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1949/04/18 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第29号
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1949/04/18 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 厚生委員会 第29号

#1
第007回国会 厚生委員会 第29号
昭和二十五年四月十八日(火曜日)
   午前十一時九分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
四月十四日委員小野光洋君辞任につ
き、その補欠として石原幹市郎君を議
長において指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○医療法の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
○熱海市大火視察報告
○生活保護法案(内閣送付)
○議員派遣要求の件
  ―――――――――――――
#2
○理事(藤森眞治君) それでは只今から委員会を開きます。前回に引続きまして、医療法の一部を改正する法律案を議題にいたします。本法案はすでに質疑が打切りになつておりますので、直ちに討論に入りたいとおもいます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○理事(藤森眞治君) それでは討論にはいります。
   〔理事藤森眞治君退席、中平常太郎君委員長席に着く〕
#4
○藤森眞治君 本法案に対しまして、私は一部修正案を提出する動議を出します。修正案の案文を朗読いたします。医療法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。附則第一項中「六月」を「三月」に改める。理由はこの法律をより早く施行することは病院経営者にとつて有利であるとともに、この法律施行に関する政府の準備が予定より早く整うに至つたので、この法律の施行期日を早やめる必要がある。これがこの法律案を修正する理由であります。
#5
○山下義信君 只今藤森委員の提出されましたる修正案に賛成いたします。
#6
○委員長代理(中平常太郎君) 只今藤森委員から修正案が出まして、山下委員の賛成がございました。修正の動議は成立いたしました。
 藤森君提出の修正案を議題にいたします。御意見ございませんか。
#7
○石原幹市郎君 私も本修正案に賛成いたします。
#8
○井上なつゑ君 この際政府提出の原案に対しまして、私は全面的に賛成をいたしたいのでございますけれども、ちよつとここで希望條件を申述さして頂きたいと思います。と申しますのは、この医療法の一部を改正いたしまして、日本の病院、診療所の発展を促し、又内部の何と申しましようか、整備と申しましようか、そうした面に拍車をかけて頂くために、この医療法を御改正になつたのだとは存じますけれども、この医療法の一部改正を見ましたとき、直ぐにも病院、診療所の整備、拡充、整備、改善、それらか内部の拡充というようなことが期待されないように存じますのでございますので、この医療法の一部を改正されましたら、これを契機といたしまして、一刻も早くこの現在の病院の内容、それから診療所の内容の、現行の医療法によりまして整備改善されつつございます診療所、病院の整備拡充の一時も早からんことを希望いたしまして、この法案に賛成いたしたいと存じます。
#9
○山下義信君 私も本案に賛成をいたすものでございますが、この際当局に希望いたして置きたいことがございます。それは本法案の改正によりまして、私的医療機関の増設、設備を企図されましたことは、その趣旨は了とするのでありますが、且つ提案の理由にも示されてありますように、本法によりまして医療機関の増設、整備を図り、以て他日の社会保障制度の実施に備えるということが謳われてあるのでおりますが、是非ともこの趣旨に副うように本法の運営を希望するものであります。即ちこの改正案によりまして、医療法人としての私的医療機閥の増設は、飽くまで公的医療機関との密接な繋りの下に、その増設を見なければならんのでありまして、これがために医療組織全般に亘つての計画的実施というものがなくてはならん、又ある筈であると考えるのであります。従いましてその医療法人設立の認可に当りましては、その計画に従つた合理的認可がなされなければならん。つきましては、医療機関整備審議会にこれを諮る、とありますが、その審議会の任務には、それらの医療組織の整備について、調査審議をするということになつておりますので、当然この本法がすでに三月以内に実施せられるということになりますれば、或る程度の確平たる計画性というものが樹立されてある筈でございまするから、その計画性たるや言うまでもなく全国的に亘つての医療機関の整備計画であり、その計画に基いて都道府県知事がこの審議会に諮問して認可をするという段取りになる筈でありまするから、その期するところは他日の社会保障制度の実施に当つての我が国の医療機関の全般的整備に繋がるために、その意図について十分本法の実施が運営されて行かなければならんということを痛感いたしますので、その点について当局は手落ちのないように十二分の準備を期待いたしまして、且つ要望いたしまして、本改正案並びに修正案に賛成をするものでございます。
#10
○委員長代理(中平常太郎君) 討論は終結いたしましてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長代理(中平常太郎君) それでは討論終結と認めます。
 これより採決に入ります。先ず藤森委員の修正案に御賛成の方の挙手を願います。
   〔総員挙手〕
#12
○委員長代理(中平常太郎君) 全員御賛成でございます。よつてこの修正案は成立いたしました。
 尚修正案以外の政府提出の案を問題に供します。御賛成の方は挙手を願います。
   〔総員挙手〕
#13
○委員長代理(中平常太郎君) 全会一致と認めます。よつてこの法律案は全会一致を以つて修正議決されました。
#14
○山下義信君 本案賛成についての私なり、井上委員の希望條件のありましたことを御確認置きを願いたいと存じます。
#15
○委員長代理(中平常太郎君) 只今井上委員と山下委員から希望條件を附けられまして賛成の意見を述べられたのであります。このお二人の御意見は非常に重要なものと存じますので、政府におきまして十分この意を体されまして、善処されんことを希望いたします。
   〔委員長代理中平常太郎君退席、理事藤森眞治君委員長席に着く〕
#16
○理事(藤森眞治君) 尚、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することにして、御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○理事(藤森眞治君) 異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    藤森 眞治  山下 義信
    石原幹市郎  紅露 みつ
    井上なつゑ  小杉 イ子
#18
○理事(藤森眞治君) 署名洩れはございませんか……御署名洩れはないと認めます。
  ―――――――――――――
#19
○理事(藤森眞治君) それでは生活保護法の質疑に引続いて入るところでありまするが、それに先だつて、公報には載せておりませんが、先般本委員会で御決定になりました熱海の火災被害及び救護状況の調査に参りました報告を簡単にこの際申上げたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○理事(藤森眞治君) それでは私から簡単に御報告いたします。
 昭和二十五年四月十三日熱海市に発生した大火災の被害の状況及び救護の状況について緊急調査を必要といたしましたが、議会も自然休会中であり、諸般の手続きは遅延する関係上、今回は成規の議員派遣の方法によらず、取敢ず厚生委員三名を代表として現地に急行することとなりました。よつて四月十五日、厚生委員たる藤森眞治、石原幹市郎、井上なつゑの三人と、委員外議員金子洋文君と事務局から齋藤主事の合計五人は、火災未だ残る灰燼の整理に大混乱を来している熱海市に到着いたしました。直ちに救護本部となつておりまする熱海市役所のバラツクの中に宗熱海市長を訪ね、慰問の挨拶の後災害の実情を聴取し、更に救助状況について別紙要目にまつて調査した後、発火現状、救護所、避難所、その他災害地を実地に視察の上、即日帰京いたしました。今回の災害についての対策は、発火当日の夕方、未だ急速に延焼中にすでに樹立されました関係で、救護の万全を期しつつあつたためにすべてが手落ちなく順調に進行いたしました。従つて治安の状況も極めて良好であり、災害後二日目の十五日、すでに焼跡の整理に続いて新建築が進められておるのを見受けました。今後の復興について障碍となつておる点について熱海市当局、及びその他関係者の要望しておる主なものをここに挙げて見ますると、次のような諸点でございました。第一は、差当り衣料、食糧建築、その他の諸資材等、物資の面では靜岡県内外の市場の出廻りによつてほぼ自給ができる状態でありまするが、資金の面で困つておる。災害地の急速な復興を急ぐためには金融面の裏付が重要であるので、この際多額の国庫補助、又は資金の支出斡旋について緊急考慮を要望しております。特に住宅金融公庫からの全額貸出を特別に配慮されたいと希望しております。
 第二は、焼失地の地主と借家人との間に新建築を中心として地上権について紛争を起こしておる向きがございます。この紛争を早急に解決することは復興上極めて重要な点になるものでありまして、借地法に対する災害地臨時特例の適用を要望しております。
 第三に、将来の建築物については不燃建築物地区の設定が今回の大火から見て極めて必要でありますので、建物新築前にこの種の地区の設定を要望しておる。以上の三点でございます。
 尚、これにつきましての詳細の資料はお手許に配布してありますので、ここに報告いたしますことを省略さして頂きます。以上であります。
#21
○中平常太郎君 ちよつとお尋ねしたいのですが、寝具ですが、蒲団が千組、毛布が千枚とありますが、これは咄嗟にやられたものと思つておりますが、熱海の大火は一千戸に余つておりますので、とても布団の千組、毛布の千枚ぐらいではいけないと思うんですが、後はやはり靜岡県で間に合わないものは政府の方からでも、厚生省の方からでも何か御援助されたのではないでしようか。
#22
○理事(藤森眞治君) 政府の方からも、厚生省の方からも送られたようですが、ところが御承知のように熱海は旅館が非常に沢山あります。又焼けておらん旅館も相当沢山あります関係で、そういうふうな方面で非常に早く間に合つたんじやないか、そういうふうに見受けて帰りました。外に……
  ―――――――――――――
#23
○理事(藤森眞治君) それでは生活保護法案の質疑を続行することにいたします。
#24
○小杉イ子君 私は第七條のところを少し説明をして頂きたいと思います。
#25
○政府委員(小山進次郎君) この條文はすでに社会局長からも御説明申上げたことでございますが、簡単に御説明申上げますと次のような趣旨になります。
 今回の法律改正におきましては、保護を受けるということが国民との側から見ました場合に一つの請求権になりましたので、この請求権を行使する方式は申請という方法によつてその行使が開始される、こういうことに相成るわけであります。これまでの法律におきましては、国民が保護を受けるということはどちらかと申しますと、困つた、保護して欲しいというよりも、むしろ国なり都道府県なり市町村という公の機関が職権に基いて困つておると思われる者を探し出して保護をする、ただそれを進める上の一つの便宜的な手続、手段として申請という形をとつた。こういう趣旨のものであつたのであります。今回の改正におきましては、只今申上げましたように申請ということが単に便宜的な手続の問題ではなくして、請求権を行使するための一つの法律的な意味を持つた手段ということに相成つたわけであります。そういう趣旨を第七條において明記いたしましたわけであります。併しながら国民の中にはかかる請求権を行使するための十分な知識なり手段なりを満しておらないという者も相当ございます。そのような場合に対応いたしますために、同時に又生活に困窮しているという者を保護するという国なり都道府県なり、市町村というものの責任を決して曖昧にするというものでないという趣旨をはつきりいたしますために、但書におきまして、要保護者が窮迫した状況にあるときは、申請がなくても極的に必要な保護を行うのだということを規定したのでございます。
#26
○小杉イ子君 私もこの説明によりましてよく分かりました。そうしてこの法律案のように書いてある通り私も了承しておるのですけれども、どうも世間の人が第七條を非常に問題にするものですから、それでお伺いしたわけでございます。
#27
○石原幹市郎君 私はこの社会保険との関係とか、いろいろ聞きたいことがあるのですが、保険局長がお見えになつておりませんので、順序が非常に後先になりますけれども、二三当局からそれまでの間に承つて置こうと思います。第二十一條で都道府県知事又は市町村長の事務の執行を補助させるために社会福祉主事を都道府県及び厚生大臣の指定する町村は置かなければならんことになつておるのでありますが、この事業の執行についてはいろいろ国庫の補助助成があり、むしろ原則としては全部国庫でやつていいくらいではないかと私は思つておるのでありますが、社会福祉主事の設置について別段補助の規定がないようでありますけれども、これは補助する考えを持つておられないのですか、どうですか。
#28
○政府委員(小山進次郎君) 第二十一條の狙つておりまする点は、生活保護法なり或いは広く社会福祉の仕事に従事するものを一つの専門的な分野として育て上げて行こうということを狙つているわけであります。従いまして、第二十一條そのものから直ちに国の補助ということを導き出すというふうには現在のところ計画しておりません。つまり第二十一條によつて行われまする社会福祉主事の中には国の補助を伴つておりますものもございます。例えば今年度の予算におきまして、凡そ三千名強の人員についての補助金が平衡交付金に見込まれておりますが、このように補助金の対象になつておるものもございます。併しそれ以外に純粋の地方費、都道府県費或いは市町村費で行われているものにつきましても、同じようにやはりこの法律で要求されておりまする資格要件を持つているものを充てるようにさせる、このようなことを狙つているわけでございます。
#29
○石原幹市郎君 そうすると、この平衡交付金の中に社会福祉主事に対する国庫補助というか、助成のようなものも含まれて国費として出ておる、こういう予算になつておる、こういうことでございますか。
#30
○政府委員(小山進次郎君) その通りでございます。
#31
○石原幹市郎君 それから医療扶助の関係について、殊に社会保険との関係で、一、二聞いて見たいのでありますが、或いは私の誤解しておる点でありましたならば直して貰いたいと思います。私はやはり扶助の対象になるものの中に国民健康保険の被保険者、或いは健康保険の被保険者の家族といいまするか、一部負担によつて診療を受けるような、社会保険の対象になつておるものが生活保護法の対象なる場合がやはり私は相当あると思うのであります。そういう場合にこの一部負担金に相当するものを保護法の中で出すということになるのか、実は私は社会保険の対象になつておるものはできるだけ社会保険の対象として診療を受けられるような立場に置けるようにした方がいいのじやないか、むしろ今度の社会保障制度と関連してできれば全部が社会保険の対象になることが望ましいのでありますが、社会保険の対象になつておるものが同時に生活保護法の対象になる場合に、生活保護法の方で医療の扶助を受けさすよりも、社会保険の対象として医療を受けさして行く方が全体の立場から言いまして非常に適切ではないかと思うのでありますが、そういう関係はどういうふうになつておりましようか。
#32
○政府委員(小山進次郎君) 只今の問題は御指摘の通りになつておるわけであります。例えば現行保険でありますと、他人は別といたしまして、家族が療養の給付を受けまする場合には自己負担でございます。国民健康保険につきましては、例外なく自己負担があるわけであります。従いまして自己負担で負担できないという場合が当然起り得るわけでありますが、このような場合にはその負担できない自己負担分については当然この法律になつて保護を与えるというようにいたしております。又その他に生活扶助を受けておるという人々は初めから国民健康保険の組合員の外に置かれております。こう言つたことの可否ということを恐らく問題として只今提起されたのだと思いますが、この点については今後の制度の建前の問題として保険局長からお話を申上げることにいたします。現在のやり方といたしましては、そのような人は保険料も負担できない、保険料は将来の必要に対するため予め納めておるという性質のものでありまするので、現在のところでは生活費に医療費を直ちに見込みがたい、言換えれば保険料を生活扶助費から出しつつ国民健康保険の組合員にするということが現在の建前の下ではむづかしい、というふうな理由の下に、このような人々は初めから国民健康保険の組合員の外に置かれております。従つてこういう人人が疾病に罹りました場合の医療費は、金額を生活保護費から出すと、かようになつております。
#33
○政府委員(安田巖君) 生活困窮者の医療を国民健康保険の組織の中に入れてやることの可否につきましては、石原委員からお話のありましたように、入れた方がよい点も確かにあると思います。特に医療扶助を受けますことが、何か恩恵を受けて肩身が狭いというふうに思われることが、それによつて除き得るならば、これは一つの狙いだろうという気はいたします。いずれにしても、これは新らしく社会保障制度を作られる場合には、一つの医療費というものは重要な問題になつて来るのじやないかと思いますので、十分その点研究して参りたいと存じます。現在のところでは、保険の建前から申しますと、一応除外をしておりまする。特に今国民保険が非常に窮屈な経済の運営をやつておりますときに、資力の点でも大体半分くらいに見ておりますからして、そういうふうな人が沢山入ることによりまして、保険料は安いし、疾病率は高いし、医療を受ける期間は長いというようなことで、相当これは国民保険の経済の圧迫になるのではないかと思うのであります。それが単なる相互扶助というような観念で、現在のような国民保険のやり方でそれをそのまま受け入れることは、或いは市町村が好まないのではないかというような気もいたす次第でございます。
#34
○石原幹市郎君 まあ根本問題についてはいろいろ議論もあり、私も議論すれば幾らでもあるのでありまするが、現実の問題としてこういう問題はないでしようか。健康保険の被保険者にはなつておる、併しその人が非常に薄給であつて、非常に沢山の家族を持つておるというような場合に、その世帯がやはりこの生活保護法の対象になるような場合もあるのじやないかと私は思うので、そういう場合はないと言えばそれまででありますが、そういう場合に、その家族がいわゆる一部負担によつて診療を受ける場合に、一部負担金の部分は生活保護法で賄つて呉れるのか、それともその場合には全然この全部をいわゆる生活保護法の対象として扱うことになるのか、先程保護課長のお話でちよつと私分りかねたのでありますが、そういう場合にどちらになるのでありますか。
#35
○政府委員(小山進次郎君) 只今御指摘のような場合は社会保険の方から、つまり健康保険の方から受けられるだけは健康保険から受けて貰う、不足分だけを生活保護の方で負担する、かようになつております。
#36
○石原幹市郎君 それは法律の方で支障なくそういうふうに行われるようになつておるわけなんですか。
#37
○政府委員(小山進次郎君) さようになつております。
#38
○石原幹市郎君 それから次に、この住宅扶助の問題ですが、これは一体現実の場合にはどういう方法でやることになるのでしようか。生活保護法全体の予算を見ましても、非常な一応の制約を受けておるわけであり、この法の精神は、何と言つても生活扶助だとか、こういう方を先ず十分やつてからでないと、なかなか他に及び得ないのじやないかと思うのでありまして、こういう方面にまで延ばされることは極めて結構であり、我々もそれを非常に希望するものでありまするが、如何にも住宅の扶助までもするというふうに大きく掲げて置いて、実質が一向それに伴わんということであれば、何だか法律全体が羊頭狗肉のような感じが出て来ることになるのでありまして、この住宅扶助を実際どういうふうな方法でやるのか、或いはこれに伴う予算というようなものも相当考えてあるのかどうか、そういう点について伺いたい。
#39
○政府委員(小山進次郎君) 住宅扶助のやり方といたしましては、家賃が負担できない者に対しては、家賃を支給する、それから家がない人々に対しては、でき得る限度において宿舎提供施設等に無料で入れることにまりまして、住居を提供するというようなことにいたしております。住宅扶助を独立させました根本的な原因は、現在の国民生計費の中における住宅費の不均衡といいますか、乱雑性といいますか、そういつたものに原因があるわけであります。若しも、同一内容の住居でありながら、極めて偶然の状況によりまして或る人の場合にはそれが五百円で済み、或る人の場合には二千円にもなつて行くと、これは丁度イギリスの社会保障を構想いたします場合に、ビバリツジが、住宅費というものをどう取扱うかということを非常に検討したわけでありますが、あれと同じような、むしろあれよりももつとひどい状況が現在の日本の住宅費についてあるわけであります。すでに御承知のように、生活扶助費の基準額というものは、非常な窮屈なものになつておりますので、勢いその中に含まれております住宅費も極めて窮屈なものになつております。かかる窮屈なもので、今申しましたようないろいろな場合をすべて把握し尽くすというようなことは殆ど不可能に近いというよりも、非常に無理である。現在生活扶助費の基準額が無理と言われておる一つの理由が、住宅費にもあるわけであります。このような事情に基きまして、先ずこの無理な住宅費の項目を生活扶助費から引き離し、それぞれの土地の事情によつて適当な弾力性を持つた住宅費の基準の決め方をするということによつて、生活保護の中に現われておる一番大きな矛盾をなくしたいというのが、今回の改正の理由でもあつたわけであります。従いまして、金額等から見ますと、現在のものと余り大きな開きのないところでスタートしておりまして、本年度予算でも三億五千万程度を計上しておるだけでございますが、逐次これを只今申上げました住宅扶助創設の趣旨に副つて発展をさせて行きたいという考えなり、構想を持つておるわけであります。
#40
○石原幹市郎君 それではこの内容は、家賃の払えない者に家賃を補助してやる、それから家のない者に対しては宿所提供施設で行くと、こういうお話ですが、宿所提供施設というようなものは、何か小さな集団アパート式のようなものでも今後新たに造られるのですか、それとも旅館その他のようなものと契約して、そういう所に入れてやるというようなことになるのですか、どういうようなことになるのでしようか。
#41
○政府委員(小山進次郎君) これは、先に御指摘になりましたような方法によるわけであります。つまり工費を持ちまして小さなアパートを造り、そうしてそこに入れて行くというような方法で宿所の提供をやつて行くわけであります。
#42
○石原幹市郎君 私は、これは非常に結構なよいことと思うのでありますが、ただ大きな看板だけ掲げて、一向この実が挙らんというようなことによつて、保護法全体の威信を傷付けるということのないように、今後運営をやつて頂きたいという希望を併せて申上げて置きます。
 尚次に、今度は十七條の生業の扶助のところでありまするが、この項目のところで、これはまあ細かいようなことでありますけれども、普通は皆「生活を維持することのできない者」と、住宅にしても、医療にしても、出産にしても、生活にしても、全部そうでありますが、生業扶助のところだけが、「維持することのできない者又はそのおそれのある者に対して」と、これだけに「そのおそれのある者」という字句が入つておるのでありまするが、これは生業の扶助という特殊なことから考えて、こういう字句が入つたのだろうと思いますが、この点一つ……
#43
○政府委員(小山進次郎君) 申上げますことは、結局石原委員がおつしやつたことを繰返して申上げる結果になるわけでありますが、この法律全般を通じまして、最低生活の維持のできない者に対して必要な限度において保護をするという仕組になつております。生活を構成いたしまする要素といたしましては、日常生活、病気に罹かつた場合の医療、それから住居の確保、一限度における教育を受ける、出産の必要があつた場合には出産ができる、こういつたようなこと、又病人等が死んだ場合には葬式が営めるというようなことを最低限度の生活の内容に考えておるわけであります。従つて生業扶助もその考え方を徹底いたしまするならば、最低限度の生活を維持するに必要な限度における生業の扶助だけが考えられるわけでありますが、第一條の目的にも謳つておりますように、やはりいつまでも最低限度の生活にくくりつけて置くということをしたくない、努めて早い機会に自立するように助長して行きたいという考え方をこの法律全体として基礎的なところに盛つておりまするので、特に生業に限りましては、そういつた趣旨に従つて、単に現在最低限度の生活を維持することができないという者ばかりではなく、その虞れのある者に対しても行うということによつて、そういう人々が最低限度の生活を営むことができないというところまで落込むことを予め防止する、こういつたような考え方を似ちまして、このようにしておるわけであります。
#44
○石原幹市郎君 私はまあ全体の扶助について、やはりこういう「おそれのある者に対して」というのを入れることを希望するものでありますが、つまり外の扶助はどちらかと言えば消極的な、生活の扶助につきましても、医療扶助につきましてもそうであるが、生業扶助の方は積極的な面になるので、生活困窮者に陷ることを防ごうとこういう面で特に生業扶助の面において現わした、こういうことになるわけでございますが、同時に又「おそれのある者」というのを全部に拡げて行くというような考え方が実際に具体的には取れないものかどうか、これらの点について……
#45
○政府委員(小山進次郎君) 気持の上におきましては、全般を通じまして、単に現在最低限度の生活を維持することのできない者だけでなく、その虞れある者まで手を延ばしたいという気持はこの制度全体として持つておるわけでありますが、国が責任を持つて保障するという建前を取りまする以上、やはりその限度は一応現在最低限度の生活を維持することができないというところに引かれなければならんというような考え方に立つておるわけであります。併しながら実際の運用におきましては、そういつた限度において努めて早期に而も適切に行うことによりまして、結果的には、常に生活保護法というものが単に消極的な機能だけでなく、積極的な機能も発揮できるようにして行きたい、又しようとかように考えておるわけであります。
#46
○石原幹市郎君 それからこれはまあ衆議院でもいろいろ論議され、議論があり、こちらでも大いに論議される点と思いますが、私はこの第二十二條の「市町村長又は社会福祉主事から求められたときは、」という字句はどうかと思うのであります。これはまあ專門の皆さん方から大いに論議される点であろうと思うのでありますが、これはやはり民生委員、我々今までの地方の実情を見ておつた者の気持から言いますと、民生委員に心持よく働いて貰うという意味において、これはない方がいいのではないかという感じが強くするのであります。実は私は前に地方の行政に関係しておりましたときに、民生委員が非常な手当も薄く、而もいろいろな仕事を持つておられる人が報告であるとか、いろいろの雑務を非常に持つておられる、これはまあ大変なことでもあると思うのでありまして、実は民生委員の中に、人口の相当ありますところ、例えば自治体警察のできたくらいの市町村に特別民生委員というものを置きまして、その中の一人なり二人、大きいところならば三人なりを特別民生委員として相当の手当を出して、その代り県に対する報告であるとか、いろいろ雑務的なことはその特別民生委員にやつて貰うという仕組で以て、暫くの期間でありましたが始めておつたのでありますが、これはまあその後の様子を聞いて見まして割合に辷り出しよく行つて、まあその筋の方からいろいろなその後注意というか、話が出て来まして、余り歓迎はその筋ではされていない様子に聞いておるのでありますけれども、私はそういう考え方を似て、この民生委員の中に若干の実際の仕事を或る程度に專門にやつて貰えるような人を選んでそういう組織を考えて行つてもいいのではないかということを実は考えておつたわけであります。あれこれ考えまして、この二十二條の求められたときは、協力する、これだけはどうも私も気持よくこれに同意することができないような感じを持つのであります。併しこの二十二條のできましたいきさつ、その他については、いろいろ事情もあることと思いますけれども、こういう点について果たしてこれは政府においてもどう考えていられるか。これは政務次官あたりから聞かして頂くことができましたら幸いでございます。
#47
○政府委員(小山進次郎君) 私から一応事務的ないきさつをお話申上げまして、後で大きく政務次官から政府の考え方を申上げたいと思います。第二十二條は只今御指摘がありましたように、法文の表現としては非常にぎこちない表現になつておりまして、これは不必要にいろいろな意味で誤解も起し、或いは不快の感じを起さしておるというような結果になつておりますことは、非常に私共も遺憾に感じておるのであります。ただ法文の表現としてはまずくはございますけれども、建前の問題としてはやはりそれが法律上書き得る建前の書き方であるということだけは言い得るであろうと思つております。国民に保護を求めるという請求権が与えられるといたしまするならば、公的な立場にある側といたしましては、責任を持つてその請求権の行使に応えなければならない、責任を持つという以上は、中間の公の立場に立たないものによつて保護の実体が決められてしまうというような方法を取ることはできなくなるわけでありまして、その意味においてどうしても公的な立場にある市町村長及びその補助機関を充実して、ここで名実共に保護をするという建前を取らざるを得ないと思うのであります。併しながら市町村長や補助機関である社会福祉主事があるだけですべて事が足りるというように考えることは、現状において到底できない、或いは将来においても考えることは、むしろ聊か思い上りということにもならうというのが現在の考え方であります。従いましてこのようなものでどうしても補うことのできない部門については民生委員の人々に協力をして貰わなければならない。この協力は単に民生委員の人々の私的な意味における協力だけでなくして、公の立場における公の意味を持つた協力であるということを考えまするというと、これはどうしても市町村長なり、或いは社会福祉主事が、これだけは一つ是非お願いしたいと言つてお願いした部分についてだけ協力をして貰うということが、公の意味を持つた協力を求める限界になり得ると思うのであります。ただこれは飽くまで法律上の建前の問題でありまして、実際上民生委員の方々が有志として進んでいろいろな部面について協力をするということは、非常に望ましいことであるだけではなく、これがなかつたならば恐らくは我が国における生活保護はここ当分の間は到底円滑な実施ができないというように考えられまするので、この面の協力は今後ますます強くして貰うように、これは民生委員の方々にもお願いを申上げておる次第でございます。
#48
○石原幹市郎君 これは民生委員が保護事務を執行するというのではないので、この書き方も協力する、民生委員の建前は飽くまでも協力体制にあるのでありますから、特に「市町村長又は社会福祉主事から求められたときは」ということを入れなくても、民生委員は市町村長及び社会福祉主事の行う保護事務の執行について、これに協心するものとする、とある方がどれだけ民生委員も気持よく働き得るのじやないか。先般の公聴会等を聴きましても、やはり殊に農村方面から出て来ておつた人は、この一点に集中していろいろ意見も述べておられたようでありまするが、協力するとあるのでありますから、執行するのではないのでありますから、どうも私はこの字句はなくても、今保護課長から言われたような説明の点だけからすると、一向支障のないように我々は考えるのでありますけれども、これは意見の問題になりまするから、適当なところでいいのでありまするけれども、尚その点についてもう一度……
#49
○政府委員(小山進次郎君) 考え方におきましては、全くおつしやる通りでございますが、一応まあ法律の條文の性質といたしましては、この第二十二條によつて民生委員が協力をする権限と同時に、義務を課せられるということになるわけであります。単に協力し得るだけでなくて、これに協力するものとするというふうに、求められたときには義務を課するということになつておるわけであります。従つて協力を求められた場合に協力しなければ、民生委員はこの第二十二條によつて課せられた義務に違反するということになるわけであります。勿論民生委員の方々の、心持から言いますならば、求められなくても進んで協力するのだから、義務を課せられるということは一向厭うことではない、こういうようなお気持ではありましようけれども、法律の立て方といたしましては、やはり公の立場に立つものでない人々に課する義務というのは、必要な最小限度に止めなければならないということになるわけでございまして、そのような意味合からいたしまして、「求められたときは」という、非常に目障りな言葉を入れたわけでございます。
#50
○石原幹市郎君 二十二條の問題はいずれ後で論議が重ねられると思いますから、この程度にいたします。
 次に、私は第三十七條でありまするが、「市町村長は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は支持をすることができる」とありまして、二項、三項にも、「必要の最小限度に止めねばならない」とか、或いは「強制し得るものと解釈してはならない」いろいろ抑制する規定が付いているのでありまして、これは私は勿論その行き過ぎがあつてはいかんと思いますけれども、要保護者、被保護者に対しては国家も相当の国費を費しこれの保護に当るのであり、それからそういう人々が一日も早くそういう状態から脱して、今後再びそういうことに陥ることのないように、国なり市町村なりで目をかけて行かねばならんのじやないかと思うのでありまして、少し遠慮しすぎたような書き方になつておるような感じがするのであります。実はあとの四十八條でありまするが、「保護施設の長は、常に、その施設を利用する者の生活の向上及び更正を図ることに努めなければならない。」これはもう私は当然なことであろうと思うのでありまして、努めなければならないと思うのであります。それから又六十條においてでありまするが、六十條においても「被保護者は、常に能力に応じて勤労に励み、支出、の節約を図り、その他生活の維持、向上に努めなければならない。」これも当然なことだと思うのであります。そういう意味から言いまして、行き過ぎがあつてはいけませんから、勿論二項、三項のような書き方もいいと思いますが、市町村長はむしろ必要な指導又は指示をしなければならない、というくらいにあつてもいいのじやないかと思う。これは私の感じでありますので、いろいろ意見があると思いますから、そういう大きな、国が責任を以て国力を挙げて極端に言えばこういう人の保護に当るのでありますから、この事務を執行する市町村長等は再びこういうことがないように、できるだけ早く向上さすように指導をむしろして行く義務がある、しなければならんものじやないかくらいに考えるのでありますが、この点又或いは私の考え違いがあるかも知れませんが、この点について御教示を願いたいと思います。
#51
○政府委員(小山進次郎君) この條文の運用の仕方等についての考えは、只今お話があつた通りに考えております。ただ特にしなければならないとすることなくして、することができるというふうに表現いたしておりまするのは、二十七條という法律の中にこれを盛込みますと、これはやはり法律上の意味を持つた指導なり指示ということなりまするし、又この指導なり指示に従わなかつた場合には、あとで六十二條の方で保護の廃停止が行われるということにもなりまするのでそのような関係からいたしまして、主として法律技術的な意味において、「しなければならない」ということでなく「することができる」というふうにしたわけであります。併しながら市町村長は二十七條ではなくして、むしろこの法律の執行に当る機関として、法律に定められている第十九條の趣旨からいたしまして、当然お話があつたように、進んで生活の維持、向上、或いは保護の目的達成に必要な指導をしなければならんことになるわけでございまして、この点はお説の通りに私共も考えております。
#52
○石原幹市郎君 分りました。次は三十四條の第三項でありまするが、「前項に規定する医療の給付のうち、あん摩、はり、きゆう、柔道、整復等営業法の規定によりあん摩師又は柔道整復師が行うことのできる範囲の施術については、」云々とこうありまして、「はり、」「きゆう、」というのが特に拔けておる。恐らく落ちたのではない、特に抜いたのではないかと思うのでありまするが、これは先般のここの委員会でも健康保険、社会保険等の関係においてもはり、きゆうがいろいろ除外されておるが、「はり」、「きゆう」というものを特に抜いた理由等についてお話を願いたいと思います。
#53
○政府委員(小山進次郎君) 只今お話がありました施術の問題は、「はり」、「きゆう」を拔いたというよりも、むしろ柔道整復とあん摩を入れました理由ということでお話を申上げたいと思います。生活保護法における医療は原則として社会保険の例に倣つておるわけでございますが、社会保険におきましては、実際の運用においてはいろいろの工夫はされてはおりまするけれども、一応表の面に現れましたところではあん摩、「はり」、「きゆう」、柔道整復が正面から行えるようになつておらないのでございます。従いまして、一応生活保護法の場合におきましても、原則としてそのような建前をとろうということになるわけでありますが、ただ柔道整復とあん摩だけはどうしても行なわなければならん場合が多いのであります。例えば脱臼、骨折というような場合には実際問題としてお医者さんよりも柔道整復師によりまする方がより効果的であるということが可なりあり得るのでありまして、特に整形外科等の十分整備しておらない地域におきましては、もつぱら柔道整復師に依存するというような実情になつておりまして、現に生活保護の場合におきましてもこれによつてやるというような実例があるのでございます。又あん摩と書いてありますが、主としてマツサージでありまして、大きな手術をしました後、例えば胸郭整形術をいたしました後等は、筋肉の麻痺を防ぎますためにどうしてもマツサージをしなければならんことが多いのでありますが、こういうような場合のマツサージを認めないということは実際の場合にどうしてもいかんというので、これも入れたらということで、まあ柔道整復とマツサージを主にいたしまするあん摩というものを特に生活保護の場合に入れるということにいたしたわけでございます。「はり」と「きゆう」につきましては、特に「はり」と「きゆう」でなければどうにもならんという場合が余りありませんために、止むを得ず載せなかつたとこういつたような次第でございます。
#54
○石原幹市郎君 これは一つ、後は愚問かも知れませんが、この「はり」、「きゆう」の必要の場合があるというような場合にはこれはやはり利用できる、こういうふうにまあいわゆる精神解釈して置いてもいいのでしようか。そう、いう場合があるというならば……
#55
○政府委員(小山進次郎君) そのような場合には「はり」師なり「きゆう」師が独立して施術を行なうということではなく、むしろ或る医師の人が自分の助手といたしまして、「はり」師なり「きゆう」師を医師が雇つて医療の一部として実施する、その場合の金は恐らく健康保険の点数表には載つておりませんので、実費ということになりまして、その医師に対して生活保護費から実費を金で支払う、こういうような方法でなされ得るると思います。
#56
○石原幹市郎君 分りました。それから最近我々のところへ、各委員のところもそうであろうと思いまするが、沢山葉書、手紙等が参りまして、この生活保護法の四條の第二項のことですが、三親等までの人が一応扶養義務者として扶養をやつて、それからでなければこの保護が行えない、こういうことになるので、非常に改悪であると、我々はこういうことになると非常に心配である。特に結核を療養しておるというような人から、そういう葉書を沢山受けるのでありまするが、これはまだ私研究を十分積んでおりませんが、これは今度初めて加つた規定になるのですか、従来からもこういう取扱いがあつたのか、その点を……
#57
○政府委員(小山進次郎君) この点は私共かような誤解が起きておりますることを非常に遺憾に存じておるのでありますが、むしろ今度の法律で考え方が可なり緩和されて来ておるというのが実相でございます。現在の生活保護法におきましては、扶養義務者が扶養し得るものは当然保護を受けることができないというふうに規定されておるのでございます。即ち扶養し得る扶養義務者を持つておりますものは生活保護法の欠格者であるという建前になつておるのであります。ところがこれでは困る。そういうことではなくして、やはりそういつた今次も欠格者であつてはいかんのだということで、今回の改正のように一応そういう場合には、それらの人々の扶養というものが先行して行れることを要件にするのだという程度に考え方の問題、或いは取扱い方の問題として緩和されて参つておるわけであります。それから扶養義務の範囲とか、程度の問題につきましては、現在の法律と全く同様でございまして、民法の八百七十七條の規定されておりますように、直系血族と兄弟姉妹だけがこれで読まれ得るわけであります。ただ特別の場合におきまして、家庭裁判所が扶養の義務を設定したものがあります場合には、その者の扶養義務もこの中に入るというわけであります。只今お話がありました、これは恐らく国立病院、国立療養所等におります患者の人々からの訴えであろうと思いますが、これは主としてこういつた事情に基くのであります。国立療養所におります人々の中には、未復員者給与法等から切換えられました人々が非常に多いのであります。当初こういつた人々を切換えます場合には、努めて生活の状態に激動等を与えないようにという気持からいたしまして、極めて率直に申上げますというと、聊か機械的に生活保護に切換えた傾向がないでもなかつたのであります。それを昨年の四月頃から医療の問題一般についてきちんとした基準を決めまして、普通の人々と同じように軌道に乗せた処理を始めましたために、従来或る意味において見逃されておつた人々の場合が、非常に御当人に対しては気の毒でありますが、一応問題になつて来た、時たまたまそういつたようなことが現われて来てから三、四ケ月いたしまして、この法律改正ということが出て参りましたので、何がその間に非常に関係のあるかのごとく憶測いたしまして、無理に新らしい法律をそういうふうに読んだということが実相のようでございます。最近これらの人々もその読み方が聊か神経過敏な読み方であつたということを知りまして、最近ではこの問の認識を改めて来たように見受けられるのでございます。
#58
○石原幹市郎君 分りました。そういう点については尚よく心配がないのである、却つて今度の法律の方が建前がはつきりしてよくなつたんだというふうなことをやはりよく国民、殊にそういうことを心配している人々に対しまして徹底しますようにやつて頂きたいと思います。それから先般大臣もここでやはりこの保護法に当つてはこういう保護があるということすら知らない国民もまだ沢山あるので、これは宣伝を大いにやらなければならんということを言つておりました。この点は一つこういう法律があり、こういう場合にはこういうことがあるのだということをまく末端まで徹底しますように、今後とも御尽力を願いたいと思います。その外これはまだ全額国庫補助でこれはいいのじやないか。或いは又最低限度の生活基準というのは一体どういうところを考えているのかという問題についても質して見たかつたのでありますが、これはいずれ他の委員その他からいろいろ論議されることと思うのであります。その方に讓ることにいたしまして、以上で私の質疑を打切ります。
#59
○政府委員(矢野酉雄君) 只今の石原委員のいい御助言は、丁度本日から三日間に亘りまして、全国の民生部長会議を開催して、朝早くから随分盛り沢山の行事を計画して進めております。この機会にも是非その趣旨がはつきり各末端まで徹底するように力を尽したいと思つております。
#60
○小杉イ子君 私は公聴会で申しましたことを再びここで申上げまして、これははつきりしたいことでございます。それは第二十一條の二項でございます。これは私ははつきり申すと、削除して頂きたい程に感ずるのでございます。理由は後で申しますが、それから石原委員の申されたように、「協力する者とする。」これも削除か訂正かして頂かなければならんということを思つております。
 それから、如何に法律文であつても、説明を聞かされてもこの二十一條の二項と二十二條に対しては心よく肯定はできませんと思います。それは申上げた通りに、今までの民生委員の代りに、「社会福祉主事は、事務吏員をもつて充て、政令の定める資格を有する者に中から任用しなければならない。」これが私は誠に生活保護を受けるという人達に取つては痛いことであると、こう思うのでございます。なぜと申しますと、自分の恥かしいこと、哀れなことを訴えることは、やはり村に住つているところのお馴染みの人の方が言いやすい。そうして又向うからも扶助を受けることは厚かましいとか言われることもよくある。これは保護少年を訴えるにも、警察などにああいう立て看板を立てたとて、警官のところに行くのは少いと思います。そうして隠すものが出で来る、こう思つております。その方面に対しては非常に止むを得ないと思うのであります。それから民生の職にも、これはひとり主人が民生委員でございましても、四人も五人もの役をしている。例えばお父さんが留守であつてもお母さんが聞いたり書いたりして呉れる。そうでなければ娘が代用して呉れる、こういう便利があるのであります。こういうことを考えるのであります。それが民主主義の今日で柔らかくこういうことはして、こういう官吏に頼らない方がいいのじやないか。そうして又物資の要望などに対しては、今まで非常に不誠意なことがありましたけれども、そういうものはその頭書によつて調べて、これは限定ができる、こう私は思いますので、それでこの官吏を使わなくてもいいと、こう思います。
#61
○山下義信君 石原委員の質問に関連しまして、私は二点程伺つて見たいと思います。
 一つは民生委員の性格が本法の改正によりまして、これは全く新たなるものが生み出されなければならんのであります。当然民生委員法の改正というものが行われなければならぬと思いますが、政府は民生委員法の改正に対して準備されておる点がありますか、どういうふうなことになつておりますか。次期国会に民生委員法の改正表提出する御用意があるかどうかという点を伺つて置きたいと思います。
 それから今一つは、第二十七條の市町村長の指導及び指示について石原委員の御質疑がありました。それに対して保護課長は全く同感の旨をお答えになつたのですが、この第二十七條に関連いたしましては、私も前回の質疑に第六十二條等々に関連いたしまして矛盾の点を指摘し、そうして第二十七條の精神について伺つて、大臣列席で答弁を得たのであります。その趣旨と只今保護課長の答弁せられたのと若干の食違いがあるように感ぜられますので、今一度明確にして置きたい。それはその第二十七條の精神は、決して被保護者に対し監督がましいことや、制約を加えたりいろいろするのではないということを明らかにしたいというのが私の質疑の要旨であつたのであります。只今石原委員の御質疑の内容を伺つておりますと、国家が多額な金を支出して保護して行くいうのである、又多額の事務費を使つてこういう仕事をするのであるから、その保護を受ける者の生活方法等について国家が相当の指導監督をするのは当然である、市町村長が指導するのは当然であつて、それに二十七條の第二項のような遠慮するようなことは、むしろ遠慮し過ぎるというような御質疑であつたように思う。それに対して保護課長は全く同感であると答えられた。私共は本法の改正案の趣旨は恩恵的に国が給費するといつたような思想の根本的な払拭がこの法案の生命であると解釈しております。金を出してやるのだからお前の生活を指導すると言つて、いろいろ監督をやる程当り前だといつたような考え方は、この本法にはもう少しでもそれがあつてはならない。従来民生委員がややもするというと被保護者に対してかれこれとその生活上必要以上に何かと差出がましいことをすることが如何ばかり被保護者に取つて苦痛であつたかということは蔽うべからざる事実であつてそういうことがなくなるととが民生委員の制度の革新の一要素でもあると私は解釈しておる。それが今度は市町村長が、その従来あつた民生委員のややもすると弊害に陥つた被保護者に対するところの一つの圧迫、或いはその生活に対する要らざる差出がましい干渉的な態度というものが、今度は市町村長がそういうような傾向に陥ることは断じてならないということを私は前回質疑において明らかにして、全くさようでございますという当局の答弁であつたと解釈する。でありますから、第二十七條は国が多額の保護費を出してやるのだからその要保護者に対しての生活のいろいろな監督をするのが普通であるというような趣旨では私は成年立たないと思う。その二十七條の起案の意思は、よくよく世話をしてやらなればならんような特殊の対象というものに対して、或いは非常に素行が不良であるとか、或いは非常に何とか保護をしなければならんというような限られた人の場合にのみ市町村長が適当な指導をしようというのであつて、尚それにしても人権の侵害をすることはならんという当然の注意が加えられてある。而もこの第二十七條はただ監督するとかいう意味でなかなかして、その生活維持向上、その生活の維持ばかりではなく、その生活の向上に持つて行くのでありますから、もつともつと好意的な積極的な意思であると私は解釈している。保護課長は国が多額の費用を出している以上は、その命を受けている者のその生活について当然或る程度まで保護する実施機関が口を出すのは当り前であるという、監督して行かなければならんというような、そういう趣旨が第二十七條の趣旨であるかどうか、明確にして頂きたいと思うのであります。
#62
○石原幹市郎君 今山下委員から私の質問と関連して話があつたのでありますが私はこの二十七條において、これは言葉の言い廻しは惡かつたかも知れませんが、国は相当金を出しておるのであるから、当然の指導監督をせねばならんと、そういう気持はそういうことではなかつたのでありまして、再びそういう被保護者のような境涯にならないように、一日も早く又そういう境地から脱していくように、つまり維持向上、今山下委員が言われた維持向上、それから保護の目的達成、こういうことに市町村長というものは、いわゆる保護執行者は、この法の執行者は十分力を入れて行かなければならんのではないか。勿論行き過ぎはあつてはならんのでありまするから、この二項、三項のような規定があることはこれは当然でありまするが、このレベルを上げて行くという点について市町村も大いに関心を払い努力して行かなければならんのであります。それと関連して、つまり国は相当国費を費し、今後殊に社会保障制度等が何されまするというと、国の非常な大きな国費を充当するということになるのでありまするから、互いにそういう該当者が一日も早く少なくなるように、なくなるように努力をしなければならんのではないかいそういう私は感じがするから、この二十七條はむしろその指導又は指示しなければならないぐらいにあつてもいいのではないかという私の気持を言つたのであります。何だか今山下委員の話を聞いておりますると、私如何にもこれは恩恵的な法律であるから、飽くまで嚴重な指導監督をするように考えていいのではないかというふうに私が聞いたように言われましたので、それは若干私の気持と違うところがあるのじやないかということを申上げて置きます。
#63
○山下義信君 石原委員の御質疑の御趣旨は了承いたしました。前回の私の質疑にも関連しておりまするので、政府の答弁を明確に質しておきたいと思いますので、改めてその点も先程の民生委員法の改正についての政府の用意如何と併せて御答弁を願いたいと思います。
#64
○政府委員(矢野酉雄君) 第一段の御質疑に対しては、御質問の通りに重大な問題でありまするので、その如何なる改正の手続きをすべきか、その如何な研究調査をしております。只今の段階では次の第八回国会にこれを提案する運びになるかどうかという、まだ資料その他の蒐集、結論に達していない状態でありまするから、その点のお答えは明確にできないのを遺憾といたします。
 それから次の御質問は、最前石原委員の御質問に対して保護課長が答えましたが、いわゆる血税によつて保護を受ける方々をお世話するので、それについては無責任であつてはならないというようなことを強調なすつたのに対して、保護課長はその精神においては御尤もであるというふうに答えたのであろうと私は解釈いたしまするが、山下委員の御解釈になるような表現の形式をとつたことは、これはやや表現の形式に慎重を欠いたと思う。併しこの二項を加えておるものは飽くまでもやはり山下委員の御解釈のごとく、新憲法の精神をやはりこの二十七條のもここに私は裏書しておるのであつて、飽くまでも人権を尊重して、保護してやるから、故に権力を以てこれをいろいろと突つこんで干渉がましいことをするということが、絶対にそういうことに陥らないように、これに対する警戒したところの條項だというのでありますから、この精神は全く山下委員の御質問と同じであるということを弁明して置きます。
#65
○政府委員(小山進次郎君) すでに政務次官からもお話を申上げておりますので……
#66
○理事(藤森眞治君) 簡単に。
#67
○政府委員(小山進次郎君) 蛇足になりますけれども、只今の問題は、法律解釈の問題として後日引用され得る問題でありますので、一応その意味で事務的にお答え申上げたいと思います。先程お話がありましたのに私全く同感だと申上げた趣旨は、只今石原委員からお話があつた、そのお気持に同感だということを申上げたのであります。従つて私は市町村村長が必要な指導又は指示をしなければならないということの法律的な意味は、むしろ第二十七條からではなくして、十九條から読めるんだと、こういうことを申上げたのは、そういう気持であります。市町村長は保護を実施しなければならん責任者である、従つて当然のこととして被保護者に対してその責務を果す上から言つて、生活の維持向上その他目的達成に必要な指導又は指示をしなければならんのだと、但しこの場合に、いわゆる指導又は指示というものが、二十七條に言われている指導又は指示と法律的な意味において多少違うものだということを附け加えることを怠りましたことは、私の手落ちでございまして、この点はそういうように附け加えさして頂きたいと思います。尚二十七條の解釈といたしましては。全く山下委員がお話になりました通かでございまして、この二十七條という心のが結果的には法律上に或る程度の制約を加えるということがあり得るのものである、それが二項、三項においてそういつたことがないように、特に配意された入念規定というものが附け加えられているんだというように考えているわけでございます。
#68
○理事(藤森眞治君) 大分遅いので、速記のあるうちに皆さんに申上げたいのですけれども、ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#69
○理事(藤森眞治君) それでは速記を始めて下さい。
#70
○石原幹市郎君 来たる二十二、二十三、二十四日に金沢で全国民生委員大会が行われるということを聞いておるのですけれども、丁度国会においても生活保護法の審議中で参りまするし、広く各方面の意見を聴くという丁度いい機会で心ありますから、この際参議院厚生委員会からもこの会議に議員を派遣したらどうか、こういうふうに考えますので一応動議として提出いたします。
#71
○理事(藤森眞治君) 只今石原委員からの動議に御賛成の方の(「賛成」と呼ぶ者あり)御挙手を願います。
   〔総員挙手〕
#72
○理事(藤森眞治君) それでは全会一致で御賛成と認めます。
#73
○石原幹市郎君 その員数とか何かは委員長に御一任いたしたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#74
○理事(藤森眞治君) それでは後の手続その他員数については委員長に御一任下さるということにいたしまして、そのように取運ぶということにいたして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○理事(藤森眞治君) それでは本日はこれを以て散会いたすことにいたします。
   午後零時四十三分散会
 出席者は左の通り。
   理事      藤森 眞治君
   委員
           中平常太郎君
           山下 義信君
           石原幹市郎君
           紅露 みつ君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
  政府委員
   厚生政務次官  矢野 酉雄君
   厚生事務官   
   (保険局長)  安田  巖君
   厚生事務官
   (社会局保護課
   長)      小山進次郎君
ソース: 国立国会図書館
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