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1980/04/17 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 外務委員会 第10号
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1980/04/17 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 外務委員会 第10号

#1
第094回国会 外務委員会 第10号
昭和五十六年四月十七日(金曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 奥田 敬和君
   理事 青木 正久君 理事 稲垣 実男君
   理事 川田 正則君 理事 松本 十郎君
   理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君
   理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君
      石井  一君    今枝 敬雄君
      太田 誠一君    木村 俊夫君
      栗原 祐幸君    佐藤 一郎君
      坂本三十次君    竹内 黎一君
      中山 正暉君    平沼 赳夫君
      井上  泉君    井上 普方君
      河上 民雄君    草川 昭三君
      和田 一仁君    金子 満広君
      野間 友一君    田川 誠一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 伊東 正義君
 出席政府委員
        外務政務次官  愛知 和男君
        外務大臣官房審
        議官      矢田部厚彦君
        外務大臣官房審
        議官      栗山 尚一君
        外務大臣官房審
        議官      関  栄次君
        外務省アジア局
        長       木内 昭胤君
        外務省北米局長 淺尾新一郎君
        外務省欧亜局長 武藤 利昭君
 委員外の出席者
        科学技術庁研究
        調整局宇宙企画
        課長      吉村 晴光君
        外務大臣官房外
        務参事官    小宅 庸夫君
        厚生省医務局看
        護課長     清水嘉與子君
        農林水産省食品
        流通局消費経済
        課長      鈴木 久司君
        通商産業省基礎
        産業局基礎化学
        品課長     山本 雅司君
        郵政省電気通信
        政策局次長   二木  實君
        労働大臣官房国
        際労働課長   平賀 俊行君
        労働省労働基準
        局監督課長   岡部 晃三君
        労働省労働基準
        局労災管理課長 小田切博文君
        労働省労働基準
        局補償課長   林  茂喜君
        労働省労働基準
        局安全衛生部労
        働衛生課長   林部  弘君
        労働省婦人少年
        局婦人労働課長 佐藤ギン子君
        外務委員会調査
        室長      高杉 幹二君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十七日
 辞任         補欠選任
  石原慎太郎君     平沼 赳夫君
  北村 義和君     今枝 敬雄君
  勝間田清一君     井上 普方君
  大久保直彦君     草川 昭三君
  近藤  豊君     和田 一仁君
同日
 辞任         補欠選任
  今枝 敬雄君     北村 義和君
  平沼 赳夫君     石原慎太郎君
  井上 普方君     勝間田清一君
  草川 昭三君     大久保直彦君
    ―――――――――――――
四月十六日
 難民の地位に関する条約の締結について承認を
 求めるの件(条約第一四号)
 難民の地位に関する議定書の締結について承認
 を求めるの件(条約第一五号)
同月十五日
 婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す
 る条約批准等に関する請願外一件(栂野泰二君
 紹介)(第三〇四一号)
 同(木野晴夫君紹介)(第三一二一号)
 同外二件(戸沢政方君紹介)(第三一二二号)
 同(友納武人君紹介)(第三一二三号)
 同外十四件(中野四郎君紹介)(第三一二四
 号)
 婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す
 る条約の早期批准に関する請願外四件(有馬元
 治君紹介)(第三一二五号)
 同外八件(石井一君紹介)(第三一二六号)
 同外九件(石原慎太郎君紹介)(第三一二七
 号)
 同(奥田敬和君紹介)(第三一二八号)
 同外八件(川田正則君紹介)(第三一二九号)
 同外八件(木村俊夫君紹介)(第三一三〇号)
 同外八件(小坂善太郎君紹介)(第三一三一
 号)
 同(古井喜實君紹介)(第三一三二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関す
 る千九百七十四年十月十六日にモントリオール
 で署名された議定書の締結について承認を求め
 るの件(条約第一九号)
 航空業務に関する日本国とフィンランド共和国
 との間の協定の締結について承認を求めるの件
 (条約第二〇号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国政府とシンガポール
 共和国政府との間の条約を改正する議定書の締
 結について承認を求めるの件(条約第二三号)
 千九百六十四年十一月二十七日にパリで署名さ
 れた所得に対する租税に関する二重課税の回避
 のための日本国政府とフランス共和国政府との
 問の条約を改正する議定書の締結について承認
 を求めるの件(条約第二四号)
 難民の地位に関する条約の締結について承認を
 求めるの件(条約第一四号)
 難民の地位に関する議定書の締結について承認
 を求めるの件(条約第一五号)
 国際電気通信衛星機構の特権及び免除に関する
 議定書の締結について承認を求めるの件(条約
 第一六号)
 条約法に関するウィーン条約の締結について承
 認を求めるの件(条約第一七号)
 業務災害の場合における給付に関する条約(第
 百二十一号)付表I(職業病の一覧表)の改正
 の受諾について承認を求めるの件(条約第一八
 号)
     ――――◇―――――
#2
○奥田委員長 これより会議を開きます。
 国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関する千九百七十四年十月十六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とフィンランド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び千九百六十四年十一月二十七日にパリで署名された所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の四件を議題といたします。
 各件に対する質疑は、去る四月十五日に終了いたしております。
 これより各件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 まず、国際民間航空条約第五十条(a)の改正に関する千九百七十四年十月十六日にモントリオールで署名された議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#3
○奥田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、航空業務に関する日本国とフィンランド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#4
○奥田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#5
○奥田委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、千九百六十四年十一月二十七日にパリで署名された所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○奥田委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#8
○奥田委員長 午後二時から委員会を再会することとし、この際、休憩いたします。
    午前十時四十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三分開議
#9
○奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、土井たか子君から発言を求められておりますので、これを許します。土井たか子君。
#10
○土井委員 去る十五日の当委員会におきましてアメリカの原潜の衝突事故に関する集中審議を行いました節、アメリカ側からの報告書と想定問答、これは新聞では付属文書というふうな表現をとっておりました、しかし、お尋ねをしてみると想定問答とお答えになりました、この中身を即刻提出するというお約束を実はいただいたわけであります。
 その後、お待ちいたしておりますけれども、私どもの手元には届いておりません。けさ新聞を見ますと、参議院の方にすでにこの問題について中身を公にされた由、私たちは初めて知って驚いたわけでありますが、一体これはどういう事情になっているのか、その辺の釈明を私はひとつはっきりさせていただきたい、そのように思います。
#11
○淺尾政府委員 去る十五日の本委員会で提出を求められましたアメリカ原潜衝突事件についてのいわゆる想定問答についての資料の提出が今日までおくれましたことについて、深くおわびいたします。
 昨十六日の参議院外務委員会において、衝突した原潜はポラリス型潜水艦であるかどうかという御質問がありまして、ポラリス型潜水艦であるということをお答えしたところ、引き続き、アメリカ海軍から発表されたステートメントの内容はどういうことか、あるいはその際にアメリカ海軍が考えていた、あるいはその付属としてついていた想定問答というものはどういうことかというお尋ねがございまして、私としましてはその場の雰囲気でどうしてもお答えせざるを得ないということで、まだそのときには実は英語でしか持っておりませんでしたので、口頭で逐次お答えいたしたわけでございます。
 いずれにいたしましても、本委員会に資料をお約束しながら、本日まで資料の提供がおくれましたこと、深く私としても申しわけなく思っておりますので、どうぞその辺のところは御理解願いたいと思います。
#12
○土井委員 問題は、紙っぺらを出すの出さないのという問題ではないのです。中身についてどういうことであるかということをわれわれとしては知るという立場上、この問題に対して資料要求をし、提出を求めて、即刻提出するという約束をここではっきり確認をしたわけであります。
 これは委員長もその点を了承されているわけでありますが、委員長としてどのようにこの事態についてお考えになりますか。
#13
○奥田委員長 本委員会に対し請求資料の提出がおくれたことは、まことに遺憾でございます。委員長として、今後かかることがないように厳重に注意いたします。
#14
○伊東国務大臣 土井先生からの御要求の資料がおくれて、口頭でございますが参議院で昨日答弁したという不始末の点は、これは委員長にも御迷惑をかけてまことに申しわけございませんが、私の方のまことに不手際でございまして、これは私も責任を感じます。本当にこういうことのないように十分これから気をつけますので、ひとつ御了解くださいますことをお願い申し上げます。土井先生にもおわび申し上げますし、委員長にも本当に申しわけございません。
#15
○土井委員 いろいろおわびということを大臣を初め局長もされるわけでありますけれども、これは幾らわびられても、それじゃ水に流しましょうというような問題では本来はないと思うのです。つまりもう一つ言うと、わびて済む問題ではないと思うのです。やはり外務省自身が国会というものに対する認識をどのようにお持ちになっていらっしゃるかということの基本問題をここに何らか示されているような気がいたします。
 そういう点からすると、やはり再三再四にわたってこういう事態というのが当委員会においても過去にございまして、そのたびごとに遺憾の意を表明されるわけでありますけれども、今回も、再びこういうことのないようにということを申し上げて、私どももそういう点では外務省に対して言うべきことも言わなければならない、また、責任もしっかりとってもらわなければならないという立場がございます。したがいまして、きょうはそういうふうに外務大臣もおっしゃられ、局長もおっしゃられておりますから、その点は承って了といたしますけれども、しかし、これで謝って済んだというふうに思われないように重ねて申し上げまして、私のただいまの一言申し上げることを終えたいと思います。
     ――――◇―――――
#16
○奥田委員長 この際、難民の地位に関する条約の締結について承認を求めるの件及び難民の地位に関する議定書の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。
 まず、政府より順次提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣伊東正義君。
    ―――――――――――――
 難民の地位に関する条約の締結について承認を求めるの件
 難民の地位に関する議定書の締結ついて承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#17
○伊東国務大臣 ただいま議題となりました難民の地位に関する条約の締結について承認を求めるの件及び難民の地位に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、一括して提案理由を御説明いたします。
 第二次世界大戦及びその前後の政治的、社会的変動の結果、主として欧州において、大量の難民が発生したことを背景に、国際連合において難民に対する保護、救済の必要性が強く認識され、その結果、この条約が昭和二十六年七月二十八日に作成されました。この条約は、昭和二十九年四月に効力を生じ、現在八十一カ国が締約国となっております。
 しかしながら、この条約は、「千九百五十一年一月一日前に生じた事件の結果として」生じた難民にのみ適用されるという時間的制限を有しているため、この期日以降に生じた多数の難民には適用されないという問題がありました。このため、この時間的制限を取り除くことを目的とした議定書が昭和四十二年一月三十一日に作成されたのであります。この議定書は、同年十月に効力を生じ、現在七十九カ国が締約国となっております。
 この条約及び議定書は、その適用上難民と認められる者に対し国内制度上の保護を与えることを主たる目的としておりまして、自由権、社会権等についてそれぞれの条項により最恵国待遇、内国民待遇など難民に対して与えらるべき待遇等について規定しております。また、難民を政治的意見等のために生命または自由が脅威にさらされるおそれのある領域へ追放、送還することを原則的に禁止すること等についても定めております。
 わが国は、近年のアジアにおける難民問題の解決に貢献するため、大幅な資金協力、わが国における定住の促進等種々の措置を講じておりますが、この条約と議定書を締結し、難民の保護及び救済の充実を図ることは、難民問題の解決のためのわが国の国際協力を拡充する観点から望ましいと考えます。
 よって、ここに、この条約及び議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#18
○奥田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
     ――――◇―――――
#19
○奥田委員長 この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。伊東外務大臣。
#20
○伊東国務大臣 タイにボランティアで行っていた若い人が、けさ強盗に遭って死亡したという事件が起きまして、非常に遺憾なことでございます。
 実は十六日の夜中、タイとカンボジア国境のアランヤプラテート難民キャンプにおいて、カンボジア難民の奉仕活動に当たっていました日本奉仕センター所属の西崎憲司君という福岡県出身の三十歳の陶芸の専門家は、同じボランティアの田島誠君と奉仕センター事務局長の星野昌子さんと同難民キャンプを出たところで強盗に遭いまして、星野さんがバッグを奪われるということがあったので二人で追跡したところが、この西崎君が強盗にピストルで撃たれまして、サケオのメディカルセンターにて医師の治療を受けたのでございますが、きょうの一時ごろに死亡したということでございます。
 これはボランティア活動で行っていた人でございまして、難民の救済援助のことで働いた人がこういう不幸なことに遭ったのはまことに残念なことでございます。大使館にすぐ事後の万全の措置を講ずるように指令を出しましたが、どういうことでお報いできるか、これから政府でもよく検討しまして、霊に報いたいと思っております。
     ――――◇―――――
#21
○奥田委員長 次に、国際電気通信衛星機構の特権及び免除に関する議定書の締結について承認を求めるの件、条約法に関するウィーン条約の締結について承認を求めるの件及び業務災害の場合における給付に関する条約(第百二十一号)付表I(職業病の一覧表)の改正の受諾について承認を求めるの件の三件を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
#22
○高沢委員 私は、インテルサットの特権及び免除に関する議定書について御質問をいたしたいと思います。
 まず、インテルサットの協定があるわけでありますが、この協定の第十五条で「インテルサットの本部並びに特権及び免除」について定められております。この十五条は、できる限り速やかに特権及び免除に関する本部協定あるいは議定書を締結するように、こう規定いたしております。
 さて、その議定書は、今回国会で承認を求められるということで、成立に至るわけでありますが、本協定から今回の議定書に至るこの間の経過、国際的な経過もあろうと思いますし、国内的な経過もあろうと思いますが、まずその御説明をお願いいたしたいと思います。
#23
○矢田部政府委員 インテルサット本協定は、ただいま御指摘のございましたように七三年に発効いたしまして、その十五条におきまして、特権免除に関する協定が速やかに締結されるべきことを規定いたしておるわけでございます。したがいまして、この条項に基づき、一九七六年に本部所在国であるアメリカ合衆国とインテルサットとの間で本部協定が締結された次第でございます。
 その後、その他の締約国とインテルサットとの間での特権免除に関する本議定書の作成作業が行われまして、一九七八年、ワシントンで開催されました特別会議における討議を経まして、同年の五月十九日に議定書の本文が確定いたしました。その後、十二カ国による批准が発効要件でございますが、その要件が満たされましたので、一九八〇年十月九日に本議定書の効力が発生いたしました。
 その間、わが国といたしましてはこの議定書への参加の検討をいたしてまいりましたが、このほどその準備を終了いたしましたので、国会に御承認をお願い申し上げておる次第でございます。
#24
○高沢委員 ただいまの御説明、わかりましたが、その議定書の発効条件、十二カ国の批准ですね、これができたから、いまこういう御説明でしたが、これはわが国がもっと早く批准して、わが国がその十二カ国の中の一つに入るという形の方がより積極的な取り組みではないか、こう思うのですが、この辺はどういうことだったのでしょうか。
#25
○矢田部政府委員 確かにわが国はインテルサットの加盟国といたしまして最も主要な国の一つでございますので、発効要件を満たす十二カ国の中に入ることができれば、それにまさることはなかったと考える次第でございます。しかしながら、特権免除を与えることについての国内的な整備の問題もございまして、そのために若干時間を費やしましたので、先ほど申しましたような主要国としての責務から、この際できるだけ早く批准をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
#26
○高沢委員 さて、その特権免除の関係であります。この議定書では、インテルサットの任務の能率的な遂行を確保する、そのための特権免除ということになるわけですが、ほかの国際機関で同じようにこの特権免除を受ける機関等がいろいろあると思います。たとえば国際機関で一番代表的なものは国際連合ですが、この国際連合などと比べてインテルサットの特権免除の範囲がどういう点に違いがあるか、そういう御説明をひとつ受けたいと思います。
#27
○矢田部政府委員 国際連合は、申し上げるまでもないことでございますが、最も普遍的かつ権威の高い国際機関でございますので、国際連合に関する特権免除とこのインテルサットに関連いたします特権免除とを比較いたしますと、後者の方が制限的なものとなっておる次第でございます。
 特にどういう点があるかと申しますと、たとえばインテルサットという国際機関に対しての裁判権の免除がございますが、これはインテルサット協定の認める活動の範囲内に限られるという制限が付されております。それから、商業活動、交通事故等の場合の裁判権については免除を認めないというふうになっております。それから、財産への干渉の免除という点につきましても、一定の場合に限って収用を認めておるほか、やはり交通事故等についての例外が設けられております。それから、免除される税も国税に限られております。それから、職員の裁判権からの免除につきましても、交通事故等の例外が設けられております。
 そのほか、さらに重要な点といたしましては、職員の特権免除の大部分につきまして自国民にこれを認めることを締約国は義務づけられておりません。それから、加盟国の代表の特権免除も、先ほど申しました職員の特権免除の制限とほぼ同様な意味で制限的になっております。それから、締約国はこれらの特権免除を認めるに当たりまして、締約国の安全保障のために必要な予防措置をとることができるというようなことも認めております。このような点が国連に対する特権免除条約と本議定書の内容との主たる相違点でございます。
#28
○高沢委員 議定書の十五条では「この議定書のいずれの規定についても留保を付することができる。」こういうふうなことになっておりますが、これはわが国としてはどういう部分を留保するお考えなのか、またその理由、これらのことについてお尋ねしたいと思います。
#29
○矢田部政府委員 本議定書の第四条二項におきまして、インテルサットの購入する通信衛星及びそのコンポーネント、パーツ等の価格に通常含められているところの税がある場合には、このような税をインテルサットに対して減免し、または還付するということを規定いたしております。しかしながら、このような通常価格に含められている税と申しますと、物品の製造、流通等の各段階で課せられる税ということを意味するかと思われますが、そのようなものを各段階ごとにすべてはじき出しまして、これを減免し、あるいは還付するというようなことは技術的にも非常に困難なことでございますし、それまでの特権を認めることは必ずしもこの議定書の目的のために必要ではないのではないかとわが国といたしましては判断いたしますので、この点についての留保をいたすことを考えております。
 それから、第八条の三項でございますが、ここでは仲裁裁判所に召喚される証人に対しての特権及び免除が規定されておりますが、このような証人というものにつきましては、それがいかなる履歴の、いかなる職業あるいは素行の人物であるかというようなことを現段階で予断するということは困難でございますので、必ずしも国際機関の職員あるいは代表と同じ程度の特権免除を与える必要はないと考えられます。そこで、そのような人物の入国については十分チェックできる機会が与えられることが日本政府としては必要である、このように考えますので、この条項につきましても留保をいたすことを考えております。
#30
○高沢委員 次の問題は、これは郵政省の関係になるかと思いますが、お尋ねをいたしたいと思います。
 現在インテルサットが打ち上げている、そして商用に供している衛星の数なり、あるいはその位置なり、そういう関係をまず御説明をいただきたいと思います。
#31
○二木説明員 お答え申し上げます。
 インテルサットが現在国際電気通信業務に提供しております衛星は、合計五個でございます。
    〔委員長退席、青木委員長代理着席〕
 その内訳は、大西洋に三個上がっておりますが、三個のうち一個が四号系という形でございまして、あとの二個がこの四号系を改良いたしました四A号系というものでございます。それから、インド洋にはこの四A号系が一個上がっておりまして、太平洋に四号系が一個上がっておるわけでございます。この合計五個に対しまして四個の予備衛星も上がっておるわけでございますが、この五個の衛星で世界的なシステムが形成されているわけでございます。
 なお、さらに改良いたしました五号系衛星が昨年の十二月七日に打ち上げられまして、ことしの七月から大西洋で実用に供される、そういう予定になっておるわけでございます。
 ただいま申し上げましたその四号系とかの機能でございますが、通信容量で見ますと、四号系が音声級で約四千回線、それからテレビが二チャンネルというようなことになっておりまして、四A号系は音声級、これは電話回線とお考えになってよろしゅうございますが、六千回線、そしてテレビ二チャンネル、五号系が音声級一万二千回線、テレビ二チャンネル、そういう機能を持っているわけでございます。
#32
○高沢委員 それらの、いま御説明のあったそれぞれの機能を持った衛星の値段、コスト、それから打ち上げに必要な費用というものはどうなるか、あるいは耐用年数はどのくらいあるのかというふうなこと、さらには、それらを実際打ち上げるのに、インテルサット自体は打ち上げる能力なり何なり持っているわけではありませんから、具体的にはどういうふうな打ち上げの方法をするのか、そういう関係の御説明をお願いします。
#33
○二木説明員 この衛星、先ほど申し上げましたように四号系から五号系に至る三つの種類、それぞれ容量が大きくなっているわけでございます。したがいまして、値段も違っておりまして、四号系は一個当たり千四百万ドルでございますが、四A号系になりますと二千百万ドル、五号系は三千四百万ドルというふうになっております。これはさらにそれに打ち上げ費用がかかるわけでございまして、それぞれ容量が大きくなるということは重さも大きくなるわけでございますので、打ち上げ費用も一回当たり四号系では千六百万ドル、四A号系では二千三百万ドル、五号系では四千二百万ドルという費用がかかるというふうに言われております。
 耐用年数でございますが、それぞれ七年ということになっております。
 星の方でございますが、星の製作機関としましては、四号系と四A号系はアメリカのヒューズ・エアクラフト社がつくっておりまして、また五号系は、これもやはり米国のフォード・エアロスペース・アンド・コミュニケーションズ社がつくっております。これを打ち上げます機関としましては、アメリカの航空宇宙局、NASAが実施しているわけでございます。
#34
○高沢委員 そうすると、いま御説明のこの打ち上げに要する費用というのは、インテルサットがNASAへ支払って打ち上げてもらうということになるわけですか。
#35
○二木説明員 先生御指摘のとおりでございます。
#36
○高沢委員 わが国には山口県にインテルサット衛星の追跡管理局があるわけですが、この施設がしている仕事の内容、それからそこにはインテルサットの職員は何人ぐらいいるのか、どういう仕事をしているか、それからまた、インテルサット以外の施設でありますから当然職員が必要でありましょうが、そういう関係の職員はどうなっているか、そういう状況の御説明をお願いします。
#37
○二木説明員 お答え申し上げます。
 山口の国際電電の衛星通信所におきまして、国際電電とインテルサットとの契約に基づきましてインテルサット衛星の追跡管理管制に関する役務を提供しておるわけでございますが、この役務を提供するための装置の一部にインテルサットの所有するものが置かれておるわけでございます。この追跡管理と申しますのは、静止軌道上に配置されておりますインテルサットの衛星を常に正常に作動させるために、地上から搭載機器の作動の確認あるいは機能試験等を行いまして常に静止位置を維持する、そういう仕事をやっているわけでございます。このために、技術管理を行うということでインテルサットから二名の職員が派遣されているわけでございます。
 このほか、この山口の衛星局は太平洋あるいはインド洋の衛星と通信をするということから、国際電電の職員が約九十名ばかり配置されているわけでございます。
#38
○高沢委員 アメリカにあるインテルサット本部の事務局は、どのくらいのスタッフを持って、どういうふうな仕事をしておるか、本部事務局の状況について御説明をお願いします。
#39
○二木説明員 アメリカのワシントンにありますインテルサット事務局でございますが、ここは理事会の指示に従いまして衛星の調達あるいは運用、それから財務等の管理業務を行っているわけでございまして、組織としましては、インテルサットを法的に代表いたします事務局長が一名ございますが、その下に財務あるいは運用、開発、総務と、そういう部門がつくられております。ここの職員はことしの四月現在で四百二十六名でございますが、この職員の中にわが国から七名の職員が派遣されているところでございます。
#40
○高沢委員 科学技術庁にお尋ねいたしますが、いままでわが国の宇宙開発でいろいろな衛星の打ち上げをしてこられたわけですが、その成功のケースあるいはまた失敗のケース、まず概括的にその状況の御説明をお願いします。
#41
○吉村説明員 お答え申し上げます。
 わが国が人工衛星の打ち上げを試みました数は二十四件でございまして、そのうち成功いたしましたものが二十件ございます。中身といたしましては、通信だとか、放送だとか、気象といった実利用分野の人工衛星の打ち上げを試みましたのが十件、成功いたしましたのが八件、失敗が二件ございます。それから、宇宙空間の状況を把握するための科学観測のために打ち上げました衛星が十四件、成功が二件、失敗が二件という状況でございます。
#42
○高沢委員 いま十四件と言われたのですが、成功二件、失敗二件というのはちょっと……
#43
○吉村説明員 失礼いたしました。科学分野で試みましたのは十四件で、成功いたしましたのが十二件、失敗が二件でございます。
#44
○高沢委員 最近のケースとしては「あやめ」が連続して一号、二号失敗をした、こういうことでありますが、その「あやめ」の失敗の原因が、一号の失敗の原因と同じような原因でまた二号も失敗した。これはわが国の宇宙開発としては少し研究不足であったのじゃないかというような声も聞くわけでありますが、その辺の実態や状況はどうだったでしょうか。
#45
○吉村説明員 「あやめ」一号、二号でございますが、ともに通信の研究をいたしますための衛星でございますので同じような名前をつけておりますが、失敗の原因は違うところにございまして、最初に打ち上げました「あやめ」の方の失敗原因は、衛星と第三段ロケットを分離いたしますときに第三段ロケットの推力がなお残っておるということで、分離をいたしましても衝突をするというおそれがあるわけでございます。そのために第三段ロケットが少し向きを変えるというような装置をつけておるわけでございます。これをヨーウエートというふうに言っておるわけでございますが、これがうまく働かなかった、このために第三段のロケットが衛星に追突をしたことが失敗の原因というふうに判断をされております。
 その次に打ち上げました「あやめ」二号でございますけれども、「あやめ」二号の際にはそういうヨーウエートの関係につきまして十分入念なチェックをいたしまして、結果的にはヨーウエートの放出のところまで非常にうまくいったわけでございますが、衛星には静止衛星として軌道に投入するためにアポジモーターというロケットを積んでおるわけでございます。このアポジモーターに点火をいたしましたときにアポジモーターが異常燃焼を起こしたということから、衛星として軌道に投入することに失敗したということでございまして、「あやめ」一号、二号、原因はそれぞれ違っておるのが実情でございます。
 「あやめ」二号に伴いますアポジモーター関連の失敗につきましては、今後の衛星打ち上げの際に貴重な教訓にしなければいけないということで、宇宙開発委員会を中心にいろいろ御検討をいただきまして、打ち上げます前に検査を充実すべきであるということで、従来以上の検査を進めるということで諸般の準備をいろいろ進めておる実情でございます。
#46
○高沢委員 いま「あやめ」の失敗の原因について御説明がありましたが、その「あやめ」でどのくらいお金がかかったものか、失敗したとなりますと大変もったいない話ですが、「あやめ」の場合には、衛星の本体、それから打ち上げるための費用は大体どのくらいのお金がかかっているものか、御説明願います。
#47
○吉村説明員 「あやめ」一号、二号ともに同じような内容の衛星でございますし、打ち上げロケットも同じようなものでございますので、ロケット経費、人工衛星の経費、打ち上げ経費、追跡管制の経費すべてを含めましてそれぞれ約百三十九億円かかっておりますので、二個分で二百七十八億円でございます。なお、「あやめ」一号を打ち上げますときに、もし失敗した場合に、打ち上げに必要ないわゆるロケット、人工衛星の経費を除きます打ち上げのための経費につきましては保険を掛けておきましたので、保険料が二十八億円ほど返ってきております。その関係で、実質的な損害といたしましては二百七十八億から二十八億を引きました二百五十億ということでございます。
#48
○高沢委員 いまお聞きいたしまして、結構お金がかかるなということはよくわかったわけであります。
 さてそこで、今回アメリカのスペースシャトルが成功したことで、この種の宇宙開発が新しい時代に入ることになります。そういたしますと、これは私、新聞などの記事で読むわけですが、これからスペースシャトルが何回も宇宙を往復する予定がありますが、そういう衛星の打ち上げに、スペースシャトルに乗せていってもらって置いてきてもらうというようなやり方ができるようになる、それは大変安い費用で、恐らく自分で打ち上げる費用に比べて十分の一ぐらいでできるのじゃないかということも新聞の記事等で読んでおりますが、そういう実態であるかどうかが一つ。
 もう一つは、仮にそういうふうに安くできることになると、今後のわが国の宇宙開発も万事スペースシャトルにお任せして、何でもそれで持っていってもらえばいいというようなことでいくのか、費用はかかるけれどもやはり自主開発で、日本の宇宙開発の技術開発として大いに進めていくのだということなのか、その辺の相互関連の判断もひとつお聞きしたいと思います。
#49
○吉村説明員 スペースシャトルによる打ち上げの場合のコストでございますけれども、これにつきましては、まだはっきりした数字をつかんでおるわけではございません。スペースシャトル、いま飛んでおりますのは、いわゆる低軌道と言われます二百五十キロ程度が中心でございますが、もっと上げれば千キロということはございますけれども、一応そこまで上げるという場合につきまして、シャトルの貸し料は幾らであるという話は伺っております。実際に放送、通信、気象観測、こういう場合に使いますときには三万六千キロの静止軌道に上げる必要があるということで、当然シャトルからもう一度ロケットで打ち上げることは必要になるわけでございます。その辺の経費につきましては私どもまだつかんではおりませんので、どれぐらい安くなるかということは申し上げられませんけれども、従来のロケットに比べてかなり安くなることは事実であろうかと思います。
 ただ、シャトルの開発に、約二兆円と言われておりますが、かなりのお金をかけておりますので、開発費を回収すればそうは安くはまいりませんけれども、回収しなければかなり安くなるということは事実かと思います。
 私どもの日本の宇宙開発の立場でございますけれども、私どもといたしましては、やはりこれからの宇宙の場というものを日本の自主体制をもって使っていくことがどうしても必要である、そういう意味で、日本が必要とする衛星につきましては自分の力で上げるということを考えておるわけでございます。しかしながら、シャトルというものができますれば、それを使って科学者が宇宙に行っていろいろな実験をやるというような場合につきましては、シャトルを使うこともあろうかというふうに考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、基本的な立場は、日本として必要な社会的なニーズにこたえた衛星の打ち上げを自分の力でやる。それから、シャトルのような計画は日本は持っておりませんので、シャトルを使っていろいろな実験をやるような場合にはできるだけ利用させていただくということで、国内的な開発と国際協調を調和をとりながら進めたいというのが基本的立場でございます。
#50
○高沢委員 いまの御説明の調和の問題とも関連いたしますが、いまわが国の宇宙開発を進めている機構としては宇宙開発事業団がある、もう一つは宇宙科学研究所がある、こうなっております。われわれ素人考えでは、何かこの両者のなわ張り争いとかなんとかいうふうなことがありはしないかという感じもいたしますが、その両者の位置づけなり相互の調和というものはどうなるのか、これが一つ。
 それからもう一つは、宇宙開発の分野、そこから出てくるいろいろな可能性はまさにそれこそ無限にあると思いますが、何から何までやるというわけにはいかぬと思いますので、日本としての宇宙開発ではどの分野を一つの目標に設定してそこで成果を上げることを目指していくのだという決められた分野は当然あってしかるべきだと思いますが、そういう点は科学技術庁としてはどういうふうに考えておられるか、御説明願います。
#51
○吉村説明員 まず第一点の宇宙開発事業団と宇宙科学研究所の関係でございますが、従来から、わが国の宇宙開発につきましては宇宙開発委員会がそれぞれの機関の役割り、仕事のしぶりの調整を進めていくという形になっております。それで、宇宙開発事業団におきましては通信、放送、気象観測といった実利用分野の衛星の開発、そういう衛星を打ち上げるに必要なロケットの開発を進める役割りが与えられております。それから宇宙科学研究所におきましては、宇宙空間の観測を行いますための科学衛星の開発及びその打ち上げ用のロケットの開発を行う。そのほか、航空宇宙技術研究所というものがございますが、これは非常に基礎的な研究をやっておりますので、そういう仕事をしていただくという役割り分担が明確に決められておるわけでございます。
 そういう趣旨でございますので、これから行政効率を上げていかなければいかぬということで、宇宙開発委員会といたしましては、そういう機関がそれぞれの役割りをちゃんと果たして、国としての最大の効果を上げ得るような形で進めるべきであるということで調整を進めておるわけでございます。
 特にロケットにつきましては共通する部分が多いということで、従来からいろいろ御批判があるところでございます。目下のところ、ロケット関係でございますが、科学衛星は固体ロケットで打ち上げております。それから、実用衛星につきましては液体ロケットで打ち上げております。こういうことで、固体と液体ということでかなり違っておるわけでございますが、将来的には科学衛星も液体ロケットを使うという可能性もないわけではございません。やはり将来のロケット開発につきましては長期的な展望で一体化を図る必要があるという判断がなされておりまして、そういう判断のもとに、いままで関係者間で了解をされておりますのは、宇宙科学研究所で行っておりますミューロケットにつきましてはその信頼性が得られた段階で開発は終了する、その後のロケット開発というのは宇宙開発事業団が一元的に行うというふうなことで進められておるという状況でございます。
 第二番目のお尋ねの日本としてどういう点に重点を置いていくのかという点でございますが、やはり日本といたしましては、いろいろな実用衛星を上げるということになりますと、その打ち上げ手段を外国に依存をいたしますと国益が損なわれるおそれもあるということもございますので、自分で必要となる衛星についてはできるだけ自分で上げたいというふうに思っております。
 それから、科学分野につきましては、当然科学者の自由な発想に基づいて宇宙の状況の解明をするということでございますので、これもできるだけのことを日本でいたしたい。宇宙空間でいろいろな実験をやりますようなものにつきましては、すでにシャトルというようなものが開発をされておりますので、それをできるだけ使って効率よく日本としての材料実験のようなものを進めればいいのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
#52
○高沢委員 次に、これはまた外務省にお答え願うことになるかと思いますが、これも聞いた話でございますが、インテルサットとは別に、何かソ連中心に社会主義の諸国がインタースプートニクという国際機関を持っておる、こう聞くわけでありますが、それはどんな実態にあって、どんな働きをしておるのか、御説明をお願いいたしたい。
#53
○矢田部政府委員 先生お尋ねのインタースプートニクでございますが、これは昭和四十七年にインタースプートニクの設立に関する協定というものができまして、その協定によって設立された国際通信衛星組織でございまして、モスクワに本部を置いております。この組織に参加しておりますのはブルガリア、キューバ、チェコ、東独、ハンガリー、モンゴル、ポーランド、ルーマニア、ソ連、ベトナム、以上の十カ国の社会主義諸国が締約国となっておるわけでございまして、このインタースプートニクも現在、ソ連のモルニヤ一号から三号型衛星、それからスタチオナ四号衛星、五号衛星といったようなものを利用いたしましての国際電気通信回線提供の業務を行っております。
#54
○高沢委員 この宇宙開発に関係いたしますが、宇宙飛行士の救助及び送還並びに宇宙空間に打ち上げられた物体の返還に関する協定、それから宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約、宇宙物体により引き起こされる損害についての国際的責任に関する条約、こういう協定、条約が国際的にもう締結されている、こういうお話ですが、わが国の国会に承認を求められるのはいつごろのことになってくるのか、御説明を願います。
#55
○矢田部政府委員 ただいま先生の御指摘になりました三条約、これはいわゆる宇宙三条約でございますが、わが国といたしましてもできる限り速やかにこの条約に加入いたしたいと考えておることは御承知のとおりでございます。
 ただ、特に損害賠償条約との関連におきまして国内法上の整備を必要といたしますので、この点について部内の調整に若干暇取っておるために国会提出がおくれている状況を、私どもの方といたしましてもまことに残念だと思っておりますので、できる限り近い将来にこの批准を行い得ますよう、私どもといたしましても全力をつくしたい、このように考えております。
#56
○高沢委員 これは宇宙条約を受けてのことですから、いま言われたように、ひとつできるだけ促進をしていただきたい、こう思います。
 これは大臣に、最後にひとつお尋ねをいたしたいと思います。
 今回のスペースシャトルの成功で、今後スペースシャトルを一九九二年までにアメリカでは何か四百八十七回打ち上げをされる、こういう予定になっておる、その打ち上げ回数のうちの約三分の一近くの百三十五回というものはアメリカの国防総省がいわば軍事目的に利用する、こういう打ち上げになるというふうに伝えられているわけですが、軍事目的に打ち上げるとなると、いわゆる宇宙の軍事利用ということになるのじゃないのか。これは宇宙条約では第四条によって禁止されておるというような関係になってくるわけですが、その関係がどうなるのか、これが一つ。
 それからもう一つは、そういうふうな宇宙の軍事的ないろいろな利用や配置が行われることになると、当然今度は他の側から、それではわが方も、こうなってくるというような発展が憂慮されるわけでありますが、そういうことにならぬためには、宇宙の軍事的利用はやるべきではないということをひとつ日本の政府としてもアメリカに対して強く求めるべきではないのか、こう思うわけであります。今回のそれこそ日米首脳会談、大臣はいろいろな課題があって大変御苦労さまでございますが、ひとつアメリカとの間でその種のこともお話をされてみてはいかがか、こう思いますが、御所見はいかがでしょうか。
#57
○矢田部政府委員 先生御質問の前段の宇宙条約第四条との関連でございますが、御承知のように宇宙条約第四条は、核兵器その他の大量破壊兵器を宇宙空間を回る軌道に乗せることとか、あるいは配備、配置することを禁止しておるわけでございまして、今回のスペースシャトルはあくまでも宇宙空間におきましての科学的実験を主目的とするものでございますから、そういう意味で宇宙条約四条に抵触するというようなことはないと申し上げられると存じます。
#58
○高沢委員 大臣のお答えの前にちょっと。それは宇宙でいろいろ試験や実験をやる程度ならいいのですが、スペースシャトルができたということは、何か三十トンぐらい積む能力があるそうですね、そういう三十トンも積む能力のあるものでいろいろな水爆などを装着した衛星を持っていって宇宙へ置いてくるというようなことになると、いまあなたの言われたやってはいかぬことになるわけで、そういうことをやられては大変だということで私はお尋ねしたわけです。
#59
○矢田部政府委員 申しわけございません。先生のおっしゃいますように、仮にそういう兵器を積んでの実験というようなことが行われますれば、これは宇宙条約に抵触することになることは当然でございます。
#60
○伊東国務大臣 いま御質問になったことは、この四条に書いてありますのは「核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を」ということで頭にかぶせてあるわけでございまして、一切のものはだめだという意味じゃないわけでございます。この条約四条は頭に限定はしてあるわけでございますが、今度の打ち上げは科学的な目的でやっておるというふうにわれわれ理解をしておるわけでございますが、一切だめだというようなことでアメリカに話せということが御趣旨であれば、その点は、条約は条約でこういうふうに限定して決めているわけでございますから、やはりこの条約に沿うて運用されるようにということはわかるわけでございますので、向こうへ話すことも、私はいま特別、一切だめだというような話し方はしようというつもりはございません。
#61
○高沢委員 大臣のお言葉ですが、そういうことをやりたい人は、一切だめなんじゃないのだよ、この程度はできるのだよと言うかもしれませんが、日本のような非核三原則を持っている立場の国は、それこそその第四条で規定されていることのみならず、精神はあくまで宇宙を軍事目的に利用しちゃいかぬ、ここにその精神の基本があるわけですから、その意味においては、そこまでいかなくてもそれにつながる可能性のあるようなものはひとつ一切やめてもらいたい、日本はそういう立場で大いに発言すべきじゃないか、こう私は思います。いまの大臣のお答えは、何かそういうことをやりたい国の大臣が答えているような感じがいたしますので、ぜひそうでないような方向でひとつ大臣の対応をお願いしたい、こう思うわけであります。
#62
○伊東国務大臣 私が答えましたのは、一切だめだということが条約上は言えぬということでございまして、私どもはこの打ち上げの目的が科学の目的だということに了解をしているわけでございますから、一々これを取り上げて、いまも衛星はいろいろ飛んでいるわけでございますが、それについて一切だめだというようなことを日本としていま言うかどうかという問題でございますが、そこまで日本として言うのは、私はちょっといまのところははばかるというつもりがございます。
 それは、西側の一員としてわれわれも世界の平和を何とかして守りたいという立場におるわけでございますので、そういう立場から言いまして、私は一切だめだということが日本として言えるかどうかということはいささか疑問に思います。これはできるだけ科学的なものに利用されるようにということはわかりますので、私はそういうことはもちろん当然、話のときには言うつもりでございます。
#63
○高沢委員 もう一度、くどくなりますが、この問題は、私はいま対アメリカの関係で言っていますが、これはアメリカだけじゃありません。そういう宇宙開発の能力を持った国はソ連もあるわけですが、それらのすべての国に向かって、当然日本の立場としては、そういう宇宙の軍事利用につながるようなことは一切やめてもらいたい、この場合には条約の解釈とは別に、わが国の立場としては一切やめてもらいたいというような立場で、これは国連の場もありましょうし、あらゆるそういう場を利用してひとつ発言をすべきだし、してもらいたい。
 そうでありませんと、もうこれだけ科学技術が進んできて、宇宙開発という問題が手の届かないことじゃなくて、どんどん手が届いていくというふうになってきた、そこへこの程度はよかろう、この程度はよかろうというような形で軍事的な関係が入ってきたら、こういう問題は相互作用ですから、相手がやれば、じゃおれもやる、こうなると、それじゃこっちはまたやるぞ、こういうことになればもう全くとめどもなくなる。それをいまのうちにぴたりととめるために大いに日本としては発言をし、国際的にその役割りを果たすべきだということで申し上げた次第であります。したがいまして、これは最後は私の要望でございますけれども、大臣にもその点は十分ひとつ御理解をいただいて御活躍を願いたい、こう思う次第であります。
 時間が超過いたしましたが、以上で終わりたいと思います。
#64
○青木委員長代理 草川昭三君。
#65
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。私は、ILO問題について関係各省庁の意見をお伺いしたい、こう思います。
 まず最初に、外務省にお伺いをいたしますが、ILOが国際的に果たす役割りというのは非常に大きくなってまいりまして、特に労働者の経済的、社会的地位の向上には格段の実績もあるわけであります。
 そこで、しかしまだまだたくさんの問題点があるわけでございますが、現在国連加盟国が百五十四でございますか、その中で何カ国がいまILOに加入をしているか、それからアメリカはたしか昨年復帰をしたと思いますが、その事実確認をお願いしたいと思います。
#66
○小宅説明員 現在、ILOの加盟国は百四十五カ国でございます。
    〔青木委員長代理退席、委員長着席〕
 アメリカは、先生御承知のように一時ILOを脱退いたしましたが、現在は再び加盟しております。
#67
○草川委員 そこで、約九四%の大半が加盟することになり、アメリカは復帰したわけですから、一時非常に力が弱かったわけですが、それだけアメリカの復帰による国際的な影響力も高まったと見てもいい、こう思うわけでございます。
 ただいままでのところ、各種の条約が採択をされておりますが、採択された勧告数、条約数というのはいかほどになりますか。
#68
○小宅説明員 ILOで現在まで採択されました条約は百五十三本でございます。勧告は百六十二ございます。
#69
○草川委員 そこで問題は、採択された条約が国内的にどのように紹介をされておるかということでございますが、国際労働機関憲章、ILOの憲章の十九条に、条約を採択した場合にそれぞれの加盟国に事務局長が送付をしなければいけないとか、そして各加盟国の義務というのがずっと書いてあるわけですね。(a)(b)(c)(d)(e)というふうな形で書いてありますが、たとえば加盟国は「おそくとも一年以内」あるいは「いかなる場合にも総会の会期の終了後十八箇月以内に、条約を当該事項について権限のある機関に提出することを約束する。」とか、あるいは約束をする場合にかくかくしかじかというようないろいろな手続が書いてあるわけです。日本で批准をするしないは別ですが、採択されたのが条約では百五十三、勧告では百六十二、こういうことがやられておるのですが、これが「権限のある機関」、国会にどのような形で公知、いわゆる周知をなされておるか、具体的な手法についてお伺いしたいと思うのです。
#70
○平賀説明員 お答えいたします。
 条約及び勧告は、六月の総会で毎年採択をされるということになります。その採択された条約及び勧告について最も近い通常国会、したがって、十二月に始まる通常国会の会期中に国会に文書で報告をいたしております。
#71
○草川委員 ここにございます「権限のある機関に提出する」ということが、現実的には外務省の方がいわゆる議員個人のポストに配付をするだけで終わっておるのが実情だと思うのですが、もう少しILOの決定というものを権威づけるとするならば、何らかの形で権威ある機関に対する周知方法、告示方法等を考えてしかるべきではないだろうか。
 ILOですから、経営者側の代表、労働側の代表それぞれ出ておりますから、関係者が承知しておると言えば言えないことはございませんけれども、もう少し国内的な手続方法について親切な方法を考えた方がいいのではないか、私はこういうことをいま考えておるわけでございまして、ぜひとも国会議員に対する周知方法等につきましても、いま少し会議の経過だとか、あるいは議事録を添付するとか、要約集を一冊まとめて配付するとか、新しい考えを入れていただいて、せっかくILO憲章に明確な手続方法があるわけでございますから、そのようなことをしていただきたいということを要望申し上げておきます。
 それで、日本の条約批准数は三十六本ということになっておるわけでございますが、主要先進国に比べますとなお不十分ではないかと言われておりますが、どうでしょうか。フランスとかイタリアとか英国等に比べてどのような差があるか、お教え願いたいと思います。
#72
○小宅説明員 主な先進国における条約の批准数を申し上げますと、フランスにおいては百二、イタリアが八十一、英国が七十六、西ドイツが六十五、それから日本は先生御指摘のとおり三十六でございまして、そのほかインド、アメリカが七、カナダが二十六でございます。
#73
○草川委員 おっしゃらないブラジルが五十四、ソ連が四十三ですから、日本は必ずしも成績がいいわけではありません。特にいまはいわゆる経済摩擦の非常にむずかしい時期でございますから、少なくともヨーロッパ並みぐらいのところまでは批准をしてもいいのではないだろうか、私はこう考えるわけでございますし、ぜひ積極的な今後の批准方をこれも要望申し上げておきたいと思います。
 実はアメリカが復帰をしたということでございますけれども、アメリカが脱退をしてからILOは予算的にかなり苦しみまして、日本もそれだけの分担金というのですか、寄付金をということで、たしかあれは昨年でございましたか、一昨年でございましたか、この委員会でも論議をしたことがございますが、そのアメリカが脱退をしていたときの経済的な弱さというものは回復をしたのか、後遺症というのはILOの日常活動に残っていないのかどうか、お伺いをしたいと思います。
#74
○平賀説明員 アメリカが復帰をいたしましたのが一九八〇年、昨年の二月でございます。御承知のように、ILOの予算は二年ごとに組まれております。したがって一九八〇、八一年という二年間の予算はすでに二五%の分担金を持つアメリカが入っていないという前提で組まれておりまして、一億七千七百万何がしの事業計画を組んでおりました。そこで、アメリカが復帰するときの条件として、アメリカが復帰した場合においても、当面組まれている一九八〇、八一両年度については各国の事業計画をふやさない、むしろアメリカが復帰した後に支払う拠出金については各国の財政負担を軽減する方向で使ってほしい、こういう要望がございまして、両年度の予算のうち、前年度は本来補正すべき分についての経費に使われて、残り八一年の拠出金については各国の分担金を軽減するという形で使われました。
 ところで、現在、先般行われました二百十五回の理事会で一九八二、八三年の事業計画予算の審議をいたしましたが、その両年度につきましては、アメリカが完全に復帰したという前提での予算でございますので、この場合には二五%のアメリカの拠出があるという前提で初めて前年度に比べて事業計画の上で約二八%を増加する、こういう予算が組まれて、私どもとしては、大体アメリカが復帰したために正常な状態に財源的にも返ったのではないか、こう考えております。
#75
○草川委員 いまちょっと私、聞き漏らしたのですが、それは六月の総会で承認するのですか。
#76
○平賀説明員 六月の総会に先般の理事会の結果に基づく計画案を出して、それが承認されて初めて予算になる、こういうことになります。
#77
○草川委員 六月の総会に、これはもちろん関係の経営者側、労働側が出るわけでございますが、政府側は何人くらい代表として参加される見込みでございますか。
#78
○小宅説明員 ことしの六月に行われますILOの総会の代表団につきましては、これから関係省と協議して決定することになっておりますが、従来、大体政府側からは十名ぐらい出ておるようでございます。
#79
○草川委員 いま私がなぜこういうことを聞いておるかといいますと、ILOに労働側、経営側それぞれ代表あるいは顧問という形で出ておりますが、政府側の代表がそれに比べて多過ぎるのではないか、こういう批判が実はあるわけです。これは関係省庁の方々もそれなりに出られるわけでありますが、何か国際機関の中で、他国から、日本は金持ちだから政府側の随行が多過ぎるというような批判があったやに聞くわけでございますから、私、たまたまそのようなことを申し上げたわけであります。
 それから同時に、去年の十二月にILOのアジア地域会議というのが開かれておるわけです。ここへも実は代表団は各国から集まりまして、百名ぐらいの代表団が参加をしておるわけでございますが、これはまた逆に、ILOの事務局の方から百名を超す事務局員がアジア会議に参加をしておると聞いております。そして中には、アジアの立場から言いますならば、ILOというのはアメリカ脱退以後かなり財政的にも緊縮財政であった、にもかかわらず、アジア会議に事務局員が百名前後参加することはいかがなものか、そういう声が昨年の十二月に現地側から寄せられたと私ども聞いておるわけです。
 それで、ILOの本部に対して日本側の分担金というのは相当高いのです。アメリカ、ソ連に次いで日本は第三位でございますし、総費用の九・五%という費用を分担するわけですから、ILO側にも言うべきことは言いながら、そしてこれから審議をする職業病等の問題などについてもなるべく中身の多い審議を私どもはお願いしたいわけであります。私がいま発言したのはそういう趣旨で申し上げておるわけでございますが、この点について、財政上の問題を含め、あるいは代表団の参加等を含めて、私のような声が政府側に届いておるのかどうかを含めて御意見を賜りたい、こう思います。
#80
○平賀説明員 昨年十二月のアジアの地域会議、マニラで行われましたけれども、ILOの側の職員が約百名足らず参加したということは事実でございますが、その中にはアジアの地域事務所その他、アジアの関係の方も入っております。したがって、本部から参加された方というのはそれより少ない数ですが、ただ、全体の会議の構成メンバーと比べて多いのではないかというような御指摘も確かにございまして、その点については私どももその状況は伺って承知しておりますし、私どもからも代表が出ておりましてその辺の状況は承知しておりますので、非常に事務的なことでございますけれどもILO側にもその面を指摘したこともございます。
 また、最初に政府の側の構成メンバーの問題等もございましたが、これはILOの顧問を出すことについて、労使の側は議題について二人づつ、ことしの場合は十六人ということで、政府の場合はその倍までは認められているわけでございますけれども、できる限り、現在のような財政状況等もございますので、御指摘の点などを十分考えまして各省とも相談をして対処したいと思っております。
#81
○草川委員 日本的な発想だけが国際的に通用するわけではございませんから、国際機関に参加をする場合、特にこれはいろいろな各層を代表して出るグループ、そして政府側の代表が参加するわけですから、十分御注意をお願い申し上げたいと思うわけです。
 それからもう一つの問題は、ILOの事務局の職員の問題なんですけれども、いま日本からILOの本部の職員にかなりの方々が出向という形で参加をしてみえるわけです。本来はダイレクトでILOの本部職員に採用をされるわけでございますけれども、各省庁からも勉強かたがた行っておみえになる方があるわけですが、御存じのとおり永久に行きっ放しというわけではございません。三年なり四年なりして日本の職員はそれぞれ本省に帰ってくるわけです。
 ところが、これも国際労働機関憲章の第九条で「国際労働事務局の職員は、」云々というのがございまして、「その任務の遂行に当って、いかなる政府からも又はこの機関外のいかなる当局からも指示を求め、又は受けてはならない。」という非常に原則的な規則があるわけですよね。ところが、日本側の職員の方々は、それはもういろいろな情報を集めるわけですから、本省に御連絡になるという、いわゆる本部の職員の意識よりは当然のことですけれども出身母体の省庁の派遣役員的な意識があるというので、ILO本部の職員からも若干の批判の声があるやに私は聞いておるわけです。
 しかし、日本の費用分担が大口でございますから日本には遠慮をしておるという点もございまして、本部職員の態度がどうのこうのではなくて、労働省なら労働省から出られる、こういう立場、あるいは外務省なら外務省から出向するという本部職員の態度というものはいかがなものか。それよりは、ILO本部職員プロパーというものを本気になって育てて、そこで骨を埋めていただくことが、日本のこれから複雑になってくるところの労使関係あるいは経済摩擦をやわらげる意味での非常に重要な役割りになると思うのですが、その点の見解はどうですか。
#82
○平賀説明員 ILO本部に勤務している職員につきましては、もうすでにパーマネントという形で一般の職員として勤めている日本人の人たちが十名以上おります。
 そのほかに、御指摘のようにアソシエートエキスパートという形で各省の職員の中から選考をして送っている者、あるいは各省と関係がなく民間の人たちを送っている者、それぞれございます。それぞれ二、三人ずつあるわけでございますが、そのアソシエートエキスパートは、各国からのひもつきでやるということではなくて、やはり国際機関の職員として、将来はむしろILOの職員として就職しやすいように日本側で経費を負担して送り込んで、したがって民間の方も含めてそういう形でILOの勤務に慣れさせておる、こういう形でやっておるわけでございます。したがいまして、そのアソシエートエキスパートの職員から情報をとったり、あるいはそれをひもつきで利用したりするという考え方は全くございませんし、現にそういうことはございません。
 したがって、日本人の正規の職員が非常に各国に比べてあるいは分担金に比べて少ないという姿でございますので、こういう制度を活用しながら、将来とも日本の職員がILOあるいはその他の国際機関に勤めるように図っていきたいと考えております。
#83
○草川委員 ぜひいまおっしゃったような言葉をILOの本部の他の国の方々あるいは向こうの専門的な方々に理解をしていただけるような雰囲気をつくっていただきたいと思います。私は、この話は全く想像でここへ持ち出しておるわけではございませんし、それなりの現地の他国の方々のそういう意見があるということをいまここで率直に申し上げておるわけでございますから、そういう疑問のないようにしていただきたいわけでございます。
 昨年の十二月のアジアにおけるILO会議でも、日本企業に対するという名指しはありませんけれども、いわゆる多国籍企業対策という問題でいろいろな決議なり活発な討論もあるようでございますが、私ども率直に言って日本の企業がそんなにコングロマリットというのですか、巨大な国際企業だというようには実は意識してないわけですが、相手の方々はそういう物の見方をされるわけでありますし、特に日本の高度成長をした特殊な労使関係というものに大変な強い興味があるわけです。しかし、ヨーロッパの国際的な労働運動の立場から見ますと、日本の企業内の労働組合というものは必ずしも私どもが考えるような形で映っていないわけでありますから、そういう意味では、私は国際機構におけるところの職員のあり方等は十分な配慮をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 そこで、今度はいよいよ具体的にこのILOにおける職業病対策の経過のことについてお伺いをしたいわけでございますが、今回のこの追加というのですか、新しくできた職業病の定義、範囲等について、ILOの専門家会議の中で労使で特に対立をしたような事項があればお教え願いたいと思います。
#84
○平賀説明員 専門家の会議の中で労使が対立したというようなことは聞いておりません。
#85
○草川委員 実はきょうの議題の中にもあるわけでありますが、追加された職業病の中で、騒音だとか、振動障害というのですか、振動病、こういうものが追加されておるわけでありますが、たとえばこれをいま国内で移しかえますと、頸肩腕症候群というのがございます。これはキーパンチャーだとか女性のタイピストだとか、新しい職業分類の人が多いわけでございますけれども、これは社会労働委員会等におきましても、頸肩腕症候群の一つの基準というものをどこに置くのか、どこからが一体職業病なのか職業病でないのか、騒音の問題についても何デシベル以上が屋内においてはひっかかるのかひっかからないのか、大変これはむずかしい問題があるわけでございます。
 ですから、項目としては認定されることについては十分でございますけれども、国内で現実的な適用をするということになりますと、非常に微妙な問題で対立をする場合がございます。これは労使関係だけの対立ではなくて、労働組合内部において果たしてこれが職業病であるかないかという現実のトラブルもあるわけでございまして、いわゆる一つの基準というものがないままの承認というものはかえって混乱を起こすのではないだろうかという意見があるのですが、その点はどのような経過で論議をされておったのか、もし議論がなければないなりで結構でございますから、今度は労働省側に、こういうものができたのだが、どのように受けとめられるか、お伺いをしたいと思います。
#86
○平賀説明員 専門家会議の経過について私どもが承知しておりますところでは、今度追加された職業病の追加のいわば基準といいますか、それは、やはり各国で共通的に職業病の原因として認識されるもの、作業場の作業による危険の可能性が強いもの、また各国でそういう指定をしているものと、大体そういった三つの条件が基準として審議され、御承知のように国際関係の基準でございますので、その認定の基準とかそういうことではなくて、職業病の病名として大体各国で認識されているという観点から選定された、こういうふうに理解しております。
#87
○林説明員 ただいま先生の方から指摘されましたように、実際に職業病の認定に当たりましては、細かい認定基準をもとにして決定をいたしております。認定基準につきましては、各傷病別に専門の医師の専門家委員会を設けまして、そこで現代の医学の上での知見をもとにしてその判定基準を定めていただいているわけでございまして、ただいま御指摘がございました騒音につきましては昭和二十八年、振動障害につきましては昭和五十二年、それからキーパンチャー等のいわゆる頸肩腕症候群につきましては昭和五十年にそれぞれ認定基準を設けておりまして、そのほか業務上疾病の認定基準は、先ほどのを含めまして全部で二十二定めてございます。
#88
○草川委員 では、今度のように騒音、振動等のことについては批准をしても受け入れ体制はある、こういうことでございますが、実は今度は職業がんの方に移るわけです。
 五十二年七月に批准をいたしました職業がん百三十九号条約というのがあるわけですが、これについての国内対策は具体的にどのような対策がなされておるのか。これは具体的に問題をいまから申し上げますが、この職業がんが五十二年七月に批准をされておるのですけれども、現実の問題といたしましてはなかなか対応が進んでいないということを一つ申し上げてみたいと思うのです。
 具体的にはホルムアルデヒド、ホルマリンの問題です。このホルマリンも動物及び動物の死体を取り扱う作業ということで当然使うわけですから、今回の追加の中にもある言葉であります。ところが、このホルマリンというものについては労働省の方は、特化則、特別化学物質としての第三種の取り扱いを受けておるわけでございますけれども、いわゆる発がん性の物質としては受けとめていないわけです。
 ところが、一九七九年十一月十四日付でICEF、国際化学エネルギー労連という労働組合が、実はホルムアルデヒドの暴露試験が行われたのだけれども、これはアメリカの具体的な例があるのですが長々と申し上げません、ここの実験でラットを使ってホルムアルデヒドの暴露試験を行ったら低い濃度でもがんが発生をした、万一ホルムアルデヒドの発がん性が確認されれば非常に重要な問題なので警告を発する、そして、特にこのホルムアルデヒドというのは合板、パーチクルボード、断熱材、繊維加工、それから非常に周辺のものが多いし、すそ野が広いので気をつけなさいよという通達を、加盟の日本の組合にも出しておるわけでございますが、概念的に労働省としてどのような対応を立てておるのか、お伺いしたいと思います。
#89
○小田切説明員 ただいまお話のございましたようなホルムアルデヒドに起因いたしますがん等の疾病の問題でございますが、私ども業務上の災害補償という観点からは、ホルムアルデヒドにつきましても、それに起因する疾病、業務に関係することが明らかである場合には職業病として扱うということで、国内法令上、いわゆる職業病の例示疾病に挙げてございます。ですから、具体的に事案が起こりまして、当該のがんとか、何らかの病気がホルムアルデヒドを扱う仕事との関連があるということになりますと、労災補償の上での補償の対象にはなるという現行法制になってございます。
#90
○草川委員 労働省の方としては、具体的な事例が出て、因果関係が明らかになればその対応は十分できる、こういうことですが、実は問題はその規制をどうするかという水際作戦をいまのところどこも立てていないわけです。
 きょうは農林省の方がお見えになっておられますが、実は合板の接着剤にホルムアルデヒドというものが大量に使われておることは事実でございますし、そしてまた、農林省の方は具体的にJAS規格というものがございまして、使っては相ならない、あるいは品質はかくかくしかじかの品質を保証するという一つの規定があるわけでございます。いろいろな態様があるのですが、農林省の場合、いま労働省の方からおっしゃられましたように、ホルムアルデヒドというものの発がん性という立場から、この問題については十分対応ができておるのでしょうか、お伺いをします。
#91
○鈴木説明員 合板を使用しました家具などから発散するホルムアルデヒドに起因する不快感あるいは悪臭につきましては、かねてから消費者の方から問題提起がございまして、私どもとしましては林野庁ともよく相談しまして、関係業界に対しましてかねてからホルムアルデヒドの発散量の低い合板の製造を進めるように指導してまいったわけでございますけれども、さらにこれを推進するという観点から、昨年の秋にJAS規格、日本農林規格でございますが、これを改正しまして、ホルムアルデヒドの放散量に係る基準を新しく設けたわけでございます。
 先ほど先生がおっしゃいましたホルムアルデヒドの毒性に関する米国の試験結果につきましては私ども承知しておりますけれども、現段階におきましてはそれは中間的なものでございまして、最終的なものじゃないというように伺っております。したがいまして、当面は私どもとしましては先ほど申し上げましたホルムアルデヒドの発散量の低い合板の生産の増大を図っていきたいということで、先ほど申し上げました基準に合致するJAS製品というものの普及を図ってまいりたいというように思っております。
#92
○草川委員 では、JASのことについてお伺いをします。
 いまのJASは昨年認定されたわけですけれども、そのJASは必ずしもホルムアルデヒドが発がん性物質という形で規定をされておるものではないというふうに聞いておるわけです。だから、いま課長がおっしゃいましたように、今度のアメリカにおけるところの発がん性の試験、米国の化学工業毒性研究所ですか、そこの中間報告が出た、さらに最終的な報告が出たらJAS規格についても改正される用意があるわけですか、どうでしょう。
#93
○鈴木説明員 先ほども申し上げましたように、現段階では中間的なものというように伺っておりますけれども、仮にホルムアルデヒドの発がん性が明確になった場合には各種の措置を検討しなければならないというように思います。その一環として、JAS規格につきましても、この規格は実は強制規格ではなくして任意規格であるという限界がございますけれども、関係省庁と十分に連絡をとりながら慎重に検討してまいりたいというように思っております。
#94
○草川委員 では、今度は通産省にお伺いします。
 通産省の方は、日本の国内で年間百万トンを超すホルムアルデヒドが生産をされておるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、アメリカの方ではかなりメーカー自身がこのホルムアルデヒドの問題について発がん性があるから気をつけろというような通達を出しておるわけです。
 たとえばアメリカのホルマリンメーカーであるデュポン、これは有名な企業ですが、デュポンは日本のユーザーに対してホルマリンのがん原性についての警告文を送ってきておるわけです。メーカーは自分のユーザーに対して自社製品の有害かつ危険性について情報を送るのですが、こういう態度は私は非常にりっぱだと思うのです。この点について、通産省としては、メーカー側の方からホルムアルデヒドの発がん性についての警告を関係者に出すような指導をされるつもりはありますか、ないですか、どうですか。
#95
○山本説明員 ただいまの先生御指摘のアメリカにおけるホルムアルデヒドの研究でございますが、これは先ほど農林省の方から御答弁いたしましたように、現在中間的な報告が出ております。私どもといたしましては、この最終的な結論がどういうことになるか、関係方面とも十分協力しながら情報収集に努めている段階でございます。
 なお、関係の団体がメーカーでもつくられておりまして、その団体からも、実はアメリカにおける中間発表の研究会には人を派遣しております。それで、その結果に基づきまして、関係メーカーは現在の事実の進行状況については十分周知徹底をしておる段階でございます。
 なお、それから進みまして具体的な結論が出ましたところで、その情報を収集して、どのような形で周知徹底するか、これは今後出た段階で慎重に検討してまいりたいというように考えております。
#96
○草川委員 ちょっとここで外務省にお伺いするわけですが、外務省も条約だけを締結したら後は知らないというわけにちょっといかぬと思うのです。
 五十五年七月十八日に、駐米大使である大河原さんの方から外務大臣あての公電があるわけです。これはあて先は通産省なり関係省庁に出ておるわけですが、その内容は、アメリカの消費者製品安全委員会、CPSCというのですけれども、ここからホルムアルデヒドについての照会がございまして、日本では一体、厚生省とか労働省とか環境庁はどういうような措置をしておるのですかという問い合わせがあるわけです。
 私、外務省の方からその資料をいただいておるのですが、照会は、貴国ではホルムアルデヒドに関する安全基準を定めているかとか、あるいは職業関係についてどんなことをやっておるかとか、消費生産物において使用されているホルムアルデヒドについて健康基準及び安全基準が設定されているかとか、あるいは尿素樹脂発泡体の断熱材について、これは実はアメリカのある州では禁止をしておるわけでありますけれども、日本ではかなり建築用材料に使われておるわけです、そういうものについてどのような取り扱いをしているか、あるいは繊維についてもどうかとか、非常にたくさんのものが出ておるのです。
 それに対して外務省の方から答えておりますのは、現在のところの対応が出ておりますが、率直に対比をしてみますと弱いというのですか、向こう側の問い合わせに対してぴたっと、私の方もこうやっておりますよと胸を張って、問いに対して質問がかみ合うというような答弁にはなっていない問題もあるわけです。
 これはやはり外務省としてもフォローをしていただかなければなりませんし、こういう問題が実はILOの国際会議に政府側の委員の方からぴたっと出るような形で、この発がん性の問題だとか、あるいはきょうの追加の動物及び動物の死体に対する取り扱い、これにはホルマリンがあるわけだから、こういう問題があるのじゃないだろうかということを論議してやっていただきたい、私はこう思うのです。
 それから、これはついでに申し上げますけれども、いま通産省の方も、まだ最終決定がわからないからということをおっしゃいましたが、これは外務省が承知をしておると思うので、関係省庁にもぜひ連絡をしてもらいたいわけですけれども、アメリカにフェデラルレジスターというのがあるのだそうですね。これは官報みたいなものですが、フェデラルレジスターという官報に、いわゆるホルムアルデヒドの中間報告が正式に載ったわけです。ラットで実験をしたら、このホルムアルデヒドに発がん性があることがわかった、これは非常に慎重な対応を立てなければいけない、メーカーはメーカーの対応、あるいは労働環境は労働環境として準備をしなさいというようなものがあるわけです。
 私もいろいろな方とお話をしておりまして、アメリカのデュポンというメーカーが通達を出しておるわけですから、日本のメーカーもやったらどうだろうというお話を申し上げたことがあるわけです。そうしたら、いや実はこういうようにアメリカの方はもう官報に載っておるのだから、日本の国の対応はいかがなものかというような話も出まして、改めて何か遠回りで、非常に重要だけれども、さりとて発表すると影響力が大き過ぎるので、遠慮をしようじゃないかというような声もあったり、あるいはメーカーの中でも思い切ってこの発がん性のアメリカの実験結果ということをある程度流そうというメーカーがあったら、いやそれはちょっとまずいから待てというような話があったり、中身は非常に重要だと思うのです。
 それで、このフェデラルレジスターという官報については外務省も承知をしておると思うので、これは早急に調べられて、通産省はもう持っておみえになるのじゃないかと思いますけれども、ぜひ対応を立てていただいて、せっかく外務省を通じて米国の方からも照会があるわけですから、その一つの事実をとりましても、総合的な対応を立てていただきたいと思うのです。
 私がこの問題を取り上げましたのは、この前の予算委員会でも一回問題提起をしておるわけでありますから、これは別にきょう初めてではございません。そういう上に立って、私のいまの意見に対してどのようなお考えか、お伺いしたいと思います。
#97
○小宅説明員 ただいま先生から御指摘いただきましたとおり、昨年の七月十八日付でアメリカの大河原大使から東京の本省に照会がございまして、本件に関しましては関係省、通産省、農林省、環境庁その他と協議をして、かなり早い段階で訓令をもって回答を送った次第でございますが、ただいま先生から御指摘いただいたようなこともございますので、関係の方面にも当たってみまして、それからまたフェデラルレジスター、つまり米国の官報に載ったという事実は私の手元には来ておりませんけれども、本件につきましても関係者につき調査いたしまして、今後とも外務省としては本件をフォローしていくようにしたいと思います。
#98
○草川委員 私の持ち時間はこれまででありますので、お呼びをした省庁の課長さん、お見えになっていますけれども、時間の関係で終わりますが、ホルムアルデヒドの問題を初め、なおILO条約の中で農業労働者に対する対応で未批准の条約もあるわけです。
 それで、最近、農業労働者と言うと言葉が正確ではございませんが、農業従事者という中では日本で認められていない農薬をかなり散布をいたしておりまして、農業従事者に一つの職業病がかなり発見をされておるという具体的な例もございます。本日は申し上げませんけれども、日本には農業労働者という方々はおみえになりませんが、農業従事者は同様だと思うので、そういう意味でなお未批准のそういうILOの各条約の問題等については批准促進をされることを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#99
○奥田委員長 玉城栄一君。
#100
○玉城委員 大臣への御質疑は、また来週二十二日にこの条約の審議が行われますので、そのときにお願いして、きょうは留保しておきたいと思います。どうかお席をお立ちになって結構でございます。
 インテルサット、それから条約法に関する条約、二件あわせて若干御質疑を行いたいと思います。
 まず最初に、先ほども高沢先生の方から御質疑がございましたけれども、インテルサットの成立の経緯並びに機構の枠組み、そして活動状況、あわせて三点、概略御説明いただきたいと思います。
#101
○矢田部政府委員 まず、インテルサット成立の経緯でございますが、御承知のように戦後の宇宙開発技術の進歩に伴いまして、地球を回る三万六千キロでございますかのところに静止衛星を打ち上げまして、これをいわば無線局として使うことによって、電信電話あるいはテレビ電送といったような国際電気通信業務に利用することが可能になったわけでございますので、そのような業務を実施するための国際的な制度といたしまして、まず一九六四年に暫定的な制度が設立されたわけでございます。その後、この暫定的な制度をより一元的なものにし、かつ、より永続的な基盤を持たせるための交渉が関係国の間で持たれまして、この交渉の結果、一九七一年に国際電気通信衛星機構、いわゆるインテルサットに関する協定が作成されたわけでございまして、この協定は一九七三年に効力を生じ、現在に至っておるわけでございます。
 それから、インテルサットがどのように運営されているかということでございますが、これは機構的に申し上げますと、締約国による総会、それから署名当事者、これは実際に国際公衆電気通信業務を行っておる事業体でございますが、この署名当事者から成る総会、それから理事会及び事務局、この四つのものから構成されておるわけでございます。
 第一の締約国総会というのは、当然のことながら協定締約国の権利義務に関係するような事項について審議し、決定をする機関で、最高機関であるわけでございます。
 それから署名当事者総会は、先ほど申しましたように、事実上電気通信業務を行っておる事業体で構成されるわけでございまして、インテルサットが運用いたします宇宙衛星等についての一般的な規則を作成するとか、そのような直接事業に関係のある事柄を扱っておるわけでございます。
 それから次に理事会でございますが、この理事会というのは執行機関でございまして、これはインテルサットの使用実績等に従って決められたところの出資率に応じて、それから地理的配分をも考慮して選任された二十七から現在成り立っておりまして、宇宙衛星等の企画、開発、設定、運用等に実際の責任を負っておるわけでございます。
 最後に事務局は、この理事会の命令指揮のもとに運用の業務を実際に遂行しておる、こういうことになっております。
#102
○玉城委員 その内容で、国自身が署名当事者となっている国と、それから国の指定する電気通信事業体が署名当事者となっている国、その主要な国を伺いたい。
 それからもう一点は、先ほどちょっと御質疑があったわけでございますが、国が指定する通信事業体が署名当事国となっている、その代表に特権及び免除を与える必要はないという議論があったというふうに聞いているわけですが、この点について政府の考えをお伺いいたします。
#103
○矢田部政府委員 署名当事者として国、政府自体が当たっております例といたしましては、中華人民共和国、インド、インドネシア、ドイツ連邦共和国、フランス等がございます。
 それから通信事業体、これは民間企業を含むわけでございますが、これが運用協定の署名当事者となっておりますものとしては、日本、米国、カナダ、イギリス、イタリア、豪州といったようなところがあるわけでございます。これは実際上国際電気通信業務を国が行っておるか、あるいは私企業が行っておるかということで国の指定が変わっておるというのが実態でございます。
 そのように民間企業が署名当事者である場合についても特権免除を与える必要があるかという議論は、確かに先生御指摘のように、本議定書の作成に当たっては問題点の一つであったわけでございますが、これは実際上、事業体として現実に業務を行っておるものでございますので、そのような署名当事者についても、その代表者が会合に出席する場合あるいはその旅行中等に特定の特権免除を与えることは、このインテルサットの業務の能率的な遂行という目的のために必要であるというふうに判断された次第でございます。
#104
○玉城委員 この議定書の十条に「締約国は、その安全保障のために必要なすべての措置をとる権利を留保する。」とある。この「必要なすべての措置」ということはどのようなことが考えられるのか、概略で結構ですから御説明いただきたいと思います。
#105
○矢田部政府委員 この十条に申しますところの意図は、締約国が国家としての安全を保障するために必要な措置をとることの権利を確保しておることはもちろんでございますが、それ以上に、公の秩序が脅かされるというような場合をも含んでおるというふうに解釈されますので、たとえて申しますれば、インテルサットの職員でありましても、その人物の活動が公安を害するようなことがあり得ると判断された場合には、締約国はたとえば出入国の制限についての免除を認めないといったような措置をとることができるという趣旨でございます。
#106
○玉城委員 郵政省の方に伺いたいのですが、このインテルサットの衛星は、先ほどの御説明でテレビについては二チャンネルというお話があったわけですが、たとえばわが国の場合、民放にしてもたくさんあるわけですね、NHKもあるわけですから、その申し込み割り当ては混乱すると思うのです。その辺の話し合いというのは当然これまでなされてきたと思うのですが、そういう何かきちっとした順序みたいなものがあるわけですか。
#107
○二木説明員 お答え申し上げます。
 テレビはそれぞれ衛星に二チャンネルあるわけでございますが、この二チャンネルの利用につきましては、インテルサット事務局に対する申し込み順で使うようになっております。
#108
○玉城委員 申し込み順ということになりますと、これはもう順序としましては一番最初やった方がいいということになるわけですね。そういうことで理解してよろしいわけですね。
#109
○二木説明員 そのとおりでございます。
#110
○玉城委員 それと、科学技術庁の方に伺っておきたいのですが、わが国の宇宙開発の実情について、静止衛星の打ち上げは成功もあり失敗もあったわけですが、これはアメリカの方に打ち上げ依頼されたのがあるわけですか、それの状況、また、今後もそういう計画があるのか、それから、今回のコロンビア、スペースシャトルの利用についての考え方をあわせて伺っておきたいのですが。
#111
○吉村説明員 お答えいたします。
 アメリカに打ち上げを依頼した衛星があるかという点でございますが、この点につきましては、日本のロケット技術が十分所要の衛星を打ち上げるところまで行っていなかった状態のもとで、現在使われております静止気象衛星「ひまわり」、実験用中容量静止通信衛星及び実験用中型放送衛星、この三つの衛星につきまして打ち上げの要望があったわけでございますが、日本のロケットの打ち上げ能力が要望におこたえするところまで行っていないという事情がございましたので、この三件につきましてはアメリカに依頼をして打ち上げたということがございます。
 現在の状況でございますが、「ひまわり」及び通信衛星につきましては、現在運用中でございます。それから放送衛星につきましては、一部不ぐあいがございます。そのために、テレビの伝送実験を除きましてその他の実験を実施しておるという状況でございます。
 それから、今後打ち上げる計画はあるかということでございますが、現在、宇宙開発計画で定められております衛星につきましては、すべて国産のロケットで打ち上げるという予定になってございます。
 それから、スペースシャトルの利用という点でございますけれども、スペースシャトルのような有人宇宙船につきましては、現在わが国にはそういうものをつくる能力はございませんので、その種の道具を使って行う必要があるものにつきましてはアメリカのスペースシャトルを利用していくというのが基本的な考え方でございまして、現在のところ、スペースシャトルを使ってやろうというふうに予定をいたしておりますものといたしましては、文部省の宇宙科学研究所がNASA等と共同プロジェクトとして第一次スペースラブ計画というものを持っておりまして、その中で粒子加速装置を用いた実験計画というものを推進いたしております。これは、粒子加速装置をスペースシャトルに積みまして、そこから粒子線等を大気中に出すことによりまして人工的にオーロラをつくり、オーロラの発光機構の研究を行おうというものでございまして、現在のところ、実施予定は昭和五十八年の六月ごろの予定ということになってございます。
 それから、これはまだ具体的に時期が決まっておるわけではございませんが、宇宙開発事業団におきましても、宇宙空間を利用いたしまして材料実験をやるということを考えております。そのための種々の研究を現在進めておるところでございます。
#112
○玉城委員 この条約でちょっと最後に伺っておきたいのですが、このインテルサットはまさに宇宙時代の開幕で、これからどういうふうになっていくか想像がむずかしいくらいの、そういう時代到来というような感じもするわけです。そういうことからしまして、このインテルサットというのは非常に重要な役割りがあると思うわけですね。したがって、これは郵政省の方に伺っておきたいのですが、今後の国際電気通信事業政策についてどのような考え方を持っていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。
#113
○二木説明員 お答え申し上げます。
 わが国の国際経済と申しますか、また国際交流は非常に活発になってきております。それに伴いまして、国際電気通信の取り扱いというものも年々増加しております。私ども、この増加する国際通信を不自由なく、自由に外国と交換する、そういうための施設面と申しますか、国際通信回線の増強、そしてその良質な回線を維持するということをまず考えなければならぬだろうと思っておるわけでございます。それで、インテルサットの衛星を使う回線、そしてまた、多ルート化と申しますか、それと並行して海底ケーブルも必要なわけでございますが、そういった面でのこれからの整備また投資というものも増強していく必要があろうかと思っておるわけでございます。
 同時に、最近の国際通信、電話とか電信というだけでございませんで、情報化社会と申しますか、データ通信という分野も非常に伸びてきておりまして、新しい国際通信の形態と申しますか、利用がこれからも多くなってくるわけでありますので、そういうものを日本だけが取り入れるということもできませんで、国際通信ですから多数国の間でいろいろ決めていかなければならぬという問題があるわけでございます。そういう面におきまして、私ども積極的にそのいろいろな場におきまして日本の立場というものを踏まえながら国際化に協力していく必要があろうか、そのようにも思っておるわけでございます。
 さらには、国際電気通信事業は現在、国際電信電話株式会社によって運営されておりますが、株式会社としての活力、そしてまた機動性というものも十分生かして、これからの、先ほど申しましたような国際通信施設の増強、整備というものを図っていってもらいたい、さらには、事業遂行上効率のいい経営をいたして、そして国民へのサービスを強化するように私ども国際電電に対しまして指導監督をしてまいりたい、そのように考えている所存でございます。
#114
○玉城委員 次に、条約法に関する条約について伺いたいのですが、国連総会のもとに設置された国際法委員会により、国際法の漸進的発達及び法典化の一つの議題としてこの条約が取り上げられたと聞いているわけでありますが、この国際法委員会において法典化に適するとされて議題となったものは幾つあるのか、お伺いいたします。
   〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕
#115
○栗山政府委員 お答えいたします。
 国際法委員会の発足当時におきまして、法典化に適するということで、いわば国際法委員会の優先的な議題として委員会が取り組むということにいたしましたものは十四ございます。
 中身を申し上げますと、国家承認及び政府承認に関する問題、それから国家及び政府の承継の問題、国家及びその財産に対します裁判管轄権の免除の問題、国家の領域外で行われた犯罪に関する裁判管轄権の問題、それから公海制度、領海制度、国籍の問題、外国人の処遇の問題、庇護権の問題、それからただいま御審議をいただいております条約法の問題、それから外交関係で外交特権に関します問題、領事関係及び領事官の特権に関します問題、国家責任の問題、それから仲裁裁判手続の問題、以上十四項目が一応当時の国際法委員会の優先項目として決められたものでございます。
#116
○玉城委員 いまおっしゃいましたその十四のうち、条約の成立という形で成果を見たものが幾つ、それから発効したものが幾つ、それからわが国が締結したものが幾つ、ちょっとその御説明をいただきたいのですが。
#117
○栗山政府委員 ただいま申し上げました十四項目のうちから、国際法委員会がずっとその後作業をいたしまして今日まで条約の形になりましたものが九つございます。海洋法の関係で四つの条約、領海及び接続水域に関する条約、公海に関する条約、漁業及び公海の生物資源の保存に関する条約、大陸棚に関する条約、海洋法の以上の四条約、それから外交関係に関するウィーン条約、領事関係に関するウィーン条約、それからただいま御審議いただいております条約法に関するウィーン条約、それから無国籍の削減に関する条約、以上はいずれも発効いたしておりますが、条約はできておりますがまだ発効するに至っておらない条約といたしまして、条約についての国家承継に関するウィーン条約というものがございます。
 このうちでわが国が加入しておりますものは、先ほどの海洋法四条約のうちの領海条約と公海条約、それから外交関係に関するウィーン条約、以上の三件でございます。
#118
○玉城委員 十四のうち、わが国が締結したのは三件ということになるわけですね。
#119
○栗山政府委員 私の言葉が足りませんでしたかもわかりませんけれども、十四項目のうちから国際法委員会がいろいろと作業しましてつくりました条約が九本、このうちわが国が入っておりますものが三本、こういうことでございます。
#120
○玉城委員 そこで、さっきの御説明の中にもありましたけれども、無国籍の削減に関する条約には入っておらないわけですね。その条約の内容と、入っていない理由をお伺いいたします。
#121
○栗山政府委員 無国籍の削減に関する条約につきましては、これは昭和五十年に発効いたしておりますが、わが国はまだ入っておりません。締約国が十カ国、現在までのところ条約に入っております国は十カ国でございます。
 それで、この条約は、一般的に申し上げまして、国際法委員会がこれを取り上げまして条約をつくりました理由は、御承知のように無国籍者の保護というものは国連のみならず従来から国際法の分野におきまして一つの大きな関心事でございまして、そういう観点から、無国籍者になる可能性のある者をできるだけ少なくしようということから、無国籍者になる可能性のある者についての国籍の付与につきまして一定のルールを国際的に決めよう、こういうことででき上がりました条約でございまして、内容をごく簡単に申し上げますと、たとえば領域内で出生した者で無国籍となる者に対しては原則としてその国の国籍を与えるというようなことから始まりまして、一定の条件のもとで、先ほど申し上げましたように、無国籍になる可能性のある者に対しまして一定のルールで国籍を与えていくということを決めておるわけでございます。
 わが国がこれに入っておらない理由でございますが、御承知のようにわが国の国籍法が父系主義をとっておりまして、現行の、いま申し上げましたような国籍法のたてまえというものとこの条約を比べますと、国籍法のたてまえ上非常に問題があるということで、これまでのところこの条約に加入するということには至っておらないわけでございます。先ほど、条約に加入している当事国が十カ国ということを申し上げましたが、そのように条約の当事国の数がいまだ少ないというのも、ほかの国にもその国の国籍法のたてまえとの関連でこの条約に入ることがなかなかむずかしいという事情があるからだと私ども考えております。
#122
○玉城委員 そうしますと、この条約についてわが国は今後加入の見通しがないというふうに理解していいわけですか。
#123
○栗山政府委員 現段階で確定的なことは必ずしも申し上げられないと思いますが、他方におきまして、先ほど申し上げました父系主義に基づきます現行の国籍法のたてまえにつきましては、いろいろ再検討しようということも出てきております。父系主義でなくて、父母両系主義をとろうというようなことも、目下法務省の方でいろいろ検討中でございますので、そういう日本の国籍法のたてまえが変わってくるということになりますれば、この条約に日本も入るという可能性も生じてこようかと存じます。
#124
○玉城委員 御存じのとおり、沖繩の方に無国籍児がおりますが、わが国の国籍法の問題がいろいろありまして、なかなか解決がうまくいっておらないわけですね。ですから、法務省との関係もありますが、できるだけこういう条約への加入促進を要望しておきたいと思います。
 それと、先ほど九つの条約成立を言われましたが、現在、ほかの条約草案の作業というのはどんなふうな状態にあるわけですか。
#125
○栗山政府委員 現在のところ、国際法委員会はほかの問題にもいろいろ取り組んでおります。最近では、当初委員会が発足いたしました時点で、いわば重点的、優先的に取り上げていくということで決めました十四項目以外の項目につきましてもいろいろ作業しております。進捗状況につきましては多少の相違がございますが、現在、委員会が草案をつくっておりますものを申し上げますと、国家責任に関します問題、条約以外の国家承継に関します問題、国と国際機関の間の条約法に関します問題、国際河川の非航行的利用に関します問題、それから、先ほど優先項目の中でも申し上げましたが、国及びその財産の裁判権免除の問題、それから、外交特権の一環としまして、外交伝書使、外交行嚢の地位という問題、国際法によって禁止されていない不法行為でない行為に起因する損害に対する国家責任の問題、国と国際機関の関係の特権免除に関します問題の八つでございます。国際法委員会は、現在こういう問題について具体的な条約草案の作業をやっております。
#126
○玉城委員 そこで、この条約草案作成会議には各国の国際法学者が集まっていろいろな議論をされたというふうに聞いておりますが、わが国の代表はどういう方が参加をされ、また、会議でどのように貢献をされたのか、また、わが国の意思はどういうように反映されているのか、伺いたいと思います。
#127
○栗山政府委員 まず、国際法委員会で作業が行われておりまして、わが国から委員会のメンバーとして参加をしておりました当初の段階におきましては、後に最高裁の長官になられました横田喜三郎博士が日本から参加をしております。その横田先生以後におきましては、外務省の鶴岡大使が委員としてその後引き続き条約草案が完成するまで参加をしておりまして、草案の作成に非常に寄与をしたという経緯がございます。それから、代表会議の方におきましては、もちろん政府の代表ということでございますが、代表団の中に国際法の先生にも参加していただきまして、代表団の中でいろいろ意見をいただいたという経緯もございます。
 わが国が具体的にどういうふうに寄与をしたかという御質問でございますが、典型的な例を申し上げますと、この条約で一番むずかしかった問題は、この条約の第五部というところに規定しております一連の条約の無効、終了の原因、これをどういうふうに規定するか、それからそれに伴いまして、当事国間で紛争が生じましたときにその紛争をどういうふうな手続で処理するかという問題が最後まで会議におきまして議論されたわけでございますが、最終的にこの条約の規定になりましたところの、強行規範に抵触する条約については無効であるというのがございますが、こういう強行規範に関連した問題については、紛争が生じたときには仲裁または国際司法裁判所に行くという規定になっておりますけれども、この規定などはまさに日本が非常に強く主張しまして、ほかの意見を同じくする国とともに会議の中で働きまして、最終的に条約の中に盛り込まれるということになった経緯がございます。
 ただいま申し上げました規定などは条約関係を安定させていく上で非常に重要な規定でございまして、外国の国際法学者の中でも、この規定が実現するに際しての日本の役割りと申しますか、寄与と申しますか、そういうものを評価しておる、法学雑誌の中でそういうことを言っておるというようなこともございます。典型的な例として申し上げましたけれども、そういうことでございます。
#128
○玉城委員 この条約の二十六条には「条約を誠実に履行しなければならない。」と規定されておりますが、これは条約を締結する限りは当然のことだと思うのですね。しかし、現実は誠実に履行しない場合も起こり得るわけです。この場合、履行しなかった国に対して国際法上どういうことが起こり得るのか、御説明いただきたいと思います。
#129
○栗山政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、一たん結んだ条約は誠実に守らなければならないということが国際法の大原則でございます。したがいまして、条約に違反するという事態になりました場合には、当然のことながら国際法上の不法行為ということになりまして、そういう不法行為の場合の国家責任というものが生ずることになります。したがいまして、そういう不法行為に起因する国家責任の解除ということが、条約違反を行った国の義務として国際法上出てくるということでございます。
 そういう不法行為の責任解除の方法につきましてどういう方法があるかということになりますと、その不法行為の内容、程度、それからその不法行為によって起こされた相手国の法益侵害、その重大性、そういうものに即して個々の事態で判断されるということになろうかと思いますが、一般的に言われております責任解除の手段としましては、たとえば原状回復でございますとか、損害賠償の支払いでございますとか、それから非常に軽微な場合には陳謝ということも一つの責任解除の手段として言われております。そのほか、ケースによりましては、責任者の処罰というようなこともその国の不法行為の責任解除手段としてあるということでございます。
 さらに申し上げますと、仮にそういうことがなかなか行われないという場合にそれを強制する方法が整備されてないというところが、まさに国際法あるいは国際社会の一つの大きな問題でございますけれども、国際司法裁判所に提訴して裁判所の判断を仰ぐとか、さらには一応国連憲章上のたてまえといたしましては、国際司法裁判所の判決になお従わないという国が出てきた場合には、安保理事会にこれを提訴して、安保理の勧告なり決定なりを求めるということも国連憲章上の道としては定められておる。これが実際に作動するかどうかということになりますと、これはまた国際社会の現実の問題がございますので、いろいろ問題があろうかと思いますが、一応理論的なものとしてはそういう道もあるということでございます。
#130
○玉城委員 一般的にはそういうことになって、今回大きな問題になっています米原潜の事件、これはやはり公海条約十二条に該当して、いまおっしゃるようなことになっていくわけですね。
#131
○栗山政府委員 ただいま御指摘の公海条約につきましては、十二条で「いずれの国も、自国の旗を掲げて航行する船舶の船長に対し、船舶、乗組員又は旅客に重大な危険を及ぼさない限度において次の措置を執ることを要求するものとする。」とございまして、次の措置の中に「衝突したときは、相手の船舶並びにその乗組員及び旅客に援助を与え、また、可能なときは、自己の船舶の名称、船籍港及び寄港しようとする最も近い港を相手の船舶に知らせること。」ということになっておりますので、今回の事故につきましてもこのルールが基本的には適用があるということだろうと思いますが、これがアメリカの公海条約違反ということになるかどうかということにつきましては、御承知のように現在事故の原因その他につきまして調査中でございますので、調査の結果を見ないと現段階では何とも言えないということだろうと思います。
#132
○玉城委員 時間がございませんので、この条約は六九年に採択されて、昨年効力を生じているわけですが、国際社会の法秩序の整備及び発展に貢献していくためにも、もっと早く加入すべきではなかったかと思うのですが、その点からひとつお伺いいたします。
#133
○栗山政府委員 世界の平和を守り、国際社会の繁栄を確保していくためには、ただいまおっしゃいましたように、国際社会の法秩序の安定と発展というものが大前提だろうと思います。その観念で、特に戦後のように国の数もふえ、国際関係も多様化してまいりましたときに、国際社会の中で条約の果たす役割りというものが非常に増大してきておりますので、そういう条約に関します基本的なルールを定めた条約法条約というものが非常に重要な条約であり、わが国の国際社会の地位、それから平和国家としての日本の基本姿勢というものを考えました場合に、当然こういう条約に加入して、先ほど申し上げましたような国際社会の法秩序の安定、発展に寄与していくということは必要だろうというふうに考えます。
 ただ、条約の加入のタイミングということになりますると、先ほどもちょっと申し上げましたが、この条約ができます過程におきましては非常にいろいろ議論がございました。今日のように国際社会、国の数も非常にふえて、イデオロギーの違いとか、社会経済体制の違いとか、経済的な国の発展度の違いとか、そういういろいろな要素からやはり各国の価値体系とかいうものが違いますので、こういう国際法の大きな問題を条約にまとめようということになりますると、いろいろ意見の相違も条約作成の過程で非常にございまして、一たん条約が採択されました後でもなかなかこの条約に入ってくる国が遅々としてふえなかったわけでございます。
 それで、御承知のようにこの条約法条約は条約に入っている国の間だけでルールが適用があるという性質の条約でございますので、やはり条約も発効し、ある一定度の国の数が参加する、国際社会にこの条約が受け入れられていくということを見定める必要があるというのが、私どもの考えであったわけでございます。そういう観点から各国の批准、加入の状況をずっと見守ってまいったわけですが、昨年に至りまして、ようやく三十五カ国という発効要件を満たしまして条約が発効するということになりましたので、ここに至って日本としてもいよいよこれに加入する機が熟したというふうに判断して、今国会に御承認をお願いいたしておるという次第でございます。
#134
○玉城委員 外務省はよく様子を見てからという、この前もそういう議論があったわけですが、何かの事情がありまして失効になった条約を再び復活させるという場合は、やはり国会の承認を求めるわけですね。
#135
○栗山政府委員 一たん失効いたしました条約を再び生き返らせて締結するという場合には、その当初の条約につきまして国会の御承認をいただいておるというものでありますれば、それは改めてまた国会の御承認をいただくということになろうかと存じます。
 ちなみに、今国会で先般御審議いただきました北太平洋のオットセイの保存に関します条約、これなどもまさにいま先生の御質問がありましたようなケースだろうと存じます。
#136
○玉城委員 もう最後になりますが、第二次大戦によってわが国と敵国関係にあった国との条約は失効し、そしてあるものは復活したと思いますが、どうでしょうか。
#137
○栗山政府委員 平和条約の規定によりまして、戦前条約の復活というのがございます。
#138
○玉城委員 残余の質問につきましては、また次回にお伺いしたいと思います。
#139
○松本(十)委員長代理 土井たか子君。
#140
○土井委員 私はこれから、業務災害の場合における給付に関する条約、すなわちILO百二十一号条約について、付表Iの改正点について御質問を申し上げたいと思うのです。
 まずお尋ねしたいことは、わが国はILO条約が採択された中で批准をしている件数はまことに少ないのですが、そういう点からいうと、わが国はILOに加盟している国の中で成績のいい方だとお思いですか、成績は悪い国だとお思いですか、自己採点してみてください。
#141
○小宅説明員 いままでILOで採択されました条約は全部で百五十三本ございますが、そのうちわが国が批准を済ませましたのは三十六本、それほど大きな数ではありません。また各国と比較いたしましても、先進国のうちではフランスの百二本、あるいはイタリアの八十一、英国の七十六と比較いたしますと、数の上では劣っていると思います。
 ですから、私どもといたしましては、未批准のILOの条約につきましては可能な限りこれを批准していくようにするのが国際的にも正しいものと思いますが、現在未批准となっていますのは、国内法制上の整合性の問題がありましていろいろと問題点があるということも、これまた事実でございます。
#142
○土井委員 決して成績がよくはない、いま率直にそのことをお認めになった御答弁です。そして、それにつけ加えて、これに対して国内的ないろいろな措置があるからそうなっている、これも非常に率直なんです。日本は先進国だといいながら、こういう労働関係のいろいろな諸問題を見ていきますと、先進国の中では非常におくれている国である、中身からするとまだまだ改善、改革をしなければならない国である、こういうことに相なろうかと思うのです。そういうことをまず最初に申し上げておきます。
 五十年のことでございますけれども、当委員会におきまして、ILOの百二号条約についてこれを承認いたしまして、批准いたしました。その節、もう御案内のとおりで、全会一致のこれに対しての附帯決議がございます。中身に、ILO「一〇二号条約に関し今回受諾しない部門、特に、母性給付及び遺族給付について、本条約の趣旨をふまえてその改善をはかるととともに、すみやかに条約第四条条1の規定に基づく義務受諾の通告を行うよう努力すべきである。」と明確に、これは全会一致で認めたのです。それに対しまして、大臣の方も特に決意を込めて「労働問題の分野におけるわが国の国際信用を高めることにもなり、きわめて有意義と考えておりますので、今後とも十分検討してまいりたいと考えます。」というふうな御答弁があったわけです。
 さらに先日であります。二月二十六日の予算委員会の席におきまして、私はILO条約百二号の留保条項の解除について、前々外務大臣でございます、ただいまの園田厚生大臣に対しまして質問をいたしました結果、厚生大臣は早急にこれについては未批准のものを批准すべく努力しなければならないという異常なる決意を込めての御答弁なんですが、五十年から今日に至るまで、この点に対しての努力というのはどんなことになっているのですか。未批准の部分について未批准を解除して、百二号条約については完全な姿で日本は批准できるような条件をつくるためにどれだけの努力をなさったのですか、ひとつその辺をお聞かせいただきたいと思います。
    〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕
#143
○平賀説明員 御質問の中にもありましたように、百二号条約で義務を受諾していない部分についてはすべてが厚生省の所管事項でございます。したがって、労働省の所管ということではございませんけれども、この条約の批准手続をとって以来、その関係部分について、健康保険法その他関係法律の改正によりまして逐次前進が図られているところでございます。
#144
○土井委員 労働省が御答弁なさるのは、実は率直に申し上げて筋違いだと思います。全会一致のことでの附帯決議に対してお答えになっているのは当時の外務大臣なんです。その後の努力についてもなさるべきは外務省なんです。前々外務大臣、ただいまの厚生大臣の御答弁は、そういう意味も含めての御答弁だったはずです。私は外務省にお伺いしたい。どういう御努力をなさっていますか。
#145
○小宅説明員 本条約に基づく義務の未受諾部門につきましては、従来から各方面よりその受諾が要請されていることは私どもも承知しております。したがって、外務省といたしましてもできる限り早期にこれを受諾することが望ましいと考えております。こういう基本的な考え方に立ちまして、今後とも関係省庁と話し合っていきたいと思います。
#146
○土井委員 そういう御答弁では私は満足しないのです。五十年この方、何年たっているのですか。五十年のその審議が終わってから後、私は再度この問題についても当委員会で質問している機会があるのですよ。その節は留保条項のたな上げにしている中身についても諸般の事情についての説明があったのですが、しかし、そのことを踏まえながらさらに努力するという約束が外務省としてはあったのです。毎回これは前向きに努力するとか、そのことに対しては努力を積み重ねていきたいとか聞かされるだけではどうにもならないのです。どうなんですか。
#147
○小宅説明員 お答えいたします。
 本条約を批准した際に義務を受諾しなかった部門は五つございます。この五つのうち、廃疾に関するもの及び遺族に関するものにつきましては、その後の関係国内法制の整備によりまして国内給付水準が高まっていると承知しております。したがって、これらの部門につきましては、その義務を受諾するという可能性を含めまして関係省庁と今後話し合いを進めていきたいと思います。
 あと残る三つの部門、医療及び家族、母性に伴う給付でございますか、これにつきましては依然として国内法制との整合性の問題がありまして問題があると承知しておりますが、この点につきましても今後引き続き関係省庁での検討をお願いしていきたいと考えております。
#148
○土井委員 ちょっと待ってください。いま受諾しなかった部門が五つあるとおっしゃいましたね。そうですが、本当に五つですか。
#149
○小宅説明員 はい、五つでございます。
#150
○土井委員 しかし、いまの御答弁でも私はなおかつ満足をいたしません。これは十分厚生省と連絡をとっていらっしゃるのですか、外務省とすれば。一たんここで国会の承認を得てILO条約を批准してしまったら、はいそれまでよになっているのじゃないですか。あとは何と本委員会で決議しようが何を要求しようが、一たん批准してしまった条約は離陸した、知ったことじゃないということじゃないですか。私は余り努力なすっているように見えないのですよ。いかがです。
#151
○小宅説明員 本件につきましてはいろいろ複雑な国内法制も絡む問題ではございますが、国会での決議のことも体して考えまして、従来とも引き続き関係省とは連絡を続けているところでございますが、今回の土井先生の御指摘もありますので、この点を十分頭に置きまして本件にさらに取り組んでいきたいと思います。
#152
○土井委員 その都度その都度そういう答弁をやっていたら何とか時間つなぎができるというふうな御認識だったら、それは違うということを私は申し上げたいと思うのです。
 今回の百二十一号条約の付表のIの改正に掲げられている職業病のわが国における発生率というのはどういうことになっているのですか、それでまた、こういう職業病に対しての政府の対策というのはどういうことになっているのですか、まずこれからお伺いしましょう。
#153
○林説明員 お答えします。
 ILOの条約だけでなくて、私どもそれを包括しまして職業病の表を例の労働基準法の則三十五条の別表に掲げておりますが、これに基づく業務上の疾病の件数は五十三年度で約二万七千件、五十四年度で約二万九千件となっております。ただ、この中では、あの表に掲げてあるほかに、外傷性の脊髄損傷とか、あるいはやけど、こういうものも含んでおります。
#154
○土井委員 それは事実についての御指摘をいまいただいた限りでありますが、それに対する政府の対策ということについてあらましをまず御説明しておいていただきたいと思います。職業病に対する政府の対策についてあらまし説明を求めます、こういうふうに質問すれば、どういうふうにお答えになりますか。
#155
○林部説明員 大変大きな問題でございますので簡潔に申し上げるのはなかなかむずかしいのでありますが、法的には安全衛生法というものがございまして、すでに先生それはよく御承知と思いますが、安全衛生法に基づきまして職域での職業病の予防対策というものを講じてまいるという形になっているわけでございます。
 それで、労働衛生の見地から職業病の予防というものを図る場合の考え方のポイントになるようなものを申し上げますれば、労働衛生管理というものを職域においてどのような形で進めていくかということについて簡単に申し上げればよいのではないかと思うわけでございますが、現在の労働衛生管理というのは、大きく分けますと、一つは環境を管理していくという意味での問題が一つの柱になります。それからもう一つは、労働者の作業そのものをどう管理をしていくか。環境が非常によくても作業そのものに問題があれば病気が出てくるということがございますから、そういった作業管理の問題。そしてもう一つが、個々の労働者あるいは労働者集団というものを見ました健康管理の問題というようなことになろうかと思います。
 そういった労働衛生管理というものが、現実には生産の場はいろいろな材料なり工法なりが技術の進歩に伴って動いていくものでございますから、そういう動いていく実態に即応するためには衛生管理体制というものが確立されていなければいけないという問題がございますので、衛生管理体制の確立ということによって、いま私が申し上げましたような環境の管理あるいは作業の管理、健康診断を含めます健康管理というものを推進していかなければいけない。
 そして、もう一つのポイントは、現実に労働者の立場でいろいろなことをよく知っていてもらう必要があるという点では、安全衛生教育と申しますか、そういうものが非常に重要なことになるのではないかと思います。
 簡単に申し上げれば、労働衛生の見地から職場の労働衛生管理を推進するための基本的な柱といえば、いま私が申し上げたようなことになるのではないかと思います。
#156
○土井委員 そうすると、いまの御答弁をじっと承っておりますと、労働災害防止の施策に重点を置いて考えていらっしゃるというかっこうになるのですが、今回のこのILO百二十一号の付表Iの改正に基づきまして、ならば労働災害防止計画の見直しということをその節行う必要が出てくるのですか、出てこないのですか、どうなんですか。
#157
○林部説明員 私が先ほど災害というような表現をいたしましたかもしれませんが、広い意味での労働災害の中には職業病というものが含まれておるというふうに御理解をいただきたいと思います。そういう見地から、安全の問題、衛生の問題両方含めまして労働災害防止計画というものを立てているわけでございますが、今回の付表の中に含まれております病気というのは、基本的に労働災害防止計画全体を見直さなければならないような大改正ということではございませんので、その意味では防止計画そのものを抜本的に見直すということには現在の時点ではまだなっておらぬということでございます。
#158
○土井委員 ところで、その職業病というのと業務上疾病というのは同じなんですか、違うのですか、どうなんですか。
#159
○林説明員 大体のニュアンスでは同じと思いますが、実際の運営上では、私どもが労災補償で認めている業務上疾病はこれこれであるという形になっております。
#160
○土井委員 その業務上疾病を認めているのはこれこれであるとおっしゃることについて、具体的な範囲を規定しているのは労働基準法施行規則第三十五条の見直しによって具体的にしていくという作業があるはずでありますが、この労働基準法施行規則第三十五条の定期検討のための専門委員会というのがどのような形でつくられ、今日に至るまでどういうことになっているかという概要をひとつ説明いただきたいと思います。
#161
○林説明員 お答えします。
 先生から言われました則三十五条の定期的な検討の委員会は、その後いろいろな医学的な知識を集めまして新しい職業病の発生なり検討に努力をしておりますが、今回のILO百二十一号条約の付表の改正に当たりましても、それを則三十五条と対比して検討いたしまして、もう御存じと思いますが、則三十五条の中に超硬合金による疾病を追加いたしまして、その他の新しく追加された疾病につきましては、現在の則三十五条で十分解釈できるということを行いました。なお今後とも、いろいろ出てくる問題について検討をいたす予定でございます。
#162
○土井委員 その専門委員会はいつつくられたのですか。
#163
○林説明員 お答えします。
 昭和五十三年十二月一日が第一回の開催でございます。
#164
○土井委員 一九七八年十二月ですね。
 それから、先ほどおっしゃいました昨年の十二月までの間に何回専門委員会の会合を持っていらっしゃるのですか。
#165
○林説明員 お答えします。
 第二回が昭和五十四年五月十四日、第三回が昭和五十五年十二月三日でございます。第四回は近く開く予定でございます。
#166
○土井委員 最後の方はにやにや笑わざるを得ない。大変有能な専門家が十三人も中に入っていらっしゃる。学識経験者、医学者、臨床医学、公衆衛生の方の専門家、それぞれの方々が入っていらっしゃる。それぞれお忙しい先生方ばかりだとは思いますが、これは三年ごとの見直しということになっているのでしょう。三年ごとの見直しの作業について、一年に一回、一年半に一回、これは本当に作業をやっていると言えますか。三年間にわずか三回しかやってないのですよ。一回目の会合は何をやったのですか。二回目の会合は何をやったのですか。三回目は今回のILOのためだけの中身と申し上げてもいい。一回目、二回目の会合の中身を言ってみてください。
#167
○林説明員 第一回目の会合では、委員会の今後の検討方法等について具体的に検討しております。第二回目の会合では、諸外国における職業病リストとの対比について検討しております。第三回目の会合では、ILO第百二十一号条約の付表Iの改正について検討しております。
#168
○土井委員 そこで、ちょっとお尋ねしたいことが出てくるのです。ちょうど五十三年に専門委員会が設けられたときに、労災保険審議会と中央労働基準審議会の合同小委員会報告というのがございまして、五十三年三月九日付で出されているのですが、その中では「寒冷な場所における自律神経失調疾患等の疾病、過労による脳疾患・心疾患、ストレスによる消化器疾患・精神神経疾患、改正省令案要綱に例示された以外の職業がんその他改正省令案要綱の審議の過程において問題提起のあった疾病については、定期的検討の一環として、今後さらに検討すること。」となっているのですが、これは検討されているのですか、どうなんですか。ただの一度でも検討されたことがあるのですか、どうですか。
#169
○林説明員 具体的に委員会ではまだ検討したことはございません。ただし、それらの疾病のうち、いろいろな文献なり、これは文献は外国のが多いのですが、あるいは日本のいろいろな例なりについて調査を依頼していることはございます。
#170
○土井委員 さらに、同じこの合同小委員会報告についてお尋ねをいたしますが、「認定基準に関しては、必要に応じ労働者災害補償保険審議会において労使の意見を聴く機会を設けることが望ましいこと。」と書いてあるのですが、これまた具体的にやっていらっしゃるかやっていらっしゃらないか、いかがですか。
#171
○林説明員 お答えします。
 最近では石綿による疾患、それから、じん肺疾患により発生するがん、これの認定基準について審議会に御報告しております。
#172
○土井委員 私がいまお尋ねしたのは、報告書をもっとよく読んでひとつお答えいただきたいと思うのですよ。「労働者災害補償保険審議会において労使の意見を聴く機会を設ける」とちゃんと書いてあるのですが、これについておやりになっているかどうかということを私はお尋ねしているのです。ないでしょう、どうですか。
#173
○林説明員 いま申し上げましたような認定基準の原案の作成につきましては、医学のその方面の専門家を集めまして、その人方の意見によってつくりまして、それを審議会に御報告して、そこで御意見があれば御意見を求めるという形で行っております。
#174
○土井委員 本当ですか、これは後で問題になりますよ。労働者災害補償保険審議会において労使の意見をちゃんと聞いていらっしゃるのですね、そういうふうにお答えになりますね。後で問題にいたしますよ。そういうふうに理解して承っておいてよろしいか。
#175
○林説明員 いま申し上げましたような形で御意見をお伺いしたというふうに理解しております。
#176
○土井委員 実際は、この労働者災害補償保険審議会の労使の労の方の意見を出す機会は全くいままでにないのです。事実はそのとおりなんです。いいかげんな答弁で、ここで恐らく土井は知らないだろう、いいかげんな答弁をやってここの場所を済ませばそれでいいのだというふうな御気分じゃ、これはとてもまかり通りません。そういう機会は現にない。
 そして、さらにお尋ねしますが、認定要件設定に関する専門家会議というのがありますね。労働省の方では年次計画も練っていらっしゃる。五十四年から五十五年度、五十六年度と三年計画です。これに対しては予算も計上されている。
 中身を見ていくと専門家会議の名前は実は九つございまして、業務上の認定要件設定のための専門家会議、化学的因子による疾病に関する専門家会議等々九つあります。十六の分科会に分かれております。また、別に特定疾病の認定のための専門家会議の中には、さらに細かく三つの専門家会議に分かれています。
 五十四年度から五十五年度、五十六年度と予算を計上されているのですが、この中で年次計画どおりに具体的に作業が実行し得た件数はどれくらいあるのですか。ここに私、一覧表を持っていますけれども、これは見れば見るほどあきれ果てる中身ですよ。九つの専門家会議、十六の分科会の中でわずか二つの分科会だけが何とかクリアしているのです。中身はじん肺分科会、だから先ほどおっしゃった。アスベストによる呼吸器疾患分科会、この二つです。それ以外は、年次計画が五十四年度から組まれていっているのだけれども、全然どうにもならない。五十六年度には全部の専門家会議と分科会は作業を終える手はずになっているのに、この二つの分科会以外はどこも全部作業は予定どおりいっていないのです。これは事実として確認をさせていただきますが、これは労働省よく御存じでしょう、どうですか。
#177
○林説明員 検討の結果、結論を得たのは、先生のおっしゃるとおり現在までは二つだけでございます。なお現在検討を進めておりますし、また、委託研究なども行っておる事案もございます。
#178
○土井委員 これはしかし、そういう御答弁をなさるとき、非常に苦しいだろうと私はお察しします。予定からすれば、五十四年度にもうすでに作業を終えていなければならない分科会というものはたくさんある。しかし、これが結論を得ていないのです。五十五年度もさようでございます。全部の専門家会議、分科会は五十六年度、つまり本年度には作業を終えなければならない、結論を出さなければならない。とても心もとない。こういうことが現実の姿、形なんです。
 そういうことを確認をして、つまり、三年前に掲げられた要検討事項については具体的な検討がないのです。素通りで、そうして昨年六月に第六十六回のILO総会で改正されたILOの百二十一号条約、まさにただいまこの外務委員会で審議をするという瀬戸際になりまして、付表Iの職業病リストとの対比で欠落していた超硬合金の気管支肺疾患が追加されるだけに終わったというふうに見ていい、このように私は思うのです。これはいわば括弧つきですよ、きょうのこの日のための。私はこういうことをずっと見てまいりますと、労働行政というのは一体何なのだという気がしてなりません。
 なぜこういうことをあえて言うかといったら、十三人の大変お忙しい先生方に責任があるとは私は実は思わないのです。なぜか。労働基準法施行規則第三十五条の定期検討のための専門委員会の運営というのは非公開、その上に、ここにただいま持ってまいっておりますけれども、第一回の会議で議事の概要というのがまとめられております。
 検討の方法としては、「一、検討事項は原則として事務局が依頼した事項とする、」「二、検討資料の提出は原則として事務局が行う。」事務局というのはどこですか、労働省ですよ。したがって、労働省が検討事項に対して依頼しないと事は起きないのです。労働省が検討資料を提出しないと作業は進まない。私は労働省が万事問題だと思うのです。
 こういうことからいたしますと、労働省の意向に基づく事務当局のただいままでの作業、どうも専門委員会というものは、本当に専門委員の方々について言うならば一流メンバーをそろえながら、その機能の面から見て宝の持ちぐされと申し上げてもいいような気がしてなりません。関係者の間で批判が出てくるのも決しておかしくないと思うのですけれども、どのように労働省としてはお考えになっていらっしゃいますか。
#179
○林説明員 先生御指摘の則三十五条の定期検討の委員会につきましては、問題として出されておりました例のストレスによるとかそういう問題について、先ほどもおっしゃいましたように現在資料収集の委託その他を行っておりますので、できるだけ速やかにそういう基礎資料を得次第、当委員会で検討をしていただくようにしようと思っております。
#180
○土井委員 いま承っていて、実は余り熱のあるような御答弁には聞こえてこないのです。現行労基法の施行規則三十五条は国際的な水準から見ても高いレベルにあるということを、労働省としてはいろいろといままでに答弁の中でもお答えになってきているのです。会議録を見ると、そのとおりの御答弁があっちにもこっちにも出ているのです。しかし、三年前に要検討事項に取り上げられた多くの疾病というのは、当時すでにわが国の実態から見て問題ありとして提起されたものばかりなんですね。それについての作業が、この三年間、いま私が申し上げたような作業内容になり終わってきているのです。こういう状況を背景にしながら、ただいまのILOの条約の一部改正です。
 先日、外務省の方からは、この付表の職業病の一覧表のところが変わるだけの話であって問題ございませんという説明なんです、承っておりますと。指定される数がふえる、結構じゃありませんかという認識だろうと思うのです。別に問題ありませんというふうな御説明になり終わっているのですが、いままでに十五あった職業病の中身がさらに十四ふえて二十九になる、それだけの違いだとお感じになったら、これは間違いですよ。そういう認識で、この条約の取り扱いというのは簡単なことだ、十五が十四ふえて二十九になった、結構ですねと言って、審議の中ではそれだけの問題じゃないかという御認識を外務省がお持ちになっていらっしゃるのだったら、私は大変な間違いだと思うのです。そんなことじゃないのです。
 日本の国内の労働行政、いま私が申し上げたのはこれは氷山の一角ですよ。こういうことが実はこのILOを批准している日本の国内には現実の問題としてある。これをこのまま据え置くようなかっこうでまた、向こう三年の見直しまでの間、来年を初年度とする向こう三年も同じようなことを相変わらず続けていていいかという問題もあるのです。
 外務省は外務省だけのなわ張りで、自分たちはこの改正の中身についてある文言だけ読んでおればそれでよいというふうな御気分の方が中におありになるのかもしれませんけれども、私はこれは大変な間違いだと思っているのです。やはりその辺は労働省と緊密な連絡をとり合いながら、中身について、実質面についてもしっかり押さえておいていただかなければならない。そうすると、自然に私たちが受けるようないろいろな説明だって説明の中身が違ってこようと思うのです。
 先日、私に説明をしてくださった、わざわざ足を運んでくださったことには感謝をいたしますけれども、この条約の中身については至極簡単なことだと単におっしゃっておられました。私は、そうですがねと言って、それだけ聞きおきましたけれども、考えてみると中身は大変なことですよ。労働現場の人たちというのは、毎日こういうことについて無関係でない日はございません。そういうことを念頭から外さずに、こういう条約の改正の簡単に見える中身も、血の通った問題として見ていただきたい、このことを私は外務省に切に申し上げたいと思います。外務大臣、どうですか。
#181
○伊東国務大臣 条約の全般的な取りまとめということで外務省がやっておるわけでございますが、その内容について外務省としてもっと実質的な関心を持って研究し、各省と十分に連絡するべきだというお話は、私もごもっともな御意見と思うのです。私も農林省にずっといたことがあって、外務省といろいろやったことがありますが、そういうことは大切なことだと思いますので、今後内部の会議等を通じて趣旨の徹底を図っていきたいと思います。
#182
○土井委員 さらに具体的事例については次回に回します。具体的事例を一つ挙げて、さらに私は追及を継続します。
 本日は、これで一応終えたいと思います。ありがとうございました。
#183
○奥田委員長 野間友一君。
#184
○野間委員 先ほども土井委員の方から話がありましたが、わが国の条約なり、あるいは勧告の批准状況を見てみますと、いまの答弁では百五十三本のうちわずか三十六本、フランスやイタリアの数がいま挙げられましたが、一番多いのがスペインの百五本、こういうふうになっています。大変に少ないわけであります。
 最初にお聞きしたいのは、ILOの任務と活動は一体何なのか、どういう意義があるのか、それからもう一つは、条約あるいは勧告の持つ意味あるいは法的な性格、これについてまず質問をいたしたいと思います。
#185
○小宅説明員 ILOと申しますのは、労働の分野における国連の専門機関で、目標といたしましては、労働者の労働条件の改善というものを通じまして社会正義を図るということでございます。これを目的とした普遍的な国際機関、われわれはこういうふうに観念しております。そのためにILOは、たとえばいろんな国際会議を招集する、あるいは一定の条約ないしは勧告を作成する、各国に対する一種の規範をつくっていく、それからまた技術援助もしていく、必要な調査研究もしていく、こういう国際機関と思っております。したがって、わが国としても専門機関のうちでも大変重視している国際機関であると思います。
#186
○野間委員 条約、勧告の持つ法的な性格についてもいま尋ねておるわけです。
#187
○小宅説明員 失礼いたしました。
 ILOがつくりますものは条約と勧告と二つありますが、条約は、国際約束として統一的な基準を設定いたしまして、各国の批准を得てその適用の確保を図ろうとするものでございます。これに対しまして勧告といいますのは、各国の経済的社会的な事情等から見まして、画一的な規制を行うということがむずかしいと思われる事項につきまして、一定の目標を掲げて、各国をこれに近づけさせるということを目的とするものと考えております。
#188
○野間委員 採択された百五十三本のうちわが国が批准しておるのは三十六本ですか、この百五十三本のうち、わが国が採決の際に賛成をしないというものもあるのかどうか、あるとすれば何本ぐらい、どういうものがあるのか。
#189
○平賀説明員 わが国の政府が採択に当たって反対という投票をしたものは、最近ではほとんど記憶はございません。最近では、多くの条約について国際的な基準を設定するという見地から、むしろできるだけ賛成するという方向で意見を統一し、そのように措置をとっている例が多うございます。
#190
○野間委員 中身について、どういうものに反対したものがあるのかないのか、あるとすればどういうものかということも聞いたわけですが、これについては答えはなかったわけです。
 そこで、わが国が賛成をし採択するということの持つ意味ですね、つまりこれを一体どうする義務なりあるいは問題が出てくるのか、この点についてはどうでしょう。
#191
○平賀説明員 採択をするときに投票するということは、その条約をILOとして一定の数以上の賛成があるときに、それをILOとして条約として採択をするということで、採択された以上は、あとはその義務がどういうことになるのかというと、批准によって義務が発生する、こういうことになると思います。
#192
○野間委員 わが国がこの総会での採択に当たって賛成の意思表示をした、そういうものについては国内においてどういう拘束力なり、あるいは責務が出てくるのか。
#193
○小宅説明員 ILOの総会で条約が採択された場合には、ILOの条約に基づきまして、総会の会期の終了後一年以内に加盟国はこの条約を当該事項について権限のある機関、日本の場合は国会でございますが、国会に対して提出をしなければならない、こういうことになります。それからまた、加盟国はこれを国会に提出したことを含めまして、とった措置ぶりにつきましてILOの事務局長に通知をするということになります。勧告につきましても同じでございます。
#194
○野間委員 百五十三本のうち、先ほどの話にもありましたわずか三十六本、こういうことですね。今国会ではいま審議中の百二十一号があるわけですが、今国会ないしは次国会、あるいは近いうちに国会での批准を求める、そういう準備を進めておる条約があるのかないのか、あるとすればどういうものがあるのか。
#195
○平賀説明員 現在未批准の条約というのは、国内法との関係で非常に問題が多いものがございますので、当面、次期国会等に批准するため準備を進めているという条約はございません。
#196
○野間委員 大変怠慢ですね。私はILOの条約勧告集を開いてみたのです。ずいぶんとあります。しかも、この中に非常に重要なものが多いわけですね。それがいまの政府の答弁でも、近々にはそういうものは全くないのだ、準備もないのだ、問題があると言う。問題があるならなぜ総会のときに賛成したのか、いいから賛成したわけでしょう。ところが、いまだにそういうようなことでごたごたして、まだそういうような状態であるということは大変な問題ですね。それは一たん賛成しながら国内でこれを批准する意思が全くない、こう言わざるを得ない。まさに政府の怠慢です。
 外務大臣、いかがですか。こういう状況ですよ。御存じのとおりILOの条約はずいぶんあるのです。未批准がずいぶんあるのですね。せっかく採択されながら、いまなおこれを国会に提出する予定がない、これは一体どういうことですか。
#197
○小宅説明員 ただいま先生から御指摘がありましたとおり、ILOで採択した条約のうち、わが国が批准したものはきわめて少ないということはそのとおりでございます。しかし、これがまだ未批准に終わっているということの裏には、ILOで採択された条約と国内法制の整合性上に問題があるということでございまして、外務省といたしましては、関係省庁間の検討が終わりまして整合性が確保された場合には、可及的速やかにその条約を国会に提出して承認をいただき、批准するのが正しい道だと考えます。それからまた、かかる検討がまだ終わっていない条約につきましては、国内法制との整合性を確保するという方向で関係省庁に検討をお願いしたいと考えておるところでございます。
#198
○野間委員 外務大臣、いかがですか。百五十三のうち三十六本しかないわけですよ。これは全部一遍ILO関係を見直して、そして本当に各省庁を督促して早く批准するように努力すべきじゃないですか。
#199
○伊東国務大臣 ILOの会議で採択といいますか、決議で採択になるのでしょうから、そういうものをなるべく早く批准をしていく、国際会議で採択したものは極力批准の努力をしていくということは、私は当然なことだと思います。先ほどから土井さんからも御指摘があったのでございますが、国内法との関係でなかなか話がつかぬということで批准がおくれていることは、現実はそうでございます。
 私、外務大臣になりましてから、難民条約とか、これはきょうお願いするわけでございますが、婦人の差別の撤廃の条約、あれを早く批准しろと言われていま各省と連絡をしているところでございますが、やはり一回署名したりあるいは採択されたものをなるべく早く批准するということは当然のことであり、その努力をすべきだという野間さんのおっしゃることは、私はそのとおりだと思います。各省も恐らく努力をしていると思うのでございますが、国内法との関係でなかなか批准をお願いできないという現状は、私もそのとおりあるだろうと思いますが、その数をなるべく減らしていくということは当然なので、われわれとしてもその努力をさらに一層するということは必要だというふうに私も考えます。
#200
○野間委員 そこで、業務災害に関連して、労働時間の問題について少しお伺いしたいと思いますが、これは非常に密接な関係にある。特に日本の場合、労働時間が長いのは定評があるわけであります。労働条件あるいは労働時間についての条約も非常に多いわけです。
 労働省にお聞きしたいわけですが、先進資本主義諸国の中で、日本の労働者の労働時間の長さは特に際立っておると言っても過言でないと思うのですね。労働白書等を見ましても、時間の関係でこちらから申し上げますと、五十四年の労働白書の中にありますが、たとえば一九七八年の年間の実労働時間が、アメリカが千九百三十四時間、イギリスが千九百五十七時間、フランスが千七百九十九時間、西ドイツが千七百二十八時間。ところが、日本は二千時間を超えて実に二千百四十六時間、先進諸国の中でも際立って労働時間が多い、これが特徴であります。このことは、白書の中にありますから周知の事実であります。
 さらにお聞きしますと、生涯労働時間についても労働白書にもありますが、アメリカとの比較について、これはいろいろの試算、換算が労働白書の中にもされておりますが、アメリカより一人当たり約九年間よけい働くということが出ておるわけであります。これは男子の就業者についての試算のようであります。
 さらに週休二日制、これもいまの労働時間の長短と非常に密接な関係にあるわけですが、五十三年度、一九七八年のアメリカとの対比では、アメリカの場合には週休二日制は八五%ですね。イギリスが八五%、同じであります。日本の場合には、完全週休二日制は全産業が二四%、製造業の場合には三七%、非常に低いということなんですが、これは白書に書いてありますから、事実の確認だけイエス、ノーで求めたいと思います。
#201
○平賀説明員 統計のとり方はいろいろあると思いますが、年間の労働時間が日本が各国に比べて長い時間が掲げられておる、それから完全週休二日制の普及率が低いということは事実だと思います。
#202
○野間委員 そこでお聞きしますけれども、ILO関係で労働時間に関する条約が一体どのくらいあるのか、そして、そのうちで批准しておるものあるいはいまなお批准していないもの、これはどういうことになるのか、お答えいただきたいと思います。外務省、労働省、どちらでも結構です。
#203
○平賀説明員 ILO条約の中で、労働時間に関する条約が十一ございます。このうち、わが国が批准をしているものはございません。主たる理由は……
#204
○野間委員 いや、理由は聞いてないです。そういうことでしょう。要するに、十一本も労働時間の条約がありながら、まだ一本も批准していないわけですよ。先ほど国内法の整合性の問題とか、あるいは各省庁間のいろいろな打ち合わせなり何なり、そういう話がありましたけれども、これは聞きませんで、全くやっておらぬわけですからね。これは大変なことなんですよ。だから、こういうような政府の姿勢が労働時間の長さに端的にあらわれておりますし、また週休二日制のおくれ、ここに端的にあらわれております。
 しかも、この労働時間に関する条約のうち一番最初のもの、原点ですが、一九一九年十月二十九日に採択された工業的企業に於ける労働時間を一日八時間且一週四十八時間に制限する条約、一号ですね、これも未批准でしょう。時間がかかるとか、あるいは国内法といろいろ整合的に考えていかなければならぬ。一九一九年といいますと、もちろん私はまだ生まれておりません。六十年前ですよ。そんなにかかるものでしょうか。各省庁間の打ち合わせなりあるいは整合性の検討がそんなにかかるものですか。これはどういうことなんですか。お答えください。
#205
○平賀説明員 わが国の場合は、条約を批准するに当たりまして、その条約のすべての条項について法律上担保しているということを要求しております。したがって、一号条約の中で、あるいはほかの条約も含めてですけれども、労働基準法との関係で整合性のない部分がある場合には批准をしてない。労働時間の関係の条約はそういうことでございます。
 また、ちなみに申しますと、一号条約について批准している国は四十四カ国しかございません。そのほかの労働時間関係の十本の条約で、全然批准国のないという条約も幾つかございます。先進国の中でもこの労働時間関係の条約を批准している国は非常に少ないというのが実態でございます。
#206
○野間委員 言いわけはやめてください。いろいろあなたの方で言いわけするから、古い、ILOができたころからのものについて私は申し上げているわけです。一本も批准していない。戦後やっと労働基準法ができましたけれども、これだって労働時間については三六協定で全くしり抜けになっておりますし、さらに、私も国会で問題にしましたけれども、サービス残業、こういうものは随所に起こっておりまして、労働時間の八時間制というものは全く形骸化しておる。ですから、労働時間について言いますと、やはり政府がきちっとこの一つ一つの条約を吟味して、そして労働者の利益や権利を守るという立場に立つならば速やかにこれを批准していく。これは労働時間についての問題ですが、あらゆるILO関係の条約について言えることではないか、私はこう思うわけであります。
 そこで、大臣にお尋ねしますけれども、いま答弁をお聞きになったとおり、洗い直しをしてできるだけ早くこれを国会に出すということについての検討を約束されました。労働時間については十一本ありながら、一本も批准していない。理由はいろいろあると思います。しかし、いろいろな各省庁間の整合性等々も含めて言われましても、一九一九年の一号条約以後、一本も批准していない、こういう状態であります。ですから、たとえば自動車摩擦の問題についても、これを自主規制するのか、あるいはアメリカに議員立法かなんかで規制する法律が出てくるのか、そういうような問題が大きくクローズアップされる、あるいは日米の軍事協力をどうするのかということについては非常に大きな関心を払われますけれども、いま申し上げた、人間の労働する最も基本になる労働時間についての政府の姿勢は、一本も批准していないというところに如実にあらわれておると私は思うのです。したがって、日本の場合には、とりわけ国際的な労働の環境をよくするために、こういう問題について積極的に取り組んでいくことが何よりも大事じゃないかと思いますけれども、これについての外務大臣の所見を伺いたいと思います。
#207
○伊東国務大臣 いま労働時間のことをお話しになって、週休二日にも言及されたわけであります。私も、去年官房長官をやっておるとき、公務員の週休二日のことをやったのですが、なかなかいろいろありまして、まとめるのに苦労したことがあるのです。
 いまのお話では、一九一九年というと、私は一九十三年生まれですから、まだ小学校に行ったころの条約でございまして、そのころにそういう条約があったということをいま初めて知ったわけでございます。それほどその条約と日本の情勢がかけ離れているのだなという感じをいま持ったのでございますが、ILOの条約は、批准されていないもので一番多いと思うのです。
 労働条件の問題でございますが、だんだん日本でもいろいろな問題で改善されてきたわけでございます。いままで一本もないということでございましたが、週休二日制等、いろいろ銀行法の問題等があるのでございますが、さっき言ったような採択されたものが何十年も批准されないなんというのは、私は何か理由があるのだろうと思います。それは別にしまして、政府としましてもなるべく数を少なくしていく努力はすべきだということは、一般論として私はそう思っております。
#208
○野間委員 労働時間に関して、サービス残業について一つケースを出して見解を伺いたいと思います。
 つまり、脱法行為が非常に多いということの一つの例でありますが、住友金属和歌山工場の製鉄所のケースであります。ここでは各工場ごとに安全衛生委員会というものが、いわゆる自主的という名のもとに設けられておる。必要に応じて一日当たり約二時間の活動が行われておる。四月十三日付の労働新聞、週刊です、これは労働省よく御存じのとおりでおわかりだと思いますけれども、この一面に大きく出ております。
 諸会合手当については若干払われておる。これは労働新聞にも書いてあります。ところが、時間外手当は全然支払われていない。労働者の中から大変な苦情が出ておりますし、自主的とは言いながら実質は違う、反強制的だというようなことから問題になりました。幸い労働省はこれを定期検査の際に発見したということで、三月十七日に行政指導された、そして四月十五日に住友金属からこれに対して善処方の回答があったやに私は聞いておりますが、この点についての確認を求めたいと思います。
#209
○岡部説明員 住友金属和歌山製鉄所におきます労働時間管理の問題でございますが、本省では全部詳しく承知しておるわけではございませんけれども、所轄の労働基準監督署の報告によりますと、監督指導を実施いたしまして、お尋ねの安全衛生委員会あるいは職長教育等の、事業者が業務の一環として主催をいたしまして参加を義務づけているものにつきましては、適正な労働時間管理を図るように行政指導を行ったということでございます。その辺は、賃金の問題につきましてもあわせて指導を行っておりまして、会社側からは、御指摘のようにこの指導の趣旨に沿った改善報告がなされているということでございます。
#210
○野間委員 これは一つの例なんですね。世界に伸びる住友と言われながらこういうことが現に行われていることが一つの特徴だと思います。
 さらにこれだけではなくて、私もいろいろ聞いてみますと、たとえば一日研修あるいはグループリーダーの研修会、こういう名目で半ば強制的な休日などを利用した研修活動が行われておりながら、手当が支払われていないということがあるわけですね。あるいは、中には関連の下請企業がずいぶんとありますが、たとえば運送会社などの場合には、夜の九時、十時まで仕事をするわけで、その際本工の現場の作業長が点検、監督をするために最後まで現場に残るわけですが、これなども当然残業手当は支払われなければならぬ、これも実際には支払われていないということなんですね。これは、労働基準法の三十七条を持ち出すまでもなく違反だということは当然だと思いますけれども、これについて御承知かどうか、あるいはこういうケースは当然三十七条違反だと私は考えますが、この点についての見解を承りたいと思います。
#211
○岡部説明員 本件につきまして本省で全部掌握しているわけではございませんけれども、それが業務の一環として行われるもの、強制あるいは義務づけられているというふうな内容のものであれば、当然労働時間でございますので、それに対する賃金の支給は問題になるわけでございます。
 それから、下請関係の監督のためにというお尋ねで、その辺は私も特に具体的に承知しておりませんけれども、下請の監督は業務の一環であるといたしますれば、それも当然労働時間ということに考えられる場合が多かろうと考える次第でございます。
#212
○野間委員 労働新聞の中でも書いてありますが、こういうケースは非常に多い。中央労働災害防止協会のコメントが出ておるわけですね。
 それから、いま申し上げた後のケースの場合はどう考えるのかということについては、「新労働基準法実務相談」、これは労働省の労働基準局編著のものでありますが、これにも「文字どおり「自主参加」であり、特に参加しないことについて不利益な取り扱いがなされることもないが、実際には全員が参加しているという場合には、その教育の内容も判断の材料にするのが妥当ではないかと思われる」ということから「教育の内容が労働契約の目的達成に直接必要のある事項である場合には労働者として参加せざるを得ないわけであり、」そのようなときに形式的に自主参加をうたうことによって賃金の支払い義務を免れるというのは、いささか均衡を失するというような回答が出ておりますね。
 いろいろなケースについて労働省のこういう実例なり回答等が幾つかあるわけでありますが、いま、減量経営とかいろいろなことで、しわ寄せが全部労働者にきておるというケースがずいぶんとあるわけです。したがって、労働省はこれに監視の目を十分光らせて、違反のないようにやらなければならぬ。私が申し上げた安全衛生、これは非常に重要なことであり、しかも労働者として、従業員としての仕事の中身と直接関係することである。これは一つのケースでありますけれども、いろいろなところで実態を十分把握して基準法の違反のないような行政をすべきだと思いますが、これからの行政の問題についての姿勢を明らかにしていただきたいと思います。
#213
○岡部説明員 労働基準行政といたしまして、労働基準法の定めるところが厳正に履行されるということは行政の最も重要な使命であると存じております。労働時間の管理の適正化、賃金支払いの適正化ということにつきましては、今後とも私ども最大の努力を払ってまいりたいと考えております。
#214
○野間委員 時間の関係で余り詳しくは触れませんが、こういう労働災害なり労働基準法違反の事実がずっとふえておる。ところが、逆に行政改革で二次、三次、四次、五次と労働基準監督署の監督官の数が減らされておる。大変な状態なんですね。現地に参りますと、労働基準監督署あるいは労働基準局というようなところでは、何とか人員をふやしてくれということなんです。これは全労働を中心として、当局にももちろん上がっておりますし、そういうたくさんの課題があります。これについてはいまの実態を踏まえて、減らすのではなくて、必要なところは国民に奉仕するのが公務員の務めでありますから、充分な実態の把握等の検討をお願いしたいと思います。きょうは局長が来ておりませんけれども、それについて一言だけひとつお答えいただきたいと思います。
#215
○岡部説明員 労働基準行政に対しますニーズというものは非常に高まっているわけでございまして、その行政の対象も非常にふえております。たとえば適用労働者数は、昭和三十五年を一〇〇といたしますと、五十四年で二〇五・三というふうに倍増いたしております。それに対しまして監督官数は、三十五年を一〇〇といたしますと一三二・四というふうなことでございまして、勢い監督の手が十分に回りかねるというような実態にもございます。したがいまして、私どもは監督官の増員につきまして最大の努力を傾注しているわけでございます。その点は毎年増員を見ておりますけれども、なおこの増員につきましては今後とも努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
#216
○野間委員 少なくともその点については私も労働省と同じ要求でありますので、ぜひひとつこれからも督励していきたいと思います。奮闘努力をお願いしたいと思います。
 次にお聞きしたいのは、百四十九号条約、いわゆる看護職員の雇用、労働条件及び生活状態に関する条約、これは六十三回の総会で採択されたものでありますが、厚生省、これはどういう内容のものなのか、それからこの条約の批准のめどはどうなのかということ、これをぜひお聞かせいただきたいと思います。
#217
○平賀説明員 厚生省が来ておりませんので、かわってお答えいたします。
 この条約は、御指摘のように一九七七年の総会で採択された条約でございます。それで、看護婦の量、質を確保するため労使団体で協議して看護政策を策定すること、それから雇用労働条件の決定手続、紛争解決手続あるいはその他の労働者と同等以上の労働条件を定めよ、こういった看護婦さんの労働条件決定、雇用問題等についてのかなり包括的な条約でございます。
 これの批准はということでございますが、この条約について非常に重要な条約と考えておりますけれども、一つは、国内法との関係で言いますと、ほかの労働者と同等以上の条件とはどういうことかということについて非常に検討の余地が残っておりますのと、その他、条約の規定しているものと国内法との関係についてなお検討の余地があると考えております。
#218
○野間委員 なお検討の余地というわけですが、まず、大体いつごろをめどにいま作業を進めておるのか。いつごろをめどに批准することになるのか。外務省は、やってきたら後はもう何も知らないというようなことは許せませんよ。
#219
○小宅説明員 本条約の重要性は私どもとしても認めているところでございますが、その条約の中身につきましては、わが国の法制、特に労働基準法等との間の相違がありますので、外務省の承知している限りでは、現状においては批准はむずかしいと考えておりますが、引き続き本件につきましては今後とも関係省と検討を重ねていきたいと思っております。
#220
○野間委員 批准はむずかしいということはどういうことですか。批准する意思はあるのですか、ないのですか。ないとすれば大変なことですし、あるとすれば鋭意作業を進めておるのかどうか、各省庁は一体実際に努力しておるのかどうか、それも聞かしてください。
#221
○小宅説明員 あり得べき方向としては、ILOが採択した条約でもありますし、わが国も批准して加入するのが望ましいと思いますが、遺憾ながら現状におきましては国内法制上の整合性の問題がありまして批准はむずかしいと申し上げたわけでございます。
#222
○野間委員 いまの状況では批准はむずかしいということですか。これは労働省、どうですか、作業を進めておるのですか。
#223
○平賀説明員 この条約は、看護婦さんの労働条件についてかなり広範な内容を含んでおります。したがって、関係省庁等もずいぶん多いことでございます。もちろん主として厚生省になりますが、厚生省等とこの条約の取り扱いについて随時お話し合いは進めておりますけれども、今後ともさらに関係省庁と話し合いを続けていきたいと思っております。
#224
○野間委員 これはひとつ鋭意取り組みを強めていただきたい。国際婦人年ももう六年目ですね。しかも、女性に対するあらゆる差別を撤廃する条約、この批准もいま非常に重要な段階で、運動としても大きく盛り上がっております。この看護条約について、日本看護協会あるいは医療に従事するすべての労働者も早期批准を求めていま運動を盛り上げておるわけであります。
 そこで、看護課長がお見えのようですが、大体日本の看護婦さんの位置づけというのは非常に低い。アメリカなどでは医師と対等ですね。自分の権限というものは非常に強いものを持っておるわけでありますが、日本の場合は非常に低い。それを高めるためにも、この看護条約をぜひ早期に批准するということが必要だろうと思いますけれども、この看護婦の位置づけについて、ひとつ厚生省のいまの認識の度合いについてお聞きをしておきたいと思います。
#225
○清水説明員 お答え申し上げます。
 看護婦の位置づけということでございますけれども、私どもも国民の保健医療を充実させるためにこの看護職員というのは非常に重要な役割りを持っていると思います。さらに、これからますます医療機関の中だけでなくてたくさん働く分野がふえてくることが想定されますので、ぜひ個々の看護婦の力をつけるということももちろん必要でございますし、全体的な量的、質的な充実を図りたいと思って努力しているところでございます。
#226
○野間委員 お聞きしておるのは、看護婦に対する位置づけが世界各国それぞれ特色があると思うのですけれども、ただ日本の場合には総じて低いというふうに評価をされておるのかどうなのか、その点です。
#227
○清水説明員 ほかの国に比べて看護職員の評価が低いかどうかという御指摘でございますけれども、その辺につきましては、私も日本の看護婦がほかの国に比べて低いかどうかというのはちょっと判断いたしかねます。しかし、看護婦の力というのはかなり患者さんたちに評価はされてきているのは事実でございますし、それから、いまの高度な医療に対応するためにもかなり力をつけてきていることは事実でございます。そういうことから、その評価が低いというふうには私ども思っておりませんのですが、お答えになりますでしょうか。
#228
○野間委員 私がお聞きしておるのは、要するに厚生省なりあるいは医療行政の上において、国などの認識というか、位置づけが低いのじゃないかという趣旨です。あなたが言われるように、私たちは大変お世話になっておりますし、非常にすぐれた看護婦さんをたくさん知っておるわけですけれども、私が聞いておるのはそういう意味なんです。そういうためにもこの看護条約を早期に批准することは当然必要ではなかろうかという観点からの質問なんですけれども、課長、いかがですか。
#229
○清水説明員 御指摘の点ごもっともでございますが、私どももそれなりに、社会的な評価を高めるための努力というのは、当然のことながらいまの批准もあわせまして図っていかなければならないと考えているわけでございます。
#230
○野間委員 次にお聞きしたいのは、看護婦さんの深夜労働について大変大きな問題になっておりますのでお伺いしたいと思いますが、フランスの有名なビスマールという教授、この人は、常日勤労働者と、それから深夜を含む三交代労働者の比較、この調査で、深夜を含む三交代で夜働くことで寿命が十年も短い、そういう位置づけをされておるようですし、それから一九七六年の国際人間工学会、これはアメリカにおいて行われたようですが、ここで西ドイツの科学者ルーテンフランツ、この人の発表でも、常夜勤のみの人間であっても生体リズムは逆転しない、つまり、夜の睡眠とか疲労の強まり、あるいは体力、集中力の低下、そういう点から深夜労働というものは非常に女子の場合問題だということがいろいろ言われております。
 そこで、「労働基準法研究会報告」、これは中身は大変反革新的ないろいろな問題があると思いますけれども、ただ、この中で婦人の深夜労働については非常にいいことが書いてあるというふうに私は読んだのですが、どういうふうな位置づけをされておるのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#231
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の「労働基準法研究会報告」では、深夜業については男子についても女子についてもその労働の態様からいっていろいろ問題があるのではないかという御指摘はあるわけでございますが、それと同時に、女子が男子と均等の機会を与えられるためにはこうした深夜労働についても新しい観点から見直す必要があるのではないかという御指摘をいただいているというふうに理解いたしております。
#232
○野間委員 いろいろお聞きしたいことがあるのですが、日本の看護婦さんの労働実態ですけれども、とりわけ私が指摘申し上げたいのは、いま申し上げた「労働基準法研究会報告」との絡みで申し上げますと、特に妊産婦の深夜労働については、この五十七ページのところに「原則として妊娠中の深夜業は禁止すべきである。」ということが書かれておるわけであります。これは労働省の諮問機関での報告なんですね。これは当然そうだと思いますけれども、その点についての認識はいかがでしょう。
#233
○佐藤説明員 ただいま先生から御指摘がございましたように、「労働基準法研究会報告」におきましても、特に妊娠中の女子については特別な配慮が必要であるという御指摘をいただいております。
#234
○野間委員 正確に言いますと、「妊娠中の深夜業は禁止すべきである。」こういう指摘がありますが、いかがですか。
#235
○佐藤説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
#236
○野間委員 ところが、実際にはいろいろな過酷な労働が行われておりまして、ここでは母性保護の観点から放置できない実態がずいぶんあちこち出ております。
 ところで、まずお聞きしたいのは、一看護単位というのですか、専門用語はよくわかりませんけれども、二人体制で月八回以内というのが人事院の判定か何かでございますね、二・八制、二人体制で月八日以内、これは十六年前のことですね。ところが、私、和歌山の日赤でずっと調べてみますと、ここでは平均二人で八・二三回という状況です。ところが、ことしになって見てみますと、増員されないばかりか、二人マイナスになっていた。ここでは看護婦さんが全員で三百一名ですが、二名マイナスとなって、泌尿器科の病棟あるいは耳鼻科の病棟では二人で九回体制、さらに五月からは産休者が出るために五つの病棟で二人九回体制、二・九体制というのですか、よくわかりませんが、こうなることが確実になっておるわけですね。しかも、重病患者がふえたりして業務内容は非常に過密な状態になっておりますが、人事院の判定からすでに十六年たっておる。現在なら三人体制あるいは四人体制であたりまえではないかと思いますが、いま申し上げたように日赤のような公的な病院でもこういう状態であります。したがって、人事院のいま申し上げた判定、これは十六年前としても、こういう人事院の判定からしてもいま申し上げたような実態は決していいことだと私は思わないわけでありますが、この点についてどう評価されるのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
#237
○清水説明員 御指摘のとおり、人事院の判定が行われて大分たちましてからも、公的な病院で行われております複数夜勤の実態はいまおっしゃるような状態でございます。しかし、実際に看護におきます勤務体制と申しますのは、当然のことながら対象になります患者さんの数でありますとか、疾病の状態、あるいは行われます医療の内容に応じまして、そうした看護業務の量的、質的側面から勘案して決められるべきものでありまして、一律に決めらるべき性格のものではないというふうに考えておりますが、しかし、四十年に人事院判定が行われましてから、看護職員の労働条件の改善が非常に大きく推進されたことは事実でございまして、まだ十分ではございませんが、私どももこのマンパワーの面におきましてはこれを充実させるべく努力しているところでございます。
#238
○野間委員 努力はわかるのですけれども、この二.八体制からしていま申し上げたような実態、これは公的な病院の和歌山の日赤の場合ですが、これはいい状態というか、好ましい状態かどうかという評価についてお聞きしているわけです。
#239
○清水説明員 十分な実態ではないというふうに思います。しかし、二・八と申しましても、いま申し上げましたようなことで、実際には二人ではとてもしのげないところがございます。三人、四人あるいは五人というような夜勤の業務実態からいきまして、そちらの方が多くなる実態がございますので、回数が少し多くなっているということがございます。しかし、これから毎年、二・八が十分できますようなことで、マンパワーをぜひ私ども充実していきたいというふうに考えているところでございます。
#240
○野間委員 評価の点について決していい状態じゃないという趣旨のお答えがあったと思いますけれども、まさにそのとおりだと思います。これをどうしても改善させていかなければならぬ、こう思っております。
 そこで、次に質問を進めますけれども、こういう女子の深夜の勤務体制に加えて、先ほども妊産婦の労働者の問題についてお尋ねをしましたが、妊産婦も同じように三交代の深夜勤務についておるわけですね。しかも、出産の直前までこういう状態が続いておるということは、私は大変な問題じゃないかと思うのです。
 ちょっと調べてみますと、三交代の時間割りについては、御案内のとおり、朝九時から午後五時まで、これは日勤ですね。五時から深夜の一時まで、これは準夜ですか。それから、午前一時から朝の九時まで、これは深夜。ところが、この中でこういうようなのがずいぶんとあるわけですね。ある人は九時から五時まで日勤、それから家に帰りまして夕食の準備あるいは食事、家のいろいろな片づけ、それからふろに入る、うとうとと仮眠して、そういう状態のままでまた深夜一時からの勤務について、朝九時まで働く、そして帰宅する。あるいは五時から深夜一時まで勤務し、それからしばらく休んで朝九時からさらに五時まで勤務につく。ですから、勤務から勤務までわずか八時間置いて仕事につくというのがここでもずいぶんと出ておって、問題になっているわけですね。
 看護職員勧告では、勤務から勤務まで十六時間、少なくとも十二時間置くべしというようなことがあるわけですけれども、これには遠く及ばないということがあるわけであります。人命あるいは健康に直接あずかるわけでありまして、しかも同僚が急病になった場合に交代できないというような実態もあるわけで、大変深刻な状況がずっと続いております。
 そして、その中でどういうことが起こっておるかというと、去年一年間、一月一日から十二月三十一日まで、妊産婦、看護婦さんですが、これの調査をしますと、妊娠した人四十四名のうちで、分娩した人が二十六名、切迫流産と言われて休んだ人が二十一名、流産が七名、つまり四十四名中七名、一五%以上の人が流産しているという深刻な実態があるわけですね。これは母性保護という観点から大変な問題だと思います。母性保護に関する条約、これも未批准の状況ですね。いろいろな深刻な問題が次から次へとこういう中で出ておる。
 そこで、具体的にお伺いしますけれども、労働基準法の六十五条の三項に「使用者は、妊娠中の女子が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。」こういうような規定が置かれておりますが、この「軽易な業務」とは一体何なのか、これについてひとつお答えいただきたいと思います。
#241
○佐藤説明員 いま先生からお話がございましたように、労基法の六十五条の三項では「使用者は、妊娠中の女子が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。」という規定がございます。私ども、「他の軽易な業務」といいますのは、業務内容の異なる他の軽易な作業だというふうに理解いたしております。
#242
○野間委員 たとえば、いま申し上げたように看護婦さんの夜勤ですね、妊娠された妊婦の人が日勤にかえてくれというような請求をした場合、これも「軽易な業務」に入ると解するのが普通だと思いますけれども、この点いかがでしょう。
#243
○佐藤説明員 先ほど申し上げましたように、業務内容が同一の場合には労基法六十五条の三項に当たると解するのはちょっと無理があるかと存じます。
 ただし、先生御存じかと思いますが、勤労婦人福祉法という法律がございまして……(野間委員「そんなこと聞いておらぬ、ぼくは三項の問題について……」と呼ぶ)三項では、私ども直接は当たらないというふうに理解をいたしております。
#244
○野間委員 それは私はおかしいと思うのです。実態からいたしましても、夜の勤務というのは当然入院患者の病棟の中で勤務するわけですね。ところが、日勤になりますと、たとえば外来、そういうところに勤務できる。これは当然仕事の中身も変わってくる。
 さらに、先ほど私、指摘をした「婦人労働法制の課題と方向 労働基準法研究会報告」の中でも、この三項の解釈についてちゃんと書かれておるわけですね。五十七ページ上から四行目から書かれております。どう書いてありますか、読んでください。
#245
○佐藤説明員 「労働基準法研究会報告」の五十七ページの四行目以下には「軽易業務への転換の中には、労働時間帯の変更も含むと解されており、例えば女子の深夜業が例外的に認められている業種に従事している女子の場合は、深夜勤を昼の業務に転換することも可能である。」というふうに書いてございます。
#246
○野間委員 ですから、この三項の中には、同じ看護婦さんでも夜勤から昼勤にかえるということも含まれるということがはっきり書いてあるわけですね。そのとおりでしょう、間違いありませんね。
#247
○佐藤説明員 御指摘のとおり、「労働基準法研究会報告」にはそのように書いてあるわけでございます。
 先ほど私が申し上げましたように、業務内容が同一の場合には労基法の六十五条三項には当たらないと私ども解しているわけでございますが、もし深夜勤から昼間の勤務にかわりまして仕事の内容が変わってくる、たとえば事務的な扱いをするとかいろいろ仕事の内容が変わってくるということになりますと、六十五条の三項に当たるという場合が出てくるかと存じます。
#248
○野間委員 しかし、この報告書にはそう書いてありますね。ちょっとあなたのおっしゃるのと違うわけで、「労働時間帯の変更も含む」と解されている。これが軽易業務への転換の中身としてそう解するのだと書いてあるでしょう、あなたもいま認めたわけですけれどもね。
 しかも、いま申し上げたように、実態からしても夜間の仕事と昼間の仕事とは、いまあなたが言われたような、単にたとえば看護婦さんが事務労働になるとかそういうのじゃなくても、同じ看護婦さんの仕事でも、夜と昼は仕事の中身として、たとえば外来だけを扱うというのと、仕事の密度とかあるいは質においても、入院されておる病人を見るというのは全く違うわけです。しかも、この報告の中にはそれも含まれると書いてあるわけです。だから、このように解するのが私は自然じゃないかと思うのです。労働省はなぜはっきりこれを認めることができないのですか。あなたのところで委嘱してつくった資料の中の報告ですよ。
#249
○佐藤説明員 先生御指摘のとおり、労働基準法研究会の報告ではそのように解されると書いてございますが、これは学識経験者の方々の御意見としてそういうふうに述べられているということでございます。
 それから、先ほども申し上げましたように、業務の内容が深夜勤の場合と昼勤の場合で変わってくるということは考えられるわけでございますので、深夜勤が昼勤になるのが業務内容が同一であるかないかということを一律に論じるよりも、それぞれ個別的なケースにつきましてどのような業務の変更があるかということも検討した上で、個々具体的に結論を出すべきものかと考えております。
#250
○野間委員 いま「も」という話がありましたけれども、それもという意味なら私も理解するわけです。本人から請求があった場合には軽易な業務にかえなければならぬ、こうありますね。しかも、労働基準局編著のコンメンタールの中でも「原則として女子が請求した業務に転換させる趣旨である」、こういうふうに行政解釈というか、指針として言われておるわけです。
 そうすると、たとえば深夜働いておられる看護婦さんが請求して、請求が一つの要件ですね、昼間の外来なら外来の勤務にかえてほしいと言うのは、明らかにこの六十五条の三項に該当するというふうに言ったっていいのじゃないでしょうか。
#251
○佐藤説明員 先生御指摘のとおり、女子が請求しまして、そのような業務にあきがあるというような状況でありますときにはそこに転換させるということであるかと思いますが、先ほどのお答えの繰り返しになるかと存じますが、やはり業務内容がどのように変わるのか変わらないかということも含めた検討を個別に行うべきことかと考えております。
#252
○野間委員 もう時間が来ましたのでこれでおきますが、個別に検討というのと、六十五条三項の解釈はどうなのかということは別の問題でございます。ですから、この三項の解釈として、本人から請求があれば夜から昼に当然かえる必要がある、請求を拒否した場合には労働基準法違反だということは、いまの報告の中の解釈から当然出てくるわけで、私はこれが真っ当な解釈じゃないかと思うわけです。あなたのいまの非常に歯切れの悪い答弁に私は納得いかぬわけでありますけれども、きょうはこのくらいにしておきまして、今後もさらにこの点については追及をしてまいりたいと思います。
 最後に、外務大臣、いま申し上げたように、業務上の災害直接の問題ではありませんけれども、労働時間とか、いま申し上げた看護職員の雇用等々に関する条約の批准もいまのところまだ具体的な日程に上っていない。先ほども答弁がありましたけれども、こういう非常に重要なものが残っておるわけで、これらも含めて鋭意洗い直しをして早く出すべきものは国会に出すという決意をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#253
○伊東国務大臣 御質問を聞いておりますと、厚生省の関係が非常に多い。厚生大臣は外務大臣をやっておられた方でございますから、非常に御理解があるはずでございますので、きょうの御質疑、私はすぐ厚生大臣には御連絡申し上げます。
#254
○野間委員 終わります。ありがとうございました。
#255
○奥田委員長 次回は、来る二十二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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