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1980/03/20 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第5号
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1980/03/20 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第5号

#1
第094回国会 文教委員会 第5号
昭和五十六年三月二十日(金曜日)
    午前十時二十分開議
 出席委員
   委員長 三ツ林弥太郎君
   理事 谷川 和穗君 理事 中村喜四郎君
   理事 三塚  博君 理事 森  喜朗君
   理事 嶋崎  譲君 理事 馬場  昇君
   理事 有島 重武君 理事 和田 耕作君
      臼井日出男君    浦野 烋興君
      狩野 明男君    久保田円次君
      高村 正彦君    近藤 鉄雄君
      西岡 武夫君    野上  徹君
      長谷川 峻君    船田  元君
      宮下 創平君    木島喜兵衞君
      中西 積介君    長谷川正三君
      湯山  勇君    鍛冶  清君
      中野 寛成君    三浦  隆君
      栗田  翠君    山原健二郎君
      石原健太郎君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 田中 龍夫君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 鈴木  勲君
        文部大臣官房会
        計課長     植木  浩君
        文部省初等中等
        教育局長    三角 哲生君
        文部省大学局長 宮地 貫一君
        文部省学術国際
        局長      松浦泰次郎君
        文部省社会教育
        局長      高石 邦男君
        文部省体育局長 柳川 覺治君
        文化庁長官   佐野文一郎君
        文化庁次長   別府  哲君
 委員外の出席者
        議     員 中西 積介君
        議     員 馬場  昇君
        科学技術庁研究
        調整局宇宙企画
        課長      吉村 晴光君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   内海  孚君
        国税庁直税部法
        人税課長    四元 俊明君
        文部大臣官房審
        議官      宮野 禮一君
        文部大臣官房人
        事課長     齊藤 尚夫君
        厚生省医務局医
        事課長     斎藤 治美君
        会計検査院事務
        総局第二局文部
        検査第二課長  疋田 周朗君
        文教委員会調査
        室長      中嶋 米夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十日
 辞任         補欠選任
  和田 耕作君     中野 寛成君
  小杉  隆君     石原健太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  中野 寛成君     和田 耕作君
  石原健太郎君     小杉  隆君
同日
 理事和田耕作君同日委員辞任につき、その補欠
 として和田耕作君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 学校教育法等の一部を改正する法律案(中西績
 介君外四名提出、衆法第二号)
 学校教育法の一部を改正する法律案(中西積介
 君外四名提出、衆法第七号)
 公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員
 定数の標準等に関する法律案(馬場昇君外四名
 提出、衆法第一一号)
 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一六号)
     ――――◇―――――
#2
○三ツ林委員長 これより会議を開きます。
 まず、中西積介君外四名提出、学校教育法等の一部を改正する法律案及び中西積介君外四名提出、学校教育法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。中西積介君。
#3
○中西(績)議員 ただいま議題となりました二つの法律案につきまして、その提案の理由と内容の概要を便宜一括して御説明申し上げます。
 まず、学校教育法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 学校教育法は、高等学校の目的として、心身の発達に応じて、高等普通教育及び専門教育を施すと定めております。
 今日あらゆる分野において急速な科学技術の進展がなされており、高等学校における専門教育の重要性は特に重視されなければなりません。
 ところで、高等学校の専門教育において、実験・実習は、観察、測定、機器の操作及び材料の加工等を通じて、生徒に、理論と実際の関係や生産にかかわる基礎的、基本的知識と技能・技術を習得させ、あわせて、一般教科との有機的関連づけを行うことにより、科学的認識力、自主的判断力及び適応力を培う上できわめて重要な役割りを果たしているものであります。
 現在、高等学校には、実習助手が置かれ、実習助手は、学校教育法上「実験・実習について教諭の職務を助ける」こととされており、高等学校の実験・実習の教育は、教諭と実習助手によって行われております。
 しかしながら、さきに述べたような事情にかんがみ、実験・実習の教育については、専門的知識を身につけた資質のすぐれた教員が要請されているのであります。
 しかし、教育の現場を見ますと、全国で約一万五千人の実習助手が、実験・実習の準備指導、整理等については言うまでもなく、指導計画、成績の評価等に至るまで、担当の教諭と何ら異ならない職務を行うとともに、生徒指導、クラブ活動、校務分掌についての分担など直接生徒の教育にかかわる職務に携わっております。
 このように、教育職員としての責務と自覚の上に立って、職務の遂行に当たっている実習助手の教育上の功績はまことに大きなものがあります。それだけに、実習助手は、教育職員免許法に基づく認定講習会や各種教育講座に参加する等、みずから積極的研修を積み、今日では、実習教科免許状取得者も多数に上っていますが、現行制度下では実習教科担当教諭への移行は必ずしも容易ではありませんし、また、実習助手の置かれている現状は、助手なるがゆえに、教諭に比較して低い処遇を受け、上位等級への昇進の道も閉ざされていることはまことに遺憾なことと言わざるを得ません。
 以上のような事情にかんがみ、実験・実習の教育を担当する教員についての制度を、本来の正しいあり方に是正するとともに、現に実習助手である者について、制度改正に伴う移行措置を講じ、その処遇につき遺漏なきを期することが必要であると認め、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の概要でありますが、まず第一は、実習助手制度を廃止するため、学校教育法等必要な関係法律の改正を行うとともに、実習助手の廃止について十二年間の経過措置を設けることといたしております。
 第二は、高等学校の教職員定数の標準を改正し、実習助手の規定を削除し、教諭等の数の規定に実験・実習担当の教諭の数を加えるとともに、必要な経過措置を定めることとしております。
 第三は、教育職員免許法を改正し、実習担当教諭の免許状取得資格として、新たに、高等専門学校を卒業した者及び看護婦の免許状取得者を加えるとともに、現に実習助手である者のうち、理科及び特殊教科担当の者で文部省令に定める資格を有する者については、教諭免許状取得の措置を講ずることができることとしております。
 第四は、この法律は、昭和五十七年四月一日から施行することといたしております。
 なお、本法律案の措置により、実習助手の教諭への一元化が、可及的速やかに実現されることになると思われますが、そのためには、教諭資格付与のための認定講習会の開催、研修会等への参加の保障等の措置を講じ、教諭への円滑な移行がなされるよう政府においても特段の配慮が要望されるところであります。
 次に、学校教育法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 学校には、校長、教頭、教諭、養護教諭のほか、学校事務職員、学校栄養職員、司書、給食調理員、用務員、警備員など各種の職員が配置されており、これらの職員が一体となって活動しなければ、学校教育の目的を十分に達成することはできません。これらの職種のうち、特に養護教諭及び事務職員につきましては、その職務の重要性にかんがみ、小・中学校及び盲・聾・養護学校には原則として置かなければならないことを学校教育法において定めているのであります。
 しかるに、学校教育法制定以来、三分の一世紀を経過した今日においても、法制定時の事情から未設置の根拠となっている経過規定や例外規定がいまだに撤廃されず、養護教諭及び事務職員の全校配置は実現を見ていないのであります。すなわち、昭和五十四年度における公立小・中学校の平均配置率を見ますと、養護教諭が八〇・六%(定数上七七・七%)、事務職員が八〇・〇%(定数上七三・九%)となっております。
 また、昭和五十五年度から発足いたしました第五次学級編制及び教職員定数改善十二年計画においても、この計画が終了する昭和六十六年度になお公立小・中学校の二%約七百校が養護教諭及び事務職員を未設置のまま放置されることになっております。
 養護教諭と事務職員の重要性、必要性につきましては、すでに当文教委員会においてたびたび真剣に論議されてきた問題でありますが、行政の理解不十分と努力不足はまことに遺憾であります。そこで両者の職務の重要性と全校配置の必要性につきまして重ねて御説明申し上げます。
 まず第一に、養護教諭について申し上げます。
 御承知のように、養護教諭は、児童・生徒の保健、安全に関する管理と指導というきわめて重要な職務を行っております。特に近年、社会経済等の急激な変化に伴う生活環境の悪化と入試準備教育の過熱を背景として、心臓、腎臓疾患を初めとして、情緒障害の増加、さらには骨折の多発など子どもの健康、体力について、きわめて憂うべき状況が生じており、養護教諭の役割りの重要性が一段と高まっているのであります。その結果、父母や学校関係者から子どもの生命と健康を守るために養護教諭の必置を求める声がますます強まってきております。この要請にこたえるため、各都道府県は標準定数法の定める定員を上回って養護教諭を配置せざるを得ないばかりか、相当数の養護教諭が複数校の勤務を強いられる事態を生じ、子どもの健康管理を十分に行えないだけでなく、養護教諭自身の過労など人権にかかわる問題まで生ずるに至っております。また、近年、健康診断の機能的検査を初め、保健室を訪れる子どもたちの精神的な相談相手としての勤務に加えて、学校事故の多発がその事務処理等養護教諭の職務の過重を招来していることも見逃せないところであります。
 次に、留意すべき問題は、学校教育法第二十八条第十二項で、特別の事情のあるときは、養護教諭にかえて養護助教諭を置くことができる旨の規定が置かれていることから生ずる問題であります。すなわち、政府は現在養護教諭の増員計画を進めておりますが、その養成制度の不備等から有資格者が得られず、資格を持たない養護担当教員が安易に配置される傾向が目立ち、子どもの生命と健康に直接かかわる職種であるところから、専門職としての資格を持った養護教諭を早期に配置することが急務であります。
 次に、高等学校の養護教諭については、学校教育法上任意設置のたてまえとなっておりますが、すべての高校に養護教諭を配置する必要性のあることは、小・中学校と同様であります。またこのことは、高等学校における養護教諭が全日制の課程と定時制の課程の兼務を余儀なくされて、労働過重になっている事態を解決するためにも必要な措置であります。
 第二に、事務職員について申し上げます。
 学校事務職員の職務は、まず一般的な事務として文書、統計、給与、経理事務などがあり、また直接子どもにかかわる事務としては、教材教具、施設設備及び就学奨励などに関する事務、さらには地域の父母にかかわるPTAの諸活動への援助など、きわめて多方面にわたっております。
 さらに、これらの複雑多様な学校事務を適正に行うためには、学校教育の理念、教育内容、教育行政の仕組み及び子どもの学習環境に関する知識を修得する必要があるなど、一般行政事務とは別の意味での専門性が要請されており、学校事務職員は教員の教育活動と相まって学校運営を有機的、一体的に進めるためにきわめて重要な役割りを果たしているのであります。特に、近年における学校教育の役割りの増大等による学校運営の複雑困難化に伴って、事務職員の職務の複雑高度化が一層進みつつあります。さらにまた、事務職員も、日々子どもたちと親しく接する存在でありますから、子どもへの深い愛情の持ち主であることが教員と同様に必要であることも見逃せないところであります。
 次に、学校事務職員の置かれていない学校は主として小規模校でありますが、校務、すなわち学校運営に必要な業務の種類は学校規模と関係なく同様であります。したがって、小規模校においては一少数の教員が多くの校務を分掌せざるを得ない上に学校事務を分担しているのであります。そのため、教育活動や学校事務の処理に支障を生ずるなど学校教育の正常な運営が阻害されているのが実情であります。
 なお、各都道府県が標準定数法の定める定員を大幅に上回って学校事務職員を配置していることにも、その必要性があらわれております。
 以上申し述べました理由から、養護教諭及び学校事務職員の全校必置を速やかに実現しなければならないものと考え、本改正案を提出した次第であります。
 なお、養護教諭の必置制を実現するためには、養成機関の増設とその内容の充実、養護教諭の地位、処遇の改善等がきわめて重要であることを付言しておきたいと存じます。
 次に、改正案の内容について申し上げます。
 第一は、高等学校に置かなければならない職員として養護教諭を加えることとしております。
 第二に、小・中・高等学校に養護教諭を置かないことができる期間を昭和六十一年三月三十一日までの間に改めております。
 第三に、昭和六十一年四月一日以降、養護教諭にかえて養護助教諭を置くことはできないこととしております。
 第四に、小・中学校等に事務職員を置かないことができる期間を昭和六十一年三月三十一日までの間としております。
 第五に、附則において、政府は速やかに養護教諭の養成計画を樹立し、これを実施しなければならないこととしております。
 以上が二法律案の提案理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#4
○三ツ林委員長 これにて両案の提案理由の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
#5
○三ツ林委員長 次に、馬場昇君外四名提出、公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準等に関する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。馬場昇君。
#6
○馬場議員 ただいま議題となりました公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 本案は、一九八一年の国際障害者年に当たって、障害児教育の水準の維持向上のため、新たに単独法として、公立の障害児教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準法を制定し、学級編制及び寄宿舎の舎室編制の適正化並びに教職員定数の確保を図ることにより、障害児教育へのきめ細かい配慮を行い、障害児教育の一層の充実に寄与しようとするものであります。
 現行法では、公立の障害児教育のための学校の学級編制及び教職員定数の標準について、小学部及び中学部については公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に規定し、高等部については公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律で定め、幼稚部については何らの規定も設けておりません。
 しかし、幼稚園、小学校、中学校または高等学校の場合と異なり、障害児教育のための学校の場合は、幼稚部、小学部、中学部または高等部を併置することが多いばかりでなく、相互の緊密な連携のもとに一貫した教育を行なう必要性がきわめて強いものがあります。
 また、障害児教育においては、早期教育の必要性が特に高く、幼稚部教育の重要性から見て、幼稚部についても学級編制及び教職員定数の標準について定める必要があります。
 したがいまして、本案は、幼稚部から高等部に至るまでの各部の学級編制及び教職員定数の標準について改善充実を行うとともに、これを包括的に規定しようとするものであります。
 一九八〇年五月の第九十一国会で成立した政府提出による義務標準法等改正法による障害児学校関係部分の改善は、十二カ年計画で教員、寮母の定数を総計五千百二十四名増員するなど、一応の前進であると評価できます。しかし、たとえば、寄宿舎の寮母定数については、最低保障及び肢体不自由児のみの寄宿舎の寮母の改善が行われたにすぎず、障害児教育諸学校の寄宿舎に重複障害児の入舎がふえているという実情が無視されております。
 また、重度・重複障害児の急速な増加や盲・聾学校の児童・生徒数の減少などに対応し、その現状と実態に即した改善を図り、とりわけ重度・重複障害児の増加等による過度の勤務のため腰痛等教職員の健康破壊が進みつつあるのを阻止するためにも、さらに教職員の大幅増員が必要となっております。
 以上の諸点が、本案を提出する理由であります。
 次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、従来、盲・聾・養護学校は特殊教育諸学校と称しておりますが、本案においては、これを障害児教育諸学校と改めることにしております。
 第二に、学級編制の標準についてでありますが、小・中学部及び高等部普通科は、現行法同様七人または九人とし、高等部の専門教育を主とする学科にあっては、一学級九人を八人に改善することとし、新たに、幼稚部については一学級の標準を五人とすることといたしております。
 第三に、教職員定数の標準の改善についてであります。
 その一は、教諭等の数について、現行の算定方法を改め、障害の程度に応じ集団指導や個別指導など充実した教育が行えるよう、小・中学部及び高等部ともに部の規模の大小等にかかわらず、一定の基礎数を学級数に乗じて算定することとし、必要な加算等を行うほか、新たに幼稚部について教員定数の標準を定め、一学級当たり三人といたしております。
 その二は、養護・訓練担当教員については、障害の軽減・克服に必要かつ適切な教育の重要な部分を担うという重要性にかんがみ、その配置基準を改善することとし、特に肢体不自由養護学校については、学部数に二を加えた数の合計数と児童・生徒数八人に一人の教員を置くことといたしております。
 その三は、新たに派遣教員の配置基準を定め訪問教育指導を充実する立場から、児童・生徒数五人まで三人の教員を、六人以上は三人増すごとに一人の教員を、児童・生徒の在籍する学校に加算することとしております。
 第四に、養護教諭の数について現行法では、盲・聾・養護学校一校につき一人となっていますが、重度・重複障害児の増加に伴ない健康保持・向上を図ることが重要になっておりますので、学校の規模に応じ複数の養護教諭を置くことができるよう改善することといたしております。
 第五に、寮母の数についてでありますが、寮母の障害児教育における重要性にかんがみ、舎生を男女別にし、小・中学部については児童・生徒五人に二人の寮母を、高等部は生徒数三人に一人の寮母をそれぞれ置くこととし、新たに幼稚部について幼児数五人に三人の寮母を置くこととしております。
 第六に、事務職員についてでありますが、その職務の重要性にかんがみ、学校規模に応じて種々の加算配置を行う等、その充実を図ることとしております。
 第七に、学校栄養職員についてでありますが、学校給食施設を持ち、学校給食実施の障害児教育諸学校のうち、寄宿舎を置く学校については二人、その他の学校については一人配置することとしております。
 第八に、新たに、寄宿舎看護婦、通学用自動車運転職員、学校給食調理員等についての配置の標準を定め、障害児教育に欠くことのできない必要な職員の確保を図っております。
 その他、市町村立学校職員給与負担法等関係法律について必要な規定の整備を行っております。
 なお、この法律は、昭和五十七年四月一日から施行することとしておりますが、学級編制の標準及び教職員定数の標準に関しましては、六年間の年次計画で実施することにしておりますので、それに必要な経過措置を定めております。
 以上が本案の提案の理由及び内容の概要であります。
 何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#7
○三ツ林委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
#8
○三ツ林委員長 これより内閣提出、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。
#9
○嶋崎委員 今回提出されました国立学校設置法の一部を改正する法律案は、三つのタイプの国立大学の問題が提案されております。一つは、鳴門の教育大学並びに鹿屋の体育大学、これを私は新構想大学と名づけますが、この二つの大学の新設の問題と、既設の大学並びに大学院、大学の学部その他の新増設、新たに学部をつくろうとする一連の大学並びに大学院などの充実を図ろうとする幾つかの場合であります。三つ目が国立共同利用機関に関係する宇宙科学研究所の設置や分子科学その他の問題、民俗博物館の共同利用研究所の設置、要するに共同利用研究所に関する問題と、私は、主に三つに大枠をいたしまして、御質問をいたしたいと思います。
 最初に、鳴門教育大学に関連してすでに昭和五十三年の八十四回国会におきまして、兵庫教育大学並びに上越教育大学について、当委員会におきましては、長時間にわたりまして慎重な審議をいたしてまいりました。すでに兵庫教育大学は、大学院の受け入れが始まっておりますが、上越教育大学も、今年度から学部の学生の入学の段階に入っております。
 今度提案されましたこの鳴門教育大学も、その延長線上の新構想の教育大学と理解をいたしますが、そのとおりでしょうか。
#10
○宮地政府委員 そのとおりでございます。
#11
○嶋崎委員 過ぐる八十四回国会でいろいろな長い討論が行われましたが、その討論に際しての基本的な問題は、教員養成という問題に関連して、中教審の答申以来、教員養成制度のあり方について、いろいろな機関が議論を進めてきたわけでありますが、その際に二つの流れがございました。
 一つは、全国の国立大学の国大協が教員養成制度特別委員会という制度を設けまして、教員養成制度に関してそれぞれの大学における教育学部を軸としながら、それぞれの大学で教員養成制度のあり方について慎重審議をやりながら、三つの報告文書が出されております。これと並行いたしまして、文部省の方では、教員養成審議会という制度ができまして、その審議会の答申に基づきまして、教員養成の改善の方策や新構想の教員養成大学などについて調査研究を深めながらレポートを提出してまいりました。要するに、全国の国立大学をバックにして教員養成制度の特別委員会をつくりながら、大学の側から教員養成制度のあり方の改革、提案というものがなされ、片一方、文部省の方で新構想の教員養成大学をつくるという調査研究が進められていくという経過をとりました。
 それがいかにタイアップしながら行われたかということを年度で申し上げますと、教員養成審議会が昭和四十七年に「教員養成の改善方策について」というレポートを出しました。その後を追いかけるように、国大協の方は四十七年の十一月に教員養成制度に関する調査報告を出しました。あと文部省がさらに進めまして、昭和四十九年に新構想の教員養成大学等に関する調査会が教員のための新しい大学・大学院構想というものを打ち出しました。これら審議会を通じて文部省は対応してきたわけですが、文部省の最後の大学院構想、新しい大学・大学院構想が提出された四十九年に、その後を追いかけるようにして国大協の方は、教員大学・学部における大学院の問題を昭和四十九年の十一月にまとめ上げました。
 いよいよこの新構想大学が動き出すということになりましたので、国大協は、さらに将来の教員養成大学のあり方について検討した結果、「大学における教員養成の基準のための基礎的検討」というものを昭和五十二年の十一月に提出をいたしました。前の国会で議論されたのは、昭和五十三年の通常国会でありますから、教員養成大学問題が本委員会に提出される寸前の、前の年の昭和五十二年の十一月に教員養成に関して国大協の教員養成制度特別委員会が答申をいたしたわけであります。その際に、文部省がいよいよ立法府に新構想大学の提案をするという、その大学のあり方、構想が一方で追及され、具体化してきた。それに対して国大協の方は、それに対応するかのように大学側の主張を展開してきたわけであります。
 ところが、前の委員会でも明らかにいたしましたように、文部省が進めようとしている新構想大学と大学側が主張してやろうとしてきた教員養成大学のあり方との間に十分なコミュニケーションがないまま、いよいよ八十四回国会を迎えるに至ったわけであります。
 もちろんその間には、この委員会で何度も私が詰めて議論をいたしましたが、四、五回の連絡はありますが、十分なコミュニケーションがなかったという反省は、文部省自身も当時したところであります。
 そこで、八十四回国会に教員養成大学の問題がいよいよ提案される、国大協の方は、それに対していろいろ意見を述べてきた。一方、文部省の方は具体的構想が始まった。そこで、この間の調整ということが、大変ぎりぎりになって問題になりまして、あたかもこの間の、妥協させ、調整させる役割りとして国大協の当時の特別委員長が記者会見をいたしました。その記者会見は、この法律案が提案された年、昭和五十三年一月二十日でございます。いよいよ通常国会が始まる寸前に国大協の教員養成制度特別委員長が、国大協内部の討論を踏まえた結論としてではなくて、いわば委員長の考え方として記者会見をいたしました。この点についても、八十四回国会の参考人をめぐる討論の議事録を御参照いただければ、その間の過程が明らかだと思います。
 こういう経過の中で、昭和五十三年の八十四回国会で二つの教員養成大学ができたわけであります。
 いまの局長の答弁にもありますように、今度の鳴門教育大学は、その延長線上であり、同じ新構想大学であるということでございますので、この二つの大きな教員養成をめぐる国大協側の動き、文部省側の動き、これをまとめるかのように国大協教員養成制度特別委員長が突如記者会見をいたしまして、「教育系大学・学部における大学院の問題」という表題の説明メモを提出いたしました。その説明メモが当時大変議論になったわけでありますが、その説明メモに関連して、その後の文部省の対応その他についてお聞きをいたしたいと思います。
 昭和五十三年の一月二十日、国立大学協会教員養成制度特別委員長、国大協の側の組織の責任者でございますが、この方が「教育系大学・学部における大学院の問題」という説明メモを提出されまして、これが国大協の意見なのかどうか、大変議論になったところでありますが、ここで三つの点を提案いたされております。
 その第一は、「昭和四十三年度以来、設置されていなかった大学院(修士課程一新設が五十三年度に一大学に認められるとともに、「教員養成系大学院」に関する調査費も計上され、既設の教育系大学・学部の大学院設置について、積極的な姿勢が見られ、また、高等教育中心の大学院も構想されたことは評価することができる。」、こういうことで、第一の点の提案並びに評価がございます。
 当時、五十三年度に一大学に大学院が認められ、既設の大学、いまある大学の教育学部に今後大学院を続々とつくりつつ、国大協の輿望にこたえていくべきだということを含めての提案がございました。したがいまして、この新構想大学ができて以降のこの問題についての文部省の対応はいかがになっておりますでしょうか。
#12
○宮地政府委員 ただいま嶋崎委員の御指摘の、前の国会におきます論議のやりとりで、ただいまお話のような議論が行われたということは、私ども十分承知いたしております。
 そこで従来、四十三年以来設置されていなかった大学院が五十三年度に一校認められた、これは具体的には愛知教育大学の場合でございますけれども、それで、その後どういう対応をしてきたかというお尋ねでございますが、具体的には昭和五十四年度には横浜国立大学におきまして大学院を設置いたしております。昭和五十五年度には岡山大学と広島大学で大学院を設置いたしております。さらに昭和五十六年度予算案におきましても、静岡大学、神戸大学に設置をすることにいたしておりまして、予算案の計上その他、御提案を申し上げております予算案で提案をいたしておるわけでございます。さらにその後の充実につきましても、それぞれ調査費を計上して、これら既設の教員養成大学・学部の充実という点につきましては、私どもとしても、その線に沿って取り組んできておるというのが、ただいままでの経過でございます。
#13
○嶋崎委員 確かに、昭和五十三年を境にしまして、私たちが当委員会で追及をいたしましたように、新しい新構想大学、これはわが党は反対でございましたが、こういうものをつくるに当たって、この新構想大学が、今日の教員養成制度から見ても、既設の大学の学部のあり方などから見ても、今日の教員養成にとって新たな課題が起きているからといって新構想を起こしたわけでありますけれども、既設の大学の教育学部でも教員養成のそのような方向に向かっての改革や既設の大学の教育学部を充実させ、それぞれに対応することによって教員養成の実が図られるのではないか、したがって、既設の大学における教育学部を充実させよということを私たちは要求してきたわけでありますが、その点が幾つかの大学の教育学部に大学院を設置するという方式となってあらわれてきつつあることは評価をする次第でございます。
 もとに帰りまして、国立大学協会の特別委員長の記者会見のメモで言っております三番目に「既設の教育系大学・学部の大学院の構想については、各大学がその適切な構想を検討することが重要である。また、新大学に限らず教育系大学・学部等の大学院に現職教員が入学する場合も、現職のまま入学できるよう配慮すべきである。」、こう国大協の委員長が要望をしておりますが、この点についてどう対応してきましたか。
#14
○宮地政府委員 お尋ねのように、先ほど御答弁申し上げたわけでございますが、既設の教員養成大学・学部につきましても、大学院を充実してきておりまして、その点は今後も、私どもといたしましては、それぞれ各大学の教育研究体制の整備状況でございますとか、あるいは大学院構想の検討の進捗状況、それらの計画の成熟度と申しますか、そういうものを勘案しながら積極的な姿勢で取り組んでいきたい、かように考えております。
 なお、これらの既設の教員養成大学・学部の大学院に現職教員が入学する場合の扱いでございますが、私どもといたしましては、それらの点については、新構想の教育大学の場合でございましても、既設の教育大学の大学院の場合におきましても、いずれも教員の資質向上という点では全く同様の扱いと考えております。
#15
○嶋崎委員 少しその辺あいまいになってやしませんか。たとえば、ことしの兵庫教育大学の大学院の学生は、ことし入学がありました、去年も入学がありました、それらが入学した県で今度は既設の教育大学の大学院に入学を希望したが、同じような取り扱いを受けていないというケースがあることを御存じですか。
#16
○宮地政府委員 具体的なケースについては私、承知いたしておりません。
#17
○嶋崎委員 つまり、今度皆さんのところからいただきました表にもありますが、兵庫教育大学の大学院に全国から募集をしまして、あるところからはちゃんとした手続でもって入学をしております。その同じ県で、その県にある既設の教育大学の大学院に入学を希望して合格をした、しかし、新構想の教育大学に行くときには現職、現給で入学をしているが、既設の教育大学の大学院に入学をしたにもかかわらず別の扱いを受けているというケースがあります。それはどこに問題があるかというと、仮に学校推薦で受験をできたけれども、問題の教育委員会がその新構想大学への入学と同じ扱いをしないでいるために、その教員が夜間の学校に籍を移して既設の大学の大学院に通っているという事実がございます。こういう事実はまだ全国にたくさんあるというわけではございませんが、象徴的にあらわれているこういう事実について、もし御存じであればいいですが、わからないのですね、そういう事実は知らないのですね。
#18
○宮地政府委員 御指摘のようなケースは具体的には私、承知をいたしておりませんが、実際問題の扱いとして御指摘のように既設の教員養成大学・学部におきまして現職教員が応募している状況、数はまだ余り多くないわけでございますけれども、それぞれあるわけでございます。それで、現職者の入学状況でございますが、教育委員会等からの派遣という扱いになる場合でございますとかあるいは休職の扱いになっているとか、そういう扱いがあることは資料としては把握をいたしております。
#19
○嶋崎委員 そうしますと、既設の教育大学の大学院に行くことを希望した人が入学をした場合の扱いと、新構想大学に入学した場合に現職、現給で行くということとの間に扱い方の違いがあるということですか。
#20
○宮地政府委員 これはすでに兵庫教育大学の大学院問題について御議論いただいた際に、当委員会でも十分議論がされた点でございますが、現職教員の受け入れにつきましては、先ほども御指摘がございましたけれども、私どもとしては、大学側としての入学の扱いとしては全く大学自体が行うわけでございますけれども、具体的なその現職教員自体が所属長等の同意を得るという手続については、これはそれぞれ学校なり教育委員会当局が判断してなさるべき事柄と、かように考えております。その判断に際しまして教育委員会の扱いとしてどういう判断をなさるかということは、大学院なり大学側の関知するところではないわけでございます。
#21
○嶋崎委員 それならばいい、わかった。そうしたら、全国の国立大学の既設の大学の大学院に現職の教員が入学を希望し受験して合格をしたならば、新構想大学に入学するのと同じ条件を各県の教育委員会がとるべきだと思いますが、いかがですか。
#22
○三角政府委員 現職のままで大学院に入るという点では、兵庫教育大学の場合もその他の教員養成大学の大学院に行く場合も同じことでございます。したがいまして、やはり現職でございますから、市町村の教育委員会の同意をもらって受験するということが筋道でございます。さらに、その上での行政側の対応としましては代替定数の問題があると存じます。私どもは、現在すでに御承知のように第三次及び第四次の計画で研修のための定数二千百八十一人というのがございまして、さらに五十五年度予算でそれに二百人乗せ、五十六年度予算でも上乗せをしてきておりますが、先般御審議いただきました第五次の計画で二千四百六十人を加えますから、全体で四千六百四十一人という代替措置の計画を持っておりますが、この兵庫教育大学につきましては、大学院生の三分の二を経験年数三年以上の現職教員の受け入れということで考えておりますので、その分は別枠として代替定数の措置をいたしております。その他の大学につきましては、いま申し上げました全体の研修等の定数の枠内で各県で運営していただくということでございますので、その枠内で実施可能な限りは同様な扱いで大学院に入学を志願することができるということになっておるわけでございます。
#23
○嶋崎委員 大学局長、もう一遍確認しますよ。大学局長は、前の委員会での審議の経過からして、この須田メモないし特別委員長のメモにありますように、既設の大学の大学院も現職教員の受け入れということについて積極的な提案をせよと言い、そしてするということをたびたび答弁してきました。入学試験を受けて既設の大学に入る人と、それから新構想の大学の教員養成の大学院に行く場合と、ここで研修の自由とそれから人事というもの、つまり教育行政に利用するために計画的人材養成をして教育委員会がピックアップしてしまう、そういうことをさせてはならぬ、ここで研修の自由という問題と大学院との関係というものがずいぶん長い議論が行われたわけです。
 大学局長は、いま御答弁がありましたように、平等に希望があって合格をすれば、既設の大学であろうが新構想であろうが入学は認める、現職、現給で認める、そういう考え方だということですね。そうしますと、初中局長、いまの考え方でいったら、現職でいわば既設の大学の大学院に希望して合格をした場合には、むしろそれに対してそれを認めた上で、あとは教育行政的な対処をすべきだということになると思うのですが、いかがですか。
#24
○三角政府委員 やはり現職教員でございますから、大学院で勉強しようという自発的な熱意と申しますか動機といいますか、当然それが基本的に大事でございますけれども、やはり全体の学校の経営とかそれから人事の方針、計画、そういったものが絡んでまいります。でございますから、そういう意味で先ほど申し上げましたように、市町村の教育委員会の同意、これは市町村が県の教育委員会と協議をいたしました上で受験についての同意をいたすということでございます。その同意が可能になるかどうかの一つの要素としては、その先生が大学院に行かれております間の教育現場における補充の措置というものが当然一つの要素でありますから、そのこととの兼ね合いが出てまいると思います。私どもとしましては、新構想の教育大学へ行きます場合も、あるいは既設の大学院に行きます場合も、同じような状況、条件で事柄が出てまいります場合には、それはできるだけ同じような扱いに持っていくように教育委員会の方で考えてもらいたい、こう思っておる次第でございます。
#25
○嶋崎委員 それはあいまいですね。教員養成大学のときには、受験も相当な数受けて落ちているのです。それを認めているんですよ。いま具体的にはぼくは申し上げませんが、その県では二人の人間が、新構想大学の兵庫教育大学には入れているのです。そこでたまたま起きたのが、既設の大学の大学院には合格したけれども、同じ扱いを受けていないのがあるのです。行政的な対応として配慮をすべきなんて、何か大変大ごとならいざ知らず、新構想大学の場合にはストレートに認め、なぜ既設の大学の大学院の入学の場合には認めないかという意味において、その対応について全国の教育委員会に対して文部省は指示すべきだと思いますが、いかがですか。
#26
○三角政府委員 具体のケースがどのような事情で、教育委員会がどういう詮議をし、判断をしたか、それはわかりませんので、私ども意見を申しにくいわけでございますが、やはりこれは、一つには現職の研修ではございますけれども、現職教員が職場を二年の間離れるということでございますから、全体の人事の一環でございますので、個々の事情を抜きにして一括してこれを裁くということはむずかしいだろうと思います。
#27
○嶋崎委員 それはおかしいな。大学局長、いまの初中局長の見解はそれでいいのですか。大学局長の立場から見てどうですか。
#28
○宮地政府委員 受け入れます大学といたしましては、大学院において現職教員が資質向上を図るということは、私どもとしては大変望ましいことだと考えております。ただ、教育委員会が具体的にどの教員をどう派遣するかという教育委員会自体の御判断というものはあろうかと思いますが、望ましいことは、もちろん現職のままで入学できるようにしていただくことが一番望ましいことであろうかと思います。
#29
○嶋崎委員 そうすると、既存の大学の大学院については、研修の自由というのは、新構想大学の場合と違って教育委員会における指示がなければ動けないということになるわけですか。その許可がなければ動けない、新構想大学の場合には合格した人間はそのまま行ける、これは差別になるじゃありませんか。
#30
○三角政府委員 いまお話になっております具体のケース、よくわかりませんけれども、これは要するに大学院で勉強するということでは同じことであるという趣旨をさっき申し上げたわけでございます。ですから、兵庫教育大学を受験します場合にも、市町村の教育委員会の同意を得て受験していただく。これは現にそこで働いている職員でございますから、その点ではほかの大学院の場合も同じでございます。
 ただ私どもとしては、さっき申し上げましたのは、新構想の教育大学につきましては、現職教員の研修ということを一つの目玉といいますか、そういうことで措置したわけでございますので、これもさっき申し上げましたように、代替職員の定数の枠を設けて措置しておりますから、その枠内で県全体としてはその他のいろいろなことも考慮勘案しまして同意を与えるということでございます。
 それから、一般の大学につきましても、代替定数は措置しておりますけれども、これはその他のいろいろな意味の長期の研修で措置しております中で県ないしは市町村が考えていただく、こういう取り扱い上の違いはございますけれども、精神の上では嶋崎委員おっしゃっておりますようなことで対応すべきものであろう、こう思いますが、個々の具体の事例につきましては、その先生の置かれている学校でございますとか、あるいはこれまでの勤務年数でございますとか、あるいはいろいろな意味で人事の全体の配慮というものの上で結論が出ることであろうと思います。これを一律に兵庫教育大学その他すべて申し出たら自由にさせろ、こういうわけにはまいらないであろう、こういうふうに思うのでございます。
#31
○嶋崎委員 これだけ議論しているわけにいきませんから、この問題はペンディングにしておきます。後のその他でやりますが、いまの説明では納得できません。須田学長、元の特別委員長が提案したものを文部省が了承した上でこの委員会でもずいぶん議論した結果、研修の自由というものと新構想大学に入るということが教育行政の手段と化してはならないということが大変議論になったわけでありますから、既設の大学の大学院に入学を希望して入った場合に、教員養成大学の場合と違った対応をしてはならないというふうに思いますので、今後の対処の仕方その他について、さらに委員会で詰めることにいたします。
 鳴門の教育大学が新構想だというのは、一口で言うとどういう意味ですか。
#32
○宮地政府委員 鳴門の教育大学につきましては、すでに御審議いただきまして発足をいたしております兵庫教育大学、上越教育大学とほぼ同じような考え方に基づいて設置をいたしておるものでございます。その際十分御審議をいただいたわけでございますけれども、現職教員の資質向上を図るというような考え方で、この鳴門教育大学の場合も大学院から先行して設置するわけでございますけれども、現職教員の受け入れ枠をほぼ三分の二程度確保するというようなことで、兵庫教育大学の場合と同じような対応で考えていくというような意味で新構想大学と私どもは理解しております。
#33
○嶋崎委員 前のここの委員会で、徳島大学の教育学部と、それから新構想の鳴門教育大学の関係について御質問をした際に、徳島大学教育学部が慎重な検討をしているので、今後その方針が決まり次第対応するという趣旨の局長の御発言だったと思いますが、徳島大学教育学部と今度発足する鳴門教育大学の関係は正常な関係にありますか。
#34
○宮地政府委員 徳島大学の教育学部との調整の問題は、この鳴門教育大学の場合には実は当初からいろいろとその点が問題点として議論がされてきたわけでございます。経緯はございますけれども、その後徳島大学教育学部としては、昨年五月でございますけれども、教育学部を新しい学部に発展的に改組をするという考え方を決めまして、その具体的な内容については引き続き検討が進められることになっているわけでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、昭和五十六年度予算におきましても、徳島大学からの要求に基づきまして、徳島大学教育学部のための学部等改革調査経費も計上いたしておるわけでございます。従来からその点は、前の国会の審議の際にもいろいろと御議論が出ておったわけでございますけれども、私どもとしては、御提案申し上げるところに至るまでいろいろと徳島大学教育学部側ともその点調整を十分図ってまいって、徳島大学教育学部におきましても、ただいまのような方針をとるに至りましたので、今回御提案申し上げることにしたわけでございます。
#35
○嶋崎委員 今度の鳴門の場合も、兵庫や上越と同じように大学院は現職教員の受け入れをやるわけですが、同時に、将来受け入れる学部の場合にも初等教育を中心にした専門的教師の育成に力点が置かれております。そうしますと、この鳴門教育大学の設立に当たって、徳島大学の教育学部での議論を踏まえつつこれが発足したとすれば、徳島大学の教育学部の中で初等教育に関係している教員は、鳴門教育大学との間に将来どのような、動くとか動かないとかというようなことはあり得るでしょうか、あり得ないでしょうか。
#36
○宮地政府委員 これは今後、大学側の具体的な検討を待つわけでございますけれども、基本的には小学校教員養成課程の先生方が移るということはあり得ることだと考えております。
#37
○嶋崎委員 そうしますと、四国には徳島大学、愛媛大学、高知大学その他の大学にそれぞれ教育学部がありますね、その徳島大学の教育学部の中の初等の教員専門の教師たちが鳴門に移るということになりますと、その可能性を含んでいるとしますと、徳島大学の教育学部には一貫した課程的な部分が、片方に小学校教員の専門課程としての新構想大学が動き出すわけですから、そこが手薄になるということから、教育学部の全体の課程にに問題を起こさないでしょうか。
#38
○宮地政府委員 先ほども御答弁申し上げたわけでございますが、徳島大学教育学部自体で将来改組を考えておるわけでございまして、具体的な中身は私どもとしてもまだ必ずしもつまびらかにしていないわけでございます。したがいまして、考え方としては、徳島大学教育学部が教育学部として残るのか、あるいはそれを母体とした新たな学部に発展的に改組をする、基本的には後者の考え方のように承っているわけでございます。したがいまして、そこのところは、なおこれから具体的に徳島大学教育学部の中での検討を待たなければならぬわけでございますが、昨年九月に教育学部改組特別委員会というものが組織されまして、さらに具体的な構想について検討を続けているというぐあいに伺っているわけでございます。徳島県の県内全体の事情、兵庫県とか新潟県というような大変大きな県と違いまして、教員の需給関係の全体でございますとか、そういうことも見まして、私どもとしては、徳島大学教育学部のそういう具体的な検討を待ちながら、鳴門教育大学の学部との関係を十分慎重に検討していきたいと考えております。幸い若干時間的な余裕もございますので、その点は十分慎重に検討をしていただいて、その点にしこりを残すことのないように対応していきたい、かように考えております。
#39
○嶋崎委員 徳島大学の場合は、教育学部を除きますと、ほかは理工系の学部ばかりですね、たしかそうだと思います。そうしますと、いまの大学局長の話だったら、その発展的改組という意味として、教育学部の主力が、極端なことを言えば主力が鳴門教育大学に移って、そして、その残る教官その他を含めて新たな文科系の学部を発足していくというような方向に発展していく可能性もあるのですか。
#40
○宮地政府委員 先ほども御答弁いたしましたように、その点は教育学部内でなお検討が進められている段階でございまして、ここで私としては、それがどういう方向になるか、その点は大学の中での検討を待ちたい、かように考えます。
 ただ御指摘のように、徳島大学の学部の構成そのものが教育学部、医学部、歯学部、薬学部、工学部、ほかに教養部というような形になっておる大学でございまして、これは一般的な状況ということでお聞き取りいただきたいわけでございますが、最近、地方の国立大学の整備充実ということでは、特に人文系について重点を置いた充実を図りたいという要望が出ていることは、全体的な傾向としては事実でございます。また、ただいまの徳島大学の学部構成というようなことも、その検討の過程では十分考えられる重要な要素になるというぐあいに考えます。
#41
○嶋崎委員 そうしますと、徳島大学の教育学部の教官が、これは事務職も含めてですけれども、将来、鳴門の教育大学などに移っていく場合に、当然、本人の希望や身分保障などを含めて、その点十分保障されるというふうに判断してよろしいですね。
#42
○宮地政府委員 もちろん、その点は慎重に対応しながら、本人の意向とかその他は十分尊重されるべきものと考えます。
#43
○嶋崎委員 かつて東京教育大学と筑波大学の関係は、これとよく似た構造を持っていたわけであります。東京教育大学の教授たちが筑波に移行するに当たってたくさんの問題を起こしたことは、当委員会で長い長い議論をいたしてまいりました。
 そこで、現に鳴門の教育大学が動き出しましたから、徳島大学の教育学部も、それへの対応に迫られていると思いますが、三年ほど前、もうちょっと前かもしれませんが、徳島大学の教育学部では、この新構想の大学には協力をしないという消極的な教授会決定があるということを聞いていますが、いかがですか。
#44
○宮地政府委員 御指摘のように五十三年当時、教育学部の中ではいろいろ御意見があったということは伺っております。
 なお、先ほど鳴門教育大学の教官構成のところでちょっと漏らしましたので、つけ加えて御説明いたしますと、鳴門教育大学での教官につきましては、原則的には、ほかの場合と同様でございますが、公募して審査をするということになるわけでございます。
#45
○嶋崎委員 まだ徳島大学の教育学部では、発展的な改組に向けて検討中でありますから、どういう方向に行くかをわれわれがここで決めたりするわけにもいきませんし、方向づけするわけではございませんが、かつて東京教育大学と筑波大学の間に起きたような問題が、徳島大学の教育学部と新構想大学との間に起きないように、十分なる慎重な配慮で対処をしていくことを要望いたします。
 いま一つは、仮に徳島大学の教育学部から鳴門の新構想大学に主力が移るというような事態の起きるようなことがあれば、いま全国の各地方の大学に文科系の学部などを充実させていくという方向が追求されておりますから、徳島大学にも、そのような方向に向かってのいわば方向づけがなされてしかるべきだと考えますけれども、その二つの問題について大臣はどう対処されますか、お聞きをいたしたいと思います。
#46
○田中(龍)国務大臣 ただいまるる拝聴いたしておりましたが、いままでの経過等から非常に問題のあることもよく承知いたしまして、今後、新構想の教育大学の問題につきまして円滑に処理ができますように指導もいたし、また努力もいたしてまいります。
#47
○嶋崎委員 鳴門教育大学も副学長と参与の制度をとりますか。
#48
○宮地政府委員 その予定にいたしております。
#49
○嶋崎委員 すでに発足をいたしましたから、兵庫教育大学にも副学長並びに参与の制度ができたと思いますが、参与は何名で、どういう階層の人を選出されているか、資料を提出していただきたいと思います。
#50
○宮地政府委員 御要望の資料は後ほど提出させていただきます。
#51
○嶋崎委員 兵庫は参与は何人ですか。
#52
○宮地政府委員 七名でございます。
#53
○嶋崎委員 与えられた時間が少ないものですから、項目だけ洗っていきます。
 次は、鹿屋の体育大学に行きます。鹿屋の体育大学は、これは新構想大学ですか。新構想大学と言えるのですか、どうですか。
#54
○宮地政府委員 御案内のとおり鹿屋の体育大学の創設に至るまでには、ただいま御議論もいただいております鳴門教育大学を含めまして、当初は新構想の教員大学・大学院の設置に関する調査というような形で発足をしたわけでございます。その後考え方としては、体育系の高等教育機関の設置が必要であるということが議論をされまして、五十三年、五十四年は新高等教育機関の設置調査、さらに体育系の高等教育機関の設置調査ということで今日まで調査が進められてきたわけでございます。そして、いわゆる社会体育の分野の指導者の養成をねらいといたしまして、大学づくりといたしましては、新しい構想の大学として設置しようとするものでございます。
#55
○嶋崎委員 この大学を設立するに当たりまして、創設準備に際しまして、体育系の新しい国立大学の構想に関する調査会がまとめた新体育大学の基本構想を発表しておりますね。それはいつですか。
#56
○宮地政府委員 新体育大学の基本構想は、昭和五十五年三月三十一日に体育系の新しい国立大学の構想に関する調査会から出されております。
#57
○嶋崎委員 その内容の要点を簡潔に述べてください。
#58
○宮地政府委員 先ほど申し上げたわけでございますが、設立の趣旨は、基本的には、今後の社会の高齢化というようなことにも対応いたしまして、また一方、国民全体の余暇も増加するというようなこととも相まちまして、全体的に体育・スポーツ、レクリエーションに対します欲求が大変高くなってきておるわけでございます。そういうような背景を踏まえまして、特に社会体育の指導者の養成が必要であるということが言われております。また一方、わが国の民族的遺産でございます武道を振興するというようなことも踏まえまして、社会体育の体育・スポーツ、レクリエーションに関する研究といいますか、それらの分野の実践的な指導者の養成を目的といたしまして、考え方といたしましては、体育・スポーツ課程、武道課程という二つの課程を置く体育大学をつくるというようなことが言われております。
 なお、具体的な教育内容としましては、先ほども申しましたように、特に実技の指導能力といいますか、幅広い応用能力を持った体育指導者の養成を図るというような考え方でございます。
#59
○嶋崎委員 局長は、一部分だけしか言っていませんけれども、この基本構想の特徴は、第一に、社会体育指導者の養成、第二番目は、民族的遺産であり、固有の文化である武道の指導者養成、三番目は、教員研究組織は、講座制などにとらわれない、柔軟で弾力性に富む組織形態としての大講座制、そして四番目には、海外との交流、それから管理運営については、筑波型の新構想型でいくという趣旨のことが、この全体の中を貫いた特徴であろうと思います。とにかく、これが昭和五十五年三月三十一白に出ているわけですね。
 新構想かどうか別として、体育系の大学をつくるという「体育大学」という言葉が、文部省の指示その他の中で最初に出たのはいつですか。
#60
○宮地政府委員 この鹿屋につきまして、体育系の高等教育機関設置の調査を始めましたのは、昭和五十四年度からでございます。ただ、国立の体育大学について検討すべきだということは、それ以前にも検討が行われておると伺っております。
#61
○嶋崎委員 国立の体育大学をつくるというのは、そんなに早くから文部省の指示文書の中にあったのですか。
#62
○宮地政府委員 昭和四十九年六月から国立体育大学の創設に関する調査研究が行われておりまして、五十一年十二月に報告が行われております。その報告と、この鹿児島県におきます鹿屋の体育大学の場合には、鹿児島県の地域的特性というようなことを考えまして、新たに鹿屋に体育系の大学としての設置調査をするということが行われたわけでございます。
#63
○嶋崎委員 教員養成大学の設置地区については、前に当委員会でも、全国四カ所の一つとして鹿児島が挙がっておりました。それが鹿屋の体育大学に変わったのはいつごろですか。
#64
○宮地政府委員 御案内のとおり、上越、兵庫、鳴門、鹿屋ということで新構想の教員養成大学の創設準備調査が行われておったわけでございますが、昭和五十三年度におきましては、新高等教育機関設置調査ということで、この鹿屋の場合には、鹿児島県におきます教員の需給関係というようなことも考えまして、必ずしも教員養成大学に限定しないで、新しい高等教育機関としては何が適当かということを検討することにいたしましたのが昭和五十三年度でございます。その後、昭和五十四年度になりまして、体育系の新高等教育機関の設置調査を行うことになったというのが従来の経緯でございます。
#65
○嶋崎委員 文部省、ここの大学は、体育・スポーツ課程の八十人の学生を入れるコースと武道課程の六十人のコースという特徴がありますが、体育・スポーツと武道は別ですか。なぜ別なのですか。
#66
○宮地政府委員 二つの課程を置いておるわけでございますが、武道は広い意味でスポーツの中に含まれるものと考えております。
#67
○嶋崎委員 「体育・スポーツ、レクリエーションの活動の高まり」云々とありますが、体育とスポーツとレクリエーション活動はどこがどう違うのか、どういうふうに理解したらいいのですか。
#68
○柳川(學)政府委員 お答え申し上げます。
 体育は、一般に身体的活動を通しまして心身の健全な発達を図ろうとする働き、つまり運動競技、体操その他の身体運動を手段とする教育と言えると思います。スポーツは一般には運動競技の意に使われておりますが、スポーツ振興法におきまして、運動競技その他の身体的運動で、心身の健全な発達に資するものをすべてスポーツと定義しております。そのように、スポーツにつきまして身体活動全般をとらえるというような広い動きが起こってきております。国連で体育・スポーツ国際憲章が制定されまして、体育・スポーツは、すべての人権を保障する問題であるという指摘がございますが、最近、体育・スポーツを対句で一体として使っておるという例が起こってきております。スポーツの中には、もとより屋外、屋内でのスポーツがございますし、また、それらはある面で学校体育としてのスポーツ、社会体育としてのスポーツという分野がございますが、同時に、もっぱら個人等の娯楽としてのスポーツというものも含まれておると思います。
 レクリエーションでございますが、レクリエーションは、一般に仕事から解放された余暇時間になされる自発的な活動というように言われておるわけでございます。このレクリエーションも、広い概念でございまして、この中には、具体にはスポーツ、また野外活動のようなもの、あるいは民族舞踊、ダンス等を含めました文化活動、これらを総称しておるというようにとらえるわけでございまして、私どもは、社会体育の分野における国民の身体的活動全般を意味するという意味で体育・スポーツ、レクリエーションという言葉を使っておるところでございます。
#69
○嶋崎委員 どうも聞いていてもよくわからないのですけれども、スポーツ振興法という法律は、競技、体育を含めてスポーツ的にとらえているようでもあるし、体育とスポーツというのは、普通、長い間の常識的な観念から言うと違うようでもあるし、よくわかりませんが、国民の要するに体育・スポーツ、レクリエーション活動などの要求に対して、新しい大学をつくって、それに特別にこたえようという意図が、この新しい体育大学と理解していいですか。
#70
○柳川(學)政府委員 基本的なねらいはそういうところにございます。
#71
○嶋崎委員 いままでそういう国民の体育・スポーツなどの諸要求に対して、文部省は、大学をつくる前に対処すべきことが多々あるのに、十分それに対処したと言えるのでしょうか。
#72
○柳川(學)政府委員 文部省に置かれます保健体育審議会で「体育・スポーツの普及振興に関する基本方策について」の御答申を四十七年にいただいておりますが、その答申の中で、広く社会体育分野あるいはスポーツの分野における指導者の養成、また、その資格につきましての明確化等につきましての御指示をいただいておるところでございます。これらに基づきまして、いまそれなりの調査研究を進めておるという段階でございます。
#73
○嶋崎委員 昭和四十七年のこの「体育・スポーツの普及振興に関する基本方策について」というのは、ぼくは非常にいい答申であったと思いますが、その答申と今度の体育大学とは結びつかないような気がしてならないわけであります。
 この答申の中には、いま問題になっている四週五休を含めて労働時間の短縮だとか余暇の利用などを考え、そういうものに対する国のもろもろの援助などを考えながら、国民のスポーツに対する権利みたいなものにこたえるための体制づくりということが答申されていると思います。ところが、今度の体育大学をつくるに当たりまして、体育・スポーツという課程に武道という課程が特別に起きてきたわけでありまして、この武道と体育・スポーツというように、武道だけがなぜ特別に体育・スポーツの外に起きなければならないのか、それがよくわからないのであります。
 そこで、文部省が武道について教育上の振興の推進を積極的に打ち出したのはいつですか。
#74
○柳川(學)政府委員 特に武道振興につきましての基本方策を立てたということではございませんが、五十四年度予算に当たりまして、わが国の学校教育で、中学生は柔道、剣道、相撲のうちから三者択一、高等学校は柔道、剣道のいずれか一つの二者択一ということで、必ず指導するようにいたしております。
 実態は、一つの中学校で柔道も剣道も相撲も店開きできているというような形にはなかなかいっておりませんで、それぞれが三分の一くらいの割合で一つの種目に限られておるというような実態もございます。
 その辺を、わが国の体育を語るときに、日本の体育としての中心に武道があるということは事実でございましょうし、また学校でこの面は格技ということでの必修の内容にいたしておるわけでございますので、これらをより実効あらしめるというたてまえをとりまして、従来、中学校、高等学校に施設といたしまして柔剣道場を整備するということを進めてまいりましたが、それ以上に指導者の確保、養成という面から学校の体育の先生にできる限り段位を取っていただくということで、段位付与講習会等も行い、また実際に、学校の先生でその学校には柔剣道、相撲の指導が必ずしもできないというような状態の場合は、地域の指導者の方々に応援をしていただくための謝金の措置を講ずる等のことを図ってまいりまして、当面、学校における格技指導の充実を期しておるということでございます。
#75
○嶋崎委員 文部省が柔剣道教育の推進について正規の指示をしたのは、七九年四月の「柔剣道教育推進のための施策の拡充について」という資料と理解してよろしいですか。
#76
○柳川(學)政府委員 これは文部省として当面の行政施策を進めるに当たっての内部資料としてまとめたものでございますが、これに基づきまして取り組んでおるところでございます。
#77
○嶋崎委員 その「柔剣道教育推進のための施策の拡充について」という資料を私の方に提出をいただきたいと思います。
 ぼくの調査だと、正確かどうかわかりませんが、七九年に柔剣道のいわば推進のための施策拡充について中学校、高等学校などに積極的な推進方の指示をし、予算的な措置も始めた、そのこととあくる年の八〇年には鹿屋体育大学に武道科というコースが大学の一つのコースとしてかなり重要な位置を占めて起きてきているということとは関係があるのですか、ないのですか。
#78
○柳川(學)政府委員 日本にぜひ国立の単科の体育大学を持ちたいということは、かねてからの関係者の要望でございますし、諸外国の例を見ましても、その面でぜひ国立体育大学の創設を期そうということで、体育関係者各方面からの要望を受けておったわけでございまして、必ずしも鹿屋の体育大学がこの武道振興と直接のつながりがあるということは言い切れないと思います。
#79
○嶋崎委員 どうも鹿屋体育大学の基本構想から見ますと、明確な新構想大学でありますし、その新構想大学にレクリエーションと武道というコースがなぜ特別に起きなければならないのか、そして、こういういわば国立の大学が必要なのかどうか、大変疑問を感じているわけでありますが、体育、スポーツのいわば学校教育における専門的な教師を養成するとともに、既設の大学の教育学部でそのような養成はできないのでしょうか。
#80
○宮地政府委員 たとえば具体的に既設の国立大学教育学部においてどうなっているか、まず現状を御説明申し上げたいと思いますが、既設の国立大学教育学部では、保健体育の教員養成課程が八大学設けられているわけでございます。もちろん、これらについては、武道課程の設置というようなことはございません。そこで、たとえば武道学科というようなものを置いております大学は、現在、私立大学で東海大学、日本体育大学、中京大学の三つに置かれているわけでございまして、国公立はいずれもないわけでございます。
 先ほど体育局長からも御答弁ございましたように、武道の愛好者が大変ふえておるというような現状でございますとか、専門的技術を身につけた指導者の養成が望まれるというようなこともございまして、私どもとしては、専門家による調査会において検討願いました結果、この武道課程を置くのが適当であろうということで御提案を申し上げておるわけでございます。
 それから、お尋ねの既存の教育学部で養成できるではないかという御指摘でございますけれども、やはり既存の教育学部の保健体育の教員養成課程というようなものも、どうしても基本は、学校の教員養成ということが一番ねらいの中心にあるわけでございまして、最初にも申しましたように、主として社会体育の指導者養成ということで単科の体育大学として御提案を申し上げておるわけでございます。
 入学定員全体も武道課程を含めまして百四十名ということでございまして、私どもとしては、今後、そういう社会体育の指導者の充実というようなことから考えましても、こういう体育大学の専門知識を身につけた者が積極的に社会体育の指導者としてこれから望まれてくることが大変多くなるということは、いろいろ社会体育施設の整備充実状況でございますとかそういうことを見ましても考えられるわけでございます。もちろん既存の教員養成の充実ということは、学校教員の養成という面で考えなければならぬ点でございますが、御提案申し上げております鹿屋の体育大学としては、そのようなねらいを込めたものでございます。私どもとしては、十分社会的な要請にこたえたものというぐあいに考えております。
#81
○嶋崎委員 もう一つテーマがありますから、あとまたわが党の委員から、それぞれについてさらに討議を深めていただこうと思います。
 最後に、国立共同利用機関に関連して御質問を申し上げます。
 今度の国立共同利用機関のうちの東京大学の宇宙科学研究所の問題でありますが、東京大学の宇宙航空研究所が昨年の九月に宇宙科学研究所の設置計画の概要を発表いたしております。
 いよいよ東京大学の宇宙航空研究所が制度的には外に出て共同利用研究所になるわけでありますが、国立学校設置法で言うところの共同利用研究所というのは大学ですか。
#82
○松浦(泰)政府委員 これは大学そのものではございませんが、国公私立を問わず、全国のそういう研究者が共同で利用しまして研究を進めるというものでございます。内容的には、大規模な施設、設備を設置し、あるいは特定分野についての資料等を組織的、網羅的に調査、収集するというようなことは、なかなか個々の大学ではできない面がございますので、こういうものが四十六年度から創設された次第でございます。
#83
○嶋崎委員 共同利用研究所の教官は確かに文部教官だと思います。ところが共同利用研究所は、学校教育法で言ういわば大学ではないわけでありますが、共同利用研究所をつくる際に教育公務員特例法との関係はどうなりますか。
#84
○松浦(泰)政府委員 教育公務員特例法との関係におきましては、先生御指摘のとおり、そこの研究者は、教授、助教授、助手というような身分を持っておるわけでございます。したがいまして、教育公務員特例法の中で共同利用機関の研究者にふさわしい条項につきまして、たとえば採用及び昇任の方法、それから休職の期間、勤務成績の評定、研修の機会、兼職及び他の事業等への従事に
 つきましては、これを準用いたしております。
#85
○嶋崎委員 では、共同利用研究所の教官の身分については、教特法を適用するということですね。
#86
○松浦(泰)政府委員 先ほど申し上げましたような条項を適用いたしておるのでございますが、実は共同利用機関の組織、運営の形態でございますが、所長あるいはその他機関の長のもとにおきまして評議員という組織がございます。これは当該機関の事業計画その他の管理運営に関する重要事項について当該機関の長に助言するというようなものでございます。そういうことで実際には国立大学の学長あるいは学界の大御所というような大所高所からの意見を長に助言するというような方が任命されております。
 それからもう一つは、運営協議員という組織がございます。これは多数の大学の研究者が利用するということでございますので、その共同研究計画その他機関の運営に関する重要事項につきまして機関の長の諮問に応ずるというような組織でございます。その運営協議員には、そういうような関係から、多数の大学等の研究機関の共同利用機関と同一の研究を行うような教員その他の方から任命されております。
 そういうことでございまして、運営協議員も諮問に応ずるというような機関でございますが、そういうことから通常の大学のようにその大学の先生が管理運営について全責任を負うというのと非常に立場が違う関係がございます。
 そういうことから、この共同利用機関発足の際に、どの規定を準用し、どの規定はこれに適切でないというようなことが検討されまして、先ほど申しましたような条項を準用いたしておりますが、たとえば転任の関係の規定、それから降任及び免職、任期及び停年、懲戒というような規定につきましては、これは文部大臣が直接責任を負って実施するというような体裁になっておるわけでございます。ただし、その運用におきましては、実際にはその機関の長の意見等を十分考慮しますし、また、その機関の長が内部の組織の運営協議員とか評議員の方々の意見を聞きながら判断をしましてこれを推薦してくるというような形でございますので、従来は問題の生じた事例はないような状況でございます。
#87
○嶋崎委員 しかし学術会議は、高エネルギー研究所をつくる際に勧告をしていますね、その勧告では、研究者の自主性尊重のため研究職員の身分を教育公務員とすべきだ、事実上教特法の全面適用、これをすべきだということを勧告しているのは御存じですか。
#88
○松浦(泰)政府委員 存じております。
#89
○嶋崎委員 確かに共同利用研究所、後での要望でも出てきますけれども、東大の宇宙航空研究所がこの共同利用研究所をつくるに当たって出した答申の中に、将来独立大学院構想並びに大学院受け入れを含めた道を開いてくれ、開くべきであるということを要請しております。だから、将来そういう大学院教育と積極的な関係を持った独立大学院構想になってくれば、これは大学という性格が明確になってきますね。
 ところが、共同利用研究所というのは、そういう意味で学校教育法で言うところの教授会がない。さっき言った所長に非常に権限が集中しているわけですね。それで、評議員会議は、事業計画、管理運営に関する重要事項について所長に助言をすることはできるし、運営協議員会議ですかの意見を徴した上でいろいろ所長の候補者を推薦したりすることはできますが、実際には評議員会は学校教育法上に言う大学の教授会とは違うわけですね。運営協議会と言われる機関も各種の専門委員会を集めた機関で、これもいわば学校教育法上で言うような大学の管理機関とは違うわけですね。
 そういう意味では、身分を保障した教育公務員特例法の第四条などは、大学管理機関という形をとっていないわけですから、そこが抜け落ちてしまうわけですね。そして所長に非常に権限が集中しているということから、高エネ研究発足に際しては、この共同利用研究所の民主化という問題について多くの提案が行われ、かなりの実績を上げていると私は見ております。岡崎の分子科学研究所というのは、そういう意味ではすんなりといっているように見えるし、高エネ研ほどそういう内部問題はなかったように思います。今度の宇宙科学研究所も、そういう意味で宇宙科学でありますだけに、ここの共同利用研究所というのは、国民に開かれたものでなければなりませんし、それから国際的な今日の科学技術研究の現状から見ても、かなり重要な役割りを持つ研究機関だと思います。
 そういう意味で、共同利用研究所のいわば教員の身分並びにそこの事務職員を含めて、特に教官の場合には、学術会議が勧告している教特法の適用というものを制度的にはしにくい仕組みになっておりますが、実質的には教特法の全面適用的な運営が可能になるような仕組みを検討する必要がないでしょうか。
#90
○松浦(泰)政府委員 先ほどちょっと申し上げましたが、実際の運用におきましては、学問研究の自由と申しますか、研究者の自主性を尊重するということは非常に大切なことでございますから、私どもも、その所長から推薦のあります場合に、部内でよく検討されたものが上がってまいりまして、それを尊重して任命等の行為を行うというように努力しておるところでございます。今後とも、その点は十分配慮してまいりたいと思っております。状況によりましては、なお先生御指摘のような検討もさらにしていきたいと考える次第でございます。
#91
○嶋崎委員 東京大学の内部でずいぶんいろいろな議論があったようでありまして、結論的には共同利用研究所の教官の身分について、教特法の実質的な意味での全面適用の運用をすべきであるという学術会議の勧告に基づいて対処すべきだという議論が大半、ほとんどそういう意見であろうと思います。それだけに、この共同利用研の教官の身分保障、教特法の適用などについて十分な配慮を、文部省学術局の当局としてもしていただきたいという要望を申し上げておきたいと思います。
 それに関連して、宇宙科学研究所の設置計画概要の一番最後に、宇宙科学研究所における大学院教育という問題をまとめまして、やはり人材を養成していくという際に共同利用研究所が大きな役割りを果たすべきだということから、独立の大学院組織を効果的に運用し得る基盤を現実に共同利用研究所は備えている、東京大学のいままでの経過は、独立の大学院組織を効果的に運用し得るだけの基盤を備えていると判断をした上で、将来は宇宙科学研究所に独立の大学院組織を持つことを検討している、そうなれば現行法規の改正を要請することになると考えているという意味で、大学院生というものを受け入れる独立大学院に将来発展さしていくことを積極的に希望していると読むのですが、また判断をするのですが、そういう方向に発展さしていく受け入れ体制はあるのですか。
#92
○宮地政府委員 御指摘のような点が課題としてあることは承知をしておりますが、これは相当基本的な問題にかかわる問題でございます。私どもとしても、慎重に対応いたしたい、かように考えております。
#93
○嶋崎委員 その問題がいまの大学の管理運営とも絡んできますから、そういう意味で東京大学の宇宙航空研究所が、この概要をまとめたときに、大学における管理運営と同じ実質的な教特法適用ができるような身分の安全というものが片一方にあり、同時に、人材養成という観点からも、現在まで東京大学の中で宇宙航空研究所が果たしてきた院生その他の養成の役割りというものをどういうふうにして継承していくかなどの二つの理由を含めて今後の検討課題が残っていると思われますので、大学側の意向ないしは共同利用研究所の意向が十分に反映するように対処していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 この東京大学の宇宙航空研究所が改組されて、二つに分かれまして東京大学に残る部分、残留組と共同利用研究所に出ていくグループとがありますが、それぞれの定員並びに定員外職員などについては、きちっとした対応がなされるようになっておりますでしょうか。
#94
○松浦(泰)政府委員 現在、宇宙航空研究所の定員は三百八十九人でございますが、そのうち新宇宙科学研究所に移行します定員は二百八十四人、それから東大の工学部の附属境界領域研究施設等に移行します者が百五名というふうに承知しております。
 これにつきましても、研究所内あるいは東大当局で非常に時間をかけまして検討されまして、移行につきましての問題はないというように聞いております。
 なお、定員外職員につきましての御質問ございましたが、その点ちょっと現在私も掌握していないのでございますが、実質上そういう支障がなく相談が行われておるというふうに考えております。
#95
○嶋崎委員 大学には定員外の職員があちこちたくさんおりますから、こういうふうに今度は大学の中から外に出ていく際に、現在まで実質的にいろいろな役割りを果たして仕事をしてきた定員外職員も含めて、きちっとした移行措置ができるように特別な配慮をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 定員外職員がおるということ自身は、定員化すべき人間、その仕事があるのにもかかわらず非定員になっているわけでありますから、そういう意味で移行措置に際して、きちっとした身分保障その他を、本人の意思に即してやるように対処していただきたいと思います。
 時間が来ましたので、最後に確認をしておきたいと思いますが、この宇宙科学ないしは宇宙の研究に関連して最初に宇宙審議会が総理府にできる際に、衆参両院で附帯決議が出ております。また同時に、科学技術庁の宇宙事業団法の成立に際して、また附帯決議が出ております。そういう附帯決議の中で、宇宙科学の研究というものに関連して原子力基本法の第二条で言っているような宇宙基本法的なものをつくるべきだということが附帯決議で言われておりますが、その経過と宇宙基本法をつくるかつくらないか。これはつまり民主、自主、公開、平和というこの基本原則に従ってわが国は宇宙研究というものを進めるべきだし、それにあわせて実用的な対応もすべきだという観点から、宇宙審議会発足並びに宇宙開発事業団発足などに際してつけられた附帯決議の精神が、現在、科技庁を中心にどのような対応になっているのかを最後にお聞きしたいと思います。
#96
○吉村説明員 お答え申し上げます。
 宇宙開発に関連いたしましたいろいろな法案を御審議いただきますときに、いまお話ございましたように、平和目的、民主、自主というような原則につきまして附帯決議をいただいておるわけでございます。これにつきましては、平和問題につきましては、宇宙開発事業団の仕事をやります場合の宇宙開発事業団法の中で、平和の目的に限るということは明確に書いてございます。それから、私どもが仕事をやっております基本となっております宇宙開発大綱におきましても、平和とか自主性というようなことは、当然の前提ということで中にもうたっておりますし、運用の段階でもそういうことを踏まえてやっております。
 それから、宇宙基本法をつくるべきだという附帯決議もいただいておるわけでございます。私どもも、鋭意検討はいたしておるわけでございますが、宇宙開発の進むべき方向というのがまだはっきり定まっていない過渡的な段階にあるということもございますし、一番端的に申し上げますと、宇宙の定義自体につきまして、国連の宇宙平和利用委員会等でいろいろ議論されておりますが、各国ともまだコンセンサスが得られる状態になっていないという状態でございまして、日本だけが宇宙の定義をはっきり決め、宇宙基本法をつくるということはいかがなものであろうかということで、私どもとしては、附帯決議を尊重すべきことは重々承知しておりますけれども、まだ機が熟していないという状況である。今後とも、附帯決議の精神は鋭意尊重いたしまして仕事を進めてまいりたいと思っております。
#97
○嶋崎委員 いまの説明で私もわかるのですが、原子力基本法二条で言う民主、自主、公開、平和という観点でわが国の宇宙開発その他が一方で行われて、宇宙開発事業団で実用的なロケットその他が打ち上げられている。今度、共同利用研究所を中心にしまして宇宙の科学ロケットその他の打ち上げが行われている。これは相互にかかわり合いを持って教官、研究者の交流も現実に行われ、会議その他にも参加しつつ共同で全体の体制ができているだけに、共同利用研究所というものが――自主、公開、民主、平和ですからね。ですから、そういう意味で、国民に開かれたという意味で共同利用研究所のあり方について、民主的なあり方というのはどうあるべきかということをめぐって高エネ研でもいろいろな議論があったと聞き及んでおりますので、それだけに、先ほど教特法との関連を問題にいたしましたが、共同利用研究所のあり方をいまのような形のままでいいのか、高エネ研などで検討されている問題も含めて今後とも共同利用研究所のあり方についてお互いに審議を深めたいとも思いますが、そういう経験などを総括していただいて、対処の仕方、共同利用研究所のあり方などについて今後とも検討を進めていただきたいということを御要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#98
○三ツ林委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十二分開議
#99
○三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。有島重武君。
#100
○有島委員 昭和五十六年の国立学校設置法の一部を改正する法律案、これについての審査をさせていただきます。
 幾つか項目がございますけれども、要点をしぼって、最初に教育大学の問題、それから体育大学の問題、三番目は国立歴史民俗博物館をめぐっての問題、こんなふうに問題をしぼりたいと存じます。
 そこで、最初に教育大学につきましてですけれども、先ほど来同僚委員の質問がございまして、大臣も、これを聞いておいでになって、以前からの経過、経緯というものをほぼ御承知であろうと思うのでございますけれども、私ども八十四回国会でもって審議をいたしました、いわゆる新構想の教員養成のための教育大学、このときに、新しい構想、これは大変評価できることがある、しかし、いままでの既設の大学における教員養成または現職教員の教育、この間の関係について、いろいろと危惧の念がありましたので、論議はそれに集中をいたしたわけであります。
 それで、先ほどの論議を聞いておりまして、私は、こういうふうに思うのです。新しい制度でございますから、新しく出発したものでございますから、その発足当初にいろいろ不十分な問題と申しますか、移行的な問題もたくさんあるのは当然であろう、ただ、現職の教員が、いわゆる内地留学というような言葉があるようでございますけれども、現職のままでもって大学に行く、あるいは大学院に行く、こうしたことについては、この新構想の大学、上越、兵庫、または今度できます鳴門の教育大学についても、あるいは既設の大学についても、これは同じ扱いをしていく、地元の教育委員会においても同じような扱いをしていく、そこに差別をつけないというその方向性だけは、ここでもって大臣に確認をしておきたいと思うわけであります。
#101
○田中(龍)国務大臣 御指摘のように、先ほど来この教育大学の問題につきまして、いままでの経過も詳細に拝聴いたしますと同時に、なかなか問題もたくさんあることをつくづく感じたわけでございますが、しかし、ただいま先生が御指摘のように、よりすぐれた教員の養成を図りますために今後なお一層の努力をしなければならない。このためには、新教育大学につきましては、それが所期の目的に沿うように充実を図ってまいりますことはもちろんでございますが、既設の教員養成大学の学部につきましても、各大学・学部の整備計画等との間をしんしゃくいたしながら、その間に差別ができないようにきめの細かい配慮をいたしまして、ぜひ、この目的に従いまして、りっぱな大学ができますように努力をしなければならぬと考えた次第でございます。
 どうぞよろしく御協力をお願いいたします。
#102
○有島委員 したがいまして、いま多少のそごのある実態があるようでありますが、その多少のそごがこのまま固定して慣例化していくのではなしに、解消していく方向、そういうふうに大臣としては御指導をいただきたい、このようにお願い申し上げますが、どうですか。
#103
○田中(龍)国務大臣 もちろん、改めて申すまでもなく、その方向に向かいまして努力をいたします。
#104
○有島委員 この現職教員の研修といいますか、資質、能力のための研究活動といいますか、これは幾種類かあろうかと思います。いろいろな形態があろうかと思うのでございますけれども、これをひとつ、概括的に挙げていただきたい。
#105
○三角政府委員 研修の形態はいろいろでございますけれども、文部省が各都道府県教育委員会に指導いたしまして施策としてやっておりますものについて、その形を申し上げますと、一つは、公立学校教員を対象といたしました研修会を、文部省が主催者となりましてみずから実施するものがございます。
 それからもう一つは、都道府県の教育委員会等が実施します各種研修に対しまして、これを国の側から助成をするという種類のものがございます。
 それから、第三の形としまして、公立学校教員が自発的に組織する教育研究団体の活動に対しまして国から財政的援助を行う、あるいは都道府県から行う、こういった形がございます。
 それから、第四といたしまして、各都道府県等におきます教員研修の企画や実施の中心的役割りを担いますところの教育センターなどの整備につきまして、これを国からも、その促進のために援助をする、こういう形がございます。
 それからもう一つは、先刻来御論議のございますいろいろな大学への内地留学あるいは県の教育研究所等への留学、こういった形があるというふうに思っております。
#106
○有島委員 いまのお話を聞いていても、期間の問題が一つありますね。一年ないし二年、長期的な問題があるわけです。それから、どういうねらいであるのか。教頭さんになるための研修もおありになりますね。そういうものもまじっておる。それから新しく先生になられた方々、そういった方々の研修もおありになりますね。対象者がだれであるかといったようなこと、それから、その研修をバックアップしていく主催者といいますか、もちろん、これは本人が望んでやることでございますけれども、その財政的な裏づけがどこからどういうルートで来ておるか、そういった三つくらいの要素を押さえられていた方がよろしいかと思うのですけれども、これはひとつ一覧表のようにして御提出いただければ、その方がよろしいのではないかと思うのですけれども、お願いできますか。
#107
○三角政府委員 ただいま有島委員おっしゃいましたように、別の角度から見ますと、研修の種類あるいはあり方として長期研修、長期研修と申しますと、やはり先ほど来御論議のある二年間というのは非常に長いものでございますが、中には一年あるいは半年、三カ月といったものもございます。それから中期の研修、これが大体一月から一月半くらいのところ、それから短期研修というのがいろいろあるわけでございます。
 それから、内容面で申し上げますと、ただいま御指摘のような新規採用職員研修もありますれば、あるいは幹部に対する研修もありますし、それから、たとえば一例として免許外教科担任教員の研修とかいろいろ種類がございます。そういったものにつきましては、資料がございますので、有島委員のお手元にお届けできると存じます。
#108
○有島委員 こういったことを承りたいと思いますのは、この前の教員大学ないしは教育大学の論争の前後あたりから、現職教員の研修というようなことについて非常にその重要性が認められた。これは四十七年の例の教養審の答申、報告というようなことが積み重なってきたわけでございますけれども、ワンステップとして新しい構想のこうした教員養成の大学というものができ初めた。今回はそのセカンドラウンドといいますか、そんなようなことになろうかと思うのですけれども、この間に他のといいますか、いろいろな形の現職教育というものが、その数においても質においても、どのくらい充実の方向に向かっておるかということを知りたいわけなんですね。
 それで、いまのように大体研修の種類に応じまして、それに参加されている人数とかあるいはそれに要する財政的な裏づけ、金額ですか、そういったことも含めて、皆さん方大変御努力をいただいていると思いますので、そういったことをひとつ御報告いただきたいのですけれども、できますでしょうか。
#109
○三角政府委員 資料でお届けしようと思っておりましたが、御質問でございますので概要を申し上げますと、まず第一に、新規採用教員等研修事業でございますが、これは補助事業として各都道府県に対しましていたしております。これは五十五年度におきましては、採用者として小中高、それから特殊教育諸学校合わせまして約四万七千人が対象になっております。これの内訳がございますが、一般研修というので年間十日間、それから授業研修でございますが、これは――失礼いたしました。新規採用教員等研修事業でございますので、一般研修は、いま申しました新規採用教員を対象に十日間、それから授業研修は、これまた幼小中高、特殊教育学校の新規採用教員を対象にやはり年間十日間いたしております。幼稚園は六日間ということになっております。
 それから次に、教職経験者研修、これは五十五年度約三万一千人を対象にやっておりますが、これは研修の機会の比較的少ない採用後五年程度の各学校の教員に対する研修でございまして、年間六日間でございます。これら三つの経費として五十六年度は、本年度と同額の二億四千百九十一万一千円を計上いたしてございます。
 それから、第二のカテゴリーといたしまして、先ほども申し上げました教育研究団体補助というのがございまして、これは教育研究団体の事業費に対する補助でございます。これはやはり五十五年度と同額の二億六千百三十八万八千円を明年度予算に計上いたしておる次第でございます。
 それから、第三の種類として教員の海外派遣事業がございまして、これは文部省の主催としていたしてございますが、五十五年度は約四千三百三十人を派遣した次第でございます。そして五十六年度の予算は、前年と同様に五千人派遣という形にいたしまして、十一億三千八百十二万二千円を計上しております。
 それから、先ほども出ました教育研究グループの奨励の補助でございますが、これは五十六年度は八千五百五十万円、前年度七千万円に対しまして、ここは充実をいたして、グループの数をふやした次第でございます。
 あと、先ほど申し上げました免許外教科担任教員研修事業、これが明年度二千万円強を計上いたします。
 それからもう一つは、先ほど委員おっしゃいました校長等の研修でございまして、これは校長、教頭等研修千人、それから中堅教員研修八百人、二つの事業を実施いたしまして、五十六年度は前年同額の千六百万円余を計上いたしております。
 それから最後に、英語担当教員研修、これは補助事業でございまして、やはり前年同額の七千五百二十三万二千円を計上いたしております。そして、これは海外派遣の経費でございまして、五十六年度に、米国並びに英国に半分ずつでございますが、両方で百十二名を派遣しよう、こういう計画にいたしてございます。
#110
○有島委員 ここでは時間がございませんので、私が聞きたいのは、五十三年と五十四年、五十五年、五十六年、こんなような感じでもって、あるいはその前ぐらいから、この四、五年の間にどういうふうに充実されつつあるのか、そういったことを、ここではなしに文書でもって御報告いただきたい、そういうことでございます。
#111
○三角政府委員 そのようにさせていただきます。
#112
○有島委員 そこで、現職教員の研修ということでございますけれども、学校を出て、学校からよその場所に行って研修する、これもそうでしょう。だけれども、一番大切なのは、新しい先生方にとっては学校そのものが一つの大変な自己研修の場所であるというふうにとらえてもよろしいわけでありまして、むしろいろいろなチャンスをつくってそこに研修にいかれるのは、自分の学校に戻ったときにその自分のやっている仕事がまた新しい意味を持ち、また、それが自分の資質、能力の向上につながってくる、こういうところに意味があるのではないかと思うわけです。確かに外に行って俗にいうチャージしてくるといいますか充電をしてくる、学校に来て、それを流してしまうのではなくて、たとえば一つの新しい方向性、新しい自己開発能力の糸口をもらってきてさらにやっていくということも、これは教育現場の正常の姿ではないかと思うわけです。
 そこで、そうなってきた場合に、校長の影響力ということは大切な問題ではなかろうかと思うわけです。
 ところで、これも大臣に確認だけさせておいていただきたいのですけれども、校長の持つ管理機能と教育機能、二つあるわけでございますけれども、現在、校長の本来的な教育機能というものが余り発揮されていないという実態があるようでございます。このことは大臣、御存じでありましょうか。そして、このことについてどのようにお考えになるか。
#113
○田中(龍)国務大臣 御質問の趣旨は、特に最近のようにいろいろ学校内の問題が多いときに、校長を中心として一体になりました組織というものの管理機能ということだろうと存じます。同時にまた、そのガバナビリティーと申しますか統括力という問題もあろうと思いますが、われわれは、その十全を期して、その前提のもとに今日の問題を処理しなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
#114
○有島委員 私が申し上げているのは、校内暴力というような問題とは離れて申し上げているのです。従来とも、校長先生が学校を管理していなければならぬという問題はございますね、しかし、教育ということについて、これは学校の中でも一番先輩でもありベテランであるはずですが、この校長先生がなかなか学校の中において本来の教育的な力、影響力を及ぼしにくいような実態になっておる、このことを大臣は御承知だろうかと申し上げているのです。
#115
○田中(龍)国務大臣 ただいまのお話は、校長先生がみんなから尊敬され、同時に、見識も持ち、そして、その感化力と申しますか統率力のもとに学校を運営していかなければならない、また特に、教育的な制度に対します教育効果を上げなきやならない、こういうことに対して、その実態はどうであるかおまえは知っているかという御質問であろうと思うのでありますが、そうではありませんか。有島先生の御質問の内容がちょっとはっきりくみとれないのですが……。
    〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕
#116
○有島委員 こういうことです。校長が持っております管理機能と、それから教育機能というようなことがあろうかと思うのです。それで、よく言われることですけれども、お子さん方がけがなどをなさる、そのときに校長先生が、これは学校の外だろうか内だろうかと真っ先に聞かなければならぬ、こういうことがあるわけです。どうしてかというと、学校の外で起こったことについてはそれほど責任を持たなくてもいい、学校の内で起こったことは自分の責任になる、こういうことがあるわけです。あるいはけがをした、事故を起こした、これは学校の帰る途中であるのか、一遍家に帰って、それからまた、その以後外出したときのことであろうか、そういうようなところに配慮が反射的に及ぶ、こういうようなことが報告されておりますね。それからまた、校長先生方にじきじきにいろいろお話を伺って、そういうようなことを私は聞いていたものだから、それで校長先生が、管理面、自分の責任ということ、そっちの方に、確かに教育的責任のうちに入るかもしれませんけれども、本来の教育的な配慮ということになかなか向かいにくい、したがって、現場の若い教員の方々の現場での資質、能力の向上ということに校長先生が直接力を尽くしていくというような状況に現在は余りないのだということについて大臣は御承知なんだろうか、こういうことを聞きたかったのです。
 いまの答弁だと余り御承知ないようでありますので、このことはひとつ御研究いただきたい。そして現職の教員の研修というふうな問題でございましても、その一番の足元のところ、これが欠けておりますと、どんなにいろいろな手だてを尽くしても一番肝心なところが抜けるということになるのではなかろうか、こういうことを申し上げたかったわけであります。いかがですか。
#117
○田中(龍)国務大臣 教育効果と申しますものは、結局学校の場合、また父兄の場合、一体となってかわいいお子さんの教育の十全を期さなければなりませんが、ただいまのように学校内に起きました事象である、あるいはまた学校内における校長先生の教育統括力というような問題に事欠ける点がありはしないかという問題、これはいろいろとあるとも存じますが、実態上の問題でなかなかむずかしい問題だろうと存じます。
 私の答えられません具体的な問題は、ひとつ政府委員からお答えさせます。よろしくお願いいたします。
#118
○有島委員 大臣御研究いただきたい、お願いしておきます。
 それで、次の問題に参ります。
 それは在学中の教員養成の問題です。現職の教員になる以前の教員を志している学生のときの教員養成課程におきましていつでも問題になりますのは、教育実習のことでございます。それで、教育実習についてもいろいろな論議がありました。あるいは報告のようなものもあったようであります。これに一つ二つ問題があるのですけれども、最初に、私がこの前提案いたしましたことで、俗に特殊教育と言われておるようでございますけれども、この心身障害者のクラスあるいは特殊学級と言うのですか、こうしたところに数週間、そこでもって研修をしてくる、これは教育実習というものの意味の中で大きな意味を持つのじゃないだろうかということを御提案申し上げた。これも三年前のときであったと思うのですけれども、それがその後どのように具体化されたのか、これを御報告いただきたい。
#119
○宮地政府委員 教職を志望いたします学生に対して、心身に障害を有する児童生徒についての理解を深めさせるということは、大変有意義なことでございます。そこで、教育実習にぜひそういう方向を積極的に取り入れるべきでないかというのが、先生の御意見ということで承っておるわけでございます。
 そこで、御指摘の点でございますが、日本教育大学協会におきましても、国立の教員養成大学・学部における教育実習のあり方といたしまして、そういうような教育実習の効果や方法等について検討をいただいているところでございます。
 それからまた、教育職員養成審議会の御意見も踏まえまして、実は本年度から一般の学校の教員となる場合におきましても、特殊教育諸学校におきます教育実習を行うことができるということにいたしまして、関係の大学や各都道府県教育委員会に対して指導をしているわけでございます。
 具体的にちょっと申し上げますと、小学校または幼稚園の教諭の普通免許状の授与を受ける場合の教育実習につきまして、従来は小学校でございますと普通学校での教育実習ということに限られておったのでございますが、特殊教育諸学校の小学部とか幼稚部において行う教育実習であっても差し支えないということにいたしております。また中学校または高等学校の普通免許状の授与の場合も、同様の扱いといたしまして、特殊教育諸学校の中学部及び高等部において行う教育実習であっても差し支えないということで具体的な通知を、教育実習の単位修得の取り扱いについて通知をいたしておるところでございます。
 ただ実際に、そういう教育実習を義務づけることはどうかというところまでの御意見かと思いますけれども、その点につきましては、具体的な受け入れ体制と申しますか、そういうようなところで必ずしもまだ現実が追いついていないということが言えるかと思いますので、私どもとしては、貴重な御意見ということで受けとめておりまして、そういう対応をしてきているというのが、今日までの状況でございます。
#120
○有島委員 提案申し上げたことは具体化していただいて、大変結構だと思っておりますけれども、この通知という書類が五十五年三月二十九日に出た。「教育実習の単位修得の取扱いについて」という養成課長の名前の通知ですね。これはまだ通知してから日がたってないせいかどうか知りませんけれども、私も心当たりの大学に幾つか伺ってみたのですけれども、余り御存じないようでありました。
 それから、この文言でございますけれども、いまのお答えの趣旨だと、かなり積極的な評価をしていらっしゃるようなお口ぶりでございますけれども、この文面は「特殊教育諸学校の小学部及び幼稚部において行う教育実習であっても差し支えないものとすること。」、非常に弱められたといいますか、消極的な印象を受ける通知であるように私は思いますし、それからまた、この通知が出ているにもかかわらず、この関係の大学長なり、そこの大学の教員養成の担当者の方々でも、御存じになっておらぬ方が相当いらっしゃいます。
 重ねてと言うとおかしいけれども、言いっ放しでないように、私も、言いっ放しでないようにまたチャンスがあったらば伺うことにいたしますので、これがどんなふうに進んでいくのか、今度また御報告をいただきたいと思います。
#121
○宮地政府委員 御趣旨を十分体しまして対応いたしたい、かように考えます。
#122
○有島委員 従来の形の教育実習の問題でございますけれども、受け入れ側が喜んで受け入れてくれないということがある。それで、受け入れ校に対するお礼金というのがあるそうですね、これはどのようになっていますか。
#123
○宮地政府委員 教育実習の委託校に対する謝金というものは計上をいたしております。
#124
○有島委員 金額はどのくらいでやっておるのですか。
#125
○宮地政府委員 教育実習委託についての謝金でございますけれども、五十五年度の予算では二億二百万円余りを計上いたしておりまして、学生一人一週当たり単価二千円ということになっております。
#126
○有島委員 これは金高でもってどうのこうのはかれるものじゃないと思いますけれども、これは一考を要するところではないかと思いますね。
 それから、実習期間が短いというような声が相当あるようです。教養審からの報告では、そのことをやかましく言っておるわけですけれども、これもどこかで踏み切らなければならないのじゃないか。特に私立大学なんかの場合はどうにも踏み切っていかなければならないのじゃないかというふうに、これもこの前のときに恐らく話題にも出ただろうと思うのです。いまの実態は、その当時と余り変わっておらぬと私は思いますけれども、何らか手をお打ちになってきたのか、あるいはこれから打つ気があるのか、これはどうでしょうか。
#127
○宮地政府委員 教育実習につきましては、従来からいろいろと議論をされているわけでございます。これは教育実習を含めまして、教員養成制度全般につきまして、中央教育審議会でございますとか教育職員養成審議会からも従来建議もいただいております。
    〔三塚委員長代理退席、委員長着席〕
私どもとしても、教員の資質向上のために具体的にとれる措置につきましては、従来から実現を図ってきておるわけでございます。
 御指摘の点は、一つは、目的大学でございます教員養成大学・学部におきます実習というのは、これは最低基準よりは相当充実した内容で実施をいたしておるわけでございますが、特に一般大学における教育実習につきまして、免許状取得者の数が大変多くて、実際の実習が必ずしも十分な姿で行われていないではないかという点についての御指摘が従来からあるわけでございます。
 私どもとしては、具体的には実習校を調整いたしたり、あるいは円滑に実施するために、たとえば教育実習につきましての地域連絡協議会を持ってもらって、その円滑な実施を図るということでございますとか、あるいは教育免許状を取得する人たちに対しまして、実際に教員となる人たちが受けられるというような形で、事前指導等も積極的に行うということでいろいろと対応をしておるわけでございます。
 ただ、教育実習期間の延長、単位数を増加させるという問題につきましては、一般大学につきましては、どうしてもその一般大学の学部の専門教育科目の単位に影響するというようなことなどもございまして、簡単に教育実習の単位をふやせばいいという扱いにするわけにもなかなかいかない点もございます。そういう点が、一般大学におきます教育実習の実施のあり方について、従来から問題点としていろいろと指摘されている点でございまして、これらの点については、教員の資質向上の観点から、教員養成制度全体の改善ということが言われているわけでございますが、私どもとしても、そういう観点から教育実習の問題にも取り組まなければならない課題と心得ているところでございます。
#128
○有島委員 教養審の中に専門委員会をおつくりになって、五十三年九月にそこからの報告が出ているが、この中に、一般大学の教育実習に対して、目的大学である専門の教員養成の大学には、いろいろな形でもって援助していくべきだというふうに言われております。ところが、専門大学で一番理想的にいっておられるような大学であっても、自分のところでもって精いっぱいであって、なかなかほかの学校にまでサービスしていくといいますか、何か力になっていく、援助していくところまで手が回りかねておるのが実態のようであります。
 こうしたことは言いっ放しでいいのか、これをどうにか打開していく道をさらにお考えになっておるのか、いま地域協議会というようなことがございましたけれども、私立大学の協議会もまだ発足したばかりで、本当に連絡も不十分なような状況らしいけれども、こういったことについては、余り政府が大学の問題について介入すべきではないという大きな原則がございますけれども、事、教員養成のような、みんな共通に困っておるのだ、もう助けを求めておるのだ、こういった問題については、やはり力をかしていかなければならないのじゃないだろうか、そういうふうに私は痛感するわけなんです。何らかの措置を考えておられるかどうか、重ねて聞きます。
#129
○宮地政府委員 先ほども御答弁申し上げた点でございますけれども、一般大学におきます教育実習の持っていき方をどうすればいいのか、その点については、教員養成制度全体の改善策とどう取り組んでいくかということも大変深く関連をしているわけでございます。
 現在行っております事柄としては、必ずしもその対応策が十分でないという御指摘、私どもとしても、その点は十分な対応になっていないということを十分承知いたしておりまして、制度面の改正ということに取り組まなければならない、具体的な検討、どう改善していくべきかということについて、制度改正を含めて考えなければならない課題と、かように考えているわけでございますが、ただ、問題点は十分意識しておるわけでございますけれども、具体に改善策を進めるとすれば現実の問題としてどういう難点があるかというようなことなど、検討を要する課題もまた多いわけでございます。それらについては積極的に取り組んで、教員養成の改善については今後十分検討いたしまして取り組みたい、かように考えております。
#130
○有島委員 大臣、いまの、ここでやっております鳴門教育大学の設置にかかわることについて、もう少し広げて大きな教員養成一般のことをお話になりましたけれども、そういったような問題がございますので、ひとつ積極的に御研究になり、具体的な措置に踏み切っていただきたい。お願いをしておきます。いかがですか。
#131
○田中(龍)国務大臣 先ほど来いろいろと先生のおっしゃいました中教審なり教養審の答申の趣旨、そういうふうなものを体しまして、今後ますます、具体的な現場のいろいろな問題も踏まえまして、きめの細かい指導をしてまいりたいと存じます。
#132
○有島委員 次に、体育大学につきまして、特に社会体育の分野に主眼を置くというようなことが御説明でございました。
 そこで、体育の扱いでございますけれども、学校における体育というのが必ずしも子供の健康ということに本当に結びついておるのかどうかというようなこと、これは基本的な問題もあります。
 そこで、学校における体育のよさといいますか、取り柄といいますか、それからもう一つ、社会体育と言われているもの、これの持っている特徴といいますか、こういったものについて明らかにしておいた方がよろしいかと思うわけです。
 文部省では、この点どのような認識を持っていらっしゃるか、まず伺っておきたいと思います。
#133
○柳川(學)政府委員 お答え申し上げます。
 学校体育におきましては、小学校、中学校、高等学校、それぞれの児童生徒の発達段階に即しまして、各種の運動の実践を経験させながら、運動技能の習得、それから運動に親しむ習慣の育成を目指して指導をいたしております。この体育指導を通しまして、児童生徒が在学している期間はもとよりでございますが、学校外におきましても、日常生活の中で運動を実践していくための基礎を育てる、そのことによりまして、生涯を通じて体育・スポーツに親しむという習慣の形成に資することをねらいといたしておるわけでございます。
 御指摘の社会体育につきましては、もとより、それぞれの人々が自己の生活、体力、年齢などに応じまして運動を実践することによって、健康でたくましい心身、また豊かで活力ある生活を築くのに大きな役割りを果たしていると思います。
 端的に申し上げまして、学校体育は、学校での計画的な指導のもとに発展的、系統的な学習を通して基礎、基本を身につけるわけでございますが、社会体育におきましては、自分の体、また好みに応じましたものの運動を通しまして、ともに心身の健全な発達に資していく、あるいは明るく活力ある社会の形成の基盤をなしておるというような役割りがあろうかと思います。
#134
○有島委員 先ほども話題に出ておりました柔道、剣道、相撲、こういった問題があるわけです。これを学校の体育の中に繰り込んでいくのがよいのか、あるいは地域に現在も柔道、剣道についてはいろいろな活動がございますが、こうしたものを積極的に学校の方で評価していくのがいいのか、これは私、むしろ社会体育にふさわしいというふうに個人的に思っています。と申しますのは、いま体育局長さんの方から社会体育よさを言われましたけれども、そのほかに柔道、剣道なんかの場合に、私、見ておりまして、相当御年配の方からいわゆる豆剣士と言おうか、本当にかわいらしい小さい子供も一緒になってやっているわけですね。そこに武道でございますので、長幼の序というものがあるわけです。町の小学校の講堂を道場に借りてやっているところもあるし、町道場のようなところもあるし、どこへ行っても、年齢が非常に各層にわたっている、その中に一つの鍛えがある。それから年少者であっても、必ずしも未熟であると言うわけにはまいらないとか、そういうような一つのコミュニティーというのですか、体育を通じての人間的なぶつかり合い、これが非常に貴重なものであろうと私は思います。
 私も、中学校のときには、武道は正課でありまして、それで正課として柔道をやりました。それから今度は、柔道部というのが部活動でやっていたわけですね。それで、正課でやったというのは、余り足しにならぬというか、とてもきらいな人もいるわけですし、学校に十分な設備があっていい先生がおられたからそれでもよかったけれども、武道を通じての何物かということになりますと、いろいろな年齢の人たちが切瑳琢磨していくというそこによさがあると思うわけです。
 そこで、社会体育としての武道あるいは武道に限らず、社会体育でもって相当成果を上げておられるところがあります。それで今後、小学校はここで言いませんけれども、中学校、高校などにおいて社会体育に参加しておる、このことを学校側でもって積極的に評価していくというようなことをお考えいただくわけにはいかぬだろうか、こういうことです。
#135
○柳川(學)政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、子供たちは、家庭で、学校で、地域で育っていくわけでございます。その中で、地域での子供たちの種々の活動の中で体育・スポーツの占める役割りが重要になってきたことは御指摘のとおりでございます。この面から私ども、いま体力づくりの指導資料の作成あるいは少年スポーツクラブの育成費助成等の措置を講じてまいってきておるところでございますし、また最近、むしろ社会体育の観点から実践されております国民体育大会あるいは日本選手権大会等への出場につきましては、これを学校において教育活動の延長線上の問題としてとらえていくというような指導もしてまいってきているところでございます。
 具体の問題でございますが、家庭、社会、学校が、それぞれの役割りを分担しながら青少年のたくましい育成を図っていくということが大事であると思いますし、また学校におきましては、具体には、教育活動の評価そのものに入れるわけではございませんが、子供たちの行動の特性を十分とらえていくというような面から、この面の評価を何らかの形で指導要録等にも記録にとどめるというような措置もなされておると存じます。
#136
○有島委員 大臣に申し上げておきます。
 こちらの趣旨は、ほぼおわかりいただけたと思うのですけれども、いまの受験勉強という厳しい一つの制限の中で体育が行われておる。それで、中学校の二年ぐらいから、本当に鍛えなければならぬとき、あるいは高校の二年ぐらいですね、本当に体を鍛えておきたいというときに、体育に関して非常に消極的になっていくという傾向がございます。受験のことなんか構わずにどんどん伸び伸びやっているような子供も相当いるわけですけれども、本当にこれでいいのかなと思うような、運動不足になっていくような実態というものがございます。
 それで、体育に対しての評価の仕方というものにもう少し重点を置かなければならない、重みをかけなければならない、これが一つです。
 それから、社会体育なんかでも、学校でやっているのじゃなくて、社会体育ということの範囲でかなり一生懸命やっている、それが受験勉強の中で負けてしまって、十分にできなくなってしまうというようなことをどうしたら防ぐことができるだろうかというとごろから、これはちょっと大胆な言い方かもしれませんけれども、いわゆる学習指導要録、こういうものの中に社会体育に参加してこのような成果を上げているということを記載していくというようなこと、こういったところまでひとつ踏み切るように検討を始めていただきたい、こういうお願いなのです、大臣。
#137
○田中(龍)国務大臣 ただいまのお話の中で、学校の体育だけでなく社会体育、特に剣道その他のような、町の道場なんかでやっておることが、このごろは存外普及いたしております。そういうことは、地域ぐるみの体育に対する関心として非常に結構なことだと思うのであります。そういうことのためにも、ただいま先生のおっしゃった、指導要領の中に体育をということもありますが、同時にまた、資質のすぐれた社会体育の指導者というものを養成していくということが、これまた非常に重要な問題であろうと思うのでありまして、ただいま御審議いただいております体育大学というようなものも、いまのりっぱな体育の指導者養成、体育を普及し発達させるセンターとなる優秀な指導者の養成、こういうことを心がけておる次第でございます。
 あとは局長の方からお答えをいたします。
#138
○柳川(學)政府委員 指導要録におきまして、児童生徒の全体的にとらえた特徴あるいは趣味、特技、また校外生活における顕著な行動、これらにつきまして所見欄に記載するように指導しておりまして、いま先生御指摘のスポーツクラブあるいは社会体育活動、レクリエーション活動等におきまして顕著な行動の事実があれば、そのことを所見欄に記載するという努力を学校でいたしております。
#139
○有島委員 従来やっておりますから大丈夫ですという言い方でなしに、これは積極的にそういった方向を進めていく、そういうことに相応じての体育大学の設置、指導者の養成、そういうことであってもらいたい。
 それでは、次にいきます。
 国立歴史民俗博物館をおつくりになる、これは私ども、大変有意義なことであろうというふうに期待をしたいと思っております。
 そこで、図書館とか博物館とかいう問題ですけれども、大体私ども公明党が文教政策の一番の基本のところに考えておりますのは、一生涯にわたる自主的な学習ということを基本に置こう、そのためにどんな制度があるか、どんなような手段があるか、生涯学習というものから見直した学校制度あるいは家庭、社会、こんなふうに物を考えてきたわけです。最近、中教審の方で生涯教育に対する見解といいますか報告が出たようでございますけれども、学校が確かに生涯教育の一つの柱である、だけれども、一つの重要な拠点として、今度は博物館とか図書館とか、こういうものを私たちは位置づけたい、こういうように思っているわけです。
 それで、最初に大臣、ちょっと承っておきたいのだが、生涯教育、生涯教育と言いますと、生涯教育されてしまうのではかなわないな、こういう印象で受ける方がまだおられる、これについてどう思いますか。
#140
○田中(龍)国務大臣 生涯教育という問題、特に今回の中教審の小委員会の資料等を拝見いたしましても、これは私が前からそういう気持ちがしておったのでありますが、言うならば、その人の人生における、教育という外から与えられる姿の表現だけでなく、自己修養、修養といいますか、自分で教養を高めていく、そういうふうな志向に対しての社会的な条件を国としては与えていかなければならない、そういうことから、私は、今度の中教審の小委員会の生涯教育に対するあの答申は、非常にりっぱな答申だと考えております。同時にまた、教育という言葉が、何でも外から押しつけて与えていくというのではなく、むしろ自己啓発といいますか、そういうことで非常にりっぱなものだという気が私はいたします。
#141
○有島委員 にもかかわらず、そんな生涯教育されてはかなわないというような気持ちで受け取る方はかなり多いわけです。私たち十数年前からそういった言葉、生涯学習とか生涯教育という言葉は使っていました。まだ世の中一般に使われていないときだったから、よけいそういった反発がございました。ただ今日、中教審なんかが、こんなに新聞で大きな活字でこういうように発表されたのだから、もうそんなような誤解はないのだろうなと思っていたのですけれども、それが意外にまだそういうような、何か受け太刀のような形で受け取っている方がいらっしゃるわけですね。それで、どういうことなんだろうかとぼくも不思議と言えば不思議なんですけれども、やはり教育と言われるとすぐ学校を思うわけです。学校というと点数を思うわけです。そして、そこは自主的、創造的な意欲とかなんとかいうことを、文部大臣はいつも、毎年おっしゃるわけなんですけれども、校長さんもそう言うわけなんですけれども、あるいは先生方もそのつもりでいるわけなんですけれども、親御さんもそのつもりでいるわけなんですけれども、しかし、自主性ということが余り発揮できない。むしろその芽が摘まれていくような実態が学校教育の中には多々ある。これはやはり認めておかなければいけないと思いますね。そういう目に遭ってきた人たちが、これ以上教育というのはもうごめんだ、学校は終わったのだから勘弁してくれ、こういうふうなこともあるわけです。
 大臣が最後におっしゃいました自発的な学習意欲、生涯教育というものは、裏返しに言えば、一人一人の学習意欲、これに支えられてくるというわけでありますから、この学習意欲を強めていく、その方向に今後の学校教育も機能していくということがますます大切なんでしょうね。そういった時代になっているかと思います。
 それで、今後二十年先に日本の国はどうなるかという調査を文部省の方はやっていらっしゃるというお話だけれども、いわゆるデルファイ法とかなんとかというのでやっていらっしゃるそうでございますけれども、その中で、この生涯教育ないしはそこにおける一つのかなめと思われます図書館、博物館、こういったことについての重みというようなことについて御報告いただけますでしょうか。
#142
○宮野説明員 お答え申し上げます。
 いま先生の御指摘になりました、今後の生涯教育に関するデルファイ調査というものを文部省の官房企画室でやらしていただきましたが、いまからおよそ二十年後に予測される世の中の状況と生涯教育について、有識者五百人の御意見をお伺いしたわけでございます。その中では、やはり生涯教育という考え方が今後ますます強まっていくべきであるという御意見でございましたし、いま先生の御指摘になりました図書館、博物館のような自発的学習の場がもっと重視されるべきである、あるいは活用されるべきであるということについての御質問をいたしましたところ、いままで以上に活用されるべきものであり、特にそのいろいろな教育手段の中で、この質問についての答えとしては、最も活用されているべきはずのものが、二十年後にはテレビ、ラジオ放送がまず第一である、その次に図書館、博物館等の施設の充実、刷新、それが活用されていくべきものであるというような御指摘になっております。
 以上でございます。
#143
○有島委員 いまから十年前の昭和四十五年に、私ども図書館政策というのを発表いたしましたが、そのころの状況を考えますと、図書館というものは、何か本をしまっておく厳かなる場所であると言うのです。そういう感じの図書館が多かったのです。これをもっと開放的な、その場でもって物が考えられるような、あるいは積極的に情報を提供できるような情報センターというような機能を与えていくべきじゃないかというような声がその当時から出ておりました。
 それで、私たちのサブタイトルに「国民文化の振興の拠点としての図書館活動の推進」というようなことでもって、こういった政策を掲げて、各地方一緒になってこれを推進してまいったわけですけれども、当時、全国に三千三百七十六ですか、地方公共団体がございまして、このうち図書館を設置しておるのは、六百団体という状況でございました。これは人口二万人以上の市町村については、もう義務制として設置してもらいたいというようなことを申し上げたことがあった。それから今度は、一つ一つの図書館については、開架式というのですか、大学の図書館でも入っていくと、どんどん自分でもって本屋さんみたいに立ち読みができる、それでまた、その場から借りることができる、こういうふうにしなさい。素人の人たちといいますか町の人たちは、一々カード式と
 いうのは、とても抵抗があっていけない。それからもう一つは、勤労者が夕方から行こうと思っても、夕方には図書館は閉まってしまう、これではしようがないじゃないかというようなこと。あるいは視聴覚教材、盲の方々のための点字の問題、こういったものもそろえていったらどうか。それからもう一つは、図書館と図書館との間でもっと連絡網を密にして、それでお互いに助け合っていったらいいのではないかというようなことを言ったわけです。
 この十年間、大分変わってきたのじゃないかと思うのですけれども、この十年間の図書館の変わり方について、まず御報告をいただきたいと思います。
#144
○高石政府委員 お答えいたします。
 まず、図書館の設置状況でございますが、昭和四十三年におきましては、全体で、都道府県、市町村を含めまして八百二十五館でございました。十年後の昭和五十三年度におきましては、千二百館ということで、図書館の数は、この十年間確実にふえ続けてきているわけでございます。
 そこで、生涯教育の重要な拠点としての図書館の機能、これは単独の図書館だけではなくして、公民館に図書館的な機能を持たせるということも含めて考えていくことが必要であろうと思います。
 したがいまして、今後の対応といたしましては、適正規模における図書館の整備と、それから末端の市町村においては、公民館の機能の中で図書館的な機能を整備していくという両面から、御指摘のような国民の学習意欲に対応していくことが必要であろうと思っております。
#145
○有島委員 当時は、図書館の総数も少なかったけれども、蔵書数も大変少なかったようです。それから利用率というのが大変低かったように思うのです。アメリカやイギリスの場合ですと、蔵書の二倍ないしは四倍くらい年間の借り出しがあった。日本の場合には多分一〇%までいかなかったのではないだろうかというふうに記憶しているわけですけれども、この点はどうですか。
#146
○高石政府委員 図書の蔵書数も、これは昭和五十年と五十三年の比較で申し上げますと、かなりの数がふえておりまして、昭和五十年度は一館当たり三万九千二百冊、それが昭和五十三年度は四万五千三百冊、これは一館当たりの平均でございます。それから図書の貸し出し冊数も年々ふえておりまして、現在一館当たり、これも全国平均で申しますと、約七万冊が借り出しをされているという状況で、図書の蔵書数、それから貸し出しの冊数、これはいずれも毎年ふえ続けてきているわけでございます。
#147
○有島委員 そこで、今度は博物館の方でございますけれども、博物館の方は今後の問題に属するかとも存じますけれども、日本における博物館、これは一口に博物館と言っても、いろいろの種類のものがあるようでございますけれども、これはどのくらいあるのか、十年間でどのくらい伸びてきたのか、これについて御報告をいただきたい。
#148
○高石政府委員 お答え申し上げます。
 博物館は、昭和五十三年度で申し上げますと、まず総合博物館、人文系、科学系、そういうものを含めました総合博物館が全体で七十五、これは四十三年当時に比較いたしますと、五十五館から七十五館にふえております。
 種類で申し上げますと、科学博物館、歴史博物館、美術館、屋外博物館、動物園、植物園、動植物園、水族館という、博物館の中にも非常に多種多様なものがございまして、それらのものの中で主として科学博物館、歴史博物館、美術館というものが、四十三年と五十五年の比較で申し上げますとふえているわけでございます。
#149
○有島委員 そこで、今度新しく国立博物館をつくることになるわけでございますが、つくろうという法案ですけれども、現在までの博物館のあり方と、それから今後の博物館のあり方、いろいろな検討がなされておるのじゃないかと思います。さっきの図書館につきましても、一応そういったところまで来た、じゃ、これからの図書館は一体どのようになくちゃならないのだろうか、こういった検討もまたされなきやならない、また、されておられるのじゃないかと思うのですけれども、その見通しはどうですか。
#150
○高石政府委員 図書館につきましては、先ほどの御意見にもありましたように、単に図書館に行って本を借りて読むというだけではなくして、図書館の持っている情報機能がもっと広く活用されなければならない、また図書館とか博物館における利用の場でいろいろな研究、討議が進められる、こういうような開かれた形での図書館、博物館の運営が必要であろうと思いますし、各都道府県市町村では、そういう方向への運営に努力を重ねているところでございます。
 博物館につきましても、同様でございまして、博物館の古い資料を整備していくだけではなくして、時代に対応できるように展示品等も随時整備していくということが必要でございますし、博物館の持っている機能を利用いたしまして、科学であるとかそれから歴史であるとかという点についてのいろいろな研究の場にも利用されることが必要であろうと思っております。
#151
○有島委員 最近、幾つか博物館、図書館を見て回ってきました。それで昔は、博物館に行くと何が飾ってあるのかと思って見ていたのですけれども、このごろは来ている人がどんな顔をしているのか、そればかり見て歩いているのです。
 それで、まず図書館の方から言いましょう。図書館は大変なごやかな感じでもってやっていました。私が一番感心したのは、そういうことだったのです。女子高校生だけの部屋がある、こういう図書館があった。これは大変すぐれたことだなと思う。おしゃべりしている人のは別建てになっているんですね。そこに来て持ち込みの勉強もしているけれども、やはり相当借り出している。といいますのは、図書館ないし博物館が、そこで勉強もするけれども、もっとむだなスペースがあって、それが一つのコミニュティーの場所、そこから何か出てくるような、そういうことが今後の問題として必要なのじゃないだろうか。いまは本も多くなったことだし、スペースは大変狭くなってきております、ですから、むだなところが少ないわけですね。これからはむだなスペース、これはぜいたくみたいなものなんだけれども、それが相当要求されるのじゃないだろうか、これが一つです。
 といたしますと、増設だとか改築だとかいうこと、これに補助を出さなければならぬ。いま補助金をどうやって削るかという第二臨調の報道が大変出ているところでもってこんなことを言うのは、おかしいみたいだけれども、二十年先、三十年先の話をいまこれからやっていくということでございますから、当面の財政理由というようなことはひとまず別に置いておいて、どうしても考えていった方がいい問題だろうと思います。
 もう一つは、博物館なんかに行きますと人がどんどん来る。ねらいをつけてきた人は、かなり克明に物を見ていることがある。だけれども、集団的に見学に来た学生さん、これが年間入館者の半分以上を占めるわけでございますけれども、これはほとんどすっすっすっと、余り見ておりませんね。それでも行ってきたということは意味があるのでしょう。そこで博物館の展示にしても、展示にも問題があるけれども、あるいは説明にもいろいろ問題があるでしょう、あるいはボタンを押して見るということもいろいろあるでしょう、しかし博物館に、博物館で陳列してあるもののそばに、それに対する単行本といいますか、それの関連の本が置いてあれば、きっとみんな手にとって見るのじゃないか、こういうことを思いました。
 科学博物館なんかでも、たとえばアインシュタインの写真があったりピエール・キュリーがある、それに何がしか解説がちょっとあって、それで彼女が何をやった、彼はどんなことをやったということはあるわけだけれども、そんなことは教科書で知っているような話なんだけれども、そこに専門書に近いようなもの、あるいは子供向けのものでもいいのですが、何冊かのそれに関連する本があったらどんなものだろうかなということを思いました。恐らく手あかがいっぱいになるでしょう、ある場合には盗まれることもあるでしょう。そこでもう一つは、あの博物館なり図書館の出口のところに普通の一般書店があったらどんなものであろう、きっと売れるのじゃないかと思うのです。
 それで、図書館に普通の本屋さんないしは古本屋さん、こういうものを併設してはいけないといった決まりはございませんね。これだけちょっと聞いておきます。
#152
○高石政府委員 法律上は特にそういう禁止の法律はないようでございますけれども、ただ、図書館にいたしましても、博物館にいたしましても、公園であるとかそういう公共的な施設の中で環境整備とあわせていろんなことをやっていくということから、そういう民間の企業の書店をそういうところに置くことができるかどうかという問題が一つ。もう一つは、そういう特定の業者の利益につながるような整備が妥当かどうかということが検討されなければならないと思っております。
#153
○有島委員 食堂はあるんですよ。喫茶店もあるのです。ですから、これは図書館には例がないので外国の例を御研究いただきたいのです。
 きっとこれからの図書館は、冊数がこれ以上どんどんふえても困るということはあります。それから新刊書ですけれども、大きな中央図書館よりも、むしろ小さい図書館でいまどんどんふえております。そして住民からのいろいろなアンケートが入ってまいりますね、そうすると新聞広告に出たような新刊書、あれを読みたいというのでたくさん注文が来るわけです。そういたしますと、それに応じてそれは買わなければならぬですね、それで買ってくるのはいいが、それを貸し出すまでには、ラベルを張ったりいろいろ番号もくっつけたりするから、ちょっと日にちがおくれますね。それでもいいのですけれども、それがはやりすたりがあるものですから、ひどいのは同じ本を十二冊も十六冊も買わなければならぬようなことになるわけです、アンケートに応じてやると。そうするとそれが古くなってしまう、ほとんど使われないようなことになってしまうといったようなことがいまでもあるようです。
 そればかりではありませんけれども、新刊書としてどんどん買っていっていいもの、それから、これは図書館でなければ困るもの、こういうものが多少整理されていってもいいのじゃないのだろうか。いままでは図書館同士でもって、これは中央図書館としてがっちり押さえておくもの、これはしわや何か多少あっても小さい図書館の方に連絡をとりながら出しておくもの、あるいは移動図書館でもって持ち回りするようなもの、こういうのもあったわけですけれども、もう一つ、せっかくああいった場所に行って、その気になって何か一つの勉強をしていくという雰囲気になっているそのときに、外縁部に普通の本屋がある、あるいはそこに古本屋さんもあるということになりますと、ずいぶんまた変わってくるのじゃないだろうか、こう思います。これは博物館についても同じようなことです。
 もう時間が来てしまったから、あれですけれども、最後に博物館の問題ですが、博物館協会からいろいろな要望が出ていると思います。これは国立博物館に対する税制の優遇措置ですが、公立、私立の博物館に対しては大分差別がある。特に個人が自分の所蔵品を寄付しようとするような場合に、国立は免税になるけれども、公立、私立は免税にならぬというようなことがあります。これはせめていわゆる登録博物館、登録されている博物館ということは、これはもう公共的なものであるというふうに認めるわけですから、税制の方でもこれを考えていかなければならない、私もそう思っています。
 それから、さっきちょっと言いましたけれども、新しく建てる場合には相当補助があるけれども、これからの問題としては、十年、二十年のスパンでいいですけれども、これはどうしても増設し、改造しなければならないような問題が起こってくる、将来のために機能する図書館、博物館のためにはそういうことが起こってくる。このことにひとつ踏み出さなければいけないときが来ていると思います。
 最後に、この前ちょっと口にいたしましたけれども、教育博物館というのが、昔、明治時代にあったのだ、こういったものについて研究していってくれないか、検討していってくれないかということを申しましたけれども、この前は何か御存じなかったらしいけれども、多少調査もしていらっしゃるようでございますので、そのことも最後につけ加えて、質問を終わることにいたします。
#154
○内海説明員 税制上の問題についてお答え申し上げます。
 ただいまの有島委員の御指摘は、国公立あるいは私立の博物館の間に、寄付をした場合の税制上の取り扱いが不公平だという御指摘だと思います。
 それで、現在の制度は、国公立に寄付をした場合には、いわゆるみなし譲渡所得課税をしておりません。それから私立の場合でも、特定の条件、すなわち、民法法人あるいは宗教法人でありまして、公益に著しく寄与するもの、あるいはその特定の寄付をする人と博物館の理事者との間に特殊な関係がないことという条件を付しまして、そういうところは譲渡所得課税をしないことにしておるわけです。
 もし、そういう条件をとっ外すとどういうことになるかといいますと、たとえばある実業家の方が生きておられる間に美術品を大変集められまして、それで本当なら、その方が亡くなると相続税が膨大にかかるわけですけれども、たとえば何々コレクション博物館というようなその方の名前を冠したような博物館をつくられ、そこに未亡人の方が理事長になられ、長男の方が副理事長になられというようなことになりますと、相続税を不当に軽減させることになりますので、まさか先生は、そういうことをおっしゃろうということではないのだろうと思いますが、そういうことについては、税制上きっちりとしたセーフガードを設ける必要があるわけでございます。そういう趣旨から現在のような措置になっているということを御理解いただきたいと思うわけです。
#155
○松浦(泰)政府委員 有島先生から先般御質問ございましてから、社会教育局ともいろいろ話したりいたしておりますが、御審議をいただいております国立歴史民俗博物館あるいは国立民族学博物館といいますのは、史料等を備えて展示いたしますとともに、その館で研究者が研究いたし、同時に、国公私立等の大学の研究者が共同で利用しながらその研究を進めていくというようなものでございます。先生の教育博物館というものを、これとの関係でどのように把握していくか。また、前回御指摘ございましたが、国立教育研究所は蔵書総数が約三十万冊ございますけれども、そのうち教科書が七万八千冊、その他戦後教育資料等、相当膨大なものを持っております。ただ教育研究所は、現在の使命は主としまして行政に役立つ調査研究をしていただいておるというような特色があるわけでございますが、大学の先生方が自分の専門分野について自由に研究されていくような一般的な形での共同利用機関というものとの関連はどう考えていくかというようなむずかしい問題がいろいろございまして、私ども、今後さらに慎重に検討していきたいと考えておる次第でございます。
#156
○有島委員 それでは、やや不十分な問題はまたのチャンスにお願いしまして、以上をもって終わります。
#157
○三ツ林委員長 中野寛成君。
#158
○中野(寛)委員 私も、文教委員の席にしばらくおりました関係で、国立学校設置法につきましては、幾たびか審議をしてきたわけであります。そして最近のその多くの内容は、国立大学に医学部を設置するとかいうふうに、いわゆる無医大県の解消が中心になって努力をしてこられたいきさつがあるわけであります。それだけに今日、その目的を達成したいま、果たしてそれが十分な運営のもとに国民に対して正しく運用され、そしてまた役立っているか、このことは、私どもにとって重大な関心事であります。このことについてお伺いをしたいと思います。
 さて、最近、巨額脱税の医師を逮捕したとか、または病院を調査したとかいうふうな記事が新聞等でほとんど毎日のように踊っているわけであります。また同時に、富士見産婦人科病院であるとか京都の十全会、そして神戸の近藤病院というふうに次々に病院の乱診乱療、そして、まさに金の中にどっぷりとつかり込んだような姿が報道をされるわけであります。また一方では、医科歯科系の私立の大学の不正入試や裏口の問題等が報道をされ、そして国民の大きな怒りを買っているわけであります。
 そういう中で、しかし、それでは民間の病院が、または私立の大学だけがそういう実態なのかということで、国立大学または国立病院に目を転じてみると、私立や民間の病院、大学に比較して決してまさるとも劣らない、あきれた実態が次々と浮かび上がってくるわけであります。大学や大学病院を中心にしてその実態を見るにつけても、結局のところ医療の荒廃は、むしろその大学や医局の中から医師とともに生まれ出てきているのではないだろうか、このようにさえ思わざるを得ない実態があるわけであります。
 すなわち、大学や大学病院から一般病院や診療所へ派遣医と称する医師のアルバイトが行われ、そして、そのアルバイト医師に多額の給与が払われる。それは大学の、または大学病院の勤務時間中に行われているにもかかわらず、一方の本務の方では賃金カットも何もされないという実態、そしてまた、そういうものを派遣してもらうために、教授や医局にリベートが支払われる、また一方、患者や家族からは、国立大学病院に入院をしておっても、入院や手術に多額な謝礼が要求されるという実態、また医薬品メーカーや医療機器メーカーから、多額の寄付やリベートが支払われて、その使い道がわからない、薬もまた持ち込まれると、それが横流しされて、現金問屋へ持っていかれる、こういう実態、これを私たちはしっかりと見据えて是正していかない限り、医療の改革、改善はなされないと思います。
 最近よく言われるのです。先生と呼ばれる種類の人たちの中で、三つの種類の人たちが、いまの社会で最も大きなひんしゅくを買っていると言われます。その先生と呼ばれる者の代表の一つが政治家であります。政治を清潔に立て直していくこと、政治家の倫理、モラル、これが第一に問われています。二番目が学校の先生です。現在の校内暴力やその他の実態を見るにつけても、学校の先生がもっとしっかりしておったらという、この声が次々に聞かれます。三番目はお医者さんであります。いまさら申し上げるまでもなく、先ほどるる申し上げた実態が次々に露呈をいたしております。
 そういう中で、大学病院ということになりますと、学校の先生とお医者さんを兼ねているわけであります。いいことを兼ねているのなら結構ですが、悪いことを兼ねているということになりますと、よっぽどひどいということになってしまいます。そういう実態の中で、幾つかの事例を挙げながら、お尋ねをしていきたいと思います。
 まず、大学病院等へ入院し、また手術を受けるというふうな場合の患者や家族からの謝礼の問題であります。
 この問題を質問しようと思い立ってから、何人かの同僚議員にこの話をしました。そうすると、私が問うまでもなく向こうから、国立大学の病院に入院したら、手術をするので一流教授に頼もうと思ったら百万は要るよ、多くの同僚議員が平気な顔をして言っておりました。国民の代表として、こういう実態をしっかりと監視し、批判していかなければならない者にまで、そういう実態がそのまましみ込まされているのかと思えば、大変恐ろしい気がいたしました。
 近畿のある国立大学産婦人科のA教授としておきましょう。具体的に名前を申し上げることもできますが、きょうは避けておきたいと思います。
 ここで断わっておきたいと思いますが、このような実態は、すべての大学教授がやっているということではありません。しかし、ごく一部の教授に限られているという問題でもありません。かなり普遍化している問題としてとらえたいと思います。
 このA教授の場合、一つの手術について、執刀する場合に二十万円、がん診断の医師が十五万円、アシスタント十万円、病棟長十万円、主治医五万円、合計六十万円、患者や家族に聞かれた事務職員が、このくらいは出した方がいいでしょうというふうに示唆をして出した金額であります。決して一例ではありません。これが慣例化しているのです。
 この実態を見るときに、単純計算をしてみましたが、たとえば週に一日手術日を設けて平均一日三人手術したとしたら、その教授分だけで二十万円掛ける三人掛ける五十週、一年間三千万円の所得になります。
 ちなみに、京都大学の教授の方々で、しかも臨床医四十人、そのうち何人が、あの国税庁が発表する高額所得者のリスト、一千万円以上の確定申告をしている人の中に入っているかと調べますと、二人だけです。どう見たって実態と合わない、そこに隠された何かがある、こう見るのが普通だと思います。
 こういう実態について文部省はどのようにお考えでありますか、まずお聞きしたいと思います。
#159
○宮地政府委員 かねてから国立大学病院の教職員に対しまして、その地位の特殊性と職務の公共性にかんがみ、職務の適正な執行と厳正な服務規律の徹底を図るように、国立大学病院長会議等あらゆる機会を通じまして、私どもとしては、強く指導をいたしておるところでございます。
 ただいま先生から御指摘の患者、家族からの謝礼というようなことについても、これは厚生省の病院経営管理指導を待つまでもなく、かたく辞退するよう強く指導をいたしておるところでございます。もし御指摘のような事実があるとすれば、まことに遺憾でございまして、そういう体制を改めるように私どもとしてもさらに強く指導の徹底を図ってまいりたい、かように考えております。
#160
○中野(寛)委員 最初からこういうことを申し上げるのは大変残念ですが、そういう実態がありとするならばという仮定で、局長のお立場でそう答えざるを得ないのかもしれませんが、そういうお答えになったことを残念に思います。こういう実態は、おおよそだれしもがむしろいまやもう常識として知っている問題だと言っても過言ではないと思います。
 たとえば、これは新聞記事をいま読み上げますが、大阪大学の助手クラスのあるお医者さんが、謝礼は大学によって差があるが、うちではちょっとした手術なら教授級で百万円、助教授クラスで五十万円が相場、その金額の高さを誇るように話をしているのです。いま局長がお答えになりましたが、謝礼は受け取ってはならぬと指導しているとおっしゃるが、それに基づいて謝礼は一切受け取りませんと病院にべたべたと紙が張ってある、張ってあるが、それを見て患者は、ああここでは謝礼が要るのかと逆に思った、こう言うのです。そういう謝礼の制度があるから、謝礼は一切取りませんということを書いているということになってくる。書くよりも実際にそれを受け取らないということをどうしてやれないのでしょうか。そういう謝礼は一切受け取りませんという趣旨の掲示を張り出しているその病院で、ほかの患者たちの目の前で公然と受け取っている同僚の姿を見て赤面したという教授がいます。
 そして、その張り紙をしている一方で、たとえば京都大学や大阪大学の病院では、その売店で見舞い用の袋とは別に謝礼などに使うのし袋が売られている。御礼というゴム印まで用意されている。そして、それがどんどんと売れていく。病院でお礼の袋、謝礼袋を買ってほかで使うということはないですね。
 これがいまや慣例化しているのです。この実態にどうメスを入れるかということがむしろ問題ではないか、こう申し上げているわけであります。大臣、いかがでしょう。
#161
○田中(龍)国務大臣 ただいまのお話を承りますだに、まことに残念な次第でございますが、国立大学の教官を初め報酬を得るということ、あるいはまた他に兼務をするということ、そういうふうな問題につきましては、役所といたしましては、厳重にこれを取り締まらなければいけない。同時にまた、国民からの信頼という問題もございます。特に大学といったような立場もございますので、今後なお一層、この問題につきましては、調査もし、厳重に処置をいたしたい、かように考えます。
#162
○中野(寛)委員 大臣は、調査もし、厳重に監督をしていきたいということでございますが、早急に通達をお出しになる、または同時に、そういう実態についてきめの細かい、本気で腰を入れた、単に問い合わせという調査だけではなくて、実際に本当の調査をする、こういう気構えでおやりいただくと受けとめてよろしいですか。
#163
○田中(龍)国務大臣 部内におきましてよく相談をいたします。
#164
○中野(寛)委員 相談をするという大臣のお言葉ですが、むしろその方向でやるという姿勢において御相談をいただくということですね。――それでは、そのことを期待したいと思います。
 次に、これについては、その多くが所得の申告もされていないという実態が、大阪国税局の調査でかなり明らかになってきております。
 文部省に一つお聞きしますが、こういうものを受け取るのは法律に違反していませんか。
 もう一つ、国税局にお伺いしますが、この謝礼は、たとえ法律に違反していなくとも明らかに課税対象となるはずです。そして、その実態をいまどのように把握しておられますか、お聞きします。
#165
○宮地政府委員 医師を派遣いたしまして謝礼を……。
#166
○中野(寛)委員 派遣ではありません。いまお聞きしているのは、大学病院、そこでみずから執刀する、手術する場合です。自分の大学病院でその教授が手術する場合です。
#167
○宮地政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、そういう執刀、手術をした際の患者からの謝礼というようなことは、厳に受け取ることのないようにということで、私どもとしても、厳重に指導いたしておるわけでございますが、その謝礼の行為が、仮に謝礼を受け取っている場合に、刑法等の法令に違反するか否か、それは具体のケースに即して判断する必要があろうかと思います。しかしながら、いずれにいたしましても、基本は、先ほど申し上げましたように、本来、そういう御指摘のようなケースはあってはならないということがまず第一でございまして、私どもとしては、従来からも、そういう立場で指導し、今後とも、その点については十分指導を厳正にいたしたい、かように考えております。
#168
○四元説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の国立大学の付属病院ですとか、あるいは国公立の病院の勤務医師に関する税金上から見た問題点というのは、いろいろあるわけでございます。ただ私ども、計数的に取りまとめたものはないのでございますけれども、一般的に調査事例等からうかがえるところによりますと、調査の眼目といたしますと、四つないし五つぐらいの点が気になっております。
 一つは、ちょっと先ほども話題になりましたけれども、大阪局等で事例がかなり出ました医局から民間病院等へ派遣される、これは公立病院もございますが、派遣医の別途給与の課税問題がございます。それから、そういうのに関連しまして、いろいろな病院から医局へ謝金が払われる、これの課税問題もございます。それから薬品メーカーとかあるいは医療機器メーカー等からの研究謝金というものの課税問題というのもございます。さらには、その直接の患者から謝金として支払われる、これの課税問題というのもございます。そのほか非常に著名な研究家が多いわけでございますので、講演料とかあるいは原稿料とかいったようなものも、場合によってかなり無視できない金額のものがうかがえます。
 こうした点は、私ども、かねてより、源泉所得税あるいは申告所得税等の事務運営におきまして留意すべき項目ということで、各税務署の調査を指導してまいってきているところでございます。
 それから、先生御指摘の先般大阪局の事例といたしまして新聞報道等がされた事案がございました。これは前から、そういう点、調査眼目としてやっておったのでございますが、このところ、それがちょっと目につく事例が多うございまして、大阪局としては、やはり相手が国公立の大学、病院とか、そういうようなところは、より一層、納税義務を適正に履行していただく方々であるべきだ、これがやや目につくというのは問題があるというようなことで、特にこれは各病院を調査いたしましたときに、派遣医として各大学等から派遣されております医師の源泉税がかなり漏れている事例があった、そういうことから大学全体等に対しまして集合指導を実施した、それが新聞報道になったわけでございます。
 特に先生御指摘の患者等からの謝金と申しますのは、これは家計から支出される謝金であるということが一つでございます。それからもう一つ、これはもう私ども公の立場においては自己矛盾なんでございますけれども、余り兼職してはいけない、これは許可をいただけばいいのでございましょうけれども、あるいはそういう別途の謝金を受け取ってはいけないというような決まりがあると、これがかえって、そういうものが何となく地下にもぐってしまうという傾向で、この患者からの謝金の追跡については非常に苦労をしているというのが、私どもの実態でございます。また、その患者側の方の調査をするといたしましても、プライバシーの問題等がございまして、なかなか苦労いたしております。むしろ周囲から資産調査等によっていろいろ追跡の努力をいたしておりますけれども、どこまで私どもが実態に迫っているかという点については一必ずしも現時点において安心しているわけではございません。ただ、私どもとしては、一生懸命今後とも努力を続けてまいりたいと思っているところでございます。
#169
○中野(寛)委員 厚生省には後ほどお伺いをしたいと思います。
 明らかに課税対象として国税庁として今後ともの努力を強く要請しておきたいと思います。
 もう一度、文部省にお伺いしますが、こういう国税庁の調査の実態にさえ出てきている。その具体的な事例が出ている。ですから、もしそういう事例があるとすればという答えは許されない。
 局長、先ほど、これからの調査と同時に、指導監督を厳しくしていきたい、そのことのために相談をしたいと大臣はおっしゃいましたけれども、具体的に文部省の中で人数の問題もあるでしょうし、いろいろな問題があるでしょう。たとえば医局の問題というふうな問題について、むしろ大学の自治とか学問の自由とかというような問題の壁がありますので、それは守らなければなりません。これは研究の自由であり、学問の自由である。しかし、金もうけの自由であり、医局企業を運営する自由であるはずではない。リベートをもらう自由であるはずがない。今日までの長い長い積み重ねの中でこういう実態が起こって、やっている本人たちも悪いとさえ思っていないという実態があるのではないか。これは場合によっては大変な大改革を要する問題でもある。単に一片の通知書や指導書や、そういうもので解決する問題ではない。一対一で、むしろ文部省がその総力を結集してでもこの改革に取り組んでいくという姿勢がなければならぬ、そういう意味でもう一度文部省にお伺いします。
#170
○宮地政府委員 先ほど御答弁申し上げた点は、手術等の執刀に際しての謝礼云々のことで先生御指摘があってお答えいたしたわけでございます。ただいま派遣医としてのアルバイトと申しますか、謝礼が所得税法上課税対象から外れておるものが相当目につくものがあるというようなことで、いろいろ国税当局の方で事案を把握されて御答弁されたわけでございまして、先生御指摘の、医局におけるいろいろ具体的な、新聞に報道されましたような事柄について、文部省としても真剣に取り組めという御指摘につきましては、先ほど大臣も御答弁申し上げたとおりでございまして、私どもとしても、具体的な対応策に取り組まなければならぬ課題であると心得ております。
 ただ、問題と具体的にどのように取り組むのか、その取り組み方については、今後事務的に十分研究をさせていただきたい、かように考えております。
#171
○中野(寛)委員 日々人の命が預けられて、そして、その中には、新聞の投書にもありましたように、謝礼金を用意できなかったがために、自分のお父さんの手術を断念した事例さえたくさんあるのです。こういうことが許されていいはずがありません。私は、大変長い時間をかけてここまできた、大変ひどい問題だけれども、解決は急を要すると思います。そういう意味で、先ほど御答弁ございましたけれども、その対策を研究する、その時間が一年も二年もかかるというのじゃなくて、むしろ今月から、来月からどうしようかという問題であっていただきたいと思います。大臣よろしゅうございましょうか。
#172
○田中(龍)国務大臣 そのような不正に対しましては、毅然として立ち向かっていかなければならないのが文教政策でございます。
#173
○中野(寛)委員 それでは、具体的な対応策ができますれば、早急にまたわれわれにもお示しをいただきたいと思います。
 次に、先ほど来お触れになられましたアルバイトの問題について、いわゆる兼業の問題について、お尋ねをしていきたいと思います。
 ちょうど朝日新聞が三月一日付の朝刊からこのキャンペーンを精力的に展開をしております。正規の時間中に勤務時間を割いて長時間のアルバイトをしているという実態、きちんと兼業許可申請の手続がとられていないという実態、それから所得の申告漏れや課税逃れ、そういう実態が報道をされております。これについても、文部省はすでに調査を初めているとお聞きしておりますが、いかがでしょうか。
#174
○齊藤(尚)説明員 先生御指摘の大阪国税庁の税務調査に関します新聞報道が去る三月一日になされました。文部省といたしましては、直ちに関係の大学に対しまして、医学部教官の兼業の問題について、その実態を調査するように指示をいたしました。関係の大学では、学部の教授会等を開催いたしまして、その調査に着手をいたしておるわけでございますけれども、ちょうど入学者選抜の時期と重なるというようなこともございまして、その実情の把握はまだ十分とは言えない状況にございます。
 文部省といたしましては、さらに積極的にこの問題に対応するように、大学当局に指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
#175
○中野(寛)委員 その調査の責任者は大学当局に任せておられますが、たとえばうわさによれば、大学の学長自身がそういうことをやっているというケースがとかくうわさに出てまいります。そういうことがあった場合に、本当にその大学で実態の調査が期待できるでしょうか。それから私の友人がたまたま大学に行っておったときに、文部省が通達をお出しになった。大学の中で担当の方がその調査を始めた。先生どういうふうになさっておられたか記入してくださいということでカードが配られた。その一枚がたまたまその教授の手元へ来た。何だこれは、そんなこと一々覚えているか、さらさらと数時間と書いてぽいっとほうり投げた。そのカードは恐らく大学で集約をして、そして一つの数字になって出てくるのでしょうけれども、もしそのカードも全部文部省でお集めになるとしたら、必ずあなたのお手元に数時間と書いたカードが出てくるはずです。これが文部省の調査といって果たしてわれわれは信頼できるのだろうか、そのことに実は疑問を持っております。単なるそのような事務的な形式的な調査ではなく、実質的な調査をするというその姿勢が、この問題についても必要ですが、いかがでしょうか。
#176
○齊藤(尚)説明員 私どもの実施します調査につきまして、先生御指摘のような事例があるといたしますれば、まことに残念なことでございます。兼業問題につきましての調査は、単に兼業の件数とかそういう問題だけではなくて、個々の教職員の官職、氏名であるとか、あるいは兼業先であるとか、あるいは兼業に要する時間であるとか、あるいは報酬であるとか、兼業の許可に当たりまして必要な資料、事実を的確に把握するということを基本といたしまして調査を実施しておるわけでございまして、その結果を十分しんしゃくして対応いたしたいというふうに考えでおります。
#177
○中野(寛)委員 いまお答えになりましたが、いずれにせよ、大学へ任されているのでしょう。もちろん私が、文部大臣、あなたが直接大学を回ってやりなさいと言ったら、とてもその時間はありませんと答えるかもしれません。しかし、先ほどの問題と同じように、これもやはり同じ大学の医局の体質の問題なんですね。これについてなぜ起こったのか、そしてなぜそれが行われるのか、そういうものも含めて、むしろ抜本的な中身にまで突っ込んで調査をし、その対策が講じられなければならぬと思います。
 調査のやり方については、時間の関係で後ほどもう一度お伺いします。
 順番を追ってお聞きしますから端的にお答えください。このアルバイトというのは、国立大学医学部の、とりわけ臨床医ですが、してもいいのですか。そして、してもいいとすれば、その条件はいかなるものか、端的にお答えください。
#178
○齊藤(尚)説明員 大学の教官に限りませず、国家公務員が国の仕事以外の他の業務に従事するということは、所属長の許可を受ければなし得る、そういう国家公務員法上のたてまえになっておるわけでございます。大学の教官につきましては、社会的な役割り、他の教育事業の発展等の問題あるいは具体の医学部の教官でございますと、地域医療への協力の問題等ございますので、文部省といたしましては、一般の公務員以上に緩やかな対応をいたしておるわけでございます。
 時間数で端的に申し上げますと、一週間当たりで八時間以内というような目安を設けまして、その範囲であれば許可をしていくという対応をいたしておるわけでございます。
#179
○中野(寛)委員 いまいみじくも八時間という数字が出てきました。しかしながら、実態は決して八時間でとどまらないんですね。一日八時間、一週間に五日間やっているなんというようなケースが聞かれる今日です。どっちが本職かわからない。そしてそれは、いまおっしゃったようなお医者さんとしての社会的な役割りがありますから、ほかのお仕事の皆さんに比べて緩やかな基準になっている、しかし、地域医療に貢献する等々の理由が、そこにはきちんとあるはずであります。まして正規の勤務時間を割いて行くということになれば、そのしっかりとした目的に合致するものでなければならぬはずです。単に自分の生活費をかせぐためのアルバイトならば「勤務時間外にやっていただかなければなりません。八時間という数字が文部省から示されたときに、現場では、ああ八時間以内の数字を書いておけば許可をしてくれるのだな、それで許可をもらっておいて、後は何時間大学を離れていようとも、またアルバイトしていようとも、追跡して調査をされることはないと信じ込んでいます。
 数字を示すこと自体悪くはありませんけれども、問題は、その数字という基準よりも、本当はきちんとした心構えの問題だと思います。こういう医師たちは、果たしてその目的を達成していると言えるのでしょうか。本務を全うしていると言えるのでしょうか。そして、そういうケースも目をつぶって許可をしているのでしょうか。この実態を文部省は知らないのでしょうか。知らないとすれば、これだけ世間で今日までうわさをされ、そして今回は新聞に取り上げられて社会問題化している、しかし、それまで文部省は知らなかったのでしょうか。大学病院とはそういうものだと文部省も思ってきたのでしょうか。この実態についてどうお考えですか。
#180
○齊藤(尚)説明員 私ども先ほど申し上げましたのは、兼業の許可をやる場合の基準についてお話を申し上げました。
#181
○中野(寛)委員 それは別に結構です。
 許可手続の方法について課長さんからお答えいただきまして、よくわかりました。どういうふうに申請を出すか、どういう条件があるか、そして出されたらどういうふうに許可をくだされるか、その手続論はわかりました。そして、それに基づいてやっている方々が、いま申し上げたようなことをやっております。聞きますと、こういうことです。
 私が質問をしておる対象になるあるお医者さんのことですが、アルバイトをしていないお医者さんというのはごくまれなんです、ほとんどの方はしているんですよ。
 それで、京都大学のあるお医者さんは、こう言っているんですよ。アルバイトはやってはいけないものだと思っている――さっき国税庁の方がお答えになったが、同じ感覚だ。アルバイトはやってはいけないものだと思っているので、後ろめたさがあるから届け出ないようにしている。文部省、この実態を知らないとはぼくは言えないと思うのです。
 たとえば先般、私が文部省に資料のお願いをいたしました。その中で国立大学医学部等の教官の兼業許可件数というもの、これをいただきましたが、昭和五十三年千十二件、五十四年千二百四件、五十五年三千百五件。なぜ五十五年は突然ふえたのですかと言ったら、綱紀粛正の問題があって通達を出したのでしょう。出したらぼんと上がってきたのでしょう。通達一本出たって、これだけ申請が上がってくる。昔からこっちの方が実態だったわけだ。これで上がってきたから、これでもう全体が掌握できるようになったと安心されるのでしょうか。
 手続論は、課長さんお答えになったとおりです。その基本姿勢について、この実態についてどうお考え、どうするのですか。これは課長さんでお答えになれる課題ではないと思いますので……。
#182
○宮地政府委員 数字の点は、ただいま先生お示しのとおりでございます。問題は、国立大学の医学部付属病院の医局の勤務体制その他につきまして、そういうアルバイトの状況が法令にかなった形で行われるということ、そのことが確保されるということが大事なわけでございまして、その点については、先ほども御答弁申しましたように、服務の厳正な保持ということにつきましては、病院長会議その他の機会を通じて、私どもとしても、繰り返し指導はいたしておるわけでございます。もちろん、私どもといたしましても、そこの点は、多くの大学については法令にかなった適正な処理がなされているものと確信はいたしております。一部の点についてそういう御指摘のようなことが起こっておるということは、まことに遺憾なことでございまして、その点については、さらに積極的な姿勢で取り組まなければならぬ、かように考えております。
 本来、先生もおっしゃるように、大学の自治の問題があり、大学自体が自律的に事柄を進めていくのが基本であるということは当然のことでございますが、ただ、世間で指弾されるような事態があるということについては、私どもとしても、それを深刻に受けとめまして、今後の行政指導と申しますか、指導面で積極的にその点は取り組んでいく、かように考えておるところでございます。
#183
○中野(寛)委員 それでは具体的に聞きますが、地域医療に貢献する等の公の役割りを果たし得るという明確なものがなければ、単に自分の収入を得るだけの目的のようなアルバイトは、当然、正規の勤務時間中に許されるということはありませんね。イエスかノーかでお答えください。
#184
○宮地政府委員 個々具体のケースについて慎重に判断すべき問題であろうかと思います。
#185
○中野(寛)委員 自分の収入を得るだけの目的で正規の勤務時間中にアルバイトをするということは許されませんね。あたりまえでしょう。
#186
○齊藤(尚)説明員 局長の答弁の前に一言申し上げておきたいことがございます。この兼業の許可は、正規の勤務時間外につきまして取り扱っておるものでございます。
#187
○中野(寛)委員 それでは正規の勤務時間中におやりになることは当然許されませんね。
#188
○齊藤(尚)説明員 先生おっしゃるとおりでございます。
#189
○中野(寛)委員 ウイークデーのしかも昼、または朝から晩まで地域の病院とか、そういうところへ行っているのは、いわゆる兼業許可申請の対象ではない。いま課長さんは、時間外しか兼業申請の許可をしないとおっしゃったが、いま申し上げたような事例は、それとは別ですね。
#190
○齊藤(尚)説明員 八時間を目安にして許可をするということでございまして、昼にそういう事例が行われているケースはもちろんございます。ただ、正規の勤務時間の割り振りを変更するという手続が必要でございます。
#191
○中野(寛)委員 大学は土曜日の午前中は休みですか。正規の時間ではありませんか。
#192
○齊藤(尚)説明員 通常の職員は勤務時間中でございます。
#193
○中野(寛)委員 いまの該当するような先生方は……。
#194
○齊藤(尚)説明員 勤務時間の割り振りを変更しますと、勤務を要しない時間に該当する方が出てまいります。
#195
○中野(寛)委員 それでは話を進めます。
 この問題について、調査で判明した実態の中で特に問題が大きいと思いますのは、アルバイトの医師に頼っている病院側が多額の報酬を払い、源泉徴収漏れの追徴課税も病院側が肩がわりし、そして教授や医局に対しては、多額のつけ届けをしないと、なかなか医師を派遣してもらえないと口々に言っているわけであります。
 たとえば、これも新聞の報道ですが、最近四国に開業したある医師は、ハート医を送ってもらうために、自分の出身校である国立大学の教授に現金数十万円入りの菓子箱を届けた、しかし一度では効果がなく、二度、三度と送っているうちにやっと人員が確保できた、こういう話があります。
 私の住んでいる大阪府下のある公立病院の経理担当者は、報酬や給与は大学医局などの言いなりだ、逆らえば派遣してもらえなくなる、かといって肩がわり分の源泉徴収税をまともに納めていたら病院の台所は苦しくなるばかりなので、違法と知りながらごまかしていた、これくらいのことをしなければとてもやっていけないのが実情で、よその病院でもやっていることだ、こう答えています。新聞には大阪府南部の公立病院の事例、そして京都府北部の町立病院の事例等々も、具体的に調べて表にされております。
 こういう実態について考えてみると、結局、医局が医師をプールして、売り手市場をつくり上げて、弱い立場の病院側に法外なことを要求していることになるのではないだろうか。公立病院は、それでなくてもいま大赤字です。厚生省さんは大変御苦労なさっている、こういう実態をむしろわれわれは野放しにできない。
 加えてもっとひどいことは、今回こういう朝日新聞のキャンペーンが行われました。そうすると、大阪大学や京都府立医科大学の系列下の病院でこういうことをやっていることをあなた方の話によってだんだん浮き彫りにされてしまっているから、あなた方の病院へ派遣医を送ることはもうやめたい、一番困っている地方の病院、そういうところに恩を売って多額のリベートをもらって派遣している、それで音を上げていると、けしからぬといって引き揚げを図ろうとするという実態、そういう実態が現実にあります。
 こういうことについて許していいのかどうか。さっき調査をするとおっしゃいましたけれども、実態としてこういうことがあるかどうか、その認識と同時にお考えを聞きたい。
#196
○宮地政府委員 アルバイトの医師の派遣問題でございますが、問題は、そういうアルバイト医師がなければやっていけない病院運営のあり方と申しますか、さらに言えば、そういう医療構造自体の問題もあろうかと思います。しかしながら、医師を派遣する大学病院側としては、みずからの公共的な立場に基づきます節度、自制がなければならないことも当然でございます。
 お話のような新聞報道に基づきまして、大学病院関係者が病院側にどういう対応をしたかということについては、私ども承知していないわけでございますけれども、仮に御指摘のようなことがあったとすれば、大変節度を欠いたことであって、きわめて遺憾なことであろう、かように考えます。
 先ほど来申しておりますように、私どもとしては、いろいろの機会を通じて指導はいたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、派遣医師を受け入れる病院側と大学病院側とが、それぞれ誠意と節度を持って話し合って円滑な協力体制を確立していくということが必要ではないかと考えます。そういうことがあったから派遣医師を出すことはすぐやめる、引き揚げるというようなことで地域医療の面が混乱するというようなことがあってもならないわけでございまして、そこについては、円滑な協力体制が確立できるように、私どもとしても、大学病院関係者に対して適切な指導をしてまいりたい、かように考えます。
#197
○中野(寛)委員 今日までどういう指導をしてこられましたか。
#198
○宮地政府委員 先ほど来申しておりますように、それぞれ病院長会議の機会でございますとかそういう際に、服務の厳正な確立というような観点から機会あるたびに指導はいたしてきておったわけでございます。
 ただ、ただいま先生がいろいろと御指摘になっておりますようなそういう具体の事柄を把握した上で、それらについて、そういう事柄の根絶を期するような方向で具体策について指導をしたということではなくて、むしろ全般的な一般的な関係と申しますか、地域医療と大学付属病院との関係については、間々地域において病院側と話がこじれて、医師の派遣を引き揚げるというようなことがあったりいたしまして、そういう個別のケースにつきましては、それぞれ円滑な協力体制が図られるように具体の指導をしたこともございますが、全般的な関係といたしましては、一般的な指導ということが今日までのところでございます。
#199
○中野(寛)委員 今後はどういう指導が考えられ、そして取り組もうとしておられますか。
#200
○宮地政府委員 まず、そういう関係者によく実態を聞くことが第一でございますし、そういう医局の関係者等を集めまして、具体的な対応策としてどういうことが考えられるのか、そういう現場の知識なり経験を持っておられる方々にもお集まりをいただきまして、具体策を今後まず早急に検討して、それを各国立大学の付属病院に周知徹底をさせるというような事柄で対応すべきものかと思います。
#201
○中野(寛)委員 早急に関係者をお集めになって、そういうことを協議し、単に通達ではなくて、皆さんもそういう関係者も一緒になってこの問題を改善しようよいうふうに持っていかせる、そういうことを言うのならば、文部省と各大学関係者とが一体となってこういう問題の二度と起こらないようにこれを是正していこう、こういう姿勢で臨むということですね。
#202
○宮地政府委員 私どもとしても、先生の御指摘については、事態を大変深刻に受けとめるべき課題というぐあいに考えておりまして、単に通知ということだけで済むことではないと思いますので、大学のそれぞれ関係者にも集まってもらって、十分その事柄の把握に努めまして、その上で具体的な指導を徹底いたしたい、かように考えております。
#203
○中野(寛)委員 もう一つ明確に断言をしていただけないのですが、むしろそれは局長のお立場としては断言にも等しいお言葉だろう、お気持ちだろうと受けとめさせていただきたいと思います。
 次に、兼業許可申請のことについてお伺いしたいと思いますが、ここ数年の大学もしくは医学部別の申請件数と許可時間の実態について資料を御提出いただけますか。
#204
○齊藤(尚)説明員 ただいま手元にございませんが、後でお届けさせていただきます。
#205
○中野(寛)委員 トータルではなくて大学ごと、また医学部ごとの申請件数と許可時間の実態についてお届けいただけますか。――それでは、お待ちしておきたいと思います。
 申請書の審査はどういうふうに行われていると思いますか。出されて、それを本当にチェックしていると思いますか。
#206
○齊藤(尚)説明員 兼業許可の申請につきましては、たとえば医学部の教官でございますと、医学部長あるいは病院長等が、兼業先の仕事の内容、業務の支障の有無等を判断いたしまして、大学の学長に提出し、大学学長から文部省の方に提出されるという段取りになっております。その間、幾つかの関門でその点がチェックをされるということでございまして、その内容は適正なものと私どもは判断をいたしておるわけでございます。
#207
○中野(寛)委員 適正なものと判断をしておられるということですけれども、しかし、いままで幾つかの事例を御紹介しましたが、そういう空気の中で本当に守られていると思いますか。
#208
○齊藤(尚)説明員 現に許可の申請がございまして許可をいたしましたものにつきましては、適正なものというふうに判断をいたしておるわけでございます。
 先生御指摘のように、現在お話になっております関係大学の中には、無届け、無許可で兼業を行っている事実が指摘をされておるわけでございますが、その点については問題があるというふうに考えております。
#209
○中野(寛)委員 わかりました。御認識をいただいているようでありますが、実際に出された書面でも、いま調査をしておられるのでしょう、それに対して数時間とさらさらと書いて実態のとおりに書かない、そういう実態があることを私は御認識いただきたいと思います。
 その実態を調査して、そういう虚偽の申請があるということの証拠を、もちろん御存じないから信ずる以外にない、そういう意味でお答えになったのだと思いますが、決して信じっぱなしではなくて、そういうものについてもメスを入れて調査をする、チェックを厳しくする、そのことについて今後ともの御検討をお願いしたいと思います。たとえば、その実際に申請を出さないという事例は、先ほど年度別の数字が五十五年度ぽんと挙がったこと、それが一つの例です。
 さて、それでは、それによってすべてかと言いますと、これも文部省にちょうだいしたものですが、兼業許可件数の昨年一年間の病院、診療所等の事例で、京都大学が地方公共団体十五、民間等七十二、大阪大学が地方公共団体ゼロ、民間等は三、神戸大学が地方公共団体二十五、民間等八。それで、たとえば大阪大学のこの三という数字、お信じになっておられますか。
#210
○齊藤(尚)説明員 他の大学に比べましてまことに少ない数字である、したがって、今後の調査によって許可なしで兼業を行った事例が挙がってくるというふうに考えております。
#211
○中野(寛)委員 兼業を許可なしでやっておられるという実態があるということをお認めになりました。これは京都大学、大阪大学、神戸大学の事例としていまは話をしておりますけれども、決してこの地方だけの問題ではない。これだけだったら、よほど関西だけ悪いなということになってしまう。私も、関西出身の人間として大変残念です。この問題で、たとえば浜松から大阪ヘアルバイトに来ている医師がいるわけです。そういうふうなこと等も考え合わせまして、当然、これは全国的なものだと考えられるわけですが、そう思いますか。そして全国的にチェックする御用意はありますか。
#212
○齊藤(尚)説明員 先生も御指摘ございましたように、一昨年秋の綱紀粛正の通知以来、きわめて数多く申請されてまいりました。許可の数も約三倍というような状況になってまいりました。多くの大学で適正に申請を本年度はいたしたというふうに考えておりますが、大学ごとに数を比較してみますと、なお比較的少ないと考えられる大学もございます。それらの大学につきましては、この点の注意を十分喚起して、実情の把握に努めるように指導してまいりたいと考えます。
#213
○中野(寛)委員 後日、具体的な資料をちょうだいできるわけですから、それに基づいて私どもも判断をしたいと思いますが、全国的に申請なしで兼業が行われている実態があるということをお認めになりました。そこで、その御認識に基づいて十分な調査をされることを強く要望しておきたいと思います。
 あわせまして、会計検査院にお伺いをしたいと思います。
 週三回も、三日間も、しかも勤務時間中、三日と言ったら、勤務時間中が入っているとしか思えません。どんなに勤務時間をずらすように努力したって、これは不可能です。しかし、そういうことをやりながら、本来の給与をそっくり受け取っているという事実が明らかになっております。こういうのは給与の二重取り、そして、これは明らかに国家公務員法から言っても問題ではないだろうか、このように思いますけれども、会計検査院は、このような実態をどのようにお考えになりますか。むしろこれは直ちに調査すべき対象となるものではないのでしょうか、お伺いいたします。
#214
○疋田会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 大学の教官が所定の勤務時間職務に従事しているか否かという点につきましては、第一義的には、職員の服務にかかわる問題でございますから、従来給与関係の検査に当たりましては、大学の人事当局の方が適切な管理をしておられるということを前提どいたしまして、その後の給与支給の会計経理を検査してまいったわけでございます。しかしながら、もし仮に、先生御指摘のように、教官がアルバイトに忙殺されて、本来の職務の遂行に支障を来しているのに給与が支給されているというようなことになりますと、適切な会計経理が行われているとは認められませんので、このような事態がないかどうか十分に検査してまいりたいと存じます。
#215
○中野(寛)委員 会計検査院の定期的な検査というのは、大体四月から始まって九月ごろまでかかってやるようですけれども、こういう今日の社会問題化している実態、そして、ここまで問題点が浮き彫りにされている、また国税局の調査等でも実例が出てきている、こういう実態の中で、早急に、たとえばもう四月から新年度の調査を始める、しかし、それを九月まで長期にわたってやるということではなくて、集中的、精力的に早期に取り組む、こういうお考えでやっていただけるかどうか、お聞きしたいと思います。
#216
○疋田会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 このように社会的な問題となっております事件対処につきましては、私どもといたしましても、できるだけ早い機会に検査を実施するように努力いたしたい、このように考えております。
#217
○中野(寛)委員 時間の都合ではしょりますが、民間病院だけでなくて、薬品メーカーとか医療機器メーカーからも、委託研究費とか、それから奨学寄付金ですか奨励寄付金ですか、そういう名目の寄付が多い実態が出ているわけです。大学当局では、文部省からの研究費だけではやっていけない、または医局のお医者さんは文部省からの、いわゆる大学の給料だけでは飯が食っていけない、こういうふうなことを言う人もいるわけであります。私は、それがたとえ低くたって、文教行政の中でそれを引き上げるように努力していくことが大事だ、本当に少ないからといって、陰で何をしてもいいということは許されない、こう思います。
 そこで、各大学医学部それから各医局、そういうところへの研究費は現在どのくらい出されているのか、そしてまた、外国の大学等に比べてこれは本当に少ないのか、または日本の大学の中でも他の学部に比べて本当に少ないのか、医学部だけがその役割りに比して少な過ぎて、そして医学部だけがこういう実態を許されてもいいということの理由づけになるほど少ないのか、この実態について資料をちょうだいし、また御見解を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
#218
○宮地政府委員 お話の医学部及び病院に対する研究費の問題でございますが、医学部の場合、基礎系と臨床系とございまして……(中野(寛)委員「臨床系だけで結構でございます」と呼ぶ)臨床系の場合、講座当たりの単価としては、五十五年度の単価でございますが、七百九十四万三千円が出されております。ただ、これは教官当たり積算校費でございまして、単価としてはそれだけがあるわけでございますが、実際の場合には、大学の運営の実態からいたしますと、その中から光熱水料というようなものが全学的に共通で使われる、それに回る部分もあるということで、全額が必ずしもすべて研究の経費になるとは言えないわけでございます。
 なお、その単価は、ほかの文科系の場合の単価などから比べれば、医学部の方が相当高いということは言えるわけでございます。
 外国の数字については、ただいま直接比較する数字を持ち合わせておりません。
#219
○中野(寛)委員 いずれにせよ、数字をちょうだいし、改めて、その問題については論議を深めていきたいと思います。
 この委託研究費や寄付金の仕組みを詳しくお尋ねする時間がありませんので、またの機会に詳しく行いたいと思いますが、こういう話があります。
 朝日新聞の報道でもそうですけれども、文部省予算以外の収入、いわゆる民間病院だとか薬品メーカーから寄付を受ける場合、医局ごとに裏会計をつくって自由に使っているというふうに報道されているし、また、その事例があるわけであります。それから、この報告を公式にするにしても、空伝票をつくって、空伝票を切って、器材を買ったことにし、それで浮いた金も医局で自由に使っているという例があるわけです。たとえば、この空伝票を集めると大阪大学医学部だけで顕微鏡が十万台あるということになると言われております。伝票を切ったその数字だけから言えば、そういうことになる。
 こういうことについて、これまた文部省としての御見解もお伺いをしたいと思いますし、同時に調査をぜひやっていただきたいと思いますし、また会計検査院としても、このことについてのお取り組みをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#220
○植木政府委員 奨学寄付金とか受託研究費につきましては、省令あるいは通知等が精緻にございまして、これに従って公金としての扱いをいたしておるわけでございます。
 ただいま先生がお話になりましたような、それ以外に裏経理でやっている例があるのではないかという点につきましては、私どもも、早速関係の大学に二、三電話連絡等で当たったわけでございますが、現在までのところは、そういうような事実はないとの報告を受けておるわけでございます。しかし、先生から先ほど来いろいろと関連して御指摘もございますので、実態の把握に努めるとともに、さらに指導は徹底をしていきたい、このように考えております。
#221
○疋田会計検査院説明員 委任経理金の関係につきましては、過去に文部省に対しまして改善処置要求を行っていただくようお願いを申し上げたことがございます。また、その後も引き続きまして奨学寄付金に関する検査を行っているところでございますが、今後も、奨学寄付金等が予算外に経理されているような疑いがございます場合には、可能な限り、資料、情報等を活用いたしまして検査を行いたいと考えております。
 それから次に、奨学寄付金等を財源といたします物品類の調達関係の検査に当たりましても、可能な限り厳密な検査を行う所存でございます。
 以上でございます。
#222
○中野(寛)委員 大学へ問い合わせたら、そういう事実はないという答えが返ってきた。これは問い合わせれば、まずそういう答えが返ってくるのはわかり切っていると思います。そして、それを聞いて、だれしもむしろそれこそ笑ってしまうと思います。そういうものを文部省が電話で問い合わせをしただけで答えるはずがない。答えるとしたら、それは答えるような人がそんな裏操作をやるはずがない。しかし、その実態は明らかにあるわけであります。いまの御答弁の中でもありましたが、ぜひとも早急な調査をしていただきたいと思います。
 三浦委員の時間に食い込んでしまいますので、これで終わりますが、大臣に最後に改めてお伺いしたいと思います。
 これは、まさしく日本の大学の医学部の、そしてまた大学病院の医局の実態なんだ。具体的な事例を、大学名までは挙げましたけれども、しかし、それ以上の具体的なものは申し上げませんでしたけれども、実態としてあるわけであります。そして、これはみんなに非公式に聞けば、そういうものは常識だとさえ思われているわけです。
 しかし、このような実態に対して、国民の立場からすれば、どうしても納得のできない、そしてますます医療を荒廃させてしまう根本原因が、根っこがここにある、そのことを認識するときに、重大な決意を持って文部省としてお取り組みいただかなければならぬと思いますが、大臣の御決意をお聞きしておきたいと思います。
#223
○田中(龍)国務大臣 私どもは、国家のためにりっぱな後継者養成のための大学ということで、その管理運営につきましては、先生の仰せられますように、非違があっては相ならぬし、重大なそういうふうな事件につきましても、これは断固として調査もし、非違を正さなければなりません。同時に、私どもは、大学の教授なり大学の研究なりというものは、本当に人を教える立場にある教職にある者として考える次第でありまして、こういう方々が、そういうことを、教育者の立場でありながら、みずから非教育的な行動をとっては相ならぬという前提のもとに文部省というものは考える次第でございますから、その点はいろいろな他の国家機関とはおのずから違うと存じます。
 同時に、どうもお話を承りますと、この点はお医者というものの一つの別な社会と申しますか慣習とかいろいろな関係があると思います。文部省だけでできるものでもございません。当然、それは厚生省なり何なりとも相図りまして、この非違を正していきたい、かように考えております。
#224
○中野(寛)委員 厚生省からもお越しいただきましたけれども、厚生省としても、これはきわめて重大な問題であろうと思います。あわせて一緒に御努力いただけますか、一言だけお聞きします。
#225
○斎藤(治)説明員 お答え申し上げます。
 ただいま文部大臣がお答えになったと同じ考え方に立ちまして、厚生省の立場からも必要な措置は講じてまいりたいと存じます。
#226
○中野(寛)委員 私の質問は終わります。
#227
○三ツ林委員長 三浦隆君。
#228
○三浦(隆)委員 鳴門教育大学の問題に関連してお尋ねしたいと思います。
 法律案提案理由の中で、教員の資質能力の向上という社会的要請に対処したいというふうなことのようでございます。大変結構な趣旨だと思うのですが、教育大学でなければ教員の資質能力の向上ということができないものなのかどうか。
    〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕
いわゆるいま現在あります大学の教育学部なり、あるいはいろいろとあります学部において教員の資格が取れるわけですが、ここでは教員の資質能力の向上ということはできないものかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
#229
○宮地政府委員 先ほど来御答弁申し上げているとおりでございまして、教員の資質向上に取り組むのはもちろん、既存の教員養成大学・学部においてももとよりでございますし、また御提案申し上げております鳴門教育大学においても教員の資質向上を図る、そういう考え方で取り組んでおるものでございます。
#230
○三浦(隆)委員 いわゆる教育勅語が戦後なくなりまして教育基本法が成立いたしました。その中には、憲法の理想は教育によって達成しようという気持ちが込められているわけですが、教員に対して、この新しい鳴門教育大学は科目の中で憲法必修化というふうなことが確約できるのでしょうか。
#231
○宮地政府委員 憲法の必修化についてのお尋ねでございますが、すでに発足しております上越教育大学の学校教育学部では、本年四月から学生受け入れをするわけでございますが、日本国憲法を法律学の中で履修させることにいたしておるわけでございます。鳴門教育大学の具体的な教育課程は、創設後の大学において編成されるわけでございますが、これまでの準備室の検討によりますれば、上越教育大学と同様の措置を講じてまいりたい、かように検討を進めております。
#232
○三浦(隆)委員 私がお尋ねしておりますのは、憲法という学問を必修化できるかどうかということなんです。逆に言うと、なぜ必修化できるとすぐにお答えいただけないのでしょうか。
#233
○宮地政府委員 先生も御存じのことかと思いますが、四十八年の教育職員免許法等の一部を改正する法律の施行に際しまして、一般教育科目の最低修得単位数の規定が削除されたわけでございまして、その際に、日本国憲法、倫理学等の科目の修得ということで免許法施行規則第一条の規定も改められたわけでございます。しかしながら、本来、教員となる者の一般的な、基礎的な教養としては、これらの科目の内容を十分身につけさせる必要があることはもとよりでございます。したがいまして、当時の大学学術局長名で、その改正が行われた後におきましても「各大学等にあっては、教諭の普通免許状を取得しようとする学生のための教育課程については、従来どおり、これらの内容を含めて編成し、適切な指導を行なわれるよう、」という指導通知を出しておるところでございます。
#234
○三浦(隆)委員 文部大臣にお尋ねしたいと思います。
 九十九条における憲法尊重、擁護義務ということを文部大臣も負わされておりますし、また同時に、公務員全体がこの憲法に従わなければならないわけです。そして、この鳴門教育大学を出られる多くの先生方は、教育公務員特例法に従う教員になられようというお気持ちを持っていると思うのです。憲法を守らなければならない人が憲法を知らなければ守りようがないのじゃなかろうかと思うのです。ですから、いろいろな科目はあることであろうけれども、何をさておいても憲法の学習というものは、教員にとって必須のものなのではないだろうか、これを大臣にお尋ねしたいと思います。
#235
○田中(龍)国務大臣 ただいま局長がお答え申し上げたように、いまの学部編制における教科内容の問題について、私は、よく調べてみないとわかりませんけれども、学内におきます研究の自由という点から申して、余り軽々に申すことはできません。やる意思があればできないことはないのじゃないかと思うのでありますが、その点は、いま私は明確にお答えはできません。よく局長と相談いたします。
#236
○三浦(隆)委員 何か大変あいまいもことしたような発想なんですが、文部大臣は、文部行政の頂点を占められる方だし、これまでの文部省通達の中でも憲法学習をせよと指導してきたわけです。これをここで変更されようとするお気持ちをお持ちなんでしょうか。
    〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕
#237
○宮地政府委員 先ほど御答弁申し上げました点は、鳴門の教育大学の教育課程の組み方で、従来の考えを変えようというようなことを申し上げているわけではございません。
 先ほど申し上げた点をもう一度補足して申し上げますと、日本国憲法が必修でございます法律学の中で履修をさせるという考え方でございます。
#238
○三浦(隆)委員 とにかく、これまで教員なりになろうとするときには、法学の中でも特に、たとえば四単位の中では憲法二単位を含むというふうな発想をしておったはずですし、そういう意味で、これまでの文部行政としても憲法が中心にあったと思うのです。ところが最近、何となく、憲法を中心にする、あるいは憲法を守る守ると言いながら、少しずつ比重が薄れるような懸念を私は感じておるわけです。
 そこで、大臣に再度お尋ねしたいと思うのです。これからなる身分が教員という公務員ですから、そして子供たちを教える立場でありますから、教員の資質向上といっても、いかなる教員を養成していこうか、これがまず大切だと思うのです。いわゆる戦前的な旧憲法感覚の教員をわれわれは期待しておるわけではございませんし、あわせて私の立場は、日本国憲法なのであって、ソ連的な、そうした左の全体主義的な教員を養成したいとも思っておらぬのですよ。端的に、日本国憲法を守ってくれるような教員になってくれるのかどうかということをお尋ねしたいわけです。
#239
○田中(龍)国務大臣 それは当然であろうと存じます。
#240
○三浦(隆)委員 当然であるというお答えのときには、文部行政の長としての何らかの行政指導である、相当強い姿勢で新設大学の科目に臨まれようとするのでしょうか。
#241
○田中(龍)国務大臣 特に鳴門の大学のごとく、本当に教育の重要性というものをさらに強く主張いたします大学におきまして、われわれが憲法をあくまでも遵守するというその法の根本の姿勢に対しましては、当然であろうと思います。
#242
○三浦(隆)委員 依然として答えがはっきりしないわけですが、時間の関係もありますので次に移ります。
 昭和四十八年十一月九日付で文部省大学学術局長が各国公私立大学長あるいは各指定教員養成機関の長にあてた通達があります。「教諭の普通免許状を取得しようとする学生の一般教育科目の履修について」という通達でありますが、この中で「教員となる者の一般的、基礎的な教養として、これらの科目」というのは憲法もですが、「これらの科目の内容をじゅうぶん身につけさせる必要があることはもとよりのことでありますので、各大学等にあっては、教諭の普通免許状を取得しようとする学生のための教育課程については、従前どおり、これらの内容を含めて編成し、適切な指導を行なわれるよう、念のため重ねて通達します。」と述べているわけであります。すなわち、新しい大学であれ、その「内容を含めて編成し、」ということは、憲法の科目を内容として取り入れろと強く言っているのだと思うのですが、大臣はどうお考えでしょうか。
#243
○宮地政府委員 御指摘の通達について、私、先ほどもその線に沿って御答弁を申したつもりでございまして、この通達の線を変えるという考え方を持っているものではございません。
#244
○三浦(隆)委員 大臣にひとつ御答弁をお願いいたします。
#245
○田中(龍)国務大臣 私も、御通告がございませんでしたので、その準備をしてまいりませんでしたけれども、ただいま局長が申しますとおり、また先ほど私がお答え申し上げたとおりに考えております。
#246
○三浦(隆)委員 その先ほどのお答えというのがはっきりしないので、実は聞いたわけでございます。ぐるぐると同じところを山手線のように回っているような感じがするのですが、とにかく大学はスタートするわけです。スタートするという以上は、どういう入学試験を行ってどういう学生を採って、受けとめた以上はどういう科目を設置してといった具体的なところにとにかく入ってこなければいけないのだろうと思うわけです。
 時間の関係で深く触れることができないのはまことに残念でありますが、教員の資格を取るだけでしたならば、教育大学でなくても、現在の一般大学の教育学部でも、あるいはその他の学部でも教員の資格は取り得るわけです。にもかかわらず、あえて教育大学をつくるのだというには、やはりそれだけのよほどの理由がなければならなかろうと思うのです。しかも、この行財政改革の中で多額の金の出費までしようというには、よほどのものがなくてはいけないのだ、こう考えるわけであります。
 たとえば校内暴力事件が起こる、あるいは教員の暴力事件が起こる、学校全体の中に情操的なものが乏しくなってきておる、あるいは落ちこぼれの子供たちが出てくる、それが非行化にもつながるかもしらぬ。いまのままであるならば、情操の面でも知識の面でもどうも不十分だ、そこにもつと専門的な知識を持ち、あるいはまた、すぐれて情操の豊かな新しい教員が必要なんだ、そんな趣旨ならばわからないではないのですけれども、それならそれで、入試のときに、いままでと同じように機械的に合格を決めるというか、それとは違った新しい選抜方法も考えられることでしょうし、あわせて、いわゆる科目の中で憲法の必修化ということが、当然のごとく実現されなければいかぬと思うのです。
 鈴木内閣の例の法務大臣の談話の中でも、現行憲法というものは守っていく、いまのところは改正せぬ、繰り返し繰り返しそう言っておるわけで、大学がカリキュラムを決めようとするときに、別に上から強いて悪くしようというわけじゃないのです。教育基本法なり憲法二十三条なりそうした路線に従って憲法の必修化ということを私は言おうとしているのであって、持って回った言い方ではなくて、他の大学では憲法を必修化しなかろうと鳴門教育大学は確実に必修化いたしますと、そういうふうなお答えをぜひいただきたいと思います。
#247
○宮地政府委員 先ほど来御答弁申し上げている点の繰り返しになるわけでございますが、具体的な教育課程の編成そのものにつきましては、準備室が検討いたしまして、大学自体がお決めになるわけでございますが、三浦先生御指摘のような考え方がとられるものと私どもは考えております。
 なお、入試の点についてちょっとお触れになったわけでございますが、たとえばこの春行われました上越教育大学の場合で申し上げますと、第二次試験では学力検査を課しておりませんし、実技と面接と小論文という形で対応をいたしておるところでございます。
#248
○三浦(隆)委員 細かくは、また、いずれかの機会にしたいと思います。
 いずれにしましても、戦前の旧師範学校ではないのでして、それとは違った意味での新制の大学ができて、今日の学校教育制度が成り立っているわけであります。憲法の必修化、きわめて簡単に一言で出るはずの答えが出ないと、私は、すぐに賛成と言いたいのが、何かそう言ってはいけないような逆におかしな気分にだんだんなってくるのじゃないかときわめて遺憾なような気がいたします。
 与えられた時間で、後の方に御迷惑をかけますからやめますが、いずれ再度続けて伺わせていただきたいと思います。
#249
○田中(龍)国務大臣 三浦委員の御意見、十分に拝聴いたしました。御意見に沿いまして考えます。
#250
○三浦(隆)委員 これで終わります。
     ――――◇―――――
#251
○三ツ林委員長 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員異動に伴い現在理事一名が欠員になっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#252
○三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 それでは、和田耕作君を理事に指名いたします。
 次回は、来る二十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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