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1980/03/24 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第12号
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1980/03/24 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第12号

#1
第094回国会 本会議 第12号
昭和五十六年三月二十四日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十一号
  昭和五十六年三月二十四日
    午後一時開議
 第一 交通安全施設等整備事業に関する緊急措
    置法及び踏切道改良促進法の一部を改正
    する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求め
  るの件
 鉄道建設審議会委員任命につき同意を求めるの
  件
 地方財政審議会委員任命につき同意を求めるの
  件
 日程第一 交通安全施設等整備事業に関する緊
  急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関
  係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
 財政運営に必要な財源の確保を図るための特別
  措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
  及び質疑
    午後二時三十四分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求めるの件
 鉄道建設審議会委員任命につき同意を求めるの件
 地方財政審議会委員任命につき同意を求めるの件
#3
○議長(福田一君) お諮りいたします。
 内閣から、
 日本銀行政策委員会委員に梶浦英夫君を、
 鉄道建設審議会委員に竹田弘太郎君、山田明吉君、宮崎輝君、藤本一郎君、森本修君、松沢卓二君、角本良平君及び八十島義之助君を、
 地方財政審議会委員に知野虎雄君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 まず、日本銀行政策委員会委員及び鉄道建設審議会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#4
○議長(福田一君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。
 次に、地方財政審議会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#6
○議長(福田一君) 日程第一、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。交通安全対策特別委員長斎藤実君。
    ―――――――――――――
 交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔斎藤実君登壇〕
#7
○斎藤実君 ただいま議題となりました交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法及び踏切道改良促進法の一部を改正する法律案につきまして、交通安全対策特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、昭和四十六年以来、年々減少傾向にあった交通事故死傷者数が、最近増加に転じ、年間六十万人を超える等、依然として憂慮すべき交通事故の状況にかんがみ、交通事故の防止及び交通の円滑化を図るため、現行の計画に引き続き、昭和五十六年度以降五カ年間において実施すべき交通安全施設等整備事業に関する計画を作成し、総合的な計画のもとに交通安全施設等整備事業を実施するとともに、昭和五十六年度以降五カ年間において改良することが必要と認められる踏切道について指定し、その改良を促進することを目的とするものであります。
 本案は、去る二月三日本委員会に付託され、同月二十七日斉藤建設大臣から提案理由の説明を聴取し、三月二十日質疑を終了、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#10
○鹿野道彦君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#11
○議長(福田一君) 鹿野道彦君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 雇用に係る給付金等の整備充実を図るための
  関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
#13
○議長(福田一君) 雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。社会労働委員長山下徳夫君。
    ―――――――――――――
 雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関係法律の整備に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔山下徳夫君登壇〕
#14
○山下徳夫君 ただいま議題となりました雇用に係る給付金等の整備充実を図るための関係法律の整備に関する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、高年齢者、心身障害者その他就職が特に困難な者の雇用機会の増大、高年齢者の雇用の延長の促進及び職業生涯を通じての段階的、体系的な職業能力の開発向上の促進等に資するため、現在百を超えている雇用に係る給付金を整理統合するとともに、その体系、内容の充実等を図ろうとするもので、その主な内容は、
 第一に、雇用保険法においては、雇用安定事業の一環として、高年齢者、心身障害者等、就職が困難な者の雇用機会の増大を図るため、事業主に対して助成、援助を行うこと、
 雇用改善事業の一環として、定年の引き上げ、定年に達した者の再雇用等を行う事業主に対して助成、援助を行うこと、
 及び能力開発事業の一環として、段階的かつ体系的な事業内職業訓練計画に基づく職業訓練を行う事業主に対し助成、援助を行うこと、
 第二に、駐留軍関係離職者等臨時措置法その他特定の離職者に関する特別法において、それぞれ支給されている各種給付金について、その根拠法を統一し、雇用対策法の規定に基づき支給することとすること、
 第三に、雇用促進事業団法において、雇用促進事業団の業務として、高年齢者の作業を容易にするため必要な施設の設置等に要する資金の融資制度を創設すること等であります。
 本案は、去る二月十二日委員会に付託となり、本日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#17
○議長(福田一君) この際、内閣提出、財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣渡辺美智雄君。
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#18
○国務大臣(渡辺美智雄君) 財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、わが国財政は、第一次石油危機後の停滞する経済の中で、あえて大量の公債の発行を行い、わが国経済を安定成長へ円滑に移行させる上で、大いなる成果を上げてまいりました。反面、わが国の財政収支は巨額の赤字に陥り、いまだに特例公債を含む大量の公債に依存せざるを得ない状況が続いております。
 このため、財政は、社会経済情勢の変化に対応した新たな施策を講ずる力を失い、また、公債残高の累増は、経済金融政策の円滑な運営に大きな影響を及ぼすに至っております。
 いまや、一刻も早く財政の公債依存体質から脱却し、財政の対応力を回復しておくことがぜひとも必要であります。
 このような考え方に立って、昭和五十六年度予算の編成に当たりましては、公債発行額を、前年度当初予算よりもさらに二兆円減額することとし、自然増収を優先的にこれに充てることといたしました。
 これを受けて歳出面においては、一般行政経費を極力抑制するとともに政策的経費について根底から見直すなど、思い切った節減合理化を図ることといたしたところでありますが、福祉、文教等の行政水準を維持するためには、なお相当の財源が必要であります。
 このため、歳入面において徹底した見直しを行うこととし、現行税制の基本的枠組みの中で相当規模の増収措置を講ずるとともに、特殊法人からの臨時特例的な国庫納付等を実施して税外収入の増収を図ることとしたところであります。
 このような歳入歳出両面の見直しを通じ、公債発行額の二兆円の減額は、そのすべてを特例公債の減額によることといたしましたが、昭和五十六年度においても、なお引き続き特例公債を発行せざるを得ない状況にあります。
 本法律案は、このように国の財政収支が著しく不均衡な状況にあることにかんがみ、当面の財政運営に必要な財源を確保し、もって国民生活と国民経済の安定に資するため、租税収入以外の歳入に係る特別措置を定めるものであります。
 すなわち、本法律案は、昭和五十六年度における特例公債の発行及び日本中央競馬会の国庫納付金の納付の特例に関する措置を定めるとともに、昭和五十六年度から昭和五十九年度までの間における日本電信電話公社の臨時国庫納付金の納付、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の利益金の処分の特例並びに産業投資特別会計から一般会計への繰り入れの各特別措置を定めております。
 以上、財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案の趣旨について御説明申し上げた次第でありますが、政府といたしましては、財政の公債への依存、なかんずく特例公債への依存からできるだけ速やかに脱却するため、財政の健全化に引き続き全力を尽くす決意であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#19
○議長(福田一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。佐藤観樹君。
    〔佐藤観樹君登壇〕
#20
○佐藤観樹君 かねてより警告を発してきましたように、わが国財政はますます、借金を返すために借金をするというサラ金財政に陥っております。過去の借入金の元金及び利払い、すなわち国債費が五十六年度国債発行額十二兆二千七百億円の半分を超える五四%に達したことが、このことを端的に物語っております。それゆえに、財政再建は、わが国が抱えた最大の政治課題であります。その一環としてここに提出されました法案につき、私は、日本社会党を代表して、反対の立場から、行財政改革、財政運営のあり方、公社制度の基本的な問題点について、数点質問をいたしたいと思います。(拍手)
 鈴木総理は、行政改革を断固実現をして、五十七年度は大型消費税を導入しないことに政治生命をかけると表明をされました。わが党も、その行政改革が民主的かつ効率を目的とし、関係当事者を含めて広範な国民の意見の合意の上になされるならば、協力することにやぶさかではありません。
 本年度一兆四千億円の大増税がされ、来年度はいよいよ大型消費税かと恐怖におののいている国民にとって、増税なしの財政再建は、これが本当ならばまことに朗報であります。しかし、昔から言うように、うまい話には必ず落とし穴があるものではないか、こう疑ってみるのは私一人ではないのではないでしょうか。
 大蔵省が本年一月に発表した財政の中期展望でも、五十九年度までに赤字国債をゼロにするためには、六兆八千億円の歳入増が必要と言っております。一体、これだけの額を行財政改革で本当にできるのでしょうか。
 それとも都議選を前にいたしまして、五十七年度は増税をしないけれども、五十八年度に二年分やられたのでは、国民にとっては全く同じことでございます。一体、総理の言う増税なき財政再建というのは当面五十七年度だけのことなのでしょうか。
 しかも、行革の中には公共事業、補助金のカットも当然含まれますが、これだけの大きな規模になれば景気との関係も無視できません。一体、これをどう考えていらっしゃるのでしょうか。
 そして、総理が、政治生命をかけてやられるというこの増税抜きの財政再建がいま一つ信じられないのは、昨日の大蔵委員会におきます小倉政府税制調査会長の答弁にもあらわれております。総理大臣の諮問機関であり、総理が任命する税調会長が、わが党の質問に対して、来月から税調の中に特別部会をつくり、大型消費税の検討を始めると堂々と言っているのであります。あなたの任命した渡辺大蔵大臣も、大型消費税はやりたくはない、しかし、相変わらず研究を続ける、こういう表現をしているのであります。これでは、あなたが、内閣の命をかけてとまで言われたせっかくの発言も、素直に信じられないのは当然ではないでしょうか。
 総理、小倉税調会長を呼んで、あなたの真意を伝え、税調の審議をストップさせるべきではないでしょうか。渡辺大蔵大臣も、鈴木内閣の大蔵大臣である限り、総理の方針に全面的に従うのは当然であります。この言動があって、初めて総理の発言を国民は信用することができると思います。総理大臣の決意をお伺いをしたいと思います。(拍手)
 第二の質問は、国債の消化と行財政改革問題であります。
 国債の大量発行が、民間金融機関の融資活動や経営に大きな重圧になっていることは御承知のとおりであります。この二、三年、預金増加額の四割から五割が国債消化に充てられています。その上、その預金集めも郵便貯金と競合し、厳しい状態にあることも御存じのとおりであります。
 この郵貯や年金を原資とする財政投融資も、いま、高度成長時代の惰性から抜け出すことを求められています。この二、三年、財投は、使い切らずに翌年に繰り越した額が二兆五千億から三兆円、当初計画の二割にも上っております。
 環境衛生金融公庫のように、五十三年度は二百五十億円もの不用額を出しながら、五十四年度の財投額はさらに増額をされて、結局、不用額が五百億円にはね上がった、こういう例もございます。
 日本開発銀行は、いまやホテル銀行あるいはスーパー銀行と言われますように、東京新宿の小田急センチュリー・ハイアット・ホテルに八十億円、埼玉県の越谷のコミュニティープラザに全融資額の八〇%、新潟や仙台のホテルにも工事費のかなりの割合を融資をしております。
 開銀と北海道東北公庫のように、石油会社の備蓄タンクの設備融資を競い合った結果、貸し出しの名目を変えて、その企業に両方から貸し出したというひどい例さえあります。
 こんなに無理してまで貸し出すのは、財投を原資とする政府関係機関が、各省庁OBの最も有力な天下り先であり、だから仕事をつくっておかなければならないからであります。
 私は、こんなに財投資金がだぶついているのなら、この資金で、もっと国債を引き受けるように提案をいたします。こうすれば、国債の引き受けが民間金融機関の活動を圧迫する度合いも減りますし、政府関係機関も、財投の減った分は民間資金を取り入れ、効率的な経営をせざるを得なくなります。
 このように、資金の流れを合理的に変えて仕事が減り、初めて行財政改革ができるのであって、高度成長時代にでき上がった安易な非効率的なシステムをそのままにして、行財政改革はできないと思いますが、総理大臣の見解をお伺いをしたいと思います。(拍手)
 第三の質問は、電電公社に四年間で四千八百億円の納付金を国に納めさせる問題についてであります。
 この発案者は中曽根行政管理庁長官のようでございますが、その発想には、電電公社はもうかっている、一兆三千億円もの利益剰余金があるとのことのようであります。一体、次期総理を目指しておられる中曽根長官は、電電公社の経営実態をよくわかっていらっしゃるのでしょうか。
 公社の貸借対照表には、確かに五十四年度の決算額で十六兆六千七百億円の資産を持つ巨大企業のように見えますけれども、負債・資本の部を見れば、総負債額は電電債等を中心にいたしまして五兆八千三百億円、資本金は国が出したわずか百八十八億円。資本剰余金は二兆六千億円ございますけれども、これは加入者が負担をしました設備料の合計でございまして、すべて電話回線やあるいは交換機に変わってしまっていまして、ここからは納付金を納めることはできません。
 中曽根長官の言う利益剰余金は、過去の収支差額の累積ですけれども、これもあらかじめ、施設の拡充や更新のための建設資金にすべて充てることを、法律や予算で義務づけられているのであります。つまり、収支差額は、民間企業の利益金のように内部留保されたり株主の配当に回されるというようなものと全く性格を異にします。収支差額は、どこか公社の金庫に山と積まれているわけではなく、これもすでに建設資金に充当されてしまっていますから、ここから国は納付金を取ることはできないのであります。
 戦前、戦費調達のため、十三億円、いまの価格に直しまして約数兆円になりますけれども、国庫納付をさせましたことが、後に電電の技術革新を大変おくらせました。この貴重な経験を踏まえ、電電公社発足のときに、国会で多くの議論を経て、国庫納付金制度をやめ独立採算制で再出発し、今日に来たのであります。
 このような歴史的な経緯や、公社予算の立て方、経営の実態のどこからとりましても、国に納付金を納める根拠は全くないのでありまして、発案をいたしました中曽根長官、提案をしております渡辺大蔵大臣、これを受け入れました山内郵政大臣に、しかとその根拠を伺いたいのであります。(拍手)
 さらに、電電公社は、国に四千八百億円を納めるために、財政投融資から四千億円借り入れますけれども、この金利が十年間で同じく四千億円になります。つまり、公社といたしましては、合計八千八百億円の負担になるわけであります。今後、過去の借入金の返済額がウナギ登りに多額になります公社にとりましては、大変な重圧になります。
 このように、ただでさえ借金体制の公社経営の基盤を弱めることになると思いますけれども、この点はどう考えられておるのか、三大臣に責任ある答弁を願いたいと思います。(拍手)
 経営が苦しくなれば、当然電話料金の値上げの問題が起こってまいります。すでに、真藤総裁は、五十八年または五十九年に値上げを示唆をしております。
 これに対して、郵政大臣は、納付金を納めている間、値上げは国民に納得を得られないと参議院予算委員会で表明していますけれども、こんな無理を公社に強いたのは一体だれでしょうか。当然、このような事態を予想してかかるのが担当大臣の責任ではないでしょうか。
 もし、料金値上げを避ける、あるいは時期をおくらせようとするためには、この八千八百億円の負担を公社の生産性の向上の中で吸収する以外はありません。設備増強による生産性の向上が資金的に限度がある以上、二十九万公社職員が、より一層労働生産性を上げ得るような条件、環境をつくり出すことであります。そのためには、公社職員がこの目的に向かって、やる気を起こさせるような賃金を保障することでございます。
 電電公社法や公労法で、はっきりと、職員の給与は、団体交渉により、公社が自主的に決定できる仕組みになっております。これは、電電公社が発足当時、公社にこのような当事者能力を持たせ、公社制の持つ企業性を発揮させることで能率的な運営を目指していたことは、当時の国会審議からも明らかであります。
 にもかかわらず、現状は公社経営のすべてを予算の金縛りにし、国会が法律で認めた公社の当事者能力を否定さえしています。すなわち、予算の決定時に、その年度に支給できる給与の額を基準内外にわたって厳しく規定し、移流用も一々郵政、大蔵両大臣の協議を義務づけられ、ベースアップ原資も申しわけ程度に計上するのみで、予備費の流用についても原則的に認めておらないのが実情でございます。
 これでは、職員が幾ら能率を上げ経費を節約しても、何ら還元されることはなく、いたずらに労働意欲を減退させるだけでございます。
 私は、せめて納付金を強いる四年間だけでも、基準給与については公社の自主的決定権を認め、労働意欲をわかせ、労働生産性を向上させた分は、それに見合うだけの業務成績向上手当を支給する制度を新設することがきわめて当然なことだと思います。
 物価対策上からも、河本経済企画庁長官も同趣旨の発言をされております。
 大蔵、郵政両大臣の考えをお伺いしますと同時に、もし私の考えを否定なさるならば、納付金が直ちに料金値上げにはね返らない具体的な方策を、国民の前に明らかにしてもらいたいと思います。(拍手)
 最後に、市場経済、自由競争にたえ得る公社経営のあり方について総理に伺って、終わりにしたいと思います。
 今後の日本経済を展望するとき、その戦略産業はまさに情報通信産業であり、その中核になるのは電電公社であります。しかし、公社の経営は、電話の普及も一段落した今日、従来のように独占的な地位から、民間通信企業と競争、競合の時代に突入しています。すなわち、非電話系サービスでありますデータ通信、ファクシミリ、集積回路あるいは光ファイバー通信など、技術的には無限に広がる新しい分野で民間大手企業と激しい競争にさらされます。
 私も、電電公社がいつまでも独占的な地位を保つことは、経済の競争原理からいって好ましいことではなく、非電話系サービスの分野でも、民間に開放することにやぶさかではありません。
 ただし、その場合、公社が民間企業と同じ条件で競争できるように、さきに触れた給与のほか、人事管理や投資のやり方など、企業として新しい事態に適確に対応できるよう、現行の予算第一主義を改め当事者能力を高めなければ、公社の企業性は死んだにも等しいことになってしまいます。民間企業は採算の合う都市部を中心にサービスを提供し、公社はその公共性ゆえに非採算部門を担当させたのでは、第二の国鉄になってしまいます。
 勇気を持って民間から総裁を起用することに踏み切った総理、その真藤総裁の第一声が、責任のみ重くて、その割りには権限が少ないという、こういった状態では、どのような人が総裁になっても、今後の公社の将来に希望は持てません。せっかく民間から企業活動に豊かな経験を持つ総裁を迎えた以上、十分腕をふるい、公社制度の持つ公共性と企業性とがあわせて発揮できるように、現行の予算第一主義を抜本的に見直すという勇気ある答弁を期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 佐藤君にお答えをいたします。
 まず、財政投融資資金による国債の引き受けでありますが、最近の国債の消化状況にかんがみまして、この点は十分配慮いたしております。今年度には、当初予定した二兆五千億円に加え、年度中の郵便貯金の増加見込み額の大部分に相当する一兆二千億円の国債の追加引き受けを行いましたし、また来年度の財政投融資計画では、規模の増加率を七・二%に抑制した反面、国債引き受けは前年度当初計画より一兆円ふやし、三兆五千億を予定いたしております。
 他面、全体としての国債発行額が来年度は二兆円減額されているわけでありますから、民間金融機関の国債引受額は次第に円滑な消化を期待できるものとなってきておるのであります。
 財投の効率的運用につきましては、財投対象機関の事業や融資の内容等の見直しも含めまして、今後とも努力してまいります。
 電電公社の経営についてでありますが、現在の公社という経営形態の中では、当然のことながら、公共性、財政民主主義等からする一定の制度的枠組みがございますので、その中でできる限り合理的、効率的な企業経営の努力がなされるべきものと存じます。
 五十七年度予算編成についてでありますが、御承知のとおり、大蔵省がさきに発表した財政の中期展望におきましては、現行制度をそのまま投影してみた場合、二兆七千七百億円という要調整額を生ずると考えられているのであります。
 これをどう処理するか、その対応が求められるのでありますが、私は、時あたかも第二次臨時行政調査会の発足した折でもありますので、五十七年度予算については徹底した歳出の削減合理化によって、これに対処したいと考えております。大型新税の導入など念頭に置かず、行財政の合理化に全力を尽くすという決意でありまして、このため、臨時行政調査会の発足に当たり、特にお願いをして、今年の夏までに歳出の削減合理化策、つまり、金減らし策について中間答申をいただくことといたしました。これを五十七年度予算等を通じて誠実に実施に移してまいりたいと考えております。
 私は、財政の再建は、来るべき二十一世紀への足固めのため、避けて通れない緊急の課題であると考えております。(拍手)このため、五十六年度予算におきましては、二兆円の国債減額をいたしました。予算の伸び率を二十数年ぶりに一けたにとどめました。また、既存税制の枠内ではありますが、あえて一兆四千億に近い増税を国民の皆様にお願いいたしました。
 五十七年度におきましては、ひとつ抜本的な歳出の削減合理化によって財政再建をさらに一歩進めたい、大型新税の導入などは念頭に置かず、これに取り組みたいと決意いたしておりますので、どうか、各党各会派におきましても、総論賛成、各論反対などというようなことのないよう、挙げて御支援、御協力をお願いする次第であります。(拍手)
 税制調査会や大蔵省が、社会経済情勢の変化に即して常に税制の見直しを進め、最も望ましい税制のあり方を勉強していくのは当然のことであります。しかしながら、私は、五十七年度予算編成では、大型新税の導入なしで財政再建に取り組んでいく決意でありますので、この点は、大蔵大臣にも税制調査会長にもよく理解していただいていると信じております。
 残余の点につきましては、主管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#22
○国務大臣(中曽根康弘君) 電電公社の経営は、関係者の努力によりましてかなり良好、順調でありまして、この点につきましては、関係者の努力を大いに評価するものでございます。
 しかし、この背景には、国家の独占企業で競争者がいないということ、それから、五十一年に料金を決めましたけれども、結果的に、やや余裕を持った料金となった、こういうような背景から利益金、すなわち収支の差額がかなり出てきておるわけであります。五十五年末におきましても、約一兆六千億円と推定されるいわゆる剰余金、収支差額が生まれております。しかも、ここ二、三年の間、また相当額の剰余金が見込まれる状態でございます。こういう状態でございますので、国の財政窮乏の折から、臨時特例の措置として、電電公社にも御協力を願うことにしたわけであります。
 そのためには、自己資本比率を検討いたしました。電電公社の過去十五年間における自己資本比率は約三三%でございます。それが最近は三八%に上がっているわけです。日本の経済界を見ますと、全産業の平均が一六%、電力で一七%、ガスで二一二%でございます。そこで、電電公社も過去十五年間の平均の三三%に自己資本比率を直していただく。そこで四千八百億円が出てくるわけでございます。
 そして、この四千八百億円を決める際にも、値上げを回避するということ、それから特に夜間とか長距離とか日曜、祭日の割引をやっていただくことになっておりますが、これによって値上げが行われないように配慮するということ、そのために経営に響かないように資本勘定の中からこれを出していただく、そういう措置を講じまして御協力をいただいた次第でございまして、御了承をお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#23
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 電電公社の納付金を取る理由でございますが、いま中曽根長官からるる御説明があったとおりでございまして、電電公社の労使一体の御協力によって電電公社が非常に内容が充実してきたということは大変喜ばしいことだ、私はこう思っておるわけであります。
 ともかく、世界に例のないほど国家財政が赤字財政に悩んでおるときでありますから、電電公社も国家の政府関係機関の一つでございまして、したがって、政府が苦しんでおるときですから、これは政府関係機関の一つとして、財政再建にも臨時特例の措置として御協力をいただきたい。ただいま中曽根国務大臣からお話があったように、民間の会社の自己資本比率というのは十数%から二三%、したがって、電電公社は三三%くらいまで結構ですよということで、それ以上の分については取り崩しをしてお願いしたい、こういうことを言っておるわけでございます。
 電電公社は、ともかく、それだけ一兆六千億円も利益積立金があって、剰余金は累計で五十六年度末では二兆二千四十六億円くらいになるのです。これはどうしてかというと、普通の会社であれば、もうかれば半分は税金で取られるわけです。それをともかく税金を払わずに積み立ててこられたわけでございますが、ともかくKDDでも、あそこは年間一千四百億円くらいの売り上げです。それで三百六十億円くらい税引き前利益を出しまして、二百億円程度は地方税と国税で納めておる。電電公社は売り上げ三兆四千億でございますから、その二十数倍。ですから、二十分の一くらいのところでも年間二百億くらいは納めてもらっているんだから、ともかく臨時特例の措置ですから、一年に一千二百億円、四年間くらいは、何とかひとつ御協力いただけないかということでございます。国家に納めるということは、国家は国民のためにそのお金を使うのでございまして、これは国民に返すことと全く同じじゃないかと私は考えておるわけでございます。(拍手)
 それで、そのコストについては、先ほど言ったように資本勘定の中から取り崩すわけでございまして、これは経費には算入しないということでございますから、その点も御了承を賜りたいと存じます。
 その次に、電電公社につきましては、労働の生産性を上げる方法として、業務成績向上手当というものを新設をしてやったらどうだ、こういうようなことでございます。
 しかしながら、今回の電電公社の納付金は、経費として落とすのではなくて、資本勘定の利益積立金の中から取り崩すということでございますから、実はコストとしては算入しておらないわけでございます。
 給与の決め方については、職員の発揮した能率が、電電公社のようなところでは、考慮されるという必要は私はあると思います。しかしながら、公共企業体の事業というのは非常に公共的性格が強い、しかも独占性が高い。また、その運営は国家財政ないし国民の負担と実は密接な関係を持っております。こういうようなことも考えますと、基本的には、電電公社であっても、その給料というものは、やはり国家公務員と民間事業の従事者の給料、こういうものも考慮をして決定する必要があるのじゃないかと思っています。
 電電公社の職員に対しては、すでに、勤労意欲を高めるために業績手当の上積み分及び生産性向上協力手当の支給というものによって現在やっておりますから、国家公務員の水準を相当上回る給与が現在も支給をされておるわけでございます。
 公共企業体等の職員の給与決定の基本にある考え方は、国民の理解が得られる妥当性の確保という点にございます。したがって、職員の今後の給与については、公社職員の勤労意欲を高めるため、さらに配慮することについては、今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
 なお、最後に、最終的に大型増税というものを五十七年度において考えないで財政再建をやるかということでございますが、この件につきましては、ただいま総理大臣がお答えをいたしたように、大型増税なんというものを頭の中に考えると、どうしてもその方に頼って歳出カットがなまくらになるというような点から、私は頭の中にあったんですが、やはりそれは考えない方がよろしいという総理大臣の御指示もございまして、私はこれも念頭に置かない。ともかくもう歳出カットをやらなきやならぬ。そのためには、これはもう後ろへは引っ込めないわけですから、思い切った歳出カットにまず着手をするということで、私も政治生命をかけてやるつもりでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣山内一郎君登壇〕
#24
○国務大臣(山内一郎君) まず、国庫納付金と電電公社の経営との関係についてお答えをいたします。
 電電公社の臨時国庫納付金につきましては、現下の喫緊の課題であります国の財政再建に関し、政府出資法人全般について協力が求められ、電電公社につきましても、その事業活動力に期待をしまして、大局的見地から協力することとし、臨時かつ特例的な措置として、国庫への納付を行うこととしたものであります。
 したがって、現在の公社の経営の原則である独立採算制に根本的な変更を加えようとするものではなく、この点は今後とも尊重されるべきものと考えております。
 現在の電電公社の経営状態を見ますと、長期負債を有してはおりますが、自己資本比率はかなり高いなど、その財務体質は比較的充実したものとなっており、また、資金調達力もあるなど、事業活動力がすぐれておりますので、郵政省としましては、公社が今後一層の増収、経費節減等の経営努力を行うことによりまして、できる限り、この負担増を吸収するよう期待しているところであります。次に、国庫納付金と料金値上げとの関係でございますが、電電公社の事業の発展は公社役職員の努力によるものでありますが、一方、社会経済の進展に伴う需要の増加や技術革新による技術生産性に支えられてきたものであり、今後も一層その進展が期待されているところであります。
 今般の臨時納付金は、公社の負担とはなりますが、郵政省といたしましては、公社が増収、経費節減等の一層の経営努力によって、これら負担増を吸収することを期待しているところであり、直ちに料金値上げにつながるものではないと考えております。
 また、公社職員の給与につきましては、労使間の交渉において適切に処理すべきものでありますが、この際は、公社法第三十条に基づきまして、職員の発揮した能率が考慮されるべきものであるとともに、他方、公社は公共部門の一つであり、その公共性、独占性という公社事業の性格から、国家公務員及び民間事業の従事者の給与その他の事情が考慮されねばならず、国民的に理解と納得が得られるような方向で対処さるべきものであると考えております。(拍手)
#25
○議長(福田一君) 小沢和秋君。
    〔小沢和秋君登壇〕
#26
○小沢和秋君 私は、日本共産党を代表して、財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案について、総理並びに関係大臣に対し質問いたします。
 今日、わが国の財政は戦後最大の危機に直面しております。この法案どおり来年度も十二兆二千七百億円の国債を発行すれば、来年度末には、その残高は実に八十二兆円、国民一人当たり七十万円の巨額に達します。
 その一方、国債費は六兆六千五百四十二億円、予算総額の一四%に上ります。これはすでに来年度の国債発行額の半分を超えております。赤字国債の本格的な償還が始まる昭和六十年度以降は、毎年の償還額がいまの四倍、実に二十兆円にもなり、事態はさらに深刻になります。この危機をどう打開するかは、まさに今日のわが国の最も重要な緊急課題と申さなければなりません。
 そこで、まず第一に、この財政危機の原因と責任についてお尋ねいたします。
 財政法第四条は、第二次大戦での財政破綻の教訓から、赤字国債の発行を禁止しております。
 しかるに、政府は、この精神を踏みにじり、一九六五年から国債発行を始め、特に第一次石油ショック以後、野放しの大量発行に踏み切ったのであります。そして、これを財源にして大型公共事業費を集中的にふやしました。七六年の対前年比一九・七%増を皮切りに、七七年の二〇・七%、七八年三四・五%、七九年二二・五%と、わずか四年間で二・四倍化したのであります。
 また、公共事業費とともに財政危機のもう一つの原因となっているのが、軍備の急速な拡大であったことは、いまや国民の常識であります。
 軍事費は、同じ七六年からの四年間に三五・六%も増額されました。そして、財政危機が表面化し、公共事業費の伸びが抑えられてからも、軍事費だけは、日米軍事同盟の攻守同盟化、世界有数の軍事大国化という危険な方向を目指して加速度的に膨脹を続け、財政を一層の破綻に陥れてきたのであります。
 総理は、これまでしばしば国債大量発行の原因が福祉の行き過ぎにあったかのごとき発言を繰り返していますが、これは以上のような歴史的事実を偽るものであります。
 総理は、この際、国債大増発が大企業向け公共事業と軍備拡大のためであったことを、率直に認めるべきではありませんか。(拍手)
 総理は、今日の財政危機について、どう反省しているのか。いま、軍事費を削り、暮らしと福祉、教育の充実をという国民の要求はますます強くなっています。総理は、この要求に謙虚に耳を傾ける気持ちはないのか、お尋ねいたします。
 第二に、この国債増発政策が、わが国の経済と国民生活にもたらした結果についてであります。
 大企業は、確かに、このおかげで不況を切り抜け、ついに八〇年九月期決算では、軒並み史上空前の利益を上げるに至りました。しかし、その一方、労働者の実質賃金は、労働省の統計始まって以来、二十八年目にして初めて低下いたしました。農民は米の作付制限と冷夏による減収で大きな打撃を受けました。中小業者は不振にあえぎ、倒産の危険に脅かされ続けています。
 まさに大企業の繁栄は、このような国民生活の犠牲の上に咲いたあだ花にすぎません。もし政府がこのような結果を直視するなら、今後の国債償還の負担は国民に負わぜるべきでなく、国債増発の直接の恩恵をこうむった大企業などに負わせるのが当然ではありませんか。(拍手)総理の明確な答弁を求めます。
 しかるに現実には、政府は、すべての犠牲を国民に押しつけようとしているのであります。
 来年度予算では、国民に対し、過去の国債増発のツケと、将来の軍備拡大の負担の両方を一挙にかぶせようとしています。その結果、自然増収分を含め、実質五兆九千億円の大増税、一兆七千億円の公共料金引き上げなどによって、一世帯当たり実に年間二十万円もの新たな負担を押しつけようとしています。
 この打撃は、特に旧産炭地、筑豊など、日本経済の矛盾が集中している地域では何倍にも増幅されて響きます。政府は、この地域で来年度から国鉄ローカル線の廃止や失業対策事業の打ち切りを推し進めようとしています。これが、産炭地振興に逆行し、失対事業で細々と暮らしてきた身寄りのない老人たちの生きる道を奪うものであることは言うまでもありません。
 来年度予算が国民に対し、このような耐えがたい犠牲を押しつけることを総理はわかっているのですか。わかって、やろうとしているのですか。明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第三に、今回の法案で、初めて幾つかのところから納付金の形で財源を吸い上げようとしている問題であります。
 これがこの法案の目新しい部分でありますが、全部合わせても一千四百五十億円程度のものでありますから、大した実利があるとは思えません。
 むしろ、この措置の真のねらいは、政府がいよいよなりふり構わず財源をかき集めている印象を国民に与え、来年度以降、大型間接税などの導入やむなしの機運を高めることにあるのではないか、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 次に、電電公社からの納付金について見れば、もともと電電公社は、昭和二十七年の設立以来、公共事業体として国民への利便の還元を原則として運営されてきました。
 今回、政府は、電電公社に一定の剰余金が出たことに目をつけ、今後四年間、毎年千二百億円ずつを一般会計に繰り入れようとしております。しかし、これは全く筋が通りません。
 剰余金が出たということは、五十一年一月の料金値上げが不当であったことを示す以外の何物でもありません。(拍手)そのことは、先ほど中曽根長官が料金値上げを余裕を持って決めたと答弁されたことでも裏書きされたと思います。公共事業体である電電としては、料金引き下げなどの形で利用者である国民に還元するのが当然であります。
 赤字になれば値上げを押しつけ、黒字が出れば政府がすぐ剰余金を吸い上げるというようなことを許せば、際限ない料金値上げで、ここを財源吸い上げの機構に変えてしまうことは目に見えています。
 このような不当な納付金はやめるべきであり、これと絡めての料金値上げなどは絶対に認めることはできません。郵政、大蔵両大臣は、納付金を取っても絶対に値上げしないと言い切れるのか、見解を示していただきたい。(拍手)
 さらに、昨年十二月の郵政、大蔵、電電の三者による合意では、国庫納付金問題の見返りに、公社のファクシミリの普及など、大企業が要求するサービスを強化するため、長期に莫大な借金を抱え込ませる合意が成立しています。
 このような経営方針は、電電公社にますます私企業的な運営を強要する危険があります。郵政、大蔵両大臣は、電電公社の経営の公共性と利用者の利益を今後どう守っていくのか、明快な答弁を求めるものであります。
 一方、これときわめて対照的なのは、産業投資特別会計から一般会計に繰り入れる措置であります。
 電電公社からは何が何でも取り上げる姿勢ですが、こちらの方は日本開発銀行から産投会計に百六十五億円納付されるのに、三分の二以上を残し、五十億円だけ繰り入れるというのであります。このように、大企業が絡んでくると何かと配慮したがる姿勢が根本的に間違いであります。
 もともと政府資金、つまり国民の血税を大企業に、産投会計をパイプとして湯水のようにつぎ込んできたのが正しくなかったのであり、財政危機打開のためにも、今後、積極的にこれを回収していくべきであります。
 私は、この立場から、百六十五億円全額を一般会計に繰り入れるべきだと考えますが、大蔵大臣の見解をお尋ねいたします。
 さらに、日本中央競馬会からの特別国庫納付金徴収についてであります。
 これは五十六年度限りの措置とされておりますが、年間一兆五千億円もの売り上げがあり、三千億円近い内部留保を保有していることから見て、さらに国庫納付金をふやす方向で検討すべきであります。むしろ、こういうところに不必要な内部留保を認めることが腐敗の温床となることは、過日の日本発馬機汚職事件からも明らかではありませんか。これについて大蔵、農林水産両大臣はどう考えるか、お尋ねいたします。
 第四は、財政再建と行政改革についてであります。
 政府が昨年九月に決定した行政改革大綱や、今国会での施政方針演説、十六日の第二次臨時行政調査会発足に当たっての総理あいさつなどによれば、行政改革の基調は、行財政の減量化によって赤字国債を減らすということになっております。
 こうした仕事減らし、人減らしは、これまでの実績から見ても、自衛隊、公安調査庁などを対象から除く一方、老人医療無料化制度や過疎対策、農業、中小企業保護などを不均衡な行政サービス水準と決めつけて、これらを一方的に切り捨てる反国民的な内容にならざるを得ません。
 総理、あなたは先日「行政改革に政治生命をかける」との決意を表明されました。総理は一体どの部門を政治生命をかけて削ろうと考えているのか、この機会にはっきりさせていただきたい。(拍手)
 また、これと関連して、昨日、総理は「任期中、大型消費税を考えない」と言明いたしましたが、これは五十七年度以降一切増税しないことと理解してよいのか、お尋ねいたします。
 先日、わが党は、第二次臨時行政調査会会長に対し申し入れをいたしました。すなわち「行政の公開を土台とした清潔な行政の実現、軍事・公安部門や大企業奉仕部門の圧縮、国民生活密着部門の充実、機構の簡素・効率化と特殊法人の民主化、地方自治を強化する方向での事務・権限・財源の再配分、公務員制度の民主的改革」などを、当面の行政改革の課題として提案したのであります。これらを実現するならば、国民のために行政水準を高めつつ、あわせて財政危機を打開することができるのであります。
 しかるに、この法案は、こうした立場とは全く相反するものであり、したがって、このままでは国民を二重、三重に苦しめ、財政再建をも失敗に導くことは明らかであります。
 この際、総理は、根本的に財政再建策を検討し直す意思はないのか、明確な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#27
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 小沢君にお答えをいたします。
 まず、今日の財政危機の原因は何かとのお尋ねがございました。
 大蔵大臣が趣旨説明で触れましたように、第一次石油危機後の経済の停滞に対処し、景気の回復を図り、失業、倒産を防ぐために、公共事業を中心に財政が積極的な役割りを果たしてまいりましたが、他面、税収は伸び悩みましたため、赤字の累積を生じたのであります。
 また、第一次石油危機の発生した昭和四十八年度は、たまたま福祉元年と言われたほど社会保障等の充実が図られた年でありまして、その後引き続いての社会保障、教育等の施策の水準の引き上げも、歳出を押し上げる要因となったことは否めないところであります。
 五十六年度予算におきましては、国債の二兆円減額によって財政再建をその軌道に乗せたのでありますが、なお十二兆円余の国債発行を予定せざるを得ない状況にありますので、五十七年度以降、より一層の努力を重ねてまいりたいと存じます。
 当面、五十七年度予算の編成におきましては、先ほど佐藤議員にお答えいたしましたとおり、大型新税の導入など念頭に置かず、歳出の削減合理化に全力を挙げる決意であります。
 企業に関する政策税制にお触れになりましたが、私は政策税制の整理合理化は相当進んだと思いますが、社会経済の実態に即して税制の見直しを進めてまいることは当然のことでありますので、引き続き努力してまいります。
 産炭地の実情をどう見るかとのお尋ねでありましたが、産炭地域が、その内包する諸問題をいまだ十分解消するに至っていないと承知しており、このため、今国会に、産炭地域振興臨時措置法の十年延長を内容とする法律案を提出して御審議をお願いしているところであります。
 行政改革について、どのような部門が不要不急と考えているかとのお尋ねでありますが、臨時行政調査会におきましてじっくり御審議いただき、国民の納得できる結論をお示しいただきたいと考えております。
 財政再建の基本的考え方につきましては、先ほど申し上げましたとおり、五十七年度は大型新税の導入などは念頭に置かず、歳出の削減合理化に最大の努力を傾注する考えでありますことを申し添えておきます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#28
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 電電公社の料金値上げにならないか、また剰余金は国民に返せというお話ですが、これは先ほどもるる説明を申し上げましたから、私は余りくどくは申しません。
 これはもう臨時特例の措置でございます。それから、国家は国民のものでございますから国民に返したと同じような効果じゃないでしょうか、私はそう思っておるわけであります。(発言する者あり)国家は自民党のものではございません。政府も国民全体のものだと私は考えております。
 また、これは積立剰余金、剰余金から出すわけですから、コストには入りません。したがって、直ちに値上げには結びつきませんということを申し上げます。
 それから、公共性と利用者の利便という問題でございますが、これは公共性があるのは当然でございます。この国庫納付のため所要の資金の調達に伴う金利負担の増加につきましたは、従来と同様、公社の経営努力によって吸収していただけるものと理解をいたしております。
 公社を民間の利潤追求型のものにしてはいけませんというようなお話でございますが、それもごもっともでございますけれども、やはり公社も生産性を上げていただかなければいけないということも、これまた同じでございます。
 それから、五十七年度以降一切増税をしないのかというふうなお話でございますが、これは、増税というのは必要があって取るのでありまして、要するにそれは結局歳出、国民の負担とサービスとの裏表でございますから、われわれはどうしても歳出を切り詰めていきますが、それは将来とも切り詰めばかりというわけになかなかいかないわけでございますから、その先のことまでは私はお約束はできません。税金は取るな、借金はするな、歳出はいっぱい出せと言われたってできません、そういうことは。
 それから、産投会計の剰余金は全額一般会計に繰り入れ、今後積極的に回収を図っていけということでございますが、今回の法律によって開発銀行からの国庫納付金が増額される、そのために産投会計の方が、収入が支出を上回るということになってしまいますから、そこで、とうぜそんなに金をだぶついて持っても仕方がないから、当然のこととして、一般会計から入れたものを逆に一般会計へお返ししますというようなことになっておるわけであります。
 これは、産投会計の産業投資支出というのは、大企業大企業と言うけれども、大企業じゃなくて、公営企業金融公庫とか沖繩振興開発金融公庫、輸出入銀行等に対して、その資本金として出資をされる、そうして公営企業に関する金融、沖繩開発金融、輸出入金融等に充てられるものでありまして、これら業務の円滑な遂行を図っていくためにも、産業投資支出を直ちに回収してしまうということは適当でございません。
 もう一つ中央競馬会。中央競馬会の納付金はもっときれいに取ってしまえみたいな話でございましたが、これもやはり、中央競馬会の特別の国庫納付金というのは、現在の財政事情にかんがみ、これはもともと本来もう納めているわけですから、本来の国庫納付金のほかに、臨時特別の措置として積立金の取り崩しをしてもらって今回は納付してもらうというようなことでございます。これはもう電電公社と違って、毎年勝馬投票券売上収入の一〇%と決算上の剰余金の二分の一というものは納めているわけですから、(小沢和秋君「そんなことわかって聞いていますよ」と呼ぶ)だから、そのほかに特別に今回は納めていただいておるわけでございまして、これは五十七年度以降も経常的に納めていただくということは、いまのところ考えておりません。また、それによって競馬会等が成績を上げてもらって剰余金がうんと出るというときは、またそのときはわかりませんが、いまは考えておりません。(拍手)
    〔国務大臣亀岡高夫君登壇〕
#29
○国務大臣(亀岡高夫君) 小沢君にお答えいたします。
 大蔵大臣からあらまし答弁がありましたので、もうこれ以上申し上げることございません。もうこれ以上納めたら日本の競馬は開催できなくなる、こういうことであります。
 と同時に、その出資会社等において、いろいろまことに申しわけない事態が起こったこともあったわけでございますが、今後はこういうことが起こらないように、十分監視、監督を厳しくしてまいる所存でございます。(拍手)
    〔国務大臣山内一郎君登壇〕
#30
○国務大臣(山内一郎君) まず電電公社の納付金と将来の料金値上げとの関係でございますが、臨時納付金は予算上、損益勘定によらず資本勘定から支出をされることとなります。したがって、この納付金を納めることによりまして直ちに損益の収支が悪化するわけではありませんが、資金繰りの面で外部資金が増加いたしまして、その利子負担が増加するものと見込まれております。
 郵政省といたしましては、公社が増収、経費節減等一層の経営努力によりまして、これらの負担増加を吸収し、現行料金の水準をできるだけ長く維持するよう努力することを期待しております。
 次に、剰余金につきましては、料金を値下げするなどして国民に還元すべきとする御意見でございますが、御指摘のとおりでございまして、電電公社の収支差額は、サービスの改善充実のための設備投資あるいは技術開発に充てるなど、利用者のために還元するため、昭和五十六年度、本年度予算案におきまして、遠距離通話料の引き下げ、祝日、日曜日の通話料の割引を予定しておりますほか、その余の収支差額を設備投資等に充てることとしております。
 次に、経営の公共性と利用者の利益をどう守るかという御質問につきましては、もとより公社の経営の公共性と利用者の利益には十分配意する必要があり、従来から、全国的な電話のネットワークを維持し、サービスを向上させ、また過疎対策などの措置を講ずるとともに、先ほど申し上げましたような遠距離通話料金の引き下げ、日曜、祝日通話料の割引などによって、利用者のために配意することとしておりますが、今回の臨時納付金につきましては、公社全体としての事業活動によって対処することとし、今後とも公社の使命が全うされるよう努力していくべきものと考えております。(拍手)
#31
○議長(福田一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#32
○議長(福田一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
        農林水産大臣  亀岡 高夫君
        運 輸 大 臣 塩川正十郎君
        郵 政 大 臣 山内 一郎君
        労 働 大 臣 藤尾 正行君
        建 設 大 臣 斉藤滋与史君
        自 治 大 臣 安孫子藤吉君
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
 出席政府委員
        大蔵省主計局次
        長       西垣  昭君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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