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1980/03/03 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第9号
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1980/03/03 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第9号

#1
第094回国会 本会議 第9号
昭和五十六年三月三日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  昭和五十六年三月三日
    午後一時開議
 第一 酒税法の一部を改正する法律案(内閣提
    出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 日程第一 酒税法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
    午後一時四分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(福田一君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 市川雄一君及び矢野絢也君から、三月八日より二十三日まで十六日間、小杉隆君から、三月九日より二十日まで十二日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#5
○議長(福田一君) 日程第一、酒税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長綿貫民輔君。
    ―――――――――――――
 酒税法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔綿貫民輔君登壇〕
#6
○綿貫民輔君 ただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、最近における厳しい財政事情、酒税の負担状況等に顧み、酒税の従量税率を、清酒特級、ビール、果実酒類、ウイスキー類、スピリッツ類、リキュール類及び雑酒について二四・二%程度、清酒一級について一四・五%、清酒二級、合成清酒、しょうちゅう及びみりんについて九・六%程度引き上げることとするほか、いわゆる粉末酒を酒類の範囲に加える等、酒税の諸制度について所要の整備合理化を行おうとするものであります。
 なお、この税率の引き上げ等につきましては本年五月一日から実施することとされておりますが、これにより、昭和五十六年度におきまして約二千八百三十億円の増収が見込まれております。
 本案につきましては、参考人から意見を聴取するなど、慎重な審査を行いました。
 審査に当たっては、特に、税率引き上げによる小売価格や国民生活への影響、税率引き上げによる中小清酒メーカーへの影響、今後の酒税のあり方、中小清酒メーカーの今後の育成策等の諸問題について熱心な論議が交わされましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 かくて、去る二月二十四日質疑を終了し、次いで二十七日討論を行い、採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対しましては、附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(福田一君) 討論の通告があります。順次これを許します。関晴正君。
    〔関晴正君登壇〕
#8
○関晴正君 私、関晴正は、日本社会党を代表いたしまして、今次国会に提案されております酒税法の一部を改正する法律案に断固反対するものであります。(拍手)
 いま国民の最も求めているものは、長年にわたって据え置かれたところの課税最低限を引き上げろという、この要求にこたえることでなければなりません。しかるに政府は、国際的な所得税の負担の比較において低いところにあるのだから、そのことについてはしばらくがまんをいただきたい、がまんの押しつけでございます。
 しからば、このたび提案されているところのこの酒税の中身はどうでございましょうか。
 ビールの中に含まれているところの税の負担率というものは、国際的な負担率の比較においてどのようになっているのでございましょうか。アメリカは一二・八%、フランスは一六・一%、ドイツは一八・七%、イギリスは二八・二%、そしてわが日本は、四二・五%から今度の引き上げにおいて実に四七・九%という、それぞれの国に対し二倍、三倍、四倍という高負担に相なっているのであります。総理大臣あるいは大蔵大臣の常日ごろの答弁するところといかに相異なっているかということを承知しなければなりません。
 各国の事情によって、それぞれ習慣があり、それぞれ伝統があり、それぞれ歴史があるのだからやむを得ないとお答えしているようでありますが、それならば所得税についても、わが国の伝統がありとなぜ言えないのでありましょうか。これほど矛盾するような税の姿勢というものは、この機会に是正さるべきものだと思うのであります。
 さればこそ、わが日本社会党は、いましきりに国民の求めている調整減税の方向をとれ――自然増収において四兆五千億もあるのに、さらにまた、その金額はふえる方向にあること明らかなのであります。
 それをひた隠しに隠し、一日の労働の疲れをいやすところの、国民、労働者にとってかけがえのないところの酒、酒は罪悪ではありません。酒は善なるものであります。悲しいと言っては飲み、うれしいと言っては飲み、そうして酒なくして今日の国民生活の、あすの生産力を生むものはないのであります。(拍手)それに対して過酷な課税をしき、他に財源を求めようともせず、他に節減する道をもとろうとしないこの態度は、当然国民から糾弾されてあたりまえのことだと思うのであります。
 ちなみに、今度の増税の予算を見ますときに、総額一兆四千億、酒税における金額は二千八百億、まさに二割であります。大衆負担の最たるものであり、さらに、このほかに物品税あるいは取引税あるいは印紙税等々、いずれも大衆負担につながるものばかりであります。その意味において、まず大衆負担を軽くしなければならない、その方向に相反するものである点において反対せざるを得ません。
 いま一つ、清酒についても触れたいと思います。
 清酒はなかなかいま国民離れの方向にあります。しかも、特級酒、一級酒、二級酒とありますが、一升一万円もする二級酒があらわれているじゃありませんか、これは一体どういうことです。特級酒とか二級酒とか一級酒というものの定めは、法令によりますというと、品質の優良なるものを特級酒とし、佳良なるものを一級酒とし、特級でもなければ一級にも該当しないものを二級酒と名づけているのであります。アルコールの度合いや純米酒の度合いにおいて定めるのではなくて、きき酒という感覚的審査において等級を定めているこの実態は科学的ではありません。科学的な価格を採用することと科学的な審査を導入することが今日求められていることだと思います。その意味において、ウイスキーの場合は、アルコールの度合いあるいは原酒の度合いプラス、モルトの度合い、その質によって金額が変わっていきますけれども、お酒の場合はそうはなっておりません。このことについても、やはり是正していかなければならない内容が含まれているわけであります。
 いま地方の時代と言われますが、地方の時代の産業の中で残っているものというならば、造り酒屋ぐらいのものではないでしょうか。この造り酒屋も、四千軒もあったものが今日三割も減って二千八百軒というところにダウンし、今後ますますダウンの傾向は強まっていくでありましょう。そうなりますと、酒の生産形態も大メーカーに統一され、ささやかな地方の産業というものが大きく打撃を受けてくるでありましょう。
 私どもは、酒の税金というものはもうこれを限度として引き上げるべきではない。ビールの問題においては、先ほど申し上げた理由によって、これ以上高めることは、今日まで答えてきた政府の答弁と全く相異なることにおいて、やはり慎むべきものだと思うのであります。
 国民の生活を豊かにすること、国民の負担を軽くすること、そして、社会保障の道や文化の道を広げることが今日の政治に求められることでございます。他国において税金が高いという場合には、その裏打ちが他国にはきちんとあります。社会保障の制度は、より整っていることでありますし、いま一つは、軍事予算において他国には制限がないという欠陥がありましょう。わが国においては、軍事予算を許さないという制限があればこそ、この所得税率も今日において許され、これがまた守られていかなければならない必要な方針だと思うのであります。
 このことを篤と考えられ、わが国の産業をりっぱなものにするためにも、大衆負担を軽くするその立場から、断固として、この税法に反対することを申し上げて、御賛同いただきたいと思います。
 討論を終わります。(拍手)
#9
○議長(福田一君) 白川勝彦君。
    〔白川勝彦君登壇〕
#10
○白川勝彦君 私は、自由民主党を代表いたしまして、酒税法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行います。
 わが国の公債発行残高は、昭和五十五年度末で七十一兆円に達する見込みであります。また、本年度の公債発行額は十四兆円でありますが、これは、アメリカ、西ドイツ、イギリス、フランスの公債発行額の合計にほぼ匹敵する膨大な額であります。
 また、わが国の公債依存度は三三・五%でありますが、アメリカの六・四%、西ドイツの一一・五%、また、イギリスの一〇・六%、フランスの五・二%に比べるとずば抜けて高いのであります。
 まさにわが国の財政は異常であると言わざるを得ないのであり、われわれは、いまいかに苦しくとも、この異常な事態を克服するために、蛮勇をふるって努力をしなければならないのであります。(拍手)
 幸い、わが鈴木内閣は、財政再建を内閣の一大使命としており、昭和五十六年度予算においても、公債発行額を前年度当初予算額に比べ、さらに二兆円減額しており、また、歳出面においても、思い切った節減合理化を行っているのであります。
 しかし、一方では、福祉、文教などの行政の水準を維持、向上していくことが強く要請されており、そのため、相当の財源の確保が必要なのであります。
 そこで政府は、現行税制の基本的な枠組みの中で税の見直しを徹底的に行い、公正、妥当な増収措置を図ろうとしているのであります。
 酒税の改正は、その増収措置の一つであり、本改正によって昭和五十六年度で二千八百億円程度の増収を期待しているのであります。
 言うはやすく、行うはかたし、これがまさに財政再建であります。しかし、わが政府は、着実かつ謙虚に、この努力を始めたのであります。私は、政府のこのような姿勢を高く評価するものであります。
 今回の改正案の中身について申し上げます。
 御案内のように、酒税は従量税率を基本としております。すなわち、酒一本について何円の税金という決め方であります。したがいまして、酒の価格が上昇すると、酒の中に占める税金の負担割合は相対的に低下するのであります。五十三年の酒税改正後、酒の価格が相当上昇しておりますため、酒の中に占める税金の負担率は相当低くなっておるのであります。そこで、この際、従来の負担率程度まで酒税の値上げを認めていただけないだろうか、お願いできないだろうかというのが本改正案の主たる内容であります。
 また、今回の引き上げ幅は、一般の酒類については二四・二%程度を原則としておりますが、清酒二級、合成清酒、しょうちゅうなど、大衆の酒と言われているものにつきましては、九・六%程度と極力圧縮しているのであります。この結果、具体的には清酒の二級一合、すなわちコップ一杯で一円四十八銭、合成清酒で一円六銭、しょうちゅうで九十二銭の負担増のお願いなのであります。
 こうした配慮は、これらの酒が一般大衆の酒であること、また、これらの酒の生産が中小の業者によってなされている点を考慮したからであります。
 以上の諸点を総合判断すると、今回の酒税の改正は、必要かつやむを得ないものであり、その引き上げ幅も妥当な範囲にとどまっているものと言えるのであります。
 国民に対し増税のお願いをすることは、洋の東西を問わず、時代のいかんを問わず、恐縮至極のものであります。しかし、財政の健全化を図り、財政にみずみずしい活力を取り戻し、機動的な財政運営を可能にすることが、いま、わが国の最大の課題であります。
 父親の愛にも似た厳しさをもって、あえていま、この酒税の改正を行わんとする本法律案に、私は、自由民主党を代表し、全面的な賛成の意を表して、討論を終わります。(拍手)
#11
○議長(福田一君) 柴田弘君。
    〔柴田弘君登壇〕
#12
○柴田弘君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案につきまして、反対の態度を表明し、討論を行うものであります。(拍手)
 まず、反対する理由の第一は、今回の酒税の引き上げは、その提案の理由でも明らかでありますが、財政再建を進めるためのものとされております。われわれも、財政再建を進めることにつきましては異論を差しはさむものではありません。
 しかし、政府の財政再建の手法は、国民生活に負担増を一方的に押しつけるものと言わざるを得ないのであります。
 たとえば、政府の昭和五十六年度予算案及び税制改正案を見ましても、所得税減税の見送りによる、いわゆる見えざる増税二兆七千六百九十億円と酒税の引き上げ分の二千八百三十億円だけでも、三兆円を超える大衆増税の強行となっております。
 しかも、われわれが再三にわたって要求をしてまいりました所得税、法人税、租税特別措置などの税制全般にわたる広い意味での不公平税制の是正は、若干の措置がなされたものの、とうてい納得のいくものではありません。
 また、国民の強い要望であった歳出の削減につながる行財政改革の断行につきましても、五十四年度の会計検査院の決算報告書では相変わらず予算のむだ遣いが指摘をされているにもかかわらず、五十六年度予算では、このむだ遣いをなくするための根幹である行政改革や補助金の整理合理化に見るべき成果がないというのが実情であります。
 このように、財政再建に名をかりて強行される安易な大衆増税路線の一環としての酒税の引き上げには反対せざるを得ないのであります。
 反対理由の第二は、酒税の引き上げが国民生活を圧迫することはもとより、わが国の経済成長や財政再建にとってもマイナス要因となりかねないことであります。
 政府は、酒税の引き上げが消費者物価にもたらす影響は、CPIで〇・一六%程度の上昇であると楽観をいたしておりますが、これは余りにも短絡的な見方であります。
 わが国の経済、財政状況は、第一次石油危機を乗り越え、第二次石油危機も克服しつつあると言われております。すなわち、近年、経済では五%程度の実質経済成長率が保たれ、財政でも所得税減税を見送るなど内容的に問題はあるものの、好調な税の自然増収の確保ができ、ひいては国債発行額の減額を可能にしているのであります。
 こうした経済、財政の推移を支えた主要因の一つとして、個人消費の順調な伸びがあったことを見逃すことができないのであります。
 また、五十五年度においては、第二次石油危機の影響から高物価が懸念をされていたにもかかわらず、勤労者は、政府の消費者物価上昇の当初見通し六・四%を信じ、低いベースアップに甘んじてきたのであります。しかも、この勤労者の節度ある対応は、わが国経済が先進諸外国に比べて最も早く第二次石油危機を克服するという成果をもたらしております。
 しかし、政府の消費者物価の上昇見通し六・四%は、実績見込みで七%に上方修正することを余儀なくされ、かつ、最近の消費者物価動向からは、五十五年度の消費者物価の上昇率が八%に迫るとも見られております。こうした政府見通しを大幅に上回る物価高騰は、所得税減税の見送りなどと相まって、勤労者の実質賃金の減少をもたらし、その減少幅も五十五年度ではマイナス一%に達して、戦後最悪とも言われているのであります。
 また、五十六年度を展望してみても、政府案では所得税減税が見送られたことから、ますます実質増税が加速されることを初め、景気のかげりの広がりはベースアップの抑制要因となりかねず、物価動向も、公共料金の軒並み値上げが物価高の引き金になりかねない状況であります。
 この上に、税負担増と物価高をもたらす酒税の大幅引き上げが強行されるならば、勤労者を中心とする国民生活は、ますます窮乏化することは必至であります。加えて国民生活の窮乏化は、個人消費の減退から景気の後退など、経済不振を招くことは容易に想像できます。
 したがって、所得税減税の実施、公共料金の値上げ抑制など、国民生活の向上に適切な配慮を講じないままで、負担増加の上乗せを図る酒税の引き上げは、断じて認めることはできないのであります。
 また、酒税の引き上げは、酒類製造業者及び販売業者への多大な影響をもたらし、規模の小さいものほど経営の圧迫要因となることが明らかであります。
 特に、現在は中小零細企業の倒産が史上第二位に位置する規模で続出し、景気動向も、政府が総合景気対策の発動を検討せざるを得なくなっていることなどを考え合わせますと、酒税の引き上げが中小規模の酒類メーカー及び販売業者の経営に打撃を与えることは十分に予測できるのであります。
 この点につきましても、われわれが本法案に賛成できない理由の一つであることを申し添えまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#13
○議長(福田一君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#14
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#15
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#16
○議長(福田一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十三分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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