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1980/04/10 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第8号
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1980/04/10 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 文教委員会 第8号

#1
第094回国会 文教委員会 第8号
昭和五十六年四月十日(金曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 三ツ林弥太郎君
   理事 谷川 和穗君 理事 中村喜四郎君
   理事 森  喜朗君 理事 嶋崎  譲君
   理事 馬場  昇君 理事 有島 重武君
   理事 和田 耕作君
      臼井日出男君    浦野 烋興君
      狩野 明男君    久保田円次君
      高村 正彦君    近藤 鉄雄君
      西岡 武夫君    長谷川 峻君
      船田  元君    宮下 創平君
      木島喜兵衞君    中西 積介君
      長谷川正三君    湯山  勇君
      鍛冶  清君    三浦  隆君
      栗田  翠君    山原健二郎君
      小杉  隆君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 田中 龍夫君
 出席政府委員
        文部政務次官  石橋 一弥君
        文部大臣官房長 鈴木  勲君
        文部省初等中等
        教育局長    三角 哲生君
        文部省大学局長 宮地 貫一君
        文部省学術国際
        局長      松浦泰次郎君
        文部省体育局長 柳川 覺治君
        文部省管理局長 吉田 壽雄君
        文化庁次長   別府  哲君
 委員外の出席者
        行政管理庁行政
        監察局監察官  堀江  侃君
        参  考  人
        (日本私学振興
        財団理事長)  佐藤  朔君
        文教委員会調査
        室長      中嶋 米夫君
    ―――――――――――――
三月二十八日
 私学の学費値上げ抑制等に関する請願(安藤巖
 君紹介)(第二二七九号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第二二八〇号)
 同(浦井洋君紹介)(第二二八一号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二二八二号)
 同(金子満広君紹介)(第二二八三号)
 同(栗田翠君紹介)(第二二八四号)
 同(小林政子君紹介)(第二二八五号)
 同(榊利夫君紹介)(第二二八六号)
 同(瀬崎博義君紹介)(第二二八七号)
 同(瀬長亀次郎君紹介)(第二二八八号)
 同(辻第一君紹介)(第二二八九号)
 同(寺前巖君紹介)(第二二九〇号)
 同(中路雅弘君紹介)(第二二九一号)
 同(中島武敏君紹介)(第二二九二号)
 同(野間友一君紹介)(第二二九三号)
 同(林百郎君紹介)(第二二九四号)
 同(東中光雄君紹介)(第二二九五号)
 同(不破哲三君紹介)(第二二九六号)
 同(藤田スミ君紹介)(第二二九七号)
 同(藤原ひろ子君紹介)(第二二九八号〉
 同(正森成二君紹介)(第二二九九号)
 同(松本善明君紹介)(第二三〇〇号)
 同(三浦久君紹介)(第二三〇一号)
 同(三谷秀治君紹介)(第二三〇二号)
 同(蓑輪幸代君紹介)(第二三〇三号)
 同(村上弘君紹介)(第二三〇四号)
 同(山原健二郎君紹介)(第二三〇五号)
 同(四ツ谷光子君紹介)(第二三〇六号)
 同(渡辺貢君紹介)(第二三〇七号)
 大学の格差是正及び充実発展等に関する請願
 (山原健二郎君紹介)(第二三〇八号)
 高等学校等の実習助手制度改革に関する請願
 (鈴木強君紹介)(第二三〇九号)
 学級編制基準改善等に関する請願外十四件(中
 西績介君紹介)(第二三五九号)
 同(中西積介君紹介)(第二三七四号)
四月一日
 私学の学費値上げ抑制等に関する請願(阿部未
 喜男君紹介)(第二四七九号)
 学級編制基準改善等に関する請願外五件(嶋崎
 譲君紹介)(第二五六九号)
同月三日
 私学の学費値上げ抑制等に関する請願外四件
 (谷川和穗君紹介)(第二五九七号)
 養護教諭全校必置及び国立養成機関設置に関す
 る請願(小林進君紹介)(第二六三九号)
 幼稚園就園奨励費補助金の交付に関する請願
 (長谷川正三君紹介)(第二六四〇号)
 大学の格差是正及び充実発展等に関する請願
 (長谷川正三君紹介)(第二六四一号)
 学術奨励研究員の定員増加等に関する請願(有
 島重武君紹介)(第二七六二号)
 学級編制基準改善等に関する請願(栗田翠君紹
 介)(第二七六三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 文教行政の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○三ツ林委員長 これより会議を開きます。
 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯山勇君。
#3
○湯山委員 きょうは、まず、いま非常に問題になっております早稲田大学のいろいろな不正事件についてお伺いいたしたいと思います。
 昨年入試問題の漏洩事件がございまして、その当時も文部省はそれぞれに適切な指導をするということでございましたが、最近になりまして、また、いろいろ入試の答案の差しかえ問題とか、あるいは替え玉合格とか、あるいはまた成績の偽造、さらには、その偽造された成績によって卒業資格を得る、しかも、そういう四つばかりのルートがある、不正入学者の合計は五十名にも達しておると言うし、それから成績偽造が十名にも達しておる。これに関係した職員もたくさんありますし、その中には教授も含まれている。すでに次々逮捕者も出ておりますし、昨年の問題のときには自殺者が一名ございましたが、今回もまた関係者の自殺があった。これらのことは、教育の上から言っても非常に重大なものであると思いますし、それから社会問題としても大変重要な問題だし、さらにスポーツにまで事が及んでいる。名門校であればあるだけに与える影響も格別であるし、報道関係も非常に大きく取り上げて、かなり詳細に報道しております。
 ところがどういうものか、この責任官庁である文部省から積極的にどうするということも、私の見た範囲では何にも示されていない。ただ、参議院の予算分科会で小野委員から質問があって、それに対しては機会あるごとに指導する、きわめて遺憾なことだという程度の御答弁しかございません。しかしこれは、そんなに簡単に、様子を見て適当なときに指導するといったような問題の処理でいいかどうか。もっと真剣にいま文部省は何らかの対策もとらなければならないし、また、それによって社会的な不信感なり不安感なりいろいろな問題も起こっておりますから、それらに対してしかるべき見解の発表もあってしかるべきではないか。これらのことについて一体文部省はどうお考えになっておるか、どのように理解しておられるか、これらに対する適切な措置として今後どのような対処をしていかれるか、このことをまずお伺いいたしたいと思います。
#4
○田中(龍)国務大臣 御質問の早稲田の問題につきましては、新聞紙上等でごらんのとおりでございますが、わが国の私立大学の名門校中の名門であります早稲田の不祥事件につきましては、まことに遺憾でございます。しかしながら、今回のこの事件というものが、むしろ昨年の問題に引き続いての同校のみずからを清めるという意味の自浄努力によって行われましたことは、私は、非常にこの問題について評価いたしておる次第でございます。
 なお、まだいろいろ事件の経過中でございますから、十二分のお答えもできかねると存じますが、担当の政府委員からお答えをいたさせます。
#5
○宮地政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げた点につきまして、補足して答弁させていただきます。
 早稲田大学の商学部では、昨年入試問題漏洩事件が発生いたしまして、それ以前の入試にも不正があったのではないかということで、一年にわたりまして調査を続けていたというぐあいに伺っております。
 警察の捜査等によりますと、在学生のほか、御指摘のように相当数の卒業生についても不正入試等が行われまして、また、それに関与した職員等も数人に及んでいるようでございますが、先般大学当局に来省いただきまして確認いたしましたところでは、在学生四名、卒業生四名、計八名の学業成績が改ざんされていたということでございます。
 第二点として、商学部では過去不正入学も行われていたが、その人数はまだ確定いたしていないということでございます。
 第三点として、早稲田大学の職員一名については、成績改ざんを行ったことを認めておるわけでございますが、なおほかにも、これら事件に関与した職員がいるということについては、まだ大学当局としては断定できないという態様でございます。
 大臣からもお答え申しましたとおり、大学自身の懸命な調査といいますか自浄努力によりまして発見されたわけでございますが、私ども、大学の良心的な努力というものは大変評価するわけでございますが、いずれにいたしましても、こういう一部の不心得な職員の行為とはいえ、早稲田大学でこういうことが行われていたということは、まことに遺憾なことでございます。
 大学では、今後、さらに入学試験や教務事務の管理体制というものについて検討及び改善を行うこととしておりまして、文部省としても、それらの点については十分指導いたしたい、かように考えております。
 私ども確かに、こういう問題が起こるのは、根が深い点もあると思いますし、こういう非常に大きなマンモス大学と申しますか、大学自体が、こういう非常に大きな組織体になってきた際の管理体制そのものについて、やはり基本的にいろいろ考え直してみなければならぬ点があるかと思います。
 そういうようなことにつきましては、私どもも、大学の管理体制がどうあるべきか、基本に立ち返って十分考え、また各大学自体にも、そういう点をお考えいただかなければならぬ事柄か、かように存じております。
#6
○湯山委員 いまの段階でございますから、これ以上細かいことの質問はいたさないことにいたしますが、いま局長も言われましたように、マンモス大学の管理体制自体の問題あるいはまた社会的に及ぼす影響その他を考えますと、おっしゃったように根本的に検討の必要がある。単にこの大学の一部の不心得者による特殊な出来事だけとは決めかねる点もあると思いますので、ひとつ具体的な、しかも抜本的な対応をお示し願いたいということを要望いたしまして、この件は終わります。
 それから、次にお尋ねいたしたいのは、予算委員会で、いろいろ問題になっております教科書について質問をいたしてまいりましたが、予算委員会という限られた舞台でもございますし、それから局長も、たくさんの他の関係者もおる中ですから、大分かみしもを着て御答弁になった点もありまして、本当に教科書問題について真剣に討議し合うという雰囲気から幾らか離れた感じがすることは大変残念でしたが、幸いあのときにも、この問題については、いずれ文教委員会で落ちついて審議をするということを申し上げておりましたので、きょうは、あるいはきょうだけでないかもしれませんけれども、当面しておる教科書の諸問題、それらの背景になる教科書に対する諸般の干渉、さらに文部大臣の固有の権限である検定権、その検定権を裏づけるための検定機構、検定のあり方、さらには、また出版会社がいまのような体制でいいかどうかという問題、さらに採択、教育委員会という行政機関が採択権を持っていて、実際に使う教師が採択の権限を持っていないという問題、果たしてどうなんだろうか、文部省が進めている広域採択、これは諸外国の例から見ても、そういう例はほとんどないようでございます。そうすると、いまとっている広域採択という方針に検討の必要があるのじゃないか。さらにまた、その検定に当たっておる調査官の検定の仕方、その調査官と教科書を使っておる学習活動とのつながり、これらの問題の一つ一つについて順次御質問を申し上げて、本当にいい教科書を子供たちが安心して使えるような体制を一日も早く樹立していきたい、このように考えます。
 いま幸い、教科書に関する論議が非常に大きくなっているときですから、ある意味では、そのことをいい方向へお互いに向けていかなければならないのじゃないか、こういう意味でひとつお尋ねをしたいと思います。
 まずその前に、予算委員会でお互いに質疑応答した中で食い違ったままになっておる問題がございます。それは中学の社会の教科書、今年度から新たに使うようになった中学の社会についてでございますが、この中学の社会については、展示会以後、つまり見本本ができた後において、外からのいろいろな要請があった、たとえば日本貿易会とかあるいは科学技術庁とかあるいはまた何か日本広告連盟とか、その他いろいろなところから文部省に対して要請が行われている、そのこと自体を問題にしたのではなくて、そういうものを受けて、そして正誤訂正という手続によって教科書の改訂が行われた、こういう事実について、手続の問題と内容の問題、この二つについてお尋ねをしてまいりました。
 そこで、文部省としては、これを訂正するために、正誤訂正という自発的な訂正を申請する呼び水といいますか、そういう自発的な活動を起こさせるために参考意見を述べた、こういうことでございました。これが果たして自発的なものかどうか、その辺に問題はありますけれども、このことについて、まずお尋ねしたいのですが、正誤訂正というのは発行者が自発的に行うものだ、こういう制約が検定規則には明瞭に示されていると私は思いますが、局長は、どのようにお考えでしょうか。
#7
○田中(龍)国務大臣 ただいまの御質問に対しましては、担当の政府委員からお答えさせます。
#8
○三角政府委員 正誤訂正につきましては、それが必要な場合について、湯山委員先刻御存じのとおり、教科用検定規則に定めてあるわけでございますが、必要な場合に訂正を行うのは、ただいまの御指摘のとおりでございまして、発行者が自発的に行うということでございます。
#9
○湯山委員 その場合に参考意見というもの、これは文部省の方で参考意見を述べて、それを受けて正誤訂正が行われたということであれば、それでもなおかつ自発的と言えるかどうか、この点はどうでしょう。
#10
○三角政府委員 前にも申し上げたところでございますが、科学技術庁あるいは日本貿易会、それらの意見が寄せられてまいりました。貿易会の意見は同時に新聞報道などにもかなり詳しく出たわけでございますが、これにつきまして文部省が参考意見を言うということではございませんで、これらの寄せられました意見を参考までに会社の方へお伝えをした、こういうことでございます。
#11
○湯山委員 同じようなことですけれども、前回は参考意見として述べたとおっしゃっておられるので、参考意見という一つの文部省自身の能動的な働きかけがあった、前回の答弁でこう私は理解しております。しかも、このことについては、文部省へ来たときに、このことを個人的にじゃなくて、文部省として伝えたという答弁を局長しておられますが、違いますか。
#12
○三角政府委員 ただいまのお話でございますが、私の手元の記録で見る限り、むしろ湯山先生の方が参考意見という言葉をお使いになっておられまして、私どもの方は、文部省から関係の教科書会社に対しまして参考までに伝えたという事実はございます、こういうふうに申し上げてあったつもりでございます。
 それから、伝え方といたしましては、会社の関係者がほかのことで見えましたときに、その機会を利用しましたり、あるいは場合によりましては、来省を求めましたり、あるいは電話という手段を用いましたりして、少し幅のある期間に随時口頭でお伝えした、こういうことでございます。
#13
○湯山委員 いまおっしゃった点に重点を置いてお尋ねしているのではなくて、そういう意見を伝えたのは、個人ではなくて文部省の機関としてという御答弁がありましたね。
#14
○三角政府委員 これは文部省の個々の、たとえば調査官なりあるいは事務官なりが、その者の預かっております業務の責任の範囲内で、自分の判断で自分の意見を言う、こういうマターではございませんで、寄せられました意見をあくまでそのままお伝えするという仕事でございますので、個個の個人がどうこうということじゃなくて、そういう意見を伝えようという方針のもとに行われた、こういう性格の事柄だと思っております。
#15
○湯山委員 ですから、いまのは個々の意見ではなくて、文部省としてこういう意見を伝えようという公的な意思に基づいてのことであった、こう理解しておったわけですから、いまの御答弁でそう理解いたします。いいですね。
#16
○三角政府委員 一つの組織として寄せられました意見を参考としてお伝えするということで、そうして関係の会社に対しまして一様にいたしたわけでございますので、そういう事務的な行為である、こういうぐあいに考えております。
#17
○湯山委員 本当にわからないのです。とにかく事務的にも何にもしろ、文部省の公的な行為であった、それでいいですね。
#18
○三角政府委員 いろいろ公的な行為とかいう言い方をいたします場合には、いろいろ権限なりあるいはそういうものが伴う場合が多いのでございますけれども、そういうことではございません。事務的なことでございますけれども、私どもは、何も私的にやったわけではございません、文部省として公的にやった、そういう言い方もできるかと存じます。
#19
○湯山委員 これは質問に入る前段の確認ですから、ここでこんなに行ったり戻ったりしては困るのですが、結局は公的なことだということなんで、そういうことだと、とてもじゃないが進まないので、予算委員会の場じゃないのですから、局長ももっとさっぱり御答弁してください。
 そこで、その問題は、公的な文部省の申し入れに対応してやられたということになれば、最初御確認願った自発的なものではない、純粋の自発的なものでないということはおのずから明らかです。
 なぜこういうことを申し上げるかというと、後で影響を持ってまいりますけれども、検定前と検定後では教科書に対する文部大臣の責任というものはうんと違う。検定後の教科書と検定前の教科書とでは、検定中と言ってもいいと思いますが、それでは教科書に対する文部大臣の責任というものは非常に違ってくる、このことは局長おわかりですね。
#20
○三角政府委員 具体的なお話でございませんので、ちょっとどう考えていいのかわからないのでございますけれども、検定後の教科書は文部省が、その教科書が学校で使用されることを認めた教科書でございます。
#21
○湯山委員 答弁がちょっとずつ角度が違うのです。つまり、検定の順序から言えば、新規検定を出願してきますね、しかし、その段階は全部出版社の責任でしょう。それから今度審査を始めますね、その場合も、やはり出版会社側に、書いてあることについての責任があるわけです。それを今度、修正意見あるいは改善意見をつけて直せということをやって、それができたかできないかを内閲本というので承認しますね。そして訂正したものを出してきたときに、もうこれで十分完成しておるという判断を文部大臣がして初めて検定決定でしょう。だから、文部大臣が検定したというのは、文部大臣としては、これでひとまず完全な教科書だという責任を、ここで大臣が負ったのでしょう。違いますか。
#22
○三角政府委員 教科書として用いることを可とするという意味で、委員がおっしゃいますように、文部省もそれに参画をして責任を負ったというふうに理解してよろしいと思っております。
#23
○湯山委員 意味合いはもうおつけにならなくても、答えは同じですから……。
 そこで、いまのように、その前後では文部大臣の責任というものは非常に違っている。正誤訂正というのは、文部大臣が検定して、自分が責任を持つと言った以後に行われるものですね。したがって、文部省が公的に、文部大臣の検定した教科書に、この点は不備であると思うとか、この点はどうかしたらどうかということを言うというのは、みずからがみずからを批判している、こういうことになるのじゃありませんか。
#24
○三角政府委員 この正誤訂正の中身はいろいろでございますが、物によりましては、ただいま湯山委員のおっしゃったような展開になると思います。
#25
○湯山委員 今度は非常に明確でした。
 そこで、できた正誤訂正というものが、いま物によってはとおっしゃいましたが、その物によってをいまからお尋ねしたいわけです。
 いまお手元へ資料をお配りしてありますから、ごらんいただきたいのですが、その中の三枚目の一番後の文をごらんいただきますと、帝国書院の地理の見本本、二百六ページというのの下から五行目の終わりから四行目にかけて「温度の高い排水による漁業の被害」という文章があります。これが供給本では、つまり正誤訂正されて、下から五行目「温度の高い廃水」の「ハイ」の字が違っています。「による漁業への影響、」こう変わっております。
 この場合、正誤のどの項目によって、文部省は、この「排」の字を変えたことを承認されたのか。正誤訂正は大臣の承認が必要です。しかも、それには四項目のちゃんと規定がございます。そのどの項目によってこれを認めたのかを伺いたいと思います。
#26
○三角政府委員 この「排水」の「排」の字につきましては、会社側は、四号で訂正を要するという判断で出してきたというふうに考えております。
#27
○湯山委員 会社のことをお聞きしておるのじゃなくて、文部大臣の承認がなければ正誤訂正はできないのですから、ですから、承認した理由をお聞きしておるわけです。
#28
○三角政府委員 会社側は、四号で訂正を要するものがあることを発見したということで出してまいりまして、それを受けて文部大臣として承認をいたした。まあ「ハイスイ」という字で「工場用排水」とかその他の「ハイスイ」の記述と表記の統一を図るという会社の意図があったのではないかということでございます。
#29
○湯山委員 幾ら言っても、わかってもらえないのは残念です。会社のことを聞いておるのじゃないんですよ。会社がどんな意図であろうがどうであろうが、もうここの認める、認めないは大臣です。だから、そのことについては、文部大臣は全責任を持って答える責任があるのです。それをお聞きしておるのです。
#30
○三角政府委員 正誤訂正は、先ほど湯山委員からのお話にもございましたように、自発的に出てくるものでございますので、まず会社がさきに申しましたようなことで出してまいりまして、それを受けて文部大臣としては、この条項に基づく承認を、そのまま承認をした、こういうことでございます。
#31
○湯山委員 第何号ですか。
#32
○三角政府委員 教科用図書検定規則の第十六条第四号でございます。
#33
○湯山委員 第四号のどこに該当するのですか。
#34
○三角政府委員 第四号は一つのまとまった号でございますので、第四号そのものに該当するということで出してまいったのでございます。
#35
○湯山委員 そういう答弁をあなたはいまする立場ではないはずです。第四号はちゃんと具体的に記述があるはずです。そのどこへ該当するかというのを聞いておるのですから、きちっとそれに答えてください。
#36
○三角政府委員 どうもお答えのいたしょうがない感じなんでございますが、第四号には「その他学習を進める上に支障となる記載で緊急に訂正を要するものがあることを発見したとき。」ということで、そういうことで発行会社が発見をして持ってきた、こういうことでございますので、その第四号を分解するというようなことで第四号のどこというふうには申し上げにくいのでございます。
#37
○湯山委員 第四号には「その他学習を進める上に支障となる記載」、つまり、これが学習を進める上で支障になるということが一ちょっと聞いていなさい、よけいなことを言わずに、後ろの方、局長がわかっていないから言っておるのですから……。「学習を進める上に支障となる記載」、この条件です。しかも、それであって「緊急に訂正を要するものがある」、それを発見したとき、ちゃんと条件があるんですよ。まとまったものじゃありません。ぼやっとしたものじゃありません。
 このことは、予算委員会では、内閣法制局もはっきり、そのとおり答弁しておるでしょう。どこですか。発行者の問題じゃなくて、文部大臣がなぜこれを認めたかということを聞いておるのです。それは学習を進める上でこういう点が支障になる、しかも、ほっておいたらこんな問題が起こるから緊急にこうだということでしょう。
 この説明を聞いたときには、たとえば理科の実験などで、Aの液にBの液を加えるとあるけれども、それをやると、時によると有毒ガスが出る、そういうことがわかったので、これは学習を進める上で大変だ、そういうときには、この第四号でやると説明を受けたことがあります。
 ところが、これは「排」の字をこう変えなかったら、なぜ学習に支障があって、なぜ緊急を要するのか、そういう説明がちゃんとできなければ、正誤訂正を認めた――認めた側の答弁を聞いておるんですよ。
#38
○三角政府委員 認めたのは、やはり会社側の考えが、私どもとしては、適切だと考えたから認めたのでございまして、「学習を進める上に支障となる記載で緊急に訂正を要する」ということで、この会社としては「ハイスイ」という用語を、教科書の中で統一した字で書くという方針で考えを出してこられましたので、この「廃」という字を用いるということでございます。
 ただ、予算委員会のときに、湯山委員いろいろ御議論いただきましたように「排水」というのも、これは原子力発電関係の専門的な用語としては、そちら側の方がかなり一般的に用いられておるという事実はあるわけでございますけれども、他方において「工場用廃水」でございますとかそういった用い方もございまして、この教科書としては、そちらにこの用語の統一を図ろうということで訂正を申し入れてきたので、私どもも、それを適当と認めましたので、承認をいたしたのでございます。
#39
○湯山委員 検定規則の第四号でというのは、答弁にきちっとあったんですよ。
 それじゃ、この「排」の字を「廃」の字に変えなかったら、どんな学習上支障があるのですか。問題は、教科書の用語統一とかそんなことは何にも理由にならない、学習上支障があるかないかだけです、この際の判断材料は。どういう支障があるのですか。
#40
○三角政府委員 これは「排水」という字と両方使ってもいいわけで、どういう支障ということは、具体的にはむずかしい問題だと思いますが、ほかで用いている「廃水」という字と同じ字で統一するということは、やはり一つの学習を進める上で非常にそこのところがやりやすくなるという見方も当然できるわけでございます。
 それから、この「ハイスイ」という字一つではなくて、ここに資料をいただいておりますように、ここのところの全般の問題としての訂正の一環として会社が考えてこられたわけでございますので、私どもはそれを取り上げた、こういうことでございます。
#41
○湯山委員 これはもう一遍言いまして、いまのような答えが続くなら、私、質問をやめます。いいですか。教科書会社が「ハイ」という字を統一するなんということは、検定と全然関係ないんですよ。しかもあなたは、ほかの教科書や一般では「排」を使っておる、こう言っておるのです。何のための検定ですか。それをやるのが、あなたらの役目じゃないですか。しかもあなたは、予算委員会では、これは二月二十日には、見落としがあった、原稿が手書きであったとすれば誤記です、印刷段階で間違ったとすれば誤植だということになります、こういうケースはときどきあるから、学校に通知して連絡します、これは二十日の答弁です。覚えていますか。
 その次にはどう言ったかというと、これは会社があえて意図的にやったのだ、だから、この字は間違いだということは言えない、こういう答弁をしておる。
 間違いであるなしじゃないのです。会社が統一するとかしないとかじゃない。学習にどう支障があるか。それが言えないで正誤を認めるというのは間違いです。学習でどこが支障があるのですか。一般的に使われておる言葉を、現に出しておるものを直さしておる。それを認めておる。逆じゃないですか。むしろこの方が、こんな妙な字を使っておるな、一般にはこの「排」を使うのに、これはこうなっておる。逆になる。支障がかえって出てくる。それを、あなたはなお、支障があるから直したと言い張る。それでは私は質問できない。まじめな答弁をしてください。
#42
○三角政府委員 湯山委員のおっしゃった予算委員会のときの状況は、私、それは率直にそのとおりでございます。最初に問題提起されましたときは、突然でございましたので、私は、会社側からの正誤訂正の申請の実態、それから、それをどういうぐあいに受けとめたかということについて詳しい知識の持ち合わせがございませんで、とっさの答弁をしたということで、これは弁解にはならないかもしれませんけれども、それは私、ここでおわびをさせていただきたいと存じますが、その後いろいろ事情を調べたのが、いま御紹介になりました私の二度目のお答えでございます。
 これは、やはり「排」と「廃」と二つの「ハイ」がありますが、それで、どこが支障があるかという御指摘もわからないではございませんが、一つのやり方として、やはり表記が不統一であるということは学習を進める上によろしくなかろうという考え方があり得るわけでございまして、それで「廃」に統一するという考え方での教科書の編集ということがあり得ますので、それを私どもは採用して認めたということでございます。
#43
○湯山委員 後ろの人、大事なことが聞けないから……。いいですか、なぜ出版社の申し出を認めたかというのをいま聞いておるのです。まして、教科書会社は意識してやった、意識してやったというのなら、なおのこと、これは検討の必要があるのです。どれとどれとを統一するのですか。この会社の出した本だけ統一したりて、使うのは全国の子供ですよ。日本じゅうで他の子供は全部「排」を使っている。ただこの教科書だけがそれを使う、それが正しいと、正誤を認める。だから、正直言えば、局長の一番初めの答弁が一番正しい。それしかないです。それへこういう理屈をつける。そこに私は、検定の姿勢の大きな問題がある、こう思うのです。
 どこが学習に支障になるか、具体的にはっきりもう一遍言ってください。
#44
○三角政府委員 先ほども申し上げましたように、要らなくなった水という意味で表記を統一するということは、一つの、学習を進める上でのよい方法であるということでございます。「排水」も、水そのものをとらえますれば、これは要らなくなった水であるということでございますので、それは両方とも、どちらも間違いではないということであろうかと存じますけれども、水そのものを指して「廃」の字を統一して使うという編集方針も、これは学習を進める上に、ある意味ではよいやり方であるということが言える、そういうふうに思っておるのでございます。
#45
○湯山委員 答えになってないでしょう。たとえ同じでも、どちらも正しくても構わぬです。そんなことを聞いておるのじゃない。せっかく「排」――どっちでもいい方の、一般に使われておる「排」を使っておったのを、今度は「廃」に訂正するのを認めたのでしょう。認めて訂正させた以上は、この「排」では学習に支障があると――四号と言うのですから、それ以外に理由はないのです。いまどっちでもいいのなら、変える必要のないものをやったということは、正誤訂正に合わない、四号に合わないのをやっている。みずから言っておることです。こういう簡単なことで、一番初めのように、すなおにこれは間違いでしたと言うのならわかりますけれども、それをこじつけて、教科書会社が自分の会社の統一しようがしまいが、そんなのは正誤訂正の理由にならない。教える先生一つでやるのですから、しておろうがしていまいが、ちっとも学習に関係ないです。どこが学習に支障があるかというのは一いまのどっちでもいいと言うのなら、ないということでしょう。局長、どうですか、変えなければならないという積極的な理由はないでしょう。手へんのは間違いだ、正誤の誤じゃない、こういうことでしょう。
#46
○三角政府委員 何と申しますか、非常に接点にあるような事柄だと思うのでございます。従来の、昔からの検定のやり方の中に、やはり表記の統一ということがございまして、その観点から見て、そういう訂正にもやはり意味がある。そして「廃水」という国語表記上の観点からは、場合によっては、それが好ましいということは当然言えますので、私どもは、会社の方からそういう申請が出てきたのを受けとめて認めたわけでございます。
#47
○湯山委員 もし認めておったら認めたことが間違いです。第四号ではありません。あなたがお答えになったとおりですね。四号じゃないですね。支障があるというのは、いま申しましたように、われわれ関係した者から言えば、たとえば甘酒をつくって、それをほうっておくとアルコールのにおいがし出す、アルコールのにおいがし出したものを酒だと思ってほうっておくと酒税法違反になるから、アルコールができたと思ったら、それは捨てなさいというようなこと、それでも学習支障にならないけれども、そういうときとか、まあ極端なのは、いまの化学などで危険のある場合、そういうのはそうです。しかし、いま言ったような、どちらでもいい、この方がより適切であろう、これがよくなる、そんなのは検定以後の教科書を訂正する正誤訂正の対象にはならない。いまどんなにお答えになったって、どれ一つ合ったのはありません。
 このことについては、局長に何ぼ言っても、わからないのですから、これ以上、この問題は質問できないと思うのです。まだわかりませんか、言った意味が。
#48
○三角政府委員 私は、国語としての「廃水」、それから原発の専門的用語としてわりと一般的に用いられておる「排水」、これをどちらを使うか、こういう問題なんで……(湯山委員「違うですよ」と呼ぶ)それについて表記の統一ということで申し上げたのですが……(湯山委員「委員長、とめてください」と呼ぶ)表記の統一のような正誤訂正は、いろいろあるのでございまして、たとえば「支払われる貨幣量を」と書いてきたものを、ほかのところで「貨幣額を」とずっとやっておるので「貨幣量」というのを「貨幣額」に直したいとか、あるいは「みずからの老後を考えるため」というのを「老後の生活のため」と変えるとか、そういう表記の統一を検定の後にやりたいという会社の申請が出てくる例はほかにもあるのでございます。
#49
○湯山委員 もうこれで、御答弁が悪かったら質問を打ちきりますから、最後に政務次官、私と局長のやりとりをお聞きになって、答えておるとお感じになりますか。ちゃんと検定規則には四項目あって、その四号でやった、その四号には支障がある云々、それでは、どこに支障があるかと言えば、どっちでもいい、いや一貫性がどうとか、ちっとも答えないのですが、政務次官、あの答えで答えておるとお感じになりますか。
#50
○石橋政府委員 ただいまの問題伺っておったわけでありますけれども、私自身、この検定の問題につきまして、調査官ほどの知識は持っておりません。ただ、全般の問題といたしまして、この「廃水」でございますね、これと「排水」の持っておる意味、それが全般の教育というものに対してどのような影響が出るかという問題についてのやりとりであった、こう思うわけでありますけれども、そのような解釈で私はおりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。(「答弁になっておらぬ」と呼ぶ者あり)
#51
○三ツ林委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#52
○三ツ林委員長 速記を始めてください。
 湯山勇君。
#53
○湯山委員 じゃ、もう一つ、似たような問題をお尋ねします。
 今度は、大変失礼ですけれども、局長は答弁せぬようにしてください。政務次官にお尋ねします。中学生の問題です。
 お配りした資料の二枚目の一番下をごらんください。清水書院とありますね。これは左が見本本で右が供給本です。変わったのは一番下の行だけですから、よくわかります。一番下の行の「安」という字の上の「不安」から続いて、「不安も大きく、反対運動で建設できなくなった例もある。」というのを「不安もあり」と、「大きく」を「あり」にして、「不安もあり、反対運動で建設できなくなった例もみられる。」、こう訂正しています。これをこう訂正しなかったら学習に支障があるというのですけれども、不安が大きくというのも不安があるというのも、どれくらいの大きさかというと、反対運動で建設できなくなったような大きさ、ちゃんと両方書いてありますね。それから「例もある」というのを「例もみられる」、あるから見られるので、「ある」と書こうが「見られる」と書こうが同じでしょう。この内容は両方同じだと思いますが、政務次官どうでしょうか。
#54
○石橋政府委員 お答えいたします。
 私自身、この記述例の見本本と供給本の差異は余りないな、こう思われます。
#55
○湯山委員 ずばり、非常に明快です。これを出版会社から出してきて、そして文部省は、これを改めなかったら学習に支障がある、こういって認めたのですが、これは正しいとお思いになりますか、おかしいとお思いになりますか。
#56
○石橋政府委員 会社側がこのような形に改めたいということで出したものと思われます。そこで、文部当局といたしましても、いま私が答弁を申し上げたような見解に立って、そう関係がないなと思ったので、これでもよろしいということだと思います。
#57
○湯山委員 政務次官、いま政務次官がお答えになったような理由でお認めになったとすれば検定規則違反です。これはおわかりになりませんか。
#58
○石橋政府委員 私は、法律の中身はよくわかっておりませんのです。しかし、それ自体が法律に違反をしている行為であるというふうには私には思えません。
#59
○湯山委員 今度は常識的にお答えしていただいたのでは困るのです。いまのように大臣が一遍検定してよろしいと言った教科書です、見本本というのは。それをまた教科書会社から言ってきて、特に審査をした上でよろしいと、ただし、これはどれでもこれでも言ってきたら認めるのじゃありませんよ、それには、これは誤字でも脱字でも何でもないのですから、第四号で「学習を進める上に支障となる記載」、これはこう改めなければ学習を進める上で支障になる、しかも、すぐ改めなければならぬ、緊急を要する、こういう理由でなければ認めてはならない、こうなっておりますね。いま申し上げたのには合ってないですね。
#60
○石橋政府委員 私は、どこまでも教科書会社側がみずからの意思によって直してきたというふうに理解します。ですから、いま湯山委員のおっしゃっておりますところの規則以前の問題として物事は解決した、こう思っております。
#61
○湯山委員 もういまお答えになったので間違いだということはわかっておるわけです。というのは、見本本は文部大臣がもうこれでよろしいと言って公表したものです。よろしいと言ったものです。それを教科書会社が、まあ授業に支障を来すから、学習上支障を来すから、これだけ直してくださいと言ってきたのを、おれがちゃんとよしと言ったものを簡単に認めるわけにいかぬ、よく調べてみて、ああこれは確かに学習上支障がある、それで初めて認める、これがこの二つの間にあるのです、規則のたてまえで。それを聞いておるのですから、そうじゃないでしょう、次官。おわかりになりましたか、いま申し上げたこと。
#62
○石橋政府委員 そこのところでございますけれども、私といたしますと、どこまでも会社側が文部省からの指示によって直したのではない、会社側そのものが直して持ってきたのだという解釈をしておりますので、法令上違反にはならないだろう、こういうことであります。
#63
○湯山委員 委員長はおわかりいただいたですね、もう委員長の答えは要りませんけれども。いいですか、これは検定を終わっておるんですよ。全部責任は文部大臣にあります、こういうことなんです。検定は終わっておる、責任は文部大臣にある、前段の直す前のは。それはわかっていただいたのですか、ちょっとお答え願います。
#64
○石橋政府委員 見本本の段階におきましても終わったものである、こう解釈いたしております。
#65
○湯山委員 解釈でなくて、これは事実がそうなんです。だから、簡単に改めるということは、文部大臣に対する抗議みたいなものですからね。あなたの検定が粗漏であったためにここを直さなければ学習に支障があります、だから、認めてください、これはこう来ておるのです。
 だから文部大臣、簡単にどれでも認めるわけにいかぬ。これは誤字、脱字、それから日中平和友好条約のように、その前に書いた教科書が出る前に条約ができた、これは直さぬといかぬ。統計の数が違っている、統計が違っている例では、先般参議院で「疑問だらけの中学教科書」で、十年前の社会保障費を資料にとって日本の社会保障はおくれておる、これはけしからぬという追及がありました。それで厚生大臣は、腹を立てて、まことにけしからぬ、いまこの八倍にもなっておるのに、それをこんな古い統計を出して日本の社会保障がおくれておると言うのはけしからぬ、文部大臣に抗議をします、申し入れて直してもらう、厚生大臣は公式にこう答弁なさった。
 文部大臣、厚生大臣から何か申し出ございましたか、あのときの発言については。
#66
○田中(龍)国務大臣 その後、私、公の文書なりあるいはまた何らかの処置によりまして修正要求ということは厚生大臣から聞いておりません。
#67
○湯山委員 いま申し上げたのは、政務次官、十年前の統計を出して日本の社会保障はおくれているというようなことを言った、これはけしからぬと言ったのは、出版会社に言ったのじゃないんですよ。検定してちゃんと文部大臣がこれでよろしいと言ったものがそうなっておるのですから、やはり文部大臣に対してこんな検定をしたのでは困るという抗議でもあるのです、一たん検定したものですから。だから、いま政務次官おっしゃったように、清水書院の見本本でも供給本でも余り中身は変わっていない。それをあえていまのように、これを直さなければ学習に支障があるという理由のもとに直したというのは、それは間違いだ、こういうことを申し上げておるのですから、おわかりいただけましたね、いまの点。
 それで文部大臣、いま突然でおわかりにくかったと思いますけれども、見本本を訂正しておる中に、直さなくてもいい文字を直している。どちらでもいいとかいうような、ある本にはこう使ってある、ある本にはこう使ってある、そういうものをあえて学習に支障があるという理由で直させておるのは、それは理由にならないではないかというのに対して、局長は、学習上支障になるということは具体的には答えないで、どちらでもいい、いや国語学的にはとかなんとかいうようなことで言っておりましたので、これは余りおかしいと思って理事会で御協議願うことになりました。
 それから次の例は、政務次官にお聞きすると全く同じようなものだ、これはだれが考えても同じようなものであるのにあえて正誤訂正をしている。余り変わりないものをあえて正誤訂正している、このことを取り上げていまの段階に至っております。これらのこと、まだたくさんあるのですが、ついでにもう一つ見てください。
 この一番上です。一番上のものは、日本書籍の公民分野の見本本。見本本は全部活字です。下に丸いものが二つあるだけです。ところが、今度供給本になると、世界地図と何だかわからないこけしのつくりかけのようなグラフ、円筒グラフ、下の図は同じですが、これだけ大きく変わっているのです。見本本と供給本とで検定済みの教科書がこんなに大きく変わるということは普通ないことです。これも学習上支障があるというのですが、もし学習上支障があるとすれば、これだけ大きなものを見落とした文部省の検定自体に大きな間違いがあった、検定の粗漏があったということにしかならない。
 これについて文部大臣、ずいぶん大きく変わったということは、ごらんいただいてそのとおりですが、この右のをぽっと見せられて、これで学習するといったら、かえってこの方が学習に支障があるのじゃないでしょうか。もし左のページ、見本本の記述にどうしても不当なところがあるとすれば、これは誤字や脱字じゃないのですから、見落としておった、検定に粗漏な点があった、遺憾な点があった、いずれにしても、これは文部大臣の責任ではないかと思いますが、文部大臣、どうでしょうね。
#68
○田中(龍)国務大臣 私、いつも申し上げておりますように、教科書というものは、非常に教育の基本をなすものでありますから、りっぱなもの、大事なものであるという気持ちから、やはり少しでもいいものができていただきたいという念願は、先生と同じでございます。
 つきまして、いまの具体的なケースでございますが、たとえば教科書会社の方から、こういう修正をしたいと言うて要望が出てまいりましたものにつきまして、検定の方といたしまして修正いたしたものと心得ますが、それにいたしましても、文章で書かれました内容が、いろいろとむずかしかったり、わかりにくかったりしたものを、グラフなり図表にいたしまして、よりわかりやすくしたものと心得る次第でございます。
 しかしながら、修正の問題につきましては、一号から四号までございます問題に当たりまして、いまの担当の方におきまして善処いたしたもの、かように考えております。
#69
○湯山委員 善処いたしたもの、言葉じりではありません、大臣にしっかり認識していただきたいのは、教科書検定については、文部大臣だけしか検定権がないのです。ほかの調査官がどう言おうが、局長がどう言おうが、これは法律によって文部大臣の固有の権限ですから、やはり文部大臣は、その信念を持ってお答えいただくし、教科書については対処していただきたい。
 と申しますのは、これも参議院で名越二荒之助という高千穂商科大学助教授がいろいろ述べられました中に、それから三塚さんもこのことを質問しておられましたが、教科書に核家族がいい、老人ホームのきれいな写真が出ておる、つまり、こういうことをするから、日本の老人の自殺は世界一だ、こういうのがありましたね。そうすると、それはだれの責任かというと文部大臣の責任。また校内暴力は、何かデモの写真やあんなのがたくさん出ておる、それが誘発をして校内暴力になった、こういう教科書を使うから校内暴力が出てくるというような、漫才みたいな参考人の意見がありまして、それにしかるべく質問者もうなずいておったようですが、これももしそうだとすれば、それは名越二荒之助さんの言うことでは、文部大臣に、あなたが検定した教科書がこうですよ、こんな検定でよろしいのですか、つまり校内暴力もお年寄りの自殺が世界一多いのも、みんなあなたの責任ですよということです。
 それぐらい検定権というのは重要なものだと思っております。ただし私は、名越二荒之助さんの言うことを信用していませんから、別にその責任が文部大臣にあるとは思っておりません。しかし、この教科書を、いま言ったような名越二荒之助さんだけじゃなくて、この本を監修したのは、文部大臣が承認した福田信之筑波大学の学長です。それがいまのように、文部大臣の検定の仕方が悪いから老人の自殺が多いですよ、それから大臣の検定の仕方が悪いから十年前の日本の社会保障は一番悪いということになっておる、検定が悪いから校内暴力が起こっている、こういうことを監修したのは筑波大学の学長です。
 ですから、日本の教科書にそんなような意見をまともに出してきて、意見を述べて、そういうものが教科書づくりに影響するというようなことが一体許されることか許されないことか、あるいは許す許さぬの問題じゃなくて、文部大臣としては、そういう者に検定権を侵害されるようなことはないという御決意をお持ちかどうか、この点を伺いたいと思います。
#70
○田中(龍)国務大臣 私は、先ほども申しましたように、りっぱな教科書を子供さんたちに贈らなければならないという責任を持っております。検定権の行使と申しますか、それがどういう経過でありましょうとも、あくまでもその気持ちで私も責任を痛感し、また努力もしなければならぬ、かような次第でございます。
#71
○湯山委員 そこで、お気持ちはわかりますが、名越二荒之助さんという人は、話術の上手な人でみんなを笑わせておりましたが、そういうものや肩書きに迷わされないで、正しい検定をやるならやってもらいたい。検定がいいかどうかの議論は、後で質問したいと思っているのです。
 それはそれとして、もう一つ、大臣にお尋ねしたいのは、自衛隊に関する記述で、大臣は、教科書検討調査審議会の答申もあって、文部省としては、自衛隊は合憲であるというのも違憲であるというのも両論書いたのを、検定としては認めるということにしておるという御答弁がありましたが、これは確認したいと思いますが、そのとおりでございますか。
#72
○田中(龍)国務大臣 それは御案内のとおり、本流といたしましては、合憲であるということに相なっておりますけれども、社会のいろいろな場所におきましては、それに相反する議論をなさる方もある、その事実を事実としてそこにしたためたもの、かように心得ます。
#73
○湯山委員 国会での御答弁と一つ違うのは、合憲というのが本流といまおっしゃいましたが、そういう表現はなくて、そのときの御答弁は、合憲論と違憲論を併記した申請本を合格とするという答申が行われましたのでということでした。扱いとしては対等ですね。どうなんでしょうか。
#74
○田中(龍)国務大臣 つまり、日本の社会におきまして二つの議論があるということは、もう明確でございます。
#75
○湯山委員 学問の場合、たとえば憲法学というようなときには、そういうように両論あるというのも当然だと思います。それから、この間どこかで出たミイラが四千年前のものか六千年前のものか、これは両論あっていいことですし、あるいはまた光は波か粒子か、こういうのも両論あればあっていいと思うのですが、さて、国の基本法であり、もっと言えば、日常の規範になる憲法というものに両論あると書かれた教科書を子供に持たして、それを教えて、それで教育はいいのだろうかという問題です。学問と教育との違いというのは、そこじゃないかと思うのです。
 そうなると、役場にも駅にも自衛隊の広告が出ておる、自衛隊へ行こうかな、しかし、憲法違反なら行くのはいやだというようなときに、本を見ても両方あって、どっちがどうか一向にわからない。先生に聞いても、両方あるから両方。一体、教育の場で両論というようなことでいいのだろうか。私は、この点に大きな疑問を持ちます。学術書と教科書の違いというのは、そういうところにあるのじゃないでしょうか。もし両方あるとすると、一つのクラスの中におれは合憲、おれは違憲、先生たちの中にも私は合憲、私は違憲、こんなことになるのじゃないでしょうか。場合によったら、文部省は合憲、教員組合は違憲、こんな対立がこういう態度の中から出てくるおそれはないでしょうか。
 と申しますのは、教科書というのは、やはり純粋に教育の立場を離れてはいけないということを申し上げたいのと、こういう国の基本になることが二つあるというようなことが一体いいことなのか悪いことなのか。そして、その一方をあえて偏向だというきめつけをするということは果たしてどうか。およそ偏向というのは、初めから道を真っすぐ行っておって、それを偏向と言う場合があるでしょうか。偏向というのは横を向いてその道から違った方へ行く、それが偏向だと思うのです。本来、憲法について偏向か偏向でないかと言えば、この間お尋ねしたように、できたときからずっと一貫している人は自衛隊違憲論、これは真っすぐ変わっていません。合憲の立場の人は何度か曲がってきています。私どもの常識から言えば、曲がった方が偏向で、曲がらないで真っすぐ来ている方は偏向ではないと思うのですが、この点大臣は、いまの点とあわせてどうお考えでしょうか。
#76
○田中(龍)国務大臣 ここで私は、憲法論を申し上げる気持ちは全くございません。また文部省は、教科用図書検討調査審議会の答申に基づきまして検定を行っているのでございますが、自衛隊に関します記述について、審議会によりまして、合憲論と違憲論を併記いたしました申請本を合格とするという答申が行われましたので、文部省といたしましても、これに基づいて検定を行ったものでございまして、それだけのことでございます。
 さらに、その前提となりまする憲法論は、いまのこの検定の問題につきましては話の外にあるものだ、かように私は考えます。
#77
○湯山委員 これはまだもうちょっと立ち入って、この後で高校の教科書の検定過程における問題のところでお尋ねいたしたいと思うのですが、ただ一つ、この本と同じように他からの圧力のようなもので「いま、教科書は…」というのがありますね、これは局長、お読みになりましたか。
#78
○三角政府委員 ざっと目を通しました。
#79
○湯山委員 この中に偏向教科書の例として日書の社会科の本が取り上げられておりまして、著者名まで挙げて、全く偏向であるという指摘があります。御記憶ありますか、百三十五ページ。
#80
○三角政府委員 出た当座に目を通しましたので忘れております。
#81
○湯山委員 それと同じように「「学図」の「中学校社会」も「日書」のものと似たような記述をいたるところにちりばめている。それも道理で、「学図」の教科書の著者もまた共産党員もしくはその同調者で占められているからである。」云々とある。この偏向教科書に入れておる学図、いいですね。
 さて文部省は、学校教育法によって、文部省が著作の名義を有する教科書か検定教科書しか使ってはいかぬということになっております。これはいいですね。そこで、文部省が著作の名義を有する盲学校の中学教科書、社会科ですが、これはどこの教科書をもとにしておるのですか。
#82
○三角政府委員 きょうは特殊教育課の担当が来ておりませんので、いま聞かせます。
#83
○湯山委員 検定課長、これは学図のでしょう。
#84
○三角政府委員 これは教科書検定課ないしは教科書管理課で担当しておりませんので、盲学校の方の担当の特殊教育課の方でやっておりますものですから、いまちょっと正確な知識を持ち合わせてないので、いま問い合わせます。
#85
○湯山委員 局長はその上にあるんですよ。それくらいわかってないといかぬのじゃないですか。
 大臣、これはいま申し上げたように、偏向教科書のやり玉に上がっておる学図の教科書、それの目で見るところをのけたものを、学図の了解を得て点字にして出しておるのが、文部省が著作の名義を有する盲学校の教科書です。この教科書なんというのには、そういうむちゃなことが書いてあるのです。だから、こういう意図的なものが出されて、それが教科書行政を曲げるというようなことになったら、これは大変なことだし、もしこれに書いてあるとおりだとすれば、文部省自身が著作権を持っているその教科書がいわゆる偏向教科書だ、これも大変な問題です。だから、こういう妙な学者の皆さんや意図的な教科書攻撃というものは、やはり検定権を持っている文部大臣として排除していかなかったら、教科書はどっちを向いていくかわからない。私は、純粋な立場でこのことを申し上げたいのです。
 まだほんのわずかしか行ってないですけれども、さっきのようなことで時間をとりましたから、一応これでやめて、また改めて後で引き続いてお尋ねいたしますが、大臣、こういうものが、いま教科書論議の中で世の中をかなり毒しています。しかも、これは大部分が文部大臣攻撃です。これも文部省が著作の名義を有するものを、それが偏向教科書だとわからずに言っておるものだから、そんなことになっている。こういうものに惑わされないで、本当に教育のための教科書をつくるということについて、大臣、改めてひとつ御決意のほどを伺いたい。
#86
○田中(龍)国務大臣 私は、終始一貫、りっぱな教科書をつくって、そして、それを子供たちに与えなければならないという立場でございます。そういう点から、教科書の問題につきましては、特に価値観が非常に複雑になっております現時点におきましては、いろいろと批判もあり、議論もあると存じますが、しかしながら、りっぱな教科書をつくろうと思う信念で挺身しておられます検定官並びに検定の審議会の決定というものを、私は、あくまでも私の立場といたしまして貫いていかなければならない、かように考えております。
#87
○湯山委員 いまの大臣の御答弁のようにぜひそういう御決意でお願いしたいと思うのです。
 いま局長にお尋ねしたりいろいろした問題も、心配な点は、原子力発電についてやったのは、科学技術庁からあったけれども、発電をやっておるのは、公共性はあるが、やはり営利会社なんです、それが仕事しやすいようにという申し入れでなされている。それから、この一枚べた書きに直したのも、総合商社や海運界でつくっている日本貿易会から言ってきて直しておるのです。だから、どちらかと言えば、今度の正誤訂正というものは、財界からの申し入れです。これらは政党や学者の一部ですけれども、それだけじゃなくて、今回の正誤訂正の背後に動いているものは財界です。方々で電力会社はトラブルを起こしている。科学技術庁がトラブルを起こしているのじゃない。発電所の建設ができなくなった、これは電力会社はやはり営利会社です。それから一枚べたに変えさせた日本貿易会、これは総合商社、海運でつくっておる団体です。それらの申し入れで、きつき答弁できないような理由で直されている。ここに問題がある。
 だから、いま大臣がおっしゃったように、そういう別な不当な圧力、学者のような形での圧力、同時に財界からも、もうけるためにいろいろな圧力が来ます、それにいま乗っている。出版会社も営利会社の一つですから、ついそういう結びつきをする。そして局長が、この前は訂正を出させたのにやめて、向こうの言い分、この向こうの言い分と言うのは、出版会社が各学校へ訂正したのを出したら金がかかりますので、それをかばっているというようにもとれないことはない。これはもっと、営業費やいろいろな問題を後で聞きますが、各学校へ教科書をほとんど送っているのですから、これは後で聞きますけれども、決して純粋に教科書をよくする立場だけじゃない、こういうことが読み取れるので、少ししつこく聞いておるわけですから、そういう点、もっと素直に答えていただきたい。そして、そういう疑問を持たれないようにやはり気をつけてもらいたい。これは大臣のいまの御答弁に関連して申し添えておきたいと思います。
 一応これで終わります。
    ―――――――――――――
#88
○三ツ林委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本日の三浦隆君及び小杉隆君の質疑に際し、参考人として日本私学振興財団理事長佐藤朔君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十一分開議
#90
○三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際申し上げます。
 参考人として佐藤朔君が出席されております。
 参考人の御意見は質疑応答の形式で聴取いたしますので、御了承願います。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。三浦隆君。
#91
○三浦(隆)委員 大変おくれまして、まことに申しわけございません。
 初めに、私学振興の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。お忙しいところをわざわざおいでいただきまして、また、私の不注意のためおくれましたことを冒頭おわびを申し上げたいと思います。
 実は「私学共済」という雑誌がありましたけれども、その中に「国会議員と私学各団体代表が親しく話し合う恒例の「私学振興に関する懇談会」は、一月二十七日午後五時三十分から東京・赤坂のプリンスホテルで開かれた。この懇談会は、特に予算編成などで、日ごろ私学振興に協力していただいている自民党の文教関係国会議員を招いて開かれるもので「私学振興」に関する意見交換が主たる目的である。当日は田中文相はじめほか国会議員が出席した。」というのを見たわけでございますけれども、まず理事長さんに、これまでのこうした会合の経過あるいはそれを持たれます趣旨につきまして御説明をいただきたいと思います。
#92
○佐藤参考人 日ごろ私学振興につきまして、超党派的にいろいろ御協力をいただいていることを深く感謝申し上げます。
 ただいま御質問の私学の懇談会、お礼の会と確かに記してございましたが、これは私たち私学振興財団は主催者ではございませんので、そのことを申し上げたいと思います。
#93
○三浦(隆)委員 そうしますと、主催者はどなたでしょう。
#94
○佐藤参考人 私立学校の全体の連合でございまして、大学から幼稚園までの全私連というのがございまして、全私学連合と申します。
#95
○三浦(隆)委員 そうしますと、主な団体の名前とどのくらいの人数がお集まりになられているのか、お尋ねいたします。
#96
○佐藤参考人 正確に覚えてないのでございますが、思い出す限り申し上げますと、大学が四つでございますが、私立大学連盟、私立大学協会、私立大学懇談会、それから短期大学、それから高中の連合の会、それから小学校の会、それから幼稚園の会でございますが、これが三つぐらいに分かれております。しかし、たしか、それの案内状には、そういう会の名前は書いてなかったような気がします。
#97
○三浦(隆)委員 そこでの主な会話というのは、どういうことなんでしょうか。
#98
○佐藤参考人 そこでは会話というような形ではなくて、日ごろ御厄介になっている議員諸公にお礼する会と伺っておりまして、諸先生のごあいさつがございました。
#99
○三浦(隆)委員 日ごろ私学振興に協力していただいているお礼として招いたということなんですが、なぜ自民党だけを招かなければならないのでしょう。
#100
○佐藤参考人 ただいま申し上げましたとおり、私は、主催者でございませんので、正確に覚えておりませんし、ことに、なぜという理由は一向不案内でございます。
#101
○三浦(隆)委員 そうしますと、この連合の団体、どなたをお招きしてお聞きすれば責任ある答弁を聞かれるのでしょうか。
#102
○佐藤参考人 ただいま申し上げました全私連というところで何か準備会を持って案内状を出したと思いますので、どなたをお呼びしたかという基準は存じておりません。
#103
○三浦(隆)委員 おおよそ各私学団体の連合であれ、責任者なる人がおろうかと思うのです。その方はどちらさんでしょう。
#104
○佐藤参考人 それは全私連の代表で大木先生でございます。
#105
○三浦(隆)委員 また、いずれ改めまして、大木先生を参考人としてお招きすることをお願いしたいと思っておりますが、委員長、続きまして質問させていただきます。
 当日の自民党関係者は、どういう方たちが出席されたのでしょうか。
#106
○佐藤参考人 お答えいたします。
 その点、私は承知いたしません。
#107
○三浦(隆)委員 ことし初めてやったのではなくて、慣例としてやっているということは、恐らく参考人もことしだけではなくて毎年出られているのだろう、こう理解するわけですが、別に不自然とお考えでないでしょうか。
#108
○佐藤参考人 たしか何回もやっていると思いますが、私が私学振興財団の理事長としてお招きを受けたのは三回目でございます。慣例として出席いたしました。
#109
○三浦(隆)委員 出席されましたときに、私学の補助金というものは、自民党だけにお礼すればもらえるものだ、そういうふうに参考人はお考えの上で御出席なんでしょうか。
#110
○佐藤参考人 いや、そういう考えは毛頭持っておりません。私学振興の助成法ができましてから五年、その前に予算措置で五年政府から補助を受けておりますが、ことしはたしか十一年目になると思いますが、その歴史は若干存じておりますが、各党の方のお知恵を拝借して、そういうことが実現し、法律ができ、今日に至っていると思っております。
#111
○三浦(隆)委員 各党の方の知恵を拝借してと言っているそばから、自民党の方だけをお招きして、そういう会合を持つこと自体がおかしいとはお考えでないでしょうか。
#112
○佐藤参考人 重ねて申し上げますが、それを主催しているのは私学振興財団でございませんので、そういう会を持つことの不審ということは抱いておりません。
#113
○三浦(隆)委員 いまは主催者が違うそうで、連合の団体ということですが、そこに出席される各種の団体の中でも大変有力な団体であろうと思います。その有力な団体を代表される立場として、個人としてそうしたことをおかしいとお考えでないでしょうか。
#114
○佐藤参考人 有力な団体とおっしゃいますが、私立学校連合と申しますのは、繰り返して申し上げますが、大学院から幼稚園までの団体でございまして、独立した団体でございます。私の立場から申しますと、現場の私立学校全体が形成している団体でございまして、いろいろな理由があってそういう経過を持っている。私学振興財団と申しますのは、その後ろ側におりまして、そこでいろいろ決まったことに対して、文部省と諮りまして配分をいたすのが使命でございますので、おかしいとかなんとかということは考えておりません。
#115
○三浦(隆)委員 いまたまたま自民党が多数を握っておりますが、いつの日か仮に社会党、共産党なりの連合政権が多数を握ったといたします、その場合には、私学の諸団体の皆さんは、手のひらを返したように自民党を見限って、新しい連合政権の方だけをお招きになるものでしょうか。個人としていかがでしょう。
#116
○佐藤参考人 仮定の問題でございまして、いつのことか存じませんが、多分私は、そのときは生きていないだろうと思いますので……。
#117
○三浦(隆)委員 当分数の論理で強い。私は、そのほかの団体の方が言われるならば、それほど不自然に考えませんが、事、教育に携わる人のお話としてきわめて不可解であります。もともと憲法上、私学団体への国家助成そのものが問題であったのも、私学の公的な性格というか、そうしたものがあったからだろうと思います。私自身も、小さな学校の常務理事を、大学紛争のだれも引き受け手のないときに引き受けまして、大変苦労した覚えがございます。そういう意味では、私学の振興ということに対しては、私自身もかなり一生懸命やっておるつもりでありますし、立場こそ違え、文教委員会へ出ています各党の諸先生方、それぞれの考え方は違っても、みんな一生懸命やっておるはずであります。
 そうしたときに、単に数が多いというだけでしたならば、議員としてどんなにえげつないお金を集め、えげつない選挙をやっても勝てば議員だ、勝てば官軍だ、勝てば多数なんだというふうな政治自体がいま批判されて、政治倫理の確立の中から新しい政治が模索されようとしているのだと思います。とするならば、教育の団体こそ古い流れの中から新しいきれいな政治の流れへと脱皮していくのが筋だろうと私は思います。
 さらに、いろいろと触れたいのですが、後の質問がありますので、この辺でやめますが、お帰りになられましてから私学の各団体の皆さんとお会いする機会も幾らでもあろうか、このように考えます、どうぞきょうの質問があった、これからは自民党一党だけでなくて、文教委員に所属する各党を踏まえ、いわゆる自民党オンリーの姿勢は改める、そういうお答えをいただけないでしょうか。
#118
○佐藤参考人 これまた仮定が入りますので、しかとお約束できる事柄ではないと思いますが、御趣旨はお伝え申し上げます。
#119
○三浦(隆)委員 仮定の問題ではないので、お話になって、それが通るか通らないかは仮定の問題でもありますが、団体に行って理事長さんみずからがお話になるかならないかは、理事長さん個人の決断で決まるものだと思いますが、いかがでしょうか。
#120
○佐藤参考人 そういうふうに試みてみます。しかし、それも御満足いくかどうかわかりません。
 私は、先ほど申し上げましたように、一番前衛に立っている人間でございません。後ろにいる人間でございますので、そのことはお伝え申し上げます。
#121
○三浦(隆)委員 では質問を変えさせていただきます。
 次に、小樽市の教育の正常化の問題についてお尋ねしたいと思います。
 これは北海道の一小樽といった小さな町の教育ということではなかろうと思っております。といいますのは、全国で憲法、教育基本法を中心としながら、学校教育法など、いわゆる学校法令がございます。たまたま小樽だけにはそれが十分に通っておりません。一種独得の教育が行われているということで大変注目を集めているわけでございます。
 わが民社党の小西議員が実は参議院で質問をいたしました事項が、次の日の記事でサンケイに載っているわけでございます。この中で、組合が大変強いものだから、むしろ指導する立場の市教育委員会が言いなりになりかねない、あるいは基準の授業時間数が各年度にわたってカットされている、そして浮かした時間が組合活動や職員会議などに充てられている、道徳の授業が行われないこともよくある、あるいは教科書がほとんど使用されないで、補助教材がむしろ主として使われているというふうなことがサンケイに載っているわけでありまして、実は私自身もまさかまさかと思っておりました。
 そこで、では実情調査をしようではないかということになりまして、わが党からは四月四日、四月五日にかけまして、和田先生を団長に、私と小西先生外数名が現地に行ったわけでございます。そのことがたくさんの新聞に載りまして、北海タイムスあるいは北海道新聞あるいは読売新聞そのほか幾紙かに載っているわけでありまして、そのどれをとりましても、ほとんど小西発言を裏づけるばかりでございました。
 そこで、この背景の中に、いわゆる日教組の組織の中でも、特に北教組は大変強いそうでありまして、その北教組の中でも、またこの小樽の教員組合は強いのだそうであります。恐らくこれが日教組の指令によるものとは私には思えないし、あるいはその主軸は社会党の方だそうでありますが、社会党が言ったとも思えない。しかし、少なくとも現地で、はねた運動であるかどうかは別として、そうした極端な教育が現に行われてきたし、あるいはこれからも行われる可能性があるということであります。
 まず、このことにつきまして、大臣の所感をお尋ねしたいと思います。
#122
○三角政府委員 御指摘のように予算委員会でも御質疑があったわけでございますけれども、小樽市の小学校におきまして道徳の時間を設けなかったり、あるいは諸定の手続を経ることなく補助教材を使用するなどのこと、これらは法例に違反している事例でございますし、そのほかにも法令または法令の規定に基づく制度にもとっておる、あるいは違反しておるというおそれが非常に濃厚な状況が見られることにつきましては、私どもも、北海道教育委員会からの事情聴取により了知しているところでございまして、まことに遺憾な状況であるというふうに思っております。
#123
○三浦(隆)委員 大臣自身はいかがお考えでしょうか。
#124
○田中(龍)国務大臣 まことに残念なことでございまして、その点につきましては、役所の方で局長とも話し合ったことがございます。
#125
○三浦(隆)委員 ただ残念なことである、あるいは遺憾なことであるだけでは済みませんので、もしそうであるならば是正する正しい措置をとっていただきたいと思うわけです。
 まず、現地の実情につきまして、北海道の道議員であります伊藤豪議員が質問いたしました。議会議長を経まして教育委員会に質問したわけですが、その中で、小樽の異常な教育というのは具体的にどういうことなのかということに対して、改めた形で三つほど挙げております。一つは、年間授業時数が不足していることや特別活動のうちのクラブ活動が実施されていないこと、二番目、道徳の時間の指導が適正に行われていないこと、それから主たる教材である教科書以外の補助教材を使用しているということが、ことしの三月二十八日付の答弁要旨の中で出てきているわけであります。
 また、私たちが訪ねましたときに、道の教育長の方からも実は答弁がございました。教育長答弁によりますと――教育長答弁がちょっと見当たりませんので、少し先へ飛ばさせていただきます。こうした異常事態が同じようなことで教育長の方からも言われまして、教育長自身からもしきりと遺憾である旨が表明されたわけであります。
 しかし、われわれに謝られましても、現実に被害を受けているのは子供たちであり、あるいは子供の親が大変に被害を受けているわけであります。ですから、速やかに是正措置をとらなければならなかろうと思うのですが、これには旧来のいきさつもあり、かなりの時間もかかるだろうということが言われております。あるいはまた私たちが市の教育委員会に言えば、市の方は何でもないと言う。あるいは市の教育委員会を責めれば、市の方は校長さんの方から別段何も上がってこないと言う。それぞれがそれぞれの場で責任逃れに終始しているのが実情であります。しかも、これがいま始まったことであるならばまだしもでありますが、知らぬ存ぜぬと言い切れませんのは、実はもうかなり前から指摘されていることであります。新聞自体にも何回にもわたりましてたくさん載っかっているわけです。
 たとえば、これは北海道新聞の五十一年六月三十日、大きな見出しの中で「ゲリラ先生」というふうなタイトルが載っておりますが、いわゆる正規のカリキュラムでなくて、教員を主体とするところの自主カリキュラムによって教わっているということが報ぜられておりますし、そして翌日と二日間かけまして、小樽方式という形で上下にわたって大きく載っております。
 この小樽の市内では、教科書を教えますというのが塾のPRの根本であります。きわめて不思議なことであります。普通は学校で教科書中心に教えておりますので、塾では教科書でない教材をとなりやすいかと思うのですが、学校が教科書で教えないものですから、塾が教科書を教えるのだということを売り物にして成り立っているというふうなことであります。しかも、そういうふうな教育を行っているものでありますから、たとえば「わかる算数」というものを使いながら、実際の一年の評価というのは、この新聞にも載っておりますけれども、数と計算、量と測定、図形というこの三つをいわゆる学習指導要領で教えようとしているわけです。ところが、現地では数と計算だけにしぼっておりますので、あとの二つ、量と測定、図形が省かれてしまっているわけです。これではその子供の親御さんが、うちの子は一年生に入ったときから学校の勉強におくれてしまうのだという不安を持つのはけだし当然であろうと思います。
 しかし、これも単なる新聞だけでは過ちがあるかもしらぬということで、私は、ある御家庭をお訪ねして、念のため、では、その教科書を見せてほしいと言いましたところが、これがコピーでありまして、「あゆみ」という一年生の子供さんのものであります。正規なのは、ここのところで大きく三つに分かれているわけです。言うならば、かなり細かい分類がございます。これに対して現地では、そこに紙を張りまして、一つにしてしまっているということであります。そんなこんなの事実がこれまで繰り返し繰り返し行われていたにもかかわらず、旧来、多くの校長先生なり市教委なり道教委なり、ひいては文部省もまたこれを黙認してきているのだということであります。
 しかも、私がいま言ったのは五十一年でありますが、もっと早く、昭和四十五年には、小樽のある学校では、その七月から道徳教育がなくなりました。それを表立って裏づけましたのが、昭和四十六年の教育委員会を中心とする「市カリの基調」であります。教える基本となるものだと思うのですが、それによってその以降、「「わかる算数」をプリントにて使用する。教科書は全く使用せず」ということが出まして、ずっと毎年のごとく行われるようになりました。そのうちについに小樽方式として新聞に載るようにもなり、父兄の方方が正常化促進委員会というものを結成されるようになりました。現地の先生方の中にもこの運動に加わる人が出てまいりました。その先生方の中には、現在もなお北教組の中に、小樽市に身を置いている方もいらっしゃいますし、そこから抜けて発言していらっしゃる方もいるわけであります。すなわち、PTA並びに教員、そして、いま心ある校長先生もまたこの運動の中に入ろうという動きにあります。
 これからだんだんと進めていきたいのですが、現地の教員グループと校長さん並びに市教委のグループ、大きく分けまして、この三者によってカリキュラム編成が現実に行われてきたようであります。実際には、法規上は、教員の納得がなければ何らカリキュラムは編成できない、そんなことはなかろうと思うわけであります。これでは教育の責任がどこにあるのか、あいまいになってしまうからであります。
 いま正常化を望んでいる人の中から、ここにありますような「教育の正常化(資料編)」というものが出されました。第一ページをあけますと、写真が二つほど載っております。上の方は表紙が白い。そして、ここにカリキュラムの内容が書かれておりますので、表紙の白さから白とカリキュラムのカリをとりまして白カリと呼んでおります。これがいわゆる組合主導の指導書であります。これに対して下の方は小樽市の教育委員会のカリキュラムでありまして、カラーが一応ついているわけであります。このように二種類出ていることにはなっているのですけれども、実際には市の教育委員会によるものはほとんど使われておらない。そうした事実が克明にここにメモとして記されているわけであります。
 しかもまた、こうした異常さについて、国が道に、道が市に、市が学校にといいますと、報告書がなされるのでしょうけれども、その報告書のなされた内容が実態と食い違っているような報告書もしばしばあるようであります。また同時に、カリキュラムの中で盛られている、市の教育委員会によるカリキュラムですらも盛られていることが全然のように守られていない。いわゆる表と裏が余りにも食い違い過ぎるということなのであります。こうしたことが何年となく指摘されておりまして、そのたびごとに、校長さんなり教育委員会が善処します善処しますと繰り返してきたわけであります。ところが、毎年解決してこないわけであります。
 今度私たちが現地に行きましたところが、私たちの強い姿勢というものが反映したものかどうかはわかりませんが、市も道も一様に教育長さんが交代いたしました。そこで、前任者のことだからよくわからぬというふうなことになりますし、今度からは一生懸命やりますという答えであります。私たちは、初めてなものですから、それを大きな前進の言葉と受けとめたかったのでありますが、多年裏切られ続けてきた正常化のお母さん、あるいはお父さん方は、これもまた通り一遍なのじゃなかろうかということでございます。
 そこで、私が通り一遍であるか否か、いわゆる今度は教科書を中心とする教育を行うものかどうか、それが単なる口約束かどうかは、新学期が始まることであるから、お母さん方あるいは現場の先生方がよく実態をごらんいただいて、また御報告を賜りたい、こうなったわけです。
 そこで、本日の私の質問の番をきのう決めていただきましたので、現地へと電話で連絡をとらせていただきました。現地の先生あるいはお母さん方、道議員の方々、これに関心を持つ方にかけましたところが、異口同音に返ってまいりました答えは、お住まいになっているところはばらばらです、急に私がかけたから打ち合わせをしたお答えではないはずであります、にもかかわらず、答えは一つでありまして、依然として教科書を無視したところの独特の教材による教育が行われているのだということであります。こうしたことは、いつまでも続けては困ることじゃないかというふうに考えるわけであります。
 そこで、大臣にお尋ねしたいのは、こうした小樽の教育が混乱をする最終責任というのは、決着するところだれが負うべきものなのだろうか、それについてお尋ねをしたいと思います。
#126
○田中(龍)国務大臣 教育全般の、文教政策の責任者は、文部大臣の私でございますが、ただいまお話を承りますと、その責任の所在は市の教育委員会と存じます。
#127
○三浦(隆)委員 これははっきりと文部省設置法の第四条のところに「文部省は、学校教育に関する国の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関」、このように規定されていると思うのですが、まさにこのとおり理解してよろしいのでしょうか。
#128
○三角政府委員 いま仰せになりました第四条は、そのとおりでございまして、文部省が、学校教育、社会教育、それから宗教に至るまでずっとございますが、それらに関する国の行政事務を一体的に遂行する、国の行政事務は文部省がこれを一体的に遂行する責任を負う、そういう行政機関である、こういう規定でございます。
#129
○三浦(隆)委員 教育基本法の第十条あるいは義務教育の中立法の規定によるところでありますけれども、本来、この教育基本法の十条なりあるいは中立法一条に言うところの不当な支配、介入というのは、戦前的なイメージですと、いわゆる国家権力が不当にも学校に介入する、そういう意味では被害者が学校であり、教員になりやすかったのだろう、そういうことをさせてはならないという規定のように思ったわけであります。
 しかし、今回の事例を見まして、必ずしもそうでないのだな、教育現場への不当介入というものは、力の強い団体、特に教育に対して力の強い団体、教員組合が、場合によって力を行使すると、現場の教育というものはもろくも屈するものなんだなということを感じたわけであります。まさに第十条は、教育と教育行政との関係について、その基本的な原理を明らかにしたところの規定だろうと思うのですが、この教育というのは、国民に直接責任を負うのだということは、いわゆるその教員が個人としてどんな思想を持つのも自由でありますし、あるいは労働組合運動なりとしてどのような活動をされようとも自由だと思うのですが、学校の現場に来た以上は、やはり時の法令に従った教育を行っていかなければならないし、その教育は、いわゆる日教組に従う教育ではないのであって、はっきりと子供のためになる教育を行ってもらわなければいけないのだろうというふうに思います。
 そういう意味で、この不当な支配、介入というものに対しては、繰り返しますが、文部省、そして文部省の代表者が文部大臣でありますから、いたずらに責任が現地の市教委だろうというふうなことではなくて、責任はおれにあるのだと言い切って、二度とそういう悲しい思いを小樽の人にはかけさせないというくらいの答弁ができないものかというふうに思うわけであります。
 ここで、たとえば薬が正規な薬として販売されます前には、効くだろう効くだろうと思いながら、かなりの長い年月の臨床実験などを繰り返しながらやっと薬が決まってまいります。それであっても、なおかつ副作用があったり、ぐあいの悪い新薬もまた生まれてくるわけです。これに対して全くその正規の手続を経ない、公認されない薬、ただこれが、がんに効くだろう云々であっては、ただ効くだろうだけでは、これは採用するわけにはいかぬのだろうと思うのであります。もしそれを何でもかんでも基準をあいまいにして、むやみやたらと正規の薬にして、その薬を飲んで被害が出た場合、責任ははっきり厚生大臣が負うべきものだろう、このように思います。そのとき仮に、その薬の有害さが国内では不十分、外国の文献では明らかであった、そこまではなかなか目が通しづらかったと言いわけをしても、やはり現在は責任を厚生大臣に帰す時代になっているのだと思うのであります。
 とするならば、今日の時代の小樽は、去年おととし始まった事態じゃない、すでに十年来も明確なように、はっきりと記されたように、異常な教育が行われてきたわけであって、かかって子供たちのそうした不幸せさ、親のそうした怒りというものを文部大臣は身にしみてしょって立つお覚悟を持っていただきたい、このように思うのですが、いかがでしょうか。
#130
○田中(龍)国務大臣 先生もよく御承知のとおり、私も先ほど、すべての文教政策における責任は私にありますということを明確に申し上げましたが、責任は十分にございます。しかしながら、権限のないということが現在の法制の一つの大きな欠陥であろうと思います。いまの責任と権限が一致していること、これは私、いろいろな法制その他の面において当然であるべきだと思うのでありますが、御案内のとおりに、文教政策におけるこういうふうな面につきましては、責任は私にございます、しかしながら、現地におきまする権限が教育委員会にあることは、よく御承知のとおりでございます。
#131
○三浦(隆)委員 それはきわめて逃げの答弁だろう、このように思っております。いずれ明らかにしてまいりたいと思います。
 たとえば例は全然違うのでありますが、日本の天皇の場合、戦前と戦後と大きく規定を変えました。今日は、単なる象徴の地位にあられるにすぎなくなりまして、国政に関する権能を全然持たない、しかも六条、七条なり限定された国事に関する行為しかお持ちになられないというふうに全然変わっているわけであります。しかし、天皇への尊敬心というか天皇の強さというものは、戦前をはるかに超えるくらいのむしろ強さを持っているわけでありまして、文部大臣の権限というのは、それに比べれば、いまもなおはるかに強大であります。
 特に昨今の私学、先ほどの理事長さんではありませんが、単に授業料だけでは大学から幼稚園までやっていかれませんで、多額のいわゆる私学の助成金などに依存せざるを得なくなってきております。あるいはまたお金だけではなくて、きわめて複雑多様化された社会の中にあっては、現場の学校関係者だけではどうにもならないといったところから、数々の行政指導というものが今日有力に作用しているはずでありまして、そうしたものを十分に発揮し得てなおかつ無力であるというならばともかくのこと、法規には、かなりのいろいろなそうした行政指導を行おうと思えば十分できる規定を持ちながら、何もなし得ないでいて無力である、そういうことを言おうとすること自体、きわめて不可解きわまりないと思うのですが、いかがでしょう。
#132
○三角政府委員 文部省設置法に書いてございますように、文部省は、国の教育に関する行政事務を一体的に処理する責務がございます。それから、先ほど教育基本法のことをおっしゃいましたけれども、あれは、いまおっしゃっておられます責任なり、正当なる権限のあるそれぞれの関係者が、教育行政というもの、あるいは教育そのものを推し進めていかなければならないのであって、それに対して責任なり正当なる権限のないところからの介入があれば、それは不当の支配ということになるというふうに考えておるのでございますが、本件につきましては、公立の小学校ないしは中学校における教材の扱い、あるいは道徳その他の授業の実施、そういった事柄を含めてのもろもろのことでございますので、やはり直接には、公立の小中学校を設置いたしますのは、市町村の教育委員会、これが権限と責任を持って行う、そして市町村の教育委員会が、そのみずからが設置する学校を管理し運営するという責任を持っておるのでございまして、地方教育行政の組織及び運営に関する法律におきましても、「教育委員会の職務権限」といたしまして「学校の組織編成、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること。」、さらには「教科書その他の教材の取扱に関すること。」、こういうふうに掲げられております。これは二十三条でございます。また四十八条の方に「文部大臣又は都道府県委員会の指導、助言及び援助」という見出しで規定がございまして、その第二項第二号におきまして「学校の組織編成、教育課程、学習指導、生徒指導、職業指導、教科書その他の教材の取扱その他学校運営に関し、指導及び助言を与えること。」、こういうふうにあるわけでございます。
 したがいまして、各学校の教育課程の編成や実施が、法令に示された基準等に従って適切なものであるかどうかということは、まず直接の管理者、責任者でございます、このケースの場合には、小樽の市の教育委員会が、これを十分に確認して、そして実際のまた学校内の指導については、本来は校長が、その実態を常に把握いたしまして、各教師に対して適切な指導を加えていく、これが本来のあり方でございます。
    〔委員長退席、中村(喜)委員長代理着席〕
 しかし、まさに三浦委員先刻来御指摘のように、そこのところが、本来あるべき姿のようにきちんといっていないということは事実であろうと思います。したがいまして、文部省といたしましては、この指導助言という意味での責任が当然あるわけでございますので、小樽市の教育が、本来の原則に従って適切に行われていきますように、これは委員の先ほど来のお話にもあったと思いますが、長い経緯のあることでございますので、それなりの時間を要する、それから努力も重ねなければならないことであろうと存じますが、やはり本来の原則に立ち戻って正常化をいたしますように、私どもとしては、これは先ほど御指摘の地域に父母を含めた正常化の自主的な団体もできまして、そうして、かねて自由民主党の中でもこのことを非常に憂えている、そういう状況も前から知っておりまして、そういう意味合いで、今回さらに御指摘もございましたので、今後とも、道の教育委員会を通じまして、必要に応じて十分な指導と助言を尽くすようにしてまいりたい、こういうふうに思っております。
#133
○三浦(隆)委員 いつごろ小樽の教育が異常になっているのかということにお気づきになって、また、いつごろから、それに対する処置を具体的にお考えになり、おとりになったのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
#134
○三角政府委員 いまから約二年ほど前のことでございます。
#135
○三浦(隆)委員 二年前ということは、先ほど来の新聞にも、一度ならず二度ならず何度ならずたくさん書かれ、また、いろいろな雑誌にもたくさん載っていたわけであります。先ほどの薬の例を持ち出すわけではありませんが、数多く、おびただしいほどの異常さを指摘した文書が出ていながら、二年前にしか気づかない。あるいは二年前に気づいて満足な手を打つことすらできなかった。文部省はきわめて怠慢であったと思うのですが、いかがでしょう。
#136
○三角政府委員 文部省は、まずは都道府県の教育委員会といろいろなことにつきまして相談をしたり、協議をしたりする、都道府県の教育委員会は、それぞれ管下の市町村の教育委員会に対しまして、必要に応じた指導助言をする、こういう体制になっておりまして、私ども、全国のいろいろな状況についてできるだけ早く的確に把握できるということは、それはその方が望ましいと思いますけれども、私どもは、常時あらゆる地域に対してアンテナを張りめぐらすというようなやり方はしておらないので、このような事例が生じますと、市の教育委員会から都道府県の教育委員会を通して状況を知る場合もございますし、あるいは場合によりましては、報道関係からの指摘が先に来る場合もありますし、その実態はいろいろでございますけれども、常に全国各地の状況を細大漏らさずウォッチする、そういう体制になっておりませんし、また、そういうことも事実上いたしかねる状況なのでございます。
#137
○三浦(隆)委員 きわめて歯切れが悪いというか、結局、私は関係ないのでということですが、問題なのは小さい子供たちなわけです。ぐずぐず延びた日には、子供は学校を卒業してしまいますし、大変困るわけであります。
 いまの答弁を聞いていると、むしろきわめて危険さを感じないではない。というのは、戦前に文部省に権力が集中し過ぎた反省があって、地方の状況などを勘案して、教員なりそれぞれの学校の状況を勘案した、そうした民主的な教育を打ち立てようというふうに変わったわけです。今度は、たまたまそれが裏目に出た事例ではありますけれども、それを知りながら多年にわたって見逃していって、答える段になると、文部省には権限がないからなんだ、それだけを繰り返されますと、ついには学校法令を変えて、より文部大臣に対してあるいは文部省に対して、権限を何が何でも集中させなければ何も責任を負えないのだということにすらなりかねないような不安を私は感ずるのですが、いかがでしょうか。
#138
○三角政府委員 私どもは、現在の憲法に基づきます地方自治の原則にのっとって定められております地方教育行政の組織と運営に関する現在の制度について先ほど御説明をさせていただきましたが、現行のこの制度にのっとりまして、その制度の中でこういった非常に異常な顕著な事態に対しては、できるだけ道の教育委員会と協力して対処してまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
#139
○三浦(隆)委員 三者によりまして、先ほども言いましたように、教員組合と校長さんと市教委によって、いわゆるカリキュラムがつくられているわけでありますが、そのカリキュラムというのは、どの程度の効力を持つものなのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
#140
○三角政府委員 いま御指摘のような三者による編成ということは、通常余りないやり方であると思いますけれども、しかし、そこに市の教育委員会が入って、それを認めるという形で編成されるとすれば、それによって学校の教育課程を決めていくということは、形式的にはそれは成り立つことだと思います。
#141
○三浦(隆)委員 そうすると、三者で話し合いがつけば何事をも決めることが可能になるというふうに受けとめてよろしいのでしょうか。
#142
○三角政府委員 本来のあり方は、これはきちんとした正常の場合のことでございますけれども、それぞれの学校が学校教育法あるいは学習指導要領にのっとりまして、校長を中心にそれぞれ担当の先生方も努力をしまして、その学校での教育課程をつくり上げまして、そして、それを市の教育委員会が認めるという形でやるのが本来だと思います。組合という立場の者が三者というような形で入るということは、本来の展開としては好ましくない、そういうやり方だと申さなければいけないと思います。
 ただ、小樽市のように、いままでずっとおかしかったのを、だんだんにこれから戻していくという過程の中で、市の教育委員会がそういうやり方をやるというのは、一つの過程としては、そういうことがあろうかというふうに思うのでございまして、その場合、市の教育委員会がきちんとそこで市の立場、そして法令に基づくチェックをやっておれば、それも学校でそれにのっとって教育を進めるということは形式的には成り立つのではないかということで、先ほどその趣旨を申し上げたのでございます。
#143
○三浦(隆)委員 私が言っているのは、いかに市の教育委員会が入り、いかに市の教育委員会が納得しようとも、だめな限界があるのじゃなかろうかということなんです。すなわち、カリキュラムを組んでいくというのには、カリキュラムを組むなりの法令の限界というものがあるはずでありまして、限界を超えるようなことを幾ら三者で合意が成立をしても、その成立したこと自体が無効なのじゃなかろうかというふうに考えるのですが、いかがですか。
#144
○三角政府委員 限界を超えるというのがどういう意味ですか、やはりあくまでその内容自体が法令ないしは法令に基づく制度と申しますか、その決まりの中でやっていただかなければならないと思います。
#145
○三浦(隆)委員 文部省は、もうすでにこの三者の協議確認書なるものも入手されて御検討されているものだと私は思うのでありますが、いかがですか。
#146
○三角政府委員 そのことについてはまだ把握しておりません。
#147
○三浦(隆)委員 そうすると、もしその中に現実の学習指導要領と大きく逸脱して、授業日数も正規に足りない、あるいは道徳教育そのものも行われていない、あるいは行わないという事態が明確であったらどうなんですか。
#148
○三角政府委員 いま御指摘の事項は、それぞれ法令違反でございます。
#149
○三浦(隆)委員 明確に法令違反であったら、いま言った三者の協議がいかに成り立とうと、あるいは旧来混乱していたことを立て直すためには必要やむを得なかったと言っても、その説自体が成り立たなくなるのじゃないでしょうか。
#150
○三角政府委員 中身が御指摘のようであれば成り立ちません。
#151
○三浦(隆)委員 ならば、三者協議とは別個に、もっと法令にぴったしと合った、いわゆる学校として、校長として、教育委員会として責任を持つことのできるカリキュラムをむしろ組んで、それに反対する人がいるならば、それを拒否してでもやっていいのじゃないでしょうか。
#152
○三角政府委員 同意見でございます。
#153
○三浦(隆)委員 早速その旨を、道教委を通じて市教委その他下へと即時に流すことをひとつお願いいたしたいと思います。
 というのは、現実に教員組合自体の文書でさえも明確に認めておりますように、道徳教育は廃止ないし形骸化されるように取り組まれてきたのであります。現在、道徳教育は、学校のカリキュラムの中ではかなりの高い比重を占めているわけでありますが、そういうことが無視され続けてきているということ自体、ゆるがせにできないことだと思います。
 そこで、まず個々の道徳教育なり教科書の問題に触れます前に、本年度もう新学期が始まりました、新学期が始まるということは、ことしの教育はどういうふうにしてやっていこうかといった教育の指導方針、カリキュラムが作成されているものだと思うのですが、このカリキュラムができているかできていないか、早急に文部省は、現地の方と連絡をとっていただきたいと思うのであります。というのは、新学期が始まっているのに本年度のカリキュラムがまだでき上がっていないという事態すら予測されるからであります。これが一つのお願いでありまして、学校なりから市の教委に来たら、その写しを道教委を通じてでもよし、文部省は入手していただきたい、これがまず一つのお願いでございます。
 それから、表面的に書かれて提出された資料と現実に行われている学校の授業との食い違い点、これを明確に指摘するように、これまた教育委員会なりを通じて、教育長などを通じて、ひとつはっきりとしていただきたいと思います。すなわち、何をどうするかの前に、事実の正確さを期していただきたいということであります。お約束できるでしょうか。
#154
○三角政府委員 道教委に申しまして、御指摘のようなことについてできるだけ調べてみたいと思います。
#155
○三浦(隆)委員 地公法の五十五条三項という規定がございますが、場合によっては、この規定によって、そういう話し合いをすること自体が法に触れるのじゃないかという疑いもございますが、いかがでしょうか。
    〔中村(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
#156
○三角政府委員 御指摘の調査といいますか報告を求めるということはでき得るわけでございますけれども、先ほど来お話になっておられますように、この問題につきましては、道教委もだんだんといろいろな意味の努力を重ねるということで対処しておると思いますので、そういう意味で道教委とよく協議をいたしまして必要なことを進めてまいりたい、こういうふうに考えます。
#157
○三浦(隆)委員 ちょっと質問したことと内容が違ってきているようですけれども、先へ進むことといたします。
 カリキュラムの問題について、もう少しお話を進めていただきたいと思うのですが、カリキュラムのことに関しては、先ほどもちょっと答弁がございましたが、教科に関する事項の決定権、そうしたことは、学校教育法の二十条なり、また振りかえの百六条一項によって文部大臣にあると思いますが、いかがでしょうか。
#158
○三角政府委員 御指摘のとおりだと思います。
#159
○三浦(隆)委員 次いで、教育課程の編成について学校教育法施行規則の二十四条、あるいはそのほか学校教育法施行規則の二十五条に基づく教育課程の基準についての小学校の学習指導要領、そして地方教育行政組織法四十八条一項、先ほどお話がありましたが、指導、助言、援助権などが、ここには規定されておるわけでありますが、こうしたものがもし文部大臣にあるとするならば、文部大臣は、文部行政の最高の上司という立場からして、自分の考えていることを下に対して職務命令という形でもできる分野がかなり広がってくるのじゃないでしょうか。
#160
○三角政府委員 ただいま御指摘のように、文部大臣は、学校教育法施行規則の規定によりまして、小学校の教育課程について定めますとともに、次の条文でその教育課程をこなす授業時間数等についても標準を決めます。さらに御指摘のような小学校ないし中学校のそれぞれの学習指導要領、これも文部大臣が決める、こういう形になっておりまして、そういう国全体を通しての一つの教育水準に係る事項について文部大臣が統一的に決める、こういうことでございます。
 これが適切に実施されますように、これらの事柄につきまして、都道府県の教育委員会ないしは都道府県の教育委員会を通じて市町村の教育委員会を指導助言する、こういう体制になっておりまして、直接に学習指導要領なりあるいは教育課程を具体的に決めて執行する責任は、市町村教育委員会、より具体的には学校それぞれがやっていただく、こういうことでございます。
#161
○三浦(隆)委員 具体的にこの地教行政法四十八条一項にあります指導、助言あるいは援助権といった行政指導をどのように行使されるお考えでしょうか。
#162
○三角政府委員 それは具体のケースによっていろいろでございますが、ただいま御指摘のようなケースは、法令に反している状況がある、あるいは法令の規定に基づく決まりに合っていない状況でございますから、これを正常な姿に立ち返らせる、こういう意味合いで、そのためにどういう手だてがあるかについて、いろいろな意味でできるだけ知恵を出して、直接の当事者である市町村の教育委員会に対して、都道府県の教育委員会と協力しながらこれを指導していく、こういうことであろうかと思います。
#163
○三浦(隆)委員 文部省には文部省設置法の五条の九号、所掌事務の監察、必要措置権、あるいは十二号の教育の調査企画、あるいは十二の二の教科書の検定から十二の四の教科書の購入、無償交付、その他かなり細かい規定もあるわけです。ですから、実際に文部省が本腰を入れて、あるいは文部大臣が本腰を入れて行政指導というものをもっとしっかりやっていただくというと、現行法上でもかなりの力を発揮することができるものだと思います。この五年、十年にわたって異常な混乱が続いているということの原因は、むしろせっかくある現行法の行政指導の規定をほとんど生かし切れなかったところにあるのだろうと思うのです。
 ですから、先ほど言ったように、そうした規定がありながら、それを形骸化させて、より強固な法令へと変えていこうとする、そうしたことの方がなお不安になりかねないという気がするわけであります。
 そこで実際には、今度は文部省を離れまして教育委員会内部から、道教育委員会あるいは市の教育委員会そして校長サイドへとかける過程の中にも、かなりのいわゆる法規定がさまざまにめぐらされているわけであります。たとえば実際に勤評でよく問題になりましたような勤評を計画することが道教委で、あるいは地教行法の四十六条で、あるいは市教委の方でそれを実施するということなどが同じく四十六条で、そんなことを受けて実際に現場の校長さんが勤評の評定者として行使するわけでしょうけれども、これ自体もほとんど生きていないから、違法な教育が現実に行われておりながら、違法な教育を行っている教員がどういうふうな評価をされてきたのかつまびらかでない。場合によると、その違法なことを行っていた教員が校長さんになってみたり、教育委員会の方に上がってみたりしているやもしれないのでありまして、もしそうだとすれば、そういう校長さんや教育委員では、あなただって昔は同じだったのじゃないかなんて言われるようなことになると何もできなくなってしまうのじゃないか、そんな気もしないではございません。
 ですから、現行法の規定はいろいろ細かくあります。ないのではなくてあるのでありまして、たとえば、いま言った教員の評定一つとってもできるし、まず、それを十分にやっていただきたい、こういうように考えます。
 それから、もとに戻りまして、カリキュラムにつきましては、地方教育行政法の四十九条ですか、教育課程等管理運営についての教育委員会規則による基準の設定権というものが道教委にもあろうかと思います。同じようなものは東京都にもございますし、恐らく全国的に教育委員会のもとに、いわゆる教育委員会規則なるものができているのだろうと思うのですが、北海道にもございますか。
#164
○三角政府委員 ただいまの御質疑の北海道にも、いろいろな教育委員会規則はあるようでございますが、個々の一々については、ただいま手元に資料がございません。
 それから、文部省の設置法の五条に、確かに権限が書かれておりまして、いろいろな指導助言その他のことが書いてございますが、第二項におきまして、そういった権限の行使に当たって、別に法律や命令で定めがある場合を除きましては行政上及び運用上の監督を行わない、そういう規定になっておりまして、法令の規定で監督を行う場合ももちろんあるのでございますが、いろいろな場合に、通常の私どもの行います行政の手段は勧告でございますとか指導助言、そういうことでございますが、ただいま三浦委員からいろいろ御指摘のあった点を踏まえて、十分参考にして本件についての指導助言は行ってまいりたい、こう思っております。
#165
○三浦(隆)委員 それは当然のことだと思うのです。法令に従ってまともな教育が行われているものならば、別に文部省であれ教育委員会であれ、不必要に介入する必要性はなかろうと私は思うのです。
 ただ、ここで言っているのは、異常な教育が、しかも法令とかなり隔たったところで行われているから問題になっているのでして、こういうときこそ、的確な行政指導を行うべきでしょう、こう言っているわけであります。別に何でもないときに介入せよ、むしろそれは不当介入になるおそれもありますから、そんなことを言っている覚えはございません。
 それから、文部大臣が道教委に対して持つと同じような規定が、道教委が市教委に対しましても、地教行政組織法の四十八条一項で同じような指導、援助、助言権というものが規定されております。そしてさらに、市の教育委員会が学校に対しまして、教育課程あるいは教科書など教育に関する事務等管理執行権と言ってもよろしいものが地方教育行政法の二十三条、それから教育課程等管理運営に関する教育委員会規則制定権が同じく地教行政法の三十三条一項に規定があるわけでして、こうしたものがまともに生かされていれば、市の教育委員会も決して無力ではございませんで、学校に対してかなり強い、いわゆる指導助言を含めたかなりのことが期待できるはずであります。あるいはまた市の教育委員会は校長にあてましても、これは明文ではありませんが、文部省自体の回答の中に教育課程の変更権があるというふうな局長さんのお考え方もあると思うのです。
 こうしたように、現実には教育課程が仮に現場の意向を反映しながらよりよいものができればいいのですが、それがはっきりと法令に触れたりしてあしき場合には、ということは、ときには現場の先生方にしろ校長先生にしろ、一々細かい法令を知らない場合もありますから、善意ということで過つこともあるかもしれませんが、ただそれが厳密な意味では明確に法令に触れてしまっているというふうな場合には、どんなに現場の人が一生懸命つくったものであろうと何であろうと、そういう教育課程の変更権というものは確かにあり得るものであろう、こう考えるわけであります。
 ただ実際には、この三十六年七月六日付の局長回答がありながら、現実にはこの数年来異常事態が行われてきたわけであります。こういう答えをお出しになりながら何にもしてこなかったということは、いかなる意味になるのでしょうか。
#166
○三角政府委員 私ども、道の教育委員会からいろいろと事情も聞きまして、それから、いろいろな機会を通じまして、あるべき姿については、道に対しても指導をしてきたのでございますが、やはりこの指導は、なお今後とも、先ほど来御要請もございましたが、そのときどきの新しい事情につきまして、十分にこれを把握した上で指導を重ねていかなければならない、こう思っております。
#167
○三浦(隆)委員 何かにわかにお声が小さくなったようで、すっきりしませんけれども、三十六年七月六日の初等中等教育局長回答の中で、学校の校長に対して教育課程を変更することを命ずることができるというふうにはっきりと述べておられるわけであります。こういう答えがあるのならば、まさに小樽の場合こそ一番ふさわしい行使する場じゃなかったか。なぜ、せっかくこういう御見解を持ちながら、その御見解を実際に通さないのであろうか、それが不思議だということであります。
#168
○三角政府委員 やはり法令ないしは法令に基づく処分に違反している事例があります場合には、これを是正する、そういう指導をすることによって状況を正常にしていくということは当然できるわけでございます。
#169
○三浦(隆)委員 ですから、これが立場を変えて学説によってはできないという説もあるのですけれども、文部省の場合には、教育課程の変更権があると言っているわけです。ですから、何もこれからやるのどうのと言わないで、これが出たのは三十六年なんですが、小樽の偏向教育というものはその後なんですよ。三十六年に出しながら、ずっと去年もおととしもさきおととしもといった、そうしたこと、この教育課程の変更権をなぜ行使しなかったのか、その点をはっきりお答えいただきたいのです。
#170
○三角政府委員 これはやはり小樽市の教育委員会が、それだけのことをする体制と能力に欠けておった状況があったのではないかと思います。
 ただ、これは三浦委員、皆様方とごく最近御調査に行かれたわけでございますから、むしろ私より詳しいのであろうと思いますが、最近になりまして、道の教育委員会からの指導もありまして、小樽市の教育委員会におきましても、若干の人事上の配慮をいたしましたり、あるいは指導室といったような組織を設ける等のことをして、いま御指摘のようなことがより実質的に実効的に行えるような体制づくりに入っておるというふうに見られます。
 こういった指導の解釈なり、あるいは法令がございましても、やはりそういう体制がなければ、それはなかなか行い得ない、まずはそういうきちっとした管理体制をつくっていくということが、一つには大切なことであると思うのでございます。
#171
○三浦(隆)委員 ですから、文部省の先ほどの行政指導というものは、こういうときに発揮できるのであろう、むしろ現場の市教委の方は、この教育課程の変更権があるかどうか正直よくわからぬ、そのときに文部省の方が道教委を通じて市教委へと、こういうことができるのだよということを積極的にお教えになればよかったのではないか。結局、市教委の体質そのものにも問題があるかもしれませんけれども、はっきりとした文部省の行政指導がないから、こういうふうなもたもたしたことが出たのだろうと思います。
 そこで、では少なくとも、きょうを契機としてと言っても結構でありますけれども、はっきりとこういうことができるのだということを、もうことしの教育が始まるわけですから、ことしの教育課程が、もしカリキュラムが、いわゆる白カリがぐあい悪いというものならば、この白カリはぐあい悪いから変更せよということを、道教委なりあるいは市教委へとおろすようなお気持ちはございませんか。
#172
○三角政府委員 ただいまの御提案の趣旨は、すでに道教委の方に私どもの方から申してございます。
#173
○三浦(隆)委員 それは大変にありがたいと思います。
 実は現地を訪ねましたときにも、現地のお母さん方からくれぐれもそういうお願いをされてまいりました。そして答えの中で、正常になるまでは長い時間がかかるだろうというふうに言われたときに、一面ではそうかもしれないと思いながら、ということは、長い歴史過程がございますから、しかし、現実に子供を預かっております、子供は一年一年上がっていきますから、そう長く待っていられないのだというふうなお母さん方の強いお気持ちがございます。と同時に、圧倒的多くの先生に対して父兄が発言するということ自体が大変弱い立場にあります。悪い表現をすれば、子供を人質に取られておると言ってもいいかもしれません。これから小学校から中学へ上がっていく、あるいは中学から高校へ行く過程にしろ、内申書の持つ意味が大きくて、そこに書かれる言葉も大きな意味を持つものであれば、本来この正常化を願うお母さん方、お父さん方は立場が弱い。にもかかわらず、それを知りつつ、そうした運動に入ってしまったわけです。言うならば、そういうふうな気持ちを踏まえて、ひとついまの筋をしっかりとお通しいただきたいと思います。
 それから、次いで校長さんとしての役割りについてお尋ねをしたいと思います。
 校長さんは、学校の中で校務をつかさどって、いわゆる責任ある立場におられると思うのです。その校長さんが、これまで教員との対応の中できわめて弱かったというふうに思います。
 そこで、この校長さんの対応が弱かった一つの予想されますところは、いわゆる校長さんの校務という理解がどの程度まで及ぶものかということが一つはあるかもしれないわけであります。
 そこで、文部省として改めて、この校長先生の校務という範囲はどの程度までいっていいものか、お答えいただきたいと思います。
#174
○三角政府委員 校務というのは、その学校の仕事の全部でございます。
#175
○三浦(隆)委員 むしろ大変明快なお答えであったと思うのです。それだけの幅の広いものであったとすれば、なぜそんなに広いものがあって、その校務をつかさどり、所属職員を監督する立場にある人が監督不十分であったのだろうか。というのは、校務をつかさどっていない。カリキュラムなんというのは、大変な、最も中心的なものでありまして、しかも、それが明瞭に法令に違反する教員がおって、何もしないから何年となく行われ、ことしも行われようとしておるわけであります。本当にいまのお答えのとおり、校長さんがその校務というものを幅広く理解し、その言葉どおり所属職員を監督するものであるならば、はっきり言って、法令に違反する教員に対しては、もっと明確な処置ができてくるようになるのじゃないでしょうか。
#176
○三角政府委員 たてまえはおっしゃるとおりでございます。
#177
○三浦(隆)委員 たてまえというふうにその言葉だけじゃなくて、これを現実のものとしなければ何の意味もないのです。
#178
○三角政府委員 たてまえがそのとおりに行われなければならない、いまの御指摘のような状況は、はなはだ異常でむちゃくちゃな状況であると思います。
#179
○三浦(隆)委員 異常であるという分析が明確になされただけ、いままでもしそれができてないとするならば、大変に前進であったと思うのであります。
 ただ、病気ではありませんが、病名がわかっても治療しなければ現実に何にもならないのでありまして、異常事態であることを明確にもし御認識になったとするならば、その異常事態を即座にでも、でき得る限り速やかにでも正す処置が必要だと思いますし、それを阻害するものがだれであるのかが明確になった場合には、やはりそれなりの処置というか、考えられるようになろうかと思うのですが、どんなものなんでしょうか。
#180
○三角政府委員 校長という大事な責任のある地位に本当にしっかりした人材を据えるとか、あるいはいま御指摘のように、こういった非常に異常な状況の根になっているような違反の事例に対する処置をどうするかとか、いろいろな対応があると思いますが、やはりいま病気にたとえられましたけれども、病気を治すのも、若干の時間をかけて治すということが必要になると思います。
#181
○三浦(隆)委員 確かに校長の職務というのは学校教育の管理、ここにはたとえば授業の始まったり終わったりする時刻の決定や何かを中心とした学校教育法の施行規則や何かにかかわる分野、あるいはまた、そこには教科書の授与数の報告や何かも載っておりますけれども、たとえば教科書を使用しなかったならば、教科書が何冊かかるかという報告のしようもなくなってしまう、あるいはせっかく無償で出した教科書が使用されないとなったならば、貴重な国費がきわめてむだなことになりはしないかというふうな、一つですが、これも校長さんの校務のつかさどり方がまずいところに来るかと思います。
 あるいはまた校長さんには、教職員の管理の面が職務上なり、あるいは公務員としての地位の二点から出てこようかと思いますし、これにははっきりと校長とは書かないけれども、校長さんの役割りとして労働基準法の問題もいろいろと絡むし、あるいは地方教育行政法なり、そうした自己研修を踏まえた教育公務員特例法の問題などがここではかかってくるはずです。それから児童生徒の管理の問題としては、学校教育法からあるいは同施行令、同施行規則から、そのほか、また各種の問題が出てきまして、その一つの中に、指導要録の作成と送付というふうなことも行われるはずであります。
 先ほどの「あゆみ」の評価、一年生の評価が大変おかしいというふうなことも、実は校長さんの名前で行われているわけであります。校長自身がもし納得し得ないものならば、納得し得ないなりの処置の仕方があるはずであります。
 また四番目には、学校保健の管理の問題として学校保健法ほか幾つかの問題があり、第五番目としては、学校の校長さんの分野として、これまた学校施設の確保の政令だとかいろいろとあります。
 とにかく校長さんの役割りは、きわめて幅広いものを持っております。それだけに、きわめて大変だとは思うのですけれども、さまざまあります中に、学校というのは学校教育を行う場ですし、その中でも最も大切なのがカリキュラムであります。そうしたカリキュラムを、現在は国語とか算数といったような各教科の問題と道徳教育の問題と特別活動とにいま三つに分けて考えているわけでありますが、この三つに分けたうちの一つ、これが道徳教育であります。むしろ各教科は国語であり、算数であり、社会であり、もろもろの科目でございますが、それを連ねて各教科と言って、もう一つ、それと全く並行的にこの道徳教育というのが載っているわけでして、まさにこの道徳教育は、学習指導要領の一章の2によれば、道徳の時間はもちろんのこと、それ以外の各教科あるいは特別活動の中でも行っていかなければならないものだろう、このように理解されるわけであります。それを正面切って道徳教育そのものすら行われてこなかったということ自体、否定されてきたということ自体、きわめて異常なんだということであります。
 さらに、まだまだ教科書の問題から学習指導要領の個別の問題、主任制から勤評の問題からいろいろとありますが、残念ながら時間のようでございます。
 そこで、最後に一言だけなんでありますが、道徳教育をまた新学期以降も行うものやら行わないものやら、はっきりとしていただきたいなというふうに思います。
 と同時に、先ほど言いましたように、教科書を使うか使わないかといった場合に、先生が教科書をぽんと机の上へ置いたならば、それで教科書は使ったことになってしまうのか、実際には、教科書とその先生独自のわかる算数なりを持ってくる、あるいはわかる社会などを持ってくる、教科書はぽんと机の上へ置いて、あとは先生独自のものをしゃべり出しちゃう、私は、それでは教科書を使ったことにはならないのだろうというふうに思います。すなわち、名目上は今度こっちが強く出れば、形式上にはカリキュラムにぴたっとしたものがあるいは載ってくるようになるかもしれません。これまでのように正面切って切っちゃうということはしないかもしらぬ。しかし、形式上整っても、実態がなければ何にもなりません。ということで、実態的なものが添われるように今後ともひとつよろしく、文部省のできる範囲内でのいわゆる指導を強めていただきたいと思います。
 それでは、いよいよ時間のようでございますので、ちょっと繰り返すようになりますけれども、これまでのように、文部省へ持ってくると、文部省は道教委の方へ、道教委へ持ってくると市教委の方へ、市教委へ持ってくると校長さんの方へ、そのうちだれが何やらわからないということの責任のなすり合いではなくて、それぞれが現行法のもとでもかなりのものをお持ちになっているわけですから、ひとつ単なる責任のなすり合いをやめて、そしてまた過去のことを繰り返し愚痴っぽく言ってもしょうがないから、お母さん方にはおあきらめいただいて、この春から一新した新しいりっぱな教育が小樽においてなされることを期待したいと思います。むしろいままで大変悩み悩まれたところですから、ここで生まれ変わることによって、かえってどこの市よりも最もいい教育が小樽においてできるようになりますように、そして、そこで子供の学習権が十分に保障されまして、子供に幸せな教育が行われますことを心から祈念しまして、質問をやめたいと思います。
#182
○田中(龍)国務大臣 三浦委員のいろいろと御検討をいただきました問題につきまして、全く感を同じゅうするものが多い次第でございます。
 なお、たとえ権限はないにいたしましても、責任を持っております文教の問題でございます。調査その他の問題につきましては、十分に勉強もさせていただきたい。
 そして最後におっしゃったような雨降って地固まると申しますか、どうかりっぱな教育が完成いたしますことをこいねがって、お礼の言葉といたします。
#183
○三ツ林委員長 小杉隆君。
#184
○小杉委員 私は、数点についてお伺いしたいと思います。
 まず最初に、高校野球の問題についてでございますが、つい数日前に春の選抜高校野球大会が、数々の哀歓のドラマを織り込みながら終わったわけでございます。この高校野球には文部大臣も始球式に出席をしているということで、私どもも、この高校野球というものが、青少年の健康あるいは健全育成という面で果たしている役割りが非常に大きいということで、この高校野球の現在のあり方でちょっと問題だと思われる点を取り上げてみたいと思います。
 最近のマスコミの報道によりますと、横浜高校に在学していた愛甲選手の在校中の暴力の件で横浜高校の生徒が試合に出られなくなったというふうに聞いておりますが、この経過について、もしわかればお聞かせいただきたいと思います。
#185
○田中(龍)国務大臣 ただいまの御質問は、具体的な問題でございますので、体育局長からお答えいたします。
#186
○柳川(覺)政府委員 五十五年の九月二十五日の放課後でございますが、三年五組の教室で野球部の愛甲投手と牧田遊撃手の間に殴り合いがございまして、牧田遊撃手がけがをしたという事件がございました。
 これにつきまして、その後の措置につきまして、学校当局から県の高野連に対しまして、処分が出るまで一切の対外試合を自粛する、処分は一任する旨の申し出がございました。これは、ことしに入りまして、三月二十日でございますが、県高野連もこれを受理したという経緯でございます。
 なお、この種の問題につきましては、財団法人日本学生野球協会の総括のもとに日本学生野球憲章が制定されておりまして、この憲章によりまして、高等学校の野球の試合は、財団法人日本高等学校野球連盟が、それぞれの都道府県の高等学校野球連盟を通じて監督するという形がとられております。また試合への参加を希望するかどうかは、各校の判断によるという仕組みで行われておりまして、これにつきまして、日本高等学校野球連盟が、具体の措置につきましては、現在検討をされておるというように聞いております。
#187
○小杉委員 私の聞いたところによると、いま体育局長から報告があったように、この暴力事件があったのは昨年の九月二十五日でございます。ところが、そのとき学校から県の高野連に一応事実を報告したわけですけれども、そのときは不問に付されて、ことしの三月二十日になって何かマスコミですっぱ抜かれたというようなことで取り上げたというふうに聞いております。
 昨年の九月二十五日にあったことが、なぜことしの三月二十日になってそういう処置を報告するということになったのか。その間に時間的に大変間があき過ぎていると思うのですが、どういうことなんでしょうか。
#188
○柳川(覺)政府委員 この間の詳細につきまして、私ども、当事者からまだ事情をお聞きいたしておりませんので、詳細の御報告ができませんが、報道等によりまして、先生いま御指摘のように、即時、県高野連から日本高野連に報告がなされたという経緯ではなかったようでございまして、このことが表に出た、その辺のところから具体の動きが起こったというように承知しております。
#189
○小杉委員 私は、この経緯についていろいろ調べてみましたら、愛甲選手がそうした暴力をふるった一つの原因というのは、牧田選手が愛甲選手のプライベートな問題、たとえば、おまえの家は汚いとか、おまえの兄貴には身体障害者がいるとか、そういうようなことを言ったことが発端になって殴った、その後本人は、愛甲選手に悪かったということでわびているわけです。
 こういう些細な問題で高校野球に出場ができなくなるというのは、ちょっと私は行き過ぎじゃないかと思うのです。若い生徒がそういったことで衝突するということはよくあることですし、しかも愛甲選手はすでに卒業してしまって、現在の在校生が何か犠牲になるというようなあり方について、どうも釈然としないのですが、そういうことについてどうお考えでしょうか。
#190
○柳川(覺)政府委員 学生野球につきましては、大変長い歴史を持って今日の発展を見ておるわけでございますが、その間、常に学生野球の真髄を踏まえた運営につきましては、ただいま申し上げましたように日本学生野球協会、また高等学校につきましては財団法人日本高等学校野球連盟の関係者において大変な努力が重ねられてきておるところでございます。
 具体の試合に参加するかどうかの問題は、これまた高等学校それ自体の大きな判断の問題でございまして、それらの間に関係者による努力が重ねられておるところというように承知しておる次第でございます。私ども文部省といたしましては、この関係者による自主的な対応を尊重していくという考え方を持って今日まで来ておるところでございます。
#191
○小杉委員 愛甲選手は母子家庭で大変けなげな青年だというふうに言われております。そして、このような事情から殴ってしまったということで、かなり同情できる部分があるわけですし、もうすでに卒業してしまっている。さらに最近問題となった早稲田の野球部の主力選手が、成績原簿の改ざんによって単位をもらったというようなことが明るみに出ています。私は、むしろ、こういういま社会問題になっている早稲田の野球部の方が出場辞退というなら、まだ理解できないわけじゃないのですけれども、それが先日の日本学生野球協会の審査では、早稲田の野球部は出場辞退に当たらない、問題にしないということです。その辺を比較してみると、何か高等学校の場合だけ非常に厳しいような気がするんですね。しかも、この横浜高校というのは、東海大相模とか横浜商業とか、あるいはつい一昨日ですか問題を起こした横浜商大高校、ここの方が県の高野連の会長をやっているそうですけれども、そういう強い学校を出させまいというような形でこういうことを一々取り上げて出場させなくするということがもしあるとすれば、私は、大変遺憾なことだと思うのです。やはり堂々と実力で勝負をさせて、その力で甲子園大会へ出るとか出ないとかを決めるべきだと思うのですが、こういうささいなことで出場できなくするということであれば、私は、学生野球、高校野球としてちょっと不適当ではないかというふうに思うわけです。
 それで、いま体育局長は、日本学生野球協会なり高野連の自主的な判断に待つと言うわけですけれども、しかし文部省としては、この高野連なり日本学生野球協会という財団法人の設立の所管庁でもあるわけですから、当然、いろいろな勧告なり指導なりできる立場にあるわけですから、横浜高校が出られるような勧告をする意思があるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
#192
○柳川(覺)政府委員 御指摘のとおり、財団法人に対する監督庁としての監督の権限はあるわけでございますが、この監督行使は、一般的に特別の事情のあるときの問題でございます。いまの横浜高校野球部の出場をめぐっての問題は、高野連また関係者において自律的、自主的な判断のもとに結論を得る問題でございますので、文部省として、そういう面に立ち入った指導、指示等は控えるのが通常のケースであろうというように感じておる次第でございまして、御指摘の件につきましては、私ども、高野連のこれに対する対応を見守ってまいりたいという考え方でおります。
#193
○小杉委員 くどくは申し上げませんが、とにかく実力で競わせて実力本位でやるというのが本来の姿なんで、こんなささいなことで出られなくするようなそういう高野連のあり方は、常識的に考えてちょっと厳し過ぎやしないか。暴力行為そのものを認めるわけではありませんが、やはり行き過ぎに対しては十分是正をするように注意を促していただきたいということを申し上げて、この問題は終わりたいと思います。
 次に、私学の補助、特に私大補助について御質問をしたいと思います。きょう午前中の質問にもありましたが、早稲田の商学部の不正入試あるいは成績簿の偽造の問題が次々と明るみに出てきているわけですけれども、文部大臣は、大学による自力解明を評価している、そういう答弁だけでしかなかったわけですが、このような事態をどのように受けとめておられるか、再度お伺いをしたいと思うのです。
#194
○田中(龍)国務大臣 午前中も申したごとくに、私大の今度のような事件が起こりましたことは、非常に残念なことであります。しかしながら、大学というものがいろいろな入試の問題等、やはり一つの経歴社会であるならばなおさらのことで、いい学校に上がるということそれ自体が本人の生涯を左右するようなことにもなりかねないことになるわけでありますから、そういうことで競争も激しい、ひいては、それに対して本当に忌まわしいいろいろな問題も派生して起こりやすいということは考えられるのであります。
 しかしながら、これはちょうどいまのスポーツの問題等に当たりましても、あくまでも自分の入試というもの、試験というものを、本当に男一匹、フェアプレーで堂々と試験を受ける、たとえ留年しても、また戦いをいどんでいくというぐらいの精神的なものがなければならぬと思うのであります。いわんやその間に、かわいい子供であるからとは言いながら、私は、試験を受けた学生諸君自体は、親御さんがそういういろいろなことをやっていただくことについて、御本人は非常にプライドを傷つけられ、怒っておられる方も多いのじゃないかと思いますけれども、しかし何はともあれ、そういうことが入試の段階で起こりましたことは非常に残念でございます。
 今後、そういうことが再度ないように、そういう意味から申しまして、たとえ自分の有名校に傷がついても、なお早稲田の自浄努力というもの、自分の手で自分のあれを浄化していこうという学校の努力は、これは本当に評価していい、こう私は考えます。
#195
○小杉委員 私学振興財団の理事長さん、こうした不祥事件について、いろいろ補助金あるいは援助をしている立場でどのように受けとめておられますか。
#196
○佐藤参考人 日本私学振興財団といたしましては、この十年間、私立学校、四年制大学、短大、さらに高等専門学校に対して年々補助金を差し上げ、また貸出金を行ってきたのでございますけれども、これはこの十年余の歴史を経まして、私立学校の研究教育の条件を非常によくし、高めることができたというふうに考えております。私立学校といたしましても、近年、いままでの量という考えから質の向上ということに心を用いまして、それぞれ建学の精神を発揮しながら特色ある教育研究を行うように努力しているように思われるのでございます。
 補助金を交付することにおいて私学の財政が非常に好転してまいりまして、一つには学費といったものが非常に高くなるということを抑える、全然学費を上げないで済むとは申しませんが、学費を上げることを抑える効果があり、そのために大学あるいは教授と学生間の信頼関係ができましたので、いわゆる学生紛争というものが最近はなくなりまして、それだけに教育研究が不断に絶えず継続できたというような効果を持っている次第でございます。
 ところが最近、いま先生が御指摘のように、私学で私たちの期待に反しまして会計処理などで不適正な事例もあり、また入試をめぐりましていろいろな問題が発生しておりますことは、大変遺憾に存じておる次第でございます。
 これらの問題の背景の一つといたしまして、たとえば非常に問題が多いとされております医科大学、医学部の問題でございますが、これはやはり日進月歩の学問でございますので、学者としては、その学問の最先端の位置にあり、国際的なレベルに達しなければならないと考えておるので、そのために費用がかかるということもあるかと存じます。
 財団といたしましても、これまで学校法人に対していろいろな関係法令あるいは通達を忠実に守り、経理事務の適正な処理を行うように指導してまいりましたが、その方法といたしまして、全私立大学に、いろいろ機関誌あるいは通知文などを通しまして、経常費補助金の適正な執行ということに注意しているところでございます。
 今後、私たちといたしましても、私学の改善のために、やはり私立学校でございますから、自主努力ということが大事でございますから、あるいはさっき大臣からございました早稲田におきます自浄的な努力というような私学の自主性を配慮しながらさらに指導を強化する一方、補助金の配分の審査につきましても一層慎重を期し、こういうことが再発することがないようにいたしたいと思っておるのでございます。
 また、配分という問題につきましても、いろいろ私立大学などの教育研究条件の整備の状況を勘案いたしまして傾斜配分方式というのをとっておりますが、今後は、さらに教育研究条件を改善するために、私立大学などの教育及び研究の発展が図られるような配分基準も検討していきたいというふうに思っております。
 私たちの望みといたしましては、常に文字どおり私学振興ということに尽きるのでございまして、今後とも、私学が国民の期待にこたえられるよう最大限の努力をいたしたいと思っております。
#197
○小杉委員 文部大臣に伺いますが、最近、行政改革という声が非常に高まってきまして、その対象に私立大学に対する補助金を含めよう、この私立大学の補助金をカットしようというような動きが強まってきております。これは、やはりいま私学財団の理事長からお話があったように、関係者の熱心な努力によって、いま私学の補助というものが相当伸びてきた。ところが、一連の最近の大学の入試とかあるいは成績の偽造というような実態が明るみに出てきたということが、補助金カットという動きと私は決して無関係ではないと思うんですね。せっかくのいままでの皆さん、あるいは私立学校の関係者の努力が、こうしたことで水泡に帰してしまうということは、非常に残念なことでありますが、このように最近、行政改革の対象に私大の補助金を取り上げようとする動きに対して、文部大臣はどのように受けとめておられますか。文部大臣としてどのようにこれから対応していこうとされるのか。
#198
○田中(龍)国務大臣 お言葉のとおりでございまして、閣内で雑談をいたしておる最中にも、私大というのがそんなに悪いものなら補助金なんかぶった切ってしまえというような、乱暴なといいますか門外漢的な無責任な議論がよく言われることは事実でございます。
 なお、私学助成につきましては、私立学校振興助成法の制定以来、皆様方と御一緒にわれわれ、わが国の高等教育に果たしております私学の重要性にかんがみましても、文部省としては、その充実をぜひ図らなければならないということから、補助金の問題も、苦しい国家財政の中から実は大変な努力をいたしまして、約三千億になんなんとする貴重な国費の補助をいたしてまいったのであります。この教育の研究条件の改善を図りますためにも、今回のような事件に対しましては、私どもは、断固としてその究明をして、そして再びこのようなことがあってはならない。つきましては、もっと早くこの問題について手を染めたかったのであります。しかしながら、たまたま試験期でありまして、入学試験の最中に学校当局を呼んで事情聴取するとかなんとかということがありますと、無用ないろんな問題を派生しやしないかということから、先月いっぱいはそういうことをしないで、入学試験が終わりましてから、本月に入りましてから早速各大学当局を招致しまして、厳重に調査もし、また、いろいろと取り調べておる次第でございます。
 どうか、こういうことが二度と繰り返されることがないように、また、その面におきまして、われわれ国家補助をいたします者の側といたしましても、改めるべきところは、規定その他を改めなければならぬものがあるかもしれません。しかしながら、こういうことは、先ほどの大学生自身の入学に当たっての不正な事件とは違いまして、学校そのもの、私立学校、私学というものの重要性は、私、何としてでも守ってまいりたい、かような気持ちであります。
#199
○小杉委員 いま文部大臣から、断固たる措置をというお話がありました。いままで問題を起こしてきた北里大学あるいは北陸大学、東海大学、今回の早稲田はまだこれからということですけれども、こうした大学に対して、いままでどのような措置をとってこられたか、ひとつ管理局長からお答えいただきたいと思うのです。
#200
○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。
 最近、補助金の返還措置を講じましたのは、北里大学と北陸大学の二校でございますけれども、いずれも入学者の父母から収受いたしました寄付金を学校法人会計とは別に経理いたしまして、いわゆる別途経理というものでございますが、そういうことをいたしまして、文部省令で定めております学校法人会計基準、これに違反しておったわけでございます。
 ただ、それだけではございませんで、いま申し上げました別途経理そのものは、学校法人としての管理運営上、適正を欠いていたものというふうに私ども考えているわけでございまして、したがいまして、私立学校振興助成法第五条の規定に違反している、それから第六条の規定にも抵触するということで、二つの条項に照らしまして所要の措置を講じたものでございます。
 まず、北里大学について簡単に申し上げますと、昭和五十四年度並びに昭和五十五年度の医学部入学者の父母から、昭和五十三年度には十二億円、五十四年度は十四億円、五十五年度は六億円、計三十二億五千万円を学校法人会計とは別に経理していたわけでございます。このために昭和五十三年度以降の医学部に係る補助金を五〇%減額することといたしました。五十三年度は九億円、五十四年度は十二億円、合計二十一億円の元本に加算金三億円を付しまして、計二十四億円を返還させるとともに、昭和五十五年度分につきましては、十三億円を減額いたしました。この結果、返還等の措置額は合計三十七億円となっております。
 それから、北陸大学でございますけれども、昭和五十年度に薬学部だけを設置するいわゆる単科大学として発足したものでございます。創設以降昭和五十六年度、今年度の入学者に係るものまででございますけれども、その父母から寄付金を収受いたしまして、合計三十七億円を、これも学校法人会計とは別に経理しておりましたものでございます。北陸大学につきましては、完成年度に達しました昭和五十四年度から経常費補助を開始しておりますけれども、別途経理が長期間にわたっておりましたこと、それから私学振興財団に対しまして、すでに交付を受けていた補助金につきまして、当該学校法人が深く反省いたしまして、全額を返還したい旨の意思表示を行っております。そういうことから、私学振興助成法の第六条に基づきまして、全額返還の措置を講じたものでございます。金額は、合計六億三千万円の元本に加算金六千万円を加えまして、総計六億九千万円を返還させたものでございます。
 以上のとおりでございます。
#201
○小杉委員 今度の早稲田の問題で、補助金を返還させるという意思はあるかどうか。
#202
○吉田(壽)政府委員 先ほど大臣からも答弁を申し上げましたように、目下、早稲田大学当局において、自主的に、しかも真剣に、隠し立てするようなことなく精査をしております。それからまた、司法当局におかれましても、ただいま捜査をいたしているというような状況でございます。したがいまして、私どもも、重大な関心を持っておりますけれども、補助金の取り扱いをどうするかということにつきましては、この一連の不祥事の解明を待ちまして、文部省としてとるべき態度、方針を決定したいということで考えているところでございます。
#203
○小杉委員 すでに大学の手でかなり解明された部分もありますし、それから司法当局、警察当局でこれから明らかにされる部分もかなりあると思うのです。その後もマスコミ等で次々にいろいろな事実が出てきているわけです。そうしますと、恐らくこれで全く何もなかったということにはならぬと思うのです。そうした事実というのはやはり厳然としてあったということが判明した場合に、いま局長が挙げられた私立学校振興助成法の第五条並びに第六条に基づいての補助金の減額の対象にならないかどうか、もう一度お答えいただきたいと思います。
#204
○吉田(壽)政府委員 事件の詳細につきまして、私ども早稲田大学当局から事情をまだ聴取しておりませんけれども、いままで私どもが知り得た範囲では、商学部に係る一部の職員の問題でありまして、早稲田大学全体の管理運営の問題としてどう判断するかということにつきましては、私どもかなり慎重に検討する必要があるということでございます。先ほども申し上げましたように、いま一連のそういう司法当局の捜査も進んでおりますし、大学自体もいま鋭意努力して精査しているところでございますので、これからその補助金の扱いについてどうするかということにつきましては、その一連の事件の解明を待って文部省としてとるべき措置を決めたい、こう考えているところでございます。
#205
○小杉委員 早稲田大学の商学部の場合は、一部の職員のしでかしたことであって、大学全体の管理運営の問題ではないから、北里大学や北陸大学とは違った扱いをせざるを得ないというニュアンスの御答弁ですが、私学振興助成法の第五条には、補助金の減額をできる一つの規定がありますね、これによりますと、第一項目として法令の規定及びそれに基づく所轄庁の処分または寄附行為に違反した場合とか、二番目には入学の定員を超過して入れている場合とか、三番目には定員に満たない場合、四番目には財政状況が健全でない場合というようなことを挙げておりますね。北里大学あるいは北陸大学というのは、一応この第五条の第一項に該当するということで減額されたと思うのです。しかし、早稲田大学の問題は、仮に一部の職員の不心得によって出た問題だと言っても、先ほど文部大臣にも質問したように、こんなささいな一部の職員のやったと思われることですら、いまこれだけ社会的な影響を及ぼしているわけです。しかも、その不正を長年にわたって突きとめることができなかった、これだって、やはり大学自体の管理運営に問題がなかったかどうかということが言えると私は思うのです。
 そこで、いまの私立学校振興助成法第五条の第五項目には「その他教育条件又は管理運営が適正を欠く場合」という規定があるわけですから、もしいまの一連のこういう事実がはっきり確定した場合には、この第五項目をとらえて、やはり補助金の減額ということができるのではないかというふうに考えるわけです。そして私立大学全体に対する、あるいは私学全体に対する社会的な不信感をなくしていく、さらに私学の助成をもっと充実させていくためには、早稲田大学には大変気の毒だけれども、一罰百戒的なことも考えて、私は、やはり補助金の減額ということを考慮すべきではないかと思うのですが、そうした解釈について局長はどうお考えでしょうか。
#206
○吉田(壽)政府委員 ただいまの先生の御意見は、貴重な御意見として私どもも十分参考にさせていただきたいと思います。
 私どもも、また、ただいま先生が指摘されましたこの私学振興助成法の第五条第五号の「その他教育条件又は管理運営が適正を欠く場合」ということに実は深い関心を持っておりまして、一部のそういうグループの行為、そういうものと大学全体の管理運営との関係、そこに私どもは最も注目いたしております。
 したがいまして、この補助金の扱いにつきましては、いま先生御指摘になられました第五条の第五号の「管理運営が適正を欠く場合」ということとの関連で考えているわけでございまして、先ほど来申しましたように、一連のその事件の解明を待ちまして、文部省としてとるべき措置を考えたい、このように思っておるところでございます。
#207
○小杉委員 観点を変えて、少し別の問題を取り上げたいと思いますが、最近、私立大学と国立大学の教授、助教授、講師、助手の給与を比較してみますと、かつては私立大学の方が非常に悪かったと言われておりますけれども、どうも最近比較をしますと、必ずしもそうではない、むしろ私立大学の方が国立大学よりも上回っているというようなうわさも聞きますし、これは給与だけじゃなくて、ほかのいろいろな条件を比較しても、いまや私立大学というのは、必ずしもそんなに悪くはないのだというふうに言われておりますが、私立大学と国立大学の教授、助教授、講師、助手の給与の比較というものがもしあれば、お聞かせいただきたいと思います。
#208
○吉田(壽)政府委員 私立大学の教員給与につきましては、私立大学が極力質の高い優秀な教員を確保する必要があるというようなこと、それから国立大学の場合は、かなり充実したいわゆる公務員宿舎、官舎と呼ばれるものが整備されておりますけれども、私立大学の場合は、その宿舎がほとんど整備されていないというようなことなどがございまして、私立大学の教員給与は、国立大学のそれに比べますと、一般的に高くなる要因があるということは否定できないと思うわけでございます。
 昭和五十四年の十二月現在で、五%の無作為抽出の方法によりまして、経験年数も勘案して行った私立大学教員の給与実態調査によりますと、国立大学教員並みに換算した給与年額よりも一もしその私立大学の教員が国立大学の教員になったと仮定して換算した給与年額でございますけれども、その国立大学教員並みに換算した給与年額よりも、実際に私立大学で支給している給与年額が約一二%ほど高くなっているという報告を受けているところでございます。
#209
○小杉委員 別の側面で質問をいたしますが、私立大学の入学寄付金とか施設整備費あるいは学債というようなものの実態調査をしたことがあるかどうか、もしあれば、国立大学と私立大学の比較をしていただきたいと思うのです。これは医学部や歯学部の関係もわかれば、ざっとでいいですから数字を出していただきたいと思います。
#210
○吉田(壽)政府委員 私立大学の入学寄付金あるいは学債の状況でございますけれども、昭和五十五年の私立医科大学の入学者に係る寄付金の収納状況を申し上げますと、昭和五十五年六月一日現在で、全二十九大学のうち十六大学において寄付金を収納しておりまして、受け入れ総額は百十億円となっております。
 次に、学校債の収納状況でございますけれども、十七大学において収納いたしておりまして、受け入れ総額は九十四億円となっております。
 施設の拡充なりあるいは大型設備に要します経費につきましては、寄付金なりあるいは学校債に相当程度私学、私立医科大学が依存するということは避けられないと思うわけでございますが、短期間にこれらのものを調達することにつきましては、私ども、問題があるというふうに考えているところでございまして、極力、長期資金計画を策定いたしまして、その無理のない財源調達を行いますように各学校法人が慎重に検討をしてほしいということでかねがね指導し、また要望しているわけでございます。そういうようなことで、入学者に係るそういう一時的な、しかも高額な負担を負わせるというようなことは避けるべきであるということで考えているところでございます。
#211
○小杉委員 ちょっと質問の趣旨と違った答弁なんですけれども、国立と私立と、授業料とか入学金とか施設整備費というものの比較をちょっと具体的にお話いただきたい、特に、医科系、歯科系もあわせてお答えいただければということなんです。
#212
○吉田(壽)政府委員 私立大学の昭和五十六年度の入学者に係る初年度の学生納付金の平均額を申し上げます。これは、もちろん昼間部だけでございますけれども、昼間部の学生納付金の平均額でございますけれども、授業料が三十八万円、入学料が二十万二千円、施設整備費が十七万四千円、合計七十五万六千円となっておりまして、前年度の入学者に比べますと七・三%の上昇となっております。
 これを専攻分野別に見ますと、まず文科系でございますが、学生納付金の合計は、平均いたしまして五十八万六千円、それから理工系は平均八十二万円、それから、いわゆる家政系その他でございますが、その他の分野の平均は八十二万七千円でございます。
 いま当面の問題であります医学部でございますけれども、医学部の学生納付金は、文科系、理工系等と同じ授業料、入学料、施設整備費の合計で申し上げますと、平均三百五十九万九千円、約三百六十万円でございます。
 ただ、医学部につきましては、御案内のとおり、この授業料、入学料及び施設設備費のほかに、実験実習費とかあるいは教育充実費というような費目のものを徴収いたしておりますので、これらを加えますと、昭和五十六年度の医学部の納付金の平均額は七百七十七万六千四百十四円でございまして、前年度に比べますと二・二%の上昇率というふうになっております。(小杉委員「国立大学は」と呼ぶ)国立大学でございますけれども、国立大学は、昭和五十六年度授業料が十八万円、入学料が十万円というようなことで、合計二十八万円となっております。
 そういう状況でございます。
#213
○小杉委員 国立大学の場合には、施設費というのは、全部税金でやるわけですから、かからない。私立大学の場合は、そうした施設費にお金がかかるので、これが相当国立と私立の格差になってきているわけですが、最近、授業料などを見ましても、国立と私立の差、一般の文科系とか理科系ですと、大体一対二ぐらいの割合に縮まってきているわけですけれども、医学部は、いまの御説明によりますと、施設費その他を含めますと、実に二十八万円の国立大学に対して七百七十七万円ということですから、二十倍以上ですね。医学部というのは、確かにお金がかかるし、施設も大変だと私は思うのですけれども、こういう比較を見まして率直に感ずるのは、国立大学というのは、医学部であろうと文学部であろうと理学部であろうと、みんな同じ授業料あるいは入学金なのです。最近、たとえば東京大学とか京都大学なんかの入学、特に医学部なんかに入っている人を見ますと、むしろ一般よりお金持ちの人が入っているというようなことであって、しかも、たくさんのそういう恩典を受けているわけですから、国立大学の授業料あるいは医学部とか歯学部のそういったものをもう少し上げてもいいのじゃないかというような気がするのですが、大学局長、いかがでしょうか。
#214
○宮地政府委員 御指摘のように、確かに医学部の教育に大変経費を要するということは、先ほど管理局長からも御説明があったとおりでございます。ただ、国立大学につきましては、やはり国家的、社会的な見地から各種の学問分野、専門職業分野等の人材養成を行うということが基本的な使命でございます。したがって、国立大学の授業料に、いわゆるコスト主義というようなことで経済的視点を強く導入するということについては、能力に応じた教育の機会を縮小することにもなり、貧富の差によります人材の分野別の偏りを招くというようなおそれも強いわけでございます。
 国立大学協会といたしましても、国立大学の授業料そのものについては、いろいろ御議論があるところでございますけれども、ここ近年、授業料の引き上げ、入学料の改定等については、それぞれそのときの情勢に応じた対応を今日までしてきておるわけでございまして、授業料全体については、そういう具体の対応を今日までとっておりますが、学部別に授業料を取る、そういう仕組みを国立大学に導入するということについては、私ども、ただいま申し上げました理由できわめて消極の気持ちを持っておりますし、国立大学協会におきましても、その点は強く――昨年財政当局においても、若干そういうような意見が出ていたことは承知いたしておりますけれども、そういう声については、国立大学協会としても、きわめて強く反発をいたしておりますし、私どもも、その点については、ただいま申し上げましたような理由できわめて消極の気持ちでございます。
#215
○小杉委員 国家的なあるいは社会的な要請に基づく人材養成が国立大学の使命だというようなことの答弁がありましたけれども、これは明治の学制の発布によって国立大学をつくったときの発想がそのまま今日まで引き継がれてきていると思うのです。いま、大学の進学率も四〇%になろうとしていて、何も国家的、社会的な要請というのは国立大学だけにあるのじゃなくて、私立大学も十分その一端を担っているわけなんですね。国立大学の医学部の学生にだけはもう大変手厚くやっているというのはどうも割り切れないのです。
 いま大体、国立大学に対しては国家予算はどのぐらいつぎ込まれているのですか。そして、その学生の数の比率、これは私立と国立との比較あるいは私大に対する補助割合をひとつ出していただきたいと思います。
#216
○宮地政府委員 国立学校特別会計全体の予算で申しますと、五十六年度の予算で申しますと、一般会計からの受け入れというのは一兆円強でございます。
 なお、医学部教育について国費としてどれだけかけているかということでございますが、ただいま正確な資料を手元に持ち合わせておりませんけれども、学生一人当たりについて申しますと、約六百四十万程度の経費をかけているということになろうかと思います。
#217
○小杉委員 大学全体で学生の比率、学生数で言うと、国立と私立の対比というのは大体二五%と七五%ですね。それから、それに対して国費がどのぐらい投じられているかというと、国立には昭和五十六年度で約一兆三千億円ですか、その二割程度が私立大学に補助されているということからすると、国立大学に対する非常な過保護というのが目立つわけですね。
 私は、特に格差の著しい医科系、歯科系というのは、いま社会通念上、お医者さんになるには相当お金がかかるということは、もう常識になっているわけですから、特にこれだけ高いお金のかかる医学部の学生に、やはりそれなりの負担をしていただくというのは、受け入れられる考え方じゃないかと思うのです。特に経済的に困難な人に対しては、育英会という制度があるわけですけれども、育英会の貸し付けについて、たとえば医学部の学生には普通の学部の学生よりもよけい貸し付けるという形をとれば、特に経済的に困った人に対して救済策はとれるわけですから、そういう育英会の充実と医学部の負担の増加ということをセットで考えることはできないか、もう一度御答弁いただきたいのです。
#218
○宮地政府委員 育英会につきましては、ただいまのところ、やはり学部別に育英会資金を貸し付けるという対応はいたしていないわけでございます。したがいまして、御指摘のように、確かに医学部教育で大変経費を要しているということば事実でございますけれども、基本的な国立大学の本来のあり方というところから考えましても、その点は、私どもといたしましては、先ほど御答弁申し上げた点に尽きるわけでございまして、確かに育英会の対応でその点をカバーするというのも一つのお考えであろうかと思いますけれども、全体的に国立学校運営費に占めます授業料の比率も、近年相当授業料を、先ほども御説明したような形で引き上げてきておりまして、国立学校運営費に対する比率としては、たしか九%に近いところまで来ておるかと思います。
    〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕
 問題は、教育の経費をだれが負担するかという基本的な問題にかかわるわけでございまして、高等教育に対する経費を、たとえば諸外国等におきましては、やはり公費で賄うというような対応をしているところもございますが、わが国の高等教育のあり方が、先生御指摘のような私立が量的には大変大きい部分を引き受けているわけでございます。問題は、その高等教育に対する経費のかけ方、そして負担区分をどう考えていくか、基本的に大変大きな課題でございまして、私ども、それらについてどういう負担区分が適正かということについては、もちろん検討をし、基本的な取り組みをしなければならぬ課題とは考えておりますが、医学部の授業料について格差をつけてより多く負担させる、そういう対応をとる考えは、ただいまのところは持っておりません。全体の検討の中で解決すべき基本的な問題であろうかと思います。
#219
○小杉委員 これだけいま財政が窮迫をして、しかも行政改革が大変な重要テーマになっている今日、明治以来の固定観念にとらわれて――私は、国立大学といえども、やはりある程度コスト主義というものを導入していかなくちゃいかぬと思いますが、いまの御答弁ですと、ちょっと平行線ですから、この問題は、また改めて取り上げたいと思います。
 そこで、また本題に戻りまして、いまの私立大学あるいは私立学校に対する一つの指導とか監督といいますか、いろいろ問題が出てきているわけですが、たしか昭和四十六年十一月に私立大学等に対する指導及び助成に関する行政監察というのを行ったと思いますが、この中身についていま改めて聞くことはやめます。ところが、いまいろいろ私立学校に不祥事が続発してきている、しかも私学に対する助成金も、その昭和四十六年当時とは比べものにならないくらい大きな金額になってきている今日ですから、再び私学に対する行政監察を行う予定はないかどうか。それから、あわせて時間の節約上聞いてしまいますが、ことしの行政監察のテーマに国立大学と国立大学の共同利用機関を挙げておられますが、どういう目的で何を監察しようとするのか、それもあわせてお答えいただきたいと思うのです。
#220
○堀江説明員 行政管理庁といたしましては、昭和五十六年度に実施を予定しております監察テーマはすでに決定をいたしておりまして、文部省関係では、ただいま御指摘ございましたように、国立大学等の研究施設の管理運営の実態を監察いたそうというふうにいたしております。御指摘の点につきましては、今後業務運営の適正化を確保するために関係機関でいろいろな努力が積み重ねられるだろうと考えておりまして、その状況を踏まえまして監察テーマの一つとして今後とも関心を払っていきたいというふうに考えております。
 それから、御質問の二番目でございますけれども、国立大学等におきます研究施設等が効率的に行われているかどうか、利用されているかどうかというふうなことを中心にただいま検討いたしておるところでございます。
#221
○小杉委員 第一の問題は……。
#222
○堀江説明員 第一の問題につきましては、先ほど御説明いたしましたように、今後とも監察テーマの一つとして関心を払っていきたいというふうに考えておるところでございます。
#223
○小杉委員 文部省に伺いますが、私立学校振興助成法の第十四条では、私立学校に対して財務計算の書類を作成することを義務づけておりますね。それから、その書類を届け出ること、あるいは公認会計士または監査法人の監査報告書というものを出させることになっているわけですが、こういうことをやりながら、なかなかこういう不祥事件を防ぐことができないという実態があるわけです。それから私学振興財団についても、私学振興財団法の二十条の第五号に「私立学校の経営に関し、情報の収集、調査及び研究を行い、並びに関係者の依頼に応じてその成果の提供その他の指導を行うこと。」という規定があるわけです。そして先ほど私が挙げた昭和四十六年十一月の行政監察の中でも「必要によっては現地調査を行うよう私学振興財団に対して指導すること」というようなことがありますが、一体、私立学校に対するこういう調査とか指導とかいうのは、管理局としてはどのような体制でやっておられるのか、それから私学振興財団は同じ問題でどういうふうにされているのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
#224
○吉田(壽)政府委員 私立学校は、申し上げるまでもございませんけれども、基本的には、学校法人がみずからの努力と責任において運営されるべきものでございますけれども、文部省としましては、私立学校法なり私立学校振興助成法に定めるところによりまして必要な指導援助を行っているわけでございます。
 いま先生が御指摘になられましたように、助成を受ける学校法人は、学校法人会計基準、これは文部省令で定めておりますが、この会計基準に従いまして会計経理を行わなければなりませんし、また財務計算書類につきましては、公認会計士の監査を受けなければならない、こういうふうになっているわけでございます。さらに文部大臣は、助成を受ける学校法人に対しまして、業務の報告をさせたり、あるいは必要に応じて検査を行う、あるいは予算の変更について勧告をする、そういうようないろいろな権限を、法令の根拠がございまして持っているわけでございます。文部省の中におきましては、私どもの管理局の方で、一応そういう指導なり監督を行っているわけでございますが、これにつきましては、実際に補助金を配分しております日本私学振興財団と絶えず協議をいたしまして、緊密な連携のもとに私学に対する指導助言あるいは監督を行っているというのが実態でございます。
    〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕
#225
○佐藤参考人 ただいま管理局長の御説明がありましたように、私立学校のいろいろな補助金、貸付金その他につきまして、現地に赴いて財団の職員が適宜いろいろその成果を調べております。その数字がございますが、およそ申し上げますと、五十三年度に調査法人は二百七十三、五十四年度は二百十九、五十五年度が二百六十七というふうにやっております。調査の種別を申しますと、貸付金、補助金、実情調査その他でございまして、延べ日数で言いますと、五十三年が二百三十四日、それから五十四年が二百六十日、五十五年が二百三十七日、また調査人数で申し上げますと、同じように五十三年が百二十五人、五十四年が百六十四人、五十五年が百三十八人参加しております。
#226
○小杉委員 文部省も財団の方も、そうやっていろいろ調査したり、指導していると言うのですけれども、しかし、いろいろな会計基準にのっとっていろいろな帳簿を出させたりなんかしていますけれども、こうした不正な事実というものは後を絶たないということですから、さらに一層、そうした調査なり指導というものを徹底してやっていただきたい。そうでないと、このような事件が起こるたびに、私立学校への補助に対する世論というのは非常に厳しくなってくるということで申し上げたいわけでございます。
 そこで、いま私立大学といいましても、非常に経営的に楽なところとそうでないところ、格差があると思うのですが、いままでの私立大学に対する補助金というのは、一律主義あるいは悪平等的な側面があるのじゃないかというふうに思うのです。
 一体、私立大学に対する経常費の補助は、どういう基準で配分をしているのか、参考までにお聞かせ願いたいのです。
#227
○吉田(壽)政府委員 この私立大学等に対します経常費補助でございますけれども、文部省としては、経常的な経費につきましては、原則として自主的努力による収入、それから学生納付金及び国庫補助金で賄うべきものであると考えておりまして、特にまた施設等の臨時的な経費を要するものにつきましては、先ほど申し上げましたように、長期的な資金計画のもとで任意の寄付金を募集するとか、あるいは私学振興財団からの長期の借入金を借り入れるというようなことによりまして、創意工夫をこらして調達してほしいということで指導してきているわけでございます。
 この経常費補助の配分の仕方でございますけれども、これは私学振興財団の佐藤理事長の先ほどの御答弁の中にもございましたが、一般補助と特別補助のあり方なり、さらに私立大学等が自主的に教育条件を高めるよう誘導するために行っておりますいわゆる傾斜配分のあり方等につきましては、私ども、現在、それでおおむね妥当だと考えております。しかし、まだ十分ではございませんので、今後とも、鋭意検討を加えまして、必要に応じまして改善を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
#228
○小杉委員 大体配分の基準というのは、いろいろ教員の給与費とかありますけれども、そのいま言われた傾斜配分というのは、どの程度の余地があるのでしょうか。
#229
○吉田(壽)政府委員 その傾斜配分につきましては、まず一般補助のやり方をちょっと申し上げたいと思います。
 一般補助のやり方は、私立大学ごとに専任教員数とか専任の職員数及び学生数にそれぞれ所定の単価を乗じまして得た標準補助額、この標準補助額を当該私立大学ごとの教育条件――教育条件と申しますのは、学生総定員に対する在籍学生数の割合とか、あるいは教員一人当たりの学生数がどの程度かというようなこと、あるいは学生納付金の教育研究経費等への充当の状況、あるいは経常収支の状況等、こういうものを私ども教育条件と総称しておりますけれども、この教育条件を考慮した係数で調整して配分することにしているわけでございまして、この調整係数によるところの配分を傾斜配分と言っているわけでございまして、一〇〇%を基準といたしますと、上の方は一三〇%、減額する方は五〇%、そういう範囲の中で傾斜配分を行っておりまして、これによって私立大学が自主的に教育条件を高めるように配慮している、こういうやり方でございます。
#230
○小杉委員 時間が大分迫ってきましたので、もっと具体的に聞きたいのですけれども、なかなかできませんから、最後に文部大臣に、きょうの午前中の答弁でも、私学の管理体制というものを厳しくやっていくというお話がありましたけれども、まず管理局長に、私学の管理体制をどう見直していくのか、それから文部大臣にも、この管理体制のあり方についての御見解を伺っておきたいと思います。
#231
○吉田(壽)政府委員 申し上げるまでもございませんが、この私立大学というものは、わが国の学校教育制度の中で重要な地位と役割りを占めておりますけれども、法令のたてまえといたしましては、大学はおよそ法令に違反するようなことはまずやらないというような前提、あるいは法令違反というほどのことでなくても、社会的にどうかと思われるようなことは行わないという前提で、この制度は成り立っているわけでございます。にもかかわらず、最近のような私立医科大学あるいは早稲田大学等そういう一連の不祥事が生じていることは、大変残念で、私ども文部省といたしましても、深く反省をしているわけでございます。
 本来、私学は自主的に、その自発性に基づいて、しかも建学精神に立ってりっぱな教育研究を行ってほしいというのが、私どもの願いでございます。ただ、私学といえども、単に自主性を主張するだけではなくて、やはり公共性という観点を十分に認識され、理解されまして、社会、国民に対して、その大学の存在理由を明らかにしていただく必要があるのではないかと私ども常々思っているところでございます。
 ことに、一連の私立医科大学の、たとえば不正経理等でございますけれども、これは先ほど申しましたけれども、公認会計士あるいは監査法人、そういうものが十分審査して、私学財団なり、あるいは文部省に提出されるわけでございますけれども、遺憾ながら隠し財源というような形でございますので、そういう公認会計士等の目にも入らないということで大変な社会問題にもなっているわけでございます。
 そこで、私どもは、いままでの指導を十分反省いたしまして、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、医科大学につきましては、全大学についてただいま事情聴取を行っておるところでございますが、これらを全部整理した上で私立医科大学に対してはもとより、広く私立大学全般に対して指導通知を発する、あるいはいろいろな会議等で指導を厳しくして趣旨の徹底を図るというようなことを考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、私どもは、やはり個個の私立大学が建学の精神に思いをいたされまして、えりを正していただくことが、この際、最も重要なことではないかと考えているところでございます。
#232
○田中(龍)国務大臣 まず私学というもののあり方でございますが、ただいまいろいろと御質問の中にありましたように、私どもは、そもそも私学振興というものに対しましては、本当にある程度まで情熱を傾けていると申しますか、何とかして私学を振興しなければならない。ことに私学は歴史的な沿革に徴しましても、いわゆる帝大万能というあの官学に対しまして、福沢諭吉翁なり大隈重信候なり、慶応、早稲田というふうなものは、本当に伝統と歴史の背景を持った誇り高い官学に対する何物かを持っておったと私は思うのであります。
 ことに最近は、御案内のように開かれたる大学といいますか、学歴偏重社会といいますか、そういうものを打破していかなければならないということから申しましても、そこに私学の持つ特性、そしてまた、その大学おのおのが持っております特異性というものと誇りとを私は高く評価していきたいと思っておるのです。
 ところが、御案内のとおりに、一方におきまして、教育全般の中における学歴偏重社会というものは、私どもは、何とかこれを打破していこうといういろいろな方途を講じておりまする中に、先般退職されました東大の総長が、いまの卒業証書無用論といった提案をされたことも、私は、一つの見識であるし、また日本の大学の中における一つの大きなオリエンテーションだと思うのであります。
 そういうことから、私学に対しまして本当に心からの善意で、多額の経費を要するこの私学に対して何とか補助をしていこうという意味で今日まで参りました。なかんずく医科大学ともなりますと、施設に対して莫大な投資をしなければならない。たとえば断層レントゲンなんかでも一台が三億、五億、ことに最近の陽電子核種断層装置関係ということになりますと、機械が一式十億円ぐらいする。そういうふうな先行投資に対して、私大というものは非常に苦しい。そういう中において、私どもは理想と情熱を傾けてまいったのであります。
 ところが、今度のようなことが現実に次から次に起こってきますと、本当に裏切られたような残念な気持ちでいっぱいでございます。それだけにかわいさ余って憎さ百倍じゃありませんけれども、それこそ断固とした措置をこの際とって、二度と再びこういうことが起こらないように十二分に戒めますと同時に、最後に私が申し上げたいのは、そういうことがあったから、もう私学の振興なんかやめてしまえ、こういうことになってはいけない。やはり私学の振興は私学の振興として、われわれの理想をあくまでも追い続けていきたい、こういう情熱をもってお答えといたします。
#233
○小杉委員 起こってはならないことが現実に起こりかねない状況ですから、今後とも一層、内部改革というか内部の見直しということに努力していかないと、補助金カットのやり玉にどんどん上げられていくということになりますので、ぜひその点は御努力をいただきたいと思います。
 時間が来てしまいましたが、最後に、単刀直入にお答えいただきたいのですが、日本がだんだん国際化していくに従って、外国語の重要性というのがますます出てくると思うのです。日本がいま国際政治の中でなかなか主導権を握れないというのも、外国語の能力に大きな原因があると思うのです。ところが最近、サンケイ新聞ですか、日本の英語力は、TOEFLという外国人向けの英語テストの結果によりますと、百六カ国中八十五位、とにかくヨーロッパ諸国に及ばないだけでなくて、アジアでもマレーシアとかフィリピンとかパキスタンというようなところにも、あるいは韓国や中国よりも点数が劣っておるという状況です。しかも最近、ゆとりある教育ということで、英語の授業時間が相当減らされておるわけですね。これが従来の総授業時間数の中で占める外国語の時間よりも、新教育課程ではさらにその比率が減っておるわけです。こういうことにどう対応していくのか。
 それから、昨年私が英国へ行ったときに、せっかく日本が英語教師の派遣ということを始めたのだけれども、人数が全然ふえない。一回行った人が二年、三年と居続けるために、次に行きたい人が行けないというような声も聞いたわけですが、こういう日本の英語教育あるいは外国語教育についてお答えいただきたいということ。
 もう一つは、国連大学の候補地が外務大臣の発言で横浜の新本牧に決まったというふうに報道されておりますが、文部大臣あるいは文部省から、この国連大学の候補地についてのしっかりとした答弁をいただきたいと思うのです。
#234
○三角政府委員 最初の御質問でございますが、TOEFLの結果とか、その国際比較につきまして、実はまだ公式な調査結果を入手しておりませんが、私も、新聞で見たわけでございます、ですから、よくわかりませんけれども、年々日本人の留学希望者が非常に増加しておりますので、その実態を考えますと、中には語学力が余りよくない人たちも、今日の時点ではTOEFLを受験しているのではないか、したがいまして、本当に向こうの一流というか、いい大学へ行って専門的能力を高めようという人たち、必ずしもその人たちの標準かどうか、そのあたりに若干疑問を持っておる次第でございます。
 国際化の方向、国際社会の相互依存関係が今後ますます深まってまいりますし、日本もそれに積極的に入っていかなければならない、こういうことで御指摘のように、語学教育ということが非常に大事でございますが、私ども、今回の教育課程の改定に当たりましては、全体として従前の学校教育というものが知識の詰め込みに偏りがちである、こういう批判がございましたので、各教科について、それぞれの内容を基礎的、基本的事項に精選し、国語、社会、数学、理科等については授業時数を削減することにいたしました。このようなことから、外国語を含む選択教科につきましても、授業時数を削減しておるわけでございます。したがいまして、中学校の外国語の標準時間数は、年間百五時間、週当たり三時間、こういうことでございますが、実は従前の旧の教育課程の場合も、この百五時間というのは変わりなかったのでございます。ただ従来、英語を選択科目として、標準授業時間以上に行っていた学校が非常に多かったということから、結果的に見ますと、新しい教育課程の実施に当たりますと授業時間数が減少する、こういう状況が見られるのでございます。
 私どもとしては、御指摘の今後の国際社会における活動の人材としてのしっかりした人間をどう養成するかという点につきましては、英語というか外国語の学習だけではなくて、全体的に学校教育の各教科なり特別活動なりを通じて、日本人として調和のとれた人間性豊かな児童生徒をつくっていくことがまず基本であると思いますけれども、その上に語学が非常によくできる、そういう人材が必要なわけだと思います。
 私どもとしては、各学校におきまして、基礎、基本を重視しながら指導方法に創意工夫を加えて、生徒の能力や適性に応じてきめの細かい指導を行ってまいりたい。そして学校の教科というのは、義務教育ですから、すべての子供を相手にすることでございますが、その中で英語に特に興味や関心を持つ生徒に対しては、クラブ活動でございますとか部活動という時間の活用ということも考えられますので、そういった時間を利用して英会話などの活動をしてもらうことも大事ではないか、こう思いますし、なお将来、そういう方向を目指す人たちは、そこまで言うと何かもしれませんが、ピアノにしてもスポーツにしても、特別の興味を持って学校以外での研さんということも必要になってくる場合もあろうかと思いますが、学校におきましては、今回の全体の指導につきまして、基礎、基本を重視して調和のとれた教育をしていきたい、そういうことの上から、先ほど御説明申し上げましたような状況になっておる次第でございます。
#235
○松浦(泰)政府委員 英国からの英語教師の受け入れのことでございますが、これは五十三年度から実施いたしまして、予算的には五十四年度からついたものでございます。ただ、この受け入れにつきましては、最大二年まで、必要に応じて更新を妨げないということがございまして、多くの方が、いま先生から御指摘がございましたように、継続というようなことでございます。そのような五十四年度からの予算措置と、それからもう一つは、国立大学につきましては、外国人教師の制度がございまして、その予算の運用、それから、さらに予算に乗れない場合には、その学校の設置者が旅費も負担しますというような場合には、そういうものも含めまして運用してまいっておりまして、五十三年度に二十人、五十四年度に四十六人、五十五年度に五十九人と逐年増加はしてきておるわけでございます。
 ただ、この制度が、日英文化協定の趣旨に基づきまして、日英両国民の友好親善と相互理解の促進を図るとともに、わが国における英語教育の一層の充実に資するというようなことで、こちらへ参ります英語教師は、英国の相当厳密な選考を経まして、また在英の日本大使館での選考を経まして文部省に推薦してくるというような段階を経ております。そういう意味で、単にこちらへ来ていただいて、もっぱら英語教育を非常に長時間分担をしてもらって大変なことになるというようなことでも、本来の趣旨に沿わない点がございます。そういう意味で、そういう趣旨を勘案しながら、また英国における応募状況その他国内の学校の受け入れ規模等を勘案しながら、今後さらに、その拡充につきまして努力してまいりたいと考えている次第でございます。
 それから、国連大学の恒久本部の建設用地の問題でございますが、これにつきましては、憲章によりまして首都圏内につくるということになっております。先般神奈川県の方から提案がございまして、かなり広い面積も確保できるということから一つの重要な候補地と考えている次第でございますけれども、国連大学の今後のあり方、あるいは国連大学自体の希望等につきまして正式の意見もまだ参っておりませんし、そういうものを十分勘案しながら今後検討されていくものと考えている次第でございます。
#236
○小杉委員 時間も来ましたから一まだ不十分ですけれども、これはまた次の機会にやらしていただきます。
 ありがとうございました。
#237
○三ツ林委員長 次回は、来る十五日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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