、部の数が少ないからどうというようなことでは必ずしもないのじゃないか。たとえば職員との絡みでながめて見ました場合にも、特殊法人にさまざまございます。今回統合します新事業団百二十七名ということになりますけれども、それに対して九人という角度のものになります。こういう面につきましてはよその事業団でもいろいろございます。したがいまして、一概にこれは言えない問題ではなかろうかというふうに思っております。
 ただ、新事業団という角度で私たちながめてみました際には、従来それぞれ両事業団におきまして非常に重要な役割りといいますか事業をやっておりますので、今後新事業団ということで従来の業務をそのまま引き継いで業務を効率的に展開していくというためには、先ほど申し上げましたように常勤役員の数は三名ほど減りますけれども、この減った姿のものをさらに切り下げていくということは困難でなかろうかというふうに現段階においては考えておるわけでございます。
#155
○寺前委員 私は、これは大臣にちょっと検討してくれということで言っているわけなんです。というのは、蚕糸事業団のたとえば経理部を見ますと、経理部だけ所管の理事さんというのが常勤でおられるわけです。部長さんが責任を持ってやっておって、後は全体を理事さんが検討するという角度の常勤の理事で済む話ではないか。それだけを担当にしていかなければならぬような配置では、屋上屋を重ねていくだけではないかという感じがするのですよ。業務部所管の理事さん、総務部所管の理事さん、こうなるわけです。部長の下に次長があるのかどうか知りませんけれども、肩書きだけが部長になって理事になっている。何かこれは屋上屋を重ねるやり方になっているのじゃないだろうか。だからどこから考えても、全体で百二十九名の職員で動くような事業団なのだから、もっともっと常勤の役員は思い切って減らすように検討願いたい。大臣、いかがでしょうか。
#156
○亀岡国務大臣 私どもといたしましては、新事業団の発足に当たりましては御提示申し上げている線が一番妥当、こういうことで御審議をちょうだいいたしておるわけでございます。したがいまして、将来いろいろ事情等の変化等も考慮すれば、検討ということもあり得るというふうに考えるわけでございます。
#157
○寺前委員 それで私はそのポストの数が多いということと、今度はそのポストに入っていく人との関係がその次に出てくるのですね。蚕糸事業団について言うと、功成り名遂げたお方が理事長におなりになるのでしょう。現在で言うと農蚕園芸局長さんだったお方が理事長になって行かれる。あと理事さんを見ると、近畿農政局長をおやりになった方が行っておられるとかあるいはまた園芸局におられたお方が理事さんになっておられるとか、監事に園芸局の蚕業課長だったお方が行っておられる。結局、内部登用だと先ほどおっしゃっておったけれども、内部から登用される前は農水省のお偉いお方だ。蚕糸事業団六つの常勤のポストのうちで四つまでが農水省の出身で占められる。だから減らすわけにはいかぬ、なわ張りがあるのだと言わんばかりのようにそれは見えるわけです。
 それから糖価安定事業団の方を見ましても、糖価安定事業団の理事長さんはやはり水産庁の長官だったお方が行っている。副理事長には中四国の農政局長だったお方がお行きになっている。そしてあと常勤役員さんを見ますと、食糧庁の業務部長さんとか、営林局長さんとか、大臣官房の厚生課長さんなどがお行きになっているわけですが、常勤六人さんのうちで一人のお方を除いて全部お役所のお偉い方々が行っている。そうすると、その数の問題とそこに行く人との関係、これは密接不可分の配置関係があればこそこの人数にこだわっているというふうにしか聞こえぬわけです。国民の批判もまたそこから来るわけです。ですから私は重ねて、この常勤役員さんのポスト問題といわゆる天下りという性格の問題とは、不可分の問題としてぜひとも検討していただきたいというふうに思うわけです。
 また、今度はこの事業団の職制の問題です。部長さんとか次長さんとか所長さんとかいう重要な役職についておられる人の状況を調べてみました。いわゆる一等級というのです。蚕糸事業団について言うと三部一室二事務所長です。そこで三部長はどうかというと、みんな農水省と大蔵省のポスト。企画室長もまたそうだ。それから事務所長を見ると、横浜の所長は農水省だけれども、神戸の事務所長だけが内部登用、民間だ、こうなっている。一番中心の一等級の諸君は、大部分がお役所の諸君たちによってなわ張りのごとくに握られている。
 糖価安定事業団の方を見ますと、ここは少し数が多いです。本部機構、調査役とか部長さんとか次長さんあるいは所長さんを入れると全部で二十三ポストがあります。うち二つのポストが空席です。さて、この本部一等級クラスの人の状況を見ると、ここでも内部登用の人はわずか五つなのです。その五つのポストを見てみると、三人までが調査役、二人は出張所の次長です。ですから、この糖価安定事業団の日常執行業務は圧倒的にお役所の方によって占められている。
 これ全体どうでしょう。事業団の人事面におけるところの責任ある、権威ある機構がここにでき上がっているとだれも見ることができないじゃありませんか。こういう人事配置をしておったら、お役所の出先機関じゃないかということになってしまうじゃありませんか。だから常勤役職の方はもちろんのこと、内部の職員の問題を見ても、これは人事のあり方を根本的に見直す必要がある。事業団の権威にかかわる問題だ。職員の諸君たちの将来にもかかわる非常に重要な、気魄にもかかわります。大臣が真剣になって考えてもらわないことにはこの問題は解決しないだろう。大臣、いかがでしょう。改革すべきだとお思いになりませんか。
#158
○亀岡国務大臣 特殊法人並びに政府関係機関は、役所としての特色と民間の特色を十二分に発揮させようということでスタートしたものと心得ております。したがいまして、本来であれば、その特殊法人なり事業団の任務に共鳴をして、そしてそこで働こうということで入った方が、だんだん勉強をして、やがては役員にもなっていくということが私は普通の常識的なあれだろうと思いますが、蚕糸事業団もあるいは糖価安定事業団も設立されてからまだ十数年ということでございますので、上級役員に就任するまでの訓練も受けておらない、こういうふうにいまのところは見ざるを得ない。一方理事長あるいは理事等の諸君は、やはり相当該博な知識を持ち、その事業団の仕事の内容についても十分な経験と抱負等を持った人を就任せしめるということをいたしておるわけでございます。したがって、年々その事業団並びに法人に入社して育っていく人がだんだん管理職につき、役員になっていくという方向に行くことが望ましいと私も考えております。
#159
○寺前委員 私は大臣にぜひとも、できてからまだ十数年なんだからということだけで見ていただきたくないと思うのです。なぜかと言うと、事業団出発のときにやはり責任ある機構として人を集めたと思うのです。ゼロから出発した姿じゃないと思うのです。現に糖価安定事業団を見ると、この十何年の間にすでに五十歳代の方が六人おられます。最高のポストについておられる人は一体どうなんでしょう。課長補佐じゃありませんか。課長補佐についておられるその中の一人が、九年もその地位にあるのでしょう。課長にもなれない事態のままに今日来ているじゃありませんか。長年にわたってその中で生き抜いてきた人たちがこのような扱いになっているというところにこの事業団の体質を見ることができるような感じがするのです。
 そういう意味で、もう一度大臣が真剣に事業団がどういう実態にあるのか見直していただいて、そうして権威ある事業団として前進をさせてもらいたい。役所の出先機関だ、なわ張りのポストがそこに存在しているのだ、そういうふうに言われないように責任を持って処置をしてくださることを重ねて私は要望しておきたいと思います。いかがでしょう。
#160
○亀岡国務大臣 御趣旨は十分理解できますので、これからそのような指導をしていきたいと考えております。
#161
○寺前委員 次に、私は蚕糸絹業関係の問題について少しく聞いてみたいと思います。
 三月の末に審議会をお持ちになって糸価の問題について検討をされることになっていたようですが、四月になっても今日まだそれが決められていない。前のままである。五月にまで延期されているという事態になっています。これは昭和四十一年中間安定制度が発足以来初めてのことです。しかも農水省は千円下げの方向を打ち出したということが新聞紙上で流れました。このため糸価相場は先行き不安となり、現行の基準糸価一万四千七百円を大幅に割り込んで、六−九月の先物取引については千円下げの一万三千七百円をも割ってしまう事態がすでに新聞に載ってます。横浜生糸で、六月一万三千六百九十九、七月一万三千六百二十八、八月一万三千六百二十二、九月一万三千五百八十、十四日の日経の商品取引所相場を見るとそういう数字まで出てきている始末です。一方事業団の在庫は十四万八千俵へとふえ続けています。このまま五月まで引きずっていくとどこまで落ち込んでいくかわからない数字になります。
 これでは、たとえ千円下げたとしても依然として事業団在庫を売り渡す状況にはならないのではないだろうか。また基準糸価を据え置いた場合はどうなるのだろうか。私は非常にここの行政のむずかしさを感ずるわけです。基準糸価を据え置いたとした場合の事業団の損益試算はどういうことになるのだろうか、ぜひ御説明をいただきたい。すなわち五十四年度実需糸の未払いの引き渡し分を、五十六年度に糸価を据え置いて全量売り渡す、その場合には、一般輸入糸や国産糸について五十六年度中全く売り渡さないとしても、どういう試算が出てくるのだろうか。あるいはさらに一年延ばして、五十七年度中に実需者渡しの糸を処理するという方向を出した場合に事業団の損益試算というのはどういうことになるのだろうか。基準糸価据え置きの場合のその試算について御説明をいただきたいと思うのです。
#162
○二瓶政府委員 基準糸価据え置きの場合の試算というお話でございますが、事業団の財政見通しにつきましては、今後におきます買い入れ、売り渡しの状況あるいは金利水準等によりまして異なるものがあるわけでございます。したがいまして一概にどうというふうに言い切れない性格のものと考えております。ただ大胆な前提を置いて試算をやったことがございますが、そういう意味合いでお聞き取りをいただきたいと思います。
 一つは、据え置きを前提ということでございますが、Aケースの場合、これは五十四年度の枠は三万でございますが、実需糸の渡してない分が二万三千俵という前提でございますが、これが五十六年度末に全量売り渡されるという仮定でございます。それから一般輸入糸と国産糸につきましては五十六年度中は全く売り渡されないという前提でございます。そういう二つの前提を置いて試算いたしますと、実需糸の損失見込み額は三十五億円、国産糸の評価損は二十九億円、合わせて六十四億円の損失と相なります。引当金等の利益金が約十五億円、それから積み立ててまいりました中間安定等勘定の積立金五十億円のほとんどを取り崩してしまわなければ処理ができないというような状況になるということでございます。
 それから、Bケースでもう一つやっておりますのは、五十四年度の実需糸でございますが、三万俵のうち未引き渡し分は同じく二万三千俵と見まして、これは五十六年度中も売り渡しができない、そして五十七年度に繰り越しまして五十七年度末に全量売り渡されるという前提、それから一般糸と国産糸は五十七年度中は全く売り渡されない、そういう状況を前提にいたしておりますが、その際の試算の結果では、実需糸の損失見込み額は五十七億円、輸入一般糸が二十六億円、国産糸は約四十五億円、合わせまして百二十八億円の損失と相なります。運用益は二億円程度でございますので、百二十六億円の損失が出るということになります。これから中間安定等勘定の積立金の全部三十七億円を取り崩しましても八十九億円の損失が生ずるということになるわけでございます。こういう試算はいたしたことはございます。
#163
○寺前委員 これは、本当に事業団在庫は大変な問題だと言わなければなりません。四月十三日の繊維新聞を見てみますと農水省の見解らしきものが載っています。輸入生糸の売り渡しに特例を設けることは中間安定制度の空洞化といって、否定的な態度がそこに書かれていました。だから基準糸価を引き下げれば売り渡しの可能性が増大するというのが農水省の考え方のようにそこからうかがうことができました。しかし現在の糸価の相場から言うと、これを引き下げたからといって売り渡しができる保証ということにはならないのではないか、この見解をひとつ聞きたいと思います。さらに、結局基準糸価の引き下げ、糸価相場の低下、売り渡し不可能、在庫増加の悪循環になるだけではないだろうか。下げれば売り渡しができるというふうな考え方は甘いのじゃないか。それでも事業団の損失は発生をする。千円下げの場合、試算をすると一体どういう損になってくるのか。下げなかったら下げなかったで大変な莫大な赤字になってきているわけだけれども、一体そこをどういうふうに、下げたら下げたで損益計算はどういうことになるのか。私はこれはもうにつちもさっちもいかぬところに追い込まれたように思うのですが、試算ができるならばお示しをいただきたいと思うのです。
#164
○二瓶政府委員 五十六生糸年度に適用いたします基準糸価等の行政価格につきましては、慎重の上にも慎重を期して決定をいたしたいということで、五月中、下旬に決定をしたいということで考えておるわけでございまして、現在基準糸価そのものの具体的水準等につきましては引き続き検討をいたしておるということでございます。したがいまして、現段階において千円引き下げとかということは何ら決定を見ておらないわけでございます。したがいまして、千円を引き下げた場合の損益計算がどうなるかということにつきましては現在十分な試算はやっておりません。
 それから、引き下げた場合果たしてさばけるのかというようなお話でございますが、十四万八千俵の在庫が現在ございます。さらに四月から新しい事業年度の買い上げ枠として三万俵の買い入れ枠を設定しております。したがいまして四月、五月も相当量の買い上げをすることになろうかと思っております。そこで問題は、こういう買い上げが今後とも続くということでなしにそれをストップをする、さらにまた買い上げたものが出ていくという状態をやはりつくらなくちゃならぬのではないかと思いますが、これは基本的には絹需給のバランスをとる、需給均衡を図るということが何といっても基本であろうかと思っております。
 このためには、これという一つの速効性のある特効薬はないと私は思っております。一つは、やはり需給バランスということであります以上は、需要を伸ばすことがまた大事だと思っております。需要増進対策ということに官民一体となって相当取り組むべきだと思っておりますし、さらに供給の面は、海外からの供給と国内供給と両方ございますが、海外からの供給面につきましては、こういう厳しい情勢でございますので、中国、韓国を初めといたしまして、またこの五十六年度の二国間交渉もいずれ始まりますが、極力これの輸入の圧縮といいますか、そういう面の努力もしていきたいと思っております。さらに国内供給の面につきましても、これは価格政策の問題もあろうと思いますし、あるいは生産対策の面もあろうかと私は思いますが、この面につきましても極力知恵をしぼって、需給均衡に資する方向で物は考えていくべきではないかと考えておるわけでございます。
#165
○寺前委員 糸価の相場の状況から見るならば、いま基準糸価を下げたからといって売れるという事態に流れるというのは少し甘いと私は思うのです。だがしかし、在庫品をいまの法律のもとに置いておくと、出そうとすると、そこをさわらないことには出せない事情下にあることも事実でしょう。そこでいろいろ業界でも言われています。しかし、もともと考えてみると、実需者売り渡しは、生糸輸入の一元化という、これを恒久化するという見返り的なものとして存在したやり方だと思うのです。機屋さんの経営安定を考慮して設定されたものでしょう。機屋さんが契約を結んで、それで輸入してきたものを事業団が糸価安定という政策目的を遂行するために預っているわけですが、やはり実需者売り渡しというのは少しずつでも売り渡せという業界の要求は当然の要求だと思うのです、性格がそういう性格として出発した内容ですから。ですから、そこからこの絹織物の業界の皆さん方が、それをちゃんとやってくれないのだったら一元輸入制度を撤廃されたいという言い方になってきたり、あるいは法律を少し変えてでも特例として出す措置を考えてくれなんだら困るじゃないかという言い方の要望事項となってくるのは、私はそこにあると思うのです。
 そこで、実需者売り渡し分を在庫していったならば、これはいまでも高い糸に保管料でなってきているのですから、もう一年も延ばしてしまったら値打ちのある実需者売り渡しの糸にはならぬことになってしまうと思うのです。少なくとも何らかの形で、特例を設けてでもこの実需者分は渡すように年内にはっきりしなかったならば、私は不信を一層広げることになると思うのですが、いかがなものでしょう。
#166
○二瓶政府委員 実需者売り渡しができた趣旨等につきましては全く先生のおっしゃるとおりと理解をしております。したがいまして絹業者の方がこの実需者売り渡しが出ないということであれば一元輸入制度を撤廃せよという御主張も、心情としてよくわかるわけでございます。したがいましてわれわれといたしましてもこの実需糸をなすべくいろいろ昨年も工夫をいたしました。従来下べそを上回る場合しか出さないというようなことにつきましても、基準糸価と下べその間にありますものにおきましてもある特例を設けまして出し得るということにいたしまして、この一、二月千俵ずつではございますが出した経緯はございます。
 問題はその後また糸価が基準糸価を割り込んでおりますので、三月以来マル実の特別売り渡しも停止をいたしております。基準糸価を割っております際に輸入糸を売るということは法律的に禁じられております。したがいまして、何らかの特例措置という御要望も絹業者サイドからも強く出ておることも承知いたしております。ただ問題は、一、二月に売り渡しました際もそうでございましたけれども、一方で国産糸の買い上げを現在続行いたしております。その際に安い実需糸を、たとえば法律に穴をあけまして出すということにいたしましても、需給がだぶだぶしておれば、安い生糸は出ますけれども、そのかわり高い国産糸を事業団が当然買うということになるにすぎないということでございまして、この辺は非常に頭の痛い問題でございます。
 したがいまして、先ほど申し上げましたように、基本的には絹需給のバランスをとる、そういう中におきまして当然マル実の生糸も出ていく、いやむしろ一般糸なり国産糸も出ていくというような環境条件を早くつくり上げていくということに努力すべきではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
#167
○寺前委員 通産省お見えでございますか。――日本絹人繊織物工業組合連合会から、四月十日に要望書が出ていると思うのです。五項目の要望が出ていますが、市場の相場がうんと下がる条件というのが、農水省が千円下げるらしいという話が伝わった瞬間からすでに急速に広がっています。したがって、そこから取引の停滞が生まれます。私の京都の丹後地方では、今度は休機という話の段階まで来ています。非常に大きな損失を受け始めてきておる、こういう事態が生まれてきているわけです。
 そこで、この基準糸価決定までのそういう不安定な状態をつくり出しておる責任についての救済措置をとってもらいたいという内容が、この五項目の要求の中にも出てきていると思うのです。通産省は今日の事態の中でこの五項目の要求についてどうあるべきだというふうにお考えなのか。特に、その中でも、今日の事態に対する長期の超低利の融資措置をとってでも救済をしてくれなかったら困るではないかということについてはどういうふうにお考えになっておるのか、御説明をいただきたい。
#168
○若林説明員 御説明申し上げます。
 五十六年度の基準糸価の決定が延びております関係で、現在荷動きがとまっておる、そのために流通に在庫がたまるとか、あるいは生産を落とさなければならないとか、そういう形で機屋の段階では減産を余儀なくされるという事態になっていることは先生御指摘のとおりでございます。
 通産省といたしましては、このような事態に対処いたしまして、絹業者の安定を図るという意味から、特にただいま御指摘のございました救済の金融措置につきましては、中小企業庁でやっております中小企業体質強化資金、これは府県と国と協力して低利の融資をする制度でございますが、この制度を活用いたしまして、機屋のございます産地と、関係しておる府県とよく連絡をとりまして、融資制度の機動的な運用を図りましてその辺の問題を解決したい、こういうふうに考えております。
#169
○寺前委員 一般的に低利だというだけでは、低利にもいろいろ限界がありますので、本当に超低利を願いたいというのが、この要望書の中にも二・六%という数字を出してまで指摘をしているわけであります。本当に深刻にこの事態に対処されるよう要望をして、もうこの話は時間の都合もありますから終わりたいと思います。
 最後に、大蔵省お見えですか。――糖価安定事業団と関係する問題として、砂糖消費税について聞きたいと思うのです。これは一体いつから、どういう目的で課税されて今日あるのか、まず御説明をいただきたいと思います。
#170
○大山説明員 お答え申し上げます。
 砂糖消費税は明治三十四年に創設されております。創設の趣旨は、甘味としてのいわば嗜好品、そういった性格に着目をいたしまして課税されたということでございます。
#171
○寺前委員 明治二十七、八年は日清戦争であり、明治三十七、八年は日露戦争であり、そして今日、ずっと日本の時代が経てきたわけでありますが、そういう富国強兵の、戦争の時代です。そういう時代に歳入を増加させるためにその手段として、いろいろぜいたくだという言い方をしながら国民の世論をつくって、かけてきた税金だろうと思うのです。現在一キログラム当たり十六円、年間五百億円からの税となって国庫に入っているわけです。
 そこで、大蔵省にお聞きしますが、嗜好品だということで税金をかけてきたというのですが、いまでも砂糖というのは嗜好品であって、ぜいたく的な存在なんだというふうにお考えなのかどうか。
#172
○大山説明員 嗜好品ということで課税をいたしているものが消費税の中に幾つかございます。具体的にはお酒でございますとか、たばこでございます。もう一つは、物品税の中に清涼飲料、コーヒー、ココア、炭酸飲料といったものが課税対象となっております。
 砂糖につきましても、確かに家庭で調味用に使うといった面もございますけれども、その消費の実態を見てみますと、大体八割ぐらいが業務用で、お菓子でございますとかあるいはかん詰めでございますとか、そういった面に使われておりますし、また家庭用に使われますものの中にも、コーヒー、紅茶に用いられるとかいったような部分もかなりあると思われます。そういう意味におきまして、まだ嗜好品としての性格は失われていないと考え、課税対象としているところでございます。
#173
○寺前委員 農水大臣にお聞きをしたいと思うのです。
 嗜好品だというふうに砂糖を位置づけておられるのですが、たとえば砂糖の価格安定等に関する法律を見ますと、輸入糖や国内糖の価格調整を行っているわけですが、その目的に「砂糖の価格の安定を図る」そして「農業所得の確保と国民生活の安定に寄与する」とまで目的が書かれているわけです。そういう砂糖を嗜好品だといって広く消費者に消費税をかけておくやり方というのは、明治時代のことならばいざ知らず、もうこれだけ歴史がたっている今日、依然としてそのような扱いをしていることについておかしく思われないでしょうか。食生活にとって欠くことのできないものとして位置づけるべきではないだろうか、御意見を聞きたいと思います。
#174
○亀岡国務大臣 まあ砂糖は大体嗜好品というふうに私は考えておりますね。それですから、私なんかどっちかというと最近砂糖は余り、砂糖をとるとどうも体の調子がよくないというような感じも、やはり糖尿の気があるものですからね。そういう意味において、最近砂糖の輸入なんかの面もぐっと少なくなってきておるし、消費の面も非常に少なくなってきておる。そういう面では国民は健康的にも砂糖というものを適当に、自分の健康管理を考えながら用いている方が多くなってきているのじゃないか。
 そういう意味から、やはり消費税をかけるといういままでのやり方というものは、創設した当時はあるいは富国強兵につながる財源調達の方法だったかもしれませんけれども、現時点においては現時点においての課税の意義というものがあるのではないかな、私はそんなふうにも考えております。
#175
○寺前委員 それは、二面的に砂糖を見るのはいけないと私は思うのです。とり過ぎになるようなことはいいことではないことは当然です。それは何事においてもそういう性格です。
 現在、清涼飲料の分野に異性化糖がずいぶん拡大をしてきています。一方、国内糖の分野については、これまた北海道などにおいて転作として広がってきています。だけれども、市場全体から言うと、異性化糖の存在が日本の甘味資源の中において伸びてきているということは否定のできない事実です。そういうことから考えると、地域の産業を守っていく、国内糖の保護のためにも、この異性化糖の問題はどう取り扱っていくか、軽視することのできない重要な問題だと私は思うのです。
 そこで、国内糖を含めて砂糖の需要分野の中に異性化糖がふえてきているということを考えるときに、片方は消費税がかかっている、片方はかからないという扱いになってきている、これは全体として、甘味資源の分野として調整をする必要があるのじゃないだろうか。そしてまた、せっかく地域産業として保護政策を打ち出しているとするならば、調整のあり方をどうするかということは総合的に考えてみなければならない問題ではないだろうか。この点についての御意見をお聞かせいただいて、時間が来たようですから終わりたいと思うのです。
#176
○渡邉(文)政府委員 御指摘のように、数年前から異性化糖の生産が行われ、特に商品特性からいきまして清涼飲料に使いやすいということで使われ出してきておりますのは事実でございます。一方、経過的に見ますと、国内産の芋でん粉の消化を促進するという意味で、ほかにもう一つブドウ糖というものがございまして、ブドウ糖をつくっております過程で、化学の進歩の一つとして異性化糖にまで発展してきたというのが経過でございます。
 ブドウ糖につきましては砂糖にかかっております消費税をかけていないというのは、コストその他の関係からいきまして、国内産芋でん粉の円滑な消化を図るためには砂糖との間に価格差を置きませんとブドウ糖が消化できないという事実がございまして、従来そういう扱いをしてきておったわけでございますが、その後、数年前から異性化糖が徐々にではございますがふえてまいってきている事実がございます。いままでの御質問でもお答え申しましたが、砂糖行政全体としましては、中長期的な問題として全体の整合性のある行政を行うためには、今後の一つの検討課題であろうというふうに思っておるわけでございます。
#177
○寺前委員 終わります。
#178
○田邉委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#179
○田邉委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 蚕糸砂糖類価格安定事業団法案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#180
○田邉委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#181
○田邉委員長 この際、本案に対し、松沢俊昭君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党の共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者からその趣旨の説明を求めます。松沢俊昭君。
#182
○松沢委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党を代表して、蚕糸砂糖類価格安定事業団法案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    蚕糸砂糖類価格安定事業団法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては、蚕糸砂糖類価格安定事業団の円滑な運営に資するとともに、同事業団を通ずる蚕糸、砂糖類の価格安定対策が一層実効あるものとなるよう配意しつつ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
      記
 一 新事業団の発足に当たっては、従来両事業団の果たしてきた機能が損われることのないよう業務の的確かつ効率的な運営に努めること。
 二 両事業団の合併に当たっては、職員の継続雇用を確保するとともに、その給与等の勤務条件については不利益を生ずることのないよう十分に配意し、円滑な移行に努めること。
   また一内部人材の登用を含め適材適所による人員配置を行うこと。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じてすでに各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#183
○田邉委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#184
○田邉委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議に関し、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀岡農林水産大臣。
#185
○亀岡国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして十分検討の上、善処するよう努めてまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#186
○田邉委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#187
○田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#188
○田邉委員長 次に、農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。亀岡農林水産大臣。
#189
○亀岡国務大臣 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 農業者年金制度は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金の給付を行うことにより、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与するとともに、国民年金の給付とあわせて農業者の老後の生活の安定と福祉の向上に資することを目的とするものであります。
 その実施状況を見ますと、昭和五十五年末現在で、加入者数は約百八万人となる一方、年金受給権者数は十七万一千人に達しており、適期の経営移譲が進んできておりまして、農業経営の若返り、農地保有の合理化に役立っております。
 農業者年金制度につきましては、少なくとも五年に一度、長期的な視点から年金財政を見直す財政再計算を行うこととされておりますが、今回は、昭和五十七年一月基準で財政再計算を実施し、この結果を踏まえて所要の改正を行うことといたした次第であります。
 本法律案の内容は、次のとおりであります。
 第一は、給付水準の引き上げであります。年金額につきましては、農業所得の推移と国民年金等の給付改善の内容を勘案して、昭和五十六年七月分から、経営移譲年金の額を保険料納付済み期間一月につき三千五百七十五円に、ただし、六十五歳以後は三百五十八円に引き上げるとともに、農業者老齢年金の額を保険料納付済み期間一月につき八百九十五円に引き上げることとしております。また、脱退一時金及び死亡一時金につきましても引き上げを行うこととしております。
 第二に、保険料の改定であります。今回の財政再計算の結果によりますと、保険料については、年金財政の健全性の確保の観点から、相当な引き上げを必要とするのでありますが、農家負担の急激な増大を考慮いたしまして、昭和五十七年一月から十二月までの保険料の額は五千百円とし、以後毎年四百円ずつ段階的に引き上げることとしております。なお、昭和五十八年一月以後の保険料につきましては、年金額の物価スライド措置が行われた場合には、その措置に準じて政令で定めるところにより所要の調整が加えられた額とすることとしております。
 また、保険料の額は、昭和六十二年一月以後においては、法律で定めるところにより段階的に引き上げられることとしております。
 さらに、農業後継者の育成確保に資する見地から、将来の農業生産の中核的担い手となることが期待される後継者につきましては、引き続き、一般の加入者の場合と比べて保険料を三割程度軽減することとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#190
○田邉委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#191
○田邉委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。北口博君。
#192
○北口委員 ただいま大臣から提案理由のありました農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして質疑をさせていただくわけでございます。
 ただいままで蚕糸砂糖類価格安定事業団法で大臣も大変御苦労があったわけでございますが、いま締めくくりを終わったところで、ほっとされたわけでありますけれども、引き続いてひとつ頭の切りかえをちょうだいしまして、三十分以内で質疑をさせていただこうと思っております。
 御承知のように、八〇年代の農政というのは大変厳しい環境に置かれておるわけでございます。とりわけ昭和三十六年に農業基本法が制定されましてから、第二の大きな農政の曲がり角だと言われるぐらいに非常に環境は厳しいわけでございます。ある人に言わせれば、農政の曲がり角はなくなってしまってもう出口がないのだというようなことで、行き詰まった感じを与えておるわけでございます。加えまして、きょうの新聞で拝見をいたしましたけれども、さらにまたこれからの行財政の改革によりまして、多分に漏れず、農林省の予算も一割カットはやむを得ないという鈴木総理大臣の、これは各省のことでありますけれども、農林省も結局そういうようなことで一割カットということを公式に総理大臣もみずから発言されておるということでございます。まさに厳しさに追い打ちをさらにかけてくるという難局に立ち向かうわけでございますが、まずひとつ大臣、われわれも衆知を集めてお手伝いをしますから、一生懸命がんばっていただきたいと思います。
 さて前置きはこれぐらいにいたしまして、ただいま御提案いただきましたこの基金法の一部改正について質疑をいたしますが、何しろ提案理由がただいまでございまして、私も余り勉強いたしておりませんが、しかしそれなりに二、三お尋ねをしてみたいと思います。
 ただいま議題となっております農業者年金基金法の一部改正でございますが、この制度は本来農業経営の体質強化という、いわゆる構造政策上昭和四十五年に制定されて今日に及んでいるわけでございます。その内容をごく平たく申し上げますと、六十五歳までに本人から自分の後継者かまたは第三者に対して農業の経営を移譲した場合に、いわゆる経営の若返りあるいはまた経営規模の拡大を図りながら農業の合理化と近代化を図っていくという、これがねらいであります。
 そこで大臣にお尋ねいたしますが、もうすでにこの制定後十年たっておるわけでございます。そしてまた五十一年から経営移譲年金の支給も始まっておる。この段階で、現在農業の構造がそのことによってどういうふうに改善されつつあるのか、あるいはまたどのような役割りを果たしてきておるのか、この辺の評価につきましてまず大臣にひとつか尋ねをいたしたいと思います。
#193
○亀岡国務大臣 いまの御指摘のとおりでございまして、先ほど提案理由でも説明申し上げましたように、農業者年金法は法の企図するところが逐次実効をあらわしつつある、抽象的に申し上げましてそのように言い切ることができると思うわけでございます。その数字的な詳細な点につきましては、担当局長から説明を申し上げたいと思います。
#194
○杉山(克)政府委員 農業者年金の加入者は今日では百十万人に達しておるわけでございます。また、そういう加入者のうちから経営移譲について実行を行い、そのための年金を受けたという方の数は五十五年十二月末現在で十七万一千四百二十一人という人数に上っております。
 この経営移譲を受けた後継者の平均年齢を見てみますと三十・七歳、これは当然のことではございますが、親が六十歳から六十五歳の間に経営移譲をする、その若返り方はおおむね半分以下の平均年齢になっているというようなことで、相当程度の若返りがこの段階で実現しているわけでございます。
 それから第三者移譲の効果でございますが、これは全体についての調査というのはございませんが、五十五年の十月ないし十二月に裁定を受けた六百四十件につきまして、経営移譲を受けた者についてその経営面積、これを見ますと、譲り受け前は平均一・四七ヘクタールであったものが譲り受け後は二・〇八ヘクタールに達しておるというようなことで、かなりな規模拡大が実現しておるわけでございます。
 大臣からも申し上げましたように、経営階層の若返り、それから規模拡大という点についてはそれなりの効果を果たしているというふうに見られるわけでございます。
#195
○北口委員 それでは次に、今回の改正案の内容に関連いたしましてお尋ねをしたいと思います。
 今度の法律の改正は、いわゆる五年に一度の財政再計算というようなことで、保険の単価と保険料の見直し、これをやるということになっておるようでございます。確かにこの農業者年金基金の問題も、資料を見てまいりますと、五十一年の制度改正でいわゆる使用収益権の設定を認めていただいたわけでございますが、これが非常に反響がよろしゅうございまして、本格的に経営移譲したいという希望者がたくさん出てまいったわけでございます。したがって経営移譲の譲渡率と申しますか、そういう率も、当初は四割程度だったのが現在もう八割程度に高まってきておるということでありますから、保険料をかなり上げていかなければ、この運営上基金の確保が大変むずかしいのだというその事情は確かにそうでありますし、また決してそれがわからぬわけでもないわけでございます。
 ただ、先ほど申しましたように、農業がもうちょっと景気がいいときでありますと、こんな保険料あたりにそんな神経質にならないわけでありますが、御承知のようにそういう点では農家からすれば、もらえる年金額はなるべく大きい方がよろしい、一方また支払う保険料は、こういうような農産物の価格の非常な低迷等からできるだけ抑えていただきたい、そんな気持ちが本当に満ち満ちておるわけでございます。そうでありますけれども保険料は上げなければならぬということになるわけですが、ただこの内容の中で給付額の引き上げ率というのがあるわけですけれども、それに比べて保険料の方の引き上げ幅、こちらの方が比率からいきまして特に大きいのじゃないか。もらうよりも掛ける方のパーセンテージが大きいというのが、どうしても中身の中から強く感じられてくるわけでございますが、この辺の事情についてひとつお聞かせいただきたいと思うわけであります。
#196
○亀岡国務大臣 いま北口委員の御質問の中にありました御趣旨、私も全く同感でございまして、今回の五年ごとの見直しに当たりましても、やはりこの年金法の趣旨にかんがみまして、給付はできるだけよく、しかし掛金の方はできるだけ少なくできるものならと、そういう気持ちで財政当局とも折衝をいたしたわけでございます。しかるところ、御承知のように年金設計の長期的な観点に立ちますと、年金財政のことも十分考えてまいりますると、やはりある程度の高給付にするためには高負担というような形がどうしても出てこざるを得ないということでございますが、一遍に掛金の方を高くしてしまうということになりますと、さなきだに農産物の価格の据え置きでありますとか、あるいはいろいろな厳しい農家の事情等も踏まえまして、できるだけ保険財政の許す限り掛金の方は安くというような形をとったという次第でございまして、事務的な御説明が必要であれば局長の方から説明を申し上げたいと思います。
#197
○杉山(克)政府委員 いま大臣が御答弁申し上げましたことを計数的に申し上げますと、今回の給付水準の引き上げは、従来の財政再計算においても同様でございましたが、まず第一に厚生年金の給付に見合う水準を目標とするということを考えたわけでございます。それから国民年金とのバランスを考える。それから農業者年金自体の財政事情、物価上昇率の見通し、こういうものを総合的に勘案いたしまして、年金単価につきましては五十五年度に比べまして八・七彩の引き上げを行うこととしたものでございます。
 保険料の方でございますが、農業者年金の財政が先ほど来お話に出ておりますようにきわめて厳しい状況にある、機械的に計算をいたしますと、いま申し上げましたような給付水準を実現するため将来の財政の均衡を図るということを考えますと、必要な平準保険料、この額は計算上八千五百六十七円ということになりまして、五十六年現在の保険料額の四千百六十円の二倍を上回る水準となるのでございます。
 しかし、今日の農家所得の状況その他農業を取り巻く情勢等を考えますと、年金財政の長期的観点からはできるだけ保険料の水準は早い機会に引き上げておきたいという希望はありますが、農家負担を考えまして、その急激な増大を緩和するということを考えたわけでございます。そして段階的な引き上げを図ることといたしまして、初年度におきましては五千百円、それ以後は毎年これに四百円ずつ段階的に引き上げを行うということにして調整を図ったところでございます。
#198
○北口委員 その点はもう少しいろいろ質疑したいと思いますけれども、私のほかにそれぞれまたベテランの質問もあると思いますから、次に移らしていただきたいと思います。
 この制度が発足して十年目を迎えたわけです。五十一年から支給開始の経営移譲年金の受給者も、先ほど提案理由の中にありましたように、一月現在十七万五千人に達したと言われたわけでございますが、さらにまた本年二月からはいわゆる六十五歳の農業者の老齢年金の支給も始まっておるということです。そういう点からいきますと、この農業者年金もぼつぼつ仕上げの段階を迎えたと申しますか、これからいよいよ年金としての装いを一応そろえてきたというふうに思うわけでございますが、いろいろ資料を見てまいりますと、どうしても見落としてはならぬ大きな問題が一つあるわけなんです。
 というのは、現在まだ未加入者が約三十万人近くいると言われておるわけですね。特にこの制度の長期的、安定的運営を図るというようなこれからの年金制度の基本的な性格から申して、実は若い人の加入が非常に少ないわけでして、これは今後の年金運営に非常に大きな問題を投げかけておるのじゃないかと思うわけなんです。この前ちょっと資料を見させてもらいましても、加入者は百十一万という総計は出ているわけでありますが、二十歳から二十四歳はまだわずか〇・二%なんですね。そして二十五歳から二十九歳にしたって一・四%、さらにまた三十代に上がってみましても、前半の三十四歳までが三・六%という統計が出ているわけですね。いわゆる三十代の三十九歳までもまだ一〇%に上がらぬで六・三%ということでございます。そうかといって、四十代からはだんだん上がって、その上がる率も非常に高いわけでありまして、四十代が一三%としたときに五十代になると二八%とか、そういうふうに非常に急加速度的にちょうだいする人たちはたくさんふえているけれども、掛けていく大事なお客さんはそっぽを向いてなかなか寄りつかぬと言うとこれは語弊がありますけれども、その辺のことはこれから運営上考えていかなければならぬ大きな問題だと思っておるわけです。
 そこで、今度政府の方でもいろいろお考えをいただいて、この制度の中で特に保険料の割引という若い人たちに対する、三十五歳までの皆さんに対する呼びかけ、呼び水と申しますか、そういうようなことで推進をしていこうという、これは専門的なことを言いますと学割り制度というのですか、この学割りをここで考え出すということになっておりまして、その対象となる後継者の範囲を広げるという前向きの措置をとられておるということを聞いておるわけでございますが、そういう学割りという非常にいい制度は、これからもさらに年齢の枠を含めて拡大して考えていくということは大変大事なことだと私は思っておるわけでございますけれども、この辺の今後のお考えについてもひとつお聞かせいただきたいと思います。
#199
○杉山(克)政府委員 農業者年金の加入状況でございますが、加入資格を有しながらまだ未加入の方が三十万人程度おいでであるというようなこと、それから年齢別の加入状況を見ると特に若年層の加入率が低いという事実、これは先生御指摘のとおりでございます。
 そこで私どもは、そういう若い方の加入をできるだけ促進する、そのためにはやはり農業に魅力が持てるような農政全体の対策ということが基本的には必要かと存じますが、年金制度の立場からもできるだけその趣旨を徹底させる、この制度があってそれなりのメリットが大きいということを理解していただくことが必要であろうというふうに考えております。そのため、特に若年層を対象とした各種の対策を講ずるわけでございますが、その中でも先生御自身がおっしゃられましたいわゆる学割り、三十五歳以下の若い人に対する保険料割引の制度がございますが、これをできるだけ拡大してまいりたいということで、今回の改正におきましても、この点についての改善、要件の緩和というようなことを考えておるわけでございます。
 従来、この保険料軽減措置を適用する要件のうち、親と子が一緒に年金に加入していなくてはならない、いわゆるペア加入ということを要件の一つに現在しておるわけでございます。しかし、親が年金に加入していなくても後継者が三十五歳未満の若い農業者であって、しかも将来にわたって農業を継続したいという強い意思をお持ちならば、そして年金に加入したいという方であるならば、将来の農業経営の担い手として評価できるというふうに考えるわけでございます。また将来にわたって農業を行うことを前提に加入する者であるならば、保険料軽減の対象となるものについて、親が加入している、していないということで差をつけるのはどうも適当ではないのではないかということで、私ども今回はこのペア加入要件というのを外しまして、後継者割引の制度に、いわゆる学割りの制度に乗りやすいように制度改善を図るということにいたしておるわけでございます。そのほか、若い方々が入りやすくなるようなPRその他の対応を今後も十分考えてまいりたいと考えております。
#200
○北口委員 それでは、大臣も本当にお疲れでございますから、最後に取りまとめて要望と質問をさせていただいて終わりたいと思います。
 いまお話がございました要件緩和のことでございますけれども、これは非常に大事なことですからひとつよく徹底していただいて、本当にこれから年金の基礎をつくっていくのだということで、今度の機会を新たな出発に考えてこの制度に取り組んでいただかなければ、三十万の未加入者に対する呼びかけというのはなかなかできないのではないかというふうに私は思っておりますから、このことについてはどうぞ本腰を入れていただいてこれからひとつがんばっていただきたいと思いますし、また早期加入のメリットがまだ末端に徹底してない点があるのですね。だから、こういうところもひとつ、手帳ぐらいはつくってやって、簡単に、早く入ったらどれだけいいかということを――実際農協の方も、生命とか建物とかの共済は一生懸命普及をやったりするけれども、私は農協の理事もしているけれども、正直のところこの問題で、ぜひ入ってくれとか、そんなパンフレットもないし、呼びかけも余り聞いたことがないのですよ。どうも、本当に取り組んでいこうという姿勢が全般的にまだ足りないのじゃないかという気がしておりますから、特に強く要請をいたしておきます。
 最後に大臣に、これは決意でございますけれども、農業者年金の円滑な業務推進というのは、末端業務を実施しているのは農協と農業委員会であるわけですが、その体制整備が先ほど申し上げましたようにこれから大変必要なことになるわけです。そこで、未加入者の全員加入促進運動を、私は本当の話が月間でも設けていただいてでもやっていくべきだと、これが最初できますときは百姓にも年金ができたなという朗報だったわけですから、ぜひ定着させていただきたいと思うわけでございます。その推進に当たりまして大臣は今後どういうような指導をされるか、それからそれに必要なそれなりの財政補助、助成、こういうことにひとつ前向きで取り組んでいただきたいと思いますけれども、大臣からその決意を披瀝していただけるならありがたいと思います。
 これで質問を終わらせていただきます。
#201
○亀岡国務大臣 せっかく国会で農業者年金法といういい制度をつくっていただいたわけでありますから、この農業者にとっていい制度に農業者で参加しない方がいっぱいおるということ自体、行政当局として本当に申しわけない感じがいたすわけであります。今日まで専従職員をとてもとても、これは膨大な財政負担がかかりますので置くわけにはまいりません。どうしても委託業務ということで、お示しのように農協なり農業委員会の御協力を願わなければならない。しかしやはり農業をよくしていくために、農家の方に少しでも安心して働いていただけるための制度でございますので、これに参加していただくために、農林水産省としては従来以上に業務委託費等の増額を図って、そして積極的に勧誘を推し進めてまいりたいと思います。
#202
○田邉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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