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1980/04/17 第94回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第19号
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1980/04/17 第94回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第094回国会 本会議 第19号

#1
第094回国会 本会議 第19号
昭和五十六年四月十七日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十七号
  昭和五十六年四月十七日
    午後一時開議
 第一 公衆電気通信法の一部を改正する法律案
    (内閣提出)
 第二 産炭地域振興臨時措置法の一部を改正す
    る法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 日程第一 公衆電気通信法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 日程第二 産炭地域振興臨時措置法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の
  趣旨説明及び質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(福田一君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 近藤豊君及び佐々木良作君から、四月二十三日より五月八日まで十六日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 公衆電気通信法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
#5
○議長(福田一君) 日程第一、公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長佐藤守良君。
    ―――――――――――――
 公衆電気通信法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔佐藤守良君登壇〕
#6
○佐藤守良君 ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、電話の通話料の遠近格差の是正等を図るため、遠距離の通話料を引き下げるとともに、日曜日及び祝日に係る通話料を法定料金より低く定めることができることとするほか、公衆電気通信業務の円滑な運営を確保するため、加入電話加入者の数が著しく減少した集団電話について、日本電信電話公社が加入電話の種類を変更することができることとする等、所要の改正を行おうとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、通話地域間距離が五百キロメートルを超える遠距離の通話料を引き下げること、
 第二に、通話地域間距離が六十キロメートルを超える通話の日曜日及び祝日に係る料金を、郵政大臣の認可を受けて法定の料金より低く定めることができること、
 第三に、電話使用料について、加入電話加入者が市町村等の法人であっても、老人福祉電話等、郵政省令で定めるものに限り、住宅用を適用すること、
 第四に、集団電話について、公社は、当該集団電話の加入者数が加入申し込みに必要とされる数の十分の一に満たなくなった場合において、その集団電話の交換設備の老朽化等により役務を提供することが困難な事情が生じたときは、郵政大臣の認可を受けて、その集団電話につき加入電話の種類を変更することができること、
 以上のほか、
 共同電話の種類及び度数料金局と定額料金局の区別を廃止すること、
 電話交換取扱者資格試験の受験資格及び受験手数料の額の決定方法を改正すること、
 その他所要の規定の整備を行うこと
等となっております。
 本案は、去る三月三日本委員会に付託され、四月一日山内郵政大臣から提案理由の説明を聴取した後、昨十六日質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対しまして、附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 産炭地域振興臨時措置法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
#9
○議長(福田一君) 日程第二、産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。石炭対策特別委員長森中守義君。
    ―――――――――――――
 産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔森中守義君登壇〕
#10
○森中守義君 ただいま議題となりました産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、石炭対策特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のとおり、産炭地域は、昭和三十年代におけるエネルギーの流体化革命に伴う炭鉱の相次ぐ閉山により、失業者の滞留、生活保護世帯の急増、地方財政の窮迫等の影響を受け、地域社会崩壊の危機に直面してまいりました。
 このため、昭和三十六年に本法が制定され、政府は、諸般の産炭地域振興対策を推進してまいりましたが、過去の傷跡は余りにも深く、産炭地域は、今日、依然として疲弊を回復するに至らず、なお当分の間、諸般の産炭地域振興対策を継続することが必要となっております。
 本案は、かかる実情にかんがみ、本法の有効期間を十年間延長すること等を内容とするものであります。
 本案は、去る二月十二日当委員会に付託され、三月二十六日田中通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、以来、参考人から意見を聴取するなど、慎重に審査を重ね、四月十六日質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、六派共同提案による附帯決議が付されましたが、その内容は、今後設定される予定の経済生活圏の設定のあり方と当該地域における発展計画を計画的に推進するための措置、国の産炭地域振興基本計画等の見直しの必要性、産炭地域振興対策の目的達成を評価する判断基準の策定方針、関係各省庁等の連絡協調の一層の緊密化などであります。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(福田一君) 採決いたします。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#13
○議長(福田一君) この際、内閣提出、商法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣奥野誠亮君。
    〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
#14
○国務大臣(奥野誠亮君) 商法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、最近の経済情勢及び会社の運営の実態にかんがみ、会社の自主的な監視機能を強化し、その運営の一層の適正化を図る等のため、商法のうち主として株式会社に関する部分の一部及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の大部分を改正するとともに、これに関連して有限会社法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正の要点は、次のとおりであります。
 まず、商法につきましては、
 第一に、株式の流通及びその管理の実態に照らして株式制度の合理化を図ることであります。そのため、株式会社の設立に際して発行する額面株式の金額及び無額面株式の発行価額は、五万円以上でなければならないものとして、株式の単位を引き上げることとしております。これに伴いまして、既存の上場会社につきましては、原則として、券面額の合計が五万円に当たる数の株式をもって株式の一単位とし、この一単位の株式を有する株主についてのみ完全な株主の権利の行使を認め、一単位に満たない株式を有する株主については、利益配当請求権等の自益権のみの行使を認めるいわゆる単位株制度を採用することとしております。
 第二は、株主総会の運営を適正化することであります。そのため、株主が株主総会における議題の提案をすることができるとの制度を新設すること等により、株主の権限を強化しております。また、いわゆる総会屋の排除を図るため、株主権の行使に関して会社がする利益の供与を禁止し、その利益の供与を受けた者は、これを会社に返還しなければならないものとするとともに、これに違反して会社の計算でそのような利益の供与をした取締役等は刑罰に処することとしております。
 第三は、監査役の監査権限を充実強化することであります。そのため、監査役は、取締役が法令または定款に違反する行為をし、またはするおそれがあると認めるときは、取締役会に報告しなければならないものとし、必要があるときは、取締役会の招集を請求することができるものとし、また監査役の報酬及び監査費用を確保するための規定を設ける等の改正をすることとしております。
 第四は、会社の業務及び財務の内容の株主及び会社債権者への開示を強化することであります。そのため、営業報告書及び監査報告書の記載内容の充実を図ることとしております。
 第五は、会社の資金調達を容易にするため、会社は、新株の引受権の付された社債を発行することができることとしております。
 次に、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律につきましては、
 第一に、会計監査人の監査を実施する大規模の会社の範囲を、資本の額が五億円以上または負債の合計額が二百億円以上のいずれかに該当するものに拡大することとしております。これは、大規模の会社の計算書類が不正に作成されることによってもたらされる社会的な影響の大きさにかんがみ、一定規模以上の会社は、会計に関する専門家の監査を受けることが適当であると考えられるからであります。
 第二は、このような大規模の株式会社につきましては、会計監査人は、株主総会において選任するものとして、その地位を強化し、また監査役は二人以上でなければならないものとし、そのうち少なくとも一人は常勤の監査役でなければならないものとして、監査制度の一層の強化を図ることとしております。
 第三は、このような大規模の株式会社におきましては、貸借対照表及び損益計算書については、会計監査人及び監査役のこれを適法とする意見があったときは、株主総会の承認を受けることを要しないこととしております。これは、専門的かつ技術的な計算書類の内容の適否を一般の株主が判断することは困難であること及び計算書類については株主総会により選任された会計監査人及び監査役の厳重な監査がされ、かつ、その監査結果が監査報告書により株主に開示されることを考慮したものであります。
 第四は、このような大規模の会社で株主の数が多いものにつきましては、株主総会の招集の通知には、議決権の行使についての参考書類を添付しなければならないものとするとともに、株主の議決権の行使を容易にするため、書面により議決権を行使することができることとしております。
 最後に、有限会社法につきましては、商法の一部改正に伴いまして、これと関連する部分について、所要の整理をすることとしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の
  趣旨説明に対する質疑
#15
○議長(福田一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。沢田広君。
    〔沢田広君登壇〕
#16
○沢田広君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました商法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 ようやく今回、商法の一部改正が提案に至った経過、その原点に思いをいたさなければなりません。
 ダグラス、グラマン、ロッキード事件、多国籍企業の乱脈、不正経理、粉飾決算事件など、目に余るものがあったことはすでに御承知のとおりであります。
 かくて、昭和四十九年、衆参の附帯決議となり、法務省において会社法の改正について検討を始め、昭和五十四年五月二十二日、閣議了解により、航空機疑惑問題防止対策のため、政治の浄化、政治倫理の確立、これを担保する制度の創設が提言されました。これはいまだに実行されておりません。
 加えて、企業の倫理、制裁法規の整備、監査制度の充実、自主的監視機能の強化、多国籍企業による海外不正支払い防止、公認会計士監査の充実、経済界の自粛自制、賄賂罪の刑の加重、時効期間の延長等が提言されたのであります。
 この間、実に八年、ようやく日の目を見たのでありますが、この間はもちろん、今日におきましても、商道徳の退廃、企業の国民に対する背信行為、不正経理の乱発、まさに魑魅跳梁のさまはきわめて遺憾であり、この間の自民党政府の責任は、重かつ大と言わなければなりません。(拍手)
 総理も、この間、党内の総務会長九期、農林大臣などにあったわけでありますが、この責任についてどのように考えられますか、お伺いをする次第であります。これは、私、社会党の主張のみではなく、国民全般の天の声であるという立場から、明確に回答されることを期待するものであります。
 ちなみに、この間、北商のかずのこ事件しかり、十全会、KDD、石油やみカルテル、平和、大光相互銀行、日本発馬機、誠備グループ、日商岩井の香港事件等々、例挙のいとまもありません。
 商法は、六法の一つとして、わが国における商行為についての骨格法であります。昭和四十九年の附帯決議の内容からはきわめてほど遠いものであります。
 すなわち、会社の社会的責任、大小会社の区別、会計監査人の独立、監査法人の育成、休眠会社の整理、財務内容の公開、株主総会及び取締役会制度の改革等が求められたのであります。
 これらについて、総理、今後どのように対処される見込みでありますか、緊急を要すると思いますが、お伺いをいたします。
 特に商法中、社会的責任を明記することはきわめて重要と思いますが、いかがでありましょう。佐藤総理時代に「小骨も抜かない」と言いながら、大骨はもちろん肉まで取って、しっぽしか残らなかった政治資金規正法の二の舞は許されないものと思いますが、決意のほどをお伺いをいたします。(拍手)
 商行為は、ある意味において自由濶達、律動的でなければならない面ももちろんあります。しかし、社会の秩序、公共の福祉等、おのずから限界もまたあり、単なる利益追求のためにのみ存在するものでもありません。
 不十分ながら、その一歩を踏み出したことを認めないものではありません。しかしながら、のど元過ぎれば熱さを忘れるではありませんが、せっかくの審議会の答申が、業界等の反対などで大きく後退した事実も見逃せないのであります。
 また、近時、企業も国際的連帯の中にあり、欧米各国との体系の調整もまた必要となっております。現状において、無額面株式。自己株式の取得、処分、罰則。株式相互保有の制限。連結財務諸表の作成。ディスクロージャー制度の充実等々、今後にまつ点があります。どのように対応する考えであるか、お伺いをいたします。
 次に、総会屋対策であります。
 企業を食い物にするとともに、企業自身を毒するこの種の行為の撲滅は、きわめて重要な課題であります。今回、無償供与の禁止、返還と罰則が規定されましたが、「何人ニ対シテモ株主ノ権利ノ行使ニ関シ」とあり、この判定はきわめて困難であり、有償、無償の判断もまたしかりであります。取締役、監査役、支配人その他使用人は、六カ月以下の懲役または三十万円以下の罰金となれば、だれがこの事実を指摘するのか。みずからの首になわをつける者はありますまい。その取り締まりに当たって、どのように対応しようとするのか、公安委員長にお伺いをいたします。
 なお、会計監査人にこの事実判定の権限を与えることについてどう考えておられますか、あわせてお伺いいたしたいと思います。
 また今回、一株五万円となりますが、端株所有者の権利が抑圧され、締め出されることになる危険があり、その権利を十分保障する措置は講ぜられますか。特に議決権を含めてお伺いをいたします。
 株式の相互保有について、ヨーロッパではおおむね一〇%を限界としておりますが、親子会社を含め、第三の会社に対して二五%以上、議決権を失効といたしますが、さらに抑制すべきではなかったのでしょうか。
 次に、取締役及び監査役の資格制限に、たとえば刑に処せられ執行後二年は少な過ぎないかどうか。二親等以内への連座制など、企業の品格を重んずる立場から厳格であることが求められると思いますが、いかがでありましょう。
 今回の改正の最重点は、監査制度の強化にあることは御承知のとおりであります。同時に求められていることは、企業役員の独善を排除し、民主的運営を求めていることであります。
 少数株主による監査役の忌避権行使、総会における質問の自由、追加議案の提出権の拡充なども求められているととろであります。
 監査役、会計監査人の独立性はどう確保されたか、報酬など適正に定められる措置は講ぜられなければならないと思いますが、万全と言えるのか疑問のあるところでありますので、どう対応するかお伺いをいたします。
 海外の投融資も、七五年末で十億円以上の会社で百六十五社に及び、総額三兆円を超えている状況であります。七六年五月には実に六百九十社にも及んでいるのであります。これらの財務、税務の処理については、さきに述べたように、きわめて重要な問題を持っております。たとえばブラジルにおける日本ウジミナスは五億ドルの売り上げであります。また、新日本製鉄、三井物産の出資のアルマックスは四億ドルの売り上げであります。大蔵大臣を含めまして、これらの適正な措置についてどう対応されるか、お伺いをするものであります。
 今日段階で一番重要なことはディスクロージャーの強化問題であります。
 国民の企業に対する不信を払拭し、信頼を取り戻し、秩序もあり、健全、明朗な企業体制を確立することは、一にディスクロージャーのあり方にあります。株主及び債権者の保護のみでなく、社会の構成員としての義務でもあります。米、英、西独、仏と比較して、連結貸借対照表、連結損益計算書、子会社を含め報告されており、イギリスにおいては、営業報告についても取引高の割合、有利性、従業員数、政治などへの寄付金の明細、輸出の明細、取締役の持つ株式、社債などの開示が行われております。今後の重要な課題として、これらの例示した開示制度の充実を図ることが必要と考えますが、明確な回答を求めるものであります。
 続いて経営委員会制度であります。
 今回、提案のなかった点でありますが、大会社については越権行為、背任、独善を排除するためにも民主的運営が求められるところであります。速やかに改善を求めるものでありますが、どうお考えになられるか、お伺いをいたします。
 同時に、使用人と取締役との兼務の制限または禁止についてであります。
 名誉的な意味で、長年勤続し功績のあった者などに取締役などの役職とともに工場長、部長などを兼ねることを、情として理解しないものではありません。しかし、これらの二枚看板が時としては悪用され、個人の責任と取締役としての責任の明確を欠き、問題を複雑にしたり責任の回避に利用された経験もあります。外国においても明確に禁止しているところもあり、責任の明確化のため、このような対応を速やかに導入すべきだと考えますが、いかがでありましょう。
 最後に、今回の提案に係る資本金十億及び五億は果たして妥当なのか、企業分割は起こり得ないか、負債額は二百億でよいのか、売上額が削除された点に問題はないか、あわせて会計監査人と委嘱会社との関係、従前、職務として従事してきた税理士と公認会計士との関係、公認会計士と相当企業との需給問題など、危惧する点なしといたしません。これらについて概括的にどのような対応をなさるのか、お伺いをいたします。
 以上の改正は提言の一部であり、今後にまつところが多いのでありますが、今後の日程として、法務大臣の在任期間の関係もありましょうが、どのような計画で進められるのか、今後の対応についてお伺いをいたします。
 積み残しとなったこれらの問題点、いつごろを目標として提案を考えているのか。また、私が提言をいたしました幾つかの確認事項及びその処理についてお伺いをし、細部は委員会において明確にすることといたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 最初に、商法改正法案の提出が遅過ぎたのではないかとのことでありますが、御承知のとおり、商法は、わが国の私法制度の根幹を律する基本法であります。株式会社制度は、それ自体非常に複雑な制度でありますし、わが国の経済社会においても株式会社制度が果たしている重要な役割りを考えますと、その制度の改正には慎重な検討を要することは当然のことと思いますし、法制審議会等にもかけ、各界の意見も十分聴取して、法案を取りまとめて国会に提出した次第であります。
 今回の改正案の内容につきましては、変動する社会情勢に対応して、さしあたり可能と考えられる改正をできるだけ盛り込んだものでありますが、なお解決すべき問題が多く残されていることは御指摘のとおりであります。政府としては、今後も引き続き、残された問題について改正のための努力を続けてまいりたいと考えております。
 なお、企業の社会的責任についての規定を明記すべきではないかとの御意見がありましたが、企業の社会的責任の問題は、今日の経済社会においてきわめて重要な問題であることは十分承知いたしております。今回の改正案におきましても、会社がその社会的責任を果たすことができるようにするため、たとえば企業内容の開示充実など、個々の制度の改善策を盛り込んでありますが、会社の社会的責任に関する一般的規定を商法の中に設けることが必要であり、かつ妥当であるかどうかについては、さらに検討を続けてまいりたいと考えております。
 残余の点につきましては、所管大臣から答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#18
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 不正経理防止のために企業の情報のディスクロージャーをさらに強化せよ。
 私は、証券取引法による上場会社の企業内容の開示制度ということは、投資者保護の観点から非常に大事なことだと思っております。だから有価証券報告書の提出を義務づけをしておって、それを公表もいたしておるような次第でございます。しかも、その書類については、公認会計士の厳重な監査を経るということに、すでになっております。
 大蔵省としては、従来から、公認会計士が不正経理について厳正な監査を行うよう指導してきておるところでございます。今回、上場会社でなくとも、商法の改正によって、これらのいわゆるディスクロージャーというものが拡充されることは大変望ましいことだと考えております。(拍手)
    〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
#19
○国務大臣(奥野誠亮君) 昭和四十九年以来商法の全面改正を目途として、法務大臣の諮問機関であります法制審議会で鋭意検討を続けていただいてまいったわけでございますけれども、一昨年、会社の自主的監視機能の強化と、経済情勢の変動に対応する株式制度の合理化にしぼって、今回一月二十六日改正の答申をいただいたわけでございまして、緊急の情勢に対応して、さしあたり急ぐものを今回その答申に基づいて提案させていただいたわけでございます。したがいまして、数多くの御指摘をいただきましたが、総理からお話もございましたように、引き続いて鋭意検討を続けて、なるたけ早く国会に提案させていただきたい、こう考えておるわけでございます。
 また、いただきました答申に対しましては、きわめて忠実に立法化に当たったつもりでございます。また、その審議の過程におきましては、あらゆる議論が公にされてまいりましたので、議論の結果、あるいは後退の印象をお受けになった面もあるかもしれませんけれども、私たちは最も合理的な結論が得られたものだと考えておるものでございます。
 総会屋対策について、会計監査人が判定権を行使できるかというような式のお話がございましたが、会計監査人は、会計処理を会計原則に従って忠実に行っているかどうかということを監査していくわけでございまして、違法に当たるかどうかということは、むしろ監査役の役割りであろう、こう考えておるわけでございます。
 株式の持ち合いにつきまして、もっと制限を強化すべきだという御趣旨がございました。
 持ち合いは、過度にわたりません場合には、業務の円滑な運営などにおいて効果を発揮できると考えておるわけでございますけれども、過度にわたりますと、御指摘のような弊害が生ずるわけでございますので、その趣旨を明確にいたしますために、今回立法させていただいたわけでございます。二五%という数字を選びましたのは、ドイツの制度を参考にして決めさせていただいたわけでございます。
 取締役、監査役の資格の制限についても、さらに強化すべきだという御趣旨の御意見でございました。
 会社の資産の保全あるいは会社の経理の適正化を図っていきますためには、厳しく資格を制限していくことが大切だと考えておるわけでございますけれども、職業選択の自由でありますとか、あるいはできる限り活力ある経済活動を期待するという立場から考えますと、必ずしもそればかり考えられないというようなところで、調和をとって決めさせていただいたつもりでございます。
 次に、監査役、会計監査人の独立性のお話がございました。
 会計監査人につきましては、そのために今回、監査役の過半数の推薦によりまして、株主総会で決めるということにさせていただきました。同時にまた、監査役につきましても、その報酬は取締役の報酬とは分けまして、監査役の報酬として株主総会で決定をする。そして、取締役の影響をできる限り排除できるという仕組みをとらせていただいたわけでございます。
 企業の海外進出についてのお話がございました。
 資本提携を含めまして企業結合の問題、これをなお引き続いて検討してまいっておるわけでございまして、その際に、資本の海外進出に関しまする問題もあわせて検討されるべきだと考えております。そのようなことを通じまして、御要請にこたえてまいりたいと考えておるわけでございます。
 ディスクロージャーの強化のお話がございました。今回の改正の重要な点でございます。
 会社の業務内容や財務内容を開示していく、その開示を強化する目的をもちまして、業務報告書でありますとか、あるいは監査役や会計監査人の監査報告書、この記載内容を法務省令で決めることにしたわけでございます。開示の内容を強化するわけでありますから、記載方法を示しまして、これをさらに充実させる方向で決めさせていただきたいと考えておるわけでございます。
 なお、株主総会を招集します場合には、その際に参考書類も送付しなければならないということにいたしまして、株主の批判もしやすいようにしていきたいと考えております。
 経営委員会のお話がございました。
 今回の改正におきまして、取締役会の専権事項なども法定することを通じまして、取締役会の民主化を図っているつもりでございます。経営委員会を設けますと、せっかく民主化を図った取締役会が形骸化されるおそれが出てくるのじゃないか、そういうようなことで今回、経営委員会の設置は見送ったような次第でございます。今後ともなお検討される課題だと存じておるわけでございます。
 使用人取締役についての御意見がございました。
 日本的経営風土の一つの特色であろうと思っております。
 一つは、終身雇用制をとっておること、したがって、使用人が、従業員が登り詰めますと役員になっていくわけであります。もう一つは、わが国は欧米の社会とは違いまして、階級というものがございません。したがいまして、使用人が登り詰めて役員を兼ねているという例が多いわけでございます。
 まさに法律的には御指摘になりましたように問題が多うございます。しかし、経営的に考えてまいりますと、日本の経営の特色として、また、ある意味においてはよい面も発揮しているようでございますので、これも御指摘の点も含めまして、将来の検討課題にさせていただきたいと存じます。
 最後に、大会社の範囲。
 資本金は、上場会社に限らず非上場の会社につきましても、五億円の会社には公認会計士の監査を義務づけることとさせていただきましたし、売上金の問題は、債権者あるいは株主にとりましては、それほど大きな影響を持つものでもございませんので、今回はこれを外させていただきまして、負債の金額が二百億円を超えるようなものは、やはり影響が大きいということで、大会社の範疇に入れさせていただいたわけでございます。
 なお、いろいろ残された問題は、当初に申し上げましたように、引き続いて検討を加えまして、できる限り早く立法して国会に提出するように努力していく所存でございます。(拍手)
    〔国務大臣安孫子藤吉君登壇〕
#20
○国務大臣(安孫子藤吉君) 御質問は、今回の改正案で、株主権の行使に関連する財産上の利益の供与を禁止し、その違反に罰則を科することとしていることが総会屋対策として有効なのかどうか。また、警察は、そのような違反事実を実際に発見できるかどうかということでございまするが、警察といたしましては、最近の暴力団が総会屋に進出をいたし、あるいは総会屋が暴力団と結託をし、またはその支配を受けて活動をいたしておる実情から、総合的な暴力団対策の一環といたしまして、これまでも総会屋対策を重視してまいったところでございます。
 総会屋の活動態様には各種のものがございますが、その主要なるものは、株主権の行使に関連して金銭の供与を受けるというものが多いのでございまするだけに、今回の改正案が、この種の行為を禁止し、その違反を処罰するということにしておりますることは、警察の総会屋対策の上でも有効に機能してまいるものと考えております。
 いずれにいたしましても、警察は、この改正法が成立をいたしますれば、その趣旨を体し、国会での御論議も踏まえまして、法の目的とするところが実現されまするように最善を尽くしてまいることを申し上げておきます。(拍手)
#21
○議長(福田一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#22
○議長(福田一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        法 務 大 臣 奥野 誠亮君
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
        通商産業大臣  田中 六助君
        郵 政 大 臣 山内 一郎君
        国 務 大 臣 安孫子藤吉君
 出席政府委員
        法務省民事局長 中島 一郎君
ソース: 国立国会図書館
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