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1980/02/26 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第8号
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1980/02/26 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第8号

#1
第094回国会 本会議 第8号
昭和五十六年二月二十六日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第六号
  昭和五十六年二月二十六日
    正午開議
 第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(第
    九十三回国会、竹下登君外二名提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 佐藤一郎君の故議員高橋高望君に対する追悼演
  説
 臨時行政調査会委員任命につき同意を求めるの
  件
 日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案
  (第九十三回国会、竹下登君外二名提出)
 安孫子自治大臣の昭和五十六年度地方財政計画
  についての発言並びに地方税法及び国有資産
  等所在市町村交付金及び納付金に関する法律
  の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地
  方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時十二分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(福田一君) 御報告いたすことがあります。
 議員高橋高望君は、去る一月三十日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において去る二月十三日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は議員正五位勲三等高橋高望君の長逝を
 哀悼しつつしんで弔詞をささげます
    ―――――――――――――
 故議員高橋高望君に対する追悼演説
#4
○議長(福田一君) この際、弔意を表するため、佐藤一郎君から発言を求められております。これを許します。佐藤一郎君。
    〔佐藤一郎君登壇〕
#5
○佐藤一郎君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員高橋高望先生は、去る一月三十日逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。
 私は、ここに、議員各位の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し述べたいと思います。(拍手)
 本通常国会の再開男頭一月二十六日、鈴木内閣総理大臣の施政方針演説が行われました日には、君は元気で登院され、さらに引き続き行われる予算委員会での総括質問に備え、意欲を燃やしてその準備に取り組んでおられたやさき、一月二十九日、突然不調を訴えられ、慶応病院に入院されました。
 しかし、選挙区を同じくする私は、君の日ごろのエネルギッシュな活動ぶりと、かつて応援団のリーダーとして鍛え上げた体、そして何よりも五十歳という若さを承知いたしておりましたので、すぐにも君が元気を取り戻され、登院されるものと信じて疑いませんでした。しかるに、君は、私どもの期待もむなしく、翌三十日の未明、忽然として長逝されました。訃報に接した私は、余りのことに茫然自失、しばし言葉もありませんでした。
 いま、長年にわたる君との温かい交友の数々を思い起こし、哀惜の念ひとしお深いものを覚えるのでございます。
 君は、昭和五年九月二十六日、東京都北区岩渕町に生まれ、昭和十八年北区赤羽小学校を卒業されるや、陸軍幼年学校に進まれましたが、やがて終戦を迎えられました。君は、都立第九中学校を経て慶応義塾大学文学部に学び、昭和三十年大学を卒業されるや、直ちに株式会社啓愛社に入社され、昭和三十三年には同社より分離独立して、今日の株式会社啓愛社製作所を設立し、社長に就任されました。
 時あたかも、わが国の経済復興がようやく軌道に乗り始め、自動車、電機機器関連部品の製造を主たる業務とする啓愛社製作所も、君の先見の明にたがわず成長の一途をたどりましたが、努力家である君は、今日まで二十三年の長きにわたり日夜分かたぬ奮闘を続け、社業の発展のために尽力されました。その間、君は、中小企業の将来を憂慮して、若手経営者による経営研究会を主宰するなど、この方面にも縦横の活躍を示されたのであります。
 君は、企業経営者として、働く者のために何ができるかを常に念頭に置きつつ、よりよき社会と健全な中小企業の発展を追求してこられました。そうした中で、幾多の問題が政治の場でなければ解決できないということを痛感され、やがて昭和五十一年十二月に行われました第三十四回衆議院議員総選挙に神奈川県第四区から立候補され、みごと本院の議席を獲得して政界入りの宿願を果たされたのであります。
 本院議員となられた君は、大蔵、予算、商工、議院運営などの各委員会の委員を歴任され、また法務委員会、公職選挙法改正に関する調査特別委員会の理事を務められるなど、国政の審議に、また議院の運営に幅広く活躍されたのでありますが、とりわけ君の本領は中小企業の分野に遺憾なく発揮されました。
 日本経済を支えるものは中小企業であるとのかたい信念のもとに、多年にわたる実業界の経験を生かし、中小企業問題を中心に、まじめに働く人たちの味方として国会活動を一貫してこられたのであります。(拍手)
 しばしば君はこの壇上に立ち、民社党を代表して、税、財政、金融問題、中小企業対策など、時の総理に対し鋭い質問を放たれたことは、私どもの記憶に新たなところでございます。
 かくて、在職期間は四年余りという短いものであったとは申せ、精励をもって本院議員の職責を果たされた君の功績は、まことに大るものがあったと申さねばなりません。(拍手)
 君は、昭和四十八年民社党に入党し、神奈川県連副会長、神奈川四区連会長などの要職につかれ、地方の指導者として敏腕をふるわれる一方、中央にあっては税制改革特別委員会、また庶民金融対策特別委員会などの各事務局長を務め、党勢の拡大と政策立案に大きく貢献し、中堅幹部として、その将来を大いに嘱望されていたのであります。
 君は、「誠」の一字を座右の銘として、誠実にして真摯、うそをつかない政治を信条とし、庶民こそ庶民の苦楽を知るということで、生涯一市井人であることを誇りとする庶民政治家で通されたのであります。(拍手)
 君は、明朗濶達、いつも明るい雰囲気を漂わせた人柄でありましたが、他面、リアリスティックな鋭い洞察力とロマンチストとして培われた豊かな文才をもって、かつては芥川賞にも挑戦されたことがあるという文人であり、また、仕事に疲れた体と心をピアノに向かっていやす教養人でもありました。
 君と私とは、党こそ違っておりましたが、私は、君の物事にこだわらないおおらかな人柄と、ずばりと言ってのける言動に魅力を感じ、深い敬愛の念を抱いておりました。ときには中小企業問題、都市政策のあり方、また、地元横浜の未来像などをともに語り合った間柄であり、国にとっても地元にとっても、君の若さと行動力、豊かな見識と指導力を大いに期待しておったのであります。
 しかるに、君は、志半ばにして、多くの人々に惜しまれながら、にわかに去っていかれました。もはや、この議場に君の姿を見ることはできません。寂寥の感、胸に迫る思いでございます。
 今日、内外の諸情勢を思うとき、君のごとき有為の政治家を失いましたことは、ひとり民社党のみならず、本院にとっても、広く国家にとっても大きな損失であり、惜しみてもなお余りあるものがあります。(拍手)
 ここに、高橋高望先生の生前の御功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈り申しまして、追悼の言葉といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 臨時行政調査会委員任命につき同意を求めるの件
#6
○議長(福田一君) お諮りいたします。
 内閣から、臨時行政調査会委員に圓城寺次郎君、金杉秀信君、瀬島龍三君、谷村裕君、辻清明君、土光敏夫君、林敬三君、丸山康雄君及び宮崎輝君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#7
○議長(福田一君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律
  案(第九十三回国会、竹下登君外二名提出)
#8
○議長(福田一君) 日程第一、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員長久野忠治君。
    〔久野忠治君登壇〕
#9
○久野忠治君 ただいま議題となりました竹下登君外二名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、公職選挙法改正に関する調査特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近の選挙の実情にかんがみ、選挙の公正を確保し、あわせて金のかからない選挙の実現に資する等のため、所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。
 まず、第一に、後援団体の事務所において掲示できる立て札及び看板の類の数は、同一の公職の候補者等に係る後援団体を通じて政令で定める総数の範囲内とし、また、公職の候補者等の氏名等または後援団体の名称を表示するポスターで、当該候補者等もしくは後援団体の政治活動のための事務所もしくは連絡所を表示し、または後援団体の構成員であることを表示するためのものは、掲示できないことといたしております。
 第二に、政党その他の政治活動を行う団体が自動車を使用して行う機関紙誌の普及宣伝は、選挙期間中は、確認団体が政策の普及宣伝及び演説の告知のために使用できる自動車を使用して行う場合のほかは、することができないこととし、また、政策の普及宣伝及び演説の告知のための拡声機の使用は、選挙期間中は、機関紙誌の普及宣伝をする場合を含め、確認団体が、政談演説会の会場、街頭政談演説または政談演説の場所並びに政策の普及宣伝及び演説の告知のために使用できる自動車の上においてする場合のほかは、することができないことといたしております。
 第三は、公職の候補者と同居していない父母、配偶者、子または兄弟姉妹で、当該候補者等と意思を通じて選挙運動をした者が、買収及び利害誘導罪等の罪を犯し、禁錮以上の刑に処せられ、刑の執行猶予の言い渡しを受けなかったときは、当該当選人の当選は無効とすることといたしております。
 以上のほか、選挙事務所の移動の制限、任意制ポスター掲示場の拡充、長時間にわたる街頭演説及び街頭政談演説の規制、選挙人名簿の登録制度の改善等を図ることといたしております。
 本案は、前国会の十一月二十五日に提出され、今国会に継続審査となったのであります。
 今国会におきましては、去る一月二十六日、提出者を代表して片岡清一君から提案理由の説明を聴取した後、審査を進め、去る二月十八日質疑を終了いたしました。
 次いで、昨二十五日、本案に対し、自由民主党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブの四派共同提案に係る政策の普及宣伝及び演説の告知のための自動車の使用台数についての修正案並びに日本社会党提案に係る政策の普及宣伝及び演説の告知のための自動車及び拡声機の使用についての修正案が提出され、討論、採決の結果、日本社会党提出の修正案は賛成少数をもって否決、四派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決、よって、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(昭和五十六年度地方財政計画について)並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#12
○議長(福田一君) この際、昭和五十六年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣安孫子藤吉君。
    〔国務大臣安孫子藤吉君登壇〕
#13
○国務大臣(安孫子藤吉君) 昭和五十六年度の地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明を申し上げます。
 昭和五十六年度の地方財政につきましては、昭和五十五年度に引き続き厳しい状況にありますが、おおむね国と同一の基調により、財政の健全化を促進することを目途としております。歳入面におきましては、住民負担の適正合理化にも配慮しつつ地方税源の充実を図りますとともに、昭和五十五年度に引き続き見込まれる巨額の財源不足につきましては、これを完全に補てんする等、地方財源の確保を図っております。一方、歳出面におきましては、経費全般について徹底した節減合理化を行うという抑制的基調のもとで、住民生活に直結した社会資本の整備を図るために必要な地方単独事業の規模の確保に配慮する等、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、節度ある財政運営を行うことを基本といたしております。
 昭和五十六年度の地方財政計画は、このような考え方を基本として策定しておりますが、以下、その策定方針について申し上げます。
 第一に、現下の厳しい地方財政の状況等にかんがみ、法人住民税について均等割の税率適用区分の基準を改めるとともに、道府県民税及び市町村民税に係る法人税割の税率を調整し、個人事業税については課税対象事業を追加し、不動産取得税の税率を引き上げ、非課税等の特別措置の整理合理化を行う一方、所得の金額が一定の金額以下である者について昭和五十六年度限りの措置として住民税所得割の非課税措置を講ずる等、地方税源の充実と地方税負担の適正化を図ることといたしております。
 第二に、地方財源の不足に対処し、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにするため、昭和五十六年度の地方財源不足見込み額一兆三百億円については、地方交付税の増額と建設地方債の増発により完全に補てんすることとしております。
 なお、建設地方債の増発については、昭和五十五年度より、その額の縮減を図っております。
 また、地方債資金対策として、政府資金及び公営企業金融公庫資金の増額を図ることとしております。
 第三に、抑制的基調のもとにおいても、地域住民の福祉の充実、住民生活に直結した社会資本の計画的整備等を図るための諸施策を実施することといたしております。このため、生活関連施設等の計画的な整備の推進を図るため、地方単独事業の所要額を確保するとともに、福祉施策の充実、教育振興対策等の推進等を図ることとし、また、過疎地域に対する財政措置等を充実することとしております。
 第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、国庫補助負担基準の改善を図り、あわせて年度途中における事情の変化に弾力的に対応し得るよう配慮するほか、地方財政計画の算定内容について所要の是正措置を講ずることといたしております。
 以上の方針のもとに、昭和五十六年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は四十四兆五千五百九億円と相なり、前年度に対し二兆九千八十三億円、七・〇%の増加と相なっております。
 次に、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 明年度の地方税制の改正に当たりましては、現下の厳しい地方財政事情と地方税負担の現状にかんがみ、その負担の適正化を図るとともに、地方税源の充実を図ることを基本といたしております。
 以下、その概要について御説明を申し上げます。
 第一に、地方税法の改正であります。
 まず、個人住民税について、低所得者層の税負担の実情にかんがみ、昭和五十六年度限りの措置として、所得の金額が一定の金額以下の者について所得割の非課税措置を講ずることといたしております。
 次に、法人住民税について、法人税の税率引き上げに伴う法人税割の増収額を市町村税源の充実に充てるため、道府県民税及び市町村民税に係る法人税割の税率を調整するほか、均等割の税率適用区分の基準を改め、課税の適正化を図ることといたしております。
 さらに、個人事業税について新たに不動産貸付業等四業種を課税対象事業に追加し、また、不動産取得税について、住宅政策に配慮しつつ、その税率の引き上げを行うことといたしております。
 また、固定資産税等に係る非課税等の特別措置のうち十六項目について整理合理化を行うほか、産業用電気に係る電気税の非課税品目を二品目廃止することといたしております。
 そのほか、税務執行面における実質的公平を確保するため、脱税の場合の更正、決定等の制限期間を延長するとともに、住民税及び事業税の脱税に関する罪についての法定刑の長期を五年とすることといたしております。
 第二に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正でありますが、日本国有鉄道に係る市町村納付金について、納付金算定標準額の特例措置の適用期限を二年延長することといたしております。
 以上の改正により、明年度におきましては、七百五十六億円の増収と相なる見込みであります。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 第一に、昭和五十六年度分の地方交付税の総額は、昭和五十年度から昭和五十二年度までの各年度の借入金の償還方法を変更することによりその増加を図るほか、さらに臨時地方特例交付金千三百六億円及び交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金千三百二十億円を加算することといたしました結果、八兆七千百六十六億円となり、前年度当初に比較し六千三百九十一億円、七・九%の増加に相なっております。
 また、昭和五十六年度の借入金千三百二十億円については、昭和六十二年度から昭和七十一年度までの各年度に分割して償還することとし、そのうち、千百三十億円についてはその十分の十に相当する額、千百三十億円を除いた額についてはその二分の一に相当する額を、昭和六十二年度から昭和七十一年度までの各年度において、臨時地方特例交付金として当該各年度の地方交付税の総額に加算することといたしております。
 これらの措置に加えて、昭和五十年度から昭和五十二年度までの各年度の借入金の償還方法を変更することに伴い、昭和五十七年度から昭和六十七年度までの各年度の借入金の償還額及び当該各年度の地方交付税の総額に加算することとされる臨時地方特例交付金の額を変更することといたしております。
 さらに、昭和五十六年度の普通交付税の算定については、公園、清掃施設等の公共施設の整備、教育水準の向上、社会福祉施策の充実に要する経費の財源を措置するほか、財源対策債の縮減に伴い必要となる投資的経費を基準財政需要額に算入するため、単位費用の改定等を行っております。
 第二に、風俗営業等取締法等十二法律に定める地方公共団体の手数料の額またはその上限について改正を行い、受益者負担の適正化を図り、あわせて財源の確保に資することといたしております。
 以上が、昭和五十六年度の地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(昭和五十六年度地方財政計画について)並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#14
○議長(福田一君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。松本幸男君。
    〔松本幸男君登壇〕
#15
○松本幸男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案に関連し、総理並びに大蔵、自治の両大臣に対して御質問を申し上げます。(拍手)
 本題に入ります前に、くしくもきょうは、いまから四十五年前の、昭和十一年に発生をいたしました二・二六事件から満四十五周年目の日であります。空からは粉雪も舞っております。当時、軍の力が強大になって、文民統制がきかなくなり、しかも政治、社会が腐敗、堕落したことによってこういう事件が起こりました。どうか再びこのような事件の起こる素地をつくらないように、政府要路の為政者は、十分心して事に当たっていただきますよう切望する次第であります。(拍手)
 さて、本題に入りまして、鈴木総理は、昨年お亡くなりになりました大平前総理の後を受けて総理大臣に御就任なされたのでありますが、御就任の当時、大平政治の継承を表明されました。それは自民党政府の後継者である鈴木総理としては、政策の継続性という立場からいいましても当然であると存じます。
 そこで、亡くなられた大平前総理は、「八〇年代は地方の時代である」というととを提唱され、いわゆる田園都市構想なるものを打ち上げました。この大平前総理の政権を継承された鈴木総理は、大平前総理の唱えた「八〇年代は地方の時代である」という認識をお持ちになっておられるのかどうか。お持ちになっているとすれば、鈴木総理の考えておられる地方の時代ということはどういうことであるのか、その基本認識をまずお伺いしたいと存じます。
 地方の時代、なるほど地方の自尊心をくすぐるにはまことによい言葉であります。しかし、就任当初「大平政治を継承する」と言った鈴木総理の先般の施政方針演説の中には、一言半句も地方の時代という言葉は出てまいりません。こうなりますと、地方の時代ということは大平さんが唱えたことであって、鈴木内閣では八〇年代が地方の時代であるという考え方はないというように思ってよろしいのかどうか。
 地方の時代であるということの具体的な施策として、いわゆる田園都市構想なるものが発想され、その具体的な事業として、新広域市町村計画の策定推進事業と田園都市中核施設の整備推進事業が計画されております。これによりますと、計画策定費補助が一カ所二百万円で六十カ所分、中核施設整備計画補助金が一カ所千八百万円で十カ所、中核施設建設費助成が一カ所五千万円で十カ所、合わせて八億円、あとは起債の特別枠百億円というものであります。
 これがいわゆる地方の時代という言葉を裏づける田園都市構想の具体化の中身でありまして、これでは余り大きな声で地方の時代だとか、やれ田園都市構想だとか言えないのではないかと思いますが、これで能事足れりと考えておられるのかどうか、お伺いしたいと存じます。
 私は、八〇年代が地方の時代だと言われるゆえんは、七〇年代の高度経済成長時代に生じた各種の公害や生活環境の悪化、過密過疎の問題など、各種のひずみや不均衡を直して、国土全体に調和と均衡のとれた社会をつくり上げることであると存じます。そのためには地方の振興発展が不可欠であって、地方の振興発展こそが国の繁栄と発展の基盤であると同時に、そのことが地域住民の福祉の向上につながるものであるということではないかと存じます。
 そして、この地方の振興発展のためには、思い切った分権と自治と、さらに、これを支える財政基盤の充実が必要であると考えますが、どうも国の施策の方向は、口では地方の時代だなどと言いながら、これは全くの口頭禅といいましょうか、単なるリップサービスにすぎなくて、中身はむしろ逆の方向を向いているのではないかというような気がするのでありますが、いかがでありましょうか。
 たとえば、いま政令で基準を定めて強引に推し進めようとしております国鉄ローカル線廃止の問題にいたしましても、国鉄が赤字だから採算のとれないローカル線を廃止する、なるほど理屈はそのとおりでありまして、その限りでは理解のできないものでもありません。赤字ということは決してよいことではありませんから、これを解消する努力をすることは大いに結構なことであります。しかし、赤字だからローカル線を廃止すると言いながら、他方では膨大な赤字が予想される上越・東北新幹線の建設をせっせと進めております。田園都市構想などによる地方の振興対策とローカル線の廃止による過疎化の推進、また赤字の解消を目的としたローカル線の廃止と赤字の増大が予想される新幹線の建設、まさに二律背反といいましょうか、論理的にも矛盾しているように思われますし、政策の整合性という見地からも合点がまいりません。ひとつ十分納得のいくような明快な御答弁をお願いしたいと存じます。(拍手)
 さらに、総理は、先般の施政方針演説の中で、「ゆとりと思いやり」のある政治を強調されました。しかし、これとても、財政再建に急な余り、地方に対しては必ずしも「ゆとりと思いやり」のある施策の展開にはなっていないような気がいたします。地方税、地方交付税あるいは国庫支出金等の地方財政対策につきましても、もう少し温かい思いやりがあってもよかったのではないかと存じますが、総理の御所見を伺いたいと存じます。
 次に、大蔵大臣にお伺いいたします。
 御承知のとおり、国は財政再建を至上の命題として、国債の減額に対応して一兆三千九百六十億円という既存税制の枠内での目いっぱいの大増税を行おうとしております。これに引きかえ、地方税の増税はわずかに二十分の一程度の七百五十六億円にすぎません。私は決して地方税でも大増税をやれと言っているのではありませんが、国税である法人税は一律二%引き上げているのに、地方税においては、法人の県民税と市町村民税の税率を、県から市町村に〇・二%移しただけでありまして、税収はプラス・マイナス・ゼロで、一円の増税も行われておりません。法人税がふえれば交付税がふえるという理屈もありましょう。しかし、これは三二%であります。国が法人税を二%引き上げるとすれば、せめてその二分の一程度の増収が行われるような配慮をしてもよかったのではないかと思われます。
 現行の地方税法では、地方団体の課税自主権などというものはほとんどなきに等しい状態であります。それだけに、なおさら国の方で十分な配慮をすべきであると思いますが、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと存じます。
 さらに、地方財源対策としては、国税の地方税への移譲であるとか、新しい地方税目の新設、法人事業税の外形標準課税の実施、交付税率の引き上げ、あるいは交付税の算出基礎であります国税三税に、たとえば印紙税収入を加えるとか、やる気にさえなれば方法は幾らでもあると思うのであります。そして、将来に向かって、国の財政のみならず、地方の財政も健全化するために、もう少し地方に対する思いやりのある財源付与を真剣に考慮すべきだと存じますが、大臣の御所見を伺いたいと存じます。(拍手)
 さらに、これはすでに本院で可決されております昭和五十五年度の補正予算に関連した、五十五年度分の地方交付税の特例措置についてでありますが、国税の自然増収等に伴う補正予算におきまして、国は、この増収分を全部当年度の歳出として使ってしまうのに、交付税については、普通交付税と特別交付税の増額分、合わせて三百六十四億円を除いた三千七百五億円については、五十六年度に繰り越す措置をとりました。
 言うまで用なん、地方税と譲与税、地方交付税は、地方の固有財源、自主財源とされておりますので、当年度分の交付税は、当然当年度に地方団体に交付すべきものであって、その使い方は地方自治体の自主的な裁量にゆだねるべきだと思うのでありますが、何かお預けのような形で次年度に繰り越すことを国が決めるようなやり方は、すでに半ば恒例化しているようでありますけれども、どうも地方団体の自主性、主体性を認めないようなやり方だと思われますが、大蔵大臣、自治大臣、それぞれお考えを承りたいと存じます。
 次に、地方税法の一部を改正する法律案につきまして、自治大臣にお尋ねいたします。
 この法律案は、趣旨説明のとおり、個人住民税の課税最低限の引き上げと法人住民税の法人税割の税率調整、国保組合の収益事業に対する新規課税、事業税の課税対象事業の追加、不動産取得税の税率引き上げなどが主な内容となっておりますが、まず、個人住民税の課税最低限の引き上げについては、この引き上げの動機が、現行の住民税の課税最低限より、生活保護費の標準世帯の支給基準額の方が上回ってしまうために、やむを得ず引き上げざるを得ないということでありまして、まことに消極的な、こそくな方法で引き上げが行われようとしております。こういうこそくで他動的な動機で住民税の課税最低限を引き上げるようなやり方は、本末転倒のような気がいたしますが、大臣のお考えを伺いたいと存じます。
 また、この個人住民税の課税最低限が、国税のそれよりも低額であることにも問題があります。御承知のとおり、所得税の課税最低限は二百一万五千円であるのに、住民税では改正をされて百七十五万七千円であります。最低の生活費には課税しないということが原則であれば、国税の場合でも地方税の場合でも、この原則は変わらないと思いますが、何か国税の場合は応能負担であるのに対して地方税は応益負担だから、差があってもよいというような理屈もありまして、相当期間、差のあることが固定化されてまいりまして、いまはあきらめたようなかっこうでありますけれども、私にはどうも納得がいきませんので、なるほどとわかるような、明快なお答えをいただきたいと存じます。
 次に、法人住民税につきましては、道府県民税と市町村民税間の単なる税率変更にとどまっておりまして、税率の引き上げは行われておりません。先ほども申し上げたとおり、国の法人税は一律二%引き上げられているのに、地方税では単なる税率調整のみであるということは、まことに片手落ちでありまして、これでは総理の言う思いやりも全くの空念仏にすぎないのではないかと思われます。国も地方も財政は同じ窮迫の状態に置かれておりますので、もう少し地方に対しても温かい思いやりがあってもよかったのではないかと思いますが、この点に関して大蔵、自治両大臣のお答えをお聞かせ願いたいと存じます。(拍手)
 いずれにしても、今日、国の財政も厳しい、地方の財政もまたきわめて厳しい状況のもとに置かれていることは御承知のとおりであります。したがいまして、国の財政再建ももちろん重要な課題でありますけれども、同じように地方自治体の健全な財政基盤の確立も急務であります。「民主主義は健全な地方自治の基盤の上に成立する」と、自治大臣も先般の所信表明演説の中で述べられているのでありますから、ぜひとも地方の自主性、主体性を尊重しながら、地方の健全な発展振興を図るために、特にその裏づけとなる財政の充実について、なお一層思いやりのある措置を講じていただきますよう強く希望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 松本さんにお答えをいたします。
 まず、八〇年代が地方の時代と呼ばれることについて、私の基本的な認識についてお尋ねがございました。
 私は、東北の一寒村から政治に志したものでございまして、地方の発展の必要性、重要性の認識につきましては、決して人後に落ちるものではないと考えております。(拍手)
 私は、わが国にとって、地方の特性と伝統に基づく文化と産業の発展は、八〇年代を超え、二十一世紀になっても、その重要性を失うものではないと確信をいたしておるのであります。国土の均衡ある開発、発展を図り、所得格差をなくして地域の住民の福祉向上を図ることを基本として、今後国政を運営してまいる所存でございます。(拍手)
 国鉄の赤字ローカル線につきましては、近く政令を定め、一定の基準に該当する路線についてはバス等への転換を図る手続をとる予定でありますが、三K赤字と呼ばれる中でも最も病根が深い国鉄財政を再建する上において、いろいろの合理化措置を講じなくてはならないのでありますが、そのうちの一つとして、どうしても地方ローカル線の赤字問題に取り組まざるを得ないのであります。
 今回の施策は、決して地域の足を奪うというようなものではなく、国鉄の経営する鉄道という地域交通サービスを他の形に転換したいというものでありますので、該当する路線の存在する地域におかれましては、地域の実情に沿うよう私営パス、国鉄パスあるいは第三セクターによる鉄道経営などについて前向きに御検討賜りたいと存じます。
 東北・上越新幹線につきましては、私は、東北地方や上越地方、さらにはその周辺地域の格差是正及び均衡ある発展に貢献するところが多大であると信じておりますが、新幹線建設に際しましても、その採算性の確保などは重要な問題でありますから、今後も十分配慮してまいりたいと存じます。
 以上、松本君の御質問にお答えいたしましたが、予算措置等その他の問題につきましては、所管大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#17
○国務大臣(渡辺美智雄君) 松本議員にお答えをいたします。
 まず、一つは、今度法人税を二%上げるのだから一%ぐらいは地方に戻せ、こういう御趣旨であります。
 しかし、これは結果的に言うと大体そんなふうに近くなるのです。御承知のとおり、法人税の今回の増収は、おおよそ六千億円を考えておりますが、交付税というのは三二%ですから大体それの三分の一ですね。したがって、二千億円弱が回ります。国の方へは四千億円しか残らない。それから、地方の増収の方は、交付税で二千億円まずいただく。それから、この法人税が上がりますと、法人住民税法人税割というのが、自動的にこれは上がってしまう。それで六百五十億円、平年度にして約一千億円、したがって、三千億円近いものが地方に戻るということですから、国の方は六千億円取っても四千億円だ、向こうは三千億円で、まあまあかなりのものが地方に回る仕組みになっております、こういうことでございます。
 それから、その次は、地方財政の健全化のために地方の財源措置というものをもっと何か考えろ。地方交付税の対象に印紙税なども入れてはどうかねということでございます。
 これは御承知のとおり、五十六年度の特例公債は、まだ五兆円ぐらい発行予定をいたしておりまして、国としては実は非常な財源難に陥っておるわけです。財政規模を比較しますと、国全体で大体四十六兆円、地方を全部合計して大体四十四兆円ですから、大体似たり寄ったり。その中で、結局国債の発行額というものは、これはことし、新年度で十二兆国は新しい国債を発行する、地方の方は四兆二千億円ぐらいなのです。したがって、国債依存度というのは国が二六%、地方が九・六%というようなことでして、国債の残高を見ましても、国の方は八十二兆あって、地方全体で、予算規模は同じだが、三十二兆というような状態であるし、特例公債は地方は発行しておりません。したがいまして、こういう財政事情でございますから、当面、さらに国の財源を地方に分けてやるというような仕組みをつくってほしいと言われましても、いまのところ、ちょっと御勘弁をいただきたい、こういうわけであります。
 それから、その次は、五十五年度の補正で七千億円ぐらい増収を見込むわけですが、それの大部分を国は五十六年度に回してしまって、五十五年度の地方交付税の方へ入れない、それはおかしいのじゃないかという話なのです。
 ところが、これは実際は押せ押せでございまして、五十四年度の補正のときも同じことが行われて、約六千百九十七億円というのが今年度の五十五年度に来ているわけなのです。したがって、そういう押せ押せになっているものですから、必要なものだけを差し引いて、あとは繰り延べるということにやっておるわけです。それをことし、仮に五十五年度にその交付税を回すということになると、五十五年度は五十四年度の分と五十五年度の分と二つ、両方もらうということになってしまうわけなので、前からそういうふうに必要なものだけを出しますということになっておるわけでございますから、いますぐにこれを直すということはちょっと困難でございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣安孫子藤吉君登壇〕
#18
○国務大臣(安孫子藤吉君) 最初に、田園都市構想についてお答えを申し上げます。
 この田園都市構想の推進につきましては、関係各省庁が連絡をとりながら各種の施策を推進しておるのでございますが、自治省におきましては、お尋ねのとおり、昭和五十四年度から新広域市町村圏計画の策定を推進してきておるところであります。これは、広域市町村圏を単位といたしまして地域の総合的な振興整備を目指すものでございまして、田園都市構想推進の中心的な役割りを担うものであると考えております。
 さらに、来年度からは広域市町村圏におけるところの中核的な大規模複合施設の整備を推進することといたしました。これに対して、助成金と地方債の特別枠を予定しておるわけでございます。
 この助成交付金は、一カ所二億ないし二億五千万円を三カ年間で分割交付することになっておるのでございまするが、当面、五カ年間で五十カ所を整備する予定でございます。初年度だけを見ますと、大した金額ではないようにも見えるのでございまするが、平年度ベースとして考えまするならば、かなりの財政措置をとったことに相なり、地方の時代にふさわしい施策であろうと考えておるのでございます。
 次に、ただいまも大蔵大臣から申されましたとおり、五十五年度補正による増加額を、一部を除いて翌年度に繰り越すことは適当じゃないのじゃないかというお尋ねでございます。
 地方財政の年度間の調整という問題は、地方団体の自主性、自律性を尊重するという見地から言うならば、地方団体がこれを行うのが原則となっておることは御指摘のとおりだと思います。
 しかしながら、地方財政は毎年多額の借入金をいたしております。膨大な累積赤字を抱えております。来年度も巨額の財源不足が見込まれておるところでございます。
 このような現状を考えますと、本年度の国の補正予算に伴う地方交付税の増加額につきましては、一部を除いて、来年度の地方交付税に加算することによって来年度の財源不足額を減少させ、同時に財源対策債の縮減を図るのが地方財政の健全化に資するゆえんであろうと考えましたので、この点は、お尋ねのように地方団体を信用しないからということではございませんので、この点はそうした措置を講じたことについて御説明を申し上げたわけであります。
 次に、個人住民税の課税最低限を生活保護基準によって毎年変更する、他動的な動機で行うのは本末転倒ではないかというお尋ねでございます。
 住民税の課税最低限は、従来から、国民生活の水準、納税義務者数、地方財政の状況等を総合的に勘案して定めてまいっておるところでございまするので、逐次引き上げは行ってきたわけでございます。しかしながら、来年度は地方財政が、御説明申し上げましたとおりに、きわめて厳しい状況にございます。住民税の課税最低限を引き上げるといたしますと大幅な減収となって、その影響もすこぶる大きいのでございます。したがいまして、課税最低限の引き上げは見合わせざるを得ないと考えておるのでございます。
 しかしながら、他方、低所得者層の税負担については特に配慮する必要がございまするので、来年度は新たに非課税限度額を設けまして、一定所得以下の住民につきましては課税しないこととするよう改正案を御提案申し上げておるところでございます。
 次に、所得税の課税最低限と住民税のそれが異なるのはおかしいのではないかという御質問でございます。
 住民税は、地域社会を維持発展させるための経費を賄うものでございまして、このような費用は、住民ができるだけ広く、その負担を分担するのが望ましいものであると考えております。このような意味からいたしまして、その性格は必ずしも所得税と同一でない面もあると考えるのでございます。したがいまして、住民税の課税最低限を所得税のそれと一致させる必要は必ずしもないものであろうと認識をいたしておるものでございます。
 以上、お尋ねの点につきまして、お答えを申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(福田一君) 大橋敏雄君。
    〔大橋敏雄君登壇〕
#20
○大橋敏雄君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました昭和五十六年度地方財政計画並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 初めに、地方財政についてお伺いします。
 昭和五十年度以降、連続して六年間も巨額な財源不足を来している地方財政は、これを補うために、毎年度、交付税特別会計からの借入金や地方債の増発などで収支のつじつまを合わせてきたにすぎません。しかも、五十六年度地方財政対策の内容を見れば、税の自然増収並びに五十五年度の補正予算で交付される交付税の大部分が五十六年度に繰り越されていること。また、個人住民税の減税見送り、不動産取得税の増税などの措置を講じておりますが、なおかつ一兆円を超す財源不足を生じております。
 このような実態は、現行の地方財政制度が破綻を来していると言わざるを得ません。われわれは、住民生活に直結した地方自治の財政基盤の確立を主張し続けてきましたが、これを怠ってきた政府の責任はきわめて重大であります。
 そこで、お伺いしたいのでありますが、今日の地方財政の状況を、総理は一体どのように認識をしておられるのか、また、このような状態をいつまで続けるつもりなのか、まずこの点についてお聞きしたい。
 また、いわゆる地方の時代にふさわしい地方行財政制度の確立こそ先決でありますが、この点の御見解もお伺いをいたします。
 また、現在の財政危機から速やかに脱却して、財政の健全化を図り、住民生活の安定と向上のための具体的な措置が急務であります。そのために、地方交付税率の引き上げや対象税目の拡大を直ちに実施すべきであると考えますが、この点もあわせてお伺いいたします。
 ところで、現在、景気は依然として停滞を続けておりますが、この景気の回復は、国民生活の安定、地方財政の健全化に重要な関係がありますので、この際、物価の見通し並びに経済対策について経済企画庁長官にもお伺いしたいと思います。
 まず、五十五年度の消費者物価上昇率は、当初見通し六・四%をはるかに上回り、七%の改定見通しすら実現不可能になってきました。五十五年度の消費者物価上昇率はどの程度に抑え込むことができるのか、また五十六年度の五・五%の達成は可能かどうか、明確な答弁を求めるものであります。
 さらに政府は、三月上旬に総合経済対策を発表する予定になっております。総理は、当面するわが国経済情勢をどのように考え、どのような内容の総合経済対策を講じようとしているのか、明らかにしていただきたい。
 また、公定歩合の引き下げ問題が話題になっておりますが、これもあわせて御所見を承りたいのであります。
 次に、地方税についてお伺いします。
 住民税は、今回の税制改正で従来のような課税最低限の引き上げを行わず、生活保護費の引き上げに伴って非課税の限度額を設けるという措置に終わっております。このため、住民は増税を余儀なくされ、所得の実質的減収を来している人も少なくありません。政府は、この際、住民税の軽減を図るため課税最低限の引き上げを断行すべきであります。総理の御所見をお伺いします。
 次に、土地並びに地価対策についてお尋ねします。
 最近、宅地供給不足によって、大都市はもとより、地方中小都市の地価上昇は著しいものがあります。大都市では、住宅取得費の三分の二から四分の三が土地代に食われてしまうという事態を招いております。この地価問題は、わが国経済にとって重大問題であり、もはや土地問題の解決なくして国民生活の真の安定はあり得ないと考えます。
 不足している宅地を供給し、地価の安定を図るためには、五十七年度に予定されている農地の宅地並み課税の見直しの際、わが党が提案している選択的宅地並み課税を取り入れることが賢明と思います。
 すなわち、住宅事情の深刻な三大都市圏の市街化区域の農地について、少なくとも二十年間農業を続ける者に対しては宅地並み課税は除外する、また、それ以外の場合は宅地並み課税を完全に実施する、この二つのいずれかを選択できる制度であります。このわが党の案を採用し、実施する考えはないか、総理にお尋ねをいたします。
 次に、国、地方間の行財政制度の改革についてお伺いいたします。
 まず、事務、財源の再配分についてであります。
 今日の地方行財政制度は、戦後一貫して機関委任事務や補助金行政の拡大、税財源の中央集中等、国主導型となり、いわば地方自治体は国の下請機関化されてきたことは周知のとおりであります。
 しかし、国民の価値観は多様化し、住民の要求も多角化してまいりました。この住民の要求にこたえていくために、自治体は中央主導型の画一行政から脱却し、地方独自の構想に基づく行政運営を図らなければなりません。そのためには、権限、財源の地方分権化をその基本に置かなければならないことは言うまでもありません。また、このことが地方自治の本旨に沿うものであると考えます。
 この地方行財政制度の改革に対する政府の御見解と、総理が考えておられます地方制度とはどのようなものか、ぜひともお聞かせ願いたいのであります。
 すでに一昨年秋、地方制度調査会から、事務、財源の再配分に関する答申が出ており、これに基づく改革が当然断行されると考えておりますが、総理の御決意をお伺いしたいのであります。
 また、自治大臣と行政管理庁長官の間で、国、地方間の問題を第二臨調で取り上げることを合意したようでありますが、すでに地方制度調査会から答申が出されている今日、あえて第二臨調に答申を求める理由は一体何であるのか、明確に御答弁をいただきたいと思います。
 さらに、下請機関化されている現行制度のもとでは、国と地方との関係は、ややもすれば対立関係になる場合が少なくありません。国と地方とは、福祉国家建設という立場から、それぞれの役割りに応じて相互に機能分担を図るべきであると考えるものであります。
 この観点から、地方に関係のある立法、財政については、地方の意思が十分反映できる仕組みにする必要があると考えるものでありますが、この改革についてどのように考えておられるか、御見解を伺いたいのであります。
 二つには、国庫補助金制度についてであります。
 国庫補助金については、地方の自主的財政運営の確保と財政の効率化を図ることから、国庫補助金をできるだけ整理し、地方の一般財源化することが強く望まれております。これらの点を基本に補助金の抜本的改革を進めるとともに、当面、類似ないし同一目的の補助金については、自治体の特性に応じて自主的、効率的運用ができるよう、補助金の統合、メニュー化または総合補助金化に改善すべきであると考えますが、この点について御見解をお伺いいたします。
 また、国の補助基準と実態との間に乖離を生じている超過負担についてでありますが、この解消措置といたしまして五十六年度は、わずか国費ベースで二百四十四億円計上したにすぎません。これは地方側の要求する額と比べると余りにも少額であります。
 超過負担解消に当たっての問題は、超過負担に対する国、地方の考えが異なっているということであります。したがいまして、まず国、地方の見解を調整し、解消の促進を図るため、国と地方とが一体となって実態調査を行い、客観的観点から超過負担の算定を図る必要があると考えるものでありますが、これに対する政府の所見をお伺いいたします。
 以上、地方行財政制度に関する重要課題について質問をいたしましたが、政府の率直な答弁を求めまして、私の質問を終わりといたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 大橋さんにお答えをいたします。
 まず、地方財政の現況について、私の認識をお尋ねでございました。
 地方財政の収支の不均衡は逐次縮小しておりますが、なお五十六年度におきまして一兆円を超える財源不足を生じておりますことは、大橋さん御指摘のとおりでございます。これに対処するためには、まず行政の刷新と簡素効率化の徹底が肝要であります。それとあわせて、今後、累積した多額の地方債や交付税特別会計借入金の償還に対応できるような財政構造の確立を図っていくことが、地方財政健全化の根本的課題ではないかと考えております。
 次に、地方行財政制度の改革、地方制度についての私の考え方についてお尋ねがございました。
 地方自治は民主政治の基盤でありますから、国と地方公共団体は、それぞれの果たすべき役割りを踏まえながら、相協力して国民の福祉の向上に努めなければならないと思います。
 戦後三十余年を経て、地方自治の精神も定着してまいっておりますが、なお今後とも地方自治の充実発展には十分努力してまいらなければならないと存じます。
 第十七次地方制度調査会の答申につきましては、御承知のとおり、地方行財政制度全般にわたって新しいあり方を探求し、今後の地方行財政制度の改革の基本方向として、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化と地方分権の推進を明らかにしたものであり、その推進に努めてまいらなければならないのであります。
 また、地方自治制度の改革等に当たりましては、地方公共団体の意見を十分に取り入れることが必要であり、制度的に地方公共団体の意向が反映されるような方途についても検討してまいりたいと存じます。
 次に、第二臨調についてのお尋ねでありますが、行政改革を進めるためには、国と地方公共団体との適切な機能分担のあり方が問題となってまいりましょうから、国と地方の間の問題についても幅広く検討が行われなければならないと考えるものでございます。
 その他、税の問題等につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣安孫子藤吉君登壇〕
#22
○国務大臣(安孫子藤吉君) 第一点、総理からもお答え申し上げておるわけでありますが、いろいろ地方財政の強化について、対象税目の拡大を図ったり、交付税率の引き上げをやるべきじゃないかという御所見がございました。
 この点は、私ども五十六年度の地方財政を考えましても、引き続き巨額の財源不足が見込まれておる。そこで、地方交付税法の第六条の三第二項に該当する事態と相なっておりまするから、同条の規定に即しまして、地方交付税率五%の引き上げを行うべきではないかということを、自治省といたしましては特に要求いたしたわけでございます。しかしながら、現下の情勢は、巨額の特例公債を発行しておるような国家財政の状況でもございまするし、その状況も考えまして、今回はその実現に至らなかったわけでございます。
 しかし、一面におきまして、来年度の地方財政対策については、臨時地方特例交付金あるいは既往の借入金の償還方法の変更でありますとか、交付税特別会計の借り入れ等によりまして、地方交付税の所要額を確保することとしたのでございまして、地方財政の運営には支障を来さないような措置は講じたつもりでございます。
 御指摘のように、地方財政の健全性を回復いたしまして国民生活の向上に必要なる施策を適切に推進できるようにするためには、基本的には、地方税源の充実強化とあわせて、地方交付税の税率の引き上げあるいは対象税目の拡大等によりまして、その所要額を安定的に確保してまいる必要があると考えております。その具体的な方策につきましては、今後とも十分努力をしてまいるつもりでございます。(拍手)
 また、お尋ねの住民税の課税最低限の引き上げの問題でございまするが、先ほどもお答え申し上げましたが、住民税の課税最低限は、従来から国民生活の水準、納税義務者の数、地方財政の状況等を総合的に勘案して定めてきておるのでございます。これまでも逐次引き上げはいたしてまいりました。しかしながら、来年度は御承知のとおり地方財政がきわめて厳しい状況にあります。住民税の課税最低限を引き上げるといたしますと、大幅な減収を来すのでございまして、その影響もきわめて大きいと考えまして、今回、課税最低限の引き上げを見合わせたわけでございますが、低所得者層の税負担については特に配慮をする必要があると考えましたので、来年度は新たに非課税限度額を設けまして、一定所得以下の住民に対しましては課税しないことにするような改正案を御提案申し上げておるわけでございます。
 次に、土地対策の問題でございまするが、市街化区域農地に対するいわゆる宅地並み課税につきましては、御承知のとおり、税制調査会から答申をいただいております。その趣旨は、いまの制度は五十六年度までである。「五十七年度分以降の固定資産税及び都市計画税については、長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮を行う」このことは必要であろう。そして、その配慮を払いながら「新たにC農地を課税の適正化措置の対象」にすべきではないか。また、現在行われておりまするAB農地に対するところの措置につきましても適正化措置を強化すべきではなかろうかというような答申を得ておるわけでございます。したがって、五十七年度からどうしてもこの問題を解決しなければならぬ立場に立っております。
 そこで、この答申の趣旨を踏まえながら、関係省庁の意見を聞きながら、今後十分検討してまいりたいと考えておるわけでございまするが、その場合に、御提案のございました選択的宅地並み課税というような考え方、これも一つの有力な考え方だと思いまするので、その検討の過程におきまして十分に参考にさせていただきたく、検討を続けてまいるつもりでございます。
 なお、第二臨調との関係のお尋ねがございましたが、これは現在、総理の諮問機関といたしまして地方制度調査会というものもございます。これは定員あるいは給与水準の問題について、すでに検討をいたしつつあるわけでございます。その辺の固有の事務等については、第二臨調との間に調整をとる必要があると私は考えておるのでございまして、この点、そごのないように行管庁長官とも十分お打ち合わせをいたしたいと考えておるものでございます。
 なお、いろいろなお尋ねの中に、国庫補助金制度の抜本的な改正を図ったらどうかというお尋ねがございましたが、とれもしばしば議論されてまいっておるところでございまするが、地方公共団体の自主性、自律性を高めるためにも、また、国と地方を通ずる行政の簡素効率化を図るためにも、国庫補助金制度については基本的に見直しを行うことが必要であると考えております。
 御趣旨のように、この国庫補助金につきましては、あるものは一般財源に振りかえてもいいものもあるのではなかろうか。しかし、存続すべき補助金なんかにつきましても、メニュー化の範囲をさらに拡大をしていくとか、もっと進めば総合補助金制度というようなものを確立することとか、これはいろいろ事務的な措置を必要といたしますけれども、そうしたことをこれから積極的に検討いたすべきであろうと存じまするし、第二臨調におきましても、この点は審議されるものであろうと考えておるわけでございます。なお、第十七次地方制度調査会の答申におきましても、この点は特に強調された答申を得ておるものでございます。
 なお、最後に超過負担の問題のお尋ねがございました。
 超過負担の問題は、国、地方の財政秩序を乱すものもあるわけでございまして、との点は解消しなければならぬと考えております。で、この点、政府も従来から関係省庁の実態調査を行いまして、その結果等に基づいて改善を図ってきておるところでございまするが、超過負担については、地方団体の間に必ずしも意見の一致を見てない金額がございます。そこで、国と地方の考え方の違う点をも十分認識をして、地方団体の意見をも十分聞きながら、今後とも超過負担の解消に努めてまいる考えでございます。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
#23
○国務大臣(河本敏夫君) 私に対するお尋ねの第一点は、五十五年度の物価見通しいかんということでありますが、最近に至りましてようやく消費者物価は安定の方向に進んでまいっております。十二月には七・一%、一月には東京区部で六・八%という水準でありまして、なお引き続きまして二月から三月にかけまして、物価安定のためにあらゆる努力を続けてまいりたいと考えております。そして、政府の改定見通しであります七%程度という目標が実現できるように全力を傾けたいと考えております。
 第二点は、五十六年度の消費者物価の見通しいかんということでございますが、五十六年度は五十五年度と違いまして、ある程度物価対策もやりやすいのではないか、こう思っております。
 一つは、卸売物価が最近目に見えて鎮静化をしておるということでございます。御案内のように卸売物価は、数カ月たちますと消費者物価に大きな影響を及ぼします。昨年の四月には年率に直しまして二四%という高い水準にございましたが、二月上旬に至りまして三%台という安定した水準になってまいりました。それでも年度間の平均をいたしますと一四%台だと思いますが、五十六年度は、おおむね政府見通しどおりこれは四%見当におさまるものと考えておりまして、これから来る影響が非常に少なくなったということ。
 それから同時に、五十五年度には電力料金、ガス料金の値上げがございまして、これが非常に大きく消費者物価を押し上げております。一%以上もこれが押し上げたのでございますが、五十六年度にはこういう大きなものがございません。また幸いに、最近は石油情勢が安定の方向に進んでおりまして、昨年のようなイラン・イラク戦争による急上昇、こういうことはないであろうと考えております。
 そういうことで、五十六年度の政府目標であります五・五%は現時点では実現できると確信を持っておるところでございます。
 次のお話は、現在の経済情勢をどのように認識して、どのような対応策を立てるのかということでございますが、残念ながら、現在の経済情勢は内需が非常に停滞をしております。それから在庫調整も相当おくれております。そういう状態になっておりますので、景気の着実な回復を図り、物価の安定をさらに進めてまいりますために、今後引き続いて政策を機動的に運営をしてまいりたいと考えておりまして、今月の末から来月の上旬にかけまして、いろいろな経済指標が集まってまいりますので、その指標を見た上で、関係各省との間で十分相談をいたしまして、具体的な対策の内容を決めていきたい、このように考えております。
 最後に、今後の金融政策いかんということでございますが、政府は、昨年の九月に総合経済対策を決定いたしまして、その中で、今後金融政策は機動的に運営する、こういう基本方針を決定いたしました。金融政策を機動的に運営するという意味は、現時点における金利水準が非常に高い水準でありまして、経済活動の足を引っ張っておる、したがって、条件が熟し次第、金利引き下げの方向に持っていきたいということが機動的運営の内容であります。現在もその方針は変わっておりませんで、そういう方向に進めたいと思っておりますが、そのためには、やはりそれだけの条件を整えなければなりません。たとえば物価の安定であるとか、あるいは為替の安定、国際収支の均衡、いろいろな条件があろうかと思いますので、そういう金融政策が機動的に運営されるような客観条件を政府の方でつくり出すために、いま懸命の努力を払っておるというのが現状でございます。(拍手)
#24
○議長(福田一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#25
○議長(福田一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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