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1980/02/10 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 大蔵委員会 第2号
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1980/02/10 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 大蔵委員会 第2号

#1
第094回国会 大蔵委員会 第2号
昭和五十六年二月十日(火曜日)
    午前九時四十一分開議
 出席委員
   委員長 綿貫 民輔君
   理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君
   理事 小泉純一郎君 理事 山崎武三郎君
   理事 伊藤  茂君 理事 沢田  広君
   理事 鳥居 一雄君 理事 竹本 孫一君
      相沢 英之君    今枝 敬雄君
      太田 誠一君    木村武千代君
      熊川 次男君    古賀  誠君
      笹山 登生君    椎名 素夫君
      白川 勝彦君    中村正三郎君
      平泉  渉君    平沼 赳夫君
      藤井 勝志君    毛利 松平君
      森田  一君    柳沢 伯夫君
      山本 幸雄君    与謝野 馨君
      大島  弘君    佐藤 観樹君
      塚田 庄平君    戸田 菊雄君
      平林  剛君    堀  昌雄君
      柴田  弘君    渡部 一郎君
      玉置 一弥君    正森 成二君
      簑輪 幸代君    柿澤 弘治君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  保岡 興治君
        大蔵大臣官房審
        議官      梅澤 節男君
        大蔵大臣官房審
        議官      小山 昭蔵君
        大蔵省主計局次
        長       吉野 良彦君
        大蔵省主計局次
        長       西垣  昭君
        大蔵省主税局長 高橋  元君
        大蔵省理財局長 渡辺 喜一君
        大蔵省銀行局長 米里  恕君
        大蔵省国際金融
        局長      加藤 隆司君
        国税庁直税部長 小幡 俊介君
        農林水産大臣官
        房技術審議官  山極 栄司君
        農林水産大臣官
        房審議官    矢崎 市朗君
        農林水産大臣官
        房予算課長   京谷 昭夫君
        農林水産省経済
        局長      松浦  昭君
 委員外の出席者
        農林水産大臣官
        房参事官    松下 一弘君
        農林水産省経済
        局保険管理課長 海野 研一君
        気象庁予報部長 清水 逸郎君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月九日
 辞任         補欠選任
  渡部 一郎君     矢野 絢也君
同日
 辞任         補欠選任
  矢野 絢也君     渡部 一郎君
同月十日
 辞任         補欠選任
  麻生 太郎君     古賀  誠君
  与謝野 馨君     太田 誠一君
同日
 辞任         補欠選任
  太田 誠一君     与謝野 馨君
  古賀  誠君     麻生 太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十五年度の水田利用再編奨励補助金につ
 いての所得税及び法人税の臨時特例に関する法
 律案起草の件
 農業共済再保険特別会計における農作物共済、
 畑作物共済及び果樹共済に係る再保険金の支払
 財源の不足に充てるための一般会計からする繰
 入金等に関する法律案(内閣提出第一号)
 国の会計、税制及び金融に関する件
     ――――◇―――――
#2
○綿貫委員長 これより会議を開きます。
 この際、昭和五十五年度の水田利用再編奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、先般来理事会で御協議願い、お手元に配付いたしましたような草案を得ました次第であります。
 まず、本起草案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 本起草案は、昭和五十五年度に政府から交付される水田利用再編奨励補助金について、税制上、次の軽減措置を講ずるものであります。
 すなわち、第一に、個人が交付を受ける同補助金については、一時所得の収入金額とみなすとともに、転作に伴う特別支出費用等は、一時所得の必要経費とみなすこととし、第二に、農業生産法人については圧縮記帳の特例を設け、当該法人が交付を受ける同補助金については、交付を受けた後二年以内に、事業の用に供する固定資産の取得または改良に充てる場合には、圧縮額を損金に算入することといたしました。
 なお、本特例措置による国税の減収は約十二億円と見込まれます。
 以上が、本草案の趣旨及び内容であります。
#3
○綿貫委員長 この際、本案は歳入の減少を伴うこととなりますので、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があれば発言を許します。渡辺大蔵大臣。
#4
○渡辺国務大臣 この法律案につきましては、稲作転換の必要性にかんがみ、あえて反対いたしません。
#5
○綿貫委員長 お諮りいたします。
 この起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案として決定するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#8
○綿貫委員長 次に、農業共済再保険特別会計における農作物共済、畑作物共済及び果樹共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府より提案理由の説明を求めます。渡辺大蔵大臣。
#9
○渡辺国務大臣 ただいま議題となりました農業共済再保険特別会計における農作物共済、畑作物共済及び果樹共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 昭和五十五年度におきまして、全国的な異常低温等による水稲、大豆、温州ミカン等の被害が異常に発生したことに伴い、農業共済再保険特別会計の農業勘定及び果樹勘定の再保険金の支払いが著しく増大するため、これらの勘定の再保険金の支払い財源に不足が生ずる見込みであります。
 この法律案は、これらの勘定の再保険金の支払い財源の不足に充てるため、昭和五十五年度において、一般会計から、農業共済再保険特別会計の農業勘定に千三百九十二億七千六百六十八万九千円、果樹勘定に四十七億二千三百三万五千円を限り、それぞれ繰り入れることができることとするとともに、同特別会計の農業勘定の積立金を同勘定の歳入に繰り入れることができることとしようとするものであります。
 なお、これらの一般会計からの繰入金につきましては、後日、農業共済再保険特別会計の農業勘定または果樹勘定におきまして、決算上の剰余が生じ、この剰余から再保険金支払基金勘定へ繰り入れるべき金額を控除して、なお残余がある場合には、それぞれこれらの繰入金に相当する金額に達するまでの金額を一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#10
○綿貫委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#11
○綿貫委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
#12
○沢田委員 最初に、いま大蔵大臣、水田再編成の問題で、あえて反対しないと言われた言葉、そのあえてということはどういう意味なんでありますか。
#13
○渡辺国務大臣 慣例によりましてずっと過去そのような表現をとっております。
#14
○沢田委員 慣例というよりも、これを看過するわけにはいかないと思うのですね。いわゆる全党が賛成をして提案をした、その意を体して政府は、ときにはあえてと言う時期が必要であるかもわかりませんけれども、今日の農業の実態から見て、これはやはりしていかなければならぬという一つの総体的な政府の姿勢として、その趣旨を体して全力を尽くします、こう言うのが大蔵大臣の答弁ではないかと思うのでありますが、あえて反対しませんという、何か逆に言えば余り賛成はできないけれども、仕方がないんだ、こういう印象を与える答弁でありまして、私は若干心外だと思うのでありますが、その点、あえてひとつお答えをいただきたい。
#15
○渡辺国務大臣 委細は政府委員をして答弁させますが、ずっと慣例上そういうことを言ってきておりまして、要するに大蔵省といたしましては租税の公平な賦課というような観点から、一時所得にするということについては多少問題がある、そういうような点からして全面賛成ですとはなかなか言い切れない問題があろうか、かように考えておりますが、委細は政府委員をして補足説明させます。
#16
○沢田委員 大蔵大臣、忙しいだろうと思いますから、もう一つだけついでに聞いておきますが、今度の五六豪雪、各委員会、予算委員会その他を通じてもこれからも審議をされると思うのです。多くの国民がこの雪やあるいは冷夏によって大変な生活上の被害を受け、あるいは厳しさを今日受けとめておられるのだろうと思うのでありまして、代表質問等においてもそれぞれ見舞いの言葉を含めながら質問もし、答弁もされております。
 そこで、この災害に対して激甚災害特別措置法を適用する、そういう指定を行う、そういう意思については大蔵大臣は現在お持ちになっておられるのか、その指定をする意思を持ってこれから政府の中で努力されるつもりなのかどうか、その点の御意見だけ伺わせていただきたい。
#17
○渡辺国務大臣 われわれとしては、非常な災害でございますし、新聞報道及び国会等における論戦等を通じまして非常に困ったことだ、何とかしなければならぬというようなことから、融資関係その他において、できるものについては逐一助成、援助策を講じておるところでございます。
 ただ、激甚災害の指定という問題につきましては、ある一定の規模及び金額が指定の条件になっております。したがって、同じ気象の中に起きた災害の被害額というものは、実際は一瞬にして終わるものではなくして、かなりの長期間にわたって同じ原因から生じた被害が継続的に発生するというような状態にもあります。したがって、それらが被害がやんでその総集計をした総金額が激甚災害の指定に当たるかどうかということも問題でございます。したがって、目下それらの被害の見積もりの集計等をやっておっている最中でございますから、われわれとしては、当然それがその条件にかなえば激甚災害の指定が行われてしかるべきものである、こう考えておりますが、まだそれを確言するまでの数字を持っておらないというのが実情でございます。
#18
○沢田委員 それでは、努力をされる、結果を見てはその努力はするんだ、こういうふうに解釈してよろしいですね。――首をうなずいていますが、返事ははいとか、なるべく一言言っておいてください。
#19
○渡辺国務大臣 はい。
#20
○沢田委員 ただうなずいたのでは速記録に残りませんので、そこで無理にお願いをした、こういうことでございます。
 それでは、大蔵大臣もう一つお伺いしておきます。
 これは大蔵大臣の所管ではないのですが、後で気象庁等にも聞くのでありますが、いまの天気予報ほど当てにならないものはない、日本の財政再建と気象、天気予報が当てにならないのと同じみたいなものになっているわけなんでありますが、まず今日の長期気象予想あるいは毎日のであっても、いまの気象の条件というものの情報を大蔵大臣としてはどの程度に理解をしておられますか。信憑性あると思っておりますか、それともまあいいかげんだな、パーセンテージは五%か七%というような言い方をされておりますが、その辺はどのような理解をされておられますか、考えたことありませんか。
#21
○渡辺国務大臣 私は、科学は大切にする方でございますから、現在の人類の英知を集めて気象の予報についてできるだけのことをやっておるものと考えます。しかしながら、なかなか完全な予報ということは言うべくして非常にむずかしいことも、過去のデータを見て事実でございます。
 しかし全体的に見て、科学的に自然科学において多くの統計と経験から割り出して、そこにこのようになる可能性が多いという予報は、やはり十分に配慮してわれわれは対処しなきゃならぬ。したがって、そういうものについては、私はどちらかと言えば尊重をしてかかるという立場であります。
#22
○沢田委員 では、二、三分くらいの休憩時間を与えなけりゃいかぬでしょうから、大臣はどうぞ行ってください。
 では、いま発言しましたから、ついでに最初に気象庁の方から……。昨年の冷夏、それからこの豪雪、異常気象、こう言われているのでありますが、いわゆる農業共済を扱うに当たって、この気象の条件というものを早く予期し、それから早く国民に周知をさせるということは、いわゆる自然を相手にして営む農業、こういうようなものにとっては、天候ということはきわめて重要なウエートを持っておるものだと思います。今日までの気象予報というものが全部当たらないできた一昨年も暑い夏であろうと思っていた。ところが寒い夏であった。また、こんなどか雪が降るとは思わなかったところへ降ってくる。アメリカでも干ばつは起こる、あるいはソ連でも冷夏は起こる、中国でも同じように起こる。いかに科学が進歩していても、こういうふうに地球全体を含めての気象条件というものを国民に早く知らせる、こういう条件についてはきわめて乏しい。その現状についてまずどういうふうに考えておられるか。その点、ひとつ気象庁の方からお答えをいただきたい。
 もっとあえて言えば、もしそういうものが早目に十分に周知できれば、米作にしても、陸稲にしても、麦にしてもあるいは野菜にしても、それぞれ対応する手段というものができるわけであります。ところがそれが不十分であるということになれば、結果的には今回のような異常な災害を招いてしまう。気象庁の占める役割りは、その意味においてはきわめて大きい。ところが、刺身のつまじゃないけれども、あってもなくてもいいような、行政改革の一番筆頭に挙げられているようなあり方であったのでは、これはきわめて遺憾なものだと思うのでありまして、そういうような意味を含めてひとつ気象庁から、まず最初は今日のこの天候についての意見をお聞かせをいただきたい。
#23
○清水説明員 お答え申し上げます。
 昨年の夏の長期予報につきましては、低温と日照不足などの不順な天候の傾向につきましてはある程度は予測することができたと存じますが、あのように全国的な異常気象になることは、残念ながら予測できませんでした。この問題は、これは日本に限りませんで、現在の気象関係機関の持っております技術におきましては、このような異常な状態を予測いたしますことは一般的に非常に困難な状態にございます。そのために、気象庁ももちろんでございますが、世界じゅうどこの気象庁におきましても、これは大事な問題といたしまして現在その技術の開発に努めているところでございます。
 また、この冬の大雪の点について御指摘がございましたが、この低温と大雪につきましては、今回のものはある程度は予測することができたと存じております。
 以上です。
#24
○沢田委員 いまの答弁ではきわめてあいまいなんでありますが、この居座り異常気象、米国の熱波あるいはヨーロッパは冷夏、これは来年、再来年に対する展望としてはどういうふうにお持ちになっておられるわけでありますか。来年は来年のことで何とかなるさという大蔵大臣の言葉じゃないけれども、そういう気持ちで気象庁としてはいるのでありますか。世界のいろいろな観測というものを集大成をしながら確実な情報を国民に与える、そういう義務があるんではないかと思うのでありますが、いまの状態で十分だと思っておられるのかどうか。
 私もあちこち世界のも集めてみましたが、余り当たってないことば事実ですね。これだけ宇宙衛星等も発展をしてきて、すべて大体見当つくような状況の中にありながら、三百年の観測史上最悪の夏だといわれるような条件をつくり出した原因はどこにあるのか、これはきわめて重要な問題だと私は思うのであります。来年のことはわからぬというのかもわかりませんが、それに向けて、農民の人やあるいは各作物をつくっている人たちは、また来年もどうなんだろうか、恐らくそういう不安を持っておられると思います。ですから、来年は恐らくこの逆じゃないかと、大体そんなふうに思うのが一般国民の常識かもわかりませんけれども、そんな当てずっぽうな気象情報で農民はせっせと汗みどろになってやるわけなんですから、もう少し信憑性のあるものを与えられるような条件づくりというものをどういうプロセスでつくりたいと思っているのか、その経過だけひとつお聞かせいただきたい。
#25
○清水説明員 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、現在の長期予報の技術といたしまして、国民の皆様方に御提供申し上げております情報はまことに不十分なものであると心得ております。私どももこの点につきましては御要望が大変多いということはよく認識しているつもりでございますが、現在のところ、御期待にこたえるような質のよい情報をお届けできるのには、世界じゅうの長期予報技術の持っております程度が不十分でございまして、これを現在一生懸命高める努力をいたしております。気象庁といたしましても、世界じゅうの資料を集めましてそれをいろいろ分析いたしまして、どうしてこういう変動が起こるかの物理的な意味を十分に理解するように努めておりますが、長い期間、冬の間に夏を予想するという程度の、半年を超えるような期間の予測につきましては、現在のところ残念ながら的確な技術が確立いたしておりません。この点は世界じゅう同じでございまして、各国の気象台でつくっております世界気象機関におきましても、この点を非常に大事なものと心得まして、一昨年の総会で世界気候計画というものを発足させまして、それに基づいて気候変動の物理的な基礎を固めるべく、現在努力中でございます。気象庁もその線に沿っていろいろな研究を積み重ねて、物理的な基礎を固めた上で、提供できる長期予報の質を高めたいと存じております。
#26
○沢田委員 現在の気象の把握条件というものは余りいい条件にはなっていない、世界的にも日本的にも十分とは言いがたいということですね、結論的に言えば。
#27
○清水説明員 世界じゅうの現在までの情報を集めるという点につきましては、かなりよい組織ができていると存じております。しかしながら、今日までの資料を使いまして半年先の天候を正確に予測するという予測の技術が十分に高まっていないという現状でございます。
#28
○沢田委員 六カ月とまでは私言いません。大体現在の限度は三カ月展望だと思うのです。三カ月展望についても十分ではない、こういう状況にある、こういうことじゃないんですか。
#29
○清水説明員 仰せのとおりと存じます。三カ月間でもまだ十分でございません。
#30
○沢田委員 正確度というものをもし考えるとすればゼロに近い。確率から見ると大体当たらない方が多いという現状に現在、あなた方が努力が足りる足りないの問題じゃない、結果的にはそういうことになっている、嘆かわしいと思うけれどもそうだということでしょう。そうですね。――うなずいていますから、そのとおりだと。
 政務次官おられますから、大蔵省も、軍備費に金をかけるのだったらこういうところへ金かけて災害を食いとめるという、わかりやすい言葉で言えばそういうことの方がやはりより必要なんじゃないか。気象だなんてことになると当たらないものだという認識に立っちゃって、余り金かけるのがもったいない、こういう発想が大蔵省にあるんじゃなかろうか。そういうようなことで、当てにならないものに金をかけたんじゃもったいない。だけれども、武器ほど当てにならないものはないんで、もっと気象の方が当てになる。確率から見れば、その方が国民にとっては大変大切なものなんだと私は思うのであります。元寇の役だって天候が幸いしたんですからね。あるいは第二次大戦だって天候がやはり欧州の上陸作戦を成功させたんですからね。ですから、天候というものを予期するということはあらゆる条件のまず前提である、こういうふうに思います。そういう点、大蔵省としてはもっと気象の正確な把握ということにどのようにこれから対処しようと考えておられるのか、その点ひとつお伺いをいたしたいと思います。
#31
○保岡政府委員 先生御指摘のように、天気予報ができるだけ確度の高い正確なものになってくれば、人類の生活文化の向上に大きな前進になることは、もうそのとおりだと思います。したがって、気象庁も財政当局の大蔵省も、できるだけその点の研究体制等については努力をしてきていると思いますけれども、御質問の趣旨、また、いま気象庁も一生懸命前向きにがんばるという姿勢を示しておりますので、できるだけ御趣旨に沿うように今後も努力をしていきたい考えでおります。
#32
○沢田委員 そういう立場に立ってひとつ大蔵省も改めて認識をし直して、別に気象庁にちょうちん持とうなんという気はこれっぽっちもない。大体いままでの気象庁というものは、当たらない気象庁だと思っているくらいですから、だからもっと活も入れながら、もっと監督もしながら、やはり正確度の評価もきちんとしながら、気象庁はあってもなくても同じ気象庁になるのか、存在価値はあるのだということを国民に理解させるのか、ひとつ評価表もつくりながら、年間の予想の何%が当たったか、何%当たらなかったか、そういう白書ぐらいは出してもらいたいと思うのです。国民は、気象庁の確率は大体半分しか当たらないのだということになれば、あした雨だと言うなら天気だな、こういうふうに思うでしょうというようなことで、要すれば、気象庁のいわゆる成果表、そういうものを出してみずからを叱咤勉励させるということも必要だし、またそれだけに真剣にならなければいかぬ。何%かというよりも半々にしておけばどっちか、曇り後雨、晴れなんて出している、これはどこかに当たりますよ。そういうことじゃ話にならぬのでありまして、そういう意味においての正確度を期すという体制をひとつ望みたいと思うのです。これは大蔵省が金も握っているのでしょうから、大蔵省がやるのか、気象庁がやるのかわかりませんけれども、ひとつその点については両方から一言ずつお答えをいただきたいと思うのです。
#33
○清水説明員 御指摘の点につきましては、気象庁といたしまして十分反省いたしておりまして、現在の天気予報が国民の皆様方の御満足のいくところまでいっていないということは十分に認識いたしております。これは私どもの努力の結果にもかかわらず、ある程度気象現象のむずかしさというところにもございますが、まだまだ現象の変化の過程につきまして私どもの理解が行き届いていないという点もございますので、そのような点について今後一生懸命努力をいたしまして、さらに一層質のよい天気予報をお届けできるようになりたいと念願いたして努力をいたします。
#34
○沢田委員 これは後でいいですから、確率統計を一回出してみていただきたいと思うのですが、いかがですか。当たったか当たらなかったかということの確率度を一回統計的に出してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
#35
○清水説明員 後ほどお届けさせていただきたいと存じます。
#36
○沢田委員 この農業共済の関係は、その前提に立つものは不慮の災害ということが前提なんですね。不慮の災害というのはいわゆるおもんばからざる災害である。もし長期展望等の気象条件が明確にされていれば、それにそれぞれ農民の人も対応したであろうし、あるいは防護の措置も講じたであろうというところに原点を置いていたから、こういう気象条件の把握ということがいわゆる不慮となるのかならないのかということに実は視点を置いたわけでありますが、いまの気象の把握状況では残念ながら不慮の災害である、こういうことは客観的に認めざるを得ないということになりますと、農業共済法あるいは農業基本法、農業災害補償法、こういうような立場から考えまして、今回の再保険の条件の中でちょっと私はお伺いをしておきたいのであります。
 特別会計法の中では「保険事業ヲ経営スル為」こうなっている。それから農業共済基金法でば保険事業と共済事業の収支の長期均衡性を保つ、こうなっている。この点と今度の一般会計の繰り入れとの関連性は、去年もそうですが、ことしもそうですが、いわゆる保険事業を経営するという基本的な条件は何なのか。それから長期的な均衡性はどこで図られているのか。それから保険システムとしての組織運営はどうなっているのか。この三点、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#37
○松浦(昭)政府委員 お答えをいたします。
 この農災制度の仕組みにつきましては、先生もよく御案内のように、まず末端の市町村の段階におきましては農業共済組合あるいは共済事業を行う市町村というものが事業をやっておりまして、この段階は共済でございます。これを県の段階の連合会の段階で保険をいたしまして、その保険責任をさらに国の再保険につなぐという形になっておるわけでございます。
 今回の繰り入れ法の場合には、この再保険金の不足につきまして繰り入れをやるということになっておりますので、そこは再保険の収支ということのための財源の手当てということがこの法案の内容になっているというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、さような三段階に応じました形におきますところの財源の補てんをどうするかということによりまして、おのおの段階での対応が違ってくるということになるというふうに考えております。
#38
○沢田委員 保険事業を経営するという言葉の意味はどういう意味と理解をされているのですか。保険事業を経営するということは、国の一般会計の財源もさることながらそれぞれのいわゆる均衡を図るということがやはり経営ということになるのではないか。何でも足らなければ入れてまた借金していけばいい、そして返していけばいいのだということが経営という言葉に当たるのかどうか。その辺の解釈をはっきりさしてほしい、こういうことなんです。
#39
○松浦(昭)政府委員 この仕組みにおきましては、まず通常標準被害率以下の被害につきましては、連合会においてプールをいたしまして長期的な視点に立ちまして適正な料率のもとに収支が長期的にバランスするということが前提になりまして、その意味で保険の収支がバランスするということから経営をしていくという考え方になると思います。
 さらに、再保険の特別会計でございますが、これもまた保険の収支というものを長期的にバランスするという立場に立っております。この場合におきましては、国の再保険特別会計でございますので、当然これ通常標準被害率以上の被害、つまり異常被害に対しますところの収支を長期的にバランスさせるという考え方に立っておるわけでございます。この考え方のもとにおきましては、過去二十年間の被害率を前提にいたしまして、その間で農作物共済につきましてはその長期的なバランスを図っていくということでございますが、何分にも農作物共済につきましては、先生も十分御案内のように、通常の損害保険とは違いまして、単に地域的な危険の分散を図るだけではなくて、やはり時間的に危険の分散を図るということをやっていかざるを得ない。これが農作物保険の特色であろうかというふうに考える次第でございます。したがいまして、長期的な視点に立ちましてその間で保険の収支がバランスするという意味で保険の経営ということを考えているということでございます。
#40
○沢田委員 大蔵省の方へ聞きたいのですが、生命保険もある、いろいろな保険という言葉が使われているのですが、保険ということにはある程度の危険度を含めて保険料率を決めてきている。そういう指導を生保であろうと自動車であろうと、そういう保険事業ということを名づけた場合に、その保険料率それから保険の給付あるいはその危険率、そういうものは保険事業としてはやはり普遍的な原則というものがあると思うのですね。それとこの特別会計法とは異なるものなのか。「保険事業ヲ経営スル」と法律上は書いてあるけれども、実態は生保なり自賠償なりあるいはその他の保険事業というものの解釈とは異なる経営、こういうふうに考えているのか、それとも同質のものであると考えているのか、その点ひとつお答えいただきたい。
#41
○吉野(良)政府委員 保険でございますから、その保険事故の態様に応じましていろいろなそれぞれの保険の特殊性が生まれてはまいるわけでございますが、いずれにいたしましてもこの農業共済再保険も保険でございますから基本的には先生御指摘のとおりでございまして、他の保険と同様にこの保険事業の経営というものは収支相償う、少なくとも長期間にわたりまして収支をとりました場合には収支が相償うように保険設計が行われている、そういう意味で基本的には他の保険と性質を異にしない、かように考えます。
#42
○沢田委員 ただ、こういうふうに一般会計からの、これは繰り入れを否定するものではありませんけれども、そういう異常災害、いわゆる不慮の災害が起きるとそういう形になる。それはある程度は危険率というものは考えられているべき性格のものである、そういう前提でこれは考えなければいけない。それが負担が重くなるかどうかの問題はまあ別の問題ですからね。ただ、保険事業を経営するということになればいま言った前提が確立されなければならない。その前提はじゃ何なのかということをやはりきちんとした一つの筋をつくって、その上にそれ以上の損害を補てんする、そういうシステムが確立される必要があるのではないかというふうに、これは将来への展望、今後の課題でありますけれども、私は期待をしておきたいと思うのです。現状は私は満足すべき状態だとは思っておりませんので、そういう点で要望をしておきたいと思います。
 次に、ことしの災害の面積からいきますと、被害面積百八十万ヘクタール、共済金の対象面積は水稲だけで八十万ということであります。二分の一以下、四割ぐらいしかまあ対象にはならないということになるわけなんでありまして、三割の足切りがあるということであったと仮定しても、この中身をどういうふうに見たらいいのかということになります。
 そこで、その被害面積の共済の掛金の分類、あるいは格差、それからこの百八十万の中で足切りでなくなった分が幾ら、それから共済金の対象面積で八十万の中ではどういう規模別になっているのか、この点、非常に時間が短いのでありますが、ひとつお知らせをいただきたい。
#43
○海野説明員 お答えいたします。
 ただいま御指摘の面積の関係でございますが、今次冷害によって被害を受けました面積は、水稲については百八十万町歩でございまして、それに対して共済金の支払われた面積八十万町歩、御指摘のとおりでございますけれども、災害に遭いました面積の中には三割を超える、全相殺でございますと二割を超える、そういう異常な被害を受けた面積と、さらに軽微な面積もございまして、実は冷害だけについて申しますと、三割を超える被害面積は水稲の場合三十八万町歩ということになっております。共済金の支払いは八十万町歩に対して払っておりますが、これは冷害とほかの病虫害その他の複合によってふえた分、さらには半相殺で三割に達しなくても支払われた分というようなものが入って、共済金の支払いがより大きくなっておるというふうに考えております。
#44
○沢田委員 いまの話では、足切りで大体四十万あった。すると、残りの四十万は何になるわけですか。
#45
○松浦(昭)政府委員 ただいま課長から御答弁申し上げましたのは、水陸稲で百八十二万ヘクタール、うち三割以上の被害が三十八万ヘクタールということを申し上げたわけでございまして、これは冷害に関する数字でございます。残りの部分は三割以下の面積であったということでございます。
#46
○沢田委員 三十八万というのが、足切りの分を超えた面積である。そうすると、八十万というと、その残りの四十万は何なのですか。
#47
○海野説明員 残りの四十万につきましては、実は私ども共済金の支払いにつきましては、必ずしも原因が何であるかということが十分集計されておりませんので、具体的にお答えするわけにまいらないわけでございますけれども、昨年度におきましても、冷害以外の被害ももちろんございますし、それからたとえば病虫害などふだんでも多少は必ずあるものでございますが、それと冷害が合わさって共済金の支払いの対象になった面積、ざらには三割未満であっても、農家単位の方式でございますと二割から払いますので、それでさらに支払いを受けた面積というようなものが三十八万を超えて八十万までの面積になっておると考えております。
#48
○沢田委員 残りの百万に対してはどういうふうに考えておられるわけですか。
#49
○松浦(昭)政府委員 残りの百万は、先生御指摘のとおり、この共済の支払いの対象にならなかった被害の面積でございまして、これは先ほど申しましたように、原則的には三割で足を切っておりますので、三割以下の被害であった場合、あるいは若干例外的に三割以下の部分を農単等で見ておりますから、その部分を除いた分ということに相なるわけでございます。
#50
○沢田委員 これはこれからの課題なのでありますが、なぜ組合に任意加入もしないのか。いわゆる共済組合の加入率というものが、ある意味においては百八十万の中で八十万しか、三割の足切りがあるにしても百万が対象にならないという現状が起きている。その人たちを救済していくという方法は考えられないのかどうかということが一つありますね。三割以下だからだめだというのも一つあるでしょう。それから加入しないからだめだというのもあると思うのですね。これはどこに欠陥があるのか。これでいいということなのか、あるいはこれはまだまだ未成熟だということなのか、どう理解をされていますか。
#51
○松浦(昭)政府委員 ただいまお答えをいたしました三割以下の部分と申しますと、これはごく例外的な場合を除きましてほとんどは共済にかかっていると思います。しかしながら、三割以下の足切りがございますので、被害は受けましたけれども共済金の支払いの対象にならなかったということだと思います。
 その場合に、当然足切りを下げていって、この被害が起こった場合におきましても、三割以下で、これを共済の支払いの対象にした方がいいではないかという御議論はあり得るわけでございます。しかしながら、私どもの考え方から申しますと、やはりある一定の被害の部分につきましては、自家保険と申しますか、モラルリスクを避けるという意味から、その分につきましては足切りをせざるを得ないということでございますし、また同時に三割以下の場合にでも、たとえば農単の場合にはこれを二割、場合によっては一割まで下げるというようなことも考えておるわけでございますが、しかしながら全体といたしましてやはりある程度までの自家保険部分ということが必要であるというふうに考えます。
 この部分につきましては、それでは災害の救済の対象から全く外れてしまうかということでございますけれども、これにつきましては、先生も御案内のように、今回の冷害につきましては、天災融資法、激甚災の発動も含めまして、融資枠で一千二百億の大幅の融資もいたしております。あるいは自作農維持資金等の資金の融通等も行っておりまして、このような分も含めまして農家の再生産、営農の確保ということに努めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#52
○沢田委員 もう一つ、ちょっと細かくなって恐縮でありますが、水田再編成の場合、一万七千円の包装費、運賃、そういうものを除いて、大体九万、八万ぐらいになりますか。これは六十キロ単位と考えましてそうなります。これは最高で二百八十円、これは前から変わらない。二百二十円と二百八十一円は変わらないのでありますが、この二百二十円と二百八十円の選択を農民に任せる、組合に任せる。そうしますと、これは二百円なら二百円とすると、細かい数字で恐縮でありますが、一万二千円ということになります。それが八俵とれると仮定すれば、九万、十万円ぐらいになる。この十万円になるという数字は、保険を掛けている人が十万円、水田の再編成の場合は、それは質が異なるわけでありますが、結果的には実質九万円ぐらいになる。そうすると、保険を掛けて補償をしてもらうのと水田再編成との関連性、全然質は違うのでありますが、その点はどういうふうな関連づけで、保険に入った価値というものを見出すのかということを若干疑問に考えられるわけです。
 もう少しわかりやすく言いますと、二百二十円、まあ二百五十円ぐらいを見当にした方がいいのであろうかと思うのでありますが、二百円を見当にしますと、結果的には一万三千円ぐらいにしかならない。しかも、それで八俵とれると仮定をしたとしても十万円ぐらい。しかも、これは保険金ということになりますと、その程度が支給されなければならないわけです。ところが、実際にはそうはいかない。これから三割足切りがあるので三割切られる。そうすると、水田の再編成に対する補助金と保険の方の補償というものとにはずれが出てきている。そのずればどういうふうに解釈したらいいのか。言っている意味がわかりますか。
#53
○松浦(昭)政府委員 お尋ねは、水稲の単位当たりの共済金額のお話かと思うわけでございますが、私ただいま水田再編との関係でのお話につきましてあるいは不十分な理解のもとに御答弁申し上げるかもしれませんけれども、現在の共済金額はキログラム当たり、先生御指摘のとおり最高二百八十一円の水準になっておりまして、最低が二百二十円という状態になっております。
 この場合に、御指摘のように、確かに最高額と最低額の間にかなりの差がついているということは事実でございますが、実は私どもできるだけ高い共済金額を選んで万が一の災害に備えるようにという指導をいたしておりまして、実は九〇%程度は最高額を選んでいるという状態になっております。ただ、農業共済におきましては、作物保険が当然加入制をとっておりますので、やはり組合によりましては、たとえば災害が非常に低い、余り来ないというようなところでは、掛けたがらないということもございまして、さような意味で、また農家が災害に対するいろいろな救済措置を求める場合の認識の度合いといったようなこともございますので、ただ単に高い金額だけを設定いたしますと、なかなか円滑にこの共済事業を実施できないということもございまして、この幅を設けたわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけ最高金額を選ぶという形でもって指導いたしておりますので、ただいま御指摘のような点がございますけれども、しかしながら実態的に申しますとほとんどが、九〇%ぐらいが最高金額でございますので、補償の中身につきましては充実した形でもって運用しているというふうに考えている次第でございます。
#54
○沢田委員 この共済の補償金は、農業の再生産を推持をし、その間の災害を補償し、同時に来年に向けての一つの蓄積を――蓄積といいますか資金準備金としての要素を持つ、こういうことに解釈していいですか。
#55
○松浦(昭)政府委員 そのとおりでございます。
#56
○沢田委員 とすると、二百八十円の単価で三百円と計算をしましても、五反で七十万ということになりますね。大体目見当で七十万。その七十万で全然とれなかった水稲の分を補い、加えて来年度に向けての再生産、そして家族の扶養、こういうことが可能な水準だと思っておりますか。これは内職の免税になる限界なんでありますが、いかがですか。
#57
○松浦(昭)政府委員 私どもといたしましては、まさに法が目的といたしておりますように、再生産を行うために必要な金額ということで共済金額を出しておりまして、もしも全損が起こりましたならば、その場合には十分にその再生産を補てんするための資金が出ていくというふうに考えているわけでございますが、なおこのほかにも、自作農の維持資金であるとかあるいは天災融資といったようなこともあわせ考えますれば、全体として災害対策といたしましては完全に再生産を確保できる状態になっているというふうに考えておる次第でございます。
#58
○沢田委員 たとえば五反の水稲が全損になった場合に、幾らその方には支給されるということになりますか。
#59
○松浦(昭)政府委員 約四十五万から五十万ぐらいだろうと思います。
#60
○沢田委員 その水準で再生産をし、家族を養い、そして来年度に向けての準備が可能だと思いますか。
#61
○松浦(昭)政府委員 二つお答えを申し上げたいわけでございますが、一つは、その五反の農家の方というのは、五反だけで恐らく農家経済を維持しておられないのじゃないかというふうに思います。もちろん農家収入として農外収入等もあると思いますし、さような面での補てんということが前提となってこの農家経済というものを経営しておられるというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、物的な損害という角度からだけでございますとただいまの五十万という支払いになるわけでございますが、総体といたしまして農家の受けた損失という点に着目いたしますれば、その五十万の補てんで農家経済はやっていけるはずであるというふうに考えるわけでございますが、なおそれで足らない場合は当然経営資金という形で融資もいたしますし、また自作農の維持創設ということで、今後の経営が成り立っていかないという方に対しましては災害資金の給与といったことで総合的に考えまして、この農家経済が再生産の方向に向かって動いていけるように仕組みができているというふうに考えているわけでございます。
#62
○沢田委員 時間の関係もありますが、いまの話を聞くと、兼業農家をまず前提としているということ、それから五十万で何とかやっていけるだろうという認識であること、これがはっきりしたわけなんですが、これはいまの物価水準、常識からいってかけ離れた、どこの地区を頭の中に描いて物を言っているのかというふうに考えるわけですが、まさか、四人家族としても五人家族としても、三ちゃんと言われても出かせぎがあるにしてみても、五十万でこれをやれということは、現在の所得税法上もさっき言った内職以下の収入である、そういう保険制度で果たして農家が救済されると思っているのかと疑いたくなるのですね。これは現実的に不十分でしょう。十分ではないでしょう。再生産をし、あるいはそれらをすることについては十分じゃないでしょう。それが十分だという解釈、しかも兼業農家を対象として四十五万ぐらいで大丈夫なんだ、そういう認識はちょっと少し時代離れしているのじゃないですか。
#63
○松浦(昭)政府委員 先ほどの五十万と申し上げました場合に、これはまるまる災害がなかった場合に一体どれだけの収入があったかということで計算しますと、それは七十万になるわけでございます。さっき計算なすったとおりでございます。したがいまして、七十万の収入を得るはずであったものが全損のために五十万のてん補を受けた、こういう状態でございますから、これはそれだけで経営をなすっていられるはずはないので、先ほど申し上げましたように農家の経済としてはほかの収入もあるかもしれないということを申し上げた次第でございます。
 したがいまして、私どもとしましては、物的な損害のてん補という角度から見ました場合にはこの共済の仕組みというものは決しておかしな仕組みではないということを申し上げているわけでございます。しかしながら、さらに再生産をいたします場合に必要な経営資金等が必要でございます場合には、これにつきまして先ほどから申し上げておりますように天災融資あるいは公庫の融資といったようなこともあわせまして総合的な災害対策をやっていくということを申し上げておるわけでございます。
#64
○沢田委員 現在の水田の面積からいって、五反を対象にしたからそういう数字になったわけでありますね。三反百姓という、これは言葉は失礼な言葉ですが、昔から言われている言葉もあります。それは零細であるということの一つの表示なんですね。いま問題になっているのは、家族は同じであろう、大農家はそれはそれなりに、まあ十反ならば、いまの数字でいったらばその場合九十万、百万入る。あるいは一町五反なら一町五反では、まずその上に入る。しかし、一番レベルにある条件の人をどう救済していくかというときには、三割も逓減法ということが採用されないか。たとえば、いまの五反のような条件のときには四十五万だから、三割にはしないで、二割にする、一割にする。それから一町とか一町以上になれば、これはある程度逓減法で三割を、現状を確保する。少なくなれば少なくなっただけに生活は厳しくなる。同じ比率であっても、少ない人にとっては厳しい。あなたの給料から三割引くのと一番末端の職員から三割引くのでは、家計の経済をやっていく上に影響度は違うでしょう。これはわかりますね。ですから、そういう意味においては、たくさんの耕作面積を持っている分の三割と少なく持っている面積の三割とは異質のものである。性格は同じであっても影響度は大変違う。言っている意味はわかりますね。ですから、いわゆる零細な農家に対する救済措置としては三割を縮めていく。逓減というか逓増というか、どっちでもありますが、いわゆる減歩率を、いわゆる足切り率を幾らか縮めてやる、そういう特例措置というものは当然考えられなければならぬ。これはいわゆる憲法からの発想で、まあ言うことは避けますけれども、当然な生活を維持していくに必要な条件、それには三割は切らないでそのときには二割にする、あるいは一割にする、そういう配慮が必要だと思いませんか。
#65
○松浦(昭)政府委員 おっしゃられる意味は私も理解いたしました。ただ、この農作物保険の制度で足切り制度をとっているということは、これは先ほども私申し上げましたように、そのようなてん補の内容をどうするかという角度ではないわけでございまして、むしろ三割程度の自家保険をつけていただくということが、モラルリスクその他を避ける意味からもこの制度の運用の上で必要だという観点から考えられた制度でございます。
 また同時に、たとえば三割の足切りというものを変えまして、農家経営の面積が小さな方にさらにその足切りを小さくしていくということを考えました場合には、逆に今度はその方々の掛金率というものは当然上がってこなければならぬというふうに思います。と申しますのは、三割以上の被害でございました場合には、被害によって受ける共済金はそのチャンスが少なくなるわけでございますが、しかしながら、たとえばそれ以下の二割足切り、一割足切りということになりますと、当然その場合には共済金をもらうチャンスも多くなります。したがいまして、その場合には料率もその方には高い料率を適用するという形になる。これは先生が最初におっしゃいましたような収支相等の原則ということを考えますと、当然にこれはさような仕組みにしなきゃならぬということも考えなきゃいかぬ。
 さようなことから考えますと、確かに先生がおっしゃられるような補償という観点から、より零細な農家に対して充実した補償をというお考えも理解ができるわけでございますけれども、一方におきまして、保険の設計あるいは保険の仕組みということを考えますと、いまの足切りをある程度まで画一的に適用せざるを得ないというようなことに考えざるを得ないと思うわけでございます。
#66
○沢田委員 いまの説は一面、農業災害補償法あるいは農業基本法あるいは農業共済法の精神からいって、いまの言われた一面、その一面を国が補償をしていく、いま言った保険業務という中であっても、かつ国がある程度補償をしていく分野というものがその中に含まれるのじゃないか。いわゆる最低の補償額というのは税法であろうと何であろうと皆あるわけですね。ですから、保険業務であっても、この農業の場合についての最低補償額はある程度確保し、その差額は国が援助をする、あとの料率は同じである、こういうことを併用することは不可能ではないと思うのですね。だから、あなたのおっしゃっている、この保険業務が完全に運用されているかといえばそうじゃないですから、現在でも。だから、そういうことを考えれば、農業基本法あるいは災害補償法の精神というものを組み入れていけば、ある一定の再生産と家族の補償というものを考える場合には、ある一定額については国がその分の差額ぐらいは補償する、二割、一割の分については補償する、そういう制度へひとつ前進をしてもらいたい。
 これはあなたに言ってもしようがないので、政務次官、政治的にこの点は考えなければならない。いままでの討論でおわかりになっただろうと思うのですね。その点を幾らか検討してもらうという余地はあるのじゃないか。零細農家というものを救済していくのに、三割を二割、あるいは二割を一割という足切りにした分を何らかの道で補てんをしていく、こういうことは料率だけの問題ではなしに考えられるのではないか、私はそれが政治じゃないかと思うのですね。その点ひとつ、もし何なら後でも結構ですが、お答えいただきたいと思います。――では、後でいいです。次の問題にいきますから。
 次に、これからいま予算を決めて補償を払いますね。これはあなたの方へ聞くのですが、補償を払いますね。そうすると、今度は次に大蔵省へ行くのですが、払った分は去年の災害なんですね。ことしに保険金はもらうわけです。その場合は、五十六年度の所得として処理されるのですか、五十五年度の所得として処理されるのですか。
#67
○小幡政府委員 五十五年分の所得として考えます。
#68
○沢田委員 それはどういう法律上の根拠ですか。これから補正予算で保険金が払われる、そうして所得は二月の上旬ですか、二月の領収証――その点をきちんとしていただきたいと思う。
#69
○松浦(昭)政府委員 実は今回の冷害について申し上げますと、非常に強い御要望がございまして、また私どもの大臣からも年内支払いということをやれということで御指導がございまして、実は共済金として、つまり農家の所得として入る分につきましては、実は去年十二月のうちに払ってしまっております。
#70
○沢田委員 払っちゃったものを、今度の予算はもう国会では承認されるんだというふうに、これは何です、何の名目で払っちゃったんですか。
#71
○松浦(昭)政府委員 この分につきましては、当然つなぎ融資をいたしまして、それで支払いを行っておるわけでございますが、これは誤解があるといけませんので申し上げますと、まず共済金の支払いについては、農業共済団体が支払いの責任を持っておるわけでございます。したがいまして、損害が起こりました場合には、共済金の支払いは当然団体が行わなければなりません。その場合に、再保の状態、あるいは再々保の状態にどうかということで、この再保険特別会計に一般会計からの繰り入れを行うということでございまして、そこの部分は各段階に応じまして切断されているというふうに私どもは考えているわけでございます。
#72
○沢田委員 そちらの五十五年度という答弁の方で、これは法律解釈の問題と、実際に払った問題は、これは会計法上の問題は別として、五十五年度の所得として計算する、これは実際に十二月に払われたのだというから五十五年度になるかもわかりませんが、その点は法律的にはどうなんですか。
#73
○小幡政府委員 課税所得の計算上の問題でございますが、五十五年分の農業所得、それに関連いたしまして、その農業収入に関しまする保険の支払いということでございますから、これは五十五年分の所得ということになるわけでございます。
#74
○沢田委員 そうなれば、十二月にあわてて払う必要はなかったということになるのじゃないですか。この予算が通ってから――早くやってやりたいという人情はわかります。人情はわかりますけれども、いま、たとえば二月に払っても五十五年度の所得計算をするのですと、こういうことになるとすれば、当然これは可決をされてから払うのが筋じゃないのですか。
#75
○松浦(昭)政府委員 税の面での考え方、それを前提にいたしますと先生のおっしゃられたことになるかもしれませんが、とにかく共済金が渡るということは農家にとっての最大の安心でございますから、これは一刻も早く払いたいということで支払いを行ったわけでございます。
 また、先ほども申し上げましたように、この一般会計からの特別会計への繰り入れば、これは再保険金勘定の中の話でございまして、共済組合としては損害の認定が終わりました場合には当然共済金の支払いの義務は負っておるわけでございますから、できるだけ農家の御要望にこたえるために年内に支払ったというのが現状でございます。
#76
○沢田委員 時間がなくなったのですが、それではこれは総額幾ら払ったのですか。それでその金はどこから出したわけですか。そしてその金はどこの会計を通じたのですか。
#77
○松浦(昭)政府委員 共済金の今回の支払いの総額は約二千八百億に上っております。うち水陸稲が二千四百九十二億でございます。
 この支払いは、農林中金から農業共済基金が借り入れをいたしまして、それを各連合会に貸し付けるという形で共済金の支払い財源に充てた次第でございます。
#78
○沢田委員 もう一回言ってください。農林中金から……。
#79
○松浦(昭)政府委員 農林中金の資金を使いまして、これを農業共済基金に貸し付けまして、その農業共済基金から連合会への貸し付けという形でもって資金の手当てをいたした次第でございます。
#80
○沢田委員 これは昨年もそういう方法をとりましたか。
#81
○松浦(昭)政府委員 昭和五十一年に同じような事態が生じましたので、同じような方法をとった次第でございます。
#82
○沢田委員 そうすると、農業共済基金の貸借対照表の中には、来年の場合は農林中金からの借り入れというものが二千八百億計上されてくる、こういうことになりますか、一時借り入れとして処理されるということになるのですか、どちらですか。
#83
○松浦(昭)政府委員 ただいま御審議を願っておりますこの法律及び補正予算を幸いにして通過をさせていただきますれば、これは年内に全部完結いたしまして再保険特別会計から再保険金が支払われるという形になりますので、その場合には計上されないという形になります。
#84
○沢田委員 そうすると一時借り入れの方法で処理をする。一時借り入れば当然総会の議決が必要ですね。一時借り入れの限度額は当然共済基金の総会の議決が必要ですね。そんな二千八百億もの一時借り入れの議決がされているわけですか。
#85
○松浦(昭)政府委員 これは限度内の借り入れでございまして、総会の議決は必要としないものでございます。
#86
○沢田委員 役員会ですか。
#87
○松浦(昭)政府委員 理事会でございます。
#88
○沢田委員 これは、この法律をいま持ち出すまでもないのですが、こんな二千八百億もの一時借り入れが役員会で簡単にできるというシステムは大体おかしいですね。どこの農業団体であろうと、地方自治体も含めて、一時借り入れをする限度額というものは、大体どの程度までは一時借り入れをすることが可能か。これは、日本の法制体系としては、役員会でやれるなんというシステムにはなっていないはずですね、総額は。ですから、当然その年度内に――市町村も県も、どこの団体も皆同じですね。ですから、それをもし役員会でやれたということは、私は恐らく間違いではないかという気がするのでありますが、これは後で調べてお答えいただきたい。
 この辺で政務次官、さっき言った政治的に零細農家を救っていくという足切りの問題について検討してもらえるかどうか、そして三割なり二割なり一割というものについてのある程度の補てんということ、こういうものを保険である程度救済し、ある程度国がめんどうを見る、割合は別ですが、そういう方向で零細農家を救済するというお考えは、検討される用意はあるかどうか、その点ひとつお答えをいただきたい。
#89
○保岡政府委員 せっかくの先生の御指摘で、余りいい返事でなくて恐縮なのでございますけれども、農家の経営をいかに支えていくかということについてはいろいろな施策が考えられるわけで、その一環として農業災害補償制度の持っている役割り、またその基本的な考え方というものをこれはまた守って、その枠内で保険制度の趣旨に合う範囲内でやらざるを得ませんので、御指摘の点を保険制度で見ていくということは、これは慎重に考えなければならないというふうに考えます。
#90
○沢田委員 その三割を変えるということは大変なことだということはわかります。しかし、零細農家の方が三割を削減されることによってきわめて厳しい生活条件に追い込まれる、それを何らかの方法でやはり温かい手当てをしてやらなければいけないという原則については、これは賛成されるでしょう。
#91
○保岡政府委員 その点については、保険制度のほかにもいろいろ施策があろうと思いますので、きょう先生の御指摘のことは必要なことだろうと私も考えますので、それは全体の政策の中で御意見を体して政府として努力したいと思います。
#92
○沢田委員 次に、ことしの確定申告の場合の雑損控除についてお伺いしたいのでありますが、今回の災害が補償金を年内にもらうと補償金の金額は除くということになりますけれども、除いた以外の災害部分は雑損控除として当然認められる、こういうふうに理解をしていいのかどうか、その点ひとつ大蔵の方からお答えいただきたい。
#93
○小幡政府委員 雑損控除という制度は、住宅とか家財など事業の用に供しない資産が災害等によって損害をこうむったというふうな場合に適用がある、そういう制度でございます。したがいまして、いまお尋ねございました農家の方々がこの異常気象によりまして農作物に被害を受けた、こういうふうなことを税務上どういうふうに考えられるかということになりますと、これは農業所得の計算というのは御案内のように収入から必要な経費を差し引いて農業所得というものができるわけでございますから、私ども税務の立場といたしましては、農家の方々のそういう被害の実情に応じた農業所得標準というものを実態に即して考えてまいりたいというふうに思うわけでございますし、またさらに被害が非常に多くて、そういう農業所得におきましては場合によって赤字になってしまうというふうな場合もあり得るかと思うわけでございますが、そういうふうな場合には、その農家の方がたとえばほかの給与所得がある、あるいはまたほかの事業所得があるというふうな場合には、それらの損益通算というふうなことで、そういうほかの給与所得や事業所得の所得から農業所得の赤字を差し引くというふうなこともできるわけでございますので、ひとつそういう実態に即して納税相談等に当たりましても対処してまいりたいというふうに思っております。
#94
○沢田委員 最初の方の答弁がちょっとあれなのですが、雑損控除には商品、製品、半製品、仕掛品い原材料、消耗品、たな卸し資産、事業用の土地、減価償却資産、建物、機械、牛馬、果樹等が自然の風水害、いろいろの災害等を受けた場合、及び人為による損害を受けた場合の損失等もある、それから加えて三年の繰越控除が認められるというようなこともあって、いまあなたの言ったのは、災害減免法の関係はまさにいま言われたとおりだろうと思うのですが、これは住宅と家財については減免が可能であるというふうになっているわけで、今度の災害では家なんかも相当雪でやられているわけですから、災害減免法も適用される余地はある、こういうふうに考えますが、その点はいかがでしょう。
#95
○小幡政府委員 先生のお話でございますが、災害減免法並びに所得税法に基づきます雑損控除の制度、これは先ほど申しましたように、住宅や家財など事業の用に供しない資産についての損失は、所得計算後の課税所得金額から所得控除として控除する、こういう制度でございまして、農業をやっておられるというふうな事業の方の場合には、いろいろなものはその事業所得の計算上収入から除く、あるいは必要経費として見る、こういうふうな計算の仕組みになっておるということでございます。
#96
○沢田委員 だから、いまさっき言ったのは、災害減免法の方で家財――これは住宅と家財の損害である、そう法律は規定しているのですね。ですから住宅と家財という家財の解釈が非常に微妙なものがあるだろうと思うのであります。狭く解釈すれば、家の中の日常生活を維持するに必要なものというのが家財という解釈になりますか。ということになると思うのですが、ただ雑損控除の方では、自然現象に基づいて起こされた災害についての控除は雑損控除として認められる、こういうことになるのではないかと思うのであります。その点は、いまあなたがおっしゃったのは、実情に沿うて適宜配慮、いわゆる措置する、税務相談等に応じて配慮する、こういうふうな答弁ですが、これは今回の災害の程度が厳しいから、雑損控除というものあるいは災害減免法というふうなものの法律をフルに使って、農民の人たちやあるいは兼業農家の人たちも含めて十分に将来の厳しい税の徴収ということには当たりたくない――当たりたくないと言うと語弊があるが、そういう当たり方はしません、そういうことを言っているのだというふうに解釈していいですか。
#97
○小幡政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、所得税法で言っております雑損控除という制度は、事業の用に供しない資産についてのことをいっておる制度でございまして、農家の方々は農業という事業を営んでおられるわけでございますので、そういう農業所得の計算という場合には、農家の方のいろいろな問題は、その収入を見る、あるいは経費を見ていくというふうなことで所得計算をしていくわけでございまして、雑損控除という所得税法に言う制度にはなじまない問題でございます。
#98
○沢田委員 なじまないというふうなことですが、どろぼうに遭ったって雑損控除なんですよ。どろばうに遭って被害届けを出せば雑損控除にもなるわけですね。ですから、これだけの災害を受けていろいろなものが傷つく。そうすれば保険金は差し引くのですから、保険金を差し引いた以外のものは当然雑損控除に含まれて差し支えないのじゃないですか、所得税法で。どろぼうに遭ったよりもまだひどいのですからね。
#99
○小幡政府委員 農家の方がどろぼうで損失を受けたとか、あるいは農家の方が火事に遭って家屋が焼失をしたという場合はそういう問題があろうかと思いますが、いまのお話は、農業経営の中でその農業収入というものが異常災害によって非常に減少してしまった。そこで、五十五年分なら五十五年分の農業所得を計算するときに、その非常に収入が減ったあるいはいろいろな意味で経費がふえたそれを五十五年分の農業所得の計算でどう見るかということになりますと、それは、所得税法のたてまえは雑損控除という制度に乗るのではなくて、農家の方のその農業所得を計算する収入の面あるいは経費の面でそういうものを見て五十五年分の農業所得というものを計算する、こういう税法の仕組みになっているということでございます。
#100
○沢田委員 これは行き違いがありますけれども、言うならば結果的に農民が現在の税法の範囲内において十分その生活が維持できる条件をつくる、そういう一つの法の考え方に立ってひとつ措置してもらうということを要請しておいて、次にいきます。
 次に、えさ米なんであります。
 えさ米を非常に奨励して今日まで来ておるわけでありますが、えさ米は金額的にいってもなかなか少ない。とにかく米は三十万するけれども、えさ米は三万にしかならない。そういう状況からしますと、共済の対象にするのにもきわめて問題があるあるいは補償する金額についても問題があるということで、これも現在まだ含まれていないわけです。しかし、いまの水田転換を含めてこれからどんどん飼料の自給率を高めよう、こういう日本の農業政策の上からいくと、えさ米についてはやはり適用に入れる、あるいは三割の足切りなしに、たかが三万円なんですからその三万円をある程度補償していく、こういう制度というものを確立しなければならぬのではないか。たとえば二割にしろ、片方は三十万で片方は三万ですから十分の一なんですね。その十分の一の分だけでも、せめてこれは対象の中に含めてその被災者の人たちを救っていく。今年度は間に合わないのかもわかりませんけれども、少なくとも次の年度にはそういうものが対象となり救済される、そういう方向が確立されなければならぬだろう、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#101
○松浦(昭)政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、えさ米に関しましては、特に湿田単作地帯の地域におきましてこれを転作の作物に含めてもらえないかという御希望も非常に強うございますし、またえさ米自身をこのような地域における所得の重要な作物としておられる農家の方方の御要望も非常に強いことはよく存じ上げております。ただ、えさ米につきましては、先生もおっしゃいましたように、何分にもトン当たり三十万という一般的な食用に供される米の価格に対しまして、これをえさに使います場合には三万円とか、あるいはえさ米の価格水準が上がりましても四万円とか五万円とかにしかならないという状態でございまして、余りにもその間に大きな開きがあり過ぎるわけでございます。それからまた食用に転用されるというようなおそれもあるわけでありまして、私どもとしましては、安定的なえさ米というものが生産できるかどうかということにつきましてまず試験的な段階で十分今後詰めてみる、その方がむしろ農家の方々にも危険な農作物を与えないという意味でかえってよろしいのではないかというふうに考えておるということは、再三私どもの大臣も御答弁申し上げておるとおりでございます。
 このような段階にございますために、当初から飼料用に供しましたもの、特定の耕地あるいは特定の品種で栽培されるということになりますと、その基準収量なりあるいは単位当たり共済金額なりあるいは被害等が当然食用米と異なってまいります。したがいまして、共済というもので引き受けるということになりますれば当然これは別個の取り扱いをせざるを得ないということで、またその場合の保険設計上の料率その他につきましても十分な資料がなければならないということになります。したがいまして、現在のような肥培管理法が確立されていないという状態のもとにおきましては、これは引き受けの面積から除外せざるを得ないということで従来取り扱ってまいってきておるわけでございます。
 ただ、ただいま申しましたように将来このえさ米というものが収量が非常に高いものになりまして、その成果も十分上がり、またこれは安定的な作物であるというような状態が参りました場合には引き受けられるということでございますが、ことしとか来年とかいう場合にはこのような安定的な生産というものはなかなか期し得ないわけでございまして、共済の仕組みというものはあくまでも受け身なものでございますから、その点は御理解いただきたいと思いますが、まず第一にえさ米の生産の安定ということ、その実験的な成果というものがまず得られるということをわれわれは期待をいたしておるわけでございます。
 なお、食用米として栽培されたものが結果的に飼料用に回るという場合には、これはこのような問題はございませんので、同様に水稲として引き受けることにいたしておるわけでございます。
#102
○沢田委員 これは農林でやるのでしょうけれども、これからの農業政策をやっていく場合に、今年度も六十三万ヘクタールですか、去年も大体五十何万ヘクタール、さらに、今後の七カ年経済計画においてもさらに転換が行われていく。ここの委員会においても、これからは全面輸入から自給体制の拡充という立場でえさ米は強化しなければいかぬ、こういうことでそれぞれ合意をしてきている路線なんですね、このことは。これは政務次官の方になるのかもわかりませんけれども、そういう路線で、対象から外したままでいたのでは農家は意欲がなくなってしまう。災害に遭ったらゼロになってしまう。価格は確かに安い。安ければ安いなりにより温かい補償体制というものをつくらなければならぬのではないか。いまの食管会計がいいかどうかの問題は別として、ともかく一方は三十万なんだ。えさ米の方は三万なんだ。十分の一なんだ。それをつくろうという農家を政治的に温かい気持ちで包んでやるというのは当然の方向じゃないですか。まだまだそれは行き先がわからぬからと言ったって、いやおうなしにこれはつくらざるを得ないでしょう。いわゆる総合安全保障という言葉の中で食糧の自給率は最たるものですよ。とすれば、えさ米、飼料の自給体制を日本がとらなければならぬという必然性、これは当然の道なんですね。その道に対してそういう冷たい、農林省自身が、まだどうなるかわからぬから対象外だなんてのんきなことを言っていて、農林省なんてそんなものは要らないよ。そういうふうなことをどうやったら皆さんに御理解いただいて、三万円でも補償できるかひとつ考えてください、お願いしますと言うのがあなたの立場じゃないか。これはおれの方から言う立場じゃないんだ。本来は農林省がそれを頼まなければならぬ立場にあるわけだ。これはぼくの方から言うんじゃないんだ。そういうことで農林省がえさ米などを冷たく扱っているから、よけいにまた農民の不信感というものが抜け切らないのであって、もう時間がなくなってきたんだが、ここら辺はひとつ頭を切りかえて、そしてえさ米も対象としていく。とにかく育成していかなければならぬ必然性はあるわけだから。それ以外な衣だから、日本が生きていく道は。だからそういう道についてはもっと決然として対処してもらう。どっちだかわからないなんて、それでどうしますか。そんなことで日本の食糧事情を維持できると思っていますか。時間がなくなってきたんだから、とにかく考えてもらわなかったら農林省なんて要らない、こういうように思うが、とにかく答えてください。
#103
○松浦(昭)政府委員 私お答え申し上げましたのは、決して先行きがわからないからということを申し上げたのではないのでありまして、保険設計の上でデータがないということを申し上げたわけでございます。まず農林省として考えてみますことは、飼料米の生産が技術的に安定するということが第一でございまして、このためには、再三大臣からもお答え申し上げておりますように、そのための試験研究、これにつきましては一生懸命やりましょうということで考えておりまして、決して農林省はえさ米についてこれはもう別だということで手を挙げてはじくというような態度で臨んでいないということは御承知のとおりでございます。また、このようなことで安定した生産ができるようになりましたら、当然保険設計上の資料も集まってまいるということでございますから、それを踏まえた上でえさ米について共済制度に組み込むかどうかということを考えたいということを申し上げておる次第でございますから、御理解をいただきたいと思います。
#104
○沢田委員 安定した供給を図るために必要な措置なんだよ。逆だよ。安定されてから共済を考えるのではなくて、安定するために共済を考えることが前提なんだから、あなたの頭は本末転倒なんだ。そういうことで共済制度を考えてやるから安定供給が図り得る道が講ぜられるのであって、物の考え方は安定供給されてから共済を考えるのではないんだよ。そこの点は時間の関係で言いっ放しになってしまうけれども、少々農林省も頭を切りかえないと、農林省は要らなくなるよ。とにかく、そういう条件をみずからつくっているのはあなた方なんだから、みずから天につばすることになるから、その点をよく考えて対処してほしいことを要望して、終わります。
#105
○綿貫委員長 鳥居一雄君。
#106
○鳥居委員 先ほど沢田委員の方からも指摘がありましたが、大臣の発言で、慣例を踏まえてあえて異議はない、こういう旨の発言がありました。これは会計制度上から出てくるのではないかと思うわけでありますが、いずれにしても農政の位置づけはきわめて大事だと思いますので、農政に対する基本的な考え方を大蔵省に聞いておきたいと思います。
 現在、わが国の農業は、米作を初めとする主要農産物の相対的な過剰という問題、それからまた輸入圧力、生産者価格の抑制、それに加えて気象の異変でありまして、昨年は冷害、またこのたびの豪雪、こうした農業を取り巻く環境は未曽有の危機に直面しているというのが現状だろうと思います。また、この反面、食糧についても、消費者は巷間かなり豊かな食生活ができるようになってきておりますけれども、潜在的には大きな不安に駆られているというのが現状だろうと思うのです。わが国の農業をどういうふうに展望されているのか、わが国農業をわが国の社会、経済の中にどう位置づけるべきだと考えているのか、大蔵省に伺いたいと思います。
#107
○吉野(良)政府委員 申し上げるまでもなく、国民経済の中におきます農政の役割りといいますものは、基本的に、端的に申し上げますれば、国民食糧の安定的な確保ということであろうかと存じます。この国民食糧の安定的な確保を図ってまいります上で、申し上げるまでもなく、これも最近におきましてはいろいろ国際的な条件がきわめて厳しさを増してございます。他方国内におきましても、経済生活あるいは社会生活の高度化に伴いまして国民の皆様方の食糧に対する需要のあり方もかなり著しいスピードで変化をいたしてございます。そういった国際的あるいは国内的な諸条件のもとで、農政に与えられた役割り、つまり食糧の安定的な確保を図るという使命を果たすために何よりも大事なことは、能率的な農業生産を確立していくということであろうかと存じます。そういうような基本的な考え方に立ちまして、五十六年度も当然でございますが、従来からも農林省といろいろ御協議をしながら、そういった農政の目的を達し得るようにという観点を基本にいたしまして、予算上もできるだけの配慮をしていくということでございます。
#108
○鳥居委員 では二つの点について伺いたいと思うのです。
 まず、非常に過保護だという批判が強いですね。大蔵省もこれと同じような立場に立たれて対応されている向きが非常に強いのではないかと思うわけでありますが、わが国の農業を保護育成していく上で将来に禍根を残さないためにも、まず第一点は、生産者価格の抑制についてであります。
 農家は、御承知のとおり専業農家、それから農業を主として兼業を従とする第一種兼業農家、それから逆に農業を従として兼業を主とする第二種兼業農家というふうに色分けされているわけですけれども、財政難や農産物の過剰基調を理由に生産者価格を抑制する、そういう場合に一番影響を受けるのがこの第二種あるいは第一種、また多少重複する――考え方の基本が違いますが、中核農家と言われる十六歳以上四十歳台の男子従事者を持つ農家、こういう階層を犠牲にして農業の将来が一体あるのだろうか、実はこういうふうに憂慮されるわけですけれども、基本的にどうお考えでしょうか。
#109
○松下説明員 農業を取り巻く厳しい環境の中で、農業生産の再編成あるいは農業構造の改善を進め、活力ある農村を築いていくためには中核農家や兼業農家が相協力して地域の農業の振興を図っていくことが重要であると考えます。中でも中核農家というのは、若干の農外所得はありましても高い生産性と高い農業所得を上げ得る農業経営を担っていくことが期待される農家でございます。また、地域のリーダーなり地域農業全体の生産力の向上の役割りを果たしていく農家でございます。中核農家の育成、維持を図るためにはその経営規模の拡大を図ることが何よりも重要と考えます。特に土地利用型の農業経営におきましては、それぞれの地域の実情に応じまして、所有権の移転であるとか賃貸借であるとか農作業の受委託というような幅広い形で中核農家の利用する農地をふやしていくように誘導していくことが大切であると考えます。このため農用地利用増進法を中心としまして、いわゆる地域農政を総合的に展開しているところでございます。
#110
○鳥居委員 それで、生産者価格の抑制ということをいとも簡単に推進するわけでありますけれども、これは農業の保護育成ということと一見矛盾する。ですから、大蔵省としてこの点プレッシャーをかけていく場合に大変重要な役割りを果たすことになると思うのです。主計局、この点はどうですか。
#111
○吉野(良)政府委員 御指摘は農産物についての価格支持政策のあり方についてのお尋ねかと存じます。
 先ほど先生も御引用になりましたが、往々にして過保護農政というような言葉があることにも示されておりますように、農業に対します助成が度を過ぎますと、農業そのものの、俗な言葉で恐縮でございますが、足腰が弱くなりまして、農業の将来性をかえって失わせることにもなりかねないわけでございます。中でもいわゆる価格政策でございますが、価格政策がそれなりに農政の中で一つの意義を有していることは私どもも何ら否定するものではございませんけれども、これがいわば行き過ぎますと、先ほども申し上げましたように、財政的な支持による価格に依存をしてしまうような農業体質にますます農業そのものを持っていってしまう、そういうような問題もあるわけでございますから、価格政策につきましては、日本農業の将来を考えますれば考えまするほど、価格政策の運用に当たっては慎重な態度が必要であろう、こういうことが私どもの基本的な考え方でございます。
#112
○鳥居委員 さらに補助金農政ですね。わが国の補助金事業の中で、農林水産省所管の補助金は種類もまた金額的にも大変大きな比率を占めている。そういうところから、また反面、過保護だという批判もあるわけです。具体的な指摘は避けますけれども、これまでの高度成長の過程で近代化農政が展開され、それでその中で補助金行政の拡大が図られてきたわけですけれども、この補助金行政の拡大によりまして一番潤ったのは、農家というよりも、むしろ基盤整備を行ったところの土建業者であるとか、あるいは農薬、肥料、飼料、農機具、これらの製造販売メーカーであったとする声が非常に強いと思うのです。農家の中にはむしろ借金だけが残ってしまった、そういう例も幾つもあります。農林水産省関係の補助金行政の見直し、その見直しに当たっては、こういう視点に立つ見直しというのが大事じゃないかと思うのです。再検討なされていいんじゃないかと思うのです。どうでしょうか。
#113
○松浦(昭)政府委員 本来、官房のお答えすべき点でございますが、本日参っております農林省の責任者でございますので御答弁申し上げます。
 農林行政の中で、確かに補助金制度というものが非常に大きな役割りを占めているということは事実でございまして、その重要な役割りにつきましては先生も御認識なさっておられると思います。
 一つは、農業というのは土地と水を基盤にいたしまして地域的な広がりを持って行われる産業でございますので、これらの資源を有効に利用するための公共的な性格を持った基盤整備という事業はどうしても農林水産省の行政の中で非常に大きなウエートを占めるものでございます。また農山村におきましては零細多数な経営体によりまして営まれておりまして、経営規模の拡大等の構造改善あるいは農山村の環境整備といったような面でもどうしても補助金の役割りが非常にウエートを持つということは言うまでもないことでございます。また国民食糧の安定供給という重要な使命ということから考えましても、それを振興するための補助金というものは農林行政の中でどうしても重要な地位を占めざるを得ないというふうに考えるわけでございます。
 しかし、これだけでよいかということにつきましては先生の御指摘なすっておられるとおりでございまして、やはりこれが本来の趣旨に沿いまして適切に執行されるようにしなければいかぬということはお説のとおりであろうと思います。したがいまして、このためには、補助事業の工事請負人であるとか請負金額の決定等に当たっては、補助金の適化法あるいは地方自治法あるいは各地方自治体の条例で定める財務規則等によりまして公正に実施されるように指導してまいらなければならぬというふうに考えます。
 また、農家の負担額につきましても、農業経営上負担し得る範囲内の事業計画を立てていくというように指導いたしておるところでございます。
 さらに、最後のお尋ねの改善合理化の措置というものは、これも当然私どもも必要であると考えておりますし、特に国の財政ということを考えてみました場合に、むだな補助金を支出していくということは決して国策上適当であるというふうには考えられません。そのために、零細な補助金の廃止あるいは類似補助金の統合化ということでメニュー化を促進するといったようなことを実施いたしまして、また同時に、地域農業者の自主性を尊重した補助事業の実施あるいは中古資材の有効利用による経費の節減といったようなことによりまして補助制度の効率化を確保してまいりたいと考える次第でございます。今後とも農林行政の推進のためには補助金は非常に重要であるということは御認識いただいておると思いますけれども、しかしながら同時に改善合理化、適切な運用ということは私ども念頭に置いて今後とも補助金に関する行政を行っていきたいと考えている次第でございます。
#114
○鳥居委員 農業共済の制度ですけれども、いま農業生産の再編という非常に重要な課題に直面しているわけです。米作から畑作物生産への再編、農業共済も当然制度そのものがそういう農業事情の中で、変化に対応したそういう制度化が進まなければならないと思うのです。五十四年から畑作共済につきましては本格的な実施を始めようとされて、バレイショ、大豆、小豆、インゲン、てん菜、サトウキビ、こういうものの事業実施を計画されまして、しかし、進捗状況がなかなかうまくいってない実情にあるようで、事業実施地域の拡大はきわめて緊急な課題だと思うのです。それが一点。
 それから、五十六年度からお茶、ホップが対象作物に加えられるという方針、さらに露地野菜、果菜類、トマトなどですが、あるいは落花生などについても早急に対象物化すべきだと思うのですが、この点についてはいかがでしょう。
#115
○松浦(昭)政府委員 御指摘のように、米の生産調整に伴いまして畑作物共済を確立して、米から他の作物へ転作していくということの一つの支柱にしたいという考え方は私ども持っておりまして、ただいま先生も御指摘のように、バレイショ、大豆、小豆、インゲン、てん菜及びサトウキビにつきまして昭和四十九年から五カ年間試験実施をし、五十四年から本格実施に移ったわけでございます。これにつきましては私どもも非常に力を入れておりまして、また財政当局の方でも十分御理解があるわけでございまして、たとえば、特に国庫補助金につきましては六割という非常に高い国庫補助率を掛金に対して出しているということでございます。まさに先生御指摘のように、地域的にこれを拡大していくということが一番の現在の急務でございまして、実績を見ますと、昭和五十四年に、三十道府県、五百千九組合、引受面積十一万三千ヘクタールであったものが、昭和五十五年には、三十七都道府県、六百九十五組合、引受面積十二万一千ヘクタールとなっておりまして、約六・八%拡大しているということが言えるわけでございます。しかし、私どもは決してこれで満足できる状態ではない。特に保険の設計上の角度から申しますと、できるだけ広い地域にこれが拡大されることによってまた危険分散も図られるという保険上の意味もございますので、全国平均三三・四%という普及率でございますが、これをさらに拡大していきたいと考えている次第でございます。
 それから、対象作物について拡大してはどうかというお考えでございますが、私どもも同様な考えを持っておりまして、現在はホップ、茶、露地野菜、飼料用作物、なたね、ソバ、落花生及びカンショについて保険設計をいたしておりまして、その調査を進めている状態でございます。このうち特にホップにつきましては、実は五十六年度から共済事業を実施するたてまえで今回の五十六年度本予算で御要求申し上げている状態でございます。また茶についても同様に五十六年度予算で試験実施を予定いたしまして予算案をつくりまして御要求申し上げている次第でございまして、十分御討議をいただきたいと考えている次第でございます。
#116
○鳥居委員 農業共済の制度の中で保険需要の変化というのが最近著しいですね。つまり、大きく分けて収穫保険と、それから資産保険。まあ非常に金額が張ること、しかし営農の上からいってこの資産保険に対する需要というのは非常に強い傾向にあるわけですが、今後どういうふうに拡大していくお考えでしょうか。
#117
○松浦(昭)政府委員 御指摘のとおり、収穫保険につきましてはかなりその網も広げてきたわけでございますが、資産共済につきましては、やはり今後ともこれを拡充していかなければならないというふうに考えておる次第でございまして、現在家畜共済、それから果樹共済については樹体の被害、それから園芸施設共済、これらについてすでに制度を設けて実施をいたしておるわけでございます。
 家畜共済につきましては、このような観点から五十一年の改正におきまして肉豚を家畜共済の対象に追加いたしまして、さらに制度改正の都度共済掛金の国庫負担割合の引き上げを図ってきたところでございますが、九十一回の通常国会、前国会で成立を見ました制度改正におきましては、五十六年度から肉豚の国庫負担割合を三分の一から四割に、馬の国庫負担割合を四割から五割にそれぞれ引き上げるということで御要求を申し上げているところでございます。法律はすでに通っております。
 それから園芸施設共済につきましては、施設園芸の普及に伴いましてすでに試験実施もいたしまして、五十四年度から本格実施に入っております。
 その引き受けの面積の比率でございますけれども、五十四年度が二五・六%、さらに五十五年度は三一・一%ということで、わりあい順調な伸びを示しておりますが、なお、今回の雪害等におきましても施設園芸が非常にたくさんやられているということもございまして、今後ともこのような共済の実施につきましては、さらにこれを拡充してまいりたいというふうに考えております。
 なお、果樹の樹体共済につきましてはなお加入率が低うございますので、先般の通常国会で成立を見ました制度改正におきましても、樹体共済の共済金の支払い方法等の改良を含めまして改善を図ってきておりますので、今後ともその加入の増大をこの法律改正によって期待をいたしていきたい、このように考えております。
 このほか、果樹の幼木及び支持物につきましては、現在基礎調査をいたしておる段階でございます。
#118
○鳥居委員 豪雪に見舞われた地域、大変大きな被害を受けておるわけですけれども、今回の豪雪で、農林水産省関係でおよそ一千億に上るだろうという被害が懸念されております。この被災地の中には、昨年の冷害とダブルパンチを受けている、そういう地域もありまして、私どももいろいろと現地調査を行いまして、国土庁やあるいは農林水産省にいろいろと救済対策の早期実施、これを申し入れてまいりました。どんな方針で救済対策を今後おとりになるのか、きめの細かい対策が要求されているわけですけれども、お考え方を伺って質問を終わりたいと思います。
#119
○矢崎(市)政府委員 今回の豪雪によりまして、いまだ進行中でございまして正確な状況を把握するに至っておりませんが、これまでの県当局の報告によりましても、かなりの被害になるというふうに私どもも考えております。
 そこで、農林水産省といたしましては、実はすでに御要望もございましたので、雪害としては異例の早さだと思いますが、天災融資法を発動するという方針をすでに決定をいたしまして、これに対しつなぎ融資の措置をとるようにというふうな指導をいたしておるところでございます。また、すでにこれまで借り入れを受けているような方がどうしても支払いが困難のような場合には、これも個別に金融機関と十分に相談に乗って、償還期限の延長その他の措置についても対応するようにというふうな指導もいたしておるところでございます。
 そのほか、施設園芸の共済あるいは国営の森林の共済、あるいは漁業共済の養殖の共済その他関係の共済につきましても、これも損害の評価ができ次第早期に支払うように、また、漁港その他農地、農業用施設等の災害につきましては、すでに損害の現地におきます査定が進んでおりまして、早期に復旧を図るというふうな対策を総合的に現在手を打っているところでございます。今後とも被害の状況の正確な把握に努めるとともに、農林予算の再生産の確保、また救済に万全を図ってまいりたいというふうに考えております。
#120
○鳥居委員 終わります。
#121
○綿貫委員長 簑輪幸代君。
#122
○簑輪委員 昨年の史上最高の冷害ということと、さらに加えて今回豪雪被害というものも非常にひどいわけですけれども、そういう中で私どもの地元の方でも果樹に対する非常に大きな被害が起こっております。果樹共済の制度というものがあるんですけれども、実際にはこの果樹共済というのに入っていない農家が多いわけです。こんなにひどい被害だから果樹共済の適用があるんだろうということで私ども農家の方々に伺いましたところ、ある地域では一軒も入っていない。どうしてかということを聞きましたら、実際に収穫共済だけでは、品質が悪くても収量が多い場合には対象とならない、あるいは全相殺方式でいけばなかなかその適用を受けるメリットがないというようなことで、ある時期一年ぐらいは入ったことがあるけれども、全くメリットがないというふうに考えて脱退をしてしまったというようなことを言っているわけです。
 私どもの方としましても調べてみましたところ、岐阜のカキについて言えば二・二%の引受率ということで、これが昨年もことしも一向に前進していないわけですが、そういうのは、こういう農家の方々の話を聞いてみますと、なるほどと思う部分もあるわけです。こういうようなことは、現状の農業共済が農家の実情に合っていないのではないかというふうに私は考えるわけです。そして一定の前進というか、法改正によって今年度から改良を加えられる部分もあるように伺っておりますけれども、このままだけではまだまだ現状の農家の要望にマッチしていないんではないかというふうに思います。
 地元の共済担当の人の意見を聞いてみますと、農家の希望をかなえてもらうためには、今後一筆方式での加入というものをぜひ検討してもらわなければならないのではないか、あるいはまた、災害収入方式の導入というものも取り入れなければならないのではないか。これは一部試験的に今年度実施されるというふうに伺っておりますけれども、こういうふうにして現状では、果樹専門農家の加入が非常に低くて、兼業農家といいますか片手間農家といいますか、そういうところが共済に入っている。これでは共済の本来の目的を達しないのではないかというふうに考えるわけです。
 私は、この際、一定の改善を図られた部分があることは評価するわけですけれども、今後こうした加入率がいかにも低いということを改善していく手だてとして、一筆方式をも含めてさらに改善をしていただく必要があるというふうに考えますけれども、どのように考えておられるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
#123
○松浦(昭)政府委員 果樹共済についてのお尋ねでございますが、幾つかのことをお尋ねになりましたので、分けて御答弁を申し上げたいと思います。
 まず、加入率が低いというお尋ねでございますが、確かに果樹共済の加入率は年々上昇してはおりますものの、昭和五十五年度につきましては収穫共済で二六・七%、それから樹体共済で七・〇%という状態でございまして、率直に申しまして、これは一般的に低位であると言わざるを得ないと思います。これは、やはり改善を図っていかなければならぬ一番大きな共済の対象でございます。と申しますのは、やはり二六・七%といったような状態でございますと、本当に被害が起こりました場合にはその補てんができないということもございますし、また、共済の設計上から見ましても逆選択の可能性が出てくるということもございまして、その意味で、この加入率を伸ばすということは非常に重要なポイントであるというふうに私ども考えております。
 樹種によりましては、たとえばリンゴは四七%、ナシが四五%、温州ミカンが二二%というようなぐあいで、かなり高い状態もございますし、カキにつきましても、実は全国のベースで見ますと二四・一%といったような高い比率になっておるわけでございますが、もちろん二四%が非常に高いと申し上げるわけにもいきませんけれども、全国ベースでは二四%であるにもかかわらず、岐阜県については二・二%という状態でございます。このように、地域によりましても加入の差があるわけでございます。
 どうしてこのように加入率が一般的に低いかということを次に申し上げたいと思いますが、それは一つは、何分にもこの果樹共済制度が農作物共済とは違いまして、制度発足後まだ日が浅いということで、必ずしもその趣旨が徹底していないということもありまして、また、制度の仕組みとか内容について十分関係者、また果樹農家の理解が得られていないという点もあろうかと思いますが、さらにまた、先ほどもお触れになりましたように、専業的な農家が余り入らないという欠陥があるわけでございます。これは、やはり産地間あるいは農家間において、栽培形態とかあるいは技術の格差がある。そこで画一的な仕組みを持った共済をいたしますと、どうしても専業農家で技術を持った農家は、そのような共済に入らなくても自分は十分にやっていける、こういうことをお考えになってそれでお入りにならないのではないか。こういう消極性が出てくるわけでございます。
 特に岐阜の場合を考えてみますると、この岐阜のカキの栽培農家の方々は、非常に高い技術水準を持っておられるということがございます。また、そのために、仮に共済に入りましても共済金の支払いを受ける機会が少ないということであれば、むしろ自分の技術でカバーした方がいいというふうにお考えになったのではないかと考えられますし、また一部の農家では、品質の低下を共済補てんしていないということから品質方式を望んでおられるわけでございますけれども、共同出荷が定着していないということから、その出荷量が少ないために品質方式を行うのに必要な条件が整わないといったような問題で、この岐阜の加入率が低いのではないかというふうに思うわけでございます。この加入率が低いので、もっとこれを高めたいということを、私いま率直に申し上げたわけでございますが、このような特に技術水準の高い農家もこの共済に入っていただいて引き受けを推進し、その加入率を高めていくということのためには、何と申しましても専業農家の方々にも入りやすいような共済をつくっていくことが非常に必要だと思います。
 実はこれが第九十一回国会、前回の通常国会におきますところの制度改正の内容でございまして、余り細かいことを申し上げてはお時間をとるだけでございますので、簡単に申し上げますが、一つは、生産出荷団体の取りまとめによりまして構成農家の一定数あるいは一定割合以上の加入が得られた場合には加入奨励金を交付するということにいたしておりまして、その加入奨励金の内容につきましては、目下国会に予算案の中で御審議をお願いしているという状態でございます。
 それから、一定年間無事故の農家に対しては共済掛金の割引ができるということになっておりまして、専業農家で事故率が低いような農家に対しては、画一的な掛金ではなくて率の安い掛金ができるようにということも考えております。
 それからまた、特定の防災施設を設置しているような農家につきましては共済掛金の割引を行う。あるいはひょう害のみを共済事故とする方式を実施する。あるいは全相殺方式及び特定危険方式の足切り水準を、現行の三割から二割に引き下げる。それから果実の単位当たり価額については、品種間及び県内の地域間の格差を設けるような価格差によりまして、それを反映するような細分化を単位当たり共済価額について設けていくといったような改正をいたしておりまして、これによりまして、かなり専業的な農家に対しましても、その実態に応じました共済が実施できるということで、その加入率の増加を大きく期待しているところでございます。また掛金の延納等についても規定がございます。
 ところが、ただいまの御質問の中で一番私どもの考えを申し上げたい点は、一筆、園地単位共済の問題でございます。この問題につきましては、先般の通常国会において法律の改正を行いました際も非常に御議論のあった点でございまして、この採用についてはいろいろな角度から御討議が行われました。私どもの考えを申し上げますと、この一筆あるいは園地単位共済、あるいはこれを農家単位でやるか一筆単位でやるかということは、共済の制度が始まって以来すでに長い歴史の間で論争されてきた点でございます。それは率直に申しまして一長一短あるわけでございます。特に園地単位の引き受けをいたしました場合には、総体としての被害の程度は同じでありましても、たまたま災害がある園地が偏った場合には、その農家だけに共済金がいくという制度になります。そのために確かに支払いを受けるチャンスは多いということで魅力はあるということになるかもしれませんが、一方におきましては、経営的に見た損害が非常に深い場合に共済のてん補を最も安い掛金率でもっててん補してもらえるという制度が本来の共済制度であるというふうに考えるわけでありますが、そのような合理的な損害のてん補という角度から見ました場合には、農家単位引き受けの方がより適しているということが言えるわけであります。また同時に、共同出荷体制が整備されている地域におきましては、むしろ損害評価の事務効率の面からも、このような農家単位共済の方が好ましいということが言えるわけでございます。また園地単位でやりました場合には、農業経営上重要でないような被害に対しましても薄く広く共済金がばらまかれるという形になりますために、大きな災害の場合の補てんを同じ水準で維持しようと考えますと、その場合には当然掛金率が高くなるという問題が生じてまいります。このような趣旨から、水稲においても一筆方式をとりますと同時に農単へとわれわれは誘導をしているというのが現状でございます。
 このようなことで、基本的には、長い論争はございましたが、私どもはやはり一筆単位、園地単位よりも農家単位の方がより合理的なてん補ができるということを考えているわけでございますが、しかし一方におきまして、園地単位にしてほしいということには、やはりそれなりの合理的な理由があるというふうに考えております。それは何かと申しますと、果樹共済の全相殺農家単位方式においては、被害農家の中で災害のない園地まで評価するという状態が生じます。と申しますのは、全相殺でございますから、当然被害があった園地の被害を評価すると同時に被害のないところでの増収分も相殺して支払うというかっこうになりますから、これは全筆被害の調査をしなければならぬということで、損害評価の実務からも非常に煩瑣でありますし、また農家感情から見ましても、この増収分を差し引くということが何としても農家感情にそぐわないという面があろうかというふうに考えるわけでございます。そこで、先般の第九十一国会における改正におきましては半相殺方式というのを導入いたしまして、これによって園地の中で被害のあったところだけを調査いたしまして、それによって共済金を支払うという制度をつくったわけでございます。これによって、私どもとしては、相当程度この農家感情にそぐわない面を解消できるのではないかと考えます。
 なお、最後に災害収入方式についてお話がございましたが、確かに品質の低下なりあるいは価額の低下なりというものを補てんしてほしいという農家の声はございますが、やはり農業災害補償法というものは物的な損害を補償するということがその目的でございまして、収穫共済というものが中心でございますが、価額の保険までをいたしますと、その場合にはかなりまた保険設計上も無理が出てくるというケースがございます。各国の例でもそのような例が見られるわけでございまして、私どもは今回全面的な収入方式というものはとりませんでしたけれども、しかしながら、このような考え方も一部取り入れた方式を試験的に実施しておりますので、その試験の結果によりまして、今後このような問題には取り組んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#124
○簑輪委員 いまお話しいただきました中で、農家単位がよいというお話の理論的な御説明についてはわからないわけではございませんけれども、地元の農家として一筆方式というのをかなり強調しているところから見ましても、やはり今後これは検討していただかなければならない課題ではないかというふうに思うわけです。つまり、加入を促進する、加入の障害になっている問題の一つとして、この一筆方式でないというところに問題があるやに聞いておりますので、今後この点も含めて御検討いただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 次に、神岡の高原農協というところの共同利用施設でございますが、雨よけ施設が、パイプハウス三万四千二百平方メートルの施設全部が今回の豪雪で雪に埋もれてしまったわけです。この施設は第二次構造改善事業でつくられたものですけれども、農協の施設でございますが、個人に貸し付けられているということのために補助対象になっていないわけです。それからまた明方村の夏秋トマト生産組合の場合では、これが任意法人でございますので、やっぱり対象になっていないということがあります。
 こうして豪雪で園芸施設などが相当の被害があるわけですけれども、特に共済に入っていないという場合には、救済の道が制度融資の道しかないというのが実情のようです。しかし、制度融資をしてもらったにしても、返済のめどが立たないという非常に困難な実情の場合に、何らかの措置を講じていく必要があるのではないかというふうに考えますが、その点いかがでしょうか。
#125
○矢崎(市)政府委員 今回の豪雪でパイプハウス等の施設につきましてもかなりの大きな被害が県当局から報告されております。ただいま御指摘の地区の具体的なケースにつきましては、調べてみませんと何とも申し上げられませんが、現在私どもは、災害において倒壊しましたような共同利用施設につきましては、特に公共性の高いものというふうな観点で、特定の方が事実上利用されているというふうなものは助成の対象にはいたしておらないわけでございます。
 そこで、ただいまお話のありましたように、農林漁業金融公庫の中の災害の資金をできるだけ優先的に適用いたしまして、早期にその復旧を図っていただく、こういうことで指導をいたしておるわけでございます。これは十五年間という非常に長期の資金でございまして、そういう意味では、これをお借りいただくということは非常にメリットがあろうというふうに思っておりますので、今後ともひとつそういう線で、できるだけ早く被害を受けられた方々が復旧していただくというふうに指導を進めてまいりたいというふうに考えております。
#126
○簑輪委員 いまお願いしましたのは、こういう融資の問題だけではなく、何らかの方法がないかということですので、共済も受けられないというような場合に、融資だけではなく、何か農家が立ち行く道というのを考えていただく必要があるんじゃないかということを指摘しておきたいと思います。
 次に、去年の冷害と、それからことしの豪雪ですけれども、非常に被害が大きい農家の場合に、いろいろ政府の方でも対策を講じられておるわけですけれども、特に被災者の税の減免についてお尋ねしたいと思います。
 地方税の減免基準については、昭和四十九年に改正されておりますけれども、冷害による減収が平年の十分の三以上、そして前年の合算所得が四百万円以下であるということ、もちろん百六十万円以上の農外収入は除外するというふうになっておりますけれども、この四十九年の改正以降今日まで、これが全然見直されていないわけです。四十九年当時の基準をそのままことし当てはめるというのはいかがかというふうに思います。参議院の方でわが党の議員がこの問題を指摘しましたときに、自治省の方では、この地方税の減免については国税の災害減免法との関係があって、こちらの方に合わせているという形になっているというふうに答弁しておられます。未曽有の災害というふうに言われている去年とことしのこの状況の中で、地方税での災害減免を受けられるように変更しようにも、国税の方が何とかならない限りはちょっと無理であるというような状況から見て、国税の方でこの災害減免法の基準について引き上げるべきではないかというふうに考えますが、この点について御検討いただけないでしょうか。
#127
○梅澤政府委員 ただいま委員御指摘の点でございますが、申すまでもございませんけれども、災害が起こりました場合にその損失額の所得計算につきましては、その人の所得に応じて、損失の度合いに応じて個別計算をするということで、先ほど来もこの委員会で御議論になっております雑損控除の制度があるわけでございます。ところが通常、災害減免法で想定いたしておりますのは、地域的に大量に災害が発生いたしました場合に特に低額の所得者の場合、雑損控除でございますとこれは確定申告の手続を経なければいけませんので、きわめて概括的な基準で迅速に処理するというたてまえで現在の災害減免法ができておるわけでございます。ただ先ほども申しましたように、雑損控除の制度はこれは三年の繰り越しがございますので、損害が大きい場合にはむしろ雑損控除の方が行き届いた手当てを受けられるということで、この制度は選択制度になっておるわけです。
 そこで御指摘のその四百万という基準でございますが、四百万といいますのは、たとえば給与所得者の年収額に換算いたしますと大体五百五十万円ぐらいになります。五十二年のわれわれの税務統計で見ますと、給与所得者のうち年収五百五十万円のカバレージというのは大体九五%ぐらい来ているわけです。農業所得者の場合でございますと、これはもう少し上がりまして九八%から九%ぐらいの水準にございますので、ただいま申しました雑損控除と災害減免法の関係から申しまして、現在の四百万という所得限度でございますが、これはもちろん情勢の推移に応じて見直す必要があるいは生じてくるかもわかりませんけれども、現行の水準は私ども妥当な水準と考えておりまして、にわかにこれを変更する必要はないのではないか、災害減免法の性格からいいましても、そういうふうに考えております。
#128
○簑輪委員 地方税の方でこの国税との関係というのが当然障害になっているようなふうに言われますので、この関係で国税当局とも相談して努力していきたいという自治大臣の答弁が参議院では行われておるわけですが、そういうようなお話し合いはあったんでしょうか。
#129
○梅澤政府委員 国税、地方税の問題につきましては、これは政府の税制調査会それから自民党の税制調査会合同でいろいろな議論をしておりますが、この問題につきまして常時――この問題に限らず国税、地方税の調整をとっておるわけでございますが、ただいま申しましたように、四百万という現在の所得限度につきましては、いまにわかに変更する必要はない、妥当な水準であると考えておるわけでございます。
#130
○簑輪委員 昨年の十月二十三日の参議院での質問の後でのそういう話し合いみたいなものがあったのでしょうかということを聞いておるのです。
#131
○梅澤政府委員 五十六年度の税制改正の議論の過程におきまして、特にこの問題について事務的に議論をしたということはございません。
#132
○簑輪委員 いま御答弁いただいたわけですけれども、私は、やはり四十九年からもう七年たつわけですので、諸物価の問題、いろんな社会情勢の変化に合わせてぜひ今後検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 最後に、政務次官に伺いたいと思いますが、こういう豪雪というのは、これまでにない被害が大きな中で、特に冷害と重なった地域では大変な問題になっているわけですが、農業の被害だけではなく、中小零細業者の方にも大きな被害が及んでいるわけです。そういう中で、政府でもすでに融資された分の返済の猶予とか、いろいろ検討され実施されている部分もあるかと思いますが、特に利子の免除等も含めて、ぜひ可能な限りの救済措置を、国民金融公庫などの政府金融機関はもちろんのこと、民間銀行をも含めて指導を強化していただきたいと考えますが、ぜひお答えをいただきたいと思います。
#133
○保岡政府委員 先生御指摘のように、中小企業者に対する制度融資あるいは政府系金融機関に対する指導等についてはすでに具体的に行っておりまして、既往の債務についてはまた条件変更等をできるだけ弾力的に、被害の救済に沿うように指示をいたしております。
#134
○簑輪委員 終わります。
#135
○綿貫委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#136
○綿貫委員長 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#137
○綿貫委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 農業共済再保険特別会計における農作物共済、畑作物共済及び果樹共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#138
○綿貫委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#139
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#140
○綿貫委員長 午後四時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時十一分開議
#141
○綿貫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#142
○堀委員 第九十四通常国会で大蔵委員会の最初の一般質問で渡辺大蔵大臣と初めて質問を交わさせていただきます。
 まず最初に、この前竹下大蔵大臣にも申し上げたのでありますけれども、日本は御承知のように官僚機構の上に大臣がおられるわけであります。大臣は政治家としての立場から国会における私たちの質問にはお答えをいただきたい。もちろん行政の側は想定問答集その他をつくって大臣にいろいろと御進講申し上げておると思います。当然のことでありますけれども、歴代大蔵大臣の中で官僚の考えとは違って政治家の答弁をした方は、少なくとも私の記憶する範囲では田中大蔵大臣だけであった、こういうふうに記憶をしておるわけであります。それは何も官僚と違ったことを言えばいいということではないのであります。官僚の皆さんというのは、立場上やはりそのポストにいる期間は一定の限られた期間しかいないわけでありますし、またやっておられるポストもあらゆるポストを経験するということは事実上不可能なのであります。私ども政治家というのは、しかしそういう部分的あるいは短期間的な問題ではなくて、少なくとも経済の問題を考えるならば単に大蔵行政を考えるだけではなくて日本経済全体を考えるという立場から大蔵行政を考える、こういうことであります。またタームの問題にしても、私は国会に最初出していただいたのが昭和三十三年であります。途中約三年ほど休んでおりましたけれども約二十年国会に送っていただいておるわけですし、大蔵委員会には大変長い間籍を置かしていただいております。さらに商工委員会、予算委員会、経済関係のところに長くおりますけれども、少なくとも二十年という在職の長さの中でさらにそれを将来に延長して物を見たい、こういう立場でおるわけです。渡辺さんは、そういう意味ですでに農林大臣、厚生大臣等も歴任をされておりますし、いろいろとあなたのお話を聞いておりますとあなたの独自のお考えというものがいろいろ出ておるように思うのであります。ですから、きょう初めて渡辺大蔵大臣と質疑を交わさしていただく前提として、政治家渡辺美智雄としての御答弁をいただきたい、こういうふうに私は考えるわけであります。
 私がきょうこういう角度から問題提起をしたい、こう思っておりますのは、いま行政改革の問題が大変重要な課題になっております。しかし、この行政改革の問題に対してマスコミその他がいろいろ書いておられることを見ておりますと、どうも量的な問題に非常に比重がかかっておる、こういう感じがしてなりません。しかし、私は、いま行政改革が一番必要なのは量の問題ではなくて質の問題だろう、こう考えているのであります。
 御承知のように日本は、私が当委員会に参りました昭和三十五年、この年に池田総理が就任をされて以来、所得倍増計画というものが問題となりました。私は昭和三十五年十月の十二日に当委員会においてこの所得倍増計画について、当時役柄は何であったかわかりませんが、参議院議員になって、亡くなられた村上孝太郎さんと二時間半にわたって論議をいたしたことを覚えております。要するにそれ以来日本は高度成長という方向に入ってきたわけでありますね。この高度成長がずっと続いて、そうして今度は佐藤榮作さんが昭和四十年、池田さんの後を追って総理になられました。佐藤さんは常々池田高度成長論批判でありまして、安定成長論であるべきだ、こういうような御主張でございました。私は、佐藤総理が就任をされた最初の予算委員会の総括質問で、佐藤総理と国債発行問題その他のいろいろな論議をいたしました最後に、あなたが真剣に安定成長ということをお考えになるならば、金利の自由化が完全に行われることなくして安定成長などということは、希望されてもそれは実現できませんよ、もしあなたが金利自由化に踏み切れないならば、あなたの時期は池田さんの時代よりさらに高い成長が続くと私は思います、十分ひとつお考えください、こういう問題提起をいたしました。総理は、大変いい示唆をいただいてありがとう、こういうことでありましたが、何もされませんでした。私が予告をしたように、佐藤内閣というのは池田内閣よりさらに高い成長の時期が続いたというのが過去の歴史的な経過であります。
 そういうふうにやってきた高度成長が、御案内のような石油ショックを契機にして、情勢は今度はまさに外部的力によって安定成長路線に入らざるを得ない、こうなったわけでありますから、少なくとも日本の政治のシステムは、高度成長のときに持ってきていたシステムを新しいそういう石油ショックという段階以後のこういう段階でシステムとして変えなければならぬ時期が来ておったにもかかわらず、実は今日官僚機構というものの硬直性もありますが、現在のすべてのそういうシステムは依然として高度成長のシステムがそのまま継続されておるというのが、今日の経済関係、特に大蔵行政の中でそれが一番象徴的に出ておるのは財政投融資だろう、私はこう見ているのであります。
 ですから、そういう意味では行政改革というのはまずシステムを変える、どういうシステムに変えるのか、いまレーガン米国政府が小さい政府ということでいろいろ問題提起がされておりますが、この中に私も耳を傾けるものがあると思うのは、小さい政府というのは目的としてやるべきではないのじゃないか、結果として小さい政府になるような、そういう方法論といいますか、目的意識を持つことが、実はこの行政改革で非常に大事なのではないか。それは要するに、公的なものは大体において効率というものを余り考えないわけであります。要するに競争原理がないのでありますから、常に独占的な仕組みの中で動いていますから、効率というのは二の次になって、一遍決めたシステムはそのままいつまででも持続されているという問題があるわけであります。私がいま質的な行政改革への転換という問題提起をしておるのは、この公的な部分の中に最大限、可能な限り質的な効率追求という新しい目的意識を持った対応をやるということを通じて、その効率追求ということの結果としてだんだんとシステムが変わり、人間も減っていく、こういう形が行政改革というものの本旨ではないか、私はこんなふうに実は考えておりまして、きょうはその一つの具体的な例として、財政投融資の問題あるいは新たに問題提起をいたします国債特別会計の問題あるいは金融財務官の制度についてというような三つの問題を、そういう角度から実は問題提起をさせていただきたいと思うのですが、まず最初に私の申し上げましたそういう問題意識の点についての渡辺大蔵大臣の御見解を承りたいと思うのであります。
#143
○渡辺国務大臣 私の考え方につきましては、かねて財政演説の中で当面の考え方を申し上げてございます。堀委員が御指摘のように、私も政治家でございますが、金融財政の問題というのはなかなか専門的な問題でもございます。しかしながら、事務的にはやはりある一つの枠から新しい展開がなかなかやりづらいというような場面もございます。したがって、私といたしましては政治家としてその転機をどこにつかむかというような決断をしなければならないことにときどきぶつかってまいります。やはりどうしても官僚組織というのは安全第一ということでございまして、それも非常に大事なことでありますが、それだけでは七十点は取れるけれどもなかなか八十点は取れないという場合もあります。だからといって、経験的なものだけで物を処理しようと思うと当たり外れが大きくて、あるときは九十点取るがあるときは三十点という場合もございまして、その兼ね合わせをどういうふうにしていくか非常にむずかしいところであります。お役所の言うとおり書いたものを読んでおれば大体間違いはないのです。間違いはありませんがおもしろくもない、こう言われるわけであります。しかし私はやはり間違いのないようにしなければならない。それだけで満足しないで、もう一つ、時と場合によってはもう少し効率のいいことも少しやる必要もある。それらについては独断的にはできませんので、やはり経験の豊かな大蔵委員会の皆さん方のお知恵も拝借をして、改革すべきものがあればいままでの惰性にとらわれず思い切って改革する方向に踏み切っていくということもやってまいりたい、かように考えます。
 ただいま財政投融資計画をめぐって、これがややもすると惰性できているのではないかというふうなお話がありました。私は、これは財政投融資計画ばかりでなくて、ややもすると国の予算の仕組みそのものも、何のかんの言いながら現実的にはまだまだ惰性からの脱却というものはできないのじゃないか。そのことは私の財政演説の中でも言っておるとおりでございます。どうしても、ことに高度経済成長が続き、その後で非常な不況時代が来たわけでありますが、そのときに、本来ならば当然歳出の徹底的な見直しを一緒にやるべきだったのでありましょうが、不況に立ち向かうというよりも不況を乗り切るためにということで、合い言葉のように拡大政策、特に公共事業を中心とした景気浮揚政策がとられてきた。それはそれなりにもちろん意義はあった。それと同時に、いろいろな社会保障制度を初め多くの諸制度についても、そこである程度足踏みすべきものを、いままでせっかく毎年毎年改善してきたのだからともかくここで足踏みするわけにいかない、やはり充実させなきゃということで、それ以来、昭和四十八年から五十五年まで七年間過ぎますが、その間に国の税収は二倍にしかならないが社会保障費は四倍近くなったとか、文教が三・何倍になったとかというように結局伸びてきたわけであって、その税収以上に伸びた大きな経費というものは当然何かであがなわれておるわけでありますから、それが要するに特例公債の残高ということで、公共事業の四条国債とともに残ってきた。もうすでに三月でともかく七十一兆円ぐらいになって、そのうち公共事業のために四十一兆、特例国債二十九兆ですか、それぐらいの金になるわけです。ですから、やはり予算をつけるに当たって、財源が手に入ると、どうしても切る方は血が出ますからきつい。やはり借金政策のもとではややもすると、多くの要求を抑えていく苦労よりも、どこからか財源をこそっと調達をして要求に応じることの方が――どちらかというと、ともかく安易に流れがちだという傾向は否めないし、それに対して五十六年度予算で極力刃向かってはみたのでありますが、いろいろな与えられた条件の中でやるということは非常にむずかしい。しかし、私はその一兆九千億円もあった当然増を一兆三千億円の増税の中で何とかはめてきたわけでありますから、それなりの努力はみんなでやらしていただいたつもりでございます。
 その中で、特にいま御指摘になったのは財投問題だろうと存じます。財投問題については、いま言ったようなにおいが絶対ないというようなことを言い切るほど私は自信過剰でもありません。しかし、現実の問題としては財投も七・二%といままでにないような低い伸び率に抑えてきた。それからいろいろな、いままでも一兆円とか何千億円とかという積み残し不用額といいますか繰り越し、これらについても御指摘のように惰性で予算をくっつけてきたと言われても仕方のないことがあって、会計検査院あるいは決算委員会でたまたま指摘をされておりますから、これらについても十分、今回そういうことがないようにと思って、個別の融資対象あるいは融資の事業の内容等についてはいままでになく実は目を配ってきたところであります。しかし、目の肥えた人から見れば、まだまだあると言われても、これも私は決してそれを否定するものではございません。ことしは財政再建第一年でございますから、今後とも十分に皆さん方の適切な御批判を受けて、実行できるものについては極力そういう意見を尊重してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
 大変長くなって御無礼しました。
#144
○堀委員 そこでまず先に財投問題でお伺いしたいのですが、渡辺さんのいまの御答弁は、半分は官僚組織に足を入れて、半分はやはり政治家らしいという、ややちょっとまだ割り切れてないところが感じられるわけであります。私は何も官僚組織が悪いと言っているのじゃないのです。ただ、どうしてもこれは保守的にならざるを得ない。あなたのおっしゃるように安全運転主義なんですね。私は、横道にそれますが、大蔵省の皆さんは過去に経験のあったことに対する対応はなかなかうまいものですけれども、新しい問題に対する対応力は大変不十分だと思っているのです。それは、例のドルショックが起きましたときに私はすぐ当時の大蔵省の幹部の皆さんに外為市場を閉めろと言ったのです。要するに世界の市場は欧州その他全部閉めておるときに日本だけ一週間あけているわけですよ。すぐ閉めるべきだと言ったけれども、これは当時水田大蔵大臣でありますが、全然対応ができない。要するに日本はドルの処理が大部分でありますからと言って一週間あけっ放し。全くそういうときには対応力を欠く。後で考えてみれば、だれが見たって欧州が閉めているときに日本だけがあけておるなんというばかなことはあり得ないんですが、そういう過去の例もあるわけでありまして、きょうは、そういう意味でかなり飛躍的な問題でありますけれども、問題を提起したいと思うのです。
 最初にもう一つだけ伺っておきたいのですが、いま郵便貯金の問題というのは実は郵政と大蔵との間の大変重要問題になってきておる。今度、政府は内閣に何か懇談会を設けられて調整をやろうとしておられるわけですね。私はかつて三木内閣のときに、予算委員会の総括質問で生中継のテレビを通じて、定額貯金の宣伝をしたことがあるのですよ。それはなぜかというと、ともかく金融資産として大体金利の高いものは自由に解約はできませんよ、自由に出し入れできるものは金利は低いのです。これが金融商品としての性格ですが、定額貯金はこの両方の性格を持っています、半分引き出して、あとの半分はそのままつながる、こうなって大変いい商品です、国民生活には大変プラスになるというのをたまたま総括質問ですから生中継を利用して全国に言ってみたけれども、余りそのころは変化がなかったのですね。まだ金利選好性がもう一つ高くなかったということだと思います。しかし、昨年大変な郵貯のラッシュが起きて、財投計画を見ますと五十五年の郵貯は七兆九千億、五十六年八兆九千億の収入を見ておられる、こういうことになっておるのですね。私は、この郵便貯金というのは一覧払いの貯蓄国債の変形だ、こう見ておるのですが、理財局長、これはどう思いますか。
#145
○渡辺(喜)政府委員 おっしゃるような側面も否定はできないと思います。現に、よく国債の個人貯蓄をもっと力を入れたらどうだという話がございますときに、過去の例あるいは諸外国の例等を見ますと貯蓄国債というのがよくあるわけでございます。これはたとえば郵便局の窓口で売らせる。これは市場性はない、ただしいつでも買い取り請求ができるというふうな性格のものでございますが、それを仮にわが国でやろうとしますと、これはもろにいまの郵便局の定額貯金と競合してしまうというような問題がありまして、なかなかこれは実現できないという面があるわけでございますので、そういう点を考えますと性格的には貯蓄国債等にやや似た側面を持っておるというふうに考えられると思います。
#146
○堀委員 戦前の郵便貯金運用というのは大体どうなっていたのでしょうか。
#147
○渡辺(喜)政府委員 戦前の話は詳しいことは私承知していないのでございますが、当時は郵便貯金で集まった資金というのはほとんど国債に引き当てられておったというふうに承知しております。
#148
○堀委員 渡辺さん、私は郵便貯金問題の解決の道がここに一つあると思っておるのです。それは何かといいますと、郵便貯金で入りました収入で全部国債を買うということです。要するに、五十六年度八兆九千億入ってくるやつで全部国債を買う、よろしゅうございますか。そうしますと、市中に出ているやつはずっとすいちゃうわけですね。いま市中で何が問題になっているかといったら、要するに民間資金を供給すべきものが民間資金の供給よりもはるかに大きな公共債を引き受けさせられる。そうやって、そういうことをやらせられておりながら郵便貯金がどんどんふえるというのでは、これは論理、筋が通らないではないか、ここが実は一番の問題点なのです。郵便貯金、ふえたっていいのです。それがその他の方に流用されて、七兆九千億の中で大体三兆七千億ですか、それから今度八兆九千億の中で三兆五千億国債を買いましょうといういま予定をしておる。これを全額国債を買うという問題にすれば、私は、いま郵便貯金問題たちどころに解決するのです。そうなれば、いま銀行法の改正問題の中で何か都市銀行筋は、われわれの言うことが通らなければシ団はお断りする。私は、シ団やめたらいいと思うのです。これで全部買ってしまえばシ団なんてものは要らなくなります。あとのものは公募で出したって、大丈夫いける、こう思うぐらいでして、だからどうも問題を見ていまして、われわれはやはり戦前にやっていた問題、知識というものが、どうして今日こうなったのかという――西欧の言葉に、すべては疑い得るというのがありますね。要するに、ニュートンは、リンゴが千年も万年も昔から落ちていたけれども、これはだれもがあたりまえと思っていたから、ここで万有引力の問題がなかったのだ。彼は、なぜリンゴが落ちるのか、これは地球という大きな物体とそれからリンゴという小さな物体との間ではそういう引力関係としては大きい物体が小さい物体を引き寄せるのだということをリンゴが落ちるという問題の中から要するに疑って、なぜ落ちるかということを通じて万有引力の法則をニュートンは発見したわけですが、郵便貯金問題の基本どこにあるかということについて外側ばかり議論がされている。一番核心に触れたものはないのですよ。これをやれば、そんなに郵便貯金だってふえません。なぜかというと、すでに十二月は伸び率で二〇%ぐらい減になっているのですね。そのことはどういうことかと言えば、金利がこれから下がるというときには、頂点のところでは十年行くんだからといってわっと来るけれども、下がり出してきたらそんなには来ないものなんですね。だから私は、七兆九千億、八兆九千億ぐらいの伸びとみたのはこれはリーズナブルな見方だと思うのですよ。こういう問題のつかまえ方、そういうことにしていけば、いま郵便貯金の金利一元化とかいろいろな問題が確かにあります。それは同じ競争の分野で競争させるようなかっこうになるから問題があるんであって、そこをきちっと処理してしまえば私はいまのこの郵便貯金問題というのは角度が変わるのではないか、こう思うのですね。かつて歴史的にやったことがあるんですよ、それはわが国ではやってきたことがある。いま理財局長が申したように、私はこれは完全な一覧払いの貯蓄国債だと見ているわけですから、貯蓄国債ならそれを貯蓄国債のように前後一貫してシステムとして考えるということにすることが私は郵便貯金問題の基本的な解決だ、これは財投に関係がありますからね。ひとつ政治家としての渡辺さんの見解を伺いたいと思います。
#149
○渡辺国務大臣 それも一つの大胆な考え方と思います。私は、郵便貯金がもし予定より伸びたものについては、極力国債を買わせるようにした方がいいのじゃないか、研究してみてくれということを言っております。しかし、いますぐ直ちに郵便局の財投計画、これだけあって、予算出しましてやっている最中に、私がともかくこれは財投やめちゃってみんな国債に切りかえるんだというようなことは言えないね、これは堀さん御承知のとおり。したがって、いままで財投で長くいろいろな運営をしてきていろいろな機関があるわけですから、しからばその機関の資金供給をこれからどういうふうにするのか、そういうようなものとも並行的に考えながら私はやはり郵便局の資金で財投の金というのを国債の資金に回したりあるいは郵便局に特別な国債を売らせるようにしたりというようなことを研究をしておくことは非常に大切じゃないか。これは一つの大きな大胆な発想ですからね。ですから、ことしの予算は予算でこれを通してもらって、そして将来の問題として新しくそれは研究をしてまいりたい、こう思っております。
#150
○堀委員 ことしの財投でこうやれという話をしていないのです、こんなもの制度の話ですから。すぐ来年やれるかどうかもわかりません。しかし、私がいま言っている問題の非常に重要な点を理解していただきたいのは、財政投融資の原資というのはいまの郵便貯金、簡保それから年金、あとは政府保証債、そういうものが主体として財投の原資になっているわけですね。郵便貯金で穴があいた分をじゃあどうしたらいいのか。私は、全体の金融はバランスがとれている、こう思うものですから、要するに郵便貯金の原資で穴のあいた分は民間で調達すればいいと思っておるのですよ。それが金利機能も生かされてきて私の言う効率問題の転換の一つの方向になる、こう思っておるのですよ。だから、民間の資金を借り入れることが先ではないのです。さっきちょっと石油公団の事業計画の中の資金の状態を見て、「その他」という項目がありますからね。一体何だろうかと思って、理財局に聞いてみましたら、民間借り入れでございます、こう言っておるわけですね。ですから、それが年間に二千何百億もあるのですけれども、そういうものは石油公団でもやっているわけですね。だから、そういう意味では、まず郵便貯金のものを全部国債に持っていくと、それだけ全体のバランスの中で民間はすくわけですよ。国債を買わされている分がそれだけ余裕ができる。その余裕を公団や公社に融資をしたってちっとも構わないのですからね。だから、要するに、公的なものは全部公的な枠組みの中だけで温存して、金利も固定して、そして温室でいこうという発想を、やはり中へ競争原理を組み込んでいって効率化をやっていくということになるのが、私は今後の日本経済の――特に財政投融資と言っているのですからね。これは融資なんですよ。だから、金融サイドは金融サイドらしい処理をするような方向に進むべきではないか。しかし、それはどこからかモーメントがないと動かない。そのモーメントが、いまの郵便貯金を全部資金運用部の運用から外して、郵貯の特別会計から私が次に申し上げる国債特別会計に全部入れて、そこで国債特別会計でひとつ国債を全部買わせるという形になると、まずシステムとして、システムが変われば、必然的にそこで財投に対する皆さんの考え方は変わらざるを得ない、こういうふうになってくると思います。これはまず一つの問題提起です。
 二番目の問題提起でちょっと伺いたいのですが、不用額の前に、前年度繰り越し、翌年度繰り越しというものが今日三兆円に近くなっていますね。これはちょっとお聞きになる方がわかりにくいから、わかりやすく説明してください。なぜ三兆円も前年度から繰り越して、なぜ三兆円を翌年度へ繰り越すのか。
#151
○渡辺(喜)政府委員 財政投融資というものは、おっしゃるように金融的側面を持っておるものでございますし、対象は、金融機関以外は直接事業をやっておる事業機関に金が流れておるわけでございます。この財政投融資の特徴の一つというのは、一般会計事業と違いまして、単年度というのがきちっと守られていない点でございます。これは法律上も、今年度つけた財投資金というのは原則として翌年度に繰り越して使える、つまり二年間を一応のめどとして事業を考えておる、こういうことでございますので、事業の性格自体からすでに繰り越しをある程度予想した仕組みになっておるというのがまず大前提にあるわけでございます。
 そうは言っても、しかしあり余る金ではございませんので、できるだけ繰り越しを少なく、本当に年度中に必要な資金だけをきっちりつけていくという姿勢でわれわれは臨んでおるわけでございますが、本来、事業の性格がそういうことでありますので、どうしてもある程度の繰り越しが出てこざるを得ない。特に、繰り越しの中で非常に大きいのは地方公共団体でございます。これは、たまたま地方公共団体の財政制度に出納整理期間というものがございまして、各地方団体というのは、年度中はできるだけ金利の安い金で泳いでおる。たとえば短期資金を借りて泳いでおるというようなことで泳ぎまして、最後のぎりぎりの出納整理期間に入ってこれを長期の借り入れに切りかえる、財投、長期に切りかえる、こういうふうなことになっております。一方、財投の方には出納整理期間がございませんから、したがって、地方公共団体に出る金というのは、大部分が年度を越して四月、五月に出ていく、これが全部いわば繰り越しになっているというようなことでございまして、そういう関係で、繰り越しがかなりの額に上っておったということは事実でございます。
#152
○堀委員 しかし、財投は年度がありますね。財投は四月一日から三月三十一日という年度がありますね。よろしゅうございますね。ちょっと答えてください。
#153
○渡辺(喜)政府委員 財投計画自体は年度があるわけでございます。たとえば現在予算案として出しております財投計画は、五十六年度という年度内を一応前提に組んでおるわけでございます。
#154
○堀委員 そうすると、要するに、五十五年度の地方財政が五十六年の四月、五月に借り入れる資金というのは、いまは五十五年度計画で出しておるということになるのですか。
#155
○渡辺(喜)政府委員 そのとおりでございます。地方の方としては出納整理期間中に借り受けをいたしますので、それは地方財政上は五十五年度の借り受けになるわけでございます。
#156
○堀委員 そうすると、五十五年度の繰り越しですね。いま私は五十四年度しか資料がありませんから、これで見ますと、五十四年度の次への繰り越しが二兆九千四百五十六億円、こうなっておる。だから、これが五十五年度の前年度からの繰り入れになってくるわけですね。二兆九千四百五十六億円、いいですね。
#157
○渡辺(喜)政府委員 はい。
#158
○堀委員 まだ五十五年度は、七月ごろにならなければ実績計算その他はできないでありましょうが、一応年度を区切っておるわけだから、そこで前年度繰り越し、それから翌年度繰り越しが出てくるわけだからね。これは五十四年度から五十五年度に繰り越しだから、五十五年度から五十六年度への繰り越しというのは、過去の例から見て、やはり大体三兆ぐらいになるのじゃないですか。どうでしょう。
#159
○渡辺(喜)政府委員 今年度から五十六年度にどのくらい繰り越すかというのは、実はまだはっきりわかりませんが、大体、例年のペースからいきますと二兆を超えて二兆五千億前後ぐらいのものは繰り越すことになろうかと思います。
#160
○堀委員 大蔵大臣、われわれは、財政窮迫の時期に税収を、年度越しの処理をというかっこうを一回やったことがある。御承知のとおりですね。そこで、いま財政再建中でもあるし、問題がありますので、毎年繰り越しているけれども、要するに繰越分でひとつ、ことしは全部国債を買う。なぜかというと、同じことが起こるわけですよ。五十六年は五十五年の繰り越しでこれまでやっているけれども、またそのくらいを必ず五十七年に繰り越すわけです。だから一遍しかできないけれども、一遍だけここで、五十六年度繰越分というのは間違いなく金が余っているわけだから、これでひとつ五十六年度国債を、二兆五千億繰り越したらそれだけぽんとまず買う。三兆五千億、五十六年度で財投で国債を買います、こう言っているのですね。これはここに出ている。そこへもう二兆五千億、いま先食いしちゃうわけです。そして五十七年度は、五十六年度は食っちゃうから、そこの先のところは次年度で払えばいいのだ、四月から先だから。財投計画というのは三月三十一日までなのだから、要するに、毎年繰り越しているものを一遍中抜きでぽんととって後ろへくっつけちゃう、こういうかっこうにすれば同じことになるのです。ちょうど財政でわれわれがやったのと同じことを一遍ここで財投でやってみるというのはそれなりのあれがある。
 なぜかというと、これは地方団体が主ですからね。大体、ここで見ますと、繰越額の二兆九千四百五十六億の中で、地方公共団体は五十四年度については二兆円繰り越している。だからほぼいける。地方公共団体が主ですからね。ほかのものもあると思うのだけれども、そこらを勘案しながら、要するに、これまでは五十五年度分で五十六年の四、五月に地方団体から出てくる資金需要を賄っていたけれども、何もこれは五十六年度分で賄ったってちっとも構わないのだから、その分だけタブりになる分をこっちから繰り入れ――正確に言いますとこういうふうになっているんです。五十四年度計画で見ると前年度繰り越しが三兆二千四百十八億円、それから改定計画というのが十六兆八千八百五十三億円、それを合わせた計が二十兆一千二百七十一億円、年度内運用実績額が十六兆四千五百三十一億円、翌年度繰り越し二兆九千四百五十六億円、こういう仕組みになっているんですね。だから、要するに改定計画と年度内実績というのはほぼ同じなんです。そうなれば年度内同じで、毎年そうなって、余分の二兆を毎年毎年次へ繰り越している、こうなっているんだから、それを一遍ここで中抜きで取っちまえ、そうすればあとはちゃんとそれの処理でいけるようになる、こういう提案です。――わからなかったら事務当局より聞いてちょうだい、あなたの答弁、大蔵大臣の答弁を求めたいんだ。もう事務的答弁はいいんで、ちょっと教えてください、大臣に。
#161
○渡辺(喜)政府委員 技術的にちょっと問題がありますので……。
 おっしゃることは全体としてはわかるわけでございますが、ただ、資金運用部というのは一般金融機関と違いましてラストリゾートを持ってないわけでございます。つまり、現金の支出が要るときには自分の手元の余裕金で払わざるを得ない、したがって、いつでも生じ得る支出に対応する流動性というものは常に確保していなければいかぬわけです。これが一般市中銀行ですと、たとえば日銀借り入れに頼るとかコール市場からマネーを引いてくるとかいろいろな資金繰り手段を持っておるわけでございますが、資金運用部はそういう資金繰り手段というのは一切ないわけでございます。予想されるあらゆる支出に見合う必要な流動性というのは常に手元に置いておかなければいかぬ。いまおっしゃるように、四月、五月には地方公共団体は大量の金を一挙に引き出すわけです。それに見合う資金というのは、もし仮にいまこの二兆円の余裕金で全部国債を買ってしまいますと、四月、五月はパンクしてしまう、それに見合う預託金というのはまだ入ってきませんから。したがって、常にそれだけの流動性を持って越年しませんと、資金運用部は資金的にパンクしてしまうということになります。
#162
○堀委員 いまお聞きになったのが大蔵省的発想なんですよ。いいですか。一年間余資を二兆円じっと抱いて持っていっているわけだ、毎年こうやって繰り越して。私はその二兆円を生かして使おうと言うんだ。
 それとちょっと関連があるから国債特別会計の話をしますと、いま財政法の問題がありますから国債発行その他の問題は大変厳しい処理をされております。私も財政法を尊重したいし、予算の単年度主義を崩す気は毛頭ないんですが、いまの問題は見ていますと結局非常に問題があるわけですよ。遊資二兆円、それだけをともかくじっと年度の初めから終わりまで持っているなんてことは効率的でないわけですよ。それも四、五月にどっと来るもののためにぼつぼつ集めてじっと持っているなんてことは効率的でない。
 そこで、まず国債特別会計という発想をちょっと御説明しますと、いまの国債整理基金というものを国債特別会計というものに改めたい。そうして国債の発行、償還その他の国債に関するすべての仕事をこの特別会計が一手に取り仕切るということにしたらどうかというんです。たとえば昭和五十六年度予算で十二兆二千七百億かの国債発行を一般会計が予定をした、そうしたら一般会計は国債特別会計に対して、十二兆二千七百億円の資金を調達して一般会計へ入れなさい、こういう処理ができる。同時にしかし、一般会計は国債費――幾らですか、今度の五十六年度は幾らになるかな。
#163
○西垣政府委員 六兆六千五百四十二億でございます。
#164
○堀委員 その六兆六千五百四十二億というものは国債特別会計へ入れる、国債の利払いその他。だから、国債に関することは全部この特別会計でやらせるということにして、その国債の発行パターンは国債特別会計へ一任して、別に十年債を出そうと五年債を出そうと三年債を出そうと、それは国債特別会計がそのときの市場の情勢を判断しながら出せるということにしたらどうかということが一つ。
 もう一つは、限度は設けておかなければなりませんけれども、ここでひとつ国債証券、短期国債です。これは公募によるところの短期国債の発行、言うなればアメリカのTBのようなものをこの国債特別会計で発行させる。いま特別会計は、食糧特別会計も外為特別会計も資金の必要があるときは証券が発行できる、それは一年以内、こういうふうに法律に書いてある。だから国債特別会計も一年以内と限度を限って短期国債の発行ができる。一年以内ということは年度とは別なんですから。発行したところから一年ということですからね。ただし、一年は長過ぎるから、そこで六カ月程度の国債証券を発行させて、これは市中公募で、要するにアメリカのTBのようなかっこうにしてしまう。
 そうすると、私は、おととしの十二月二十六日に金融小委員会を開いていただいて、佐々木金融制度調査会長に入っていただいて、ともかく現在問題になっておる銀行の窓販、バンクディーリングというのは適切でないと思う、なぜかというと、原価法、低価法などという処理をして決算対策をやる。統一経理基準というのは、私が、かつて高橋俊英さんのときに、山高きがゆえにたっとからず、預金量が多いからそれで銀行のナンバーがつくのはおかしい、銀行の内容によって新しい格づけをつくれという問題提起をしたのが統一経理基準になったのですから。その統一がばらばらになるようなことをしなければならぬほど現在の長期国債というものは不安定な商品なんです。銀行法を改正して安定を旨とするためにディスクロージャーをやるとか、監督行政を考えるとか、あるいは大口貸出規制をやるとか、銀行法改正というのは銀行の健全化のためにやるべきであるにもかかわらず、そんな商品を扱うようなことを認めるのは適切でない、こう言ったのですよ。そうしたら佐々木さんはこう答えておられるのです。私が学識経験者としての佐々木さん個人の御意見を伺いたい、金融制度調査会長では答えられませんからね、その問題は多数意見になっているから。そうしたら、そこが調査会長と学識経験者のぶつかるところでございますと答弁していられるのですよ。ぶつかるところでございます、慎重に取り扱いたい。これは私と同意見だということですよ。学識経験者と金融制度調査会長がぶつかるということは、意見が違うということなんだ。だから私は、大変適切な御答弁をいただいてありがとうございましたと言っているのです。
 だから、それが私のいまの銀行法に対する、要するに長期国債のディーリングはだめ、しかしそのときにもしTBのようなものが自由化されれば、これを銀行が扱うことはちっとも構いません、なぜかと言えば、六カ月のものなら、アメリカのTBでも三〇%ぐらいディスカウントすることがあるのですけれども、六カ月持っていればもとに戻るのです、ともかく一万円で買ったものは六カ月すれば一万円で償還されるのですから心配ないのですよ、だからこれのディーリングならよろしい、こういう問題提起をしているのです。だからそういうことでもしいまの国債特別会計というものができれば、銀行にそのいまの短期国債のディーリングをやらしたっていい、これは公募でいきますからね。そうなれば金利の自由化にもうんとあれがかかるし。いまの金融操作で公定歩合を下げたいと思っていても、長期金利がいまの状態だからなかなか動かせない。そこが動かせるようになるためには私は少なくとも、ここで二兆円なら二兆円でいいですよ、ともかく六・一債を一遍買い上げたらいいと思うのだ。いま八%ぐらいのところがオーバーパーで出ておるのです。にもかかわらず六・一債、いま九・四%なんというものがあるものだから、これがともかく長期金利の中で非常に異常な状態になっている。できるだけ六・一債を買い上げてここをすかしてやれば、いまの金融操作は非常に楽になるのですよ。物価が安定してくれば、いまの為替の状態その他から見て動かすことは何でもない。にもかかわらず、長期金利が固定したままでは短期金利を動かしたって意味ないのですよ、経済上の問題としては意味がない。だからそういう問題につながってくる問題として国債特別会計というものを考えて、そこで国債に対する発行問題というのの処理をさせる。そうすると、これは非常に自由化してくる。そこで、もしいまの短期資金が特に要るというつなぎは、国債特別会計がそれこそ短期の国債証券をだっと市中へ公募で出して、そしてその金を国債特別会計から資金運用部に貸してやればいいのですよ。一年間寝かしておくことはないのですよ。必要に応じて処理をすればいい、必要でなくなったら回収すればいいのですから。そういうような全体の流れを流れやすくして必要に応じて効率的な運営をするということなくして、いまの金融政策も現実問題としてうまくいかないのですよ。同時に、郵貯との関係ががたがたして、金利一元化だの何だの言っているけれども、郵貯は郵貯でほっといたっていいのですよ。要するに、問題は金利一元化となるのは銀行の方がこれと競争条件にあるからですが、全然ほったらかしていいとは言いませんけれども、何が何でも一元化なんて話では、やはり郵貯の問題というのは国民生活に密着していますから、あれがしょっちゅう公定歩合と一緒に動くなんという話では私はなかなかそう簡単にいかないと思うのです。私も金融問題としては非常にそういう点問題意識を持っていますけれども、そんなに簡単にいかない。そうなれば、そういう問題よりも別のところで処理ができる道を開いたらどうか、こう思うのですが、大蔵大臣いかがですか、いまの問題提起について……。
#165
○渡辺国務大臣 これも非常に大胆な発想で、一つのアイデアだと私は思います。国債整理の特別会計をつくった方がいいのか、そのメリットの話はいま聞いたけれども、果たしてそれのデメリットはどういうふうな問題があるか。そこら辺のところも初めて聞いたばかりで、いますぐ私は返事はできませんが、一つの考え方ですからせいぜい謙虚に、制度面の問題点も含めて研究をさせてみたいと思っています。
 私も、ともかくいま金利問題やかましいのだけれども、現実にあなたがいまおっしゃるとおりの問題があるわけですよ。全くそのとおりで、何とかもう少し国債の実際利回りを減らせないのか、クーポン価格を下げて値下がりして利回りが高くなっちゃったりして、何だかこれは逆効果みたいな話も出るわけですから、国債を減らすということが実際は一番大事なことなんですね。そこで、何とかうまい手はないかといって正直なところ実際いま頭をしぼっているのですよ、表で余り言えないけれども。ここでしゃべっちゃ同じかな。
 本当に一つのアイデアですので、真剣にそういう問題も含めて、今後国債をなくすのではなくて、いまの計画ではこれからも少なくとも建設国債を発行するんですよ。建設国債といっても国債は国債なんですから、やはり償還が始まり、続けて発行される、借りかえをするということになれば、それは大変な問題なんです。先のことを考えてみると大変な問題なんですよ。ですから、いままでと違ったことを考えないと、果たしてこれがうまく消化できるのか、私も非常に心配しているのです。したがって、中長期的な問題を踏まえてあわせて勉強させたいと思っております。
#166
○渡辺(喜)政府委員 私どもも余り考えつかないような非常にユニークな構想でございますので、実はいまここでいろいろ申し上げる用意はないわけでございますが、私どものいままでの経験からいたしますと非常にメリットがあることは事実でございます。実は、いままでわれわれの国債発行というのはどういう銘柄を幾らの量出すかということがすべてもう国会で決められておりまして、これを自由に変更するのにはなかなかいろいろ手続が要るので、そう弾力的に動かせない。そういうことになりますと、市中はもう年度の初めからわかっておる。十年債は幾ら出る、二年債は幾ら出るとこうわかっておるわけでございますので、仮に公募入札をしてみても本当にフリーな値段というのはつかない、どうしても利回りが高目になってしまう、こういうのが現実でございまして、本来発行当局としてはどういう銘柄をどういう期間のものをどのくらいの量出すかということについてのフリーハンドがなければ本当の意味の管理ができないのじゃないかというふうなことをつくづく経験から感じておるわけでございますが、そういう点を勘案いたしますと、いまのお話は大変結構な話だろうと思います。
 それからもう一つは、六十年度から大量の償還あるいは借りかえが始まるわけでございますが、その場合を考えてみますと、借りかえのときに償還する時期と借りかえる時期とが常に同じ時期にやるというのがなかなかむずかしい。量が多くなります。したがって、ある意味では先に借換債を発行して資金を用意しておいてそれで償還するとか、あるいは逆に先に償還しておいて後で借換債を発行して資金を穴埋めするとか、いろいろなそういう弾力的な方法をとらなければうまくワークしないのじゃないかというふうなことをいま考えておるわけでございますが、そういう場合にどうしても償還する金の出る時期と借換債を発行して金の入る時期と、そこのずれのつなぎが要るのじゃなかろうか。そのためには、そのつなぎ資金として整理基金で短期のものを発行することも考えざるを得ないかなというようなことも実は検討課題になっているわけでございます。
 そういう意味で、大変私どもの参考になるサゼストであったわけでございますが、一方いま大臣が申し上げましたように、これは単に国債管理という面のみならず、財政制度そのものに関連してくる非常に大きな問題だろうと思います。そういう意味で、こういう制度が本当にわが国の現在の状態のもとにおいて採用し得るのかどうか、その辺は相当深く突っ込んで検討いたしませんとどうも結論が出ないのじゃなかろうか、こういう感じがいたしておる次第でございます。
#167
○堀委員 ともかく、どちらかというと理財局は理財局の角度で、銀行局は銀行局の角度で、各局の角度で常に物を見ているわけです。私どもはそういう角度がないのですよ、全体を見ているわけですから。全体で一番整合的に、全体がうまく流れて、しかも整合性が全体としてつくものは何かというのが、率直に言って私の問題提起ですから、ともかくデメリットもあるかもしれません。しかし私は、いまの発行限度等はきちんとしないと、アメリカもそうなっていますけれども、限度をきちんとしなければ、どんどんそんなところへ出ていったらどうにもならない。しかしそれは同時に、いまのは具体的にはどちらかというと技術論ですから、そこは工夫のしようはあるだろうと、こう思っているのです。だから、いま理財局長が言ったように、実はこの借りかえの時期の直前ではだめなんですよ。いまからこれは準備をして、少なくとも来年の五十七年度から特別会計法を改め、一遍にいきませんからね、少なくとも一、二年かかって五十七年、五十八年くらいで整備できたら、五十九年からの借りかえについてはフリーハンドがあるわけだから、何も国会は十年国債を幾ら出さなければいかぬなんということを言っているわけじゃ、なくて、要するに国債によって金を調達してこいということが国会の意思として決まるわけですから、調達方法は国債特別会計でそのときの情勢をにらみながら弾力的に対応できる道がそこに確保できれば、国債問題というのは非常に変わってくる。それは国債の発行とか借りかえが変わるだけでなくて、金融政策上の問題が非常に変わってくる。だから、そういう意味では理財局という問題だけではなくて、これは金融政策全般の大きな問題になるのでありますから、どうかひとつ、さっき大臣もお答えいただきましたけれども、私はそういう問題の展望を含めて、この時期にやっておかなければ間に合わないだろう。確かに借りかえをしたりいろいろすることは、トータルの資金としては、国が金を吸い上げたものを借りかえで吸い上げてもまた逆に出る金はあるわけでして、トータルとしては同じなんですよ。しかし、金の流れというのはいろいろですから、それがうまく流れるような仕組みを通じながらやるということにならなければ金融政策上の処理はできないわけでありますから、そこらを含めてひとつ考えていただきたいということであります。
 今度はちょっと財投の問題点に入るのでありますけれども、実は財投の計画というのを見せていただきますと、財政金融統計月報というので財投のことが特集されているのがありまして、それを見ますと実は財投資金計画、それから実行状況というのがあって、不用額というのがずっと出ておりますが、五十四年の一番新しい分で七千二百八十四億不用額が出ている。不用額の中で非常に大きいのは、実は日本輸出入銀行が三千七百四十億ですか五十四年度不用額になっている。これを調べてみると、輸出入銀行はしょっちゅう不用額が出るのですよ。毎年三千億とか大変な不用額が大体出ておる。それは私はそういう金融機関の性格上当然だと思うのですね。当初予測しないものが出てくるかもしれないから当然だ。しかし、こういう不用額が七千億、その前の年一兆五千億不用額がある、そういう不用額というのは、さっきの話のようにともかく短期資金で二兆円持っていると同じように各機関に持たしているわけだ。将来不用額になっても対応できるような余資がここへみんな組み込まれている。五十四年で七千三百億からあるんですね。それは皆さんいろいろ努力しているからあれだろうけれども。それを実は後ろの方のあれでなくて、前の方のたとえばさっき例に引きましたから、石油公団を一つ例にとってみましょう。
 石油公団というのは、五十三年度実績として事業の問題ですが、五十三年度当初計画額は四千八百七十億円であったが、このうち二千二百五十億円を実行し二千六百十九億円を不用とした。石油公団は半分不用になっているのです。この財政投融資で見ますと、五十四年度というのは財政投融資だけでは四百八十九億円。いまの五十三年度でしたら八百九億円。この八百九億円の中の不用額は二百五十億なんですが、この石油公団というのは自己資金等というのがあって、石炭及び石油対策特別会計出資金、これはともかく特別会計ですから、いま税収で金が出てくるものだから、これがここへ繰り入れられてそれが九百四十二億、その他が三千百十九億、こうなっている。その他というのは何だと聞いてみたら、いまの民間借り入れだというんですね。だから、不用額が二千六百十九億円になっても財投の方はこの中の二百五十億だけが不用になったので、その他の方で約二千三百億ぐらい不用額ができている。不用額ができていいんですよ。民間から借りるといえば返せばいいんですから、何もないんですから。
 だから、こういうふうなことを見ますと、いまの輸出入銀行でも、要するに金がいよいよ足らなくなったときに後から追加の処理をしてやればいいのであって、毎年毎年不用額が三千億も立つのに、それを毎年当初計画に入れて財投計画だと言っているのはおかしい。だから、そこの不用額対応を、それは物によっていろいろあるでしょう。だから、それは十把一からげに私はいまここで言えないけれども、個々の問題を分析をしてみて、そうして必要なものは市中借り入れでやったらどうか。だから、ともかく財投を削る。そうやって財投の側を削った原資でまた国債を買う。
 いまともかく一般会計であれだけ苦労なされたのはよくわかるのですよ。ともかく一般経費四・三%、大変努力されたと思って、私は皆さんのお骨折りは理解しておるわけですが、ここは私の目から見たら何にもやっていないな。一般会計並みにともかくやるべきだ。
 私、ちょうど選挙があっておととし出てきて、大蔵省で次官や官房長の皆さんと話しをしたときに、大蔵省のために神風が吹いたと言ったんですよ。一般消費税がともかく国民の批判に遭ってつぶれて、私はこんな大蔵省にとって神風はないと言うんですよ。なぜかと言えば、この水ぶくれの財政のままでどんどん増税されてたまるかというのが私の気持ちでしたから。そこで私は次官や官房長に言ったのは、これからはトヨタではないけれども、乾いたタオルをしぼれ、幾らでもしぼってしぼり上げろ、こう言ったわけですね。しかし、五十五年度は竹下さんは一兆円で、当時私の私案では二兆円減らせと言ったんだけれども、一兆円で財政再建のイブですということだったのですが、ことしは元年だそうですね。一般会計で大分やられたことは、私はそういうことで評価をしているのです。財投、私から見たら全然だめです。だから、ここでいまのことをどうこうと言いませんよ。これはすでに国会にかかっているので、こんなことを予算委員会でやったらまたストップになったりすると困るんだけれども、ここだからストップにならないから安心してやれるのですが、ひとつ年度途中の改定計画というのを――いつも当初計画、改定計画は同じです。今度一遍改定計画でしぼり上げてほしいと思うのです。要するに、改定計画で不用が出ないように、それは多少は出るでしょうね。
 しかし、ともかく少なくとも五十六年度財投は、私まだしばらく大蔵委員会におりますので来年またここで一回やらしてもらうから、そのときに大臣はかわっておるかもしれぬ。渡辺さん、私は鈴木さんに言いたいと思うのだけれども、この際大蔵大臣を毎年かえるなと言うんです。それは渡辺さんだからという問題じゃないのですよ。大蔵大臣が、財政再建をやっている責任者がちょこちょこかわって仕事ができるかと。だから、今度大蔵省の役人の皆さんがほとんど二年いたでしょう。私は大変いいことだと思うのです。こんなものを一年こっきりでかえていて財政再建なんてやれるはずがないのですからね。そういう意味で、渡辺さんは能力があると思うけれども、能力という問題もさることながら、あえて申させていただきますと、大蔵大臣というポストはもう二年ぐらいやらなければだめだと思っているのです。だから、そうなれば来年またここであのとき言ったけれどもできてないじゃないか、こういう話になるのです。責任を持たなければならなくなるのです。大臣がかわるとちょっと迫力が乏しいやね。おまけに今度は二年皆いたものだから、そこらにおる人もかなりかわっちゃうと全然聞いておりませんでしたなんていう話じゃどうしようもないからあれなんですが、どうですか渡辺さん、ひとつ財政投融資計画、改定計画で不用がなくなるまで切り込んで、そしてことしは資金運用部が二兆ほど金を持っているんだから、ともかくそれで処理しながらやれというようなことで、しりはまたしりとして考えるとして、一遍思い切った改定計画を一般会計予算と同じようにやってもらいたいと思うんだが、どうでしょう。
#168
○渡辺(喜)政府委員 不用につきまして大変きついおしかりを受けたわけでございますが、実は五十三年度一兆五千億という大量の不用を出したのは特殊の事情があったわけでございまして、その後財投につきましても水ぶくれ体質の水抜きを一生懸命やってきたわけです。まだ非常にこれじゃ足らないというおしかりでございますが、五十六年度の財投につきましては恐らく不用額は二千億を下回るぐらいの、ある意味では摩擦的な不用でとどまるというふうに私どもは確信をしておるわけです。つまり、五十三年度異常な不用が出た後五十四年度はそれを半減いたしまして、先ほどの七千億強にしたわけですが、五十五年度はさらにもう二千億を割り込むぐらいの摩擦的な不用でとどまるというふうに思っておるわけでございます。
 全体の財投の規模につきましても、五十五年度におきましては八%の伸び、これは昭和三十三年以来一けたの伸びに抑えた。しかも、五十六年度はさらにそれを圧縮しまして七・二%の伸び。それから各機関にいたしましても五十四機関財投機関があるわけですが、五十六年度予算におきましては、そのうち二十二機関は対前年減ということにしぼっておるわけでございまして、相当重点的な資金配分には心がけたつもりでございます。輸銀の場合も、もちろん二年間引き続いて対前年減ということにいたしたわけでございます。今後ともそういう方向でできるだけ効率的な資金の配分に努めていきたいと考えておる次第でございます。
#169
○堀委員 五十五年が出ていませんから、私もそれは五十三年、五十四年のベースについてしか言えないからわかりませんけれども、まあしかしそういうことであれば結構だけれども、不用はわかるのですよ。ちゃんと出ちゃうのでわかるんだから、そこのところはひとつそういうことのないように。
 その次に非常に問題がありますのが、実は政府関係機関その他に対する一般会計からの繰り入れの問題なんです。そこで、五十六年の補助金と利子補給金、それだけをちょっと計算してみますと、これは限定したのですけれども、日本国有鉄道、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、公営企業金融公庫、医療金融公庫、環境衛生金融公庫、沖繩振興開発金融公庫、開銀、輸銀、これだけに限定したのですが、その一般会計の繰り入れば九千五百十億円ある。これは、一般会計が大変苦労して圧縮にこれ努めている中で、ともかく九千五百億円、一兆円近くの繰り入れがあるということは大問題だと私は思うのですね。その繰り入れの過半を占めておるのが実は国鉄なんですよ。国鉄は、補助金と補給金だけで六千二十二億円、ほかに交付金等を入れると七千三百五十四億円国鉄にいっているのですね。この国鉄というのは、いまのままでいったらこの一般会計からの繰り入れをずっとやらなければしようがないのですよね。これも全然問題意識なしに来ていると思います。
 私は、いまの次官が局長のときにもすでに話をしているのですが、かつて、五十一年に運輸委員会で国鉄の運賃値上げ法案その他の処理をいたしましたときに、三木総理にも出ていただいて話をしたことがあるのです。それはこういうことなんですね。私は、さっきから申し上げるように競争原理の論者ですから、競争原理は尊重しなければいかぬ、しかしその競争原理というのはイコールフッティングで競争させなければだめだと言うのですよ。ところが、いまの日本の交通を見てみますと、ともかくまず一番ぐっと伸びてきたのが自動車ですね。トラック輸送です。トラック輸送は、トラック会社は自分の車庫とトラックを持っていれば商売できのですよ。下の国道は全部国の投資でやるのです。その次に船、海運。これは船だけ持っていればいいのですよ、大体言ったら。あと港湾は、これまた全部国がつくるのだ。飛行機はどうか。飛行機は、飛行機と格納庫さえ持っていればいいのだ。飛行場は全部国がつくる。この競争に立っておる三つのものは、ベースは皆国がつくって、要するに飛行機なりトラックなり船なりを持っていれば仕事になる仕事。国鉄はどうなっているかと言ったら、下の土地から全部買わせて、そこへ線路を引いて走らせろという話ですね。私はこの間驚いたのだけれども、何だか新幹線をあと五本ほど調査費をつけたのじゃないですか。大蔵大臣、どうですか。五本ほど新幹線の調査費をつけたでしょう。ちょっと答えてください。
#170
○渡辺国務大臣 調査費、四十億ほどつけました。
#171
○堀委員 私はこれが気に入らないのだ。全然気に入らない。後年度のことも何にも考えないで調査費をつけて、この赤字の国鉄に一般会計のこの苦しい中から九千五百億円補給金をやっているところへ、まだ五線もつけて土地ごと買わせて巨額な赤字をつくらせて、その巨額の赤字の利子補給がまたいく。こんなことをやっていたら三兆円ぐらい利子補給しなければならぬ時代が必ず来るのだ。その先鞭を、渡辺大蔵大臣が調査費四十億円をつけてスタートを切った。あなたのことだからこれくらいはがんばるかなと私は思ったけれども、やはり片一方から、こっちもみみっちいと言うけれども、自民党からもみみっちいと言われては困るということかもしらぬけれども、これは将来に大変な禍根を残す、こう私は見ているのですよ。
 そこで、これに対する対策はただ一つしかないのです。実はあのときに国鉄に計算をさせてみて、もし土地を一つも買わないで、土地だけは国が提供してくれる、その上に線路とトンネルだけをつくって国鉄が運営してきたら、一体赤字はいつからになるか。五十年から初めて赤字になります、それまで赤字になりません、こういうことだったのです。そこで、ともかく国鉄の土地を国で買い上げてやる。そうすると、金は国鉄に入りますから、買い上げた分というのはともかく国鉄の資産になるし、運用が自由になるわけだから、国鉄のこの問題はここからいく。同時に新線は、これからやるときは全部国が土地を買ってから、ほかの飛行機、船、自動車並みに競争できるイコールフッティングにしてやる。上に線路だけ引きなさい、トンネルをつけなさい、シグナルをつけなさい、それだけ国鉄はやったらよろしい。あとは列車を動かしなさい。私はこうしてやるべきだと思っているのです。
 じゃその買い上げる問題はどうしたらいいか。三十年国債というものを考えてみたらどうか、こういうことなんです。それを国債特別会計で発行する。そうしますと、三十年国債というのは世代間交代になるのです。大体いまグリーンカードや何かいろいろなことで、郵貯の問題とかいろいろなことでがたがたなっているけれども、日本の国民も大分資産がふえてきたものですから、相続問題というのはこれからかなり大きな問題になる。そこで、この三十年国債は相続税対応についてフェーバーを与えましょう、三十年国債を持っておる者は、三十年国債はどのくらいを評価するのがいいのか知らないが、半分だけ相続価値と認めるとか、そこらは技術論だから検討していただくとしても、そういうことにしましょう。ただしこの国債は、一遍売ったらそれはなくなりますよ。自分が持っていて、三十年なら相続税の対価として処理はできます。しかし、売ったらもうそのフェーバーはなくなります。そうすると、がた落ちになりますから、今度はそれは三十年国債を持っていなければ損になっちゃうわけだ。持っていれば相続税に対応できるが、売っちゃったら大変損だとなれば、みんな持っていますよ。ひとつそういう国債で国鉄の土地を国が買い上げたらどうか。国民の資産ですから、どっちにしたって同じだから。三十年国債が売れた額に応じて国鉄の下の土地を国が買い上げてやる。そういう対応をしなければ、いまの新線五線をつけて楽に四十億ぐらい調査費をつけていい気になっているけれども、これは九千五百億が二兆になり三兆になり、まさにこの国鉄問題というのはいまの第二の国債と同じだと私は思っているのだ。だからここで抜本対策を講じなければいかぬ。そのためには土地を国が買うとなれば、新幹線をつけろなんといったって、国の財政でつけられるはずはないのだから、それはだめですということに歯どめがかかるようになるのですよ。何にもシステムがないから、あなたも党からやあやあ言われたら、仕方がないなということで、まあ四十億くらい、こう思うでしょうが、この四十億がそもそも災いのもとなんだ。だっていまの国債というのは、昭和四十年、私が予算委員会であれをやったときの福田さんが出した。あそこがそもそもの災いのもとなんですよ。あれは結局は出さなくて済んだのだけれども。そういう問題もあるので、ひとつ政治家渡辺大蔵大臣として、いまの私の提案、どう思いますか。
#172
○渡辺国務大臣 この整備新幹線の問題につきましては、これは大変な圧力であることば間違いない。私はむしろあなたと同じ考えでいたわけですよ。しかし私は独裁者じゃないわけですから、やはり予算をまとめていかなければならない、国会にも通していただかなければならないということになりますと、どこかの人に何か言われましたけれども、私がそれを言って問題になっちゃったわけだが、いろいろ矛盾しているじゃないかと言われる御批判のような点がなきにしもあらずなんです、実際は。(堀委員「正直でよろしい」と呼ぶ)いや、正直な話が全くそうなんです、実際上。そこでこれにつきましては、果たしてそれがペイするのかしないのか、やっていけるのかいけないのかということも含めて調査をしてもらわなければならぬ。やはり皆さんに納得をしていただかなければならぬわけであります。ですから、御承知のとおりそればいま国鉄に対して国が公費で建設をしてやるほどの余裕があるはずがないのです。だからといって国鉄自身の力で金を借りて建設するだけの力もない。貸してくれる人もない。そこでわれわれとしては、この建設費についていろいろな地方その他公的な方法での地域の負担なども含めて、そういうようなことができるという制度が整備されるまでは、仮にお金をつけても着工オーケーというわけにいきませんよということで保留をしてあるわけです。そこらのところは妥協の産物でして、それは御批判もありましょう。ありましょうが、こちらの立場もひとつ御了解をいただいて、私は堀先生のいままでの話で、本当に私が言って、大蔵大臣ではなくて渡辺美智雄個人ですよ、職務を離れて言っていることと、話が全くよく一致しているところがありまして、この辺にいる人はどちらが大蔵大臣なのかと勘違いするくらい似たような発想があるのですよ。しかしなかなかそれは詰め切れない、時間的にも。制度ががらっと変わるとかなんとかという話ですから。しかし私も非常に共鳴する部分も多い。したがって時間はかかりますが、真剣にいろいろな面から検討させていただきたい、そう思っております。
#173
○堀委員 それでは最後の問題に入ります。
 ここへたくさん来ていただいたのですが、銀行局長、証券局から小山審議官、それから理財局は渡辺さん、それから国金局長。なぜこういうふうに来ていただいたかといいますと、渡辺さん、いま私ここの委員会で何回も言うのですが、要するに大蔵省は局あって省なし。
 これは本当にあったかどうか知らないけれども、きょうは山中貞則さんいないけれども、山中貞則政務次官のときに、何か局と局が対立してどうにもならない、そこで、大臣ひとついまちょっと人事権をいただけませんかと山中さんが言ったというのですね。そこで大臣は、よくわからぬから、それならちょっと人事権を政務次官に渡すと言って、そうしたら、対立している局長、あなたはこっちの局長で、あなたはこっちの局長へかわれと。どこが対立しているのか書いてないからよくわからないんだけれども、かわった。議論してみろと山中政務次官が言ったというのですね。そりゃ立場が逆になって議論しろと皆の前で言われたらうまくいきませんわな。そこで話はついたというのが何か山中貞則氏の逸話として伝えられているというのを読んだことがあります、何で読んだか覚えてないけれども。もうそのくらいに大蔵省というのは局あって省なしだと私は思っているのです。
 こういうのを御披露してはちょっとあれかもしれないけれども、実は吉國証券局長というのがあったのですよ。その吉國証券局長のときに私は証券問題で、アメリカのようなミューチュアルファンドをひとつ日本でもつくれないか、会社型投資信託。これは日本のあれではともかくうまくないのです、いろいろ問題があるので。会社型投信をやってみたいと思った。これには税制上問題があるのですね。たまたま吉國さんという税金の専門屋が証券局長になったから、吉國さんひとつミューチュアルファンドの税制を研究してくれませんかと言ったら、それは先生おもしろいですね、やってみましょうと言って引き受けてくれた。ところがたまたま塩崎さんが参議院へ出たのかな、ばっとのいちゃって、三カ月かな、ごく短期間で吉國証券局長は主税局長になっちゃった。私はどうせ吉國さん引き受けてくれたんだから主税局長ならもっといいやと思って、吉國さん頼みますよと言ったのだ。先生こらえてください、あれは証券局長だからお引き受けできましたけれども、主税局長ではこらえてくれと言うのですね。いま横浜銀行でくしゃみしているかもしれないけれども。そのときにつくづく私は、なるほど大蔵省というのはこういう役所だなと思ったのですね。
 そこで、実は金融行政が非常に多岐にわたってきたわけです。昨年の十二月から外国為替も自由化されて、まさに国内金融業務の一端を国際金融局が担う、こういうことになったわけですね。しかし、やはり国際金融局は国際金融局の立場、その他の関連との立場で物を見る、理財局は理財局の立場で物を見る、銀行局は銀行局の立場で物を見る、証券局は証券局で見る、こうなりましたら、金融行政は一貫性がないわけだ。私のように全部やっているものはいいけれども、大蔵省はみんな縦割りで見ている。
 そこで一つの提案は、金融担当財務官というものをつくったらどうか、こういうのが私の提案なんです。いま財務官ありますよね、国際関係処理のために財務官がある。そこで金融担当財務官というのをつくって、金融担当財務官室というのを設けて、行政改革の折から人間をふやしてはいけませんからいできるだけ定員の枠の中で、そのぐらいのことはできるだろう。そうしてそこへともかく金融関係の経験者を充てて、要するにいまの金融四局の調整を図るということにしたらどうだろうか。そうなると、さっき私が言ったように、新しい国債特別会計ができるとかTB自由化になるとか――TBといっても国債特別会計の短期国債を自由化するとかいろんな問題が出てきますと、これはもう大蔵省全体の問題だけれども、やはりその中にそういうシステムを構築することによって内部的調整というものを常にうまくやらなければ、今後のそういう金融問題になかなか対応できないんじゃないか、こう思っているのですね。
 そこで、ここに各局の責任者に来てもらっているので、まずひとつそういう構想についてはどうかという意見を銀行局長からやってもらおう。
#174
○米里政府委員 御指摘のように、内外の金融というものは非常に密接な交流をしているという時代になっておりますし、また国内でも、金融というのは本来そういう性格のものだと思いますけれども、どうも相互に非常に入り組んでいるという情勢が強くなってきておるというふうに思います。したがいまして、そういった時代において役所の機構のあり方がどうあるべきかということは十分検討に値する問題だと思います。まあ私個人の意見としては、御提案の金融財務官あるいはまた金融庁、いろいろ考えようがあるかと思いますので、そういった考え方も傾聴に値するというふうに思います。
#175
○堀委員 では順序として証券局いきますかね。
#176
○小山(昭)政府委員 先生御指摘のとおり、私どもそれぞれ担当いたしております事務分掌ございます。固有の領域がそれぞれあるわけでございますが、同時にまた各局との間で非常に密接な関連のある仕事が年々ふえてきているということはこれまた御指摘のとおりでございます。私どもこれまでも一人の大臣のもとで各局間できるだけ連絡を密にいたしまして円滑な行政に努めてまいっておるわけでございますが、今後さらに円滑に相互の意思の疎通が図られ、行政がより効果的に行えるような体制ができることは大変結構なことである、こういうふうに思います。
#177
○堀委員 理財局長……。
#178
○渡辺(喜)政府委員 幾つも幾つも非常にユニークな発想をお聞かせいただいて大変戸惑っておるわけでございますが、財務官を置くという話は大変ありがたい御支援だろうと思います。ただ考えてみますと、先ほど先生もおっしゃいましたように、国際関係というのはこれからますます、国内関係との絡みというのは深くなっていくということだろうと思います。したがって、いま新たに金融財務官を設けるという話になりますと、今度は、これと現存する財務官との関係ということもいろいろ複雑な問題が出てくるのではないかと思うわけでございます。
 一般的に申しまして、次官を中心にした本当の最高スタッフという体制が確かにやや弱い。これは各省みんなそうだろうと思いますが、という感じがするわけでございまして、そういう意味では、何人かの財務官というものを置いて、そのグループでいろいろ調整をやっていくというふうなことも一案かなといまちょっと考えた次第でございます。
#179
○堀委員 国際金融局長……。
#180
○加藤(隆)政府委員 堀先生がどうしてこういうことをお考えになったのかということが大変興味深いわけでございます。
 私は国際金融というのは初めてでございまして、いろいろやってみますとおもしろいわけでございますが、外為管理法を自由化して確かに金融というのは――証券、銀行、国際金融というのは同じようなものだろう、理財は財政の問題がございますので若干違うかと思います。
 歴史的に言いますと、戦争中に確かに金融局というようなものはあったわけでございます。それから、いまから七、八年前に長期展望ということで、官房の審議官のところでそういうような勉強をいたしたこともございます。いろいろそういう問題もございますが、やはり存在しているものは理性的であるというようなところもあるわけでございます。それから時代が変わりますと、また直さなければいけない問題もある。目下のところは、まあワークしているんではないだろうか。
 それで国際金融の面から率直に申して、為替の自由化をやりまして、かなりだんだんとインパクトが国内金融にも出てくると思います。そうしますと、御指摘のような問題も当然に俎上に上がってくる。私、おととし国際金融局長になりましたときに、主要国の国際金融局の機構を調べてみたわけでございます。そうしますと、やはり人のところのまねはできないわけで、つくづく見ますと、基本的には中央銀行との関係、それからもう一つは国内金融との関係、こういうことで幾つかの類型に分けられますが、その場合に歴史的な背景をかなり深く持っているわけでございます。したがって、日本は日本のあり方をやはり考えなければいかぬなということを感じたわけでございますが、私のところの局に関する限りは、実は勝手に局内編成替えをやりまして、証券局グループと銀行局グループに課を編成替えはしたわけでございます。そういう際にも御指摘のようなことは感じましたけれども、やってみて、いまの証券、銀行と私の局との関係は大変うまくワークしているというふうに思うわけでございます。
 繰り返しになりますが、ただこれから先、日本の金融市場、資本市場がどんどん自由化するのかどうか、もしそういうような自由化という方向に行くならば、先生の御指摘のような問題も当然問題になってくるのではないかと思いますが、目下のところはいまの制度でいいんではないかと私は思います。
#181
○堀委員 ありがとうございました。いま私が言っておることは、きょう一連の問題を提起をいたしまして、システムをひとつ新しいシステムに変える、自由化の方向へ大きくドライブをしよう。要するにできるところはどんどん自由化して効率的なやり方にしていこう。その中で、国際的な中で、日本がいい位置を占められるように国民経済的に考えたらどうかというのが、私のきょうの一連の問題提起でありますので、ひとつ大蔵大臣、いま各局の関係者も述べましたが、いまの時点のことを言っているのじゃないのです。要するに国債特別会計をつくる、いまの郵貯の問題をやる、いろいろなものを一連とやった、そういう問題の集積として、そういう対応をするスタッフが必要になるのではないか、こういうことでありますので、きょう私が問題提起をさしていただいたことは部分的に受けとめないで、ひとつ全体として受けとめて検討を進めていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
#182
○渡辺国務大臣 どうもありがとうございました。
#183
○綿貫委員長 鳥居一雄君。
#184
○鳥居委員 渡辺大蔵大臣の所信表明を伺ったわけでありますけれども、財政再建、そして財政再建元年である、こう言っても、国民の目から見れば、増税元年だ、つまり肥大化した財政体質の改善、これはもうまるで努力の跡が見られないじゃないか、こう受けとめる向きが非常に強いわけです。つまり安易な増税、出に対して入り、これのつじつま合わせだけの財政再建ではないか。本当にその意味で国民の理解を得られる元年だとお考えなのかどうか、まず大蔵大臣に伺いたいと思います。
#185
○渡辺国務大臣 いろいろな御批判があって私は結構だと思うのです。ただ、結論的に申しますと、四・三%に一般歳出を抑えるということは、これは本当に中身を調べていただけばわかりますが、大変なことなんです。社会保障費のようにあんな大きな、六兆八千億とかいう大きなものは七・六も伸びているわけですから、そういう中で全体として見ると四・三%に抑えたということは、実はかなりいろいろな工夫をこらしておりまして、私もともかく税金を増税でお願いするということはやはり最後にしなければならぬというようなことでやってきたわけであります。しかしながら、この増税問題というものが出たものですから、例年になく、やはり歳出カット、もっと切れないかという議論が、非常に国会ばかりでなくて、一般世間からもそういう議論が出たということは、私はいいことじゃないかと思う、実際の話が。
    〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕
これが仮に、やはりさらに借金を続けて、どこからか持ってきて、もっとふくらましたということでは、これだけの議論は出てこない。負担の水準はどうあるべきか、その財源はどこから調達すべきか、またむだはもっとあるかないか、あるとしたらどこがあるのか、どこを切ったらいいのかというような具体的な問題について国会において御議論いただけることは、むしろ幸いなことである、私はかように考えておる次第でございます。
#186
○鳥居委員 政府税制調査会、この中期税制答申が昨年の十一月出ましたけれども、今後三年間所得減税の見送り、これを強調しています。昭和五十二年度の課税最低限の引き上げ、それから四年たつわけでありますけれども、さらにまた三年据え置きをしていくんだということになりますと、これは七年据え置くことになりまして、サラリーマンの実質的な増税、これはまた大変深刻な事態に追い込まれているのが現状だと思います。一例を挙げるまでもありませんが、たとえば五十二年当時年収三百万円の標準家庭で所得税、住民税の負担率が三・七%であったものが、物価上昇分の収入増があったと仮定すると、つまり生活水準を実質でそのまま維持できたと仮定すると、昭和五十九年には税負担率が六・七%、所得は実質的にふえないのに税負担だけが八一%もふえている、こういう実態なわけです。つまり、増税の実態というのは、一つは大衆課税の強化であり、またもう一つには急激な負担増を強いる現状であり、また低所得者ほどこの負担増という形になっている。こういう三悪が実は忍び寄ってきているということで、その年に一定の生活水準を保障したわけですから、その水準を守っていくというのが政治の責任じゃないかと思うのです。この点についていかがでしょう。
#187
○渡辺国務大臣 私どももその生活の水準を守っていくということについては、極力努めなければならぬ、かように思っております。ただ、一つの問題は、このインフレーションの問題というのは日本だけでなくて、要するに世界で特定な地域にだけ石油が産出をされて、それが非常に急激な値上がりをした。そのことが世界経済全体を狂わしてしまった。したがって日本もその例に漏れません。しかしながら、幸いに日本はまだ一けたで七%台で何とか物価も落ちつきそうである。アメリカでも、イギリスでも、フランスでも、どこでもみんな一三とか一五とかいう物価で、それに賃金が追いついている国はどこもないということからすると、世界的な比較で言えばまだ日本の方が、生活の侵食はされておるけれども、それらの先進国から比べればそれはまだ低くて済んでおるというのも事実でございます。
 ただいま例がございましたが、私どもも計算してみました。夫婦子供二人の昭和五十二年に三百万の所得のある人が、昭和五十六年で三百九十万円にその四年間にベースアップがあった。その場合の所得税、住民税、社会保険料等も計算をして差し引いてみますと、五十二年の三百万円のときには二百七十四万六千円だけれども、三百九十万円にふえると可処分所得が三百四十九万五千円ということであります。したがって二七%ばかり名目的にはふえておる。ところが物価の値上がり等を差し引いたもので比べれば、五十二年に二百七十四万六千円の実質的なものが、五十六年では物価を差し引くと、それらの諸税金を引きますから、その結果二百八十五万三千円になる。それでも、実質的には伸び方は少ないけれども、四年間のうちでは実質的な可処分所得というものはまだ三・九%ふえておるということであって、ほかの国と比べると日本の場合はそんなに落ち込んでいる――伸び方が非常に少なくなったということは事実でございますが、ここ数年間の状況を見るとほかの国よりはまだ何とかいいということであります。今後ともわれわれといたしましては、物価の安定というものに極力力を入れて、実質所得が、可処分所得が減らないように層一層の努力をしていかなければならぬ、かように考えております。
#188
○鳥居委員 ちょっと角度を変えて伺いたいと思うのです。五十六年度予算の中で税の自然増を約四兆五千億と見ているわけですね。それで具体的に五十五年度と五十六年度の数字を伺いたいと思うのですが、この税の自然増の中に占める所得税の源泉徴収分は幾らになっていますか。
#189
○高橋(元)政府委員 源泉所得税の中で給与の所得とその他利子配当でございますが、分けて申し上げます。
 四兆四千九百億円というのが五十六年度の当初予算の自然増収でございますが、その中で給与に係る源泉所得税の増が一兆二千百四十億円、二七%でございます。利子配当等に係ります源泉所得税の増が八千六百六十億円の自然増収でございます。全体の自然増収の一九・三%に当たります。合わせまして二兆八百億円、四六・三%でございます。
#190
○鳥居委員 税の自然増の中に占めるいわゆるサラリーマンに負う寄与分が大変大きい数字になっています。国債の減額と言いますけれども、もちろんこの二兆円減額に当たっては大変やりくりがあってのことですけれども、サラリーマンの寄与分に見合うような減額という傾向は否めないと思うのですね。ですから、端的に言って給与所得者に減額分を負わせている、こう見て見えないことはないだろうと思うのです。ですから、物価調整減税をやらないということは財政再建のしわ寄せを給与所得者にかぶせていくという行き方にほかならない、私はこう思うのですけれども、いかがでしょうか。
#191
○高橋(元)政府委員 ただいまも申し上げたことでございますが、給与に係る源泉所得税の増加は一兆二千億円でございます。どの部分がどの部分ということではございませんが、全体としての四兆四千九百億円の自然増収を優先的に国債の減額に充てるということで、その中から二兆円を割いて、なおかつ歳出の節減をやりまして、なおかつ必要となる部分について国民に負担の増加をお願いするという考え方でございます。
 昨年度の場合で申しますと、給与所得の源泉所得税の自然増収は九千八百二十億円でございまして、その前、ずっとさかのぼってまいりますと、自然増収の中の大体二割から多い年で半分くらいが給与に係る源泉所得税の増でございますが、それと直接、仰せのような国債減額との対等関係というものはない。全体としての自然増収を極力国債減額に充てるということが財政処理の基本的な方針であると私どもは承知しております。
#192
○鳥居委員 外国の例が大臣から説明されましたけれども、諸外国におきましては物価上昇分を見る、所得税の免税点を引き上げようという形で調整ができる税制を志向する趨勢にある、こう言われているわけです。たとえばフランス、六八年に税率表の一部に消費者物価に連動する仕組みを取り入れた。英国においては七七年、税制改正で基礎控除を物価スライド方式に切りかえた。カナダでもこの方式を七四年の一月から導入して、この五年間に標準家庭の控除額を、七四年当時三千七百カナダ・ドルであったものが七九年、五年後にはそのおよそ二倍までいきませんが六千七十カナダ・ドルへと、七四年の六五%控除を引き上げることを実際にやっておる。アメリカにおきましても、いま連邦議会では論議の最中だそうですが、七八年から、州によっては次々に物価自動調整の税法を成立させる動きにある。現にアリゾナあるいはカリフォルニア州というところではもうすでに実施。こういう考え方に立つならば、四年据え置きにしてきたということは、もうむちゃくちゃと言うしかないのではないでしょうか。まずこのインフレ自動調整の税法に、課税最低限の調整できる税法に変えていく考えがないかどうか、伺いたいと思います。
#193
○渡辺国務大臣 四年据え置いたことは事実でございます。事実でございますが、その前に日本は他の諸国に比べて非常に急激に課税最低限を上げておいたものですから、現在においても、たとえば夫婦子供二人というものを見ましても、フランスを除いては、他のアメリカ、イギリス、ドイツなどよりもまだ日本の課税最低限は高いところにある、これも事実でございます。
 それからもう一つは、フランスの場合はそういうような面で日本よりも優位に立っておると申しますが、しかしながら間接税などは日本よりもはるかに多いということも事実でございます。なお、社会保障というものを考えました場合において、たとえば医療費一つをとっても、フランスではいまでも償還払い方式で、現金を持っていかなければ医者にはかかれない。そして領収書をもらってきて組合に出して、約八割をめどに現金を受け取るという方式をやっております。私は厚生大臣もやっておって、フランスのいろいろな施設等も見ておりましたが、私は日本の方がはるかによくできておる、こう思っております。したがって、これは一つの例でございますが、やはり税負担の問題というものは、国民の公共サービスを受ける面と両方比べて考えなければならぬということも、ひとつあわせて考えていただければ幸いと存じます。
#194
○鳥居委員 一定の水準を確保したわけですね。しかも、低所得者に非常に過酷な形で税負担を強いている現状、こういうのを考えたときに、自動調整というかっこうの税制になっていないだけに物価調整減税というのが実質的に必要だ。自動調整の税法であればそれができるわけですけれども、それがないだけに今回インフレ調整分の修正というのは必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
#195
○渡辺国務大臣 そういうような状態の中ででも、ただ四年間も据え置いたのだから、世界のことは関係なく日本だけもっと減税しろ、こういうような御議論があって当然だと私は思うのですよ。しかしながら、私は全体から考えて、現在の財政事情の中ではそういうような御要望はわかりますが、しかし、諸外国と比べてそれほど過酷なというほどの状態でもございませんので、このような財政事情のもとでございますから、今回は御容赦をいただきたいということをお願いしているわけであります。
#196
○鳥居委員 それは、そういう論理があるだろうと思うのですね。しかし、昭和五十二年に一定の水準をつくり上げて手直ししないためにどんどん増税が進んでいるという事態に対しては、これは修正があってしかるべきだというのがまた当然な考え方だと思うのです。
 伺いますが、財源があるならばそれじゃやろうというお考えでしょうか。これは全体的な趨勢として歳入を図らなければならないという状況の中にあっても、下方における修正というのは私は必要だという考え方です。いかがでしょう。
    〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕
#197
○渡辺国務大臣 日本の場合は、税率などでも上の方は世界のスウェーデンに次いで税率が非常に高いのです。しかしながら、一千万円以下というようなことになってまいりますと、国際比較をしていただけば結構でございますが、それほどきついものではない。現実の問題として、三百万円のサラリーマンが一年間に納める所得税は現在でも六万六千円でございますから、一カ月にすると五千円ということになります。その他労働組合費だとかいろんなものを引かれておりますけれども、中低所得者の階層において所得税がほかのものと比べて実感的に極端に過酷であるというようにはいま私は思っておらないわけでございます。
 しかしながら、税制全体の見直しというものが将来行われるということになれば、税の構造をどういうふうに変えていくか、どういうふうな負担の仕方がいいかというような中で所得税の問題は一緒に議論をされるべきものではないか、そう思っております。したがって、いまでも財源的にももちろん私は余裕がないと思っております。どっかを極端に減らせば出てくるじゃないかという御議論があるいはあるかもしれませんが、全体とのバランスの問題もありますから、現在のところそういうように直すという考えを持っておりません。
#198
○鳥居委員 あえて主税局長に伺いたいと思うのですが、五十二年度に決めた標準家庭における二百一万五千円という課税最低限、これを七%程度、つまり課税最低限を二百十五万と仮定した場合に、初年度、平年度減収分はどういうふうに見込まれますか。
#199
○高橋(元)政府委員 ちょっといま計算をさせてみますけれども、予算委員会の方にこれからお出しをいたすことになっております所得税の課税最低限を消費者物価の上昇率だけ引き上げるとした場合の減収額試算という数字がございますが、それで申しますと五・五%で二千六百億円強でございます。これは初年度、平年度大体同じ計算でございます。
#200
○鳥居委員 それではまたちょっと角度を変えまして、税の自然増ですけれども、実際にこの三、四年を見て見てみますと、五十五年までの三年間、見込み違いが非常に大きく出てきているわけです。どういうわけか低目低目に見るわけです。この三年の実績の上から、この見込み違い額をひとつお示しいただきたいと思います。そうして、何でそんなに低目に見る必要があるのか。民間の経済研究機関、ここらあたりでも、五十六年度においては大体五兆円、私たちは少なく見ても四兆八千億程度は間違いなくあると見ているのですが、その辺隠さなければならないわけは一体どういうところなのか。
#201
○高橋(元)政府委員 税収の予算と決算がどれだけ違っておったかということでございます。ただいまお話がございましたように、当初予算で五十三年度四千七百五億円、これは途中で補正減をいたしましたので七千七百五億円、決算ではそうなっておりますが、当初予算よりは四千七百五億円税収が多く出まして、五十四年に二兆二千四百二十五億円でございます。五十五年度はただいま予算で御審議をいただいております七千三百四十億円、当初予算を上回る税収を見込んでおりますが、その前は、実は五十二年は九千七十一億ダウンをしております。それから五十年には三兆五千八百億ダウンをしたことになります。これは、税収は御案内のとおり、経済見通しなりそれまでの実績において見積もるものでございますから、経済見通しよりも、経済が下に行くときはどんどん下に行くわけでございますし、上に行くときはどんどん上に行く。どうも経済見通しの制約からそういうことに、われわれの予測能力はそれだけの制約を持っておりますので、どうしてもそういうバイアスがあることはやむを得ない。これをできるだけ見積もりにつきましては慎重を期したいと思うわけでございますが、そういう予測の誤りが出たことについて、さらに改善はしていきたいと思いますけれども、私は意識的に税収を隠そうというようなことは一つも思っておりませんので、そこは御理解いただきたいと思います。
#202
○鳥居委員 そうすると、五十六年度においては四兆八千億と見ていますけれども、年度終わりにその辺は白黒つくだろうと思うのですが、この税の自然増の開きを見ても、三千億程度の減税というのはできるのですよ。全く当てにしていない財源がちゃんとあるわけです。ですから、要するにやろうという決断がやはり大事なんじゃないかと思うのです。やらないのだ。趨勢において、収入を図らなければならない、歳入を図る時期にマイナスは何としても認めないのだ、これも一つの行き方だろうと思います。しかし、同時にまた所得税累進税率がとられている背景にも福祉効果ということがあるわけですから、四年間据え置き、またさらに三年強行据え置きをしようという考え方、これは改めなければならないのじゃないかということを強くお訴え申し上げたいと思うのです。
 それで、最後に一つ伺いたいと思います。
 内閣に郵貯懇がつくられ、これについては郵貯の急増を契機として金利の一元化あるいは官業への資金の集中、金融の分野における官業のあり方等に関する問題が提起されている。そういう中で、早く言えば大蔵、郵政百年戦争ということのかかわりからこうした措置がとられ、郵貯懇なるものができ上がっているのだなと私たちは受けとめているのですが、この経過を見てみまして、郵政の方では内閣官房に対して再々申し入れをしております。公平な人選を要求し、あるいはこの運営に意向が反映できるように何とかさせてほしいというようなことなのですが、国民経済の立場からいって、大蔵省と郵政省がお互いに話し合いができないようなかっこうというのは決してプラスじゃないだろうと思うのです。大蔵大臣として、一方の当事者として、こうした不自然な状況をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。
#203
○渡辺国務大臣 郵貯懇ができたときには、いわゆる郵便年金という問題がございまして、郵政省の方で郵便年金を逓増型でやらせてもらいたい、それに対してちょっとそれは困るというようなことですが、妥協の産物として逓増型のある一定の額の年金については認める方向を出すと同時に、一方郵便貯金のあり方、官業のあり方、それから金利水準のあり方、機動的に――やはり六十兆円も郵便貯金があるわけですから、それが金利政策の別枠で、別にあるんだということになるというと、日本の経済に対する国の政策というものは徹底しない。したがって、そういうようなものを両方について余り色のついていない第三者の学識経験者が集まって検討をして、それについての答えを出していこうということでできたわけでございまして、われわれとしてはまことに結構なことだ、こう思っておるわけであります。われわれ、郵政省と話し合いによってグリーンカード制の問題等も話をまとめてきておりますから、将来ともそういう調停者が必要な場合もあるし、なくともできる場合もあるから、同じ政府の中にいるわけですから、どこに問題点があるのか、どうすれば国民全体のためになるのかという点で極力意思の疎通が図っていければ方法論はおのずから解決が
 つくのじゃないか、そう考えております。
#204
○鳥居委員 終わります。
#205
○綿貫委員長 玉置一弥君。
#206
○玉置委員 きょうは非常に時間が、いつも短いですけれども短いので、これから通常国会の中で審議をされる大蔵関係あるいは予算関係、その辺のこれからの方向という方面で大蔵大臣を中心にしてお聞きをいたしたいと思います。
 ことしは財政元年という言葉で言われておりますけれども、われわれから見れば逆に増税元年ではないかというような気がするわけです。そして、昨年行政改革というものをかなり強硬に打ち出されはしたけれども、実質成果が上がっていないし、また見込まれてもいない。その辺から見て、非常に安易に増税だけに頼っているようなこれからの財政運営というような感じがするわけでございまして、その辺からまず大蔵大臣にお聞きをいたしたいと思います。
 大蔵省で「財政の中期展望」というものを出されましたけれども、五十六年度予算を見ても非常に場当たり的という感じがしますし、そして歳出削減とうたわれながら復活折衝によって相当な金顧がふくらまされた、そういう事実があります。そういうところから見て、鈴木内閣そのものに財政運営に確固たる方針がないのではないか、そんな気がするわけです。だれかの答弁の中に何とか予算という言葉がございましたけれども、まさにあっち向いたりこっち向いたりというその合間を縫って出てきたような予算、そんな気がするわけでありますけれども、この中期展望は大蔵省側でつくられたものですけれども、鈴木内閣としてまず今後の財政運営をどういう方針でやっていかれるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
#207
○渡辺国務大臣 私どもといたしましては、ともかく五十九年度までに特例公債から脱出をしなければならぬ、そのためにはやはり経済というものについて安定的な繁栄を図っていかなければならない。一方それによって当然自然増収というものは見込めるわけでございますから、それは何と言ってもいろんな施策を講ずるためには財源がなければ何にもできない。一方は借金を少なくする、一方はしかし収入がふえなければ新規施策にはもちろん対応できませんし、それから毎年必然増的にふえる経費がございます。今後老齢化社会というのはますます進んでいく、そういうようなときに当たって、やはりそれに対応していくものは財政であります。したがって、その財政の基盤というものを強化しなければならぬ。しかしながら、いままでややもすると惰性で歳出が出ておったというような御批判を受けてもやむを得ないなという点もなきにしもあらずでございますから、歳出面においてはともかくいままでの慣例にとらわれず、できるものは極力これをカットしたりあるいは抑制したり、そういうことをして、それでもなおかつ不足する部分については最小限度国民に御負担をお願いする、そういうことでやっていこうということで組まれたのが今回の予算でございます。したがって、われわれは今後ともそれらの方針に従い、物価を安定しながら、国民生活の安定もあわせて図っていくつもりでございます。
#208
○玉置委員 いまは非常に財政難であるから、まず財政を健全化してやっていこう、基盤を固めよう、そういう方向はわかるのですけれども、それは渡辺大蔵大臣でなくても、たとえ大蔵大臣がいなくてもやらなければいけないことなんですね、財政再建というのは。というのは、ある程度悪化してしまうと今度は収拾がつかなくなるということですから。ところがそこへ政策というものが加味されていかなければいけないのではないか、大蔵事務当局として考えるのは、いまの制度の中でこういうやり方をしていくのだという、いまの制度の最大拡大解釈ということをやりながらやっておられるわけで、これは当然なことでございます。そこに今度は政策面でどういうことを国民にアピールしながら、そしてどういうビジョンを描きながらやっていくのか、その辺を知りたいわけです。
#209
○渡辺国務大臣 玉置委員のおっしゃることは、今回「財政の中期展望」というものを出したことについて、これに政策が加味されていないじゃないか、ですから政策を加味して中期展望を三年間こしらえたらいい、こういう御主張ですね。これは非常に困難なことでございまして、やはり現在の制度、現在の政策というもので後年度どれぐらい負担が生じるかというものを中心にしてこれは書いたものなんです。ある程度機械的に書いたと言えばそれまでのことなんであって、本年度はやはり要求ではかなりの伸びがあるわけです。あるけれども、それには政策的に抑えるものは抑えた、切るものは切ったというようなことをやって、四・三%という二十五年ぶりの歳出の非常に小さな伸びにとどめたわけですから、来年、再来年以降についてもどういうふうにやるかということはまだ決まっておりません。ただ言えることは、極力歳出を抑制してということでございますが、たとえて申しますと、われわれは補助金というものを極力抑えようということで千七百億円弱の補助金を抑えた。にもかかわらず、結果的には六千五百億円も補助金がふえちゃった。何でふやしたんだという御疑問があるのも当然なんです。しかしながら、そのうちたとえば六兆数千億円の社会保障費の中だけで補助金が五兆円あるわけですから、その五兆円の補助金の九七%というのは法律によって定められておるものなんです。したがって、その補助金のうち、ことしの予算で三千数百億円というものは実は社会保障費の補助金なんですね。ですから、こういう大きなものについては仕組みや制度を変えない限り、法律で決まっているわけですから、どうしてもふえていく。たとえば、インフレになれば当然年金の問題等についてもそれはインフレ率に合わした年金の改定といいますか、ベースアップを行なえ――一つの例ですよ。そういうようなものは当然ふえていくわけですね。したがって、そういう制度を変えるとか変えないとかということが決まらないうちは、現在の制度のままで計算する以外に計算の方法が実はないわけでございます。したがって、現在の制度でこれは後年度負担推計を見積もったということであって、このとおり将来予算を組むということじゃもちろんないわけです。したがって、どういうふうにこれらの歳出の伸びを抑えていくか、あるいはどうしてもそれは抑え切れないものなのか、抑え切れないとすればその負担の仕方はどういうふうな形で負担をしていったらいいのか等も含めて、そのときどきのいろいろな経済事情や世論の動向、そういうものも見きわめた上で国民の納得のいくような予算の査定をしていかざるを得ない、そう思っておるわけでございます。
#210
○玉置委員 苦労されている内容はわかるのですけれども、ただそれは内部の話であって外から見たらというのは変ですけれども、いわゆる国民の側から見たら本当にただ安易に増税に向けて出発をしたというふうに感じるほかないわけです。何度も申し上げますけれども、先ほど鳥居委員の方からお話がございましたように、いまの所得税減税の話もございました。それはどういうところから来ているかというと、課税の不公平というその辺の認識がまだぬぐい切れない。大体、すべてそこから出発しているのではないかと思うのです。やはり意識の転換を図っていくということが大変必要ではないか。そして、個々に自分の身の回りでわかるように具体的な例で改善をしていく、そういうことがあって初めて国民の協力が得られるわけですから、そういう意味からいきますと、そういうまず前段を抜いて結論から出発した、そんな気がするわけです。私が聞きたいのは、たとえばいまは財政的に非常に苦しい、しかし、五十九年でいま予定としてはある程度、半分だけよくなる、残りはまだ続きますから返還があるわけです。それが今度終わった場合にどういうビジョンがあるのか、いわゆる国民に夢を持たせるというか、言ってみればあめでつるような話になりますけれども、そういうのを打ち出してほしいということなんです。それがなければ政府なんというのはあってないみたいなものですね。ただ行政サービスで、いわゆる日常のことだけやっていればいいということではなくて、やはり政策というものを打ち出して、それにいろいろなサービスをつけていくという動きが必要ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#211
○渡辺国務大臣 たとえば日本の経済というものの発展を持続さしていくためには、それは何と言ったってエネルギーの確保が必要です。したがってエネルギー対策についてはたとえば石油からの脱却という点でいろいろなエネルギー政策予算というものについては特別に余分につけておりますよとか、それによって将来の要するに石油依存度を少なくすることは日本の経済のためになることですから、そういうようなことはもちろんやっておるわけです。と同時に、現在のような状態では今後老齢化社会を迎えても財政がそれに対応できないし、またどこでどういう災難があるか、地震があるかわからぬわけですから、そういう場合にも政府が頼りがいのある政府になっていかなければならぬ。そういうふうな展望からして現在の財政のままではいけません。だから財政の健全化を図るということでスタートしておるわけでございますから、私は将来に夢がないというのではなくて、このまま行ったらだめになってしまいますから、このまま行くことにブレーキをかけてやはり夢を持たしていくということだ、こう思っております。
#212
○玉置委員 要はビジョンが欲しいということなんです、悪くなるというのはみんな認識しておるわけですけれども。その辺でできる限りそういうPRをお願いしたいということで、これは自民党政府にお願いすることですからわれわれ野党としては別にどうでもいいということにもなるわけですね。そういうことでございまして、後の動きがいろいろうわさされておりますけれども、そういう動きのために必要ではないかなと、われわれが気にすることではなくて、逆にどっちかというと攻撃する方ですからいいのですけれども、そういう意味で申し上げたのです。
 この中期展望の中に、特に経常部門の伸び率が五十七年以降一〇%前後というふうになっておりまして、五十六年でせっかく抑えてこられたそれを一気にまた元に近いレベルに戻すというようなことに結果としてなっておるわけですね。それでいままで五十五年行革と言われておりますいろいろな内容、そしてこれからさらに第二臨調というものをつくって推し進めていこうという動きの中でそういう評価が全くなされていない。これはあくまでも現行制度で想定をしたということで多分言われると思うので、それはそれであたりまえのことですから、それじゃたとえば行政改革というものをどういう評価をしておるのか、大蔵省としてどういう取り組みを行政改革についてやっていくのか、いろいろな話をいままで聞いておりますけれども、要するに金額評価とか具体的な数字ではなかなか出てこないのですね。できるだけ具体的な内容でその伸び率をなぜ上げたのかという話と行政改革の話をお願いしたいと思います。
#213
○渡辺国務大臣 委細については政府委員から答弁をしていただきますが、行政改革と申しましても、ばっさりそんなに人が減るものじゃないのですよ。かなり政府としては減は減として減らしておるのですが、一方どうしても抑え切れないというふうなものもあるわけです。たとえば国立の医科大学、こういうようなところだけでも――医科大学を途中でやめちゃうわけにいかない、四年生は五年生にしなければいけない、五年生は六年生にしなければならぬ。医科大学をつくったのが間違いだと言われましても、与野党挙げてともかく医科大学をつくれつくれとみんな言ったわけですから、それで一県に一つ医科大学をこしらえようと国立もかなりつくったわけです。そういうものが結局まだ全部そろってないということになれば、一例だけれども文部省だけでも二千八百人もふえる。片方で何千人も減らしても片方で何千人もふえる、差し引き計算したらその割りに減らなかったと言うけれども、それは減らすことをやらなければ、ふえるものが重なっていくだけで、もっともっとふえてしまう。したがって、今後とも行政改革については熱意を持ってやってまいります。
 しかし、行政改革というのは非常に遅効性のもので、すぐに何十万人の役人の首をばさっと切れるというような、そういう筋合いのものじゃないのですね。それで、国鉄なんかにおいても、われわれとしては昭和六十年までに七万人減らす。ことしも一万一千人減らす。たった一万一千人じゃだめだ、もっと減らせという議論もありますよ。ありますけれども、余り非現実的なことを言ってもこれは仕方のないことであって、とりあえずわれわれはこの七万人減らすというものでやっていったらどうだということでスタートをしておるわけでございます。
 でございますから、行政改革についてはわれわれも情熱を持ってやっておりますが、しかし、第二次臨調というものは、まだ人が決まらないうちに、何人減って、どこで幾らの金目のものをということをこの計画に書くわけにいかぬわけですよ。まだ輪郭も何も決まってないわけですから、決まってないのを先取りしてしまって、今度は幾ら幾ら減らすんだということの見積もりをここに書くわけにはいかない、だからそれは書いてないんです、こういうわけであります。
 ただいま私がお話しした、国立学校の人がふえたのは二千八百と言いましたが、二千百十八人だそうでありますから、これは訂正をいたしておきます。
 それからもう一つは、なぜ四・三%の一般歳出が五十七年になったら一〇%になってしまうんだ、こういうような御批判でございます。
 これにつきましては、政策的にことしは抑え込みをして、かなり切るものは切って、そして伸ばさないようにしたり、いろんなことをやった結果が、歳出が少なくなったわけです。しかし、それをやらないとすれば、ことしもかなりの高い水準なんですよ。主計局では、抑え込んだものとカットしたものと両方合わせて約八千数百億円ぐらいのことはやっておるわけですから、それをやらなければ、その分だけはもうどんと一般歳出がふえるということになるわけです。したがって、来年もそういうような政策目的に従ったことをやらなければ、これだけふえます、昭和五十七年も。
 しかし、やれば、どういうふうなことをしてやるか、これは今後御相談をして、もっとこれを減らさなければならない。減らすに当たりましては、法律事項みたいなものもありますから、そういうようなもの等については制度を改革するとすれば、国会の御承認も得なければ改革はできない。大蔵省だけではできません。したがって、それらのことば今国会を通して皆様からいろんな御提言をいただき、その御提言を極力生かすようにして、制度の改革も含めて、やはり減らしていくようにしたい、こう思っております。
 不足分は政府委員から答弁していただきます。
#214
○西垣政府委員 技術的な推計の問題につきまして、私からお答えいたします。
 中期展望は、五十六年度予算の前提であります制度、施策、これを前提といたしまして、五十七年度以降それがどういう形になるかということを推計したものでございます。したがいまして、行革の問題につきましても、五十六年度予算までにすでに決定済みのものにつきましては極力織り込んでおりますし、今後決定されるもの、これはふやすものにつきましても減らすものにつきましても、推計という性質から入れるわけにいきませんので、これは今後減らすことができますれば、歳出の削減という形で、要調整額の解決災ということになるわけでございます。
 具体的に申しますと、昨年末に閣議決定されました五十五年度行革につきましては、たとえば国家公務員の定員削減につきまして、今後五十九年度までに二万二千六百七人の非現業定削をやるという計画になっておりますので、均等に削減するということで織り込み済みでございます。その効果といたしましては、五十七年度が百五十三億、五十八年度が三百十二億、五十九年度が四百七十六億、こういうふうに織り込んでおります。
 また、特殊法人からの国庫納付につきまして、電電公社あるいは日本中央競馬会につきまして、今回、五十五年度行革ということでお決めいただいたわけですが、その中の五十七年度以降の効果につきましては一応織り込む、こういう形になっております。
 第二臨調につきましては、先ほども申し上げましたように、今後の話でございますので、推計には入れておりません。
#215
○玉置委員 大蔵省としては、現行制度ということである程度しようがないと思うのですけれども、ただやはり、増税ということだけではなくて、たとえばいまの税収の中でカバーをしていくんだというふうに考えた場合、逆にどこまで削らなければいけないかという話が出てこなければおかしいのですね。
 たとえばいままでの予算の中で、いろいろヒヤリングをなされたり折衝をなされたり、そういう中で、要らないのもあるだろうし、また、繰り延べしてもいいというものもあると思うのですね。そういうものが一切加味されないで、単にいまの状態をそのまま既存で拡大していけばと、何かそんなふうに受け取られてしようがないのですけれども、これでは本当に政策は何も入ってこないわけですね、大蔵大臣。何回も言いますけれども、そういう意味でね。
#216
○渡辺国務大臣 それはそのとおりでございます。
#217
○玉置委員 それで、われわれが大変不思議なのは、たとえば、一般消費税のときに国会決議をやりましたね、それがありながら、なおかつ検討されて表明までされるという事態が続く、そういうふうな変わりようになって、要するに、とり方によっては、それだけ財源が足りないんだということにもなりますし、だから、決議に反してまでやるというぐらいの気構えでやっておられるということにもなるし、逆に言えば、国会決議が無視されているということにもなるし、そういう意味で、一つの政策転換にもなるわけですね、国会決議に対して方向を変えるということですから。そういう内容から見て、この中期展望は非常に不備な点が多いのではないか。
 不備な点というのは、要するに、五十六年の推計しか出ていないということで、何のために出されたのかということがわからないのですね。だから、同じ出すなら、たとえば三段階ぐらいに分けて、こういう場合はこうだ、こういう場合はこうだといろいろな話をされて、閣議の中でいろいろ論議されて、それで方向を決めていただくとか、そういうふうに本当はやってもらいたかったと思うのですよ。それでなければ、非常にこれから先やりにくいのではないか。やはりこれはわれわれが見れば、いまの財源、増税のためのいわゆる土台というかたたき台になる、そういう感じですね。
 そこでちょっとお聞きしたいのですけれども、さっきの行革の中にもあるのですが、予備枠というのがございますね。これは五十七、五十八、五十九とだんだんふえてきているわけですけれども、予備枠というのがなぜ必要なのかということ。多分、新規事業をここで賄っていくんだ、そういう話が出てくると思うのですね。新規事業というのは、自然増収の中で吸収していくのが本当じゃないか、そういうふうに思うわけです。特に、財源がないというのがわかっているわけですから、何で新規事業をやらなければいけないのか。経常だけの中でやりくりしながら、経常のある部分を削って新規に回せないのか。そういう努力が見えないのですね、こういう分け方をされると。
 現在ある中で、経常は経常で置いておいて、その中で予備枠というのを別につくられましたね。そこで、新しいことをやはりこれから政府としてもやっていかなければいけない、それはこれでやっていくんだ、多分そういう説明になると思うのですよ。ところが、経常経費の見直しというのは、そうなるとやっていないのじゃないか。本当はそこで、余った部分で、要するに見直した部分で新規事業をやっていくんじゃないかということですけれども、どうなんですか。
#218
○渡辺国務大臣 これはちゃんと前からお断りしていますように、政策的なものは加味しておりません。これは最初から断っているのですよ。だけれども、たとえば、この中で人件費は一%増しか見ていないのですよ。これからずっと一%増でいけばこれは何も問題はないのです。
#219
○玉置委員 五十七年以降は一%じゃないですね。全部一%ですか。
#220
○渡辺国務大臣 全部一%増を見ているのです。したがって、これは本当に物価が安定して一%増ぐらいで済んでしまえば予備枠のかなりの部分も少なくて済む。しかし経済の問題はよくわからぬわけですよ。人事院の勧告が出たわけでもないし、何でもないわけですから。したがって、そういうようなものや新規事業をやるといってもどういう事業をやるかということは決まっていないわけですから、これはアメリカとかドイツがやっているようなものも加味して、それらの国でも大体一・五または一・四幾らとか、その辺の予備枠で見ているわけですよ。また現実に日本の場合も、統計的に新しい事業というのは約一・五ぐらいになっているということだから、そういうものを一切ひっくるめてここで一・五ずつ予備枠として見た。だから、この予備枠のふえる分は一般の経常経費をもっと切り込んでいって、それだけはめ込んだらいいじゃないかというのは政策なんですよ。それは見てありません、こう言っておるわけですから、それをはめ込むようにすれば予備枠は当然少なくなるわけですね。そこが政策なわけですからね。しかし、どういう政策を展開するかということはいまの段階で申し上げられませんよ、三年も先のことは、この変動、激動する経済情勢の中でどういうふうなことになるか、何が起きてくるかわからぬ、だからその政策を、三年先までこういう政策、こういう政策ということをここで決め込んでしまうわけにいかない。この財政計画は日本だけじゃないのです。どこの国でもそうなんですよ。先のことまで手足を縛ってしまって、発表してしまって、ああ政策変更、別なことだというわけにはなかなかいかない。
 だからここではっきりしていることは、要するに五十九年度までに赤字国債から脱却しますということだけははっきりしているのです。もう一つは経済の成長とそれに対する増収、これはこういう仮定のもとでこの数字が出ました、これもはっきりしているわけです。ただその中身がはっきりしていない。これは最初からお断りしているわけです。こういうものしかできませんと最初から言っておるのですが、出しなさい、出しなさいと国会でずいぶんやかましく皆さんから言われまして、かなり勉強したのです。この中で一番むずかしいのは何かといったら、要するに積み上げなんですよ。あとはできるのですよ。各省のものをともかく持ち寄らせて、その一応の積み上げの中で推計して伸ばしていますから。それがえらい時間がかかったということが実情のようでございます。それ以上詳しいことは私もわかりませんので、事務局からつくった人に説明させます。
#221
○玉置委員 時間が来ましたのでやめますが、新経済社会七カ年計画というのがありまして、あれは非常に先の話まで、二百四十兆円使うとか決めているわけですね。そういうのもありますから、見通しとして大筋の枠はやはりある程度決めていただいた方が進みやすいのではないか、これは個人的な意見でございますが、そういうことで、ぜひビジョンを打ち出してほしいということをお願いして終わります。
#222
○綿貫委員長 簑輪幸代君。
#223
○簑輪委員 きょうは、東京信用金庫をめぐる不正、腐敗の疑惑の問題についてお伺いいたします。この問題については、昨年の十月二十二日に参議院の決算委員会においてわが党の市川正一議員が取り上げております。
 まず最初に、東京信金新宿支店の共同ビル転売に絡む浅野理事長の九千六百万円着服の疑惑について、その後の調査の結果をお伺いしたいと思います。
#224
○米里政府委員 市川先生が御指摘になりました新宿ビルの問題ですが、その後私どもの方でこの件につきましていろいろ調査をいたしました。しかし、何分にもその後の役職員などにも相当の異動がございましたし、あるいはまた関係資料がかなり散逸しておる。と申しますのは、御承知のようにこの御指摘の件は昭和四十七年という時期の問題でございまして、約十年の歳月を経ているということもございまして、事実認定にかなり大きな制約がございます。そういった中で金庫からも報告を求めましていろいろ調査をいたしましたが、現在の段階では、私どもはなお完全に事実を把握しておりません。引き続き調査を続行しておるという段階でございます。
#225
○簑輪委員 いつごろまでにこの調査が判明するかというようなことがわかりましたらお伺いしたいのですけれども……。
#226
○米里政府委員 先ほど申しましたように、問題は、いろいろな話を聞くということだけではいろいろな説がございまして実態がよくわからない。したがって、それを何か客観的なものとしてとらえていかなければならない。そういった客観的な把握がいつなされるかということは、現段階では確定的にはお答えいたしかねるという状態でございます。
#227
○簑輪委員 できるだけ早急に、厳正にお願いしたいというふうに思います。
 さらに日研製薬の問題については、分類債権でありながら昨年の六月から十二月末までの間に新たに六千三百万余りの貸し増しが行われているということです。大蔵省はこのような問題についてどのような行政指導を行われたのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
#228
○米里政府委員 これは個別金融機関の個別の融資でございますから、基本的には経営者の判断で融資がなされるということになります。そこで、私ども行政の立場といたしましては、検査というシステムがございますので、検査などの機会を通じまして、個別の融資の内容が適当であるかどうかというようなことをチェックいたしまして、その結果適当でないものがありましたら、その金融機関に対して改善方を指示するというやり方をしております。
#229
○簑輪委員 日研製薬の問題については、かねてから指摘されておりますように非常に問題があるわけですから、ぜひ行政指導を行うべきではないかというふうに考えますので、今後そのようにお願いしたいと思います。
 次に、東京信用金庫が五十三年の六月二十一日に当時の長岡事務次官それから元銀行局長の高橋英明氏に、大蔵省異動に際しお祝いということで三十万円贈ったのではないかという疑惑について、調査の結果はどのようなものでしょうか。
#230
○米里政府委員 この点も先日市川議員が指摘されまして、その後私どもは調査をいたしました。市川議員が御指摘になりましたのは、四十九年六月二十一日付の交際費支出伝票というものを示されて、ただいまお話しのように長岡、高橋両氏の――失礼しました。市川議員がお示しになりましたのは五十三年六月二十一日という日付の伝票で、その中で長岡、高橋両氏に対して金品が支出されたのではないか、こういう御質問であったわけですが、この点は、具体的な伝票を当たりまして私どももいろいろ調査いたしました。まず、五十三年六月二十一日という時期にそのような支出がなされた事実はないということでございます。そこで、またいろいろ調査をいたしました結果、五十三年六月二十一日ではなくて四十九年六月二十一日付の伝票、年が違っておるわけですが、四十九年六月二十一日の伝票に御指摘のような交際費ということで金額が記載されているのを発見したわけですが、その後さらにこれを調べてまいりますと、これはその後の伝票によりまして、支出を取りやめて戻入処理が行われておるというようなことであります。具体的に申し上げますと、まず四十九年六月二十五日付の収入伝票で交際費に戻し入れをしております。金額は三十万円のうちの十万円、支出中止のため戻し入れということで十万円戻しております。それから続きまして、四十九年八月十四日の収入伝票でさらに二十万を交際費から仮払い金に戻し入れをしております。どうしてこういうことになったのかということを金庫からも聴取いたしましたところ、これは全く内部のミスであるということで、金庫内の問題で、記載された方々とは全く関係のないことでありますということが一札私どもの方に、関東財務局長あてに出されております。それから、当該長岡、高橋両氏に確かめましたところ、この時期にそういう金品を受け取ったことは全くないということでございますので、これは何か金庫の内部の問題でございまして、両氏には全く関係ないというようなことが判明したわけであります。
#231
○簑輪委員 いま御説明を伺いましたけれども、全く内部の問題でと申しましても、このような大蔵省関係の名前がひょいと出てくるというのも考えられないわけでして、その点から言えばこれはもっと厳しく追及をしていただいて、なぜこのような名前が伝票に記載され、あるいはまた年度も違っているなどというようなことは非常に不明朗なことですので、一層厳正にやっていただきたいというふうにお願いをしておきます。
 そして、その後の私どもの調査によれば、元銀行局長の高橋英明氏については、五十年の退官直後から、東京信金から毎月二十五日前後に三十万円ずつ顧問料名目で受け取っていたということが判明しております。この受け渡しについては、東京信用金庫は、ここに伝票があるのですけれども、主要取引先接待という名目で支出をしておりまして、理事長の秘書などが直接高橋氏に持っていったというふうにされているわけです。最近では五十五年の四月三十日、五月二十九日、六月二十五日、七月二十二日、九月二十二日、十月二十五日、十一月二十八日と毎月三十万円ずつ支出されているということです。こういう事実について大蔵省は御承知でしょうか。
#232
○米里政府委員 先ほどの市川議員の御質問に対しまして私どもがその実態を調査いたしましたのは、長岡氏は当時現職の公務員であった、高橋氏も現職の公務員であったということがございまして、そういった事実の有無というのはいわば本人の名誉に関することでもある、あるいはまた行政庁としての綱紀というような問題もあるということから調査させていただいたわけであります。その後高橋氏が退官されまして、その後は私人としての行動でございますので、その私人と個別の金融機関との間のことにつきましては、私どもとしては特に関知していないと申し上げたいと思います。
#233
○簑輪委員 形式的な御答弁ですが、これは元銀行局長という大蔵省と非常にゆかりが深いわけでして、それが特定の金融機関とこのような密接な結びつきを持っているということは非常に問題だというふうに思います。そこでいまのお答えですけれども、さらにとの問題は追及をし、調査をしていただくようにお願いをいたします。いかがでしょうか。
#234
○米里政府委員 私が一般的に金融機関その他に対しまして行います調査についてお約束いたしますのは、経営の健全性の確保という観点からどうであろうかということ、本来金融行政面ではそういった面からの調査になろうかと思います。例外的には、先ほど申しましたような現職の方であるというような観点から調査するという点もあろうかと思いますが、退官された後でございますと、特に公務員法その他の関係がございません限りきわめて個人的、私人間の問題になりますので、私ども行政当局として調査するということは、残念ながら、申しわけございませんがお約束いたしかねるということでございます。
#235
○簑輪委員 それにしても、私人としてとおっしゃいますが、大蔵省との関係というものはだれしも考えるものでございまして、これは重大な疑惑として私ども引き続き追及していきたいと思っております。
 ところで、こうした大蔵省と東京信用金庫浅野理事長との癒着についてですけれども、さかのぼれば昭和四十三年の金融二法の法案成立のとき、この法案成立を目的として当時の銀行局幹部が浅野理事長に野党工作を要請したというふうに言われておりまして、そのためもあって、金融二法成立直後に、当時の澄田さんですか、それから高橋英明氏、田辺氏、長岡実氏の連名で盾を浅野理事長に贈っているというふうに聞いておりますが、この点は御承知でしょうか。
#236
○米里政府委員 金融二法のときに浅野理事長がどういう行動をとられたのか、あるいはまたおっしゃるような盾ですか、贈っておられるかどうかということは存じておりません。
#237
○簑輪委員 こういうかかわり合いについて非常に疑惑を持たれるわけですので、一度ぜひそれをお調べいただきたいというふうに思います。
 次に、重大な問題は、こうした経過からも見られますように、東京信用金庫と政治家との癒着の問題です。
 ここに領収証もあるわけですけれども、昭和四十三年ごろからずっと自民党とか社会党とか民社党とかにかかわり合いのある政治献金が行われているわけです。その中で幾つか申し上げますと、四十九年五月二十八日に秋田大助氏外三名の方に百二十万円。それから四十九年七月十一日、新政懇話会に百万円。それから五十年の七月三十日に生活環境問題研究会に三百万円。五十一年の十月二十八日に昭和政治経済研究会に九十九万円。五十一年の十月二十八日に国際情勢調査会、これは秋田大助氏の政治団体だというふうに聞いておりますが、九十九万円。五十二年の十二月二十八日に日本経済振興会に百万円。五十二年十二月二十八日に日本民主政治協会に百万円。それから五十四年九月二十八日に税理士による只松祐治後援会に百万円、それぞれ贈られているということが私どもの調査でわかっているわけです。ほかにもあるかもしれませんが、私どもは一応こういう調査をした中で、政治家との癒着ということの結果、一つの例として言えば、松井産業という会社に対する融資の問題を指摘したいと思います。
 五十四年の七月二十日、自民党の代議士秋田大助氏の紹介で、秋田大助氏の秘書と松井氏が東京信金に訪れ、第四銀行との融資を東京信金と取引移管したいという申し入れがあったわけです。取引移管の直後の五十四年の十二月一日には不渡りで取引停止処分となっており、約四億円の貸出残高、貸し倒れという状況になっております。こういうふうにわずかの間に莫大な貸し倒れが起こる、そういう融資に対して自民党の政治家が関与しておられるということで、これらもあってこの東京信金の経営そのものは悪化の一途をたどっていると言わなければなりません。
 こういうふうなことは、公共性の強い金融機関としてはあるまじきことではないかと思います。大蔵省はこの松井産業の問題を御承知でしょうか。
#238
○米里政府委員 松井産業の問題自体、私は率直に申しまして存じておりません。
 一般的に申し上げると、もちろん金融機関である以上、公共性というたてまえからいっても、健全経営ということが最も大事なことでございますから、融資に当たっては、十分に審査、かつ担保の徴求ということを行わなければならないというように思っております。個々の問題につきましては、特に大きな問題がない限りは、これは経営者の判断としてやっていただくということで、先ほど申しましたようにそれを総括的に検査の際にチェックするというようなことになっておりますので、どういう経緯でどういうことになったかという個々の融資の問題については十分存じ上げておりません。
#239
○簑輪委員 東京信用金庫という金融機関については、かねてから非常に問題が指摘されておるわけでして、そういう中でごく最近にこういう問題が起きているというのを御存じないというのも納得できないわけですけれども、ぜひともこれをも含めて十分調査をされ、厳正な指導をしていただかなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
#240
○米里政府委員 検査の都度非常に厳重に検査をやっておりますし、また行政面におきましても必要があれば個々の指導は行っておる。私どもは、先ほども申しましたように、健全な融資活動というものを行わなければならないという点に重点を置いて指導しておりますし、また今後ともそういった精神で十分指導してまいりたいというふうに考えております。
#241
○簑輪委員 大臣にお伺いしたいと思います。
 昨年の十月二十二日の参議院決算委員会でわが党の議員が東京信用金庫から大臣の届け出団体である青山会ですかに政治献金が行われているという指摘がありました。その後、関係者の話では、この政治献金が返金されているというふうに聞いておるわけですが、いかがでしょうか。
#242
○渡辺国務大臣 あの席で質問がありましてね、私、献金を受けておるかどうかよくわからぬわけだったんだけれども、そういうのがあれば、じゃ返してもらうように後援会、私の純然たる後援会じゃないんですけれども関係のある団体ですから、お願いしましょうということでお願いをしたので、返したかどうかわかりませんが、返したんじゃないですか。返す必要もなかったと思いますが、あのとき返すと言ったものですから。
#243
○簑輪委員 いまのお答えで、返したんじゃないですかなんて言われても、私は知りませんです。それで、私どもが独自に調査をいたしましたところ、東京信用金庫の関係者のお話では、五十六年の一月三十一日に五百九十二万円、それ以前に百万円を、そして合計六百九十二万円お金が返却されているというふうに聞いておるわけです。返す必要もないものを返されたというのはどういうことなんでしょうか。
#244
○渡辺国務大臣 それはね、もう十年ぐらい前の話なんですよ。ずっと毎年五十万とか百万とかそういうような献金を受けておったということは事実のようです。で、ともかくそういう話があったものですから、縁起の悪い話だから返してもらいたいという話を私はしました。しかし、幾ら幾らということを言ったわけじゃないのです。ところが、全部調べて、それじゃ、そういうように国会で言ったことでもあるから、さかのぼって十年間ぐらいまとめて全部返せということで、額は知りませんが全部返したという話も聞きました。何で、そんなに返す必要なかったんじゃないかと私言ったんですがね、実際は何の関係もないわけですから。特別に私は大臣としてどうだこうだというわけでも何でもないし、一政治家として毎年五十万、百万とか、選挙のときは百万とか、そういうのを受けておったことは事実のようです。ですけれども、国会でそういうようなものについては調べて返してもらうようにしましょうと男が一遍言った以上は、それは実行しなきゃならぬということで、それはそのお話をした結果返したという報告を受けました。幾ら返したか知りません。
#245
○簑輪委員 まあ、男が言っても女が言っても、約束したことは履行していただくのは結構だと思います。すでに東京信用金庫では雑収入として処理されているとのことでございますので、これは結構だと思います。率先して大臣がそのようにされたことは、私どもも結構だと思いますが、東京信用金庫につきましてはこれまでも不正、腐敗の疑惑がたびたび取り上げられてきております経緯もございますし、公共金融機関として、また特に中小企業専門の金融機関として今後正常な発展ができるように、特に姿勢を正して強い行政指導を行うべきだと考えますけれども、大臣の御所見を承りたいと思います。
#246
○渡辺国務大臣 それは私は大蔵大臣でもありますし、たまたまそういうようなお話もあったことで、そのために指導が悪いなんて言われちゃ困りますから、そういうことをお願いしたわけであって、当然それは厳正に、きちっとするものはきちっとしなきゃならぬ。
 しかしながら、先ほど言ったように、個人の関係で銀行の顧問的なものになっておったからいかぬとかなんとか、そんなことを言うことはできないのでして、お役所をやめて会社の顧問とかなんとか、それはもういっぱいいますよ。銀行の頭取もいますから。だから、そこまで全部やめさせちゃえとかなんとか言われましても、それはできません。できることはできる、できないことはできないということでございますが、厳正にやらしていただきます。
#247
○簑輪委員 国民から見て疑惑を持たれないようにということで申し上げておりますので、その趣旨で厳正な処置をお願いしたいということです。
 質問を終わります。
#248
○綿貫委員長 柿澤弘治君。
#249
○柿澤委員 もう最後の質問になりましたので、公共の福祉のためにも早く終わりたいと思います。
 きょうは、日没時間を先ほど堀先生に聞きましたら、五時十七分ですか、ということで大分日没を過ぎておりますので、ただいま大臣からいろいろお話がありましたが、きょうは大蔵大臣の所信に対する質疑ということですから、大蔵大臣から御意見を伺いたいと思います。
 「財政の中期展望」、皆さんが取り上げておられますけれども、この中期展望を閣議で決めるに際して、この要調整額というのは、決して増税含みではないんだ、むしろ歳出を削って調整をするということも考えなきゃいけないという話が出たということを聞いておりますし、大蔵大臣もそのお考えだと思いますが、その点まずお聞きしたいと思います。――要調整額というのは、増税含みではない、むしろ思い切った歳出削減によって対応すべきであるというお考えかと思いますけれども、大蔵大臣の御所信を伺いたい。
#250
○渡辺国務大臣 私も、まず歳出を削るということを前面に出して、それでやるべきだ、それは柳の下にドジョウはいませんよということを言っているのです。
#251
○柿澤委員 私もその大臣の考え方は大賛成でございます。その意味で、行政改革の徹底的な実施が必要でございます。しかし、行政改革だけでこの六兆八千億に上る要調整というものを調達することはできないだろう、調整することはむずかしいだろう。そういう意味では、やはり赤字の大宗を占めている三Kその他の構造的な赤字の問題に切り込まざるを得ないと思いますけれども、その点いかがでしょう。
#252
○渡辺国務大臣 まさしくそう思っております。
#253
○柿澤委員 その意味では、ことしの五十六年度予算というのは大変中途半端であると思います。歳出の伸びは九・九%ということで一けたに抑えておりますが、これは前から言っているように、バーゲンセールの正札みたいなものでやっと一けたということなんですが、むしろことしの、当年度の支出を抑えるというよりも五年先、十年先にはこれだけ減りますよという構造的な再建策を政府としては提示すべきではないかと思うわけです。
 その意味で、歳出の中身を洗ってみますと、食管の赤字についても抜本対策は何らとられていない、大蔵省が出しました歳出百科を見ても、食管制度については思い切った見直しが必要だと書いてあるにもかかわらず具体的な対応策がとられていない、今後も一兆円規模の財政赤字がこの中から生まれてくるということで、果たして財政再建が可能なんだろうかということが疑われるわけですけれども、その点についての御所信はいかがでしょう。
#254
○渡辺国務大臣 これはいわゆる三K問題すべてそうであります。しかしながら、食管の赤字をなくすためには食管制度を直していかないとだめなんでありまして、このことになると、食管堅持とかなんか言って、ともかくまた反対が強い。しかしながら、われわれとしては、現在のような状態の中で一万二千名の要するに食糧検査員が国家公務員で必要あるのかどうか非常に疑問な問題でありますから、こういうような問題は率先して、やはりみんな法律事項でございますので、第二臨調等でも取り上げていただいて一緒になって構造改革といいますか、財政上の構造改革に取り組まなければならぬ、かように考えております。
#255
○柿澤委員 検査員の問題は私もわかりますけれども、これは食管制度の基本から見れば枝葉の問題だと思います。そうでなくて、いまの高米価支持政策がある意味では米の過剰生産を生み、減反を不可避にし、食糧自給率を上げようというための食管制度が逆に食糧の自給率全体を下げている、そして零細兼業農家を温存する、全体としての食糧、農業生産性を下げて、日本の農業には未来がない、暗いと言われるような印象を与えている。
 私どもはよく勉強してみますと、日本の農業は実は規模の拡大をしていけば非常に未来の明るい農業だ、その意味では農業の足かせになっているのは食管制度そのものではないかというふうに考えるわけですけれども、これはもちろん農林大臣の所管ですが、財政当局というのは単なる金庫番であっていいとは思いません。ですから、つじつまが合えばいいのでなくて、十年先、二十年先の日本を考えながら制度の改善をし、結果としてつじつまが合うというのが財政当局の責任だと思いますので、その点について御所信を伺います。
#256
○渡辺国務大臣 私も単なる金庫番だとは思っておりません。したがいまして、私は農林大臣のときも、御承知のとおり、売れない米は値下げしますということで品質格差導入を三十年ぶりでやりました。それから、それ以来、やはり農地法の改正をやらなければなかなか規模拡大はできないということから、農地法のバイパス法ともいうような土地利用増進法というものをずっとやってまいりまして、武藤農林大臣のときにこれが通りました。一つ一つ基盤ができてきておるわけでありますから、一挙にできませんが、そういう条件整備をしながらやはり生産性の高い農業につくりかえていくということは大切ですから、大蔵省としても、主計当局をして農林省とはそういうような方向でいろいろ相談をしながらやっていただいておるわけであります。
#257
○柿澤委員 食管は実は一つの例でありまして、いまの社会保障の施策の中の根幹になっている医療保険の問題をとってみても、三兆六千億もの国費が投入されている、これは世界で例を見ないことでございまして、この点についても歯どめをかけるような制度の改正をしていかなければ財政再建はおぼつかないと思います。それから年金についても、去年は年金法の改正をいたしましたけれども、保険料率を上げるということだけで、構造的な問題には手をつけていない。しかし、紀元二〇二〇年になれば厚生年金の保険料率だけで三四・八%の負担になるということは、これももう計算で明らかなわけです。そうした問題に抜本的な対策を提示する、これがいま財政再建と真剣に取り組む財政当局の責任ではないかというふうに思います。国鉄の問題もしかり。それから教育、文教予算についてもしかり。私は、教育も含めて四Kという言葉を使っているのですけれども、果たしていまの私学助成の大幅の伸びが、最近問題になった北里大学のああいう問題を前提にして今後も許されるのかどうか、国立大学の入学生だけが特別の国庫補助によって低授業料でいいのかどうか、その点は思い切って見直すべき時期だと思うわけです。
 その意味で大蔵大臣にお伺いしたいわけですけれども、去年はゼロリストというのをおつくりになりました。つまり、支出の伸びがみんなゼロであるとすればこうなりますよというリストでございます。荒唐無稽だ、非現実的だと言われましたけれども、一つの姿を予想させたという意味で意味はあったと思うわけです。しかし、ああいう予測ではこれからは意味がない。この要調整額を五十九年までに歳出の削減で減らすとすればどういう構造改革が必要か、財政支出構造の転換が必要か、その点を国民に明示すべきだというふうに思うわけです。できる、できないの問題もあります。それから、国会において与野党の本音とたてまえの違いもあります。そういう問題はよくわれわれも反省しなければいけないと思いますけれども、まず財政を預かる大蔵省が、食管についてはこれが長期的なビジョンだと思います、厚生年金、医療保険についてはこれが長期的な対策だと思いますというのを出していただいて、この要調整額が支出の調整でゼロになるようなプランというものを、ことしの夏のサマーレビューではぜひ出していただきたい。それは各省の責任だとおっしゃるかもしれませんけれども、ゼロリストも大蔵省の責任で出されたわけです。「財政の中期展望」、これも大蔵省の責任で出されておるわけですから、その意味で決して大蔵省でできないことではないと思いますし、真剣に財政再建に取り組む渡辺大蔵大臣、高橋是清の心境になっておやりになるということですから、ぜひサマーレビューで要調整額を構造的になくすとすればこれだけのものが必要だというものをお出しいただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#258
○渡辺国務大臣 これは大蔵省だけではできないんです、実際は。したがって、ゼロリストも、各省から計算を出してもらって大蔵省がまとめて発表したというのが事実でございます。しかしながら、この財政再建をやらなければならぬということは鈴木内閣の大きな使命でございますから、これはいま総理とも相談しているのですよ。ともかく本当に各省庁とも徹底してこれに御協力いただかなければ負担がし切れないわけですから、したがって大蔵省としては、たとえば年金の問題につきましても、六十歳で現在の掛金率ではとうていもうパンクしちゃうわけですから、そうかと言って、掛金を大幅にふやすということもできない。したがって、もう一遍財政計算をやって、そうして支給開始年齢六十五歳というものはまたぜひ検討してもらわなければとてもやっていけませんよということで、厚生省とも話をいたしております。医療問題につきましても、やはり内容を変えていかなければとても財政と国民負担だけでやっていけないということ、これらについても抜本的なメスが必要だと思いますし、私学助成の問題も、四十億円も隠しておいて国からまた補助金をもらうみたいなことでは困るわけでありますから、こういうことも広く国民に知っていただいてけじめをつける必要がある、私はこう思っております。
 ゼロリストでなくてゼロベースにしろというような御意見かと存じますが、いずれにしてもそういうような御趣旨を踏まえて、来年の予算編成前までに制度的な問題についてできるものから、本当にそれだけの臨時国会でも開くくらいの、それくらいのつもりで取り組まなければとうてい財政再建がうまく転がっていかないのじゃないかというような危機感を私は持っているわけであります。
#259
○柿澤委員 最後にいたしますが、その意味で勘定合って銭足らずという言葉がありますけれども、収支が償えば財政再建ができたというのは非常に皮相な見方だと思うのです。高度成長の中ではぐくまれてきたある意味では惰性の財政構造というものにメスを入れる、そして構造的なむだというものを何とかして省いていく、それに成功したときに結果としてつじつまが合うんだ、財政収支が合致するんだということでなければいけないと思いますが、そういう意味ではことしの予算は、太った腹を本当に健康体にするのではなくて、むしろベルトの方を一生懸命締めてこれ以上太ったら窮屈でしようがないということで何とか締めていくという逆療法をやっている。それも一つのアプローチかもしれませんけれども、十年先、二十年先に責任を持つわれわれ政治家として、われわれと言うとおこがましいですけれども、責任を持つ大蔵大臣としてぜひことしはその作業をやって、世論の批判も決して恐れず、国会の批判も全く恐れずにどんどんと出していただきたい。その上でどちらが正しいかというのをこの大蔵委員会なり国会の場で議論をしなければ日本全体が本当にあやしげな状態になってしまうというふうに考えますので、その点ぜひお願いをいたしたいと思います。よろしゅうございますか。お約束いただけますか。もしお約束いただければ内閣改造で留任運動をしなければいけないと思いますが……。
#260
○渡辺国務大臣 国会は国民の代表でありますから国会の意見には従わなければならない。そのためには国民の方も御理解をいただかなければ、みんな選挙で出てきておりますから、場合によっては考えと違うことも言わなければならないこともあるいはあるかもわからない。したがって、私といたしましては、要するに国民の皆さんにもいろいろな機会あるごとに、テレビ、ラジオ、新聞その他を通して極力大胆にわかりやすい言葉でいままでもキャンペーンをして話しかけてきたわけでございますが、今後とも皆さんの理解と協力によって本当に構造的なむだな経費と言ってはなんですが、こういう財政事情のもとですから、御勘弁いただけるものは御勘弁願うということでやっていきたい。そういう点で大蔵委員会はみんな専門家の集まりでございますので、これは超党派でいろいろな叱咤勉励と御批判等をいただきながら共通の広場をつくっていけるように私も最大限の努力をしていきたいと思いますから、何分御協力のほどをお願いいたしまして終わりといたします。ありがとうございました。
#261
○綿貫委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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