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1980/03/03 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 社会労働委員会 第2号
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1980/03/03 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 社会労働委員会 第2号

#1
第094回国会 社会労働委員会 第2号
昭和五十六年三月三日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 山下 徳夫君
   理事 今井  勇君 理事 戸井田三郎君
   理事 戸沢 政方君 理事 湯川  宏君
   理事 田口 一男君 理事 森井 忠良君
  理事 平石磨作太郎君 理事 米沢  隆君
      小沢 辰男君    金子 岩三君
      小坂徳三郎君    古賀  誠君
      竹内 黎一君    友納 武人君
      中野 四郎君    長野 祐也君
      丹羽 雄哉君    葉梨 信行君
      八田 貞義君    浜田卓二郎君
      船田  元君    牧野 隆守君
      枝村 要作君    金子 みつ君
      川本 敏美君    佐藤  誼君
      栂野 泰二君    永井 孝信君
      大橋 敏雄君    塩田  晋君
      浦井  洋君    小沢 和秋君
      石原健太郎君    菅  直人君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 藤尾 正行君
 出席政府委員
        経済企画庁物価
        局審議官    齋藤 成雄君
        労働大臣官房長 谷口 隆志君
        労働省労政局長 細野  正君
        労働省労働基準
        局長      吉本  実君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部長 寺園 成章君
        労働省職業安定
        局長      関  英夫君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 加藤  孝君
        労働省職業訓練
        局長      森  英良君
 委員外の出席者
        経済企画庁調整
        局財政金融課長 岩崎 文哉君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   内海  孚君
        文部省初等中等
        教育局特殊教育
        課長      戸田 成一君
        厚生省医務局医
        事課長     斎藤 治美君
        厚生省児童家庭
        局障害福祉課長 菊池 貞夫君
        厚生省年金局資
        金課長     阿部 正俊君
        社会保険庁年金
        保険部国民年金
        課長      阿藤 正男君
        林野庁林政部森
        林組合課長   安橋 隆雄君
        林野庁業務部業
        務課長     田中 恒寿君
        通商産業省生活
        産業局紙業課長 佐藤 剛男君
        労働省労政局労
        働経済課長   逆瀬川 潔君
        労働省労働基準
        局監督課長   岡部 晃三君
        労働省労働基準
        局補償課長   林  茂喜君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 望月 三郎君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部企
        画課長     小村 雅男君
        労働省職業安定
        局雇用保険課長 守屋 孝一君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十五日
 辞任         補欠選任
  金子 岩三君     始関 伊平君
  木野 晴夫君     根本龍太郎君
  川本 敏美君     中村 重光君
同日
 辞任         補欠選任
  始関 伊平君     金子 岩三君
  根本龍太郎君     木野 晴夫君
  中村 重光君     川本 敏美君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  古賀  誠君     武藤 嘉文君
  金子 みつ君     中村 重光君
  石原健太郎君     河野 洋平君
同日
 辞任         補欠選任
  武藤 嘉文君     古賀  誠君
  中村 重光君     金子 みつ君
  河野 洋平君     石原健太郎君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  大橋 敏雄君     草川 昭三君
同日
 辞任         補欠選任
  草川 昭三君     大橋 敏雄君
同月二十八日
 辞任         補欠選任
  大橋 敏雄君     草川 昭三君
同日
 辞任         補欠選任
  草川 昭三君     大橋 敏雄君
三月二日
 辞任         補欠選任
  川本 敏美君     阿部 助哉君
  大橋 敏雄君     坂井 弘一君
同日
 辞任         補欠選任
  阿部 助哉君     川本 敏美君
  坂井 弘一君     大橋 敏雄君
同月三日
 辞任         補欠選任
  大橋 敏雄君     草川 昭三君
同日
 辞任         補欠選任
  草川 昭三君     大橋 敏雄君
    ―――――――――――――
二月二十四日
 腎臓病の予防、治療対策の拡充等に関する請願
 (小沢辰男君紹介)(第一一七四号)
 同(長谷川峻君紹介)(第一一七五号)
 同外二十九件(柳沢伯夫君紹介)(第一一七六
 号)
 同(大橋敏雄君紹介)(第一二七八号)
 同(永井孝信君紹介)(第一二七九号)
 同(日野市朗君紹介)(第一二八〇号)
 同(森井忠良君紹介)(第一二八一号)
 同外二十六件(柳沢伯夫君紹介)(第一二八二
 号)
 寡婦福祉法の制定に関する請願外六件(上村千
 一郎君紹介)(第一二二五号)
 同外十七件(有馬元治君紹介)(第一二八三
 号)
 同外六件(玉沢徳一郎君紹介)(第一二八四
 号)
 同外六件(橋口隆君紹介)(第一二八五号)
 同外一件(三塚博君紹介)(第一二八六号)
 療術の制度化阻止に関する請願(砂田重民君紹
 介)(第一二二六号)
 同(永田亮一君紹介)(第一二八七号)
 民間保育事業振興に関する請願(野呂恭一君紹
 介)(第一二二七号)
 同(石田博英君紹介)(第一二七二号)
 同(竹内勝彦君紹介)(第一二七三号)
 同(西中清君紹介)(第一二七四号)
 保育振興対策の確立等に関する請願(梶山静六
 君紹介)(第一二二八号)
 同(野呂恭一君紹介)(第一二二九号)
 療術の制度化促進に関する請願外四件(根本龍
 太郎君紹介)(第一二三〇号)
 同外四件(根本龍太郎君紹介)(第一二七六
 号)
 寒冷地療養担当手当支給地域の適用拡大に関す
 る請願(渡部行雄君紹介)(第一二七一号)
 未帰還者・帰国者特別援護の法的措置に関する
 請願(三原朝雄君紹介)(第一二七五号)
 旅館業の経営安定のため旅館業法改正等に関す
 る請願(志賀節君紹介)(第一二七七号)
同月二十八日
 労働基準法の女子保護条項に関する請願(井出
 一太郎君紹介)(第一三四二号)
 同(小川平二君紹介)(第一三四三号)
 同(小沢貞孝君紹介)(第一三四四号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第一三四五号)
 同(串原義直君紹介)(第一三四六号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第一三四七号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第一三四八号)
 同(清水勇君紹介)(第一三四九号)
 同(下平正一君紹介)(第一三五〇号)
 同(中村茂君紹介)(第一三五一号)
 同(羽田孜君紹介)(第一三五二号)
 同(宮下創平君紹介)(第一三五三号)
 保育振興対策の確立等に関する請願(山下元利
 君紹介)(第一三九八号)
 同(谷垣專一君紹介)(第一四一九号)
 同(灘尾弘吉君紹介)(第一四七二号)
 社会保険診療報酬の引き上げに関する請願(東
 中光雄君外五名紹介)(第一四一六号)
 民間保育事業振興に関する請願(谷垣專一君紹
 介)(第一四一七号)
 同外一件(灘尾弘吉君紹介)(第一四六九号)
 同(伊藤公介君紹介)(第一四七〇号)
 障害児・者の社会生活、社会発展への全面参加
 と平等実現に関する請願(野間友一君紹介)(
 第一四一八号)
 腎臓病の予防、治療対策の拡充等に関する請願
 (岩佐恵美君紹介)(第一四二〇号)
 同(浦井洋君紹介)(第一四二一号)
 同(佐藤誼君紹介)(第一四二二号)
 同(谷垣專一君紹介)(第一四二三号)
 同(林百郎君紹介)(第一四二四号)
 同(蓑輪幸代君紹介)(第一四二五号)
 同(石原健太郎君紹介)(第一四七三号)
 療術の制度化阻止に関する請願(佐々木良作君
 紹介)(第一四二六号)
 同(堀昌雄君紹介)(第一四二七号)
 同(石井一君紹介)(第一四五二号)
 寡婦福祉法の制定に関する請願外一件(上草義
 輝君紹介)(第一四五〇号)
 同外一件(中川一郎君紹介)(第一四五一号)
 同外一件(宇野宗佑君紹介)(第一四七四号)
 国立療養所村松病院を老人慢性疾患地区専門病
 院として新築整備に関する請願(渡辺紘三君紹
 介)(第一四七一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関
 係法律の整備に関する法律案(内閣提出第二三
 号)
 労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○山下委員長 これより会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長野祐也君。
#3
○長野委員 時間が限られておりますので、本日は高齢化社会対策、心身障害者対策の二つの問題にしぼって、労働大臣初め関係当局の見解をただしたいと存じます。
 まず、高齢化社会対策についてであります。
 わが国は現在、世界に例を見ない急速なスピードで高齢化社会に向かって進んでおります。全人口の中で六十五歳以上の高齢者の占める比率は、厚生省人口問題研究所の推計では、昭和五十五年には八・九%となっていますが、この比率は昭和六十五年には一一・〇%、昭和七十五年すなわち二十一世紀には一四・三%と急速に上昇し、かつて経験したことのない高齢化社会を迎えるわけであります。今後経済の安定成長への移行に加えて急速に進展する人口構造の高齢化は、わが国の経済社会の各分野に深刻な影響を及ぼすことが予想されます。人生五十年という時代から、いまや平均寿命が七十歳を超える時代となり、テレビでも最近高齢化社会時代をテーマにした「銀いろの訪問者」という異色の番組が制作をされ関心を呼んだことに代表されますように、だれもが老後の問題を真剣に考えざるを得なくなってきております。
 しかしながら、わが国のこれまでの雇用、賃金などの労働慣行は、人生五十年のライフサイクルを前提にしてまいりました。平均寿命が七十歳を超えるに至った今日、われわれはライフサイクルの変化に対応した的確な対応を迫られていると思います。
 以上のような観点に立って、私は、今後の高齢化社会における労働政策の進め方について質問をしてまいりたいと考えておりますが、初めに、労働省は高齢化の状況についていかなる見通しを持っており、どのような考え方のもとに諸施策を進めていくつもりであるのか、まず労働大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#4
○藤尾国務大臣 全くお説のとおりでございまして、私ども今後の社会情勢の変化がそら恐ろしいと申しますか、そのような感じで受け取っておるわけでございます。それに対しまして私どもの対応がおくれておりまして、法律におきましてもあるいは制度におきましても、また国民の皆様方の間にございます慣習におきましても、これから根本的にその情勢の推移に適応をした方向に動いていっていただかなければならぬ、そのためになすべきことは何かということを考えていかなければならぬと思います。
 ともかくも、高齢化ということに伴いまして体の方も、それだけお年を召しましても健康体でおられるわけでございますから、そういったお年寄りになられてなお健康体の方々の社会参加ということを十二分に考えていきたい。
 もう一つは、何といいましてもこれからの高齢化社会におきまする基本は年金問題だろうと思いますけれども、年金とドッキングのできるようなそういった御就労といいまするものを完成をするということでありませんと非常に不安な世の中になっていくのではないか、私はそれを恐れるわけでございます。
#5
○長野委員 答弁のごとく、高齢化の進展というのは各方面にわたって問題をもたらすわけであります。これからの高齢化社会においては、いまお話がありましたように高年齢者に相当高齢になるまで働いてもらう覚悟をしていただくことが必要であるとともに、そのための仕事を確保するための体制を整備することが必要であると思います。
 そこで、問題となりますことは、わが国の終身雇用慣行と結びついた定年制の問題であります。いまや寿命の伸びに見合った定年年齢の設定が必要ではないかと思います。定年延長につきましては労働省も重点を置いて取り組んでおられるようでありますが、定年制の現状がどうなっておるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
#6
○関(英)政府委員 昨年の一月一日現在の定年制の状況につきましての労働省で行いました雇用管理調査によりますと、一律定年制を採用している企業のうち、六十歳以上という定年を定めている企業の割合は三九・七%、五十五歳定年の三九・五%を非常にわずかでございますが、初めて上回ったわけでございます。同時に行われました調査で、今後定年年齢を六十歳以上に改定することを予定し、または検討している企業を含めて考えますと、近い将来五十五歳定年年齢が三二・三%まで下がり、それから六十歳以上定年年齢の方が四七・五%になる、こういうふうに見込まれております。その後も、この調査の後も定年の改定をする企業が出てまいっておりますので、この数字はさらに改善されるものと考えております。
#7
○長野委員 ただいまの答弁のごとく、定年延長はかなり進みつつあり、いまや大きな流れとなっておると思います。ことしの一月に雇用審議会から労働大臣に答申が出されておりますが、労使からのヒヤリングをもとに建設的な提言をしているその内容は大いに参考にすべきものだと思います。労働省としては、この答申を参考とされながら労使の指導を進めるべきだと思いますが、この点についてどのように取り組まれるか、お伺いいたします。
#8
○関(英)政府委員 昨年六月以来、雇用審議会が定年延長の実効ある促進策について審議をしてまいりまして、中間答申といいますか、そういったものが御指摘のとおりことし一月に出されたわけでございます。
 その中では、六十年度六十歳定年の一般化の実現をより確実なものとするため、行政指導の強化、高年齢者のための職場改善の援助、そういったような諸施策を講ずる必要があるというような御提言をいただいておりますので、私ども、この答申に盛り込まれました定年延長促進策に沿いまして労使の取り組みを助長、拡大するような方向で強力な行政指導を行ってまいりたいと思っております。
 また来年度からは高齢者のための職場改善に対する援助として高齢者職場改善資金融資制度といったものを創設し、これらも活用しながら定年延長を促進してまいりたいと考えているところでございます。
#9
○長野委員 ぜひそういう方向で強力に推進をしていただきたいと思います。
 人口構成を見ますと、高齢化の波はこれから五十歳代から六十歳代前半層へと移っていくことが明瞭であります。したがって、六十歳定年の推進とともに、それを超えてさらに高年齢者の雇用就業対策を講ずることが必要ではないかと思います。そこで、労働省においては、この六十歳代前半層対策としてどのようなものを考えて、どういうふうに推進をされていこうとされているのか、お伺いいたしたいと思います。
#10
○関(英)政府委員 御指摘のとおり、これから後は六十歳代前半層がふえてまいるわけでございますので、いまからそういった対策に取り組んでいかなければならないと思いますが、わが国の雇用慣行を考えます場合に、まず第一に、職業生涯の全期間にわたっていままで働いてきた職場でできるならば働いていただくことが一番望ましいと思います。ただ、六十歳を超えますと労働者個々人によりましていろいろ能力に差が出てまいります。そういう意味で六十歳までのように一律定年延長ということは困難が伴うかと思います。そういう意味で、六十歳代前半層の対策としては多様な対策を講ずる必要があると考えております。
 そういう意味でまず第一は、企業の実情に沿いまして定年延長を含んで六十歳以上への雇用の延長、再雇用とか勤務延長とかそういったものを含めてのとにかく雇用の延長をできるだけ図っていくことが第一でございます。
 その次に、その場合に必ずしもフルタイムの常用雇用ということでなくとも、短期的な短時間の勤務あるいは隔日の勤務等を含めた幅広い雇用形態に対して助成していくというようなことを考えていきたいと思っております。
 それからまた、もうフルタイムの常用雇用というのは無理だけれども、短期間の臨時的な仕事ならばまだやっていきたいというようなお方に対しまして、今年度からシルバー人材センターの助成というようなことをやってまいりました。こういったものをさらに拡充していく。そういうふうに、六十歳以上層の多様なニーズに対応した対策を進めていきたいと考えておるところでございます。
#11
○長野委員 今後高齢化社会を迎えまして、中高年齢労働者が大きな比重を占めることとなる状況のもとで、今後ともわが国経済社会の活力を維持していくためには、これら中高年齢の労働者の職業能力の開発向上とその活性化が重要な課題であります。このような見地に立って、中高年齢労働者を初めとし、労働者の職業能力の開発向上のための施策を強化すべきであると思いますが、どうでしょうか。
#12
○森(英)政府委員 お答えいたします。
 労働省におきましては、従来から職業能力の開発向上は職業生活の全期間を通じて必要な時期に行われるべきであるという考え方に立ちまして、いわゆる生涯訓練体制の整備ということを目標としていま努力してまいっておるところでございます。この見地に立って考えますと、御指摘のとおり、高齢化社会の進展あるいは職業生活の長期化という趨勢にかんがみまして、特に中高年齢者の職業能力の開発向上を図ることが必要であるというふうに考えられますので、次のような中高年齢者に対する職業訓練の充実に配慮した職業訓練体制の整備に努めておるところでございます。
 まず第一に、公共職業訓練施設におきましては、離転職者を対象とする職業訓練を行っておりますが、これはもう圧倒的に中高年齢者が対象になっております。特に高年齢者向けには、園芸でありますとかビル管理、表具等の訓練科を特設いたしまして、その適性に応じた訓練を行っておるところでございます。また企業に在職する労働者につきましても、定年退職前の職業訓練あるいは定年退職前の職業講習というものを実施いたしまして、これを受講する労働者あるいはその労働者を派遣する事業主に対しまして助成を行っているというところでございます。
 また昨年は中央職業能力開発協会に人材カレッジというのを設けまして、ここで中高年齢者向けの教育訓練プログラムあるいは技法等の開発普及を図っておるというところでございます。
 今後につきましては、民間の事業主がみずからその労働者に行っておる訓練というものがまだ助成の対象になっておりませんので、現在法律改正をお願いしておるわけでありますが、それによりまして、今後は民間事業主に生涯訓練という見地から計画的、段階的な訓練計画をつくってもらいまして、その計画に基づいて行う中高年齢者に対する訓練につきましては新しい助成の道を開こうということで、法律改正をお願いしておるところでございます。そういう方向で今後とも努力してまいりたいと思います。
#13
○長野委員 この高齢化社会問題と関連しまして、大規模年金保養基地の建設促進についてお尋ねをいたします。
 鹿児島県の指宿大規模年金保養基地の建設につきましては、昭和五十一年三月、基地指定が行われましてからすでに五年の歳月が過ぎようとしております。この間関係当局におかれましては大変な御努力をいただいたところでありますが、ようやく本年度じゅうに第一期工事に着手する情報に接しまして、県民の期待には非常に大きなものがございます。当局におかれては他基地との関係など困難な事情はいろいろあろうかと思いますが、県民は長年の懸案であります当基地の早期開設を強く望んでおります。
 そこでお尋ねをいたしますが、第一期工事が完成し、基地の開設ができるのはいつごろになるのか、その見通しを明らかにしていただきたいと思います。
 あわせて、第一期工事の完成に引き続き第二期工事に着手できるのか、この点もお示しをいただきたいと思います。
#14
○阿部説明員 御説明申し上げます。
 指宿基地につきましては今年度中に一応工事の着手ができる見通しでございまして、工事は三年ないし四年かかるような予定でございます。したがいまして、五十九年度いっぱいくらいはかかるような見通しというふうに私ども考えております。したがいまして、早くて五十九年度中にオープンできればというふうなことで、できるだけ急ぐように心がけてやっていきたいと考えております。
 それから第二期工事の分でございますが、現在百二十億程度の規模で第一期工事分として建設を進めるということになっておるわけでございますが、第二期分は、第一期分のオープンした後の状況を見まして、地元の意見も十分聴取した上で考えたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#15
○長野委員 五十九年度じゅうのオープンが明らかにされましたことは、地元にとりまして大変明るいニュースであると思います。一層の御努力をお願い申し上げたいと思います。
 さて次に、もう一つの本日のテーマであります心身障害者対策について質問をいたします。
 本年は国際障害者年であり、これを契機に各省ともその対策の大幅な拡充を図ることと聞いております。労働省も充実に努めておられると思います。しかしながら、対策の充実に当たりましては、ただ単に内容を盛りだくさんにすればよいということではなくて、そこに何らかの基本的な方向、理念がなければならないと思います。労働大臣は国際障害者年における心身障害者対策の推進についてどのような基本的なお考えを持っておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
#16
○藤尾国務大臣 私は、国連が国際障害者年といいますものを設定されましたその勇断といいますものには大変敬意を表するわけでございますけれども、そういったものを設定しなければならないくらい、世界じゅうどこへ行きましても障害者といいまするものの完全社会参加ということができていないということであろうと思います。日本におきましても同じことが言えるわけでございますけれども、これを国際障害者年というその一年間の行事に限りまして何かやろうというような物の考え方は非常に間違っておる、私はさように考えるわけでございまして、ただこういった機会に一つのスタートを切るというような意味でこれを活用し、そしてそれをこれから先の政治の中に定着をさせていくということが大切ではないか、かように考えるわけでございます。でございますから、私どもといたしましては、そういった身体障害者の方々の御生活の中で非常に重要な役割りを果たします雇用という面、就職をしたい、就労したいという面におきまして最大限の御便宜を図るということが私どもといたしましての当然の責任である、かように考えるものでございまして、そのための施策をいろいろと考えてみたい、かように考えておるわけでございます。
 ただいま、御案内のとおり、こういった身体障害の方々に対しましての一つの雇用目標といいまするものを官庁はもとより民間におかれましても、どれだけにしてくださいよというお願いはしてございますけれども、身体障害の方々の中でもその障害場所の問題で、目が悪いとかあるいは精神に非常に障害がおありになるというような方々に対しましては、御就労に非常に困難を感じておる、それが実情でございます。でございますから、そういったところには一層の力をその面に注ぎまして、そのおくれを取り返していくという努力をしなければならぬのではないか、かように考えておるわけでございます。
#17
○長野委員 ただいま大臣は国際障害者年を一年だけのお祭りに終わらせてはならないという趣旨の御答弁をされました。私も全く同感でございます。ことしが国際障害者年だからということで重点的にやるけれども、来年度以降過ぎてしまったらもとに戻るということではこの国際障害者年を定めた意味が半減すると思うのであります。さきの臨時国会でもこの委員会において集中審議が行われたのでございますが、ことし一年限りの問題としてとらえるのではなく今後とも引き続き注視していく必要があろうと思います。ことしの国際障害者年を契機として長期的な障害者対策を確立すべきことは当然でありますし、国際障害者年行動計画におきましても各国がとるべき措置として一九九一年までの長期計画の策定が掲げられております。いま大臣の答弁にありましたように、この国際障害者年をスタートとして定着をさせるべきだというお立場からすると、労働省としてもこういうような長期計画の策定についてどのような見解を持っておられるか、明らかにしていただきたいと思います。
#18
○関(英)政府委員 御指摘の長期行動計画につきましては、中央心身障害者対策協議会国際障害者年特別委員会におきまして長期行動計画のあり方について御審議が行われております。具体的にはその中に雇用就業部会といったようなものも設けられまして、雇用問題についての長期計画のあり方について御審議が始まっております。また、私どもの方に身体障害者雇用審議会というものもございます。そこでもことしの初めからこういった問題について御審議をいただいております。
 そういった関係の審議会等の審議結果、そういったものを十分考えまして、国際障害者年推進本部を中心として私どもも総合的かつ効果的な長期計画、こういったものを検討しているところでございます。ことしの秋ごろにはこういった審議結果も出てまいると思いますので、そういったものに基づいて大臣の御趣旨に沿うような長期計画をつくっていきたいと考えているところでございます。
#19
○長野委員 国際障害者年を記念して多くの行事が予定されておるわけでありますが、その中でも国際身体障害者技能競技大会、いわゆる国際アビリンピックは、身体障害者への理解を深めて身体障害者の雇用の促進を図る上できわめて有意義なものであると思います。そこで、大会の準備状況について御説明を願いたいと思います。
#20
○森(英)政府委員 お答えいたします。
 国際障害者年に当たり、わが国において開催されます国際身体障害者競技大会の開催準備につきましては、昨年六月十三日に設立されました財団法人国際身体障害者技能競技大会日本組織委員会というものが中心になりまして進めておるところでございます。当委員会には身障関係団体、経済団体あるいは関係行政機関、さらに学識経験者等も含めまして構成する総務、財務、広報、運営、技術という五つの実行委員会がありまして、そこで具体的な計画の企画、立案を行っております。
 本大会の行事内容といたしましては、第一に技能競技がございまして、第二に技能競技になじまない職種についての作品の製作展示、三番目に身障者の雇用についてのセミナー、三つのことを内容にしておるわけでございますが、会期は十月二十一日から二十三日までの三日間でありまして、場所は東京を中心に一部千葉の中央技能開発センターを使うということを予定しております。去る二月十七日に、できるだけ世界各国から多数の役員、選手等の参加を求めますために、九十三カ国、百八十四関係団体に対しまして正式のエントリーを発送いたしまして、参加の呼びかけを行ったところでございます。
 今後は障害者団体等関係方面の協力を得まして、この大会が本当に国際障害者年の中心行事としてふさわしい大会になりますように、準備に十分意を用いてまいりたいと考えております。
#21
○長野委員 この国際アビリンピックに関連をいたしまして一つの提案でありますが、たとえば福祉教育というような観点からこの国際アビリンピックを小中学生に見学をさせれば、青少年の身体障害者に対する本質的な理解を深めさせる上で大きな意義を持つ乙とになると私は思います。国際アビリンピックについてこのような方面にも大いに力を入れていく必要があると思うのでありますが、文部省としてこういう問題にどういうふうに対処しようとされておるのか、見解を伺いたいと思います。
#22
○戸田説明員 お答えいたします。
 国際障害者年を記念して本年十月にわが国で開催されます国際身体障害者技能競技大会を小学校の児童、中学校の生徒が見学することは、障害者に対する理解、認識を深める上で大きな意義があると考えております。このような大会を小学校、中学校において児童、生徒に見学させる場合は、通常学校行事として位置づけられて実施されることとなるわけでございますが、具体的には各学校の判断にゆだねられております。文部省といたしましては、この大会の意義にかんがみ、主催者から実施要綱等の詳細について連絡があった場合は、関係都県の教育委員会等を通じて各学校への周知方について協力をしたいというふうに考えております。
#23
○長野委員 答弁のとおり基本的には学校の判断によることだろうと思いますが、文部省としましてもいまお話にありましたように大会の意義から見まして関係府県の学校への周知徹底をさせていただくということでありますので、真の福祉教育が前進するという意味で高く評価をいたしたいと思います。
 実は私は、四十七年の鹿児島国体のときに、鹿児島でのパラリンピックを小中学生に見せるべきだということを県議会で提案をいたしまして、実行されました。後でいろいろ関係者のお話を聞きますと大変な好評でありまして、ぜひやっていただきたいと思います。
 このことと関連をしまして、いまイギリスでは義務教育の段階で福祉教育の一環として児童、生徒に福祉施設で奉仕作業を義務づけていると聞いておりますけれども、こういうことをすぐ直輸入ということではなくて、日本型福祉社会を育てていく中でアレンジをしながら地域社会と一体となった社会教育の中で取り入れていくとか、あるいはいまは学校教育では学習指導要領の中で抽象的な指導はなされておりますけれども、もっと具体的に学校教育でも取り入れていくお考えがないのか、そういうことをひとつ検討していただくことをきょうは要望しておきたいと思います。
 さて、厚生省の調査におきましても障害者の障害の重度化、多様化の傾向が見られるわけでありますが、このような中で今後障害者がその障害を乗り越え、その能力を生かし職業的自立を図るためには、障害者の能力開発が特に重要であると考えられますが、今後の障害者に対する職業訓練対策についてどのように考えておられるか、お伺いいたしたいと思います。
#24
○森(英)政府委員 お答えいたします。
 心身障害者の職業訓練につきましては、訓練施設や訓練方法等につきまして特別な配慮を加えた身体障害者職業訓練校というものを全国に十七校設けまして、その特性と能力に応じた職業訓練を行っておるところでございます。
 今後の心身障害者の対策といたしましては三点ばかり考えております。第一に、健常者とともに訓練を受けることが可能な比較的軽度の心身障害者につきましては、そのニーズに応じた多様な訓練が可能になりますように一般の職業訓練校への入校を積極的に推進をしたいということであります。第二に、身体障害者職業訓練校につきましては、御指摘の重度障害者あるいは精神薄弱者等に重点を置いて心身障害者の能力に応じた訓練を実施することにいたしまして、その整備拡充を図りたいということであります。三番目に、昨年の身障者雇用促進法の改正によりまして新しい補助の道が開かれましたので、事業主、各種学校、専修学校あるいは社会福祉法人等が行います職業訓練に対して補助が行われるようになりました関係上、こういう施設による委託訓練の道を開きまして民間の活力も活用して訓練を行っていきたい。この三点を基本に考えております。
 そういう方向で今後心身障害者の職業能力の積極的な開発向上に努めてまいりたいということでございます。
#25
○長野委員 最後に、心身障害児対策についてでありますが、現在厚生省が推進をされておられます心身障害児総合通園センターの内容について伺いたいと思います。
 もう一つは、このような施設につきましては専門の医師はもとより理学療法士、聴能言語療法士あるいは視能訓練士などの専門職員の確保ということが大変困難であるというふうに聞いておりますが、その確保策あるいは養成の見通しがどういうふうになっておるか、お尋ねをいたします。
#26
○菊池説明員 お答えいたします。
 心身障害児総合通園センターというものは五十四年度から発足させたものでございますけれども、心身障害児の早期発見、早期療育ということが効果も非常に大きいし、また親も非常に安心ができるということでその整備を図るということで、心身障害の相談、指導、診断、検査、判定等を行うとともに、時期を失することなくその障害に応じた療育訓練を行うという目的で発足したものでございます。したがいまして、相談、検査部門とあわせまして肢体不自由、精神薄弱及び難聴というような各通園施設から成る療育部門をもって先ほど先生言われたような専門職員によってそれぞれの業務を行うことにしているものでございます。
#27
○斎藤説明員 専門職員の確保の問題についてお答え申し上げます。
 心身障害児の機能回復訓練に従事する各種専門職員のうちで、まず理学療法、作業療法に従事する方々につきましては年々ふえてまいっております。昨年末現在で理学療法士が約二千八百名、作業療法士が約千名となっております。しかしながら、まだまだ不足状況が著しいので、私どもといたしましては当面の養成目標を理学療法士は六千名、作業療法士は四千名と置きまして養成力の拡充に努めております。理学療法士の養成校は五十六年度から五校ふえます。それから作業療法士は四校ふえる予定となっております。
 次に、視覚障害児の訓練に従事する視能訓練士についてでございますが、昨年末現在で七百四十名余り、全国三カ所の養成校で毎年百人ずつ養成いたしておりますが、五十六年度には国立養成校二校につきまして定員増を図って不足に対処してまいりたいと思っております。
 最後に、聴能言語療法に従事する方々、現在約六百名がこの業務に携わっておられますけれども、この職種につきましてはまだ身分制度がございません。そこで厚生省といたしましてはできるだけ早く身分制度を創設する必要があると考えまして、現在学識経験者から成る検討会を発足させたところでございます。
 このようにして各種専門職員の養成確保に努めてまいっておりますが、今後とも努力をいたしてまいりたいと存じます。
#28
○長野委員 聴能言語療法士の身分法制定のために検討会を発足させられたということでありますが、この結論はいつごろに出る予定でしょうか。
#29
○斎藤説明員 お答え申し上げます。
 この職種の身分制度を早く創設してほしいという要望が関係の四団体、内訳を申し上げますと耳鼻科学会ほか三学会の専門学会が三団体、それから現在この業務に従事をしておられる方々が組織している協会、この四団体がここ二年ほど聴能言語療法士の身分制度の内容につきまして協議をしてこられまして、昨年末その四団体の意見がほぼ一致したということで厚生大臣あてに制度創設の正式の要望書を出してこられました。それを受けた形で検討会を発足させることとしたわけでございます。
 したがいまして、内容的にはほぼこの四団体の間での検討が中心になりますので、それほど時間はかからないかと思います。ただ一部の点につきまして若干まだ調整を要する問題が残っております。その問題について調整が早く済めばこの夏ごろまでにはこの検討会の結論を出していただけるものというふうに考えております。
#30
○長野委員 夏ごろまでに結論が出るということでありますので、この身分法の制定をできるだけ急がれるように努力をお願いしたいと思います。
 最後に、こういう専門家が質、量ともに充実をしておりませんといろいろりっぱな施設をつくりましても施設が生きてこないわけでありますし、答弁どおり専門家の養成に一段と御努力をしていただきたいと思います。こういう方々のお仕事は見ておりましてなかなか訓練の効果がすぐ出てこないケースが多いわけでありますが、そういう中で子供の障害を軽くするあるいは取り除くために非常にひたむきに忍耐強く努力をされておられる姿を見ておりますと、大変頭の下がる思いがいたします。どうかこういう方々の献身的な努力が報われますように一層の御努力を要請いたしまして、質問を終わります。
#31
○山下委員長 川本敏美君。
#32
○川本委員 私は、きょうは主として労働大臣あるいは労働省に失業対策の問題あるいは高齢者の雇用対策の問題について御質問をいたしたいと思っておるわけです。
 最近いろいろなところで言われておりますように、わが国では高齢者社会が急速なテンポでいま進行しつつあるわけです。そしてそういう中で国民全体の中においても高齢者の占める比率がこれから年々高まってくることはいまさら申し上げるまでもありません。そういう中で高齢者が実際どのような形で生活をしておるのだろう。六十五歳を過ぎても七十歳になっても働かねば食えない人がわが国ではまだたくさんおるはずであります。
 そういう中で、ILOの調査を見てみますと、これは少し古い統計ですけれども、五十五歳以上の高齢者の労働力率といいますか、それを調べてみますと、わが国はいわゆる先進諸国の中でも飛び抜けて高いわけです。
 数字を申し上げますと、一九六五年の調査では、五十五歳以上の高齢者ですけれども、アメリカの労働力率が六〇・四、西ドイツが五二・五、イギリスが六一・二、フランスが四九・二、イタリアが四四・九、こういう数字の中で日本は七三・八という数字が出ております。一九七五年、いまから五年前ですけれども、これを見てみますと、アメリカが五二・七、西ドイツが四一・五、イギリスが五四・六、フランスが三七・七、イタリアは三五・三、こういう低い数字ですけれども、わが国は六九・八という労働力率の数字が出ておるわけです。特にその中で働いておる世帯数で見てみますと、日本は一九七五年は七二・三だということが明らかであります。
 このようなことを見てみますと、日本の国は五十五歳を過ぎても六十歳を過ぎてもあるいは六十五歳を過ぎても、働いておる人の比率がヨーロッパ諸国に比べて非常に高いことがわかるわけですけれども、なぜこのように日本では高齢者でも働くのか、その働く原因は一体何だろう、こういう点について労働省はどう考えているのか、まずお聞きをいたしたいと思う。
#33
○関(英)政府委員 わが国の高齢者の労働力率が諸外国に比較して高いというのは御指摘のとおりでございます。ただこれは、第一次産業の比率がだんだん低くなるに従いまして下がる傾向にはございます。ですが、諸外国と比べてまだ非常に高い労働力率を示しているというのは御指摘のとおりだと思います。
 その理由といいますか、高齢者の労働力率を左右する要因はいろいろ考えられると思います。その国の就業構造あるいは生活条件あるいはまた勤労観、こういったようなものが総合的に左右するのではなかろうかと思います。
 昭和五十一年に実施いたしました高年齢労働者の雇用実態調査で男子の高年齢者の就業理由を見ますと、働かないと生活に困るからという理由を挙げる者が五十五−五十九歳層では八〇%、ところが六十−六十四歳層になりますと六八・七%、六十五歳以上では五二%と年齢が高くなるにつれまして低下し、かわって、働いていた方が健康によいから、あるいは生活に困りはしないがもっと家計収入をふやしたいからというような理由が増加して、六十五歳以上になりますと半数を超えるようになります。ただ、この調査は企業にそのときに常用労働者として雇用されている五十五歳以上の方の調査でございます。
 そういう意味で、年齢が上がるに従いまして労働力率は低下し、かつ引退する者が増加する点を考え合わせますと、働かないと生活に困るからとする者の数は年齢が高まるに従ってかなり少なくなるというふうに考えられます。
 また昨年実施いたしました高年齢者就業等実態調査によりますと、五十歳代後半の男子では普通勤務の雇用者は当該年齢の人口の四二%でございますが、六十歳代前半層では二五%に減りまして、六十歳代後半層になりますと一六%というふうに非常に少なくなってまいります。普通勤務雇用者以外の多様な勤務形態、自営業その他の多様な勤務形態で働く者が年齢とともに高くなってまいるわけでございます。
 こういうことを考えますと、高年齢者の労働力率が諸外国に比べて高いといっても、その就業ニーズというのは非常に多様な形をとっているのではなかろうか、こういうふうに思っている次第でございます。
#34
○川本委員 いま局長からお答えがありましたが、私もいまおっしゃった高年齢者就業等実態調査、昨年五月に行われたのですけれども、この中身を見てみました。それで見ますと、いま簡単におっしゃいましたけれども、まあいろいろ調べられておるわけですけれども、五十五歳以上の人が全労働者の中で占める割合というのは、千人以上の企業では四・四%、そして三十人から九十九人までのいわゆる中小零細企業では一二・二%が五十五歳以上の労働者。だから五十五歳以上の労働者になると、中小零細な企業でしか仕事ができないということが明らかであります。さらに、それが六十五歳以上、七十歳以上ということになりますと率はだんだん大きくなりまして、六十五歳以上になると、千人以上では〇・三、三十人から九十九人までは一・六という数字が出てくる、約五倍以上になるわけです。七十歳以上でも、千人以上は〇・一ですけれども、三十人から九十九人までは〇・八、八倍になるわけです。
 そしてそれがどういう仕事に従事しておるのかということを見ますと、産業別では建設業、サービス業等は一三・二%が高齢者で、卸売、小売業は五・一%、その他の産業というのはおしなべて六ないし八%ということになっておるわけです。
 そこで、この就業調査の中で五十五年の四月中に一日でも働いた人ということで回答をとっておりますが、それは男子の方で六十歳から六十四歳までの方は全体の七四・五%が四月中に一日でも働いておる。六十五歳以上六十九歳までの方は六一・三%、十人のうち六人以上が去年の四月には働いておるわけです。
 そして、あなたはその生活の中で仕事が主ですかという問いに対して、主に仕事をしていますというのが六十五歳から六十九歳の方でも五〇・二%、半数の方が仕事をしておるわけです。毎日普通勤務で仕事をしていますかということに対して、毎日若いときと同じように普通の勤務状態でやっております、いわゆる六時間とか五時間とかいうのじゃなしに八時間で普通の人と同じように勤務をいたしておりますというのが、六十歳から六十四歳で八五・九%、六十五歳から六十九歳で七九・六%の方々が普通勤務をしておるわけです。
 なぜ働くのかという理由では、年金だけでは生活できないというのが大体六二%以上を占めておるわけです。自分と家族の生活を維持するために働かねばならないんだ、こういうのが六十歳から六十四歳の間で七五・二%、六十五歳から六十九歳までの間で六三・八%の方が自分と家族の生活を維持するために働かねばならぬのだ、こう言っておる。
 こうなりますと、現在でもこうですから、さらにこれから高齢化社会が進もうとしておるわけです、そういう中で、六十五歳以上になっても働かねば食えない人がたくさんおるのですから、そうしてその方々は先ほど来言うような中小零細、建設業やサービス業等でもたくさん働いておる。
 こういうことを考えますと、労働省は、いわゆる労働力対策といいますか労働政策としては六十五歳までだ、六十五歳を過ぎたらこれは厚生省で、福祉対策でやってもらうんだ、こういうような意図をいままでから持っておるのではないかと私は思うわけですけれども、労働省が六十五歳までを労働政策、六十五歳以上は福祉政策、厚生省の所管だ、六十五歳過ぎたら労働省は関係なしでそれは厚生省でめんどうを見てもらう、こういう基本的な姿勢をとり続けてきたと思うのですけれども、それに対して労働省はどう考えていますか、このような実態に対してどう考えていますか。
#35
○関(英)政府委員 ただいま先生御指摘の、調査のパーセントが、たとえばそれぞれ就業者の中でこういうふうに考える人はどのくらいかというようなパーセンテージとして出てまいりますが、その年齢全体の中でたとえば就業者がどのくらいか、その中で仕事をしないと生活に困るというものはどのくらいか、こういうふうに見てまいりますと、全体の中で占めるパーセンテージはそんなに大きくはない。高年齢者になるほど少なくなっている、こういうことが言えると思いますが、いずれにいたしましても、先生の最後の御指摘の、労働力政策として六十五歳までという点についての問題だと思いますので、その点についてお答え申し上げたいと思います。
 働く希望を有する方につきまして労働省が職業紹介、職業指導、いろんな形でお世話をする。それは六十歳であろうが六十五歳以上であろうが少しも変わらない、できるだけのお世話をすることは私どもの当然の務めであろうと思っております。しかし、六十五歳以上の方の生活の安定のために福祉政策で対応すべきか、労働力政策で対応すべきか、こういうことになりますと、従来から労働省としては諸外国の例その他いろんな点から考えまして、労働力政策として生活安定のために特別の施策を行うのは六十五歳までである、こういうふうに考えて各種のいろんな助成措置、そういったものも六十五歳までを高年齢者として対応してきているところでございます。そういう考え方は従来からとっているわけでございまして、そのことと六十五歳以上の方のいろんなお世話をする、職業紹介をする、あるいはシルバー人材センター等でお世話をする、そういうこととは矛盾しないというふうに考えておるわけでございます。
#36
○川本委員 この間も七十歳になる方が、これは大工さんですけれども、私のところへ相談にお見えになって、私は笑っておったのですけれども、税務署から、あなたは健康で働いておるのだから青色申告にことしからしてくれと言って、七十歳の大工さんが働いておったら税務署から青色申告にしてくれと言うてきたそうです。これはどうしたらよろしいやろと言うから、私はその方に言うたのですが、七十歳にもなって元気で働いて、自分で仕事をして、自分で勝手に歩いていただいておるということは、国にとっても非常にありがたいことだ。仮に脳卒中とかそういうことで身体が不自由になって寝たきり老人にでもなって特別養護老人ホームに入ってもらったら、国は一人月に十五万円くらい金がかかるんだ。そのお金も使わんと元気で働いて自分で生活を維持していただいておるだけでも国は喜ばなければならないのに、その上まださらに青色申告で税金を取るとは何事や。そんな税務署の何もわからぬこっぱ役人がそういうことを言うてきたんやったら、一遍そう言うてどなりにいてたらいいと私が言うたら、わかりました、元気出して言うてきます言うて行ったのですが、高齢者が仮に病気になって寝たきりになったら国は大変ですよ。一人でも寝たきりの高齢者をつくらないようにどうすべきか、このことが私はこれからの日本の一番大きな課題じゃないかと思うわけです。
 現在特別養護老人ホームに入った寝たきりの老人が約十五万人おるわけですけれども、これから高齢化社会の中で千八百万人になり二千五百万人になる、そういう高齢者社会が来ますと厚生省は言っていますよ。あと二十年もたてば特別養護老人ホームが五十ベッド、百ベッドと要るようになる。そういう中で五十万人、百万人準備せなければいかぬ。それを世話をする人もできませんし、施設もできませんよ。そういう中で高齢者が自分で働いていただくという対策を労働省が今日のうちに打ち立てない限り、これは後になって悔いを残すことになるのじゃないかと思うわけです。
 昭和四十六年の五月十日だと思いますが、衆議院の社会労働委員会で中高年法が制定されたときの附帯決議を見てみますと、その第七項目目に、一として「人口の高齢化が今後急速に進行することにかんがみ、すみやかに社会保障対策や高年齢者の仕事に関する対策の充実に努めること。」その次に「現在失業対策事業に就労している者については、社会保障対策や高年齢者の仕事に関する対策が充実されるまでの間は、同事業に就労し得るよう配慮すること。」という二点が書かれてあります。
 ところが、去る十二月の六日、労働大臣のもとに設置されました失業対策事業問題の調査研究会の報告を見てみますと、失業対策事業で働いている就労者の方々は一般の高齢者に比べて特別に優遇されているという世論の批判が厳しいとか、あるいは一般の高齢者と比較して著しくバランスを欠くというような優遇策が失業対策事業の就労者に対してとられておる、こういうことが指摘されているわけです。
 だれも失業対策事業で長い間定着して喜んで働いておる人はない。やむを得ずこれは失業対策事業で働くことによってやっと生計を維持しているのだと私は思うわけです。就労者の方々の中には、あるいは旧産炭地域の離職者の方々とか、あるいは同和地域などに居住をしておるためになかなかまともなところに就職できない、こういうようなことも含めて、多くのハンディを持った人たちの集まりだと私は思うわけです。これを無視して、そしていまの調査研究会報告のように、一般の高齢者と比較して著しくバランスを欠く優遇をされておる、このようなことは私は断じて許すわけにはいかないと思うわけです。
 そのような点について、労働省としては調査研究会報告のこの部分は正しいと思っていますか。
#37
○加藤(孝)政府委員 御指摘の、四十六年のそういう附帯決議等もございました、そういう趣旨を踏まえまして、今日まで事業を運営してまいったわけでございますが、その附帯決議を尊重してやってまいりまして十年近くたったわけでございますが、そういう中で就労者の高齢化が一層進行いたしまして、事業を労働政策の事業としてこれ以上継続していくことが非常に困難になってきておる。福祉事業としてならともかく、一つの労働政策の事業としてこれを運営することが限界になってきておる、こういう問題が出てきておるわけでございます。そういう意味で、今後これを継続するにしても、これが労働政策の事業として適正に維持運営できる、そういうような内容のものにしていく必要があるのではないか、こういうような基本的な考え方を示されておるわけでございます。
 しかしながら、そういう附帯決議のありました事情、あるいは産炭地、同和地域の方々が多数就労されておるという現状を踏まえまして、これをなお存続することもやむを得ない。しかし、これが運営については労働政策の事業として適正に運営できるように、六十五歳未満の方々の事業としていく必要があるのではないか。しかし、それも直ちにそういう六十五歳以下の方の事業とすることにはいろいろ無理もあるので、これを円滑に実施するために、五年程度の経過期間を置いて、その後において六十五歳未満の事業として継続する、こういうような方向が、いろいろ御指摘のような事情を踏まえまして出されておるわけでございます。
 特にこの研究会報告におきまして一般の高齢者との政策上のアンバランスを言っておりますのは、一般の民間企業におきましては大体定年制のあります事業所、これが八〇%強あるわけでございますが、そのうちの実に九七%は六十歳定年制を含めまして六十歳以下の定年制によって一律にリタイア、やめられておる、こういう民間労働者の現状にあるわけでございます。
 それに対しまして失対事業の場合は、本来民間事業へ就職するための一時的な就労の場というものであるにかかわらず、一般にそういう六十歳定年制、六十歳以下の定年制が大部分である現状に対しまして、六十五歳あるいは七十歳、八十歳になってもなお就労を続けておるというところが非常に問題ではないか。六十五歳以上の方が約半数、また七十歳以上の方も二五%おられる、こういうような現状が一般の民間等に比べてアンバランスではないか、また体力、能力等からいいまして民間ではとても就労が無理じゃないかというような方もなお就労を続けておられる。そういったような事情も踏まえまして、就労の管理と申しますか、そういった面でも一般の民間企業に比べて非常に厳しさに欠けるといいますか甘いといいますか、そういったような労務管理状態になっておる。そういったようなところが一般の民間企業における労働者と比べて失対事業の就労者がアンバランスになっておるというように指摘をされておるわけでございまして、私どもそういった指摘につきまして、その指摘をやはり肯定せざるを得ない現状もあるというふうに考えておるわけでございます。
#38
○川本委員 そこで私は労働大臣にお聞きをしたいと思うのですが、先ほど来申し上げましたように、六十五歳を過ぎた人たちでも、現在自分の家族と自分の生活を維持するために働かなければならないのだと言って働いておる人が、六十五歳以上の方でも六三・八%もおられる、こういう実情。それは先ほどおっしゃられるように数はだんだん減っていきますよ。数は減りますけれども、その数少ない老人の中で六三・八%の方が、三人に二人はそう言って働いておる現状。こういうことから見て、いま御答弁ありましたけれども、失業対策事業の就労者についても六十五歳で線を引いてしまうことは、一般の国民の働いている実情と比較をして妥当を欠くのではないかと私は思うわけです。
 なるほど現在の失業対策事業の就労者の中には、病弱者の方もおりますよ。あるいはまたもっと高齢の方でとうてい仕事もできないという方も中にはおるかもわかりませんが、そういう病弱者の方々とか、特にそういう状態にある方についてはやめてもらう、引退をしていただくということもやむを得ないと思いますけれども、本人が健康で働く意思があるにもかかわらず、これを六十五歳だからといって、あと約五年間くらいは経過期間を置くという話ですけれども、五年間経過を置いた後になると、日本の高齢化社会はその時点ではさらに現在より進行しておるわけですよ。そういうことを考えると、本人の健康や意思というものを無視して、ハンディを持った人たちも含めて一律に六十五歳でもう締め出してしまう、こういうことはよくないのではないか、もっと根本的にメスを入れて考えてみなければいけないのではないかと私は思うわけです。
 そこで、労働大臣、六十五歳以上の就労者に対して一方的に強制的に私は首切りをするべきではないと思うわけです。その点について労働大臣はどのような御見解を持っておられますか。
#39
○藤尾国務大臣 川本先生の御指摘、非常に情に厚いお話でございまして、ごもっとも千万なところも多々あるわけでございますけれども、私はまずもって失業対策事業というものが戦後三十年間続いておる、このこと自体大体少し考え直さなければならぬのではないか、そういう考え方をいたしております。と申しますのは、私ども労働省は、当然でございまするけれども、お働きの御意思のあられる方々に働いていただきたいと思っておりますのは定職についていただくということでございまして、失業対策という名の定職に御就労ということはできるだけお避けを願うのがいいのではないか。できるだけそういった方々はほかに御就労の道を私どもとしてごあっせんをさせていただきたい、かように考えておるということが第一でございます。
 第二番目は、ただいま失業対策部長が申し上げましたように、何といいましてもただいま一般的なお働きの方々、そういった方々に対しまする世間の印象といいまするものは、定年というものであらわされておりまするように、普通は五十五歳とか六十歳とかということが言われておる。それを延長しなければならぬということはもちろんでございますから私ども一生懸命やらなければいかぬわけでございますが、当面とにかく六十五歳というのは、私どもの一つの目標といたしまして、健康の状態から考えてみましても、またいまの社会情勢から考えましても、六十五歳まではお働きをいただいて、その後はというように考えることがごく普通なのではないかという考え方がございますということが第二でございます。
 第三番目は、御案内のとおりでございまするけれども、普通一般でございまするけれども、六十五歳を過ぎるということになりますと、一般的に肉体条件といいまするものも変わってまいりますから、なかなか就労といいまする集団的な同じようなお仕事に同じようにつくことを願うということは多少とも御無理がかかるのではないか、このような発想から、ただいまの失業対策事業というものに対しまする転換点を審議会の諸先生方が十二分にお考えになられて、こういった考え方をすべきではないかという提言をされておられるのであろう、私はかように考えるのでございます。
 したがいまして、私ども今回の予算の中におきましても、他に御就労いただくとかあるいは御自立になられるとかいうような場合の一つの転職支度金でございますとか、あるいはそのような意味を込めまして、とりあえずこういった機会に失業対策事業から御勇退願える方々に対しましてはひとつ百万円程度の就労支度金というようなものを差し上げて、別途のお仕事といいまするものにおつきを願うことがいいのではないかということでお願いをいたしておるわけでございます。
 しかしながら、川本先生がおっしゃられるとおり、どうしても六十五歳になったらやめてくれ、そこでみんな打ち切りというような態度といいまするものは、政治の姿勢として考えましても適当ではない、かような考えから、今日、その中間過程といたしまして五カ年間は一つの猶予期間を考えてみて、いま平均六十五歳になっておるわけでございますけれども、あと五年たちますと平均年齢七十歳におなりになられる、大体その辺のところで五カ年間のうちに御勇退を願えるというようなひとつ御準備を願えないものだろうかということで今回の措置をお願いをいたしておるわけでございまして、決して六十五歳になったからその明くる日からおやめを願えぬかというようなことを私どもが強制をするというような意思は毛頭ございません。それは御就労の方々の御自由な御意思によりまして御選択願えればそれでよろしいということが、今度の私どもの考え方の基調でございます。
#40
○川本委員 大臣としては非常に弾力的に実情に合わせて考えようということでございますので、結構だと思います。
 次に、小規模事業主体の問題に調査研究会報告は触れておるわけですけれども、就労者が非常に少数な事業ではできるだけ事業を廃止したらどうかということを調査研究会報告は指摘をしておるわけです。私も、仮に病弱者の方等が引退をされてその後残った人が三人とか五人とかいうようなものは、なかなか事業としての形をなさぬことは事実だと思う。しかしそこで、もうあなたの町では失業対策の就労者が五人しかおりません、八人しかおりません、十人しかおりません、数が少ないからこの際あなたら一斉にやめてくだされというこれまた強制にわたるようではおかしいと私は思うわけです。
 そこで、そういう小規模のところであっても、現在甲事業とか乙事業に分かれてはおりますけれども、大体もう十人以下のところであれば官公署でいわゆる用務員がわりの仕事をしたり、地方自治体の出先、官公署の出先、学校等で用務員がわりの仕事に従事をしながら給料は失業対策費から払われておるというのが現状だと私は思うわけです。だから、そういう方々については小規模事業を廃止するということになっても、その仕事の中身というものは労働省が責任を持って官公署の出先とか地方自治体のそういうところで従来と同じような、あるいはそういう仕事につくことを前提として、責任を持ってお世話をしてからしか廃止をしない、こういうことをやはりきちっと守っていただく必要があるんじゃなかろうかと私は思うわけです。その点について労働省はどう考えていますか。
#41
○加藤(孝)政府委員 失対事業は、そもそも多数の失業者が発生をいたしまして、安定所あるいは関係機関が懸命に努力をしてもどうしても就職させることができない、そういうところにおいて失対事業で一時的にその就労の場を確保する、こういうものとして発足をしておるわけでございます。ところが、三十年の歴史の中で御指摘のようにもうほんの数人というような形に就労者がなっておられる。言うならば安定所だとか事業主体だとか関係機関が協力して努力をすれば、就職していただくあるいはまた自立をしていただくというようなことが十分可能になっているにかかわらず、従来の惰性からそういう失業対策事業という形で、数人とか十人以下のような形でなお失対事業が続けられておるというようなところもいろいろあるわけでございます。
 そういう意味で、研究会が指摘をしておりますのは、小規模だからこれを廃止してしまえということを直接言っておるわけではなくて、本来の趣旨に立ち返って、そういうごく少数の人であるならば安定所とか事業主体とか関係機関が協力すれば何らかの形でそういう就職なり自立なりさせ得るんではないか。そういう努力をする中において、結果として失対事業をやらなくともその方たちが自立なり就職できるという形へ持ち込むような努力をするべきじゃないか。ただ漫然と従来どおりそういう少数の方々を依然として失対事業で続けていくのはおかしいじゃないか。本来の趣旨に立ち返って、自立、就職への努力をして、その結果失対事業がなくなるという形の努力をすべきだ。そういうことを申しておるわけでございます。
 今後そういう努力をする中で、失対事業を行わなくともその就労者の方々が就職なり自立なりなし得るというような形で、おのずから結果として失対事業をやめてもいいようなそういう形に持っていきたいということでございまして、そういう就労者の方々が何もまだそういう就職なり自立なりがなし得ないのに、一方的にずばりと小規模だからやめにするというようなことをすることは決して考えておらないところでございます。
#42
○川本委員 さらにこの調査研究会報告の中では、「いわゆる企業城下町等特定産業に依存している地域においてはその産業の不振により深刻な雇用問題を生ずるおそれがあることなどの問題がある。」ということを指摘をしておるわけです。
 私はいま一、二例を申し上げたいと思うのです。大分県の佐伯市というところがあるわけです。ここで去る二月三日に二平合板というのと佐伯合板という二社が倒産をいたしました。佐伯市ではこの前からすでに興人あるいは臼杵鉄工というのが大型倒産をいたしました。そしてこの前にいわゆる構造不況と言われたときに二平合板も当時約千人おった労働者を四百人整理をして、そして今日まで来たわけですけれども、ついに百六十億の負債を抱えていま倒産をしたわけです。そこで働いておる労働者だけでも六百名おるわけです。さらにその下請とか系列のいわゆる運送とかいろいろな労働者の数を入れると、優に千人を超える人がいま失業をしたことになるわけです。
 佐伯市にとっては、二平合板や佐伯合板というような地元の地場産業が倒産をしますと、これはもう大変であります。市長を先頭に市議会でもこの企業の再建について要望する決議をいたしておりますし、大分合同新聞の論説を読みましても、その論説の中では、早く更生計画が認められ、再び明かりをともしてもらいたい、祈るような表情を市民は見せておる、こういうふうに書いてある。あるいは商工会議所でも再建を強く要望して、市民の九〇%以上の方がこの会社を再建するために関係方面にいま陳情をしておる、こういう実情にあるわけです。
 こういうところでは、先ほど大臣にもお答えいただいたけれども、民間の活力に期待をして、民間の産業で失業者を吸収してもらうように、そういうふうに労働省が一生懸命お世話していこうとしてもなおかつ吸収力がないわけですから、その投げ出された方々をどのようにするのか、これは大変な問題。それがさらには地方自治体の行財政にも波及をして、市自身が倒産しかねまじき様相をいま呈しているわけです。
 そこで私はお聞きをしたいのです。いろいろなところから公的就労事業という問題がよく言われます。いままで行われてまいりました産炭地域等における特開事業、これについてはいろいろな御批判があることは事実ですけれども、私は、そういう肉体労働だけじゃなしに、いわゆるホワイトカラー的な仕事も含めて、労働省がこの際そういう民間に委託をしても二年とか五年とか、そういう人たちを仕事につかせられるような仕事は、官公庁や地方自治体にたくさんあると思うわけです。
 その一つの例を申し上げますと、私いまここに持って来ました国土庁の地籍調査、これは日本の国の面積が御承知のように三十七万七千平方キロですけれども、この事業は昭和二十六年から始めておって今日まだそのうちのわずか六万平方キロ程度しかできていない。あと三十一万平方キロがまだ残されておるわけです。そしてさらに来年度から十年間で次の約六万平方キロをやりたい。これは地籍図をつくったり測量をしたりもありますけれども、地籍簿も市町村で全部書きかえをやらなければいかぬ、登記簿も全部書きかえて図面もやり直さなければいかぬ、莫大な事業量だと私は思うわけです。こういうようなことでも、考えれば官公庁の仕事の中でもホワイトカラー的な人たちで、そして若い間からなれてきた、経験の豊富な技術もあるそういう方もたくさんおると思うわけですが、そういう方々が働けるこういう場所というのをつくっていく必要があるんじゃないかと私は思うのです。
 そこで、もう時間も余りありませんけれども、労働省は各省庁やあるいは地方自治体と連絡をとりながら、民間委託ができるというような形で行える公的な仕事、高齢者の仕事をつくり上げていく、こういうことについてどう考えておるのか、お聞きをいたしたいと思います。
#43
○関(英)政府委員 これからの高齢化社会、先生最初に御指摘のようなことを考え、そして高齢者に対します仕事の場というものを開発していくことの必要性、そういったことは非常に重要になってまいると思います。研究会報告におきまして失対事業あるいは今後の失業対策のあり方について提言されておりますところでは、やはりこれからも民間における雇用の安定、促進のために施策を充実、発展させるべきで、そして失対事業のように事業を起こして失業者を吸収する方式をとるべきでない、そういう意味で公的就労事業というのはとるべきでない、こうは言っておりますけれども、しかし同時に、現在の特開事業の問題点にも触れ、その改善措置もとるべきである。そしてただいま先生御指摘のような単に肉体労働的ないわゆる屋外の土木建設事業、そういったものに限らずに、知識層にも沿うようなたとえば御指摘のような地籍調査、そういったものも含め、一年間のオン・ザ・ジョブ・トレーニングというような考え方を入れながら、今後の高齢者失業対策を考えていくべきであるというような面もあるわけでございます。
 先生御承知のように、現在私ども中央の雇用開発委員会あるいは十県に置きました地方の雇用開発委員会において、これから民間の雇用でどういうところが開発が見込めるか、そういうものについてのこれからの対策はいかにあるべきかというようなことをいろいろ論議しておるわけでございますが、その中にただいま先生御指摘のようなものも含めて、単に土木建設業だけでなく、これからの高齢者の多様な就業ニーズに応じた雇用の開発ということを考えていかなければならないということで検討をお願いしておるわけでございます。そういった地方の雇用開発委員会あるいは中央の雇用開発委員会の調査結果も含めまして、私どもとしては、この研究報告にありますような趣旨で今後の雇用失業対策のあり方というものを十分検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
#44
○川本委員 いま局長から答弁がありましたが、私は大臣にもう一度お答えいただきたいと思うのです。
 高齢者の就労対策事業というものについて、いま前向きでニーズに沿うような形でという御答弁ですけれども、先ほど申し上げましたように佐伯市のような問題、あるいはその他の高齢者の状態から考えて、私はやはり民間活力だけに一〇〇%依存することは無理だと思いますので、関係労働団体とも十分協議をしながら高齢者の就労対策事業を、あるいは制度化が必要であれば制度化をするというような前向きの姿勢が必要じゃないかと思うのですが、大臣どうでしょう。
#45
○藤尾国務大臣 これはたとえばいま先生が例にお引きになられました合板事業というようなもの、本当を言いますと、そういった合板事業をその地域で再開していただくというようなことに努力をするのが私は第一だろうと思うのです。しかしながら、いまのように住宅事情、建設業界はきわめて悪いというようなことでございますとか、あるいは合板のもとになります原木が非常に高くなったというようなこと等がございまして、倒産するには倒産するだけの理由があったのだと思います。しかしながら、事業全体から考えてみましたならば、おっしゃられるとおり私どもが内閣を挙げまして、通産省当局にもお願いをして、一緒になって考えてその事業を再建する方向に努力していくということが一番望ましいことではないか、かように考えます。
 しかしながら、どうしてもそういうことができないのだということになれば、これは別個考えていかなければならぬわけでございまして、いままで、そういった地域に集中的な倒産が相次いで起こったというようなことは、地域的なことでございますから、ございますけれども、しかし一般的に申しましても、倒産件数が御案内のとおり月に千六百件とかなんとかというようなことで起こっておるわけでございまして、そういったところにお働きの皆様方に御迷惑をかけるというようなことがあってはならぬわけでございますから、とりあえずそういった方々の御就労を許容していただけるような事業を探していくということは第二番目に考えるべきことだ、かように考えます。
 しかしながら、それにいたしましてもいま先生が御指摘になられたように、いままでホワイトカラーしかやったことがない、しかも多少とも長年お勤めになられて年齢を加えておられるというような場合に、ほかの御就労といっても非常に条件がむずかしいじゃないかというような場合には、これは先生が御指摘のとおり、国土庁でそういうことをやっておりますならば、そういった地籍調査事業というようなものをひとつ推進をするとかいうようなことは、当然私どもといたしまして考えてしかるべきことである、かように考えます。
 ただし、御案内のとおり今日予算がこのような非常に逼迫した状態でございまして、仕事は政府事業ということをできるだけ切って民間事業にどんどん委託をしていく、民間の仕事をふやしていくというように努力をするのがいまの財政再建ということに資するんだというような考え方が一方にあるわけでございますから、その辺のところの調整をどのようにして考えていくかということを、私どもは私どもとして考え、そうして努力をすべきところは十二分に努力をさしていただかなければならぬ、さように考えます。
#46
○川本委員 いま大臣の御答弁をいただきましたが、佐伯市の例ですけれども、企業を再建することが一番先決だ、私もそうだと思うわけです。ところがいま大臣も答えがありましたように、合板という会社は大体商社が左右しておるわけなんです。昨年の九月には、静岡の清水港にある静岡合板というのがこれまた倒産をいたしました。そして今度二平合板とか佐伯合板、そのほかにもいまたくさんの合板会社が倒産をしております。いまの状態でいくと、合板会社が全部倒産するのじゃないかと危ぶまれるほどです。
 それはなぜかといいますと、原木は一〇〇%丸紅とか三井物産が供給をしておるわけです。そしてでき上がったベニヤ板は、また丸紅や商社が一〇〇%引き取って販売をしておるわけです。どのくらい値段に上下があっても商社は全然損をしない。原木高で製品安になっても、その差は全部合板企業が背負うことになるわけです。まして、その間丸紅が取っております金利などは、最高で一一%の金利を毎月取っておるわけです。どれにしたって損をしない仕組みになっておるわけです。そして計画的に与信枠の設定をして、最初十一億円の与信枠でずっときたのが、翌月になってみるとにわかに、あなたのところの企業に対する与信枠は七億円です、その翌月は五億円です、その翌月は原木はストップいたします、こうなってくると、原木をもらえなかったらもう企業は倒産する以外にないわけです。いま、こういう日本の中小企業あるいは合板企業を倒産に追いやっておるのは、商社の自分本位の姿勢だ。自分の手足でいままでやってきた中小企業、合板企業を切り捨てるというような悪らつな姿勢があらわれてきておる。
 こうなりますと、失業者が出てきますと、これはこの後労働大臣の責任、労働省の責任ですよね。こういう失業者が多発をする、集団的に出てくる倒産というもの、そういう商社の横暴というものを労働省が座して見ておるようではいけないのじゃないかと私は思うわけです。先ほどお話がありましたように、通産省や林野庁と協議をしていただいて、このような横暴な三井物産、丸紅等の商社に対して、その傘下にある合板業界に対して切り捨て御免といいますか、そういう企業を倒産に追いやるような商業活動を再建の方向に向けて、一時は金利をたな上げするとか、あるいは一部の債権をたな上げするとかの措置を早急に講じてもいいのじゃないですか。そういうことで企業を再建させるように御努力をいただきたい、このように思いますので、その点について再度労働大臣の決意もお聞きしておきたいと思うのです。
 最後に、もう時間もありませんので、これは労働省からお答えをいただいても結構ですが、労働省が昨年末から、日本は労働時間が大体年間二千三百時間ぐらいだ、それを二千時間以内にしていかなければ、自動車摩擦とか、西欧諸国やアメリカとの間のいろいろな話もうまくいかないということで、労働時間の短縮についての指導を強めるという方針を出しておられるということも承知をいたしておるわけですが、先ほど来申し上げました高齢者でも働かねば生活できないという時代が到来をしておるわけです。そういう時代ですから、労働基準法とかあるいは定年制の問題とか、時短、週休二日制の問題とか、あるいは雇用保険法や中高年法の見直しも含めて、当然制度全般について高齢化社会に対応するような見直しをする必要がもう来ておるのじゃないか、私はこのように思うわけですけれども、最後にもう一度お聞きいたしたいと思うわけです。
#47
○藤尾国務大臣 まず前段御指摘の、合板事業に対します商社の姿勢、これが悪いという御指摘でございますが、こういった点は、私どもも本当によく一から十まで知っておるわけでございませんから、十二分に調査をさせていただきます。しかしながら、おっしゃられるようなそういった不公正取引というものをもし仮に商社がやっておるとすれば、これは公取委員会等々が放置しておくべき問題ではない、私はさように思います。したがいまして、そういった点、実情を十二分に調査をいたしまして、そのような不公正な取引をやっておるということであれば、これはおきゅうをすえなければいけません。おっしゃられるとおりだと思います。
 それからその再建について、当然のこと、どこでもあることでございますけれども、そういった事業の再建について債権の一時たな上げとかあるいは利息の減免とかいうようなことを考えて協力をすること、これは取引のあった会社といたしまして当然なすべきことである、かように考えるわけでございます。特別にその倒産された方の会社の方々の姿勢がきわめて悪いとかなんとかいうことなら別でございますけれども、そうでなければ、これは先生のおっしゃられるとおりそのような姿勢をとるのが当然でございまして、私どもはおっしゃられるとおり通産省、林野庁あるいは場合によれば公正取引委員会等々とも相談をいたしまして、そのようなことのないように厳重にやらなければならぬ、かように考えます。
 それから後段の一般的なお話でございますけれども、先生御承知のとおり労働時間の短縮でございますとか定年制度でございますとか、あるいは最低賃金制度でありますとかいうようなことは、御案内のとおり私どもは私どもなりにやらしていただいておるわけでございますけれども、高齢化社会といいますものに向かって私どもがとるべき姿勢、これはどんな方々ともともどもにお互いにお仕事といいますものを分け合ってでも一緒にやっていかなければならぬというのが当然の姿勢でございますから、そういった意味におきまして私どもも施策を進めておるということを、御勧告はちょうだいをいたしますけれども、ひとつ十二分に御理解を願いまして、ともどもそのような理想に向かって前進をしていかなければならぬ。先生方のお力も十二分に拝借させていただかなければならぬ、かように考えております。
#48
○川本委員 以上で終わります。
#49
○山下委員長 佐藤誼君。
#50
○佐藤(誼)委員 私は、八一春闘の山場を前にいたしまして、労働者の賃金、勤労者世帯の生活、それに関連する物価、税金、加えて景気等の問題についてお尋ねしていきたいと思いますが、最初に現状認識の観点から次の三つを質問いたしますから、簡潔に結論の方だけひとつ答えていただきたい。
 最近の労働者の生活実態調査についてでありますが、その第一番目は、昭和五十五年の年平均実質賃金はどうなっているか、二番目は、昭和五十五年度の年平均実質賃金の見通し、三番目は、昭和五十三年、五十四年、五十五年における全国勤労者世帯の平均実質可処分所得及び実質消費支出は対前年同期比でどうなっているか、以上三点。
#51
○細野政府委員 実質賃金につきましてはちょっと手元に資料がございませんので追って御説明申し上げますが、実収入、実支出、それから消費支出で申し上げますと、五十五年平均の実収入は三十四万九千六百八十六円で、名目で七・三%増、それから実支出は同じく五十五年平均で二十八万二千二百六十三円、七・九%増、家計の黒字は六万七千四百二十三円で四・七%増、こういうことでございます。
 それからお尋ねがございました五十三年以降の実質の可処分所得、実質消費支出でございますが、まず可処分所得の方から申し上げますと、五十三年が前年比一・五%増、五十四年が同じく二・四%増、五十五年が同じく一・四%減、こういう状況でございます。
 それから実質の消費支出で申し上げますと、五十三年が前年比一・三%増、五十四年は同じく三・一%増、五十五年が同じく〇・八%減、こういう状況でございます。
#52
○佐藤(誼)委員 再度ずばり尋ねますが、昭和五十五年の年平均実質賃金はどうなっているか。これはマイナス〇・九ですか。そのとおりですか。
#53
○細野政府委員 先生御指摘のように、マイナス〇・九でございます。
#54
○佐藤(誼)委員 それから、年度平均、つまり昭和五十五年度、まだ終わってないわけですが、その年度平均の実質賃金の見通しはどうなっているか、その点再度。
#55
○細野政府委員 五十五年度の消費者物価がまだ確定しておりませんので、したがいまして明確に申し上げるわけにはまいりませんけれども、ほぼ同じ程度な状況になるのではなかろうかというふうに考えております。
#56
○佐藤(誼)委員 つまり、マイナス〇・九というのが五十五年ですから、大体それよりよくなるという可能性は乏しい、こういうことですか。
#57
○細野政府委員 五十六年に入りましてから消費者物価はやや落ちぎみでございますから、したがいまして、若干よくなるにしても――ただ、すでにもう経過をいたしました月数が多過ぎますから、したがって余り大きな影響が出てこないで、ほぼ同じ程度になるのじゃなかろうか、こういうことでございます。
#58
○佐藤(誼)委員 先ほど現状認識の点で、労働者の賃金、それから勤労世帯の所得等について質問したわけですが、実態として明らかになったのは、昭和五十五年に入って労働者の実質賃金は目減りをした、それから昭和五十五年度の見通しとしても、恐らくそれと大体同じような推移をするだろう、それから勤労世帯の可処分所得、消費支出、これは実質ですが、昭和五十五年平均で、実質可処分所得がマイナス一・四、それから同じく実質消費支出でマイナス〇・八。つまり五十三年、五十四年というのはプラスなんですね。五十五年の平均になるとマイナスですよ。つまり世上言われるように、労働者の実質賃金は目減りをし、勤労世帯の可処分所得やあるいは消費支出はマイナスになっている、こういう大変厳しい実態にいまなっていることは御承知のとおりです。
 したがって、労働大臣はこの実情をどう考えているのか、これが一点。二番目は、なぜこのような事態が引き起こされたと考えているのか。
 以上です。
#59
○藤尾国務大臣 労働大臣といたしましてという一つの私の立場と、国務大臣という立場と二つあるわけでございますけれども、何といいましても、御指摘のとおり私どもの過去の統計上、統計を始めましてから初めて実質賃金が下がった、マイナスになったということでございますから、これはともかくも大変なことであるということでございまして、私どもといたしましてその責任といいまするものを十二分に考えなければなりません。
 しかしながら、御案内のとおり、私どもも、これは組合員の方々もともどもいろいろお話し合いをさせていただきましたときに、五十五年という年間の物価の推移といいまするものが六・四%程度でおさまるであろうという推測をしてまいったわけでございます。
 ところが、まことに申しわけがない、かつ残念なことではございまするけれども、昨年の暮れには七%程度ということに修正せざるを得ないというような事態になっておりますし、これは七%程度も、いまになって考えてみますと、さらに豪雪とか何とかというようないろいろなものが加わりまして、七%程度もどうやらその上の方に行きそうだというのが偽らざる今日の姿でございますから、そういったことを考えてみましたときに、六・四%程度におさまるであろうという物価に対する見通しを立てたその政治責任といいまするものは、決して使用者の企業者にあるわけでもございませんし、ましてやお働きの組合員の方々に責任があるわけでもないわけでございまして、そういったものに対します一切の責任は、私は、政府の見通しの誤りにある、政府にあると言われましても一言もございませんし、一言もございません以上に、私どもはそれに対しまして責任を感じていかなければならぬ、さように考えておるわけでございます。
#60
○佐藤(誼)委員 いまのような実質賃金の目減り、勤労者の生活苦は、簡単に言うと、これは六・四%という見通しを誤ったという、そういうことから来る一切の責任は挙げて政府にある、こういう考えですが、それはそういうふうに責任を感じられるのは結構なんだけれども、責任を感じたという言葉だけでは、労働者の暮らしも勤労者の生活もよくならぬわけです。その責任をどのようにこれからの施策の中で生かしていくのか、これをまず聞きたい。
#61
○藤尾国務大臣 まずもって私は、私どもの責任を果たしまする第一といたしまして、このように私どもが考えもしなかったように暴騰をいたしております物価に対しまして、物価の鎮静を図らなければならぬ、できるだけこれを低く低く押し下げるような努力をしなければならぬということでございまして、五十五年度という年度、これもあとまだ、一月に少し足りなくなりましたけれども、一月間はあるわけでございます。したがいまして、この間に私どもができますることは何でも、その物価引き下げのためにやらなければならぬ。あたりまえのことではございまするけれども、私どもはこれに対しまして、私どもの持てる力を一切ここにぶち込みましてそれに当たっていかなければならぬということは当然でございます。
 さらに、これは将来のことというようなこととも関連をいたすわけでございまするけれども、そういった非常な実質賃金の低下を招いた、その働かれる方々に対しまする政治責任をどのような形で果たすんだということでございますけれども、まず何といいましても、五十六年度に入りましてからの物価の安定を、いま政府は五・五%程度に消費者物価を安定をさせていきたい、かように考えておるわけでございますけれども、五・五%をできれば五%に、さらにできれば四・八%にするような努力を、私どもができるだけこれから精力を挙げてやっていかなければならぬ、当然私どもの努めの一つであろうと考えます。あるいは、そういった責任を果たす上におきまして、物価に対しまする私どもの姿勢、私どもの力、こういったものがなかなか及ばぬということであれば、これは及ばぬときのさらにいろいろな措置といいまするものにつきまして私どもが考えていかなければならぬことも当然であろう、かように考えます。
#62
○佐藤(誼)委員 今後責任を果たす第一は物価だということを言われたのですが、それはその一つですね。
 それでそこに焦点を当てながら、若干私、さらにまた質問をしていきますが、昭和五十五年度物価の鎮静をやれるものは何でもやる、その意気込みはいいのですよね。しかし、行政ですから一定の見通しを立てて進めなければならぬと思うのです。そこで、もういま七%程度というふうに修正をしているわけなんだけれども、これから一カ月ちょっとですが、というところでどの程度に物価を抑えることができるという見通しを持っているのか。経済企画庁おいでですか。その辺のところをひとつ。
#63
○齋藤政府委員 御存じのとおり最近の卸売物価というものは昨年の四月以来ずっと傾向的に低下をいたしておりまして、最近の情勢も一けたに落ちているわけでございます。先月、二月上旬で前年同月比三・九、中旬で四ということでございますから、卸売物価の方は非常に鎮静化をしてきておる。そういう状況のもとにありまして、消費者物価の方が御存じの異常気象の影響で野菜に特に値上がりが出ておるということでございますので、目下のところ特に野菜対策に力点を置いたいろいろ措置をとっているところでございます。こういったものの効果につきましては天候がいろいろ影響してまいりますので、私ども現在のところこれを数字の上ではまだはじいておりません。ただ、できるだけ、先ほど労働大臣がおっしゃいましたようにできる措置はとるという体制で現在取り組んでおりますので、御了承をいただきたいと思うわけでございます。
 この数字につきましてはいろいろ現在の変動要素がございますので、そういった政策の効果を一応抜きましてきわめて機械的に、本年の一月までの実績が、全国のCPIが仮に横ばいになるという前提で計算をいたしますと、五十五年度は前年度比で七・七%になる。機械的な計算でございますから私どもとしてはできるだけいろいろな措置によってこの数字がさらに引き下げられるように努力をしているところでございますけれども、そういう機械的な数字としてこういうものがあるということで御了承いただきたいと思います。
#64
○佐藤(誼)委員 そうすると、はっきりしているのは、政府は当初六・四%の見通しを立てた、それが七%前後という見直しをした、ところが実態の方は昭和五十五年は八%ですね、それから昭和五十五年度は推計でございますけれども経済企画庁の答弁では七・七%程度、こうですね。
 六・四%というのはかなりの上昇だ。ひるがえって私たちが八〇年春闘との関係でいいますと、八〇年春闘の初頭のころに政府は六・四%の消費者物価上昇率を公約された。もちろん八〇年春闘はこの物価上昇六・四%を一つの前提といいましょうか重要なファクターとして、労働者の賃金が決定されていったわけです。ところが、いま言われるように六・四%どころか八%に近い状態になっているわけです。つまり、先ほど労働大臣も言われたように見通しの誤りと言えばそれまでですけれども、政府の施策の責任において物価が上がったために、そのすべての生活上の責任は労働者、勤労世帯にきている。この責任は政府に十分償ってもらわなければならぬと私は第一に考える。
 第二は、他の指標を見ると、実質経済成長率、ごく最近見ますと五%前後です。労働の生産性は大体二けた。企業の経常収益は昨年の九月決算まで連続六期増収増益です。他の指標はこのようになっているのに、政府の物価見通しの誤りとはいえ、労働者だけが資金の目減り、勤労世帯の可処分所得、実質の消費が落ち込んでいる。これは余りにも不公平ではないか。この責任をどう感じ、先ほどこれからどうするということを物価対策だけを言われましたけれども、その他やることはないのか、労働大臣の所見を聞きたい。
#65
○藤尾国務大臣 ただいま類型的な御指摘がございまして、本当にいま政府の物価見通しといいますものの過ちの責任を全部お働きの方々が負っておられる、こういう御指摘でございますけれども、これは産業にもよるわけでございますけれども、私は企業の側でも相当痛手を受けておるといいますものはないわけではない、さように思います。御指摘のとおり組合の方々にとりましては確かに実質賃金がかつてない、初めて目減りをしたということでございますから、お働きの皆様方の御家庭でどの御家庭におきましてもとにかく暮らしにくくなっておる、その被害を受けておられる。私は、申しわけのないことでございますけれども事実であると思います。
 したがいまして、そういった方々に対しまする政治責任といいますものをどのように果たしていくかということは当然私どもが考えていかなければならぬことでございまして、この点につきましては総理大臣を初め私どもの政府の者は一人といえどもその責任を感じない者はいない、私はさように信じておりますし、事実さようでございます。
 したがいまして、今後それじゃどのような方法でその責任をとっていくかということが問題でございますけれども、御案内のとおりもうすでに三月に入っております。やがて、これからしばらくたちますと四月を迎えまして新年度に入っていくわけでございますから、そういった年度においてこのような五十五年の過ちといいまするものを絶対に繰り返してはならぬ、これはあたりまえのことでございますけれども、まずもってそれを実行していかなければなりません。
 したがいまして、この間におきまする、五十六年度見通しにおきまする指標、これは私どもの経済成長率もそうでございますし、また私どもの設定をいたしておりまする消費者物価指数の見込みといいまするものも当然でございまして、そういった見込み以下に物価といいまするものは抑えていかなければならぬ、あるいは成長率というようなものは私どもが設定しておりまする以上に上げていかなければならぬということになってまいろうと思います。また、そういうことでございまするから、それと関連をいたします諸施策がこれに関連をいたしまして出てまいる、当然のことでございますからだれ一人そういったことに否定的な見解を持っておる者はおりませんから、遠からずそのような措置が次々と打っていかれるだろうということを私どもは期待いたしておるわけでございます。
#66
○佐藤(誼)委員 いま労働大臣は、総理大臣初めその責任はみんなで痛感している、今後その責任をとる方法として幾つか述べられまして、その中で物価の鎮静ということを挙げられましたね。昭和五十六年度見通しが五・五%ですからそれを守るという趣旨だろうと思うのです。それは当然そういうふうにしてもらわなければならぬと思います。その他いろいろな施策を言われて、何か奥歯に物のはさまった回答が中に入っているようでありますが、私は、物価の安定は言うに及ばず、これはすべての前提だと思うのです、しかし、それのみでは、物価だけでは昭和五十五年度に落ち込んだそれらの償いをすることはできないと思う。
 そこで、仮に今年度の物価が先ほど言った七・七でいったって今年度中に実質賃金の目減りなりそういうものは回復できないですよ。これは明らかでしょう。とすれば、この実質賃金の目減りを回復するというのは、物価の安定は前提であるが、同時に賃金を上げなければ回復できませんよ。これはもう明らかだと思うのです。ただ、賃金の問題はいまも労働大臣がそれとなくにおわせておりますけれども、これは八一春闘が具体的に展開されるその結果として出てくるわけだ。
 そうすると、実質可処分所得、それから実質消費支出、これを高めるためにはどうしたって物価の安定を前提にしながら物価調整減税をやらないことにはこの分は上がってこないわけです。ですから、私は今後政府がその償いをするということはいろいろ考えられるが、物価の安定が前提である、しかし物価の安定、切り下げると幾らがんばったって、年度内に実質賃金の目減りを回復できない。そうするならば、新年度で何をやるか。これは物価の安定を前提としながら賃金を上げるということですよ。ところが、取られる部分の非消費支出が依然として大きければ、実質可処分所得やあるいは実質消費支出を押し上げることにはならぬわけです。ですから、当然そうなりますと物価調整減税をやっていかなければ、具体的に先ほど労働大臣が言われた、政府は責任を痛感している、こたえるためにあらゆる施策をやるんだということにならぬと思うのです。
 したがって、この賃上げや物価調整減税について、今後の見通しだけでも労働大臣はどう考えるか。
#67
○藤尾国務大臣 御案内のとおり、賃金といいまするものは、八一年の春闘というものをこれから皆様方も御要求をどんどんお出しになっておられるところでございますし、これがどのようにおさまっていくかということにつきましては、これは私どもがその中に入っていくべき問題ではございませんで、労使で御決定になられる問題でございます。
 こういった労使の御決定につきまするそのときのいろいろな御折衝の諸条件といいまするものの中に、五十五年のこの実質賃金の目減りということが当然入っていくであろうということは想像がつきますけれども、それ以上のことはこの労使の問題に立ち入って私どもがいまとやかくこの時期におきましてこれに言及をするということは不適当である、かように考えるので、この点は御容赦を願いたいと思います。
 それからその他の措置について、たとえばそういった物価の目減りに対しまする減税措置というようなものをどのように考えるかという厳しい御指摘でございますけれども、御案内のとおりただいまは五十六年度の予算を私どもは御提出を申し上げておる最中でございまして、この予算が一番よろしいと総理大臣も言っておるわけでございますから、その一番よろしいと信じておりまする予算の御審議に当たりましては、その予算の成立をお願いをするということにただいまのところは全力を挙げるべきでございまして、その予算の組み替えでございますとか、あるいは修正でございますとかというようなことを中に含んだような要素といいまするものは一切考えないという態度でいまいっておるわけでございますから、私も閣僚の一員といたしましてそのような立場をとっていくということは当然のことであろう、かように考えるわけでございます。
 ただし、そういった後、その後の将来におきまして、私どもが、しかしながらこのような問題がこのように残っておるではないかということを考えるといたしましたならば、総理大臣を初めみんながその責任を感じておりますということを私は申し上げておるわけでございますから、それはそれといたしまして、予算が成立をいたしましたさらにその先の将来におきまして、私どもがさらに考えるべきことの中にそういったこともあるいは入ってくるのではないかということを私どもは考えてもよろしいわけでございまして、その後の措置といたしまして論議の対象になるということは当然であろう、かように考えております。
#68
○佐藤(誼)委員 内閣総理大臣が責任を痛感している、このことは声高く言っているわけです。また二月の二十七日の読売新聞の夕刊を見ますと、あなたは閣議の後に賃金目減りは政府の失政であるというところまで言われているわけです。この責任が労働大臣を含めて政府にあるのだ、これはもう明らかなんです。じゃ、その責任を具体的に果たしながら、目減りしている労働者の賃金、実質消費支出が減退している世帯、これに責任の立場から具体的にどうこたえるのかという具体的にこたえるものがなければ、責任を痛感したってしようがないわけです。責任を果たしたことにならぬわけでしょう。そうでしょう。
 そこで私は、その方法としては簡単に言えば三つある。一つは、いまの物価の安定ということは長期的にやってもらわなければならないわけです。その上に立って、これはもう年度が切れますから、新しい年度において賃金を上げなければこれは回復できない。しかし、このことについては政府が幾らにしろなんということでは本来ないわけですから、それなりに大臣の答弁ということを理解しておかなければならないと思うのです、一定の条件をつけて。だけれども、政府がこの予算の策定期に当たって具体的に責任を果たす方法があるのじゃないか。それは何か。減税ですよ。物価調整減税です。
 増税と言われるけれども、法律の改正による増税はあります、いま予定されております、予算の中に盛られております一兆四、五千億。ところが、法律の改正によらざる隠れたる増税がある。これは御案内のとおり、名目賃金が上がって、それ以上に物価が上がって実質賃金が下がる。しかし名目賃金が上がるために物価調整をやらないために増税になってくるわけです。隠れたる増税です。この部分が勤労世帯の生活を大きくむしばんでいるわけです。これが統計的には可処分所得、実質所得を下げ、さらに貯蓄性向の関係もあるけれども、実質消費支出を下げているわけです。この部分にメスを入れなければ、幾ら責任を感ずるなんと言ったって、それは言葉で終わります。そのところどうですか。
#69
○藤尾国務大臣 責任のとり方はいろいろございますし、また時間的に考えましてもいろいろあるわけでございまして、この点は責任をとると私は申し上げておるわけでございますし、責任を感じておるということは、総理大臣初めみんなが感じておるということを申し上げておるわけでございますから、それをどの時期にどのようにしてとるかということにつきましては、これはまたひとつ私どもの政治の今後の展開の中で決めさせていただくということにいたしまして、この際私がこの委員会の場で、この時期にどういたしますとか、こういたしますとかということを申し上げるのは、私どものいまの立場から考えまして少しオーバーである、そこまで踏み切るわけにはちょっとまいらぬということでございます。そのところはあなたはよくおわかりになっておられるわけでございますから、十二分にそれはおわかりの上で御論議は御論議としてちょうだいをさせていただきたい、かように考えるわけであります。
#70
○佐藤(誼)委員 それでいまの労働者、勤労世帯の増税の実態をぜひ大臣に認識してもらいたいので、私次のような質問をいたしますが、お答えください。
 三十人規模以上の昭和五十五年勤労者現金給与平均年収は幾らであるか。この方は四人家族で昭和五十六年に七%賃金が上がったら所得税は幾らになって何%アップになるのか。わかりますか、この質問。
#71
○内海説明員 ただいまお尋ねの点につきましては、手元に計数がございませんので、直ちに計算をいたしてお答え申し上げます。
#72
○佐藤(誼)委員 この程度のことはここに召喚されたら当然資料として持っていなければならぬじゃないですか。私の方で数字を言いますから確かめてください。
 昭和五十五年、いまの平均収入は三百十六万、五十六年七%アップで三百三十八万。昭和五十五年の所得税八万四百円、昭和五十六年の所得税十万一千四百円。いまの三百十六万を前提にすればこういう数字になるはずです。それで、収入が七%アップした場合に所得税は二六・一%ふえるということです。どうですか。
#73
○内海説明員 ただいまの計算はいまの前提に基づいて直ちにいたしてみます。
 ただ、所得税の構造上わが国はほかの国に比べてはるかに課税最低限が高くなっております。したがって、ほかの国ですと、たとえば英国等に比べますと、課税最低限が低く始まりまして、しかも最初に適用される税率が三〇%、これがずっと給与所得者の九〇%をカバーしているわけです。こういう国に比べまして課税最低限が高ければ、それを中低所得階層にしてみますと、課税最低限が所得に占める割合が高いだけに所得の伸びが税収の高い伸びになるのは構造上当然のことであると思います。
#74
○佐藤(誼)委員 なぜそういうふうになっているかなんという理由を聞いているんじゃないです、現実にどうなっているかという事実関係を聞いているんですから。はっきりしているのは、七%賃金を上げたら所得税の方が、二五になるか二六になるかは別にしても二十数%上がるということですよ。これは大変な上がり方だということははっきりしていると思うのです。これが一点。
 次は、総理府が二月二十七日に発表した勤労者世帯の家計というのを見ますと、昭和五十五年の一カ月平均消費支出が名目で二十三万八千百二十六円、そして、伸び率が七・九。非消費支出は四万四千百三十七円、伸び率一二・六%です。このことから明らかなのは、消費支出に対して非消費支出、つまり税金や社会保険料が大変伸びているということですね。具体的に言えば、勤労者所得税が前年に対して一九・一%ふえているからだということを言っているわけです。つまり、それは物価調整減税がないために、実質収入は先ほどから言っているように目減りをしているけれども、所得税の税額だけは急増している。それがいま言った非消費支出の増大につながっているわけです。
 ですから先ほどから何遍も言っているように、労働者の実質賃金は目減りをし、勤労者の実質消費支出は減退をして生活が大変苦しい。この実態はこのような不公平な税制の中にあるわけです、税徴収の実態の中にあるわけです。これを直さない限り、幾ら労働大臣が責任を負うんだ、あらゆる施策をするんだと言ったって、これは具体的にやったことにならぬ。
 私は重ねてだけれども、幸いいま予算の審議をしている最中であるし、これは直せないはずがない。労働大臣は所管の大臣として、政府に対してこのことを申し入れするあるいは意見を述べるという、そういう考えはないのか、このことを重ねてお聞きします。
#75
○藤尾国務大臣 今日、御案内のとおり予算が審議をされておりまして、その最終段階に近いところへきておるわけでございます。そういった時期に、おまえは労働大臣としてそういう建言をしたらよかろうというせっかくの御注意でございまして、私どもといたしましても非常にありがたい、かように御交誼のほどは十二分にわかりますけれども、私がただいま鈴木内閣の閣僚の一員といたしまして、鈴木内閣といたしまして今日この段階におきまして五十六年度の予算をどのような形でこれを成立させなければならぬかということは、それなりに閣員一致して考えておるところでございますから、そういった鈴木内閣といたしましての大きな一つの責任と流れというものの中におきまして、この段階で私がとかくのことを申し上げるということは閣内の意見が不一致であるということと同じでございますから、この点はひとつそのようなおそれがなくなりました後で、どのような方法かで私どもが申し上げるなら申し上げるということになろうと思います。
#76
○佐藤(誼)委員 この段階ではというふうに言われておりますけれども、そのおそれがなくなったときと、こう言われますが、しかし鈴木内閣で予算を閣議として決める場合に最初から意見が一致しているわけじゃないでしょう。鈴木内閣総理大臣が言えば皆ぱちっと決まるものでもないでしょう。閣議ですからいろいろな議論があってしかるべきじゃないですか。それで最終的に全会一致になるのか、鈴木内閣総理大臣の裁量で決まるのか、そういう過程があるはずですよ。まだ動いているでしょう。
 きょう、これから十二時半ごろから労働四団体とも会われるそうですが、また政府の回答もするそうですけれども、まだ動いている詰めの段階じゃないですか。少なくとも所管の労働大臣が、政府はその責任がある、したがって私はこの予算を最終的に策定するに当たって労働者、勤労者の所得減税はやるべきだという、こういう建議をするのがなぜ悪いのですか。
#77
○藤尾国務大臣 その点があなたと私の見解の違いでございまして、政府案を国会に提出をさせていただきました段階で鈴木内閣といたしましての五十六年度予算に対しまする閣内の統一はできておるわけでございます。でございますから、私どもはさように承知をいたしておりますし、さような承知のもとにおきまして私どもがどのようにして予算の御成立をいただかなければならぬかということに対しまして全力を尽くしておるというのが今日の姿でございます。
#78
○佐藤(誼)委員 まあ見解の相違というけれども、一たん出したら一切変えられないというものじゃない、人のやったものだから。じゃ審議の必要もないじゃないですか。事態の推移によっては変えることだってあるじゃないですか。それは金科玉条のものや鉄のようなものじゃないですよ、これはあえて言うなら見解の相違ということになるかもしれぬけれども。私はなぜ物価調整減税をこのように主張するか、これは先ほどから言ったように労働者、勤労者世帯に対する政府の責任からいって具体的にいまなし得ることはこの点ではないかということを主張しているわけだ。
 そこで私は別の角度から伺いますが、政府が出している昭和五十六年度の経済成長の見通し、幾多の指標があります。そういうことに関連してもこれはぜひやらないとできないと思うのです。経済企画庁おりますか。――まず私は次のことを質問いたします。
 昭和五十五年度実質経済成長率と内需、外需の寄与率の当初の見通しと現状。それから二番目は、昭和五十六年度実質経済成長率と内需、外需の寄与率はどのくらいになっているか、以上二点。
#79
○岩崎説明員 お答えいたします。
 昭和五十五年度実質経済成長率四・八%、これは当初、最近出しました実績見込み、変わっておりませんが、中身では若干の変更がございまして、先生御指摘のように内需は当初寄与度で三%を見込んでおりましたが、実績見込みでは一・五%とやや落ち込みがございます。他方外需は、一・八%が三・三%になるということでございます。
 それから、五十六年度五・三%を見込んでおりますが、ただいまのところこのうち内需が四%、外需が一・三%の寄与度を見込んでおります。
#80
○佐藤(誼)委員 いま言われたことでも明らかなように、実質経済成長率四・八%に対する内需の寄与率、当初の三%から一・五%に落ちているわけですね。いままた、昭和五十六年度実質経済成長率五・三%に対する内需の寄与率を四%に持っていこう、こういうことですね。そうしますと、実質経済成長率が五十五年度、五十六年度で違うのだけれども、内需の寄与率を機械的に持っていけば、昭和五十五年度三%内需の寄与率を考えたのが一・五に落ちたわけだ。これをさらに昭和五十六年度は四%に持っていく、こういうことですね。
 そうなりますと、この内需の寄与率を高めるためには理屈からいってかなりの努力が必要だということが言えると思うのです。先ほど言ったように、いま労働者の実質賃金が目減りをしている、勤労世帯の実質可処分所得は下がり、しかも実質消費支出は下がっている。こういうことがいろいろ原因になって、予定した内需寄与率三・〇が一・五に落ちたと思うのです。それから考えて、これを今度ぐっと持っていくためにはこの部分を何とかしなければならぬと思うのです。
 考えてみれば、内需をふやすということは最終消費需要をふやすことであり、つまり総需要に占める約六〇%近い個人消費を伸ばすことだと思うのです。そうすると、個人消費を伸ばすということは、簡単に言えば大多数を占める勤労者のふところを豊かにすることです。その方法は私は二つあると思う。
 一つは、内需の拡大を図るためには勤労者の実質所得を増大させることであります。それは中身を言うと、先ほど労働大臣が言われたように物価の安定ということを前提にしながら勤労者の賃金並びに収入をふやすという以外にない。二番目は、その上に立って実質消費支出を拡大する。そのためには非消費支出、つまり先ほど言ったように所得税あるいは社会保険料というものを減らす、同時に消費性向を高める、これしかないのじゃないか。こうでなければ予定したところの五・三%をいまの状況のままでは達成できないと私は思うのです。ここのところを何とかしなければならぬ。
 そうなりますと、先ほどから言っているような物価の安定は当然のことながら、賃上げ、収入の問題は今後の課題として残ります。問題は、消費支出の減をいかに食いとめるか、所得減税ですよ。ここのところをやらないと、私は昭和五十六年度の五・三%は達成できないと思う。幸い昭和五十五年度は、内需は減ったけれども四・八達成できた、その部分を外需で補ったからできたと思うのです。私は、そういう外需の状況はいま非常に厳しいだろうと思う。そうすると内需を伸ばすとすればそれ以外に方法ないじゃないですか。
 ですから労働大臣は先ほどいろんな答えをされておりましたが、これは政府の責任で、労働者の実質賃金の目減りやあるいは勤労世帯の消費支出等の落ち込みを回復するということからいっても減税が必要であるが、同時にいま政府が立てている昭和五十六年度の実質経済成長率を達成するためにもそのことは必要じゃないですか。その点どうですか。
#81
○藤尾国務大臣 御案内のとおり、先ほどから申し上げておりますように、私どもが五十六年度の物価といいますものを五・五%以内に抑えるということを目標にいたしまして、必ずそれをやろうということでこれから努力をいたすわけでございます。でございますから、ただいままことに不本意ながら七%程度から少し足を出したというような物価を五・五%以下に抑え込むわけでございますから、それだけ分の努力が本当に実れば、私は、それだけの国民各位に対します実質賃金あるいは可処分所得といいますものの回復は必ずしも不可能ではない、かように考えますし、さらにそれを基調にいたしまして、それに前後いたしますいろいろな措置も私どもといたしましては考えていくわけでございますから、非常に高度の御心配をちょうだいいたしまして恐縮千万でございますけれども、そういった御心配をかけないで済みますように、私どもは全力を挙げてこれから取り組んでいくわけでございます。
#82
○佐藤(誼)委員 日本評論社の「月刊労働問題」二月号というのがあるのですが、その中に労働経済研究会発表の「日本経済の動き」というのがあるのです。ずっと書いてありまして、その末尾に次のようなことが書いてある。「したがって、こんご不況を克服する政策の要点は、一方的にしわ寄せされた労働者への負担を和らげることである。一九八一年段階では、とくに所得の実質的な上昇がもっとも重要であり、具体的には、賃金引き上げと所得税減税の実施、および消費者物価の鎮静化により、実質賃金=実質消費の拡大をはかることが、国民経済的にも不可欠なことになっている。」こういうふうに締めくくってあるのです。私はこの所論に賛成でありますが、労働大臣はどう思いますか、重ねて……。
#83
○藤尾国務大臣 その御本を執筆せられました方のいろいろなお考え、それはそれなりに私といたしまして理解ができます。しかしながら、私どもの立場は、御案内のとおり政治家でございますから、そういった御所論は御所論といたしまして、そういった立場といいますものを理解すると同時に、その反面におきまして、私どもは実態的にやらねばならぬことをこれからやっていくわけでございますから、そういった私どもの諸策に対しましては時と所というものがあるわけでございまして、そういったことを十二分に考えながらこれからの施策を進めてまいるということが私どもの考え方の基本でございます。
#84
○佐藤(誼)委員 後、大臣は労働四団体の方へ行かれるわけですね。残念ながら時間がありません。
 それで最後に要望しておきますが、労働大臣のいろんな含みのある所見も中に入っているようです。それはそれなりに理解できます。しかし、きょうは労働大臣が首相とともに労働四団体とも会われるし、きょう政府の回答もあるそうですから、以後私は、先ほど述べたような主張によって、労働者、勤労者世帯の減税をやらないと暮らしを守れないし、日本の経済の成長も予定どおり進まぬのではないかという見解を持っておるわけです。したがって、その点所管の労働大臣はよく配慮されて、しかるべく今後の取り扱いを考えていただきたい、このことを申し述べておきたいと思います。
#85
○藤尾国務大臣 十二分に考えさせていただきます。
#86
○佐藤(誼)委員 時間がなくなってしまいましたが、労働時間、それから週休二日制は、先ほど川本さんの方から質問がありましたから省きまして、最賃の問題で一、二質問したいと思うのです。
 一つは、昨年もこの点質問したのですが、最低賃金は諸外国、先進諸国に比べて、日本の場合にはまだかなり立ちおくれを来していると思われます。したがって、最低賃金を引き上げていくためにどのような施策をこれから講じようとしているのか、これが第一点。
 それから第二点は、最低賃金の周知徹底及び違反事業所のないように指導するのが政府の責任だと思うけれども、その実態はどうなっているのか、またどのような指導をしているのか。時間がありませんから二点だけ。
#87
○吉本(実)政府委員 まず第一点の、最低賃金の引き上げのためにどのような施策を講ずるかという点でございます。
 私ども、最低賃金につきましては、近年の賃金とか物価等の変動に十分に応じまして毎年改定を行ってきているところでございます。最低賃金の改定に当たりましては、先生御承知のように、各都道府県の労働基準局長が、公労使三者構成によります最低賃金審議会におきまして賃金実態の調査、関係労使の意見の聴取、実地視察の結果、こういうことに基づきまして慎重な審議を願い、その意見を尊重いたしまして、それぞれの地方の賃金実態、産業実態と遊離することのないように、適切に改定をしてきているところでございます。また、そういった審議のいろいろな材料という意味におきまして、賃金実態把握のための調査結果等につきましてもその充実を図りまして、適切な最賃改定が行われるように努力しているところでございますし、今後ともそういった点についての努力を重ねてまいりたいと思います。
 それから決定されました最低賃金につきましては、私ども、あらゆる機会をとらえまして周知の活動を図っておるところでございます。またその履行確保のために、最低賃金、それだけを主眼にいたします特別監督を実施いたしまして、違反の事業場に対しましては是正指導するように努めておるところでございます。
 もう一点の周知の徹底あるいはそういった違反のところについてどういうふうにしておるかという具体的なお話でございますが、最近の最低賃金額の水準が上昇するにつれまして、最低賃金に対します一般の関心も高まっておるところでございます。したがって、その履行の確保につきましても強く要請されることになっておることは御承知のとおりでございます。そういう意味で、労働省といたしましては、最低賃金の適切な改定とともに、こういった周知の徹底と履行確保を要旨といたしまして、毎年、最低賃金があらかた決まった十一月の下旬を中心にいたしまして、最低賃金周知旬間、こういうようなことで集中的に事業所につきましての周知広報に努め、またあわせましてその際に、最低賃金を主眼とするところの特別監督も実施して履行の確保を図る、こういうふうな形をとってきているわけでございます。今後ともそういった方向でさらに徹底して、努力してまいりたいと思っております。
#88
○佐藤(誼)委員 時間になりましたので、最後に要望して終わりたいと思います。
 いまの最賃の違反状況を見ると、大体一六、一七、一八、このあたりをずっと動いておるのですね。それから違反事業者の認識状況を見ると、最賃の適用を知らなかったということと、最賃の適用は知っているが金額を知らなかった、つまり知らざるの罪、これが合計すると大体七〇%、ずっと変わらないわけです。考えてみると、最賃の適用も知らない、金額も知らなければ、違反するのがあたりまえなんです。これをずっと見ると余り数字が変わっていない。したがって、この辺の周知徹底ということになお一段と努力してみる必要があるし、周知の方法についても、昨年、前々回でしたか、質問したときに、周知の方法についても提言しているはずですから、ひとつ十分御検討いただきたいと思います。したがって、そういうことを前提にしながら、この違反について一六ないし一七%あるわけですから、この徹底方をやらないと、幾ら賃金を上げたってしようがないわけです。この点は特に私の方から要望して、質問を終わります。
#89
○山下委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十四分開議
#90
○山下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件について、質疑を続行いたします。永井孝信君。
#91
○永井委員 まず初めに、労働大臣にお伺いしたいと思うのであります。
 この前大臣が所信表明をなされた中にいろいろなことが書かれておりまして、たとえば前国会で問題になりました障害者年対策とか高齢者対策はそれなりに入っていて、とりわけ労使関係の問題について触れられておるのでありますが、どうも抽象的過ぎて、どこまで本当にこの労使関係を改善させるためにがんばるのかということがいま一つ伝わってこないので、この問題について一言でいいですから大臣の本当の決意をまず冒頭にお聞かせ願いたいと思います。
#92
○藤尾国務大臣 日本の経済を今日以上に発展をさせ、かつ国民生活の福祉を向上していくという私どもの政治の最大目標を達成いたしますためには、何といいましても私どもの国が持っております経済力を充実をし、かつ向上をさせていくということが必要でございます。
 その大目標のために一番大事なものは何か、もちろん政治の環境づくりということは非常に大事でございますけれども、それにも増して大事なものは、その経済の担い手でございます産業を支えておられます労使という二つの関係が本当に密接に協力をせられまして、完全な相互理解の上にお立ちになられて、同一目標のために協力し合われるという姿を実現をしていただくことが一番大事でございますし、私どもの環境づくりの中の非常に大きな、主要な地位をその関係の改善あるいは発展といいまするものが占めておる、当然のことだろうと考えております。
#93
○永井委員 いま日本のたくさんある企業の中で、労働省として、たとえば一般的な春闘は別に置いて、いわゆる労使関係がこじれて争議を行っている実数を把握されていますか。把握されておったらひとつ明らかにしていただきたいのでございます。
#94
○細野政府委員 労働争議の実情につきましては、労働争議統計調査というものがございまして、先ほどお尋ねの現時点ということになりますとなかなか数字が明らかでございませんが、昭和五十四年をとりますと、総争議の件数が四千二十六件、このうち争議行為を伴う争議が三千四百九十二件、こういう状況でございます。
#95
○永井委員 五十四年の調査だと言われておるのでありますが、全国一斉の調査ではありませんが一応実情を把握するために私たちの手元で調べてみました。昨年七月現在の調査でありますが、県単位でいきますと十四府県、単産で二十五、これだけ調べましたところ、争議中の労働組合の数が五百七十九組合あることが判明いたしました。そのうち、たとえば指名解雇であるとか組織に対する不当労働行為、そういう本来あってはならない問題で争議中の組合が実は三百二十組合にも上っていることが明らかになったわけであります。そのほかの争議組合というのは、たとえば倒産とか企業閉鎖、こういうことで争議中の組合が二百五十九組合。これはおおむね日本の二分の一を対象にした調査でありますので、全国を調査すれば恐らくこの二倍くらいになるのではないかと推測されるわけであります。
 こういう現状について労働省はどのように認識を持ち、どのようにこれに対応するお考えがあるか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
#96
○細野政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、不当労働行為関係の紛争というものがかなりの数に上っておるわけでありまして、これも五十四年の数字で申し上げて恐縮ですが、各都道府県の地労委に対する初審の申し立ての件数が五百六十三件でございます。本来不当労働行為があってはならない、法律上禁止されている行為でございますので、こういうものが発生をいたしませんように、労働省としましては労使、なかんずく経営者側に対しまして、労働組合法における不当労働行為制度というものの趣旨その他につきまして徹底を図るという関係から、各都道府県あるいは日本労働協会等としまして、いろいろな面でのあるいはいろいろな層を対象にする労働教育を実施しているわけでございますが、今後ともこういう点についての徹底に努力をしてまいりたいと考えているわけでございます。
#97
○永井委員 不当労働行為があってはならないということはもう当然なことでありまして、それに対してそういう行為を行わないように企業の側に対しても十分指導されていると言われるのでありますけれども、現実に毎年不当労働行為による問題というのが後を絶たない。むしろ景気が後退してきたという現状の中で、たとえば労働組合という組織がなければ企業としても非常にやりやすいという単純な背景もあって、不当労働行為の件数というのはふえる傾向にあるわけですね。これはどんなことをしてでもさせてはならないという立場での強い指導を私は望んでいきたいと思うのです。
 そうして問題は、この不当労働行為が行われているという企業の中に、本来の団体交渉を行うべき対応ではなくて、むしろその背景にある資本がかなり露骨に介入しているという経緯がずいぶん見受けられるわけであります。
 一々細かいことを申し上げることはできませんけれども、最近数年間におけるそういう背景の資本の介入をもとに不当労働行為が起きたということをとらえて主だったものを一、二申し上げてみますと、たとえば丸紅が介入した労働争議、名古屋精糖事件がありました。あるいは東京機械という企業の争議がありました。あるいは三菱銀行が介入をした浜田精機争議というのもありました。あるいは第一勧業銀行が介入をしたニチモウ・キグナス、これはかなり全国で有名になった争議でありますが、そういう争議もありました。あるいは同じく第一勧銀の介入した佐伯造船という企業における争議もありました。
 これらの本来そこの企業における労使ではなくて、その労使の使の後に控えている大企業であるとか大商社、大銀行、こういうものが、自分の系列化ということもあるのでありましょうけれども、露骨に介入しているという事実について、労働省はどうお考えになりますか。
#98
○細野政府委員 労使関係の問題は、本来はその労使が責任を持って自主的に解決すべき問題でありまして、そういう意味で、いま御指摘のようにいろいろな経済的な事情が絡んでいるというようなこともあって、第三者がこれに対しまして介入をするというのは問題をこじらすおそれがあるという意味で望ましくないという面が基本的にあると思います。しかし、個々の労使自体が自分の置かれている経済的あるいはその企業の置かれている産業的な基盤というものを御認識いただいて、その上に立って自主的に責任を持って解決に当たられるという、まず当事者間の意欲というものが非常に重要ではなかろうか、そういうふうに考えておるわけでありまして、こじれた問題等につきましてはそういう点についての糸口をほぐす点について、いままでもこれは事案の性質によっていろいろあるわけでございますけれども、私どもがお手伝いのできるものについては、そういう当事者間の解決が促進されるような環境づくり等についてお手伝いをしてきているというふうな状況でございます。
#99
○永井委員 私もその環境づくりを求めていきたいと考えているわけでありますが、労働行政だから労働省に任せておけばよいということではなかなか問題の解決はできないと思うのですね。たとえば企業に対する指導の面では、通産省にも当然協力を求めていかなくてはいけない。そういうそれぞれの省庁が分かれておってもお互いにきちっと一つの問題を解決するためには協議をして問題の前進を図ってもらわなくてはいけないと私は考えるわけであります。
 そこで、最近問題になっております労働争議の中に特徴的な問題を一つとらえてちょっと質問をしてみたいと思うのでありますが、たとえばことしの一月十四日に東京都の都労委が命令を出した細川活版の労働争議の問題があります。これはもう労働省十分御承知のはずでありますが、そもそもこの細川活版の争議が起きたのは昭和四十八年なんですね。六年半も七年間もかかってようやくこの地労委というところで一定の裁定が出たわけでありますけれども、この細川闘争で見る限りにおいては、いかに企業というものが労働者をないがしろにし、労働者をしぼり上げてでも自分の経営の安泰だけを考えているかということが如実に示されているわけですよ。
 たとえばこの細川争議の関係をちょっと見てみますと、昭和四十八年に当時の細川活版が光村という印刷会社に株を売却したというところから始まっているわけでありますが、その株の売却に対して東海銀行がその資金を提供している事実も明らかになってきている。いわば東海銀行という大銀行が後におって光村印刷を動かして、結果的には細川活版の乗っ取りを図ったのではないかとさえ言われている事件なんです。そうして実際にこの会社側の社長に、新しく社長が送り込まれてきた。そしてその社長は労働組合に対して、たとえば宣戦を布告するという不穏な言葉まで吐いて、組合退治を行うんだというふうなことが、基本的な姿勢として社長の施政方針演説みたいなものでありますけれども、その中で触れられて、一瀉千里に労働組合つぶしに走っていったという経過があるわけです。もちろんその過程では、会社側の経営を改善するためにこれだけの合理化は認めてもらわなくてはいけない、こういう提案はしているわけでありますが、昭和四十九年の二月には労働組合側が会社提案を八割近くまで認めているのです。認めているにもかかわらず、たとえば労働組合は不運のやからだと言わんばかりの態度をとって、ついに指名解雇で九十三名というものの首を切ってしまったというところから問題がずっと大きく広がっていった、こういう闘いの経過を持っているわけです。
 そうしてその闘いの経過の中で、労働者が六年半も七年間も、一定の裁定の結論が出るまで一体どのような生活を強要されてきたのかということ、このことを私は政治の立場から見て見過ごすことはできないと思うのです。このことについて、一体その争議中のそういう、たとえば会社側の不当労働行為であるとかあるいは指名解雇であるとか、こういう行為に伴って起きてきた労働者の生活の塗炭の苦しみというものについて、何らか救済措置をとる方法はあるのかないのか、労働省としてどうお考えでしょうか。
#100
○細野政府委員 争議行為中の組合員の生活保障という問題は、御指摘のように非常にいろいろむずかしい問題があるわけでございます。たとえば社会保障関係等につきましてもいろいろと厚生省等で研究すべき問題があるのかもしれませんけれども、ただ、永井先生にこういうことを申し上げるのは釈迦に説法になって大変恐縮なんですけれども、やはり争議行為中の組合員の生活の保障という問題は、基本的には労働組合の本来的な業務なんじゃなかろうかというふうに私どもは考えるわけでございます。しかし一方において、御指摘のように組合員の方が争議行為中においていろいろな生活上の困難という問題も伴われるわけでありますから、私どもとしては極力そういう問題が片づくように、たとえば労働委員会、あるいは私どもができる問題がありますれば、その問題の早期解決のために努力をしていくというのが私どもの基本的な考え方でございます。
#101
○永井委員 この細川活版で申し上げますと、六年半もかかって裁定が出された、命令が出された。全員の職場復帰、そうしてそのバックペイを支払え、さらには謝罪文を十日間掲示せよ、こういう命令が出ているわけです。この命令に対して社長は、解雇は正当防衛であった、場合によっては最高裁まで争うということを当時記者会見で発表しているわけです。そうして事実六年半も労働者を塗炭の苦しみに追い込んでおいて、都労委の命令が出たものを現在中労委へ持ち上げているわけですね。なるほど手続で言うと地労委の裁定を不服として中労委へ持ち込むことは何も間違ってはいない。間違ってはいないけれども、そこには労働者の生活ということを頭から考えていないという姿勢がそうさせているとしか私には思えないわけです。そうしてこの六年半の間の塗炭の苦しみと言いましたけれども、その間に私がいま申し上げました救済措置といいますか、たとえば健康保険が切れてしまうとか、雇用保険が切れてしまうとか、いろいろな関係があって、いまこの解雇が不当だから解雇を撤回しろと争議を起こしている立場から言うと、なかなか次の就職というわけにもいかない。あるいはそういう状況の中に置かれておっては次の就職もままならないという、そういう実態からいくと、実際労働関係法に基づくいろいろな保護規定があったとしても、その保護をその労働者が受けることができないということの事実がここにあらわれてくるわけですね。この問題について、このまま放置できない問題である。
 それでは労働委員会というものに対して一体どうこれを受けとめているのか、労働省は労働委員会というものに対してどのようにその役割りを考えていらっしゃるのか、ここをひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
#102
○細野政府委員 労使間の紛争につきましては、これはまず基本的には労使の当事者で解決すべきもので、第三者が介入すべきものではないというのが基本的な考え方でございます。
 第二番目には、そうは言っても、なかなか当事者間だけでは片づかない場合がある。その場合にやたらと政府等が介入するのはこれまた問題があるということから、御案内のように三者構成の労働委員会という制度があり、それによって、専門機関によって公正に解決していこうというのがその労働委員会制度の基本であります。
 そういう意味で、その労働委員会の中におかれましても、問題の早期解決を図るために緊急命令制度を設けたり、あるいは場合によっては、事案の性質に応じまして、和解の勧告をしたり、問題を早期解決するためのいろいろな方法を講じておられるわけであります。私どもはそういう労働委員会に係属中の問題については政府として介入すべきものじゃないという立場に立っておりますが、先ほども申し上げましたように、問題が非常に長期化したり、あるいは非常にこじれていて、労働委員会等においてももてあましておられるというような場合に、私どもとして問題の解決の糸口を探る、あるいは解決の条件を探るというような意味で、たとえば労使の間の話し合いの場を設けてみたり、あるいは事情聴取をやってみたり、そういう形で間接的にその問題解決に協力し、努力をしているというのがいままでの私どもの考え方でございます。
#103
○永井委員 私はこの労働委員会というものの役割りがもっと政治的にも社会的にも重視されなくてはいけないと考えているわけですよ。たとえば、私いま申し上げましたように、細川活版の社長は中労委へ持ち上げるとか最高裁まで争うんだ、こういう態度表明をしているわけですね。いまの日本の国における法律に基づいてこれに対応するという立場から考えると、中労委へ持ち込むとか最高裁へ持っていくということは何も間違ってはいないのですよ。間違ってはいないけれども、この労働争議というのはそこで働いている人間の生活がかかっている問題だから、いつまでも引き延ばしをするということだけで、あるいは自分の犯してきた行為をたなに上げて自分の立場、会社のことだけ考えて、労働者の苦しみというものをさらに延長させるということがあっては好ましいことではないと考えるわけですよ。
 昨年の九十三国会の参議院の議事録を見ましても、この種の問題がかなり議論されています。最高裁の担当者も出まして議論されているわけでありますが、そこで言っていることは、たとえば中労委が緊急命令が必要だと考えたならば、たとえ法廷へ持ち出されても裁判所はそれを尊重しなくてはいけないという基本見解もここに出されているわけですね。あるいは労働委員会の意義をあらしめるためには、労働委員会が申し立てた、あるいは申請した緊急命令についても裁判所の方でも認めていただくような努力を労働委員会の方でもしなくてはならない、こういう答弁もなされているわけですよ。労働委員会は労使の関係を専門的に扱うところですから、本当は労働委員会の命令というか結論というものは最大限に尊重されなくてはいけない。これは経営者の方もその姿勢を貫くことによって労働問題の争議というものは一定の解決がなされると思うのですね。この辺のところが、どうも企業の側、経営者の側はおろそかに扱い過ぎているのではないか、こういうことを私は強く指摘せざるを得ないわけであります。
 そうして細川活版で見られるように、六年半もかかって一定の結論が出た場合は、たとえ中労委に持ち込まれたとしても、その間に地労委の決定に基づいた一定の救済措置が暫定的であってもいいからなされるようにすべきではないか。そうしませんと、これは人間生きていかなくてはいけないのですから、食べていかなくてはいけないのですから、この辺のところは何かいい手当てはないのか。
 きょうは通産省見えておりますか。――細川活版の関係でありますから紙業課長に来てもらっておるわけでありますが、通産省は労働行政に直接口をはさむことはできないのでありましょうけれども、たとえば通産省が企業の側に対してそういう労働争議を惹起せしめないような日常からの指導も必要だろうし、あるいはこの種の問題が起きたときは担当の、所管であります労働省と緊密に連携をとって、そういう労働者の救済が早急に図れるような一定の手当てを考えることはできないのか。労働省と通産省双方にお尋ねいたします。
#104
○細野政府委員 一般論で申し上げますれば、その個別の案件によりまして、たとえば先ほど申しましたような行政機関がある程度問題解決の環境整備をした方が問題が非常に進むという場合もございますから、そういう意味でそういう事件の内容によっては、たとえば案件によっては労働者、あるいは所管の省庁と協力して問題の解決に努力するというのは考えられることでありますし、従来もやった例が幾つもあるわけでございます。
 ただ具体的な細川活版の例で申し上げますと、これはすでに中労委へ係属している問題でございますから、やはりまず中労委におきまして先ほど申しましたように事案を検討していただく中で、必要があれば緊急命令を出すとかあるいは和解の勧告をするとか、そういう早期解決の方法を中労委がお考えいただくべきもので、これについてあらかじめ行政機関が介入するというのは適当ではないのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
 しかし一般論としては、先ほど申しましたように、行政機関が問題解決のために努力をすべき案件というものも少なくなくあるというふうに考えておるわけでございます。
#105
○佐藤説明員 お答えいたします。
 本件は中労委に係属中の案件でございますのでコメントは差し控えさせていただきますが、一般論といたしましては、私どもは労使双方が真摯な態度で円満に解決されることを望んでいるわけであります。一般論といたしまして、円満なる解決のための基盤醸成といいますか、そういう点について私ども所管官庁が協力できる分野がございますれば、どの程度助力できるか存じ上げませんが、労働省とも御相談、また御指導を仰ぎながら努力いたしてみたいと思います。
#106
○永井委員 いままでの中で申し上げましたように、たとえば生活保護の関係であるとか、健康保険の適用の延長であるとか、あるいは厚生年金の継続であるとか、この種の問題について、私はひとつ労働省が中心になって、こういう長期の争議にわたる場合に一定の労働者の保護を進めていくような対策をぜひ考えていただきたい、対応していただきたい。そうして長期の争議については、それが早急に解決ができるような環境づくりを私はぜひお願いをしておきたいと思います。
 この問題について労働大臣にひとつお伺いしたいと思うのでありますが、たとえば労働者が倒産などによって職を追われるような状態が起きたときに、いまの労働の関係法ではいろいろ規定はされているのですが、まだまだ不備な点がある、私にはそう思えてならぬわけです。たとえば去年の三月六日の衆議院の予算委員会で労政局長が答弁をした問題があるんですが、破産法の関係なんですね。
 破産法の関係で言いますと、この破産法は大正十一年の成立の法律がそのまま残されてきているわけですね。そうすると戦後につくられた労働関係の幾つかの法律との間に相入れないギャップの面が実は存在をしてきている。これはもう否めない事実なんですね。ですから、ひとつこれは思い切って労働者を保護するという立場で、たとえば破算法というものを改正をして、管財人と労働組合との協議やあるいは協約の保障、あるいは社内預金、賃金、退職金の保全、あるいはその他労使債権を抵当権に優先させるような法令を早急に創設すべきであると私は思うのですけれども、大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
#107
○細野政府委員 御指摘のように、破産関係に入った場合の管財人と労働組合との関係についていろいろ学説等が分かれているという問題がございますけれども、私どもは、管財人の目的からしてある程度の制約はやむを得ないにしても、団体交渉については応ずる義務があるという考え方で現在まで問題の処理に当たっているわけでありまして、そういう意味で、特段大きな支障があるというふうには私どもは感じておりませんけれども、なお今後の研究課題として研究させていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
#108
○吉本(実)政府委員 賃金、退職金等が不払いになったり、破産の場合にいろいろ問題になるということにつきましては、私ども早期にこういったものを把握して、実際にできるだけそういったものの救済に当たるように努力しているところでございます。
 また現実に不払いになった場合におきましては、一定の条件のもとでございますが、賃金確保の法律等に基づきまして実質的な確保に当たってまいりたいというふうに思っております。
#109
○藤尾国務大臣 御指摘のとおり、戦前の破産法といいまするものと今日の労働諸法規といいまするものとの間に、何といいましても思想、体系の違いが出てきておるということは、私は専門家じゃありませんのでわかりませんけれども、十二分にあり得ることだ、さように考えます。こういったことにつきましては、ただいま労政局長からも十二分に勉強したいという表明がございましたけれども、責任を持ちまして検討させまして、その整合性を得るように努力をしなければならぬ、かように考えます。
#110
○永井委員 いずれにいたしましても、不当労働行為などによって発生する争議行為というものは未然に防いでこそ価値がある。起きてしまってからではもう抜き差しならぬ不信感だけが残っていて、労働大臣もきょうの午前中の答弁の中で言われておりましたように、日本の経済発展に資するという面から言うと非常に大きな障害になってくることは間違いないのだから、この辺の関係は労働省が中心になって、当然のことでありますが通産省とも協力をし合って、未然に防ぐための手だてをぜひ講じてもらいたい。
 再度重ねて申し上げますが、こういう細川活版のように長期にわたっている争議については、直接こうしろとは言えなくても、中労委に持ち上がっておっても、早期に解決ができる環境づくりをぜひ行っていただくように強く要望しておきたいと思います。
 時間が非常に短いわけでありますので、次の問題に入っていきたいと思います。
 パートタイマーの問題について私は問題提起してみたいと思います。
 産業構造の多岐多様に伴って、いわゆるパートタイマーという人たちが著しく増加してきているわけです。雇用の拡大を推進するという労働大臣の強い決意、政府の施策、こういうことから考えて、雇用が拡大するのはいいが、いわゆるパートタイマーという関係でどんどん増加してきているという事実は好ましいことなのかどうなのか、冒頭にお聞きしたいと思います。
#111
○藤尾国務大臣 このパートタイマーというものに対する考え方はいろいろあろうと思いまするけれども、これは雇用する側と働く側がそれぞれの立場でパートタイマーを希望される可能性は非常に強いと思います。しかしながら、私どもの労働行政の立場からいたしましたならば、雇用の関係といいまするものをより安定させるということが私どもの仕事でございますから、パートタイマーのフルタイマーへの転換というようなことができまするならばその方が望ましい、かように考えるわけでございます。
#112
○永井委員 高度経済成長が華やかなとき、一九六〇年代ですか、この時代には労働力が足りないということから、各企業はこぞって、臨時工で抱えておった人たちも、他の企業に逃がさないということもあったのでしょう、どんどん本工に切りかえていったわけです。結果的には企業は、労働力を企業に都合のよい調整弁として使っていった、こう言っても過言ではないと私は思うのです。そうして、この臨時工という調整弁が非常に便利がよかったのでありますけれども、本工に切りかえていったというあの高度経済成長時代に、その調整弁の役割りがごく限られたところに縮小されてしまったということから、新たな調整弁としてパートタイマーというものがどんどんふえてきたと私は見ているわけです。
 そこで、企業の不況時における安全弁、そしてコストを低く抑えるための低賃金労働者の役割りが結果としてこのパートタイマーという人たちによってつくり上げられていった、こう私は見ているわけです。
 しかも、そのパートタイマーの中に女性が圧倒的に多いのです。パートタイマーという呼び方は統計学上から定義づけられているわけですけれども、たとえば労働省やあるいは総理府、あるいは国際的にはILOにおいてもこれは短時間労働者として位置づけられているわけです。短時間労働者というのは、これがたとえ一日の勤務時間が一時間であろうと三時間であろうと四時間であろうと、労働組合法の第三条あるいは基準法の第九条、これに該当する労働者としてこの短時間労働者というものを位置づけていられるのかどうなのか、これをお聞かせを願いたいと思います。
#113
○岡部説明員 パートタイマーの定義は非常に区々に分かれているところでございます。たとえば雇用動向調査、賃金構造基本調査等におきましては一日の所定労働時間が短い等の定義を使っておりますし、あるいは第三次産業雇用実態調査あるいは雇用管理調査等々におきましては企業もしくは事業所の通称によるということになっております。またILOにおきましては、一般の正規の労働時間より短い時間数を一日または一週単位で就業することというふうにいたしております。
 しかし、いずれにいたしましても、これは労働基準法上の労働者の定義に合致することには違いないと存じます。
#114
○永井委員 いまの御答弁を聞きますと、簡略化して言えば、短時間労働者、いわゆるパートタイマーも労働法規は全面適用されるべきものだというお答えのように私は伺ったのでありますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
#115
○岡部説明員 就業時間が短いというその特性に属するものを除きまして、労働諸法令は一般的に適用になるというふうに考えます。
#116
○永井委員 そこで、労働法規は一応全面適用になるという態度が明確になっているわけですが、労働基準法第十四条の趣旨というのは、経営者の解雇権の乱用を保障しているものではなくて、逆に言えば労働者の退職の自由を保障しているのだ、私はこのように実は受けとめているわけでありますが、労働者が望めば、たとえそれが短期間の雇用契約であっても何回更新してもよい。またそうあるべきだ。あくまで労働基準法というのは労働者を保護する立場から制定されたものでありますから、この趣旨をあくまでもパートタイマーにも生かしていってもらわなくてはいけない、こう考えるわけでありますが、この労働基準法十四条の法律上の考え方を、このパートタイマーの関係でお聞かせ願いたいと思います。
#117
○岡部説明員 ただいま申し上げましたとおり、労働基準法はフルタイマーであれパートタイマーであれ、これはひとしく適用になるものでございます。パートタイマーの場合、契約期間にはいろいろな形態のものがございまして、日雇いがあり、あるいは一週間あるいは二カ月、さまざまでございますが、どのような雇用形態であれ、労働基準法は適用になるということでございます。
#118
○永井委員 そこで、具体的な問題をちょっとお聞きしてみたいと思うのでありますが、労働省が出している統計を見ましても、雇用者総数というものがもちろん年々ふえてきているわけでありますが、昭和五十四年には三千七百九十三万人、そのうち短時間労働者は三百六十六万人、このように労働省の統計資料に出ているわけです。そしてとりわけ婦人の短時間労働者が著しい伸びを示しておることも、この統計資料の中で明らかであります。たとえば昭和三十五年の婦人雇用者数というのは六百三十九万人おるわけでありますが、そのうちパートタイマーが五十七万人、率にして八・九%。これが昭和五十四年では、婦人の雇用者数が千二百八十万人とざっと二倍になっている。そしてそのうちパートタイマーは二百三十六万人、率にしますと実に一八・四%、これまた二倍になっているわけですね。とのような異常な伸び方を示しているわけであります。
 実は私はここに一つ問題点を提起するわけでありますが、パートタイマーを採用する理由なんです。労働省の一九七九年の雇用管理調査、この資料をここに持っているわけでありますが、雇用調整が容易である、これが一般労働者の採用が困難であるという理由をはるかに上回っています。あるいは人件費がパートタイマーを雇うことによって割り安になる、このように答えたものも、これまた一般労働者の採用困難という理由の数字よりもはるかに上回っています。これは言いかえれば、私が最前から申し上げているように、企業がパートタイマーという現実に存在する人たちを企業の安全弁にしか使っていない、こういうように指摘ができると思うのですね。私は、ここのところは労働者を保護していくという立場から考えると非常に大きな問題としてとらえざるを得ない。この保護政策上不備な点がこういう現状をもたらしたのではなかろうか、私はこのように実は考えるわけであります。したがって、労働省はこれらの問題について具体的な改善を図る意思があるかどうか。
 たとえば第三次産業などへ行くと、就業規則すらつくられていない、あるいは労基法の第十五条に定めております労働条件の明示義務を行っていない、こういう実態もあるわけです。
 私はきょう、この質問をするに当たりまして、私の地元の姫路市で、幾つかの実情をこの日曜日足で回って調べてまいりました。たくさん調べることはできませんでしたけれども、参考までに申し上げますと、いわゆる第三次産業、サービス産業、小売業、こういうところの中で十五カ所を回ったのでありますが、この十五カ所を回った中で、労基法十五条に定める労働条件の明示、たとえばやめるときは退職金をどうするとか安全はどのようにしていくとかあるいは災害補償はどのようにしていくとか、こういうことなどを含めて明示をした業者は一カ所しかありませんでした。あとの十四カ所は一切そういうことなしに、ただ電柱にパートタイマーの募集を行って、中身を何にも言わないままに雇っておるという実態が明らかになりました。
 中小企業、これは大体五人から十人程度労働者を雇っている企業でありますが、これを十カ所回ってみました。この中で、この十五条に定める労働条件を明示して就業規則を明らかに持っているのは七カ所、あとの三カ所は一切そういうものはなかった。これは私、おとといの日曜日、一日歩いて自分の足で体験してきたことであります。
 こういう状態が現実の中小企業の職場で働くあるいは第三次産業の職場で働いているパートタイマーあるいはそこの労働者の実態であります。これらの問題についてどう具体的に改善をすべきか、労働省の見解をお伺いしたいと思います。
#119
○吉本(実)政府委員 ただいまパートタイマーにつきましての就業規則等の遵守状況、それに対する施策ということの御質問でございます。
 先生御指摘のように、私どもも、先ほど先生御指摘になりました雇用管理調査によりましても、就業規則を定めている企業は、いわゆる一般従業員と分けてパートタイマー用の就業規則をつくっているという企業は三六・四%でございます。そういったような実情でございますので、特に先ほど御指摘になりましたような実情もこれあり、私どもとしましては労働条件の明確化、これがパートタイマー就労者に対します第一番の主眼点であるということに重点を置きまして、私どもの関係企業への集団指導の際、あるいは自主点検表というもの、アドバイス的なものをいろいろつくりまして、整備しておるわけですが、そういった自主点検の励行ということを通じましてこういった労働条件の明確化に努めるように鋭意努力しているわけでございます。また最近におきましては、乏しい予算でございますけれども、就業規則の作成用の資料ということで五万部くらいのパンフレットをつくりまして、各関係機関、関係企業にPRに努めているという実態でございます。
#120
○永井委員 自主点検と言ってみても、労働省が地方における出先機関を通して実際きちっと点検をしたり監督指導したりすることが本当にいまの状態でできるのかどうなのか、私は非常に危倶をするわけです。
 たとえば職安行政一つとらえて言ってみますと、このパートタイマーの関係では、公共職業安定所を通して応募した、採用したというのは全体のわずか二・六%しかないわけですね。あとは公共職業安定所を通していない。知人を頼って、あるいは電柱の張り紙を見て、あるいは新聞折り込みの広告を見て、そういう状態の中で実は就職をしているわけです。だからそういう状態の中で、実際労働条件が守られない、労働基準法が守られない、こういう状態が起きてきていると私は見ているわけであります。そう考えると、これからの雇用を拡大していかなくてはいけない、そういう崇高な使命を持っているいまの状況の中から考えて、いわば労働省の出先機関の持つ役割りもきわめて重いものがある。
 私はそこで労働大臣に一言聞きたいのであります。いま政府は挙げて行政改革を進めようと言っている。行政改革も大切でありますけれども、こういう労働者の保護がまともになされていないという状態の中で、職業安定所あるいは労働基準監督署、これらについていまの労働行政の面から見てむしろ私は強化すべきだと考えるのでありますが、労働大臣はどうお考えでありますか。
#121
○藤尾国務大臣 御趣旨のごとく、私どもの推進をいたします労働行政が、微に入り細にわたりかつ非常に細かいところにも目が届いておるという姿が一番望ましいことはもちろんでございます。したがいまして、そういった意味におきましては職業安定所でございますとかあるいは労働基準局の監督官でありますとか、そういうようなものがいまよりももっと増員をされるということは望ましいに違いございません。しかしながら、御案内のとおり一方におきまして今日のような一つの財政事情の中にあるわけでございますから、そういった中におきまして、それではどの部門にどのような財政で許される範囲の増員を当てはめていくかということになりますと、今日のような国税庁というようなところにも増員も必要でございますし、また御案内のとおり各地に建てられます病院を見ましても、病院の建物だけ建てましてその中の医師や看護婦がいないなんということも許されるはずはないわけでございまして、そういうものとの関連の中におきましてどの程度やれることをやり得るかということにかかっておる、かように思います。
 今回の五十六年度の予算の中におきましても、実人員が非常に減っておる中で、私どもそういった意味の労働行政の強化のために、非常に少のうはございますけれども多少の増員も許していただいておるというようなことを考えてみましたときに、御指摘のような目的を達成するためにひとつしっかりやれという行政管理庁並びに政府の所信のほどが私どもにもわかるということでございますので、足りないところは足りないといたしまして、その運用ということも十二分に考えましてその足りないところは補っていく、そういう努力はやっていかなければならぬのじゃないか、かように考えます。
#122
○永井委員 私は、パートタイマーの問題できょうは問題提起をしているわけでありますけれども、ちょっと横道にそれれば、労働災害の撲滅もあれば、あるいは労災の手続の問題、これだってなかなか労働者の期待にこたえることができない。そういう面から言うと、労働基準監督署、公共職業安定所、これをもっと充実してもらいたいという、雇用が大きな問題のときだけに非常に大きな声があるわけです。そこは単に行政改革だから、午前中の議論ではありませんけれども、私は鈴木内閣の閣僚だからということで行政改革に協力をするということだけで済まぬ問題だと私は思うのです。行政改革でぜい肉を落とす部分があっても、今度はもっと必要なところにはむしろ機能を充実する、こういうことが当然必要になってくると思いますので、そういう関係については、労働大臣の午前中の言葉じりをとらえてなんでありますが、むしろ蛮勇をふるってもらいたい、このように強く私は要望しておきます。
 次に、賃金上の問題に入っていきたいのでありますが、この春闘でどれだけ賃金が上がるとか上がらぬとか、この問題は午前中あれだけ激しい議論があったわけでありますが、それは省略させていただきます。しかし、このパートタイマーが企業に導入されました一九六〇年代、昭和三十年代は高卒の初任給程度が一応常識になっておった。しかし、現実はいま高校卒の初任給と比べるとかなり下がってきているわけです。
 そしてもう一つ問題は、その安い賃金の中で、パートタイマーが非常に重要な役割りを占めていると思われる企業について調べてみると、年末などの段階でパートタイマーが大量に休むために企業が困る、こういう問題が随所にあることがわかってまいりました。
 なぜ年末などに休むのかと、これまた調べてみると、年収が七十万円を超えると課税の対象になる、配偶者控除の対象から外れるということで、ずっと一月からパートタイマーで働いてきて七十万円に到達する寸前になると休んでしまう。これがまた企業にとっては非常に頭の痛い問題になっている、こういう実態も明らかになってまいりました。あるいは奥さんがパートタイマーで働いている場合に、自分の妻がパートタイマーである以上、これが課税最低限を超えて扶養控除がなくなる、家族手当がなくなる、あるいは健康保険などで不利になる、こういうことから、無理して働く必要がないということで、その七十万円を超えるところで休ませる。本当はもっと金が欲しいのですけれども、やはり税制上の問題があってそういう現実が起きてきている。そういう行為というものはいまの課税最低限の問題で政治の貧困というものを痛烈に批判しているのだと私は思うのです。
 今度、予算案の中では七十万が七十九万に引き上げられる、このようになっておりますけれども、労働行政の立場から言えばもっと大胆にこれを引き上げるべきではないのか。そして、二百一万五千円という標準世帯の課税最低限度額というものもこういう面からいくともっと引き上げるべきではないのか、こう考えるのですが、労働大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#123
○藤尾国務大臣 一般的な課税最低限を引き上げるという問題につきましては、午前中もいろいろと御意見をいただき、私もそれなりにお答えをさせていただいたわけでございますけれども、そういった中におきまして、パートタイマーのいまの課税限度といいまするものを七十万円から七十九万円に引き上げさしていただいたわけでございます。今回のあらゆる税制の中におきましてこのような――私は言葉を間違えまして優遇措置などと言うと、何が優遇だということになるかもしれませんけれども、そういった扱い方といいまするものが実現しておるということは、よほど大蔵主税当局におかれましても、あるいは国税当局におかれましても御指摘のような事情がわかっておるということの裏返しであるというように解釈してもよろしいわけでございまして、今後とも私どもはそういった、表現が妥当であるか否かは別といたしまして、いわゆる恵まれざる立場にあられる方々に対しまする温かい措置をどんな面におきましても広げていく、そういう努力はたゆまずやっていかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
#124
○永井委員 限られた時間でありますのでなかなか細かく掘り下げて申し上げることはできないのでありますが、パートタイマーの関係でさらに若干の問題を引き続いて申し上げてみたいと思うのであります。
 たとえば年次有給休暇であるとか休日の問題であるとか、こういう問題についても、いわゆる本工と言われている人たちに比べると適用されている範囲がかなり狭いわけですね。たとえば年次有給休暇でいきますと、本工は八三%、パートタイマーは七七・一%というふうに下がっているわけですね。あるいは休日の関係についても同じことが言えます。いわゆる労働基準法上で定められた休日がまともにとれないという状況も企業や業者によっては出てまいっております。
 これが最前申し上げたように就業規則がまともにできていなかったり労働条件が明示されていないところに実は出てきているわけであります。少なくとも労働基準法の関係からいって、このパートタイマーも短時間労働者で、いわゆる労働関係法が全面的に適用されるというその基本からいくと、当然保護されなくてはいけない。こういう面からいくと、私はまだまだ法律に不備な面があるのではないかという気がしてならぬわけであります。
 おもしろい分析があるのです。たとえば有給休暇でいきますと、一週間に一日しか働かないパートタイマーがあったとする。これを労働基準法の第三十九条を完全に適用しようとすれば、この人が十六年目には二十日働いて二十日付与という状態が出てくる。あるいは隔週に一日勤務する場合は、十六年目には一日も出勤しないで二十日間付与という権利が発生する。しゃくし定規に解釈すればそういう問題もあるわけですね。私があえてこの問題を出したのは、事ほどさように実際労働法上ではまだまだ不備な点があるということを実は指摘したいわけであります。
 そこでそのことを念頭に置きながら私はお聞きしてみたいと思うのであります。
 たとえば雇用保険の問題について申し上げますと、労働省の雇用管理調査によれば、パートタイマーの雇用保険適用企業数は三八%しかない。厚生年金は三六%しかない。健康保険も三八%。もちろんこれはフルタイマーを指して言っているわけであります。
 そうして労働省がこれらの実態をとらえて、昭和五十年三月二十五日に職安局の発九十七号ですか、「雇用保険その他関係法令の施行について」という通達を出していますね。この通達でいきますと、ここにその通達の写しを持っているわけでありますが、このように言っているわけであります。短時間就労者、いわゆるパートタイマーについて、「短時間就労者についてはその者の労働時間、賃金その他の労働条件が就業規則において明確に定められていると認められる場合であって、次のいずれにも該当するときに限り被保険者として取り扱い、これに該当しない場合は原則として被保険者として取り扱わない。この場合その者が他の社会保険において被保険者として取り扱われている者であるかどうかもその判断の参考とすること。」このように通達の中で言っているわけでございます。そうして「雇用保険のみについて被保険者として取り扱われることを希望するような者建次のいずれにも該当する場合であっても被保険者として取り扱わない」、このように明確に指導しているわけであります。
 そういう通達の内容からいくと、パートタイマーのほとんどがこの雇用保険の加入が認められないということになってくるわけであります。そういうことからこの雇用保険の適用企業数が三八%という数字になっているのではないか、こう私は考えるわけであります。なるほど、社会保険と雇用保険の同時加入ということは正しいことであります。しかし、本来は雇用保険と社会保険は別の制度でありますし、ましてや月収が四万とか五万とか六万とかの低い賃金の支払いしか受けておらないパートタイマーの場合は、すべての保険に同時加入するということは非常に負担が大きくなることははっきりしているわけです。
 したがって、要は現行のこの適用基準というものの適否の問題だと思うわけでありますが、たとえば外国で言うと、デンマークなどは週十五時間、このようになっておりますが、労働省の通達では二十二時間以上、このようになっています。オランダではいわゆる一般工の三分の一、このように規定しておりますが、この労働省の通達では四分の三以上、こういうことになっていることから考えて、まさに日本の場合は非常に厳しい、このように私は指摘をせざるを得ないと思うのであります。したがって、かなり長期に勤められている方でも現在の労働省の通達基準から外れてしまう、こういうことになっているわけでありますので、労働省が毎年出している雇用保険加入促進の趣旨からいってもこれは問題があるのではないか、私はこのように言わざるを得ないと思うのであります。したがって、パートタイマーの在職期間が長期的になってきている現状から見て、この通達を改善すべきではないか。雇用保険のみの単独加入ももっともっとスムーズに行えるような行政指導を早急に行うべきではないか、このことを私はお聞きいたしたいと思います。
 そして、パートタイマーは、労働する側の要求する形態でもありますけれども、片方で、多様化した産業構造の必要性から生まれたものでありますので、これを保護するのは私は重要な労働行政であると思いますので、これについて最後に労働大臣の見解をお伺いし、あわせて、この種の問題についての諸外国の実態をできれば調査していただいて、その調査の資料を提出していただきたい、このことをお願い申し上げます。
#125
○守屋説明員 先生の御指摘の点、ごもっともな点もございますが、ただ一つお考えいただきたいのは、雇用保険という保険制度の性格から出る問題があるということでございます。といいますのは、私どもはパートタイマーと名がつくものを一切雇用保険から排除しようということを考えておるわけではございませんで、雇用保険の本来の性格から見て、入れるべき人は積極的に入れていくという方針をとっております。
 といいますのは、雇用保険は保険制度であります関係上、何をもって保険事故にするかという点であります。この保険事故は、賃金でもってその主たる生活を賄っている、そういう方々が失業という状態に至りましたときに生活に非常に重大な影響を与える、そういう点からこれが保険という制度で賄われておるわけでありまして、私どもは、たとえ労働者であろうと臨時内職的だと思われる方々につきましては、これは本来保険制度でもってカバーすべき範囲であるかどうかが非常に問題であるというように考えております。かような観点から、先ほど先生幾つかその基準を御指摘になりましたが、こういう基準はあくまでも臨時内職的である労働者ではない方、いわゆる普通の労働者と同様な方々につきましては、私どもは積極的にこの雇用保険に加入を進めていくという方針でやっておりますので、その点ひとつ御了解いただきたいと思います。
 なお、諸外国の例につきましては、私も手元に幾つかの資料を持っております。いま先生が挙げられましたもの以外にも、西ドイツにおきましては所定労働時間が二十時間未満の者、これは被保険者になっておりません。またスイスにおきましては、年の就労日数が百五十日未満の労働者は被保険者から外す、こういうことが制度上なされておりますが、これもやはりわが日本の場合と同じような趣旨かと存じております。
 あくまでも私どもは、さっき御指摘ありました二十二時間とかあるいは四分の三という就労時間の問題は、臨時内職的な方々はこの保険の制度になじまないという観点で制限しておりますので、この点、御了承いただきたいと存じます。
#126
○永井委員 時間が来ましたのでこれで質問を終わりますけれども、臨時内職的な者ということの決めつけではなくて、現実にこの労働省の調査を見ましても、パートタイマーと言われておる人たちの勤続年数というものはぐんと延びてきているわけですね。パートタイマーの五年以上の勤続年数者も一六%を超えているという状態でありますので、これはやはり短時間労働者として認識をしている以上、労働法の保護を最大限に適用できるように、そしてその労働法の不備な点は積極的に改善するようにこれからの対応を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
#127
○山下委員長 平石磨作太郎君。
#128
○平石委員 私は労働大臣に、白ろう病、いわゆる振動病の問題についてお伺いをしたいと思います。
 御案内のことと思いますが、いわゆる林業に従事する労務者、こういう方々がチェーンソーを使うということから振動病が非常に問題となって、すでに国有林労務者におきましてはそれぞれの処置がなされている。だが、民間におけるところの労務者はこの面においてまだまだ対策が不十分ではなかろうか、こういう感じを持つものです。私どもいろいろこういった陳情をいただいて、各地を調査した経過もございます。また労働省その他での調査も見させていただいたわけでございますが、こういった民間労務者であって、しかもその中で一人親方としてやっておられる労務者、この人数その他把握しておられればお答えをいただきたいと思います。
#129
○林説明員 いわゆる一人親方と申しますのは、通常の事業主としてほかから作業を請け負い、ときには他の事業体に労働者として雇用されるというような実態がありますので、常態として一般に雇用されている者と比較して把握は非常にむずかしいのでございますが、就業構造基本調査によりますと、林業就業者のうち雇用者を持たない自営業主は約一万八千人、こうなっております。なお、この中には林業という大枠での縛りで、木材伐出業のほかに狩猟業、製薪業、木炭製造業、シイタケの栽培業、植林業等も含んでおります。
#130
○平石委員 林野庁の方はどうでしょうか。
#131
○安橋説明員 一人親方というのは明確な定義が現在のところございませんし、実態が非常に複雑多岐にわたっておりますので、統計の見方でいろいろ数字が変わるわけでございますけれども、総理府の労働力調査というもので林業就業者数が五十五年で十九万人いるわけでございます。その中で自営業主と言われてカウントされておりますのが三万人いらっしゃるわけでありますが、この三万人の一部にいわゆる一人親方という方々が含まれているのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#132
○平石委員 それぞれ人員把握についてお聞かせをいただきました。両省によって、あるいは総理府の資料もいまお答えをいただいたわけでございますが、やはりはっきり実態が合うてない、数字が合うてない、こういうことが浮き彫りになったわけです。これは、御答弁にもありましたように実態把握が非常に困難だということ、その性質としてよくわかるわけですが、余りにも数字に開きがある。この前お聞きしたときに大体五万人ぐらいおるのではなかろうかといったような話も林野庁から聞いたことがあります。そのように数字が動くわけです。数字が動くということは、やはり実態把握が不十分であるということと同時に、これらに対するところのいろいろな施策、これがまた十分に行き渡らないということをも物語っておる、このように一応見られるわけです。
 こういった方々から大変な要請を受けまして、私どももそれぞれのところに調査に入りました。そしてこういう方々のいわゆる振動病にかからないための予防の問題あるいはこれらに対するところの健診の実施の問題、そしてそれに対する対策、こういった面で相当な要望をいただいて調査に上がったことがございます。それで私ども一応その中で把握をし、さらには地方団体等において把握しておるような数字を見させてもらいましたが、これまたこの方々の予防健診を受けるといったようなことの数字がまことに低い。雇用労働者であるならばこれは大体そういったことが行われておりますけれども、この民間の、しかも一人親方といったような方々の診断あるいは健診というものが、ちょっと数字を申し上げてみますと、全国的に資料をいただいたのを見ましてもわずかに八%しか受診してない。それから高知県の実態を五十四年度で見てみますと五%です。北海道が一〇%、岩手県が七%、長野県が一七%、このように非常に低い数字を示しております。
 そしてその受けた人が第二次健診に回らなければならない。いわゆる疑いがあるといってさらに第二次健診に回った人たちがどのような状況かを見てみますと、全国的にはそのうちで三四%が第二次検査に回るということです。それから高知県の場合が三〇%、北海道が一九%、岩手県が二三%、長野県にしましては七五%の人が第二次健診に回っている、こういう数字が出ております。
 この数字から考えられますことは、いわゆるチェーンソーその他の林業労務者が働いておられる中で非常に振動病にかかるということ、この第二次健診に回った長野県あたりの数字はもう七割五分も出ておるということ。こういう実態を労働省なりあるいは林野庁あたりはどのようなお考えでおられるか、お伺いをしてみたい。
#133
○望月説明員 振動障害に関する健康診断並びに受診率、それから第二次健診に回る数につきまして先生いま非常に高いという御指摘がございましたが、全国的に見ますとやはり平均すると先生のおっしゃる数字よりやや低いと思います。二〇%前後は二次健診へ回るという実態のように承知しております。
#134
○安橋説明員 一次健診を受けまして二次健診の方に回る率というのは、林野庁の方でも大体受診者総数の二割程度であろうというふうに考えておるわけでございます。
#135
○平石委員 そのように二割ないし三割ぐらいは大体第二次健診に回るような症状になっておるわけです。
 そこでお伺いをしてまいりたいのですが、この二次健診あるいは一次健診を受けたくない、こういったことが出ておるわけですね。これはなぜこれだけの、健診率が少ないかということになりますと、いろいろな要因がございましょう。
 私どもはこの前鳥取県の日南町というところへ調査に上がりました。そこでこういった方々のお話も承ったわけでございますが、これがいろいろ聞いてきたときにもらってきたものなんです。これは写真でございます。労務者の話を聞いてみますと、チェーンソーを使い始めて十二年、それでこの方は症状がすでにもう二期までに進んでおる。ところが健診をするといったようなことにつきましては、私どもとしたらもうあの人は白ろう病だという格づけを受けるので働く場が雇うてくれない、こういうことがあります。それともう一つは、家族を控えておる関係で、もう認定患者になって入院でもするということになりますと大変なことになる。家族の生活ができないという実態がある。そして認定を受けますともう即座に失業ということが出てくる、こういうことでございます。
 そして、そういう実態の中ではなかなか健診に行くことができないという訴えを聞いたわけですが、いま健診率が低いということは、確かにいま言ったように問題点が出ておるのではないか。そういたしますと、こういう方々をもっと健診率を高めるために、あるいは予防をしさらには治療といったことに対策を進めていくためには、その面で相当考えてあげねばいけないのじゃないかということを調査の段階で感じたわけです。
 そこでいまこの方々に対して、いわゆる所管省である労働省あるいは林野庁、こういう方々はその面においてのどういう対策を考えられるか。さらにはこの健診について費用がかかるという問題も出ております。この健診についての費用は自己負担をしなければならない、雇用労働者であれば事業主の方で負担してくれますけれども、一匹オオカミの場合はその費用は自己負担をしなければならない、こういう問題も出ておりましたが、これについてひとつお伺いしてみたいと思います。
   〔委員長退席、戸沢委員長代理着席〕
#136
○望月説明員 先生御指摘のように、健康診断を受けるに当たりまして、受けたくないという方が確かにおることは御指摘のとおりでございます。私どもは、振動障害をこうむる作業に従事している労務者につきましては、やはりこの特殊健康診断というものをぜひ受けていただきたいということで、昭和四十八年以来巡回健診制度を運用いたしまして、巡回して現場を回りながら、健診を受けていただくという点につきまして鋭意努力をしてきたわけでございます。その中で健診率もだんだん上がってきておりますが、遺憾ながらまだどうしても受けたくないという方がおるわけでございます。
 そこで、労働者の生命、身体が第一に重要でございますので、私どもは昭和五十五年度に都道府県単位に労使双方の代表と関係行政機関を入れました連絡会議を設置いたしまして、その場を通じまして、労使に対して、健診制度の徹底等につきまして強いお願いをしておるわけでございます。五十六年度も引き続いてさらに十六県について設置していこうということでやっております。
 そういった段階でございますので、この点につきましては、先ほど費用負担の問題も御指摘がございまして、おっしゃる点はもっともでございますが、現在のところは、健診をさせるのは一義的には事業主の責任でございますので、一次の健診につきまして二分の一の国庫負担をして健診の普及を図っておりますが、二次につきましては、現在のところは国としてはお金は出せないということで、これはやはり事業主に的確な、先ほども申し上げましたように大体五分の一くらいの対象のしぼりになりますので、五分の一は事業主にお金を出していただいて健診をしていただくという方向で強力な指導をしていきたい、こう思っております。
#137
○平石委員 四十八年以来鋭意努力はしておられるようです。
 ところで私どもの調査の内容をちょっと参考までに申し上げてみますと、この日南町には労務者が二百二十名おるわけです。この中でまず百名を対象に訪問調査をいたしました。百名の中で調査に応じてくれたのが九十九名なんですが、その人たちで、振動病の健康診断をいままで受けたことがないという人、知らないという人が八三・八%あるわけです。だからいま御答弁にありましたように、いろいろと関係各省その他協議会を持ち、あるいは地方においては地方においての努力はなさっておると思うのですが、八三%の方々、八十三人が知らない、こういうことです。こういう実態をひとつお聞きいただきたいと思うのです。
 そしてこの百名の中で一人親方は一体何人おるか見てみますと、六十二人おるわけです。だから六二・六%が一人親方なんです。そして労働時間を見てみますと、これは作業指針その他もございますけれども、どうしても四時間ないし六時間は一日のうちに働かないと食っていけないということです。これらを見てみますと、こういう方々はいかに国がせっかくそのようにやっておられ、あるいは一次に費用の半分を負担するとしても、実態はそういうことです。
 そういう状態を考えたときに、費用負担の問題もありましょうし、先ほど申し上げた生活の負担といったような形においてこれに参加ができない。あるいは森林組合とか雇用労働者の方には健診の通知が来るけれども、一人でチェーンソーを持ってそれぞれの職場へ入っておるというような人たちは、八三%の人が健診があることを知らない、こう言うのです。
 だからそういった実態を行政当局は把握していただいて、これらの人にどのようにしてPRしていくか、ひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。
#138
○吉本(実)政府委員 ただいま安全衛生部長からもお答えいたしましたが、いまおっしゃるような巡回健康診断方式というものを私どもはとってきているわけでございますが、そういった問題についての周知徹底を労働基準局並びに監督署を通じていろいろ指図しているわけでございます。特に最近におきましては、いわゆる林業労働災害防止協会の県の各支部を使いまして、それぞれから森林組合なりあるいは素材生産事業者団体に呼びかけを行いまして、巡回健診制度の普及に努めているところでございます。特に最近におきましては、ただいま御指摘のありました鳥取県におきまして、事業者向けに五百部、あるいは労働者向けに三千部といったようなパンフレットを配付しまして、その周知に努めているところでございます。
#139
○平石委員 どうも思うようにいきませんですけれども、確かにそのような努力がなされておられてもこういう実態があるということをさらにお含みをいただいて、十分施策が徹底せられるようにやってほしいと思うわけです。
 それで、この方々の生活実態というものが非常に厳しいということも理由の一つになっておるわけですが、その面についても後刻お伺いしていきますが、労働省あるいは厚生省の関係において十分に御留意をいただきたい、こう思うわけです。
 それからこの振動病がなくなるためには、使う機器の問題があろうかと思うのです。チェーンソーその他機器については、作業指針によりまして時間を制限するとかいろいろなことが出ておりますが、その作業指針にあるような状態では食っていけないという方々に対して、振動病にならないように機器そのものの研究開発をすることも必要だと思うし、あるいはこれらを購入する、あるいは買いかえる、そういった者に対してのそれぞれの助成も必要であろうと思うし、現在すでになされておることもございますが、この機器について直接担当しておられる林野庁あたりは相当研究もしておられると思うが、お伺いしてみたい。
 それからこれの購入についてすでにいまなされておるものが、五十六年度で買いかえの制度が期限切れになる、こういう切実な問題もあるようでございますので、あわせてお答えをいただきたい。
#140
○安橋説明員 振動機械の問題といたしまして、振動の少ない機械、あるいは騒音の少ない機械、あるいは人間が直接機械の振動部分に触れないで済むようなリモコンチェーンソーというようなものにつきまして、林野庁では組織を挙げまして優秀機械の開発、普及に努めているところでございます。
 なお、助成の関係につきましても、民有林関係について申しますと、都道府県が貸し付けます無利子資金でございます林業改善資金の融資対象に振動機械を購入取得する場合を加えまして、その普及に努めているところでございます。
#141
○平石委員 この延長はするのですか、せぬのですか。
#142
○望月説明員 チェーンソーの買いかえ補助制度の延長の問題でございますが、私どもは振動の多いチェーンソーを何とかリモコン装置のようなチェーンソーにかえていくということで、これは非常に誘導的な考え方から、昭和五十四年から二カ年に限りましてそういった買いかえ補助制度を創設したわけでございますが、ちょうど期限切れになりまして――これでもっと続けろと、こう御指摘でございますが、私どものねらいといたしましては、二年間で約五千台というものが現実に林業において買いかえがなされたという実績がございますし、決して多い数字ではございませんが、振動障害の防止に結構効果があるということのPRと申しますか、キャンペーン効果というものは相当上がったのではなかろうか。
 したがいまして、今後のステップといたしましては、先ほどお答え申し上げましたような都道府県における林業振動障害防止対策会議というものの活用を通じまして、チェーンソーの操作時間の管理を初めとする作業管理の定着化に力を入れていきたいというように考えておりますし、また振動工具の開発改良研究ということを、先生御指摘のように一生懸命これからさらにプロモートしていかなければならぬということでございますので、昭和五十六年度に新たにこの研究委託費を、三千二百万円ほどでございますが、組みまして、防振ハンドルの開発改良研究等六つのテーマにつきまして調査研究を五十六年度でいたしたい、こう思っております。この結果を見て、また防振効果を現場に持ち込みたい、こう思っておるわけでございます。
#143
○平石委員 機器の開発、このことについては特に林野庁あたりは相当進んでおるのではないか、私ここは調査しておりませんからわかりませんけれども、すでにこのことが発生をしてもう十年近くなってくるわけですが、余り効果が上がってない、こういったような感じを持つものですが、どうですか、機器の問題については相当効果が上がりつつあるわけですか。そのことをひとつお願いしたいと思います。
#144
○田中説明員 チェーンソーの最も振動障害を起こします原因であります振動の強さを加速度の単位であらわしておりまして、何G、十Gであるとか五Gであるとか申しておりますけれども、十年前の機械ですとほとんどの機械が恐らくは十G以上の振動値を持っていたと思います。現在ですとそれが一G以下の、いわゆる昔の機械の一割以下の振動でもって十分同じ機能を発揮できるようなチェーンソーが開発されておりますし、実際のそういう機械を使用しております、たとえば国有林の作業員などの声を聞きましても、その辺での機械の開発、進歩は非常なものであるということは申し上げてもよろしいかと思います。
#145
○平石委員 非常なものがあるというお話ですけれども、この労働省の数字を見てみますと、五十四年度は多少落ちておりますけれども、年々新たに出ておるわけですね。それから累積で見ましても、これは完全治癒できるのかどうかは疑わしいわけですけれども、累積で患者がたまってきておる。四千余りあるわけですね。そのように年々新規の患者さんが認定されていきよるということから考えますと、まだまだこれはふえておるのではないか。そしていま申し上げたように、健診に上がってこない、認定がいやだという方々がたくさんおる。そしてこういう方々は自分の体を、もう本当に廃人になるまで機械を使って仕事をしなければならない。
 この潜在的なものを見たときに、いま効果が上がりつつあるというお話ですけれども、現実にはどんどんふえておる、だから研究開発はそう進んでおるのではないのじゃないか。もっと効果あらしめるためにはそういった面で相当力を入れてやってもらわないと、表にあらわれない水面下でそういった患者さんがふえておるということが言い得られると思うのです。
 そこでこの治療について、これまたお医者さんからいろいろお聞きをしたわけですが、労災病院へも行って聞いてみました。それから高知県では特に専門の先生で後藤先生という方がいらっしゃいます。それから山陰の方では山陰労災、ここに那須先生という方がいらっしゃる。この先生からいろいろお話を聞いてみますと、やはりどうしてもこういった方々の治療の方針が立たない、そして治るものかどうなのかということについても大変心配がある、それで一応まあまあよくなったということで職場に復帰をする、また戻ってくるというようなことで、この治療についてもお医者さんの方で一人でいわば費用負担をして研究をしておる。これに対する国の研究、いわゆる治療についての研究、こういったものの手当てが全くございませんというような話も聞かしていただいたわけですが、厚生省では、難病、いわゆる原因が不明であって治療の方針も立たない、治療効果が上がるかどうかもわからない難病については、それぞれ研究班をつくって研究しておられる。労働省なり林野庁あたりは、原因ははっきりしておるのだがその治療のめどが立たないといった治療の面について、国からの助成とかいったようなことで研究開発をする意思があるのかどうか、あるいはそのように具体的に研究しておられるところへはそれぞれの手当てをしてあげるかどうか、この点もひとつお伺いをしたいと思うのです。
#146
○林説明員 先生御指摘のように振動障害につきましては、振動工具の発する振動の要素、つまり振動数とか振幅あるいは加速度、こうしたもの、それから振動の暴露時間、さらに振動工具の重さ、それから作業場所の状況、そうした要因が複雑に作用しまして、手指に見られる血管障害あるいはひじ等の関節障害等いろいろな症状を発生するわけでございますが、先生御指摘のように、その病状の医学的な概念については必ずしも確立した段階には至ってないというのが現状でございます。
 労働省としましては、労災保険の認定に関しましては、これら医学界において現在のところ病因論的に定説になっております症状に着目して、業務上外の認定基準を策定して被災労働者の保護に努めておるところでございます。
 また振動障害の治療につきましても、多くの専門家によって研究がなされておりまして、労働省としても、一般に承認されている治療方法について、「振動障害の治療」という指針を作成しまして、全国の医療機関に示し、その周知と患者の受け入れ治療について協力をお願いしているところでございます。
 振動病の発生機序の解明及び治療方法の確立ということは、今後の医学の進歩が期待されるところでございますが、労働省といたしましても、日本災害医学会などの関係学会に対しまして、これらの問題に関する研究が一層促進されますよう強い働きかけをしていく所存でございます。
 なお、研究の助成ということをいま言われましたが、振動障害を含めまして職業病の研究につきましては、労働福祉事業団を通じて労災病院の医師等に対しましてその研究を行わせているところで、振動障害を含めました研究費としましては、昭和五十五年度に約二千六百万を助成をいたしております。
#147
○平石委員 これが治療の面あるいは機器の開発の面、そういった面で、起きないようにひとつ御配慮を特段にお願いをしたいと思うわけです。
 ところで、振動病にかかったという場合に認定の問題が出てくるわけです。それでこういう方々が健診を受け、そして治療を要するというように、健診を受けますとこれから患者として認定を受けるという問題になってくるのですが、この認定についていろいろ現地で聞いてみますと、なかなか認定が困難だ。困難だということは、患者さんが申請をしても認定をしてくれないというような声を聞くわけです。それはそれぞれの決まった基準によってやることですから、一概にどうのこうのとは申せませんけれども、やはり認定に当たってはそういった症状がお医者さんから出た場合に、素直にそのことで認定に入れてもらってひとつ救済を図っていくということが必要ではないかということを調査の段階で聞かされたわけです。
 いま認定はどのようになっておりますか、ひとつお伺いをしてみたい。
#148
○林説明員 認定がどのようになっておるかということでございますが、数的な問題は先ほどむしろ先生の方から言われましたので、認定上いろいろな問題ということでは、同じ事業所に非常に短い期間従事していて、最終のところではわずか二カ月しか従事していない、恐らくそういうような例が非常に多いので、こういうようなものについてどういうふうにするかということでございましょうか。そう理解してよろしいでございましょうか。――振動障害の認定につきましては、振動障害の認定基準の検討に関する専門家会議の結論に基づきまして認定基準をつくっておりまして、それによって認定を行っているところでございますが、一般に振動障害は振動工具を扱う業務に一年以上従事した場合ということが一つの基準になっております。それは通常一年以上振動業務に従事した場合に発症のおそれがあるということで、しからば先生の御疑問の最終職場で短い期間従事した場合はどうかというのですが、これは最終職場の勤務期間ではなくて、振動障害に関係ある振動工具の従事期間でございますので、その前の従事歴まで私どもの方で調べまして、それが一年以上従事している場合にはほかの要件を調査して認定をいたしておるところでございます。
#149
○平石委員 この認定基準を見てみますと、いま御答弁いただいたとおりになっておるわけです。特に一人親方の方々は一定のところに長らく雇されて働くとかいったようなことではないわけです。だから林野のようにずっと継続雇用あるいは民間企業における継続雇用で伐採に入っておるといったようなものは比較的に資料も整いますし、それから経歴もわかってきます。どのくらいチェーンソーを使ったかということも明らかになるわけです。ところが一匹オオカミの方々は、いま答弁の中でも触れておられましたが、あそこで三月、ここで二月、こういう形で断続的にやっていくわけです。そしてそのように十年、二十年と自分が断続的に一人親方でやっておるわけです。体に受ける被害は、これは本人が受けていくわけです。断続であろうが連続であろうが受けていく、こういう勤務実態だ。
 そこで、このように一年以上ということでありますけれども、「相当の期間」というのが基準の中にございます。この相当の期間というのは、いま期間で一年以上ということで証明のつかないような人、断続であちこちへ行った場合に、ここで私が雇用いたしました、あるいはBの会社が雇用しました、Aの会社が雇用しましたということが、さかのぼって証明が効かないというようなものも出てくるわけです。その証明の効かないような人に、もうあなたは証明がないから、診断の結果、お医者さんが見た場合症状は出ておる、だから疑問があります、第二次健診を受けねばなりません、管理Cのところに入ります、こういうような診断はいただきましたけれども証明がつかないというようなことで、アウトになるというようなことも聞くわけです。ここはどうですか、ひとつお答えをいただきたい。
#150
○吉本(実)政府委員 一人親方の方々はいわゆる浮浪者性を持っておるということも前提となるわけでございますが、短期間にいろいろ各地の事業所を転々としている、または、いまおっしゃるように、長期にわたって断続的に就労しておる、こういうような実態の中で、いわゆる事業主の証明がなかなか受けられないというような点のことと思いますが、先ほども説明がありましたように、疾病発生のおそれある業務に従事しました最後の職場が基準点になるわけでございまして、その先々の事業主の証明がなかなか得られないという場合、おっしゃるとおりいろいろあると思います。そういった場合には私ども行政機関の方で本当に実地調査もいたしまして、そういった証明が受けられない事情だとかあるいは災害内容そのものも明らかにいたしまして、そういった給付が受けられるような形での判断をしているところでございます。今後ともそういった点については十分配慮してまいりたいと思います。
#151
○平石委員 これはお医者さんからも当該本人からも非常に多く聞かれました。だから、お医者さんが何とか入れてあげたいがなという気でやりましても、そういった面でネックがあります。だから、このお医者さんは確かに要治療だというような診断が出ましても思うようにいきませんというような苦情をたくさん聞きましたので、この点もいま御答弁にありましたように、証明のきかないものは実態調査を積極的にやってみる、そして可能な限りそういった実態を把握せられ、明らかにして、努めて認定患者としての救済を行ってもらうまうに強くこれは要望したいと思うわけです。
 そこで、いよいよ認定になったということになってくるわけですが、認定になりますと当然これは治療を要しますので、入院加療ということが出てきます。そして、その治療中におけるところの生活というものがまたここへかかってくるわけです。だから、国有林労務者で働いておられる方々は一方では給料をいただけるという面がございます。ところが、この一匹オオカミあるいは一人親方といった方々はそういう保証がないわけです。働かなかったら食えぬわけです。だから、それが健診を拒否したり、自分は体を傷めるということを知りながら認定を受けない、こういった問題が出てくるわけですが、このいわば一人親方といった方々が安心をして認定を受けて治療ができるということについてどのように考えておられ、どのように対策をしておられるか。これからどうしようか、ここらあたりお聞かせいただければ大変ありがたいです。
#152
○吉本(実)政府委員 一人親方等の生活保障の問題でございます。
 私ども御承知のように労災保険制度をもってそういった点を配慮しているわけでございますが、民有林で働きます一人親方などの人々の労災保険の適用ということに関しますと、なかなか問題が多いわけでございます。一般的には労働者でないものについてはなかなかそういった対象にならないことは当然でございますけれども、労働者でないものでありましても、先生おっしゃるような作業の実態なりあるいは災害の発生状況等から見て労働基準法の適用労働者に準じて保護した方がよろしいというものにつきましては、いわゆる特別に任意加入の制度ということを認めているところでございます。昭和五十一年の十月一日からそういった特別加入の制度が認められているわけでございまして、この点についての普及を図りながらPRに努めて、それの加入になっていただくようにお願いをしているところでございます。
 ただ問題は、労災保険の場合のそういった特別加入制度のときには、一人親方をとにかくこういった労働者のような形で当てはめていくわけでございますので、保険の仕組みになじませるというようなことで、いわゆる一人親方を構成員としたような団体を一つの事業とみなしまして、それに対していろいろ保険の形でそれを救っていこう、こんなような形をしておりますので、なかなか個人方式でもってやるというわけにはいかない悩みはございますけれども、そういう団体方式をつくりながらそういった特別加入制度でもって救ってまいりたい、またそのように私どもPRをし普及しておる、こういうことでございます。
#153
○平石委員 いま加入についての話がありました。もちろん加入は団体加入でなければならない、ここにも問題点があります。時間の関係で触れなかったのですけれども、できれば一人ででも加入できるように拡大ができないものだろうか、こういう感じも持っておるわけです。
 そこで、一応認定を受けた、加入しておった、そういう方々が家庭の事情、生活の事情で行けないというのでそれぞれ障害補償がなされておるわけです。労災保険でもなされております。障害補償年金が受給される、あるいは休業状態のときには休業補償が出る。そして一年六カ月しますと、障害年金の方へ入るのか、補償年金へ行くのか、あるいは残存障害が出てくるのか、いろいろの段階に分かれてそれぞれの手当てがなされておるわけですが、労働省がいまやっておられる中で、振動病で障害年金を受けておる方、さらには残存障害が出てしまってここで障害補償年金が出ておる人たち、これはどのくらいおりますか。簡単に数字だけで結構です。
#154
○林説明員 お答えします。
 昭和五十四年一月一日から昭和五十五年六月末までの一年半の間においての調査結果でございますが、振動病で治癒になりました者が二百九十五名、そのうち障害補償給付を受けた者が八十三名でございます。
#155
○平石委員 この障害補償を受けておるのは林業についてですね。林業だけですか。
#156
○林説明員 いや、林業だけではございません。
#157
○平石委員 このように非常に少ないのです。少なくて、しかもその中で林業の振動病はほとんどここへ入ってないのじゃないか、そのように思うわけです。ここにやはり生活の問題がかかってくるわけです。労災保険の適用者であって、しかもそういう病気にかかったという方々の補償ですらこういう状態。まして先ほどからお話ししておりますような一匹オオカミの方々は網から落ちておる人である。
 そういたしますと、この網から落ちておられる方々は国民年金に入っておられる方です。強制適用ですからほとんどの方が入っておると思う。そこでその国民年金の方の障害年金、これがこういった方々を最後に救うところになってくるわけですが、厚生省お見えいただいておれば、どのように人数が出ておるか、お聞かせをいただきたい。
#158
○阿藤説明員 国民年金におきましては、日常生活に著しい制限を加えられるという障害を対象として障害年金を出しておりまして、御指摘の病気につきましても、仮に治療中でありましても、一年六カ月を経過いたしました時点で、認定審査医員と申しておりますが、その医師が一定の状態になっておるということを認定いたしますと障害年金が支給されるということでございまして、少し詳しく申し上げますと、両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有する場合、このような場合につきましては一級ということでございますし、それから一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有する場合につきましては二級、このように認定をいたしておりまして、治癒していなくて治療中でも、一年六カ月経過した時点で一定の段階に達しておれば障害年金を支給する、こういうことでございます。
#159
○平石委員 国民年金の方では治療中でも処遇ができる、こういうことでございます。したがって、個人で入っておる国民年金でございますから、そのように、しかも症状については全身の機能麻痺が起きたとかあるいは末梢神経をやられて機能障害を起こした、日常生活にも事欠くといったような方々に対して幅広く障害年金が支給される、これは大変結構なことです。
 そこで、問題点として一つここに出てきますのは、これは制度の問題でございますけれども、振動病にかかった、ところがたまたま国民年金に入ってなかった、こういうものをどうのこうの言っても行政当局もお困りだとは思いますけれども、現実におるわけですね。だから、国民年金には入ってない、振動病にかかって認定を受けた、さあこれから入りましょうか、仮に入ったとしても初診日が入る前であったからあなたは該当いたしません、こういう形になるわけですね。そうですか。
#160
○阿藤説明員 ただいまの問題につきましては、先生御指摘のとおり現行法におきましては初診日の前日の状態におきまして一定の資格要件を問うておりますので、そういうことでございます。
#161
○平石委員 時間がありませんから簡単にお話をしますが、そのように入ってない方々がおるのです。だから労働省の制度、いろいろな形から全部こぼれ落ちておる、そして障害を受けた、さあこれから、もう日常生活介護の状態に陥ったという場合に救済すべき点がないわけです。それで、国民年金という法律は強制適用である、だから本人の申し出によって入ってくるわけですけれども、強制適用という制度である以上、私はそういった方々が出てときにさかのぼって保険料を掛けさせて、そして救済をしていくということができないのかどうか、一言。
#162
○阿藤説明員 この点は制度問題でございますけれども、現行の国民年金法におきましては原則としていわゆる保険システムを前提としておりますので、いわゆる逆選択という形の、そういう保険事故発生後に資格要件を満たすというものは、現行法上はとらないという構成になっております。
#163
○平石委員 そのことは私わかるわけですが、保険の関係からいいますとそうなります。だが、強制適用ということはあくまでも強制的に適用されておるわけです。ただ、入る手続をしてなかったということ。そういたしますと、そのままずばりでいまの御答弁のとおりにいきますと、実態は任意加入のような状態になっているわけです。だからそれはあくまでも本人に対しての責任になっております、あなた入ってなかったから。だが法律は強制適用です。そうすると、強制適用として役所の方の半分の責任、本人の責任の半分、この半分半分合わせて過去へさかのぼって徴収をして入らすことを制度として考えるべきじゃないかというような気が私はいたしますので、これは強く主張をして終わらしてもらいます。
#164
○戸沢委員長代理 次に、塩田晋君。
#165
○塩田委員 本日は三月三日、いよいよ春季の賃金闘争の時期でございまして、労使間のべースアップ交渉が激しく行われるであろうと思われます。消費者物価の高騰を背景にいたしまして今期の賃金闘争交渉はきわめて激化するであろうということが予想されます。御承知のとおり労働組合は一〇%のべースアップ要求をいたしております。これはぎりぎりの要求であると言っておりますし、またそのように考えられます。これに対しまして、労働者の福祉の増進を図る行政の最高責任者である労働大臣はどのようにお考えになり対処をしようとしておられるか、このことをお聞きいたします。
 公共料金の抑制に当たりまして藤尾労働大臣はきわめて積極的に発言をされ努力をしておられるということを承っておりまして、これは評価するものでございます。その御努力に対しまして敬意を表するものでございますが、四千万人の雇用されておる労働者、勤労者は労働大臣の一言隻句といえどもこれを見逃さない、勤労者の熱いまなざしが大臣に向かっておるということを念頭におかれまして、御答弁願います。
#166
○藤尾国務大臣 全国勤労者の熱いまなざしが私の一言一句に集中をされておる、そういう状況の中で今日のこれから始まります春闘の要求についておまえの感想を言え、こう言われますと、これは何ともはや私といたしましてはそれについて意見を申し述べる余地はございません。私はこれに対してそれが高いとか安いとか言うような立場にもございませんし、そのようなことを申し上げる不遜さは私は持っていないつもりでございます。
#167
○塩田委員 大臣きわめて消極的な御発言で少々期待外れでございました。大臣は一〇%についてどう考えるか、これは労使間の自主的な交渉によって自主的に決定されるべきものだ、こういう基本的な立場でそのようなお考えを述べられたというふうに受け取るわけでございますが、今日の消費者物価の高騰、生活が前年よりも実質的に低下しておるという勤労者、これは四千万人の労働者がそしてまたその家族がひしひしと身にしみて感じておるところでございます。
 そういった観点から賃金問題に対して、今期の賃金闘争について労働大臣としてはどのような姿勢で臨むかということについてお聞きします。
#168
○藤尾国務大臣 賃金決定は、これはあくまで労使の間で決定されるわけでございまして、私どもはそういった決定に至りまする周辺の問題についての責任は十二分に感じ、かつ果たしていかなければならぬわけでございますけれども、賃金そのものに私どもが干渉をしていくということは厳に慎まなければならぬことでございまして、せっかくの御質疑でございますけれども、いまの私の立場から申し上げましたならば、これについて言及することは避けていかなければならぬ、そう考えておるわけでございます。
#169
○塩田委員 賃金、そして受け取る労働者の生活の周辺の問題についていろいろと配慮し努力していきたいということでございますので、後ほどまたそういった問題に関連いたしまして御質問いたします。
 ところで、労働省事務当局の皆さんにお答えをいただきたいと思いますが、およそ勤労者の賃金というものはどのような要素によって決まるとお考えになっておられますか、御説明いただきます。
#170
○逆瀬川説明員 お答えいたします。
 日本の賃金は、諸外国の賃金に比較いたしまして、賃金交渉が行われますときどきの経済諸条件を比較的弾力的に反映いたしまして決定される、こういうふうに考えられております。経済的諸条件として考えられますのは、消費者物価の上昇率あるいは労働力需給、それに企業収益でございます。高度成長期には労働力需給の影響が比較的大きく響いたのでありますが、最近は消費者物価の影響が大きくなっている、こういうふうに考えております。
#171
○塩田委員 賃金はいかにして決まるか、これは経済学上の大きな問題点であり、また労使間においても論争の大きな焦点であったわけでございます。相当古い歴史がこれにはあるわけでございます。生存費説、賃金は労働者が生きるについて最低の生存費を賄うに足るべきものでなければならない、そのような形で決まるのだといったものから、賃金基金説、そしてこの賃金鉄則といった説もございましたし、労働者の賃金というものはこれによって生み出すところの生産物、言うならば労働者の生産力に対応すべきものとして決められるという考え方、あるいは分配をめぐっての分配率の問題として議論されたこともございます。また、いまお話しございましたように、労働市場すなわち労働力が売買される、労働力の需要と供給、その関係において決まる。経済学上いろいろと議論され、いわゆる需要供給説というものが行われたこともございます。何としても資本と労働の対抗関係、そしてまた近代におきましては労働組合というものの組織によりまして、労働組合の勢力、その関係によって決まる、こういう議論も行われましたし、またインフレ、雇用、そして賃金率との関係におきまして政府の賃金政策、ところによっては所得政策と言われるような賃金政策、こういったものによっても賃金が大きく影響を受ける、賃金決定の大きな要素になるということが考えられるわけでございます。
 そのいろいろな要素につきまして、労働省では客観的な労働経済の分析というものをやっておられると思いますが、まずその最も大きな影響を及ぼすものとしての消費者物価、CPIの動向はどのように変化をしてきておるか、御説明いただきます。
#172
○逆瀬川説明員 消費者物価については、五十五年の二月以降八%前後対前年同月比上昇になっておりまして、五十五年間を通じて申しますと前年比八%の上昇というふうになっております。
#173
○塩田委員 昨年の春闘の際におきまして、労働組合は経済整合性というものを念頭に置きまして、非常に自主的な自粛的な賃金の要求並びに良識的な決着をしたということが言われております。そのように思います。ところで、その前提になりましたのは、政府の経済見通し並びに経済運営の基本的態度の中に示されております六・四%の消費者物価の公約とも言うべき見通しであったと思います。これがいま御説明のように、政府の経済見通しの改定によりまして昨年の十二月には七%程度というふうに改定され、いまお話によりますとまず八%になるだろう、こういう状態でございます。これによってどのような勤労者実質賃金の影響があったかということについて伺います。
#174
○逆瀬川説明員 私先ほどお答え申しましたのは、五十五年の消費者物価の上昇率でございまして、いま先生は五十五年度の消費者物価の上昇率が八%になるだろうというふうに私が答えたと御理解のようでございますが、五十五年度の数字はまだ出ておりません。先ほどは五十五年の数字でございます。
 賃金の方でございますが、昨年は五十五年、年平均で申しますと、名目賃金はちょうど七%上昇いたしております。したがって、消費者物価の上昇率は八%でございますので、実質賃金の上昇率はマイナス〇・九%ということでございます。
#175
○塩田委員 いまの八%のCPIは、年度と暦年の違いが若干あろうかと思いますけれども、五十五年度の平均上昇率はまず八%に近いものになるだろう、このように考えております。七%程度というのは七・九%まであるのだという説明もございましたけれども、大体八%にほとんどなるだろうということは見通されておりますので、恐らく年度におきましても暦年におきましても大勢は変わらない。実質賃金は前年度よりも一%程度のマイナスになる。これは戦後かつて経験したことのない状況に至っておるわけでございます。
 ところで賃金と労働生産性の関係はどのように考えておられますか、またその実情はどうなっておるかということについて、お伺いいたします。
    〔戸沢委員長代理退席、湯川委員長代理
    着席〕
#176
○逆瀬川説明員 まず最初に、実情からお答え申し上げたいと思います。
 先ほど賃金については年平均で七%上昇と申しましたが、これは調査産業計の数字でございまして、労働生産性について製造業で申し上げることになりますので、製造業の名目賃金の上昇率も申し上げなければならないと思います。製造業の名目賃金の上昇率は、五十五年は八・一%でございました。
 労働生産性の方でございますが、労働生産性は御承知のように五十四年に製造業で一二・一%という上昇をいたしまして、五十五年の前半までは二けた台の伸びをしたのでありますが、年後半に入りましてから生産の動向がやや停滞ぎみに推移いたしておりますので、七−九月期で申しますと前年比六%の上昇というふうになっております。
 もう一つ、労働生産性と賃金との関係についてどういうふうに考えるかという御質問でございますが、労働生産性、製造業で申しますと、労働生産性の上昇率に見合って賃金が上昇しなければならない、こういうことはないのでありまして、確かに労働生産性の上昇というのは賃金を引き上げる原資でございますけれども、日本の経済全体を考えますと、製造業の生産性の上昇率は高いのでありますけれども、一次産業とかあるいは三次産業の生産性の上昇率が低いということがございまして、そういう意味で賃金と物価の安定を維持していくという立場に立ちますと、製造業、つまり生産性の上昇率の高いところの生産性の上昇に合わせて賃金が決められてしまうということになりますと、物価に悪い影響を与えるという面もあるわけであります。
#177
○塩田委員 かつての賃金をめぐる労使間の議論は、生産性の上昇を上回る賃金の上昇があればこれはインフレを招くから好ましくないということがよく言われておりました。そしてその次の段階におきましては、生産性の上昇がはっきりと計測できるところだけではなしに生産性の上昇がはかれないところ、第三次部門に多いわけでございますが、そういったところ、あるいは生産性の上昇が低い農業、第一次部門、こういったところにおける生産性を平均的に考えるならば、製造業等における生産性の上昇に見合って賃金が上がってもこれはインフレの原因になるんだ、国民経済的には好ましくないという説明がなされ、ほぼその半分ぐらいだというような議論もなされたことがございます。
 ところで、いま御説明がございましたように、昨年は上半期、下半期若干の違いはあるといたしましても、一昨年は一二%、昨年も一〇%前後の伸びがあったわけでございます。
    〔湯川委員長代理退席、戸沢委員長代理着席〕
ところが、結果におきまして昨年、いま御説明ありましたようにCPIの上昇によりまして六・四%の公約以上の上昇があって、これに見合うべき実質賃金が前年度よりもマイナスになったということ、これは大変な事態である。生産性が下がっておるならば、あるいは経済成長がとまっておるならばやむを得ない点もあろうかと思いますが、生産性、経済成長が大きく行われている中で前年よりも下回る実質賃金とは一体どういうことであるか、どのように見ておられますか。
#178
○逆瀬川説明員 製造業について申しますと、確かに五十四年、まあ五十五年の生産性の上昇率はまだはっきりしないわけでありますが、生産性の上昇率が賃金の上昇率を上回るというような事態になっております。しかし長期的に見ますと、製造業の生産性の上昇率と賃金の上昇率というのはほぼ見合っている、こういうふうにデータが得られるのであります。
 それは別といたしまして、いま先生御指摘の点につきましては、第一次石油ショックの後もそうでございますが、今回も石油の価格が引き上げられたということに伴いまして日本の国民所得の一部が石油生産国の方に移転してしまった、こういう異常な事態があったというもとにおける実質賃金の目減りであったということも御理解いただきたいと思うのであります。
#179
○塩田委員 消費者物価上昇の大きな原因は、海外から輸入された石油価格の異常な上昇である、このことは否定するわけではありません。そのとおりであります。第二次石油ショックと言われるものがわが国の経済に大きく襲いかかってきた、これを何とかこなしてきたということにおきまして日本は世界の優等生だとさえ言われておるわけでございます。その石油価格上昇のつけをだれが払ったか。これをいまはしなくも言われました。勤労者が実質賃金の目減りという犠牲を払ってこの石油問題を乗り切ってきたということを言われたことになると思います。
 ところで、勤労者のみがそのような負担、消費者物価上昇の主たる原因のこの石油価格の貿易支払いを背負ったようなことでいいんでしょうか。
#180
○逆瀬川説明員 確かに五十五年に実質賃金が目減りをするという事態が生じて勤労者の方も石油価格上昇の負担を負うたわけでありますが、実は第一次石油ショックの後と今回とで違いがございます。
 労働経済の面について申しますと、第一次石油ショックの後には雇用に大変悪影響が出てきたということがございました。が、しかし今回は、最近失業者が前年の水準を少し上回るというような事態もございますけれども、全体として見ますと雇用の伸びは比較的顕著であるということがございまして、そういう意味では労働者が前回のように雇用失業の悪化に遭遇しなかった、そういう点では、賃金の実質的な目減りがあった中で、前回に比較して労働者にとっては必ずしも全面的に悪い状況ではなかった、こういうことが言えるのではないかと思うのであります。
#181
○塩田委員 雇用の面についての第一次石油ショックと第二次石油ショックの状況はおっしゃるような状況にあろうかと思います。生産性は先ほど大体長期的に見るとパラレルだというような御説明がありましたが、これは名目での比較じゃないですか。実質でいくとそのようになっていないと思います。いかがですか。
#182
○逆瀬川説明員 先ほど申しましたのは名目の賃金上昇率でございます。
 それで、やや理論的になりますけれども、もう少しマクロ経済ベースで見ますと、先ほど申しましたように石油価格が上昇いたしまして、海外に所得が移転するというような事態を別といたしますと、長期的には、事後的にでございますけれども実質的な一人当たりの経済成長率と一人当たりの雇用者所得と申しましょうか実質賃金の伸びというものはほぼ均衡する、こういうことが言えるのではないかと思うのであります。
#183
○塩田委員 生産性の上昇というのは、これは名目ではなしに、リアルなタームではかってあることですから実質賃金と対応しなければならない。それから国民経済全体からいいましても実質成長率で比較しなければならない問題だと思います。この問題につきましては、データをもとにまたいずれかの機会に議論をしたいと思います。実質におきましてはかなり実質賃金が下回っておるということが言えると思いますが、この問題はこの程度にしておきたいと思います。
 いまの石油価格にいたしましても、国民全体で、主として勤労者が、アラブを主体にした諸国に十兆円もの石油価格を払ったということでございまして、ここに大きな問題があろうかと思います。
 しかるにと言うと問題があろうかと思いますが、第一次石油ショックと第二次石油ショックの今日とかなり違って、企業利潤は高いということは出ておりませんか。
#184
○逆瀬川説明員 第一次石油ショックのときと今回の場合とで比較をいたしますと、四十九年と五十五年を、それぞれカレンダーイヤーをとっているわけでございますが、企業の経常利益の伸びでございますが、四十九年においては前年に比べて五〇%程度マイナスになっておりますが、五十五年においては二四%程度増となっております。
#185
○塩田委員 それから、労働市場の状況が賃金に影響するということを先ほど申し上げましたが、労働力の需給状況はどのように変化しておりますか。
#186
○逆瀬川説明員 一般的に使われます労働力需給に関する指標といたしましては、有効求人倍率がございます。有効求人倍率は四十八年には一・八倍程度でございましたが、四十九年にはこれが一・二倍、あるいは五十年には〇・六倍というふうに低下をいたしました。
 今回について申しますと、五十四年が〇・七倍でございましたが、五十五年の平均では〇・七五倍でございますし、五十五年の後半になりましてからやや停滞いたしておりますが、最近は〇・七二倍でございます。
#187
○塩田委員 雇用失業情勢におきまして前回よりもかなりいいという状況、しかし最近ちょっとかげりが出始めているという動向かと思います。
 賃金を決める要因は、政府の賃金政策、また労働組合の交渉力、組織力、こういったものが影響するわけでございますが、いずれにいたしましてもいま種々御説明がありましたように、生産性の上昇は大きい、そして労働市場の状況もまずまずであるという状況、そして企業利潤がかなり前回と違って大きいという状況がございます。
 そして経済企画庁で策定されました来年度の経済基本年次計画、これを見ましても、国民経済バランス上、五・五%の成長率を確保するためには、消費支出がかなり大きく伸びる、また伸びなければ成長は達成しないということになっております。消費支出は五十五年度が八・三%、五十六年度が九・九%というふうに上昇いたしますし、また、これを実質で見ましても五十五年度二%のものが五十六年度四・九%にもはね上がるということでなければこれがバランスしないという、すなわち五・三%の実質成長率は達成できない、このようなことになっていることは御承知のとおりです。勤労者一人当たりの所得にいたしましても、五十五年度七・三%が七・五%というふうに上がらなければならない。このような中でバランスが達成されるわけでございます。
 そういった点から言いますと、国民経済バランスを見ましても、昨年より成長のためには、消費支出のもとをなすところの、大きなウエートを占めるところの勤労所得がふえなければならないということを明らかに示しておると思います。そして、消費者物価が政府見通しよりも、また公約よりも非常に高くなった、二回にわたって恐らく改定しなければならない事態に立ち至っておる。しかも、五十五年の春闘における賃上げの基礎は六・四%であった。政府を信頼して、それを基礎に自粛的な要求と決着を行ったということを考えますときに、いま日本の経済が世界的にはいろいろな面におきまして優等生だと言われるような面も確かにあります。
    〔戸沢委員長代理退席、森井委員長代理着席〕
このもとになったのは、いまのような経済的背景、また労使間の賃金の決着の仕方、そしてもっとその基本には民間企業の生産性の向上の努力、積極的な投資あるいは自由な競争、減量経営あるいは経営者並びに労働者の活力、こういったものに支えられて今日のこの事態を達成しているということが言えると思います。労組におきましても、昨年はっきりと経済の整合性ということに非常に重点を置いて、この要求と良識的な決着を行ったところでございます。
 そういった点から言いますと、これに対して報いるに、労働者に対しては実質賃金の低下ということをもって報いたということが言われても仕方がない状況になっておると思います。
 まず、昨年の春季の賃上げ六・九%が一つの平均値として出されておりますが、これをどのように評価しておられますか、お伺いします。
#188
○細野政府委員 賃金の決定は、先ほど労働大臣からお話がございましたように、労使が国民経済的な視点と一方における労使それぞれのお立場から来る主張との調和点を見出されて決定されたものでございまして、そういう意味でいま申し上げましたような諸条件の中でよくお話し合いをなさって合理的に決められたというふうに私どもは理解をしておりますけれども、これが基本的によかったか悪かったかというような点につきましては、これは労使それぞれのお立場があることでございまして、政府としてこれにとかくの批評をするというのは妥当でない、こういうふうに考えているわけでございます。
#189
○塩田委員 労使関係、特に賃金をめぐる労使の紛争の中に立っておられる労政当局としては、そのようなことになろうかと思いますが、私は国民経済的に見て六・九%の賃上げというものは非常に自粛的であり、非常に良識的である。歯を食いしばって、物価上昇というものを六・四を基礎に置いてインフレにならないように、そして労使間において決着をされた。国民経済の整合性というものを念頭に置いて、勇気と決断をもって決着をされたものであって、これが日本の経済の現在に大きく貢献しておるということを評価するわけでございます。
 ところが、その結果が労働者に対して、先ほど申し上げましたように、また御説明ありましたように、実質賃金が前年よりも下がっておる。生活を切り詰めざるを得ないというような状態に追い込まれておる。家族を含めれば、これは四千万人の勤労者に対して倍にも近い人口の人たちがこの賃金によって恐らく生活をしておるということを考えますと、余りにもひどい仕打ちではないかという感じが率直にするわけでございます。その上にしかもなおかつ、いまの実質賃金の一%低下というのは、税金も、公租公課、保険料も含めての名目賃金を一人当たりの勤労者数で割ったものでございます。したがいまして、可処分所得ということになるとなお一層の低下がある。所得税は来年度も今年度も自然増としてはかなりあるわけです。酒税は上がってまいりますし、保険料率も昨年ずいぶん改定引き上げされました。こういった点から見ますと、実質可処分所得で見る場合、なお一層の低下がある。一%以上の低下があると見なければならないと思います。
 そういった意味におきまして、来年度の賃金というもの、各労組の要求している一〇%というもの、これの根拠は消費者物価の先取りでなくして後追いなのです。前年度の実績の上に、実績をまず取り返すという意味で要求をしておられる、一年のずれがあるのです。そういった上に実質成長率のまるまるでなしにその半分程度というところが多いと思うのですが、そのようなきわめてこれまた自粛した、国民経済の整合性を考えたぎりぎりの要求であると思います。まさに正札の要求である、合理的な要求であると思います。これがまた実現されなければ、経済の整合性自体もバランスを失するということになるような性格のものでございます。このようなことが一〇%の要求の中に、またその背後にあるということを十分に政府当局におかれましても御理解をいただきまして、そのような適正な賃金形成がなされますことをいろんな形で、いろんな面におきまして、ひとつ監視をし、御指導願いたいと思います。
 これに関連しまして、少なくとも昨年実質賃金が低下した一%、これは政府の責任において埋め合わせをする。勤労者がここまで歯を食いしばって現在の経済成長に大きく貢献をしてきた。これに報いるためにも、実質賃金の目減りを穴埋めするという方策といたしまして、政府ができることがあるはずです。
 その第一は、所得税の減税であります。われわれといたしましては所得税の課税最低限、標準世帯におきまして現在の二百一万五千円からこれを二百二十一万二千円にぜひとも引き上げてもらいたい。それから基礎控除、配偶者控除、扶養控除を含めましてそれぞれ二万円引き上げる、また給与所得控除を一律五万円引き上げる、こういう要求を出しております。
 政府は、財源不足から増税をお願いしている状況の中でこのような大幅な所得減税はできませんという回答をされておるようでございますが、これは認識が足らない。勤労者の生活の実態並びにこれからの激しい賃金闘争の盛り上がりというものを考えますときに、この程度の所得税の減税は政府がやれることであります。締めてこの分だけで四千六百億円でございます。これはもちろん所得税は減税いたしましても自然増収があるわけでございます。それから行財政の徹底的な改革、これによりまして十分に四千六百億はひねり出せる、そのようにわれわれは計算をし、この問題についてはいま与野党間でも折衝中でございます。
 勤労者の生活、福祉の増大に努める職責を担った労働省、労働大臣といたしましては、物価の抑制に取り組まれたあの御努力、熱意を持って、四千万人の勤労者の上に立って、ひとつ強く財政当局、関係のところに当たっていただきたいということをぜひとも要請いたします。大臣、いかがですか。
#190
○藤尾国務大臣 御要請のほどはしかと承りましたし、また私自身もしかと考えていかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。決してあなたの御所説に私は反発をするわけでも何でもございませんけれども、御指摘のとおり、実質賃金が下がったといいますことは、昭和二十七年以来、労働省といたしましても、統計をとり始めてから初めて起こった現象でございますから、私は不明のいたすところまことに申しわけないと思いますけれども、五十五年度のいろいろな指標を決定をさしていただきますその際に私どもがよもやというように思っておりましたことが起こってしまいまして、その周辺の変化といいまするものを予測し切れなかった、この責任は確かに私ども政府にあると思います。
 しかし、お考えのとおり、先ほどもそういった御所説でございましたけれども、石油の高騰にいたしましても、あるいは天候の激変にいたしましても、そこら辺のところ甘いと言われればそれっきりの話でございますけれども、これほどまでに響くかというようなことを測定し損なった、いまとなっては事実でございますから、何を言われても仕方がないわけでございますけれども、しかしながら、それを私どもが意図いたしまして、勤労者の皆様方にその御負担を押しつけようなどというような、そういった考え方は毛頭なかったということは、ひとつ御了解をいただきたいわけでございます。
 それから、さらに御言及になられました、おまえらが悪いのだからその責任をとれということはよくわかりますし、その責任はとっていかなければいけないと思います。しかしながら、その責任のとり方といいまするものも、これまたいろいろ考えられるわけでございまして、私どもは今後の物価の趨勢に対しまして一段と注意を加えていくということも大事なことでございますし、また五十六年度の予測というようなものを考えてみましても、現在の卸売物価の趨勢というものを見まして政府が五・五%の消費者物価をそこに予測をしておる、こういったことは、私どもはいまの情勢から考えてみまして、五・五%をさらに下回る成果を上げるということだって決して不可能なことではない、かように考えるわけでございます。
 そういった面で、私どもがそういった五十五年あるいは五十五年度におきます私どもの間違い、そういったことを正して、御迷惑をおかけをいたしました勤労者の皆様方に何とかしてその失敗を取り返してお許しをいただきたいというようなこともやらなければならぬことでございますけれども、今日いまのこの段階におきまして、五十六年度予算を最終的にいよいよお決めをいただかなければならぬというどん詰まりのこの場におきまして、私どもが鈴木総理大臣の言をかりれば、最善だと信じて国会に出させていだだいたその予算の組み替えでありますとか、あるいは修正でありますとかというようなことを伴います減税措置あるいは課税最低限の引き上げというような思い切った政策、こういったことはいま私どもがこの立場で、それではそのようにさせていただきますとかいうようなことはなかなか言えない状況にあるということは、これは非常に政治の御見識の高い塩田さんでございますから、十二分に御了察のいただけることであろう、かように考えます。
 さらに、私どもがいまそういうことを申し上げますのは、これは本日も十二時四十分から労働四団体の方々と総理大臣、経済企画庁長官、官房長官、私も同席をさしていただいていろいろのお話し合いをさしていただきましたけれども、その間におきまして総理大臣が指摘をいたしておりましたのは、この時点で、国会におきまして与野党という政党間でこの問題をめぐりましていろいろの詰めをやっておられます時期でございますので、そういった時期にその中に政府が割って入りましてどうだこうだということは、きわめてこれは適切でない時期でもあるということでございましたが、私も鈴木内閣の閣僚でございますから、この社労委員会という非常に権威のある場におきまして、いまこの時期にそのようなことに言及をするということは慎まなければならぬことではないか、かように考えるわけでございます。
#191
○塩田委員 時期が微妙なだけに非常に慎重な御発言でございますが、十分この背景、賃金をめぐる情勢というものを把握をしていただきまして、鈴木内閣にあって勤労者四千万人を双肩に担ってがんばっていただく。他の閣僚とは違う労働大臣でございますから、どうぞこの点しっかりとはっきりした態度でこの問題に取り組んでいただきたいということを要望いたします。そしてなお、運賃、授業料あるいは郵便料金等の公共料金、また公共的な料金の値上げが予定をされております。こういったものにつきましても、労働大臣は従来以上に一層のがんばりをしていただきたいと思います。
 せっかく良識ある労働組合が経済の整合性を考えて必死に取り組んでおるこの心情を、十分お察しいただきたい。しかもこの労使関係というものは世界的に注目をされて、各国から勉強に来ておることは御存じのとおりでございまして、このせっかくのわが国独特の雇用慣習、そして経済の安定、成長発展に大きく貢献をしているこの日本的労使関係というものを壊さないように。これが壊れたら大変なことです。どうかその辺を十分に御認識いだだきまして、減税、物価抑制、そして賃金の適正な決定というものにひとつ御尽力を賜りますことを強く要請をいたします。
 次に、最後に一問御質問申し上げます。これは昨日の予算分科会におきまして建設大臣にもお伺いをし、答弁をいただいたところでございますが、事が勤労者にかかわる問題でございますので御質問いたします。
 ただいまは宅建業界が非常に不振でございます。私の出身地におきましてもかなり倒産業者が出ておるわけです。それで支払い能力を失ってしまった会社、倒産した会社を相手にして勤労者が非常に惨めな状況になっている。すなわち、金は払い込むが会社は倒産をし、土地も建物も手に入らないままに、この会社相手に金を取り返そうとしても取り返せない状態が起こっております。
 最近私の方の具体的な例でございますが、一宅建業者で八十一人もの被害が出ております。中には一千万円近い、金利を入れますともっとたくさんになりますが、一千万円近いものを払い込んで建物も土地も得られない。これはローンを借りたり借金をして払い込んでいっておる。そうしますと、全然財産を手にしないで、一千万円というものをただ働きで一生払っていかなければならない、こういう事態が起こっておるわけです。少ない人もありますけれども、多い人は一千万円近い、このような状況でございます。再建を図って、なおもう二、三〇%出してもらえば何とかできそうだということでいま話し合いが進んでおるようですが、倒れればまたその上積みした分もなお払ったままで取り返しができない、こういう事態になりかねないわけでございます。
 全国的にこういう被害が出ております。これは宅建業法の四十一条に前金の保全という制度もあり、いろいろ建設省サイドでも行われておりますけれども、いろいろ除外規定もありしり抜けになっておる。たとえば契約の仕方によっては、請負契約をやれば宅建業法の適用外の問題になる。実態は同じです。先ほど申し上げましたような勤労者の被害が起こる、こういう状況でございます。これにつきまして、そういうようなことのないように建設省と十分に連絡をとって指導監督を厳にし、また補償の問題につきましても御検討をいただきたい。
 そして労働省関係では勤労者の財形促進法というのがあるわけでございます。持ち家財産形成に寄与すべくこういう制度がいろいろ考えられておりますが、そういったものをもっと活用してこういった不幸な事態を避けることはできないか、ひとつ制度上運用上の御検討を願いたい。
 大臣の前向きの御答弁をお願いいたします。
#192
○吉本(実)政府委員 私ども勤労者の持ち家促進を図っている立場から申しまして、ただいまの問題御指摘でございます勤労者が各種の方法で資金を調達していろいろやっておるわけでございますが、私ども財形持ち家融資につきましては、先生御承知のように資金は竣工後の所有権の移転した後で一括払いをしておるということでございますので、いま言ったような問題は起きておらないわけでございますが、いずれにしましても確実に勤労者がそういった持ち家の取得できるような手当てを今後とも講じるということにいたしております。
 御指摘の問題でございますけれども、宅建業界のことではございますが、悲惨な目に遭う労働者の立場でございますので、建設省ともよく連絡をとり実態を把握して、しかるべき対策の研究、検討を続けてまいりたいと思います。
#193
○塩田委員 ありがとうございました。
#194
○森井委員長代理 次に、小沢和秋君。
#195
○小沢(和)委員 まず第一に、新日鉄の労働災害の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。
 大臣は先日の所信表明で、労働災害は本来あってはならないもの、決して起こしてはならないものというふうに述べられました。私もこれには全く同感でありますけれども、現実には重大災害が後を絶っておりません。私の出身の職場であります新日鉄八幡でも、去る二月の二十二日に戸畑のコークス工場の伊賀崎正さんという方がチェーンコンベヤーに巻き込まれて全身がばらばらの状態で即死をするというような大変痛ましい事故が発生をしたわけでございます。ところが、事故の翌日会社は、構内放送で病院に送る途中に死亡したというようにこの事故について発表をしたわけであります。ちょうどそのころまだ現場では、遺体が何しろばらばらで石炭の中に散らばってしまったわけですから、それを探さなければいかぬというので約百人くらいが手分けをして一生懸命石炭の中を探している真っ最中に、そういう見えすいた放送をするわけですね。しかも、ここに「災害速報」という会社が出したものを持ってまいりましたけれども、ここに被害者が倒れているという図になっているのです。チェーンコンベヤーから約二・五メーター下の床に落ちて倒れているということになっている。いま言ったように、遺体はばらばらなんですよ。こういうような非常に見えすいた、少しでも事件が大したことはなかったんだというふうに見えるような小細工をやっている。私はこれは非常におかしなことじゃないか、けしからぬことだと思うのです。
 私が申し上げたことに事実は間違いないと思うのですが、労働省の方はどう把握しておられますか。
#196
○望月説明員 先生いま御指摘の事故につきましては、当日の午後八時前に、私どもの方に事故直後会社から報告がございましたので、二人の監督官を八時に現場に急行させまして調査をいたしました。そこでチェーンコンベヤーに巻き込まれて形をとどめないような姿で即死したということを私どもは確認したわけでございます。それから翌朝構内放送で事故を知らせたそうでございますが、その放送の仕方について、通院途中で死んだという放送をしたということは、私どもはその後でわかったわけでございます。
 その点について会社にどういう事情であったかということを説明を求めたわけでございますが、それに対しまして会社の方は、遺体の状態が余りに生々しかったので、したがって広報担当者がむしろ表現を変えた方がいいだろうという判断でそういう放送をしたというように聞いております。
#197
○小沢(和)委員 そういうように下の人の責任になすりつけるようなことは、私はひきょうなやり方じゃないかと思うのです。いずれにしろ虚偽の発表があったということについては認められたわけですが、私自身かつて新日鉄八幡で労働運動をやっておったということもございますし、当時から実際には即死をされておったのに送院中死亡というように発表された事件というのは非常に多かったというふうに私は見ておるのです。
 なぜそういうような発表をするか。結局これは、即死ということになると検死の関係とかで機械を長時間とめなければならない、そうすると原因の究明などについても非常に厳しくなってくる、こういったようなことに対する政治的な配慮で、こういう発表をするということが何かまかり通るような状態になっておるんじゃないかと思うのです。
 そこで大臣にお尋ねしたいのですが、昨年十一月、労働災害防止の緊急大号令を大臣はかけられたわけであります。こういうような小細工までして自分たちの責任を少しでも軽くしようというような立場に対して、私はこの機会に厳しく大臣からも注意を指導していただきたいというように考えておりますけれども、大臣の所見を伺いたいと思います。
#198
○藤尾国務大臣 こういった労働災害に対しましてそれを取りつくろうというような態度は許さるべきではない、私はさように思いますから、私は私なりにきちっとした結末をつけます。
#199
○小沢(和)委員 今度の事件につきましては、私幾つかの教訓があるんじゃないかと思うのです。一つは、一人で作業をするということが最近のように減量経営、非常な人減らしという中で広がっておるわけであります。そのために災害に巻き込まれてもわからぬというようなことがあって、非常に時間がたってから発見されるというようなことがしばしば起こっております。新日鉄八幡でも去年も水道の見回り中に池に落ちて亡くなったという人がおられる。それかと思うと、ことしの一月二十日には日本鋼管で池田さんという方が一人作業で五十メーターもある大型転炉を点検中に転落して即死するという事故もあっておるわけです。
 こういう非常に危険な一人作業というのについては安全の立場からやめさせる、やはりいつも同僚の目がちゃんと届くというような状態をお互いにつくってやっていかないとこの種の事故はなくならないし、しかも発生してみるともうはるかたってからでないとわからぬというので、何が災害の原因なのかというようなこともわからぬということで終わってしまうわけです。こういうような一人作業という点について安全上指導すべきでないかということについて、どうお考えか。
 それからもう一つ、今回の場合チェーンコンベヤーに巻き込まれた事故でありますけれども、このチェーンコンベヤーは三年前まではちゃんとカバーがついておったというわけです。ところがそのカバーがいつの間にか外されてしまっている。こういうようなところにも生産第一というようなことで安全の手抜きが行われておる姿があるんじゃないかと思うのですが、こういうような点についても一斉点検を強く指導するということが今回の教訓としても全国的に見ても必要なことではないかと私考えるわけですが、いかがでしょうか。
#200
○望月説明員 合理化によりまして省力化されて人が少なくなっているという御指摘でございますが、新鋭機械の導入等によりましてそういった省力化が図られているケースが少なくない点につきましては御指摘のようでございます。このような場合におきましても、やはり災害の防止というのは私どもにとっても至上命令でございますので、作業の内容に応じまして安全管理をどうするかという点、それからまた労働者個々人の安全教育の徹底をどう図っていくかという点につきまして、今後とも安全確保の見地から強力な指導をしてまいりたい、こう思っております。
 それからベルトコンベヤーのような非常に危険な機械のそばにおって作業をする場合には、覆いだとか囲いだとか、そういうものを設けなければならぬという安全衛生規則の規定がございますが、これの徹底につきましてさらに私どもも強力に監督指導を今後とも進めてまいりたい、こう思っております。
#201
○小沢(和)委員 この災害の問題はそれぐらいにいたしまして、昨年の十月二十一日の当委員会で、私はやはり新日鉄八幡の問題を取り上げまして食事交代の改善を求めたわけであります。その後、私のところには会社の側も改善をするという立場で検討しておるという連絡はあったのですけれども、職場の状態には目下のところ変化はあらわれておらないように思うのです。この改善がどうなっているかということを御報告願いたいと思います。
#202
○岡部説明員 お答え申し上げます。
 新日鉄八幡にかかわります先生御指摘の休憩時間問題でございますが、昨年十一月二十日以降現地局署におきまして休憩時間の与え方につきまして指導を行ったわけでございます。これに対しまして会社側としては全工場及び全課に対しまして調査を行いまして、その調査結果を踏まえた報告が近日中に現地の労働基準監督署に出されるということに相なっております。これは近々、今月中にもというふうな日程というふうに聞いております。その報告、監督署の了承が得られ次第そのような方向で改善がされるというふうに聞いております。
#203
○小沢(和)委員 これは私、直接取り上げたのは新日鉄八幡のことなんですけれども、鉄鋼の工場は全国にたくさんございますが、ほとんどの職場、この八幡と同じようにいわゆる食事交代ということで、機械を連続して動かすために人の方を交代で休ませるということがあたりまえになっているというように私、承知をしているわけです。そうすると、八幡でその見直しが指導される、これが労働基準法の三十四条の休憩時間の精神から見てそうだということになるなら、これは全国的にそういう指導をしていただかなければならぬというように私は考えるのですが、その点いかがですか。
#204
○岡部説明員 休憩の与え方につきましては、事業の実態によりまして必ずしも同一かどうかということはまだ分明でないわけでございますが、もとよりこれは具体的な事案につきまして具体的な指導ということに相なりまするので、もし具体的に申告等がございました場合にはもとよりそれに即しまして調査をいたし、必要に応じ指導を行うということは当然のことでございます。
#205
○小沢(和)委員 そうすると、私の承知しているところでは、鉄鋼の大手の企業などはもう細かいところまでいつも打ち合わせをして、労働条件などについて足並みそろえて実施をしているという実態がある。だから当然そのことはあなた方も推測できるはずだと思うのですけれども、そういう具体的な申告がないとやらないというのは、私に言わせれば働く人たちのそういう労働条件を守るべき立場にあるものとしては余りに消極的じゃないかと思うのですが、どうでしょう。
#206
○小村説明員 鉄鋼産業全体の労働時間問題につきましては、中央レベルで鉄鋼産業の使用者の方、労働組合の方お集まりいただきまして、労働時間問題についての会議をここ数年来開催してございまして、その中で、御指摘の交代制の中における休憩のあり方ということも非常に大きなテーマとして議論されておりまして、直ちに答えが出るというものではございませんが、交代の回数等の問題を労使間で真剣に詰めていこうではないか、そういうような全国的な、全産業的な、鉄鋼産業全体の問題としての御検討が進んでおりまして、労働省としても、その会議を主宰しているものは労働省でございますが、労使に適切なアドバイス、どういうことをやっておるという中で対応してまいりたい、このように考えております。
#207
○小沢(和)委員 それから同じ十月二十一日の委員会で、私が、夜勤労働者が健康を非常にむしばまれている、この人たちに対する保護をもっと進めるという立場から調査をしてもらいたいということを要望して、その調査を約束されたはずなんですが、どうも年が明けてもやられていない。これがどうなったのか。
 またこの夜間労働者の保護についての立法例あるいは労働協約なども収集して研究をしてほしいということも言い、そういう立場で努力をするということも約束されたというふうに理解をしておりますが、この点はいかがなっておりましょうか。
#208
○岡部説明員 まず深夜業の調査でございますが、これは昨年末に私ども当初予定をしたわけでございます。しかしながら、先ほどのように労働災害撲滅のための緊急施策というものが出されまして、これに全勢力を傾注するということでございまして、この深夜業の調査は予定を変更いたしまして来年度五十六年度に行うことにいたしております。五十六年度半ばごろに行いたいというふうに考えております。これを取りやめということでは決してございません。
 それから先生御要望の深夜業の外国の実情等でございますが、一九七七年六月三十日のフランスのデクレの問題、これは先生もその名前を挙げておられたわけでございますが、すでに入手をいたしましてこれを検討しております。ただ、ECの資料を私ども分析をしたわけでございますが、この一九七七年のフランスのデクレと同じような形のもの、これはフランスにおきましては、連続操業における交代制労働というものにつきまして継続交代作業班の形が、土曜日の十九時から二十二時三十分を起点として毎週一回十四時間の活動を中断させるという内容のものでございますが、このような規定、あるいはまたフランスに従前からございます連続勤務の禁止の規定、このようなものを探したわけでございますが、西ドイツ、ベルギー、デンマーク、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダと調査をいたしましたが、そのような同種の規定はないようでございます。なお、そのほかの国につきましてもさらに資料収集に努めたいというふうに思っております。
#209
○小沢(和)委員 では次に、失業対策事業の問題で基本的な点だけお尋ねをしたいと思います。
 昨年の十二月六日に失業対策制度調査研究会から報告書が出されました。この報告書は、失対事業は終息すべきであるという基本的な立場から、民間への雇用の促進、また六十五歳以上の高齢者の排除というような提言を行っているわけです。私たちはこういうような反動的な提言は絶対認めることはできないというふうに考えているわけですが、まず一つお尋ねしたいと思いますのは、失業者がだんだんいなくなって失対事業に入る人がもう減ってきたというのなら、これは私は大変結構なことだと思うのです。ところが御存じのとおり、ここ数年景気がいいという時期でも失業者が百万を切らないというような状態がずっと続いておる。しかも八〇年代の経済の推移というのを考えてみると、だれが考えてみてもいままでのような成長どころか雇用問題についてはきわめて厳しい事態が予想されるのではないかと私は思うのです。こういうようなときには、私は当然雇用問題を全面的にとらえて政策を打っていくという点で、失業対策事業をむしろいまの時期から再確立をすることこそが必要な時代ではないかと思うのですよ。それをこういうふうに打ち切ってしまうということは、私は将来の見通しが全くないとんでもないやり方だというふうに言わざるを得ないと思うのですが、この点どう基本的にお考えか、端的に伺いたい。
#210
○加藤(孝)政府委員 御指摘のように、昨年十二月に失業対策制度調査研究報告が出されまして、その中において現行失対事業につきまして就労者が非常に滞留してきておる、そして特に高齢化が一層進行してきております中で、労働政策としてこの事業を維持運営し得る限界に来ておる、そして失対事業を取り巻くいろいろな施策が徐々に整備充実されてきておる状況、あるいは失対事業と一般の高齢者に対する対策との不均衡が著しくなってきておるというようなことを総合的に判断した場合に、基本的にはこの失対事業の終息を図るべき段階に来ておる、こういうふうに指摘をされておるところでございます。
 また、いま御指摘のこういう失業情勢の中で失業対策として特別の事業を起こして失業者を吸収する、こういうような方式につきましては、これまでの実施の経験から見ましてかえって失業者を失対事業というものに滞留させてその再就職につながらない、こういうような問題があったわけでございまして、このために今後の雇用失業対策については、各種の給付金制度等の充実によりまして、民間企業における雇用の安定は雇用の促進のための施策の拡充発展及びその積極的な活用を図ってこれらの失業情勢に対応していくことが基本であるということを指摘され、またこのようなことを基本とすべきであって、失対事業のように事業を起こして失業者を吸収するという方式は今後とるべきではない、こういう基本的な考え方が指摘をされておるわけでございます。
 こういうような研究会の報告あるいはまたこれまでの失対事業の運営の経験等から考えまして、失業対策事業を再び起こす、こういうようなことは私どもとしては考えていないということでございます。
#211
○小沢(和)委員 私のおります福岡県の筑豊などのようなもとの産炭地あるいは不況地域というようなことで指定をされているような地域、こういうようなところでは、民間の活力を活用するというふうにあなた方が言ってみたってそういうような職場というのはあの高度成長の時代からなかったのですよ。だからこの人たちが、あなた方に言わせればいわゆる滞留する、ずっと失対事業以外のところに移っていくことができないという状態があらわれたにすぎないんだと思うのですね。私はこの失対事業の問題についてはもっと根本的に諸外国の実態なども含めていろいろと議論をしてみたいと思いますけれども、きょうは時間がありませんから論争は余りしょうとは思いません。
 もう一点だけお尋ねをしておきたいと思いますのは、六十五歳ということで一律に線引きをするという問題です。私たちは、やはり体力があって今後もまだもっともっと働きたいということで現実に働けるような人たちを、六十五歳ということで一律に線引きをして排除するというようなやり方はとってはならないんじゃないか、あくまで本人と納得ずくでこういう問題については具体的に処理をしていくということでなければならないと思うのですが、このやり方についてどうなさるのか、お尋ねします。
#212
○加藤(孝)政府委員 従来、失対事業におきましては就労者の年齢に関係なく紹介対象者として取り扱ってきたわけでございますが、その結果、民間では一般に隠退しておられるような高齢者の方がいつまでも就労を続けられる、その結果六十五歳以上の方が約半数、あるいは七十歳以上の方も二五%程度、こういうような状況になっておりまして、このために事業も非効率な事業あるいは非経済的な事業といったものがふえてきておる。さらにはまた、労働災害、特に通勤災害というものが多発をしてきておる。あるいはまたほんのちょっとした滑った程度で骨折というように重篤化するということで、事業の運営上いろいろな問題が顕著になってきておるわけでございます。そういう意味で、現状のままでは失対事業を労働政策としての事業として維持運営していくことが非常に困難になってきておるわけでございます。
 今後失対事業を労働政策の事業として適正に維持運営していく、こういうようなことをやっていきますためには、正常な事業運営にたえ得ないような方はお引き取り願う、紹介対象者としないという措置が不可欠である、こう考えておるわけでありまして、個々人の体力、能力について客観的な判断基準を確立することはなかなか困難でございまして、この点について一定の年齢によって定める以外にはないと考えております。
 御承知のように民間企業におきましても、約八割以上の大多数の企業におきまして定年制によって六十歳以下の定年ということで体力、能力に関係なく一定の年齢でおやめになっておるという事情にあるわけでございまして、そういう意味で六十五歳という年齢について一定の線を画すということも必ずしも不当なものではない。特にそれにつきまして五年程度の経過期間を置きましてそういう措置をとっていこう、こういうことで準備期間も置いておるわけでございます。そういう意味で、一般に民間で行われておる一定の年齢でお引き取りを願うという措置を、五年程度の経過期間を置いて円滑にやっていくというような構えでおるわけでございます。
#213
○小沢(和)委員 私は強制的に追い出すということは最低するなと言っておるのですが、その点端的に答えてもらわなければいけないと思うのです。
 それからもう一つ、この機会にお尋ねをしておきたいと思うのですが、私たちもいつまでも働けるものじゃないと思うのです。そしてそういう人たちが安心して隠退することができるような年金制度の充実とか、社会保障制度全体を改善していくということがなければならぬと思うのです。しかし実際にはこの人たちはやめたら子供さんにかかれるという好運な人はごくまれ、年金を持っている人も本当に少ないですね。恐らく老齢福祉年金二万幾らというもの以外当てにできないという人が大部分じゃないでしょうか。そうだとすると、現実的にやめる場合、国県市が合わせて百万円という程度のお涙金でやめてくれというようなことになると、百万といったらきょうこのごろでは一年も生活できないでしょう。そうしたらたちまちこの人たちは生活保護を受けなければやっていけないという状態になることは目に見えているじゃないでしょうか。だから私たちはそうなっていかないためにも、少なくとも百万円などということじゃなくて、もっと措置を上積みしていくというようなことも考えなければならないんじゃないかと思うのです。
 またこれを今度限りの特例措置ということで、今度やめなければ損しますよ、損しますよというような圧力をかけるようなやり方もよくないんじゃないか。この点どうお考えですか。
#214
○加藤(孝)政府委員 今回の特例援助措置といたしまして百万円を用意いたしましたのは、就労者がこれまで長期にわたって失対事業に依存してこられたその生活を急激に変更することになる、こういう事情、あるいは十年前の四十六年に実施した例、これは二十五万円であったわけでございますが、そのときから失対賃金にいたしまして約三倍程度上がっておるというような事情等を考慮したものでございまして、またこの額は失対賃金のおおむね一年分にも相当する金額でございまして、適当な額だと考えております。
 これはあくまで就労者がこれまで失対に依存してこられた生活体系を急激に変更するということになる事情を緩和するために支給するものでございまして、この特例援助措置によって自立引退後のすべての生活を保障する、もちろんこういうものを考えているわけではないわけでございます。したがいまして、自立引退後に子供と生活を一緒にするために身辺を整理するというような場合にいろいろまた金もかかるとか、そういうようなものを円滑に行うための一助として活用されるということで考えておるものでございます。
 これにつきまして期限をつけておることについての御指摘でございますが、いままで地方自治体におきましてたとえば五十万とか百万とかという金額がいつおやめになっても出るというような形で運用してきた経緯はございますが、その実例を見ますと、いつやめてもそれが出るということで、結局高齢、病弱者の方も働けない実情になりながらいつまでたっても無理をして出てこられる、なかなか引退なさらないというような実情等もございまして、やはり一定の期限を限ってこの際ひとつここで踏ん切りをつけていただく、こういうような意味におきまして期限を設けておるものでございます。
#215
○小沢(和)委員 失対の問題についてはまた機会を改めてもっと本格的に議論をしたいと思うのです。
 次に、労働時間の短縮などに関係した問題を御質問したいと思うのです。
 労働省は五十三年の五月に次官通達で労働時間の短縮を大きな重点施策にしたわけですけれども、実際には全くその効果がなくて、去年の十月二十一日の当委員会で私が指摘したところですが、残業時間が延びただけじゃなしに所定内の労働時間まで延びるというような惨たんたる結果になったわけですね。昨年の十二月の二十二日にまた改めてこの時間短縮についての通達が出されて、昭和六十年までには欧米並みを目指す、二千時間だというようなことが打ち出されているわけです。私はこういう通達の趣旨は結構、ぜひそれを実現してもらいたいというふうに考えているわけですけれども、実際には今度の通達を読んでみても、こういうような取り組みで果たしてそうなるだろうかどいうことに危惧の念を持たざるを得ないわけです。
 私は具体的な例でお尋ねをしてみたいと思うのです。先日私は日本の花形産業になっております自動車産業の一つ、広島の東洋工業に行ってまいりまして、労働者の皆さんといろいろ話もし、また調査もしてまいったわけであります。
 まず一つ申し上げたいと思いますのは、東洋工業では一九八一年の出勤予定表というのが、そちらから遠くてちょっと見にくいかもしれませんが、こういうふうに一覧表に一年分がなっておるのです。これを見ますと、土曜日も一週おきにですが出勤をするようになっておるし、毎日のように二時間程度の残業をするということが出勤の予定表の中にちゃんと組み込まれておる。だからこの出勤の予定表どおりの勤務をすると、私どもが計算をしてみたら二千五百時間を超えるようになっておるのです。初めからこういうようなシフト表があって、ちゃんとこの勤務表どおりに出ていかなければ、会社の方から見ればいわばまじめに勤務をしておらないということになるようになっているのです。こういう状態を放置しておいたのでは勤務時間を短縮するというような通達をいろいろ出しても実効は上がってこないのじゃないか。ここに手をつけなければいけないのじゃないでしょうか。
#216
○小村説明員 まず冒頭に、事実関係のことで一言申し上げておきたいと思います。
 五十四年までの労働時間につきましては、先生御指摘のとおり若干残業、所定外労働の増加ということもございまして、五十年以降やや労働時間が長くなってまいりましたが、五十五年の年計の数字が最近出ております。御存じかと存じますが、対前年比マイナスの〇・三%、その中身は所定内労働時間で年間十時間。わずかではございますが、私どもの行政指導の効果もあり若干状況は変わりつつあるということを、事実として申し上げておきたいと思います。
 それから次に、マツダの具体的なケースでございます。
 御指摘の東洋工業を含みます自動車産業は、わが国でいち早く制度的に完全週休二日制を取り入れているいわば数少ない産業の一つでございます。そういう意味で制度的には欧米の水準に近いものをつくっておる。ただ御指摘のようにせっかくの土曜日が若干休日出勤に相なっておるということも事実として承知してございますが、御存じのようにマツダの場合、五十年に非常に深刻な経営危機というような中で企業の労使が産業をどう支えていくかということでいろいろの御苦心の結果、三六協定の中でそういう状況になった。これは労使の十分な御議論の結果のたまたまのことだというふうに理解しておるわけでございます。
 また、年間の計画で二千五百になるというふうな御指摘でございますが、実際の労働時間につきましては、自動車産業計あるいはマツダの計といたしまして、実態的には二千百から二千二百の間というのが平均的な数字でございます。二千五百時間を超えるような特定の職種が部分的にあるということは昨年までの実態の中で承知しておりますが、このあたりの時間外あるいは休日労働も、最近、景気との関連もございますが、自動車産業全体としても改善傾向にある。またそのことにつきましては、先ほど鉄鋼で申し上げましたような、労働時間につきまして自動車産業の会議の中でも私どもいろいろ問題指摘もしてきて、そのことについて労使が真剣に取り組もうというような状況に現在なっているということも申し上げさせていただきたいと思います。
#217
○小沢(和)委員 いま五十五年度は幾らか指導の効果があらわれたと言うけれども、私どもの見るところでは、これは指導の効果以上に景気が悪くなって労働時間が短くなってきたということではないのですか。たとえば東洋工業などでもこういうシフト表が配られているけれども、減産をするためにということでいま土曜の出勤を取りやめるとか、そういうようなかっこうで労働時間が短くはなっていっているんですよ。景気がよくなったといってまたばっとふやすということの繰り返しである限りは、根本的な改善にはなりませんね。
 そこでさらにお尋ねしたいと思うんですけれども、有給休暇の取得が非常に少ない。この点について、大臣などは日本人は有給休暇をとらずに働くのが民族的な特性としてあるというようなことを言われましたけれども、東洋工業の労働組合が調査をして発表した資料を見れば、そういうような民族的特性などではないということは非常にはっきりすると思うのです。
 これはおととしの十二月に集計をした数字だと思いますけれども、有給休暇をほとんどとらなかったという人が過半数の五三・四%、三分の一ぐらいしかとらなかったという人を合わせると七七・四%がそういった状況なんです。とらない理由というのは、同僚に負担がかかるというのが四四・五%、勤務成績に影響するというような人たちが一一・一%とか、こういうような理由なんですね。先ほど申し上げたようなシフト表で、もうぎりぎりで生産をするようになっている。だから一日も休まずに出ていかないととたんに同僚に迷惑がかかる。そうすると、有給休暇何日というのは決まってますからその範囲内でとっても、あいつは同僚に迷惑をかける、けしからぬやつだということになってしまう。それが職場の実態としてある。だから、人員も含めて、また生産計画も含めて改善をあなた方が真剣にやっていただかないと、ここにメスを実際入れていただかないと、いつになったってかけ声ばかりで進まないんじゃないですか。
 そういうところにまでメスを入れる決意があるのかどうか。もう時間が迫ってきましたかち、端的に一言で答えてください。
#218
○小村説明員 五十五年の全体の労働時間短縮が若干進んだ。内訳は先ほど申し上げたとおりでございまして、所定内労働時間という制度的な改善が進んだということをデータが示しております。所定外労働時間につきましては、五十四年から五十五年まだ若干増加を続けております。制度的な改善は進んできておるということでございます。
 それから、具体的なマツダのケースの御指摘でございますが、年休をとりにくいということとの絡みで、生産計画の中での出勤率の展望、これを私どもの行政指導の中で年々一%程度ずつではございますが引き下げてきておる、そういう指導の効果というのは上がっておるということでございます。
#219
○小沢(和)委員 会社の方も有給休暇をとらせるように何かいまその姿勢が見えているような話ですけれども、そうですか。私どもが承知をしているのでは、むしろ会社の方はできるだけ有給休暇をとらせないように、とれないような零囲気を職場につくるような措置をいろいろやっておりますよ。たとえば、有給休暇をだれがどれぐらい取得をしているというようなグラフなどを職場の中に張り出しておる。そちらから見えぬかもしれぬけれどもその写真をもらってきました。こういうようなことで、いかにも有給休暇をとった者はけしからぬと言って何か職場の中にさらしものにするかのようなことがやられたりしている。こういうことは即刻やめさせるべきでないかと私は思うのです。その点どうか。
 また、有給休暇の日数があるのに事前でなければ認めないということで、後からあれを有給休暇にしてほしいというようなことを言っても、それは欠勤扱いだということで、有給休暇が残っているのに賃金カットを受けたというような人が実際いるわけです。こういうことについては基準監督署に申告がなされているはずですけれども、いつになっても責任のある解決が図られていないように思うのです。この点どうか。
 さらに、有給休暇の届け出の用紙というのを私ここに持ってきましたけれども、これを見ますと有給休暇についても理由を書かなければならないようになっているのです。実際上これでは一々許可をもらわないと休めないということじゃないでしょうか。こういうような理由などというのは有給休暇の請求に当たっては必要のないことのはずです。私はこれは届け出の用紙から削除させるべきじゃないかというふうに考えます。
 以上三点について、一言ずつ端的にお答えください。
#220
○岡部説明員 先生御指摘の問題の法律面にかかわります部分につきまして、まずお答えさしていただきたいと存じます。
 まず年次有給休暇というものにつきまして取得理由を書かせることの是非でございますが、年休取得の際の手続につきましては、本来企業の実情等に応じまして決められることでございまして、その手続というのは場合によっては労使の話し合いの対象になろうかと思いますが、年休の取得理由を届け出させることにしたといたしましても直ちに労働基準法上の問題が生ずるものではないというふうに考えるわけでございます。端的に申しまして、たとえば二人の労働者が年次有給休暇を請求してきてどうしても時季変更権を行使しなければならないというときに、その行使の仕方について場合によっては参考となる場合もあろうか、いろいろケースがあろうかと思いますが、そういうふうに考える次第でございます。
 それから、年次有給休暇をとりにくいということでございますが、とりにくいのはまことに問題であろうかとは思いますが、法的な面から考えますると、年次有給休暇、これは権利でございますので、この権利を行使して、それが不当に妨げられるということであれば、それは年次有給休暇制度の趣旨に反するわけでございます。もしそのような法違反の事例がございましたならば、これは申告その他ケース・バイ・ケースに、もとより基準監督機関において処理をいたしたいというふうに考えております。
#221
○小沢(和)委員 それではこの有給休暇の問題はそれぐらいにして、もうあと二点ほど東洋工業の問題でお尋ねをしておきたいと思うのです。
 一つは、実は私は東洋工業で働いている大森幹さんという方から手紙をいただいたので東洋工業に行く気になったのですが、この手紙の要旨というのは、昨年十一月に大森さんが作業中に急に右足が引張って、それで、作業中にそういうことになったのですからこれは労働災害であることは明らかなんですけれども、本人が翌日足がはれてどうにもならないので休んで、近所のお医者さんに自分は作業中にこういうような状況になったんだということで診断書を書いてもらって、そして会社に出したのです。そうしたら会社の方から職長という職制の人が来て、この診断書では困るんだ、これだと労働災害になってしまうじゃないか、だからここのところを書き直してくれというふうに言われて、またお医者さんのところに行って、お医者さんはそういうことはまずいと言うのに、この作業中というところを歩行中というように書き直して、私傷で休んだ。会社の方は、そういうふうにしてくれれば君には悪いようにはしないからと言っておいて、この人が一月になってようやくの思いで出勤をしたら、職場をかえる、こういうことを言われた。それで余りのことだというので憤慨して、私にこれは公傷になるようにもう一度きちんとひとつやらしてほしいというお手紙をいただいたわけです。
 私が会って話を伺ったところでは、この方だけではなくて、同じ第三鋳造工場というところでは赤木さんとか西本さんとか黒木さんとか、何名もこういうような、やはり本来公傷であるべき人で私傷扱いになっている人がおるというふうに話を伺っているのです。
 こんなことが大っぴらにまかり通ったら大変なことだと私は思うのですね。けがしたときぐらいは安心して治療ができるように、会社がこうやって意図的にもみ消しをやったというようなことは私は非常に悪質な行為だと思いますし、それを改めるように是正をさせていただきたい、これが一つ。
 それからもう一つは、女子の差別賃金の問題であります。この東洋工業に付属病院がありまして、そこの中村さんという方から私は訴えを受けたのですけれども、この中村さん、病院の中でいわゆる臨床検査技師をしておるのです。大学を卒業して、国家試験にも合格をして入った。男の人も女の人も同じ資格で会社に入ったはずなのに、初任給がこの中村さんという方は一級の四号、男の人は二級の五号ということで、初めから五年分格差がついておるというのですね、その後も年ごとに昇給でずっと格差がついていく。こういうような男女の差別賃金というのは私はとうてい許されないんじゃないかと思うのですね。仕事の内容から見て全く同じ仕事をしている。むしろ女子が責任者みたいになってやっている人もいるんですよ。ところが、その場合でもその下で働いている男子の方が給料が高いというようなことが現実にそこで起こっておる、こんなことは私は直ちに是正させるべきではないかと思うのですが、以上、二点質問をいたします。
#222
○望月説明員 最初の点についてお答えいたします。
 最初の大森幹さんの件でございますが、この点につきまして、私どもの監督署におきまして双方から事情を聴取をいたしまして、業務上と見られる可能性がきわめて高いものでございますので、傷病報告を提出させて労災手続を現在とらせておりますので、措置済みでございます。(小沢(和)委員「会社のもみ消しの責任はどうする」と呼ぶ)
 その点につきましては、そういうことのないように厳重にこれは注意した次第でございます。
#223
○岡部説明員 東洋病院におきます男女間の賃金格差があるかないかという問題でございますが、これは所轄監督署広島署におきまして、去る二月二十一日に陳情を受けたわけでございます。現在鋭意これの実情を調査しているところでございます。したがいまして、その調査の結果を待ちまして御報告を申し上げたいと思います。
     ――――◇―――――
#224
○森井委員長代理 内閣提出、雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。藤尾労働大臣。
#225
○藤尾国務大臣 ただいま議題となりました雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 雇用関係の給付金につきましては、それぞれの時代ごとの必要に応じ積み重ねられてまいりましたが、その結果、現在においてはその種類が百を超えるという複雑多岐にわたるものとなっており、これらを整理統合し、わかりやすいものとすることが急務となっております。また、今後の重要な課題である高年齢者の雇用の延長の促進、高年齢者、心身障害者その他就職が特に困難な者の雇用機会の増大等を進めていく上で、雇用関係各種給付金がこれらの重要課題に即して十分に活用され効果の上がるものとなるよう、その体系、内容の充実を図ることがきわめて重要となっております。
 このような観点から、先般、中央職業安定審議会その他の関係審議会から、今後の雇用関係各種給付金等のあり方について建議等がなされたところであり、政府といたしましては、関係審議会の建議等に基づき、複雑多岐にわたる給付金を統合するとともに、これら給付金等の整備充実を図ることとし、ここに雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関係法律の整備に関する法律案として提案いたした次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、雇用保険法の一部改正であります。
 雇用保険法においては、失業の予防、雇用機会の増大、雇用構造の改善、労働者の能力の開発向上のための事業の一環として各種の給付金制度を設けておりますが、これら給付金の整備充実を図ることとしております。
 その一は、雇用安定事業について、高年齢者、心身障害者その他就職が特に困難な者の雇用機会の増大を図るため、それらの者を雇い入れる事業主に対して必要な助成及び援助の事業を行うこととするほか、失業の予防のための事業を整備充実することであります。
 その二は、雇用改善事業について、高年齢者の雇用の延長を促進するため、定年の引き上げ、定年に達した者の再雇用等を行う事業主に対して必要な助成及び援助の事業を行うこととすることであります。
 その三は、能力開発事業について、労働者の職業生活の全期間を通じてその能力の開発向上を促進するため、段階的かつ体系的な事業内職業訓練計画に基づく職業訓練を行う事業主等に対して必要な助成及び援助を行うこととすることであります。
 第二は、駐留軍関係離職者等臨時措置法その他特定の離職者に関する特別法の一部改正であります。
 駐留軍関係離職者等の特定の離職者については、その有する能力に適合する職業につくことを容易にし、及び促進するための給付金制度がそれぞれの特別法に基づき別々に設けられておりますが、根拠法を統一し、わかりやすいものとするため、これらの給付金はすべて雇用対策法の規定に基づき支給するものとすることとしております。
 第三は、雇用促進事業団法の一部改正であります。
 雇用促進事業団の業務について、定年の引き上げ等を促進するため、新たに、高年齢者の作業を容易にするため必要な施設の設置等に要する資金の貸し付けの業務を行うこととしておりますほか、身体障害者雇用給付金制度に基づく助成金制度等の改善に伴い所要の整備を行うこととしております。
 以上、雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関係法律の整備に関する法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#226
○森井委員長代理 これにて趣旨説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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