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1980/04/08 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 外務委員会 第7号
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1980/04/08 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 外務委員会 第7号

#1
第094回国会 外務委員会 第7号
昭和五十六年四月八日(水曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 奥田 敬和君
   理事 青木 正久君 理事 稲垣 実男君
   理事 川田 正則君 理事 松本 十郎君
   理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君
   理事 玉城 栄一君
      石原慎太郎君    太田 誠一君
      木村 俊夫君    北村 義和君
      小坂善太郎君    竹内 黎一君
      中山 正暉君    井上  泉君
      河上 民雄君    近藤  豊君
      金子 満広君    野間 友一君
      田川 誠一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 伊東 正義君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 鯨岡 兵輔君
 出席政府委員
        外務大臣官房審
        議官      矢田部厚彦君
        外務大臣官房審
        議官      栗山 尚一君
        外務大臣官房審
        議官      関  栄次君
        外務省アジア局
        長       木内 昭胤君
 委員外の出席者
        環境庁自然保護
        局鳥獣保護課長 中村  廉君
        外務大臣官房審
        議官      堂ノ脇光朗君
        外務大臣官房外
        務参事官    長谷川和年君
        外務大臣官房外
        務参事官    遠藤  実君
        外務省経済局調
        査官      磯貝 肥男君
        外務省国際連合
        局科学課長   林  安秀君
        水産庁海洋漁業
        部国際課長   中島  達君
        水産庁海洋漁業
        部遠洋課長   岩崎 壽男君
        水産庁研究部資
        源課長     木村 邦雄君
        資源エネルギー
        庁長官官房鉱業
        課長      山梨 晃一君
        建設省都市局下
        水道部公共下水
        道課長     玉木  勉君
        外務委員会調査
        室長      高杉 幹二君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月七日
 辞任         補欠選任
  太田 誠一君     前田 正男君
  北村 義和君     村上  勇君
同日
 辞任         補欠選任
  前田 正男君     太田 誠一君
  村上  勇君     北村 義和君
    ―――――――――――――
四月一日
 婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す
 る条約の早期批准に関する請願(栗田翠君紹
 介)
 (第二四三〇号)
 同(蓑輪幸代君紹介)(第二四三一号)
 婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す
 る条約批准等に関する請願外一件(枝村要作君
 紹介)(第二四六四号)
 同外十二件(佐藤誼君紹介)(第二四六五号)
 同外一件(栂野泰二君紹介)(第二四六六号)
 同(嶋崎譲君紹介)(第二五一〇号)
 同(森井忠良君紹介)(第二五一一号)
同月三日
 戦後ソ連地区抑留中死亡者の遺骨送還のため外
 交交渉促進に関する請願(柳沢伯夫君紹介)(
 第二五八八号)
 同(田邊誠君紹介)(第二六二四号)
 婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す
 る条約の早期批准に関する請願(岩佐恵美君紹
 介)(第二七一九号)
 同(野間友一君紹介)(第二七二〇号)
 同(藤田スミ君紹介)(第二七二一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約
 を改正する千九百八十年の議定書の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第一〇号)
 南極の海洋生物資源の保存に関する条約の締結
 について承認を求めるの件(条約第一一号)
 渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国
 政府と中華人民共和国政府との間の協定の締結
 について承認を求めるの件(条約第一二号)
     ――――◇―――――
#2
○奥田委員長 これより会議を開きます。
 北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十年の議定書の締結について承認を求めるの件、南極の海洋生物資源の保存に関する条約の締結について承認を求める件、及び渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定について承認を求めるの件の三件を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
#3
○高沢委員 私は、北太平洋のオットセイの条約の議定書に関してお尋ねをいたしたいと思います。
 質問に入ります前に、素人の立場としてこれは水産庁に教えていただきたいのですが、オットセイ、それから非常に似た動物としてアザラシとか、セイウチとかラッコとか、トドとかいうふうなものがありまして、われわれにとっては非常に区別がつきにくいわけであります。その辺の動物の性格の違いといいますか、そういうことを最初に説明をいただいてわれわれの観念を整理したいと思いますので、よろしくお願いします。
#4
○木村説明員 お答えいたします。
 私も専門的ではございませんが、アザラシにいたしましても、オットセイにいたしましても、分類上からいきますと食肉目でございます。食肉目の科といたしまして、オットセイはアシカ科に属するものでございます。アシカ科に対応しますものといたしましてアザラシ科というのがございまして、アシカ科とアザラシ科はいずれも食肉目に属しまして、そのアシカ科の中にオットセイが入っておるわけでございます。
 食性につきましては、アザラシもオットセイもほとんど似たような食性を持ってございます。
 トドは、やはりオットセイと同じようにアシカ科でございます。(高沢委員「それからラッコ」と呼ぶ)
 調べて、後ほど返事いたしたいと思います。
#5
○高沢委員 それでは、この問題は後に留保させていただきます。
 まず、暫定条約でございますが、この暫定条約というものの趣旨が、つまりオットセイの海上猟獲をやっていいのかというような調査の最終的な結論が出るまでは、とりあえず陸上猟獲を主体にして海上ではしないということで、暫定で来ているわけですが、この海上猟獲をやっていいのかどうかという最終的な結論が出る、そして本条約になるというような見通しはいつごろになるのか、初めにそれをお尋したいと思います。
#6
○遠藤説明員 ただいま先生御指摘のように、恒久的な資源管理の方法につきまして結論が得られれば本条約に移行するということになっているわけでございますけれども、昭和五十三年四月にオタワで開かれました会合におきましても、結論をまだ得ることができません。現在までのところ、このような管理のために必要な科学的な知見がはなはだまだ不十分ということでございまして、率直に申し上げまして、本条約に移行する時期についての見通しは定かではないというのが実情でございます。
#7
○高沢委員 いまのことに関連しますが、日本としては、陸上の猟獲をやるアメリカ、ソ連からそれぞれ一五%ずつ配分を受けるというようないまのあり方、このいまのあり方で結構悪くはないようなお気持ちで、そうすると、当分ずっと暫定条約でいく、これで別段支障はない、こういうお考えかどうか、その辺の感触をお聞きしたいと思います。
#8
○遠藤説明員 わが国はかねてから、一定の状況下におきまして陸上猟獲との関連で行われます海上猟獲は許容されてしかるべきである、こういう立場をとっているわけでございまして、当然、こういった点が確保されました上で恒久的な条約の早期の作成が望ましいわけでございます。しかしながら、現状におきましては海上猟獲の可否につきましてまだ合意ができる結論が得られないということでございますので、政府としては、当面、暫定条約の枠組みのもとでオットセイの資源の調査と研究に努力していく、そしてこの条約の枠組みを維持していかざるを得ない、こういうふうに考えております。
#9
○高沢委員 いま言われたのは、わが国は海上猟獲があってもいい、こういう立場だということであるわけです。そういたしますと、いままで暫定条約が施行されて以来もう二十数年になりますが、その間、日本としては海上猟獲に関する調査をずっとされてきているわけでありますが、その調査の内容、その結果として海上猟獲はこういうわけだからやってもいいというような、日本の主張を裏づけるそういう調査の内容というものはどういう段階まで来ているのか、結論の出せる段階まで来ているのか、日本の調査としてもまだ結論は出せない、そういう段階なのか、その辺のことをお尋ねしたいと思います。
#10
○木村説明員 御承知のとおり、北太平洋のオットセイ資源の適正な管理方法を得ることを最終目的といたしまして、条約の二条に基づいて、わが国は一九五八年以来、米国、カナダ、ソ連とともに海上調査及び陸上調査を実施してまいったわけでございます。
 海上調査につきましては、わが国といたしましてはソ連とともに一九五八年以来、北太平洋の西部海域におきまして、海上でのオットセイのすみ分け、それから妊娠率、食性、それから三陸沖の越冬海域での系群の混合率などにつきまして調査を実施してまいったわけでございます。
 一方、陸上調査につきましては、一九七四年以、来アメリカ及びソ連の繁殖島において、商業猟殺の対象となっております独身の雄の行動、生態及び雌の行動一生態等についての調査を実施してまいったわけでございます。
 この結果、回遊状況とか食性等につきましては多くの科学的な知見が集積できたわけでございますが、わが国が主張しております海上猟獲の妥当性の立証につきましては、繁殖場における雌雄の割合、それから海上におけるすみ分け、特に雄だけが集中分布する地域の存在及び海上におきます雌雄の識別の可能性等、これが今後さらに調査をしなければならない問題として残っておるわけでございます。したがいまして、今後はこれらの問題点の解明につきまして努力してまいりたいと存じておる次第でございます。
#11
○高沢委員 いまの御説明で、わが国とソ連がそういうふうな調査を共同でやったということですが、いま説明されたようなそういう調査の結果の判断、認識、これはソ連側も同じような判断、認識を持っているのかどうか、その辺はどうでしょうか。
#12
○木村説明員 実は海上調査につきまして日本とソ連が主体になって調査しているわけでございますが、どちらかといいますと調査の能力というのは日本の方がすぐれておるわけでございます。したがいまして、ソ連と日本でいま同時に海上調査をやっておりますけれども、その問題点につきましての認識は両国ともほぼ同じでございます。
#13
○高沢委員 そういたしますと、もう一度、いまのそうした調査について、アメリカ、カナダ、そちらの方はどんな調査をされているのか、その調査の結果なりあるいは判断はどういうふうになっているのか、それも説明してください。
#14
○木村説明員 いまの御質問にございましたように、米国、ソ連、カナダでございますが、これにつきましても、ソ連と日本は主として海上調査に重点がございます。それから、陸上調査につきましては米国、ソ連、カナダが中心でございます。
 それで、海上調査につきましては、米国とカナダにおきましては北太平洋の東部海域、先ほどの日本とソ連は西部海域でございますが、東部海域で一九五八年から一九七四年にかけまして、海上でのすみ分けとか、先ほど申しました妊娠率とか食性等につきまして調査をしてまいっておりまして、その調査の結果につきまして、一九七五年から調査資料について電算処理をやっておるわけでございます。それで、その過去の結果の整理をやりまして、なお内容とかその海区等、未調査の部分があるということで、現在そういうような未調査の部分の検討をあわせ行っている段階でございます。
 また、ついでに申し上げますと、ソ連はわが国と同じように北太平洋の西部海域において海上調査をやっております。
 それで、カナダにつきましては、調査はやっておりますが、陸上調査につきましては米国とソ連が主体になっております。一九五八年以来、自国の繁殖島において資源管理に必要な要素の検討を行っておるということで、カナダも若干行っておりますが、米国、ソ連ほどの調査はやっておらないということでございます。
 それで、日本を除きまして米国、ソ連、カナダ、そういう各国の調査結果につきましては、各繁殖島における資源状態、各海区のすみ分け、食性等の成果を得られておるわけでございますが、先ほど申しました未解明の点が、日本と同じでございますが数多くございますので、現在、実際の資源管理に反映するところまでは至っていないというのが現状でございます。
#15
○高沢委員 カナダは日本と同じように海上猟獲を主張する側だ、こういうふうにお聞きしているわけですが、そのカナダが北太平洋の東部の方の海域でそうした海上調査を余りやっていないという説明がいまありましたが、なぜカナダはそういう調査を余りやらないのか。それは調査能力の問題とかそういうことがあるのかどうか、それもちょっと説明をお願いします。
#16
○木村説明員 カナダにつきましては、一九七五年以降海上調査はやっておりません。実は陸上調査はやっておるわけでございます。いま申し上げましたのは相対的な問題でございまして、日本を初め米国、ソ連に比べて調査というものがそれほど進んでおらないというのは、当然調査能力の問題もあろうかと思いますが、そういうことで、相対的なことで日本、米国、ソ連よりカナダは調査が若干少ないという話でございます。陸上調査につきましては、やっていないというわけではございません。
#17
○高沢委員 そういたしますと、いまの説明では、この条約の加盟四カ国の中で相当程度の海上調査の能力もあり、またやってもいる、データも持っておるというふうなものは、結局日本だけだということになってくるかと思うのです。そうなってくると、その日本がそういう調査に基づいて海上猟獲はやってもいいという一つの結論になったとき、他のアメリカ、ソ連、カナダ三国も、その日本の調査結果というもの、これを客観的な科学的なものと認めてその結論に従うというような保証といいますか、見通しというのか、そういうものは一体あるのでしょうか、これはどうでしょうか。
#18
○木村説明員 日本とソ連が海上調査を現在実施しておるわけでございます。ソ連よりは日本の方が調査船とかそういうものが多いわけでございますが、オットセイの、もとになります繁殖の島というようなところの陸上調査につきましては、むしろ米国とかソ連の方が主体になってやっておりまして、日本の科学者がそれに参加するという形をとっておりますので、最終的に判断をする場合には、全体の調査の総合的な判断によってなされるべきではないかと思いますので、必ずしも日本の調査だけでそれが成り立つというふうにはなかなか科学的にはまいらないのではないか、そういうふうな感じを持っております。
#19
○高沢委員 次へ進みますが、暫定条約が昨年の十月十三日で失効したわけですが、その失効した翌日に、この暫定条約を四年間適用していくための署名が行われているわけですね。この失効の前にそういう空白が出ないような手当てができなかったものかどうか、その辺のいきさつと経過をお聞きしたいと思います。
#20
○遠藤説明員 経過を若干御説明申し上げます。
 実は、昨年の二月に、この条約の寄託国でございます米国がこの条約に若干の改正を施しました上で延長するための議定書案というものをつくりまして、他の三カ国に送付してまいったわけでございます。わが国の場合は直ちに若干の修文上のコメント等を付しました上で案文を了承いたしまして、わが国としては、その年の、昨年の通常国会におきまして改正議定書の承認を求めるということを予定いたしまして、作業に入っておりました。
 しかし、その後、ただいま申し上げました議定書の案文に対する了承がおくれた国がございまして、各国ともこの条約の枠組みの維持については希望があったわけでございますが、結局各国の国内手続をとるタイミング等の関係から、条約の有効期限であります十月十三日までに改正議定書を発効させることが不可能だということになったわけでございます。そのために、条約の失効の直前に、各国がこの議定書、すなわち条約の改正延長のための議定書ではなくて、条約を改正の上改めて適用するということを主たる内容とする議定書を作成いたしまして、失効の翌日、十月十四日に署名したというのが経緯でございます。
#21
○高沢委員 条約の本体が失効している、そうしてそれを議定書の改正によってつないでいくというようなやり方、これは一種の条約論、法律論として支障がないのか、あるいはその間、無条約の状態になった間に何かそのための支障がないのか、この辺はいかがですか。
#22
○栗山政府委員 一たん失効いたしました条約を当事国間の合意によっていわば生き返らせるというようなことは、国際法的に考えますと特に問題はないというふうに考えます。わが国につきましては、戦後、私の承知しております限り、そのような一たん失効しました条約を復活させたという例はございませんけれども、国際的には先例がございますし、当事国間の合意があれば、一たん死んでしまった条約をまた生き返らせるということは十分法的に可能であろうと思います。
 その場合に、今回の議定書のように内容について若干の手直しをするという場合に、もちろん技術的には全く新しい条約、そういう手直しを含めた新しい条約をつくるというのも一つの方法でありましょうし、今回の議定書のように、前の条約を手直しをする部分だけについて別の文書をつくりまして、そして前の条約を生き返らせて、その新しい文書と一緒にこれを適用するということも全く同様に可能であろうというふうに考えます。今回の場合は、当事国の合意によりまして、いま私が申し上げました二つの方法のうちの後者の方法によって条約の枠組みを維持していこう、こういうことで四カ国の合意があったということでございます。
#23
○高沢委員 暫定条約の第二条の3で、海上の調査のため海上で試験的に捕獲する頭数が北太平洋の東部では二千五百頭、それから西部では二千二百頭、こういうふうな一つの限度が決められているわけですが、その限度の中でわが国、それからまた他の国のそれぞれの海上調査のための捕獲がどのくらいの頭数行われているのか、ここ数年の推移で数字がわかったら、ひとつ説明してください。
#24
○木村説明員 いま御指摘になりましたように、海上調査のための毎年の捕獲頭数枠でございますが、東太平洋では二千五百頭以内、西太平洋では二千二百頭以内ということになってございます。
 それで、東太平洋の方につきましては、これは主として米国、カナダ、そういう国でございますが、これにつきましては一九七五年以降海上での調査というのをやめておりますので、捕獲はございません。
 西太平洋の二千二百頭でございますが、これにつきましては、ここ五年ほどの数字を申し上げますと、日本は七六年が五百六十三頭、それから七七年が二百海里法の二百海里水域の設定によりまして若干そこに問題がございましたために減りまして百四十七頭、その後、七八年が七百六十二頭、七九年が二百六十六頭、それから八〇年が九百七十三頭ということでございます。
 それに対しましてソ連が、七六年が六百六十七頭でございますが、その後、七七年が三百五十九、七八年が四百五十、それから七九年が百十六、八〇年につきましては計画の段階の数字でございますが、六百という実績になってございます。
#25
○高沢委員 それからアメリカ、ソ連、この両者のやはりここ数年の陸上猟獲の頭数の推移、その一五%がわが国に配分されるわけですから、その配分の数の推移ですね、これの説明をお願いします。
#26
○中島説明員 まずアメリカ、ソ連の陸上猟獲の頭数の推移でございますが、最近三年間を申し上げますと、まずアメリカでございます。これはプリビロフ諸島で猟獲をしているわけでございますが、七八年におきましては二万四千八百八十五頭、七九年におきましては二万五千七百六十二頭、八〇年におきましては二万四千二百七十八頭ということで、毎年おおむね二万五千頭内外の猟獲があるわけでございます。
 ソ連につきましては、これはコマンダー、ロッベン両島でとっているわけでございますが、一九七八年におきましては七千四百頭、七九年におきましては五千四百頭、八〇年におきましては五千四百九十二頭という数字になっておるわけでございます。
 これに対しましてわが国に対する配分の数字でございますが、アメリカから配分を受けました枚数は、一九七八年につきましては三千七百二十六枚、七九年が三千九百十五枚、昨年八〇年におきましては三千八百枚でございます。それから、ソ連から配分を受けました枚数でございますが、七八年につきましては千百十枚、七九年につきましては八百十一枚、八〇年につきましては八百二十五枚ということになっております。
#27
○高沢委員 そういう配分されたオットセイの原皮、それの処理方法及びそれによるわが国の国庫の収入、それからあわせて、今度はこのオットセイ条約によってわが国のいろいろな条約に基づく支出があるわけですね、海上調査のためのいろいろな経費であるとか、あるいはまたこの条約のオットセイ委員会に対する分担金であるとか等々のそういう経費の支出、この国庫収入と経費支出の関係のここ数年の推移をひとつ説明願います。
#28
○中島説明員 まず第一点の配分をされましたオットセイ獣皮の処分方法でございます。これはアメリカとソ連のケースとは違っておりまして、アメリカから配分を受けました獣皮につきましては、関係業者に委託をいたしまして、実際の加工はアメリカの国内で加工をされ、またアメリカの国内で競売によって販売をされまして、その売り上げの金額から諸経費を差し引いた金額がわが国の国庫収入になるということになっておるわけでございます。それから、ソ連から配分を受けたものにつきましては直接日本へ引き取りまして、これを毎年競売に付しまして、その金額が国庫収入になるというシステムで行われているわけでございます。
 それで、これによる収入でございますが、まずアメリカにつきましては、最近三カ年の数字を申し上げますと、七八年につきましては五千二百二十九万九千円、七九年が七千百二十四万六千円、八〇年が三千百五十二万七千円。それからソ連につきましては、販売した金額が七八年が三百四十四万一千円、七九年につきましては二百十五万七千円、八〇年につきましては九十九万円ということでございまして、米ソそれぞれから得ました金額を合計いたしますと、七八年で五千五百七十四万円、それから七九年が七千三百四十万三千円、八〇年が三千二百五十一万七千円ということに相なっているわけでございます。
 そこで、御質問の第二点でございますが、いろいろ調査その他でわが国が支出をしております金額、これは予算額で申し上げますと、オットセイ条約の分担金を含めまして、海上調査費、それから取り締まり費、条約実施費、分担金、これを合計いたしますと昨年度の場合が七千七十万五千円の予算になっておるわけでございます。昨年の場合は、先ほど申し上げました毛皮の売り上げの金額でございますが、これが最近オットセイの毛皮が非常に値下がりをしているという状況にございまして、申し上げたような三千二百五十一万七千円という収入になっておるわけで、これは相当支出を下回ったという結果になっておるわけでございます。年によって若干の相違はございますが、七九年まではおおむね予算額は六千六百万内外、それから販売収入が、これも年によって違いますが、約五千六百万から七千三百万ということで、おおむね七九年までは見合っておったという状況になっておるわけでございます。
#29
○高沢委員 いまの御説明で状況がよくわかりましたが、ただ一つちょっと疑問に思うのは、アメリカから受ける原皮の処分、それによる国庫収入、ソ連から受ける原皮の処分による国庫収入、これを数と金額であれしますと、ソ連からの収入の金額が非常に少ないような感じがするのですが、これはどんな原因によるものですか。
#30
○中島説明員 これは平均単価で比較いたしますと、いま先生の御指摘のような結果に相なっておるわけでございますが、これはそもそも毛皮の市場性と申しますか、そういった事情がございまして、アメリカの国内で販売されるものの方がどうしても単価が高いということがございます。したがって、アメリカにつきましては原皮をなめす技術、加工技術、そういった問題もございますので、アメリカの中で販売してその金額を収入とするというシステムをとっているわけでございます。
#31
○高沢委員 次に進みますが、こうやってオットセイを一方では資源保存ということをしつつ、しかし一定の頭数は捕獲しておるというような状況ですが、最近、国際的にいわゆる環境保護というようなものが非常に世論でも高まっていますし、そういう運動も非常に高まっておりますので、したがってこうしたオットセイの捕獲をやめろ、捕獲はもうすべきじゃないというような議論や運動が出てくるのじゃないかという感じがするのですが、そういう現状の実態なり見通しはどうか、それを御説明願います。
#32
○遠藤説明員 ただいま先生御指摘のように、特に最近、米国あるいはカナダ等におきまして、環境保護団体が海産哺乳動物である鯨その他の捕獲に反対する運動を展開していることは御指摘のとおりでございます。ただ、アメリカあるいはカナダの行政府に関しましては、この暫定条約のもとで維持されてまいりました資源管理体制を支持しているということでございまして、この体制のもとで資源の保存と合理的な利用が今後とも図られていくものというふうに考えております。
#33
○高沢委員 鯨の場合は、国際的な捕鯨の会議が開かれるとそこへプラカードを持ったりしていろいろな市民団体が来て、何か日本が非常に残酷な、鯨を殺す悪いやつらだという一つのイメージがつくられるというようなことがあるわけですが、オットセイの場合にはそういうふうな状況というものは心配はないのかどうか、いかがでしょう。
#34
○遠藤説明員 オットセイの場合には、鯨のような、特に日本を対象といたしましたような反対運動あるいはその宣伝、そういったものはいまのところ見受けられませんし、今後もそう近い将来に出てくるというふうなことは考えられません。非常にごく一部に、これは日本に対してということではございませんで、毛皮などは着るべきではない、すべて人工の毛皮にすべきだというふうな運動が数年前ぐらいにアメリカであったことはございまして、これにはもちろんオットセイなんかも理論的には入るわけでございますけれども、特にオットセイということを対象として取り上げたということでもございません。
#35
○高沢委員 これとはやや離れますけれども非常に関連のある問題として、国連の海洋法会議のことでお尋ねしたいと思いますが、この三月九日からニューヨークで第三次の国連海洋法会議が開かれている。従来の長い間の経過を踏まえて、今度の会期で最終的な結論に至るというような予定で開かれている会議であるわけですが、それに対して、レーガン政権の成立後のアメリカがそうした海洋法政策について見直しをするというようなことから、今回の会期で最終的な結論に至るのにアメリカは反対であるというような動きが出ている。これは私も新聞報道で見たわけですが、そういう動きが実際あるのかどうか、それからまた、そうなると国連の海洋法会議の結論に至る見通しはどうなるのか、あるいはまた、そういう中で日本としてアメリカに対して、政府間の問題としてそういうことに対して何か申し入れなり日本としての見解の表明をしているのかどうかというような関係をお聞きしたいと思います。
#36
○遠藤説明員 いま御指摘のございました米国の態度についてでございますが、三月二日に米国の国務省が、今次会期で交渉が終了しないことを確保するよう海洋法会議の米国代表団に対し訓令をした、さらに、条約草案によって提起された重大な問題について検討を始めたという声明を発表しております。これはアメリカといたしましてはさらに検討を行う必要がある、そして最終的な立場を固めるにはなお時間を要するということを言っておりまして、したがって、草案に賛成であるとか反対であるとかという立場を言っているわけではございません。いずれにいたしましても、今会期で海洋法会議が終了するということはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えてはおります。
 ただ、米国による検討の結果どういうふうなものになるか、あるいはこの会議にどういう影響を及ぼすことになるか、この辺についてはもう少し慎重に見守っていきたいというふうに考えておりまして、わが国としてはいずれにいたしましても早期妥結という基本的態度をとっておりまして、この立場については変わりございません。
#37
○伊東国務大臣 いまの御質問の点は、長く海洋法の問題はほとんど全世界集まって協議したわけでございまして、われわれ今度の会期で大体最終的な合意に達して、最後はベネズエラで案が採択されるということになるのじゃないかという希望的観測を持っていたわけでございますが、アメリカが特に海底資源、マンガンノジュールの開発の問題で検討するというようなことを言い出したのでございます。それで、中川代表もニューヨークにありまして、アメリカの代表に、形式的なことならだが、基本的な問題で再検討ということになると、これはいままで世界が集まってやってきたことが非常に問題になるので、そういう基本的なものでは大体いままで話し合いがついたのだから、なるべくそういう基本的な問題でないように、各国が受け入れられるようなことでというようなことを実は向こうのアメリカの代表に話したことがございます。
 私も、この間行きまして国務長官に会いましたときに、いまアメリカが基本的なことで延ばすというふうなことになると、せっかくここまでまとめてきた関係諸国、特に第三国や何かはこれに対して非常に不満を持つと思う、でございますので、海洋法の問題はここまできたのだから、基本的なことを再検討するようなことでないようにやるべきだし、また突然そういうことを関係国にも連絡なしに言い出されることは非常に迷惑だというようなことを私はヘイグ長官に話したのでございまして、まだ結論はわかりませんが、山で言えば九合目以上まで来ているわけでございますから、私は今年中でもできれば海洋法の案が採択されることを本当に希望しているというところでございます。
#38
○高沢委員 いまの大臣の御説明でよくわかりました。私、この前にも当委員会で申し上げたことがありますが、日米会談で日本側がアメリカから自動車問題とか防衛問題とかいろいろ要求をされて、かぶせられる問題ばかり多いが、こっちからかぶせる問題があっていいじゃないかということを申し上げました。いまの問題なども大臣のいまの御説明でわかりましたが、大いにアメリカに対して当然の主張としてひとつぶつけていっていただきたい、こう考えるわけです。
 そのことを御要望しまして、最初の保留された例のアザラシ、オットセイ、ラッコ、セイウチ、トド、これらの御説明をお願いいたします。
#39
○木村説明員 先ほど御説明で抜けておりましたラッコでございます。これはやはり食肉目ではございますが、科といたしましてはイタチ科に属しているわけでございます。この食性は先ほど申しましたトドとかオットセイ、アザラシと違いまして、貝とかウニを食するということで、回遊も小回遊で沿岸近くを回遊するわけでございます。したがいまして、先ほどのオットセイ、アザラシ、トドと一線を画した、ちょっと種類の違うものと考えてよろしいのではないかと存じます。
 それからセイウチにつきましては、これはセイウチ科でございます。それで、アシカ科とセイウチ科とありまして、そのセイウチ科に属しておりまして、性格的には先ほどと同じでございますので、むしろアザラシとかアシカと同じような種類といいますか、性格は同じと考えてよろしいのではないかと思います。
#40
○高沢委員 これで終わりますが、もう一つ最後に、いまの御説明では、ラッコは別としてオットセイ、アザラシあるいはトド、セイウチ等々、魚をとって食べるというような性格ですね。この点では大体共通しているとすれば、このオットセイ条約というものの生まれた一つの根拠に、オットセイの資源の確保ということもあるけれども、同時に、やたらにオットセイがふえて魚を食ってしまうと今度はそちらの資源がなくなる、そういうバランスを配慮された条約であるわけですから、ほかのアザラシとか、トドとか、セイウチとかいうものについても同じような何か対策は必要ないのかどうか、その辺の判断を最後にお聞きしたいと思います。
#41
○木村説明員 御指摘のように、アザラシとかオットセイそのほかはイカとか魚を食しているわけでございます。この食性につきましては、日本近海に回遊しますアザラシにつきましても現在調査をやっておるわけでございますが、最終的にはまだその食性の研究というものは研究段階にございまして、必ずしも結論を出せるような段階ではございませんが、御指摘のように、特に日本の近海に回遊するアザラシとかそういうものにつきましての食性は今後なおいろいろ研究していきませんと、確かにおっしゃるとおりイカとか魚類の資源との相関というような問題がございますので、これは今後も鋭意研究してまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
#42
○高沢委員 終わります。
#43
○奥田委員長 土井たか子君。
#44
○土井委員 私は、南極の海洋生物資源の保存に関する条約についてのお尋ねを進めたいと思うのですが、すでに日本が加盟をいたしております南極条約というのがあります。この南極条約と今回の南極の海洋生物資源の保存に関する条約との関係はどういうことに相なるわけでありますか。
#45
○栗山政府委員 お答え申し上げます。
 南極条約自体におきまして、南極条約の第三条で「締約国は、南極地域における科学的調査についての国際協力を促進するため、次のことに同意する。」ということを掲げております。その中で「南極地域における科学的計画の最も経済的なかつ能率的な実施を可能にするため、その計画に関する情報を交換」、科学調査のための探険隊、科学要員の交換、観測等々ということを定めております。
 今回の南極の海洋生物資源の保存に関する条約はこの南極条約の趣旨を受けまして、南極におきます資源の開発、保存ということのために、南極条約の協議国の間で一定の法律的な枠組みをつくって、これに基づいて南極の海洋生物の合理的な保存、その中には資源の開発も含むわけでございますけれども、そういうものにつきまして実効的な措置を合意してやっていこう、こういう趣旨でできたものでございます。
#46
○土井委員 そういう関連性がある今回の条約ではありますけれども、この南極条約を締結しているといないとにかかわらず今回の条約については加盟国になるという資格があるのでありますか、ないのでありますか、どうなんですか。
#47
○栗山政府委員 今回の条約につきましては、別に南極条約の当事国に限られているわけではございませんで、南極の資源の開発、保護というものに関心のある国はこの条約に参加できるということになっております。
#48
○土井委員 おっしゃるところは、第三条の条文を見るとそういう趣旨はうかがい知れるわけでありますけれども、先ほどおっしゃったように南極条約に定められた協議国会議に従って今回の条約の内容があらましつくられていったという経緯からいたしますと、この協議国ということがまず認識の中になければならない問題だと思うのですが、南極条約の協議国というのは一体どういう国なんですか、そしてこの協議国としてわれわれは何国知っておくべきなんですか。
#49
○矢田部政府委員 南極条約は、先ほど御説明がございましたように、地球観測年の活動の一環といたしまして南極地域の観測に参加した十二カ国が集まってまずつくった条約でございまして、その原締約国であるところの十二カ国はアルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、チリ、フランス、日本、ニュージーランド、ノルウェー、南ア、ソ連、イギリス、アメリカの十二カ国でございますが、これが、協議国会議を構成しておるわけでございます。
#50
○土井委員 協議国会議を構成しているのは十二国だけですか。
#51
○矢田部政府委員 もともとの協議国は十二国でございましたが、その後、南極において実質的な科学探査活動を開始いたしましたドイツとポーランドが協議国となっております。したがいまして、ただいま十四カ国となっております。
#52
○土井委員 ドイツとおっしゃいますが、東ドイツですか、西ドイツですか。これは後に両者ともこの条約に加盟しているはずでありますよ。
#53
○矢田部政府委員 西ドイツでございます。
#54
○土井委員 何回も手間をとらせるような答弁というのは以後お慎み願いたいと思うのです。いまの答弁なんて一回で済みますよ。よろしいですね。
 それで、今回の条約からすると、南極の海洋生物資源の保存に関する委員会というものが設けられるかっこうになりますが、この委員会の構成国となることのできる要件というのは何でございますか。
#55
○遠藤説明員 要件は第七条に定めてございますけれども、一つは、この条約を採択した会合に参加した締約国、それから二十九条という規定がございまして、「調査活動又は採捕活動に関心を有する国による加入のために開放しておく。」ということになっているわけでございますが、この「二十九条の規定に基づいてこの条約に加入した各国は、当該加入国がこの条約の適用の対象となる海洋生物資源に関する調査活動又は採捕活動に従事している間、委員会の構成国となる資格を有する。」というふうに定めております。
#56
○土井委員 そうすると、批准書、受諾書、承認書というのは、この条約において寄託政府であるオーストラリア政府にまず寄託することになるわけですね。寄託をしてから、委員会の構成国となることができるかどうかというのはそこでしんしゃくされるというかっこうになるわけでございますか、いかがですか。
#57
○遠藤説明員 御指摘のとおりでございます。
#58
○土井委員 そうすると、これはどうなんですか。この南極地域というのは全世界の中でも最も自然がありのままの姿で残っている非常に貴重な地域だと言われておりますし、この南極の地域に対しての環境保全、自然保護という点から言ったら、全世界の国が関心を持ち、今後の成り行きに対しては注目をしていると申し上げて過言じゃないと思うのです。この南極条約に言うところの、先ほど申し上げた協議国でもなければ、ましてや締約国でもない、そして今回の条約におけるこの委員会の構成国でもなければ、ましてや締約国にもなれない、それ以外の開発途上国の中でこの問題に対しての成り行きを非常に真摯な気持ちで見守り、多大な関心を払う国が必ずあるわけでありますけれども、この国々の意思はどういうかっこうでくみ上げられ、どういう方法で反映できるわけでありますか、いかがなんですか。
#59
○遠藤説明員 条約で予定されております機構の中には、ただいま御指摘のような場合にどうするかということは想定されておりません。したがいまして、開発途上国でそのような関心を有する場合、これはいま有権的に私が申し上げる立場に必ずしもございませんけれども、委員会等に何らかのかっこうでそういう意見を提出していただいて、そこで審議をする、そういうこと以外にないのではないかというふうに私はいま考えるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、必ずしも有権的な解釈とは言えないかもしれません。
#60
○土井委員 何らかのかっこうとおっしゃるのは、どんなかっこうなのですか。これは委員会で披瀝をされると幾らおっしゃっても、委員会構成国でない国なんですよ。何らかのかっこうというのは、どんなかっこうですか。
#61
○遠藤説明員 たとえばでございますけれども、この条約の二十三条に「委員会及び科学委員会は、適当な場合には、国際連合食糧農業機関その他の専門機関と協力する。」ということがございまして、この「その他の専門機関」におきまして、開発途上国の方が提起したような問題がございました場合、こういった専門機関との協力というのも一つの形かというふうに考えます。
#62
○土井委員 そうすると、大臣、日本としては、いま私が申し上げているような中身というのは、この二十三条に言う「適当な場合には、」と書いてある適当な場合だというふうにお考えになるお立場をおとりになるわけでありますか、いかがですか。
#63
○遠藤説明員 日本といたしましては、この委員会の構成メンバーといたしまして、各国とも協議をしてでございますけれども、ケース・バイ・ケースに、果たしてその具体的な要請あるいは問題提起が取り上げるに適当であるかどうかということを判断する以外にないと思います。
#64
○土井委員 それは事務レベルだったらそういう御答弁でしょうね。もちろん事務レベルの話というのは非常に重要ではありますけれども、これは政治的な観点から考えると非常に大切なことだと私は思うのです。大臣、どういうお考えをお持ちですか。
#65
○伊東国務大臣 いま政府委員から御答弁したのは、これは外務省の見解だとどうぞおとり願いたいと思います。
#66
○土井委員 それではちょっと観点を変えて、少し違った質問の仕方でお尋ねしますが、南極地域というのは人類共有の財産というふうにお考えですか。いかがですか、大臣。
#67
○伊東国務大臣 これは南極条約でも領土権というものは凍結してやったわけでございまして、私もいまのようなお考えでいいのじゃないか、こう思っております。
#68
○土井委員 そうすると、そういう立場からすると、大臣、やはり世界の各国の中でこの問題について特に関心を持っている国があまねく参加をするということが本来あるべき姿なんですね。南極条約の上からいってもそういう機会がない、今回の条約からいってもそういう機会がない、しかし、南極の自然保護の問題については多大の関心を持っている、そういう国々をどういう形でいろいろな機会に意見を反映させ、いろいろな機会にその国の参加を求めるかということは非常に大切な問題だと私は思うのですが、これについて日本としては今後努力をなさいますねいかがですか。
#69
○矢田部政府委員 南極地域は、先ほど先生から御指摘もございましたように、非常に特殊な地域でございまして、特殊な生態系を有しておる世界の中でも例のない地域であるわけでございまして、そのような地域に対して科学的な調査活動をいままで実質的に行ってきた国の数というものは実は限られておるわけでございます。したがって、この特殊な地域についての十分な知識を持った国というものの数も限られておるわけでございます。したがいまして、そのような知識を持っていない、経験を持っていない国の関心ということに対しては、もちろん十分な配慮を今後必要としていくかと存じます。しかしながら、その前提といたしましては、やはり十分な知識、経験を持っておる南極条約の協議国というものがまずイニシアチブをとって、今後のあるべき姿というものを描いて、その上でそれ以外の国の関心というものに対する配慮を加えていくということが適当なプロセスなのではないかというふうに考えております。
#70
○土井委員 懇切丁寧なプロセスについての御説明をいま賜ったわけですが、さて南極条約に言うところの適用地域である南極地域と、今回のこの条約に言う適用地域である南極地域は同じであるか、違うのであるか、また、南極地域というのは地理的にはどういう範囲を指して言うのであるか、いかがでございますか。
#71
○栗山政府委員 南極条約につきましては、御承知のように南極条約の適用地域は南緯六十度以南ということに条約で定められております。今回の条約につきましては、条約の趣旨、目的に照らしまして、六十度以南と南極条約と同じ適用地域にいたしますと、対象になります生物の資源保存という観点から必ずしも十分でないという見地から、当事国間でいろいろ話し合いが行われまして、結局関連の生物の生態系というようなものも考慮いたしまして、いわゆる南極収束線とみなされる地域ということで、南極条約に定められています南緯六十度以南よりは若干広い地域、これを条約の対象地域としております。
#72
○土井委員 その南極条約に言うところの南極地域というのをまず私は問題にしていきたいと思うのですが、南極条約の第五条によって、この中身を見ると、南極地域は非核武装地帯というふうに認識をすべきであると私自身は考えておるわけでありますが、そのように理解をしてよろしゅうございますか。
#73
○矢田部政府委員 私どももそのように認識いたしております。
#74
○土井委員 世界で、この南極については南極条約で非核武装地帯ということが認識されているということ以外に、非核武装地帯がほかにありますか。
#75
○関(栄)政府委員 お答え申し上げます。
 南米に一つございます。
#76
○土井委員 トラテロルコ条約だと思うのです。
 南極のこの非核武装地帯というふうに考えられている地域についてさらに少しお尋ねを進めたいと思うのですが、原子力潜水艦、核積載の艦船、これはこの南極海域を通過できないと思われますけれども、いかがですか。
#77
○栗山政府委員 南極条約は、先生御承知のように、第一条において「南極地域は、平和的目的のみに利用する。」ということを規定してございます。しかし、他方におきまして、条約の第六条におきましては、先ほど申し上げましたように「この条約の規定は、南緯六十度以南の地域に適用する。」とした上で、「ただし、この条約のいかなる規定も、同地域内の公海に関する国際法に基づくいずれの国の権利又は権利の行使をも害するものではなく、」というふうに規定しておりますので、ただいまの先生の御質問が核搭載艦が単にこの公海を通過するということであれば、この第六条の規定に基づいて、格別条約によって禁止されているということではないというふうに私は理解いたします。
#78
○土井委員 さあそこでお尋ねしたいのですが、この南極地域における海域はすべて公海なんですか。
#79
○栗山政府委員 公海であろうと思います。
#80
○土井委員 すべて公海なんですね。そういう認識なんですね。もう一度確認しておきますよ。
#81
○栗山政府委員 海の部分は公海でございます。
#82
○土井委員 そうすると、地先、そこからすべて公海、もう一度確認します、よろしいか。
#83
○栗山政府委員 一部の国が南極におきまして領有権を主張しておるという事実は、先生御承知のとおりでございまして、そういう国の立場からすれば、当然自分の領有権の主張というものがございますから、その自分が領有していると主張している地域の距岸何海里かは領海であるというふうに観念しておるかと思いますが、御承知のようにわが国はそういう立場をとっておりません。したがいまして、わが国からいたしますれば、海域の部分はすべて公海であるというふうに認識しております。
#84
○土井委員 どうも日本独特の立場からするとそういう解釈であるのかもしれませんけれども、南極条約についての協議国の中で、領有権を主張し、しかも領有権を主張しているがために、地先沖二百海里までは領海である、また専管水域であるというふうな認識を持っている国が現にあるわけなんですよ。協議国の中にあるわけなんですね。そうすると、協議国の中でもこの問題に対しては国際的にすべて公海であるということが確立されている状況ではないというふうに言わなければならないのじゃないですか、どうなんですか。
#85
○栗山政府委員 南極条約の当事国の間で領有権問題について立場が異なっているということは、先生御承知のとおりでございます。ただ、南極条約は、御承知のように、そういう関係国間での法律的な立場というものを四条の規定によりまして一応たな上げした上で、先ほど申し上げました一条、二条、三条の目的に従って国際協力をやっていこう、こういうことでございますので、条約そのもので各国の領有権問題に関する法律的な立場というものを解決しているということではございません。
 しかしながら、わが国といたしましては、御承知のように従来から南極というものが国の領有権の対象にはならないという立場をとっておりますので、わが国の立場からいたしますれば、先ほど申し上げましたように海の地域は全部これ公海であるという認識になろうということでございます。
#86
○土井委員 公海になろうかという認識というのは日本の解釈であって、国際的にそれは確立されているとは言えないと思いますが、この点はどうですか。
#87
○栗山政府委員 国際的には先ほど申し上げましたように意見の相違がありまして、国際社会全体が受け入れているという意味での国際法的な確立した解釈はないということは、先生のおっしゃるとおりでございます。
#88
○土井委員 そうすると、これすべて公海だ、したがって原子力潜水艦も核積載の艦船も通航することは全く自由であると言い切ってしまうことが果たしていいのか悪いのか、大変疑問ですよ。大変疑問だと私自身思う。特に南極に対してはわざわざ南極条約で、軍事基地化しない、平和的目的にのみ利用する、軍事演習もやってはならない、「あらゆる型の兵器の実験のような軍事的性質の措置は、特に、禁止する。」と、特に禁止するということを強調して、さらにその五条で、核に対して「すべての核の爆発及び放射性廃棄物の同地域における処分は、禁止する。」と明確に述べてあるのですよ。だから、この趣旨からすると、この近辺の海域に原子力潜水艦、核積載の艦船が通航するということはやはり好ましくないというのが、この条約から考えられる中身じゃないですか、いかがです。
#89
○矢田部政府委員 核につきましてこの条約が特に禁止しておりますのは、ただいま先生が御指摘になりましたような事項でございます。軍事的な使用は、「軍事基地及び防備施設の設置、軍事演習の実施」というようなことが特定されて禁止されておるわけでございまして、核搭載あるいは原子力推進潜水艦がこの地域を通過するということを特に禁じておるものではない、そういう意味ではこの条約はそこまで及んでいないというふうに考えております。
#90
○土井委員 あるときには拡大解釈をし、あるときには縮小解釈をする、まあ解釈は自由自在といってしまえばそれまでかもしれませんが、これは条文をはっきり見ると、第一条では「南極地域は、平和的目的のみに利用する。軍事基地及び防備施設の設置、軍事演習の実施並びにあらゆる型の兵器の実験のような軍事的性質の措置は、特に禁止する。」と書いてあるのですよ。
 だから、具体的に原子力潜水艦とか核積載の艦船がどうこうすることを禁ずるとか、何をしてはならないとか、そういう書きようではありませんけれども、しかし、この条文の趣旨からすると、いまの一条と五条を総合的に判断をして考えるならば、私が申し上げたように南極の海域を核積載の艦船や原子力潜水艦が通過するということは好ましくない、すなわち、この南極条約からすると条約違反ということにするのはむずかしいかもしれません、しかし好ましくないということは言えると思うのですが、いかがですか。
#91
○矢田部政府委員 この条約の目的、精神に照らしまして、御指摘のように好ましくないということは確かに言えると思います。
#92
○土井委員 では、今度は空の方へ行きましょう。核積載の軍用機、航空機がこの空域を通過できないと私は思いますが、いかがですか。
#93
○矢田部政府委員 条約がこれを明示的に禁止していないという意味では、通過できないと断定することには若干無理があるのではないかと思いますが、先ほどの潜水艦あるいは原子力搭載艦船の海域の通過と同じでございまして、条約の目的、精神に照らして好ましくないということは申し上げられると思います。
#94
○土井委員 最初にお尋ねしたときに、第五条では、ここは非核武装地帯だということを明確に了承なさいました。非核武装地帯というのはその程度のものなのですか、いかがです。
#95
○矢田部政府委員 非核武装地帯とは何かという定義はむずかしい問題であろうかと思います。これは域内の国が集まって合意した範囲でできる地域でございますので、およそ抽象的にといいますか、一般的に非核地帯とは何ぞやと申すことはむずかしいと思いますが、最初に私が南極地域を非核武装地帯と認識しておると申し上げました意味は、この条約の一条及び四条の規定からいってそういう地域と呼ぶにふさわしいという考えに基づくものでございます。
#96
○土井委員 大臣、先ほどからの御答弁を聞いておりますと、非核武装地帯とはっきりおっしゃった。ところが、だんだん詰めていくといまのような調子なんです。もう全世界にその名を知られております日本は非核三原則の国である、平和憲法がれっきとしてある、しかもなおかつ今回の条約から考えてまいりますと、生物資源の保存ということを大切に考えるという立場からすると、自然保護に対して熱心な立場というのが大変買われる条件を持っていなければいけない。その点からいっても日本はかつて公害激甚国として全世界でも大変注目を集めた国でありまして、公害防止のために、環境保全のために多大の努力を払ってきたということがいろんな国際機関においても年を追って注目を集め、評価をされてきたという経緯もございます。
 そういう点からいたしますと、今回の条約を日本がもし締結をいたしまして、さらにこの中で恐らくは委員会構成国になるでありましょう、現にすでに日本は南極条約について言うならば協議国の一国でございます。そういう立場から日本としては、この南極水域並びに南極空域において核積載の艦船、原子力潜水艦あるいは核積載の航空機、戦闘機等々を含めての軍用機、そういうものの通過使用というものは認めるべきではないということを提唱する立場にある、このように私自身は考えておりますけれども、大臣、そういうお気持ちをお持ちになりませんか、またそういうことをすべきであるというふうにお考えになりませんか、いかがですか。
#97
○伊東国務大臣 いま先生と政府委員のやりとりを伺っていたのでございますが、条約ははっきりその禁止はしていないわけでございまして、通航についてそれを禁止するという明文がないわけでございまして、それを違反と言うわけにいかない、好ましくはないという答弁をしたのでございますが、それ以上に突っ込んで、いま土井さんのおっしゃる、そういうことを提唱したらどうかということでございますが、私はそこまでやるのかなというような気がいま質問応答を聞いてしたわけであります。非核武装地帯ということはこれでわかりますけれども、それがいまのようなところまでいくのかなということについて私はいささか疑念を持っておりますので、いまここで御要望に沿うような答弁をすることはまだもう少し検討させていただきたい、こう思います。
#98
○土井委員 そこまでいくのかなじゃないのですよ、大臣、それが出発点。だから、これは認識の上で大いに差があるなということをいま実感として私は感じているのです。それはそこからが出発点ですよ。そこまでいくのかなじゃない。頼りないことを言わないでください。それくらいのことをやってあたりまえじゃないですか、いかがですか。
 それくらいのお気持ちをお持ちにならないと、実はこれからの南極というのは、全世界の中で、いままでと違って、資源の点からいっても、それからいろいろな領土主張の問題からいっても、もっともっとしのぎを削る地点になる日が必ずやってくると私は思っていますよ。だから、そういうことからすれば、これに対してはよほど思い切った認識をお持ちでないと、これからの南極地域に対して自然のままで全世界が共通の認識を持ってこれを共有のものとしていくということがおぼつかなくなる、私はそういうふうな気持ちもしないじゃありません。大臣、これについて思い切ったお気持ちをひとつここで披瀝しておいていただきたい。そういうふうなことも含めて、再度御答弁をお願いいたします。
#99
○伊東国務大臣 第一条で「特に、禁止する。」という明文でいろいろなことが書いてあるわけでございますから、これを厳重に守るということはそのとおりでございますが、先生のおっしゃったどこまで、それを先生はスタートだ、こうおっしゃったわけでございますが、スタートであるか、中間か、ゴールかわかりませんけれども、日本がいまそこまではっきり言うべきだ、こうおっしゃることにつきましては、私はまだ不勉強かもしれませんがもう少し検討さしていただきたいということでございます。
#100
○土井委員 検討させていただきたいとおっしゃっていますが、先ほどの日本の国会の衆議院の外務委員会という席では、この水域、海域、空域に核積載の艦船や航空機が通過をするということ、持ち込むということは好ましくないということまで言われているのです。したがって、その点はこの国会で披瀝されるにとどまらずに、やはり国際社会において出るべき場所で言うということが実は外交問題からすると一番大切な問題でありまして、いざというときに一体どれだけの努力を具体的に払っていただけるかというところが実は勝負どころでしょう。いま御答弁になったことくらいは、それこそ出発点としてこれからの会議の中で日本としては主張される、これは大臣、確認をしてよろしいね。
#101
○伊東国務大臣 私が検討さしてもらいたい、こう言っているのは、公海ということなんでございます。公海でそういうことが全部、通航もいかぬということになり得るのかどうかという法律論が一つあるわけでございますので、私はこれはよほど検討してからでないとはっきりお答えできないと思って、検討する時間を与えてください、こう言ったわけでございます。公海ということがはっきりございますので、私はいま土井先生にすぐ御満足のいく答弁をするわけにいかぬということを申し上げておるわけでございます。
 先ほどから何回も同じことを言いますが、公海までそういうことをすべきかどうかということにつきましては、現実の問題として一体そういうことは可能かどうかということもあるわけでございますから、もう少し検討する時間を与えていただきたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
#102
○土井委員 一般論として、公海であるがゆえにこれを取り締まることはむずかしい、これは言えると思うのですが、南極地域というのは特殊事情があるのです。特殊地帯なんですよ。非核武装地帯なんです。そういうことからすると、その点で一つ問題がある。
 それから、さきにお尋ねをした関係からいたしますと、これをすべてもう文句なしに公海と言い切ってしまっていいかどうかというのは、国際会議の席ではさらに問題になると思います。どういうふうにこれを認識するか。日本としてはこれを全面的に公海という認識をお持ちになっていらっしゃるというのは先ほどの御答弁で出ておりますけれども、果たしてこの協議国全体がそういうふうな認識を持ち得ているかというと、そうはいっていない。そういうことからすると、一つはその点を詰めなければなりませんね。
 さらに、それを詰めた上で、一般的にこれを他の公海と同じような取り扱いをやっていいのかどうかという点も次に出てこようと思うのです。南極海域であるがゆえに、公海ではあるけれども特に特別の公海としてこれに対する取り扱いを一般公海とは異にする。そういう中で、先ほどから論議しているような問題が、日本としては非核武装地帯であるがゆえに通過を認めるわけにはいかない、こういう論法が出てこようと思うのです。こういう順を追っての討議というのは大変大切になってくる。これを考えた上で、大臣、再度お考えを御披瀝いただきたいと思うのですが、いかがですか。
#103
○伊東国務大臣 南極が特別な地域であることはわかりますが、海洋法等でも、これは世界の海の問題でございますがそういう特別なことを考えるということもしていないということでございますし、いまおっしゃいました軍事施設をつくっちゃいかぬというようなことがあることは確かでございますが、持ち込ませないということを日本が言っておりますのは領土、領海の問題で言っているわけでございまして、公海一般のことまでではないということがあるわけでございますから、先生の御意見でございますが、そこまで日本が言ってしかるべきものかどうかということにつきましては、私はもう少し検討してからでないと、政府の態度としてお答えするにはまだちょっと時間をかしてください、こういうことを言っておるわけでございまして、私の気持ちもわかっていただきたい、こう思うのでございます。
#104
○土井委員 しかし、海域をどう考えるか、それからそれの取り扱いをどうするか、これはこれからの課題なんですね。この委員会とか協議会の構成国として日本はあるわけですから、恐らくこれからこの条約が批准されると重要なメンバーの一国になるわけでありますから、そういうことからすると、そういう気持ちをひとつ意に体してその場所に御出席を願うことができるかどうかというのは、われわれの大変大きな関心事なんです。大臣、その点は大丈夫ですか、やっていただけますか。
#105
○伊東国務大臣 本条約は海洋資源の問題のオキアミというものを中心にしました条約でございまして、土井さんのおっしゃっているのは、前にもされた南極条約全部の問題を議論されているわけでございます。ただ、海域がほとんど一緒でございますから非常な関連性があるということはよくわかりますが、今度の条約自身には先生のおっしゃっていることは直接は関係ない。これはむしろ前の条約のときの問題だというふうに認識をしているわけでございまして、私の申し上げているのは、検討の時間をかしてくださいということを申し上げておるのでございますので、土井さんがおっしゃった意見のあったことはよく覚えて臨みます。
#106
○土井委員 前の条約とおっしゃるけれども、南極条約というのがあって今回の条約というものができあがったという経緯もあるのですよ、大臣。だから、それを最初に私はお伺いしているのです。そういうことからすると、この問題を抜きにして今回の条約に対しても認識を持つことはできない。だから、これは避けて通れない問題なんです。そういうこともお含みおきの上で今後の対処に努力をしていただかなければならないと思います。時間をかしてくださいということですから、少し時間をおかししましょう。私はしつこいですから、できるまで何度でもこの問題を申し上げたいと思います。間違ってはいないと私は思っていますから、しつこくやりたいと思います。
 さて、南極条約の海域と今回のこの条約で言う地域とはちょっと違うのですね。先ほどの御答弁のとおりなんです。今回の条約の地域の方がちょっと広いでしょう。したがって、今回の条約によって認識される海域というのは、それだけまた南極条約とは違う範囲に及ぶというふうなことも言えると思うのです。この点はそう考えてよろしゅうございますか。
#107
○遠藤説明員 御指摘のとおりでございます。
#108
○土井委員 そうすると、そのことも含めて問題になってくるのです。やはり海洋資源というものを保存していこうとすることを心がけますと、日本もいままで公害対策に対してかなりの努力を払ってきたのだけれども、しかしまだまだ反省していかなければならぬ点は山ほど残っています。そういうことから考えていくと、これは防止をするということが何よりも大切であって、出てしまった問題に対して後追いで対策をというのはとても手がつけられる問題ではないということだけははっきりしておりますから、そういうことからすると、自然の姿のままにある南極をまず保存していく。それは今後いろいろ開発が出てくるかもしれない、いろいろな海洋資源に対して手を加えるということが出てくるかもしれない、やはりそれに先立って自然状況を保全するための公害防止策だというふうなことも、私は意味として非常にあると思うのです。
 さて、一昨年でしたか、オーストラリアが漁業水域二百海里を設定するということになりまして、日豪間で漁業交渉が行われたわけですけれども、その際、オーストラリア側は南極では自分が領有を主張している地域にも二百海里を主張したいということが聞こえてまいっております。この漁業交渉において日本側はどのような論議をその場で行われたのか、そうして、これは結果においては認めないという立場をおとりになったようでありますけれども、どういうわけでこれを認めないということを言われたのか、その経緯、お認めにならないという根拠、これについてお聞かせをいただきたいと思います。
#109
○栗山政府委員 ただいま先生御指摘のとおりに、豪州がいわゆる豪州の南極領土におきましても二百海里の漁業専管水域を一九七九年九月に設けるという措置をとりまして、それに対しまして、その前後からわが国といたしましては、豪州のそもそもの領有権を認めないという基本的な立場に立ちまして、豪州のいわゆる南極領土の沖合いの二百海里に漁業専管水域を設ける、その水域内において管轄権を行使するということに対しては、日本としては立場を留保するという立場をとりまして、その旨を豪州政府にも申し入れたわけでありますが、結果的には豪州は、自国の二百海里水域内におきましては第三国に対しましては管轄権を行使しない、第三国は除外するという措置をとりましたので、そのようにしてこの問題については決着がついたということでございます。
#110
○土井委員 領有権の法的現状を凍結した南極条約の精神からいっても、この地域に二百海里漁業水域を設定することはできないというふうに考えるのが当然だと思いますけれども、この点はいかがなんですか。
#111
○栗山政府委員 まさにいま先生のおっしゃいましたような立場から、わが国としては、豪州政府のそういう措置は認めない、また、南極条約の領土権、それから領土権に基づきます各種の請求権の凍結というたてまえにも反しておるという立場を日本政府はとったわけでございます。
#112
○土井委員 そういうことで恐らく二百海里も問題にならなければ、言うまでもなく領海なんというのはさらに問題にならないということであるのが日本の立場なんですが、南極条約によって領土権に関する立場というのがたな上げされたままである、領土問題ではいわば無風地帯であるというのがいまの南極の実情だというふうに申し上げていいと思うのですが、その中に各国の調査隊が入りましていろいろ有望な資源、石油とか天然ガス、そういうものを掘り当てたとか当てていないとかいうふうな問題が伝えられたりいたしております。また、大鉄鉱を掘り当てたというふうなこともニュースとして伝えてきたりしています。
 そういうことからすると、最近、南極資源に対する関心がどんどん高まってきているというかっこうだと思いますが、どのような鉱物がどれくらいあるというふうに日本としては現に推定をされているわけでありますか、そして、それに対する調査というものはどの機関がどういうかっこうでいま調査をされているというふうに認識しておいていいわけでありますか。
#113
○矢田部政府委員 これまでの科学的調査によってほぼ判明しております鉱物の賦存は、鉄、金、銀、銅、モリブデン、マンガン、石炭、クロム、ニッケル等でございます。それから、南極の沖合いの大陸棚には石油、天然ガスの存在の徴候が見られております。
 これらの鉱物資源についての調査でございますが、従来、西独、ポーランド、米国等が、基礎的な地質の堆積状況であるとか、地形でございますとか、地磁気、重力等の調査を行っております。
 それから、わが国は、昭和五十三年度から三カ年計画で行いました昭和基地近辺の基礎的な地学調査というものを行っておりますが、またもっと最近には、資源エネルギー庁が南極ベリングスハウゼン海で同じような基礎的な地質調査を実施いたしました。
#114
○土井委員 一昨年九月に第十回の南極条約協議会議というのが御案内のとおりワシントンで開かれて、そこで鉱物資源開発問題についても討議されたということをわれわれは聞き知っています。わけても、こういう資源開発に対して、アメリカとかイギリスとか従来から大変積極的な姿勢を持ってきた国があるという事実にもかんがみて、今後ますますこういう問題が大きくなっていくであろうというふうな予想の上にも立って考えてまいりますと、この南極地域における資源開発について南極条約協議会議において論議されているというかっこうですが、ここで、たとえば領有権の問題に対してはたな上げになったままでの開発が進むわけですから、開発、探索に対して、あとどういうふうにその資源に対しての割り振りを考えたらいいか、その資源の占有をどのように考えたらいいかというふうなことに対しての解決の見通しというのはつけられるのですか、つけられないのですか、どうなんですか。
#115
○矢田部政府委員 南極におきます鉱物資源の開発は当面行わないということが、協議国会議の勧告で決められております。しかしながら他方、先ほど来御指摘のように、鉱物資源への関心が高まっておるということを踏まえまして、一体どういうことで今後鉱物資源の開発をやるとすればやれるのかということが、前回の協議国会議を中心といたしまして議論をされるようになりつつあるわけでございます。その場合、御指摘のように領有権を主張しておる国とこれを認めていない国とがございますために、将来の開発の形態につきましては考え方もそれに従って変わってくるわけでございまして、ただいまのところ、そういった点を中心に議論が進んでおるという段階でございまして、将来それがまとまるかどうかということについては必ずしも現段階で見通しをつけることは困難でございますが、しかしながら、その方向で協議国が努力しておるということは事実でございます。
#116
○土井委員 努力していることは事実だとおっしゃいますが、これは大変むずかしい問題だと思うのです。その鉱物資源がいずれに所属するかということについては決め手を欠くのですね、領有権に対しては認めないということで今日来ているわけですから。幾ら努力しておりますと言ったって努力のしがいがないのじゃないですが。そして、努力について何を決め手として臨むかということに対して決め手を欠いているのじゃないですか。これは非常に問題だと思いますが、大臣、どのようにお考えになりますか、大臣の感触を聞かしてください。
#117
○伊東国務大臣 いまの御質問を聞いていて、いい御質問だなと思って実は聞いたのでございますが、私も非常にむずかしい問題だと思います。海洋法で一番問題になりまして最後まで残っているのが海底資源の鉱物開発の問題で、これをどうするかということで最後まで残って、まだいまアメリカ側から検討というような問題が出ている、あれは国際機関でやるということで海洋法上は解決をしようということでやっておるわけでございまして、あれと似た問題、あれよりもまだむずかしいのかなと思って、いま御質問を聞いたわけでございます。
 先ほどから御質問にあるように、南極というものが本当に世界の全部の残された資源という言葉はなにですが、地域というようなことを考えてみますと、開発というものにはよほど慎重でなければならぬという感じがしますし、協議国だけで話していいものかどうか、非常にこれはむずかしい、また海底資源と同じに大きな問題になるなと思ってお伺いしたわけでございます。どういう方法というのはいま私はここでわかりませんが、非常にむずかしい問題であるということとともに、これは特に領有権を主張しているとか、あるいはいまの協議国だけで決めてしまうということよりも、もっともっと全世界的な問題じゃないかなと思って座って聞いていたところでございます。
#118
○土井委員 そこで、わが国の立場からすると、これはもうわかり切ったことですが一つ確認しておきたいのは、サンフランシスコ平和条約で南極地域のすべての請求権を日本は放棄いたしました。この点について従来から政府は答弁でも、放棄したのは平和条約発効までに持っていた請求権であって、平和条約から未来に向かってわが国の立場を放棄したものではないという答弁をされて今日に及んでいます。したがって、わが国が請求権を放棄したということは、将来にわたって南極地域を開発する場合、わが国の立場に少しも影響を与えるものではないというふうな考え方もあると思うのですが、これはどうなんですか。
#119
○栗山政府委員 サンフランシスコ平和条約の二条(e)項につきましての政府の立場は従来から申し上げているとおりでございまして、ただいま土井先生のおっしゃったとおり、将来にわたっての請求権を放棄したものではないということでございます。そういう意味におきまして、戦後におきますわが国の南極における活動というものは、ほかの国の活動と同じ立場で評価されるということでございます。
#120
○土井委員 ちなみに、いま領土権を主張している国々にどんな国があるかを聞かしておいてください。
#121
○矢田部政府委員 豪州、ニュージーランド、アルゼンチン、チリ、イギリス、フランス、ノルウェーでございます。
#122
○土井委員 それもどんどんふえていくかもしれないから、私は非常に問題だと思うのですね。そのことを申し上げて、私は午後からも三十分時間をいただいておりますから、肝心の海洋生物資源についての質問の中身はそっちにゆだねたいと思うのですが、午前中の最後にこれだけを聞いておきます。
 オキアミの問題が問題になるのだということを先ほど大臣も一言おっしゃいましたが、この第一条の2で言うところの「南極の海洋生物資源とは」というので、中身は「ひれを有する魚類、軟体動物、甲殻類その他の南極収束線以南に存在するすべての種類の生物(鳥類を含む。)」というふうに指示をされているのですが、名前を出せばどういう海洋生物資源があるのですか。たとえば鯨はどうです。先ほどの同僚の高沢委員が取り上げられたアザラシはどうですか。それからペンギンはどうですか。どういうものがいるのですか。
#123
○中島説明員 南極の周辺海域におきましては、先生御指摘のようにオキアミ以外にもいろいろな漁業資源、生物資源というものが存在していることはすでに知られているわけでございます。主要な水産資源に限って申し上げますと、たとえばいまお話のありました鯨とか、アザラシとか、あるいは一般の魚の類、たとえばタラのたぐいの底魚が相当量いるという話もございます。そういったものとか、オキアミ、それからイカというものがあるわけでございます。
 ただ、この御審議いただいております南極の条約におきましては、他の既存の国際条約によりまして管理の対象になっているというもの、これは鯨類とアザラシ類でございますが、これを除けば、それ以外の生物資源はすべてこれの対象に含まれるというふうに考えておるわけでございます。
#124
○土井委員 それでは、あとは午後の質問に回したいと思います。ありがとうございました。
#125
○奥田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
#126
○奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 各件について質疑を続行いたします。玉城栄一君。
#127
○玉城委員 渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定及び北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約並びに南極の海洋生物資源の保存に関する条約、以上三件一括して質疑をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、日中渡り鳥条約についてお伺いをいたします。
 近年、自然環境の保護ということが世界的に非常に関心が高まり、日本としてもこれに積極的に取り組むべきであると思います。日本との渡り鳥条約につきましては、米国、ソ連、それから豪州の三カ国との間にはすでに結ばれているわけでありますが、ソ連及び豪州との条約は現在どういう状態になっているのか、お伺いいたします。
#128
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 日ソ渡り鳥条約につきましては、その条約に規定されております、いわゆる絶滅のおそれのある鳥類に関しましての調査について日ソ間の話し合いを進めている状況でございまして、まだ批准書交換には至っておりません。
 日豪につきましては、豪州側にも同じく国内的に準備の必要がございまして、特に連邦政府と州の間の話し合いといったものがございましたが、ようやく先方の準備も整いまして、近く一、二カ月のうちに批准書交換に至るものと考えております。
#129
○玉城委員 この日ソ渡り鳥条約並びに日豪渡り鳥条約も、すでに国会審議を終えて六年経過をしているわけであります。いま日豪につきましては近々というお話もあったわけでありますが、委員長にちょっと一言。
 国会で審議されてから六年も経過して、発効していないということですが、どっちかといいますと、この条約審議には相当ハッパがかかっているわけですね、ハッパという言い方はおかしいのですが。そういうふうに審議を促進されておりながら、六年もこういうふうに発効もしていない。今回、日本、中国の渡り鳥条約が審議されているわけでありますが、こういうことについて、委員長、このままでいいのかどうか、これは何かあってしかるべきではないか、こう思うわけですが、いかがですか。
#130
○伊東国務大臣 いま政府委員からお答えしましたように、日ソ、日豪の関係の発効がおくれている、いま玉城さんのおっしゃるように国会で御審議を急いでいただいて発効がおくれるという状態は、これは政府としても本当に遺憾に思いますし、はなはだ申しわけないと思うわけでございます。
 日豪は近々にも発効を取り進めるということになっておりますが、日ソの問題は、鳥を指定するということでなかなか両者意見の合わぬことがございましておくれているわけでございます。こうやって御審議を急いでいただいておりながらおくれていることははなはだ申しわけございませんが、私もそのことを実は最近聞いたのでございまして、今後ともそういうことのないようにいたしますし、いまの残っている問題につきましても私は努力をいたすつもりでございますので、よろしくお願い申し上げます。
#131
○玉城委員 国会の審議を終えている二国間条約、多国間条約で、まだ発効していない条約が他にございますか。
#132
○栗山政府委員 二国間条約につきましては、国会の御承認をいただいてなおかつ先方の事情のために発効に至っていない条約といたしましては、ポーランドそのほか一カ国、私、いまちょっと記憶いたしておりませんが、この二カ国との租税条約の二件がございます。それ以外はございません。
#133
○玉城委員 せっかく国会の審議を終えていまして、それがどういう状態になっているかということもまだはっきり御説明できないというのは、非常にまずいと思うのですね。われわれは審議するのは当然ですけれども、これは厳に注意を促しておきたいと思うわけであります。
 そこで、日豪渡り鳥条約については先ほど大臣も言われたように発効を予定されているということでありますが、この条約の審議のときに、たしかパプア・ニューギニアに関しては附属書がつきまして、当時パプア・ニューギニアは独立していなかったわけですが、現在は独立しているわけですね。したがって、このいわゆる交換公文は国際法上どういう取り扱いになるのか、これはどうされるのか、その辺の御説明をいただきたいと思います。
#134
○栗山政府委員 玉城先生御指摘の交換公文につきましては、協定につきまして国会の御承認をいただきましたときには御指摘のようにパプア・ニューギニアはまだ独立前でございましたですが、ただいま御説明申し上げましたような事情で協定の発効がおくれましたために、その間一昭和五十年に至りましてパプア・ニューギニアが独立いたしましたので、この交換公文につきましては、結局パプア・ニューギニアが独立したということによりまして国際法的に申し上げれば適用が不可能になったということで、いわば消滅したと考えてよろしかろうというふうに考えております。
 豪州政府の方もそのように理解いたしておりまして、最終的に協定自体、批准書を交換いたしまして発効させますときに、ただいまも私が申し上げましたような日豪両政府の理解をどういうふうな形で確認するかということにつきましては、豪州政府とも相談をいたしまして具体的な処理の方法は定めたいというふうに思っておりますけれども、法的には、いま申し上げましたようにパプア・ニューギニアが独立したことによりまして交換公文の適用ができなくなった、したがって、いわば消滅してしまったというふうに法律的には理解されるということでございます。
#135
○玉城委員 そこで、法律的には消滅してしまったと理解しているということですが、この交換公文もあわせて六年前に審議されているわけですね。そういうふうに簡単におっしゃって、それで済むということではないと思うのです。これは悪く言えば国会軽視もはなはだしいと言われても仕方がない。だから、きちっとそうならそうと、報告するのかどうするのか、そんな程度では非常にまずいのですがね。
#136
○栗山政府委員 先生御指摘のように、この交換公文は協定ともあわせまして御承認をいただきました文書でございますので、先ほど申し上げましたようなことで豪州政府との間に最終的に、形式的にどういうふうに処理をするかということが決まりまして処理をいたしましたならば、その段階で国会の方には御報告をするというふうにしたいと存じております。
#137
○玉城委員 そのパプア・ニューギニアはいつ独立したのですか。さっきちょっとお話があったのですが、何年でしたか。
#138
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 パプア・ニューギニアは一九七五年、ただいま先生御指摘の条約ができました翌年独立いたしました。
#139
○玉城委員 したがって、いま一九八一年ですから、独立して五年、まだそういう状況ということで、国会の審議を終えていながらなおかつ二つの条約についてはまだ発効していない。そのとき国会で審議された交換公文についても消滅したであろうなんということで、こういうことでは非常にまずいのです。大臣、本当にそんな状態で、幾ら条約の審議をどんどんやってくれといったって、ちょっと聞きにくいと思うわけですね。
 それはそれくらいにしておきますが、この日ソ、日豪渡り鳥条約がいまだ発効していないために、渡り鳥の捕獲あるいはその卵の採取、これはどういう状態にいまあるわけですか。
#140
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 日ソ及び日豪両方の渡り鳥条約がまだ批准書交換による発効手続を経てないために、現在の状態では、捕獲を禁止されるべき鳥類あるいはその卵の採取といったことは条約上は規制されてないということになるかと思います。
#141
○玉城委員 この日中渡り鳥条約の六条には「国内法上必要とされる手続がそれぞれの国において完了したことを確認する旨の通告が交換された日に効力を生ずる。」となっているわけですが、いま申し上げておりますソビエト、豪州との場合には「批准書の交換の日」、こういうふうになっているわけです。この通告と批准書との違いはどのように理解すればよろしゅうございますか。
#142
○栗山政府委員 ただいま先生御指摘の三条約の発効手続の相違につきまして御説明いたしますと、日ソ、日豪の条約につきましてはただいま先生がおっしゃいましたとおりに批准書の交換をもって発効させるということになっておるのに対しまして、日中協定の場合は六条の一項におきまして、国内法上必要とされる手続が完了したことを確認する旨の通告ということで発効ということになっております。
 これは、当初日本側は、従来の日米、日ソ、日豪の渡り鳥条約あるいは協定と同じように批准書の交換をもって発効させるということを考えておったわけでございますが、中国側との交渉の過程におきまして、中国側は、この種のいわば実務的な協定については中国の国内手続においては批准を要しないということになっておるということでございまして、そういうものとして中国側として扱いたい、こういう先方の要望がございましたので、あえて批准書の交換という従来のほかの条約、過去の三条約の形式にこだわる必要もなかろうという判断から、この六条一項に書いてあるような規定にいたしまして、批准という形式をとらないということになったわけでございます。
 わが国の場合にそれではどういうことになるかと申しますと、国会の御承認をいただきました上で、政府としましては国内法の手続が完了したということを中国政府にしかるべき文書で通告する、こういう閣議決定を行って中国側に通告をする、中国の方も同じように国内手続が完了したということを文書でもってわが方に通告してくる、これをもって条約が発効する、こういうことになります。
#143
○玉城委員 そうすると、この条約は中国側から見れば行政協定的なものになるわけですか。わが国ではこのように国会で審議されて、閣議決定で通告するということですが、その辺はどのように理解すればよろしいのですか。
#144
○栗山政府委員 中国の条約締結の国内手続につきましては、中国側の説明によりますとおおむね三つの様式がある。一つは批准ということで、批准についてはいわゆる全人代、全国人民代表大会でございますが、その全人代の常務委員会が批准をする。もっぱら平和友好、国境問題、そういうような非常に政治的に重要なカテゴリーの条約については、いま申し上げました全人代の常務委員会による批准を必要としておるということで、先例で申し上げますと日中平和友好条約、これにつきましては中国側はいま申し上げましたような手続で批准をしたという経緯がございます。
 そのほかの条約につきましては、全人代の常務委員会の批准を必要としませんで、国務院限りでもって承認をして条約の締結をするというしきたりになっておるようでございます。
 それは中国側から言えば行政取り決めに当たるのかという御質問でございますが、行政取り決めあるいは国会承認条約という区別は、ある意味では、議会制民主主義と申しますか、そういう制度をとっておる国でどこまで立法府が条約の締結に関与するかということの関連で、行政府限りで処理をする行政取り決めと、国会あるいは議会の承認、立法府の承認を必要とする、そういうタイプの国際約束あるいは条約というものとの区別から出てくるものであろうと思いますが、中国の場合には御承知のようなことで政治体制が若干異なりますので、いま申し上げましたような議会制民主主義のもとでの行政取り決めと国会あるいは議会承認の条約という区別で行政取り決めであるというふうに一概に考えるわけにはいかないかと思いますが、いま先生に御説明いたしましたような意味で、行政権を持っている国務院限りで締結できる条約だというふうに中国側は扱っておるということでございます。
#145
○玉城委員 時間がございませんので重ねてお伺いしておきたいのですが、四十九年三月に審議されたときの会議録を一応読ませていただいたのですが、会議録を読みましても、通り一遍と申しますか、余りはっきりしません。そこで、この足輪の確認の数、それから標本と写真等を確認された数、それが一点と、それがふえているのかどうか。
 それから、こういう鳥獣保護関係の予算、五十五年、五十六年度、非常に少ないと当時の会議録等でも指摘されているわけですが、現在どういう状況にあるのか。
 それから、鳥類保護あるいは自然保護の専門官は、四十九年当時おらないというふうに御説明がなされているわけですが、現在その養成の成果はどのようになっているのか。
 以上、お伺いいたします。
#146
○中村説明員 お答え申し上げます。
 足輪でございますけれども、この標識調査は日本ではかなり前からやっておりますが、中国では研究部門で一部やっておるだけでございまして、日中の間では残念ながら標識が回収されて確認されたというのはきわめて少ないわけでございます。いままで、わりあい古い記録でございますけれども、一九二八年から三五年までの間に三つだけ回収されているということでございます。しかし、アジア地域でこの標識調査をしております日本初めアメリカあるいはソ連、豪州、ここらの標識調査の結果は、日本で標識したものが外国で回収される、あるいは逆の場合、これらを合わせまして毎年百例、百個ぐらい回収されております。したがいまして、そういう結果でかなり渡りの経路もはっきりしてきたということでございます。したがって、中国もこれからのステーションの増加ということになりますと、これらのことがまた多くなってくるのではないかと期待しております。
 それから、予算関係でございますけれども、これは五十五年が二億一千四百万、せんだって決まりました五十六年では二億三千五百万を予定しております。計画しております額は少ないきらいもございますけれども、年々増額し、保護施策の拡充にそれなりに努めております。
 それから、体制でございますけれども、日米条約の批准されました以降、これも実施体制の強化に努めておるわけでございます。鳥獣の専門官そのものは、いまの先生のお話のようにその当時その職責の者が一人もございませんでしたけれども、その後年々増加するというか、配置をいたしまして、二名の専門官を擁しておりますが、それ以外に、鳥獣保護全般につきましては環境庁の自然保護局の鳥獣保護課、これは職員十二名でございますけれどもこれが担当し、それから各都道府県ではそれぞれの担当専門職員がおりますし、それから鳥獣保護員も三千二百名ほど全国に配置しております。以上のような体制で対応しております。
 以上でございます。
#147
○玉城委員 いまおっしゃったことでは不十分だと思うのですが、もう一つ、この四十九年の審議のときにもわが党の渡部委員の指摘もあるのですが、自然保護あるいは環境保全という面から国内法の整備については非常に努力しなければならぬということを強調された答弁があるわけです。これは現時点ではどういうふうに改善されてきているのか、環境庁の方、お願いします。
#148
○中村説明員 国内法の整備でございますけれども、鳥獣保護法、これが適正にあるいは保護の趣旨がもっと徹底するように審議会等の意見も入れまして検討した結果、昭和五十三年、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律を改正してございます。内容的には、保護と狩猟というのは両面のところがございまして、適正な狩猟を行うということ、これが保護の側面になるわけでございますけれども、そういう面で、狩猟者の試験の導入とか資質の向上という面、あるいは免許制度にするとか、かなり厳しいことにしております。
 それから保護地域について、たとえば繁殖期に人が入ることを規制するような措置、そんなことを実施しておりますし、あわせて鳥獣保護区の拡充、これについても新しい視点といいますか、より積極的な視点で拡充しようということで図っております。
#149
○玉城委員 次は、おつとせいの保存に関する暫定条約についてお伺いします。
 午前中の質疑にもあったわけでございますが、この条約は昭和三十二年に締結されて以来、なお現在まで暫定の延長、延長ということについて一応の御説明があったわけですが、二十数年もこう来ているわけですから、こういうオットセイの生態等について調査研究をもうすでに行って、特にわが国は海上面のそういう調査については非常に能力もあるというふうな御説明があったのですが、これだけ長期間研究を行えば、相当詳細なことがすでに判明をしており、科学的なデータに基づいての判断もそろそろ下せる時期に来ているというふうに考えられると思うのですが、いつまでこういう形でいくのか、水産庁の方からもう一回御説明をいただきたいと思うのです。
#150
○木村説明員 午前中にも御説明いたしましたように、残されている問題点というのは実は御説明したわけでございまして、これは海上だけでなくて陸上も含めまして、繁殖場の雌雄の割合とか、すみ分け問題とか、雄の集中分布の問題とか、こういうものが残された問題でございますので、私どもといたしましても、水産庁としてはその調査船でございますが、北海道の道東から三陸、日本海、オホーツクと非常に広範囲の海域におきましていま調査を実施しておるわけでございまして、こういう残された問題を解明することによってある程度の、今後の各国との研究上の主張なりそういうものを申し上げていきたいと考えておる次第でございます。
#151
○玉城委員 総合的な調査結果に基づく判断ということでしょうが、実際当事国であるアメリカ、カナダ、ソビエト、この枠組みを恒久化した方がむしろいいという考えがあるのではないでしょうか、いかがですか。
#152
○木村説明員 私どもといたしましては、海上猟獲というものにつきまして、それがどういうふうに実行が可能であるかという観点から、当然そういう問題について取り組んでおるわけでございまして、今回の条約改定にもございますように、一九八二年に勧告を出すというような話もございますので、当然それに向かって努力してまいりたいと存じておる次第でございます。
#153
○玉城委員 今回の改正議定書では取り締まりの点に関して実質的な改正が行われているわけですが、その理由を簡単にお聞かせいただきたいとともに、取り締まりに関する改正によってわが国に関しての実質的な影響はあるのか、従来の権利義務関係というものはどのようになるのか、ちょっと確認の意味でお伺いしておきます。
#154
○遠藤説明員 暫定条約のもとにおきまして、従来でございますと、他の当事国の領水内における場合を除きましてオットセイの海上猟獲の禁止に違反していると思われる当事国の船舶を取り締まることができたわけでございますけれども、現在の二百海里水域の体制ということがございまして、ことにこの条約の当事国でございます四カ国は、いずれも二百海里の漁業水域を設定しております。この点を改正したわけでございまして、したがって、他国が漁業管轄権を行使している水域、これにおきましては取り締まりが行えないということになっております。これが実質的な改正の部分でございます。
 これによりまして、たとえばわが国が他国の違反船を取り締まることができる水域の範囲は狭まるわけでございますが、一方、他の当事国によりましてわが国の船舶が取り締まりを受ける範囲というのも狭まるということになろうかと思います。
#155
○玉城委員 これも午前中御質疑があったわけでございますが、環境保護という問題とオットセイの問題です。先ほど、八二年に勧告が出るやの状況にあるというようなお話もあったのですが、アメリカにおいては保護団体の反対運動が一部ある、いま心配するほどのことはない、行政ベースでは資源管理体制という立場からこれを支持しているという話もあったわけですが、非常に世界的に関心が高まっているわけでありますから、そういう運動がどんどん出てくると思うのであります。したがって、特にわが国の立場からしますと、そういう関係国すべてが納得する科学的データの収集に一層努力をして、早く明確にしておかないといけないのではないかという感じがするわけですが、これは水産庁の方になるのでしょうか、その点いかがでしょう。
#156
○中島説明員 ただいまの御質問の中で環境の保全という点にお触れになったわけでございますが、私は必ずしもこの環境保全を所管している立場ではございませんので、別の観点から申し上げれば、やはりわが国のオットセイに関する立場としては、御指摘のように海上猟獲も決していけないことではないという年来の主張があるわけでございますが、これが関係四カ国すべてにわたって共通した認識になるためには、調査を継続いたしまして、そういった共通の認識が得られるための努力を尽くしていく必要がまだ残されておるということでございまして、私どもといたしましても、今後とも調査に一層努力をして、そのような結論が出ることを期待しておるということでございます。
#157
○玉城委員 次に、南極海洋生物資源保存条約について若干お伺いをいたします。
 これは水産庁の方に伺いたいのですが、これの保存の対象の魚類、それから鳥類につきましては、一応の御説明がありました。そこで、オキアミについてはすでに商業的な漁獲が行われているわけですが、他の魚種についてもやはり漁獲が行われているのかどうか、本条約水域における各国の漁業の実態、これが一点。
 次に二点目、この水域における将来漁業上重要魚となる可能性のある魚種がほかにもあるのかどうか、二点あわせてお伺いいたします。
#158
○中島説明員 まず、第一点目の御質問でございますが、現在この関係の水域におきます各国の漁業の実態といたしましては、FAO等の資料によりますると、ここで何らかの操業、漁獲を行っておる国は日本を含めまして合計四カ国ほどあるということが知られているわけでございます。日本以外の国につきましては、ソ連、東独、ポーランドというところでございます。わが国は御承知のように南極の海域におきましてオキアミを現在漁獲しておるわけでございますが、その他の国につきましては、ソ連、東独、ポーランドとも、オキアミ以外についても、たとえば底魚といったものを国によってはかなりとっておるというのが実情でございます。
 そこで、第二点目の御質問でございますが、いま申し上げましたように、わが国としては現在までオキアミの操業しかしていないわけでございます。現在知られているオキアミ以外の南極の漁業資源には底魚類あるいはイカ等があるということでございますが、こういった底魚は、わが国にとっては、仮にこれを消費に向けたとしてもなじみが全くない魚類であるとか、あるいは果たしてこのような南極という遠いところまで行ってそういった非常になじみのない魚類をとってもこれが採算のベースに乗るかどうか、こういった点はまだまだ未知の分野でございまして、今後ともこれらの資源の実態等の調査が明らかになりませんと、直ちにこれを商業的な漁獲の対象としてとらえるということはむずかしいのではないかというふうに思っているわけでございます。
#159
○玉城委員 昨年、本委員会において南極のアザラシ保存条約が審議をされたわけですが、そのときに、一九六四年ベルギーで開催された第三回南極条約協議国会議において採択された南極の動物相及び植物相の保存のために合意された措置について、未受諾国は日本とオーストラリアの二カ国ということであったわけですが、現在はどういう状態にあるか。
#160
○矢田部政府委員 その後、豪州が勧告を受諾いたしましたので、目下受諾していない国は日本だけでございます。
#161
○玉城委員 日本が受諾をしていないということで、いま申し上げました勧告の措置はどういうことになっているわけですか。
#162
○矢田部政府委員 遺憾ながら、日本が受諾いたしておりませんので、勧告自体は発効いたしておらない状況でございます。
#163
○玉城委員 そこで、この条約の五条の二項には、「南極条約の締約国でないこの条約の締約国は、南極条約地域におけるその活動につき、適当と認めるときは南極の動物相及び植物相の保存のための合意された措置を遵守することを合意する。」また後段にもそういうことがあるわけですが、いまおっしゃいました、勧告は発効していないということになりますと、いわゆる南極条約締約国以外の国がこの条約に加盟した場合に、日本が採択していないため発効していない勧告について、一応「適当と認めるとき」と規定はされているわけですが、そういう勧告の遵守を求めてもこれは説得力がないと思うのですが、いかがですか。
#164
○矢田部政府委員 南極条約の協議会議の勧告の一つであるIII−8を日本がまだ承認していないために未発効であるということは、残念ながらただいま申し上げましたとおりでございますが、その事実と、いま御審議いただいております条約に基づく措置というものとは、これは一応別の問題であるというふうに理解いたします。
#165
○玉城委員 そこで、いまお話のありましたこの措置ですが、これはわが国が受諾をしてないということについてはこの委員会でも昨年答弁があったのです。国内的な措置を整備する必要があるということであったのですが、その整備の状況はどういうふうになっているわけですか。
#166
○矢田部政府委員 南極条約協議会議勧告III−8を受諾いたしますためには、この勧告の内容となっております措置を実効的に確保するために何らかの立法措置が必要であるということでございますので、そのための準備を政府部内で進めておりますが、何分これはわが国の領域外におきまして規制措置を実効的にあらしめようという目的のための立法措置でございますので、立法技術上いろいろむずかしいことがございます。そのために準備がおくれておりますが、私どもといたしましても、これは何とか早く国内体制を整備いたしたいと思いまして、外務省を中心といたしまして目下政府部内で鋭意検討を進めておる段階でございます。
#167
○玉城委員 見通しはどのようにつければいいのですか。
#168
○矢田部政府委員 できる限り速やかに立法措置を講じまして、勧告を承認いたしたいと考えております。
#169
○玉城委員 時間が参りましたので、終わります。
#170
○奥田委員長 井上泉君。
#171
○井上(泉)委員 環境庁長官は、この渡り鳥に関する中華人民共和国政府との間の取り決めには非常に熱心であられたということをお聞きするわけですが、これと同じようにたとえばソ連との関係においても、私、不勉強でいま高沢議員から聞いたわけですけれども、ソ連との間にもこういうなにをやっておるけれどもまだ取り決めに至っていない、こういう話を聞くわけですが、それは一体どういう理由でまだなされないのか、後から来た中国がお先へと、こういうことはどういう理由か、その辺を承りたいと思います。
#172
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 日ソ渡り鳥条約で対象とされておりますのは、渡り鳥と、それから絶滅のおそれのある鳥類、二種類ございまして、渡り鳥につきましては、条約の付表として二百八十七種類の鳥類が記載されてございます。他方、絶滅のおそれのある鳥類につきましては、それぞれの締約国で調査して、そして相手国に通報するということになっておりまして、この絶滅のおそれのある鳥類につきまして、これは絶滅に瀕しているわけでございますがこれを確定すること、自然の生育状況などを確かめること等非常にむずかしい、そういうことからなかなかリストの調査がつかないというのが実情でございます。しかし、先生もおっしゃいますとおり、われわれとしてはなるべく早くこの条約の効力を発生させるために努力している次第でございます。
#173
○井上(泉)委員 私は、こういう取り決めというものはきわめて平和的な、そして友好的な両国の国民のいわば自然を愛する心に触れる協定であろう、そこには政治的な配慮があってはならないと思うわけですけれども、しかしやはり政治がこれを決断しなければいつまでたってもその辺の取り決めができない、こういうふうに思うわけです。そこで、日中渡り鳥条約を決めるときには勢い大臣としてもそういうソ連との関係等についても御検討なさったと思うわけですが、大臣の御心境を承りたいと思います。
#174
○鯨岡国務大臣 前々こういう条約ができているのですがまだ発効しないということには、私の承知しているところでは、ソ連側の方でまだいろいろ考慮しているところもあり、そういうところが解決しなければこれは発効しない、こういうことになっているようです。いまおっしゃられるように、こういう条約はまことに平和的なものですから、余り政治的な考慮をしないでやったらいいというふうに私も思いますけれども、何せ相手のあることでございますから、相手様もそういうふうに考えているようでございますので、一日も早くそれらのことが解決することが望ましいと願っているわけであります。
#175
○井上(泉)委員 相手のあることは、協定ですからこれはわかり切った話ですか、しかしその相手にしても、一定の話し合いが煮詰まったものだけでも早くこういうふうな条約の取り決めをするということが、両国のこうした自然保護の立場からも有意義でないか、素人はそういうふうにすぐ考えるわけです。三百の種類があって、二百八十八まで話がまとまって、あとの十二の話がつかぬからといって協定が結ばれずに、そこでせっかく決まった二百八十八まで正常な保護対策が講じられないということは非常に残念に思うわけですから、私は、取り決めたことだけでもひとつ何らかの形で前進をさすような措置が、自然保護に熱心な長官としては考えられないだろうか、こう思うわけですが、どうでしょう。
#176
○鯨岡国務大臣 まことにおっしゃるとおりでございますが、これはやはり外交の問題でもありますから、私は、鳥の問題だけで解決できる問題ではない、こういうふうに考えております。なるべく早く外交の問題も解決して、当方も先方も、いま先生が言われたようなことに合意すれば結構なことだ、こう思います。
#177
○井上(泉)委員 外務大臣は、そういう私の意見についてどういうふうにお考えですか。
#178
○伊東国務大臣 はなはだ不勉強で申しわけなかったのですが、私もそういう問題があるというのを最近聞いたわけでございます。いろいろの理由があることは私もわかりますが、一回御審議願ったものを長年交換公文ができないというのもはなはだおかしなことでございますので、さっきも玉城先生にもお答えしたのですが、なるべく早く交換公文ができるように私としてもまた努力をしてみたいと思っております。
#179
○井上(泉)委員 自然保護ということで、自然破壊の最大の元凶といいますか、これは一体何であると大臣は考えておるのか、ひとつ大臣の所見を承りたいと思います。
#180
○鯨岡国務大臣 自然破壊の最たるものは何かというお問いですか。
#181
○井上(泉)委員 はい、そうです。
#182
○鯨岡国務大臣 それは戦争です。
#183
○井上(泉)委員 それもまさに私は百点満点の答弁だと思うのですけれども、そうなりますと、これはやはり大臣としても戦争というものを否定する立場に立って自然保護をやろうとするなら、勢い自然を破壊する最たる戦争の起こらないような関係というものが一番の要素だと思うわけです。そういう点について、最近防衛庁の長官なども非常にはしゃいでおるわけですが、いまの国際情勢の中で、環境庁長官としては、鈴木内閣の閣僚の一人として、近い将来に戦争が起こるとかいうようなことをお考えになったことがあるのかどうか、また、そういうことをお考えになったとするならば、戦争の起こらないようにして、本当に自然を守るためにはどうしなければならないのか、そういう点についても抱負をお持ちだと思うわけです。
 自然を守るためには、何といっても一番の元凶の戦争を排除しなければいかぬ、こういう立場から、いまの国際情勢等と日本の国内における防衛論議というものについて大臣はどう考えるのか。これはこの条約のこととは多少飛躍したように聞こえるわけですけれども、やはり自然保護ということは国民の願いでありまするから、国民の願いを果たすためにはその最大の元凶を排除しなければいかぬのですが、長官としてのこれに対する見解を承っておくことが今後の日本の自然保護の上において大事なことだと私は思うわけなので、あえて御質問申し上げるわけです。
#184
○鯨岡国務大臣 ツデイ・バード・ツモロー・メンというようなことを言う人がいますが、私はいい言葉だと思うのです。われわれが鳥のことなど心配しているのはずいぶんのんきそうに見えますが、われわれがいま大きく心配していることは種の断絶ということでございまして、動植物の断絶は最近に至って非常に驚くべきスピードで進んでいるわけであります。そして、人間も種の一つですから、いずれは人間に移ってくるという心配から、鳥の絶滅ということもどういうわけで絶滅するのだろうかというようなこと、もう一つは、鳥を愛し花を愛するという気持ちがあれば人間なごやかですから、そういうことでわれわれは骨を折っているわけでございます。
 それにもかかわらず、私はこのごろ、人類、鳥や何かじゃなしに、人間は急性病で滅亡するか、慢性病で絶滅するか、よほど考え方を改めて反省してかからなければ大変なことになる、こう思っているのです。急性病というのは言うまでもなく戦争ですが、いま先生の言われたように、戦争で自然が破壊され、人類が一遍にみんな死んでしまうということだって考えられないことじゃない。それから、環境の破壊で慢性病のようにして人類が滅亡するということも考えられる。ですから、その前の急性病の方の戦争は何としても防がなければならぬ、あってはならぬ。
 ところで、だれだって戦争になったらいいなどと考えている人はいないと私は思います。ただ、戦争にならないためにはどうしたらいいかということになると、それぞれ考え方が違うことは言うまでもないことですが、戦争になった方がいいなどと考えている人はだれもいないと思います。鈴木内閣はどうだということですが、鈴木内閣はことさら戦争になっては大変だと考えて一生懸命やっているということをどうぞ信じていただきたい、こう思うわけであります。
#185
○井上(泉)委員 この協定によって、日中両国の間において、自然保護に対するいわゆるお互いに心の通い合う協定が生まれるわけですが、それを実施する環境庁としては、この協定を実行していくために、日本国民にこれを守らすという点についての体制といいますか、法的あるいは機構的なものが十分であるのか。せっかくこういう協定を結んだのに、日本ではこうだった、ああだったとかいうような話を聞くことのないような措置がとられておるのかどうか、その辺について、これは大臣でなくとも結構ですが、御答弁願いたいと思います。
#186
○中村説明員 この協定によりまして国内の鳥獣保護、特に鳥を保護するというような体制でございますけれども、この協定に基づきまして鳥獣の捕獲を禁止する、あるいは適正な狩猟を確保する、あるいは生息環境を保護するために鳥獣保護区を設定する、主としてこういうようなことが関連してくることだろうと思います。
 それに伴いまして、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づきましてこの体制の整備を図っておるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたが、取り締まりそのものの体制といたしましては、環境庁におきます鳥獣保護課あるいは各県庁におきます所管課、あるいは鳥獣保護員というような組織機構の中で実施しておるわけでございます。たとえば最後の鳥獣保護員にいたしましても、三千二百名ほどの担当者がこの保護取り締まり、ということは狩猟取り締まりでございますけれども、保護区の管理あるいはいろいろな調査を実施するとともに、鳥獣保護についての啓蒙指導にも力を入れておるわけでございます。
 実際の保護活動、取り締まりの活動につきましては、対策会議とかパトロール、あるいはいろいろな広報、立入検査、こういうことをいろいろな取り締まり機関にも協力していただきまして実施をしているところでございます。
 それから、あわせまして保護区の関連でございますけれども、鳥獣保護全般につきましては、生息地の保護が非常に大切でございますので、この八年間でほぼ一・五倍、個所数にいたしますと二千九百カ所、面積にいたしまして国土の約八%、二百八十万ヘクタールぐらい、これを保護区に設定いたしますとともに、それ以外の各地域につきましても、飼い鳥の規制とかいろいろな措置を通じまして鳥獣保護の体制の強化に努めておるところでございます。
#187
○井上(泉)委員 この協定に載っておる二百二十七種類の鳥類等についても、全部がどういう鳥かということをぼくは承知しないですけれども、この中には相当知っておる鳥もおるわけだし、また簡単にとられておる鳥もわりとあるわけですが、この取り締まりということで、警察権力とかあるいは行政の権力とかいうようなことではなしに、国民に対する指導というものによってこの協定が守られていく、そういう状態をつくらねばならないと思うわけですが、そういう点について環境庁としては国民にどうやってこれを認識させ、実行させようとされておるのか、その辺のことを、この協定が発効すれば、すると同時にそれを国民にどうやって守ってもらおうかということの指針がなければ無責任きわまる取り決めになるわけですが、それは一体どういうふうになっておるのでしょうか。
#188
○鯨岡国務大臣 いまお聞き及びのとおり、警察にお願いしたり、それから環境庁で頼んでいるそれの専門家がいますが、そういうことだけではなしに、一般国民みんなにわかってもらうようにどういうことをやっているかという御質問でございますが、これはしばしば印刷物にして環境庁が方々へ流してみたり、それから各都道府県では、小学生、中学生、高校生それぞれに副読本のようなものをつくりまして、環境問題についてかなり熱を入れてやっているのです。その中にこの問題はずいぶん取り上げられております。教育の問題でもまだ十分とは言えませんがそれぞれやっておりますので、そういう点でやっていきたい、こう思っております。
#189
○井上(泉)委員 せっかく環境庁長官においでを願っておるので、もう一つ。
 鳥というものは非常に空気には鋭敏な感覚を持っておるわけです。ところが、原子力発電所が各地にできて、大気が汚染されたりその周辺が汚染されたりすると、そこに生息しなくなると思われるのです。原子力発電というものが安全なら、環境上問題がなければどこへつくってもいいと思うが、ああいうふうな僻遠の地といいますか、非常に人家から離れたところ、海岸べりとか、そういうところへつくるわけですが、これについては環境庁長官としてはどうお考えになっておるのか、この際お聞きをしておきたいと思います。
#190
○鯨岡国務大臣 いまの御質問の趣旨がよくわかりませんが、原子力発電所の立地場所……(井上(泉)委員「それによって環境が破壊される場合はないか」と呼ぶ)それはないということはないでしょう。だから、アセスメントをやって、原子力発電所をつくるような場合には、どういうふうに変わっていくか、事前に影響を評価しよう、こういうことでございますから、そういう際に万全の注意を払っていきたい、こう思っております。
#191
○井上(泉)委員 最後に、原子力発電所の立地問題等については、また別の機会に、別の場所でお聞きをすることにしたいと思うわけですが、自然保護ということ、その重要な課題の一つにこの渡り鳥の協定があるわけなんです。そういう点から、これを推進された環境庁としても、国際的にも日本が本当に自然保護には熱心だという評価を受けられるように、そういう印象を持たれるように、なお一層各方面に、ただ鳥だけではなしに各方面の環境保全に万全を期した努力をしていただくことを強く要望するわけです。
 これは、環境が破壊されたら鳥も何もあったものではないし、さっき大臣が言った慢性的な破壊が徐々に浸透してきておるという今日の世界の環境破壊、特に日本の環境破壊については厳然たる防衛策を講じ、慢性病にかからないような日本の国土にしてもらわなければならぬと思うわけですが、その点について大臣の所信を承って、大臣に対する質問は終わりたいと思います。
#192
○鯨岡国務大臣 実は私も心配しているのです。日本の経済は五%強ぐらいずつは毎年成長していかなければ、失業者も出てしまいますしね、経済的にはどうしても成長しなければならぬ。ところが、五%強ずつ成長していきますと、西暦二〇〇〇年になる四、五年前にいまの経済の倍になりますよ。そうすると、この三十七万平方キロで二割ぐらいしか可住面積がないというところでこれだけの経済生活をやっていて、これが倍になっていく。質が変われば別ですが、ただ量だけの倍ということになれば、どうやって環境を守ったらいいのか、大気はどうやって守るか、水はどうやって守るか、この自然の破壊をどうやって防ぐか、これはなかなか容易でない、こういうふうに私は考えて、経済はもちろん大事なんですから、経済が大事だと思わない人はいないのですから、同時に環境をどうやって守っていくかということに対して世間がもっと熱心でなければならぬ、そうでなければ悔いを百年に残す、こういうふうに考えて日夜努力をしているわけでございます。
 いまは油の問題なんかがありますからね。六十五年までに油に依存すること五〇%にしようという、これは至上命令です。これができなければ大変なんでしょう。ですから、それだけに環境問題はむずかしい。一生懸命やっているわけでございますので、どうぞひとつ御協力をお願い申し上げたいと思います。
#193
○井上(泉)委員 外務大臣にお伺いするわけですが、こういうきわめて平和的な、文化的な友好関係を深めるものをつくる中で、日中の関係におきましては、一九七九年十二月七日に、大平総理が北京で「新世紀をめざす日中関係」という講演をされたわけです。これは大臣がそのときに行かれておったかどうか知りませんけれども、その内容はいま読み返してみて、本当にりっぱなことを大平総理は言った、そのとおりのことでやっておれば、今日において中国が経済政策の調整というようなことで非常な苦労をすることはなかったのじゃないか。
 つまり、日本の財界も、経済の協力あるいは経済の成長というようなことをただわんさわんさと推進をする中で、中国が、自国の経済力に相応しない状態だから宝山もやめますよ、どこそこのなにも延ばしますよという話になると、あわてふためいて、そうしてけしからぬことには、三菱だったかあるいは新日鉄だったか、日本と中国とは政治体制が違うから、体制の違う国と合弁なんということは考えない、だから破棄するなら破棄しても結構だ、こういうふうなことを言っておるわけです。これはまさに日中関係を経済の利潤のみに求めてきた流れが、結局、中国の方に、あなたのところには宝山の製鉄所、こんなものをつくった方がいいですよと向こうに言って、それはいいですよ、つくりなさい、中国はこんな広いところだからというような形で乗りかかったものではないか、こう私は思うわけですが、いまの中国との関係におけるそういうプラント問題というものは大臣はどこにその原因があると思いますか。これは中国側は中国側に責任がある、こう言っておるようですけれども、日本側には全然それに対する責任的なものはないのでしょうか。
#194
○伊東国務大臣 いまの御質問、なかなかむずかしいところでございますが、一番の原因は、中国側がどうしてこういう経済調整をやらなければならぬようなことに進んでいったかということもやはり日本としてみましても考える必要があると私は思うのです。それは、中国が経済を進められる中で重工業、化学工業ということを片方で進めるけれども、それだけじゃいかぬぞ、やはり基本的な農業の開発でございますとか、あるいは労働者の賃金をもっと上げるとか、そういう国民生活全部の水準を上げていくという努力をしなければいかぬということで、中国の理由で経済の方向を一時大きく曲げて経済調整をするという必要が起きてきたのだと私は思うわけでございます。
 農産物の価格を上げるとか、あるいは賃金を上げるとかいうことになりますと、これは当然購買力につながっていくわけでございます。そのとき物があるのかないのかという問題もありますし、大きなプロジェクトをやれば、それに伴って、農産物を上げたり賃金を上げたりすることと同時に財政の赤字もまたふえるわけでございますので、やはりどうしても経済調整というものをやらなければならぬということで、その波が大きなプロジェクトの方にかかってきたというふうに私は見るわけでございますが、それでは中国だけのことかといいますと、日本もあの当時、中国、中国ということで草木もなびくと言ってはなんでございますが、中国という熱が非常に高かったのでございまして、その辺の見通しが日本の企業家としても甘いところがやはりあったのではないかと私は思うわけでございます。
 中国だけが悪い、あるいは日本だけが悪いということではなくて、やはりそこに両方で原因があった、私はこういうふうに見ているわけでございます。
 原因はそういうことでございましょうが、きょうから、中国からも人がやってきますし、いままで土光さんが行かれ、企業家も行って向こうと相談をしてきたということで、実務的にいろいろ進んでいるわけでございますので、いまそれを見守っておる。ただ、この問題のために日中友好関係にひびが入らぬようにする必要があるというのは、私、前々から申し上げていることでございまして、そういう態度でいま見守っておるところでございます。
#195
○井上(泉)委員 この大平総理の講演の中身をもう一回見ていただいたならば、今日の日中間のいわゆる経済摩擦といいますか、日中間に横たわっておる経済問題、これは友好裏に解決ができる、こういう考え方を私自身持つものですが、きょうの新聞では、日中のプラント建設で、こういうのをやるとするならば五年で六千億が必要だ。五年で六千億ということは、一年に直せば千二百億ということになるし、一方、イランの石化の事業については六千億から七千億の膨大な資金が要求されるような状態になっておる。そういうものと対比をしても、そしてまたその他の国との経済協力関係と対比をしても、中国との間における経済協力関係が起こったのはここ三、四年来のことであるし、その中で、中国側は中国が悪いから、こう言って率直に認めておるわけだ。
 そういう中国側の態度に対して、中国の真情、考え方、誠意に対しては、日本もそういう誠意を持って、真心を持ってこたえるようなことをやる、これが日中両国の友好関係をさらに深めて発展をさせていくもとになろうと思うわけですが、こういうことについて、大臣としては十分打開をされるとお考えになっておるのか、あるいはこれはとてもじゃないが無理な話で、財界の言うような形で、もう協力することはできないというような姿勢にならざるを得ぬとお考えになっておるのかどうか、これについて大臣の見解を承りたいと思います。
#196
○伊東国務大臣 財界といいますか、経済界といっても、まだ統一した考え方が決まってこの問題に対処するとは私は見ていないのでございます。これからだと思うのでございますが、土光さんが向こうに行ってこられて、行かれる前も帰ってからも私はお話を聞きましたし、意見も言ったのでございますが、まず中国の態度が、自分の方が経済政策を間違っていたのだからこれを直さなければいかぬということを言っていられること、これは率直な意見だと思いますし、私も去年十二月に行ったときに、ケ小平さんがみんなの前で、自分の方が間違っていたということを言っていられたことはよく知っております。しかし日本側も、さっき言いましたように、企業が甘いことがあったことも確かだと私は思うわけでございます。
 いま、日本からも向こうに行き、また向こうからもこっちに来、具体的に一つ一つ当たってみよう、そうして結論を出そうじゃないかということでやっている最中でございますので、私どもはそれを見守る。あしたからは日本側の政府も話を聞くということになっておりますので、それをいま見守っておるところでございますが、先ほどから言いますように、この問題で日中間にひびが入らぬようにということは、日中国交正常化したときの精神からしましても考える必要があると私は思うわけでございますので、どういうことをするかということはまだ何も決まっておりませんけれども、いま申し上げましたように、今後千年の大計を考えれば、日中間に傷がつかないようにということで、何とかこの問題は円満に解決できることはないかという道を探そうというのが私の気持ちでございます。
#197
○井上(泉)委員 大平総理が北京での講演でも、一時的なムードや情緒的な親近感、さらには経済上の利害打算のみで日中関係の局面を築き上げようとするならば、それはしょせん砂上の楼閣に似たはかなく脆弱なものに終わるでありましょう、こういう講演をされておるわけで、これは中国の公式の場でたくさんの方に話をしたのです。だから、いまこそ日本と中国との友好関係を不動なものにするためにも、この経済上の問題は粘り強く双方が納得のいく形で解決をしなければならぬ。それを日本は、これは財界がやったことだから、いわゆる民間がやっておることだし、向こうは政府がやっておるから、それに政府が乗り出すということはというようなことで、政府が逃げ腰になっておると、大変な悔いを残すことになると私は思うわけなのです。
 そこを、いま大臣の答弁でも、逃げるというのではないけれども、静観をするといいましょうか、何かじっと見ておる。じっと見ておったら、ネコにかつおぶしの番をせよと言って、ネコがかつおぶしを食うのも見ておるという、そんな笑い話になるような政府の態度であってはならぬと私は思うわけですが、その辺どうでしょう。
#198
○伊東国務大臣 私は、この問題が起きたときから一貫して、最後は日中関係にひびが入らぬようにということをする必要があるということを言っているわけでございまして、見守っておるということを言いましたのも、もともと企業家が話してやったことでございますので、まずそこが具体的に、これは自分でやれるとかこれはどうだとかいうことを話を詰めて、どうするのだということをやることが大切だということ、これは当然だと思うのでございます。そういうことをやっている過程でございますので、それで見守るということを言ったのでございますが、何も見守っているというだけではないわけでございまして、率直に言えば温かい気持ちで見守っていると言ったらいいかもしれませんが、日中関係に傷がつかないようにしようということだけは、最初から私の考えは変わらぬのでございます。
#199
○井上(泉)委員 ここで私は事務当局にお尋ねするわけですが、日中間における経済援助あるいは円借款その他のもので、大体昭和五十五年度あたり、四年、五年度でどのくらいのものになっておるのか、御説明願いたいと思います。
#200
○木内政府委員 日中間の経済協力は、この二、三年来始まったことでございまして、最初に手がけられましたのは技術協力からスタートいたしております。それから円借款でございますが、これは一昨年でございますか、大平総理が訪中されましたときに五百億円ということでそういう意図を表明されまして、昨年じゅうに五百億円、それからさらに昨年の暮れに至りまして、第二年度分としまして五百六十億円の約束をいたしておるわけでございます。恐らく、今後そのような規模、それを少しずつ上回る規模で発展していくものと考えております。
#201
○井上(泉)委員 私は、この経済関係だけが中国との友好関係のものではないということは、これは私自身も常に主張しておることであるし、きょうの渡り鳥の協定の審議に当たっても、こういう両国の国民の心の中に生きるような協定というものも、やはり両国の友好関係を深める中で大きな役割りを果たすわけです。しかし経済のことで意見が食い違うと、これはお互いでも親しい間ほど金のことについていやなものが残らないように万全の努力をすべきことだと思うわけですが、ましてや国と国との関係、中国と日本との長い歴史的な関係、そういうようなものを踏まえて見た場合に、こういう経済条件でつまづき、そごを来さないように、ここはひとつ外務大臣が大平総理の講演の趣旨に沿うて一大奮起をすべきときじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。
 いまただ静観するというのは、ネコがかつおぶしをとる番のようなものではないということは察せられるわけですけれども、さらにやはり日中の長い友好の歴史の中で、これは私は大きな一つの危機じゃないか、こういうふうに思うわけですが、この危機を乗り切ってこそ、今日のこれからの日中、そしてさらにはアジアの大きな平和関係というもの、そして日本の国際的な地位を高める上においても大事なことではないかと思うので、その点についてもう一歩突き進んだ気持ちを御披露願えれば、私も非常にうれしく思うわけですが、大臣の見解を承って、私の質問を終わります。
    〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕
#202
○伊東国務大臣 前々から申し上げておりますように、政府が最初から飛び出してどうこうするというのじゃなくて、やはり詰めるものは詰めてということで、私はその経過を見ている、こう言ったわけでございまして、これは通産、大蔵、経済企画庁みんな関係することでございますし、いま事務的に四省でいろいろ、あしたからまた向こうの話を聞くということをやるわけでございます。
 先ほどから何遍も申し上げますとおり、私はこの問題で日中のそれこそ千年の大計、これで感情的なしこりとか傷とか、そういうものを日中友好関係に残しちゃいかぬという考えでございますので、関係大臣と十分相談をしまして、いま申し上げたようなことにならぬようにという最善の努力をするつもりでございます。
#203
○井上(泉)委員 終わります。
#204
○松本(十)委員長代理 土井たか子君。
#205
○土井委員 本日は、先ほどの渡り鳥の問題であるとか、あるいはオットセイの問題であるとか、そして南極の海洋生物のそれぞれの保護に関するまことに平和的な条約についての審議がなされているわけでありますが、私は特にこの南極の海洋生物資源の保存に関する条約の問題について、環境庁長官もせっかくの御出席をいただいているわけでございますから、少し御質問をさせていただきたいと思うのです。
 御案内のとおりに、南極地域の自然環境というのは地球上で最も自然のままで残されているということがその特徴でございますし、また比較的単純な生態系を持っているために、系の一部に与える影響が全体に大きな影響を与えるおそれが強いだけに、いろいろ環境保全の上では貴重な一つの目安になる地域というふうに申し上げてもいいかと思うのですが、地球全体を見ますと、空は一つです。空気も一つだと申し上げていいと思います。水もそういう点から言ったら、海域においていろいろな差はありますけれども、海は一つと申し上げていいと思うのですね。したがって、全地球的規模において環境保全を考えていくという立場からすると、この南極地域の持っている意味というのは非常に大きい。こういうことを一つ、まず前提に置いて質問に入ります。
 いま南極の海洋生物資源の保存に関して、日本のように漁業国であるという立場で南極の海洋資源を取り扱う国と、非漁業国がこの海洋資源に対して持っている認識とにはいささかの差があるようでございまして、今回の条約の目的を生物資源の保護に力点を置くべきだというふうに考えるのは、言うまでもなく非漁業国の立場です。日本の場合は、環境保護ということにも認識を持たないというわけではありませんけれども、いかに生物資源を合理的に利用していくかということにいささか力点を置くという方向での問題の認識があるということを、いろいろな事情を通じて私は言わざるを得ません。
 環境庁長官、この南極について、南極条約に相次いでただいまの当条約があるわけでありますけれども、環境保全、自然保護という点から、どういう認識を環境庁長官としてはお持ちになっていらっしゃいますか。
#206
○鯨岡国務大臣 結論から言えば、そして一言で言えば、なるべく自然のままに置いておきたい、こう思います。
 若干つけ加えれば、人間は自然の中で生かされているわけですから、もし考えなしにそれを改変していくということであれば、種の断絶、先ほどお答えした種の断絶なんかがそのためにふえるかもわからぬですから、そういう意味でもなるべく自然のままに残しておきたい、こういうことと、もう一つは、資源がなければ人間は生きていかれませんけれども、われわれの代で終わりじゃないです。われわれの子孫がずっといるのですから、できるだけ子孫のためにも残しておかなければ、われわれの代にみんな使ってしまっていいというものではないですから、そういう意味でも、いまだ地球上手のつかない、唯一かどうかわかりませんが、最も顕著な南極は、できるだけ自然のままに置いておきたい。
 それから環境庁としては、地球がどうなっていくかということをいろいろ調べる意味で、南極というきれいなところは、地球的規模で、こっちの方が煙を出したりなんかするとあそこに浮遊塵なんかおりていくのがありますから、そういうのを検査しますといろいろなことがわかるのです。そういう意味で、余りがちゃがちゃにしてもらいたくないなあという感じがいたしますね。
#207
○土井委員 いま浮遊塵の調査などをするという場所としては貴重な場所であるという意味も含めて、長官から御答弁をいただいたわけですが、いままでにこの南極の地域に対しまして、いろいろ調査隊あるいは越年隊が派遣をされておりますが、環境庁としてはこういう調査活動にいままで参加をされましたか、いかがでございますか。
#208
○鯨岡国務大臣 学者が何人も行きますから、そういう学者の中には、このごろ急速に環境の学問がずっと出てまいりまして、そういうことを勉強した先生方が行かれるので、そういうことで調べていただいているとは思いますが、環境庁がほかの役所のようにバックアップしてやっているということはないように私は承知しております。
#209
○土井委員 そこで、環境庁としてはバックアップしておやりになったということがいままでにないということをいま伺っておりますが、さてそれでは、日本としては観測基地をだれが設け、その経費はどういうことになり、いままで観測船あるいは調査隊というのがどこの省がバックアップになって送り込まれて、どういう作業をやってきたかということに対してちょっとお答えをいただきたいと思うのですが、この担当省はどこになりますか。
#210
○木村説明員 私は水産庁でございますので、水産庁の範囲しかお答えできませんが、統括しておりますのが文部省の南極の観測本部でございます。その中で水産庁の管轄だけ申し上げますと、水産庁の調査船開洋丸というのがございます。これは二千五百トンでございますが、これにつきまして五十四年、五十五年と二カ年にわたりまして、これは海でございますが、南極の海につきまして生物関係の調査をいたしております。
#211
○土井委員 それ以外にどこの省が担当でございますか。いま文部省とお答えになりましたが、文部省御自身からは御出席の方がいらっしゃらないようですから、これは条約について所管は外務省で、外務省自身はその点掌握されているはずだと思いますので、文部省がそれの所管の役所であるということを念頭に置いて、いま水産庁からお答えをいただきましたけれども、それ以外に各省どういうふうにいままでに調査活動に対して臨んできたかというのを、わかる範囲でひとつお答えくださいませんか。
#212
○林説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように主に文部省がしておりますけれども、観測隊の隊員は国立大学の教官あるいは研究者、それから極地研の教官及び技官、それから気象庁、これは運輸省でございますが、そのほかに国土地理院の研究者、これは建設省でございます。そのほかに海上保安庁、これは運輸省でございます。さらに電波研究所、これは郵政省でございますが、これらからの参加者によって観測隊が構成されております。なお、砕氷艦の「ふじ」には、自衛隊員が往復の乗組員として参加しております。
 以上でございます。
#213
○土井委員 この中に、先ほど来私の申し上げるような観点で環境庁自身が参加をされるということの意味は非常に大きいし、今後大切だと私は思うわけでありますが、環境庁長官としては、そういうお心づもりとそういう御努力のほどをお願いできるということに相なりますでしょうか、いかがでございますか。
#214
○鯨岡国務大臣 偶然「生命ある地球」という、これは八〇年の第八回環境週間記念講演というので、毎年環境庁でお願いして講演をしてもらったものの速記録なのですが、千葉工業大学の鳥居さんという人は、これは南極越冬隊員でございますが、「昭和基地では、八年前から環境科学のプロジェクトがとりあげられ、生物、医学、地球化学の専門家が参加していますが、」越冬隊員の毛髪の水銀などについて研究しております、そういうことが書いてございます。
 ずっといろいろ書いてございますが、そういうことですから、環境庁が何も出しゃばって行くわけではありませんが、一枚加わることがこういう研究のために非常にいいことだということならば、積極的に働きかけてそういうようにしてみたい、こう思います。
#215
○土井委員 この観測隊研究班の中で、つい先日も自民党から南極に行かれた方々がございまして、その帰ってこられた議員の方にお話を承っていると、アメリカあたりはやはり女性の専門家、女性の学識経験者が現地に観測隊の隊員として行って十分なる研究活動に従事をされているということに非常に感銘を受けたという話を私は聞いたのですが、日本は女性を観測隊の中に入れて調査活動に従事をさせてきたという経過がいままであったでしょうか、いかがですか。
#216
○林説明員 お答え申し上げます。
 いままでに女性が隊員として観測活動をしたことはございません。
#217
○土井委員 これは外務大臣、いかがでしょう。女性の観測隊員について、やはり専門家であって学識経験者という立場で従事するということが、環境保全とか、自然保護とか、人体の健康に及ぼす影響とか、いろいろな観点がございますけれども、やはりいま問題になっている気象とか、電波とか、地質とか、重力とか等々の分野においても専門家がいるわけでありますから、その点も考慮してみてはいかがか、これは非常に大切な問題だと思いますが、どのようにお考えになりますか。
#218
○伊東国務大臣 そういう必要な分野に適当な女性がおられるかどうかということを私は何も知りませんけれども、婦人の差別撤廃条約なんというものも早く批准しようとしておるのですから、そこに適当な人がおられれば当然行かれるということを実現することは、私は必要だと思います。
#219
○土井委員 むしろそのことは大切だと思いますけれどもね。これはもう不可欠な問題だと思いますが、鯨岡長官はどういうふうにお考えになりますか。
#220
○鯨岡国務大臣 それはいま外務大臣が言ったとおりでございまして、先生なんか行ってもらったらいいと思います。
#221
○土井委員 それで、いろいろ日本のかの地における基地とか、基地の施設の中身とか、そういう配置、設定の要求というものを具体化するのは、だれがどこでどういうふうにいままで決めていっているのですか。
#222
○林説明員 お答え申し上げます。
 文部省の所轄の極地研が主になって決めております。
#223
○土井委員 主になって決めておりますというのは、すべて私がいま申し上げたような中身全部にわたって文部省が一括してお決めになるということになっているのですか。
#224
○林説明員 お答え申し上げます。
 文部省所掌の南極推進本部がすべてにわたって決定しておりますと承知しております。
#225
○土井委員 それで、いま日本としてはいわゆる昭和基地というところに拠点を持っているというふうに国民は認識しておりますが、これは現在はどういうことになっておりますか。
#226
○林説明員 お答え申し上げます。
 そのとおりでございます。
#227
○土井委員 では、その基地を拠点にして、いまここで審議をいたしております対象になる南極海洋生物資源についても調査をされているという実態でありますか、いかがなんですか。
#228
○林説明員 お答え申し上げます。
 往復の船上と基地の沿岸周辺で調査をいたしております。
#229
○土井委員 この条約で当面問題になっております海洋生物資源の中で鯨があるわけですが、最近幾つかの鯨種の資源が減少しているということが言われております。それは事実ですかどうですか。鯨の種類によりますけれども、このかいわいでふえることはない、減っていると言われていますが、いかがですか。
#230
○磯貝説明員 お答えいたします。
 特定の、特に大型のヒゲクジラ類が非常に減少していると言われております。ついでに、わが国が操業を行っておりますかの水域での捕獲対象鯨種は、現在ミンククジラ一種類でございます。
#231
○土井委員 その鯨が減少していっている理由というのはどの辺にあるとお考えですか。
#232
○中島説明員 鯨の一部の種類が減少しているということは事実でございます。私、専門家ではございませんので必ずしも的確にその理由についてお答えができないかもしれませんが、私の承知している限りでは、これまで古くからいろいろな国の捕鯨が行われてきておりまして、この捕獲によりまして減少したというのが大きな理由ではないかというふうに承知をいたしております。
#233
○土井委員 その捕獲をしてきた中の一国に日本はあったわけですか、いかがですか。いままで日本よりも多く捕獲をしてきたということが客観的に言える国というのはどういう国ですか。
#234
○中島説明員 捕鯨の歴史を見てみますと、やはり日本は捕鯨では先進国ではないということでございまして、たとえばアメリカであるとかノルウェーであるとか、そういった国々が昔では一番の捕鯨の先進国であったというふうに聞いております。
#235
○土井委員 これは聞きながら私も少し矛盾を感ずるときがあるのですけれども、そういう捕鯨の先進国の人たちも含めて、いわゆる環境保護論者ということをみずから認識されている方々の中には、オキアミは鯨の主食であるから、したがって南極地域のオキアミが捕獲されることのために、鯨が減っていくという原因の一つはそこにあるということを言われている方々があるようであります。この点はどういうふうにお考えになりますか。
#236
○中島説明員 ただいま先生が御指摘になられましたように、中にはそういった心配をする意見もございます。ただ、私どもといたしましては、オキアミの総体の資源量、それから鯨のえさになる必要量、そういったものをいろいろ勘案しますと、少なくとも現在オキアミの漁獲が行われている量程度では鯨に対しまして影響は全くないというふうに考えておるわけでございまして、これは大方の科学者の共通した認識ではないかというふうに承知をいたしております。
#237
○土井委員 そこで、これは基本的に環境問題の上から言うことができる問題があると思うのですが、環境の質について、原則という点からいったら二つの類別ができると思うのですね。一つは、いわゆる人間の健康とか安全とか、自然のシステムに耐えられない影響を与えないようにということを心がける許容の原則の問題ですね。あと一つは、美しい自然環境や史跡や天然記念物などの保存について、人間の環境を精神的、文化的に改善するということを目的とする快的原則の問題ですね。この二つが環境の質について問題にしていくときには常につきまとうこととしてあるわけなんです。
 いま、鯨とオキアミの事柄についてお尋ねをすると、オキアミをいまの程度とるぐらいでは鯨に影響はない、こういうお答えなんです。これは許容の原則という側面からの問題に対する認識を重点に置いてお答えになった答え方だと私自身は把握するのですが、もう一つの自然環境の保全、天然を保持していこうという側面での原則からすると、この問題はそれではどう考えればいいのでしょうかね。先ほど鯨岡長官は、この南極問題についてはできるだけ自然のままがいい、手を加えないことが好ましい、これは結論だけれどもということを前置きにお答えになりましたが、お聞きになっていてどうお感じになりますか。
#238
○鯨岡国務大臣 鯨は余りいじめない方がいいと思います。
#239
○土井委員 いじめない方がいい、それはそうでしょう。したがって、もしそのえさであるオキアミの量を問題にするならば、オキアミの捕獲についてもできる限り抑えていく、できる限りとらない方がいい、そういうことにもなるということでございますか。
#240
○鯨岡国務大臣 先ほど申しましたこの書物で、これは南極探険にしばしば行っておられる鳥居さんの話ですが、いま水産庁ですかからお話があったように「鯨は一夏のうちに一億三、〇〇〇万トンのオキアミを食べるそうであります。」これはソ連の研究だそうですがね。そして「三分間口を開けて泳いでいると、オキアミ一トンが鯨の胃袋に入る」そうです。それで「オキアミの量は、およそ六億トンから七億トンと推定されておりますので、」だから人間が「一年間に三、〇〇〇万トンや五、〇〇〇万トン獲っても差支えないだろうと思いますが、南極条約の会議では、獲ることについて外国の生物学者の反対もあって、現在はまだ本格的な操業が行われておりません。」こう書いてあるのですが、私は水産の問題についてはわかりません。
 貴重なところだから南極はなるべくいじらないようにしておいてもらいたい、これが私の立場ですが、水産の方の関係から言えばそうもいかないという点もありましょう。ありましょうが、そこにたくさんの資源があるというのならできるだけいじらないで、現代のわれわれはそこらじゅうずいぶんほじくってしまったから、もうほじくらないでせめて後世に譲っておいてやったらいいじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがでございましょう。
#241
○土井委員 実にすっぱりした御意見だと思っていまの御答弁を拝聴しているわけであります。しかし、日本としてはオキアミ操業について母船団に補助をしているという現実なのでありますが、これは幾ら補助しているわけですか。それで、この補助の目的というのはどこにございますか。
#242
○中島説明員 オキアミの操業に対します補助につきましてはいま数字を調べまして御報告申し上げますが、この目的といいますのは、オキアミは人類に残された海洋生物資源の量としては現在の知見の段階では最大のものであるということで、ただいまも環境庁長官からお答えがありましたように、推定されるオキアミ自体の資源量は非常に大きなものがあるわけでございまして、一説によりますれば、毎年七千万トンほどとってもオキアミ自体の資源に何ら影響はないであろうという科学者の有力な説もあるくらいでございます。したがって、わが国といたしましても、貴重なたん白質食糧資源でございますので、こういったものを未利用のまま放置しておくということでは済まされないという考えのもとに、こういったものの利用開発を進めるということを目的といたしまして補助をしているということでございます。
#243
○土井委員 補助額などは後で調べておっしゃってくださいますか。
#244
○中島説明員 補助額につきましては、五十六年度予算額といたしまして、一つは海洋水産資源開発費補助金というのがございます。これのオキアミの分でございますが、本年度は二億七千六百万ほどでございます。もう一つございまして、オキアミ等未利用魚食用化技術研究開発委託費のうちでオキアミの分がございます。これが約二億二千三百万円ほどでございます。
#245
○土井委員 そこで、いまのような国からの補助があり、貴重なたん白源だという御説明でもございましたが、オキアミというのは一体どんなものなんですか。これはエビじゃないと思うのですが、エビに似ているのか、どういうものなのか、その辺、わかるように、簡単で結構ですからその形態を御説明くださいませんか。
#246
○中島説明員 オキアミは、分類学上は甲殻類でございまして、そういった意味ではエビやカニと全く同じ分類に属するものでございます。寿命は大体一、二年と言われておりまして、まれには三年ぐらいまで生きているのもございます。体長は大体五センチほどに大きいものはなるというふうに聞いております。
#247
○土井委員 素人がこのオキアミを見た場合に、やはりこういう表現になるのじゃないかと思いますが、小エビに似た大型プランクトン、こう言って間違ってはいませんか。
#248
○中島説明員 私、専門家ではございませんので、必ずしも当たるかどうかわかりませんが、一般にプランクトンと言いますと、どうも目に見えないほどの小さなものを想像しがちでございますので、そういった意味では、厳密な意味ではございませんけれども、一般常識的には若干ずれるのかなという気がいたします。ただ、分類学上では、先生ただいまおっしゃったようにおっしゃっても間違いではないというふうに承知をいたしております。
#249
○土井委員 オキアミについて、たん白資源という意味で食用に供されるためのいろいろな研究が進んでいるようでありますけれども、現在、食用に供される部分はわずかだと聞いておりますが、どれくらいの割合なんですか。
#250
○中島説明員 わが国について申し上げますと、現在のところ、漁獲量の約三割程度がそう菜あるいは珍味といった形で食用に利用されておる、その他の約七割につきましてはいろいろな形のえさに利用されておるというふうに聞いております。
 諸外国では、オキアミをとっているのはソ連とかポーランド等があるわけでございますが、特にソ連なんかにつきましてはまだ食用に相当部分を消費するという点までには至っていないようでございまして、いろいろな動物のえさに利用されたりということが多いというふうに聞いております。
#251
○土井委員 さて、食用という点と、いまおっしゃったように餌料に利用するという部面と、大きく分けるとあるようでありますが、いま国が助成をいたしましてもなおかつ赤字になるのではないかというふうなことがささやかれておりますけれども、これは事実かどうか、そして赤字になるということであるならばその理由はどの辺にあるのか、これはいかがですか。
#252
○中島説明員 私はこの問題の所管をしておりませんが、私の承知している限りにおきましては、オキアミというのはこれまで開発に何年かの積み重ねがあるわけでございますが、まだまだ一般の家庭の食卓に常に上るというような利用の程度に至っていないということで、その利用性に問題があるということでなかなか採算のとれるような事態にまでは至っていない段階であるというふうに承知をいたしております。
#253
○土井委員 私の聞くところによりますと、オキアミであるがゆえにエビと比べると味が落ちる。しかし、形態は大変エビに似ている。そこで、エビと称して売られる場合があるようであります。価格もオキアミならば安いわけでありますが、エビにすると少し高く売れるということで、値もつり上げて事実は売っているということがたまたま発見されるようであります。
    〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕
 消費者グループの中でいろいろそういう研究をしてきた結果、オキアミはオキアミとして不当表示でなく正確な表示をし、しかもエビと違ってオキアミの場合、食品としてどういう方向で使えるかということの調査、また研究をもっとやっていいのじゃないかということも一面言われているようでありますが、こういう関係について御存じのところがあるならばお聞かせいただきたいと思います。
#254
○中島説明員 先ほどお答え申し上げましたように、オキアミにつきましては、人類に残された将来性に富んだたん白質資源の一つであるということでございますので、今後ともその利用の開発にはまだまだ力を入れていかなければならないというふうに考えているわけでございます。特にその中でも、食用向けに製品をつくる場合の大量に処理をする方法であるとか、製品の販路の拡大という二つの面をさらに推進する必要があるというふうに思っているわけでございます。このため、国におきましても、先ほど若干申し上げましたが、こういった食用化の技術研究開発委託費という中で、オキアミにつきましても水産庁の水産研究所を中心にいたしましていろいろ研究を続けているところでございます。
 なお、オキアミ自体につきましては、先ほど先生が御指摘になりましたようなエビと称して売られていることにつきましては私はまだ承知いたしておりませんが、ただ、オキアミ自体については、いわゆるサクラエビに風味が非常に似ておるということでございます。
#255
○土井委員 それだけに、市場においてエビとして売られる場合がある。したがいまして、この点は水産庁の所管ではないとおっしゃられるかもしれませんけれども、エビとオキアミとは違うわけでありますから、その点の峻別がはっきりできるように、行政の立場でもその点はいままでになく目を光らせていただかなければならぬ点もあるようです。よろしゅうございますか。
#256
○中島説明員 先ほどちょっと誤解を招くようなお答えをして、まことに申しわけないと思います。私が所管ではございませんがと述べたのは私自身の話をしたわけでございまして、水産物の流通問題というのは水産庁の所管に属することは間違いございません。そういう意味でございます。
 それから、先ほど予算についてお答えのうち一部答弁漏れがございましたので、この際追加をさせていただきたいと思います。
 これは補助金でございますが、母船式オキアミ漁業開発促進事業費という予算が先ほどお答え申し上げたほかにございまして、これは約十一億六千万円ほど今年度の予算で計上されております。
#257
○土井委員 いまの峻別できるようにということについて、まだ御答弁が出ていない。
#258
○中島説明員 申しわけございません。私も試食をさせていただいたこともございますが、まず普通のエビと大きさが非常に違いますので、これがエビであるということは一般に見てもすぐわかるのではないかというふうに私自身は思っております。
#259
○土井委員 それは現物をごらんになった場合にはそうかもしれない。粉末にして利用するとか、形状を変えて利用している場合があるのですよ。そして、エビという表示で出している。それは消費者からするとどうしようもないのです、何とかその辺をきっちり区別して、目を光らせておいていただかなければ。したがって、それはエビとなった方が価格も高くなります。売る側はそういう売り方をしているということが現実にあるわけですから、そこで私はその点を指摘しているのですよ。それはよろしゅうございますか。
#260
○中島説明員 私自身もつまびらかではございませんが、いま先生の御指摘されたように、粉末になった場合に一体どれほどの見分けがつくのか、これは確かに疑問の点もあろうかとは思います。ただ、私、ちょっと所管も違いまして、そういった事例をまだ聞いておりませんので、なかなか的確にお答え申し上げられない次第でございます。
#261
○土井委員 オキアミをエビと表示するのは不当表示であることは間違いないわけですから、そういう観点からひとつはっきりもう一度、いろいろ市場調査なども、おいおいこのオキアミについて食用として多く利用される工夫が動いてまいりますと、時を追ってやはりそっちの方向でも力を入れていただく必要が出てきます。必ず出てくると私は思っております。首を振っていらっしゃるから、それはそれとして了承されたというふうに理解いたします。
 さて、午前中に領土権を主張している国々があることを私は御答弁いただいているわけですが、その領土権を主張している国々の沖合いでこういう操業を行った場合、何らかの問題が引き起こされないという保証はないのですね。こういうことに対しての紛争が起こるというふうなことが残念ながら惹起された場合にはどういう措置を講じていくことができるのですか。
#262
○磯貝説明員 お答えいたします。
 二十五条に触れてございます仲裁裁判所に関する仲裁の規定が適用されることになります。
#263
○土井委員 日本は操業する国ですから、そういうことからするといろいろと日本に対して非難めいたことが言われる、抗議が申し入れられるというふうなことになってまいりますと、いまお答えなすったのはいまの機構のこと、システムのことについてお答えになったわけであって、どうすればいいのですか。
#264
○磯貝説明員 お答えいたします。
 現実の問題といたしましては、どこの水域でどういう漁具を用いて幾らの漁獲が許容されるというような形の規制措置が将来出てまいるわけでございます。これは委員会で決定されることになりますが、それに従って操業する限り、先ほどお話しのようなわが国だけに向かった、あるいは操業国に向かってのそういった種類の非難は生じてこないものと考えております。
#265
○土井委員 どうしてそれは非難は生じてこないというふうなお考えなんでしょう。これは領有権ということの主張は凍結されたままであって、しかもなおかつその主張はされているけれども、領有権というものを日本としては認めない、これは理屈なんですよ。だけれども、現実は理屈じゃない。現実は、領有権を主張している側からしたら、ここはわれわれの領有権の存在する場所であり、したがって地先沖二百海里というのは漁業専管水域だ、こう主張し続けるわけですから、したがってその点からすると非難攻撃というのは出てくる場合もあるのです。これは理屈じゃないのですよ。したがって、どうなさいますかと言っているのです。
#266
○磯貝説明員 領土権を主張しています国々は全部この条約のもとに参加いたしまして、同一のレジームのもとに南極の生物資源の保存に参与するわけでございます。したがって、先生の御指摘のような問題はまず起こらないというふうに解釈してよろしいと思います。
#267
○土井委員 まず起こらないというふうな御認識でこの場所に臨まれる予定のようでありますから、これは出てからあわてたってしょうがないので、非常にそこのところはおおらかと申しますか、のんきと申しますか、日本が思うように事が成るというふうな御認識でおありになるのかどうかわかりませんけれども、ちょっとやはり私は一抹の危惧を感じざるを得ません。そういうことの認識のままでいけば幸いですけれども、なかなかそうはいかないかもしれませんよ。だから、その辺はいまの御答弁のままで、さようでございますかと言うわけに実は私はいかないのです。しかし、幾ら聞いてもその点はだめでしょう。
 外務大臣も首を振っていらっしゃいますけれども、それはいま聞いてもだめなんですか、どうなんですか。
#268
○伊東国務大臣 いまの答弁以上には私もする能力もなし、そういうこともまた答弁もできないと思います。
#269
○土井委員 それで、環境庁長官、さっき、南極地域に対してはできる限りこれは手を染めない自然の姿、形のままで保存するということが最も好ましいという意味も含めて御答弁をいただきましたけれども、現に環境庁の立場からすると、国際機関で環境問題に取り組んでいくという側面があろうかと思うのです。たとえば国連とか、ECとか、OECDとか、NATOとか、いろいろそういう機関があるわけです。これは日本が参加をしておる機関もあれば、いま申し上げた中で参加をしていない機関もございますけれども、南極自身のあるべき姿とか、環境保全の点からすると南極の果たす役割りとかいうことに対して、そういう日本が参加をしておる国際機関でさらに提唱なり日本の立場を披瀝するなりする機会をお持ちになる御用意がおありになりますか、どうですか。
#270
○鯨岡国務大臣 ローマ会議からストックホルムの会議を経て最近まで、初めは学者の間でずっと問題になってきましたが、地球的規模の環境問題ということが、先生御承知のとおりやかましく言われております。それで、わが国も去年の九月から十二月までかかりまして一応方向づけをいたしまして、それをことしもずっと引き続いてやっていこうということであります。
 ことしは、環境庁が創設されてから十年目でございます。この記念行事として、そういう地球的規模、南極も含めて地球的規模の環境問題ということをテーマとして、アメリカで先生御承知のあの「二〇〇〇年の地球」というものを書いた学者などを招聘いたしまして、各地で講演会を開いたりしよう。
 一方、その問題を持って、私はことしの一月にOECDやUNEPへ行ってまいりました。それを受けた形でフランス、OECDで世界の環境問題についての会議がありました。わが国から大来さんにぜひ来て特別講演をしてもらいたいということで、十分の用意を整えたのですが、病気で行かれなくなってしまいまして、それで私のところの事務次官の金子君がかわりで国際課長と一緒に行きまして、きょう、いまごろの時間は役所に帰ってきたのじゃないかと思いますが、きょうの一時ごろ成田に着いている、こういうことで、南極だけじゃありませんけれども、全体を含めて地球的規模の環境問題ということについて、世界じゅうがやや前向きになってまいりましたし、それから日本もそれに応じておることは御承知のとおりであります。
 私は、資源の問題等いろいろありますから、必ずしも私が言ったとおりのようなわけにはいきますまいけれども、気持ちとしては、南極はなるべくそっとしておいてもらいたいという気持ちがありますよ。ただ、その前に、土井先生、いまある海をもっときれいにすることに努力したらいいじゃないか、いまある海をもっときれいにする努力だってまだまだやる手があるだろう、それをいいかげんにしておいて、それで南極から何か持ってこようというようなことはもうそろそろいいかげんにしておいた方がよろしい、こういうふうに考えます。
#271
○土井委員 それでは、いま世界的規模という前提から出発して、いまある目の前のことをまず片づけていくことの方が先じゃないかというお話もあったことに即応して、最後にお尋ねしたいと思います。
 世界的規模から言うと、大気の汚染という問題についての発生源の一つとして車問題がございます。日米の間でただいま自動車問題というのは懸案の問題でございまして、この成り行きは国民注目の的になっている。昨日でございましたか、アメリカ側でアメリカの事情による自動車に対するいろいろな救済策が発表されました中に、公害対策としての規制を緩和するということが中身として出てまいりました。いままでマスキー法を初めとして、アメリカでは自動車の公害対策という問題に対して、排ガス規制というものに重点を置きながら進めてきた一つの政策の流れがございますが、これが規制緩和という方向で変わっていくわけでありますから、単に自動車問題だけにとどまらず、環境保全という点から考えても、これのもたらす影響はそうそう軽々に見過ごすわけにはいかないだろうと私は思っているのです。
 さて、そうすると、アメリカから入ってくる輸入車がこれから変わります、排ガス規制の中身が違うのですから。この規制緩和された輸入車を、日本としては結構ですね、構いませんと言ってお認めになるのか、また、逆に日本から輸出する輸出車については、アメリカの方でいままで排ガス規制をやってきたその規格に合う車でないと輸入を認めなかったのですから、同じように緩和された輸出車を日本としては生産すればいいということになるのであるか、そこのところはどうなるのでしょう。大変気にかかる問題ですが、長官、どのようにお考えになりますか。
#272
○鯨岡国務大臣 アメリカが規制を緩和して、日本の規制よりもうんと緩い車を日本に持ってきて売ろうとしても、それは売れません。それから、日本が向こうへ売る場合に、向こうが緩くしたのだから日本に売るよりもずっと低い自動車をつくって持っていってもいいだろうとは思いますけれども、これは私の答えるべきことでなしに、通産省などどう考えておりますか、私はいいのじゃないかなと思うのですが。
#273
○土井委員 いまの御答弁、ちょっとお伺いをしていて、日本の規制値よりもはるかに低いものを持ってきて売ろうとしても売れませんとおっしゃるのですが、買い手がある限りはこれは売れるのです。
#274
○鯨岡国務大臣 いや、それは言葉が足りませんでした。売ってはなりません。
#275
○土井委員 ほかにいろいろ本条約について関係する問題をお尋ねをする必要があるかと思いますが、三時十分というのが決められた時間でありますから、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
#276
○奥田委員長 金子満広君。
#277
○金子(満)委員 日中渡り鳥条約について若干質問したいと思うのです。
 条約の前文には「鳥類が、自然の生態系の重要な要素の一つであり、また、芸術、科学、文化、レクリエーション、経済その他の分野において重要な価値を有する天然資源である」ということがまず前提になって、その次に「渡り鳥及びその生息環境の保護及び管理の分野において協力することを希望して、」こういうことになっているわけです。これは当然のことですけれども、渡り鳥の生息環境の保護と管理についてそれぞれが国際的な義務を負っているものだ、こういうように解釈するのが筋道だと思いますが、伊東外務大臣、それでよろしいわけですね。
#278
○長谷川説明員 お答えいたします。
 そのとおりでございます。
#279
○金子(満)委員 そこで、具体的な問題について若干どろ臭い質問をするわけでありますが、渡り鳥については北海道から沖繩までそれぞれの地域の分布の中で問題があるわけですが、私はここではひとつ、この協定の中にある二百二十七種類の渡り鳥、これが指定されているわけですが、その中で東京都内の問題について若干伺いたいと思うのです。
 東京都内にもこの二百二十七の渡り鳥の中でかなりの鳥が来るわけでありますが、その中で東京の都心部にある上野の不忍池、ここには、上野動物園の浅倉園長の説明によりますと、毎年十月から翌年の三月までの間に大体七種類から十種類の渡り鳥が来る。その中でここで指定されているカモ類について言いますと、六種類のカモが確認をされている。三六 オナガガモ、四〇 マガモ、四二 ヒドリガモ、四四 ハシビロガモ、四五ホシハジロ、四七 キンクロハジロと、カモその他六種類確認されているということでありますが、少ないときでも大体五千羽から六千羽、多いときには約一万羽になるそうです。こういう点は鯨岡長官、確認されておりますか。
#280
○中村説明員 環境庁といたしましては、毎年カモ類あるいは白鳥、それぞれの水鳥に関しまして、一月十六日でございますけれども全国一斉調査してございます。その一環として東京都につきましても調査をしておりまして、ここに数字は持ってきておりませんけれども、あそこにもかなりのカモ類が来ておるということは承知しております。
#281
○金子(満)委員 動物園長さんの話ですから間違いないと思いますし、報道もされているわけです。ですから、五千ないし一万のカモが来ておる。
 こういう中で、実は数年前にこの池で百羽以上大量に死んだことがあるのですね。それは当時は原因が明らかにされないまま過ぎてしまったということを浅倉園長も言っていましたが、ただ、当時の関係者の話をいろいろ総合すると、有機燐を含む洗剤の流入によって起きたのであろう、カモの羽の脂が侵されて浮力を失って沈む、こういうようなことで死んだのであろうということが大体大方の見方であるというような話がありました。
 現在は、カモは死んでいないというのですね。しかし、私はせんだって現地を見てまいりましたが、死んでいないからといって池の水がうんときれいになったということを少しも意味しないわけですね。
 鯨岡長官はいままでの歴代長官の中で不忍池を一番よく知っている長官であるわけですから、細かい内容のことは申し上げませんが、とにかく池が三つあって、全体の大きさも約十万五千平米あるわけですね。大都市の真つ中にこれだけ大きな池があって、しかも野鳥、渡り鳥が来るというのは、世界の都市の中でも珍しいところだと私は思うのです。これは外国の人たちもその点は認めるわけですが、さて、その三つに分かれている池の水質の問題について、台東区の区役所の公害課で水質調査をずっと行ってきておるわけですね。それによりますと、COD値で昨年度平均、一番ひどいのは動物園の池です。これはカモなどがいっぱいいるところですね。ここは三一・四PPmある。一月は最も高くて一八〇PPmあるわけです。それからボート池の方が一七・三、ハス池が三・三八ですね。
 この数値というものがどのくらい汚いかという点でいきますと、環境庁の水質汚濁に関する環境基準で、湖や沼で一番汚れに強いと言われるフナやコイが生きていくために必要な基準は五・〇PPm以下でなければならぬということになるわけです。そうしますと、その基準にパスするのは辛うじてハス池の三・三八だけで、あとは年平均でも六倍、一月は何と三十六倍なんですから、魚などすめるはずはない、こういう数値が出るのです。とにかくこれはひどい話ですよ。これをちょっと二人の大臣に渡してみてください。
 いま写真を提出いたしましたが、これはこの協定の前文で言っているところの「生息環境の保護及び管理」などという問題では全然ないですね。実にひどい状態だ。こういう点では大きな問題でありますし、死体を見ないからといってこのまま放置していたら、過去の実例もあるわけですから、この点で、いずれにしても汚れた上にカモがおりているわけです。いまわずかに残ったのが散見できるだけですけれども、最低五千羽、こういう状態です。
 環境庁長官にちょっとお伺いしたいのですけれども、こういう事態をまずどう考えるかが一つ。それから、生息環境の保護という問題と管理という立場から、あの地域で渡り鳥の保護がどうなっているか。もう一つは、水質の汚濁の状態がどういうものであるかを環境庁として実態調査してほしいと思うのですが、どうでしょうか。
#282
○鯨岡国務大臣 私は毎日あそこのところを通ってくるのですから昔からよく知っていますが、おっしゃるとおりです。
 そこで、これは東京都がやっていることですから、前から私も気にしまして、東京都の方に問い合わせて調べてあります。それは一つには、大雨の降ったときに下水が流れ込むということです。大雨でもない中雨でも流れ込んでしまいます。それが一番大きな原因です。それから、鳥がどうしてあそこを気に入ってあんなにたくさん来るのか知りませんが、余りたくさん来るので、鳥のえさやふんも汚す原因になるというのです。それもあるのですね。
 しかし、大きな原因は下水が流れ込むということで、東京都の方もえらい心配しているのですが、もともとあれは昔かち下水が流れ込むようにできている池なんです。ところが、いまやそんなことは言っていられません。先生のおっしゃるとおり、あれは東京の顔みたいになりましたから、もともと下水が流れ込むところなんだから下水が流れ込んでも不思議はないだろう、こうも言っていられません。汚水と雨水とが一緒になって下水に流れる、昔からそういうことです。それは日本だけじゃなしにベルリンあたりでもみんなそういうのはあるのです。
 このごろは汚水と雨水とを別々にしようというようなことになりましたが、それはばかばかしくお金がかかることだし、ここまで町が発展してしまったらなかなかできにくいということで、いろいろ検討して、とにかく大雨が降ったときに汚水がそこへ流れ込むということだけを除こう、それにはお金もずいぶんかかるけれども、幾らお金がかかっても仕方がない、これは何とかしなければならぬということで、東京都の方も努力しているようですから、私どもの方も引き続いて対策を熱心にやってもらえるように努力していきたい、こう思っています。
#283
○金子(満)委員 二百億円とかそれ以上とか言われますけれども、いま長官の言われる、大量に渡り鳥が来てそのふんで汚れるという意味から言えば、昔も大量に来ていたわけで、周囲の環境がいい時期はむしろいまよりもっと来ているわけです。
 したがって、水質の汚濁の最大の原因は、いま言われるとおり、とにかく中雨ですか、豪雨でなくともすぐ下水管がいっぱいになって、逆流して流れ込んでくるわけです。大都市の真ん中でふん尿が生のままぼかぼか出てくるというのは、どう考えても、環境庁長官は毎日あそこを通っていたらよけい変なものだと思うのです。動物の死体が入ってくる。たまには古畳まで入ってくるというのです。それは下水道が雨水も汚物もみんな一緒だからだという。しかも、これをつくったのが大正十年だというのです。遊水地の役割りを無理に果たさせられているわけです。
 そういう実態はせんだって東京新聞にかなり詳しく出ておりましたけれども、とにかく渡り鳥の生息環境というところから見ても大変なことだと思うのです。その上にカラフルなカモが乗っている状態を想像しただけで、とてもじゃないけれども、前文に言う芸術にも反するし、科学といってもおかしなこと、文化、レクリエーション、全部これは違反するわけです。
 こういう点で、協定は外務省が結ぶ、水の汚水の方は環境庁が調べる、管理の方は東京都だ、下水道は建設省、あっちの方だ、みんななわ張り領地みたいなものがあって、責任をとる場所がないみたいなかっこうになるわけです。こういう点で、長官は東京都の行政にも非常に経験があるわけで、この不忍池をきれいにするという点でもう一歩進めて、東京都がやるのを側面的に援助するというだけでなくて、環境庁がイニシアチブを持って実態調査なら実態調査をしてみる、そしてこういう状態ですということを関係の各省庁、東京都の方とも連携をとりながら一骨折ってみる、こういうことはできないのですか。
#284
○鯨岡国務大臣 日本の顔の東京都の真ん中にある上野公園の池に、中雨が降ると汚物が流れ込むというのは自慢になる話じゃありませんから、ひとつ前向きに検討して、幸い東京都とも深い関係にありますから、おっしゃるとおりのような方向で努力してみたいと思います。
#285
○金子(満)委員 建設省の下水道の方、いますね。――いま鯨岡長官も言われたのですが、いずれにしても六十年前の下水管のままなんです。六十年前といったら想像もつかないほど古い話になるわけで、それが現実にそぐわないわけです、人口の密度から言っても、町の態様から言っても全然違うわけですから。新聞その他で見ると、東京都もお手挙げだ、どうしようもない、手を広げたままです。現地の台東区は、何とかしてもらわなければ困る。下水管の方を閉じると汚物が町に全部出る。閉じなければみんな池に入るわけです。入ったものは出てこない。沈でんしてしまうわけですから、それはハスのこやしにはなっても、とても環境をよくするなどというしろものではないわけです。
 東京は首都だし、そして不忍池は言われるとおり都心部なんですから、予算の措置をも含めてやらないと、ただ激励ばかりしただけではどうしようもない。そういう点で、建設省の方もこの下水問題についてあの地域をどのようにいま考え、どういうような手を打とうとしているか、その点についても伺いたいと思うのです。
#286
○玉木説明員 ただいま先生お話しのように、この不忍池周辺は大正十年ごろから下水道をやっておりまして、一応整備はされておりますけれども、先ほど環境庁長官からもお話がありましたように合流式でございまして、この不忍池が遊水地の役割りを果たしているわけでございます。これまでに、汚水ができるだけ流れ込まないように、せきの高さを高くするというような対策を講じてきたわけでございますけれども、これ以上出る量を減らしますと上流が浸水するというような問題も出てまいります。そこで、そういった浸水の問題もあわせて考える必要がございます。
 このため、東京都ではいまいろいろ検討が行われておりまして、不忍池上流の地域の水を隅田川の方にカットするというような恒久対策を検討しているところでございます。しかし、これを完成するには相当年月がかかりますので、たとえば、それまでの間、雨水の貯留池を公園の中につくるということについてもいま検討を進めているところでございまして、できるだけこういう問題が早期に解決されるように努力をしたいと考えております。
#287
○金子(満)委員 来年は上野動物園ができて百周年になるわけですね。相当皆さん上野に行くだろうと思うけれども、その汚物をみんな見せられるわけです。しかもそういう中で、動物園側では大変いまこの点では気をもんでいるのですが、動物園側としては、この状態はがまんがならない、世界に対しても非常に恥ずかしいことだ、こういうことを皆さん全部が同じように言っておられるわけですね。ところが、東京都の水道局側から言うと、もともと遊水地として利用してきたのだから、これは宿命だというのがまず大前提になるわけです。その次に、いま技術的にどうしようもないのだということで終わりになる。
 ところが、どうしようもないのでは全く困るので、いまの建設省の方の説明なんですが、調査中、検討中でも、これは早いところしなければどうしようもないので、主管は東京都だといっても、この場合かなり大きな予算を必要とするのじゃないですか、そういう点について、これはあなたに聞いてもどうかと思いますけれども、予算措置を何とか講じないと現地の方としてもできないのじゃないか、その点、どう思いますか。
#288
○玉木説明員 予算の問題もございますけれども、ただ、そういった抜本的な対策を講じるためには、いろいろ地域の住民の方々の協力も必要でございますし、金があればできるというものでもございませんので、そういったいろいろな協力を得ていかなければいかぬという問題がございます。もちろん、金の問題につきましては最大限の努力をしなければならないと思っております。
#289
○金子(満)委員 地域の地元の人たちの協力という点は、まだ東京都も建設省も何も出していないのですね。だから、協力するも何も相談するネタもないのです。いまのようなそういう答弁だと、きょうはこれで過ぎるかもしらぬけれども、実際歯車はかからないと私は思うのです。台東区でも、公園でも、東京都でも、悩み抜いていることだと思うのです。これは恐らく鯨岡長官が一番よく知っているのだと思いますよ。早く手をつけないと大変なことになりますから、その点は前向きに検討するという鯨岡長官の答弁を確認しながら、ひとつやっていただきたいと思うのです。
 その次に、これは渡り鳥じゃないのですが、環境問題に関連して、鳥の問題で沖繩のことについてちょっと伺いたいと思うのです。
 沖繩の特別天然記念物のノグチゲラ、これは有名な鳥で、何回も国会でも問題になり、現地でも、そしてまた学者の中でも問題になっています。それから、ここにはほかの天然記念物で、アカヒゲ、リュウキュウヤマガメ、トゲネズミというのがいるわけですが、このノグチゲラの問題について伺いたいと思うのです。
 世界でノグチゲラがいるのは沖繩だけだ、しかも沖繩の北部である、こういう点はすでに明らかになり、環境庁も昭和四十八年に調査をして、おおむね百羽から二百羽ぐらいあそこにいるだろう、こういうように言われています。ところが、きのうの読売の夕刊にたまたま、琉球大学の元学長で、沖繩の生物学会の会長をやっておられた池原貞雄教授の記事があって、その中で、ノグチゲラはもう絶滅の危機に瀕している、そして九十羽ぐらいしかもういなくなってきているということが出ているのですね。
 ノグチゲラを守れというのは沖繩の返還の前から問題になっておったわけですが、その生息地は国頭村、東村が中心で、特に国頭村の方に多数の鳥がすんでいるというように言われているのです。この点は環境庁としても確認をされていることだと思いますが、どうですか。
#290
○鯨岡国務大臣 沖繩の北の方の山原に生息地があって、貴重な烏であるということは、先生の言われたとおり、環境庁としては調べがついています。
#291
○中村説明員 生息数につきましては、先ほどの先生のお話のように四十八年に調査をいたしまして、その結論としては百から二百ということになっておりますが、何しろ照葉樹林で非常に暗い林間の中で生息しているということですし、数も少ないことですので、この調査というのはなかなかめんどうな点もございます。しかし、百羽から二百羽というのがいまの調査結果でございますが、これは今後さらに調査をしていかなければならないと思っております。
#292
○金子(満)委員 地図を見てもわかるのですが、大部分が米軍基地の中にあるわけですね。この点も確認をされているわけでしょう。
#293
○中村説明員 生息地は、シイの原生林を中心にいたしまして、天然林に主に生息しております。したがいまして、与那覇岳周辺に多くいるのではないかということも言われております。しかし、いまの基地の問題ということになりますと、私どもとしてもその基地の周辺というか範囲がよくわかっておりませんので、どこからどこまでということはわかりませんけれども、多く生息しているのじゃないかと思っております。
#294
○金子(満)委員 そこが一番聞きたいところなんですよ、ノグチゲラが基地と基地でないところの境界線を知っているわけじゃないのですから。そういう点からいくと、大部分が基地の中にある、北部の演習場の区域の中にあるということは常識的にもわかるのですよ。その点は何も遠慮することはないので、ひとつ確認をしておきたいと思うのです。全部がそうだとは言いませんけれども、基地の中に相当生息地があるということは確認できるでしょう、これは別にむずかしいことじゃないですから。
#295
○鯨岡国務大臣 そのとおりです。
#296
○金子(満)委員 今度は外務大臣の方ですけれども、昭和四十七年の沖繩返還のとき、海兵隊の北部の訓練場について、「使用目的及び使用条件」というので、いわゆる五・一五合意というのですが、メモがあるわけですね。そこで「使用条件」の中に、「本施設及び区域内において、指定された射撃場における実弾射撃が認められる。大砲の実弾射撃は、着弾区域が特定されるまでは行われない。空包射撃が認められるほか信号弾が使用されることもある。」その次なんです。「合衆国軍は、本施設及び区域内にある指定された水源涵養林並びに指定された特別保護鳥及びその生息地に対し損害を与えないよう予防措置をとり、水源涵養林に大きな形質変更をもたらすような計画をたてる場合には、事前に日本政府と調整する。」こういうことになっているわけですね。
 これが約九年前の合意でありますから、そういう中で当然保護区が指定されているということになっていると私は思うのですが、日本の政府がそれを指定しているのかどうなのか、この点を伺いたいと思うのです。
#297
○中村説明員 ノグチゲラの生息地の保護のために、県設でございますけれども鳥獣保護区が五カ所設定されております。これの一部がその演習地の中に入っているというふうに思いますけれども、しかしどこからどこまでが入っているかということは、これは確認できません。
#298
○金子(満)委員 政府が指定をしているのですか、沖繩県ですか。
#299
○中村説明員 沖繩県でございます。
#300
○金子(満)委員 私が聞いているのは、政府なんですよ。これがアメリカと合意されているのですから、その直後にやるべきなんですね。ですから、いま鯨岡さんに言ったってこれはしようがないことですよ、前の方をやっていないのだから。そういう点は詰めておかないと、沖繩の県がやったものをあたかも政府がやったように報告するのは政府の責任回避で、環境庁の責任は大きいし、外務省に責任なしとは言えないと私は思うのですね。
 そして、県で飛び飛びにやっているのは事実なんです。ところが、それをやったらどの生物学者だって、そんなことで保護ができるものじゃないわけですね。こんな狭いところでノグチゲラに、ここですんでいなさい、そんなことを言ったって命令を聞くわけじゃないのですよ。これは自然の地形の中であるわけで、そういう点は私は率直に言って怠慢だと思うのですね。九年間も、政府は自分で約束をしておいて、そして指定をしないのです。こういう点、私はきょうは厳重にそれを指摘しますけれども、この点はやってほしいと思う。それをどう考えているか、これは新しい長官の方に聞いた方がいいと思うのです。
#301
○中村説明員 鳥獣保護区の設定につきましては、これは県知事、それから環境庁長官両方が指定することになっておりまして、最近の鳥獣保護の重要性といいますか、国際的な認識も含めまして、ノグチゲラのような貴重な鳥獣の保護というものにつきましては、これは保護区の強化の一環として国でもって今後保護区の設定も考えていきたいという考え方は持ってございます。
#302
○金子(満)委員 ですから、文化庁はもう特別天然記念物に指定したわけですよ。ところが、環境庁というか、政府の方がその保護区を指定しないわけですね。だから、何ぼ鳥は指定されてもそれだけでは指定した意味がないわけですよ。だから、これはすぐやってもらわなければ困る。そういう中で、ユネスコでもノグチゲラを保護すべきだという勧告もしているわけで、国際化しているのだから、何も遠慮は要らないし、積極的に私はやってほしいと思うのですね。
 なぜそれをいま急がなければならぬか。米軍基地を避ける必要はないのです、アメリカは認めているのですから。そういう点からいいますと、去年の二月二十七日にアメリカの上院の軍事委員会で聴聞会に出席したバロー海兵隊司令官が沖繩の北部の訓練場の問題について発言をしているのが、ちょうどこのノグチゲラの生息地なんです。そこではこういうふうに言っているのですね。
 「現在、北部訓練場では実弾演習はやれない。小火器、迫撃砲、砲直射兵器、空対地兵器を含む実弾演習は、実行可能だし、それは米日使用協定に規定された演習制限条件の範囲内でやれる。〔しかし、現在〕実弾演習がやられていない第一の理由は、これらのとりきめに従った着弾地域の〔日米〕共同の指定がまだおこなわれていないためである。
 北部訓練場の着弾地域は、TOW(対戦車ミサイル)の到着とともに特別の重要性をもつ。というのは、計画されている着弾地域は、自然の〔地形のことをさす〕おわんの中にあり、TOW(対戦車ミサイル)の実弾発射を可能にするからだ。沖繩には、他にこの兵器〔の演習〕をこのように支援できるところはない。」と断定しているのです。
 ですからここで早くしておかないと、日本政府、特に主管である環境庁がこういう点でまごまごしていると、海兵隊の司令官のようにどんどん進んできて、最後はここにあるように「最後に、日米間のとりきめに従って海兵隊の演習区域が確保されるよう、日本政府としてたえず努力をしてほしい。」とバロー証言は言っているわけです。指定地域の問題で云々ということも出ているのですから、早くこれを指定しないと、沖繩の池原教授ではありませんけれども、絶滅の寸前に立たされているというのは決して大げさではない。
 こういう意味から再度、これは鯨岡長官、そういう次第ですから、ぜひ指定地域にしてほしいと思いますし、それから伊東外務大臣、これは直接の交渉に当たったのは外務省ですから、外務省もこういう点は明確にしておかないと、国際的にも保護してくれ、守ってくれというノグチゲラがなくなるわけですから、そういう点で二人の大臣の答弁を聞いて、私の質問を終わりたいと思うのです。
#303
○鯨岡国務大臣 いま先生のレポートを読んでみても、向こうの軍人が、いろいろ大砲やタンクを並べてみても、ちょっといますぐはやれない、なぜならばこういうことがあるからということで、先方さんもちゅうちょしているわけです。それだけ考えているわけです。私らの方の立場から言えば、それは絶滅のおそれのある鳥ですから、万難を排してこれを保護していきたい、その保護地はそっとしておいてやっていきたい、こうは思いますが、一方、また重要な問題も絡んでいるわけですから、そこがそう簡単にいかないので、せっかく合意点が見出せるように努力を続けていきたい、こういうふうに考えます。
#304
○伊東国務大臣 お答えします。
 環境庁長官がいま答えたとおりでございまして、私はそういうことは知らなかった、いま先生に言われて初めて知ったようなことでございますから、これは長官とよく相談します。
#305
○金子(満)委員 最後に一言ですが、鯨岡長官が先に言った方、その立場で伊東外務大臣の方ともお話をして、ぜひこの鳥を守ってもらいたい、こういうことをお願いして、終わりたいと思います。
#306
○奥田委員長 野間友一君。
#307
○野間委員 南極の海洋生物資源の保存に関する条約について質問をいたしたいと思います。
 すでにオキアミについていろいろと論議が交わされました。私もこの条約の対象になるのは主としてオキアミではなかろうかというふうに思いますが、オキアミの商業開発の現状と今後の方向なり、あるいはこれが動物性たん白質として持つ意味合いなり、あるいは度合い、こういうものについてどのように推移していくとお考えなのか、水産庁からもお聞かせを願いたいと思います。
#308
○岩崎説明員 南氷洋のオキアミの件でございますが、オキアミの生産量というのは大体三万トンぐらいが現状でございまして、母船式あるいは単船トロールという形で操業が行われておるわけでございます。わが国の漁業の生産量というのは御案内のように一千万トンを超えているという状況でございますので、現在漁業生産量全体に占める割合というのは微々たるものであるというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、オキアミはやはり南氷洋におきます未来の食糧資源として非常に重要なものでございますので、私ども従来から漁場の調査、あるいはまずオキアミをとるための漁法の開発といったようなことも含めて、開発あるいは企業化のいろいろな事業を進めてまいったわけでございますが、そういった意味におきまして、現段階において食糧資源としての地位というのは少ないわけでございますけれども、今後やはり特に需要の開発というような意味も含めまして、いろいろな開発を進めていく必要があるというふうに考えているわけでございます。
#309
○野間委員 二百海里時代とか、あるいは捕鯨の禁止、さらに北洋からの締め出し、こういうところから、いまでは南極へ南極へと申しますか、政府としてもオキアミが非常に大きな関心事となり、漁獲の量もずいぶんとふえておると思うのですけれども、いま年間三万トンというお話でありますが、これは将来どの程度とる計画があるのか、この点についてさらにお答えいただきたい。
#310
○岩崎説明員 オキアミの過去の生産量につきましては、大体三万トン、年によって多い年もあり、少ない年もあるわけでございますが、オキアミの将来にとって一番問題なのは、現段階ではやはり市場の開発といいますか、消費の拡大といいますか、そういった面でございまして、現在てんぷらの材料でありますとか、そういった形の食用はもちろん行われているわけでございますが、今後そういった大量消費というものを考えていく場合には、すり身技術の開発でありますとか、あるいは生むき身のブロック化の研究でありますとか、そういったことをあわせて行わなければいかぬだろうと思っているわけでございます。資源的あるいは漁業技術という面からいけば相当程度とることは可能でございますけれども、やはり市場の開発というものとあわせて進めていかなければならぬだろうと思っております。
 それでは、当面どういう計画を持っておるかということでございますが、現在のところ、ほぼ現状程度の規模で引き続き事業化を進めるということを当面考えておりますが、それでもやはり、ここ数年来ということであれば、現在三万トンのものをさらに四万トンとか、あるいは四万数千トンぐらいまでは伸ばすことはできるだろうというふうに考えておるわけでございます。
#311
○野間委員 鯨岡長官も、きれいなところを遠くまで行って余り汚すなという話もございましたけれども、まさにいま日本を取り巻くいろいろな漁業問題は深刻な問題を抱えておりますが、だからといって、いまのところ採算もまだとれておりませんし、最後にして最大のたん白資源というふうに言われておりますけれども、環境の問題あるいはそういった海洋生物の資源をできるだけ保護するという観点から、私は逆にやはりセーブをしなければならないのではないかというふうに思うわけであります。
 そういう観点から少しお尋ねをしてみたいと思いますが、まずこの条約の四条の二項です。これには沿岸国の管轄権について定められておるわけですが、条約作成の交渉の中でこの問題についていろいろと対立があったやに私は聞いておりますが、それはどういうものであったのか、また、それに対してわが政府はどういう立場に立ったのか、その根拠はどうなのかということをお聞かせいただきたいと思います。
#312
○栗山政府委員 条約の四条についての背景に関する御質問でございますが、もともと南極条約自体におきましても、関係国の間で領有権を主張する国と、そういう主張を認めない国との意見の相違というものがございまして、そういうお互いの立場というものをたな上げしたまま、いわば領有権問題についてはこれを凍結するという制度を南極条約のもとに設けまして今日に至っていることは御承知のとおりでございますが、今回の海洋生物資源の保存に関します条約の第四条も、基本的にはこの南極条約のいま申し上げました領有権問題の凍結制度というものをそのまま引き継いで、その枠内でもって生物資源の保存、利用を図る、こういうことでございまして、したがいまして基本的には南極条約の枠内におきます関係国の領有権問題に関します意見の対立というものは凍結されたまま、この条約においても維持されている、こういうことでございます。
#313
○野間委員 いろいろ物の本を読んでみますと、FAOで発展途上国の要求として、南極の資源は人類の共有財産だ、したがって国連など国際機関が管轄する二百海里共同水域を南氷洋に設けて食糧に困っている途上国のために使え、こういうことが途上国からずいぶんと出されておるというふうに聞いておるのでございますが、こういう考え方について日本政府はどうお考えになるのかということ、と同時に、それとの関連で、本条約の四条二項がこういう考え方と矛盾するのではないかというふうにも思うのですけれども、その点についての見解を伺いたいと思います。
#314
○矢田部政府委員 御質問の前半の部分でございますが、人類の共同財産という観念自体がどれだけすでに国際的に確立したものであるかということについては若干疑念があろうかと存じます。いままで人類の共同財産という概念が明示的に使用されました例といたしましては、国家管轄権の範囲を越える海底及びその地下を律する原則の宣言という国連総会決議の中で用いられておるわけでございますが、そのような概念が南極の地位をそのまま表現するものであるかどうかということについては、相当程度疑念があるのではないかと思われるわけでございます。他方、開発途上国等にそのような概念に基づいての南極に対する関心の表明ということが行われておるのも事実でございますので、このような状況を踏まえまして将来検討が行われていくということになろうかと存じます。
#315
○野間委員 その四条二項との関係では、どうお考えでしょう。
#316
○栗山政府委員 条約の四条二項がいまのような南極が人類の共同財産であるというような考え方を受け入れる余地があるかどうかという御質問だろうと思いますが、いまの御質問に対して確定的に御返事申し上げることは非常にむずかしいと思いますが、先ほど申し上げましたように、もともと南極条約の四条にせよ、今回の条約の四条二項にせよ、いわば一方におきまして国の領有権というものを主張している一部の国と、そういうものは認めていないという立場をとっている国との妥協の産物でございまして、そういう意味におきましてはただいま先生が御指摘のような一部の国ないし国連等で言われておりますような新しい概念をこの条約の枠組みの中にそのまま持ってくるということは、やはり相当むずかしい点があろうというふうに考えます。
#317
○野間委員 資本とか力とか、あるいは技術、こういうものを持っておる国、先進国が、どんどん南極へ出かけていって既成事実をつくり上げていく、そういうことの中で途上国がますます締め出しを食うのではないか、恐らくこの点が途上国としても大変懸念あるいは不安を持っておるのではないか。だから、FAOとかそういう国際的な場で出るのはそこに問題があるのじゃないかと思いますけれども、その点について将来ともそういうような懸念はまさに懸念であって、途上国のそういう利益とかあるいは権利は侵害しないというような保証があるのかどうか、その点についてさらにお聞きしておきたいと思います。
#318
○矢田部政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたような開発途上国の懸念というものに対しましては、私どもも十分の同情と理解を有するものでございますが、他方、南極という地域の特殊性を考えてみますと、これは先ほど来御指摘がございましたようにきわめて特殊な、地球上で唯一の生態系を有する、きわめて脆弱な自然条件のもとにあるところでございますので、そのようなところでの開発活動というものが無秩序に行われること、これはやはり人類全体にとっての利益に反することであるというふうに考えるわけでございます。
 そのような観点から、南極での科学研究活動に従来とも経験、知識を有する国、その国々がまず十分の調査、研究を行って、その下敷きの上で将来南極における資源の開発活動というものをどういうレジームのもとに行うことが最も好ましいか、また、そのレジームの中でどのように開発途上国の利益を反映していくことが可能であるかということを検討してまいりたいというのが、現在の南極条約協議会議内での傾向でもあるわけでございます。
#319
○野間委員 特にオキアミはいま申し上げたように最後にして最大のたん白資源と言われるだけに、私は先進国が既成事実をつくり上げて締め出すということのないように、これからいろいろとこの運用なり、あるいはこれらの持っていき方についてはさらに検討をする必要があるのじゃないかというふうに思うわけです。
 続けまして、七条の二項についてお伺いをいたしたいと思います。
 条約が発効しますと、これに基づいて保存に関する委員会が設けられるわけですが、この委員会の構成国はどういうことになるのかということと、同時に、現開発国あるいは現従事国が委員会を独占してしまって、後発の途上国などが締め出されるのではないかというような懸念を持つわけですが、この途上国が委員会構成国の資格を要請した場合にどのような対処の仕方があるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
#320
○磯貝説明員 お答えいたします。
 第七条の二項(b)の規定にございますように、この対象となっております海洋生物資源に関する調査活動または採捕活動に従事してくれば構成国となる資格を有するということでございます。先進国、後進国を問わず、この条約ではそれが規定に該当すればその資格を有するということになると思います。
#321
○野間委員 開発国はわかりますが、従事国というのはどういうふうに理解したらいいのでしょうか。
#322
○磯貝説明員 そういう調査活動または採捕活動を行っている国というふうに解釈しております。
#323
○野間委員 いずれにしても遠い南極のことでありますし、先ほど申し上げたようにお金があり技術があり力がなければ実際できないわけで、現にここに入っておるものも日本、ソ連等々限定されておりますので、依然として申し上げたような懸念を私は持つわけですけれども、それはそれとして、そうしますと、この従事国とかあるいは開発国、これ以外にはこの条約上その委員会の構成国にはなれないということになるわけですね。
#324
○磯貝説明員 同じ条項の(c)項にございますように、地域的な経済統合のための機関でこれに加入する資格を有するものがあり得ることになっております。
#325
○野間委員 それでは、具体的に私が申し上げておるような途上国の懸念は懸念であって、それはもう一切そういうことはない、締め出しはしないということになるわけですか。
    〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
#326
○磯貝説明員 締め出す意図は条約にはないと解釈しております。ただ、ここに書いてありますような資格を有する国になれば当然入れる、こういうふうに解釈してよろしいかと思います。
#327
○野間委員 ですから、資格がなければどうにもならぬ。つまり、資格のあるものだけが振り回すのではないかという懸念、これは依然として同じようなことになると思います。
 それでは、関連して海洋法会議についてお伺いしたいと思いますが、いまやられております海洋法会議は二月二十日の閣議了解で今会期に妥結させたいということになっているやに私は存じておりますけれども、それは間違いがないのかどうか、いかがでしょう。
#328
○遠藤説明員 早期妥結の方針で臨むというのが基本的な態度でございます。
#329
○野間委員 外務大臣、今会期で妥結させたいというようなことを閣議で了解されたというふうに聞いておりますけれども、いま答弁がありましたが、いかがでしょう。
#330
○伊東国務大臣 海洋法会議に臨む態度としまして私もたしかそういうことを説明したような気がいたしますし、従来の経緯からいきましても、今度の会期で大体もう九九%終わって、ベネズエラで最後の条約案を採択するということになることが望ましい、前から実はそう思っておりました。それでこの間もアメリカへ行きましてそういうようなことを言ったわけでございます。
#331
○野間委員 そうしますと、いままで第九会期の非公式な草案が一つのベース、基礎になっておりますが、これについてはもちろん日本政府としては問題なく賛成というような態度で来られたからいま大臣が言われたような答弁になると思うのですけれども、その点について確認を求めたいと思います。
#332
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。
 いままでやってきました中で最終的に話し合いがつかぬでまだ残っていた問題は、海底の鉱物資源の問題と二百海里、それから大陸棚の境界の問題でありますが、しかし今度の会期でこの残った問題については何としても話をつけて解決をしたいという考えで臨んだわけでございます。
#333
○野間委員 参加した各国もそういう方向で今日まで進んできたというふうに私も承知しております。ところが、今度新たにアメリカでレーガン政権が誕生いたしまして、ヘイグ国務長官が今会期で草案をまとめることに反対だというようなことが伝えられておるわけであります。これは三月六日の読売新聞にも出ておりますが、外務省はこういう事実は御存じなのかどうか。
#334
○遠藤説明員 三月二日に米国の国務省が、今次の会期で交渉が終了しないことを確保するよう米国の代表団に対して訓令した、さらに条約草案によって提起されております重大な問題について検討を始めたという声明を出しております。
#335
○野間委員 いままでずっと、日本を含めて今会期で何とか妥結したいということでせっかく努力をしてきた。ところが、アメリカで政権がかわりますと、唐突に海洋法についての反対という声が上がったということになるわけですね。そして、三月十六日付の国連広報センターの国連プレスリリースを見ますと、アメリカはこの見直しをやっておりまして、次期会期に話し合いたい、次期会期というのは今会期でなくて次の会期ですね、ネクストセッション、こういうことを米国の代表のバーナード・H・オックスマンが言っておるようです。いま大臣は今会期に何とか成立させたいというようなことでせっかく努力をされておると思いますけれども、こういうアメリカの態度からして、いま日本としてはその見通しについて一体どう認識をしておられるのか、次期会期に話し合いをしたい、こういうふうに言っておるわけですが、いかがでしょう。
#336
○遠藤説明員 わが国といたしましては、条約の早期成立ということについての立場は変わっておりませんけれども、ただいま申し上げましたように、現在全般的に米国がレビューをしているということもございまして、したがって、今会期で実質的に交渉が終結するということはかなり困難な情勢ではないかというふうに認識しております。
#337
○野間委員 いま申し上げた三月十六日付の国連プレスリリースによりますと、「条約に対し賛成とか反対とかは合衆国政府によって決定されたことはない。われわれは隠れた審議事項も変更のリストも持ってはいない。決定は、特に第十一部を含めてテキストやその歴史の徹底的な検討の後にのみなされる。」というふうに言っておるわけですね。そして「次の会期の最も適切な時期について話し合うことを望んだ。」これは私どもの翻訳なんですけれども、これによりますと、アメリカのこういう態度からすればどうも今会期にこれは成立しそうもないというふうに思うのです。
 これは恐らく外務大臣も同様な御判断をされると思いますが、せっかく皆さん努力して煮詰めてきたものが、しかも確かに未解決の問題があったと思うのです、しかしそれもほぼ合意ができて、そのために今会期中にということが暗黙の了解として進められてきたものが、こういうふうにころっと態度が変わりまして次期会期にということになったわけですが、これについて外務大臣はどういうお考え、評価をされるわけでしょうか。これについては途上国だけではなしに世界の各国も非常に批判的に見ているということが物の本に出ておりますけれども、いかがでしょうか。
#338
○伊東国務大臣 海底の鉱物資源については一〇〇%合意ができていなかったことがあったわけでございますし、その問題と大陸棚、経済水域の領海の問題が若干残っておりましたということを先ほど申し上げたのでございますが、しかしいままでは、海底鉱物資源の問題が残っていたといっても大体今会期で何とか話し合いはつくのじゃないかというのが海洋法会議に参加していた国の大部分の考えであり、また希望、期待を持っていたことは間違いございません。
 ところが、政権がかわって、特に海底資源の問題だと私は思うのでございますが、その見直しをということになったわけでございますので、実は日本の中川代表もアメリカの代表に、形式的なことなら別だが、基本的な問題まで検討してということになったらこれは非常に問題になる、いままで話をしてきた大部分の国々がどういう態度に出るかということも非常に問題だし、検討ということをされるなら軽微な問題であればやむを得ないが、基本的な問題になったら大変だというふうなことを言ったのでございます。
 私もこの間アメリカへ行ってヘイグ国務長官に、大体いままでやってきたものをこの段階で突然連絡もなしにアメリカがそういうことを言い出すというのは、これに参加している特に第三国などから見れば何だろうという感じを与えるに違いない、非常にまずいことだ、再検討をされるということであれば、軽微な問題なら別だけれども基本的な問題なら大変なことであるし、こういう段階で突然言い出されるということは大国のエゴだというふうに見られるおそれもあるのじゃないか、超大国二国米ソが相談もなしにいろいろなことを決めるというふうなことをよく言われるわけでございますから、そういうことから考えても、これはアメリカとして得策ではないじゃないかということを言ったのでございまして、どういうふうな推移になりますかは別にしまして、本当に軽微な見直しで済んで、なるべく早くこの条約が成立することを私は期待するわけでございます。
#339
○野間委員 確かに外務大臣が行かれたときにヘイグ長官にそういうふうに言われたということが報道されておりますので、私も承知をしておったわけですけれども、趨勢がそういうような動きでいま努力をしておるわけで、日本政府としても今会期中に何とかこれをつくり上げたいという意欲で最後まで望みを捨てずにお臨みになるのかどうか、そして、いま言われたようなアメリカに対する批判ですけれども、アメリカを説得と申しますか、アメリカも合意させて成立させるということで意欲を持ってお取り組みになるのかどうか、この点について再度お聞きしたいと思います。
#340
○伊東国務大臣 日本政府としてはなるべく早くこれが成立することを期待しておりますので、今後とも努力を続けていきますし、アメリカが検討するということであればなるべく早く検討するようにというようなこともアドバイスをするという努力は続けてまいりたいというふうに思います。
#341
○野間委員 事務当局は今会期中はむずかしいというようなことを言ったわけですけれども、大臣の答弁は非常に正当なことを厳しく批判されたというふうに私は受け取ったわけです。そういう態度を最後まで持ち続けてこれに取り組んでいただきたい。
 特に、先ほど、形式上の問題ならともかくとしてという大臣の発言もありましたけれども、確かにそのとおりなので、このアメリカ代表オックスマン氏の発言によりますと、「特に第十一部を含めて」ということが書かれておるわけで、この十一部がまさにこの会議の中でもいままで相当論議されてほぼ煮詰まりつつある、そういう大事な問題であると思うのですけれども、この十一部は一体どういうものなのか、これをお答えいただきたいと思います。
#342
○遠藤説明員 十一部は深海海底開発に関しますレジームについて定めておるわけでございます。もちろん現在最終的に固まっておりませんけれども、いわゆるパラレルシステムと称しまして、深海海底のオーソリティー、それから私企業、その二本立てで開発をする、ただし私企業の方は深海海底オーソリティーの方に若干の収益その他を納める、そういうのかごく大ざっぱに申しまして内容でございます。
#343
○野間委員 私も、問題はやはりそこにあると思うのです。
 そこで、関連して聞きますが、アメリカでは昨年の六月にこの海底資源に関する国内法をつくったやに聞いております。その中で相互主義とかあるいは協調国条項とかいうことが言われておるようですけれども、これはどういうものなのか、説明していただきたいと思います。
#344
○遠藤説明員 相互国条項と申しますのは、たとえばアメリカのほかに西独も同様の立法を成立させたわけでございますけれども、そのような場合に相互国の認定というのをやりまして、その相互国との関係で鉱区が競合するということを避けるために、相互に相互国の認定をまず行います。その上で、その他の国によって申請された鉱区は尊重し合う、これがいわゆる相互国の認定でございまして、協調国というのも同じ趣旨でございます。
#345
○野間委員 アメリカがつくり、昨年の八月ですか、たしか西ドイツが同じようにつくったようですね。
 ところで、いま言われた相互主義あるいは協調国条項というものは、七〇年十二月の第二十五回の国連総会でやられました深海海底原則宣言の決議、これは日本も賛成したもので、深海海底資源は人類共同の財産だ、こういうふうに決議しておりますが、これとの関係ではどうも趣旨にもとるのじゃないかというふうに私は思うのです。この点についてどういう見解を持っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#346
○遠藤説明員 米国の場合、それから西独の場合、いずれの場合におきましても、これは海洋法条約が成立いたしましてそれぞれの国について発効した場合にはこの条約に規定されている枠組みに移行するということでつくられておりまして、それまでのきわめて暫定的な措置ということになっております。したがって、暫定的な措置に関する限りにおきましては、むしろ公海使用の自由の原則というものに立脚したということが言えるかと思いますけれども、海洋法条約、現在策定中のものはいわゆる共有財産という思想に基づいているわけでございまして、暫定的には、いま申し上げましたような、むしろ公海使用の自由の原則にのっとって措置している、そういうふうに理解しております。
#347
○野間委員 こういうものが幾つかできており、またそういう動きがほかにもあるわけですけれども、要するにこれは既成事実をつくってみずからに有利な一つのルールをつくるという背景なり魂胆があるのじゃないかと私は思いますし、また途上国あたりも、共有の財産でありながらそういうようなことで全部既成事実をつくっていくのじゃないかという懸念を表明しております。この点についてどうなんでしょうか、これについてかなり多くの国が批判していると思うのですけれども、どうお考えになるか。
#348
○伊東国務大臣 海洋法が非常に長年かかってなかなかできないということで、御承知のように海洋法の中の二百海里経済水域の問題は、すでにそっちの方が世界的に走ってしまった。海洋法の中に書いてあることなんですが、海洋法がなかなかできないということで、あの中の二百海里はひとり歩きをしておるというような状態になっておることは御承知のとおりでございますが、この海底資源の問題もなかなか話し合いがつかぬで延びたものですから、いま野間さんがおっしゃったアメリカ、ドイツあたりが、そういう技術を持っているということで、いつまでも海洋法ができないのならということで国内法をつくったことは御承知のとおりでございます。
 それで、いま政府委員が申しましたように、海洋法ができた場合にはそっちに乗り移るということでございまして、問題は先行投資した分をどう扱うかなんということはございますが、既成事実をつくって、それでいまの海洋法に無理に押しつけるということには今度はならぬように国内法でも移行するということを考えておりますし、また人類共同の財産だ、こういうことを言っている面もございますし、日本としては海洋法の精神でこれが運用されていくことを期待しているわけでございます。
#349
○野間委員 こういう国内法をつくったこと、そしていま申し上げた、アメリカの場合には特に十一部を含めて徹底的な検討をしたい、これが唐突な一つの態度の変更になっておるわけです。そういうようなことの背景、魂胆を見ますと、たとえば八二年のアメリカの軍事情勢報告等々との絡みでもうかがえるわけです。たとえばこの情勢報告は、これまで産油国とその海上交通路の地図を載せて、海上交通路の防衛あるいは中東問題についての訴えをいろいろしてきましたけれども、今回はさらにそれに戦略資源、戦争に必要なそういう資源にまで広げようということがいろいろな報告の中でうかがえると私は思うのです。したがって、唐突に変更したこと自体の背景にそういう軍事的な資源を何とか確保するということがあるやに思うわけですけれども、この点について外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
#350
○伊東国務大臣 そのことといまの海洋法の見直しは直接関係はしてない、私はこう見ております。前から、海洋法の海底資源の利用の問題というのはどういう形でやったら一番いいだろうか、あるいは公平だろうか、技術を持ったところは少し優遇したらいいであろうとか、いろいろなことが議論されたわけでございますので、そういう軍事的な目的からいまの海洋法の海底鉱物資源の開発について再検討するというふうには私は実は見ておらぬのでございます。
#351
○野間委員 まあ見解を異にしますので、時間がありませんからこれ以上触れません。
 ただ、もう一つ、通産省は来ておられますね。――わが国も同様の趣旨の国内法をつくるということでいま作業を進めておるということが新聞に出ております。これは一月六日付日経ですか、これに出ておりますけれども、具体的に、そういう深海底鉱物資源開発法、これは仮称のようですが、こういうものはいまつくりつつあるのか、そして、国会に出すやのそういうような報道もありますけれども、これについてどういうふうにいま進んでおるのか、お聞かせいただきたいと思います。
    〔青木委員長代理退席、委員長着席〕
#352
○山梨説明員 お答え申し上げます。
 通産省といたしましては、ただいま外務省の方から御説明がございましたように、アメリカ、西独がもうすでに立法しているということを聞いておりますし、そのほかのEC諸国の一部にもこれに追従する動きがあるということを聞いておりますので、わが国といたしましても、同様にこの資源の安定確保の必要性を踏まえまして、この国内立法をする必要性があるかどうかという問題点を含めまして現在検討中でございまして、検討するに当たりまして、これらの諸国と今後とも十分意見調整を行いながら、その必要性とかタイミング等につきまして、これからあらゆる角度から鋭意検討を進めていくという考え方でおるわけでございます。
#353
○野間委員 最後に一点ですが、その検討の柱と申しますか、中身は、いま申し上げたアメリカとか西ドイツのような相互主義、こういうようなことを柱にして検討されておるかどうか、その点について。
#354
○山梨説明員 ただいま先生のおっしゃいましたようなことも含めまして、まだこれから詰めていくという段階でございます。
#355
○野間委員 残余については、今後の宿題にしておきます。
 終わります。
#356
○奥田委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。
 次回は、来る十日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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