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1980/04/23 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 内閣委員会 第9号
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1980/04/23 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 内閣委員会 第9号

#1
第094回国会 内閣委員会 第9号
昭和五十六年四月二十三日(木曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 江藤 隆美君
  理事 愛野興一郎君 理事 稻村左近四郎君
   理事 染谷  誠君 理事 塚原 俊平君
   理事 岩垂寿喜男君 理事 上田 卓三君
   理事 鈴切 康雄君 理事 神田  厚君
      有馬 元治君    上草 義輝君
      小渡 三郎君    狩野 明男君
      粕谷  茂君    亀井 善之君
      川崎 二郎君    木野 晴夫君
      田名部匡省君    竹中 修一君
      宮崎 茂一君    上原 康助君
      角屋堅次郎君    矢山 有作君
      渡部 行雄君    市川 雄一君
      小沢 貞孝君    榊  利夫君
      中路 雅弘君    楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      中山 太郎君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 大村 襄治君
 出席政府委員
        人事院総裁   藤井 貞夫君
        人事院事務総局
        任用局長    斧 誠之助君
        人事院事務総局
        給与局長    長橋  進君
        総理府総務副長
        官       佐藤 信二君
        総理府人事局長 山地  進君
        防衛政務次官  山崎  拓君
        防衛庁長官官房
        長       夏目 晴雄君
        防衛庁長官官房
        防衛審議官   西廣 整輝君
        防衛庁防衛局長 塩田  章君
        防衛庁衛生局長 本田  正君
        防衛施設庁次長 多田 欣二君
        労働大臣官房審
        議官      松井 達郎君
        自治省行政局公
        務員部長    宮尾  盤君
 委員外の出席者
        内閣委員会調査
        室長      山口  一君
    ―――――――――――――
四月二十二日
 戦後ソ連強制抑留者の恩給加算改定に関する請
 願(上田哲君紹介)(第三三八五号)
 戦後ソ連抑留中の強制労働に対する特別給付金
 支給に関する請願(上田哲君紹介)(第三三八
 六号)
 引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法
 律の一部改正に関する請願(上田哲君紹介)(
 第三三八七号)
 旧勲章叙賜者の名誉回復に関する請願(阿部昭
 吾君紹介)(第三三八八号)
 同(春田重昭君紹介)(第三三八九号)
 同(大内啓伍君紹介)(第三四五七号)
 同(大野明君紹介)(第三四五八号)
 同(加藤紘一君紹介)(第三四五九号)
 同(鹿野道彦君紹介)(第三四六〇号)
 同(木部佳昭君紹介)(第三四六一号)
 同(木村武千代君紹介)(第三四六二号)
 同(堀内光雄君紹介)(第三四六三号)
 同外一件(箕輪登君紹介)(第三四六四号)
 同(保岡興治君紹介)(第三四六五号)
 同(山下徳夫君紹介)(第三四六六号)
 同(湯川宏君紹介)(第三四六七号)
 同(渡辺秀央君紹介)(第三四六八号)
 同(鯨岡兵輔君紹介)(第三五二一号)
 同(中村正雄君紹介)(第三五二二号)
 同(三浦隆君紹介)(第三五二三号)
 外地派遣旧軍属の処遇改善に関する請願(角屋
 堅次郎君紹介)(第三三九〇号)
 旧満州棉花協会等を恩給法による外国特殊機関
 として指定に関する請願(高村正彦君紹介)(
 第三三九一号)
 同(田名部匡省君紹介)(第三五二四号)
 国家公務員の退職金削減、定年制導入反対に関
 する請願(阿部昭吾君紹介)(第三三九二号)
 同(浦井洋君紹介)(第三四二七号)
 同(栗田翠君紹介)(第三四二八号)
 同(榊利夫君紹介)(第三四二九号)
 同(瀬長亀次郎君紹介)(第三四三〇号)
 同(寺前巖君紹介)(第三四三一号)
 同(中路雅弘君紹介)(第三四三二号)
 同(林百郎君紹介)(第三四三三号)
 同(三浦久君紹介)(第三四三四号)
 同(蓑輪幸代君紹介)(第三四三五号)
 同(山原健二郎君紹介)(第三四三六号)
 同(中島武敏君紹介)(第三四七〇号)
 重度重複戦傷病者に対する恩給の不均衡是正に
 関する請願(小沢貞孝君紹介)(第三四二六
 号)
 同(楢崎弥之助君紹介)(第三五二五号)
 旧国際電気通信株式会社の社員期間のある者に
 対する国家公務員等退職手当法施行令改正に関
 する請願(竹下登君紹介)(第三四六九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、第九十三回国会閣法第六号)
 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 第九十三回国会閣法第七号)
 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、第九十三
 回国会閣法第九号)
 行政機構並びにその運営に関する件(有事法制
 研究の中間報告)
     ――――◇―――――
#2
○江藤委員長 これより会議を開きます。
 この際、行政機構並びにその運営に関する件、特に有事法制の研究について大村防衛庁長官から報告を求めます。
#3
○大村国務大臣 有事法制の研究については、かねてから防衛庁において作業を進めてきておりましたが、今回、その中間報告を取りまとめましたので、ここに御報告いたします。
 有事法制の研究は、昭和五十三年九月二十一日の見解で示しておりますように、有事に際しての自衛隊の任務遂行の円滑を図るという観点から、法制上の問題点の整理を目的とするものですが、研究の対象が広範であり、また、防衛庁以外の省庁等の所管にかかわる検討事項も多く、検討の結果を得るには相当長期間を要するものと考えております。
 したがいまして、今回御報告いたしますのは、現在までの研究の状況と中間的にまとめた問題点の概要であることをお断りいたします。
 まず、研究の状況でございますが、有事法制の研究で対象とする法令につきましては、防衛庁所管の法令、他省庁所管の法令、それに所管省庁が明確でない事項に関する法令に区別いたしまして、このうち防衛庁所管の法令を優先的に検討するということで作業を進めてまいりました。
 次に、問題点の概要でございますが、これには第一に現行法令に基づく法令が未制定であるという問題があり、有事の際の物資の収用、土地の使用等について規定する自衛隊法第百三条の規定に基づく政令、それに有事における職員の給与の特別の措置について防衛庁職員給与法第三十条の規定に基づく法律が未制定ですので、これについて検討をいたしております。このうち自衛隊法第百三条の規定に基づく政令につきましては、それに盛り込むべき内容についてほぼまとまっております。
 第二に、現行規定の補備の問題があります。自衛隊法第百三条には、処分の相手方の居所が不明の場合の措置、土地を使用するに際して工作物を撤去することについて規定されておらず、また、同条の物資の保管命令に従わない者に対する罰則規定がございません。自衛隊法第九十五条は武器等の防護を規定しておりますが、これにはレーダーや通信器材等が規定されておりません。これらについて補備する必要があると考えております。なお、罰則につきましては、その必要性、有効性等につき慎重な検討が必要と考えております。
 第三に、現行規定の適用時期の問題があります。自衛隊法第百三条による土地使用の時期、同法第二十二条による特別の部隊の編成等の時期、同法第七十条の予備自衛官の招集時期につきましては、いずれも現在よりその適用時期を早める必要があると考えております。
 第四に、新たな規定の追加の問題があります。部隊が緊急に移動する場合に土地等を通行し得る規定、防衛出動待機命令下にある部隊が侵害を受けた場合に部隊の要員を防護し得る規定、これらを追加することが必要と考えております。
 以上、現在までの研究の状況と問題点の概要について御説明いたしましたが、今後の有事法制の研究につきましては、今回まとめた内容にさらに検討を加えるとともに、未検討のものについて検討を進めていくことを予定しております。
 また、今回取り上げた問題点の今後の取り扱いについては、有事法制の研究とは別に防衛庁において検討するとともに、関係省庁等との調整を経て最終的に決定を行うこととなるものと考えております。
 なお、御参考までに、御報告した内容について整理したものをお配りしてあります。
 以上、有事法制の研究についての中間報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。
#4
○江藤委員長 以上で報告は終わりました。
     ――――◇―――――
#5
○江藤委員長 内閣提出、第九十三回国会閣法第六号、国家公務員法の一部を改正する法律案、内閣提出、第九十二回国会閣法第七号、自衛隊法の一部を改正する法律案及び内閣提出、第九十三回国会閣法第九号、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 趣旨の説明を求めます。中山総理府総務長官。
#6
○中山国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員法の一部を改正する法律案及び国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 初めに国家公務員法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 国家公務員については、大学教員、検察官等一部のものを除いて、現在、定年制度は設けられていないわけでありますが、近年、高齢化社会を迎え、公務部内におきましても職員の高齢化が進行しつつあります。したがって、職員の新陳代謝を確保し、長期的展望に立った計画的かつ安定的な人事管理を推進するため、適切な退職管理制度を整備することが必要となってきております。このため、政府は、昭和五十二年十二月に国家公務員の定年制度の導入を閣議決定し、政府部内において準備検討を進める一方、この問題が職員の分限に係るものであることにかんがみ、人事院に対し、その見解を求めたのであります。人事院の見解は、一昨年八月、人事院総裁から総理府総務長官あての書簡をもって示されましたが、その趣旨は、より能率的な公務の運営を確保するため定年制度を導入することば意義があることであり、原則として定年を六十歳とし、おおむね五年後に実施することが適当であるというものでありました。
 政府といたしましては、この人事院見解を基本としつつ、関係省庁間で鋭意検討を進めてまいったわけでありますが、このたび、国における行政の一癖の能率的運営を図るべく、国家公務員法の一部改正により国家公務員の定年制度を設けることとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 改正の第一は、職員は定年に達した日から会計年度の末日までの間において任命権者の定める日に退職することとし、その定年は六十歳とするというものであります。ただし、特殊な官職や欠員補充が困難な官職を占める職員につきましては、六十五歳を限度として、別に特例定年を設けることとしております。
 改正の第二は、定年による退職の特例であります。これは、任命権者は職員が定年により退職することが公務の運営に著しい支障を生ずると認める場合には、通算三年を限度とし、一年以内の期限を定めてその職員の勤務を延長することができるというものであります。
 改正の第三は、定年による退職者の再任用であります。これは、任命権者は定年により退職した者を任用することが公務の能率的な運営を確保するため特に必要がある場合には、定年退職の日の翌日から起算して三年を限度とし、一年以内の任期でその者を再び採用することができるというものであります。
 改正の第四は、内閣総理大臣は定年に関する事務の適正な運営を確保するため必要な調整等を行うというものであります。
 改正の第五は、国の経営する企業に勤務する職員の定年制度であります。これらの職員については、原則定年六十歳を法定し、特例定年の対象の範囲、勤務の延長の基準等は当該企業の主務大臣等が定めることとしております。
 改正の第六は、以上の改正に伴う経過措置等であります。すなわち、任命権者、人事院及び内閣総理大臣は、この法律が施行されるまでの間、定年制度の円滑な実施を確保するため所要の準備を行うものとすること、この法律の施行の日の前日までにすでに定年を超えている職員は、施行の日をもって退職するものとすること、ただし、これらの職員についても、定年による退職者の例に準じて、勤務の延長及び再任用の措置をとることができるものとすること等であります。
 以上の改正は、昭和六十年三月三十一日から施行するものとし、円滑な実施のための準備に関する規定は、この法律の公布の日から施行することとしております。
 続きまして、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 国家公務員等の退職手当につきましては、民間における退職金の実情にかんがみ、これを是正する必要があると認められますので、政府としては、このたび、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律について、所要の改正を行おうとするものであります。
 次に、法律案の内容についてその概要を御説明申し上げます。
 第一に、職員が二十年以上三十五年以下の期間勤続し、勧奨等により退職した場合に法第三条から第五条までの規定により計算した額に百分の百二十を乗じて得た額の退職手当を支給するものとしていたのを、百分の百十を乗じて得た額を支給することに改めることといたしております。
 第二に、職員が退職した場合に支給する退職手当の基準については、今後の民間事業における退職金の支給の実情、公務員に関する制度及びその運用の状況その他の事情を勘案して総合的に再検討を行い、その結果必要があると認められる場合には、昭和六十年度までに所要の措置を講ずるものとすることといたしております。
 以上のほか、附則において、この法律の施行期日及び経過措置について規定しております。
 以上が国家公務員法の一部を改正する法律案及び国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#7
○江藤委員長 次に、大村防衛庁長官。
#8
○大村国務大臣 自衛隊法の一部を改正する法律案の提案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。
 自衛官については、現在、自衛隊法において停年制度が設けられておりますが、自衛官以外の隊員については、その制度がなく、一般職の国家公務員と同様の退職管理を行っているところであります。
 このたび、一般職の国家公務員について、国家公務員法の一部改正により定年制度が設けられることに準じて、これと同様の理由から、自衛官以外の隊員についても、自衛隊法の一部改正により定年制度を設けることとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明いたします。
 第一は、自衛官以外の隊員は、定年に達した日以後における最初の三月三十一日または防衛庁長官のあらかじめ指定する日のいずれか早い日に退職することとし、その定年は六十歳とするものであります。ただし、これらの隊員が特殊な職や欠員補充が困難な職を占める場合には、六十五歳を限度として、別に特例定年を設けることとしております。
 第二は、定年による退職の特例であります。これは、任命権者は自衛官以外の隊員が定年により退職することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認める場合には、通算三年を限度とし、一年以内の期限を定めて当該隊員の勤務を延長することができるとするものであります。
 第三は、定年による退職者の再任用であります。これは、任命権者は定年により退職した者を任用することが公務の能率的な運営を確保するため特に必要があると認める場合には、定年退職の日の翌日から起算して三年を限度とし、一年以内の任期でその者を再び採用することができるとするものであります。
 第四は、以上の改正に伴う経過措置等であります。すなわち、防衛庁長官は、この法律が施行されるまでの間、定年制度の円滑な実施を確保するため所要の準備を行うものとすること、この法律の施行の日の前日までにすでに定年を超えている自衛官以外の隊員は、施行の日をもって退職するものとすること、ただし、これらの隊員についても、定年による退職の例に準じて、勤務の延長及び再任用の措置をとることができるものとすること等であります。
 以上の改正は、昭和六十年三月三十一日から施行するものとし、円滑な実施のための準備に関する規定は、この法律の公布の日から施行することとしております。
 以上、法律案の提案の理由及び内容の概要を御説明いたしましたが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
#9
○江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#10
○江藤委員長 引き続き国家公務員法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案について質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
#11
○岩垂委員 最初にお断りというかお願いをしておきますが、わが党は六人の委員がそれぞれ質問事項を分担をいたしまして、できるだけ質問がダブらぬように配慮して、これから質問をいたしてまいります。その立場で申し上げておきますが、全員の質問を保証するようにぜひ委員長に最初にお願いをしておきたいと思います。
 私は、総論部分について質問に入ってまいりたいと思います。
 定年という言葉は、公務員、民間を問わず労働者にとって暗いイメージしか浮かびません。三十年も四十年も働いてきた人々にとって、それは深刻な生活上の転機だと私は思っておるわけであります。まして昨今のように、高齢化社会と言われている状況のもとで、たとえば老後保障はきわめて不十分、また年金への連動という点でも不確実である、ましていわんや転職のチャンスも条件も大変厳しいということは、もう私から言うまでもないわけでございます。その意味では、私は、働く意思と能力がある限り、年齢で雇用を差別すべきではない、このように思います。特に最近のように六十歳からさらに六十五歳というところまで定年を延ばす動きが社会的になりつつある、一ころと違って寿命も七十を超えるところまで来ている、こういう状態なんですから、私は、今度の定年制法案というのは、そうした時代の動きに逆行するものだというふうに申し上げなければならぬのでございます。
 私は最初に大臣にお願いをしておきたいのですが、あなたがそうした諸先輩に対して、ある意味で一つの人生の区切りを強要することになるわけでございます。社会的な動き、なかんずく六十歳から六十五歳に定年が延びることを目指している状況のもとでこの定年法を出した心境を率直に、社会の動きとの関連でどのようにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをいたしておきたいと思います。
#12
○中山国務大臣 定年制度を公務員制度の中に導入するということに対して、高齢化社会がやってくるというふうな一つの時代の流れ、それに第二の人生を公務員に考えさせることが困難な職種であるという御意見、それに対して私はどのような考え方でこの法律案を提案したか、こういうお尋ねだったと思います。
 御指摘のように、日本は急速な高齢化社会がいまやってきつつございます。この国会の衆参両院の予算委員会の御質疑を伺っておりましても、高齢化社会対策というものが整備されるべきである、こういうふうな御意見が出ておることも私は十分承知をいたしております。御案内のように、いままで公務員制度の中に定年制度というものが存在をしなかった、公務員というものは、主権者である国民への奉仕者である、私どもはいわゆる法律の精神というものを片時も忘れるわけにはいかない。その国民が形成している民間産業においてはどうかと言えば、九七%の企業においては定年制度というものが導入をされている。政府は、新経済社会七カ年計画においては、昭和六十年に民間の企業においても六十歳を定年とするように政策を誘導していくということを国民に明示しております。また世論調査の結果を見ましても、六〇%を超える国民が公務員に定年制度を導入することが好ましい、こういう結果が出ております。
 御案内のように、現在公務員には勧奨制度がございまして、五十五歳を超えた公務員の方々には、それぞれの役所でいわゆる勧奨を行っているということでございますけれども、役所がこれだけ数多くある中では、その勧奨を見ていると、結果的には相当ばらつきがございます。国民に対する奉仕を理念とした公務員全体の勧奨自身にばらつきがある。早く勧奨を受けた者、また勧奨に応じない人たち、こういうものがあっては公務員全体の諸君に整合性が欠けるところがある。こういう観点から、先般閣議では、定年制の導入及びこれについての、公務員の労働基本権の代償機能として今日広く社会に定着をしておる人事院の中立的な見解は尊重されるべきである、政府といたしましては、人事院にその御意見を求めて、人事院の書簡によるこの意見というものは、きわめて重要な意味を持っておる、こういうことで政府といたしましても、今回、六十歳六十年を目指して定年制度を導入するということに踏み切らせていただいて、昨年国会に法案の御審議をお願いし、この国会でも引き続き御審議をいただくようになっておると理解をいたしております。
#13
○岩垂委員 私の申し上げたのは、いま総務長官がお答えになった筋道ではなしに、民間の動向が一つのパロメーターになるというような意味のこともおっしゃいましたが、たとえばいま民間が六十歳を超える状況に対して非常に強い社会的な世論がある、それを超えていく傾向も見られる。だから、民間のそういう社会的な状況に変化があれば、公務員の場合でも謙虚に見直していく、これは問題ないわけですね。
#14
○中山国務大臣 御案内のように、人事院では、公務員の給与等についても、民間の働いている方方の実態を絶えず調査をしております。民間に準拠するということが基本的な考え方であろうと考えております。
#15
○岩垂委員 先ほど言われた勧奨というものがうまくいかないという場合をおもんぱかってと、こう言うのですが、後ほど申し上げますけれども、勧奨というのはきわめて順調に行われています。ほんの一部です。そういう一部を対象にして全体を縛っていく定年制という制度が一体どういうものかという点については、後ほど私は申し上げていきたいと思います。
 また、人事院の書簡でございますが、それ自身はある意味で勧告とは違うわけであります。それを勧告と同じ位置づけで政府が法律を制定する口実にするということの中にも、私は重大な問題意識を持たざるを得ません。
 そのことは、後ほど質問をいたすことにいたしまして、最初に伺いますけれども、今度の定年制法案というのは、どうもこれを読んだだけではすっきりしない、基本的な問題がまだ明確になっていないという感じがいたします。
 その第一点は、定年ということをどういうふうにとらえて提案をなさっておられるのか。つまり定年というものを勤務条件として見ているのか、それとも分限として考えているのか、その点について簡単に御答弁をいただきたいと思います。
#16
○山地政府委員 定年制度は、広く考えますと分限になる。分限というのは意味が非常にむずかしいわけでございますけれども、身分保障というものを前提にいたしまして、身分の変動に関する事柄全般を分限と称しているわけでございます。いま国家公務員法で分限の規定がございますのは、休職とか免職とかそういったことが全般的に入っているわけでございますが、定年制度というものを導入する場合に、これは非常に重大な身分の変動でございます。従来の免職ということは、個々人がどんな理由で免職に当たるかということでございましたけれども、定年制度というのは、この言葉の意味から、その本人の意思にかかわらず全体的に退職ということを決めていくわけでございますから、分限、この身分の変動という意味から言いますと、その根幹といいますか、非常に重大な問題でございます。したがいまして、法律で身分を保障されている公務員に対する身分の変動でございますから、これを法律で決めていくということになるわけでございます。
 ところで、勤務条件とは何かということがまた問題になるわけでございますが、勤務条件というのは、労働を提供する場合に、一般的に考慮に入れて自分の労働を提供し、あるいは継続するということの決意をする場合の考えなければならない事項というのが労働条件だというふうになっているわけでございますが、そういう意味では、定年制がしかれている職場で働くということになれば、それは自分の労働を提供する場合の一つの条件でございますから、これは労働条件にもなるであろう、そういうふうに考えているわけでございます。
#17
○岩垂委員 分限というのは、私から言うまでもございませんけれども、いまあなたがおっしゃったように、身分に対する基本的な事項を決めたものですね。それには、国公法で言えば七十四条で「すべて職員の分限、懲戒及び保障については、公正でなければならない。」というふうに書いてある。あるいは「分限」というところで、法律または人事院規則で定める事由による以外には、その意に反した降任だとか休職とか免職ということをされない、そういう身分保障が七十五条で規定されていますね。さらに「欠格による失職」について七十六条、本人の意思に反する免職を七十八条でそれぞれ明確に規定しているのですよ。そうでしょう。これに定年は入っていないわけです。それを新しく「分限」に加えるというふうに考えてよろしいですか。
#18
○山地政府委員 いま先生がおっしゃった七十五条というのは「職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。」というふうなことが書いてあるわけでございます。そこで「法律」というのはこの法律でございますけれども、この法律を直さなければ定年制は導入できない。身分保障されている。つまりほかのことで定年ということを決めるということはできないということが書いてあるわけです。したがって、この法律で定年というものを導入していく。だから、法律で定年を導入するという前に、定年制度というものを公務員に導入することがいいのか悪いのかという実態の問題がまずあるわけでございます。
 そこで、仮に民間が九七%採用している定年制度を国家公務員に導入するという場合に、どういう方法でやるか。これは身分保障されているわけでございますから、法律以外のことでは国家公務員に定年制を導入できない。したがって、国会でこの法律でそういう定年制度を導入するのがいいかどうかということで御審議いただいている、かように理解しているわけでございます。
#19
○岩垂委員 いままでは定年というのは分限事項の中には含まれていなかった。今度改めて「分限」という中に定年を入れるということですね。その点は確かめていいですね。
#20
○山地政府委員 ただいま提案しておる法案は、「分限」のところに、従来の分限の規定を第一目とし、今度第二目に「定年」ということを入れているわけでございます。
#21
○岩垂委員 それじゃ公務員の身分保障としての分限の制度、あるいは規定を設けられたのはどういうわけですか。
#22
○山地政府委員 国家公務員法というのは、これはもう先生の方がよく御承知のとおり、国家公務員の勤務の特殊性に基づきまして、公務員の労働の条件等を法律をもって規定し、かつその対価として身分保障ということについて書いてあるわけでございます。
#23
○岩垂委員 この制度というのは、公務の遂行の一貫性、継続性、安定性、公正性、政治的中立性などを担保するために必要があるという理由で設けられているわけでしょう。その点は問題ありませんね。
#24
○山地政府委員 おっしゃるとおりだと思います。
#25
○岩垂委員 そうすると、国民生活に重大な関連を持つ公務の遂行が、いま私が言いました、公正、中立にして安定的に一貫してなされるために、それを担う公務員の身分保障というのはきちんとしていなければなりません。それを今度改めて、定年制度というのを導入することによって新しく分限に対して一つの規定を設けるということは、私は五百万公務員労働者の生活にとっては非常に重大な問題だと言わざるを得ませんが、その点についてあなた方はどのようにお考えになっていらっしゃるか。
#26
○山地政府委員 おっしゃるように、身分保障というのが従来この法律の規定でカバーされてきているわけでございます。
 ところで、公務員がいつまで働いたらいいかということに関しましては、従来は規定がなかったわけでございますけれども、今後の行政の能率的な遂行ということを考えた場合、あるいは国民が政府の業務に対してどのように理解しているか、これは国民が理解していただかなければならないわけでございますので、そういった民間の動向あるいは皆さんの世論というものを十分考えましたときに、身分保障ということの範囲の中に、やはり定年制を導入していくことが必要であろう、かように考えているわけでございます。
#27
○岩垂委員 そういたしますと、身分保障としての、職員の意に反しては、法定の事由によらない限り降任とか休職とか免職などがされることはないといういままでの分限、その分限に定年というものが加わることは、今度は労働組合や職員団体との団体交渉の対象にならないというふうに考えますか。
#28
○山地政府委員 いまの御質問は二つあるかと思うのでございます。
 まず一つは、法律に定める事由によらなければこれこれされないと書いてあるわけです。そこで法律をいま変えようとしているわけです。これは国権の最高機関である国会で公務員の身分保障を、ここのところで定年という制度を導入するかどうかという御判断の問題でございますが、仮にそうなった場合に、今度法律に基づく事由と新しくこれが加われば、法律に基づく事由によって定年制度というものが一つの事由になるわけでございます。
 そこで、次は団体協約の締結権の問題になるわけでございますが、国家公務員の非現には団体協約締結権がない。五現の方々には団体協約締結権がある。そこで公労法の規定を見ますと、免職の基準について団体交渉の対象になる、かように書いてあるわけでございます。そこで、基準というのといま先生のおっしゃった事由というのとの違いが一つ問題になるわけであります。私どもは、法律に定める事由によってでなければ意思に反して退職させられない、それから団体交渉の対象になるのは、こういった免職の規定あるいは分限ではございませんけれども、懲戒の基準について団体交渉の対象になるというのが公労法の規定である、かように考えているわけです。したがって、公労法で国家公務員法の適用除外をしている規定というのがあるわけでございますけれども、全体的な分限の規定を全部除外しているわけではございません。したがって、この中の団体協約によってどの程度決めれるかということも一つの法律のつくり方の問題であろうかと思っております。
#29
○岩垂委員 それじゃ現行法のもとでは、退職にかかわる事項というのは勤務条件の一環としてとらえられていますから、これは団体交渉の対象であったということは認めますね。
#30
○山地政府委員 現在の制度においては、退職勧奨ということについては法律の規定ではございません。したがって、これは従来団体交渉をやっておられたということはあろうかと思います。
#31
○岩垂委員 勤務条件の一環として団体交渉であった事項あるいはある事項、これをそうでないものにしてしまおうということは、私は非常に重大な問題だろうと思うのです。これはある意味で公務員制度全体の問題にかかわるわけです。この点は公務員制度の根幹にかかわる問題だというふうにとらえますか。
#32
○山地政府委員 先ほど来議論をしておりますように、この分限、身分保障がある。そこへ定年制度をつくるということにつきましては、大変重要な身分保障を従来してきたものについての重天な変更であろう、私どももかように考えております。
#33
○岩垂委員 それじゃ伺いますけれども、いままでの法律、つまり現行法で定年制というものがなかった理由について御答弁をいただきたいと思うのです。
#34
○山地政府委員 私どもがいろいろ制度を考える場合、われわれの提供している公務の性質あるいは公務の能率というものがうまくいっているかどうかというのが一つの基準でございます。それからもう一つは、国民がそういった公務の提供ということについてどの程度御理解をされておるかということが考えなければいけない理由だと思うわけでございます。
 そういう観点から申し上げますと、従来の退職勧奨制度というのは、これは強制力のあるものではございませんでしたけれども、公務に従事する公務員のグループというのはわりと若年で退職をしていた、その退職は勧奨退職により退職をしていたおかげで公務というものはいつも新陳代謝が進んで、私どもとして見れば活力のある行政サービスというものが提供されていた。また片方では、民間のそういった定年制の導入とかそういうものと相拮抗するものであった。ところが、今後はそういうものが従来のままではいかないのではないか。先ほど来大臣が申し上げたような事由で出したわけでございます。したがって、従来は勧奨退職ということで十分機能をしていたというのは事実だったろうと思います。
#35
○岩垂委員 私はいまの説明では納得できないですね。私は、いまの状況というのが公務員制度の根幹にかかわるものを変更する理由だなどとは思いません、そこは見解の違いかもしれませんが。しかし、現行法制定以来、今日まで変更してこなかった事情を考えてみれば、今日の時点で根本的に変更する理由というのは私は見つからない。あなたのいま挙げた二つの理由だけが定年制の理由だというふうに言うなれば、私は納得できない。その点で、根本的に変更する理由ということがそれで十分かどうか。あなたの方はどのようにお考えになっていらっしゃるか、もう一遍御答弁をいただきたいと思います。
#36
○山地政府委員 先ほど大臣が申し上げました定年制度導入の理由というのは、三つあるわけでございます。
 一つは、公務の能率を高めていくために、組織というものは新陳代謝をして活力のあるものにしなければならない。これが行政サービスの質を高く維持する理由である。そのためには、こういった定年制度というものを採用して、常に新しい血を導入して活力ある組織体にしなければならぬ。
 第二点は、実は従来の問題になるわけでございますけれども、従来は勧奨退職という制度でその目的を達成していたわけでございますが、高齢化社会を迎えまして、勧奨退職だけでは組織の活力は保てない。なぜならば、勧奨退職というのは強制力がないために、年をとってもやめない人がいる。そういうことが若い人の昇進を妨げる、あるいは職員の間に不公平感が高まる、そういうことがございますので、これから先は勧奨退職というのは機能しないのじゃないか。
 三番目が、今度は国民の側に立った場合でございますけれども、民間では九七%の企業において定年制というのがございまして、これも四、五年の間に定年年齢は五十五から五十七、五十八、六十というところもないわけではございませんけれども、徐々に六十に向かっていきつつある。かつ国民の間では六三%が定年制の導入というものを必要である、かように認識しているという世論調査もございます。
 この三つの点で、私どもとしては、定年制の導入が必要である、かように考えているわけでございます。
#37
○岩垂委員 防衛庁長官、どうぞ……。いま質問はございませんから。
 いま人事局長おっしゃったけれども、能率が不十分だ、そう言うのですか、いま。新陳代謝が十分でなければ活力にならぬ。そんなことをいま言ったら公務員の――あなたはある意味で公務員の全体を見なければならぬ立場でしょう。そんなことが言えますか、あなた。二十年、三十年勤めてきたのです。いまでこそ公務員というのは恵まれた立場だという面もありますよ。しかし、長い勤務の状況のもとでは、公務員だからがまんをすべきだ、そういうことを求められた時代がかなり長かったわけです。そういう人たちに対して、おまえたち年とったから、ちょっと新陳代謝がうまくいかないから、そして能率がうまくいかないからぼつぼつやめてもらわなければ困る、これではある意味で公務員の一生にとって冷酷ではないか、それは口実にならぬ、私はこう思います。
 それからもう一つは、勧奨退職というものがうまくいってない、いかなくなる。後で一つ一つ聞きますけれども、現実に日本的労使関係という形では、これほどうまくいっている状況はないと私は思うのです。それをほんの一部の人たち、それがやめないから、勧奨に応じないから、したがって、全体として法律で縛って年齢で雇用を切る、こういう関係でしていくということが、これまでの制度に本当になじむものだろうか。私はそうではないと思う。つまり私が言った日本的労使慣行と言われるものこそが今日の日本のバイタリティーをつくり上げてきた、私はこう思うのです。だから、さっき言った高齢化社会という点も含めて申し上げて、こういう制度というのは、あなた方が言っている理屈というのは私にはわからぬ。そういう点でもう一遍、私がいま申し上げたことに対する御答弁をいただきたいと思います。
#38
○山地政府委員 おっしゃるように、長年公務に励んで年をとってくる方々のこと、私どももいつも脳裏を離れないわけでございますが、やはり年齢によって能力というものが退化する、あるいは常に新陳代謝を図らなければ組織の活力が維持できないということは、また片方では事実であろうかと思うわけでございます。民間においても定年制が導入されている、そういう事実から考えても、そういったことがあればこそそういう定年制の導入というのは九七%も進んでいるということだろうと思うわけでございます。
 それからもう一つ、勧奨退職ということが十分機能しているじゃないか。これは私どもとしても率直に、従来は機能していた。ところが勧奨退職の年齢というのが、各省ばらばらではございますけれども、五十七歳とか五十八歳というようなところに大体収斂しつつあるわけでございます。そういった実態から見ても、勧奨退職をされるのも大体五十七、八歳である。私どもはあと五年後に定年制を導入するのも、現在の勧奨退職がそういうふうにあるという現実を踏まえて、無理のない定年制というのを求めて六十歳ということにしたわけでございます。
#39
○岩垂委員 民間のことに触れられましたけれども、民間はいままでは五十五だったものが六十になってきているのです。その六十をさらに六十五を目指す。それはまだ必ずしも全般的にはなっていません。しかし、それは一つの趨勢としてあるわけですよ。それを民間と同じだから、ここで入れるときには六十です、これも社会的な趨勢には合ってない。さっき大臣が社会的な趨勢というものをとらえて、六十どまりではなしに、それを状況に合わせて改善をするということについては前向きな答弁をいただきましたが、その点はあなたはどう思っていますか。
#40
○山地政府委員 これは大臣の申し上げたとおり、新経済七カ年計画あるいは雇用基本計画といいますか、労働省の方の計画においても、今後の老齢化社会における労働力の需給関係、あるいはそういった六十以上の方々の雇用問題、これらにも片方では触れながら、現実的な対応として、企業の方が、いま先生のおっしゃったように、五十五から六十に延びつつあるということも念頭に置いて、当面六十年までに六十歳定年というものを普及させていこう、かように言っているわけでございまして、公務員の場合には定年制がなかった。そういった全体的な雇用政策に合わせて六十歳定年というものを公務員にも導入する。したがって、今後そういった日本の全体の労働需給なりあるいは雇用対策というものが民間においてどうなるかということについて、私どもとしても至大の関心を持っているわけでございまして、そういった全体の流れということについて、私どもとしても、こういったものに常に合わせていくという考えを持たなければならないということは、先生の御指摘のとおりだろうと思います。
#41
○岩垂委員 念のために伺っておきますが、さっき私は「分限」のところで質問をいたしました。分限制度というものが設けられた理由というのは、公務の継続性とかあるいは政治的中立性などを確保する、言いかえれば公務員が安んじてその職務に専念できるという保障だというふうに私は思うのです。だとすれば、定年制というのは一定の年齢になったら退職という制度になるわけですよ。一定年齢以上は在職できないということなんです。つまりこれは首切りということにつながる。身分保障なんというものじゃなくて、これは首切りですね。しかも、これは個々人の判定ではなしに一律にずっと切っていくわけでしょう。もしあなた方が分限とおっしゃるなら、分限は身分保障のためにある、そっちの方にウエートがある、それを一律で切っていく、これはいかがなものかと私は思うのですが、その点はどうですか。
#42
○山地政府委員 先ほど来法律等を引用して申し上げているとおり、一体どこまで身分保障をするのかというのは政策判断の問題だと思うわけでございます。私どもとしては、政策判断として、やはり定年制というものを導入していく必要がある。そこで定年制を導入する以上は、その定年制を導入する必要があるのかないのかというところはいま御議論いただいているわけでございますけれども、仮に定年制を導入することが必要であるという判断をした場合は、法律を改正しなければ定年制の実施ができない。これは公務員法で明確な身分保障があるわけでございます。そこで三十三条にも職員は法律の定めるところによらなければ免職されないという規定もあるわけでございます。そういった規定を全体的に考えると、定年制を導入する必要があると思ったときは、即これは法律を改正していかなければいけない、法律改正しないとできないということになっているわけです。
 そこで、身分保障の範囲として定年制が入らなければ身分保障にならないと考えるのかどうか、これは導入をする必要性があるのかどうかということとうらはらの議論になるわけでございます。私どもとしては、定年制を導入する必要がある、そうすると、今度はそれを実行するためには法律改正をしなければならない、こういうことで分限のところに定年制というものの導入を図る、かように考えているわけでございます。
#43
○岩垂委員 私はまた後ほど指摘をいたしてまいりますが、それは退職条件に関することだ、言うまでもなく勤務条件の問題だ、したがって一律に法律で線を引いてしまうというやり方というのは、公務員の――私は過大な既得権を守っていけと言うつもりじゃないのです。時代の要請というものがここにある、そういうことに対してこたえていかなきゃならぬ、そのことを私は申し上げたいわけであります。
 次に、自治省お見えですか。――いまやりとりをしてきたのですけれども、この問題について私はいろいろ疑問を感じております。改めて質問したいと思いますが、今回地方公務員に定年制を設ける理由というのを具体的に御説明をいただきたいと思います。
#44
○宮尾政府委員 先ほど総務長官の方から、国家公務員に定年制を設ける理由についての御答弁があったわけでございますが、私ども自治省といたしまして、地方公務員に定年制を設ける必要性につきましては、先ほど御答弁があったと全く同様の考え方に立っておるわけでございます。
#45
○岩垂委員 それじゃ伺いますが、地公法はそもそも定年制を排除しているのじゃないですか。これは単に条文上定年制の根拠規定がないということだけじゃございません。そういう消極的な意味ではなくて、本来地公法の体系というか地方公務員制度は積極的に定年制を禁止している、だからこそ定年制の準拠規定を設けなかった、そういうことだというふうに理解していいですか。
#46
○宮尾政府委員 実は、地方公務員法が現在のような形で制定された後に、現行法の中で条例で地方公共団体が定年制を設けることができるかどうか、こういう議論がございまして、この現行地方公務員法の制度のもとでは、条例で定年制度を設けることはできない、こういう解釈をとっておるわけでございます。ただ、これはいろいろな地方公務員法制定の経緯等やあるいはその後における国会での御論議等を私ども見てまいりますと、地方公務員に定年制度を設ける必要があるとかないとかという議論を、この現在の地方公務員法を制定した当時したものではない。ただ、現在の公務員法の規定からいくと、条例で個々の市町村が定年制度を設けることができない。したがいまして、今回地方公務員について国家公務員と同様に定年制度を設ける必要があるというふうに私どもは判断をいたしまして、地方公務員法の改正を御提案申し上げておる次第でございます。
#47
○岩垂委員 いま自治省から御答弁があったのですが、地方公務員法ができる以前、いわゆる定年制を条例化している団体というのは幾つあったのですか。
#48
○宮尾政府委員 大体市町村で約九百ほどの団体が、定年制に関する条例を現行地方公務員法が制定される以前に設けておったというふうに承知しております。
#49
○岩垂委員 いま申し上げましたように、地公法には定年制はないのです。定年制の規定が設けられなかったことも事実なんです。それらのやりとりを通して、地公法が決まったから定年制がなくなったわけでしょう、条例が。そしてその中で自治省はどういう指導をしてきたかということを私は歴史的にちょっと言ってみたいと思うのです。
 たとえば昭和二十六年三月十二日ですが、当時は地方自治庁であったと思うのですが、地公法制定により定年制は地公法に抵触する、すなわち地公法違反だという解釈を行って、地方団体への指導として全部定年制をやめさせているわけです。自治省の指導でそうしたわけでしょう。その点はどうですか。
#50
○宮尾政府委員 先ほども御答弁申し上げたように、地方公務員法が制定された段階で定年制というものについての明確な議論というものはされていないというふうに私どもは理解しております。その後公務員法が制定されまして、定年制度というものを条例で個々の団体が設けることができるかどうか、こういう議論がございまして、これについてはいろいろな見解があったわけでございますが、自治省の指導方針といたしましては、現在の公務員法を改正しない限り個々の地方団体が条例で定年制を設けることができないという行政実例を出して、それで指導しておるわけでございます。
#51
○岩垂委員 あなた、指導の内容を細かく言ってくださいよ。私はここで、昭和二十六年三月十二日と言いましたが、これは大分県総務部長から自治省に対して問い合わせがあった。「地方公務員の定年制を実施することができるか」という照会に対して回答がきちんとしているのですよ。「地方公務員法第二十七条第二項には、職員は同法に定める事由(第二十八条第一項)による場合でなければその意に反して免職されることがない旨規定されているが、停年制は、これにてい触するものである。なお、公務に堪えぬか否かは、その個人々々について判定すべきものであって、画一的に年齢をもつてするのは妥当でない。」という解釈まであるのです。これは地方公務員法の解釈なんです。その解釈を自治省の方がいまになってあれは間違っていたと言うのですか。この点は申しわけないけれども、御答弁をいただかなければならぬ。
#52
○宮尾政府委員 二十六年の三月に大分県総務部長あてに出しております回答でございますが、ただいま引用されましたように、その回答理由をつけております。ここで理由に述べておりますことは、理由の最初のくだりは、先ほど来申し上げておりますように、免職あるいは意に反する退職、こういうことについては、現行法の規定ではその事由が決められておりますので、定年制度というものを現行の地方公務員法のもとでは制定できない、そういう定年制を設けることは、地公法の規定に抵触をするものであるというのが最初の意味だろうと思います。
 なお書きは、これは現在の地方公務員法の体系におきましても、それぞれの職員につきまして個別的にいろいろ判定をいたしまして、その事情によりましては分限免職ということがあり得るわけでございますから、その点を個別にここで述べておるというふうに解釈をいたしております。
#53
○岩垂委員 問題だよ、それは。分限免職もあり得る、こう言ったね。定年というのは、いままでは分限ではなかったのです。そうでしょう。あなたはいま、分限で免職をすることもあり得るわけでございましてと答えた。そんなばかなことがありますか。
 しかも、私が言ったのは、前段はあなたがおっしゃったとおりだ。しかし、後段は「公務に堪えぬか否かは、その個人々々について判定すべきものであって、画一的に年齢をもつてするのは妥当でない。」とはっきり書いてあるのです。いいですか。間違いですよ。あなたがいま言った、分限で免職することもあり得るので、個々のケースで云云という答弁は取り消しなさいよ。間違いですよ、これは。
#54
○宮尾政府委員 地方公務員法の二十八条には「分限」という規定がございまして、「職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。」一号では「勤務実績が良くない場合」、二号では「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」、そのほか三号、四号という規定があることは御存じのとおりでございます。
 そこで、たとえばこの二号の規定で「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」、こういうような場合には、この二十八条の規定によりまして、これを免職することができることになっているわけでございます。
 それで、先ほどお示しがありました大分県総務部長に対する回答でございますが、このなお書きに「なお、公務に堪えぬか否かは、その個人々々について判定すべきものであって、画一的に年齢をもってするのは妥当でない。」つまりここでこういう回答理由をつけておりますのは、二十八条一項二号に該当するかどうかということは、個々人について判断をすべきものである。たとえば年齢等が相当――年齢というよりも、それを個人について判定すべきものでありますが、画一的に一定の年齢に達したならば、二十八条の一項二号と同様の理由で、公務にたえ得ぬという判断をして免職をするというようなことは妥当でない、こういう解釈をつけておるというふうに私は理解をしておるわけでございます。
#55
○岩垂委員 質問にそんなことを書いてないのですよ、あなたがいまおっしゃったようなことは。地方公務員法の解釈でいまのことを言ったわけでしょう。だから、ごまかしちゃいけないんだよ。それは、ここにそういう質問をしているなら別だよ、長い文章だからもう読まないけれども。つまり定年制というものに対する、画一的に年齢で雇用関係を断つということについて、言えば問題がある、それは個人個人で判定すべきものであって、やってはいけない、これなんですよ。
 その意味は、その後細かく回答の中には書いてないけれども、そのニュアンスとして言えば、昭和二十九年の十一月二十日の千葉県総務部長に対する回答、それから昭和三十年三月八日の愛知県総務部長に対する回答、これに引き継がれているのです。
 その意味は二つあると私は思うのです。一つは、定年制というのは地公法違反だということですよ。それはあなたの言った部分と同じだ。それともう一つは、公務にたえぬか否かは個人ごとに判定すべきであって、画一的に年齢をもって決めるというのは妥当でない、そういう意味でしょう。そういうふうに私は受け取りたいと思うのですが、いかがですか。
#56
○宮尾政府委員 現行法のもとで定年制度を設けるという場合に、それができ得るという解釈をとる場合にもいろいろなその理由のつけ方というものがあると思うのでございますが、一定年齢に達したならば、一般的に公務にたえ得ないという判断をいたしまして定年制度を設ける、こういう考え方というものをこの行政実例では否定をしておるわけでございます。
 つまり現行法のもとでは、たびたび申し上げますように、定年制度というものを設けることはできないという解釈をとっております。しかし個別には、たとえば二十八条の一項二号に該当するような場合には分限免職ということはあり得る、その場合にも、これは個別の判断であって、それを借用いたしまして定年制度というものを画一的に導入をするということはできない、こういう解釈をその回答につけておるというふうに私は理解をしておるわけでございます。
#57
○岩垂委員 いま御答弁をいただいた一つ目は当然のことですけれども、二つ目が、特に自治省の定年に対する基本的な考え方を示す見解だと私は思うのですよ。これはきわめて重要だと思うのです。私が先ほどから指摘したように、地公法制定の際に、定年制というのは積極的に排除する、こういう明確な立法意思があった、私はそう思うのですが、その点どうですか。
#58
○宮尾政府委員 御存じのように、地方公務員に対する定年制法案の御論議がかつてあったわけでございまして、国会でもなされたわけでございますが、そういう国会の論議等からも明らかにされておりますように、定年制というものについて、それを設けるべきであるとかないとかという判断は、全く制定当時はしていないというふうに考えるわけでございます。
#59
○岩垂委員 それは、自治省は当時はそういう立法意思というのを持っていなかったというのですか、自治省が照会に対して答弁をしたような意思はなかったというのですか。それは問題ですよ。もう一遍答弁してください。
#60
○宮尾政府委員 これは四十四年の五月六日に衆議院地方行政委員会で当時の行政局長が答弁をしたのを引用させていただきますが、「公務員法の施行前には約九百ばかりの団体が条例によって定年制を設けておったのでございます。地方公務員法が施行になりまして、公務員法にはいわゆる分限の関係の規定がございます。分限条項というものの中には一応の解釈といたしまして、職員が、その意に反して、退職あるいは免職になるというような場合は、法律に定める事由に該当する場合だけであるということがきめられましたことからいたしまして、立法者の意図といたしましては、これで定年制が自由に規律できなくなるというふうには考えていなかった、こう思うのでございますけれども、」こういう答弁をしておるわけでございます。
 私どもも当時のいろいろな経過、経緯等を探ってみておるわけでございますが、地方公務員法制定当時に、この当時の行政局長が答弁をしておりますように、定年制についてどうするという格別の議論というものはなされていない、また地公法制定について、その具体的な考え方というものが当時はなかったというふうに考えます。
 ただ、現在のような形で地方公務員法が制定をされた後の法律解釈といたしまして、先ほどお示しがありましたように、現行法のもとでは、定年制を地方団体が条例で定めても、それは違法である、こういう見解を示して今日に至っているわけでございます。
#61
○岩垂委員 あなた、ごまかしてはだめなんだよ。国会でいろいろな議論があった。法案を提出したのは自治省です。それで審議があった。質問があったかないかは別だよ。しかし、自治省の当時法案を提案した立法の意思は――なかったなどと言ったらあなた問題ですよ。自治省の統一見解は、地公法は定年制を積極的に排除していること、それを大変恐縮ですが、自治省の公務員課長であられた、いま人事院総裁の藤井先生の論文の中にきちんと位置づけているのです。古いものだから、あなた方はわからないと言ってしまうのかもしれません。ごまかしてはいけません。歴史はきちんと刻まれています。読んでみましょうか。「自治研究」という雑誌です。私ここに持っています。大変古い本です。その中に、「地方公務員法逐條示解」こういう表題ですが、第二十七巻第四号五十三あるいは五十四ぺ−ジ、長くなりますけれども、私ちょっと読みます。
  條例及び規則等には、本法にてい触するもの
 が相当多いと認められる。本法にてい触する法
 令に基く條例・規則等は、当然無効となるが、
 それ以外に、特に市町村では、職員の身分取扱
 に関する條例・規則等で本法にてい触するもの
 がある。というのは、従前、市町村の職員につ
 いては見るべき法的規制が存しなかったため、
 市町村独自で例えば職員の分限條例・分限規則
 を定めているものがあるが、本法によって分限
 事由が法定され、又分限の手続及び効果を條例
 で定めることとされた結果、これらの條例・規
 則等は本法の規定にてい触するものとなるから
 である。
  これに関連して考えなければならないのは、
 いわゆる停年制に関する條例・規則等の効力で
 ある。本法第二十八條によれば、職員をその意
 に反して免職することができるのは、(一)勤務実
 績が良くない場合、(二)心身の故障のため、職務
 の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場
 合、(三)その職に必要な適格性を欠く場合及び、
 (四)職制若しくは定数の改廃又は予算の減少によ
 り廃職又は過員を生じた場合に限定されてい
 る。近代的公務員制度の理念は、能力実証主義
 を根幹とするものであって、職務遂行の適格性
 を有する限り、年齢等によって、その取扱に差
 別をすることを認めない。長年の経験は、優秀
 な公務員を生むことは事実である。才幹ある職
 員を老齢なるが故に一律に淘汰することは、許
 されないところである。従って、本法において
 は、直接、停年制を否認する旨の明文はない
 が、少くとも本法の精神は、停年制を排除する
 ものと解せざるを得ない。もう一度読みますよ。
 近代的公務員制度の理念は、能力実証主義を根
 幹とするものであって、職務遂行の適格性を有
 する限り、年齢等によって、その取扱に差別を
 することを認めない。長年の経験は、優秀な公
 務員を生むことは事実である。才幹ある職員を
 老齢なるが故に一律に淘汰することは、許され
 ないところである。明確に言っているのです。いまあなたの答弁は、悪いけれども先輩である藤井さんのお言葉にも全く沿わないものですよ。当時の地公法の立法意思はここにあったのだということを、あなたはそれでも否定しますか。国会で答弁がなかったから、国会でやりとりがなかったから、当時はなかったなどと言えますか。きちっと答えてください。
#62
○宮尾政府委員 ただいまお示しになりました文については、さらに私どもも精細に読ませていただきますが、この問題については過去から非常に長い経緯がありまして、いろいろな議論があったわけでございます。現に行政実例でそういうものを固めるに際しましても、現行法の解釈として、一方では、現行法のもとでも定年制度を設けることができるではないかという議論と、いやそれはできないという議論、両論ありまして、大分いろいろな議論を重ねた経緯があるわけでございます。そういう中で私どもが承知をしておりますのは、現在の公務員法を設けるときに、そこのところが明確に詰められていたのかどうか、どうもそこは立法論としてやや明確性を欠いている部分があったのではないか、こういうふうに判断をしておるわけでございます。
#63
○岩垂委員 その部分を精査して――私は二回も三回も読んだじゃないですか。一目瞭然じゃないですか、これで。変なふうに解釈する余地はないですよ。そうすると、藤井論文は少数意見だということですか。当時、自治省の公務員課長ですよ。恐らくはこの法案作成の一番の当事者だったでしょう。皆さん、それが地公法の初心ですよ。それを何か多数意見と少数意見があって、どうも定説ではないなどと言われたら、この「自治研究」はどういう意味を持つのですか。一般の学究の論文だけじゃないのです。あなたも知っているように、そうした仕事に携わっている、公務に携わっている諸君に対するある意味で理論的な根拠を与えている論文なんですよ。私は、申しわけないけれども、いま藤井さんに聞こうとは思いません、後ほど聞きますから。
 そればそれとして、悪いけれども、そういう三百代言みたいな答弁しないでよ。これは多数意見と少数意見とございましてまとまっていませんでした、こんなことでこの論文書けますか、肩書きのある身分で。しかも、恐らくこの法制定にかかわってこられたと思う。あなた取り消しなさいよ、いろいろ意見があってその中の一つの意見だったなどと言うのは。後輩で、しかも歴史がこんなにたって、その歴史をあなたが適当に直しちゃいかぬですよ。改ざんしてはいけません。御答弁いただきます。
#64
○宮尾政府委員 私どもこの問題については、自治省の中に残っております当時のいろいろな資料等によりまして、当時の考え方というものをいろいろ調べておるわけでございます。もちろん私自身が勝手にそういうふうに改ざんをしておるのではございませんで、地方公務員法の定年制についての議論は、非常に長い経緯がこれまでも積み重ねられてきておるわけでございます。そういう中で、自治省で、地方公務員法を制定した当時のいろいろな資料から見まして、先ほど申し上げましたように、立法論としてそこのきちっとした詰め方が十分なされていなかったのではないかと判断されるということを申し上げておるわけでございます。
#65
○岩垂委員 いまになって歴史を改ざんしちゃいかぬですよ。確かにいまは、定年制をあなたの方でしこうというときには、この理論はまことに困った理論ですよ。論理が成り立たぬですよ。私が、立法意思の中になかったのか、あったのかとあえて聞いたのは、そのことなんですよ。
 では伺いますけれども、当時地方自治体で、あなたは九百近いと言っていましたが、八百八十八の団体が定年制を条例で決めていたのです。政府はその辺の事実は十分知っていて、そして地公法に定年制を設けなかった。そして地公法が制定されると、それは地公法違反だからという通達を出しているわけでしょう、照会に対する回答を今日までも続けているわけでしょう。こうした事実の関係、つまり一連の関係というのは何を物語っているかといえば、仮に地方公務員制度上定年制について考慮の余地があるというふうな判断が政府にあったとすれば、いまあなたが言ったように、どうもその辺が固まっていないという判断があったとすれば、多くの地方団体が定年制を持っていたのだから、何らかの調整なり経過措置というものはとったはずですよ。またとってしかるべきですよ。ところが明快に定年制を否定しているのです。これはどうしても地公法の体系上、地方公務員制度上、あえてもう一つ加えれば、近代的公務員制度の理念として、定年制というのは設けるべきでない、そういうふうに政府の意思があったとしか判断されない。そういうことになるんじゃないか。それ以外に一体何の理由を説明できますか。私はそのときだけを言っているのではないのです。その後の歴史の積み重ねということを含めて言っているのです。まだ三百代言みたいな答弁を繰り返しますか。御答弁いただきます。
#66
○宮尾政府委員 現在の地方公務員法の規定の中では、定年制を条例でもってしても設けることはできないということは、これはたびたび御答弁申し上げているとおりでございます。したがいまして、私ども地方公務員の定年制を設ける必要性があるから地方公務員法の改正の御審議をお願いをしておるわけでございます。現行法の解釈としてできないということがありましたからこそこれまでにも地方公務員法の改正をして、たとえば離職というような規定を置いて、その離職の一つの態様として定年による退職、こういうものを加えて地方公務員に定年制を導入をしよう、こういうような法律案をかつて提案したこともあるわけであります。私ども御審議をお願いをしておりますのは、現行法では定年制度を設けることができないから、定年制度を新たに地方公務員法の中に導入をしていただきたいということを御審議を今回お願いをしておるわけであります。
#67
○岩垂委員 聞いていることを答弁しなさいよ。立法意思として当時の政府の意思の中にあったかなかったかと聞いているのです。いまあなたが答弁したようなことは聞いてないですよ。私はあったと考える。あなたは、それじゃなかったとお考えになるのですか、言ってください。
#68
○宮尾政府委員 たびたび繰り返すようでございますが、私どもがこれまでのいろいろな関係資料等からいたしまして判断をいたしておりますのは、そういったことについて必要性があるとかないとかという判断をその当時具体的にしていなかったというふうに考えられるということでございます。
#69
○岩垂委員 どうもあなたの答弁というのは、先輩に対する敬意はともかくとして、少し法律論としてもおかしいんだよ。いま私がいろいろ言ったでしょう。制定された経過、そして定年制がなくなっていった経過、そしてそれが自治省の見解の中でも、その後に照会に対して回答している中にも、いまの藤井論文の意味は生きているのですよ。それをどうも自治省の中で、何か特定の人の意見だったなどと言ったのでは、その中でとられてきた行為というのは、どういう行為だったかということを聞かなきゃならぬですよ。私は、こういう答弁をあなたがしていたのでは、地方公務員の諸君というのは、あなたは公務員部長ですから、何をもって一体信頼したらいいのか、残念に思うと主張せざるを得ません。法律制定の経過、立法の意思、そして政府のその後の運用における意思、それはあなたの答弁にもかかわらず、遺憾ながら藤井論文の意味がずっと脈々と続いているのですよ。じゃ藤井論文のそういう意味というのは間違っているというふうにおっしゃいますか、答えてください。
#70
○宮尾政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、これまでのいろいろな経緯等を私ども探りまして、そういう判断を明確にしていなかったというふうに考えるわけでございます。
#71
○岩垂委員 これでやりとりしてても仕方がないと思うけれども、私はいまのいきさつというのは、どなたもわかっていただけると思うのだな。それをいまになって、それはどうも政府の中でまとまった意見ではございませんと言ってごまかすことはできない、現実に行政指導はその立場で行われてきている、これだけを私は強調しておきたいと思うのです。
 次に、労働基本権と定年制に関係する問題で、これは総理府なり労働省なりにお尋ねしておきたいと思うのです。
 実は、さっきから私現行法の制定の経過を問題にしているのは、やはり今回の法改正というのは、公務員制度の根幹にかかわることだということを特に指摘をしたい。その経過をそれなりに御答弁を煩わしているわけでございます。
 それで、地公法というのは、あるいは国公法もそうですが、マッカーサー書簡が出された。政令二百一号が出されて地公法あるいは国公法が制定された。そして公務員の労働基本権を制限したわけです。労働者の生存権に直結する労働基本権を否認したわけですから、身分保障についてはより厳格に守らなければならないと思いますけれども、その点はどなたですか、御答弁をいただきたいと思うのです。
#72
○山地政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、先生のおっしゃるような理由で身分保障というものもつけて、国家公務員のあり方を決めたのが国家公務員法でございます。したがって、従来からそういった公務の中立性というものを維持するために給与なりあるいは勤務条件なりというものも法定し、かつ身分保障もつけてあった、かように理解しているわけでございます。
#73
○岩垂委員 ところで、現行の国公法なり地公法制定以前というのは、つまり政令二百一号以前というのは、地方公務員にも国家公務員にも労働基本権が与えられていた、これは当然認めますね。
#74
○山地政府委員 その当時三権があったというふうなことはそのとおりだと思います。
#75
○岩垂委員 そのときは労働条件や勤務条件、身分上の問題というのは、任命権者と労働組合の交渉によって決められていた、少なくともそのことが制度のたてまえであった、これは当然ですけれども、あえてお尋ねしておきたいと思います。
#76
○山地政府委員 おっしゃるとおり民間の労働者と同じような立場でそういったものを決めていたと理解しております。
#77
○岩垂委員 そのような制度のたてまえ、すなわち労働三権を認める、そして身分、勤務条件などについて自由に交渉して決めてきた、そういうたてまえを、非現業職員については、地公法によって身分保障規定と勤務条件条例主義に改変したわけですね。地方公営企業職員、現業職員については、地公労法によって勤務条件に関しては団体交渉、つまり労働協約にゆだねるというふうに変えたわけですね。これも認めますね。
#78
○宮尾政府委員 地方公営企業職員につきましては、身分の基本的なものについては条例で定めることにしておりますが、勤務条件について団体交渉が認められておることは御指摘のとおりでございます。
#79
○岩垂委員 そうしますと、労働基本権制約あるいは否認の代償としての意味を考えても、この身分保障制度については、あるいはその扱いというものを基本的に変える場合には、労働基本権の回復の議論というのが当然あっていいと私は思うのですがね。そっちの方は代償措置なんですから、そっちを手直しするときには、基本権の問題も、歴史のいきさつから見れば議論をすることが当然だろう。その辺は議論したことありますか。これは山地さん。
#80
○山地政府委員 公務員の勤務条件、そういった労働基本権の問題は、先生のおっしゃるような経緯を経て今日まで来ているわけでございます。しかし、この公務員のあり方ということが片っ方でそういった労働三権の対価といいますか、そういうものとの均衡の上に身分保障されているわけですけれども、身分保障という言葉の意味が、現在ある国家公務員の身分保障というものに限定されているというふうには考えなくていいのじゃないだろうか。国家公務員法二十八条にも「情勢に適応」というようなことが書いてございますけれども、やはり時代の変遷に伴って、その身分保障のあり方というものについても政策的な判断を加えることはできるんじゃないだろうか、かように考えております。
#81
○岩垂委員 あなたが時代の変遷を勝手に解釈するのは勝手でしょうが、解釈して、それを法律に出してくるということになると、これは影響が大きいわけですね。あなたの個人的な思惑や政府の個人的な思惑にとどまらないことは言うまでもありませんね。人事院勧告でもないのに、政府はそのように考えて、公務員の身分を担保すべき人事院の勧告でもないのを、拝啓と申し上げて拝復とお答えをいただいたら、それそれ勧告と同じだ、こう言って、早速手直し、こうなっているのが現実でしょう。これは実はこの前の委員会でやりとりしたことがあるのです。勧告とは別なんですよ。この間、総理が本会議の答弁で勧告と同じだという意味のことをおっしゃった。これはお取り消しをいただくことになっています。これは間違いないです。この辺の認識から問題が出発しなければならぬのです。同時に、時代の変遷ですから、それは仕方がないじゃないですかとおっしゃるんだが、さっきから言っているように、公務員制度の根幹にかかわることだ。公務員の身分にとっても重大な変化を伴うものだ。だとすれば、それを議論するときに、労働基本権の議論というのはやったことがあるのですかということを単純に聞いているのですよ。そこのところを素直に答えてくださいよ。
#82
○山地政府委員 いま私の方で御答弁いたしたように、この労働基本権に関する政府の態度というのは、現在の国家公務員の置かれている条件ということで適切である。ただし、身分保障については、この労働基本権とは別に、こういったような定年制度を導入する必要がある、かように考えておるわけでございます。
#83
○岩垂委員 労働基本権の問題であるいは公務員制度の問題で政府の部内に懇談会やら調査会みたいなものができて議論しているでしょう。それは基本権ということには全然触れないのですか。これはあなたの答弁にしては少しおかしな話だと思うよ。やってないとすれば重大だと私は思うのです。やはり労働条件の激変を伴うような、もう何遍も言いませんけれども、措置をとるときに、もとの歴史にさかのぼればマッカーサー書簡、政令二百一号、そしてこの種の法律、労働基本権に対する制約を伴う法律というものをもう一遍思い起こしていただかぬことには、政府というのは自分の思惑で法律を一方的に変えてもいいということになってしまう。だからこの辺のところは、つまり憲法で保障されている基本的権利である労働基本権の問題などについても、いままでやっていないとすれば、やはり議論すべきではないか。それは総務長官、どうですか。
#84
○中山国務大臣 いま人事局長が御答弁を申し上げましたが、この労働基本権の問題については、政府の内部においては、担当の人事局等においては内輪での論議というものは絶えず私は行われているものと考えておりますが、正式に議題としての論議というものは、ただいま局長の答弁したようなことであろうかと考えております。
#85
○岩垂委員 私が言いましたような経過に立って、労働条件の激変を伴うようなものについてやるときには、当該労働者との話し合いはもちろんですけれども、基本権の問題に触れてもらわないと片手落ちだと私は思うのです。そっちの方はそっとしておく、こっちの方はどんどん手直しをする。これでは本当に公務員の労働者が本来憲法二十八条によって保障されなければならない労働基本権というものが奪われているということに対する対応にはならぬというふうに思いますので、これはやはり労働基本権問題というのは、政府部内で検討してないというのはおかしいのですよ。やはり公務員制度審議会やらいろいろなことがあるわけですから、議論をする、あるいは議論でなくとも問題意識を持って対応する。これは言えませんか。
#86
○山地政府委員 労働三権については、公務員制度審議会から四十八年に答申をいただいておりますし、それから三公五現については、基本問題会議で五十三年に答申をして、当分の間争議権は見送るといいますか、そういうような規定ができている。政府としてはそういった大きな方針に従ってやっているわけでございまして、確かに公務員の身分保障をしているということは、そういった片方で労働三権の制約をしているということの対価であるわけでございますけれども、身分保障をするその中身というものは、どこまで一体許されるのかということについて、私どもの判断としては、こういった公制審の答申とかあるいは基本問題会議の答申といったものの精神から考えて、定年制ということは確かに重大な変更でございますけれども、それは身分保障の範囲内で考えるべき問題じゃないだろうか、かように考えているわけでございます。
#87
○岩垂委員 それでは角度を変えて聞きますと、公務員も労働者ですよ。原則的には労働基本権が保障されなければならぬということは、憲法二十八条をまつまでもなく明白ですよ。仮にそれを制限する必要があるにしても、それは合理的な根拠があって、同時に必要最小限のものでなければならぬと私は思う。そういうことは、つまり基本権の重要な性格から言ってあたりまえだというふうに思うのです。その点は同感でしょう。つまり必要最小限の範囲にとどめるべきである、しかも合理的で。それはおわかりでしょう。
#88
○山地政府委員 労働三権をどこまで制限するかということについては、いま申し上げました公務員制度審議会とかあるいは基本問題会議等でいろいろと御議論いただいており、それぞれいま先生のおっしゃるような合理的な範囲内で、そういった三権の制限をして今日に至っておると私も理解しておるわけでございます。
#89
○岩垂委員 いや私が言っているのはそうじゃなしに、制限をするという以上は、合理的でその根拠があって必要最小限でなければならぬということは認めるでしょうと言ったわけです。それはいいですね。これは当然のことです。
 現行法の制約の中に、私はどうも必要以上にいろいろな制限が加わっているような感じもしないわけではないのです。現行法でさえ、勤務条件については団体交渉をする権利を制限することになっているということも認めますね。
#90
○山地政府委員 御承知のとおり、非現については、交渉ということはできるわけでございますけれども、協約の締結権がない。それに対して現業の方は、協定締結権まで入っているというふうに考えております。
#91
○岩垂委員 あなたが答えたのを法律で言えば、国公法百八条五、地公法五十五条、公労法八条、地公労法七条の規定というのが団体交渉についての規定としてあるというふうに理解してよろしゅうございますね。
#92
○山地政府委員 そのとおりだと思います。
#93
○岩垂委員 この諸規定で言う団体交渉の範囲には退職というのは含まれていますね。
#94
○山地政府委員 この公労法の八条の規定の中にいまの当該規定というのは二号でございますか、「昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項」というのが入っております。
#95
○岩垂委員 私は公労法だけ言ったんじゃないですよ。国公法百八条の五、地公法五十五条、そしてあなたがおっしゃった公労法八条、地公労法七条、これは入っているんですよ。
#96
○山地政府委員 失礼いたしました。
 百八条の二に、職員団体は「勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体」であるということで、「勤務条件」ということが入っているのはおっしゃるとおりでございます。
#97
○岩垂委員 それじゃ聞くけれども、いま言った国公法と地公法あるいは公労法と地公労法というのは、労働基本権の面ではほぼ対応する関係になっているというふうに考えていいでしょう。これはもう常識論ですから、御答弁を願いたい。
#98
○山地政府委員 おっしゃるとおりだと思います。
#99
○岩垂委員 公労法の関係ですけれども、三公社五現業については、現在は労働条件の決定機構については同一のもとに置かれている、これも言うまでもないですね。
#100
○山地政府委員 これもおっしゃるとおりだと思います。
#101
○岩垂委員 そうしますと、つまりいままでは同一の決定機構、しかもそれの法体系というのは全体として対応する関係にある、これはお認めになる。今回の改正案によりますと、定年制導入というのは、公労法二条第一項第二号に規定する「国の経営する企業」についてということになっていますね。それは三公社は定年制が適用にならない。五現業のみに適用されることになるわけですね。これによって公労法制定以降、いま私が指摘をした、一貫してとられてきた三公社五現業職員の同一取り扱いは崩れる、これは現在以上に労働基本権の保障について分断といいましょうか、格差といいましょうか、そういう問題が持ち込まれるというふうに考えますけれども、いかがですか。
#102
○松井(達)政府委員 公労法八条について申し上げますと、これは御存じのように三公社と五現業、これにつきまして団体交渉のできる範囲が定められておるわけでございます。
 それで、先生御指摘の定年制の問題でございますが、定年制の問題について、一体定年制を設定することが団体交渉の対象になるかどうかという問題が基本にあるとは思いますけれども、その問題につきましては、これはなかなか議論のあるところだと思いますが、私どもといたしましては、労働協約をもって定年制を設定することはできないのではなかろうかというふうに考えております。
 そういう意味におきましては、今回国家公務員法の改正をもって定年制を法律上の制度として設けたということの違いはございますし、またそれに伴う事実上の違いは生じますが、しかしながら、労働協約をもって定年制を設定することができないという点に関しましては、この法律が通りましてもあるいは現在の状態におきましても変わりはないのではなかろうかと承知いたしております。
#103
○岩垂委員 それはおかしいんだよ。つまり今度三公五現が制度上切り離されるわけです。そうでしょう。それば認めますね。
#104
○松井(達)政府委員 五現業については法律をもって定年制が設けられ、それから三公社については定年制度はないということはそのとおりでございます。
#105
○岩垂委員 五現業については、定年に関しては人事院規則によらずに主務大臣の定めというふうに読みかえるように法律はなっています。主務大臣の定めというのは、定年退職日、六十歳の例外職種あるいは延長の定めであると思いますが、これらの事項について団体交渉をなし得る制度になっているのかどうか。
#106
○松井(達)政府委員 団体交渉なし得る対象というふうに考えられます。
#107
○岩垂委員 その場合、交渉がまとまらないときには主務大臣などが定めてしまうということはございますか。
#108
○松井(達)政府委員 民間におきましても、団体交渉で定めがない場合には就業規則をもって定める、全く同じとは言えないかもしれませんが、同様に考えていいのではなかろうかと思います。
#109
○岩垂委員 一方的に定められる余地があるとすると、定年の適用のない三公社と団体交渉権上の格差が明らかに生まれてくる、これはさっきあなた認めましたね。
 そこで、お伺いをしますけれども、三公社五現業の間に一種のいま言った分断だとか格差だとか、労働基本権上にそういう格差が生じてくるということは、労働行政を預かる立場からいうと好ましくないのではないだろうかというふうに私は思うのですが、率直に答えていただきたい。きょうは労働大臣に聞こうかと思ったのですが、あの人は変わった人だからずばり言ってくれるだろうと思うけれども、あなたは審議官だけれども、大臣の意をくんで御答弁いただきたい。
#110
○松井(達)政府委員 先ほど申し上げましたように、団体交渉権という意味で考えますならば、定年制の設定そのものにつきましては、私どもとしましては、団体交渉の対象になるべき事項ではないんじゃないかというふうに考えております。ただ、実際定年制が設けられる五現業と、定年制がつくられない三公社ということについては、先ほど申しましたように違いがあるということは事実であるということでございます。
#111
○岩垂委員 私は労働行政を進める上で好ましいか好ましくないか、実はこういうふうに聞いたわけです。
 もう一度聞きますけれども、好ましくございませんとあなたの立場で答えろと言っても、それは無理ですから私は言いませんけれども、しかし、公労協という形で労働者側がまとまって対応しておるわけでしょう。しかもそれを長年みんなが認めてきたわけでしょう。それがこういうふうになっていくということは、大変な変化だというふうに理解していいですか。
#112
○松井(達)政府委員 三公社と五現業の間に、労働条件につきましても、法律がつくられていることと法律がない場合ということによって違いのある例は、たとえば災害補償の場合とか旅費の場合とか幾つかあるのではなかろうかと思います。それぞれその制度の持ちます立法政策上の必要ということによって出てまいったのではなかろうかと思います。いずれにしましても、定年制が設けられるということは、一つの変化であるということについては変わりはないと思います。
#113
○岩垂委員 それに加えまして、先ほど対応する関係にある、パラレルな関係にあると私指摘をして、それは御答弁いただいたのですが、地公労法適用そして準用の地方公営企業職員、それから地方現業職員との間で対応する関係が崩れてくる、これは事実ですね。そして地公労法の適用、準用者の場合は、地公労法適用と全く同じ規定のもとで定年制を受けることになる。条例によって一方的に押しつけられる制度のもとに置かれることになるわけです。全く交渉の余地がなくなるわけです。これはどうも公労法適用と基本権上の大きな格差と言わなければなりませんが、これは事実でしょう。
#114
○松井(達)政府委員 御存じのように、地公労法におきましては、条例に抵触する協約がある場合には、地方議会で検討していただくというシステムになっておるわけでございまして、この制度が設けられる場合と設けられない場合との間においては基本的な違いはないというふうに承知いたしております。
#115
○岩垂委員 いや、法の体系が変わるわけですから、変化じゃないとは言えませんよ。議会云々ということはこっちの話で、これは現実の行為の問題で、法律自身は分離されるわけでしょう。それは事実ですね。それはそのとおりですよ。
#116
○松井(達)政府委員 このたびからは条例で決めるというような変更があったことは事実でございます。
#117
○岩垂委員 地公労法の適用あるいは準用者は、地方公営企業法第三十九条、地公労法附則四項によって、地公法二十四条六項に言う「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。」といういわゆる勤務条件条例主義の適用を除外されているわけです。そして地公労法によって、勤務条件を団体交渉によって決定することが規定されているわけであります。この団体交渉権を否認することになるのです。これは公務員の諸君にとってみて大変な問題だ。現行の法体系を抜本的に変えるものだと言わなければならぬ。ここがどうしても私は納得できないのです。この辺の明快な答弁をしてくれませんか。
#118
○宮尾政府委員 ただいまお示しがありました地方公営企業法の規定では、企業職員について地方公務員法の一部の規定は適用除外、もちろんこういうふうにしておるわけでございます。そして地公労法の第七条では、団体交渉の範囲をここで具体的に定めております。基本的な考え方といたしましては、もちろん企業職員、あるいは地公労法が準用されますいわゆる単純労務に従事する職員、こういう人たちにつきましては、地公労法第七条の規定によりまして、勤務条件という範囲内での定年制の問題については団体交渉が認められますし、それから労働協約を締結することが可能であるわけでございます。ただ、先ほど来お話が出ておりますように、地公労法第八条との関係において、条例と団体協約の中身とが食い違った場合には条例の方が優先する、こういう規定を置いているために、条例と抵触する部分に限って団体協約の中身が効力を発生しないという点が問題であるという御質問であろうと考えるわけでございます。
 私どもといたしましては、地方公務員法の基本的な部分が、現業、非現業を問わず公務員としての特殊な性格がありますから、それは勤務条件条例主義、あるいは身分保障については法律なり条例によってきちっと制度的な保障をしていく。ただし勤務条件については団体交渉を認め、労働協約を締結することは認めますが、最終的には勤務条件条例主義、こういうたてまえを貫くことが公務員制度全体の立場から必要である、こういう考え方でこの立法がなされたと考えております。
#119
○岩垂委員 地方の時代とか自治の本旨とかいう言葉があるわけですが、自治体というのはそれぞれ置かれた条件や構成人口、あるいはいろいろな条件が違うわけですね。その意味では、自治体がいわゆる自治を進めていく上で議会が機能していることは私も承知しています、ただこの場合に、労使で苦労してまとめたものを議会が一方的に排除していくというようなことは、私はここであなたに、私は問題があるというけれども、問題があるかどうかという聞き方はしません。労使で決まったことは、理事者あるいは職員、そこに働いている労働者という関係の中でまとまったことは、できれば議会もあるいは条例の中でも尊重してほしいものだというくらいのお気持ちは当然あるでしょうね。お答えいただきたいと思います。
#120
○宮尾政府委員 これは先生も御存じのように、地公労法第八条の中にも、労働協約が締結された場合にはできるだけ速やかに議会に議案を提出しなければならない、こういうことを言っております。そういうことからいいまして、もちろん労働協約というものは、お互いに決めたことでございますから、尊重していかなければならないという基本的な考え方に立っておるわけでございます。ただ、その労働協約の中身と条例とがどうしても違ってしまった場合の法律的な問題の整理というものをこの八条でやっておる、こういうふうに理解しております。
#121
○岩垂委員 私があなたにそういう答弁を求めるのは無理なのかもわかりませんけれども、あなたは公務員の労働条件その他を含めて、特に地方公務員の立場でいえば責任ある立場だ。だから協約で苦労してまとめたものを議会も尊重してほしいものだ、これは理事者だったらだれでもそうだと思う。そういう気持ちはおありですか、こう私は申し上げたわけですから、率直に御答弁願いたい。
#122
○宮尾政府委員 労働協約の締結の当事者たる長は、当然それは締結された労働協約を尊重しまして、速やかに、先ほど申し上げましたように、所要の手続をとらなければならない、そういう考え方に立つべきものだと思います。
#123
○岩垂委員 それ以上言っても無理でしょう。
 次に、定年制法制化の動機と理由を先ほどからやりとりしたのですが、ちょっと歴史をさかのぼってやりとりをしてみたいと思うのです。これまでも何回かこういう定年制の法案が上程されてきた経過があるわけですが、何回で、いつといつであったか。
 ついでに聞きますが、それぞれの法案の内容及び準備した理由、このことをちょっとかいつまんで御答弁いただきたいと思います。
#124
○宮尾政府委員 地方公務員につきまして、定年制度を導入するための法案を過去に国会に提出いたしておりますが、その第一回目は昭和三十一年に開かれました第二十四国会、それから昭和四十三年の第五十八国会、同じく四十三年の第六十一国会、それからこれは現在提出をしておるのと同じ内容のものでございますが、九十一国会及び九十三国会に提出をいたしまして、九十三国会のものがただいま今国会に継続審査をお願いをしておることになっておるわけでございます。
 それで、今国会の定年制法案は別といたしまして、地方公務員について三十一年あるいは四十三年に提出をされました法案の概略とその相違点でございますが、昭和三十一年の法案は、定年制の導入につきましては、導入するかどうかは地方公共団体が判断をして決める、こういうことになっております。それから定年の定め方については条例で定めるということにいたしておりますが、職員の職の特殊性あるいは退職年金及び退職一時金の制度との関連につきまして適当な考慮が払われなければならない、こういうことを述べまして、条例でそういう考慮を払って定めるということにしております。
 それから、四十三年の法案でございますが、定年制を導入するかどうかは地方団体の任意であるということは三十一年法案と全く同様でございます。それから定年の定め方については条例で定めるということのみを規定をいたしております。それから定年退職者の再雇用につきまして、常勤または非常勤の特別職として再雇用することができるという規定を置いております。
 以上が三十一年法案あるいは四十三年法案の主な特徴であろうと思います。
#125
○岩垂委員 いま公務員部長おっしゃったように、四十三年のときの法案と今回の法案あるいは三十一年のときの法案と比べてみると基本的に違うところがありますね。定年の年齢は一応別として、これは後で質問をいたしますが、いまあなたがおっしゃった定年による退職の規定の仕方と定年退職条例制定の仕方ということに問題があるように思うのです。つまり四十三年のときは、定年による退職は分限ということではなしに、離職の態様の一つという法律上の取り扱いになっているわけです。さっき私、人事局長とやりとりしましたけれども、そういうふうになっているのです。ところが今回は分限というふうに取り扱われている。この辺のところをちょっと説明をしてくれませんか。
#126
○宮尾政府委員 ただいま御説明をいたしました三十一年法あるいは四十三年法と今回の定年制度の定め方の違いでございますが、今回の定年制法案におきましては、定年による退職ということは、公務員の身分保障に関する基本的な問題でございまして、その変動を来すようなものでございますので、国家公務員法と同じ考え方に立ちまして、身分保障に関する変動の一つととらえまして御提案をしているような法律の定め方をしたわけでございます。
 それで、以前提案をいたしました地方公務員法におきましての考え方でございますが、前の地方公務員法におきましては、離職の態様というものの中に定年による退職という規定を入れまして、その定年によって、一定の年齢に達したならば、当然退職をする、こういう定めを条例で定めることができる、こういう定年制度の定め方を規定をいたしたわけでございます。もちろん、当時におきましては、国家公務員について定年制法案が検討されておりませんでしたので、地方公務員法にそういう定年制度の定めを入れる場合には、どういう場合に職を離れるかということの離職の規定を明確にして、条例措置でそういうものを導入できるという考え方をとることが一番よろしかろう、こういう判断に基づいてそういう定め方をしたわけでございます。
#127
○岩垂委員 やはり明らかに違うのですよ。離職の態様とおっしゃいましたからあえて言いますけれども、これはある意味で労働条件、労働条件と言って悪ければ勤務条件にかかわる意味にウエートがかかっているんですね。今度は完全に分限なんです、これは。それだけ大きな違いがあるわけです。そういうつまり定年ということを分限に入れた理由というのは、私はさっきからやりとりしたんですが、どうも納得できない。
 ちょっと聞きますけれども、定年による退職と分限免職との間には法律的な違いはありますかな、ございませんか。
#128
○斧政府委員 お答えいたします。
 公務員が職を去る場合、大きな概念ととらえますと、離職、こういうことになるわけですが、離職の中には懲戒免職、失職、分限免職、任期の定めのある職については任期満了、定年の定めのある職については定年退職、こういう分類になっておりまして、性質が同じかと言われますと同じということはありませんで、分限免職の場合は、法律に定められました四項目の理由がある場合、それによって理由を挙げて免職される。定年退職の場合は、一定年齢に達したことをもって一律に退職するという違いがございます。
#129
○岩垂委員 当然のことなんですけれども、大変な違いがあると言いながら、現実にはやめさせられるわけですから、一種の免職と同じものじゃないかとあえて言いたいのですが、それはそれとして、前に二回にわたってこの法案が出されて廃案になったいきさつというのは、自治省どういうふうにとらえておられますか。
#130
○宮尾政府委員 大変むずかしい御質問でございますが、その機が熟さなかったというふうに理解をしております。
#131
○岩垂委員 その機が熟さなかったと言われるとそれまでなんですが、一定の世論というか反対をする人たちの気持ちをも含めて抵抗が強かったということに尽きますよ。ですから、今度国家公務員の問題に便乗してとは言いませんけれども、大体そういう形で一律で始末をしようという態度というのは、私はいままでのこの法案がたどってきた――さっき言ったように、前の法律案の方がかなり緩かったとは言いませんけれども、そうなっていたものでさえ廃案になってきている。今度はそれを一挙に大変厳しい形で一律でなんという形になっているわけで、私としては、できるだけ地方公務員の立場、国家公務員の立場それぞれあるわけですから、その点は一律で始末をするのじゃなしに、やはり当該労働者の立場、自治体の置かれている条件なんかを十分配慮したい、考慮したいというぐらいのことは、公務員部長、言えるでしょう。
#132
○宮尾政府委員 定年制度というのは、公務員につきまして非常に重要な事柄でございますので、基本的にはやはり国家公務員と地方公務員を通じまして同じ制度の仕組みというものにすべきであろう、こういうことで、国家公務員の定年制を見習いまして地方公務員にもそういう形で導入をしよう、こういうふうに考えております。
 ただ、いまお示しにありましたように、全部法律でもって一律に決めてしまうのではなくて、具体的な定年の定め、その他手続等も含めまして地方団体が決める方がベターだというものにつきましては、たとえば定年につきましては、国の定年を基準としまして、それぞれの地方団体で条例でこれを決めるというような仕組みを講じて、地方の自主性もそういう中に生かせるようにいたしておるわけでございます。
#133
○岩垂委員 自主性というか独自性というかあるいは特殊性、そういうものは十分尊重していく考え方である、このように考えていいですね。御答弁をいただきます。
#134
○宮尾政府委員 地方団体の特殊性から見て必要がある、そういうふうにすることが合理性があるものについては、地方団体が条例で特別の措置ができるようにいたしております。(岩垂委員「自主的にとはっきり言いなさいよ、いいね」と呼ぶ)
#135
○江藤委員長 宮尾公務員部長、再答弁。
#136
○宮尾政府委員 それぞれの地方団体の特殊性に基づいてどういうふうに条例をつくるかということは、当然地方団体の自主性に基づくことでございます。
#137
○岩垂委員 次に、退職勧奨制度と定年制について触れてみたいと思うのです。
 公務員の退職管理というのは、一般的に退職勧奨によって行われてきたことは、もう先ほどからのやりとりで明白なんですが、国家公務員の場合、各省庁ごとにその実施の実態と年齢わかってますか。
 それから、恐縮ですが、地方自治体の場合も県、市、町村など大ざっぱで結構でございますが、その後御答弁いただきたいと思いますので、ちょっと用意してください。
#138
○斧政府委員 国家公務員の退職勧奨基準でございますが、大体五十五歳くらいから始まります。一番集中しておりますのは課長以上で五十八歳−六十歳、課長補佐クラスで五十八歳−六十歳、係員クラスで六十歳のところに集中しておりまして、全体の中で二十五機関ばかりがそういうところに集中しております。そういう状況になっております。
#139
○岩垂委員 自治省、恐縮です、資料持っていらっしゃる。済みません、少し細かくなっちゃって、突然聞いて。
#140
○宮尾政府委員 まず勧奨退職制度がある団体の状況でございますが、都道府県はすべての団体がそういう制度を設けております。それから市は九八%の団体でそういう勧奨退職制度を設けております。それから町村では九三%という状況になっております。
 それから、勧奨退職年齢でございますが、役付でない一般職員について申し上げてみますと、都道府県の場合には大体五十八歳というところが一番多い。それから市では六十歳、町村は五十八歳というところが一番多いわけでございます。
 それから、勧奨退職率でございますが、都道府県の場合にはすべての職種を平均いたしまして八九・四%。それから市の場合には約七八%。町村が約八九・七%、こんな状況になっております。
#141
○岩垂委員 いま両方お尋ねしたのですが、総理府にお答えをいただきたいのです。全体的に見て今日まで国、地方とも勧奨退職が一般的になっているというふうにとらえていいですね。
#142
○山地政府委員 おっしゃるとおりだと思います。
#143
○岩垂委員 いま国も地方も勧奨退職でおやめになる人たちのパーセントを言っていただきました。つまり勧奨退職制度のもとで非常に多くの人たちが、多くの人たちと言うよりももっと圧倒的な人々が勧奨退職に応じている状況というのはお認めになりますね。
#144
○山地政府委員 現在、高年齢の方の大部分が退職される場合には勧奨退職でやめられているというのが事実だと思います。
#145
○岩垂委員 自治省の方もそういうふうにお認めになりますか。
#146
○宮尾政府委員 国家公務員の場合と全く同様でございます。
#147
○岩垂委員 比較的順調にいっている。人事院も五十四年、定年制に関する書簡の中で、それなりの機能を果たしている、こういう評価をなさっています。
 もう一遍聞きますが、政府は勧奨退職がスムーズにいっているというふうに評価なさっていらっしゃると思うのですが、くどいようで恐縮ですが、お答えをいただきたいと思います。
#148
○山地政府委員 これまでのところはそれなりに順調な機能を果たしてきたと思います。
#149
○岩垂委員 あしたのことを聞いているのじゃないんですよ。これまでのことを聞いているのですから、これまでと言って強調しなくてもいいのです。そこのところが臭いんだな。
 まあこれは自治省も、遠いところから出てくるのが大変だから、評価なさっていらっしゃると思う。そうは言いながら、ほんの一部の問題があるかもしれない。しかし、全体は順調で評価ができる。人事院もそれを認めている。これは先ほど私言いましたけれども、勧奨というのが日本的な労使関係というのですか、労使が納得をして、そしてスムーズにいっている。しかも、それは交渉で労使が決める、決めたことは労使が守っている。まあそれは途中でけんかもするでしょう。だけれども、まとまればそれなりにきちんといっている。これが私は近代的労使関係だと思うのです。勧奨退職率が高いのは、そうした関係が定着しているあるいは成熟しているというふうに私はとらえるのですが、その点もよろしいですね。これは人事局長、それから後で公務員部長にもお願いいたします。
#150
○山地政府委員 成熟しているというふうに私も理解しております。
#151
○宮尾政府委員 地方団体全体を見ますと、概括的に言ってそういうふうに言えると思います。ただ、御存じのように、地方団体は三千余の団体があるわけでございまして、これを個別に見てみますと、必ずしも地方公務員の場合にはすべてうまく順調にいっているかどうかということについては問題があるわけです。
 たとえば人口十万以上の市で、特別区を含めて、これをながめてみますと、勧奨に応じて退職をした率、いわゆる応諾率が相当低いところがある程度あります。十万以上の市及び特別区、大体二百十ほどあると思いますが、この中で応諾率が六〇%以下の市あるいは特別区、三十二ほどございます。したがいまして、そういう意味で、私どもは全体としては勧奨退職ということは順調に機能していると思いますけれども、個別のところで見た場合に、必ずしもうまくいっていないケースがあるということは申し上げておきたいと思います。
#152
○岩垂委員 後の方の言葉は大きな声でしゃべらなくてもいいのですよ。それは三千幾つかの中で三十二ですからね。これは全体的に順調にいっているということですよ。いっていないというところもある、ここのところに余りアクセントを、力を入れないでください。
 それはそれとして、私は全体としていまお二方から答弁をいただきましたが、順調にいっている、定着をして成熟しているということをお伺いしました。
 長いことお待たせいたしましたが、総裁、人事院は書簡で「国家公務員制度に定年制度が導入されることは意義のあるところである。」というふうに書いておられます。余りいやみを言うのは慎みますが、人事院はどうも退職勧奨で退職管理というものがうまくいっているし、その方がベターだというお気持ちの方が強いと思うのです。これは私の判断ですよ。ところが政府の方から拝啓というお手紙が来たものだから、これは失礼だから拝復も出さなければいかぬだろうというやりとりを通して、どうもかなり無理して意義のあることというふうに実は返事をしたわけですね。私はこの前委員会でやりとりしたときも、そういうふうにしか、私の勘ぐりかもしらぬが、とれない。どういうふうに意義があるというふうにお考えになったのか、その辺をぜひ御答弁をいただきたいと思います。
#153
○藤井政府委員 先刻来いろいろ過去の歴史その他にもさかのぼっての御質疑でございまして、私もそれなりに大変重大な関心を持って傾聴をいたしておりまして、参考にさせていただくことも多多あったように感謝を申し上げております。
 いまお話のございました人事院総裁名で総務長官に出しました書簡の内容の問題でございます。これは定年制度自体について意義のあることだと考えておるということを申し上げましたことも御指摘のとおりでございます。
 実は定年制度につきましては、一般職公務員のいろいろな問題について所管をいたしておりますわれわれ人事院といたしましても、退職管理の一つの重要な形態としての定年制というものについては、従来から非常に大きな関心を持っておったことは事実でございまして、それなりの検討あるいは資料の収集等は行ってまいりました。本委員会でも御報告を申し上げておりますように、たとえば退職公務員の実態について、相当長期にわたって追跡調査をやるとか、その他毎年の給与勧告の際には、これにあわせて民間における定年制の実態というものをつぶさに検討してまいっておることもその一つでございます。
 そういうことの総合的な検討をいたしております段階において、やはり定年制というものは、今日の事態において、公務員の場合においても取り入れていかなければならぬ時期に来ておるのではないだろうか、そういう結論に到達をいたしましたので、そういう趣旨のことを申し上げたつもりでございます。
 意義があるという言い方の問題について、当委員会でもいろいろ御意見もございました、やりとりもあったことは十分承知をいたしておるのでありますが、この点につきましては、実は勧告なりあるいは法の規定に基づく意見の申し出という形をとりませんでしたのは、ちょうど閣議決定に基づきまして、これを受けた形で総務長官の方から私あてに、定年制導入ということについては閣議決定で方針は決められたが、何しろ重要な問題であるから、その諸準備の設定を含めて慎重な検討が必要だろう。それの一環といたしまして、この問題は先刻来御議論がございましたように、職員の勤務条件にかかわる問題でもございますが、何よりもこれは分限に関する問題として、公務員の身分の得喪に関する重要な事項でございますので、これは人事院の意見を当然聞くべきであろうということが閣議でも問題になったようであります。それを受けまして、総務長官の方から私あての書簡で、検討してもらいたいという申し越しがあったわけでございます。
 そこで、それを受けて、従来から積み重ねていろいろ検討してまいりましたその状況に、実はこの書簡が拍車をかけたということがないと言えば、これはうそになると思うのです。そういうきっかけがございましたので、われわれとしても、そうかということで、のほほんとしているわけにはまいらないという、そういう問題意識を持ったことは事実でございます。ございますが、これは唐突に書簡があったから、われわれがあわてふためいてこれに対する対策を講じ出したということではさらさらございません。あくまで従来から関心を持って検討してまいりました問題でもありますので、これについての結論は早急に出して、われわれの思っておるところを申し述べなければならぬという態度を決めまして、書簡がございましてから相当慎重に取り組みました結果、約一年半ぐらいだと思いますが、その期間に鋭意検討を重ねた結果、結論が得られましたので、書簡に対する返信という形で、これは私は普通の、こだわったことではなくて、どうかということで意見を聞くということが書簡で参りましたので、その書簡に対する御返事という形で申し上げることがむしろ普通の形ではないかというふうに考えまして、そういう形をとったわけでございます。
 ただ、これをせんじ詰めて申し上げますならば、われわれとしては、やはりこれは人事院の正式見解であるという受けとめ方をいたしておりますことは事実でございます。
 重ねて申し上げますと、われわれといたしましては、従来から関心を持っていろいろ検討を続けてまいりました。そういうところにこの閣議決定ということがあり、閣議決定を受けての書簡発出ということもございましたので、これを受けて人事院の意見を取りまとめて申し上げたというのが偽らざるところでございます。
#154
○岩垂委員 その問題、実は私は去年か、たしかおととしだったかな、委員会で総裁とやりとりをしたことがございますから、それ以上申し上げるつもりはございません。つまり勧告と書簡とは別です。そこに込められているいろいろなニュアンスは別として、それをどう受けとめるかは別として、刑であることは現実であるというふうに私も承知をしたことがございます。それと同時に、政府の方から閣議決定という形で言われて、拝啓、拝復ということになると、人事院というものの中立的機能が疑われる、あるいは損なわれる、こういう危惧というのはありますよ。このことも指摘したことがございます。したがって、そのことばいまは繰り返そうとは思いません。しかし、導入すべきであるという見解、書簡ではなしに、意義あることというふうに言った意味の中には、アクセントの違いは明白にある、私はそういうふうに受け取っています。私はそのように受け取ることが正しいと思うのです。
 それはそれとして次に移らせていただきますが、書簡の中で「近い将来、勧奨は十分には機能しにくくなり、」というふうにありますね。これは例の四十八−五十一歳を頂点とする国公の職員構成のこぶを想定しているというふうに見ていいですか。
#155
○藤井政府委員 そのこぶを想定をして、意識的に勧奨は将来大変むずかしくなるであろうということを申し上げているつもりはございません。これは一般的な趨勢を踏まえて申し上げているつもりでございまして、御承知のとおり、社会経済情勢の変転、推移に伴いまして、高年齢化あるいは高学歴化ということがどんどんと進捗をしてまいります。この関係において民間でもいろいろな情勢の変化が行われております。またわが国の労働政策の一環として、労働省自体も定年制の問題に積極的に取り組む、特に定年年齢の延長ということを基礎にして、これに対する取り組みを進めておるという段階でございます。
 ところで、先刻来やりとりがございましたが、そのとおりである、退職勧奨の問題でございますが、お話がございましたように、大局的に見た場合、国、地方を通じて一般的に申せば、この退職勧奨はきわめてうまくいっているのではないかというふうに私も受け取っております。無論局部的にはいろいろなことがございますけれども、それは制度としてある限りは当然のことでありまして、全般的には円滑に推移してきておるのではないだろうかという認識は持っております。
 ただ、これは結果としてあらわれていることではございますが、私たちが人事の当局としていろいろ苦心をしておられる各省庁の人事関係者の話を率直に聞きますと、これは大変な御苦労のようであります。これはあたりまえです。その省の人事管理を扱っている者として苦労するのはあたりまえのことでありますが、しかし、言うに言われぬ苦労をしていらっしゃるということも事実でございます。毎年定例的にやりまする各省庁の人事管理者の会合その他でもわれわれに直接そういう御意見の開陳がございまして、われわれもそれについて素直に承っておるというような場面もあるわけでございます。しかし、それはそれとして、全般的にはまずは平穏にうまく推移している制度ではないかと思っておりますが、いま申し上げましたように、高年齢化、高学歴化という状況がますますこれから進んでまいる、さらには基本的には平均余命というものがどんどん延びていく、こういう情勢が出てまいります。といたしますると、どうしても、これは人間の常として当然のこととも言えますが、いままでスムーズにやってきた勧奨退職の実効を上げるのがさらに困難の度を加えてくることは、私はこれは近い将来としては見通せると思うのであります。これは事実でございます。容易になるというより困難になっていくことは事実だろうと思います。
 そこで、長期的な展望に立って今後の人事制度のあり方というものを定立をしていくという見地から申しますと、やはりこれに対する基本的な対応策を講じていく必要があるのではあるまいか。その一環として、定年制は重要な問題であるけれども、やはりこれを導入する時期に来ておるのではあるまいかというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、退職勧奨の問題は、いま御指摘になりましたこぶの解消の問題、こぶの存在の問題というものも無論無縁ではございませんけれども、それだけのことではなくて、将来を見通した長期的な人事管理の視野から見て、勧奨退職というものは従来どおりの円滑な推移でいくかということになりますと、これはきわめて困難な情勢がそのうち急速にあらわれてくるのではないかということを考えておる次第でございます。
#156
○岩垂委員 総裁、こぶの問題ではないというふうにおっしゃいますけれども、国家公務員の場合、一般行政職で見ますと、四十八歳から五十一歳が一三・二%、五十二歳から五十五歳が一一・〇%、五十六歳から五十九歳は四・九%、六十年に六十歳定年ということになりますと、いまの五十二ないし五十五歳が定年年齢といいましょうか、直前になるわけですね。私から見ると、これはかなり異常な状況だと思うのです。それは私も戦後の状況、たとえば二十五年前ということを考えますと、行政整理やあるいはレッドパージによるところの大量の穴埋めだとかあるいは機構改革による増員だとかあるいは旧制と新制の大学のダブりといいましょうか、そういう問題などがあってこういうふうになってきたのだろうと思うのですよ。だけれども、総裁はこぶの解消だけが目的ではないとおっしゃる。しかし、こぶは現実に認める、こうおっしゃる。それは取ってみたところで、結果的にはまたこぶの集団というのは再生されていくと思うのです。この現実というのはどのようにお考えですか。
#157
○藤井政府委員 いまわれわれを初め各省庁の人事担当者が当面いたしておりまする最大の難問の一つにこぶの問題があるということは事実でございます。これをどういうふうに処理して、経過的にできる限り摩擦のないように、混乱を少なくするような方向でこれに対処しなければならぬかということにつきましては、各省庁とも腐心をいたしております。われわれもその点を非常に深い憂慮を持って見守りつつ――見守るだけでは無責任でございますので、一緒になってこれに対する対策を積極的に講じなければならぬというふうに考えておるのであります。このこぶの問題は、いま御指摘になりましたように、そういう各般の事情が折り重なりましてこういう事態が起きておるわけであります。したがって、このこぶは大変異常であります。このこぶの状況が、今後何回も後々ある時期を限って出てくるということは、中にはあるかもしれませんが、現在われわれが問題にしておりますこぶほど大変異常な、したがって、長期的にわたってこれに対して深刻な対応を迫られる問題は、それほど出てくるはずはないというふうに考えておるのであります。したがいまして、この点は、お言葉を返すようでありますけれども、定年制の問題は無論何がしか寄与はいたしましょうが、定年制問題とはまた別に、これに並行して、それだけでは処理できない問題として対応していかなければならぬ問題ではないかと思います。定年でもって仮にがばっとやめてしまうということになれば、各省庁の行政事務運営に支障が起きてくることは明白でありますから、そういうものを含めて、どういうふうにスムーズにやるかということは、別の角度から真剣に取り組んでいかなければならぬことではないだろうかというふうに考えておるのであります。
#158
○岩垂委員 人事院は書簡の中で、「定年制実施後も、退職勧奨を行う必要のある場合も見込まれるので、この点について引き続き配慮することが望ましい。」と言っておられます。私は、先ほどから定年制というのは機械的に一律にやってしまうことはだめだ、こういうふうに申し上げてきたのですが、勧奨退職が必要な場合、これはどういう事態を想定していらっしゃるのか、あるいはどんな職種、あるいは職務をお考えになっていらっしゃるのか、御答弁をいただきたいと思います。
#159
○斧政府委員 お答えいたします。
 定年制ができますと、先ほど来問題になっております勧奨退職、つまり集団退職管理としての勧奨退職、定年制の代替物としていままでやっておるわけですが、これはだんだん消滅していくものだと思っております。しかし、個別に見ますと、どの職種とかどの官職ということではなくて、それぞれの省を見ますと、業務の形態も違いますし、年齢構成も違いますし、学歴構成も違いますし、ということで、官職によっては後進に道を譲るというような人事刷新の方途を講じなければ、新陳代謝ができないというようなところも出てきょうかと思います。そういう場合に、勧奨の道を依然として残しておくということが必要であろうかということで、書簡でああいうことを申し述べたわけでございます。
#160
○岩垂委員 総理府に伺いますけれども、いま人事院からも御答弁があったけれども、この法案が、私たちは反対ですが、成立した場合に、つまり定年制の実施後も退職勧奨というのは残すお考えですか。
#161
○山地政府委員 むしろさっきのこぶの話もございまして、定年制導入後も退職勧奨が必要であるというふうに私どもは考えております。
#162
○岩垂委員 それはいま職種や職務のことまで具体的に述べろと言っても、人事院はそうはいかぬと思うのですが、総理府はどんなふうにお考えですか。
#163
○山地政府委員 いま任用局長のおっしゃったとおりであろうと思います。
#164
○岩垂委員 残すということになると、一般的には公務員の退職勧奨というのは二本立てということになるわけですか。
#165
○山地政府委員 いまの御質問の意味が、片一方では定年になれば集団的な退職管理としておやめいただくし、また個別的に退職勧奨というものを、それを補うものとして利用していく。当然のことながら将来にわたっては退職勧奨というのが定年に全面的に変わってくるということになろうかと思います。
#166
○岩垂委員 さっき各省庁の勧奨年齢のことを聞きまして、六十歳未満の省庁があるわけですが、これも勧奨もやります。定年もやります。二木立てで攻められるわけです。勧奨というのは、ある意味で半ば強制みたいな形になるのです。そういう点から言うと、ぼくは矛盾だろうと思うのです。将来は勧奨はなくなって定年制一本になっていくんだ、そういう方向だ、そのことを目指しているというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#167
○山地政府委員 将来は定年制一本になってくるというふうに私どもも考えております。
#168
○岩垂委員 地方自治体の場合も同じ考え方かどうか、この際お尋ねをしておきたいと思います。
 つまり勧奨退職は勧奨退職で、定年は定年だということで、勧奨の方も、肩たたきを強くやられて、退職定年になったらいきなりやめていかなければならぬ、そういうことになると、これはまさに二つのむちになるだろうと私は思うのですが、その点はどうですか。
#169
○宮尾政府委員 先ほど人事院あるいは総理府の方からお答えをしたと同様の考え方でございます。
#170
○岩垂委員 同様と言いましても二本立てのようで、三千五百の自治体があるわけです。さっき言った、それぞれの地域事情あるいは職員構成あるいは組織、機構の違いがあるわけです。自治体でそれぞれ退職管理をいままでやってきた。それを一律に一本の法律で行うということは、非常に困難が伴うだろうというふうに私は思うのです。退職勧奨を残すということ、逆に言えば定年制の法制化というのは、地方の実態に合致していないという証拠じゃないだろうか。そういう意味で自治省はどうお考えになっていらっしゃるか、つまびらかにしていただきたいと思います。
#171
○宮尾政府委員 いまの勧奨退職制度というのは、いわば一律に一定年齢に達した場合には肩たたきをするという制度でございまして、定年制度が法制化された場合には、当然その基本的なものというのは定年制度で置きかえられていくということになると思います。
 ただ、御質問の中にもありましたように、それぞれの地方団体で職員構成が違うとか、いろいろな特殊事情を持っておるところもあるわけでございますので、そういう場合に定年制度を補うものとして、個別的な勧奨退職という仕組みというものは、やはり残ることになるであろうというふうに考えております。
#172
○岩垂委員 肩たたきというのは、実際問題としては、肩をたたかれた後はいにくいという環境になるのですよ。それは第二の人生でもう一遍就職をするチャンスがあって、この際よそへ行った方が給料もそれほど減らないで楽ができるというような人がいるかもしれません。しかし、全体から見ると、やはり勧奨というのはかなり厳しい状況に追い込まれる。がんばってみても六十、二重の山を越えなければならぬわけです。ですから、その点でどっちがどっちということを申し上げるつもりはございませんけれども、ここはやはり定年制というのは、そういう意味では慎重にしなければならぬということを言いたかったわけです。勧奨で大体うまくいっているのですから、何もそんなに、さっき言ったように、一部の地方自治体がうまくいっていないというところもあると言われました。しかし、一部のために全体を法律で縛るというのはどうも納得できない。そういうことにどうしても問題を感ずるのです。
 自治省はさっき言われなかったのですが、地方財政という観点は一言もおっしゃらなかった。もちろん総理府の方はそれば言わなかったので、総理府と同じですと言ったのだから外れちゃったのですが、そういう点は考えていらっしゃるのですか。
#173
○宮尾政府委員 定年制度は、適切な退職管理制度というものを設けるために、人事管理上の必要から考えておるわけでございまして、財政的な見地からこれを設けたいというふうに考えておるわけではございません。
#174
○岩垂委員 そうしますと、いま言われている財政再建のための行政改革、そういうものとは違うというふうに理解していいですね。
#175
○宮尾政府委員 こういう定年制度というものをつくる主たる動機といいますか理由というものは、先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、行政改革という中で、公務員の人件費問題ということは当然これからの論議としていろいろな御論議がなされるというふうにも承っておりますし、そういう意味で、公務員制度のあり方を含めた行政改革というものと全く無関係だというふうには私どもは考えておらないわけでございます。
#176
○岩垂委員 公務員二法が通らないで何が行革かというような議論もございまして、そういう言い方では、私は公務員の管理という問題についての慎重なというか、人間関係ですから、そういうものではないような感じがするので、いま自治省そうすっきりと答えるわけにはいかぬと思ったけれども、財政の問題から人減らしをするんだということだけが先行して、そしてそういう対応をすることについては私は賛成できません。その点は、総務長官同感でしょう。
#177
○中山国務大臣 先生御指摘のとおり、財政問題だけで公務員制度に定年制を導入するという考え方ではございません。御案内のように、高齢化社会を迎える。公務員は雇用の状態の中で過去の高度成長期に山というものが幾つかございました。それがずっと高齢化社会になってくるという中で、その山が将来公務員全体の各省の組織の中に出てくると、いわゆる年功序列型でございますから、ポストの乱設をしていかなければなかなかその人たちが満足した公務員生活というものができないような状態になってくる。ここに一つの大きな国の行政組織全体としての悩みがあるであろうと考えておるわけであります。そういう反面、採用されて将来とも公務員として国民に誠実に奉仕をしていきたいという若い公務員の人々には、上を見ると全部詰まっているというふうなことで、意識というものが低下してくるおそれがある。こういうことから長期的な人事管理という意味で今回定年制の御審議をお願いしている、このように御理解をいただきたいと思います。
#178
○岩垂委員 総裁にお伺いをしたいのですが、公務員制度全体を見直すという作業が六十年を目指して進められています。それはいろいろな面で、私は細かくは言いませんけれども、お答えをいただいた経過がございます。やはりこういう身分にかかわる重大な問題というのもそういう中の一環として議論をしてほしかった、またすべきだというふうに私は思うのです。そうでないと、この部分はこの部分、この部分はこの部分、その上で残った問題についていろいろ議論をしていくというのでは、ここ二、三年、あるいは四、五年の経過から考えてみるとちょっと片手落ちではないかという感じがいたします。その点についてはどんなふうにお考えですか。
#179
○藤井政府委員 御質問の趣旨に私も同感でございまして、公務員制度というものは、やはり一つの部門部門を取り出してばらばらにやっていっていい結果が生まれるはずのものではございません。そういう基本的な立場でないと重要な問題は整合性が得られないという感じを持っております。ただ、定年制の問題といまの総合的な勘案の問題は若干次元が違う点があるし、それから書簡発出、これに対するお答えということの一連の経緯からも見ますように、特殊な事情があったことは事実でありまして、ただ平らかに考えました場合は、いま御指摘のありますように、人事院の方で去年の給与勧告に際して打ち出しました長期的な検討、総合的な検討という問題をもっと前に仮に出しておるとすれば、当然その中で定年制の問題も論議の対象になってきたであろうということは確かであろうと思います。
 そういう意味で、われわれとしてもこの問題は重要だということで、長年にわたって追跡調査、その他実態の分析を続けてまいったことは先刻申し上げたとおりであります。しかし、この点についてはそういうようないきさつで今日に来っておるということは率直に申し上げなければならぬ問題であろうと思いまするし、定年制の問題については、あの書簡の中にも申し上げておりますように、この問題だけで全部が落着するものではございません。なおこれからの準備期間がございますし、それとさらに将来のもっと恒久的な安定した制度にするにはどうしたらいいかという問題もございます。そういうような問題として任用制度あるいは研修制度あるいは公務員の退職後の生活の問題、あらゆる点がそこに考慮の対象として入ってこなければいかぬだろうと思っております。その段階に参りますと、去年申し上げました長期的視野の検討という問題と実は合致してまいるわけでありまして、そういう観点に立ちながらこの問題の処理ということについては遺憾のない配慮をしてまいる所存でございます。
#180
○岩垂委員 きのうも公労協を中心とする春闘の大きな山がございました。最終的に実質賃金の目減りをカバーするところまではいっていません。もちろん官民較差、いろいろな議論があることは私も知っています。しかし、それは現在そうだから歴史をさかのぼって過去何十年もそうであったということではないと思うのです。公務員の方がかなり厳しい労働条件、社会的な規制というものを含めて勤務を要求されるという面があるわけでございます。ですから、民間がこうなんだから、したがって、公務員もこれだというふうに、そこの部分だけで比べて締めくくってしまうという言い方というのは、私はどうも片手落ちではないかということをあえて重ねて強調しておきたいのです。
 ですから、民間が五〇%超えなければ、六十五というところまでいかなければ公務員もいかないよというような議論ではなしに、さっき言った任用やらあるいは公務員制度全般など含めて、ぜひひとつ人事院にも――今回六十歳定年というものがもし行われたとすれば、その結果についても、老後の問題など含めて、それから社会的な動向を含めて検討の俎上に上せていけばいい、このことをお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
#181
○藤井政府委員 御趣旨の点は同感でございます。そういう趣旨を体して今後も努力いたします。
#182
○岩垂委員 これは総理府にもお願いをしておかなければならぬのですが、この法案がたとえば通ったとしても、私は反対ですからそういうことを言うのはおかしいかもしれませんけれども、本当に私は定年という言葉が持っている暗さみたいなものを身にしみて感じていることが幾つかありまして、それだけに、役人は親方日の丸だという議論だけでは割り切れない、そうであってはいけない、そういう面があると思いますので、その辺について今後とも慎重な対応を願いたいというふうにお願いをしたいと思うのです。
 実は、私まだ質問しようと思ったのですが、時間が参りまして、締めくくりがちょっとへんてこなかっこうになりますけれども、午後は有事法制を中心にして伺いたいと思いますので、この辺でやめたいと思いますが、最後に総務長官の御答弁をいただきたい。
#183
○中山国務大臣 先生御指摘の、定年制を含めた老後の第二の人生の問題は、公務員の諸君にとってもきわめて大きな問題であるということは全くそのとおりだと思います。日本が初めて迎える高齢化社会の中で、公務員諸君の第二の人生をどうするかということについては、総理府といたしましても、今後十分に検討を続けてまいりたい、このように考えております。
#184
○江藤委員長 午後四時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時三十分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時五十五分開議
#185
○江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。岩垂寿喜男君。
#186
○岩垂委員 総務長官の都合もございますし、また昨日は有事法制の中間報告などが行われておりますので、防衛問題などを中心にして、あと一時間でございますが、質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、鈴木総理が「防衛計画の大綱」の水準を六十二年度までに達成するという方針を確認をされて、いよいよこの二十八日に国防会議を開いて五六中業見積もりを政府計画に正式に格上げをするということになったそうでございます。率直に申し上げて、防衛力増強がまっしぐらに突き進んできたという感じが私はいたすわけでございまして、多くの国民とともに不安を、そしてまた戸惑いを禁じ得ないのでございます。
 そこで伺いますが、五六中業を達成するためには、結局「防衛計画の大綱」の水準ということになりますから、恐らくは新しく護衛艦十隻だとか潜水艦二隻だとか戦闘機など百二十機などなどの調達が必要になります。言うまでもございませんが、護衛艦の値段あるいはP3Cオライオンなどの価格についてはすでに明らかなんですけれども、一体どのくらいの予算を、概算で結構ですが、はじき出されておられるのか。それはこれから価格が多少変わりますから、断定的にお答えいただくわけにはいかぬと思いますけれども、現在の見積もりといいましょうか、価格水準でどんなことになるのかということを御答弁いただきたいと思いますし、もう一つは、五三中業というのはトータルで大体どのくらいになるのか、大体の金額をお示しいただきたいと思います。
#187
○大村国務大臣 お答え申し上げます。
 五六中業につきましては、これから作成の作業に入ろうとしておる段階でございます。そこで基本的な考え方をどうするかということを検討中でございまして、ただいまお話がございますように、「防衛計画の大綱」を達成することを基本として次の中業を進めることにしたいという趣旨の考え方を、二十八日に開かれる予定の国防会議にお諮りして、その了承が得られれば、その線に沿って作業に入るように各幕に私は指示を出したい、さように考えておるわけです。そして作業が始まりましてからおよそ一年間かかる、こういうことでございますので、ただいまお尋ねの五六中業の事業内容がどうなるか、また関係事業費の見積もりがどうなるか、これから作業にかかるわけでございますので、せっかくのお尋ねでございますが、その点につきましてはちょっとお答え申し上曲げることがむずかしい次第でございます。
 それから、五三の方につきましてお尋ねがございました。この点につきましては、当時のベースではじいた正面装備五年間の見積もりの所要額が二兆七千億ないし八千億ということは、これまでも国会の答弁でしばしば申し上げたところでございます。
#188
○岩垂委員 五六中業は確かにこれから検討をするわけですけれども、「防衛計画の大綱」の水準というのはすでに出ているわけです。そことの開きもすでに明らかなんであります。したがって、現在水準で大体どのぐらいになるのか。五三中業と比べてみて二倍ぐらいにかかるのかという感じを私は持たざるを得ないのですが、感じ方としてはどうなんでしょうか。細かい数字を挙げろとは言いません。
#189
○塩田政府委員 感じ方でどうかというお尋ねでございますが、大変むずかしいと申しますのは、先ほどたとえば先生、護衛艦でも十隻ぐらい足らぬじゃないかというお話がございましたが、御承知のように、「防衛計画の大綱」では約六十隻と書いてございます。いま五十六年度の予算でお認めいただいたものが完成しました時点の勢力はわかりますから、その差額というのは当然出るわけでございます。その数は確かに出ますが、これから先、リタイアしていく分が当然ございます。リタイアしていくものをどれだけ見るか、その差額をどれだけ見るかというものを見まして、両方足していって初めて達する、こういうことになるわけでございます。したがいまして、十隻ということにももちろんなりませんし、なお、仮に護衛艦のようなものはある程度数字は出るとしましても、たとえば六十隻なら六十隻というものがDDHのような大きな船ばかりで六十隻でないことも明らかでしょうし、またDEのような千五百トンクラスばかりで六十隻でないことも明らかでしょう。そうすると、それをどういう割合で整備していくかというようなことは、いまからすべて検討課題でございますので、そういう意味で、達観して何か出そうだというふうにおっしゃっておられるわけですが、いまの時点ではその辺を申し上げかねるというのが実態でございます。
#190
○岩垂委員 わかりました。なかなかわかっていても言いにくいだろうと思いますが、国民はその辺のところもかなり心配をしていると思うのですね。
 そこで伺いますが、大体五六中業を実現をする過程では、予算の毎年、毎年の変化がございましょうが、対前年度比で一〇%ぐらいになるのかならぬのか、あるいはまたそういうプロセスで、率直なところGNPの一%という枠をオーバーすることにならないかどうか、この辺について、防衛庁としてこの計画を立てる以上は、そして同時に、鈴木総理の一定の方針がある以上は、その辺について触れて議論をせざるを得ないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#191
○大村国務大臣 五六中業につきましては、先ほど申し上げましたように、これから作業にかかるわけでございますので、国防会議の了解を得られまして、「防衛計画の大綱」を基本的な考え方として進めるといたしましても、相当な期間がかかるわけでございます。したがいまして、その事業の内容あるいは所要経費の見積もりのいかんによりまして、五年間の総額がどのくらいになるのか、作業をやってみないと、いまの段階では見当つきかねる状況でございます。
 一方、五十一年の閣議決定に基づきます対GNPは、毎年度の防衛関係費がGNPの一%を超えないことをめどとする、こういう決定でございますので、分母に当たりますGNPそのものが計画期間である五十八年から六十二年、一体どういうことになるのか、これもその方面のこれからの作業にかかることでございます。分母も分子も未確定でございますので、私どもといたしましては、その答えが果たして一%以内におさまるのか、それともそれを超えるようになるのか、もし超えるということになれば、現在の閣議決定と異なってくるわけでございますので、その辺のことは、経済成長率あるいは中業の内容、両方の作業を見ていかなければ、いまの段階では判断をするわけにはまいらぬのではないか、さように考えているわけでございます。
 そうして総理のお言葉について見ますると、これは新聞で承知した限りにおきましては、成長率が変われば別だが、このまま成長率が続くとすれば、GNPの一%におさまるのではなかろうか、こういう趣旨の御発言だったように承知しているわけでございまして、その点は、総理とされましても、いま私の申し上げました基礎の関係がまだわからないので、それで経済成長率がこのまま続くとすれば、こういうことになるのかもしれない、こういうお気持ちで言われたのではないかと私は理解しているわけでございます。
#192
○岩垂委員 大村防衛庁長官は総理の後、訪米されるわけです。そこで私が申し上げておきたいのは、昨年の防衛費について言えば、どうもワシントン発ではなくて、東京六本木発九・七%というのが打ち上げられて、そしてそのことがアメリカに対する大きな期待となる、結局おさまるところは鈴木内閣の努力で七・三%ですか、おさめた、さすがに鈴木さんは偉いもんだ、どうもその辺の何か演出みたいな感じがしてならないのであります。それは私の想像でございます。
 いずれにせよ、訪米をなさるときに安易な、われわれはこうしたいのだという形で発言をして、それが大きな向こうの約束事みたいな形にとられて、逆にまたアメリカからそのことを迫られてくるという経験はいままでになかったわけではございません。
 そこで伺いますが、アメリカに行かれたときには、たとえばGNPの一%とかあるいは前年度比一〇%とかという、そういう比べ方についてアメリカとの間に約束をしたりお話し合いをするということはないというふうに御断言をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#193
○大村国務大臣 ただいまのお尋ねの訪米、これは総理の訪米の際といういま御発言ではないか……(岩垂委員「あなたはその後行くわけだからあなたに聞いているわけだ」と呼ぶ)私の訪米の時期はまだ決まっておらぬわけでございますが、いずれにせよ国会が終わってから先になる。その前に総理が訪米されまして、日米間の大きな問題についてお話しになると思うのでございますが、それを踏まえて私の行った場合どういう点について話し合いをするか、そういった点を決めさせていただきたいと思いまして、いまのところその点はまだ固まっておらないわけでございます。
 ただ、昨年往々にして誤解を招くような点があったので、そういう点が起こらないように注意した方がいいという御趣旨の御発言は私も念頭に置いてまいりたい、そういう気持ちがしております。
#194
○岩垂委員 そのやりとりをしていますと本題に入れませんから、次に有事法制の問題について伺いますが、きのう資料をいただきました。この資料の中にも書いてございますが、五十三年九月二十一日の「防衛庁における有事法制の研究について」一、二というふうに書いてある文書の二の中に「現行の自衛隊法によって自衛隊の任務遂行に必要な法制の骨幹は整備されているが、なお残された法制上の不備はないか、不備があるとすればどのような事項か等の問題点の整理が今回の研究の目的であり、近い将来に国会提出を予定した立法の準備ではない。」このように指摘をしていますが、「近い将来」というのは何を意味しておっしゃっていらっしゃるのか。同時に私は、少なくとも国会に提出を予定した立法の準備ではないということから始めた作業でございますから、立法化というか法律改正はこれによってするものではないということだけは御答弁をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#195
○大村国務大臣 お答えします。
 いま引用されました五十三年の取り扱いについての文書にはっきり書いておりますように、これは研究でございますので、立法の準備とは違うわけでございます。今回は研究の一部の結果を中間報告としてまとめて御報告したものでございまして、その後の扱いにつきましては、また別途検討されてしかるべきものであると考えておるわけでございます。
#196
○岩垂委員 これは防衛庁長官も国会でちょっとおっしゃったことがあるのですが、アメリカの国防総省あたり、あたりというふうにあえて言いますが、一九八〇年代の半ばごろ、予見できる近い将来に東南アジアあるいはペルシャ湾で軍事衝突が起こるという想定があるわけです。防衛庁長官も実はこの種のことについて、私はちょっと長官がああいうことをおっしゃったのは不注意ではないか、不用意ではないかと思うのですが、新聞報道によれば、そういう判断を述べられたことがございます。私はその辺の判断についてどういうふうにお考えになっているのか、これをわが国にとっての脅威と見るかどうか、その辺のところで御答弁をいただきたいと思います。
#197
○大村国務大臣 ただいま私の発言をめぐってのお尋ねがございましたが、私が国会で申し上げましたのは、これまでのような状況が今後も続くとすれば、八〇年代の半ばにおいて米ソの軍事力の均衡が損なわれることになるおそれがある、そういう点を申し上げたわけでございます。しかしながら、一方において米ソ両国におきましても、軍事管理のあり方についてのお話も進めておりますし、また米国におきましては、国防努力を新たな見地から始めるという動きもあるわけでございまして、七〇年代あるいは六〇年代にさかのぼるわけですが、そういった傾向がこのまま続くということでもないと思うわけでございます。そういった場合におきましては、核戦力の行使を含めての大規模戦争の発生が差し迫った危険があるとは思われない節があると申さざるを得ないと思うわけでございます。
 ただ、さればといって通常兵器による、在来兵器による危険が絶無であるかというと、そこまでもまた断定し切れない、そういったきわめて流動的な情勢にあるということを申し上げたつもりでございます。
 そこで、この有事法制の研究についてでございますが、三年前に防衛庁長官が取扱方針を決めまして、そして防衛庁内に研究を指図されたものでございまして、その後三年間研究しました結果、防衛庁所管の法令についてはほぼ研究がまとまった、そういうことで、また私は昨年来国会におきまして、中間的なものでもまとまれば、まとまり次第国会に御報告するということを申し上げておりましたので、そのお約束に従って今回御報告申し上げた、こういう経緯でございますので、御理解を願いたいと思う次第でございます。
#198
○岩垂委員 この中に「幸い、現在の我が国をめぐる国際情勢は、早急に有事の際の法制上の具体的措置を必要とするような緊迫した状況にはなく、」こういう認識も変わっていないというふうに考えてよろしゅうございますね。
#199
○大村国務大臣 先ほど申し上げましたように、核兵器の使用を含む大規模な戦争の差し迫った危険はないと考えておるわけでございます。しかしながら、通常兵器による脅威というものは絶無でない、そういった状態は、この有事法制の研究を開始したときとそれほど相違してないというふうに考えられると思います。
#200
○岩垂委員 この中で戒厳令だとか徴兵制はもちろんやらないということをおっしゃっているのですが、これももちろんのことですが、「言論統制などの措置も検討の対象としない。」というのは、秘密保護法なども含まれるというふうに考えてよろしいかどうか、明確に御答弁をいただきたいと思います。
#201
○夏目政府委員 今回の研究は、あくまでも有事における自衛隊の効果的な運用を図るという見地からの検討でございまして、そういう立場から、現在の法制上にふぐあい点、問題点がないかということを中心に検討したものでございまして、いま御指摘のようなものは、今回の検討の対象にはしておりません。
#202
○岩垂委員 ある程度まとまったから中間報告をしたわけですが、今後の取り扱いといいましょうか、そうしたスケジュールについてぜひお聞かせをいただきたいと思うのです。
 第一類が中心になって報告されていますが、第二類、つまりこれは「他省庁との調整事項等も多く、検討が進んでいる状況にはなく、」こういうふうに言ってありますが、全くやってないのですかどうですか。それからこれからどういう体制で、特にこの体制のことを伺いたいと思うのですが、調整をなさるのか。それから第三類の所管省庁が明確でない事項はどうするのか。これも「より広い立場からの、研究が必要」というふうに指摘をされておりますが、それはどこでやるのですか。それから防衛庁の所管事務にこれらのことを加えていくという考え方で臨むのかどうか。それらの点について、ちょっと細かく御説明をいただきたいと思います。
#203
○夏目政府委員 まず第二分類につきましては、当然のことながら関係各省庁にまたがる法令でございまして、この法律非常に広範多岐にわたる数多くの法令がございます。たとえて申し上げれば、現在の自衛隊法に特例なり適用除外がある法律だけでも二十四件ございますし、それ以外にあっても、自衛隊のたとえば輸送に関する法律、あるいはこれは鉄道、道路交通法であるとか道路法であるとか航空法であるとかというものがそれに含まれると思います。さらには火薬類の取り締まりに関する法律、これも火薬類取り締まりに関する法律だけでなくて、それの輸送に関する法令等も考えますと、非常に多くの法律があろうかと思う。ほとんどあらゆる法律が関係があるのではないかとすら思われるような状況でございます。こういった法令を一々検討していくには非常に時間がかかる。さらにその上に関係省庁との協議をしなければならないということから、これから相当長期間かかるのではないか。現在のところ私どもの防衛庁限りの研究でございまして、各省庁と調整をするような段階には至っていないというのが第一の問題でございます。
 それから、第二の第三分類につきましては、いま御指摘のあったとおり、まさにどういう場で検討すべきかということが必ずしも定かでございません。法令の中身を検討する以前に、そうした関係省庁にまたがるもの、あるいは所管のはっきりしないようなものについてはどこでやるかについての政府全体として、あるいは内閣としての検討が必要ではないかというふうに考えております。
#204
○岩垂委員 私は、この有事というのは、まだ必ずしも定義が明確でないと思うのですが、その定義をこの有事法制研究という前提でお述べをいただきたいと思います。
#205
○夏目政府委員 これは五十三年九月二十一日の見解でも申し上げてあるとおり、自衛隊法第七十六条防衛出動が下令されたという時点における自衛隊の運用についてのもろもろの問題点を法制上の立場から検討するということでございまして、有事というのは、換言すれば防衛出動が下令された以後の問題というふうに御理解いただければ結構だと思います。
#206
○岩垂委員 ところが、その以後のということに断定できないずいぶん多くのことがございます。それは後から指摘をして御質問申し上げたいと思うのですが、長官にちょっとお伺いをしておきたいのですが、自衛隊の使用について、政府は従来自己抑制の姿勢があったと私は思うのです。武力行使については、むしろ禁欲でなければならないということを私どもは主張して、それにこたえてこられました。有事を招いてはならないし、招かないようにすることが政治の責任だ、そういう信念と責任感というものを私はここでお述べをいただきたいと思うのです。そうでないと、いま防衛出動下令後、こう言うのですが、それは戦争のことなんです。戦争のための法令というのは、いまの日本の憲法、つまり絶対平和主義の憲法の立場から言えばやはりおかしい。軍事力によるところの危機管理体制というのは絶対避けるべきだろう。有事という理由で軍事力による統制を強めることは、軍事大国に導く大きな要因となり、結局は守るべきものを逆に破壊するという大きな矛盾を犯すことになる。このことは平和主義にとっても民主主義にとっても国民が重く大きな関心を払うべき問題だということをある新聞に東大の小林直樹先生が言っておられます。私はまさにそうだろうと思うのです。
 正直これをずっと拝見していって、歯どめどころか、これじゃ無制限に広がってしまう。そういう状態というのは、単に有事法制という一本の法律体系だけでなしに、全体の危機管理と言われる状況のもとで、国民の管理といいましょうか、あるいは統制といいましょうか、そして軍優先といいましょうか、そういうところへ行くとても危険な瀬戸際にあると思うのです。その点で防衛庁長官の決意を、この際、承っておきたいと思うのです。
#207
○大村国務大臣 お答えします。
 私は、わが国の自衛権の行使というものは自衛のための必要最小限度に制約されるものと考えておるわけでございます。その一番端的なあらわれが防衛出動の下令でございます。これは法律の規定によれば、外部からの組織的、計画的な攻撃があった場合のみそういった命令を下すことができる。その場合の手続、要件につきましても、きわめて厳しい手続も設けられているわけでございます。
 要は、憲法の精神に従って厳重な制約のもとにみずからの国をみずからで守っていくための必要最小限の規定が設けられている。したがいまして、運営もその精神に従って行わなければならない。今回御報告しました有事法制の研究も、そういった憲法の制約というものを十分念頭に置いて、そして許される範囲で法令の不備な点について研究を行ったものを御報告申し上げておるのでございまして、決して無制限でありますとか無制約であるとか、そういう点はないものと信じておるわけでございます。
#208
○岩垂委員 法律で許されるということをおっしゃいましたけれども、たとえば憲法だとかその他の法律、つまり国民の権利や基本的人権というものについて重大な制約を及ぼす危険性、これはもう多く指摘されているわけであります。だから、この有事法制研究というものがもたらすであろう、そしてそれがさらに進んで立法化ということになったら、これは大変なことだと私は指摘せざるを得ません。
 そこで伺いますが、防衛出動、七十六条については、国会の承認を原則とし、武力行使を防衛出動を下令後に限定しているという八十八条、なぜこのような決定が行われたのか、立法当時の考え方をぜひここでお述べをいただきたいと私は思うのでございます。
#209
○夏目政府委員 防衛出動の下令ということは、日本の国家にとって国家の存立にかかわるきわめて重大な問題であるということは論をまたないと思います。そうした重大な決定について、総理の承認あるいは国会の承認を得て出すということは、私としては民主主義国家として当然のことであるというふうなことからこの規定が設けられたというふうに理解しております。
#210
○岩垂委員 つまり、シビリアンコントロールの基本である国会の歯どめというものがこの国会承認の原則というものを明らかにしているのだろうということは、もう私が申すまでもございません。
 そこで、「防衛出動待機命令」というものがございます。七十七条。これは法文を読めばそのままでいいのかもしれませんが、国会の承認とは違いますね。つまり政府の一方的な解釈、判断というふうに言わなければならない。事態が緊迫をしていること、防衛出動命令が発せられることが予測される場合、これに対処するため必要があると認められるとき、内閣総理大臣の承認を得てと、こうなるわけですね。つまりこれは政府の一方的なとあえて申し上げれば言葉が過ぎるかもしれませんが、独自の判断、国会のコントロールとは外であるということを指摘しておかなければなりません。そのとおりですね。
#211
○夏目政府委員 防衛出動待機命令というのは、近い将来防衛出動の命令が下令されることが予想されるような緊迫した事態で出されるものと理解しております。しかし、この出動待機命令というものは、直ちに防衛出動とは違いまして、武力行使を伴うものでもございませんので、武力行使を前提とするような防衛出動とはおのずから扱いが別になっているんだろうというふうに思います。
#212
○岩垂委員 現行法のもとで待機命令によって何が可能なのか、その点について具体的内容を明らかにしていただきたいと思います。
#213
○夏目政府委員 現在、その法令上、防衛出動待機命令が出てどういう措置が可能かということについての特段の規定はございません。したがいまして、その段階でできることというのは、防衛庁長官の判断で、権限の中で準備されることがあろうかと思います。たとえば外出の禁止であるとか物資のある程度の移動というふうなものは当然その中に含まれるであろうというふうに思います。
#214
○岩垂委員 いままで待機命令というものが出されたことがございますか。それからそれはだれが下令しましたか、もし出たとすれば。
#215
○夏目政府委員 いままで待機命令が出たことはございません。
#216
○岩垂委員 航空自衛隊もいままで待機命令の態勢をとったことはございませんか。
#217
○塩田政府委員 いままでございません。
#218
○岩垂委員 それじゃ伺いますが、航空自衛隊の防空作戦の中で「警戒待機」というのがございますね。「作戦に際しては、敵の攻撃に対処するため要撃戦闘力を状況に即して警戒待機させる。戦闘機部隊の警戒待機は、通常、数段階に区分し、各段階ごとに発進に要する許容時間と機種、機数、兵装等を示す。」云々と、こうなっていますが、この警戒待機について中身を教えてくださいませんか。
#219
○塩田政府委員 おっしゃっておられますのは、航空自衛隊が現在やっております対領空侵犯措置としての警戒態勢の段階区分のことだと思います。これはいわゆる警戒態勢区分ではございませんで、いま申し上げましたように、航空自衛隊は領空侵犯措置をとることになっておりますが、その領空侵犯措置をとる上での態勢区分を幾つかに分けておりまして、現在適用いたしております。いま手元にその資料を持ってきておりませんので、具体的に申し上げる資料ございませんけれども、対領空侵犯措置をとる上で必要な段階区分をとっておる。しかし、それも実際には適用したことはございません。
#220
○岩垂委員 防空態勢というのもこの中にございます。「防空態勢は、防空に任ずる部隊が状況に即して戦闘力を最大に発揮するためにとる戦闘準備の程度を示す基準であり、通常、数段階に区分し、」云々、こうなっています。この防空態勢とは一体何でしょうか。それからだれが発令するのか、総隊の司令官かあるいは方面隊司令官か。その準拠はだれが定めているのか。その点について、この警戒待機のことも含めて御答弁をいただきたいと思います。
#221
○塩田政府委員 いまおっしゃっておられます防空態勢というのが私よくわかりません。現在ありますのは、いま申し上げました対領空侵犯措置のための警戒態勢だけでございます。(岩垂委員「警戒態勢だけ」と呼ぶ)対領空侵犯措置としての警戒態勢区分はございますが、もっと広い意味の防空態勢といったものは現在ございません。
#222
○岩垂委員 そうすると、七一年一月航空自衛隊の教範「航空作戦」第三章「防空」、これはないのですか。ちゃんと書いてありますよ。これはおたくの印刷ですよ。ないというのはおかしいじゃないですか。
#223
○塩田政府委員 早速調べさせていただきますけれども、現在航空自衛隊で運用しておりますのは、先ほど来申し上げております領空侵犯措置のための警戒態勢区分のみでございます。
#224
○岩垂委員 航空自衛隊の教範というのはあるわけでしょう。「航空作戦」の項目もあるわけでしょう。その中に「防空態勢」ときちんと書いてあるのだ。これは防衛局長、ないというのはおかしな話だよ。まあいいでしょう。それは後から教えてください。
 防衛研究における警戒態勢基準というのは何ですか。
#225
○塩田政府委員 これは陸、海、空を通じまして、現在は陸、海、空軍はございませんが、先ほど申し上げましたように、現在は航空自衛隊の領空侵犯措置の警戒態勢区分しかございませんが、防衛研究でやりましたのは、陸、海、空を通じまして情勢の進展に応ずる弊、哨戒態勢区分を検討した、こういうことでございます。
#226
○岩垂委員 いまみたいに、警戒態勢だとか警戒待機とかあるいは待機命令とかいろいろあるわけです。
 海上自衛隊、陸上自衛隊の警戒態勢の現状はどうなっていますか。陸はたしか非常勤務態勢一種、二種、三種になっているのですが、海の方はどうなっていますか。
#227
○塩田政府委員 大変恐縮ですが、いまはその資料を持ってきておりません。陸と同じような程度の簡単なものはございますけれども、いわゆる警戒態勢区分と言えるほどのものではございませんので、先ほど申し上げましたように、防衛研究の中でこれを取り上げて検討をした、こういうことでございます。
#228
○岩垂委員 どうも資料がなくて困るのですがね。
 つまり私はずっといま指摘をしたのですが、警戒態勢と言われる言葉はいろいろ違いますが、こういうものを陸、海、空で統一するというねらいをおたくは持っていらっしゃるのじゃないか、どうもこういう感じがするのですが、いかがですか。
#229
○塩田政府委員 統一するといいましても、陸、海、空それぞれの任務の違いとか、実際の部隊の性格の違い等がございますから、細部まで統一というわけにはいかないわけですけれども、考え方としまして、どういう情勢のときに警戒態勢の初期の段階を出す、どういう情勢になれば次の段階を出すというようなことば統一していきたいということで研究をしておるわけでございます。
#230
○岩垂委員 そこで、例のガイドラインにおける準備段階というDEFCONですか、これも実は研究、検討をしているわけですね。これは全部一緒にしようとしているのでしょう。つまりこの準備段階というのは、防衛出動待機命令及び自衛隊の警戒態勢基準と結びつけて考えていこうとしているのだろうと思いますが、いかがですか。
#231
○塩田政府委員 ガイドラインで言っておりますのは、米軍との間の共同対処行動をとる場合の防衛準備の段階のことでございまして、これは作業としては現在まだ進んでおりません。進んでおりませんというよりもほとんど始めてないと言っていい状態でございますけれども、それは米軍との関係における準備のための段階区分の検討でございまして、先ほど来申し上げておりますのは、自衛隊の中だけの話でございまして、それは私ども一応別であるというふうに考えております。
#232
○岩垂委員 別だと言いたいのでしょうけれども、いま出てきたさまざまなもの、たとえば防衛研究そして有事法制化、そして日米ガイドライン、三位一体なんですよ。そして日本の体制を一挙に体制として強めていく、ここに私は問題があると思うのです。それはやりとりをいたしません。
 しかし、その警戒態勢なるもの、あるいは待機命令時に、たとえば土地の使用だとか特別な部隊の編成とか予備自衛官の招集の適用時期を繰り上げる。そうすると、結局国会のコントロールが及ばない。そして防衛庁長官なりあるいはその部隊の責任者、これが待機命令という形の中で、いま言った土地の使用とか特別の部隊の編成とか予備白術官の招集とかいうものを行う、その向こうにDEFCONですか、いわゆるガイドラインによるところの警戒態勢といいましょうか、それがあるという関係をいまばらばらに出していますけれども、どうしても私はそこまでやがて一緒になってくるだろうという指摘をせざるを得ません。
 日米共同作戦研究の中間報告を明らかにすることはできませんか。四月八日に首相に報告をしたでしょう。
#233
○塩田政府委員 日米ガイドラインに基づく共同作戦計画の研究につきましては、ガイドラインに基づく作業として行っておりますが、ガイドラインそのものに基本的な考え方は詳しく書いてございます。そのガイドラインを受けての作業でございまして、それはもうまさに作戦計画そのものでございますので、公表は差し控えさせていただきたいということをかねてから申し上げておりますが、ガイドラインに基づく作業であるということで、基本的にガイドラインの中に考え方なり基本的な思想はもうあらわれておるというふうに御理解賜りたいと思います。
#234
○岩垂委員 ガイドラインも明らかにできない。どうやって国会はコントロールするのですか。実際問題として、これじゃ総理大臣や防衛庁長官の権限さえ形骸化されているじゃないか。ガイドラインの関係そして国内のそういう関係、これは正直なところ、シビリアンコントロールなどというのはだんだんなくなってしまいますよ。そう言っちゃ悪いけれども、塩田さん、あなただって制服じゃないんだ、文官なんだよ。いまの状態が続いてくると、本当にそのコントロールさえ恐らくできなくなりますよ。それについて具体的に、たとえば歯どめなりそういう危険性に対する配慮をなさったことがございますか。
#235
○塩田政府委員 過去において制服が独自の研究をしておるというようなことが言われまして、いろいろ議論を呼んだことがあります。そういった経験も踏まえまして、今度のガイドラインにしましても防衛研究にしましても、長官の方ではっきり指示をしまして、その指示を受けて、具体的な作業自体は制服にやらせましたけれども、内局ともよく連絡をとりながらやっておるということで、私どもはそういった経験を生かしてシビリアンコントロールの実を上げているというふうに考えておるわけであります。
#236
○岩垂委員 日米共同作戦実施の法的根拠というのは、防衛庁設置法の第何条ですか。
#237
○塩田政府委員 具体的に共同作戦計画のための根拠規定というのはございませんけれども、私は、自衛隊に与えられている自衛隊法上の任務、たとえば第三条に自衛隊の任務が書いてございますが、そこからよってくるというふうに考えられると思います。
#238
○岩垂委員 重大なことですよ、これは。正直なところ、防衛二法制定当時は日米共同作戦なんというのはなかったわけです。問題がなかったのです。立法意思の中になかったのです。それを一般論で、自衛隊法第三条あるいは防衛庁設置法というような形で事実上既成事実がどんどん続いている。これは大変なことだと思うのです。
 それじゃお尋ねしますが、これだけの重要問題であるのに防衛局やあるいは統幕の所管事務に記されていない、これはどういうことですか。
#239
○塩田政府委員 たとえば防衛庁設置法の第五条第十三号では「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防御し、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため行動すること。」という防衛庁の権限としての規定がございます。こういう規定上実際に任務を遂行するに当たっての研究であり計画でございますので、私としましては、そういった防衛庁設置法あるいは先ほど言いました自衛隊法、こういうことによって自衛隊の任務として与えられておる中の権限であるというふうに考えるわけであります。
 防衛局の任務としましては、設置法の十二条に防衛局の所掌事務がございます。もちろん具体的に共同作戦計画ということは書いてございませんけれども、防御局の所掌事務として、「防衛及び警備の基本及び調整に関すること。」「自衛隊の行動の基本に関すること。」こういった規定がございます。こういった規定を受けていろいろな研究をし対策を考えておる、その中の一環であるというふうに考えておるわけであります。
#240
○岩垂委員 あなたおっしゃっているのがちょっと違う面もあるのですが、五条の二十二号ないしは三十一号と比べてみても、これだけ重要なことが所掌事務の項目の中にないというのはおかしいですよ。ないのに既成事実がどんどんと進んでいるじゃないですか、これはおかしいですよと私は言っているのです。それはあたりまえに思いますか。いまあなたが述べられたことだけではそうまともに当たらないです。
#241
○塩田政府委員 先生、おかしいじゃないかとおっしゃいますけれども、これは見方の問題でしょうけれども、私どもは、いま申し上げたような根拠規定によって、具体的にそういった研究をすることが別におかしいとかそういうふうには考えていないわけであります。
#242
○岩垂委員 少しアバウトに過ぎるのだよ、それは。要するに、所掌事務というものできちんと書いてある、その項目と比べてみて、それがないのは均衡を失しているじゃないか、ない上にどんどん事態が進むというのはおかしいじゃないかと申し上げたわけですから、その点は十分留意してほしい、このことを申し上げておきたいと思います。
 それから、国民の権利にかかわる問題について言わなければなりません。乱用や拡大解釈を防ぐ歯どめの規定というのは検討されなかったのではないかという問題指摘もございます。これは全然考えられなかったというふうに、いろんなことを書いてあるけれども、私も感ずるけれども、いかがでしょうか。それに対する反省はございますか。
#243
○夏目政府委員 国民の権利義務あるいは国民生活が不当に圧迫されるようなことがないことは、私どもとして当然考え、現在の憲法の枠内で、そういうふうな問題がないようなことを前提にしながら、今回の中間報告をまとめたつもりでございます。
#244
○岩垂委員 自衛隊法第百三条の実は憲法上の根拠などを伺いたいのですが、それは大問題で議論になってしまいますからやりとりはしませんが、これを実施する主体というのは都道府県知事ですね。これは大村長官、あなたも自治省で関係のあることですが、憲法に決められている地方自治の本旨、その立場から見て、地方自治体にこういうことを義務づけることというのは憲法上かなり問題があると私は言いたいのです。そこで、その論争をしたいのですが、それは時間がありませんからしませんが、防衛庁長官等の要請を受けても、もし知事が執行しなかった場合、これはどうなりますか。
#245
○夏目政府委員 この百二条の規定によるもろもろの措置事項につきましては、わが国に対する外部からの侵略を前提としてのことでございまして、こういった国家存立の危機においては、都道府県知事も当然のことながら協力していただけるものというふうに私ども考えておりまして、こういうものに従わないというようなことを考えておりません。
#246
○岩垂委員 考えておりませんと言ったって、従わなかったときのことだって恐らく考えられると私は思うのですよ。そのときにどう処置するのかということだけ聞いておきたいと思うのです。考えていないだけじゃ答弁にならないですよ。
#247
○夏目政府委員 御承知だと思いますが、私どもそういう事態が生じるとは考えておりませんけれども、念のため申し上げますと、国の機関委任の事務につきましては、地方自治法におきまして内閣総理大臣の指揮監督を受けるというふうなことになっておりまして、全く一般的に、理論的に言うならば、知事が根拠なく違法に拒否するというようなことになれば、相当の手続、すなわち、国の機関としてその都道府県知事に対する職務執行命令というふうなものが出せるというふうに理解しております。
#248
○岩垂委員 それはおかしいのですよ。職務執行命令を出すとおっしゃる。私がちょっとお尋ねしたかったのは、罰則というようなことば考えてはいないというふうにおっしゃいますか。
#249
○夏目政府委員 この中間報告で罰則の点に触れしておりますのは、百二条全体、たとえば土地の使用、あるいは従事命令、あるいは物資の保管命令、いろいろあります。これについての罰則は、たとえば災害救助法であるとか同種の規定がございますが、現在の百三条には一切そういう罰則規定がないわけでございます。たとえば従事命令につきましては、私どもも検討はしました。しかし、こういう重大な時期において当然国民は協力してくれるであろうし、また罰則を設けなければ協力が期待できないようなことでは効果が上がらないだろうというふうな御意見もございました。ただ、物資の保管命令については、自衛隊の行動にかかわる必要な物資の確保という意味から必要ではないかというふうに考えられる向きもあったわけです。しかしながら、この問題は国民の権利義務に重大な影響があるというふうなことから、今後引き続き検討したいということをそこに述べておるわけでございまして、罰則を設ける云々についての結論を下してはおりません。
#250
○岩垂委員 いろいろ考えたけれども結論は出してない、あるいは罰則というものはつくかもしれない、つかないかもしれない。可能性としては二つですね。つくかもしれないのです、これは。そういう罰則というものを含めて言いますと、いまここに私は徴発令という昔の法律を持っています。これと全く同じですよ。これよりももっと強い規定さえ盛られています。戦争中の徴発令よりももっときついです。ただ、一番最後のところに罰則の部分があって、それはいまは考えていないけれども、やがて罰則というものがはまったら徴発令と全く同じです。それは若干の時代の違い、状況の違いがあるから言いますけれども、これはどう考えても徴用徴発、それが憲法違反じゃないなどという議論にはならぬ。昔の徴発令と今度の有事法制の研究の中でどういう違いがございましたか。それを明らかにしてください。
#251
○夏目政府委員 私もこの旧軍時代の徴発令というものについての内容を必ずしもつまびらかにしているわけではございませんが、何せこの徴発令は、明治十五年、太政官布告によって出されたというふうに聞いております。
 主な相違点を申し上げますと、まず必要の要件でございますが、百三条は防衛出動時ということでございますが、この徴発令につきましては、いわゆる事変を含む戦時、ただし演習、行軍については平時にも適用されるというふうに聞いております。
 それから、権限を有する者としては、自衛隊法の百三条は都道府県知事ということになっておりますが、この徴発令では陸軍卿、海軍卿、言ってみれば陸軍大臣、海軍大臣から分遣隊長あるいは艦長というふうなところまで委任されているやに聞いております。
 それから、負担の対象者につきましても、旧徴発令については、徴発区というものを単位にしまして、当該区域の住民全体に賦課するというふうに聞いております。さらにつけ加えれば、いまお話のありました徴発令については罰則がついております。
#252
○岩垂委員 それば「平時ト雖モ」云々というやつでもって、確かに違う。こっちは有事だというのだから。だけれども、法体系全体をとらえてみると、それは、悪いけれども、こっちよりもきつくなっているときがあるのですよ。たとえば戒厳令というふうな項目に譲られているものまでも含めてこの中に入れていこうという考え方さえあるのですよ。それは確かに若干違うところもありますよ。だけれども、これはやはり私は旧徴発令というものとダブって考えざるを得ないし、どうもそういう感じがしてならない。その点だけ申し上げておきたいと思います。
 従事命令の範囲というのは、ちょっと細かく言ってくれませんか、対象を。これは災害救助法施行令の中に列記の、助産婦だけ除いて、あとは全部ということですか。それに加わるものを言ってください。
#253
○夏目政府委員 中間報告では、従事命令の対象としまして、おおむね災害救助法施行令第十条に規定するものと同様であるというふうに書いてございますが、具体的に申し上げますと、まず災害救助法施行令の中で規定しているもので、私ども対象に全く考えられないというものを申し上げると、保健婦であるとか助産婦、あるいは軌道経営者なんかもその中に入るのではないかというふうに考えております。逆に、災害救助法施行令で規定しておりませんけれども、私どもの中で対象として考えたいというふうに思っておりますのには、准看護婦あるいは看護士、准看護士あるいは航空運送事業者とその従事者というふうなものが挙げられるのではないかというふうに考えております。
#254
○岩垂委員 国鉄並びに国鉄の従業員はどうなんですか。
#255
○夏目政府委員 いま私ども、具体的に何がどうというふうなことを考えておりませんが、たとえば災害救助法施行令で考えています医師、歯科医師または薬剤師、それから土木技術者あるいは土木業者、地方鉄道業者、自動車運送業者、船舶運送事業者、港湾運送事業者、航空運送事業者というふうなものをその対象に考えているわけでございます。
#256
○岩垂委員 国鉄はどうなのか、国鉄の従業員はどうなのかと具体的に私は聞いているのですよ。
#257
○夏目政府委員 国有鉄道の関係につきましては、防衛庁と運輸省との協力関係で所要の御協力が得られるだろうというふうに考えております。
#258
○岩垂委員 所要の協力が得られるから従事命令の範囲には入らない、こういうことですね。
#259
○夏目政府委員 入りません。
#260
○岩垂委員 災害救助法との均衡のことをちょっと言わなければならぬのです、ときどきこの災害救助法というやつが出てきますから。保管命令に従わない場合だけではなくて、従事命令に従わない着についても命令違反の罰が科せられることになるのじゃないだろうかと私は心配するのです。それは除外するわけですか。それと、理由を明らかにしてください。
#261
○夏目政府委員 先ほども申し上げましたが、こういった国家非常の事態においては、当然のことながら御協力が得られるだろう、また得られない場合にあっても、無理やり従事命令を出して仕事をさせようとしても、それ相応の効果というものは期待できないのではないかというふうなこともあって、私どもこの罰則規定の適用についてはどちらかといえば現在まだ消極的に考えております。
#262
○岩垂委員 九十五条の「武器等の防護のための武器の使用」がこの改正の問題点としてある。九十五条はレーダー、通信器材等というのが入っていませんが、艦艇や基地、施設というのは含まれないというふうに考えてよろしゅうございますか。
#263
○夏目政府委員 御承知のように、九十五条による防護対象というのは、武器、弾薬、火薬類、航空機、車両、液体燃料というふうに限定されておるわけでございます。御指摘のように、レーダーサイト等につきましては、現在その対象には入っておりません。私どもとしては、このレーダーサイトの有効性、有用性にかんがみ、ぜひこれは入れたいというふうに考えております。
 なお、ちなみに申し上げますと、この法律ができた二十九年当時はまだレーダーサイトが私どもの手に移管されてなかったというふうな背景があろうかと思います。それが第一点。
 第二点は艦船でございますが、ただいま申し上げたように、武器防護の対象の中に武器が入ると申し上げましたが、本来的に武器を搭載しているような艦船は武器で読めるのではないかというふうに考えております。したがって、武器を搭載してないような船舶については今後検討の余地があるのではないか。
 それから、いま先生がおっしゃられた、施設というか基地というか、そういった広い漠とした概念のものは、この法律の対象としてきちっとする以上、入れにくいのではないかというふうに考えております。
#264
○岩垂委員 もう時間が参りましたからぼつぼつやめますが、検討課題とされていながら、今回の中間報告に含まれていない問題はどうなっていくのか、その検討の状況と問題点を示していただきたいと思うのです。
 たとえば日米共同作戦に関する事項、統幕の権限強化の問題、隊員の服務規律、平時の領海警備、国連警察軍への派遣、紛争国における在外邦人の保護、救出などなどについて具体的にお述べをいただきたいと思います。
#265
○夏目政府委員 いま先生が幾つかお挙げになりましたが、その全部に答えられるかどうかわかりませんが、私ども防衛庁所管の法令に関する問題点というものは大方これで洗い終わったのではないか。したがって、これからの検討というのは、当然のことながらいわゆる第二分類というか、そういう第二分類あるいは第三分類へ移っていくのではないかというふうに考えられることが第一点でございます。
 それから第二点、たとえば国連警察軍への参加、在外邦人の救出といったような問題につきましては、今回の研究対象にはしておりません。それから当然のことながら憲法の枠内ということでございますから、いわゆる徴兵制であるとか言論統制であるとか、そういった戒厳令的なものは一切もとからこの対象には入っておらなかったということでございます。
#266
○岩垂委員 ちょっと待ってよ。私が幾つか挙げたでしょう。それに具体的に答えてよ。たとえば統幕の権限強化とか。
#267
○夏目政府委員 統幕の権限強化についても、この有事法制の研究の中にこれから取り上げられるというスケジュールはございません。
#268
○岩垂委員 日米共同作戦に関する事項もないですね。それから隊員の服務規律に関する問題もないですね。平時の領海警備という問題もないですね。
#269
○夏目政府委員 現在私どもが検討している有事法制の研究の中では、そういうものは対象外でございました。
#270
○岩垂委員 現在というのがくせ者なんだよ。防衛研究の対象にはならないというふうに理解していいですか。
#271
○夏目政府委員 今後防衛庁におきまして、その種の研究を一切しないかということを聞かれましても、私どもここで断定的なことを申し上げるわけにいきませんが、有事法制の研究として五十二年八月以来あるいは五十三年の統一見解で示したような一連の作業の中においてはいたしておりません。
#272
○岩垂委員 質問を終わりますが、中間報告を見ますと、国民の権利や基本的人権が無視されて戦争体制に組み込まれるのは、たとえば船員、パイロット、運輸とか港湾労働者を初め医師や看護婦、さらには倉庫、タンク、その他の多くの施設、地方自治体などまさに全国に及ぶわけであります。私は百三条というのは総動員法になったというふうに言わなければならぬと思います。企図されている、これから恐らく出てくるであろう防衛二法という形の改悪というのは、憲法改悪を先取りするものだというふうに言ったら、余り心配するなとおっしゃるかもしらぬけれども、かって改憲によって実現しようとしたことを、この有事法制研究の中で、特に自衛隊の有時即応、国民の国防義務づけという形によって、政令によって達成されようとしている、これは大変なことだと私は思うのであります。結局、憲法の内堀を埋めるものだと言わなければなりません。そういう点で、私どもは重大な関心と警戒を持たざるを得ません。長官、最後にこの問題についての御答弁を煩わしたいと思います。
#273
○大村国務大臣 お答えします。
 しばしば申し上げましたように、憲法の枠内で必要最小限の点について研究をまとめたものでございます。もとより有事でございますから、平時とは違うわけでございますが、有事に必要な最小限のものを研究としてまとめたものでございます。また百三条に基づく政令、これは国会の議決を経た法律の条文に基づく政令がまだ制定されておらない、それを制定するとすれば、どういう形のものが望ましいかという観点から研究をまとめたものでございますので、その点はむやみに憲法を無視して拡大したとかそういうことではないということもひとつ御理解願いたいと思います。
 また繰り返し申し上げますが、防衛出動の下令自身が法律の厳重な手続をし、国会の御承認を得てごく必要な場合に限って発令されるものでございます。また地域も必要な地域に限って発動されるようになっておるわけでございまして、直ちに全国を網羅するものでもない。やはり憲法の精神を踏んまえて法律の規定そのものが非常に必要最小限にしばられている、そういうことを念頭に置いて進めているものでございますので、憲法改正を待たないでそれをやろうとか、そういうことば毛頭考えていないということを申し上げざるを得ないわけであります。
#274
○岩垂委員 防衛出動待機命令のところからそこのけ、そこのけタンクが通るという事実がどんどん生まれるわけですよ。そればあなたなんです、総理大臣よりも、国会でなくて。防衛庁長官にこの辺のことを考えてもらわなければ困るわけですから、ぜひその点はしっかりしてもらわないことには大変なことだということだけ申し添えておきたいと思います。
 以上で終わります。
#275
○江藤委員長 鈴切康雄君。
#276
○鈴切委員 きょうは定年法の審議でございますけれども、大臣がちょっと所用があってお留守にしておりますので、けさ方有事法制の研究についての御報告がありましたので、こちらの方から先に入らしていただきます。
 まず第一に、有事法制の中間報告が研究以来三年有余をかかって出されるに至りました。その内容については、研究はまだその途中で、全体としてはまとまる段階には至っていないが、とりあえず研究の状況及び問題点の概要を中間的にまとめた、そのように言われておりますが、実際には第一分類でありますところの防衛庁所管の法令、すなわち防衛二法あるいは職員給与法に関連して、有事の際にこれで十分であるかどうかという検討が主体となっております。
 そこで、五十三年九月二十一日の有事研究における防衛庁の方針は、「ある程度まとまり次第、適時適切に国民の前に明らかにし、そのコンセンサスを得たい」そのように言われておりますが、これからも第二分類、第三分類を初め、必要とあれば、さらに中間報告をされるというお考えに立っておられるのか、また最終的にはむずかしいところはもうすっかり後に延ばしてしまって、結論を出さないというお考えであるのかどうか、結論を出すというならば、大体どれくらいのめどで結論をお出しになるのでしょうか。
#277
○大村国務大臣 お答えします。
 御指摘のように、第一分類についてまとまりましたものを今回中間御報告申し上げたわけでございます。第二分類、第三分類につきましては、これからの問題でございますので、まだ相当時間がかかるのではないかと思うわけでございます。防衛庁所管の法令でも三年もかかったわけでございますので、他省庁所管の法令あるいは所属のはっきりしないような法令につきましては、一層準備に手間がかかるのではないかと思うわけでございます。しかし、努力はいたしまして、またまとまりました段階におきましては、その段階で御報告させていただきたい、さように考えている次第でございます。
#278
○鈴切委員 それでは中間報告をさらに適時適切に行っていく、そしてこのめどについては全くわからない、こういうことでしょうか。
#279
○夏目政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げたとおり、これからの第二分類につきましては、非常に広範多岐にわたる、関係法令も多いということ、さらには各省庁と相当念入りな調整をしなければならないということから、そう短時間でできるようには私ども考えておりません。いつまでということを具体的に申し上げることもむずかしいのではないかと考えております。
#280
○鈴切委員 今回発表されました中間報告は、有事法制の研究対象の中でも最もやりやすい部分に手をつけたと言っても過言ではないと思います。第二分類、第三分類は、国民の権利、義務にかかわる問題との絡みが出てきてなかなかむずかしい問題がありますが、第二分類、第三分類の中で、自衛隊の有事の際の行動に関連して調整が必要と思われる法令というのは大体どれくらいあるのでしょうか。
#281
○夏目政府委員 まず、第二分類に属するものとして考えられますものは、わかりやすく分類いたしまして第一に部隊の移動、資材の輸送等に関連する法令が挙げられようかと思います。この中には、先ほども申し上げましたが道路法、道路交通法、航空法がこれに入るのではないか。それから第二番目のものとして通信連絡に関連する法律、すなわち電波法、有線電気通信法などがこれに入るのではないか。それから三番目として火薬類の取り扱いに関連する法令、すなわち火薬類取締法、あるいは航空法、鉄道営業法といったものがこれに入ろうかと思います。さらには、こういったもののほかに、その他としまして、自衛隊の有事の際の行動に関連する法令というのは非常にたくさんあろうと思います。例を挙げて申し上げれば、森林法であるとか医療法あるいは墓地、埋葬等に関する法律まで挙げられようかと思います。そういうふうに関連する法律が非常に多い。
 それからもう一つは、先ほども申し上げたとおり、現在の自衛隊法の中で、関係省庁の法令の中で自衛隊に関しての特例措置あるいは適用除外が設けられている法律だけでも二十四件ございます。こういったことを考えますと、相当長期間にわたるのではないかというふうに思います。
#282
○鈴切委員 有事法制研究については、各省庁を監督して早く進めたいと総理大臣が言明されたことがありますけれども、各省庁との法制研究の窓口というのはどのようになっておりましょうか。それで、現在そういうプロジェクトか何かができておりましょうか。
#283
○夏目政府委員 現在までの有事法制というのは防衛庁限りの研究でございまして、まだ各省庁との調整協議をしているということはございません。これからいつ入れるかということもまだ具体的に申し上げられるような状況ではございません。
#284
○鈴切委員 このいわゆる中間報告の内容によって、直ちに自衛隊法改正を考えておられましょうか。
#285
○夏目政府委員 再三申し上げておりますように、この研究はあくまでも自衛隊の行動にかかわる法制上の問題点を整理することが目的でございまして、いま直ちに法制化するあるいは立法準備をするというふうなことを前提とした研究ではございません。
#286
○鈴切委員 自衛隊法改正の処置については、具体的にいつごろをめどとお考えになっていましょうか。たとえば平和時においては全く有事法制研究の範囲にとどめるか、あるいは緊張時がもし醸し出されたときに法の改正を行うというふうにお考えになっているのか、必要であれば逐次法を改正していこうかということであるのか、あるいは研究だからこれはもう改正とは全く関係はないのだ、そのようにおっしゃるのか、その点についてどのようにお考えでしょうか。
#287
○夏目政府委員 五十三年九月二十一日の見解でも申し上げたとおり、ある程度まとまり次第、国民のコンセンサスを得るために御報告したわけでございます。したがいまして、この中間報告なるものについての今後の御論議等を踏まえながら、これからの対応について考えるべきであることは当然でございますが、私どもとしては、研究した中身というものは、自衛隊の運用面から見て法制上問題があるのではないかという認識は持っているわけでございます。そういったことは、これから国会での御論議などを含めながら決まっていくのではないか。いまいつまでに立法準備をするとかどうとかというふうなことを具体的に考えているものではございません。
#288
○鈴切委員 国会の論議ということは、国民の顔を見ながら要するに有事法制の法律改正をやっていこう、こういうお考えですね。しかし、防衛庁の方としては、少なくともこうしたいという一つのめどがあると思うのですが、それについてはどうお考えになっていましょうか。
#289
○夏目政府委員 せっかく問題点あるいは法制上の不備というものを私どもとしては認識したわけでございますから、コンセンサスというか合意というか、そういうことについての御理解が得られるならば改正することが望ましいとは思います。ただし、いつまでにとか、いま直ちにとかいうものではございませんが、今後の論議の中でそういう方向が生まれるのではないかというふうに考えております。
#290
○鈴切委員 「自衛隊法第一〇三条の規定により物資の保管命令を発する場合に、この命令に従わない者に対する罰則規定がないが、災害救助法等の同種の規定には罰則があるので権衡上必要ではないかとの見方もあり、必要性、有効性等につき引き続いて検討していく」ということは、結局罰則規定を設ける必要があるというふうにお考えになっているのでしょうか。
#291
○夏目政府委員 災害救助法の中には、おっしゃるとおり従事命令と保管命令についてそれぞれ罰則規定がございます。これは一緒に議論することが適当かどうかということでございますが、まず第一の従事命令につきましては、有事の際には当然のことながら国民の皆さんの御協力が得られるだろうということの期待がございます。また罰則をもってしなければこの命令の効果が出ないようであっては、果たしてこの効果が確保できるかどうかという点についての疑問がございます。そういう意味合いから、物資の保管命令に比べて従事命令についての罰則の効果というのは、効果上、あるいは必要性から見て疑問点が強いように私ども考えております。
 それに比べれば、物資の保管命令については、自衛隊の有事の際に必要な物資を確保するという意味合いから、たとえば保管命令を出した、承知をした、そういう物についてまたどこかへ横流しをするというようなことがあっては私ども困るわけで、そういった意味合いから罰則が必要かなというふうな、若干のニュアンスの差異はございます。
 ただ、いずれにしましても、この罰則の規定を設けるかどうかについては、国民の権利義務に影響のある重大な問題でございますので、今後なお引き続き慎重に検討したいというふうに考えております。
#292
○鈴切委員 罰則規定をつけないというのであるならば、何も検討云々ということをここに書く必要はないわけであって、結局検討云々ということは、そういうことまで考えながら、言うならば最終的にはつけざるを得ないという状態になるのじゃないだろうか、私どもはそういうふうに考えるのです。しかし問題は、物資保管命令は、自衛隊が行動している地域、すなわち実際には非常に危険な場所で発令されることもあるわけですね。それで、危険なその場所について物資保管命令に従う義務に違反した場合の罰則をつけますと、これは憲法十八条の言うならば苦役からの自由に抵触する、そのおそれがあるから、いまあなたは大変に慎重であらざるを得ない、こうおっしゃっているのじゃないですか。
#293
○夏目政府委員 大変危険な地域でいろいろな命令が出た場合の従わない者に対する罰則の問題の御議論でございますが、御承知だとは思いますが、この自衛隊法第百三条というのは、第一項と第二項に分かれております。第一項というのはどういうものかと申し上げますと、防衛出動が命ぜられた事態におきまして、「当該自衛隊の行動に係る地域において」というふうなことが第一項の地域でございます。それから第二項の地域というのは、「当該自衛隊の行動に係る地域以外の地域」、そうして総理大臣の告示をもって定めた地域。端的に申し上げれば、この第一項というのは戦闘地域にわりと近い地域、それから第二項の地域というのは相当後方の地域というふうなことになろうかと思います。したがいまして、いま言った保管命令についての罰則の問題、もしつけるとしましても、これはつけると決定したわけではございませんけれども、たとえば一項と二項をどういうふうに分けるかというふうなことも検討の課題であろうかというふうに考えます。
#294
○鈴切委員 そうしますと、一項、二項の縦分けをしながら、罰則規定を設けざるを得ないような状態ということは、やはり国民の権利義務、そして憲法の第十八条の苦役からの自由という問題、こういう問題が絡み合っているという判断から、言うならばそうおっしゃっているのでしょうかね。
#295
○夏目政府委員 本件に限らず、今回の研究におきます大前提として、私ども憲法の問題、国民の権利義務、国民生活を圧迫しないような、そういう配慮をして研究したつもりでございます。
#296
○鈴切委員 中間報告には、個人の財産権との関連で問題があるものまでが含まれているのではないかと思いますけれども、それに対してどういうふうにしようとされていましょうか。
#297
○夏目政府委員 たとえば土地の使用に際しての地上における工作物の撤去の問題、あるいは防衛出動待機命令下令時から土地が使用できるようにしたいというふうな問題については、財産権との関連が確かにあろうかと思います。私ども、国民の財産権というものを尊重すべきことであることは十分認識しておりますが、こういった有事の際において、こういった土地の使用あるいは処分といったことについて、当然のことながら国民の御理解が得られるのではないかというふうに考えております。ただ、これはあくまでも契約でやることを排除するものではございませんので、その点お含みおきいただきたいと思います。
#298
○鈴切委員 防衛出動命令下令後では間に合わないということで、適用時期を早めようとしておられますね。すなわち、防衛出動待機命令の時点において防衛出動とある程度同じような行動が起こせるような形にしようというわけでありますけれども、その必要性と具体的な内容というのは何でしょうか。
#299
○夏目政府委員 まず第一は、百三条の土地使用の適用時期を、従来、防衛出動下令後ということになっておりましたものを、たとえば防衛出動待機命令下令時からというふうに考えたいというのが第一点でございます。
 それから、自衛隊法第二十二条に、有事の際、特別の部隊が編成できるような規定がございますが、この特別の部隊についても、実際にこういった統合部隊もこの中に入るわけでございますけれども、部隊の編成、要員の教育、戦術思想の統一、あるいは部隊の移動というものを考えますと、相当長期間要するものと考えられます。そういった意味合いから、やはりこれも防御出動待機命令下令時から可能なようにしたい。
 それからもう一つは、予備自衛官の招集の時期でございますが、これも防衛出動下令時からということになっておりましたが、現在の予備自衛官の招集というのは、出頭日の十日前に本人に交付するということになっておりまして、これは当該予備自衛官の身辺整理であるとか、旅行日であるとかいうふうなことを前提にして定められておるものでございますが、この十日間、さらには招集令書の作成の期間、あるいは移動の期間というふうなものを考えますと、半月余りの日数を要するわけでございます。防衛出動待機命令が適時適切に相当余裕を持って出されれば問題はありませんが、そうでない場合も考えますと、この予備自衛官の招集時期につきましても、待機命令発令のときから可能なようにしたいというものでございます。
#300
○鈴切委員 防衛出動待機命令で適用時期を早めるというわけでありますけれども、手続とその権限というものはどうなりましょうか。
#301
○夏目政府委員 防衛出動待機命令の手続というのは、自衛隊法第七十八条によりまして防衛出動が下令されることを予想されるような時点におきまして、内閣総理大臣の承認を得て防衛庁長官が発令するというものでございます。
#302
○鈴切委員 防衛出動は国会の承認のもとに首相が発令する原則ですね。ただし、特に緊急の必要がある場合は、国会の事後承認とし、否決されれば撤収をしなければならないというふうになっておりますね。待機命令に、自衛隊の行動を可能ならしめ、あるいは有事の準備のために行動することを可能ならしめるということは、これは国会の承認も何もないうちに、もう自衛隊がひとり歩きをしてしまうということになりますね。これは言うならばシビリアンコントロール形骸化の最たるものじゃないですか。
#303
○夏目政府委員 先ほど、私、七十八条と申し上げましたが、防衛出動待機命令は七十七条でございますので、御訂正いただきたいと思います。
 いま先生お述べになった、文民統制を過つものではないかというふうな御指摘がございましたが、現在の自衛隊法、防衛出動命令につきましては、厳格な規定があることは御承知のとおりでございます。そこで、この七十七条の待機命令でございますけれども、当然のことながら、この七十七条というのはいつでも出し得るというものではなく、あくまでも、この七十七条に規定がありますように「事態が緊迫し、前条第一項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、」必要がある場合に、防衛庁長官は総理大臣の承認を得て出すということでございまして、国の安全を確保するという意味合いからこういうふうな措置が設けられているというふうに考えます。
#304
○鈴切委員 国会の承認が得られない前に、もう自衛隊としてはどんどんと土地の収用とかあるいは道路の占有とかあるいはもう予備自衛官の招集とか、こういうことが行われるということになりますと、これは何のための国会か、何のためのシビリアンコントロールかという問題が出てくるわけですよ。実際に国会においてそういう事態であるということの認識も実はないうちに、これはすでに、言うならば防衛庁長官が総理大臣の承認を得て待機命令を出すということになるわけでしょうから、そういうことから言いますと、国会抜きあるいはシビリアンコントロール抜きという形でひとり歩きするということは非常に危険だと言わざるを得ないのですがね。もう一度その点について。私はもう本当に文民統制形骸化の最たるものである、こういうふうに申し上げたいのですがね。
#305
○大村国務大臣 お答えします。
 防衛出動待機命令は、いま政府委員が述べましたとおり、現在の自衛隊法に設けられているのでございまして、恐らくこの規定が設けられました趣旨と申しますのは、先生御指摘のように、防衛出動命令、これは下令後は武力の行使も許されますし、国民全体に対して大変大きな効果が出るものでございます。でありますから、なるべく事前に国会の承認を得て発動する、得られない場合は事後承認を得る、その事後承認が得られない場合は撤収をやるという、きわめて厳重な手続が設けられておると思うのでございます。
 ところが、待機命令の方はそこまで行っていない段階でございます。またこれによって直ちに武力の行使ができるものでもございませんし、いわば自衛隊の内部の準備と申しますか、そういった非常時に対する前段階の準備でございます。そういった点が主でございまして、そういった点にかんがみまして、国会の承認に一々かからせないような立法措置が講じられたのではないか。さればと言って、シビリアンコントロールを免れるものではもちろんございませんから、防衛庁長官が内閣総理大臣の承認を得て発する、こういう政府部内におけるしっかりした歯どめを設けた、こういうふうに私ども理解いたしておるわけでございます。
#306
○鈴切委員 自衛隊内部だけの問題じゃないでしょう。土地の収用とか道路を使うということについての準備とかいろいろやることについては、これはもう待機命令の時点においてできるようにしたいというのが一つのこの考え方でしょう。そうなれば、自衛隊内部の問題だけじゃないじゃないですか。結局国民の主権にかかわる問題、国民の人権にかかわる問題が絡んでくるじゃないですか。そうでしょう。それに対してあなたがおっしゃるようなことは、実際には理由にならぬですよ。そういう問題でもう世の中はかなり騒々しくなるのに、もう自衛隊はあらゆることをやり始めるわけですね。だから、そういう状態にあって何ら国会がそれに対してシビリアンコントロールをきかすような立場にならぬところに、私は文民統制の形骸化につながるということを非常に心配するのですよ。そうじゃないですか。
#307
○大村国務大臣 私は主としてと申し上げたわけでございまして、現行法の効果といたしましては、隊員が待機命令が発せられました場合には、勝手に外出したりすると一定の制限があるとか、主として自衛隊内部のいろいろな効果が出るようになっておるわけでございます。この研究におきましては、さらに予備自衛官の招集等につきまして、出動命令が発せられてからでは間に合わないような場合も予想されますので、そういった場合に限って、出動命令が発せられたときには、そういったものができるように法律の改正を必要とする、こういう指摘でございます。そういう研究の今回御報告を申し上げたわけでございますから、そういった点をもし実現するとすれば、あらためて国会の御審議をまつ、こういうふうな事柄であるというふうに理解いたしておるわけでございます。
#308
○鈴切委員 そうじゃないでしょう。待機命令が出されたときには、土地の収用の準備を始めたりあるいは公文書による通知を出したり、あるいは場合によってはどこかの地域に戦車を移動しなければいけない、あるいは装甲車を移動しなければいけない、そういうことが実際に伴うんじゃないですか。あなたが言っているように、自衛隊の内部だけの問題ですからというんじゃなくして、すでに国民の生活に密着したところを、ある程度、言うならば侵しながらその拠点へ集まるわけでしょう。だから私は問題があると言うのです。土地収用とか、そういうものは一切やりませんか。官房長、やりませんか。
#309
○大村国務大臣 ちょっと言葉が足りませんでしたから、追加させていただきます。
 これまでは主として自衛隊内部のことでございますが、この研究では、いまないものをやることができるようにしてはどうか、こういう報告をしているわけでございます。それがもし必要だと認められました場合は、その部分については法律改正を要するわけでございますので、国会の御審議をまってやらなければ、ただこの研究に載ったからすぐやるという、こういう性質のものではないということを申し上げたわけです。
#310
○鈴切委員 法の改正については、これはまた後の問題であるけれども、いわゆる防衛庁が考えている考え方の中にそういう問題があるのではないかと私は思っているわけです。これは官房長でなきゃだめだな。
#311
○夏目政府委員 大臣の御答弁申し上げたことと同じことになりますが、まず防衛出動命令というのは武力行使を伴うものであるということから、防衛出動待機命令とは本質的に異なるというのが第一点でございます。
 第二点は、防衛出動待機命令において、確かに土地の使用であるとか予備自衛官の招集時期等を繰り上げるというふうなことも、われわれこの検討案では書いておりますが、まさにこれもシビリアンコントロールの国会の場で、もし必要だということになれば、法律の論議をしていただくというのが前提でございます。
 さらに申し上げれば、この防衛出動待機命令の事態になれば、私どもこういったことがなくても、当然いわゆる一般の民事契約によりまして国民の協力が得られるものと期待しておりますけれども、最悪の場合に、いざというときに自衛隊が有効に機能し得るという立場から、こういったものをお願いできれば望みたいというふうに考えたものでございまして、決してシビリアンコントロールなり国会の立場を無視するということを頭に入れて考えたものではございませんことを御認識いただきたいと思います。
#312
○鈴切委員 待機命令時における部隊の要員を防護する必要というのは何でしょう。
#313
○夏目政府委員 防衛出動の待機命令が下令されるというような事態というのは、相当緊迫した事態であって、いわゆるゲリラその他のそういう勢力が、わが自衛隊の部隊あるいは施設に対して破壊行動あるいは侵害行為を加えることが予想されるわけでございます。現在自衛隊法の九十五条におきましては、先ほど来申し上げておりますように、武器等の防護についての規定というのはありますけれども、部隊の要員に対する規定が全くない。せめてこういう緊迫した事態においては、この部隊の防護規定というものを設けていただいて、防衛出動が下令された暁に有効に機能し得るようにしたいというふうに考えて、この案をつくっておるわけでございます。
#314
○鈴切委員 防護をしなければ有効に機能しないというのはどういう問題があるのですか。
#315
○夏目政府委員 たとえば自衛隊の部隊に対してそういう危害を与えられたときに、個人としての正当防衛、緊急避難の行為というものはとられると思いますけれども、部隊として、部隊の要員を防護するための整々とした措置がとりにくい、武器の使用ができないというふうなことがございます。もちろんこういう規定を設けるにいたしましても、私どもあくまでも警察比例の原則というものを尊重しながら、必要最小限において合理的と判断される範囲内においての部隊防護ということを考えておるわけで、みだりにそういった措置をとるということを考えておるわけではございません。
#316
○鈴切委員 私は、この待機命令時における部隊の要員を防護する必要という問題については、非常に危険な面があるのではないかと思います。たとえば防衛出動待機命令が出された場合、部隊としては準備のために行動することになりますけれども、平和な国民生活に根差した基本的人権とかあるいは私権の尊重が踏みにじられる結果も出てこないわけではありません。そのときに、やはり国民的な抵抗なんかも決してないというわけではないでしょう。たとえば待機命令時における部隊に対して、私権まで犯されるということを好まないという国民の感情だって私は出てくると思うのです。ところがそれに対して、部隊の要員を防護するために行動を排除するということは、全く考えてみると国民に銃を向けるような形にもなりかねないというふうにとられても仕方がないじゃないですか。
#317
○夏目政府委員 私どもの念頭にありますのは、こういった防衛出動待機命令が下令されるような時点においては、非常に事態、情勢が緊迫化してきているということから、国内からゲリラその他の不穏分子が侵入して自衛隊の部隊なり施設に対して侵害行為あるいは破壊行為が行われることがあるのではないかということを前提にして考えたものでございます。
#318
○鈴切委員 まあゲリラとかそういうふうなことでなくても、国民的な感情として、まだ防衛出動は下令にもなっていないのに、言うならば自分の私権が犯されるということについて大変に快く思わない、あるいは抵抗するというようなことになった場合、これを排除するためにあらゆる手段をとってもし排除されるということになれば、もう全く国民にそういう意味においては銃を向けるというふうにならないかということを心配するんです。
#319
○夏目政府委員 私ども、平時であれ有事であれ、日本国民に銃を向けるなんということは一切考えておりません。
#320
○鈴切委員 いや、実際にはそういうふうな形にならざるを得ない場合が出てくるかもわからないですよ。ゲリラということがわかれば、それはゲリラということで排除するかもわかりませんけれども、地域住民が立ち上がって、これはならぬと、こうなった場合、それを排除するために武力措置みたいなものがとられるということは、私は非常に心配する問題であるから申し上げたのです。もちろん自衛隊が国民に銃を向けるなんて、そんなことはだれも思っちゃいません。
 第百三条の、処分を要請する者としては、どういう者をお考えになっていましょうか。
#321
○夏目政府委員 私どもこの百三条の処分として知事に要請する者として、政令で定める者として考えておりますのは、陸上自衛隊にあっては方面総監、師団長、海上自衛隊にあっては自衛艦隊司令官、防衛艦隊司令官あるいは航空集団司令官、航空自衛隊にあっては航空総隊司令官、方面隊司令官というものが挙げられようかと思います。なおこのほかに、たとえば補給処長であるとか病院長というものも該当するのではないか。いずれにしましても、こういうことが要請できる者としては、現在、法律によって編成を規定される部隊の長で、しかも将の階級にある者が充てられる職にある者がこういうことができるようにしたいというふうに私どもは考えておりまして、下級部隊の指揮官にまでこういった要請権を与えるということは、いま考えておりません。
#322
○鈴切委員 実はこういう問題が乱用されますと、大変に問題が複雑化しますし、治安が保てなくなってしまうのではないかということを私は心配しますし、あるいは基本的人権とか私権の尊重をうたった憲法の精神を踏みにじるという結果になる。だから、そういう意味におきましては、本当に百三条の処分を要請する者というものは、言うならばごく限定されなければならない。だれでもということになりますと、これはもう権力の行使といいますか、そういうことになると思うのですが、その点についての配慮は。
#323
○夏目政府委員 いま私が申し上げたのは、研究段階において私ども考えた範囲を申し上げたわけでございまして、当然のことながら具体的な政令を定めるということになりますれば、限定した形をとることは当然のことでございます。
#324
○鈴切委員 百三条の業務従事命令の対象者の範囲というものはどのように考えておられるか。またその業務従事命令に従わない者の罰則というものはどのようにお考えなんでしょうか。
#325
○夏目政府委員 従事命令の対象はおおむね災害救助法施行令第十条と同じようなものというふうにそこに書いてございますが、具体的に申し上げますと、災害救助法施行令では、医師、歯科医師、薬剤師、看護婦、あるいは土木事業者あるいは各種の鉄道事業者、運送業者等が含まれているわけでございますが、この災害救助法施行令の中にあって、私ども明らかにこれは要らないのではないかと考えられるのは、保健婦、助産婦、そういったものでございます。それから、逆に災害救助法施行令にないもので、私どもとして必要になるのではないかと、いま頭の中に考えておりますのは、航空運送事業者あるいは、准看護婦、看護士、准看護士といったものが考えられるのではないかというふうに考えております。
#326
○鈴切委員 予備自衛官もいわゆる待機命令のときに招集をしたいということでありますけれども、予備自衛官の防衛招集には、自衛隊法七十条で規定されていますね。七十六条一項の防衛出動命令が発せられた場合においては、防衛招集命令を発することができるというふうになっております。防御出動待機命令時には招集の権限は与えていないわけですね。だから適用時期を早めた場合、予備自衛官の防衛招集はそのままでよいのか、それとも防衛出動待機命令を発せられた場合には、招集の権限も与えるように自衛隊法を改正するのでしょうか。
#327
○夏目政府委員 私ども、いま考えておるのは、実際の有事の際の自衛隊の運用ということを考えた場合に、予備自衛官の招集時期を現在の防衛出動下令時からでなくて、防衛出動待機命令が下令された時点に、たとえばしたいというふうに申し上げているわけでございますが、その後の具体的な問題、すなわち、いま先生御指摘のあった待機命令時に招集があった時期から、たとえば現在、現職の自衛官とみなすのかどうかという細かな点についての検討はまだ必ずしもしていませんが、常識的には招集を受けた時点から現在の規定のようなものが適用されるのではないかというふうに考えております。
#328
○鈴切委員 そうしますと、結局はその部分については、予備自衛官の防衛出動待機命令が発せられて、いわゆる防衛招集をするというその権限を与えることについては、やはりここはちょっと自衛隊法を改正しないとなりませんね。
#329
○夏目政府委員 当然その種の細かな点の修正が必要になるかもしれません。
#330
○鈴切委員 後方支援というのは、自衛隊の場合においては非常に弱いというふうに言われておりますけれども、第六十六条には予備自衛官の数というのは三万九千六百人と規定されておりますけれども、この枠をふやすような考え方は将来ないのでしょうか。それともその点については将来はぜひもう少しふやさなければならないとお思いなんでしょうか。それで、もしふやすというならば、どれくらいがめどなんでしょうか。
#331
○塩田政府委員 昨年の臨時国会の法改正によりまして、現在陸上自衛隊が四万一千、海上自衛隊が六百でございます。それで私どもは現在の予備自衛官の状況をさらにふやしていただきたいと思っております。その具体的な目標としましては、中期業務見積もりにおきまして、陸上自衛隊を四万五千人程度にお願いいたしたいというふうに考えておりますが、海上及び航空自衛隊につきましては、航空自衛隊は現在ございませんが、航空自衛隊につきましても予備自衛官を、海上自衛隊は現在六百人をさらにふやしたい、航空自衛隊につきましては新しく予備自衛官の制度を創設していただきたいというように考えておりますが、具体的に人数を決めておるわけではございません。陸上自衛隊につきましては、一応先ほど申し上げましたように四万五千人を中期業務見積もりの中で考えております。
#332
○鈴切委員 第六十七条は、自衛官であった者を志願に基づき選考されて予備自衛官の任命がなされているわけでありますけれども、それ以外の者はたとえ自衛官経験者であろうが、法に定められた予備自衛官の枠内の範囲内においての招集はできるけれども、従事命令あるいは防衛出動の招集には応じなくてもよい、こういうことなんでしょうか。
#333
○夏目政府委員 ちょっと御質問の趣旨がよくわからなかったわけですが……。
#334
○鈴切委員 もう一回言います。
 自衛隊法第六十七条は、自衛官であった者の志願に基づき選考されて予備自衛官の任命がなされるわけですね。これはおわかりですね。それで、それ以外の者、要するにまだまだ自衛隊をおやめになったたくさんの方々がおられるわけです。そういう方々は、いわゆる法に基づいた予備自衛官の枠内において、言うならば待機命令のときの招集というものは当然あるわけでありますけれども、経験者であるからといって従事命令とかあるいは防衛出動の招集というものについては、それは応じなくてもよい、こういうふうに判断してよいのでしょうか。
#335
○夏目政府委員 予備自衛官は当然のことながら自衛隊経験者の中から志願によって予備自衛官になるわけでございまして、予備自衛官の招集命令というのは、この志願によって予備自衛官になった者から招集するということでございまして、予備自衛官を志願しない者を従事命令で何らかの仕事に従事させるというようなことは一切考えておりません。
#336
○鈴切委員 お約束の時間が来たようでありますので、防衛庁長官はどうぞ御退席くださって結構であります。
 定年制についてはわが党は当面老齢化社会を迎えるに当たって六十歳定年を実施する方向が望ましいと考えております。しかし、いま公務員が安心して生活ができるためには、共済年金等老後の生活を確保するための所得保障を前提とすることは当然でありまして、民間企業の定年制との整合性を持たせながら、退職後の再雇用の機会を可能ならしめるための努力をすることは当然であろうかと考えております。さらに必要なことは、定年制導入後の生きがいに対する対策ということも、これから老齢化社会に向かって確立していかなければならない問題ではないかと思いますが、そういう意味から申しまして、私どもはこの問題についてはある程度前向きの考え方を示しながら質問を申し上げたいと思う次第であります。
 そこで、昭和三十年十一月十五日、公務員制度の改革に関する公務員制度調査会答申において、任用及び試験制度のところで、定年制について「職群及び特定の官職別に適切な定年制の採用を考慮すること」とうたわれております。また、昭和三十九年九月二十九日の臨調答申において、「公務員の処遇の改善」の項で退職後の保障を取り上げ、「定年制の実施と退職手当、退職年金の充実」について、「定年制は、公務員の地位の安定、定員、昇進等の計画的運用、公務員の中立性の確保等を目的として実施すべきである。しかしながら、現在のような退職年金、退職手当等の支給状況においては、老後の生活安定は期しえないので、これら制度の抜本的な整備、充実をはかりつつ、当面六十才を基準として定年制を実施すべきである。」そのように書いてあります。当時における政府並びに人事院としての定年制に対する考えとしては、まだ公務員に定年制を導入することは時期尚早であるとの見解であったようですが、今般国家公務員に定年制度を導入するべきであるとして本法案を提出されるに至った理由というものは何でしょうか。
#337
○中山国務大臣 お答えを申し上げる前に、公明党から定年制の導入についてはいわゆる御支持を賜るような姿勢をお示しいただいたことに、総理府としてはまず心から厚く御礼を申し上げておきたいと思います。
 政府といたしましては、高齢化社会がやってくる、しかもこれが日本の歴史の中で初めてのわれわれが迎える新しい経験になる。そういう中で公務員全体の社会の中にも高齢化社会がやってまいるわけでございまして、そういう中で過去の日本の戦後の復興期あるいは高度成長期におきまして、公務員の採用等につきましての幾つかの山がございました。それがやがて高齢化社会の中でわれわれの行政機構の中に頭をもたげて自然と入っていく。そういう中で年功序列型の今日の公務員の任用システムが、やがて来る高齢化社会の中で現状のままでいけば、いわゆる主権者である納税者が一体どう考えるか。給与は毎年上がることでもございますが、それよりもっと大きなことは、
 システム自体が急膨張せざるを得なくなるだろう。ポストの新設をやらざるを得なくなる。そうなってポストが乱設される。しかも高齢者がそこにじっと座って働くということになれば、新しく採用された若い人たちの前途というものを若い公務員たちが見るときに、勤労の熱意というものに非常に低下を来すのではなかろうかということで、国民の世論の動向等を調査いたしまして、六〇%以上のいわゆる世論調査の対象者から定年制を導入すべきであるという御意見が出ておりますし、民間企業では九七%が定年制を導入しておるということでございましたので、政府といたしましては五十二年の閣議で、公務員に定年制を導入することを決定させていただいたようなことでございます。何しろ公務員に定年制を導入するということは、公務員の方々の身分にも非常に大きな影響をもたらしますので、公務員法の定めるところのいわゆる中立的な人事管理の専門機関である人事院に意見を求めまして、人事院総裁の意見をもとに、政府といたしましては昨年の国会に定年制に関する法律案を提案させていただいて御審議を願っておるようなことでございます。
#338
○鈴切委員 戦前の官吏及び現行公務員法制下においては、裁判官あるいは検察官などの一部の公務員を除いて定年制がなかった理由というのは何であるのか、またこのような中で今回定年制を導入しようとしたのはどういう理由なんでしょうか。
#339
○藤井政府委員 戦前におきましては、お話のように裁判官、検察官あるいは実質的にこれにならう者といたしまして大学の教授がございました。これらについてはいわゆる定年制というものがあったわけですが、その他の公務員については、定年制というものがなかったことは事実でございます。
 これは沿革的にいろいろな事情があるわけですが、やはり一番主たる理由は、公務員全般の年齢がそう高くなかった。先生も御承知のように、戦前では、無論大変特殊な例ですが、知事でも四十歳代でなった人があるくらいでして、後進に道を譲るというようなことから実質上の任意引退をしていくということで、定年制の必要性がなくて事実上の新陳代謝が行われておったということがございました。そういうことで、制度としての定年制を設ける必要は別になかったということから、それが制度化されていなかったのだというふうに私は理解をいたしておるのであります。
 ただ、午前中もお話が出ておりましたが、地方団体におきましては、やはり相当の年配の人がいるところがございまして、特に当時の五大都市におきましては、職員の数も多いし、また学校を出てからすぐ入って何十年と市吏員としての生活をやりまして定着をしている、これが地方自治の面から言っても好ましい形であったのだと思うのですが、そういうことから、事実上新陳代謝の必要性があるということで定年制の制度化が行われておりまして、全国的に言って約九百ぐらいだったと思います。特に制度的にきちっとしておったのは五大市が一番その模範であったと思います。そういうところでやっておりましたが、国家公務員については一般的には定年制がなかったということで今日まで来ておるわけであります。
 戦後においても、この事態はそれほど変わっておりませんで、特に各省庁で、無論苦心はしておりますけれども、勧奨退職というものが実質上行われておったということがございまして、それほど深刻な職場の空気の沈滞というようなこともなかったかと思うのであります。
 ところが、いま総務長官もお話しになりましたように、最近では社会一般に高齢化の現象が非常に顕著にしかも急速に進んでおるという事態が起きてまいりまして、これは公務の場においても例外ではございません。高年齢者が非常にふえてきた、したがって平均年齢もどんどん上がっていく。特に戦後いろいろな事情から一時的に非常に急激に採用いたしました職員層が、いまや非常に大きな、一般的にこぶと言われておりますが、ふくらみとなって押し寄せてきておるという状況がございます。そういうようなこともございまして、そのうち勧奨というものも、大変苦労いたしましてもなかなか実効が上げ得られないような、そういう形も現実に出てくるんではないだろうか、そういう現象が目前に迫っているように感ぜられるのであります。ということになりますと、適正な新陳代謝を図りますとともに、長期的な人事管理の体制を打ち出せなくなる、それが十分でないということから、いろいろな問題がそこに起きてまいるということがございますので、そういう点をさらに将来を見越して考えまする場合、民間においても大部分が定年制を実施しておるということがございますので、一種の勤務条件についての情勢適応の原則あるいは官民との均衡というような点から申しまして、この際定年制を公務員にも導入するということが大変意義のあることではないかということで、人事院といたしましてはお答えを申し上げたということでございます。
#340
○鈴切委員 五十三年二月三日に総務長官から定年制度についての人事院の見解をまとめてもらいたいという依頼に基づいて、一昨年でしょうか八月九日に、人事院は国家公務員の定年制度についての見解も表明されました。
 そこで、政府として定年制の導入意義をどのように考えておられるのか。また定年制という問題については決して問題もないわけではないでしょうから、そういう点についてどういう御認識を持っておられるか。メリットについてはどういうところがメリットがあり、デメリットの場合はどういうところにデメリットがあるのか。そういうところについて、メリットの方はお話しをすることについてはやぶさかではないでしょうけれども、余りデメリットのことを言うとぐあいが悪いでしょうかね。そんなことはないと思いますが、何かありますか。
#341
○中山国務大臣 お答えをいたします。
 メリット・デメリット両方言えということでございますが、正直なことを申し上げて、デメリットのあるような法律案は御審議を願わないというのが総理府の考え方でございます。
#342
○鈴切委員 いわゆるメリットの分について、それでは政府としてはどのような意義をお考えでしょうか。
#343
○中山国務大臣 メリットの面につきましては、公務員の方々が国民への奉仕をする、日常生活において一つの活力を持って国民のために奉仕をしていただくというためには、安定した公務員生活、公務員の方々の生活を安定させるためには、人事院勧告による公務員給与というものを、年々人事院勧告を尊重して完全実施をやるという姿勢を堅持して十年になります。
 一方においては、人事管理の面で昇進をしていきたい。これはどの公務員の方も共通の気持ちを持って働いていただいておると私は思います。そういう中でどうも上が幾つになってもやめないというようなことが起これば、やはり若い公務員の方々には、努力をしても報われないじゃないかというふうな気持ちが起こってくることは国民にとっては大きな損害になろうか。そういう点で、今回長期的展望に立った人事管理、しかも活力のある公務員制度の運用ということを考えて御審議をお願いしているというのがこの法案でございます。
#344
○鈴切委員 人事院は総務長官あての書簡で「定年制度が導入されることは意義のあるところである。」として、その必要性を実は積極的に述べていないようなニュアンスになっております。実施するとかしないとかの判断をすべて政府に任せたような印象を強く受ける、そういう語句がありますけれども、人事院は定年制度についてどのようにお考えになっていましょうか。
#345
○藤井政府委員 これは挙げて実施か実施に踏み切らないかは政府の責任で、お任せをしたというようなことではございません。御承知のように、閣議決定でもって国家公務員について定年制を導入するのだという方針が決まりました。これを受けて総務長官の方から私あてに、しかし、事柄は公務員の身分に関する重要問題、いわゆる分限に関する重要問題であるので、これについての人事院の見解を聞きたい、検討してもらいたいという御趣旨の書簡をいただいたのであります。人事院といたしましても、定年制というものが近時において大変大きな問題になってきつつある。民間においては無論これは戦前から普及した制度としてまいってきておるわけでありますし、公務員の面から見ましても、この点はやはり相当掘り下げて検討していくべき段階に来ておるのではないか。戦前と違った情勢が出てまいっておりますので、そういうような認識のもとに、われわれの方といたしましても、相当深刻な、真剣な検討をずっと続けてまいっておったのであります。その一環として、当委員会にも御報告申し上げたことがあるかと思いますが、退職公務員の実態について、これをつまびらかにするために追跡調査を長年にわたって実施するとか、あるいは毎年の給与勧告の際に民間の実態をよく調べてみるとか、また各省各庁における退職管理の情勢がどういうふうになっているかというようなことを真剣に調べて、検討を続けておったさなかでございまして、そういうときにこういう方針が書簡として出されましたので、これを受けて人事院といたしましても、しからばということでこれを受けて検討いたしました結果を御報告がてら御返信を申し上げたということでございまして、われわれの検討いたしました結果は、現在の段階において、また将来を展望した場合に、定年制を公務員の場に導入するということは非常に価値があり、また効果的な事柄であるというふうに判断をいたしまして、これを意義のあることであるというふうに表現をいたしたのでありますが、これは人事院としての積極的に導入すべきであるということの見解を、書簡という形でもございましたので、そういう表現の方法をとったというだけでございまして、決してこの問題について政府任せであるという消極的な姿勢ではございません。
#346
○鈴切委員 人事院は定年制について書簡という形で出されたわけでありますけれども、しかも定年制度を導入することは意義のあることであるなんという、全く他人事のような見解を述べて書簡を出されているわけでありますけれども、実際には労働基本権の代償機関としての機能を持っている人事院として、導入されることは意義のあることである、そういう表現になったということは、人事院としての機能を少しお忘れではないかという感じがするのですけれども、その点についてはどうなんでしょうか。
#347
○藤井政府委員 これは機能を忘れておるわけではございません。そういう意味合いでもって、非常に深刻な問題としてこれを受けとめて、従来からもせっせと検討を続けてまいっておったのでございます。その段階で閣議決定あり、これを受けての総務長官からの私あての書簡の発信ということになったわけでありまして、それを契機に人事院としての見解というものを取りまとめまして、これを返信の形で申し述べたのであります。
 この所信を述べます形式あるいは考え方を表示する形式といたしましては、たとえば意見の申し出というのが制度としては公務員法上ございます。そういうやり方をとることも事実上可能であったわけでございますが、しかし、総務長官の方から閣議決定の趣旨を受けて私どもあてに、ひとつ検討して見解をまとめてもらいたいという御依頼がございました。その書簡が来ておりますので、その人事院の検討の結果の意思表示というものは、やはり返信という形でもって申し上げることが普通の形式ではないかということでそういう形をとっただけのことでございまして、内容は、実質的には、われわれといたしましても意見の申し出あるいは勧告と同じような意味を持っておるという考え方をいたしておることには間違いがございません。
#348
○鈴切委員 人事院にはその定年制についてのいわゆる勧告権というものがあるかないかという問題について、どういうふうに判断をされていましょうか。こういう定年制についても勧告権がある、そういうふうにもし御判断されるとするならば、その根拠法というものはどこにありましょうか。
#349
○斧政府委員 お答えいたします。
 国家公務員法の二十三条に意見の申し出の条項がございますが、「法令の制定改廃に関する意見の申出」ということで、「人事院は、この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を国会及び内閣に同時に申し出なければならない。」という規定がございます。定年制につきましては、職員の身分にかかわります重要事項であるということで、従来から人事院は、これは法律をもって制定しなければ定年制を設けることはできませんよという見解を示しておったわけですが、そういう意味で、定年制を設ける場合には法令の改正に当たるということで、この条項で意見の申し出を行うことはやろうと思えばできたということでございます。
#350
○鈴切委員 人事院総裁は、昨年の給与法の質疑におきまして、私の質問に対しまして、給与とか任用制度等の公務員諸制度全般にわたり総合的に検討する時期が来た、その実施のめどを六十年あたりに置いてはどうかと考えている旨の御答弁がありましたが、六十年実施とするといつごろまでに成案を得るのが望ましいとお考えになっているか、またその内容はどういうものになりましょうか。
#351
○藤井政府委員 いま御質問のございました点は、昨年の給与勧告の際に報告事項の中に述べました点についての御指摘であろうというふうに理解をいたします。この点は昨年の報告で明らかにいたしましたように、現在の公務員制度というものは、戦後発足をいたしまして三十年を経過しておるわけでございます。これはそれなりに近代的な公務員制度として成果を上げて定着をしてきておるというふうに考えております。しかし、別に社会経済の情勢というものは大変急激に進展をいたしておりますので、その間においていろいろの再検討すべき事態、放置できない事態というものがだんだんと出てきております。給与制度自体の問題といたしましても、現在の俸給表の種類なりあるいは俸給表の立て方の問題がそれでいいんだろうかというような点がございますし、また本俸と各種手当との振り分けの問題、手当の種類の問題等がそれでいいんだろうかというような点も、これは深刻に検討すべき問題として出てまいっております。また給与制度のみならず、任用制度等につきましても、いろいろな点で再検討を迫られる事態が起きております。
 いろいろ申し上げれば切りがございませんが、顕著な例として一、二引いて申し上げますと、たとえば現在公務員に採用いたしますためにはメリットシステムということで、成績本位ということになっておりますたてまえから厳格な試験をやっております。この試験の種類は、御承知のように大学卒業程度を対象にいたしました上級試験というのと、短大程度の中級、高等学校程度の初級、大きく言ってこの三つございます。そのほか職種によっていろんな試験がたくさんございますけれども、一番中心的な上級、中級、初級という試験をやっておりますが、この試験の様相を見ておりますと、非常に顕著な特記すべき事態が起きてきております。
 と申しますのは、上級試験はもちろんのことでありますが、短大程度のことをこちらが予測しております中級試験について、いまやその九〇%は普通の四年制の大学を卒業した人が志望してまいります。当然そういうことで、正規の大学を出た人の受験合格率も上がっていくというような点が出てきております。さらにひどいと思われますのは、高等学校卒業程度の初級試験にもいまや一〇%以上の普通の大学を卒業した人が受験をするというようなかっこうが現実に出てきております。しかもこれがさらにその程度がだんだん増幅してくるというような状況も出てきつつあるような現象がございます。これはやはりほうっておけませんので、そもそも試験の種類の分け方、それを受けられる資格の問題等についてメスを入れてまいりませんと、将来大きな問題が出てまいります。というのは、いまのところは、入り口のところでは、私はそれがいいと思ったから中級の試験を受けたのですというふうになって採用されますが、採用された暁で、これが五年たち十年たってまいりますと、自分もやはり大学を出ているんだ、それがどうも見てみると、上級のなにはただ入り口が違ったというだけで、その後は同じような仕事をしているのに昇格その他については大変差別を受けるじゃないかというような不満がだんだんつのって出てくるというようなことも考えておかなければなりません。そういうような事柄もございまして、やはり試験自体についてもいろいろ改定を要する問題が出てきております。
 それからもう一点、これも御承知でありますように、現在試験制度として公務員法上認めておりますのは採用試験だけではなくて昇任試験というものを認めておるわけです。ところがいままで昇任試験と銘打ったものは一般的にはやっておりません。というのは、大体それは職場でわかって、能力の実証でもってしかるべき能力のある人は上へ上げるというようなことで、係長、課長補佐ということになっていくものですから、そういう必要は事実上なかったというようなことで、昇任試験はいままでやっておりませんでした。しかし、いま申し上げましたような事態がだんだんと進んでまいりますと、やはり能力実証主義というようなことを言っても、ただ単に上の者が見た感じとか、それから周囲の者がどういうふうに感じておるかというようなことだけで判定をされたんじゃたまらないじゃないか、納得がいかぬじゃないかというような問題も出てまいりましょう。となりますと、どうしてもそこに昇任試験という一つの入り口、ふるいにかけるための、言葉は悪いですが、そういう関門を設けて、そこで能力というものを実証するというようなことも考えていかないと、長いこれからの将来にわたって職場の管理というものを適正にあるいは円滑に行うことがむずかしいという事態も起きてくるのじゃないかというような点もございます。
 例を一、二申し上げただけにとどまりますが、そういう一連のいろいろな問題がたくさん出てきておりますので、この際、三十年たった時点に立ってみて根本的にひとつ再検討をしてみようではないかということの必要性を申し上げたのが昨年の報告でございました。この点についてはいま作業を大がかりなものとして体制を整えてやりかかっております。私は大体六十年目途ということを申し上げたのは御指摘のとおりでございます。そういうところからまいりまして、実はこの長期計画樹立については予算でもお認めいただきまして、この間成立させていただきました五十六年度の予算にも柱が立っておるというようなことがございまして、本格的な検討にこれから入るところでございます。五十六年は厳密な実態の調査ということに専念いたしまして、五十七年度は補足の調査と、だんだんそれに並行して立案作業に入っていくということになるかと思います。五十八年度には大体のアウトラインをつくるという順序で仕事を進めたいと思っております。そういうふうにやりまして、各方面の意見もいろいろ聞かなければなりません。そういうこともございますので、その余裕を見ますと、やはり五十八年には大体の方向を打ち出して、これを受けて五十九年度には法案化というようなところへ持っていって実施に移していくという段取りはどうであろうかということで、おおむねの骨格は事務当局に指示いたしまして、その方向に沿っていまや本格的な作業を進めておるという段階でございます。
#352
○鈴切委員 民間企業における定年制度の普及率というものはどのように変わってきておりましょうか。たとえば、昭和五十三年と五十四年を比較した場合にはどうなるのか。あるいは定年の年齢を一律に定めておる民間企業における定年年齢はどのような比率になっておりましょうか。これについても五十三年か五十四年くらいのデータでお話しいただければ幸いです。
#353
○斧政府委員 私たちが民間の定年制につきまして調査を始めましたのは、民間給与実態調査で昭和五十三年から始めておるわけですが、昭和五十三年に定年制を実施している企業の割合は九五・七%でありましたものが五十四年には九六・五%、昨年、五十五年では九七・五%というふうに次第に普及率が上がっております。
 それから、定年を定めております企業におきまして定年年齢をどういうふうに定めておるかということですが、一律に定年年齢を定めております事業所について見ますと、昭和五十三年が五十五歳が四三・九%であったものが五十四年には四一・八%、五十五年には三六・八%というふうに次第に減少しております。六十歳の定年が昭和五十三年には二八・二%でありましたものが三〇・四%、五十五年には三〇・九%というふうに次第に増加していくというような傾向を示しております。
 なお、この点につきまして労働省の方の調査もございまして、これは雇用管理調査でございますが、この場合は企業規模三十人以上ということで私たちの調査とは若干企業規模の中身が違いますが、これは相当古くからやっておりまして、定年制の、ちょっと普及率の方の資料がございませんので年齢で申し上げますと、昭和四十五年に五十五歳が五七・九%でありましたものが、昭和五十五年では三九・七%に減っております。六十歳のところが昭和四十五年が二一・七%でありましたものが、昭和五十五年の場合は三六・五%というふうに増加しております。
#354
○鈴切委員 今回定年を六十歳と一応お決めになったわけでありますけれども、これから高齢化が進むということになれば、今後さらに定年が延びることもあり得ると理解してよいのか。しかし、いまの段階においては六十歳の線が適当ではないかと御判断をされたのではないかと思うのですが、その点についてはどうお考えになっておるか。いま六十歳以上の定年については実態はどうなんでしょうかね。六十歳はいまおっしゃったとおりですけれども、六十一歳以上の場合はどうなんでしょうかね。
#355
○斧政府委員 昭和五十五年で申し上げますと、六十一歳以上が二・三%ございまして、先ほど六十歳が三〇・九%と申し上げましたので、六十歳以上ということになりますと三三・二%でございます。
#356
○鈴切委員 だから私が申し上げたように、いま六十歳という形で線を引くということになるのでしょうけれども、これからまた高齢化社会がどんどんと伸びていくということになって寿命が延びていくということになりますと、この六十歳というのは、これから将来さらにもっと六十五歳ぐらいまで延び得るという余地は全然ないのでしょうか、その点についてはいかがですか。
#357
○藤井政府委員 この高齢化の進展ぐあいではそういうこともあり得るという時代が来るかもしれません。ただ、いまの時点では、労働省の民間に対する指導方針あるいはその指導の時点というものから見ましても、大体六十年六十歳ということが指導方針になっておるようであります。公務員の場合も大体それに平仄を合わせてやることが整合性を保つ上から見てもいいのではないかということで、六十年六十歳ということを打ち出しておるわけでございます。しかし、さらにこの高齢化の状況が急速に進展をいたします場合におきましては、いまお述べになりましたような点も考慮しなければならぬ時期があるいは来るかもしれません。
#358
○鈴切委員 人事院が勧告する場合は、民間企業における制度あるいはその運用の実態を調査して、それが過半数に達したときに勧告するというのがこれまでの通例であったと私ども承知しております。このことは、たとえば週休二日制――週休二日制といっても実際には四週五休にしても、すでに民間企業において約七割の企業が実施した時点において初めての勧告がなされたということにもあらわれておるわけであります。しかるに今回は、定年制については、民間企業における定年年齢は五十五歳が最も多く、六十歳以上は三三・一%ということになっております。このような状況の中で原則六十歳定年制を打ち出したということでは、一部では官界主導型であるんじゃないかというような声も聞かれますけれども、どのような理由から六十歳定年というものを適当と判断されたのでしょうか。
#359
○藤井政府委員 この点につきましては、実は民間との情勢適応、官民比較というような点から申しますれば、年齢は別として定年制自体を取り上げてまいりますれば、これは九十何%ということでございますから非常な普及率でございまして、そのことだけから見ても直ちに定年制は実施すべきであるというようなことがあったかもしれません。戦前からも相当程度普及しておったという事態があるほどでございますので、そういう事態であったかもしれません。ただ、この点については、先ほど来申し上げておりますように、勧奨退職というものが非常に機能を果たしておったということと、公務員の場合におきましては、それほど高齢化の現象というものが目立って捨ておきがたいというところにまではいっていなかった、そういうような事態を総合的に勘案をいたしまして、今日まで一般公務員には定年制を施行しないできたということでございます。ところが、このような情勢になりましたので、やはり定年制を導入すべき時期が来たのではないかということで意見を申し上げておるわけでありますが、その際に、年齢の問題については、御指摘のような点は確かにございます。
 そこで、場合によっては、やはり民間を指導するための官の指導性――主導型ではないかというような御意見もあることは重々わかるわけであります。そういう意味で、一般の勤務条件等とは違いまして、六十歳の者については、まだ統計上はいろいろ問題がございますにしても、五割には達しておらない、一つの理想形態として指導の目標がそうなっているというだけでございますから、現在はそこまでいってはおらないという事情であることは事実でございます。
 ただ、公務員における勧奨退職の実態その他を見ますると、これは実際上の定年制に匹敵するといいますか、それに対応するものであるわけでありますが、その年齢を見ますると、やはり大体五十八歳から六十、あるいは特殊の行(二)の方々については、六十三歳が中心で六十五歳というようなものもあるというような実態がございますので、新しくここに公務員に定年制を導入するということに相なりまする限りにおいては、その実態に合った年齢を導入する。また特に民間に対する指導方針も、労働省の政策といたしまして六十年六十歳ということにもなっておりまして、ちょうどそれにはずが合うということでもございますので、導入する限りは、六十年六十歳ということに歩調を合わせてやることが適当であろうというふうに判断をいたした次第でございます。
#360
○鈴切委員 政府は、定年制導入は公務員の分限にかかわる問題として人事院の見解を求めておりますけれども、分限というのはどういう意味なんでしょうか。
#361
○山地政府委員 分限という言葉は、国家公務員の場合に当てはめますと、身分保障というものを前提にいたしまして、その身分の変動に関することを分限と言っております。現在の国家公務員法で、降任あるいは免職、休職、そういったことが一般的に分限ということになっているわけでございます。
#362
○鈴切委員 定年制は分限事項の一つであるとしても、公務員制度の根幹にかかわる重要な問題であると私は考えておりますが、政府はその定年制の導入に当たり、どのような配慮を行ったのでしょうか。
#363
○山地政府委員 この定年制というのは、分限、特に公務員の身分保障の根幹にかかわる重要な問題であるということで、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、中央の人事行政機関でございます人事院に書簡で意見をお伺いし、人事院の方では一年半かかって慎重に御検討をいただいた上、その御意見を賜ったものでございますから、その意見に基づいてこの法案をつくったという次第でございます。
#364
○鈴切委員 五現業の職員については団体交渉権が認められており、企業の自主性も尊重されるべきものと私は思いますけれども、これについて政府は、五現業職員の定年制導入に当たり、どのような配慮をされましたでしょうか。
#365
○山地政府委員 いま先生のおっしゃるとおり、五現業には協定を締結する権利がございます。団体交渉をして協定を締結する。そこで、今回の定年制の導入に当たりましては、法制上人事院が規則で定めるというようなもの、たとえば特例定年というのがございます。六十歳から六十五歳の幅の間で、どういう職種のものを何歳まで延長するかということ、あるいは勤務延長に当たりまして、定年を超えてさらに勤務をするという制度もございますけれども、その場合における取り扱い、あるいは再任用するというような取り扱い、それらにつきまして、これは団体交渉で決めるということができるわけでございますから、それは主務大臣がその団体交渉の結果に基づいて決めるというようなことで、団体協約ができるということと、こういった定年制の導入ということの調和を図っているわけでございます。
#366
○鈴切委員 施行期日は六十年三月三十一日ということになっておりますけれども、そのときすでに六十歳に達している職員の取り扱いについてはどうなりましょうか。
#367
○山地政府委員 三月三十一日に施行いたしますので、三月三十一日に六十歳になる方はそのまま定年になるということでございますが、その施行日の前日以前に六十歳を超えて六十一歳なり六十二歳なりになっている方は、この施行日、つまり六十年の三月三十一日に退職していただくということになるわけでございます。
#368
○鈴切委員 人事院の書簡では、「定年制度実施後も、退職勧奨を行う必要のある場合も見込まれるので、この点について引き続き配慮することが望ましい。」というふうになっておりますけれども、六十歳定年制導入後の退職勧奨についてはどのように取り扱うおつもりなんでしょうか。
#369
○斧政府委員 定年制が導入されますと、現在退職管理として集団的に行っております退職勧奨、この制度といいますか事実行為といいますか、これは次第になくなっていくものであろうと思っております。
 ただ、各省ごとに見ますと、必ずしも各省斉一な年齢構成を持っているわけでもありませんし、学歴構成も違いますし、業務の形態もいろいろ違うということで、新陳代謝を図る必要というのは依然として残るであろうということを予想しておりますので、個別的に、そのような必要性がありました場合に、そういう個別勧奨として退職勧奨が残るケースもあり得るということで、書簡でその旨を意見を申し述べた次第でございます。
#370
○鈴切委員 最終的には定年制だけに移行していきたいというようなお話が先ほどあったわけでありますけれども、いまのところは、その定年制実施後も退職勧奨を行わなければならない状況であるというふうに判断をされたのはどういうところにあるのか。一つは、大変にそのピークがここへ来ているからそういう形をとらざるを得ないというふうに判断されたのか、あるいは定年制だけでも事が済むようになるであろうというふうに判断されるのは大体いつごろなんでしょうか。
#371
○斧政府委員 一般の職員とそれから管理職と、これは分けて考える必要があると思います。一般の職員につきましては、定年制実施後そう遠くない時期に勧奨というようなことはなくなる、こう考えておりますが、管理職の場合は、それがいつそういう必要性がなくなるかということは、各省のそれぞれの人員構成、学歴構成あるいはその業務の遂行の形態の違い、そういうことによって変わってくるのだろうと思っております。遠い将来、何年ごろということはちょっと申し上げかねますが、なくなっていくであろうというふうには思っております。
#372
○鈴切委員 雇用を延長された場合と、一たん退職した後に再任用された場合の身分とか地位とか、あるいは退職手当、年金の通算、給与等の取り扱いというのは、それぞれどのような形になるのでしょうか。
#373
○山地政府委員 お答えする前に、先ほどの現業の場合でございますけれども、再任用の場合に、団体交渉によって主務大臣がそれを認めていくというふうに申し上げましたが、再任用の場合だけはそうでございませんので、訂正させていただきたいと思います。
 それから、いま御質問の再任用された場合の給与の処遇等でございますけれども、当然再任用されますと、新しく任用されるものでございますから、従来の給与から離れていくということになるわけでございます。したがって、その時点で前歴を加算してどういうふうな給与になるか、少なくとも前の給与そのままということが当然に起こるということではなくなるわけでございます。
 それから、退職手当でございますけれども、再任用の場合には、退職手当を退職時に支給されて、次の任用が新しく始まって、そちらの方についての退職ということが行われるわけでございます。
 それから、年金でございますけれども、年金の場合には、再任用の場合は、最初の退職時の年金と、その後の年金というのは、その給与に基づいてまた新しくその期間について計算し直しまして、その部分を合算するという形で年金がおりるという形になるわけでございます。
#374
○鈴切委員 そうしますと、雇用延長というのは従来どおりであるというふうに判断していいですか。
#375
○山地政府委員 雇用延長の場合は、これは官の方の必要もあって雇用延長していただくわけでございますので、その身分といいますか、その職務も従来のものを継続するというのが原則でございますし、その場合の給与は、従来の給与を継続していく。それから退職金については、これはやめるということではございませんから、雇用を延長されるわけでございますから、最終的にやめたときの給与で退職金を計算するということになり、当然のことながら年金も切れないということでございます。
#376
○鈴切委員 六十歳を超えてなお年金年限に達していない者について、年金年齢に達するまでの間在職させるための経過措置等は実は明らかになっていないわけでありますけれども、その点についてはどういうふうに配慮をされているのでしょうか。
#377
○斧政府委員 私どもの方で調べましたら、非常に少数ではございますが、この定年制が六十年から実施されますと、その時期において年金がもらえないという方が若干ございます。そこで、厚生年金の方では十五年で年金がつくというような特例措置もございますので、そういう点を実は国家公務員共済年金につきましても検討をしていただくように関係機関にお願いをしておるところでございます。
#378
○鈴切委員 民間企業においては、ある一定の年齢を境にして給与の上昇をストップしたり、退職金制度にしても何らかの手を加える等労使間において決められているところでもありますけれども、六十歳定年制が導入されると、政府及び人事院はこの制度についてどのようにお考えになっているのでしょうか。
#379
○藤井政府委員 満年齢者の昇給の延伸なりあるいは昇給停止の問題の取扱いについては、公務員の場合においてもそれ相当の措置は講じて今日まで来ておるのであります。さかのぼりますと、たしか四十五年ごろであったと思いますが、そのころに、民間の状況等も参考にいたしまして、五十六歳以上の公務員については昇給の延伸措置を講ずることができるという規定を設けさせていただきました。ただ、これは実際上の取り扱いといたしましては、五十六歳という段階を区切りまして、五十八歳以上について延伸措置を講じてきておったわけであります。ところが昨年になりまして、これは御承知のように、民間との対比をさらに慎重に検討して、その較差を出しましたところ、民間の取り扱いはさらにシビアになっておるということがございまして、官民の対応の場合において、高齢者がその点特に割りを食っているというような結果が出てまいりました。そしてそれを放置できないような状況にまで来ておりますので、これを勘案いたしまして、いままでの延伸措置というものをさらに強化いたしまして、五十六歳以上の者については延伸措置を講ずるとともに、五十八歳以上の者については停止をするというような措置をあわせ講ずることにして、現在やっておるわけであります。したがいまして、御指摘のような点は、それなりに民間の実態とも対応した措置を講じて今日まで来ておるという現状でございます。
#380
○鈴切委員 まだ質問をする内容は用意しておりますけれども、大分おそくもなりましたし、皆さん方も大変おそくまでおつき合いしていただいて申しわけないので、それではもう一問だけ。
 今度の法律の中で「補充が困難であることにより定年を年齢六十年とすることが著しく不適当と認められる官職を占める職員で人事院規則で定めるもの」とは、具体的にどのような人を指しているのでしょうか。その点だけちょっとお聞きしたい。
#381
○斧政府委員 特例定年の章は、法律に書いてありますように、もともとが特殊な官職であるとか欠員補充困難という非常に官職の特殊性が認められる場合でございます。それで、現在私どもが人事院規則を定める場合に予定しておりますのは、職務内容が特殊で、その官職の職務遂行能力を有する者が非常に少なくて、原則定年では欠員補充が困難であるというグループが一つございます。そしてこのグループとしましては、宮内庁におきます楽師でありますとか調理師でありますとかカモ場の職員でありますとか、あるいは文化財の補修に当たっている職員でありますとか、そういうものを考えております。
 それから、第二のグループとしまして、職務内容が特殊なために特別の免許、資格などを必要としておりまして、公務員採用時に高い年齢で採用されるために、部内活用の期間が短くなるということで、このグループに入ります官職としましては、海難審判庁の審判官というものを考えております。
 第三のグループとしましては、職務遂行のために長期間の研修を要する、あるいは長い公務経験がその職務を遂行する上に非常に必要であるというようなケースでございまして、外交領事事務に従事する職員でありますとか高専の教官でありますとか、そういうものを考えております。
 それから、第四のグループとしましては、業務遂行上豊富な知識、経験というものが要求されまして、そのため適任者に高齢者が非常に多いというような官職でして、これは公害研究所でありますとか水俣病の研究センターでありますとかの研究所の所長さん、そういう外部から所長として招聴することが通例となっているような研究所を指定したいと考えております。
#382
○鈴切委員 大変におそくまで同僚議員の皆さんはおつき合いくださいまして、ありがとうございます。
 以上をもって質問を終了いたします。
#383
○江藤委員長 次回は、来る二十八日火曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時四十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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