くにさくロゴ
1980/04/10 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第17号
姉妹サイト
 
1980/04/10 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第17号

#1
第094回国会 本会議 第17号
昭和五十六年四月十日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十五号
  昭和五十六年四月十日
    午後一時開議
 第一 輸出保険法の一部を改正する法律案(内
    閣提出)
 第二 新技術開発事業団法の一部を改正する法
    律案(内閣提出)
 第三 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を
    改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員長谷川峻君に対し、院議をもっ
  て功労を表彰することとし、表彰文は議長に
  一任するの件(議長発議)
 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
  提出、参議院回付)
 日程第一 輸出保険法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第二 新技術開発事業団法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 日程第三 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一
  部を改正する法律案(内閣提出)
 北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約
  を改正する千九百八十年の議定書の締結につ
  いて承認を求めるの件
 南極の海洋生物資源の保存に関する条約の締結
  について承認を求めるの件
 渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国
  政府と中華人民共和国政府との間の協定の締
  結について承認を求めるの件
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明及び質疑
 国立国会図書館の館長の任命承認の件
    午後一時三分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(福田一君) お諮りいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました長谷川峻君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員長谷川峻君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○議長(福田一君) この際、長谷川峻君から発言を求められております。これを許します。長谷川峻君。
    〔長谷川峻君登壇〕
#6
○長谷川峻君 ただいま、本院に在職二十五年のゆえをもちまして、院議をもって表彰の決議をいただき、この上もない感激であります。顧みますと感慨無量そのものです。
 昭和十六年十二月八日午前六時のラジオニュースは、「帝国陸海軍は、今未明西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり」と繰り返し放送するのを、私は、四国の今治の遊説先の旅館で聞いて驚き、とるものもとりあえず瀬戸内海を渡り東京に帰ろうと、夜、尾道のホームに立ったら、すでに灯火管制でした。大東亜戦争です。
 戦局は幾変転して、トラック島の陥落は、淀橋警察署の半歳に及ぶ留置場生活の間に聞き、空襲のたびに警官に誘導されて退避したことです。
 無条件降伏で、占領政策が実施され、一千万の餓死者が出るとも言われ、物心両面にわたる国民の虚脱状態が続いたことです。
 連合国最高司令部の矢継ぎ早の厳しい政策は各方面に及び、祖国再建を願う先輩政治家の骨身を削る苦悩は続き、政党の離合集散、合同も行われたことであります。日本は復興に何年かかるだろうか、いつ独立するだろうかが最大の政治課題でありました。
 朝鮮戦争を一つのきっかけとして、サンフランシスコ講和会議で対日平和条約、日米安全保障条約調印の後、最後の公職追放解除が一万九十人に対して行われ、私もようやく政治的に自由の身となったのであります。
 日本は苦しい、長い占領時代を終えて、私が初めて議席を得たのは二十八年四月であります。独立を裏づける経済再建には、日本民族の活力を自由に発揮させるべきだという議論が本議場を通じて真剣に論ぜられ、加工国であるから外貨二十億ドルはぜひ確保したい。働く者には賃金を保障すべきだといって、最低賃金法も成立したことでした。
 そして、今日はどうでしょう。先進国首脳会議に欧米人でないものは、わが総理大臣ただ一人であります。その発言と行動は、世界に影響を与えるものとして注目されているのであります。
 しかし、八〇年代の波風の高い世界情勢を見ますと、わが国は、政治、外交、文教、防衛等に新しい試練に立つもので、一層の勉強と献身を決意しているものであります。
 輝かしい議会開設九十周年に当たり、議会人としての本日の栄誉は、亡き中野正剛、緒方竹虎先生初め、先輩、同僚各位、わけても宮城県二区の皆様の理解深い御文援のおかげであると心から御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
#7
○議長(福田一君) お諮りいたします。
 参議院から、内閣提出、国立学校設置法の一部を改正する法律案が回付されました。この際、議事日程に追加して、右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、参議院回付)
#9
○議長(福田一君) 国立学校設置法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
#10
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(福田一君) 起立多数。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#12
○議長(福田一君) 日程第一、輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長野中英二君。
    〔野中英二君登壇〕
#13
○野中英二君 ただいま議題となりました輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のとおり、プラント輸出、海外建設工事及び海外投資は、わが国貿易構造の高度化、経済協力の推進、資源の安定確保等におきまして、きわめて重要なものであります。
 本案は、これらプラント輸出の大型化、受注形態の多様化、海外投資としての債務保証の増大等にかんがみ、輸出保険制度の整備を図ろうとするものであります。
 その主なる内容は、
 第一に、一つの契約が輸出契約と技術提供契約のいずれにも該当する複合的な契約の場合、技術提供契約とみなされる契約に含まれる輸出貨物の船積み前の危険を普通輸出保険で担保すること、
 第二に、普通輸出保険及び輸出代金保険のてん補率の上限を九〇%から九五%に引き上げること、
 第三に、外国企業と共同受注によりプラント等を輸出する場合、外国企業と発注者が締結する契約に付随する輸出契約または技術提供契約に係る危険を普通輸出保険及び輸出代金保険で担保するための特則を設けること、
 第四に、外国における合弁事業の相手方及び本邦法人が経営を実質的に支配している外国法人等に対する債務保証等を新たに海外投資保険の対象に加えること、
 第五に、鉱物等の資源開発融資の場合、新たに生産事業に付随して必要となる関連施設の整備資金のための長期貸付金等も海外投資保険の対象にすること
等であります。
 本案は、去る三月十九日当委員会に付託され、三月二十四日田中通商産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、審査を重ね、四月八日質疑を終了し、討論を行い、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、投資保証協定の締結の推進及び中小企業の輸出保険利用の促進を内容とする附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#15
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 新技術開発事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#16
○議長(福田一君) 日程第二、新技術開発事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。科学技術委員長中村弘海君。
    〔中村弘海君登壇〕
#17
○中村弘海君 ただいま議題となりました新技術開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、科学技術委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、わが国における革新的科学技術の芽を効率的に探索するための方策として、すぐれた研究者を結集した流動研究システムによる研究を推進することとし、それを新技術開発事業団に担当させるため、同事業団法に所要の改正を加えようとするものであります。
 本案の主な内容は、
 第一に、新技術開発事業団の目的及び業務に、新技術の創製に資すると認められる基礎的研究とその成果の普及を加えることであります。
 第二に、事業団の開発審議会の権能及び組織について、同審議会への付議事項として、新たに新技術の創製に資すると認められる基礎的研究に関する基本方針の決定などを加えるとともに、同審議会の委員数を従来より拡大することであります。
 第三に、事業団の行う基礎的研究の実施について、その対象となる主題を定め、当該主題ごとに、実施に必要な期間を設定し、新たに雇用される研究者により研究を行うこととし、また、研究を指揮する者として総括責任者を指定し、その指揮下の研究者の雇用に関しては、総括責任者の意見を尊重するものとすること等であります。
 本案は、去る三月十八日提出され、同日当委員会に付託されました。
 委員会におきましては、三月二十六日政府から提案理由の説明を聴取した後直ちに質疑に入り、慎重に審議を行い、四月九日質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、基礎的研究の推進に当たっての諸対策に関する附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(福田一君) 採決いたします。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕.
#19
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#20
○議長(福田一君) 日程第三、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長山下徳夫君。
    〔山下徳夫君登壇〕
#21
○山下徳夫君 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、戦傷病者戦没者遺族等の処遇の改善を図るため、障害年金、遺族年金等の支給額を引き上げるとともに、準軍属の範囲及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金の支給範囲の拡大を行おうとするもので、その主な内容は、
 第一に、障害年金、遺族年金等の額を恩給法の改正に準じてそれぞれ引き上げること、
 また、満洲開拓青年義勇隊の隊員としての訓練を修了して、集団開拓農民となった者により構成された義勇隊開拓団の団員を準軍属として処遇すること、
 第二に、未帰還者の留守家族に支給される留守家族手当の月額を遺族年金に準じて引き上げること、
 第三に、義勇隊開拓団の団員のうち、軍事に関する業務等により傷病にかかり、現に第五款症以上の障害を有するものを戦傷病者として処遇すること、
 第四に、昨年の遺族援護法の改正により一障害年金等を受けることとなった者のうち、昭和五十四年四月一日において第五款症以上の障害を有した戦傷病者等の妻に特別給付金を支給すること
等であります。
 本案は、去る二月十日付託となり、昨日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、施行期日についての修正案が提出され、採決の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
#24
○鹿野道彦君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十年の議定書の締結について承認を求めるの件、南極の海洋生物資源の保存に関する条約の締結について承認を求めるの件、渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、右三件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#25
○議長(福田一君) 鹿野道彦君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十年の議定書の締結について承認を求めるの件
 南極の海洋生物資源の保存に関する条約の締結について承認を求めるの件
 渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
#27
○議長(福田一君) 北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十年の議定書の締結について承認を求めるの件、南極の海洋生物資源の保存に関する条約の締結について承認を求めるの件、渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長奥田敬和君。
    〔奥田敬和君登壇〕
#28
○奥田敬和君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、おつとせい条約改正議定書について申し上げます。
 本議定書は、昭和五十五年十月十四日ワシントンにおいて、日本、アメリカ、カナダ、ソ連の四カ国により署名されたものでありまして、昭和三十二年から昭和五十五年十月十三日まで効力を有していた北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約を、昭和五十八年十月十三日まで及びその後の一定期間適用すること等について規定しております。
 次に、南極海洋生物資源保存条約について申し上げます。
 南極周辺海域においては、近年、主として日本、ソ連などがオキアミ漁業等を開始したことから、オキアミ等の採取が南極の海洋生物資源全体の生態系に影響を及ぼすのではないかとの意見もあり、南極条約協議国の間で、南極の海洋生物資源の保存に関する条約を作成する必要性が認識されるに至り、数次にわたる条約作成交渉の結果、昭和五十五年五月二十日キャンベラにおいて本条約が採択されました。
 本条約は、南極の海洋生物資源の合理的利用と保存を図るために、保存に関する原則、保存措置を作成するための機構の設置及び分担金等について規定しております。
 次に、日中渡り鳥保護協定について申し上げます。
 本協定は、中国との間に渡り鳥及びその生息環境の保護に関する協定を締結するため、日中両国政府間で交渉を進めてきた結果、合意に達し、昭和五十六年三月三日北京において署名されたものであります。
 本協定は、日中両国政府が、日中間の渡り鳥及びその生息環境の保護のための措置をとることについて協力することを目的としており、渡り鳥の捕獲及び卵の採取を原則として禁止するとともに、不法に捕獲された渡り鳥、その加工品等の販売、購入等も禁止すること、渡り鳥の研究資料の交換等を奨励すること、渡り鳥及びその生息環境の保護、管理のため、保護区の設定その他の適当な措置をとること等について規定しております。
 以上三件中、おつとせい条約改正議定書、南極海洋生物資源保存条約は、二月二十日外務委員会に付託され、二月二十五日政府から提案理由の説明を聴取し、日中渡り鳥保護協定は、三月十四日付託され、三月十八日提案理由の説明を聴取し、三件につきそれぞれ質疑を行いましたが、その詳細は会議録により御承知を願います。
 かくて、本十日採決を行いました結果、以上三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○議長(福田一君) 三件を一括して採決いたします。
 三件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、三件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#31
○議長(福田一君) この際、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生大臣園田直君。
    〔国務大臣園田直君登壇〕
#32
○国務大臣(園田直君) 国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 所得保障の中心である年金制度を初め、児童、母子家庭、心身障害者に係る諸手当の制度については、従来より充実に努めてきたところであり、国家財政の再建が課題とされている最近の財政状況下にあっても、老人、障害者等に対しては適切な配慮がなされる必要があります。
 今回の改正案は、このような趣旨にかんがみ、福祉年金及び諸手当について、昨今の社会経済情勢の動向に対応し、必要に応じた給付の改善を行うとともに、厚生年金等の拠出制年金について物価スライドの実施を繰り上げて年金額の引き上げを行うこととし、これらの制度の充実を図ろうとするものであります。
 以下、改正案の内容について概略を説明申し上げます。
 第一に、福祉年金の額につきましては、昭和五十六年八月より、老齢福祉年金を月額二万二千五百円から二万四千円に、障害福祉年金を、一級障害について月額三万三千八百円から三万六千円に、二級障害については月額二万二千五百円から二万四千円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金を月額二万九千三百円から三万千二百円に、それぞれ引き上げることとしております。
 この改善につきましては、必要に応じて重点的な給付の改善を行うという考え方のもとに、老齢福祉年金について、扶養義務者等の所得に比較的に余裕がある場合は、改善額の一部の支給を停止することとしております。
 第二に、昭和五十六年度における物価スライドの実施時期を、厚生年金保険及び船員保険については昭和五十六年十一月から同年六月に、拠出制国民年金については昭和五十七年一月から昭和五十六年七月に、それぞれ繰り上げることとしております。
 第三に、児童扶養手当等の額につきましては、福祉年金に準じて、本年八月から、児童扶養手当の額を児童一人の場合月額二万九千三百円から三万千二百円に、特別児童扶養手当の額を障害児一人につき月額二万二千五百円から二万四千円に、重度障害児一人につき月額三万三千八百円から三万六千円に、それぞれ引き上げるとともに福祉手当についても月額九千二百五十円から一万円に引き上げることとしております。
 また、児童手当の額につきましては、低所得者に支給する児童手当の額を本年十月より月額六千五百円から七千円に引き上げることとしております。
 以上が国民年金法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#33
○議長(福田一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。金子みつ君。
    〔金子みつ君登壇〕
#34
○金子みつ君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係の大臣に質問をいたします。(拍手)
 わが国における急速な、しかも確実な高齢化社会の到来と、これに伴う高齢者の総合的な社会保障の問題は、今日、急がなくてはならない社会問題となっております。そこで、社会的扶養制度の有力な一つである所得保障を実現する公的年金制度の役割りがきわめて重視されるに至っているわけであります。
 その理由と考えられるものは、昭和三十年代の高度経済成長政策の導入と、その結果とも言える急激な核家族化によると思われます。さらに、事実上の家族扶養制度の崩壊、親類縁者などによる扶養のあり方の変質、また核家族の高齢者世帯の増大などがあります。それだけではなく、従来、日本の労使関係を支えてきた生涯雇用の慣行や年功序列的関係の変質など、退職後の高齢勤労者層の老後生活保障として、公的年金制度は重要視せざるを得なくなったと言えましょう。
 このように、今日、高齢者の生活保障に重要な役割りを期待されている公的年金制度の成熟化に対応して、無年金者をなくし、完全な国民皆年金を実現し、各種公的年金間の財政調整など、その他各般の改革が求められていると考えます。(拍手)
 そこで、お尋ねをいたします。
 まず、今後の年金体系のあり方について、総理のお考えと厚生大臣の具体的政策を伺いたいのでございます。
 この点につきましては、社会保障制度審議会の建議が五十二年に、そして五十四年にはさらに勧告が出されておりますが、政府は、いまだ政策を示しておられません。そこで、本日、これらを踏まえて御答弁をお願いしたいのでございます。(拍手)
 次に、年金財政の問題です。
 厚生省がまとめた厚生年金と国民年金の昭和五十五年財政再計算によりますと、年金額の水準をいまのままにして標準報酬の上昇率を中位の七%とした場合、厚生年金が黒字でいられるのは昭和七十三年ごろまでで、それ以後は頻繁に保険料率を上げていかなくてはなりません。八十一年には男子で三四%以上にしなくてはならないことになります。三四%の保険料率に医療保険や租税の負担などが加わりますから、どこまで耐えられるかが問題になると思います。国民年金でも同じことで、昭和九十年に保険料は月額一万五千七百円と推定されます。しかも、これは五十五年度の価格ですから、スライド分を入れますとかなりのものになると思います。
 そこで、お尋ねしたいのは、年金財政の将来と給付水準の関係について総理及び大蔵大臣から、また支給開始年齢と保険料負担の限度の関係について大蔵大臣、厚生大臣から、それぞれ御方針をお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
 なお、厚生大臣には、関連事項といたしまして、厚生年金に関する物価スライドの時期について、ことしの一月、社会保険審議会の答申の示しますように四月に実施することが妥当と考えますが、その方向で臨んでおられるでしょうか、確認したいと思います。
 次に、福祉年金についてでありますが、わが国の公的年金の中でも福祉年金は最も意義の深い年金だと考えますが、その水準が一定の法則性によっていないのは不安定だと思うのです。
 たとえば、厚生省の資料によって見ますと、五十二年以降毎年その引き上げ率はスライド率を上回っておりますのに、五十六年度の案ではスライド七・〇%に対し六・七%と低くなっているのはなぜなのでしょうか。五十四年度はスライド三・四%に対し二一%の引き上げという実績もあるのです。このように上がったり下がったり不安定なのは、水準に対する一定の適性を確立していないためだと考えられます。
 この点について厚生大臣に、今後の水準に対する適性確立の必要性はないのかどうか、お尋ねをいたします。(拍手)
 次に、所得制限と年金支給の関係についてですが、特にお尋ねしたいのは、生活保護家庭に対する福祉年金支給の問題です。
 生活保護家庭の所得は、一般的に、福祉年金受給者の所得に比べればかなり低いのが実態です。そこで、この家庭に対する福祉年金の併給について、せめて所得が所得制限額に達するまでの間は福祉年金の併給をするか、また、特別援助措置をするのなら、それを福祉年金と同程度の額に引き上げるか、いずれかが、生活保護家庭を最小限度足並みをそろえさせる血の通った政策になるのではないでしょうか、厚生大臣にお尋ねをいたします。(拍手)
 また、所得制限と年金支給の関連の将来計画について、制限の範囲拡大などお考えなのかどうか、総理及び大蔵大臣の御見解を伺いたいのでございます。(拍手)
 次は、放置されたままになっている国民年金の死亡一時金についてお尋ねいたします。
 昭和三十四年に制定された国民年金法が三十六年に一部改正されて成立した死亡一時金の制度ですが、当初の基準が、わずかの手直しはあったものの、そのまま今日まで続けられているわけです。一時金の額は、納付した保険料相当額を返付するという考え方で決められたということですけれども、現在、最も長い人で二十年の保険料納付です。その場合、基準額はわずかに二万三千円にすぎません。しかも、この額は、納付した保険料の三分の二を下回る程度で、相当額より少ない上に、余りにも少額に過ぎるのではないでしょうか。
 これはぜひ早急に改善されなくてはならないと考えます。今回の法改正の折になぜ考慮を払われなかったのですか。できるだけ早い次の機会に措置すべきではないでしょうか。大蔵、厚生、両大臣のお考えをお聞かせいただきとうございます。(拍手)
 さらに、私は、女性の年金の問題について触れないわけにはまいりません。冒頭申し述べましたように、急激に、さらに確実に到来する高齢化社会における問題は、端的に言って女性の問題に集約されると言ってよいからです。
 高齢女性のひとり暮らし、寡婦の増加、独身の高齢女性の問題など、老後における生活安定の対策は真に急務です。その手段の一つである老後の所得保障としての年金制度の問題は、一般に男性より長い老後生活が予想されるだけに一層切実なものがあります。
 ところが、現在の年金制度では、独自の年金を有さない女性は多く、また、離婚すれば無年金という、発展途上国にも見られない後進性があります。これは、かつては夫の年金のもとで保護されるという体系によって構成されたためだと思われます。したがって、今日、男性から扶養されるという立場から独立した個人としての立場に改める方向で、また昭和五十四年十二月、国連総会で採択され、日本も署名をしました婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約の趣旨も踏まえて、年金制度全般の抜本的見直しを行う必要があると考えますが、この点について総理並びに厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。(拍手)
 最後に、児童手当制度についてお尋ねをいたします。
 児童手当制度の本来の趣旨は、将来の社会の担い手である児童を「社会の子」として平等に、その人権を保障するための社会保障制度の基幹であることは申し上げるまでもございません。それに加えて、現在の児童は、今後四十年間継続するであろう高齢化社会に、中核的生産労働者として、高齢者と次代を担う子供と双方の扶養を、人生の大半をかけて担う重要な人材なんです。これを考えますときに、現在の児童の育成は手厚くなされなくてはなりませんのに、財政再建の立場からのみ児童手当の見直しが提案されるのは、いかにも近視眼的であり、長期の見通しがなく、また需要に逆行するものであって、まことに心外にたえません。(拍手)
 したがって、児童手当は所得制限を強化するという大蔵大臣の方針は当然撤回されるべきであります。そして、さらに、義務教育終了前の全児童に支給することこそ日本の将来の発展のために必要と考えますが、総理、大蔵、厚生、各大臣の今後の御方針を明確にお示しを願って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#35
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 金子さんにお答えをいたします。
 まず、今後の年金体系のあり方についてお尋ねがありましたが、わが国の社会経済情勢の推移を的確に把握し、各方面の意見を参考にしながら、長期的な視点のもとに適正を期してまいりたいと考えております。
 また、年金財政の将来の見通しと給付水準のあり方についても御質問がございました。
 今後、高齢化の進展により年金受給者が増加してまいりますので、給付費が急速に増大し、厚生年金の場合、二十年後には約五・四倍になる見通しでございます。
 しかしながら、年金は老後の生活の支えとなるものでありますから、今後とも制度の改善、見直しを図りながら、他方、給付に見合った適正な負担をお願いしていくことにより、年金制度の安定した運営を期してまいりたいと存じます。
 福祉年金についてでありますが、申すまでもなく、福祉年金は全額国庫負担により支給される年金でありますから、保険料を拠出された方々に支給される年金との間に、ある程度の差があることはやむを得ないものであると考えます。また、そういった福祉年金の性格からして、比較的余裕のある方にはがまんしていただくという所得制限措置も必要であると考えます。
 婦人の年金保障のあり方についてお尋ねがありましたが、わが国の年金制度の基本的な体系にかかわる問題かと存じますので、今後とも幅広い議論を尽くして検討してまいりたいと思います。
 児童手当につきましては、今回、ある程度所得が高い層の方々には受給を遠慮していただくことにいたしましたが、逆に、所得の少ない層の方々については、手当額の引き上げを図ることといたしました。
 将来、児童手当制度をどのような方向に進めたらよいかにつきましては、今後とも幅広く勉強してまいりたいと存じます。
 残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#36
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 財政再建と年金の将来における給付水準という話でございますが、御承知のとおり、わが国の人口も高齢化をし、非常に年金需要がこれからますますふえてくるということは事実でございます。
 しかしながら、代表的な年金である厚生年金について見ますると、現在の給付水準をそのまま維持していくとすれば、昭和八十五年には保険料が三〇%を超える、いまの三倍以上の保険料になる。月給の三割の保険料ということは、これは大変な出来事なんでございます。
 したがって、恐らくこれは、そうすれば年金制度は成り立たないということになる可能性がある。したがって、将来の若い世代、まあ、いま三十とか二十五とかという若い世代の方の負担というものは大変なことになるわけでございますから、(発言する者あり)だから、これはいまのうちから、支給開始年齢の問題とか、あるいは現在の年金の料率とか、こういうものについて、やはり給付に見合った掛金というものを一遍考え直していかなければならない。それは、原資がなければ支払いはできないわけでございますからね。ですから、そういう点で、本当に現在の六十歳支給で現行水準を維持していくといったら、もう三十五くらいの人がもらいたいときには、いまの年金の積み金は全部なくなっちゃうということになるのであって、考え直していくことが私は大事じゃないかと考えております。(「いい知恵を出せよ」と呼ぶ者あり)知恵は出ているのです。
 それから、年金の所得制限の強化ということでございます。
 これは福祉年金のことを主として指されておるものと存じますが、いま総理がお話しになったように、やはり本当に年金が必要な方に重点的に、限りある財源を配分するということでやらしていただきました。御承知のとおり、今回この法案が通りますと、夫婦で四万八千円になります、これはイギリスでは夫婦で大体五万円でございますから……。向こうの方は何十年と年金の負担をしてきた方、こちらは全額国民の税金から、掛金をかけなかった方に福祉年金を差し上げるわけでございますので、もう本当にもっと差し上げたいのはやまやまでございますが、この点でひとつ御了承願いたいと考えておるわけであります。
 それから、国年の一時死亡金の問題につきましては、これは国民年金の特有なものでございまして、五十一年度以降引き上げはいたしておりません。今後なくすかどうかということも含めまして、検討をしなければならない問題だろう、かように考えております。
 それから、児童に対する児童手当、これを、所得制限をしないで、義務教育の生徒には全部くれろという話でございますが、財源があれば私も差し上げたいのでございますが、これは児童数がいまの十倍になっちゃう、二千九百万人。莫大な金になりまして、とてもこれはその負担に耐えかねるということになろうかと存じます。
 私も厚生大臣をやった経験がございますが、いずれにいたしましても、財源がなければ支給できないわけですから、くれろくれろと言っても、その財源をだれが出すのか、どういうふうにするのか、それをみんなで考えて、年金制度の健全な発展に努力をしてまいりたいと考えます。(拍手)
    〔国務大臣園田直君登壇〕
#37
○国務大臣(園田直君) 今後の年金体系のあり方については、一、給付水準については現在の水準を維持すること、二、給付と負担のバランスを図ること、三、各年金制度間で不合理な格差が生じないように整合性を保っていくこと、四、社会保険方式を原則とすること、この基本方針のもとに、審議会から提案されましたあり方についての御意見は有力な意見でありますから、この構想も念頭に置いて検討してまいる所存でございます。
 次に、年金の支給開始年齢については、年金の支給開始と高齢者の雇用との間にすき間を生じないよう配慮しながら考えていく所存でございます。
 厚生年金のスライドを今年四月からという話でありますが、本来は十一月がスライドの時期であります。それを、物価の変動等にかんがみて、今年は六月に繰り上げて引き上げるようお願いをしておるわけでありまして、これをいまここで急に四月に繰り上げることは考えておりません。
 福祉年金についての水準の問題でありますが、従来から、拠出制年金額の水準等を勘案しながら、社会経済情勢の動向に応じて決めておるところでございます。
 次に、生活保護家庭にあっての福祉年金云々の御質問でありますが、生活保護制度は、被保護者がその資産、収入等をその最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われるものでありますので、年金等の収入が別途ある場合は、原則として収入認定を行うこととなっておるわけであります。
 しかしながら、老齢者、障害者、母子家庭の方々には、その生活上特別の需要が認められますので、これに対応するため、生活保護制度においては生活扶助の一般基準の一定割合の額を加算することとしております。福祉年金の額とは直接関連を持たせてはおりません。加算額については、毎年度所要の引き上げを図ってきたところでありますが、今後とも国民の最低限度の生活保障をする立場から、必要な水準を確保してまいりたいと考えます。
 国民年金の死亡一時金の問題でありますが、これについては、存廃を含めて種々議論があるところであります。年金制度としては、本来の目的である年金給付の充実を第一義に考えておりますので、死亡一時金の引き上げは手が及ばなかったわけでございます。
 次に、女性の年金権の問題でありますが、国民年金に任意加入することによって被用者の妻自身の年金を取得する道が開かれておりますが、婦人の方々の中で自分の年金を取得したいという御意見が強いことをよく承知しております。
 今後の婦人の年金保障のあり方については、わが国の年金制度の基本的な体系にかかわる問題でございまするから、引き続き幅広い議論を尽くし、検討してまいりたいと思います。
 児童手当の問題でありますが、これは総理、大蔵大臣がお答えになったとおりでありまして、今回は現行制度の枠組みの中で、本当に困った人には手当を厚くし、余裕のある方にはごしんぼう願ったことであります。将来については、これを起点にして充実、拡大すべきものであると私は考えております。(拍手)
#38
○議長(福田一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 国立国会図書館長の任命に関する件
#39
○議長(福田一君) お諮りいたします。
 国立国会図書館の館長に植木正張君を両議院の議長において任命いたしたいと存じます。植木正張君の任命を承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、承認するに決しました。
     ――――◇―――――
#41
○議長(福田一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        外 務 大 臣 伊東 正義君
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
        文 部 大 臣 田中 龍夫君
        厚 生 大 臣 園田  直君
        通商産業大臣  田中 六助君
        国 務 大 臣 中川 一郎君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト