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1980/03/27 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 大蔵委員会 第17号
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1980/03/27 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 大蔵委員会 第17号

#1
第094回国会 大蔵委員会 第17号
昭和五十六年三月二十七日(金曜日)
    午前九時三十八分開議
 出席委員
   委員長 綿貫 民輔君
   理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君
   理事 小泉純一郎君 理事 山崎武三郎君
   理事 伊藤  茂君 理事 沢田  広君
   理事 鳥居 一雄君 理事 竹本 孫一君
      相沢 英之君    麻生 太郎君
      今枝 敬雄君    太田 誠一君
      木村武千代君    北口  博君
      熊川 次男君    笹山 登生君
      椎名 素夫君    白川 勝彦君
      谷川 和穗君    中村正三郎君
      平泉  渉君    藤井 勝志君
      森田  一君    柳沢 伯夫君
      山中 貞則君    山本 幸雄君
      与謝野 馨君    大島  弘君
      佐藤 観樹君    塚田 庄平君
      戸田 菊雄君    平林  剛君
      堀  昌雄君    村山 喜一君
      柴田  弘君    渡部 一郎君
      玉置 一弥君    正森 成二君
      蓑輪 幸代君    柿澤 弘治君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  保岡 興治君
        大蔵大臣官房日
        本専売公社監理
        官       萱場 英造君
        大蔵大臣官房審
        議官      垂水 公正君
        大蔵省関税局長 清水  汪君
 委員外の出席者
        外務省経済局国
        際経済第一課長 野口  晏君
        外務省経済局国
        際機関第一課長 池田 右二君
        外務省経済協力
        局政策課長   松浦晃一郎君
        外務省国際連合
        局外務参事官  小宅 庸夫君
        農林水産省畜産
        局食肉鶏卵課長 鶴岡 俊彦君
        林野庁林政部木
        材需給対策室長 廣重 和夫君
        通商産業省通商
        政策局国際経済
        部通商関税課長 菊川 忠雄君
        通商産業省機械
        情報産業局電子
        機器電機課長  田中 達雄君
        通商産業省機械
        情報産業局自動
        車課長     西中真二郎君
        資源エネルギー
        庁長官官房鉱業
        課長      山梨 晃一君
        日本専売公社総
        裁       泉 美之松君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十七日
 辞任         補欠選任
  熊川 次男君     北口  博君
  平沼 赳夫君     太田 誠一君
  毛利 松平君     谷川 和穗君
同日
 辞任         補欠選任
  太田 誠一君     平沼 赳夫君
  北口  博君     熊川 次男君
  谷川 和穗君     毛利 松平君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第三七号)
 財政運営に必要な財源の確保を図るための特別
 措置に関する法律案(内閣提出第三号)
     ――――◇―――――
#2
○綿貫委員長 これより会議を開きます。
 関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府より提案理由の説明を求めます。渡辺大蔵大臣。
#3
○渡辺国務大臣 ただいま議題となりました関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 この法律案は、特恵関税制度の適用期限の到来及び最近における内外の経済情勢の変化に対応するため、特恵関税制度、関税率等について所要の改正を行おうとするものであります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 第一は、特恵関税制度の改正であります。
 特恵関税制度につきましては、昭和五十六年三月三十一日にその適用期限が到来いたしますが、開発途上国の経済発展に資するため、これをさらに十年延長することといたしております。
 また、この延長に当たりましては、受益国からの制度改善の要請も強いことにかんがみ鉱工業産品に対する特恵関税の適用限度額などの算定の基礎となる基準年次の変更等可能な改善措置を講ずることとする一方、国内産業に対する影響が懸念される品目については、特恵関税の適用例外品目への追加等所要の調整措置を講ずることといたしております。
 第二は、関税率等の改正であります。
 まず、最近における対外経済関係の状況等にかんがみ、自動車部品につきまして二十一品目の関税率を無税とするとともに一品目の関税率を引き下げることとするほか、製造たばこにつきまして関税率を引き下げることといたしております。
 また、鉛の塊、亜鉛の塊及びマグネシウムの塊につきまして、国内の産業事情等を勘案の上、関税無税点を引き上げることといたしております。
 以上のほか、昭和五十六年三月三十一日に適用期限が到来する暫定関税率につきましては、その適用期限を一年延長することといたしております。
 さらに、各種の減免税還付制度につきましては、昭和五十六年三月三十一日に適用期限が到来するものにつきその期限を延長するほか、製造用原料品の減免税対象の一部除外及び低硫黄燃料油製造用原油などの減税額の引き下げを行うことといたしております。
 以上、関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を申し述べました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#4
○綿貫委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○綿貫委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平林剛君。
#6
○平林委員 私はきょう、豚肉の輸入関税の制度について少し当局の説明をお聞きしたいと思っております。
 御承知のように、最近、台湾からの豚肉の輸入に関連をいたしまして、畜産商品の総合商社芦村商会が、差額関税制度を悪用して脱税し、横浜の税関から告発をされました。この事件に関しまして、報道機関では、「抜け穴だらけ」の輸入関税、こういう見出しを掲げまして、税関のチェック機能に欠陥はないか、差額関税制度の運用を厳しくしないと、輸入の増大で農家を泣かせることになるし、悪徳業者を太らせることになる、こういう警告をいたしております。
 この豚肉の差額関税制度を悪用した脱税事件は、昭和四十八年におきましても大手商社などが一斉に摘発を受けまして、それぞれ厳重な処分が行われたわけでございますが、この二、三年またこの種の動きが目立ってまいりました。これは、いまの輸入関税制度につきまして何らかの対応が必要になっておることを示しているんじゃないか、こう私は思うのでございまして、これについて当局の御見解を承りたいと思います。
#7
○清水政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の豚肉の関税制度は、いわゆる差額関税制度と申しております。この制度は、自由化対策ということの措置といたしまして考え出されたものでございまして、豚肉につきましては、御案内のとおり、国内の制度といたしまして、畜産物価格安定法のもとで、豚肉の価格の安定を図ることを中心にいたしまして、片や養豚農家の保護を図る、しかし片や消費者サイドに対する十分なる供給を図る、こういうようなことを目標としておる制度がございますが、そうした制度と外からの輸入との間の調整を図ろうということがそのねらいでございます。御案内のとおり、一定の価格をせきとめ価格にいたしまして、それより安く入ってきたものについてはその安い分の差額を関税という形で調整する、こういうことが主たる内容でございます。
 そこで、このような制度には概して、言われますように、外から買い入れてくる価格を仮装して高目に申告するというようなことをいたしますと、勢い関税額が安く出てくることになるわけでございまして、これは仕組み上そういうことになります。したがいまして、そういう仕組みがあることから、とかくこれを悪用したいという誘引に駆られるということが、ある意味でこの制度の内包しておる問題点かという御指摘だろうと思います。この制度だけには限りませんが、関税全般を通じましてもやはり悪用の誘引というものは否定できないと思いますけれども、特にこの制度にそうした誘引が強いのではないかということは、われわれとしても戒めておるところでございまして、そうした観点から、この関税制度は、先ほど申しましたような国内の要請との間でやはり当分の間続けていかなければならない、こういうふうに考えられます。
 そこで、執行面に当たります税関としてどうするかということでございます。従来も、まず第一には、申告がありました場合にその価格の適正さを厳重にチェックすることが大事だろうというふうに考えておりまして、このためには、たとえば国内の価格の動向を収集する、あるいは海外における価格の動向、それに関する情報の入手に努める、こういうようなことによりまして、まず水際におけるチェックをしっかりやることに努めてきているわけでございます。それから第二点といたしましては、通関後、その企業の方に出向きまして、いわゆる事後調査と言っておりますけれども、帳簿その他の取引関係書類等をチェックすることによりまして、申告が適正に行われたかどうかというようなことのさらに裏づけをする、こういう努力をする仕組みにいたしております。
 不幸にして違反品を発見した場合には、関税法に基づく罰則の厳正な適用を図る、こういうことで対処しているわけでございますが、御指摘のように、先般、四十八年にも大きな事件があったわけでございます。その後はかなり事件としては数は減ってきているように思いますけれども、絶無ではございません。税関といたしましては、いま申し上げましたようなチェックの仕組みにつきましてさらに充実させていく努力をしなければならないと考えておりまして、そのような方向で努力をしてまいりたいと思います。
#8
○平林委員 この国会で武器輸出の問題が議論されましたね。そのときにも、税関はこうした問題をなぜ事前にチェックできないのかという論争がございましたけれども、私は、通関行政に当たる税務職員の数が足りなくて、申告されれば即通関というスピードで、チェックというよりも判こ押しの機械のようだ、こういう批判も実は聞いておるわけでございます。職員数が足りなければ忙しくなってしまって検査率が下がるのは当然なことでございましょうし、重点の検査ができなければチェック機能も果たせないということになるのじゃないかなと思っておるのですが、この方面についてのことはいかがでございましょう。
#9
○清水政府委員 事情は先生がお察しのようなことでございまして、たとえば輸出におきまして、昨年は年間四百五十万件、輸入申告が約二百万件ということでございまして、これに対して全国税関の職員が約八千名余でございます。御案内のような行政改革という全般的な動きの中で、定員の削減も毎年続けられているという状況がございます。しかしながら、一方ではわが国の貿易立国ということ、さらに国際的ないわゆる国際交流の活発化、障壁の除去という要請が強まっております。したがいまして、税関といたしましては、そうした要請に対して円滑迅速な通関処理ということにも従来から努力をしてきております。
 しかしながら、同時に、税関にはもう一つ他法令チェックということが責任として課されておりまして、私思いますのに、現在のような量、その要請されるスピード、片や人員の制約ということの中で、本来の貨物自体の認定とかチェック、それに加えてさらに他法令関係のチェックをやるというこの仕事というものは、かなり荷が重いというのが偽らざるところだろうと思います。しかしながら、今日まで、全職員の努力によりまして、できるだけ事務のやり方の合理化あるいは機械化、あるいはまた関係業界の協力を得るような方法、それから審査あるいはチェックをいたしますにしても、ただいま検査率のお話もございましたが、やはり重点的にやっていくということに努力をいたしまして、いまのような与えられた状況の中で任務の達成のために努力をしているということでございます。
 先般の武器の事件につきまして御指摘をいただいたわけでございますが、これは大変残念であったと思います。率直に言いまして、現在全職員を通じまして、こういう点については反省をし、この教訓を生かして、経験を生かしまして、今後については、いま申しましたような限られた人員の中で、さらに最も有効にこういったチェックの面の仕事の充実を図っていきたいということでございまして、そうした観点から現在いろいろのことを検討しておりますし、一部はすでに実施をしつつあるものもある、こういう実情でございます。
#10
○平林委員 この豚肉の輸入関税を悪用しての脱税事件が投書によって浮かび上がっているということが問題だと私は思っているのです。もし内部の告発がなければそのまままかり通っていくのじゃないのか。しかも、現在の輸入関税制度は、実際の買い入れ価格による契約を改ざんをしてしまって、取引先と架空の取引価格、契約価格で帳簿をつくってしまって税関に申告すれば、いまのチェック機能では簡単に脱税できる、こういう悪徳な輸入業者の暗躍を許すことになっているんじゃないかと私は思うのであります。しかも、この輸入関税の悪用は、多少危険を冒しても業者にとっても脱税のメリットは大きいものでありますから、こういうようなことが後を絶たぬ、これが実態のようでございます。
 私もこの問題についていろいろ調べてみたのですが、豚肉の主要輸出国であるヨーロッパ、アメリカ、カナダ、オーストラリア、台湾、韓国、こうあるのですが、さっきお話がございましたように、海外の情報の収集をやるとか国内価格の動向を調べるとかとおっしゃったけれども、この手のやり方に遭っては、外国の会社へでも行って実際に情勢を調査でもしていかない限りなかなかむずかしい。国内の業者の事後調査をやったってなかなかわからないんじゃないのか。結局、投書や密告に頼るというような結果になっていると思うのでありまして、これじゃ困ったことだと実は思っておるわけでございます。
 そこで、脱税行為を許さないような厳格な対応を政府においても検討せねばなるまい、こう思っておるのでありますが、政務次官、いかがでしょうか。
#11
○保岡政府委員 関税局長からお答えしたと思いますけれども、先生もいまおっしゃったように、通関の際に、価格については参考にすべき資料をいろいろしんしゃくして適正な価格かどうかということについてなお一層資料を整備、調査もしましてこれを実効あるようにしたいと思いますし、また、事後調査についても、これは必ずしも機能していないと思いません。できるだけ厳重にやりたいと思います。
 また、処罰についても、そういった社会情勢、現状等を十分勘案して厳重に処罰するように努めたいと思います。その他、きょうの先生の御指摘を参考に、脱税等の悪質なものがないように努力をさせていただきたいと思います。
#12
○平林委員 私は、この事件の背景をいろいろと調べていくうちに、輸入業者が百を超えるくらいあるのですけれども、余りたちのよくない業者もおるということを聞いております。特に、四十八年のときに大手の輸入商社ががつんとやられてこりてしまったものですから、少し手を引くと、その穴埋めに小さな業者が進出していきまして、こういう抜け道をたぐって脱税行為に走る、こういう傾向がなきにしもあらずという評判も実は聞いておるわけです。またそれだけではなくて、国内の税関当局においても、たとえて言うと、肉を入れる場合でも、細かい分類はよく知らないのでありますけれども、枝肉とか肉そのものだとかというふうに分類されておるらしくて、輸入価格とか国内価格といっても価格そのものの判定がなかなかむずかしくて、一〇%や二〇%の価格の違いがあっても見過ごしてしまうような結果になりまして、そこにつけ込む輸入業者が出てくる、実はこういう話も聞いておるわけであります。だから、そういう意味ではばらばら肉の判定をもう少し細かくする必要があるんじゃないのか。
 もう一つは、きょう専売公社も来ていますけれども、葉たばこの輸入なんかについては、たとえばこんなふうにして調整していきなさいよといったり、こういう品種について輸入をするとかといって相手国に対して注文を出すというようなやり方もあるのですけれども、これに適合するかどうかは別にいたしまして、そういうやり方は検討していいことではないのか。
 それからもう一つは、これらについて税関によって解釈が違うというようなこともあるのではないのか。私ほかの事件のことでちょっと話も聞いたのですけれども、神戸の税関ではこうやる、しかし横浜の税関ではこうやるというふうに、専門家によると、それぞれ税関の特性といいますか重点主義といいますかそんなものがあって、こっちのルートの方がいいというようなことで動いている業者もあると聞いています。ジャの道はヘビといって、そういうことはわれわれにはわからないけれども、その道になりますと賢い人が出てくるのであります。今度の事件も、芦村商会というのは山口県なんですが、実際には横浜税関でやっておるわけですね。こんなことを考えてみましても、何か税関の中で解釈の違いが悪徳業者をはびこらせるということにもつながっているのではないかなという感じもしないではありません。こうしたことにつきまして、もし御意見があれば承っておきたい。
#13
○清水政府委員 ただいま御指摘のお話の中で、一つは価格の問題につきまして、いわゆる部分肉というようなものにつきましては国内におきましてもなかなかその価格が一律的というわけにはなっていないようでございます。したがいまして、確かにおっしゃいますように、この問題を適正にやっていくという上におきましては、その価格の把握の問題ということが一つ重要な問題としてございます。そうした点につきましては、やはりいろいろの情報、資料を収集するというようなことを前提にいたしまして、かつ税関の職員自身としてもできるだけ経験を積んで適切な把握の仕方が十分にできるようにということで努力をしていくことが必要だろうと思います。
 それからもう一つ、後段で御指摘の、税関によって多少違いがあったりするとすればその間のすきをつかれるではないか、こういう御趣旨の御指摘だと思いますけれども、これは確かにわれわれとしても絶えず注意をしていかなければならない問題の一つだろうというふうに認識をしております。それで、税関といたしましては、詳しく申し上げると切りがございませんが、たとえば全国ベースで部長会議とかあるいは統括官会議とかいうようなことも随時いたしておりますし、そのほか関税局が中心になりまして、極力、いまのような税関あるいは支署等によってのばらつきの生じないように、行政の一貫性と申しますかそういう点を保つように、今後とも御指摘の趣旨を生かしまして努力をしていきたい、こういうふうに思います。
#14
○平林委員 新聞の報道によりますと、豚肉の輸入業者だけでなくて、豚肉を買った大手ハム会社も関税の脱税を承知で買い入れた、こういう疑いがあったと言われております。私の得た情報では、一応調べてみたらしいけれども違法性があったとは思わなかったというようなことで通っておるようです。しかし、大手のハムなどを製造しておる会社では、芦村の説明は、これは向こうで特別な事情があったのだということで安い肉が入ったのだというような話であるが、そんなことは余り聞かなかった、評価の申告でも税関当局が認めるから納得して仕入れた、こういうようなことを言っておるのは多少ひっかかるものがあるのです。
 それで、いろいろ私も背後を調べてみたのですが、少なくとも税関が業者に足元を見られたり関係者に疑念を持たれるようなことはしないようにせねばなるまい。お答えは要りません。私から全部を申し上げませんけれども、十分そのことに注意をして行政に当たってもらいたいということは、これは私の注意として申し上げておきたいと思います。
 この際、実は豚肉の問題だけじゃなかったのでありますけれども、こうした豚肉の輸入がふえることは実は農家にとりましても非常に打撃が大きいわけでございます。そこで、ちょっと農林省の方に伺いますけれども、大蔵省所管ですから関税の徴収額から考えてみましても、豚肉の輸入は五十五年度はちょっと減っているようですけれど、まだこういう差額関税制度を利用してうまい汁を吸おうと思って、そのために輸入をふやすなんということがありはしないかという感じがいたしておりますが、こうしたことを抑制するということはどんなふうに考えておりますか。
#15
○鶴岡説明員 御案内のとおり豚肉の輸入につきましては自由化されております。ただいま御議論になっております差額関税制度によりまして適用措置をとっているわけでございます。最近、御指摘のように、五十三、五十四年と輸入量はふえてまいったわけでございますけれども、五十四年後半から五十五年度にかけまして、国内の価格が、国内生産の増大もありまして卸売価格が相当低落するというような事態になっております。自由化されております物資でございますので、政府として直接関与をすることはなかなかむずかしいわけでございますけれども、そういう背景の中で、生産者団体あるいは輸入業者あるいはそれを使います加工業者等々の集まりの中で、豚肉輸入を少し安定するとかあるいは抑制するというようなこともやっております。そういう指導を通じてできるだけ国内の生産を混乱させないような体制に指導していきたいというふうに考えております。
#16
○平林委員 時間も少なくなってまいりましたから、次のたばこの方の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 先ほど大蔵大臣の提案理由の説明をお聞きいたしましたが、たばこの関税率を引き下げることにいたしました理由が必ずしもはっきりいたしておりません。そこで、たばこの関税率を引き下げることにならざるを得なかった理由、これはどういうことなのか。きょうは公社の総裁もおいででございますけれども、この理由と、関税率の引き下げによって関税収入の減少額が一体どのくらいになるのかという点について、明らかにしておいていただきたいと思います。
#17
○清水政府委員 まず第一点の、今回たばこの関税率を引き下げることにいたしました理由でございますが、これは現在の関税率を設定いたしました時期、これは多少法律成立までの経過がございまして、法律が正式に成立いたしましたのは昨年の春でございます。しかしながら、この問題をいろいろと検討いたしまして法案として国会に御提出を申し上げましたのが、すでに昭和五十三年の暮れの時点というか五十四年の初めの時点でございます。当時におきまして内外の条件を勘案いたしまして、紙巻きたばこで言えば九〇%という税率が妥当であるということで御審議をお願いし、成立をさせていただいたわけでございますが、その後そういう基本的な条件にかなりの変化が出てまいりまして、このまま推移いたしますと、ことしのうちには、たとえば輸入の紙巻きたばこの小売価格が大変に高い値段に上昇せざるを得なくなるということが予見されるに至ったわけでございまして、これは何とか調整をしなければならない、こういう点が今回の大幅な引き下げをせざるを得なくなった基本的な理由かと思います。
 それから、後段の御質問の、この結果、関税収入が五十六年度においてどれくらいの減収になるかという点でございますが、これは前提を仮定して計算するしかないと思います。つまり、嗜好品というものでございますので、その動向は必ずしも一概には予見しがたいわけでございます。しかしながら、一定のトレンドを踏まえまして、トレンド線ということから消費数量つまり輸入数量というものを置きまして単純に計算いたしますと、約八十億円ぐらいの減収になるということかと思います。
#18
○平林委員 このたばこの関税率の引き下げに伴いまして、専売公社の方では、輸入品に関するたばこ小売人のマージンを現行の七%から五十六年度には八・五%に引き上げる、五十七年度以降におきましても状況に応じて一〇%に引き上げるというような話し合いに合意したと聞いておるのでありますが、この結果、専売公社の五十六年度の小売マージンの増加分はどのくらいになるのか。それからもう一つは、関税率の引き下げとか小売マージンの引き上げ、こちらの方はできるだけたばこを売らせるためにマージンを上げたわけでございますが、あるいはこのほかにも、輸入たばこの取扱店の数をふやすあるいは広告宣伝活動も強化し広げるというようなことも合意したようでございますけれども、これらの一連の措置を通じて、輸入たばこ製品の販売が日本国内でどの程度ふえるのだろうか、また、その結果、専売公社の製品たばこの販売にどんなふうに影響するのだろうか、そのことは同時に公社職員の労働条件にどういうはね返りをもたらすか、こういうような問題がいろいろと考えなければならない点だと思うのです。これらの問題につきまして、ひとつ考えを明らかにしておいてもらいたい、こう思うのです。
#19
○泉説明員 お答えいたします。
 まず最初に、昨年の日米たばこ協議によりまして、小売店のマージンを七%から差額の半分の八・五%にまで上げるということを話し合いで決めました。その結果、五十六年度において輸入たばこが幾ら売れるかということは、私どもの予測でしか申し上げられませんけれども、一応四十七億本程度売れるというふうに見まして、マージンがふえるのが十億円でございます。それからそのほかに、輸入たばこを扱う小売店が、いま全国のたばこ小売店二十五万のうち一万四千二百店になっておるのでございますが、これをふやしてほしいという要望がありましたので、五十六年一月から五十六年十二月までの間に二万店に増加させようということで約束をいたしました。
 それから、たばこの広告宣伝につきましては、いままでは輸入品については、英字新聞にだけしか広告を認めないという厳し過ぎる措置がとられておりましたので、向こうの方からそういうことでなしに認めてもらいたいという話がありまして、外国たばこ企業と公社との間でいろいろ協議いたしまして、一定のルールというものをつくって、お互いがそのルールを守って広告宣伝をすることを認めようではないかということにいたしました。そのルールというのは、一つは、御承知のようにたばこは健康の問題がいろいろ言われておりますので、公社はそういう点に十分注意して自主的に規制をしておるのだから、外国たばこ企業としても、健康と喫煙の問題に十分注意して自粛した広告宣伝をしてもらいたい。特に日本では未成年者は喫煙を禁止されておりますし、また女性の喫煙についても好ましくない影響を及ぼすおそれがあるので、未成年者とか女性に喫煙を促すような広告宣伝はしないでほしい。それから、輸入たばこのブランドごとに一定の基準を設けまして広告宣伝費を出すことができる。その三分の一はテレビ、ラジオで、テレビ、ラジオ以外の部分が三分の二という基準でどうかというような話し合いをいたしまして、そのルールを決めたところに従って、今後広告宣伝が行われることになるわけでございます。そういう輸入たばこについての広告は、大体におきましてアメリカの四社が約八億くらい、それからECとかイギリス、西ドイツなどが二億程度、したがって、約十億円程度の広告をすることになるのではなかろうかというふうに考えております。
#20
○平林委員 いまお話の中で、専売公社の職員の労働条件にどうはね返りがあるかというお答えがなかったのですが……。
#21
○泉説明員 輸入たばこが今後どういうふうになっていくかという点につきましては、なかなか予測がつかないところでありますが、昭和四十六年ごろには日本でのシェアがわずか〇・二%でございました。それがどんどんシェアがふえまして、昭和五十四年度には一・四%にまでふえました。ところが、昨年の四月に定価改定をいたしました後、これは五十年のときも同じですが、輸入品は値段が高いものでございますから、その伸びが昨年の四月から落ちてまいりまして、昨年の四月から十二月、一月、二月まで実績が出ておりますが、二月までの実績では、輸入品の伸びが九五%、国産品の方が九八・五%ということで、シェアが一・二%に落ちてまいっております。今後どういうふうになるかということ、これは結局、日本の消費者がどれだけ輸入たばこを吸うかということでございます。その見通しはなかなかむずかしいのでございますが、私どもの予測では、ことしから主な銘柄のものはほとんど一箱当たり十円安くなりますので、かなり消費がふえるのではなかろうかというふうに見ております。しかし、公社といたしましては、もちろん高級品対応ということで公社自身の製造するたばこで高級のものを目指して売り出すつもりでございますので、その数量が、いまは先ほど申しましたように一・二とか一・三%ですけれども、三%ぐらいまでにはわりあい早くふえるのではなかろうかと思っております。三%ということになりますと九十億本ということでございますので、かなり大きな数量になるわけでありますが、年々はそんなになりませんで、私どもの予測では恐らく昭和六十年ごろその程度になるのではなかろうかというふうに思っておるのでありますが、しかし、いまから考えますと四十六億本からその倍ぐらいになっていくわけでございますので、職員に及ぼす労働条件というふうな点ではさしたる影響はない。ただ、それからまた耕作者にとりましては、それだけ輸入たばこがふえますと、たばこ耕作面積の上に若干影響が出ないこともありませんけれども、その数字は千ヘクタール足らずのところでございますので、それよりもむしろいま在庫が過剰になっている影響の方が耕作者にとっては大きいというふうに思っておるところであります。いずれにいたしましても、労働者にとりましても、また耕作者にとりましても、輸入たばこによって影響を受けることができるだけ少ないように私どもとしては一生懸命努力してまいりたい、このように思っております。
#22
○平林委員 日米たばこ交渉の問題については、私ちょっと見解があるのですけれども、希望だけ先に申し上げておきます。
 わが国をめぐるたばこ産業の環境は、嫌煙権とかあるいは喫煙権――喫煙権というのはなかったか、あるかもしれませんが、まあいろいろ権利の問題が国民の間から巻き起こりまして、いろいろな問題を提起しておりますことから、必ずしもいい環境にはなっていない。そこへアメリカ側から、広告宣伝活動の取り扱いを初め、あるいは関税率の引き下げ、輸入品取扱店の増加などいろいろ注文がつけられてまいりますというと、これは今後の専売事業につきましてもいろいろな影響が出てくるのじゃないかという心配を実は私はしておるわけでございます。特に広告宣伝などにつきましては、日本の専売公社は一つの事業体になっていますけれども、外国のたばこ会社というのは何社もあるわけでございまして、それが一々、たとえば一つのフィリップモリスの方で宣伝を出したらレイノルズの方も出さしてくれ、レイノルズが出したらもう一つイギリスの方もやらしてくれ、あっちからもやらしてくれ、こうなりますと、これはアメリカなんかは本当はこういう宣伝はやらせないことになっているんですよ。日本ではやらせろ、こういうことになりまして、広告宣伝活動のはんらんによってはまた国民感情に違った反応が出てくるというようなこともあり得るわけでございまして、こうした点については、先ほどの一定のルールといいますか、基準というのを守ってやってもらうということが必要ではないかと思いますので、私はその点をひとつ注文を出しておきたいと思います。
 次に、日米の政府間のたばこの輸入問題に関する合意につきまして、関税率だとかその他が決まって、いま関税改正という提案の中でこれが審議をされておるわけでございます。特に日米のたばこ交渉という問題は、昨年の四月以降本格化されまして、新聞の報道も大分はでにございました。日米のたばこ政府交渉、こういうふうに伝えた。
 ただ、私はこの機会にちょっと申し上げたいのですが、なぜたばこの輸入問題に関する政府交渉が持ち上がったかという点について必ずしもすっきりしない問題があるのです。いま声話を聞くと、関税率は八十億円、たばこの小売マージンは約十億円程度のものでしょう。大アメリカ合衆国が日本国を相手にして自動車だとかその他のことの話し合いをして、そして貿易摩擦の問題、これはもう私らも相当大きな問題だなと思うのですよ。だけれども、たばこの問題について日米政府交渉が行われるというようなことは、ちょっと何かとっぴな感じがしないではないのです。それは確かに関税率の違いがあるとか価格差においても百円ぐらい違うとかいういろいろなことがございましても、これはそんなに日米のたばこ交渉と銘を打つほどの大げさな問題じゃないんじゃないか。まして実際の交渉に当たったのは、これはアメリカの大統領の直属機関である通商交渉代表部というのが当たっておるわけでありますが、来られた人は、アスキューさんのような閣僚クラスの人もいますが、ほとんど事務当局の方が来ておられる。まして広告だとか小売店だとかマージンだとかという話をするときは、アメリカのたばこ会社の、しかもそれは香港駐在員の人が参りまして専売公社とやっておる。これは政府交渉じゃない。私に言わせると、アメリカのたばこ会社が大統領の直属機関を動かして、そしてたばこ会社のために何かやっているような感じを実は受けておるわけなんです。こういうことから考えてみますと、日米たばこ政府交渉と銘打つほどのものでない。しかも、自動車とかその他もっと大きな問題なら話は別だが、たかだか八十億とか十億とかというような問題でかねや太鼓を鳴らしてこうした問題が報ぜられるというふうな風潮の中に、私はちょっと違和感を感ずるわけでございます。この背景に何があるのかという点なのでございます。この背景に私はいろいろなことが想像されるのですが、実際のことはなかなかつかみ得ません。ただ、ここで言えることは、アメリカのたばこ工場、これは一体実態はどうなのか。たばこ工場が多分動かしたと思うのですが、その実態はどうなのかという点がもう少し明らかにされなければならない、こう思うのです。アメリカは民間の工場ですが、民間の工場であってもこんな状態であるというようなことに相なりますれば、一体どういうことになるのか、私はこう言わざるを得ないのであります。
 そこで、専売公社が御承知であれば、そのアメリカ側の背景、たばこ工場の実態、能率やその他の面において民間工場必ずしも専売公社に優位にあるかどうか、こういうようなことにつきましてお話をいただきたいと思うのです。
#23
○泉説明員 お答えいたします。
 平林委員のおっしゃるように、なぜ日米たばこ協議と言われるほど大げさなことになったのかという点でございますが、今回の日米たばこ協議の際には、私どもとしては政府対政府の問題と、それから業界、つまり専売公社と向こうのたばこ業界との問題、こう交渉を二つに分けましたので、政府の方は大蔵省の関税局と専売公社監理官、これが対応し、私どもの方は業界との間で、広告、宣伝をどうするとか店をどれだけふやすとかそういうふうな話をしたのでありまして、日米たばこ協議と言われる方は政府間の方の交渉でございますので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
 外国たばこにとりましては、日本のたばこ市場、先ほどちょっと申し上げましたが約三千億本のたばこが売れる市場というのは非常に魅力があるわけでございまして、おまけに先ほど申し上げましたようにその三千億本の中で日本の輸入のシェアというのはわずか一・三とか一・四といったような状況でありまして、諸外国では大体八%以上、二〇%もの輸入品のシェアがあるのが普通でございます。そういう点からいたしますと、日本でもっと輸入品をふやすことができやしないか、それはたばこ企業にとっては大変大きな希望になってくるわけでございます。アメリカのたばこ企業は、先生御承知のとおり以前は五つの大きい会社がございましたが、最近はフィリップモリスとレイノルズ、この二社が相対立するほどでありまして、あとの方はどんどんシェアが下がってきました。この二社でございますけれども、二社もたばこ企業それ自身では数量がふえませんものですから、外国へ輸出することと、それからたばこ以外の分野に進出して、たとえばビールであるとか清涼飲料であるとか、あるいはホテル、劇場、もういろいろな事業に手を出すことによって企業の収益を伸ばそうと努力いたしておるのでありまして、たばこ自体は国内での数量はほとんどふえませんので、ただ弱小会社を買収、合併することによってシェアを伸ばしていくというような状況にございます。なお、そういうふうになっております関係上、フィリップモリスもレイノルズも、財務諸表は出ておるのでありますけれども、それぞれのたばこ部門とビール部門というふうに分けたのがございませんのでなかなか比較しにくうございますけれども、私どもの入手し得る限りで計算してみますと、製造職、たばこの巻き上げ、包装の人たちですが、その一億本当たりの人員からいたしますと大体日本の方が能率がいい。専売公社の方が六人ぐらいで能率がいい。ただ、向こうは卸売会社が別にございまして、卸の方の仕事をやっておりません。ところが日本は、小売店に届けるまで、もちろん配送会社も使うわけでありますけれども、受注の方は専売公社でやりますので、その人数がやや多い。まあしかしこれは比較しようがございません。向こうがやっていないのでございますから比較しようがございませんが、製造職の点で見ますと、大体一億本をつくるのに要する職員の数は公社の方がもっと能率よくいっているというふうに考えております。そういう意味では、専売公社は官業だから能率が悪いだろうなんという御批判がございますけれども、私どもは諸外国のたばこ工場に比較いたしましても、また国内の他の産業の労働生産性と比較いたしましても、決して劣ることはないし、むしろすぐれておるというふうに自負いたしておるような次第でございます。
#24
○平林委員 大体お話承りまして、民営工場必ずしもその実態は能率がいいというものではないと承りました。これ以上はやりません。
 これをもちまして私の質問を終わりたいと思います。
#25
○綿貫委員長 伊藤茂君。
#26
○伊藤(茂)委員 引き続き質問をいたします。
 まず第一に、武器輸出問題についてお伺いいたします。この国会で大きな焦点の一つが武器輸出の規制に関する問題でございます。また、先般は全会一致で衆議院の決議がされたことも御承知のとおりであります。その中には、「政府は、武器輸出について、厳正かつ慎重な態度をもつて対処すると共に制度上の改善を含め実効ある措置を講ずべきである。」ということが決議をされております。これは税関の問題以外に当然多くの問題があるわけでありますが、税関のチェック機能に関する問題についてお伺いしたいと思います。
 私も横浜が選挙区でございまして、横浜税関の皆さんなど役職員の方にもよくお会いをいたします。ある人が言われておりましたが、正月以来毎日毎日武器の輸出とそれから税関の機能という記事が出る。家へ帰って子供に、お父さんはどうしているのと聞かれた。その人は言っておりましたが、やはり子供からしかられたりすることのないように一生懸命やらなくちゃならぬと思いますというようなお話をしておりましたが、私も税関の皆さんが胸を張っていい仕事をしてもらえるような制度なり環境をつくらなければならぬという思いがするわけであります。
 そういう意味でお伺いしたいと思いますが、この正月以来大きな問題となったこの武器輸出規制につきましても、経過を見ますと、税関のチェックから問題が起こっているというよりも、警察庁が捜査に入ったり、あるいはまた新聞、マスコミが大きく取り上げたりというようなところから問題が表面化をしているというふうなことを感ずるわけでありまして、そういう意味から言いますと、税関のチェック機能というものをどう強化したらいいのかということを改めて考えなければならないというふうなことであろうと思います。国会の本会議の決議もございましたし、いろいろな研究、検討もなされているように伺うわけでありますが、短い時間でございますから、私、感ずるところを、こういうことが必要ではないかという点を四つほどまとめて申し上げますので、お考えを伺いたい。
 その一つは、武器のチェックについて、人員の問題もございますけれども、研修あるいは専門知識を高める、そういう努力をこの際ぜひやっていただくことが必要ではないだろうか。ある報道を見ましたら、現場の税関職員からの声ということで、長く税関に勤めているが武器に関する研修は一度もなかった、政府が果たして武器禁輸に真剣に取り組む気があるのかわれわれでさえ疑問だというような報道がちょっと載っておりました。また、二年前でしたかしばらく前に、フィリピンに手りゅう弾の部品が輸出をされていたということが発見されまして問題となりました。これもその当時の記録を繰ってみますと、マニラ空港の税関がこれを発見したということだったようであります。税関の皆さんに聞いてみますと、まあ忙しくてペーパーチェックだけになる、ヒューズという名目でくれば電気のヒューズだろうと思ってサインしてしまうというようなことだそうでありますが、現場からのこういう声が出ないように、武器についてあるいは武器輸出のチェックについての研修、専門知識を高める、そういう具体的なアクションをぜひやる必要があるのではないかということが一つであります。
 二つ目には、税関の人員配置の問題があるのではないかと思います。これも現場の関係者などからも聞くわけでありますが、最近の税関の人員配置の状況を見ますと、輸出通関部門の強化が非常に重要になっているにもかかわらず、管理総務部門の方がふえて輸出通関部門が減る構造になっている。私は地元の横浜税関の最近の状況をちょっと聞いてみたのですが、横浜税関で四十六年から五十五年までどういうふうに人員配置の増減があったのかということを見てみますと、川崎とか鶴見とか本牧とか出張所がございますからあれなんですが、大きく分けて総務管理部門に配属されているいわゆる行(一)職員、それからもう一つは輸出通関部門に配置されている行(一)職員、これの増減を見てみますと、最初のいわゆる総務管理部門、これは四十六年から五十五年の間に三十五人から四十二人に七人ふえている。ところが現場でチェックをする職員、これはもう人手が足りなくて大変なスピードアップを要求されているようでありますが、これは百六十三人から百五十九人にマイナス四人というふうなことであります。
    〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕
これを見ますと、総務管理部門に比べて輸出通関部門が軽視されているといいますか、ふやされていない。確かにいろいろな技術処理の問題があるのではないかと私は思いますが、こういう問題のときに、人員から見てこういうことがふさわしいかどうかということを痛感をするわけであります。
 また、東京税関の例を聞いてみましても、何かこの十年くらいの間に総務部門、管理部門の方が人員の伸び率一八%、輸出通関部門の方は一二%の伸び率というふうな同じようなことになっているわけであります。
 私は横浜税関でこの話を伺いますと、今度の武器輸出規制問題、正月以来大阪税関ですか、神戸税関ですか、向こうの関西の方で話題になったようですが、横浜でもこんなことがまた起こっては大変好ましくないことと私どもは思うわけでありますが、そういう人員配置の考え方というものを再検討されるべきではないかというのが二つ目であります。
 それから三つ目には、本省レベルか現場より上のレベルでのこの問題についての検討、研修、こういうものをぜひ精力的にやっていただきたいという気がするわけであります。国会でも問題となりました、たとえば武器と認定される問題について、日本の通関統計には載っていない、ところが韓国の貿易統計年報とか韓国側の資料には武器として記載をされている、それを対比をして一体どういうことだというふうなことがこの国会でも幾つか話題となりました。
 私は、優秀な本省の皆さんですから、そういう問題意識を持って研究されれば、こういうことをどうとらえるべきなのかということもあらわれてくるのではないかと思います。先般も、七一年ですか、韓国の方の統計では日本から軍艦一隻を購入した、何かどこの工場でつくってどうとかという話を私もいろいろ読んでみました。ところが、日本では消防艇と書いてある、向こうでは軍艦、こんな問題もいろいろと疑惑を生むことではないだろうかというふうに思います。また、聞くところによりますと、韓国では機械は二〇%、三〇%の関税がかかる、武器はノータックスである、こんな構造を巧みに利用して、何かやろうと思えばできないこともないのじゃないかという悪質なたくらみも構造的に考えられることではないだろうか。そういうものはやはりチェックをしていく勉強をこの際ぜひやっていただきたい。
 これもニュースで見ますと、二月の中旬の段階から各省でも、また関係する通産省とか外務省とか大蔵省、関係するところの共同検討会みたいなことも組織をされつつあるというふうなことも伺うわけでありますけれども、やはりこの武器輸出関連のことについて、国会決議にあるような具体的な実効ある措置のための御努力をやられるべきであると思いますし、また、進んでいるような話も伺うわけでありますが、それがどうなっているのかという問題指摘が第三であります。
 もう一つ、四つ目には、体制の問題があります。また人員の問題があります。四百万件以上もの輸出許可件数に対して、税関のスタッフは約七百人という報道を読みました。また、大蔵省は近く大幅な人員異動、総枠はなかなかふやせる時代じゃないですから、重点配置という意味での大幅な人員異動を検討して、税関の審査官をふやす方針というようなこともどこかのニュースで読みましたが、そういうこともなさるべきではないだろうかというふうに思うわけであります。
 いろいろな問題があると思いますが、私なりに考えて以上四つぐらい思うわけでありまして、今後これらの問題が起きたらまさに日本の税関が試されているという時点に立っていると思いますので、お答えをお願いしたいと思います。済みません、短い時間ですから要領よくお答えください。
#27
○清水政府委員 税関の現場の事情にいろいろと御関心を寄せていただいておりますことに対しましては感謝を申し上げたいと思います。
 ただいま御質問の、税関におけるチェック機能の今後における充実強化、整備の問題いかんということでございます。まず最初に一言申し上げさせていただきたいと思いますのは、今回の堀田ハガネの事件は、全部の税関にとりましても残念な事件であったというふうに私どもは受けとめております。一般的には四百数十万件というような件数がある中で、そうした事例というものがそんなに多いものではないというふうには思いますけれども、しかしながら、この点は事実の問題でございますので、いまここではこれを別にいたしまして、いずれにいたしましても、先般国会では御決議をいただきました。私どもとしては、国会の決議はもちろん重いものと受けとめております。従前から政府の方針もはっきりあるわけでございまして、その方針に沿って今後一層チェックの責任を果たしていかなければならない、こういうふうに考えております。
 ただいま御指摘の研修あるいは人員の配置というような点でございますが、私どもとしては、まず全体的な対応の仕方といたしましては、第一には、武器輸出規制に関する政府の方針についてさらによく関係業界に対してその趣旨の徹底を図ることが大事であろうというふうに思います。もちろん従来もそのことは行われていたわけでございますけれども、この際さらにその至らざる点の徹底を図らなければならないということでございまして、これは私どもだけでなくて、通産省と一緒になってやるべきことであり、先ほどお挙げになりました両省の連絡協議会等の場でもそのことを協議いたしておりますし、現に業界に対する趣旨の徹底につきましてはすでに二月の初めごろからいろいろやっておりまして、その後税関の窓口における動きを見ましても、その趣旨の徹底はかなり浸透しつつあるというふうに思っておりますが、今後一段と努力をいたしたいというふうに思います。
 それからその次には、いま申しました通産省と私どもとの間、これは緊密な連携でやらなければならないことば申すまでもないところでございますが、さらに今後一層そうした連携を強化していきたい。その中の一つといたしましては、たとえば、これが輸出貿易管理令の要承認事項に該当するかどうかはっきりしないような疑わしいものについては、輸出者の方があらかじめ通産省の方に伺いを出して、これは承認事項に該当しないなら承認不要であるという意味のいわゆる承認不要証明制度というのが従前からございますが、この運用をさらによくやっていくというようなことが必要である、こういうふうに考えております。
 それから、そうしたことの中で今度より直接にはわが税関でどう対応するかということになろうかと思いますが、そのポイントは、やはり審査、検査機能の充実強化ということでございます。このために現在いろいろ検討いたしておりまして、中には一部テスト的に実行しつつあるものもございますが、その中の一つには、おっしゃいました研修ということももちろん考慮に入れております。ただ、先ほど一部の記事の御引用がございましたけれども、その点についてのコメントは特にはいたしませんけれども、いずれにいたしましても、私どもがいま考えておりますことは、この税関の事務全般をさらにこの際見直して、合理化を図れるところは合理化を図る、あるいは重点化をできるところは重点化を図るというようなことを通じまして、幾らかでも人手を捻出するということをやりたいと思っております。全体の定員を直ちにふやしていただくということはとうていできる話ではございませんので、まず内部のやりくりで何人かの人員を捻出して、これを重点的に武器のチェック部門に投入するというようなことをいたしたいということは考えております。
 それから、そのほかこの審査のために必要な相手方からの説明資料の提出、つまり輸出申告書の添付資料、あるいはさらに申告書自身の書き方、こういった点についても工夫を加えていきたいというふうに考えております。あるいはまた、いま申しましたような事務全体の合理化ということを背景にいたしました中で、この武器部門における現品検査というものをさらに高めていくというようなこともやっていきたい。あるいはまた、さらにそういうような全体の武器関連の審査の充実を図っていく上での中心になるようなところを各税関ではっきりさせて、そういうところがよく通産省との連携についても責任を持つ、あるいは武器に関する情報の収集あるいは審査手法の開発、そして、それを担当の第一線職員にまでよく普及をさせていくというようなことの中心になるような人間を置いてこの問題の充実を期していきたい、このように思います。
 したがいまして、ただいま先生から御指摘の、人員についてもふやすことを考えるべきではないかというようなお話も承りましたけれども、私ども、できることならばそういうことが願わしいとは思いますけれども、当面の行政改革という大きな流れも考えざるを得ませんわけでして、そうした中では、いま申しましたようないわば自己努力と申しますか、そういうようなことで対応を図っていくことがまず必要であろうというふうに思います。
 それから、先ほど統計の食い違いということの御指摘もございました。この統計の問題につきましては、大体は機械化されておりまして、第一線で申告書を処理したものがそのまま中央の電算機に集計されて統計ができ上がるということでございますので、統計の正確度というものは、やはり第一線の輸出なり輸入申告書を処理する段階の問題がまず決め手になるということでございます。御指摘の韓国との間の食い違いという問題は、私どもも外務省を通ずるなりにして相手方当局にも照会をいたしたわけでございます。先般予算委員会でも一お答えを申し上げたわけでございますが、なかなか個別的な事情については解明をするには至りませんでした。考えられますことは、やはりただいまもちょっとお触れになりましたけれども、品目をどういうふうに整理するかということは、大まかには関税協力理事会で定めました品目表の取り決めがございますけれども、個々の貨物の認定という段階になりますと幾らかのそこに食い違いが出てくるということは避けられないように思います。そうした事情がどういうふうにこの場合働いたのかということが必ずしもはっきりいたしませんけれども、いずれにしても、私どもとしては、本来、税関の仕事として適正な品目で申告をしてもらい、それを確かめて輸出入の処理をするということが本来の任務でございますので、そうした点についてはもちろん一層注意を払ってまいりたい、このように考えております。
#28
○伊藤(茂)委員 大事な問題ですから一々詳しく伺いたいのですが、残念ながら時間がほとんどございませんので、一つだけ念を押しておきますが、私は、国会決議もありますから、政府のレベルで、大蔵、通産、外務の関係者が国会決議の内容に沿ってなるべく早い機会に、こうなりました、今後こういたしますというけじめをつけるようなめどを持った努力をしなければならないというふうなことであろうと思います。
 それから、関税局長のお答えではっきりしませんでしたが、さっき横浜税関の人員の例を申し上げました。確かに機械化その他のこともあると思いますけれども、大変なスピードアップ等、多くの件数に追われているというのが現場の実態で、この人員配置の問題意識を持ってやっていただきたいと思うわけであります。その辺のところを不言だけお答えください。
#29
○清水政府委員 御趣旨を踏まえまして定員の問題につきましても考えていきたいと思います。
 それから、全体としてのチェックのためのいま検討中と申し上げました措置につきましては、ごく近々のうちに、必要な通達を出すとかそういう形で、できるものから実施に移していきたい、このように考えております。
#30
○伊藤(茂)委員 次に、最近の問題、また今後の問題という意味で、半導体の日米間の関係についてお考えを伺いたいと思います。
 新聞報道を見たり関係方面のお話などを伺いますと、日本のIC、LSI、また近き将来実用化されるであろう超LSI、これらをめぐっての日米間の競争ということは相当激しくなることが予想されるわけでありますし、また、今後の産業政策を考えますと、アメリカもそうでしょうが日本も、この部面の政策上の重点といいますか非常に大きなものがあると思います。その経過、内容、現状などは私ども聞いておりますから御説明は要りません。伺いたいのは、いままでの電気製品、テレビ、あるいはいまお話のございましたたばこ、また最終局面を迎えている自動車、こういう例、また昨年までの政府調達問題などを見ますと、何か日本側の対応の方が後手後手に回っているのではないかという気がしてならないわけでありますし、アメリカの方からいろいろな意味での大騒ぎがあって、外務省か何かおつき合いの深いところがまず低姿勢になって、それから通産に行き、大蔵に行き、何がどうとか、いろいろな騒ぎが続いてきたように思うわけであります。このICまた半導体の問題もこれからある意味で非常に重要な問題ということですから、こういう繰り返しになったのでは、私は、日米関係から見ても、また日本の産業政策、今後の経済の発展から見てもまずいのではないかというふうに思うわけでありまして、その辺、特にこれは通産省も関係するわけでありますから、その実態を、どういうふうに緊急なのかあるいは将来の問題なのか、大体どんな感じでとらえられているか。それから、私が申し上げましたような後手に回ることがないような対応というものをどうお思いになっておりますか、一言で結構でございますから……。
#31
○田中説明員 御説明申し上げます。
 半導体、集積回路につきましては約一年半ぐらい前からアメリカの中でさまざまな対日キャンペーンが行われましたが、関係各方面の御努力によりまして、最近はアメリカ側の説明の中に含まれておりましたさまざまな誤解は基調としては消えていく傾向にございまして、現在、アメリカの半導体業界は、アメリカ政府に対して財政上それから研究開発資金上の援助を求めるという形に全体のトーンが変わってきております。そして、アメリカと日本との間の半導体の取引につきましても、過去一貫して日本側の大幅入超でございましたが、昨年、年間を通して日本の統計によりますとやや日本側の出超ということになっておりますけれども、昨年の後半からまた再び入超になっております。したがいまして、貿易の実態面を見ましても、それからアメリカ全体の論調を見ましても、そう急速にこれが問題化することはないと私どもは考えております。そして、双方の企業も相互に資本投下してございますし、全体としてのコミュニケーションというものは非常にうまくいきつつある、今後ともこういう形で意思疎通を十分図りながら問題にならないように対処していきたい、このように考えております。
#32
○伊藤(茂)委員 大蔵省関税局も同じような考えですか。
#33
○保岡政府委員 先生の御指摘のように、貿易国家日本がこれから生きていくためには、やはり外国との貿易摩擦というものは未然に防止するように全力を挙げていかなければならないと思います。そういう認識に立ってこのICの日米の貿易の関係を見ましても、いま通産省からお答えしたように、今後とも、前々からできるだけ円滑に、そして相手側の理解を得ながら、そのような貿易摩擦のような事態が起こらないように努力を傾けていきます。いまのところはそのような懸念がないと思っております。
#34
○伊藤(茂)委員 十分配慮した対応をお願いしたいと思います。
 次に、高度な半導体から農業の方に変わってひとつ伺いますが、最近、乳製品の輸入の増加、あるいはまた日本の畜産農家の問題が大分深刻なようであります。
    〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕
また畜肉についても同じような状況があるようでありますが、一つ大蔵省にお伺いいたしますが、農林省もお見えになっているようで恐縮なんですが、関税局の方にお伺いいたします。
 農産物の関係でとられているIQ制度の指定品目になっているものなどの中で、事実上このIQ制崩壊という現象があるのではないかというふうな問題があるわけであります。これも皆さん御承知のとおりに、たとえば粉乳にココアの粉か何かがちょっと入る、そういたしますと取り扱いが変わってしまう。さらにはバターの関係ですね。これも調製食用脂ということで、バターにマーガリンとか水分が入ると全部マーガリンになってしまうそうですが、何かそういう扱いになってくる。そういたしますと、現行AA制になっている品目でも、実際問題としてIQ制の中に指定をする、繰り入れるということでないと、まるっきりしり抜けという現実の問題が起きて非常に深刻になっているのではないか。これらの問題について、国内のバター、粉乳などの業界または関連農民などを含めて非常に深刻なようでありまして、これらについて、聞くところによりますと、大蔵省、農林省を含めた四者協議が行われているということを聞くわけであります。何か間もなく結論を出されるような話になっているというふうなことでありますが、一面では国際的な調節を図らなければならない。一面ではしかし、何か急に非常に深刻な状態になってくるというものをどう打開をするのかという適切な措置がとられなければならないと思います。関係者の話を聞きますと、二五%というのでは安過ぎる、それでは国内バター並みに課徴金しかない、その場合にはキログラム当たり百七十円ぐらいになる、その影響がどうかとか、何かややっこしい議論をずい分なさっているそうでありますが、EC各国の例などを見ますと相当高い例がざらにあるようでありまして、間もなく四者協議の結論を出されるというふうなことのようでありますが、それらの状況を、また国内関係方面の状況を十分に配慮した結論を出すように大蔵省としても努力をしなければならないのじゃないかと思いますが、これも済みません、簡単にお答えください。
#35
○垂水政府委員 お答えいたします。
 伊藤先生の御指摘になった農産物なかんずく乳製品の問題は、いわゆる擬装乳製品問題ではないかと思います。これは大別して二つになると考えるわけでございますが、一つはココア調製品の輸入の問題、それからいま一つは調製食用油脂の問題、この二つであろうと思います。前者につきましては、すでに先生も御承知だと思いますが、農水省の方での行政指導が十分に効果を発揮いたしまして、昨年の輸入の状況もおおむね秩序だった姿になっております。問題は、後者の調製食用油脂の輸入の急増ということが当面の問題になっておると理解しておるわけでありまして、関係四省の検討もその調製食用油脂の急増に対する対策ということで重々会合を重ねてまいっておるわけであります。
 御承知のように、四省共通いたしまして、先般予算委員会で政府の統一見解が表明されましたように、酪農農家の苦境、そういうものに対しては十分な理解を抱いておるわけであります。しかし、他面これらの調製食用油脂を輸出しております国との通商の関係についても円滑な処理を要するという実態にあることは申すまでもありません。そういう意味合いにおきまして、その両者を調節させながら、今月中に関係国、関係業界等の十分な理解を得て急増対策についての解決を図ってまいりたい、かように考えておるわけであります。
#36
○伊藤(茂)委員 いま関係方面の十分な理解を得てという話がございましたが、この点十分踏まえまして御努力をお願いしたいと思います。やはりこれらの関係のことは日々いろいろな新しい問題が起きるわけでありますし、大変だと思いますが、関係方面の希望を十分踏まえて、また納得のいく結論を出すように努力をしていただきたいということをお願いをいたしておきます。
 もう時間でございますから、外務省もお越しいただきまして大変恐縮なんですが、時間がございませんので、またアフリカ開発基金とかいう機会がございますので、そのときに恐縮ですがお伺いさせていただくことにいたしまして、最後に簡単なことを一つだけ関税局にお伺いしたいのです。
 最近新聞で読んだのですが、二月九日ですか、名古屋税関の職員の野呂さんという方がお仕事中に酸欠で亡くなった、そのほかの三人の方も被害に遭われたようですが、お元気になられたようであります。現場で一生懸命に仕事をなさっている方が事故で亡くなる、私は大変痛ましいことであると思いますし、お悔やみを申し上げたいと思いますが、この経過を新聞などで読みますとシステムとして何か問題があったのではないか。たとえば人事院規則があるわけでありますが、こういう危険な場所での作業に対して講ずべき措置についていろいろと事細かな規定がございます。空気中の酸素の濃度が一八%未満になるおそれのある場所における業務についてはどうするのか、あるいは酸素の濃度の測定を作業開始直前に行わなければならない、危険防止主任者を指名して定められた事務を行わなければならない。痛ましい事故が起きた後のことで大変残念なことなのでありますが、これらのことを十分に処理、調査をなさって――また、やかましく言えば責任の問題がございますね、これらの措置を一体監督者はとったのかとらないのかというようなことも関連をしてあるのだろうと私は思いますが、どういうふうにその経過をとらえているのかということが一つであります。
 もう一つは、これは局長に、きょうはここで取り上げる時間がありませんから、一遍説明してもらいたいと思っているのです、後で適当な機会で結構でございますから。
 千葉県知事に五千万円を送った深石という人がいます。悪いことで著名な存在となりました。その人が絹織物を不正輸入して違法ということで追及されている。何かにせものを、中国産の絹織物にスペイン産という証明書をくっつけて、東京税関で発見したのではなくて、大蔵省の統計資料から見てIQ品目ですからこんなに入るのはおかしいということでわかって、それから税関が調べて、捜査に入って強制捜査をした。東京地検への告発の手続をとるということになっていると思います。たまたまあの千葉県の土壌で非常に有名になった人でありますから、見てみたらこんなこともやっているのですが、その後私は注意しておりますが新聞でも見ませんので、一体この処理はどうなったのかということです。
 それから、業界の人にちょっと聞いてみましたら、これは常識だそうでありますが、これらの陸揚げ、通関は普通は関西だそうであります。大阪税関か神戸税関か知りませんが、関西の税関にベテランもおり、それから消費地も近いということでなされている。何で東京税関でなされたのか。通常のあれで言いますと、東京港で陸揚げをして東京税関ということはないので、関西の方で陸揚げをして関西の方のたとえば大阪税関で通関措置をとるらしいのですね。もしそうなっているとすれば、これは関税法に定められている大阪かどこかの税関長の許可書を持って陸送して東京税関に来たというようなことも推測すると考えられる。もう時間が過ぎちゃって大変恐縮なんですが、後ほど説明にお越しいただくことで結構でございますから、一言だけお答えください。
#37
○清水政府委員 簡潔にお答えさせていただきます。
 前段の名古屋の事件につきましては、私ども大変申しわけないことであったと思っております。したがいまして、局内にも安全管理対策委員会をつくり、名古屋税関と一体となりまして、今後さらに安全管理に万全を期するべく努力をいたしております。この事件の原因等につきましては大体調査も終わっておりますけれども、そうした経験を生かしてやっていきたいというふうに思います。
 後段につきましては、またお時間をいただきまして御説明に伺いたいと思いますが、いまの最後の点の、大阪で陸揚げの許可をとって保税運送してから他の税関で最終的な輸入申告の許可を得るというようなことは、わが国のいまの税関の制度におきましては一般的に認められているということでございますから、そのこと自体は適法でございますが、御指摘の事件の内容の方につきましてはもちろん非違がございましたので、強制捜査をいたしまして、現在その処分について慎重に検討中でございます。
#38
○伊藤(茂)委員 超過して済みませんでした。
#39
○綿貫委員長 柴田弘君。
#40
○柴田委員 私はまず最初に、日米自動車貿易摩擦問題につきまして御質問をしたいと思います。
 伊東外務大臣が訪米されまして、レーガン大統領に会いました。わが国の輸出自粛ということでほぼ話がまとまったということでありますが、この自主規制によって、今後こういった問題につきましてはいろいろと両国間で実務者の間で検討されるわけであります。
 マスコミ等にもいろいろと書かれておりますが、まず最初にお伺いしたいのは、輸出台数はどの程度になる方向であるかということ。きょうの新聞を見てまいりましても、駐日大使を通してすでにアメリカ政府の方は七八年、七九年の台数、八〇年は約百八十二万台でしたか、ですからそれから三十万台を減少した台数でというようなことが言われておるわけでありますが、この辺の見通しはどうなるかというのが一つ。
 それからこの自主規制ですか、輸出自粛の方法でありますが、これは業界に対する行政指導もあると思います。しかしこれは独禁法に抵触するのではないかというふうに言われておる。それで法規制ということになってくるわけでありますが、これも二通りありまして、輸出入取引法による輸出カルテルによる数量規制、それから貿易管理令による規制、こういうふうになるわけでありますが、これは一体どういう方向になるのか、まずこの辺から御答弁をいただきたい。
#41
○西中説明員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、先日来の伊東外相の訪米、レーガン大統領との会談というふうなことがあったわけでございますけれども、私ども承知しております限りでは、自由貿易の原則の維持を基本としながら日米両国政府が自動車問題について話し合いを続けていくということについて合意したというふうに承知いたしております。したがいまして、話し合いはこれから行うということでございまして、今後の成り行きは必ずしもはっきりいたさないわけでございますけれども、現時点におきまして私ども具体的にどういう数量にするとか、あるいはどういう方法で自主規制なり何なり行っていくとかというふうなことにつきまして、まだ政府としての方針を持っておるという段階ではないわけでございます。
#42
○柴田委員 まだ今後ともやっていくことであって、現在の段階ではないということであります。
 それで、もう一つこの問題に関連をしてお伺いをしていくわけでありますが、恐らくアメリカ側は輸出台数の削減ということを言うてくると思います。先ほど申しましたように、百八十二万台をどれだけ削減をしていくかという問題になってくると思うのです。たとえば百五十万台を割った数字というところに来る可能性もあろうか、私はこういうふうに思うわけであります。こういった輸出削減、台数の減少ということがわが国の自動車産業に対してどういう影響を持ってくるか。
 御案内のように国内の需要の伸びもいま一つ伸び悩みの状況にある。それから輸出の方も、アメリカ側から大幅な削減を要請された場合に、これはいかに自主規制といっても相当大きな影響というものが出てくるであろう。こういったいわゆるわが国の自動車産業に対する影響というものは、どんなふうに通産省としてはお考えになっておるか。
#43
○西中説明員 ただいま先生御指摘ございましたように、わが国の自動車産業は非常に重要な産業でございます。これは昭和五十三年の数字でございますけれども、わが国に約六十三万人ぐらい自動車製造業の従業員数がいると言わ、れております。あるいはまた、資材部門でございますとか流通部門でございますとか、そういった直接、間接部門も含めて計算いたしますと、四百万人以上というぐらいな従業員数がおるわけでございまして、わが国の総従業者数の一割程度を占めておるというふうなものでございます。したがいまして、これは自動車産業のみの問題じゃございませんで、日本経済全体にとっても非常に大きな影響を持つような問題でもございますので、私どもといたしましてはそういった自動車産業への影響あるいは日本経済への影響ということも十分踏まえまして、今後アメリカと話し合いをするにしましても当然話し合いをしていくということが必要になってまいろうかと思うわけでございます。
#44
○柴田委員 それで、わが国の自動車産業に対する影響でありますが、ここに一つの統計があるわけであります。これは佐貫利雄氏が「日本経済の構造分析」という中で発表しておるわけでありますが、たとえば生産台数を五十万台減少した場合には、これは操業度が五・二%減少をする。そして自動車生産関連部門失業者が十六万四千人に達する。失業世帯人口は五十七万一千人。そのためのこういった失業者に対する救済への要公共投資額が八千百九十七億円。それから一方、わが国の財政収入の減収でありますが、国税、地方税合わせまして千五百八十六億円が減収をする。これは昭和五十五年度の価格換算でいたしまして公営住宅六千三百四十四戸分に当たる。こういったいわゆる経済面に対する大きな損害といいますか影響をもたらす、こういうことであるわけであります。
 先ほど通産省の方から、わが国の自動車産業、関連部門を含めまして約四百万人が就業しているということでありますが、これはわが国の全産業の約一〇%、付加価値からいいましてとにかくわが国の自動車産業というのは一〇%産業ということでありまして、大きな影響を与えるということはこれは否めない事実であります。しかも、最近自動車業界において言われておるのは、かつての成長産業ではない、自動車産業斜陽化論がいま言われておる時代であるわけであります。アメリカに対する貿易摩擦の問題、特に自動車に関しては慎重の上にも慎重な対応、そしてしかも、もちろん防衛問題とも関連をしているかもしれませんが、こういったわが国の自動車産業の今後のあり方、これがわが国の経済に大きな深刻な影響と不安をもたらすということを考えて対応していかなければならない、私はこういうふうに考えるものであります。
 再度通産当局の方針、決意というものを御答弁を求めるものであります。
#45
○西中説明員 まことに御指摘のとおりかと思います。
 他方、アメリカという非常に有力な市場を今後失ってしまうというふうなことになりましてもこれまた非常に問題があるわけでございますけれども、自由貿易の原則にのっとりまして日米両国間で友好な話し合いをしていく、その際、もちろん自動車産業の重要性ということを十分踏まえまして私ども行動してまいるということで努めてまいりたいと思う次第でございます。
#46
○柴田委員 もう一つは、こういったアメリカとの交渉の結果、わが国の輸出の自主規制というものがEC諸国に当然に影響してくると私は思います。そういった意味におきましても、これはアメリカとの対応というのは必要になってくる、ぼくはこんなふうに考えます。これはいろいろと考えてまいりますに、わが国の輸出自主規制というものが、アメリカの自動車業界あるいは産業界に果たしてどれほどのプラスになってくるだろうか。端的に言いまして、この自主規制がアメリカの自動車業界における失業者救済になるかどうかということも、はなはだ私は疑問だと思う。今回の貿易摩擦問題というのは、これは日本の問題というよりも、アメリカのいわゆる国内の経済の問題あるいは自動車業界それ自体の体質の問題であるというふうに私は理解をいたしておるわけでありますが、その辺はどうでしょう。
#47
○西中説明員 ただいま先生御指摘になりましたように、アメリカ自動車産業は現在非常に困難に直面いたしておるわけでございますけれども、その主な原因は、景気後退でございますとか、高金利でございますとか、あるいは小型車への対応のおくれでございますとか、そういったものが主たる原因であるというふうに私どもも考えておるわけでございまして、昨年のアメリカのITCの決定等におきましても同じような考え方がとられておるというふうに認識しておるわけでございます。
 したがいまして、先生御指摘のございましたように、日本の自動車の輸出の抑制ということが仮に行われたとしましても、アメリカの失業救済等にはつながらないんじゃないかということは一つの重要な論点であるというふうに私どもも考えておるわけでございまして、今後アメリカ側と話し合いをするという段階におきましては、当然のことでございますけれども、現在アメリカの中でルイス運輸長官のタスクフォースでいろいろ検討が行われておるわけでございますけれども、その内容でございますとか、あるいは日本車の輸入問題とアメリカ自動車産業の再生との関係でございますとか、その辺につきましては十分な意見交換を行う必要があるだろうというふうに考えておる次第でございます。
#48
○柴田委員 ですから、通産大臣がお見えになりませんからあれなんですが、とにかくこちらの言うべきことははっきりと言うべきだと思います。
 それからいま一つ、この貿易摩擦に関連をして申し上げておきたいわけでありますが、最近の貿易摩擦の激化といいますか、変化といいますか、これを考えてまいりますと、だんだん構造が変化してきたというのか、態様が変化してきたのではないかというように私は考えます。
 かつて日米間で繊維なんかの問題で見られましたように、とにかく二国間の問題だけが貿易の不均衡、貿易摩擦を起こしておった。それが一つの中心テーマになってきたわけであります。これがだんだん、たとえば今度の自動車の問題でもアメリカとの解決いかんがEC諸国にも飛び火をするというように、そういった構造になってきたと同時に、それは繊維は基幹産業ではない、である、こういう議論もあるわけでございますが、とにかく貿易摩擦の品目というものがだんだん基幹産業に及んできた。しかも、それがより政治的なあるいは社会的な側面といいますか、色彩というものが出てきたというふうに私は感ずるわけであります。
 先ほども議論もありましたが、IC、集積回路の問題、あるいはまたコンピューター、工作機械、半導体、これは今後自動車以外にどんどん貿易摩擦の問題としてくすぶってくるのではないか。しかも、いままでのこの解決策、今回の自動車の問題を見てまいりましても、まずこういった問題がアメリカの議会の中で問題となり、それにアメリカ政府が介入をする、そして日本側の自主規制措置という解決策でやる、一つのパターン化していると私は思うわけですね。こういった悪循環というものはやはり慎重に検討しなければならない。断ち切ることはなかなかむずかしいかもしれませんが、こういった問題はもっともっと真剣にわが国としても、日本政府としても考えていかなければならない。だからやはりこの貿易という、一つのルールというものをこの際考えていくべき時期に来ているのではないか。一つの新しい土俵づくりといいますか、ルールづくりというものが必要になってくるのではないか、こんなふうに考えるわけでございます。
 これは本当は通産大臣か総理大臣にする質問でございますが、どなたでも結構でありますが、簡単で結構ですので御答弁をいただければと思います。
#49
○保岡政府委員 先生御指摘のとおりだろうと思います。厳しい世界の環境で、特に日米関係は世界経済の中で占める地位と責任というものも非常に重い。しかも相互の密接な信頼関係というものも、その責任と地位にかんがみて十分これを大事にしていかなければいけない。したがって事前によく相手との意思の疎通を図って、そのような摩擦が起こらないように、これは慎重の上にも慎重に配慮しなければならない。その間にあっては、わが国の経済の問題もありますから、先生がおっしゃるようにむしろ言うべきことはきちっと言いながら、そして相手の言うこともよく聞き、相手の国内の産業、経済の動向についても十分よく把握してやっていくという体制をできるだけ今後とも重要視して、その対策を強力に考えていく必要がある、このように思います。
#50
○柴田委員 ぜひひとつ言うべきことははっきり言っていただいて、ワンパターンを繰り返すのではなくて、新しいルールづくりというものを前向きに、また真剣な検討をお願いしたい、こういうふうに思います。
 それから次は、時間も余りありませんが、たばこの問題で専売公社にお聞きをしていきたいと思います。
 昨年の十一月に決着を見ました日米協議の合意内容を見てまいりますと、関税率の引き下げを初めといたしまして、小売業者に対するマージン率の引き上げ、あるいは輸入品取引店数の増加、広告、宣伝活動の実施等多岐にわたっております。これらの措置というのはいずれも輸入品の販売数量を増加させる要因となり得ると考えられるわけでありますが、一方においては先ほど総裁もおっしゃっておりましたように、日本のたばこ市場というものは、健康と喫煙問題等の影響もあって需要が伸び悩んでおります。私は大蔵委員会随一のヘビースモーカーだと思って一生懸命専売公社に協力をしまして吸っておるわけでございますが、総裁もなかなかたばこがお好きなようで、お見受けするとよく吸っている。しかし今回の関税率の引き下げの措置、これは輸入品の伸長となりまして国産品の販売数量に影響を与えるというふうに私は考えるものでございますが、一体どういう影響を与えるでしょうか。
 それからいま一つは、今後このためにどんどん自由化されてくると思います。だから公社としても、今後とも外国たばこに対抗できる技術開発あるいは新しい商品開発というものを心がけていかなければならない、こんなふうに考えているわけでございますが、その辺の御所見、いかがなものでございましょうか。
#51
○泉説明員 お答えいたします。
 いまお話しのように、昨年十一月に日米たばこ協議が妥結いたしまして、関税率の引き下げを初めいろんな措置がとられることになりました。
 たばこの輸入品はここ五十二年、五十三年、五十四年と平均伸び率が一二・六%で伸びてまいりまして、国産品の伸び率は年二%程度でございますから、それに比べますと、数量が低いので伸び率が目立つわけでありますけれども、かなり大きく伸びまして、五十四年度におきましてはシェアが一・三%にまでなったわけでございますが、御承知のとおり五十五年の四月二十二日に値上げをいたしましたので、その後の売れ行きは余り伸びておりません。これは輸入品は値段が高うございますので、定価改定の都度伸びが落ちるわけでございます。しかし一年か一年半ぐらいたちますとまたもとの伸び率に戻っていくのではなかろうかというように考えておりまして、私どもとしてはその動向を注目して見ておるわけでございます。
 先ほども平林委員にお答えいたしましたように、私どもとしては昭和六十年ごろまでにはシェアが三%ぐらいになるのではなかろうかというふうに見ておりまして、三%といたしますと、そのころ三千億をちょっと超す数字になっておると思いますので、三%は約九十何億本になるわけでございます。この影響は、たばこ工場でございますと、一工場九十億本という工場がございますので、そういう一工場分ぐらいに相当する。ただ急激にふえるわけではございませんで、今後だんだんとふえるということでございますけれども、その影響はかなり大きいと思います。耕作面積の方にも約千ヘクタール程度の響きが出てまいります。
 しかし、私どもとしては一応はそういう予測をいたしまして、それに対する対応策を講じておるところでございまして、いまお話しのように、輸入品に対抗する高級品を開発いたしまして、それで輸入品のシェアがそう大きくならないように、われわれの国産品のシェアを確保するように努力してまいりたい。このためにすでにキャビン一〇〇ミリというのとキャビン八五ミリというのと両方出しておりますが、なおさらに輸入品対抗の新しい銘柄を開発していきたい、このように考えております。
#52
○柴田委員 では、時間がありませんので、あと二点お聞きしますので簡潔に御答弁いただければ結構です。
 一つは、輸入品問題につきましては全国十一万人の葉たばこ耕作者も大きな関心を持っております。輸入品数量の増加は国産品数量の減少、これが国内産たばこの需要減少となり、したがって、耕作者は輸入品の動向によっては将来急激な減反が起こるのではないかと危惧をしております。今回の大幅な関税率の引き下げが実施された場合に葉たばこ耕作者にはどのような影響を与えるのか、将来の見通しを含めての御見解。
 それから第二点目でありますが、今回の関税率の引き下げの背景は、アリメカを初めとする諸外国におけるインフレの進行、それに伴う輸出価格の高騰による外国製品の競争力の低下があるということでありますが、そういうことであれば、また将来再び関税率の引き下げが問題になる可能性があると私は考えます。この点についてはどうお考えになっているのか。
 以上の二点、時間がございませんので、簡単な答弁で結構です。お聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。
#53
○泉説明員 輸入品がふえますことによっていま十一万人おられるたばこ耕作者の耕作面積に影響がどの程度出るだろうかということでございますが、先ほど申し上げましたように三%のシェア九十億本余りとしますと、それによって千ヘクタールほど影響を受けるわけでございます。
 ただ、たばこ耕作者にとっていま問題なのは、それより以前に、昭和五十年から定価改定が行われましてからの伸びが非常に落ちてしまっておるということでございまして、そのために在庫過剰が一年分ほどできております。その在庫過剰をなくしていくために減反をといいますか生産調整をせざるを得ないということで、五十二年から生産調整をいたしておるのでございますが、その方の影響が大きいのでございまして、輸入品がふえることによって減反しなければならぬという量はそれほどのものではございません。むしろ在庫過剰を抑えるために、たとえばこの五十六年度では千八百ヘクタール生産調整をいたしました。前年の五十五年も千七百ヘクタール生産調整をいたしておるような次第でございまして、その影響の方が大きいというふうに見ていただいた方が結構だと思います。
#54
○清水政府委員 関税率につきましては、今回はかなり思い切った調整をしたというふうに私どもは考えております。したがいまして、まずこれでかなりやっていけるのではないか。考え方といたしまして、前提となる基本的な経済的諸情勢に大きな変化がない限りは、やはりこの率を維持していくべきものである、このように考えております。
#55
○柴田委員 では、終わります。
#56
○綿貫委員長 玉置一弥君。
#57
○玉置委員 時間がありませんので、ごく簡単にそれぞれ聞いていきたいと思います。
 今回の関税率の見直しによりまして日本の経済がこれから若干でも諸外国に対して前向きに取り組んでいるというような姿勢が映るかと思いますけれども、これはわれわれだけが考えていることでありまして、外国、相手国がそれぞれどういうように考えているかわからない、そういう気持ち、が若干出てまいりました。そこで、今回の見直しを行うときに、従来から東京ラウンドでの合意事項といいますか改善の打ち合わせ、それについていろいろなことをやってこられましたけれども、今回のことを含めて、いま貿易摩擦、先ほどからいろいろ話が出ておりますけれども、これが今回の関税の動きによってどういうふうに推移をしていくか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
 まず全般的な話として、外務省来ておられましたら外務省の方から、この関税の動き、これをこれからの経済摩擦の中でどのように活用されていくか、また相手国としてどのように影響を受けると予想されるか、それについてお伺いしたいと思います。
#58
○池田説明員 一般的に申しまして、関税の引き下げは自由貿易体制をさらに推進させるという見地から望ましいものであるというふうに考える次第であります。また、今回のいろいろな品目の関税撤廃のようにわが国の市場をさらに開放するということにより、諸外国における保護貿易の高まりを防止するとの意味でも、対外関係上重要な意義があるというように考える次第であります。
#59
○玉置委員 本当はいろいろ突っ込んで聞きたいのですけれども、時間がないので、まあ大体そうですかという感じで受け取っていきたいと思います。
 現在大変消費が停滞をしている。そういう中で昨年一年を見てみますと、国内消費が停滞をすると海外へ伸びざるを得ないというような状況が出てきているわけでございます。これは各産業間での調整がつかないといいますか、調整をすると、国内市場であれば独禁法に触れる。逆に輸出拡大は、シェア、操業度を確保するという面から、あるいは売り上げを確保するという面から見て、それぞれの思惑が入ってくる。そういう状況からとても各産業間だけでは手がつけられないのではないかというふうに思うわけです。
 こういう状況を見て、通産省の方にお伺いをしたいと思いますけれども、行政介入という言葉はいま非常に悪い印象を受けておりますけれども、そうではなくて、言ってみれば中労委みたいなものであるというような形で調整役として入れないかどうか、あるいは私は調整をしていかなければいけない、そういう事態がいまの国際環境の中で生じてきているというように理解をしているわけでございますけれども、それについてどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
#60
○菊川説明員 わが国といたしましては自由貿易を維持するということが根本であると考えておりますが、反面内需の拡大等によりまして諸外国からの輸入の拡大ということにも努力をしなければなりませんし、あるいは輸出につきましても節度ある輸出ということで国内の関係業界に要請していくということが必要かと思っております。
#61
○玉置委員 これから先自由競争だけではなかなか折り合いがつかない事態が来る。来るというか、もう来ているわけでございますけれども、今回の対米自動車問題のように、場合によっては生産、輸出、両方の枠を検討しなければいけない、そういうような事態が来るわけです。そういうときに各業界の中で各社それぞれどういう分担をするかということになりますと、いままでそれが行われるまでにはシェアを伸ばさなければいけないという、逆により競争を激化し、輸出相手国を刺激するような事態になるわけでございまして、できるだけ早くそういう面での調整というものがとれる体制をお願いしておきたいと思います。
 今回日本が非常に前向きに関税問題について取り組んでおるという話で、いろんな面でこれから有利に働く、そういうニュアンスでお答えをいただきましたけれども、具体的な例を言いますと、ECの中に対日差別輸入制限というものが設けられておりまして、その中で五十七品目、ECから諸外国に対してあるわけです。そして二十九品目、日本だけを対象にしたものがある。こういうようなところにもっと強く、今回の動きを絡めて、これから外交政策あるいは交渉として働きかけていけないかということに対しまして、これは通産省になるのですか、外務省になるのですか、簡単で結構ですからお答えいただきたいと思うのです。
#62
○野口説明員 EC側が日本に対しまして維持しております差別QR五十七品目、今度ギリシャが入りまして六十七品目になりますが、これにつきましては、わが国は機会あるごとに早期かつ無条件の撤廃というものを強く要請してきておりまして、先般の一月東京で開催されました日・ECハイレベル協議の場におきましても、同様にEC側に対して強く要請してきている次第でございます。
#63
○玉置委員 今回の関税の動きがより有利になるかというお答えがなかったのですが、時間がなくてそれまで聞くことができないので、次に進みたいと思います。
 今回の改正の中に、非鉄金属に対して亜鉛、鉛、マグネシウムというものそれぞれの免税点の引き上げについてうたわれておりますけれども、この中に、日本の中で非鉄金属の中においてはアルミに次いで比較的使用料の多い銅、これが含まれていない。そして現在の日本国内の鉱山の中で銅のウエートが非常に高いわけでございます。生産量としては、鉛というより亜鉛ですか、亜鉛には及びませんけれども、銅のウエートが非常に高い。そういう面から見て、関税が設けられている中で今回の免税点引き上げの中になぜ銅が含まれなかったのか。そして銅が国内鉱山の中では十分採算がとれる商品であるのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
#64
○山梨説明員 お答えさせていただきます。
 なぜ無税点を引き上げないのかということと、国内の鉱山がいまのあれで採算が成り立つのかという点でございますけれども、お答えの都合上、先に後の方の質問からお答えさせていただきます。
 まず銅はいまスライド関税を採用しているわけでございますけれども、スライド関税の中で国内の鉱山というものは、輸入鉱のコストより、地金になりましても確かに比較的高いわけでございますけれども、年々実はトータルの需要量と申しますか、国内の銅の地金の生産量がふえるにつきまして、国内の鉱山のシェアが減っているという事実がございまして、このスライド関税を採用しているという内容は、おっしゃるように生産コストというものがエネルギーコストのアップ等を含めまして年々上昇するということは一般的に言えるわけでございますけれども、輸入鉱での地金がふえているということで、輸入鉱石からは、地金には関税がございますものですから、輸入鉱石から生ずるメリット分と申しますか、これをもって国内鉱山にある程度還元するようなシステムを採用しているわけでございます。
 そういう意味からしますと、海外鉱の比率がふえていくということは、国内鉱山に対する助成が手厚くなっていくというような事実もございまして、そういうことを含めますと、現在の需給状況からいたしますと、今年は引き上げを見送っても大丈夫なのではないかというふうに私どもは判断している次第でございます。
#65
○玉置委員 大蔵省にお伺いしますけれども、いまたとえば銅についてはトン五十万円、キロで言うと五百円というのが一応免税点であるということでございます。五十三年に設定をされまして、それ以降数年しかたっておりませんけれども、その間特にエネルギー関係、そして鉱山においては環境対策に非常にお金がかかる。それと日本の資源がだんだん乏しくなってきておりまして、純度の低いものしか見当たらない。探鉱にお金がかかる。そういうことが非常にかさばってきております。そういう状況の中で、単に言われただけで、データとしては当然資源エネルギー庁の方から出されて検討されたものだと思いますけれども、これからの国内政策を考えた場合に、ちょっと片手落ちの部分ががあるというふうに思うのです。
 これは大蔵省に言ってもしようがないので、データを出している資源エネルギー庁として、現在の国内鉱山に対して銅のウエート、そしていまの採算点、業界の方からお話をいろいろいままでお伺いしておりますと、当初決められた五十万円の時点、その時点でもかなり苦しかったという話があるわけです。この間お伺いしますと、大体五十万八千円くらいのところに来ていて、ほぼいまでもいけるじゃないかということなんですね。
 ところが、これだけを見るとそうなんですけれども、たとえば緊急融資の制度の適用を見てみますと、緊急融資というのは要するに免税点から関税還付金を引いた部分、それが一応発動していくのだ、その間が非常に長い。長いといいますか、大変あるわけです。そうなりますと、いまみたいに四十万前後で市況が推移をしているというときが一番苦しいのではないか、そんな気がするわけです。もう少し下がると逆に緊急融資の制度がありまして、一時期しのげる。ただ、返さなければいけないというのもありますけれども、そういう面で免税点引き上げというのは、いま業界にとっては非常に大きなメリットになるわけです。これは業界の話をしているのではなくて、逆に日本の資源エネルギーというもののある程度確立といいますか、そういう体制上から見てちょっと片手落ちではないかというふうに思うのです。
 いま、採算がとれるということが本当に事実であればそういう問題が生じてこないし、われわれもそんな要望を聞くことではないと思うのです。やはり状況が悪いのではないかというように思うわけです。その辺、原価について再調査をしていただけるかどうか。原価というか、状況ですね。原価だけじゃなくて、要するに一般管理ゾーンである環境対策、そういうのも入ってきますし、いま地盤沈下の補償というのもかなりありますから、そういう面での要するに売価として採算がとれるかどうか、それをちょっと検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#66
○山梨説明員 御質問が多岐にわたっておりますので、順次お答えさせていただきますけれども、まず最初に、日本の非鉄金属鉱業界における銅のウエートというのは、ちょっと手元に数字がなくて確たる数字はお答えできないのですけれども、銅が非常に大きい。過半数ぐらいになるのかなという感じがいたします。
 それから鉱山のコストでございますけれども、これはちょっと細かい話になって恐縮でございますが、鉱山と申しますか一次資源と申しますか地下産業と申しますのは、御承知のように国際価格の変動が非常に激しいということで、鉱山経営者といたしましては、通常の場合変動に備えて景気のいいときには比較的品位の低いところと申しますか、わりあい質の悪いところを掘るとか、それから探鉱費を相当潤沢に使って悪いときのものまでカバーするような努力をするということと、それから逆に市況が悪くなりますと、そういうことはしたくないのだけれども、わりあい温存しておいたところを掘ってということである程度調節いたします。そういうために税制のあれなんかもあるわけです。いいときには利益のうちの一部を免税で何年間か後に備えるというような制度もございます。
 そういうことである程度調整しておりますので、市況の変動に伴ってコストというものが直に経営を打撃するということはある程度避けられるような制度がございまして、そういう意味でいまの四十万円というのが直に、いまの国内鉱山がそれで成り立たなくなるとかいうようなことを判断するのは非常にむずかしい。
 ただ、そういう不況が非常に長く続く、実は五十三年度から四年度の初めぐらいまで非常に長期にわたって不況が続いたわけでございますけれども、こういうときにはある程度いい鉱石も掘り尽くしてしまうというようなことで非常に経営がきつくなるといったようなことがございます。こういう三年、四年と続いたときにできた制度がこの緊急融資制度でございまして、現在低くなったからそれではすぐに経営が破綻するようなことになっているかというとまだそこまではいってない。実は昨年度非常に好況であったということもございまして、まだ食いつなげるという状態ではないかというふうに判断しているわけでございます。
 その辺のことを踏まえまして、それでは先ほど御質問ございましたように緊急融資制度の発動価格を変えるかどうかということでございますけれども、この制度は、先ほど御指摘ございましたけれども五十三年度の非常に不況が続いたときにできたわけでございますけれども、このときに免税点から関税還付金を差し引いた水準というふうに私どもは考えておりませんで、国内鉱山の大部分の山がある程度こういう制度をつくることによって救えるというところを一つのめどにしようということで、五十万円程度までカバーできれば一応ある程度の水準を確保できるんじゃないかというようなことを基準にいたしました。それから、先ほどちょっと御指摘ございましたようにその五十万円から輸入鉱メリット分を還元する金額を引いた金額ということでいまの発動価格が決まっているというふうに考えているわけです。
 それではいまのまま放置しておいていいということではございませんで、現在不況時でございますので、それに備えて現在のコストというものがどうなっているかということを調査しつつ、発動価格をこれから財政当局と御相談していきたい。ただし、これはそういう意味で関税の免税点、われわれは無税点と言っているわけでございますけれども、無税点と直接リンクしているものとは考えておりません。
#67
○玉置委員 いまの状況から見て、確かに基準価格という名前で呼ばれていると思うのですけれども、それがたまたま免税点をとっているというところだと思うのです。いま普通銅の市況から言うと、一番停滞している部分が大体四十三万から四十六万ぐらいが一番多いのです。それがやはり免税点五十万というと、それから見れば高いのですけれども、いわゆる関税還付金の幅が非常に大きいものですから、それを差し引いた部分しか発動できない。そういうことになりますと、逆に銅の国内価格という面から、要するに今度需要の側から見ますと、常時高いものを買わされることにもなりかねないということ、その両面があるわけですね。そういう意味からぜひ見直しをお願いしたいということ。
 五十三年というのはある程度どっちにしたっていま出さなければいけないというところで、言ってみれば、悪いですけれども、えい、やっで決められた部分だと思うのです。ともかく出す口実が要るというので出されたのだと思いますけれども、これから先の鉱山資源が日本国内にあるということが主要相手国に、産地に対する牽制策になりますから非常に大きな要素だと思うのです。そういう意味でぜひ検討をお願いしたいと思います。
 予定の時間を一分経過いたしましたけれども、終わります。
#68
○綿貫委員長 正森成二君。
#69
○正森委員 昨年、東京ラウンド関税関連の法案が提出されましたが、わが国は東京ラウンドの関税引き下げで、アメリカ、ECに比べて大幅な引き下げを行って、その結果、わが国の引き下げ後の関税率は全品目平均で約三%、アメリカは四%強、ECは五%弱になる。つまり先進国中最低水準になったのではありませんか。
#70
○清水政府委員 そのとおりでございます。
#71
○正森委員 現行の実行税率が東京ラウンドの関税引き下げ基準税率を下回っている品目というのがエビだとかモモかん詰め、カラーフィルム、家具など約千九百品目に上っていると思いますが、これはそもそもわが国が昭和四十七年に二割カット措置を行い、さらに五十三年には前倒し引き下げというものを一方的に実施した結果こうなっているのではありませんか。
#72
○垂水政府委員 お答えいたします。
 ただいま御指摘の実行関税率が協定税率に比べて下がっているという背景は、黒字減らし対策等等で二割カットとか、あるいは五十三年に東京ラウンド交渉の妥結促進というものを目指した前倒し引き下げとか、そういったものによってもたらされた部分が相当ございます。さはさりながら、それ以外に国内の政策の必要性、つまり物価対策とか国民生活の安定のための対策とか、そういうことによって協定税率を下回る暫定減税を行っている結果それが実行関税率になっている、そういうものもかなりの程度にあるわけでございますので、そういう国際的な配慮と国内的な配慮、そういうものの措置の複合として実行関税率が下がっておるというふうに御理解いただいたらと思います。
#73
○正森委員 前半の答弁は私が申しましたことを肯定されて、後段は私が必ずしも聞いておらない言いわけといいますか、理由づけを述べられたと思うのです。この問題は、昨年の関税関係の法案審議のときにも指摘しましたが、きょうは導入部門ですから多くは言いませんが、国内の要請からもそうなっているというのについては、アメリカではジョーンズ・レポートその他、三年ぐらい前から日本の市場を詳細に調査しておりまして、結局、関税率が引き下げられた、あるいは円高になって輸入品が安くなった、ところが日本の物価はその恩恵をちょっとも受けていないで、輸入業者や中間の流通機構が全部もうけちゃっているという非常に厳しい指摘をしているのです。ですからいまの審議官の答弁は、必ずしも消費者の利益のためにやったということじゃなしに、輸入業者と流通業者の利益のためにやりましたというような答弁になりかねないのですね。しかし、これは関税当局だけを責めるのは酷であって、通産省あるいは民間に問題提起をすべきことだと思いますけれども、実行税率と基準税率とが違う理由に国内問題があるのだといういまの答弁は、国民全体としては必ずしも妥当と認められないということは指摘しておきたいと思うのです。
 ところで、そういうぐあいに実行税率を下げておるのにまた実行税率が下がってしまうからさらにサービスしなければいかぬということで、五十九年度までの五年分を去年は定めたわけですけれども、約千六百四十品目については初年度に二年分を一括して引き下げるほか、大体八分の一ずつ去年の一月一日から均等に引き下げるということで、まあ言ってみれば前倒し措置もとったわけでしょう。そうじゃないのですか。
#74
○垂水政府委員 お答えいたします。
 大筋においては委員のおっしゃるとおりでございます。ただ、私があえて申し上げるならば、御承知のとおり東京ラウンドの諸協定は、一般の参加国の場合には一九八〇年の一月一日から関税の引き下げを予定しておったわけでございます。したがいまして、その場合は、協定の中に明文をもって八年間八分の一ずっということが定められており、一月二日以降に引き下げが成るときは、初年度においては八分の二引き下げるということがこれまた協定の中にうたわれておるわけでございまして、そういう意味においては、いわば実施のおくれを取り戻すというような意味合いもあろうかと思いますが、初年度の引き下げがおくれた場合の二年分というのは、これはいわば協定上のルールというふうにお考えいただいたらいかがかと思います。
#75
○正森委員 ですから、それ以外は必ずしも義務づけられていないものを自主的に引き下げておる、こういうことになるわけですね。ですからわが国の関税体系というのは、アメリカに比べてもEC諸国に比べても、全世界的に見て類例がないぐらい低い。それは一方では物価の点で国民へのサービスになっていると同時に、自由貿易という点から言えば、諸外国に対する非常なサービスになっておるということは否定できないと思うのですね。
 ところが、こういうマルチラテラルなものだけでなしに、日米間の問題については、今度の法案ではさらに自動車部品やたばこについて非常に大幅な譲歩をしておるというように言わなければならない。つまり、全般的に大幅な譲歩をしておる上にさらに個別の問題についてまた譲歩をしておる、こういうことになるわけであります。
 そこで、今度の法案の原型になったと思われるものは、たしか昨年五月十五日でしたか、アスキュー米通商代表部代表が来られましてわが国の竹下大蔵大臣や佐々木通産大臣に会われて交渉をされるということがございまして、そのときにたしか新聞発表が行われて、アメリカ側がこれを評価するという形が行われました。そこで、自動車部品関係の減税を行う、あるいはわが国自動車メーカーが今年度の米国製自動車部品の輸入額を前年度に比べ約二倍購入するとか、あるいは輸入車の検査手続の緩和を行うとか、「政府はわが国自動車、部品メーカーの対米投資を勧奨する」とかいうような数項目が事実上合意されて、それを実現するための法案である、あるいはその一環であるというように言ってもいいと思うのですが、どうですか。
#76
○清水政府委員 趣旨としては、大体去年の五月のそうした日米間の合意に基づいた措置であるということは言えるかと思います。
 ただ、その前提となりましたそのときの判断の問題でございますけれども、これはやはりそのときの大局的な見地から、主要である日米両国間の貿易関係の円満な運営を図るという趣旨から大局的にそういう対応をしたということであろう、こういうふうに思っております。
#77
○正森委員 それは関税局長がお答えになったとおりだと思うのですね。しかし、大臣はちょっとおくれて来られましたので問題点への御理解がなさりにくいかと思いますけれども、去年の五月に、いま私が言いましたように自動車部品についての関税を一品目を除いてはゼロにしてしまう、部品関税原則ゼロというようなことを事実上合意する。そのもとにあったのは何かといえば日米自動車摩擦なんですね。それで当時の新聞を持ってまいりました。これは日経ですが、「日米自動車摩擦一応の決着」こういう大きい見出しで出ているのですね。初めに言いましたようにわが方は東京ラウンドでアメリカやECに比べてうんと関税を下げる、しかもそれを前倒しにやるというようなことを諸外国間の共通の土俵ではやって、そしてアメリカに対しては部品を原則ゼロにする等々数項目のサービスをして、自動車摩擦はこれで一応解決だ、こうなっても、昨今の新聞を見ますとまたまた自動車摩擦で、年間いま百八十二万台ですか、やっているのをアメリカが百五十万台以下に強硬に言っておる。それに対して自粛を一年でどうだというのを、一年ぐらいではとてもだめだ、三年以上でないとだめだとか、その上に自分の都合ばかり考えて、アメリカの独占禁止法にひっかからないように日本で考えろとか、もういろいろなことを言っているのですね。ここ二年ほどの推移を見ておりますと、もう次から次へと要求を出してきておると言わなければならない。しかも、そうすることによってアメリカの自動車産業が本当に立ち直れるだろうかというように考えますと、他の議員も少し言われましたけれども、きょう出ております各紙の社説などを見ますと、アメリカ自身の自助努力がなければ、そのことによっては必ずしもアメリカの自動車産業は十分に活況を呈することができないというようなことも言われているのですね。
 私どもが今度の関税暫定措置法に対して、後でも申しますが、いろいろ改正が行われますけれども、そのうちの七割、八割までは賛成できるにもかかわらずあえて反対の態度をとっている一つの理由は、こういうような対米対応というものがわが国の自主性からいっても必ずしも好ましくないというように考えるからであります。そこで大臣の御所見を承りたいと思います。
#78
○渡辺国務大臣 日米間の問題は、私は総合的に考えていかなきゃならないと思っております。部品関税をゼロにするということにしても、アメリカから日本にどんどん部品が入ってくるという状態ではない。したがって、今後、仮にですよ、どういうことになるか知りませんが、仮に自動車の輸出が自主的にある程度規制されるということになっても、日本の車が非常に使いやすいということになれば奪い合いになるかもわからぬことであって、そうすれば、数量は減ったが値段は上がるということもあり得るかもわかりません。終局的にはやはりアメリカ自身の経営体質の改善をやらなければ、自由貿易の中ではそういつまでも無理なことが続くわけがないので、どこかでまた裏目に出てくるということもございます。しかしながら、日米関係というものは、向こうがそう思い込んでおるという面もありますから、そういう点でエキサイトすることは、少なくともわれわれにとっては国民全体のためにならない、そう思っておるわけでございます。
 関税問題にいたしましても、たとえばたばこの問題等は、これはもともとは、要するに外国のものが安く入ってきては困ります、そのために国内との差額関税を取るというのがもともとの始まりなのです。ところが、向こうもインフレその他で値段が上がってくる、したがって、結局同じ関税率をかけられたのでははるかに日本よりも高くなっちゃうじゃないか、そうすれば、もともとは安いのが入ってくるから困るというのに、高くして売れなくするというのもいかぬじゃないかという話になりまして、これも理屈なのですよ。
 したがって、そういういろいろな経過を経て今回の取り決めが行われたということでございます。別にアメリカの言いなりになっているというわけではないのでございますから、御了解をいただきたいと存じます。
#79
○正森委員 大臣の御指摘になる点ももっともな点があるわけですけれども、しかしそのアメリカのインフレというものを自分の自助努力で訂正しないで、値が高くなってきたのだから関税の方で下げてもらって、ラークならラークが、日本の競合たばことの値差が縮まるようにしてくれというのは、立場を変えて逆に日本がアメリカにそんなことを言ったって、何を言うか、おまえの方が努力をしてインフレをおさめるのがあたりまえだ、こう言うだろうと思うのです。ですから、やはりわが国から強いアメリカに向けてのサービスであるというように言っても仕方がないと思うのです。
 それで私は、なぜアメリカがこういう事態になったかということをアメリカの政治家の言葉で、大臣は政治家ですからお耳に入れておきたいと思うのです。
 これは、現在は落選しておりますが、七九年の一月にアメリカ上院の外交委員長に就任したフランク・チャーチ、名前は御承知だと思います。チャーチ委員会とよく言われておりました委員会の主宰者でもあります。この人が七八年の十二月十二日に行った演説があるのです。その中でこう言っているのです。
 「世界におけるアメリカ経済の地位がこの数年間にひどく侵食されてしまった」ということを前置きにしまして、「アメリカは一九五〇年以来、巨大な軍事機構をつくり、外国政府を武装・装備させ、朝鮮、ベトナムのようなはるかな地で局地戦をたたかうために二兆ドルという途方もない金を使った」「軍事支出を重視したことによって、この目的のために国家的な調査研究の大きな部分がふりむけられた」「わが国政府の研究・開発予算の七〇パーセント以上が軍事・航空宇宙計画に費されている。しかも、これらの計画の大部分は民間会社に請け負わされているのだから、民間部門にある技術革新能力の大部分は、世界市場で十分な競争力をもつ消費製品を開発するためでなく、よりいっそう高度な兵器を追求することに費されている」こういうことを言うているのです。
 これは正森成二や共産党の政治家が言うているのじゃないのです。アメリカのチャーチという外交委員会の委員長が、自分で自己批判をしてこういうことを言うておるのです。アメリカは軍事に使い過ぎた、研究、開発の費用も軍事に向け過ぎた、民間の競争力を持つ方に投資やら研究ができなかった。だからいまトヨタや日産で使っているロボットに負けたのだとはまだ書いてありませんけれども、しかし実際上はそういうことなのです。
 ですから、彼はさらに続けて、「危険を示す最もはっきりした兆候は、アメリカの一人一時間あたりの生産性が他の工業国に比べて落ちてきたことだ」「一九六四年以来、一人一時間あたりの生産性は日本では平均九・三パーセント、フランスが六・四パーセント、ドイツが六・三パーセントの割りで増加してきたのに、アメリカではわずか一・七パーセントの割りでしか成長していない。」こう言っているのですね。
 ですから、こういうような状況を改善しないで日本に、自由貿易主義を守るために自粛して制限してくれ、自由貿易主義に反することを、自由貿易主義を守るためにやってくれ、こういう理屈に合わないことを言うわけですね。そういうことをやりましても、これは決してアメリカの本質的な経済の回復にはならないだろうというように私は指摘せざるを得ないのです。その一環として今度の関税暫定措置法関係のたばこや自動車部品の問題があるということをやはり私は国会の席で指摘せざるを得ない、こういうように思うわけです。
 委員長、本当はもっと聞きたいことがあるのですけれども、本会議がございまして質問時間が少のうございますので、来ていただいた政府関係者の方にはまことに申しわけないのですけれども、以下、私どもの立場だけを申し上げて、質問を終わらしていただきたいのです。
 関税局長も来ておられますが、私どもは今度の法案の全部に反対するわけではありません。特に特恵制度関係については、基本的には、当然のことながら賛成であります。ただ、漁網だとか毛布については、国内との関係で必ずしも賛成できません。
 関税率の変更につきましては、鉛や亜鉛やマグネシウム塊などの問題についてはもちろん賛成であります。しかし、自動車部品やたばこの問題には、いま申しましたような理由から反対ですし、暫定税率千九百五十品目については、これはいろいろ調べてみましたら、全部が全部は賛成できない。国内の消費者やあるいは産業との関係においても賛成できないものがある、こういうように思っております。
 また、最後の各種減免税還付制度の延長につきましては、学校給食の脱脂粉乳の免税制度の延長については当然賛成でございますが、それ以外の措置につきましては、多くの場合は大企業の利益を擁護するためのものであり、もう、延長延長で来たのをそろそろここらで廃止してもいい時期であるというように思われますので、賛成することができないわけであります。
 時間が参っておりますので、非常に残念ですけれども、質問を終わらしていただきます。
#80
○綿貫委員長 柿澤弘治君。
#81
○柿澤委員 私どもは、今回議案となっております関税暫定措置法の一部を改正する法律案、特恵関税等賛成でございますので、特恵関税の運用に関する問題、改善の余地はないかという点だけを質疑をいたしたいと思います。
 特恵関税については、八条の四で輸入額または輸入数量を限定することができることになっているわけですけれども、その限度額等の管理について、民間の業界の皆さんの中にはいろいろと不満があるようです。「輸入額又は輸入数量」と書いてありますけれども、輸入枠で規定をされている品目については、海外価格の急激な上下によって数量が非常に激しく移動をする。この点については何とか数量で限度を規制するようにできないかという意見がございます。具体的には木材並びに木材製品についての問題ですけれども、この点についてひとつお伺いをいたしたいと思います。
#82
○清水政府委員 数量で限度を決めるということも現に例がございます。概してそういうものは均一的な品質のものというようなことでございます。それに対しまして、いま木材はそうなっておりません。おりませんので結果といたしまして御指摘のような問題が起きるわけでございます。でございますが、やはり通関実務の上でもその均一性というようなことが一つの大きな問題になってくるかと思います。
 しかしながら、この点につきましては、私どもとしても現実というものをさらにまた研究をしたりいたしまして、検討すべき点は検討してまいりたい、このように考えます。
#83
○柿澤委員 その点、担当の林野庁の方ではどうお考えでしょうか。大蔵省に対してその点改善を要求するというようなことは考えられませんか。
#84
○廣重説明員 それではお答えいたします。
 関税暫定の数量についてはただいま大蔵省の方から御答弁あったとおりでございます。
 いま木材製品につきましては、南洋材製材については、産地国の工業化ということでかなりの量が入っておりまして、関税暫定が月別管理になっているということから、年度当初に相当入ってくるということが問題で、業界からもそういうお話を伺っておりますので、大蔵省とも十分相談させていただきたいと思っております。
#85
○柿澤委員 もう一つの問題点は、数量の規制、いま月別管理ということがございましたけれども、月別管理の品目、日別管理の品目等いろいろあるようです。この点について、何を日別管理にし、何を月別管理にしているのか、その辺の基準はあるのでしょうか。
#86
○清水政府委員 枠の管理につきまして一番厳格にやる場合は事前割り当てでございます。それに次いでは日別管理、その次の段階は月別管理、こういうような三段階のパターンになっております。物の国内産業に及ぼす影響の重要さと申しますか、そうした点を配慮して、現実にもその間の振り分けを動かしているようなものもあるわけでございます。
 ただ、一点申し上げたいのは、いま申しましたようにきつい順番があるわけですが、きつい方に持っていくということは、国内保護の面からそういう要請が絶えずあり得ることはよくわかるのですけれども、他面、これの海外に与える影響ということの方もこの制度の趣旨に即して慎重に考えていく、そこのバランスを考えなければならない、こういう点があろうかと思います。
#87
○柿澤委員 いまの御説明ですと、特恵受益国の方への影響、それから国内産業への影響、両方を勘案しながら決定をしていきたいということのようですけれども、また具体的な問題に戻りますが、木材については月別管理になっているというお話がいま林野庁からありましたが、これでかなりの枠超過が出ているというのが実態なんじゃないでしょうか。その辺について国内への影響とかをどう見ておられるのか、その点をもう少し規制の方法を変えてほしいというような要求があるやにも聞いておりますけれども、その辺についてお伺いしたいと思います。
#88
○廣重説明員 ただいま先生から御質問のありました輸入の面でございますが、五十五年度で見ますと、五月、六月にかなり増加した実績が見えております。ただ、私どもといたしましては、製材輸入につきましては年間需給といいますか、バランスがよくとれるというのをめどにし、なおかつ最近では四半期ごとに力を入れております。製材については流通経路が短いといいますか、保管にかなり短い期間が要求されるということで、年度当初かなり入りましても、売れるめどがないとなかなか入れる方も入れられないという制約がありまして、若干四月、五月にふえていることは言えると思いますが、それが全体の需給に大きな問題を与えているということにはならないと思っております。
#89
○柿澤委員 そうしますと、当面は現在の枠規制方式でよろしいというふうに考えておられるわけですか。
#90
○廣重説明員 関係業界の方からいろいろ問題が出ておりますが、先ほど大蔵省の方から答弁がありましたように、貿易の措置でございますので、相手国だとかいろいろな観点の検討も必要だと思いまして、現状がいいということではありませんが、何らかの改善の余地があるかどうかということについて御相談したいと考えております。
#91
○柿澤委員 あと残り三分ということでありますけれども、本会議も控えておりますので、具体的な問題についてはまたいろいろ私からも意見を申し上げたいと思いますので、ここでの質疑は終わります。
#92
○綿貫委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#93
○綿貫委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 関税暫定措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#94
○綿貫委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
#95
○綿貫委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、大原一三君外四名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。沢田広君。
#96
○沢田委員 ただいま議題となりました関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨とその内容を簡単に御説明申し上げます。
 この附帯決議案は、特恵関税制度のあり方、果実、たばこ、非鉄金属等の関税とわが国農業及び産業基盤の整備、貿易摩擦の打開、武器輸出問題に対する税関の対応等について政府に配慮を求めるものでありまして、その趣旨は案文で尽きておりますので、個々の説明は省略し、案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
   関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、左記事項について配意すべきである。
 一 開発途上国の現状にかんがみ、国内産業の事情にも配意しつつ、特恵関税のあり方について十分考慮すること。
 一 果実、たばこ等の関税については、我が国の農業、産業基盤の整備等にも十分留意すること。
 一 米国、EC等との自動車問題等貿易摩擦の問題については、自由貿易の原則にのつとり、現状を打開し、円滑な関係を維持するようさらに努めること。
 一 武器輸出問題等に関する決議に基づき、税関においてはさらに遺漏なきよう必要な措置を講ずること。
 一 密輸入及び不正輸入の監視をさらに強めるよう努めること。
以上であります。
 何とぞ御賛成くださいますよう、お願いを申し上げます。
#97
○綿貫委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。渡辺大蔵大臣。
#99
○渡辺国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#100
○綿貫委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#102
○綿貫委員長 次に、財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案を議題といたします。
 政府より提案理由の説明を求めます。渡辺大蔵大臣。
#103
○渡辺国務大臣 ただいま議題となりました財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 最近におけるわが国の財政は、特例公債を含む大量の公債発行に依存せざるを得ない状況にありますが、こうした状況から一刻も早く脱却して、財政の対応力を回復しておくことがぜひとも必要であります。
 政府としては、このような考え方に立って、財政の健全化に全力を傾注しているところでありますが、昭和五十六年度予算の編成に当たりましては、公債発行額を、前年度当初予算よりもさらに二兆円減額することとし、自然増収を優先的にこれに充てることといたしました。
 これを受けて歳出面においては、一般行政経費を極力抑制するとともに、政策的経費について根底から見直すなど、思い切った節減合理化を図ることとしたところでありますが、福祉、文教等の行政水準を維持するためには、なお相当の財源が必要であります。
 このため、歳入面においては徹底した見直しを行うこととし、現行税制の基本的枠組みの中で相当規模の増収措置を講ずるとともに、特殊法人からの臨時特例的な国庫納付等を実施して税外収入の増収を図ることとしたところであります。
 このような歳出歳入両面の見直しを通じ、公債発行額の二兆円の減額は、そのすべてを特例公債の減額によることといたしましたが、昭和五十六年度においてもなお引き続き特例公債を発行せざるを得ない状況にあります。
 このように国の財政収支が著しく不均衡な状況にあることにかんがみ、ここに本法律案を提出し、当面の財政運営に必要な財源を確保し、もって国民生活と国民経済の安定に資するため、租税収入以外の歳入に係る特別措置を定めようとするものであります。
 以下、この法律案についてその大要を申し上げます。
 第一に、昭和五十六年度の特例公債の発行等についてであります。
 まず、昭和五十六年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、特例公債を発行することができることとしております。
 次に、租税収入の実績等に従って、特例公債の発行額の調整を図るため、昭和五十七年六月三十日まで特例公債の発行を行うことができることとし、あわせて、同年四月一日以後発行される特例公債に係る収入は、昭和五十六年度所属の歳入とすることとしております。
 また、この法律の規定に基づき、特例公債の発行限度額について国会の議決を経ようとするときは、その公債の償還の計画を国会に提出しなければならないこととしております。
 なお、この法律に基づいて発行される公債については、償還のための起債は、行わないものとしております。
 第二に、日本中央競馬会は、昭和五十六事業年度については、通常の国庫納付金のほか、剰余金を基準とする国庫納付金の額が五百億円に満たない場合においては、特別積立金のうち五百億円と剰余金を基準とする国庫納付金の額との差額に相当する金額を昭和五十七年三月三十一日までに国庫に納付しなければならないこととしております。
 第三に、日本電信電話公社は、昭和五十六事業年度から昭和五十九事業年度までの間、積立金のうち四千八百億円に相当する金額を、四年均等割で、毎事業年度末までに国庫に納付しなければならないこととしております。
 第四に、日本開発銀行及び日本輸出入銀行については、昭和五十六事業年度から昭和五十九事業年度までの措置として、利益金の処分の特例を設けることとしております。
 すなわち、日本開発銀行及び日本輸出入銀行は、利益金から一定の準備金積立額を控除した残額を国庫に納付することとされておりますが、この準備金積立額を計算する場合における貸付金残高に係る積立率を現行の千分の七から千分の五に引き下げることとするものであります。
 第五に、一般会計の歳出の財源に充てるため、昭和五十六年度から昭和五十九年度までの措置として、産業投資特別会計から、予算で定めるところにより、一般会計に繰り入れることができることとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#104
○綿貫委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 質疑は後日に譲ることといたします。
 次回は、来る四月七日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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