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1980/05/14 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 地方行政委員会 第15号
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1980/05/14 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 地方行政委員会 第15号

#1
第094回国会 地方行政委員会 第15号
昭和五十六年五月十四日(木曜日)
    午前十時五分開議
 出席委員
   委員長 左藤  恵君
   理事 石川 要三君 理事 工藤  巖君
   理事 中山 利生君 理事 安田 貴六君
   理事 佐藤 敬治君 理事 松本 幸男君
   理事 大橋 敏雄君 理事 青山  丘君
      池田  淳君    池田 行彦君
      臼井日出男君    片岡 清一君
      久間 章生君    久野 忠治君
      塩谷 一夫君    谷  洋一君
      地崎宇三郎君    西岡 武夫君
      松野 幸泰君    五十嵐広三君
      小川 省吾君    加藤 万吉君
      細谷 治嘉君    石田幸四郎君
      部谷 孝之君    岩佐 恵美君
      三谷 秀治君    田島  衞君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 安孫子藤吉君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      前田 正道君
        人事院事務総局
        任用局長    斧 誠之助君
        自治大臣官房審
        議官      大嶋  孝君
        自治省行政局長 砂子田 隆君
        自治省行政局公
        務員部長    宮尾  盤君
 委員外の出席者
        総理府統計局調
        査部国勢統計課
        長       山田 隆夫君
        防衛庁防衛局運
        用第二課長   芥川 哲士君
        文部省社会教育
        局審議官    七田 基弘君
        厚生大臣官房統
        計情報部管理課
        長       小池 隆雄君
        厚生省社会局老
        人福祉課長   成島 健次君
        水産庁振興部沿
        岸課長     武田  昭君
        海上保安庁水路
        部水路通報課長 佐藤 一彦君
        労働省労政局労
        働法規課長   中村  正君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 若林 之矩君
        地方行政委員会
        調査室長    岡田 純夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十三日
 辞任         補欠選任
  池田  淳君     坂田 道太君
  池田 行彦君     岸田 文武君
  臼井日出男君     三池  信君
  谷  洋一君     山中 貞則君
同日
 辞任         補欠選任
  岸田 文武君     池田 行彦君
  坂田 道太君     池田  淳君
  三池  信君     臼井日出男君
  山中 貞則君     谷  洋一君
    ―――――――――――――
五月七日
 身体障害者に対する地方行政改善に関する請願
 (小杉隆君紹介)(第三七四四号)
 同(池端清一君紹介)(第三七六二号)
 同(岡田利春君紹介)(第三七六三号)
 同(北山愛郎君紹介)(第三七六四号)
 身体障害者の自動車運転免許証に付される重量
 制限廃止等に関する請願(小杉隆君紹介)(第
 三七四五号)
 同(池端清一君紹介)(第三七六五号)
 同(岡田利春君紹介)(第三七六六号)
 同(北山愛郎君紹介)(第三七六七号)
 両上肢及び四肢麻痺障害者の自動車運転免許証
 取得に関する請願(長谷川正三君紹介)(第三
 八二五号)
 道路交通法に基づく指導、取り締まり等に関す
 る請願(五十嵐広三君紹介)(第三八二六号)
 同(井上一成君紹介)(第三八二七号)
 同(河上民雄君紹介)(第三八二八号)
 同(佐藤敬治君紹介)(第三八二九号)
 同(嶋崎譲君紹介)(第三八三〇号)
 同(島田琢郎君紹介)(第三八三一号)
 同(田邊誠君紹介)(第三八三二号)
 同(塚田庄平君紹介)(第三八三三号)
 同(広瀬秀吉君紹介)(第三八三四号)
 同(山花貞夫君紹介)(第三八三五号)
 同(渡部行雄君紹介)(第三八三六号)
同月八日
 社会保険関係職員の身分移管に関する請願(林
 百郎君紹介)(第三九六七号)
 身体障害者の自動車運転免許証に付される重量
 制限廃止等に関する請願(田邉國男君紹介)(
 第四〇六六号)
 身体障害者に対する地方行政改善に関する請願
 (田邉國男君紹介)(第四〇六七号)
同月九日
 身体障害者に対する地方行政改善に関する請願
 (野坂浩賢君紹介)(第四一三三号)
 身体障害者の自動車運転免許証に付される重量
 制限廃止等に関する請願(野坂浩賢君紹介)(
 第四一三四号)
 指定自動車教習所の公共性強化等に関する請願
 外一件(石田幸四郎君紹介)(第四一八三号)
同月十一日
 指定自動車教習所の公共性強化等に関する請願
 (岩佐恵美君紹介)(第四三九二号)
 同(浦井洋君紹介)(第四三九三号)
 同(村上弘君紹介)(第四三九四号)
 身体障害者に対する地方行政改善に関する請願
 (三谷秀治君紹介)(第四三九五号)
 同(金子みつ君紹介)(第四四七一号)
 身体障害者の自動車運転免許証に付される重量
 制限廃止等に関する請願(金子みつ君紹介)(
 第四四七二号)
同月十四日
 地方財政の確立等に関する請願(村上弘君紹
 介)(第四六三一号)
 身体障害者に対する地方行政改善に関する請願
 (石橋政嗣君紹介)(第四六三二号)
 同(玉置一弥君紹介)(第四六三三号)
 同(春田重昭君紹介)(第五〇三二号)
 身体障害者の自動車運転免許証に付される重量
 制限廃止等に関する請願(村山喜一君紹介)(
 第四六三四号)
 同(石橋政嗣君紹介)(第四六三五号)
 同(玉置一弥君紹介)(第四六三六号)
 同(春田重昭君紹介)(第五〇三三号)
 道路交通法に基づく指導、取り締まり等に関す
 る請願(金子みつ君紹介)(第四六三七号)
は本委員会に付託された。
同月十四日
 社会保険関係職員の身分移管に関する請願(林
 百郎君紹介)(第三九六七号)
は委員会の許可を得て取下げられた。
    ―――――――――――――五月十二日
 地方財政充実強化に関する陳情書(仙台市国分
 町三の三の七宮城県町村議会議長会長小野寺千
 春)(第一七八号)
 極左暴力集団追放に関する陳情書外一件(大阪
 府泉南郡阪南町議会議長畑中新次外一名)(第
 二一五号)
 料理飲食等消費税の免税点引き上げに関する陳
 情書(福岡県議会議長吉村範真)(第二一六
 号)
 自治体財政確立及び地方交付税率の引き上げ等
 に関する陳情書外二件(福岡県議会議長吉村範
 真外二名)(第二一七号)
 社会保険関係職員の身分移管に関する陳情書外
 二件(北海道議会議長西尾六七外二名)(第二
 三三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、第九十三回国会閣法第八号)
 社会保険関係職員の身分移管に関する請願(林
 百郎君紹介)(第三九六七号)の取下げの件
     ――――◇―――――
#2
○左藤委員長 これより会議を開きます。
 この際、請願取り下げの件についてお諮りいたします。
 本委員会に付託になっております請願中、社会保険関係職員の身分移管に関する請願(第三九六七号)につきまして、紹介議員であります林百郎君から取り下げ願が提出されております。これを許可するに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#4
○左藤委員長 地方公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
#5
○加藤(万)委員 ただいま議題となりました法案について、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 本法は、本来国公法の改正からその原因を発しているわけですから、国家公務員関係の担当大臣にお開きするのが本来でありますが、きょうは内閣委員会も同時審議でありますから、国務大臣として大臣に、この法案が提案をされた客観的な理由についてひとつお聞きをしたいと思うのです。
 本会議でも私は、この法案自身の持つ今日的な意義について、若干私の立場を述べました。どう見ても今日の公務員法ないしは公務員全体の体系の上から見て、定年制だけを特筆して提起をされるのは間違いではないか、こういう意見をおおむね申し上げたつもりでございます。したがいまして、この法案が提起をされる今日的な客観的な理由は一体政府としてどうお考えになっているのだろうか、これをまず国務大臣として、大臣の御意見をお聞かせいただきたい。
 それから第二に、この法案は人事院の書簡から国公法の改正という形に出ているわけであります。この書簡の持つ内容が、言うところの勧告であるのか、意見の申し出であるのか、あるいは単なる書簡として人事院総裁の所見を述べたのにすぎないのか、これは大変重要な議論のあるところであります。しかも、これは主としていわゆる人事院でありますから、国家公務員に対する定年制の設置の意義といいますか、そういう所見を述べたにすぎないと私は思うのであります。これが即地方公務員法の改正に連動している。
 かつて私は、本委員会に当時は在籍はいたしませんでしたが、当時地方公務員法の定年制の問題が提起をされて、国会で廃案になったという話を経過として承知をいたしております。それだけに、国公法の改正が即地公法の改正に至るというこの運動については、地方自治の関係から見てどうも納得ができない。かつて、そういう地方公務員法自身の改正があって、その場合には国公法の改正はなかったわけですが、その定年制のよしあしは別にいたしまして、地方自治体関係を所管をする自治省が独自に出されたというには、それなりの意見といいましょうか、自治の尊重というものは存在したというふうに思うのです。
 今回、政府側の提案に伴って、地方公務員に対する法案まで連動して提出されるというに至りましては、自治の本質を見失う要因が中にあるのではないか。これは自治大臣として、国公法の改正に伴って地公法の改正を提起をした理由、その見解についてお示しをいただきたい、こう思います。
#6
○安孫子国務大臣 人事院総裁の書簡の性格につきましては、私がいま決定的な意見を申し述べる立場にもございませんが、単なる書簡ではなくして、相当拘束力と申しますか、強い意味の勧告である、勧告的色彩を持つものである、私はこういうふうに理解をいたしております。
 それから、国家公務員について定年制をしくということになりましたのは、やはり人事の長期的な計画的配置、新陳代謝、そういうことをやる必要があるだろう。それからまた、民間におきましてもこれが定着しておる。それから世論の面から見ましても、定年制の実施ということを要望しておるのが明瞭になってきておる。そうした観点から、国家公務員について定年制をしこうということに相なったものと私は理解いたしております。
 地方公務員の場合につきましては、十年以上前からいつも定年制をしいてもらいたいという要望が強く出されておったのは御承知のとおりであります。したがいまして政府といたしましても、これを国会に提案したことは幾たびかあるわけでございます。最近におきまして、特にその必要性を私ども痛感しておりまするのは、だんだんと高齢化社会に近づくに従いまして、従来やっておりまする勧奨退職というものが行き詰まりつつあるという実情がございます。
 これは、前にはいろいろばらつきがありまして、本当にこれが行き詰まっているところもありましたし、また勧奨退職という制度で曲がりなりにも新陳代謝、人事管理がうまくいっていたのもありますけれども、だんだんとそれが困難になってきておる、そういう実態でございます。
 人事管理は公共団体の一つの基本的な問題でございまして、やはりこれがうまくまいりませんと、公務執行について非常な支障を来す面が多々ございます。もちろん、一面公務員の自覚あるいは活動という問題も重要でございまするけれども、やはり新陳代謝というものが円滑に行われないと公務の執行にも影響を及ぼす問題でございまするので、どうしても計画的、長期的な新陳代謝が制度的に保障されるという制度をとることが私は大切なことだと思っております。
 そういう観点から、これは十年以上前から地方団体で定年制をしいてもらわなければいかぬという要望が強く出されておりまして、地方制度調査会等におきましても何回となくこの点の答申を得ておる実情にございます。
 今回、国家公務員についてもその制度をとることになりましたので、地方公務員につきましても、いままで再三御提案をいたしましたが制度の成立を見なかったのでございまするが、この際は国家公務員と同様地方公務員について特にその必要性を痛感しておりまする自治省といたしましては、ひとつ御審議を願って御可決をいただきたい、こういう趣旨で提案をいたしたわけでございます。
#7
○加藤(万)委員 大臣の本会議における答弁は「公務員制度全般を通じて整合性を確保する」こうおっしゃっていらっしゃいます。いま幾つか、地方団体からの要望、調査会の要望等があってという御意見は、それなりの背景があるとは私は思います。それから、前半述べられた人事管理上の問題は、私は定年制というものが一つの日本における人事管理、これは何も国家公務員、地方公務員に限らず、論理的なものとして存在するということを実は否定するものではないのであります。
 したがって、定年制度そのものについての是非については議論があるところであります。これをいまの日本の国家公務員なり地方公務員の体系の中に持ち込むことの是非が、今日この委員会なりあるいは内閣委員会で論議されておるところだろうと思うのです。一般論としての定年制の問題よりも、むしろ今日ある公務員制度の中に定年制を持ち込むことの是非というものが、今日内閣委員会や当委員会の議論として展開されていかなくてはいかぬ、こう思うわけです。幾つか理由を述べられましたが、この理由については私どもの見解を後ほど述べてまいりたい、こう思います。
 そこで、国家公務員との関係の整合性を求め、そして大臣の答弁は、各地方公共団体が条例で定めることをもってその整合性を求める、こうおっしゃっておるわけです。これは、本会議の議事録ですから間違いございません。そこで、各地方団体が条例で定めるというこの条例ですね。実は私は、ここに国家公務員法の改正それから地方公務員法の改正、それぞれ法案としての対比をしてみました。
 大臣がおっしゃるように整合性の問題とその中身のことを地方条例で定める、こうなっておるわけですが、実は整合性の上から見ても、あるいは地方公務員法の一部を改正する法律案を審議する上から見ても、条例内容に依存されている部面が非常に多いのです。たとえば、一番基本になります定年の六十年という年数についても、国家公務員法では明らかに「前項の定年は、年齢六十年とする。」地方公務員法によりますと、「国の職員につき定められている定年を基準として」あとは「条例で定める。」いわゆる従来の準ずるであるとか、あるいは国の法律を配慮するとか、そういう言葉から「基準」に変わられた。
 その言葉自身にも問題がありますけれども、同時に、一体基準とは何だろうか。もし、国家公務員法と整合性をとられるとするならば、むしろ第二十八条の二の二項に「満六十年をもって」、こう記載される方が正確ではないかと私は思うのです。「基準」といいますとまさに基準でありますから、六十歳を前後して上もありましょうし、下もありましょうし、あるいは今日特に現業関係に関連する各地方団体では労働協約など締結しておりますから、その年齢とこの基準とは一体どういうかみ合わせを持つのだろうか。率直に言って、基準という表現だけではその内容が把握できません。
 さらに加えて申し上げますと、国家公務員法の場合には原則定年と特例定年がございまして、特例定年の職種について第一グループから第四グループまで分けての職種の選定を行い、それぞれの定年年齢を定めているわけです。ところが地方公務員法の場合にまいりますと、条例に定めるということで、これが全く内容的には明らかにされておりません。こういった幾つかの視点を挙げますと、条例のないことには実は地方公務員法の一部改正の法律を審議することができない。
 まんじゅうの例をたとえては申しわけないですが、これは確かにまんじゅうであることはわかりますけれども、中があんこなのか、あるいはとても辛くて食べられないものなのか、あんこが出てないのですよ。ですからまんじゅうに手をつけることができない。私はよく言うのですが、果物が好きか、こう問われるのです。私は果物が好きです。ところが、それじゃバナナが好きですかといいますと、私はバナナはきらいです。同じ果物でも、その内容が明らかにならなければそれに手をつけることができない。
 同じように今回の場合に、地方公務員法の一部改正のその中身がすべて条例にゆだねているということになりますと、実は果物は好きだけれども中身はどうも食べ切れない、何であるかということが明示されなければそれに食指が動かない、こういうことがあるのですが、この条例についてはどうなんですか。本委員会で条例内容を明らかにしていただきたい、こう思うのですか、いかがでしょうか。
#8
○宮尾政府委員 御質問の第一点は、地方公務員法では国家公務員の定年制法案と違いまして条例で定める部分が多い、しかもその定めることについて「基準として」という考え方をとっておる、これについての御質問でございました。
 私ども、このような法律の仕組みをとった基本的な考え方でございますけれども、国家公務員と地方公務員とを比較をした場合、地方公務員の場合には、中にはその職種によりまして、国家公務員にないようなものがあり得るということがございます。また地方団体によりまして、職種によってはなかなか補充が困難であるというような事例がございまして、そういう点についても、国家公務員と事情を異にする事態があり得るわけでございます。
 したがいまして、定年制というものを地方公務員法の中に定める場合に、場合によりましてはその定年年齢について原則六十歳ということに対する特例を考えなければならないようなものについてまで、細かに法律の中に規定をしてしまうということは、むしろ地方団体の人事管理の実情等に即さない面もあり得るのではないかという考え方がございまして、むしろそういう意味では、定年制度の基本的な仕組み、つまり定年制度を設けること、それからその場合の基本的な仕組み、こういうものについては地方公務員法の中に明確に規定をする必要があるけれども、定年年齢あるいは定年退職日等、具体的な実施のための事項につきましては、これは地方団体の条例で定めるということにした方が実情に即する、こういう考え方のもとに、そういうものを条例にゆだねたわけでございます。
 ただ、この定年年齢というのは定年制度の一番基本になるものでございまして、それがばらばらになってしまうということについては非常に問題がありますし、やはり国家公務員と地方公務員との間の整合性というものがなければならない、こういうことから、国の職員について定められている定年を基準としてそれぞれの地方団体が条例で定めていただく、こういう法制をとったわけでございます。
 この場合の基準の考え方といたしましては、特に異なった定年を定めなければならない合理的な理由がある場合は、国家公務員について定められている定年年齢とは異なった定年年齢を定めることができますが、そういう事由がない限りは原則として同じである、こういう基本的な考え方に立っているものでございます。
 そこで、この条例についてどういうことを定めるか、それがなければということでございますが、この国の職員について定められている定年というものにつきましては、これは国家公務員法第八十一条の二の第二項に、一つは、原則定年は六十歳であるということが定められております。それからさらに、その中に三つの号を置きまして、一つは、特定の病院、診療所等に勤務する医師、歯科医師については六十五歳、それから第二号には、庁舎の監視その他の庁務及びこれに準ずる業務に従事する職員で人事院規則で定めるものが六十三歳、それから三号に、さらにそれ以外の職員で、職務と責任に特殊性があること、または欠員の補充が困難であることによって六十歳とすることが不適当だと認められる官職で人事院規則で定めるものについては、六十歳から六十五歳の範囲内で人事院規則で定める年齢、こういういわば六十歳の特例となる定年年齢を定める三つのケースがございます。これらすべてを地方公務員法では「国の職員につき定められている定年」という中で読んでおるわけでございます。
 そしてさらに地方公務員法では、二十八条の二第三項におきまして、そういう国の定年年齢を基準として条例で定年を定めるほかに、なお、地方公共団体における職員の職務と責任に特殊性があること、あるいは欠員の補充が困難であるということで、国の職員について定められておる定年を基準として定めることが実情に即さないと認めるときには、さらに条例で別の特別の定年を定めることができる、こういう立て方をしておるわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、この条例で定める定年の定め方は、以上のような考え方を基準にして、それぞれの地方団体で定めていただくということになるわけでございます。
 その際、自治省といたしましては、モデル的な条例という意味で、条例準則を地方団体に示すことを考えておりますが、ただ、現段階では、この人事院規則が定まっていないということによりまして、どういうふうにその条例準則を固めるかという最終的な結論ということが得られておりません。
 したがいまして私どもといたしましては、現段階で条例準則の最終的な姿を申し上げることはむずかしいわけでございますが、今度の地公法の改正によりまして定められる条例の中に規定すべき事項といたしましては、一つは、ただいま申し上げました定年の定め、第二に、定年退職日をどのようにするかということの定め、第三は、勤務延長の要件と手続、第四は、再任用の要件と手続、こういったことについて条例の中に規定を置かなければならない、そういうふうに考えておりまして、それらの条例準則を、いずれ人事院規則等が明確になった段階で固めまして各地方公共団体にお示しをしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#9
○加藤(万)委員 いま聞いておりまして、まさに説明を聞かなければ内容的にわからぬのですよ。説明を聞いている間に――いまのあなたの答弁は十分近いですよ。わが方の理事から、今度の質問はきわめて重要な課題であるから、時間をもっととってほしいと。説明を聞いて私の意見を述べる材料がないじゃないですか。
 あなたはいまおっしゃいましたね、今度条例をつくるのは、定年制、それから退職日、勤務内容、再任用、これを条例準則で定めると。三百数十万に及ぶ地方公務員の身分関係がこれいかんによって全部変わってくるわけですから、条例がないことには――国家公務員法の方では、若干職種の選定も行い、おおむね推定される職種がある。これは大体六十三だな、これは大体六十だなとわかりますよ。
 おっしゃられるように、地方団体で職種の違い、あるいは国家公務員にない職種というのは存在すると私は思うのです。しかし、これとこれの職種はおおむねこういうふうになりますよ、六十歳、六十三歳になりますよと――たとえば、私が不思議に思いましたのは看護婦さんですよ。国家公務員の方では六十歳ですね、一般的に。しかし地方団体の場合に、たとえば山村僻地の場合、看護婦さんがなかなか採用ができない。とすれば、山間僻地における医師と看護婦さんは、一体定年制が六十歳でいいのだろうかという疑問が実は出たわけです。さあそれをこの中で見出そうとしましたら、もう条例に定めるということでわからない。
 この法案を審議するに当たって、一般的には、定年を六十にするかしないかという議論が非常にあるわけです。たった一条の法律ですけれども、この中に持っているものは非常に深いものがある。特に私たちのように、いわば労働組合あるいは労働者の権利をどう確保するかという段階からまいりますと、この中における、たとえば労働基本権についてどうお考えになっているのだろうか、片りんがうかがえないのですよ。
 国家公務員の場合には、五現業については給特法を持ち、同時に、人事院は主務大臣に読みかえる。ここで団体交渉権の存在が確認される、こういう面がうかがえるわけです。ところが、地方公務員法の場合には任命権者に全部を任せる、こういうことになっていますね。
 人事院がない地方団体では、この場合一体どういう扱いになるのだろうか。四十八都道府県と政令都市以外には人事委員会がございませんね、仙台はありますけれども。そうしますと、人事院にかわるべきものが地方団体ではどうなっていくのだろうか、あるいは現業あるいは単労と言われている諸君、いわゆる行(二)の担当する職員、労働者、この人たちの団体交渉権なりあるいは団結権というものは、この条文の中のどこで、地方公務員法の場合に確保されているのだろうか、うかがい知ることはできないのですよ。
 したがって、いまあなたの御説明のところでいきますと、定年退職あるいは勤務内容、再任用、現業や単労に対する交渉の担保、団結権の担保はどこにあるのですか。あなたの示された条例準則は、大体こういう方向で考えていますよというその内容を見ても、出てきませんよ。定年制の問題よりもむしろ憲法に保障されている団結権なりあるいは団体交渉権なり、それに基づく労働協約権というものは、この法律の中のどこで保障されていくのだろうか、私は見出すことは困難でしたよ。どうですか、条例を示さなければこの議論ができませんよ。どこにその保障があるのですか。答弁願います。
#10
○宮尾政府委員 今回の定年制に関する地方公務員法の改正に関してでございますが、それに関連をいたしまして職員の労働基本権の問題についてはどうなるのか、こういう御質問と承知をいたします。その点については、今回定年制度を導入するにつきましても何ら基本的な事項を変えるものではないわけでございます。
 一般の公務員につきましては、この地方公務員法の中に、先生御存じのように第九節に職員団体に関する事項が定められておりまして、職員団体につきましては、勤務条件等について交渉ができる、こういう定めがあるわけでございます。
 それから現業の職員、特に公営企業等の職員については、これも先生重々御承知のとおり、地方公営企業法あるいは地公労法の中に定めがございまして、企業職員等につきましては団結権と団体交渉権、労働協約締結権がある、こういうことが定められております。これ自体について、全くその仕組みというものが変わるわけではありません。
 したがいまして、定年制度というものが分限の一つでありますと同時に、勤務条件という側面を持っておるわけでございますから、当然そういう勤務条件に関する事項につきましては、職員団体は交渉ができます。企業職員につきましては、現在の地公労法の定めるところにありますように、勤務条件に関する事項については団体交渉ができる、こういう考え方をとっておるわけでございます。
#11
○加藤(万)委員 私は、内容のことは後で質問しますよ、どういうことで団体交渉が成立するのか。ところが、その内容の問題じゃないのです。その内容を討議するに当たっては、条例準則がなければ内容に踏み込めませんということを言っておるのです。
 たとえば、これは私は後で質問しようと思ったのですが、事務局には言ってありますけれども、京都の南丹病院事件がございますね。これは混合労働組合です。いわゆる一般職と現業関係が一緒になった労働組合ですね。看護婦さんの訴訟事件が起きましたよ。そして中労委が命令を出しましたね。労組法上の取り扱いをしているわけです。そうしますと、一体、看護婦さんの場合、職種がどちらになるのだろうか。それいかんによっては、地方公企労法の適用を受けるのか、あるいは地方公務員法の適用を受けるのかという問題が出てくるわけです。
 したがって、これはもう御案内のように、単労、単純労務者については政令二十五号がなくなっております。しかも、その職種の選定が法律上どこにもありません。条例準則でどこか定めてもらわなければ、いま言ったように、私の身分を確保するには一体地公労法の適用を受けるのだろうか、あるいは労組法上の適用を受けるのだろうか、あるいは地公法の適用で公平委員会なりあるいはその任命権者の意向いかんによって定まってしまうのだろうか、不明確ですよ。職種の、たとえ概説であっても、国家公務員法の一部を改正する程度の内容明示があれば、おおむね推定ができますよ。
 したがって私は、あなたのおっしゃるように、確かに地方公務員の場合には職種が多いわけですから、全部をすべて網羅して云々ということはできないと思うのです。しかし、おおむねこういう方向はこうなるだろうということがわかる材料がなければ、内容の審議に入れないじゃないですか。
 たとえば国家公務員の場合に、無形文化財のような人がもし国立大学にある場合には、定年制は非常に高くなっていますと、こうありますね。たとえば奈良市に、あるかどうかわかりませんけれども、法隆寺を直すような、ないしはそこで設計をしたりあるいはその監督できる程度の、きわめて工匠的な、たくみ的な――たくみというのは大工さんのたくみですね、そういう人が存在した、この場合には、恐らく国家公務員法で定められている無形文化財的な、国立大学の教授のような、そういう人になるのでしょう。あるいは、六十歳になった場合に再任用して、その地方自治体が必要な者として再任用適用者になるかもしれませんね。
 いずれにしても、そういうことの中身がないと、いわゆる地方団体で働いている職員の定年の明記ができない。あなたの定年は何歳ですよということが、この法律に関する限りは明らかにされないわけです。あなたの説明を聞かなければわからない。説明を聞いている間に時間終わりですよ。条例出してください。条例を出さないことにはこれは審議はできませんよ。
#12
○宮尾政府委員 地方公務員法の立て方が、定年については、国家公務員について「定められている定年を基準として」という書き方でありますので、それは国家公務員法よりは非常に抽象的な書き方になっておるということは確かでございます。その点につきましては、八十一条の二の第二項に、原則定年と、それから一号から三号までのいわば特例的な定年が定められております。
 ただいまお話がございました、たとえば芸術的な面での非常にすぐれた才能を持っておられるような特殊な職員、こういう人たちにつきましては、国家公務員につきましてもこの三号の中でそういうものを定めるとすれば人事院規則で定めていく、こういうことになるというふうに承知をしておるわけでございます。そういう意味で、そういう点が実はまだこの人事院規則が定められていない、考え方はそういうような考え方があるというふうに私ども承知しておりますが、まだそういう段階であることを御理解いただきたいと思います。
 なお、勤務延長なり再任用等につきましても、私どもが「条例で定める」というふうにしておりますのは、「人事院規則の定めるところにより、」というところを、「条例で定めるところに」というふうに地方公務員法の方では定めるという仕組みをとっておりまして、そういう意味で今後この条例については人事院規則の定め方を見ながら、条例でそれに準じて地方団体で定めていただこう、こういうのが私どもの考え方であるわけでございます。そういうふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。(発言する者あり)
#13
○加藤(万)委員 私は当初大臣に質問したように、本会議の大臣の答弁を引用したのですが、地方公務員と国家公務員との整合性を求めるわけですね。そうなれば、整合性を求めるとなれば、少なくともこの国家公務員法でいけば八十一条の二の二項内容程度は、この法案に盛られないにしても、準則内容に明らかになってきますよね。この内容が明らかにならなければ――国家公務員法の八十一条の二の二項では相当詳しく書いてありますよ。たとえば病院、診療所、療養所の医師、歯科医師は六十五年、地方団体の場合にはそれは条例で定める。条例で定めるならば、いま言ったような過疎や過密の土地の場合にもいろいろ職種によって違うでしょう。おおむねの方向性というものがわかってこなければ、地方条例の定めようがないじゃないですか。
 しかもわれわれがここで審議をする際に、あなたの説明を聞いていると、私はこの法案が云々と言っているのじゃないですよ。この法案が、後ろの方で不規則発言がありましたけれども、地方自治を守るために条例に依存する、これはいいですよ。準拠をするとか配慮するとか、これはいいですよ。それならば、その内容を見せてください。それを見せてください。たとえばこれは一つの例ですけれども、もし地方団体が、私のところはどうもそういう条例は必要ございません、むしろいまの労使関係でいけばスムーズな状況にありますから要りませんと言った場合に、条例は定めなければいけないのですか、どうですか。これも疑問ですよ。
 すなわち、自治省がどういう指導をされるのか、その内容の明らかな点がなければこの法案の中身が、先ほど言ったようにあんこであるのか、もうとてもしょっぱくて腐ってしまって食べられないのか、わからないですよ。賛否の態度が決まらないじゃないですか。討議ができないのですよ。
 いま、説明を受けているだけでこれだけかかってしまうのですよ。私、ずっとこれから聞こうと思っているのです。説明を聞いてその上に立って、さあそれが正しいのかどうなのか、いまのそれぞれの地方自治団体のスムーズな人事管理として正しい位置づけがされるのかどうなのか、さらに労働基本権の形でいけば、それが将来に向かって日本の労使関係の、労働者側の権利として社会的な構造の中にどう位置づけられていっていいのだろうか、判断がつかないのですよ。
 委員長、これはひとつ委員長にぜひ私はお願いするのですよ。本当に私は真剣にこれを討議してみましたよ。どうしてもそこがぶつかってしまうのです。委員長、ひとつ見解を求めたいと思うのです。中身の審議ができません。
#14
○宮尾政府委員 御説明が非常にくどくどとしておわかりにくかったことは恐縮でございますが、私どもはこの定年について、条例準則ではどういう考え方で定めていったらいいかという点をちょっと御説明申し上げますと、原則定年は当然その六十を基準とするわけでございます。それから国家公務員の方のこの二項の一号で決めております医師、歯科医師等につきましては、これも当然これが地方団体が定年を定める場合の基準になるわけでございますから、六十五歳というものを基準にして定めていただく。
 それから二号の「庁舎の監視その他の庁務及びこれに準ずる業務に従事する職員で人事院規則で定めるもの」、これにつきましては、その具体的な範囲というのは人事院規則でどういうふうに定められるかということを見て、地方団体を指導したいと思いますが、この定年は六十三歳というのが基準になっていますから、それを基準として条例の中に定めていただく、こういう考え方でございます。
 それから三号につきましては、これは先ほど来るる申し上げておりますように、人事院規則で、いろいろな国の場合にはどういうものが定められるのかということが決まるわけでございます。先ほど御質問の中にもありましたような特定の試験場長さんとかあるいは研究所の長とか非常にかけがえのないような能力を持っている人たち、こういうような人についてこの三号で考えていきたいという考えは示されておりますが、そういうものについては、これが人事院規則でどういうふうに定められるのか、これを見きわめながら各地方団体で具体的な判断をして定めていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#15
○加藤(万)委員 説明を聞けばわかるんですよ。それに対する私の意見を今度述べたい。この法律の中にはその説明がないのですよ。したがって、説明を受けてそれが是か非かを判断する、その材料がないのです。
 私はきのうある会合に参りまして、これは自民党の先生方がいらっしゃいますからおだてるわけではございませんけれども、二階堂総務会長が、労働政務次官のときに、労働基本権に対して私は初めて知ったというのですね。労働基本権をどう扱うかということが、日本の政治にとってきわめて重要だということを力説されておりましたよ。政務次官の当時です。そしてその間に、そのヒントが労使間のスムーズな運営になっていった、それが日本の経済成長をもたらした、こうごあいさつされましたけれどもね。
 それが正しいかどうかは別にいたしまして、私は、労働基本権について、一体地方公務員についてどう考えられるのか。この中でどこも推定することはできないでしょう、少なくとも地方公務員法の改正だけでは。国家公務員の場合には、給特法に読みかえるとかあるいは主務大臣にそれを委任するとかという形でその片りんがうかがえますよ。ああなるほど、ここに五現業に対する団体交渉権の保障があるということはうかがえますよ。
 地方公務員法のいま出されているこの法律だけを見る限りにおいては、一体現業に対してどうなるんだろうか、あるいは先ほど言いました単純労務者に対しての労組法の適用は、一体どうこの法律からは出てくるんだろうか。全部任命権者でしょう。ないですよ。
 任命権者と言えば、知事もありましょうし、ときには市長さんもありましょうし、ときにはそれぞれの企業団体の長もありましょう。そういうことが書いてあれば、あるいはこの法に盛り込むことが困難ならば、条例準則の中で明らかになってくれば審議できますよ。ああなるほど、ここに労働基本権が保障されている、本来労使間はこれでスムーズにいきますね。
 もし任命権者が単独に、労働者に何も諮らずして、この法律でいけばですよ、素直にそのまま読めば、条件を制定して議会にかけて、議会で多数決で決定をされたら、どこに定年制の――私はこの職種です、したがって私は六十になるのか、六十三になるのではないか、そういう要求なり交渉事項が生まれてこないじゃないですか。私はいま中身のことを言っているんじゃないのです。私たちがこれを、審議するに当たって、そういう内容が把握できないまま審議に応ずることはできない。
 委員長、これはまだこれから審議の時間があるわけですからね。私はこれからいろいろ説明を聞いていきますよ。聞いていきますけれども、少なくとも条例準則について、いつ、どういうように、どういう形で取り扱われるか。これは恐らく各党ともそうだろうと思うのですよ。皆さんが審議されるときに、条例準則なしにこれを審議されたら、私はとてつもない、われわれの判断を誤る、そういう条件すら内包していると思うのですよ。委員長、一遍ひとつ委員長の見解なり、理事会を開いてどう取り扱うか、やってもらいたいと思うのです。
#16
○左藤委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
#17
○左藤委員長 速記を起こして。
 ただいまの加藤委員の御要求に対しましては、後刻理事会において協議することにいたしたいと思います。
 質疑を続行願います。加藤万吉君。
#18
○加藤(万)委員 やむを得ません。したがって、私は、いまの条例準則の中身をできる限りこれからの質問を通して明らかにしていきたい。同時に、取り扱いについては委員長お聞き取りのとおりですから、理事会で十分詰めていただきたい、こう思います。
 さて、それで昭和二十五年地公法ができたわけですが、今度の場合に定年制だけが全体の法案から抜き出されて、国家公務員の場合には八十一条、地方公務員の場合には二十八条に、それぞれ法案として提出をされたわけです。
 地方公務員制度という中で他の条件、すなわちさかのぼれば大変古い話になりますが、マッカーサーの政令二百一号から始まる日本の公務員制度そのものの見直し、同時に争議権の付与の拒否、代替措置としての人事院の制定、さらに分限制度の制定、そういう中で公務員制度そのものは体系として成り立っていると思うのです。したがって、たとえば定年制をつくりたいという地方団体が八百八十八ぐらいあったそうですけれども、これらについて自治省は一貫して、現在の法体系なり公務員制度そのものからいけば、定年制を制定することはむしろ排除すべき条件だというように指導されていますね。
 時間がございませんから多くを申し上げませんが、たとえば昭和二十六年の大分県の総務部長にあてた書簡、さらには二十九年の千葉県の総務部長あてにあてた書簡、さらにこれはいま総裁であります藤井総裁が書かれた地方公務員法の逐条示解。この中でも、今日の公務員制度の中では全体としては定年制はなじまない、むしろ排除すべきだという指導方針をとっておられたわけであります。
 さて、ほかの法律を全部いじらずして今日定年制だけをこの二十八条に抜き出して出された。これは二十八条定年制をつくることによって、どこか他の法案の改正が行われ、同時にそれの中にある定年制として二十八条が提案されたのですか。従来の指導方針とここがこう変わったから、今度こういうふうに二十八条で制定しても構わないのですよ、こう言われているのですか。いかがですか。
#19
○宮尾政府委員 御質問にありましたように、現行地方公務員法が制定される前に、八百八十八ほどの地方団体で定年制の定めを設けていたということがございました。ところが、昭和二十五年に現在の地方公務員法が制定をされたわけでございます。この中には分限免職できる場合を法定しておりますが、定年退職については全く何ら触れていない、こういうことになっております。そこで、この現行法の規定の解釈をめぐりまして、条例で地方団体が独自で定めていた定年制度というものはどういうことになるのかということが、論議の対象になったわけでございます。
 議論が出まして、その考え方といたしまして、自治省といたしましてはこれはあくまでも現行法の解釈でございますが、現行法のもとでは条例をもってしても定年制度を設けることはできない、こういう解釈を昭和二十六年以降示して指導をしてきているわけでございます。これは、あくまでも現在の地方公務員法を前提とした解釈でございまして、定年制度というものが必要であるということになって、法律改正によってそういうものを新たに設ける、こういうことまで否定をしているというものではないというふうに私どもは考えておるわけでございます。したがいまして、今回国家公務員について定年制度を設けることに伴いまして、同じ公務員である地方公務員につきましても同様の定年制度を設けることについて立法的な解決をしたい、これが今回提案をしている理由であるわけでございます。
#20
○加藤(万)委員 現行法では定年制は排除すべきものだ、現行法に二十八条を加えただけだから今度は定年制は地方条例でつくってよろしい。現行法では排除されるというその前提には、いわゆる代償機関の問題あるいは交渉権、団結権、争議権に至る否認の問題、任用、昇格、昇進、いわゆる分限の問題すべてにわたって、総合的判断で今日では定年制を設けることはできないと、こう言うんでしょう、総合的判断で。ずっとこれは藤井さんのを読んでも、皆さんが出された書簡を読んでもいいですよ。そういうことですよ、いままで述べてきた指導方針は。
 したがって、ここで定年制をつくるということは、私、最初大臣とも是非を論じましたけれども、定年制が一般的に社会的な労務管理の一方法としてあることは、理論としては成り立ちます。問題は、地方公務員制度なり国公法の中に定年制をつくるに当たっては、他の全体の条件というものを配慮しなければできない。だから、いままでは地方条例でこれはつくってはだめだ、むしろ積極的にそれは排除すべきだ、こういう指導がなされているのですよ。二十八条ができたから、今度は地方団体でやってもよろしいよというのには、余りにもそこは短絡過ぎやしませんか。
 これは人事院にひとつお聞きをしますが、人事院はどうなんですか。今度書簡を出されましたね。書簡の是非についていろいろ議論がありますけれども、人事院は、いまの時期で定年制を分限条項として法制化するということについて、人事院としての意見があったんですか、見解があったのですか。
#21
○斧政府委員 お答えいたします。
 人事院といたしましては、従来から定年制についていろいろ研究しておりますということは、かつて地方公務員法改正の審議がこの委員会でなされました当時におきまして、佐藤総裁からもお答えしていると思いますが、そういう過程で、定年制をもし導入するとすれば、国家公務員につきましては身分保障がありまして、身分の変動の基本事項は法律で定めるものでなければできないということを七十五条に書いてございます。そういうことで定年制を導入する場合は、法律として制定するという手続がなければだめであるという見解を従来から持っておりました。
 その場合、定年というのは一体どこの分野に入るのであるかというときに、国家公務員法上分限と申しますのは身分保障を前提にいたしまして、それで職員の免職であるとか休職であるとか身分を変動する場合のことを言うんであるということでございますので、定年制は職員の意思にかかわらず一定年齢をもって職を失わせるということでございますので、これは身分変動であるということで分限の中に入るということでございます。
#22
○加藤(万)委員 人事院は分限条項に入るか否かという問題と同時に、勤務条件であるという前提も踏んまえて考えておられたのでしょう。私は、法律によって一律に一定年齢に達した場合に解雇する、解職する、それと離職の形態として定年制を求めるのとはずいぶん違うと思うのです。
 ここに、人事院がかつて討議をされた内容を私持っております。その場合には、一定の定年の年齢枠を設けまして、そして職種を与えて、その職種によって、この職種は何年になったら大体定年です。いわゆる離職の一形態としていままで審議をされてこられたのでしょう。そしてそのまとめを、総合的な公務員制度全体に係るものですから、昨年の給与勧告でも、あるいは今日書簡の内容におきましても、人事院としてはまだ未成熟のまま書簡を発行されたのでしょう。どうですか。
#23
○斧政府委員 お答えいたします。
 いま先生御指摘の国家公務員法の改正法案でございますが、これは公務員制度調査室、これは総理府に設置されておりました機関でございますが、そこで作成されたものでございます。したがいまして、人事院がこの作業に関与したということはございませんが、この中で、確かに離職及び休職という中の一つの項目として定年が上がっております。離職と申しますのは、われわれの現在の国家公務員法の概念では、懲戒免職、分限免職、任期満了による退職、それから大学の教官などにありますが定年退職、それから失職というおよそ公務員の職を失うすべてのケースを包括した概念でございまして、その中で分限に当たるのは何か。懲戒処分などは当然分限に当たらないわけですが、この法案作成の場合に、定年についてどういうことを考えたかということはよくわかりませんけれども、私どもがこういう並び方で考えますと、この法案作成者もどうも分限ということで考えたのではないかというふうに推定いたしております。
 それから、定年制を人事院はもっともっと時間をかけてじっくり検討して、特に去年の勧告時に申し上げました公務員制度の総合的見直し、その中の一環としてやるつもりであったのではないかということでございますが、そういうことではございませんで、定年制につきましては従来から研究しておりましたところ、五十三年の二月に総理府総務長官から定年制についての見解を承りたいということで書簡が参りまして、従来の研究をさらに詳細に詰めまして、書簡をいただいてから一年半いろいろ詳細に検討いたしまして、そして六十歳を原則定年とするそういう定年制を導入する、あるいは勤務延長とか再任用もやるというような書簡に書きましたような内容、それがよかろうという結論に達しまして、それで返書という形で人事院の公式意見ということで申し上げましたわけでございます。
 去年申し上げましたのは、社会基調、つまり高年齢化でありますとか高学歴化でありますとか、あるいは社会意識が非常に変わってきているというような社会一般の基調の変化、これに対応するような人事行政制度というようなものを改めて考え直してみたいということで申し上げたわけでして、定年制とはまた別個の観点からの報告をした次第でございます。
#24
○加藤(万)委員 書簡の内容ですけれども、この書簡によりますと、「退職管理制度が整備される必要があると認められる。」同時に「これを実現する手段の一つとして、国家公務員制度に定年制度が導入されることは意義のあるところである。」人事院は、本来国公法に基づいて意見の申し出を出すべき事案ではないですか。
 給与勧告にもそういう所見を述べられ、同時に、人事院制度全体についてその責任の衝にあるわけですから、本来人事院が総合的な、たとえばスト権の否認の問題、団交権の問題あるいは任用その他、さらにもっと援用すれば共済年金制度に至る身分保障の問題、生活保障の問題、その観点から二十三条に基づいて意見の申し出を行う。それを受けて政府はどうすべきか。先ほど大臣は、意見の申し出あるいは勧告と同様な書簡である、こう発言されましたけれども、人事院としてはこれを同様の書簡というように思いますか、見解を示してください。
#25
○斧政府委員 定年制の導入につきましては、先ほども申し上げましたように、法律の改正を要すると人事院は考えておりました。したがいまして、人事院が法律上の手続をとって意見を申し上げるといたしますと、国家公務員法二十三条の法令の制定、改廃ということについての意見の申し出ができる規定がございますので、その規定でもって定年制の導入の意見を申し上げるということは当然できたわけでございます。
 今回の場合は、総務長官から定年制の検討を願いたいということで書簡が来たという経緯もありまして、この際は、人事院の公式の意見ではあるけれども返書という形でやるのが非常に自然ではないかという考え方に立ちまして、書簡という形で意見、見解を表明したわけですが、これはあくまでも人事院の公式の意見であるということには間違いございませんので、先生おっしゃいますように意見の申し出とか勧告とかという法律手続にのっとった意見の表明ではございませんですけれども、公式の意見として尊重していただきたいということが真意でございます。
#26
○加藤(万)委員 公式見解、よく公労委の中西会長あたりも、公労委の委員長としての公式見解ですとして出されますよ。出した後、それはどういう手続をされますか。仲裁裁定に移行されますよね。事労働問題、勤務条件に関する問題、それを扱う官庁、当然のこととして、公式見解が表明されたならば、それを法に基づく手続を踏むべきじゃないですか。
 人事院の作業経過は私も承知しております。ですから人事院としては、全体を見直さなければいかぬ、ついては、五十六年度にこれを導入するよりもむしろいま言った公務員制度全体の見直し、あるいは人事管理上の問題も含めて、これは後で御所見を承りますけれども、そういう総合的な検討の上に立たなければ、今日定年制がかえって地方団体あるいは国家機能の中における人的効率化といいましょうか、そういう面でもまずい、したがってなだらかな定年制の導入あるいはなだらかなそういう意味での改革、したがって六十年に、こういう見解ではなかったのですか。
 この際書簡という形でしか出されない。中途半端ですよ。その書簡をいいことにして、公式見解だから同時にこれは勧告だ、意見の申し出だ、ここまで行っちゃっているんですよ。大臣の答弁にもありましたように、あるいは総理の答弁もそういう答弁ですよ。もう一遍聞きますが、手続としてこの書簡は公式見解であって、法的な手続ではないというように言われますか。私はそう思うのです。どうですか、もう一遍御意見を。
#27
○斧政府委員 公務員法上の意見の申し出あるいは勧告、そういう手続はとってございません。
#28
○加藤(万)委員 そこで一つ明らかになったわけです。
 したがって私はあえて申し上げますけれども、今回の定年制の導入というものは、いわば国あるいは地方団体における公務員の制度の中で国民や市民へのサービス機能として公務員の定年制なり新陳代謝をどういうふうに位置づけるかという、国家なり地方団体百年の計の中から出たものとはどうも見受けられない。結果的にではありますけれども、今日の行政改革というその名あるいはそういう世論的な風潮、その中における自民党政権の道具にされている。そういう中で提起をされた。
 むしろ私は本当に考えるならば、今日の勧奨退職制度というものは、いまの公務員体系の中で、いい意味での新陳代謝のローテーションを求めている、あるいは現業関係でいけば労働協約上労使間でスムーズに話し合いがついている、そういう制度を奨励をしながら、同時に、いま高齢化に向かう公務員全体の年齢を一体どう規制すべきか、いわゆる離職の形態としてどう考えるべきか、こうあった方が正しかったと思うのです。
 私は、地方公務員制度あるいは国家公務員制度の中に定年退職というものが人事管理の条件として存在をする、あるいはそういうことを含めて考えるということ、そのことは先ほども言いましたように否定はいたしません。しかし、そういうことが全体として解消された条件の中で初めて国民に対するサービスの条件を人事の面で培うことができる、私はこういうように思っているわけです。
 そこでお聞きをしますが、六十歳定年が仮に法制上確定された場合に、いまある勧奨制度は原則的になくなりますか。これは公務員部長でもいいし人事院でもいいです。
#29
○宮尾政府委員 定年制度が実現をした場合に勧奨退職制度がどういうふうになるかということでございますが、勧奨退職には二つのものがあるというふうに考えられます。一つは、定年制度にかわるような機能を持つ一律勧奨の仕組みでございます。それからもう一つは、個別に勧奨退職を進めていく、こういうものでございます。
 したがいまして、前の一律勧奨的なものにつきましては、定年制度にかわる機能を持っておるわけでございますから、定年制度が実現すれば将来なくなる方向になるのではないか。ただ、これは地方団体の場合にはいろいろなものがありますので、場合によっては経過的に残るようなことがあり得るかもしれませんが、原則としてそれは将来なくなっていくと考えております。個別的なものは残るであろうというふうに思っております。
#30
○加藤(万)委員 人事院にお聞きをしますが、いまおっしゃったように一律勧奨制度がなくなるということは、六十歳まで勤務する権利は地方公務員の場合に存在をする。まあ個別に、たとえば部課長だとか高級管理職の方には、人事管理、ローテーション上あるかもしれませんね。内閣委員会でもそういう答弁がなされています。しかし、一般職ないしは行(二)と言われている諸君については、六十歳まで勤務をする権利が今度は逆に存在をする、こういうふうに認めてよろしゅうございますか。
 同時にいま一つ。肩たたきというのがいままであるわけですね。個別勧奨退職制度がある。法律上の制度としてはございませんが、実際上行われている。これは、それよりも優先した権利として存在するというように見てよろしゅうございますか。
#31
○斧政府委員 国家公務員は職務遂行の中立性あるいは公正な職務執行、そういうものを果たしていく上で強い身分保障を受けています。したがいまして、定年が六十歳になりますと、当然に六十歳までは職員の意思によって勤務できるわけでございまして、特に今回の定年制のメリットの一つとしては、定年までは安心して職務遂行に専念できるということを考えておるわけでございまして、先生のおっしゃるとおりでございます。
#32
○加藤(万)委員 これは、自治省にも御見解をひとつ聞いておきたいと思うのです。
#33
○宮尾政府委員 ただいま人事院の斧局長の方から御答弁を申し上げたとおりでございます。
#34
○加藤(万)委員 そうしますと、人事管理の問題でひとつ人事院にお聞きをします。
 これは、内閣の方で資料をいただいたのですから間違いないと思いますが、いま国家公務員の全体の構成人員の中で、四十四歳から四十八歳までの人は一二・三%、四十八歳から五十二歳までは一二・八%、五十二歳から五十六歳までは九・四%。今度は自治省の方からいただきました資料によりますと、四十歳から四十九歳までは二〇・七%、五十歳から五十四歳までは九・九%ですね。さらに五十五歳以上の人をとってみますと、約三・五%です。これは地方公務員の一般職員であります。四年後になりますと、五十六歳から六十歳に達する人が率でいって約三倍になります。八年後になりますと四倍になりますね。
 約五年間に、現行の定員が正しいという前提ですが、従来の三倍から四倍の人を充足しなければなりませんね。その層がずっとずれていきますから、しかも、いま言いましたように権利として六十歳まで勤務できる、こうなりますから、その山といいましょうか、こぶという言葉を使っているのだそうですが、余りいい言葉じゃございませんけれども、それがずれていきますね。これは充足しなければなりませんよ。
 いまの地方公務員が、全体で、いま言った年齢が高い人が三・五%に対して、二〇%近い人が今度はそこへ移動していくわけです。国家公務員についても同じように、五十六歳から六十歳までは三・一%のところへ、九・四%、一二・三%という人が移動していくわけです。勧奨退職制度はございませんよ。人事管理上こういう方向は好ましいと思いますか。これは人事院にひとつお聞きしたいと思います。
#35
○斧政府委員 ただいま先生の示されましたのは五歳幅のパーセントでございますが、もし国家公務員法の一部改正法案が成立いたしますと、昭和六十年から定年制が実施されるということになるわけですけれども、そのときに六十歳以上になる人をいまの在職職員で見てみますと……(加藤(万)委員「六十歳になる人ですよ」と呼ぶ)ええ、現在五十五歳以上の人が昭和六十年に六十歳以上になるわけでございます。これは、いまの職員数でいきますと全体の九・八%を占めております。人数にして約八万四千人でございます。この人たちがもし昭和六十年に一斉にやめるということになりますと、確かに公務遂行上非常に支障が生ずるということが考えられるわけです。
 そういうこともありまして、実は定年制の実施については相当の準備期間を置きなさいということを書簡で申し上げておるわけでございまして、この間に各任命権者は定年制実施後の人事計画、要員計画あるいは後継者の養成、そういうものをやりなさい、そういう準備をしなさい。それから、勧奨退職もいま現在でなくなるわけではありませんで、昭和六十年以降なくなるということでございますので、その間にやめていく方もいるということで、これは人事院と総理府が協力して準備行為の連絡調整に当たる、そういう準備期間を経て定年制がスムーズに実行できるような体制づくりに努力をするということにしてあるわけでございます。
 昭和六十年以降になりますと、これは一歳刻みでやめていくわけでして……(加藤(万)委員「それでも三倍になるじゃないですか、一二・三%もいるのですもの」と呼ぶ)それは五歳幅の話でございます。一歳幅といいますか、一歳ずつでやめていくことになりますので、八万四千というような大量の者が退職するというケースにはならないと思っております。
#36
○加藤(万)委員 それでも三倍になるのですよ、一二・三%の層がそのまま移動していくのですから。私が言いたいのは、人事管理をやられた方はわかると思いますが、人事院は特にベテランでしょうけれども、人事というのはれんが積みと同じなんです。ある層ががばっと減って、ある層ががばっと、たとえばそのときに新規の募集が出ますね。れんがはずっと積み上げていって、初めて城壁になっていくのです。その層ががばっと抜けたときに、れんが積みの壁は崩れ落ちてしまうのですよ。いわゆる経験もありましょう。新しいものを導入して地方行政の中で生かしていかなければならぬこともあるでしょう。人事管理上きわめて好ましくない状況が起きると私は思うのです。
 ですから人事院は、相当の準備期間を置きなさい、いわゆるピラミッド型にだんだん積み上げていく。ただ、不幸にしてこぶと言われる層がピラミッドの部分に出てきますから、そこは何とかピラミッド型にするために整理しなければいかぬ、それは今日の勧奨退職なりそういう制度を推進しましょうという中で形成をしようとされたのでしょう。勧奨退職制度がいいかどうかは別にいたしまして、私はそういう人事管理のあり方というものは正しいと思うのです。
 ところが、この法律を制定しますとそれが崩れるわけです。住民の側から見れば、きわめて新しい政策を要望したり新しい施策を要望しているその層が、断層として生まれてくる可能性があるわけです。住民の側は、全部年齢構成がずっとあるわけです。片一方の地方団体の職員は、ある層が非常に多くて、たとえば若い層が任用されますから多くなってしまって、自分のニーズと合わないという条件の者が出てくる可能性が非常にあるのです。人事院はそのことを知っておりますがゆえに、六十年度までの間に、一つはいま言ったような形でピラミッド型の形成をする、同時に全体としては、公務員制度全体をどうするかといういわば行政改革の視点も含めて考えよう、こうされたのだと思うのです。
 ところが、今度の法律はいま言った視点が抜けているのです。いわゆる定年制をつくることに余りにも走り過ぎてしまって、全体の行政改革をどうするか、行政改革の面から公務員制度をどう見直していくのか、人事管理の面からどう見直すのかということがこの中から抜けてしまっているのです。だから私は、この定年制は政党の政策的な道具に使われていませんかと言っているのです。どうですか、いま一遍御所見を伺いたい。
#37
○斧政府委員 定年制を導入するかどうかということの検討に当たりましては、国家公務員の職員構成の状況、現在行われております各省庁ごとの退職管理の実態、年金支給開始年齢、民間における定年制実施の状況、その他いろいろ人事管理上の検討を幅広く行いまして、今回の書簡による見解表明ということになったわけでございます。いま先生がおっしゃいましたような、人事管理上のいろいろな支障のために公務遂行に支障が生ずるという点も配慮しまして、勤務延長とか再任用とかいう制度も設けるようにという意見を申し述べた次第でございます。
#38
○加藤(万)委員 意見の申し出というと、あなたまた問題が起きますよ。書簡でしょう。意見の申し出だったら二十三条でやりなさいよ。いまのは取り消しますか。
#39
○斧政府委員 意見の申し出ということは間違いでございます。見解を表明したわけでございます。
#40
○加藤(万)委員 労働省にお聞きしますが、労働組合のある企業で、定年制というものは労働条件として労働協約で締結されていますか。
#41
○中村説明員 民間企業におきましては、定年といいましょうか、そういう制度は労働条件の一つであるということで、団体交渉の要求があり、それによって労働協約が締結されればそれによって定年が決まる、こういう制度になっております。
#42
○加藤(万)委員 いまお聞きのとおり、先ほど大臣の私の答弁に、民間の定年制も見て、それも一つの参考にしてとおっしゃいましたように、定年制は民間の場合に、私は民間の出身ですから、おおむね労働条件、そして団体交渉要件、さらにそれが労働協約という形で締結されて、企業の側では今度は単独でつくる就業規則、それをそのまま持ってくるという形をとっているわけですね。したがって、定年制度というものは基本的に勤務条件、労働条件である、私はこう思うのですが、どうでしょうか。
#43
○安孫子国務大臣 単なる勤務条件ということじゃありませんで、やはり身分の得喪に関する問題でございますので、分限的なものだと私は考えております。同時にまた、協約の問題にも触れましたが、これは部長から申し上げていいわけでございまするが、一般職についてはいろいろ交渉の余地はもちろんあると思うのです。責任者との間に交渉は行われる。それは現業職員につきましても、交渉権はきちんとあるわけですね。しかし、この問題は最終的には議会の審議に付されて、議会の決定によって初めて効果が発生するわけでございまするから、そういう点は一般の会社の場合と違う、私はこう思っておるわけでございます。
#44
○加藤(万)委員 大臣、前段申し上げたのは、民間と比較をしてという場合に定年制度というのは一般論としてですよ。大臣のおっしゃるのは、公務員の制度としてはどうかという問題なんですよ。いわゆる分限であるとか勤務であるとかあるいは交渉条件であるとか、それはそれなりにわかりますよ。一般論としては、定年制度というのはそこで身分が全部――私なんか民間で言いますと労働契約の解除、こう言うんです。労働契約の解除ですから、一般的には労働条件、団体交渉権になっているわけですね。ですから一般論としては、大臣もうなずいていらっしゃいますように、これは労働条件ですよね。ただ、それを身分法として国公法なり地公法に置きかえたときにどうかという問題は、これはそれが分限であるのか、あるいは現業については地公労法なり公企労法があるから団体交渉要件になるのかならぬのかということは、今度は法体系の問題としては大臣のおっしゃるようなこともあるわけです。
 私の後は松本委員になっていますが、松本委員、少し時間を下さい。ここだけ一つお聞きしますから。
 そこで、現業についての問題です。先ほど前段に、私は現業問題を労働基本権の問題として実は取り扱いました。先ほど後ろの方から不規則発言がございましたが、私なんかはこういう立場になりますと、労働基本権という問題は、いわば私は終戦後体を張ってこの問題をやってきたのですから、ILOの場においてもきわめて重要なことというふうに私も考えているんですね。
 先ほど二階堂総務会長のお話もちょっとしましたけれども、あの総務会長が発見をしたというか、そこのことを非常に重視をされてお話しされていました。基本権と同時に、二階堂さんの立場ですから、一方で労働者が争議を行うということが規制をされているにもかかわらず争議を行うということがけしからぬのだという論理も後ろにくっつくわけですけれども、これはどうも私はうなずけませんが、いずれにしても、労働基本権というものを非常に重視をして、日本の経済の発展のためには労使間はどうあるべきかということを考えたという説なんですね。私はおだてるわけじゃございませんけれども、非常に傾聴に値するものだ、そう思いましたよ。それなりに勉強されていらっしゃるなという感を受けました。
 そこで、今度現業については、書簡の中にも述べておりますように別に定むる、こうなっておるわけです。内閣委員会でもこれを給特法に置きかえ、同時に主務大臣に置きかえたことは、それをやや裏づけをしているのです、こういうお話がございました。もしそうだとするならば、特に現業の場合には、労働条件に係る団体交渉権が地公労法によりましても公労法によりましても存在するわけですから、したがって、公労法では八条四号になりましょうか、あるいは地公労法では七条四号になりましょうか、いわゆる交渉案件として別に定むる法律をつくるべきではなかった、こう思うのですが、いかがでしょう。
#45
○宮尾政府委員 地公労法適用職員の定年制に関する問題でございますが、現在の地公労法の制度のもとにおきましても、勤務条件に関するものについては当然団体交渉ができることになっております。それは御質問の中にもお示しありましたように、地公労法七条四号の規定で勤務条件については交渉ができるという考え方をとっておりますので、定年制度につきましてはもちろん分限に関する事項であり、そういう意味では基本的なものについては現業、非現業を問わず法律でその仕組みを定め、そして具体的な実施事項については条例で定年あるいは定年退職等を定める、こういう仕組みをとっておりますが、他面、定年については勤務条件の側面も有しておりますので、勤務条件であって管理運営事項でないものについては当然地公労法の七条四号で団体交渉が行える、こういう考え方でございます。
#46
○加藤(万)委員 大臣が先ほど、最終的に地方議会で決めるけれども、その間に交渉する余地がございます、こう御答弁がありました。一般職についても、そのことはいわゆる法制上ある団体交渉ではなくして、一般的に言う交渉要件としては当然そこが保障されるというふうに理解してよろしゅうございましょうか。これが第一です。
 第二には、現業については交渉権が存在するわけです。そしてまた、労働協約権も存在するわけです。したがって、現業については当然のことですが、たとえば職種の選定あるいはその職種によって六十歳を超える場合もあるでしょうし、あるいはいろいろな条件もあるでしょう。これは交渉要件になり縛る、こう思いますが、いかがでしょうか。
#47
○宮尾政府委員 一般職の非現業の公務員につきましては、交渉が地公法で保障されております。したがいまして、定年制度に関連をいたしまして管理運営事項でない事項で勤務条件に関するものについては、当然交渉が行えるわけでございます。
 それから現業職員につきましても、先ほど御答弁申し上げましたように、管理運営事項でない事項であれば、これは当然地公労法第七条第四号の規定によりまして団体交渉が行える。そして、ただしこれは先ほど大臣から御答弁がありましたように、現業、非現業を通じまして、最終的には議会で定める条例によって其体的な事項が定められる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
#48
○加藤(万)委員 当然のことですが、それを保障するような条例準則ないしは条例準則解釈といいましょうか、それは示されますね。
#49
○宮尾政府委員 ただいま申し上げました考え方というのは、現在の地方公務員法あるいは地公労法の基本的な考え方でございまして、定年制度が新しく導入されるに伴う所要の法律改正を行っておりますが、それに基づく条例準則の中でそういうことをうたい込む必要は私どもちっともない、現在の制度の中で十分、それは解釈上確立している考え方であるというふうに考えておるわけでございます。
#50
○加藤(万)委員 時間が詰まりましたから、あと一点だけお聞きをしておきます。
 現業のうち、行政(二)に当たる人ですね、いわゆる一般的に単純労務者、言葉は少し悪いですが、単労とこれから呼ばしてもらいますけれども、この分類をどうされますか。たとえばタイピスト、これはいわゆる行(二)単純労務になります。あるいは受付にいらっしゃる女の方、これはなりましょうか、ひとつ見解を示してください。
#51
○宮尾政府委員 タイピストにつきましては、いわゆる単純なる労務に雇用される者という範囲に入るものと考えております。それから、受付におる職員の問題でございますが、これはその態様によりましょうが、一般的には一般職員をもって充てているというケースが多いのではないかというふうに考えております。
#52
○加藤(万)委員 自動車の運転手の場合、たとえば知事さんが乗るとか、あるいは副知事さんが公用車を持っていらっしゃいますが、これは行(一)ですね。それから清掃関係に乗っていらっしゃる運転手さん、これは行(二)ですね。こういう区分けといいましょうか、たとえば清掃業務に携わっている運転手さんは、これは単労と見てよろしゅうございますか。
#53
○宮尾政府委員 清掃関係に乗っておる車の運転手さん、これはいわゆる単純なる労務者であります。ただ、いわゆる単純労務者と言われる中にも、技能と労務と二つの区分があるというふうに考えております。先ほどのたとえばタイピストあるいはいま言われました運転手の方、こういう方は技能労務者、技能関係の単純労務者、こういうふうに考えられているわけでございます。
 それから、その具体的な事例で、知事が乗っておられる車の運転手の方は一般事務職員ではないか、行(一)ではないか、こういうあれでございますが、それは一般的には単純なる労務に雇用される者、いわゆる技能労務職員、こういうふうに考えられます。ただ、いわゆる技能労務職員の中にも、監督者的な立場に立って運転手の方々を全体を管理をする、あわせて知事の車を運転をする、こういうような方の場合には、その管理監督をしておるという意味合いから行(一)を適用されている職員がある、こういうふうに私どもは理解をしております。
#54
○加藤(万)委員 それでは総体的に、政令二十五号、これはもう消滅いたしましたが、いわゆる単純労務者の規定がないわけです。したがって、大ざっぱな議論で申しわけないのですが、政令二十五号に記載をされている労働者、これはもう法律上ないのですから、今後それを基礎にして――基礎というか基準といいましょうか、あるいはそれを念頭に置きながら、全体として単純労務者を選定される、あるいは決められる、指定される、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか、これが第一です。
 それから労働省にもう一遍お聞きします。先ほど京都の南丹病院事件でもございましたが、これは混合労働組合で、実は労組法上の適用が受けられないことがあったわけです。ところが、看護婦さん自身は、それは単純労務である、したがって結果として中労委の命令が出たわけです。いわゆる労働法上の適用労働者になったわけです。いま自治省の方で、これは単純労務であるという場合には、地公企労法の適用、同時に労組法上の適用、不当労働行為があれば第七条の適用、さらにはその他労組法上の適用を受ける、こういうふうに私は理解をいたしますが、この二つの点についてひとつ自治省と労働省から御答弁をいただきたい。
#55
○宮尾政府委員 単純労務者の範囲でございますが、これを定めておるものが現在ありませんけれども、考え方といたしましては、いま御質問にありましたように、昭和二十七年の法律二百八十九号によって失効しました、旧・単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員の範囲を定める政令二十五号、これを基準として考えてよいというふうに私ども考えております。
 ただ、この定年制に関連をいたしまして、具体的な定年年齢の定め方につきましては、国家公務員法の改正法案で定めておりますように、「庁舎の監視その他の庁務及びこれに準ずる業務に従事する職員で人事院規則で定めるもの」、単純なる労務者の中でその範囲の者が年齢六十三歳、こういう考え方に立っているというふうに理解をしておるわけでございます。
#56
○中村説明員 単純労務者というふうに分類された方について、それが労組法あるいは地公労法の適用を受けるということは当然でございます。ただ、その方が加盟する組合がどういう組合になっているかによって、その組合の性格が変わってくる。われわれの考えといたしましては、ある職員の団体がある、そのうちいわゆる非現業の者が多数を占めるという組合であった場合には、これは職員団体である。一方、単純労務の方が多数を占める、あるいは地方公営企業の方が多数を占めるという場合には、これは労組法上の労働組合であるという考えを基本にいたしております。
#57
○加藤(万)委員 実は私、あとたくさん問題があったのですが、前半時間を食いましたから、後のわが党の議員に譲りますが、いま言いましたように一つ一つ詰めてまいりますと、どうしてもやはり、一体どういう適用条例、いわゆる条例準則ができるのだろうかというところに、最後は落ちついてしまうのですよ。したがって、個別で一つずつ詰めてまいりますと、これはやりとりですから大変な時間が必要ですね。私は理事会に問題を一任いたしましたから、ひとつ理事会の段階でもいまの問題は十分討議というか、内容を私どもに保障していただきたいと思う。同時に、いま申し上げましたようなことが、地方条例を制定する段階ではきわめて重要な問題として私は出てくると思う。
 最後に、地方条例制定に対する大臣の見解をお聞きをしておきたいと思うのです。いわゆる地方条例をつくるために、自治省としてはどういう見解を持って、たとえば私どもが言いますように、現行の現業関係に対するそういう基本権は保障される、当然のことでしょうが、そういう見解であるとか、あるいは前段に申し上げましたように、住民に対して地方団体の職員がどのようなサービス機能として果たせるのかという人事管理上の問題などもありますから、最後に大臣の所見をひとつお聞きしたいと思います。
#58
○安孫子国務大臣 具体的な問題は、いずれ地方の責任者あるいは地方の議会において論議される問題でございますけれども、やはり重要な問題についてはほかの法令との関係もありますので、また人事院の規則等の関係もありますから、その点の基本的な問題については、自治省としても準則として示すという方針をとらざるを得ないのではないかと私は思っております。
#59
○加藤(万)委員 終わります。
#60
○左藤委員長 佐藤敬治君。
#61
○佐藤(敬)委員 大臣に所見をお伺いしたいのですが、去年あたりまでは地方の時代というので地方の時代が盛んに喧伝されて、何か地方が非常に重視されるような気配がありましたが、ことしになって行政改革が大きく取り上げられてから、逆に地方の時代どころか財政の窮迫の責任が地方にあるような見解が次から次へと出てきて、たとえば補助金はぶった切れとか交付税率を下げろとか、あるいはまた地方は人数が多過ぎる、あるいは給料が高過ぎる、肩たたきで法外な退職金を取っているじゃないかとか、何か行革論議を見ておりますと、地方の時代どころか、いわば地方悪者論みたいなことを展開して地方が締め上げられる、地方無視の時代にむしろなってきているのではないか、こういうふうに思って私は非常に地方のために心配しておるのですけれども、この地方無視という問題について突発的に非常に大きな問題が出てきまして、私もその点で大臣の見解を緊急にお伺いしたい、こう思ってあえて貴重な時間をいただいたのです。
 いま新聞に大きく取り上げられております、秋田沖と言われておりますが、日本海で日米共同の対潜訓練が行われております。この対潜訓練の状況は、大臣お知りかどうかわかりませんけれども、北海道から富山のあたりまで一道七県にわたって非常に大きなセンセーションを巻き起こしております。
 一つは、鈴木総理がアメリカへ行きまして軍備増強、総理はないと言っておりますが、外務省あたりはあると言っていま参議院でもめていますけれども、鈴木総理が軍備増強の約束をしてきたかどうかはわかりません、きたと言われておりますが、それと絶妙のタイミングでもって、日本海に日米合わせて延べ約三十三隻くらいの軍艦が集まって対潜訓練をやる、こういうことでこれからどんどんこういう演習が行われるのではないか、これに対する一つのショック。
 それからもう一つは、私はこれから問題にしようとしているのですけれども、地元の県あるいは漁連、こういうところにたったの一片の通知もなくて、いきなり演習が始められているということです。十日は日曜日でありました。十日に新聞に出て、次の日の十一日に県がびっくりして海上保安庁に照会したならば、十二日、あしたから訓練をやるということなのです。抜き打ち的な、やみ討ち的なこういうような訓練がいきなり行われる。地方無視も地元無視もまさにいいところで、知事も頭を痛めて対応に困っているという状態です。
 第三番目は、いまはサケ・マス、特にマスの最盛期であります。しかも演習の海域になるところは、日本海の最大漁場である大和堆に隣接したすぐ東側の海域、二百キロ掛ける二百六十キロという広大な海域が演習区域として使われておるわけです。ところが、新聞に出るまで漁民は何も知らない、どこで演習が行われるのか、いつ行われるのか。それから県も何も知らない。水産課も何も知らない。きのうですか、農林水産委員会で私どもの方の新盛委員が農林水産大臣に聞きました。農林省も何も知らない。そして、あしたやるというきょう、いきなり新聞に出て、こっちから聞かないうちは県にも漁協にも何の通知もないのです。
 こんなむちゃな、いかに実弾射撃のない演習といいながら、いまあそこに出漁しようとしている漁船は約四百そうあるのです。しかも、はえなわあるいは流し網ですから、船が一万メートルないし一万二千メートルくらいの長いしっぽ、網を引きずって操業するのです。四百隻のうち約百五十隻がその海域に入ろうとしておるわけです。それが、あした行われる演習を何も知らないのです。全部準備をしておる。こういうような漁民の生活あるいは地方というものを全く無視した行動というものが一体あっていいものだろうかと、私は非常に憤慨をしておるのです。知事に聞きましたけれども、知事も何にも知らない。こんなことでは、漁民の生活を守るわれわれの役目はできないと非常に憤慨している。それから農林大臣自体も、こんな、漁民を守るところの軍艦が漁民を押しのけて漁民の生活を抑圧するようなことはけしからぬと言って非常に憤慨しているのです。ここで県政、地方の行政を預かるところの自治大臣としていかなる見解をお持ちか、所感をお伺いしたいと思います。
#62
○安孫子国務大臣 当然、地方の責任者に連絡をとってしかるべきものだと私は考えます。それに手落ちがありますれば、そういうことのないようにひとつ十分に連絡をとりたいと思います。
#63
○佐藤(敬)委員 また後でお聞きしますけれども、これはいまちょっと状況を報告しますと、四月一日と四月二十七日に、全艦隊が船川沖、三キロか四キロ沖のあたりに停泊したいが漁業に関係ないか、こう言って一遍照会が来ている。あの付近は漁場でありますので定置網の置き場なので、これは困りますと言って断った。それ以後一切何の連絡もなくて、いきなり五月十日の新聞にばあんと出ている。びっくりしたのは地元です。一生懸命出漁しようとして、網を整備し船を整備している漁民なんです。これはどうしたことかというので大騒ぎになったというのが実情です。
 私は、この間防衛庁の長官に会ってきました。一体何でもっと早く通知できないのか、そうしたらこういう返答です。早く通知すると邪魔が入るから困ると言うのです。邪魔が入るから漁民が困ってもいいのか。ある新聞にこう書いてありました。そこのけそこのけ軍艦が通る。漁船を守る軍艦が漁船を排除している、こんなばかな話はないと私は思うのです。
 もう一つは、一日でも二日でもいいから、決まったならば決まった段階で、私は地方に教えるべきだと思うのです、一日でも二日でも前から決まったならば。いつやったかと言ったら、海幕に話したのは八日だと言っています。そうして、新聞に八日の夜発表しているのです。これは一体どうしたことだと言って海上保安庁に聞きましたら、九日の夜九時ごろ告知が来た、あとはわれわれにも何にもわかりません、どうか新聞を見てくださいという返事なんです。新聞に発表するぐらいなら私はすぐ県や漁協、漁連なんかにも、こういうふうにやるということを発表してもいいと思うのです。どこで演習をやるか、新聞に出るまでだれも知らぬのですよ。こんなばかな話というのはないのです。
 本土決戦のとき、東京都で大八車がみんな出てきたらどうしたらいいかと言った。そうしたら戦車でひき殺せ、こう言ったということを作家の司馬遼太郎さんなんかが書いていますけれども、まさに守るべき軍隊が殺しているのです。こんなひどいことが、これから軍備増強だ、軍備増強だと言って軍国主義的な方向へどんどん行く、こういうのが次から次と来たならば大変な問題だと私は思うのです。十二日、おとといから訓練が始まって現在訓練をやっておるのです。本当に何のための自衛隊かと言いたいぐらいなんです。
 一体、海域の状況はどうだと聞きましたら、こういう話です。周辺のところに船が集まっています、だから中にはいませんから安全ですと言うのですよ。おっかないから、入っていけないから周辺にたむろしているのですよ。それを中にいないから安全だと言っている。飛行機で見てきたら周辺にだけしかいません。私は、もう本当にびっくり仰天しました。こんな軍隊では、とても安心して寝ていられないのですよ。十二日は幸い、これはまさに幸いですが、日本海は大しけで漁船は一隻も出ていません。そのために助かりました。しかし、きのう、きょうと出ているのです。これが一体どういう状況になるか。約十二日間というかなり長期の間、漁場が占領されるということになるわけなんでして、この問題について、大臣は防衛庁長官ではないが、同じ鈴木内閣の閣僚の一人、そしてまた地方自治を預かる責任者といたしまして、この点をひとつ強く総理なりあるいは防衛庁に申し入れていただきたい。いかがですか。
#64
○安孫子国務大臣 防衛庁長官と、その点よく注意を喚起して話してみます。
#65
○佐藤(敬)委員 海上保安庁にお伺いしますけれども、一体いつ防衛庁から海上保安庁に通知があったのか。それから、時間がないので皆聞きますけれども、通知があってからすぐ秋田県なり漁連なりにこれを通知したのか。それから、いま演習が行われておりますけれども、いかに海上保安庁としてこの演習並びに漁船の問題に対して対処しているのか。それからもう一つ、いまどういう状況になっているのか、船がどのくらい出てどのような演習が行われているのか、その間の状況をお聞かせ願いたい。
#66
○佐藤説明員 今回の日米合同訓練に関しましては、防衛庁から五月九日に通知がございました。海上保安庁ではこの通知を受けまして、無線電信による日本航行警報それからナバリヤXIの航行警報を、前者は十日に、後者は九日に出しております。さらにNHK及び共同通信社に情報を提供いたしまして、ラジオ放送及びファックス放送を依頼しております。
 また、海域に関係します管区本部及び海上保安部署におきましては、九日から十一日までの間にそれぞれ無線電信による航行警報を出しておりまして、さらに関係放送局にラジオ放送を依頼しております。また、漁業無線局それから漁協等にも、情報を関係保安部署を通じて流しております。今後はさらにこれらの情報を、再度にわたりまして無線電信による航行警報等を継続いたしております。
 海域における漁船の状況につきましては、現在のところ十分に把握しておりません。
#67
○佐藤(敬)委員 水産庁にお伺いします。
 この訓練があるということをいつ、どこから知ったのか。
#68
○武田説明員 お答えいたします。
 私ども新聞で拝見をいたしまして、直ちに防衛庁に内容をお尋ねした次第でございます。
#69
○佐藤(敬)委員 それから防衛庁にちょっとお伺いしますけれども、第二次の訓練がこれからまた始まるわけですが、これを中止するわけにはいきませんか。
#70
○芥川説明員 防衛庁といたしましては、今回の共同訓練に当たり、極力漁業への影響というものを避けるという観点から、射撃訓練というものをやらないということにしておりますほか、航空機あるいは艦艇による見張りを強化いたしまして、漁船が接近してまいりました場合には私どもの方でこれを避けるという方針をとっておるわけでございます。
 しかしながら、このような私どもの安全対策、あるいは訓練全体がどのように実施されるのかという点につきましての私どもの説明が事前に地元の皆様に伝わらず、結局いわば抜き打ち的に訓練を実施するということに地元の皆様が不安感を持っておられるということになりましたとすれば、それはまことに遺憾であるというふうに考えておるわけでございまして、今後はこのようなことがないように、関係者に対する周知徹底方については意を尽くしてまいりたいと思います。
 それから、先ほど先生お尋ねでございました、現在やっておる訓練は第一次のものであるので、第二次を中止するつもりはないかということでございますが、今回の日米共同訓練といいますものは、米軍の最新の戦術、戦法というものを吸収することができますし、戦術技量の向上を図る上で非常に大きなメリットがあるということを考えまして、これまで長い期間にわたってアメリカ側と調整を行ってきたところでございます。したがいまして、安全対策につきましては先ほども申しましたとおり万全の措置を講じることとしておりますので、計画どおり訓練を実施させていただきたいと思うわけでございます。
#71
○佐藤(敬)委員 防衛庁にお伺いします。
 やめられないとすれば安全に十分注意してやっていただきたいと思いますが、一つは、第一次と第二次の間に中休みがあるのですが、その中休みのときはどうしているのですか。同じ海域で漂流しているのですか。
#72
○芥川説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、第一次と第二次の間に四日間の休みがあるわけでございます。五月十五日の午後に、この訓練に参加しておりますところの水上艦艇計十二隻――計と申しますのは、日本側が八隻、アメリカ側が四隻でございますけれども、これらはいずれも訓練海域から舞鶴に向けて航行するわけでございまして、十七日の朝舞鶴に入港いたしまして、同地で乗員の休養等を行った後に、十八日の朝舞鶴港を出港いたしまして、同日の夕刻再び訓練海域に到着するという計画になっております。
#73
○佐藤(敬)委員 もう一つ、この海域で操業する漁船は大体百五十隻くらいじゃないか。それがさっき言いましたように一万二千メートルくらいの長いしっぽを引いて歩いている。軍艦が延べで三十三隻、そのほかにソ連の艦艇まで参加してやっておるわけなのでかなりな艦隊になる。当然、いろいろな事故が起きないかというので非常に地元で心配しているのですが、網あるいは船体、こういうものに事故が起きた場合には補償をいたしますか。
 それからもう一つ、ついでですが、ソ連の軍艦によって事故が起きたときはどうなりますか。
#74
○芥川説明員 お答えいたします。
 まず初めの方の御質問でございますが、もし今回の訓練中に万が一にも事故が起き、当該事故に伴う責任が国にあるといいますときには、損害を受けた方々に対し国として、国家賠償法の規定に基づき適正な賠償を行うということになるわけでございます。
 それから続きまして、ソ連の艦船が同海域にあらわれて、その結果事故が生じた場合はどうするのかというお尋ねでございますけれども、仮にお尋ねのような事故が起こった場合にどのような処理がなされるべきかという問題につきましては、私ども防衛庁といたしましては、恐らくこのような問題は外務省を窓口として折衝することになるのではないかというふうに考えておりまして、したがいまして、外務省のこの問題についての御意見を拝聴いたしましたところ、このような問題は具体的なケースによって判断されることとなり、一概には申し上げられないという御返事をいただいておるところでございます。
#75
○佐藤(敬)委員 大臣に質問しようと思ったけれども、おられないのでやめます。どうも済みませんでした。
#76
○左藤委員長 松本幸男君。
#77
○松本(幸)委員 私は、ただいま議題となっております地方公務員に定年制を導入するための地方公務員法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、御質問を申し上げたいと思います。
 先ほど、加藤委員の質問の際に紛糾をいたしまして若干の時間をとり、さらにただいまの緊急質問等も行われましてかなり時間の制約がありますので、重点的になるべく簡潔に御質問をしたいと思いますので、お答えの方もひとつ的確にお願いをしたいと思います。
 まず第一点は、基本的な問題でありますけれども、地方公共団体における条例制定権につきましてお尋ねをしたいと思うわけであります。
 御承知のように、地方公共団体における条例制定の権限根拠は、憲法の九十四条及び地方自治法の第十四条に基づいていわゆる条例制定権があるわけでありますけれども、この地方自治法第十四条におきましては、普通地方公共団体が条例を制定する場合に、第一項は、第二条第二項の事務に関して、法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができるとされておりまして、第二項は、行政事務を処理するに当たっては、法令に特別の定めがあるものを除いて、条例でこれを定めなければその行政事務を処理することができない、このようになっているわけであります。
 今回の定年制に関する公務員法の一部改正によって、先ほど来論議がありますようにもっぱら地方公共団体の条例に委任をしている、条例を制定して実施をしなさい、こういうことになっているわけでありますが、今回のこの定年制の法案につきましては、地方団体における制定権の一項に基づくものなのか、例示された事務によってそれを処理するには条例を設けなければならないというのか、あるいはある特定の行政事務を処理する場合に条例を定めなければやってはいけないといういわば禁止規定だと思いますけれども、そのいずれによってこの条例を制定なさろうとしているのか、まず伺いたいと思います。
#78
○宮尾政府委員 定年制を実施するために設ける条例は、十四条の二項に言う行政事務には該当いたしませんので、一項に基づく条例だというふうに考えております。
#79
○松本(幸)委員 わかりました。そういたしますと、第一項の第二条第二項で例示してある事務、この範疇のものである、このようなお答えがあったわけでありますが、これによりますと、地方公共団体は「条例を制定することができる。」という規定になっておりまして、きわめて自主性といいましょうか任意性といいましょうか地方公共団体の裁量権といいましょうか、そういったものを尊重しているたてまえになっているわけでありますが、そのように理解してよろしいのかどうか。
#80
○宮尾政府委員 そこで「できる。」という規定をしておりますのは、そういう権能を持っているという考え方に立った規定であるというふうに考えております。
#81
○松本(幸)委員 一般的に条例を制定することができるんだというのは、いろいろ国の法令で、条例を定めなければならないとか定めるものとするとか、かなり法令自体に強制力を持った法文の規定もありますし、あるいは設けることができる、そういうふうな文言もあるわけでありますが、設けることができるということは、法それ自体に強い規制力がなくて、地方団体側の自主性、裁量権というものがかなり認められているというように解釈するのが一般的な解釈ではないかと考えるわけでありますが、そうではないというようにおっしゃるわけですか。
#82
○宮尾政府委員 いわゆる任意に可能である、そういう意味でのできるという意味ではありませんで、地方公共団体はそういう条例制定権という権能を付与されているという考え方に立った規定であるというように理解をしております。
#83
○松本(幸)委員 みずからに付与された権能を行使する、そして条例をつくる、こういうことになるわけであります。
 具体的に、この定年制の問題に関連をしてお尋ねをするわけであります。
 いまのお話で第二条第二項の事務の範疇に入るものである、こういうことでありまして、そうしますと地方公共団体が条例を制定してこの定年制を実施する、こういうことになるわけでありますが、仮にある地方公共団体がいわゆる退職管理はきわめて円滑に行われている、したがって改めてここで定年制を実施するための条例は必要ない、こういうように判断をして定年制の条例を提案しなかった場合、あるいはまたもう一つ、条例の制定には手続として議会の議決を必要とするわけでありますから、当然、この定年制実施をしようとする意思が決定され、条例案がつくられて、それが議会に提案をされ、議会が議決をして、初めてその行政事務の執行が可能になる、こういうことになるわけでありますが、ここでは二つの問題があるわけであります。
 一つは、退職管理がきわめてスムーズに行われているから条例の必要はないんだということで、理事者側みずからが提案をしないというケース、もう一つは、理事者が議会に提案をしたけれども、議会がそれを否決するといったような事態が起こった場合と二つあると思うわけでありますけれども、そういった場合に、今回の定年制の法律二十八条の二の二項にそのような行為は違反となるのかどうなのか、その辺のところについてお尋ねしたいと思います。
#84
○宮尾政府委員 定年制度につきましては、先ほど来いろいろ御説明申し上げておりますように、地方公務員、国家公務員を通じまして、身分保障の基本に関する分限の事項でございます。そういう意味で、今度の地方公務員法の考え方というものは、法律ですべての地方団体にそういう制度を導入する、ただし具体的な実施事項については条例で定めていただく、その条例の制定根拠というのがいまお話にありましたように十四条の一項でございます。こういうことでそういう立て方をしているわけでございます。
 したがいまして、必ず条例を定めていただくということを予定しておるわけでございまして、もし条例が制定されないということになれば定年制度というものが動かないことになりますから、そういう意味では法の趣旨に違反した状態というものがそこに出てくる、こういうことであり法律違反である、こういう考え方でございます。
#85
○松本(幸)委員 なかなか理解しにくい答弁なんでありますけれども、要するに本来の目的は職員の退職管理がきわめて円滑に行われることを目的として制定をしようとする法律でありますから、ある特定の団体においてはこのような条例をつくらなくても退職管理がきわめてスムーズに行われておるとすれば、法が求める目的はすでに達せられているわけでありますから、その場合にもどうしても条例をつくらなければならないという、しかもそれがつくらなければ法令違反になる、こういうこと、そしてもし仮に法令違反だとした場合にはどういう措置がとられるのか。
 後段については、いまお答えがなかったわけです。理事者側は条例をつくろうとして提案をしたけれども、議決機関である議会がこれを否決したという場合の責任、まあその後には当然専決の処分というようなものもあるわけでありますが、これは釈迦に説法のような話ですからあえて申し上げませんけれども、専決処分につきましては当然これはもう制限が設けられているわけであります。軽易な事項としてあらかじめ議会が理事者に権限を委任したような場合とか、あるいは法令上とにかくつくらなければならないというように定められたものであるとか、軽易な事項であるとか、いろいろな制限規定が設けられている。
 しかし、この定年制の条例につきましては、この専決事項のいずれの条項にもなじまないものであるし、もし議会が否決をしたという場合であっても、これを専決をするという事案ではないというように思うわけでありますけれども、いま申し上げたように法令違反になるとした場合のその措置と、議会が否決したときにはどうなるのかということについて、もう一度お答えいただきたいと思います。
#86
○宮尾政府委員 退職管理がうまくいっているからということを理由にその条例等が定められない、こういう御質問がまず第一にありましたが、それは現在の退職管理というものがうまくいっていましても、将来ともそういうことが保証されるかどうかということについては、必ずしもそういう期待はできないという問題があります。と同時に、これは職員の身分保障に関する問題でございますから、逆の面でいいますと、仮に六十歳定年ということを定めれば、六十歳までは身分が保障されるという問題でございます。
 したがいまして、そういうことにつきまして法律は定められていても、具体的にその団体でどうなるかということが決まらないような状態にしておく、つまり条例が定まらないということは。ということは、これはその団体の地方公務員の職員の身分がきわめて不安定な状態になるということになって、法律が期待をしている状態ではない、違法な状態だ、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
 それから条例が提案されなかった、あるいは議会で否決をされたりした場合にどうするかということでございますが、これはもちろん専決処分等で行うというようなものではないというふうに考えております。もちろん地方としましては、議会で否決されたような場合には、その審議過程等を通じての議論等を参酌しまして条例案について検討し、再度議会で御審議をいただく、こういうふうにして解決をしていくのが妥当であるというふうに考えております。そういう状態がなお出てきたらどうするかということでございますが、私どもといたしましては、これは法律が期待してない違法の状態でございますから、そういうことのないように十分市町村に指導をしていきたいというふうに考えております。
#87
○松本(幸)委員 余り時間がありませんから、そのことだけに深くかかわっているわけにはまいりませんけれども、当然そういう団体も出てくるというように考えるわけであります。仮に出てこない場合でも、基本的な考え方としてこれが法令違反になるのかならないのかということについては、これは率直に申し上げましてかなり論議の存するところでありまして、いまの御答弁でわかりました、了解しましたというわけにはまいらない問題であるということをお断りをしておきたいと思います。
 しかも、議会が否決したような場合の取り扱いにつきましても、これはどうするのかということが当然に出てまいりますので、そういう点につきましては論議を留保しておきたいというように思います。
 いまの公務員部長のお話によれば、かなり強制力を持って各地方公共団体はこの条例をつくらなければならないというようなニュアンスのお答えであったわけであります。事ほどさように、かなり強制力を持って地方に自主性あるいは裁量権、こういったものの余地が余りないというように聞こえたわけであります。
 そこで、やはり先ほどのように地方にお任せするんだというような形ではなくて、地方の考えでやってください、法律はこう決めまして、この範囲内で地方で自由にやってくださいということではなくて、かなり条例の中身等についても細かく規制をしてやっていくんではないかというような感じがするわけでありますけれども、そのことは先ほど論議がございましたから、これもまたいまここでは論議をいたしません。ただ、問題があるというように私は考えております。
 条例をつくらなかった場合に法令違反となって、何らかの処分が付されるというようなことなのかどうなのか。どだい条例の制定について、ある条例をつくらないことによっての罰則といいますか、法令に違反した場合の地方公共団体に対する制裁というものは、一般的にどのようになっておるのでしょうか。
#88
○宮尾政府委員 先生も十分御存じのように、地方自治法の考え方というのは、地方団体が法令違反をした場合にはこういう罰則をやりますよというようなことを中心に書いておる法律ではございませんで、むしろやはり地方自治体と国とは行政をやっていく上での車の両輪でございますから、その地方団体は当然国が定めた法律に従って条例を定め、あるいは行政を執行していくという基本的な考え方を前提にして書いているわけでございます。したがって、もしそういう違法な事態が出たら、すべて何らかの措置が事細かに書かれているというような仕組みになっておりません。
 ただ自治法の中には、自治省がいろいろな地方団体の行政について技術的な助言をしたり、援助をするというようなことも定められておりますし、あるいはもちろん最終的には――最終的といいますか、非常に強力な国の地方団体に対する権限といいますか、といたしましては、内閣総理大臣が適正な事務処理をしていない団体に対して、法令の規定に違反をしているというような事態があったときには、その事務処理の適正な確保をするための措置などが決められている規定もあります。
 しかし、現実にこういうもので運用していくということではなくて、私どもとしては、この地方公務員法で定年制度が定められれば、その趣旨に従った制度運用あるいは条例の制定ということをぜひそういうことでやっていただきたいということを指導して、ここで議論をしているような事態がないように努力をしていく、そういうふうに考えておるわけでございます。
#89
○松本(幸)委員 私としてはいまのお答えで、仮に定年制に関する条例をある地方公共団体がつくらなくても、さらにはまた議会に提案をしたけれども否決されてこれが実現を見なかった、条例として制定をされなかった、こういう事態が生じても、特別に制裁的な措置というものはないというように理解をしてよろしいわけですか。
#90
○宮尾政府委員 いわゆる特別の法律に基づく制裁措置ということについては、格別の規定というものはないというふうに考えております。ただ、それがたとえば自治法二百四十六条の二でございますか、にありますように、重大な法律違反で、それを放置することができないというような事態であるものについては、内閣総理大臣の権限がありますけれども、まあそういう規定は別といたしまして、さっき申し上げましたように地方団体というものは、当然国が国会で定めた法律に基づいて適正な事務執行をしていく立場にあるし、そういうふうにしてきておるという中で、こういうことは解決されるであろうというふうに考えております。
#91
○松本(幸)委員 余りはっきりしませんけれども、こればかりに時間をとるわけにまいりませんから、次に移ります。
 もう一点だけ、やや抽象的な話になりますけれども、定年というのは一体何なのか。これは大臣にお尋ねしたいのですけれども、出生に始まって死亡に終わる人間の生涯のうちで、定年ということがあるわけであります。
 これは、自由業者等については別に定年なんという言葉はないし、農業者とかの第一次産業の方方にも余りないわけでありますけれども、一般的に労働者の場合には民間でも、今度は公務員の場合でも定年という問題が出てきているわけですが、その定年も、五十五歳もあれば六十歳もある、六十五歳もある、あるいはまた七十歳もあるということでありますけれども、この定年という概念はどういうものなのか、ひとつお尋ねしたいと思います。
#92
○宮尾政府委員 ちょっと技術的な問題でございますので、私の方から答えさせていただきます。
 今度の改正法で定年という言葉を使っておりますが、これは字の意味するところは、それぞれの職員の職について定められた一定の年齢を言うわけでございまして、職員はその定められた年齢に達したことだけをもって当然その職員としての身分を失う、こういう法律的な効果が出てくるものであるということでございます。
#93
○松本(幸)委員 基本的には雇用される労働者というのは、民法あるいはその他の労働法に基づいて、双務的な契約によって雇用関係が生じていく。その雇用関係を終止するに当たっては、これは当初が双務的な契約でありますから、当然原則的には両当事者の合意によってその解除が行われる、このように理解をするわけでありますが、今回の公務員の定年制につきましては、そういう双務的な労働契約であるという観念ではなくて、きわめて一方的にある一定の年齢に達したら強制的に離職せしめるということになっているわけでありまして、これは基本的に、働く者の立場といいましょうか、そういったものを全く顧慮していない考え方ではないか。
 これは民間の場合でもそうでありますけれども、いわゆる定年制というものに対しては、何か労働生産性が低下をするといった理由が中心でありまして、人間を機械かあるいは工場施設のようなものと同じように考えている、いわば使う方の側の資本の論理である、このように考えるわけであります。
 特に民間等の場合には、当然労働協約もしくは就業規則といったものによって、一定程度労働者の意見というものが制度そのものに反映をする仕組みになっているわけでありますが、今回の公務員法の改正につきましては、国公も地公も同じでありますけれども、これはもう任命権者、使用者側の一方的な考え方で、法律行為によって、さらにそれを条例化してやっていこうということで、先ほどの加藤委員の質問の中にもありましたけれども、ごく一部を除けば労働者側の意思というものが取り入れられない仕組みになっている。こういうことについてはどういうように考えておられるか。
#94
○宮尾政府委員 民間では労使交渉をやって就業規則等で定めることができるということと、公務員の定年制との関係の問題でございますが、公務員の定年制度というのは、片方で身分の得喪ということに関する分限でありますけれども、それは同時に身分保障ということであります。したがって、地方公務員法あるいは国家公務員法でも同様でございますが、身分保障に関する基本的な事項については、その身分を保障するために法律で定めておるわけであります。これは私どもの考え方からいたしますれば、民間企業において労使間で就業規則等で定めるよりも、もっと保障という意味ではその効果が高いものであるというふうに考えるわけであります。
 ですから、地方公務員法の場合にも、基本の枠組みは分限については法律で決めなければならない、そう定められていることに従いまして、定年制の基本の骨組みは法律の中で決める、それから細部の点については地方団体の議会で定める条例で決めていただく、こういうことにしておりまして、決して使用者側が一方的に決めてそれを押しつけるということではなくて、すべてこれは国会あるいは地方議会という住民の代表者によって議論をしていただくという仕組みになっておるわけでございます。
#95
○松本(幸)委員 抽象的に身分保障ということになれば、ある一定年齢で強制的に離職を余儀なくせしめるということが、原則的には身分保障というものとは背反することになるのじゃないかというような気がするわけであります。これは一般論的にですね。本来、身分保障というものは終身であってもいいはずのものでありますが、途中で強制的に離職をさせるというものを法律で決めてやる。しかも、その中には労働者側の意見が、いわゆる使われる側の意見が余り入っていかないということになりますと、いまのお話の身分保障といった考え方とはむしろ逆な考え方ではないかというように思うわけですが、そういう点についての御見解はいかがですか。
#96
○宮尾政府委員 公務員の身分保障という場合に、終身の保障だということは、制度の仕組みとして考えているだけで決してそういうことになっていない。そこで現在は、特定の、たとえば分限事項に該当をした場合には免職ということがありますが、それ以外には愚に反して退職するということはない。こういう仕組みの中に、六十歳という定年制度を入れまして、一定年齢に達したら一律に自動的に退職をするという制度を仕組みとしてつくるということにしているわけです。
 それで、確かにそういう意味では、六十歳になったら当然退職をしなければならない、そちらから見ますと、身分保障がそこで切れるということになりますけれども、裏返して言えば、これは具体的な事例でお考えになっていただければおわかりかと思いますが、現在多くの地方団体では五十八歳程度で勧奨によって退職をしてもらうということで、現実に退職をしておるわけでございます。
 ところが、今度定年制度というものができて、六十歳ということを仮にその団体が条例で決めますれば、その団体の職員にとっては六十歳までは安心して職場で働ける、こういう逆の身分保障ができたというふうに考えることもできるわけでございます。そういう意味で私どもは、分限ということは裏返して言えば身分の保障と同じことだというふうに考えておるわけでございます。
#97
○松本(幸)委員 いまのお答えにつきましては、また後ほど具体的に御質問をしたいと思いますけれども、私はこの段階では原則論というものを言っているわけでありまして、民間の場合であれ、あるいは今回制定されようとする公務員の場合であれ、体制として六十歳である、これは結果でありまして、そこに至る過程の手続、その段階で民間の場合には、先ほども申し上げているとおり労働契約が双務契約であって、労働者側の意見なり合意なりも得て、その年齢が決まっていくという手続を経ているわけです。それは労働協約であり就業規則、こういうものであるわけです。
 ところが、結果として六十歳という定年、民間でも大体そのくらいだと言うけれども、その過程の手続においては、民間がそういう手続を経て労働者側の意向も取り入れて決めていくという手続に対して、公務員の場合には法律と条例で頭からぴたっと決めてしまうということになると、身分保障という観点からすると、労働者側の立場に立って考えた場合に民間よりも公務員の方がもっと悪い、そのように考えられるんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
#98
○宮尾政府委員 民間と公務員との場合の労使間の交渉等の問題でございますが、今度の定年制につきましても、法律で定めている事項は国会で御審議をいただくことですから労使交渉ということにはならないわけでございますが、地方団体が条例で定める事項の中で管理運営事項を除きますと当然交渉ができるわけでございます。ただ、最終的には議会で決める条例で決まってしまうではないかという点の御懸念かもしれませんが、これは労働協約なり就業規則でもって決めることよりもはるかに法律的な効果があるわけでございますし、条例の改正そのものは、改正するということになれば当然議会で十分御審議を得てからでなければ改正できないわけでございます。
 他方就業規則等につきましては、労使間で所定の手続をすれば、逆に言いますと十分変え得る。そういう意味で私は、法律あるいは条例というもので地方公務員の身分に関する問題を決めていくということは、民間よりもきちんとした身分保障の仕組みをとっているんだというふうに考えますし、実際の制度の仕組みもそういう考え方に立ってできておると理解をしておるわけでございます。
#99
○松本(幸)委員 いま、前段でお答えのありました事項でちょっと理解しにくかったのでありますけれども、定年という場合には当然年齢が基本でありまして何歳にするか、あとはもうそれにまつわる手続の問題なんですよ。ところがいまのお話ですと、何かそのこと自体についても交渉の対象たり得るようなお答えがあったわけですけれども、民間の場合には、当然何歳を定年とするかというそのこと自体が交渉の対象なんですよ。
 定年というのはそれが一番基本なんです。あとは、どういう手続をしてやるかということだけの手続規定にすぎないわけです。ある一定年齢を決めて、退職するための手続を随伴的に定めるにすぎないわけです。年齢を幾つにするかが、定年制における一番最大の問題点なんです。それについて、民間では当然交渉の対象となっているわけですね。ところが前段の説明で、それも交渉の対象になり得るようないまのお話でしたけれども、六十歳という基準年齢というものは、公務員の場合には交渉事項たり得ないわけでしょう。
#100
○宮尾政府委員 定年年齢をどうするかということについては、もちろん条例の提案権があります当局が具体的な案を固めて議会審議ということになりますが、その過程で当局との間において、一般公務員であれば地方公務員法五十五条の規定に基づいて、その定年について交渉という形で職員側の意見を述べることができます。それから企業職員であれば、地公労法の第七条に関する勤務条件の一つになりますので、当然これは労使の交渉ができるわけでございます。ただ、これは最終的には条例で決められるということでございますから、そういう交渉を通じて労使間でのいろいろな意思疎通ということは手続として十分行える、最終決定は条例である、こういうふうに御理解いただければと思います。
#101
○松本(幸)委員 きわめて重要な問題点だと思うのです。いわゆる基準年齢は六十歳である、こう定められている。基準という場合には当然上もあれば下もあるということなんですが、条例を理事者が制定する以前の段階でその年齢を幾つにするかということは、要するに職員団体との交渉事項になり得る、こういうことですね。
#102
○宮尾政府委員 定年については、勤務条件の側面を持っておりますから交渉が行えるわけでございます。
#103
○松本(幸)委員 そういたしますと、少しくどいようでありますけれども、いわゆる弾力的な運用が可能である。仮に、六十歳が基準ですから職員団体との交渉によって、六十一歳にするとかあるいは六十二歳にするとか、逆の場合五十九歳もあり得るかもしれませんけれども、そういうことによって交渉が行われて、その基本的な合意に基づいて条例案が作成されるということもあり得るということですね。
#104
○宮尾政府委員 一般職の場合を例にとって申しますと、職員団体は勤務条件に関して地公法五十五条の規定に基づいて、管理運営事項でない問題については当然当局と交渉ができるわけでございます。そこで、交渉ができるのだから定年年齢は弾力的かという御質問のように受け取ったわけですが、それはそういうふうに考えてはいないわけでございまして、地方公務員法の今回の改正法の中に定めてありますように国の定年年齢を基準として条例で定める、こういうことにしてあるわけです。
 ですから、交渉という手続はもちろん十分あるわけですが、その際議会が決める条例の基本的な考え方は、合理的な理由がない限りは国の定年年齢をそのまま条例の中に決めていただくという基本的な考え方を法律で示しているわけです。そういう法律の趣旨に立脚して条例を定めていただくというのが、現在検討をお願いしている法律の基本的な考え方でございます。
#105
○松本(幸)委員 基準という言葉の持つ定義についても、最低の基準もあれば標準的な意味の基準、上下のある基準、いろいろありますけれども、今回の地方公務員法の改正による定年制の六十歳を基準というのは、いまのお話ですときわめて固定的なものであって、いわゆる基準という言葉の定義にはなじまないような、六十歳とするとした方がいいみたいな話なんですね。余り弾力的なものではないんだ、六十歳という基準なんだ、その基準というのはかなり固定的なものなんだという考え方なんですけれども、六十歳がいわゆる最低基準というような理解でいいわけですね。
#106
○宮尾政府委員 国が法律で定年年齢を具体的に書いておりますと同じような考え方に立ちまして、地方公務員についても法律で規定をする、こういう考え方は十分とり得るわけでございます。それは地方公務員も国家公務員も同じ公務員でございますから、制度の一貫性、整合性を考えた場合には、そういう考え方は十分とり得るわけでございます。
 ただ、地方公務員については、これは東京のような大都市の場合もあれば北海道の離島のようなところの村もある、こういうことがございまして、法律の中に一律に特例定年まで全部書き込んでいくというふうにしますと、どのような事態が出てくるのか。職員の採用、補充等が非常に困難であるような事態もあります。そういう意味から、その部分についてはそういうこともありますので、地方団体が条例制定権を持っておりますからそういう地方団体に任せることがよかろう、こういう考え方に立って条例で定めることにしたわけでございます。
 ただその場合、先ほど申し上げましたように、むしろ法律で書いてもいいような事項でございますから、それは国が国家公務員について定めている定年年齢を基準として決めていただかなければならない。その基準という考え方は、当該地方公共団体においてどうしても国の職員とは違った定め方をしなきゃならぬような職等がある場合について、そういう別の定めをすることができるわけですが、そうでない限りは国家公務員の定年年齢と同じに定めていただくというのが、この基準としてという考え方の基本的な考え方であります。
#107
○松本(幸)委員 基準という言葉の定義そのものは別にしまして、いまのお話で、基準という言葉を使っているけれども、六十歳というものはかなり固定的なものであるということがよくわかりました。しかもその上に、特例的な措置としては、国家公務員の場合、お医者さんの場合には六十五歳とか単純労務の場合に六十二歳までとか、あるいは再任用、勤務延長、こういった措置も六十歳以上のものを考えているわけですね。そういう意味では、六十歳が固定的なものであり、しかも再任用、勤務延長、特例的な措置による六十歳以上の年齢ということになりますと、これはかなり固定的な最低基準である、このように理解していいわけですね。
#108
○宮尾政府委員 非常に概括的といいますか、粗っぽく申し上げますと、特別な理由がない限りは原則定年は六十歳。それから医師、歯科医師については六十五歳、労務の関係の単純労務者については六十三歳ということで決めていただきたい。
 それから基準という言葉がありますが、それは最低基準ではありません。いわゆる労働基準法のように、最低の基準を定めているという意味での基準ではありませんで、この基準の意味するところは、特別の理由がない限りはそのものずばりと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#109
○松本(幸)委員 次に、民間企業における定年制実施の状況について、簡単にお聞かせいただきたいと思います。
#110
○宮尾政府委員 民間企業における定年制度の実施状況でございますが、人事院が調査したものによりますと、五十五年四月現在におきまして定年制のある事業所は九七・五%、定年制のない事業所はわずかに二・五%である、こういう結果となっております。
#111
○松本(幸)委員 時間がありませんので、いまの問題は飛ばしまして次に移ります。
 今回の地方公務員の定年制につきましては、特例的な措置として勤務延長と再任用の制度がとられているわけでありますけれども、民間企業の場合に定年制が、いまお話があったように九七・五%実施されている。そういう中で、いわゆる勤務延長というような形式のものと、あるいは再任用という形で、再雇用といいましょうか、一たん雇用関係を終止して再び勤務するという形式のものとがどのように民間では行われているかということであります。
 具体的な数字はよくわかりませんけれども、恐らく民間の一つの企業としては、定年制を実施するに当たって、勤務延長といったような形の雇用継続と再雇用制度によるというものが両方併用されている企業は少ないのじゃないか。全国的に見れば、いずれかの方法をとっているということになるかもしれませんけれども、一つの企業で両方を併用しているというようなことは比較的少ないのではないかと思いますけれども、その辺の実態をお聞かせいただきたいと思います。
#112
○宮尾政府委員 労働省の雇用管理調査によりますと、五十五年一月一日現在でございますが、民間企業で、これは企業規模が三十人以上をとっているようでございますが、勤務延長と再雇用の両方を併用している企業は、定年制度のある企業の一〇・七%であるという状況になっております。
#113
○松本(幸)委員 この点はまた、勤務延長と再任用の具体的な内容につきましては後ほど申し上げますが、比較的少ないということですね。九七・五%定年制は実施しているけれども、一つの企業で勤務延長と再雇用の両方の制度を使っている企業は比較的少ないということがはっきりしたと思うのですが、そのことはしばらくおきます。
 いわゆる勧奨退職につきまして、人事院総裁の書簡などにおいても、高齢化社会が到来をして、いままではうまくいったけれども、これからはなかなか勧奨退職もうまくいかない、昇進がとまってしまって、公務員の士気の高揚にも影響する、だから定年制をつくるのだ、こういう意味の書簡になっているわけですけれども、現在地方公共団体における勧奨退職というものが有効に、円滑に実施をされていると思うのか、あるいは現段階でもなかなかうまくいっていないというように考えられているのか、その辺を伺いたいと思うのです。
#114
○宮尾政府委員 現在の退職勧奨制度の状況でございますが、全体としての退職率から見る限りにおきましては、現在一応それなりに機能をしておるという評価ができると考えております。ただ、これは平均的な話でございまして、個別の団体を見てみますと、必ずしも応諾率がそれほど高くない。したがって、勧奨制度というものはうまく機能していない団体もある程度の数があります。
 また、当然制度の性格といたしまして、この勧奨退職制度というのは本人の同意がなければ退職にならない、こういうことで限度があるわけでございます。さらに将来を考えた場合に、相当高齢化が進む中でいまのように退職勧奨というものがうまく進んでいくかどうか、こういう点については必ずしも十分機能をしにくいのではないか、こういう予測がされておるわけでございます。
#115
○松本(幸)委員 具体的な数字等の説明はなかったのですけれども、勧奨退職に応じない人の内訳はおわかりになりますか、役職別に。
#116
○宮尾政府委員 役職別につきましては、いま直ちにこのところで資料が出てまいりませんが、勧奨された者で退職をしない職員は、あらゆる職種を含めまして都道府県の場合には三千五百四十三、それから市の場合には三千百二十、町村が五百四十五、こういう内容となっております。
 なお先ほど、団体別に見まして応諾率が非常に低いところがあるということを申し上げましたが、たとえば指定市、特別区、市、全部含めまして六百三十九の団体がありますけれども、この中で応諾率が六〇%以下の団体が八十余団体ある、こういう状況がございます。
#117
○松本(幸)委員 具体的なお答えが聞けなかったわけでありますけれども、私の独断的な推測によれば、勧奨退職は役付者の方が比較的スムーズに行われていて、一般職員といいますか、平職員というと語弊があるかもしれませんが、そういう人の方がどちらかというと余り勧奨に応じないということが多いのではないかと推測するわけでありますけれども、そういう推測が成り立ちますか。
#118
○宮尾政府委員 具体的な数字はちょっと申し上げられませんが、その傾向といいますか、役付職員はほとんど勧奨退職に応じておるということでございまして、一般職員の方が応諾率が低い、こういうことになっております。
#119
○松本(幸)委員 そういたしますと、今回の定年制を公務員に導入しようとする根拠が勧告でもない、意見でもない、人事院総裁の書簡である、そのことの法的拘束力とか効果という問題は別としましても、その内容を見てみますと、公務員に定年制を導入する一つの理由として「昇進の停滞による職員の志気の低下」、こうなっているのですね。平職員がやめなくても、特に昇進による士気の低下ということは招かないのじゃないか。そうすると、人事院総裁の書簡というのは、独断と偏見に基づいて出されている書簡というように思われるわけでありますけれども、その辺はいかがでしょうか。
#120
○宮尾政府委員 高齢化社会が猛烈なスピードで進んでおることはもう御承知のとおりでございまして、現在勧奨退職がある程度スムーズに機能しているという現実ではありますが、これからの将来を考えてみた場合に、果たして現在のような形で勧奨退職がうまく機能するかどうか、こういうことを十分踏まえての書簡の内容であるというふうに理解をいたします。
#121
○松本(幸)委員 次に移ります。
 先ほど勧奨退職につきまして、定年制が実施された以後も存続をするのかどうかという御質問に対しまして、部長の答弁では、従来行われていたような集団的なといいますか、一律的な退職勧奨というものは将来はなくなるであろうと思う、経過措置としては一部残るかもしれない、ただし、もう一つの個別的な勧奨についてはずっと引き続き存続するであろう、こういうような趣旨の御答弁があったわけでありますけれども、この集団的な退職勧奨と個別的な退職勧奨とをどの辺で区分をするのか、どの辺で一線を画するのか、その辺のところを伺いたいと思うのですが。
#122
○宮尾政府委員 集団的な退職勧奨というのは、それぞれの団体が現在退職勧奨を進めている上で、一般職員についてはたとえば五十七歳に達したらすべての職員についていわゆる肩たたきを行う、そういう形のものがいわゆる集団的なあるいは一律的な退職勧奨の措置だというふうに考えるわけであります。これに対して個別的なというのは、たとえば課長以上の幹部職員等につきまして、人事の刷新あるいは新陳代謝を図る上から勇退を個別に進める、こういう形で行われておるものがありますが、こういうものを個別の勧奨退職というようにわれわれは考えておるわけでございます。
#123
○松本(幸)委員 退職勧奨というのは、そもそも個別に行われるものであろうと思うのですけれども、それが大きくなれば結果的に集団になってくるということにもなって、どこに限界を引くかというようなことはなかなかむずかしいと思うのでありますが、いまのお話ですと、私なりに解釈いたしますと、いわゆる役付者についての退職勧奨は個別勧奨であり、平を含めてやる場合には一律的な退職勧奨であるというふうに聞こえたわけでありますけれども、そういう理解でよろしいのでしょうか。
#124
○宮尾政府委員 一般職員については、たとえば五十七歳になったらすべて漏れなく勧奨をする、こういうようなやり方をしておるわけでございますから、概括的に言いまして、ただいま先生がおっしゃったような考え方だというふうに理解をしてよろしいかと思います。
#125
○松本(幸)委員 退職勧奨というのは、地方公共団体がその必要性に迫られて、労使の暗黙の合意、暗黙の了解というのでしょうか、これは制度という言葉がしばしば使われますけれども、私はいわゆる勧奨退職制度という言葉自体はおかしいと思うのですけれども、いずれにしても暗黙の了解に基づいていわゆる退職管理の一つの便法として行われてきている。これは定年制がないためである、これが最大の理由なんですね。
 そうしますと、今回定年制が実施をされるという段階では、先ほどの部長の答弁のように、一律的な退職勧奨は将来なくなると思うけれども、経過措置としては残るとか、あるいは個別勧奨は将来も続くとかということではなくて、むしろ定年制が実施をされた場合には、勧奨退職というようなものについてはこれはもうやめていく、やめるということでなければいけないというように私は思うのです。
 時間もないようですから続いてお尋ねいたしますけれども、条例が制定をされた場合には退職勧奨というようなものは、これはむしろ条例に違反する行為ということにもなるんではないか。いまは何もないから、労使が暗黙の了解でやっているということになりますけれども、条例ができた暁には、大体退職勧奨というのは、条例で定めた年齢以前に行われるということに当然なろうと思うので、そういうことをやることがむしろ条例違反ということにならないかどうか、そのことについてひとつお伺いしたい。
#126
○宮尾政府委員 定年制度に関する条例ができた場合でございますが、定年制度というのは、一定の年齢に達したならば、職員の意思いかんにかかわらず、むしろ職員の意思に反しても――反するといいますか、意思いかんにかかわらず自動的に退職をする、しなければならない、こういうことでありまして、職員の同意等は、するとかしないとかということは、全く関係ないわけでございます。そういう意味で、その法律なり条例できちんと制度、仕組みを決める、こういうことになっております。
 ところが、勧奨退職というのは退職管理の一つの手法でございまして、本人が同意をすれば別に意に反して免職をさせる行為ではありませんから、勧奨制度というものは自由に人事管理の手法としてできるわけでございます。そういう意味で定年制度のできた後におきましても、たとえばいまの個別的な勧奨というようなものは残る。これは残っても、別に条例に違反するということにはならないというふうに考えます。
#127
○松本(幸)委員 確かに理屈としては、私が申し上げたように労働契約の一つであるとすれば、一定の年齢が決められた以前であっても、両当事者の合意によって、その労働契約の解除というものは行われても何ら差し支えがないということにはなるかもしれませんけれども、従来の勧奨退職がぐあいが悪いから今度は定年制をやるんだとした場合に、これはもう別に勧奨退職という形のものではなくても、本人から申し出があって、それを使用者側ががえんじれば両者の合意によって退職は可能なんですから、いわゆる勧奨という形でのものを残すというようなことはきわめて不合理ではないかと思う。むしろ、定年制ができた以上は積極的にこれは禁止をする、勧奨はやってはならない。
 ですから、定年以前に本人の申し出によってやめるというのは、これは自由ですよ。当然これは基本的人権にもかかわるほどの問題ですから、それは自由でありますけれども、従来行われてきたような勧奨が残っていくんだというようなことはむしろ積極的に禁止をしていかなくちゃならない、こういうふうに私は考えるわけです。いまの部長の御答弁で、両者の合意が成立すれば、それは定年の年齢前でもやめることはあるんだから、勧奨退職を残してもいいんだというような論理とはいささか矛盾するんじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
#128
○宮尾政府委員 先ほどは、定年制度のできた場合に勧奨退職が残ったら法律違反ではないか、こういうことですから、それはそういうことにはならないということを申し上げたわけでございます。ただ、いわゆる集団的な勧奨というものは現在行われておりますが、これは定年制度がないためにそういうことが行われておるわけでございますから、定年制度ができれば当然集団的な退職勧奨の制度というものはなくなるというふうに考えます。ただ、個別的なものは、繰り返すようですが、幹部等についてその新陳代謝を促進するために残るということは十分考えられるということを申し上げておるわけでございます。
#129
○松本(幸)委員 幹部等と言っても、これはきわめて抽象的でありまして、やはり幹部とは何ぞや、課長以上なのか、部長以上なのか、あるいはそれ以上のものなのか、その辺の限界もはっきりしませんから、これはまだ論議が残っておると思いますけれども、時間がない、ないと言われますから、次に移ります。
 勤務延長と再任用のことについてお尋ねしたいと思うのですが、民間企業の実情につきましては、先ほどお尋ねしたように、定年制をしいている企業の中でも勤務延長と再任用あるいは再雇用というようなものを併用している企業というものは一〇・五%、きわめて少ないという民間の実情なんでありますけれども、公務員の定年制についてあえて両制度を併用することにした理由は何でありますか。
#130
○宮尾政府委員 それは民間と公務員との制度の仕組みの相違といいますか、考え方の違いに基づくものでありまして、民間企業におきましてはいまの再雇用制度なりあるいは勤務延長制度というものについてどちらか選択をする、こういうような制度の仕組みをとっておるところが多いようでございます。
 ただ、今回公務員について定年制を設けるにつきまして、この勤務延長という制度と再任用という制度をつくったのは、それぞれ法律の中に定めてありますように、勤務延長の場合には余人をもってかえがたいような人の場合に、どうしてもそういう制度の仕組みというものを設けなければならないということがございますし、それから再任用の場合にも、公務の能率的運営という面から見た場合に、定年退職する人の能力なり知識、経験というものを生かした方がベターだ、こういう場合に公務の都合の立場からそういう制度を活用する、こういう仕組みでございますので、それぞれ勤務延長あるいは再任用のねらっているところが違うわけでございます。したがって、公務員法ではそういう二つの制度を併用する、こういう考え方に立っているわけであります。
#131
○松本(幸)委員 そのことに関連いたしますが、法案によれば、勤務延長の後にさらに再任用というような措置がとれるというようになっておりますけれども、この勤務延長の後の再任用というようなのはどういう場合が想定されるのでしょうか。いまのお話のように若干――基本的には私は余り変わらないと思うのですけれども、言葉のあやとしては再任用と勤務延長とは違うんだというようにされているわけです。私は、賃金や労働条件が変わるということがむしろ違いであって、勤務を継続するというような意味では本質的には余り変わらないというように思うのですけれども、勤務延長の後にさらに再任用の道が開けている、これはどういう意味なんでしょうか。
#132
○宮尾政府委員 制度の考え方としては、勤務延長の後にさらに再任用という制度が設けられているというふうには考えておりません。それぞれ、これは別の考え方に立った制度でありまして、先ほど申し上げましたように、余人をもってかえがたいような方が定年退職したらどうしても困る、こういう場合に後の人が補充されるまで勤務延長をさせる、こういうようなケースが勤務延長でございます。それから再任用は、定年退職した人についてその能力を活用しよう、こういうものであります。ただ、絶対にそれがいけないということにはなっていません。勤務延長後、再任用ということが、まれにはそういうケースがあるかもしれません。しかし、この場合も、全体を通じて三年間の範囲内ということにいたしておるわけでございます。
#133
○松本(幸)委員 しり切れトンボな質問になりまして恐縮でありますが、申し上げたいことがまだありますけれども、もう一点だけ御質問したいと思います。
 この定年制の実施によって、いわゆる年金資格がまだ取得できないのに退職せざるを得ない方々がかなり出てくるのではないかということが懸念をされているわけでありますけれども、これが具体的に六十年実施といった場合に、どのくらいの人員が年金資格を取得しないで退職する対象者になるかというようなこと。
 それから、年金受給資格が発生しない者のための救済措置として、一つにはいま言ったような勤務延長なり何らかの措置で、いわゆる地方公務員法の側で救済を考えるという考え方と、もう一つは受ける側の年金の方で特例でもって受給資格が得られるように措置をするというような方法と、二つのことが論議をされております。何か大勢としては、年金の側で特例措置を設けて、たとえば十五年年金とかというような形ででも受給資格を発生させる措置がとられるようなことが言われておりますけれども、このことについてはどのような方法をとろうとしておるのか。
 それから再任用者の年金の取り扱いですけれども、勤務延長は従前どおりの職務と地位で勤務が継続されるわけですけれども、再任用者については恐らく給与もダウンして、一たん離職をして再就職をするという形ですから、これは年金等の通算が行われるのか、どういうことになるのか。さらに細かい話をすれば、共済年金の受給については退職時の報酬月額を基準にしてやるわけですけれども、そういう点についてはどうなのか。
 それからもう一つ、最後に再任用者の問題ですが、いわば再就職なんですね。一たん離職をして改めてまた就職をするという形式をとった場合に、同じ公務員の定年制の退職者であって再び民間に就職をした場合には、当然共済年金の受給はありますね。何か高額所得者に対する所得制限は一部にはありますけれども、そういうのを除けば一般的には年金は受給できるわけですね。ところが再任用による者は、同じように一たん退職をして再雇用という形で就職をするわけですけれども、Aという人は民間へ入ったから共済年金をいただいてそちらの会社からも給料をもらって、Bという人は再任用されたので、その場合に年金が受けられるのか受けられないのか、いわゆる民間との権衡という観点からしてその取り扱いはどうなるのか、最後に伺っておきたいと思います。
#134
○宮尾政府委員 第一点目の、定年制度が実施をされた場合に年金受給資格がない者がどの程度あるか、こういう御質問でございますが、これはなかなか正確に把握することはむずかしいわけでございますけれども、一つのあれといたしまして五十四年の財源率計算の資料で見ますと、六十歳以上の職員で組合員期間が二十年に満たないというような場合、あるいは六十歳まで在職してもまだ足りない、こういうような人は全体の大体二・一%くらいあるだろうというふうに見られております。
 ただ、この人たちがすべて無年金になるわけではございませんで、すでに国民皆年金という制度が進んでいるわけでございますし、通算という制度もあるわけでございますので、この中で無年金になる方は非常に限定される、こう考えております。
 そこで、こういった無年金者について何らかの措置を講ずべきではないか、こういうことでございますが、そのように非常に数が限定をされますことと、それから定年についても民間と同じように六十歳という形に引き上げている、こういうことを総合的に考慮しまして、やはりこれは年金サイドで必要があれば、国家公務員の場合も共通でございますから、同じ考え方に立って何らかの必要な措置を検討するということにすべきであるというふうに考えております。
 それから第三番目の、再任用に絡んでの問題でございます。再任用になった場合に、給料が変わることによって年金がどう変わるのかという御質問だと思いますが、考え方としては、新規採用でございますから給料月額は下がることになりますので、一般的にはその期間がつながらない形で再任用された方が有利になるというふうに、これは一般的な場合でございますが考えられます。そうすると、六十歳まででついた年金と新たに再任用された年金とを足したものは、少なくとも最低保障という形でもらえる、こういう仕組みになりますので、再任用期間に掛金を払っても掛け捨てにならない、こういう仕組みになっております。
 それから、民間等に再就職した場合と再任用された場合とでは、確かに、民間に行った場合には共済グループから離れますから共済年金は支給をされます。しかし再任用の場合には、同じ公務員としてとどまるわけでございますから共済年金の支給は停止をされる、これは制度の仕組みとしてそういうふうにすることはやむを得ない、こう考えておるわけでございます。
#135
○松本(幸)委員 余り時間がありませんので大変恐縮でございますが、一つ大事なことを危なく落としてしまいそうになりましたのでお尋ねしておきたいのです。
 勤務延長と再任用の制度につきましては、法案を見る限りにおいて、任命権者の恣意的な判断によって行われるという懸念が多分にあるわけであります。人事管理の公正という立場から言いますと、勤務延長、再任用については、当然公正でしかも客観的な合理的な基準がなければならない。その対象となる職種においても、あるいは特殊性とかいろいろなことが書かれておりますけれども、それらのことについて――国家公務員の場合には、人事院の規則である程度の定めが行われることになっているようでありますので、それに準拠してということになろうかと思いますが、地方公務員の場合には非常にたくさんの団体があるわけでありまして、そういう中で勤務の延長や再任用の制度を採用していこうとする場合には、かなり地方ごとの特色もありますし、問題点もあるというように考えるわけであります。
 これについては、当然任命権者の恣意にゆだねるのではなくて、客観的、合理的な基準の設定というものが必要であろうと思いますが、その場合には職員団体との交渉ということが行われるというように解してよいのかどうかということと、さらに、国家公務員の場合には人事院が規則を定めることになっていますが、地方公務員の場合には人事委員会の関与を排除していますけれども、それはどうしてなのかということについて、ひとつ最後に伺っておきたいと思います。
#136
○宮尾政府委員 国家公務員の場合に人事院規則等にゆだねている部分があるではないか、こういうことでございますけれども、地方公務員の場合にはそれは条例で定める、こういうことにしております。ただ、条例におきまして、勤務延長についての再延長の問題については、人事委員会の承認にかかわらしめるというふうに規定をする、あるいは再任用の手続について人事委員会規則にゆだねる、こういうふうな決め方をすることが適当であろうというふうに考えておるわけです。
 そこで、これらの事項について交渉はどうなるのか、こういう御質問でございます。勤務延長の期限の再延長につきましては条例で決めることになっておりますが、当然その過程においての交渉ということが可能であります。ただ、再任用制度につきましては、先ほどの御質問にもありましたように、退職した人について新規採用をするという任用行為でありまして、いわば新規採用でありますから、そういうことについてはいまの地方公務員法のたてまえからいって交渉事項にはなじまない、こういうふうに考えられるわけでございます。
#137
○松本(幸)委員 どうも、時間ばかり気にしておりまして質問がしり切れトンボになってしまいましたけれども、いま最後のお尋ねについても感じられることは、先ほど加藤委員が指摘したように、やはり条例準則のようなものが示されないと全くよくわからないということになりますので、これは休憩後の理事会で協議をすることになっておりますけれども、ぜひその点については、完全なものでないにしても、言葉の説明ではなくて文書によって、いま御答弁のあったようなことをひとつ示していただきたいというように思うわけであります。
 なお、これからまた他の委員から、いろいろないまお聞きできなかった点については御質問があると思いますが、以上で私の質問を終わります。
#138
○左藤委員長 午後二時再開することとし、休憩いたします。
    午後一時三十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時七分開議
#139
○左藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。石田幸四郎君。
#140
○石田(幸)委員 それでは、ただいま議題となっております地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、逐次質問を申し上げたいと存じます。
 現在の公務員制度ができてから三十年以上になるわけでございます。しかし、最近の社会情勢というものはいろいろな意味で急激な変革をいたしている、こういうふうに思うわけでございます。そういうことで、この公務員法の一部改正という問題も時代の変革とともに対応をしなければならないという、そういう一つの趣旨ではなかろうかと思うのであります。
 それからまた、この定年制の導入をきっかけといたしまして、今後の社会情勢に対応する新しい意味での公務員制度、そういうものをつくり上げていこう、こういう積極的な意味があると思うわけでございます。
 そこでお伺いをするわけでございますが、現在の公務員制度、いろいろな改正すべき問題があると思うのでございますけれども、特に地方公務員の制度の問題につきまして、自治省としてどういった点が今後の問題になるとお考えになっていらっしゃるのか、まず基本的な問題としてお伺いをいたしたいと存じます。
#141
○宮尾政府委員 今回の定年制度の基本的な目的でございますが、これは地方団体におきます適正な退職管理というものを整備をいたしまして、職員の新陳代謝を促進をいたしますとともに、長期的展望に立ちました計画的かつ安定的な人事管理を実現するということによって行政能率を高めていこう、こういうことが目的でございます。
 このように、定年制度の導入もわが国の公務員制度を前進させるに必要な措置でございますが、もともと公務員行政上当面しているいろいろな課題といたしましては、職員の厳正な服務規律の確保とかあるいは正常な労使関係の樹立等があるわけでございますが、民間におきますいろいろな創意工夫に基づく効率的なかつ能率的な組織管理とかあるいは事務管理等につきましても、さらにこれを積極的に導入いたしまして公務の能率的な運営の確保を図っていく必要がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
#142
○石田(幸)委員 十一日の第二臨調において、人事院総裁が公務員も能力主義という観点を取り入れて人事あるいは任用について見直しをしなければならないというような発言をされておるようでございますが、公務員の能率主義という問題をどんな角度からとらえ得るというふうにお考えになっていらっしゃいますか、この点もお考えがあれば伺っておきたいと存じます。
#143
○宮尾政府委員 先ほど申し上げましたように、行政につきましてはその能率的な運営というものを確保いたしまして、限られた財源で効率的な行政サービスを展開していくという基本的な考え方に立っていかなければならないと考えられます。そういう観点から、公務行政につきましては能率主義あるいは能力主義に基づく人事管理、こういったものをさらに強めていかなければならないわけでございます。
 そのような観点から、具体的にはたとえば個々の職員の資質の向上等に資するために研修をさらに充実するとか、あるいは少数精鋭という考え方に立った定数管理をさらに徹底をいたしまして能率的な行政を展開していく、さらには適正な勤務評定等によりまして個々の職員の能力に応じた人事管理行政を実現させる、こういうようなことをしていく必要があると考えておるわけでございます。
#144
○石田(幸)委員 そこで、大臣にお伺いをいたしたいのでありますけれども、今後の行政改革の中で能率主義あるいは能力主義をも導入ということもいろいろな角度から研究する必要があるというのが大方の意見だろうと思うわけでございます。ただ、その問題は財政との関連、特に財政の中で占める人件費の問題との兼ね合いを考えていかなければならないわけでしょう。
 そうすると、国家公務員の人数の規模であるとか地方公務員の規模であるとか、そういうものの一つのモデルが考えられていかなければならないのではないか。たとえば、人口三万の都市があれば大体この程度が標準ではないかというような形で、より限られた財政の中でのサービス向上を考える必要がある。県なら県で、この人口の県であればこの程度の規模ということを、やはりモデルとして考えていくことができるのではないかと思うのでございます。
 ここら辺が大変むずかしい問題とは思いますけれども、それから同時に、能率主義ということを取り入れようとしますれば、一つの部局の中にそれぞれいろいろ課が分かれておる、係が分かれておりますが、えてして仕事が専門化の方向へ向かいがちである。この専門化あるいは仕事の分化という問題を考えますと、どうしても人を多く抱えていかなければならない方向になるわけでありまして、そういった意味で、先ほど公務員部長さんがおっしゃったように研修などをしまして公務員の能力を倍加しながら、それで仕事をむしろダブらしていくという問題すら考えていかなければならない時代に来ているのではないだろうかと思うのでございますけれども、ここら辺の問題について大臣の御所見を承りたいと存じます。
#145
○安孫子国務大臣 これから仕事も能率的にやらなければいかぬし、それからまた人材登用についても能力というものを重んじてやっていくという基本的な問題は、もう当然だろうと私は思っております。ただ、現在の地方団体の組織、機構あるいは運営というものが、全部が全部その線に沿うているとも私は考えておりません。したがって、いま言った二つの原則に立った構想というものをつくり上げていく努力を必要とするだろうと思います。
 お話のように、あるセクションだけ決めておりまして、そのセクションには繁閑の差が非常にある。ところが、繁の場合にはいいんですけれども、閑の場合にはほかのセクションの手伝いをするというようなこともほとんどない。それは職制上そうなっているわけでありますが、そうした全体として能率的に組織体が動いていくという点について欠けるところがあることは事実だろうと思うのです。
 それから、民間では相当機械化が進んでおりますけれども、行政事務には機械化が取り入れられる部分もあるわけですけれども、機械化のできない部分も行政分野に相当あるわけです。そこで、積極的に機械化を取り入れる、流れ作業的なものをやる分野についてはできるだけそうしたものを取り入れていって、そこで人数を浮かして、また適任者があるかどうか別といたしまして、そうじゃない、判断をいたし、その都度の状況に応じて処置をしていかなければならぬポストにそういう人を従事をさせていくとか、その団体の人事管理の面においていろいろ工夫をして、もっと能率を上げていくということが非常に大切だと思っております。この点は必ずしも十分じゃないと私は思います。
 特に、最近御承知のとおりに、国からの一緒の割り当て的な人員の配置もございますから、これを一体どういうふうに地方でこなすかという問題も絡んでまいりまして大変複雑な要件にはなっておりますけれども、全体的にどうしたって理事者はその団体の責任者といたしまして、最も能率的な運営をすることにいままで以上に配意をしてもらわなければいかぬ。これからの財政の問題もありますが、これは少数精鋭主義で円滑に敏速に住民の要望にこたえて行政が執行される体制というものをそこからつくり上げていく必要がある。それには公務員の心構えも必要なんでございまして、この点はいま公務員部長から申されたとおりに、研修の場というものをもっともっと充実をさしていく必要があるだろう。
 そこで、お尋ねの要点といたしまして、三万なら三万の人口では一体どれくらいの定員が適当であるかという一つの試算をしてみたらどうかという御質問でございますが、これはひとつ努力をしてやってみる気持ちは私たちは持っておりますけれども、ただ何にいたしましても、三万の町でございましても産業構成や地域の問題、面積の広狭その他与えられた条件というものが、全国において三万の人口規模だからといってこれが一律じゃないことは御承知のとおりでございます。そこにいろいろの特殊性がございますから、一概にそれでもって割り切ってやらせるというわけにもいかぬだろう。しかし、一つの考え方の基本といたしまして、いまの体制であればこの程度が適当であろうかなというような、本当に緩やかな試算というものはやってみる価値があるんじゃないか、私はこう思っております。
 なお、今後行政改革の結果どういうことに相なりますか。あるいは人の問題についてもある程度の方向が出てまいりますと、国の歳出というものが減るわけでございますが、それを一体地方でどういうふうにこなしていくか、あるいはやめてしまうか、そういう問題も絡んでこれが人員にも関係をしてくるだろうと思いまするので、この辺の状況も見て、いまお話のありましたような、一つのモデル的なものを試算だけはしてみる必要もあるのじゃなかろうか、こんなふうに考えているところでございます。
#146
○石田(幸)委員 それでは次の問題に移りまして、この公務員法の一部を改正する法律案が施行されるということを前提にして定年制を設けたときに、これが財政軽減につながるのかどうか、また、どの程度の財政軽減につながるというふうに見通しを持っていらっしゃるか、そこら辺の問題についてお答えをいただきたいと存じます。
#147
○宮尾政府委員 今回の定年制度を導入する基本的な目的は、たびたび申し上げておりますように、適正な退職管理制度というものを整備をしまして、職員の新陳代謝を促進しながら長期的な展望に立った計画的な、安定した人事行政ができるような退職管理制度をつくろう、こういうことにあるわけでございまして、現在当面しております財政問題のために何らかの対策をしよう、こういう考え方ではないわけでございます。
 そこで、そういう点から、一体この定年制度を導入した場合に財政面でどんなことになるのかということは予測が非常につきにくいわけでございまして、六十年に導入をするわけでございますから、それまでにいまの退職管理制度がどういうふうに変化するか、そういうようなこともはかりかねますので、予測は短期的にはなかなか困難だというふうに考えております。
 ただ、長期的に見た場合には、当然職員の高齢化というものが今後相当進行していくわけでございますから、定年制度を導入することによりまして人件費の節減というメリットも期待できる面がある、こういう意味におきまして、財政的なメリットは長期的にはあるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#148
○石田(幸)委員 法制局お見えですか。――お伺いをいたします。
 定年制の導入の審議が行われているわけでございますけれども、現行の地方公務員法におきまして、果たして定年制を禁止する趣旨を持っていたというふうに考えていいかどうか。あるいはそれは空白部分であって、その問題については何ら触れられていない、こういうふうに理解をすべきかどうか。これはいろいろ議論が分かれるところだと思いますし、法制局としてどのような見解を持っているか、お伺いをしたいところではありますが、もしお答えできれば、その問題についてのお答えもいただくと同時に、定年制を禁止する趣旨を持っていたというふうに考えるかどうかについていろいろ議論があろうかと思いますので、その議論もあわせて御紹介をいただければ、こう思いますがいかがでしょうか。
#149
○前田(正)政府委員 御承知のように現行の地方公務員法は、定年制につきまして直接定めた規定は置いておりません。他方、同法の二十七条の二項は「職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、その意に反して、」途中省略いたしますが「免職されず、」と規定しております。このような点からいたしますと、職員が一定の年齢に達しました場合に当然退職をするといういわゆる定年制を条例で設けますことは、現行地方公務員法のもとではできないというふうに解するのが妥当な解釈というふうに私どもは考えております。
 なお、御承知かと存じますけれども、学説について若干申し上げますと、中には、定年制というものは地方公務員法の二十七条から二十九条に定めます分限の制度とは異なるという理由で、公務員法は条例で定年制を設けることを禁止していないというふうに解する説もございますけれども、大部分の説はやはり地方公務員法の二十七条二項の規定を根拠といたしまして、条例でもって定年制を定めることは許されないというふうに解していると理解しております。
 なお、これまた御承知と存じますけれども、判決について見ますと、労働協約によりまして定年制を定めた事件についてでございますが、定年制というものが地方公務員法に定めます失職なり免職に該当しませんで、地方公務員法に違反するものだ、現行法上定年制を導入しますためには法律の改正をもってしなければならないとした大阪地裁の判決がございます。
#150
○石田(幸)委員 法制局ありがとうございました。結構でございます。
 それでは、再び自治省の方にお尋ねをいたします。
 いま、二十七条の二項に定められた分限規定のお話があったわけでございますけれども、地方公務員法を改正すれば法の形式上は問題は解決をするわけでございますが、この地方公務員法の精神に照らしてみたときに一体どういうふうになるのか。一つの法律が施行されたときに現行の内容と大きく異なった制度を導入するときは、やはり法律的に一貫性を持たせなければならない、あるいは法的な安定性が問われるというようなこともあろうかと思いますので、この論理の一貫性をどういうふうに解釈をしていらっしゃるか、お尋ねをいたしておきたいと存じます。
#151
○宮尾政府委員 ただいま法制局の方から御説明がありましたように、現在の法律におきましては定年制度に関する何らの規定も設けておりませんので、現行法の解釈といたしましては、先ほど法制局の方から説明されましたように、定年制度を条例でもってしても設けることはできない、こういう考え方に立っているわけでございます。
 そういう解釈といいますか考え方は、これもまた法制局の部長のお述べになられましたように、現在の地方公務員法二十七条には法律で定める事由によるものでなければその意に反して免職されない、こういう規定がありまして、二十八条では定年による退職ということを定めていないわけでございますから、そこで解釈としてそれができない、こういうことになっているわけでございます。
 で、これは、公務員の職務の特殊性あるいは地位の特殊性というものに基づいて公務員の身分保障をするために、法律に定めてなければ意に反した免職はできない、こういう身分保障からの要請に基づく定めでありまして、これは考え方といたしまして、決して将来、未来永劫にそういう定年による退職ができないというふうに響いているものではないというふうに私どもは考えるわけでございます。
 あくまでも現行法ではそうなっているということによって、これまでそういう指導もし実例も出してきた。したがいまして、適正な退職管理というものを設けなければならない、そういう考え方に立って新たに現行法の改正を行えば、定年制度を導入することができるというふうに考えるわけでございまして、そういう意味での改正法案を国会に提出をしておる次第でございます。
#152
○石田(幸)委員 それから一部に、公務員については争議行為の禁止とともに団体交渉権が制約をされて、団体協約締結権というものが否認されている中で定年制の施行というのは問題がある、こういうような意見を言う人がおるわけでございますが、これについてはどうお考えになっていらっしゃいますか。
#153
○宮尾政府委員 現在、地方公務員法におきましては、いわゆる一般職員については、職員団体を結成することと当局と交渉をすること、それから企業職員等につきましては、労働組合を結成し、団体交渉を行い、労働協約を締結すること、ここまでは認めておるわけでございますが、それ以外の権利、労働基本権にかかわる権利は認めていないわけでございます。
 このような考え方を公務員法制の上でとっておりますのは、公務員は一般企業の従業員とは全く異なった地位にあることに基づくわけでございまして、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務をしなければならない、こういう地位の特殊性からそのように労働基本権が制限をされておるということになっておるわけでございます。
 そこで、公務員についてはそういう労働基本権が制約をされている反面、身分の保障がなされておるわけでございますが、これは先ほど申し上げましたように、公務員が安心して職務に専念できるために法律で身分保障を行っている、こういうことでありまして、その身分保障の内容というものはあくまでも法律で定める事柄によって決まってまいっております。
 そこで、適正な退職管理というものを進めていくために定年制度を設ける、そういう観点から今回定年制度を導入をして新たに分限条項にそれを加えることにつきましては、労働基本権を制約している考え方と身分保障の考え方とは直接つながっておるものではありませんので、そういう意味で労働基本権の制約問題と定年制とは直接のかかわりはないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#154
○石田(幸)委員 それではもう一点。これは一つの仮説かもしれませんが、将来的な問題としてお伺いをするわけでございます。公務員、それにつながるいわゆる職員団体に、いろいろな勤務条件決定過程へ参加を保障してはどうか、参加を保障することによって公務員が自分の地位と権利を自覚することにもなるし、それがひいては公務の安定、能率向上につながるのではないか、こういうような意見を言う人もおるわけでございますけれども、この問題についてはどういうふうな考えでおみえになりますか。
#155
○宮尾政府委員 現在の公務員制度等におきましても、勤務条件につきましては、管理運営事項に該当する場合は別といたしまして交渉ができる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
 したがいまして、もちろん公務員の勤務条件につきましては、今回の定年制に関する事項についても同様でございますが、基本的には法律で定め、その具体的な問題については地方団体の条例で決める勤務条件条例主義といいますか、こういう考え方を基本にとっておりますので、最終的には条例で定められることになる分野が多いわけですが、その過程では労使交渉ということが行える仕組みとなっておるわけでございます。そういう意味におきまして、組合との交渉の過程で、職員団体の考え方、こういうようなものを十分意見を聴取する、こういうことは可能であるというふうに考えております。
#156
○石田(幸)委員 それでは少し中身に入りまして、定年制については地方団体が条例で定めることになっているわけでございますが、条例を定めなかった場合を想定する必要はないのか、その場合一体どういうふうになるか、この点を一点お伺いをいたしたい。
 それから、条例で決めるわけでございますから、定年制の問題について多少この基準を上回ったり下回ったりということもあるかもしれない。その許容範囲といいますか、そういうものがありとすればどの程度の選択の余地があるのか、お伺いをいたしたいと思います。
 それはなぜかといいますと、ある町長さんの話を聞きますと、現在その町においては五十五歳以上の人はいないというわけなんですね。そうしますと、これは勧奨退職との関連も出てくると思いますけれども、四年後の施行ということになりますと、その人たちがだんだん上がっていって五十九歳というふうになるわけです。そこら辺のところは実際人件費等の関係もあって、六十歳というふうに決めてもらっても困るのだという、そういう意見を言う町長さんもおるわけです。そことの絡みでお伺いをするわけですが、いかがですか。
#157
○宮尾政府委員 第一点目の、条例を地方団体が制定をしないような状況が出てきた場合ということでございますが、今回の定年制法案におきましては、国の場合には、法律で定年年齢等をきちっと定め、さらに特殊な具体的な部分について人事院規則等にゆだねる、こういう仕組みをとっておりますが、地方公務員の定年法案におきましては、職員の定年年齢とか退職日等については地方団体の条例で定める、こういうことにしておるわけでございます。
 そこで、具体的な条例というものが制定されませんと定年制度が具体的には動かない、こういう事態が出てくるわけでございますが、このように地方団体の条例で具体的な実施事項を定めることとしておりますのは、当然、地方団体としてみずからの職員構成あるいは人事管理制度というようなものを勘案しながら、条例を適切な杉で定めることを予定をして法律制度をつくっておるわけでございますので、これは、条例を設けないということになりますと、法律の制度を定めておる趣旨に反することになるわけでございまして、違法ということになります。
 私どもとしましては、これはすべての地方公務員について一律に適用されるべきものである、それは身分保障という考え方に立っておるものでもありますし、分限という重要な事項でもありますので、すべての団体が条例を制定するように十分なる指導をしてそういう問題が起きないようにしていきたい、こういうふうに考えております。
 それから、個々の条例で決めるということになれば若干の差が出るといいますか、弾力的な事態が出てくるのではないか、こういう御質問でございますが、地方公務員法の中にたとえば定年については条例で定めることにしておりますが、それは国家公務員について定められた定年を基準として定める、こういうふうにいたしております。この趣旨は、たとえば特殊な職等につきまして、どうしても国の職員について定められている定年を基準として定めることがむずかしい場合は別といたしまして、そうでなければ、これは非常にざっくばらんに申し上げれば、そのままずばりの形で決めて条例で書いていただく、こういうのがこの法律の趣旨でございます。
 定年制度というものは、分限であると同時に、他方では、定年年齢を定めるということは一つの雇用政策的な観点からも配慮していかなければならない、こういうものでございますので、そういう意味におきまして、現在の退職年齢と原則的な定年年齢とにギャップがあるところにつきましては、六十年の導入までにそういった点について計画的な人事管理ができるように準備をしていっていただく、そして円滑な形で定年制度を導入していただく、こういうふうに期待をいたしておるわけでございます。
#158
○石田(幸)委員 地方団体は、条例を決めるのに、いつまでに定めなければならないとしておりますか。
#159
○宮尾政府委員 法律の上に具体的な明示はいたしておりませんが、定年制度が具体的に動き出しますのは昭和六十年三月三十一日でございますから、それまでに定年に関する条例の定め等がどうしても必要になってまいります。
 なお、こういう新たに発足する制度でございますので、ぎりぎりということよりも、私どもといたしましては、国家公務員についてのいろいろな定めが明確になった段階で、なるべく早く各地方公共団体でも準備を進めていただいて、ある程度の余裕を持って条例というものを定め、そしてそれぞれ定年退職をする方々についても、それなりの将来の生活設計というものができるような期間を設けていくことが望ましい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#160
○石田(幸)委員 話とすれば、そういうことになると思うのですよ。しかしながら、やはりこれは地方公務員の人たちの生活の将来設計に関係がありますから、大体ここら辺までには条例を設定してもらいたいなと、自治省としてもどこかにめどを置いてこれを指導していかなければならぬと思うのですけれども、一年前ぐらいとかあるいはもう少し前とかいうような、簡単なめどは出ませんか。
#161
○宮尾政府委員 法律が通った後、たとえば国家公務員についての人事院規則の定め、こういったようなものができますれば、そういうものが整った後できるだけ早い機会の方が私どもとしては望ましい。それなりの準備期間というものが長くとれるわけでございますから、そういう考え方でおるわけでございます。
 そこで、いつそれができるかということがいまの段階ではまだわかりませんので、具体的な年次等は申し上げられませんが、できるだけ早い方が望ましい、こういうことでございます。
#162
○石田(幸)委員 もう少しいろいろ伺いたいのでございますけれども、時間もありませんからはしょることにいたしまして、地方公務員と第二臨調との問題について大臣にお伺いをいたしたいのでございます。
 地方公務員制度についても第二臨調の課題にするというようなことになっているようでございますが、これは当然、行管、自治両大臣の間において意見交換がなされなければならないと思うのでございますけれども、これは一体どうなっておりましょうか。もうすでに何回かお話し合いが進んでおるのか、あるいはいつごろ行管との御懇談をなさるおつもりでおるのか、また行管あたりに言わなければならないとすれば、その内容について何かお考えがあるのか、できましたらお伺いをいたしたいと思います。
#163
○安孫子国務大臣 これはしばらく前から、地方の問題をどう扱うかということについて、行管の意見と自治省の意見が若干食い違いがあったことは事実であります。そこで、御承知だと思いますが、この点について政府としての一つの方向を出したわけでございます。これは予算委員会において申し上げたことでございますが、繰り返して申し上げますと、
 一 臨時行政調査会は、行政制度及び行政運営の改善合理化について調査審議する機関として設置されるものであり、地方制度調査会との関係におけるその調査審議の範囲は、前回の臨時行政調査会におけると同様であり、地方自治の本旨を尊重し、地方自治の問題については、国の行政との関連において調査審議するものであること。
 二 具体的な調査審議の対象については、臨時行政調査会の委員として地方制度調査会会長が参加されていることに鑑み、臨時行政調査会において適切な選択が行われることを期待するものであること。
こういうことで両者の意見一致を見ているわけであります。
 それで、いま部会等を開いていろいろヒヤリングをやっておるわけでございますが、地方の問題もさわらぬわけにもまいりません。特に、制度そのもののほかに地方の定員の問題でございますとか、そういうものも相当マークをしておることは事実だと思います。しかし、これをどういうふうに扱っていくかということについては、まだ具体的な問題はございません。
 いまの段階は、臨調におきましてその実態というものを特別部会を通じまして各省の意見を聴取しておる、実情を聴取しておるという段階でございまして、今後話の煮詰まり方によりましては、臨時行政調査会の問題ではありますけれども、行管長官と自治大臣との間でまたいろいろな意見の調整をしなくてはならぬ場合も出てくるかもしれません。いまはそんな段階ではございません。
#164
○石田(幸)委員 細かいことを若干お伺いをいたします。
 二十八条の三と四に、「定年による退職の特例」と「定年退職者の再任用」の問題が掲げられておるわけでございますが、一つは「職員の職務の特殊性」というものは何を想定しているのか、二つ目には「職員の職務の遂行上の特別の事情」というのは何を想定しているのか、ここら辺についてお伺いをいたしたいと思うのでございます。
 一つの例を挙げますと、たとえば日教組の槇枝さんとたまたま話をする機会がありまして、学校校務員などは、職務の都合上あるいは現在の社会情勢の中で、比較的高年齢層の人に頼らざるを得ない。そういう傾向は今後も続くと思うのですね。そういう意味において、これらは退職の特例、再任用の対象になり得るのかどうか、ここら辺もあわせてお伺いをいたしたいと存じます。
#165
○宮尾政府委員 改正法案第二十八条の二の第三項の特例定年の要件であります職務と責任の特殊性ということでございますが、これは、職員に割り当てられました職務とこれを遂行する責任が一般的なものでないために、その職務の遂行能力を有する者が少ないこと、あるいはその職務を遂行するために豊富な知識、経験が必要とされる、こういうような場合を指しておるわけでございます。
 それから勤務延長の関係、二十八条の三にあります「職務の特殊性」でございますが、これはその職員に割り当てられた職務の内容が、これも一般的でないために、職務を遂行するため必要な知識、経験、能力等を持っている者がきわめて限られているということから代替性が非常に乏しい、言ってみれば余人をもってかえがたい、こういうような場合を指しておるわけでございます。
 それから「職務の遂行上の特別の事情」ということでございますが、これはその職員が担当しております職務そのものにつきまして、余人をもってかえがたいという状況はないわけですが、たとえば退職することとなる日前後におきます職務遂行上の点から見まして、その職務に従事している職員が退職をし、職務を離れるということが公務の面から見て許されないような状態、こういう事情を指しておるわけでございます。
 そこで、その職務の特殊性というのは、余人をもってかえがたい、こういうケースでありますが、特例定年の場合の職務遂行上の特別の事情というのは、具体的にはたとえばどういうことかということでございますが、一定期間の間に何らかのテーマで研究を行っておる、その研究テーマが終了間近でその職員は退職しなければならない、こういうような場合にはどうしても残ってもらわなければならない、終わるまで勤務してもらわなければならないという事情がありますので、そういう場合にこの勤務の延長をさせる、こういうような事態が出てくるわけでございます。
 いずれにいたしましても、そういった職務の特殊性あるいは職務遂行上の特別の事情というのは非常に限定されました事情でありまして、しかも、公務の運営上からの必要性というものによって判断をいたしていきますので、きわめて限られた状況のもとでこういう規定が働くものというふうに考えておるわけでございます。
#166
○石田(幸)委員 時間がありませんから、労働省に先に伺います。
 高齢化社会というのはどうしようもない状況でいま進行しておる。特に、欧米の水準よりもはるかに高い率で進行していると言われておるわけでございます。労働力全体の問題としてこれをとらえていかなければならないわけでございまして、そういう老齢化社会の進行と同時に労働人口全体がいわゆる年をとってくるわけでございますから、やはり高齢化を迎えざるを得ない社会の中で何らかの対策というものが必要であろう、こういうふうに考えられるわけですね。
 たとえば、肉体労働を多くせざるを得ない層がだんだんと年をとっていく、しかし、それにかわるべき人たちをなかなか採用できないということになりますと、それはそれなりの対策が必要になるわけですね。そういう問題についてどういうような研究を進められておるか、お伺いをいたしておきたい、こう思うわけです。
#167
○若林説明員 ただいま先生御指摘のように、高齢化は急速に進展しているわけでございますし、高年齢者を取り巻きます雇用失業情勢というものは依然として厳しいものがあるわけでございますので、そういった高齢者の方々に安定した雇用の場を確保することが雇用政策上の最重要課題でございまして、私どもこれに取り組んでいるわけでございます。
 御承知のように現在、定年は六十歳定年のものが約四割でございます。六十年度までに六十歳定年を一般化することを目標に掲げて現在、強力にその指導を進めているわけでございまして、幸い、鉄鋼、私鉄、繊維、都市銀行、化学、生命保険といったような大手を中心にいたしまして、六十歳定年が大きな流れになってまいっております。私どもの雇用管理調査でも、近い将来六十歳定年になるというものの比率が四七、八%になっているという現状でございます。
 さらに私ども、先生御承知のように高年齢者の雇用率という制度、六%でございますが、こういうものを定めておりますので、これの達成指導というものを強力に進めていくという現状でございます。
 また、高年齢者の方々のいわば中途採用といったものを積極的に推進いたしますために、今国会で成立いたしました雇用関係給付金等整備法というものによりまして統合、充実されましたいろいろな給付金、これは高年齢社会というものをにらみましていろいろな充実を図ったわけでございますけれども、こういう給付金を活用いたしまして、高年齢者の雇用の場の創出を進めていくということを考えているわけでございますが、長期的に見ますと、今後は六十歳代層の問題が大きな問題になってくるわけでございまして、私どもの政策の中心もそういった方向に向いているということでございます。
#168
○石田(幸)委員 データをいただいておるわけでございますが、労働省の職業安定業務統計、これによって年齢別の有効求人倍率の推移が五十五年度までのが出ていますね。これによりますと、五十五歳以上が〇・一七%ですから、まあ十人のうち二人に近いという数字でございますけれども、このような状況では非常に心もとない状況ですね。五十五年度以降の数字がないから判定のしようがございませんけれども、いまお話しになったいろいろな対策でこの数字が飛躍的に増大するという見通しはできますか。
#169
○若林説明員 先生御承知のように、わが国のような終身雇用慣行というものをとっている状況の中におきましては、基本的に高齢者の方の再就職は非常に困難であろうと率直に考えております。そういう観点から申しまして、先ほど申しましたようにまず何よりも高年齢者の方々の離職を防止する。定年を延長し、あるいは再雇用、勤務延長等によりまして、高年齢者の方々の離職をできるだけ防いでいくということがポイントでございます。
 それに加え、先ほど申しましたように雇用率制度を活用いたしまして、雇用率の低いところについてはどんどん中途採用していただきまして雇用率を高めていただく。そういった場合には、先ほどのいろいろな助成金を活用していただくという形でこの求人をふやしていくということに努めているわけでございまして、私どもできる限りこの高齢者の方を雇っていただくように、窓口で事業主に対して指導を進めているわけでございますが、今後もこういう努力を進めてまいりたいと考えております。
#170
○石田(幸)委員 それではもう一点伺うのでございますけれども、労働省のいままでの調査の中でも、企業規模が大きくなればやはり高年齢層の雇用率は低いというのが現状ですね。先ほど給付金の話もありましたけれども、企業規模の大きいところはそういうものは必要としない、そういう構えもあると私は思うのですよ。だから、このまま放置しておきますと、どうしても弱者は片すみに追いやられてしまうという傾向がだんだん強まってくる、こういうことも考えなければなりませんので、ここら辺に対して何か特別の対策を立てないとこの問題はなかなか進んでいかないのではないか。
 中小企業なんかの状況を見ておりますと、かなり高年齢層の人を給与の点その他もあって抱えざるを得ない。そういうところはいいとしましても、企業規模の大きいところがそこら辺にほおかぶりされたのでは、これは雇用問題にとってもまさにゆゆしき問題なのであって、この辺の特別の対策があればお伺いをいたしたいわけなんです。
#171
○若林説明員 先生御指摘のように、先ほど申しましたような雇用率の実施状況などを見てみましても、規模が大きくなるに応じまして雇用率が下がっていく、あるいは達成企業の割合が非常に低いというのが現状でございます。雇用につきましては、こういうような大企業の場合には、終身雇用慣行といったシステムがわりあいしっかりしているわけでございまして、定年年齢もこれまでは一般的に低かったわけでございます。
 この定年年齢をまず上げてもらうということが、こういった企業の雇用率を高める一番現実的であり、また早い方途ではないかということで、相当強力に大企業に対する定年延長の指導を進めてまいっております。個別指導等もいたしておるわけでございまして、私どもの幹部が直接に一つ一つの企業に対して当たりまして、定年延長の指導を行う、あるいは業種別に労使会議を行うなどで進めておるわけでございます。また、高年齢者雇用率制度の達成指導も、そういった形で大企業を中心に強力に進めてまいりておりまして、今後ともこういった指導を強力に進めてまいりたいと考えているところでございます。
#172
○石田(幸)委員 もうすでに時間もなくなりましたので、勧奨退職の問題やら定年制と年金との問題について触れたかったのですが、それはまた次の機会にいたしたいと思います。
 最後に、大臣にお伺いをいたしたいのでございますが、いまも労働省の方からお話がございましたように、やはり高年齢層が多くなってくる、そういう社会において、それらの人たちの雇用機会の拡大というのは定年の延長、そういうものが一番効き目がある、こういうお話があったわけでございまして、わが党にとりましてもこの公務員の六十歳定年という問題は、現在の民間の状況から考えて、一応整理するためにも並びにしなければならぬとは思っておるわけでございますけれども、当然これは将来六十二歳、場合によっては六十五歳までこの問題を延長をせざるを得ない方向性にあるであろう、こういう認識をいたしておるわけです。また、それを推進しようという考え方でおるわけでございます。
 今回、この定年制が施行されるに当たりまして、当然そういう方向を自治省としても国全体としてもお考えの中での問題ではないか、こういうふうに私は考えるわけでございますが、大臣の御所見を承りたいわけでございます。
#173
○安孫子国務大臣 わが国の公務員における年齢構成別人口を考えますと、急速に高齢化が進むわけでありまして、今回六十歳定年ということにいたしましても、先々を考えますとこれがもう少し上昇していく傾向にある、私もさように考えております。
#174
○石田(幸)委員 終わります。
#175
○左藤委員長 青山丘君。
#176
○青山委員 このたびの地方公務員法の一部を改正する法律案の審議に際しまして、まず前提的な条件ないしその環境についての認識を伺っておきたいと思います。
 総理府にお尋ねをいたしたいと思います。
 わが国が諸外国の例に見られないほどの速度で高齢化しつつある事実と、行政改革が財政再建の一翼として社会的な要請の中で取り組まれていることとは無関係ではないと思います。第二臨調の中でも、高齢化社会への移行など社会経済の変化等に伴う基本的な課題を抱え、行政体制、施策体系等に関し、総合的な視点から見直しを要する事項について検討することと言われております。このことは、国家公務員はもちろん、地方公務員に関連する労働条件についても触れられることと承知しております。
 そこでまず、わが国の高齢化社会について、その経過はどのようになっているのか、御説明がいただきたい。高齢化のこの十年間のテンポと、今後このテンポで進行するとした場合における高齢化について、年次別に、平均年齢はどのようになっていくのか、平均寿命の延び、六十歳以上の占める割合について、御説明をいただきたいと思います。
#177
○山田説明員 私どもの方でやりました国勢調査の結果から申し上げますと、六十歳以上の人口は、昭和五十五年の一%抽出速報の結果で千五百四万人、全人口に占める割合は一二・九%というふうになっております。
 なお、五十年は千三百十五万人で一一・七%、四十五年では千百十五万人で一〇・六%というようになっております。
#178
○青山委員 木で鼻をかんだような返事ですね。ぽつんとちぎれちゃって先に進まないのですよ。
 六十歳以上の増加傾向についてどのように受けとめておられるのか、平均寿命の延び率がそれに関係してどういう状況になっていくのか、お尋ねをいたしたい。
#179
○小池説明員 お答え申し上げます。
 現在、データとして得られております昭和五十四年の簡易生命表によりますと、わが国の平均寿命は男七十三・四六歳、女七十八・八九歳となっております。
 わが国の平均寿命の過去における変化の状況を申し上げますと、戦前は五十歳を超えることはございませんでしたが、戦後、昭和二十二年に男女とも五十歳を超えました。その後急速な延びを見せまして、女性は昭和二十五年に、男性は昭和二十六年に六十歳を突破いたしました。昭和三十年代に入りまして、平均寿命の延び率は多少緩やかになってまいりましたが、着実に改善を重ねまして、昭和三十四年に男性が六十五歳を突破し、昭和三十五年に女性が七十歳を突破いたしました。さらに昭和四十六年には男性が七十歳、女性が七十五歳を超えまして、その後も順調な伸びを示しております。
 そこで、先生御質問の、わが国の平均寿命、今後どのように推移するかということでございますが、平均寿命といいますものは、その国の保健水準あるいは医療水準、生活水準など、人々の寿命に影響いたしますいろいろな要素を総合的に包含した指標と考えられております。今後とも保健、福祉の水準の向上に努力いたしてまいるわけでございますが、国民の生活形態がどのように変わっていきますか、平均寿命の推移に影響すると考えられるものの中には予想しがたいいろいろの要素がございますので、今後どのように推移するかということの予測につきましては、きわめて困難でございます。
#180
○青山委員 日本が急速に高齢化社会を迎えてきた、こういう背景と、今回定年制の審議に入ること、一見矛盾しておるかのように思われますけれども、実は必ずしもそうではない。高齢化社会に即応する政治のいろいろな施策の中で、たとえば民間企業ではまず何といっても六十歳の定年制を実現したい、これが民間企業で働く人たちの一つの課題です。
 そういう点から考えますと公務員、今回国家公務員がとりあえず六十歳をめどとして定年制度が導入される、その基準に沿った形で地方公務員にも定年制度が導入されることは、必ずしも矛属しておることだとは私は思っておりません。ただ、定年の論議の中で、定年の定義といいますか意義について、まだはっきりした線が出ておらないように思いますので、若干意見も申し添えさせていただきたいと思います。
 私ども民社党が提言いたしておりますが、本来、年齢による雇用の差別をすべきではないとしておりますが、これは一般企業が雇用という社会的責任と企業が考えている経営効率との関係から、この雇用の終息という提言、さらに定年後の雇用先の確保についての重要な意味を持っていると考えております。
 こうした原則は、公務員であっても例外ではないと思われますが、労働効率や行政効率が個人の年齢によって左右されること、高齢化による個人の能力の低下によって行政効率が左右されること、これは否定できない事実でありますから、ある年齢によって雇用の終息が実施されることは避けられないことと認識いたしております。
 特に、行政効率を求められている公務員の場合、退職勧奨による人事の適正管理に重点を置いての雇用の終息、いわゆる定年が実効を上げておりますが、これは法的強制力がないために、ごく一部のこととはいえ、退職勧奨を拒否している人もいるわけであります。これが国民の側から見ますと羨望の的になっております。特に、民間企業の現状から見ますと、ほとんど定年制が実施されておりますから、そこにどうしても不公平感があって、行政及び公務員に対する批判の論議が出てきているわけであります。
 一般の国民が、一般企業における雇用の終息いわゆる定年の後、新たに就職先を求めて再労働の機会を得ていく現実からしますと、公務員においても、一定年齢によって公務員としての雇用が終息することとするのはやむを得ないというよりは、むしろこれは当然のことではないかと思います。
 また、欧米において論議されております定年というのは、長い間働いてきた、ようやく労働から解放される、こういう意味で、生涯における労働から解放されるという意味が含まれております。
    〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
したがって、年金で悠々自適の生活を楽しむ一つの区切りの年齢としての意味があるように思われます。これはわが国の雇用制度と欧米の雇用制度との違いでありますが、それぞれ社会保障制度との絡みによって、定年に対する意味が異なってくると思います。
 さらに、わが国においての雇用というのは、ただ生計を立てるため、これだけではないわけです。生活の基盤を確保するといった主たる目的のほかに、企業に対する忠誠心、個人の生きがい保障的な意味合いも強く含まれております。この生きがいの点から見れば、終身雇用保障というのは最も望ましい、理想的なものであろうと思われます。しかしながら、費用対効果から見てまいりますと、そういうわけにはなかなかいかない。特に、公務員では行政効率を求められておりますから、そういう点ではなかなか終身雇用保障というのは許されないものであろうと思います。
 こう考えてきますと、公務員における定年年齢は何歳が妥当であるのかという論議が行われて合意されるべきだと思います。その点で、六十歳という定年の制度がこれから打ち出されていくわけですが、その根拠になる考え方をひとつ聞かしていただきたい。
 それからあと、労働省、厚生省、自治省、文部省にお尋ねをしたいのですが、私ども民社党は、目標として六十五歳定年制実現を早急に達成し、高齢化社会に対応すべきだという提言をいたしております。しかし、わが国の現状から、当面六十歳の実現に努力しているところでありますが、この六十歳は、近き将来六十五歳に引き上げることが決議されるべきだと考えておりますが、これに付随する定年後の措置について各省に御所見を承りたい。
 一つ、年金の問題はどうなっていくのか。二つ目、雇用の創出、新たな職場の開発、これはどうなっていくのか。三番目、年齢相応の就職先の確保の問題はどのようになっていくのか。四、長い間地方公務員として働いてきたその豊富な経験を生かしたボランティア活動、社会奉仕、趣味の会等々における、いわゆる社会に対する貢献による生きがいの保障。こういったきめの細かい定年後の事後措置を実施すべきであろうと思います。このような視点について、労働省、厚生省、自治省、文部省、御所見を伺っておきたいと思います。
#181
○宮尾政府委員 最初に、六十歳定年という考え方を公務員についてどういう理由で打ち出しているのか、こういうことでございますが、公務員の勤務条件というものは、もちろん公務員のいろいろな特殊性、地位の特殊性というようなことを考慮しながら定めていかなければならないわけでございますが、定年制度というものを導入する場合に、これは民間においてもすでに定年制度というものは、ほぼ一〇〇%に近い段階で普及をしておりまして、そして現在それを六十年までに六十歳に延長しよう、こういうことが政府の方針として指導され、そういう動きが活発に行われているわけでございます。
 したがいまして、身分保障のある公務員についてもこの定年制度を導入する、こういう場合に、やはり勤務条件については、基本的には民間との均衡というものも考慮しながら決めていくという考え方に立ちまして、現段階では六十年に六十歳を実現する、こういうことが最も妥当であろう、こういう考え方に立ちまして、また国家公務員については、人事院のそういう考え方が示されてもおりますので、六十年、六十歳定年という考え方をとっておるわけでございます。
 それから、この六十年、六十歳定年が実現した後の定年年齢の動向の問題でございますが、これは当然公務員については、社会一般の情勢に適応をしていくという基本的な考え方があるわけでございますので、社会の情勢が相当大きく変化をすれば、状況によりましては国家公務員の定年年齢というものも動くことが可能性としてあり得るということは考えられます。
 地方公務員の定年制度の仕組みは、今回の法律におきまして国家公務員について定められている定年を基準とするということにしておりますので、国家公務員の定年年齢がそういう形で社会一般の情勢に適応して動くというようなことになれば、当然地方公務員についてもそれに準じて条例改正を行ってそれに合わせていく、こういうことになるわけでございます。
 なお、その他いろいろな年金の問題、雇用創出の問題、就職先の問題、ボランティア活動、生きがいの問題等があったわけでございますが、関係各省の方からの御答弁もあろうかと思いますので、私の方では、退職後における生きがい対策等につきまして申し上げたいと思います。
 定年退職者につきましては、これは定年制度が導入をされますと、六十歳で当然退職をするわけでございますけれども、それらの方々は非常に長い間地方行政に携わってまいりまして、その知識、経験あるいはその見解というものは非常に貴重なものがあるわけでございます。
 地方公共団体におきましては、それぞれのいろいろな行政分野において、あるいは地域において、先ほどお話がございましたような、たとえばボランティア活動とか、その他の諸種の活動が行われておりますので、定年退職者につきましては、そういう面での地域社会への貢献ということも期待をしながら、退職された方々の生きがい対策という意味でもそういう活躍を期待をしていきたい。地方団体においても、積極的にそういう面での地域における対策というものを講じていくことが適切であるというふうに考えておる次第でございます。
#182
○若林説明員 私ども、雇用の関係につきましては、六十年度までに六十歳定年を定着させる、一般化させるということにつきまして、現在全力を挙げておるわけでございますが、六十歳代前半暦の問題につきましては、一律に定年延長ということは、やはりずいぶん個人差が出てまいりますとか、業種別に相当ばらつきがございますとか、いろいろとむずかしい問題があろうかというふうに考えております。
 そういうことを前提にいたしました上で、企業の実情に応じまして、六十歳以上への雇用の延長を促進するということ、それから個人でフルタイムがいいとかあるいはパートタイムを希望するといったように、雇用形態も相当多様化してまいるわけでございますけれども、そういった幅広い雇用形態につきましても助成の対象といたしますような雇用延長促進のための助成金を設けまして、これを積極的に活用していく。
 あるいは先ほど先生の御指摘がございましたように、就業ニーズがずいぶん変わってまいりまして、生きがい就労的なものも希望するというような方もずいぶんふえてくるわけでございますので、そういうような就業ニーズに応じまして、短期的、補助的な仕事を提供するようなシルバー人材センターといったものを現在すでに育成、援助しておりますけれども、こういったようなものを強化していく、こういうような形でそれぞれの年齢層の多様な就業ニーズに即しました対策を今後推進してまいりたいと考えているところでございます。
#183
○成島説明員 厚生省の講じております生きがい対策につきまして御説明申し上げたいと思います。
 高齢化社会を迎えまして、老人対策の推進に当たりましては、所得保障ですとか保健医療、また福祉サービス等の各種施策を総合的に進めることが何よりも必要であると考えております。生きがい対策などの精神的な対策もその重要な一環をなすものでございますので、今後その重要性は一層高まってまいるものと考えております。
 このような考え方から、厚生省といたしましては、従来より生きがいの創造の事業ですとか、また老人就労あっせん事業、老人クラブ助成事業、それに老人福祉センターの整備等の各種施策を推進し、老人の生きがいを高めるための環境整備に努めているところでございます。今後とも、これら施策の拡充強化を図ってまいりたいと考えております。
#184
○七田説明員 文部省といたしましては、今後高齢化社会を迎えまして、やはり高齢者に対しての施策がいろいろと重要であるというように考えております。
 二つございます。一つは、高齢者がみずから生きがいのあります生活を建設していく、そして馬齢期にふさわしい社会的な能力を養っていくという意味で勉強していくという面が一つございます。もう一つは、このような高齢者がその知識とか技術とか経験を生かして、次の世代に影響力を与えていくという点が一つございます。
 この二つが主なものになるわけでございますが、まず第一番目の、高齢者みずから生きがいのある生活を創造し、社会的な能力を養っていくという面におきましては、公民館、図書館、博物館というような社会教育施設を整備するというような方向でやっております。特に昭和四十八年度からは、市町村が開設いたしております高齢者教室というものに対しまして補助をするという形をとっております。
 それから第二番目の方でございますが、高齢者が長い人生の中で培ってまいりました知識、技術、経験というようなものを社会的に還元するという点につきましては、昭和五十三年度から高齢者人材活用という事業を始めておりまして、この事業も今後進めていくつもりでございます。
 特に文部省といたしましては、今後、生涯にわたって学習をしていくという意味での生涯教育の観点から、いろいろな施策をやっていかなければならないと思っております。そういうような観点から、施策の充実を進めていきたいというふうに考えております。
#185
○青山委員 高齢化社会を迎えるに当たって、定年後の高齢者の生き方、一つには生活が保障されていくこと、あるいは年齢相応に働ける職場があること、そして生きがいを持って生活できること、この辺が総合的に機能していかないと、社会保障、社会保障といって一カ所に集めて、とにかく生きるための最低限度の生活だけ保障していくというようなこれまでの考え方は行き詰まってくることは、大体大方の一致した見方のようですから、そういう意味で各省庁がそれぞれいまおっしゃったような施策を総合的に進めて高齢者の生活を保障していくという形、それはひとつぜひ進めていただきたいと考えております。
 ありがとうございました。
 さて、実は当初考えたよりも大分スピードを上げていかないと、私が意図しておる質問ができないようですので、急いで進めさせていただきます。
 今回のこの法律案の提案理由として、国家公務員の定年制が提案されたから、地方公務員も提案したとされております。また、定年年齢についても、国家公務員の基準に即して定めるとされておりますが、地方公務員に対しては、従来から早急な法制化が要望されてきた経緯から見ますとちょっと奇異に感じますが、この点、自治省、大臣、どうお考えでしょうか、お尋ねをいたしたい。
#186
○宮尾政府委員 定年制度とは、これは国家公務員、地方公務員を通じて同じ制度であるべきことが望ましいわけでございまして、定年制度というものは公務員の身分保障に関係する非常に重要な事柄である、こういうことからそういうふうに考えるわけでございます。
 そこで、国家公務員について定年制度を導入する、こういうことになりましたので、地方公務員についてはかねてから各地方公共団体から定年制度を設けるべきであるという強い要望がありまして、何何か国会に法案を提出して御審議を願った経緯があるわけでございますけれども、これまで実現をしておりませんでしたので、この際、国家公務員がそういう制度をつくるのであれば、当然同じ公務員の制度として地方団体の要望にかなったような形での定年制度を成立させたい、こういうことが今回の法案を出した基本的な考え方であります。
 そして、その内容といたしましても、国家公務員の定年年齢の定め方等を基準として地方公務員の定年年齢を定める、こういうふうにしておりますのは、いまも申し上げましたように、公務員の身分保障をするということに関連をしまして、分限制度というものをどういうふうに考えるかということは、同じ制度によるのが望ましい、同じ基準でいくことが望ましい、こういう考え方に立って、そういう仕組みにしておるわけでございます。
#187
○安孫子国務大臣 これは、先ほど申し上げましたとおりに、地方団体といたしましてはもう十数年前からぜひこれをやってもらわなければいかぬ、これが地方公務員の効率、人事管理それから住民に対するサービス、各般の面においてきわめて重要な問題だということを主張いたしまして、提案をしてきた経過があるわけでございます。しかしながら、その都度、遺憾ながらこれが成立を見なかったわけであります。今回、国家公務員もその必要性を痛感いたしまして、国家公務員に対するところの定年制をひとつやろう、こういう段階になりましたので、当然地方公務員も、これは先鞭をつけておるわけでございますから、この際一緒に御解決を願わなければならぬ、こういう気持ちで御提案を申し上げておるわけであります。
#188
○青山委員 すでに法律が四回国会へ出されておりますし、国家公務員に先んじて地方公務員の定年制については各制度審議会で定年制を導入すべきだと言われてもきておりますのに、今回国家公務員に準じてというような姿勢が少し便乗のような印象を与えるので、これはわれわれもできることなら国家公務員と軌を一にと考えてきた面もありますけれども、しかし自治省は自治省として地方公務員の定年制について取り組んでいただきたかったけれども、これは何となく便乗的な印象を与えている、こういうことをちょっと意見を申し述べておきたいと思います。
 先ほど来議論されておりましたが、定年による退職の特例が設けられるとともに、定年による退職者の勤務延長と再任用が提案されておりますが、いま一度ひとつ相違点について御説明いただきたい。「公務の運営に著しい支障が生ずると認められる」とき勤務延長を認める、「公務の能率的運営を確保するため特に必要があると認めるとき」再任用が認められるというようですが、この意味はどうも正しく理解できないのです。また、この区別が明確に規定されているのかどうか伺っておきたい。
 というのは、全くわからないわけではないのですけれども、問題はその辺が混同していますと、運用上各地方自治体においてずいぶんいろいろな運用がなされるのではないかと心配するのです。ですから、これが自治省においてぴしっとした姿勢がないと、三千三百あるそれぞれの自治体において適当に利用されていっては何にもならないというふうに考えますので、その方針を聞かせていただきたいと思います。
#189
○宮尾政府委員 勤務延長と再任用の違いでございますが、少しくいろいろな違いをいろいろな面から御説明申し上げてみたいと思います。
 勤務延長というのは、たとえば職務の特殊性というのは余人をもってかえがたいような職員がいる場合、あるいはどうしてもその人がいま定年でやめますと、いままで取り組んできた研究がまた新しい人によってやらなければならぬ、そういうような特殊な事情がある場合に、任命権者がその人について、本来ならば定年で退職する者を退職させないで、そのままの身分で勤務を継続させる、これが勤務の延長でございます。したがいまして、給料もそのままでありますし、退職という事態が出てまいりませんから退職手当も支給されない、また年金の受給権も発生しない、そして勤務延長制度が終わったところでそういう具体的な退職ということが出てくるわけでございます。
 再任用というのは、そういう事情ではないわけでございまして、長年いろいろな経験を積んで職員が定年で退職をした場合に、役所側の都合から見ましてその人をもう一度新規採用して、もちろん違った職種に充てるわけですが、特定のたとえば専門的な職種についてもらえばその人の知識、経験というものが生かせる、こういうことが認められる場合に限って、この再任用というものが行われるわけでございます。したがいまして、勤務延長も再任用も、いずれもそれほど多いケースではないと考えます。
 再任用の場合に、勤務延長といろんな点で異なってまいりますのは、そこで一たん退職になります。したがいまして、退職手当が支給をされます。年金受給権も退職したときに発生します。そして、新たな採用でございますから、再任用のときに今度は給料の再計算をすることになります。
 どのくらいの水準になるかということは、細かい取り扱いがいろいろ決まっていかなければわかりませんが、大体のめどといたしましては、六、七割ぐらいの給料額になるのではないかというような考え方が一般的に言われております。これは、具体的にまだどうなるかということははっきりいたしませんが、少なくとも給料の再計算は行われてダウンをする、こういう違いが出てくるわけでございます。
#190
○青山委員 それは、一つは定年による退職によって、いままでの勧奨退職による割り増しの制度がなくなるというふうに理解してよろしいでしょうね。どうですか。ひとつお尋ねします。
 それから、定年によって公務員の身分がなくなる。退職金の問題、定年時における給与の問題、それから年金の問題がある。
 定年後勤務延長が認められた、その後再雇用されたというような形での三年間もあり得るわけですね。勤務延長が一年、再雇用が二年ということだってあり得ますね。可能性としてはあり得るでしょう。そうしますと、定年でやめていった人、それから勤務延長を受けた人、さらにまた再雇用された人、それぞれの人たちの身分の問題、給与、退職金、年金、ずいぶん大きく変わってくると思うのですよ。ですから、運用上不明瞭な形でこれが運用されていきますと、他の自治体との均衡を欠く。そんな問題が出てきてはいけないということで、運用上問題が出てこないか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
#191
○宮尾政府委員 まず、定年退職した場合の退職手当の問題でございますが、退職手当につきましては、現在国家公務員の退職手当法に準じまして、地方団体における地方公務員の退職手当も同じ仕組みでいくようにということを指導しております。
 そこで、国家公務員の場合の退職手当でございますが、これは勤続年数等によりまして退職手当法では四条とか五条とかの区分がありますが、いわゆる整理退職、定年退職、勧奨退職、こういうものをそれぞれ四条、五条で同じように定めているわけです。したがいまして、現在の退職手当制度のままでいくことになれば、定年退職は国家公務員で扱っているそれと同じ扱いになる、つまり定年退職と長期勤続で勧奨退職をしていく場合とは同じ支給率で扱われる、こういうことになろうかと思います。これは、現行制度でいった場合にはそういうことになります。
 それから勤務延長と再任用でございますが、勤務延長をたとえば一年いたしまして、通算して三年という制限がありますから、その中で後の二年を再任用する、こういうことがあるのかないのか、こういうことですが、これは法律的には可能であります。可能ですけれども、そういうことを予想してこの制度をつくっているものでは全くありません。勤務延長というのは、余人をもってかえがたいような人がやめられては困る、こういうときに、退職させないでさらにそのまま継続勤務させる、こういう仕組みでありますし、再任用は退職した後の人の個別の問題ですから、法律的に可能でありますが、そういうことを一般化することはもちろん制度の趣旨に反した逆用になりますし、あってもきわめてレアケースであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
    〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
 そこで、たとえば再任用等についてもいろいろな運用がしっかりしてないと乱れるのではないか、こういうことでございますが、勤務延長はそのままの姿で勤務を継続するわけですから、勤務条件が変わらない、特段の問題はないと思いますけれども、再任用の場合、たとえば新規採用ですから、初任給をどういうふうに計算し直すかとかいうような個別の問題についてその運用が乱に流れると、ばらばらにといいますか、相当に違いが出てくる可能性がある。私どもは、当然再任用は新規採用の際、どういう給料の格づけをするかというのが現在あるわけでございますから、そういうものを適正化し、再任用もそういった運用の適正化を期することによって、再任用制度の運用が非常に区々になるようなことにならないように、地方団体を指導していきたいというふうに考えております。
#192
○青山委員 実は、まだこの問題は少し掘り下げていきたいのですけれども、私自身もう少し調査してから、また、今回の問題ではない形でちょっと検討してみたいと思っております。
 現在、一部の自治体で実施されている常勤嘱託、非常勤嘱託などの再雇用の実態について、御説明いただきたい。大変高齢な方が勤めておられるようです。それから、この点に対する自治省の方針はいかがでしょうか。
 それから、一緒にたくさん、質問して恐縮ですが、嘱託の人の期間の問題ですが、嘱託の人の年齢制限、年限制限というのはどうなっておりますか。この制限がないと、定年制度がある意味では無意味であったというようなことになってもいけませんので、ひとつできるだけ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
#193
○宮尾政府委員 地方団体が非常勤嘱託というような形で再雇用しておるいわゆる特別職の職員の問題だと思いますが、これらの人は、現在昭和五十四年度で勧奨退職をした者のうち、一四%ぐらいの方々をそういう形で再雇用しているというような実態があります。それで、年齢がどのくらいのところまでいっているかということについては、細かい調べがございません。
 それから、これも再雇用について自治省ではどういう方針で考えているかということでございますが、これは地方公務員法の三条三項三号に「臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職」ということで、そういう特別職の形態があり得るということを定めているわけでございますが、これは私どもといたしましては、そういう必要性がある範囲内においてそういう任用ができますし、再雇用という形で定年退職者をそういうところでいまあれしている場合におきましても、必要な範囲内においてそういう嘱託員あるいは調査員等で雇用をする、こういうふうにすべきであるというふうに考え、また指導をしております。
 それから、再雇用の場合に何か現在年齢制限を設けているかということでありますが、これは私どもが一律にそういう特に年齢制限というものを設けているということはありません。つまり、自治省としてそういうことはいたしておりません。
 ただ、もちろんこれは特別職でありましても予算措置が必要なものでありまして、それぞれの地方団体におきましてどういうところでそういう非常勤嘱託が現実の問題として必要か、何人ぐらい必要か、こういうことをいろいろ人事管理の面あるいは財政的な面から十分チェックをして、その人事管理を行っておるというふうに思います。そういう面から、余り長い間高齢にわたる人についてはそういうことをしないとかいうような、それぞれの団体での決まりというものを持ってやっているというふうに考えております。
#194
○青山委員 この問題は、後でもう一回少し触れたいと思います。
 再婚をした人も含めて、結婚が遅くて子供が小さいためにどうしても働かなければならない人がおります。また、老後を見てくれる人もいないので働かなければならない人がおります。この定年によって、この人々の救済が必要であると私は考えますが、こういった人々はごくまれな特別例外的な人々だというふうに理解をして、こうした例外的な人々に対する措置というのは、定年の原則論でばっさり切って捨てるわけにはいかないという問題であろうと思いますから、基準を設けて再雇用なり嘱託制度なりで救済する方法を講じるべきではないかと考えております。
 これは、例外的な面で私言っております。一般論ではありません。きめの細かい思いやりの部分もやはりなければいけない。そういう意味で、ひとつ自治省としてどのようにお考えなのか、こういうどうしても働かなければならない人もあるとしたときにどんな取り組みなのか、それからその年齢制限なり雇用年限制限なりというのはどうされていくお考えか、お尋ねしたいと思います。
#195
○宮尾政府委員 定年制度が導入された場合には、これは年齢によって一律に当然退職をするという制度でございますから、いまお示しのありましたようないろいろな事情がある方々につきましても、これは定年制度による退職というものについて例外措置をつくるということは、これはできないというふうに考えております。
 ただ、そういう方々について、それぞれの地方公共団体では現在勧奨退職という制度を進めておる中でも、一定の年齢に達したら勧奨はいたしましても、再雇用という形で特別職として採用をするというようなことを個別に人事当局がやっている事例はあるわけでございまして、これについて具体的な基準とかなんとかというものをつくって自治省が指導をするというようなことは、私どもは考えておりません。それは、地方団体のそれぞれの人事管理当局が、そういう先ほど申し上げましたような特別職の嘱託員、調査員というものが一定限度は当然必要なあれがあるわけでございますから、そういう中に人事管理の運用として上手にそういう対策を講じていく、こういうことで措置をしていくべきものだというふうに考えております。
#196
○青山委員 地方公務員の昭和五十五年四月一日現在における年齢構成を見てみますと、六十歳以上の割合について都道府県が〇・四%、指定都市が〇・八%、市が一・〇%、町村が一・二%、特別区になれば四・三%となっております。特別区を見ますと、全職員数八万六百十三名中三千四百五十五名と、大変異常と思える数と割合であります。うち七十歳以上を見ても、自治体区分別においても最高となっておりますが、これは特別な理由があるのでしょうか、伺っておきたい。
#197
○宮尾政府委員 御指摘のように、特別区の高齢者の割合が非常に高いわけでございますが、これはいろいろな要因によるものというふうに考えられまして、一概に言うことはなかなかむずかしいわけですが、ただ、考えられますことは、特別区における退職勧奨の応諾率が他の市等に比べて非常に低いわけでございまして、そういうことが結局は高齢職員が在職をしている率が高くなっている、こういう一つの原因になっているというふうに考えられます。
#198
○青山委員 法律のたてまえと趣旨に沿って運用されていけば、それほど問題がないと私は考えておりますが、しかし運用者の意図的なといいますか、またそれに応じないというような人たちがいたとしますと、これはなかなか法の趣旨に沿った運用がむずかしい。したがって、今後そうした具体的な問題が出てきてはいけない。そういう意味で、私は法制化というのは一つの前進だと思っておりますので、ぜひひとつ正しい運用ができますような行政指導をしていただきたいと考えております。
 地方公共団体、自治体の中において、賃金水準、退職手当の支給率、退職時俸給に相当な格差があるとされております。これがいろいろと問題視されているところでありますが、地方公務員法第二十四条、第二十五条、第二十六条によって「権衡を失しないように」と規定されておるのに、しかしこうした格差が生じている。なぜこのような格差が生じておるのか、明らかにしていただきたい。
#199
○宮尾政府委員 地方公務員法におきましては、国あるいは他の地方公共団体等との権衡の原則ということを給与について定めておるわけでございますが、いま御指摘ありましたように、地方公共団体でいろいろな格差が出てきておるということの原因といたしましては、一つには、国家公務員の初任給基準だとかあるいは地域民間の初任給の水準と比べまして、高い初任給基準を定めているという団体があります。また、その標準職務表に適応をしないような等級への格づけ、つまりいわゆるわたりという仕組みでございますが、こういうようなことが運用として行われている団体がある。それから、運用によりまして昇給期間の短縮ということが行われている団体がある。こういうようないわゆる給与制度の運用等によりまして、給与水準の違いが出てきておると考えられます。
 また、退職手当についてでございますけれども、この退職手当につきましては国家公務員の退職手当法で定めている制度と同じ仕組みでやるようにという行政指導をいたしておるわけでございますが、団体によりまして退職手当の支給率とか最高限度額について国の基準を超えているものがございますし、また、団体によりまして勤続加算とか役職加算というような異なった算定方法をとっておるところもある。こういうところが退職手当について差が出てきている原因だというふうに考えております。
#200
○青山委員 地方公務員法の法のたてまえにある「権衡を失しない」ということと地方自治権との関係についてどういうふうに理解されておるのか、その整合性についてどう対処されたのか、格差問題の是正について伺っておきたいと思うのです。
 というのは、格差がある、国家公務員との格差もある、民間との格差もある、そして自治体間における大きな格差がある、こういうことがたとえば官民格差等の論議を招いてきているわけで、それが結局「権衡を失しない」ではなくて権衡を失しているとなってまいりますと、地方自治権が侵されるかもしれない、あるいは自治省の介入を招くというようなことになるかもしれない。
 給局、法のたてまえに沿った趣旨で運用されておれば地方自治権は確立されていくし、他の自治体間における「権衡を失しない」という形が維持されておれば、それは同時に十分な自粛をしてきたのだと理解できるわけですから、この二つの考え方をうまく合わせていくのはなかなか困難です、現実には多くの不信や不満が出てきておる、その辺の兼ね合いをどういうふうに整合性を持たしていくのかということはなかなか困難ですけれども、自治省としてはやってこられた。そういう姿勢について、ぜひひとつこの際に聞かしていただきたい。
#201
○宮尾政府委員 退職手当を含めて給与等につきましていろいろな格差が生じておるということについては、私どもこれまでも地方団体に対していろいろな指導をしてまいりました。
 それで、基本的には、これは住民の税金が行政サービスに差し向けられる分が給与費等に回っておる、こういうことになるわけでございますから、やはり自主性、自律性のある地方団体におきましてはみずからの手でこれを改善し、適正な姿に持っていっていただかなければならないし、そういうことが一番ベターであるという考え方に立ちまして、自治省としてはいろいろな通達を流したり、地方団体にいろいろな機会を通じてそういう注意を喚起してまいったわけでございます。
 給与水準につきましては、ラスパイレス指数全体で言いますと一一〇%を超えるということから、漸次下がりまして現在一〇六・九になっておりますけれども、しかしなお約六・九%全体として高い水準がある。こういう状況は、個々の地方団体それぞれの市町村等において、自分たちの努力、力によりまして適正な給与水準等を実現していく、これが一番基本であり、私ども地方自治を尊重するたてまえからいきましても、ぜひそういう歩みをたどっていただかなければならない。こういうことで、今後ともその方向でさらに指導を強めていきたいと考えておるわけでございます。
#202
○青山委員 勧奨退職制度というのは肩たたき、しかし肩たたきというくらい陰湿な、たたく方もたたかれる方もまことに精神衛生上よくない、こういう制度よりは一律に一つの線をはっきり出していくことの方が新陳代謝は進むし、組織に活力が出てくるし、行政効率も上がっていくでしょうし、そのことによって長期的な人事管理ができるという意味で、これはぜひ実現していただきたいと思いますが、問題は、それぞれの自治体において法の趣旨に沿った正しい運用がなされますように、ひとつしっかりと取り組んでいただきますようにお願いをしておきたいと思います。
 終わります。
#203
○左藤委員長 岩佐恵美君。
#204
○岩佐委員 まず最初に、人事院にお伺いをしたいと思います。
 今回の法案は、国家公務員の定年制法案とともに決定されるものであります。内容的にも、国家公務員に準じたものというふうになっています。この法案のもとは、昭和五十四年八月に総理府総務長官に送った国家公務員の定年制についての人事院総裁の書簡に基づいて、国家公務員及び地方公務員の定年制法案が提案される、そういういきさつであるということになっていると思いますが、その点について伺いたいと思います。
#205
○斧政府委員 一昨年八月に人事院から総務長官あて、定年制の導入について見解を表明する書簡を提出いたしました。これは、一般職の国家公務員につきまして人事院が所管しておりますので、その範囲で見解を表明したわけでございまして、地方公務員について定年制を導入するかどうかは、地方公務員の実態ということもございましょうから、所管庁であります自治省で御判断されることだと考えております。
#206
○岩佐委員 今回の定年制法案、これは公務員の身分保障を定めている分限事項に定年退職という新たな項目を設けて、職員の意に反して退職をさせることができるものとなっています。
    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕
つまり、一方的に身分保障を制限する後退的な内容となっています。公務員労働者は、周知のようにスト権を初めとする労働基本権が奪われています。そういう中で人事院は、使用者側ばかりではなく労働者側の利益をも十分尊重しなければならないはずである、そういう役割りを果たしていると思います。
 ところが今回の定年制導入は、公務員労働者にとっては現行制度に比べて一方的な身分保障の制限、後退であります。人事院は、今度の定年制導入に当たって十分に労働者側の利益を尊重するために努力をされたのかどうか、その点について伺いたいと思います。
#207
○斧政府委員 お答えいたします。
 人事院が国家公務員に労働三権が制約されているということで代償機能の責任を負っているということは、先生のおっしゃるとおりでございます。そういうこともございますし、公務員制度審議会から職員団体の意見をよく聞くようにという答申も受けております。そういうことを受けまして、職員団体とは人事院総裁以下各部局の担当者、責任者が十分御意見を拝聴いたしました。今回の定年制の導入につきましては、公務能率の見地も踏まえまして、各省庁の退職管理の実態、職員の在職状況あるいは年金の支給開始年齢、民間の状況、それらを総合的に検討いたしまして、書簡によって意見を表明した次第でございます。
#208
○岩佐委員 労働者側の意見というのをどういう形で人事院は聞いたのか、もう一度具体的に説明を願いたいと思います。
#209
○斧政府委員 職員団体の方々は定年制の導入については反対でございまして、ただ、その反対理由としまして、働く意欲のある人間が一定年齢でもって自分の意思にかかわりなく退職するというような定年制は、職員の利益を非常に害するというような御主張でございます。そういう点もくみまして、勤務延長とか再任用それから特例定年、そういうものも加味した見解を表明したわけでございます。
#210
○岩佐委員 人事院の今回のいろいろなやり方に対しまして、労働者側は一九七九年七月、これは衆議院地方行政委員会調査室の資料に出ているわけでございますけれども、人事院に対して申し入れを行っているわけです。「貴院は、政府の圧力に屈して態度を急変し、定年制導入の具体的構想を明らかにし、人事院勧告の際に書簡として総理府に提出することを院議で決めたと側聞します。これは貴院が第三者機関としての立場と使命を放棄し、政府権力の御用機関化することであり、黙認することはできません。」そういう申し入れを行っています。
 それにもかかわらず書簡が出されたということで、八月九日に声明を出しています。「公務員労働者にとって、退職年齢の決定は重要な労働条件の問題で、本来、労働基本権を保障したうえで労使の合意による協約事項とすべきであり、法律によって、一方的に強制すべきではない。」「もし、政府が、人事院書簡を契機として、一方的に定年制を強行するならば、公務員共斗に結集する二百二十万の公務員労働者は総決起し、その阻止に全力をあげて斗うものである。」こういう声明を出されているわけですね。
 これに対して今回の人事院の態度は、労働者から見れば、本当に労働者の意見を反映しないものである、これでは人事院の存在する意味が労働者側にとっては果たしてあるのか、どういうメリットがあるのかということになるわけでございますけれども、その点繰り返しになるかもしれませんが、人事院の明快な答弁をお願いしたいと思います。
#211
○斧政府委員 人事院の役割りとしまして、職員の利益の保護ということがあるのは当然でございますが、一方におきまして、国民に対して民主的で能率的な行政を提供する、そのための人事管理制度を立てなさいという役割りもあるわけでございます。そういう観点から、現在の公務員の在職状況それから一般の高齢化現象、各省は実際的に退職勧奨で勧奨を行っているというような実態を踏まえまして、公務能率の見地から定年制導入が適当であろうということで御意見を申し上げました。
 この場合、職員側にとってそれではどういうメリットがあるかということでございますが、一つは、いままではいつ勧奨されるかというような心配もあったかと思いますが、定年年齢がはっきりいたしますと公務員生活の終期が早くからわかるわけで、人生設計が立てやすくなるというメリットもありますし、それから原則定年六十歳という意見を申し上げたわけですが、それまでは安心して職務に専念できる、身分保障が確保されるというメリットがあるのではないかと思っております。
#212
○岩佐委員 しかし労働者側は、現在のところ、六十歳を過ぎても仕事をすることができるわけですね。しかし今度は法律で定年制がしかれれば、六十歳でいやおうなしに言ってみれば首を切られる、そういう状態になるわけです。これは、現状から見て大変な改悪であり、また基本的な労働者の権利の問題として許しがたい問題だ、そういう主張があるわけで、これは当然のことだというふうに私ども考えているわけです。
 それに対して、六十歳という年齢が決まれば退職勧奨をいつされるかということでびくびくすることもなくなるとか、そういうことでは労働者側はとうてい納得することができないわけで、そういうメリットというのは非常にまやかしであるというふうに私は言わざるを得ないわけですが、このことでこれ以上議論をしてもどうも果てしのない議論になりそうなので、そこのところを私の側からきちっとさせて、この議論については、労働者から見る今回の姿勢というのは、人事院の基本的な存在価値にもかかわる問題であるということで、きちっととらえてほしいと思います。
 先ほど、今回の人事院の書簡というのは国家公務員にかかわるものである、地方公務員については別であるというような話がありましたけれども、しかし今回法律は一体として出されてきておりますし、今回の法案というのは国公、地公一体となった公務員制度全体の改革だという位置づけにならざるを得ないと思うわけですけれども、その点について人事院の考えを再度伺いたいと思います。
#213
○斧政府委員 人事院で給与その他の公務員制度について基準を制定しましたり変更しましたりする場合に、地方公務員に影響が及んでいくということは、過去の経緯から見ましてもそういう例が非常に多いということは私どもも承知しております。
 しかし、人事院の行いました施策を地方公務員にも実現するかどうかということは、地方公務員独自の法体系があるわけでございまして、そちらの方で御判断を願うよりほかないものと思っております。
#214
○岩佐委員 自治省に伺います。
 現行の地方公務員法では定年制を設けることができない、そういう見解をとっているわけですけれども、昭和二十五年末の地方公務員法制定時には、八百八十八の地方自治体が定年制を実施していたはずであります。ところが、それが現在の法律ではできないということになっているわけですが、どうしてそうなったのか、その経緯について御説明を願います。
#215
○宮尾政府委員 現在の地方公務員法が制定される前に、八百八十八の地方団体で定年制度を条例等で設けていたわけでございます。昭和二十五年に地方公務員法が制定をされたわけでございますが、この現行地方公務員法の中には定年制度に関する規定はないわけでございます。
 そこで、定年制度というのは、一定の年齢に到達した場合に当然退職をするということでありまして、これは本人の意思にかかわらずそういう当然退職、こういうことになるわけでございますから、現在の地方公務員法二十七条あるいは二十八条といった規定に照らし、つまり二十七条では、法律の定めがない限りその意に反して免職されることはないということを規定をしておりまして、二十八条で具体的なそのケースを定めておる、その中に定年という規定はない、こういうことから、定年制度を条例で設けることが現行法の規定からは適法ではない、そういうものを設けることはできない、こういう解釈をとらざるを得なかったわけでございます。したがいまして、そういう条例制度を設けておりましたところにつきましても、それを廃止するように指導をいたしたわけでございます。
 ただこれは、現行法のもとではそういう考え方に立っておる、そういう解釈が一般的であり、そういう指導をしておる、こういうことでございます。
    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕
#216
○岩佐委員 自治省といいますか、自治庁の時代ですが、自治省が地方公務員法の制定当時の前後に発行されていた「公務員」という雑誌がございます。この「公務員」という雑誌は、当時の自治庁の公務員関係の解説誌だったということです。
 この「公務員」という雑誌の昭和二十五年八月号に、「地方公務員制度の概説」という解説論文が載っています。筆者は、当時自治庁におられた角田礼次郎氏、富沢弘氏の両名になっています。この「地方公務員制度の概説」が自治庁の職員によって書かれたということは、地方公務員法がこの年の十一月の第九回国会で成立したときですから、地公法成立を見越した、この法律の基本的考え方及び制度内容について述べられているものだというふうに思います。つまり、自治体関係者に地公法というものを周知徹底することを目的とした論文だと思います。
 この論文の中で定年制に対して、「地方公務員について停年制を定めることが法的に適当であるかどうかの問題がしばしば起つた。」というふうなことで、そういう論議がもうこの時代にずいぶんあったということを指し示しているわけです。ところが、この論文は同じくだりで、「分限制度の一こまとしても停年制を設けることは法的には差し支えない。」というふうにまで言っているわけですね。ところが、その十一月に成立した法律には、自治省のこういう考え方というのが反映をされてこなかったということになっているわけですけれども、その辺は一体どうなっているのか、御説明をいただきたいと思います。
#217
○宮尾政府委員 私がその雑誌を見てお答えするわけにいきませんので、いまお聞きした範囲内でのお答えになりますが、恐らく八百八十八からの団体がそういう定年制の条例をつくっていたわけですから、地方公務員法を制定する当時におきましても、定年制度に関する議論というのは確かにあったというふうに思われるわけでございます。
 ただ、それをどうするかということについては、私ども、いろいろな公務員法の制度資料等を探ってみましても、こういう考え方に立ってこういうふうにしたんだというところは、はっきり出ておりません。
 そこで、いまお話がありましたその「公務員」という雑誌に載っておる角田さんのいまお読みになりましたことからいきますと、現行法でも定年制というものは条例で決められる、そういう感じのように私は受け取ったわけでございますが、しかし他面、でき上がった法律というものについて、いろいろなその後の論議等につきましては、きょうも内閣法制局の方からの見解もありましたように、現行法ではどうもその定年制というものは条例で決めることはできないのだ、こういう解釈がありまして、地方公務員法ができた当時、その二つの考え方というものに相当議論があったのですが、結局、現行法ではそれはできない、こういう解釈で統一をし指導をした、こういう経緯でございます。
#218
○岩佐委員 ただ、この定年制をめぐって法制定時になぜ、こういう議論がありながら設けなかったのか、そういういろいろな議論の内容とか、それ相当の理由だとか、そういうものが明らかにならないと、この審議というのは問題点がはっきりしてこないんじゃないか。立法過程というのが、幾ら聞いてもその当時のことがよくわからない。
 最初は、八百八十八団体が幾ら定年制をしいていたとしても、公務員法にはそのことは全く反映されなかったんだ、議論もされなかったんだみたいな説明があったこともあるわけで、その点全く明らかになっていないわけです。もっとその立法過程を明らかにしていく必要があると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#219
○宮尾政府委員 地公法ができてから、まさにそこのところがいろいろ議論があったということは、その立法当時いろいろ議論はあったにしても、どういう考え方で定年制という仕組みを地公法に入れなかったか、そこが明確でないからこそ、その後いろいろな議論というものが出てきたわけでございます。
 そういうことで、現行法ではできるという解釈とできないという解釈と両論あったものを、自治省としましては、条例で導入はできないという解釈に統一をして指導をしたわけです。だからこそ、また地方団体におきましては、定年制度というものを地方公務員法の中に明確に定めてほしいという要望がたくさん出てまいりまして、三十一年以来何回か法案を国会で御審議を煩わす、こういう経緯を踏んできたわけでございます。
#220
○岩佐委員 当時の背景として、昭和二十三年、マッカーサー書簡に基づく政令二百一号。政令二百一号の要旨は、「公務員は国または地方公共団体に対しては、同盟罷業、怠業的行為等の脅威を裏付けとする拘束的性質を帯びた団体交渉権は有しない。」こういうような労働者の基本的権利が侵される、そういう政令二百一号が発令をされました。
 そしてその代償として、労働者の身分保障という理由づけの地公法が昭和二十六年に制定をされる、そういう経緯だったのではないでしょうか。だからこそ、定年制という労働者の基本的権利を侵すことへの法制化などというのは、その当時論外だったということが言えるのではないでしょうか。その過去の立法化の経緯、こういうものを全く無視をして、なし崩し的に現在民間がやっているから、全体がそういう風潮であるからという理由づけだけで今回こういう措置をとるというのは、これは全く合点がいかないわけですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
#221
○宮尾政府委員 公務員の職務の特殊性あるいは地位の特殊性というようなことから労働基本権について制約をしており、またそれが合理的な理由があるということになっておりますが、そのようなことがある反面、公務員についてはその職務に専念をしてもらうために、身分保障の規定を置いているということは仰せのとおりであります。
 ただ、身分保障ということでございますが、これはいかなる理由によっても終身雇用というようなことを定めているわけではありませんで、現在の地方公務員法の立て方といたしましては、法律に定める事由によるものでなければ、本人の意思に反してたとえば免職であれば免職されない、こういう形での身分保障をしておるわけです。分限条項に該当しない限り身分が保障される、こういう仕組みでございます。
 そこで、いわゆるその身分保障というのは、地方公務員法の中にどういうことをその分限条項として、あるいは身分保障の条件として定めるかということによって、身分保障の内容というものは変わり得るわけでございまして、定年制度を広い意味での分限の中に規定をするということは、公務員の身分保障という基本的な考え方に決して反するものではありませんし、またそういうことが直ちに労働基本権の制約ということに直接つながっていく話ではないというふうに考えておるわけでございます。
#222
○岩佐委員 何度も繰り返すようですけれども、当時の立法過程というものがどうもはっきりしない。そこのところに対する明確なお答えがないわけですね。
 たとえば、当時の地方公務員制度成立の経緯ということが紹介されているところによりますと、新しい法律案について連合国国軍最高司令部との最終的折衝が行われ、国内各方面との調整も終わったので、法律案は十一月十七日に閣議決定され、同月二十一日に第九回国会に提出をされた。つまり、先ほど私が説明しましたように、労働者の基本的な権利を奪われるそれとの代償的な形で行われているのではないか。まず連合国最高司令部に持っていっているという経緯があるわけですので、その点を言っているわけでございますけれども、この点についてはいかがですか。
#223
○宮尾政府委員 制定当時の経緯がどうであるかということも確かにあれでございますが、先ほど来たびたび申し上げておりますようにそこは明確でないわけでございまして、あくまでも定年制度というものが現行法でどういうことになっているのか、それからそれを踏まえまして、定年制度というものを新たに現行法を改正して地方公務員法の中に導入することについてどういうふうに考えるか、こういうことで判断をしていけばよいというふうに私ども考えるわけです。
 繰り返すようでございますが、現行法では条例をもってしても定年制度は導入できない、こういう考え方に立ちまして、定年制度を設けることは適正な退職管理制度をつくり、人事、組織というものに活力を与えて能率的な行政を展開していく、こういう観点からどうしても必要である、こういう判断に立ちまして新しく法律の中にそれを定めていきたい、こういう考え方に立っているわけでございます。
#224
○岩佐委員 私はそこのところは、過去の経緯がわからないということではなくて、はっきりしないということではなくて、はっきりさせないということなのではないかというふうに思うのです。そういう点では大変納得がいかないことでございます。きちんと、そこら辺のことは明らかにすべきだというふうに思うわけですけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
#225
○安孫子国務大臣 そのときのいきさつというものは結局よくわからない。しかしながら、現実に地公法が定年制を導入した方が現下の情勢から適当である、こう考える判断でもって御提案をしているわけでございまして、必ずしも当時のいきさつというものに拘束される必要はなかろうかと私は思っております。
#226
○岩佐委員 当時の事情がわからないで、それで必ずしも拘束される必要はないのだということ、これは大変私は不満であるわけです。当時の事情がわからないのじゃなくて、わからせないで、そこのところも何かごたごたしたままで、過去は過去でいまはいまだというふうに割り切るということ、それは大変問題だというふうに思います。納得がいかないわけですが、時間も限られていますので、少し先のことも聞かなければなりませんので次に移ります。
 自治省は、これまでにも何回か地方公務員の定年制法案を国会に提出をしてきました。今回提案されている法案とこれまで提案されてきた法案と、基本的に幾つか異なる点があると伺っています。それはどういう点でしょうか。
#227
○宮尾政府委員 過去に何回か法案を出したわけでございますが、三十一年の法案と四十三年法案とでは若干違いがありますけれども、大体その考え方は同じといいますか、おおむね同様でございますので、四十三年の法案と今回の法案とでどういう違いがあるかという主な点を申し上げてみたいと思います。
 一つは、定年制度の導入の仕方でございますが、四十三年の法案では、地方団体が条例措置を講じて定年制度を導入し得る道を開く、こういう考え方のもとに法律を規定しておるわけでございますが、今回の改正法案では、地方公務員法そのもので定年制度を全団体一律に導入をする、こういうことにいたしております。
 それから第二番目の点は、定年の定め方でございますが、四十三年法案では、「条例で定める」とだけ規定をされておりましたけれども、今回の改正法案では、「国の職員につき定められている定年を基準として条例で定める」というふうにいたしております。
 それから第三番目の点でございますが、昭和四十三年法案では、定年退職者を常勤または非常勤の特別職として再雇用することができる、こういうふうにいたしておりましたが、今回の改正法案では、法律で具体的に定めておる要件のもとに常勤の一般職として再任用をすることができる、こういうふうにいたしております。
 それから第四の点は、勤務延長という規定でございますが、これは四十三年法案にはございませんで、今回の改正案にそういう制度を新たに設けておる、こういったところが主な違いであろうと思っております。
#228
○岩佐委員 これまでの法案では、たとえば前回昭和四十四年度提出の法案の審議に当たっては、当時の野田武夫自治大臣は、地方公共団体は、この改正法の施行を契機として、すべて当然に定年制に関する条例を設けなければならないものではなく、あくまでも当該団体における人事管理の実情から見て、定年制を必要と認める場合において、条例で定年制を設けることができるとしたものでありますと答弁をされております。また当時の長野士郎行政局長も、定年制を施行、そういう必要がある場合には条例で定めるんだと書いてあるわけでございまして、必ず画一的に強制をするということで考えておるわけではございませんと答えているわけです。このように、これまでの法案はかなり地方自治体の自主性を尊重していたわけでございますけれども、これは一体どういう考えに基づいていたわけでしょうか。
#229
○宮尾政府委員 当時の状況といたしましては、国家公務員について定年制法案を提出するという状況にはございませんでした。現在でも三千余ある団体の中で、当時退職管理がまあうまくいっているところと、非常に困っているところというあれがあったわけでございます。そこで、国では国家公務員法を改正すれば直ちに定年制がとり得る状況にありますが、地方公務員については一律に導入する場合は別といたしまして、当時の法案の考え方としては、法律で地方公共団体が必要に応じて定年制度を導入できる仕組みをつくることにいたしまして、具体的に当該団体が定年制に関する条例を設けるかどうかはその団体が判断をして決める、その場合には当然、国家公務員については法律ということになるが、地方公共団体の場合は条例ということで、地方議会における判断でそういう制度づくりができる仕組みをつくろうとしたのが当時の法案でございます。
 今回の法案がそういう制度をとっていないのは、国家公務員について定年制度が設けられますので、そうなれば同じ公務員といたしまして、地方公務員についてもすべて定年制度を設けることがバランスから見ても当然のことでありますので、そういう一律導入という仕組みを今回の法案はとっているわけでございます。
#230
○岩佐委員 また、定年年齢についても当時の野田大臣は、地方公共団体で条例をつくるような場合、ことに年齢の問題は、先般五十七とか五十八とかいうことを指導するということを言っておりますが、私は必ずしもそういう指導は必要ないと思うのです、これはやはり地方公共団体の自主判断に任せなければならない、何も五十七とか五十八とか決める必要はない、そういうところに今度の法案のねらいがあるのではないか、政府で大体五十七とか五十八とか決めてこの法案に盛り込むなんということがあれば大きな問題です、地方自治の内容はおのおの違います、こう答弁をされておるわけです。
 これは明らかに、前回の法案は定年制導入に道を開いてはいるけれども、地方自治をかなり大幅に尊重していたものだというふうに思いますし、そこにねらいがあるとさえ言っているわけです。今回の法案では、この地方自治の精神というものはどういう形でどう生かされているのですか。
#231
○宮尾政府委員 定年制度というものは、公務員についての身分保障を前提にいたしまして、一定の年齢が来たならば当然その身分保障が切れて退職をする、こういう仕組みであります。したがいまして、国家公務員にも定年制度が設けられるという中で、同じ公務員についての定年制度でありますから、できるだけ同じ扱いにしていくことが、公務員の身分保障という考え方から見た場合に必要である、こういう考え方に立ちまして、国家公務員について定められている定年を基準として定年年齢を定める、こういうふうにいたしておるわけでございます。
 ただ、その定め方につきましては、当然地方団体におきましてもいろいろな形態の地方団体がありますし、職員についても国家公務員と全く同じ状況にあるということではありませんので、そういう事情等も考慮をいたしまして定める形といたしましては、国家公務員に定められている定年を基準として地方団体の条例で定めていただく、そういうことによりまして地方自治の考え方にも沿った制度の仕組みを考えておるわけでございます。
#232
○岩佐委員 しかし、前回までは、その条例を制定しようと制定しまいと選択制であったし、また年齢についても選択の幅があったわけですね。それが今回は全く一律になる、そういうことになっているわけです。この点は非常に問題だと思います。
 さらに、前回の法案の審議では、定年制に関します条例は、その性質上から、地方公共団体の長が議会に提案することが常例である、長が定年制に関します条例案を作成するに当たりましては、当然職員の意向を聞くことでもありますし、職員団体との交渉の対象にもなるもの、このように私どもは考えております、したがって、その際に職員の希望は十分に反映されるもの、そういうふうに私どもは考えておりますと当時の政務次官が答弁をしておられます。この点については、今回の法案では一体どういうふうに担保をされているのか、その点について明確な答弁を伺いたいと思います。
#233
○宮尾政府委員 四十三年当時の法律というものは、地方公務員法に地方団体が定年制条例を設けることができるということを定めて、条例で措置をするのは地方団体のそれぞれの自主性に任せる、こういうことにしておるわけでございます。したがいまして、そういう形で要するに分限としての定年制度を導入していく、こういうことでありますから、条例をつくる場合には、これは勤務条件という面もありますので、その限りにおいて地方団体においてその職員団体との交渉というようなことを行うことができるのは当然であります。
 今回の法律は、先ほどからたびたび申し上げますように、国家公務員、地方公務員を通じて同じ定年制の導入をいたしたい、こういう私どもの考え方から、定年制の導入については、国会で御審議を願う法律の中に書き込んであるわけでございます。したがいまして、地方団体で国が定める法律についていろいろな労使間の交渉をやることは当然できませんし、そうすることは全く考えていないわけですが、定年年齢については地方団体が先ほど申し上げましたような考え方に立って条例で決めるわけですから、条例を制定する過程で職員団体との交渉を行う余地はある、そういう考え方に立っているわけであります。
#234
○岩佐委員 どれだけの年齢の交渉の余地があるというのですか。それから地方の人事委員会の意見、これはどういうふうに反映されるのでしょうか。
#235
○宮尾政府委員 どれだけの余地があるかということでございますが、先ほど来申し上げておりますように国家公務員の定年年齢を基準として条例で定める、法律でそういう規定を置くわけでございますから、そこで定年年齢を定めるに当たって特にいろいろと議論が出てまいりますのは、どうしても基準によってということが、特殊な、特別な、合理的な理由がない限り、国家公務員の定年年齢そのものによって定めていただく、こういう考え方に立っておりますので、それによれないような定年年齢の特例を設けるようなケースというものが恐らくいろいろな議論の対象になろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#236
○岩佐委員 答弁を伺っていても、非常にわかりにくいわけです。年齢について基準にかなり縛られている。しかも特別な例といっても、かなり国の横並びといいますか、そういう点で縛られている。これでは自治権が守れるとは言い切れない、そういうおそれを非常に抱いているわけです。そうした点では、私は、今回の案とこれまでの自治省の考え方というのが基本的な点で違ってきているのではないか、そう思います。
 これまで述べてきましたように、今回の定年制法案は公務員労働者に何の代償も与えない一方的な身分制限、つまり首になる、六十歳になったらそこでやめさせられる、そういう問題であります。しかも、地方自治の点から言っても、これまでの法案より大幅に後退したものとなっていると言わざるを得ません。この点について大臣がどう考えておられるか、御意見を伺いたいと思います。
#237
○宮尾政府委員 ただいまの御質問は、今回の法案は身分保障の後退ではないか、こういう御指摘でございますけれども、定年制度につきましては民間においても九七・五%の企業がすでに採用しておる、こういうものでございます。そういう中で現在定年年齢を延長して中高年者の雇用対策を考えていこう、こういうことが政府の指導として実施されておるわけです。
 公務員につきましても、もちろん身分保障という考え方に立って、公務員が安心して生活できるような状況にしていくことが必要でありますけれども、他面やはり公務というものは能率的かつ簡素、効率的な執行というものがなされなければならない、そして、それがまた国民の要請であるということも当然でございますから、そういう意味で、今回そういった実態を十分踏まえながら公務員についても定年制度を設ける、こういうことは決して身分保障について大きく後退をしておるということにはならないというふうに考えておるわけでございます。
 なお、地方自治の本旨という面から見ていろいろ従来の法案より後退しているんではないか、こういうことでありますが、従来の法律がつくられた当時の状況というものと現在の社会事情というものとは、非常に大きく変わっているというふうに思います。そういう中で、たびたび申し上げますように、国家公務員について当時は定年制法案というのは考えられていなかったわけですけれども、今回は定年制度が国家公務員についても設けられよう、こういう状況になっておるわけでございます。したがいまして、そういうことに伴う所要の法律の構成の仕方というものについて先ほど申し上げましたような仕組みをとっておることは、決して地方自治という観点から見て後退をしておるんだというふうに言う必要は私はないと考えておる次第でございます。
#238
○安孫子国務大臣 ただいま公務員部長から申し上げたとおり、これが私の意見でございます。
#239
○岩佐委員 いまの大臣の答弁はちょっと、大変大事な論議ですので、もう少し大臣自身のきちんとした考え方を伺いたいというふうに思うわけでございます。
 大臣はしばしば、六十歳定年は民間の定年制を先導するものであって、公務員の身分保障とともに人生設計にも大いにプラスになると言われていますけれども、それはどういう理由から言われているのでしょうか、御意見を伺いたいと思います。
#240
○安孫子国務大臣 私は、公務員の六十歳定年はリードする、何か先導的な役割りを果たすんだということをそう申し上げておるような記憶はないのでございまするが、それはさておきまして、やはり今後の高齢化社会を考えますと、そしてまた民間においても大体六十歳定年というものが大勢を占めておる現在におきましては、地方公務員について、国家公務員もそうでございまするが、定年制をしくとするならばその辺がやはり妥当なところだろう、こういう考え方をいたしておるのでございます。
#241
○岩佐委員 そうすると、六十歳というのは民間をリードするとかいうことではなくて、妥当な線であるからという理解でよろしいわけですね。何か自治省の説明だと、よく民間をリードしているんだというようなことを言っているわけですけれども、その点はそういうことではなくて、妥当だということで言われているわけですね。
#242
○宮尾政府委員 そのように理解をしていただいて結構でございます。
#243
○岩佐委員 自治労の実態調査報告によりますと、勧奨退職時に年金受給資格を満たさない者が一七・九%もいます。しかもこの人たちのうち、退職時からあと何年で受給資格が生まれるかという問いに対して、あと六年以上が最も多く三〇%になっています。このような実態から見て、定年制施行時には年金受給資格に達しない者が相当出ると予想されますけれども、その人数、割合についてはどういうふうに見込んでおられるのか、また、この人たちに対する対策をどう考えておられるのか、具体的に伺いたいと思います。時間がありませんので手短にお願いします。
#244
○宮尾政府委員 これは、確たる資料に基づいた数字というものはなかなかつかまえにくいわけでございますが、昭和五十四年の財源再計算のときの資料によりまして、地方公務員の共済組合員の全体について推計をしてみますと、全体の約二・一%程度に当たる職員がいわゆる共済年金の受給資格年限を有しない、こういう状況があるように考えられております。
 ただ、これらの人たちはもちろん皆年金制度のもとにおきまして、通算退職年金によって年金受給資格を得られるという人が大部分であろうというふうに考えられますので、現実問題としてその年金の受給資格がない方は非常に限られた数になるであろう。しかし、そこは個別の調査をしないとわかりませんので、具体的な数字を申し上げる状況にはありません。
 そこで、しかし数が少ない、ごく限られるにいたしましても、無年金者があり得るということは想定されますので、それらの方々の問題につきましては、これは国家公務員の場合とも共通問題でありますから、年金制度の問題といたしまして、厚生年金等民間における特例措置等を参酌しながら、その範囲内で適切な対処を検討してまいりたいというふうに考えております。
#245
○岩佐委員 時間もありませんので、最後に大臣にきちんと伺いたいと思いますけれども、先ほどから私の質問をしてきたことは、一つは、やはり今回の法案というのは公務員労働者にとって一方的な身分制限である。それから地方自治の点から言っても、これまでの法案の考え方、それは条件が変わったとか、国家公務員の定年制がなかったから、今度は一緒だからというようなことでは、地方自治の問題というのは片づけられない、そういう性質だというふうに私は思います。
 そういう変化がある中で、今回の問題というのは、この委員会にとっても非常に重大な問題であるというふうにとらえなければならないというふうに私は思っているわけですけれども、大臣のきちんとした考え方を伺いたいと思います。
#246
○安孫子国務大臣 定年制の問題が地方公務員にとりまして、年齢によって一つの職場の制限になるわけですね。しかし、その立場から言うと、現在は恐らく勧奨退職しておるのは大体五十五、五十七、五十八、この辺だろうと思うのです。それが六十でありますから、そう無理のない線じゃないか。
 それからまた、公務員の立場を考える必要があると同時に、われわれといたしましてはやはり地方団体の使命と申しますか、役割りと申しますか、これは住民に対して公的なサービスを誠心誠意を持ってやるという、そういうことも十分に考慮しなければならぬわけでございますが、それが人事の停滞等によりまして機能的にならないということは、これは地区住民にとりまして、公共団体といたしましても申しわけのないことでありますから、その辺はやはり円滑にしなければいかぬのじゃないか。
 しかも、人事の交流あるいは人事の配置というものが勧奨退職という、制度じゃございませんが、勧奨退職というようなことではとても今後はやれぬだろうという予測は非常に濃厚でございまするので、この際やはり定年制をしくことがよかろう、そしてまた国家公務員が定年制をしくということになりました以上、公務員の立場においてその均衡をとる必要もある、こうした事情が絡みまして、今回の法案の御審議をお願いしておる、こういうことでございます。
#247
○岩佐委員 自治省としていままでの考え方、それと今回の考え方が地方自治の観点から言って、いままでは条例の選択ができたわけだし、年齢の選択ができたわけだし、そういう点から見て、今回のはそういう選択の幅がないものを受け入れるということについて、一体どうなのかということを伺っているわけです。
#248
○安孫子国務大臣 前の場合には選択の幅がありましたけれども、国家公務員が定年制を六十ということでやる、こういう情勢の変化がございます。そういたしますと、地方公務員につきましてもその関係におきまして、やはりこの際、きちんと六十歳の定年制をしくという方針の方が妥当だろう、私はこう考えて御審議を願っておるわけでございます。
#249
○岩佐委員 いつまでたってもどうも平行線で、私はそれは納得がいかないのですけれども、あともう一人三谷議員の質問も残っておりますので、私はこれで終わります。
#250
○左藤委員長 田島衞君。
#251
○田島委員 いま議題となっております地方公務員法の一部改正、つまり内容は地方公務員にも定年制を設けよう、このことについては地方制度調査会や政府関係の調査機関等でもいろいろの答申が出ておるだろうと思いますが、それぞれその定年制度が必要であるとの答申がされているということであります。
 それとあわせて地方公共団体からも、定年制度実施についての要望が出されておると思いますが、この地方制度調査会や政府関係の調査機関、そしてまた地方公共団体からの定年制度実施についての要望、それぞれの理由づけの中で共通するところのものはどんなところか、それからもしこれはそれぞればらばらという、その特徴のある違った点があれば、それはどういうところか、その点少し説明してみてもらいたいと思います。
#252
○宮尾政府委員 各地方公共団体から定年制実施の要望が、これまでも非常に数多くなされているわけでございます。それらの地方団体が定年制を要望しておる理由と、それから地方制度調査会がたびたびの調査会において定年制度の必要ありということで答申をしておる理由との関係についてでございますが、これはおおむね考え方は同じであるというふうに考えております。
 その考え方はどういったところにあるかということでございますが、たとえば地方制度調査会では昭和二十八年の答申を初めとしまして、六回にわたって定年制度を実施をする必要がある、こういう答申をいたしております。それからもちろんこの地方制度調査会以外にも、昭和三十年十一月十五日に行われました公務員制度調査会の答申、昭和三十九年九月二十九日に行われました臨時行政調査会の答申、四十年十月十二日に行われた地方公営企業制度調査会の答申、こういったものがあるわけでございます。
 そこで、これらの答申等が共通しております定年制度が必要であるという理由は、現在行われております退職勧奨の制度の効果については当然限界がある、したがいまして地方団体によりましては必ずしも十分機能してない、こういう面もありますし、また将来におきまして高齢化が進むにつれて、この勧奨退職の機能というものが効果が薄れてくるのではないかということもありますので、勧奨退職という制度では基本的に適正な退職管理を行い、新陳代謝を促進していくということは十分できないおそれがある、こういうことから定年制度を導入する必要がある、こういう考え方に立っておるわけでございます。
#253
○田島委員 大体それでわかりますけれども、できれば部長そのものがもう少し明確につかんでほしい、これは希望であります。
 次に第二点として、この「法律案の概要」の中で、ただし書き規定で決めておる特例措置が三点ぐらいに分けられると思うのです。特殊な職、欠員補充が困難な職、それから公務の運営に著しい支障を生ずると認められる場合、それから再任用を特に必要とする場合、こういうただし書き規定が三つに分けられているわけですけれども、そのうちの一つは「条例で別の定めをすることができる」、それからあとの二つは任命権着がこれを決めることができる、こういうことになっているのですけれども、この三つのただし書きに基づく特例措置をとられようとする対象というのはそれぞれ違うのか、どこがどう違うのか。
 その三つについて具体的に、たとえばこういうもの、こういうもの、こういうもの――特殊な職、欠員補充が困難な職、二つ目に公務の運営に著しい支障を生ずると認められる場合、三つ目が再任用を特に必要とする場合。われわれが抽象的な文句で見たり聞いたりする限りにおいては、どこがどう違うのかな、こう思うのですけれども、それぞれに分けた理由があるはずだと思うのです。どういう点が具体的に違うのか、ちょっと説明してください。
#254
○宮尾政府委員 まず二十八条の二の第三項で「その職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより国の職員につき定められている定年を基準として定めることが実情に即さないと認められるとき」、この定めでありますが、ここの考え方は、その前の二項にありますように地方公務員の定年は国家公務員について定められている定年をまず基準としまして、特別な理由がない限りは原則としてそれと同じ考え方に立って定める、こういうことを基本にしておるわけでございます。
 それで具体的には、国家公務員法では原則定年は六十年ということが一つ、それからさらに特殊な場合として医師、歯科医師等について六十五歳、それから庁舎の監視その他庁務等に従事する職員、いわゆる労務職員でございますが、こういう人たちについて六十三歳、さらにもう一つの特例は、これはそれ以外に職務と責任に特殊性があること、または欠員の補充が困難であるということによって必要があるとして人事院規則で定めた職種については、六十歳から六十五歳の範囲内で人事院規則で具体的に決めるというこの第三の特例、これらの事項を基準として地方団体はまず条例でその定年を定めていただくわけでございます。
 ところが、そういう国の基準をそのまま持ってきてもうまく妥当しないというケースが、地方団体によってはあり得るわけでございます。たとえば僻地でありまして、どうしてもお医者さんというものが確保できないような離島、孤島というようなものがあった場合に、国が定める医師についての定年年齢というものではうまくいかない、こういうようなケースがあるとすれば、これはこの二十八条の二の第三項でさらに特例定年を設けることもできる、こういうふうにいたしておるわけです。
 ただこれは、そういうように非常に限定されたケースでありますけれども、孤島、離島でお医者さんが退職してしまうと、後補充がきかないというような非常に特殊なケースについて、そういう必要性から例外的な措置を講ずることができる、こういうふうにしております。
 ただここに、この場合にもこの法律に書いてありますように、無限定にやっていいということではありませんで、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮を払って決めていただきたい、こういうことにいたしておるわけです。ですから、これはあくまでも定年年齢の特例であります。
 それから第二番目に挙げられました、その二十八条の三の「定年による退職の特例」の中でのいろいろな定めでございますが、これはそこに定めております「その職員の職務の特殊性」というものにつきましては、これは余人をもってかえがたいような、たとえば非常に特殊な技能、知識を持っておられる職員、こういう人で、その人が退職されてしまえば後そういう人が見つからないというそういう職務の特殊性、余人をもってかえがたいというようなケース、あるいはその次に規定をされておりますが、「職務の遂行上の特別の事情からみて」云々と書いてありますが、これは特定の研究あるいはプロジェクト等に従事をしておって、あとたとえば半年とか十カ月とかその研究を続ければそれが終わる、しかしいま交代してしまうとまた一からやり直していかなければならないという、そういう職務の遂行上の特別の事情がある場合、こういう場合について、その定年年齢が来ても当然退職ということにしないでさらに勤務を継続させていくことができる、こういうのがこの二十八条の三の規定であります。
 それから二十八条の四の「再任用」というのは、ここで考えておりますのは定年退職者、または非常にこれはまれなケースでありますが、勤務延長後の退職者につきまして、その人が持っておる専門的な知識、経験等を生かすことが公務の運営上非常にベターである、どうしてもそういうことをしたい、こういう役所側の必要性があるときに、そういう退職者を一たん退職した後再任用という形で新規採用することができる、こういう制度を開こうというふうにしておるわけでございます。
 やや複雑なことを抽象的な言葉で書いてありますので、わかりにくい点があろうかと思いますが、そういうことを想定しておるわけであります。
#255
○田島委員 いまの御説明の点がわかるだけに、たとえば特殊な技能の持ち主、したがってその人がいないと公務の運営に大変支障を生ずる、だけれども、それは第一の定年年齢の特例として考えた特殊な職と違うのかどうなのか。両方とも特殊な職だと思うのですね。片っ方は定年年齢で考え、片っ方は退職の再雇用等の、あるいは延長等の特例で考える。そこらのところがちょっと、何でそっちはこうしてこっちはこうなるのかよくわからぬし、それから最後の専門的な知識の持ち主で大変貴重だ、そういう場合には再任用。再任用しなくたって、その場合定年年齢をちゃんと初めから書いたっていいんじゃないか。つまりは、その時点で特殊な知識を持っていて貴重な存在だ、この人を失うことはやはり行政執行上大変マイナスだ、わかっていればその人については初めから定年年齢の特例としてちゃんと考えたっていいはず。
 だから、どういうことかという違いが聞きたいというよりは、なぜそういうふうに分けなければならなかったのかということが聞きたいわけですけれども、時間がないから、うんと短くもしわかるような説明をしてもらえるなら説明してください。
#256
○宮尾政府委員 定年の特例を定めるということは条例で書くわけですから、一般的に条例をつくる時点で、たとえば離島のお医者さんについて国が定めておる六十五歳ではぐあいが悪いという場合に、たとえば六十七歳とかというような定年の年齢の特例を設けることはここでできるわけです。しかし、それは条例に書き込むわけですから、そういうことで一定期間そのままで動く。ところが六十七歳にもなったけれども、そこで後のお医者さんが見つかると思っていたところが、現実問題として見つからなかったということになりますと、お医者さんがいない診療所では役に立ちませんから、どうしても後任者を見つけるまで何とかその勤務をつなげていかなければならぬ。その場合にその職員の職務の特殊性ということで、必要がある場合に勤務延長ができる、そういうところでこの二十八条の三が必要だ、こういうことでございます。
#257
○田島委員 一応わかるような気もするけれども、その場合でも、たとえば一応退職の手続をとりますけれども、直ちにすぐ再任用の手続をとりますからよろしくと言っておけば、それだって済むことでしょう。相手のお医者さんがえこじで、一応退職ということになったんだから再任用すると言ったって、おれはいやだよと言うかもしれないけれども、相手方に了解を取りつければ、どっちにしてもそう変わりはないんじゃないかと思うんだけれども、どうですか。
#258
○宮尾政府委員 いまのお医者さんの例のような場合には、再任用ということはほとんどないと思うのです。むしろ勤務の延長、二十八条の三の「定年による退職の特例」。そこでそういうことでありますので、お医者さんの場合にはそのまま同じ処遇で勤務をしてもらう、後の人が見つかるまで勤務をしてもらう、こういう必要があります。再任用の場合にはそういうケースではありませんで、一般的にたとえば経済に詳しい人とかあるいは土地問題に非常に堪能な人というような人が退職をした。その土地問題について非常に堪能な人を何らかの用地買収の専門家で再雇用するということがベターな場合、そういう場合にはこの二十八条の四の再任用でいく、こういうようなことになろうかと思います。
#259
○田島委員 さて、そこでそういう特例措置の決め方、年齢制限あるいは退職、一応退職措置をとりながら延期措置、再任用の措置、そういう個々の職種、性格に応じてとられることは大変妥当な措置だと思いますけれども、そういう物の考え方からすれば、たとえば地方公務員の中にも知能労働者もおれば筋肉労働者もおる。筋肉労働者の場合は明らかに一定の年齢で違いが出てくる。けれども知能労働者の場合は、先ほども冗談半分に大臣の定年どうだなんて話も出ましたけれども、六十歳なんていったらまさにもう成熟して一番使えるときかもしれない。
 そこらの点を考えてみると、ただどっちもこっちもひっくるめて何歳というところと、ある部分的にはこういうふうに特例を設けて気を使っているのと、何かまだ少し生煮えな感じがしないでもない。一つの例を挙げて、統計関係に大変ベテランの職員、これはなかなか見つからぬし、なかなかでき上がりませんよ。けれども、そういうのはこの中に入っていないでしょう。いま挙げた三つの中には入っておらぬでしょう。統計関係の職員、ベテランの職員。どうですか。
#260
○宮尾政府委員 統計関係の職員についてどう扱うかということは、これは地方にも統計がありますし、国にも統計事務があるわけでございます。したがって、国家公務員の統計職員についてそういう必要性があるかないかということ、その取り扱いをどうするかということについては、私どもまだ明確に聞いておりませんが、恐らくそういう特例の扱いをしようという考え方はないように承っております。国の扱いが何らかの形で出てきた場合に、これは地方公務員についてそれを基準として決めるということになりますので、国のそういう取り扱いを今後見てみたいというふうに考えております。
#261
○田島委員 私どもは、原則的にこの法案については賛成の立場をとっておるわけですけれども、その賛成の立場をとっておるというのは必ずしも政府側の考え方とは一致しないかもしれない。だからこそ、いまのような議論も出てくるわけですけれども、定年制というものを持つということの前提で過ちなきを期し、不公正なきを期するとすると、いまあるところの特例程度の考え方では非常に不公正が生まれる可能性があると思いますよ。
 たとえばさっき言ったように、大きく分けたって頭脳労働者と筋肉労働者では全然違います。それからまた同じ頭脳労働者でも、その職種、その専門専門によっては、ちょうどそこらが一番いいところという場合もあるし、もっと若くたって使い物にならなくなっちゃっているところもあるでしょうし、いろいろある。だからと言って、この網の目のどこも水が漏れないようにと初めから注文をつけたってそれは無理だと思うことと、本来私どもがこの法案を目の前に置いて考えているのは、行革の一環として考えておるわけですよ。だから基本的に賛成しているわけです。これは、行革と関係なしに出てきたらあるいはどうなるかわからないくらい、まだ相当ラフなものだと言わざるを得ないと思うのです。
 そこで、時間がないからその本論の方へいって、本法を施行することによって求められると――推定ですよ、これは推定でなければどうしようもないのだけれども、推定される行政改革の実というのはどんなものなのか、もし何か聞かしてもらえるなら聞かしてもらいたい。
#262
○宮尾政府委員 定年制度を設けることによって、たとえば短期、長期というような面から見て財政的にどうか、こういうことは非常にむずかしい話でありまして、予測をすることが困難であろうというふうに考えております。
 ただ、定年制度を実施することの主たる目的は、新陳代謝を促進をしまして、公務の能率的な運営というものを確保できるようにという考え方に立っているわけでございまして、これから行政改革におきましても、少数精鋭主義によりまして効率的な行政をやっていくことが求められている中で、職員の新陳代謝が促進され、組織の活力というものが出てくれば、これはそういう金目ではかれない非常に大きな効果である、こういうふうに考えるわけでございます。
#263
○田島委員 いまも申し上げたとおり、いわゆる定年制というものの妥当性だけを論ずるとしたら、私ら議論が全然違ってくると思うのですよ。ところが、そうじゃなくて、行政改革の一環として公務員の制度の中でもこのような措置をとるべきものはやはりとらなければいかぬだろう、それからこれは私どもだけかもしれぬけれども、立法府そのものだってみずからメスを入れなければならぬところは入れなければならぬだろう、そういう立場で考えておるから、頭からこれについて一応協力しているのですよ。
 それだけに、もしこれこれこうこうだったらそれなりの成果が上がるかもしれませんなんという程度だと、まことにもって心細い話で、絶対にこういう成果が上がるはずだと確信をしておりますくらいの答弁を聞かないと、賛成していいのか反対していいのかわからなくなってくるのです。
 もう一回ひとつ……。
#264
○宮尾政府委員 先ほど申し上げましたことは、この定年制度を実現することによりまして、職員の新陳代謝というものを促進をし、公務組織というものに活力を与えまして、少数精鋭主義によっても十分行政サービスの効果の実を上げる、効率的な行政運営というものを確保することができるということを確信をいたしまして、御提案申し上げておる次第でございます。
#265
○田島委員 どんなに、客観的に正しいと考えられる法律案でも、その対象となりそれによって何らかの損害をこうむる立場の者にとってみると、なかなか大変なことだろうと思います。それだけに、その人たちにも納得をさせるような大義名分というものはよほどしっかりと立てていかなければいけないと思うのですけれども、最後に、大臣からひとつ御決意のほどを承って、終わりたいと思います。
#266
○安孫子国務大臣 今回の改正法案は、いままでのいろいろな経過がございましたが、時あたかも行革の問題もあるわけでございまして、今後は地方団体といたしましては、一段と引き締めて効率的な運営を図っていくことが何よりも大切なことだと思っております。
 この点については、行革等におきましてもいろいろ論議をされておるところでございますが、この際、この法案を通過させていただきまして定年制をしいて、いま部長からも言いましたが、少数精鋭主義でもって真剣にこれをやっていくという体制ができますれば、非常なプラスであろうと存じまするし、またこの法案の成立の暁、各地方団体の長あるいは地方議会の関係者は、この趣旨を十分に体得いたしまして、その誤りなき運営を期していただかなければならぬ、こう考えております。
#267
○田島委員 ありがとうございました。終わります。
#268
○左藤委員長 次回は、来る十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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