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1980/01/28 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第3号
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1980/01/28 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第3号

#1
第094回国会 本会議 第3号
昭和五十六年一月二十八日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  昭和五十六年一月二十八日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時十八分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(福田一君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 中山正庸君から、一月三十一日より二月八日まで九日間、近藤豊君から、二月二日より十一日まで十日間、森下元晴君から、二月二日より十三日まで十二日間、麻生太郎君から、二月四日より十二日まで九日間、高橋辰夫君から、二月五日より十五日まで十一日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
 国務大臣の演説に対する質疑
#5
○議長(福田一君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。飛鳥田一雄君。
    〔飛鳥田一雄君登壇〕
#6
○飛鳥田一雄君 私は、日本社会党を代表して、鈴木総理の施政方針に関し質問をいたします。
 まず初めに、事の緊急性にかんがみ、豪雪救済対策を伺いたいと存じます。
 御承知のように、北海道、東北、北陸、信越地方の豪雪被害は甚大であり、関係住民の不安を一刻も早く取り除くために、わが党がすでに申し入れた、激甚被害特別財政援助法を適用し、県、市町村の除雪事業については緊急特別な救援措置及び特別交付金で完全にこれを補てんし、さらに除雪費用の減税拡大など、被害救済策を早急に確立することを強く要望いたします。(拍手)
 さて、鈴木総理は、本国会の再開に先立ち、ASEAN五カ国を歴訪され、日本の国際的責任をしきりと強調してこられました。
 御承知のとおり、これまでの日本は、発展途上国と呼ばれる国々の原料、資源、エネルギーに依存し、それを踏み台にして巨大企業がリードする経済成長に夢中になってきたのであります。その結果として、資本主義世界第二位の経済大国となったいま、欧米先進諸国とは経済摩擦の増大、発展途上国とは南北問題の激化という形で、その国際的責任を鋭く問われているのであります。
 確かに、いま世界は大きな転換期にあります。総理もそのことを指して「八〇年代は二十一世紀への足固めをするときである」と言われたのだと存じます。私も、いまこそ日本人は歴史の方向を展望し、人類進歩のための役割りを果たさなければならないものだと考えます。
 一体、それならば歴史の進歩の方向とは何でありましょうか。現代は、まさにこれまでの大国の力による大国主導型の国際政治の枠組みが問い直されている時代であります。大国の力の行使、とりわけ軍事力の行使に対する批判の声が、世界の人々の間に次第に強まってきているときであります。すなわち、アメリカやソ連のような大国でさえ、力ではイラン問題、アフガニスタン問題を処理し得なくなっているという事実が、このことを明確に示して余りあるのであります。(拍手)
 軍事力の行使は、紛争解決の決め手とならないばかりか、逆に戦争への危険を深めるのみであり、私たちは、いまこそ軍事力によらない平和的な影響力を重視すべき時代となったことを深く洞察すべきであります。(拍手)
 にもかかわらず、アメリカのレーガン新大統領は、「強いアメリカ」「力による平和」を強調して、日本に対して軍備の増強を求めてきております。これは、アメリカが経済的、軍事的な力の相対的な衰えに焦りを感じつつ、アメリカの国益のために、日本にその肩がわりを求めているものと言わざるを得ません。わが国は、アジアにおける地位と現代世界の大きな流れを冷静に見きわめて、アメリカの焦りをむしろたしなめ、わが国の平和外交の進路を確立すべきときではないでしょうか。(拍手)
 総理は、今回のASEAN諸国歴訪中、再三にわたって、過去の選択の誤りに照らし、軍事大国への道は選ばないと断言されました。これは、かつてのアジア諸国民に対する侵略戦争の誤りを反省し、平和憲法をあくまでも堅持するとの御決意であると理解してよろしいでしょうか。
 ところが一方、総理は、今回ASEAN諸国を特に選んで歴訪され、政府のASEAN重視が、わが国のいわゆる総合的安全保障の方針に基づくものであるということを明らかにされました。この方針に基づいて、あなたは、すでに世界第七位と言われる日本の軍事費をさらにふやそうとしています。あまつさえ「防衛計画大綱」の見直し、防衛装備の強化あるいは閣僚そろっての靖国神社参拝、学童、生徒に対する国防教育の押しつけ、さらに、自民党の運動方針における公然たる憲法改正の主張など、いま国内で進行している状況は、幾ら総理が軍事大国にはならぬと叫ばれましても、アジア諸国民の目には、日本がアメリカの肩がわりをしながらアジアの一角に独自の勢力基盤を築こうとする動きとしてしか映らないのではないでしょうか。(拍手)もし平和憲法の堅持と言われるならば、これと矛盾する軍事力増強をやめ、非同盟中立外交の姿勢を明確にしない限り、しょせん、あなたのASEAN歴訪はあだ花にしかすぎなくなってしまうのであります。(拍手)
 さらに加えて言えば、総理は、ASEAN歴訪の成果を全く効果なからしめるような行動を北東アジアにおいてもとっておられるのであります。すなわち、自民党政府は、韓国の全斗煥軍事体制を是認し、これといわゆる日米韓軍事一体化の方向を強め、金大中氏事件の二度にわたる政治決着によって、その軍事政権を勇気づけてきました。あまつさえ、金大中氏に対する助命措置をてこにして、いまあなたは、約百九十億円の対韓借款の凍結解除を初め、韓国政府との正常化を行おうとしていると伝えられています。しかし、いま日本がアジアの平和、民主主義の確立のためになすべきことは、金大中氏の無条件釈放、政治的自由の確保、原状回復に努めることではないでしょうか。(拍手)民主的政治家の人権と自由を抑圧する軍事政権と手を結ぶことが、果たして自由主義国との連帯強化と言えるでしょうか。政府は、これまでの対韓関係から脱却して、あくまでも南北の自主的平和統一を支持し、非同盟中立の統一国家が成立することをどうして期待しようとしないのか。その観点から韓国の民主化を促し、朝鮮民主主義人民共和国との交流強化に努めないのか、伺いたいと思います。(拍手)これこそ、あなたの言われる軍事大国にならぬということの実践ではないでしょうか。
 さらに、十億の民を擁する中国の安定的発展が、わが国とアジアの平和的展望に欠くことのできない重要な要件であることは言うまでもありません。中国近代化に対する経済協力についても、単なる目先のそろばん勘定ではなく、長期の視野に立った可能な限りの積極的姿勢で対処せられるよう、強く要望いたしたいと存じます。
 さらに、第三世界に生じているもう一つの憂うべき事態として、イラン・イラク戦争の成り行きに深い関心が現在持たれておりますが、私には、こうした紛争の背景に大国の影が感じられてならないのであります。
 端的な話、大国が中東諸国に武器を売らずに軍事援助を控えたならば戦争は起きなかったはずであります。みずから提供した武器のおかげで、石油資源への不安におののく姿は、まさに笑えない喜劇と言わなければなりません。(拍手)
 総理は、現にわが国の大商社が絡んで、韓国やASEAN諸国への武器輸出の事実が明らかになっていることをどうお考えでありますか。
 三木内閣の武器禁輸の原則、昨年の大平首相の国会における、軍事力の増強に役立つような経済協力をすべきではないという発言、さらには軍事的用途に充てられる対外経済協力はすべきではないという衆議院外務委員会の決議を、今後さらに厳格に履行することを再確認すべきであります。同時に、国連その他の場において、地域ごとに武器禁輸の国際協定を積み重ねる努力を払わるべきだと存じますが、お考えはいかがでしょうか。(拍手)
 今日、米ソ両国の経済がともに停滞し、困難に直面している最大の原因が、軍拡競争にあおられた軍事費負担の増大にあるととは、事実が示しているところであります。これに比べて、わが国の高い経済成長は、平和憲法のもとで軍事大国への道を自制し、すぐれた労働力や技術やその他の経済能力を軍備のために浪費することが少なかったからこそ可能だったことは明らかでありましょう。(拍手)
 ところが最近、安保ただ乗りといったアメリカの不当な非難に押されて、自衛隊の増強に力を入れる傾向が顕著となってきていますが、まさにこれは逆ではないでしょうか。安保ただ乗り論に対しては、むしろ開き直ってアメリカをたしなめ、軍縮への本格的努力の方向に転ずるように説得する役割りを日本は果たすべきではありませんか。(拍手)あなたは近々訪米せられると聞きますが、総理として堂々とレーガン新大統領にこのことを主張すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 今日、米ソなどの軍事大国の間では、軍備の拡大と核兵器に頼って世界戦争を防ぐという抑止力の理念が支配的であります。しかし、この理念がもたらしている現状は、際限なき軍拡の悪循環であり、私たちは日常生活の中で一人当たり三トンずつの火薬を抱えて暮らすに等しい不安な状況を強いられているのではありませんか。何としても軍拡競争という悪循環を断ち切らない限り、人類にはいかなる未来もありません。(拍手)私は、平和憲法を持つわが国こそ、まず一方的軍縮に踏み出し、そのメリットを強調して影響を広げていく、すなわち、みずから新しい軍縮の時代のトップランナーになるべきであると考えるのであります。(拍手)
 最近、わが友党である英国労働党も一方的軍縮の考え方を採用し、軍拡競争という悪循環を逆転させるきっかけを求めているのでありますが、総理は、このような決断についてどうお考えになるのでありましょう、お伺いいたしたいと思います。
 また、私は、防衛庁を中心にソ連脅威論のキャンペーンが展開され、さらに、海上輸送路の防衛論議から自衛隊の海外派兵につながる日米共同作戦体制の強化が主張される昨今の風潮、これは、実はそれがアジアの国々を力で威圧しようとする危険な道につながるものだと考えているのであります。
 総理が軍事大国には決してならぬと宣言せられたことがもし真実だとするならば、いまこそ、わが党とともに核廃絶、軍縮の課題に勇気と決断を持って取り組み、率先してアジア軍縮会議を提唱、アジア太平洋地域の非核武装地帯化に熱意ある努力を注がるべきではないでしょうか。(拍手)ソ連脅威論を唱える前に、いたずらに対ソ感情をあおることなく、ソ連に対しても平和外交の手段を尽くし、こうした平和への努力を重ねることこそ必要だと思うのであります。いかがでしょうか。
 あなたが真剣に、アジア諸国民から信頼される日本を目指しておられるとするならば、国内においても、まずみずから政治の姿勢を正し、不平等や不公正をなくすことが重要であります。これなくして他国民の信頼を得ることは不可能でありましょう。
 その意味で私は、青少年の非行化や犯罪の激増、受験地獄、そして大人の世界の社会的差別、医療の荒廃、失業、倒産、自殺の増大など社会不安が高まり、隣人愛や社会的責任が軽んじられて、利己的、排他的な風潮が蔓延するといった憂うべき社会になってしまっているのは、何よりもこれまでの政治が、金と物で人間を支配するという関係を助長してきたからだと指摘せざるを得ないのであります。すなわち、政治が憲法の原則を離れて、民主主義というよりも金主主義に走ってしまった結果ではないでしょうか。(拍手)
 総理、あなたが総理・総裁になってから自民党が行ってきたことを見ますと、衆参両院の航空機輸入特別委員会の廃止を初め、金権腐敗政治の究明には全く及び腰ではないかと考えざるを得ないのであります。(拍手)また、腐敗は地方にも及んでいます。千葉県を初めとする幾つかの問題をどうお考えになるのでしょうか。一体、政治倫理はどこへいってしまったのですか。あなたの言う和の政治とは、まさか金権腐敗とのなれ合いではありますまい。(拍手)また、党内派閥だけの和を指しているのではないと私は信じたいのですが、いかがでしょうか。明確な、国民にも納得のできる御所見を伺いたいと存じます。(拍手)
 なお私は、この際、国民の声を正しく反映するために、すでに著しい不均衡が指摘されている衆参両院の定数是正を直ちに検討すべきであり、本国会において与野党間の協議を進めるべきだと考えますが、いかがでありましょうか。民意を正しく反映する政治こそ、腐敗、堕落との血縁を絶てるのであります。
 総理、ごらんなさい。いまの世の中では、冷害で自家用の飯米すらとれず一家を挙げて出かせぎをしている農民、物価高で家計をぎりぎりまで切り詰めなければならない勤労者の家庭、電気料金五割アップで大打撃を受け、さらに法人税からライトバンまでの重税で頭を痛めている中小企業や商店経営の方々、国際障害者年だというのに福祉切り下げ政策のしわ寄せを受けているハンディを持つ人々、そして会社の減量経営でちまたにほうり出されたまま途方に暮れている百二十万人もの完全失業者たち、数え上げれば切りがありません。少なくとも社会の二重構造の底辺には、政治から置き去りにされた人々の実態が積み重ねられているのではありませんか。
 庶民の声を正しくわれわれは見詰める意味において、私は、国民の切実な願いが集中している幾つかの問題について、逐次総理の明確な具体的な対策を伺いたいと考えます。
 まず、物価の値上がりであります。
 今年度の消費者物価は、政府の公約である六・四%を超えて七%を上回る上昇率となることが確実となりました。これは単に政府見通しの誤りと言って済まされることではありません。物価の上昇と勤労所得の増加率を比べると、昨年は毎月のように物価が所得を追い越し、戦後初めて年間の実質賃金が前年よりもダウンいたしておるのであります。昨年の春闘で低い賃上げでがまんをさせられた勤労者は、まさに政府によって裏切られたと言っても過言ではないのであります。
 しかも、こうした中で政府は、消費者米価、郵便料金、国鉄運賃、医療費など公共料金を軒並みに引き上げ、さらに、不公平税制をそのままにしたまま勤労国民への大衆増税を押しつけようといたしておるのであります。
 一九七八年以来四年間、所得税の課税最低限が見直されないため、勤労者の税負担がいまのままでも年々重くなっていることは否定のできない事実であります。たとえば、年収三百四十五万円の標準世帯の場合、その収入が一〇%、三十五万円ふえたといたしますと、税金はまさに三六%、五万円もふえることになるのであります。ガラス張りであるサラリーマンの所得には、資産所得への税に比べても著しい不公平が積み重なっております。ここに焦点を当てて減税をすることは、税負担の公正だけではなく、消費を拡大し、景気を回復することにもつながるわけであります。
 したがって、わが党は、人的控除の引き上げ、個人住民税の課税最低限の引き上げなど所得減税を行うことを要求いたします。(拍手)また、不公正税制を是正するには、法人税率に超過累進税率を導入するとともに、富裕税、土地増価税を設けることが必要であり、名目のいかんを問わず一般消費税等の導入は今後も断じて行うべきではありません。また、公共料金の値上げも抑制すべきであります。これらの点について、総理の明確な御見解を伺っておきたいと存じます。(拍手)
 総理、あなたは増税の理由を財政再建に求められておるのでありますが、真実国民の求めている財政再建は、まず政府みずからその官僚機構の中に深くメスを入れ、行政のむだ、不急不要経費の削減を行うべきことでありましょう。
 ところが、各省庁や政府関係機関の巨額なむだ遣いは、毎年会計検査院から指摘されてきたにもかかわらず、是正、防止の具体策を欠き、不要となった行政機構や事務の整理、統廃合の実績も少しも見られません。
 わが党は、補助金の整理、改廃と補助事業に期限をつけたサンセット方式の導入及び既定経費の一律五%削減、不急不要の公共事業の抑制などによる経費の節約を強く要求いたします。これによって実に一兆五千億円の経費が省けるのであります。したがって、大衆増税の必要はありません。(拍手)
 また、すでに役割りを果たした行政機関や政府関係法人、審議会等の整理、統廃合を確実に行うべきであります。第二次臨時行政調査会においては、国民の要望に沿い、関係団体の代表者とも十分に話し合い、積極的な行政改革を行うことを強く要求いたします。(拍手)
 さらに、国民代表の参加するオンブズマン制度、すなわち行政監察委員会制度及び情報公開制度を設けるべきであります。こうした点について、私は総理の決意のほどをお尋ねしたい、このように存じます。
 また、財政再建に逆行する最大のものとして、新年度予算における防衛費の大幅増額に国民は大きな不安と反発を感じております。二兆四千億円の防衛費に加え、国庫債務負担行為の急増による後年度負担を考えれば、まさに軍備増強元年の予算と言わなければなりません。(拍手)特に戦車、艦艇、航空機といった正面装備費は前年度比一七・七%の増、約四千六百億円となっていますが、国庫債務負担行為による後年度の負担は実に七千八十億円にも達し、先へ行けば行くほどふくらんでいくのであります。総理がいかに否定されようとも、こうした客観的な数字こそ、アメリカの圧力と防衛庁制服組の意向に沿って、軍事大国への道がひとり歩きしているということを物語って余りあると存じます。(拍手)
 さらに私は、予算案編成の過程で、防衛費増額のあおりを受けて福祉が切り詰められたことについて強い憤りを感ぜざるを得ません。(拍手)総理は、この福祉切り詰めをどう説明されますか。納得できるお答えをいただきたいのであります。
 次に、住宅問題について申し上げましょう。
 今日、東京を中心とした首都圏、大阪を中心とした近畿圏を初め、住宅事情はますます窮迫の度を深めております。昨年の国民生活白書を拝見いたしますと、勤労者の三世帯のうち一世帯は住宅ローンを借りており、その返済額は年収の三分の一。もし生計を支える人が失業をしたり病気にでもなれば、生活は一遍に崩れてしまうのであります。
 私はここで、今年度策定される予定の第四次住宅建設五カ年計画は、公共住宅による直接供給に中心を置くと同時に、さらに、勤労者の住宅は国と地方自治体の責任で供給することを柱とした住宅基本法を制定すべきだと考えております。わが党は、すでにこの立場から住宅保障法案を提出いたしておりますが、政府案がもし間に合わないとするならば、すぐにでもわが党案を論議することを要求いたします。(拍手)
 加えて地価の異常な値上がりは、住宅問題の解決を困難にしているだけではなく、生活環境の整備を大きく妨げている原因となっております。価値を生まない土地価格の上昇は、国民経済にとって大きなマイナスになっていること、御存じのとおりであります。
 私は、地価安定を図るには、国土利用計画法、都市計画法など現行土地規制法を抜本的に改正して、土地利用への社会的規制を強めるとともに、土地の売買は地方自治体を通じてしかできないこととするなど、土地管理の公的規制を強めることが最も有効であろうと信じております。したがって私は、この際、地価安定のための政策手段について、これは非常に重要なことでありますから、国民的合意をつくるための諮問委員会を内閣に設置し、必要な措置を急ぎ確立すべきことを提案いたします。総理の明確な御答弁をいただきたいと思います。(拍手)
 次に、医療問題について申し上げます。
 最近の医療の実情は、富士見産婦人科病院事件、十全会事件などの事例が示しておりますように、荒廃のきわみに達した感があります。政府は、さきの臨時国会で、これらの事件に対する解明をわが党に約束せられたのでありますが、今日まで何ら実質的なことは実行せられておりません。この際、法規に照らして厳正な措置を行うべきであります。この点も総理の御意見を伺いたいと思います。
 御承知のように、わが党は、医療制度改革のため、すでに地方自治体による医療法人の監査、点数出来高払い制度を改めるホームドクター制、薬価の引き下げなど、具体的な提案をいたしております。これによって不当に高い薬価を実勢価格にまで引き下げ、薬づけ、検査づけの医療をなくし、差額ベッドや付き添い費負担の問題を解決していくことが必要であると考えるのでありますが、総理の詳細な御見解をいただきたいと思います。
 また、ここで被爆者援護法の問題についてもお尋ねをいたしておきます。
 世界で唯一の原爆被災国であるわが国こそ、核物質の危険に深い認識と警戒心を持つべきものでありますが、いつの間にかその原点を忘れ、意識的にこれを消し去ろうとする動きが強まっているのであります。戦後三十五年間を経過したにもかかわらず、依然として被爆者援護法が制定されないことに私は心からの憤りを感ぜざるを得ません。(拍手)後々まで残る放射能を浴びた被爆者の憤りと苦しみを正面から政治は受けとめ、国家補償の見地から被爆者援護法の制定を急ぐべきだと考えますが、総理はいかがお考えになるでしょうか。
 さらに私は、エネルギー問題について伺います。
 私も、わが国の基本的エネルギーは、当分の間は石油依存を続けざるを得ないと存じますが、その安定確保の努力と同時に、省エネルギーの促進、代替エネルギー開発の積極的な推進が、八〇年代の重要な課題であると考えます。
 政府は、昨年十一月、石油代替エネルギー導入の指針及び供給の目標を閣議決定しておられるのでありますが、その内容は、省エネルギー政策としては不十分であり、代替エネルギー開発はほとんど原子力依存に傾くものと言わざるを得ません。
 特に、原子力利用については、マリアナ沖への海洋投棄計画が行き詰まっているように、放射性廃棄物の処理について見通しも立っていない現在であります。さらに、炉の定期検査や修理に従事した労働者は使い捨てにされ、炉心の最も危険な場所には外国の黒人労働者を使うということもなされておるのであります。総理は、一体こうしたことが人間として許されるとお考えになるのでしょうか。(拍手)
 また、原発立地のために、関係住民に交付金をばらまき、協力を買い取ろうとされているのでありますが、放射能の危険という子々孫々にわたる生命の安全の問題を、十分な確信も納得もないまま、金の力で解決ができるとお考えになっていらっしゃるのでしょうか。(拍手)
 わが国の代替エネルギーは、このように問題のある危険な原子力開発に依存するのではなく、当面は石炭利用の促進、さらに五年から十年の展望に立った太陽熱、水力、地熱、波力、風力、さらに有機物や生物などを活用するバイオマス等の自然エネルギーの開発を進めるべきであります。バイオマスの活用は、燃料だけではなく、肥料や飼料を生み出して、農業振興にも役立たせることができるのであります。
 こうした自然エネルギーの利用技術の確立は、国内においては、地域の特性を生かし、地域経済発展の基礎をつくると同時に、非産油開発途上国への援助協力にも役立たせるととが可能であります。
 政府は、自然エネルギーの利用技術を積極的に開発するために必要な立法措置を図るべきだと考えますが、御見解いかがでしょうか。(拍手)
 エネルギーと並んで食糧事情の悪化が世界的の問題となっているとき、政府が、食糧自給力向上に関する国会決議を無視して第二期減反政策を強行し、農政審の十年後の見通しも現状以下を見込んでいることは、断じて納得できないところであります。
 第二期減反の中止、長期見通しの是正を要求して、政府の見解を伺います。(拍手)
 次に、一昨年十一月、国会は国際人権規約を批准いたしました。政府は、これを受けて、当然、障害者、婦人、在日外国人に対する差別撤廃に特段の努力を尽くすべきであります。
 同時に、わが国独自の問題として、部落差別の撤廃を一層重視しなければなりません。すでに明らかにされた地名総鑑に見られるような悪質な差別は、現在なおふえつつあるのであります。
 また、現行の同和対策事業特別措置法の延長を決めたとき、政府は、三年の延長で終わるものではないという統一見解を明らかにするとともに、国会は満場一致で三項目の附帯決議、確認事項を決めたのであります。御記憶にあると存じます。これに沿って、当然現行措置法の総合的改正を早急に図るべきであります。
 さらに、婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の批准も直ちに行うべきでありましょう。
 以上、私は、国民生活に欠くことのできない数点について御質問をいたしました。
 総理、あなたは、前国会において憲法の遵守を明言されました。しかし、私が指摘してまいりましたとおり、政府が進めている施策の多くは、憲法の規定に反し、平和と民主主義と国民生活安定の道に背くおそれが強いのであります。
 私たち日本社会党は、結党以来一貫して平和憲法擁護の立場を貫いてまいりました。(拍手)これは、政治において、経済において、社会文化において、国際社会において民主主義を徹底して貫くことであり、憲法の全条文を政治に具体的に生かしていくことであります。この立場から私たちは、断じて改憲を許さぬ決意であることをここに申し上げておきます。(拍手)
 もし総理が憲法の遵守という発言に責任を持たれるのならば、総裁として、自民党の推進している憲法改悪準備を直ちにやめさせるべきでありましょう。(拍手)
 私は、最後に、明治の日本が軍事大国への道を歩もうとしたとき、「無形の道義をもってみずからの軍隊となし、平和をとりでとし、博愛をもって剣とするならば、敵するもの天下になし」と強く警告した先人の言葉を鈴木総理に呈すると同時に、御決意のほどを承ることをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 飛鳥田社会党委員長の御質問にお答えいたします。
 最初に、豪雪対策についてでありますが、まずもって、この機会に、今回の豪雪の犠牲となられた方々に対し深く哀悼の意を表するとともに、被災地住民の各位に心からお見舞い、を申し上げます。(拍手)
 この冬の豪雪は数十年ぶりという地方もあり、政府としては、豪雪対策本部を設置し、数次にわたり国土庁長官を長とする政府調査団を被災地に派遣して実情をつぶさに把握し、除雪の推進、生活物資の安定供給等の応急対策の実施に全力を挙げておるところでございます。今後とも、除雪費の増高等に対する財政措置、激甚災害法の適用の検討など、豪雪対策に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、わが国の外交について御提起のあった諸問題についてお答えを申し上げます。
 わが国は、平和国家としての基本的立場を堅持しながら、世界の平和と安定のため、わが国の国力にふさわしい国際的責任と役割りを積極的に果たしていく方針であります。強力な平和外交の展開を鈴木内閣の施策の重要な柱と考えておりますことは、さきの施政方針演説において申し述べたところであります。
 他方、防衛面においても、わが国は、厳しい国際情勢を十分に踏まえ、自衛力の整備に努めているところであります。節度ある質の高い自衛力は、日米安保体制と相まってアジア、世界の平和と安定に資するものと確信いたします。(拍手)
 なお、このような努力は、あくまで、わが国の自主的判断に基づいて行われるべきであることは申すまでもありません。
 私は、飛鳥田議員御指摘のとおり、今回のASEAN諸国訪問の際、わが国の国防の基本はあくまで専守防衛であり、これは、わが国として過去の選択の重大な誤りに深く思いをいたした結果であることを明らかにいたしました。わが国は、あくまでも平和憲法のもと、軍事大国にはならない、これは国民の総意であり、今後とも変わることはございません。(拍手)
 次に、わが国の防衛努力が周辺のアジア諸国に脅威の念を持って受け取られているのではないかとの御指摘がございました。
 わが国は、平和憲法のもと、専守防衛に徹し、近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本的立場のもとに着実な防衛力の整備に努めているところでございます。今回の私のASEAN諸国訪問の際にも、かかる方針を説明し、十分な理解と支持を得たところであります。
 なお、非同盟中立外交は、わが国の政策として現実的なものではなく、政府としてかかる政策をとる考えはございません。(拍手)
 金大中氏の裁判の問題についてお答えいたします。
 政府は、今般金大中氏の裁判について韓国当局が高次の判断から大法院の判決に対し減刑措置をとったことを、日韓友好協力関係の促進に資するものと高く評価をしております。政府といたしましては、これによって憂慮すべき事態は避けることができたものと受けとめており、これ以上の言及は差し控えたいと思います。(拍手)
 次に、朝鮮半島の将来についてであります。
 私達この問題は、基本的には南北の両当事者による解決にゆだねらるべきものであると考えておりますが、わが国としても実質的な南北対話が再開されることを希望するものであります。
 なお、韓国におきましては、飛鳥田議員も御承知のとおり昨年秋、新憲法が公布され、各般の改革措置が進められております。わが国といたしましては、このような韓国の安定と発展への努力が着実に成果を上げることを期待いたしますとともに、日韓両国の間に引き続き円滑な友好協力関係を維持し発展させてまいりたいと考えております。(拍手)
 他方、北朝鮮との関係につきましては、これまでも国会でたびたび申し上げておりますとおり、今後とも貿易、経済、文化等の分野における交流を漸次積み重ねてまいる考えでございます。
 中国の近代化に対する経済協力が目先の経済的打算に基づいて行わるべきものではないことは、飛鳥田議員御指摘のとおりであります。
 政府は、この面での協力を積極的に行うことが日中間の今後長期にわたる友好関係を確保し、さらに、かくすることが、ひいてはこの地域全体の安定にも貢献するゆえんであるとの長期的、大局的な観点に立ち、今後とも積極的に対応してまいる考えでございます。
 わが国の鋼材輸出業者が韓国へ武器の部分品の疑いのある貨物を輸出した件につきましては、目下関係各省で事実の究明を急いでおります。
 いずれにせよ、武器の輸出などにつきましては、武器輸出三原則及び昭和五十一年二月二十七日に表明した政府方針などに基づいて、今後とも厳格に対処してまいります。
 なお、武器禁輸問題が国連の場で審議された経緯もありますが、非同盟諸国を初めとして、各国とも自国の安全保障との関係から慎重に対処しているのが実情であります。
 次に、わが国の防衛力の整備の問題についてであります。
 米国は、ソ連の長年にわたる軍事的増強とアフガニスタン侵攻等に見られる現下の厳しい国際情勢にかんがみ、わが国に対しても一定限度での防衛努力の強化を期待しているのであって、何ら不当な圧力などかけているわけではありません。(拍手)
 政府としては、日米安保体制のきずなで結ばれた米国の期待を念頭に置きつつ、防衛努力の問題については、自分自身の問題として自主的に取り組んでいるところであり、「防衛計画の大綱」に従って、節度ある質の高い防衛力の整備を図っている次第であります。
 レーガン大統領に対し、軍縮への本格的な努力を主張すべきであるという御指摘につきましては、軍縮を含め、レーガン政権の具体的外交政策は今後順次策定されていくと考えますが、同政権も、対ソ交渉、軍備管理、軍縮の重要性は十分認識していると考えております。
 わが国としても、米ソの戦略的安定及び核軍縮の観点から、公平かつ相互的な戦略核兵器の制限が米ソ両国により促進されることを強く期待するところであります。
 なお、飛鳥田議員より御提起がございました一方的軍縮の実施という考え方でありますが、軍縮を推進するに当たっては、各国の安全保障を害さないことが国連等における各国の一致した考えであります。わが国も、かかる考え方を十分認識し、現実の国際情勢において公平かつ実行可能な具体的軍縮措置を一歩一歩積み重ねていくことが肝要と考えております。
 次に、飛鳥田議員より、対ソ外交、アジアにおける軍縮会議等について御提言がございました。
 政府といたしましては、いかなる国との関係につきましても平和外交に徹し、真の友好関係を増進することを外交の基本的立場としており、わが国の重要な隣国の一つであるところのソ連との外交も、その例外ではないことは申すまでもございません。しかるに、ソ連は、アフガニスタンへの軍事介入、わが国固有の領土である北方領土での軍備強化を行うなど、かかるわが国の基本的立場とは相入れない遺憾な行動を重ねてきております。それゆえにこそ、政府は、ソ連に対し、かかる事態の速やかな是正を強く求めている次第であります。(拍手)
 一方、平和に徹するわが国にとり、軍縮外交の推進も重要な課題でありますが、軍縮問題は、わが国としては、地域的な観点よりはむしろ世界的な軍縮の推進がアジアを含む世界の平和と安定に資するゆえんと考えております。また、一般的な構想としては、適当な条件が整った地域における非核地帯化の考え方も十分理解するものでありますが、アジア・太平洋地域につきましては、これを設けるための現実的条件はまだ整っていないと考えておるものであります。
 航特委の問題について御意見がありましたが、いわゆる航空機輸入に関連して指摘された疑惑に関しては、司法当局においてすでに解明が終わったと承知しております。しかし、政治倫理の確立は当面の緊急な課題であり、私は、さきの臨時国会以来検討されている倫理委員会の設置について、各党各会派の間で速やかに建設的な合意が得られることを期待しております。
 衆参両院の定数是正のため、与野党間で協議をとの提言でありました。
 衆議院については、従来各党間で合意を見た線に沿って、不均衡の著しい選挙区について是正が図られてきているところであり、総定数、選挙区画をどうするのかなどの基本的問題との関連も十分考慮する必要がありますし、また、参議院についても、地方区の総定数、地域代表的性格なり、半数改選制度などの事情を十分考慮する必要があると考えます。
 いずれにしましても、これらの問題は、選挙の基本的なルールづくりの問題として、各党各会派の間の合意に基づいて改善していくことが最も民主的な方法と考えており、今後各党各会派間において協議を行い、論議を尽くしていただきたいと存じます。
 公共料金についてのお尋ねでありますが、公共料金については、経営の徹底した合理化を前提とし、物価、国民生活に及ぼす影響を十分に考慮して厳正に取り扱う方針で臨んでいるところであります。
 このような観点から、来年度予算関連の公共料金の改定に当たっても、消費者米価、国鉄運賃など真にやむを得ないものに限るとともに、その実施時期及び値上げ幅につき極力調整したところでありますので、御理解をいただきたいと存じます。
 次に、所得税減税についての御意見についてでありますが、要は、二兆円の国債減額を行っても、なお歳入の二六%以上を公債金に依存しているわが国財政をどうするかという問題との関連で判断していかなければなりません。
 確かに、昭和五十三年以来所得税の課税最低限を据え置いておりますから、その後の所得や物価の上昇によって所得税の負担は増加していると存じます。しかし、なお現状においては、わが国の所得税の課税最低限は主要諸国の中で高いものであり、また、その負担水準は国際的に見て相当低位にあることも飛鳥田議員御承知のとおりであります。
 私は、今日の不健全な財政状態を放置し、いわゆる赤字公債の償還のために新たに赤字公債を発行しなければならないという状況に立ち至れば、国の経済はもとより、国民生活にとってもゆゆしい事態になると考えます。もしここで踏ん張って現況を打破しなければ、やがてはより大きな国民の負担になると考えます。(拍手)わが国の財政の現状をまじめに考え、また所得税負担水準の実情を考慮すれば、課税最低限の水準をさらに引き上げることは見合わせるほかはなく、物価調整減税を含め、所得税減税はしばらくお許しいただきたいと思うのでございます。
 個人住民税についても、地方財政の現状から見て、所得税と同様であると存じます。この点広く国民各位の御理解をお願いする次第であります。
 不公平税制是正のため法人税に超過累進税率を導入せよとのことでありますが、累進税率は法人税にはなじまないものであります。
 富裕税につきましては、執行面等に問題がありますが引き続き勉強してまいります。
 土地増価税につきましては種々問題があり、これを導入することは考えておりません。
 いずれにせよ、今後の税制のあり方については幅広い観点から検討してまいりたいと存じます。
 五十六年度予算においては、厳しい歳出の抑制を図り、一般歳出の伸び率四・三%と、最近二十五年間で最も低い伸び率にしております。
 御指摘の補助金につきましても、積極的に整理合理化を進め、また、奨励的な補助金等のサンセット化を進めて、補助金等の総件数の三割弱について終期の設定が行われる結果になっております。
 行政改革を積極的に行うようにとの御要求がございました。
 私も、国民の要望と期待に沿った行政改革が推進できるよう粘り強く努力してまいりますので、とかく陥りがちな総論賛成、各論反対という結果にならないよう、各党各会派の特段の御協力をお願いいたします。(拍手)
 国民代表の参加するオンブズマン制度を設けよとの御意見をいただきましたが、その御趣旨がオンブズマンを国会に置けということであるとすれば、それは国会みずから御決定されるべき問題であろうかと思います。
 なお、行政府内におけるオンブズマン制度導入につきましては、すでに類似のものとして行政監察、行政相談などの制度があることでもあり、その導入の適否、内容等については慎重に検討する必要があると思います。
 また、情報公開につきましては、各省庁に文書閲覧窓口を設置するなど、種々の行政措置を講じてきておりますが、情報公開法の問題につきましては、公務員の守秘義務やプライバシー保護との調整など関係する分野が広く、また外国法制の運用の実態等を見きわめる必要がありますから、今後各界各層の意見をも参考にしながら、幅広く慎重に検討していくこととしております。
 次に、防衛費についてお尋ねがありましたが、現在進めている防衛力整備は、憲法上許される自衛の範囲内であり、専守防衛に徹し、近隣諸国に脅威を与えるようなものではなく、もとより軍事大国を目指したものでないことは、政府として繰り返し明らかにしているところであり、広範な国民の理解をいただいていると考えております。
 防衛費増額のために福祉を切り詰めたとの御意見でございますが、そのようなことはございません。(拍手)五十六年度の社会保障関係費の伸び率は七・六%でありまして、一般歳出の伸び率四・三%を大きく上回っております。(拍手)その内容におきましても、社会的、経済的に恵まれない立場にある人々に対して重点的に福祉の充実を図ることとしております。
 昭和五十六年度を初年度とする第四期住宅建設五カ年計画につきましては、住宅宅地審議会の意見を聞いた上で策定する予定であり、現在鋭意作業を進めております。また、住宅政策の基本的方向を示す住宅基本法案につきましても、現在建設省で検討をいたしております。
 次に、地価問題についてでありますが、最近における地価の動向を見まするに、住宅地の需要が根強い三大都市圏を中心とする地価の動向には、なお警戒を要するものがございます。したがって、今後の土地対策としましては、国土計画法の適確な運用等により、引き続き投機的な土地取引の抑制を図るとともに、計画的に良好な宅地の供給を促進することが肝要であり、このため各般の施策を総合的に講じているところでございます。
 御提案の国民的合意をつくるための諮問委員会の内閣への設置の件につきましては、これまでも審議会を通じて各界の御意見を参考にしてきているところでありまして、今後ともこのような形で対処してまいりたいと思います。
 富士見産婦人科病院、十全会などについては厳正な措置をとれとの御意見でありましたが、一部の医療機関に国民の医療に関する信頼を失うような行為が見られたことはきわめて遺憾であり、違法な行為が明らかになったものについては法令に照らして適正を期しているところであります。
 検査づけ、薬づけの問題につきましては、医療費の効率的使用が図られるよう諸般の対策を推進してまいります。また、差額ベッド、付添看護婦等保険外負担の解消につきましても、今後とも一層努力してまいります。
 原爆被爆者援護法の問題についてのお尋ねでありますが、御承知のとおり、原爆被爆者対策としては、被爆者の方が不幸にして放射能を多量に浴び、健康上特別の配慮を必要とするという特殊事情に着目をして、原爆医療法及び原爆特別措置法を制定し、その推進を図ってきたととろであります。
 先般、原爆被爆者対策基本問題懇談会の意見において、弔慰金とか遺族年金とかを支給することは、一般戦災者との均衡上国民的合意を得ることがむずかしいとの御指摘がなされましたが、政府といたしましても、この点同様に考えております。したがって、これらの支給を内容とする原爆被爆者援護法を制定することは困難であると考えます。
 次に、エネルギー政策に関してお答えいたします。
 御指摘のとおり、わが国のエネルギー政策の基本は、当面の石油の安定供給確保、石油代替エネルギーの開発、導入の促進及び省エネルギーの推進であります。これらの施策を政府は総合的に実施しており、五十六年度においてもその一層の強化拡充を行うこととしているところであります。
 なお、代替エネルギーの中で最も有望であり、現実的であるのは原子力でありまして、その放射性廃棄物は現在セメント固化等の方法により安全に処理されており、将来は海洋処分を行うべく、現在慎重に準備を進めているところであります。また、原子力発電所の従事者の被曝管理につきましては、これまでも十分の管理を行ってきているところであります。
 いずれにいたしましても、原子力発電所の立地促進は、安全性の確保と環境の保全にも千分留意しながら、住民の理解と協力のもとに行う必要があります。五十六年度予算で原子力発電施設等周辺地域交付金制度を創設し、一定の基準により地元に実質的な電気料金の割引を行うこととしているのも、このような趣旨に基づくものであり、交付金のばらまきではございません。
 なお、政府は、石油代替エネルギー供給目標に従い、原子力を初め、石炭、LNGのほか、水力、地熱、太陽熱等のいわゆる自然エネルギーについても、その開発利用を推進することとしております。これは、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律を根拠としており、これ以上に自然エネルギー開発のための立法措置が当面必要とは考えておりません。
 政府が食糧自給力向上に関する国会決議を無視して、第二期減反政策を強行し、また、長期見通しを策定しているとの御意見でありますが、政府としては、国会決議を踏まえ、過剰なものから不足なものへ、需要の動向に応じて農業生産を再編成するとともに、中核農家の育成、技術の向上、優良農地の確保等によって、総合的な食糧自給力の維持強化を図りたいと考えております。
 このような基本的な考えのもとに、昨年十一月「農産物の需要と生産の長期見通し」を閣議決定し、また、これを踏まえて、五十六年度から五十八年度までの三カ年にわたる水田利用再編第二期対策を実施することといたしたものであります。
 一昨年批准した国際人権規約を受けて差別撤廃に努力するようにとの御意見でありましたが、そのように努力いたします。
 次に、同和対策についてお尋ねがありましたが、同和問題については、同和対策事業特別措置法延長の際の審議の経緯や附帯決議の趣旨を尊重し、現在、その早期解決を図るために必要な今後の施策の方向、内容等について、所要の検討を進めているところであります。
 なお、婦人差別撤廃条約の批准問題につきましては、政府は、「国連婦人の十年」のわが国国内行動計画後半期における重点課題として、本条約の批准のため、国内法制等諸条件の整備に努めることとし、関係各省庁において、すでにこのための検討を開始しております。政府は、今後ともこの問題に積極的に取り組んでまいる考えであります。
 次に、憲法問題についてお尋ねがありましたが、私は、かねて申し上げておりますように、憲法第九十六条は憲法改正手続を規定しており、憲法改正について論議することは、憲法の遵守義務に違反するものではないと考えております。(拍手)したがって、政党が国民の要求にこたえていろいろな問題を研究し、その一つとして憲法について論議することは少しも差し支えありません。
 自由民主党が憲法調査会で、現行憲法に問題があるか、あるとすればどの点かを調査研究することも、政党として当然な任務であると考えておりますので、その調査研究を中止させることは毛頭考えておりません。(拍手)
 最後に、「無形の道義をもって軍隊となす」云々の明治の先人の言葉についての意見を求められました。
 私は、その言葉は人類社会の願望としては理解できるのでありますが、国防は国家存立の基本であり、やはり主権国として持つ固有の自衛権に基づいて、みずからの国はみずからの手で守ることが、ひいては世界の平和と安定をもたらしている現実を直視するとき、私としては、その言葉の意味する理想は理想として胸に抱きながら、現実に即した対応が必要であると考えます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(福田一君) 安倍晋太郎君。
    〔安倍晋太郎君登壇〕
#9
○安倍晋太郎君 私は、自由民主党を代表して、鈴木総理の施政方針演説に対する質問を行います。
 総理は、施政方針の冒頭で、「八〇年代を二十一世紀への足固めとするため身を挺する」との決意を明らかにされました。
 私は、総理が複雑多岐な国際社会の中で現状を的確に把握され、深い洞察力を持って将来を展望し、日本の進路に過ちなきよう強い指導力を発揮されんことを心から念願するものであります。
 そこで私は、まず、わが国の再度にわたる石油ショックを切り抜け、今日、国際的にも高い評価を受けるに至った結果、生じてきたわが国の国際的責任について総理の御所信を伺いたいと思います。
 現在の世界は、国際関係がますます深まる一方、先進国、開発途上国を問わず共通の困難に直面しております。それは資源・エネルギー問題であり、環境問題であり、あるいはインフレ、失業問題などであります。
 また、価値観の混乱は、特に先進国の社会生活全般に暗い影を落とし、その健全な発展を著しく阻害しております。
 その中で、わが国が比較的政治も経済も安定し、国際的地位が高まってきたのは、国民の創造力と努力に基づくものであることは申すまでもありません。
 すなわち、わが国民の多くは、いまなお勤勉であり、社会の治安は高度に維持され、労使関係は節度が保たれ、技術革新に意欲的であることなどによるものであります。
 しかしながら、これまでのわが国は、既存の国際秩序の中で、ややもすれば大勢順応の受け身の立場にとどまりがちでありました。八〇年代の国際情勢はますます流動化する見通しであり、世界は、いわば二十一世紀へ向けての新しい秩序を模索している時期にあります。
 このような世界の新しい秩序づくりに積極的に参加し、その平和と安定を維持するためには、わが国も主導的立場をとるべき情勢となってまいりました。
 わが国の存立が世界の平和維持にかかっていることは、国民のあまねく理解し認めるところであります。
 これをさらに一歩進めて、積極的に国際社会の発展に寄与することが、とりもなおさず、みずからの平和と繁栄につながるという理解と認識に徹しなければなりません。
 では、わが国の国際的責任とは何でありましょうか。
 私は、率直に言って、自由陣営の各国がわが国に求めているのは、みずからの防衛努力であり、対外経済協力強化であり、一言にして言えば、わが国の国際政治への積極的な参加であると考えます。われわれは、この点をはっきりと認識し、世界の大きな枠組みの中でみずからの役割りを果たす決意をしなければなりません。このような新しい国民的課題についての総理の御見解を伺いたいと存ずるものであります。
 次に、外交問題に触れたいと思います。
 鈴木総理は、本年初頭東南アジア諸国を歴訪され、大きな成果を上げられました。総理御就任後初めての外国訪問に際し、東南アジアを選ばれたことはきわめて適切な判断であり、深く敬意を表するものであります。
 申すまでもなく、わが国はアジアの一員であります。アジアの平和と発展なくして日本の平和も発展もありません。東西関係が緊張の兆しを見せているとき、総理みずからがアジアの指導者とひざを交えて世界平和を語られたことは、国際社会に大きなインパクトを与えました。わが国は、今後とも、しっかりとアジアに根をおろし、アジアの諸国民と手をとり合って、国際社会の平和と発展を目指さなければなりません。
 これからのわが国の外交は、受動的に対応するだけでなく、受け身の姿勢から脱却して、自由と民主主義を守るという明確な基本理念に基づいた、主体的、積極的なものでなければなりません。
 米国を初めとする西側民主主義諸国との協調こそが、わが外交の基本路線となるべきものと確信いたします。(拍手)このことは、これら諸国と負担を分かち合うことを意味するものであることは言うまでもありません。わが国の外交理念についての総理の御所信を伺いたいと思います。
 レーガン大統領の就任によって、わが国外交の基軸である日米関係も新時代に入ったのでありますが、私は、今後とも日米関係のきずなをさらに強固にしていくための、たゆまざる努力を怠ってはならないと思います。レーガン大統領は、すでに国内経済の立て直しを最優先課題とし、「強いアメリカ」の再現を目指すとの基本的な考え方を明らかにしております。わが国としてもアメリカのリーダーシップに期待するところ大なるものがあります。
 日米間には通商摩擦等の問題が生ずることがありますが、相互の間断なき対話によって意思の疎通を図り、日米両国の協調と協力によって国際社会の平和と安定に寄与すべきであります。
 そのためにも、私は、鈴木総理とレーガン大統領との会談が早急に実現することを期待するものでありますが、総理のお考えをお伺いしたいと存じます。
 一方、日ソ両国関係が必ずしも順調でないことは、まことに遺憾であります。
 一昨年暮れのソ連のアフガニスタンへの武力侵攻は、国際条理を踏みにじる行為でありました。このため、わが国もモスクワ・オリンピックへの不参加など、国民的怒りを態度で示したのであります。
 それに加え、わが国の北方領土におけるソ連の軍事力増強は、国民の不安をあおっております。この点に関しては、今後とも機会あるごとにソ連に対し反省と是正を強く求めなければなりません。(拍手)
 このたび政府は、二月七日を北方領土の日と決定いたしました。これは、わが国の固有の領土である北方領土の返還を求める国民の悲願を具体的に示すものであります。(拍手)この問題の解決なくして真の日ソ両国関係の改善は期待できないと思うのでありますが、総理の御見解を伺いたいと存じます。(拍手)
 他方、中東においては、イランにおける人質事件が解決を見たことは、まことに喜ばしいことであります。しかしながら、イラン・イラク戦争は、各種の仲介努力にもかかわらず、さらに長期化の様相を呈しております。中東問題の核心であるパレスチナ問題の解決にも実質的な進展が見られておりません。さらに、アジアにおいてはカンボジア問題の政治的解決もなかなか軌道に乗らず、東欧においてもポーランド情勢が憂慮されております。世界各地におけるこのような問題は、その処理を一歩誤れば、全世界を巻き込む紛争に発展する可能性なしとしません。わが国にとっても重大な関心事であります。
 わが国としては、価値観を共有する日米欧の協調体制を中心にして、これら諸問題の政治的解決に一層の努力を行うべきであると思いますが、総理のお考えを伺いたいと思います。
 南北間の格差が、先進国側、開発途上国側双方の努力にもかかわらず、ますます拡大する一方であることは、世界の平和と安定にとって重大な問題であります。
 本年六月メキシコにおいて開催予定の南北サミット、さらにはオタワにおける先進国首脳会議を通じて、ことしは南北問題に焦点が集まってきつつあります。
 私は、日本の国際的責任の遂行という見地からして、南北間の格差是正に最大限の努力を払うことこそが、わが国の国柄にふさわしいものであると考えます。(拍手)
 その意味において、総理が施政方針演説で示された政府開発援助予算の今後五年間における倍増計画の決定は、まさに画期的なことであり、政府・自民党は、総力を挙げてその実現を期さなければなりません。(拍手)
 総理、私は、昨年の通常国会の冒頭、この壇上におきまして、故大平総理に対し、わが国の総合安全保障政策のあり方について幾つかの角度から質問いたしましたが、今回は、特に防衛問題にしぼって質問いたしたいと存じます。
 わが国の防衛問題に関しては、厳しい国際環境を背景として、近年とみに国民の意識が高まってまいりました。私は、国の防衛については、みずからの国はみずからの手で守る気概を持って、国力に応じた防衛力の自主的整備を図りつつ、その足らざるところを日米安全保障条約によって補完するとの基本方針を堅持していくべきであるとかたく信ずるものであります。(拍手)
 さらに、東西両陣営の緊張の高まりが見られる現在の国際情勢においては、わが国に対し、西側諸国の一員として防衛力の規模を早急に充実すべきであるという国際世論が高まっていることを十分認識すべきであります。
 われわれは、歴史的教訓、現状分析、さらには将来への展望等を通じ、自主的判断によって国の安全保障を図らなければなりません。(拍手)
 私は、五十六年度の防衛関係予算は、苦しい財源の中から、装備の近代化など、防衛庁の中期業務見積もりを着実に実行するための足固めを行ったものとして、評価すべきものと思います。今後とも努力を重ね、「防衛計画大綱」の速やかな実現を期さなければなりません。わが国の防衛問題に関し、いかなる選択をなすべきか、総理の御所信をお伺いいたします。
 次に、私は、経済、財政問題について総理に御質問をいたします。
 私は、民間経済の活力の伸長こそ、わが国経済発展の原動力であり、国民福祉の源泉であると確信いたしております。そのためには、行政は簡素で効率的であり、国民の真の要望に素早く対応できるものでなければなりません。このような観点から、私は、行財政改革の断行を強く求めるものであります。
 行政改革は、ここ数年来政治の最重要課題の一つとして取り上げられ、定員削減、部局の整理など、その成果にはかなり見るべきものがありますが、さらにその実を上げるため、今後とも一層の努力を傾注しなければなりません。たとえば各省庁が現在行っている仕事のうち民間に任せるべき仕事は何か、政府でなければできないものは何かなど、明確な区分を行い、行政の事務・事業を必要最小限に抑制すべきであると思います。
 同時に、いわゆるお役所仕事を排し、組織を簡素化して、民間並みの効率を上げるにはどうするか、専門的な調査検討を行う必要があります。従来、ともすれば自分の仕事をふやす公務員が有能であると評価されてきましたが、これからは、いかに行政のむだを省いて、事務の簡素化、効率化を図り、人員、経費の節減に努力しているかということが評価の重要な要素とされるべきであります。
 さらに、私は、今回発足する臨時行政調査会の答申が確実に実行されるよう強く要望いたします。私は、委員各位に格段の努力をお願いして、五十七年度予算編成には、その成果が反映されるよう期待するものであります。(拍手)
 また、国会で継続審議中のいわゆる公務員二法は、公務員の定年制を導入することと、退職金について官高民低を是正する行政改革の重要な一環であります。ぜひとも今国会で成立させなければなりません。(拍手)
 しかしながら、野党の一部に反対のあることは、まことに遺憾であります。行政改革は、ともすれば総論賛成、各論反対に流れがちでありますが、総理の御決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。(拍手)
 昭和五十六年度予算案は、赤字国債の二兆円減額、一般歳出の大幅圧縮、経常事務費の四年間据え置きなど、思い切った抑制措置をとる一方、将来の足固めのための重要施策については、財源の重点的かつ効率的な配分を行ったのがその特徴であります。
 特に、財政再建の柱である三K問題のうち、国鉄については国鉄再建法が成立したことによって、地方交通線のバス路線等への転換や七万人の人員削減等が図られ、また、健保については、健康保険法の改正によってその健全化を図り、米については、売買逆ざやの縮小が継続されるなど、根本的な解決に向けて大きく前進しております。
 しかし、なお赤字国債は五兆五千億円もあります。さらに公債依存度は二六・二%となっております。子孫にツケを回さず、財政機能を回復するため、財政再建は今後とも強力に推進しなければなりません。
 私は、これを、まず民間経済の発展による自然増収の確保と現行歳出の徹底的節減、合理化によって行うべきであると思います。
 五十六年度予算では、既存税目の見直しによって増収を図り、真にやむを得ない財政需要を賄うこととしておりますが、国民にこれだけの負担をお願いする以上、将来の財政事情はどうなるのか、この際、その展望を明らかにすべきであります。財政再建について総理の御所見と御決意を伺いたいと存じます。(拍手)
 次に、当面の経済運営についてお尋ねいたします。
 わが国経済は、五%強の成長率、五%程度の物価上昇率という、安定成長の時代に軟着陸を始めております。五十六年度はこれを軌道に乗せるときであります。
 そのためには、まず物価の安定を図らなければなりません。物価の安定こそ社会安定の基礎であると同時に、経済成長の条件であります。現在の物価はやや落ちつきを見せておりますが、今後とも細心の注意を払って国民生活の安定を期すべきであります。
 また、雇用の安定を図るためには、景気の着実な拡大を図らなければなりません。財政に多くを期待し得ない現在、政府としては機動的な金融政策を展開されるよう、特に要望するものであります。
 この点に関連し、予算編成の際合意された金融の分野における官業の在り方に関する懇談会において、金利政策の一元化など、今後のわが国経済に大きな影響を及ぼす基本的問題が検討されることとなっております。これは総理の諮問機関として設置されるものでありますが、この答申に対して総理はいかに対処するお考えか、経済運営とあわせて御所信を承りたいと存じます。
 次に、中小企業、農林水産業について質問いたします。
 中小企業については、わが国経済の基盤として、その活力と知識を生かすように、積極的な政策をさらに強力に展開しなければなりません。また、農林水産業については、食糧の自給力の向上等のために、生産性を高めるよう特段の措置を講ずべきであります。
 特に、最近の雪害は記録的なものであり、昨年夏の異常低温とともに、多大の被害を各地に与えております。心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
 雪害対策については、わが党としてもいち早く異常豪雪対策本部を設け、政府とともに各般の対策を講じておりますが、これら被災地における救済援護と復旧措置は一日を争う急務であります。総理の格段の御配慮を切望する次第でございます。(拍手)
 以上の点について、御所見を伺いたいと思います。
 私は、エネルギー問題並びに科学技術振興についての総理の御見解に全面的に賛成であります。
 特に、省エネルギー対策の推進、備蓄量の増加などによって、当面供給面の不安は少ないというものの、基盤の弱いエネルギー構造を次の世代に引き継ぐべきでないことは、まさに御指摘のとおりであります。
 長期的展望に立てば、人類は、石油にかわる次の主力エネルギーをその手にすることができるものと信じます。しかし、当面は石油があくまでも中心であり、それを補うものとして原子力の活用、石炭、天然ガス、太陽熱等の利用など、総合的なエネルギー政策を強力に推進しなければなりません。
 特に、原子力発電の推進は、今後のエネルギー対策の最大の課題であります。(拍手)電源立地促進のための措置は、来年度予算において格段の前進を見たところでありますが、安全性の確保についても、政府は国民の一層の理解を得るように努め、自信を持って原子力行政を進めることを強く要請するものであります。(拍手)
 また、科学技術の振興は、資源小国であるわが国にとって未来を開く最大の武器であります。五十六年度予算においては、宇宙開発や次の世代の産業基礎技術の開発を重点に、科学技術振興費の積極的な予算化が行われておりますが、なお、研究投資、研究体制、人材の養成など、改善すべき余地は多々あります。総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、高齢化社会における福祉政策についてであります。
 今回の予算編成について、さきに飛鳥田委員長は、防衛費を先行し、社会福祉予算を後退させたと批判されましてが、この予算においては、社会福祉、恩給関係予算は前年対比七千八百七十六億円増額し、これに対し、防衛関係予算の増額は千六百九十八億円にとどめております。(拍手)
 福祉後退論が、いかにためにする議論であるかを、この際はっきりと申し上げる次第であります。(拍手)
 私は、いまこそ年金、医療など社会保障制度全体の見直しを行い、給付の重点化と負担の公平化を図るべきときに来ていると思います。
 五十六年度予算において、社会保障に関し、比較的裕福な世帯について所得制限の適正化を図るなどの合理化を進めながら、社会的、経済的に弱い立場にある人々に対しては、重点的に給付の改善を行ったことは、制度改善の第一歩として評価するものであります。(拍手)
 高齢化社会に備えて特に問題なのは、老人医療対策であり、高齢者の雇用機会の確保であります。老人保健法の今国会での成立を期するとともに、雇用問題について、政府は一層の努力を払うべきであります。
 ところで、社会保障給付の執行については、生活保護費の不正受給や医療費の不正請求などが相次いで指摘され、国民の批判を受けておるところであります。政府は、給付のあり方について全面的な見直しを行い、その適正化を図るよう強く求めるものであります。(拍手)
 また、ことしは国際障害者年であります。
 私は、わが国が諸外国に先駆けて、きめ細かい障害者対策を進めるよう切望するものであります。
 わが国における急速な高齢化社会の到来は、対応策を誤れば社会からゆとりを奪うおそれなしとしません。
 新しい福祉戦略による公的扶助と日本人特有の助け合い精神や自立自助の気風がうまくかみ合ったとき、私は、公正で活力ある日本型福祉社会が建設されるものと確信するものでございますが、総理の御見解を伺いたいと存じます。(拍手)
 次に、住宅問題についてお伺いいたします。
 住宅は家庭存立の基盤であり、国民福祉の原点であります。そして、この問題は、土地問題、特に大都市圏における宅地供給の問題に集約されると言っても過言ではありません。
 昨年の三大都市圏の地価上昇率は一六%となっており、東京近郊のマンション建設地では三〇%以上の高騰というのが実感であります。都市住民は地価の安定を切望しております。宅地供給を拡大するためには、総合的な都市政策の見直しによって、既成市街地の高度利用の推進を図ると同時に、市街化区域内に存在する農地、山林の計画的な開発を促進しなければなりません。
 私は、抜本的な住宅、土地対策の立案、実施は緊急性を有すると認識しておりますが、本問題に関する総理の御方針を伺っておきたいと存じます。(拍手)
 ここで、私は、国民の最も関心の高い教育問題に触れたいと思います。
 最近、学校内暴力や家庭内暴力が頻発し、多年培われてきた徳目が価値を失う傾向すら見え、目的意識を持たない、成り行き任せの風潮がうかがえることは、きわめてゆゆしいことであります。
 私は、人間の基本的徳目は、時代や洋の東西を問わず普遍的なものであると思いますが、恵まれた気候風土に生をうけ、独自の文化と伝統を継承しているわれわれ日本人は、国民的連帯感を築きやすい立場にあります。
 したがって、人間形成の原点である学校教育、家庭教育、社会教育を一層充実しなければなりませんが、戦後のわが国の学校教育については、これまでにもしばしば問題提起が行われてまいりました。特に、最近、偏向教科書の事例がしばしば指摘されておるところであります。私は、このような状態が続くことは、教育の荒廃をもたらし、国の将来を思うとき、憂えを深くせざるを得ないのであります。(拍手)
 わが党は、偏向教科書の見直し運動の推進など、健全な青少年を育成するための国民運動を推進していく方針でありますが、政府としても、偏向教育を是正し、健全な教育を行うために、これらの問題に対して勇断を持って対処すべきであると存じますが、総理の御所信をお伺いいたします。(拍手)
 また、昨年コペンハーゲンで開かれた国連婦人の十年一九八〇年世界会議において、日本政府が婦人差別撤廃条約に署名したことは高く評価されております。この条約の批准に向けて政府は今後どのように取り組まれるのか、婦人問題についての基本的お考えを承っておきたいと存じます。
 最後に、政治姿勢についてお伺いいたします。
 わが自由民主党は、昨年の衆参同日選挙で国民の圧倒的支持を得ることができました。(拍手)国民の期待を一身に背負うことになったのであります。その責任の重大さを思うとき、まさに、身の引き締まる思いがいたします。
 国民の政治に対する期待は、勇断と実行であると同時に、清潔な政治、公正な行政の実現であります。(発言する者あり)
 また、世界がその進路を模索している中で、国民のわが自由民主党に寄せる期待は、はかり知れないほど大きいのであります。(拍手)
 私は、鈴木総理の指導のもと、全党一丸となって、一九八〇年代の国家の進路に誤りなきよう、日々これ精進し、国民の期待にこたえなければならないと思いますが、総理の御決意のほどを伺って、代表質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 安倍議員にお答えする前に、先ほどの飛鳥田議員への答弁の補足をいたします。
 いわゆる一般消費税については、国会において財政再建に関する決議が行われたこともあって、従来検討されてきたそのままの形で提案することは困難であると考えております。他方、税制調査会は、中期答申において、課税ベースの広い間接税は避けて通れない検討課題という趣旨を述べております。
 以上のような経緯にかんがみまして、政府としては、今後の税制のあり方、今国会における御論議、今後の財政、経済の見通しなどを踏まえつつ、幅広い観点から検討してまいりたいと考えております。
 安倍議員の御質問に対し、お答えをいたします。
 まず、わが国の国際的責任についてお尋ねがございました。
 安倍議員御指摘のとおり、わが国は、国際社会の有力かつ責任ある一員として、世界の平和と安定のために、その国力にふさわしい国際的責任と役割りを積極的に果たしていくべきことは申すまでもございません。また、かくすることが同時に、わが国の安全と繁栄を確保する最善の方途と確信をいたします。
 このような基本認識のもと、政府は、まず経済協力につきましては、新たな中期目標を掲げ、経済協力の積極的な推進に努めてまいる考えであります。
 また、防衛面におきましては、節度ある質の高い防衛力の整備を図るとともに、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を図ってまいります。私は、かくすることが、わが国の安全のみならず、ひいてはアジア、世界の平和と安定に資するものと考えております。
 次に、わが国の外交理念についてお尋ねがございました。
 すでに申し述べたとおり、わが国は、世界の平和と安定に積極的に貢献することを通じ、みずからの平和と安全を守り、豊かな国民生活を確保していくことをもって外交の基本としております。
 私は、このような考えに基づき、具体的外交を展開するに当たっては、政治、経済上の理念をともにするアメリカ、西欧諸国を初めとする自由主義諸国との連帯と協調を基盤として、各国との友好協力関係の増進を図っていく考えであります。
 御指摘の中東問題、カンボジア問題等につきましても、このような考え方にのっとり、さらに個々の情勢をも十分踏まえ、わが国として果たし得る役割りを検討してまいりたいと存じます。
 私の訪米の具体的日程につきましては、現在のところ未定でありますが、日米両国間の緊密な関係にかんがみ、双方の都合を見つつ、できるだけ早い機会に訪米し、レーガン大統領を初めとする米国新政権関係者と直接に意見交換を行いたいと考えております。
 一月二十二日に短時間、レーガン大統領と電話でお話をいたしましたが、その際、先方もできるだけ早い機会に会談をいたしたいとの意向を漏らしておられるのであります。
 次に、日ソ関係についてでありますが、政府は、ソ連側に対し、日ソ関係を安定した基礎の上に発展させるためには、北方領土問題の解決が不可欠であるとの認識をあらゆる機会に伝え、理解を得る努力を払っております。政府は、今後とも国民の総意を背景に、ソ連に対し、北方領土での軍備強化など遺憾な事態の速やかな是正を引き続き強く求めるとともに、北方領土問題を解決し平和条約を締結するとの一貫した基本方針のもとに、ソ連との間を真の相互理解に基づいて発展させるため、誠意を持って対処する考えであります。
 今後、わが国にとって、南北問題についての取り組みがますます重要になってくるということについては、私も安倍議員と考えを同じくするものであります。政府は、開発途上国の抱える諸問題の解決に貢献するため、本年開催が予想されている南北サミットなどに進んで参加するとともに、開発途上国に対する経済協力及び技術協力を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、わが国の防衛問題に関し、いかなる選択をなすべきかとの御質問がありました。
 国の防衛は国家存立の基本であり、国の最重要事項の一つであることは改めて申すまでもありません。この意味で、近年、防衛問題について国民の間で広く論議され、理解と関心が高まりつつあることは喜ばしいことであると考えております。
 わが国の防衛は、平和憲法のもと、専守防衛に徹し、近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国とならず、さらに非核三原則を国是とすることをその基本方針としています。
 政府は、この方針のもと、最近の厳しい国際情勢を踏まえ、国民の理解を得つつ、みずからの国はみずからの手で守る気概を持って、「防衛計画の大綱」に従い、節度ある質の高い防衛力の整備に努めるとともに、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を推進することによって、わが国の平和と安全を確保していく決意であります。また、このような方針により、わが国の平和と安全を維持することは、ひいては世界の平和にも貢献することとなり、国際社会の一員としての責任を果たすことになるものと考えております。
 行政改革についての安倍議員の御意見には全く同感であります。
 政府は、昨年末閣議決定いたしました行政改革の推進の方針を着実に実施するとともに、臨時行政調査会を早い機会に発足させ、官業と民業の役割り分担、国と地方の事務配分、府県単位などの国の出先機関のあり方など、行政の基本的制度及びその運営について御検討願いたいと考えております。
 なお、同調査会で出た結論は十分尊重いたしまして、順次実行に移す決意でございます。いわゆるお役所仕事を排して、行政を簡素化するために意識を改革することは、私も必要であると存じます。かねて仕事減らしということを申し上げておりますのもその意味でありまして、このような観点から、全力を挙げて行政改革に取り組む決意であります。
 なお、御指摘の公務員二法につきましては、先国会におきましても成立を強く期待していたところでありましたので、今国会では、速やかに御審議の上ぜひとも成立さしていただきたいと存じます。
 次に、財政再建についてでありますが、御承知のとおり、五十六年度予算では四兆四千九百億円の自然増収が見込まれますが、これを優先的に国債減額に充て、特例公債の発行額を二兆円減額し、財政再建を本格的な軌道に乗せたところであります。
 今後も引き続き財政再建を進めてまいる決意でありますが、それが自然増収だけで達成可能かと言えば、なかなかそのようにもまいらないのではないかと思われます。やはり歳出面において既存の制度の見直しを含め、徹底した節減、合理化を推進することが必要であります。これが財政再建の基本でありますが、状況によっては、歳入についても幅広い観点から検討を進める必要が出てくることもあり得ようかと思います。
 この点、歳出歳入両面の施策の水準、相互の関連性が問題となりますが、これらの問題を考えていく上での手がかりとするため、現在、財政の中期的展望について検討を進めているところであります。
 次に、経済運営についてのお尋ねでありますが、お説のとおり五十六年度は、わが国経済を中長期的な安定成長路線に定着せしめる年と考えております。そのためには、施政方針演説でも申し上げましたとおり、物価の安定にまず努力したいと考えております。物価の安定は堅実な消費と安心できる国民生活の基礎であり、また、健全な労使関係と投資環境の確保のためにも重要であります。雇用の安定のためにはきめ細かな施策を展開してまいりますが、そのためにも安定成長の定着化が重要でありますので、金融政策の機動的な活用などにより政策運営に遺憾なきを期してまいります。
 金融の分野における官業の在り方に関する懇談会にどう対処するかとのお尋ねがありましたが、同懇談会では、自由主義経済体制のもとにおける金融の分野での官業のあり方について十分議論を尽くしていただき、八月末を目途に実りある結論を示していただくことを期待しております。検討結果につきましては、これを尊重してまいる所存でございます。
 中小企業は、わが国経済の活力の源泉であります。私は、中小企業がその特性を発揮しながら、国際化の進展などの最近の環境変化に的確に対応し発展していくよう施策を講ずることが肝要であると考えております。このため、御指摘のとおり、中小企業の活力と知識を生かし、その経営の安定を図るための施策を今後ともきめ細かく積極的に講じます。
 次に、農業についてでありますが、食糧の安定的な供給の確保は国政の基本であります。このため、長期的展望を踏まえつつ農業生産の再編成と生産性の向上に努め、自給力の強化、維持を図ります。
 具体的には、水田利用再編第二期対策を進め、また、農用地利用増進事業を積極的に推進して中核農家の育成を図るほか、農業技術の向上等も図ってまいりたいと考えております。
 次に、豪雪の対策についてでありますが、今回の豪雪は、たっとい人命の犠牲、多くの負傷者、家屋の全壊、半壊等、地域住民の生活に甚大な被害を与えております。また、農林業、中小企業等につきましても、除雪費用の増高、立木や農業用関連施設の倒壊、原材料手当て、製品販売の遅延、従業員の出勤困難等による直接間接の被害が生じております。
 このため、政府としては、先般設置した昭和五十六年豪雪対策本部を中心に除排雪の推進、生活物資の確保などを図り、民生の安定に努めるとともに、中小企業、農林漁業に係る金融対策等豪雪対策に万全を期しております。
 エネルギー政策に関してでありますが、御指摘のとおり、当面のエネルギー供給の大宗は石油に依存せざるを得ませんが、これにかわる最も有望かつ現実的なエネルギーは原子力であります。このため、特に原子力発電については、安全確保対策に万全を期するとともに、国民の理解と協力を求めつつ、その立地の促進を図ってまいります。五十六年度予算で原子力発電施設等周辺地域交付金制度を創設し、地元に実質的に電気料金の割引を行うこととしたのも、このような趣旨からにほかなりません。
 このほか、今後の原子力発電拡大のため、核燃料サイクルの確立の推進、新型炉の開発など、長期的観点に立った原子力の利用について、より積極的に研究開発を進めます。
 科学技術の振興こそが資源小国のわが国が未来を開く最善のかぎであります、こういう趣旨の安倍晋太郎議員の御意見に私は全面的に賛意を表するものであります。
 このため、五十六年度予算におきましても、厳しい財政事情の中で、一般歳出は四・三%の伸びに抑える反面、科学技術振興費についてはそれを上回る六・四%の伸び率とし、また、御指摘の研究体制につきましても、学界、産業界、政府それぞれの役割り分担のもとで、その有機的連携を強化し、科学技術振興調整費の制度を創設するなど、一層の充実強化に努めております。
 次に、高齢化社会問題に関連した御質問にお答えいたします。
 世界に例を見ないスピードで人口の高齢化が進んでいるわが国にとっては、二十一世紀への基礎づくりのためにも、この問題に真剣に取り組まなければなりません。
 中でも年金、医療等の社会保障の果たす役割りは今後ますます重要となってくるものと考えられますが、これらの社会保障制度について、高齢化社会にふさわしい給付の実現と負担の公平に重点を置いた見直しを進めていく必要があると考えます。
 すなわち、給付面では、真に必要なものに対して充実した給付を図らなければなりません。そのためには給付の重点化、効率化をさらに推進していく必要があります。一方、負担面では、世代間の負担の公平にますます配慮しながら、負担能力、受益に見合った適正な負担を目指していく必要があります。昭和五十六年度予算においても、このような見地に立って制度の見直しを図りましたが、今後とも一層制度の充実と合理化に配意してまいります。
 考人保健医療制度についても、高齢化社会の到来に対応して健康な老後を確保し、それに必要な費用を国民みんなが公平に負担する制度を設ける必要があります。このため、所要の法案を今国会に提出するよう検討を進めております。
 高齢者の雇用対策は、活力ある高齢化社会の実現のためにも重要であります。
 政府は、昭和六十年度までに六十歳定年が一般化するよう強力に定年延長を促進するとともに、六十歳代前半層も含め、雇用対策を強化してまいる所存であります。
 社会保障給付の執行の是正についてお尋ねがございました。
 生活保護は、社会保障制度の中でもいわば最後のよりどころであり、いやしくも不正受給などを見ることのないよう努力してまいります。
 医療費の効率化、適正化のためには、指導、監査体制の強化を初め、審査方法の改善の検討、医療費通知の充実等の諸施策を講ずることといたしております。
 国際障害者年に当たり、諸外国に先駆けてきめ細かい障害者対策を進めるようにとの御意見がございましたが、五十六年度予算の編成に当たっては、障害者対策について、年金、福祉サービス、雇用等を初めとして、重点的に、かつきめ細かくその充実に配慮いたしました。
 高齢化社会への対応のため、新しい福祉戦略による公的扶助と日本固有の助け合い精神、自立自助の気風をうまくかみ合わせて日本型福祉社会を築くとの御見解には、そのとおりであると存じます。(拍手)
 ただ、私は、社会の高齢化の進展は、社会の仕組み、生活のあり方全体にかかわる問題であると認識しております。八〇年代は、やがて来る人生八十の時代に備えて、健康、家庭、雇用といった問題のみならず、教育、住宅、地域社会等、各般の問題に新たな角度から取り組む必要があると考えておりますので、今後とも御協力をお願いいたします。
 最近の地価の動向を見ますと、特に住宅地の需要が根強い三大都市圏を中心とする今後の地価の動向には、なお警戒を要するものがあります。
 したがって、今後の土地対策としましては、国土計画法の適確な運用等により引き続き投機的な土地取引の抑制を図るとともに、計画的に良好な宅地の供給を促進することが肝要であります。このため、農地、山林等の宅地化の促進、遊休地の活用、既成市街地の高度利用の推進などのための諸施策を総合的に講じてまいります。
 次に、健全な青少年を育成するため、偏向教育を是正しろとの御意見がありました。
 青少年の非行を防止し、その健全な育成を図るためには、社会全体でこれに当たらなければならないと考えております。政府としても、積極的な対策を講じていく所存であります。
 特に学校教育が果たす役割りの重要性にかんがみますとき、教科書についても、その内容の一層の改善充実を図るなどして、学校教育の適正な実施に努め、将来のわが国の発展に尽くすことのできる国民の育成を図ってまいりたいと思います。
 婦人問題の重要性につきましては、私も十分認識いたしております。婦人差別撤廃条約につきましては、昨年六月の婦人問題企画推進本部申し合わせの趣旨にのっとり、政府は、国連婦人の十年のわが国国内行動計画後半期における重点課題として、本条約批准のため、国内法制など諸条件の整備に努めることとし、関係各省庁においてすでにこのための検討を開始しております。政府といたしましては、今後とも、この問題に積極的に取り組んでまいる所存であります。
 最後に、私の政治姿勢についてお尋ねがございました。
 いま、われわれの当面しようとしている時代は、これまでの繁栄を支えた基本的な枠組みの再構築のときであり、増加するわが国の国際的責任を積極的に果たすべきときであります。
 この重要なときに政権を託された私は、和の精神のもと、国民各層はもとより、諸外国との対話を重視し、英知を結集して所要の決断を適切に行い、身を挺して問題の解決に当たる所存であります。
 何とぞ本院の皆様の絶大なる御支援をお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(福田一君) 山田耻目君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔山田耻目君登壇〕
#12
○山田耻目君 私は、日本社会党を代表して、飛鳥田委員長の後を受け、鈴木総理及び関係各大臣に対し質問をいたします。(拍手)
 総理は、一昨日の施政方針演説でも述べていますが、来年度予算編成の最重点課題は財政再建を図ることであり、今回編成された予算は、財政再建元年予算と自画自賛されております。しかし、その内容は、史上最高の大増税に支えられた、言いかえれば、国民の増税負担に支えられた国債発行額の二兆円減額でございます。
 そこで、私は、財政問題と、それに密接にかかわる国民生活の問題を中心に、政府の政策の何たるかを明らかにてその転換を求めるべく質問をいたしたいと考えているものであります。(拍手) まず、財政問題に先立ち、その前提となる経済見通しについてお伺いをいたします。
 五十六年度経済見通しでは、政府が各種諸機関のそれを上回って、実質経済成長率五・三%としております。これに対して、経済四団体首脳の年頭記者会見でも、楽観的であるとか現実離れがしているとか言っております。政府は、この見通しに確たる自信を持たれているのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
 また、五十六年度経済についての最大のポイントになるのは、個人消費支出の増大であると私は思います。政府は、物価安定を個人消費拡大の前提にしておりますが、それ以上に重要なことは、可処分所得を増大させることであります。何といっても賃金、給料の増額であり、または減税であります。財界は昨年並みのベアしか認められないと考えていますし、減税についても、政府税調も大蔵省も現状どおりの態度を堅持いたしております。
 このような状態では、とうてい消費の喚起は期待できないことは明らかであります。大幅な賃上げと思い切った減税が必要と思いますが、政府の個人消費の見通しについてのお考えを示していただきたいと思います。(拍手)
 さて、政府は、財政再建のために大増税を実施しようとしておりますが、新規増税分一兆三千九百六十億円に加えて、自然増収の四兆四千九百億円があります。五十六年度は、国税分だけで五兆八千八百六十億円の増税が行われたことになります。
 特に深刻な問題は、名目所得の上昇に伴う所得税の負担増であり、来年度の政府見積もりでも、所得税の自然増収額は二兆七千六百九十億円、そのうちサラリーマンの源泉所得税は二兆八百億円にも上がっております。いかにサラリーマンの納税額が急増したか、また、不公平税制の実態が理解していただけると思います。
 周知のとおり、所得税の課税最低限は、五十二年度の改正以来据え置きになっており、そのため、国民生活が苦しさを増す中で一税負担の軽減を求める声は高まっております。
 しかし、その一方で、昨年十一月、政府税制調査会の中期税制答申では、今後三年間の所得税減税の見送りを強調しています。このままいけば、課税最低限は七年間も同一水準に据え置かれることになり、これによるサラリーマンの実質増税は急増することになります。
 たとえば、五十二年当時、年収三百万の夫婦子二人の家庭では、所得税と住民税との負担率は三・七%であったものが、物価上昇率に等しい収入増があったとして見れば、五十八年度には税負担率は六・七%に高まります。単純に言えば、所得は実質的にふえないにもかかわらず、税金の負担率は八一%も高まるということになるのです。しかも、所得の低い者ほど負担割合が高くなるという不公平な課税実態となってまいります。
 来年度も課税最低限を据え置くという政府の方針によると、年収三百万円の標準世帯サラリーマンは、八%のベアがあったとすれば、税金は二九%もふえることになります。すなわち、十万五千百四十円の税金が十三万三千四百五十円に高まるのであります。税負担率も三・五%から四・一%に上昇し、物価上昇率による所得の目減りを入れれば大幅な実質増税となります。このような事態をどう見られるのか。
 先進諸国の国際的な課税原則の通念は、生活費非課税の原則を守り、自国民の生活を保護していますが、日本の政府と自由民主党は、日本国民の苦しみにはわれ関せず、天を欺く横着な姿勢だと言わなければなりません。(拍手)鈴木総理の所見をぜひ伺いたいのであります。
 なお、課税最低限の据え置きによって、サラリーマンの納税者数は、五十二年度の二千七百九十八万人から五十五年度三千二百四十七万人、四百四十九万人も増加をしています。所得者に占める納税者の比率も七四%から八二%に上昇し、十人のうち八人以上が所得税を納めていることになるのであります。来年度はさらに高まるのは必至でございます。
 他方で、農業所得者の納税者比率は二〇%未満、商業者など事業所得者も四〇%に満たない状況から推察いたしましても、サラリーマンの所得税負担は深刻かつきわめて不公平な実態に追い込まれていると言わねばなりません。(拍手)
 さらに、三百万人に上る婦人のパート収入に対する課税も指摘しておかねばなりません。パートによる就業動機の四四%が生活費の援助という労働省調査の結果もあり、大阪の場合、地域最低賃金が改定された結果、パート時間給も四百五十円程度に押し上げられ、一日六時間、月二十五日稼働としてみますと、年収八十六万四千円余となります。政府が来年度引き上げようとするパート非課税限度額が七十九万円では、パート収入者は課税されてしまうのであります。パート婦人の増加と常態化を考えますれば、当面百万円まで非課税となるような措置を講じるべきではないでしょうか。(拍手)
 以上、給与所得者の所得税の課税問題について問題点を示しましたが、これらの点を踏まえるならば、物価調整措置としての減税は不可避な政策であり、早急に実施すべきであると私は考えます。総理の情味ある答弁を求めるものであります。
 なお、所得税について、政府の税収見積もりの確度に疑問を抱いている一人であります。
 五十四年度は特別の例外としても、今年度ですら、今回提出の補正予算では六千八百四十億円の所得税の年度内増収が見込まれています。見積もりの誤りなんです。源泉徴収分だけでも四千三百二十億円に上っています。このような見積もりの狂いの原因はどこにあるのでしょうか、明らかにしていただきたい。明確な計算根拠を示していただかないと、政府の税収見積もりと財源不足のための増税の必要性も信頼できないのは当然ではないでしょうか。(拍手)
 次に、不公平税制の問題であります。
 政府税制調査会の答申では、不公平税制の是正は一段落したと見ていますが、政府も同様な見解に立っているのでありましょうか。個々の事例はこの際省きますが、私は、法人税制を根本的に見直すことを主張したいのであります。
 今回の増税が安易な増税と言われる一つの理由には、当初の法人税率三%引き上げといった前向きの議論が後退し、二%に落ちついたことにもあります。大企業が空前の利益を享受していることは、だれしも否定できません。負担能力のあることも認められています。法人税率の構造、引当金制度の再検討、準備金、特別償却制度など、全面的に法人課税を見直す段階に来ておると思いますが、政府税制調査会の企業課税小委員会は、現状、肯定のための議論に終始しています。
 政府は、現在の法人税制度は公平、公正な制度、であり、改革の必要はないと言われるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 今回の政府予算案で明らかになったことは、政府の財政再建は、歳出の再建よりも、大型消費税導入に焦点を合わせての既存税制内での増税を行っていることであります。
 しかし、国民は、不公平な税制がなくなり、公平な徴税が行われているとはだれ一人として思っていないのが実情であります。政府は、五十九年度からグリーンカード制度を導入すれば、利子所得等の把握、総合課税化が可能になると言いますが、少なくともそれと並行して、医師の社会保険診療報酬課税の特例措置、土地譲渡所得課税、有価証券譲渡所得課税、さらに富裕税の新設、高額所得者、資産所得者に対する公正な課税と、徴税のプログラムを提示すべきではないでしょうか。
 さきに見たような、所得税の自然増収というなし崩しの不公平な増税と、一歩誤ると庶民いじめのグリーンカード制導入だけを先行させることでは、大型消費税など全く論外と言わなければなりません。(拍手)
 それに加えて、税務関係資料の公開と税制調査会及び財政制度審議会の運営の民主化を求めるものであります。
 特に税務資料については、国民の直接税、間接税を含めた所得階層別の負担の実態を公表することが、いまほど必要な時期はないし、(拍手)また、富の実態がどのようなものになっているのか、国民に公表すべきであります。まさに、所得と富の国民間、企業間の実情と税負担の実態、さらに政府から受けている便益なども明らかにすべきであります。
 それらに立脚して初めて中期財政計画の策定とその存在意義があるのでございまして、これらの段階を踏むことが、国民を納得させる唯一最善の税財政改革の道と考えるものですが、総理及び大蔵大臣の見解を求めます。(拍手)
 次に、政府の財政再建に関して伺いたいのですが、一体財政再建とはいかなることかということであります。一言で言えば、歳出歳入構造の質の転換であります。私は、それに予算編成のあり方も大きくかかわっていると考えます。
 その一例を言うならば、例年繰り返されている大蔵省原案の内示、復活折衝を経て政府原案が決まっていきますまで、調整財源と官房調整費との配分、与党による分捕り合戦が行われていることは、国民の目に奇異に映っているのであります。今回の予算編成に当たっても、公共事業調整財源八百億円、調整財源一千億円、この公開財源一千八百億円に加えて、官房調整費一千四百億円、合計三千二百億円が内示後に配分されているのであります。
 そもそも、これらのいわゆる復活経費は必要不可欠な経費と言えるものかどうか、疑問を呈したい。必要ならば内示案で盛り込むのが大蔵省の責任であるはずでございます。その点はいかがでございましょうか。必要でなければ歳出削減の対象にすべきでございます。
 また、それに関連して、官房調整費は大蔵省の隠し財源とも言われており、国民はもとより政府部内ですら実態がつかめないと言われているのは一体どういうことでございましょうか。財源不足による大増税を行いながら、なおかつ密室での一部の官僚の手による支出が許されていい道理は全くありません。(拍手)総理及び大蔵大臣はいかなる見解をお持ちでしょうか、伺いたい。
 さらに、財政投融資計画についても、復活折衝の過程で四千二百五十九億円も上積みされているわけです。これの根拠についてもお聞かせをいただきたい。
 なお、財政再建と行政改革とは表裏一体の関係にあり、とりわけ補助金行政については根本的な再検討をいたさなければならない課題でございます。
 補助金支出は依然として一般会計の三分の一を占めており、これの改廃に当たっては、まず思い切って零細補助金を廃止し、可能な限り地方自治体に行財政権限を移すことが必要であります。(拍手)
 神奈川県の調査でも、今年度国庫補助金のうち五百万円未満のものが二八%、百万円未満が一三%を占めています。したがって、零細補助金は、法律補助、予算補助を超えて整理するという大英断をもって臨むべきことが必要でございます。それについての資料公開もあわせて求めるものでございます。決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
 税財政問題に関して最後の質問は、地方財政についてでございます。
 大平前内閣の地域社会重視の政策を踏襲することを言明されている鈴木内閣が、来年度どのような具体的改革に着手するのか、広く多方面から注目を集めているところであります。それにもかかわらず、大蔵、自治両省間で行われた来年度地方財政対策を見ますと、地方の時代の認識は見受けられません。相も変わらぬ国民不在の密室的取引に終始しているではありませんか。
 すなわち、現行法人課税の国と自治体の配分割合は二対一であります。この配分割合を改善する必要のあることは、これまでも再三指摘されてきたところであります。したがって、今回の法人税率の引き上げに際しては、この配分割合を国と自治体で対等に配分すべきであり、それが地方の時代に踏み出す第一歩でありますが、このような展望は見られません。(拍手)
 また、こうした自治体軽視は、地方財政の財源不足額の算定と、その補てん策にも顕著に示されております。財源不足額は一兆三百億円とされながら、国民はその根拠について何ら明らかにされておりません。その上、国の予算の伸び率を一〇%以内に抑えるために、国の地方への支出額二千七百億円を後年度に繰り延べておるのであります。つまり、国の予算規模抑制のために、地方自治体に犠牲がしわ寄せされているのであります。政府の財政再建の被害者とされてきたのであります。
 政府は、口を開けば、地方財政運営の計画性を説きますが、地方自治体の自主性を奪い、実際に計画的運営を妨害しているのは政府自身であります。(拍手)
 そこで、この機会に、政府は、これまでの収支試算といった場当たり的な見通しによることなく、真に自治体の財政運営の指針となるべき中期地方財政計画を策定し、制度改革のプログラムを明らかにすべきであります。政府はいかがお考えでございましょうか。
 次に、私は、国民生活に関連し、憲法第二十五条に言う「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む権利を有する。」との観点から、数点にわたってお伺いいたします。
 最近発表された厚生省の調査報告は、わが国の将来にとって重要な課題を浮き彫りにしております。すなわち、高齢者世帯は二百四十万世帯となり、この十年間で二倍以上にふえ一六十五歳以上のひとり暮らしの老人も五年間で五〇%もふえ、六十歳以上の高齢者のいる世帯は千百二十二万世帯に上り全世帯の三分の一を占めるという高齢化社会を迎えています。しかも、高齢者世帯の九割は何らかの公的年金を受けていることも明らかでございます。
 そこで、福祉の充実を後退させないとの原則に立って、第一には、老人福祉年金の水準を引き上げ、当面一人月当たり三万円とすること。第二には、厚生年金の月平均モデルは十三万六千円でございますが、実際の月平均額は七万六千円程度にしかすぎません。それに引き比べて、生活保護を受ける一級地の標準世帯の生活保護費は、月額十三万四千九百七十六円となっているのであります。この実態は、青少年期から今日まで、生涯を通して国家、社会経済維持発展のために働き通してきた、国家、国民の大事な宝物である勤労国民の老後に報いる公的年金のあり方であってよろしいのでしょうか。(拍手)また、遺族年金の支給率も八〇%に引き上げることが必要であります。
 これらの年金政策を充実するとともに、高齢者医療制度は六十五歳以上を対象にして措置するなど、高齢化対策を制度的かつ計画的に実施していかねばなりません。総理大臣及び関係大臣の明確な答弁をいただきたいと思います。
 ところで、今国会に政府から上程されます難民条約加入承認案に関連し、同条約第二十四条に規定する社会保障について、自国民待遇に関する国内法の重要な欠陥を指摘しておかざるを得ません。
 すなわち、在日外国人の国民年金への加入についてその道を開くとしながら、その実、三十五歳以上の者については、二十五年以上加入することが不可能なため任意脱退の扱いとされています。これは、実質的には、大部分の在日外国人に対して国民年金の適用を拒否するものであります。
 国民年金は、発足当初より、十年間加入すれば受給資格のできる十年年金、さらに五年年金など特例を設けて、未加入者のための経過措置と救済措置を講じてきたのでありますが、しかし、なぜ今回は、そのような経過措置を設けようとしないのでありますか。内外人平等を規定した国際人権規約をも踏まえ、速やかに救済措置を講ずることが、福祉大国を目指す日本国の最低限の国際的モラルであると考えます。総理の御所見を求めたいと思います。(拍手)
 第二には、障害者対策について伺いたいと存じます。
 ことしは国連の国際障害者年であります。世界の障害者数は四億五千万人、わが国では四百万人とも言われています。政府統計によれば、身障者の九〇%は健康な子供としてこの世に生まれ、成長の過程で、あるいは就業の過程で、あるいは公害によって、後天的に障害者となっていることが実態のようであります。
 言いかえれば、社会がその責任を問われる性格のものであります。ところが、障害者年金と他の拠出年金との格差は一向に縮まっておりません。就業についても、就業している身障者は六十三万八千人、就業率は三人に一人の割合でございます。政令による雇用率は、民間企業で一・五%、特殊法人、現業官庁が一・八%とされていますが、民間企業の平均は一・一%にすぎないのであります。
 また、教育の面でも普通児とともにの原則がなく、一昨年の養護学校の義務化をめぐって、普通学校を希望する親と教育委員会との間で千三百件ものトラブルが発生しています。そのほか住宅問題、交通問題など、障害者の生活権は保障されておりません。
 そこでお尋ねしますが、健常者には社会保険や公衆衛生、一般医療などで対応し、身障者には社会福祉でといった二段構えの差別構造をやめるとのお考えはありませんか。諸障害によるハンディは、健常社会の側がこれを埋め、障害者が対等に社会参加のできるよう保障することの国民的合意の確立が必要と考えますが、総理、担当大臣の率直な見解を承りたいと存じます。
 次に、青少年の非行、暴力、自殺に関してお伺いいたします。
 その主な原因の一つに、受験地獄という教育の荒廃があります。そこで、政治に問われている責任は、能力主義の名による選別の教育政策をやめ、学歴社会と結びついた受験地獄をなくすこととともに、一人一人の子供と青年に行き届いた教育条件を保障することであります。そのためには、高校建設に対して自治体の建設費の負担を軽減すること、また、小学区制、総合選抜制など、学区制度を改善することが、十五の春を泣かせない、受験地獄をなくしていく土での不可欠の課題でございます。(拍手)
 さらに、行き届いた教育のため、四十人学級の実施の計画も、十二年という長期間を要するのではなく、期間短縮を図らねばなりません。これが政治に課せられた当面の責務と私は考えていますが、総理及び担当大臣に明確な御答弁をいただきます。
 ところで、政府は、財政再建を口実に、昨年の臨時国会において野党の反対を押し切って成立させた国鉄再建法に基づいて、国鉄ローカル線廃止の選定基準となる政令制定作業を進められておりますが、これを当面中止をし、地域交通の維持整備計画の策定を待って国鉄ローカル線の取り扱いを決定されることを望みます。
 運輸省は、昨年十月三日、おおむね十年後を目標とし、地域における公共交通の維持整備に関する計画の策定を図ることを陸運局長に通達しましたが、わが党はこれに賛成し、積極的に参加、協力することを惜しみません。こうした通達と、今回政府において計画されようとしている一方的なローカル線の廃止は、明らかに矛盾するものであります。
 産炭地振興、定住構想、過疎振興等諸事業と国鉄営業線は密接な関係にあることは論を待ちません。しかるに、これらの諸事業と調整がなされないまま一方的に国鉄ローカル線を廃止することは、まさに暴挙と言わざるを得ません。こうした点、十分御検討をいただきまして解決していただくよう、総理関係大臣の見解を求めます。
 最後でございますが、次に、勤労者の問題についてお伺いをいたします。
 政府の労働白書によれば、一九七九年の製造業の労働生産性は八・二%上昇したのに対し、賃金コストは一・七%減少いたしております。日銀の資料によると、労働分配率は七七年度の五一・九%から、七九年度四七・五%と急速に低下をいたしております。しかもサラリーマン世帯の実質賃金は、昨年三月以降マイナスを続け、年間実質賃金もマイナスになるのではないかといったような深刻な状態に追い込まれている現状であります。賃金の大幅上昇と消費者物価の安定、低下がないことには、全勤労国民の生活は守り切れないことは言うまでもありません。(拍手)
 一月二十四日、厚生省の発表したところによりますと、全国民の約半数、四九・二%は、生活がとても苦しい、やや苦しい。そして四世帯に一世帯は夫婦共かせぎの現状であります。政府は評論家ではありません。(発言する者あり)政府は……
#13
○副議長(岡田春夫君) 山田耻目君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単にお願いいたします。
#14
○山田耻目君(続) 日本の政治家でございます。こうした国民を見殺しにすることは許せません。
 なぜ、こうなったのか、それは明白であります。五十三年から所得税率は据え置きです。物価は政治無策でございます。可処分所得は減り続けます。五十二年の課税最低限の引き上げ以後の据え置きで非常に困難な状態に落ち込んでおることは、飛鳥田委員長の御質問の中にも述べられております。どうか政府は、総理大臣の勇断をもって、物価調整措置を早急に行っていただきますよう、勤労国民に成りかわって要請をいたします。(拍手)
 私は、質問はこれで終わりましたが、最後に総理大臣の御答弁について注文がございます。
 飛鳥田委員長を初め、いろいろと御答弁をいただきましたが、非常に抽象的でかみ合ってまいりません。私はできるだけ具体的に述べましたので具体的に御答弁をお願いいたしまして、私の代表演説を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 山田耻目議員の御質問にお答えいたします。
 まず、五・三%程度という実質成長率の政府見通しについて確固たる自信があるか、こういうお尋ねでございます。
 見方により、いろいろ御意見はありましょうが、政府としては、先般閣議決定をした経済運営の基本的態度のもとで、民間経済の活力ある展開を図ることにより、この程度の実質成長は可能であると考えております。
 特に、個人消費支出の見通しについてのお尋ねがありましたが、来年度の家計消費は、所得税の課税最低限が据え置かれていることを考慮しても、消費者物価の安定化傾向の定着により、実質ベースでは堅調な伸びで推移するものと見込まれ、昨年における冷夏の影響のような特殊なマイナス要因も改善されることと思われますので、名目で九・九%、実質四・九%程度の個人消費支出の伸びを見込んでおります。次に、所得税の課税最低限が昭和五十三年以来据え置かれていることから、所得税の増加や物価上昇によって実質増税になるのではないかとの御指摘及び物価調整減税は不可避な政策ではないかとの御意見がございました。
 所得税は累進構造を持っておりますので、確かに所得がふえれば税負担率は上昇することになります。しかし、御指摘のように五十三年以来据え置かれたとされている課税最低限でありますが、それでもなお諸外国と比較してみますとわが国の課税最低限は高い。つまり低所得者に有利になっているのであります。夫婦子二人、年収三百万円のサラリーマンを例にとれば、わが国の所得税総額は年間六万六千円でありますが、アメリカでは二十二万四千円、イギリスでは五十六万八千円、西ドイツ二十六万二千円、フランス七万円でありまして、わが国の税負担は相当低位にあります。
 また、見方を変えて、昭和五十二年から五十六年までの賃金、物価の動きを検討してみましても、可処分所得は実質値で増加しているのであります。
 他方、わが国財政の現状はと言えば、山田議員も御承知のとおり、二兆円の特例公債減額をもってしても、なお五兆五千億の特例公債を発行しなければならないという厳しい実情にありますので、これらの事情を御勘案いただきまして、所得税減税を行うことが困難な現状にありますことを御理解を賜りたいと思うのでございます。(拍手)
 次に、財政再建に当たり踏むべき段階として、不公平税制の是正、資料の公開、審議会の運営、予算編成のあり方、特に、調整財源の問題、零細補助金の整理等々の問題につきまして御高見を伺いました。
 個々の点につきましては後ほど大蔵大臣に答弁いたさせますが、総体的に申し上げて、財政再建に何よりも必要なものは国民の皆様の御理解でありますから、諸般の問題について国民の皆様に誤解を与えることのないよう、また、理解と納得が得られるよう配慮してまいりたいと存じます。そのための一助となるよう、現在、財政の中期的展望をお示しするよう検討を進めておるわけでございます。
 中期地方財政計画を策定すべきではないかとの御指摘がございました。
 地方財政は、三千数百の地方団体の財政の集合であり、また、地方交付税、国庫支出金等、国の財政と複雑に絡み合っておりますから、国の計画との整合性を図りながら中期地方財政計画を策定することは、容易ではないように思われます。また、国において地方団体の財政運営を拘束するような計画をつくることには基本的な問題があるように思われます。しかしながら、地方団体の計画的な財政運営に資する資料を提供するということには大いに意義があると考えますので、この問題については十分検討してまいりたいと存じます。
 わが国の人口の高齢化の進展に伴う年金政策、医療制度の問題についての御質問でありますが、先ほど安倍議員の御質問にもお答えいたしましたように、高齢化社会にふさわしい給付の実現と負担の公平を図ってまいりたいと存じます。
 なお、詳しくは厚生大臣から答弁をいたさせます。
 次に、難民条約に関連して御質問がありましたが、難民条約につきましては、難民問題に対するわが国の国際協力を一層促進する見地から、これに加入する方向で検討しております。これに伴いまして、関係法律についてあわせて検討中でありますが、国民年金法については、同条約に定める内国民待遇を実現するために、必要な限度で措置を講ずることを検討しております。
 国際障害者年における障害者対策につきましては、国際障害者年推進本部において国際障害者年事業の推進方針を決定し、これに即して関係省庁において努力をいたしております。
 お尋ねの障害年金につきましては、年々その充実に努めてまいりましたが、来年度においても、障害福祉年金の額の引き上げを図るとともに、所得制限を大幅に緩和する改正を行うこととしております。
 身体障害者の雇用の推進は重要な課題でありますので、特に身体障害者の雇用率が低い大企業や特定の産業などに重点を置き、雇用率の達成指導を強力に推進してまいります。
 教育問題でありますが、心身障害児につきましては、障害の種類と程度に応じて、小中学校または盲学校、聾学校、養護学校におきまして、それぞれ適切な教育を行うこととしておりますが、国際障害者年を契機に一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、青少年の非行、暴力などの教育の荒廃についてお尋ねがありました。
 私は、青少年の非行、暴力などを防止するためには深い愛情と信頼と、これに裏づけられた厳しさを持って、社会全体で青少年の健全育成に当たらなければならないと考えますが、この問題は、特に小中高等学校教育のあり方に大きくかかわる問題であると思います。学校教育における教育課程の基準の改善、高校生急増対策としての建設費の国庫補助の五年延長、高校入学志願者に対する選抜方法、学区制の工夫、改善、小中学校の四十人学級の改善計画の発足など、行き届いた教育条件を実現するため、各般の施策の実施に努めてまいります。
 次に、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づく地方交通線等の選定基準を定める政令案についてでありますが、現在関係省庁間で調整中であります。
 国鉄再建は、三K問題の一つとして真剣に取り組まなければなりません。御指摘の政令につきましては、関係省庁を督励して早急に制定いたしたいと存じます。
 次に、勤労者についてのお尋ねでありますが、物価調整減税については先ほどお答えをいたしました。
 労働時間の短縮につきましては、欧米主要国並みの水準に近づけるよう積極的に行政指導を進めてまいります。
 以上、山田議員の御質問にお答えいたしましたが、残余の問題につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#16
○国務大臣(渡辺美智雄君) 非常にたくさんな御質問がございますが、時間の関係もありますから、簡潔にやらしていただきます。
 一つは、パート婦人の給与費等控除の最低保障額、これを百万円にしろ、こういうわけでございますが、御承知のとおり、主婦で配偶者控除を受けながら、所得があってもそれは非課税にしろという話でございますから、そう大きくはなかなかできない。そこで、現在は御承知のとおり七十万、それを今回は諸事情を考えて七十九万円、ちょうど基礎控除と同じだけにする、こういうことにしたわけであります。
 それから、その次は、源泉徴収分、補正予算で六千八百四十億円の所得税の自然増収があった、それで、これは何かの大きな見積もり違いじゃないのかという話でございます。
 これにつきましては、去年の春の預金金利の大幅引き上げがあったものですから、結局、金利引き上げになりますから利息がふえる、利息がふえるから源泉徴収税がふえるということで、見積もり違いというわけじゃなくて、途中で経済の過熱化に伴って金利政策をやった、そのために、それを中心にしまして所得税分で四千三百二十億円増収になった。それから、申告所得税で二千五百二十億円ばかり見込みよりもよけいに出そうであるということでございます。まあ、この程度のことは――これは、なかなか税の見積もりということは、実際はやってみないとわからないことでございますが、そういう政策の一部変更が途中であったということが最大の原因でございます。
 それからその次は、法人税率等をもっと根本的に見直せ、一口に言えば、まあそういうことなんです。
 そこで、いろいろな大企業はいっぱいもうけているんだから、それの税率構造を、いまのような一律でなくてもっと累進か何か考えろ、こういうふうに私は思ったのです。ところが、これは結局数千億円という資本金の会社は、やはり何百億円という利益が出るのはあります。そういう場合も往々にしてございます。しかし、それは資本金が大きいからよけい利益が出る、従業員も何万といるわけです。したがって、よけい出たから重税を課せるのだと言っても、資本金の大きいことを忘れてしまっても困る。それならば資本金に比例してやってはどうかという御意見もございますが、これはそうなりますというと、要するにみんなが今度は会社を分割してしまう。分割してしまって生産性が上がらなくなるという問題等もございますので、ちょっとむずかしい問題である。
 それから、引当金制度の問題や準備金、特別償却、これらの問題につきましては毎回見直しておるところでございます。今回の五十六年度の税制改正におきましても、最近の貸し倒れの実績等を勘案して、たとえば金融保険業の貸し倒れ引当金については、その法定繰入率を千分の五から千分の三に引き下げたというようなことをやっておりますし、準備金、特別償却等の措置法については、五十五年までで八五%の項目について整理合理化をやってきましたから、一応一段落と、こう見ておるわけでございます。しかしながら、今後とも社会経済の実態に即して見直しはやってまいるつもりでございます。したがって、五十六年度においても、七十三項目中二十三項目については、御趣旨のように整理合理化をやっておるわけでございます。
 法人税の税率については、高い安いといろいろ御議論がございますが、アメリカあるいはイギリス、フランスなどと比べて、実効税率等もまあまあ大体いいところじゃないかというように見ておるわけで、五一から五二ぐらいの間でございますから、われわれとしては今回改定すると五一・五五というくらいで、大体世界の標準というように考えております。
 その次は、不公正税制是正のため、グリーンカードと並行して医師の社会保険診療報酬あるいは土地譲渡税全部見直したらどうだ、こういうことでございます。
 御承知のとおり、一昨年の五十四年度の税制改正で三十年ぶりに、この医師の社会保険診療報酬制度を抜本改正をやった。それで二千五百万円という収入――二千五百万円ですよ、二千五百万円までは存続するが、それ以上のものはだんだん直す、五千万円でもう五二%の実態に合わせるということをやったわけでございます。これはやったばかりですね。五十年度の税調の当時は、五千万円以上というのは一割しかおらなかった。ところが近ごろ非常にそれ以上の報酬がふえるということで、開業医の三分の一ぐらいがもう大体その実態の税率五二%の経費控除が適用される、そういう状態になっておるものですから、今回はこれはさらに直すということは考えておりません。しかし、将来の問題として、医療法などとの関係もございますから、そういうときには見直してもいいと考えておるわけであります。
 それから、土地税制につきましては、これも頻繁に土地税制を直しますと土地の供給に非常な不安定を与えますから、今回は直すととはいたしません。
 それから、有価証券譲渡の所得に対する課税については、五十四年度で改正をしたわけでございます。しかしながら、これは今後とも引き続き検討してまいりたい。
 それから、富裕税の新設については、いろいろ問題がありますので、いまここで、やるともやらないとも御返事はいたしかねます。それから執行面で非常にまた困難なのです。この富裕税の問題というのはなかなか非常にむずかしい問題がある。したがって、軽々にここでお答えをすることは差し控えさせていただきたい、かように考えております。
 その次は、税務の関係資料、これをもっとどんどん出して明らかにしろという御要求でございますが、実際はこれはかなり出しているのです。いろいろと国会提出資料はもちろんですが、財政金融統計月報とか国税庁統計年報とか国税庁の民間給与実態統計調査結果報告とか、それから申告所得税の標本調査とか会社の標本調査結果報告とか、あるいは税制調査会の資料というようなものも出してございますので、かなり出しておりますということでございます。
 それから、政府からの便益を受けているものについての資料もつくれ。これにつきましても、たとえば、これは本当に財政の問題がわかってもらわないことは困るという観点から、われわれとしても、できるだけわかりやすいものをこしらえて配った方がいいということで、事務当局を督励して、「財政再建を考える」パンフレットとか「歳出百科」とか「行政サービスからの受益と負担」とかというようなことなどをやっておりますが、行政サービスと負担の関係はどうなっているのだということを国民に知っていただくために、今後ともできるだけ出すように努力をしてまいります。
 それからその次は、税制調査会、財政制度審議会の運営をもっと民主化しろということでございますが、それぞれの代表の方が各界各層から入ってもらっておって、私は大変民主的に運営されておる、こういうふうに考えております。(「公開しろ」と呼ぶ者あり)これは、公開の問題と民主化とは必ずしも同じじゃありませんでして、公開されますと、いろいろな立場がございまして、自由な良心に従って議論が必ずしも――われわれ国会議員は別でございますが、一般民間の方ですから、やはりそういう人たちの発言しやすくしてやった方がいいのじゃないかというような点で、これは非公開にはなっておるのでございますが、きわめて自由に民主的に御発言できるような雰囲気になっておるわけであります。
 それから、官房調整費の問題でございます。
 これは毎回いろいろ問題になるところでございまして、官房調整費というものをなくしてしまえというようなことをよく言われるのでございますが、非常に短期間の間にあれだけの膨大な予算を、各省庁と交渉をして大蔵省は決めなきゃならぬ。そうすると、なかなかこう最初から内示したとおりに、ぴしっとうまくばかりはいかないのですね、これは実際問題として。それで、各省庁との復活、調整の折衝を円滑に進めるために、予算総額を内示するときに、そのごく一部を特定費目に固定しないで、各種施策にどういうふうに配分するかということで、少しの調整弁を持っておるということなんです、実際は。したがって、これはむしろ決しておかしなことじゃないのですよ。その結果は全部表に出るわけです。全部表に出て、隠し立てて持っているわけじゃない。その予算の交渉の過程でそれは出ていくわけですから。したがって、これは多数の省庁の膨大、複雑なものを短時間で話し合いをつけてしまうというためには、ある程度の財源は実務上やむを得ない、決して密室的な云々というような御批判には当たるものではない、そう考えております。
 それから、財投計画の復活交渉の問題でありますが、ことしも四千二百五十九億円が積み上げされたということについての御批判でございます。五十六年度の財政投融資計画の編成に当たりましては、復活交渉過程において、住宅とか資源・エネルギー、道路などにつきまして、大蔵原案よりも増額をされました。その結果、政府案は大蔵原案より四千二百五十九億円増額いたしまして、総計が十九兆四千八百九十七億円、これは事実でございます。これに対する原資につきましては、大蔵原案に比べて、要するに簡保の資金が二千百億円ばかり減少いたしました。産業投資特別会計について五十二億円、資金運用部資金について特別会計からの預託金と回収金などによって六千三百七億円の増加を見込んで対応することにしたわけでございます。
 それから、法人税の課税の国と地方自治体の配分割合を、二対一であるが、地方の時代なんだから、もっとたくさんのものを地方に配分すべきじゃないかというような御意見でございます。
 これにつきましては、法人税だけでなくて、財源問題ということになりますと、個別の法人税だけ云々、所得税だけ云々というのじゃなく、国、地方税全体としてどうなっているのだという、全体の問題として考えるべきじゃないのか。地方税には、御承知のとおり富裕県とそうでない県がありまして、税源に非常に偏在がございます。田舎の方でさっぱり企業のないところは入ってこないし、企業のあるところは入ってくる、そういうふうなこともございますので、それらを調整するために、地方交付税交付金というような財政の調整制度というものをつくって活用しておるわけでございます。財源の配分は、国と地方との行政事務の分配等のあり方にも関連をいたしまして、これはやっぱり慎重にやっていく必要がある、かように考えております。
 それからその次は、物価調整減税を早急にやれというようなことにつきまして、これは総理から先ほど詳しく御答弁がございましたので省略をさせていただきます。(「詳しくなかったぞ」と呼ぶ者あり)いや、イギリスが幾らでフランスが幾らでという比較の論も出て、あったはずです。
 それから、零細の補助金の問題につきましては、これは補助金というものは一概に否定することはできません、補助金は非常に有効な場合もございます。しかしながら、零細なものについては整理統合するということで努力はいたしてまいったわけでございます。しかしながら、やっぱり国の政策をやる上において非常に有効な政策手段の一つでございますから、それはもう全部やめるなんということはもちろんできないのであります。だがしかし、御指摘のようにややもすれば既得権化してしまう、惰性に流れて運用しやすいということであります。したがって、これについては法律補助を含めて絶えずよく見て、もう必要ないんじゃないかとか、もう効果を達したじゃないかとかいうような御批判のあるものについては整理統合をきちんとやっていくようにしたい、今後もそう思っております。
 何といったって補助金というものはこれはもうまことに大きくて、今回だっても、社会保障関係の補助金は五兆円とかいうわけです、文教が三兆三千億とか、そういうような非常に――公共事業も同様ですね。したがって、そういうものだけで八割という話になるわけでございます。しかし、これらはほとんどが法律によってつくられておるもの。したがって今後とも、補助金整理という問題、財源との関係については、私は皆様の御理解を得て、補助金がこうふくらんでは本当に財政再建はやっていけないというような事態にもなりかねない状態なので、これらの中身については一遍勉強させていただきたい、いずれ御相談を申し上げたいと思っております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣園田直君登壇〕
#17
○国務大臣(園田直君) 高齢化社会を迎えるに当たっての御意見、心身障害を持つ方に対する御意見、御発言のとおりでありまして、その御発言のような社会実現に全力を挙げ、検討すべきものは検討いたします。
 私は、総理から答弁がありましたから、具体的なもののみ答弁をいたします。
 年金の問題でありますが、福祉年金の改善については、御承知のとおり厳しい財政事情下ではありますけれども、社会経済情勢の動向にかんがみて月額二万二千五百円から二万四千円に引き上げていただくようにいたしております。したがいまして、いま月額三万円ということは、これは困難でございます。
 なお、厚生年金については、昨年、年金水準の大幅改善を行ったところでありまして、その結果、老齢年金は一六%程度アップをしたところで、五十六年度は、五十五年度の物価上昇率に応じ七%程度の物価スライドをお願いすることにいたしておりますので、これも、これ以上はなかなか困難でございます。
 なお、遺族年金については、かねて御要望の非常に強かった厚生年金の遺族年金が、昨年の大改正の重点項目として取り組まれまして大幅な改善を行ったととろでありまして、これを当面八〇%にやれということもなかなか困難でございます。
 かつまた、高齢者の医療、健康その他の問題につきましては、医療よりも特に予防、健康管理、健康推進、こういうことに重点を置いて総合的な高齢者に対する計画をつくり、今国会に法案として提出する予定でございます。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
#18
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対するお尋ねは、いわゆる国鉄再建法に基づく地方交通線廃止の選定の基準と、地方公共団体の意見を聞くに当たって地方陸上交通審議会の意見も用いろ、こういうお尋ねでございます。
 御承知のように、いわゆる国鉄再建法に基づく地方交通線の廃止線の確定につきましては、法律的には政令で定める選定基準に基づき国鉄が具体的な路線の選定を行い、これを運輸大臣が承認することにより廃止線が決定する、こういう手順になっております。
 また、地方交通線の選定基準につきましては、すでに地方公共団体等から種々の御意見が出されておりまして、現実に関係省庁との間において目下意見の調整を行っておるところでございます。
 御指摘の地方陸上交通審議会は、運輸省の出先機関でございます陸運局長の諮問に応じまして、その地域ごとの陸運行政に関する重要事項について調査審議することを目的として設置されておるものでございます。したがいまして、今回の選定基準を定める政令の制定につきまして意見を聞く場としては適当ではないと考えております。しかしながら、一般地域交通問題について十分な御意見を吸収いたしたいとは思っております。
 なお、国鉄再建法はすでに昨年十二月二十七日公布、施行されております。政府といたしましては、早急に同法に基づく関係政令を制定し、本格的に国鉄再建対策を推進してまいる所存でございますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#19
○鹿野道彦君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十九日午後二時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#20
○副議長(岡田春夫君) 鹿野道彦君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○副議長(岡田春夫君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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